衆議院

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第8号 平成27年5月29日(金曜日)

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平成二十七年五月二十九日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 北川 知克君

   理事 熊田 裕通君 理事 助田 重義君

   理事 平井たくや君 理事 藤原  崇君

   理事 牧原 秀樹君 理事 田島 一成君

   理事 松田 直久君 理事 浮島 智子君

      赤枝 恒雄君    穴見 陽一君

      井林 辰憲君    石川 昭政君

      小倉 將信君    鬼木  誠君

      笹川 博義君    田中 和徳君

      高橋ひなこ君    福山  守君

      堀井  学君    前川  恵君

      吉野 正芳君    篠原  孝君

      田嶋  要君    中島 克仁君

      福田 昭夫君    馬淵 澄夫君

      小沢 鋭仁君    河野 正美君

      篠原  豪君    真山 祐一君

      島津 幸広君    玉城デニー君

    …………………………………

   環境大臣         望月 義夫君

   環境副大臣        小里 泰弘君

   環境大臣政務官      高橋ひなこ君

   環境大臣政務官      福山  守君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 岡庭  健君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           徳田 正一君

   政府参考人

   (水産庁資源管理部長)  枝元 真徹君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           吉野 恭司君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁次長) 高橋 泰三君

   政府参考人

   (海上保安庁警備救難部長)            秋本 茂雄君

   政府参考人

   (環境省大臣官房長)   森本 英香君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   鎌形 浩史君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            小林 正明君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       北島 智子君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  梶原 成元君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  塚本 瑞天君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          櫻田 道夫君

   環境委員会専門員     石上  智君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十九日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     鬼木  誠君

  馬淵 澄夫君     田嶋  要君

  小沢 鋭仁君     河野 正美君

同日

 辞任         補欠選任

  鬼木  誠君     穴見 陽一君

  田嶋  要君     馬淵 澄夫君

  河野 正美君     小沢 鋭仁君

    ―――――――――――――

五月二十六日

 廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び災害対策基本法の一部を改正する法律案(内閣提出第五九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び災害対策基本法の一部を改正する法律案(内閣提出第五九号)

 環境の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

北川委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、気候変動に関する閣僚級会合の結果について政府から報告を聴取いたします。望月環境大臣。

望月国務大臣 おはようございます。御報告をさせていただきたいと思います。

 五月十八日から十九日まで、ペータースベルク気候対話がドイツ・ベルリンで開催され、私が出席してまいりました。この会議の結果について御報告申し上げます。

 今回の会議には、約四十の国、地域の閣僚級が出席し、本年末のCOP21での合意を目指している新たな国際枠組み等について議論いたしました。COP21まで二百日という時宜を得た開催であり、合意に向けた機運が一層高まることに期待して、私はこの会議に臨みました。

 会議においては、ドイツのメルケル首相及びフランスのオランド大統領による基調講演が行われ、約束草案の早期提出の重要性について述べられました。

 私からは、新たな枠組みのもとで、各国が定量的な削減目標を提出し、対策を実施すること、及び実施状況を報告し、レビューを受けることを全ての国の義務とすることが重要であると訴えてまいりました。

 今回の会議における主要国の閣僚間の率直な意見交換を通して、新たな枠組みにCOP21で確実に合意するとの各国の強い意思を確認できたことは重要な成果です。

 また、途上国、先進国の差異化のあり方や、適応及び途上国支援の取り扱いなど、難しい課題はありますが、閣僚級での対話を継続することで、信頼を築くことが重要であるとの認識が共有されました。

 なお、ペータースベルク気候対話終了後、G7の気候変動担当閣僚間で、六月七日から八日に開催されるエルマウ・サミットを念頭に、COP21の成功に向けたG7としての取り組み等について非公式の意見交換を実施いたしました。先進国が一丸となって、気候変動対策に取り組むことの方向性が共有できました。

 我が国は、今回の会議の成果も踏まえ、全ての国が参加する公平かつ実効的な国際枠組みの構築に向けた国際交渉に引き続き積極的に貢献してまいります。我が国の約束草案については、G7サミットの際に、総理みずから、国際的に遜色のない野心的な目標に関する日本の考え方をしっかりと説明される予定です。

 以上でございます。

北川委員長 これにて報告の聴取は終了いたしました。

    ―――――――――――――

北川委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官岡庭健君、文部科学省大臣官房審議官徳田正一君、水産庁資源管理部長枝元真徹君、経済産業省大臣官房審議官吉野恭司君、資源エネルギー庁次長高橋泰三君、海上保安庁警備救難部長秋本茂雄君、環境省大臣官房長森本英香君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長鎌形浩史君、環境省総合環境政策局長小林正明君、環境省総合環境政策局環境保健部長北島智子君、環境省地球環境局長梶原成元君、環境省自然環境局長塚本瑞天君、原子力規制庁原子力規制部長櫻田道夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

北川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。馬淵澄夫君。

馬淵委員 民主党の馬淵でございます。

 前回、三月二十七日にこの委員会での一般質疑に立たせていただきました。その折には、経産省でいわゆるエネルギーミックス、具体的な試算を行うという段階で、環境省としても積極的に関与すべきであると私は提案をさせていただきました。

 そして、経産省からは、長期エネルギー需給見通しという形で、具体的な数値が提示をされました。前にも申し上げた、このエネルギーミックスは、CO2削減という政府の大きな目標を預かる、所管する環境省としても、当然ながらこれに対しては深いかかわりを持っているということになります。これにつきまして、対処の状況ということをお伺いしたい。

 また、あわせて、四月三十日に、これも環境省として示されたCOP21に向けてのCO2の削減目標、この約束草案に対しての中身につきましてもお伺いをしていきたい、こういうふうに思っております。

 まず最初に、環境省のかかわりということで、今申し上げた三菱総研の試算、このことを議論させていただきたいというふうに思っております。

 前回の三月二十七日の質疑の中では、私は大臣にこの三菱総研の試算を早く出すべきではないかということで、「一日も早く出していかなくてはいけない、コンクリートされてからでは遅い」「経産省の方にもぜひひとつこういったものも参考にしていただきたい。」大臣はこのように答弁をされました。

 そこで、経産省、事務方から結論を言っていただきたいんですが、この環境省が提示をした三菱総研の試算に関しましては、経産省の試算として基礎となったのかどうか、端的にお答えいただけますでしょうか。

吉野政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の試算につきましては、環境省の委託先である三菱総研が再生可能エネルギーの導入ポテンシャルを試算したものであり、その試算の前提に係る施策の裏づけ、エネルギー政策において前提とすることが必要なコスト面の課題など、実現可能性は十分に考慮されていないものであるということで、今回のミックスの直接的な算定の根拠とはいたしておりません。

 他方、この見通しの策定に当たりましては、その作業の一環として、再生可能エネルギーの導入見込みを検討する際には、環境省それから農水省などの関係省庁と協議を行ってきております。

 環境省との関係でも非常に密に議論をさせていただきました。この際にも、例えば、再生可能エネルギーの発電コストの低減の可能性などといったところ、十回に及ぶ打ち合わせだったと思いますけれども議論させていただきまして、今回の見通しのコストの中には、そうした議論も踏まえて具体的な数字をお示しするといった経緯がございました。

 以上でございます。

馬淵委員 計算の根拠ではないと。ただし、参考にした、協議をしてきた。今、十回の協議というふうにおっしゃいました。

 一方で、環境大臣として、私質問させていただいたときには「参考にしていただきたい。」ということでありましたが、大臣は、その三月二十七日には、「こういった数値をいただき、そしてまた環境省の中でしっかりとそれをもんで世の中に公表していく、」という位置づけを示されました。

 改めて伺いますが、この三菱総研の試算、環境省として、その立場としてはどういう扱いなんでしょうか。お答えいただけますでしょうか。

望月国務大臣 御指摘の報告書でありますけれども、委託先の三菱総研でありますけれども、さまざまな前提条件を設定して試算をしたものでございますが、環境省といたしましては、政策判断の材料の一つとして活用してまいりました。例えば、再生可能エネルギーの発電コストの低減の可能性等は、非常に有益なデータとなりまして、経産省との議論の中で我々としても提示させていただいて、活用させていただきました。

 他方、今回の試算の大部分でありますけれども、再生可能エネルギーの導入ポテンシャル、可能性でありますけれども、これを考慮して、まず、長期的な到達点、二〇三〇年、二〇五〇年、そういうものを定め、その実現に向けた姿を逆算して計算したものでございます。その一方で、そういう形でありますと、系統制約だとか技術的制約、あるいはまたコスト、こういったものについてさらに検討すべき課題があるのも事実でございます。

 そういったことを考えますと、この報告書は、長期的な導入ポテンシャルがどの程度あるかを示しておるのが一番の重要なところでございまして、二〇五〇年までを見据えて長期的な再生可能エネルギーの導入拡大を考える上で、引き続き参考資料として有効活用をさせていただきたい、このように思っております。

馬淵委員 長期的な導入ポテンシャル、そこからバックキャストして、逆算をして数値を出してきた、こういうことだという御説明を今いただきました。

 大臣は、前回の答弁の中では、試行錯誤中の未成熟なものである、こういうふうにおっしゃいました。この未成熟なものであるという位置づけは、環境省としての認識でよろしいんでしょうか。大臣、お答えいただけますでしょうか。

望月国務大臣 未成熟と私たしか答弁したことがございますけれども、それは、あのときはまだ完成されて出てくる前の段階でその数字が出てきたというような形でございまして、多分、三菱総研ではまだ改善の余地があって、もちろん、その後、幾つかの数値を見るとその数値が変わっているということを考えるとそういうようなことでございまして、そういった意味では、未成熟なものであったというような発言をさせていただきました。

 ただ、最終的に出てきた資料については、さまざまな意味で、将来に向かって参考にさせていただいた、こういうことが事実でございます。

馬淵委員 大臣、確認ですけれども、あの三月二十七日の段階で確かにこれはまだ提示をされていませんでした。したがって、事前に漏れていた数値等々、このことに対して言及をされたということで、その後、大臣は、そう時間を置かずに外に発表すると言われ、そのとおりに発表していただいたわけであります。

 現時点においては、今のお話であれば、未成熟ということではなくて、少なくとも環境省として、将来を長期的に見通しを立てた、バックキャストをした成果として、環境省としての根拠である、このように捉えていいということでよろしいでしょうか。

望月国務大臣 このことにつきましては、将来に向かってはこういう考え方もあり得るな、そういうことがございますけれども、先ほどお話ししましたように、それが二〇五〇年という、先を見据えてというような形になってきますので、これが二〇二〇年、二〇三〇年という形の中では、もちろん技術的な問題、系統の問題、それからコストの問題ということを考えると、現在の積み重ねの中では、これを全て採用するというわけではございませんけれども、やはり、日本の将来に向かってはこういう形というものは一つの方策であるなということで、十分に対応させていただきたいと思いますし、そしてまた、経産省との打ち合わせの中でも、さまざまこの中の、大変ためになる部分は参考にさせていただいて、詰めてきたところでございます。

馬淵委員 将来を見越したものである、環境省としてもそれをしっかりと、今後は参考、もちろん中心に置いての将来見通しの大切な検証の検討結果だ、こういう位置づけだというふうに今確認をさせていただきました。

 ただ、一方で、それが反映されたとは言いがたいエネルギーミックスの数値が世の中に出てきたわけです。

 これは、環境省での試算の中で、委託業務書の中には、確かに大臣おっしゃるように、「二〇五〇年を見据え低炭素社会を構築していく観点から、中長期的な再生可能エネルギーの普及状況の見通しの検討と、中長期的に普及を実現させるための必要な方策をとりまとめることを目的」としたとなっておりますし、これは三カ年の検討事業の中で最終年度、したがって、これはある意味最終の結果をしっかりとまとめたものである、こういう位置づけです。これに対して、十分に経産省に反映されてきたかということが、私は問題意識として持っております。

 一方で、環境省としての評価ということについては、大臣に今御見解をいただきましたけれども、平成二十六年の、これは三カ年の計画でありますから、過年度の分ですね。過去二年分に関しましては、行政事業レビューがなされています。行政事業レビューのシートを見ますと、国費投入の必要性や事業の有効性について、これは評価をしっかりとなさっています。

 済みません、これは通告しておりませんが、この行政事業レビューで、環境省の事務方の方でお答えいただけますでしょうか。これはどういう評価だったか。もし御記憶がなければ結構ですが。

梶原政府参考人 今御指摘の事業評価のシートの中で、点検結果というところでございますけれども、「最新情報に置き換えるべきところは適宜更新しながら、これまでの事業成果を有効に活用した。また、調査検討結果の活用度を高めるため、事業者向けの手引きとしてまとめた。」ということの評価をしております。

 そういったような点検結果になっておるところでございます。

馬淵委員 そうなんですね。少なくとも三カ年の事業で最終年度の報告書、今日に至るまでの過去の事業評価、行政事業レビューでは、その必要性、有効性は、自己評価ですが、環境省の地球環境局の中での評価としては有効性に丸をつけておられるんですよ。役所としては、しっかりとこの必要性と有効性というものを評価してつくられた成果なんです。

 したがって、こうした成果を現実にはエネルギーミックスに反映させていかなければならない。これは十回の議論をしていただいたということでありますが、残念ながら、これは後ほどお話しさせていただきますが、この再生可能エネルギーの到達、少なくともミックスの中で想定されている数値には大きく及ばない数字に経産省の中でのエネルギーミックスの数字としては出てしまっています。

 四月二十八日でありますが、経産省から出た再生可能エネルギーミックスの比率、これは二二%から二四%という数値でありました。一方、環境省における三菱総研の試算は、再エネ比率を最大三五%を可能としています。

 我々も、経産省に対しては、民主党として中間報告として発表いたしましたが、政府への提言をいたしました。その中でも、我々としては、環境省の中でまとめられた三五%、高位ケースと中位ケース、この二つの想定のほぼ真ん中ぐらい、三〇%という数値を我々としては提示をしてきたところであります。

 しかし、現実には、環境省の提示したこうした有効性の高い、評価ができる試算の結果を反映して十回の協議を重ねても、二二%から二四%と低く見積もられてしまっているという現状があります。

 大臣、結局は、経産省が本来目的とする原発比率を実現するための裏づけとなってしまう、後づけの数字になっているんじゃないでしょうか。これは経産省の問題かもしれませんが、大臣がおっしゃるように、参考にしていただいて、連携をして、そして、政府として数字を出していく中で一体となって協議を進めていくという結果とはほど遠い形になっていませんか。大臣、いかがでしょう。

望月国務大臣 エネルギーミックスの再生可能エネルギーでございますけれども、この導入量、導入というものは、やはり安定供給というものが必要でございます。それからまたコスト、それからまた温暖化対策のバランスを確保しつつ、最大限の再生可能エネルギーの導入が図られた、このように我々としては考えております。

 それから、これは低炭素社会の実現に不可欠であると考えておりまして、まずは今回示された目標を確実に達成するということ、それから、中長期的にさらなる導入拡大を図っていくことが重要だ、こういう形の中で、こういった数字を我々も出させていただきました。

 何しろ、これはもちろん、COP21に向けて我々が数値を出していく、やはりエネルギーミックスとかさまざまな面では大切な数値でございますけれども、そういった意味におきましても、我々としては、これは確実に達成できるものでないと、我々が数字を出して、そしてそれが守れないということになると、これが結局、日本の約束草案に出す数字にかかわってまいりますので、そういった意味では、我々は、国際的に遜色のないような数字を出させていただく、その基礎となったものだ、このように思っております。

馬淵委員 それは後ほどの約束草案のところでも少し触れさせていただきたいと思いますが、私は大臣に申し上げました。宮沢大臣と、閣僚級の会議、しっかりとした会合を持ってこれは議論されるべきだと。事務方の十回の協議だけではだめなんです。

 これはまた後ほど、私、資料もつけていますが、閣僚級の会議、少なくとも官邸も含めたグリップがきく、こうした取り組みをしなければ、残念ながら、私はいい取り組みをされていると思っているんですよ、評価させていただいているんです。単に自己評価の丸だけじゃなくて、こうした、環境省がある意味野心的なトライアルをすることによって、我が国におけるあの原発事故を教訓とした新たなエネルギーの社会というものを築き上げる大きな原動力になるわけです。しかし、残念ながらそれが反映されたとは言いがたい。

 大臣、改めて確認ですけれども、私は前回のときにも申し上げました。宮沢大臣とは同じグループにいらっしゃる、そんな話じゃないんですと私は申し上げたところであります。大臣、十回の事務方の会議がありますが、大臣は宮沢大臣と正式な会議を持たれましたか。いかがでしょう。

望月国務大臣 今、宮沢大臣の話、前に、私の派閥といいますか同じグループでございますので毎週顔を合わせておりますし、その都度いろいろな意味で話をさせていただきました。それが全てこのことであるということではもちろんございませんけれども、こういったことも含めてそういう話をさせていただきましたし、その都度やはり、電話等でこういう場合はどうだろうというような話は実はさせていただきました。

 こういう再生可能エネルギーの導入は、エネルギーミックスや温暖化の削減目標については議論をさせていただいて、この間、約束草案の要綱案というのを出させていただきましたが、これはもう本当に、そういった意味では、たまたまそういう形でございましたので、よく話をさせていただいたということでございます。

 評価についてちょっとお話がございましたものですから話をさせていただきますが、何しろ新聞とかマスコミ情報ではさまざまなことが書かれました。多分、日本の状況は二〇%もいかないだろう、それがどこの主導かわからないけれどもそうなるだろうとか、さまざまな話がございましたが、いろいろ、やはり日本の国がCO2というものの排出では大変多い国になっておりますし、そしてまた、ただ、日本の国がテクノロジーで世界に貢献をしていかなきゃならない。

 そういう意味で、それもまた、約束草案の中のものは必ず守っていく、そういうようなことを考えると、非常に数字としては、二六%というものが、さまざまなことがございますけれども、そういう意味では、なかなか、積み上げてきたものがこういう形になったのかな、こんなふうに思っております。

馬淵委員 積み上げ、少なくとも事前に出たマスコミ報道の数字よりはちょっと上がったんだと思いますよ。ただ、そこで私は満足してもらっちゃ困る。三五%、高位ケースでありますが、少なくとも、三〇%という大きな目標、我々もそれは提示をしてきました。

