衆議院

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第13号 平成25年5月31日(金曜日)

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平成二十五年五月三十一日(金曜日)

    午後一時四十分開議

 出席委員

   委員長 吉野 正芳君

   理事 泉原 保二君 理事 うえの賢一郎君

   理事 北川 知克君 理事 土屋 品子君

   理事 冨岡  勉君 理事 篠原  孝君

   理事 河野 正美君 理事 斉藤 鉄夫君

      穴見 陽一君    井野 俊郎君

      井林 辰憲君    井上 貴博君

      石川 昭政君    岩田 和親君

      小倉 將信君    小田原 潔君

      大久保三代君    小林 史明君

      齋藤  健君    末吉 光徳君

      助田 重義君    藤原  崇君

      生方 幸夫君    吉田  泉君

      小沢 鋭仁君    阪口 直人君

      江田 康幸君    杉本かずみ君

      中島 克仁君    野間  健君

    …………………………………

   参議院議員        西村まさみ君

   環境大臣         石原 伸晃君

   環境副大臣        田中 和徳君

   環境大臣政務官      齋藤  健君

   環境大臣政務官      秋野 公造君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            田中 俊一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           後藤  収君

   政府参考人

   (環境省大臣官房長)   鈴木 正規君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 奥主 喜美君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 平岡 英治君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       佐藤 敏信君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  関 荘一郎君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  伊藤 哲夫君

   政府参考人

   (原子力規制庁審議官)  山本 哲也君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力地域安全総括官)       黒木 慶英君

   環境委員会専門員     仲川 勝裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月三十一日

 辞任         補欠選任

  赤枝 恒雄君     小田原 潔君

同日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     末吉 光徳君

同日

 辞任         補欠選任

  末吉 光徳君     赤枝 恒雄君

    ―――――――――――――

五月二十九日

 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六六号)(参議院送付)

 特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六七号)(参議院送付)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六六号)(参議院送付)

 特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六七号)(参議院送付)

 環境の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

吉野委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として経済産業省大臣官房審議官後藤収君、環境省大臣官房長鈴木正規君、環境省大臣官房審議官奥主喜美君、環境省大臣官房審議官平岡英治君、環境省総合環境政策局環境保健部長佐藤敏信君、環境省地球環境局長関荘一郎君、環境省自然環境局長伊藤哲夫君、原子力規制庁審議官山本哲也君、原子力規制庁原子力地域安全総括官黒木慶英君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

吉野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中島克仁君。

中島委員 みんなの党の中島克仁です。

 本日、私、違う委員会の質疑が重なってしまいまして、順番を入れかえていただきまして、御配慮いただいたことを大変感謝しております。ありがとうございました。

 何かきょうは梅雨の切れ目というか、非常に爽やかな日でございまして、お昼後ということもあります。皆さんと一緒に質疑をやりたいと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 先日、五月二十日、環境委員の皆さんと福島第一原発そして楢葉町の視察に行かせていただきました。改めて、その被害の甚大さ、そして、まだ今なお被災されている方々を思いますと、一日も早い復興を願うばかりということをまた強く感じました。それで、福島第一原発事故に関する質問をあえてさせていただきたいと思います。

 資料の一枚目にございます。これは五月二十七日の朝日新聞でございますが、他の新聞にも大きく報道をされました。大きな見出しが、「チェルノブイリの三十分の一 福島事故 国民全体の甲状腺被曝量」、その辺に関する新聞記事が大きく見出しとして出されました。私のところにも、これは本当なのかというような問い合わせがたくさんございまして、きょう、五月二十日の経緯も含めまして、今回こういうことが大々的に報道されたということで、それに関連した御質問から入らさせていただきたいと思います。

 福島第一原発事故について国連科学委員会が報告書をまとめ、集団で見た日本国民の総被曝線量は、甲状腺がチェルノブイリ原発事故の約三十分の一、全身では約十分の一と推計したとされています。個人の被曝線量も推計し、多くが防護剤を飲む基準以下で、六千人の甲状腺がんが出たチェルノブイリとは異なる、がんの発生は少なく、見つけるのが難しいレベルとこの報告では結論づけられております。

 一方では、これはきょうの新聞記事なのでちょっと資料としてお配りできなかったんですが、被曝線量を合算できていない。それぞれの自治体、それぞれの測定の仕方で、本当にこの報告が信頼性があるものなのか、環境省としてどういう位置づけで捉えておられるのか、お答えいただきたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 第六十回の原子放射線の影響に関する国連科学委員会、UNSCEARと言っておりますが、この中でそうした検討を行われているということは承知をしております。

 この会合は非公開でありまして、報告書の内容も検討途中のもので非公表なんですが、朝日新聞を初め各社が情報を入手してこういう記事にしたものと考えておりまして、環境省としてどうこうコメントというところは、今の時点ではございません。

 ただ、今回の議論を踏まえて報告書が取りまとめられまして、十月には国連総会に提出されると聞いておりまして、環境省としても、その推移を見守ってまいりたいと考えております。

 それから、今の御質問の中にもありましたけれども、各市町村の実態を踏まえていないのではないかということについては、我々が知り得る範囲では、前回報告されたWHOよりも、初期線量評価の状況がつけ加わるなど、かなりきめ細かな被曝線量推計になっているもの、そういうふうに承っております。

中島委員 正確には公式なものではないということで今お答えいただいたんですが、でも、こうして新聞紙上に大きく出されております。そして、福島初め東北の方々中心に、この真意というか、これが本当なのかということは非常に大きな話題となっているところでございます。やはり、この記事に関して環境省としてどう考えていらっしゃるかということは、何かしらの形で国民の皆さんに知らしめる方がいいんじゃないかなというふうにも思います。

 この見出しの中の最後にもつづっている言葉でもございますし、私も以前から何度となく小児の甲状腺がんの問題をこの環境委員会でも御質問させていただいていく中で、原発事故直後の放射性核種の種類と量、そして子供たちの行動動態、これがやはり甲状腺がん、これから、チェルノブイリの例でいけば、事故から四年後、もう二年たちましたから、あと二年後には増加してくる、十年後にはピークを迎えるというチェルノブイリでの例もございます。

 それについて私が三月の時点でお聞きしたときには、原発事故直後の放射性核種の種類、量、そして子供たちの行動動態、フィードバックして調査を進めているところだというふうな答弁をいただいたことと思いますが、今どのくらいまで進んでおられるのか、お聞きしたいと思います。

山本政府参考人 私の方から、福島第一から放出されました放射性物質の核種、これの推計の状況についてまず御説明をさせていただきます。

 まず、福島第一原子力発電所の事故の発生後四日間の放出量につきましては、平成二十三年六月に当時の原子力安全・保安院が、これはシミュレーションでございますけれども、プラントの挙動解析に基づきまして、その総量の推計を行っております。それで、その推計に当たりましては、人体への影響などを考慮しまして、代表的な放射性核種三十一の核種について、それぞれごとの放出量推計をしているものでございます。

 例えば代表で申しますと、沃素131の場合は約十六万テラベクレルになってございます。それから、セシウム137につきましては約一・五万テラベクレル、それらの全部の合計を沃素換算いたしますと、放出量は約七十七万テラベクレル、こういう推計をしたものでございます。

 以上でございます。

佐藤政府参考人 後段の御質問についてお答えをいたします。

 これまで、環境委員会を初めとして国会でお話をしてきたところでは、平成二十三年度の受検者の中で精密検査をお受けになったのは、平成二十三年度の受検者三万八千人のうちから、三名の方ががんで、七名の方が疑いであるというところまで報告をいたしました。

 来る六月五日に福島でまた次の県民健康管理調査が開催されることになっておりますから、平成二十三年度の残りの分、それから、二十四年度分の精密検査に回った方のデータも恐らく報告されるのではないかと思いますので、六月五日以降にまた新たな報告があるのではないかと思います。

 いずれにしても、環境省としても、県民健康管理調査の進捗について、人的、財政的な面で支援をしてまいります。

中島委員 前段の方のお答えについてですが、シミュレーションということです。セシウム、放射性沃素ということなんですが、この数字がシミュレーションということでどこまで信頼性があるのか、そして、これは何度も何度も言うようなんですが、例えばセシウムの問題であれば、低濃度セシウムの長期被曝による健康被害、そして、次の世代、また次の世代まで続く、科学的には証明できない放射線障害、やはり、直近の放射性ヨードから発生する小児の甲状腺がん、まずそこが一番大事なんですね。

 さらに、後段でお答えいただきました。それはその後の検査のことでございまして、事故直後の行動動態というのは、子供たちがどういう避難経路をたどって、県外、どの地点にどういうことで今現在避難されているか、そして、遠くに避難された子供たちはどういうフォローのされ方をしているのか、そこが問題だと思います。

 二点についてお答えください。

山本政府参考人 先ほど申し上げました放出量につきましては、シミュレーションでございます。この推計には、このほかにも、旧原子力安全委員会が、放出されました測定濃度から逆算をするというような形でのシミュレーションも行ったりしております。

 いずれにしましても、まだ福島第一の現状は中に入れない状況でございますので、そういったような調査を進めながら、この放出量の精度をさらに上げていくというような検討を進めていきたいというふうに思ってございます。

佐藤政府参考人 質問の趣旨を十分理解しておりませんで、大変失礼をいたしました。

 県民健康管理調査の中で、甲状腺がん、超音波検査の結果、そしてその後の精密検査の結果についても、るる報告があります。

 そして、その後に記者会見もありまして、その中でも似たような質問が出まして、例えば、疑いであったとか、がんであったとか、あるいは良性のものだったとかいうことについて、それぞれの住所地、そして、できれば、行動記録があるのであれば、その行動記録に基づく外部線量推計、そういうものと突合をさせるなり相関を見るなりすべきじゃないか、こういう御質問もありまして、現時点ではまだまだ患者さんの数が限られていますので、具体的にこの地域でしたといって公表するとなかなか難しいということで、いわゆる公表という形では出ておりませんけれども、今後の重要な課題というふうなことを認識しているのは間違いないようでありますから、恐らく次のステップは、ある程度数が出てきた段階で、今も申しました、繰り返しになりますが、住所地、ないしは、行動記録が出ていれば行動記録との突合といったようなことも、次の時点では課題になると思います。

中島委員 私、決して責めているわけではないんですね。早くやった方がいい、それを三月の時点でも言って、きょうも言わせていただいているわけですが、要するに、その放射性核種の種類、量そして子供たちの行動動態はいまだにはっきりしていないという結果だと思うんです。

