衆議院

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第6号 平成26年4月11日(金曜日)

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平成二十六年四月十一日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 伊藤信太郎君

   理事 泉原 保二君 理事 うえの賢一郎君

   理事 田中 和徳君 理事 盛山 正仁君

   理事 吉野 正芳君 理事 吉田  泉君

   理事 河野 正美君

      赤枝 恒雄君    井林 辰憲君

      井上 貴博君    石川 昭政君

      岩田 和親君    小倉 將信君

      大野敬太郎君    小林 史明君

      助田 重義君    武井 俊輔君

      津島  淳君    中谷 真一君

      藤井比早之君    藤原  崇君

      牧島かれん君    牧原 秀樹君

      荒井  聰君    大島  敦君

      篠原  孝君    小沢 鋭仁君

      高橋 みほ君    百瀬 智之君

      浮島 智子君    中島 克仁君

      林  宙紀君    野間  健君

    …………………………………

   環境大臣         石原 伸晃君

   農林水産副大臣      江藤  拓君

   環境副大臣        北川 知克君

   文部科学大臣政務官    冨岡  勉君

   厚生労働大臣政務官    高鳥 修一君

   環境大臣政務官      牧原 秀樹君

   環境大臣政務官      浮島 智子君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 宮城 直樹君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 青木 信之君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       新村 和哉君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房生産振興審議官)       西郷 正道君

   政府参考人

   (林野庁森林整備部長)  本郷 浩二君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  星野 一昭君

   環境委員会専門員     仲川 勝裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十一日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     大野敬太郎君

  井野 俊郎君     津島  淳君

  岩田 和親君     武井 俊輔君

  大久保三代君     牧島かれん君

  荒井  聰君     篠原  孝君

  生方 幸夫君     大島  敦君

  小沢 鋭仁君     高橋 みほ君

同日

 辞任         補欠選任

  大野敬太郎君     藤井比早之君

  武井 俊輔君     岩田 和親君

  津島  淳君     中谷 真一君

  牧島かれん君     大久保三代君

  大島  敦君     生方 幸夫君

  篠原  孝君     荒井  聰君

  高橋 みほ君     小沢 鋭仁君

同日

 辞任         補欠選任

  中谷 真一君     井野 俊郎君

  藤井比早之君     穴見 陽一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五七号)


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     ――――◇―――――

伊藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官宮城直樹君、総務省大臣官房審議官青木信之君、厚生労働省医薬食品局食品安全部長新村和哉君、農林水産省大臣官房生産振興審議官西郷正道君、林野庁森林整備部長本郷浩二君、環境省自然環境局長星野一昭君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。盛山正仁君。

盛山委員 おはようございます。自由民主党の盛山正仁でございます。

 これまで、環境行政というのは、どちらかというと自然環境の保全ということで、自然を守ろうという感じが大変強い行政だったかと思います。もちろん、生物多様性基本法なんかも管理ということを打ち出してはいるんですけれども、どちらかというと、管理、利用する、使うということよりも、できるだけ手つかずに自然を守ろう、保全をしよう、こういうことが環境省の行政のポイントだったんじゃないかな、そんなふうに思うんですけれども、今回の鳥獣保護狩猟適正化法の改正、この法律というのは、保全から管理に踏み出すという点で大きな意義を持っているんじゃないかな、そんなふうに感じているところでございます。

 まず、環境省、農水省、両省にお伺いしたいのでありますけれども、なぜそのように方針を変えるに至ったのか。今回の法改正に至った背景には、鳥獣による生態系あるいは農林水産業に対する被害、これが深刻になった、そういうことを踏まえてこういう法改正になったのではないかな、そんなふうに考えるところでございますが、被害の現状とそれらに対する見解を両省からまず述べていただきたいと思います。

星野政府参考人 鳥獣による生態系被害につきましては、ニホンジカによる被害が特に深刻でありまして、樹皮食害などにより樹木が枯れたり、ニホンジカの届く高さより下の植生が消失するなど、森林や草地等の衰退が起きているところでございます。全国に三十一国立公園がございますが、このうち二十の公園で生態系への影響が確認されておりまして、高山帯のお花畑が消失したり、森林内の下草が消失したりしているところでございます。

 また、生活環境被害につきましても、ニホンジカと自動車や列車との衝突事故などが報告されているところでございます。

 いずれも被害は深刻な状況にあると認識しております。

西郷政府参考人 お答えいたします。

 近年、農山村における過疎化や高齢化の進展によります耕作放棄地の増加、野生鳥獣の生息分布域の拡大などに伴いまして、野生鳥獣による農林水産被害が深刻化、広域化しております。こういうことをもちまして、地域経済の存続を脅かすような重要な問題にまで進展していると認識しております。

 鹿、イノシシなど野生鳥獣による農作物被害は、近年、被害額が二百億円を上回って推移しておりまして、平成二十四年度は約二百三十億円となっております。また、鹿などによる森林被害も、平成二十四年度には約九千ヘクタールとなっております。さらに、カワウやトドなどによります食害等の漁業被害も生じているものと承知してございます。

 鳥獣被害によりまして、額だけではございませんで、農林漁業者の経営意欲が減退してしまうというような、被害金額として数字にあらわれる以上の深刻な状況になっていると認識しております。

盛山委員 今両省から、鹿、イノシシ、トド、カワウ、こういった鳥獣被害が深刻である、こんな話、あるいは被害額が巨額に上っているというお話がありましたが、そういった被害に対して両省はどのように防止策を講じているのか、御説明いただきたいと思います。

星野政府参考人 環境省では、鳥獣による被害の防止に向け、捕獲の担い手確保、鳥獣保護管理に携わる人材育成、効率的な捕獲技術の検討、関係県の連携を図るための広域協議会の設置などを行っているところでございます。

 平成二十六年度予算におきましては、狩猟免許取得促進に向けたセミナーや自治体職員を対象とした研修会等を開催するほか、鳥獣の管理に関する最新の知見、技術の収集及び普及、国立公園等における鹿対策の促進などを行うため六億五千万円を計上し、鳥獣被害対策に取り組んでいるところでございます。

 また、平成二十五年度補正予算におきましても、ニホンジカなどの地域別の生息数の推定を行っているところでございます。

西郷政府参考人 農林水産省におきましては、平成十九年十二月に成立いたしました鳥獣被害防止特別措置法を踏まえまして、地域の鳥獣被害対策の取り組みを総合的かつ効果的に推進するための予算措置などを講じているところでございます。

 具体的に申しますと、この特措法に基づきまして市町村が策定した被害防止計画に沿って、侵入防止柵の整備でございますとか、わなとかあるいはおりなど捕獲資材の購入などの取り組みに対しまして、鳥獣被害防止総合対策交付金というのを交付いたしまして支援するということをやっております。

 また、野生鳥獣の個体数削減に向けまして、鳥獣被害防止緊急捕獲等対策におきまして、イノシシなどの捕獲数等に応じまして、一頭当たり八千円をお支払いするなどの、地域における対策の充実強化を図っているところでございます。

 また、捕獲等の対策の担い手といたしまして、鳥獣被害防止特措法に基づきまして市町村に設置されます鳥獣被害対策実施隊につきまして、予算上の重点支援、あるいはこれを早く設置するような普及啓発などによりまして、設置促進と体制強化を図っているところでございます。

 今後とも、生産現場の声に耳を傾けながら、安心して農林水産業に取り組めるように、被害軽減に向けて取り組んでまいりたいと存じております。

盛山委員 両省、そして関係の都道府県なり市町村の取り組み、御苦労されているということはわかりましたけれども、今回の法改正によってこれらの被害の防止をどのように充実していくと考えているのか、あるいは、この法改正によって被害防止策をどのように充実させていきたいと考えているのか、環境省の方からお答えいただきたいと思います。

牧原大臣政務官 委員が冒頭に御指摘いただきましたように、今までは鳥獣の保護というものが法目的であったわけですけれども、この目的に管理を加えて、積極的に必要な捕獲を行う事業等を導入するというふうに、抜本的な転換を今回の法律で図っているところであります。

 具体的には、都道府県やまたは国が、指定管理鳥獣捕獲等事業を創設するということであったり、鳥獣の捕獲を行う法人に対する認定制度の導入等の新たな措置を講じることとさせていただいております。

 これらの取り組みを通じて、都道府県を中心とする捕獲の強化や、多様な担い手による鳥獣管理体制の強化を図り、鳥獣被害対策を充実させていきたい、このように考えております。

盛山委員 今政務官から御答弁がありましたけれども、都道府県を中心にして計画をつくって、被害対策を充実させていきたい、こういうことだろうと思うんです。それがうまく実現できれば、こんなに喜ばしいことはないと私も思うわけでありますけれども、私が承知するところでは、今回の法改正では、それぞれの都道府県が特定鳥獣管理計画を定める、こういうことになっているかと思います。

 抜本的に鳥獣管理の強化、これを図っていくためには、都道府県がみずから行う捕獲の取り組みを強化する必要があると思うんですね。両省もそうでしょうし、あるいは各都道府県もそうでしょうけれども、どのように現場でそういうような捕獲の取り組みをしていくことができるのか、そしてそれを強化していくことができるのか、こういったところが課題かと思います。

 また、それぞれの都道府県がつくる計画、これをしっかりと把握した上で、やはり、必要に応じまして、政府の方で全体のバランスを見ながら各都道府県に対して指示をする、指導する、そういうような形で対策を強化すべきではないかな、そんなふうに思うんですけれども、環境省の方ではどのようにお考えでありましょうか。

北川副大臣 ただいま盛山委員御指摘のとおり、各都道府県における取り組みを国としてしっかりフォローアップをしていかなければならないと思っておりますし、そのためにも、鳥獣対策をまた全国的に進めていく上で極めて重要であると認識をいたしております。

 今回、この改正法案成立後におきましては、都道府県による第二種特定鳥獣管理計画の策定状況やその実施状況等の把握、分析を行い、都道府県における鳥獣被害対策の促進に向けまして技術的な助言等を積極的に行っていきたいと考えております。

盛山委員 今副大臣の方から、各都道府県の計画をしっかりと把握して、そして具体的にどのような管理、対策を打つことができるのか今後見ていきたい、こういうお話でありました。ぜひ努力をしていただきたいと願うわけであります。

 さっきもちょっと簡単に申しましたが、都道府県がみずから捕獲を行うといいましても、本当に現場で人がいるのか、あるいは地方公共団体の職員が捕獲する技術があるのか、能力があるのか、マンパワーがあるのか、こんなことにもなっていきます。多分、現在の都道府県の体制で管理を強化していくということはなかなか難しいんじゃないかな、現実には大変厳しいんじゃないかなと私なんかは思うわけであります。

 環境省の関係では、今までは、保全ということで余り管理はなかったと承知をしているわけでありますけれども、農林水産省の関係では、農林水産業に対する被害の防止ということで各地方公共団体に対して対策を講じている、そしてそれに当たっては、総務省の方で地方交付税の裏づけをされて、地方公共団体の対策の支援を国としてしている、そういうふうに私は承知しているわけなんであります。

 今回の法改正をする、そして地方公共団体に特定の鳥獣被害の防止のための管理計画をつくっていただく、そういうことをまずは都道府県に行っていただく、都道府県に担っていただく。そして、さらに、先ほど副大臣の御答弁にもありましたけれども、国の方で、政府の方でそれをしっかりとチェックしながら後押しをしていく、あるいは手助けをしていく、こういうことではないかなと思うんです。

 そのあたり、国の支援の今後の強化対策、まずは環境省としてどう考えているのかということであり、そしてまた、総務省に対しては、今までの農林水産省の所管の部分の対策に加えて、今回の法改正でどのように国としての支援を支えていこうとしておられるのか、そのあたり、御答弁をいただきたいと思います。

星野政府参考人 鳥獣の保護及び管理は、基本的に都道府県の自治事務とされており、予算措置も含めて都道府県みずから対応すべきものと認識しております。しかしながら、集中的かつ広域的に管理を図る必要があるものとして環境大臣が指定管理鳥獣に指定する種の対策につきましては、環境省としても、全国的に取り組みを推進する観点から、予算要求することを検討いたします。

 予算要求に加えまして、地方の事務として地方交付税交付金の対象とすることについても、今後、関係省庁と協議をしてまいりたいと考えております。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、地方団体が取り組む鳥獣捕獲等の対策に係る経費につきましては、地方交付税による財政措置を講じております。

 今回の法改正によりまして、都道府県が第二種計画を策定し、また、指定管理鳥獣捕獲等事業の実施、鳥獣捕獲等事業者の認定事務を行うことになるわけでございますので、この法改正により生じる地方負担に係る地方財政措置につきましても、関係省庁、地方公共団体からよくお話を伺いながら、適切に対処してまいりたいと考えております。

盛山委員 今総務省の御答弁で、関係省庁と御相談しながら適切に、こういうことでありました。今回の法案で、この二十六年度から直ちにということはなかなか難しいとは思うんですが、来年度、二十七年度の予算要求、つまりことしの八月末に財務省等に出される予算要求の中では、ぜひ、今回の法改正を踏まえた施策、この充実に向けて、関係省庁とよく御相談をされながら盛り込んでいっていただきたい、その点について再度強くお願いをしたいと思います。

 さて、今回の法改正では、認定鳥獣捕獲等事業者制度を創設することになっております。認定鳥獣捕獲等事業者、なかなか言葉としても、ぴんと、わかりにくい言葉ではありますけれども、管理をするためにあなたに任せるよ、こういうような特定の事業者、グループ、こういうことであろうかと思いますけれども、それらの団体というんでしょうか、それらの事業者の育成あるいは確保、こういったことが必要になるんではないかなと思います。

 冒頭の質問で、御答弁でもありましたけれども、イノシシ、鹿、あるいはカワウやトド、こういった野鳥獣が相当ふえているわけですから、それをここで急激に管理をするといいましても、これまでなかなかそういったことに手が回らなかったから、あるいは手を入れることができなかったからこれだけふえているわけでありますので、この現状を変えていくための認定鳥獣捕獲等事業者、こういった方を育成するのはなかなかそう簡単なことではないなと思います。

 今回の法改正による仕組み、制度の中身の御説明も必要でしょうし、そして、生態系の管理という点からも、どうすればいいのかといったような環境の観点からの知見、それから、今後出てくる猟の方法といったような技術、いろいろ、この認定事業者の育成、確保に向けて取り組まなければならない課題というのがなかなか多いんじゃないかな、そんなふうに私は思うんですけれども、政府として、どのようにして事業者を育成する、あるいはそういう実際に携わってくださる方をふやしていこうとしているのか、そのあたりについて御答弁いただきたいと思います。

星野政府参考人 十分な捕獲圧が保たれていない場所におきましては、認定鳥獣捕獲等事業者の育成、確保が重要であると考えております。

 このため、環境省におきましては、法改正により導入される認定事業者になることを希望する方々への講習や新たな制度の周知、さらには、認定事業者を含めた捕獲従事者の技能の向上や鳥獣の管理に関する知見、技術に関する情報提供など、認定事業者の業務が円滑に進むような支援を検討してまいりたいと考えております。

盛山委員 割合さらっとした御答弁でありましたけれども、具体的に地方公共団体あるいは現場の方とよく御相談をしていただきながら、簡単に言えば、捕まえる事業者さん、そういう方々をうまく育成していけるようにぜひ知恵を出していただきたいなと思います。

 続きまして、警察庁さんに一問、御質問したいと思います。

 先日の本会議の場で御答弁がなされましたけれども、認定事業者の従業員については、業務で使用する限りにおいて、散弾銃の所持から十年を経ずともライフル銃の所持を認めるようにしていくということで鳥獣の管理を図られたい、あるいは、そういうふうにしていかないと難しいんじゃないかなと私は思うわけであります。

 銃刀法の改正に向けて、警察庁のお考え、先日の本会議でも一応御答弁はあったわけでありますけれども、もう少し詳しく御答弁を伺いたい。

 特に銃砲店、皆さんごらんになられればおわかりになると思うんですけれども、我が国においては、犯罪被害を防ごうという観点から、銃砲に関する規制というのは大変厳しくなっております。安全、治安という観点からは当然そうだと思います。特に、私の神戸という選挙区は有名な特定広域○○団がいるものですから余計にそうなるのかもしれませんけれども、銃砲店という看板はかかっていても、お店を見ると何屋さんかわからない。机と椅子しかない。つまり、銃砲の陳列するショーケースは全てシャッターがおろされている。それぐらい大変厳しい管理になっているわけです。

 それはそれである程度は仕方がないかなとは思うんですけれども、そういったことも含めて、狩猟をする人が減ってきているんじゃないかなと思います。警察庁さんの規制が強いこと、それだけが狩猟人口を減少させたと言うつもりはありません。