 そして一方で、ここで原発の話をしても仕方がないかもしれませんが、エネルギーミックスの中で、原子力比率の二二から二〇という数字、これは震災前の二八・六%から数%しか下がらないような状況。現実的に言えば、これを二〇三〇年断面で見れば約一割ぐらいこれが残るような状況の中で、我々としても、二二パーから二〇パーという数字、私たちがゼロを目指すと言ったころでも二〇三〇年断面約一〇%ぐらい、さらにそこから二〇三〇年代ゼロに持っていくという、こうした計画を示してきた。経産省は、それに対して、これからふやすという方向を私は示した数字だというふうに感じられます。これは大臣が所管されているCO2削減の方向性と逆の方向を向いてしまうんですよ。

 私からすれば、これはもちろん、原発でやろうということであればCO2は下がるだろうということで簡単に乗れるかもしれませんが、少なくとも安全な社会を構築するという上においては全く違う方向に行ってしまいかねない。その意味で、私自身はこの問題は極めて重要だということを改めて申し上げておきたいと思います。

 そして、加えて、約束草案の件につきまして確認をさせていただきます。

 約束草案の実現可能性というところでありますが、お手元には1、この約束草案の資料をお配りさせていただきました。ここには今おっしゃった二六%マイナスという数字が記載をされております。

 そこで、事務方に確認いたしますが、二〇一三年における我が国の温室効果ガスの総排出量、これは幾らでしょうか。端的で結構です。

梶原政府参考人 二〇一三年度におきます我が国の温室効果ガスの総排出量につきましては、二酸化炭素換算で十四億八百万トンでございます。

馬淵委員 その数値は、前年度比、二〇〇五年度比、一九九〇年度比で、それぞれ何%のプラスあるいはマイナスということでしょうか。

梶原政府参考人 前年度、二〇一二年度の総排出量と比べまして一・二%の増、二〇〇五年度の総排出量と比べて〇・八%の増、そして一九九〇年度の総排出量に比べまして一〇・八%の増となっております。

馬淵委員 つまり、この二十年ほどでCO2の総排出量というものは約一〇%増加をしているということになります。この数年でもプラスとなっているという中で、今回二六%の削減を国際的にも約束をする、こういうことになります。

 これは、二十年以上もかけて、削減どころかふえているんですね。この状況の中でどうやって二六%を削減するのか。これは、大臣、具体的な実現のための施策あるいは政策、どのようにお考えになっているんでしょうか。

望月国務大臣 四月三十日の中環審とそれから産構審の合同専門家会合でお示ししました我が国の新たな削減目標案は、技術的制約、それからまたコスト面の課題などを十分に考慮した裏づけのある対策そしてまた施策や技術の積み上げによって策定したものでございます。

 この目標を達成するために、徹底した省エネと再エネの最大限の導入に取り組むとともに、フロン対策などの強化、それから森林吸収源対策などの吸収源対策を行ってまいりたいと思っております。

 これらを実現する主な対策、施策については、既に約束草案の要綱案の中でもお示しをしておりますけれども、今後も、地球温暖化対策計画を策定する中でさらに具体化してまいりたい、このように思っております。

馬淵委員 今、決意を述べられているとしか私には思えないんですが。

 では、改めて環境省の事務方に尋ねます。

 二〇一三年度における我が国の温室効果ガス総排出量、これが十四億八百万トン、そのうちCO2の排出量は何万トンで、総排出量に占める割合はどうなっていますか。お答えいただけますでしょうか。

梶原政府参考人 今、エネルギー起源のCO2の割合ということでございますか。(馬淵委員「はい」と呼ぶ)

 約九割でございます。

馬淵委員 約九割で、そのCO2排出量、これはエネルギー由来が九割でというようなお話でありますが、発電に伴う部分、その数値を言っていただけますでしょうか。

梶原政府参考人 二〇一三年度におけます我が国の温室効果ガス排出量のうち、発電に伴う二酸化炭素排出量については、五億四千八百万トンでありまして、全体の三八・九%を占めております。

馬淵委員 そうですね。これは約四割なんですね。二六%を目指すという中で、今事務方からありましたけれども、発電に伴うものが約四割。

 その上で、さらに、では、このCO2の排出量の内訳、二〇一三年度、今の数字をもとにですが、石炭火力、天然ガス火力、石油火力、それぞれ、これは何万トンということで結構です、お答えいただけますか。

梶原政府参考人 今の御指摘のうち、まず石炭火力からの排出量、これは二億七千万トンでありまして、発電に伴う二酸化炭素全体の四九・二%、総排出量の一九・二%でございます。

 天然ガス火力の排出量につきましては、一億七千七百万トンでございます。

 石油火力の発電に伴うCO2発生量は、一億百万トンでございます。

馬淵委員 つまり、これは火力なんですね。火力が大変、天然ガス、石炭、石油ということで、これがCO2を排出しているということになり、これを最大限減らさないと約束草案の数値というのはおぼつかないということが考えられるわけであります。

 そして、経産省の試算では、再エネを二二から二四、原子力を二二から二〇として合わせて四四%を確保ということなんですが、一方、ではこの原子力発電二〇から二二という数字は、どのような原発の状況かということなんですが、これは、四十年運転制限ルールあるいは再稼働というその状況の中で再稼働が順次行われ、また運転延長も含めてこれが進んでいくということが前提となるということを宮沢大臣は再三お答えをされています。しかし、これについては、なかなか厳しいのではないかということも規制委員会の中では議論をされています。

 規制庁、事務方に来ていただいていますが、とりわけ運転延長審査、これに対しては、田中委員長はなかなか大変なハードルだということをおっしゃっておられました。私の質問にもそう答えていただいていますが、規制庁としても、運転延長審査というのはハードルが高いという認識でよろしいでしょうか。いかがでしょう。

櫻田政府参考人 お答え申し上げます。

 今の御質問に対しては、一般論として申し上げますと、運転延長の認可をするためには、運転延長の部分の認可に加えて、新規制基準に係る適合性審査を通る、これも必要でございます。

 この新規制基準に係る審査におきましては、新たに要求することとなりました津波対策、火災防護対策、重大事故等対策、これらについても基準への適合性を厳正に審査する必要があって、これもあわせて必要がございます。

 また、運転期間延長に係る申請についても、例えば延長期間の申請が二十年ということであれば、二十年間の劣化に関する技術的評価、あるいは保守管理方針についても十分に確認する必要がございまして、これはしっかり見ていく必要があるというふうに考えてございます。

馬淵委員 今規制庁からの説明がありましたが、田中委員長を初め、規制庁としてもこれは簡単にいかないんだ、大変高いハードルであるということを再三述べられています。

 その上で、昨日でありましたが、高浜の原発のいわゆる運転延長に関しまして、これも規制庁の方で、規制委員会で報道がございました。高浜原発に関しましては、この運転延長、なかなかこれは厳しい状況である、規制委員会の方でもこの運転延長を簡単に認めることができない状況ではないかということでの申請の中身について、準備が十分でない、こういう厳しい意見も出ておりました。

 つまり、原発の再稼働と運転延長、これにて進めていくと宮沢大臣はおっしゃっておられる。これで原子力の比率を保つ、そしてこの原子力比率を保つことが、言いかえれば、再生可能エネルギーと一致をし、平仄を合わせることになり、そして約束草案で掲げる二六%という数値、果たして本当に実現可能なのか。原発がそう簡単にその数値をクリアできる状況にあるとはなかなか思いにくい。

 改めて私は申し上げたいんですが、このように原発の再稼働や、あるいは運転延長申請に関しても厳しい規制庁のその審査の状況があり、宮沢大臣は新増設、リプレースは現時点においては想定していないというふうに言われますが、こうした中で原発比率が本当にその数値を達成できるかどうかというのは不透明です。この不透明な中で、今大臣は約束草案のこの二六%をさまざまな技術革新で実現するんだとおっしゃっておられますが、果たしてそれが可能なんでしょうか。これは所管外のところだから関係ないという話ではないはずです。

 私は、繰り返し、閣僚級で政府がしっかりとした合同の会議体を持つべきだと申し上げてきました。望月大臣、今、経産省のこのような状況の中で、大臣は果たしてこの二六%を本当に実現できるというふうにお考えでしょうか。お答えいただけますか。

望月国務大臣 これは、委員の方からいろいろお話がございましたが、原発の問題につきましては、これは我々の規制庁がございますので、三条委員会、独立性の高い委員会でございまして、これはもう我々の方からは原発の稼働については口を挟むことができませんので、これはぜひひとつ御理解のほどをお願いしたいと思います。

 ただ、やはりそういったものを積み重ねて、我々は、経産省はもちろん、農水省も外務省も我々もそういう話し合いをしっかりとして、この二六%、低いと言う方もあれば高いと言う方もいらっしゃいますけれども、我々としてはそれぞれの世界の国々に認めてもらえるような数字だというような、ただ、まだこれから政府で決めて、パブリックコメントもしていかなくてはなりませんけれども、そういう中での積み重ねの数字でございますので、これをしっかりと実現できるように我々は守っていきたい、このように思っております。

馬淵委員 もう時間になりましたが、引き続き、この約束草案の実現性については、当委員会においてまた議論させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

北川委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 民主党の中島克仁です。

 本日は、一般質疑ということで、私からも質問させていただきたいわけであります。

 今、馬淵委員からも御質問がございました温室効果ガス削減目標草案、前回私の四月の質疑、一般質疑でございましたが、そのときにも質問させていただきました。

 今回は、二〇一三年度比、CO2削減目標マイナス二六%というふうに発表され、その前提である再生エネルギー導入見込み量の推計、三菱総研の試算が環境省としての試算に当たるのかどうかという質問を前回もさせていただいて、先ほども御答弁いただいて、そのことをきょう詳しく質問しようとは思わないわけでございますが、私の理解不足かどうか、ちょっと確認だけさせていただきたいわけです。

 環境省として、今回、十回の事務方の会議が行われたというふうに先ほどいただきましたが、二〇三〇年、再生エネルギー導入比率、最終的に何%、そして、CO2の削減目標、最終的に何%、そういう土台となる試算というのが最終的にあったのかどうか、そこの辺、確認をさせていただきたいと思います。

梶原政府参考人 事実関係でございますので、事務方の方から答えさせていただきたいと思います。

 先ほど来のエネルギーミックスの議論と約束草案につきましては、政府部内で調整をしながら議論をしてございます。

 そして、温室効果ガスの目標の積み上げに用いましたエネルギーミックスの中で、再生可能エネルギーにつきましては、二二から二四%といったようなものを使わせていただいているところでございます。

 そして、もう一点御質問のございましたCO2の数字につきましては、二〇三〇年の目標といたしまして、国内の排出削減、吸収源の対策によりまして、二〇一三年度比で二六%、二〇〇五年度比で二五・四%の数字を今審議会に掲げておりまして、その数字を踏まえて、今、政府原案をつくるという作業を進めているところでございます。

中島委員 そういう議論になっていて、先日も報道でも出されましたが、最終案というのは、最終決定にはまだ至っていないという段階だということでございます。

 前回の質疑のときにも私質問したように、これは恐らく経産省も環境省もそれぞれの立ち位置があって、それぞれの立場で議論を繰り返していくに当たって、環境省としての試算という、先ほど三菱総研の試算の話は出ましたが、なかなか難しい部分もあるけれども、安定供給していくため、現実的な、環境省としてのベースとなる試算があったのかどうかということを確認させていただきたいわけですが、今の経緯ではなくて、土俵となる、ベースとなる環境省としての試算があるのかどうか、確認、もう一度お願いします。

梶原政府参考人 調整におきましては、例えば今回の三菱総研の資料につきましても説明をしているところでございますけれども、それぞれの中身について議論をし合い、いろいろなデータについて議論をしておりますけれども、最終的に環境省としてエネルギーミックスの数字がこれであるべきだというものをつくっているわけではございません。

中島委員 わかりました。きょうそれについて詳しく議論しようというふうには思っておりませんが、ちょっと確認のため、今の馬淵委員の質問に関連して確認をさせていただきました。

 とにかく、前回の質疑、先ほど馬淵委員からもございましたように、それぞれの立場はあると思うんですが、やはり乗り越えなきゃいけない壁、政治判断も必要だというふうに思いますし、望月大臣にはしっかりとリーダーシップをこれからも発揮していただきたいというふうに思います。

 温室効果ガスの削減は何のためかといえば、これはもう言うまでもなく、地球温暖化に向けた対策ということでございます。

 温暖化対策は、原因となる温室効果ガスの排出を削減して、温暖化の進行を食いとめて大気中の温室効果ガス濃度を安定させるそもそもの緩和策と、気候の変動やそれに伴う気温、海水面の上昇などに対して、人や社会、経済のシステムを調節することで影響を軽減しようとする適応策というのに分類される、これは言うまでもないわけでございますが、そのどちらもが必要不可欠と位置づけられて、IPCCなどにおいても、互いに補完し合うことで気候変動によるリスクの低減に寄与すると、バランス対策の必要性が説かれているわけであります。

 本日、適応策について私からは質問をさせていただきたいというふうに思うわけです。

 温暖化による人類への悪影響の一つに感染症があります。昨年の夏、記憶にも新しいところでありますが、都内の公園で発生したデング熱、過去ないぐらいの多数のデング熱が発生したわけです。

 確認ですが、この発生は温暖化による影響と環境省は考えているのかどうか、お尋ねいたします。

梶原政府参考人 議員御指摘の気候変動の影響につきましては、中央環境審議会におきまして、平成二十五年七月から日本への影響について評価が行われているところでございます。その結果につきましては、本年三月に評価結果の報告書を取りまとめられたところでございます。

 その中で、デング熱につきましては、デング熱を媒介いたしますヒトスジシマカの分布域、これにつきましては、現在東北地方の北部まで広がっている、将来は気候変動によりまして冬場の生息も可能になるということで、分布域が北海道の一部まで拡大する可能性も指摘されているところでございます。

 ヒトスジシマカ、これが媒介動物でございますけれども、この分布可能域の拡大が直ちにデング熱そのものの疾患の発生の拡大につながるというわけではございませんけれども、影響の範囲が全国に及ぶ可能性があるということでございますので、重大性は特に大きいということで中環審におきます報告書の中でも評価されているところでございます。

中島委員 今回のデング熱の多数の発生が、温暖化とは端的に無関係、関係はあるけれども直接的な影響とは考えづらいということでよろしいですね。

梶原政府参考人 当然のことながら、媒介するヒトスジシマカがいないとなかなか発生はしないわけでございますから、そういう意味におきましては関係はするということでございますが、ただ、ヒトスジシマカがいることをもってして、直ちにそれがデング熱の発生の原因であるということで一対一対応させるということはなかなか難しいということだと理解をしております。

中島委員 資料はデング熱の国内感染症の発生状況で、これは厚生労働省の発表になります。去年の八月二十七日から十月三十一日で百六十人の感染者が出たということで、先ほど御答弁もございましたように、媒介するヒトスジシマカの生息域は現在東北の北部まで上がっていて、さらには、今後二十年、三十年後には北海道までその生息域が上昇していくということも予想されておるということです。

 やはりこれは、ことしももう五月で三十度を超えるような暑さになってきて、この夏もまたデング熱の発生というものが非常に危惧される部分もある、それに対して、環境省としてはこの夏に対してどのような対策を考えておられるのか。

梶原政府参考人 デング熱の対策につきましては、現在、厚生労働省におきまして、昨年のデング熱の国内発生を踏まえて、本年の四月二十八日に、デング熱発生の予防、蔓延防止のための、関係者が連携して取り組むべき指針を策定しております。そして、あわせて、地方公共団体向けの対策の手引も配付されているということでございます。

 私どもといたしましては、デング熱のことも含めて、これまでの気候変動に伴う影響について、国民の方々に情報提供する、また民間の方々に提供するという形で協力をしてまいりたいというふうに考えております。

中島委員 先ほども言ったように、デング熱だけではなくて、世界的に、例えばマラリアとか、そういった媒介する生息域が温暖化によって広域になってくる。その後、これは先ほども言ったように、感染症ということであると厚生労働省との関係性、連携性ということにもなるわけですが、その辺について、今言った感染症の問題もそうですが、さまざま、米の未熟化だとか、着色不良のブドウ、また、気象ではゲリラ豪雨、これも昨年夏の広島の災害も含めて、環境省として、やはり適応対策、同じような答えになるかもしれませんが、さまざま危惧される対策について、今現在、今後についてどのように考えておられるのか。

望月国務大臣 委員が御指摘のように、これは全て環境の変動の影響とは考えづらいところもありますけれども、やはりそうでない、環境の影響も含まれる、IPCCとかさまざまなところでそういった警告を鳴らしているわけでございまして、IPCCは特に世界のノーベル科学者級の学者が、八百人以上の人たちが毎年そういったものを出しておりますけれども、そういったことを考えると、やはり重大性は特に大きい、先生の御指摘のとおりだ、このように思っております。

 そういったことで、これは気候変動の影響であるとは言い切れないものの、そういったことはしっかりと我々も注意をしていかなくてはいけないということでございまして、政府の適応計画、今先生おっしゃったように、こういったものもことし夏ごろを目途に策定をすべく、環境省としても全力で取り組んでいきたい、このように思っております。

中島委員 今大臣からお答えがあった適応計画ですね。これは、今、夏までにということであったわけですが、私、この質問を一年前にもしておりまして、当初は二十六年度末めどに計画策定予定というふうにされておったと私は承知しておるわけですが、世界各国を見てみますと、イギリスにおいても一三年に国家適応プログラムとして、米国においても一三年に戦略的かつ持続可能な行動計画、フランス、ドイツ、中国も初め、適応計画がしっかりとできているわけです。

 当初は二十六年度末ということで、この夏ということでございますが、その適応計画がおくれているということは、昨年のデング熱も初め、広島の豪雨災害、さまざまな問題に対してやはり後手後手に回っているとしかちょっと私には思えないわけですが、おくれている原因は何なんでしょうか。

梶原政府参考人 気候変動の影響につきましては、先ほど来先生の御指摘がありますように、健康問題だけにとどまらず、非常に幅の広い分野で影響を及ぼしております。そして、IPCC等の指摘もございまして、そういったような指摘も踏まえながら、そういった知見も踏まえながら、これまでの十年ぐらいにわたりまして、我が国においては具体的にどういったような影響を及ぼすものであろうかということで、研究者の先生方に集まっていただきまして、知見の収集そして評価をしていただいてきたところでございます。

 そして、その成果につきましては、先ほども申し上げましたように、ことしの三月に中央環境審議会で取りまとめていただいたということでございます。その取りまとめにおきましても関係省庁にも入っていただきまして、いろいろ議論を重ねてきたということでございます。