 チェルノブイリ、今回の新聞の記事では三十分の一、六十分の一とも言われておりますが、実際には不明確な部分が多く残されている。現実的には、チェルノブイリの例を比較検討していくのが一番目安となるんじゃないか。もう事故から二年以上がたち、現状では、小児の一通りの甲状腺のエコー、内部被曝の検査も今ようやく半分終わったぐらい。そうこうしているうちに、チェルノブイリの例でいけば、増加が始まる四年を迎えてしまう、あっという間にそういう時期になってしまうんじゃないか。そうなってきますと、発生して後手後手になる可能性は否定できないわけですね。

 私、実はこの問題に関しては、厚生労働委員会でも質問をさせていただきました。水俣病の例もございますように、環境被害イコール健康被害につながるわけですよね。そして、今回は環境被害とは大きく違います。原発被害、そういう特殊なものでございまして、必ずつながるのは健康被害です。しかも、直近では、何の罪もない子供たち、その子供たちにがんというものの発生が危惧されているわけですから、これは何としても早く取り組んでいただきたい。

 何度も言うようですが、責めているわけではなくて、やはりそうだったということにならないように、起きなければそれはそれでいいわけですが、その可能性は間違いなく否定できないということでございます。

 そして、厚生労働委員会、田村大臣にお願いしたのは、何としても厚生行政と環境省と一緒になって、これは以前に委員長にもお話ししたんですが、福島医大が今は放射線障害による医療に取り組まれていることは十分承知しております。先日も、楢葉町に行かれて楢葉町長さんともお話をしました。もともと医師不足の地域です。そして、合併を繰り返して、何とか医療を立て直そうとした最中での今回の事故ということもございます。

 そして、あの楢葉町にお子さんが戻ってくる環境というのはなかなか難しいでしょう。そういう中で今は除染を繰り返されているわけですが、恐らく今のままでは子供たちは絶対に戻ってこられない。四割の方が戻ってくることを希望しておられますが、四割の方は迷っておられる、二割の方は戻ってきたくないとはっきり言っている。

 そうなってきますと、もともと医療過疎の地域で、二度とこのような事故、そして、子供たちの健康問題をしっかりと国が守っていくんだ、そういう意味も含めまして、福島に放射線に特化した医療施設を建てることによって、モニュメント的な要素を含めて、世界各国から見て、国内はもとより、内外から、放射線治療であれば福島と、そういう名前のつくような専門の医療機関、何としても、協力して横断的に各省でつくっていただきたい。いかがでしょうか、大臣。

石原国務大臣 この点につきましては、同様な議論がさまざまな委員会でなされているのを私も聞かせていただいております。

 私も福島医大は行かせていただきまして、甲状腺の専門の先生あるいは放射線治療の先生方、いろいろお話を聞かせていただいてきたわけでございますけれども、自分たちでぜひ引き続いてやらせていただきたいという熱意が非常に強く、また、施設も充実していると思います。

 ですから、これも何度も御答弁させていただいておりますが、国としては、バックアップとして、基金をつくりまして十分な財政的な手当てを行っていく。また、現地の方で、今委員の指摘のような意見が医療関係者の方から出てきたときに、またそういうことの検討というものがなされていくというふうに承知をしているところでございます。

中島委員 田村大臣の方からも、決して何もしていないわけではないです、厚労省としても予算的な措置を、そして協力関係をという御答弁をいただきました。それは大変いいことだと思います。

 ただ、一方では、これも私は直接聞いてはいないんですが、福島の子供たち、今は外で遊ぶこともままならない、山へ遊びに、川へ遊びに行くこともできない。そういう中で家に閉じこもって、子供の生活習慣病、中学生、高校生でありながら高脂血症、糖尿病、そういう問題もこれからふえてくるのではないかと。

 そういう意味も含めまして、子供たちがこれから本当に健康な成長をしていくために国は精いっぱいやってくれているんだ、そのことを知らしめるためにも、より目に見える、実効性のあるものを取り組んでいただきたいなということは、切に願うところでございます。

 そのような福島の今の現状だと思いますが、たび重なる第一原発でのトラブルまたは核燃料サイクル施設でのトラブル、そして廃炉への道筋、まだまだ原発収束とは言えない現状だと思います。そのことは、先日皆さんと一緒に視察に行かれて、恐らく、さらに実感したところではないかなというふうにも思っております。

 その一方で、安倍総理、地震大国でございますトルコに原発の輸出、そして、数日前にはインドにも原発を勧めている、そういったことも報道をされております。

 先日の、電気事業法の一部を改正する法律案の本会議、その中で我が党の小池議員からも原発の輸出に関する質問がありまして、ここで御質問するのはどうかなというところもあるんですが、ちょっとその答弁に対してううんと思うところがございますので、お考えで構わないので、お聞かせ願いたいんです。

 原発輸出に関して、国の責任についてどうなんでしょうかという質問を小池議員からされました。それに対して経産大臣は、輸出した原発の製造者としての責任は、各国それぞれの法制度や契約関係によって決定されるものであって、輸出するメーカーが適切に判断すべき事項と考えていると答弁をされたんですね。

 聞き方によるのかもしれませんが、これは国の責任はないというようにも聞こえるんです。現実に、テレビでも報道されているように、安倍総理は実際に行かれて、原発推進、しかもそのトルコ、地震大国です、そしてテロの危険性も日本よりも圧倒的に高い地域、そういったところに、国の責任を負わずに、それは向こうの責任と言うのはいかがなものかなというふうに私自身は捉えたところですが、その発言に対してどのようにお考えになるか、お聞かせ願いたいと思います。

石原国務大臣 これは、今度の事故に鑑みまして、規制する側と推進する側が一つの役所のところにあるのが問題があったという大きな反省に立ちまして、規制部分が規制委員会という三条機関、そして、環境省の外局である規制庁というところに来ております。

 私は、規制委員会に対して指揮命令権限は、三条委員会でありますので当然ございませんけれども、利用に関する発言、これは、規制と推進というものが分かれているわけでございますので、利用に関する推進の輸出等々に関するコメントを、規制庁を外局として持っている環境大臣が環境委員会で話をするということで、私はよくないことだと思います。

 せっかく分けてありますので、これはやはり経産委員会等々で、細かくエネルギー庁あるいは経産大臣と御議論をいただきたい、こんなふうに考えております。

中島委員 非常にお答えづらいのはよく承知の上で御質問させていただきました。

 この後、さらに原発輸出について、相手国の事情や意向を踏まえつつ、世界最高水準の安全性を有する我が国の技術を提供するとともに、規制組織のあり方も含めた原発に関する制度整備への支援も実施していくと言われたんです。

 でも、先ほど福島の現状をお話ししました。たび重なる福島第一原発事故後のトラブル、核燃料サイクルのトラブル、そして廃炉への道筋がまだ未確立、そういった問題を踏まえながら、本当にそう思われているのか。

 現実に、その後、私はいろいろな国会議員の皆さんとも話をしました。やはり、今の時点で、まだまだ福島の原発事故も収束されていない中で、しかもリスクが高い国への輸出というのは、本当にいかがなものかなと言わざるを得ないかなと私自身思うところでございます。

 ここでこういったことを言うのはどうかなというふうに思いながらも、やはり環境大臣にもこのことを受けとめていただきたいと思って、あえて質問とさせていただきました。

 福島の問題は、本当に子供たちの未来を守るためには今現在をしっかりと取り組まなければならない、そういったことも含めて、大人たちの都合によって子供たちの未来が潰されないように、どうか、御配慮そして積極的な取り組みをよろしくお願いいたしたいと思います。

 ちょっと話題をかえさせていただきます。

 先日、五月十八日に、アジアや米国など十八カ国の閣僚が集う東アジア低炭素成長パートナーシップが東京で行われました。日本からは外務大臣と石原大臣が出席されたというふうに報道で聞いておりますが、実際、具体的にどのような話し合いの中でどのような成果が得られたのか、お尋ねいたします。

石原国務大臣 ただいまの御質問は、五月十八日の東アジア低炭素成長パートナーシップの会合の内容いかんということでございます。

 東アジアの首脳会議、十八カ国の閣僚等が一堂にいらっしゃいました。私は、バイでは、ベトナム、さらにはインドネシア、さまざまな国の方々とお話をさせていただきました。

 焦点は、やはり低炭素成長に資する技術、こういうものを各国がどういうふうに取り組んできたのか、また、日本のどういうところに御協力をいただきたいのか、意見交換を率直に行わせていただいたところでもございます。

 そんな中で、発展途上にある、また工業化が著しい国々からは、これももう当委員会で大分御議論のありました二国間のオフセット・クレジットの制度を活用して協力をしたいというお話をさせていただきましたところ、どんな協力ができるのかといったような、国名をまだ具体的に、案件が完全に固まってはおりませんので、交渉途中でございますので、詳細は省略させていただきますけれども、かなり突っ込んだ意見交換をさせていただきました。

 それによりまして私どもから申させていただきましたことは、共通しておりますのは、日本の技術だけで排出削減じゃなくて、途上国側が本当に求めているいわゆるインフラ、交通インフラ、上下水道、さらには廃棄物処理、割と、パッケージなものを目指すんだということに大変途上国の方々が関心を示されたということを、印象に持ったところでもございます。

中島委員 この二国間オフセット・クレジット制度というもの自体が、恐らく日本とすれば、日本の環境技術をアジアの諸国に提供して、そのCO2の削減量を日本に計上したい、そういう目的として捉えておりますが、今言われたように、具体的にまだどの国とということではないということでございます。

 温暖化の問題については、本当にこの委員会でもたくさん質疑がされております。ちょっと時間の問題もございますが、資料の三ページ、「自治体 ばらつく温暖化対策」ということで、左側の方には、各都道府県の温暖化対策削減目標というのがあります。

 一方では、国の計画がこの秋のCOP19に向かってまだ目標値が定まらないということで、九県では、やはりその結果を待たないと策定できないという結果になっております。

 一方では、宮崎県、そして、私のふるさと、地元でございます山梨、削減目標三六・四%と高い数字を掲げているところもある。かなりばらつきがあるというのがこの現状じゃないかと思います。

 これは言うまでもなく、温暖化対策を各県でばらばらにやっていても何の効果もないわけですよね。そういったことを含めますと、できるだけ早期に、やはり、ある程度日本として、日本の国がこれからどう目標値を設定していくのか、このことは早期に取りかからなければならないことかなというふうに思います。

 資料の四は、私の地元でございます山梨県の地球温暖化対策実行計画というものでございます。さわやか・やまなし環境創造本部地球温暖化対策専門部会というのが山梨県庁の中にありまして、この二ページ目には、削減目標、方向性をはっきり示しております。短期、中期、長期と、これは以前からあるものでして、短期目標は年度があれですが、中期目標、二〇二〇年まで、全体で二〇〇五年比で三六・四%削減と非常に高い数字を掲げている。その後にも、森林の問題とか、恐らく省庁間でいけば農林水産部門、そういったものが、県単位、自治体によっては一つになって取り組んでいるということでございます。

