衆議院

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第2号 平成26年2月21日(金曜日)

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平成二十六年二月二十一日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 伊藤信太郎君

   理事 泉原 保二君 理事 うえの賢一郎君

   理事 田中 和徳君 理事 盛山 正仁君

   理事 吉野 正芳君 理事 吉田  泉君

   理事 河野 正美君 理事 斉藤 鉄夫君

      赤枝 恒雄君    穴見 陽一君

      井野 俊郎君    井林 辰憲君

      井上 貴博君    石川 昭政君

      岩田 和親君    小倉 將信君

      大久保三代君    大野敬太郎君

      小林 史明君    笹川 博義君

      助田 重義君    藤原  崇君

      牧島かれん君    牧原 秀樹君

      荒井  聰君    生方 幸夫君

      小沢 鋭仁君    百瀬 智之君

      浮島 智子君    山内 康一君

      林  宙紀君    野間  健君

    …………………………………

   環境大臣         石原 伸晃君

   環境副大臣        北川 知克君

   環境副大臣        井上 信治君

   環境大臣政務官      牧原 秀樹君

   環境大臣政務官      浮島 智子君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房生産振興審議官)       西郷 正道君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房長) 日下部 聡君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           安永 裕幸君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           後藤  収君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁廃炉・汚染水特別対策監)    糟谷 敏秀君

   政府参考人

   (環境省大臣官房長)   鈴木 正規君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   梶原 成元君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            清水 康弘君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       塚原 太郎君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  関 荘一郎君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            小林 正明君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  星野 一昭君

   政府参考人

   (原子力規制庁審議官)  櫻田 道夫君

   政府参考人

   (原子力規制庁審議官)  山本 哲也君

   政府参考人

   (原子力規制庁審議官)  大村 哲臣君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力地域安全総括官)       黒木 慶英君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局次長) 山本 達夫君

   環境委員会専門員     仲川 勝裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十一日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     大野敬太郎君

  井上 貴博君     牧島かれん君

  中島 克仁君     山内 康一君

同日

 辞任         補欠選任

  大野敬太郎君     笹川 博義君

  牧島かれん君     井上 貴博君

  山内 康一君     中島 克仁君

同日

 辞任         補欠選任

  笹川 博義君     穴見 陽一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

伊藤委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房生産振興審議官西郷正道君、経済産業省大臣官房長日下部聡君、経済産業省大臣官房審議官安永裕幸君、経済産業省大臣官房審議官後藤収君、資源エネルギー庁廃炉・汚染水特別対策監糟谷敏秀君、環境省大臣官房長鈴木正規君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長梶原成元君、環境省総合環境政策局長清水康弘君、環境省総合環境政策局環境保健部長塚原太郎君、環境省地球環境局長関荘一郎君、環境省水・大気環境局長小林正明君、環境省自然環境局長星野一昭君、原子力規制庁審議官櫻田道夫君、原子力規制庁審議官山本哲也君、原子力規制庁審議官大村哲臣君、原子力規制庁原子力地域安全総括官黒木慶英君、防衛省地方協力局次長山本達夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉田泉君。

吉田委員 おはようございます。民主党の吉田泉であります。

 先日お伺いいたしました環境大臣の所信に関連して、きょうは御質問をさせていただきます。

 まず、所信の一番最初に取り上げられた、東日本大震災からの復旧復興、このうちの中間貯蔵施設の整備についてお伺いをいたします。

 この施設は、一つとして、福島県内の除染で出てくる土壌や草木など、それから二つとして、福島県内の十万ベクレルを超える廃棄物、この二つを貯蔵しようというものでございます。いずれも焼却できるものは焼却しようということですので、最終的には、焼却灰と焼却できない土壌、この二つを貯蔵する施設になるのであろうというふうに考えております。

 さて、この施設は、あくまで中間貯蔵であって、この貯蔵が開始された後三十年以内に福島県の外で最終処分を完了するという基本方針が決まっております。これは、平成二十四年の七月、閣議決定され、現政権にも引き継がれている方針でございます。

 そこで、まず、最終処分場は福島県の外にとした理由なり背景を改めて確認したいと思います。

井上副大臣 お答えをいたします。

 民主党政権時代ということで、むしろ吉田先生の方がよく御存じのような気もいたしますけれども、当時、福島第一原子力発電所から放出された放射性物質による環境の汚染が最も深刻な福島県におきましては、既に大変な被害を受けて、住民の方々が非常に重い負担を負っているということ、また、地元福島からの御要望もあったということなどを踏まえまして、総合的に判断をした結果、福島県外での最終処分を決めたものと伺っております。

 なお、現政権におきましても、避難解除等区域復興再生計画におきまして、「中間貯蔵開始後三十年以内に、福島県外で最終処分を完了するために必要な措置を講ずる。」旨を明らかにしているところです。

吉田委員 ありがとうございました。この最終処分場の問題については、後ほどまたちょっと触れたいと思います。

 その閣議決定と並行しながら、政府は、二十四年の三月でしたけれども、福島県の双葉町、大熊町、楢葉町、この三つの町に中間貯蔵施設を分散設置するという考え方を示しました。そして、同じ年の八月には、具体的な調査候補地十二カ所を提示して検討を要請したといういきさつがございます。

 この三つの町のうち、楢葉町というのは、事故を起こしました福島第一原発の立地町ではないわけですね。その楢葉町にもなぜ中間貯蔵の設置要請をせざるを得なかったのかというところを確認したいと思います。

井上副大臣 これも当時の考え方でありますが、中間貯蔵施設につきまして、各地から除染土壌や指定廃棄物などを効率的に搬入するため、これらが高濃度、大量に発生する地域になるべく近いこと、また、除染に伴う土壌や廃棄物の搬入、分別、減容化、貯蔵などに必要な敷地面積を確保できること、そして、分散設置することによって設置自治体の負担を軽減することや、搬入車両による交通渋滞を防止すること、こういったような観点から、双葉町、大熊町、楢葉町の三町を設置候補地とする国の考えをお示ししたものであります。

吉田委員 そういったいきさつを踏まえて、環境省は現地の調査等をその後行ってきたわけでございます。そして、調査が終了した昨年十二月、富岡を入れた四つの町の町長さんと福島県知事に対して、中間貯蔵ですから三つの町の十九平方キロを国が買い上げて整備したいという案を示したところでございます。これは環境大臣、復興大臣が行かれて要請をしたということでございました。

 しかしながら、要請をされた三つの町のうち、先ほど申し上げました楢葉町というのは、避難指示解除準備区域という指定でございます。つまり、間もなく住民が帰還するという町でございますので、楢葉町長さんは、住民帰還に影響が懸念されるという趣旨で、この一月でしたけれども、高濃度の除染等の土壌等については受け入れを拒否せざるを得ないということを言明したわけでございます。

 それを踏まえて、この二月、福島県知事は、楢葉町を外した上で、かつ、全体の面積を広げないで、大熊と双葉、この二つの町に集約をしてもらえないか、つまり、当初の環境省の計画の見直しをしてくれぬかという要請を政府にしたところでございます。

 そこで、今現在検討はされているところだと思いますが、政府として、この福島県サイドの見直し要請に対してどういうスタンスで対応されておるのか、それを伺いたいと思います。

石原国務大臣 ただいま吉田委員が御指摘されました福島県知事からの申し入れ、ちょっと整理をさせていただきたいと思うのでございますが、二月十二日においでになりまして、私と復興大臣、あるいは井上副大臣とともにお話を聞かせていただきました。

 その主な内容は二点だと思うんですけれども、当省が示した全体の面積は変えないで、中間貯蔵施設を立地町であるところの双葉町、大熊町に集約するように、また、そのかわりと言ってはなんでございますけれども、エコテック関連の固型化施設は楢葉町に配置する方向で再検討していただきたい、こういう内容であったと思います。

 私からは、当日、このように御発言をさせていただきました。中間貯蔵施設の具体化に向けては、やはり知事のイニシアチブというものが不可欠であると思います、知事が引っ張っていただかなければなかなか町村の話というものはまとまらない、引き続き関係町との調整の前面に立っていただきたい。

 二点目としては、エコテックでございますけれども、固型化施設の設置場所については、県と楢葉町、またエコテックの所在します富岡町と相談の上、回答させていただく。

 それとあわせまして、やはり早期に議会あるいは住民の皆様への説明、この説明なくして、国の判断だけでやるなんてことはできないと私は思いますので、ともかく説明を開始させていただきたい、こういうお願いをさせていただきました。

 これまで、民主党政権からその方針に沿って、私どもも継続性を重んじて政策を提言してきたわけでございますけれども、率直な印象としては、大きな宿題をいただいたのかなと。しかし、その一方で、このことに至る前段として、双葉郡という大きな行政全体の八町村の皆さん方がお集まりになって、八町村の合意として、総意として、このようにしていただきたいという御要望だと理解をさせていただきましたので、当然、国といたしましては、その内容をしっかりと受けとめて検討しなければならないと思っております。

 いただいたばかりのことで、特に、面積を広げればそれは簡単に回答が出るわけですけれども、面積をそのままということは、減容化の技術というものも、どの程度可能であるのかという実証値を示さなければ絵に描いた餅になってしまいます。そこのところを現在検討している最中でございます。

吉田委員 ありがとうございました。

 大臣おっしゃるように、双葉八カ町村と県の総意がこういう方向になったということですので、ぜひ今のようなお考えで受けとめていただきたいというふうに思います。

 ただ、今大臣もおっしゃいましたけれども、問題は、見直すときの方法といいますか、可能性ですよね。特に最大の問題は、全体の面積の問題、つまり全体の搬入量をどう見直せるのかという問題だと思います。

 もともと、ここに貯蔵しようという推計発生量というのは、最大で二千二百万立米、これに、さらに予想される追加分を入れると二千八百万立米という数字を環境省ははじいておりました。そのうち、楢葉というのが二百五十万立米。ですから、大体一割近く、楢葉が予定されていたわけです。それを圧縮せねばなりません。今、減容化というお話も出ましたが、それをどういう方法で圧縮されようとしているのか。

 さらには、先ほど副大臣の御答弁でも、楢葉を決めた理由の一つに、搬入のときの交通の混雑等を分散するというお話がございましたけれども、楢葉が抜けると、混雑がまた増してくるという心配もございます。この混雑対策をどうするのか。

 この二つについて、現在の検討状況をお伺いしたいと思います。

小林政府参考人 お答えを申し上げます。

 この点につきましては、今大臣からお答えを申しましたとおりでございまして、具体的には検討中でございますので、その詳細について申し上げることはなかなか困難でございますが、一つ目、楢葉町分の約二百五十万立米の扱い。今先生御指摘がありましたとおりでございまして、全体で二千八百万立米積み上げておりますが、これは、従来の除染の実績などから二千二百万立米は出てくる、これも幅を持って考えておりますが、出てくる、さらに、もう少し、現時点では推計がなかなか困難な、あるいは、それは森林でありますとか帰還困難区域というようなことでございますが、こういうものもある意味では見込める形でもう六百万立米、こういうような形でございます。

 そういうことも考え、また、今御指摘のありました、また大臣からも御答弁ありました減容化の状況がどうか、こういうことも含めながら今検討しているところでございまして、ちょっと具体的に申し上げられる段階に至っておりませんが、速やかに検討したいというふうに考えているところでございます。

 また、交通混雑の課題、これも再編によってどうなるかということは今後検討していくところでございますが、そもそも、中間貯蔵施設への除染土壌の輸送、これは福島県内のほぼ全域から大量の土壌などを輸送いたします。そういう意味で、交通渋滞などの一般交通に対する影響、あるいは住民の皆様方の健康や生活環境に影響がないか、ここについてはかねてから気を使っているところでございます。

 そういう意味で、特に輸送につきましては、今、基本的な事項を検討しようということで、中間貯蔵施設への除去土壌等の輸送に係る検討会というものを設けております。この中で、御指摘ありましたような汚染廃棄物の減容化に向けてどうかというようなこともよく見ながら、夏ごろには輸送の基本計画をまとめようということをやってきておりますので、そういうことも見ながら検討を進めたいと思っているところでございます。

吉田委員 やはり、減量化技術の開発というのがどうもポイントというように感じました。いろいろ聞くと、分級という方法がある、それから、熱処理とか洗浄、いろいろな発想で今、減量化技術、公募等もしながらやっているということでございます。ぜひそちらに力を入れていただきたいと思います。

 それで、続きまして、先ほど一度触れましたが、最終処分場の問題にちょっと戻りたいと思います。

 昨年十二月、環境大臣、復興大臣が知事に要請したときに、福島県外で最終処分をするんだという方針に関連して、このような方針をさらに明確にすべく、中間貯蔵施設を受け入れていただけるような環境が整えば法制化を図るというふうにお話しになったわけでございます。この問題で法制化を図るというのは政府として初めての言明ではなかろうかと思いますが、一方で、地元では、中間貯蔵を受け入れるための前提条件が最終処分場の法制化ではないのかと。つまり、法制化の方が時間的に先であるべきではないのかという意見も従来から根強くあるわけです。

 そこで、まず、なぜ現段階で最終処分場を県外へということに関する法案を提出できないのか、その理由をお伺いします。

石原国務大臣 これはやはり、時系列を追って物事を進めていかなければならないというのが基本にあるんだと思います。

 私ども、中間貯蔵施設を三町に、今現在は福島県知事から二町に集約しろというお話を伺っておりますが、中間貯蔵施設の受け入れをお願いしている段階で、できていないものを最終処分する法律をつくりますと、結論から言うと、中間貯蔵施設を、どうであろうがそこにもうつくるということになってしまいます。住民への説明も済んでいない、あるいは議会への説明も済んでいない、住民へ、議会へ、皆さん方に説明をして、御理解いただいた後に法案を提出する方が適切である、私はこんなふうに考えております。

吉田委員 時系列を大事にしながら、受け入れがあれば法制化するんだという大臣のお約束を私は信用したいと思います。

 そこで、改めて伺いますけれども、受け入れの環境が整えばとされておりますけれども、その時期というのは、具体的にはどういう段階を指しているんでしょうか。先ほど住民説明会というお話もございましたけれども、一通り説明会が終わって、首長さんが判断したそのころというイメージなのかどうか。そして、結局、それはことしの何月ごろになるというお考えなのか。お伺いします。

石原国務大臣 これは先ほど、吉田委員の最初の質問へのお答えと非常に関連してくるのでございますが、これまで、行政の継続性、また当時の民主党の御判断、こういうもので計画を私ども進めて、面積等々も決定し、調査等もさせていただいて、ここならばできるということをお示しさせていただきました。

 しかし、先ほど申しましたとおり、オール双葉郡八町村の皆様方の総意として、やはり第一サイトがある双葉、大熊に集約しろというお話をいただきました。大変重く受けとめておりますが、吉田委員もこの質問の前に御言及されたように、もちろん減容化の技術というのは進んできているんだと私は思うんです。しかし、実際にそれでどの程度減容化できるということを数字の上で積み上げませんと、はい、わかりましたというのもこれまた無責任な話でございます。

 こういうものを一つ一つ整理させていただいて、議会そして住民の方々に説明をさせていただいた後に物事が動いてくる。その後にお考えいただいて、これは福島県で調査をいたしましても、中間貯蔵施設を一日も早くつくれという方の数が世論調査を見る限りでは九割に上っているわけでございますから、福島県民の多くの方々の総意を知事さんあるいは受け入れ町の皆様が御理解をいただいた後に、一歩踏み出すことができる。私どもは、それを今しっかりと待たせていただいているという状況でございます。

吉田委員 そうしますと、通常会は六月までですけれども、具体的には、この通常会に出せるかどうかというあたりは、大臣、いかがでしょうか。

石原国務大臣 これも、最終処分場は残念ながら決まっておりません。しかし、三十年間という時間軸がございます。三十年間の時間軸を経過すれば、現在の考えでも、これは専門家の方々、科学者の方々からお話を聞いたんですけれども、放射線量というのはかなり減衰していく。そうしますと、それと違うものをまぜて、規定値以下のものになれば、公共事業等々に使えるようになります。こういうことをしっかりとやれるということをお示ししませんと、これまた非常に無責任なことになります。

 法律的にはそんなに膨大な、考えまして、長い法律になるとは思えませんので、これはもちろん議会の皆様方の理解を得ない限りは法律は成立しないわけでございますので、議会の皆様方の御理解を得られれば、適切な審議の後、その法案を可決、成立させるということは、私は十分御理解をいただければ可能であると思っております。

 ですから、対立法案になってああだこうだとなりますと、それは当然、成立に審議時間もかかり、長くなりますが、理解を得られれば、可決、成立することは現段階では可能ではないか、こんなふうに考えているところでございます。

吉田委員 通常会か臨時会か、法案の提出の時期をこちらも注目してまいりたいと思います。

 それから、ちょっと話はかわりますけれども、富岡町、ここには、これは従来からですが、管理型処分場という既存の民間の処分場がありますが、十万ベクレル以下の廃棄物についてはそこに受け入れを要請されておりました。先ほど大臣も言及されましたけれども、今回のその見直しの中に、この富岡の敷地内に計画されていた、これは焼却灰のセメント固化施設ですか、これを今度は楢葉町に移すという知事の提案があるわけです。

 そうしますと、富岡に管理型処分場、これは従来どおり、そして楢葉に新しく固化施設、こういう体制になるわけですが、いずれも、この二つの施設をつくろうという、片っ方はもうできていますけれども、その候補地は、先ほど申し上げたような避難指示解除準備区域ということであります。つまり、一番早く帰還できる予定の地域にこの二つの施設を設置しようということになります。

 そこで、改めてですけれども、これらの二つの施設と間もなく帰還する住民の皆さん方のいわば平穏な生活というのは本当に両立できるんですねというところを、つまり安全性を改めて確認したいと思います。

梶原政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のとおり、十万ベクレル以下の廃棄物につきましては、富岡町におきますエコテックセンターで処理をするという提案をさせていただいており、知事の方からは、そのうちのセメント固型化施設については楢葉町でつくるように再配置案を考えるようにというふうな申し入れを受けております。

 放射性廃棄物、放射性物質を含む廃棄物の処分につきましては、放射性物質汚染対処特措法に基づきまして、有識者の方々の議論を踏まえた結果、その処分方法並びに処分する施設の施設構造、維持管理方法につきまして基準化をさせていただいているところでございます。

 具体的には、この基準に基づきまして、最終処分場におきましては、例えば放射性物質の溶出が比較的多い、これは具体的には廃棄物焼却炉の飛灰なんかがこれに該当するわけでございますけれども、そういったようなものについては、あらかじめセメント固型化をいたしまして、セシウムの溶出を少なくする、抑えるということ。そしてまた、埋め立てる埋立地の中は、セシウムが周りに行かないように土壌層で覆う、あるいは不透水性土壌で覆って水との接触をできるだけ少なくする。さらには、排水処理、最終処分場から出てくる排水については、ゼオライト処理等を行いまして、しっかりセシウムの濃度を下げるといったようなことをやるということでございます。こういったようなことで最終処分場からの安全な処分というのは確保できるものと考えてございます。

 また、実際にエコテックの最終処分場で、例えば敷地境界におきます放射線濃度、これにつきましても評価をしていただいており、十分なレベルで管理できるということでございます。

 もう一つ、セメント固型化施設、これにつきましては、焼却灰、これは飛灰というものでございますけれども、セメントと水とで混練りをしまして固型化をするというものでございますけれども、建屋内で処理をいたします。そういうことで、そのものについては集じん装置をつけた建屋内でやるということでございまして、これにつきましても安全に運転ができるものというふうに考えてございます。

吉田委員 その住民の方々に納得してもらうためにも、ぜひ何か数値でもう少し具体的に示してもらいたいと思うんです。例えば、私が聞いているのは、そのエコテックの場合は、埋め立て中は境界線で年間一ミリ程度だ、これが埋め立てが終わって土壌をかぶせればその百分の一に減るんだと。一ミリの百分の一というのはもう完全に安全な数値になりますが、その辺を、ぜひ、よく強調して説明してもらいたいというふうに思います。

 さて、またちょっと中間貯蔵の方に戻りますけれども、楢葉を除きますと、大熊、双葉、両町で合計十六平方キロというのが今の候補地でございます。この十六平方キロ、宅地あり、工場あり、田畑あり、山林ありですが、大体その割合というのはどういうものでしょうか。

小林政府参考人 お尋ねの、大熊町、双葉町で今環境省が予定地として提示をしている地域の地目別の割合でございますが、航空写真ですとかあるいは地図などから判断をいたしまして、田畑、山林が約六割、宅地、工場が一割、その他の原野ですとか道路などもろもろのもので約三割というように見込んでいるところでございます。

吉田委員 ありがとうございました。

 そうすると、宅地、工場は一割程度で、あとは、九割が田畑、山林、原野、こういう地域であります。

 地元の人の話を聞くと、あの辺の田んぼの評価額というのは大体一反当たり六十万円とか八十万円だというわけですね。そうすると、この値段で買い取り価格が評価されると、そのレベルだと、なかなか先祖伝来の土地を手放す気にはなれない人が多いんじゃないか。