 その成果を踏まえまして、これまで時間がかかりましたけれども、本年夏をめどに、適応の計画、政府全体の計画をつくってまいりたいというふうに考えておるところでございます。

中島委員 さまざまな適応の課題と先ほども申し上げましたように、米の未熟化とか豪雨災害とか、その中に、この夏また、五月の時点でこれだけ暑いということで、熱中症対策ですね。

 これも非常に毎年毎年言われていることでありまして、私は大臣の地元の隣の山梨が地元です、そして医師でございまして、在宅医療というのをやっていく中で、本当に私の地元、八ケ岳の南麓で夏も非常に過ごしやすい地域であったわけですが、もともとエアコンどころか扇風機もないような過ごしやすかった地域で、数年前から、ひとり暮らしのお年寄りとかそういった方々が熱中症で倒れられる、そういう例も本当に実感として感じておるわけです。

 やはり熱波においても、お年寄りにはその影響が出やすい。脆弱性という評価も非常に必要になってくるんではないかというふうに思うわけですが、適応実施計画を立てるに当たって、そのような地域による脆弱性、モニタリングの方法も含めて、どのように検討されて、今後実施計画に生かされていくつもりなのか、お尋ねをしたいと思います。

梶原政府参考人 熱中症対策につきましては、今、熱中症関係省庁連絡会議、これは環境省が事務局として取りまとめているものでございますけれども、その中で、気象情報の提供あるいは注意喚起、予防・対処法の普及啓発等々についても進めているところでございます。

 適応計画の策定に当たりまして、個々の対策そのものをどういう形で気候変動の影響を加味して進めていくのかという考え方、進め方について規定していくということも非常に重要な点でございますけれども、今先生がおっしゃられるように、実際にどこにどういう問題が起きているのか、あるいはその程度がどの程度なのかというものをしっかりと情報として把握するということも極めて重要な行政の仕事だと思っております。

 そういう意味におきましては、具体的に気候変動の影響をちゃんと把握する、モニタリングする、そして評価するといったようなシステムをしっかりと計画の中にも組み込んでいきたいというふうに考えておるところでございます。

中島委員 これも前からやはり重要視されていて、指摘されていることだと思うんですね。でも、温暖化による環境変化、先ほどの感染症もそうなんですが、重大になってからあのときこうだったということになりかねない問題でありまして、その辺について、やはりじわじわじわじわくる課題であります。

 そして、先ほどの農作物であれば関係省庁は農林水産省ということになりますし、感染症であれば厚生労働省ということになると思います。環境省が先頭に立って、各省庁、さらには地元のNPOとかNGO、各民間団体ともしっかりと連携をとってさまざまな事例に対して対応していくということが大事になるわけでありまして、各省庁がそれぞれ取りまとめたものが寄せ集めみたいになってしまうようなことがないように十分に気をつけていただきたい。

 八月までには適応の実施計画、確実にできると私は今受けとめたわけでありますけれども、その実効性を高める方法の一つとして、法制上の整備を検討していくということも以前検討するというふうに御答弁いただいた記憶があるわけですが、法制上の整備、そして八月までに確実に実施計画ができるということについて、大臣の御答弁をいただきたいと思います。

望月国務大臣 先生の御指摘の、現場でのそういった御意見といいますか、山梨でクーラーが必要になるだとか、あるいはまた患者さんでそういった事例が見受けられる、こういうことにつきましては、非常に我々も参考になります。そういう御指摘をいただいたことは非常にありがたいと思います。

 やはり、気候変動にかかわらず、もう既に各省庁で取り組みは進めておるところでありますけれども、これは適切に対処していく必要があるということを十二分に認識をしております。

 また、この影響は、感染症、熱中症だけではなくて、先生の御指摘のように、農業、林業、水産、そういった分野でも関係しておりまして、適応の推進に当たっては、しっかりと関係省庁が連携をしていかなきゃいけないということでございます。

 また、そういった意味では、我々環境省が、リーダーシップをやはりどこかがとっていかなきゃならないということになりますと、我々の責任は十分に感じますし、そういった意味で、リーダーシップをとって、関係省にしっかりと呼びかけをしてこれをまとめていきたいな、こんなふうに思います。

 適応計画をできるだけ早く、何月ということにはなっておりますけれども、これを一日でも早くできるようにしていきたいし、また、先生の御指摘の法制上の措置にいたしましても、これはそういう御指摘もございました、検討していきたいな、こんなふうに思います。

中島委員 今、力強い御答弁をいただきましたが、やはり、これは各省庁の取りまとめ、寄せ集めになってしまって、その取りまとめをまさに環境省が旗振り役、指導力を持って取りまとめていくということが求められておるというふうに思います。

 緩和策が根本的な解決策、しかしこれは間違いなく、温暖化が進むとそれに対する適応策が確実に必要になりますし、次の世代にしっかりと受け継いでいくためにも、この適応は大変重要だという認識でしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。

 次に、リニア中央新幹線と南アルプス、この環境対策についてお尋ねをさせていただきたいと思うわけですが、大臣も静岡が御地元ということで、南アルプスがかかわっていることと思います。

 ちょっと余談になりますが、大臣、リニアモーターカーを試乗されたと思いますが、感想でもいいです、お聞かせ願いたいと思います。

望月国務大臣 リニアモーターカーに私も、大分前の話でありますけれども、試乗したことがございます。

 やはり、リニアモーターカー、まさか車輪がなくて浮いて走るなんということも我々の当時の想像を絶するものがあって、そしてまた、そういうことを見ると、やはり日本の技術というものは世界最高なんだなということを感じた一方で、時速五百キロというようなスピード、今は五百キロですということで走りましたけれども、やはり騒音だとか風圧というもの、これが相当あるんだなというようなことも実は感じたりもいたしました。

 やはり、山梨の、あっという間のスピードですから、何キロだったかちょっと忘れましたけれども、あれだけの長い距離を走っても、周りは自然豊かな場所でございますので、やはり環境対策の重要性、そういったものをあそこを走る中で我々は感じました。

 そういうような、もう大分前の話でございますので、そんなことを感じたということでございます。

中島委員 ありがとうございます。

 地元の山梨も、このリニア中央新幹線に大変期待が高まっている、二〇二七年の開業目標も決まって大変期待が高まっているわけですが、その一方で、やはり不安の声も出ているのも事実です。

 大臣も今、自然豊かな地域を通るということ、その辺も感じられたということでございますが、今回のリニア中央新幹線、南アルプスを貫通させるという計画になっておるわけですが、まさにその南アルプスが昨年の六月にユネスコのエコパーク登録承認をされました。日本では七カ所目の大変喜ばしいことであるわけですが、南アルプスがまたがる山梨、静岡、長野の三県から、リニア中央新幹線の建設が南アルプス地域の環境に多方面での影響を及ぼす可能性が不安視されているということ。

 JR東海から出された環境影響評価書では、路線の一部は厳重に保護される、核心地域や、研究、レジャーに利用される緩衝地域を通過するが、南アルプスでは全てトンネル構造となることから、地表面は改変しないから大丈夫だというような評価書も出ていて、当時の石原大臣にもお尋ねをして、石原大臣も大変危惧されていたわけです。地表面を改変しない、トンネルなんだから大丈夫だ、本当にそのようなことでいいのかと私も非常に危惧するわけです。

 当然ながら、トンネル、これは実は予算委員会で国交大臣にもお尋ねをさせていただいて、本当に大丈夫なのかというお尋ねをしたところ、日本の最新の技術を駆使すれば間違いなく大丈夫だ、心配要らないという、ある意味、逆に不安になるような御答弁をいただいたわけです。

 大臣として、JR東海の評価書、本当にそのようなことでいいのかどうか。大臣の見解をお伺いいたします。

望月国務大臣 このリニア中央新幹線でありますけれども、その事業規模、非常に大きな規模でございまして、相当なトンネルを掘って土砂も出たり、さまざまなことがございます。ですから、相当な環境負荷が発生する、我々はそのように懸念をしていますし、国交大臣に対する環境アセスも、ある意味では非常に厳しいものを実は出してございますが、具体的には、環境影響評価法に基づく環境大臣意見で述べましたとおり、これは相当な電力消費に伴う温室効果ガスの排出、あるいはまたトンネルの掘削に伴う大量の残土の発生、多くの水系を横切ることによる地下水や河川への影響等の可能性が考えられまして、十分な環境保全措置を求めております。

 また、ユネスコエコパークにつきましても先生今御指摘ございましたが、本事業の実施がユネスコエコパークとしての価値を損なうことがないように配慮をしなくてはいけない、こういったことも我々は環境アセスの中で求めております。

 JR東海が事業主体でございますけれども、この事業の具体化や実施に際して、責任ある事業主体として、環境大臣意見の内容を踏まえ、具体的かつ適切な環境保全措置を講じてもらう、こういうふうにしていただきたい、このように思っております。

中島委員 まさにそのとおりだというふうに思います。

 トンネルを掘った、今までかつてない、リニアのほとんどがトンネルということで、南アルプスのみならず、ほかの地域によってもかなりそういうたてつけになっている。そういった中で、南アルプス、水脈系への影響というのも非常に懸念されるわけです。

 一度そういったものが壊されてしまえば、これは二度と回復できない大事な財産、それを失う可能性も否定できないわけでありまして、この辺については、先日は水俣条約関連法案も通りました。そういった中で、経済発展にばかり目が行って、その後必ず禍根を残すということがないように、これもやはり、先ほどの温室効果ガス目標も含めて、環境省の立ち位置として明確に意見を述べて、慎重かつ丁寧に進められていくように、また大臣にもリーダーシップを発揮していただきたいというふうに思います。

 時間も残り少ないので、一点だけ。

 これは環境行政とは実は関係ないんですが、資料の二枚目、これは各省庁による障害者就労施設との調達実績というもので、環境行政とは関係ないわけですが、障害者優先調達法というものが二年前、一昨年の四月から施行されておりまして、これは法定雇用率の改定とも連動して、障害のある方々が自立した生活を送るため、就労によって経済的な基盤を確立することが重要であるということで、関係省庁、各省庁が率先して障害者施設と契約を結んで調達するということを法律で決められたわけです。

 二十四年度、二十五年度の実績で、環境省は十七番目になりますが、二十四年度からすると百八十万ふえているわけですが、所管の厚生労働省、まあ所管だからしようがないというわけではなくて、今回障害者福祉報酬もマイナス改定をされまして、障害者の自立をしっかりと施していくために各省庁がしっかりと法に従って契約を進めていくということになっておるわけです。

 ぜひ、この数字を見て、私も名刺は障害者施設から調達しております。各省庁、その気になればしっかりと実績を残せるはずでございますので、最後に一言、これはしっかりと環境省として実績を上げていく、その決意を大臣からいただいて、質問を終わりたいと思います。

望月国務大臣 環境省におきましても、基本方針に基づきまして、平成二十五年度より毎年度、障害者就労施設等からの物品等の調達の推進を図るための方針を定めまして、前年度の実績を必ず上回ることを目標とするなど、障害者の就労施設等から物品及び役務の調達の推進を進めているところであります。

 二十六年度の実績については現在取りまとめ中でございますので具体的にお答えすることはできませんけれども、今後とも、障害者就労施設からの物品及び役務の調達をしっかりと推進していきたい、このように思っております。

中島委員 ありがとうございました。

北川委員長 次に、田嶋要君。

田嶋(要)委員 おはようございます。田嶋要でございます。

 きょうもまた環境委員会、委員長を初め皆様の御理解をいただきまして、差しかえて質問させていただく機会をいただきました。感謝を申し上げます。ありがとうございます。

 今資料が配付されている最中でございますので、資料と関係のない一問をお伺いいたします。

 前回、この環境委員会で、きょうも指定廃棄物の関係でございますが、ベクレルというのはだんだん落ちていくということでございまして、指定廃棄物というのは八千ベクレル以上という下限値がございます。当然、これは指定の解除ということも必要になってくるし、二年前、三年前にいろいろ測定をした結果指定されたものの、かなりの部分がもうこの時点では指定対象外になってしかるべきではないか、そして、いろいろ対応を検討するという御答弁を大臣からいただきました。

 現時点でどこまで検討が進んでいるのか、法律改正が必要なのかどうかも含めて、御答弁いただければと思います。

鎌形政府参考人 指定廃棄物の指定解除についてのお尋ねでございます。

 幾つかの自治体から、指定解除により処理が円滑に進むとの御指摘や指定解除の要請があることを踏まえまして、今、指定解除の手続について検討しているところでございますが、幾つかの課題がございます。

 例えば、指定を解除した後の廃棄物は法律上の処理責任の主体が国ではなくなるということになりますので、解除の要件をどのように設定すべきかというような課題、あるいは、解除の手続が指定廃棄物の申請者側のニーズを酌んだものとなるよう、関係自治体の御意見を聞いた上でどう反映するか、こういったような課題でございます。

 そういうことを検討しておりまして、現在、時期については確たることは申し上げられませんけれども、できるだけ速やかに結論を出したい、このように考えているところでございます。

田嶋(要)委員 検討していただいていると信じますけれども、例えば、千葉県でしたら、三千七百トン、八千ベクレル以上というふうに言われましたが、その測定は、さまざま、過去の時点においてでございます。

 住民といろいろコミュニケーションを図るに際して、やはり数字は小さければ小さいほどストレスは小さいわけでございますので、今の時点で、その三千七百トンは三千トンを下回るのか、千トンなのか、余り変わらないのか、その辺の見通しぐらいはすぐにでも発表できると思うんですが、そこはいかがですか。

鎌形政府参考人 指定廃棄物につきましては国が処理責任ということですが、指定を解除された場合には処理責任の主体が国ではなくなるということでございまして、処理のめどが立たないままに解除するということは余り現実的ではないと考えてございます。

 そういう意味で、実際に現在八千ベクレルを下回ったものは直ちに解除という形にはならないかと思いますので、現在の時点ではそういった推計はしていないということでございます。

田嶋(要)委員 解除に関して、その後のことを何も考えずに解除はできない、おっしゃるとおりだと思います。そこはしっかり詰めていただいて、可及的速やかに実行していただきたいと思いますが、過去に測定して、私も資料をいただきましたけれども、いついつの何トンが何ベクレル、この数字が今だったら幾らなんだという情報、そして、三千七百トンは今は三千五百トンなのか三千トンなのか、そういう情報だけでも、できるところから情報開示をしていただく、それが、住民に対する姿勢としては私は基本ではないかというふうに思っております。

 大臣、そういうことで、なるべく前倒し前倒しで、出せる情報から出していただきたい。私のところにもようやくどさっと資料が届きましたが、三週間かかりました。住民説明会も、きょうのニュースによりますと、七月に考えている、そんなニュースもございましたけれども、前倒し前倒しで情報を出していただくということをもう一度お約束いただきたいと思います。

望月国務大臣 今、解除の問題でございますけれども、八千ベクレルを下がればもうすぐに解除するということ、これは我々としてもできることでございますけれども、そうすると、今まで八千ベクレル以上は何しろ国の責任で、国が何しろ責任を持たなきゃいけない、では、八千ベクレルを下がったからこれは指定廃でなくなって、あなたのところでやってもらいますよといったときに、これは大変な混乱が起きてしまう。

 やはり、そういったことを考えて、そういう形になってもそこの皆さんがしっかり処分できるだとか、そういう形のものをしっかり見きわめないと、今度は、一般の方が、持っている方が実際にどうしたらいいか、ではそのまま置きっ放しになるとかさまざまなことがございますので、やはりそこは、そういうことであっても慎重にやっていきたいなと思っています。

 それから、今のお話でございます。

 先生、今推計は行っていないということは御理解いただきたいと思いますが、先生の御指摘の点を踏まえまして、先生も一生懸命そういったことで研究なさっていただいているということで、我々はそういう指摘をいただくのは大変ありがたいことでございます。そういう意味では、しっかりと検討をさせていただきたい、そして、一日も早く出すべきものは出していきたい、このように思います。

田嶋(要)委員 ありがとうございます。

 誰の責任であっても、どこにあっても、みんなが苦しんでいる問題でございますので、情報を早目に出していただくことはみんなにとってプラスだろうというふうに思います。よろしくお願い申し上げます。

 それでは、配付資料がそれぞれ届いておると思いますので、お手元の配付資料をごらんいただきたいと思います。

 大臣、大変残念ですけれども、私の結論は、こういう厄介なものを、地域住民そして現場の責任を預かる首長さん方に説得をする、そのための相談をし意思決定をする場の意思決定プロセスとしては、やっちゃいけないことをよくあらわしている典型例だと思います。ですから、きょう、あえて配付資料で議事録そのものを配らせていただきました。これは小説より奇なりという感じもいたしますが、少し長くなりますけれども、大臣、ぜひ御一緒に共有していただきたい。多分議事録なんか読む暇がなかなかないと思いますので、あえて配らせていただきました。

 何を申し上げたいか。

 前回、福山政務官に、違う委員会、経産委員会で御答弁いただきました。私が、一カ所じゃなきゃいけないのか、県内一カ所、分散じゃだめなのかということに対してこういう御答弁をいただきました。千葉県の市町村会議で、県内に複数箇所設置という意見も確かにいただいております、これに対して環境省から、複数箇所の設置は土地の確保や安全な管理が難しいことから、県内一カ所に集約して管理することが適切である旨を丁寧に御説明させていただき、御理解をいただいております、こういう答弁なんですね。

 私は、これは事実と反すると思うんです。丁寧な説明もないし、御理解もいただいていない。同じことを繰り返しているんですよ。同じことというのは何かというと、ここの答弁と一緒です。つまり、複数箇所だと土地の確保が大変だ、それから、複数箇所だと安全な管理が難しい、この二言はいつもおっしゃいます。

 しかし、根拠は示されていません。なぜ複数箇所だと安全の確保が難しいのか、私はクエスチョンですね。一カ所でも二カ所でもある意味同じだと思うんです。安全は一カ所でも確保されますから。そして、この二つのことは指摘されますが、丁寧な説明は一切ありません。そして加えて、では、それに対して御理解いただいたか。全く理解をいただいていないと思うんです。

