衆議院

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第10号 平成25年5月17日(金曜日)

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平成二十五年五月十七日(金曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 吉野 正芳君

   理事 泉原 保二君 理事 うえの賢一郎君

   理事 北川 知克君 理事 土屋 品子君

   理事 冨岡  勉君 理事 篠原  孝君

   理事 河野 正美君 理事 斉藤 鉄夫君

      穴見 陽一君    井野 俊郎君

      井林 辰憲君    井上 貴博君

      石川 昭政君    岩田 和親君

      小倉 將信君    大久保三代君

      小林 史明君    齋藤  健君

      清水 誠一君    助田 重義君

      藤原  崇君    荒井  聰君

      生方 幸夫君    小沢 鋭仁君

      阪口 直人君    樋口 尚也君

      杉本かずみ君    中島 克仁君

      野間  健君

    …………………………………

   環境大臣         石原 伸晃君

   農林水産副大臣      江藤  拓君

   環境副大臣        田中 和徳君

   環境副大臣        井上 信治君

   内閣府大臣政務官     北村 茂男君

   環境大臣政務官      齋藤  健君

   環境大臣政務官      秋野 公造君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            田中 俊一君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局長)            古屋 浩明君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 萩本  修君

   政府参考人

   (文化庁文化財部長)   石野 利和君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            實重 重実君

   政府参考人

   (林野庁次長)      篠田 幸昌君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           中西 宏典君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      糟谷 敏秀君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           秋本 佳則君

   政府参考人

   (環境省大臣官房長)   鈴木 正規君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   梶原 成元君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            白石 順一君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       佐藤 敏信君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  関 荘一郎君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            小林 正明君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  伊藤 哲夫君

   政府参考人

   (原子力規制庁次長)   森本 英香君

   環境委員会専門員     仲川 勝裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十七日

 辞任         補欠選任

  赤枝 恒雄君     清水 誠一君

  吉田  泉君     荒井  聰君

  江田 康幸君     樋口 尚也君

同日

 辞任         補欠選任

  清水 誠一君     赤枝 恒雄君

  荒井  聰君     吉田  泉君

  樋口 尚也君     江田 康幸君

    ―――――――――――――

五月十七日

 大気汚染防止法の一部を改正する法律案(内閣提出第四一号)

 放射性物質による環境の汚染の防止のための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第六二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

吉野委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局給与局長古屋浩明君、法務省大臣官房審議官萩本修君、文化庁文化財部長石野利和君、農林水産省農村振興局長實重重実君、林野庁次長篠田幸昌君、経済産業省大臣官房審議官中西宏典君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長糟谷敏秀君、国土交通省大臣官房審議官秋本佳則君、環境省大臣官房長鈴木正規君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長梶原成元君、環境省総合環境政策局長白石順一君、環境省総合環境政策局環境保健部長佐藤敏信君、環境省地球環境局長関荘一郎君、環境省水・大気環境局長小林正明君、環境省自然環境局長伊藤哲夫君、原子力規制庁次長森本英香君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

吉野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。荒井聰君。

荒井委員 民主党の荒井でございます。

 きょうは、環境委員会で質問させていただく機会をいただきまして、ありがとうございます。

 今、世界的に見て、私は、最も注目を浴びている日本の大臣は石原大臣ではないかと思っております。と申しますのは、あの原発事故で十六万人の被災者がいまだに地元に帰れないというか住居に戻れない、これは国際難民という認定になると思うんです。この国際難民が近代国家日本で発生をしていて、その解決にまだめどが立っていない。その大きな仕事は除染と健康管理です。この除染と健康管理をしっかりできるかどうかということが、私は日本の世界に対する発信の中でも最も大きな仕事だというふうに思います。

 原発事故というのは、メルトダウンを起こした大きな事故が過去に二つございます。ソビエトで起きましたチェルノブイリの原発事故、それから、アメリカで起きましたスリーマイル島の事故であります。いずれも、事故の解決をめぐって、国全体、社会全体が大きく変容するきっかけともなりました。

 スリーマイル島事故の際には、アメリカの当時の大統領はジミー・カーターであります。ジミー・カーターは、この方はアメリカの原子力潜水艦の設計技師でございまして、原子力に関しては非常に知見のある方であります。この方が、この事故を契機にして、アメリカの原子力政策を大幅に変えると同時に、世界のプルトニウム拡散の制度、システムというものをつくり上げました。それがIAEA体制であります。いまだに世界の核拡散の防止ということに関する基本的な条約になっていますし、また、そのシステムはIAEAという制度として定着をしているというふうに思います。

 二番目のチェルノブイリ事故は、この解決に当たりましてはソビエトは失敗したんですね。失敗をしたために、何万人という小さな子供たちを被曝させてしまいました。その原因が何だったのかということを追求していくと、結果的には、情報の公開がされなかったからだということに突き当たり、結局、ゴルバチョフはグラスノスチという政治的な運動をせざるを得なくなり、それが契機となって、ソビエトという国家は崩壊し、今のロシアになったわけであります。

 それに匹敵するぐらいの大きな事故が今度の福島第一事故であります。

 アメリカやソビエトで起きた事故は、原子炉一基だけのメルトダウンでありますが、今回の場合には、世界じゅうの原子炉の安全対策を担っていた人たちが、最も避けなければならない複数ユニットの事故ということを常々警戒していました。その複数ユニットの事故がこの福島第一原発で起きたわけであります。

 この事故の解決を日本はどう行うのか、安全対策をどのように再構築するのか、そして何よりも、被災者対策をどうするのかということを世界じゅうが注目しているということであります。国会の原発事故調査の黒川委員長が、世界じゅうを回られて、その感を深くして帰られたということをあちこちで報告されていますが、そのとおりだと思います。

 今まで一千億か二千億くらいの予算官庁であった環境省が、一挙に一兆円以上の予算官庁になりました。これを担っていく、あるいは急速に体制を整えていくためには大変な御努力が要るだろうと思います。その陣頭指揮をとられる石原大臣には、大変な御苦労があると思いますけれども、ぜひ世界じゅうが注目をしているということを認識していただきたいと思います。

 そこで、私はたびたび福島へ行くんですけれども、大臣は福島に大臣就任後どのぐらい行かれましたか。また、大臣就任後、福島に滞在したことはございますか。それをまずお聞きしたいと思います。

石原国務大臣 泊まったことも含めて、七回、十日ほど現地に行かせていただいております。

荒井委員 滞在したことはないんだろうと私は思います。

 福島の人たちにとっては、福島にぱっと来てぱっと帰るというのではなくて、一晩泊まってじっくりと福島の人と話をしてほしい、あるいは、福島の人たちが今何に苦しんでいるのかということを、本当に寄り添うということであるならば、福島にぜひ滞在してほしいということを強い気持ちで語っております。私は、石原大臣にもぜひそういう行動をとられるように要望しておきたいと思います。

 ところで、今、環境省の職員が除染作業で大変悩んでおります。苦しんでおります。

 一番悩んでいるというか回答しにくいということは、現場に入ったときに、地元の人たちからこう聞かれるのだそうであります。一体何ミリシーベルトになったら、あなたではなくて、あなたの息子さんやお孫さんをここに住まわせることができますか、それについて回答してくださいよと。除染の責任者が必ず言われる言葉だそうであります。そして、その際に除染の責任者がいつでも答えに窮する質問だそうであります。

 除染の最高責任者としての石原大臣、この言葉が地元からなされたときに、どうお答えになりますか。

石原国務大臣 申すまでもなく、除染は福島復興の大前提でございます。極めて重要な事業、環境省としてもできる限りのことをさせていただく。誠心誠意ということしかないのではないかと思っております。

荒井委員 恐らく、それでは地元の人たちは納得しないと思います。

 今、除染の基準が、二十ミリシーベルト以内ならば住んでもいいですよということを国としては示しているわけですが、しかし現実には、除染は一ミリシーベルトを目指すということをも片一方では言っているわけですね。

 二十ミリシーベルトという基準は、これは原子炉の中で働く人たちの年間の被曝線量の基準です。その線量をもって、二十ミリシーベルトで大丈夫ですよという説明をしたときに、それは確かに五十、六十の人たちにとってはそれもいいでしょう。しかし、子供や妊婦さんについて、二十ミリシーベルトで帰ってきてくださいと本当に言えますかという質問なんですよ。もう一度お聞きします。

石原国務大臣 空中放射線量については、いろいろな方にお話を地元でお聞きしましても、本当にさまざまな意見があるんだと思っております。

 放射性物質の安全性については、除染を行うということのほかに、帰還やインフラ整備、あるいは、それで安全なの、大丈夫なのといったような風評など、多くの分野にかかわる課題であると承知をしているところでございます。

 これをどうこうということではなくて、原子力災害対策本部において、実は復興大臣から次のような御提言があったわけであります。線量水準に応じた被曝対策の具体化を原子力災害対策本部において議論すること。それが、今委員がおっしゃられた一ミリシーベルトあるいは二十ミリシーベルトというような話だと思っております。こうした検討に当たっては、原子力規制委員会が科学的、技術的な見地から役割を果たすこと。御存じのとおり、原子力規制委員会は独立した三条機関でございますが、環境省の外局として、原子力規制庁がその事務をつかさどっているところでございます。

 今、そのような中で、委員が御議論をされた問題について、さまざまな御意見の中で、何がこれから必要であるのかということの議論がなされている、こんなふうに承知をしているところでございます。

荒井委員 余りこの問題について議論しても、回答は今のところそこまでしか出ないんだと思うんですね。これは大変難しい問題なんです。

 低線量被曝の影響調査というのは、ちゃんとした定説がないんです。いろいろな学者によっていろいろなことを言いますので、それがまた地域の人たち、被曝者に対する大きな不安の種になっている。でも、これはいつかどこかでというか、もう二年もたっているわけですから、政府として、あるいは安全を担う環境省として一定の回答というか答弁をしっかりつくらないと、現地で働く人たちの障害になってくるというか支障になってくるということを指摘しておきたいと思います。

 ところで、私はたびたび福島へ行きまして、除染を実施している現場を見たり、あるいは除染の責任者の方々の話を聞くことが多々ございます。

 この除染を担っている人たちというのは、決して放射能の専門家でもなければ、あるいは場合によっては環境省プロパーの人でもありません。ほかの省庁から、ある意味では、福島に御縁があったとか、あるいは意気に感じて福島の除染作業に従事をするということで参加してくれた人たちが多々おられます。

 この人たちは、お年を召した人の方がいいだろうということもあって、再任用という人たちが責任者を担っていることが多々ございます。ただ、再任用制度ということから、再任用された途端に給与がどんと下がるとか、あるいは単身赴任手当がなくなるとか扶養手当がなくなるといったような、働く環境がどんと下がった形で担わざるを得ない。しかも、地元対策は東京電力と政府は一体というふうに見られているようで、非常に厳しい環境の中で住民対策をせざるを得ないということも実態であります。

 これらをバックアップしていくのが環境省の大きな仕事だと思います。霞が関の仕事だと思います。これらについてどのように大臣としてお考えなのか、お聞きをしたいと思います。また、人事院もきょう来ていると思いますけれども、処遇などについて人事院としてどのような対策をこれまで講じてきたのか、それらについてもお聞きしたいと思います。

石原国務大臣 私たちは、公務員の数をただ単に切れというようなことは間違いだとかねがね申しておりました。

 前政権で、残念なことに、このような非常事態が起こっているにもかかわらず、環境省の増員というものは認められませんでした。そして、安倍政権になりまして、その上限を取っ払いまして、必要なところには必要な人間をできる限り配置していく、そういう体制で今取り組ませていただいております。福島県に設置をしております福島環境再生事務所ですか、二十五年度から定員で百名の増員をして、規模を拡大しております。

 そんな中で、ただいま委員が言われたような問題を克服していかなければならないと考えておりますが、環境省という役所はこれまで規制官庁でございまして、公共事業の発注についてのノウハウは大変乏しいと思っております。他省庁の協力あるいは民間の協力というもの、またOBの方々の協力というものを得ない限り、その人員を十分に満たしていくことが難しいという現実がございます。

 ぜひ、荒井委員におかれましても、この福島の問題、必要なところに必要な人員を、公務員の数をただ単に減らすというのではなくて、割けるように御協力をいただきますように、心からお願い申し上げます。

古屋政府参考人 再任用職員の給与ということでございます。

 これは一般的なお答えになるわけでございますが、定年前の職員と同じような仕事につく、福島でもそうでございますが、ということで、現在、俸給表につきましても、職務の級の決定に当たりましても、定年前の職員と同じような形で決定させていただいているということでございます。

 現在の再任用制度につきましては、定年後に改めて採用されるという観点から、その水準等につきましては、民間の高齢労働者の賃金水準などを参考に決めさせていただいているというところから、定年前の水準よりは下がるということでございます。職務関連の手当については支給しているところでございますが、これについても、六十までのライフステージに伴う諸手当等については支給しないということでこれまで整理してきたところでございます。

 なお、これにつきましても、来年度から雇用と年金の接続という観点から、改めて諸手当等につきましても職務の実態等を踏まえて検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。

荒井委員 今、人事院からも話がありましたけれども、環境省としても、きのう、別の委員会で塩崎さんが規制庁のいろいろ指摘をしておりましたけれども、その大きなものがJAEAですね。JAEAを国家公務員にするべきだということを強く指摘しておりました。

 確かに原子力規制委員会法をつくるときにこれが附帯条件として付されていたんですけれども、JAEAのすぐれた技術者というのはやはり六十歳以上なんですね。そういうことで、恐らく再任用というシステムを使わざるを得なくて、再任用制度を使えば給与も下がるという形で、現実的に難しい問題をたくさん抱えているんだろうと思うんです。

 このあたりは、今の国家公務員制度、あるいは人員、定員のあり方、給与水準のあり方というのは、政府全体として私は考え直すべきではないだろうかというふうに思っておりますので、ぜひ石原大臣にもその方向で御尽力いただきたいなというふうに思います。

 ところで、除染の進捗状況なんですけれども、あるいはその効果ということについて、現状どうなっているのかということ。予算は一兆円と十分ついているんですけれども、執行するのはなかなか難しいのではないだろうかというふうに思います。達成度も決して高いとは言えない。特に、個別の住宅については思ったほど進んでいないのではないかというふうにも思います。

 全体としてどの程度除染作業が進んでいるのか、今後の見通しはどうなのかということを、これは政府参考人でも結構ですので、お答えください。

小林政府参考人 除染作業についての進捗でございます。

 国が直接事業を実施しておりますいわゆる直轄の地域、対象十一市町村の全部または一部でございます。このうち九市町村で計画の策定を終わり、そのうち六市町村で除染の作業を今実施中でございます。二市町村につきましては、今事業者の選定中という段階でございます。

 また、市町村に実施をしていただくその他の地域、これは関東の数県にも及ぶわけでございます。九十四市町村ございますが、これにつきましては、計画を立てる意思をお持ちのところは全て計画を策定し、実施中ということでございます。

 具体的な進捗につきましては、町のいろいろな事情がございまして、かなり速やかに進んでいる部分と、それから、例えば仮置き場の確保その他苦労しているところとばらつきがございます。