 その大もとでございます環境省、そして日本の温暖化対策がこのまま立ちどまる、それではやはり、各自治体のばらつき、目標値が定められない県が九県もある、その一方では太陽光エネルギーを普及させたり、かなり温度差が出ちゃう。そういうこと自体は非常にもったいないなと。ドイツのアーヘンなんかを見ていきますと、その地域の再生エネルギー、自然エネルギーは直接その地域の経済活性につながります。

 ですから、何度も言って大変恐縮ではございますが、早く温暖化対策に対するものを見出していただきたいなというふうに思います。

 時間ももう間もなくなんですが、冒頭にもお話ししました福島原発の問題、そして、恐らく環境省が目指すべきは、脱原発、原発のない、そしてクリーンエネルギー、再生エネルギー、そして温暖化対策、そしてエコなエコタウン構想、そこにやはりこれからの環境分野が目指すべきところがあるのではないかなというふうに思いますが、大臣、そのことについて、最後、御答弁いただきたいと思います。

石原国務大臣 安倍内閣も、原子力発電に依存したエネルギーの需給体制というものからは離脱をしていこうということは、もう既に総理が何度も答弁させていただいていることでございます。

 そしてまた、今委員の御指摘のあった点は、私もまさにそのとおりだと痛感しているところでございまして、国の計画の議論の状況についてきめ細やかに情報提供を行うなど、自治体が速やかに計画策定できるように環境の整備に努めなければならない、このことについては、事務方を督励しているところでございます。

 そして、新しい目標についても、ワルシャワという期限が掲げられておりますので、できるだけ早くこのCOP19までに決定をさせていただきたい、こんなふうに考えております。

中島委員 これも毎回の質問の終わりに言っているんですが、私、環境省ファンです。私も、協力できることがあれば、私のふるさと山梨においても、太陽光エネルギー、メガソーラー、日本一日照時間が長いと言われている地域でもございます、できることは何でも御協力したいと思いますので、ぜひ目標に向かって突き進んでいただきたいと思います。

 きょうは、時間を繰り上げていただきまして本当にありがとうございました。質問を終わります。

吉野委員長 次に、小沢鋭仁君。

小沢(鋭)委員 私も環境省ファンの小沢鋭仁でございます。

 一般質疑ということなので、いろいろと質問をさせていただきたいと思います。

 まず、明るい話題から入らせていただきたいと思います。

 これは五月二十七日の夕刊がほとんどでしたが、例えば、「放鳥トキ 今季初巣立ち」、こういう報道がありました。環境省は二十七日、放鳥トキのひな二羽が巣立ったと発表した、こういう記事であります。二年目でありますが、大変うれしい話題であります。

 私が大臣をやらせてもらっていたときは、ちょうどテンにケージを破られて、九羽だったと思いますけれども、トキが死んじゃった、こういう話で、大変あのときはつらい思いもしたわけであります。本当にそれから皆さん頑張っていただいて、放鳥トキが去年に続いてことしも巣立ちをした、こういう明るいニュースをお互いに喜び合いたいと思います。

 そこで、一点だけ質問ですが、ちょっと気になった記事のところがあって、いわゆる日本のふ化率、巣立ち率が中国に比べて低い、こういう話があります。

 地元でトキの環境整備をしていただいている、生椿の自然を守る会の高野会長とおっしゃるんですが、環境づくりには万全を期すのでトキにはぜひとも頑張ってほしい、こういうコメントがあります。トキに頑張ってもらうというのはどういうことかなとも思いますけれども、いずれにしても、何で低いんだろうな、こういう話に関して皆さんの御見解をいただき、対応策を考えたい、こういうことでございます。よろしくお願いします。

伊藤政府参考人 トキのふ化率でございますけれども、産卵数自体は正確には把握できませんので、ふ化率も正確なところは算定できませんが、営巣したペアのうち、巣立ちが成功したペアの割合で見ますと、平成二十四年、我が国の佐渡の場合、約二割でございまして、中国と比べて低いのは事実でございます。

 その原因として考えられますのは、まず、カラスなどの天敵が卵を食べてしまうとかペアの営巣活動の妨害をやるとか、あるいは自然現象として強風や気温低下などが卵の発育阻害をしてしまう、こういったことが考えられるわけでございますが、現時点におきましては、まだ要因を特定することは困難な状況にございます。

 引き続き、抱卵中止後の巣の周辺の調査、残っている卵殻の調査、あるいは営巣の攪乱要因の調査等を実施しまして、巣立ち率が低い原因についてもきちっと把握してまいりたいというふうに考えております。

小沢(鋭)委員 伊藤自然環境局長、廃リ部から自然局の方へ、こういうことでありますが、ぜひ頑張って検討いただいて、本当にすばらしい自然環境、その象徴にもなるわけですから、トキの育成、頑張っていただきたいと思います。

 次に、アメリカ・オクラホマで起こりました竜巻の話、これも温暖化に関連する話としてお聞きをしておきたいと思います。

 これはもう皆さんも御案内のとおりでございます。五月二十日、米国オクラホマ州で巨大な竜巻が発生し、残念ながら、多くの死傷者が出ました。

 これは五月二十二日、産経の朝刊でありますが、「温暖化で発生増加傾向」、こういう見出しがついていて、「気象庁によると、米国では年平均約千三百個の竜巻が観測され、」「近年は温暖化による海面の水温上昇で大気中の水蒸気が増え、竜巻が発生しやすくなっている」、こういう記事になっているんです。これは実は、もう皆さん御案内のアル・ゴアさんの「不都合な真実」、これは二〇〇七年だったと思いますけれども、こういう時代からずっと言われ続けているわけですね。

 これだけれども、竜巻の発生あるいはまたハリケーンの巨大化といいますか、これが温暖化との因果関係が依然としてはっきりしない、こういう話になっているんですね。新聞報道等はもう既に当たり前のように言われているわけでありますが、なかなか、いわゆる学説としてここのところをきちんと捉えられていない。これは私は本当に問題だと思っていまして、もしかしたらこれはやはり温暖化と関係ないんじゃないの、こういう意見があれば、そこのところに集中していろいろなエネルギーを投入していくという話も、ある意味では足踏みするわけですね。

 ここの因果関係をどう捉えているのか。環境省として、もっと本当に真剣にこの因果関係を突きとめていく努力をしないのか。そこを一点お尋ねしておきたいと思います。

関政府参考人 御指摘のように、さまざまな研究、学説というのがございます。一般的には、温暖化が進行しますと、竜巻等も含めて、こういう甚大な気象状況が増加するであろうということも言われておりますけれども、例えば御指摘のオクラホマの竜巻のケースについては、米国内で一部の報道機関は、気候変動との関係があるのではないかというふうな報道もなされておるというふうに承知しております。

 ただ、気候変動の影響につきましては、長期的な傾向から因果関係を判断するものであるために、例えば今回の竜巻等個々の事象について、この原因が温暖化によるものなのか、そうではないのかということを判断するのは、現時点では極めて困難だと考えております。

 ただ、世界じゅうで気候変動が起きているということは事実でありますので、温暖化の進行によってそれがどの程度増加しているか、激しくなっているか等については、世界じゅうで多くの研究者が研究を進めているところであります。我が国としても、研究予算等を投入して、引き続き研究の推進に努めてまいりたい、このように考えております。

小沢(鋭)委員 聞いていただいている委員の皆さんもお感じだと思うんですが、やはりこれだけ、何となくと言っちゃいけないですね、因果関係があるんだなとほとんどの人が思っているにもかかわらず、科学的にはまだ実証されていない、こういう話になっちゃうんですね。

 ただ、ここはぜひ大臣にもお願いしたいんですが、もうそろそろ、もっと本当に科学技術の粋を集めて検討して結論を出して、だからこそちゃんと対応しなきゃいけないんだという話をしなきゃいけない時期だと私は思います。

 例えば、気象研究所の加藤さんという方は、コンピューターを使った計算では、温暖化が進むと、日本での竜巻の数が今世紀末には二倍から三倍にふえる、こういう指摘をしているわけです。

 こういういろいろな研究を集めて、例えばIPCCもそうでありますけれども、温暖化の話、この根本もまさにそうでありますが、これだけの研究はこうだというような、少し集約をしていただいたらいいんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

関政府参考人 御指摘の気象研究所の研究員の方のレポートというものは承知しておりまして、政府といたしましては、実は、ことしの四月に、環境省、文部科学省、気象庁が協力いたしまして、気候変動の観測、予測及び影響評価レポートというものを取りまとめております。これを広く国民に普及しております。

 これは、我が国で行われた研究成果をわかりやすく取りまとめたものでございまして、この中に、長期的な傾向としまして、我が国におきまして、世界平均を上回る気温上昇、集中豪雨の増加などが観測されている等々、さまざま、きめ細かにこれまでの知見を集大成しておりまして、こういう知見というのは、現在検討中のIPCCの第五次評価レポートの中にも生かされていく、こういうふうになってございます。

小沢(鋭)委員 関さん、後半部分を常に言っていただいたらいいんですよ。

 一番最初の時点で、要は、まだ学術的に検証が不可能でございましてと、こういう話から入るからあれなのです。今のまさに私がお願いした話が既にそうやって行われているのであれば、我々の持っている研究結果においてはこうなっておりますという話をまず言っていただいて、そして、それに対する対応が必要だという話をぜひ大いに広めていただきたい、こういうふうに思います。

 温暖化の話で、国際交渉の話に入らせていただきたいと思います。

 先ほども中島委員からも話がありましたし、大臣からもありましたCOP19が、ことしは十一月ですか、ワルシャワで予定をされている、こういうことでありますが、国際交渉の現状について確認をしておきたいと思います。

 私は、COP15、コペンハーゲンをやらせていただいて、そのときはテークノートという形でしたが、各国が翌年までに目標を出そうや、こういう話があって、そして二〇一〇年、COP16、カンクンで、各国が掲げる二〇二〇年目標が出てきた。それから、二〇一一年、COP17、ダーバンで、二〇一五年までに全ての国が参加する枠組みを再構築するんだ、こういうことを確認した。そして、昨年のCOP18、ドーハでは、京都議定書の第一約束期間は終了したということの中で、COP19に向けての作業が今行われている、こういう状態だと思っておりますけれども、そういう理解でよろしゅうございましょうか。

関政府参考人 そのとおりでございます。

 現在、COP17におきまして、二〇一五年までに二〇二〇年以降に適用される新たな枠組みについて合意するということが合意されまして、これは、ダーバン・プラットホーム特別作業部会、ADPというところで議論をするということになりました。