 この配付資料の一枚から「一カ所」というところに全て下線を引いて資料をお配りしております。どういうふうに第三回の首長会議が進んでいったか。

 まず浮島政務官のところから始まりますが、まず最初に、これは一連の説明が終わった後の質問の場に入ったところでございますが、政務官の方から、「県内一カ所に処分場を設置して集約処分するということが」こうこうこうと、先ほど言ったことですね、と環境省は「考えております」と。「それでは、県内一カ所の設置につきまして、県のご意見を」というふうに、県にわざわざ一カ所どうですかということを県に振ったら、森田知事がそれに対して呼応するように、「国において一カ所が最も安全に管理できると判断するものであれば、県としても」「従いたい」、こういうふうにおっしゃっているわけでございます。本人のお気持ちなのか下ごしらえができているのかよくわかりませんが、こういう答弁でございます。

 そして、次のところで、「今いただいたご意見を踏まえますと、県内一カ所に最終処分場を設置して集約処分するという方針については特段皆様からのご意見もなく、異論はないと考えられますので、その方向で進めさせていただき」ますと。これは何か余りにも飛躍ではありませんか。これはページが続いていますよ。十三ページの次は十四ページですけれども。森田知事の一言で、まずこういう方向に事務方の議論の設定がなされているんですね。

 そして、ちょっとページは飛びますが、二十一ページ、この紙でいきますと三ページ目に当たりますけれども、その二十一ページ、下に載っている、その一番下、まず浦安市長が口火を切りました。浦安の市長が、「今日の協議事項の一つで、現在の一カ所に集約してと言ったときに、意見求めたときに、どの市町村長も手を挙げませんでしたね。ただ重苦しい雰囲気で、じゃあ一カ所によろしいですねというのが合意をいただいたというような話をしてましたけども、先程」云々かんぬんと。要は、そうじゃないということを言っています。

 そして、次の二十四ページ、今度は東金の市長が発言です。「それから、先程の問いかけの中で、千葉県内に一カ所でよろしいですねということに誰も答えませんでした。誰もよろしいとは思ってないんです。ですから、そういった形で進められていってしまいますと、今度、」云々かんぬんと。要は、非常に不満を持っていらっしゃるんですね。

 そして、続いて、これはページが二十四から二十五へ続いていますから、次のページでも東金市長。「進め方としては、方針を出して、それに沿って各県一カ所というのは形の中で説明をしていらっしゃる。ただ、現実問題、」そういうことをおっしゃっています。ちょっと読んでいただければと思います。

 そして、次の二十六ページ、これもページが続いております。ここで浮島政務官が、「今もございましたけれども、処分場の一カ所」については「ご理解をお願いをさせていただきたいと思います。」ともう一度同じことを強調して、「ほかにご意見ございますでしょうか。」と。しかし、香取の市長は、「今年の第一回目の会議のときに、一カ所に決めるということがなかなか難しいじゃないのかなというふうに申し上げた訳でありまして、」このようにおっしゃっております。次のページでも、三行目、「大変恐縮ですけれども、私は一カ所に決めていくということ自体には反対させていただきたいな」、このようにおっしゃっております。そして、政務官は、「今、議論が少し」「一カ所の設置のほうに戻って」しまいましたと、一生懸命県内一カ所という議論から離そう離そうという方に事務局側で持っていこうという努力が見えるんですね。

 それで、八千代市の方に入ります。八千代の方はそういう質問はありませんでしたが、次のページ、三十四ページ、富里の市長は、「候補地が一カ所に絞られた場合、こういう会議の場で提案するんですか。」そういうことの御懸念。そして、すぐ下に梶原部長。「私どもはまず一カ所に絞ってご提示をさせていただきたい」、こういうことをまた環境省からは強調されました。

 そして最後に、習志野市長ですね、宮本さんが、「県内に一カ所の集約施設を造るということについて、意見が出なかったことをもって一カ所にするというような形というのは、」やはり納得できない段階だ、「これを一カ所にしなければならない理由というのが、今のところ何か合理的でないということしか語られてないのも」「気になります。」ということなんですよ。

 そしてまた、次のページですね、三十八ページ、浦安の市長からもまた同じように出ております。

 これは詳しく読んでいただきたいんですけれども、本当に一カ所に決めるということがその町の死刑宣告になるとか、その町が崩壊するとか、すごい厳しい表現まで使って、それぞれ責任ある立場の首長さん方がある意味必死になって声を上げているんですね。しかし、それでも御理解いただきましたといってまとめているんですよ。こんな決め方でいいんですか、大臣。

 私は、本当に一カ所がベストなのかなと思っています。それは、確かに二カ所、三カ所、環境省から見れば面倒くささがふえますよ。しかし、みんなで苦しみを分かち合おうという方向性の議論だって僕はあると思うんです。

 だから、一カ所が一番なんだと最初から環境省で決めて、話をそういうストーリーに仕立てているふうに読めるんですよ。これは、私はよくないと思います。こういうことをやると、どなたかもおっしゃっていますが、十年、二十年、あっという間に過ぎますよ、結論を出せずに。栃木も宮城も同じ状況になっているんですよ。千葉は経験から全然学んでいない。

 急がば回れという言葉があるとおり、もう一度原点に立ち返って、本当に首長さん方が、自分たちのことなんだから、みんなで納得のいく議論をとことんしてもらうようにしないと、事務方が功を急いでこういう形で話を進めると絶対禍根を残す。住民は、これは認めないですよ。

 大臣、今見ていただきまして、どうですか。これは理解をいただいていると思いますか、一カ所ということに。大臣、お願いします。

望月国務大臣 ちょっとこの議事録は今初めて読ませていただきましたので、またそれも、今言った、先生の御指摘のところだけ、部分を読んでおりますので、こういうこともあったのかなというようなことを今実際感じておるところもございます。

 ただ、全体的な前後の関係だとかさまざまなことを考えて、我々が報告をいただいているところでは、市町村長会議では、皆さんにある程度の道筋を決めていただいて、そしてこういう形になったということで進めていただいておるということでございます。

 それは、数カ所というようなことになりますと、もちろん一般的に言って、一カ所というもので集中的に工事をやるのと、数カ所も決めるということになると、さまざまな箇所というものと全て交渉するとなると、これまた相当な時間もかかる。

 それから、一カ所で、堅固なもので、完全にそういったものをやはり隔離できるといいますか、そういう形のものを、しっかりした予算でしっかりしたものをつくるということによって、先ほどの地球温暖化じゃないんですけれども、台風だとか地震だとか、さまざまなそういったことがあったときにも、あるいはまた管理上の問題にいたしましても、一カ所の方が有利かなというようなことを感じてこういうような形になってきたのかなと思います。

 ですから、さまざま、こういうものを見ると、やはり我々の説明がまだまだ足りないのかな、もっともっとそういう皆さんには説明して御理解をいただかなきゃならないなということは認識いたしましたが、既定の方針どおり一カ所ということで市町村長会議では決めていただいたということで、我々はこの方針に沿って進めていきたいな、こんなふうに思っております。

田嶋(要)委員 大臣、環境省が決めたルールで、そんな答弁をしていて本当にいいんですか。これは、ちゃんと動かぬ証拠なんですよ。私が都合のいいところだけ引き抜いたんじゃないんです。私も驚いているんです。これだけ首長さん方の異論が噴出していたんだなということを、私も知ってびっくりしているんですよ。

 入り口でボタンをかけ違えて、これから五年、十年、こういうことが膠着状態に陥る。今だって栃木がそうじゃないですか。茨城の方は、今のところにしばらく置いておく選択肢も今検討が始まっていますね。いろいろな可能性があるけれども、環境省は、いろいろなチョイスの判断を現場の責任ある方々に議論させていないんですよ。道筋を最初につくっているのは環境省なんです。本当にどれがいいのかわからないでしょう、一カ所か二カ所か。

 そういうことを含めて、みんな嫌な判断なんだから。たった一人の人に死刑宣告しなきゃいけないのか、それはつらい、みんながおっしゃっているんですよ。これを、今までの既定路線どおりやらせてください、そんな答弁をしていいんですかね。私は、それは住民は絶対納得しないと思います。

 その点、最後に申し上げまして、質問を終わります。

 では、大臣、一言、もしよかったら。

望月国務大臣 今ちょっと伺ったところなんですけれども、会議はこれ一回限りではなくて、この後も会議はやらせていただいて、そういう了承を得ている。最初の会議のときにはさまざまな御意見があったということはお伺いをしておりますけれども、この議事録についてはきょう初めて見せていただきましたが、その後も会合をやってこういう形に決まってきたということでございます。

 それからまた、千葉の場合には、またほかと違って、民間もさまざまなところを入れてやりましょうという形で、やはり栃木だとか茨城だとか、さまざまな県のそれぞれの事情がございます。

 ただ、基本としては、我々の前の政権のときに決めていただいた、指定廃棄物については各県で処理をしていく、それに沿って、我々はこの形をしっかりと進めていく。一回決めたことは、なかなか、それを変えてしまったら混乱が起きるということでございますので、我々はそういった、そのときにさまざまな形で前政権の皆さんが御苦労なさってこういう形にしていただいた、それに沿ってまた我々はこれを進めていきたい。

 ただ、やはり住民の皆さんに、しっかりと、丁寧に、御理解いただけるように説明というものをまだまだしていかなくてはいけないなということを、先生の御指摘で考えさせていただきました。

田嶋(要)委員 どうもありがとうございます。

 各県でという点だけが閣議決定しているんです。各県一カ所というのは閣議決定していないんです。その点を強調します。

 終わります。ありがとうございました。

北川委員長 次に、篠原豪君。

篠原(豪)委員 おはようございます。維新の党の篠原豪でございます。

 先日、水俣条約に関連した法案審議に会派を代表して質問に立たせていただきました。その際、審査は何も水俣と水銀という話にとどまることなく、日本の公害の歴史、そして、これから日本がいかに世界に対して公害を経験してきた国としてリーダーシップをとっていくのか、また、公害国会が開かれた経緯、そして、その後のきょうここに開かれている環境委員会と環境省という原点は、まさにそういったあたりから始まっていることを忘れずに、後世に対して責任のある立場から我々は国会における審議を進めていかなければならないということを申し上げてまいりました。

 本日もこういった観点から伺ってまいりますので、よろしくお願いいたします。

 さて、二〇一四年に気候変動に関する政府間パネル、いわゆるIPCC総会が日本で初めて横浜で開催されてから、一年がたちます。きょうの委員会の私の前にIPCCの話は少し出てきましたが、委員会の今までの議論を確認しますと、あれから約一年、IPCCについて委員会で話がなされていなかったということであります。

 ですので、私もこれは本当に大事だと思っていまして、実は、私も、開催地となった横浜市において、当時、横浜市会議員をやらせていただいておりました、レセプションにも参加させていただきまして、当時の議長ともお話をしたことをよく覚えています。

 IPCCの活動ですけれども、国際的な地球温暖化の問題に対して多大な影響力を持っており、先ほどもおっしゃられていましたけれども、二〇〇七年にはゴア米前副大統領とともにノーベル平和賞を受賞したこと、御記憶の方も多いと思います。

 世界に影響力を持つこの会議が横浜で開催されたことは大変に誇りに思いますけれども、あれから一年、日本は本当に地球温暖化に対してどういうふうに向き合っていくかということをいま一度改めて考えるところに来ているんだというふうに考えております。

 そこで、まず、いま一度ですけれども、IPCCについて我が国はどのような理解をしていて、そしてもう一つ、日本の横浜で初めてそういった会合が行われた、総会が行われたことの意義をどういうふうに捉えているか、大臣に確認させていただきます。

望月国務大臣 気候変動に関する政府間パネル、IPCCでございますが、気候変動とその影響及び関連する政策に関して包括的な評価を行う国際的な組織である、それからまた、地球温暖化に対する国際的な取り組みに科学的根拠を与えるものとして極めて重要な役割を果たしている、我々はそういうふうに認識をしております。

 今先生御指摘のように、これは世界の、ノーベル科学賞をいただけるような、そういう学者の皆さん、世界各国の皆さんがこの気候変動について関心を持ち、心配をしていらっしゃるといいますか、八百人以上の科学者が、こういう自分の最高の研究成果を持って、今の地球変動が一体どうなっているかということを提示しているわけでございまして、これは各国の首脳も、こういったIPCCの政府間パネルについて大変参考にして、それぞれの政策を打っているということでございます。

 昨年三月には、横浜市において本邦初となるIPCC総会などが開催されました。気候変動の影響や適応に関する知見をまとめた第二作業部会報告が公表されました。

 本会合がこの横浜という町で開催されたことで、横浜市民を初めとする日本の国民全て、そういった間でこれは非常に注目されまして、地球温暖化問題に対する関心を高める大変いい機会になった、このように思います。本会合の成果が国内外の地球温暖化対策の推進に大変貢献している、このように思っております。

 一般的に、何か暖かくなっていいななんというような軽い気持ちでいられると大変我々もつらい思いをするんですけれども、前にもお話ししたかもしれませんけれども、アメリカのケリー長官ですが、我々のこの世紀に武器弾薬、いろいろなものができましたけれども、気候変動、地球温暖化というのは今世紀最大の大量破壊兵器だ、こういうことを言われましたけれども、まさにそういったことに関して、この横浜の会合というものは、ある意味ではそれぞれ関心のなかった日本の国民に対して大変大きな影響を与えて、すばらしかったな、こんなふうに感じております。

篠原(豪)委員 ありがとうございます。

 私も、このときの横浜のイベントとして、実は横浜市は、後で時間があればお話ししますけれども、動物園を持っていまして、そこで種の保存をやっていまして、それをこの総会に絡めて何かできないかということで、いろいろとやってきたという経緯がありましたので、伺いました。ありがとうございました。

 ストックホルムの二〇一三年の第一作業部会評価というのがあって、今おっしゃられた、御回答いただいた横浜での第二作業部会、その後に四月にベルリンで第三部会をやっていまして、十月に、統合の第五次報告書がまとまりました。

 この報告書について、今、このIPCCというものがどういうふうになっているのか、いろいろなところで議論をやってきてこの第五次評価報告をまとめてきたということを、これはそれぞれ中身が違いますので、きちっとやはり国民の皆さんに伝えていただいた方がいいと思うんですね。ですので、この三部会それぞれの内容、どういうふうにまとまったかについて伺います。

梶原政府参考人 今先生御指摘のように、IPCCの第五次報告書、これは三つに分かれております。

 二〇一三年九月に公表されました第一作業部会の報告書につきましては、気候変動の科学的な根拠に関する知見が取りまとめられているところでございます。

 具体的には、気候システムの温暖化には疑う余地がないこと、あるいは、人間による影響が温暖化の支配的な要因であった可能性が極めて高いこと、これは具体的には九五%以上の確率だといったような評価もされております。また、現在と比較して今世紀末までに、世界の平均地上気温につきましては、対策にもよりますけれども、〇・三度から四・八度、そして、世界の平均の海面水位につきましては二十六センチから八十二センチ上昇するという予測がされている、そういったようなことなどが示されております。

 また、横浜で開催されました第二作業部会でございますけれども、これは、気候変動の影響あるいは適応といったような問題に対する知見を取りまとめております。

 具体的には、ここ数十年、全ての大陸や海洋で気候変動の影響が既にあらわれている、現在から年平均気温で一度上昇しただけでも、極端な気象現象によります熱波、洪水等のリスクが高くなるといったようなことなどが示されております。

 そして、二〇一四年の四月に公表されております第三作業部会、これは気候変動の対策、緩和策に関する知見を取りまとめたものでございます。

 これによりますと、産業革命前に比べて気温上昇を二度未満に抑えるといったような対策をとる、そういった可能性の高いシナリオにつきましては、二〇一〇年に比べて二〇五〇年の世界の温室効果ガスの排出量を四〇から七〇%程度低い水準にし、さらには二一〇〇年にはほぼゼロまたはマイナスに至るといったような経路のシナリオになっているといったことが示されているところでございます。

篠原(豪)委員 本当に、今おっしゃったように、大変な問題がこれから起きてくるんだろうなというふうに感じています。

 資料の一を見ていただければ、今お話があった中で、二一〇〇年問題、このまま温室効果ガス排出が続くとどうなるかといったものを書かせていただいております。新聞記事です。今ありましたように、二十世紀終盤よりも気温が四・八度上がり、海面が最大八十二センチメーター上昇するとしています。今のままでは、地域により洪水や干ばつなど極端な気象がふえて、食料や水不足だけじゃなくて、貧困の拡大はもとより、移住もしなければいけないし、それが紛争につながりかねないということを指摘しています。

 まさに今世紀最大の大量破壊兵器だというふうに大臣おっしゃられましたけれども、実際にそういうことが起こってくるという懸念が顕在化しつつあるということだと思います。

 それで、時代感覚で見れば、二一〇〇年というのは先の話かなと思っていらっしゃる方もいらっしゃいますけれども、やはり私たち、今、もう平成に入って三十年になります。昭和の年号できょうを数えれば、恐らく昭和九十年ですか。そうすると、八十年後の世界というのは、それよりももっと短い期間でやってくるということになります。

 そうなりますと、日本がこういったときにどういう状態に置かれるのかということを今のうちに想定しておくことはとても大事だというふうに考えています。その中で、海面上昇、八十二センチ上がって、四・八度も気温が上昇した場合に、日本で実際にどういうことがそのとき起こると環境省は想定されているか、そういったことについて伺います。

梶原政府参考人 気候変動に伴います我が国への影響でございます。

 これにつきましては、適応計画の基本となるものということで、これまで過去十年ぐらいにわたりまして専門家の方々に評価をしていただき、さらには、中央環境審議会におきましても、平成二十五年七月から、日本の環境に対する影響といったような評価を行っていただいて、本年三月にはその評価書を取りまとめていただいたところでございます。

 その報告書の中では、今先生おっしゃるように、二一〇〇年までに世界の平均温度が最大四・八度上昇して、海面が八十二センチ上昇するといったようなシナリオのもとでどうなるかについて、どういったような影響があるかについても議論させていただいているところでございます。

 例えば、気温三十度以上、これは真夏日ということでございますけれども、この日数が、例えば二十世紀の末と比較して、全国平均で五十二・八日増加をする。また、大雨によります降水量でございますけれども、二十世紀末と比較して、平均二二・五%増加をする。そして、海面上昇に伴いまして、東京湾、大阪湾、伊勢湾のいわゆるゼロメートル地帯の面積でございますけれども、現在の一・六倍に増加するといったような予測がなされておるところでございます。

篠原(豪)委員 ありがとうございます。

 ゼロメーター地点が一・六倍というと、なかなか想像が難しいところなんですけれども、恐らく、一・六倍ということは、それこそ本当に、今沿岸部であるところというのは、ほとんど、低いところはだめになっていくんじゃないかというふうに思います。そうなると、国家的にどういうふうにしていくかという大きな問題があります。本当にこれは考えていかなければいけないというふうに思います。