 実は、あそこは高速道路も走っていますが、高速道路のときは、田畑においても六百万とか八百万、先ほどの数字の十倍ぐらいの値段で買い取りが行われたという声が私の方にも寄せられております。

 十二月の政府の要請のときに、政府は、公共用地取得に伴う損失補償基準要綱にのっとってやるんだ、将来はここも復旧復興が図られる土地として考えるんだ、評価するんだ、さらには、東電の財物賠償とは関係ないんだ、この三つの考え方を示したわけですけれども、もう少し具体的に、土地の評価をどうするのか、お伺いします。

井上副大臣 用地取得の具体的な考え方については、今先生がおっしゃった三つの基本的な考え方にのっとって対応していくということになります。

 ただ、それぞれ具体の各地権者に対して、どれぐらいの金額になるか、そういったことについては、これはもう地権者の方々に交渉の中でお示しをするということですので、そこは御理解をいただきたいと思います。

吉田委員 公共用地の取得ですから、収用法というのも一応対象になるということですが、実際にはこれは考えられないことです。そうすると、あくまでも交渉で買い取りをしようということになると思いますが、そうすると、やはりポイントは条件だと思います。どうぞ、いろいろな専門的な知恵を出していただきますようにお願いしたいと思います。

 それから、同じく二月の知事の要請の中に、これらの施設は特別な施設である、そういうことを踏まえて、地権者、さらには敷地周辺の方々の生活再建策、地域振興策などを早期かつ具体的に提示してもらいたいという要請がありました。現時点での政府の対応をお伺いします。

井上副大臣 これは、地権者の方に対する生活再建支援、あるいは地域振興ということに、当然のことながら、しっかり対応しなければいけないというふうに考えております。

 昨年十二月の受け入れ要請の際にも、多岐にわたる地元のニーズに応えるための方策をお示しできるようにしてまいりたいと、石原大臣の方からも申し上げたところであります。

 復興庁とも連携をしながら、そしてまた、地元からさまざまなニーズ、御意見を伺いながら検討をしていきたいと思っています。

吉田委員 もう一つ、この後段で、知事の要請書の中で、地域の文化遺産、伝統の継承、それから墓地等への丁寧な対応、土地賃借などを含む住民の要望等に対してきめ細やかに対応していただきたいという話が来ておりますが、現時点での考え方を伺います。

井上副大臣 中間貯蔵施設ですが、これは除染した土壌などを長期間にわたって安全に管理、保管する施設であります。ですから、そういったことを考えますと、これは、土地の貸借ではなくて、必要な用地を適切な補償の下で国が買い取っていく、これが重要だと考えております。

 また、墓地などへの対応については、地元自治体から御意見をお聞きしながら検討を進め、住民の方々の要望に対してなるべくきめ細やかに対応してまいりたいと考えています。

吉田委員 よろしくお願いします。

 この項目の最後にしますけれども、中間貯蔵施設というのは、三十年後は解体されてそこは更地になるというふうに考えられます。それ以降、この土地をどのように利活用するのか。ひょっとしたら、自治体に譲渡ということもあるのか。そういう絵姿も双葉郡の将来構想を考える上で欠かせないというふうに思います。現時点での政府の考え方をお尋ねします。

井上副大臣 御質問の点につきましては、これは三十年後、最終処分が完了してさらにその後のことでありますから、長期的、将来的に重要な課題だというふうに認識をしております。ですから、現時点でお答えするのは困難であるということは御理解をいただきたいと思います。

 今後、関係省庁と連携を図りながら、また、地元ともよく相談をしながら検討していきたいと思います。

吉田委員 中間貯蔵施設の整備についていろいろお伺いをしてまいりましたが、稼働開始まであと十カ月という段階に来ました。その割には、基本的な考え方がまだまだ未整理という印象を受けました。地元でも、東電の賠償の指針が大体出そろいましたから、次はいよいよこの中間貯蔵の問題に取り組むんだという覚悟は今できつつあるという段階でございます。ぜひ、政府全体の知恵を結集して、かつ丁寧に取り組んでいただくようお願いを申し上げます。

 次いで、除染に関係して三つほどお伺いしたいと思います。

 まず、いわゆる解体除染というものです。浪江町とか富岡町というところでいよいよ除染が始まりましたけれども、もう事故から三年近くたって、空き家のまま三年たっているわけですから、雨漏りがあるとか、動物が入ってくるとか、大分傷みが激しい、もう二度と住むことができないというようなお宅が相当出てまいりました。

 住民からは、そういう場合はもう家を解体して更地にした上で除染をしてもらった方がいいという根強い要望がございます。環境省としての今までの対応、考え方を伺います。

小林政府参考人 吉田先生から御指摘のとおりでございまして、地元からは、長期避難をされているうちに家が荒れてしまった、こういった家屋につきまして除染ではなくてむしろ解体をしてほしい、こういう要望を承っているところでございます。

 これにつきましては、先生から御指摘もありましたような、東電の賠償の中で建てかえのときに解体費用を見ていくというような方向を一つ示されている、そういった方向性が一つございます。それから二番目に、罹災証明で半壊以上、半分以上壊れている、こういう判定がされました家屋につきましては、廃棄物処理事業の一環として、環境省がこれは片づけをさせていただく、こういうことも打ち出しております。

 問題は、そこに当てはまりません、半壊以上と判定が難しいものをどうするか、こういう課題もあるというふうに心得ております。これにつきましては、関係省庁幾つかまたがりますので、復興庁を中心にいたしまして関係者で検討を行っているところでございまして、この中で環境省もしっかり役割を果たしていきたいと考えているところでございます。

吉田委員 ぜひ、そういう方向でよろしくお願いします。

 それから、今度はため池除染です。

 昨年の十一月、これは福島県が発表したデータですが、県内に何千という農業用ため池がございますが、そのうち千六百四十カ所を検査しました。そうしたら、約三割で指定廃棄物の基準である八千ベクレルを、水はいいんですけれども、下の底質が超えているというデータが出てまいりました。

 こういうことを踏まえて、地元ではため池の底質も除染してもらえないかという要望が従来から根強くございます。政府の対応方針を伺います。

小林政府参考人 今の除染の方針は、人への健康影響をできるだけ速やかに低減するということでございますので、まずは宅地周辺、それから農地、森林については生活圏近隣のところを優先的にやらせていただく、こういうことで進んでおります。

 一方で、御指摘ありましたような水がかぶっている水域でございますが、これの特に底質の放射性物質、これについてどうするかという課題がございます。

 御指摘ありましたとおりで、水がかぶっている場合にはその遮蔽効果がございます。また、雨によりまして、また陸地から泥などにまじって流れ込んでくる、こういうことがございますので、まずは陸地の除染をやるというような方針ではございますが、やはり水域についてもしっかり見ていく必要があるということで、農水省でも調査をされておりますが、環境省でもかなり広範なモニタリング調査を定期的に実施し、データを発表しているところでございます。こういった状況把握はしっかりやってまいりたいと思います。

 その上で、ため池につきましては、農林水産省では、放射性物質の拡散防止対策というような観点からの実証事業を行っております。これは情報を両省で共有しております。そこで、今後、農水省が営農再開というような観点から、また環境省は、ケースによっては住民側の被曝線量が懸念されるところについてはそれを低減するというような観点で、相互に連携して取り組みを進めていこう、こういう話し合いをしているところでございます。

吉田委員 これもよろしくお願いします。

 それからもう一つ、今度は再除染という問題です。

 例えば川内村、楢葉町、こういうところは大体除染が完了をしつつあります。やってはみたものの、長期目標一ミリシーベルトをなかなか下回らなかったという場所が幾つかあります。そこについてはもう一度除染をしてもらえぬかという声もあります。

 環境省サイドにもフォローアップ除染という考え方があると聞いておりますが、その基準等をお伺いしたいと思います。

小林政府参考人 今御指摘ありましたとおりで、田村市については直轄の地域でございますが、既に除染計画を終了しております。また、年度内にも三町について予定どおり終わろうとしております。

 その後の対応がどうかということでございますが、除染につきましては、線量に応じて適切な手法で、これはもうその手法で下げられるところまできっちり下げるというような作業を実施しております。そういう意味で、同じ手法をもう一回実施いたしましても、その効果は期待しがたいものでございます。

 また、除染実施後に除染の効果がきちんと維持されているのかどうか、また上がってくるというようなことがないかというような懸念がございますので、これについては、特に除染のモデル実証事業を通じて、早目に除染が終わった地域について、その後の空間線量の推移、これをかなりきっちり見てきているところでございます。

 今後、計画にのっとった除染が終わりますと、事後モニタリングということをやることにしておりまして、これは相当稠密な調査を行います。これで仮に除染の効果が維持されずに空間線量に影響を与えるというようなところがございました場合には、モニタリングの結果ですとか現場の状況をよく分析いたしまして、どういうやり方が合理的なのか、また実施可能性があるかというようなことを判断して、必要な除染のフォローアップを行うという考えを持っております。

 現在、先ほど申しましたように、除染作業が終了しました田村市、これがトップランナーでいらっしゃるわけでありまして、ここの事後モニタリングはもう実施をいたしました。この情報については市民の方にも提供しておりますし、今いろいろな知見を集積しておりますので、これを踏まえて、今後、具体的なものにしていきたいと考えているところでございます。

吉田委員 ありがとうございました。

 除染については、今三つほど課題というものを取り上げましたけれども、全体として当初予定よりか大変おくれてしまって、自治体の復興計画に大きな影響が出ているという問題もございます。一層の御奮闘を改めてお願いしたいと思います。

 次いで、今度は大きな項目の二つ目ですけれども、原子力規制委員会に関連してお伺いしたいと思います。

 第一原発で汚染水そして廃炉問題が大変焦眉の急、緊急の課題になっておりますが、政府は、政府の関与をさらに強めようという方向で、例えば原子力損害賠償支援機構の拡充を今検討しているというふうに聞きます。五十人ほどの専門家を新しく入れて、賠償だけじゃなくて、廃炉部門というのもつくる方向だというふうに聞いております。

 そこで、改めて、この役割分担というのを確認したいと思います。汚染水対策とか廃炉とか、大変大きな仕事でございますが、その後において、東京電力、そして経産省、新しくなる原賠・廃炉機構、さらには、JNESを吸収して、今度は強化されました、大きくなりました原子力規制委員会、こういういろいろな機関の役割を改めてお聞きしたいと思います。

 例えば、これは聞いたところによると、スポーツに例えると、東京電力は選手だ、経産省は監督だ、原賠機構はコーチだ、そして規制委員会は審判なんだ、そういう例え話を聞いたことがありますが、その例えが設置法に照らし合わせてふさわしいのかどうかも含めてお伺いしたいと思います。

山本(哲)政府参考人 委員御指摘のとおり、まず、東京電力福島第一原子力発電所の汚染水問題あるいは廃炉問題につきましては、これは政府が総力を挙げて取り組むべき問題であるというふうに認識してございます。原子力規制委員会におきましても、こういう政府の取り組みの一環としての関係の閣僚会議あるいは現地の調整会議などに規制当局として参画をしておりまして、技術的なあるいは専門的な助言をしているところでございます。

 それから、もちろん規制委員会は、原子炉等規制法という法律に基づきます安全規制を実施する立場でございますので、東京電力に対しては、そういうような規制を行っておるところでございます。具体的には、廃炉あるいは汚染水対策に向けました具体的な計画を東京電力が作成したものに対して、それを審査し、認可し、あるいはその認可された計画がきちっと行われているかどうか、これをきちっと確認していく、こういう大きな役割を担っているものでございます。

 それで、御指摘の審判といいますかアンパイアというのが規制委員会の役割ではないかというのが一つの例として挙げられておるところでございますけれども、事業者によります取り組みが規制のルールどおり行われているかどうか、これをしっかり確認して、必要に応じて指導を行うという役割を私ども規制委員会が有しておりますので、そういう観点から見ますと、審判、アンパイアにも例えることもできるのではないかというふうに考えているところでございます。

糟谷政府参考人 いろいろな主体の役割分担についての御質問でございます。

 まず、東京電力は、これは福島第一原子力発電所の原子炉の設置者でございまして、現場に精通をして、これまでもさまざまな作業に取り組んできております。そういう意味で実施主体ということでございます。

 それから、経済産業省でございますけれども、これは経済産業省のみならず、関係省庁一丸となって、国として基本的な方針、アクションプランを作成するということでありますとか、それから潜在的なリスクを洗い出して予防的、重層的な対策の検討、取りまとめをしたり、事業者による対策の進捗管理を行いましたり、また、技術的難易度が高いものについて国が前面に出てやる必要があるものについて財政措置により研究開発等を行うなど、さまざまな取り組みを行ってきております。

 とりわけ経済産業省は、東京電力の事業所管官庁でございまして、その意味では指導監督をしっかりと進めていくべき立場にございます。

 それから、規制委員会については、先ほど山本審議官からお話があったとおり、ルールに照らして安全性をチェックいただいているということであります。

 それから、先ほど御質問の中にもありましたように、廃炉・汚染水対策、特に廃炉は三十年以上にわたる大事業でございます。この福島第一原子力発電所の廃炉・汚染水対策について、国が前面に立って、より着実に廃炉・汚染水対策を進められるように支援体制を強化したいというふうに考えておりまして、その意味で、原子力損害賠償支援機構法の一部を改正する法律案を今国会に提出する予定としておるところでございます。

 御質問の役割分担ということについてでありますが、経済産業省は事業所管官庁として指導監督を行う、東京電力は炉の設置者であり、実施主体としての責任を果たしていく、それから規制庁はルールに照らして規制をする、そういったような役割でございまして、そういったことを踏まえて、プレーヤー、審判、アンパイア、コーチ、監督というようなことを御指摘ということであれば、そういう考え方ができるということではないかというふうに考えております。

吉田委員 いずれにしましても、非常に多数の機関が関与するわけですので、縦割りのすき間をつくらないように、それぞれ積極的な姿勢で取り組んでいただきたいというふうに思います。

 質問を一つ飛ばしまして、次に、地球温暖化、さらにはPM二・五という問題に関連してお伺いしたいと思います。

 温暖化対策の当面の課題というのは、大臣所信にもありますけれども、今設定したマイナス三・八%という数値をエネルギー基本計画の見直しに沿ってどう修正していくのかということだと思いますが、いずれにしても、この地球温暖化という問題は、百年後に地球の温度が何度上がるかという問題だというふうに私は思っております。そして、そのために、ここに毎年一兆円のスケールの予算がここ十年にわたってつぎ込まれてきたということでございます。

 一方で、大臣所信にもありますけれども、PM二・五という大気汚染の問題が去年から大変国民的な不安を引き起こしているというふうに思います。去年の十月でしたけれども、WHO、世界保健機構の発表によると、PM二・五による発がんリスクというのは五段階の危険度のうちの最高レベルだ、例えば、二〇一〇年に世界で約二十二万人の方が汚れた空気が原因で肺がんで死亡したとWHOは推定している、こういう発表があったわけでございます。

 一方で、NASAが衛星写真でPM二・五の汚染状況を撮ったのを見ましたけれども、アフリカ、アラビア半島、インド、中国、この辺が特に濃度が高い。西ヨーロッパ、東ヨーロッパ、この辺がその次ぐらいに高い。そして、アメリカ東部、日本がその次の中程度。こういう写真が発表されておりますけれども、いずれにしろ、世界規模でPM二・五汚染が広がっているということは間違いございません。

 私などは、先ほどの炭酸ガスの問題と比べてPM二・五という問題は、人類にとっての緊急性という意味ではこちらの方が高いんじゃないかというふうにも思えるほどでございますが、PM二・五対策の予算の現状をお伺いします。

小林政府参考人 このPM二・五の問題、地球環境問題とも並びまして、国民の健康、また安全、安心を守るという観点で重要な課題だというふうに考えているところでございます。

 WHOの指摘なども、これは全世界を見ての指摘でございますが、注目して我々もフォローしておりまして、環境基準の中でもこういった観点も含めて設定をしておりますので、引き続きそこはしっかりやってまいりたいと思います。

 御指摘の予算の点でございますが、PM二・五の対策につきましては、その重要性に鑑みまして、昨年十二月に総合的な取り組み、政策パッケージを取りまとめ、発表させていただいたところであります。

 このパッケージの中では、PM二・五の予報ができるようなことを目指したシミュレーションモデルの構築、改善、それからPM二・五に関する発生源情報の整備、また、生成メカニズム、大変複雑なものがございますが、この解明を行うこと、それから、ベースになる大気環境モニタリングの充実などをやるということで、平成二十六年度の予算としても約六億円のお願いをしているところでございます。

 それから、御指摘ありましたように、アジアあるいは各国横断的な課題でもございます。特に中国に対しては、お互いの地方自治体、地方政府が産業界の知見やノウハウなども生かしながら連携をしていく、そういう形で中国の主要都市における能力構築ですとか人材育成に貢献していく、こういうような都市間連携というような事業を提案しておりまして、約一・三億円を要求しております。

 また、広くアジア諸国を対象とした取り組みといたしまして、国連環境計画を通じて、科学的知見の充実、都市レベルでの政策立案支援などを図るということで、約一・五億円を要求しているところでございます。

 こういったものを使いまして、我が国の対策、またアジア地域全体でのきれいな空気が共有できるようにということをやってまいりたいと思っております。

吉田委員 炭酸ガス対策で約一兆円と言われておりますけれども、PM二・五対策は六億円という数字を今出されました。二千分の一ぐらいの規模ですが、本当にこれでいいのかなというような感じを私は持っております。きょうは、その問題提起ということでお話しさせていただきました。

 それから、もう最後になると思いますが、一般廃棄物処理について一問お伺いします。

 廃棄物処理施設の整備予算の推移を見ると、ここ数年はずっと三百億から四百億円ぐらいで推移してきたんですが、二十五年度は、補正予算が入りまして九百億台に膨れ上がりました。恐らく、ダイオキシン対策でつくられた処理施設がそろそろ更新時期を迎えつつある、そういう地方からの要望に応えようということだと思います。

 この施設を更新するときの政府のいわゆる交付金の交付率というのは、最低三分の一から二分の一でございます。残りは地元負担ということですので、焼却炉というのは非常に値段が高い設備なものですから、財政負担が大変大きいということになってまいります。

 そこで、民間のセメント焼成炉というのをもっと利用したらどうだという考え方がございます。一般廃棄物をセメントを焼成するときの燃料にする、さらにはその灰を原料にする、そうすると、リサイクル率も上がる、それから最終処分場も少なくて済む、さらには化石燃料の消費も減らせる、こういったメリットがあるというわけですね。

 実際、埼玉県の日高市というところで、近くのセメント会社と連携してそういうことをやっている。また、今回の大震災に当たって、岩手県の大船渡の太平洋セメントの方で、震災瓦れきを受け入れてそういうような処理をしているという実情もございます。

 このセメント焼成に利用するという方法をもっと拡大できないかなと思うんですが、検討状況はいかがでしょうか。

梶原政府参考人 今先生おっしゃられたように、国内十七社セメント工場があるのでございますが、大体六千万トンほどの生産高でございます。そのうち廃棄物、これは、広く捉えますと、高炉スラグあるいは石炭灰、汚泥等を受けていまして、約二千九百万トンのこういった廃棄物を受けていただいております。したがいまして、約半数近くがこういった原燃料として使っていただいているところでございます。廃棄物の処理、リサイクルに大きな貢献をしていただいております。

 また、委員御指摘の東日本大震災、ここにおきましても、災害廃棄物約百万トン程度の可燃物あるいは不燃混合物をセメント工場で受け入れていただいているところでございます。

 市町村のごみでございますけれども、市町村のごみでは、これは市町村の数で恐縮でございますけれども、約一割の市町村の焼却灰を受け入れていただいておりまして、負担軽減に大きく寄与していただいているところでございます。

 環境省といたしましては、このようなセメント工場での利用が大きく進んでおるわけでございますけれども、適正なリサイクルにさらに貢献していただければと思っておりまして、セメント工場にぜひとも協力してまいりたいというふうに考えております。

 今申しましたように、かなりの量を受けていただいているので、これ以上というのはなかなか難しいところもあるんでございますが、何とか協力をして、今後とも引き続き進めていただけるようお願いしてまいりたいと思っております。

吉田委員 この焼却炉の更新という問題も、間もなくといいますか、緊急性のある問題だと思います。いろいろ知恵を出し合いたいというふうに思います。

 それでは、時間ですので私は終わります。ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 日本維新の会の河野正美でございます。

 第百八十六回国会での環境委員会初めての質問ということで、冒頭ということで質問に立たせていただきます。

 まず最初に、昨今の大雪によりまして、とうとい命を失われた方々、あるいは被害に遭われた方々に心よりお見舞いを申し上げたいと思います。また、一日も早く復旧復興がなされますように、政府におかれましても十分な支援体制をとっていただきたいとお願いしたいと思います。

 復旧復興と申しますと、東日本大震災から間もなく三年が経過いたします。しかし、先ほどからお話もありましたように、現在、まだ放射能等の被害によって進行形の被害、避難をされていたり、つらい思いをされている方、現在進行形の被害と言ってもいいんじゃないかなと思っております。こういった方々も少なくない中で、しっかりと原発問題等についても触れてまいりたいと思います。今国会初めてということで、多少いろいろな思いもありまして、雑駁な質問になるかと思いますけれども、よろしくお願い申し上げます。