 事業の予算の執行状況ということで申しますと、平成二十三年度は、先行的な事業、モデル的なものから始めたというような事情がございますが、執行率としては約四割でございます。二十四年度については、その積み残した分も含めてかなり進捗したものと思っておりますが、精査はこれからでございます。

 また、大きくは、実施計画は二十四年度、二十五年度で、特に生活回りのところなどを実施するということでございますので、それに沿ってしっかり進捗をさせていきたいというふうに考えているところでございます。

 また、除染の効果でございます。

 これも、実際、作業が終わって結果を出しておりますのは二十三年度の事業でございますが、いろいろな手法がいろいろな場所で展開をされます。例えば、アスファルト舗装面での洗浄ではどうか、表土を剥ぐとどうか、こういうことを地域ごとに検証しておりまして、低減率は、五〇%から、成績がいいものは九〇%というような状況でございます。

 そういう意味で、一定の効果が確認されたと思っておりますが、二十四年度は面的な除染を展開しておりますので、引き続き、こういった効果についてはしっかり検証していきながら、事業の進捗も努めてまいりたいというように考えているところでございます。

荒井委員 先ほど私の質問でJAEAと言いましたけれども、これはJNESの誤りでしたので、訂正しておきます。

 ところで、除染にかかわる暫定法では、二十五年度までに除染を終わらせるというのが法体系の中の全体としての位置づけなんですけれども、今のところ二十五年までに、つまり、今年度いっぱいで終わるということは私は実態的には不可能だろうと思うんですね。二十五年ということを前提としていますから、全てのことが暫定的な措置になっているんです、事務所のあり方にしても人員の配置にしても。これは抜本的に見直すべきではないだろうかというふうに僕は思います。

 このあたりについて、大臣としてはいかがお考えでしょうか。

石原国務大臣 民主党政権下におつくりいただいた計画にのっとって、二十四年度、二十五年度の二カ年で除染を実施するということに変更はございません。まずは全力でこれに取り組む。

 そして、ただいま荒井委員が御指摘されましたとおり、進んでいるところと全く手がつかないところがあるのは事実だと思います。

 そんな中で、計画期間の半年前でございますことしの夏ごろを目途に、委員の御指摘のとおり、実施状況をやはり点検して、スケジュール等々がこれで大丈夫なのか、そういう検証をしっかりやっていかなければならないですし、必要ならば見直しも行わなければならないと考えております。

荒井委員 もう一年たっているわけですから、前の政権でつくり上げたものはそれはそれとして、現在実施をしている所管担当の大臣として、それが実際、現実的に可能かどうかということをぜひ検証して、今のような暫定的な手法ではなくて、もっと腰を据えた対応策をとらざるを得ないのではないかということを指摘しておきます。

 ところで、除染の問題で、執行がなかなか難しいものに、中間貯蔵施設の配置についての問題が必ずございます。

 私どもは、原発PTという民主党の中でつくったPTの中で、原発周辺を国有地にするべきではないかということを提言したことがございますが、残念ながらその提言は取り入れられませんでした。しかし、国有地化も含めて、中間貯蔵施設のありようについては何らかの法整備が必要なのではないだろうかというふうに私は考えておりますが、大臣、いかがでしょうか。

石原国務大臣 ただいま荒井委員のお話を聞かせていただいておりまして、御党の方の調査会でございますか、そこで提言されたことを当時の政権が採択していると今の状態はかなり違ったんじゃないかというのは、率直な印象を私としても持たせていただいているところでございます。

 そして、環境大臣として中間貯蔵施設を担当しているという立場から言わせていただきますと、きょうからボーリング調査等々もスタートいたします。予定地となった土地を適切な補償により地権者の方々から買わせていただく、その仕組みは、まずは官民の関係で買わせていただくということからスタートをさせていただこうと考えております。

荒井委員 中間貯蔵施設のあり方については、環境省は全力を挙げて取り組むべきだ、必要な法整備についても検討を行うべきではないだろうかというふうに私は思います。

 その際に、国有地化をするとすれば、今の賠償というシステムではなくて、純粋な補償、買い取り、そういう制度が必要になってくるわけです。これは、東京電力の経営問題なりあるいは今の支援機構法の関係でさまざまな問題を呼ぶと思うんですけれども、ここは経産省としてはどうお考えですか。

糟谷政府参考人 まず、賠償につきまして、ことしの三月から、避難指示対象区域につきまして、宅地建物等の財物賠償の請求手続が開始をされております。経済産業省といたしましては、被害者に対する財物賠償をまずは迅速にお支払いできるように、東京電力に対し最大限促してまいりたいと考えております。

 他方で、中間貯蔵施設の用地買収につきましては、今後、環境省により示されます用地賠償基準に従いまして買収が行われるというふうに考えております。

 いずれにしても、経済産業省といたしまして、中間貯蔵施設の建設が円滑に進むことが非常に大事だと考えております。賠償が中間貯蔵施設の事業の推進の支障とならないよう、また、東京電力の経営、そういったことがそういうことの妨げにならないように、環境省との協議も含め、しっかりと対応してまいりたいと思っております。

荒井委員 ぜひ経産省も全面的に環境省に支援をするように、私からも要請いたします。

 ところで、皆さんのお手元に、河北新報の昨年の十一月二日の記事を参考資料として持ってまいりました。これは、地元とそれから環境省との間で、除染水の処理をめぐって溝があるということが書かれているんです。どういうことかというと、除染をしたときに、水を使うことが多いんですけれども、高圧水を使って、その出てきた水についての排水基準がないということを書いている記事であります。

 私は、環境省の最も基本的な法律というのは水質汚濁防止法とか土壌汚染防止法だとかそういう法律なわけで、その法律の中に、括弧書きで放射性物質は除くと書いてあるところに問題があったわけでありますね。

 水質汚濁防止法の原点みたいなものが環境省の基本的な理念だと私は思うんですけれども、そうしますと、除染をした、使った水の排水の基準がないということが非常に不可思議に思うんです。なぜ設定をしないのか。設定をしないということで、非常に地域の住民の方々が不安に思っているという状況なんですね。

 これは、オンサイトから出てくる排水についての基準があるわけですので、それを直接使うかどうかは別にして、私は、環境省として設定することの方が極めて自然だと思うんですけれども、そこはどうお考えでしょうか。

小林政府参考人 除染の手法につきましては、いろいろな手法がございますので、その効果を確かめながらやっているところであります。その中で、実際、特に市町村除染では、現場に当たっていただく市町村の御意見もかなり幅広く聞いて、やっているところでございまして、ガイドラインなどに反映するようにやっているところであります。

 水で洗浄する手法については、水の回収の問題などもありますので、余り使わない方がいいという考え方もございます。ただ、現実的にはかなり有効な手法として使われておりますし、そういう御希望も強いということで、やり方については順次整理をしてきているところでありまして、今回のガイドラインの改定でも、きちんとためまして沈殿させるとか、そういった方法論の基準は設けたところでございます。

 濃度をはかるということにつきましては、はかるというふうにした場合、どこかの検査機関に持ち込んでやらなきゃいけないというようなことで、現実的にはかなり困難な面がございます。

 そういう意味で、しっかり手法を定めて、それに沿ってやっていただくということで、また新たにこれを使っていきたい、そういうふうに考えているところでございます。

荒井委員 私は、もう一歩踏み込むべきだと思います。排水ということは、今、福島のオンサイトから出てくる水についても非常に関心を持たれているとかそういう状況ですから、除染が大規模に行われるようになれば、この除染水の排水基準がないということは、私は、環境省として問題があるというふうに指摘をされるのではないかというふうに思います。

 時間がないので、最後の質問に入ります。

 実は、低線量被曝の問題についても、あるいは除染の技術の問題についても、日本は知見がないんですね。やったことがないんですから、当然であります。これをやったことのある地域というのは、チェルノブイリの事故の地域であります。今の国でいうと、ベラルーシとウクライナなんです。このベラルーシとウクライナの知見を積極的に活用するということで、昨年、ベラルーシと原子力災害のデータの交換をする協定を結んだんです。

 しかし、それらは十分に使われているのかということになると、どうもそうではないのではないか。最も必要な環境省がベラルーシやあるいはウクライナのそういう知見をもっと積極的に活用するべきだというふうに考えておりますが、最後に大臣の御所見をいただいて、私の質問を終わります。

石原国務大臣 今の荒井委員の御指摘は、大変的を得た御指摘だと思っております。

 そういう意識を私ども持っておりまして、この五月のゴールデンウイークに、井上副大臣と秋野大臣政務官をチェルノブイリに派遣いたしまして、現地の視察、要人との意見交換等々を行って、今委員が御指摘のあったようなことのないように、すなわち、情報をしっかりと掌握し、それを政策に反映できるような体制を整備させていただいているところでございます。

荒井委員 この両国の除染あるいは健康管理に係る基本法律というのが、チェルノブイリ法という法律です。このチェルノブイリ法を見習ってつくり上げたのが、子ども・被災者支援法という法律であります。この法律ができたんですけれども、実施計画がつくられていないんです。したがって、実質的には機能していないということであります。

 地元民やあるいは避難者にとって最も期待されている法律がいまだに機能していないということは、私は、ある種の行政の怠慢ではないかというふうに思いますので、環境省としても、これは担当省庁が違うかもしれませんけれども、積極的に推進するように努力されることをお願い申し上げまして、私の質問といたします。

 ありがとうございました。

吉野委員長 次に、冨岡勉君。

冨岡委員 おはようございます。私は、自由民主党の、長崎出身の冨岡勉と申します。

 きょうは、海の環境について、特に、私たちが抱えます有明海、諫早湾問題等を勘案しながら、環境省そして農林水産省に対して質問をさせていただきたいと思います。

 私、きょうは資料を用意しておりますので、後ほど説明しますが、この委員会でも、諫早湾問題というのは一体何だったかなと思われている方も随分多いと思います。それで、その説明を兼ねてやってまいりますので、どうぞ御清聴をお願いしたいと思います。

 諫早湾といいますのは、資料一に示しますように、このカラー写真ですが、ちょうど東京湾に匹敵するぐらいの湾で、長崎、佐賀、福岡、熊本に囲まれた内海でございます。

 諫早干拓事業というのは、昭和二十七年に長崎大干拓構想として、戦後の食料不足を解消する目的でスタートされましたけれども、昭和五十七年に漁業関係者との補償等を経て、昭和六十一年に、優良農地の確保、そして防災という面を目的として干拓事業が着手されました。そして、実に着工から二十二年を経、二千五百三十億円の巨費を投じ、平成二十年三月に完成した事業でございます。

 なぜこういうことをやったかというと、昭和三十二年に諫早に大水害が起こり、六百名以上の死者を出しました。高潮とかゲリラ豪雨の被害から身を守るために、あるいは、海水の逆流を防ぐ樋門といいます、小さな河川に小さな門、樋門の開放を深夜、早朝を問わず行ってきました。眠れぬ夜を過ごしてきた周辺住民は、潮受け堤防、一番外側の堤防、これはもう今道路になってバイパスがわりに使われていますが、これを潮受け堤防と呼びます。外側の潮位というのは、有明海は非常に干満の差が大きい海でございまして、干潮と満潮との差が六メートルにも及ぶ地点がございます。

 そういった状態というか自然環境の中で、潮受け堤防を常に標高マイナス一メートル、いわゆる流れ込む水を引いてあるような、ちょっと言えば陰圧で引くようなそういう池をつくってやって、洪水のとき大量に流れ込む水をそこで一旦受けとめ、大潮のとき、これは逆流してきますから、そういうときにも洪水にならないように調整している池でございます。

 そういうものが完成した結果、水田や道路の冠水が起こらなくなり、豪雨のときにも安心して眠れる夜を迎えられるようになった、そういう地点でございます。

 ちょっと資料の一を見てください。ただ、ここでちょっと見ていただきたいのは、有明海全体に占めるこの海水面の面積はわずか三%であること、そしてここに、上空から見てわかるように、ノリひびというんでしょうか、養殖のノリが盛んにつくられている地点でもありまして、これが有明海の二〇%に及ぶ海水面を使っているところであります。

 資料の二をごらんください。これが今説明しました状態の図でございまして、締め切り前は、人家、そして、地先干拓といって、ずっと干潟を干拓して農地をつくっていた地域でございますが、小さな堤防がありまして、そこを越えて、例えば昭和六十年八月の台風十三号のときには、何と潮位が三メートルを超えまして、水田が冠水したこともございました。

 これが、資料二の左下を見ると、締め切り後はこの潮受け堤防により遮断され、同じような潮位、三メートルを超える潮が満潮時に押し寄せてくるんですが、見事それを防ぐことができ、冠水から免れるという状態が、今ほとんど被害が発生しない状態になっております。

 また、営農の面では、資料三を見ていただければと思いますが、この六百六十六ヘクタールに及ぶ優良農地は、二毛作というんでしょうか、いろいろな野菜、果物類をつくって、有効耕地利用率は、全国平均九二%のところを、一・七倍、ほぼ二回土地を使えるようになっております。耕作物にしましても、二万一千トン余りの収穫を認めるようになってまいりました。

 また、資料四でございます。これは、干潟で非常に魚介類が豊富にある。貝柱をとるタイラギ、そしてアサリですね。タイラギも前は大変よくとれていたんですが、今、ようやくそれが復活しようとしています。

 また、資料五。これはカキですね。華漣という名前がついておりますけれども、コンクールで日本一のカキを生産するようになりました。

 何が申し上げたいかというと、当時、私も、この干拓事業が始まったときは、干潟が本当に死んでしまう、ムツゴロウ裁判等も見ましたけれども、これは大変なことをやっているんじゃないかなと思っておりましたけれども、現状を見る限り、営農も防災面も非常にうまくいっているという認識があります。

 そして、県民、特に諫早市というのが一番のこの影響をこうむる市でございますが、諫早市の住民の方は本当に安心して眠れるようになった。夜中、早朝に起きて樋門を閉めるようなこともしなくていいというようなことをおっしゃっておられます。

 ところが、こういう状態があるにもかかわらず、実はいろいろな訴えが出てまいりました。

 資料を見てください。今度は資料の六ですね。平成九年に潮受け堤防が締め切られました。皆さんテレビでよく見られたように、とんとんとんとんと鉄板が海水の中に打ち込まれていき、干拓事業が最盛期を迎えるわけで、これはギロチンという言葉で、海水性の生物を殺してしまうようなイメージを強く持たれたと思います。

 確かに、そのときはそういう意見もございましたけれども、実は、この潮受け堤防を締め切った、それが原因だということで、佐賀の漁業者の皆様から訴訟が起こります。その理由は、締め切ったために海流の速度が遅くなり、ノリ等が被害をこうむっている、したがって、直ちに潮受け堤防を撤去し、もしくは、潮受け堤防の中の水を出し、全開しなさいというような訴えが起こされました。

 資料六を見る限り、よく見てみると、確かにこの緑色のノリ類の生産は減っております。減っておりますが、このときにはいろいろな工事が行われ、いろいろな原因が取り沙汰されたんです。私も、これを見る限り、あれはやはりまずかったかなというようなそういう疑念を持った時期もございますが、次の資料七をごらんください。

