衆議院

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第2号 平成25年3月19日(火曜日)

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平成二十五年三月十九日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 吉野 正芳君

   理事 泉原 保二君 理事 うえの賢一郎君

   理事 北川 知克君 理事 土屋 品子君

   理事 冨岡  勉君 理事 篠原  孝君

   理事 河野 正美君 理事 斉藤 鉄夫君

      赤枝 恒雄君    穴見 陽一君

      井野 俊郎君    井林 辰憲君

      井上 貴博君    石川 昭政君

      岩田 和親君    小倉 將信君

      大久保三代君    菅野さちこ君

      小林 史明君    齋藤  健君

      笹川 博義君    助田 重義君

      藤原  崇君    星野 剛士君

      宮澤 博行君    務台 俊介君

      生方 幸夫君    吉田  泉君

      小沢 鋭仁君    阪口 直人君

      中丸  啓君    江田 康幸君

      杉本かずみ君    中島 克仁君

      野間  健君

    …………………………………

   環境大臣         石原 伸晃君

   経済産業副大臣      菅原 一秀君

   環境副大臣        田中 和徳君

   環境副大臣        井上 信治君

   環境大臣政務官      齋藤  健君

   環境大臣政務官      秋野 公造君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 和田 充広君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局次長)      田中 正朗君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        安藤 久佳君

   政府参考人

   (環境省大臣官房長)   鈴木 正規君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   梶原 成元君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            白石 順一君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       佐藤 敏信君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  関 荘一郎君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            小林 正明君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  伊藤 哲夫君

   政府参考人

   (原子力規制庁審議官)  櫻田 道夫君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力地域安全総括官)       黒木 慶英君

   環境委員会専門員     仲川 勝裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十九日

 辞任         補欠選任

  赤枝 恒雄君     菅野さちこ君

  井野 俊郎君     笹川 博義君

  井上 貴博君     星野 剛士君

  小倉 將信君     宮澤 博行君

  小沢 鋭仁君     中丸  啓君

同日

 辞任         補欠選任

  菅野さちこ君     赤枝 恒雄君

  笹川 博義君     井野 俊郎君

  星野 剛士君     務台 俊介君

  宮澤 博行君     小倉 將信君

  中丸  啓君     小沢 鋭仁君

同日

 辞任         補欠選任

  務台 俊介君     井上 貴博君

    ―――――――――――――

三月十九日

 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三五号)

 環境の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

吉野委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房参事官和田充広君、文部科学省科学技術・学術政策局次長田中正朗君、資源エネルギー庁資源・燃料部長安藤久佳君、環境省大臣官房長鈴木正規君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長梶原成元君、環境省総合環境政策局長白石順一君、環境省総合環境政策局環境保健部長佐藤敏信君、環境省地球環境局長関荘一郎君、環境省水・大気環境局長小林正明君、環境省自然環境局長伊藤哲夫君、原子力規制庁審議官櫻田道夫君、原子力規制庁原子力地域安全総括官黒木慶英君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

吉野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。うえの賢一郎君。

うえの委員 おはようございます。

 環境委員会、本日は大臣所信に対する質疑ということで、そのトップバッターを務めさせていただくことになりました、衆議院うえの賢一郎でございます。

 私、三年余りの浪人生活を経まして、また復帰をさせていただきました。初心に返らせていただいて、また私自身も一から研さんを積ませていただきたいと思いますが、選挙区は滋賀第二選挙区でございまして、環境先進県を標榜する滋賀県の出身ということもございまして、本委員会に所属をさせていただくことができましたのは、本当にありがたいことだというふうに思います。

 今、政府として、やはり震災の復旧復興、これは最優先の課題として、安倍総理を先頭にして取り組んでいかなければいけない課題だと思います。

 我々国会におきましても、これは党派を超えて、震災の復旧復興の問題には相互協力をしながら、政府側ともしっかりタイアップをして進めていかなければいけないと思っています。

 そうした観点から、本日は、まず、震災復旧復興に関する環境省としての役割につきましてお伺いをさせていただきたいと思います。

 石原大臣、所信の中で現場主義ということを標榜され、御自身もみずから地域、地元に足を運ばれて、この問題、とりわけ除染あるいは中間貯蔵施設の問題等々につきまして、先頭になって御尽力をいただいているところでございます。我々もしっかりとバックアップできるように、我々自身も研さんを積んでまいりたい、そのように考えているところでございます。

 最初に、除染についてお伺いをいたします。

 除染なくして復興なし、そのような思いで取り組んでいただいているものと思いますけれども、現在の除染の状況、とりわけ直轄地域の進行状況につきまして、その状況を御教示いただきたいのと、仮におくれがあるような場合、その場合につきましての理由といいますか、その状況、それの御説明をお願いしたいと思います。

小林政府参考人 除染につきましての現状、事実関係について御報告を申し上げます。

 除染、特に国が直接行います直轄地域、これは福島県の十一の市町村が対象でございます。

 その中で、順調に進捗している市町村もございますが、御指摘ございましたように、賠償や区域の見直しの議論に時間を要し、除染計画が未策定である、あるいはできるのがおくれたというような市町村がございます。また、実際に計画をつくった後でございましても、仮置き場の確保、ここに除染した土壌などを運び込むわけでございます。それから、一件一件について同意を取得するということにつきまして、時間を要している、あるいは要した市町村がございまして、そういう意味で、進捗が必ずしもはかばかしくない部分もございます。

 具体的には、国直轄の除染対象十一市町村のうち、九市町村におきまして計画を策定済みでございます。うち、四つの市町村、田村市、楢葉町、川内村、飯舘村では、本格的な除染作業を実施しているところでございます。また、二つの町村、川俣町と葛尾村につきましては、発注準備中でございます。

 引き続き、計画の策定、また除染事業の推進をしっかりやってまいりたいと考えております。

うえの委員 今のお話でもわかりますとおり、五つの市、町では、計画の策定が未確定であったり、具体的に進捗していないという状況でございます。

 これについては、今後どんなスケジュール感で進めていかれるのか、御教示をお願いしたいと思います。

小林政府参考人 今行っております本格除染は、基本的には平成二十四年度と二十五年度で何とかめどをつけていきたいということでございます。そういう中で、今、二十四年度も終わりかけております。そういう意味で、加速化が必要というふうに考えているところでございます。

 幸い、最初の方で申し上げたおくれの理由でございます賠償問題あるいは区域の見直しの問題、これは大分議論が進みまして、そういう意味で、除染につきまして本格的な議論ができる状態になっております。

 仮置き場の確保につきましては、先生もちょっとお触れになりましたように、中間貯蔵施設の設置も大きな鍵であるというように考えております。

 こういうことをてこに、おくれているところにつきましては進捗を図りたいと考えているところでございます。

うえの委員 今お話のあった中間貯蔵施設につきましては、ロードマップが公表されているわけでございますが、先般の不適切な除染等々の問題もございまして、一部、その進捗がおくれているというようなお話もお伺いをしているところでございます。

 この中間貯蔵施設の調査の状況、それと、地元町との交渉状況につきまして、御説明をお願いしたいと思います。

小林政府参考人 中間貯蔵施設につきましては、時間をかけまして地元と相談をしてきております。

 昨年の八月に、具体的に場所を示し、まず調査をさせていただきたいというふうなことをお願いいたしましてからも、県それから該当の三町ももちろんでございますし、周辺の、八つの双葉郡の皆様方と随分いろいろな議論を重ねてきたところでございます。そういう中で、昨年の十一月には、福島県知事から、調査については受け入れようというような表明をいただいたところでございまして、その後、引き続いて該当の町村と議論を進めております。三月一日には、調査を行う事業者の選定、契約を終えたというような段階でございます。

 現在、必要な準備を進めておりまして、今後、地元の御意見を丁寧に聞きながら、順次、現地踏査、ボーリング調査などを開始していきたいと考えているところでございます。

うえの委員 今御説明いただいたとおりだと思うんですが、やはり地元の御意向というのが非常に大事だというふうに思います。

 ここ数日の新聞報道を見ても、新しい町長さんが誕生されて、前に進みそうなところもあるわけでございますが、一方で、環境省との協議が事実上ストップしているというような町もあるやに伺っております。

 いろいろな課題、本当に非常に難しい課題だとは思いますが、やはり環境省としてのしっかりとしたリーダーシップをぜひ発揮していただいて、ある程度タイムスケジュールをもう一度明確にしていただいて、その上で地元の方の御了解をいただいていくということが非常に大事だというふうに思います。

 また、今後の実施体制についても、やはり体制をもっと拡充すべきではないかというような御意見もあろうかと思います。

 そうしたことも含めまして、今後の取り組みにつきまして、大臣の御所見あるいは決意をお伺いしたいと思います。

石原国務大臣 ただいまうえの委員が御議論いただきました除染と中間貯蔵施設、除染を進めますと、当然廃棄物が出てまいります。これが仮置き場に置かれている。また、仮置き場をつくることができませんと、除染をしたくてもできない。

 そんな中で、三町の皆様、双葉の方は新しい町長さんも御誕生になられまして、まだお会いはしておりませんけれども、副大臣がお会いさせていただいた話の中では、調査を受け入れるというようなお話もいただいておりますので、これで、三町がそろって調査を行い、五月の連休ぐらいまでにはしっかりと調査を終了して、第三者が客観的な安全基準、もちろん、委員が御指摘のとおり、地元の方々の御同意なくして物事は進みませんので、これをしっかりと理解していただく。

 こういうことで、事前調査を行った上で、施設の安全性の具体的なイメージというものをお示しして、理解を得て、平成二十七年当初から中間貯蔵施設の供用を開始できるように最大限努力をしていく。これは前政権のときから変わらぬ目標でありますが、政権交代いたしましたけれども、この目的に向かって、しっかりとスケジュール管理を委員の御指摘のとおり行わせていただきたいと考えております。

うえの委員 ぜひ、大臣、あるいは井上副大臣も精力的に御活動いただいているというふうに思いますが、さらに加速化、パワーアップをしていただきまして、地元不安の解消、あるいは着実なスケジュール実施につきまして御尽力をいただきたいというふうに思います。今の御答弁にもありましたとおりでございますが、五月末の調査終了、それから当初の計画どおりの二十七年当初からの搬入開始、そうした目標に向けて、ぜひ御尽力、頑張っていただきたいなというふうに思います。

 次に、TPPの話でございます。

 TPP、安倍総理が参加表明をされました。我が党の中にもさまざまな御意見があって、大変な不安というのはありました。そうした中で、それぞれの課題につきまして自民党の中でも精力的に精査を進めて、その結果、主要な農産物については断固守っていく、そして脱退も辞さない、そういう姿勢で交渉に臨んでほしい、そういう旨の申し入れを安倍総裁、安倍総理に行わせていただいたところでございます。

 このTPPの問題、今、農業の問題、あるいは自動車等々工業の問題が非常に注目をされているわけでございます。医療の問題もございます。ただ、その中で、情報によれば、今回、環境分野というのが新しくチャプターが立つ、一つ項目が起こされるというふうな状況でございまして、二十一分野の中にも環境という問題が入っているわけでございます。

 とりわけ懸念されるのは漁業補助金の問題でして、漁港の整備であったり漁場環境の整備、あるいは共済制度、いろいろな、国としての、あるいは地方団体としての支出で応援をしている部分があるわけでございますが、それについての取り扱いはどうなのかということは非常に心配をされるわけであります。ここは、TPP交渉の中で守るべき分野だというふうに思います。

 一方で、一般的なといいますか、それ以外の環境分野につきましては、これは、日本がこれまで積み上げてきたさまざまな技術や、あるいは世界にも冠たるような制度があるわけでございまして、今度は、TPPにおいて、環境分野においては攻める分野というのも相当程度あるだろうというふうに思っているところでございます。

 この攻めの分野について、これまでのFTA等々の交渉でも一定の議論があったんだろうというふうに思いますが、今度、新たにTPPの交渉参加に当たって、どういった姿勢、あるいはどういった観点を大切にされて臨まれるおつもりなのか、これは環境大臣の御決意なり御所見をお伺いしたいと思います。

石原国務大臣 ただいまのうえの委員の御指摘になられた点は、大変重要な点だと思っております。

 TPP二十一作業分野に関する検討会での議論を拝見いたしましても、EPA、FTAでは、貿易や投資の促進を理由として環境基準を緩和しないことが規定されているものが大宗であるとあるように、我が国の厳しい、国民の安心、安全のために絶対に必要な環境基準というものを、他の理由をもって緩和をするというようなことはやはりあってはならない、こういう基本姿勢で臨ませていただきたいと考えております。

うえの委員 国内の基準につきましては、これを緩和してほかの国からの投資環境を整えるということは断じてあってはいけないと思いますので、この環境基準、しっかりと守っていただくようにお願いをしたいというふうに思います。

 それと同時に、攻めるという意味でいえば、ほかの国に対する、あるいはいろいろな環境基準を引き上げてほしいというような要請であったり、あるいは環境物品、環境サービス、こうしたものについて、もし何らかの、関税なりの障壁があるのであれば、それを引き下げていただく、それによって日本の国益を実現していくということも十分考えられるんだろうというふうに思います。

 これにつきましては答弁は結構でございますけれども、やはりそうした攻めの姿勢で、一体環境分野がTPP交渉においてどういった我が国の国益につながるのか、そういう観点も十分に踏まえた御検討というものをぜひお願いしたい。これは御要請だけにさせていただきますが、お願いをしたいと思います。

 次に、中国との関係、とりわけ大気汚染の関係につきまして質問をさせていただきたいと思います。

 テレビ報道でもいろいろな形で報道されているわけでございますが、北京なりあるいは中国のいろいろな都市のまるで濃霧に覆われたような状況を見て、大変衝撃、ショックを受けていらっしゃるような方もたくさんいらっしゃると思います。先般就任をされました李首相、新首相自身も、この大気汚染の問題、状況を見て気分が重くなったというような発言を初会見でされている。それぐらい、中国国内でも今大変な大きな問題になっているんだろうというふうに思います。

 この大気汚染、とりわけPM二・五の問題でございますが、これまで我が国に対してどういった影響があったのか、あるいはその影響等々を踏まえて中国に対してどういった申し入れをされているのか、これにつきまして御教示を願いたいと思います。

小林政府参考人 今関心を高めております中国の大気汚染の問題でございます。

 大気汚染、特に微小の粒子状物質PM二・五につきまして、いろいろな議論がございますので、私どもも専門家による検討も行っているところでございます。

 それによりますと、ことしの冬の状態というのは、昨年あるいは一昨年と、やや高くなっている傾向はございますが、大きく変動しているものではないということでございますが、どこに要因があるかということにつきましては、大陸からの越境汚染の影響も考えられるというようなことが専門家から指摘をされているところでございます。

 一方で、こういった越境汚染によります影響の程度は、地域、また時期によっても違ってくる部分がございます。詳細につきましては、定量的に、より詳細な分析をして明らかにしていきたいというふうに考えているところでございます。

 中国政府とは、従来から環境をめぐるいろいろな議論の場がございますが、特にこの問題について、担当の課長も向こうに行きまして、これは、中国国民にとってももちろんでございますが、在留邦人の問題もございます。また、日本への影響も与えかねない問題だということで、高い関心を持って注視しているというようなことを伝え、今後議論していこう、こういう流れにあるということでございます。

うえの委員 今のお話ですと、昨年、一昨年よりは多少ふえましたというお話なんですが、では、仮に十年前、二十年前に比べると、やはり全然違うんじゃないですか。その状況というのはどういうふうに御認識されているんでしょうか。

小林政府参考人 大気汚染物質はいろいろなものがございます。特にこのPM二・五は、最近になりまして世界各国が取り組み出した課題でございまして、必ずしも古いデータがございませんが、中国との関係でございますと、一番古くは、多分、酸性雨の原因物質が、中国の硫黄酸化物でありましたり窒素酸化物でありましたり、これが影響があるのではないかという議論がかなり古くからございました。これにつきましては、日中間で研究していこうというような体制もございまして、長らく研究をしてきているところでございます。

 また、光化学の問題ですとか、それから黄砂の問題なども含めまして、いろいろな分野から議論をしてきておりまして、中国の対策に日本も協力をしていこう、こういう流れにございます。

 そういう意味で、中国は今、発展とともに大気汚染がますます著しくなっている傾向にあると思います。日本の場合は、大分努力をして下がってきておりまして、そういう意味で、越境移動の注目される度合いがふえているというような流れにあると思います。

 そういう中で、中国についての状況、また両国間の協力について、一層緊密にやっていく必要があるというふうに考えているところでございます。

うえの委員 今回の件で意見交換をしたというような御報告を受けているわけでございますけれども、私は、単に意見交換をするということではなくて、やはり中国の大気汚染というのが日本国内からも非常に懸念される状況、そして在留邦人の問題ももちろんございます。そうした問題である以上は、やはり攻めの環境外交というのを展開するのであれば、中国に対してもきちんと言うべきことははっきりと言っていくという、もう少し強い姿勢が必要ではないかというふうに思うんですが、それについてはいかがでしょうか。

小林政府参考人 ちょっと御報告が言葉足らずで、恐縮でございました。

 先ごろ行いました、これは二月二十二日に中国政府と協議を行ったものでございます。これは、外務省や経産省ともども、いろいろな意見交換をいたしました。この中で、日本の環境にも影響を与えかねない問題ということで、高い関心を持って注視しているということは明確に伝えたところでございます。

 その中で、さっきも申しましたように、従来からのいろいろな協力関係がございますが、既に実施している協力関係、技術協力などにつきましては引き続き推進をしていくとともに、さらなる協力の可能性ということについても検討していこう、検討していくということにつきましては一致をしているところでございます。

 先生おっしゃいましたように、両国にわたる問題でございます。あるいは、アジア全体の問題でございますので、日中両国が協力して対策が強化していけるように、引き続き意見交換を行ってまいりたいと考えております。

うえの委員 中国とのいろいろな技術協力、これは、恐らく今まではODAという形の中で円借款をやったりあるいは無償協力というようなことがあったと思うんです。それは、前の前の政権、自民党政権時代にストップをしたというふうに思っているんですが、今後の技術協力のあり方、どういった姿勢、どういった観点が大事なのか。あるいは、今の、何らかのネットワークがあって、その場で検討が進められているのであれば、それも含めて御説明をお願いしたいと思います。

関政府参考人 現在、日本と中国の間におきましては、一部、人の派遣等で、ODA、JICAを通じた派遣はございますけれども、基本的に、環境分野で、水や大気汚染について、双方が応分の負担をいたしまして現地で実証試験を行う、こういうふうな水平協力的な協力が主でございます。あるいは、加えまして、政府が日本のすぐれた民間企業の技術を紹介することによって、民民ベースで環境対策が進み、なおかつ中国で日本の環境ビジネスが振興する、こういう方向で進められているところでございます。

うえの委員 今後どういった形で技術協力を進めるかというのは非常に難しいと思うんです。

 今までと同じように、一方的に中国に対して何でも協力しますよという姿勢で本当にいいのかどうか。今、中国との関係が非常に微妙な時期でありますから、そうした関係でいいのかどうかというのはいろいろ議論があるところだというふうに思います。

 ただ、一方で、中国との関係、尖閣諸島の問題以来、いろいろなチャンネルが閉ざされている可能性があると思うんですが、そうした中で、環境分野というのは、環境を守るという非常に大義のある分野でございますので、そこのチャンネルというのを開けておくということは非常に大事だと思いますので、そうした観点も踏まえた御検討というのをぜひお願いしたいというふうに思います。

 それで、大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

 総論的なお話で結構なんですが、攻めの環境外交だというフレーズの中で、やはり公害のデパートだと言われる中国とどういった姿勢で向き合っていくのかということは非常に大事だと思っています。

 欧州あるいは欧米で長距離の越境大気汚染条約というのが一九七九年に締結をされて、その中では、排出物質についての削減義務等々が課されているというような状況でございます。

 私は、やはり東アジアにおいても、越境の大気汚染の問題に対する何らかの新しい枠組みというものをつくり上げる必要があるのではないかというふうに思っているところでございまして、そうした観点も踏まえて、今後、対中国あるいはアジアの大気汚染の問題にどのような姿勢で臨まれるのか。あるいは、五月に日中韓の環境大臣会合が開かれるというふうにお伺いをしておりますが、その場でもやはり積極的にこの大気汚染の問題については取り上げるべきではないかというふうに思いますが、この点につきまして大臣の御所見をお願いしたいと思います。

石原国務大臣 ただいまうえの委員が御議論された点が、私も大変重要だと思っております。

 尖閣諸島の領有をめぐって、もちろんこれは我が国の固有の領土でありますけれども、ぎくしゃくした日中関係の中で、委員のお言葉を拝借すると、環境問題の解決には大義がある。まさに日中両国の戦略的互恵関係の重要テーマとしてこの問題を取り上げ、今委員御指摘のように、五月には大臣会合も予定されております。

 野田政権の中でぎくしゃくした中国関係の中、閣僚級の交流というものはとまっております。これもまた、北九州で今回は予定されておるんですけれども、こういうマルチの日中韓会合、重要な機会であるということはもう私もそのとおりだと思いますし、後段の御指摘にございましたように、中国を含むアジア全域、委員はストックホルムで開催された欧州の経済委員会環境大臣会合のことについて御言及されましたけれども、バイ、マルチの機会を通じて関係諸国や関係機関と、これは人類の生存にかかわる重要なテーマでありますので、協議を重ねて、幅広い国あるいは共通の理解をマルチの場も活用して図っていくということが肝要である、こんなふうに考えております。

うえの委員 大臣、ありがとうございます。そのような姿勢、ぜひ私ども、できる部分についてはしっかり応援をさせていただきたいと思います。

 最後になりますが、私、滋賀県でございますので、琵琶湖の問題に少しだけ触れさせていただきたいと思います。

 琵琶湖の環境保全、一千四百万人の水がめとして、これまで国としてもいろいろな形で応援をいただいてきたわけでございます。私ども自由民主党として、今議員立法で琵琶湖再生法というのを、これは実は四年前に一度国会に提出をさせていただいたんですが、それをもう一回、再提出ができるように、議員立法という形になろうかと思いますが、党内での議論を進めさせていただきたいというふうに思います。これに対しましても、環境省の皆さんのまた技術的な御支援等々がいただければというふうに思っているところでございます。

