衆議院

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第4号 平成27年4月24日(金曜日)

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平成二十七年四月二十四日(金曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 北川 知克君

   理事 熊田 裕通君 理事 助田 重義君

   理事 平井たくや君 理事 藤原  崇君

   理事 牧原 秀樹君 理事 田島 一成君

   理事 松田 直久君 理事 浮島 智子君

      井林 辰憲君    石川 昭政君

      小倉 將信君    小島 敏文君

      笹川 博義君    白須賀貴樹君

      田中 和徳君    高橋ひなこ君

      福山  守君    堀井  学君

      前川  恵君    吉野 正芳君

      篠原  孝君    田嶋  要君

      中島 克仁君    福田 昭夫君

      馬淵 澄夫君    小沢 鋭仁君

      篠原  豪君    真山 祐一君

      島津 幸広君

    …………………………………

   環境大臣         望月 義夫君

   復興副大臣        浜田 昌良君

   環境副大臣        北村 茂男君

   環境大臣政務官      高橋ひなこ君

   環境大臣政務官      福山  守君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 島根  悟君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           吉野 恭司君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局次長) 篠原 康弘君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   鎌形 浩史君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            小林 正明君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  梶原 成元君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            三好 信俊君

   政府参考人

   (原子力規制庁次長)   清水 康弘君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議官) 片山  啓君

   環境委員会専門員     石上  智君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十四日

 辞任         補欠選任

  赤枝 恒雄君     小島 敏文君

  穴見 陽一君     白須賀貴樹君

  馬淵 澄夫君     田嶋  要君

同日

 辞任         補欠選任

  小島 敏文君     赤枝 恒雄君

  白須賀貴樹君     穴見 陽一君

  田嶋  要君     馬淵 澄夫君

    ―――――――――――――

四月二十二日

 水銀による環境の汚染の防止に関する法律案(内閣提出第三六号)

 大気汚染防止法の一部を改正する法律案(内閣提出第三七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 水銀による環境の汚染の防止に関する法律案(内閣提出第三六号)

 大気汚染防止法の一部を改正する法律案(内閣提出第三七号)

 環境の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

北川委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官島根悟君、経済産業省大臣官房審議官吉野恭司君、国土交通省鉄道局次長篠原康弘君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長鎌形浩史君、環境省総合環境政策局長小林正明君、環境省地球環境局長梶原成元君、環境省水・大気環境局長三好信俊君、原子力規制庁次長清水康弘君、原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議官片山啓君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

北川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福田昭夫君。

福田(昭)委員 民主党の福田昭夫でございます。

 本日は、一般質疑の時間でありますけれども、放射性指定廃棄物の真の解決策に向けて、提案型の質問をいたしますので、ぜひ真剣にお答えをいただきたいと思います。

 まず、福島県の避難指示区域の住民の意向についてであります。

 一つ目は、全員帰還を目標に頑張ってまいりましたが、一昨年ですか、希望者の帰還、あるいはよその地域への定住を希望する人たちということで、全員帰還という考え方を変更したと思いますけれども、こうした考え方をどう評価しているのか、浜田復興副大臣にお伺いをいたします。

浜田副大臣 被災者の方々の中には、戻りたいと考えておられる方、戻らないと考えておられる方、また判断に迷われている方、そういう方がいらっしゃるものと承知しております。

 こうした中にありまして、帰還支援と新生活支援の両面の支援策が重要である、こういう考えのもと、今御指摘いただきましたが、平成二十五年十二月に、「原子力災害からの福島復興の加速に向けて」を閣議決定したところでございます。

 その上で、政府としては、関係機関と連携し、こうしたさまざまな被災者のお考えに応えるために、まず、早期帰還を進める地域においては、除染、インフラ復旧、生活関連サービスの再開をする、また、長期にわたり避難を余儀なくされる地域におきましては、復興公営住宅などを中心とした生活拠点の整備をする、また、新しい生活を選ぶ方には、必要十分な賠償の支払い、就業、住宅のあっせんなどを実施しているところでございまして、今後とも、被災者の方々に寄り添って、必要な支援を検討してまいりたいと考えております。

福田(昭)委員 きめ細かく、被災者の気持ちに寄り添ってやっていくということで、それは非常によかったなと私も思っております。

 私も、地元の人と話をしておりますと、町の再生よりも一人一人の生活再建を優先させてくれ、そういう要望がたくさんございましたので、復興委員会などで私もそんな提案をしてまいりました。

 二つ目でありますが、問題は、帰還困難区域について、モデル除染を受けて、今後、この区域の除染をどうするのか、その点についてお伺いをいたしたいと思います。

浜田副大臣 除染につきましては、環境省が主体となって進められているものでございますけれども、御指摘の帰還困難区域につきましては、平成二十三年十二月の原子力災害対策本部決定におきまして、将来にわたって居住を制限することが原則とされておりまして、区域内への自由な立ち入りや事業活動も制限されている区域でございます。

 このような位置づけがなされている帰還困難区域の除染を含めた今後の取り扱いにつきましては、放射線量の見通し、今後の住民の帰還意向、将来の産業ビジョンや復興の絵姿などを踏まえながら地元と検討を深めていく必要がある、こうしております。

 このため、除染作業を初めとする復旧復興事業の実施に当たりましては、放射線量を確認の上、まずは帰還困難区域から活動の自由度の広がる居住制限区域などへの区域見直しを行うことなど、地元自治体の将来計画と整合的に行うことが適切であると考えております。

 ただし、町の復興に資する施設や地区などでございますれば、現在も帰還困難区域で実施されているように、個別に、スポット除染と呼んでおりますけれども、除染を行うことも選択肢の一つと考えております。

 いずれにしましても、帰還困難区域の除染につきましては、地元の意見を十分お聞きしつつ、このような視点から慎重に検討を進める必要があると考えております。

福田(昭)委員 慎重に進めるのはいいんですけれども、もう既に四年もたっているんですよね。ですから、私もベラルーシの話を聞いたことがありますけれども、メッシュに区切って、どの地域は、十年後、二十年後、三十年後にはこういうふうに放射線量が減っていきますよ、そういうやはりマップをつくって、地元の人に提示をして、地元の人と相談をする、そうしたことが必要だと思いますので、ぜひそうした作業を早急に進めていただければと思います。

 三つ目は、福島第一原発周辺四町の帰還希望世帯、これが一割から二割だというんですが、これをどう評価しているのか、お伺いいたします。

浜田副大臣 御指摘いただきましたように、四町、富岡、浪江、大熊、双葉町でございますが、この中で戻りたいと回答された世帯は、いずれも一割から二割の状況でございます。

 しかしながら、二十五年度と二十六年度の結果を比較しますと少し変化がございまして、まず、富岡町、浪江町におきましては、戻りたいとの回答をされた世帯の割合がわずかに減っています。それぞれ、富岡だと〇・一%減、浪江だと一・二%減。しかし一方、大熊町、双葉町におきましては、戻りたいと回答された世帯の割合がふえている。大熊町では四・七%増、双葉町では二・〇%増。一方で、戻らないと回答された世帯の割合は逆に減っています。大熊町では九・二%減、双葉町では九・〇%減。これは、大熊町の大川原復興拠点を初め、町の復興の絵姿が提示されたことが帰還希望の増加に少なからず影響を与えたものと推察しております。

 住民の立場からすれば、現時点において町の復興の具体的な方向性や将来の帰還時期などがはっきり見通せない中、判断に悩まれている方がいまだ多い状況にあると考えられます。昨年度の調査におきましても、この四町で、帰還について判断がつかないと回答された方は二割から三割おられます。

 いずれにしましても、復興庁としては、町と協力し、このような住民の意向調査を継続的に実施するとともに、帰還を希望されるにせよ、別の場所で新たな生活を始められるにせよ、住民の選択に沿った適切な支援が行われていくよう取り組んでまいりたいと考えております。

福田(昭)委員 皆さんにも資料の一をごらんいただきたいと思うんですが、今副大臣からお話がありましたように、若干戻りたいという人がふえたりいたしておりますけれども、しかし、戻りたいという人は、回収率を考えますと、浪江町を含めて、依然として一割以下ということなんですね。しかも、戻らない人が、大熊町、双葉町では五〇%を超えている。富岡町、浪江町でも五〇%弱。しかも、判断がつかない人たちが二割五分から三割いる、こういう状況でございます。

 こういった意味では、やはりしっかり、将来、帰還困難区域もちゃんと除染をするんだとか、除染をしないとか、帰還困難区域の中でも拠点だけ除染するんだとか、そういう方針を政府が一日も早く決定する、決めるということが、福島の避難している人たちが決断をする、そういう大変大きな判断材料になるというふうに思っておりますので、これをやはり急ぐべきだと思いますが、いかがですか。

浜田副大臣 冒頭申し上げましたように、除染につきましては、環境省としっかり連携しながら進めているわけでございますが、委員御指摘いただきましたように、町の復興計画を今順次改定しながら進めております。

 その中におきましては、例えば、大川原地区については平成三十年まで、その次の大野地区は平成三十五年、こういう段階的に町の復興計画が出てきますので、そういうものに合わせながら除染を進めていく。

 あわせて、今御指摘いただきましたように、復興のいろいろな事業を行うためのスポット的な場所も必要でございますので、そういうところについては優先的に除染をする。そういうものについては今現状でも行っておりますので、これをしっかりと徹底しながら、ほかの町にもうまく広げていきたい、こういうふうに考えております。

福田(昭)委員 四つ目でありますけれども、私も双葉郡の四町の町長さんたちと意見交換をさせていただいておりますが、そうした中で、実は、一昨年四町を訪れたときには、仮称ではありますが、双葉郡市のような新しい町づくりはぜひ考えてみたい、そういう話があったんですが、昨年お邪魔したときにはそういう話が残念ながら消えていました。大変厳しいことを言うようでありますけれども、戻りたい人が一割か二割の世帯しかいないということを考えると、町そのものの復興、以前のような町は、事故前の町を再生するということは絶望的だと私は思うんですよ。

 ですから、そういうことを考えれば、ぜひやはり、仮称ではありますが、双葉郡市のような新しい町づくりを考えて、その中にいろいろなものを整備していくということが私は大事じゃないかなと思う。

 なぜそんなことを申し上げるかといいますと、最初の調査で、それぞれの町の皆さんに、町外のコミュニティーをつくったらそこに住みますかというアンケートもあるんですよね。そうすると、そこに住みますという人が何と二割。三割はいなかったんですね、大体二割台。そんなことを考えますと、私は、この双葉郡の四町を以前のように、事故前のように再生することは不可能だと思っています。そういったことを考えれば、やはり新しい町づくりを考えるべきだ。

 今回、ふたば高校という新しい中高一貫の学校ができましたけれども、そういうものを核にしたり、それこそ、ロボットの先進研究施設をつくるとかいう話もありますけれども、そういうものを一つこういうところに設置して、本当に新しい福島の再生ができるような、やはり新しい町づくりをしていく、考えていくということが大事だと思いますけれども、そんなことについては、今どんなふうな状態になっているんですか。

浜田副大臣 御指摘のとおり、双葉郡の各町村を取り巻く環境が大きく変化しているのは事実でございます。

 これを踏まえまして、産業、雇用、医療、福祉、交通インフラなどさまざまな分野で地域のあり方を検討する必要がございまして、国の果たすべき役割は大きいものと認識しております。

 このため、復興庁といたしましては、昨年の十二月に福島十二市町村の将来像に関する有識者検討会を立ち上げまして、広域連携の拡充を含め、鋭意検討を進めているところでございます。

 今後、県や市町村と緊密に連携を図りながら、双葉郡を含めた地域の復興のあり方を示していきたいと考えております。

福田(昭)委員 放射線量の減衰、低下がどうなっていくのかということと、町をどういうふうに、福島を復興させていくのか、そういう具体的なビジョンがやはり必要だと思いますので、ぜひ復興庁としては、関係省庁と連携をとりながら急いでつくる必要がある、そのことを指摘しておきたいと思います。

 次に、放射性指定廃棄物最終処分場の六県の現状についてであります。

 一つ目は、現在どこの県も決まらないわけでありますけれども、どうして理解が得られないと認識しているのか、環境大臣の御認識をお伺いいたします。

望月国務大臣 放射性物質が付着しました焼却灰などの指定廃棄物、やはりこれを長期にわたって管理する施設の受け入れについては、地元の皆さんに御理解いただくということは非常に難しい課題であると思います。

 環境省といたしまして、この指定廃棄物の処理の必要性や施設の安全性について、いまだ地元の方々に十分な説明ができていない、まだまだ足りないな、こういうことは認識をしております。

 一方で、ただ、現在、指定廃棄物は各県のさまざまな場所に分散をしております。これは一時保管されておりますけれども、長期的には、台風がいつ何どきあるかわからない、あるいはまた、こういうような状況でございますので、竜巻などの自然災害、そういったおそれもあります。したがって、できる限り速やかに、そしてまた各県毎に指定廃棄物を集約して処理する必要がある、我々はこういう認識を持っております。

 今後とも、県や、詳細調査の候補地となっている市町村、それからまた地元の方々に誠意を持って対応すること、これが大変大切であると思っておりますし、指定廃棄物の処理について理解が得られるように努力を進めてまいりたい、このように思います。

福田(昭)委員 大臣は全く認識をしていませんね。候補地に選ばれた人たちは、何も罪を犯していないのに無過失責任をとらされるような、そういう問題ですよ、これは。何も罪を犯していない。いいですか。何の恩恵もない、そういう人たちが、おまえのところで引き受けろ、こう言われている。まさに非常な仕事をやらせようとしているのがこれですよ。

 しかも、風評被害の大きさといったら、これはとんでもない大きさです。小さな町などは、町がなくなってしまうような、本当にこれは、そんな心配もある指定廃棄物の問題なんですよ。認識がちょっと甘過ぎます。

 時間がなくなりますので早く行きますけれども、二つ目は、平成二十七年の三月三十一日までに設置する目標ができなかったが、今後どういう計画を立てるんですか。望月大臣は、それは前政権が決めたことで期限とは考えていないというようなことを発言したようでありますが、では、今後いつまでにつくる、そういう計画を立てるんですか。お答えください。

望月国務大臣 御指摘の目標、これは私も発言をしておりますが、これを引き継いでいるものではございませんが、引き続き、各県における実情を踏まえて、地元の方々に誠意を持って対応して、指定廃棄物の処理が進むように努めてまいりたい……(福田(昭)委員「わかりました。それでいいです。委員長、その次に行ってください。答えはそれでいいです」と呼ぶ)