 実はよくよく見ると、ノリ類は、その後も増産というんですか、豊漁が続きます。そして、考えてみるまでもなく、魚類や貝類は、この門とは関係なく減少を続けていることがはっきりするわけでございます。つまり、訴訟の前提に立った潮受け堤防の締め切りは、こうして見ると関係ないのではないかということが言われるようになりました。

 しかしながら、常時開門を認める福岡高裁の判決に対し、平成二十二年十二月に当時の菅直人総理大臣が、実は、環境アセスメントをちゃんとしなさいといういろいろな意見があって、そのアセスメントの調査中に、結果が出ないにもかかわらず、福岡高裁の判決を受け入れてしまった。地元はびっくりしたわけでございます。

 そこでまず、当時の農水省、環境省を含めて、有明海の漁業不振は諫早湾の締め切り堤防が原因だ、そういった訴訟に対して、あるいは高裁判決に対して、菅元総理が高裁判決を突然受け入れたことに対して当時はどのような対応をとろうとされていたのかをお尋ねしたいと思います。

實重政府参考人 お答えさせていただきます。

 平成二十二年十二月六日、福岡高裁によりまして判決が出ました。その内容が、判決確定の日から三年を経過する日までに、防災上やむを得ない場合を除き、北部及び南部各排水門を開放し、以後五年間にわたって開放を継続せよという判決でございました。

 これに対しまして、当時の農林水産省といたしましては、上告して和解の道を探ることを含めて対応したいという考え方でございまして、その旨、当時の菅総理に対しても申し上げたわけでございますが、総理の判断により上告をしないということになりまして、平成二十二年十二月二十一日に判決が確定したものと承知しております。

 その際、地元に対して悪影響を及ぼさないために万全の対策を行うということを表明しておりまして、その後、当時実施中でありました環境アセスメントを進めまして、準備書素案、準備書、評価書と段階を経てつくってまいりました。その過程で、地元関係者と対話をさせてきていただいているところでございます。

冨岡委員 そのとき、県と地元と国が一緒になってやはりこの事業を進めていたわけで、当然、上告して最高裁で争おうとしていた。これは今の考えではどうなりますか。今は全く逆に開門をしないということで行動をとられているようですが、現在の行動のもととなる考え方をちょっとお聞かせいただければと思います。

實重政府参考人 先ほど申し上げました福岡高裁判決がございますが、三年を経過する日までに、以後五年間にわたって開放を継続せよ、この判決は既に確定しております。確定した法的義務を国が負っておりますので、これを履行することが必要だと考えております。

 その際、これを開門いたしますと地元に悪影響が及ぶおそれがあるということで大変御懸念が強く表明されておりますので、これに対して、防災上の懸念、それから営農上の御懸念、漁業上の御懸念、それぞれそういった地元に被害が生じないように、このアセスメントによりまして対策等も検討いたしまして、御提示させてきていただいているところでございます。

冨岡委員 今までとは全く逆な行動パターンをとらざるを得ないという判決が出てしまったので、私自身は、大変困っているんじゃないかなというふうに推察するわけなんです。

 というのが、その後、アセスメントの報告、あるいは、いろいろな魚介類に悪影響を及ぼす貧酸素塊というのがある。貧酸素塊等の発生を調べていくと、例えば有明海というのは、佐賀とか福岡県の奥の部分にいろいろな貧酸素塊ができてきます。ただし、諫早湾のところのものは小さくて、ほとんど有明海に影響を及ぼさない、こういう事実が出てまいります。

 そしてまた、潮流の変化、海流の変化というんでしょうか、それは何が一番今影響が多いということになっていますか。

小林政府参考人 有明海の環境問題につきましては、法律に基づく委員会もございますし、いろいろな検討がされているところでございます。

 ちょっと今のお尋ねに的確なお答えになっているかどうかあれでございますが、平成十八年の有明海・八代海総合調査評価委員会の委員会報告では、「諫早湾干拓に伴う地形変化により、諫早湾内での潮流速は二〇〜六〇%減少し、有明海中央部で潮流速は五%減少する」というようなシミュレーション結果を得ております。

 ただ、有明海全体の環境悪化の原因については、まだ引き続き議論が行われているというふうに認識をしております。

 また、潮流に影響を与えるものというお尋ねでございまして、これが一つの調査の結果ということで御報告を申し上げますが、環境省が平成十九年から二十一年に行いました有明海貧酸素水塊発生シミュレーションモデル調査という中で、こういった貧酸素の水塊が発生するその大きな原因として幾つかのものが挙げられておりまして、河川からの流入の負荷、あるいは二枚貝の資源量、それから、月の昇降運動に伴って、潮汐、干満が大きな振幅を来す、そういうようなものがございます。

 そういう中で、振幅、これは大きな十八年というような周期で動くわけでございますが、最も小さい二〇〇五年、六年というようなときと、直近というか、これから近いところですと二〇一五年が最大になるわけでございますが、そういう条件を与えますと、潮汐の増大によってかなり流速というものが増大をする。そのことは、貧酸素水塊ということについては影響を緩和する効果を持つというような調査結果も出ているところでございます。

 いろいろなものを継続しておりますが、議論としては、引き続き専門家の間で議論を進めているというような段階でございます。

冨岡委員 一言で言うと、堤防で締め切ったのは余り影響を及ぼさないということなんですね。潮汐の変化には影響を及ぼさない。つまり、月の引力の方が、当たり前なんですけれども、そういう結果が出ています。したがって、開門をする必要がないのではないかというのが地元の考えなんです。

 実は、平成十四年に既に、短期的ではありますけれども開門調査を行っています。そのときには諫早湾の奥でアサリへの被害が出ておりますが、大きな影響を有明海全体に及ぼす結果は出ておりません。この点について、開門調査を行った事実は認識しておられますか。

實重政府参考人 委員御指摘のとおり、平成十四年に短期開門調査を行いました。これは二十七日間の調査でございまして、その際のデータ等をもとに、その他の知見も加えまして有識者等による検討を行いまして、そういったプロセスを経ましても結論が得られなかったというような経過がございます。

 その後、干拓事業完了後の平成二十年に佐賀地裁の判決によって、国は開門すべしという判断が、その時点で、平成二十年に判断が示されております。このときは控訴をいたしました。

 それと同時に、開門した場合の影響を評価するため環境アセスメントを行うという方針を打ち出しまして、その後、三年以上かけまして環境アセスメントを行ってきたところでございます。

冨岡委員 要は、当時も、短期ではありますけれども開門調査をして、よくわからなかった、あるいは長期的に開門する必要はないだろうという結論を出しているんですよね。

 では、今度の開門調査というのは一体何を調査して何をしようとするのか、これが理解できないんですが、いかがでしょうか。

江藤副大臣 先生には、この件につきまして多大の御指導をいただきまして、本当にありがとうございます。

 私、大臣からこの件を担当するように命じられておりますので、私からお答えをさせていただきますが、いろいろ期待されていることはこの模範解答の中には書いてあります。水がまざっていいとか、魚介類がふえるんじゃないかとか、定点調査も百カ所以上やる、いろいろ書いてありますけれども、大臣と地元にも行かせていただいて、長崎にも佐賀にも一緒に参りましたけれども、今、補正予算では見送りましたが、当初予算では予算要求をしまして、発注をして、入札も順次進んでいるわけでありますけれども、先生から御説明があった優良な農地、そして先人の御努力、そういったものが水泡に帰すようなことはやはり何としても避けねばならないんだろうということは、強く我々農林省としては考えております。

 ですから、淡水化施設等の整備を進めたいということで予算要求し入札をしているわけではありますけれども、しかし、これも地元の方々の御理解と御協力がなければ無理強いのできることではありません。先月のちょうど今ごろでしたが、漁連の会長もまた農林省にお越しになりまして、カキをいただきました。おいしいカキをいただきまして、何とか頼むよということを大臣と私に申し上げられて帰られたわけでありますけれども、何とか、お許しをいただければ長崎にも何度でも足を運ばせていただいて、地元の御理解をいただきながら、しかし、残念ながら、司法というものは厳然たるものでありまして、法治国家でありますから、国家といえども、判決が確定した以上は国としての姿勢は示していかなければならない、この点については御理解を賜れればありがたいと思います。

冨岡委員 我が国の裁判制度は三審制をとっていますね、地裁、高裁、最高裁と。ただ、問題なのは、菅元総理がいろいろな調査結果がまだ出ない前に高裁判決を受け入れたことに起因するものと思います。したがって、今、それに対抗するように、開門差しとめ請求訴訟を地元で起こしております。それが結果が出るのが十一月でございます。したがって、国としては、判決結果を見て、これは菅元総理がみずから罪を認める、罪じゃないんだけれども、冤罪だと私たち地元は思っています。したがって、地元の長崎地裁あるいは高裁、そして最高裁での判決が出れば、これは地元も佐賀も従う、仄聞するところによるとそういうふうに聞こえておりますので、ぜひそのようにしていただきたいと思っておりますが、石原環境大臣のコメントというか、お考えが何かあれば最後にお聞かせいただければと思います。

石原国務大臣 開門、閉門の話は所管外でございますが、ただいまの議論を聞かせていただいておりまして、地元の方々のニーズと必ずしも政治家の決断というものが合致をしていない、さらには、環境アセスの最中に、結果が出ない中でパフォーマンスに走ったことによって大きな混乱を招いている、そんな印象を討論を聞かせていただいて持ったところでございます。

 環境省としては、評価委員会等々において実施したさまざまな施策につきまして、これはあくまでも科学的な見地に立って評価をすることになっているところでもございます。引き続きまして、有明海並びに諫早湾等の自然環境の保全というものに全力で努めてまいりたい、こんな感想を持ったところでございます。

冨岡委員 間違った判決と言うと言い過ぎかもしれませんけれども、いろいろ問題のある判決でもあり、十分政府として御検討をいただきたいと思います。

 ありがとうございました。

吉野委員長 次に、大久保三代さん。

大久保委員 被災地、宮城県東松島市を選挙区としております大久保三代でございます。

 初当選させていただいたばかりのころ、本会議場に足を踏み入れると、せきやくしゃみがとまらず、隣の先生方に煙たがられていたのですが、石原大臣が、大久保さんのせきはインフルエンザじゃなくてアレルギーだよとお声かけくださいました。御配慮うれしゅうございました。

 さて、本日の質問は、アレルギー持ちの私が、フェイスブックで、石原元都知事みたいに杉をばんばん切って森林整備をすれば、花粉症もなくなって一石二鳥じゃないかなとつぶやき、ユーザーの皆さんとともに森林整備と花粉症の話題で議論した経験をもとにしております。

 日本の国土の三分の二は森林であり、その四割、約一千万ヘクタールは杉やヒノキなどの人工林です。六十歳の杉は、二十歳の杉に比べるとCO2吸収量は約三分の一になるという試算がございます。つまり、高齢の杉を伐採して植林を行うことは、地球温暖化対策をより効果的に進めることにほかなりません。

 森林の管理は林野庁の所轄ではありますが、地球温暖化を防ぐCO2吸収源対策に寄与することから、環境省も積極的な役割を果たすべきではないでしょうか。環境省より考え方をお聞かせください。

田中副大臣 森林吸収源対策は、エネルギー起源のCO2削減対策と並びまして、我が国の地球温暖化対策において重要な位置づけだということでございます。

 京都議定書第一約束期間においては、日本は三・八%分を森林吸収源対策で確保するとしておったところでございます。これまで、間伐の実施などを通じて確実に成果を上げてまいりました。

 環境省としては、今後策定する新たな地球温暖化対策計画の中におきまして森林吸収源対策が適切に位置づけられていくように、林野庁を初め、関係省庁と十分連携をとりながら努力をしてまいりたいと思っております。

大久保委員 三・八%分というのは、つまり六%のうちの三・八%が森林からということで、当然、必要な予算の確保ということも今後検討していくべきではないかと思うのですが、その点に立ちまして質問を続けさせていただきます。

 私は、CO2の吸収源対策にも三本の矢、財政政策、金融政策、民間投資を喚起する成長戦略と考え、三つの質問を続けさせていただきます。

 まず、財政政策です。

 森林は、成長して木材となるまで数十年を要し、単年度会計の補助金にはなじみません。昨年から導入された地球温暖化対策税の使途拡大や基金化などが必要と考えますが、森林の特性を踏まえたCO2吸収源対策を推進するための安定的な財源確保について、環境省は今後どのように取り組みますか。

田中副大臣 地球温暖化対策のための税は、エネルギー起源CO2の排出抑制を目的といたしまして、昨年十月に導入されたばかりでございます。今後、段階的に税率引き上げが予定されておりまして、まずはこの形で定着させていくことが重要かな、このように考えております。

 一方、森林吸収源対策も地球温暖化対策を進める上で重要でございまして、与党の平成二十五年度税制改正大綱において、「財源確保について早急に総合的な検討を行う」こととされておりまして、この方針に沿って総合的な検討を行っていくことになるものと考えておりまして、環境省といたしましても、農林水産省等関係省庁とも十分相談をして取り組んでまいりたいと思います。

大久保委員 現行では、財源確保の必要性について重要性を認識ということですが、安定的な財源確保、つまり、安定的に財源を確保できる仕組みの重要性についてはどのような見解をお持ちでしょうか。

白石政府参考人 その点につきましては、税制改正の与党の大綱、あるいは法律の附則の方にも指摘がございますけれども、地球温暖化対策のための税に関しましては、森林吸収源対策の面と、それからもう一つ、地方の温暖化対策の財源をどうするかということをあわせも持って財源の確保について考えるということでございますので、今副大臣が申し上げましたのは、そういった趣旨で総合的な検討を行うということでございます。

大久保委員 ありがとうございます。

 やはり地球温暖化対策といいますと、単年度ですぐに結果が出るというものではないですから、安定的に、継続的に財源確保の仕組みが整いますよう、引き続き御検討をお願い申し上げます。

 次に、二本目の矢、金融政策になぞらえて、お金を丸太に置きかえて質問をいたします。

 アベノミクスでは政策的に円安誘導を行いましたが、国産材利活用促進においては、国民の先入観を払拭するだけで事足ります。現在、国産材が使われにくい理由を、輸入材の方が圧倒的に価格が安いからだと考えている国民は少なくないはずです。

 昭和五十九年は、確かに輸入材に比べて国産材の価格は二倍を超えておりました。しかし、その後、国産材の価格は下がり続け、平成十八年以降、杉、ヒノキともに輸入材よりも安くなっています。平成二十三年の丸太価格は、国産材のヒノキ二万一千七百円、杉一万二千三百円に対して、輸入材の米ツガは二万四千七百円なのです。

 国産材が活用されにくい理由は、森林の資源維持から木材利用に至るまでのサプライチェーンが十分に機能していないことにあります。国産材は安定供給が難しいから、供給力が高い輸入材が選ばれるようになってしまっているのです。