 この最大値をやはりリスクとして、もうわかってきているわけなので、今言った意味でも、しっかりと捉えてやっていく、イメージを持ってやっていくということが大事なので、これはしっかりとした議論、そして、そういうふうになったときにどういう政策展開を図っていこうと。今の、きょうの時点で、IPCCの第五回の報告書が出た時点でどういう議論が日本の中でされてきたかというのは、二一〇〇年のときから見れば、本当に大切な議論だったというふうになると思いますので、ぜひしっかりとした計画でやっていただきたいというふうに思っています。

 中長期的に見れば、これは間違いなく、人類がどういうふうに地球で生存していくか、では、関東でどうやって日本人がこのまま暮らしていくかということに本当に直結してきますので、環境委員会はとても大事だと思っています。

 そういった中で、IPCCを開催した我が国はホスト国でありますし、この開催そのものがやはり単なるイベントで終わって、捉えてしまうと、これはもう本当に残念なことになるんだろうというふうに思っています。

 我々も、温暖化に対して、やはり政府の責務として、いろいろと恐らくやられてきているんだと思いますけれども、その中で、IPCCを契機に現在どのような取り組みをやってきていて、それが国民の皆様に対してはどのようなもの、CO2を排出する事業者の方々に対してはどのようなもの、そして、政府の中の計画としてどのようなことをやってきたのかということを確認させていただければと思います。

梶原政府参考人 二つに大きく分けて御説明を申し上げたいと思います。

 まず、温暖化対策をとるわけでございますけれども、とったといたしましても、やはり影響が必ずあるという前提で対応しなければいけない、先生のおっしゃるとおりだということだと思います。

 その点につきましては、適応計画といったようなものを今つくらんとしております。非常に幅広い分野にわたりますので、関係省庁と協力をしながら、ことし夏ごろをめどに適応計画をつくってまいりたいというふうに考えてございます。

 そして、その原因となります温室効果ガスの排出量をできるだけ減らすということでございます。

 これにつきましては、例えば国民向けという話でございますと、ファン・ツー・シェアという国民運動を初めといたしまして、低炭素社会の構築にふさわしいライフスタイルということで、国民向けの普及活動をさせていただいているところでございます。

 例えば、その中では、クールビズでありますとかウオームビズでありますとか、そういったようなこと、さらには、実際にエネルギー消費の少ない機械、電気機器を買っていただくような情報の提供、さらには、低公害車に乗っていただけるような情報の提供といったようなものでございます。

 そして、事業者の方々につきましては、事業者の方々の事業活動に伴って、CO2だけではなく例えばフロンでありますとかメタンでありますとか、その他の温室効果ガスにつきましてもその削減を図っていただけるよう、事業者の方々とともに、新規技術の実証でありますとか、あるいはその新規技術の実装、実際に使っていただくための実証をやっていくといったような形での取り組みも進めさせていただいているところでございます。

 また、実際にどういったような対策をとっていただければいいのかといったようなところで、今我が国の中で使える最善の技術というものは何かといったようなものをできるだけ細かく、いろいろな分野にわたりまして情報を提供するといったこともしておるところでございます。

 そして、政府自身につきましても、政府並びに地方公共団体自体が大きな事業体でございますので、その中で、低公害車の活用あるいは庁舎の断熱といったようなことも進めるように、国、地方公共団体ともにガイドラインをつくって進めているといったような幅広い対策を今やらせていただいているところでございます。

篠原(豪)委員 今御説明の中で、啓発活動であるファン・ツー・シェアというものが出てきました。これまで政府が温暖化に対してどういう啓発活動をやってきたかということ、去年の委員会で、このファン・ツー・シェアを始めるに当たって少し話があったようであります。

 その中において、今までの啓発キャンペーンというのは、従来から、国が数値目標を掲げて、それを企業や国民の方にこれをトップダウン方式でお願いしてきたことで、我慢を強いるというようなことが多くて、必ずしも広がりを持つものではなかった、だから、その経験を生かしてファン・ツー・シェアというキャンペーンを、先ほど国民運動としてというふうにおっしゃっていましたけれども、やっていこうということだったというふうに思います。

 キックオフイベントには、今産業の話がありましたけれども、それこそ経団連の米倉会長を初め多くの方々がいらしてくださって、各自治体の方もいらしていただいて、そのファン・ツー・シェアに賛同しますかということで賛同してくださってやっていこうという話で、政府を挙げて広げていきたいなという話だったと思います。

 このファン・ツー・シェアなんですけれども、今どのようなふうに機能をしていて、そしてどのような評価をされているのかということを確認させてください。

梶原政府参考人 お答えいたします。

 気候変動の対策キャンペーンでありますファン・ツー・シェアにつきましては、今先生がおっしゃられたように、企業あるいは団体等、これは国民も含めてでございますけれども、低炭素社会を実現するための技術あるいは知恵を皆で共有するんだ、そして具体的な行動につなげていくという取り組みでございます。そういうことで、ファン・ツー・シェアという言葉を使わせていただいておるところでございます。

 実際、昨年三月からこの対策キャンペーンを実施させていただいておりまして、現在、日本経済団体連合会、あるいは日本労働組合総連合会を初めといたしました五千八百の企業や団体等に御賛同を賜りながら、温暖化防止対策の意識の高揚とか行動の喚起というものを進めておるところでございます。

 まだまだ、このキャンペーンの中では、クールビズのような非常に国民的な理解が進んでいる分野もありますけれども、必ずしもそうでもない分野もございます。そういったことでございますので、より一層広報活動に努めてまいりたい。その中で、低炭素社会構築に向けた具体的な行動の促進とか、気候変動に関する情報の伝達などを通じて対策を進めていきたいと思っております。

 また、この活動の中で、先ほど来の御質問がございますIPCCの知見でありますとか、国内への影響の知見につきましてもしっかりと伝えていくということで、IPCCリポートコミュニケーター事業といったような、その世界で知見のある方々にコミュニケーターとして就任していただき、その方々を通じて知見を広めていくといったような活動もさせていただいているところでございます。

篠原(豪)委員 済みません、ありがとうございます。

 ちょっと厳しいようですけれども、今おっしゃられたIPCCリポートコミュニケーター、これのホームページをけさ見てみたんですけれども、見てみると、そこの部分はメンテナンス中になっているんですよ。ないんです、見られないんです。さらに言えば、これはどうかと思うんですけれども、IPCCコミュニケーターの事務局そのものが現在閉鎖中だというふうになっているんですよね。

 この中で新着情報のところを見てみても、半年間、最後は三月何日だったと思いますけれども、新着情報は終わっていて、だから、事業を始めて新着情報を出したのは九月ですよ、九、十、十一、十二、一、二、三で終わっちゃっているんですよ、現状は。何があったかというのはきょうは時間がないので聞きませんけれども、これは普通に考えればやはりちょっとおかしいように思いますよ。

 それはお金をかけてやっている事業だし、国民の皆さんに啓発するということであればしっかりやっていただきたいというふうに思います。大丈夫ですか。しっかり、七月からまた再開すると聞いていますけれども、ちょっと一瞬だけ、一言だけ言ってください。

梶原政府参考人 広報啓発活動につきましては極めて重要な活動だと思っておりまして、御指摘は大変申しわけなく思っておりまして、しっかりやらせていただきたいと思います。

篠原(豪)委員 ありがとうございます。

 それで、またファン・ツー・シェアのホームページを見ると、中長期ロードマップが書かれています。

 その中長期ロードマップは、やはりこれも新着情報が二〇一三年で更新が終わっていて、ファン・ツー・シェアのページで一番最初に飛ぶところ、「Fun to Share ってなに?」。これが何を書いているかというと、いかに地球温暖化のことに対して我が国がどういう約束をしてきたかということを書いてあって、根本の部分が書いてあるんですよね。

 具体的に言えば、IPCCの第四次報告書において示された科学的な知見に基づいて、そして、二〇一〇年一月、全ての主要国による公平かつ実効性のある国際的枠組みの構築と意欲的な目標の合意を前提条件として、二〇二〇年までに一九九〇年比で二五%温室効果ガスを削減するという中期目標を、コペンハーゲン合意に基づいて国連気候枠組み条約事務所に日本として通報しています、だから頑張っていきますと書いてあるんです。

 こういったことを書いている中で、先日の一般質問において、我が党の大先輩であります小沢委員から、先ほども少し馬淵委員もありましたけれども、四月二十四日当時だったんですが、報道を見て、これから日本がまた二〇三〇年の温室効果ガスの削減目標を変えていくんじゃないかと。さっき、原発を二〇から二二とか、再生可能エネルギーを二二から二四とありましたので、先ほどありましたので、もうこれはあえて聞きませんけれども。

 その中で、資料の二を見ていただければ、あのときは、いつ変えるのかということに対して明確なお答えはなかったんですが、それが後に出てきた。中央環境審議会の中で、この約束草案、これは資料の三枚目ですけれども、ここを見れば、新たな目標が出てきたということです。

 この中身については、環境省がリーダーシップをしっかりと持って、経済産業省なりいろいろなところと闘っていって、そして、環境という観点からやらなければいけないということを多分小沢委員もおっしゃられていて、それはきょうも馬淵委員も同じことをおっしゃられたんだと思います。だから、みんなそういうふうに思っていて、僕もそう思っていますので、本当にそういうことを思っている人が多いということだと思います。

 だから、その中で本当に目標を変えるのか、変えるのであれば、もうそろそろ、いつごろをめどに、どう発表するかということをしっかりと示していただければと思うんです。教えていただければと思います。

望月国務大臣 まず、IPCCの最新の報告や、将来の日本における気候変動の影響については、大変深刻に受けとめておりまして、環境省としても、温室効果ガスの削減の着実な適応策についても積極的に進めてまいりたい、このように思います。

 それから、約束草案の要綱案につきましては、審議会などの御論議も踏まえて政府原案を取りまとめてまいりたいと思っております。その上で、これは国民の皆さんにパブリックコメントを行うこととしております。

 今後、国民の皆さんの御意見をこのパブリックコメントで広く伺った上で、削減目標について地球温暖化対策推進本部で決定して、国連、要するに気候変動枠組み条約事務局に提出をすることとしております。

 そういったことで、なるべく早く進めていきたい、このように思っております。

篠原(豪)委員 ありがとうございます。

 ちょっとパブリックコメントの話は伺っていなかったので、わかればで結構なんですけれども、今度、サミットに首相が行って、多分、この目標についても数値を出すんだと思うんですけれども、そのときに、パブリックコメントを受けた上でやられるのかどうか。

 というのは、今、安保もやっていますけれども、海外へ行って、国民の議論がなくて、パブリックコメントを本来であれば受けてというお話ですから、その前後感がどうなるのかというのがちょっと気になりましたので、もしわかれば教えていただければと思います。

望月国務大臣 これは、もちろん、パブリックコメントをいただいて、そして最終的に決定をしていくということでございます。

 今回、要綱もできました。この要綱に沿って、今後、政府である程度のものをつくって、そして、パブリックコメントをして、最終的な数値ということになるわけでありますが、例えば、今度のG7等々、各国から、日本の国はどうだ、今後どういうような形でやっていくんだ、そういう質問は必ず受けると思いますので、日本が今こういう状況であって、こういう方向に進んでいるということは、やはり、G7の場では、総理は、我が国のありようというものをしっかりと、ほかの国に認められるような数字でこうやって出していくんだ、そういったものを説明するということでございますので、これが最終決定ではございませんけれども、そういうやりとりはこの場ではあるのではないかな、こんなふうに思っております。

篠原(豪)委員 わかりました。

 数字を変えていくということになると、国際社会で、心配になるかどうかわかりませんけれども、幾つかお約束があって、例えば、一つ言えば、カンクン合意ですね。カンクン合意、どういう合意であるのかということを一つ伺いたいことと、それにあわせて、日本の二〇三〇年温室効果ガス削減目標が、気温上昇二度未満に抑えるという目標とちゃんと一致することができるのかといったことを伺いたいと思います。

梶原政府参考人 カンクン合意でございますけれども、二〇一〇年のCOP16で採択されました。二〇二〇年までの取り組みを定めたものでございます。そのもとで、先進国は二〇二〇年までの削減目標を、途上国は削減行動を国連に登録し、その進捗につきまして二年ごとに報告をして検証を受けるといった合意でございます。

 我が国におきましては、原子力発電所によります温室効果ガスの削減効果を含めずに設定した現時点での目標といたしまして、二〇二〇年度に二〇〇五年比で三・八%削減を登録しているところでございます。

 そして、二〇三〇年の目標でございますけれども、この二〇三〇年の目標につきましては、二〇一三年度比で二六%減、そして二〇〇五年比で二五・四%減といったような数字について、今、要綱案を取りまとめて、今後、パブリックコメント等を踏まえて登録をするといったような、今は途中のプロセスにあるということでございます。

 この目標につきましては、例えば、これは二〇二〇年の暫定的な現時点における目標でございますけれども、今後の検討をさらに進めてまいりまして、近いうちのエネルギー政策、エネルギーミックスの検討の進展を踏まえて見直していくといったようなことになろうかと思っております。

篠原(豪)委員 今、新しい長期エネルギー需給見通しについても言及があったというふうに考えているんですけれども、日本はこれから石炭火力発電を重視する姿勢を示しています。仮に、計画どおり各地で石炭火力発電所の運転が始まると、これは朝日新聞の試算では、二酸化炭素量が三〇年までに少なくとも七、八千万トンは増加すると。

 資料の四枚目を見ていただけますと、この資料は、英国産業連盟会長、英国政府の気候変動委員会の初代委員長であるアデア・ターナー氏が、日本の石炭発電新設はおかしいということを言っています。これは、英国だけじゃなくて、実はアメリカも、発電所からのCO2排出を強化していて、新規の石炭火力発電は建設できなくなっていて、中国でさえ、石炭大国のという意味ですよ、地球温暖化の対策と大気汚染対策の観点から石炭の削減を進めています。

 ですので、こういった状態においてなぜ日本だけが逆方向に向かっていくのかということを一つ、本当にこれでいいのかということを大臣に伺っておきたいと思います。

高橋大臣政務官 御指摘のとおり、石炭火力発電は、最新鋭の技術でも天然ガスのおよそ二倍の二酸化炭素を排出し、通常数十年稼働することから、中長期の温暖化対策として対応する必要がございます。諸外国でしっかり検討や導入する動きがあることも環境省では承知をしております。

 我が国でも、電力部門全体の排出量が削減されて、国の削減目標を確実に達成できるよう、電力業界に対し温暖化対策の枠組みの構築を促すことが、一昨年四月の関係大臣会合において決まっております。また、個別の火力発電所の新増設の計画についても、環境影響評価手続の中で、最新鋭の高効率技術が採用されているか、事業者が策定された枠組みに参加することとしているかなどを適正に審査しております。

 しかしながら、御指摘のとおり、現時点においてもまだ枠組みは構築されていない一方で、石炭火力の新増設の計画が相次いでいることに、環境省としても大変懸念を持っております。業界任せにせず、積極的に検討、協力するよう大臣から指示をされており、環境省としてしっかり検討してまいります。

篠原(豪)委員 ぜひ、海外からそういう声が来ていますので、これはしっかり対応していかないと、恥ずかしい結果になってしまったら大変ですので、よろしくお願いします。

 二〇五〇年、排出量目標を、国際的な理解で、さっきの中期ロードマップの頭のところにも書いてあるんですけれども、これをやっていかなければいけないんだろう。二〇五〇年までに、みずからの排出量を八〇%削減する、世界全体の排出量を半減する。しないと、二一〇〇年問題があって、どういうふうにこの地球がなっていくかわからないという中で、やはり日本もやっていかなければいけない。

 日本の場合は、閣議決定を恐らくしていて、第四次環境基本計画のこの目標と、現在計画されている、今おっしゃっていたような石炭火力の発電所の新増設の問題もあります。CO2の排出増がやはりきちっと整合していかなければいけないんだというふうに考えていますので、この点どういうふうにお考えか、大臣に伺います。

望月国務大臣 まず、今、さきの御質問でございましたが、石炭火力発電所、これは私も非常に憂慮しておりますから、心配をしております。これは業界任せにせずに積極的に検討するように、私、事務方の方にしっかりと今指示をしているところでございます。

 二酸化炭素の回収、貯留といいますか、出てきたCO2を封じ込めてしまう、少なくともそういうことができなければ、石炭火力発電所の新増設というものはこれから厳しくなるよ、少なくとも今までよりは多くならないようにしていきたい、こんなふうに考えております。

 それから、ただいまの環境省の適応計画についてであります。環境省の見解でありますけれども、これは、関係省庁と連携して、やはり政府の適応計画の策定のために全力を尽くしていきたい、こんなふうに思っておりますし、法制化の今お話が出ましたけれども……(篠原(豪)委員「まだです、今からです」と呼ぶ)そうですか。それでは、そういうような形は……(篠原(豪)委員「二〇五〇年までの八〇%削減を守っていくかどうかということ」と呼ぶ)

北川委員長 質疑は立って。

篠原(豪)委員 済みません。

 二〇五〇年までの八〇%削減目標と整合させていくのかといったことをまず伺いたいのと、今、適応計画の話が出ましたので、いろいろとその中で計画をつくっていくのは大事だと思います。先ほど中島委員からもありましたけれども、この適応計画を八月、夏までにつくるということは大体わかりました。

 しかし、この適応計画をどういうふうに取り扱っていくかというのが、今後の取り扱いが一番大事でありまして、計画をつくったからいいという話では恐らくなくて、では、そうであるならば、これを閣議決定していくのか、法案にしていくのかということが大事なんだと思います。その辺のことを、今の現状をどういうふうに御検討されているかも、二点伺いたいと思います。

望月国務大臣 今、二〇五〇年の温室効果ガス八〇%の削減でございますけれども、これは今お話がございましたように、石炭火力を含む関係については、さまざまな環境アセスの中で、事業者に対して、CCSの実用化に向けた技術開発を含めて、革新的な排出削減策の検討をしっかりと進めていきたい、こんなふうに思っております。

 それから、今、法制化あるいはまた閣議決定でございますけれども、関係省庁と連携して、政府の適応計画の策定のためにもちろん全力を尽くしてまいりますが、法制化については、今先生の御指摘もございましたので、引き続きしっかりと検討をしていきたい、このように思います。