 昔は、私の知り合いの田舎の方に行きますと、ポインターなどの猟犬を飼っている人が割合おられました。そして、秋から寒くなってくると狩猟されるという方がそんなに珍しくはなかったと思います。きょうはキジをとってきたからどうだいとか、そんなこともあったかと思います。

 しかしながら、今、都会でそのような猟犬を飼うという人はまずいないと思いますし、そしてまた、都市に住む人で狩猟される方というのも大変少なくなってきていると思います。それぐらい、散弾を使われる、あるいはライフルを持たれるという、猟に携わられる方というのは大変減少している、これが現状ではないか。だからこそ、こういうような法改正をして、何とか管理をしないといけない、被害を抑えないといけない、こんなふうになっているんじゃないかなと私なんかは愚考するわけであります。

 狩猟人口が減っている、あるいは、今回の法改正によって認定事業者、先ほども環境省からの一応の御答弁はありましたけれども、それらの方々、つまり捕獲をする方々をいかにふやしていくか、そういう点において、銃刀法の規制、特に散弾銃とライフル、この辺の変換点というんですか、こういった点についてやはり警察庁さんとしてもしっかりと前向きに、警察庁さんもこういう自然環境の管理ということに対して責任を有している役所であるというふうに私は考えるんですが、そういったことを踏まえて、今後の改正のあり方についての御答弁をいただきたいと思います。

宮城政府参考人 お答えを申し上げます。

 ただいま御指摘ありましたように、警察といたしましても、鳥獣被害の対策、これは極めて重要なものと認識してございます。

 そういった観点から、現在、銃刀法の規定に基づきまして市町村が設置されます鳥獣被害対策実施隊、この隊員につきましては、猟銃の所持期間が十年未満であってもライフル銃の所持許可の対象としている、こんな扱いをしてございます。加えまして、鳥獣被害対策実施隊の隊員等につきましては、技能講習、これは負担がかかるもので、これも免除するということでございます。

 このほかに、今回の改正案において規定されます認定鳥獣捕獲等事業者、これにつきましても同じような措置ができるのではないか、それが可能かどうか、これを環境省と検討することとしてございます。

 このほかに、平成の二十四年、おととしの十月からでございますが、一部の都道府県で試行してまいりました各種の講習、こういったものの休日開催等を本年度から全国で実施するように指示してございます。

 ただ、やはり、銃砲による事件、事故というものが依然として発生している状況を踏まえまして、銃刀法の規制を一律に緩和するということは適当でないかなと考えてございます。

 ただ、今後とも、鳥獣被害の対策と銃砲の規制による安全、このバランスを考慮しつつ、必要な措置を講じてまいりたい、このように考えてございます。

盛山委員 バランスを考えながらという御答弁がありました。それ以上はなかなか難しいんじゃないかとは思いますが、ぜひ、安全ということだけではなく、警察庁さんも自然環境の管理に責任を有しているということを自覚を強めていただければなと思います。

 最後の質問になりましたけれども、冒頭に申し上げましたが、今回の法改正というのは、自然環境の保全から管理に大きく一歩を踏み出した法案であると私は考えております。生物多様性の観点からも、農林水産業の健全な発展や生活環境の保全の観点からも、鳥獣被害対策というのは待ったなしの課題になっているなと思います。

 しかしながら、先ほどから御議論申し上げているように、生息地や個体数の管理を行うということは、平たく言うと、生き物の命を我々が奪っていくということにほかなりません。

 大分以前、白神に伺いまして、元またぎであった方々のお話も伺いましたけれども、それらの方々は、やはり、例えばキノコであっても、あるいは植物であっても、翌年ちゃんとまたその自然の恵みをいただけるような程度しか我々は頂戴しないんだ、そういうことを考えながら私たちはとっている。あるいは、熊ですとか鹿ですとか、そういう動物についても、翌年以降のことを考えながら我々はそれらを捕獲して、そしてそれらの命を頂戴しているんだ、そういうようにして私たちは自然の恵みに感謝をしながら生きているんだ、こんなお話を伺いまして、なるほどな、本当にそうだなと思いました。

 こうやって都会に住んでおりますと、我々の日常の食生活、肉であれ魚であれ、あるいは野菜であれ、生き物の命を我々は頂戴しているんだということをつい忘れがちであります。

 そしてまた、特定鳥獣被害ということがこれだけ深刻になっているという御答弁、その他もありましたけれども、鹿やイノシシも悪いといえば悪いんですけれども、彼ら自身に責めを帰するのは大分気の毒なところがあると私は思います。彼らも、生きていくために、何とかして自分たちの種を保存していくために、子供をふやしていくために、そうやっていろいろなものを食べたりして、そして、人間から見ると被害、こういうふうになっているんだと思います。

 逆に言うと、そういう鹿やイノシシに、町中へ、あるいは田んぼや畑におりてこさせるようにしているのは、私たち人間が自然環境を破壊していった、あるいは自然環境を変えていった、その結果、こういうふうになっているんじゃないかなと思います。

 生態系の保全の重要性ということ、あるいは、自然の恵みによって我々は生きているんだということを国民の皆様によく理解をしていただくということ、それが必要ではないかなと思いますし、また、そういう役回りを持っているのが環境省ではないかなと思います。

 今回の法改正による新たな措置が着実に実施されること、それを私も期待いたしますが、それとあわせまして、国民の皆様にどのように御理解を深めていけるのか、そのあたりについての取り組みについての大臣のお考えを最後に伺いたいと思います。

石原国務大臣 やはり、盛山先生が最後に御開陳をされたところが今法律案の一番中心だと私は思います。

 自然に人間が生かされているということを人間は忘れちゃいけませんし、幾ら管理ということを新しい法体系の中に入れるとしても、やはりその管理を行っていく上で基本となるものを私たちは見失ってはいけない。

 この御討議の中の冒頭に盛山委員が御発言されました生物多様性基本法、これはたしか議員立法で、盛山委員も中心になって、平成二十年ぐらいでございましたか、取りまとめられたものと承知しておりますけれども、ここでの考え方、やはりこういうものを基本にしていかなければならないと思います。

 種の保存というものがしっかり図られるとともに、多様な自然環境が地域の自然的社会的条件に応じて保全されていかなければならないということが法案の基本的な部分であったと認識しておりますけれども、やはり、新しい法律によって、幾ら鳥獣被害が日本の各地で多く出てきているとはいえ、この対策を推進する以上は、この基本原則から逸脱してはならないのではないかと私は思っております。

 しかし、その一方で、人間も生かされている、動物も生かされている、その互いに共生していく中で鳥獣被害をどういうふうに解決していくのか。改正案に基づく新たな施策、これからが、法律が通った後が大変だと私は思います。着実に実施されるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

盛山委員 御答弁ありがとうございました。

 ぜひしっかりとした取り組みをされることを心より祈念申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、篠原孝君。

篠原委員 民主党の篠原でございます。おはようございます。

 久しぶりにこの委員会で質問させていただきます。

 まず、大臣にお伺いしたいと思います。

 前、私が環境委員会に所属していたときに法律改正がありました。そのときは小池大臣でしたけれども、きちんとは記憶していませんけれども、鳥獣という名前がいかにもよくない、ちょっと古めかしくてよくないんじゃないかと。この次の法律改正のときまでには考えますというようなことをちらっと言われたような気がするんですけれども、議事録は確かめてまいりませんでした。ですが、今度、管理という概念が入ったりして、ちょっと変わりつつある。

 この法律は、もともと片仮名で書かれたりしていたのを平仮名に変えた。みんな、片仮名を平仮名に変えたり、古めかしい名前を新しく変えたりというのをしているわけですね。

 環境行政なんというのは、概念とか考え方が一番変わっている分野の一つじゃないかと思います。相変わらず鳥獣というのを使っている。鳥はいいんですけれども、けだものと。これは、ワイルドライフとかワイルドアニマルとかいって、野生生物とか野生動物とかいっているんですね。ですから、私は、こういう大事な改正があったりするときには、真剣に名称のことも考えていただいて、変えていただいた方がいいと思うんです。

 なぜこういうことを言うかというと、環境行政というのは、一般の人々に理解してもらわなくちゃいけないんです。だから、親しみを持ってもらわなくちゃいけないと思います。けだものとかいうのは、余りいい意味では使われないんじゃないですか。我々のところでは、余りいい意味では使われないはずです。

 資料を皆さんのところにお配りしてあります。

 四ページ物なんですが、二枚目のところの「大学における獣医学部・学科等の在学者状況」というのがあります。これは、別のものに使うために、メーンはそちらの方なので後で触れますけれども、ここのところの下の方の表ですけれども、学部名というところを見てください。

 僕は、これは余りよくないことだと思います。

 農学部が、簡単に言うと、農業なんというのは過保護の代名詞みたいな感じで言われてイメージが悪い、そういうことを考える人がいるわけですね、外からそんなことばかり言う人たちがいるからです。だからというので、真ん中の辺を見てください。岐阜大学は応用生物科学部に学部名を変えている。下の方の公立、私立大学のところも同じで、生命環境科学とか生物資源科学と変えているんです。

 こんなのは私は行き過ぎだと思いますけれども、獣医というのも獣医師法があってです、この鳥獣保護というのはちょっと改めた方がいいような気がするんですけれども、こういう検討は審議会の場でもそうですが、環境省の中ではされておるんでしょうか。

石原国務大臣 篠原委員の御指摘のとおり、鳥獣とぱっと、この委員会ではないところで聞きますと、何の言葉を思い出すかというと、鳥獣戯画とかそっちの方に行くということはやはり、この言葉がある意味では古めかしいと私も思います。その一方で、山なんかを歩いていますと、目につく看板は鳥獣保護区。ああ、なるほど、鳥獣をここは保護するところなのかと、トレッキングなんかをしていると思うこともまた事実だと思います。

 今委員は、野生生物というお話、ワイルドアニマルですか、そういうお話をされましたけれども、野生動物にするともう少しカテゴリーが広くなってしまいまして、多分、爬虫類とか湖沼に生息する魚類なんかもきっと入ってくると思うんですね。

 では、どういう言葉がいいのか。では、鳥と哺乳類。哺乳類というと鯨まで入ってしまう。今度の法律はそういう法体系になっていない。これは私も、局長以下に、こういう議論はなかったのか、鳥獣保護法の一部改正案では幾ら何でもだめだろうと。

 だから、法律案も、変えた、管理ということを入れたということを冒頭の趣旨説明で言わせていただきましたように、そういう問題意識は持っているんですが、この鳥獣という言葉にかわる、今この法律の体系の中で示すいいワードが発見できなかったということは事実でございます。

篠原委員 非常に誠実な御答弁だと思います。こんなのを役人に任せていったら、やりはしないです。大臣がえいやとやらなかったら、動かないです、こういうことは。

 僕は、定義にいろいろあるというのはわかると思いますけれども、それは定義の中に括弧で書けばいいわけですし、幾らでも変えられるんじゃないかと思います。いつまでたってもこれでやっているのは、みんなは、ぱっとではよくわからないんです。いろいろなところでは、ニュークリアウエポンというのは核兵器で、ニュークリアプラントというと原子力発電所で、核のイメージが悪いからと変えたりとか、そういうのはあるわけですから、環境行政というのは挙げて国民の理解が要るんですから、皆さんに理解してもらうために親しい名前でやっていくべきじゃないかと思います。

 法律の中の問題に入りますけれども、私は、この問題そのものじゃないですけれども、同じように資源問題にかかわったことがあるんです。担当課長として三年、水産庁の企画課長で、私は新しい名前とかをちゃんと取り入れますから、後で触れますけれども、海洋生物資源の保存及び管理に関する法律という名前のものにしました。私がこの名前を決めて、皆さんの賛同も得て、この法律になっています。

 そちらは、とり過ぎが問題なんですね、過剰漁獲。農業と違って漁業は、とり方がどんどんどんどん進歩する。魚群探知機がある、だから、ぱっとまさに一網打尽にとれてしまう。だから、少なくなってしまうから、保存管理、コンサべーション・アンド・マネジメントです。これも英語からとっているんです。あちらの方がこういう概念は進んでいますからね。

 ですけれども、今度は、こっちはふえ過ぎが問題になっている。だけれども、これも保護と。こっちは前から保護を使っているからそれでいいんでしょうけれども、こっちは保護でいいんだろうと思いますが、保護と管理。ですけれども、何でこんなふうになっているかというと、十年以上前に導入いたしました特定鳥獣保護管理計画、これがうまくいっていないからだと思うんですけれども、これの見直しとか、ここのところをいじくってどうこうしようというのを真剣に検討されたんでしょうか。

北川副大臣 ただいま篠原委員御指摘の特定鳥獣保護管理計画につきまして、ほとんど働いていないんじゃないかなというお話もありましたが、特定鳥獣保護管理計画は、もう御承知のように、平成十一年に長期的な観点から特定鳥獣の保護を図ることを目的として導入をされたものであり、例えば、ニホンジカ、ツキノワグマを初めとする六種について、四十六都道府県で百二十七計画が平成二十五年四月現在で作成をされております。

 この制度におきましては、保護のためという位置づけの中で、捕獲規制の緩和により捕獲等の管理を推進するという仕組みであったため、減らすべき鳥獣に対する取り組みが不十分であったと我々も考えております。

 このため、改正案におきまして、保護と管理を明確に区分し、積極的な捕獲のための措置として、都道府県等が実施する捕獲事業を創設する等の改善を今回図っているところでありますので、それに基づいて進めていきたいと考えております。

篠原委員 一気にはいかないと思いますけれども。考え方が変わったんです。だから、人間が過剰に介入し過ぎるからこうなるんです。とり過ぎも過剰介入、ふえ過ぎも過剰介入して、とっちゃいけない、とっちゃいけないということを言っているからなんです。

 だから、今度は計画を二つつくって、保護のための計画と管理のための計画。しかし、これは、やってみられたらわかると思いますけれども、地域によっても違ってくるし、やはり、保護、プロテクションとマネジメントを分ける必要はないですね。何でこんなふうになっているのか、これは僕は修正を求めたいぐらいです。これから審議されるんでしょうけれども、二つに分ける必要はない。

 魚だって同じなんです。同じサバでも、北の方のサバはいっぱいあるけれども、南の方の九州近くのサバは、群が違うから、こっちは多いとかあっちは少ないとかになるわけです。そういう群ごとにつくればいいわけですし、片方でふえているし、片方は減っているというのがあるから、それは一本でいいんだろうと思います。

 わざわざ分けて、何で人間が勝手に、こっちはふえている、こっちは減っているとやるのか。本当に我が国はそういうところが進んでいませんから、個体数を管理して、この程度がちょうど自然の状態だというのをわからないでいるわけですね。過剰介入し過ぎているから。

 だから、二つの計画をつくるというのはおかしいと思うんです。これも皆さん、一生懸命考えてやられたんだろうと思いますけれども、今からでも遅くはないし、一つにしてもいいような気がするんですけれども、いかがでしょうか。

北川副大臣 ただいま篠原委員御指摘の、魚につきまして、海洋生物資源の保存及び管理に関する法律、これにつきましては一つの計画であるので、今回なぜ二つの計画に分けるのかということであります。

 先ほども申し上げましたように、これまでの特定鳥獣保護管理計画は、一つの計画であり、その中で、保護のためという位置づけの中で被害対策も行うこととしたために、減らすべき鳥獣に対する取り組みが不十分であったため、このような形でイノシシまた鹿がふえてきたという現状があるわけであります。

 そこで、今回の改正案では、特定鳥獣保護管理計画を、保護のための計画と管理のための計画の二つに明確に区分をいたしました。これにより、目的を明確化した施策を効率的に進めることができ、保護と管理の実現が図られると考えておりますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

篠原委員 これを何で言うかというと、目に見えているんです。やはり、保護し過ぎたから翌年からは管理の方で捕獲をふやすというふうになるんです。計画をつくりかえなくちゃいけないんです。これはだめなんです。

 先進国の例を学んでください。私はエコロジストの端くれですが、ヨーロッパで昔ちょっと生活したときに、感心しました。どうかというと、日本は三分の二ぐらいが森林ですけれども、ヨーロッパの森、フランスに私は三年住んだのですが、フランスは、みんな森を畑にしちゃったんです。それで、物すごい環境破壊がひどくなったので、森を残そうということで、新たに森を復活させたんです。だから、ブーローニュの森もバンセンヌの森もそういうふうに、あれは有名ですけれども、農村地帯に行っても、みんな森があるんです。だから、森を畑が囲んでいるという状態なんですね。

 どうなるかというと、その一つの森、まあ石原の森でもいいや、適当な名前がついているわけです。向こうはすんでいるものが違うので、日本の場合でいうと、その中に、鹿が何頭、ウサギは何羽、イノシシが何頭、これ以上ふえると畑に飛び出してくる、これ以上減るといなくなってしまうというふうに見るんです。