 環境省として、CO2吸収源対策の観点より、森林の資源維持から木材利用に至るまでのサプライチェーン支援策を検討することについて見解をお聞かせ願います。

田中副大臣 日本においては、伐採されながらそのまま森林内に放置されている間伐材等の利用が課題の一つとなっております。

 この森林資源をエネルギーとして有効活用し、地域における低炭素社会の実現を図るため、二十五年度から、農林水産省と連携をいたしまして、原料調達の見通しや発電事業の採算性等の調査や、木質バイオマスを活用したモデル地域づくりを実証する事業を創設いたしたところでございます。

 こうした安定的なバイオマス発電や熱供給の実現に向けた支援を講じることによりまして、間伐材等の利用拡大だけではなくて、低炭素社会の実現を推進してまいりたいと思っております。

 私も実は本当のふるさとは山口県でございまして、農家の長男で、山を持っているんですよ。植林はしたものの、山持ちとしてなかなかうまく機能させることができないものですから、今、先生の御発言を聞きながらいろいろなことを考えておりました。

大久保委員 御回答うれしゅうございます。

 環境省に求められるのは、今後は、グリーンプロダクツ・チェーン・マネジメント、供給側と使う側の信頼関係を構築すること、また、安定した需要と生産体制を確立することだと思われます。引き続き、前向きな検討をお願い申し上げます。

 続いて、三本目の矢です。

 民間投資を喚起する成長戦略の視点から、私の地元、東松島市の事例を御紹介いたします。

 東日本大震災の被災地である宮城県東松島市は、徹底的な分別作業を行うことにより、瓦れきを被災地のどの自治体よりも素早く安く処理するなど、先進的な環境への取り組みで知られております。勤務先が津波で失われた地域住民にとって、瓦れきの分別は雇用の場でもございました。

 同市は、環境未来都市構想のもと、国産材を活用したまちづくり、木化都市を目指しております。公共施設や歩道、ガードレールなどにふんだんに木材を利用するほか、老朽化した木造建物の解体に伴って生じる廃材等を活用したバイオマス発電を推進することとしております。

 震災で石油や電力の供給が断たれて市民が寒さに震えた教訓を踏まえ、バイオマス発電による独自電源の確保を図ろうとしております。また、瓦れきの分別作業にかわる雇用の場としても期待されております。

 東松島市は、政権交代によって、せっかく緒についた事業を中断したり白紙撤回するといった事態が生じないか、懸念を持っております。

 環境未来都市構想は、CO2吸収源対策としての意義に加えて復興への貢献が大きいと考えますが、安倍政権下でも事業は継続されると考えて差し支えございませんか。

北村大臣政務官 お答えいたします。

 平成二十二年度より、環境や超高齢化などの課題に対応して、誰もが暮らしたい町、誰もが活力ある町の実現を目指した、いわゆる環境未来都市構想を進めているところでございます。

 先生御指摘のように、東松島市は、平成二十三年十二月に環境未来都市として選定をされました。

 具体的取り組みとしては、廃材等を利用したバイオマス発電や、観光や環境分野等における新たな産業の創出、さらには、国産材を活用したまちづくり、いわゆる木化都市の実現などに向け努力していると承知をいたしておりまして、こうした取り組みは、二酸化炭素吸収源対策や復興に大きく貢献するものと認識をいたしているところでございます。

 従来より、このような環境未来都市の取り組みに対しましては、先導的モデル事業への補助金や専門家の派遣などの支援を実施しているところでありますが、今年度から新たに、従来の支援に加えて、被災地全てを対象にした、より深刻な課題となっている少子高齢化や環境・エネルギー問題に対応する新たな支援策を設けたところでございます。

 今後も、これらの支援を通じて被災地域とともに復興を加速させることができますよう、従前にも増して全力で取り組んでいきたいと考えているところでございます。

大久保委員 ありがとうございます。

 政府には、CO2吸収源対策として、安定した財源の確保、グリーンプロダクツ・チェーン・マネジメント、木化都市の推進の三つの政策誘導をこれからも期待申し上げます。

 また、私は、地元東松島の一員として、全国に先駆けた復興モデル、木化都市東松島実現のために頑張りますことを誓いまして、質問を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

吉野委員長 次に、樋口尚也君。

樋口委員 おはようございます。公明党の新人の樋口尚也でございます。

 本日、環境委員会で初めての質問をさせていただく機会をいただきました。心から感謝をしております。ありがとうございます。

 私は、十月三十一日まで十九年間、建設会社でほぼ営業マンをしておりました。ずっとデフレに苦しんでまいりました。きのうの夜も民間の皆様と話をしましたが、何としてもこのデフレを脱却してほしいというのが国民の皆様の多くの願いだと確信をしております。

 デフレ脱却に向けた今の安倍政権を全力でお支えするということをまず申しまして、きょうは一般質疑でございます。私ども公明党も、五十年間先輩方からずっと受け継がれた原点、大衆とともにという原点がございます。政治は大衆とともにでありますから、ぜひとも、難しい政治課題をわかりやすく国民の皆様にお届けさせていただきたいと思っています。

 いろいろヒアリングをしまして、国民の皆様や市民の皆様が今環境の問題でお感じになっていらっしゃることを率直にきょうは御質問させていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 初めに、日中韓環境大臣会合についてお伺いをしたいと思います。

 五月の五日、六日に行われました第十五回日中韓三カ国環境大臣会合について、韓国のマスコミでも、歴史問題と領土問題が頻発する日中韓三国が問題をともに解決すること自体が非常に難しいため、今回の会合は重大な意味を持つ、こういうふうに報道したというふうに言われています。

 環境問題の解決に向けた第一歩が踏み出される意義は大変に大きいと思います。また、声明採択を契機に、このぎくしゃくしている日中韓の関係の改善に向けて、利害が一致する分野から地道に協力を推進し、信頼関係を築き直すことが最も重要だというふうに思っております。

 まずは、この日中韓環境大臣会合に対する政府の御所見をお伺いしたいと思います。

齋藤大臣政務官 この日中韓環境大臣会合は、もう十五回にわたりまして丁寧に積み上げてきているわけでありますが、今回、環境の先進都市であります北九州におきまして成功裏に開催できたことは、特に有意義であったのではないかと理解しております。

 とりわけ、会合の成果文書である共同コミュニケにおきまして、国民の関心が高いPM二・五を含む大気汚染問題について政策対話を新たに設置するということが合意されたのは、大きな成果であったと考えております。

 このように、三カ国共通の課題である地域の環境問題について着実に協力を推進することによりまして、全体としての日中韓のさらなる友好につながれば、そういう思いでおります。

樋口委員 ありがとうございます。

 今御説明いただきました中にもありましたけれども、PM二・五の問題であります。

 大気中に浮遊をしているPM二・五は、髪の毛の三十分の一程度の太さしかない、小さな小さな粒子であります。肺の奥まで入り込みやすく、こういう意味で、呼吸器系に加えて循環器系への影響も懸念をされているところであります。

 日本は、公害先進国として環境問題を幾つも乗り越えてきた経験と技術がある国であります。社会科学、そして自然科学の両面で、日本が培ってきた環境技術などの蓄積をフル活用して、大気汚染の防止について支援をするべきだというふうに考えております。

 そこで、このPM二・五について、日本が具体的にでき得る協力の内容をお伺いしたいと思います。

齋藤大臣政務官 委員御案内のように、日中両国は、戦略的互恵関係に基づきまして、幅広い分野で協力を進めてきております。環境分野におきましても、我が国の公害問題を克服してきた経験と環境技術を生かしまして、日中友好環境保全センターを通じた協力を初めといたしまして、さまざまな協力を行ってきているところでございます。

 本年初頭から問題となりました、中国の例のPM二・五を初めとする大気汚染につきましては、二月に中国政府の課長級との意見交換を行いました。そして、そこでは、既存の協力を推進するとともに、さらなる協力の可能性について検討していくということになったところでございます。

 また、四月にも、北京におきまして日中大気汚染対策セミナーが開催されまして、日中の政府関係者、地方自治体、研究機関及び民間企業の参加を得まして、両国の大気汚染に係る経験についての情報共有を行ったところでございます。

 また、先ほど申し上げましたように、五月六日には、TEMMにおきまして、主要な議題の一つとして、新たに大気汚染に関する三カ国政策対話を設置することに合意したところでございます。

 日中国交回復に貢献され、その後も日中友好を大事に育てられてきた御党とも連携をよくとりながら、今後、この政策対話も活用して、具体的な協力内容についてさらに検討していきたいと思っております。

樋口委員 丁寧な御説明、ありがとうございます。

 人類の生存への深刻な危機である地球環境の問題であります。申すまでもなく、環境問題は全人類的な課題でございます。今こそ世界は、軍事的な競争や経済的な競争から人道的な競争へとかじを切るべきだというふうに考えます。世界一の環境技術を持つ日本こそが、その先頭に立って、世界を導く使命があるというふうに思います。ぜひとも、今後も力強い環境行政の推進をお願いしたいと思います。

 続きまして、現在の震災瓦れきの処理についてお伺いをしたいと思います。特に、がれきフォトチャンネルというものもあるというふうに伺っております。なかなかまだ視聴されていない方も多いと思いますので、現在の瓦れき処理の進捗状況を具体的に教えていただきたいと思います。

井上副大臣 御質問のありました災害廃棄物処理の進捗状況でございますけれども、平成二十五年三月末現在で、岩手県におきましては四九%、宮城県におきましては六五%が処理済みとなっております。平成二十六年三月末までに処理を完了するという目標でありますので、この目標が達成できる見込みというふうに現在考えているところであります。

 ただ、他方、福島県におきましては、国が直轄で処理するいわゆる汚染廃棄物対策地域を除きますと、四〇%が処理済みという数字になっておりまして、一部、本年度内の終了が困難と見込まれることでありますから、処理の加速化に全力で取り組むとともに、夏ごろを目途に全体の処理見通しを明らかにしていきたいと考えております。

樋口委員 ありがとうございます。

 がれきフォトチャンネル、私も見せていただきましたけれども、多くの方に見ていただいて、手にとって、身近に、この瓦れきの処理の状況を進めるということも大事だというふうに思っています。

 五月十三日の報道で、瓦れきの受け入れについて検討段階にもかかわらず交付金が配られている、こういう問題が取り沙汰されております。この件について、率直な御説明をお願いしたいと思います。特に、なぜ、こういうことがわかったにもかかわらず、交付の中止や返還請求の対応をとらなかったのかという点についてもわかりやすく御説明をいただきたいと思います。

井上副大臣 御質問がございました環境型社会形成推進交付金、この交付金が復旧復興予算の対象とされたその理由でありますが、震災から半年を経てもなお、放射能汚染に対する懸念から、広域処理の見通しが立たない、そうした中、政府を挙げて広域処理を後押しするための施策の一つとして必要と判断されたものであります。

 これらの取り組みによりまして、多くの自治体においても広域処理を検討していただき、その結果、広域処理が大きく広がり、被災地の復旧復興の前提である瓦れき処理に大きく寄与したことから、復旧復興予算としての目的は達せられたものと考えております。

 しかし、他方で、委員御指摘のとおり、交付中止や返還請求の対応、これらについて、なかなか対応をとることができなかったということも事実であります。ですから、復旧復興予算に対する一般の御理解をいただくためにも、今後、同様な災害が発生した場合には、受け入れの見通しをしっかり立てた上で交付するなど、執行に当たっては十分注意してまいりたいと考えております。

樋口委員 ありがとうございます。

 次の質問に移ります。石炭を利用した火力発電についてです。

 御承知のとおり、今でも日本の電気の二七%は石炭火力でつくられております。世界を見れば、中国は七九%、アメリカでは四五%が石炭による火力発電であります。ヨーロッパでも多く利用されているところです。世界全体の四一%を担っている石炭火力でございますけれども、値段も安価で、そして埋蔵量も豊富で、可採年数は石油、天然ガスの約二倍あるというふうにも言われています。

 最新の磯子火力発電所、横浜市との間で日本で初めて公害防止協定を締結して、環境対策を徹底し、硫黄酸化物は九九%、窒素酸化物を九一%除去して、世界トップレベルのクリーンな石炭火力発電所と言われております。また、広島県の大崎発電所の中に、酸素を使って石炭をガス化し、CO2排出を約一七%抑制するという火力発電所の建設が三月一日に着工したというふうにも報じられております。これから、最新の石炭火力発電所については、インフラ輸出の柱として、成長戦略の中にも盛り込むというふうに伺っております。

 さて、四月の二十六日に環境省さんが発表した、石炭火力発電所を建設しやすくするための環境影響調査、アセスメントの見直しについて御説明をいただきたいと思います。

田中副大臣 私も、先日、磯子の火力発電所の視察をしてまいりました。

 御指摘のとおり、火力発電所の環境アセスメントにおけるCO2の取り扱いについて、環境、経産省両省で取りまとめ、四月二十六日に公表いたしました。

 この取りまとめは、火力発電所を建設する際の環境アセスメントにおける従来からの審査の考え方を明確にしたものでございます。

 具体的には、事業者に二つの観点での対応を求めております。常に技術進歩を促す観点から、竣工に至るスケジュールも勘案しながら、最先端の技術を採用していること。もう一つは、電気事業全体のCO2を抑制する新たな枠組みのもとで、CO2の排出削減に取り組んでいること、そして、その枠組み全体の目標は、国の地球温暖化対策の計画、目標と整合的であること。

 環境省といたしましても、今後、事業者がこの考え方に沿って取り組んでいるかどうか適切に審査することによりまして、電気事業全体のCO2排出量が抑制され、技術革新にもつながる形で、事業者の取り組みを促してまいりたい、このように思っておるところでございます。

樋口委員 ありがとうございます。

 続きまして、再生可能エネルギーの導入促進についてお伺いをしたいと思います。

 例えば、風力発電であります。我が国においては、極めて有効なエネルギー確保策として期待をされておりますこの風力発電、風力発電事業者さんも、アセスの迅速化については切望をしていらっしゃいます。風力発電は太陽光に比べて稼働率が高く、デンマークでは国全体の電力の約二割を賄うほどになっております。

 このような再生可能エネルギーの導入促進のための手続の簡素化、迅速化について、御所見をお伺いしたいと思います。

白石政府参考人 今御指摘ありましたように、風力、地熱もそうでございますけれども、こういった再生可能エネルギー、低炭素社会を目指す上で大変重要でございますが、一方、風力発電は、騒音あるいはバードストライク、景観等々の影響が懸念されることから、法に基づきアセスメントを実施しております。

 ただ、そのアセスメントとこういう再生可能エネルギーの普及を両立させるためにも、今までですと通常三年程度かかると予測されておりますアセスメントの期間を最大で半分にしよう、こういうことで、関係省庁、経済産業省とも連携しながら、期間の短縮を図るということをやらせていただくとともに、また、今バードストライクと申し上げましたが、そういう自然環境の審査でありますと、どうしても春夏秋冬、一年かかってしまいます。こういうものをあらかじめ、立地をしたいな、あるいは立地に適しているのではないかというふうにお考えの自治体と連携いたしまして、アセスメントに入る前からそういう資料を収集しておけば、一年かけずに、その審査データを使う、こういうふうな手法も駆使いたしまして、アセスメントの迅速化、簡素化を図っていきたい、このように考えております。