 この中で、今滋賀県が進めている事業の一つに、内湖の再生プロジェクトというのがございます。

 内湖というのは、国内の湖沼では余り見られない、琵琶湖に特有のものだというふうに思いますが、琵琶湖側と陸地側をつなぐ、そこに湿地帯ができる。この湿地帯が、いろいろな動植物、在来種の生息環境には本当にすばらしいところでもございます。縄文時代あるいは弥生時代から人がその内湖を利用して、いろいろななりわいを行っていたというような痕跡も残っているわけでございまして、その内湖を使って、クリークを利用して、いろいろな物資を運んだり、あるいは農作業を行ったり、自然環境としての価値ということだけではなくて、自然とそれから人が共生をして相互に利用し合う、そういう特異な、あるいはすばらしい環境がこの内湖というところでございます。

 この内湖、実は、琵琶湖の総合開発が行われ、だんだんと干拓地になってしまう、水田になっていく、そうした状況が続いていました。それが、実は琵琶湖の今の水質なりあるいは生態系によくない影響を与えているのではないかというような意見、見解もございまして、滋賀県では今、琵琶湖の内湖の再生事業というのを進められているわけであります。

 今、日本全国の中でも最大の自然環境の再生のプロジェクトというのが実は私の出身地でもあります長浜市で進められていまして、約二十ヘクタールを、内湖であったものが一旦田んぼになった、その二十ヘクタール分について、もう一回自然再生をしようという事業が進められているわけでございます。

 これは、十年、あるいはもっと期間のかかる事業でございますけれども、今環境省の方からいろいろな御支援もいただいているところでございますが、私は、できましたら、例えば、道路事業であれば、その道路の事業決定がされれば長期にわたって支援される、あるいは土地改良事業であってもそういうシステムがあるわけでございまして、環境省さんの方でも、大規模な自然再生、自然回復の事業に対しては長期的に支援をしていく、そういう新しいスキームをぜひ御検討いただきたいというふうに思っているところでございます。これにつきまして御所見をお願いしたいと思います。

田中副大臣 今のうえの議員の地元の、そして日本の、世界の宝物とも言われる琵琶湖の件について、環境省の考えをお話しさせていただきたいと思います。

 早崎内湖自然再生事業は、今お話ありましたように、失われた内湖の水辺環境を保全、再生する先進的な取り組みであるというふうに認識をしておりまして、これまで、平成十八年度から環境省としても、平成十七年に創設をした自然環境整備交付金等によりまして、補助率四五%でございますが、継続的に支援をしてまいりました。

 滋賀県においても、この自然再生事業を積極的に実施していくという考えでございまして、今後も我々は継続的な財政支援の措置を前向きに検討しておるところでございます。

 今までも、平成十八年度から二十四年度の間でございますが、総事業費が二億五千百二十三万四千円でありまして、そのうち国費が一億一千三百五万五千円となっております。

 二期五年、今後、平成二十五年から二十九年度ということで、県の方からもお話が来ておりまして、総事業費は八億一千三百七十八万九千円は見込まれているようでございまして、国費も三億六千六百二十万五千円を考えておるところでございます。

 ことしの単年度につきましても、国費を四千四百二十七万五千円、こういうことでございますので、我々もできる限りの対応をしてまいりたいと思います。

うえの委員 どうもありがとうございます。ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 これで終わります。ありがとうございました。

吉野委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 本日は、石原環境大臣の所信に対して質問をさせていただきます。

 まずは、石原大臣を初め政務三役の皆様、おくればせながら、御就任おめでとうございます。政治の強いリーダーシップで、環境立国日本の構築を目指して環境行政を力強く引っ張っていただかれることを念願して、私の質問に入らせていただきます。

 本日は、今後の地球温暖化対策とエネルギー対策を中心に質問させていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、今後の地球温暖化対策の方向性について伺わせていただきますが、東日本大震災以降、我が国のエネルギー政策は大きな岐路に立っているわけであります。

 公明党は、原発事故を直視して、将来的には原子力に依存しない社会を目指すことを決定しており、自公連立政権においても、省エネ、再エネの加速的導入や、また火力発電の高効率化等の推進によって、可能な限り原発の依存度を減らすと明記をしているところでございます。

 こうした中で、三月十五日、原発を含めたエネルギー政策の基本であるエネルギー基本計画の見直しが総合資源エネルギー調査会で再開されました。表裏一体の関係にある温暖化対策の計画の見直しも、今後策定されていくことになるかと思います。従来の二五%の削減目標は、一月二十五日に発出された総理指示により、ゼロベースで見直されることとなっております。

 一方で、自公政権時のラクイラ・サミットでは、世界全体の排出量を二〇五〇年までに少なくとも五〇%削減するとし、先進国全体で八〇%の温室効果ガスの排出削減を目指すこととされました。また、昨年閣議決定されました第四次環境基本計画においても、二〇五〇年までに八〇%の温室効果ガスの排出削減を目指すこととしたところであります。

 今後の見直しにおいては、この長期目標を見据えて我が国の中期目標は適切に設定されていく必要があり、これはハイレベルなものでなければならないと思います。

 今後は、エネルギー基本計画の見直しを踏まえて、新たな温暖化対策を策定していくことになりますけれども、中期目標を含めた新たな温暖化対策の構築に向けて、大臣にリーダーシップを発揮していただきたいと思います。COP19までしっかりとまとめる、日本としてある程度のことをしっかりと示さなければいけないと思っておりますが、今後の新たな温暖化対策に対する大臣の基本的な考え、また決意について伺わせていただきます。

石原国務大臣 江田委員、ありがとうございますとまずお話をさせていただきたいと思うんです。

 というのは、二年前の発災以来、地球温暖化に対する取り組みというものがどうしても埋没しがちになってきたと思います。そんな中で、御党であります公明党の皆さんが、この問題、特に、やはりこれは人類共通の課題なんですね、生存権というもっと非常に根幹にかかわる。産業革命のときから平均気温を二度以内に抑えていかないと、今世界各国で起こっている異常気象に象徴されるような天変地異ですか、こういうものが非常に起こる確率が高まるということが学者の間で当たり前のように語られている。そういうふうな認識のもとで、私たちはこの問題に取り組んでいかなければならないと思います。

 少し大げさな言い方をすると、将来の国、あるいはそこで暮らす人の命、あるいは財産、体、こういうものをしっかり守っていくために、今、長期目標についても御言及がありましたけれども、私たち環境省としては、二〇五〇年までの長期目標堅持というきつい決意を持っておりますので、ぜひこれからもしっかりとサポートをしていただきますことを最後にお願い申し上げたいと思います。

江田(康)委員 大臣の認識も、地球温暖化対策をしっかりと進めていかなければならないという御認識であるということをお伺いいたしました。特に、我が国において中期目標がない中において、この長期目標をしっかりと踏まえて今後の温暖化対策を進めていく、このことは非常に重要であるかと思いますので、大臣、どうぞ力強いリーダーシップで頑張っていただかんことを念願いたします。

 原発の依存度が低下せざるを得ない中で、また低下を目指す中で、エネルギー政策と温暖化対策を一体として取り組んでいくためには、省エネの促進、また再生可能エネルギーの加速的導入、そして火力発電の高効率化等を強力に進めていくことが重要であり、これは待ったなしの課題だと思います。

 そこで、幾つかの課題についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 まず、風力発電の普及拡大についてお伺いをさせていただきます。

 風力は、発電コストは安いですよ。そして、再生可能エネルギーの大幅な導入拡大のためには、風力発電の導入拡大が必要不可欠だと確信しております。

 我が国は四方を海に囲まれておりますので、島国という条件により、陸上風力よりも洋上風力のポテンシャルが非常に高い。既に、銚子沖では着床式の風車が設置されて、実証研究が行われているところでありますが、ヨーロッパと異なって遠浅の海底が少ない我が国では、今後、特に浮体式、海に浮く形の風力発電が鍵となってくるかと思います。

 この浮体式風力発電につきましては、現在、福島県沖、それと我が九州の長崎県の五島列島沖で実証事業が進められているところであります。

 昨年八月、ここにいらっしゃいます何人かの先生方の皆様とともに、この衆議院環境委員会で、私の地元九州の長崎県五島沖の実証機を視察させていただきました。視察直前に大型の台風が通過したところであったということでありますが、全くその影響は見られずに、その技術力の高さと将来性は大いに期待が持てるものでございました。

 石原大臣もこの実証機を視察されたと伺っておりますが、視察を踏まえた上での洋上風力への期待について、まず伺いたいと思います。また、世界的にもまだ技術が確立されておらず、実用化で先行できれば、この分野で世界をリードする一大産業に発展する可能性は高いと思います。

 石原大臣は、洋上風力発電の能力を百万キロワット以上にしたいと新たな導入目標について言及をされましたけれども、政府の導入目標と実用化に向けた取り組み、そして具体的なスケジュールについてお伺いをさせていただきます。

石原国務大臣 環境委員会の皆様方が昨年御視察されたということを聞きまして、私も、先々週ですか、行ってまいりました。

 洋上風力発電は相当ポテンシャルがあるなということを私も実感させていただきました。そして、その技術力の高さ、私も動画等では見たことがあったんですけれども、実際に、これは試験機でありますけれども、七十メートルのものが水の中と地上に浮いておりまして、二十二メートルのプロペラが回って電力をつくり出している。委員が御指摘されましたように、台風にも、最大瞬間風速が五十メートルだったと聞いておりますけれども、これに耐えたわけであります。

 やはり、原発の依存度というものはこれから下げていかなければならない、そんな中で、再生可能エネルギーの占める位置というものは大変これから期待もあるんですけれども、三番バッター、四番バッターがまだ誰であるかというのがわからない段階で、この浮体式の洋上風力というものを三番バッター、四番バッターにしていくようにしていかなければならないということを痛感いたしました。

 ことしの夏には、二十二メートルの風車が八十メートルになるそうでございます。そうしますと、二メガワット、二千キロワットですかの発電が可能になります。そうしますと、それで賄われるのは、多分八百世帯ぐらいの電力が十分に賄われることになるわけでございますので、まさに、自立をして分散型エネルギー社会をつくっていく上で、これは非常に重要であります。

 委員のお地元の九州等々には離島もあります。離島等々で風が一定しているところ、日本でも北海道、東北などにもいいところはたくさんあると思いますので、こういうところで、現在二万五千キロワットぐらいの発電量でありますけれども、二〇二〇年には四十倍の百万キロワット、原発一基分ぐらいの発電を目指して取り組んでいく。

 また、そのポテンシャル。先ほど来しつこいように言っておりますが、日本のテクノロジーがありますので、これに対してヨーロッパの方々も視察に来るぐらいでありますので、これを何とか実用化して、日本の風力発電、洋上風力に適したところにこういうものをふやしていくということを行っていかなければならない。

 ぜひまた、二十メートルのプロペラから八十メートルのプロペラになるということでありますので、環境委員会の新しい委員の方々にも見ていただいて、再生可能エネルギー導入の糸口を発見していただければと思っているところでございます。

江田(康)委員 今大臣から洋上風力発電、特に浮体式について、もう詳しい説明をいただきました。大変関心を高く持っていていただいていると感謝いたします。

 この洋上風力発電を含めて、やはり風力発電というのは十九億キロワットものポテンシャルを持っている。理論的には、我が国のエネルギーを全て賄えるという量でもございます。特に、やはり日本の場合は洋上風力がすぐれている、そこをしっかりと開発を進めていくというのが再生可能エネルギーの安定的供給に向けて非常に重要であろうかと思っております。特に、九州や東北、北海道というのは大変なポテンシャルがあるということで、私も力強くこれを進めておりますので、どうぞ大臣、よろしくお願いを申し上げます。

 その風力発電とともに大変大きな期待がかかっているのが、やはり地熱発電でございます。その普及拡大について質問をさせていただきます。

 我が国は火山が多い、地下深部にはマグマが存在して膨大なエネルギーが蓄積されているわけでありますけれども、地熱発電は純国産の貴重なエネルギー資源でございまして、高い供給安定性がございます。また、原子力発電にかわるベース電源として、十分これは期待できると思われます。

 現在、地熱発電設備は全国十八カ所に約五十四万キロワットの発電設備を有しておりますけれども、そのポテンシャルは、原発約二十三基分に相当する二千三百四十七万キロワットもの地下資源が存在すると言われておりまして、インドネシアやアメリカと並ぶ、世界最大級の地熱資源量を有しているわけであります。

 また私の地元のお話で恐縮でございますけれども、九州では、九州電力の八丁原地熱発電所がありまして、一九七七年以降、稼働を続けています。この発電所は、十一万キロワットの発電力を誇る、日本最大の地熱発電所でございます。

 まず、大臣、資源量からも技術力からも期待できる地熱発電の普及拡大に対する大臣の基本的な考え方についてお伺いをいたします。

石原国務大臣 きょうはやけに気が合って恐縮なんですが、私も、これは大臣就任以来、一番関心を持ったところでございます。

 アイスランドは、四十万人の人口の国ですけれども、ほぼ一〇〇%地熱で発電を行っております。日本国も、御多分に漏れず火山国であります。私、見たことがあるのは、八丈島の小さな施設だけは見たことがあるんですけれども、やはり可能性が高い。

 それで、どうも世間のうがった見方は、環境省が国立公園があるところなもので邪魔しているんじゃないかというような見方をする方もいるんですが、そこの部分はもう規制緩和されております。

 もちろん、温泉権等々、そこで旅館業等々を営んでいる方々との問題は若干あるのかもしれませんけれども、やはり、さっき再生可能エネルギーの四番バッターというのはなかなか固まらないというような話をしましたように、この地熱もこれから、今もう既に北海道の方で手を挙げていらっしゃる方々も出てきております。それで、九州はやはり、ある金融機関の頭取と話をして、自分が自分の銀行で持っている土地でこれを試みてみたいみたいな話も伺っております。

 こういうものもあわせて、再生可能エネルギーを普及していく上で、これもまた自立分散型の典型的なものだと思いますので、もちろん、大きな施設になって景観を害するとかそういうことのないように、環境に優しい形での地熱発電所というものも、これからぜひ委員ともども応援をしていかなければならない、重要な再生可能エネルギーの一翼を担うものであるというふうに認識をさせていただいております。

江田(康)委員 石原大臣が一番関心を持っているというのは、大変うれしく存じます。

 私も一番関心を持っているものでございまして、再生可能エネルギーの三番バッター、四番バッターに当然なってくるものと私は思いますけれども、今大臣がおっしゃいましたように、これまで規制が大変大きなネックになっていた。環境アセスも十年はかかるんじゃないか、こういうようなことでおくれてきたわけでございますけれども、昨年の三月には、環境省によって国立・国定公園内の規制緩和が図られたところでございます。これで、現在、五地域において開発調査が計画されて進められていると聞いております。大きく進みました。

 しかし、その一方で、先ほどもございましたけれども、やはりこれを実用化していく中において一番ネックになってくるのが、我が九州などは地熱資源が多くありますが、古くから、同時に温泉があることが多いわけであります。地熱発電の開発によって、地下水位が下がって、近隣の温泉の湧出量を減少させるのではないか、枯渇させるのではないか、こういう懸念があったわけであります。

 私の熊本におきましても、熊本は、火の国熊本というふうに言われるほどに地熱資源が多いわけでありますけれども、地熱の活用が、十分に生かせていない。大分側に、また鹿児島県側にその開発が偏っているという状況にありました。

 そのため、熊本県では、地熱ポテンシャルの可能性の高い阿蘇地域において、熊本県地熱・温泉熱研究会を設置して、地域の事業者、有識者、温泉事業者の皆さんが地熱開発事業の円滑な推進について議論を始めております。

 ここで、最後にお伺いしておきますが、地熱発電を推進していくに当たって、地元への丁寧な説明をいかに適切に行って理解を得ていくか、それは科学的根拠を持ってしっかりとやっていく必要がございますけれども、この合意形成に向けた政府としての支援方針について、改めて大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

関政府参考人 委員御指摘のとおり、地熱は大変有望な再生可能エネルギーでございますけれども、地熱が有望なところというのは温泉地帯でございまして、私の故郷もそうでございますけれども、温泉事業者さんはやはり大変懸念をされている方もいらっしゃいます。

 環境省といたしましては、新たな予算を計上させていただきまして、まずは、科学的にどうなっているかという情報を収集し、わかりやすく御提供する。地域の中で、地域の利害関係者が協議体をつくって意見交換をし、正しく認識していただいて、その地域のエネルギーをどうするかということの協議が進むような御支援をさせていただく。あわせまして、やはり専門家がいらっしゃいませんとなかなかわからないところがございますので、専門的なことが御理解いただけるコーディネーターを養成する、こういうふうな事業を予定しているところでございます。

江田(康)委員 しっかりと取り組んでいただきますように、よろしくお願いを申し上げます。

 続いて、火力発電の高効率化について質問をさせていただきます。それとともに、今進行中の東京電力の火力発電の入札についてもお伺いをさせていただきたいと思います。

 まず、東日本大震災以降、原発が停止する中で、化石燃料が電源構成に占める割合は九〇%を超える水準で推移しています。化石燃料の中でも比較的CO2の排出量が少ない天然ガスが急増しているわけでありまして、電力各社は一斉に電気料金の値上げ申請に踏み切りました。

 将来的には大幅な省エネや再生可能エネルギーの加速的導入が重要であることは論をまちませんけれども、当面はやはり化石燃料による火力発電に依存せざるを得ない、そういう現実がございます。このためにも、火力発電の高効率化を早急に進めていくことが何よりも重要だと思います。

 ここで、東京電力の火力電源入札の件についてお伺いをさせていただきます。

 東京電力は、ベース電源二百六十万キロワットについて、ほかの事業者から購入するための入札を行うことを発表いたしました。ところが、東京電力が条件とする発電単価が非常に安いことから、これを満たす電源は石炭火力しかないとの見方が多く、当初からこれは問題、課題になっておりました。

 我が国の温暖化目標が設定されていない状況で石炭火力発電がふえていく状況となれば、地球温暖化対策の見通しはますます不透明になっていきます。仮に、単純に二百六十万キロワット全てが石炭火力発電となった場合に、最新設備でもCO2排出量が年間千三百万トン、これは日本の一年間に排出される温室効果ガスの一%に相当するわけであります。

 他方、先ほども申した理由によって、電力需給の安定性やそのコストを考えれば、やはり石炭火力に期待される役割は非常に大きいものがございます。

 この電力の安定供給と温暖化防止の両立を図る道筋を政府全体でしっかりと協議して、早期に提示することが何よりも重要であるかと思いますが、この東京電力の火力電源入札に関しては、環境省と経産省で局長級の会議を設置して協議を行ってまいりました。

 そこで、温暖化対策としての火力発電の活用、あり方について、環境大臣の見解を確認しておきたい。これは、特に東京電力に限らず、これからの大きな方向を示すものとして、温暖化対策も主管する環境省の大臣に、特に、その活用に当たって、環境負荷を低減させていく方針、方策についてお伺いをさせていただきます。

石原国務大臣 この点も大変重要な点だと思います。

 現況の入札の状況あるいはエネ庁としての取り組みは経産省の方に聞いていただきたいと思いますが、私どもは、シンプルに一つのことを申させていただいております。

 すなわち、発災の後、原子力発電所がとまりまして、石化エネルギーを輸入せざるを得ない、それによって貿易収支も赤字になってくる、こういう中で、いかに経済性、安い天然ガスを仕入れることが重要であるのか。また、計画停電というので大変多くの国民の皆様方に御不便をおかけしました。やはり電力の安定供給ということも忘れてはならない。

 そして、私どもが一番声を大きくしておりますのは、委員が御指摘されましたように、予定されております二百六十万キロワットの石炭発電所ができますと、日本全体のCO2排出量一%に当たるような、環境負荷が大変大きい施設になってしまう。やはり環境、冒頭の御質問にございましたように、人類の生存にかかわる根源的な問題でありますので、ここのところ、CO2の排出量をおろそかにしては絶対にならない。

 こういうことで、委員御指摘のとおり、局長級の協議を続けさせていただいているのが現状でございますが、私は、やはり委員が地球温暖化と冒頭御質問をいただいたこの点を決して忘れてはならないということをこれからもお話をさせていただきたいと考えております。

江田(康)委員 ありがとうございます。

 この火力電源の入札事案に見られますように、この問題、課題は大きいものがございます。したがって、だからこそ、石炭火力の、また火力発電の高効率化を早急に進めていかなければならないと思うわけでございます。

 天然ガスのコンバインドサイクル発電や石炭ガス化複合発電、IGCCとかIGFC、そういう効率的な発電効率を持つ石炭火力に切りかえていく、このことで、効率のいい、また温暖化対策にも資する、そういうエネルギー構成になっていくことと思いますので、しっかりと開発を進めていっていただきたいと思うわけでございます。

 最後の質問になります。PM二・五の問題については、先ほども種々質問があっておりましたけれども、私の方から最後に一つ質問させていただきます。

 中国の大気汚染が深刻化して、偏西風による越境で、日本への影響が懸念されております。特に警戒されるのが、微小粒子状物質PM二・五でございます。これもまた、九州を初めとして西日本で通常よりも非常に高いPM二・五が記録されておりまして、私の熊本県内でも、荒尾市などでは一時間で百マイクログラムを超える高い値を観測したところであります。現在のところ、健康被害の報告はありませんけれども、肺がんやぜんそくを引き起こすおそれがある物質であるために、早急かつ万全な対策を行う必要があります。

 そこで、質問をさせていただきますが、環境省は二月の二十七日に、PM二・五に関して、外出を控える注意喚起の目安となる暫定指針を公表いたしました。

 私の地元である熊本県では、国の暫定指針の策定直後に注意喚起の体制を整備して、迅速に注意喚起が発令されました。この点、大変高く評価するものであります。迅速な注意喚起に結びついたわけでございますので、暫定指針は一定評価するところでございます。

 しかし、この暫定指針は、環境基準の二倍に当たる七十マイクログラム超が注意喚起の基準とされて、二つの基準が併存することになる。国民の戸惑いも予測されます。今回、あくまで暫定指針でありまして、今後は、都道府県の運用実態も踏まえて、大気汚染防止法の改正も含めて、柔軟な見直しが必要になるのではないか。

