衆議院

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第10号 平成27年6月9日(火曜日)

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平成二十七年六月九日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 北川 知克君

   理事 熊田 裕通君 理事 助田 重義君

   理事 平井たくや君 理事 藤原  崇君

   理事 牧原 秀樹君 理事 田島 一成君

   理事 松田 直久君 理事 浮島 智子君

      赤枝 恒雄君    穴見 陽一君

      井林 辰憲君    石川 昭政君

      小倉 將信君    勝俣 孝明君

      笹川 博義君    田中 和徳君

      高橋ひなこ君    福山  守君

      堀井  学君    前川  恵君

      吉野 正芳君    篠原  孝君

      中島 克仁君    福田 昭夫君

      馬淵 澄夫君    小熊 慎司君

      小沢 鋭仁君    篠原  豪君

      真山 祐一君    島津 幸広君

      玉城デニー君

    …………………………………

   環境大臣         望月 義夫君

   環境副大臣        小里 泰弘君

   環境大臣政務官      高橋ひなこ君

   環境大臣政務官      福山  守君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   鎌形 浩史君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            三好 信俊君

   政府参考人

   (原子力規制庁次長)   清水 康弘君

   環境委員会専門員     石上  智君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月九日

 辞任         補欠選任

  井林 辰憲君     勝俣 孝明君

  小沢 鋭仁君     小熊 慎司君

同日

 辞任         補欠選任

  勝俣 孝明君     井林 辰憲君

  小熊 慎司君     小沢 鋭仁君

    ―――――――――――――

六月八日

 原発ゼロと温暖化対策の着実な実行に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一七〇三号)

 同(池内さおり君紹介)(第一七〇四号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第一七〇五号)

 同(大平喜信君紹介)(第一七〇六号)

 同(笠井亮君紹介)(第一七〇七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一七〇八号)

 同(斉藤和子君紹介)(第一七〇九号)

 同(志位和夫君紹介)(第一七一〇号)

 同(清水忠史君紹介)(第一七一一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一七一二号)

 同(島津幸広君紹介)(第一七一三号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一七一四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一七一五号)

 同(畑野君枝君紹介)(第一七一六号)

 同(畠山和也君紹介)(第一七一七号)

 同(藤野保史君紹介)(第一七一八号)

 同(堀内照文君紹介)(第一七一九号)

 同(真島省三君紹介)(第一七二〇号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一七二一号)

 同(宮本徹君紹介)(第一七二二号)

 同(本村伸子君紹介)(第一七二三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び災害対策基本法の一部を改正する法律案(内閣提出第五九号)


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     ――――◇―――――

北川委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び災害対策基本法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長鎌形浩史君、環境省水・大気環境局長三好信俊君、原子力規制庁次長清水康弘君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

北川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福田昭夫君。

福田(昭)委員 おはようございます。民主党の福田昭夫でございます。

 田島理事のお計らいで、きょう十分間時間をいただきましたので、六月二日に引き続き質問をさせていただきますので、簡潔にお答えをいただきたいと思います。

 まず、放射性指定廃棄物の六県の現状と打開策についてであります。

 千葉県でありますけれども、液状化や津波が心配な東京電力火力発電所の敷地をなぜ選んだのか、その理由を簡潔に教えてください。

鎌形政府参考人 詳細調査候補地につきましては、市町村長会議で確定いたしました選定手法に従って選んできたということでございます。

 液状化と津波についてのお尋ねですけれども、液状化に関しては、そのルールの中で、災害などで排除すべき地域とはされておりませんけれども、対策工、すなわち岩盤までくいを打つなどの対策工によって対応可能、こういう判断をしているところでございます。

 また、津波に関しましては、過去の大きな津波についての同等のものが発生したとしても、今回選定いたしました土地の地面よりも上に行かないというようなことを考慮しているということでございます。

福田(昭)委員 環境省ではそういう見解でしょうけれども、しかし昨日、千葉市議会では反対決議をされたようでありますので、この問題、簡単に理解を得ることは難しいのかなと思っております。