 そして、個体管理をきちんとして、狩猟制度、狩猟免許もきちんとしているんですよ。毎年免許を更新します。ことしは鹿を一頭、イノシシ三頭、ウサギを十羽とるのは義務ですと。義務を履行できなかったら、ほかの人にその権利を、権利というか、権利であり義務なんです、それを渡して、捕獲してもらわなくちゃいけないんです。そして、角を届けなくちゃいけない。そうじゃないと、翌年の狩猟権は得られない。これだけ厳密な管理をしているんです。だてに動物愛護と言っているだけじゃないんです。やっていることはやっているんですよ。

 ここには関係ありませんけれども、高速道路なんかに絶対来ないように網を張ってあったりする。これはイギリスに行くとでたらめで、タヌキやウサギがしょっちゅう死んでいますよ。フランスにはそういうものは全く見られないんです。コリドーと呼ばれる、あれは余り利用しているものはいないと思いますけれども、利用しているというか、あっちの森とこっちの森に行けるようにとか、気を使ってあるんですよ。魚道と同じです。これは余りワークしているとは思いませんけれども、そうやっているんですよ。

 だから、そういうふうに個体数管理をしていくんだ、一つの計画でもってやっていくというふうにすべきだと私は思いますけれども、いかがでしょうか。

牧原大臣政務官 先生がおっしゃるとおり、都道府県とかじゃなくて、それぞれ広域に移動するような鳥獣については、複数の県をまたぐという場合もあるので、その場合には、対象地域における生息状況調査や被害対策等をしっかりと関係の都道府県が連携して行うということが重要であるというふうに考えております。

 そのため、広域に分布または移動する鳥獣、例えば、鳥のカワウとか、ツキノワグマとか、ニホンジカ等でございますけれども、これらについては、環境省が主導して、関係する自治体や省庁が連携を図るための広域協議会というものを設置し、積極的に必要な調整を図っているところでございます。

 この協議会では、関係の都道府県で共通した対応方針を定める広域指針の作成や、一斉の追い払いを初めとする、関係者が連携して行う被害対策の実施など、広域的な取り組みを推進しているところでございます。

 ただ、これは平成十七年からスタートしてまだ数年ということでございますし、現在では、カワウで関東ブロック、それから、中部、近畿ブロック、ツキノワグマで白山と奥美濃地域、ニホンジカで関東山地というような取り組みでございますので、このような、自治体の枠にとらわれることなく、御指摘の、森林ごとの生態系などを保全していくということを積極的に進めていきたいと思っております。

篠原委員 牧原政務官の言われるのは本当に大事なんですよね。向こうは小さな森で、森を畑が囲んでいるから簡単なんですけれども、日本はみんなつながっているから。だから、カワウの例を言われましたけれども、琵琶湖のものがどこまで来ているかというと、長野県まで飛んできたりしているんです。だから、鳥によって、動物によって違うんですけれども、私は、基本的には、個体管理、群とか、数がどのぐらいでというのをきちんとすべきだと思うんですよ。

 しかし、では、そういうのを誰がやるか。これは全く手薄だと思います。水産の場合は、各県に水産試験場があったりして、資源量を調査する人材も要るんですよ、相当ないがしろにされて削られたりしていますけれども。これもよくないことだと思います。自然をちゃんと維持管理していくためにはお金がかかるし人も必要なんです。ですけれども、動物の世界、野生動物や何かの世界ではほとんど変わっていないんじゃないか。

 それで、さっき見ていただきました獣医学部の、別に獣医学部の人だけが必要じゃないですよ、一番動物にかかわっているわけで。ここにわざわざ女性の数というのを、ちょっと見にくいですけれども、入れているのは何のためか。女性が多いんですよ。単純な動機は、動物、犬、猫がかわいくてとか、だから獣医学部に行く。よく知りませんけれども、成績の上位の人たちはみんな女性が占めているそうです。この人たちは、犬猫病院、まあ、優雅に暮らせるだろうと思いますし、それは一生の仕事にしてやっていけるので、その仕事の場を奪うつもりはないんですけれども、その中の何人かの人たちに野生の動物にも興味を持っていただいて、環境省の職員あるいは都道府県の職員としてこういう業務に携わっていただければいいんじゃないのかと思います。

 見てください。全国の大学で、獣医学部の在学者六千三百十二人のうち半分弱、三千六十四人が女性なんです。この人たちは、本当に信念を持っておられるはずで、動物愛護、動物に引かれて、そして獣医学部に行ってというのです。もちろん、牛や豚の、家畜の獣医さんになってもらう人も必要なんですけれどもね。せっかくこういう人材がいて、ちょうどいい仕事場がある。ところが、そういう受け入れ体制ができていない。だから、野生動物保護管理官とかいう名前、これは環境団体の方からも要望でいつもあると思います、そういうのをちゃんと国が位置づけるべきなんですね。

 森林が大事だといったら、アメリカではテレビドラマになっていました、森林レンジャーというのがある。野生動物をちゃんと守るんだ、管理するんだ、そういう人たちを位置づけて、生きがいを持ってやっていただく。これだけの人材が要るんです。だから、環境省が、これはもう大臣の音頭ですよ、一声かけて、ちゃんと採用するんだと。女性の登用と言っているわけでしょう。だから、総務会長や政調会長だけじゃなくて、こういうところでちゃんとやるべきなんですよ。いかがでしょうか、大臣。

石原国務大臣 今のお話を聞かせていただきまして、御指摘はごもっともだと思っております。

 昨年は、環境省の採用は非常に抑制されて少なかったんですが、獣医学部卒の女性の方、この方を採用させていただいて、こういうところで育っていただきたいと。まあ数は少なかったんですけれども、そういう取り組みもさせていただいております。

 今委員は水産試験場の例を出されましたけれども、水産試験場なんかを見に行きましても女性の方は多いですよね。すごく、そこの海域あるいは生物を守ろうと。研究室なんかも、佐渡なんかに行きましても女性の方がしっかりやっていらっしゃるのを見まして、野生動物の方にもやはりそういう専門家が必要だという委員の御意見には、まさに私も賛意を表させていただきたいと思います。

 ですから、基本指針の中でも、都道府県に対して、専門性を持った、現場が都道府県でございますので、市町村でありますので、そこでも専門家をつくってくださいよ、その研修の方は環境省の方でお引き受けいたしますよという形で今連携を図っているところでございます。

 やはり、法律が改正されても、それをどういうふうに、先ほどの盛山委員との議論がすごく本質的な今法案の議論であったと思うんですけれども、そのものを具現化していく上でも専門的な人材の育成というものは重要でありますし、環境省としてもより一層取り組ませていただきたいと考えております。

篠原委員 それでは、せっかく江藤農林水産副大臣がおいでいただいているので、質問を通告していないんですけれども、今大臣から水産試験場の話が出ましたので。

 今、都道府県で受け皿としてあるのは畜産試験場なんですよ。都道府県へ行けば一緒ですからね。だから、そこのところにそういう野生動物の専門官というものを採用していただいて、それを専門にやっていただくということを考えてもいいんじゃないかと私は思うんです。今、環境省の地方支分部局なりに環境の関係で新しく試験場なんて建てられないですよ、この御時世に。だから、そういう柔軟な姿勢が必要だと思うんですけれども、副大臣で在籍されて、数年後は農林水産大臣になられるでしょうから、その間にぜひ実現させていただきたいと思っておるんですが、いかがでしょうか。

江藤副大臣 先々のことは私どもわかりませんけれども、正直なところ、宮崎県の場合は、まず大動物の獣医を確保することにきゅうきゅうしております。やはり、言われましたように大動物の方の獣医が圧倒的に足りない。共済でも採用したいし、県でも採用したい。女性でも男性でも構いません。しかし、森林レンジャーという話になれば、山に入っていって生態調査をするというのは大変な仕事ですよ。肉体的にも体力的にもかなりきつい仕事になると思います。フィジカルにも多分強くないとできない仕事だと思いますので。

 私のところは、イノシシも猿も鹿もおりますので、どちらかというと、大臣には申しわけないんですが、ばんばんとらないとやっていられない。山裾の畑は荒らされ放題という宮崎県でありますので、やはり適正な数字に、計画を十年間で立てましたので、そこにまずたどり着いて、そして、きちっと、本当に共生できるような環境を整えた上で、県でも、共済連でも、国でもいいと思いますけれども、しかるべき専門家を育成することについては、先生と同じ意見を持っております。

篠原委員 畜産試験場は九州農政局、国の試験場もあったりしますから、そういうところでやっていっていただければいいんじゃないかと思います。

 次に、これは半分もうお答えいただいておりますけれども、今、宮崎県でとおっしゃいましたが、個体管理というものは九州全体でやらないとだめですね、山はつながっていますから。こんなのは考えたらわかるんですよ。環境省は小さい省だったから仕方がなかったかもしれませんけれども、何か、みんな、県にやって、県にやって、県にやってと。県でばらばらでは、こういうものはできないんですね。大気汚染なんかもそうですけれども、国がみんなまとめてやらなくちゃいけない。

 アメリカなんかは、モンタナ州、ワイオミング州、アイダホ州と、州をまたがっているから国がやるべきだと、この野生動物の保護管理は国が相当権限を持ってやっているんです。アメリカは、ビジネス関係のは相当、日本と違いまして、州政府がルールを決めたりしているんですが、この点については国なんですよね。

 だから、一つの県が一生懸命やったって、違う県で全然やらなかったら、そちらの動物は移ってきますから。僕は、ここは、相当国がやらなくちゃいけないんじゃないかと思っているんですよ。

 例えば、長野県なんかは大変なんですけれども、五、六年前までは、イノシシなんか全然いなかったんです。地球温暖化で雪が足りなくなった。イノシシは哀れでして、短足ですから、大雪が降ったら動けなくなりますから、長野にはすめなかったんです。雪が少なくなったので、大量に来た。ことしは、その辺で動けなくなって死んでいるイノシシ、鹿もいっぱい見られるそうです。片っ方では、長い目で見ると、あんな北の方にはいなかった秋田県まで、もうイノシシが行っているんですね。

 だから、こんなのは、県だけに任せておいたらわけがわからないですから、国が絶対やるべきだと思うんですが、その辺のところを、どうも、人数も少ないせいもありますけれども、国が先頭に立ってやっていくという気概が見られないんですけれども、環境省はその点、どう考えておられますでしょうか。

石原国務大臣 同趣旨の話を牧原政務官の方からも御答弁させていただいたんですけれども、やはり、広域に分布する。また、鳥は羽がありますので移動距離も大変多い。片方で管理をしても、飛んでいって、違うところがあれば、その管理というものは十分なものではない。まさに委員のおっしゃるとおりだと思います。

 数は少ないんですけれども、広域で協議会をつくって連携してやっているということもございますが、これをより広範囲に、特に、地球温暖化によって、今まで生息しなかったイノシシが生息地を変更しているということに代表される例を委員は出されたわけですから、こういうものにも対処できるような調整というものは、環境省が中心になって、これから積極的にやっていかなければならない問題だと認識しております。

篠原委員 これは、いきなりふえたからといって、とることに行っちゃっているんですけれども、捕獲の前にすることはあるんだろうと思うんですね。

 その一つが、里山里地と言われていますけれども、よく言われていますように、荒れ地にしちゃったり、遊休農地ばかりになっちゃったりする。だから、ちょうどいい餌が、鹿にとっては餌ですね、草、それから山の中の手入れをしていないというのもあって、生育環境もちゃんと、生存環境というか生息環境ですかね、これをきちんと整備する必要があるんですけれども、これは農林水産省にやっていただかなくちゃいけないんですが、被害を受けている、受けているということで問題にされるんですが、悪いにおいはもとから断たなくちゃいけないので、その点についての対策みたいなものは、農林水産省は真剣に取り組んでおられるんでしょうか。

江藤副大臣 率直に申しまして、真剣味はまだ足りないと思います。

 どうして野生動物が里山におりてくるのか、それは食べ物がないからだということは当たり前の話であります。ですから、昭和三十年代からの拡大造林計画で、無理無理針葉樹林を植えまくって、国民の木材需要に応えようとしたわけですけれども、その後、木材市況も悪化して、今ちょうど、全伐もして、植栽もやり直す時期にかかっております。

 ですから、今までのような再植林という考え方じゃなくて、針葉樹と広葉樹をあわせて植栽をして、自然の山に戻す山もこれからふやしていく、そういう事業もやってもおりますけれども、環境林整備事業、先生もよく御存じの事業でありますが、これもなかなか、個人で山を持っている人が当該市町村の人ときちっと同意を持って、金にならない山に戻すモチベーションは十分働いているかといえば、私は、ここは農林省は反省すべき点があると思っておりますので、宿題としていただいて、取り組んでいきたいと考えております。

篠原委員 時間になりますので、ちょっと省きまして質問させていただきたいと思います。

 私は、数年前のときには、中山間地域で犬の放し飼いを認めればいいんだということを申し上げたんです。犬の小便と言ったら、余りそういうことを使うべきじゃないとかと言う人がいたんですが、犬のにおいがしみついていたら来ないというのがあるんです。その点、どうなっているかというのを聞きたいんですけれども、それは後にします。後というか、もういいです。

 新しいのです。オオカミです。資料を見ていただきたいんです。

 これは日本オオカミ協会のアンケート調査、僕は、これは客観的にやっておられると思うんです、三年ごとに。オオカミを復活、アメリカではリイントロダクションと言っていますけれども、これについて賛成か反対かというのを、必要であるという人が相当ふえている、必要じゃないという人は減っていくと。これも考えたらいいんだろうと思います。

 私は、動物を差別するというので、オーストラリアとニュージーランドが日本の捕鯨はけしからぬというので、国際司法裁判所の判決が下っていますけれども、あれはよくないと思いますよ。ゴキブリとカブトムシ、同じ昆虫なのに、ゴキブリが出てくれば踏みつけて、カブトムシだとかわいい、かわいいとか、そういうのと同じなんです。コウノトリやトキを復活させる、オオカミは、もう先例があるんですね。

 アメリカで、イエローストーン国立公園からオオカミを駆逐したんですね、駆除したんです。一九二五年です。そうしたら、日本と同じ問題が起きているんです。木が食われ、草が食われて、自然環境を壊しているということで、どこで問題にしたか、やはり議会なんです。

 それから四十年ぐらいたって、一九六六年にアメリカ議会が問題にして、そしてさんざん議論したんですけれども、やはりオオカミを放そうということで、ハイイロオオカミですね、ニホンオオカミじゃないです、ニホンオオカミと同じ系列と言われているんです、それをカナダから持ってきて、十四頭を放し、それから六十つがい放しということで、だんだんふえていく。そうしたら今度は、害がある。何でかというと、家畜をいっぱい食い荒らしたりするから問題になったんですね。

 それで、今も論争が続いています。一時は、エンデンジャードスピシーズというか絶滅危惧種に、アメリカの法律の中に入れられて、ふえたんですけれども、ふえ過ぎたから殺すと。それで、家畜に害を及ぼすような場合は殺していい、捕獲していいというふうにモンタナ州ではあるので、モンタナ州の州知事は捕獲しろと言って命令している、環境グループとすったもんだしているんです。

 私は、自然の状態に戻すということも必要だと思うんですが、我が国では、ばかにして、全然検討されていないような気がするんですよ。論争をしたアメリカだって、本当に導入するには、一九六六年に議会で問題にして、一九七四年に法律ができて、本当に放したのは一九九五年です。時間がかかっているんです。我が国も、百年ぐらいたってしまって、自然の生態系を壊しちゃっているんですよ。

 だから、こうなって、我々がまたとばっちりを受けて、あたふたしなくちゃならないので、自然に戻そうと、トキを中国から持ってくる、カナダでもいいですよ、イエローストーンのオオカミに来てもらって放してみるということを実験的にやってみてもいいような気がするんですが、そういう検討は環境省ではされたことがあるんでしょうか。考えておられたり、議論したことがあるんでしょうか。

北川副大臣 ただいま委員のお話にある、オオカミを放せばどうかというお話であろうと思いますが、御承知のように、ニホンオオカミは一九〇五年の確認を最後に生息は確認をされておらず、絶滅をしたと考えられております。なお、オオカミはまた、今委員の方からもお話がありましたように、生態系の頂点をなす捕食者であるとも認識をいたしております。

 しかし、オオカミを再び自然に導入することにつきましては、ニホンジカの個体数の減少に対する効果が定かでない上、人身被害の発生、先ほどイエローストーンのお話がありましたが、家畜等や愛玩動物への被害、感染症による他の動物への影響、狂犬病など、動物だけでなく人にも感染する感染症による人への重大な影響などの懸念があるということであります。こういう点もあり、現時点におきましては、オオカミの導入を検討する状況にないと我々は考えております。