樋口委員 前向きな御答弁、ありがとうございます。

 続きまして、地球温暖化対策についてお伺いをいたします。

 昨日は参議院の方で地球温暖化対策推進法の改正案が可決をされたというふうに報じられております。二〇五〇年までに一九九〇年比で八〇%削減をするということも附帯決議の中に書かれたということであります。

 さて、政府は、ことしの十一月に行われますCOP19までに、二〇二〇年の温暖化ガス排出量を一九九〇年比で二五%削減するという目標をゼロベースで見直すというふうに報道されているところであります。また一方では、原発規制基準が策定をされるのは七月であります。そしてまた、並行して、エネルギー基本計画の見直しも、これは年末というような報道もありましたけれども、今実施をされているという現状であります。

 これは民間企業の方からの御質問だったんですけれども、本当にどうバランスをとっていくのか、世界への発信、そして日本の成長、さまざまなところでどういうふうに、今後、どういう場でこのことが議論をされ、そしてどういう段階で、またどのようなスケジュール感で地球温暖化対策の策定をしていくのかについてお伺いしたいと思います。

関政府参考人 安倍総理大臣からは、ことし十一月のCOP19までに二五%の削減目標をゼロベースで見直すように指示を受けているところでございます。

 新たな削減目標を含めました地球温暖化対策計画の策定に当たりましては、エネルギー基本計画の議論の進展状況や、あるいは七月に原発の新しい基準が策定された後の状況なども考慮しながら、中央環境審議会、産業構造審議会の合同会合を中心に検討を進めまして、また、閣僚級から成ります地球温暖化対策推進本部においてその案を作成し、閣議決定することとなっております。

 温暖化対策法の改正法というのは先ほど成立したと聞いておりますけれども、私どもとしましては、速やかにこの検討に着手をしまして、関係省庁とよく連携しながら、COP19までに新たな削減目標を決めました計画を策定してまいりたいと考えております。

樋口委員 エネルギー基本計画と同時並行でもちろん進んでいくわけだというふうに思いますけれども、ぜひわかりやすく、国民の皆様が見てわかるように推進をお願いしたいというふうに思います。

 続きまして、富士山についてお伺いをいたします。

 きょうの新聞各紙、富士山のこと、大噴火がこれから予測をされるということで、大変心配している声、そして備えなければいけないという記事、たくさん出ております。

 富士山につきましては、本当に日本人の心のよりどころということで、威風堂々の富士山を見て、みんな勇気づけられてまいりました。いよいよ六月には世界文化遺産に登録をされる見通しとなりました。明るい話題でありまして、本当に関係者の皆様の御尽力に心から敬意を表します。

 しかし、課題は幾つもあるというふうに報道もされております。例えば、年間三十万人を超える方が登山客としていらっしゃいます。これを抑制すべきではないかとか、また、大量のごみが発生しているのではないかとか、登山道の整備が未整備じゃないか、そういったことが指摘をされておりますけれども、国立公園を管理する環境省さんに現状をお伺いしたいと思います。

田中副大臣 私も、富士山が世界文化遺産に登録される見通しということでございますけれども、大変喜んでいる者の一人でございます。

 富士山の登山者数は、平成十七年度には約二十万人でありましたけれども、平成二十年度以降は三十万人前後で推移をしておりまして、昨年度には三十二万人の登山者が訪れ、中期的に見ると増加しております。

 我々もいろいろな取り組みをしていかなければなりませんので、その具体的な取り組みとして、平成六年度より、山梨県側の富士吉田口及び静岡県側の富士宮口等において、夏季期間の休日を中心に、混雑緩和のためのマイカー規制を実施しておりまして、年々その期間も延長されているところでございます。昨年度は、富士吉田口では十五日間、富士宮口では三十四日間実施いたしました。

 また、山小屋や登山道沿いにおけるトイレについても、環境省を初め山梨、静岡両県において、環境配慮型トイレへの整備を進めておりまして、現在、計四十九カ所となっております。

 さらに、環境省や地方自治体、NPOにおいて、日常的な清掃活動を進めるとともに、昨年八月には、環境省の呼びかけのもと、関係機関、関係団体が一致団結して同一日に清掃を行う、世界遺産登録に向けた富士山クリーン大作戦を実施し、ごみも徐々に減ってきております。

 今後とも、環境省としても、関係機関、関係団体と協力して、国立公園でもある富士山の適正な保護と利用を推進するため、積極的に取り組んでまいりたいと思います。

樋口委員 ありがとうございます。

 富士山に行くと、近くに行ってもきれいなんですけれども、マスコミの報道とかを見ていますと、本当に膨大なごみで困っているんじゃないかという錯覚を覚えます。だけれども、きちっと今整備がされて、そういうふうに進んでいるということで、安心いたします。これからもぜひともお願いをしたいと思っております。

 次に、文化庁さんにもきょう来ていただいておりまして、今後の富士山の課題についてお伺いをいたします。

 例えば、神社や登山道、そして池、さらには湖など、この個別の構成資産をどのように結びつけて一体のものとしていくのか。さまざまな課題に対して、二〇一六年までに保全状況報告書の提出が求められているというふうに伺っております。

 このようなことを考えますと、富士山全体を一律的に管理する行政の仕組みが必要だというふうに考えますけれども、ぜひとも、旗振り役として文化庁さんの御所見と、そして御決意をお伺いしたいと思います。

石野政府参考人 お答え申し上げます。

 今般、我が国が誇るべき文化遺産でございます富士山が、ユネスコ世界遺産委員会の諮問機関でございますICOMOSから世界遺産への記載勧告を受けられましたことは、文化庁といたしましても、大変喜ばしいことと受けとめております。

 他方で、今委員より御指摘がございましたとおり、ICOMOS勧告におきまして、神社、登山道、池、湖など、こういった各構成資産と山との一体的な管理、あるいは来訪者管理戦略の策定、開発の制御等について、二〇一六年までに保全状況を報告することがICOMOS勧告において求められているという状況でございます。

 富士山の保全管理につきましては、全体を一体的に管理していくための連携の場といたしまして、関係自治体等から構成されます富士山世界文化遺産協議会が設置されているところでございます。

 文化庁といたしましては、同協議会を中核的な場として、関係自治体及び環境省など関係省庁と連携を図りながら、富士山の保全管理について積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

 現時点では、まずは六月の世界遺産委員会において富士山の登録が最終決定になりますように、最善を尽くしてまいりたいというふうに考えております。

樋口委員 積極的に、最善を尽くすという力強い御答弁、ありがとうございます。

 私も、学生時代に吉川英治先生の「宮本武蔵」を読みまして、その中に、あれになろう、これになろうと焦るよりも、富士のように黙って自分を動かないものにつくり上げろというふうに武蔵が富士山を見ながら言うシーンが印象的でございます。

 富士山は、本当に、まさに日本人の心のよりどころでございます。ぜひとも力強く推進をお願いしたいというふうに思います。

 最後になりますけれども、憲法への環境権の加憲についてお伺いをしたいと思います。

 これからの日本は、まさに環境先進モデル国の道を歩むべきであります。その意味からも、憲法に環境権の規定を新たに設けることを御提案しているところでございます。憲法には、世界に誇る平和的生存権が規定をされておりますけれども、私も、その堅持とともに、言うなれば共生的生存権として環境権を確立することが望ましいと考える一人であります。

 私ども公明党は、かねてより、憲法への環境権の明記について、良好な環境を享受し、国家及び国民が環境の保護に努めるといった趣旨の権利であり、かつての人間中心主義ではない、自然との共生も含んだエコロジカルな視点に立った環境権を定めるべきであるというふうに加憲を主張しているところであります。

 この点につきまして、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

石原国務大臣 ただいま樋口委員がおっしゃるような環境権の考え方については、私も憲法に盛り込むのにふさわしいものだと考えております。

 私どもの政党のことを宣伝して恐縮なんですが、昨年取りまとめました平成二十四年の自民党憲法改正草案の中でも、今委員がおっしゃられたのと同じように、「国は、国民と協力して、国民が良好な環境を享受することができるようにその保全に努めなければならない。」と一項立てさせていただきまして、盛り込ませていただいているところでございます。

 役所としても、今後の国会における議論の動向というものを注視していかなければならない、こんなふうに認識しております。

樋口委員 ありがとうございます。ぜひ、加憲の立場で、頑張って御協力してまいりたいというふうに思っています。

 力強く環境行政をお進めいただく皆様、私どもも全力でお支えすることをお誓い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

吉野委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 日本維新の会の河野正美でございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 現在、TPP交渉参加ということで、日本の農業を守らなくてはいけないということで、反対の方々がいろいろと活動されているのは周知のとおりでございますが、一方で、我が国の貴重な財産である水資源が脅かされているという問題、懸念もあるかと思います。

 特に、中国におきましては、水源の汚染が深刻であると言われております。また、中国は、人口も非常に多いということで、消費する水の量も桁違いであるというふうに考えております。河川で六千頭余りの豚の死骸が発見されたり、工場排水により、赤い川であるとか青い川といった非常にカラフルな、ぞっとするような色の写真も見たことがございます。

 中国に限った問題ではないんでしょうけれども、外国資本が取水のために我が国の森林等を購入しているというようなことも報道されておりますので、政府として、こういった外国資本が森林を買っているという状況をどの程度把握されているのか、お聞かせ願いたいと思います。

篠田政府参考人 お答えを申し上げます。

 都道府県を通じまして、外国資本による森林買収の状況の調査というのを私どもはさせていただいているところでございます。

 この調査によりますと、居住地が海外にある外国法人または外国人と思われる者、これらによりまして森林が取得された件数及び面積といたしまして、やや細かくなりますが、平成十八年が二件、十八ヘクタール、十九年が八件、八十七ヘクタール、二十年が十二件、九十四ヘクタール、二十一年が六件、三百六十三ヘクタール、二十二年が十三件、四十七ヘクタール、二十三年が十四件、百五十七ヘクタール、二十四年が八件、十六ヘクタールというふうになっております。

 以上でございます。

河野(正)委員 ありがとうございました。かなりの面積が買われているということかと思います。

 地下水とて無限にあるわけではなく、過剰にくみ上げられれば周辺の林地も含めて水がれを起こしてしまうのではないかなと懸念されます。また、地盤沈下等、周辺に及ぼす問題もあるかと思います。

 そして、広大な森林が外国資本の手に落ちてしまい、森林の奥の方で取水活動が行われれば、無節操な取水が行われても、現状を把握していくというのは、森の中でやられれば非常に難しい問題なのかなと思います。

 また、まさに水際で、輸出の際にペットボトル等を持ち出すときに把握できるかもしれませんけれども、こういったことに対して規制をするというのは、現実には非常に困難な問題なのかなと思います。

 危機感を持って条例等で対応されている地方自治体もあるというふうに聞いておりますけれども、そういった地方自治体の取り組みについて、国はどの程度把握されているんでしょうか。

篠田政府参考人 お答えを申し上げます。

 地方自治体が、水資源の保全等を目的といたしまして、水源地域における土地の売買等につきまして、事前届け出の義務を課す、あるいは土地の所有者等に水資源の保全の重要性などを説明するという趣旨の条例を制定する動きがあるというのは事実でございます。

 このような条例でございますけれども、平成二十五年四月現在で、十一道県におきまして制定をされているというふうに承知いたしておるところでございます。

河野(正)委員 我が国では、地表の水に関しましては、河川法などで水利権というものが設定されております。そして、利用には河川管理者の許可が必要ということですので、地表にある水は公のものであるのかなということになりますが、一方で、地下水の方は水利権というのがないのかと思います。「土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ。」ということでございますので、そういったことを考えますと、法的には、土地を買えば、そこで取水する、採取する地下水というのはくみ放題という認識なのかなと思いますが、そういった認識でよろしいのでしょうか。

秋本政府参考人 先生御指摘のとおり、民法第二百七条では、「土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ。」とされておりまして、地下水については、その土地の所有権者の所有権の対象でございまして、土地所有権者が使用することができるということとされてございます。

河野(正)委員 一九三〇年代等の非常に古い法律かなと思いますけれども、そういった法的判断もあったようでございますけれども、手掘りの井戸などの時代であれば、くみ放題ということでもそんなに大きな量ではないのかなと思いますけれども、現在のような技術が進歩してきますと、果たしてこのままの法的判断というのでよろしいのでしょうか。この辺の法律を変えていく必要はないのでしょうか。そういったところの見解をお願いいたします。

秋本政府参考人 地下水につきましては、地下水が賦存する地下構造や地下水の利用実態も各地域ごとに異なってございます。各地域のそれぞれの実態に応じまして、現在、先生御指摘のとおり、地方公共団体の条例等により、地下水規制または保全等が行われておりまして、当方といたしましても、条例等を制定している地方公共団体や関係省と連絡を密にしてまいりたいというふうに考えております。

河野(正)委員 大正十四年、一九二五年にできた非常に古い法律ではございますが、外国人土地法というのがあるそうでございます。この法律の第四条で、国防上必要な地区においては、政令によって、外国人あるいは外国法人の土地に関する権利の取得を禁止する、または条件もしくは制限をつけることができるというふうに定められているそうでございます。

 これについて、現行の憲法下でこの法律に基づいた政令ができたということはあるのでしょうか。お聞かせください。

萩本政府参考人 外国人土地法に基づく政令は、戦前に一度制定されたことがございますが、終戦直後の昭和二十年に廃止されておりまして、その後、現行憲法のもとで制定されたことはないと承知しております。

河野(正)委員 近年、いろいろ報道されておりますが、長崎県の対馬におきまして韓国資本が活発な土地買収を行っているということで、以前の民主党政権下におきましては、幾つかの委員会や質問主意書という形で、この法律を適用していく意思があるのかどうかという政府見解が尋ねられているかと思います。

 改めて、現政権ではどうお考えか、お聞かせいただきたいと思います。

萩本政府参考人 委員からも御紹介いただきましたとおり、外国人土地法は大正十四年と非常に古く制定された法律でございまして、もともと、それまで禁止されていた外国人による土地取得を解禁することを目的として制定された法律でございます。

 その例外としまして、これも御紹介いただきましたとおり、国防上必要な地区については外国人の土地取得を禁止、制限することができるとされておりますけれども、これは、大日本帝国憲法下における陸海軍の軍事活動を前提とした規定でありまして、その趣旨自体が現行憲法に合致しないおそれがあるのではないかと考えられるところでございます。

 また、外国人土地法の規定は、その制限の対象となる権利、制限の態様、制限違反があった場合の措置などにつきまして具体的に規定しておらず、全て政令に委任しております。このような包括的、白紙的な委任の仕方は、現在の憲法のもとでは憲法違反と評価されるおそれも高いのではないかと考えられるところでございます。

 このような法律の制定の目的や経緯、あるいは法律の内容に照らしますと、今日において外国人土地法により外国人による土地取得の規制を行うことは、現実問題として極めて難しいのではないかと考えているところでございます。