篠原(豪)委員 適応計画をやはり法律に位置づけて、閣議決定して、国としてしっかりしたものにしていくということが大事だというふうに考えています。なぜならば、確実に実効性を担保される、確保されるというのは、やはり、民間の事業者の方、国民の方、そしていろいろな関係の方、これは法律があるのとないのではもう全く違うということになってくると思いますので、これをせっかくつくっていただいて、その法の整備も含めて御検討いただいていると思っていますので、しっかりとやっていただければというふうにお願いを申し上げます。

 最後なんですけれども、ことし、COPがこれからまた開かれます。

 ごめんなさい、生物多様性の話はまた次回以降の議論にしたいと思います。何をしゃべりたかったかというと、人間だけじゃなくて、動物も、宇宙船の地球号という言葉がよくありますけれども、そういった中では、温暖化の問題というのは大切なんだよという話もさせていただこうと思ったんですが、またこれは次の質疑のときにさせていただければと思います。

 一番今大事なのは、こういった流れがどんどんどんどん日本と世界の中で変わってきて、日本が新たな計画を立てていくといったときに、さっきのサミットの話にもありましたけれども、この法律の制定も大事だと思いますが、COPというのは毎年やっていて、ことしのCOPというのは、二〇二〇年以降の大きな枠組みを決める大変重要なCOPであって、毎年のものとはまず取り扱いが違うということを申し上げておきます。

 COPというのは、実はもう、二回会合をその前にやっていて、補完している部会とかそういったところでいろいろな議論をしながら、そして、今度の合意には、みんないろいろ事前の折衝をしながらやっていくというふうな流れになっているんです。

 その会議の中で、一つ、日本の方がスピーカーとしてしゃべられた、ほかのサイドイベントみたいなところで。やはり日本のやり方というのは今すごく後ろ向きに捉えられているということを、危機を持っている方の発言がありまして、残念ながらそういった状況でありまして、やはりCOPの前段の段階でもその話が出ているということでありますので、ここに対してしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 このことについて、今まで言ってきた、閣議決定した内容と、これからやっていく内容と、そして二一〇〇年問題がある中で、このCOPに対して、日本の政府としてはどういうふうな立場で挑んでいくということを最後に大臣に伺って、私の質問を終わらせていただきます。

望月国務大臣 大変力強い、世界にやはり我が国が発信をしていかなくてはならないという御質問であったと思いますが、これはもう、気候変動は人類が直面する最大かつ重大かつ喫緊の課題でございまして、その解決に向けて、今回のCOP21に向けては、全ての国が参加して、これも公平でなくてはいけません、京都議定書のときは、先進国だけでございましたので、アメリカとか中国も参加をしていなかったというような、最初、状況でございました。やはり、全ての国が公平にそれぞれ削減目標を出していくという、これが大変重要なことでございまして、国際枠組みの構築に向けて合意を目指すこのCOP21は大変重要な会議だと思っております。

 そういったことで、我が国は、世界でも多い排出国の一つでございます。ただ、すぐれた低炭素の技術を持っておりまして、我々も、今、そういうお話、アメリカとかイギリスとか、多分さまざまな国が、それぞれやはり自分の国の主張をぶつけ合いますので、ありますけれども、私もニューヨークあるいはまたペルーでも潘基文事務総長と話をしました。特別に私とバイ会談をしていただきましたが、日本のテクノロジーは世界一なので、日本がぜひひとつこういったものをリードしていただきたい、そういう要請もございました。

 まさに、そういう責任をしっかりと背負って、先生の御指摘のように、我が国がやはりしっかりとリードしていけるような、そういう状況を今後つくっていきたい、このように思います。

篠原(豪)委員 ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 同じサイドイベントでは、京都議定書の役割というのは、今先進国とありましたけれども、これは一定のやはり成果を出してきたものであって、新しい枠組みをつくるときにも、そういったシステムを、新しく全部つくるんじゃなくて、そういったものを変えていくことで、より実効的になって早くやれるんじゃないかなんという意見もありますので、日本の京都の名前も入っていますし、そういう連続性がありますので、ぜひ頑張っていただければと思います。

 よろしくお願いします。ありがとうございます。

北川委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 維新の党の河野正美でございます。

 今国会では、多分初めて環境委員会で質問させていただきます。久しぶりに来させていただきました。なぜここに来させていただきましたかと申しますと、昨年十一月ですけれども、まさに衆議院解散直前に質問をさせていただいた件でございます。当時、大きく報道に取り上げられておりました中国船籍によるサンゴの密漁、乱獲について、私は環境委員会で質問をさせていただきました。

 尖閣諸島が危ない、我が国固有の領土が危ないということで、我が国の関心が尖閣諸島に向いている間に、小笠原諸島方面の宝石サンゴ、これも我が国にとって貴重な自然財産でありますけれども、これが中国船籍によって密漁、乱獲をされていた、そして危機的状況にあるといった報道があったかと思います。

 我が国が有する自然資源の豊かさを実感いたしますとともに、そうした自然を将来世代に継承していくことが今の時代を生きる私たちに課せられた責務ではないかなというふうに考えております。豊富な海洋資源を守り伝えていくことに、より一層力を入れていかなければならないと思っております。

 ということで、私は、環境委員会の方でサンゴの密漁との闘いについてお尋ねをいたしたところであります、過去形なんですけれども。この辺は、十一月七日の、まさに衆議院解散直前の環境委員会でお話をさせていただいております。

 新聞記事をさかのぼりますと、一九八〇年にはサンゴ密漁摘発の記事がもう見られるわけであります。記事によれば、小笠原近海でなく、沖縄や奄美、五島列島など多くの地域で被害が発生していたということであります。当然、中国船籍による乱獲や密漁被害が新聞紙上に躍っているわけでございますから、一体どれくらいの被害があるかということを伺いたいと思って委員会で質問させていただきました。

 ところが、驚くべきことに、昨年九月以降、拿捕が五件、船からはサンゴは発見されておらず、押収もされていない、海中の分布状況も調べておらず比較できない、したがって、被害状況もわからないというお答えでございました。宝石サンゴの生息域は水深が非常に深く、潜水艇を用いて大がかりな調査を行わなければいけない、そういった調査をしたことがないので正確な情報がないということでありました。

 今回、ようやく、平成二十六年度小笠原諸島周辺海域宝石サンゴ緊急対策事業というのが行われたということであります。水産庁の方より私の方に、いろいろとそういったことが行われたという結果を御報告に来ていただきました。

 そこで、その際にいただきました写真を私の事務所の方で一部改編しまして配付資料として今お配りしていると思いますので、それをもとに御説明をいただきたいと思います。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただきましたとおり、中国サンゴ船によります違法操業を受けまして、ことしの三月の三日から二十三日にかけまして、小笠原で中国サンゴ船が多数出現した海域や小笠原諸島の漁業者にとって重要な漁場を中心に、無人潜水艇を用いた海底状況及びサンゴ等の生息状況の調査を行いました。

 その結果、中国サンゴ船の違法操業によると思われる残存漁具や宝石サンゴの破損などの被害を確認してございます。

 今先生が御配付なされました写真で御説明いたしますと、左の下のeは、中国サンゴ船の漁網に絡まっていたアカサンゴでございまして、これが引き揚げられていれば、当然、その違法操業者の利益になっていたというものでございますし、右の上のiは、砂に埋もれかかっているシロサンゴでございますが、宝石サンゴは砂にはすみませんので、多分網から落ちたんだろうというふうに思っております。また、下のfは、生きているサンゴに中国のサンゴ船の網がかかっているものでございます。

 このように、網への絡まり等々、いろいろな被害、残存漁具、また宝石サンゴの破損等々、そういう被害を確認いたしました。

 一方、写真で申し上げますとaでございますが、幸い、宝石サンゴの生息も確認はできました。

 また、違法漁業によりまして海底地形に大きな変化を与えた痕跡、そういうものは確認されなかったところでございます。

河野(正)委員 今御説明いただきましたように、本来であれば、こういった、左上のaにあるような宝石サンゴがあったところが、ごらんのようにかなりやられている、網を切って逃げたりしているということで、こういったふうになっております。多分、fも生きているものに絡まっているということでありますけれども、これもこのまま放置していればまた死滅してしまったりとか、そういった深刻な状況になってしまうのかなと思います。こういった被害がようやくわかったということでございます。

 この調査は大がかりなので今まで行われてこなかったということですが、費用がどのくらいかかったのか、実施された水産庁にお伺いいたしたいと思います。

枝元政府参考人 今回の調査にかかりました費用は、全額で一億三千万円でございます。

河野(正)委員 一億三千万円で行われたということでございます。

 宝石サンゴは、年間〇・二ミリとか〇・三ミリしか成長しない、極めて貴重で高価なものであります。物すごく高価に取引をされているものですけれども、我が国の貴重な海洋資源である宝石サンゴは、この小笠原地域に限らないというふうに思っております。

 他の海域における宝石サンゴの生育状況調査を予定されているのかどうか、政府に改めて伺いたいと思います。

枝元政府参考人 今回、小笠原で行いました。あと、中国サンゴ船が確認されております沖縄周辺海域におきまして、本年の夏に、水産庁の調査船を用いた同様の調査を実施する予定としております。

河野(正)委員 やはり、どれぐらいの量があるのかをしっかり調べておかないと、先ほどお話ししましたように、被害になってから潜ったところで、わからないというふうに思っております。例えは悪いかもしれませんけれども、金庫の中に幾ら入っているのかわからない状態で盗まれた、盗まれたと騒いでも、被害額が幾らかわからない、断定できないわけであります。実に説得性に欠けるんじゃないかなと思います。我が国の貴重な自然財産の現状把握は極めて大事であるというふうに思っております。

 昨年そのように大きな話題となりましたサンゴの密漁でありますけれども、密漁船、先ほど、五隻とかいう話を私はしましたけれども、結局どれぐらいの数に及んでいたのか。摘発した実績及び推定される数について、海上保安庁の方に来ていただいていると思いますので、お聞かせいただきたいと思います。

秋本政府参考人 お答え申し上げます。

 小笠原諸島周辺海域でございますが、昨年九月の中旬に入りまして、二桁を超える隻数の中国サンゴ漁船と見られる外国漁船を確認して以降、十月三十日には、最大となる二百十二隻を確認いたしております。

 海上保安庁では、現場海域に巡視船、航空機等を集中的に投入した特別な体制をしくとともに、水産庁等の関係機関と連携して取り締まりを行い、これまでに十隻、十一人を逮捕したということでございます。

 こうした取り締まりの結果、小笠原諸島周辺海域等の領海内で、中国サンゴ漁船と見られる外国漁船は、昨年十一月下旬以降ほぼ確認されなくなり、ことしの一月二十二日を最後に確認しておりません。

 現在も、小笠原周辺海域の警戒を緩めることなく、関係機関と連携して対応するとともに、沖縄近海などにおいても、東に向け航行する中国サンゴ漁船等の取り締まりを強化しております。

河野(正)委員 幸い、そういったことで、先日も、たしか、逮捕された方に実刑が下ったというようなニュースもあったかと思いますけれども、そういったぐあいに減ってきたということで、一安心なのかなと思います。決して手は緩めてはいけないとは思っておりますが。

 今回の調査によって、写真のように判明した被害ですが、それらは一部かもしれません。調査結果を踏まえて、全体的な被害状況というものの認識についてお伺いしたいと思います。

枝元政府参考人 今回行いました環境調査、先ほど申し上げたとおり、残存の漁具等々、さまざまな被害があったということでございます。

 ただ、先生も御指摘いただきましたとおり、この調査以前の調査がございませんので、全体を比較するということはできておりません。

 また、今回の調査は、小笠原の漁業者の方々と御相談をいたしまして、中国サンゴ船が多数出現した海域、また漁業者にとって重要な漁場を含む地点を調査いたしまして、広いあの小笠原諸島周辺海域の全てがカバーできているわけではございません。そういう意味では、被害額等、定量的な被害というものについては算出できないことは、ちょっと御理解いただきたいと思います。

河野(正)委員 ありがとうございます。

 金庫の中にどれぐらいあるかは、やはりしっかり確認しておかないといけないんじゃないかなと思います。下世話な話なのでしませんでしたが、一ミリ当たりかなり相当な額になるものかと思っておりますので、きちんとそういった認識を持っていただきたいなと思います。

 今回の調査結果につきましては、中国にも提供されたというふうに聞いております。どういった形で提供されたのかをお聞かせいただきたいと思います。

枝元政府参考人 今回の調査で、中国サンゴ船の違法操業によると思われる残存漁具ですとか宝石サンゴの破損など被害が確認されて、極めて遺憾に思っております。

 この問題につきましては、これまでも再三にわたりまして中国に対して申し入れを行ってきておりますけれども、この調査結果につきましては、外交ルートを通じて中国側に説明し、再発防止の徹底を改めて申し入れました。

 中国側からは、これは映像も公開してございますが、映像により、被害を受けた海底の様子がよくわかった、引き続き緊密に協力して取り組んでいきたいという発言があったところでございます。

河野(正)委員 中国にそういうふうにお願いをして、一定の回答は得たということであります。

 情報提供したことによって、密漁の再発防止に対して有効であったというふうに考えられているのかどうか、改めて伺いたいと思います。

枝元政府参考人 この問題は、昨年夏、秋以降、再三にわたり中国政府といろいろな議論をしてまいりました。十二月の日中漁業共同委員会では、中国政府もこの問題について断固として取り締まる等々、そういう合意もいたしたところでございます。

 今回の調査も、きちっと映像も中国に見せて、先ほど申し上げたとおり、映像により、被害を受けた海底の様子がよくわかった、引き続き協力して取り組んでいきたいということでございましたので、現在、一月の二十三日以降来ておりません。そういう意味では、中国においても真剣に取り組んでいるというふうに思っておりますし、先ほど海上保安庁さんからもございましたとおり、現場では、引き続き、私どもも含めて取り締まり体制を強化しているところでございます。

河野(正)委員 今ちょっとメモが来まして、鹿児島県口永良部島で何か大規模な爆発があったということで、噴火があったということで、全島に避難指示が出ているということで、一部委員会がとまっているということでございますけれども、またこれによって自然遺産、貴重なサンゴがやられてしまう可能性もあると思いますので、これは天災ではございますけれども、しっかりと対応していただきたいと思います。

 もし関係の方で退席せざるを得ない方がいらっしゃったら、どうぞ行っていただければと思います。

 密漁対策として、現場の巡視だけではどうしても限界があるというふうに思います。商品流通過程でしっかりと取り締まる、監視するということも大切なことなのかなというふうに思っております。

 当然、我が国には、合法的にこれらをなりわいとされていらっしゃる方が存在します。非常に難しい問題じゃないかなというふうに思います。

 昨日伺った話では、やはりサンゴの形のまま国外に流出してしまうということであって、追跡が困難なのかもしれません。しかし、何らかの妙案を出していかなければならないのかなと思います。

 この問題の最後に、望月大臣に伺いたいと思います。

 実は、二〇一〇年四月、環境省を中心に、サンゴ礁保全計画というものが定められています。ところが、生物多様性を支え、環境省的に極めて重要視しているサンゴは造礁サンゴ、サンゴ礁をつくるイシサンゴというものだということであります。環境省としてはイシサンゴの方が生態系や光合成に関して大切な位置づけであるというふうに思っております。宝石サンゴに関しましては、経産省、外務省、水産庁、防衛省など多くの省庁がかかわってくるのかなと思います。

 昨年の質問の際にも、望月大臣に、世界有数のサンゴ保有国として、種の違いはあったとしても、リーダーシップをとって取り組んでいただきたい旨をお願い申し上げました。

 今回の調査結果等を受けて、自然保護の観点から、大臣の御見解を改めて伺いたいと思います。

望月国務大臣 この宝石サンゴについては、漁業法などの水産関係の制度で対応がなされている、こういうふうに承知はしております。

 法律的に調べますと、漁業法及び水産資源保護法に基づく都県の漁業調整規則だとか、外国人漁業の規制に関する法律、排他的経済水域における漁業等に関する主権的権利の行使等に関する法律と、非常にそういった関係が深い。

 ただ、そういう意味では、今先生も御指摘ございましたように、宝石サンゴというのはどうも単体であるようですよね。今の造礁サンゴというのは、平べったいあれがたくさんあって、これは魚等、生態系に非常に関係があるということでございまして、こういったものについてもしっかりと我々は注目をしていきたいと思いますが、今、宝石サンゴについてはそういう関係だということを承知しております。

 ただ、環境省としても、どちらにいたしましても、生物多様性の保全と持続可能な利用の推進の観点から、これはしっかりと注意深く見守っていきたい、こんなふうに思っております。

河野(正)委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。

 海洋資源に関しましては、環境省だけではなく、水産庁など省庁横断的に守らなければならない我が国の大変貴重な財産であります。先祖から受け継ぎ、将来の世代に受け渡していかなければならないという大きな責務があると思いますので、ぜひともよろしくお願いいたします。

 次の質問に移りたいと思います。

 これは、昨年六月六日の環境委員会で質問をさせていただいた問題の続きのようなことであります。

 国連に所属する環境関連の条約は、国を越えた連携により、直接的、間接的に我が国の自然環境を保全し、我々の生活を豊かにしております。我が国は、ラムサール条約を一九八〇年、生物多様性条約と気候変動枠組み条約を一九九三年に批准して、国内的にも保全を進め、また国際的にも貢献をしてきたものと認識いたしております。

 お尋ねした際の政府答弁は、「地球規模の環境問題について幅広く関係国と協力して取り組むという基本的な考えのもとで、それぞれの条約を締結してまいっておる次第でございます。」といった回答をいただきました。

 しかし、日本がこれら国連の環境条約の中で批准を行っていない条約がございます。それが、移動性野生動物の種の保全に関する条約、通称ボン条約というものであります。一九七九年にドイツのボンで採択され、一九八三年に発効しております。もう三十年以上たっているわけであります。

 当然ですが、野生生物には国境というのはありません。地球上を広く移動する野生の動物種を関係する国が連携して保護を図るための条約がボン条約であります。現在、当時の調べたのでは百十九カ国が加盟しているということでございましたが、我が国がなぜ批准していないのか、ずっと疑問に思ってきたところであります。

 改めて、ボン条約になぜ加盟していないのか、外務省に伺いたいと思います。

岡庭政府参考人 お答えいたします。

 移動性野生動物の種の保存に関する条約、いわゆるボン条約につきましては、条約が定める規制対象種などにおいて、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引条約、いわゆるワシントン条約を初め我が国が既に締結をしました関連の国際約束との間で一定の重複がございます。