 第一回というのがことしの連休中に開かれておりまして、第二回は六月の初めから二週間、ドイツで開催されるようになっております。

小沢(鋭)委員 きのう、イギリスのエドワード・デービー・エネルギー・気候変動大臣がお越しになって、GLOBEジャパンで講演をいただきました。吉野委員長も御参加をいただいているわけであります。

 やはり次なる新しい枠組みをつくる最大のポイントは、全ての国が参加する、私はこういう話なんだろうと思うんですね。京都議定書のところは、御案内のとおり、附属書1国と呼ばれている先進国の部分とそうでない国、二つに分かれていました。

 しかし、今や、例えばCO2の排出量で見ると、最大の排出国は中国であります。二番目が米国であります。両方ともそこには入っておりませんでした。ですから、大変実質的な効果が少ない、こう言われていたわけでありますけれども、ことしのワルシャワに向けてどういう対応をしていくのか。

 アメリカが、オバマ大統領が第二期の就任演説で温暖化問題を格上げし、そして、ことしの年初にトッド・スターンというアメリカの交渉担当責任者が、いわゆる積み上げ方式というんでしたか、各国の積み上げ方式という方式を提唱した、こういう話になるんですが、各国が積み上げていって、全ての国がそれに参加する、こういう話は、それはそれでいいんですけれども、それで本当に効果的、実効的な枠組みができるのかというのが問題ですね。

 ですから、一つは、本当に実効的な枠組みをつくっていくためにどうすればいいのかということと、1国と2国の間で、そういうある意味では国の分類を、全ての国という形でどうやってそれを集約していくのか。共通だが差異ある責任、こういう言葉で今まで分けられていた話を集約していくにはどうしたらいいのか。

 そういった意味で、ことしの対応について大臣の所見をいただけたらありがたいと思います。

石原国務大臣 冒頭、一番難しかったコペンハーゲンに小沢委員が先輩環境大臣として行かれた。あの会議の模様は、きのう、実は私もデービーさんあるいはフランスの方と会いまして、もう大変だったと。三十人ぐらいしか入れないところに、ロジも入れると六、七十人追い込まれ、言葉もたくさんの言語がある中で、通訳ブースもなくて、そんな中でわんわんやって、デンマークの首相に至っては、途中で倒れそうになった。

 そんな中で、今委員が御指摘になりましたように、世界全体の排出量削減のためには、排出量がふえている国も参加しなきゃだめだよねと。しかし、今委員が説明された、共通だが差異のある責任、これはちょっと英語で見ましたけれども、非常に微妙な言葉で、いろいろな思惑からこの言葉を使っているんじゃないのかなというのが私の率直な印象でございます。

 ということは、なかなか難しい。なかなか難しいけれども、先ほどの竜巻の話等々ではありませんけれども、分野によっては科学的にも異常が確認されている、こういうことは今まで実はなかったと思います。

 こういう事態を真剣に受けとめて、我が国としても、今委員がおっしゃられたような形で、世界各国が取りまとめられるようなアイデアを随所に出しながら、積極的に交渉に参加していかなければならない。期限の区切られたことでございますので、今鋭意検討させていただいているというところでございます。

小沢(鋭)委員 こうした委員会だけではなくて、いろいろな場面で相談をさせていただきながら、先ほどのお話じゃありませんが、環境省のファンの一人でありますので、十一月のワルシャワに向けて、ぜひいい案、世界をリードする案を、日本の場合、原子力が今こういう状態ですから、なかなか難しいのはわかるのでありますが、どうか頑張っていただきたい、こういうふうに申し上げておきたいと思います。

 その中の一つの具体案で、先ほども出ておりましたが、二国間のオフセット・クレジットの話を一つだけ具体的に取り上げさせていただきたいと思います。

 既に、COP18で、バイの会談で、バングラデシュとモンゴルと二国間の協定ができた、こういうふうにも承知をしておりますし、またいろいろな場面で進んでいるというのは先ほど大臣からありました。

 一つは、基本的なやり方という話を申し上げていたんですが、時間がありませんので、そこはカットしてもらっていいんですが、要するに、国連のCDMだとなかなかうまくいかない、こういうことの中で、二国間オフセット・クレジットを進めよう、こういう話を我々も推進してきたわけでありますけれども、それが本当にカウントされるんだろうか、日本の排出として。そこの部分の見通し、どんなぐあいになっていくのかというのを最後に一点だけお尋ねしておきたいと思います。

関政府参考人 二国間オフセット・クレジット、JCMにつきましては、昨年のCOP18におきまして、各国が二年ごとに提出する隔年報告書に何を記載するかという議論がございまして、国連が管理しない市場メカニズムについても記入する欄が設けられておりまして、これはJCMなんかも該当するわけであります。

 こういうことから、日本といたしましては、JCMによる削減量を日本の削減目標の達成に活用することは可能になった、このように解釈してございます。

小沢(鋭)委員 ありがとうございます。

 いつも私は申し上げているんですけれども、日本は、産業分野の環境技術は最先端であります。個人の生活とか地域の環境対応、ここはおくれている。この産業分野の環境技術をある意味では生かして、海外にそれをまさに生かして、そしてCO2を削減する。なおかつ、それは日本の経済成長の大きな柱の一つにもなるわけでありまして、日本の最も強いところを最も有効に活用するという意味では、ある意味では大変重要な政策だと思っておりますので、大いに推し進めていただきたいとお願い申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

吉野委員長 次に、阪口直人君。

阪口委員 日本維新の会の阪口直人でございます。

 私も、環境技術、例えば日本のインフラの海外展開にこれをいかに生かしていくか、このような視点できょうは質問をさせていただきたいと思います。

 おもしろいデータがありまして、これは環境省のホームページの中で見つけたんですけれども、都市ごみの発生率と一人当たりのGDPの相関関係についてでございます。これは株式会社廃棄物工学研究所のデータなんですけれども、基本的に、一人当たりのGDPと都市ごみの発生率というのは相関関係にある。比例するわけですね。

 ところが、その中でも、GDPに比較して比較的都市ごみの発生率が低い国、高い国があるんですが、高い国のグループとしては、米国、オーストラリア、イスラエル、デンマーク、アイルランドなどがございまして、日本は低い方の代表でございます。日本、チェコ、カナダなどが、GDPが高いにもかかわらず、ごみの発生率が低いということですね。

 これは、日本の環境技術がすぐれている、そして、環境行政がすぐれていることをあらわしていると思います。大変誇り得ることでもありますし、私は、インフラ等々の海外展開をする際に、ここの部分をいかに戦略的に生かしていくかということが非常に大切だと思っています。

 まず、この点について基本的な大臣の考え方、どのような戦略で環境大臣としてこの点のイニシアチブをとって日本のインフラの海外展開に生かしていくのか、基本的なお考えを伺いたいと思います。

石原国務大臣 この点については、同僚の委員との議論の中でJCMの話をさせていただいて、彼らが望んでいるのは、環境技術もそうなんですけれども、今委員が御指摘されたように、パッケージで、廃棄物の処理、あるいはもっと基礎的なインフラ、それこそ交通まで入るぐらいな、そういうところまでやってくれるんですかということにバイの会談で発展途上にある国々の大臣の方が言われたことを、私は非常に印象に持ちました。

 まさに今委員が御指摘のとおり、ニーズはそちらにやはりある。そういうことにも配慮をして、ですから、環境行政からちょっと外には出てしまう部分もあるんだと思うんですけれども、やはりパッケージということが非常に重要だ、まさに私、委員の考え方に賛同する者の一人でございます。

阪口委員 ありがとうございます。

 本当に、いかにシステムを売っていくか、パッケージで展開をするか、これは、口で言うのは易しいけれども、恐らく、越えなければいけない壁がたくさんあるんだと思います。

 環境省のホームページ、実にいろいろなデータがあるんですね。この質問に際して私もいろいろと読ませていただきました。なるべく時間をとって読んだんです。

 その中で、まさに、海外への環境技術あるいは装置の輸出が思ったほど進まないその理由についてのアンケート、そういったページがございました。これは、日本産業機械工業会の会員の方々を対象にして、九十七社から二十五社の回答を得て、そして分析されたものでございます。もう少し多くの回答があればいいなという感想も正直ございますが、アンケート項目として特に私が着目したのは、輸出が伸びない一般的な理由、そして、環境技術をアジアに普及させるための政府に対する要望の部分でございます。企業は、大気汚染や水質汚濁、廃棄物・リサイクルなどの技術を、中心は中国、そのほかインドネシアやベトナムなどに展開している企業でございます。

 企業の側の非常に大きな問題意識は、特に中国なんですけれども、知的財産権の保護がないということなんですね。そのほかにも、適切なパートナーがいないということもあったり、あるいは、日本のそういったシステムあるいは製品の価格が相対的に高いという問題もございますが、とにかくこの知的財産権を何とかしてほしいという大変に強い要望がございました。

 これは、他国のこういった問題についてどこまで企業の要望を伝えることができるのかというそういった問題はあるものの、ただ、より高い環境技術を展開する、それをパッケージで受け入れていくということは、その対象の国にとっても恐らく大きな要望だと思います。環境をよくしていくためにもこれは大切なことだという意識は共有していると思います。

 実際に、中国を初めとする第三国に対してこれを働きかけていく、そして知的財産権の保護を強化してもらうとか、相手の国の環境規制をしっかりしてもらう上で我が国ができること、特に環境省ができることというのはどんなことなのか、お答えをいただきたいと思います。

平岡政府参考人 お答えさせていただきます。

 今御指摘のございましたアンケートを行った事業でございますけれども、日本モデル環境対策技術等の国際展開ということで二十一年度から五カ年計画で進めてきておりまして、この中で、今のアンケートの結果も踏まえまして、いろいろな問題点として、環境対策技術等について情報が十分提供できていないとか、あるいは法規制、今、知的財産の問題もありましたが、法や基準の整備の問題でございますとか、それから日本側としましては、やはり、コストがかなり高くてなかなか相手国とマッチしないとかいったそういう問題点がございましたので、これを踏まえまして、こういったすぐれた日本の環境技術を普及させていく、展開していくということとあわせて、相手国におけるいろいろな制度の整備、基準の整備でありますとか、あるいは人材の育成、法規制をしっかりやっていただくというのも、環境のニーズが発生するという意味で大事だということで、そういった執行体制の強化といったようなことをパッケージで相手国にやっていただくというような戦略を立てまして、今、モデル的な事業も進めているという状況でございます。

阪口委員 この事業の対象になっている主な国は中国、ベトナム、インドネシア等々なんですが、知的財産権を強化する、環境規制を強化するということに関して、それぞれの国の基本的な立場、反応、これはどのようなものだったんでしょうか。