 昨日の日経ニュースにもあったように思いますけれども、現在、我が国は原発が停止しているということで貿易赤字が非常に大きくなっていっている、日本の富が流出していっているということが危惧されております。原発停止によりまして化石燃料などの購入が非常に大きくなっているということで、早く原発を再稼働すべきではないかといった意見もあると思いますけれども、実際、この購入にどれぐらいの額がかかっているのか。年間三・一兆円とも三・六兆円とも言われておりますが、政府として公式な見解をお尋ねいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。

後藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生おっしゃいました原発停止による燃料費の増加でございますけれども、現在、二〇一三年度の推計でございますけれども、三・六兆円の燃料費が余計に今かかっているという状況になってございます。

河野(正)委員 与党の議員さんの中にも、ホームページ等でこの点に疑問を呈されている方がいらっしゃるのかなというふうに思っております。試算の根拠が、そもそも三・一一以前の原発五十四基がフル稼働していた場合の積算であって、実際のたき増し分は一・五兆とか、もっと少ない額ではないのかという説もありますが、この点につきましてはいかがでございますでしょうか。

後藤政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもの試算におきましては、原子力発電所が停止したことに伴う火力発電による代替による燃料費の増加というものを計算してございます。

 そういう意味では、まず、原子力発電というのは、従来、ベースロードの電源としまして、需要の増減にかかわらず、常に一定規模、動かし出したらフル稼働でずっと動いていくという状況になってございましたので、仮に停止をしていなければ、震災後の電力需要が減少した場合でも、原子力の需要を減らすというわけではなくて、原子力は一定規模ずっと動かし続けるという前提であったというふうに思ってございます。

 そういう意味で、震災の前後で火力発電の発電量の増分から燃料費の増加分を試算しますと、電力需要の減少というものを考慮する必要性はないというふうに考えてございまして、そういう意味では、一定程度原子力がとまった分を全て同じ発電量を火力で賄うという計算をさせていただいております。

 今先生お話がありました別の試算では、全体の需要の減少分は、もうその分は原子力発電がとまったことの影響を差し引いた形になっていまして、非常に過小評価しているのではないかと思います。

 つまり、原子力はベースとして常にずっと使うので、需要の増減にかかわらず常に動かすということで考えると、私どもの試算の方が妥当性が高いのではないかというふうに考えてございます。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 では、政府としては、そういったふうに、非常に化石燃料等購入に大きなお金がかかっているというふうに認識されているということを理解いたしました。

 私も、実は、震災以降の省エネ努力とかいろいろなことを考えれば、三・一兆とか三・六兆円というのは極めて大きい数字、過大なのではないかなというふうに思っておりますけれども、一方で、我が国の経済的活力ということを考えますれば、安全で安心、さらに安価で安定したエネルギーの供給確保をしておくということは必須だと思っておりますので、この点は引き続き、今後とも検証をしていきたいなと考えております。

 また後ほど言及したいと思っておりますけれども、原子力を人類が自由に使いこなすということは、私は医師でございますけれども、非常に難しいんじゃないかなと考えております。相当な無理があるのではないかなと。一〇〇%の安全というのはありませんので、もし何か起きたときに、人間が被害に遭ったときに、コントロール、治療をしていくということは難しいのじゃないかなというふうに考えております。

 我が党の公約といたしまして、二〇三〇年代に、原発をフェードアウトしたいというふうに掲げております。この公約の目標を達成していくには、今の時期から相当な覚悟を持って再生可能エネルギーなどへの転換を希求していかなければならないと思っておりますので、今後ともこの点はしっかりとお尋ねしていきたいと思っております。

 次に、福島県における中間貯蔵施設の取り組みについてお尋ねいたしたいと思いますが、先ほどの吉田委員の質問とかなり重複しておるところがございますので大変申しわけございませんが、改めてお答えいただければと思います。

 まず初めに、大臣、副大臣、実際に候補自治体である福島県の大熊町、双葉町、楢葉町に赴かれたということでございますが、これについての御感想を伺いたいと思います。

石原国務大臣 同僚の吉田委員にもお答えさせていただきましたけれども、除染を行うことによりまして、土壌が発生したり瓦れきが出てきたりいたします。これを今、仮置き場という形で保存していただいているのでございますけれども、ともかく自分の目の見えるところから移動してくれ、そういう福島県内の住民の方々の切実なる声を聞かせていただいていることもあり、一刻も早くこれを解消する必要があると考えております。

 その一方で、お願いをさせていただいている双葉郡は原発事故により大きな被害を受けた地域でございます。その中で、大熊、双葉、楢葉。知事の方から、楢葉以外の二つの町に集約せよというお話も伺っておりますけれども、この中間貯蔵施設を受け入れていただきたいとお願いしたとき、率直に申しまして、心苦しいという思いを、私、思ったことは今も大変はっきりと覚えているところでございます。

 しかし、さはさりなん、多くの福島の方々が、目の前にある仮置き場から除染の後出てきた土砂等々を一日も早く除去していただきたい、こういう声も大変大きいわけでございますので、御地元の御理解というものを一日も早くいただいた後に、整備に全力を尽くしたいというのが現在の心境でございます。

井上副大臣 今、大臣の方から決意を述べられましたので、私の方からは、現状についてちょっと申し上げたいと思っております。

 御承知のように、昨年十二月に、石原環境大臣と根本復興大臣が福島に対しまして中間貯蔵施設の設置の計画案を提示いたしました。その後、二月十二日に、知事から計画案の見直しについて申し入れがございました。

 今回の知事からの申し入れにつきましては、県と関係町の総意と理解しておりますので、なるべくこれを尊重したいというふうに考えております。

 ただ、他方で、具体的な回答につきましては、今、まさに検討中でありまして、まだ申し上げられる段階にはございません。

 実は、きょうも、私、国会のお許しをいただきまして、午後から福島の方に参る予定であります。地元の意向をよく確認しながら、できる限り速やかに地元の方に回答をお示しできるように取り組んでいきたいと考えております。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 またこれも吉田委員と多少重複いたしますが、候補地を、大熊、双葉、楢葉、三町から、福島県の佐藤雄平知事による提案ということで、二町。楢葉は早期帰還が期待されるということで、それを除外してほしいということだと思いますが、この提案の受けとめについて、改めてお尋ねいたしたいと思います。

 佐藤知事によれば、二町にした上で、先ほど来お話がありましたように、計画面積もふやさないでほしい、減容化技術を進めてほしい、極力搬入見込み量を減らしてほしい、あるいは、三十年以内に県外最終処分地について法制化をしてほしいという要望があっていると思います。

 法制化については、昨年十二月十四日の会合において石原大臣も、「「中間貯蔵施設を受け入れていただける環境が整えば」と述べた後、ひと呼吸おいて「法制化を図る」と語った。」というふうに、朝日新聞ですけれども、報道されております。その一呼吸置いたところが、先ほど大臣がおっしゃったように、心苦しかった点だったのかなと思いますけれども、この点のお考えを改めてお聞かせいただければと思います。

石原国務大臣 この点につきましても、先ほど御答弁させていただきましたが、あくまでもやはり地元の方々が御理解をいただいて、中間貯蔵施設を引き受けていただけるというような形になってこそ、最終処分場を三十年後につくるという法律を出させていただくというのが物事の順序だと思います。

 もう、その法律を出すということは、そこにつくるということを、理解もなく、住民に説明することなく、議会の皆さん方に説明することなく政府はやるんだというのでは、やはり本末転倒ではないか、一つ一つ、一歩一歩着実に進めていかなければこの問題の解決はないのではないかと考えております。

河野(正)委員 どうもありがとうございました。非常に厳しい問題だと認識しております。

 また、来年度予算では、中間貯蔵地買収に関する関連予算として一千億円が計上されていると思います。今年度予算百四十六億円から比べると、約七倍という規模を計上されているわけでございます。

 東電任せではなく、国有化して事業を進めていこうという強い意気込みだと感じはいたしますが、最終処分場になるのではないかという懸念が払拭できておらず、地元の理解がなければこの予算の執行も難しいのかなというふうに危惧される声もあると思います。

 現時点での見通しはいかがと考えられているか、お尋ねしたいと思います。

小林政府参考人 今、中間貯蔵施設についての予算につきまして御質問がございました。

 今、石原大臣、井上副大臣から御答弁ありましたように、とにかく地元の御理解を得て進めるということが肝要だということで、事務方もそういうつもりでやっているところでございます。

 そういう中で、中間貯蔵施設の設置自体は、福島県全体の除染の推進また復興に向けて必要不可欠ということで、大変急がれる課題でございます。そういう意味で、用地の取得あるいは施設整備に係る経費として、必要な予算をぜひ計上させていただきたいということでやっているところでございます。

 知事の申し入れに対する回答については、最前の御質問にもありましたように、今鋭意検討しておりますので、これを進めながら、しっかり進めていきたいと考えているところでございます。

河野(正)委員 ありがとうございます。

 今、冒頭にお話ししましたように、やはりまだ被害で苦しんでいらっしゃる方については現在進行形の災害でございますので、しっかりと前向きに進んでいただきたいなと考えております。

 次に、汚染水の対応についてお尋ねいたしたいと思います。

 昨年より、地下水から高いレベルの汚染水の検出が続いているというように思いますけれども、現状認識を教えていただけますでしょうか。

山本(哲)政府参考人 地下水の汚染水によります汚染問題につきましては、特に原子炉建屋あるいはタービン建屋の東側にあります護岸付近でこういった高濃度の汚染水が検出されておるところでございます。

 これは、事故直後の平成二十三年の四月ごろに高濃度の汚染水を海に放出してしまった、あるいは漏えいがあったという事象がございましたので、そういった高濃度の汚染水が護岸付近の地下に滞留しておりまして、これが原因ではないかというふうに考えておるところでございます。

 まずは、これの漏えい拡大を防止するために、東京電力におきましては、水ガラスなどによる抑制対策を実施するとともに、特に、タービン建屋から海側に向きましては、大きな、トレンチというコンクリート構造物のトンネルが走っておりまして、ここに高濃度の汚染水がたまってございますので、まずこの汚染水の濃度を下げ、かつこの中の汚染水の水抜きをいたしまして、そこを埋め戻すなど汚染源の除去を進めていく、こういう対策をこれからしていくところでございます。

 規制委員会としましては、こういった対策につきまして、安全上の観点から、これが適切に実施され、安全の確保上問題がないかどうかをしっかり確認しておるところでございますので、引き続き、この問題に対しては重要な問題として取り組んでいきたいと思っておるところでございます。

河野(正)委員 汚染水に対応する組織というのが、ちょっと原稿を見ないとわからないぐらいですけれども、原子力災害対策本部、これは総理が本部長を務めておられます。その下に、廃炉・汚染水対策関係閣僚等会議というのがあって、さらにその下というか、経済産業大臣を長とする廃炉・汚染水対策チーム、あるいは有識者を委員長とした汚染水処理対策チーム、そして経済産業副大臣が議長をされている廃炉・汚染水対策現地調整会議というふうに複数存在しております。

 こういった各対応チームがどのように役割分担しているのか非常にわかりにくいというふうに思っております。組織が乱立することによって、会議は踊るではありませんけれども、そういったふうに、きちんと仕切りがとれているのか、整合性がとれてやっていけるのか、スピーディーにやっていけるのかという懸念がございますが、この点について教えていただけますでしょうか。

後藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今、先生がおっしゃいましたように、いろいろな組織があるのは事実でありますけれども、私どもといたしましては、経済産業省だけではなくて、内閣府に、今、先生お話がありました廃炉・汚染水対策チームというのが全体の推進力になっていくようにやっていきたいと思っております。今お話がありましたように、茂木経済産業大臣が内閣府特命担当大臣としてそれを統括する、そこに各省の副大臣それから規制当局にも入っていただきまして、関係省庁の協力を得ながらやっていくというのが今の大きな枠組みであるというふうに考えてございます。

 この枠組みの中で、規制当局は規制当局として、福島第一原子力発電所を特定原子力施設として規制の運用、実施を行っていただいておりますし、また、実施主体としての東京電力というのも、しっかりと経済産業省の方が指示しながらやっていくというような体制になっていくというふうに考えているところでございます。

河野(正)委員 今月になって、昨年検出された汚染水の濃度を低く評価していたあるいは公表していなかったということが報道されております。放射性ストロンチウムが一リッター当たり五百万ベクレル検出されていたということで、国の放出基準の何と十六万倍以上である、地下水の過去最高値、一リットル当たり五千百ベクレルの約千倍ということだそうです。

 東京電力は、約半年の間、ストロンチウム単独の濃度は測定結果が誤っている可能性があるということで公表していなかったというふうに報道されております。最近は、高濃度の場合は薄めて分析する方法に改めたということにもなっておりますけれども、東京電力の対応、能力に改めて疑問を禁じ得ないところでもございます。

 規制委員会として、評価、受けとめ、今後の方針についてお尋ねいたしたいと思います。

山本(哲)政府参考人 御指摘のとおり、東京電力におきましては、放射性物質の汚染水の濃度を今測定しているところでございますけれども、御指摘のように、ある新しい装置を導入して測定したところ、ストロンチウムというベータ線を出す一つの核種の値が、それ以外の全てのベータ核種を出す、全ベータと呼んでおりますが、この値よりも大きいということで、なかなか理論的に整合性がとれないということで、この公表をしばらくしていなかったという問題でございます。

 この点につきましては、私ども規制委員会でも、先ほど申し上げました汚染水対策に関連いたしまして専門家のワーキングを設置しておりますが、そこの場で、私ども規制委員会の委員の方から、説明のつかない、データがとれていないことを理由に公表していないというのはおかしいのではないかという指摘をいたしまして、このワーキングにおきまして、今先生の御指摘ありました、なぜこういう値が出ているのかという技術的な問題と、それから、こういうおかしいデータが仮に出たとしても、その理由を付してきちっと公表していくべきである、こういう観点からの議論、検討をしていきたいと思ってございます。

 いずれにしましても、データの信頼性というのは極めて大事な点でございますので、これが適切に行われるよう、技術的な問題を解決するというのは当然でございますが、得られたデータは直ちに公表し、その持つ意味、裏づけ、そういったものをきちっと公表するように、東京電力に対しても指導していきたいというふうに考えております。

河野(正)委員 先ほどのチームについても、しっかりと指示して、きちんとやっていただけるということですので、こういったふうに、東電に対して、データを隠すとかいうことがないように、しっかりと監督していただきたいなと思います。

 ちょっと、先ほども触れられたかと思うんですが、確認として、高いレベルでの汚染水の検出、これは何を原因とするものとお考えになっているでしょうか。メルトダウンにより発生した燃料の残骸が地下に漏出しているのではないかといった声もあるようですけれども、これをどのように評価しているのか。きちんとこの辺をただしていかないと、総理が主張されている、コントロールしているという発言を危惧せざるを得なくなってまいりますので、この点ちょっとお聞かせいただけますでしょうか。

後藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今、さまざまなところで高レベルの汚染水が出ているということにつきまして、私どもとしてもどのように考えているかという御趣旨だと思います。

 最大の要因の一つには、やはり、事故のときに建屋が爆発して、その残骸が落ちてきた落下物というものが散らばっているということ、それから、先ほど規制庁の方からもお話がありましたが、海側の分岐トレンチの中にたまっている高濃度の汚染水というものの漏えい、それから、その他タンクからの漏えいというものが主因だというふうに考えてございます。

 ただ、それ以外の原因も全く排除するわけではございませんので、それらの原因についても可能性を検討しつつ、対策も適切なものになるようにしっかりやっていきたいというふうに思います。

河野(正)委員 時間も余りありませんので、次に行きたいと思います。

 先ほどお話ししましたように、私、再生可能エネルギーを貪欲なまでに追求していかなければ、原発依存からは脱却できないというふうに考えております。

 昨年、当委員会の視察でデンマークに行かせていただきました。北川副大臣も御一緒させていただきました。その中の一つに風力発電というのがございまして、風のよいというのがあって、かなりデンマークは一生懸命、風力発電とかをされておりました。

 風力発電ということであると、風のよい地域に設置しなければならないということで、この点で送電網の整備などが課題となってくると思います。また、蓄電ということが非常に難しい問題であるということも伺ってまいりました。

 先週、実は、我が党の有志で、九州大学の次世代燃料電池産学連携センターというところを視察してまいりました。そこで、エネルギーの源であり、ためることもできる水素の可能性について、非常にこれは、風力発電あるいは太陽光発電を水素という形で貯蔵していって順次使っていくというふうにしたらいいのかなということを思って帰ってきた次第です。

 たまたま別の情報で耳にしたのが、実際に、デンマークのロラン島というところでは、国を挙げて、こういったことを、水素を利用して検討していこうということで試みられているということでございます。

 福岡においても、九州大学で力を入れて水素を研究しているわけですけれども、来年度予算で、我が国の取り組み、こういったものを支援していくということについてはいかがでしょうか。

安永政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、再生可能エネルギーでございます風力発電及び太陽光発電、こういったものは、日照ですとか風況といった天候によって出力に変動が生じます。この変動を吸収した形で利用者の方々に供給するということによって、さらなる普及拡大が見込めると考えております。

 実際、デンマークにおきましても、御指摘のとおり、風力発電、太陽光発電、これは電気になるわけですが、電力として送電網で供給するのみならず、水素の形で貯蔵をし、なおかつ運搬をし、例えば、太陽光や風力が使えないときには、それを燃料電池に供給して電力に変える、こういったことをやっております。

 私ども、こうした再生可能エネルギーの変動を例えば蓄電池によって吸収するというような試みも実施をされておりますし、蓄電池の研究開発にも力を入れておりますが、やはり、電気エネルギーをその他の貯蔵、運搬が容易なエネルギーの形に転換をして利用するということが極めて有効と考えております。

 このため、当省では、本年度から、再生可能エネルギーによる電力を水素ですとか別の有機系の液体に変換をいたしまして、これは貯蔵、運搬が容易でございますので、こういうものに変換した上で貯蔵、輸送するシステムを構築するための研究開発を実施しております。

 具体的には、再生可能エネルギーを用いて水を電気分解する、これを高効率に進めて低コストで水素を製造する技術、それから、気体である水素を液化したり、あるいは、例えば有機ハイドライドと私どもは呼んでおりますが、別の液体に効率的に転換をし貯蔵する技術の開発、そしてその全体システムの構築のための研究開発に取り組んでおります。

 我々、エネルギーのキャリアと呼んでおりますが、この研究開発、二十五年度に十一億円、二十六年度に十六億円の、二十六年度はもちろん政府予算案ベースでございますが、予算案をつくっております。

 また、御指摘ありました九大には、燃料電池のみならず、水素インフラのための材料開発の拠点も当省がこれまでに設置をし、研究開発を支援してきているところでございます。

 以上でございます。

河野(正)委員 原発依存から脱していくためには、本当に、そういうふうにしっかりといろいろな方面から検討していかなければならないと思っていますので、ぜひ、しっかり予算をつけて頑張っていただきたいと思います。

 残り時間もありませんので、最後に、放射性廃棄物の最終処分についてお尋ねいたしたいと思います。

 我が国は、既に原子力の恩恵を受けているわけでございますが、一方で、トイレのないマンションなどともやゆされている状況にあります。国が積極的に関与するという方針が示されておりますけれども、我が国は非常に地震も多いですし、豊富な水資源もあるということで、地下水も豊富で、今後、放射性廃棄物、核燃料廃棄物の処理、非常に厳しい状況があるのかなと思っております。

 フィンランドのオンカロでは、四百五十メーター掘っていっているわけですが、我が国は、それ以前の、ちょっと掘っただけで湧き水が相当出てきてしまうということで、このようなところで果たして、今、法律では地下に処分するということになっているわけですけれども、そういったものが可能なのかということで、懸念を持っております。

 こういった意味で、立地可能な土地はどれぐらいあるのか、有望地の提示の際にはまた人口などの社会的な制約もあるかと思いますが、現時点での政府の御見解、最終処分場について、お尋ねしたいと思います。

後藤政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、我が国において、最終処分が立地可能性があるのかというところからお答え申し上げたいと思います。

 我が国におきましても、確かに先生お話しのように、活断層があるとか火山が多い、それから地下水脈がたくさんあるということでありますけれども、そのような地質のデータや、それから、地下深いところの地質の環境の実地調査というものをずっとやっておりまして、二十年以上の研究調査の実績がございます。それらをまとめまして、二〇〇〇年の十月には、地層処分にとって安定な地質環境が我が国には存在するということを、原子力委員会によって確認がされているところでございます。

 他方、地層処分自身の安全性につきまして、まだまだ十分な信頼が得られていないというのもまた事実だと思いますので、昨年の十月から、経済産業省の総合資源エネルギー調査会のもとに地層処分の技術ワーキングというものをつくりまして、二〇〇〇年から、その先十年の最新の科学的知見を踏まえた再評価をするということを今やってございます。