 続いて、福島県ですけれども、民間の産廃の管理型の最終処分場を国有化するとのことでありますけれども、それだけで地元の理解が得られるのか。

 聞くところによりますと、地元からは、五県の施設のような強固なコンクリート構造にすること、福島第一原発周辺の帰還困難区域内にすること、民営ではなく国営とすることなどが要求されているという話でありますが、今回、民営ではなく国営ということで、一つだけ地元の要求を受け入れるというようなことでありますが、地元、富岡、楢葉両町の判断を待つことにしたいと思いますけれども、環境省が整備完了に長期間を要するとして新設は困難としていることはいかがなものかと思いますが、いかがですか。

鎌形政府参考人 福島県の指定廃棄物、十万ベクレル以下のものを処分するための施設ということで、既存の産業廃棄物処分場を活用するということにしておることでございますけれども、御指摘のように、例えば帰還困難区域に新設のものをつくるべきというような御意見があったことは事実でございます。

 前回もお答え申し上げましたけれども、新設のものをつくることに関しましては、帰還困難区域で平たんな土地を、十分な面積を確保するのが難しいという物理的な問題と、それから、既存の施設を利用するのと比べまして、新設につきましては、適地の選定あるいは用地の買収、それから建設に至るまで長い時間がかかるということで御説明申し上げているところでございます。

福田(昭)委員 鎌形部長の話はそういう話ですが、私が、地元から入ってきている話では、帰還困難区域にも広大な土地があって、地権者はたった一人で、その地権者もオーケーとしているという情報も入ってきております。もし、富岡町がそこでオーケーということになれば、私はできてしまうんじゃないかなというふうに思っておりますので、ここは、またしかし地元の判断もあるようですから、その辺を待ちたいと思います。

 そこで、小里副大臣、六月二日に、地元の山に持ち込めばと考えたそうでありますが、具体的に、鹿児島県の知事や霧島市の市長に相談しましたか。

小里副大臣 私どもは、指定廃の処理につきましては、地域の復興、また人心の安定のために使命感を持って取り組んでいるところでございます。

 そういった中で、これを進めるに当たって、地域においていろいろな不安や御懸念がある、これは身にしみて感じているところでございます。これを我が身に置きかえて思いをめぐらしたということでございます。

 具体的には、私の地元が候補地になって、自分の先祖伝来の山に持ち込むようなことを考えた場合に、先祖はこれは許してくれるでしょうけれども、地域の方々に対しては相当覚悟を持ってこれを説明する、また説得する努力をしないといけないだろうな、それがまた政治家としての矜持であって、あるべき姿であろうな、まずそんなことを思いをめぐらしたということであります。

福田(昭)委員 副大臣、単に思いをめぐらしただけのことをここで答弁しないでください。みんな真剣に考えて、真剣に悩んでいるんですよ。それが、ただ単に思いをめぐらしただけでそんな答弁をされちゃ困ります。

 今後、副大臣には、申しわけないけれども質問しません。そんな軽々しい答弁をされる方には質問しませんので、御承知おきください。

 次に、放射性物質汚染対処特措法と基本方針の問題点についてであります。

 特措法第五条には、原子力事業者の責務が規定されておりますが、原子力事業者を問題解決の当事者ではなく協力者として位置づけているように思われます。加えて、基本方針では指定廃棄物の処理は排出された都道府県内において行うと決めたことが、汚染者である東京電力の姿を見えなくしてしまったのではないかと考えておりますが、いかがですか。

鎌形政府参考人 御指摘の特別措置法第五条におきましては、「関係原子力事業者は、事故由来放射性物質による環境の汚染への対処に関し、誠意をもって必要な措置を講ずるとともに、国又は地方公共団体が実施する事故由来放射性物質による環境の汚染への対処に関する施策に協力しなければならない。」ということでございます。誠意を持って必要な措置を講ずるとともに、施策に協力ということでございます。

 加えて、同法第四十四条におきまして、「この法律に基づき講ぜられる措置は、」「関係原子力事業者が賠償する責めに任ずべき損害に係るものとして、当該関係原子力事業者の負担の下に実施されるもの」とされており、同条二項におきまして、「請求又は求償があったときは、速やかに支払うよう努めなければならない。」とされているところでございます。