 基本的な姿勢ということで構いませんので、お答えをいただければと思います。

平岡政府参考人 今のようなパッケージで進めていくという方針のもとで、今御指摘がございました三つの国を一つの対象としまして、モデル事業といった形でやっております。

 相手国政府との共同政策研究をするとか、あるいは、具体的な事業所を対象にいろいろ一緒に検討してみるとか、そういった対応をしておりまして、今御指摘の中国、ベトナム、インドネシアといったところ、それぞれ国柄その他、国情あるいは経済状況が異なっておりますが、環境対策に基本的には熱心にやろうという意欲はあるというふうに思っておりますが、やはり、技術の問題、制度の問題、それから法執行の問題、そういったところでこれはまた中央政府の役割と地方政府の役割、これも国によって随分違っておりまして、それぞれの国ごとに異なった事情の中でモデル的に取り組みをしているところでございます。

 この総括を、ぜひ今年度、最終年度でございますので、していきたいというふうに考えておるところでございます。

阪口委員 これは、実際に日本の技術そして日本のシステムを導入してその国の環境の改善に寄与するということがゴールですから、そのために何ができるのかということを考えていかなければいけないと思います。

 今、少し触れていただいたんですけれども、レポートによると、全体として法制度自体は比較的高いレベルにあるけれども、その執行能力が追いついていかない、そこが問題なんだというような報告もなされております。

 このあたりをもう少し具体的に伺いたいと思うんですけれども、実際に、法律があってもそれがしっかりと使われる状況でなければ意味がないわけで、例えば具体的な事例を挙げて説明をいただければと思うんですけれども、いかがでしょうか。

平岡政府参考人 具体的にどこの工場がどうということは、済みません、今資料を持ち合わせておりませんが、先ほどのアンケートでも、各企業さんがそういった国で活動しようとする場合には、制度はあるわけですけれども、それが執行されていないと市場が実際には発生しない。つまり、実際に企業の方でその基準を遵守するというようなことが行われなくてもそれが通ってしまうというような状況がございますと、結局、環境対策を日本のような非常にすぐれた技術を導入してまでやるというインセンティブにつながらないというような事例をいろいろと委員会でも調査をして、そういうアンケートも含めまして戦略を立ててきているということでございます。

阪口委員 実際にそこが機能しないことには成果にはつながってこないということで、やはり、ここは政治的なリーダーシップをいかに大臣にとっていただくかということも大変に重要だと思いますが、この点について大臣の基本的なお考え、いかがでしょうか。

秋野大臣政務官 済みません先生、今の質疑は、国際的政策対話の必要性とかも含めてお答えをするということでよろしいんでしょうか。(阪口委員「はい、結構です」と呼ぶ)

 今の質疑にもございましたけれども、我が国としては、二〇〇九年からアジア3R推進フォーラムを毎年開催をしているところでありまして、こういったところでアジア太平洋地域の各国と、廃棄物処理、リサイクルに対する政策対話や情報交換をずっと行ってきたところであります。

 ここでは、ことしの三月に第四回会合をベトナムのハノイで開催をさせていただきまして、アジア太平洋地域の今後の十年間の3R施策に関する目標等を定めたハノイ3R宣言を採択をさせていただきまして、この中では、先ほど先生がおっしゃったとおり、自発的に政策やプログラム、プロジェクトの開発や導入を行うということ、そして、それをモニターする指標といったものも提示をさせていただいたところでありまして、こういった枠組みをつくりながら、その実施状況もフォローしていきながら、この取り組みを行っていきたいと考えています。

 御指摘をされましたように、大臣も御答弁させていただきましたが、我が国のすぐれた仕組みをパッケージとして海外展開していくことが重要かと思っておりますので、大臣等のレベル、あるいは専門家等のレベル、そういったものを総合的に支援をしっかり行っていきたいと思っております。

阪口委員 先ほどから、とにかくパッケージでこの問題について対応していくんだということを繰り返し御答弁いただいておりますが、原発輸出について少しお聞きしたいんです。

 安倍総理がこの五月三日にトルコに行きまして、そこで、トルコの黒海沿岸のシノップという、大変風光明媚な町だと聞いておりますが、そこに四基の原発を新たに建設するという合意がなされたと聞いております。

 我が国としては、先日も環境委員会で視察に行かせていただきましたが、除染作業はまだ始まったばかりです。十六万人の方々が帰還できていない状況であり、さらに、廃炉にもできていない。要するに、原発事故を起こした、それをしっかりと解決するという道筋をまだ示していない中で原発の輸出を行うということ、これは、本当に倫理観としても問題があるのではないかと思っています。

 これは先日の外務委員会でも詳しく聞いたんですけれども、では、廃棄物処理、要するに使用済み燃料の廃棄場所をどうするのか、あるいは放射性廃棄物の廃棄の場所についてはどのようになっているのかというお尋ねに対しては、まだ全く決まっていない、我々の知るところではない、これはトルコ側の問題なんだということが、政府参考人の方の答弁でございました。

 先ほどから、パッケージで廃棄物処理など、これはシステムの輸出も含めて行っていくのが我が国の戦略だということでありますが、我が国の責任を最も問われる原発の輸出において、廃棄物処理に関して自分たちは知らないという答弁というのは、私はこれは大いに問題があると考えているんですけれども、この点について、できれば大臣のお考えを伺いたいと思います。

石原国務大臣 先ほども同僚の委員の方から御質問があったんですが、原発の輸出というのは、広い意味で利用に関する分野でございますので、環境大臣がコメントをするというのは、私は適切じゃないと思います。

 しかし、この問題は大変重要な問題でありますので、基本的なお話をさせていただくとするならば、今のその問題も含めて、やはり原子力発電についての安全性の確保、それはもちろん使用済み核燃料の処理のところも含めてですけれども、これが実は最重要であるというのが私どもの立場でありますし、原発を輸出することによって、これは仮定の話でございますけれども、どうなるかということは私は承知しておりませんが、当然、放射能汚染みたいなことは絶対引き起こしてはならない、そういうことを大前提と考えて物事に当たるということが安倍内閣の基本的な考えだと考えております。

阪口委員 私の印象なんですが、安倍内閣というのは、とにかく経済優先、とにかく、日本の経済を回復するということを最優先したさまざまな政策を打っていると思います。このこと自体は私は評価すべきことだと思いますが、しかし一方で、経済を優先することのひずみというのはいろいろなところで出てくるわけですね。

 環境省というのは、あるいは環境大臣というのは、やはり持続可能な開発ということをしっかりと踏まえて、政府の方針に対しても、環境を守る、日本の責任をしっかりと果たしていくという見地で、もっとイニシアチブをとって政府に対しても物を言っていくという姿勢が私は必要だと思うんです。

 この点についてはいかがでしょうか。

石原国務大臣 先ほどお話をさせていただきましたとおり、私どもの務めは、やはり、さまざまな商行為に伴って環境が阻害されるようなことのないようにしっかりとウオッチをしていくということが一つの大事な使命でございますので、そんなふうに考えた立場でこれまでも発言をしていますし、これからも発言をしてまいりたいと考えております。

阪口委員 ここは本当に大物環境大臣として、私はもっとイニシアチブをとっていただきたいという思いを持っております。恐らく環境省ファンの多くの方々も同じ思いだと思いますので、ぜひ、石原大臣の発信力に期待するところでございます。もっとイニシアチブをとっていただきたいと思っています。

 イニシアチブというと、せんだって、日中韓の三カ国の環境大臣会合がございました。これは、さまざまな外交的な問題によってなかなかトップレベルでの対話が実現しない中で、環境大臣が集まって今後のさまざまな対策について話し合う機会をつくれたということ、大変に意義が大きいものであったと思います。

 二点お伺いをしたいんですが、報告書を読ませていただいた中で、黄砂対策に関してさまざまな合意がなされたようでございます。

 共同研究のための現地調査を本年度中国で実施をして、関連データの提供や共有、気象・予測モデルに関する専門家の参加の重要性を確認して、財源を確保するために世界銀行等ともさまざまな調整を行っていくということでございますが、大臣、この会合の評価、どのような成果があったのか、また課題はどのようなものであったのか、特にこの黄砂の部分に関してお答えいただきたい。

 それが第一点と、トップレベルの会談とはいえ、中国に関しては、環境大臣ではなくて副大臣級の方の参加であったように報告書には書かれてありますが、この点について、個人的な思いでも構いません、一言いただければと思います。

秋野大臣政務官 私も参加をさせていただきましたので、御答弁をさせていただきたいと思います。

 今回、五月五日、六日に第十五回の日中韓環境大臣会合を北九州市で開催をできたということは、大変有意義なものであったと私ども考えております。

 今回、国民の関心が高い、そして三カ国においてもそうだと思いますが、PM二・五を含む大気汚染問題について政策対話を新たに設置するということについて三カ国間の合意ができたということ、それを含む共同コミュニケについて合意ができたということが大きな成果であると評価をしているところであります。

 これが新たな第一歩でございますので、この第一歩の歩みをさらに進めることによって、中韓と連携をしながら、引き続き地域の環境改善に尽力をしてまいりたいと思っているところであります。

 黄砂対策についてですけれども、今委員の方からもおっしゃっていただきましたが、この地域における黄砂発生源対策の重要性というものも認識をさせていただきまして、先ほどおっしゃっていただきましたが、黄砂の効果的な対策をとるため、世界銀行、GEF、そしてモンゴル等の関係者との調整を行っていくということも合意ができたということは、本当に大きな前進だと思っています。

 最後に、今回、李幹傑副大臣が中国からお越しになりました。副大臣からは、周生賢大臣が、四月二十日に四川省に起きました大地震による生態系への重大な影響に対処をするということで国内にとどまる必要があるという説明をいただいたところであります。あわせて、このときに、適切な機会に改めてお会いをしたいとの周大臣からのメッセージもいただいたところでありますので、今後、こういう展開になっていくかと思います。

阪口委員 ありがとうございます。

 私の質問の途中でも指摘させていただきましたが、さまざまな法律があるにもかかわらず、実際にはそれが適切に執行されていないというようなことも含めて、やはり政治のリーダーシップ、これは大変に重要だと思います。大臣を先頭として政務の方々にはこの点でぜひ力強いリーダーシップをお願いいたしまして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

吉野委員長 次に、吉田泉君。

吉田委員 民主党の吉田泉です。

 きょうは、福島の原発事故ないし放射能の問題に関連して、質問を幾つかさせていただきます。

 まず、今週の月曜日、五月二十七日の新聞記事であります。先ほど中島委員も取り上げられましたけれども、私も大変注目した新聞記事でございました。

 改めて引用しますと、国連科学委員会、UNSCEAR、ここの専門家八十五人が、福島の事故について二年間かけて調査をした結果、日本国民全体の被曝量は、甲状腺でチェルノブイリの三十分の一であり、健康に悪影響は確認できず、今後も起こることは予測されない、そういう報告書案をまとめたという記事でありました。