篠原委員 余り、そういうふうに言われるとよくないですね。各県で困っているわけです。だから、いろいろなことをやってみていいんだろうと思います。全国一斉にやる必要はないんですけれども、気のきいた知事がいて、意欲的な人がいて、困っている人がいたら、悪いんですけれども、そうしたら九州でもいいです、九州地区のこの地域でパイロット的にやってみようというのがあってもいいんじゃないかと私は思います。そういう柔軟な姿勢で臨んでいただきたいと思います。

 次に、前から言われているジビエの問題です。

 これも、信州ジビエ協会というのができていて、後でもいいですから新聞記事をちょっと見てください。信濃毎日新聞、長野県の新聞ですけれども、そこに、「猟師になりたい!」と。吉田委員は代表質問の中で、猟師になったという本の紹介をされましたけれども、これは、なりたいといって、ずっと連載が数カ月続いているものなんです、二十回、二十一回。毎週月曜日に載るので、おもしろく見ているんですけれども、ここにいろいろなことが書いてあるので、参考になるので見てください。

 「猟師になりたい!」という、この先生は、その地域のイノシシが何頭いるかというのももう覚えているというんですね、歩いているから。だから、個体管理なんて、こういう人たちに手伝ってもらえばできるんですね、環境省の役人がやろうと思うからできないので。プロがいるんです。そういうふうにやってください。

 こういう人たち、ここに信州ジビエ協会の話が書いてあったりしていますけれども、何が今問題かというと、やはり、この分野は規制があるんですね。鹿を撃つ、処理場もある、だけれども、絶対そこで解体しちゃいけない。だから、内臓も入っているのを持ってくる。猟師はどうするかというと、腹を引き裂いて内臓を取り出して、それを埋めて、そして、腹の内臓を取り出したものを持っていくわけです。それだと食品衛生法違反だというんです。これが一番ガンになっている。

 こんなのはすぐ直してもらいたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

高鳥大臣政務官 篠原委員にお答えをいたします。

 業として野生鳥獣の解体を行う者は、食肉処理業の営業許可が必要でございまして、その衛生管理の基準の内容は条例で定められておりますが、内臓を取り出す行為を対象とするかどうかは、各県によって対応が一概に定まっておりません。

 ただし、野生鳥獣の血液や内臓には病原微生物等が含まれている場合もございますことから、食肉への汚染防止や作業者への感染防止のため、内臓摘出は処理施設において行うよう指導されていると承知をいたしております。

 その一方で、処理施設への運搬には時間がかかることから、委員御指摘のとおり、品質の低下とか腐敗を防止するために捕獲場所で内臓を摘出することを認めるべきとの御意見も承知をいたしております。

 厚生労働省におきましては、野生鳥獣肉の安全性確保のための研究を進めてきたところでございまして、今後、この研究成果等を踏まえ、衛生管理に関するガイドラインの作成を進めていくこととしておりますが、さまざまな御意見を踏まえつつ、さらに検討を進めてまいりたいと思っております。

篠原委員 農林水産省もいろいろ気を使っていただいて、この処理場に補助金を出したりしておるんですが、どうも利用率が少ないようなんですね。せっかくつくったものは、やはり食べてもらった方がいいよ。

 フランスは、ジビエ料理というのは高級料理なんですよ。日本でも、ちゃんと言っていったら、皆さん食べていただけるんじゃないかと思うんです。かたいとか言われていますけれども、本来、肉はかたいものなんです。我々が今食べているブロイラーなんというのは一カ月半ですよ。豚は五カ月です。牛も二十カ月。BSEで二十カ月、三十カ月。二十カ月なんです。物すごく若い動物の肉はやわらかいんです。

 だから、昔食べなかったもの、人間用に変なふうにつくられたものを我々は食べている。フランスの鶏はかたいですよ、走り回っている鶏ですから。そっちの方がかめばかむほど味が出ていいんですよとちょっと教えれば、日本人はすぐわかるはずなんですよ。

 この利用率を高めていったりする必要があると思うんですが、農林水産省はこの点についてどのような振興策を講じておられるんでしょうか。ぜひ、きちんとやっていっていただきたいと思っておるんですが。

江藤副大臣 具体的に推進策をどのようにやっているかといいますと、通り一遍になりますけれども、鳥獣被害防止総合対策交付金におきまして、処理場の設備の整備とか、そういうことをやっているわけでありますが、ただ、根本的な問題として、処理場に持ってきていただける個体数が少な過ぎるんですよ。それは、今委員から御指摘があったように、内臓が入ったまま山からおろすというのは大変な作業でありまして、百キロを超えるシシをそのまま持ってくるのは無理です。

 ですから、与党内で議論をするのはいかがかと思いますが、私どもの立場としては、実際に自分たちのところで自家消費している連中は全部山で内臓を出しているわけでありますから、そこら辺は、私どもとしても環境省とよく話をしてやりたいと思います。

 ただ、鹿の場合は、シャトーブリアンの部分はうまいですけれども、歩どまりが普通のニホンジカで二割ぐらいしかありませんし、エゾシカでも三割ぐらいしか肉の歩どまりがないので、これを商業ベースに乗せるにはやはり公的な支援がないと、なかなか民間活力だけでやれと言っても難しいのも事実だろうというふうに考えております。

篠原委員 では、環境省、厚生労働省、農林水産省、三省庁手を携えてジビエの有効活用に取り組んでいただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、百瀬智之君。

百瀬委員 日本維新の会の百瀬智之です。

 引き続きまして、鳥獣保護法について質問をさせていただきます。

 私、今回のこの法律、やはり狩猟者の育成は大変必要だと思っていますが、しかし、一方で幾つか問題点もあると思っていますし、我々が気づいていない重大な見落としもあるのではないかなということを常々思っておりまして、この点について質問させていただきたいと思っております。

 私も鹿についてちょっと調べてみたんですけれども、鹿というのは、消化能力、消化機能がとても強くて、草を食べる量が半端じゃないということで、森や林の草を食べ過ぎて、そしてそれらを食とする動物たちの被害につながってしまう、こういうことで理解しております。

 そこで、まず確認させていただきたいんですけれども、こういった鹿、そしてイノシシ、今それぞれ何万頭いて、これを今後何年までに何万頭に減らしていくおつもりなのか。前回の私の質問でちょっと触れていただいてはおるんですけれども、もう一度確認させていただいてよろしいでしょうか。

星野政府参考人 生態系や農林業に深刻な被害を及ぼすニホンジカ等の捕獲を科学的、計画的に行うためには、その基礎となる個体数等の推定を行う必要がございます。

 このため、環境省では、現在のニホンジカとイノシシの全国の個体数を把握するため、昨年八月、平成二十三年度の個体数推定を実施したところでございます。推定の数値には幅がございますけれども、ニホンジカにつきましては中央値が三百二十五万頭、イノシシにつきましては中央値が八十八万頭と推定されたところでございます。

 これは、本州以南のニホンジカにつきましては二十年前と比べて約七倍、イノシシにつきましては同じく二十年前と比べて約三倍の個体数であり、大幅に増加していると推定されるところでございます。

 これに対してどのような目標を持って対策ということでございますけれども、環境省では、昨年十二月に、農林水産省と共同で抜本的な鳥獣捕獲強化対策を取りまとめたところでございます。この中で、当面の捕獲目標として、ニホンジカとイノシシの個体数を十年後の平成三十五年度までにそれぞれ半減させるということを目指すこととしたところでございます。こうした目標達成のため、さまざまな取り組みを進めていきたいと考えているところでございます。

百瀬委員 私もそのとおり進めばいいと思っておりますけれども、やはり、この計画には、多少無理があるのではないかなと思うところもあるわけであります。

 今回のこの抜本的な法律改正ということでありますけれども、今まで各都道府県でさまざまな取り組みがされてきたということを承知しております。北海道なり三重県なり長野県なり、こういったこと、各地で取り組みが進められてきた中で、やはり成果が上がっていないということではないでしょうか。

 そこで、これは通告していないんですけれども、こういったこともさまざま研究されているとは思いますけれども、これを踏まえての法律改正だと思うんですが、今までされてきた各県での取り組みでは何が課題となって、それを受けて今回どこに一番力を入れているんだというところを一つ御紹介いただけますか。

星野政府参考人 これまでも、各県ごとに鳥獣保護管理事業計画というものを策定いたしまして、計画的、長期的に各県内の鳥獣の管理をどうするかということを進めてきたわけでございます。

 しかし、これまでの法律では、あくまでも鳥獣の保護のためにどのように管理をしていくか、言いかえますと、狩猟の規制を通じて、これは規制と緩和、それをうまく組み合わせることによって鳥獣の管理をしてきたということでございます。

 やはり、鳥獣の保護ということを中心とした法体系でございますので、どうしても十分な捕獲の圧をかけることができなかった、これが一番大きな点ではないかなと考えているところでございます。

百瀬委員 私も、昨日、環境省の方から、捕獲数のシミュレーションというのをいただきました。二〇二五年までに現在のほぼ二分の一にニホンジカをしていこうというシミュレーションをたどると、捕獲率は今の約二・二倍に上げないといけないということであります。仮に二〇二五年までに現在のほぼ四分の一にしようということであれば、捕獲率はもう約三倍にしなきゃいけないということです。

 私が心配するのは、当然、捕獲率を二倍、三倍に上げていくということであれば、わなとか銃を使った捕獲、こういったものも二倍、三倍にしていくんだろうなと思っておるんですが、安全性とか里山の平和な暮らし、こういったところに影響が出てくるようではいけないと思っているわけであります。

 そういったところで、一つ御質問をさせていただきたいんですけれども、今、狩猟の方々が山に入る、そういったときに、周辺の住民の方々にどのような、猟をしますよとか、銃を使いますよとか、そういった告知はされているんでしょうか。

星野政府参考人 銃猟は、狩猟期間中に狩猟として行う場合、そして有害な鳥獣の駆除、そういった目的で行われる場合があると思われます。

 狩猟につきましては、地域ごとに狩猟の期間が明確にされておりまして、狩猟ができない地域も、住宅の密集地域等規定されておりますし、鳥獣保護区の中でも規制がかかっているところでございます。こういうことにつきまして、都道府県が、しっかりと地域に周知を図っているだけではなくて、もちろん、ハンターの方々にも、どこが銃猟ができない地域なのか、そういうことをしっかりと周知をされているというふうに聞いております。

 また、有害鳥獣駆除につきましては、必ずしも狩猟期間ということではございませんので、それが行われる場合には、地域に集落があるようなケースは事前にそういったところに周知を図っているということでございます。捕獲に実際にかかわるハンターの方々は地域の猟友会に属されている方が多いということもございまして、地域に十分な周知を図りながら捕獲の事業が行われているというふうに承知しております。

百瀬委員 私も、実際には、山では慣行に従って周知というものがされているのかなと思っております。これから一層、安全性という面で、国の方でもしっかりと徹底していただきたいですし、また都道府県の方にも、そういった形で取り組みをもっと強くやるように言ってほしいわけであります。

 山は、御存じのとおり、周辺に住む住民だけではなくて、山にキノコをとりに行くおじさんもいれば、山菜をとりに行くおばさんもいるわけであります。そういった方々に被害が出ないようにすることは当然のことだと思っておりますけれども、ここで、ハンターによる誤射事件は過去五年間どれくらい起きているか、教えていただけますか。

星野政府参考人 ハンターによる誤射等、猟銃による事故は、全国において、平成二十年度から二十四年度までの五年間で合計百二十一件発生していると承知しております。

 事故原因の多くは、獲物や周囲の確認など、基本的事項を守らなかった狩猟者による誤射や暴発であるというふうに承知しております。

 これらの事故の防止は重要な課題でございまして、警察庁等関係機関と連携を図って、狩猟者団体等への注意喚起を強化するとともに、さらなる対策の強化についても検討しているところでございます。

 以上でございます。

百瀬委員 過去五年間、百二十一件ということで今教えていただいたわけですが、平均すると二十数件は起こっている勘定にはなるわけですが、これというのは人が死んでしまった事例もあるんでしょうか。それは何件とか把握されていますか。教えていただければと思います。

星野政府参考人 死亡事故のケースもございます。

 例えば、他損事故の原因を分析したものがございます。これは二十六件事故が起こっている年のケースでございますけれども、二十六件のうち一件が死亡事故、残りの二十五が死亡事故以外の事故だというふうに承知しております。死亡事故がかなり起こっているということは事実でございます。

百瀬委員 私も正確な数字は承知しておりませんけれども、死亡事故も少なからずあるということでありますから、より一層の対策というようなものが必要ではないかなと思っております。これから山の日もできるということですから、山に親しむと言っている一方で、山でドンパチドンパチという状況もいかがなものかなと思わない節もないわけであります。

 もう一つ、夜間銃猟を解禁するということであります。これは本会議での河野議員の指摘でもありましたけれども、今、ライフルの到達距離は、八百メートルから一キロ以上、物によっては四キロぐらいというものもあるわけであります。

 今回、夜間銃猟を解禁するに至った経緯また必要性、私はこれはもう昼にやればいいんじゃないかなと思っているわけですけれども、もう一度御説明いただけますか。

星野政府参考人 夜間銃猟は、安全確保という観点から、鳥獣保護法によりましてこれまで規制されてきたものでございます。しかしながら、御承知のとおり、鹿を初めとする被害が深刻な状況になってございまして、捕獲圧を高めるためにさまざまな手段を検討してきたところでございます。鹿につきましては、海外の事例によって夜間の銃猟が効果的な場合があるということを承知しております。また、都道府県等からもこの規制の緩和について多くの要望がなされたところでございます。

 こうした状況を受けまして、中央環境審議会において御審議をいただきまして、安全管理を厳格に行うことを条件として限定的に認めるという方向性が出されたことでございまして、それらを受けて今回の改正案の中に盛り込ませていただいたものでございます。

百瀬委員 繰り返しになりますけれども、やはり、山は日の出前でもキノコをとりに行く人もたくさんいますし、当然日の出前で寝ている人も多いわけでありまして、そういったときに、住民の方々が不安にならないように極力努めていただきたいと思っております。

 続けて、質問を、今度は認定鳥獣捕獲等事業者の方に移させていただきたいと思っております。

 この法律案を見させていただいて、十八条の五というところで、この認定そして基準、極めて厳格に都道府県にはやってもらいたいし、この法律の十八条の五の環境省令、これは多数準拠されて、引かれているわけですけれども、こういったところの安全基準ももう一度見直していただきたいなということを思うわけであります。

 今回、私が危惧しているのは、やはり、山の中で銃を使った猟がふえていくと、山の中というのは人の目がないというのが一つ私は心配するところが多いわけでありまして、営利目的の人がこれから出てくるかもしれないし、動物をあそこだあそこだと追っているうちについついゲーム感覚になりがちだ、こういう面もあるわけであります。

 そういった意味で、この銃猟のルール違反があった場合の罰則規定、こういったものも厳罰にやっていただきたいなと思うわけでありますけれども、現状とこれからの課題を一言いただけますか。

星野政府参考人 認定鳥獣捕獲等事業者につきましては、組織として効率的な捕獲等をすることが求められるため、法人に限るということにしております。

 また、認定の要件といたしましては、安全管理を図るための体制、捕獲に従事する者の技能、知識が環境省令で定める基準に適合すること、捕獲に従事する者に対する研修が一定の基準を満たすこと、役員が鳥獣法違反等の欠格事由に該当しないことなどとしておりまして、詳細は環境省令で規定することになりますが、内容については今後慎重に検討していきたいと思っているところでございます。

 また、認定された事業者につきましても、問題があった場合には認定を取り消すという規定も含めております。具体的に申し上げますと、認定鳥獣捕獲等事業者が実施する事業が認定の基準に適合しなくなった場合、都道府県知事はその事業者に対して必要な措置をとるべきことを命ずることができ、その命令に従わない場合には認定を取り消すことができるというふうになっております。

 また、鳥獣法の規定に違反した事業者に対しても認定を取り消すことができます。認定を取り消された事業者はその後三年間は認定を受けることができないということになっておりまして、慎重な対応をしていきたいと思っております。

百瀬委員 安全性をしっかりとやっていっていただきたいと思っております。

 次に、予算の話なんですが、先ほど自民党の先生からもお話しいただきました。予算要求に関しては、関係省庁と連携しながらというお話でありましたけれども、考え方として、これからハンターの法人化を進めていくに当たって、当然ハンターの方々に補助金を出すということになると思うんです。

 この見通しなんですけれども、十年たって目標を達成して鹿も半減したということになったら、これはまたハンターの数も削減していかざるを得ないだろうな、こういうような見通しなんですか。どうでしょうか。

