衆議院

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第8号 平成25年4月26日(金曜日)

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平成二十五年四月二十六日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 吉野 正芳君

   理事 泉原 保二君 理事 うえの賢一郎君

   理事 北川 知克君 理事 土屋 品子君

   理事 冨岡  勉君 理事 篠原  孝君

   理事 河野 正美君 理事 斉藤 鉄夫君

      青山 周平君    赤枝 恒雄君

      井野 俊郎君    井林 辰憲君

      井上 貴博君    石川 昭政君

      岩田 和親君    小倉 將信君

      大久保三代君    小林 史明君

      齋藤  健君    助田 重義君

      武井 俊輔君    藤原  崇君

      生方 幸夫君    奥野総一郎君

      黄川田 徹君    小沢 鋭仁君

      阪口 直人君    江田 康幸君

      中島 克仁君    野間  健君

    …………………………………

   環境大臣         石原 伸晃君

   環境副大臣        田中 和徳君

   環境大臣政務官      齋藤  健君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 山下 史雄君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           渡邊  宏君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           今林 顯一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           中村幸一郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           後藤  収君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 鎌形 浩史君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  関 荘一郎君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  伊藤 哲夫君

   政府参考人

   (原子力規制庁次長)   森本 英香君

   環境委員会専門員     仲川 勝裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十六日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     武井 俊輔君

  吉田  泉君     黄川田 徹君

同日

 辞任         補欠選任

  武井 俊輔君     青山 周平君

  黄川田 徹君     奥野総一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     穴見 陽一君

  奥野総一郎君     吉田  泉君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六一号)


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     ――――◇―――――

吉野委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官山下史雄君、経済産業省大臣官房審議官渡邊宏君、経済産業省大臣官房審議官今林顯一君、経済産業省大臣官房審議官中村幸一郎君、経済産業省大臣官房審議官後藤収君、環境省大臣官房審議官鎌形浩史君、環境省地球環境局長関荘一郎君、環境省自然環境局長伊藤哲夫君、原子力規制庁次長森本英香君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

吉野委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。生方幸夫君。

生方委員 おはようございます。きょうは、質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 この非常に長い名前の法律を御提出ということでございます。

 以前には、オゾン層の破壊というのが大分話題になって、オーストラリアなんかで子供を散歩させるときにサングラスをしたりマスクをしたりというような映像が随分流れましたが、最近そういう映像が流れないということは、オゾン層の破壊が一時的にとまっているのかなという気もします。

 現状をよく知らないんですけれども、オゾンホールが南極の上にあるというふうに言われていたのが随分前の話ですが、今現在はもうなくなったんでしょうか、それとも小さくなったという現状なのか。現状について、まずお伺いしたいと思います。

関政府参考人 オゾン層対策につきましては、モントリオール議定書ということで、原因物質のいわゆるフロン、CFCとHCFCを段階的に生産、使用を中止するという国際合意ができておりまして、そういう意味では、発生源の対策というのは着実に進んでいる。それに伴いまして、二十世紀の末までオゾンホールというのが広がっておりましたけれども、それ以降は若干回復傾向であります。

 ただ、依然として、大気中に大量のCFC等がございますので、オゾンホールというのは存在してございます。

生方委員 そのオゾンホールは、大きくなっているんですか、それとも小さくなっているんですか。

関政府参考人 二十一世紀になりまして、拡大はとまっているという状況でございます。

生方委員 重ねて質問ですが、拡大はとまっているということは、以前オーストラリアなんかで非常に話題になったときと同じような状況でオゾンホールが残っているというふうに理解していいんですか。

関政府参考人 オゾンホールの面積といいますか広さは、二十世紀の末に比べて若干小さくはなっておりますけれども、広大なオゾンホールと言われる部分が現状も残っております。

生方委員 私は、話題にならないので、もう解決したのかなというか、もう大分少なくなっているのかなというふうに思ったら、今聞いたら、まだ残っているということでございます。今度の法改正も、より一層フロンをきちんと回収しようということで、非常に長い名前の改正案が出てきたんだというふうに思っております。

 現在あるフロン回収・破壊法というのができてから、もう十二年たちましたね。私もいろいろ話を聞いて取材したんですけれども、フロンは最終的に取り出して破壊するということでございますが、現状、どれぐらいの率でフロンを破壊できているのか、そのことをお伺いしたいと思います。

関政府参考人 想定されております廃棄の量に比べて、実際に破壊された量というのは三割程度でございます。

生方委員 これは法律ができてから十二年たっているわけですけれども、十二年前にはどれぐらい破壊できていたんですか。

関政府参考人 法律施行当初から、ほぼ同程度の割合でございます。

生方委員 野球の打率なら三割は大したものですけれども、回収率が三割というのは、私も実は聞いてびっくりして、三割破壊できないんだというのなら話はわかりますけれども、三割だけが回収されて破壊されている。

 要するに、言い方を変えれば、七割は破壊されないまま空気中に出ているということになりますよね。しかも、十二年たっている。十二年前が三割で、それからだんだん改善して、今は七割まで破壊できますよというなら話はわかりますけれども、十二年前も三割でした、今も三割でしたというので、何にもやってこなかったのかということにもなりますよね。

 だから、三割から三割のままだったら、これはざる法というふうに言っていいと思うけれども、ざるの上にざるを重ねるみたいなもので、法律を変えただけでこんなものをおさめることはできないと思うんですね。

 田中副大臣に聞きたいんですけれども、三割の回収率はどう見ても低過ぎると思うんですが、副大臣はどうお考えですか。

田中副大臣 ただいま生方先生の御指摘のとおりだと思っております。

 先生も、副大臣さらには環境委員長をお務めのお立場でありましたので、お尋ねをしつつ、問題点はよく御存じだと思いますけれども、回収率がここまで低い原因は、機器廃棄者、ユーザーの認識の低さだとか、フロン回収・破壊時の処理コストが高いことが原因だと考えられるところでございます。

 今回の法改正によりまして、フロン類のライフサイクル全般にわたり対策を強化しなければならない、こう思っております。

 具体的には、フロンを使用する機器のユーザーに対して機器の管理を義務づけることを通じたユーザーの意識の向上、あるいは、フロン製造業者に対して、新たにフロン類を製造する量の削減だとか、フロン類の再生を求めることを通じた回収インセンティブの向上を促さなければならない、このように考えておるところでございます。

 こういう取り組みをやりながら、回収率を確実に向上させる、我々もこういう意識を持ち、また国民の皆さんにも広く御理解をいただかなければならない、このように思っておるところでございます。御指摘のとおりだと思います。

生方委員 法を改正して回収率、破壊率が上がるのならば、それはそれにこしたことはないし、そういう法改正をするべきだというふうにも私ももちろん思うんですけれども、十二年たって三割から三割で、全然進歩がなかった。法律をつくっただけで本当に三割が四割や五割になっていくのかどうか、残念ながら、疑問に思わざるを得ないんですね。要するに、何か抜本的な対策をしなけりゃ、ただ単にユーザー側の意識が低いんだというふうに言ったところで、上がっていかないと思うんです。

 何で三割なのか、私はよくわからない。何で三割なのか。普通で考えれば、七割や八割は回収して破壊するのは当たり前な話で、何で三割しか回収できないのか。その最大の原因は何なんですか。

田中副大臣 補足の答弁はさせたいと思いますが、やはり、ライフサイクル全体の取り組みをきちっと今までしていなかったという反省とともに、それを確実にやり遂げていくということが一番重要なんだろう、このように考えております。

生方委員 田中副大臣の答弁はよくわかるんですけれども、もう一度重ねて、何で三割しか回収できないんだというところを、どういう原因で三割しか回収できないんだというのがわかれば、では、それを改善すれば、三割が四割になって、四割が五割になるというのは説得力があると思うんです。

 だから、何で三割しか回収できないのか。その最大の原因は何ですか。

関政府参考人 業務用の冷凍空調機がこの法律の対象でございまして、全国で約二千万台ほどございます。

 廃棄されるときに適正に回収・破壊をするということが義務づけられておりますけれども、最大の原因は、田中副大臣から御答弁させていただきましたけれども、ユーザー、所有されている方がそういうものを使っているということを認識されていない場合が多い。例えば、コンビニのオーナーさんでありましたら、業務用で店の裏にあるようなものがそういう義務がかかっているということは必ずしも認識されていないので、建物を解体するときに、そのまま単なる機器として処分されてしまったということであります。

 今回の改正案に、先ほど田中副大臣から答弁させていただきましたけれども、ユーザーの方に漏れないような管理義務を課すということが一つ入っております。こういうことを通じて、結果的に、現行法にございますような回収・破壊が必要な対象機器であるということを改めて認識していただける、このように考えておりまして、回収率は向上するのではないかなというふうに考えてございます。

生方委員 答えはわかるんですけれども、十二年もたっているわけです。十二年ユーザーがいて、監督官庁である環境省がいて、三割しか回収できないんだったら、十二年の間にもっときちんと、ユーザーを呼んで、これは回収するんだよという指導をするのは当たり前でしょう。

 今、法律をつくって新たに指導しましょうというのはおかしな話で、一年前に法律ができて、一年前と二年前が変わらないというなら、それはわかりますよ。十二年間何をやっていたんですか、環境省は。どういう指導をしてきたんですか。

関政府参考人 環境省と経済産業省で協力いたしまして、普及啓発、例えば、環境省におきましては、この法律の内容等をわかりやすく書いたものを毎年一万部程度作成いたしまして関係者の方にお配りする等々、あるいは自治体の担当職員に適切に御指導いただけるように毎年研修会をやるということで努力してまいりましたけれども、残念ながら、現状では三割程度となったと思っているところでございます。

生方委員 大臣にお伺いしたいんです。

 三割が三割で十二年間。法律をつくったことによってそれが上がるとは、私はとても思えないんですよ。

 指導してきたと。それは、三割が四割になって初めて指導の効果があって、指導の効果が全くなくて、三割が三割のままで、指導してきましたといったって、それは指導にならないでしょう。本当に指導するのなら、きちんとやりなさいと言って、人数が仮に足りないのであれば、人数をふやしてきちんと回収するというふうな措置をとるのが当たり前ですよね。ただ言って、ユーザーを呼んで、研修しているからいいんだと。

 実質上がってきているなら、それは研修の効果があったというふうになりますけれども、上がってこないままだったというのは、環境省を所管する大臣として、そんなことでいいんですか。

石原国務大臣 詳細については局長並びに副大臣から答弁がありましたが、やはり危機意識が薄いんじゃないかというふうに、議論を聞かせていただいて強く思ったところでございます。

 私も、代替フロンを入れなきゃいけないというときのモチベーションの一つに、生方委員が御指摘されたとおり、太陽のもとに出ちゃいけない、かなり全国的にも大騒ぎをしたと思うんですが、いざ法律ができても、業務用等々で空調を使っている人たちに対しては、そういうものの喧伝、また、フロンが地球環境にどれだけの悪影響を与えるのか、そこが十分に伝わっていないということもあって、使用している業者の方々も、率先して危機意識を持たずに放置する、あるいは一般の廃棄物と同等に処理をしてしまう、こういうことがあったと思います。

 しかし、長い目で見ますと、委員の御指摘のとおり、三割バッターではいけないわけであって、代替フロン、これにまたかわるものも今出てきているわけでございますので、地球環境に負荷の大変低いものに進めていくというような啓蒙活動、並びに、この法案の審議を通じて、いま一度国民の各界各層の方々に訴えさせていただき、委員の御指摘のようなことが十年後の当委員会でないように、努力をさせていただきたいと考えております。

生方委員 環境省は余り人手がないのかもしれませんけれども、ただ指導したからいいというものじゃなくて、指導したら、その結果がちゃんと伴ってくるような努力をしてもらわないと、せっかく法改正したけれども結局効果が出なかったというなら、我々もここで審議しても余り意味がないわけで、ぜひその辺は気をつけて取り組んでいただきたいというふうに思います。

 今大臣からもお話がございましたが、フロンにかわって代替フロンが普及しつつある。代替フロンに関しては、オゾン層を破壊する効果は非常に少ないけれども、そのかわり、今度は温暖化に非常にマイナスの影響を与えるということが言われておりますが、今現在、代替フロンを使う割合とフロンを使う割合というのはどれぐらいなんですか。

関政府参考人 我が国におきましては、モントリオール議定書の国際的な義務で、フロンというのは、原則、一部を除きまして生産、使用ができない状況になっておりますので、現在製造されております冷凍空調機器というのは、フロン以外の代替フロン、一部はノンフロンでございます。市中には、両者を合わせましてCO2換算で約四億トン程度のものがフロン、代替フロンとして存在してございます。

生方委員 代替フロンは温暖化効果が非常に高いということでございますが、代替フロンは最終的にどういうふうに処理をしているんですか。

関政府参考人 現行のフロン回収・破壊法におきましても、フロン類ということで回収・破壊を義務づけております。そのフロン類は狭義のフロンと代替フロンの総称でございますので、代替フロンにおきましても、このフロン回収・破壊法で回収・破壊が必要な対象物質となってございます。

生方委員 ということは、要するに、代替フロンとフロンと両方合わせて三割だけ処理していて、代替フロンも同じように七割はというか、割合はどういう割合なのかは知りませんけれども、空気中に出ちゃっているということの理解でいいんですか。

関政府参考人 御指摘のとおり、フロンと代替フロンを合わせて、回収・破壊率でおおむね三割程度ということでございます。

生方委員 これも聞いた話ですけれども、スーパーなど、エアコンやショーケースなどの冷却中に代替フロンが漏えいする量が多いんだということを聞いているんですけれども、これはどれぐらいの割合で漏れているんですか。

関政府参考人 調査結果によりますと、一部の業者さんの機器におきましては、年間数%から一〇%、ガスが抜けているという事例がございます。

生方委員 室外機なんかだと十数%漏れているんだという話も聞いているんですが、それは事実ですか。

関政府参考人 最も漏れの多いものでは、御指摘のとおり十数%漏れているという事例もございました。

生方委員 その漏えい防止のためには、どんなことをやれというふうな指導をしているんですか。

関政府参考人 現行法におきましては、法的には、漏らさない、みだりに大気中に排出させてはいけないという規定はございますけれども、適正に管理をするということの義務づけはございません。

 当然、行政指導ということでお願いしておりますけれども、今次の改正法案におきましては、その点につきましても、ユーザーの方に定期的にきっちり点検をしていただいて、漏れがないように努めていただくということを義務として提案させていただいております。

生方委員 これも、数%の漏れというのならわかるけれども、配管の継ぎ目とか、何か室外に置くと振動があるからそこで漏れるんだとかいうような話ですよね。

 この間も来たときに話したんですけれども、有毒で人が死んじゃうようなガスが一%だって漏れたって大変じゃないですか。そうしたら、そういうものはきちんと管理すれば、一%も漏れないでゼロ%の漏れということを、修理することは可能ですよね。

 配管の漏れとか振動で十数%漏れ続けているなんというのは、法律でそれが規制できないという問題以前に、もっときちんとやれば、何もそれを一%から二%に改善することは可能だと思うんです。だから、法律でできないから十数%漏れているのを放置しているというのはおかしいと思いますが、田中副大臣、どうですか。

田中副大臣 今御指摘のとおりでございます。

 市中にある業務用冷凍空調機器が二千万台に上っておりますし、機器を使用する事業者の数が三百万という状況があるのが現実でございまして、生方先生から御指摘があるように、法律をつくりながらも、十二年間、しっかりとこれが回収率向上、あるいは全ての管理がきちっとできていないということを深く反省しつつ、やはりここできちっとした対応をしていかなきゃいけない、つくづく私も感じて、この法律を提案させていただいておるところでございます。