福田(昭)委員 次に、三点目は、栃木県塩谷町のこのたびの県議会議員選挙の結果をどう受けとめているのか。

 御案内のとおり、民主党公認の候補が得票率七四・一九%、自民党公認の候補二人合わせて二四%でした。これは明らかに塩谷町民が、絶対だめだ、白紙撤回だ、そういうことに賛意を示した結果なんですが、環境省として、大臣、どう受けとめていますか。

望月国務大臣 選挙は、民意ということでございますが、やはり、選挙というものはさまざまな課題を掲げてやっているわけでございます。

 ただ、地元の方々の関心が高くて、さまざまな声が上がっていることは承知しておりますし、我々も、先生おっしゃったように、大変重く受けとめなくてはならない、こんなふうに考えております。

 ただ、先ほどから……(福田(昭)委員「いいです。委員長。そこはいいです。ただは要りません」と呼ぶ)

北川委員長 いや、福田委員の質問に今大臣答えておられるわけでありますから。

福田(昭)委員 いや、ですから長くてだめです。質問が終わりませんから、いいです。

北川委員長 では、大臣のお答えはそれでよろしいんですか。

福田(昭)委員 いいです。

北川委員長 では、福田昭夫委員。

福田(昭)委員 全く大臣は認識しておりませんので、結構です。

 次に、現在の基本方針に基づく放射性物質の総量及び処理施設について、これは環境省の事務方から、イエスかノーかで答えてください。

 四点質問いたします。

 一つ目は、福島県内の除染土壌等と十万ベクレルを超えるものは最大二千二百万立米で、中間貯蔵施設へ処分をして、三十年以内に県外へ持ち出すということで間違いないのか。

 それから、二つ目でありますが、指定廃棄物は、五県分は約二万五千二百五十トン、福島県分も含めると約十五万四千九百二十トンで、それぞれ各県に処理施設をつくるということで間違いないのか。

 三つ目は、指定廃棄物の量は、六県で比較すると、平成二十六年十二月三十一日現在で、福島県分が八三・七〇%、栃木県分八・七三%、千葉県分二・三八%、茨城県二・二八%、宮城県分二・一五%、群馬県分〇・七七%で間違いないか。

 四つ目は、五県分の指定廃棄物約二万五千二百五十トンは、福島県の除染土壌等と十万ベクレルを超えるものの最大二千二百万立米と比べると、わずか〇・一一%にしかならないが、間違いないか。

 この四点、イエスかノーかでお答えください。

三好政府参考人 福島県内の除去土壌と十万ベクレル・キログラム超のものの廃棄物の量でございますが、これは、先生がおっしゃっていただいた数字、二千二百万立米は、可燃物を減容化した後の数字ということで、最大の見込みでございます。

 なお、三十年以内、県外最終処分につきましては、中間貯蔵した土壌を減容化、再生利用を図った上で、再生利用されないものについて、中間貯蔵開始後三十年以内に、最終処分を完了することにしております。

鎌形政府参考人 残りの三点についてお答えいたします。

 指定廃棄物の五県の量ですが、二万五千二百五十六トン、それから福島県の分を含めれば十五万四千九百二十六トン、そのとおりでございます。それぞれの県内処理の原則は御指摘のとおりでございます。

 それから、六県の比較でございますが、先ほど、六県分のうちのそれぞれのパーセントで御指摘ございました。その数字については、私どもの把握しているものと同様でございます。

 それから、五県分の指定廃棄物と中間貯蔵二千二百万立米との比較でございますけれども、中身が違いますので単純には比較できないこと、あるいは、指定廃棄物の量は重量、それから汚染土壌は体積ということで、単純な比較は困難だと思いますけれども、仮に、指定廃棄物一立方メートル当たり重量を一トンとすると、割り算をすれば〇・一一%になるということでございます。

福田(昭)委員 ありがとうございました。

 それでは、次に、中間貯蔵施設の用地と帰還困難区域の買収についてお伺いをしたいと思うんですが、時間の関係で、二つ目の、帰還困難区域全域の総面積と、仮に事故前の評価額で買収すると幾らになるのか、御存じないと思いますけれども、時間の関係でこちらでお話をしたいと思います。

 コスモス法律事務所の弁護士、中下裕子先生によりますと、総面積約三百三十七平方キロメートルで、千六十三億八千百七十七万四千円と試算をいたしています。

 この金額で地権者が買収に応じてくれるならば、中間貯蔵施設も含めて全て買収することが福島の再生計画を描く上で大変私は重要だと思いますけれども、復興副大臣の考えをお伺いしたいと思います。

浜田副大臣 原子力災害で被災された方の土地につきましては、原子力事故により生じた損害のため、原子力損害賠償法に基づいて東京電力に賠償の責任を負わせることが適切であると考えておりまして、賠償としてお支払いしていることで対応しているものと理解をしております。

 この面積ですけれども、三百三十七平方キロということだと思いますけれども、これについては、それぞれ家屋なり山林とかありますので、その金額についてはちょっと評価できないと思います。済みません。

福田(昭)委員 確かに、東電から後で返してもらわなくちゃならないかもしれませんけれども、しかし、帰還困難区域は、皆さんが指定しているように、少なくとも三十年ぐらい帰れない地域なんですよね。ですから、それが本当に放射線量が下がってどれぐらいで帰れるのかという判断もあるかと思いますが、そうしたことをはっきりして、やはりこれを全部買収させていただくということがもしできれば、では、もし放射線量が下がっていったときにこの土地を福島の再生にどう生かしていくのか、そういうことも実は政府が考えることはできるんですよね。

 しかし、他人の土地には絵は描けません。ですから、そこはやはりしっかり考えるべきだと思います、あくまでも地権者が理解してくれればの話でありますけれども。私はそうしたことが福島再生につながっていく、そのように考えております。

 それでは次に、放射性指定廃棄物の真の解決策に向けてであります。

 一つ目は、やはり原理原則。例えばでありますが、水源地には絶対つくらないとか、排出者責任、東京電力でありますが、これはしっかり全うしてもらう、各県処理ではなく集中管理をする、あしき前例はつくらない、そうしたやはり原理原則を立ててやるべきだと思いますが、環境大臣、いかがですか。

望月国務大臣 おっしゃるように、これは原理原則。水源地、例えば水源に影響を及ぼさないように配慮する、あるいはまた施設を二重のコンクリートの堅固な構造とする、排出者責任は、特措法に基づきまして、国が責任を持って処理する、その処理に係る費用は、先生がおっしゃったように東京電力、その排出者責任ということでございますので求償する、そういうようなことを、原理原則は守っていきたい、このように思っております。

福田(昭)委員 皆さんも資料の二をごらんいただきたいと思いますが、これが指定廃棄物の指定状況、昨年の十二月三十一日時点の資料でございます。

 これを見ますと、やはり放射性廃棄物の量から考えれば、栃木、宮城含めて五県分合わせても福島県の〇・一%にしかなりません。福島県の富岡町のエコテックセンターに処理をしようとしている分も合わせても一%にはなりません。

 したがって、この問題は、やはり福島県民の皆様の理解を得る方が早いのではないですか。五県にそれぞれ、それこそきれいな自然を汚すような場所につくると言ってみんな反対に遭っているわけでありますが、五県の皆さんの御理解を得るよりも、福島県の皆さんの理解を得た方が早いんじゃないですか。環境大臣、どうですか。

望月国務大臣 このことにつきましても、我々の政権だけではなくて、前政権の皆様、非常に苦労してこの形を実はつくっていただきました。我々は、そういったものをしっかりといろいろ考えて、こういう形にさせていただきたい。

 今、そういうことでございまして、今お話がございましたように、福島県に集約して処理すべきという意見も間々ございます。しかし、やはり原発事故により大きな被害を受けた福島県に対しましてこれ以上の負担を強いることは到底理解が得られない、我々はこのように思っております。

 こういうことで、各県内で処理する考え方を見直す予定はございません。

福田(昭)委員 見直す考えはないということですが、先ほど申し上げたように、五県分合わせても〇・一%にしかならない。

 しかも、ここに中間貯蔵施設の概要などが書いてあります。これをよく読みますと、ここに貯蔵するものについては、八千ベクレル以下の土壌など、八千ベクレルを超え十万ベクレル以下の土壌など、それから十万ベクレル超の土壌など、除染廃棄物が焼却灰になったもの、十万ベクレル超の対策地域内の廃棄物など、合わせると最大約二千二百万トンと言っているんですね。

 ですから、指定廃棄物もこの中へ実は入ってきちゃうんですよ。中間貯蔵施設へおさめるものと同じように、この中間貯蔵施設へ入ってきちゃうんですよ。しかも、量は〇・一%にも満たない。これがどうして福島の人に負担をかけることになるんですか。どうですか。

望月国務大臣 これは、指定廃棄物の量の多寡、多さということではない、私はこのように認識しておりまして、やはり各県内で指定廃棄物の処理が進むように、引き続き県や市町村あるいは地元の方に対して我々自身が誠意を持って対応していきたい、こんなふうに思っております。

福田(昭)委員 全く理解していないようでありますが、地元の人とちょっと話をしてみてください。ちゃんと私は話をしていますからね。

 それで、三つ目でありますが、放射性物質汚染対処特措法の施行検討会がスタートしたようでありますが、特措法と基本方針の抜本的な見直しが必要だと思いますが、ことしの夏までにこの検討会が提言をまとめるということであります。

 ここで委員長にお願いをしておきたいと思います。大臣にお願いしてもしようがないので、委員長にお願いしておきたいと思いますが、この問題の真の解決を図るためには、環境省が設置した施行状況検討会のメンバーと環境委員会のメンバーでフリーディスカッションをする場がやはり必要だと思います。フリーディスカッションをして、本当に現状をこの検討会の皆さんもよく理解をして、ただ単に資料を見るだけじゃなくて、しっかりと、五県の代表も要ると思いますからその代表の皆さんにも加わっていただいて、委員会で質疑じゃなくてフリーディスカッションをして、真の解決に向けて、ぜひ環境委員会として政府をしっかり叱咤激励して、解決ができるような対応をお願いして、私の質問を終わりにします。

 以上でございます。

北川委員長 次に、田嶋要君。

田嶋(要)委員 おはようございます。民主党の田嶋要でございます。

 環境委員会に貴重なお時間をいただきまして、質問させていただきます。委員長を初め皆様に心から感謝申し上げます。

 この委員会を見渡しますと、福島の先生、私と一緒の千葉県の先生、それぞれおいででございますし、全国の委員がいらっしゃるわけでございますが、この原発事故というのは、今の福田先生は栃木でございますけれども、福島はもちろんのこと、本当にいろいろなところにいろいろな苦しみ、不幸をばらまくものだということを改めて感じるわけでございます。

 きょう、偶然重なったわけでございますけれども、新聞報道によれば、私の千葉一区というところに指定廃棄物が、候補地として決定をする。その知らせが、きょう午後の二時でしょうか、今報道によりますと、環境副大臣が千葉の市長にお会いになるというようなニュースも流れてございます。私がいろいろと環境省に聞いておる限りは、まだ何も決まっておりませんということをずっとおっしゃっておるわけでございますが、大臣、このニュースは事実でございましょうか。

望月国務大臣 今御指摘ございましたように、詳細調査を行う候補地の選定結果につきましては、まさに、本日午後、小里副大臣が千葉市役所及び千葉県庁を訪問して熊谷市長及び森田知事に直接報告をする、こういう形になっております。

 まずは、地元の信頼関係でございますので、地元に赴き、選定結果などについて丁寧に説明をすること、これがやはり筋だと我々は思っておりますし、環境省におきましては、選定作業に係る情報管理については細心の注意を実は払っているところでございまして、このような中で、まだ地元の皆さんに話をする前にこういった報道がなされているということは、私たちは大変遺憾に思っております。

 本日、千葉市及び千葉県に正式に報告した後に、地元の議会や住民の方々を含め、施設の必要性、安全性を初めとして丁寧な説明を尽くしていきたい、こんなふうに考えております。

田嶋(要)委員 福田委員のお地元の栃木も去年から本当に苦労されておるわけでございますが、そういった意味では、指定廃棄物関係県が複数ある中で、初めてのことではないわけでございますが、お手元の資料の二ページから、時系列的にどういうタイミングでどういう地元記事、これは地元の千葉日報でございます、きょうも記者さんがお見えでございますけれども、そういった時系列の記事をつけさせていただきました。

 これは日付を見ていただくと、初めてが土曜日、四月十八日でございます。そして、うわさベースで私の耳に入ってきたのがその前日の十七日、すなわち先週の金曜日なんですね。

 これは、今遺憾だというふうにおっしゃいますけれども、いろいろなニュースの中でも、特定の場所にそうした非常に国民が心配をしている、目にも見えないものが来る、来ない、こういった非常にセンシティブなニュース、情報なわけでございます。なぜこれが一週間も前にこういう形で報道されなければいけないのか。

 マスコミの仕事は、情報をとる、そして報道するという仕事なわけでございますが、今、管理はちゃんとされてきたということでございますけれども、これはやはり、ほかの情報以上に特段の注意を払って、厳重管理をして、今大臣が初めて国会の場で、地元の私国会議員に対してそういうことをおっしゃっていただきました、やはりこれが公に向かっての最初であるべきだし、そしてもちろん、千葉市の市長さんとか一部のそういう立場の方には内々の話はある程度行っているかもしれないけれども、厳正管理がされてしかるべきじゃないかな、私はそういうふうに思うんですが、大臣、これは遺憾では本当に済まないんじゃないかな。こういうことが何で繰り返されるのか。

 大臣、これは私の反省というか私の経験も、御存じかと思いますが、私は福島の現地の本部長を三カ月やっておりました。現地の首長さん方と同じ思いで、怒りをいつも覚えていたんですね。当時は民主党政権ですけれども、何政権であっても突然出るんですよ、ニュースが。そして現場はひっくり返るんです。だから、現場の首長さん方の怒りの気持ち、悲しさ、全く私は共有していたんです、当時。

 だから、私は官邸に向かって、政権に向かって文句ばかり言っていましたよ、何でこういう情報を現地に知らさずに先に流すんだと。これは同じことが、やはり政権がかわっても起きているんです。誰がやっても起きているというのは、難しいとは思いますけれども、これは特別心配していただかなかったらいけないし、これからまだ残されている県もある中で、二度とこういうことがないようにしていただきたいということを改めて大臣にお伺いします。