 したがって、御指摘のボン条約の締結によって我が国が新たに負うことになる義務と、既存の国際約束により我が国が既に負っている義務との関係については十分に整理を行う必要があると思っておりまして、現時点においては、本条約を締結するには至っておりません。

河野(正)委員 今御答弁いただきました、整理を行っているところということで、今、三十二年ほど整理がずっと行われているということでございまして、当時、たしか石原大臣だったんですけれども、本当に委員会室で皆さんがちょっとくすくすと笑っていたような状況でもありましたので、しっかりこれは大臣も認識していただきたいなというふうに思います。六月六日の委員会ですから、まさにほぼ一年前のことでございます。

 例えば、渡り鳥に関して、我が国は、日米渡り鳥条約、日ロ渡り鳥条約、日豪渡り鳥協定、日中渡り鳥協定などのそれぞれ二国間条約、協定等によって保全を行ってきておるところであります。

 しかし、渡り鳥は、当然ながら、これらの国々を選んで行き来しているというわけではありません。渡り鳥やウミガメなどの種が、ある季節を東南アジアで過ごし、再び日本に移動するような場合、双方の国が保護努力を払わなければ種の保存、保全は図れないというふうに思います。また、ハチクマやサシバなどワシタカ科の鳥は、日本で繁殖し、東南アジアに渡っております。

 日本と東南アジアを行き来していますが、これらの東南アジアの国々と渡り鳥の二国間条約をそれぞれつくるのは無駄であるというふうに考えられるのではないでしょうか。むしろ、ボン条約のような、国連も関与する既存の多国間条約に加盟し、東アジア各国にも加盟を呼びかけていく方が現実的であり、有意義ではないかというふうに考えております。

 我が国は、生物多様性条約COP10にて愛知目標をつくり、ホスト国も務めております。東アジアの生物保全や生物管理を進める上でボン条約に加盟するのが望ましいんじゃないかなというふうに思っているところであります、繰り返しになりますが。

 東アジアにおいては、モンゴル、フィリピンが締約国であり、日本が締約国に仲間入りすれば、東アジア各国の加盟も促進されるのではないかと思います。各国が一堂に集まることが可能となる多国間条約の方が、保全や管理の話し合いがスムーズに行われると思っております。

 このように、ボン条約を締結することは我が国にとって意義のあることと考えますが、現時点での政府の見解を改めてお聞かせいただきたいと思います。

岡庭政府参考人 御指摘の、ボン条約に入った方がいいのではないかということでございますが、先ほど御説明いたしましたとおり、同じ野生動植物の種であっても、本条約等々の国際約束との間では規制の方法が異なるということがございます。

 例えば、ワシントン条約では国際取引を規制しているということに対して、ボン条約は捕獲を規制しているということで、こういう違いがございますので、我が国がボン条約を締結した場合どういう義務を負うことになるのか、そして新たに負うこととなる具体的な義務と、既存の国際約束により負っている義務との関係はどうなるのか、こういうことについては整理する必要が引き続きあるというふうに思っております。

 いずれにせよ、これは、国際的な観点あるいは国内的な観点を総合的に踏まえて検討するべき課題だというふうに思っております。

河野(正)委員 つい最近のニュースになりますけれども、イルカの追い込み漁をめぐって、スイスにあるWAZA、世界動物園水族館協会が、JAZA、日本動物園水族館協会の会員資格停止を決定し、大きな話題となりました。

 JAZAは、五月二十日の理事会で加盟水族館に対し、資格停止の理由ともなった追い込み漁によるイルカの入手を禁じるということを決め、WAZAも歓迎すると、一旦は落ちついたかと思っております。

 この件に関しまして、まず政府のコメントをいただけますでしょうか。

徳田政府参考人 お答えします。

 先生御紹介のとおり、日本動物園水族館協会では、世界動物園水族館協会、WAZAの会員資格一時停止を受けまして、会員間による投票結果を踏まえ、五月二十日、理事会においてWAZAに残留する旨を決定し、同日付でWAZAに回答したと承知しております。

 今回の決定は、国内の動物園、水族館が任意で加入する公益法人であるJAZAが行ったものであり、コメントは差し控えたいと思いますが、文部科学省としては、今後、水族館の展示等の活動にできるだけ影響がないよう、JAZA等の意見も聞きながら、関係省庁と連携しつつ、必要な対応に取り組んでまいりたいと考えております。

河野(正)委員 そもそも、我が国には、動物園や水族館について法的な根拠がないということであります。

 平成二十五年五月一日に、公益社団法人日本動物園水族館協会が当時の石原環境大臣に対しまして、「動物園水族館法制定について」という要望を出されているかと思います。

 街頭で拾われた動物であるとか海岸に漂着した動物の救護あるいは保護に当たるのは、その地域の動物園であるとか水族館であることが多いのじゃないかなというふうに思います。こうした野生動物の保護のみにとどまらず、希少生物の保護、繁殖など、種の保存にも大きな役割を果たしています。

 生息域を守っていくことも大切でありますけれども、動物園や水族館で、例えばツシマヤマネコなど、種の保存が試みられている例もあるかというふうに思っております。

 また一方で、イルカが劣悪な環境で商業利用されている問題もあるということをお聞きいたしております。

 そういったことから、今回の出来事は、我が国において、動物園や水族館にどのような役割を求めて期待していくのか、あるいは責務を設けていくのか、きちんと議論し、法律に定めていくよい機会であると捉えることもできるんじゃないかなと思いますが、望月環境大臣の見解を伺いたいと思います。

塚本政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、絶滅危惧種の保全を進める上では、人工的な飼育繁殖なども重要であるというふうに考えております。

 このため、先ほど御紹介になりましたけれども、ツシマヤマネコなどの飼育繁殖については、これまでも日本動物園水族館協会の加盟館の協力を得て取り組んでまいりました。

 このような協力関係をさらに進めるため、昨年五月に、日本動物園水族館協会と、生物多様性保全の推進に関する基本協定を環境省自然環境局が結んでおります。

 それから、先生御指摘がありましたとおり、二十五年の五月には、日本動物園水族館協会から、「動物園水族館法制定について」の要望をいただいております。これらを受けまして、現在、環境省自然環境局で、動植物園が絶滅危惧種の保全に取り組みやすくするため、どのようなことができるのかということの検討を進めているところでございます。

望月国務大臣 日本動物園水族館協会、やはりこういった協会によって、今お話がございましたが、イルカとか鯨とかさまざまな面で、今世界から日本のあり方というものが若干といいますか注目をされているところもございます。

 そういったことを踏まえると、こういったところで人工的な飼育それから繁殖などをしていかなくてはならないということを考えると、まさにこの動物園協会、これはしっかりと位置づけといいますか大切にしていかなきゃならないなというのは、先生の御指摘のとおりでございます。

 石原大臣のときにそういう陳情も受けているということでございますので、動物園が絶滅危惧種の保全に取り組みやすくするために、やはり検討をしっかりと進めていかなくてはならない、こんなふうに思っております。

河野(正)委員 よろしくお願いいたします。

 爆発、かなり大きい状況だったということですので、大臣、よろしかったら、もうあとは、残り時間、私は別の質問をしますので、退席していただいて結構です。

 御承知のように、和歌山県太地町のイルカ追い込み漁というのは、古来からの伝統的な漁の手法であります。特別な道具を用いることも少ないために起源はなかなかわからないというふうに聞いておりますけれども、一説には縄文時代にさかのぼるというようなことも言われております。

 また、二〇〇九年、平成二十一年には「ザ・コーブ」というアメリカ映画にも取り上げられ、批判を浴びているという状況もございます。こういった我が国の伝統的なものを他国に批判されるというのは気持ちよい話ではないというふうに思います。

 国際的なルールづくりの場に我が国が参画しているということは重要な意味を持つと思っております。前回は、「ボン条約の附属書1には、ウミガメ、海鳥、それから鯨類の一部が掲載されておりまして、」と答弁をいただいたのですが、小笠原のウミガメ漁、あるいは定置網やマグロはえ縄漁業にウミガメがかかってしまうこと、海鳥もマグロはえ縄漁で混獲される、鯨類は商業捕鯨が困難になってしまうということを危惧されているということであります。

 ボン条約には留保という選択肢があると思います。我が国同様の捕鯨国であるノルウェーでは、捕鯨対象種を留保した上で批准をしているところであります。これは政府も認識しているというお答えをいただきました。

 三十年以上も検討を続けているということは極めてわかりにくいことでありますし、テーブルに着かないことで我が国の伝統や歴史が一方的に否定されたり非難されたりすることは、関係の方々にとどまらず、国民としても耐えがたいことではないかなというふうに思います。

 自国の伝統や価値を守っていくことが大事なのは言うまでもありません。しかし、それにこだわる余り、国際的な枠組みに加わらないことでかえって孤立してしまい、我が国にとって大切な価値を損なっているのではないでしょうか。

 国際的な枠組みに入って、その中で議論に参加して、自国の価値観や伝統、歴史を積極的に訴えていく、そうした取り組みの重要性を痛感するところであります。

 政府としてどのように考えているのか、水産庁の御見解をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 農林水産省におきまして、この条約に対する懸念というのは、先ほど先生御指摘のとおりでございます。

 また、ノルウェーが捕鯨対象種を留保して本条約に加盟していることは承知はしておりますけれども、今、我が国におきましては、捕鯨だけではなくて、ウミガメの漁業が存在していること、また、全国各地で行われております定置網及びマグロはえ縄漁業におけるウミガメ類及び海鳥類の混獲問題等を抱えていることから、農林水産省といたしましては、これらの種に留保を付して本条約に加盟するかどうかは慎重に検討する必要があるというふうに考えております。

河野(正)委員 それでは、もうほぼ時間となりましたので、終わらせていただきます。ありがとうございました。

北川委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時四十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時三十三分開議

北川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。島津幸広君。

島津委員 日本共産党の島津幸広です。

 きょうは、これまでも議論がありましたけれども、地球温暖化対策の問題について質問いたします。

 最初に、望月大臣にお伺いしたいと思います。

 安倍首相は、今国会の施政方針演説でも、「世界の温暖化対策をリードする。」こう述べました。

 きょう報告があった気候変動に関する閣僚級会議の報告でも、望月大臣の直接の言葉はありませんでしたが、温室効果ガス削減目標について、国際的に遜色のない野心的な目標の考えを首相が説明すると報告されました。

 年末にはCOP21が開かれるわけです。政府のこの姿勢は変わりありませんね。確認です。

望月国務大臣 我が国の目標は、今先生もおっしゃったように、国際的に遜色のない野心的なものとする、これはそういう気持ちでやっていく所存でございます。

 また、COP21に向けて、全ての国が参加する、そしてまた、公平かつ、これはやはり実効が伴わなきゃなりません、数字だけではなく。そういう意味では、実効的な国際的枠組みの構築に向けた交渉に積極的に貢献していきたい、このように思っております。

 この姿勢というのは、COP21まで変わることはありません。

島津委員 それでは、具体的にお伺いしたいと思います。

 今言われたように、政府が、国際的に遜色のない野心的な目標、こうして出てきたのが温室効果ガス削減目標案、二〇三〇年までに二〇一三年比で二六%削減です。

 二〇一三年を基準にしていますけれども、同じようにその年を基準にすると、EU、アメリカの削減目標がどうなるか。また、二〇〇五年、一九九〇年を基準にすると、日本、EU、アメリカの目標はそれぞれどうなるんでしょうか。

梶原政府参考人 今おっしゃられたように、中央環境審議会及び産業構造審議会で私どもがお示しした約束草案の要綱案におきましては、二〇一三年度比、二〇三〇年で二六%、二〇〇五年度比で二五・四%でございます。

 今お尋ねの米国及びEUの既に登録をしています数字を、それぞれ、二〇一三年度比、二〇〇五年比で数字を言うということでございますれば、EUの場合は、二〇〇五年比で三五%減、二〇一三年度比にいたしますと二四%減になります。

 また、米国。米国の場合はもともと二〇二五年を目標年度としておりますので、若干目標年度が違いますけれども、二〇二五年度の目標年度そのままで二〇一三年度比を示しますと、マイナスの一八からマイナス二一%、一八%から二一%の減となります。そして、もともと、オリジナルの米国の二〇〇五年比、二〇二五年目標は、二六から二八の削減でございます。

島津委員 資料で、先ほども資料ありましたけれども、同じ資料ですけれども、表があります。

 二〇一三年は、東日本大震災もありまして、一時的に火力がふえ、過去二番目に温室効果ガスが排出量が多かった年になるわけですけれども、この年を基準にすると、確かに、数字は国際的に遜色のない野心的な目標に見えます。しかし、日本の目標案は、九〇年比だと一八%減、EUは四〇%の減です。アメリカは、こういう数字ですけれども、これを年換算で三〇年まで延ばしていくと、一九九〇年比では二三%から二七%という試算もあります。

 ですから、野心的なということを言われますけれども、まるでトリックじゃないか、御都合主義じゃないかという批判が上がっているわけです。

 これが、どうして国際的に遜色のない野心的な目標と言えるんでしょうか。大臣、どうでしょうか。

望月国務大臣 これは、やはり、その国々の主張といいますか、そういったことで数字を出してくるわけでございまして、我々が二〇一三年と言っているのは、今後の削減目標というのが大事であって、今後、これからどういうふうにCO2を減らしていくかということになると、やはりなるべく直近の方がいいのではないかということです。

 というのは、二〇〇五年と二〇一三年と比べても、〇・六%、一%以内ぐらいしか差がありません。ですから、そういう意味では、二〇一三年という数字の出し方、EUは一九九〇年、アメリカは二〇〇五年と、やはりさまざま考え方があると思います。

 ただ、各国の目標の野心度という、先ほど話がありましたが、これを比較するのには、単に削減量や削減率だけではなくて、人口一人当たりの排出量やGDP当たり排出量などさまざまな指標を総合的に勘案することが必要だ、我々はこのように思っております。

 我が国は、現在、GDP当たり排出量、一人当たり排出量ともに先進国の中で高水準にある。そういう我が国の削減目標は、それらをさらに改善していくものでありまして、他国に比べて野心的なものである、こんなふうに思っております。

島津委員 今いろいろお話がありましたけれども、一人当たりの排出量という話もありました。しかし、一人当たりの排出量を見ても、確かに、一九九〇年のときには日本はEUよりも少なくなっていました。しかし、日本はその後、横ばいです。むしろ今では一人当たり五%ふえている。一方、EUの方は努力を続けて、二〇〇五年にほぼ日本と並び、今では逆転しています。一人当たりの排出量は、二〇一二年で見ると、日本の十・五トンに対してEUは八・九三トン。一九九〇年比で二四%も削減しているんです。こういう努力のもとで、さらに削減するという目標を出してきているわけです。

 世界をリードすると言うんですから、せめて同じぐらいにすべきじゃないんでしょうか。日本としての責任、そして能力を踏まえて見るなら、一九九〇年比で四〇%から五〇%の削減が必要という指摘もあります。日本の余りにも低い目標に、国内外から失望の声が上がっています。

 この削減目標の背景には、エネルギーミックス、これも議論がありました、ベースロード電源で原発と石炭火力発電に大きく依存しようとしている問題があります。

 石炭火力についてお聞きしたいと思います。

 二〇一三年度の日本における温室効果ガスの排出量、これはどれだけか。前年に比べてどうなっているのか。数字だけで結構です。

梶原政府参考人 二〇一三年度の温室効果ガスでございますが、十四億八百万トンでございます。二〇一二年度と比べて一・二%増加をしておるところでございます。

島津委員 ふえているわけですけれども、その原因は何なんでしょうか。

梶原政府参考人 二〇一二年度からの増加の主な要因でございますが、火力発電におきます石炭の消費量の増加、あるいは業務その他部門におきます電力並びに石油製品の消費量の増加などによりまして、エネルギー起源のCO2の排出量が増加したことが挙げられております。

島津委員 火力発電が増加したという話がありました。先ほども見ましたように、確かに、東日本大震災を受けて、一時的には火力発電に頼らざるを得ない、こういう事情があります。しかし、これからは、温室効果ガスを大量に排出する火力発電というのは減らしていく必要があると思うんです。

 経済産業省の一三年度のエネルギー需給実績、この中での一次エネルギーの国内供給、この中での天然ガスと石炭、それぞれ前年度比でどのようになっているんでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇一三年度の一次エネルギー国内供給におきます、まず天然ガスの供給実績でございますけれども、原油換算で一億三千百万キロリットル、一次エネルギー国内供給全体に占める割合は二四%でございまして、前年比マイナス〇・四%となっております。

 また、石炭につきましては、二〇一三年度の供給実績が、原油換算で一億三千六百万キロリットル、一次エネルギー全体に占める割合は二五%となっておりまして、前年度比プラス八・五%となっております。

島津委員 ふえているわけですよね、石炭は。天然ガスは減っているけれども、ふえている。

 それでは、現在の電源構成に占める天然ガスと石炭火力の割合、そして、二〇三〇年までのエネルギーミックスで天然ガスそれから石炭火力の割合、これはどのようになるんでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、二〇一三年度の電源構成、現在の電源構成でございますけれども、一般電気事業用の発電電力量で見た場合によりますと、液化天然ガス火力の発電量は四千五十七億キロワットアワー、石炭火力につきましては二千八百四十五億キロワットアワーでございまして、それぞれ全体に占める比率で申し上げますと、液化天然ガス火力が約四三%、石炭火力が三〇%となっております。

 それから、私どもでお示しをしておりますエネルギーミックスの骨子においてでございますけれども、二〇三〇年度の電源構成のうち、天然ガスの割合は二七%程度、石炭の割合は二六%程度となっております。

島津委員 今お答えがあったように、天然ガスの使用は減っていますけれども、石炭は余り変わっていないということです。

 最新型の施設でも二酸化炭素の排出量は、石炭火力は天然ガス発電の約二倍になるわけです。そういう石炭火力発電なんですけれども、そういう中で、今、国内で石炭火力発電の建設ラッシュが起きています。

 経産省に伺います。

 石炭火力発電の新規建設計画、これがどれだけあるのか。発電施設の数と発電能力、そして、それが動くとどのぐらい二酸化炭素を排出するのか、教えてください。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもで把握しておりますものは、一般電気事業者の供給計画に記載されているもの、あるいは環境影響評価手続が進められているものというものでございますけれども、この案件のうち、石炭火力発電所の新設計画は七件、合計で約六百四十万キロワットの設備になります。震災後の計画に限りますと、四件の三百八十万キロワットでございます。