河野(正)委員 先ほど副大臣の方も発言がありましたけれども、森林を相続等で取得した方は、管理や課税の問題等々から、もう森林を手放してしまいたいという方もいらっしゃるのかと思います。その一方で、外国資本で、水を採取するために買いたいということがたくさん出てきますと、今、年々ふえているようなこともお聞かせいただきましたので、水を守るという観点から考えますと、非常にこれは極めて重要な問題で、これからしっかりと議論していかなければならない問題なのかな、今の法律はかなり古い法律ですし、そぐわないということなのかなと思います。

 さて、水資源の危機にも多少関連してきますが、福島第一原発汚染水の問題についてお聞かせいただきたいと思います。

 東日本大震災発災後二年が経過しましたが、福島第一原発は現在もそのまま冷却を要するという状況で、放射能汚染水が際限なくふえているのかなと思います。また、今般、汚染水漏れという問題も発覚いたしましたので、現在の汚染水の保管状況についてお聞かせいただきたいと思います。

中西政府参考人 お答えいたします。

 福島第一原子力発電所における汚染水の保管状況につきましては、一応、貯蔵タンクにつきましては、五月十四日時点でございますが、貯蔵容量約三十二万立米、これに対しまして、実際の貯水量は約二十九万立米というふうに認識してございます。

 今後、二〇一五年の中ごろまでには、七十万立米という形でタンクを増設するというふうなことを計画してございます。

河野(正)委員 漏出ということで、今度は漏出の原因と汚染水がどれぐらい漏れ出たのかということについて、把握されている現状をお聞かせいただきたいと思います。

森本政府参考人 先生御指摘の地下貯水槽からの汚染水の漏えいの関係でございますけれども、今般の汚染水の漏えいの発生を受けまして、規制委員会として、東京電力に対しまして、漏えいの原因究明、再発防止対策の検討、それから汚染水についてのモニタリング、拡散評価というものを指示いたしました。

 まず、汚染のいわゆる環境への影響の点でございますけれども、これまでのところ、東京電力が実施している地下貯水槽周辺の観測孔による水質、土壌分析結果では、特別な変化がない状態でございます。また、福島第一原子力発電所の近傍海域における放射性物質濃度についても、特段の変化がないという状態でございます。

 次に、漏えい量なのでございますけれども、東京電力によりますと、当初、最大で百二十立方メートルということが推定されてございましたけれども、昨日開催されました汚染水処理対策委員会での説明では、約三百リットルということで推定がなされてございます。

 今回の汚染水漏えいの直接的な原因なんですけれども、現在、まだその直接的な原因についての特定は残念ながらされてございません。規制委員会としては、この原因の究明、それから拡散評価、いわゆる汚染が広がるかどうかにつきまして、規制委員会のもとにつくりました特定原子力施設監視・評価検討会というところで引き続き議論し、監視をしていきたいと考えてございます。

河野(正)委員 直近で報道されましたように、今おっしゃったように、量自体はかなり少なかったということなのかなと思いますけれども、人体への影響というのはどういうふうに考えられているんでしょうか。

森本政府参考人 これまでのところ、その汚水に伴う汚染の広がりもまだ大きくないというふうな評価がなされてございますので、人体への影響というのは今のところないかと考えてございます。

河野(正)委員 いずれにせよ、このままでは汚染水というのがふえ続けていく状況になるのかなと思います。

 また、冷却水に地下水がまじってしまい、収集困難になるということでありますので、東電などは地下水は海へというふうなことを言っていると聞いておりますけれども、これに対する政府の御見解はいかがでしょうか。

中西政府参考人 お答え申し上げます。

 汚染水の増加の要因となっておりますのが地下水の建屋への流入ということでございますので、そちらの流入抑制のために、山側の、建屋の手前のところに井戸を掘りまして、そこから地下水をくみ上げ、海に放出するというふうな地下水バイパスといった工事を今進めてございます。

 現在、その稼働に向けまして、地元の皆さんを初めといたしましていろいろな関係者に説明をやっているというふうなところでございます。そういった意味では、今後、引き続き、あと地下水と汚染水の違いといった形の理解を得るというふうなこともやっていきたいと考えてございます。

河野(正)委員 今、大分進んでお答えしていただいたんですが、先般、五月十三日、地元漁協との話し合いでは了承が得られなかったというふうに報道されております。

 報道によれば、組合員には汚染を除去した処理水を流すのではないかと誤解している者も多いことが一因だというふうに書かれておりました。漁協の組合長レベルであれば、汚染水処理が破綻して東電が汚染水を海に流してしまう、流さざるを得ないような状況に陥るのであれば、それよりはましだということで、先ほどからの、地下水を海に流すことは容認しようということで、合意も間近であったようなんですが、やはり、今言いましたように、地下水と汚染水というものの区別が一般に非常にわかりにくいんじゃないかなと思います。

 地下水と汚染水を区別して考えなければ議論になりませんので、やはり国がしっかりと広報活動を行っていく必要があるのではないかなと考えます。

 これは、情報開示というよりも、しっかりと新聞を読み込めばわかっていく問題なんですが、やはり、ぱっと見た目には、地下水、汚染水、区別がつきにくいということで、地域の方とこれから交渉なり議論をしていく上で重要な問題だと思いますので、東電や組合長に説明して回ってくださいというのではなくて、国もしっかりと説明に加わって広報活動なりしていく必要があるのではないかなと思いますが、これに対する国の考えはいかがでしょうか。

中西政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに御指摘いただきましたように、やはり地元の方々の御理解というのを得るのが大切でございますので、我々経済産業省といたしましても、できるだけ地元の方々、もっと広く、皆様を含めて関係者の理解を得るべく、我々が一歩前に出まして、しっかりとした理解を得る活動は進めていきたいというふうに思っております。

河野(正)委員 一歩前に出てということで、非常に力強く思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 次に、ゼネコンなどから、土の中に遮水壁をつくって地下水流入を防ぐという提案があるようでございます。発災間もない二〇一一年四月に、当時の馬淵澄夫首相補佐官が、原発の汚染水が地下水を通じて敷地外に漏出するのを防ぐため、地下に大規模な遮断壁を埋め込む方針というのを明らかにされております。同年八月には、来年一月まで、すなわち昨年の一月までには着工し、工期約二年ということで報道されておりますが、現在の進捗状況等をお聞かせいただきたいと思います。

中西政府参考人 お答え申し上げます。

 建屋内の汚染水につきましては、それが建屋の外に出ないようにということで、うまく管理をするというふうなことが必要でございます。しかしながら、万が一にも建屋の外に流出し、その流出したものがさらに地下水を汚染する、さらにその汚染水が海洋に出るということがないように、海側の方に既に遮水壁の工事は進めてございます。

 そういった意味では、その海側の遮水壁につきましては、既に工事は一部進めさせていただいて、確実に進んでおるところでございまして、四月から実際、矢板というものを敷設し始めておりまして、二〇一四年度半ばの完成というものを目指しているところでございます。

河野(正)委員 海側の方は進んでいるということでございますが、本年四月十日の衆議院経済産業委員会におきまして、民主党の、先ほどの首相補佐官であられました馬淵委員が、山側の方にも遮水壁を設けるべきだという御持論を展開されておられます。茂木大臣が、抜本的対策をとらなければならない旨の答弁をされているようにお聞きしていますけれども、これについて御見解はいかがでしょうか。

中西政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のように、経済産業大臣の方から具体的に、汚染水の問題にしっかり取り組んでいくべきだということがございまして、経済産業大臣が議長を務めます廃炉対策推進会議、こちらのもとに汚染水処理対策委員会といったものを設置いたしました。

 そこの中では、やはりどうしても汚染水の問題は大切な問題でございますので、陸側の遮水壁につきましてもいろいろな検討を行うべきというような形で既に検討を進めているということで、その有効性等についても、現在、汚染水処理対策委員会での検討を進めているということで、五月中にもその方向性についての明確なアクションを定めていきたいというふうに考えてございます。

河野(正)委員 今、廃炉対策推進会議という言葉が出てきました。

 今、水の話をしておったわけなんですが、さらに、最も根本的対策といいますか、原子炉の廃炉についての考え方はどうなっているのか。廃炉対策推進会議の現在の活動状況について、わかっている範囲でお聞かせ願いたいと思います。

中西政府参考人 お答え申し上げます。

 やはりどうしても廃炉につきましてはかなり長い時間を要しますので、具体的には、中長期的なロードマップといったものをつくって検討を進めているところでございます。

 しかしながら、廃炉をしっかりと確実に進めていくといった形で、体制を強化するという観点もございまして、ことしの二月に廃炉対策推進会議といったものを設けました。それを踏まえまして、この六月中を目途にその加速化を進めていくべきだといった形で、現在、鋭意その加速化に向けた検討を進めているという形でございます。そちらの中では、東京電力、さらには各メーカー、そして関係者のいろいろな協力を得ながら検討を進めていくというような形で、現在作業をやっているところでございます。

河野(正)委員 ぜひということで、時間もありませんので、次に水俣病の問題についてお尋ねいたしたいと思います。

 水俣病が公式に確認されたのが一九五六年、昭和三十一年五月一日ということでありますから、もう六十年近くなろうとしております。被害者の救済状況について、現状を教えていただければと思います。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 今先生からお話がございましたように、水俣病は、昭和三十一年に公式発見がなされ、これまで五十七年の月日が経過しておりまして、その間、多くの方々が水俣病の被害に苦しんでこられております。

 これに対しまして、これまでもさまざまな形で問題の解決に向けた取り組みをやってまいりました。

 具体的に申し上げますと、例えば、昭和四十八年に制定されました公害健康被害の補償等に関する法律、公健法によりまして、約三千人の方が水俣病の補償を受けておられます。また、その後、平成七年の政治解決によりまして、約一万一千人の方が救済を受けておられます。さらに、平成二十一年に制定されました水俣病被害者救済特別措置法、いわゆる特措法に基づきます救済措置で、約六万五千人の方が申請をされておりまして、こちらにつきましては、現在、対象者の判定の作業が行われているという状況でございます。

河野(正)委員 今、六万五千人の方が申請されたということなんですが、その法律、二〇一〇年四月の閣議決定により救済措置を行うということで、同年五月から二〇一二年七月三十一日ということで期限を決めて行われておりますが、これを期限を切って受け付けた理由についてお聞かせいただきたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 先ほど申しました水俣病被害者救済特別措置法、いわゆる特措法の七条二項におきまして、早期にあとう限りの救済を果たす見地から、救済措置の開始後三年以内を目途に救済措置の対象者を確定すること、こういうふうに定められておりまして、この規定に沿いまして、制度の周知広報、あるいは申請に対する診断、審査に要する時間なども考慮して、申請の受け付け時期を定めたものでございます。

河野(正)委員 法律ではそういうふうに期限を決めてということだったんでしょうが、この申請に際して、熊本や新潟の被害者団体は期限撤廃を求めているというふうに聞いております。また、熊本県では、申請期限が近づくにつれ、申請者が急増してきたというふうに言われております。

 実際に、こういった申請では、ちゅうちょしてしまう方とか、あるいはなかなか決断に至らない方というのもたくさんおられるんじゃないかなと思います。

 新潟県知事は、申請期限の撤回を求め、さらに、申請期限後に名乗り出た被害者に対しても必要な支援を国に対して求めていくという立場を示しておられると聞いております。これに対して、国の見解はいかがでしょうか。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 先ほども御紹介をいたしましたように、水俣病の特措法というものは、公健法に基づく認定、補償とは別に、早期に幅広い救済を行うということを目的としておりまして、その規定に沿って期限が設けられたということでございますので、その方向で私ども努力をしていることでございます。

 もちろん、そういったことを踏まえた上で、患者団体の方々、それから新潟県知事の御意見などもありますので、そういう御要望を踏まえまして、救済措置の申請をしたけれどもその対象とならなかった、あるいは救済措置に申請をしなかった方の中で健康不安を訴える方に対しましては、いわゆる健診のような場を設けまして実施するということで事業を行っているところであります。

河野(正)委員 期限が来て締め切った後に、実際に新規の申し出があったかどうか。そして、今後、もし申請を希望される方が申し出てこられた場合、どういうふうに対応されるのか、お聞かせいただきたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 先ほど先生から御紹介がありましたように、昨年七月をもちまして特措法の救済措置の申請受け付けを終了しておりまして、その後の申請は受け付けておりません。

 もちろん、申請受け付け期限後も、公健法に基づく認定制度はございますので、この申請受け付けは引き続き継続をしているということです。

 それ以外にも、先ほど御紹介しましたことと関係をいたしますけれども、地元の方で健康に不安のある方を対象としました健康管理事業を実施しております。また、救済措置を申請されたけれども非該当になった、あるいは申請されなかった方ということで、水俣病総合対策事業の一環といたしまして、先ほども申しましたけれども、関係県の御協力のもと、無償で年一回、健診のような形あるいは保健指導などを提供する事業を実施しております。

 いずれにしましても、地域の皆様が安心して暮らしていただけますよう、御要望を踏まえながら、こうした医療福祉全般を推進してまいりたいと考えております。

河野(正)委員 先日、最高裁の方で、水俣病の認定について判断が示されました。その骨子といたしましては、裁判所は個々の患者の事情を総合的に検討し、水俣病かどうか判断すべきである、水俣病の認定は客観的事実の確認であり、行政庁の裁量に委ねるべきものではないのではないか、国が定めた七七年基準というのがございますが、複数の症状がなくても水俣病と認定する余地はあるんだ、あるいは手足の感覚障害だけの水俣病が存在してもいいんじゃないかということで示されております。

 この判断は見直す考えがないという報道がされております。

 私も医師として、水俣病ではありませんけれども、たくさんの診断書というのを書かせていただいてきました。診断、すなわち見立てて断定するという作業は極めて難しい問題でありまして、しかも、相手は人間でございますから、クリアカットに診断基準を満たしていくという方が非常に厳しいのかなと思っております。

 既に発生から五十年以上がたち、現実に多くの方が苦しんでいらっしゃる、そういった観点からしますと、これもまた柔軟に、弱者保護の観点で着地点を見出していかなければならない問題なのかなと思います。

 時間が来ましたので、最後に、連休中に多くの閣僚の方々が海外に行かれる中で、石原大臣は北九州での、先ほどもありましたが日中韓環境相会議、そして五月一日には水俣病犠牲者慰霊式と、私の出身であります九州の方で非常に御活躍いただきましたことに非常に敬意を表しますけれども、水俣病の慰霊式に出られた感想をお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

石原国務大臣 改めて、自然豊かな水俣の町で、人類史上、誰もが経験したことのないような甚大な健康被害が生じ、平穏な地域生活というものが大きな亀裂を生じ、今もなお多くの方々が苦しまれているということを目の前にしまして、驚愕したところでもあります。

 これからも、地域の声を聞きながら、今、河野委員がおっしゃられましたように、被害者を初め地域の方々が安心して暮らしていけるような医療福祉の充実、そして、強く感じましたのは、やはり偏見や差別、こういうものがあるということを強く感じました。こういうものを払拭して、地域を再生、融和していく、こういうことの大切さということも改めて感じたところでございます。