生方委員 法律でできる範囲のこととできない範囲のことというのは当然あると思うのです。

 ただ、大事なことは、これは放出しちゃいけないものです。そういう意識が、ただ単に業者を呼んで、いけないのでと言ったって、自分たちは仕事が忙しくてそんなことを構っていられないので、売り上げの方がよほど大事だという意識を持っている人だっているわけだから、いや、それと同じようなものなんですよということを言うのと同時に、例えば、スーパーでは、こういう形で漏れていますとユーザーに言えば、ユーザーの方から圧力がかかって、業者の方だって、ああ、そんなことをやっていたら売れなくなるんだなということがわかるぐらいの、やり方はいろいろあると思うんですよ。ただ呼んで言ったというんじゃだめで、実質的な効果を上げるようにしなきゃいかぬというふうに私は思います。

 話を進めますが、業務用冷凍空調機器というのはフロン回収・破壊法で破壊されるということになっている。家庭用の冷蔵庫やルームエアコンは家電リサイクル法で処理するようになっている。それから、カーエアコンについては自動車リサイクル法でそれぞれ回収・破壊が義務づけられている。

 しかし、それ以外にもフロンを使っているものがある。例えば、スプレーとか断熱材、クリーニングの洗浄分野や遊具などの分野にもフロンは使われているんだというふうに聞いておりますが、実際にはどれぐらい、何%ぐらい使われているんですか、そういうものに。

渡邊政府参考人 スプレー、断熱材、洗浄剤でのフロンなどのCO2換算での使用量につきましては、毎年、産業構造審議会化学・バイオ部会地球温暖化防止対策小委員会に御報告を関係団体からいただいております。

 平成二十三年度におきます使用量でございますが、CO2換算で合計二百万トン使われている、かように報告をいただいておるところでございます。

生方委員 フロン全体の使用量の中で何%ぐらい占めているんですか。

渡邊政府参考人 三ガス全体で約一〇%程度というふうになろうかと思っております。

生方委員 先ほど申し上げたように、それぞれのフロンは法律によって回収・破壊が義務づけられていますけれども、この十何%ですか、そのフロンは今どうやって処理しているんですか。

渡邊政府参考人 現在、洗浄剤につきましては、関係業界におきます産業界の自主行動計画に基づきまして回収、再生利用、それから低温暖化効果ガスの取り組みなどが進められている、そういう状況にございます。(生方委員「ほかのは」と呼ぶ)

 ほかのものにつきましては、現在、スプレーにつきましても、業界団体におきます自主行動計画、それから断熱材につきましても、同様に自主行動計画がございます。

生方委員 一〇%といったって、十分の一ですよね。この十分の一に対して、今のところ法的な措置というのは何にもないわけですね。業界のその自主規制みたいなものがあるだけなんですか。

 それでいいんですか、副大臣。一〇%というのは結構大きな量ですよね。フロン全体の一〇%については法律の網も何もかかっていない。業界の自主規制だということだって、これから先も、法律の網がかかっているところだって三割しか回収・破壊できていないのが、法律の網もかかっていないところで本当に実際に処理がされているのかどうか。これはこのまま、今度の法律改正でもこの分野にかかわっているのかどうかは私よく知りませんけれども、その辺はどうなんでしょうか。

田中副大臣 今の御指摘のとおりでございますが、まず、業界の方の自主行動計画というものがある程度の成果を上げてきたということはあるんですけれども、これをさらにきちっと成果を上げるために、やはり我々も、法律を提案することとあわせて、業界、あるいはありとあらゆる関係にもう一度再チェックをしていただくこと、あるいはさらに厳しく自主行動計画の責任を果たしてもらうこと、こういう流れをきちっとつくり上げていきたい、このように思っております。成果が上がるように努力をしてまいりたいと思います。

生方委員 一〇%というのはかなり大きな量ですから、もし法律の網をかける必要があるのであれば、法律の網をかける必要もあるというふうに思いますので、その辺は今後検討していただければというふうに思います。

 もう少し話を進めまして、フロンと代替フロン、代替フロンは温暖化効果が非常に高いということで、中国やインドなんかはもう代替フロンを飛び越して、フロンからいわゆる自然冷媒ですか、温暖化効果がない自然冷媒に移っているという傾向があるというふうなことも聞いておるんですけれども、日本の場合、代替フロンと自然冷媒、今どういうような状況で普及しつつあるんですか。

渡邊政府参考人 ノンフロン冷媒への転換、普及状況についてでございます。

 まず最初に、業務用の冷凍冷蔵機器につきましては、自然冷媒の一つでございますCO2冷媒を用いた製品、機器が開発されまして、先進的な企業におきまして導入が始まっております。

 一方、空調機器でございますが、ノンフロン冷媒を使った製品、機器につきましては、まだ実用化に至ったものはない状況にございます。

 家庭用冷蔵庫、それから自動販売機などにつきましては、新規に販売される分はほぼ全て、自然冷媒の一つであります炭化水素系のノンフロン冷媒に転換済みであります。

 今申し上げました空調分野などは、まだ実用化に至ったものがございませんので、今後、こうしたものにつきましては、引き続き、ノンフロン製品の開発、商業化に向けて必要な技術開発などを推進してまいりたい、かように考えている次第でございます。

生方委員 代替フロンと自然冷媒とを比べると、そちらの方が設備や何かでお金がかかるんだ、だから普及がなかなか進まないというようなことも聞いておるんですけれども、これは政府としては何か援助というのは行っているんですか、自然冷媒を普及させるための援助というのは。

渡邊政府参考人 今先生御指摘のとおり、冷凍冷蔵ショーケースで申し上げますと、CO2を冷媒とするものにつきましては、フロン類を使用する従来型のものの約二倍程度の価格になっております。

 ノンフロン製品の普及拡大のために、環境省、経産省両省で、ノンフロン製品の技術開発、技術実証・導入支援事業などを行っております。

 私ども経済産業省におきまして申し上げますと、一つは、先導的な技術を用いました省エネ性能にすぐれたノンフロン機器を導入しようとする小売業などの民間事業者の方々に対しまして、当該設備導入の事業費の一部を補助するというのが一つ。それから、二番目といたしまして、高効率ノンフロン型の空調機器の技術開発も支援をさせていただいているところでございます。

生方委員 援助するのはいいんですけれども、結局、フロンから代替フロン、それから自然冷媒というふうに移っていくんですよね。どうせ代替フロンだって、温暖化効果が高いんだから、いずれなくしていかなきゃいかぬわけですよね。だから、ワンクッション置かないで、一気に自然冷媒にすればいいじゃないですか。その回収の費用がまたかかるし、さっき言ったみたいに三割しか回収できないということであれば、そんなの放置しておくわけにいかないんだから。

 自然冷媒というのが具体的にどういうものか、私も詳しくは存じないんですけれども、これは、オゾンを破壊するおそれもないし、温暖化もほとんどおそれがないというふうに理解していいんですか。

関政府参考人 はい。一般的にノンフロンと私どもは呼んでおりますが、自然冷媒、水なんかを使う場合はもちろん温室効果がゼロでございますけれども、若干の温室効果はありますけれども極めて小さいというものも含めて、自然冷媒、ノンフロン、このように私どもは称してございます。

生方委員 これは、予算上いろいろな問題があるとは思うんですけれども、代替フロンにかえて、またそれを破壊してというようなワンクッション置くよりも、自然冷媒をもっと普及させるようにした方が簡単だと思いますよ。

 間のお金がかかるということを含めれば、一気に自然冷媒、今局長が言ったみたいに、余り害がないというのであれば、そっちへ大きく、せっかく法を改正するんですから、自然冷媒がもっとふえるような仕組みというのをきちんとつくった方がいいんじゃないですか。間を置いて、代替フロンが今普及しちゃったら、またそれを回収して破壊するという余計なことをもう一回やらなきゃいけないのは目に見えているわけですからね。しかも、回収が三割しかできないということであれば、どうなんですかね、その辺は。

 副大臣でも大臣でも結構ですけれども、そこまで踏み込まないと、ワンクッション置いたって、また同じことをやらなきゃいけないんですから、それなら一気に、中国やインドは、実態はどうであるか私もよくは知りませんけれども、もう一気にそっちへ行ってしまっている。ヨーロッパも大体そっちの方向に向かっているというのであれば、何も日本だけ、ワンクッション置いて代替フロンの普及に一生懸命力を入れるぐらいだったら、一気にノンフロンの方に行くべきだというふうに思うんですけれども、いかがですか。

石原国務大臣 生方委員の御指摘のとおりで、今ある代替フロンにかわった部分の回収を行わせていただく中で、経産省の方から御答弁をさせていただきましたとおり、フロンにかわる新しい冷媒を使ったものの普及促進というものに努めていく方が問題の根本的な解決につながる、その援助というものもこれからさらに積み増していかなければならないと、御議論を聞かせていただいておりまして感じたところでございます。

生方委員 今度の法改正の中で、例えばタイムスケジュール的に、代替フロンはいつまでにこれぐらいまで減らすとか、フロンはいつまでにゼロにするんだとかというような、そういうのが余り書き込まれていないですよね。基本的には、二〇五〇年までには何とかせないかぬだろうというふうに私も思うんですけれども、その工程表的なものというか、スケジュール的なものというんですか、環境省としてはどういうふうに考えているんですか。

関政府参考人 明確な工程表というのは作成してございませんで、実は、一日も早くノンフロン化を進めたい。それで、今回の改正では、上流域からライフサイクル全般についてさまざまな措置を講じさせていただく御提案をさせていただきまして、ノンフロン化を促進したいと考えております。

 ただ、技術開発が伴いませんと、かえろといってもかえる物質がない、そういう製品がないということであります。改正法におきましては、それを加速するような仕組みというのを御提案させていただいておりまして、改正法が成立しましたら、そういう仕組みを使いまして、可能な限りノンフロン化を促進してまいりたい、このように考えております。

生方委員 フロンを回収して再利用するというようなこともあるようでございます。フロン自体が安いから、別に、回収するよりも新しいフロンをそのまま使っちゃった方がいいんじゃないかということで、なかなか普及しないんだという話も聞いているんですけれども、デンマークなんかは、フロン税というんですか、フロンを製造する業者に税金をかけて、なるたけそれをつくらせないようにするというようなことを考えている国もあるようでございます。

 日本の中央環境審議会なんかでも、フロン税について論議をされたことがあるというふうに聞いているんですけれども、フロン税、いきなり税金を云々ということじゃないんですけれども、そういう考え方については、大臣、いかがお考えですか。

石原国務大臣 ただいま生方委員が御指摘されたフロン税、デンマークあるいはアメリカ、オーストラリア等々において導入されているということは承知させていただいております。一般的には、温暖化防止等を目的として、フロン類の製造量や輸入量に応じて課税をする税だということでございます。

 委員が御指摘のとおり、いきなり税ということもなかなか難しいと思いますが、今回の制度改革に当たりまして、環境省と経済産業省の合同審議会を開催して、この御議論もされたということを承っております。その報告書を私も読ませていただきましたけれども、フロン税を含む経済的手法はさまざまな課題が、これはよしあし両方とも指摘されておりまして、引き続き検討が必要な取り組みとして位置づけられております。

 この報告書を受けまして、私も読ませていただきましたし、生方委員の御指摘もありますので、政府としても、もちろんユーザーの方々に御負担をいただくわけですから、かなりの御議論がなければ、そんな簡単な話ではないと思いますけれども、引き続き検討していくに値するテーマではないかと考えております。

生方委員 十二年ぶりにせっかく大幅な法改正をやるわけでございますから、実を伴って、三割だけで云々ということじゃなくて、これはゼロを目指さなきゃいかぬわけですから、ゼロを目指して、いい法律にしていただければということで、これに関する質問はこれで終わります。

 次の質問に移りたいと思います。

 福島の第一原発から、地下水槽から汚染水が漏えいしたというニュースが流れました。移しかえているというようなことが言われているんですけれども、何で漏れたのかという原因は特定できたんですか。

森本政府参考人 今般の汚染水の漏えいの直接的な原因につきましては、残念ながら、現在のところ、特定するには至ってございません。

 現在、原子力規制委員会からは、東京電力に対して、漏えいの原因究明について改めて指示をしております。

 そして、原子力規制委員会としては、東京電力の対応につきまして、現地の保安検査官が継続的に確認して、原因究明を監視してございますし、また、特定原子力施設監視・評価検討会というのを規制委員会に設けまして、原因究明、漏えいした放射性物質の拡散評価といったことを進めてございます。

生方委員 漏えいしてから、もう随分時間がたっているわけですね。私も何回か説明を聞いたんだけれども、ビニールが引っ張られたんじゃないかとかなんとか、いろいろ言ってはおりますけれども、今考えられる原因としては、何が原因なのでございますか。

森本政府参考人 残念ながら、具体的に特定するというところまで至ってございません。また最初の工事設計のところから原因究明をしたいというふうに考えてございます。

生方委員 基本的には、山の方からたくさん地下水が流れてきて、それが原因だ、それで汚染水がどんどんふえていってしまっていると。抜本的な対策としては、山から入ってくる地下水を何とか阻止しなければいけないということを聞いておるんですけれども、その山から入ってくる水、今、一日四百トンもあるんですか、それをどうやって阻止しようというふうに考えているんですか。

後藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先生がおっしゃったとおり、汚染水対策というのは今最大の課題の一つになっているというふうに私どもも認識しております。

 そのため、地下水の流入を抑えるために、地下水バイパスをつくり、それを稼働させるということを今検討してございます。

 地下水バイパスというのは、原子炉建屋の中に恒常的に地下水が流れ込んでいる現状を改善するために、施設の山側の高台から流入してくる地下水をポンプでくみ上げて、その流入経路を変更するということでございます。現在、十二本の井戸と一時貯留タンク等を設置しておりまして、御地元の了解がとれたところで、それを早急に稼働させていきたいというふうに思ってございます。

生方委員 福島の第一発電所を見ると、見るたびにタンクがどんどんふえていっている。四百トンという量はちょっと想像ができないんですけれども、かなりの量ですね。それがどんどんふえていけば、普通に考えても、限られた敷地ですから、あの敷地がいずれ満杯になるんじゃないかという心配は誰もがすると思うんですけれども、これは満杯になる心配はないんですか。

後藤政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、四百トンの地下水を毎日ためているということでございまして、現在は地上タンクで貯蔵するということをやってございます。

 現在のタンクの容量というのは、約二十九万トンのタンクを持っておりますが、これを最大七十万トンまで拡大していくために、所内の土地を利用していくという状況になってございます。

 先生御指摘のとおり、将来、その先はどうなるんだということになってまいりますが、そこで、第一の敷地の内外の土地の確保の要否も含めて、土地の確保のあり方は引き続き検討していきたいというふうに考えている次第でございます。

生方委員 ということは、第一原発の敷地外にもタンクなり地下貯水槽なりをつくる計画があるということですね。

後藤政府参考人 外の土地をどのように活用するかということは現段階ではまだ確定しておりませんが、土地以外にも、例えばタンカーの利用等、その他いろいろな手段があるというふうに思ってございますので、どの手段がベストなのかも含めて、委員会の方ではしっかり検討させてまいりたいというふうに思っております。

 以上です。

生方委員 この間、二〇一五年までは七十万トンの余裕があるから敷地内で大丈夫なんだという話を聞いて、二〇一五年というのは二年後ですから、すぐ来るわけですよね。

 とにかく、想定外のことがいろいろ起こるわけですよ。地下水の流入を阻止するんだといったって、阻止できない場合ももちろんあるだろうし、それから、水の中にあるトリチウムを除くような開発をするんだといったって、これもできるかできないかわからないという。

 先を先をいつも見なきゃいけないのに、残念ながら、後手を後手をとやっているのが現状なので、土地を手当てするといったって、二〇一五年といったらすぐですから、もし本当に敷地外に土地を取得しようというのであれば、これは大きな方針の転換というか、敷地外にまで迷惑をかけることになるわけですから、それについてきちんとした方針を打ち立てて、国民の理解、あるいは周辺住民の理解を得なきゃいかぬわけですよ。