 このPM二・五対策に大変に尽力されている秋野大臣政務官にお伺いをさせていただきます。

 国として、重大な健康被害を防止すべく、この暫定指針の運用状況の監視、検証状況をどのように進めて今後の長期的な見直しを図っていくのか、これについてお伺いをさせていただきます。

秋野大臣政務官 御指摘をいただきましたとおり、PM二・五の注意喚起のために、専門家会合におきまして、健康影響が生じる可能性が高くなるとされる濃度水準を、法令に基づかない注意喚起のための暫定的な指針として定めをさせていただきました。

 これも御指摘いただきましたが、この指針自体は都道府県において運用をされることになっておりますが、運用開始後、まずは十分な追跡調査に取り組みまして、必要な改正、見直し等を行ってまいりたいと思っています。

 そして、今御指摘をいただきましたので、将来的には大気汚染防止法に基づく注意報等の緊急時の措置として位置づけることも視野に入れながら、十分取り組んでまいりたいと思います。

江田(康)委員 時間が参りました。

 本当にきょうは、大臣、誠実な答弁をいただきまして、ありがとうございました。政務の皆様、ありがとうございました。

 以上で終わります。

吉野委員長 次に、篠原孝君。

篠原委員 民主党の篠原孝でございます。

 私も、まずはエールの交換から始めさせていただきたいと思います。

 おくればせながら、大物大臣、大物副大臣、それから、将来有望な政務官の皆様方、御就任おめでとうございます。

 大臣がちょっと触れられましたとおり、やたら景気が悪いということで、経済成長、経済成長ということで短期的な視点に立ってしまっているんだろうと思います。環境のことを忘れてしまっているような気がいたします。私は、それに対して環境族議員の一人としていらいらしております。そういった中で石原大臣に就任していただきまして、非常に私はいいことではないかと思っております。

 中国のPM二・五の話がありますけれども、経済、経済で環境のことをないがしろにしてくると、結局後で困る。

 それから、吉野委員長は今全力を挙げて取り組んでおられますけれども、安い電力だということで原発ばかりに頼っていてこんな不始末をしでかしている、やはりこれはよくないんじゃないか。環境行政というのは、一番バッター、二番バッター、三番バッター、再生可能エネルギーの方でどれが一番かというのはありましたけれども、私は、本当に大事にしていかなくちゃいけないことではないかと思っております。そういった観点から質問をさせていただきたいと思います。

 まず、除染の問題です。

 除染は大事だ、また、公害のころ、環境、環境で、大気汚染がよくないんだ、四日市ぜんそくだとかなんとか、イタイイタイ病、四大公害病とかいろいろと言われたりしていたころ、そのころは、環境を大事にというのでいくと何でも通るみたいな感じのがあって、今は福島の復旧復興。それが除染ばかり。除染は大事じゃないとは言わないんですが、除染にお金を使い過ぎたり、何かエネルギーを使い過ぎているような気がするんです。

 例えば、農産物の風評被害とかそんなところにも余り関心が行っていない。子供たちの甲状腺がんというのがあるわけですね。余りきちんと検査もしていない、調査もしていない。そういうのがほったらかしで、除染と比べたら違うと思うんですよ。

 私は、そういう点では非常に参考になるのは、やはりチェルノブイリの原発事故だと思います。

 政府の対応とか、流れてくるのを見ますと、スリーマイルのは、アメリカのことだし、情報が入りやすいということであちらのはいろいろなところに出てくるんですけれども、チェルノブイリと比べてどうだというのは余り出てこないような気がするんですよね。

 それで、チェルノブイリの原発事故の後、はるかかなた昔、一九八六年ですけれども、資料はいろいろあるんだろうと思います。あちらと比べて一体どうなのか。例えば、除染だとか子供たちの健康診断とか、我が国は一体どこまで除染をするのか。例えば、あちらはもう二十七年もたっている。いつまで除染を続けていくのかというのはあるんじゃないかと思いますけれども、この点についてはどういう方針を持っておられるのでしょうか。

石原国務大臣 篠原委員にお答えしたいと思います。

 私どもが政権を持っていない、菅内閣の中で発生した大震災の発災であったわけでございます。私どもも、この除染ということについて吉野委員長と私、議論をさせていただいたことを覚えているんですけれども、やはり、放射線量に応じて市町村ごとに除染を行い、除染をすることでそこに暮らす方々が安心したり、空中放射線量が下がることによって日常生活が再開できる、こういう意味は非常に私、大きかったんだと思います。

 しかし、今その一方で、委員が御指摘されましたとおり、どこまでやるんだというような話が、現場を歩いても出てくるようになったと思います。その一方で、もっとやってくれ、二次、三次もやってくれというお話も伺います。

 ですから、これも前政権下で決めていただきましたように、二十四年、二十五年の二年間で除染を行う。二十五年度には、いわゆる高放射線地域もモデル事業として行わせていただいて、これは五十ミリシーベルト以上のところでございますけれども、これが一体どういう効果があるのか、こういうことをやった後、一体どれだけのことをこれからやっていくのか。

 もちろん、今、森林の除染もやってくださいというお話も復興庁の方に来ていて、除染のタスクフォースの中でも、もしやるとしても、それをただやるだけではなくて、森林をしっかりと守っていくという観点で、林野の働く人たちの立場に立ったそういう形にしなきゃいけない。

 これがどうもこれまでは省庁ごとにばらばらであったので、公共事業についても、あわせて行う新しい形を試行錯誤の中でやっていった後に、やはり二十四年、二十五年、来年度しっかりやって、二十六年になりましたらしっかりと検証をしていくということが、委員のお話を聞かせていただいていても、肝要なのではないか、こんなふうに考えております。

篠原委員 これは難しいところだと思います。客観的基準の安全というのは、安全と安心、どこにボーダーラインがあるか。食の安全がそうなわけですよ。非常に気にする人は物すごく気にしまくって、食品添加物だとかそういうのですけれども、ちょっとでも入っているとよくないと言う人もいる。遺伝子組み換えとかいうものについても、あっけらかんのかんの人もいれば、もう絶対だめだと言う人もいる。これは同じだと思うんです。どこかに線を引かなければならない。

 私が申し上げたいのは、いろいろ試行錯誤していくのはいいんです。それで、どこでも同じだと思います。チェルノブイリでも、やはり考えることは同じですね。学校とかいうのはもう一番真っ先に除染しているわけです、子供たちに対する悪影響があってはならない。道路だとか屋根だとか人口密集地帯、しかし違いはどこにあるか。これは被災地の皆さんには残酷な話なんですけれども、これは政府がきちんとやっていかなくちゃいけない。

 私は実はチェルノブイリには二度行っているんですよ。二度といったって、一度目は八年前でして、外務委員会の視察で行きまして、いや、視察先になっていないんです。キエフに泊まっていて、九時に出発するんですけれども、チェルノブイリに行きたいと。行きに一時間半かかると。余り霧がないところなんですけれども、原田義昭さん、外務委員長と私だけで車を飛ばしてでこぼこ道を行って何をしてきたかというと、三十キロの検問所のところに行って写真を撮ってきただけなんです。日本の原発事故は起きていません。

 私は、これから環境委員会でお話しいたしますけれども、原発は危険だということで、ずっと原発ウオッチャーの一人だったんです。だから何をしに行ったのかというと、そこで写真を撮ってきただけです。二度と来ることはないだろうなと思っていたら、福島の原発事故が起きました。

 農林水産副大臣をやっておりました。二十五周年の記念事業がある。日本国政府、民主党政権ですけれども、原発事故が起きていましたし、総理が行くべきところを、それを副大臣が一日だけ行って挨拶してくる。そのとき、どうでもいいことかもしれませんけれども、五月の連休の前後で、補正予算の審議で閣僚クラスは海外出張まかりならぬというときだったんですけれども、しかし、私は三日間行ってまいりました。そのときは中に入りました。

 なぜかというと、その前年から、ウクライナはお金がないところだからしようがないんでしょうけれども、お金を取ってウクライナの非常事態省が案内する。副大臣などが日本から行ったのは、中に入って見たのは国会議員で初めてだと思います。普通は二時間コースなのに、四時間半ぐらいかけて丁寧に案内していただきました。

 注意をされまして、こんなところに長くいちゃいけないから、早く車に乗って立ち去れと言うんですけれども、私も六十超えているし、そんなに気にしなくたっていい、国民の皆さんのこと、子供たちのことは気にしますけれども、私自身はいいんだということで、写真を撮って話を聞いてというのをしてまいりました。

 やはりウクライナは非常に心配して、ですから、私と対等のレベルの人とも話してきました。こういう話をしたんです。チェルノブイリの応援というのは日本が一番やってきているんですよ、ウクライナ。皆さん、それを感謝しているんですよ。

 僕は挨拶のところでこう申し上げたんです。広島、長崎があったから、いろいろ経験があるので、大変だろうということでいろいろバックアップしてきた、しかし、我が国で同じような事故が起きてしまった、だから、どうしたらいいのかわからないから教えてほしいということを話したら、何でも提供するということでして、後で聞いてみていただくとわかると思いますけれども、あちらはロシア語で大変なんですけれども、英語化も進んでいまして、データは何でも提供すると。私は、土壌の汚染の方と食べ物の汚染、人体の汚染は私の農林水産省の所管じゃないんですけれども、それでやってきまして、だから、農林水産省は先にウクライナとの協力関係ができて、技術者が行って、聞いてということをやっております。

 ほかのところの分野でそういうふうにウクライナあるいはベラルーシ、ベラルーシも相当汚染されているわけですが、政府としてはウクライナの方がいろいろ取り組んでいると思いますが、そういったことを余りしていないんじゃないかなと。除染にしたって、あちらも同じことをしている。

 大きな違いは、三十キロ内、絶対立入禁止なんです。十八歳以下は絶対入れません。もう非常に徹底しています。お年寄りは、先ほどちょっと申し上げましたけれども、サマショールとか言われているんですけれども、強制移住地、当然外に出ているんですけれども、十年ぐらい前からぽつぽつと帰り始めた。最初はだめだと言ってまた強制的に排除していたんですが、今はもう諦めて、自分の生まれ故郷で死にたいと来ているという。ですけれども、基本的に三十キロ以内は住めない。

 では、これはいつ区域を変更したりするんだと聞いたら、三十年後なんだと。僕が行ったときが二十五年で、あと五年後だと。びた一文いじっていないわけです。中に入れない。厳然と区別して、中の方のところは、もうしようがないからみたいになっているわけです。

 うんとひどいものを除染しているんです。除染どころじゃなくて、皆さんは余り行かれたことがないと思うので申し上げますと、通訳のお姉さんが、篠原さん、あれ何かわかるかと言う。家のお墓があった。もう除染なんてできなくて、放射能を浴びていますから、これがまた放射線を発しているので、近くに行くとよくないので、土の下に埋めちゃうんです。そして、チェルノブイリ、ウクライナは基本的に地下深く埋めているんです。放射能廃棄物というか、除染したりして、あるいは表土を取ったものをトレンチにしたりして。だけれども、余りそういったことが私は聞かれないんですよね。ですから、よくないなと思う。

 それは、希望を持っていただくために、除染していつか住めるよというのは必要なんですが、外のところで、除染をすればきちんと住めていくよというところを優先し、諦めるところは諦めるところでしようがないというふうなことをきちんとやっているわけです。

 旧ソ連時代のことですし、そういうところはびしばしできたんだろうと思いますけれども、私のお願いは、チェルノブイリについてちゃんと勉強していただきたい、そして、それに倣ってやっていっていただきたいということなんです。

 予算をどのぐらい使っているのかと。これは使い過ぎだとは言いませんけれども、一兆円を超えているんですね、大臣が言われた三カ年、一一年、一二年、一三年で。僕は大事だと思います。東日本大震災からの復旧復興を我が国政府の最優先事項としなくちゃいけないんです。しようがないですが、消費税とかTPPとかをやっている暇はないんです、本当。これなんですよ。僕はこれにうんとお金をつけてもいいと思うね。ですけれども、びしばしとやっていく。これは、国民の皆さん、福島にお金を使い過ぎるとかなんとかということは絶対言わないはずです。

 それで、次に具体的な例できちんとこれはお答えいただきたいんですけれども、中間貯蔵施設、何というか、あっちゃこっちゃに持っていったりとかいうの、これは世界のルールからしてもおかしいんですね。核物質の移動は非常に厳格です、何事も。それで、汚染された物質はどうするかといったら、拡散を防ぐためにその場でなるべく処理する。だから地下に埋めているんです。日本の場合は地下水の云々とあったりしますが、だから、うんと深く埋めるということも僕はあるんじゃないかと思いますけれどもね。

 ですから、中間貯蔵施設、そういった概念は、土地が広いからかもしれませんけれども、ウクライナにはないわけですね。自分の尻は自分で拭けという感じで、ちょっとよくない例かな、その場で、汚染されたところの近くで処理していくというような考え方をしなくちゃいけないんじゃないかと思うんです。あっちに持っていく、こっちに持っていくというのは僕はよくないと思うんですが、この点についてはどういうふうにお考えでしょうか。

秋野大臣政務官 お答え申し上げます。

 国際的にも、適切な安全管理のもとでは、放射性廃棄物の処分を行うということは認められているものと承知をしておりますので、この最終処分、あるいは中間貯蔵についてもですが、非常に重要な問題であると私どもも承知をしておりますので、幅広い意見を聞きながらじっくり考えてまいりたいと思っています。

 今、ウクライナのお話もいただきましたので一言お話をしたいと思いますが、チェルノブイリ原発事故後のウクライナ政府の対応について、平成二十四年五月に日本とウクライナとの間で締結された協定に基づきまして、第一回日本・ウクライナ原発事故後協力合同委員会、昨年の七月に開催をさせていただき、情報交換を実施をしております。

 こういった枠組みを利用しながら、先生御指摘の情報収集に努めてまいりたいと思います。

篠原委員 ウクライナとベラルーシですね、ぜひ立てて、多分お気づきだろうと思いますけれども、彼らは全面的に協力しようとしています。

 ちょっと余計な話ですけれどもさせていただきますと、大事なことなのでちょっと御紹介いたしますと、事故が起きたとき、日本大使館に、子供を引き取るという話がわんわん電話がかかってきたんだそうです。しかし、大使館の皆さんも、何でそういうのが来ているのかわからないんです、私は知っていたんですけれども。

 なぜかというと、ウクライナ政府というのは立派ですよ。ソ連時代ですけれども、一九八六年四月二十六日に原発事故が起きたんです。キエフ市は百キロから百二十キロ離れているんです。五月八日にウクライナ共和国政府は指令を発して、中学生以下、それから下はお母さんのもとにいるんですが、小中学生全員、クリミア半島に避難したんです。この事実を日本の政治家、日本の関係者は知っているかどうか。物すごい人数、キエフから子供たちが消えたんです。それで、私の通訳をやっていたお姉さんも、クリミア半島に夏休みが終わるまで三カ月半ぐらい行きっ放しだったんです。

 子供たちに対する防御センス、これはソ連は当然隠そうとしていましたが、そういう大げさなことをするなと言っていたんです。ですけれども、女性の保健省の方が大声を発して、それはできない、だめだ、子供たちは守るんだ、大人はいいけれども。それは、甲状腺がんや何かがあるわけです。それをわかっているわけです。そういうことをしたわけです。

 日本国政府は、民主党政権時代ですけれども、そういうことをしたかどうか。今だって、子供たちは別だというのがあるんですね。だから、そういう基本的なことすら多分知られていなかったんだろうと思います。

 甲状腺がんにしても、菅谷さんという、松本市長を今やっておられているんですが、信州大学の甲状腺がんのお医者さんがベラルーシにずっと五年間おられたんです。そういう協力態勢は日本が一番協力したりしているから、あちらの人たちは日本に恩返しをしようと。

 それで、ここからが誤解なんですけれども、日本なんて地図だとこんな小さい国だから、福島が汚染されたらもう日本じゅう全部だめになっていると思っているんです。だから子供たちを引き取るという話ががんがん来たんです。残念ながら大使館の人たちは、誰も何でそんなことを言ってくるのかわからない。二十五年前の話が伝わっていないんです。というのがあるんです。

 つまり、どうしてそうなっているのか。鉄のカーテン時代ですから、情報を出せなかった。だからそのままになっている。ところが、今のウクライナは全然違うわけです。ですから、そういう認識でもってやっていただきたいというのがあります。

 では次に、うえの議員も触れておられましたけれども、PM二・五についてちょっとお伺いしたいと思います。

 先ほど大臣からもお答えがありましたけれども、こんなのは絶好の機会だ。絶好の機会とは何かというと、中国との関係をよくしていくには、環境関係でもって協力していくというのがいいんじゃないかと思います。どういうことかというと、両方困っているわけですよ。そして、越境汚染というのは国境がないんですよ。

 国際関係がこじれているときに、国交がない、そういうときに国交回復の手がかりになったり、一番なのは、ともかくきれいごとを言っていないでやるというのは、漁業なんです。日ソ国交回復も漁業関係なんです。北朝鮮と云々だって、北朝鮮のところにフグをとりに行っているんです。それで拿捕されたりしている。そういうので、漁業で国際関係が最初にスタートして、そこから友好関係ができていくというのがあるんです。

 今や漁業の方は、二百海里ができてもっとびしっとなっておるわけですけれども、この環境汚染というのはそれに当たるんじゃないかと思います。中国も困っている、日本も困っている、お互いに困るので、あんたらのところだけの汚染だけじゃなくて、うちも困っているんだからということでやっていく。それも、文句を言うというんじゃなくて、助けてあげるというふうに。

 そういう意味では、日本が経験したことを中国が今経験しているわけですね。もっと経済成長、経済成長というのを急いでしまったがために、それがひどい形で出ている。日本では信じられないですよね。北京で晴れるときがほとんどない。光化学スモッグどころじゃなくて、高速道路もとまる、航空便も欠航する。尋常じゃないですね。日本ではそんなことは国民が許しておかないです。中国の人たちはおとなしかったのかどうか知りませんが、しかし、今や中国国民も、これは何とかしなくちゃと。うえの議員の話にありましたけれども、新しい李克強首相も、大問題だと言って発言されている。絶好の機会です。尖閣列島問題ではこじれました。これはちょっとこういうことを言うと、お父さんがそこに非常に深くかかわっておられた。

 それで、環境問題で友好の手を差し伸べて、中国が困っていることを助けるというのは非常に大事なことじゃないか。そういうところから、日中関係がぎすぎすしているのがうまくいくようになる可能性もあると思うんです。大物環境大臣として私はこれはぜひ取り組んでいただきたいと思うんですけれども、大臣いかがでしょうか。

石原国務大臣 ただいまの篠原委員の御指摘は、私ももう大賛成でございます。

 先ほども御答弁させていただいたんですが、戦略的互恵関係の中でこの環境分野というのは、中国にも国民がいる、日本にも国民がいる、その両国民が困っているということで、また、新しい為政者である李克強総理も言われている。あるいは、外務の報道官も先進的な国々の声を聞いてみたいとまで発する。若干変わってきたと思うんですね。

 ただ、ここで気をつけていかなければならないのは、あれもやってあげます、これもやってあげますという態度は、やはり上から目線になってしまう。互いにこの難しい問題を解決していこうというコンセンサスをつくっていく。

 そんな中であの課長級の会合は行わせていただきました。また五月には、これはマルチの日中韓の環境大臣会合も今のところ予定されております。こういうものを糸口に、こじれた関係に窓をあけていく。私どもの安倍総理も窓はいつでもあいていると言っておりますので、この点、今、委員からも御指摘いただきましたので、さらに中国側と協議を重ね、この環境問題を一つの日中間の戦略的互恵関係の大切なものであるという認識を共有できるべく努力をさせていただきたいと考えております。

篠原委員 ぜひそうしていただきたいと思います。

 ただ、中国政府は多分そんなに速やかには動いてくれないと思います。そうしたら我が方は防御態勢をしいていかなければいけないと思いますけれども、日本の態勢、少なくとも心配している人はいる。心配している人がいるので、それに情報を提供するということは絶対しなきゃいけない。そらまめ君なんかは、今はどうか知りませんけれども、PM二・五のときはパンクしそうだったそうです、アクセスが多くて。そういうものですよ。ちょっとでも心配だと、どうなっているんだと。

 しかし、そのときに、実際にそうなんでしょうけれども、今直ちに健康に影響は与えない、どこかで聞いたせりふですけれども、原発事故のときにそればかり言っておられた。実際そうなんだろうと思う、何かよくわからない。だけれども、どのくらいの汚染度合いだ、そして、このぐらいだったらいいんだというのをきちんと国民には提供していかなければいけないと私は思うんです。

 ですから、協力のイの一番は中国からきちんと情報提供していただくこと。偏西風に乗ってこっちに来るわけです。酸性雨もそうですけれども、酸性雨のときにもそういうのはあったんじゃないかと思うんですけれども、中国との情報共有関係というのはどうなっておりますでしょうか。

秋野大臣政務官 中国における大気汚染の状況が、自動的にデータがもらえるようになっているわけでありませんけれども、中国政府がことしから測定データを公表するようになっておりますので、それを環境省の方で入手するように努めているところであります。

 それから、先ほど大臣からも御答弁させていただきましたが、二月二十二日に実施をしました課長級の会合におきましては、中国の大気汚染の状況や観測体制の現況について包括的な説明を受けたところであります。

 こういう形で中国政府との間でさまざまな環境関連対話ができる枠組みがございますので、こういったところを利用しながら、大気汚染の状況に関する情報の入手に努めてまいりたいと思っています。

篠原委員 情報を提供してもらうのはいいんですけれども、貿易とかなんかの協定とかはやりますけれども、環境の方はおくれたりしているんじゃないかと思います。こっちの方が大事なので、ぜひやってください。

 それはどうしてかというと、アレルギーの人なんか、金属アレルギーなんて、我々には想像できないんですけれども、百メートル先でももうおかしくなる。放射能についても、一般的に子供の方が感受性が高いと言われている。ぜんそくだとか、そういうのを持っている人たちは物すごく困るわけです。ですから、情報提供をして、そして、一般人にはそれほど関係ないんですが、高感受性者に対しては情報を提供しなくちゃいけませんからね。

 なぜそう言うかというと、僕は花粉症ではありません、花粉症の人もいっぱいいるんだと思いますが、人によって違います。ただ、ちょっと粘膜が弱くて、くしゃみがすぐ出るんです。だから、危険反応をすぐ出すんです。鼻水がたらたら出てきたりするんで、人によって違うなと僕は思うんです。だから、自分の持病を持っている人たちはそれに物すごい神経質になる。そういう人たちのところに対して情報を提供するという姿勢で環境省はぜひ臨んでいただきたいと思います。