望月国務大臣 先生がそういう仕事に携わってきて、非常に心配をなさってきたということ、我々もまさにそのとおりでございまして、どこからいろいろな情報が出てくるのかなというふうに思いますが、まず、何といってもやはり、地元の皆さんに一番最初に説明をするのが筋でございまして、こういうような情報が漏れてしまうというのは全く遺憾なことだな、我々もこれからそういったものをもっと厳正管理していかなきゃいかぬな、こんなことを今改めて認識して、注意をしていきたいな、このように思っております。

田嶋(要)委員 環境省は、この原発の関係、いろいろ担当されておるわけでございますので、やはり特段細心の注意を払っていただいて、資料の回収とかそういったことはふだんからルールがあるかと思いますが、もう一度改めてそういった厳格なルールを設けていただくということをお願い申し上げたいと思います。

 そして大臣、これは残念ながら結果でございますので、こういう事態になってしまって私が残念ながら申し上げなきゃいけないのは、大臣の仕事が格段難しくなった。これは結局、大臣にも降りかかってくるんです、環境省自身に降りかかってくるんです。こういったことをやると態度を硬化するのは当たり前ですね、現場の皆さんが。多かれ少なかれ、何なんだこれはといって、今、地元の議長さんも、それから市長も、あるいは役所の人、住民、みんなが動揺をしているわけでございます。

 これは次の新聞記事、二ページが、寝耳に水の猛反発、その後で、議長から熊谷市長への申し入れ、これが今週の前半ですかね、そして、きのうのニュースが四番ということであります。

 これはもう本当に時既に遅しということで、こういうことになれば、なかなか本来解決するものも解決しないような状況になってしまう。このことを御理解いただきたいということと、ほかの県に対して、まだ残っているわけでありますので、二度と繰り返してほしくないというふうに改めてお願い申し上げます。

 次に、候補地の不適格、適格ということに関してお尋ねをしたいというふうに思います。

 これははっきり言って、首長さん方の千葉県での会議の議事録などを読みますと、やはり皆さんが想定しているのは、人里離れた山の中、そんなようなイメージの、そういうような想定に基づいた質疑が多々ありました、私も拝読いたしましたけれども。

 しかし、そういう中で、事もあろうかといいますか、政令市の、人口が非常に密集している町の、しかも海に突き出たところですね。これは一枚目の写真をごらんください。この点々の丸で囲んだところが東京電力の敷地ということのようでございます、私、現地にはまだ行ったことはありませんけれども。こういうところということで、要は、水が湧き出るところではないですけれども、水がすぐ横にあるところですね。

 これは普通の素人の感覚として、私は専門家ではございませんが、例えば、液状化の問題、それから地震、津波の問題。ここは千葉市の中央区ですが、海抜ゼロメートル、一メートル、二メートル、そういうような非常に低い数字のところがたくさんあるわけでございます。

 そしてまた、言うまでもなく、直下型の地震が何年以内にどのぐらいの割合だ、これはみんなが意識をして、今、住民の危機感、そして防災意識、減災意識が非常に高まっておるわけでございますが、よりによって何でこんなところが候補地にならなきゃいけないかということが輪をかけて住民を恐らく驚かせているし、議会の方々、首長さん方、みんなびっくりしているというふうに考えます。

 この適格、不適格の中で、これから直下型地震が起きるかもしれない、津波が来るかもしれない、その辺に関してはどのように認識をされておるんでしょうか。

望月国務大臣 まず先に、ちょっとお話をさせていただきたいのは、詳細調査を行う候補地の選定結果につきましては、実は本日午後に小里副大臣が千葉市役所及び千葉県庁を訪問して、熊谷市長、森田県知事に直接報告することになっておりますので、まずは地元に赴いて、選定結果などについて丁寧に説明することが筋ということになっております。地元に説明する前に、ここが候補地であるかどうかということを質問にお答えすることは、これまた、先にこちらでというような形になりますと、地元の方はなぜ最初に地元に言わないんだという話に、そういうことも往々にして起こりますので、まず、具体的な候補地については差し控えさせていただきたいな、こんなふうに思います。

 ただ、御指摘の津波や液状化、大規模な地震などの御懸念については、場所の選定手法、あるいはまた施設の設計、維持管理などについてはしっかりと配慮して対処することとしております。

田嶋(要)委員 おっしゃるとおり、現時点ではまだ、ぎりぎり、いろいろな制約があるのは理解をいたします。

 大臣、その関係で、五ページの大臣の顔写真入りのニュースでございますけれども、五ページのこの顔写真入りの下から三段目の後段ですけれども、「環境省は「長期管理施設の選定では、津波が押し寄せる地域は対象外にしている」」、こういう記述があるんですが、こんなことはわかるんですか。

 これは一般論で結構ですよ、千葉市がどうのということじゃなくて。「津波が押し寄せる地域は対象外にしている」、こんなことがわかっていたら苦労しないと私は思うんですよ。自然災害というのは、こういうことがわからないから人命が失われたりするんじゃないですか。こういうことを本当に環境省は言っているんですか。

鎌形政府参考人 千葉県の場合、市町村長会議におきまして、選定の手法についていろいろ議論を積み重ねてございます。(田嶋(要)委員「千葉県の場合じゃなくていいですよ」と呼ぶ)はい。

 いずれにしても、津波に関しては、対象とする土地から、いわゆる津波浸水区域に該当するエリア及び東日本大震災における津波到達ラインより海側のエリアをあらかじめ除外する、そういうようなルールに従ってこの選定作業を進めてきているということでございます。

田嶋(要)委員 ぜひ、きょうされるのであれば、千葉市長並びに知事にしっかり説明していただいて、これは、普通の人から見ると、一番おっかないところに何かとんでもない企てをしようとしているという印象を持たれますよ、当然。そのことをしっかり説明していただければと思います。

 最後、時間でございますので、もう一問だけ。

 放射線量の八千ベクレル以上というので指定を受けるということでございますけれども、ひょっとしたらもうどなたか聞かれたかもしれませんが、この線量というのは、当然、ある時点で測定をし、どんどんどんどん下がっていくわけでございます。セシウム134、137、134は半減期が短いというような話を聞いております。

 これはやはり、どこの地域の問題も同じですが、指定を受けた時点は、指定は八千ベクレル以上十万ベクレル以下ということでございますが、どんどん半減期で下がっていくということであれば、もう一度測定をし直す、ないしは、測定せずとも、いつそういう数字だったかというログがあれば、当然、今は何ベクレルなのか、そして、今の数字が八千を下回っていれば、それは指定を解除するような手続を踏めば、今抱えてしまっている地域にとっても、将来これから持ち込まれる地域にとっても、いずれにしても指定される量というのは相当減るのではないかというふうに考えますが、今の法律上はそういう手当てがなされていないと思います。

 最後に大臣にお伺いしますが、そこは、やはりどんどん、放射性物質の性格としてそういう性質があるわけでございますので、そこの指定の再指定といいますか解除といいますか、法律上の言葉はともかく、こういった対応をされるお考えがあるかどうか、大臣にお伺いします。

望月国務大臣 放射性濃度が一キログラム当たり八千ベクレル以下となるなど、指定要件を満たさない状況となったものについては、廃棄物処理法に基づく従来の方法により安全に処理できるもの、こういうふうになっております。

 そのため、先生のお話にございましたように、幾つかの自治体から、指定解除により処理が円滑に進むとの御指摘や指定解除の要請があることを踏まえて、環境省におきましては、指定廃棄物の指定解除手続について今現在検討しております。

 そして、時期については確たることは申し上げられませんが、御指摘を踏まえて、できるだけ早期に結論を出すために、事務方に検討を急ぐように指示をしているところでございます。

田嶋(要)委員 ありがとうございます。

 できるだけ早期にということでございますが、私は、千葉県の三千六百トン、それぞれ、いつ、どこのものがどういう数値で測定されているかというデータを一週間前にお願いしましたが、残念ながらきょうまで出てきませんでした。

 そういったことで、できるだけ早期にというのは、言葉だけじゃなくて実際にできるだけ早期にやっていただいて、その指定されたものが今もう一度計算し直すとどういう数字か、速やかにお出しをいただきたいというふうに思います。

 きょうは、どうもありがとうございました。

北川委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 民主党の中島克仁です。

 本日は一般質疑ということで、私からも質問させていただきますが、私からは、まず、温暖化対策の取り組みについてお尋ねをしたいと思います。

 年末にパリで開かれますCOP21に向けて、二〇三〇年の温室効果ガス削減目標の調整が大詰めを迎えていると、今週も、各新聞紙上でも大きくたびたび報道されました。

 日本はCOP19のときに、二〇二〇年の目標を〇五年比でマイナス三・八として閣議決定をしております。二〇五〇年の八〇%削減を達成するために、環境省として二〇三〇年の削減目標は〇五年比で二〇%台後半、その削減目標が必要と主張をされているとされております。一方で、経産省は削減目標が二〇%台前半にとどまるとされており、この数値目標の調整が大詰めを迎えているということで報道されておるわけです。

 電力部門のCO2の削減は、現在、我が国のCO2の排出の約四割を占めていて、言うまでもなく、今後のエネルギーミックスの策定、再生エネルギーの導入促進と温暖化対策の目標設定は表裏一体。これも言うまでもなく、温暖化対策は、環境省の設置法の最も重要な排出抑制として定められた所管ということであります。

 三月の二十七日に我が党の馬淵議員から、CO2削減目標設定の前提である再生エネルギーの導入見込み量の推計も、環境省、経産省、それぞれの立場があるのは御理解できるけれども、だからこそ、これは事務方に任せるのではなく、望月大臣と宮沢経産大臣がしっかりと話し合って連携をとる、関係閣僚が対等な立場で、バイでの話し合いをぜひしていただけるようにというふうなことを指摘させていただき、望月大臣も、しっかりと受けとめるというふうにおっしゃっておられました。

 一昨日、NHKの報道によりますと、今週中には四閣僚、四大臣による会合を開かなければならないというようなことを述べられておりましたが、まず、この四大臣による会合を開かれたのか。そしてまた、この一カ月の間に、しっかりと受けとめられたとおっしゃっておられました、非公式も含めて、宮沢経産大臣とのバイでの話し合いをされたのかどうか、お尋ねをいたします。

望月国務大臣 先生の御指摘のように、地球温暖化対策は環境省の重要な任務である、あるいは、環境大臣は地球温暖化対策について重大な責務を負っている、これはもう認識をしております。そして、今、新たな温室効果ガス削減目標、国の地球温暖化対策計画の策定に向けても政府全体をリードしていく、そういう立場にある、このように思っております。

 今後とも、低炭素社会の構築と中長期の大幅な排出削減を実現するために、引き続き積極的に取り組んでまいりたいと思います。

 なお、宮沢大臣とは、たまたま会派と申しますか、一緒の形でございまして、何においても毎週顔を合わせるというような状況でございまして、もちろん、外務大臣もちょうど私たちの会派でございまして、また、吸収源の農水大臣の林大臣も同じグループでございまして、そういったところでは常日ごろ顔を合わせておりますので、やはり、そういう中で、こうであるべきというのはざっくばらんにお話をさせていただいております。

 そして、我々としては、やはり環境省の立場というものをしっかりとそこで主張させていただく。そういう形の中で我が国の方向性をしっかりと決めていきたい、こんなふうに思っております。

中島委員 大臣、一昨日のNHKの報道で私は聞いたんですが、今週中にも四大臣閣僚会議が開かれる、開く必要があるということだったと思いますが、開かれたのか開かれないのか。もし開かれないとすれば、きょうは金曜日ですから今週は終わってしまいます。その辺はいかがなんですか。

望月国務大臣 四大臣そろってというような話し合いというものはさせていただいております。

中島委員 したんですか。

望月国務大臣 いたしました。

中島委員 三月二十七日の馬淵議員からの質問でもあったように、経産省、環境省、それぞれの立場で乗り越えなきゃいけない部分があるということは当然だと思います。だからこそ、何度も何度も、今も御答弁ございましたが、同じ派閥とか、しょっちゅう顔を合わせるとか、もちろんそういう関係だということはわかりますが、改めてしっかりここの場で、四大臣の内容がどうだったのかは今お答えできればお答えいただきたいと思うんですが、その会議での結果を、まずどういう内容だったか。

 今、そういう局面であるわけですよね。その辺の認識を強く持っておられるということですが、その四大臣での会合でどのような話し合いがされたんでしょうか。

望月国務大臣 これは、もちろん、その数値を決めていくということになりますと、やはり総合的な判断が必要でございます。私たちだけで、私だけで決めるわけにいかない。私と経産大臣だけで、先ほど申しましたように、決めるわけにはいかない。外務大臣も、あるいはまた農水大臣もさまざまかかわってきますし、また、国の方針を決めるということになります。

 そういうことでございまして、四大臣というのは、その最近の動きについて官房長官に実は報告をさせていただく、そういう形でございます。そういう中で、まだ特段、何が決まったというところまでは実はいっていないというのが事実でございます。

中島委員 その上で、四月の三日に、二〇三〇年の再生エネルギー導入量が最大で三〇%となるということが公表されまして、これは、委託していた三菱総研の試算結果をもとにと。これは環境省としてなのかどうか。これが、まず、これからの電源構成、再生エネルギーの導入量、今話し合いが置かれた中で、それぞれの立場、それぞれの、私どもだけでは決められないというお話がございましたが、もともと持っていくものがなければ相談のしようもないというか。

 そこで、ちょっと確認なんですが、この四月三日に、二〇三〇年の再生エネルギー導入量、一応公表はされておるんですが、確認です。これは環境省の試算ということでよろしいんでしょうか。

望月国務大臣 御指摘の試算でございますが、これは、環境省の委託を受けて三菱総合研究所が、さまざまな前提や仮定を置いて、二〇二〇年、二〇三〇年、二〇五〇年の再生可能エネルギーの導入ポテンシャルを試算したものでございます。

 そういうことでございますので、さまざまな課題のある試算ではありますけれども、こうした試算も参考資料の一つとして、環境省として、再生可能エネルギーの最大限の導入に向けて関係省庁と連携をしてまいりたい、このように思っております。

中島委員 もう一度ちょっと確認ですが、環境省の最終試算ということでよろしいんですか。

望月国務大臣 最終試算に参考にする一つであるということでございます。これだけで決めるというわけではありませんし、いろいろな情報を得て、その中で決定をしていくということになります。

中島委員 では、最終決定試算はいつ出るんですか。

望月国務大臣 これは、最終決定するのは、我々は、四大臣会合、官房長官に報告をし、その後に最終的な決定をするというような形になります。

 ですから、今は、さまざまな数字が出てきて、それぞれの参考にはさせていただいている、こういう形になると思います。

中島委員 ですから、済みません、ちょっと私の理解が悪いのかもしれませんが、環境省としての最終試算はいつ出るんですか。

望月国務大臣 最終試算というのは、COP21に数字を出すまでには、これは、我々がそういう最終試算というものを出して決定していくということでございますので、その日がいつということはまだ決まっておりません。