牧原大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 将来のことはまだはっきりわからないところでございますけれども、先ほど局長からも御答弁させていただいたとおり、過去二十年間で、本州以南のニホンジカは七倍、そしてイノシシは三倍にふえるという、極めて増加率が高いものでございますので、仮に十年後に半減をさせるという目標が達成されたとしても、引き続き適正な管理をしていくという観点で、そのような事業者の方の仕事が急になくなってしまうということはないというふうに今捉えているところでございます。

百瀬委員 わかりました。

 今回の法律案、この計画に従って着々と進めていくことは必要だろうなと思っております。

 しかし、これから話をまた移していきたいんですが、先ほど来、篠原議員から、オオカミを導入すべきではないかというお話をいただきました。私も、これからオオカミについて、残りの時間、質問させていただきたいなと思っているわけなんですが、この質問をするに当たっては、私がきょう、オオカミを導入しろと言えば、孤立して、四面楚歌で、まさにオオカミ議員になっちゃうんじゃないかというような思いもしていたわけでありますけれども、先ほど、篠原議員の援護射撃もありまして、ここをお聞きしていきたいなと思っているわけであります。

 オオカミというと、やはり一般の方々は、えっ、大丈夫なのというような思いも持っているかと思うんですが、今し方、アメリカのイエローストーン公園のお話もいただきましたし、またヨーロッパでは、ベルン協定によって、もうオオカミは保護の対象になっているということであります。

 そこで、まずお聞きしたいのが、オオカミの絶滅と、今回の鹿及びイノシシ等の増殖、この関係性については、あるとお考えですか。

星野政府参考人 我が国では、一九〇五年の確認を最後に、オオカミの生息は確認されておらず、絶滅したと考えられております。

 詳細に申し上げますと、エゾオオカミ、これは北海道に生息しているオオカミですが、一九〇〇年、明治三十三年ごろを最後に、確実な記録はございません。また、本州、四国、九州に生息していたニホンオオカミ、これにつきましては、明治三十八年、一九〇五年、奈良県での記録を最後に、確実な記録がないという状況でございます。

 したがいまして、現在問題となっている鹿、イノシシの増加による被害につきましては、オオカミの絶滅との直接的な因果関係はないものと考えております。

百瀬委員 因果関係はないとおっしゃられましたけれども、私は、あると考えておりまして、確かに、明治以来よりオオカミの生息が日本にはないわけでありますけれども、オオカミの絶滅の直後から数十年前ぐらいまでにかけては、まだ人間による捕獲圧が高かったのではないかなと思っております。

 やはり、今、鹿、イノシシがふえ過ぎてしまったのは、その頂点捕食者たるオオカミを絶滅させてしまった、これは人間がやってしまったことであるんですが、ここは反省としてしっかりと持たなければいけないんだろうなと私は思っていますし、これからオオカミを導入するということも、本当に検討する段階に入っているだろうなと思っております。

 先ほど、オオカミをなぜ導入しないんだ、人への影響があるしということで御答弁をいただいたんですけれども、やはり、人を襲うというのは、当然国民の皆さんは不安に思うところなんですけれども、私が調べる限りでは、まず、オオカミというのは人を襲う動物ではないと認識しております。仮に人を襲うということであれば、今、ヨーロッパ各地、またアメリカ等々、諸外国で大きな社会問題になっていると思うんです。

 こういったところについて、どうお考えですか。

星野政府参考人 アメリカでは、イエローストーン国立公園を含むかなり広範な地域を対象にオオカミの再導入を行ったところでございます。

 私どもの手元の情報では、一九九五年、九六年、六十数頭を導入したということでございます。これが、二〇一三年時点での推定が千七百個体近く、六十六が、二〇一三年に千七百個体近く、七十八以上の繁殖ペアを含んだ三百二十の群れに広がったということでございます。その間、オオカミによる被害も報告されているところでございます。

 広大な土地のあるアメリカと人口密度の極めて高い日本、単純な比較は困難だと思いますけれども、我が国においては、先ほども御答弁がございましたけれども、日本にアメリカと同じように再導入した場合、いろいろな問題がある、プラスと考えられることよりも懸念材料がたくさんあるということで、現時点では、再導入についての検討は環境省としては行っていないということでございます。

百瀬委員 アメリカの場合は、当然、面積が広いということもあると思いますけれども、これはドイツでもそういった例はあるというふうにお聞きしています。世界各地を見れば、当然、日本と同じような状況での導入がどうなるかということもシミュレートできると思うんですね。被害はいろいろあると思うということでありますけれども、そのいろいろを一つ一つ突き詰めていくことが大事だと思うんですよ。

 家畜の被害というのも言われていますけれども、今、日本で、建物の中で牛も豚も飼育されているところが結構多いですし、そういった面からすると、必ずしも家畜、それも対策はある程度は必要だと思いますけれども、全部が全部アメリカと一緒ということではないんだろうなというふうに思っております。

 当然、オオカミを導入したときに、生態系がもとに戻っていって、鹿、イノシシ等は減っていくということも推察されるわけでありますし、先ほど予算の話もいたしました、こういった予算、ハンターの方々への補助金をどうするんだというような税金投入といった観点からも、コスト安で済むというふうに承知しております。

 この観点については、これから本当に一層、少なくとも検討はしていただきたいなというふうに思っているんですけれども、一言、前向きな御答弁をお願いできないでしょうか。

星野政府参考人 自然環境の政策というのは、科学的な根拠に基づいてしっかり行うことが大事だと思っております。今回の鳥獣法改正につきましても、基本はそういうところにあるというふうに私どもは思っております。

 先ほど来御答弁させていただいているように、オオカミの再導入につきましては、さまざまな課題がある、また効果についても、必ず効果が出るということが実証されているわけではございません。

 そういった現在の状況に鑑みまして、今回の法律改正で提案させていただいた内容について、当面、環境省としては全力で取り組みたいと思っております。

百瀬委員 最後に、この点について三役の方どなたかから一言いただきたいわけでありますけれども、私は、先ほど伝染病という話もありましたけれども、あれも、今、日本の国内では狂犬病というのは抑圧されているものだなというふうに承知をしておりますし、さまざまな角度から検討する余地はあるのではないかなと思っております。

 古来、江戸時代までは少なくとも日本人はオオカミとともに過ごしてきたわけでありまして、昔は各地の神社で神仏につき従うものとして崇拝されていた、こういう経緯もあるようでございます。

 先ほど来、自民党の先生より、鹿も、せっかく生まれて、そして食べ物を求めて里山にやってきたのにというようなお話もありましたけれども、私も、やはり人間が管理するという思想がまずちょっと違うんじゃないかなと思っているわけであります。生態系がそのまま、ほっておいても回るようなシステムが一番いいのではないか、そして、そこを人間がアシストするような、そういった仕組みづくり、これは何なのかなということを私も考えてまいりたいと思っているわけでありますし、それが今回のオオカミの導入ということにも一つつながるのではないかなということで考えております。

 以上を踏まえまして、最後に一言お願いします。

北川副大臣 ただいま百瀬委員の方から、今回のオオカミの導入に関しての御提言があったわけでありますが、先ほど篠原委員のときにもお答えをさせていただきましたように、現時点において検討する状況にないということでありますが、先ほど石原大臣の方からもお答えをいたしましたし、皆さん方からの質問等にもありますように、やはり、自然の体系の中で人間がどこまで踏み込むのか、自然の摂理の中での共生ということにも意味があろうと思います。

 ただ、今回、イエローストーンの導入の先例といいますかお話がありますから、その中で、当時、この記事を書いた朝日新聞の記者の方ですか、その中において、やはりオオカミを今後管理していくのに大変な労力が必要であるということも言われております。そのための覚悟が、行政やまた近隣に住む住民の皆さんの意識があるのかということも言われておるわけでありますので、そういう点も鑑みながら、現時点では検討する状況にはありませんが、今後、生物多様性の基本法案、こういうものに基づいて、大自然の摂理の中でどう共生をしていくかというのも一つの今後の課題かとも認識をいたしておりますので、その点は御理解をいただきたいと思います。

百瀬委員 今後の積極的な政治判断に御期待申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、高橋みほ君。

高橋(み)委員 日本維新の会の高橋みほでございます。

 環境委員会で初めての質問になりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 私は北海道選出となります。ですから、野生の動物の保護そして管理に関しましては、特別に興味がございます。

 昨年、襟裳岬の周辺の漁民が切望しておりましたゼニガタアザラシの試験捕殺を環境省さんが中止するということがございました。それにつきまして私は農林水産委員会で質問させていただき、それから、もうずっとこの問題については興味深く追ってまいりました。

 そのとき、昨年度の話なんですけれども、ゼニガタアザラシは日本における絶滅危惧種である、個体数の調整はしっかりしなければいけない、そしてまた、一定数を捕獲したとしても実際に被害が減少するのかよくわからない、そんなような理由で、当面、試験的な捕殺を含め中止するというような御判断であったと思います。

 今回、このような鳥獣保護法の改正につきまして、理由としましては、いろいろなものの生息数が増加したり、生息域が拡大していることから、自然生態系への影響とか農林水産業への影響などがある、その点から今回改正するということを伺っておりますので、まず、先回のゼニガタアザラシの捕殺の中止の件はあれからどうなったのか、被害に遭っていた方たちの補償などは行われたのか、お伺いしたいと思っております。

星野政府参考人 昨年来、地元の漁民の方を交えた説明会を開いたり、あと、専門家の方々をメンバーとする検討会を開催させていただきました。その内容でございますけれども、今年度は、防除事業、それから調査事業を実施する、さらには海外の事例調査も行うということで検討会の先生方に御議論をいただき、漁協の方も入った検討会の中で、そういった方向で環境省が事業を実施するということで御了解をいただいたところでございます。

 事務的に経緯だけ御説明させていただきました。

高橋(み)委員 それでは、大臣に御意見をお伺いしたいと思います。

石原国務大臣 ただいま星野局長の方から事実関係についてお話をさせていただきましたが、この問題は、今議論されております鳥獣保護法の一部改正案とまた一つファクターが違うと私は認識しております。

 すなわち、ゼニガタアザラシは絶滅危惧種であります。絶滅危惧種は種を保存することが基本である、この立場に立ってこの問題は対処していかなければならないと考えております。

高橋(み)委員 石原大臣はファクターが違うというお話でしたけれども、被害に遭っている方というのは、ゼニガタアザラシであろうがトドであろうが、やはり同じ被害だと思います。今回の改正は、自然体系への影響以外にも、農林水産業に携わっている方たちへの問題というのも大きいと思いますので、幾ら絶滅危惧種だからといって、ファクターが違うという問題ではないと思います。その点はちょっとお考えいただければと思っております。

 私の地元、北海道では、野生動物による被害という点になりますと、現在は、新芽や木の皮などを食べてしまっております鹿、そして、出会うと生命の危機に陥ってしまうヒグマ、また、トドやゼニガタアザラシ、ゴマフアザラシなどの漁業被害が特に問題となっております。

 今回、これら一括して、何か具体的な法制度に変えていくのだろうかというふうに、私はとても期待しておりました。

 しかしながら、どうなったかというか、変わってはいないんですけれども、トドは、農林水産省所管の漁業法によって北海道海区漁業調整委員会が捕獲枠を決める、オットセイは、農林水産省所管の臘虎膃肭獣猟獲取締法で農林水産大臣が許可をする、ゴマフアザラシは、環境省が所管する鳥獣保護法に基づき都道府県知事が捕獲を許可する、ゼニガタアザラシは、環境省が所管する鳥獣保護法に基づき環境大臣が捕獲許可をするなど、同じ漁業被害でも、所管する官庁が異なったり、許可する者が異なったり、対応する法律が異なったりと、ばらばらです。

 これはどうしてなのか、包括的にこの鳥獣保護法で一括して対応できないものかお尋ねしたい、そう思っております。大臣、お願いします。

星野政府参考人 事務的なお答えをさせていただきたいと思います。

 鳥獣保護法におきましては、他の法律で適切な保護管理がなされているものにつきましてはそれぞれの法律を所管する者がしっかりと保護管理をするということになってございまして、それ以外の哺乳類、海生哺乳類については環境省が責任を持って保護管理をするという仕組みになっているということでございます。

石原国務大臣 先ほど、私、ファクターが違うというお話をさせていただいたんですが、高橋委員のパーセプションと私の議論しているパーセプションも違うんだと思うんです。高橋委員は人類の生存、生活、そちらのファクターとそちらのパーセプションに立って御議論をされておりますが、私はあくまで、環境大臣でありますので、種の保存というのが実は一番の仕事でございます。

 ゼニガタアザラシの話をもう少し補足させていただきますと、えりも地域でのゼニガタアザラシの存続可能性の評価、すなわち、この個体が固有種としてこれからどういうふうになるのか、固有種としてその個体数が増加傾向にあるのであるならば、絶滅危惧種ではなくなるわけでございます。そういう再評価を行わせていただくための必要なデータを収集し、調査を行っているということをちょっと補足させていただきたいと思います。

 そして、今委員の、各法律によっての違い、動物間における、哺乳類動物における違い。ここは、やはり、各法律の所管の、問題の発生時点での経緯というものがあるということはぜひ御理解いただきたいと思います。やはり、海生哺乳類を適切に保護管理できるように、この点につきましては、事務方に、考え方をもう少し整理しろ、過去の経緯もわかるけれども、現在の人類、人間との共生の観点から整理するように指示を出しておりますので、これがまとまりましたら、また高橋委員にもしっかりと御報告させていただきたいと思っております。

高橋(み)委員 ありがとうございます。御報告いただけるということで、楽しみに待っていたいと思っております。

 ただ、先ほど、私が人類の方に立っていて種の保存とか生物の方に立っていないというような御意見というかがありましたけれども、私はそんなことは思っておりませんけれども、今現在、どうしても、もう自然の生態系が崩れてしまっているときに、どうしていかなければいけないということを考えたときに、やはりそこの共生が難しい。大臣としましても、やはり、種の保存、一方に立っているわけではないと思いますので、その両者の調和の観点に大臣は立っていらっしゃると思いますので、私も、その調和の観点、調和の真ん中あたりに立っているということできょうは御質問させていただきたい、そんなふうに思っております。

 今度は、鹿の話にちょっと移りたいと思っております。

 鹿は、先ほど来、頭数がふえてしまっているというのは、客観的なデータによって明らかであるかと思います。そうしますと、何とかしてやはり適正な規模にちゃんと落ちつけなければいけないということは、これは皆様、ある程度合意ができていることかと思っております。

 狩猟者、ハンターの皆さんがかなり減少してしまっていて、そして著しく高齢化してしまっているというのは、皆さんよく御存じなことだと思っております。ですから、やはり、適切にハンターを育成していくということが大きなこれからの課題になるかと思っております。

 ただ、ハンターの養成というものを伺ったところ、銃を所持するのにかなり面倒な手続とお金がかかるということを伺いました。

 調べましたところ、申請には大体十万円ほどかかるそうですが、銃も新品なら十万から二千万円ぐらい。麻生大臣は二千万円ぐらいの猟銃を所持しているというようなうわさをちょっと聞いたことがあるのですけれども、普通は最初は中古で、七、八万円ぐらいから買えるということでございます。そのほかに、保険料を払ったり、猟友会の会費を払ったり。また、狩猟登録をするためには、一都道府県につき一万八千円ほどかかるということでありました。一都道府県につき一万八千円ということは、隣の県に行ったりするとまた余分に払わなければいけない。全国を股にかけたまたぎさんになると、幾ら払わなければいけないんだろうというような話になってきてしまいます。

 そしてまた、その書類というものも面倒なようで、精神疾患にかかっていないことを証明しなければいけないということも伺っております。これを考えますと、ハンターになる人というのは、かなり裕福であって、また時間に余裕がなければできないなというような印象をちょっと受けてしまいました。

 銃というものはすごく危険なものでございますので、適切な管理というのは必要である、これはもちろん重々承知はしております。ただ、初心者の銃の所持の許可申請時、警察署での質問の内容というのをお伺いしましたところ、これは大日本猟友会さんのお話なんですけれども、なぜ、どうして銃を持ちたいのか、それは誰から持てと言われたのかとか、職場の上司初め同僚は理解をしているのか、職場では出張や夜勤があるのかとか、その場合は銃をどうするのか、今後、家族、近隣、職場の皆さんに聞き取り調査をするけれどもそれでもいいのかというような質問をされていると伺っております。

 これによって、直接の因果関係はわからないのですけれども、大日本猟友会さんによりますと、銃所持許可申請をしようとする者の八割近い人たちが、もう最終的にはやめてしまう、辞退するというような状況にも陥っていることと伺いました。平成二十四年度に実際に実施しました北海道による全道狩猟者アンケートでは、約四〇%の方が猟の免許手続の負担があるというふうにおっしゃっております。