河野(正)委員 以上です。ありがとうございました。

吉野委員長 次に、杉本かずみ君。

杉本委員 みんなの党の杉本かずみと申します。

 きょうは一般質疑ということで、アラカルトで質問をさせていただきます。どうぞお許しください。

 まず、私、庶民感覚を大事に考えているんです。これは通告しておりませんので後で感想をいただければありがたく存じますが、私も、愛知県の一宮市というところを選挙区にしていてそこに住まわせていただいて、金帰火来で、平日は東京文京区の親元に布団を敷かせてもらって通っているんですが、この両方で、ごみの分別についてあえて感じるところを申し上げたいんです。

 地元の愛知県一宮では、月曜日が、黄色い袋を買わせていただいて一般ごみを出しております。火曜日には、緑の袋を買わせていただいてプラスチックリサイクルのごみを出させていただいております。それで、あとは缶とかペットボトルなども、別途、袋を買わせていただいて出すということをしていまして、月に一度は、資源ごみということで瓶なんかを、あるいは新聞とかを分類して出しております。

 しかし、残念なことに実態は、ごみ焼却場で一般ごみもプラスチックリサイクルごみも焼かれているやに聞いております。

 また一方で、大臣は杉並が地元でいらっしゃって、杉並のことは私存じ上げないんですが、東京文京区の居所では、どんなごみも一緒に出していいみたいな形で全て一括で、しかも、専用のごみ袋で捨てるというようなことをしないということになっております。

 私は、環境教育というところだとかリサイクルとか、そういう意味で人々に注意を喚起し、あるいはお子さんたちにもそういう意識を持っていただくということは極めて大事だと思いますし、先般、私どもの中島議員が大臣にお伺いしたところ、いわゆる環境問題についてどういうお考えですかというようなことの中で、実際に実行されていることが、電気を小まめに消すとかエアコンを余り使われないというようなお話をいただいたというふうに聞いております。

 そういった環境教育的な面と、一方で、申し上げたとおりの、地域間でのごみの処分の仕方の相違、これはひとえに、地方公共団体の姿勢あるいはあり方、あるいはごみの処分施設等の状況にもよると思うんですけれども、現実的なところと実際に有権者というか暮らしをされている方々に求めていることと、何か随分ギャップがある感じがしてならないというところです。

 やはり現実的対応というのもある程度するべきだと思いますし、一方で、申し上げたとおり、環境教育、子供たちのリサイクル意識あるいは節電意識、こういったものを高める必要があると思いますが、今の現実を踏まえて、大臣でも副大臣でも結構なのですが、もう少し現実的な地域間のこの問題、あるいは焼却場の問題を含めて、ちょっと一言、感想なり今後の方向感なりいただけるとありがたく存じます。

    〔委員長退席、北川委員長代理着席〕

田中副大臣 二つに分けてお答えをしたいと思います。

 まず、自治体が取り組む分別収集等についてでありますが、たまたま私の川崎市は、毎日収集というのを売りにしていたんです。毎日、月曜日から金曜日までごみの収集をやっていたんですよ。ところが、大変な費用である、全く分別収集が進まない、こういうことで、今、市政も変わりまして、少し分別収集の形を変え、毎日収集も随分変化をしたところでございます。

 全部の作業を川崎市の地方公務員で対応していたんです。今、それを少しでも民間の企業に収集業務をお願いするというような時代でございまして、ひところはそういう川崎の姿を、日本一の清掃自治体だ、先進自治体だと言った時代があるんですが、よく考えてみると、一つも先進的じゃなかったんですよ。

 自治体のトップリーダーあるいは有権者の皆様方の思いが、私たちは環境省の立場からして、世界トップの日々の姿形になっていくように努力をしていかなければならないし、また、そういうふうに自治体の皆さんにも御理解をいただきたいと思っております。

 ただ、一方においては、施設の問題だとか費用の問題がつきものでございまして、この点についても、いろいろとやはり考えなければいけないことだと思っております。

 環境教育については、先日、私は下村文科大臣のところに出向いて要望してきたばかりでございます。幾つかのことをお願いしたんですが、早速、文科大臣も対応していただいているところもございまして、ありがたいことだと思っております。

 平成二十四年の十月一日に完全に施行された環境教育等による環境保全の取組の促進に関する法律を踏まえ、文部科学省を初め、関係省庁と連携して進めてまいりたいと思っております。

 学校現場においては、新しい学習指導要領に基づきまして、さまざまな教科において環境教育が実施されることとなっておりますし、例えば小学校低学年では、生活科において、自分と自然とのかかわりに関心を持ち、自然のすばらしさに気づき、自然を大切にすることなど、学年層に応じた教育が行われておるところでございます。

 また、平成二十五年度においては、持続可能な地域づくりを担う人材育成事業として、モデル的な環境教育プログラム二十個を作成し、学校現場を中心に、各都道府県で実証を行うこととしております。

 この二十のプログラムには、例えば、森、川、海の水の循環の仕組みなどを学ぶことを通して人と自然のつながりを考えるプログラム、菜の花の栽培や廃油回収等を通してリサイクルや資源の循環を学ぶプログラムなど、自然保護や資源のリサイクルをテーマとするものも含まれております。

 今後も、まだまだいろいろと知恵を絞ってやっていかなければいけない教育分野は幾つもあると思いますので、努力をしてまいりたいと思います。

杉本委員 副大臣、ありがとうございます。

 最初の方のお答えで、施設の問題、費用の問題、もろもろあるというのはわかったんですが、最終的に環境先進国としての我が国が目指すべきゴールとかその方向感は環境省としてはどういう点なのか、ちょっと私が聞き漏らしたのかもしれないので、もう一度御答弁いただけますでしょうか。

田中副大臣 自治体がみずからの費用を使って全てのことを理想的にやっていくということは、なかなかやはり大変なんだろうなと思っております。

 それから、分別収集というのは、お金でいえば結構費用がかさむということも現実にはございます。また一方、焼いていた全てのごみの量が計算されカウントされて焼き場などもつくられておるわけでして、こういう面では、分別収集によって大分施設に余裕があるというのか、荷が集まらなくなって、いろいろな変化も起こっております。

 こういうことで、リニューアルするような費用も含めて、今後、国全体でやはり考えていかなければいけない時期が来ているんだろうと思います。全て地方自治体の人たちだけにお願いをして制度をつくっていくだけでは、はっきり言うと効果は出てこない、こういう思いでございます。

 小沢環境大臣のときにも大変お取り組みをいただいたわけでございまして、今後、我々自民党としても、また公明党としても、与党の先生たちの御意見も野党の皆さんの御意見も十分聞きながら、ひとつ積極的な対応をしていきたいと思います。

杉本委員 どうもありがとうございました。

 いずれにしろ、新しい方向感というのをしっかり出していただくということも必要だと思いますし、ちょっと安倍総理にも申し上げたいんですが、いつやるの、今でしょということで、環境省もぜひ考えていただいて動くということでお願いしたいと思います。

 それでは、冒頭、ちょっと通告に書かせていただいた先般の環境大臣会合、石原大臣、御活躍いただき、大変うれしく環境委員の一人としてテレビを拝見させていただいておりました。

 その中で、中国の出席者が次席となられました。この点について公式の中国側の説明は、どういうことで次席になられたのかという点だけ確認させていただきたいと思います。

    〔北川委員長代理退席、委員長着席〕

関政府参考人 先般の日中韓の環境大臣会合におきましては、中国から李幹傑環境副大臣に御出席いただきました。

 李副大臣からは、本来であれば周生賢大臣が出席するところ、四月二十日に四川省におきまして大地震が発生いたしまして、生態環境への重大な影響に対処するため、国内にとどまる必要があるというふうな御説明がございました。

 なお、李副大臣から石原環境大臣にメッセージということで、ぜひ別の機会に大臣同士でお目にかかりたい、このようなことも李副大臣からお話がございました。

杉本委員 ありがとうございます。

 石原大臣には、ぜひ、中国との関係改善に向けてお力を賜れればと思います。

 次に、ちょっと質問の順序を変えまして、同じく五月の上旬、五日から八日にかけて国際原子力規制者会議、こちらが開催されたということで、インターネット等の情報で確認させていただきました。原子力規制庁、五月十五日発表のニュースであります。世界主要原発保有国九カ国の規制責任者が参加して、幅広く意見交換が行われたやに聞いています。

 その中で、世界の原子力安全にかかわる議論が活発に交わされたみたいな表現があるんですけれども、参加国から具体的にどういうような意見だったり議論だったりがあったか、主要論点を教えていただきたいと思います。

森本政府参考人 御質問の国際原子力規制者会議、INRAと称してございますけれども、これは今回が三十二回目の会議というふうになってございます。

 この会議は、原子力発電所を有しています主要九カ国の原子力規制機関のトップが率直に意見交換を行うという趣旨で開催されてございます。そうした会議の性格から、会議内容等を取りまとめて公表するということは行わないということになってございます。

 東京で行いましたこの会議におきましては、田中委員長それから更田委員というのが出席いたしまして、この原子力規制委員会の組織、体制、あるいは新規制基準等について紹介をしたというのがございます。

 また、各国から、東京電力福島第一原子力発電所事故後の原子力規制の取り組み状況について紹介があったということがございます。

 そういった会議の性格を御理解いただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。

杉本委員 わかりました。少し参考になることを言っていただけたのかなと思っているんです。専門家だけの話ということなんですが、非常に国民の関心は高いというのが実態だとも思いますので、タイミングを見て開示されるような仕組みをつくっていただくとか、そんなことをお願いしたく存じます。

 次に、同じく原子力の問題で、福井の敦賀発電所二号機の敷地内破砕帯の評価における結論というのが五月十五日に発表されております。その中で「まとめ」という項目があって、「以上のことから、総合的に判断すると、有識者会合としては、D―1破砕帯は、安全側の判断として、耐震設計上考慮する活断層であると考える。また、至近距離にある浦底断層と同時に活動し、直上の重要な施設に影響を与えるおそれがあると考える。」という結論というかまとめがございました。

 この一つの評価についての報告をベースに、政府におかれては、今後、例えば廃炉ということになるのであれば、まずその可能性について伺いたいんですが、廃炉になるという結論になった場合、今後どういう方向でそういうことについて意思決定がなされていくかのプロセスをちょっと教えておいていただけないかなと思います。

森本政府参考人 御指摘の敦賀発電所の敷地内破砕帯の関係でございますけれども、これは、昨年の十一月から敦賀発電所敷地内破砕帯の調査に関する有識者会合というものを規制委員会のもとにつくりまして、そこで半年にわたって専門家の方々に現地調査と評価を行っていただいたというものでございます。

 そのプロセスの中では、事業者からの意見あるいは有識者会合のメンバー以外の専門家の意見交換なども行った上で、先般の評価につながったものであると承知しています。この評価は、現時点のデータに基づく評価ということでございます。また今後新たなデータが出てくれば、それでまた見直すという形にはなってございます。

 ただ、先ほど申し上げましたように、現時点のデータでの評価というものがなされましたので、それを受けまして、今度は原子力規制委員会において、この評価結果を尊重した上で今後の対応について判断をするということになってございます。

 先生御指摘の廃炉云々というところでございますけれども、それについては、一義的には事業者の判断というところでございますが、プロセスとしては、まず原子力規制委員会にこの有識者会合の結果の報告がなされ、規制委員会で議論がなされるというものでございます。

杉本委員 それでは確認なんですが、規制委員会でもう一回話し合われて、それで一つの結論が出て、結論は、二つの方法とか第三の道があるのかもしれないですが、その上で最終的に一つの、例えば廃炉という結論になった場合には、事業者に通告されて、事業者の判断ということで、もう国の関与というのは原子力規制委員会だけだということでよろしいんですかね、今後のステップとしては。

森本政府参考人 お答えいたします。

 まず、原子力規制委員会でこの有識者会合での評価を踏まえてこれから議論をなされますので、それを踏まえないと次のステップには行かないというふうに考えてございます。

 繰り返しになりますけれども、廃炉にするかどうかということと今回の議論というのは、直接はリンクしてございません。廃炉にするかどうかについては、一義的には事業者の御判断ということになります。

杉本委員 次に別の質問をさせていただきます。

 先ほど、大久保委員が杉花粉のことを触れられました。私も、今五十二で、十八のときからもう三十数年花粉症に悩んでおりまして、実は、当時、テニスをやっていたんですが、球拾いですけれども、球を拾っていたら、いきなりくしゃみが出だして一時間ぐらいとまらないので、これは奇病になってしまったのかなと思ったら、その後、杉花粉症という病名がついて、ヘイフィーバーということになったわけなんです。

 大久保さんからも提案があったかと思いますが、御回答いただくのが林野庁さんということになっているんですけれども、私があえて伺いたいのは、やはり、環境省、林野庁、厚労省、こういった関係省庁が非常に協力してタスクフォースのようなものをつくっていただいて私のこのくしゃみを何とかしていただけないかというのが、特に最近、俺は花粉症になんかなったことはないよと自慢げに言っていた方々もクシュンクシュンされているというのが実態だと思いますので、この点について、いろいろな意味で、クールビズなんかについても、あるいはヒートアイランドの問題についても、ほかのお役所と環境省が絡むお仕事というのは多いと思うので、こういった方向についてのタスクフォース、特に杉花粉についてのタスクフォースなんかをつくられる意思はないでしょうかということを伺いたいのですが、いかがでしょうか。(石原国務大臣「つくろう、つくろう」と呼ぶ)

田中副大臣 大臣が積極的な対応をしようと今言っておられますので、努力をしてみたいと思います。

 先生に一言だけ。横浜に理化学研究所がございます。私も先日視察に参りまして、こちらでは、花粉症も含めるアレルギーについてのまさしくタスクフォース、専門家がおられまして、世界に先駆けて、アレルギー、花粉症も含めて対応ができる薬をもう大分いいところまで来ているということでございまして、先日、政府の方にも御紹介をしたところなんですけれども、ぜひひとつ一度御視察をされて、先生のお役に立てるかどうか確認をしていただければと、こう思っておるわけでございます。

 クールビズについても、もう言うまでもございませんけれども、いろいろな工夫をし、服装だけではなくて、出勤の形態であったり社会のいろいろな取り組みの中で、スーパークールビズ、まさしく本当のスーパーとして、どうやって国民の皆さんとともに実現ができるのかということで取り組んでいくプロフェッショナル集団もやはり対応していかなきゃいけないだろう、このように思っております。

杉本委員 もう終わりますけれども、今お話しあったとおり、杉花粉症で例えばいい薬が出たらこれこそ成長戦略だと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 以上です。

吉野委員長 次に、野間健君。

野間委員 無所属の鹿児島三区選出の野間健と申します。

 きょう初めて環境委員会で質問をさせていただきます。みんなの党の皆様初め、委員の皆さんの御配慮に心より感謝を申し上げます。

 本日は、現在四十八カ所、原子力発電所が全国で運転を停止しておりますけれども、その再稼働をめぐる問題を中心に質問をさせていただきたいと思います。

 原子力規制委員会に御質問したいんですけれども、まず、原子力規制委員会の目的を教えていただきたいと思います。

田中政府特別補佐人 一言で申し上げれば、今回の福島第一原子力発電所の事故を踏まえまして、そういった事故を繰り返さないということが大きな目的と思っております。

野間委員 原子力規制委員会から出されているこのパンフレットに田中委員長が、「放射線による影響の不安と向き合って毎日を過ごしている人がいるということが、私の心から離れることはありません。」という思いが書かれているわけですけれども、これはやはり、今現在稼働していない原子力発電所の間近に住んでいる住民の方もいろいろ不安と向き合って生活をされているわけですが、こういった方々、住民、市民の不安を取り除いて将来の生命や健康を保護するということも、当然、委員会の目的ということでよろしいんでしょうね。