中島委員 それは、COP21のときのものは国としての最終試算だと思いますが、先ほど言ったように、それぞれの立場で、そのための四閣僚の会議だと思うんです、環境省として、報道では三〇%というふうに言われておりますが、これは三菱総研の試算だということで、それぞれテクニカルなことも含めて検討が必要ということであったわけで、例えば、閣僚会議に持っていくときに、環境省としてはこうなんだという、環境省としての試算というものがいつ出るのか。

望月国務大臣 そこが難しいことで、環境省として出すというのは、さまざまな資料を集めて、こういうものが幾つかあるというものをまとめていくという段階で、ほかの省庁とも、あるいはまた、最終的には国の方針を決めるというところに持っていくということでございまして、環境省が数字を出して、これでやってください、そういう決定というものはなかなかないのではないかなというふうに思っております。

中島委員 それでは、それぞれの立場を乗り越えてといって、それぞれの立場の前提がなければ、何を話し合うのか私にはさっぱりわからないんです。

 経産省は、これは二〇%半ばにすると、審議会でのことが発表されておるわけですよ。我々というか、環境省としての前提となる試算が公表できないのかできるのか。その上で、土台となる試算がなければ、どうやって話し合うのか私にはさっぱり理解できないんですね。

 この報道、きょうはちょっと手元の資料を出していませんが、月内にも政府原案を出すと。そして、G7、サミットまでには国外に向けて日本の数値目標を設定して出していくというところまで来て、もう最終局面なわけですよね。それがCOP21。それは当然だと思いますが、環境省としての軸足というものが明確になっていなければ、どうやって話し合いをするんですか。

望月国務大臣 ですから、三菱総研のこういった調査も、我々のところでただしまい込んでしまうのではなくて、皆さんに情報を、たしか三月三十一日にこの数値をいただいて、四月三日ごろには皆さんに公表している、こういう考え方もありますよと、基本となる考え方は。

 ですから、経産省も数値が、報道ではそういうものが出ていると思いますけれども、経産省がこういうものでやりますというものは実は出ておらないというのが現実だと思います。

中島委員 ちょっとそれではなかなか、環境省はどこに向かっているのか、全く私には。国民の皆さんに向かっても、成らない。新聞報道でははっきりとこういうふうに書いてあるわけですよね。だけれども、三菱総研の結果、最大導入量三〇%という試算が出ていて、それをもとにしているのかどうかということすらもわからないということであれば、今後どうなっていくのか大変不安にも思います。

 私は、基本的には環境省を応援したいという立場でいるわけでして、そういった意味から、何度も言うようですが、これは最終局面で、まさに望月大臣のリーダーシップ、調整力が問われる局面であると思います。

 きょうはちょっと時間が短くて、これで終わらなければいけませんが、ぜひ、この最終局面に向かってしっかりとリーダーシップを、そして調整力を発揮していただきたいというふうに思います。

 時間ですので終わりますが、一言お願いします。

望月国務大臣 まさにこれは、日本の国の数字を出すということ、この数字を出すのに与野党ございません。今の先生の御指摘というものを我々もしっかりと重く受けとめて、我が国のいい数字が出るように頑張らせていただきたい、このように思います。

中島委員 質問を終わります。済みません。

北川委員長 次に、小沢鋭仁君。

小沢(鋭)委員 維新の党の小沢鋭仁でございます。

 通告をしておる順番をちょっと変えさせていただいて、今、中島委員が温暖化の話をしていただいておりますので、私もその関連のところでまず入らせていただきたい、こういうふうに思います。

 先ほどから大臣、お答えになっていますが、あちこちに大変気を使って御答弁をされているやに聞こえます。これは、先ほど中島委員もおっしゃっていましたが、まず環境省の立場を明快につくらないとだめですよ。

 余り偉そうに私は言うつもりはありませんけれども、私のときはロードマップというのをつくりました。ある程度の数値目標も出しました。当時野党の自民党の皆さんから、ここにいらっしゃる人たちはみんなよかったんですよ、そうではない経産省系の皆さんたちから相当激しくやられましたよ。だけれども、そのくらいやらないとだめじゃないですかということを先ほども中島委員はおっしゃったんだろうと思うし、私も申し上げたいと思います。

 これはきょうの朝日新聞ですが、「二五%減」とありますが、この二五%は一九九〇年比じゃないですよね、今話題になっているのは。「問われる意欲 EU・米の水準下回る 「五〇年に八〇%減」と開き」、こういう見出しでしょう。こういう話で大丈夫なんですか、こういうことなんですよ。大臣、決意をちゃんと言ってくださいよ。

望月国務大臣 これは、世界を相手にして我が国の方針を出していくという大変大切なことでございます。

 小沢先生のような大臣経験者の今の御指摘というものを大変我々も重く受けとめて、しっかりとしなくてはいけないということを、今まさにそういう考えを持っておりますが、これを決めるのには環境省だけではございません。

 ただ、国民のCO2の脅威というもの、こういったものを考えると、環境省がしっかりしていかなくてはいけない、まさにそれはそのとおりでございますが、やはり、どういう数字にしていくかという、今まさにもんでいる最中でございまして、なかなか環境省だけで、この数字でいくんだ、そういうようなものを言えるというような状況にはございません。

 何しろ国が一丸となって、ほかの国に遜色がないような数字が出せるように我々は頑張っていきたいな、このように思っております。

小沢(鋭)委員 環境省だけで決められる話ではないというのはそのとおりだと思います。

 ただ、今私が申し上げているのは、あるいはまた、さっきの中島委員が言っているのは、環境省としての見解というのをちゃんと持たなきゃいけないんじゃないですか、こういうことを申し上げているわけですね。

 気候変動の問題というのは、温暖化対策の問題というのは、一つは、できるかできないかという可能性の話があります。経産省は割とこの立場に立って発言するんですね。もう一つは、地球環境のことを考えたときに必要か必要でないか、こういう判断があるんですね。その両方の判断で、やはり最終的にどこに落としていくかということを決めるんだと思います。私はそう思っているんです。環境省が言わなきゃいけないのは、必要か必要でないかという、その立場に立った、やはり問題提起なんですよ。

 今の地球環境の中で、前回のときに私申し上げましたけれども、いろいろな自然災害が起こっている、こんなのは最初から予測できていた話じゃないですかと。これだけの自然災害が起こっているんだから、それは何か地球として大変な問題が起こっているんだから、環境省としてきちんとやらなきゃいけないんだという話を言うべきだ、こういう話を申し上げたんです。

 ですから、大臣のよって立つところは、まさに地球環境においてこれは必要か必要でないかという観点で強く主張しなきゃだめなんですよ。それを申し上げたいと思いますが、いかがですか。

望月国務大臣 まさにこの環境問題、地球の未来にとって大切なものである、我が国にとっても大切なものであるということはしっかりと主張をしていきたいと思います。

 ただ、そういった数値を決めるのに、各国が必ずこの約束を守っていく、そういうしっかりとしたものに支えられた数字を出していかなくては、数年たったときに、日本の国は違った、できなかったとか、そういうことになると、やはり国の信用が失墜することになります。ですから、そこは、もちろん主張はそうであっても、積み重ねというもの、そういうものをしっかりとやはり、きっちりと積み重ねてそういう数字を出していくということでございまして、先生のおっしゃる、主張をしっかりするべきだというものについては我々も心してかかっていきたいな、このように思います。

小沢(鋭)委員 先ほどもありましたけれども、ただというところからの大臣答弁は、いやもう本当に、ちょっと大丈夫かいな、こう思って聞かせていただいておりますので、しっかりと取り組んでいただきたいということを申し上げて、それに関連するんですが、CO2の削減目標、二〇三〇年で二五%程度、こういう話のようですが、基準が何かわからないですね。きょうの新聞報道を見ると、現状に比して、こういうような言い方がありますね。現状に比してというのは二〇一三年ということですか。

 報道を見ると、これも経産省の方は二〇一三年、原発事故が起こった後の現状から、こういう言い方をしている、こういうことなんですが、さっきのいわゆる環境省の二〇二〇年までの目標は二〇〇五年ですよね。私どもは一九九〇年というのを使っていたし、それが一番有効だとは依然として思っていますが、少なくとも二〇〇五年になりました。

 基準年がこんなぐらぐらしていていいんですか。これはもう日本の信頼が損なわれるし、さらには、COP21に向けて決めていくという話のときに、今ですらまだ統一的な基準年が決まっていないのに、また新しく二〇一三年とか、日本がそんな提案をするんですか。こんなみっともない話は即刻やめてもらいたい。いかがですか。

望月国務大臣 この基準年も、マスコミ、報道で言われておりますが、二〇一三年を基準年とすることを決めた事実というものは実はございません。

 ただ、先生のときには一九九〇年ということを使われました。これは、例えば東西ドイツが統合したときで、こういった、EUといいますか、ヨーロッパ、ドイツ等が、やはり自分の国の数字をよく出すのには一九九〇年がいいなと。あるいはまた、今二〇〇五年というような数字もアメリカ等いろいろなところから出ております。やはりその国の数字を打ち出すのにいい時期といいますか、そういうことを打ち出しているというようなことではないかなというふうに思います。

 ですから、ただ、我々は、年数とかそういうものにこだわっているということではございません。特には、我が国が一体どれくらいのCO2の削減ができるか、最終的にはそこで決まっていく問題ではないかな、こんなふうに認識をしております。

小沢(鋭)委員 ですから、基準年によってパーセンテージの数字は変わるけれども、実際に減る何億トンという数字は変わりません、こういう話だと思いますけれども、ということは、大臣、今申し上げたように、基準年は二〇一三年になってもいいんだ、そういう答弁なんですか、今のは。

望月国務大臣 いいということではないと思います。

 ただ、例えば二〇〇五年の水準と二〇一三年という今話が出てきて、我々もちょっといろいろ研究をしているところですが、実際にはCO2の削減がどれくらい違うかというと、〇・六%くらいしか違わないのかなというようなことを見ると、これは考え方によるんですけれども、二〇〇五年も、二〇一三年も、というようなことに実はこだわっているわけではございませんので、まだ決まってはおりません。

 しかし、我々としては、何しろ日本の国が世界の国に遜色ないようなCO2の削減の数字を出せる、世界の国からなるほどなと思われるような数字を出すということが大切だということで、こちらの方で最終的に頑張っていきたい、こういうことでございます。

小沢(鋭)委員 実際に削減する数字が大事だというのはそのとおりで、わかりますよ。ただ、国際交渉がもたないでしょう、そんなことを言っていたら、今度は二〇一三年の数字を使いますとか。国際交渉は大丈夫なんですか、それで。

望月国務大臣 まだ一九九〇年比ということを言っている方も、国もございますし、二〇〇五年と言う方もございます。我々はもちろん二〇〇五年というものを大切に考えておりますが、例えば、我々は、ですから、過去のことよりも今後どれぐらい減らしていくかということになる。今からということになりますと、直近だと二〇一三年という考え方もあるのかな。

 そういったことも実は参考にさせていただくということはございますが、今はまだこういったものが決まっているという状況ではございません。

小沢(鋭)委員 繰り返しになりますが。何億トン減らすかという数字が一番大事だというのはそのとおりだし、それはわかっています。

 ただ、国際交渉の中で、ことしパリのCOP21で国際合意をつくっていくというときに、そんな基準年がぐらぐらしているような話ではだめだし、そして、日本はこの間までは一九九〇年を言っていた、今度は二〇〇五年を言っている、今度は二〇一三年だ。これでは国際交渉が私はもたないと思いますから、そこはしっかりと踏ん張っていただいて頑張っていただきたいということを要望して、時間も大事なので、次に移らせていただきたいと思います。

 冒頭に本当は申し上げようと思っていたんですが、いわゆるドローンという小型無人飛行機が首相官邸に侵入したわけであります。

 これにはWiFiの機能があって、動画を送信できることもわかった。それから、容器がついていて、その容器には、放射線を示すマークとRADIOACTIVEと表記されたシールが張ってあった。さらには、微量ではあるけれども放射線量が確認された。こういう話であります。

 これに関しては、いわゆる警察的対応ということは内閣委員会の方でまた集中審議を野党として要求しているわけでありますが、私の立場は、放射性物質ということでこの委員会でもお聞きをしたい、こう思うんですが、その前に、空の警備はどうなっているんですかというのをまず一つ。警察庁ですか、来ていただいていると思います、聞かせてください。

島根政府参考人 お答えいたします。

 今回の事案につきましては、現在警視庁において捜査中でございますけれども、警戒警備につきましては、その結果等を踏まえつつ随時必要な見直しを行ってまいりたい、こう考えております。

 まずは、今回の発生を踏まえまして、周辺空域に対する警戒監視を徹底するとともに、周辺エリアにおける検索を強化するなど、警戒警備に万全を期してまいりたいと考えております。

小沢(鋭)委員 見直しを聞いたんじゃないんですよ。今まで空への警備はどうなっていたんですかという質問なんですね。

 例えば、今回は、ある意味でいうと、いわゆる放射線を示すマークがあって微量の放射線量が確認されたということだからあれだけれども、時限爆弾がついていたらどうなるんですか、これは。今まで空の警備はどうなっていたんですかということを聞いているんですよ。

島根政府参考人 一般的に申し上げますと、いろいろ警戒警備を行うに当たりましては、さまざまな可能性というものがございますので、陸から海から空からいろいろな危険が発生するおそれというものを念頭に置きつつ、これまでは対処をしてきたというところでございます。

小沢(鋭)委員 対処してきたといったって、実際に侵入というか、墜落したというかわかりませんが、成って、どうも一日くらい全然わからなかった、こういう話ですよね。ですから、これは世界から考えたら本当に驚くべき事態だと思いますよ。

 ここから先の警備関係の話はまた別の委員会に移させてもらいたいと思いますが、ところで、では、放射線量は誰が測定して、どのくらいあったんですか。それからついでに、時間がないから加えてお尋ねしますが、いわゆる一般環境における放射線の濃度のモニタリングというのは、かつては文科省がたしかやっていたんですね、SPEEDIとかいう話で。今は誰がどういうふうにやっているんですか。それを二つ。

 いわゆる、今回のケースの測定や何かは誰がやって、どのくらいだったのか。一般環境における放射線の測定というのは今はどうなっているのか。この二つです。

島根政府参考人 お答えいたします。

 今回の事案につきましては、警視庁の関連する部隊におきまして放射性物質の測定等をいたしまして、本件で検出された放射線量は最大〇・一マイクロシーベルト・パー・アワーということで報告を受けております。