 二〇一五年、すぐですからね。二〇一五年になって、もうタンクが満杯だから表に土地を貸してくれ。嫌だと言ったら、嫌だと言ったってどうにもならないじゃないですか。そうしたら、今からきちんと方針を立てておかなきゃいけないと思うんですけれども、いかがですか。

後藤政府参考人 今の点はまさに先生おっしゃるとおりでございまして、そういう意味では、経済産業大臣を議長とします廃炉対策会議というものの下に、今般、汚染水処理対策会議というものを設置いたしました。

 この会議は、内外の英知を含めて、汚染水対策をどうするのかというのを真剣に検討する会議でございます。これは、私ども経済産業省以外にも、原子力規制委員会、東京電力、それから産業界、研究所、その他日本じゅうの英知を集めて検討してまいりたいというふうに思っております。

 本日の二十六日に第一回の会合を開催しまして、できれば五月中にも今後の基本的な方針をまとめてまいりたいというふうに考えている次第でございます。

生方委員 それは、土地を敷地外に取得するということも含まれているということですか。

後藤政府参考人 汚染水対策全般をやりますので、全ての可能性を排除せずにやっていきたいというふうに考えてございます。

生方委員 いやいや、私が言ったように、だから、土地を取得するというのも入っているということですか。

後藤政府参考人 土地の取得の必要性も含めて全部検討しますので、それは、済みません、今のタイミングで土地を取得すると明言できる状況にはなってございませんけれども、土地を取得するのが、先ほど申し上げたように、タンカーの借り上げとかその他いろいろな手段を考えておりますので、どの手段をとっていくのがベストなのかはその場で検討させていただきたいと思います。

生方委員 だから、その場当たり的な対応がだめだと言っている。

 別に、土地を敷地外に取得したってタンクを建てない可能性だってあるわけだけれども、土地をいきなりなんか取得できないでしょう。だから、方針については早くから決めておかなきゃいけない。

 聞いているのか。聞いていなきゃだめじゃないか、あなたに質問しているんだから。だめだよ、そこで余計な話をしていては。話があるなら話をしなさいよ。私が聞いているときに、何でそんなところで話をしているの。委員長、注意してよ。何なの、あれは。だめだよ、そんなの。聞いていたのか、今言ったことを。聞いていたのかと言っているんだ。では、答えられるなら答えなさいよ。

後藤政府参考人 失礼いたしました。

 土地の件は、そういう意味では、先生おっしゃるとおり、後になって足りなくなって場当たり的な対応をするということになるのは大変問題であるということは私どもも認識してございます。

 ただ、現段階で、七十万トンの、いろいろな範囲でどこまで何ができるかということも含めて、ある意味で、流入する地下水の量を百トン減らすというふうに今検討してございますけれども、これが二百トン、三百トンと減らしていくことができるのであれば、その中で対応できると思っております。

 今のタイミングでは、土地を取得するかどうかということについては、まだ確定的なことは申し上げる段階にはないというふうに思ってございます。

生方委員 うまくやっているのなら、私も何もこんなことは聞きやしない。うまくやっていないから、後手後手に回ってどうしようもないから、では先手先手でやりなさいよと言ったら、何もやっていないと。途中で云々と言ったらいろいろ問題になるから言いづらいのは、それはわかりますよ。大臣でも来なきゃ答えられないというのはわかるけれども、事務方としてはあらゆる可能性を想定してやっていなきゃいけないんだからね。今ここでは言えませんなら言えませんでもいいんだけれども、だめなんだよ、そういうことじゃ。

 とにかく、いろいろなことが起こるわけですよ。これ以外にも、ネズミが入って何か停電して還流できなくなったとか、配管から漏水したりとか、もう明らかにこれは人災ですよ。人手が足りないからこういうことが起こるんですよ。人がちゃんと見ていれば、配電盤の中にネズミが入っているか入っていないかなんて見ればわかることなんだから、それが二度も三度も起こるということは、誰もあけないということだし、あんなお粗末なのじゃなくたって、もうちょっといいものは幾らでも、もう何年もたっているんだからできるでしょう。

 要するに、私は、明らかにあれは人手不足なんだ、人手が足らないからこういう事故が起こるんだという認識を持っているんですけれども、規制庁、どうなんですか、それは。

森本政府参考人 現場につきましては、私も田中委員長とともに現地に入らせていただきまして、現地の作業員の方ともお話をさせていただきました。一生懸命やっていただいているとは思いますけれども、やはり長期にわたっておりますので疲れておられますし、いわばソフト面におけるリスクというのもあろうかと思います。

 規制委員会としては、先ほど経産省からございましたけれども、廃炉対策会議にも規制当局として参加させていただいて、そういったソフト面のリスクも含めてしっかりと洗い出して、そして対応するように、また、そのプロセスの中で、安全管理の観点から、国としては一体でございますので、取り組んでいくということで取り組んでいきたいというふうに考えてございます。

生方委員 私も東電の方を呼んだりしていろいろ話を聞きますけれども、基本はやはり東電だと思うんですよ。でも、東電にはもうそういう能力はないんだ。能力がないのにやらせているから、きっとやる気ももうほとんどないんじゃないか。やる気も能力もない人が最終的な責任を持っているから、こんなつまらない事故がどんどん起こる。つまらない事故で済んでいる分はいいですよ。また人為ミスによって、まだ大きな事故が起こる可能性もあるわけですよね。

 私は、やはり最終的にきちんとこの問題を解決するには、もう東電は手を引いてもらうしかない。既に東電には国の資本が半分以上入っているわけですから、国がちゃんと責任を持ってやるというふうにしないと、東電の方たちが何か出てきちゃ場当たり的なことを言ってやっても、国民はもう誰も信用しませんからね。

 大臣、その辺は大臣の所管かどうかわかりませんけれども、もう東電には耐えられない負担である、だから、東電に任せておいたんじゃ、もうこういう問題は幾らでもこれから先も起こってくる可能性があると私は思うんですよ。これは国民の生命財産にかかわる非常に重大なことですから、最後はやはり国が責任を持ってやるというぐらいの覚悟を持たないと廃炉まで至らないと私は思うんですけれども、所管外というか、一応所管ですけれども、大臣の御見解はいかがですか。

石原国務大臣 まさにこれは所管外でございますが、原子力防災を担当しておりますので、今の御議論を経産大臣にしっかりと伝えさせていただきたいと思います。

生方委員 想定外のことがいろいろ起こるわけですから、それに機敏に対応できる体質がもう東電にはないことは明らかなので、そろそろ抜本的な対策を考えるべきだというふうに私は思います。

 最後に、動愛法の改正についてお伺いしたいと思います。

 動愛法の改正、田中副大臣にもいろいろ御議論に参加していただいて、改正ができました。私も、犬、猫の殺処分をゼロにしたいなというふうに前から思っていて、理念としては、殺処分はゼロにするんだという理念を盛り込むことができたんですけれども、そのために具体的に環境省としては今どんなことをやっているのかということをお伺いしたいんです。

田中副大臣 生方先生にも大変御協力をいただきまして、ありがとうございました。

 法律をつくっても、それこそ本当に実績が上がらなければしようがないし、やはりペット法の基本というのは、殺処分を少しでもなくしていくということが重要だと思います。

 そういうことで、私たちも、早速きちっと政省令の定めをし、この徹底について各方面に、地方も含めてお願いをしていきたい、このように思っております。実を上げていきたいと思っております。

生方委員 韓国なんかは、政府を挙げて、大規模なシェルターをつくるというようなこともやっているようでございますので、環境省が主導して、シェルターをつくるなりなんなり、これは予算が要りますから、予算措置もつけながら、ぜひとも法の趣旨にのっとって、今でも二万頭以上が処分されているわけですから、それを限りなくゼロに近づけるような努力をこれからも一層していただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

吉野委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 日本維新の会の河野正美でございます。

 フロン類の大気中への排出に伴うオゾン層破壊及び地球温暖化という問題からいわゆるフロン回収・破壊法というのができて、もう十数年ということになります。先ほどの生方委員の方の御質問にもありまして幾つか重複するところはございますけれども、重要な問題ということで、改めてお聞かせ願いたいと思います。

 先ほどもありましたように、現在までフロン回収率というのが、残念なことに三〇%程度のところでうろうろしているというところでございます。この低迷について、なぜこのような状況がずっと続いてきているのか、政府としての御見解を改めて伺いたいと思います。

関政府参考人 全国で二千万台ございます対象機器のユーザーの方の御認識が、私ども努力不足だと先ほど御指摘いただきましたけれども、なかなか現行法の回収・破壊義務というのが徹底されていないということが最大の理由ではないかと、このように考えてございます。

河野(正)委員 非常にユーザーの危機意識がまだ薄いということであるということですけれども、そういったところをきちんと指導していかなければいけないのかなと思います。

 それで、今後の改善策といいますか、これを上げていく具体策を考えておられるのか、もしくは、もう既にとられている施策があればお教えいただきたいと思います。

齋藤大臣政務官 回収率が向上していないことにつきましては、私どもも本当に危機感を感じているわけでありますけれども、今回の法改正にするまでは、回収と破壊のところを押さえれば何とか進むのではないかと考えて法律をつくらせていただいていたわけでありますけれども、それではどうも立ち行かないという判断をいたしまして、今回の法改正によりまして、製造、使用、そして再生といったところにまで規制の枠を広げまして、フロン類のライフサイクル全般にわたって対策を強化していきたいということにしたわけでございます。

 そして、先生今お話しありましたように、フロンを使用する機器のユーザー、このユーザーの方々に対して、機器を管理する義務づけを通じまして何とか意識を向上させることができないか、そしてまた、フロンを製造する方々に対しましては、製造する量の削減をすることによりまして、あるいは再生をすることによるインセンティブが高まるような仕組みによりまして、全体の量を減らし、さらに回収率を高めていくことができればということで、今回、法改正をお願いしている次第でございます。

河野(正)委員 家庭用エアコンの方は本法ではなくて家電リサイクル法の対象かと思っておりますけれども、家庭用エアコン一台分のフロン類を大気中に廃棄するとすると、ガソリン車で地球半周ドライブしたぐらいの温室効果があるというふうに聞いております。

 家庭用エアコンの方の回収状況というのはどういうふうになっているんでしょうか。お聞かせください。

今林政府参考人 お答え申し上げます。

 使用済み家庭用エアコンのリサイクルにつきましては、先生今おっしゃいましたように、特定家庭用機器再商品化法、いわゆる家電リサイクル法でございますけれども、これに基づきまして、フロン類の回収が確実に行えるような、質の高いリサイクルを実施するためのルートを設定してございます。

 この家電リサイクル法に基づいて回収されるエアコンは、使用済み家庭用エアコン全体のおおむね六割程度となってございます。

河野(正)委員 一方、自動車というのは、これは自動車リサイクル法ということだそうですけれども、自動車の方の回収率はいかがでしょうか。

渡邊政府参考人 自動車リサイクル法では、使用済み自動車の引き取り業者、これが一台ごとにカーエアコンの装備状況をまず確認をしまして、装備されている場合につきましては、フロン類回収業者にその使用済み自動車を引き渡すことが義務づけられております。また、このフロン類回収業者には引き取りました使用済み自動車に搭載されたフロン類の回収も義務づけられておりまして、またさらには、回収されたフロン類は自動車製造業者が引き取らなければいけない、このようになっているわけでございます。

 またさらに、これらの業者に対しましては、使用済み自動車一台ごとの引き取り、引き渡しの事実、それからフロン類回収台数の報告が義務づけられておりまして、これらの報告に基づきますと、台数ベースで申し上げますと、二〇一一年度の回収率は九九・八%というふうになっている状況でございます。

河野(正)委員 話題をもとに戻していきますけれども、今、家庭用エアコンが六〇%、自動車は台数ベースで九九・八%と非常に高率、先ほどから、三〇%をうろうろしていた話とぐっと変わってくるわけです。個人所有でなおかつ所有者個人がみずから使用するものということで、家庭用エアコンであれば、転居を初めとしたライフスタイルの変化に伴って新機種あるいは省エネ効果の高いものに買いかえていこうということで、新型への移行も、業務用に比べれば比較的スムーズに行われるんじゃないかなと。

 また、家庭用であれば、エアコンのきき目が悪く感じれば、すぐ、暑いから買いかえよう、寒いから買いかえようということで、修理に出すもしくは買いかえていくということがなされるものだと思っております。

 一方で、業務用のものに関しましては、所有権と実際の使用者、コンビニとかであれば、オーナーさんと、使っているのはアルバイトの方であったりとか、そういったふうに違ってきますので、使用者と管理者が異なるということで、慎重な検討と対策が必要だと思われます。

 そういった意味で、厳しい監視体制をとっていかなければ、やはりこれら、家庭用のもの、個人使用のものと比べて違ってくると思うんですけれども、その辺いかがでしょうか。

渡邊政府参考人 お答え申し上げます。

 業務用の冷凍空調機器の現場におきます管理のチェック、監視体制、まず現状について申し上げますと、冷凍冷蔵ショーケースあるいはビル用空調などの業務用の冷凍空調機器のユーザーでございますが、流通業、あるいは倉庫業、オフィスビルなど多種多様な産業にわたっておりまして、事業者数では三百万、また、その規模もさまざまになっているのが現状でございます。

 したがいまして、この結果、現場における現在の機器の管理体制には相当の濃淡があるのは事実でございます。

 一方、大手コンビニなど、優良な管理を行う一部のユーザーにおきましては、外部の専門業者に定期点検などのメンテナンスを委託するといったような形で進められているところもある一方で、一部のユーザーの方々におかれましては、機器のふぐあいで冷媒の漏えいが生じても、適切な修理を行わないで、繰り返し冷媒の充填を行うような事例もあると聞いておりまして、今般の法改正できちんとした判断基準を設けて対策をとってまいりたい、このように考えている次第でございます。

河野(正)委員 今回の法律案におきましては、家庭用冷蔵庫などいわゆるパッケージ化された製品とは異なりまして、業務用冷蔵庫、スーパー、先ほどから出ていますコンビニなどで見かけるものということですが、先ほどの生方委員の質問にもありましたけれども、配管から漏えいしているということが問題視されております。

 修理、点検などの際に、今もおっしゃいましたけれども、ガスを補充する量が相当な量に達しているというふうに聞いておるわけなんですけれども、実際どれぐらいの量が漏れているかということをお聞かせいただきたいと思います。

関政府参考人 二〇一一年度で、いわゆる代替フロン、HFCと言われるものはCO2換算で約二千万トンほど環境中に放出されておりますけれども、そのうち、業務用の冷凍空調機器の使用時に漏えいした量というのが、その半分に当たります一千万トン程度でございます。

河野(正)委員 かなりの量が漏れているということだと思います。

 また、スーパーなどでは、展示レイアウトの変更などによって、配管を動かすことで漏らしてしまう。また、そもそもの冷媒の充填量に余裕があるということから、多少、三割とか五割漏れ出てしまわないと性能が低下していかないということで、気がつかないということもあるやに聞いております。

 これら内装工事等、レイアウト変更のために行う工事の電気工事業者等に対する指導というのはいかがされているのでしょうか。

渡邊政府参考人 まず、業務用の冷凍空調機器、この使用時における冷媒の漏えいの防止のためには、二つのアプローチが必要かと思っております。機器の設計、製造時、それから、実際に機器を据えつける施工時における取り組みかと思います。

 まず、機器メーカー及びこの施工業者の業界団体に対しまして私ども経済産業省からも要請をいたしまして、それぞれ、フロン類の削減自主行動計画におきまして自主的な取り組みが行われ始めております。

 機器メーカーにおきましては、設計、製造段階におきまして、業界団体の自主計画といたしまして、配管の継ぎ手の設計などに関する要求事項、これを定めたガイドラインを策定をするといった取り組みが行われております。