 次に、根本問題ですけれども、何でこんなふうになるのかと。日本がかつて歩いた道です。四日市ばかり例に挙げて済みません、四日市ぜんそく、今は北京ぜきというのがはやっているというか、ごほんごほんして、NGOは、こんな数字はどうやって出すのかわかりませんけれども、これで年間八千五百人ぐらいは死亡してしまうというふうに言っている人もいるわけです。

 やはり、これは体制を改めていかなくてはいけない、価値観を変えていかなくちゃいけないと僕は思っているんです。原発絶対安全神話は崩れました。土地神話も崩れました。しかし、まだ依然として残っているのが、自由貿易絶対神話であり、成長神話。私は、こんな成長、成長ということではもうやっていけないんじゃないかと思っています。

 中国の指導者の中に、私の記憶では朱鎔基さんだったと思いますが、ごつい顔の人が二十年ぐらい前に、中国がこのまま経済成長を続けたら環境問題でぐちゃぐちゃになってしまうと言っていたのを、非常に印象深く覚えております。名前がちょっと違う方だったかもしれません。そのとおりになっているわけです。我々はそれを予測できるわけです。だけれども中国は、追いつき追い越せ、韓国もそうしている、中国もそうしている。国内の製造業の競争条件を維持するために環境基準なんて構っちゃいられない。

 しかし、ちょっとよくないのは、そういった中国の姿勢に乗じた日本の企業もあるのではないかと思います。日本のうるさい環境基準をすり抜けて、中国、東南アジアに進出する企業というのは、低コスト、人件費が安い、こればかりよく言っていますけれども、そればかりじゃなくて、こっちのもあった。日本の企業も、日本のうるさい環境基準をすり抜けられる、中国ではそういうことに無関心だ、コストが安くなると言ってどんどん出ていったりして、中国の汚染に相当貢献しているような気がするんです。

 これはどうだこうだというのは数字にはあらわれてきませんけれども、そういうことはないんでしょうか。皆さん、どうお考えでしょう。どういうふうに認識しておられますでしょうか。

白石政府参考人 そのような御指摘を受けてちょっと念のため確認をしてみましたけれども、例えば、日本経団連の基本的なスタンスが一九九一年の地球環境憲章の別添という形で出ておりますけれども、これによりますれば、進出先国の環境基準等を遵守することは当然として、それが我が国の基準等より緩やかな場合であっても、我が国の法令や対策実態をも考慮し、適切な環境保全に努めること等々と記載されておりまして、そのような形で日本の企業の海外進出は行われているものというふうに考えております。

篠原委員 初めて聞きました。本当ですかね。それだったら日本企業は、後で触れますけれども、立派ですよ。

 では、今はそういう立派な答弁がありましたので申し上げておきますと、TPPについてですよ、きのうも三十分ばかりなのでこれはできませんでしたけれども、私はTPPは絶対反対なんです、あんなものに入っていくのは。どうしてかというと、ルールが国際的じゃない。アメリカのルールでもってみんな決められてしまうわけです。日本は環境が大事だから規制を強くしている、それをアメリカは、いや、アメリカ製品を排除するためにとかごちゃごちゃ言って緩くする。これは絶対応じてはいけないことだと思います。

 これは御存じの方は多いかもしれませんけれども、ハーモナイズアップ、ハーモナイズダウン、調和する、環境基準をそれで低くするのがダウンです。アップ、きつい基準でやっていることが、結局、日本のためではなくて、アメリカの国民のためにもなるし中国の国民のためにもなるんですよ。私は、そういう姿勢でぜひ臨んでいただきたいと思います。本当にそうしていただきたいと思います。

 そうでないと、エコダンピング輸出というのがあるわけで、エコダンピング海外進出、これはもう見苦しい話でして、僕が心配しているのは、中国へ行ってでたらめをやっている、それは日本企業ばかりじゃないでしょうけれども、それのツケがまた日本に回ってきている。そういう見苦しいことは絶対していただきたくないということです。

 では、そのついでに原発の問題。

 今、いい話を伺いました。日本の基準よりも低くても、日本の基準を相手国でも守って、やるというのは、なかなか大したものだと思いますよ。それだったら、日本と同じ賃金を中国の労働者にも払うというのをぜひやっていただきたいものです。そうしたら海外には行かなくて済むようになるんです。ここに矛盾があると思うんですけれどもね。

 それでは原発輸出です。これは、世界の環境団体はもうかんかんです。日本で原発が危険だから建設をやめているというのに、輸出するという。どういうことか。今の局長の答弁の論理からいったら、日本のルールをそのまま使うんだと。日本で今、原発の新設をしていないんです。しないんだったら、外国に輸出するなんというのは絶対やっちゃいけないことだと思う。

 ですから、どうでもいいことかもしれませんけれども、昨年、原子力四協定がありました。ヨルダンとベトナムに輸出するのは、私は反対しました。そんな恥ずかしいことを何でできるんだと。これはどうしてかというと、おわかりになると思う。

 例えば、果樹農家のホリドールというのがあったんです。赤い旗が立っていました。それだけ危険だから近づくなと。三十年間ぐらい使って、催奇性がある、発がん性があるとかいうので禁止されました。よかったと思います。

 ところが、今は原発を輸出するのはどういうことかというと、ホリドールは日本で禁止された、だけれどもヨルダンとベトナムはそれを欲しい、やはり有効な農薬だ、ぜひ欲しいから輸出してくれと。輸出するんですか。それは、つくって輸出をしたっていいのかもしれませんけれども、そんなことはすべきじゃないですよね。

 しかし、原発についてはそれをしているわけです、いや、相手が欲しいんだからと。ヨルダンなんか小さい国で、事故が起きたら、ヨルダンじゅうヨルダン国民全員が避難しなくちゃいけない。さすがヨルダン国会は、原発が来るというのは反対していますよ。当然だと思います、日本の事故があったから。

 ですけれども、私は、民主党政権時代にそんなのをしらっとやろうとするので反対して、これもどうでもいいことですけれども、全役職停止とかになっています。しかし、私は国会議員としてそんなことにとても賛成するわけにはいかなかったんです。

 日本で危険でだめなものを、お金もうけのために、七千億とか言っているんです、それを輸出する。これは絶対やっちゃいけないことだと思いますけれども、大臣の御見識を伺いたいと思います。

石原国務大臣 委員が政治家の信念に基づいて党の決定と違う決断をされたということは、政治家の一人として、そういうこともあるなというふうに思うんですが、私は、原子力の規制をする原子力規制庁というのが環境省の外局として存在している以上、原子力の輸出というものはある意味では原子力の利用に関する話でありますので、規制する側の外局を持つ担当大臣がこのことについて話すのは適切ではないのではないか。その点につきましては、経産大臣の方にぜひ聞いていただければ。

 コメントを差し控えさせていただきたいと思っております。

篠原委員 経産省のお役人としていろいろかかわってこられた齋藤政務官、どのようにお考えでしょうか。済みませんね、突然で。

齋藤大臣政務官 御指名ありがとうございます。

 今は環境大臣政務官として働いておりますので、大臣の御発言のもとに行動していきたいと思っております。

篠原委員 長年与党におられる政務三役は立派な答弁で、それしか言えないと思いますけれども、よく心得ておいていただきたいと思います。

 原発問題にちょっと触れましたので、その続きで提案させていただきたいのが一つあるんですね。

 僕は原発をすぐ今廃止しろなんて言っているわけじゃないんですけれども、徐々に廃止していかなくちゃいけない。しかし、事故がいつ起こるかわからない、地震があってというので。

 ところが、原発事故が起きたときの避難訓練というのはろくすっぽしていなかったんですよね。だから、十三県が関係があって、回り持ちで国が中心になってやるのが、十三年に一回、大々的なのが回ってくる。あとは、こんなことを言っちゃ悪いんですが、なまくらな訓練しかしていない。なぜかというと、それは、原発事故が起きたなんというのは不安をかき立てることになるからというので抑えていたんです。

 しかし、こうやって事故が起きた。ですから、しようがないんですから、関東大震災の起きた日に日本全国で防災訓練をします。しかし、原発のあるところは三・一一に非常に大々的な訓練をする。それはどうしてかというと、津波から逃れた人たちは常に訓練していたわけです。だから、それに沿って逃げて、それでみんな助かっているというのがあるわけです。

 ですから、これは石原大臣が在任中に、原子力防災の日とかいう形で、全原発一斉に、福島と同じ事故が起きたという想定のもとに訓練をするというのをこれをぜひ始めていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

石原国務大臣 今の点は大変重要な御指摘だと思います。

 国の方も、地域防災計画が整い次第早急に、年内にやると言っておりますけれども、当委員会で委員の方からこういう御指摘をいただきましたので、私の方としても、まだ数県で、地域防災計画、避難区域が拡大したことに伴いまして若干おくれているところがございますので、それが出そろい次第、早い開催というものを目指して努力をさせていただきたいと思っています。

 ちなみに、自治体主催の防災訓練というものは、もう既に数県で行われております。

篠原委員 最後に、TPPについてちょっと大臣にお願いです。

 大臣は、総裁選のころの発言とお話、ちょっとフォローしておるんです。自由貿易論者だけれども、乗りおくれたら大変だと言って、TPP参加を議論するのは著しく国益を損なうと言っておられた。安倍総理は、今がラストチャンスだと言って参加表明をされている。

 私、九月何日でしたか、全国を遊説されたときに、あれは専ら尖閣列島問題でしたけれども、長野市に五人の総裁候補が来られたときに、あのときに聴衆の一人として聞いていたんです。あのころは尖閣問題だけで、TPPについてはそうなかったですけれども、僕は自由貿易論者で、それはそれでいいと思います。しかし、今のTPPは非常に危ういと思うんです。先ほどのハーモナイズアップですね、環境基準なんというのは上にしておかなくちゃいけない。

 どういうことかというと、BSEのときに実はアメリカに行きました。農務長官とも会ったりして、団体とも会って、牛の解体作業をしているところまで行ったりしたんですが、向こうの消費者団体と会ったときに意外なことを言われたんです。頼むから日本は規制を強くしてほしい、そうしないとアメリカ人というのはどうもだめなんだと。BSEもそうですが、遺伝子組み換えも、非常に科学技術信奉とか、それから、危険に対する認識度合いが違うんですね。よく、公園で崖があるというようなところで、日本だったらチェーンを張っておかなくちゃ怒られるのに、向こうは自己責任で何もしていない。だから、アフラックなんかも日本でほとんどの利益を上げている。がん保険ですね。そういうのがある。

 アメリカの環境団体は、日本に厳しい基準を設けてもらっていれば、それがいつしかそういうルールになっていく、日本が下げたらもう下げっ放しになるというふうに言われました。それがさっき言ったハーモナイズアップです。

 ところが今、事前交渉が、わかりますけれども、自動車について日本の排出基準がきついとアメリカがこれにぐずぐず言っていまして、日本だったらアメリカの排出基準に合わせるし、イギリスの、フランスのに合わせるのに、アメリカはそういう態度を示さない。それを緩くしろというようなことを言ってきている。これは絶対やっていただきたくはないんですね。これは、あと環境規制もそうです。

 そんなのを弱くしていったら、日本人の命、あるいは日本の国土の命、地球の命を危うくするわけです。

 ですから、環境大臣として、そういうところは譲らないんだ、譲れるところと譲れないところがあるんだということで、閣僚の立場でぜひそこのところはびしっと言っていただきたい。うえの議員が言っておられました、環境という分野もあると。そして、そこのところは何が決まっているかよくわからないんです。今言ったのは、そこは必ず厳しい基準の方に合わせる、そういう大前提でもって臨んでいただきたいと思います。

 この点についてお答えいただいて、質問を終わらせていただきます。

石原国務大臣 今の点も大変重要な御指摘だと思います。同僚のうえの議員からお話がございましたとおり、私が環境行政の責任者をしている限りにおいて、環境基準を緩和するということのないように全力で取り組ませていただきますし、どのような立場になろうとも、委員とともにこの問題は共闘していきたいと思います。

篠原委員 ありがとうございました。

吉野委員長 次に、生方幸夫君。

生方委員 民主党の生方でございます。

 三十分という短い時間ではございますが、御質問させていただきます。

 まず、大臣、副大臣、政務官、それに委員長、就任おめでとうございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。

 まず、原発の問題からお伺いをしたいというふうに思うんですが、石原大臣が就任して多分一番最初の仕事だったのかなというふうに思うんですが、中央環境審議会の委員の任命、既にもう環境省の内部では内々定をしていたというような人事があったのを、石原大臣が就任して、すぐに三名の方について就任を拒否されたというか、就任しない方がいいよという形で、結局中央審議会の委員に任命しなかったということが報道されておりますが、これは大臣、どういう経過でこの三人の方を外したということになったんですか。

石原国務大臣 これはもう生方委員も御存じのことでありますが、前会長の鈴木会長も、この中環審を実質的な議論の場にしたい、すなわちスリム化したい、大人数で集まって形式的に発言が決まっているようなものではまずいというお考えを絶えずお持ちでございました。

 そんな中で、委員を三十人から二十五人に削減、また、臨時委員も四割削減させていただきました。また、部会数も十五から九に統廃合させていただいて、まだ部会については私も議論をさせていただいているんですけれども、きょう委員が御議論される動物の問題をめぐっても今二つに分かれておりますけれども、会長とお話をさせていただくと、これも実は一つにしてもいいんじゃないか。

 やはり、絶えず審議会というものはスリム化も図り、実質的な審議のできるそういう機関にしていかなければならない、こんな観点に立って、委員の人選というもの、また、人員の削減というものに取り組ませていただいたところでございます。

生方委員 外された三名の方、お一人は気候ネットワーク代表の浅岡美恵弁護士、それから京都大学の植田和弘教授、それから環境ジャーナリストの枝廣淳子さんという三人の方でございますが、三人とも、大臣も御承知のとおり、原発に対しては非常に厳しい意見を持っている方である。

 三十人を二十五人に減らして実質的な議論ができるようにするという大臣の考え方は、それはそれで私別に全然構わないというふうに思うんですが、なぜ、外す三名の方が、三名ともそろっていわゆる原発に対して厳しい意見を持っている方を外さなければいけなかったのか。そうすると、バランスとしては非常に崩れてしまうおそれがあるんじゃないか。そこに大臣の何かしらの意図があったのではないかというふうに私は考えてしまうんですが、そういう、脱原発派を外そうという意図があったのかどうか、お伺いしたいと思います。

石原国務大臣 さっきも申しましたとおり、三十人の委員を二十五名に五名減らさせていただいたわけでございます。

生方委員 いや、私が聞いたのは、もちろん、三十名いたんですから、いろいろな意見を持っている方がたくさんいらっしゃるというふうに思いますが、その中の三名を外す中でわざわざ脱原発派というか、原発に対して厳しい意見を持っている方だけを外した。しかもそれは、多分大臣の意図として、大臣がこうしなさいという指令をして三名を外したというふうに思うんですね。

 だから、大臣の意図がそこに何かしらあった、ただ単に人数を減らすということ以外の意図があったというふうに思うんですが、その点、重ねてお伺いしたいと思います。

石原国務大臣 その点は非常に偏った見方だと思うんです。

 もしも、私がそれで三名の原発推進派をふやして三十人のまま行ったというならば、そういう懸念を持たれることもあるかと思いますが、私さっきから申しておりますように、三十人を二十五人に削ったわけでございます。五名減らして、これからまた人数をふやそうという気持ちはございません。さらに統廃合を図っていく、これがあるべき姿だと確信をしております。

生方委員 これ以上議論してもしようがないというふうに思うんですが、こういうことを聞いたのは、前政権では、二〇三〇年代に原発をゼロにするということを決定した。これは前政権が勝手に決定をしたということじゃなくて、環境省も含まれる中で討論型世論調査というのを行って、大臣ももちろん結果は御存じだというふうに思いますが、討論型世論調査において原発を脱するべきだというのが国民の大多数の意見であったということを受けて、二〇三〇年代にゼロという決定をしたわけです。

 ところが、安倍政権が誕生したとき、誕生してすぐに、二〇三〇年代に原発をゼロにするというのをゼロベースから見直すということを発表なされた。これは、討論型世論調査、そのほか新聞の世論調査等を見ても、やはり多数派の国民は、あの福島の第一原発の事故を受けて、これ以上もう日本は原発に頼るわけにはいかないというのが恐らく国民の多数の意見だというふうに思うんですが、それをいきなりゼロベースで見直すということを安倍総理は発言なさった。

 この発言について環境大臣として石原大臣はどのようなお考えをお持ちかというのを聞きたいと思います。

石原国務大臣 総理が、今、生方委員が御指摘されましたとおり、二〇三〇年代原発ゼロという前政権での政策についてゼロベースで見直すようにということを、所管する経済産業大臣に指示をされているという話は聞いております。これは私の所掌外でございますので、総理がその気持ちを持っているということを、内閣の一員としては、多として、一致して計画を進めていくことになるんだと思います。

 私、先ほども御議論の中で出たんですが、原子力を規制する側の規制委員会が環境省の外局にございますので、どうこうすべきという発言についてはコメントを差し控えさせていただきたいと思います。

生方委員 所掌外ということはよくわかるんですけれども、後ほど質問したいというふうに思うんですが、CO2削減、これも前政権ですが、二〇二〇年までに九〇年比で二五%削減するという方針を打ち出しました。このときの前提は、原発があるというのを前提にしてもこの二五%という数値が出されたわけで、今はもう原発に頼らないというのが、それは安倍政権でも、ゼロというのを見直すといっても、基本的には原発そのものはなくしていく方向だというのは明言されておりますので、方向は間違えていないというふうに思うので、その関連で、やはり環境大臣として原発をどうするのかというお考えをやはり聞かせていただかないと、これから質問するCO2二五%削減についても、例えば、原発があるとき、ないときでは当然目標は違ってくるというふうに思いますので、大臣が基本的に原発についてどういうお考えをお持ちかというのをぜひともお示しをしていただきたいというふうに思います。

石原国務大臣 繰り返しになってしまうんですけれども、原子力行政の新安全基準を七月十八日までに、環境省の外局、独立した三条機関である原子力規制委員会が新基準をつくってくださることになっております。その骨子については、もうホームページ上でも公開されておりますし、パブリックコメントにも付しているところでございます。

 その基準ができたことによりまして、原発を有する事業会社が、その基準にのっとって、自分の抱える事業所である原発が再稼働できるかできないかを判断して、その申請を原子力規制委員会に出す、その出したことを原子力規制委員会が判断をするというのが、今後の原子力発電所の稼働の仕組みでございます。

 よって、私が先ほどから申しておりますように、規制側の人間がやれとかやめろとかいうことを言うということは、適切ではないということでこういうお話をさせていただいているわけでございます。

 総理もあわせて先ほどのお話と同じように申されておりますけれども、原子力に依存をしない社会をつくっていこう、そういうことも総理はあわせて申し述べられておりますので、そんな中で、私どもの政権公約にありますように、十年間でエネルギーのベストミックスを考えていく、先ほども同僚の江田議員から御質問がございましたように、この再生可能エネルギーの重要性ということも、これまた、国民の各界各層また当環境委員会でも共通の認識を持っております。

 しかし、残念ながらまだ再生可能エネルギーの割合というものが大変小さくて、これをどういう形でふやしていくかということで今非常に苦労をしているところでもございます。その割合がどの程度のものをやることが可能かということによって、これから御議論のあるところのCO2の排出の議論も数字が変わってくる、こんなふうに認識をさせていただいております。

生方委員 原発の問題は全国民が非常に心配している問題であって、また、おとといですか、から報道されているように、第一原発で冷却装置が動かなくなったと。きょう朝、ちょっとニュースを見たら、まだ動かない状態が続いているということでございます。きのうのニュースでは、四日ぐらいは冷却しなくても大丈夫だというふうに報道されておるんですけれども、これを私は大変心配しておるんです。

 質問通告はしていないんですが、現状、冷却をされていないというのは、原因が何であって、いつごろこれは解決をされるのか、どなたかお答えできる方がいたら。大臣、ではお願いします。

石原国務大臣 これは、私も、委員と同じように、あの二年前のことを考えまして大変心配しておりまして、けさ、経済産業大臣と話をさせていただいた話でございますので、ということをクレジットとしてお話をさせていただきますが、説明によりますと、今委員の御指摘のとおり、この電源が届いていないことによって燃料プールの温度が、ちょっと詳細は忘れたんですが、一号から四号まで、〇・〇何度という単位で、ですから、一度ずつ上がるというようなものではなくて、一日に〇・〇何度上がっているということが確認されている、その原因については現在調査中であると。

 ですから、あの発災のときのように主電源が喪失したという状態ではないですし、この温度の上昇を見ても、一日、二日で大変だというような緊急事態にはならない、そこのところは確認をしているという話を聞かせていただいたところでございます。

生方委員 原発は、この間の東電の、事故隠しということではないんでしょうけれども……(石原国務大臣「訂正いいですか」と呼ぶ)そうですか、ではどうぞ。

石原国務大臣 済みません。〇・〇何度のその細かいところの数字を忘れてしまったんですが、これはパー・アワーでございます。ですから、それ掛ける二十四、それでも〇・〇幾つということでございます。

生方委員 私も報道でしか知らないんですが、二十何度になったとかというような報道がなされておりますので、今は大臣がおっしゃった数値よりも、多分十四度か二十度になった、余りよく記憶はしていないんですけれども、五、六度上がったということになりますと、これはやはり何日かたって、多分、原因が特定されれば当然それに対して対処がなされるから冷却装置が動くようになるんでしょうけれども、こういうことを含めて、東電に対する国会事故調の調査でも、中が暗くて見えないというようなことでしっかり調査ができなかったと。これは、津波によって原発が事故を起こしたというのが大半の見方ですが、地震によっても炉心部に影響があったのではないかというような形で、原発そのものの安全性に対する不安というのが国民にたくさんあるということと同時に、もう一つは、やはり使用済み核燃料の問題があるというふうに思うんですよ。