 このほかに、高効率の石炭ガス化燃料電池複合発電の実証プラント、こういう研究開発の実証プラントの計画がございまして、これが二件で百万キロワットの計画がございます。

 このほか、リプレースあるいは燃料転換の計画が五件で四百六十万キロワットございますけれども、リプレース前後の単純な容量の比較ですと、百万キロワットの増加ということになります。

 これは現時点での計画でございますので、将来の状況によって変更があり得べしということだと認識をしております。

 それから、御下問のCO2の排出量でございますけれども、これは、個々の設備の発電効率それから稼働率によって影響を受けますので、また、新規の高効率の発電設備が導入される一方で、古い、効率の悪い発電設備が休廃止されるということでございますので、全体としてCO2がどの程度増加するということを具体的に数字としてお示しすることはちょっと困難かと考えております。

島津委員 今お答えがありましたけれども、それ以外に、いわゆる環境アセスにかからない小規模な建設があると思うんです。

 これは環境省に伺いたいと思うんです。

 そうした環境アセスが必要のない小規模施設の建設計画、これはつかんでいるんでしょうか。つかんでいるんでしたら、どのぐらいになっているのかを教えてください。

小林政府参考人 環境影響評価法の対象規模未満、これは二種事業の規模未満ということで、出力十一・二五万キロワット未満、こういうことだと思いますが、この石炭火力発電所の建設計画につきまして、私どもとしては、事業者が計画について公表しているもので把握をしておりますが、その限りでは十件あるというように把握しているところでございます。

島津委員 今あったように、出力が十一・二五万キロワット以下というのは必要がないということで、これは本当にひどいんです。

 例えば、大臣の地元の静岡県の富士市でも日本製紙が石炭火力の建設を計画しているんですけれども、規模は十万です。北海道でやはり日本製紙が計画しているのは十一・二万、ぎりぎりで、こういうのがたくさんあるんです。

 今、公表されているものという話があったんですけれども、こういうものが各地にまだまだあるわけなんですけれども、削減目標を立てても、こうした石炭火力発電が各地で、小さいとはいえ、たくさんつくられてくる、これで本当に温室効果ガスの削減に責任が持てるんでしょうか。どうでしょう。

小林政府参考人 小規模な火力についていろいろな計画が出ている、こういうことがございます。

 これにつきまして、環境省におきましては、今、小規模火力発電所における環境保全対策の先進事例を整理し取りまとめたガイドライン、これを昨年十月に公表いたしました。セミナーも開きまして、事業者あるいは地方公共団体に周知も図っております。

 また、このガイドラインの活用状況を把握するために、専門家によりますフォローアップ検討会も実施をしておりまして、その検討結果も踏まえまして、今後、ガイドラインの内容を充実させるとともに、また、さらなる対応、これにつきましても総合的に検討していく予定としているところでございます。

島津委員 政府が知らないところでどんどん建てられていくという事態では、やはり責任が持てないと思うんです。

 環境NPOの気候ネットワークの調べでは、これはすごくふえているんです、今わかっているだけでも四十三基、合計で二千百二十万キロワット、全て動き出すと、試算では、年間で一億二千七百万トンの二酸化炭素を排出する、この数というのは、一九九〇年の一〇%となります。

 石炭火力発電の施設をつくると四十年ぐらいまで稼働するわけです、二酸化炭素を排出し続ける。四十年というと、二〇五五年ですよ。二〇五〇年に八〇%削減、こういう目標が本当にできるんでしょうか。

 欧米では石炭火力発電所の原則禁止に踏み出して、アメリカやイギリスでは新設できない。石炭大国の中国でさえ、先ほどもありましたけれども、削減を進めている。これが世界の潮流なんです。エネルギーミックスの提言というのは、こうした世界の潮流に逆らって、日本は石炭火力発電を使い続ける、こういうメッセージになるんです。

 午前中の議論の中で、この石炭火力について、検討する、心配、憂慮する、こういう発言があって、対応を積極的に指示するということがありました。しかし、高効率かどうか見ていくとも言われましたけれども、高効率でもLNGの二倍です。いろいろ言われたんだけれども、石炭火力を減らしていくとは言われませんでした。心配、憂慮、こう言うんだったら、石炭火力を減らす方向にかじを切るべきなんじゃないんでしょうか。大臣、どうでしょう。

望月国務大臣 まさにこの石炭火力発電所、温暖化対策の観点から、アメリカやEU、そういったところでも、非常に厳しく、検討、導入する動きがあるということを、我々もバイ会談等で実は各大臣からそんな話も聞いております。

 我が国の削減目標を確実に達成できるように、電力業界に対して温暖化対策の枠組みの構築を促すことが一昨年四月の関係大臣会合によって決まっております。

 しかし、今さまざま、小さな火力発電所はどうなるかということでございまして、このことについてもやはりしっかりと問題視をしていきたいと思っております。

 まだ枠組みは構築されていない一方でございますけれども、この新増築の計画が相次いでいることに私も実は懸念を持っておりまして、環境省としては、今までと違って、業界任せではなく、積極的に環境省の方で検討、協力するように、私の方から事務方に厳しく指示をしておりまして、今後そういうことをしながら、ここら辺についてはしっかりと目配りをしていきたいな、こんなふうに思っております。

島津委員 減らしていくという答弁はありません。

 大臣の地元の静岡新聞、五月十九日付で「核心核論」という社説を論じる囲みがあるんです。静岡新聞というのは、大臣御存じのように、地方紙といっても県内のシェアが約半分という、発行部数も七十四万と非常に影響力のある新聞です。

 そこで、石炭火力発電については依存度の低減が急務だ、こういう記事が載ったわけです。その中ではこう言っているんです。

 「多くの先進国が削減を目指している電源」、石炭がね。「発展途上国への建設資金援助も含め、石炭に前向きな日本の姿勢は世界の流れに逆行している。」こう書いている。ここでも指摘されていますけれども、日本の気候資金援助に石炭火力発電建設が含まれていることで、国際的にも大きな批判を浴びています。そして、石炭発電の輸出は現地でも矛盾を広げ、現地の住民の皆さんが反対しているというところもあります。

 さきに議論した水銀条約に関しても、一昨年十月に熊本市で開かれた外交会議で、途上国の環境汚染対策のために日本は三年間で二十億ドルのODAによる支援の実施を表明しましたけれども、この中にも石炭火力発電所の建設が含まれています。こうした世界の流れからの逆行はやめるべきです。輸出も含めて検討していくということが必要だと思うんですけれども、大臣、最後に、どうでしょう。

望月国務大臣 石炭火力発電所をふやさないということは、発展途上国においてもそうしていかなくてはならないということでございます。

 ただ、現在使われている火力発電所、発展途上国を見ますと、非常に効率が悪くて、CO2が大変出ている。それからまた、PM二・五とは言いませんけれども、さまざま、NOx、SOxとか、考えられないような古い機材の中でそういったものが出ている。そういったものをつくりかえるということは、我が国の高効率の火力発電所をODAとかさまざまな面で援助していくということは、これは世界のCO2の削減、あるいはまた、さまざまなことに関して寄与するものと思っております。

 石炭火力発電所の援助をしないということになると、そういうようなものがまたこれからもアジアの国々、発展途上国の国々で使われるということになりますので、これはまた考え方はいろいろあると思いますけれども、我々は、JCMといって、二国間協定でそういった国に、なるべくCO2の削減を目指すということでこれからも行動していきたいな、こんなふうに思っております。

島津委員 時間が来たので終わりますけれども、高効率とはいえ、天然ガスの二倍なんです。それから、日本が輸出しているということなんですけれども、一概に高効率とは言えないという調査もあるんです。

 ですから、石炭火力に依存しないで、日本がリーダーシップをとるように強く求めて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

北川委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党と山本太郎となかまたちの玉城デニーです。

 きょうの一般質疑では、私は、夏冬関係なく愛用していますこのかりゆしウエアを着て委員会に参加させていただいているのを非常に光栄に思います。これから暑い季節ですので、環境省のクールビズ対策といいますか取り組みについてお話を伺えればと思います。

 温室効果ガス削減のために冷房時の室温を二十八度Cにしましょうということで、少しでも暑さを和らげる、しのぐために、衣類はできるだけ軽い方が涼しいそうでございます。ですから、全国各地の地域にはさまざまな織物などがあると思いますので、ぜひ、地産地消という観点からも、それぞれの地域の特産品をアピールする意味でも、このような地域ブランド、沖縄でいうとかりゆしウエアなどをぜひ率先して使っていきたいなと思うところであります。

 先日、実は、六月からスーパークールビズが始まるということで、それに合わせて、翁長雄志沖縄県知事から官邸で安倍総理へことしもかりゆしウエアを贈呈させていただいたというニュース、地元でも紹介されています。六月の最初の閣議が二日の火曜日と聞いておりますが、例年ですと、その六月最初の火曜日の閣議でかりゆしウエアをお召しになっていただく、着ていただくということで、非常に楽しみにしている沖縄県民も大勢いらっしゃいます。

 そういうところから、環境委員会で、クールビズについては、環境省の取り組みを改めて告知の意味も含めてお伺いしたいと思います。現在のクールビズ並びにスーパークールビズについての全般的な計画、広報、それから、クールビズは平成十七年度の夏にスタートしたということで、ホームページも紹介されています。その導入後の成果などなど、そのことについてまずお伺いしたいと思います。

梶原政府参考人 お答えいたします。

 クールビズにつきましては、今委員おっしゃられるように、平成十七年夏から、冷房時の室温を二十八度Cにいたしまして、オフィスや御家庭で快適に過ごすためのライフスタイルとして提唱してきているものでございます。さらには、平成二十三年からは、東日本大震災を受けまして、地球温暖化対策や節電対策を強化するといったことで、期間を前後一カ月ずつ拡大するとともに、六月から九月までをスーパークールビスとして、ポロシャツなどの軽装のさらなる強化を実施しているところでございます。

 現在、おかげさまで、クールビズにつきましては国民の方々には相当程度浸透しておりまして、実際にクールビズで協力していただいている企業も相当多くなっているところでございます。本年のクールビズにつきましては、来月にスーパークールビズが開始されます。それを捉えまして、日本百貨店協会などと協力をいたしまして、全国六カ所でキックオフイベントを開催するということにしております。

 先ほど先生御指摘のように、かりゆしにつきましても、クールビズの選択肢の一つとして推奨させていただいているところでございます。

 今後とも、地球温暖化対策及び節電対策の一環として、引き続き関係各層の御協力を賜りながら、さらに進めていきたいというふうに考えておるところでございます。

玉城委員 私は、きょうは、沖縄県衣類縫製品工業組合が共同してつくっておりますかりゆしウエアのパンフレットを持ってまいりました。このパンフレットを最初にまず開いてみますと、山形県米沢市役所の皆さんのシーンが紹介されております。実は、米沢市と私の地元の沖縄市は姉妹都市でありまして、その関係で、ぜひ米沢市でも夏の暑い時期にはかりゆしウエアを着てくださいということで紹介をして、広がっていったというふうな記事が載っておりますし、沖縄県内では、いわゆる公共施設で働いていらっしゃる職員の方々は、かりゆしウエアが公式な衣類、ユニホームであるということも認められております。

 では、続けて伺いますが、このように賛同企業や団体との連携などについては、どのように深めていらっしゃいますでしょうか。

梶原政府参考人 昨年三月から、気候変動のキャンペーンといたしまして、ファン・ツー・シェアといったキャンペーンを進めてございます。このキャンペーンにおきましては、さまざまな団体の方々に御協力を賜り、それぞれ、低炭素社会の構築に向けた知見、技術を共有しようじゃないかということで進めさせていただいておるところでございます。

 日本経済団体連合会あるいは日本労働組合総連合会を初めといたしまして、現在、約五千八百の企業や団体等の方々に賛同を賜っておりまして、そういった方々と手を携えながらキャンペーンを進めさせていただいているところでございます。

玉城委員 では次に、環境省の皆さんも当然、省内ではクールビズを推進するという立場で、六月からまたスーパークールビズを導入といいますか、取り組んでいくということですが、他省庁や官公庁との協力などについては、どのように呼びかけていらっしゃいますでしょうか。

梶原政府参考人 当然ながら、こういうクールビズ、またファン・ツー・シェアの取り組みにつきましては、関係省庁が一体となって取り組むことによりさらに進むというふうに認識をしております。

 そういう観点におきまして、例えば、この時期になりますと、先ほど例年六月の頭という話がございましたけれども、閣議を通じまして、関係省庁にもその趣旨を徹底しておるところでございます。また、大変ありがたいことに、国会の方々にも御了解を賜って、国会の方々にも御協力をいただいているところでございます。

 できるだけ国民の方々に御認知していただいて御協力していただけるように、今後とも頑張ってまいりたいと思っております。

玉城委員 繰り返しますが、沖縄では、公式衣類として、もう定着、認知されています。

 最近では、県外の方がリゾートウエディングを、沖縄でぜひ挙式を挙げたいということで、リゾートホテルにあるチャペルを使って挙式をされるんですが、その際には御両家ともどもかりゆしウエアを着て式に出席をする。そして、その後の時間の披露宴も、お客様にはどうぞかりゆしウエアでお越しくださいということで、非常にゆったりとした雰囲気の中でそういうお祝いが行われる。文字どおり、沖縄のおめでたいという意味をあらわすかりゆし、その言葉どおり。

 なじんでいけばなじんでいくほど、やはり夏になると必然的に国民皆さんで、こういうできる形での取り組みをしていくこと、これが最も、難しい話ではなく、子供からお年寄りまで取り組める、地球温暖化のためのあなたの一歩みたいな形になるのかもしれないなというふうに思う次第です。

 さて、そんな暑さ対策ですが、もちろん、活動的な方々は、いろいろな情報を取り入れて自分自身が涼しくなる工夫をするとともに環境に対する配慮も行っていると思いますが、この夏心配なのは、やはりお年寄りの熱中症のことですね。

 我が家にも母が、八十を超えておりまして、なかなか窓をあけて空気を入れかえしなかったり、あるいはお手洗いに通う回数を減らすために水を余りとらないとか、我が家でもそういうふうにいつも声をかけながら、水分を補給したり、あるいは窓をあけて換気をしたりということで、熱中症にならないようにということを心がけているんですが、環境省には、この熱中症対策のホームページがございます。

 そこで、環境省にお伺いいたします。

 環境省が取り組んでいる熱中症対策について、全般的な部分からその取り組みまで、お聞かせいただきたいと思います。

北島政府参考人 お答えいたします。

 熱中症は、御指摘のとおり、毎年大変多くの被害が発生しておりますので、その対策は極めて重要だと考えております。

 政府といたしましては、環境省が事務局となりまして、関係省庁連絡会議を開催し、効率的、効果的な実施方法、対策を検討するとともに、省庁間の緊密な連携を図っているところでございます。

 また、環境省独自の取り組みといたしましては、五月から、ウエブページにおきまして、温度や湿度を勘案した暑さ指数を公表し、対策に役立てていただいております。

 また、自治体や教育委員会を通じてパンフレット等の普及啓発資料を配布するとともに、熱中症に関する講習会の実施、そして、毎年七月には熱中症予防強化月間といたしまして、東京、大阪等で普及啓発イベントの実施をし、広く普及啓発を図っているところでございます。

 ことしも、体が暑さになれない時期、梅雨の合間ですとか梅雨明けの時期、こういったリスクの高い時期をターゲットに、熱中症に関する情報発信や普及啓発に努めてまいりたいと考えております。

玉城委員 ぜひ、環境省が呼びかけて関係省庁と協力をしていただいて、国民の快適な生活のために頑張っていただきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

北川委員長 次に、内閣提出、廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び災害対策基本法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。望月環境大臣。

    ―――――――――――――

 廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び災害対策基本法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

望月国務大臣 ただいま議題となりました廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び災害対策基本法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 東日本大震災の発生後、政府では、被災地の廃棄物処理に関する指針を策定し、震災から三年以内にその処理を終えるべく、鋭意取り組んでまいりました。

 その結果、福島県を除く被災地の廃棄物処理はおおむねその目標を達成することができたものの、課題として、事前の備えが不十分であったこと、このため、災害発生の初期段階で関係者が十分に機能、能力を発揮できなかったこと、さらには、国が速やかに処理の指針を示し、それを実施するための特例措置を講じて、円滑、迅速な処理を促すことができなかったことなどが浮かび上がりました。

 これらの課題を、近年の災害の教訓も踏まえて解決するため、災害時の廃棄物対策のあり方について、専門家の意見も聞きながら検討してまいりました。その結果、国、地方公共団体、民間事業者等、廃棄物処理に関係する者が、それぞれ主体的に連携協力した上で、平時から災害に備える必要があること、また、その平時の備えを災害発生後に実際に活用し、実現するための制度的担保が必要であることが明らかとなりました。さらに、大規模災害に備え、地方公共団体だけでは対処しがたい場合を想定し、国がみずから処理に当たるための制度が必要であるとの結論に至りました。

 そこで、これら制度的な担保が必要なものについて法制度を整備すべく、本法律案を提出した次第でございます。

 以下、本法律案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一に、平時の備えを中心としつつ、通常起こり得る規模の災害対応も含めた廃棄物処理における災害対策の強化についてであります。

 まず、災害時においても適正かつ円滑、迅速な廃棄物処理を図るとの基本理念を明確にするとともに、国、地方公共団体、事業者等、災害時の廃棄物処理にかかわる者の連携協力の責務を明確にした上で、その担保として、国が策定する基本方針等の規定事項として、災害に向けた備えを追加することとしております。

 また、通常規模の災害が発生したときの円滑、迅速な廃棄物処理に向けて、災害廃棄物の処分に係る仮設処理施設の設置手続を簡略化するなど、所要の措置を講ずるものであります。

 第二に、大規模災害時の廃棄物処理対策の強化についてであります。

 大規模災害が発生したときは、通常規模の災害への対策に加えて、政令による指定を受けて、環境大臣が、当該災害により生じた廃棄物について処理に関する基本的な指針を策定することとしております。

 加えて、以上の措置及び既存の特例措置によってもなお不十分であるときは、環境大臣が、一定の要件のもと、被災地域における市町村の長からの要請を受け、当該市町村における災害廃棄物の処理をみずから代行することができることとしております。

 以上が、本法律案の提案の理由及びその内容の概要です。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

北川委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る六月二日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時十一分散会


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