 ですから、適正な規模での野生動物の管理ということから考えますと、やはりハンターを育成しなければいけない。とすると、やはりお金の面とか手続の面できちんと変えていかなければいけないことがあると思うんですけれども、その点、いかがでしょうか。

宮城政府参考人 お答えを申し上げます。

 警察といたしましても、鳥獣被害は極めて重大と認識してございますが、一方で、銃砲の規制でございます。これはやはり、我が国の良好な治安の根幹をなすものでございます。そこで、銃砲の所持許可でありますとかあるいは更新、このときは、やはりきちんとした厳格な手続をとらせていただきたい、このように考えてございます。

 また、所持許可などに当たりましての費用でございますが、こういう点につきましては、今申し上げたいろいろな厳格な必要な手続がございます。この実費を勘案して都道府県の方が定めるということになってございますので、やはりこれは申請者の方々に負担していただきたい、このように考えておるものでございます。

 先ほど、許可の申請に当たってのお話がございました。

 一つは、お医者さんの診断書の話になったかと思います。これにつきましては、いわゆる精神科医等の診断書が必要ということでお願いしてございます。これにつきましては、例えばでございますけれども、申請者から相談があった場合におきましては、警察署におきまして、警察の方で把握しておる、近くのといいますか自分の警察署の管内、あるいは隣の警察署の管内のお医者さんを教示する、こういったことでお手伝い申し上げるということをしてございます。

 さらに、聞き取りでございます。

 やはりこれは、残念なことに、許可をとられた銃で犯罪を犯すという場合が、非常にまれでございますが、ございます。そういった場合に備えまして、私どもといたしましては、聞き取り調査をいたしております。

 ただ、これにもやはり申請者の方々から苦情がございます。これについては、それを一々聞き取りまして、それにきちんと対応するようにということをやってございますので、何とか御理解をいただきたいと思います。

 今後とも、銃砲行政を適切に推進する上で支障のない範囲におきまして、できるだけ申請者の方々の負担軽減を図っていきたいと思いますので、御理解いただきたいと思います。

 以上でございます。

高橋(み)委員 確かに、銃というのは適切にしていかなければいけないというのは、もちろん誰もが理解しているところだとは思うんですけれども、余り極端に、周りの人に聞く、それもかなり内容がプライバシーにかかわるようなことまで聞かれるというのは、やはりちょっとどうかなと思うところもありますので、ぜひ適切な範囲でお願いできればと思っております。

 次に行きまして、またハンターの件でちょっと質問させていただきたいと思うんです。

 現在、日本全国でハンターを育てる地域的な取り組みが行われているということを伺っております。北海道では、西興部村で、猟区を設定して、そこで初心者ハンターに地元のハンターがついて、危険ではないようにしながら、本当に大物の、例えば鹿などを撃つような指導をしていたりとか、また、自然教室や環境教室をしたりとか、あと、撃った鹿を解体するサービスを行って、発送まで行うような事業などもされているそうです。これは、ハンターを育てるというのに加えまして、やはり地域おこしというような観点からも行われているということを伺っております。

 ハンターを育てるというのは、やはり、射撃場をつくったりとか、専門学校をつくってみたりとか、ハンターの認証制度をつくってみたりとか、ハンターの養成という面に関しましては、地域でも頑張ってやれることがいろいろあるのではないかと思うんですけれども、今現在、ハンターを育てる地域的な取り組みというものはどのようなものが行われているか、お尋ねいたします。

星野政府参考人 狩猟者の減少や高齢化が深刻な状況の中で、各都道府県等におきまして、狩猟を始めるために必要な経費の補助や、普及啓発のためのシンポジウムなど、狩猟者の育成、確保に向けたさまざまな取り組みが行われていると承知しているところでございます。

 環境省におきましても、鳥獣被害の現状や、鳥獣の捕獲が社会的な意義を有する、こういうことにつきまして国民への普及啓発を行うとともに、狩猟免許取得促進のためのイベントを全国で順次開催する等の取り組みを行ってきたところでございます。

 昨年度は、北海道の釧路市から長崎県大村市まで各地でフォーラムを開催したところでございます。毎回、二百五十人程度の参加者がございまして、その中には、二十代から四十代の比較的若い世代が六割を占めているということでございます。

 引き続き、こうした取り組みを通じて、鳥獣の捕獲等の担い手の育成、確保に一層努めてまいりたいと考えております。

高橋(み)委員 ありがとうございました。

 ちょっと通告の順番を変えさせていただきたいと思うんです。

 鹿を撃ったときの話に続きまして、ちょっと話がかわるんですけれども、私は、小学校のころ、給食で鯨の大和煮というものがよく出まして、それが大好物だったんですけれども、小さいころに鯨を食べたがゆえに、今でも、例えばスーパーに鯨の大和煮とかがあると買ってしまうんです。それを考えますと、やはり鹿というのも、国民の皆さんにもっともっと食べてもらう、そして、鹿というのは食用にもなるんだということを知ってもらうことがかなり大事だと私は思っております。

 では、まず知ってもらうには、何といっても、学校給食で鹿肉などを提供したりするということが重要であるんじゃないかなというような思いがあるのですけれども、学校給食で鹿肉の教育ということにつきまして、実際やられているのか、これからやれるのか、ちょっとそのあたりをお伺いできればと思います。

冨岡大臣政務官 高橋委員の御質問にお答えいたします。

 委員御指摘のように、やはり文科省としても、地産地消を進めておりますし、命の大切さ、そして食育についてのそういう教育も行っております。したがいまして、命の大切さ、食事を残すことなく食べてしまうこと、食事の前に手を合わせて、いただきますという気持ち、そしてそれを全部食することは大変大切なことだと思っております。

 委員御指摘の鹿肉については、一部の地域において、学校給食の中で、地元で捕獲した鹿やイノシシを使用した献立を取り入れ、環境教育や自然及び生命の尊重について教える取り組みが行われていることは、文部科学省としても承知しているところであります。

 文部科学省としては、こうした取り組みの実施については、地域の実情を踏まえ、関係機関との連携のもと、教育的観点を配慮しつつ、地域ごとに適切に判断されるべきものだと考えております。

高橋(み)委員 ありがとうございました。

 地域ごとに適切に判断ということなんですけれども、できましたら、文部科学省としましてもなるべくそういう方に力を入れていただきたいと思っております。

 もう時間が来ましたので、ちょっと最後、質問ができなくなってしまったんですけれども、鹿などを射殺した場合の流通保護というものはとても大事なものだと思っております。北海道では安全基準などもきちんと定めておりますけれども、やはり国として、統一的なもの、安全基準というものを定めて、鹿を撃つ、それを食べていただく、それでいい循環ができるように、安全基準を定めるなど、ぜひ国でもそういうところにも力を入れていっていただきたい、そう思っております。

 時間になりましたので、今回の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

伊藤委員長 次に、井上貴博君。

井上(貴)委員 自由民主党の井上貴博でございます。

 きょうは、質問の機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。

 まず最初に、環境省においての今回の鳥獣保護法の一部改正のことですけれども、今までは本当に、保護計画はあっても、それを管理していく、また少なくしていくということに関しては、今諸先生方からお話があったとおり、環境省としてはそう前向きではなかったというふうに思っています。ですけれども、そういう中で、今回、環境省としては本当に踏み込んだ改正案になっていることを心からありがたいというふうに思っています。

 今、自民党が政権を回復しまして、抜本的な農政改革を図って、将来にわたって農家の皆さん方が安心して生活ができる、そして仕事ができるという環境をつくり、所得倍増も進めていくための計画も、矢継ぎ早に政策を打っていっております。そういう中で、高付加価値のある高収益型産業や、園芸農業の確立や、六次産業化というのもその中の一つではあります。

 そういう中で、幾ら農業をやってすばらしいものをつくっても、鳥獣被害によって、ああ、やられてしまった、これによって、もう収益が落ちる。多少なりの保護政策はあるにしても、自分たちがつくったものをやはり食してもらいたいと思うのが農業者の心であろうというふうに思っています。

 そういう中で、私も県議会議員を十年やらせていただいて、その中で鳥獣被害対策のことを何度か県議会の中でも質問させていただきました。今、資料をお配りしておりますけれども、北海道は全国で一番被害がひどいということは知られておりますが、実は、全国で二番目に被害額が多いのは福岡県なんです。

 東北でもなく、北陸でもなく、福岡県が被害総額は二番というのが現状でありまして、資料もお配りさせていただいておりますが、それは、前知事でありました麻生知事を初め、できるだけ高収益、高付加価値のものをつくっていって、農業の人たちを少しでも安定させてやりたい、収入をふやしてやりたいということがあって、高付加価値のものをつくってまいりました。それが一つは「あまおう」であったり、さまざまな、品種改良してすばらしいものをつくってまいりました。ですけれども、逆に、被害総額というのは金額が膨大になったというのも否めない事実であります。

 そういう中で、多少重複するかとは思いますが、まず農林水産省に、鳥獣被害の状況について、被害額の推移、全国の状況について御質問させていただきたいと思います。

 よろしくお願いします。

西郷政府参考人 お答えいたします。

 近年、農山村における過疎化、高齢化の進展によります例えば耕作放棄地の増加、野生鳥獣の生息分布域の拡大等に伴いまして、野生鳥獣による農作物被害は深刻化あるいは広域化をしているところでございます。また、これは地域経済の存続を脅かすような重要な問題ともなっているというふうに認識をしているところでございます。

 農作物被害について申しますと、近年は被害金額が全国で大体二百億円を上回るということで推移しておりまして、平成二十四年度は二百三十億円となってございます。このうち、鹿、イノシシ、猿による被害が全体の七割を占めているところでございます。

 御指摘ございましたように、福岡県の被害金額は全国第二位でございますけれども、鳥の被害に関して申しますと全国第一位ということになっているところでございます。

 また、鳥獣被害によって、営農意欲がなくなってしまうとか、耕作放棄につながるなどの、およそ被害金額として出ない部分でございますけれども、これも非常に深刻な状況になっているというふうに認識しておるところでございます。

井上(貴)委員 このグラフを見ていただいても、十八年から二十二年まで伸びていっております。ちょうどこの時期、私も県議会議員でしたけれども、これは倍増していくのではないかという危機感が非常に当時はありました。私は平成二十一年の状況下で何度も質問させていただいて、二十二年から若干減っていますけれども、ある意味では農林水産省はよくやってくれた、本来ならばもっと被害額というのは倍増していたのではないかという気がしていまして、実は高どまりにとまったという印象も現場としては多少なり持った状況はありました。

 ですけれども、農業従事者の方々と話をしていくと、いや、それは高どまりはしたかもしれないけれども、現場の被害はたまらぬのよと。これはもう現実でありまして、これを何とか少なくしていくというような状況をつくらなければ、本当に農家の方々はやっていけないなということも、切実感を持って聞いたこともございました。

 そういう中で、これまでの農林水産省の取り組みをまず聞かせていただきたいと思います。

西郷政府参考人 お答えいたします。

 農林水産省におきましては、平成十九年十二月に成立させていただいた鳥獣被害防止特措法を踏まえまして、地域の鳥獣被害対策の取り組みを総合的かつ効果的に推進するための予算措置などを講じてまいりました。

 具体的には、この特措法に基づきまして市町村が策定いたします被害防止計画に沿って、動物の侵入防止柵を整備することとか、わなやおりなどの捕獲資材を購入することなどの取り組みに対しまして、鳥獣被害防止総合対策交付金、二十六年度予算は今九十五億円になってございます。また、二十五年度補正では三十億円ほどいただいております。これでもって支援をするとともに、野生鳥獣の個体数削減に向けまして、鳥獣被害防止緊急捕獲対策、これは二十四年度補正予算で百二十九億円ほどいただいたのを今ずっと使っているのでございますが、これにおいて、イノシシなどの捕獲数に応じて一頭当たり八千円をお支払いするというふうなことで、地域における対策の充実強化を図ってきております。

 また、捕獲等の対策の担い手といたしまして、この特措法に基づき市町村に設置されます鳥獣被害対策実施隊につきまして、予算上の重点支援でございますとか、これを設置するための普及啓発などによりまして、設置の促進と体制の強化を図っているところでございます。

 今後とも、生産現場の事情あるいは声に耳を傾けながら、安心して農林水産業が営めるよう、被害軽減に向けて努めてまいりたいと存じております。

井上(貴)委員 ありがとうございます。

 確かに、平成二十四年の補正予算で鳥獣被害防止緊急捕獲等対策費で百二十九億円、二十五年度の予算として、鳥獣被害防止総合対策交付金として九十五億円を拠出して鳥獣被害対策に当たっていただいております。

 そういう中で、私も当時、鳥獣被害対策をやっていく上で、厚生労働環境委員会というのがございまして、厚生労働環境委員会に自分から手を挙げました。これは農林水産だけで片づかないなということがありまして、特に環境それから厚生労働。これは、野生鳥獣を捕獲して実際に屠殺をしたり、それから、その肉を一般の流通に回すときにはどうしても厚生労働の許可が要ります。そういう中で、この鳥獣被害対策をするに当たって、これは省庁も横断的にまたがっている。そのために、当時の県議会のときでもそういう委員会に別で行ったということがございました。

 今回も、鳥獣被害防止特措法と今回の鳥獣保護法の基本方針を、実際、前の法律の中でも整合性をとってやってもらっているはずなんですが、今までの取り組みについて、どう農林水産省と環境省と整合性を持ってやられてきたのかということをちょっとお聞きしたいと思います。

星野政府参考人 鳥獣被害防止特別措置法におきましては、主として市町村が行う農作物等への直接的な被害対策を想定しておりまして、鳥獣保護法におきましては、主として都道府県が行う鳥獣全般の保護及び管理を規定しているところでございます。

 両者の対策が重複なく、また相乗効果をもたらすよう連携することが極めて重要であることから、これまでも、それぞれの法律のもとで策定される基本指針等を整合的なものとするために、農林水産省と互いに密接な協議を図ってきたところでございます。

 今回の改正法に基づく新たな対策の実施に当たりましても、現場に混乱が生じないよう、農林水産省等の関係機関と十分に連携を進めてまいりたいと考えております。

井上(貴)委員 実際、農林水産省は、この資料もお配りしておりますが、鳥獣被害防止措置法の基本方針を出して、これは市町村にやっていただいております。

 これは、私も当時思いまして、県でやるよりも市町村の、現場の首長が本気になったところから、間違いなく鳥獣被害というのは少なくなっているという実態がございました。そういう中で、どれだけその首長に本気になってもらえるかというところが本当に不可欠だという実感を持っています。

 そういう中で、農林水産省は、いち早くそのことに気づいていただいて、被害防止計画を市町村に直接やっていただけるような状況をつくられた。これは本当に賢明なことだったというふうに思っています。

 そういう中で、今回の環境省の鳥獣保護法なんですけれども、全体の保護計画をつくっていく上でも、これは県にやってもらうというような状況になっています。ですから、このことについての改正の効果というものが農林水産省側から見てこれからどうなのか、それから環境省は、今回つくられたことについての効果を、それぞれお聞かせいただければありがたいと思っています。

西郷政府参考人 今回の鳥獣保護法の改正によりまして、当方といたしましては、捕獲対策が一層促進されるということ、それから、捕獲の従事者の育成等がさらに進むということが期待されると思っております。

 先生御指摘のように、鳥獣被害防止特措法に基づく市町村による被害防止の取り組みが全国で今展開をされている中でございますけれども、今回のこの法律の改正によりまして、環境省及び都道府県における取り組みが積極的に強化され、農林水産業を含めた被害の抑制に効果が発揮されるといったことを期待しているところでございます。

北川副大臣 井上委員の方から、農林水産省と環境省、それぞれの効果をどう見ているのかという御質問であります。

 先ほど来のお話をお伺いしておりまして、改めて農業被害の大きさというのも感じております。

 実は、昨年私も、私の親戚が三重県の方の人里離れたところで農業をやっておりまして、その親戚の者がイノシシに大変田畑を荒らされているものですから、このままではもう農業を続けていく意欲が湧かないというような話をしておりました。改めて、やはり、こういう農業従事者の方々がこのような被害で意欲をなくさないようにしていかなきゃならないな、喫緊の課題だと思っているところで、今回の鳥獣保護法の改正をやろうと思っております。

 先ほど来、大臣の方からもお答えをさせていただいておりますが、今回の法改正は、積極的な捕獲のための措置、これを位置づけながら、法目的に管理ということを加え、積極的に必要な捕獲を行う事業を導入するなどの転換を図るものであり、この結果において、今後、十年後までに個体数を半減させるという目標を立て、改正法を活用した対策をしっかりと進めることによって、鳥獣による生態系への影響や、生活環境、農林水産業への被害を着実に減少させていく、こういう決意で臨むものでありますから、効果は出てくるものだと我々も期待をいたしております。