 さらに引用すると、チェルノブイリと比べて放射性物質の放出量が少なかった上、日本では、住民の避難、食品の規制、そういった対策が比較的迅速にとられたためと指摘された、福島はチェルノブイリではないと結論づけた、こういうふうに新聞は書いてあるわけであります。

 この報告書案を私も早く見たいと思って、政府に問い合わせをいたしました。しかしながら、そういうものはまだ手元にはない、今現在ウィーンの方でUNSCEARが総会を秘密会議でやっている最中なんです、こういうことでございました。

 そこで、まず今回の報道について、現時点での政府の見解を伺います。

黒木政府参考人 国連においてそうした検討が行われていることは承知いたしておりますが、現在行われている会合は非公開でありまして、かつ、現時点において報告書案の内容は検討中のものということで非公表でありますところから、コメントは控えさせていただきたいと思います。

吉田委員 要するに、情報管理の中をくぐって勇み足の報道がされた、議論は今真っ最中である、こういうふうに承りました。

 報道の是非はともかくとして、ここでもう一つ確認しておきたいのは、このUNSCEARという機関の位置づけでございます。これは、国連の総会決議に基づいて設立された、科学者が集結する機関である。チェルノブイリのときもここが報告書を出して、それがその後の世界的な基本文献になったという経過もあると聞いております。

 そこで、改めて、国際社会の中でUNSCEARが持つ権威というのはどういうものなのか。今回の事故の健康影響問題、幾つかの機関がそういう報告をしているところではありますけれども、UNSCEARがこの秋に出す、そして最終的には国連が出すということでしょう報告書が、国際社会の中ではほぼ健康影響問題の最終報告書的な報告書になるのかどうか、その辺もお伺いいたします。

田中政府特別補佐人 国連科学委員会、UNSCEARと申しますのは、一九五五年に国連の決議で発足して以来、世界の科学者が集まって、極めて客観的なデータを収集して、それを報告するというようなことをずっと続けてきたと私は承知しております。

 このUNSCEARのデータというのは、いわゆる国際放射線防護委員会、ICRPとかIAEAのBSSといったものの基準データとして今までも使われてきておりますので、非常に権威のあるデータになると思います。

 ただ、私の理解では、UNSCEARというのは、その結果について、健康影響があるとかないとかいったことについては決して、今まではそういう発信はなかったと思いますので、新聞報道等にあるのは、多分新聞記者の方がそういうことを想定して書かれたのかなというふうに想像するところでございます。

吉田委員 よくわかりました。

 しばらく前の予算委員会だったと思いますけれども、環境大臣御答弁で、専門家は今回の事故の放射線による健康被害があるとは考えにくいという指摘をしていると政府としては聞いている、そういう大臣答弁がございましたが、これが秋に向けてだんだんはっきりしてくれば、今申し上げた大臣見解が権威のある国際機関によってある程度裏づけられてくるのかなというふうな期待をしているわけであります。

 福島における最大の問題の一つが、健康影響に対する不安な心理だと思います。つまり、この問題は、心配すべきところは心配しながら、そして安心すべきところは安心しないと、不安心理でかえって健康が害される、そういう現実がございます。今後、夏から秋へかけてのUNSCEARの議論をよく見守っていきたいと思います。

 それから二つ目ですけれども、一方で、心配させられるような報道もございました。五月二十三日、茨城の東海村、J―PARCの放射能漏れ事故であります。

 報道によると、この日の午前十一時五十五分、警報音が鳴った。そして、安全装置が作動して、一旦実験装置がとまった。しかし、担当者は、原因がよくわからないけれども、十三分後に警報をリセットして実験を再開した。すると、当然でしょうけれども、放射線量がまた上がってきた。それで、三時過ぎに、今度は排気ファンを作動させて、それを外に出した。そうしたら、当然でしょうけれども、線量がまた下がった。それで、また運転を再開した。こういう経過であったと。そしてさらに、担当者の方は、これはマニュアルに従った手順だったというコメントを新聞にしたということでございます。

 私は、原因がよくわからないままに再開するとか、排気ファンを作動させて外に出すとか、さらには実験を再々稼働させる、ちょっとこの対応は常識的には妥当とは言えないように思うんですが、一体これはどういうマニュアルに従ってやっていたのか。まだこれは一週間前の話ですから、いろいろ今事実確認の真っ最中だとは思いますが、現段階での政府の見解を伺いたいと思います。

黒木政府参考人 現在、原子力規制庁におきまして、事業者から放射性物質の漏えいの状況、被曝の状況、報告のおくれの原因、安全管理の体制が一体どうなっているのか、そういったことについて説明を聞いているほか、原因究明や再発防止策について事業者に報告を求めるところであります。

 御指摘のまさにマニュアルに基づく対応につきましては、事故の性格であるとかあるいは原因の解明の上で極めて重要な論点であるというふうに認識しております。事業者が適切にマニュアルに沿った対応を行っていたのかが一つ、もう一点は、そもそも事業者のマニュアル自体が適切であったのかといった点、今現在、これについて鋭意確認を進めているところでございます。

 いずれにしましても、原子力規制委員会としては、引き続きしっかり今回の事故原因等について確認を進めてまいるつもりでございます。

 以上でございます。

吉田委員 マニュアル自体が正しかったのかどうかも含めて、今確認をしてもらっているということであります。

 大阪大学の住田名誉教授の新聞のコメントですが、加速器というのは全国各地にあるんだ、そして、研究者だけが低線量の被曝をするといった事故は数年に一度は起きている、こういう新聞記事がございました。

 政府として実態をどう把握しているのか。さらには、事故の際の報告義務、報告せねばならないという基準があると思うんですが、それについても伺いたいと思います。

黒木政府参考人 まず、報告の基準でございますが、放射線障害防止法第四十二条というものがございます。そこにおきまして、計画外の被曝があったときであって、当該被曝に係る実効線量が放射線業務従事者にあっては五ミリシーベルト、放射線業務従事者以外の者にあっては〇・五ミリシーベルトを超え、または超えるおそれがある場合、こういうときには国にその旨を直ちに報告しなくてはならないというふうに定められております。

 今回のような加速器による被曝の事故については、過去五年間を確認いたしましたけれども、放射線障害防止法に基づく報告は行われておりません。

 なお、五月二十九日の原子力規制委員会では、類似の大型加速器を対象に実態調査を行うよう指示がなされ、昨日、そのような加速器を有する事業者に対しまして実態調査の文書を発出したところであります。今後、本結果を踏まえまして対応を検討してまいるつもりでございます。

 以上であります。

吉田委員 〇・五ミリないし五ミリという基準でやれば、今までそれを超えるような事故はなかった、こういうことだったと思いますが、引き続き、この事故の原因調査と対応をお願いしたいと思います。

 三番目の質問ですけれども、今度は、福島第一原発の汚染水の問題について伺いたいと思います。

 御存じのように、四月五日に、汚染水が漏れるという事故が起こりました。当初は、最大百二十トンもの汚染水が漏れたという報道がありました。ところが、ここへ来て、実は漏れた量は二十リットルだったと訂正されました。百二十トンと二十リットルを比べると、これは六千対一、六千分の一という訂正になりました。大変大きな訂正だと思います。

 東電が推計ミスをしたんだということですけれども、政府として、これだけの推計ミスの原因ないし背景というものをどう見ておられるか、伺います。

山本政府参考人 お答えいたします。

 まず、東京電力が当初この漏えい量を推計いたしましたのは、地下貯水槽ナンバー2というところの水位計から類推したものでございます。その結果として、百二十トンということになってございました。

 そしてその後、東京電力におきましては、この地下貯水槽の周辺のボーリング調査をいたしましたところ、近傍で地下水汚染が確認をされていない、すなわち大量の水が出ているという状況ではないということ、ドレーン孔から回収の水の濃度を測定いたしました結果、放射性物質が比較的低い値であるということが確認されていること、それから、肝心の水位計でございますけれども、これが設置当初と比べまして大分誤差が出るということが判明してございました。

 そういった事情を踏まえて、東京電力におきましては、この漏えい量を再評価いたしまして、先ほど委員御指摘になりましたように、ポリエチレンとベントナイトの間に約三百リットルがしみ出し、そしてベントナイトシートの外部への漏えい量が十から二十リットルというような推定をしているところでございます。

 ただし、この推定におきましてはまだ不確実性がいろいろあるんだろうというふうに私どもは見ておりまして、この内容につきましてはさらに確認をしていくということが私どもとしては必要だと思っております。

 さらにもっと大事なことは、やはり環境に影響があるかどうかということが最大の問題でございます。

 現在、地下貯水槽の周りにボーリングをいたしまして、水の中に放射性物質が含まれているかどうかというモニタリングを実施してございますけれども、これをしっかりやって、環境への放出がないかどうかをしっかり見ていくことが大変重要であるというふうに考えているところでございます。

吉田委員 そうしますと、ちょっと追加でお伺いしますけれども、この六千倍という推計ミスは、東電としてはそのときの状況を考えるとある程度やむを得なかったというふうなミスだと考えていいんですか。

山本政府参考人 東電が当初発表いたしました数字は、事故の起きました直後に、まだ得られている情報が少ない中で、まず一つ水位計の変化が見られていたことから、恐らく誤差はあるだろうということは認識はしていたと思いますけれども、最大の値として百二十トンという数字を推計として公表したものというふうに考えてございます。

吉田委員 何かあったら早く報告しろ、報告義務を急げという全体的な風潮もありますので、確かにそういうときは保守的な対応が必要だとは思います。ただ、六千倍の違いということになると、貯水槽そのものをどう評価するかという問題も、何かひょっとしたら変わりかねないぐらいのデータの差ですよね。そういう意味では、報告は急ぐ必要はもちろんありますが、そのときに、データの幅といいますか、最大百二十トン、最小何トンとか、そういった報告をしてもらうようにしたらどうかなと思ったところでございます。

 さて、第一発電所の現場では、きょうも大量の地下水が押し寄せてきて、建屋の下で冷却水と地下水がまざって汚染滞留水になってしまう状況が今続いております。その汚染水を、既存のセシウム除去装置、それから試験運転中の多核種除去設備、これは通称ALPSと言うそうですが、これらを通すことによって放射性物質を除去しようということであります。

 最近、東電から、試験運転中のALPSの状況が報告されたということであります。これについて、一部の新聞の見出しですけれども、処理後も沃素が残留している、ふれ込みどおりにいっていない、根底揺らぐ汚染水対策、こういう見出しで記事を書いてきました。