 こういうことでございまして、東京電力には、みずから誠意を持って必要な措置を講ずる責務、国等の施策に協力する責務、賠償責任に係る費用負担義務が課せられているというものと認識してございます。

福田(昭)委員 事故当時のあれだけの福島県内の大混乱、また、東京電力の当事者能力を失ったような状況を考えると、やむを得なかったかなというふうなことも考えられます。しかし、あの大事故から四年、特措法施行から三年が過ぎた今、福島県民の方々も、他県の方々も、冷静に考えられるようになってきたと私は思っております。

 そこで、もう一度原点に返って、この放射性指定廃棄物の問題をどうすべきかという議論をすべきだと思いますが、いかがですか。

鎌形政府参考人 まずは、この法律の規定に基づいてしっかりと対応を進めていくということが肝要というふうに考えているところでございます。

 なお、この法律の附則に基づきまして、三年たった場合には検証を行っていくというようなことがございますので、その検討を今進めているというところでございます。

福田(昭)委員 私は、やはりこの基本方針で各県処理と決めたこと、その当時はそれしか決められなかったのかもしれませんけれども、しかし、この各県処理を決めたことが今の混乱を引き起こしていると思っております。

 また、各県に処分場をつくることは、あしき前例をつくることになります。行政は、御案内のとおり前例踏襲主義です。仮に、今回五県につくることになれば、例えば、副大臣の地元の鹿児島・川内原発が再稼働して、もし桜島などが爆発を起こして原発事故が起きれば、放射性物質が飛散をして、熊本、佐賀、宮崎などにも飛散をすることになれば、それぞれの県に指定廃棄物の最終処分場を即つくるということになるんです。こんなあしき前例をやってはならないと思います。

 こんなことをしたら、それこそ世界じゅうの笑い物になってしまう、私はそう思っておりますので、ここは原点に返ってしっかり考え直すべきだと思っています。

 そこで、今、田島理事の方からいただきましたけれども、附帯決議案が大体まとまってきたようでありますが、その案の紹介をして質問を終わりにしたいと思います。

 今回の法改正に盛り込まれなかった放射性物質に汚染された廃棄物の処理体制について、早急に法整備を含めた対応を検討し、万が一原子力災害が起きた場合に備えること。あわせて、指定廃棄物の処理について各地域で混乱を招いていることから、処理促進についての法整備も含めた議論を加速化し、早急に対策を講ずること。こういう条項が附帯決議案の第一項で今検討されているということであります。

 ぜひ、環境省、政府におかれては、今の混乱状況、しっかりと現状を認識して、基本的に、原点に返って、どうすることがこの解決につながるかということを真剣に考えてほしいと思います。もちろん私も一緒に考えて一番最善の方法をぜひ見出していきたいと思っていますので、よろしくお願いを申し上げまして、引き続きの質問は次の機会にまたさせていただきます。

 ありがとうございました。

北川委員長 次に、田島一成君。

田島(一)委員 おはようございます。民主党の田島一成でございます。

 残り三十分、今回のこの法案についての質問をさせていただきたいと思います。

 今回の改正案の趣旨は、それこそ東日本大震災の教訓を踏まえて災害廃棄物の処理対策をより強化していこうという趣旨であることは十分に認識をしているつもりであります。

 しかしながら、この中で、国がどこまで関与していこうとしているのか、国がどれほど前向きに取り組もうとしているのかをよくよくひもといてみると、本当に大丈夫なんだろうか、地方は、この法改正で安心して、いつ災害が起こってもというふうに備えられるのかどうか、疑問に思う節が幾つかございますので、今回、その点を中心に大臣にお尋ねさせていただきたいと思います。

 まず一点目は、代行処理についてであります。

 東日本大震災のときにあっても、対象となる代行処理の自治体は百六十八市町村ございましたが、実際のところ、代行処理が実施されたのはわずか四市町村のみでありました。その理由については、先週の委員会の中で、福山政務官の方が制度整備がおくれたためだというような趣旨の答弁をなさったというふうに記憶しているんですけれども、そこは本当に法整備がおくれたためだけだったのかどうか。