 もう既に使用済み核燃料が一万数千トンもたまってしまっている。これをなくしていかなきゃいけないわけですけれども、原発を再稼働させれば、当然、その新たな使用済み核燃料の問題が出てくる。使用済み核燃料に関して、今のところ、大臣も御承知のとおり、原発内に保存をしているという状況があるから、四号炉のような状況というのがほかの原発で起きたとしても、稼働していない原発でも危険だというのは、使用済み核燃料を原子炉内に保管しているからということになるわけですよね。

 だから、原発を再稼働するというのであれば、最低限、その使用済み核燃料について政府としてはこういうふうにするから国民の方たちは安心してくださいということが言えない限り、原発を再稼働するということは私はだめだというふうに思うんですが、大臣いかがでございましょうか。

石原国務大臣 恐縮なんですが、これも先ほどと同じような答弁になってしまうんですが、使用済み燃料の処理方針あるいは再処理計画の見直しというのは、私が所掌している分野ではございませんので、どうするべきである、また、どうするというようなお話はできません。

 ただ、環境大臣として福島の第一サイトを視察をさせていただいたときに、委員御指摘のとおり、特に、四号機の最上階まで上がりまして燃料プールを実際に見てまいりました。そして、燃料プールから当時は使用済み核燃料が二本試験的に撤去された状態で、これからこの十一月を目途に、外壁にさわることのないキャリアをつくりまして、委員御指摘のとおり、そこからこの使用済み核燃料を一本一本摘出をいたしまして、空冷の機械の中に入れまして常温で保管をする、それによって福島第一原発の場合は安全を確保していく、そういう作業を行うということでございます。

菅原副大臣 今、石原大臣がお答えしたことに補足をいたしまして、委員御指摘の核燃料サイクル政策、これは大変長い歴史を持つものでありますけれども、これまでの経緯を十二分に考慮しまして、関係各自治体、そして国際社会の理解を得つつ、この使用済み核燃料の適切な処理や放射性廃棄物の最終処分等の課題をそれぞれ解決をして、継続的に取り組みを進めていきたいと思っております。

 御指摘のとおり、今現在、使用済み核燃料の存在は約一万七千トンございまして、この中で使用済み核燃料の再処理が開始をされれば、その量が当然減ることはもちろんのこと、高レベルの放射性廃棄物の減容化、そして有害度の低減に有効であるということはこれまでも調査で明確になってきておりまして、このことがすなわちウラン資源の有効利用にも資する、こういうふうに今、政府では考えております。

 以上でございます。

生方委員 大臣がいないので副大臣にもう一問質問をさせていただきたいというふうに思います。ああ、お戻りになりました。

 青森の再処理工場がことしの十月から稼働するやに言われております。これ、何度も何度も稼働する稼働するといって稼働しない状況がございますので、十月に稼働できるかどうか私はかなり疑問を持っているんですが、本当に稼働するのかどうかというのが一点。

 それからもう一点。当然これは、稼働させればプルトニウムが出てきたりウランが出てきたりするわけですよね。とりあえず、当面今、プルトニウムもウランも、MOX燃料としてこれを使うとはいっても、現状使えるわけはないわけですから、そうすると、プルトニウムはもちろん猛毒ですし核兵器の材料になるわけですから、そういうものをどんどん日本がつくり出すということについては国際的な批判もあるわけですね。

 そういう中で、もちろん、使用済み核燃料を処理するという意味では確かに処理はできるけれども、もっと厄介なものが生まれてきてしまう可能性があるこの再処理工場を、もう何兆円もお金をかけているんだから、しようがないからやっているというのが多分偽らざるところだというふうに思うんです。もう何兆円もかけてきても、これ以上何兆円かけても余り意味がないんだからやめるという決断もあってしかるべきだというふうに私は思うんですが、副大臣としてどうでございましょうか。

菅原副大臣 お答えいたします。

 今委員がるる御説明いただきましたように、この青森六ケ所村の再処理施設、あるいは中間貯蔵施設、そして最終処分、今御案内のとおり、一万七千トンあり、また七千トンをイギリスとフランスにお願いをして、最終的にそれをまたこの廃棄物を日本にということで、こういう流れにはなってございます。

 これをいつの日かこの国内でしっかりやっていこうということで取り組みを進めてきたところでございますが、そうした中で、お話にありましたように、この十月、再処理施設の完成をめどに今実験を実施しているというふうに承っておりますけれども、あくまでもこの竣工に際しましては、御案内のとおり、独立した機関であります原子力規制委員会、この使用前の検査等が実施をされるということが大前提になっておりまして、こうした委員会の調査あるいはそうした結果、こうしたものを踏まえてしっかり進めていく、こういうふうに考えております。

生方委員 前政権もこの核燃料サイクルについてやめるということができなくて、これは、これまでの歴史の経過もあるし県の意向というのもあるから一遍にすぐに方針転換するというのは難しいというのはわかりますが、やはりどこかの時点で誰かが、もうこれはやめようということになったらやめないといけないというふうに私は思います。

 今、副大臣に、ではやめますとここで答弁をいただくというつもりもございませんが、やはり、この問題についてはどこかで決断をしなければいけない時期が来るんじゃないかなと。その時期が早ければ早いほど無駄なお金を使わなくて済むということで、核燃料サイクルがないときには、では、使用済み核燃料をどうするのかということをしっかりあわせて考えていかなければいけない問題ではないかということを御指摘をさせていただきます。

 次に、先ほど、二〇二〇年に九〇年比CO2を二五%削減する、その前提としては原発があったというふうに申し上げたんですが、私も昨年COP18に出て、さはさりながら、日本は再生可能エネルギーをきちんと買い取るという制度を始めている。それによって、二〇二〇年までそれほど時間があるわけじゃないですけれども、この二五%削減というのは必ずしも夢のような数字であるというふうには思わないんですね。もうちょっときちんと再生可能エネルギーを普及させれば、私は決して不可能な数値ではないというふうに思うんです。

 大臣に、その二〇二〇年二五%削減、これも全面的に見直すということもおっしゃっているんですが、それをどのぐらいの数値にするというふうなおつもりがあるのかというのが一点。

 それから、再生可能エネルギーの買い取り制度が始まったわけですが、今現在、その始まっている数値、政府が当初考えた数値に対して現実の数値はどれぐらいかということと、その数値をどう分析されているのかということを大臣にお答えいただきたいと思います。

石原国務大臣 再生エネルギーの普及の数値については政府参考人の方から答弁をさせていただきますが、まず、二五%削減目標については、これも総理大臣の指示に基づきまして、十一月のCOP19までにゼロベースから見直せと。

 と申しますのも、鳩山内閣のときの二五%設定が、全電力供給量の五割を原子力発電所に依存するというものでございましたから、これは到底、今の現状で可能性としてはほぼゼロである。

 そんな中で、委員御指摘のこの再生可能エネルギー、これは私も先ほど来御答弁をさせていただいておりますとおり、三番バッター、四番バッターはまだ誰だかわからないんですけれども、いろいろなものを複合的に合わせて、その割合、現在、水力も含めて一〇%程度でございますので、これをやはり限りなく二〇%に近づけていくような努力をしていかなければならないと思います。

 と申しますのも、実はきのう、茨城の方の国環研に行ってまいりまして、地球温暖化の影響のシミュレーターを見せていただきますと、やはり、北極海の氷が解けるというようなことが本当に現実的なものになっておりますし、あるいは山間部の氷河がなくなる、これも現実的なものになってきている。それによって何が起こるかというと、やはり赤道直下の島嶼諸国によっては、満潮時には潮位が上がってその国土が侵され、そこに暮らす何万人もの方々が生存を危うくされる。

 こういうことが目の当たりにこのシミュレーションの中である以上は、私ども、これは人類共通の課題としてこの地球温暖化を何とかとめていかなければならない、こんなふうに考えているところでございます。

 再生可能エネルギーについては、大臣にさせていただいた後、低炭素社会創出ファイナンス・イニシアチブ、委員の専門分野である金融の世界のメカニズムを使いまして民間資金をそういうところに呼び込む、そして、官民連携して再生可能エネルギーに投資、今、いろいろな企業体ではこの声が出てきておりますけれども、規模としてはまだまだ十分なものでございませんので、こんなものにも資するようなものを考えさせていただきました。

 また、先ほど来御議論のあった風力発電についても、実は、蓄電池を改良していって電力を安定化していきませんと、原発や化石燃料に依存する発電所に取ってかわるというところにまだ残念ながら来ておりません。こんなところの技術開発。

 そして、やはり再生可能エネルギーの最大の特徴は、自立しているということと地域に分散しているということでございますので、モデル的な地域もつくらせていただいて、ここは委員と全く目的が一緒でございますので、この再生可能エネルギーの割合をできる限りふやしていきたいと考えております。

 詳細の数字については局長の方から答弁をさせていただければと思います。

関政府参考人 再生可能エネルギーの導入量につきまして、当初、今年度、二〇一二年度末までに二百五十万キロワットというのが予測でございました。実際には、昨年十一月までに認可を受けました再生可能エネルギーの設備容量で三百六十五万キロワットということで、見込みをはるかに上回る形で設備の認可を行っております。

 ただ、内容を見ますと、その大宗が太陽光でございまして、太陽光以外でありますと、風力が三十四万キロワット、その他は微々たるものでございまして、そのほとんどが太陽光ということでございます。

生方委員 太陽光が先行して普及しているというのは大変結構な話だというふうに思うんですが、今、一般家庭に対して、太陽光パネルを設置するときに補助金を出しております。何年かすれば、電力料金が安くなって、電力を売るから家庭にとっての負担はなくなるんだということはわかっているんですが、初期投資が依然として二百万とかそこらかかってしまいますので、なかなか爆発的普及に至っていないというふうに思うんです。

 この辺をもうちょっとうまく、結局負担はそんなに大きくはならないんだよということがわかればもっと初期投資をしてくれるというふうに思うんですが、でも、この不況の中で二百万も三百万もいきなりお金を出すというのはなかなか難しい話だというふうに思うので、その補助のあり方をもう少しうまく工夫すれば、各家庭がもちろん蓄電池も備えなければいけないんですけれども、自給自足で電力を賄うことができるようになれば、CO2の削減とかエネルギーの転換、あるいは、日本の新しい産業としてそういうものがどんどん育っていくんじゃないかというふうに思うんです。

 私は、今の援助ではちょっと足りないんじゃないか、もうちょっといい仕組みをつくった方がいいんじゃないかというふうに思うんですが、大臣、いかがでございましょうか。

菅原副大臣 経済産業所管でございますので、お答えをさせていただきます。

 お話にありました住宅用の太陽光の発電の補助金の制度でございますが、平成六年から始まりまして、当初七万円だったんですが、お話にありましたように、だんだん減ってきております。

 今現在、平成二十四年度では一キロワット当たり三万五千円の補助をしておりまして、例えば、平均的な四キロワットの設備を御家庭に設置すると大体百七十万から百九十万ぐらいの初期の投資額を要します。したがって、三・五万掛ける四キロワットで十四万、一割弱の補助を今各御家庭で受給をしていただいているところでございますが、平成二十一年の余剰電力の買い取り制度、これが四年前からスタートしまして、これで、電力会社に対する電力を売電する収入とこの補助金収入を合わせまして大体十年程度でペイできるといいましょうか、回収できる状況になってございます。

 そして、大体二十年ぐらいかけて利用可能となってございますので、そういう意味では、十年以降はそれが経済的な御家庭のメリットになる、こういうふうに認識をいたしております。

 そういった中で、実はここ五年間ぐらいは導入のペースがふえてきておりまして、平成二十一年度には年間十万件の世帯での御家庭で導入をされたわけですけれども、本年度は三十万世帯を見込んでおります。

 ただ、委員御指摘のとおり、例えば一般の家庭で二百万というような投資は非常に大きいものでありますので、そういう意味では、去年の七月から固定価格の買い取り制度が始まりました、いわゆる屋根貸し制度でございまして、御家庭あるいは一般の事業所の屋根にソーラー会社がパネルの設置をして、その分の家賃をその御家庭や事業者が受け取るということ、こうした活用を通じて再生可能エネルギーのさらなる拡充に努めていきたい、このように考えております。

生方委員 時間が三十分で、なくなってきたので、除染の問題については、詳しくお伺いしたいというふうに思ったんですが、ごく簡単に一点だけ大臣にお伺いしたいと思います。

 この夏に線引きを見直すというようなことが報道されております。三地域に分けるんだということでございますが、この帰宅困難地域ですね、除染も非常にまだ進んでいないので、来年の三月末までに除染が全部終わるということはもちろん今の時点では考えられないような状態になっているわけで、これは、委員長も御出身でございますので非常に私としても言いづらいことではあるんですが、帰宅困難地域、何年たったら帰宅できるかわからないという地域に関しては、もうこれは、一部の方はそこへ住んで帰宅したい、帰宅させます、一部の方はもう帰宅しませんということだと、一部の人が帰宅する限りにおいては、これは国の責任で除染しなくてはいけないのは明らかなんですが、もう二年たちましたので、この地域は残念ながらもう人が住むことができないという判断をして、その地域の家屋あるいは田畑そのものをきちんと国が買い上げるという決断をどこかでしなければいけない時期が来るんじゃないか。

 もうそうしないと、そこに住んでいる方たちは、帰れるのか帰れないのかわからないという中で日々を過ごす不安というのは大変なものだというふうに思うんですね。

 これは国が強制して買うんだということを言うというのは、それは簡単にできることじゃなくて、もちろん法律をつくらなきゃいけないことだというふうには思うんですけれども、もうそういう決断を出してあげないと、むしろその地域の方たちには非常につらいことになってしまうのではないか。

 今現在でも買い取り制度というのがあるというのは聞いておりますけれども、それは被災前の時価で買い取るということで、それは家屋だけに限ったところで、田畑等は含まれていない。それに対してきちんと精神的な補償というのも含めた額で買い取るということが決まれば、これから先の生活設計も立てていくことができるんじゃないか。

 今すぐにそれをやれというふうに言っているんじゃなくて、そういう決断を政府が近い時期にやるべきではないかというふうに私は考えているんですが、大臣、いかがでございましょうか。

石原国務大臣 委員御指摘のとおり、双葉町の一部あるいは大熊町の一部等々で帰宅困難区域が現在も存在し、私も現地に行かせていただきましたけれども、放射線の空中線量というものは非常に高くて、あとは、非常にびっくりしたんですが、一つの角を曲がると急にでかくなったり、また、一つ山を越えただけでも高くなったり、非常にいろいろなところが点在している。

 委員は、その土地を買うべきである、また、それをいつか決断せねばならないというようなお話でございましたが、これは地元で避難されている方々なんですが、お話を聞きますと、全く委員と同じようなお考えの方もいらっしゃいますし、また、御高齢の方なんですけれども、俺はもうどうしても家に帰りたいんだという方もいらっしゃる。さまざまな意見があるんだと思います。

 環境大臣の立場として言えることは、ともかく中間貯蔵施設をお地元の理解を得てつくらせていただく、中間貯蔵施設の予定地となった土地については適切な補償により国が地権者の方々から買わせていただく、ここまでしか今の立場では言えませんが、やはり政府全体として、住民の皆様方の将来への希望を持っていただくために、地域の将来像を示さずして、大丈夫だ大丈夫だ、いつか帰れるということでは問題の解決にならないという認識を持って取り組ませていただきたいと考えております。

生方委員 終わります。ありがとうございました。

吉野委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 日本維新の会の河野正美でございます。

 私、昨年末の衆議院総選挙におきまして比例九州で議席をいただきまして、きょう初めての質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 今からもう三十数年前になりますけれども、この環境委員会が、昭和五十四年当時、まだ公害対策並びに環境保全特別委員会と呼ばれていたときに、私の今は亡き父親が委員長をしておりまして、そのときの国務大臣が土屋義彦先生でございました。そして私は、日本維新の会として、石原慎太郎代表に選挙区まで応援に来ていただいて何とかここにたどり着いたということで、非常に不思議な縁といいますか、感慨深いものがございます。初めてでございますので、よろしくお願いいたします。

 石原大臣は所信表明の中で、東日本大震災からの復旧復興、そして低炭素社会の創出、安全、安心な生活環境の確保という三点を柱としてお掲げになりました。

 さて、二年前に起きた東日本大震災、福島県ではいまだに現在進行形の災害であると考えております。この復旧復興、環境省の役割というのは極めて大きなものがあると思います。

 改めまして、石原大臣、平成二十三年度予算から二十五年度予算に至るまで、非常に大きく予算もふえていると思います。どれぐらいふえているのか。そして、予算増加に伴って業務量もふえ人員もふえていると思いますが、どれぐらいの方がふえているのか。調べればわかることなんですけれども、大臣の口から改めてお聞きしたいと思います。よろしくお願いいたします。

石原国務大臣 人員の細かな数字については後ほど官房長の方から御答弁をさせていただきますが、河野先生の御子息ということを知りませんで、不思議な御縁でここでこうしてまた議論ができることをうれしく思っております。

 東日本大震災の復旧にかかわる除染や瓦れきの処理などの事業は、もちろん委員御承知のことでございますが、復興の基盤でございます。万が一にも予算に不足があって事業が滞るということのないように、額をこれまで確保してきたのだと考えております。

 その一方で、環境省というのは実は小さな役所でございまして、平成二十三年度の当初予算で見ますと、およそ二千億円であります。平成二十四年度の当初に一兆二百億円、二十五年度予算要求では九千七百億円となっている。この重立った部分は、除染の現場を預かる環境省としての、主に除染に要する費用が多いわけでございます。

 今後、委員の御指摘のとおり、予算を確保したけれども適切に執行できないということのないように、全力で取り組みたいと思っています。

 人員については官房長の方から答弁をさせていただきます。

鈴木政府参考人 これまで、除染及び放射能汚染されました瓦れきの処理のために、三年間の時限の定員ということで約二百七十名の増員をいただいております。また、平成二十五年度につきましても百名を超える定員をいただいておりますので、こうした定員を主に福島県の環境再生事務所等に派遣いたしまして、現場の除染や瓦れきの処理に当たらせているというところでございます。

河野(正)委員 今お答えいただきましたように、二千億から一兆を超える予算という非常に大規模な予算が執行されるようになっておりますし、人員も百名単位でどんどんふえているということでございます。それだけやはり環境省に期待されるところが大きいものであると思っておりますし、しっかりと頑張ってやっていただきたいなと思っております。

 特に、さきの委員会でもありましたけれども、不適正除染とか、非常に大きな規模の予算を使うがゆえに行き届かなくなってしまうようなところもあるのかなと思いますので、しっかりと頑張っていただきたいと考えております。

 続きまして、東日本大震災と原発による廃棄物処理についてお尋ねいたします。

 この辺はもう何度もいろいろな委員会でお答えいただいていると思いますし、重複するところが多々あるかと思います。先ほども述べましたように、東日本大震災というのは、被害がある程度は確定して、復旧復興を急がなければならないものと、一方で、福島県のように現在も進行形の災害であるものと、二つのタイプに大きく分けられるのかなと思っております。その意味で、福島県の除染というのは、急を要する大きな問題で、スピード感を持ってしっかりとやっていかなければならないと認識しております。

 三月十三日の予算委員会において我が党の小熊委員も質問しているんですけれども、改めまして、中間貯蔵施設そして最終処分場について現状で見通しをどのように認識されているのか、お聞かせいただきたいと思います。

石原国務大臣 まず、中間貯蔵施設についてお答えしたいと思います。

 これは、除染を進めますと汚染された土壌等々が出てまいります。これが仮置き場に置かれているというのが現状でございますが、やればやるほどこの量はふえてくる。そういう意味でも、減容化をして中間貯蔵施設に埋設をするということが必要不可欠だと思っております。

 中間貯蔵施設の設置に当たっては、これはもちろん、設置されるその地域にとりましては迷惑施設でございますので、一に、安全性に対する配慮ということが重要なんだと考えております。事前調査を行った上で、施設の具体的なイメージ、どの程度の構造になっているのかというものをお示しして地元の理解を得ていきたいと考えております。

 その上で、今後の作業の効率化を図るなどの工夫をしながら、これは前政権下の目標値でありますけれども、平成二十七年当初からの中間貯蔵施設の供用を開始できるよう、今、役所を挙げて最大限の努力をさせていただいているところでございます。

 まずは、中間貯蔵施設の設置に向けて、地元の御理解を得られるよう全力で頑張ってまいる、こういう、一歩一歩着実に進んでまいりたいと考えております。

河野(正)委員 ありがとうございます。

 私が危惧しておりますのは、まだ中間貯蔵施設、そして最終処分場も決まっていかないという中で、現在、大臣おっしゃいましたように、仮置き場ということがあります。あるいは一時保管所などというところもあると思うんですけれども、そういった現状がどのようになっているのか。

 焼却灰として保存されているのであればまだいいのかもしれませんけれども、例えば地区によっては、稲わらであるとか樹木、あるいは洗浄した水、そういったもので、腐ってしまったり悪臭が漂うもの、あるいは、そういった浸出液が出てくるものとかあるんじゃないかということで、仮置き場のままにいたずらに時が過ぎてこれが外部に流出していくというのが一番危惧されるのかなと思っておりますので、この辺、お詳しい方で、現在の一時保管はどういうふうになっているか、お聞かせ願いたいと思います。

梶原政府参考人 お答え申し上げます。

 廃棄物の一時保管につきましては、実はいろいろなガイドラインを出させていただいていまして、廃棄物の種類ごとに、例えば容器の中に入れて保管をしていただく、あるいは、容器に入らない場合で保管していただくときには、シートをどういったような形でやっていただくといったようなガイドラインを示して、一時保管をしていただいておるところでございます。

 今、委員御発言の中で、特に、腐ったり、そういうことで悪臭が発生する、あるいは、乾燥したら発火をするおそれのあるといったようなものといたしましては、例えば、農林業系から出てくる稲わらでありますとかあるいは牧草でありますとか、そういうものがございます。そういうものにつきましては、実際は農家の庭先あるいは畜産の畜舎の裏あたりに積み上げられているといったようなところでございます。もちろん一時保管はちゃんとしていただいておりますけれども、早急に処理をしなければいけないということで、今般の補正予算で、例えば、仮設焼却炉の設置を含めてその予算をお認めいただいております。