 昨年の末に開催しました最終処分関係閣僚会議におきましても、まずは国が科学的根拠に基づく有望地を示すという方向性を示しておりまして、現在、その具体化の作業、それからそのワーキングの結論というものを取りまとめて、ことしの春には、さまざまな結果を取りまとめてまいりたいというふうに考えているところでございます。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 我が国は、ガラス固化体にして処理をした後に地層に処分していくということが法律で決められているというわけでありますけれども、今お話がありましたように、地下水の問題とか、非常に厳しい状況があると思います。

 実は、フィンランドに行かせていただいた後にも、昨年十二月に、青森県六ケ所村周辺のいろいろな施設を視察させていただきました。そういったことから、非常に我が国として、今後急いで決めなければならないし、なおかつ、こういった地層処分というのがどうなのかなと。フィンランドでは直接処分ということで十万年後まで考えていくということで、我が国はガラス固化体にしますので、もっと短い期間でいいと思うんですけれども、そういったことを一生懸命急いで考えていかなければならないと思います。

 非常に取りとめのない質問になりましたけれども、以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、百瀬智之君。

百瀬委員 長野県選出の百瀬智之です。

 本日は、まず、通告していないんですが、大変ゆゆしき問題が十九日に発生したというニュースをお聞きいたしました。福島の原発におきまして、汚染水が約百トン流出したという事態でございます。通告しておりませんけれども、大変ゆゆしき問題であり、取り上げるべき問題だと思っておりますので、どなたか担当者で結構でございます、現状と対応についてお答えいただけますでしょうか。

 担当者の方がいらっしゃらないということですので、このようなニュースを把握されていますか、大臣。

石原国務大臣 把握しております。

百瀬委員 今後の対応についてはどのようにお考えですか。

石原国務大臣 厳正に対処する問題だと思っております。

百瀬委員 大変棒読みでございますけれども、真剣に取り組んでいただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 さて、私の本題に入らせていただきます。

 今回は、皆様に、おなじみの動植物等を例に用いながら、生物多様性について議論させていただければと思っております。

 大臣所信の中で、人と自然が共生する社会の実現を目指すという言葉がございます。そして、そのすぐ後ろに、鹿とイノシシの生息頭数を十年後までに半減させるという文言もございます。またこれは法案の審議のときにしっかりやらせていただければ幸いでございますけれども、一つ一つとってみると、大変いいことだなと思っております。人と自然が共生する社会、すばらしいことですし、また、害獣の被害は今甚大でございますから、そういった駆除も必要になってくると思っております。

 しかし一方で、鹿とイノシシを大量に処分してしまうことがなぜ人と自然が共生する社会の実現なのか、不可解に思われる面もなきにしもあらずでございます。

 そこで、私なりに考えました。このように考えることもできるのかなと思っております。

 若干振り返りますけれども、明治の時代に、鹿やイノシシは鍋にするとおいしいと思ったかはわかりませんけれども、鹿やイノシシの乱獲があったことは確かであります。そして、それによって、鹿やイノシシを捕食しているオオカミの数が減ってしまった。オオカミは食べるものがなくなってしまったので、人が飼っている馬などを襲うようになってしまったので、それを害獣として政府は扱うようにもなった。また、文明開化にそぐわない野獣だということでオオカミが認定されまして、駆除が強くなっていった。また、オオカミの毛皮や骨、肉、こういうものは価値が高かったので、換金目当てに乱獲されたこともあった。このような事態もあって、オオカミが絶滅して、捕食者がいなくなり、狂犬病等の伝染病も含めてオオカミが絶滅して、鹿やイノシシがここまでふえるに至った、おおよそこのように理解しております。

 つまり、この問題は、もとをたどれば、地球温暖化とかそういうことではなくて、人がイノシシや鹿を乱獲し始めたことに端を発する、それが回りに回って人に影響を及ぼすようになって、多額の税金を使ってこれを駆除しなければならないような事態にまで今来ている。要は、簡単に、安易に自然に手をかけると生態系や種の多様性からしっぺ返しを食らうことがある、このような教訓があったのかなと思っております。

 このような教訓をもとにすれば、人と自然が共生する社会の実現ということにも説得力が出てくるのかと思っております。単に、鹿やイノシシが邪魔だからこれを減らそう、必要になったらふやそう、これだけでは人にとって都合のよい社会の実現でありまして、全く人と自然が共生する社会ではないわけでございますが、この言葉に込めた思い、このようなものは、大臣、ありますでしょうか。

星野政府参考人 先生今御指摘をされました、鹿やイノシシが現在このようにふえた歴史的な背景についてでございます。

 確かに、明治時代、それまで、江戸時代までは領主ですとか将軍が狩りをしていたということがございましたけれども、明治に入って一般の方が狩猟をできるようになった。それによって、今の感覚で見れば乱獲といったような事態が発生したというのは事実でございます。

 これは鹿だけではございませんでして、鶴、それですとかトキ、羽毛が非常に貴重だというお話、または食肉利用、さらには、アホウドリにつきましては、あれは大きな鳥でして、助走に時間がかかるものですから直ちに飛び上がれない、したがって、鳥島などには数百万羽いたわけでございますけれども、そういうものを殺して、羽毛として利用したという時代が確かにございました。

 ただ、その当時から狩猟を規制するという法律がございまして、それが現在の鳥獣保護法の前身でございますけれども、数が少なくなってきているものについては狩猟を適切に管理する、そういったことを続け、さらには、狩猟できる鳥獣、できない鳥獣を明確に区分して、さらには保護区の中にはしっかりと保護する仕組みをつくる、そういう歴史的な変遷を経て現在の鳥獣保護法がございます。そういったことがございます。

 さらには、もう一点つけ加えさせていただきたいんですが、鹿につきましては、昨年、環境省として初めて個体数の推計をいたしました。これは、野生動物ですから山奥に入って大量に移動する、なかなか正確な数を把握するのは難しいんですけれども、漁業資源の世界で使っている統計学的手法を使いまして、かつ、全国の捕獲のデータ、こういったものを駆使して、コンピューターで相当な回数計算をして、およその推定をいたしました。

 これはあくまでも、誤差の範囲がございますので中央値ということでございますけれども、本州、四国、九州、二百六十一万頭鹿がいる、今後十年間、現在の捕獲を続けるとそれが五百万頭になるという推定がございました。

 鹿の場合は二〇%の増加率がございますので、いろいろな事情がございます。先生、オオカミということをおっしゃったんですが、もともと二〇%の繁殖率があるもの、それに対して、餌の環境がよくなったり冬場の雪が少なくなったこと等によりまして致死率が少なくなる、そんなことも含めまして現在の状況に至っているということでございます。

百瀬委員 この問題は、また後日やらせていただければと思っております。

 続けて、所信表明の中に、国内の希少野生動植物種の指定拡大や外来生物の防除ということがうたわれているわけでございますけれども、まず初めに、この外来生物、どのようなイメージをお持ちであるか、大臣、お伺いできますでしょうか。

星野政府参考人 環境省では、昨年改正をしていただきましたけれども、外来生物法という法律がございまして、外来の生物全てが悪いんだということではなくて、外から日本に持ち込まれた外来生物のうち、日本の生態系ですとか日本の在来の生物に対して著しい悪影響を及ぼす、侵略的な外来種ということで規制の対象にしているということでございます。

百瀬委員 そのような答弁をいただけてよかったです。私も、外来生物というのは、特定外来生物とか侵略的なという言葉がついていればなおよかったのかなと思っていますが、そのとおりということでよろしいですね。

 確認になりますけれども、外来生物全てが悪いということではなくて、日本の中にも順応している、適応している、そういう外来生物も多数いるわけでございます。

 一例として、オオフサモを食べるゾウムシというものがいます。今、オオフサモ、藻ですけれども、これは環境省によって特定外来生物にされている。また、日本生態学会によって日本の侵略的外来種ワースト百にも選定されている。このようなオオフサモでありますけれども、今、特定の二種類のゾウムシは主にこのオオフサモを食べていて、ほかの在来種からはこのゾウムシを発見することができなかった。すなわち、このゾウムシにとっては、もはや侵略種とされているオオフサモがとても大事で、かけがえのない存在になっているということを認識してございます。

 何でもかんでも外来生物を駆除すればよいというものではないかと思っております。記憶しておりますのは、十年ぐらい前ですか、和歌山県で台湾のタイワンザルというのが動物園から逃げ出しまして、これは大変なことだといって駆除をしたようでありますけれども、これが単に、交雑種だから遺伝が汚染されて、これは処分しなければいけないという発想であれば、大変危険だと思っております。今、日本では、中国からトキも持ってきて、トキも放しているわけでございますから、中国産のトキはよくて台湾産の猿はいけないという道理はないと思うんですね。

 若干脱線いたしましたけれども、環境行政におかれましては、生態系に対する寛容性、こういうものも持ってほしいと思っております。外来生物の防除、特に駆除においては特に慎重にやっていただくことをお約束いただけないでしょうか。

星野政府参考人 外来生物につきましては、現在、侵略的な外来生物のリストづくりをしてございます。

 これは、法律で規制する特定外来生物に指定しないものでも、さまざまな外来生物が入っております。外来生物全てがだめということでは、先生おっしゃるとおりでございます。富士山にはツキミソウがよく似合うと言われているオオマツヨイグサですけれども、あれも、もとをただすと日本古来のものではないということもございまして、外来の生物で入ったもの、それについて、現在の日本の生態系、日本の在来種にどのような影響を及ぼしているか、そこを科学的にしっかり見た上で、侵略的外来種のリストという作業を今してございます。それには、こういう種についてはこういう問題がある、ですから、それぞれ、これは事業者が使うような場合もございますので、配慮していただきたい、それを非常にわかりやすいものにして、ことし策定する予定でございます。

 そのように、外来生物一つ一つ、日本の生態系、在来生物に対してどういう影響を及ぼしているのか、その辺をしっかり見きわめて、法律の指定が必要なのか、さらには国民に広く呼びかけることが大事なのか。また、野外に放すという行為が非常に問題でございます。そういう意味では、外来生物を飼われている国民の皆様方に、そういった外来生物がどういう影響を及ぼすのかということをしっかりと御理解いただくことが大事だと思っております。そういう観点から侵略的外来種のリストづくりに取り組んでいるところでございます。

百瀬委員 駆除という関連で、次は、散布剤の影響について一言申し上げたいと思っております。

 先週末もそうでしたが、大変な大雪が降りまして、多大な損害をもたらしました。これに対しては、いち早い復旧を望むわけでございますけれども、それはそれとして、今回、私も大変雪深いところの出身でございまして、最近、凍結防止剤、いわゆる塩カルなんて呼ばれていますけれども、塩カルをまく量がちょっと少なくなってきたなと思って、ちょっと調べてみたんですね。そうしたら、塩カルもやはり環境に対する影響が、これは科学的にまだ証明はされていませんけれども、影響があるのではないかという指摘が何点かありました。

 今まで我々が当たり前のように使っていたものが実は環境に大きな影響を及ぼしている、このような事例は幾つかあると思っております。

 一つには、稲の害虫防除剤、これは、トンボ、アキアカネを減少させていると言われておりますし、また、ネオニコチノイド系の農薬、これはミツバチを減少させているとも言われてございます。

 もう一つ例にとらせていただきたいのが、松枯れの対策なんですけれども、これは、マツノマダラカミキリ、これを一斉に駆除しなければ松枯れが進んでしまうということで、もう十年ぐらい前でしょうか、大変問題になりまして、農林水産省に十年分の予算がついたということで、一斉に駆除が始まったわけであります。ところが、ある識者が、山梨県で空中散布するということになったので、行って調べてみた。農薬が散布された直後に死んだ虫を何千匹と集めて確かめたところ、マツノマダラカミキリはたったの数匹しかいなかったというわけでございます。松を守るという名目で行われたこの散布でございますけれども、実際は生態系の破壊につながってしまった、このような事例ではないかなと思っております。

 こういう話をすると、じゃ、稲がとれなくてもいいのか、じゃ、松はすぐ枯れてもいいのか、そういう話になりがちでございますけれども、私は当然そうは思っていません。稲もたくさんとれた方がいいですし、松もあった方がいいと思いますけれども、しかし、少なくとも、そういう農薬を散布することによって自然にどのような影響が出るのか、ここは人間がしっかりと把握しなければ、生態系に対して責任をとるということにつながっていかない、このように思っております。

 今、環境の影響について研究を進めておられると思いますけれども、その進みぐあい、あるいは国民に対する周知徹底を進めていただけるか、この辺について一言お願いします。

星野政府参考人 先生、幾つか事例を出していただきましたけれども、松くい虫の関係でございます。

 これは、先生も御指摘されたように、平成九年になります。平成九年の時点で、松くい虫の防除の特別措置法の期限切れが参りました。その際に、森林病害虫等防除法を改正して、松くい虫もその仕組みの中で対応するということがございました。

 その際、私ども、林野庁とも十分協議をいたしまして、自然環境保全または生活環境、住民の生活、そういった観点から、重要なところは空中散布。特に、空中散布は大量に広がるものですから、空中散布ができるところを限定する。さらに、空中散布が可能なところであっても、自然環境への影響、住民の生活等も含めて、そういうことについてしっかりと把握をして、影響がないかを見きわめる。都道府県の中でも、農水部局が独自にやるということではなくて、自然環境部局と十分調整をしてやる。もし何か悪影響がわかった場合には、しっかりと対応をする。

 そういうことも含めてこの平成九年の法改正がなされて、今私が申し上げたようなことで都道府県に対して通知も出されておりますし、環境省が管理している国立公園の特別保護地区等でもしある場合には、環境省の出先の地方環境事務所にも事前に相談がある、その結果、しっかりと調整をしていくということをやっているというのが一つございます。

 また、調査研究についても、環境省みずから、さらには関係した機関でそれぞれ進められているということでございます。

百瀬委員 私の地元は若干高地にあるので、松枯れというのは今やってくるんですね。なので、今ある問題としてしっかりやっていただければと思っております。

 国内の希少野生動植物種の保護に関して続けたいと思っております。

 今、外来生物だとか駆除の話とかをしましたけれども、ちょっと古いんですが、こういうデータがあります。国際自然保護連合が二〇〇〇年に発表した調査結果によりますと、種の絶滅原因の第一位は、人間活動による生息地の破壊、悪化。これが哺乳類では八三%を占めて、二位の乱獲、もしくは第三位の外来種、こういったものを大きく上回っているということでございます。

 今、乱獲とか外来種について見てきたわけでありますけれども、希少野生動植物の生息地、生育地、こういったものを守るためには、河川のコンクリートを三面張りにするとか海岸を埋め立てるとか、むやみやたらな開発は行わない、こういったことが大事になってくるわけであります。

 日本の海岸線を見ると、テトラポッドで護岸したり、また高い堤防をつくったりして、人工的に改変されたところが極めて多いわけでございます。手元のデータによりますと、日本本土の海岸線の四一%は人工海岸、島嶼部のそれは二一%が人工海岸であるということでございます。

 人工ビーチは、見てくれはいいんですけれども、生物多様性という観点からすると、これは大変なダメージであります。私も、昔から海が好きでよく行っていたものでありますけれども、まさかこれが人工海岸だったのかというところがあるかと思うとちょっと胸が痛くなりますし、また、生物多様性を壊していたのかと思えば二重のショックであります。

 そしてもう一つ、林道についてお願いしたいことがございます。

 林道も、最近は歩道をアスファルトにかえてしまうことが多いんですけれども、これは昆虫類にとっては大変な影響でございます。アスファルトの辺は温度が高いので、それによって道の両脇も大変乾燥化しますし、我々体の大きい人間と体の小さい昆虫が受けるダメージの程度というものは相当程度違ってまいります。

 こういった海岸また林道の舗装、こういったことについて、少なくとも林道の舗装を極力少なくするという取り組みはやっていただきたいわけですが、どのようにお考えでしょうか。

星野政府参考人 林道につきましては、林野庁が直接整備されたり、また都道府県に対して助成をしているというふうに承知しております。

 林道の工事について、例えば環境省が管理しております国立公園の特別地域等で行われる場合には、事前に協議をして、自然環境の保全上も影響がないような、そういった工事をしていただくことにしておりますので、そういった中で十分配慮させていただきたいと思っております。

百瀬委員 ぜひ林野庁と連携をとってやっていただきたいと思っております。

 今、海と林について見てまいりましたので、次は川に行きたいと思っております。

 ところで、私の地元での話で恐縮でございますけれども、北アルプスの麓、石原大臣、来られたことはありますか。ありがとうございます。どのような印象をお持ちだったでしょうか、一言お願いできますか。

石原国務大臣 他党ではございますが、大変親しい議員の方がいらっしゃいまして、百瀬委員のお地元の安曇野でございますか、何度も訪ねさせていただきましたし、信州そばでございますが、これをごちそうになりましたり、また、自然、特に森のすばらしいところである。そしてまた、印象に残ったのは、県境を越えて岐阜に入りますと急に道路が太くなって、長野の方が素朴でいいな、そんな印象を持たせていただきました。

百瀬委員 ありがとうございます。

 おっしゃるとおり、この北アルプスの風景というものを大変売りにしている地域でもございまして、白と緑の映える山、また、水田に水が張れば山の風景を映し出して、そして清流が流れている。こういった地域でございますけれども、そこに住んでいる者として大変残念に感じることがありまして、それが、河川の護岸工事が進み過ぎているということでございます。

 もちろん、治水対策の面からそういったものがある程度必要になるということは十分承知しておりますけれども、河川の護岸工事をすると大変な影響が生態系に及ぼされる。河川改修などによって本来の河原が失われれば、ゴミムシ類のような小さい生き物の生態系が失われていく。こういった細かい生態系の異質性が損なわれないように気を配ることは、マクロ的に見れば大変効果が大きいことであります。

 特に、河原というものは、陸にすむ動植物と、そして水にすむ動植物が入りまじる、種多様性が大変高いところでございますから、ぜひ、こういったことは、国交省との連携は必要ではあると思いますけれども、もう一度、再自然化、これを取り入れていただくことをお願いしたいと思っております。

 実際に、デンマークでは、二〇〇〇年前後に河川の大規模な流域自然化事業を実施したということであります。一九六〇年に四千ヘクタールもの湿地を干拓して耕作地にしたが、そのうち二千二百ヘクタールを復元した。そして、この事業に国が力を入れて、土地を買い取って、また観光客も呼び込もうということで、水辺の環境にある古い教会、また水車などを保存して、今、バードウオッチングタワーというものもつくっているということであります。また、オランダでも、一九八〇年代中ごろから河川流域を再自然化して、一時絶滅した野生のコウノトリの復活に成功しているということでございます。

 日本でも、これから外国の観光客の方にはたくさん来ていただきたいという方針を打ち出しておりますし、また、二〇二〇年には東京のオリンピックもあるわけでございます。都市部だけではなくて、地方にまで足を運んでいただいて、そして地方にぜひお金も落としていただきたいと思うわけであります。やはり、外国から来た方々が日本のどういう田舎の風景を見たいかといえば、当然、コンクリート打ちっ放しの川ではなくて、日本の原風景というものを見たいのではないかなと思っております。

 この再自然化について、導入いただけないか、一言お願いできますか。

星野政府参考人 政府では、生物多様性国家戦略というものを閣議決定してございます。その国家戦略の中で、先生御指摘されたように、開発行為が生物多様性に対する危機の一つだということが位置づけられております。

 一方、生物多様性を保全して、それをいかに持続可能な形で利用していくか、これについて、総論部分以外に、関係各省がそれぞれの行政をどのように推進していくかということも書かれてございます。

 そういった中で、国土交通省が、河川についても、十分自然環境について配慮したいろいろな取り組みを進めていくという内容が、二百ページ近い閣議決定した文書でございますけれども、そういった中にございます。

 一つだけ例を申し上げますと、釧路湿原、これは国立公園にもなっているところでございますけれども、これは周辺の牧草地を造成するために河川を直線化したことがございます。それによって一部の地域の牧草地はでき上がったんですが、なかなか良質な牧草が育たない、そういうこともございまして、さらに、直線化したことによって流速が速くなって、土砂の供給量が著しくふえて、下流部で非常に問題が起こった、生物多様性の観点からも問題になったということがございまして、環境省も一緒に協力をして、河川を昔の河道に戻す蛇行化の工事をしたところでございます。もう既にその工事が完了してございまして、昔の河川に戻って、その部分の生態系が非常によく回復したということでございます。

 これは自然再生推進法に基づく事業という位置づけで、地域の方々、NGOの方も含めて、農業者、もちろん環境省も入ってございます、さまざまな方々が一緒になって、知恵を絞ってでき上がった事業でございます。

 それが端的な例でございますけれども、そういった形で、私どもも一緒になって、日本のすばらしい自然環境が再生されるように、さらに、国立公園は国民の宝でございますので、外国の観光客の方にもその魅力を知っていただける、そういった取り組みを進めていきたいと思っております。

百瀬委員 最後に、山についてもう一つ申し上げたいと思っております。

 御存じだと思いますけれども、本通常国会において、山の日に関する法案が通過する予定でございます。山の日を制定して、八月十一日になる予定でございますけれども、この日を祝日化して、みんなで山のありがたみも考えていこうという取り組みであります。こういった取り組みを通じて、これからますます山に登る人も多くなっていくのではないかと思います。