片山政府参考人 お答え申し上げます。

 かつて文部科学省がやっておりました業務というのは、原子力規制委員会の発足に伴いまして、原子力規制委員会の方に所掌が移されてございます。

 今回の事案について申し上げますと、原子力規制委員会が何らかの対応を行うということは想定されないのではないかと思っておりますけれども、一般論として申し上げますと、原子力規制委員会は、原子炉等規制法それから放射線障害防止法を所管しております。その観点から、管理下から何らかの理由で外れた放射性物質が発見をされて、それが法令で定める数量あるいは濃度を超えるような場合には、通報を受けて、規制庁の職員が現場確認を行うという対応をとってございます。

 豊島区の公園での事案がございましたけれども、これも、豊島区からの通報を受けて、原子力規制庁の職員が現場に向かいまして、区の職員とともに現場確認を行い、その上で必要な技術的助言を行っているところでございます。

小沢(鋭)委員 今、私も豊島区のケースを聞こうと思ったんですけれども、この委員会に出てこようと思ったら、テレビでたまたまやっていたんですね。豊島区の公園の滑り台のところから大変高い放射線量が検知された、こういう話なんですけれども、こういうのというのは、あくまでも通報を受けるんですか。では、通報をする人は、やはりそういう特殊な能力があるんですか。

 国民は、一般環境において放射線量がふえたとか多くなったら困るよ、こう思っていて、それを規制庁がちゃんと見てくれているんだよね、こう思っていると思うんですよ。通報を受けないとわからないんですか。通報というのは誰がするんですか。

片山政府参考人 お答えいたします。

 全国の放射線量の水準の調査というのは、全国四十七都道府県にモニタリングポストがございまして、それは日常から監視をしてございます。これはマクロ的な監視でございます。

 今回のような、管理下から外れた放射性物質が何らかの場合で局所的に発見をされるといったようなものにつきましては、事案が発見される都度対応するということではないかというふうに思ってございます。

 このように、地面の下に何らかのものがあるようなケースもございますれば、例えば、大学の研究室の倉庫から試薬のようなものが発見されて、その中に放射性物質があるようなケースもございますし、そういう、何らかの理由で管理下から外れてしまったというものが見つかった場合には、規制庁の方に問い合わせ窓口も設置をしてございます、そこに通報いただいた上で処置をするといった対応をしているところでございます。

小沢(鋭)委員 ちょっとよくわからないんですけれども、管理下から外れたもの、こういう話があるんですけれども、そんなのは国民には関係ないですよ、日常生活の中で放射線量が多かったら困るんですから。

 だから、これは警備の話にもなっていくのかもしれませんが、実際、官邸の上に来ちゃった、たまたま豊島区の滑り台の下も高かった、こういう話が続いたから、こうやって議論にもなるんですけれども、一般生活の中でそういうものからきちっと守ってくれる仕組みというのは今国にはない、そういう話ですか。

片山政府参考人 お答えをいたします。

 原子炉等規制法それから放射線障害防止法で、いわば放射性物質を使用する場合、これはしっかりとした規制下に置くというのがまず肝心だというふうに思っております。その使用の許可を受けて使用をしている者がしっかりとした放射性物質の管理を行うというのが、まず基本でございます。

 ただし、どういう量まで規制下に置くのかということにつきましては、かつて、例えば戦前でありますとか戦後すぐでありますとか、放射性物質が使われていたけれども、規制下に置かれていないようなものもございます。そういうものが発見をされるようなケースもございます。そういったようなものが見つかった場合には、個別に対応していくということではないかと思います。

 いずれにいたしましても、今規制下に置かれているものについては、その使用の許可を受けた者が厳格に管理をしていただく、これが基本ではないかというふうに思っております。

小沢(鋭)委員 きょうこの質問をするという話をしましたらば、役所の皆さんたちでも、整理をしなきゃいけないね、こういう話を何かしていた、こういう話が伝わってきていますが。

 いずれにしても、このケース、二つ続きましたし、繰り返しになりますが、一般の国民の皆さんは、管轄の外だとか中だとか、あるいはまた研究で云々だとかなんとかではなくて、日常生活の中でそういうことが起こっては困るので、そういう場合にどういうふうな体制でやっていくのかということをきちんとぜひ考えていただきたい。

 そのためには、今の行政単位の中では、規制委員会、ここがやはり主導をしていく、こういう問題に関しては、ということになるんじゃないでしょうか。まず、御要請をしておきたいと思います。

 それから、その規制委員会ですけれども、これはつくるに当たってはいろいろないきさつがあったのは私もよく承知をしています。最終的には、三条委員会方式にして事務局を規制庁、こういう形でつくったわけですね。

 そこで、附則ではノーリターンルールというのも入れて、これは五年間の猶予規定がありますが、入れてやった、こういう話なんですが、この規制委員会、規制庁は環境省の外局なんですね。外局なんですけれども、まず、幹部の職員、幹部職員というのは審議官以上、何人いて、環境省から何人出ているのか、それから、スタッフ、総勢何人いて、各省庁の出身割合、それをお答えいただけますか。

清水政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力規制庁幹部職員、いわゆる審議官以上の職員でございますが、現在九ポストございます。出身省庁別に見ますと、長官につきましては原子力規制庁採用、次長の私は環境省出身、審議官、部長級については経済産業省出身六名、それから旧JNES職員一名となっております。

 また、原子力規制庁職員全体の出身別内訳につきましては、現在約九百名の職員がおり、そのうち旧JNES職員を含む規制庁プロパー職員が約五〇%、経済産業省約二九%、文部科学省約一三%、環境省二%、その他の省庁や任期つき職員が約六%となっております。

小沢(鋭)委員 清水さんが幹部で一人奮闘してくれているやに聞こえるわけでありますが、そこは頑張ってくださいよ。

 それはいいんですけれども、今の数字、聞いていただいておわかりだと思うんですが、これは確かにずっと原子力関係の話は経産省がやってきた、こういう経緯もあって、若干そういうことがあるのはわかるんだけれども、圧倒的に経産省ですよ。

 私は、それが悪いとは言わないんだけれども、心配なことを二つ申し上げておきます。

 一つは、やはりこの規制庁は、自民党が野党だったときに三条委員会というのを強く主張してつくったわけですね。だから、そこはまさに中立じゃないと困るんですね、中立じゃないと。これが一つですよ。

 それから、どちらかというと、経産省は原子力政策を推進するという立場だから、それに対して、かつての保安院のあの仕組みは、両方が一緒になっているじゃないか、だからだめなんだねということで規制庁をつくって、規制庁は規制の側に立つんだという位置づけにしたんですね。

 ですから、心配なのは、その規制がきちんと行われるのかどうかということですよ。要するに、独立性がきちっと確保されていることと、それから、それに関連もするんだけれども、規制の側に立ってきちっとやっているか、こういう話ですよ。こういう話が今回の再稼働の話にも関係してくるわけですね。そこは、清水さん、大丈夫なの。

清水政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力規制委員会におきましては、原子力規制委員会の組織理念というものを定めまして、その中では、独立した意思決定、実効ある行動、透明で開かれた組織、向上心と責任感など、五つの原則を明確にしております。

 その中の第一は、今申し上げましたように独立した意思決定ということでございまして、「何ものにもとらわれず、科学的・技術的な見地から、独立して意思決定を行う。」ということになっております。

小沢(鋭)委員 今の御答弁は、そういう外形的な話しか言えないんだろうと思いますが、とにかく心配なんですね。だから、そこはぜひ、これも三条委員会にしろと強く主張したのは当時野党だった自民党の皆さんで、現在与党ですから。ですから、そこの独立性をしっかりと確保してもらいたい、こういうふうに申し上げておきますよ。

 それから、もう一つそれに関連する話として、再稼働の話を申し上げたいと思います。

 川内原発の差しとめ請求は棄却になりました。福井地裁の高浜は差しとめになりました。この二つ、ある意味では全く逆の見解が出ました。これに対して、規制庁の意見を聞かせていただけますか。

清水政府参考人 今、二つの裁判についての意見を求められたところでございますが、原子力規制委員会は、本件二つの裁判につきまして当事者ではございませんので、特段コメントする立場にはないというふうに思っております。

小沢(鋭)委員 仕方ないですね。

 最後に、経産省に来ていただいていますので、経産省の方に一問だけ、済みません。

 再生可能エネルギーの話が出ています。この再生可能エネルギーをどのくらいにするかというのは、国民から見ると、いかにも技術的、物理的に何%可能かどうか、こういうふうに見えるんですが、これはそうではないと私は思っています。これは、いわゆる経済コストとして、どれだけのものをやったらば何とか日本経済がもつのかもたないのか、こういう話で測定しているでしょう。

 アメリカは既に経済コストで、原子力の経済コストを相当、要は経済コストが高いという数値を出していますよね。それに対して、まずこの再生可能エネルギーを考えるに当たっての考え方、物理的に本当につくるということであれば、日本じゅうの屋根に太陽光、全部設置させてつくればできちゃうんですよ、そんなの簡単に。だけれども、経済コストの問題で言っているんでしょう。そこの考え方をまずお示しいただいて、アメリカが原子力のコストというのがそんなに低くないんだと言っていることに対しての見解をお願いします。

吉野政府参考人 お答えいたします。

 再生可能エネルギーに関しましては、現在、そのコストの検証もあわせて進めております。

 二〇一一年の秋冬にかけまして民主党政権下で行われましたコストの検証の再評価をしているところでございますけれども、近々その結果をお出ししたいと思っております。

 ただ、一般論として申し上げれば、再生可能エネルギーのコストは、原子力、石炭、天然ガスといったものに比べますと相対的にはまだまだ高いというところだと思いますけれども、このうちの導入に関しましては、やはりエネルギーミックス全体としては、安定供給、それからコスト、環境等、さまざまなものを勘案しながら、その導入の可能性を議論していくべきものと思っております。

 一方で、系統制約の現状と電力の需給の調整の中で、どうしても技術的に入らない部分もあるということでございますけれども、そうした技術的な制約をまず勘案しつつ、一方で、この導入量に関しましては、やはり全体としてコストの制約がどの程度のものであるのかというところを勘案しながら議論をしていくという形で進めてきているところでございます。

小沢(鋭)委員 聞きたいことはいっぱいあるけれども、もう時間ですからやめますが、最後は金目でしょう、こう言った人がいましたよね。誰とは言いません。だけれども、やはり金目の話じゃないんですよ。地球環境の話なんですよ。ということを、望月大臣、もう一回大臣に申し上げて終わります。

 ありがとうございました。

北川委員長 先ほどの小沢鋭仁委員より警察庁に対しての質問の中で、警察庁より発言の訂正を求められておりますので、これを許します。島根審議官。

島根政府参考人 失礼いたします。

 先ほどお尋ねがありました本件におきまして検出された放射線量でございますが、先ほど最大〇・一と申し上げましたが、済みません、最大一・〇マイクロシーベルト・パー・アワーでございますので、訂正をさせていただきます。

北川委員長 次に、松田直久君。

松田委員 維新の党の松田直久です。よろしくお願いをいたします。

 きょうは地球温暖化についての質問をさせていただくつもりでおりました。その中で、再生可能エネルギーの比率等、環境省さんの姿勢等もお聞きをして、容器包装リサイクルについてかくかく質問をさせていただこう、こう思っておったんですけれども、そのもとのもとのCO2削減等々の目標が決まらなければ、なかなかこれらの質問というのが、数字的なものは非常に難しいところがあるんだろうというふうに、今お聞きをしていてそういうふうに思ったんです。

 今も、環境省に対する姿勢というのを、とにかくしっかりと軸を持って頑張ってもらいたいというような質問が相次いだわけです。今大臣がおっしゃられたように、世界を相手にしているんだ、ですから、世界の中でどうなんだというような御答弁がありましたけれども、どう見ておっても、私が思うのは、ちょっと言い過ぎかわかりませんけれども、何か省益あって国益なしの議論をずっと続けているのかなと。これは、今もう環境省だとか経産省だとかそういう問題じゃなくて、この問題に対して日本の国がどう姿勢を示していくのか、それをどう世界が評価するのかというところだ、こう思うんですね。

 ですから、例えば基準の年度を三・一一の後にするとかしないとか、いろいろなことがありますけれども、これは後で、きょうは民間の話を僕はさせてもらうんですけれども、たとえ神戸の地震があったときでも、淡路の地震があったときでも、メーカーなんですけれども、やはり契約は契約だから、船を使って原材料を運ぶところを飛行機を使って、赤字覚悟でも約束を守っていったというようなことで国際的にまたそういうお取引のところに信用を得てきたんだ、そして今がある、そんな話も聞く中で、大臣、ここはしっかりと、日本のこの姿勢というのを、そして、決めたことは守っていくんだ、震災があってもやっていくんだというようなことの姿勢をやはり示していただきたいなというふうに思っています。

 その中で、今申しましたように、再生可能エネルギーの比率等の質問をさせていただきたいと思います。

 まず、環境先進国として、我が国が諸外国に先んじてきた資源循環ですね、いわゆるリサイクル関連法は今もう二十年たってきたということなんですけれども、この資源循環といった本来の趣旨に沿って今も行政としてお取り組みをいただいているのか。冒頭申しました質問、その姿勢についても含めて、ちょっと先に、大臣に御質問をさせていただきたいと思います。

望月国務大臣 先ほどからいろいろ議論になっておりますが、先生がおっしゃるように、省益ではなくて、日本の国がこれからどういう方向に進んでいくのか、世界にしっかりと環境先進国と認めていただけるような数字を出していかなくてはいけない、気概を持てということだと思います。まさにそのとおりでございまして、我々は今、日本の国の数字を出す大変重大な一つの曲がり角に来ているのかな、そういう決断をしなくてはならないときに来ているのかなと。今までこういったことの話は余りできなかったんですけれども、そういうお答えをさせていただきたいなというふうに思います。

 ただ、さまざま、いろいろな国がいろいろ数字を出してきております。それぞれ努力をして出してきておりますが、場合によっては、ああいう数字が出たが本当に守れるのかしら、数年たったら大丈夫かしらというようなものもございます。

 我が国も、我々は大きな数字を出していきたいという気持ちはございますが、本当に、世界の環境を守るためにその数字が、環境先進国としてしっかりとした約束を守れる数字を出していかなくてはならない。そういう積み重ねというのは非常に大切だな、こんなふうに思っております。