 こういったようなものを活用して、一時保管の適正化、さらにはその先の処理までできるように努めてまいりたい、かように考えてございます。

河野(正)委員 今お答えいただきましたけれども、やはり、そういった浸出液が出てくるとか発火する、腐る、そういったものが危惧されますので、一刻も早くスピード感を持ってしっかりやっていかないと、仮置き場のままどんどん半減期が過ぎていく、三年あるいは三十年とか仮置き場のままいってしまうというのが一番懸念されると思いますので、これは早急にやっていっていただかなければならないのかなと考えております。

 次に、実は井上副大臣にちょっとお聞きしたいんですけれども、昨年三月十六日の衆議院環境委員会において副大臣は、当時、野党の委員というお立場だったと思いますが、中間処理以上に最終処分というのはこれは大変な課題である、だから簡単にはいかないかもしれないけれども、簡単にいかないんだったら、無責任に三十年とか県外などと言うのはおかしい、そして、中間貯蔵施設の話をこれから少なくとも一年かけて一年以内には場所を決めるということだけれども、誠実に最終処分場の検討も同時並行で進めていって、ある程度そういうものを示しながらやった方がいいんじゃないかとおっしゃっています。それが「政府として誠意ある対応だ」と発言されておられますけれども、実は、この発言が三月十六日ですので一年たってしまいましたが、副大臣になられてその思いはいかがでございますでしょうか。

井上副大臣 まず、答弁に先立ちまして、私はけさまで、環境省が共催をするアジアスリーR推進フォーラム、この出席のためベトナムの方に行っておりました。河野委員を初めとして理事の先生方の温かい御許可はいただいたんですけれども、ちょっと飛行機がおくれましてこの委員会に遅参をいたしましたことを、まずおわびを申し上げたいと思います。

 そして御質問でありますけれども、中間貯蔵もそして最終処分も、これは本当に非常に重要な問題で、しかし、なかなか難しい問題だと認識をしております。そういう意味では、両方ともしっかり、そして早急に取り組まなければいけない課題です。

 ただ、ちょうど一年ぐらい前になりますから、当時の状況と今の状況、これは若干変わってきております。一年前は、前政権においてこの中間貯蔵に対する地元の理解がなかなか進まず、また、その作業も全くおくれている、そういう状況でありました。その中の大きな理由の一つが、やはり、中間貯蔵の先の最終処分場、この絵が全く見えないという中では中間貯蔵も進まないだろう、そういう認識のもとに私も質問をさせていただきました。

 しかし、ここ一年の間に、例えば、昨年十一月には福島の佐藤知事が、中間貯蔵の調査に対して受け入れを表明をいただきました。そしてまた、二十七年当初から搬入開始ということでありますから、いわば、一年たって残すところもう二年を切っている。中間貯蔵は急がなければいけない。その要請というのは一年前よりもなお一層あるわけですね。

 ですから、そういう意味では、今とにかく最優先でやらなければいけないのは、まずは中間貯蔵施設の整備だと思っておりますので、そちらの方にしっかり全力で取り組んでいきたいと思っております。

河野(正)委員 大変お疲れのところ、ありがとうございました。

 私は、中間貯蔵施設、そして最終処分場も含めて、やはりウエルカムの地域というのはないものだ、考えにくいと思っております。

 具体的にこれからどのように頑張っていかれるのか、改めまして、今、安倍内閣は非常に高い支持率をお持ちでございますので、ぜひとも自信を持って早急に行動していただきたいんですけれども、もう一度、大臣よろしいでしょうか。

石原国務大臣 ただいま井上副大臣が御答弁をさせていただきましたように、一年前とは、若干という御批判はあるかもしれませんけれども、変化をしつつございます。

 調査の受け入れということも地元でも理解が進んでおりますし、五月の連休明けぐらいまでには地権者の方の御同意を得た上でボーリングをして、そして、調査をしたところでどこの土地が適切であるのかということもやはり客観的に第三者が評価をしていただくというような形で御理解を進め、一日も早いこの中間貯蔵施設の設置と、そして二十七年の搬入ということに道筋をつけるべく、役所を挙げて努力をさせていただきたい、こんなふうに考えております。

河野(正)委員 ありがとうございました。ぜひ、スピード感を持ってしっかりとやっていただきたいと思います。また、できることがあれば我々も協力していきたいと考えております。

 次に、災害廃棄物処理についてお尋ねいたします。

 先日、大阪の堺市が瓦れきの受け入れを検討したというだけで復興予算八十六億円が交付されるというニュースがございました。これも三月十三日の予算委員会で我が党の足立委員がお尋ねいたしましたが、いわゆる循環型社会形成推進交付金ということについての問題であります。

 これは、災害瓦れき処理を広域で推進するに当たって、受け入れを検討した市町村に対して、ごみ処理施設の整備にかかる費用を、本来は市町村が負担するべき部分まで全額震災復興特別交付税で面倒を見ようという制度でございます。

 大阪市のように、実際に受け入れをされても一億円に満たないところもありますし、私の地元福岡県でも北九州市が手を挙げて、実際、宮城県石巻市から二万二千四百トンを受け入れて処理を行っています。北九州の方では、一部の方による抗議活動があり、大変な思いをされたんじゃないかなと感じております。

 一方で、堺市のように、結果的には受け入れなくても、検討を行った、そして実際に施設整備を行った場合には八十六億円いただけるという考え方に、非常に何かもやもやとした、すっきりしない感じがするところでございます。また、当堺市の市長が、いただけるものを断ったら市民に損失を与える、ありがたくいただきたいと発言されたことによって、ワイドショー等でも大きく報道されました。

 しかし、実際に、平成二十四年三月十五日付で、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部廃棄物対策課長名で、「災害廃棄物の受入れの可能性がある施設の整備のための予算を計上しています。」「なお、受入条件の検討や被災地とのマッチングを実施したものの、結果として災害廃棄物を受け入れることができなかった場合であっても、交付金の返還が生じるものではありません。」という文書が出ております。

 改めて、この件に関して大臣の見解はいかがでございますでしょうか。

石原国務大臣 ただいま河野委員が御指摘の点は予算委員会でもう既に私答弁させていただきまして、重複することはお許しいただきたいと思うんですけれども、当時、私どもは野党でございました。広域処理、震災後の県内処理のめどが立たない中で、やはりみんなきずなだ、助けていこうよ、こういう雰囲気であったことは間違いないと思います。

 その一方で、放射能汚染に対する懸念というものは、いろいろな自治体で皆さん御苦労されたと思うんですけれども、広域処理の実施も容易でなくて、そんなことであるならば、多少距離は離れていても、河野先生の地元であります九州とか、あるいは、ここも受け入れはしなかったんですけれども、鹿児島まで県会の方で御努力をいただいたというようなことで、与野党問わず、その推進に向けて努力したことを覚えております。

 御指摘の堺市でございますけれども、平成二十二年度から整備中であった施設での瓦れきの受け入れを検討し、広域処理を必要とする瓦れき量が減ったこと等によって、昨年八月、環境省が受け入れ自治体を絞り込んだために、結果として堺市には殻が行かなかったという事実がございます。

 このような状況についてどう考えるかということでございますけれども、前回、私、テレビ中継だったもので、これを見ている堺市の皆さん、国民の皆さんが判断されることだというふうにお話をさせていただきましたが、手を挙げづらい状況下で検討いただき、広域処理の推進に寄与したということで、当時、これは民主党政権でございますけれども、当時の政権が交付するということを判断したと承知しております。

河野(正)委員 確かに、前政権のことでございますのでちょっと酷なあれかなとは思いますけれども、実際に受け入れたところが一億円程度で、検討しただけで八十数億いただけるというのは、何かちょっとすっきりしないなという気持ちが残っております。やはり、検討してくれてありがとうということで何らかの交付金はいいのかもしれませんけれども、余りに額が大きいのかなと思っております。

 そもそも、瓦れきの処理の積算量、見込みについて差があったから受け入れていただく必要がなくなったんじゃないかなと思いますので、その辺はいかがなんでしょうか。

梶原政府参考人 震災の瓦れきにつきましての推計でございます。

 まず、災害が発生した場合、それに対する適切な対応をする、あるいは効率的な対応をする、計画的な対応をするということで、災害廃棄物の量をできるだけ正確に把握することは極めて重要であります。

 今回、東日本大震災の発生直後におきましては、早期にこの大規模な災害に対処をするという必要があったことで、実は、人工衛星の画像を用いまして、浸水区域を特定して、その浸水区域の中にある例えば住宅であるとかあるいは建築物が全て瓦れき化をするという前提で推計をしております。

 その後、実際に人が入りまして瓦れきの処理を開始をいたします。そうしましたら、それで仮置き場に搬入をするという行為を行っていくわけなんでございますが、それで実際にどれぐらいの廃棄物があるのかということが徐々にわかってきます。

 また、一旦どっと仮置き場に山と積むわけですけれども、それを処理を始めることによって、実際は木くずがどれぐらい入っている、あるいは土砂がどれぐらい入っているかということも、実は時とともにわかっていくということでございます。

 具体的には、その結果、例えば、倒壊した、解体を要する家屋の数が予想よりも少なかったとか、あるいは、海に流出してしまったような瓦れきが相当量に上った、あるいは、実際にそこにある廃棄物の比重とか物が違っていたといったようなことから、数次にわたりまして宮城県あるいは岩手県の推計量を見直して本日に至っているところでございます。

 この交付金につきましては、当時の、平成二十四年三月の段階で導入をさせていただいた、三次補正を使わせて導入していただいたわけでございますが、そのときに比べて相当少なくなっているということでございまして、二十四年三月の段階でほとんど進んでおりませんでしたので、そういったようなインセンティブとして十分な機能を発揮したものと考えてございます。

 なお、一点ちょっとつけ加えさせていただきますと、堺市では循環交付金を扱っていただいておりますけれども、実は、この災害がなくても、堺市自体でそういう施設は必要だったわけでございます。

 そういう意味におきましては、循環交付金の率そのものはこの廃棄物を受け入れない段階でも同じ補助率でございまして、そういう意味では、この震災の廃棄物を受けなかった場合だとしても、十分にそれはそれとしての必要性があった施設であるということでございます。

 ありがとうございます。

河野(正)委員 ありがとうございました。何かちょっとすっきりしないままなんですが。

 我々日本維新の会は、統治機構の改革、特に道州制の推進を主張している政党でございます。与党自民党におかれましても道州制については検討がなされていると伺っておりますが、道州制が実現すれば、環境省所管の問題等は地域に移行していく問題ではないのかなと考えております。そういった意味で、今はしっかりとした態度で国のスタンダードというか対応方針を決めていく必要があるのじゃないかなと思っております。

 それに関連しまして、次の質問に移らせていただきます。

 先ほど来、質問の中に再生可能エネルギーということが出ております。原発事故以来、脱原発という言葉を頻繁に耳にするところでありますし、いつまでも海外に化石燃料を買いに行くということで多額の費用を費やしているのでは、日本の体力も弱まってしまいますし、そういった意味から、新たに安全、安心なエネルギーの開発が急がれると思っております。

 そういった意味で、出力が不安定であるなど多少の課題はあるものの、相対的に発電コストが低い風力発電というものは、現時点で大きな選択肢の一つになるのかなと考えております。

 風力発電にも幾つかの問題があり、一つは騒音、低周波、それから、景観を損なう、設備建設により土地が改変され土砂が流出する、水が濁る、動植物など生態系への影響が危惧される、また、バードストライクで希少な鳥類の貴重な命が失われていくなど多数の事例もあり、問題があるかと思います。

 また、今月、つい先日ですが、京都府で鉄製のタワーが折れて、四十五トンを超える発電機と風車が落ちてきたという大きな事故もございました。

 そういった環境への影響から、風力発電事業におきましても、新たに、平成二十四年十月から環境アセスメントが適用になったのかなと思っております。

 環境アセスメント対象事業に加えるに至ったいきさつ、経緯をお聞かせいただきたいと思います。

白石政府参考人 お答えいたします。

 ただいま委員御指摘のとおりでございまして、もともと環境アセスメントというものは、下世話に言えば、何らかの形で土地の改変をする、いじるということに伴いまして環境にどのような影響があるか、大きい影響があるものであるならばその影響を回避する、あるいは低減する、あるいは、それがかなわない場合は何らかの代償をするというふうなことのために、あらかじめ住民の意見も聞きつつ環境影響を調べておくというふうな一連の手続をやるということでございまして、御指摘のように、風力発電におきましても、そういった土地の形状の変更、バードストライク等々、御指摘ありましたようなことをあらかじめ調べておいて、回避、低減、代償をするというための方策を考えるために必要な手続ということでこのたび導入をされた、このように認識しております。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 環境省は、風力発電所におきましては、出力が一万キロワット以上の場合を環境アセスメントの対象とされていると聞いております。七千五百キロワット未満の場合は対象外と言われておりますけれども、そういったことを念頭に、環境アセスメントとあるいは自主アセスメントというのは費用や期間にどれぐらいの違いがあるものなんでしょうか。お聞かせください。

白石政府参考人 今御指摘のように、風力発電の環境アセスメントというのは導入されたばかりでございますので、まだまだ実績としてどれぐらいのコストあるいは時間がかかるということはないものでございますが、一定の例えば前提として、火力発電等々のアセスメントの場合は、アセスメントの手続、これは迅速化をしようとする前の実績でございますけれども、大体三年ぐらいはかかっているのだろうということ、それから、風力発電に関して言えば、四万キロワットぐらいの規模の、過去の、法律のアセスメントに近いような内容を持つ各自治体の条例アセスメントの実績をもとに試算すると、大体八千万円程度かかるのかなという相場観は持っておりますが、これは個別の事例に応じて値段の変動はございます。

 ちなみに、そういうものと自主アセスの値段の差ということになりますと、これも自主的なアセスメントの内容によりますので、これはちょっと何とも私どもとしては、値段がどれぐらい違うのだろうということはちょっとわかりかねるところでございます。

河野(正)委員 お手元に配付しました資料を見ていただきたいんですけれども、今の答弁いただいたことをもとに、今、山形県で実際に計画されている事例についての環境省としての見解をお尋ねしたいなと思っております。

 昨年、平成二十四年八月二十日、山形県と山形県酒田市が共同で、これが重要なんです、共同で記者会見を行っておられます。酒田市の海岸に、図に示してあると思いますけれども、このように市と県が風力発電施設をつくるということでございます。三基ずつつくる。そして、こういうふうに地方自治体が積極的に脱原発ということで新たなエネルギーを確保していこうということに対しては非常に敬意を表するものでありますけれども、この計画で、一基当たり二千三百キロワットなんですね。これは六基あります。

 これは、最上川と下の赤川の間が八キロですので、この図で見ても、ざっくり見て一キロも離れていないぐらい、ほぼ同じような地域にありますし、先ほど言いましたように共同で記者会見をされているということで、一基当たり二千三百キロワットですから、六基合計一万三千八百キロワットということで環境アセスメントの適用ではないかと考えておりますけれども、大臣、私と同じ見解でございますでしょうか。

白石政府参考人 お答えいたします。

 資料として配られたものでございます。法律の解釈としてはこのようなものでございます。

 一つの事業かどうかは、特定の目的のために行われる一連の事業であるかどうかということでございますので、例えば事業主体が同じかどうかとか、あるいは、各事業の間にどれだけ距離があるかということが本質的な差ではないわけでございます。

 この事業につきましては、一部報道等もございまして、私どもの方も、県、市から御説明を一月になって頂戴をしておりますけれども、その中で県と市は、それぞれ別個の目的を持つ事業であるというふうなことで御説明をしておられまして、そういう前提の上に立つならば、法律上の解釈としては、特定の目的のために行われる一連の事業ではないというふうに判断されるところでございます。

河野(正)委員 繰り返しますけれども、そうしましたら、環境省としてもこの計画を御存じで、県とも相談されたと。そして、別々の事業という認識ということでよろしいんでしょうか。県は、何かほかの資料等によりますと、環境省の判断を受けて自主アセスメントだと説明しているやに聞いておりますけれども、それでよろしいんでしょうか。

白石政府参考人 実は、正確に言えば一月二十五日でございますけれども、それに先立ちます報道の中で、国がこれは別個の事業であるというふうなことの御説明を地元の方でされておるということを伺いましたので、ちょっとどういうことですかということで伺いまして、それで、今申し上げましたように、私どもとしてはそういうふうに申し上げたことはなくて、それぞれ別個の目的を持つかどうかということで判断すべきことなのですというふうなことで御説明をしたところ、県と地元の方からは、これはそれぞれ別のものであって、個別の事業と判断しております、しかしながら、これは県、市で共同して御説明をするんだということでございましたので、共同で御説明するというのであるならば、その中で、共同で説明をするけれども、別の事業だということをちゃんと説明しないといけませんよということは申し上げたという経緯がございます。

河野(正)委員 事業目的が、山形県の方では、山形県エネルギー戦略に掲げる目標達成に向け県みずからが風力発電事業を行うことで先導的な役割を担い、県内における風力発電事業の展開に資すること、及び、電気の供給を行う事業者である県企業局として、これまで手がけてきた水力発電事業に加え、新たな分野としてメガソーラー発電事業とともに風力発電事業を実施することにより県内における電力供給の拡大を図ることを目的としたものですと。

 一方、市は、風力発電発電適地としての役割を果たし、山形県エネルギー戦略の実現に貢献していく、卒原発、低炭素社会構築への貢献、事業によって得られる利益を広く市民に還元していく、地域が主体となった資源活用による地域活性化という、違いがわからないんですけれども、これ、もしよろしければ、大臣、ぜひちょっとコメントをいただけたらと思います。

石原国務大臣 河野委員の説明を聞いたらちょっと頭が混乱したんですが、局長が答弁しているとおり、別個の事業であるというふうに理解をしているというふうに理解をいたしました。

河野(正)委員 済みません、混乱させまして。私は精神科の医者なんですけれども、非常に反することをやってしまった。

 どちらもこれは売電というのが目的であって、電力を売りたい。しかも、もう期限が迫っているということで、三年も悠長に環境アセスメントができないということなんじゃないのかなと思いますが、別々の事業だということなので、そうなのでしょう。

 一方で、この地域は、庄内海浜県立自然公園ということで、クロマツ林が南北に伸び、〇一年と一〇年には民間企業が計画したものが許可されなかったということでございまして、それを、地方自治体がみずからこういった形でやっていく、環境アセスメントを得ずに自主アセスでいくというのはいかがなものなのかなと思います。

 また、新聞記事によりますと県企業局は、先ほど答弁いただきましたけれども、法定アセスは期間が三年半から四年かかる、費用は八千万円程度、自主アセスはともに半分程度で済むというふうに県の方は認識しているということですので、そういった意味で、環境アセスメントを逃れて建設していくということになるのじゃないのかなと危惧しております。

 そして、同じ事業者であっても、小さく分割して七千五百キロワット未満にしてしまえば対象外ということになれば、もう全く環境アセスメントの意味がなくなってしまう、法が形骸化してしまうということが危惧されます。

 それを行政機関が率先してやっていくということは、先ほどからお話ししましたように、将来、道州制に移行したときに、地方によってまちまちで、こういった行動がどんどんふえていってしまうんじゃないかなということがありまして、そういった意味で、厳正な法解釈を今の時点でやっておくのがいいのではないかなと考えております。

 続きまして、PM二・五の対策についてお聞きいたします。

 私は福岡県ということで先ほどからお話ししましたけれども、福岡は、従前より黄砂が著しく、春先には、特に車のボンネット、白いのが黄色くなってしまうというようなことで、地理的にも中国に近いということがあって、非常に関心が高く、福岡市のホームページ等でもPM二・五の警報を出したりということをやっております。極めて意識が高いのですけれども、近年の推移というのはいかがなものでしょうか、お聞かせ願いたいと思います。

 むしろ、若干日本国内においては下がっているんじゃないかなという懸念もありますので、お聞きしたいと思います。

小林政府参考人 PM二・五の国内の大気汚染状況でございます。

 平成二十一年に環境基準を定めまして、以来、測定局を整備しながら計測をしているところでございます。

 大きく申しますと、環境省が昔からの研究ベースで全国のいろいろな箇所ではかってきておりますが、御指摘ございますように、一貫して、年平均値で見ますと下がっております。

 これは、PM二・五ということもございますが、浮遊粒子状物質対策というようなことで、従来から、工場の規制、それから、特に自動車の排ガス規制については逐年強めてきておりますので、そういう効果があるものというふうに考えているところでございます。

河野(正)委員 改めてお聞きしますけれども、福岡県福岡市では、PM二・五の人体への健康の影響、あるいは発生源がどんなものなのかとか、あるいは物質の組成、そういったものを調べてほしいという声が上がっておりますけれども、その点についていかがでしょうか。

小林政府参考人 御指摘ございましたように、PM二・五は、実は、組成が天然由来のものもございますし、人工的な燃焼などから出てくるものもございます。それから、二次的に空中で生成されるものもあるということでございまして、この成分をしっかり調べていくということが重要でございます。

 それを受けて、一体どこの対策を高めていけばいいのかということをやっていく必要があるということで、総合的な対応が必要というふうに考えております。

 今度、そこに中国からの移入の問題もございますので、研究ベースも含めてより広い観点で体制も整備し、それから、実態の把握、研究、対策の検討、こういうことを努めていきたいというふうに考えているところでございます。

河野(正)委員 人体への影響というものについてはいかがでございますでしょう。

小林政府参考人 失礼いたしました。

 健康への影響につきましては、今、国民の関心が高いということで、専門家の会議を開きまして、既存のデータなどももう一回レビューをいたしまして、評価をいただいたところでございます。

 そういう中で、環境基準というのはもともと、これを超えれば直ちに問題があるというレベルでは設定しておりませんが、そういうことの確認をいたしますとともに、特に、一時的に高い濃度が出てくる日がございます。そこを専門家の目で検討いただきまして、七十マイクログラムというような数字を決めまして、こういうときには注意喚起をしていこうということでございます。

 ただ、これも暫定的なものとして大いに検証をしていこうということでございますが、一応、専門家の検証を得て、そういう注意レベルについては、外出などを不要不急であれば控えるなどの指針を出して、今、自治体で運用していただいているということでございます。

河野(正)委員 地域によっては、我々の福岡県とか福岡市においては、保健環境研究所というところでいろいろ研究してそういった蓄積をやっておるところだと聞いておりますが、こうした研究成果や技術について、国として積極的に支援していくという思いはございますでしょうか。