 一方で、県内の山小屋のトイレ、これはまだ二五%は地下浸透なんですね。ちょっと言い方が悪いかもわかりませんけれども、垂れ流しという状態もあるわけでして、観光客がふえるに従ってそういった対策も進めていかなければならないのではないかなと思いますけれども、どうお考えですか。

星野政府参考人 環境省では、国立公園等重要な地域、山岳地域のトイレについて、民間が設置したトイレについても助成する仕組みを持ってございます。これは、山岳地、非常に厳しいところで、民間の山小屋といえども、そこのトイレというのは公益的な役割を果たしていただいているということもございまして、補助する仕組みがございます。それによって、かなりの山岳地域のトイレ、改善が図られたところでございます。

 長野県内におきましても、まだまだ足りないところがございますので、今後とも、そういった仕組みを活用しながら、トイレの環境改善、それがひいては山岳地域の環境改善、国立公園の魅力向上につながるように努力してまいりたいと思っております。

百瀬委員 ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内康一です。

 きょうは最初に、環境政策の費用対効果、あるいは、政策が及ぼした環境面のインパクトをどうやって測定するか、比較するか、そういった観点から質問をしたいと思います。

 私は、民主党政権時代の二〇一二年に、税と社会保障の一体改革委員会という消費税の増税を決めた委員会で、エコカー減税とエコカー補助金について質問をしたことがあります。そのときに、エコカー補助金、エコカー減税、合わせると大体一兆円ぐらい、規模の大きな事業だったんですけれども、そのエコカー補助金、エコカー減税の環境面のインパクトについて質問したら、誰も答えられないという非常に驚いた経験があります。

 経産省には自動車課という部署があります。環境省にも実は自動車環境対策課という専門の部署があります。そういう専門の部署があるにもかかわらず、一兆円近く税金を投入したエコカー補助金、エコカー減税事業のエコ面のインパクト評価は全くやっていなかった、これは非常に大きな問題だと思っております。

 それから時間がたちましたので、その後改善が見られるかもしれませんが、そういった問題意識できょうも質問をさせていただきます。

 会計検査院も私と同じような問題意識を持って、環境省に対してかつて提案をしています。平成二十二年、大分前の提案なんですけれども、環境省のそれぞれの補助事業がCO2を一トン削減するのにどれぐらいお金がかかったか、そういう評価を会計検査院がやっています。

 非常におもしろかったのは、一番効率的な事業は、ちょっと地味なんですが、超低硫黄軽油導入普及に係る設備省エネ事業、これはCO2を一トン削減するのに八千円しかかからない。非常にいい案件だと思います。

 他方、これはどうかなと思うのは、同じく環境省で、クールシティ中枢街区パイロット事業、これは町づくり事業みたいなんですけれども、CO2を一トン削減するのに二千二百万円かかっている。これはいかがなものかなと思って聞いてみたら、もうやめているそうですから、やめている事業についてこれ以上突っ込みませんが。

 そういった意味では、CO2を一トン削減するのに八千円かかる事業もあれば、二千二百万かかる事業もある。そうしたら、普通に納税者の感覚からいうと、八千円の事業をもっとたくさんやった方がいいんじゃないかな、そういうふうに思います。

 これも、同じCO2を一トン削減するのに幾らかかるか、一つ、同じ物差しではかったから比較できるわけなんですけれども、こういった、今後補助金を出すにしても、あるいは特定の減税措置をやるにしても、環境面のインパクトをわかりやすく納税者、国民に示すような仕組みというのが必要だと思います。

 二〇一二年に質問して以降、その後、国会で質問していませんが、この数年の間に、何らかの改善、あるいは現状がどうなっているか、教えていただければと思います。

関政府参考人 環境省におきましては、現在、温暖化対策の事業をさまざま推進させていただいておりますけれども、エネルギー起源のCO2の排出抑制対策に関します主な事業につきまして、その効果を把握するために、補助を受けます事業者に対してCO2の削減効果の提出を求めてきているところでございます。

 具体的には、平成二十四年の七月に、事業のCO2削減効果を定量的に明らかにします統一的な算定方法を示しました、地球温暖化対策事業効果算定ガイドブックというものを作成いたしまして、事業者に対しまして効果算定を求めるとともに、環境省による検証が可能となるようにしたところでございます。

 先ほどのは初版でございまして、現在、算定方法の客観性や正確性をより向上させるために、ガイドブックの改訂に向けた検討も行っているところでございます。

 このような取り組みを通じまして、的確かつ検証可能な事業効果の把握に努めるとともに、今後、より一層適切な事業実施につなげてまいりたい、このように考えてございます。

山内委員 この平成二十四年七月の地球温暖化対策事業効果算定ガイドブック、これは、私も見ましたけれども、非常にいい内容だと思います。

 逆に、せっかくいい内容のガイドブックを持っているんですから、環境省の補助事業だけではなくて、むしろ、エコと名のつく事業は経産省とかがかなり予算額をたくさん持っていますし、あるいは、環境配慮ということでは国交省なんかもいろいろな事業をやっていると思います。少なくとも、環境を表看板にしたプロジェクトでありながら、そういう環境面の成果を全く測定していなかったというのは、これまでのおかしなところだと思います。

 一兆円近く使ったエコカー補助金・減税で何もやっていなかった。この現状は多少は今後変わっていくといいなと思っていますけれども、そういった意味では、他省庁にどういうふうにこのガイドブックをちゃんと使ってもらうか。環境省のみならず全省庁統一的にこういうガイドブックをつくって、環境の効果、インパクトを測定すべきだと思います。

 それについてどうやって他省庁に導入をしてもらうか、あるいは、場合によっては民間でも使ってもらったらいいと思うんですけれども、そういう今後の普及についてお尋ねします。

北川副大臣 先ほど、山内委員からは費用対効果という観点からの質問があったわけでありますが、以前、我が党の無駄撲滅プロジェクトチームで御一緒させていただきました。そのときから、行政の無駄をなくすという観点からお仕事をされておられまして、改めて敬意を表しながらお答えをさせていただきたいと思います。

 今御指摘のありましたこのガイドブックは、平成二十四年七月に、予算計上事業のCO2削減効果の算定に活用することを目的として環境省が策定したものであります。

 策定後、関係各省にもお示しをし、さまざまな場合で有効に活用することをお願いしてきたところであり、ガイドブックが有効に活用されることで、これまで必ずしも客観性や透明性が十分とは言えなかった事業の効果について算定が容易になりました。

 より有効な事業が実施されるようになることが期待をされているところでもあり、現在、エネルギー特別会計における事業では、環境省がみずから行う補助事業のほか、環境省と他省が連携して行う補助事業、例えば、国交省などと鉄道や港湾、物流の、駅舎などに太陽光やLEDを導入するとか、こういう補助事業でありますが、ガイドブックを活用してCO2削減効果を定量的に明らかにすることとしているところであり、今後とも、エネルギー特会の予算内容の調整を行う関係省庁間の会議などを通じて、環境省がイニシアチブをとって、事業の費用対効果の算定のための活用について協力を求めていきたいと考えております。

山内委員 ぜひ、環境省のみならず他省庁でもやっていただきたいと思いますし、首相官邸に地球温暖化対策推進本部というところがあって、石原大臣も副本部長でいらっしゃると思います。ぜひ、全省庁的な取り組みにしていただきたいと思っています。

 私も、この効果算定ガイドブックは非常にわかりやすくていいものだと思いますので、こういったものをよりブラッシュアップして、日本のみならず、場合によっては世界に国際協力で広げていただくぐらいの、そういうつもりで頑張っていただきたいと思います。

 それでは、次の質問に移りたいと思います。

 環境省の国際協力についてお尋ねをしたいと思います。

 先ほど、民主党の吉田委員がPM二・五の質問をされていました。中国の起源のPM二・五、この問題に六億円というのは余りにも少ないというのは、私も同感です。

 同時に、このPM二・五対策というのは、日本国内の対策も大事ですが、それ以上に発生源の中国で何とかしてもらわないと、もうどうしようもないというところがあると思います。どれだけモニタリングして被害がひどいことがわかっても、発生源が日本国内にない以上は、これは日本の直接的な、日本国民の健康を守るためにも、国際的な協力というのが必要ではないかと思います。

 そういった意味では、環境省は、日本、中国、韓国の三カ国で環境大臣会合をずっとやられてきております。昨年の五月にも北九州市で開かれたと聞いています。

 日中、最近いろいろな問題があって、交流が途切れがちですし、衆議院と中国の全人代の交流プログラムもこの三年ぐらいとまったままです。

 そういった意味では、環境省が、日中韓という三カ国の枠組みとはいえ、中国と政策対話を続けているというのは非常にいいことだと思います。こういう時期だからこそ、そういう実務的な関係を強化していて、政治的には、いろいろ両国の間の国内向けの配慮もあって、なかなか関係改善が難しいということはあるかもしれませんが、ただ、実務的な関係を強化するというのは、むしろ緊張を緩和したり、あるいは相互の理解を促進する上で非常に重要だと思っております。

 特に、一緒に同じ問題を解決していくということから、日中の相互理解につながるということもあると思いますので、そういう日中韓の三カ国の大臣会合、ぜひこれからもっと大々的にやっていただきたいと思っておりますし、日中あるいは日韓の協力はこれからも必要だと思います。

 他方、韓国は随分前にODAの対象国から卒業して、今や韓国は援助する側の主要国としてだんだん台頭しつつあります。中国も日本にとってはODAのほぼ実質的には卒業国になっていますので、徐々に日中、日韓の協力が、必要性はあるけれども、道具としてODAをなかなか使えなくなってきているということがあります。

 ですから、ODA以外の手段も考えて、ODA以外というと、例えば研究協力だったり、あるいは自治体間の連携、いろいろあると思いますが、そういった、むしろODAが使えなくなって、手段の面では難しくなっているけれども、協力の必要性自体はむしろ拡大していると私は思いますので、そういった今後の中国あるいは韓国との環境分野の国際協力をどのように進めるおつもりなのか、環境省のお考えを伺いたいと思います。

石原国務大臣 ただいま山内委員から、昨年の日中韓環境大臣会合、北九州でのお話をいただきました。この場所で、残念ながら中国は副大臣の方でございましたけれども、大気汚染に関しまして、三カ国で政策対話をやっていこう、一国にとどまらず考えていこうということで、合意をさせていただきました。

 実は、昨日、キャロライン・ケネディ・アメリカ大使ともお話をしたとき、この話題になりまして、在北京のアメリカ大使館の上にPM二・五の測定器の機械があるのでございますけれども、そのデータを実は環境省の方にいただくことにいたしまして、日本語で、特に北京に駐在されている駐在の家族の方々、館員の方々が大変この問題を深刻に捉えていらっしゃいますので、日本人向けに提供をしていこうということで話がついているようでございます。

 このように、中韓との協力のみならず、越境汚染の問題というのは、先般、COP19でワルシャワを訪ねたときにも、イランの副大統領の方も、中東地域で同じような問題が起こっているというようなお話をいただいたところでございます。

 こういう問題については、一カ国ではなく、特に日中韓の関係というものはしっかりとしていかなければなりませんし、中国との協力についてでございますけれども、我が国の、例えば北九州市、川崎市とか、環境汚染の経験を持っている自治体の方々を中心に、都市間連携による支援事業というものを来年度から実施していく予定にもなっております。これによりまして、中国の主要都市のこの問題に関する人材教育等々にしっかりと貢献をしていければと考えております。

 また、四月にも十六回目の日中韓の大臣会合が韓国の大邱で開催されますので、その際にも、我が国の公害を克服した経験とすぐれた環境技術を生かしつつ、日中韓三カ国で環境分野の協力というものを積極的に進めてまいりたい、こんなふうに考えているところでございます。

山内委員 ありがとうございました。

 今、自治体間の連携という話がありましたが、川崎のように大気汚染に昔苦しんでいた都市だからこそ持っている技術もありますし、実は、日本の環境とか公害対策というと、多分、民間企業というよりは、むしろ行政の中にノウハウがある分野だと思いますので、これはやはり公的な技術協力というのが非常に重要だと思います。

 それに当たって、都市間連携、たしか一億三千万ぐらいの予算だと聞いていますが、やはりそれだけではちょっと余りにも額が少ないと思いますし、それから、対中国で無償の援助をやる、あるいは贈与ベースの援助をやるというのは、なかなか日本の納税者の理解を得にくい時代でもありますので、それは別のやり方を考えていくことが必要ではないかと思います。

 実は私、ずっと外務委員会などでこの六年ぐらい、ODA、もっと有償技術協力というのをやるべきだということを、毎年毎年同じような質問をしてきました。

 有償技術協力というのは、サウジとかマレーシアとかあるいは中国のように、ある程度経済発展が進んで、もうお金のある国、お金はあるけれども技術がないから日本の技術を欲しいと言っている国、そういう国に対して、利益は上げなくていいんですけれども、少なくとも最低限かかったコストはカバーしてもらって、技術協力をやるというスキームです。これは別に日本だけではなくて、ドイツの技術協力公社なども昔からやっています。

 日本ももっとそういう有償の技術協力をやるべきだとずっと六年ぐらい前から言ってきて、去年ぐらいからやっと外務省の政策パッケージにそれが入るようになりました。

 同じことがぜひ環境省の技術協力、国際協力の中でもやれないかなと思います。特に、中国の自治体なんというのは、結構お金があるところもあります。それに対して、日本の四日市とか北九州とかそういう地方自治体の外郭団体みたいな環境関係の財団とかがたくさんあります、こういうところにあるノウハウを、別に日本の税金でやってあげなくても、中国はある程度お金がありますから、お金は向こうに出してもらう、技術はこちらから出す。そういう形の有償の技術協力というのは、今後有望な分野ではないかと思うんですけれども、そういったスキームをぜひ環境省でも検討していただきたいと思っております。それについて環境省のお考えを聞きたいと思います。

牧原大臣政務官 山内議員は、JICAにも御勤務があって、専門分野でございまして、大変貴重なアドバイスをいただきまして、ありがとうございます。

 環境分野の協力につきましては、そうした費用負担を含め、その都度、相手国の協力に対するニーズや我が国の支援体制等に照らし、さまざまな選択肢から最も効果的な協力方法を柔軟に選択することが重要であるということが基本認識としてございます。

 このため、個別の協力事案においては、協力の円滑かつ効果的な実施に資すると考えられる場合には、御指摘のような、一部の費用を相手国が負担するということを検討することも考えられると思っております。

 実際、ODAの卒業国でございますシンガポールとの環境協力においては、相手国費用負担により、廃棄物、環境教育、大気汚染に関する訪日研修等を実施することとしておりまして、そうした手段も十分考えられると考えております。

 いずれにいたしましても、環境協力の実施においては、さまざまな要素について多面的な検討を行うことにより、効果的な環境協力の実施に努めてまいりたいと考えております。

山内委員 実際、現場で実務をやっている担当者からすると、大体事業費が幾らだとこれだけ仕事したという気分になれるので、有償技術協力だと事業費はゼロになってしまうから、そうすると、余り評価されないかもしれません。

 しかしながら、手間はかかるけれども、日本の納税者の負担は要らなくて、それでいて相手国にもちゃんと感謝され、しかも、PM二・五のような場合は、日本に来るそういう大気汚染物質を除去できるわけで、一石三鳥ぐらいになるわけですから、そういう、手間はかかるけれどもお金のかからない事業にもっと力を入れていく、これこそ財政の制約が厳しい時代の国際協力ではないかと思います。

 そういった意味では、シンガポールの例は非常に勇気づけられる例だと思いますので、ぜひ、そういうのは担当者はやりたがらないと思うんですけれども、政治家の皆さんがしっかりお尻をたたいて、有償技術協力、こういうスキームで、日本の納税者の負担をかけずに問題が解決していく。しかも、中国側からも十分感謝されるに値する協力ができると思います。そういった工夫をお願いしたいと思います。

 そろそろ時間が来ると思いますので、最後は、半分、質問というよりは要望ということでお願いしたいと思います。

 環境分野の国際協力、もちろん外務省、JICAもやっています。あるいは経産省なんかもやっています。あるいはほかのいろいろな省庁、国交省なんかもインフラ分野のCO2削減とか、そういう国際協力のスキームを持っています。

 いろいろな省庁が中国に対して環境分野の協力をしていると思いますが、やはり、司令塔がないと、援助のダブりとか、あるいは同じことをほかの省庁とばらばらでやっている、そういうことがないようにコーディネーションが必要だと思います。

 そのときに、大臣レベルで環境問題を議論しているというのは恐らく環境省だけですから、ぜひ、日中の環境協力、それの司令塔になっていただくのは石原大臣というのがふさわしいと思っておりますので、そういう国際協力、オール・ジャパンで中国に対して国際協力できる、そういう枠組みをつくるときに、もちろん外務省も国交省も、いろいろな省庁の中で、環境省、環境大臣として大きな役割を果たせると思います。

 質疑時間が終了しましたという札が来ましたが、それについて、もし一言いただけるのであれば、大臣からお願いします。

石原国務大臣 大変重要な御指摘だと思います。環境分野はともにウイン・ウインの関係になれる分野でございますので、委員の御指摘も踏まえて対処させていただきたいと考えております。

山内委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、林宙紀君。

林(宙)委員 結いの党の林宙紀です。

 先週の予算委員会で、実は、先に石原環境大臣そして井上環境副大臣にはこちらから所管の問題について質問をさせていただきました。改めてありがとうございました。

 きょうは、そのときに、先週、質問の内容とさせていただきました、宮城県を初めとして各地で今問題になっております福島第一原発の放射性物質に由来する指定廃棄物並びに一般廃棄物といったところに関しまして、引き続き質問をさせていただきたいと思っております。

 なお、通告した内容、質問の順番、少し入れかわって質問させていただく形になるかと思いますが、御了承をお願いいたします。

 まず、井上副大臣にお伺いしますが、先週の予算委員会におきまして、私の地元が宮城県なものですから、特に宮城県のことについてお伺いをしました。指定廃棄物の最終処分場について、今、宮城県内では、詳細調査の候補地ということで三つ、栗原市、加美町そして大和町ということで、先月、一月二十日、二十一日にお伝えをいただいたという状況です。

 その後は、大変、その三市町とも受け入れがたいというようなことを表明しており、つい先日ではありますけれども、特に大和町の方では、隣の大衡村といったところでも、それは受け入れることはできないというような意思表明があったというふうに報道もされています。

 先週の予算委員会の際には、井上副大臣、一体いつまでに、まずこの詳細調査に入ろうというつもりで今やっておられるのかという質問をさせていただいたところ、四月には詳細調査に入りたいという御答弁がございました。各種報道でも、この四月というところを一つかなり大きく取り上げて報道されていたなというふうに思いますが、今の現況から考えるとかなり急ピッチで、もうきょうは二月の二十一日ですので、実質あと一カ月ほどしか交渉の期間はないと思うんですね。

 実際にどのように今進めていこうとお考えなのかというのを、まず初めにお伺いしたいと思います。

井上副大臣 先般の予算委員会での質疑でありますけれども、若干誤解されているおそれもあるものですから、改めて御説明をしたいと思っております。

 私どもは詳細調査の受け入れということをお願いする立場であるものですから、そういう意味では、私どもの方からいつまでにと言う立場ではないとは思っております。ただ、他方で、仮置きの状況なども、宮城県内はそれぞれ逼迫をしておりますから、なるべく早く、ぜひ詳細調査を受け入れていただきたいと。

 そして、四月と言ったのは、現地が雪が深い地域もあるものですから、これは早くとも四月ぐらいにならないとそもそも物理的に難しいという意味で申し上げたところであります。

 いずれにしても、これは何といっても地元の理解が必要ですから、きちんと話し合いながら、なるべく早くの調査受け入れをお願いしていきたいと思っています。

林(宙)委員 私も、そのあたりの趣旨は理解はしているつもりなんですが、そういった決意もある程度含まれてのお話だったのかなという印象もあったものですから、改めてお伺いをした次第です。

 今のは指定廃棄物の処理のお話ですが、対しまして、八千ベクレル以下の、特に汚染牧草等の一般廃棄物、こちらの方も大変重要な問題です。指定廃棄物の方は、そういった最終処分場という、最終的な処分の仕方のゴールというか、一つの目標がありますので、もちろんそれも大変なものではあるんですが、一般廃棄物の場合、御答弁でもいただいたように、これは、通常の廃棄物処理、例えば焼却施設で燃やすことができる、科学的にはそのようにされているというものであるがゆえに、特別な処理を必要としないというような印象が地元で持たれ、だからこそ、そういったものをそんな通常の施設で処理して大丈夫なのかというところから、いろいろな疑念が生じているというのは、これはもう御理解いただいているところだと思います。

 岩手県では非常に速いスピードで処理がされているという御答弁もありましたし、実際にそのとおりなんですが、一方で、その他の県においてはなかなか進まない。宮城県ですらなかなか進んでいない。

 副大臣は、市町村とそれぞれ相談をして、こういった対策を施していきたいと。こういった対策というのは、恐らく補助事業とかこういったことを活用してということになると思うんですが、これについては、今後どのように進めていくのか。場合によっては、指定廃棄物の方の最終処分場ができても、なおこの八千ベクレル以下の一般廃棄物の方が残ってしまうという事態も十分に考えられるわけで、こちらについてはどのように進めていかれるイメージをお持ちなのかというのをお伺いしたいと思います。