 また、設置時の施工につきましても、同様に、業界団体におきまして、配管工事における施工標準、これが平成二十四年度に策定をされまして、冷媒配管の新設、整備、あるいは修理における配管の施工のあり方が規定をされるに至っている次第でございます。

 以上でございます。

河野(正)委員 では、施工業者さんにはきちんと指導されていると。平成二十四年度からということなので、若干遅いのかなとも思いますけれども。

 一方、今もちょっとありましたけれども、製造業者さんに対して、漏れ出たらすぐわかるように、フロン類の量のメーターとか警報のランプとか、そういったような指導というのはされているんでしょうか。

渡邊政府参考人 現在のところ、ユーザーが漏えいに現に気づくというのは、まさに、現に使用時におきます冷凍、冷蔵の能力あるいはきき目の低下によってそれを認識するといったのが実態であるという状況にございまして、冷媒量が減ったことについて機器で自動的に知らせるとか、そういったことについて私ども、これまで指導をしてきたということではございません。

河野(正)委員 さて、法律ができて十数年たったというわけですけれども、フロン回収・破壊法により実際に摘発された例というのはございますでしょうか。また、あれば、何例かということも。

山下政府参考人 お答えいたします。

 フロン回収・破壊法による検挙件数につきましては、平成十四年の同法の施行からこれまでの間、平成二十四年、昨年でございますが、昨年の十月に愛媛県警がフロン類の放出禁止違反で検挙した事件、この一件でございます。

河野(正)委員 昨年の十月五日の朝日新聞大阪本社版によれば、愛媛県西条市の路上でリサイクル業者が、回収を依頼された業務用エアコンの室外機を取り外す際に、室内につながる配管を切断した。気体が漏れているというふうに住民から通報を受けた警察官が駆けつけて、エアコン内にあったフロン類、約二・五キロが放出されていたということで、今おっしゃったように、書類送検されたという報道がございました。

 本年四月八日の新聞にも、この事例に関して続報というか関連記事がございますが、その際に、この事例が略式起訴で罰金が科せられたのか起訴猶予になるのか、処分がまだ決まっていないと書いてあるんですけれども、これについて現時点でどのようになっているか、お聞かせいただきたい。把握している範囲でお願いします。

山下政府参考人 お答えいたします。

 本件につきましては、先生御指摘のとおり、愛媛県警が昨年の十月に松山地方検察庁に書類送検をしておりますが、現時点におきまして、愛媛県警においては、同検察庁から処分についての連絡は受けていないと承知をしております。

河野(正)委員 新聞記事によれば、通報により駆けつけた警察官が空中にもわっと上がってかげろうのように揺れる気体を見て、これが何の法律に違反するのか、どういうふうに摘発するのかというのがすぐわからなかったということでございました。

 これは愛媛県警に限らずの問題だと思いますが、全国の都道府県警察等への周知や連携等について、今まで十数年で一例ということでございますので、そういった周知はされているのかということをお聞かせいただきたいと思います。

山下政府参考人 お答えいたします。

 フロン回収・破壊法の施行に際し、警察庁では、平成十四年に都道府県警察に対して通達を発出をしたほか、これまでの間、同法を含む環境事犯の取り締まりを担当する都道府県警察の警察官に対しまして、専科教養や教養資料等を通じて、同法の趣旨、内容、捜査上の留意点等につき指導、教養を実施してきているところでございますが、今後とも、しっかりと指導、教養に努めてまいりたいと思っております。

河野(正)委員 十数年で、しかも全国で一例だけの摘発ということですけれども、これは、環境省としては警察に対して何か、指導というわけじゃないでしょうけれども、連携あるいは連絡等ございますでしょうか。環境省の御見解を伺いたいと思います。

関政府参考人 現行のフロン回収・破壊法におきましては、故意に放出させるということは罰則つきの禁止事項でございまして、今後とも、警察庁と連携を密にして、そういうことが起こらないように適切に対処してまいりたい、このように考えております。

河野(正)委員 それでは、現場に駆けつけた警察官等や近隣で目撃した方などがこれが何なのかわからなかったということですが、証拠保全としてその気体を採取する方法、そういったものは具体的にはどういった方法があるんでしょうか。

山下政府参考人 お答えいたします。

 昨年、愛媛県警が検挙した事件では、臨場した捜査員が持参をしていたガラス瓶に採取をしたところでございまして、一般的には、この種の密封性の高い容器を使用することになるところでございます。

 警察庁としては、今回の愛媛県警の事例を参考としつつ、フロンの放出現場に臨場した警察官が適切に証拠保全等を実施できるように、今後とも、都道府県警察に対して指導してまいりたいと考えております。

河野(正)委員 実際、我々が町でこういった不法行為、あるいは事故でもいいんですけれども、フロン類と思われるガスが大量に漂っているという現場にいた場合、緊急的に回収する方法とか何らかの対策、我々ができるような対策というのはあるんでしょうか。

関政府参考人 通常の業務用機器の使用時の漏えいにつきましては、漏えいを感知したときにはどう対応するかというマニュアルを業界団体がつくってございまして、当たり前のことではありますけれども、とりあえずねじが緩んでいたらそこを締めろとか、そういうことではございますが、直ちに業者に連絡をとって、専門家に修理等を行っていただく。

 ただ、町中で故意に破壊をしまして大気中に出しているというものでありましたら、ぱっとあけてざあっと出ますので、一般的には、なかなかとめるのは困難かなというふうに考えております。

河野(正)委員 ところで、罪に問えますのは、業務用エアコンにフロン類が入っていることを知っていて故意に大気中に放出した場合ということだそうなんですけれども、では、そもそもフロン類が入っているとは思わなかったと主張された場合、本当に知らなかったならば仕方ないのかもしれませんけれども、虚偽にそういうふうに知らなかったと言った場合、そういった場合をどうするのかということと、もう一点は、積極的に使用者が自分の使っている冷蔵庫なりこういったものにフロン類が入っているのかどうかなと事前に知っておきたい、調べておきたいような仕組みというのは、開発というか、考慮されているんでしょうか。

山下政府参考人 お答えをいたします。

 一般論として申し上げれば、フロンを放出した事業者、被疑者が、当該製品の中にフロン類が入っていることを認識していなかった旨の供述をしている場合には、業界における通常の処理容量がどうなのか、あるいは関係者等の供述がどうなのかといったこと等を踏まえまして、総合的に判断をしていくことになると考えております。

河野(正)委員 HFC、ハイドロフルオロカーボンといういわゆる代替フロン、二酸化炭素の数百から四千倍ぐらいの温室効果があると言われています。そして、HFCの国内排出量が二〇二〇年までに現在の二倍以上に膨らむと見込まれているそうです。こういった観点から、先ほども出ましたけれども、HFCを用いない冷媒への転換を進める必要があるのではないかなということであります。

 コンビニ業界大手のローソンは、「二〇一四年度以降出店する店舗全ての商品棚に、二酸化炭素を冷媒に使うタイプの冷凍・冷蔵機器を導入する。」ということが報道されております。

 従来機器に比べると、一台当たりの温暖化ガス排出量を半減できる。代替フロンの漏出というのが問題となっているわけですので、こういったのがいいんじゃないかということで、出力七・三キロワットタイプで約四百万円と、代替フロン型より七から八割ぐらい高い。先ほどの御答弁によりますと二倍ぐらい高いということが言われておりましたけれども、割高だけれども消費電力が三割程度低い、加えて、今後代替フロンが規制されていったときに、先回りしてCO2冷媒にしておけば慌てずに済む、割高でも、将来を見据えれば得策であるというように考えられたのかなと思います。

 いわゆるアベノミクスというものの対応もそうですけれども、ローソンさんを基準に政策を考えていただくのも非常に厳しい問題なのかなと思っておりますので、こういうことであれば、ぜひ国として方向性をあらかじめ示しまして、一企業にとどまらず、多くの企業をこういうふうにあらかじめ先にCO2冷媒の方に、高いけれども向かわせていくということが必要なのかなと思います。そういったことによって、大量生産による開発コスト低下など、冷蔵庫自体の価格も安くなる。地球温暖化防止の観点からも、よい方向に向かうのかなと思います。

 何年までにCO2冷媒にしなさいといった目標を設定した誘導、これについてのお考えというのはございますでしょうか。

齋藤大臣政務官 今、委員お話しございましたように、業務用の冷凍冷蔵機器につきましては先進的な企業で取り組みが始まっているわけでありますが、一方、先ほど経済産業省からもお答えありましたけれども、空調機器については、ノンフロン冷媒製品についてまだ実用化に至ったものがないという現状もございます。

 こういう実情を踏まえまして、本法案では、メーカーに対しまして、安全で経済的な代替技術があるというような一定の条件を満たすフロン類使用製品につきましては、一定期間内の、先生おっしゃるようなノンフロン化というものを義務づけていこうということになっております。

 また、ユーザーの皆さんに対しましては、製品にフロン類を使用していること等の表示を行うことによりましてノンフロン製品の選択をできる限りしていただけないかということを考えておりますし、また、ノンフロンを使用した製品は、御案内のように、一部は商業化されております。ただ、コスト面では高いということがありますので、このような機器の導入を対象とした補助事業を推進するということにしたいと思っております。

 これらの取り組みによって実を上げていきたいと考えております。

河野(正)委員 地球温暖化防止の観点から、代替フロンをやめにしてCO2を冷媒にした機器に誘導するということになっていけば、今おっしゃいましたように、補助金等々によって移行への道筋をつくっていくということが一つの大きな方法なんじゃないかなと思います。

 これに関して、補助金事業の実態というのをそれぞれ環境省さんあるいは経済産業省さんで考えておられると思いますので、実際計上されていると思いますので、それぞれお答えいただきたいと思います。

田中副大臣 環境省では、省エネ型のノンフロン冷凍装置等の導入への補助事業を推進をしていく、こういうことでございます。平成二十四年度は十六事業所に対して補助事業を実施いたしました。

 平成二十五年度の予算においては、ノンフロン機器の普及をより一層促進するため、平成二十四年度の二倍であります五億円を要求しておりまして、当該事業を拡充し、さらなる導入支援を推進をしていかなければならない、このように思っております。

 ノンフロン機器導入事業者に対して、従来機とノンフロン機器の差額の三分の一を補助する、こういう制度になっております。

渡邊政府参考人 経済産業省におきます支援でございますが、一つは、先導的な技術を用いた省エネ性能にすぐれたノンフロン機器を導入しようといたします小売業などの民間事業者の方々に対しまして、当該機器導入の事業費の一部を補助する、この事業を実証事業として進めておりまして、二十五年度では四億七千万円を計上させていただいております。

 また、高効率ノンフロン型空調機器技術開発、これも支援をさせていただいておるところでございまして、二十五年では二・八億円、これを計上させていただいておるという次第でございます。

 以上でございます。

河野(正)委員 今ありましたように、環境省の方としては、省エネ型ノンフロン整備促進ということで、既にある機器の導入を促進される。あるいは経産省の方におきましては、開発、技術支援というふうなことでいいものをつくっていくというふうに行われるということで、それぞれ、五億円あるいは四億七千万ということなんですけれども、実際、これだけの補助金でそういうのが進んでいくのかなと。非常に少な過ぎるのかなという気もいたしますけれども、この辺、環境省の政務の方、大臣でも副大臣でもあれですけれども、お気持ちを。

田中副大臣 私も政治家として率直にそのように思うところもございますので、今後、予算獲得も含めて真剣な取り組みをしなきゃいけないと思っております。

河野(正)委員 非常に心強い発言をいただきまして、ありがとうございます。やはり、補助金等で誘導しないとなかなか民間事業者は進んでいかないと思いますので、ぜひそういった意味で頑張っていただきたいと思います。

 そもそも補助金枠が少な過ぎて、結局はユーザーもしくはオーナーに負担をかけてしまう。そもそも、国が許可をして商業製品に用いていた物質を、現在になって、環境破壊につながるという名目で適正な回収を民間に義務づけていくという考え方、あるいは、代替機の購入をさせるという意味でも民間に負担を強いていく、この考え方自体が問題があるんじゃないかと思いますけれども、これについて環境大臣にコメントいただけたらと思います。

石原国務大臣 フロン型からノンフロン、CO2冷媒へ転換していくということは、さきの生方委員との議論の中でも、重要である、また、委員との環境省あるいは経産省とのやりとりの中でも、重要である、しかし、その一方でユーザーにこの負担を強いるのはという御質問であったのではないかと思うんですが、この法律の改正案は、ユーザーにノンフロン型の製品に買いかえろというのではなくて、この製品を納入するメーカー等々に対して、ノンフロン製品にかえていってくださいねとそちらに政策誘導していく、そういう点に着目をしているわけでございます。

 そして、フロンからフロン代替への転換は、一九八七年に採択されましたモントリオール議定書に基づいて、これも先ほど議論がありましたけれども、オゾンホールがどんどん大きくなって皮膚がんがふえるといったような観点から、オゾン層を保護しなければならないといって進められてきたものでございます。

 これによりまして、特に、日本を含む先進国においては、オゾン層破壊効果のない、今御議論のなされている代替フロンに変わっていったという経緯がございます。

 しかし、これも今もう既に御議論があったところでございますけれども、代替フロンは、オゾン層を破壊はしませんけれども、温室効果ガスとしての地球温暖化にマイナスであるというところは非常に大きい。このために今は、温暖化防止の観点から、オゾン層破壊効果がなくて温室効果も低い、議論のあったCO2等々のノンフロンへの転換が求められているんだと思います。

 ちょっと長くなりますけれども、国際的に見ましても、一九八〇年代後半からオゾン層保護対策、次いで、九七年の京都議定書以降は温暖化対策というものが進められてきたんだと思います。そして、技術開発にもやはり一定の時間を要する。これは当たり前のことでございますけれども、段階的な措置になっているというのは、技術の革新スピードに対してやむを得なかったのではないかと思っております。

 ユーザー負担軽減ということについては、やはりしっかりとしていかなければならない。環境省は、平成二十五年度予算において省エネ型のノンフロン冷凍機器等の導入への補助事業、これも、ボリュームとしては小さいと田中副大臣から政治家としての御発言がございましたけれども、やはり、CO2に代替されるようなノンフロン型にかえていただく。

 そういうことを提示することによって、今、委員はローソンの例を出されましたけれども、それ以外にも、入れているところを私も見せていただきましたけれども、普及することによって機材の値段というものは下がってきますし、地球温暖化に非常に影響の少ないものに代替していくことの意味の重要性というものを当委員会の審議の中で広く国民の皆様方にお示しできればと、こんなふうに考えているところでございます。

河野(正)委員 ありがとうございました。ぜひ、補助金、先ほど田中副大臣からありましたように、しっかりとつけて、そういったふうによい方向に誘導していっていただけたらなと思います。

 これは我が党の部会でも意見が出たところではございますけれども、かつては、あるいは今まで国が使用を認めていた、繰り返しになりますけれども、どうぞ使ってくださいと言っていたもので、今になって、これはまずいから買いかえなさい、捨てるならきちんと責任を持ちなさい、不適切な対応をすれば罰するぞというような考え方そのものに甚だ違和感を持たざるを得ないということが言われております。これについて御見解がありましたらお願いいたします。

関政府参考人 御指摘の代表的な例は、環境省で扱っていますPCBだと思います。人工的に合成しました、無害で反応性も低い、使い勝手がいいということで、製造したときには大変便利なものだということで使われましたけれども、その後、人体に被害があるということがわかってまいりまして、使用禁止等の措置をとったということでありまして、本来でありましたら、委員御指摘のとおり、そうならないように、しっかりといろいろな物質や製品のアセスメントをすべきところだと思っております。

 現状では、歴史の教訓を踏まえてそういう方向になっていると私感じておりますけれども、今後とも、環境省としましては、環境上問題がないようなもの、利便性はあっても後で環境上問題があるというものが、早い段階でそういうふうなプロセスに入らないようにしっかりと取り組んでまいりたい、このように考えております。