 今、再生可能エネルギーの関係でございますけれども、これは、政府の方針は、最大限の導入を目指す、これは総理も何回もそういったことで答弁をしておりますので、環境省もこの方針のもとでしっかりと取り組んでいきたい、このように思います。

松田委員 やはり、民間の人は、環境省の姿勢を見て、自分たちの方針というのをどう決めていこうか、どこに軸を置いていこうかということで、もうずっと見ているんですよね。だから、今、動けない状態にいるというのはたくさん僕はあると思いますので、しっかりと頑張ってもらいたいなと思います。

 今回、実は、民間の立場からこう申しましたけれども、先般、私が地元に帰っていて、ある食品メーカーの社長さんなんですけれども、こういうお話があったんです。

 食品業界の純利益は大体一%から五%ぐらい、幅があるんですけれども、大体一%、二%ぐらいが純利益だそうです。例えば、純利益が一%であれば、売り上げ百億円の企業であれば純利益が一億円ということ。そして、食品業界の多くが、プラスチック製の容器に入っていますから、それらが製品として消費者の手に渡ってから捨てられる段階に、再商品化をするための費用、いわゆる再商品化の実施委託料と拠出委託料を納めます。

 実は、この食品メーカーは、利益から見た容器包装リサイクルのために支出する費用負担が、純利益の大体一割なんです、純利益の一割。これは、ちょっといろいろ調べますと、大体そんな数字になっている。

 さきの、今お話をさせていただきました例でいきますと、容器包装リサイクルのための費用の負担が、一億円の一割ですから一千万円ということ。これは単に、一千万円の容器の処理代を稼ぐのに十億円の売り上げをせなあかんということになってくるんですね。この企業は、適正に容器包装のリサイクルのために再商品化の義務として費用負担をしていますけれども、原価に占める割合がもう大変高い。非常に苦慮されている。

 この実例を裏づけるように、平成二十七年の三月二十七日に、容器包装リサイクル法に基づいて、再商品化の義務に従わなかったというか、従えなかった会社が七社公表されています。全て食品メーカーであるということなんですね。共通点が食品メーカーと。

 容器包装リサイクル法は、一般廃棄物の量がふえて最終処分が逼迫した状況に対応するために、再生資源としての利用が技術的に可能な容器包装については、これまで市町村が消費者から出された容器包装の廃棄物処理に関しては責任を担っていたが、消費者は分別して、事業者は再商品化という新たな役割分担を課した法制度として、平成七年に制定、施行されたわけであります。

 平成九年には、そこへガラスが入ってきたり、ペットボトル、紙パックが再商品化の対象となって、そして平成十二年からはプラスチック製の容器包装と紙容器包装を新たに再商品化の対象にして、特定事業者の範囲も大きくなってきたということです。

 特定事業者の義務対象を見ると、製造業では、売上高が二億四千万を超えて従業員が二十一名以上、また、商業、サービスでは、売り上げが七千万を超えていて従業員が六名以上、それが全て対象。

 さきの食品業界の例に当てはめると、売上高が二億四千万の企業であれば、委託料が二十四万円。この二十四万円を稼ごうと思ったら、捻出しようと思ったら、二千四百万の売り上げが要るということなんですね。すると、大体、食品のメーカーというのは百円とか二百円の、そういった本当に単価の安いものを扱っているから大変な状況なんですね。

 さらに、十八年の十二月の改正では、容器包装リサイクル法に基づいて分別収集の計画を定めることを追加して、それに伴い、平成二十六年五月、平成二十四年の市町村の分別収集及び再商品化の実績について公表している資料には、容器包装リサイクル法に基づく分別収集、再商品化の実績として、プラスチック製容器包装の二十四年度の年度別年間再商品化率は九四・四パー、全市町に対する実施率は七五と、まあまあ再商品化は九割を超えており、一定の評価が見られるんです。

 ことしの二十七年度のプラスチックの再商品化の単価は一キロ当たり四十七円、さらに拠出委託単価は一キログラム一・九円と、少し下がったんですけれども、一方、そういった中で、再商品化プラスチックはどのようになっているのか。

 平成二十四年度の実績として、家庭から出される容器包装リサイクル法の対象となっているプラスチック製の容器包装の排出量は百八万トン。そのうちの七十三万トンが市町村によって分別収集されていて、六十五万トンがいわゆるリサイクル協会に引き渡して商品化をされているわけです。

 そして、引き渡されて商品化となったものは、平成二十六年度の再商品化事業の落札価格から、日本リサイクル協会への市町村申し込み量六十七万トンのうち五一%となる三十四万トンが材料リサイクル事業者によって落札され、残り四九%の三十三万トンがいわゆるケミカルリサイクル事業者によって落札されている。

 ちょっと長くなりましたけれども、何を言いたいかといいますと、経産省が二十四年度の実績として、市町村の独自処理量を含むプラスチック製容器包装の分別収集量は約七十二万七千トン、再商品化は六十八万六千トンとあり、リサイクル協会による再商品化製品の販売は四十三万四千二百七十トンということになっています。市町独自の処理は、この差の二十五万二千トンで約三六・七%。

 市町村の独自処理量となる三六・七%なんですけれども、これは独自処理となっているのか。また、分別収集と再商品化の差が四万トンぐらいで五・六%なんですね。市町村の処理は可燃物と一緒に燃やしている分が必ずあるとは思うんですけれども、要するに、循環型の考え方として、今の私が説明をさせていただいた循環型という意味では、この法律がきちっとした所期の目的を達しているのか。少しお伺いさせていただきたいと思います。

福山大臣政務官 お答えいたします。

 市町村が分別収集を行ったペットボトルなどの容器包装廃棄物については、特定事業者による再商品化が安定的に実施されることが重要でございます。

 こうした観点から、容器包装リサイクル法に基づく基本方針において、市町村に対して、分別収集した容器包装廃棄物を指定法人に円滑に引き渡すことが必要である旨を示しているところでございます。

 また、基本方針においては、仮に市町村が容器包装廃棄物を指定法人に引き渡さずに独自に処理を行う場合にあっても、環境保全対策を講じ適正に処理されていることを確認するとともに、こうした処理の状況について住民に情報提供を行うことを求めております。

 しかし、一部の市町村においては、廃ペットボトルの適正処理を引き渡しの要件としていない、独自処理の状況について情報公開を怠っているなどの例もあると認識をいたしております。これらの市町村に対しては、引き続きしっかりとした対応を求めてまいりたいと思っております。

松田委員 市町村も、いろいろな使い方があるんでしょう。いいものは業者にも売れますからね。それはいろいろなことであると思うんですけれども。

 今答弁をいただきましたこの問題は、十年前にも、適正にやるというふうな答弁といいましょうか、考え方を示されているんですけれども、その十年前と今のお答えというのは何一つ変わっていないように思うんですけれども、その十年間、どうなんでしょうか。いろいろな状況を掌握されて、何かこういう手を打ったんだというようなことがございますでしょうか。

鎌形政府参考人 ただいま政務官からお答え申し上げましたとおり、市町村が分別収集を行ったものにつきましては、特定事業者による再商品化が安定的に実施されるために、指定法人に円滑に引き渡すということが重要と考えてございますので、その旨基本方針に明記するとともに、そういったことについての、環境保全対策を講じて適正に処理されるべきであるとか、あるいは住民に情報提供を行っていくべきだということについての、市町村に対する啓発に努めてきているところでございます。

松田委員 今ちょっと長々しく説明をさせていただきましたけれども、民間の方は一生懸命やっているんですね。そして、リサイクル協会に、賦課金といいましょうか、支払って、民間の方の気持ちからすれば、自分のところから出てきたものがなるべく分別をされて、そしてまた再商品化をされるということだったら、そういう純利益の一割に当たっても仕方ないな、こういうふうな思いなんですけれども、果たしてどのようにされているのかなということなんですね。

 この取りまとめが、リサイクル協会というところがいろいろな面で事業をやっているわけなんですけれども、実際、このリサイクル協会、事業を今どういうふうな形で運営されているのか、ちょっと質問させていただきたいと思います。

鎌形政府参考人 御指摘の日本容器包装リサイクル協会につきましては、容器包装リサイクル法に基づく特定事業者等からの委託による分別基準適合物の再商品化を行うということとあわせて、容器包装廃棄物の再商品化に関する普及啓発、情報の収集、提供などを行うことにより、我が国における生活環境の保全、国民経済の健全な発展に寄与するということを目的として設立されているということでございます。

 具体的な業務といたしましては、再商品化の実施を法律に基づく主たる業務としつつ、その他、普及啓発、情報の収集、提供、関係機関との意見交換を業務として行っているということでございます。

 容器包装リサイクル法に基づく再商品化は特定事業者の費用負担で実施されているということでございますけれども、普及啓発の一環といたしまして、例えば、特定事業者に対して、毎年、容器包装リサイクル制度の説明会を行いまして、容器包装からどういったものがリサイクルされているのか、あるいは、その結果として家庭ごみの排出量がどうなったのか、どういう成果が上がったのかといったようなことについても御理解をいただくべく、情報発信に努めているというところでございます。

松田委員 情報発信に努められておるというんですけれども、私の、お話をいただきました民間のその社長さんは、一回もどのように使われておるという説明もいただいたことはないということなんですね。

 もう一つは、今言いましたように、今回、食品関係で七社が、この賦課金といいましょうか、義務に従えなかったということで公表されてしまった。そして、公表されるということは社会的にも信用が失墜をするということなんですね。

 こういう七社の方々なんかも苦労されているんですけれども、こういう現状を、例えばアンケートでとるとか、どうなっているんですかとか、そういったことも、今の情報収集というのには、そういった事業というのは中に入っているんでしょうか。

鎌形政府参考人 まず、情報発信につきましては、平成二十一年度からここ数年、毎年全国二十カ所程度で特定事業者に対する説明会を開催して、千社を超える事業者の参加を得ているということで、協会が御説明には努めてきているというところでございます。

 そういった中で、アンケートなどということも御指摘ございましたので、その可能性についても検討してまいりたいと思います。

松田委員 よくわからないんですけれども、やはり、もう少し現場を、取るだけ取るという言葉は悪いけれども、取るだけ取っちゃって、やはり、民間というのはどれぐらいの利益の割合でこれを納めているのかとかというのを、多分今初めて聞かれたと僕は思うんですよ。皆さん、余りそんなことを意識されていない、ここまで故意の話をされていますから。やはり民間というのはそれだけ必死にやっているわけです。

 ですから、そういった面で、この協会も、やはりしっかりとそういったものをこれからも考えてもらいたいというふうに思いますし、例えばコカコーラ、名前を出していいんですかね、ああいう大企業なんかは、資源をなるべく少なくしようということでやわらかいプラスチックにしたり、そういうことをしているんですよね。そして、なるべく循環型、そういうプラスチックでも廃プラが出ないようにしているんです。

 例えば、民間の企業なんかはそういう技術を導入して何とか独自でやっていこうと思ったら、まさしくこの協会か何かが、こういう技術の提供に、資金を提供するとか情報を提供するとか、そういった一歩を踏み込んでやったらいいと思うんですけれども、いかがですかね。

鎌形政府参考人 容器包装リサイクルをめぐります情報発信、普及啓発につきましては、事業者の皆様に対してよくよく御説明していくことが必要かと思いますが、さらに、国民に対して、どのように容器包装リサイクルが行われているかということをしっかりと啓発していくということも必要だと思っております。

 後者の、一般の方々への広報につきましても、容器包装リサイクル協会におきまして、地域で分別収集された容器包装が何から何へどうリサイクルされているのかとか、あるいは、リサイクルがうまくいきますように、食品が付着した容器の分別排出のポイントなど、こういったものも含めて啓発に努めているというところでございます。

 先生御指摘のとおり、事業者の努力がちゃんと伝わっているかというところもございますので、そうした御指摘も踏まえまして、今後適切な普及啓発、広報がなされるように、容器包装リサイクル協会とともに取り組んでまいりたいと思います。

松田委員 やはり、民間のそういう企業にしても、しっかりとこういうふうに使われているんだというようなことの納得の上で、いわゆる循環型社会の形成を自分たちが担っていくということになると思いますので、しっかりお願いを申し上げたいと思います。

 民間は、民間のことで申しわけないんですけれども、やはりきちっと再資源化されているかということも、市町村にごみが出て、プラスチックが出る、分別をする、物すごい手間がかかって今やっているわけです。手間をかけてかけてやって、プラスチック製容器包装の再商品化手法ごとの落札量及び構成比率の推移、これをいただいたんですけれども、見ますと、マテリアルリサイクルが約半数しかないということなんですね。再資源化しているのは半分で、あと半分は炉で一緒に燃やしているとかいうようなことになっているということがここに出ているんです。

 これは最初、大臣にお聞きしましたけれども、循環型精神というのはきちっと貫かれているんだろうかということを僕は質問させていただきましたけれども、これの状況を見て、どう感じられているんでしょうか。

鎌形政府参考人 御指摘の点は、容器包装リサイクル法に基づくプラスチック製の包装容器の再商品化手法の中で、いわゆる材料リサイクルとケミカルリサイクル、この二つの割合についての御指摘かと思います。

 材料リサイクルは、枯渇性資源である原油に由来するプラスチックをプラスチックとして、目に見える形で、物から物へとわかりやすく再生利用する手法ということで、プラスチックを原材料等として利用することがなるべく望ましいという観点から、指定法人が再商品化を委託する事業者の入札において、ほかの手法と比べて優先的な取り扱いをしているというところでございます。材料リサイクルを優先的な取り扱いとしているということでございます。

 それで、一方、ケミカルリサイクルは、プラスチックを化学的に処理して化学原料として利用する手法でございますけれども、相対的に低いコストというようなことでございます。

 ですが、いずれにしましても、優先的な取り扱いということでもう少し申し上げますと、分別収集総量の五〇%について、優良な材料リサイクル事業者のみで優先的入札を行う、さらに、残りの五〇%は、その優先枠に参加できなかった材料リサイクル事業者やケミカルリサイクル事業者により入札を行う、このような取り扱いを行って、材料リサイクルの優先的な位置づけをしているというところでございます。

松田委員 ちょっと早口で聞き取りにくかったんですけれども、これを見ますと、いわゆる材料になっているリサイクルは、値段的にも、当初はトン十万円ぐらいだったのがどんどんどんどん下がってきて、五万九千五百六十一円まで下がってきた。これは、やはりしっかりと分別をされてきて、商品化、いい原料になってきたんだろう、こう思うんですね。

 だけれども、いわゆるケミカルの部分は、九万四千円から始まって、一旦は三万七千円台まで来るんですけれども、今は四万五千円ぐらいにまた上がってきているというんですね。