井上副大臣 八千ベクレル以下につきましても、やはり地元自治体、また住民の方々のその安全性などに対する御理解が進まない、御理解がいただけないと進めることができない、そういう状況に陥っているんだというふうに思っております。

 ですから、そこが一番大切なので、そういったさまざまな予算を確保した事業もありますから、そういう中で、地元からの御相談をいただければ、我々、そこを丁寧に対応していくということになります。

 具体的な対策ということでありますと、例えば、パンフレットやホームページなどによる処理事例の紹介、また焼却処理の安全性のPR、そして、職員が市町村を訪問して、焼却処理を実施するための技術的な説明を行う、こういった対策で取り組んでいきたいというふうに考えています。

林(宙)委員 井上副大臣には本当にいろいろと奔走していただいている。この問題の処理のために、解決のために動いていただいているというところで、そこの感謝の気持ちというのは非常にあるという前提でお話をしますが、先日の予算委員会での石原大臣の御答弁でもありました、非常に重要な問題だと捉えていると。その割には、今おっしゃったホームページでの情報提供とか、もうこういったことだけで済む話ではなくなってきているんじゃないか。

 三年です、もうすぐ震災から三年。この三年というのは一つの区切りとして、宮城県知事の村井知事なんかは、復旧期は三年で、ここで終わって、その次のステージに入るんだということをずっと言っていますから、この三年でどこまで進むんだということを非常に地元は考えているわけです。これはもう委員長もよく御存じのことだと思いますけれども。そのときに、やはり地元として、被災地として考えると、もうすぐ三年だ、しかし、この問題は一向に進まない、どうなっているんだという話になってくるわけです。

 であるがゆえに、先週の予算委員会では、私は大臣に、この状況を打開するために、責任者である大臣として、みずからしっかりと説明に行く、お願いをしに行くといったことをするおつもりはありませんかということをお伺いしたわけです。その際の御答弁が、出てこいというお話ですので検討をしていきたいといった趣旨の御答弁だったと私は記憶しています。

 大変こういった申し上げ方は失礼かもしれませんが、非常に受け身なんじゃないかというふうに私は受け取りました。恐らく、あれを実際に聞いていた方々ほとんどがそのように受け取ったんじゃないのかなと想像します。

 実は、先日の環境委員会での大臣所信の中でも、このあたりはどのくらい触れていただけるのかな、その中で、ある程度強い意思を示していただけるのかなというふうに思いましたが、恐らく、私が見る限り、大臣所信の中でこの問題について触れておられたのは、「指定廃棄物の保管が逼迫している県においては、最終処分場の確保に向けて地元との調整を進めるとともに、」というこの部分なんだと思うんです。

 それで、あえてもう一度お伺いしたいと思うんですが、まさに、もうにっちもさっちもいかない、八方塞がりだ、こういう問題に対して解決法を提示していく、これが政治のリーダーシップなんじゃないかなと思っていますが、石原大臣にお伺いいたします。

 この、出てこいというお話ですので検討したいということではなくて、もう、出てこいと言われる前に、大臣自身がみずから、私が行って何とかなるものだったら、では行きましょうといった、そういう強い意思をお示しいただくことはできないものでしょうか。大臣、お願いします。

石原国務大臣 この問題は予算委員会でもお答えさせていただきましたが、重要な課題だからこそ政治レベルで、民主党政権時代も、私どもの政権になっても取り組ませていただいております。

 井上副大臣は認証官なんですよ、認証官。天皇陛下のもとで認証された、大使と大臣と全く同じ、井上副大臣が誠心誠意やっている。それをしっかりサポートさせていただいておりますし、必要とあらばお邪魔をすると何度もお話をさせていただいているとおりでございます。

林(宙)委員 私も井上副大臣の御尽力には本当に感謝をしています。しかしながら、それをもってしても事態が進まないというこの状況においては、私は、リーダーである石原大臣が打開策を見出すのが政治なんじゃないのかなと。

 政治レベルで対応してこられた、もちろんそのとおりです。しかしながら、ここまでの対応ではなかなか進んでいないものがある。ならば、トップが動く。こういうことをやっていただく、そういうリーダーシップの発揮の仕方もあるんじゃないかと私は思うんですが、大臣、済みません、この内容は通告をしていない内容ですけれども、そのあたりについてどのようにお考えでしょうか。お答えください。

石原国務大臣 これは伊藤委員長の地元でもあり、伊藤委員長ともお話をさせていただいておりますし、必要があれば私はどこにでも参りますし、今、井上副大臣がお願いをして、ともかく調査もさせていただかなければ、私が行ったって先には進まない話でございます。ですから、地元の皆様方の理解を得るべく全力で努力をしているということでございます。

林(宙)委員 調査の段階では大臣がお越しいただくという段階ではないというような感覚で今受け取ってしまったんですけれども、調査の段階だからとか、どういうレベルだからとか、そういうことではなくて、ここは一気呵成に進めなければいけない。ここがまさに一つの壁なんだというところでは、それがどの段階でも、大臣にリーダーシップをとっていただくというのは、私は間違ってはいないことだと思います。

 なぜこういったことを私も二回にわたってお話しさせていただいているかというと、そもそも地元には、大臣にぜひ直接お話を伺いたいという希望があるわけですよ。

 井上副大臣に行っていただいたのは一月の二十日と二十一日、その一週間前に、宮城県庁で宮城県の村井知事が記者会見をされています。その際に、記者の方から、前回の会議、昨年十一月の会議ということですが、その際に、次の会議にはぜひ石原環境大臣に出席していただきたいという要望が非常に多くあった、それを踏まえて村井知事はどう思いますかという質問だったわけです。

 これについて村井知事は、もちろん宮城県にとっては非常に重要な問題で、大臣が来られて、大臣から具体的なお話を聞きたいという思いは、この会議のみならず、常にどのような会議でもそういう気持ちは持っていますという趣旨のお答えをされています。

 そして、それに加えまして、大臣が去年、国際会議、これは第一回アジア国立公園会議ですが、仙台で開催されたときに、その国際会議にもお越しになりました。その際に、直接、村井知事の口からもそういったお願いをさせていただいたということで、気持ちは大臣にはもう既に伝わっているんだと思います、来ていただけるものならばぜひ来ていただきたい、こういったことを会見でお話しになっているわけですよ。

 村井知事のお気持ちを考えると、そろそろ大臣にお越しいただかないと、地元は打開できないんじゃないか、そんなような気持ちもあってこういう御発言になったんじゃないかと思います。

 そして、先ほど井上副大臣もおっしゃっていたとおり、国はお願いする立場だと。ある種それは真実だと思うんです。

 しかしながら、同じ会見の中で村井知事は、国の考えをしっかりと聞いた上で、県がこうする、だから国が従えというようなスタンスではなくて、まず国がこうするんだ、だから県がそれをサポートするという形にしたい、だからこそ、今この大変な状況においては石原大臣にぜひお越しをいただきたいという気持ちを持っていると。村井知事も非常に謙虚な方ですから、そのあたりは余り強硬にはおっしゃいませんけれども、やはりそういうお気持ちは強いんだろう。

 村井さんだけではありません。恐らく、地元の、この市町村長会議に御出席になられた首長の皆さんは同じような気持ちをお持ちだったんじゃないのかなと思うんです。

 今、大臣の御答弁の中でも非常に前向きな御発言だと私も思います。だけれども、やはり、必要とあらばということではなくて、大臣が、どこかのタイミングでこの状況を打開するために必ず足を運びますといったところまで御表明をいただかないと。それで全てが解決するかどうか、私もわかりません。十分条件じゃないと思います。しかしながら、必要条件ではあるんじゃないでしょうか。だからこそ、大臣の強い意思表示をしていただきたいというのが私のお願いなんです。

 時間も迫ってきましたので、大臣、もう一度、ぜひそのあたり、御表明いただくことはできないでしょうか。お願いします。

石原国務大臣 林委員の二回にわたるこの委員会等々でのお話、十分に受けとめさせていただきたいと思います。

林(宙)委員 ぜひ足を運んでいただいて、ちょっと先ほど井上副大臣にもお話ししましたが、実際に、雪が解けて四月ぐらいから調査が可能になると。先ほどの副大臣のお話を踏まえれば、四月に必ずというわけではないかもしれないが、でも、できるだけ早く、多分、四月にできるんだったらということだと思うんですね。

 それをやはり実現するためにも、私は、大臣にお越しいただく、それが必要だと思っていますし、その先も、では、詳細調査をして、国がその三カ所の中から一カ所に絞った、そのときは確実に大臣に御説明にお越しいただくというのが条件になってくるんじゃないかなと思っています。

 ですので、私は今宮城県の人間ですから宮城県のことを話していますが、今回、宮城県が一番進捗が速いということですから、ここでどのようなリーダーシップを見せていただけるかというので、今後、ほかの県、宮城県を含めて五県が今最終処分場を検討していますから、その進捗にも影響してくるだろう。これは先週の予算委員会でも申し上げたとおりです。

 ですので、時間の方ももうなくなってきましたので、今大臣にお話しいただいたとおり、地元に行ってお話をしていただくということをぜひ実現していただきたいなということを最後に強くもう一度お願い申し上げて、今回の質問を終わらせていただきたいと思います。大臣、ぜひよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、野間健君。

野間委員 無所属の野間健と申します。

 本日は、貴重な質疑の時間を頂戴いたしました。各党の理事の皆様の御配慮に心から感謝を申し上げます。

 昨年の七月八日に、原子力発電所の新規制基準に基づく安全審査が行われ、当初、その審査期間が、田中規制委員長のお話では、おおむね半年程度ということでありましたけれども、今、半年をさらに超えて、なかなかスケジュールが見えない状況に来ておりましたけれども、一昨日、規制庁から、今後の進め方ということのペーパーが出ました。また、田中委員長からも、今後の日程、スケジュールについての発言もなされているところでありますけれども、規制庁として今後どういうスケジュール感でやっていかれるのか、教えていただきたいと思います。

櫻田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、原子力規制委員会におきましては、原子力発電所の新規制基準適合性の審査を進めてきてございます。

 二月十九日の原子力規制委員会におきまして、原子炉設置変更許可に関する審査の今後の進め方について議論が行われまして、基準地震動及び基準津波高さが確定し、かつ、ほかに重大な審査上の問題がない原子力発電所については、申請書の補正、それから審査書案の作成に取りかかるということにしたものでございます。

 このため、プラントごとの審査の状況を見きわめる必要がありますので、今後、二、三週間を一つの目安として、この対象となるプラントを判断することにする、その時点で条件を満たすプラントがなければ、また次の時点で判断するということになったわけでございます。

 また、審査書案を取りまとめた後に、科学的、技術的意見を広く募集するということを行うとともに、特に関心の高い立地自治体においては、その要請に基づいて、共催により公聴会を実施することができるということにもなってございます。

 いずれにしましても、こういった御指摘を踏まえて、科学的、技術的見地から厳正に審査を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

野間委員 そうしますと、二、三週間後、三月の十日とかその前後ぐらいになってくると思いますけれども、それまでに、これはもちろん仮のということになりますけれども、今、島崎委員なりが担当されている基準地震動ですとか基準津波の高さ等のことについて、ある程度クリアされるというか合格されるプラントが決まるという理解でよろしいんでしょうか。

櫻田政府参考人 お答えいたします。

 今、委員御指摘の基準地震動あるいは基準津波高さについては、まだ確定したところがないという状況でございまして、二月十九日の規制委員会の場でも島崎委員長代理が発言されておられました。

 幾つか問題があるので、それを乗り越えてクリアされるところが出てくればいつでも認める、こういう状況なんですけれども、その幾つか残っている論点についてどのような準備をして事業者がその回答を持ってくるかに左右されるということでございますので、二、三週間を一つの目安として判断をしようということにはなってございますが、それまでに必ず行き着くかどうかというところは、これはまた、申請者の今後の回答次第によるというところが大きいかと存じます。

野間委員 この審査書案の作成に当たって、今後の審査の模範となる質の高い審査書案をつくろうということが書かれておりますけれども、その後に、さらに今、A、B、Cというか、三つのチームでやっている。そのチームの枠も超えて総力を結集してひとつ審査書案をつくっていくということになりますと、素直に読むと、一つに絞っていくのかというふうに捉えられますけれども、いかがなんでしょうか。

櫻田政府参考人 この点についても、まだ委員会でどうするということが具体的に決まっているわけではございませんが、いずれにしましても、二、三週間後といった一つの判断をする時期に、先ほど申し上げました地震動、津波、それからそのほかの大きな論点、これをクリアするものが幾つぐらい残っているのか、出てくるのかというところにもよるかと思います。

 今の時点ではその数についてお話し申し上げるということはなかなか難しいということは、御理解いただければと思います。

野間委員 チームの枠を超えてやっていくというわけですから、三つも四つもということは多分ならないと思いますし、一か二なんだと思います。

 更田委員も十九日の委員会で、一つに絞ることになるだろうという発言もされているようですのであれなんですが、一つなのか二つなのかわかりませんけれども、そうしますと、六プラント、あと残された四つとか五つ、この審査がまたそのことによって非常におくれる、遅延するということがあってはならないと思いますので、そのあたりはどういうふうにお考えでしょうか。

櫻田政府参考人 今回、今委員から御指摘のございました、審査チームの総力を挙げて、チームの枠を超えて協力をして、最初の審査書案をきちんとした質の高いものにしていく、こういうことを行ってまいりますと、それを一つの模範として、その後に続くプラントの審査の取りまとめというものもスムーズにいくかというふうに考えてございます。

 全体として、こういった進め方で行うことが審査の質を高め、また、きちんとした審査を行った結果をきちんと取りまとめていく、そのプロセスを効率的に進めるということにも役立つのかというふうに考えてございます。

野間委員 あと、このたびの日程のことなどをいろいろ見ていても、五人の規制委員の方の、それは専門性があるから当然なんでしょうけれども、島崎委員長代理と更田委員に今仕事が非常に集中しているわけですね。今、委員長は別として、ほかのお二人なり、意思決定のやり方として、とにかく二人の結論が出ないと何も動かないような感じになっているわけですけれども、最終的には、きちっとやはり五人で常識的な、国民の常識に立った判断がなされるべきだと思うんです。

 これは、どなたがどうということではないんですけれども、例えば中村委員さんは、そういう審査書をつくるについて、私たちも陰ながら応援しますとか、本当にちょっと当事者意識はどこにあるのかなというような発言もなされているところでありまして、やはりそれは五人全力で当たっていただかなきゃいけないと思いますので、そのあたり、しっかり意思決定のやり方が合議、協議されているのか。どうなんでしょうか。

櫻田政府参考人 委員の今御質問のあった委員会における討議の仕方につきましては、事務局からお話し申し上げるのは差し控えたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、新規制基準への適合性の審査をどう進めるかということの進め方については、委員会で御議論をいただいて、更田委員あるいは島崎委員長代理をそれぞれの分野のヘッドとして進めるということが、委員会の決定といいますか審議の結果として定められてございます。

 また、いずれにしても、設置許可でありますとかそのほかの認可について決定をする場合には、これは委員会としての決定になりますので、このプロセスの中で、必ず委員会の中できちんとした合議が行われるというふうになろうかと私は理解してございます。

野間委員 ありがとうございました。

 いずれにしましても、私も原発立地自治体に住む住民の一人として、安全性の確保は大事ですけれども、それにはやはり時間軸も、危険なのか安全なのかという速やかな判断も非常に必要だと思いますので、しっかりお願いしたいと思います。

 続きまして、水俣病の問題について御質問させていただきたいと思います。

 今、一昨日、北川副大臣も熊本県知事とも会談をされて、昨年の最高裁判決や、また公害健康被害補償不服審査会の裁決などが出た後のいろいろな対応に追われていらっしゃると思うんですけれども、改めて、最高裁判決や不服審査会の裁決について、今の段階でどう受けとめられているのか、教えていただきたいと思います。

北川副大臣 野間委員から水俣病に関する御質問を頂戴いたしました。

 この問題は、野間委員の地元であります鹿児島県におきましても長年の課題であり、その中で、野間委員初め鹿児島県の皆様方にも大変御協力をいただいておりまして、まず、この場をおかりして御礼を申し上げたいと思います。

 さて、今御質問のありました最高裁判決と健康被害補償不服審査会の件でありますが、昨年四月の水俣病の認定についての最高裁判決では、県の行った申請棄却処分について行政が敗訴いたしました。結論として行政の主張が認められなかったことは、我々真摯に受けとめております。

 最高裁は、水俣病の認定に当たっての検討は、「患者の症状等についての医学的判断のみならず、患者の原因物質に対するばく露歴や生活歴及び種々の疫学的な知見や調査の結果等の十分な考慮をした上で総合的に行われる必要がある」と判示をされたわけでありまして、これは、総合的な検討を行って判断することが重要であることを改めて指摘されたものと理解をいたしております。

 環境省におきましては、総合的な検討が重要であるとの最高裁判決の趣旨に沿って、より一層適切に認定制度を実施していくことができるよう、認定基準における総合的検討のあり方を具体化する作業を進めているところであります。

 次に、昨年十月に、水俣病の認定について、公害健康被害補償不服審査会が、県知事の行った申請棄却処分を取り消す裁決をいたしました。裁決を受けて、熊本県知事は請求人を水俣病と認定をされたわけでありますが、裁決を受けた認定申請への個別の対応は、法律に基づいて熊本県においてなされるものであります。環境省としては、裁決に沿って認定することとした熊本県の判断を尊重したいと考えております。

 その上で、環境省においては、最高裁判決の趣旨に沿って、総合的検討のあり方を具体化する作業を進めているところであり、本裁決もその検討作業に当たって参考にしていきたいと考えております。

野間委員 ここのところ、今の、総合的検討についての見直しにかかわる通知案なるものが環境保健部長名で出ているわけですけれども、これは、そういうものが今検討されて、やっているという理解でよろしいんでしょうか。

北川副大臣 ただいま、その点につきましても検討中であります。

野間委員 一昨日の熊本県知事との会談について、報道は見ておりますけれども、県知事としてはどのような対応だったんでしょうか。

北川副大臣 昨年来、蒲島知事からは、環境省と不服審査会の考え方が不一致である、また、公健法上の補償制度の検証が必要である、そのためにも、現状では県は認定業務を行えないとして、環境省が法律に基づく臨時水俣病認定審査会を開催して審査をするべきとの要望をいただいておりました。

 これらの要望につきまして、環境省として検討した結果を、今委員御指摘のように、一昨日、知事のもとに参りましてお伝えをしてきたわけであります。その中で意見交換を行わせていただきまして、一定の共通認識を得ることができました。

 その内容、また環境省の対応は次の三点であります。

 最高裁判決に沿って総合的検討のあり方を具体化した通知を取りまとめること。次に、国と県が二人三脚で認定業務を行うために、臨時水俣病認定審査会、いわゆる臨水審でありますが、これを開催できる状況を整えること。公健法の補償制度を円滑に運用できるよう、その検証を行うこと。この内容といたしております。

 今後は、蒲島知事との共通認識に沿って、国と県の二人三脚で認定業務を進めていきたいと考えておりますが、先ほど委員御指摘の通知等も含めまして、粛々と我々は準備を進めていきたいと考えております。

野間委員 この通知案を見ますと、例えば、汚染当時の頭髪とか、血液とか、あるいは尿とかそういうものを確認するとか、もう何十年もたって今さらそういうのが確認できるのかという、ちょっと非現実的なものも含まれているわけですが、これはもう今までの行政の積み重ね、いろいろな法的な安定性の問題等あって、行政、役所の対応としては本当に限界なのかなと。

 最終的には政治の決断によって、この認定基準をもうちょっとといいますか、大きく変更していくことが必要ではないかと思います。これはもう政治家としての、まさに石原大臣の御決断なりの問題になってくると思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

石原国務大臣 この水俣病の問題は、私も現地に行かせていただいておりますし、いろいろな方とお話をさせていただいております。くしくも親子二代でこの問題、現場を見せていただいて、やはり、当時とまた時間的経過で大きな変化があるんだと思います。

 そんな中で、今副大臣が御答弁をさせていただきましたように、最高裁の判決をどう捉えるかということにおいては、副大臣から申したとおり、認定基準が根本から否定されているとは、私も判決文を読ませていただきましたが、ないのではないか、こんなふうに理解しております。

 ですから、これも、この最高裁判決の趣旨に沿いまして総合的検討のあり方の具体化作業というものを進めているということを、北川副大臣から再三再四御答弁させていただいております。

 この問題の難しい点は、政治決着が二度も過去にあったことであります。それとの整合性も図っていかないとなりません。そして、時間もそんなに残されてはいない。そんな中で、現在、こういうふうに取り組ませていただいているというのが現状でございます。