河野(正)委員 時間も参りましたが、フロン類の問題に限らず、今後当委員会で審議することになるアスベストなどの問題も同様に考えておりますけれども、今までは国が認めてきたもの、物によっては奨励していたものも今のようにある。そういったものの知見が後世になって変わったからといって、国民に押しつけるのではなく、やはりこれは、しっかりと国の責任において可能な限り安全対策を行っていく。そして、これらの所有者、使用者はすなわち国民でありますので、国民の責務にはしない。対応には当然大きなお金もかかってくることとなりますけれども、国民に負担を押しつけて解決するというのではなく、ぜひ国の責任において考えていくという対応をとっていただきたいなと思います。

 これで質問を終わります。ありがとうございました。

吉野委員長 次に、阪口直人君。

阪口委員 日本維新の会の阪口直人でございます。

 私の同僚議員の河野議員からも、フロンの問題についてはさまざまな問題提起がなされたと思います。私は、補足的に一点御質問した後は、環境省が管轄をしている世界自然遺産について、今後の戦略等々についてきょうはお伺いをしたいと思います。

 補足的にお聞きしたいことなんですが、自然冷媒を使った今後の冷却システムの推進について、日本の技術は相当高いレベルにあると思いますが、この価格を下げていく、そして、日本として温暖化防止やオゾン層破壊の問題に対処していくには、海外にどんどん自然冷媒を輸出していくことで価格を下げていく、そして貢献していくということも一つの戦略になり得ると思います。

 この点について、日本の強みをどのように発揮をして、そして海外展開をしていくのか、戦略についてお答えをいただきたいと思います。

    〔委員長退席、冨岡委員長代理着席〕

渡邊政府参考人 我が国発のノンフロン製品の海外展開、これを促進するためには、まずは、ノンフロン化を促すための環境規制をグローバルに広げていくということが重要ではないかと思うわけであります。

 このために、まず、ノンフロン化を促すための環境規制、このグローバル展開の一環といたしまして、国際的なフロン類規制の枠組みでありますモントリオール議定書、この中にHFCを含めるなどの方策も考えてまいりたい、かように考えている次第であります。

 また、途上国におきますノンフロン製品の市場拡大のきっかけづくりといたしましては、例えば、インドネシアのエアコン工場における冷媒転換、この技術指導、支援なども産業界とともに行わせていただいております。

 また、二国間のオフセット・クレジットの制度も活用した、省エネ、温室効果の低い冷媒を用いた空調機器導入促進のための、これはフィージビリティースタディー事業でございますが、インドで実施するなどの取り組みを行っているところでございます。

阪口委員 今の状況を聞くと、まだまだ十分に展開していく環境が整っていない。しかし、同時にこれは、技術的にすぐれた日本製品が今後市場を拡大していく大変にチャンスのある、可能性のある状況だというふうにも思います。ぜひ、地球環境への貢献と、そして、日本の製品をしっかりと拡大して価格を下げていくということについて、戦略を持って取り組んでいっていただきたいと思います。

 それでは、世界自然遺産について質問をしたいと思います。

 私も、実は超党派で世界遺産議連というものを今回立ち上げまして、事務局長をさせていただいております。ぜひ日本の世界遺産の数をふやしていきたい、そして同時に、その保全と活用を有効に展開することによって、そのすばらしさをより多くの方々に感じていただく、それをさらに地域の活性化につなげていく、こういった戦略の司令塔に環境省としてはなっていっていただきたいと思います。そういった視点で質問させていただきたいと思います。

 まず、現在、世界遺産、合計九百六十二件あるんですね。そして、文化遺産が七百四十五件、自然遺産が百八十八件、複合遺産が二十九件なんですが、世界的な視点から顕著な普遍的価値があり、また、真実性、これはオリジナルな状態を維持していること、これが重要でございます。また、価値をあらわすもの全体が残っているこの完全性があって、そして、将来にわたって保護していくためのしっかりした管理体制がなくてはいけないということでございます。

 ただ、この世界遺産、千を超えて登録していくことは難しい。千というのが一つの基準の数字になっているということもありまして、今後、登録していくのは大変に高いハードルがあるということでございます。

 何とか、日本の多様性のある美しい自然、この中に入れていきたいと思っておりますが、今のところ、奄美・琉球が政府の暫定リストに掲載をされて、早ければ二〇一五年にユネスコに推薦をして、そして、翌年夏に開かれる世界遺産委員会で登録を目指すというふうに聞いております。

 まず、この奄美・琉球を世界自然遺産にしていくことに関する戦略、どのようにして何としてもこれをかち取っていけるように今後進めていくのか、その戦略についてお伺いをしたいと思います。

伊藤政府参考人 先生御指摘のとおり、世界自然遺産、日本のすばらしい自然を世界自然遺産に位置づけていくということは、非常に重要な課題だというふうに考えてございます。

 既に我が国では、屋久島、白神山地、知床、小笠原諸島、四つを自然遺産としているところでございますけれども、今は、奄美・琉球を新しい世界自然遺産に位置づけようということでいろいろ作業を行っております。

 近々に奄美・琉球世界自然遺産候補地科学委員会というのを設けまして、ここで、実際にどこの地域がそういった価値があるのかといったことを科学的に御審議していただいた上で、その上で具体的にここをという格好で提案していきたい、こういうふうに考えている次第でございます。

阪口委員 この地域の自然、これは大変にすばらしい、希少性のあるものだと思いますが、何を日本としてはセールスポイントにして世界遺産登録を目指していこうとしているんでしょうか。

    〔冨岡委員長代理退席、委員長着席〕

伊藤政府参考人 奄美・琉球というのは、極めて地形的に世界的にも珍しい、大陸とくっついたり離れたりということを何回か繰り返してきて、その大陸にもともといたような種がまだ残っているとかいうことで、例えばヤンバルクイナでありますとかノグチゲラとか、多くの固有種、希少種の生息地で、まさに希少種の宝庫と言っても過言ではないというふうに思っております。

 そういったところを、ぜひ世界遺産ということで、希少種、固有種を中心としてアピールしていきたい、こういうふうに考えている次第でございます。

阪口委員 希少種、固有種、これを守っていくことが重要ということですが、同時に、さまざまな外来性の動物の存在によってこの固有種の存在が脅かされているということも聞いております。特にこの地域は、もともとハブが大変な被害を住民生活にもたらしていて、その対策としてマングースが導入をされたといいますか、マングースが放たれたことによって、この固有種が相当失われているということも聞いております。

 では、このマングースをどうしていくのか、また、これまでこの対策はどのような成果があったのか、お聞かせをいただきたいと思います。

田中副大臣 御指摘のとおり、ヤンバルクイナだとかノグチゲラなど、多くの固有種だとか希少種の生育地として極めて重要な地域でありますけれども、ハブの駆除を目的に導入された外来種のマングースがこれらの希少種を捕まえて食べるということが、大変深刻さを増しておるわけでございます。その存在を脅かしておるマングース、外来種対策が、沖縄の貴重な生態系ということで、我々は真剣な取り組みをしていかなければならないと思っております。

 沖縄県と連携して平成十三年度から沖縄山原地域においてマングースの捕獲を始めまして、合計五千頭以上を捕獲し、マングースの生息数は大幅に減少している、このように我々も確認をさせていただいております。その結果、ヤンバルクイナ等の希少種の分布が、少しずつでございますけれども拡大をし、生息数も増加している、このように思っておるところでございます。

 環境省と沖縄県では、平成三十四年度までに沖縄山原地域におけるマングースの根絶を、こういうことで今取り組んでおります。

 以上でございます。

阪口委員 鳥獣の被害というのはさまざまな地域で大変深刻であると思いますが、今お話を伺った限りでは、かなりの成果を上げているというふうにも思われます。そういった成果につながった経験、知見というものは共有すべきものだと思いますが、マングース対策において大きな成果を今得つつあるその理由というのはどのように分析をされているんでしょうか。

伊藤政府参考人 これは、環境省と沖縄県、あるいは奄美では鹿児島県と共同いたしまして、徹底的にわなをかけて、これに引っかかるように努めていくということをずっとやってまいりました。当初は非常にたくさんわなにかかりました。ところが、どんどんとれていきますと、最近はわなにかかるマングースが減ってきているんです。ただ、ここでやめたらまたふえますので、粘り強くわなをしっかりやっていく、手を抜くことなく外来種対策を行っていく。

 そういうことを行ってきたことがこれまで成果上げた原因だと思いますし、今後もさらに一層力を入れて、ぜひ根絶というところまでいきたいというふうに思っている次第でございます。

阪口委員 奄美・琉球に先立って世界遺産登録された知床においても、エゾシカの繁殖や、また、小笠原では外来種のヤギが大変にふえて、それが固有種の存在を脅かしているという問題がありました。

 私も、小笠原に行ったときに丘の上から見ると、本当にもうたくさんのヤギが生息している様子が見えるんですよね。これをどのようにして管理するのかということを大変案じていたんですが、大変に大きな成果が得られている。そして、小笠原では、生態系の回復が確認されて、世界遺産登録に向けた、外来種のヤギの根絶に向けた取り組みがなければもう本当に数年で失われたとも言われている貴重な生態系が保全をされた、こういった効果があったと聞いています。

 世界遺産に向けた取り組み自体にも大変に大きな効果があったというふうに考えられますが、この知床また小笠原、ここから学んだ学習効果、これはどのように考えて、また分析をされているのか、お聞きしたいと思います。

伊藤政府参考人 先生、今、小笠原の話をしていただきました。小笠原では、グリーンアノールとかクマネズミとかいったそういった外来種もいまして、これの根絶のための努力をするということが自然遺産を登録するための重要な前提だ、こういうふうな指摘もあって、取り組みを進めてきたわけでございます。

 これまで四地域、自然遺産の登録をすることができましたけれども、これはやはり、地元でしっかりこの自然遺産の価値を十分認識して、地元で守っていくんだ、こういうふうな盛り上がりといいましょうか、そういったものが大前提となって、その上で私ども、関係省庁とも連携してきちっとした保全体制を講じていく、こういったことがあの世界遺産の指定ということにつながってきたんだろうということを考えております。

 このため、今後の指定につきましても、ぜひそういったこれまでの経験を踏まえて努力してまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。

阪口委員 希少性のある固有種を守っていく、これは世界遺産地域だけの問題ではないと思います。

 ただ、一方で、やはり世界遺産登録を目指した取り組みを進めていく中では、この奄美・琉球においては、早くその対象地域を決めて、その地域の固有種の保全について戦略的に取り組んでいくことが大事であると思います。

 現状のところで結構ですが、対象になる地域は、この奄美・琉球のどの地域が想定されているんでしょうか。

伊藤政府参考人 この奄美・琉球の中で具体的にどの地域を候補地とするかということにつきましては、先ほども少し述べましたけれども、奄美・琉球世界自然遺産候補地科学委員会を早々に設けまして、本年末を目途にいろいろ絞っていこうというふうに考えてございます。全て一応リストアップして可能性を検討していきたいというふうに考えている次第でございます。

阪口委員 沖縄においては、特に世界遺産登録が予想される地域以外にも大変な観光資源があり、また、豊かな自然があると思います。私は、この世界遺産登録に向けた取り組みの一つとして、エコツーリズムをさらに推進していくということは大変に有効であると思います。

 私も、このエコツーリズムがもたらす経済効果、またさらに、数字ではあらわせないさまざまな価値の創造についていろいろと調べたことがありまして、特に、コスタリカという国が八〇年代からエコツーリズム立国を目指したさまざまな取り組みをしているということで、現地にリサーチに行ったことがございます。

 国を挙げて、例えば環境に優しいホテルの格付をするですとか、あるいは、その対象になっている地域の立ち入り制限をして、入場料などもかなり高く取っているんですけれども、その地域の価値を高めていくというさまざまな工夫がなされていたと思います。

 ただ、そういったことをしていると、余りもうからないんですね。エコツーリズムを通してもうけようとしても、これはさまざまな矛盾に直面してしまいます。一方で、エコツーリズム、すなわち、環境を守る、平和を守る、こういった我々全てにとっての普遍的な価値を追求するということを一つの顔にして、一方で、それ以外のツーリズムでしっかりともうけるというようなことも大変に戦略的になされていること、私は、日本もこれは応用していけるのではないかなと思っています。

 奄美・琉球に関して、このエコツーリズムの推進と世界遺産登録、さらに、登録された後にこの地域を魅力的にしていく、こういった視点で今持っていらっしゃる基本的な考え方、戦略があれば、伺いたいと思います。

伊藤政府参考人 先生御指摘のとおり、世界自然遺産の登録を進め、国際的にかけがえのない自然環境を保全していく上では、エコツーリズムを総合的に進めていく、これは極めて重要な課題であるというふうに認識してございます。

 平成二十年四月にエコツーリズム推進法という法律をつくっていただきました。この法律では、エコツーリズムが自然環境の保全、地域における創意工夫を生かした観光の振興さらには環境の保全に関する意識の啓発等の環境教育の推進において極めて重要な意義を有している、こういったことからエコツーリズムを総合的に進める、こういうふうな法律であるわけでございます。

 我が国で世界自然遺産に既に登録されている知床、白神山地、小笠原、屋久島の四地域では、これまで既に、エコツーリズムは積極的に推進されてきております。とりわけ知床では、エコツーリズムによる利用分散でありますとか、あるいは利用コントロールのための具体的な取り組みといったことも行われているということでございまして、ほかの三地域でも同様なことの検討を今行っているところでございます。

 奄美・琉球地域、この地域におきましても既にエコツーリズムが進められているところでございます。環境省としても、これまで、専門的な知識を有するアドバイザーを派遣するといった支援を行っているところでございます。

 いずれにしましても、このエコツーリズムをきちっとやることが、まさに、世界遺産として永続的にその地域を保全し、なおかつ観光振興にも役立っていくという大前提になると思っております。

 環境省としましては、関係機関と連携し、自然観光資源の保全に係るルールづくり、あるいはガイドの育成ということも含めまして、エコツーリズムに係る取り組みを積極的に行ってまいりたい、この沖縄、奄美でも積極的に行ってまいりたいというふうに考えております。

阪口委員 世界遺産登録されるということのメリット、また、その地域のブランド力のアップ、これは本当にそれぞれの地域にとって魅力的なものだと思います。ですから、さまざまな地域が我こそはということでかなり競争する。これ自体は私は非常にいいことだと思います。

 ただ、結果的に、登録された地域が大きなメリットを得る反面、そうでない地域が相対的に観光客の減少などの影響を受けてしまう可能性もあると思います。そのことが自然を保護するという意識の後退につながってしまっては、これは元も子もありません。

 世界遺産登録をされて大きなメリットを得ている地域の知見、また、その地域が得ているメリットをそうでない地域にもうまく還元していく、共有していく、こういった知恵も必要だと思いますが、この点について政務の方から、戦略及び何らかの思いがおありであれば、お伺いをしたいと思います。

田中副大臣 阪口先生がコスタリカに行かれていろいろなお勉強をされたということでございますけれども、私も実はコスタリカに行ったんですよ。一回失われた自然を人の手で回復して、それが世界一の今はエコツーリズムのまさしく拠点になっているということで、我々の国も学ぶところが非常に大きいなと、こう思っております。

 また、世界遺産もそうですし、国立公園も、自治体で管理していただいている国定公園もそうだと思うんですけれども、やはり適正な管理をするということはもう当然のことでありまして、私たちも、これから本当にその部分でどうしていくのか考えなきゃいけないんです。

 特に資金関係のことだとかが、やはりプール制などを考えていかないと、たくさん観光客が集まるところは、何らかの方法、入島税だとか入山料だとかいろいろなことが言われておりますけれども、全部にそれがあまねく対応ができるかというとなかなか難しい問題があると思いますけれども、ひとつ我が環境省としても、真剣な取り組みをいたしてまいりたいと思います。