田中政府特別補佐人 そのとおりでございます。

 福島のような事故を繰り返さないということの最大の目的は、特に、周辺住民の方がそういった不安とか生活の問題を起こさないということが第一の目的だと思っています。

野間委員 七月十八日までに新規制基準によって国内五十基の原子力発電所をこれから審査をされるわけですけれども、どのような体制でこれから審査をされるんでしょうか。

田中政府特別補佐人 今回の新しい規制基準は、これまで我が国の規制にはなかったような外部要因、地震とか津波によるシビアアクシデントとかそういったものを起こさない、そういうための対策というのを求めております。

 それで、その内容はかなり多岐にわたっておりますので、従来のような申請に対する審査と比べると、なかなか大変だろうというふうに私どもも予想しております。

 それで、現在私どもが有しています原子力規制庁の人的リソースを最大限検討しまして、今のところは、八十名ぐらいでそれに対応しようということでございます。

 あと、審査期間についてもいろいろ御質問を受けるわけですけれども、これにつきましては、申請の内容によって相当変わってくるとは思っております。

 ただ、私どもとしましては、いたずらにその審査期間を長くしないようにということで、これまでは棒つなぎになっていました設置許可とか工事計画認可とか保安規定認可、あるいは地震、津波対策の確認とか、こういったものもできるだけ同時並行的に進めて、速やかに審査を進める予定でおります。

野間委員 三チームぐらいでという報道がよくされていますが、その八十名を三チームぐらいに分けてということになるんでしょうか。

田中政府特別補佐人 当面、三チームぐらいを予定しております。

野間委員 関西電力の大飯三、四号機の現状評価、四月十九日の初会合から六月下旬をめどに取りまとめるということになっているということですけれども、田中委員長が三月十九日の新規制施行に向けた基本的方針という私案の中で、「この確認作業は、今後他の炉に対して審査をするためにも有効であると考える。」というふうにおっしゃっています。

 六月下旬ですと大飯の審査が二カ月とちょっとになるかと思うんですが、そうしますと、ある一定の二カ月とかという一つの期間が、今後の何らかのめどあるいはモデルになると考えてよろしいんでしょうか。

田中政府特別補佐人 大飯の現状調査は、いわゆる審査とは少し様子が違います。ですから、期間とかいろいろな意味でかなり参考にはなるとは思いますけれども、それがそのとおりになるというふうには考えておりません。申請がどういう形でされてくるか、今回の新しい規制に対する対応状況がどうなっているかによって、その審査期間が相当変わってくると思っております。

 今ここで申し上げられることは、できるだけ速やかにその審査を進めるという心構えで取り組んでいるということでございます。

野間委員 田中委員長の一月九日の年頭の記者会見の中で、通常ですと、どんなに早くても一基の変更申請については半年とか一年はかかるという御発言もあったんですけれども、もし一年とかということになりますと、例えば五十基、この三チームが、一チームが一基なのか二基とかというのはわかりませんけれども、もし一チームが一基の審査ということになると、本当に、十七年とか大変な長い年月がかかることになるんですが、そのあたりはどうお考えでしょうか。

田中政府特別補佐人 私どもの最大の役割としましては、今後、その原子力発電所自体が運転をしてもある一定の安全水準を保っているかどうかということを審査することでありまして、何年かかるかということについて今ここで一概に申し上げることは困難ですが、事業者の方にも、できるだけ私どもの審査が速やかに進むように努力していただくことも極めて大事であろうかと思っております。

野間委員 今、お立場上、期間を言うのがなかなか難しいということは承知しておりますけれども、例えば五十番目の原発の周辺に住んでいらっしゃる方からすれば、自分たちの地域にある原子力発電所の安全性が十年後しかわからないということでは、非常に不安を抱えて生きるということにならざるを得ないわけです。

 確かに、安全性を最高に高めて審査するというのは非常に大事なことではありますけれども、審査が後の方に回るところが不安を抱えて生きることにならざるを得ないということについて、その中でやはり時間軸もしっかり入れていただかなきゃいけないというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

田中政府特別補佐人 私どもの審査は、事業者からの申請があって始まるわけです。それがどういう形で事業者から申請が出てくるかということを今ここで予断を持って申し上げることはできないんですが、仮に今の審査体制で不十分であれば、それを強化するというような方向でもいろいろ努力をしていきたいと思いますし、また、そういった場合には、先生方の御助力もお願いすることになろうかと思っております。

野間委員 規制委員のお一人の更田委員から、一月三十一日の新安全基準に関する検討チームの十三回会合で、「軽水炉みたいに蒸気系を使うプラントを四年間とか止めると、これは別の懸念が起きてきて、米国でも事例がありますけれども、長期停止した炉を再起動するというのは、新設炉を立ち上げるときよりもむしろ大きな懸念がある」という発言もあります。

 したがって、余りに長期に停止するということ自体にもリスクがあるというふうに理解してよろしいんでしょうか。

田中政府特別補佐人 どんな機械装置でもそうですが、特に原子力プラントのように、非常に複雑でたくさんの機器から構成されているものについては、余り長期にとめますと、特に水の管理とかも含めまして、腐食の問題も起こったりいろいろなことが起こりますので、可能性としてありますので、そういった点での、新しいプラントを稼働させるのとは違った意味での注意深い点検が必要になるということも事実でございます。

野間委員 これは、いろいろ御検討されていると思いますので釈迦に説法になるかと思いますけれども、どういう構成でこれからそのチームが、一つのチームが一基を担当するのか二基担当するのかというのもよくわかりませんけれども、例えばPWRでいえば、二ループの同じ型式のものはまとめて審査をするとか、三ループのものは一緒にやるとか、そういう同時審査をするということで迅速化を図れることもできるのではないかという意見もありますし、今、委員長がおっしゃったように、人員、予算が足りなければ、やはりこれはきちっと政府にも要求をして地域住民の不安を取り除くということが非常に大切だと思いますので、そういった点をぜひ御考慮いただきたいと思います。

 次に、環境大臣に、これは大臣としてというよりは政権与党の政治家としてお聞きしたいんですけれども、自民党、昨年の総選挙、ことし七月の参議院選挙の公約で、全ての原発再稼働の可否については三年以内の結論を目指すということをおっしゃっているわけですけれども、この点について、大臣としてのお答えはなかなか難しいと思いますけれども、政治家としての御意見、御感想を聞きたいと思います。

石原国務大臣 野間委員がおっしゃられたとおり、環境大臣として原発の再稼働についてお答えする立場にございませんけれども、ただいまの委員長と委員の議論を聞かせていただいておりまして、共通の認識はあるなと。それは、再稼働に当たってはその安全性が大前提である、そこに尽きるのじゃないかと思っております。

野間委員 あと、安倍総理が先日も、ベトナムやトルコ、サウジアラビア、UAEあるいは東ヨーロッパなどに、日本の世界最高水準の安全性のある原発を輸出しようということでトップセールスに立たれているわけですけれども、そういった売り込みを受ける国から見て、我が国の原発がほとんど停止しているという状態は非常に奇異に映っているわけでありまして、その点、大臣としてなかなかおっしゃりにくいかと思いますけれども、御感想を聞きたいと思います。

石原国務大臣 この点の方が実はもっと答えにくくて、規制委員会が何でできたのかということを思い出していただけるとわかるように、利用を推進する部局と規制、監督する部局が同じところにあったことによって今回のような事態を招いたんじゃないかというような反省があります。

 ですから、広い意味で原子力発電所を、もちろん民間のプラントですけれども、外国に持っていくということは利用推進に当たるわけですから、規制委員会は三条機関として独立しておりますけれども、環境省の外局として規制委員会をサポートする規制庁がある以上は、利用に関する話をさせていただくということは、ある意味で予断を持ってまた感じられる方もいらっしゃると思いますので、ここの点については御容赦いただきたいと思います。

野間委員 原発の安全性の規制の理念ということで、安全対策を事細かに定める行為を規制するのか、それとも、安全対策で達成する目標を定める性能を規制するのかという考え方、二つあるとよく言われますけれども、今回の新規の規制基準というのは、どちらの理念に基づいておられますか。

田中政府特別補佐人 結論から申し上げますと、性能要求でございます。

 つまり、技術は日々進歩いたしますし、内外のいろいろな事例とか議論を踏まえて新しい技術を事業者が積極的に取り入れられるように、つまり、その要求を満たすことができればいろいろな技術を工夫していただきたいという意味も込めて、性能要求になっております。

 常々私の方から申し上げていますけれども、安全を確保する第一の責任はやはり事業者にある。だから、事業者がそういう意味で安全のレベルを上げるために日々努力していただけるようにということも含めて、性能要求になっております。

野間委員 ただ、出されている資料などを拝見しますと、BWRにはフィルターベントをつけるという例示という形で書いてありますけれども、これは、例示されていたとしても、何かやはり、それをやらなきゃいけないんじゃないかというふうに受け取られかねないと思うんですけれども、その辺どうでしょうか。

田中政府特別補佐人 今御指摘のフィルターベントですけれども、いわゆる今回の事故の事例の状況を踏まえまして、私どもとしては、今回出された福島の放射能、セシウム137換算でいきますと、それの百分の一以下、そもそもは放射能を外に出さないということが今回の非常に厳しい規制になっておりますけれども、万が一それが環境に出るようなことがあっても、百テラベクレル以下、これは福島の百分の一ぐらいになるわけですけれども、それ以下になるようにということを求めております。

 その一つの方法としてフィルターベントというのを事例として要求していますので、それにかわる、ほかにそれを百テラベクレル以下に十分にできるような方法があれば、それでもよろしいということになろうかと思っています。

野間委員 わかりました。

 そういう意味では、事業者の創意工夫でその基準が達成できればいいんだという性能規制の考えでいかれているということですね。ありがとうございました。

 それでは次の質問に移りたいと思います。先ほども出ましたけれども、ことし十五年目を迎えた、日中韓の三カ国の環境大臣会議についてであります。

 過去十五年間やられてきて、いろいろな大気汚染、PM二・五の問題ですとか黄砂、酸性雨、海洋ごみなどなど、この十五年間で果たして北東アジアの環境がよくなってきたのか、何か悪くなってきているようにしか思えないんです。

 確かに、この三カ国の会議は研究とか情報収集が中心なのかとは思いますが、単にそれだけでは余り意味がないのでありまして、今までの成果、そして、どういう具体的な行動をこれからされていくのかということについてお伺いしたいと思います。

関政府参考人 委員御指摘のとおり、日中韓の環境大臣会合は、一九九九年に第一回を開催しまして、毎年一回、ことし、第十五回を迎えたところでございます。

 もちろん、各国の環境対策というのはそれぞれの国が責任を持って実施するというのが原則でございまして、日中韓ともいろいろな課題はございますけれども、この十五年間を振り返れば、一定の成果が上がっていると私どもは考えております。

 また、その三カ国で開催するということの意義につきましては、環境問題、例えば大気汚染につきましても、国境なく広範囲にわたりますので、関係する国が相互に連携協力し情報交換等を行うことにより、よりよい成果を出そう、こういう趣旨でございまして、例えば、二〇一〇年には、大気汚染を含みます汚染管理、黄砂等の十の優先分野を特定いたしまして、環境協力に係る日中韓三カ国共同行動計画というのを定めておりまして、具体的な協力を進めてまいりました。

 また、今回の会合におきましては、先ほども御議論ございましたけれども、特に近年、ことしに入りまして関心が高くなっておりますPM二・五の問題につきまして、三カ国で新たな政策対話などを設けるということに合意いたしました。これも大変大きな成果であろうと考えております。

 今後とも、引き続きまして、この枠組みにおきまして、大臣間の対話とともに日中韓の事務方の具体的な協力もあわせて推進し、この地域の環境改善に努めてまいりたい、このように考えております。

野間委員 ことし一月二十四日に、福島県のいわき市で日中韓の自然災害による環境影響対応セミナーというのが開かれているわけですけれども、福島で開かれたということもありますし、当然、地震、津波等の問題だったと思うんですが、この際は、いわゆる放射能の拡散の問題とか、そういったことについては触れられているんでしょうか。

関政府参考人 御指摘の会議は、昨年の日中韓の会合の合意に基づきまして、ことし、いわき市で開催させていただきました。

 原発事故そのものについては議題とはしておりませんけれども、それに伴いまして環境省が担当させていただいております除染あるいは放射性汚染物質を帯びた瓦れきの処理等々について、我が国の対応状況について、中国、韓国の担当者に御紹介させていただいております。

野間委員 これは通告になくてちょっと恐縮なんですが、新聞報道ですと、二月二十一日に、原子力規制委員会が中国の原発事故を想定して対応策を検討している、本格的な調査に乗り出すという報道はあるんですが、実際はそういう対応をとられているんでしょうか。

田中政府特別補佐人 私どもとしては、そういった検討をしたことはございません。

野間委員 と申しますのも、御承知のとおり、今、韓国には原子力発電所二十三基、中国も十六基が稼働して、これからまた二十九基が建設中、二〇二〇年までにさらに五十基ふやすということで、非常にこの北東アジアの地域において原子力発電所がふえて、我々はやはり福島の教訓をしっかり受け継いで、この三カ国がせっかくその環境大臣会議をやっているのであれば、そういった問題についても今後何らか議題にのせて協議をする必要があるんじゃないかと思いますけれども、そのあたり、お考えはいかがでしょうか。

田中副大臣 今の先生の質問の趣旨は、日中韓の環境大臣における会議でという意味だと思いますので、ちょっと私の方からお答えしたいと思います。

 原子力安全については、既に日中韓上級規制者会合が設置をされておりまして、ハイレベルの情報とか意見交換を実施されているというふうに伺っておるところでございます。

 今のところ、我々、この大臣会合において三カ国の合意というものが前提となっておりますけれども、原子力発電所の課題は対象になっていないことになっております。

野間委員 要望ですが、非常に危険性を私どもも感じておりますし、まして福島の事故の後ですから、三カ国がそういった知見を交換するというのは非常に大切だと思いますので、ぜひ要望しておきたいと思います。

 最後に、もう一度規制委員長に。

 今後の審査に当たっては、そういう時間軸も、もちろん速やかにやられるという御発言も今ありましたけれども、時間軸が、特に、原発立地地域に住んでいる住民の皆さんに対して非常にその要素が大切だということについて最後に御見解をいただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。お願いいたします。

田中政府特別補佐人 先生御指摘のことも十分に心にとめて、かつ、安全に手抜かりのないように審査を進めさせていただきたいと思います。

野間委員 どうもありがとうございました。終わります。

吉野委員長 次回は、来る二十一日火曜日午前十一時二十分理事会、午前十一時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時一分散会


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