野間委員 ありがとうございました。

 最後になりますけれども、このたび鳥獣保護法の改正を考えておられるということで、鳥獣被害について御質問したいと思います。

 これは、十年をかけて、主に鹿、イノシシを半減させるという非常に野心的な計画なんですけれども、法をつくってもなかなか実行は、先ほども話が出ておりましたけれども、鹿の繁殖力は非常に強いですし、よほどのインセンティブがないとこれは実行しがたいと思いますけれども、どのように具体的に考えていらっしゃるか、お願いいたします。

星野政府参考人 環境省では、昨年十二月に農林水産省と共同で、抜本的な鳥獣捕獲強化対策を取りまとめたところでございます。この中で、当面の捕獲の目標として、今委員御指摘されましたように、ニホンジカとイノシシの個体数を十年後の平成三十五年度までに半減させることを目指すこととしたところでございます。

 環境省におきましては、この目標の達成に向けて、本年一月に出された中央環境審議会答申「鳥獣の保護及び狩猟の適正化につき講ずべき措置について」も踏まえまして、鳥獣保護法の改正も含めた対策の強化を検討しているところでございます。

 具体的には、ニホンジカやイノシシなどにつきましては、積極的な管理を行うことといたしまして、都道府県等による捕獲の強化、さらには、ニホンジカ等の捕獲を行う事業者に対する認定制度の創設等の対策を検討しているところでございます。

野間委員 最後の質問ですけれども、よしんば捕獲できたとして、その処理、その死骸を埋設するとか焼却するとか、一部自治体でも行われていますけれども、その焼却施設の予算をどうするか、誰が管理するかとか、非常にきめ細かくしていかないと、この問題はきちっと解決しないと思いますけれども、そのあたり、どのようにお考えでしょうか。

西郷政府参考人 お答えいたします。

 鳥獣被害の防止のためには、先ほど環境省から御答弁ありましたとおり、有害鳥獣を捕獲していくということが極めて効果的な手段ということで、先般、安倍総理を本部長とする、農林水産業・地域の活力創造プランの中でも、当省と環境省が連携して、被害の主な原因である鹿、イノシシの捕獲目標を設定して対策を打っていくというふうにされたところでございます。

 今先生おっしゃいましたとおり、とった後どうするかということでございます。まず、とるまでには、農水省といたしましては、鳥獣被害防止特措法に基づく市町村段階での対策といたしまして、イノシシの捕獲数に応じて、一頭八千円以内といったことを交付させていただくとか、あるいは、技術を向上するための施設、これは要するに射撃場でございますけれども、この整備でございますとか、先生おっしゃった出口対策といたしまして、処理加工施設の整備、あるいは高度なコンピューター技術を活用した捕獲技術など、広範な、いろいろな取り組みに支援をするということにしております。

 処理加工につきましては、自治体によってというか地域によって違いますけれども、ただの埋設だけではなくて焼却するための施設、あるいはお肉を利用するための施設といったことに要望がございますので、それについてきめ細かく対応をしているところでございます。

野間委員 どうもありがとうございました。終わります。

伊藤委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

伊藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫でございます。

 私は、きょうは、大臣所信の中にあります環境と経済という点に絞って質問させていただきたいと思います。

 安倍政権の最大の目標は経済再生でございます。第一の矢、第二の矢、特に第一の矢の金融政策によりまして、デフレ脱却の明かりが見えてまいりました。第三の矢、成長戦略、しかし、実体経済が元気にならなければ本当の意味での経済の再生はない、このように思います。そういう意味で、いわゆる環境分野における成長産業を見出していくということがこのアベノミクスの成功に向けて必要不可欠だ、このように思います。

 私も、平成二十年、二十一年時代に環境大臣をやっておりまして、リーマン・ショックが起きました。そのリーマン・ショックをどう乗り越えるかということで、環境と経済という分野、そういう切り口から、「緑の経済と社会の変革」という提案をさせていただいて、新しい環境産業を育てて日本の経済を再生していこうという提案をさせていただいたところでございますが、まさに今、石原大臣のもと、その機は熟している、このように考えるわけでございます。

 まず初めに、環境分野の産業、いわゆる環境産業と言われているものにどんなものがあって、そしてそれが今どういう状況になっているのか、今後の成長見通しはどうなのか、環境省としてそれをどう捉えているのかということを最初にお聞きしたいと思います。

清水政府参考人 お答えいたします。

 環境省におきましては、環境産業の市場規模あるいは雇用規模の調査を行っております。またさらには、環境産業の業況を把握するための調査、いわゆる環境短観というふうに申しておりますが、こういった調査をしております。こういった調査に基づきましてお答えしたいと思います。

 まず、環境産業の市場規模でありますが、平成二十三年に八十一・七兆円ということで、大体この十年間、一・四倍に増大している、そういうことがございます。平成十三年におきましては五十八・七兆円、これが二十三兆増加して八十一・七兆、今そういう規模まで伸びているということでございます。

 また、環境産業における雇用規模でございますが、平成二十三年に二百二十七万四千人ということで、これもこの十年間、一・三倍の増加を示してございます。平成十三年に百七十九万四千人であったのが四十八万人増加した、そういうことでございます。

 なお、これが全ビジネスと比較してどういうことかということでございますが、全ビジネスの市場規模あるいは雇用規模、これは実は統計ベースが我々の調査と少し異なるのでございますが、そういうことで見ますと、この十年間ほぼ横ばいであるということが言えます。そういうふうに考えますと、環境産業の伸び率は大変大きなものがあるということが言えると思います。

 また、昨年六月に実施しました環境経済観測調査、私ども、環境短観というふうに呼んでおります。これは、環境ビジネスの業況を、日銀と同じような形でDIという指標であらわしております。これは、回答の中から、景気がよいと答えた割合から悪いというふうに回答した割合、パーセントを引いたものでございます。このDIで見ますと、昨年六月の調査現在ですが、大体一五、これが十年先には二六に伸びる、大体一一ポイント伸びるというような結果になっております。

 このDIを分野別に見ますと、特に、地球温暖化対策の分野のDIが現在二六、十年先三四というふうに高く、地球温暖化対策の分野が現在も将来も有望であると見られております。

 なお、現在の環境ビジネスのDI、一五ということを申しましたが、全ビジネスで見ますと、大体、現在が一、十年後が一一ということでありますので、これも環境ビジネスの方が高くなっているということが言えようかと思います。

 また、この調査におきまして、十年後にどのような分野の発展が期待できるかということも調査しております。そうしたところ、再生可能エネルギーの分野、省エネルギー自動車等の温暖化対策の分野の産業が発展するというような回答が多く寄せられているところでございます。

 以上でございます。

斉藤(鉄)委員 もう一つ局長にお伺いしますが、八十一・七兆円、それから雇用が二百二十七万人ということですけれども、大体どんな種類の産業なんでしょうか。頭に入れるために。

清水政府参考人 これは我が方で統計をとっておりますが、産業分類の中から環境ということで該当するものをピックアップしております。例えば自動車産業の中でいえば、低公害車であるようなハイブリッド車であるとか燃料電池自動車など、そういった全産業分類の中から環境に該当するものをピックアップした、そういうものでございます。

斉藤(鉄)委員 わかりました。今後の環境産業は、一般の産業よりも成長が大きく見込まれているということがわかりました。この成長が見込まれている分野について、政治としても政策を打っていって、いわゆるグリーン成長というものを日本の経済全体の牽引力にしていかなきゃいけないと思います。

 とはいえ、やはり環境というのは、いわゆる保全ということもありまして、コストがかかることも確かです。先ほど、これから、いわゆる低炭素型、再生可能エネルギー分野が伸びるということでしたけれども、これは正直申し上げてコストがかかるわけで、そのコストをいわゆる財政で負担しようというようなことになると、これは経済の足を逆に引っ張っていくわけでございます。

 ですから、これから環境対策を経済成長に結びつけるためには、財政支出による需要創出だけではなくて、民間資金による投資需要の喚起につなげていけるかどうか。それから、今、化石燃料の輸入が大幅にふえて貿易収支等も大変な赤字になっておりますが、貿易赤字が拡大していく中で、この新しい産業が輸出に結びついていく、外貨を稼いでいく、輸出産業として伸びなきゃ意味がない。だから、民間投資をいかに呼び込むか、輸出産業にいかにしていくか、この二つが、これからの長期的に見たときの日本経済、環境産業が貢献できるかどうかのポイントだ、このように思うわけです。

 そういう意味で、先ほどこれから伸びる可能性があるとおっしゃった低炭素、それからもう一つは、八十一・七兆円の中の大きな部分を占めるであろうリサイクル、静脈産業について、具体的な取り組みの質問をしたいと思います。

 まず、低炭素ですけれども、いかにここに民間資金を活用していくかという観点でございますけれども、私は、太陽光パネルですとか燃料電池といった低炭素機器を幅広く普及させる、それに関連するメーカーなどの産業も育てていくということが必要だと思います。

 これにいわゆる民間のお金を呼び込む一つの提案として、緑の贈与ということを提案しました。税制という政治が支援できる分野から、民間のお金がこの低炭素分野に入っていく、その手助けという意味で、緑の贈与制度。

 これは、例えば、今、教育制度で、おじいちゃん、おばあちゃんの金融資産をお孫さんの教育資金に使ったときには贈与税の特例を設けるというような制度ですが、教育資金では既にスタートしておりますが、これを低炭素機器、太陽光パネルでありますとかエコキュートとか、まあ、そういう商品名を使っちゃいけないのかもしれませんが、そういう地球温暖化対策技術の普及にそのお金が回っていくようにする。税制の面からこれを手助けしていくということで、公明党は、環境部会でこれを取り上げて、ぜひ税制で実現しようと。

 自民党さんも、北川部会長時代に全面的に取り上げていただいて、頑張っていただいたわけですけれども、昨年十二月の与党税制改正では、今後の検討事項ということになったわけでございます。

 個人金融資産、千五百兆円と言われておりますが、その多くを預金が占めておりますけれども、銀行の預貸率も低く、投資に有効に活用されているとは言えない今の日本の現状です。このお金を低炭素分野に振り向けられればということでございますが、この緑の贈与制度の実現に向けて、引き続き努力していく必要があると考えておりますけれども、北川副大臣、自民党の中で率先して提案された副大臣の御決意を伺いたいと思います。

北川副大臣 ただいま斉藤委員の方から緑の贈与制度についてのお話をいただきましたが、私、副大臣になる前、党の環境部会長として、やはり一つの税制の中で、財源の確保ということも重要であります。特に、政治の責任として、予算を組む上において、やはり財源を確保するというのも大きな責任だと思っております。

 その中で、この緑の贈与税。斉藤委員は、先ほどおっしゃられましたが、みずから大臣も経験をされて、なおかつ、今の高齢化社会そして世代交代の中で、何かいい方法はないかということでこの緑の税ということを発案されたと思います。

 我々も、この緑の贈与税制につきましては、温暖化対策と経済活性化の両方の効果が期待できるものとして、環境省から平成二十六年度の税制改正要望を行ったところであります。

 平成二十六年度の税制改正大綱におきましては、さまざまな課題も指摘をされました。施策ツールの中で税制優遇を選択することの妥当性、また、相続課税の回避を防止するという贈与税の役割への悪影響といいますか、こういう影響もあるのではないかというような指摘をされたわけでありまして、こういう点を今後引き続き検討することとされました。

 そういう点も踏まえまして、今後、環境省といたしましても、本要望の重要性を認識しておりますので、これらの課題について必要な検討を引き続き行っていきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

斉藤(鉄)委員 どうかよろしくお願いいたします。

 石原大臣にお願いがございますけれども、自民党と公明党の環境部会が中心になって提案しました。与党税制協議会で議論になったんですが、自民党の先生方は比較的積極的ではなかったわけでございます。基本的には、相続税なり贈与税に対して特例を設けるということ自体がやはりいいことではない、教育の場合は特別であるけれども、それを余り広げたくないというような議論がございました。

 ということで、来年度以降の検討事項ということになったんですが、石原大臣、今は政府の要職を務められておりますが、党にお帰りになれば、いわゆる税のインナーという、税については大変影響力のある立場におられるわけでございまして、ぜひこういう議論も自民党のいわゆる税の専門家の方々の中でもしっかりしていただくようにお願いを申し上げます。

石原国務大臣 私の先輩大臣であります斉藤鉄夫委員からの御指摘でございます。

 もちろん、減税部分を何で補填するのかというような財政的な裏打ちの問題、そしてまた、教育減税、教育の相続税の贈与というものも特例的に行っておりますが、これも実はまだ緒についたばかりで、実際には、地方から中央等々に、大学に入った子供さんたちがその贈与で使えるのは、学校が指定をしております教科書とか学費とか限られたもので、一番お困りになっているのは、大阪にしても東京にしても仙台にしても北海道にしても居住費等々がかかる、こういうものにはその相続税の贈与が使えない。

 新しい制度をつくってもなかなかスムーズにいかない部分も多々ございます。そして、そのすぐ後にこの緑の贈与というものが出てきましたので抵抗感があったのではないかというふうに考えておりますが、発想としては、やはり乗り越えなければならないものを乗り越えていく上では思い切った政策の転換ということは大変必要なことでございますし、これは税においても必要なことでございますので、党の方に戻りましたら、しっかりと勉強させて、斉藤先生ともまたスクラムを組んでいければと思っております。

 今は閣内におりますので、このぐらいでお許しいただきたいと思います。

斉藤(鉄)委員 どうかよろしくお願いいたします。

 次に、静脈産業を日本の成長産業にという観点から質問させていただきます。

 日本のいわゆるリサイクルの技術は、世界最先端と言われております。特に、電気電子機器に含まれている希少金属、レアメタル、またその他の、希金属等の回収技術は世界一でございます。こういう技術、これはこれから世界全体が必要になってくる、このように思います。この技術を日本の経済の中心に据えるという意味で、日本の循環産業を国際的な成長産業に育てるために、国内でのシステムの整備と国際展開の両面で積極的な政策を講じていくべきと考えておりますけれども、環境省の見解を伺います。

梶原政府参考人 今先生おっしゃられるとおり、我が国の循環産業、廃棄物処理そしてリサイクル産業は、世界に冠たる技術を持っていると思っております。ただ、その一方で、海外展開については、それほどまだ進んでいない状況にあるのではないかと思ってございます。ただ、アジアを初めとして急激に廃棄物の量がふえておるという背景がありますので、これの世界展開は、世界規模での環境負荷の低減、そして我が国の経済の活性化という意味では大きな意味を持っているものと認識しております。

 そのために、環境省におきましては、循環産業の国際展開を図るという意味で、我が国循環産業の戦略的国際展開育成事業というものを始めております。

 この事業につきましては、まず、国際的に活躍をするということで、具体的なプロジェクトを持っているものについてそのフィージビリティースタディーを支援するということで、平成二十三年度からこれまで二十四件のフィージビリティー調査をやらせていただいているところでございます。

 また、日本の国内のリサイクル技術の底上げを図る観点から、新たな循環ビジネスモデルの形成の支援ということで、例えば、ペット・ツー・ペットの水平リサイクルを進めるでありますとか、あるいは、包装用プラスチックスの利用を、例えば自動車部品なんかにも使えるようにするといったような支援もさせていただいているところでございます。

 廃棄物のリサイクル並びに処理を海外展開する上では、そういう民間の努力を支援するということも非常に重要でございますけれども、もう片方で、制度をつくっていただくということも重要でございます。

 そのために、政府間におきましても、閣僚級でスリーRにつきまして議論をするということで、平成二十年の東アジア首脳会議環境大臣会合で我が国が提唱いたしましたアジア大洋州3R推進フォーラムというものも毎年開催をさせていただいておるところでございます。ここにおきましては、新たなスリーRの政策目標をお互いにシェアする、共通の目標をつくるといったことから、二国間協力あるいは都市間協力、官民協力といったものも議論をしているところでございます。

 ちょうど来週でございますが、二十五日からインドネシアでこの会議を三日間やるということで、四十一カ国の参加を得まして、日本とインドネシア、国連の地域開発センターの共催で開催をすることとしております。この際には、日本とインドネシアのビジネスがそこに参りまして、実際の環境技術展みたいなものもあわせてやらせていただくということにしております。

 こういうような形で、国、地方公共団体、そして民間という各層のレベル、それを複層的に連携しながら循環産業の海外展開を図ってまいりたいというふうに考えております。

斉藤(鉄)委員 循環産業、特にアジアへの展開ということが重要だというのはよくわかりました。

 次の質問は、先ほどの質問とほぼ重なるのかもしれませんが、環境産業の成長というときに、成長センターであるアジアの活力を取り込むということが非常に重要だと。我が国のすぐれた環境技術、システムを生かしていくことが重要と考えるけれども、現在の状況や戦略はどうかという質問を通告させていただきましたが、重なるかもしれませんが、この質問もさせていただきます。

関政府参考人 アジア諸国は我が国にとって大変重要な国々でございまして、先生御指摘のとおり、著しい経済成長が続いておる地域でございます。

 その一方で、残念ながら、経済成長に伴いまして、大気汚染、水質汚濁、あるいは廃棄物の不適正処理等々の環境問題も深刻化しておりますし、加えまして、エネルギー消費が増大しておりますので、温室効果ガス、CO2の排出も増大している、こういう状況にあると認識しています。

 一方、これも先生から御指摘いただきましたように、我が国は、長い経験で、こういった環境問題に対する技術、ノウハウ等が蓄積されておりまして、これをアジア地域に展開することは、我が国の環境産業あるいは我が国の経済の活性化にとっても極めて重要である、このように認識しているところでございます。

 ただ、なかなかうまく展開できない理由というのもございまして、品質はよいけれども一般的には価格が高い、これをどういうふうに克服するかというのが最大の課題であろうと思っております。

 特に、温暖化対策の分野におきましては、昨年十一月のCOP19におきまして、石原環境大臣から、技術で世界に貢献する、攻めの地球温暖化外交戦略を発表していただきました。これは、その中に二国間クレジット制度というのが入ってございまして、我が国の技術を適用して、若干の資金的な付加もすることによって、削減されたものをクレジットとして我が国が活用させていただくということで、我が国の技術を展開する上でのブレークスルーになるのではないかなというものでございます。こういう新たな仕組み等を活用いたしまして、我が国の環境保全に対する技術や経験をアジア諸国に展開してまいりたい、このように考えております。

斉藤(鉄)委員 非常に重要なポイントだと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それから、環境産業を育てるということで、日本再興戦略、今我が国が持っております経済再興戦略ですけれども、この経済再興戦略の中に、環境という柱立てということがこれまでのいろいろな戦略にはあったんですが、今回、いわゆる環境という意味での、環境という名前を使った柱立てはないわけでございます。しかし、中身を見ますと、例えば、農林水産業を成長産業にするとか、エネルギー産業を育て世界市場を獲得する、これは環境政策とも大きく関係していると思います。また、二国間オフセット・クレジット制度の本格導入という項目も再興戦略の中にございます。

 この日本再興戦略の中にちりばめられた環境産業の核、これをどう育てていくか、その戦略についてお伺いします。

鈴木政府参考人 今先生御指摘になりましたように、日本再興戦略につきましては、日本の経済成長を進めていくという観点から取りまとめられておりますけれども、今御指摘のあったような施策が各所にちりばめられておりまして、これらはいずれも環境施策にとって極めて重要な施策だと思っております。

 こうした施策については、それぞれ、環境省として重点施策として取り組むとともに、環境の保全と経済の成長が両立するような形でこうした施策を進めてまいりたいというふうに考えております。

斉藤(鉄)委員 よろしくお願いをいたします。

 最後に、大臣に御決意を伺いたいわけでございますが、低炭素産業、それから静脈産業の例を取り上げたわけでございますけれども、これらの環境対策を成長につなげていくためには、民間資金による投資需要の喚起につなげていくこと、それから、日本の技術力を生かした輸出産業として育てていくことが非常に重要だと思います。そういう意味で、金融、税制といった、経済に明るい石原大臣のもとでこれを進めていただくということは、非常に我々としても御期待を申し上げているところでございます。

 経済再生は、一時的なものではなく、長期的な成長につながるものでなくてはなりません。そのためには、環境対策によって経済成長を実現するグリーン成長を目指すことが重要と考えております。環境大臣が先頭に立ってこのグリーン成長を推進していただきたいという思いで、最後にその御決意を伺いたいと思います。

石原国務大臣 ただいま、改めまして、斉藤委員が環境大臣、平成二十一年の四月二十日にまとめられました「緑の経済と社会の変革」を読ませていただきました。

 当時の時代背景は、サブプライムローンの破綻に端を発した不況のさなかに、「緑の経済と社会の変革」は、必要とされる環境対策を思い切って実行することにより、直面する環境問題に対処するとともに、現下の経済危機を克服し、我が国の将来の経済社会を強化しようと。今も乗り切るし、今御質問にあったとおり、将来的にも一つの産業としてしっかりと育成していこうという思いが、一章から六章まで読ませていただきましたけれども、力強く書かれているものだと思います。

 この流れを受けまして、私どもとして今何をやっているか、先ほど関局長の方から御答弁させていただきました。二国間クレジット制度、環境技術を海外に移転することによって、そこで二酸化炭素の排出量を減らし、それをクレジットとしてこちらに戻していただく。あるいは、再生可能エネルギーの普及によって環境産業全体を活性化していく。あるいは、これも新しい取り組みとして、ファンドをつくらせていただきまして、地域の低炭素社会をつくる促進ファンドみたいなもので環境投資を促進する。