阪口委員 大きな目的は、本当に日本全体を、美しく、かつ住みやすい、また、我々が誇りを持てる地域にしていくことであり、また、全体としての経済効果をしっかりと得ていくことだと思うので、この点、世界遺産登録された地域の知見、そのプロセスを含めてそこで得た知見をどのように周辺に還元していくかということも、ぜひ積極的に取り組んでいっていただきたいと思います。

 この知見を共有するということに関しては、国内だけではなくて、やはり、海外のさまざまな自然そして文化的遺産に対する保護にも生かしていかなければいけないと思います。

 私、カンボジアという国に長くかかわっていたことがあるんですが、例えばカンボジアのアンコール遺跡の保全や修復、これも、世界文化遺産に対する大きな貢献として現地においても大変高く評価をされていると同時に、アンコール遺跡を訪れる世界じゅうの観光客に対して、日本のその取り組みの価値というものを伝える効果が大変に高いと思っております。

 こういった戦略を、つまり、各地の世界遺産登録に対して日本の技術、知見を提供することで貢献をしていく、これも、日本とさまざまな国との信頼関係をつくっていく上で価値のある取り組みになっていくと思うんですが、この点について、どのようなお考えで今後進めていこうとしているのか、また、現在取り組んでいる事例があれば御紹介をいただきたいと思います。

田中副大臣 世界遺産を初めとする、我が国のすぐれた自然の風景地である国立公園だとかもろもろの大切な資産を、自然を学ぶための拠点だとか歩道の設置だとかを通じて、自然環境の保全に配慮した観光の振興を進め、適切な保護と利用の両立を進めていかなければならない、こういうことで対応しております。

 こうした我が国の取り組みは、御指摘ありましたように、世界に誇るべきものであると考えておりますし、また、そういうことを世界に広めていくために努力をしてまいります。

 ことしの十一月でございますけれども、国立公園関係者が集まる、アジア地域としての初めての会議であります第一回アジア国立公園会議を仙台で開催いたします。その会議をもって、我が国のすぐれた取り組みを広くアジア各国に向けて情報発信をさせていただき、アジア地域における国立公園等保護地域に係る連携の方策を検討していきたい、こう思っております。

 また、来年の十一月には、オーストラリアで開催される第六回世界国立公園会議において、世界に向けて日本の取り組みを発信していきたい、こう思っております。さらに、アジア地域における国立公園等保護地域に係るパートナーシップを構築して、各国との協力を進めてまいりたいと思います。

 以上でございます。

阪口委員 今紹介していただいた取り組み、私も、興味を持って今後もぜひ見てまいりたいと思います。

 この点における日本の強みそして課題、さまざまあると思いますが、現実的には、日本のこの自然そして文化の魅力というのは、世界各国と比べても大変にすぐれたものがあると思います。

 一方で、自然遺産、文化遺産合わせて現在十四ですかね、まだまだ数が私は十分ではないと思います。フランスやイタリアなどは日本の倍以上の世界遺産を持っていることからも、適切なアピールと、そして、世界遺産登録にふさわしい状況をつくっていくためのさらなる努力が必要であり、合計で千という厳しいハードルの中でこれを進めていっていただきたいと思っています。

 現状の日本が抱えている課題、これはどのように考えていらっしゃるでしょうか。

伊藤政府参考人 自然遺産につきましては、四地域既に指定され、今、奄美・琉球ということで、ぜひこれを指定したいということで頑張っております。

 その後も、さらに私どもは世界遺産登録に向けていろいろ頑張っていかなければいけない、こういうふうに思っているわけですけれども、その中でやはり、ここは世界で唯一なんだというアピールが大事でございまして、それをどういうふうにアピールしていくのか、あるいは、調べてみたら世界一だったというふうなところはたくさんあると思うんですけれども、まだそこの調べが至っていない、こういったところも多々あると思っています。

 そういった意味では、日本の自然のよさというところを、もう一度いろいろな角度から、これまで考えていた別の角度からも、日本の自然のよさということをきちっとさまざまに、これは政府だけでできる話ではございませんけれども、研究者の方々あるいは地元の方々といろいろ連携をとりながら、日本の自然のよさということの再発見ということは重要な、これから世界遺産の登録という観点からも必要になってくるんではないかな、こういうふうに考えている次第でございます。

阪口委員 経済発展を進めていく、大変に大事なことだと思います。自然を守る上でもこれは必要なことだと思う反面、経済発展至上主義に陥ってしまうと、自然の希少性を守っていくということに対する意識が二の次になってしまうのではないかと思います。

 これまで、高度成長時代の日本は、大変に豊かな自然や、また、魅力的な農村風景などの景観があったと思いますが、これらの価値を十分に自分たちが認識をすることなくそれを破壊してきてしまったという、本当に残念な歴史もあったのではないかと私は思います。

 現政権において経済発展を頑張ってやっていく、これは我々も協力していかなければいけないことだと思うんですが、同時に、今残っている価値、これをいかに守っていくか、そして、それを同時に経済的な価値にもつなげていくのかという視点が必要だと思います。

 例えば、先ほど申し上げたフランスやイタリアなどは、建築物が景観に与える影響などについても大変に大きな配慮をしている。せっかく美しい自然があっても、それを台なしにしてしまうような建物があると、やはり全体の魅力というものは損なわれてしまうと思います。

 こういった、日本がもともと持っているよさを生かしながら経済発展につなげていく、さらに世界遺産登録にもそういった考え方をつなげていくということは、国民広くにこのよさを認識し守っていく意識を浸透させていく、そういった取り組みも必要だと思います。

 これで最後の質問なんですが、この点についてぜひ大臣の思いを伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

石原国務大臣 人類の過去の歴史を顧みますと、ともすれば、経済発展の名のもとに環境が著しく阻害されたり、あるいは種の保全が保たれなくなったり、こういうことがあったと思います。

 これは人間のエゴによるところかもしれませんけれども、これからは、やはり私たちは、この地球という限りのあるものを次の世代に、また次の次の世代にしっかりと原形をとどめて継承していくという責任を持って、今委員が御指摘のとおり進んでいくのが、正当な道だと私も考えております。

阪口委員 ありがとうございました。終わります。

吉野委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 みんなの党の中島克仁です。

 本日は、特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律の一部を改正する法律案についての質疑でございます。それぞれの委員の方々から問題点が幾つかもう挙げられていまして、私も、用意した質問、結構かぶるところがございます。できるだけかぶらないように御質問をさせていただきたいと思いますけれども、どうかよろしくお願いいたします。

 これまでのフロン回収・破壊法は、フロン回収・破壊を義務づけるというある意味限定的であったのに対して、本改正法案では、フロンメーカーや機器メーカー、ユーザーの責務を拡大し、生産、使用に関する規定を加えた枠組みになっておりまして、ある程度評価できることだとは思います。

 ただ、フロンというそのものが無色無臭であって、人体にも無害ということもありまして、そういった基本的知識さえも国民の皆さんはなかなか理解しておられない、そんな現状ではないかと思います。

 まず総論的なことといたしまして、フロン類の特性や現在の使用状況、そして、フロン類使用製品は現在我が国でどのぐらいの割合で出回っているのか、また、この法律案によってどのぐらいの温暖化対策への効果が見込めるのか、教えていただきたいと思います。

関政府参考人 先生御指摘のように、フロン類、いわゆるオゾン層を破壊しますCFC、HCFCという狭義のフロンと、代替フロンのHFCをまとめてフロン類と呼んでおりますけれども、こういうフロン類というのは化学的に極めて安定した物質でありまして、人体への毒性も小さいことから、エアコンや冷凍冷蔵機器などの冷媒用途を初めとしまして、断熱材、エアゾールなど、さまざまな分野で利用されてございます。

 この市中の存在量というのは、CO2の量に換算しまして約四億トン程度でございます。

 とりわけ冷凍空調機器につきましては、いわゆるフロンが国際的に製造、使用が禁止されましたので、これにかわりますHFCへの転換が急速に進んでおりまして、仮にこのままの推移でまいりますと、二〇二〇年には代替フロンの排出量というのが現在の二倍以上になるのではないかなと、このように考えております。

 今般の法改正は、こういうことも考慮いたしまして、製品のノンフロン化等をライフサイクル全体で進めていこうというものでございますけれども、審議会で専門家に御検討いただきました際に、何も対策をしないケースに比べまして、二〇三〇年時点で、この改正法を施行した場合には、五〇%から七〇%、フロン類の環境中への排出が削減される、このように見込んでございます。

中島委員 言うまでもありませんけれども、温暖化対策の一環と強化策という今回の法律の改正案ということだと思います。

 先ほども委員の方からも御質問があったと思います、中国やインドでは、直接、自然冷媒への移行ということもやられておるようですけれども、その他の諸外国、それぞれの国でどんな取り組みが行われているのか、またお教えください。

田中副大臣 現在、オゾン層破壊物質に関する国際取り決めでありますモントリオール議定書に基づいて、CFCやHCFC等の生産だとか消費の削減に係る取り組みが実施されておりまして、途上国においても着実にこの取り組みを推進しておるものだ、このようには思っております。

 モントリオール議定書のもとに、途上国におけるフロン対策への支援を目的とするツールとして多数国間基金が設けられておりまして、この基金を活用した取り組みとして、HCFCからの転換だとかCFC等の回収・破壊に関するプロジェクトが推進をされております。

 また、HFCの破壊については、京都メカニズムのもとで、CDMプロジェクトとして取り組みが行われているものがございます。

 しかし、日本のように、HFCを対象に含む制度は途上国にはほとんどないと承知しておりまして、今後、我が国の先進的な制度を途上国に発信し、オゾン層保護対策に加え、地球温暖化対策にも大きく貢献するような対策と支援を続けてまいりたいと思います。

 以上でございます。

中島委員 フロン類のオゾン層への破壊そして温暖化対策、今御答弁がございましたように、HFCに関しては日本が先進的だ、そういうことでございますけれども、そのフロンの放出がオゾン層の破壊、そしてフロン類の放出が温暖化をもたらす環境問題であること、先ほども申しましたように、国民の皆さんのこの認識、それは大前提だと思います。フロン類対策にかかわる意識向上を図る必要性が非常に大事だということだと思っております。

 その国民の皆さんへの周知も含め何かその方策を考えていらっしゃるのかどうか、お聞きしたいと思います。

関政府参考人 法の施行に当たりましては、国民の皆様に御理解いただくのが大変重要だと考えておりまして、パンフレットやチラシ、ホームページ等、普及啓発ツールを用いまして情報提供を図る等、さまざまな機会を利用しまして引き続き周知の徹底に努めてまいりたいと考えております。

 他省との連携も重要だと考えておりまして、経済産業省との連携としまして、毎年、自治体の職員の皆様方向けに共同で研修も実施しておりますし、また、国土交通省等との連携としまして、機器を廃棄することに対する指導、監視を実施するために、建設リサイクル法に関する全国一斉パトロールに際しまして、自治体の建設リサイクル法所管部局とフロン回収・破壊法の所管部局の間で共同の立入検査が行われるような体制の強化を図っているところでございます。

中島委員 今もいろいろ取り組まれておるようですが、やはり、フロンイコール温暖化、そして、フロン類も日常生活でたくさんいろいろなものに使われているということを先ほどもお聞きしましたけれども、例えばエアコンのどこに入っているのかとか、一般の皆さんは全くわかっていないと思うんですね。

 そういう中で、今回の法律改正案は、その実効性が非常に問われる部分だと思います。その認識のもと、また、危機意識のもとに、例えばメンテナンスの問題も、漏らさないための危機意識、その実効性が問われているんじゃないかと思います。

 先ほども御質問の中にありました、ここ十数年の間に、取り締まり罰則規定、取り締まれたのは一件だけということでございまして、そういった意味では、先ほども、フロン自体が無臭で無色、現行犯でしか見つけられないという話になるわけですよね。そうなりますと、やはりその実効性の危機意識をしっかり持つということと、規制や取り締まりのあり方というのが非常に問題になってくると思います。

 果たして、その現場に赴いて取り締まっていく方々、恐らく自治体の方々になるのかなと思うのですが、環境省として、現行犯でしかなかなか取り締まれないという現状の中で、どのような取り締まり方法を考えていらっしゃるのか、お教えください。

関政府参考人 御指摘のとおり、フロンというのは、環境中に放出しますとあっという間に気体になりまして大気中に出てまいりますので跡が残らないというので、扱いが他の一般の廃棄物に比べて大変難しいという状況がございます。

 ただ、現行法におきましても回収・破壊というのは義務でございまして、それをやっていただくために、それぞれ都道府県知事あるいは関係大臣が監督者となっておりまして、法に基づきまして報告の徴収や立入検査等を実施することによってこういうものを未然に防ぐということを今後とも取り組んでまいりたい、このように考えております。

中島委員 恐らくそういう答弁になるんだと思います。

 ただ、先ほど言ったように、専門性も多少ないとということもございますし、そのメンテナンスの問題で、地方自治体、人手不足、それぞれの事情の中で本当にそういったことが厳密にできるのか。先ほど申しましたように、周知徹底、危機管理のもとに、ユーザーの方がしっかりとその管理意識を持たないといけないなというところなんだと思います。

 先ほどからも御質問があると思います。その回収率は現時点で三割程度ということになっておるわけですが、恐らく、予算をつぎ込むのは非常に難しいのは理解できるんです。

 なぜかというと、フロンそのものが人工物ですから、そもそもつくらなければいいという話になってしまいますから。いろいろな対策に予算をかけるのか、それとも、先ほどもあったように、技術向上のためにそちらに予算をつぎ込むのか、どちらかと言われますと、先ほども御答弁ありましたように、今後自然冷媒への移行を目指す、ある意味技術開発できている部分もあるということもありまして、今回の対策に予算をつぎ込むというのはやはりやりづらいんだろうなというのは何となく想像できるんですね。

 ですから、今回の法改正に当たっては、漏れない、再生、そして回収・破壊の部分をしっかりと徹底するということなんですが、やはりロードマップの中に、フロン類自体をしっかりともうなくしていくということを明確にする必要があると思います。

 先ほどからも御質問あると思いますが、その辺についてお考えをお聞かせください。

関政府参考人 今回御提案させていただいております改正法におきましては、現行法の限界も踏まえまして、回収・破壊のみではなく、そもそももとからノンフロンへ転換するという措置としまして、ガスメーカーに対する判断の基準を設けてノンフロンガスへの転換を促進する、あるいは、そのガスを使いました機器を生産していただくために、機器メーカーに対しても同様の判断の基準というのを設けまして、トップランナー方式でノンフロンの製品というものの開発を促進する、こういうふうな措置を設けてございます。

 全体として、環境中に仮に漏れても、オゾン層にも温暖化にも問題がないというふうな形にするのが根本的な解決だと考えておりまして、改正法が成立しましたら、施行に向けてぜひ頑張ってまいりたい、このように考えております。

中島委員 先ほども申しましたように、つくらなければこのフロン類はないわけですから、いろいろな対策を練る必要はないということになります。一刻も早くノンフロン化に向けて取り組まれていただきたいと思います。

 総論的なフロン対策といたしまして、国民の皆さん、一般的には、先ほど申しましたように、エアコンとか、ふだん使われるスプレー、私は今医者でもございますけれども、ぜんそくなんかに使われるエアゾール、それぞれにやはり使われておるわけですよね。

 資料は、ちょっと一枚、これは環境省の資料ですけれども、「不用品回収業者等について」ということで、一般家庭用のエアコン、これは恐らく家電リサイクル法の方で取り組まれていることだと思うんですが、やはり、海外への輸出を目的として不適正な処理が行われているとはっきり認識をなされているようですね。