 材料の方は、やはり技術革新でどんどんどんどんと、やればやるほど材料化してきているわけです。ここら辺のところ、確かに、ケミカルに行くことによって事業者の値段が緩和されるというのはわかるんですけれども、循環型という趣旨でいけば、やはり材料リサイクルを伸ばしていくべきなんだろうというふうに僕は思うんですけれども、いかがですか。

鎌形政府参考人 先ほどのお答えが早口でわかりにくいということで申しわけございません。

 先ほどのを要約いたしますと、材料リサイクルの優先的な取り扱いをしているということを申し上げたつもりでございます。

 それで、御指摘のとおり、材料リサイクルの落札単価は、平成十八年にはトン当たり十万円を超えるところから、二十七年度は六万円を下回るという、非常に努力をされております。

 これは、事業者の努力ということと、それから、最近、材料リサイクルによりつくられる製品の用途が、非常に機能が高いものあるいは経済的な価値がより高いものにも利用されるということもありまして、こういった落札単価の低下が見られる。

 一方、御指摘のとおり、ケミカルにつきましては、近年横ばいの傾向があるということでございます。

 そういう意味で、私どもといたしましては、材料リサイクルが優良な業者によってしっかりと行われているということを支援していきたい、こういうふうに考えているところでございます。

松田委員 もう時間がありませんのでこれで終わりますけれども、今私は民間の例を申し上げました。やはり民間というのは、何とかしなくてはいけないという、非常に努力をしている。だけれども、皆さん方からすると、やはり民間側の立場に立ってどうなんだろうか、そういう目線は常に失ってもらいたくないなというふうに思います。

 ぜひとも、民間をという視点で、材料費を落とすとかいろいろなことも、これからひとつ取り組んでいただきたいと思います。

 時間が来ましたので終わります。

北川委員長 次に、島津幸広君。

島津委員 日本共産党の島津幸広です。

 今JR東海が進めているリニア中央新幹線は、そもそもの必要性、経済性、採算性、環境問題など、多くの問題を抱えています。きょうはこの問題を取り上げさせていただきます。

 今進められようとしている東京―名古屋間のリニア新幹線は全長二百八十六キロメートル、そのうちトンネルは二百四十六キロメートルです。このルートのうち、静岡県は十・七キロメートル。これが、昨年六月にユネスコのエコパークにも指定された南アルプスの下をトンネルで通過します。

 まず、望月大臣にお聞きをしたいと思います。

 リニアの建設に当たって、環境影響評価書に対する環境大臣意見があります。この中でこう述べられています。

 本事業のほとんどの区間はトンネルで通過することとなっているが、多くの水系を横切ることとなることから、地下水がトンネル湧水として発生し、地下水位の低下、河川流量の減少及び枯渇を招き、ひいては河川の生態系に不可逆的な影響を与える可能性が高い。特に、山梨県から長野県にまたがる地域の一部は、我が国を代表する優れた自然の風景地として南アルプス国立公園に指定されており、また、ユネスコエコパークとしての利用も見込まれることから、当該地域の自然環境を保全することは我が国の環境行政の使命でもある。

このように言っているわけです。

 これは本当にもっともだと思うんですけれども、望月大臣は、この意見が出されたときには就任されていないんですけれども、この立場にはお変わりありませんね。

望月国務大臣 これは、昨年六月の石原大臣時代に出された環境大臣意見でございますが、それにつきましては、法に基づいて環境大臣が申し上げたものでございまして、私としても当然これを踏まえてまいりたい、このように思っております。

 今後、事業者であるJR東海においては、責任ある事業主体として、環境大臣の意見を踏まえて、具体的かつ適切な環境保全措置を講じていただきたい、このように思っております。

島津委員 リニアの建設にはさまざまな問題があります。環境という面だけ見ても、最大の問題は自然そのものを破壊することです。だから、環境大臣意見でも随所にわたって懸念が表明される。これを指摘しているわけです。

 南アルプスのど真ん中に五十九・二キロメートル、静岡県内だけでも十・七キロにわたるトンネルを掘る。大量の土砂、建設発生土が放出されます。貴重な生物も生態系が変化する。それだけじゃありません。静岡県では、大井川下流に住む人々の生活や産業、なりわいにも大きな影響を与えようとしています。リニア建設というのは、単に橋をつくったり、あるいは道路をつくる、こういう事業とは根本的に違うわけです。

 大臣に改めてお聞きしたいんですけれども、このリニアの建設、環境の側面から見てどういう意味を持つのか、環境省としての捉え方、これをぜひお聞かせください。

望月国務大臣 リニア新幹線事業でありますけれども、この事業規模の大きさから、相当な環境負荷が発生する、これは我々環境省としては懸念をしております。

 具体的に言いますと、環境大臣意見で述べましたとおり、多大な電力消費に伴う温室効果ガスの排出、そしてまた、トンネルの掘削に伴う大量の残土の発生、そして、多くの水系を横切ることによる地下水や河川への影響等の可能性が考えられ、これらについては十分な環境保全措置を求めていく、こういうことでございます。

島津委員 経済優先、時間短縮など、幾らリニア建設の意味づけをしても、それだけで、古代から形成されてきた自然という宝物を人の手によって破壊することは決して同意できません。一度破壊された自然はもとに戻らないわけです。まさに自然は宝物です。

 具体的にお聞きします。静岡県の大井川水系をめぐる問題です。

 この地域は、発電用ダムの建設で川の流量が減り、流域住民の皆さんが水の確保のために歴史的にも本当に苦労してきたところです。大臣も同じ静岡県民として、このことは十分承知していると思います。

 ところが、JR東海の発表によると、大井川で毎秒二・二トンの減水となる、こうされています。自己水源に乏しい大井川西岸の自治体にとっては、まさに死活問題です。

 現在、大井川広域水道事業により、長島ダムから七市二町六十三万人に対して水が供給されています。中には、市内で使う水道水の九割を依存している、こういうところもあります。二〇一二年は、大井川流域の七市二町で利用した水道利用量は毎秒約一・三九トンでした。二トンというのは、それを大きく超えることになります。

 減水に対してどんな対策をとり、そして、その対策をとった場合に水の減量はどのぐらいになるのか、これをお答えください。

篠原政府参考人 お答えを申し上げます。

 この対策でございますけれども、JR東海は事前に先進ボーリング等を行いまして、地質、地下水の状況を十分把握して、必要に応じて薬液注入や覆工コンクリート、防水シート等の措置を投じて、水資源への影響をできるだけ回避するということを考えております。

 また、今、トンネルの湧水を大井川に戻す導水路トンネルについても検討を進めておりまして、どのくらいの幅に抑えられるかということを定量的にお示しするのはなかなか困難ではございますが、できる限り水資源への影響を低減していくということを考えてございます。

島津委員 この水がれの問題ですけれども、山梨の実験線では水源の枯渇が生じています。JR東海も、実験線でのトンネル工事による影響を認めています。

 実際の工事に先立って、地下水への影響について、この実験線ですね、予測を行ったと聞いていますけれども、なぜ水がれの事態を予測できなかったのか、これをお答えください。

篠原政府参考人 お答え申し上げます。

 リニア実験線の工事に先立ちましては、事前に現地の地質調査等をJR東海が行っておりますけれども、その際、破砕帯等にトンネルが交差した場合には減水が生じる可能性があるというふうなことは予測をしておったと伺っておりますけれども、実際に破砕帯がどのあたりに地下の深いところで発生しているかというところまでの具体的な特定までには至らなかったために、今のような事態が生じているというふうに伺っております。

島津委員 予想はしていたけれども、いろいろやったけれども外れたというわけですけれども、結局、掘ってみなければわからないというのが現状ではないでしょうか。

 幾らトンネルの掘削技術が進歩したといっても、工事によっては大量の水が出ることは自然の摂理です。とりわけ、山岳トンネルの場合は、土かぶりが大きくなるほど荷重は増して、高圧の地下水が突発的に発生する可能性が大きくなります。とりわけ、大井川から南アルプスの主稜線越えまでの約十キロは、土かぶりが最大になるところです。山梨の実験線では、リニア工事によって水脈を断ち切ったことは、関係者も認めているわけです。

 リニア工事は、計画では東京から大阪までの長大な区間を貫くわけですから、その長い区間で連続的に水がれを起こすという特異性があります。だからこそ、問題は、対策ではなく、なぜ予測できなかったか、この検証が行われることが必要だと思うんです。この検証なくして、適切に対処する、問題ないと、とても断言できるはずはありません。このことをぜひ強く指摘しておきたいと思います。

 次の問題に移りたいと思うんです。

 下流域にある掛川市は、大井川への上水道の依存度が約九割に上ります。それだけに、大井川の水は命の水と言われています。掛川だけでなく島田市でも、大井川の水は命の源、こういうふうに言われています。

 ところが、大井川の渇水期には、飲料水、農業用水、工業用水の取水制限が過去何度も行われています。大井川水系で過去深刻な水不足となった一九九四年、九八年、二〇〇五年では、上水道で最大二〇%、工業用水で三八%、農業用水では最大五〇%の節水率となっています。とりわけ一九九四年、この夏には全国的な渇水状況となりました。大井川水系でも、八十二日間もの長期間、取水制限が行われました。だから今、地元の人たちは、このリニアの問題で水が減るということに非常に心配になっているわけです。

 環境大臣意見の中では、中央新幹線事業は住民や地方公共団体の理解なくして実現はできない、こう述べています。にもかかわらず、実際は具体的な環境保全対策が明らかにされていない。だから、多くの市長を初め大井川下流域の人たちは、さまざまな疑問や懸念の声が出ているわけです。

 大臣に伺います。

 住民や地方公共団体の理解なくして実現はできない、この大臣意見は、今、リニアの工事を進められている中で生かされているとお思いですか。

望月国務大臣 事業実施に当たっては、住民の理解を得るということ、これは重要であると我々認識をしております。昨年六月の環境大臣意見においても、地元自治体の意見を十分に勘案し、環境影響評価においても重要である住民への説明や意見の聴取等の関与の機会の保全についても十全を期すことを求めたところであります。

 この説明の具体的なあり方でありますけれども、環境大臣意見を踏まえて、JR東海が責任ある事業主体として適切に実施してもらいたい、こんなふうに考えております。

島津委員 事業主体が適切に実施してもらいたいということはもちろんなんですけれども、環境省としてもぜひ大きな役割を果たす必要があると思うんです。

 この問題、大井川の毎秒二トンの減少というのは、生活用水等々、こういう問題だけに限らないわけです。

 大臣、通告していませんけれども、静岡県の話ですからおわかりになると思うんですけれども、大井川がつくる霧やもや、これが、茶どころなわけですけれども、お茶の生育に非常に有効な役割を果たしているわけです。もし水が毎秒二トン減るということになると、この霧やもやもなくなってしまうと言われているわけです。お茶産業にも重大な影響がある。

 だから、水問題というのは本当に深刻だ、これはもう、深刻だということは静岡県出身の大臣としても理解できますね。

望月国務大臣 まさに日本一のお茶どころでございますので、こういったものはしっかりと認識をして検証していかなくてはいけない、このように思っております。

島津委員 それでは、減水対策として計画されている導水路、先ほど話がありましたけれども、これについてお聞きします。

 まず、大井川水資源検討委員会というのがつくられました。これはなぜつくられたんでしょうか。そして、現時点での委員会の議論の到達点を教えていただきたいと思います。

篠原政府参考人 お答え申し上げます。

 この委員会でございますけれども、こちらは、国土交通大臣が環境影響評価の法律に基づきまして意見を申し上げた際に、有識者の知見も十分に活用して水資源対策を行うようにということを申し上げております。これを受けまして、JR東海の方で、有識者から成る検討委員会を昨年十二月に第一回を開催し、検討を開始したという状況でございます。

 その検討の中で、御指摘いただいた導水路トンネル、大井川の水に導水路を通じましてトンネル内湧水を流していくという方策が最も有効な方策であろうということで、これを最有力の候補として今検討を深度化している、そういう状況でございます。

島津委員 導水路が主要な対策だということなんですけれども、この導水路についても、新たな指摘や疑問、懸念の声が出されています。

 導水路が大井川に水を合流させるわけですけれども、それまでの上流区間というのは水が枯渇する、この可能性があるということは委員からも指摘のあるところです。また、導水路の延長距離は約十二キロ。静岡県内を通るトンネルの本線以上の長さになるわけです。このため、新たな環境影響が生じるとの懸念も出されています。

 こういう声にどう応えていくのか。懸念を表明する方々も納得する答弁を求めたいと思います。

篠原政府参考人 お答え申し上げます。

 特に、導水路トンネルについて御指摘がありました、長いトンネルを掘ることによる影響ということにつきまして、今、検討の流れの中では、導水路トンネル上の沢、あるいは出口付近、こういったところに生息しております動植物、あるいは水質、こういったものを事前に十分調査を進めていくということにしております。

 そして、その調査の中でモニタリングも行っていきまして、必要な場合には、影響が生じるおそれがある場合には、移殖などの環境保全措置を含めて講じていくというふうな形で、しっかりと環境に配慮しながら導水路トンネルの検討を進めてまいりたい、こういうふうに考えてございます。

島津委員 なかなか皆さんの心配に応えるような答弁じゃなかったと思うんですけれども。

 地元自治体からは、保全措置を尽くした上で減水となる場合の代替水源の確保の具体的な位置、方法、その確実性の根拠、水利権の存在を明らかにするよう求めた意見書が出されています。

 導水路の対策を実施しても減水する、この場合はどうするんでしょうか。

篠原政府参考人 現時点での検討委員会での有識者の見解によりますと、導水路トンネルというのが恒久的、確実に大井川に水を戻す方策であり、必要に応じて途中でトンネルで湧水をポンプアップすることもできるということで、この方策をとれば水資源利用への影響は生じないと考えるというふうに伺ってはおります。

 ただ仮に、それでも減水になったような場合には、JR東海は、専門家等の助言を得まして、適切な環境保全措置を講じるというふうにしているところでございます。

島津委員 そもそもこの検討委員会ですけれども、準備書に対しての知事意見が出された段階で立ち上げるべきものだったと思うんです。この委員会の結論を踏まえて評価書を出すべきじゃないかと思うんですけれども、事業に関連する環境影響を伴うような工事は全て環境アセスの対象とするのが本来ではないでしょうか。後出しで工事が追加されていくのはフェアじゃないと思いませんか。