 まさに、今三つの例を出させていただいただけではございますけれども、限りなくこの環境分野は発展もし、今我々が直面している、地球環境に負荷を与えるという大きな危機をも乗り越えていくことのできるツールなのではないかと思っております。

 斉藤委員のまた具体的な御提言等々もございましたら、しっかりと受けとめさせていただきまして、ともに、環境負荷の小さい社会、そして、日本の経済を環境技術によって発展させるという取り組みに邁進をさせていただきたい、こんなふうに考えております。

斉藤(鉄)委員 力強い御決意、ありがとうございました。終わります。

伊藤委員長 次に、吉野正芳君。

吉野委員 自由民主党の吉野正芳です。

 石原大臣を初め、政務三役の皆様方には何回も福島県を訪れていただき、県民を励ましていただき、福島復興のために御尽力をいただいております。この場をかりて感謝を申し上げる次第であります。

 さて、まず除染について質問をさせていただきます。

 私は、二月十七日月曜日、今週の月曜日ですけれども、大熊町の現場を視察してまいりました。実は、皆様の手元に地図があると思います。坂下ダムという、左端のダムがございます。ここにダム管理事務所がありまして、じじい部隊という方々がおります。おじいちゃん、おばあちゃんのじじいです。この方々は、大熊町役場職員のOBです。ですから、建設課長なんかはみんな技術屋さんです。総務課長もいれば、いわゆる大熊町をここまでつくり上げてきた、そういう現場の役人の皆様方です。

 この方々が役場を退職して、今、いろいろなところに避難しているわけなんですけれども、大熊町をこのまま管理しなければ、自然に廃れてしまう。だから、自分たちがつくってきた農業用用水路とか道路とか、いろいろなものを管理して維持をしていきたい、そういう目的で結成された組織です。

 ですから、大雨が降ると、自分たちのつくった農業用水門をあけに行きます。ごみがたまらないように、ごみがたまって水門が壊れないように。そして、道路に木材とか、木とか竹がかかれば、きちんとそこを切って、いわゆる自分たちが今まで整備をしてきた大熊町のインフラを保守管理していくという、そんなことをしている方々です。

 この間、NHKにも取り上げられて放送されたんですけれども、将来戻ることができれば稲が育つのかなということで、除染をした田んぼと除染をしない田んぼに稲を植えて、どのくらいの放射性物質が入っているか、そんなところも実験をしているグループです。そこのところを見てまいりました。

 それで、除染なんですけれども、六号線と熊川の北側、ここが中間貯蔵施設に予定をされているところです。町としては、まだ判断をしておりません。でも、国として予定地域は、六号線と熊川以北、この広大な面積を中間貯蔵施設として予定しております。

 私も、この第一原発のサイトの中、赤く塗られたところですけれども、何回もこの中に入ってまいりました。この中も三千人働いているんです。働く人たちの健康、環境、これを守ることも大事な大事な大きな仕事です。特に環境省の大きな仕事だと思います。

 平成二十四年、ですから、事故ってから一年後、ここに入ったときには、被曝量が三十七マイクロシーベルトでした、私の被曝量です。一年後、二十五年の五月の二十日に入りましたら、何と二十マイクロシーベルト。ですから、半分までは下がりませんけれども、約半分の線量、被曝量であります。

 ということは、このオンサイトの中でさえ除染をしております。除染をして働く人たちの環境を守っていく、そういうことをして除染をしているということ、ここのところを、建屋を取ることも除染につながりますけれども、それも含めて、除染をしているということをまず認識していただきたいと思います。

 そして、中間貯蔵施設の予定地、赤いピンで刺しています。これは、放射線が高いから赤いピンなんですけれども、彼らは半年に一回きちんとはかり直して、全部測定してこのピンを立てております。この中間貯蔵施設の予定地も、やはり何千人も働くと思います。働く人たちのためにきちんと除染をしていくということ、これも私は必要なのかなと思うんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。

小林政府参考人 今吉野先生から御指摘ございましたように、今、中間貯蔵施設につきまして地元にお願いをしているところでございますが、ここで作業するということになりました場合には、作業員の安全の確保について、電離則とか除染電離則がございます。こういった法令に基づきまして、しっかりと対策をとり、そして放射線管理をしていくことが重要というふうに考えております。

 したがいまして、中間貯蔵施設を建設していきます場合には、作業員の被曝低減の観点から、除染をするということも非常に重要なことであるというふうに考えております。作業の内容ですとか、また現地の線量などをよく見まして、作業エリアごとに具体的な除染方法というのを検討していく必要があるだろうというふうに考えているところでございます。

 なお、貯蔵施設の設置を予定しているエリアにつきましては、基本的に線量が高いところではございますが、表土を剥いだりして、かなり工事を行います。そういうことを行いますと、結果としてはかなりの線量の低減というものも実現できるのではないかと考えているところでございます。

吉野委員 ありがとうございます。

 まず除染をする、また、工事をすることもある意味で除染につながるということですので、ぜひ、作業環境の方々の健康問題を考えて除染をしてほしいと思います。

 また図面を見てください。真ん中に六号国道があります。これは今、原発の作業員三千名の通勤道になっております。ですから、朝晩は大渋滞です、大渋滞なんです。そして、今度、中間貯蔵施設がつくられますと、またここに何千人の方々が仕事に入るわけです。この六号国道一本です。ここだと、今でさえ大渋滞なので、中間貯蔵施設の建設がもし進むのであれば、またまた大渋滞になってしまう。

 ですから、この六号国道の周辺、車で行っちゃうから除染しなくても道はいいんだよということで通過を許可したと思うんですけれども、ここはもうとまっているわけですので、そういう意味では六号国道、そして、困難区域であっても通過を認めている道路、いわゆるここの横の道路ですね、私も入りましたけれども、この辺は通過を認められております。通過を認められた道路の周辺地区をきちんと除染していくということはいかがなんでしょうか。

小林政府参考人 今吉野先生御指摘のとおりでございまして、この線量の高い帰還困難区域自体につきましては、除染のモデル事業を実施して、復興の状況なども見ながら除染の方針というのは決めていこう、こういうことになっております。

 しかし一方で、常磐自動車道などは典型でございますが、復興復旧、それからまた住民の方の移動のために特に必要性の高い広域的なインフラがございます。こういうものについては帰還困難区域内であっても除染を実施しておりまして、常磐道以外でも、大熊町でやっている部分もあるわけでございます。

 御指摘の国道六号線、これも非常に重要な広域インフラということは認識をしております。ちょっとまた、除染行為が渋滞を招いてもというような点もありまして、個別に除染の必要性とか可能性も検討をしているところでございます。ですので、広域のインフラというような位置づけで、必要なところについての除染というのは視野に入れているところでございます。

吉野委員 ありがとうございます。

 中間貯蔵施設の大きさを見てください。大熊町の平場の約三分の一強を占めていると思います。そして、六号の周辺を除染し、高速道路の周辺を除染し、通過を認められた道路の周辺をもし除染していくと、いわゆる帰還困難区域と言われている平場、山は別にして、平場は今のところモデルでやっていくという整理にされておりますけれども、やはり、じじい部隊の方々は、自分たちがつくってきた道路や水路をきちんと管理していきたい、そういう強い思いがございますので、面積的には、もう中間貯蔵施設を除染するこの面積で、大体、困難区域の、より平場の部分は除染できると思うんですけれども、その辺についてはいかが考えているんでしょうか。

小林政府参考人 大熊町につきましては、全体になかなか線量が高いところがございますので、居住制限区域ですとか避難指示解除準備区域につきましては、計画を立てて除染をし、これは町の御協力もありまして、今年度中に計画が終わる予定でございます。

 一方で、帰還困難区域につきましては、これは政府全体の方針でございます。昨年末にも帰還とか復旧に向けての方針を閣議決定いたしましたが、その中で、除染モデル事業の結果などを踏まえた放射線量の見通しを立てていくということ、それから、今後の住民の方々の帰還についての御意向がどうであるか、そして、将来の産業のビジョン、復興の絵姿がどうか、こういうことを踏まえて、政府全体として、もちろん地元の方とは意思疎通しながら検討を深めていく、こういう方針にございます。

 そういうことでございますので、この政府の方針との整合を踏まえながら、また、地元の、町のお考えをよく聞いて検討してまいりたいということでございます。

吉野委員 よく検討して、ぜひお願いしたいと思います。

 さて、除染に欠かせないのが中間貯蔵施設であります。

 去る二月の十二日、福島県知事が石原大臣に中間貯蔵施設について申し入れをしております。このことについて、大臣としてどう受けとめ、そして国としてどう対応していくのか、お聞かせ願いたいと思います。

石原国務大臣 吉野委員は、御地元ということもあり、被災地に何度も足を運ばれ、また、ただいまお話を伺わせていただきましたところ、この中間貯蔵施設を計画しております大熊町にも、せんだってまた御訪問をいただいている。

 そんな中で、知事からいただいた宿題というものは、実は、サイトのあります双葉、大熊にこの中間貯蔵施設を集約できないか、楢葉の部分を集約してもらいたい、しかし、面積が今の計画を超えることのないようにしてもらいたいというのが知事の重立った御発言であったと考えております。

 当然、知事がお出ましいただいたということは、双葉、大熊あるいは楢葉だけのことを考えてというよりも、やはり、双葉郡全体の八町村の皆様方の調整の後で、双葉郡をどうするのかという立場から、このような御提案が私どもになされたというふうに受けとめております。それはそれなりに重い話でございますので、しっかりと受けとめて今検討させていただいているところでございます。

 もちろん、楢葉の部分を、この大熊、双葉の方で同じ面積、その部分を拡大してやってくれという御要望であるならば、もっと早く、すぐにも、わかりましたと言うことができるわけでございますけれども、面積は広げてはならぬ、そういう縛りがかかっているわけであります。ですから、そこの点を今検討しているところでございますので、今この委員会等々で、こういうお話があって、こうしますよと言えるところまでには至っていないということは、ぜひ御理解をいただきたいと思っております。

吉野委員 今、大臣の答弁で、重く受けとめ検討していくということでございますので、地元の意向を重く受けとめていただきたいと思います。

 もう一つ、中間貯蔵施設をつくるに当たって、三十年という時間が中間貯蔵施設にはございます。その後、いわゆる最終処分場は県外にということで、我々福島県民は、もうこれは当たり前のことだというふうに受けとめております。

 それを今度の立法の中で条文に一条書いてくれ、こういうお願いをしているところですけれども、何か、聞くところによりますれば、地元で認めりゃ書くよ、認めなきゃ書かないよというふうに私はちょっと受けとめているんですけれども、その辺のところをきちんと法律に位置づけをしていくという、この点については今のところどう考えているんでしょうか。

浮島大臣政務官 吉野委員におかれましては、常日ごろからさまざまな観点から御指導賜り、心から感謝を申し上げさせていただきたいと思います。大変にありがとうございます。

 今、法制化についての御質問をいただきましたけれども、除染により発生した土壌等の最終処分につきましては、福島復興再生基本方針におきまして規定がなされているところでございます。中間貯蔵の開始後三十年以内に、福島県外で最終処分を完了するために必要な措置を講ずる旨を明らかにしているところでございます。

 このような方針をさらに明確にすべく、十二月の十四日の要請では、石原環境大臣から県知事、四町長へ、中間貯蔵施設を受け入れていただけるような環境が整えば法制化を図ることとしたいという旨を御説明させていただいたところでございます。

 また、現在は、中間貯蔵施設の受け入れをお願いしている段階でございまして、この段階で県外の最終処分の法案を提出することは、県内に中間貯蔵施設を設置することを前提にしてしまうのではないかというような懸念もあるのではないかということから、今、このようなお願いをしている段階で設置を前提とした法案を提出することは適当ではないのかということを考えているところでございます。

 午前中にも大臣からの答弁もございましたけれども、時系列を大切に、そして、住民の皆様の御理解、説明をしっかりとしていくことが大切だと考えているところでございます。

吉野委員 霞が関を見ていていわゆる法律解釈をすれば、今政務官がおっしゃったとおりだと思います。でも、目を被災者の方に向けてみれば、オーケーすれば入れるよ、まだオーケーしていないからそこの提案はできないよという形では、やはり被災者の方に、いま少し目を向けてほしいなという思いを私は持っております。

 さて、中間貯蔵施設を受け入れるか受け入れないかの一番大きな判断は、やはり土地の値段をどれだけで買ってくれるかというのが皆さんの思いです。

 東京電力から土地についての賠償もされております。そして、公共事業として国が買い上げるというのもそうなんです。そうすると、賠償と公共事業での買収と、どうかかわっているのか。本当に、関連性をきちんと持って、賠償された部分は差っ引くよという形なのか、その辺のところの関連性をきちんとお話ししてください。

小林政府参考人 賠償と補償の関係についての御質問がございました。

 まず、原発事故によって失われた価値、これを補填するのは東京電力による損害賠償でございます。一方で、補償は、公共事業によって将来にわたってその土地などを使わせていただく、譲っていただく、こういうことになりますので、むしろ、今現在そこにどういう価値があるかということを評価して、それに適正な補填をする、こういうことでございます。

 そういう意味で、両者の趣旨は異なったものでございますので、どちらかがどうであるかということによって、何か控除されるですとか、あるいは調整を図らなければいけないとか、そういうものではなくて、それぞれが適正な形で評価をされ、支払われるべきものだというように考えているところでございます。

吉野委員 では、関係ないということで整理をさせていただきます。

 図面の中で、グリーンで、常磐自動車道、高速道路、これが今鋭意工事をしているところです。ここの土地買収がもう行われておりまして、既に誰もが、双葉郡の方々は高速道路の土地の値段はわかっております。この値段を参考に、この値段をきちんと踏まえてやはり中間貯蔵施設についての土地の買収というものをしていかないと、同じ公共事業なのに何であっちは高くてこっちは安いんだ、そういう皆様方の理解がなかなか得られにくいのかなということで、高速道路の買収もきちんと参考にしていただきたいというふうに私は思います。

 もう一つ、買い取り方式と借地方式という大きな問題があります。

 防衛省、来ていると思います。沖縄の米軍基地、これは借地だというふうに私聞いているんですけれども、その辺について、今の現状どうなっているのか、お知らせ願いたいと思います。

山本(達)政府参考人 お答えいたします。

 沖縄におきます米軍専用施設・区域の土地は約二百二十八平方キロメートルであり、その約六六%に当たる約百五十一平方キロメートルが民公有の土地となっております。米軍に提供する民公有の土地につきましては、原則として、賃貸借契約により使用権原を取得することとしております。他方、米軍への土地の提供に際し、例えば、当該土地の所有者の方が買収を条件として提供に応じた場合など一定の要件に該当するものについては、買収により使用権原を取得することとしております。

 防衛省といたしましては、米軍に対し安定的に施設・区域を提供するため、今後とも、土地所有者の御事情や財政状況等を勘案し、適切に対応してまいりたいと考えております。

吉野委員 我々自民党としては、昨年の暮れに、福島県だけに向けた三次提言を出しております。この根底に流れている哲学は、被災者一人一人の判断を尊重したいという、このことだと思います。

 ですから、戻って帰るんだという人には帰還する支援をしていく。同じ準備区域であっても、もう私は帰らない、ほかに移って第二の人生、移住をするんだと決断すれば、それなりの、特に住宅については、きちんと新価で、再調達価格で住宅が求められるようにするという、一人一人の個人の希望、これを最大限尊重していくというのが、我々自民党が暮れに出した三次提言の大前提になっております。

 そういう意味でも、中間貯蔵施設について、今まとまったお金が欲しいといえば売ってもいいし、まとまったお金は要らないから毎月地代で欲しいということであれば、それは借地方式でもいいかと私は思うんですけれども、その辺について、環境省としてはどう今考えているのか、お尋ねしたいと思います。

小林政府参考人 中間貯蔵施設は、石原大臣からもございましたが、除染した後の土壌等を長期間、安全にしっかり管理をしていくという、福島県の復興のために非常に重要な施設であるというふうに考えているところでございます。

 そういう意味で、できる限り個々の被災者の皆様方のお気持ちを大事にするということの大切さというのを常に胸に置いていく必要があると思っておりますが、施設の性格を踏まえますと、必要な敷地の面積をしっかりした形で国が買い取らせていただいて、管理には万全を期せる、こういうようなことが施設運営上は欠かせないことではないかというふうに考えているところでございます。

 施設の整備に向けて、こういった用地取得の方針も含めまして、地元によく御説明して御理解を得るということが大切だと考えておりますので、政府一丸となって全力で当たってまいりたいと考えているところでございます。

吉野委員 先ほど、石原大臣の方が、楢葉の分を大熊、双葉で面積を広げないで受け入れるということは、楢葉の分、約二百三十万立方あろうかと思いますけれども、これは、減容をしなければ、当然、二百三十万立方、大熊、双葉の限られた中間貯蔵施設の中に入るわけでありますので、減容化の技術は今、環境省としてきちんと検討しているかと思います。

 ですから、まだ、この技術、この技術、この技術というわけにはいかないでしょうけれども、本当に使えそうな技術をどう今検討しているのか、お聞かせ願える範囲でお聞かせ願いたいと思います。

小林政府参考人 知事からの申し入れに対しまして、どのような形でこれをしっかり受けとめていくか。これにつきましては、今検討中でございますので具体的に申し上げられる段階でないことをお許しいただきたいと思いますが、減容化の技術自体は非常に重要なことであるということで、かねてから研究をしているところでございます。

 具体的には、いわゆる焼却の減容化もございますが、特に先生の御指摘は、土壌を含む減容化ということだと思います。これにつきましては、技術実証事業を通じまして、かなりの数の技術の検証も行ってきております。そういう中で、それぞれの技術の持ちます特性ですとか、一方で処理期間、コストがどうであるかというような課題、こういうものも明らかになってきているところでございます。

 もう一つは、特に土の減容化で重要なことは、減容化後に、要するに非常に濃度の濃い部分と薄い大量のものが出てくるということでございます、それが減容化の技術でございますので。その薄く出てきた方をリサイクルしていくということがここのポイントでございますので、これについては、関係者挙げてそういう道をしっかり切り開いていくということも、この技術の発展のために大事だろうと考えているところでございます。

吉野委員 いわゆるリサイクルの用途先とかその辺まで、内部では今詰めているというふうに私は理解をさせていただきます。

 中間貯蔵施設について最後の質問になりますけれども、いろいろな専門家を集めて我々に示した設計図が示されています。あの設計図で本当に安全なのか、私はわかりません。ですから、その安全の信頼性を高めるために、今、環境省としてどうしているのか。

 例えば、原子力規制委員会できちんとチェックをしてもらえれば、これは全く第三者ですからいいんですけれども、原子力規制委員会でこの中間貯蔵施設をチェックする権限といいますか、事務所掌はないわけでありますので、独自に専門家、環境省として、きちんと安全性が高まったという形で我々に、地元に説明しているとは思うんですけれども、その辺の信頼確保、どんなことをしているのか、お尋ねしたいと思います。

小林政府参考人 御指摘の安全の確保、これは最も重要なポイントであるというふうに考えているところでございます。

 今御指摘ございましたように、十二月に環境省から地元に提示をするに当たりましては、まず、放射線を含む安全性の確保の問題、それから周辺の環境保全の問題、これにつきまして、それぞれ検討会を設けまして、各分野の専門家にお集まりいただきまして何回も議論をいただきまして、しっかりチェックをいただいたところでございます。

 また同時に、福島県の方におきましても県の専門家会議が設けられまして、クロスチェックのような形で、いろいろな検討、チェックをいただき、またそこで我々も、伺って御説明をしているところでございます。

 このように、第三者の、特に専門家の御意見をしっかり踏まえて、環境省が責任を持って管理運営していくということ、これをまたしっかり御説明していくということが理解を得るために重要であろうというふうに考えております。

吉野委員 次に、相談員制度について伺います。

 これは、これから帰還をしていく方々に対して、放射線に対する不安を取り除くために、相談員を配置して、きちんと相談相手になって不安を取り除いていくという、本当に私にとってはすばらしい制度であります。

 この辺について、役所としてどう考えているのか。大体、予算が通ってから人選等々をやったのでは遅いと思いますので、今から各町と、どういう方々がいいのか、その方々と事前交渉のところまで既にやっていくべきと思うんですけれども、その辺についてはいかがでしょうか。

日下部政府参考人 今の御指摘ありました相談員制度、帰還を目指す方々の不安を解消する上で非常に大事な制度だと思っておりまして、既に、平成二十五年度補正予算で必要な予算をいただいております。

 田村市あるいは川内村など、帰還に向けて準備を始めている市町村のところに、我々原災本部の生活支援チームが個別に出向きまして、どういう方々を何人配置するのか、その相談を始めさせていただきました。

 今の御指摘を踏まえまして、これからは、全ての被災自治体との関係で御相談を開始したいというふうに考えております。

 以上でございます。

吉野委員 ありがとうございます。

 福島の復興のために、皆様方、本当に御尽力を心からお願い申し上げる次第であります。

 これで私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

伊藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時散会


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