 政府として、このALPSの今の試験運転の状況について、現在の課題とかこれからの見通し、どうされているのか、伺いたいと思います。

田中政府特別補佐人 今御指摘のALPSという多核種除去装置は三系統あるわけですが、その一系統につきまして、先日、私どもに設置してあります特定原子力施設監視・評価検討会で、一応実証試験をやってみようということで、やっていただいたものです。

 それで、その結果が五月十七日に報告されております。その結果、新聞等でも報道されていますように、実験室レベルで得られた性能どおりの性能は少し得られていなくて、特に沃素129という核種についてはまだ不十分であるというような結果が得られております。

 これにつきましては、初めてやった結果でございますし、実際に大規模でやると化学的な途中の処理がございますので、そういったことも含めまして、まだ十分な性能が出ていないというふうに私ども見ております。

 東京電力の方も、そういったことを今後改良を図りまして、所定の性能、目的、除去できるようにいろいろ装置の工夫をしていきたいということでありますので、私どももそれをきちっと見守っていきたいと思っております。

吉田委員 田中委員長にちょっと追加で確認ですけれども、沃素129についてはまだ不十分だと。これは、基準値は下回っているが、まだ不十分だということだと思うんですが、そのほかにも幾つか微量検出がされている。これは、全体として基準を下回ってはいるというふうに考えていいんですか。

田中政府特別補佐人 お答えします。

 放射性核種の種類によって排出濃度限度というのを決めさせていただいていまして、仮に排出濃度限度を一とすると、その一を上回れば出せないわけですが、全体としては今の状況は一以下ぎりぎりぐらいにはなっております。ただ、やはりできるだけそれの十分の一とか百分の一とかというところまで下げようということで、今努力させていただいています。

 御指摘の沃素だけを見れば、確かに一以下にはなっているんですが、ほかの核種も入れますとぎりぎり、ちょっとぎりぎり過ぎるのではないかということでございます。

吉田委員 ありがとうございました。

 最近、IAEAの報告書というのも出たようですけれども、ここも、ALPSのことだと思いますが、除去技術の導入については非常に評価するというような報告書になっているようでございます。引き続きの関係者の努力をお願いしたいと思います。

 ALPSが近い将来本格的に順調に稼働できた暁には、今度は、最後の問題といいますか残る問題はトリチウムということだと聞いております。

 トリチウムの濃度というのは、放出管理基準六万ベクレルの大体百倍ぐらいのトリチウムが残ってしまう。そして、トリチウムというのはいわば放射線を出す水だ、水の中から水を取り出すということになると大変難しいんだ、こういう解説を伺いました。

 ただ一方で、難しいとされているトリチウムを除去する技術がカナダを中心に既に開発されているという話も聞いておりますが、いかがでしょうか。

後藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のように、カナダは、CANDU炉と呼ばれる重水を使う原子力発電を行っておりますので、トリチウムが大量に発生するという状況になっております。そのため、トリチウムの処理ということを鋭意行ってきたという状況でございます。

 その処理施設におきましては、十の十二乗ベクレルという高濃度のトリチウムをトリチウム水から分離して十の十乗ベクレルまで下げるということを、一日当たり約十トン前後の量で処理した実績があるというふうに伺っております。

 また、日本におきましても、もう既に廃止措置になっておりますけれども、「ふげん」という炉におきましてトリチウムの処理をした実績があり、これは、十の十一乗ベクレルのものを十の六乗ベクレルまで下げた実績があるということでございます。

 ただ、今回の福島の発電所の中でタンクの中に滞留している汚染水のトリチウムの濃度というのは十の六乗ベクレルぐらいでありまして、それより非常に高い濃度のものを下げるためにやったということと、一日四百トンの汚染水が出ているというようなことからして、そのまま適用するのはなかなか難しいのではないかというふうに考えてございます。

吉田委員 そのままは使えない技術があることはあるということです。

 それから、一つはこのトリチウムの健康影響の問題ですけれども、これは水ですから、飲んでもすぐ出ちゃうということもあって、基準値以下であれば毎日飲んでも一年で一ミリシーベルトに達しない程度であるというふうな解説も聞きました。

 そういうトリチウムを、カナダ、それから日本の国内の原発、六ケ所村の再処理工場、さらにはかつてのスリーマイルの事故のときなどで、残ったトリチウムを放流したとか蒸発させたとか、そういう例がたくさんあると聞きますが、いかがでしょうか。

後藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今、カナダ、国内、それからスリーマイルの例はどうかという御質問だと思います。

 まず、今、国内の原子力発電所でトリチウムの取り扱いというのがどうなっているかというところにつきましては、トリチウムを含む廃液につきまして濃度を測定し、必要に応じ希釈をした上で、法令の基準値以下の濃度のものとして、年間放出管理目標値等の範囲で海洋に放出をしているという状況になってございます。

 それから、海外の例でございますけれども、カナダにおきましてトリチウムを含む水がどのように放出されているかという点につきましては、現時点では明確な回答をいただいていないので、今はわかりかねる状況でございます。

 他方、スリーマイルのときにどういうことが起こったかということでございますが、スリーマイルのときには、トリチウム水は除去処理をされず、事業者が地元の自治体、住民等と協議した結果、近くの川、あそこは内陸にございますので川に放出をするということをとらずに、蒸発させて放出をするという方法が選択されたというふうに承知してございます。

 以上でございます。

吉田委員 いろいろな例が今示されました。

 結局、このトリチウムというものをどう見るかが最後に残る問題だろうと思います。人体への影響は少ないということがわかっていても、無理はできないというのかどうか、その辺の見きわめがいずれ出てくる問題かというふうに思っております。当面は、タンクをふやしたりトリチウム除去技術の開発をしたり、さらには、きょうの新聞でしたか、凍土の壁をつくって地下水対策をとるとか、そういったことでしのぎながら、このトリチウムの問題についてはさらに、私はやはり国民的な議論をすべきかと思います。

 それから、関連してもう一つお尋ねします。

 貯水槽から漏れがあったということで、使われていた五つの貯水槽から今度はタンクへ、今、二万トン余りの汚染水を移送中であるということであります。

 このうち、四号貯水槽に入っている水というのは、もう大分前になりますけれども、当時の園田内閣府政務官がカメラの前でぐっと飲んだ水でございます。つまり、もともとはこれは五号建屋、六号建屋にたまっていた。こちらはメルトスルーしていませんので、津波で水がたまってはいました。その水を、つまり放射能被汚染水を浄化して、飲めるぐらいにきれいにして、園田さんが飲んだ、そういう水が実はこの貯水槽にまだ残っている。しかも、それを今度はタンクに移送するというわけですね。

 それで、私はその話を聞いたときに、タンクが足りなくて今どんどん増設しようというときに、園田さんが飲んだ水までタンクに入れることはないんじゃないのかなというのが私の率直な感想なんですが、いかがでしょうか。

    〔委員長退席、土屋(品)委員長代理着席〕

後藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のありました園田政務官が飲まれたという水でありますが、これは福島第一発電所の五号機、六号機にたまった水でございますので、そういう意味では、一号機から四号機とはある意味で濃度が非常に違うものだというふうに認識しております。

 現在、四号に移しているのはそこの水ではございますけれども、この水自身は、法令上の基準値より低いということで、タンクではなくて、六号機のタービン建屋の方へ戻すということを今計画しております。

 将来的には、淡水化して、発電所内で火災対策等の一環としまして、散水して伐採木なんかを湿らせるというふうな活用方法をする予定であるというふうに伺っております。そういう意味では、直接タンクの方へ行くということではないというふうに認識してございます。

吉田委員 わかりました。

 一方で、福島第二原発というところも津波でやられて、同じように津波の水が建屋にたまっていたわけですが、これは同じように処理して放流したというふうに聞いております。

 同じ水質のものを、いろいろな社会的なことも考えないといけませんけれども、異なった扱いをせざるを得ない状況が続いてきたわけです。ただ、私は、人が飲める水を延々と、散水に使うといって少しずつは減らしているようですけれども、抱え込むのもどうかなというふうに改めて思いました。検討していただきたいと思います。

 それから、四番目、最後の質問ですけれども、除染についてお伺いしたいと思います。

 先日、双葉郡楢葉町のこども園というところで除染の現場を見る機会がありました。除染を担当している現場監督さんの話を聞いたら、除染前は〇・四マイクロシーベルトだというわけですね。それを、三十人で一カ月半かけて除染をして〇・二マイクロシーベルトにする予定である、こういうお話でした。

 そこは、楢葉町の南の方ですから、避難指示解除準備区域ですよね。人はまだ住んでおりません。恐らく、来年ぐらいにまず役場が楢葉町に戻る、その後、人が少しずつ戻る。こども園の再開はそのまた先、つまり今から数年後に使い始めるような施設というふうに思います。

 数年たつと、除染をしなくても、物理的な減衰、さらには自然的な減衰もあって、半分になるかどうかはわかりませんけれども、〇・四が〇・三とか〇・二五とかになる可能性は大変大きいんだろうと思うんです。そうすると、何人かでその現場を見たんですけれども、どういうものかなという感触でありました。

 さかのぼりますと、二十三年、震災の年の八月に原災本部から除染の基本的な考え方というのが出て、ここからスタートをしたわけですが、その考え方を改めて見ると、一ミリから二十ミリの地域を二つに分ける。比較的線量が高い区域では面的な除染をやりましょう。比較的低い地域では基本的に面的な除染は必要ない、側溝とか雨どいなど局所的に、ホットスポット的に線量の高い箇所を除染しようじゃないか。こういう基本的な考え方からスタートしたわけであります。

 私は、この考え方は常識的な考え方だと思います。そして、今お示ししたこの楢葉のこども園の場合は、〇・四ということは年間で二ミリ程度ですから、この比較的線量が低いというケースに当てはまるんじゃないかというふうに思います。そうすると、そもそもの考え方からだんだん実際の除染がずれてきたような感じがしたわけでございます。

 楢葉というのは国が直轄で除染をしているところでありますが、そこにおける考え方といいますか優先順位のつけ方といいますか、伺いたいと思います。

奥主政府参考人 お答えさせていただきます。

 除染の実施方法につきましては、福島放射性汚染特措法に基づきます基本方針におきまして、地域の実情を踏まえながら優先順位をつけつつ、線量に応じたきめ細かな対応を講ずるということを基本的考え方としております。

 このような考え方に基づきまして、楢葉町におきましても、特別地域内除染実施計画というものを法律に基づきまして定めまして、それに基づきまして除染を実施しているということでございます。