 今回の法改正とは直接は関係ないんですが、このような不法な回収業者によって、不適切な、要するに闇ルートみたいな感じですか、海外に持ち運ばれて海外で破棄されてしまう、そういったことに対する認識を環境省さんは持っておられると思うんですが、それに対する対策、取り組み等について教えていただきたいと思います。

関政府参考人 家電用のエアコン等につきましては、家電リサイクル法で適正に処理をするという義務が設けられてございまして、現状では、例えば最近の数値でございますけれども、平成二十二年度に四百六十六万台全国で排出されておりまして、このうち六六%は、家電リサイクル法のルートに基づきまして適正に処理をされております。

 一方で、それ以外のものについては、必ずしも不適切ということではございませんで、リユースでありますけれども、いわゆるリサイクルショップで再利用されるような形で市場に流れている等々もございますけれども、委員御指摘のように、一部のものにつきましては、スクラップとして海外に流れているというので、二十二年度のデータでは、約六十九万台分相当のものが海外にスクラップとして流れておるということでございます。

 これにつきましては、国内で違法な廃棄、回収等が行われないように、廃棄物処理法、家電リサイクル法を用いて取り締まることに加えまして、水際で、税関におきましても、そういう廃棄物に該当するようなものがみだりに海外に出ないように、現在、チェック体制が整えられているところでございます。

中島委員 大臣に先に御質問等してくれということなので、今言ったように、ちょっと前後します。ちょっと脈絡がないかもしれませんが。

 要するに、温暖化そのものが国民の皆さんに、福島の原発事故があって以来、ちょっと二の次感が漂っているような気がいたします。

 先日のアースデイがありました。大臣、恐らく行かれたんじゃないかと思うんですけれども、行っていないですね、済みません。いつも聞こうと思っていたんですが、大臣が日ごろ温暖化対策として日常的にやられていること、何かございますか。教えていただきたいと思います。

石原国務大臣 極めて個人的なことなんですけれども、私はなるべく冷房はつけないようにしています。暖房も二、三回ですかね。割とそれでいける方なもので、痩せ我慢をしているのかもしれませんけれども、やはり、一つ一つできることからこれはやっていくことしかないんじゃないか。ですから、家では子供たちに対して、明かり切れ、スイッチ切れということを督励しております。

 これは何でそんなふうになったかというと、自分が子供のころ、おばあさんに相当言われまして、当時は、百ワットの明かりが来たときに、何て明るいんだろうという時代ですから、中島委員とはちょっと世代が違うかもしれませんけれども、ともかく暗いところにおりましたもので、ともかく明かりというのは大変なんだということで、消す習慣がついている。ここが教育としても子供たちにやって、うるさがられております。

中島委員 もう大変参考になります。なぜかというと、要するに、環境省そして環境大臣が温暖化に向けて一丸となって取り組まれているその姿が、やはり温暖化に対するこの環境意識、先ほど言いました、フロンを何とかしようと言っても、なかなか直結しないんですね。

 以前も、私のふるさと、山梨県北杜市というところですが、日照時間日本一と言われています。しかし、気象庁の観測定点では決して日本一ではないんですね。きっかけは地元の明野中学というところなんですが、夏の何かの学習でたまたま一カ月間の日照時間をはかったら、気象庁の観測よりも長かった。それをきっかけに一年、二年の単位ではかり出したら、日本の中で非常に日照時間が長かった。それをきっかけに北杜市では、では太陽光パネル、メガサイト、そういう意識が非常に高まったんですね。

 先ほど、福島原発の話もしました。これからのエネルギー政策そして環境問題、その中で、さまざまな省庁との駆け引きがあるんじゃないかなと私自身感じているんですね。そんな中で、この日本の環境を守るのは環境省です、そして環境大臣ですから。私自身も環境省ファンというか、変な話ですが、環境大好きなんですね。恐らく、きょういらっしゃる委員の方々も、みんなそういう思いじゃないかと思います。

 そういう意味も含めまして、これから、地球温暖化、そしてこれからのエネルギー政策、世界では恐らく今、日本の温暖化対策、この秋に向けて大変注目されていると思います。そういう意味で、環境省としての御決意をぜひお聞きしたいと思います。

田中副大臣 中島先生が、山梨県のすばらしいふるさとを例に引きながらお話がございました。

 私は、やはりこれからの環境というのは、国民がまずひとしく正しい知識を有するかということでございまして、環境教育に、我々環境省も当然でございますが、文科省でも力を入れていただきますように、先般、大臣のところにお願いをしてまいりましたし、また、地域地域でどういう特徴があるかとか、どういうことが誇りにできるのかとか、今の先生の例をまた話をしつつ、地域地域の中で、ひとつ環境省、そういう社会となるようにお願いもし、みずからの努力をいたしてまいりたいと思います。

 環境省、しっかりと頑張ってまいります。よろしくお願いいたします。

中島委員 先ほども言いました。私、環境分野は非常に個人的にも興味があります。そして、脱原発、自然エネルギー、再生エネルギー、それに向けて日本国民が一つになるためには、大臣初め関係する方々は、もっと積極的に前へ出てアピールしていく必要があると思います。私も、そのためであれば全力でお手伝いさせていただきたいと思います。

 時間ですので終わります。ありがとうございました。

吉野委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 我が党は、昨年十二月の衆院選におきまして、公明党政策集、ポリシー二〇一二の中で、フロン類の対策の推進に関しまして、温室効果の高いフロン類対策の抜本的強化のために、フロン類の回収率向上による確実な破壊、機器使用時の漏えい防止、ノンフロン製品の普及を促進するとともに、生産規制、用途規制、そしてフロン税の導入などの検討を進めることを掲げたところでございます。

 今般のフロン回収・破壊法の改正は、フロン類の製造から廃棄に至るまで、そのライフサイクル全般にわたる抜本的な対策を講じるということであろうかと思います。その内容について、順を追って質問させていただきたいと思うんです。

 まず最初に、なぜフロンが問題なのかということについて、より科学的に議論をさせていただきたい。

 オゾン層を破壊するCFC、これはクロロフルオロカーボン、またHCFC、ハイドロクロロフルオロカーボンは、モントリオール議定書に基づいて国際的に規制が進められてきております。我が国においても、オゾン層保護法によって、その生産等の規制がなされてまいりました。その結果、着実にこの生産量、消費量が削減されてきているところでございます。

 しかし、これらの代替物質として、HFC、ハイドロフルオロカーボンが開発導入されてまいりました。このHFCの地球温暖化係数、GWPは、二酸化炭素の数百倍から数千倍あると言われておりまして、これは強力な温室効果ガスであります。しかも、HFCは、一たび大気中に漏えいすれば、百年以上にわたって滞留するとも聞いております。

 まず、科学的な観点からお尋ねするわけでございますけれども、HFCはなぜこれほど温室効果が高いのか、またHFC等の規制がいかに重要であるかということについてお伺いをさせていただきます。

関政府参考人 まず、HFCは、分子の特性からしまして、CO2の分子構造と比べまして、広い周波数の赤外線を吸収するという性質がございます。したがいまして、放射強制力と呼んでおりますけれども、いかに地表からの赤外線を吸収して、また地表に放出するかということで、分子構造で相当の違いがある。加えまして、一旦大気中に出ましたときに、大気中に滞留するいわゆる寿命というのが極めて長いということでありまして、なかなか大気中から除去されないということでございます。

 なお、いわゆる温暖化係数数百倍、数千倍というのは、排出されてから百年間のトータルの温室効果がCO2に比べて幾らであるかというものを出したものでございます。

江田(康)委員 それほどHFC等においては、大変高い温室効果ガス係数を有するということでございます。いかにこのHFC等のフロンの規制が地球温暖化対策としても非常に大事なことであるかということについて、今示していただきました。

 次に、今回新たに対策が導入されるフロンガスの製造、輸入業者の取り組みについてお伺いをさせていただきます。

 地球温暖化を抑制するには、より温室効果の低いフロンガスを開発、製造することが大変に重要でございます。今回のガスの製造、輸入業者に関する判断の基準には、温室効果の低いガスの開発や製造だけでなく、再生利用の促進等も含めて評価をするということであります。法の条文にはそのような判断基準の内容は必ずしも明らかではございませんけれども、質問をさせていただきます。

 フロンガスの製造、輸入業者に促そうとしている取り組みは具体的に何なのか、また、それをどのように判断の基準において定めようとしているのか、お伺いをさせていただきます。

 あわせて、フロンガスの製造、輸入業者に対しては、温室効果の低いガスの開発や製造を促すことがまず重要であると考えます。そのような判断の基準を策定するに当たって、第九条二項においては、「フロン類代替物質の開発の状況その他の事情を勘案して定める」とあります。その他の事情とは具体的に何を示すのでありますでしょうか。

 確かに、代替物質の経済性や安全性などへの配慮も重要になってくると思いますけれども、これに配慮し過ぎると、温室効果の高いフロン類から温室効果の低いフロン類への代替が進まないことになってしまいます。そこで、代替物質への転換による環境対策の促進と経済性や安全性などへの配慮について、どういうバランスをとっていくのか、この点について経済産業省にお聞きいたします。

渡邊政府参考人 今先生御指摘のとおり、本法案におきましては、フロン類の製造、輸入事業者に対しまして、この判断基準を策定するに当たりまして、まずは温室効果が低いフロン類の製造をきちんと促していこう、それから再生フロンを積極的に使っていただこう、またフロン類の新たな製造、輸入数量を削減しよう、こういった観点から、その取り組みを計画的に推進することを求める、そういう判断基準を設定してまいりたいと思っております。

 具体的な設定に当たりましては、まず、フロン類の製造、輸入事業者におきます、実際に温室効果係数がより低いフロン類がどのように開発されているのか、そういったものをきちんと見て設定したいと思っております。

 また、その他の事情でございますけれども、代替物質の経済性でありますとか安全性、さらにはフロン類を使った機器、製品メーカーにおけるノンフロンに対応した製品、機器の開発状況なども勘案いたしまして、フロン類に対する需要の状況なども含めて考慮したいと考えております。

 目標設定に当たりましては、代替物質の経済性、安全性などの課題を克服するための官民の取り組みをあわせて進めてまいりたいと思っておりますし、また、内外のフロン代替製品に関する技術開発動向もきちんと踏まえまして、広く有識者の皆様から御意見を伺いまして、安易に国内のフロン類使用の状況を追認することのないようしっかりと努めてまいりたい、かように考えている次第でございます。

江田(康)委員 続きまして、機器、製品メーカーによる取り組み等についてお聞きをしたいわけでございます。

 今回の法改正によりまして、新たに、スーパーマーケットにある冷凍ショーケース、また家庭用のエアコンなどのフロン類を使用した機器、製品の製造、輸入業者に対して、目標年度までにノンフロンのものや温室効果の低いフロンを使用したものへ転換することを求めるとのことであります。

 省エネ法のトップランナー制度をこれは参考にしたわけでございますけれども、具体的に、判断の基準としてどのようなものを規定しているのか、定量性があるのか、そういうところについてお聞きをいたします。

 また、フロン類使用製品の製造、輸入業者が事業計画を立てるためには、いつまでにノンフロンまたは温室効果の低いフロンを使用したものに転換すべきなのかは重要な問題であります。省エネ法のトップランナー基準では、大体三年から十年というところで定められておりますが、本法の判断基準においても目標年度を明確化する必要があると思いますけれども、この目標年度はどのように設定をするつもりか、また具体的にどのくらいの期間を設定することになるのか、経済産業省にお伺いをいたします。

渡邊政府参考人 判断基準の設定に当たりましては、製品の種類ごとに、まずは代替物質の有無がどうなのか、それから、メンテナンスを含む経済性、供給安定性、安全性も考慮しながら、その時点で商業化されている最もすぐれたノンフロンまたは低温室効果の製品を参考としまして、さらには技術開発の将来見通しも考慮して、目標を設定してまいりたいと思っております。その際、冷凍能力当たりの冷媒量でありますとか温室効果係数などを要素といたします定量的な指標、これをもとに目標を設定してまいりたいと考えております。

 また、目標年度の設定の考え方でございますが、製品の種類ごとに、新たな機器の技術開発に要する期間、あるいはモデルチェンジの間隔、こういったものを考慮して設定してまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。

江田(康)委員 今申されましたように、やはりトップランナーという以上は定量性を明示していくことが大変重要でございます。また、その期間についても今明確になったところでございます。こういう新たな制度によって、迅速にノンフロン化やより温室効果の低いフロン類への転換を大きく進めていただくことを期待しております。

 次に、使用者による冷媒管理についてお伺いをさせていただきたい。

 業務用冷凍空調機器を使用する者に対して、今回の法案では、定期点検によるフロン類の漏えい防止等の機器の管理を行うよう求めております。

 機器の管理に責任を有する使用者に対して、適切に機器の管理を行って、フロン類の漏えいを防止するよう求めることは大変重要であります。

 ただし、業務用冷凍空調機器の使用者は、何と三百万事業者に上るのではないでしょうか。それだけの数の使用者に機器の管理をお願いするのは、現実的には非常に大変なことだと思うんですが、いかがでしょうか。

 中小零細の企業の皆様方にも、これは周知を図っていく必要があります。相当にきめ細かな情報提供、広報活動が必要になってくると思いますけれども、政府においてはどのように情報提供や広報を行っていくのか、環境副大臣にお伺いをいたします。

田中副大臣 御指摘を江田先生からいただいたとおり、業務用の冷凍空調機器が二千万台と事業者の数が三百万、こういうことで、大変な数字になっております。今回の改正に関して、いかに周知を徹底していくかということが非常に重要な課題でございます。

 フロン類に関する機器への表示の内容をより充実させることを通じて、まず使用者への情報提供を図る所存でございます。

 また、業務用冷凍空調機器の使用者を初めとした関係者に対して、機器メーカーや設置、メンテナンス業者等を通じた説明の徹底、パンフレット、ポスター等の作成、配付、全国各地での説明会の開催を実施する。加えて、マスメディア、自治体等の多くのチャンネルを活用して、積極的な情報提供を行っていきたいと思います。

 今回の法改正を通じて、新聞等のマスコミによりましてフロン問題が従来になく頻繁に取り上げられたことも効果が少しあるのではないか、我々はこのようにも期待しておりますが、真剣な取り組みをしていかないと大変なことだ、こういう認識でございます。

江田(康)委員 今、田中副大臣がおっしゃいましたように、使用者による冷媒管理、フロン類の管理がやはり鍵を握ると思われますので、積極的な情報発信、そして広報を政府一体となって進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 もう最後の時間になりつつあるんですが、次に、非常に大事なことでございます。

 より抜本的な対策ということを考えていこうとすれば、使用者にノンフロン製品を利用してもらうことが必要でございます。しかしながら、ノンフロン製品は、フロンを使用した製品に比べて二倍以上の価格差がある。導入には高い壁があるのではないかと懸念するわけです。

 そのように、ノンフロン製品が高価であるという現状に対して、さらなる技術開発を進めてコストの低減を図ること、また積極的な導入支援を図ることが非常に重要であると思います。現在、政府としてどのような支援を行っているのか、また、今後支援をさらに強化していくべきではないかと思いますが、これは、経済産業省、また環境省の方からお伺いをさせていただきたいと思います。

渡邊政府参考人 まず、経済産業省におきましては、先導的な技術を用いた省エネ性能にすぐれたノンフロン機器を導入しようとします小売業などの民間事業者の方々に対しまして、当該設備導入の事業費の一部を補助して実証を進めていただいております。また、高効率ノンフロン型空調機器技術の開発を支援させていただいております。

 今後とも両省で適切に支援に取り組んでまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。

齋藤大臣政務官 環境省としましても、省エネ型ノンフロン整備促進事業ということで、省エネ自然冷媒冷凍等の装置を導入しようとする小売業者等の民間事業者に対して設備導入の事業費の一部を補助する制度をつくっておりますけれども、さらに経済産業省とも協力し合いながら深めていきたいと思っております。