井上(貴)委員 ありがとうございます。

 実際、この特定鳥獣保護管理計画と言われるものを基本方針に沿って改正してつくられるわけですけれども、それが、現実問題、県から市町村にお願いをしてやるところ、それから、県が独自で、いろいろな団体やさまざまな取り組みをやっているところと連携をしながら自発的にやっているところ等、さまざま出てくるものだというふうに思っています。

 最終的には、市町村が本当に県の意向に沿って自分たちもやっていこう、協調していこうというようなところというのはどんどん進んでいくものだというふうに思っていまして、この特定鳥獣保護管理計画と被害防止計画、ここの整合性というのをきちっとつくっておく必要がありますし、両省が綿密に、県、市町村レベルで連携がとれるような状況をつくっておかないと、絵に描いた餅になる可能性だって秘めているというふうに思います。ぜひその点をお聞かせいただきたいと思います。

星野政府参考人 農水省と環境省、連携をしっかりとやっていきたいと思います。

 これはまた、政府全体でも、鳥獣被害対策の関係省庁連絡会議がございまして、農水省、環境省、両省の審議官が共同議長を務めて、政府全体としてこの問題にしっかり取り組むということでございます。

 とりわけ、農水省と環境省、それぞれの法律、片方は市町村を中心に、片方は都道府県を中心に、車の両輪ということでしっかりと連携を図って、対策を強化していきたいというふうに思っております。

井上(貴)委員 ありがとうございます。

 そのところが僕は一番大事だというふうに思っています。確実に現場が本当によかったと思ってもらえるようなものをつくっていただければ、そして行動計画をつくっていただければありがたいというふうに思っています。

 それでは、先ほどから少しお話がありましたけれども、狩猟免許の保持者が減少しておりますし、狩猟者自体が高齢化しているという現状があります。そういう中で、狩猟者の確保、それから今の現状をお聞かせいただければありがたいと思います。

星野政府参考人 狩猟者の数は、大幅に減少してきております。昭和四十五年度には約五十三万人でございましたが、約四十年の間に六割減少して、平成二十三年度にはおよそ二十万人となっております。また、現在、狩猟者に占める六十歳以上の割合は六割を超えており、狩猟者の減少と高齢化が深刻な状況になっているということでございます。

 こうした問題に対しまして、先ほども御説明させていただきましたけれども、環境省としてはさまざまな取り組みを進めてございます。

 一つには、狩猟行為自体が公益的な機能を持っている大変意義のある行為なんだということをしっかりと御理解いただく、そういったことを目的とした全国でのセミナーを開催しておりまして、若い人を中心に多くの参加者をいただいております。アンケート結果によりますと、参加した人の多くが、新たに狩猟免許を取りたいということも出てきてございます。

 もちろん、そういった取り組みだけでは十分ではございませんので、今回の法律改正の中にもございますけれども、特別な事業者を認定する、そういった仕組み、さまざまな取り組みを進める結果として、狩猟者の数、鳥獣に対する捕獲圧を高める努力を続けていきたいと思っております。

井上(貴)委員 ありがとうございます。

 その中で、特に銃猟者の人たちは、六十五歳を超えて高齢化が進んでおりますし、人数も少なくなっています。今、さまざまなところで言われていますけれども、狩猟する猟友会の方々やいろいろなNPO団体なんかも今はできておりますけれども、そういう中で、実際、銃の免許を取って、それでやろうという人というのは、なかなか、規制も厳しく、やる人たちというのは限られてまいります。それかといって、警察の方も規制を緩めるということはなかなか難しいというような意見も出てきているのも事実であります。

 そういう中で、では、安心して、信頼性があって、そして確実に技術を持っているということになると、やはり警察OBとか自衛隊OBとか、そういう人たちに狩猟免許を取得していただいて、国家を守ろうという意識を持った方々の集まりでもありますので、そういう方々に、ぜひ、退官された後、退役をされた後、免許取得を促して、少しでもそういう会に入会してもらって、免許を取得してもらって、実際、捕獲に協力をしていただけるような団体ぐらいつくっていただければありがたいなというふうに私自体は思っています。

 ぜひ、この法改正で実際どのように担い手を確保されようとしているのかということをお聞かせいただければありがたいと思います。

牧原大臣政務官 先ほど局長からも答弁をさせていただきましたけれども、基本的には、このような狩猟についての、大切である、意義を持っているということについて社会的な普及啓発を行いながら、その中で関心を持ってもらうように、今全国的にやっているところでございますし、先ほど御答弁させていただきましたが、個人による狩猟者に加え、法人による組織的な捕獲を推進したいということですので、今先生が御指摘のような方々が例えば法人をつくってやっていくということについては、認定制度を導入して認定していくということも可能性としてあります。

 また、網猟やわな猟の免許の取得年齢も二十から十八に下げましたので、こういう若い人たちも考えているところでございます。

 私も、実際に猟をやっている方からのお話も伺ったんですけれども、自衛隊のOBの方とか警察のOBの方とかは銃の腕が大変高いという意味で、先生が御指摘のような大変な可能性もあるというふうに思いますが、他方で、やはり、狩猟は山になれている方が、ちょっとした足跡とか痕跡とかで、どこに鹿とかがいるんだということを見つける、そして、見つけたものをぱっと対象として捉えるということも必要だそうでございます。

 場所によっては、そうした銃のプロフェッショナルと山のプロフェッショナルを組んでやっているという例もあるようでございますので、そうした意味で、いろいろな形で担い手の育成を、警察のOBあるいは自衛隊の方のOBも含めて育成をしていきたい、確保していきたい、このように考えているところでございます。

井上(貴)委員 ありがとうございます。

 今回の鳥獣保護法の一部改正によって、環境省が一歩踏み込んでいただいて、これからの農業そして漁業の方々を守れる状況の法整備に踏み込んでいただいたというのは本当にありがたいことだというふうに思っています。

 そういう中で、農林水産省と連携をとって、また、一部では厚生労働省なんかとも連携をとって、では、そのとった肉をどうやって循環させようかと。要は、弾代にしても、いつでも助成を出す、お金を出すというだけではなくて、地域によっては、とった肉を一般市場に売って、その売り上げを弾代に回す、それで循環をさせていくというようないろいろなことをすると、実質上の助成や補助金を出す金額というのも少なくて済む可能性も秘めていますし、循環型というのをやることによって相当な効果も、また、やろうという人たちも出てくるはずであります。

 私も、福岡県で、料飲組合を二万社抱えているわけなんですが、その中で当時アンケートをとったことがございました。そうしたら、百社ぐらいがジビエをやっていいと。要は、鹿、イノシシといった肉をもらって、自分のところでやっていいよというお店がたくさんございました。そういう中で、そういう循環型のことを考えるなら、厚生労働省なんかとも連携をとっていただければありがたいというふうに思っています。

 それでは最後に、この法律ができたことによって、本当に農業従事者の方々も喜んでいただけますし、それから、本当に鳥獣被害に悩む方々が安心してまた農業をやることができるような状況が少しでも進むものだというふうに思っています。

 そういう中で、法律はできましたけれども、実際問題に、これは県に計画を立ててやってもらうわけですけれども、予算措置をやはりやっていく必要があるのではないか。農林水産省もやはり、きちっと法律をつくって、予算措置までやって、そして、市町村にやっていただいたおかげで、ある程度効果が出てきたという状況はありますし、今回、環境省で法律をきちっとつくっていただきました。ですけれども、それに加えて、予算措置を秋に向けてやることによって確実な効果を生めるものだ、そのくらいすばらしい法律改正だというふうに僕は思っています。

 そのことについて、石原大臣からコメントをいただければありがたいと思います。

石原国務大臣 やはり、財政上の裏打ちがなくして、どんな政策も前には進まないという、井上委員の御指摘のとおりだと思っております。

 今回の改正によりまして、都道府県みずからが主体となって、特に、福岡県が二番目の全国の被害というのは初めて知りましたが、捕獲等の事業を行えるようにいたしました。

 事業を推進するための財政面の支援というのは重要と認識しておりますし、ぜひ御協力いただきまして、必要な予算の獲得に邁進をさせていただきたいと思います。

 加えまして、地方の事務として地方交付税交付金の対象とすることにつきましても、今後、関係省庁と協議してまいりたい、こんなふうに考えております。

井上(貴)委員 前向きな答弁をどうもありがとうございました。

 すばらしい鉄砲はつくっても、弾がないと鉄砲の意味がございませんので、ぜひ必要な予算措置を秋に向けて、私どももバックアップしたいというふうに思います。

 きょうは本当にありがとうございました。

伊藤委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 みんなの党の中島克仁です。

 本日は、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律案、先日の本会議の質疑、そしてきょうの質疑の中でさまざまな問題が御指摘をされておりますが、私にも少し質問の時間をいただきたいと思います。

 重複している部分があると思いますので、順番を少し変えて御質問をさせていただきたいというふうに思いますので、お願いいたします。

 本改正案は、我が国の美しい自然環境を守り、農林水産業や生活環境への被害を防止するためには、積極的に鳥獣を管理し、その体制を構築することが求められているという状況を踏まえ、法律の題名、目的規定等に「管理」という文言を加え、ふえ過ぎた鳥獣について、その生息数を適正な水準に減少させ、またその生息地を適正な範囲に縮小させるため、関係規定を整備することが大きな柱というふうに私も理解をしております。

 私は、山梨県の北杜市というところが地元でございまして、南アルプス、そして八ケ岳の南麓ということで、もともと山梨県は山間部が多いわけですが、実際に、やはり鹿の数がふえているな、猿もそうなんですが、イノシシの被害とか、農業地帯においてはいろいろな対策をやられていることをいつも目の当たりにさせていただいておりまして、今回の改正案についても非常に関心があるところでございます。

 近年、鳥獣による被害、特に、ニホンジカ、イノシシの個体数の増加、分布拡大に伴って、今井上委員の方からもございましたように、農業被害がかなりひどいというような状況の中で、環境省としては、生態系、生活環境など、広範囲に及んで維持していく、人間にとってと言ったらいいですか、人類にとってバランスのいいやり方をこの改正案でも求めつつということが目的になっているのではないかというふうにも理解します。

 まず、個体数ということでいきますが、個体数が、先ほど答弁にもありました、七倍近くになってしまったと。ニホンジカの場合ですが、イノシシも含めて。個体数がふえてしまった原因は一体どのようなことなのか。環境省として原因は何と考えているのか、まずお聞きしたいと思います。

星野政府参考人 ニホンジカの個体数増加や分布拡大の原因は、もともと繁殖力が高い動物であるということに加えまして、積雪量の減少、造林や草地造成などによる餌の増加、耕作放棄地や放置された里地里山が生息に適した環境となったこと、狩猟者の減少による捕獲圧の減少などにより死亡率が低下をしたということが挙げられております。

 すなわち、もともと繁殖力が高い動物であるということに対して、死亡率がさまざまな要因で低下してしまったということが挙げられております。

中島委員 さまざまあるということでございますが、先ほども言ったように、私は地元が山梨県というところで、以前にもちょっと御質問させていただいたことがあるんですが、南アルプス山系でライチョウが減少しているということで、本来であれば鹿が生息しないところまで鹿が登っていって、草を食べちゃう。それによって、ライチョウの食べる草がなくなってしまうということで、ライチョウの減少に関しては、温暖化というか、気候変動が影響しているんじゃないかということも指摘をされておったわけです。

 今のお話の中で、もともと鹿に関しては繁殖力が強いということと、結果的に、いろいろな要素の中で死亡率が低下したということだと思いますが、先ほどの、私の地元のライチョウの減少ということから兼ね合わせていきますと、どっちが先かということではないのかもしれませんが、今、温暖化の問題も取り沙汰されておる中で、気候変動が影響しているという観点からは、環境省としてはどのように考えておられるでしょうか。

星野政府参考人 ライチョウにつきましては、種の保存法に基づく指定種でございまして、保護増殖事業計画を策定するなど、環境省としても取り組みを進めているところでございます。

 ライチョウの生息に影響を及ぼす要因としては、キツネ、カラスなどの分布拡大による捕食、鹿の高山帯への侵入による高山植生の破壊、地球温暖化などの気候変動、これらが懸念されておりますけれども、具体的にどれが、どの程度影響を及ぼしているかについては、十分には解明されていないということでございます。

 また、ライチョウの生息に影響を及ぼす要因は、ライチョウが生息する地域、北アルプス、南アルプス、乗鞍、御嶽、さまざまな地域がございますけれども、山岳地域によっても異なるというふうに考えられているところでございます。

中島委員 これはちょっと本筋とは違うんですが、やはり南アルプス山系はライチョウの生息位置の最南端ということで、地球温暖化、温暖化と言っていいのか寒冷化か、気候変動ですね、その影響を非常に受けやすいということは前から御指摘をさせていただいておるわけですが、鹿の生息地が上に上ってしまった。やはりこれは、生態系のみならず、気候変動も含めた、地球環境全体の中での影響もあるのではないかなというふうには思っておるわけです。

 先ほど、個体数がふえてしまった原因についてさまざま、鹿に関して言えば、もともと繁殖力が強いということから、その死亡率の低下ということなんですが、今回、個体数の適正化ということをうたっている以上、本来であれば、一番の原因、二番目、三番目と言っていいかわかりませんが、やはりピンポイントでその原因に取り組まないと、なかなか実効力が出ないのではないか。

 そうなってきますと、もともと繁殖率が高いということであれば、そうならないような組みかえが何か必要なのかということになるかと思うんですが、今後、その原因について、やはり実効性ある取り組みにしていくためには、一番大きな要因は何なんだ、そういったことから順次やっていかないと、漠然と個体数を減らすということだけでは、なかなか実効力が上がらないのではないかな。

 その個体数の把握なんですが、今現在、どのような方法でやられておりますでしょうか。

星野政府参考人 昨年八月、本州以南の全国に分布するニホンジカの個体数の推定結果を公表したところでございます。

 この手法といたしましては、水産資源管理の分野で活用されております階層ベイズ法という統計手法を用いて、生息数に関連する数値として捕獲数や捕獲効率などのデータを用いたところでございます。これらのデータを用いまして、コンピューターを何度も回すことによって、幅のある数値を出したということでございます。

 その結果、二〇一一年の推定個体数は、中央値、最も中心になる値ということでございますが、この中央値で二百六十一万頭、九〇%信用区間では百五十五万頭から五百四十九万頭と、幅のある数値が推定されたところでございます。

 統計手法の性質として、推定値には幅がございますけれども、今後、ニホンジカの管理の目安として活用するものでございまして、随時新たなデータを活用して補正を行っていきたいと考えております。

中島委員 個体数の把握は統計学的なデータを用いて推計をしておるということで、今もお答えいただきましたように、上限値だと、九〇%信用限界だと五百四十九万頭、下限値だと二百七万頭、中央値だと三百二十九万頭ということになって、今も御答弁していただいたように、随分幅があるなというのが印象でございます。

 そういう中で、先ほどの質問の中でも御答弁いただいておるように、十年間で半分に減らしていくというような目標を立てられておるということですが、そもそも、目的規定の中にもございました、適正な数にしていくという、その適正な数は一体幾らだ、どのくらいだというふうにお考えになっているんでしょうか。

星野政府参考人 これは、全国各地域によってさまざまな特性がございます。山岳地域、平地が多い場所、それぞれ特性が異なってございますので、一概にどの程度ということではございませんけれども、一般的には、鹿の場合には、生息密度、一平方キロ当たり何頭ぐらい生息する環境が、生態系に対する被害、農業被害、森林に対する被害、そういったものが少なくなるのかということは、さまざまな推定がなされております。

 昨年度の補正予算をいただきまして、環境省では、各県別におよその鹿の推定をすることにしてございまして、そういった数値も含めて、適正な数がどの程度のものなのかということについての検討を進めていきたいと思っております。

 ただ、非常に難しいものですから、ある県では一平方キロ何頭と明確なことは出すのは難しいわけでございますけれども、先ほども申し上げましたように、統計手法で一応の目安としての数値を絶えずデータを更新しながら持っていくことが、科学的な管理をしていく上で重要だというふうに思っております。

中島委員 今御答弁ございましたように、難しいのは大変よくわかります。

 ただ、先ほど、個体数がふえた要因についても、もともとの繁殖率、死亡率が減った、さまざまな気候変動も含めながら、いろいろな要因がある。そして、今回、こういう法律改正の中で、適正というところも、その目標が半分と。正直言って、やや粗っぽいなと私は印象を持つわけですね。

 一方で、農業被害、これも大変な問題だということは理解できます。農林水産省の鳥獣被害防止特措法との整合性ということにもなるわけですが、では、十年後に本当に半分になったとして、それでもまだ農業被害があった場合はどうなさるんでしょうか。