 お尋ねの楢葉町の除染につきましては、その計画に基づきまして、平成二十五年度中に必要な除染を実施するということにしております。その目標の達成のために、線量の比較的高い地域等も含めまして、並行しまして現在その事業実施を進めているというところでございます。また、町からの要望というもの、公共施設をより優先的に行っていただきたいというようなことも受けているところでございます。そのような動きの中で、御指摘のあおぞらこども園の除染につきましても、現在しかるべく実施しているということでございます。

 いずれにしましても、基本的な考え方は、先ほども述べましたように、優先順位をつけながら、線量に応じたきめ細かな対応を行っていくということでございますので、この考え方に基づきまして、住民の方々の帰還に向けまして、町と相談をしながら、迅速かつ丁寧な除染を推進してまいりたいということでございます。

 以上でございます。

吉田委員 ちょっと追加で確認したいと思いますけれども、今回、除染関係ガイドラインというのが改定されましたね。数日前に我々も説明を受けましたが、その中に、ガンマカメラというのを活用しようというページがございます。このカメラで現場を撮ると、線量の高いところが赤くなって、非常にわかりやすいと。

 今申し上げたような〇・四とかそういう場所においてはガンマカメラ等を使って、ホットスポットというのはちゃんとやらないけませんが、そういうやり方をした方が効果的じゃなかろうかと思うんです。そういうことをしないで、楢葉町町内全部、低いところも高いところも面的除染を全部やろうということになっているんですが、何か一工夫あってもいいように思うんですが、いかがですか。

奥主政府参考人 お答えさせていただきます。

 まず、除染の実施方法につきましては、おおむね線量の高いところ、低いところを設けまして、面的、例えば表土を剥ぐ地域、あるいはそういうことをしない地域というふうな形で、適切な除染の方法につきまして分けているところでございます。ただ、子供空間につきましては、放射線の影響等を勘案しまして、面的な除染を行う、表土を剥ぐとかという対応をするというようなことにしております。

 そのような形で、環境省といたしましても、除染の実施につきましては、線量に応じてきめ細かな対応を行っているということでございます。

 それともう一つ、御指摘がありましたガンマカメラにつきましては、除染の実施あるいはその効果につきましては、まさに住民の方々に、除染をしてもらったんだというふうな理解を得るということが非常に重要でございまして、リスクコミュニケーションの一環といたしまして非常に有効な手段というふうに考えておりますので、その活用につきましては検討してまいりたいというふうに思っております。

吉田委員 子供の空間を重点的にというのが大方針ですから、それはもちろん必要ですけれども、片一方で、除染してもしなくても同じようなところを延々とやるというのもまたどうかなということもあります。いろいろ、ガンマカメラ等の活用もぜひよく検討していただきたいと思います。

 先ほど、除染の基本的な考え方という、これは原災本部のお話をさせていただきましたが、この八月で二年ということになります。この当初の考え方にのっとって、二年間、基本方針をつくったり方針をつくったりしてやってきました。間もなく二年たとうとしているということでございます。二年たって、基本的な考え方、基本方針、さらには方針、こういうものについて見直しがあってもよいというふうに思います。

 特に、物理的、さらには自然的減衰の進みぐあいというのは、当初の予想を相当上回るスピードで今進んでいるというふうに思います。

 そういった現実もよく踏まえて、除染のあり方全体の見直しについての考え方といいますか課題といいますか、それを大臣からお伺いしたいと思います。

石原国務大臣 ただいまの吉田委員の政府参考人との質疑を聞かせていただきまして、改めるところ、深めるところ、ホットスポットなどはやはりしっかりやっていかなければならないし、新しい技術も、今採用できるものは採用しようということでやっておりますので、やっていかなければならないということを強く思ったところでございます。

 そして、委員の御指摘のとおり、計画期間の半年前がことしの夏にちょうど当たりますし、除染をスタートして丸二年ということになりますので、夏ごろを目途に実施状況を点検して、必要に応じてスケジュール等を見直すということもやはり考えていかなければならないと強く思っているところでございます。

 その上で、そこから先の方針について検討していく、そんな基本スタンスで臨ませていただければと考えております。

吉田委員 ありがとうございました。

 除染という事業は何せ初めての大事業ですので、二年間の経過を踏まえて、ぜひ新たな問題意識でまた見直していただきたいというふうに思います。

 これで質問を終わりにしたいと思いますけれども、私は、最初に取り上げました国連の報告書、まだ不確定の段階だということですけれども、国のこれまでの事故対応についてもそれなりの評価がなされるという感触を新聞記事から受けました。

 さらには、汚染水の除去についても、よそで既に開発されているような技術を踏まえながら、そういう技術を積み重ねていけば、何とかこれは乗り越えられる事態ではないのかなという感触を持ちました。

 大変だ、大変だと言うことも必要ですけれども、一方で、冷静に一歩一歩、日本の技術を結集して、ぜひこの事態を乗り越えることができるように期待申し上げて、終わります。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

土屋(品)委員長代理 次に、内閣提出、参議院送付、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案及び特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。

 なお、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、参議院で修正議決の上送付されたものでありますので、まず政府から趣旨の説明を聴取し、引き続き参議院における修正部分の趣旨について説明を聴取いたします。石原環境大臣。

    ―――――――――――――

 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案

 特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

石原国務大臣 ただいま議題となりました二法案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 まず、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。

 絶滅のおそれのある野生動植物の種については、我が国に生息し、または生育する絶滅のおそれのある野生動植物の種を国内希少野生動植物種に指定し、その捕獲及び譲り渡し等の規制並びに保護増殖事業の実施等を行うとともに、国際的に種の保存を図ることとされている絶滅のおそれのある野生動植物の種についても国際希少野生動植物種に指定し、その譲り渡し等の規制等を行うことにより、生態系及び自然環境の重要な一部である野生動植物の種の保存に寄与しているところです。

 また、生物多様性基本法が平成二十年に制定され、さらに、平成二十二年の生物多様性条約第十回締約国会議において採択された愛知目標の中に、既知の絶滅危惧種の絶滅や減少が防止されることが位置づけられるなど、生物の多様性に対する国内外の関心が極めて高まってきており、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存を一層推進することが求められております。

 一方、希少野生動植物種は、その希少性から高額で取引されるものが多く、違法な譲り渡し等の再犯事例も発生しており、悪質な違法取引が後を絶たない状況にあります。

 本法律案は、こうした状況を踏まえ、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存施策を一層強化するための措置を講じようとするものであります。

 次に、本法律案の主な内容を御説明申し上げます。

 第一に、法の目的において、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存を図ることが、良好な自然環境の保全のみならず、生物の多様性の確保にもつながることを明らかにすることとしております。

 第二に、国の責務として、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する科学的知見の充実を図ることを明記することとしております。

 第三に、希少野生動植物種の個体等に関して、販売または頒布の目的で広告することを原則として禁止することとしております。

 第四に、国際希少野生動植物種の個体等の登録に関する事務手続を改善し、個体等の区分または主な特徴等に変更が生じた場合における変更登録、登録票の書きかえ交付等の手続を新設することとしております。

 第五に、国内希少野生動植物種の保護増殖事業の円滑化を図るため、国及び地方公共団体以外の者が、環境大臣の認定を受けた保護増殖事業として行う個体等の譲り渡し等について、環境大臣の許可を要しないこととすることとしております。

 第六に、国は、最新の科学的知見を踏まえつつ、教育活動、広報活動等を通じて、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関し、国民の理解を深めるよう努めなければならないものとすることとしております。

 第七に、罰則において大幅な強化を図り、希少野生動植物種の個体等の違法な譲り渡し等に関する罰則の上限を引き上げることとしております。

 次に、特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。

 我が国において、生態系等に係る被害を及ぼし、または及ぼすおそれがある外来生物については、特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律に基づき、特定外来生物としてその輸入、飼養等を規制し、国等による防除等を行うことにより、外来生物対策の推進に寄与しているところであります。

 また、生物多様性基本法が平成二十年に制定され、さらに、平成二十二年の生物多様性条約第十回締約国会議において採択された愛知目標の中に、侵略的外来種を制御、根絶するための対策等を講じることが位置づけられるなど、生物の多様性に対する国内外の関心が極めて高まってきており、外来生物対策を一層推進することが求められています。

 一方、特定外来生物が交雑することにより生じた生物による生態系等に係る被害が懸念されるなどの状況にあります。

 この法律案は、このような状況を踏まえ、特定外来生物による生態系等に係る被害を防止するための施策を一層強化するための措置を講じようとするものであります。

 次に、この法律案の主な内容を御説明申し上げます。

 第一に、外来生物の定義を改正し、外来生物が交雑することにより生じた生物を外来生物に含めることとしております。

 第二に、現在例外なく禁止されている特定外来生物の放出等について、防除の推進に資する学術研究の目的で主務大臣の許可を受けた場合及び防除の目的で主務大臣の確認または認定を受けた場合は例外として行えることとしております。

 第三に、主務大臣による措置命令の対象を、許可なく飼養等をしている者等に拡大するとともに、措置命令の内容として、特定外来生物の飼養等の中止、放出等をした特定外来生物の回収等を新たに規定することとしております。

 第四に、主務大臣等が、防除のために、その職員に所有者等不明の土地への立ち入り等をさせる場合の手続を規定することとしております。

 第五に、特定外来生物が付着し、または混入しているおそれがある輸入品等の検査及び特定外来生物が付着し、また混入している輸入品等の消毒または廃棄の命令を規定することとしております。

 以上、二法案の提案の理由及びその内容の概要について御説明申し上げました。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

土屋(品)委員長代理 次に、参議院環境委員会における修正案の提出者参議院議員西村まさみ君。

    ―――――――――――――

 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案の参議院修正

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

西村参議院議員 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案の参議院における修正部分につきまして、その内容を御説明申し上げます。

 二〇一〇年に我が国名古屋において開催された生物多様性条約第十回締約国会議、COP10において採択された愛知目標の達成に向け、我が国は、国内希少野生動植物種の積極的かつ迅速な指定拡大、選定後の効果的な保護の実現が求められております。

 政府提出の原案は、取り組むべき課題に対応したものではありますが、愛知目標達成に向けた施策の実施のためには依然として不十分な点があり、参議院環境委員会においては、国内希少種の選定等のための学術専門家等による科学委員会の設置の検討など、新たな制度の構築等について議論を行ってまいりました。

 本修正は、その議論を踏まえ、改正法附則の検討条項において、国内希少野生動植物種の選定及び選定後における生息地等の保護、保護増殖事業等の取り組みが、科学的知見を活用しつつ、一層積極的かつ計画的に促進されるようにするための制度のあり方を含め検討することを明確にしたものであります。

 以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。

土屋(品)委員長代理 以上で両案の趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る六月四日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時四十六分散会


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