江田(康)委員 今答弁をしていただきましたけれども、経産省においても、この技術開発はCO2等を使った新しい技術開発であります。これには当然、CO2は液化するためには高圧でなければならないわけでありまして、そういうような技術開発、そして先導技術実証。さらには、環境省においても、今政務官の方から答弁していただきましたけれども、整備促進事業としてあります。

 それぞれ、その予算の額を見ると、これは我々も反省するわけでありますが、経産省においては、技術開発で二・八億円、先導技術実証で四・七億円、それから環境省においては、整備促進事業で五・〇五億円でございます。私は、桁が一つ違うのではないかと思う次第であります。

 これからノンフロン型の技術開発や実証、そして実用化を図っていくということにおいては、これは支援措置としては本当にまだまだだなと思います。これは財務省に対して言わなければならないわけでございますが、今後ともしっかりとこの支援措置を図っていくこと、与党としてもしっかりそれは応援してまいりたいと思いますので、取り組みを強化してまいるようによろしくお願いを申し上げます。

 最後ではございますけれども、時間になってきております。

 このフロン法の改正は抜本的な改正だと思います。そういうような意味から、今後のフロン対策に向けた環境省の強い決意をお伺いして、終わりたいと思います。

田中副大臣 石原大臣から答弁すべきでございますが、予算委員会に出向いておりますので、お許しをいただきたいと思います。

 今も江田先生から御指摘がありましたように、対策費用の金額も本当に少ないという状況も、やはり我々政治家として深く考えなければいけないと思いますし、とにかく、フロンの十二年間の今までの流れというのは、はっきり言うと三割という数字でございまして、反省をしなければならないと思っております。

 今後、ありとあらゆる対策を講じて、とにかく実効が上がるように、真剣に環境省として頑張ってまいりたいと思います。

 ありがとうございました。

江田(康)委員 今回のフロン法の改正、抜本的な改革でございますが、環境省と経産省が協力し合って、フロン対策を一層強力に進めて、我が国の技術にしても制度にしても世界のモデルとなるように、成果を上げていただくことを念願しまして、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

吉野委員長 次に、井林辰憲君。

井林委員 自民党の井林辰憲でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 私ごとで大変恐縮でございますが、大学で私は環境工学を専攻してございました。環境問題に興味を持ったのが中学生ごろだと思いましたけれども、オゾンホールの問題、そして、大学に進んでからは、ちょうど京都議定書が締結をされまして、地球温暖化問題がクローズアップされたときでございました。今回、その両方に絡む法案の質問をさせていただけるということで、大変恵まれた機会だというふうに思っています。一生懸命質問をさせていただきますので、ぜひともよろしくお願いを申し上げます。

 フロン類につきましては、オゾン層破壊物質だということで、これまで数多くの取り組みがなされてまいりましたが、いろいろな取り組みのおかげをもちまして、オゾン層破壊の問題から、特に先進国では、代替フロンと呼ばれている、今回の法案の中心でございますHFCが現在主流となってきておりまして、地球温暖化対策へと焦点が移っているというふうに考えてございます。

 まず、確認をさせていただきたいんです。

 フロンと言われているCFC、HCFCについては、京都議定書における温室効果ガスとしては認定されていないということでございますが、代替フロンであるHFCについては、京都議定書における温室効果ガスと認定されているところでございます。

 京都議定書で、日本は一九九〇年比六%の削減を義務づけられているところでございます。経済産業省、また環境省、そして産業界の努力によりまして、HFC全体の排出量は減ってきていると認識をしているところでございますが、全体と、そして今回大きな焦点となってございます冷凍冷媒のHFCの排出量と申しますか大気中への漏えい量につきまして、そのボリュームと温室効果がCO2換算でどれぐらいあるのかといったことについて、今後の推計も含めてお答えをいただきます。よろしくお願いします。

関政府参考人 御指摘のとおり、HFCは、京都議定書の六種類のガスの一つ、温室効果ガスになってございます。

 CO2については一九九〇年比で議論されますけれども、HFCにつきましては国際的な基準年は一九九五年でございまして、この年に、我が国では全国でCO2換算で約二千万トン排出されてございました。

 その後、二〇〇四年には一千万トンまで減少いたしましたけれども、フロンから代替フロン、HFCへの代替が進みまして、その機器が大量に出回りましたので、また増加いたしまして、直近の二〇一一年度におきましては二千万トン程度になっております。このまま推移いたしますと、二〇二〇年にはCO2換算で倍増の四千万トン程度排出されるのではないかなというふうに考えてございます。

井林委員 ありがとうございました。

 そうしますと、やはり本法案が対象としていますHFCの対策ということが極めて重要だというふうに考えてございます。

 一方で、フロンの原料が蛍石だということも確認をして聞いているところでございますけれども、この原料につきまして、主要産地と近年の価格の動向などについてお答えください。よろしくお願いします。

渡邊政府参考人 フロン類の原材料でございます蛍石の供給国でございますが、主要供給国、中国、メキシコ、モンゴルの上位三カ国で世界全体八二%のシェアを占めております。特に、フロン類の製造に適した高純度の蛍石につきましては、シェアトップの中国に偏在しているわけでございます。

 フロン類の製造に多く用いられます中国から輸入される蛍石の価格につきましてでございますが、二〇〇〇年ごろは一キログラム当たり十円台前半であったものが、二〇〇八年以降は三十円台前半で推移と高騰する傾向にございまして、安定的な資源確保とともに、使用の合理化も重要ではないかと考えている次第でございます。

井林委員 ありがとうございます。

 そうしますと、原材料が特定の国に偏っているということも含めますと、HFCの対策も重要なんですが、やはり、脱フロン類、またはノンフロン類の冷媒使用推進が大変重要だというふうに考えてございます。

 また、フロン類対策は地球温暖化対策の一環と位置づけてもいいというふうに考えてございます。安倍総理もまた、施政方針演説で、最先端の技術で地球温暖化対策に貢献し、低炭素社会を創造していくとおっしゃっていますし、日本経済再生本部でも、攻めの地球温暖化外交戦略を進めるべきだというふうにおっしゃっています。

 本法案にも、我が国が世界に誇るトップランナー方式と、そしてそれに類似した方式が組み込まれてございます。我が国のフロン類削減も重要でございますけれども、さらに進んで、日本発のフロン製品の世界展開にも結びつくような、環境と経済が両立するようなフロン対策が必要と考えていますが、本法案における取り組みについて御説明をお願い申し上げます。

齋藤大臣政務官 井林委員と思いを共有させていただいております。

 冷凍空調機器の分野において、ノンフロン製品に関する技術、すなわちCO2などの自然冷媒を利用する機器の開発、製造に関する日本の技術は、世界でもトップクラスであると認識をしております。

 今般の法改正におきましては、製品のノンフロン化を推進するために、フロン類を使用している製品のメーカー等に対して、目標年度までに、同種製品のうちのノンフロン製品、これはトップランナー製品ですけれども、これへの一定の転換目標を定めまして、その目標の遵守を求めるという新たな規制を導入することといたしております。

 この仕組みそのものも、世界に先駆けた先進的なフロン類対策のスキームの導入だと思いますけれども、これによって日本におけるフロン類の排出削減に大きく寄与するというだけではなくて、この厳しい取り組みによりまして、国内メーカーが技術力を磨き上げて、日本発のノンフロン製品技術で世界市場にチャレンジできる、そういうものにつながっていくこととなると思っております。

井林委員 ありがとうございます。

 気負っていろいろ質問を用意したので、ちょっと時間が、僕もなれないものですから、申しわけございません。一つ飛ばさせていただきます。

 先般の報道などで、一部コンビニエンスストア、これは報道されていますので申し上げてもいいと思うんですが、ローソンなどでは、ノンフロンの代表格でありますCO2冷媒機器を試験的に導入している、今後さらに一段と進めていきたいというふうに考えているということでございますが、地球温暖化対策の取り組みについては、ヨーロッパでもかなり盛んに行われてございます。

 CO2冷媒機を、具体例等挙げまして、ヨーロッパでどれぐらい導入されているのか、我が国ではコンビニエンスストアでどの程度導入されて、また今後の見通しなどについて、わかる範囲で教えてください。

渡邊政府参考人 欧州におきますCO2冷媒を用いた冷凍冷蔵システム、二〇一二年時点での導入状況でございますが、民間調査機関によりますと、約千三百店舗が導入済みと承っております。

 我が国におきましても、官民の努力もございまして、冷凍冷蔵ショーケースなどではノンフロンの製品の開発が進んでおります。大手コンビニ、大手スーパーなど先進的なユーザーにおきましては、CO2冷媒を用いたノンフロン製品を積極的に導入し始め、今後も拡大する計画を持っているわけであります。

 こういう中で、本法案におきましては、ノンフロン化を制度的に推進する仕組みを設けることによりまして、今申し上げました先進的なユーザーのみならず、さらに幅広く我が国のノンフロン製品の市場が拡大するもの、こういうふうに期待をしている次第でございます。

井林委員 ありがとうございます。

 今お話がありましたように、CO2冷媒機では、民間の取り組みということで、具体的な台数まではということだったんですけれども、普及台ベースでいきますと、一気にヨーロッパ全体を追い越すことも可能だというふうに聞いてございます。

 そうしますと、産業振興という面から見ても、ノンフロン冷媒を一気に普及させて、この分野で世界のトップランナーになるということが、この法案もてこにして、可能だというふうに考えてございます。

 しかしまた、反面、ノンフロン化を進める意味で、その他の冷媒、いろいろな冷媒がこれから使われてくると思いますが、安全や効率、そしてコストというのもまた非常に重要な問題だと考えてございます。特に、今一部で実用化されていますプロパンガスなどの一部の新冷媒では、燃焼など安全面での課題もあるというふうに聞いてございます。

 これは今度、国民の安全ということにかかわってくるかと思いますが、温暖化対策とどのように両立させていくのか、その考えをお聞かせください。

渡邊政府参考人 御指摘のように、この一部の冷媒につきましては、冷媒が住居内に万が一にも漏えいし、爆発を引き起こす可能性があるわけでありまして、このために、やはり確実に安全性を確保するための技術開発が課題になるというふうに考えている次第であります。

 本法案に基づきまして、ノンフロン化を推進するに当たりましては、エネルギー効率、コスト、それから安全性、これらを重要な考慮要素としまして、国民の安全にも支障が生じないようにしたいと考えております。

井林委員 ありがとうございます。

 そうした技術開発ということも必要でございますが、一部もう既に実用化をされているということも聞き及んでございます。やはり、これからこの分野でトップランナーに立とうということを考えますと、国民の安全面というほかに、国際ブランドイメージということもあるかというふうに考えてございます。万が一にも事故などがあってはいけないということでございます。

 技術開発についてはいろいろな部署でやられていると思いますけれども、経済産業省では、別途、高圧ガスの保安規制ということもまたお持ちになっているというふうに思います。ここは経済産業省を挙げての対策が必要だと考えてございますが、その取り組みを国民の皆様にも、そしてぜひ世界のユーザーの皆様にも安心していただけるような御答弁をお願いしたいというふうに思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 新しい冷媒というものが開発をされ、また、それに伴いまして、市場に導入されるに当たっての安全確保というのが非常に重要だと思ってございます。

 今先生の方から御指摘のありましたプロパンガスを例にとりますと、基本的にはエアコン等の冷凍設備につきましては高圧ガス保安法の規制の対象としておりますけれども、一日に冷凍する能力が一定以下の小規模の設備であれば、法の適用除外としてございます。

 昨今、業界団体の方から、こうした小規模のエアコン、これは家庭用でございますけれども、その冷媒の入れかえの際に、メーカー等から指定されたもの以外のプロパンガスを使うというような事例があり、災害に至るのではないかという懸念も示されているところでございます。

 そうしたことも踏まえまして、我々経済産業省といたしましては、今年度から、こうしたプロパンガスも含めまして、新しい冷媒としての使用可能性のあるものにつきまして、使用実態の調査、それからこうしたものを使用することについての安全面での評価、そしてまた海外の規制の状況も踏まえまして、そうしたものを使用する際の規制のあり方というものについて検討をしたいというふうに思っております。

井林委員 済みません、大変心強いお答えをいただきましてありがとうございます。環境省、経済産業省を挙げて取り組みを進めていただいていることに改めて安心し、心強く思ったところでございます。

 ところで、ノンフロン製品の海外展開ということでございますが、当然、さまざまな形で政府が支援をしていくということも重要ですが、最後には、やはり民間企業がしっかり進出していっていただいて、そこで一定のシェアをとっていくということが大切かというふうに考えてございます。

 そうした中で、地球温暖化の問題もございます。多国間や二国間、さまざまな仕組みもまた別途存在をしているということでございます。こうした枠組みを活用して、技術協力または普及支援なども含めまして、官民一体となった今後の攻めの産業政策といいますか地球温暖化の外交戦略につきまして、取り組みと考えをお聞かせください。よろしくお願いします。

渡邊政府参考人 我が国発のノンフロンの海外展開を促進するために、まずはノンフロン化を促すための環境規制をグローバルに広げていきたい、このように考えている次第でございます。

 そのため、環境規制のグローバル展開の一環といたしまして、国際的なフロン類規制の枠組みでありますモントリオール議定書の中に代替フロンでありますHFCを含める、こういった方策も考えてまいりたいと思っております。

 また、途上国における市場拡大のきっかけづくりも進めてまいりたいと思っております。インドネシアのエアコン工場における冷媒転換の技術指導、支援を行うことといたしております。

 また、二国間オフセット・クレジットの活用も進めたいということでございまして、温室効果の低い冷媒を用いた空調機器の導入促進のためのフィージビリティースタディーをインドで実施するなどの取り組みを進めてまいりたいと考えておる次第でございます。

井林委員 ありがとうございます。

 最後の質問のところに来てしまったんですけれども、時間が余ったな、やはりなれないなというふうに思っているところでございます。まだまだ勉強不足でございます。大変申しわけございません。

 今、ノンフロン冷媒を使用する製品について、海外展開ということについて主としてお伺いをしてきましたが、この法案は国内の規制の法案でございます。やはり、ノンフロン冷媒を使用する製品について国内でしっかりと広めていく、または使っていただくということが最後の最後には大切になるのかなというふうに思ってございます。

 今でも、グリーン購入法などさまざまなルールを使って官側からもしっかりと需要喚起をして支援しているところだというふうに聞いてございます。

 最後になりますが、本法案は経済産業省と環境省共管の法律と認識をしてございます。政府一体となってどのような支援を実施されていくつもりなのか、その考えと決意を最後にお聞かせください。よろしくお願いします。

齋藤大臣政務官 今回の法改正におきましても、経済産業省と環境省は非常にいい連携でここまで来ることができたと思っておりますし、先ほど来からテーマになっております補助事業におきましても、両省が協力しながら進めてきているところであります。

 さらに、政府全体でいえば、お話がありましたように、財務省の御協力をいただかなくちゃいけないということで、田中副大臣とともに措置の面でも協力を仰いでいきたいと思っておりますし、今委員おっしゃったグリーン購入法に基づきまして、国等の機関において、ノンフロン対策も含めて、温室効果が低い冷媒を使ったものの購入を進めていくですとか、これはもう政府あるいは地方自治体を含めた取り組みになると思いますけれども、そういう取り組みを強化していきたいと思っております。

 この法律を通していただいて、施行の段階になりましたら、また政府一丸となって取り組んでいきたいと思っております。

 以上でございます。

井林委員 ありがとうございました。

 今後とも、このフロン類の対策、今既に出回っているものも含めまして、そして将来にフロンが出回らないようにするということも非常に大切な問題だというふうに考えてございます。

 ぜひともこの法案を通しまして一段の取り組みを進めていただきますとともに、多くの国民の皆様方にもそうした認識を共有していただくことをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

吉野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十八分散会


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