西郷政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどから環境省から答弁ございますように、当省と環境省が連携いたしまして、抜本的な鳥獣捕獲強化対策というのを取りまとめまして、被害の主な原因の一つである、例えば鹿でございますと、当面の目標として十年後までに個体数を半減させるということを目指すこととしたところでございます。

 この目標につきましては、先生御指摘のとおり、非常に幅のある設定となっているわけでございますので、被害がどうなるかということにつきましては難しいわけでございますけれども、まず、スキームから申しますと、おおむね五年後に捕獲対策の進捗状況を確認いたしまして、必要に応じて見直しを行うこととしております。見直しに当たりましては、当然、農作物の被害の状況等も踏まえて、目指すべき個体数についても見直しを検討する必要があると考えているということでございます。

中島委員 そう答えるしかないんだろうなというふうには思うんですが。

 例えば、私の地元は山間部が多いと言ったんですが、確かに鹿もふえております。一方で、天然記念物になっているニホンカモシカもふえているような印象なんですね。もちろん、天然記念物でございますから、今回そういう対象にはならないということなんですが、もし、ニホンカモシカが農業被害、それはもちろんニホンジカとちょっと違うのかもしれませんが、そういうふうになった場合、その被害の報告がふえてきた場合はどのような対策になるんでしょうか。

星野政府参考人 ニホンカモシカにつきましては、現在の鳥獣保護法の枠組みの中で、被害のある県につきましては、特定鳥獣保護管理計画というものをつくってございます。これは、圏域での生息状況を見ながら、被害を減らしてかつ絶滅させないようにどうしたらいいのかということを検討してつくった計画でございます。

 この計画がある地域につきましては、ニホンカモシカ自体、文化財でございますけれども、必要な数の捕獲については文化財保護法の許可も出るという仕組みで現在動いております。

中島委員 そうなりますと、やはりニホンジカもニホンカモシカも、その適正数というのはなかなか難しいということになるわけですよね。

 ただ、そうしますと、環境省を軸足でいきますと、生態系の維持また希少種の維持という観点と、今回、農業被害というところの軸足が、やはり整合性をとるのは大変難しいなと。

 きょう、ちょっと時間があれなんですが、また質問の機会があるようなので、その件については後日質問をさせていただきたいというふうに思うわけです。

 生態系維持のために人為的に介入するということの意味ですね。ニホンジカに関して言えば、明治ぐらいですからもう百年以上前の話ですが、やはり絶滅しそうになっていたわけでして、それが今こういう状況の中で、もちろん、農業被害対策が大前提、大事だということは私も認識はしておるわけですが、何度も言うようですが、個体がふえた要因についてもさまざまで、どれが一番なのかまだよくわからない。そして、その適正数も明らかにできない。そんな中で、生態系維持、環境維持というか、希少種の維持のために、今回の法律案が本当に有効的なのかなという疑問は正直持つわけです。

 環境省として、今回の法律案のみならず、生態系の維持に、個体数の調整ではなくて共存できる方法に対して、やはりしっかりとビジョンなりあるのかなというふうに思うので、もしそのような、先ほどからオオカミの話も出ておりまして、それがいいとか悪いとかというより、例えば、私の先ほど言った地元、やはり私は住んでおりますから、鹿がふえている、猿がふえているということは非常に実感できますが、観光で来た方々は、あっ、鹿がいた、猿がいたといって餌を与えてしまったりとか、そういうことになるわけですよね。

 そうであれば、まあこれはよく笑い話で言うんですが、普通、サファリパークに行くと、みんな元気のない動物ばかりなんですけれども、私の田舎に来ますと、夜間になると鹿がたくさん、たくさんもいないかもしれないですけれども、秋なんかに行くと猿なんかがぶわっといるわけですよね。変なサファリパークよりはよっぽどおもしろいと。

 そういう意味で、例えば、そういう区域をつくった公園をつくっていくとか、個体数の増減ではなく、共存できる、もし、そのようなビジョンを今お持ちであれば、石原環境大臣にその辺の御質問をさせていただいて、質問を終わりたいと思います。

石原国務大臣 中島委員の御指摘はごもっともだと私も思います。いわゆる個体数が推定値でありますし、推定値の上限が幅広い以上は、これを半分といっても、もともとの下限値でやったら、百年前の、ニホンジカの絶滅危惧種であったというところに舞い戻ってしまう。

 私は、やはり、環境省の役目は種の保存というのが一番だと思うんですね。しかしながら、その一方で、この法案の審議に当たり私もいろいろなところを見てきたんですけれども、やはり、自然界が許容できない数の鹿やイノシシが現存しているということは、現場を歩かせていただくと、これもどうも間違いない。

 一番びっくりしましたのは、植生を壊すというようなことはよくわかっておったんですが、それによって、道路ののり面が破壊されて土砂崩れが起こる、こんな話まで聞かせていただきました。

 そういうことを考えますと、やはり、人為的な手法として管理をする、いわゆる殺処分を行っていかざるを得ない状況に来ていることは間違いないんだと思います。

 しかし、委員が御指摘のとおり、知床では、ヘリコプターを飛ばして、実際に見える範囲で、何スクエアに何匹いるかみたいなことを定期的にやっているそうでございます。

 やはり、個体数の推定というものを定期的に、アナログな手法、統計学に立った手法、両方でやることによりまして、この改正案の実効を高め、種の保存を図り、共生していく。そして、その先には、自然環境の中で、これまでは適正であったわけですから、この適正にどう戻していくのかという、こちらはまた一大プロジェクトになると思いますけれども、その次の段階に進んでいくということが肝要なのではないかと考えております。

中島委員 ありがとうございます。

 先ほども申し上げましたように、粗っぽいなと印象を持たれないように、ここは環境委員会ですし、以前から言っているように私は環境省ファンなので、ぜひ、環境省の軸足として、個体の維持、絶滅危惧種も含めてですが、生態系の維持のために、環境省として、本質ということをしっかりと詰めていただきたいなというふうに思います。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、林宙紀君。

林(宙)委員 結いの党の林宙紀でございます。

 きょうは、私も結構質問の数を用意したなと思っていたんですけれども、割と重複してしまっておりますので、申しわけございません、順番を変えさせていただいての質問とさせていただきます。質問要旨で通告していた十一番、十二番の方から入らせていただきますので、よろしくお願いします。

 ここまでの御議論でも多々ございましたけれども、今回、環境省の方で、捕獲、管理ということをやっていくんだという内容なんですけれども、農林水産の方でも、鳥獣被害防止という意味での対策というのはこれまでもずっとされてきているわけで、まず、この施策ですとかあるいは予算等々のすみ分け、これについて、御質問が一つありましたが、改めて両省にお伺いをしたいなと思います。お願いします。

星野政府参考人 農林水産省が所管されている鳥獣被害防止特別措置法におきましては、主として市町村が行う農作物等への被害対策を規定されておりまして、鳥獣保護法におきましては、主として都道府県が行う鳥獣全般の保護及び管理を規定しているところでございます。

 これまで以上に鳥獣の捕獲を強化するためには、広域的な取り組みが不可欠でありまして、都道府県による対策を促進することが重要だと考えており、このため、改正案においては、都道府県による捕獲事業を創設するものでございます。

 こういった観点から、環境省としては、農水省とも密接な連携をしながら取り組みを進めていきたいと思ってございます。

 環境省は、鳥獣保護法により、主として都道府県、農水省は、特別措置法により、主として市町村、そういうことを基本としながら、両省協力をして、施策の推進を図っていきたいと思っております。

西郷政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま環境省から御答弁のあったとおりでございますけれども、農水省におきましては、鳥獣被害防止特措法を踏まえまして、現場に近い行政機関である市町村が中心となって、さまざまな被害防止のための取り組みを主体的に行っていただくということに対して支援を行っております。

 一方で、環境省とはよく連携をしなきゃいけないということでございますが、鳥獣被害防止については、先ほどから議論になっておりますような抜本的な捕獲強化対策といったものを共同で取りまとめて連携をいたしておりますが、例えば予算措置におきましては、鳥獣保護法に基づきまして都道府県が行うべき個体数調整等の取り組みなどにつきましては環境省さんがなさるということでございますので、そういったことについてはこちらの方では対象としないという方法をとりまして、無駄な重複はしないようにというふうに努めているところでございます。

林(宙)委員 ありがとうございました。

 先ほど、井上委員の資料の中にもございましたけれども、私は地元が宮城でございますが、宮城県自体は、他の地域に比べればそこまで被害というものが、そう多くはない地域だと思っているんですが、一転して、山を挟んでお隣の山形に行きますと、これがまたかなり大きな被害があるということで、今回のこの法案によって広域的な対策ができるようになるというのは非常にいいことなんじゃないかなというふうに思っています。

 それで、今、予算のすみ分けですとか重複がないですということを確認させていただいたところなんですけれども、今回、環境省でこういった対策をされるに当たって、今挙げました農林水産省の方での対策について、実は過去、会計検査院の方から指摘された事項というのがございますので、これをきょうは一つ確認をさせていただきたいと思っています。

 どういった指摘だったかというと、平成の二十二年から二十四年にかけましては、総合しまして、こういった対策について大体百九十億円ほどの予算が累計で措置されているということで、これ自体は非常に必要な額であるというのはもちろんそのとおりなんですけれども、具体的にどういう指摘が会計検査院からなされたかといいますと、まず、鳥獣被害防止総合対策交付金というものでやっているわけなんですが、これが対象にするものは、基本的には鳥獣が農地に入ってこないように防止柵をつくるとか、そういったものがメーンになってくるわけです。

 この防止柵をつくるに当たりまして、もちろんその費用対効果等々は分析をするようにということがその交付金の要綱の中に入っているわけなんですが、では、それで一体農産物の生産の額、減収した分がどれだけ防止されたのかという効果、これを測定するに当たって、例えば現地確認の調査などを全く行っていなかったとか、本来、被害状況というのはそれぞれの圃場ごとに異なっているはずなんだけれども、それを地区全体でまとめて見てしまって、圃場単位では被害状況を把握していなかったとか、そういったことが指摘されております。

 あるいは、費用対効果の分析という場合には、大体それが一を超えなければいけないというのが基本なんですけれども、一を超えないものがあったりとか、そういったところで、この報告によれば、三年間の合計でそういった指摘をされた対象の交付金額というのが、大体六十億円相当だということになっております。六十億、大変大きい額だと思います。

 今年度の農林水産省のこの交付金については九十五億円ほど措置されておりますし、補正予算でも三十億円ほど措置されました。これだけ対策が必要なものであるというのはもちろんわかった上で、しかしながら、これだけの額を使うわけですから、その費用対効果については適正にしっかりと確認をしていただきたいと思うんです。

 大もとの原因は、多分要綱の方に、こういう形で調べてくださいとかこういう形で計算をしてくださいとか、そういったことが余り明確でなかったということのようなんですが、今後、この対策等々、どのようにお考えになっているのかを教えていただきたいと思います。

西郷政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、昨年七月に会計検査院から、鳥獣被害防止総合対策交付金等によります鳥獣被害防止施設の設置に対しまして、費用対効果分析の方法につきまして指摘を受けたところでございます。中身は、被害状況の調査方法とか投資効率の算定方法について、適切なやり方を実施要綱等に明確に示しなさいとか、それから、これらについて都道府県をきちんと指導しなさいといったことを内容とする改善措置が要求されたところでございます。

 これを受けまして、農林水産省といたしましては、客観的に被害状況を把握するため、事業主体等による現地確認、あるいは、これは要するに保険でございますけれども、農業共済組合等第三者の有するデータを把握するとか、または、農家等からの聞き取りにならざるを得ない場合がございまして、先生がおっしゃったように、圃場を一枚一枚、去年はこれだけとれたけれども、どれだけ農作物がとれたかというのを毎年差を出すというのは、これは聞き取りによらざるを得ないところもあるわけでございますが、こういった場合につきましては、出荷とか納入の伝票とか、近隣農家等に係る被害状況とか、それから、現場写真等の被害状況を示す情報との整合性の確認を行うということ。

 また、事業主体と都道府県の各段階でチェックシートをつけまして、それによって確認をしていくこと。客観的な被害状況を示す根拠資料を五年間保存すること。あるいは、投資効率の算定に当たり、複数の地区を一つの単位とする場合、一まとまりとする場合については、一まとまりの受益地区だといったことで認められる場合に限るということといたしまして、本年二月に実施要綱等の改正通知を発出いたしまして周知を図っているところでございます。これに基づきまして、きちんと運用をしてまいりたいと存じます。

林(宙)委員 今の対策の中でもう一つお伺いしたいんですけれども、そういった対策を効果的に進めるための、ある意味の、ちょっと強制力というか、例えば罰則じゃないですけれども、そういったことというのは、対策の中にはある程度考えておられるんですか。

西郷政府参考人 お答えいたします。

 こういった要綱を定めておりますので、その要綱に基づかないような使い方をした場合につきましては、要するに交付金の返還ということになりますので、それが罰則と申しますか、ルールというふうになってございます。

林(宙)委員 ぜひ適正に運用していただいて、効果的に事業を実施していただきたいと思います。

 今お伺いした内容は、もちろん農林水産省の所管ということになるんですが、今後、今回の法律案が通って環境省の方でも積極的に管理をしていくということになれば、恐らく来年度なりからそれなりの、ある程度の予算措置なども必要になってくるでしょうから、あらかじめ、そういったことを効果がしっかり図れるように対策をしていただきたいと思っているんです。

 そうしますと、これは先ほど百瀬委員の方からもお伺いがあった夜間銃猟についてなんですが、先ほどいろいろと御答弁いただいたところに加えて、実際に、今まで禁止していた夜間の部分を計画に基づいてやるということで、今までよりもどのぐらい効果が上がるというふうに見込んでいるのか、そのあたりを教えていただけますでしょうか。

星野政府参考人 具体的に、夜間銃猟を行った場合どの程度ということはなかなか難しいと思っています。

 今回の法改正では、都道府県または国が行う特別な鳥獣の捕獲事業であって、さまざまな制約のもとに、安全管理が確認された場合に限って夜間銃猟が行えるということになってございます。

 海外の事例では、確かに、特に鹿の仲間では、日没直後、日の出前、そういった時期に効果的な捕獲ができるということがございますけれども、これは従事するハンターの技術、また、捕獲する場所の条件等にもかかわるものですから、現時点で、この夜間銃猟規制が一部緩和された場合にどの程度の効果が出るということは、申し上げるのは難しいと思っておりますけれども、確実に効果が出るような、そういう取り組みを進めてまいりたいと思っております。

林(宙)委員 やれる対策は全てやるということになるんじゃないかなと思うんですが、これを実行した場合には、そういった統計というか、ぜひとっていただきたいんですね。そうしますと、例えば、意外と夜間、そんなに効果がないかもしれないということになった場合は、先ほども出ていましたけれども、周りの民家に音がとか、そういういろいろな外部的な負の影響というのもなくはないものですから、そういったところとあわせてバランスをとって考えていっていただきたいと思うんです。

 そして、きょうの質問の中で、これは絶対に重複しないだろうと思って入れたものが一つあるんですけれども、ノネズミの話なんですね。今回、この改正案自体にはそこまでそう大きくかかわってこないんですけれども、いただいた資料の中で、森林被害という意味では鹿に次いで非常に大きい要因になっているというところで、結構目立っていまして、平成二十二年ぐらいまでは少なかったんですが、二十三年、二十四年度、このところは大分被害が大きいようだというふうに見受けております。

 この被害の状況と、どういった対策をされるのかというところをお伺いしたいと思います。

本郷政府参考人 お答えいたします。

 ノネズミによる森林被害は、昭和四十年代には二万ヘクタールを超えるというような大きな面積の被害がございました。しかし、近年大幅に減少しておりまして、先生お話がございましたけれども、近年は四百ヘクタールから二千ヘクタールというような範囲で動いているというところでございます。

 林野庁としては、森林病害虫等防除事業等により、ヘリコプターや手まきによって殺鼠剤を散布するというようなことについて、都道府県等に支援をしております。これによって約一万ヘクタールの殺鼠剤散布を実施しているところでございます。

 今後とも、都道府県等と連携しながら、ノネズミの被害対策について適切に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

林(宙)委員 どうもありがとうございました。

 今回は、主に鹿とかイノシシとか、そちらの対策での改正案という趣が強いと思うんですが、これまでどおり、被害を抑えてきたものですとかあるいは保護してきたものというのはやはり継続してしっかりとやっていくべきものだと思いますので、ぜひそのあたりもしっかりフォローしていっていただけますようにお願いをしたいなというふうに思います。

 時間がまだ少々あることはあるんですが、この後本会議ですし、あと、皆さんも金曜日で大変お疲れのところだと思いますので、早目に終わらせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

伊藤委員長 次回は、来る十五日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時八分散会


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