小林政府参考人 まず、前提となる測定局を整備していくということにつきましては、国も、総務省と連携して支援をしながら整備を図っていただく、こういうことをしております。

 それから、対応策、それから、いろいろなそれぞれの自治体でやっておられる研究ベース、これにつきましても、自治体の連絡体制をつくりまして連携していこうということにしておりますので、そういう中で、自主的な連携はもちろんでございますし、環境省の支援が必要な部分についてはしっかり考えていきたいと考えております。

河野(正)委員 先ほど、答弁の中に暫定指針ということも言われておったかと思いますけれども、国やあるいは地域、市、都道府県によって基準に差があると非常に国民の皆様は混乱するかと思いますので、早くそういった基準をきちんと打ち出していただきたいなと思います。それについて期限なり、いかがでしょうか。

小林政府参考人 先ほど申しましたように、今、実は測定局の体制をつくるということを自治体にお願いをしておりまして、これがまだまだ目標に達しておりませんので、現状がどうかということの把握が一つ必要でございます。

 それから、健康面についてのデータ、これも、今、得られるものは海外のものも含めてレビューをしているわけでございますが、さらに充実の必要があるということは、これは専門家の会議からも提起がございます。

 それから、さっきも申しましたように、一体どこから出てきて、どういうメカニズムでできていくのか。これはかなり、学問レベルも含めてしっかりした研究が必要でございます。

 そういう意味で、ちょっと今は直ちにいつということは申し上げにくいんでございますが、逐次そういった状況が前進をしていくということを図りながら、そういう中で、健康の問題でもございますので、なるべく早く検討していくということを心がけたいと考えているところでございます。

河野(正)委員 ありがとうございます。

 春先、これから春に向かいまして、花粉症と相まってこの問題、非常にナーバスな問題になってくると思いますので、ぜひ早急にお願いしたいなと思います。

 時間も少なくなりましたので最後にお聞きしたいんですけれども、大臣は所信表明におかれまして、「日本の環境技術を生かした中国に対する技術協力などの取り組みを進めます。」と言われておりますけれども、実際、先ほどからもありますが、この大気汚染の問題について中国とどういう連携をしていくのか、お聞かせいただきたいなと思います。

石原国務大臣 先ほども答弁させていただきましたが、日中関係、今、政治の方は大変冷めております。しかし、この環境という問題は、両国にとりまして戦略的互恵関係の最たるテーマではないかと思っております。

 苦しむのは、中国の国民であり、北九州を中心とする日本の国民の方々でございますので、二国間あるいはマルチの場を通じまして、押しつけるのではなくて、互いにこの問題の解決に努めていこうという立場をもって、協力すべきことは協力する努力を進めていきたいと考えております。

河野(正)委員 ことし五月に、北九州におきまして日中韓環境相会合が開かれるとお聞きしております。先日来、石原大臣そして井上副大臣、福岡県においでになりましていろいろと見ておられますけれども、もう時間もありませんので大臣、副大臣どちらかで構いませんが、どういった対応で日中韓環境相会合に臨まれるか、お聞かせ願いたいと思います。

石原国務大臣 ただいま委員が御指摘されました日中韓環境大臣間会合は、持ち回りで行われている会議でございます。そして、前内閣時代にこじれました日中関係、これによりまして、閣僚間の交流というものはなされておりません。

 そんな中で、この会議に中国からも韓国からも環境大臣がおいでになれば、このような場を使いまして、先ほど来お話をさせていただいている戦略的互恵関係にのっとってこの問題の解決に対等に当たっていく、そういう立場で臨ませていただければと考えております。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 時間が来ましたのでこれで終わりにいたしますけれども、環境省に対して予算も含めて非常に期待が高まっておりますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

吉野委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

吉野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。阪口直人君。

阪口委員 日本維新の会の阪口直人でございます。

 本日の委員会においては、PM二・五及び黄砂、この問題について既に多くの議論がなされておりますが、私もこの問題について、特に中国との連携のあり方に焦点を絞って質問をさせていただきたいと思います。

 西日本を中心にPM二・五の影響、大変に不安視されております。そして同時に、これは中国において、特に北京においては、一立方メートル当たり千マイクログラムを超える、大変に高濃度のPM二・五が観測されている、このようなこともあって、国民に対する大変に大きな身体への影響が懸念されている状況でございます。

 一方で、経済成長に伴うエネルギー消費の拡大、これは大変に避けがたいことであるということで、中国の環境保護省の次官などは、例えば、ガソリンの品質に対して改善を期していくことや、また汚染源となっている工場などに対する排出基準を強化するというような対策を述べてはいるものの、今後もこの問題の解決は大変に難しいのではないかというような意見を表明している、こういった現実があるかと思います。

 実際に中国のさまざまな環境問題が日本にも大きな影響を与えているということに関して、私は、石原大臣も大変に強い御懸念を持っているということで、特に、中国が必ずしも日本からの技術協力に対して協力的ではないというようなことに対する御懸念を表明されたというふうにも聞いているんですが、この点について石原大臣の率直な思いをまず伺いたいと思います。

石原国務大臣 ただいま委員が御指摘されましたPM二・五の環境被害、まだ大きなことは報告されておりませんが、実態として、北京の映像、また黄砂のシーズン到来を前にして、九州北部の方々を中心に懸念が高まっている。この問題は、国内の発生源もございますけれども、国環研の調査によっても、気流の中を汚染物質が飛来している可能性が否定できない、こういう成果も発表されているところでございます。

 中国とは、今政治は冷めておりますけれども、ここは戦略的互恵関係の中で協力できる重要な分野でございますので、これは安倍総理も申しておりますように、窓口はいつも開いている。課長級の会議も二月には持たせていただきましたし、これからも機会を持って、ただ一方的にそちらが悪いというような話ではなくて、互いの国民が被害を受けるという立場に立ちまして、この問題の解決のために、バイあるいはマルチの場を使いまして、問題の解決に取り組んでまいりたいというのが基本的な立場でございます。

阪口委員 この問題について、これまで日本が何もしていないかというと、実はいろいろな努力をしているわけですね。

 例えば、日中友好環境保全センターを一九九六年に設立して、さまざまな環境問題に対する共同研究を続けてきております。現在、中国における環境問題の研究拠点にもなっている、このようにも聞いております。

 また、黄砂対策の協力事業ということで、これもさまざまな研究を重ね、例えば、早期警報システムの構築ですとか、あるいは、その発生源対策として、植生回復技術の収集について議論をしている、このようにも聞いております。

 ただ、実際に、ODAを使ってさまざまな技術協力をする、それがどのような成果を上げているのか。また、その成果に基づいてどのような目標を設定して、結果的に日本にもまた中国に対してもよりよい環境を提供するようなシステムがどこまで機能しているのか。私は、この点についてはかなり懸念も持っているわけですが、このあたり、ODAの成果とそしてその評価システム、どのような戦略によって現在機能しているのか、お伺いをしたいと思います。いかがでしょうか。

和田政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国が中国に対して行ってきている環境分野の支援につきましては、全体的な効果を定量的に申し上げることはなかなか難しいところがございます。

 他方で、日本の援助が、中国の地方都市における大気、水質改善、人材育成など、中国の環境分野における各種課題の克服にいろいろと貢献をしてきているということだというふうに理解しております。

 一つの例として御紹介をさせていただければ、ただいま先生から御指摘のありました日中友好環境保全センターでございますけれども、日本の無償資金協力によって建設、整備がされまして、中国環境保護省の直属機関として設立をされております。ここでの協力を通じまして、中国政府の環境政策立案能力強化、科学的なモニタリングの能力強化、人材育成等に大きく貢献をしてきております。例えば、日本の公害防止管理者制度を参考にして中国の企業環境監督員制度というのを構築しておりますし、それから、中国における環境アセスメントの実施において住民参加細則を作成するといったような形で、具体的な制度の改善につながっているところでございます。

 ODAの案件の評価につきましては、事前にきちんと達成すべき目標を定めて、それが協力の後に達成されているかどうかということにつきまして、JICAを中心として個別案件ごとの事後評価をやってきているところでございまして、評価の結果についてはJICAのホームページ等でも掲載をされております。

 今後とも、ODAの案件の成果の評価、これにつきましてはしっかりと取り組んでいきたいというふうに考えております。

阪口委員 今、定量的な評価は難しいという御答弁でしたけれども、評価が難しい理由というのは、これは中国政府が十分に情報を出さないことにあるのか、あるいは、大変に大きな問題ですから、そもそもこういった問題に対しての評価自体が大変困難であるということなのか、そのあたり、まずお伺いをしたいと思います。

小林政府参考人 今、外務省からODAの成果についての御報告がございました。

 日中間の環境協力、先生御指摘のとおり、大変長い歴史がございますが、特に中心的になるものとしては、一九九四年に日中の環境保護協力協定という正式の文書を結びまして、お互い審議官級が相互の国で幅広い協力分野につきましてレビューをするというシステムを設けております。

 こういう中で、場としてはやっているものと考えておりますが、環境問題自体が大変、先生御指摘のように、息長いものであるということ、それから、お互いの経済の発展状況などが時代によって変わってまいります中で、なかなか困難を伴う課題ではございますが、お互いの成果、どこが協力することによって強みを発揮するか、こういうことをしっかりレビューしていく必要があると考えているところでございます。

阪口委員 今伺っていると、これは私の感想なんですけれども、やはり中国という国に対して、例えばODAを提供するにしても、実際にその成果をきっちりとフィードバックしていただくシステム、あるいは、それをさらなる改善につなげていくというシステムが十分に機能していない。あるいは、中国と日本のさまざまな二国間の政治関係もあって、それを厳しく要求するのが難しい状況にあるのかなというふうにも私は今感じたんですけれども、ODAというのは、当然、国民の血税を使って提供するわけですから、そのあたりの評価というものは非常に厳しく行っていかなくてはいけない、これは本当に大原則だと思います。

 そのあたり、外務省の方にお伺いをしたいんですが、中国に対する過去のODAの評価に関して、問題があるのであれば、その現状について少しお聞かせをいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

和田政府参考人 お答え申し上げます。

 ODA改革の一環といたしましても、評価の強化ということはまさにそのとおりでございまして、PDCAサイクルをきちんと回して、案件を実施した後にきちんと成果を評価し、それを次の計画に反映させていくということで、我々も努力をしているところでございます。

 中国に対する援助についての評価がほかの国に対する評価と比べて特段特殊な難しさがあるかという御質問だと理解したんですけれども、途上国一般に、やはりその評価のシステムとか、政策評価を含めてさまざまな評価の仕組みができていないというところからくる問題点等々もいろいろございますし、私の認識としては、特に中国だけが非常に難しさを持っているということではないのかなという気がいたしております。

 いずれにいたしましても、評価については、どうやってそれを定量的に評価をしていくのかというのは、非常に評価そのものの難しさがございますので、我々も、さらに専門家の意見も受け入れながら改善に努めてまいりたいと思っております。

阪口委員 今の御答弁、力強い答弁とは私は感じることができなかったんですが、どちらにしても、ODAの評価をきっちりする、外務省のODAであっても、環境問題に関しては環境省とも連動して環境省としての戦略につなげていく、このサイクルをしっかりと構築していくことが中国の環境問題解決に日本が寄与する上での重要なポイントではないかと思っています。

 この点について、これまで十分でないところがもしあるとすれば、ぜひ強化をしていただきたい、このように思っております。

 そして、黄砂対策の協力事業の中で発生源対策というものが議論されている。これは環境省のホームページの資料で拝見をしているんですが、この黄砂の発生源対策として最も根本的に効果がある対策、これはどういう対策なんでしょうか。

小林政府参考人 黄砂につきましては、もともと、砂漠地帯から巻き上げたものが飛んできているわけでございますが、いろいろな開発、あるいは環境に手が入らないということをもって、ますます砂漠が拡大している、ここら辺が大きな課題であるというふうに承知しております。

 したがいまして、対策としては、植林などをいたしまして、そこの土地をより環境的に豊かな場所にしていただく、こういうことが重要でございまして、こういうことについて専門家同士が議論をしたり協力をして進めている、こういう状況でございます。

阪口委員 植林というのは、本当に地道であり、恐らく最も効果的な対策なんだろうとは思います。

 ただ一方で、二〇一一年に中国の国家林業局が出したデータによると、二〇〇九年時点で、砂漠化した土地が中国国土の全体の一八・〇三%に当たる百七十三万平方キロであり、今後砂漠化の可能性がある土地が二百六十万平方キロに及ぶ、こういった大変に厳しい予測も出ております。ということは、これは現在の対策ではなかなか抜本的な解決にはつながっていかない。

 そして一方で、最初に中国の環境省の次官がおっしゃったように、これはもう本当に、経済発展を求めていく中でなかなかとめられないんだ、そういう根本的な懸念がある。では、どうすればいいのか。やはり、これは強力に政治に対して働きかける必要があるんだと思います。

 これは環境大臣だけの力でできることではないと思いますが、五月に、先ほどから何度も出ておりますが、日中韓の環境大臣会議が行われる。特に、中国のこのような問題を根本的に解決していく上でのこの会議に臨む具体的な戦略、先ほどから中国の意向もしっかり踏まえてというようなことは聞いていますが、やはり日本として具体的な戦略を提示して、それを環境の先進国、環境問題を克服した先輩国としてしっかりプレゼンテーションをして、またそれを反映させる努力が必要だと思います。まず、そのための具体的な戦略、ぜひお聞かせをいただきたいと思うのですが、大臣、いかがでしょうか。

石原国務大臣 阪口委員には大変重要な御指摘をいただいていると思っております。

 黄砂の件からお話をさせていただきますと、二〇〇六年の第八回日中韓三カ国環境大臣会合の合意を受けて地域協力ということがスタートして、これは発生源対策が一番肝要であるのですけれども、この発生源対策においては、有効的なものが見出せていないというのが現実だと思っております。

 それでは、これから五月に予定されている、同じような日中韓大臣会合では一体どのような戦略で臨むのかということでございますが、今政治が非常に日中間で冷めております。野田内閣の尖閣諸島の国有化に伴って、大臣間の往来もとまっております。こういう中で、これは戦略的互恵関係の最たるものであるという認識は、環境問題によって被害をこうむるのが両国民であるというところで私は見出せるのではないかというほのかな希望は持っております。

 その希望の前提になっておりますのは、昨今の中国政府の発表も、若干ずつではございますが変わってきたような気がいたします。新しく総理になった李克強さんが、環境問題を憂えているというような発言をされたり、あるいは報道官が、中国の深刻な大気汚染を受けて、他国の先進的な経験や取り組みを学びたい、こういうことを述べられているということからもうかがえるのではないか。

 やはり同じ目線に立って、技術があるんだ、計測機械もあるんだ、情報をこっちによこせというようなやり方ではなくて、互いに両国の利益につながるんだという立場に立って会談に臨めればと今のところは考えているところでございます。

阪口委員 この大臣会合というのは、今厳しい状況にある日中、また韓国を含めた関係を本当に劇的に改善をする、大変に貴重な機会になり得ると思っています。また、三カ国が環境という本当に健康やまた人道的な問題を解決することでパートナーシップを構築する、これは、大変シンボリックな、三カ国の関係を再スタートする、大きな意義につながる可能性があると思っています。

 これも大臣に伺えたらと思うんですが、日本が担うことでその価値、効果を最大化することができる環境対策、これは根本的に何だとお考えでしょうか。

石原国務大臣 これは、やはり過去の経験と技術力、ここに集約できるのではないかと考えております。

 しかし、ただ、くどいようなんですけれども、中国国内で起こっている今の大気汚染の問題については、中国の皆さん方が自分の力でこの問題を解決しよう、そしてそれを外の国がサポートするという形でない限りは、私は解決のできる問題ではないと認識をしております。

阪口委員 大臣の基本的な認識は私も共有しています。

 十三億の人口を抱える中国が経済発展のためにばく進をしている、その状況を日本がコントロールできるものではないと思います。ただ、やはりその中でいかに知恵を出していくか、これが我々、特にこの環境委員会の我々全ての委員にとっても大きなテーマでありますから、まさにこういった問題について議論できる場でありたいと思っています。

 この問題については、本当に、第三国の知恵をかりることも恐らく必要なのではないかと思います。

 私もいろいろと調べている中で、一つ参考になるなと思ったのは、スイス政府、スイスの外務省開発協力局が中国の気候変動問題を支援するということで、大気汚染改善に向けた中国の法改正を行う支援をする、法整備支援をする、そういった協力をしようとしているようなんですね。

 最初に私が申し上げたように、これは本当に対症療法で何とかできるものではないんじゃないかと思います。ただ、根本的な、中国の環境関連の法整備に力をかすことで少しでもこの問題の解決につなげていけるとすれば、やはりこれは、チャレンジする、あるいはその可能性を探っていく価値があるのではないかと思います。

 このあたり、もし何らかのお考えがあれば、副大臣、政務官も含めて、お考えを聞かせていただきたいと思います。

小林政府参考人 先生の御指摘を伺いながら、ヒントになる事例かなということで、お答えをさせていただきたいと思います。

 だんだん中国も国力をつけてきておりますので、お金の支援みたいなことよりは、もう少しノウハウとか政策的なものが重要か、こういう認識を持っております。

 例えば窒素酸化物によります大気汚染、これもPMにもつながってくる問題でございます。これにつきましては、日中で共同研究というような形で、むしろ政策研究的に、これは技術的な面、ガイドライン的なものも含めます、それから制度というものを含めまして、日本も随分苦労して窒素酸化物対策はやってまいりましたので、これを中国らしい総量削減制度にしていただく、こんなようなことも研究をしておりまして、そんなことも今後のヒントになっていくのかなと思っております。

 また、行政間だけではなくて、研究ベースで連携をとるということも、中国側が納得していろいろな対策をとっていただくベースになっていくということがあろうかと思っておりますので、そんなところをヒントに考えていければと考えているところでございます。

阪口委員 ぜひ、この問題に関しては本当にそれぞれが知恵を出し合って、中国の問題というのは、日本の問題だけではなくて、ほかの国に対するさまざまな問題にもつながるわけですから、決して中国の主権を侵害するわけではないけれども、日本として何らかのリーダーシップをとっていく、そういう覚悟を示すのが五月の環境大臣会議であってほしいと私は強く思っております。

 ちょっと質問をかえたいと思うんですが、三月十二日に世界初のメタンハイドレートのガス生産実験を開始して、そしてガスの生産を開始できた。これは、資源小国である日本にとって、本当に大きな光明であると思います。

 同時に、この地域というのは東南海地震の発生が予測されている地域でもありまして、本当に今後、海底に穴をあけて、日本の天然ガスの百年分とも言われるメタンハイドレートを発掘していくということが、何らかの環境への悪影響、もしくは地震を誘発する可能性にもつながるのではないかというような、そういった研究者の懸念の声もございます。

 この点について、まずお伺いをしたいと思います。

安藤政府参考人 お答えさせていただきます。

 まさに、今委員御指摘のとおり、紀伊半島の沖合にございます東部南海トラフにおきまして、三月の十二日から昨日まででございますけれども、世界初のメタンハイドレートの海洋産出試験を行わせていただきました。

 当初の予定からやや短縮をした工程になりました。昨日、大変荒天が予想されたということと、一部ポンプにふぐあいが発生をしたということによりまして、当初の予定よりも工期を若干短縮して、昨日終了させていただきました。

 いずれにいたしましても、世界で初めて海洋における産出試験に成功したという意義は大きいことだと思っております。

 他方、今御指摘のように、地震も含めまして、さまざまな環境への影響を懸念される声があること、私ども十分承知をさせていただいております。

 これまで、さまざまな分野の技術者の方々にお集まりいただきまして、地震あるいは環境へ与える影響等々につきまして、専門的な見地から御検討をお願いしてまいりました。

 まず、地震でございますけれども、委員御指摘のように、地震が起きますプレートは深さ大体十キロメートル前後ぐらいに存在するというふうに言われております。今回の試験を行いました地層は海底面から大体三百メートルぐらいということでございまして、地震の挙動とメタンハイドレートの今回の採掘とは、多分関係のない深さで行われているということが専門家の知見でございます。

 また、メタンハイドレートの存在する地層というものは、構造的に大変やわらかくなっておりまして、いわゆる地震を起こしますひずみのエネルギーというものをなかなか蓄積しにくい構造になっているということでございまして、こういった面から、一般的には地震とメタンハイドレートの採掘は関係ないであろうというのが専門家の知見でございます。

 他方、地盤沈下あるいは海水への影響ということにつきましては、現場にしっかりとした測定機器を今回配置しております。前後にわたりまして、どのような影響が、地盤に影響を与えたかどうか、海水に影響を与えたかどうか、しっかりモニタリングを行いまして、今後しっかりと評価をさせていただきたいと思っております。

 いずれにいたしましても、国民の皆様に、その成果をわかりやすく、客観的に提示させていただきまして、御理解をいただきたい、このように考えております。

阪口委員 メタンハイドレートは、大変国民の期待が大きな、新たな資源であるということですから、この開発において、また商品化のプロセスにおいても、本当に、日本らしい環境配慮を同時並行的に進めていく、そういった高い志を持って、そして日本としての新しいエネルギーを開発していく、このようなプロジェクトになるべきだと思いますし、その上で、環境省の方々には主導的な役割をぜひ発揮していただきたい、このように思っております。

 以上で質問は終わりたいと思います。ありがとうございました。

吉野委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 みんなの党の中島克仁でございます。

 私の地元は、山梨県北杜市といいまして、八ケ岳南麓の、自然が大変豊かな地域でございます。日照時間は日本でも一番と言われておりまして、そういう、環境問題にも非常に熱心に取り組んでいる地域でございます。

 私は、その北杜市で、医師として約十年、在宅医療を中心とする地域医療に従事してまいりました。今、医療問題、地域医療の問題で、その格差是正のために、昨年の末にみんなの党から立候補いたしまして、初当選を果たさせていただきました。環境委員会ではきょうが初めての質問となりますので、どうかよろしくお願いいたします。

 また、五年前に他界をいたしました私の亡き父、自民党の元参議院議員中島真人でございます。石原大臣初め多くの方々にも大変お世話になったことと思います。改めてお礼申し上げたいと思います。

 先週の月曜日の三月十一日、東日本大震災からちょうど二年がたちました。震災で犠牲になられた方々に改めて哀悼の意を示すとともに、現在もなおまだ福島県内を初め日本全国各地で避難生活を強いられている方々に心よりお見舞い申し上げます。