小林政府参考人 環境アセスメント制度は、事業の実施に先立ちまして極力環境を織り込んでおく、こういう制度でございます。

 今御指摘の導水路トンネル計画でございますが、これは、今のやりとりの中でも明らかになってまいりましたように、JR東海が、大井川流域の水資源に対する影響、特に水が減ってしまうということでございますが、これを回避、低減するための環境保全措置の一つとして検討されている、こういうふうに承知をしております。

 そもそも、私どもの環境大臣意見の中でも、河川流量などにつきまして影響を最小限にするように、そういったことはしっかりやっていただきたい、こういうことも申し上げた。それに対する対応であるのかなというふうに考えているところでございます。

 アセスメント法自体は、事業の着手前までにいろいろなことを織り込んでおく、こういうプロセスでございますので、こういった導水路トンネル計画自体をアセスの対象にするということは難しいというふうに考えておりますが、六月の環境大臣意見の中でも、これは事業本体も、それから環境保全措置も、全体が含まれると思っておりますが、新たな自然環境の改変を伴う場合には、追加的な調査、予測及び評価を行い、適切な環境保全措置を講じることを求めているところでございます。

 したがいまして、JR東海におかれましては、今後の計画の進捗、また環境大臣意見の内容も踏まえていただきまして、適切な対応を講じていただきたいというふうに考えているところでございます。

島津委員 時間がありませんから、これまで聞いた中でも具体的な環境保全措置が見られないんですけれども、次の問題に移りたいと思います。

 次に、建設残土の問題です。

 最初に、静岡県内で出る残土の量、置き場所は何カ所で、どこに予定されているのか。これをまずお聞かせください。

篠原政府参考人 環境影響評価書によりますと、静岡県内で発生いたします発生土の量は約三百六十万立米とされております。その置き場の候補地は七カ所とされておりまして、それぞれのおおむねの位置が地図上で示されているところでございます。

島津委員 今出ました置き場所の候補地七カ所、このうち、少なくても、がれ場二カ所については、地質の専門家によって見直しが指摘されているところです。

 資料でその二つの予定地の写真をお配りしました。こういう山の、南アルプスの中に残土を置くわけですけれども、写真を見てもらえるとわかるように、あちこちで崩れたようなところがあると思うんです。

 南アルプスと同じ地質帯である紀伊半島南部は、四年前の台風で大規模な深層崩壊が多数発生しました。同じ地質帯である南アルプスでも、同様の危険が想定されるわけです。実際に、これまでの歴史、過去を振り返ってみましても、一七〇七年の宝永地震では大谷崩れが起きました。一八五四年の安政地震では七面山崩れ。いずれも大規模な崩壊が起きています。このほかにも、小規模な崩壊も珍しくありません。

 崩壊が起きれば、発生残土置き場も崩壊することは明らかです。さまざまな問題を抱える残土処理を、JR東海は、大規模な崩壊が発生したとしても、発生土置き場の存在による影響は非常に小さいと考えられる、このようにしているわけです。このような楽観的な評価の上に立つ残土処理方針を認可した、この根拠をお聞かせください。

篠原政府参考人 資料でお配りをいただきました御指摘の地点は、扇沢という地点、写真では1の部分、それから燕沢、これはお配りいただいた写真では3の部分かと思います。

 この扇沢、燕沢の状況でございますが、JR東海によりますと、まず扇沢につきましては、現地踏査あるいはボーリングなどを行いまして、発生土を安定的に置くことができる良好な岩盤が分布をしているので安全が確認できたというふうに報告を受けてございます。

 また、写真の3に当たりますが、燕沢につきましては、まず、上流に治山ダムが既に設置をされております。また、河川敷が十分な広さがあって、川の流れを阻害するおそれはないということで、発生土置き場としての安全性を確認したというふうに報告を受けております。

 その上で、JR東海には、管理計画を発生土置き場ごとに作成させまして、土砂の流出防止等を含めましてしっかりと管理させていきたい、こういうふうに考えてございます。

島津委員 今お話があったんですけれども、静岡市の環境評価専門家会議があるんです。そこで扇沢について何と言っているか。山梨県側からも静岡県側からも地すべり、崩壊による侵食が進み、面積が縮小しつつある不安定な領域に当たる、そこに発生土を積み上げると重力不安定を促進し、発生土を含め、山体崩壊を促進することになる。このようにして、同地での発生土の処理は回避されることが望ましい、こう言っています。

 それから、燕沢についても、同地はこれまで、今お話がありましたけれども、土石流の受け皿として、下流への土砂の流出を抑える役割を果たしてきています。この燕沢に大量の発生土置き場をつくるとなると、土石流が発生した場合に、受け皿にならずに一気に下流部に流出する、こういう危険があると、強い懸念も示しています。

 環境大臣意見では、発生土置き場の選定条件として、自然環境に影響を与えず、環境を害することのない場所に設置するよう求めています。静岡県知事の意見でも、発生土置き場が周辺環境に及ぼす影響について、事前の環境調査やモニタリング、事後調査を含め、環境保全のための万全な措置を求めています。

 しかし、実際には景観ということがあったわけですけれども、この残土予定地は、残土が登山者から見えるところにも置かれます。そして、地すべり危険地帯が多い場所、そこに盛り土をすることは、危険度を増すことになります。これは環境大臣意見の真意に反することじゃないんでしょうか。大臣、どうでしょう。

望月国務大臣 昨年六月に提出した環境大臣意見でありますけれども、発生土置き場の発生土の管理について、これは、濁水の発生防止や土砂の流出防止を初め、周辺環境に影響を及ぼさないように、発生土置き場ごとに、地方公共団体と協議をして、管理計画を作成した上で適切に管理することを、しっかりとやるようにということで、これを求めております。

 また、新たに発生土置き場を選定する場合には、土砂の流出によって近傍河川の汚濁のおそれのある地域等を回避することも求めております。

 JR東海において、これは環境大臣意見を踏まえて、責任ある事業主体として、発生土置き場の適切な選定や管理をしていただきたい、こんなふうに思っております。

島津委員 るるお答えがあったんですけれども、曖昧な表現じゃなくて、発生土置き場については、具体的かつ遵守の必要のある設置基準を設置すべきだと思います。

 大臣意見は、計画の実施に当たっては、地域住民との間で誠実かつ十分な説明と意見交換を行い、双方協議の上で進めなければならないとしています。しかし、日本の環境アセスメントはゼロオプションもなく、計画段階に事業者以外はかかわれないなど、さまざまな欠陥を持っています。リニア計画についても、環境大臣意見で、きょうもいろいろ答弁ありましたけれども、環境保全を繰り返し指摘しているにもかかわらず、実際は環境への低減措置が不十分でも次の措置へと進むことができてしまう、こういうことになっています。

 静岡市以外の大井川下流域の自治体は、水がれなど、先ほど指摘しましたけれども、重大な影響を受けるにもかかわらず、アセスの対象にもなっていません。

 大臣、本来のアセスのあり方からして、これでは不十分だと思いませんか。

小林政府参考人 先生よく御高承のことだと思いますが、環境アセスメントは、事業者がみずから情報を集めて、レポートをまとめ、これを公にして、一般の方からの御意見もいただきます。また、都道府県知事は、御承知のように、専門家の審査も経て知事意見を申し上げます。またさらに、そこで手直しをしていく中で、最終的には国がしっかり意見も申し上げる、こういうプロセスを踏んでいくものでもございます。

 規制制度と違いますので、何か物事を決めて、これを罰則等で強制していく、そういうものではございませんが、逆に、事業をわかっている本人が、みずから手続を踏んでいくという中で、非常に幅広い、また程度の高い対策も求められる、そういう制度だと思っておりますので、そういうことで今までこの制度を育ててきておりますので、この趣旨が全うされるように頑張ってまいりたいと思っております。

島津委員 制度の趣旨が不十分だということなんですけれども、日本弁護士会が今回のリニアに関する問題で意見書を出しています。「全長二百八十六キロメートルにも及び、そのうち二百四十六キロメートルはトンネルという大規模な事業かつ環境に影響を及ぼす可能性の高い事業であるにもかかわらず、調査の期間があまりにも短い。」「このような短期間で十分に調査を尽くし、環境への適正な配慮をした事業を実施することは到底不可能である。」このように指摘しています。

 大臣にお聞きします。

 リニア計画は、採算性、安全性、環境破壊など、さまざまな面で大きな問題を抱えています。加えて、今も明らかになりましたけれども、全く不十分なアセスしか得ていない。だから、多くの批判や懸念の声が上がっているわけです。

 大井川下流域にある島田市の染谷市長は、広報の中で、「今般の認可は、地域住民に対して納得のいく説明がないままの「見切り発車」と言わざるを得ません。」とまで述べています。

 このようなプロジェクトは凍結して、見直しをすべきだと考えますけれども、大臣、見解はどうでしょう。

望月国務大臣 我々は、環境影響評価というものを国交大臣にお示しをして、そして、この事業をしっかり、事業者、JR東海が、我々で示したことを守っていただいて、この事業を進めていただくということが本意だと思っております。

 事業者においてしっかりと、我々の意見を踏まえて事業をしていただきたい、このように思っております。

島津委員 環境影響評価法第一条では、「その事業に係る環境の保全について適正な配慮がなされることを確保し、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に資することを目的とする。」と定めています。そして、環境影響評価法に基づいた環境アセスメントの手続の住民参加の規定というのは、住民の意見を事業に反映させることを目的としています。

 大臣にもう一度お聞きします。

 現状の不十分さを含むアセス法をそもそもの目的にふさわしく抜本的に改正する必要があるんじゃないでしょうか。あるいは、新たな政策、事業立案の段階での環境影響評価を行う制度が必要であると考えますが、どうでしょう。

望月国務大臣 先ほどお答えさせていただいたことでございますが、この環境影響評価、事業主体がしっかりと我々の提言したことを守っていただきたい、こんなふうに思いますし、また、これは、この事業の許認可等においては、環境配慮の観点からの審査の際に、評価やこれらの意見が活用されることになっております。

 こうしたことから、現行の環境影響評価法においては、事業者が事業の実施に際して、先ほどからお話ししておりますように、適切な環境配慮を行うことが担保されていると我々は考えております。

島津委員 時間がありませんので終わりますが、アセスで大臣意見を述べたからといって終わりではありません。住民の生活に根差した視点で本当に環境保全が行われているのか、最後までそこに責任を持つのが環境省の役割です。このことを指摘して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

北川委員長 次に、内閣提出、水銀による環境の汚染の防止に関する法律案及び大気汚染防止法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。望月環境大臣。

    ―――――――――――――

 水銀による環境の汚染の防止に関する法律案

 大気汚染防止法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

望月国務大臣 ただいま議題となりました二法案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 水銀については、環境中における残留性及び生物への蓄積性を有し、並びに人の健康及び生活環境への影響を生ずるおそれのある物質であることに鑑み、我が国における水俣病の重要な教訓も踏まえ、国際的に協力をして地球規模での環境の汚染を防止する必要性が認識されるようになっております。

 このような状況の中で、平成二十五年十月に熊本市及び水俣市において我が国を議長国として開催された外交会議で、水銀に関する水俣条約が採択されました。この条約は、我が国として締結することを承認いただくために、今国会に提出されているところであります。

 今回提出いたしました二つの法律案は、この条約の的確な実施を確保するための所要の国内法整備を行うことを目的とするものであります。

 まず、水銀による環境の汚染の防止に関する法律案の内容の概要を御説明申し上げます。

 第一に、我が国における水銀対策の全体像を明示し、広範な関係者の取り組みを総合的かつ計画的に進めるため、主務大臣により水銀等による環境の汚染の防止に関する計画を策定することとしております。

 第二に、何人も、水銀鉱を掘採してはならないこととしております。

 第三に、水銀使用製品の製造等に関する措置についてであります。

 特定の水銀使用製品の製造を原則として禁止することとし、条約で認められた用途のために製造される場合に限り許可することとしております。また、既存の用途として把握されていない新たな用途のための水銀使用製品については、当該製品の利用が人の健康の保護または生活環境の保全に寄与する場合でなければその製造または販売をしてはならないこととしております。さらに、国、市町村、事業者に対して水銀使用製品を適正に回収していくために必要な措置を講ずるよう努めなければならないものとしております。

 第四に、何人も、特定の製造工程において水銀等を使用してはならないこととしております。

 第五に、何人も、業として金鉱から水銀等を使用する方法によって金の採取を行ってはならないこととしております。

 第六に、水銀等の貯蔵に関する措置についてであります。

 主務大臣は、その貯蔵に係る水銀等による環境の汚染を防止するためにとるべき措置に関する技術上の指針を定めることとし、環境の汚染を防止するために必要があると認めるときは、当該水銀等貯蔵者に対して必要な勧告ができることとしております。また、当該水銀等貯蔵者は、定期的に主務大臣に貯蔵の状況等に関する報告をしなければならないこととしております。

 第七に、水銀含有再生資源の管理に関する措置についてであります。

 主務大臣は、その管理に係る水銀含有再生資源による環境の汚染を防止するためにとるべき措置に関する技術上の指針を定めることとし、環境の汚染を防止するために必要があると認めるときは、当該水銀含有再生資源管理者に対して必要な勧告ができることとしております。また、当該水銀含有再生資源管理者は、定期的に主務大臣に管理の状況等に関する報告をしなければならないこととしております。

 以上のほか、経過措置、罰則その他の規定の整備等を行うこととしております。

 次に、大気汚染防止法の一部を改正する法律案の内容の概要を御説明申し上げます。

 第一に、水銀排出施設に係る届け出等に係る各種規定の整備であります。

 水銀等の大気中への排出規制の実効性を確保するため、条約の規定に基づき規制が必要な施設を水銀排出施設として、当該施設の設置等について都道府県知事に届け出なければならないこととしております。

 第二に、排出口における排出濃度規制の実施であります。

 水銀排出施設の排出口の水銀濃度の排出基準を定め、当該施設から水銀等を大気中に排出する者に対して排出基準の遵守を義務づけることとしております。また、排出基準の遵守義務違反に係る改善勧告等及び改善命令等の制度をあわせて設けることとしております。

 第三に、要排出抑制施設の設置者の自主的取り組みの実施であります。

 水銀排出施設以外の施設であっても、水銀等の大気中への排出量が相当程度多い施設を要排出抑制施設として指定して、その設置者に対し、水銀等の大気中への排出を抑制するための自主的取り組みを実施することを責務として求めることとしております。

 以上のほか、事業者に対する水銀等の大気中への排出の抑制に係る責務の規定、国及び地方公共団体の施策、経過措置、罰則その他の規定の整備等を行うこととしております。

 以上が、これらの法律案の提案の理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

北川委員長 以上で両案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

北川委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 両案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十二分散会


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