 先日の大臣の所信で、「原子力事故に伴う住民の健康管理や健康不安対策についても、着実に進めます。」という言葉について、大変重要なところでもございますので、御質問をさせていただきたいと思います。

 福島第一原発事故について、環境省が先頭に立って取り組んできておられます除染事業についてでありますが、延べ一兆円を超す事業費をかけ、三年がかりで取り組んできております。

 その除染事業についてでありますが、二十五年度中に評価をして、二十六年度以降はその評価を踏まえて検討するということですが、その評価とはどのようなことを基準に評価するのか、お伺いしたいと思います。

小林政府参考人 現在、政府で行政的に進めていることにつきましての答弁をさせていただきます。

 除染は、実施計画が、平成二十四年度、二十五年度で、特に生活回りなどを中心にやっていこう、こういう計画でございますので、これをまずしっかり進めてまいりたいと思っております。その上で、結果については点検、評価をし、この計画終了以降の対応方策について検討した上で、二十六年度以降において適切な措置を講ずる、こういうことになっております。

 先ほどもいろいろお尋ねがございましたが、進捗状況が地域によってまだばらついているところがございますので、大分体制が整ってきたところがございます。こういうものを受けまして、この二年間の除染にまずは全力を挙げていきたいということでございます。

 そういう意味で、その後の評価のあり方につきましては、今後、科学的、技術的な見地からも検討を加えて考えていきたいと考えているところでございます。

中島委員 除染の計画の進行ぐあいを評価するということでよろしいですか。除染の効果を評価するということではなくて、除染の計画を進行ぐあいで評価するということでよろしいでしょうか。

小林政府参考人 具体的な評価方法は今後検討してくることでございますが、現時点で考えますと、進行状況、事業の進捗自体が思うようにいっているところ、まだまだ努力が必要なところがございますので、そういったものも当然評価をしなければならないと思いますし、それから、今、年度末でございまして、本格除染が今年度進みました。この成果が、一応、年度の成果が出てまいりますので、これをしっかり、どのぐらい除染の効果が上がったのか、線量低下の効果、これも把握をしたいと思っております。そういうものをベースにして考えてまいりたいと思っているところでございます。

中島委員 除染については、さまざまな御意見もあると思います。特に、森林部分では除染対象になっていないところもあり、除染が済んだ地域で、森林地域から風や雨で放射線が飛来してきて再汚染するという事態は現在でも見られるということです。

 除染終了、完了宣言ということにはなかなかならないとは思うんですが、住民が安心してもとの地域に帰還できるようになるまでは、ぜひ続けなければならないと思います。その除染終了、完了宣言というか、そういった目安というものは何かございますでしょうか。

小林政府参考人 今御指摘がありました中で、森林の扱いにつきましては、地元からもいろいろ御要望がありまして、今研究ベースで取り組んでいるところでございます。特に、今御指摘ありましたように、いわば里の方の除染を進めているわけでありますが、山から出てこないのかという御心配があります。

 これにつきましては、従来のデータもございますが、またさらに流出があるのかないのか。今までのデータですと、余り出てこないという数字が出ておりまして、安心しているところでございますが、これは念には念を入れて検討しているところでございます。

 それから、特に飲み水などに出ないかというチェックは相当広範に、地元の御要望を極力全て承るというような形で進めているところでございます。そういうことでやっていくということを一言申し上げておきたいと思います。

 それで、その除染の終了に何とか早い段階で行きたいところでございますが、先ほど来申し上げている繰り返しになりまして恐縮でございますが、まずは、予定されております事業、これをしっかり全力で仕上げていく、こういうことをやりまして、その上で、効果も把握をして、どのように見ていけばいいかということにつきましては、専門家の知恵などもいただきながら考えていきたいと考えているところでございます。

中島委員 先日、松本市長の菅谷昭先生をお訪ねしてきました。菅谷市長は、先ほどもお話出ましたけれども、医師としてチェルノブイリの事故後約五年間にわたってベラルーシで甲状腺の治療に当たった、その経験をお持ちの方で、今回の福島の原発事故に対してもさまざまな御意見を御発信されております。

 菅谷先生は、かねてから、政府は原発事故について過小評価し、除染に対しては過大評価をしているとおっしゃっております。ここを除染したから絶対大丈夫ということではないと。ただ、除染が必要ないと言っているわけではないんです。除染をしっかりと続けていくのと同様に、現在のチェルノブイリの現状から、今後起こり得る健康被害対策にもしっかりと軸足を置くべきではないでしょうかということでございます。

 私は、冒頭にも申し上げましたが、医師としての立場から、次のことに強い懸念を抱いております。それは、福島の子供たち、その甲状腺がんの発症についてでございます。この問題は、その経緯が非常に大事になりますので、事故から現在に至るまでの放射線被曝に関する御質問をさせていただきたいと思います。

 まず、振り返ってみまして、福島の原発事故後、福島においては約七十万人分の沃素剤を用意しておったということでございますが、政府から指示がなく、結局、服用することはなかったということになっております。沃素剤が用意されていたにもかかわらず、なぜ沃素剤を服用する指示がなかったのか、その経緯をちょっと御説明していただきたいと思います。

黒木政府参考人 お答えします。

 安定沃素剤は、屋内退避や避難といった防護措置とともに、放射性セシウムの吸引などによる被曝の予防のため、事前に服用することが望ましいと言われております。

 しかし、政府の事故調査委員会報告書におきましては、今般事故の際、国の原子力災害現地対策本部が自治体に対して避難区域から避難時には安定沃素剤を投与することとの指示を出したのは、平成二十三年の三月十六日であったと報告されております。この段階では、もう既に避難区域である二十キロ圏内には対象となる住民がいない状況でありました。

 また、政府及び国会の事故調査委員会の報告書におきまして、平成二十三年の三月十四日、当時の原子力安全委員会から、スクリーニングの値が一万cpmを超えた者には安定沃素剤の服用も指示すべきとの助言がされましたけれども、その指示が国から自治体に適切に伝達されなかったと報告されております。

 以上であります。

中島委員 結果的に沃素剤は配付できなかったということだったんですが、チェルノブイリの原発事故の際には、隣国でありますポーランド、大変すばらしい対応をとっておられます。事故翌日には大気の放射能汚染を確認し、放出された核種の八〇%が放射性沃素ということもわかると、政府は、非常事態態勢を発令して約百万人の子供に沃素剤を投与しました。結果、ポーランドでは小児甲状腺がんの発症が回避されました。

 福島原発においては、政府、東電から事故当時の放射線汚染の推移、例えば、いつの時点でいかなる放射性核種、放射性沃素、セシウム、ストロンチウムなど、どれぐらいの量で放出されたのかなどの重要なデータが十分に公表されていないように思うんですが、いかがでしょうか。

黒木政府参考人 ただいま御指摘のありましたものを含めまして、いろいろな反省、検討がございます。そういうことを含めまして、原子力規制委員会におきましては、安定沃素剤の投与に関しまして、現在、原子力災害対策指針の見直しを行っている最中でございます。

 以上であります。

中島委員 チェルノブイリの事故から、もう二十七年がたちます。

 事故から毎年一人、二人の発症だった現地の子供の甲状腺がんが、五年目に一気に二十八人、六年目には五十五人、十年目にはピークを迎え、九十人になりました。子供の甲状腺がんは通常百万人に一人と言われていますから、大変多いと言わざるを得ない状況でございました。チェルノブイリの事故が原因であると考えるのが普通だと思います。

 福島においては、資料の新聞記事にもございます、震災時十八歳以下の子供の甲状腺検査において、甲状腺がんが三人、疑いが七人という結果が出ました。

 この結果について、福島県立医大の鈴木先生は、このような大規模な疫学調査は今まで前例がなく、比較ができない、そしてまた、チェルノブイリでは、事故後最短で四年後に発症が増加しているなどの理由から、もともとあったものを見つけた可能性が高い、原発事故との因果関係は考えにくいというコメントを発表されております。

 この現状の中で、甲状腺がんが三人、疑いが七人、有識者でもあります先生のそれに対するコメントに対してどうお考えになりますか。

佐藤政府参考人 今御質問をいただきました、甲状腺検査それから甲状腺がんの発見ということでございます。

 御存じのように、福島県では、県民の健康を長期に見守るという視点で県民健康管理調査を実施していただいておりまして、私ども国といたしましても、その実施に必要な七百八十二億円というものを交付金の形で拠出するなどして、財政的な支援はもとより、技術的な支援についても、役割分担のもとで取り組んでいるところでございます。

 今御質問のありました、放射線による甲状腺への影響という点でございますけれども、事故時に十八歳以下であった子供さん、これは全部で三十六万人ぐらいいると計算されておりますけれども、こうした方を対象にいたしまして、甲状腺検査を二十六年の三月末までに実施するということで計画的に実施していただいておりまして、一巡目の検査はそこで全て終了するということになっております。もう少し丁寧に説明しますと、現在のところで、ちょうど半数に当たる方の検査が済んでいるという状況です。

 今御質問いただきましたのは、三名の方が甲状腺がんということでございました。これは、実は平成二十三年度、四年度そして二十五年度と三年計画で一巡目を実施するわけですけれども、平成二十三年度に実施をいたしました三万八千名の方の中から、三人が甲状腺がん、そして七名が甲状腺がんの疑いということでございます。

 これは、これまで知られているデータ、例えば、先生がお話しになりましたチェルノブイリとか、あるいは、ちょっと内容は違ってきますが、地域がん登録という形で、有症状、あるいは何かほかの病気がある、自覚があるということで病院を受診したり、そういう形で発見された方による地域がん登録、こういったようなところで発見される値よりは相当高いレベルで発見されている、これは事実でございます。

 ただ、これは鈴木真一先生を初め、それから県民健康管理調査の検討委員会の専門家がおられますが、こうした専門家の意見を聞きますと、原発の事故から、今も申しましたように平成二十三年度の検診の対象者の中から出ていますので、原発の事故の影響と考えるには余りにも時間が短いというようなこともありますし、また、今の御質問の中にもありましたように、今までこういう形で無自覚、無症状の方に対して悉皆の調査をしたことがなかったので、そういったことも念頭に入れながら、事実は事実として、今後丁寧に評価、分析をしていくべきだろうというふうに伺っております。

中島委員 きょう、ヨード剤の件からちょっと振り返ってみたのは、実はその経過が非常に大事でありまして、放射線被曝の問題、もちろん、小児の甲状腺がん、放射性ヨードの問題、あとセシウムの問題もございます。セシウムはもちろん半減期も長くて、これから予想もしないようなことが、まあ、今チェルノブイリでも現在進行形。

 小児の甲状腺がんや放射性ヨードに関して言いますと、まず、原発事故直後、どのぐらいの核種がどのぐらい放出されたのかということと、子供たちの動向、そのときどういう行動をしていたのか、そういったことが余りにも今不明確というか、そういった中で、有識者であります先生方が本当にそういう情報の中からそういう判断をなさったのかというのが非常に疑問なところがあるんですね。

 おっしゃっていただいたように、今三十六万人を対象に甲状腺検査が実施されております。さらに、福島と他地域を比較するために、青森初め三県でスクリーニング検査をしている。検査の結果は今月末ということですね。

 今回の福島での検査結果を受けて、原発事故と甲状腺がんとの因果関係について、恐らくその結果をもとにまた判断をするということなんでしょうけれども、今回の検査結果はともかく、今後甲状腺がんの発生が増加することは間違いない、懸念されることでございます。私はやはり万全の対処をするべきだと考えるんですが、大臣のお考えをお聞かせください。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 今御質問の中で図らずももうお話しいただきましたけれども、私どもも、福島県の県民健康管理調査の枠組みで行われている超音波検査が、これがこれで妥当なのかどうかということは検証しなければいけないということで、福島県に任せるだけではなくて、環境省としてできることは何かというふうに考えまして、長崎、それから先生の御地元である山梨、それから青森という三県にお願いをしまして、合計で四千五百人のほぼ同じ年齢層の方の御協力を得まして、同じような手順でもって超音波検査を実施しました。

 先生はお医者さんでいらっしゃいますからお気づきになると思いますけれども、こうした形で、いわゆるコントロール群のような形で調査をしますと、調査ないしは検査自身の妥当性のようなものが検証できるんだろうということで、かなり急いで調査を行いまして、概況は先般発表したところでございますし、詳細な、もう少し年齢の調整も含めた調整は今月末にでき上がると思いますけれども、そうしたことを含めて、調査、検査そのものの体制が妥当かどうかということはこれで検証していきたいと思います。

 また、そもそも、今の御質問にもございましたように、甲状腺がんとの関係を見るのであれば、事故直後の沃素の放出量、そしてそれによる被曝線量がどうかということが非常に重要になってまいります。

 このことも、福島県のみにお任せをしていてもなかなか難しい部分がありますから、まず一つ目は、行動記録による外部評価はどうかということですので、福島県の基本調査で実施していただいております行動記録の結果をもとに、放医研、放射線医学総合研究所で協力をしてコンピュータープログラムをつくりまして、この中で行動記録による外部被曝量、こういうものを推計しております。

 あわせまして、一番重要な沃素の被曝量につきましても、これもやはり福島県だけでは難しいので、環境省の事業として捉えまして、被曝線量の推計ということで、放射線医学総合研究所に委託をする形で実施をしておりまして、去る一月二十七日にシンポジウムの形で概況を報告いたしました。

 もちろん、先ほどお話にもありましたように、原子力発電所の事故、また、事故のみならず、その事故がもともと津波によって引き起こされたということから、モニタリングポストを初めとする当時のデータがなかなか難しいということになりますから、幾つかの推計を重ね合わせてのデータの再構築という事業になりますが、こうしたことも報告を行っておりまして、今後も、推計値と実測値の照合などをしながら精緻なデータを集めてまいりたいと考えております。

 こうしたことによりまして、恐らくは甲状腺がんの発生の予測ないしは全体の被曝線量もわかっていくということで、こういう地道な作業を多方面にわたって続けていきたいと考えております。

中島委員 やはり、いまだにはっきりしていないという現実だと思うんですね。

 後追い調査というか、非常に、先ほど言ったように、放射線被曝の問題は、その当時、事故直後の現状とこれから、セシウムに関して言いますと、先ほども言いましたように、チェルノブイリでも現在進行形です。科学的にはなかなか判明できないような異常な部分も現地では起こっている。それをこれから日本が背負っていくということ。

 小児の甲状腺がんの話になりますと、当時十八歳以下の福島県内の子供を対象に、最初の甲状腺検査を二年半以内に、その後は二年ごとに検診を行うということになっていますけれども、要するに、その頻度そのもの、先ほども言ったように、私も医師ですからと言われたんですが、甲状腺エコー自体、そんなに難しくはないですけれども、やはり誰でもできるというものではない、テクニカルなところも少しあるということを含めますと、現地のチェルノブイリの医師にも聞きましたところ、やはり半年に一回、そういった頻度でしっかりとやっていくことが必要なんじゃないかな。

 チェルノブイリの四年目から増加傾向ということを参考にするのであれば、放射性核種がどのくらい出たのかということが不明、行動記録もまだ不明ということを考えれば、チェルノブイリの四年目から増加というのは、チェルノブイリにおいては四年目にそういう調査をしたんですね。ですから、その前からもう出ていた可能性は全く否定できていません。福島の今回の事故、その核種の問題も含めて不明な点が非常に多いということを考えますと、やはり今の体制自体が、これから調査していくにしても、現時点が本当に適切かどうか、非常に疑問だと思います。

 それについて、大臣にお話を聞きたいと思います。

石原国務大臣 もう経緯は御承知のことだと思いますが、知事の強い御要望で、福島県立医大を中心にこちらの調査をやっていこうということで、現在半分程度の方の調査が終わっておりますが、その出てきたデータと、そして、今部長の方から話をしました、先生の御出身の山梨県も含む三県との調査の比較というものをいかに客観性を持たせて調べるかということによって、現状というものはある程度わかってくる。

 それとあわせて、広島、長崎の場合も、五年後の国勢調査の聞き取りから、この一帯、体外被曝をどの程度したかという調査が始まったと聞いておりますけれども、今回は、沃素の半減期が大変短いわけでございますので、これを後から追跡調査ができませんので、私も放医研の話を聞かせていただきましたけれども、推計モデルでどれだけの外部被曝、沃素があったかなかったのか、こういうものを計量的に推計することによって、どれだけのリスクが高まるのか高まらないのかということがはっきりしてくる。この結果を見まして、今委員の御指摘のとおり、チェルノブイリは四年前には検査をしていなかったわけでございますので、こちらはもうその年から調査をしておりますので、この調査の完了をもって、さらに他との比較というものを客観的にお示しをして、対策を拡充させていただきたい、こんなふうに考えております。

中島委員 本当に、繰り返しになるんですが、要するに、子供たちのこれからですね。実際にその直後の動態は、もう済んでしまったことを今さらああだこうだ言ってもあれなんですが、今すぐにでも事に取り組まないと、結果的に後手後手になる可能性があるということは非常に危惧されております。

 とにかく、当時の子供たちの居場所、そして行動経路、それに対する実態調査、これはこれからの取り組みの本当に基本になるところでございます。いろいろ大変なのはわかるんですが、いつも言うように、やはり子供たちのこれからの将来を考えますと、とにかく一刻も早くその調査を進めていただきたいと思います。いたずらに不安をあおるべきでないとか、そのことが差別につながるかとか、いろいろ御意見もあるかと思います。でも、本当に考えなければいけないのは、がんを発症するかもしれない可能性を秘めた将来の宝です。さらに、その次の世代、またその次の世代までも影響が拭えないかもしれない、そんなことも危惧される中で、どうか迅速に、丁寧な対応をお願いしたいと思います。

 そもそも、原発事故から二年、さまざまな調査や対策が取り組まれていることは認識しております。ただ、その情報が、汚染マップ等いろいろあるんです、その情報が一つに、一直線になっていないような気がするんですね。先ほどの先生方、有識者の判断、そのお言葉、コメントを見てみても、例えば、私、医者で、C型肝炎の方の肝臓のエコーをするときには、やはりそういう意識で見るわけですね。甲状腺検査をする、これからフォローしていく方が、例えば、ヨード剤を飲んでいない、そして核種がどれくらい入ったかもわからない、そういったリスクを本当に認識された上でそういうことができるかどうかというのは非常に大きな問題なんだと思います。

 そもそも、国民の皆さん含め、私自身がそうなんですが、今回の福島原発事故は、二十七年前に起こったチェルノブイリの原発事故と比較して、今どうなんですか。当時、レベル七ということになっております。その後の対応も含めて、チェルノブイリのたどってきた跡と比較して、今どんな現状なのか。どなたか。

佐藤政府参考人 チェルノブイリの事故そのものと今般の福島の事故を比べるというのは、私の職責からはちょっと離れる部分もありますので、健康への被害という点ないしは放射線量と健康への被害という観点だけからお話をさせていただきます。

 私どもが今聞いておりますところでは、一般論で、平たく言って、チェルノブイリのほぼ百分の一程度の線量であったろうと言われております。

 これは幾つかの傍証がございまして、まず一つは、行動記録による外部被曝の量もそうでございますし、また、極めて重要な、短半減期と言われるI131その他の初期線量評価という点でも、先ほど御紹介をいたしました放医研に委託をして研究していただいている初期線量評価の再構築というプロジェクトの中でも、相当に低い程度の線量であったと言われております。

 私どもとは別に、WHOが先般報告した、今般の事故に伴うがんの発生予測、発生の増加の程度という報告がなされております。これは、先般行われました福島県でのシンポジウムなどでは極めて過大評価だという話もあったそうでございますが、かなり安全を見込んで多目に見積もった数字だとしても、がんの発生は、少なくとも一般住民に関する限りは極めて低いレベルにとどまるだろう、一部の地域を除いたり一部の作業者を除けば極めて低い水準にとどまるだろうという報告をいただいております。

 繰り返しになりますけれども、そういう、多目に、過大に、安全側に傾くように見積もったものでも、相当程度低いと見積もられているようですので、もちろん、これに安心することなく、丁寧に丁寧に、各種の情報、それから失われたはずのデータについては推計等も加えながら、福島県と一緒にこの調査を見守っていくということになると思います。

中島委員 小児の甲状腺がんの問題と、科学的に起こり得るだろうということ、セシウムの問題、ストロンチウムの問題ですね。その問題について、私は、とにかく、放射線被曝、甲状腺がんにも特化した、福島にその記念碑ともなるべき医療施設の建築を、どうか、環境省だけではない問題なんですが、政府一丸となって取り組んで、つくり上げていただきたいなと思います。

 時間が過ぎてしまいまして、済みません。これで質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

吉野委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。石原環境大臣。

    ―――――――――――――

 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

石原国務大臣 ただいま議題となりました地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 地球温暖化は、地球全体の環境に深刻な影響を及ぼす脅威であり、その対策は人類共通の課題であります。我が国としても、現在及び将来における国民の生命、身体、財産の安全を保障するため、そして、国際社会における先進国としての責任を果たすため、この課題に全力で取り組むことが必要でございます。

 昨年末をもって京都議定書第一約束期間が終了し、また、現行の地球温暖化対策の推進に関する法律に基づく京都議定書目標達成計画の取り組みも今年度末をもって終了いたします。我が国は、全ての主要国が参加する公平かつ実効性のある国際枠組みの構築を目指す観点から、京都議定書第二約束期間には加わらないものの、国連気候変動枠組み条約下のカンクン合意に基づき、来年度以降も引き続き地球温暖化対策に取り組む必要がございます。そのため、今後の地球温暖化対策の総合的かつ計画的な推進を図るべく、国による地球温暖化対策計画の策定を規定する等の所要の措置を規定する必要があることから、本法律案を提案した次第でございます。

 以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一に、新たな温室効果ガスとして三弗化窒素を追加いたします。

 第二に、国は、地球温暖化対策を推進するため、温室効果ガスの排出抑制及び吸収の目標、事業者、国民等が講ずべき措置に関する具体的事項、目標達成のために国、地方公共団体が講ずべき施策等を内容とする地球温暖化対策計画を策定するものとします。

 第三に、地球温暖化対策計画の案は、地球温暖化対策推進本部において作成することとします。

 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容の概要でございます。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようにお願いを申し上げます。

吉野委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十二日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時一分散会


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