 もちろん、処理がどんどんどんどん進んでいた中で数カ月おくれての整備でありましたから、それももちろんのことだろうというふうに思うんですけれども、実は、この特措法の第四条の中に、三つの大きな規定、市町村から要請があって、さらに必要だというふうに認められるという条件が三つございます。

 災害廃棄物の処理の実施体制が整っているかどうか、専門的な知識や技術の必要性があるかどうか、加えて、広域的な処理の重要性、この三つの事項を勘案して実際に今回のこの代行処理をするかどうかを決定するということで、四自治体に絞られたという原因は、このハードル、三つの事項が厳し過ぎるからではないかというような指摘も一方ではあるわけでありますが、その点についてどうお考えなのか。ぜひ、お考えをもう一度お答えいただきたいと思います。

鎌形政府参考人 御指摘のとおり、今回の法案におきましては、東日本大震災の特別措置法でも盛り込みました三つの要件を勘案して代行について判断をする、こういうふうにされているところでございます。

 これらいずれも、まずは市町村が第一義的に責任を有するというところを解除していくための要件ということでございます。

 東日本大震災は四市町ということでございましたけれども、やはり、厳しいからではないかというような御指摘もございますけれども、そういった枠組みができたのが数カ月後、八月ごろだったかと思いますので、そういったおくれたところで、その時点では、相当程度、例えば県が受託するとかそういうことで物事が進み始めたというところがございますので、やはり、当初からそういった枠組みがあるということを前提に初動を始めるというところで今後は対応すべきだ、こういうふうに考えているところでございます。

 厳し過ぎるということに関しては、そうではなかったとは思いますけれども、今後の、今回の法案で措置することに関しましては適切に、柔軟に対応できるようにしたい、こういうふうに考えております。

田島(一)委員 透けて見えると、自治体からは、不安はやはり残ってまいります。そのあたりをどれぐらい丁寧に説明をされていくのか、いざというときには国がいるから任せなさい、安心してと言えるような読み取り方ができるかどうかが、私は今回大変重要なのではないかと考えているところであります。

 平成二十五年に災害対策基本法が改正されたことで、個々の大規模災害それぞれに定められる特例的な廃棄物処理や委託基準によってもなお処理を行いがたい市町村にかわって行うことというふうにされているわけでありますけれども、これは、東日本大震災のときに制定された特措法にはなかったものでありまして、国による代行処理が行われるための条件というのがさらに厳しくなっているようにも感じられるところでもあります。

 廃棄物の処理基準や委託基準という廃棄物の適正処理に関する原則を曲げてでも被災地域による自主的な処理というものを優先して、何やら国の出番をできる限り減らしていこうというふうにごらんになられる方も多分いるのではないかというふうに思います。

 例えば、地方自治体が今回の法案に基づいて事前の備えを十分に尽くしたというふうにしたところで、被災状況によっては行政が行政としての機能をなさない、体をなさない場合だって想像はできるわけであります。

 どのような事態が正直起こるかわからない、そのような場合には国が前面に立ってしっかりと処理に当たりますよというようなメッセージをしっかり送る必要があろうかというふうに思うんですけれども、一方では、国の姿勢が後退していると不安に思われる自治体に対してやはり強力なメッセージを、任せなさいという部分を出す必要があるのではないかと思うんですけれども、そのあたり、どのようにお伝えをしていこうとお考えか、お答えください。

鎌形政府参考人 御指摘のとおり、それぞれの自治体が不安を持たずに準備をし、また、もし事が起こったときにはしっかりと対応できるように、国がバックアップしていくことをしっかりと示すということが必要だと考えてございます。

 この法案におきましては、国として司令塔的な責務を持って行っていくということで、例えば、一つは、発災時に処理指針というものをしっかりと示して対応していくということで、国がまず全体を眺めた上で対応するということを明らかにしているところでございます。

 そういう中で、市町村が可能なところはやっていただきますけれども、そうでない場合ということで、今回の要件の中で、市町村における処理体制というものが要件に上がってございますが、そこで判断していって、市町村の行政機能が損なわれた場合などについては国が対応できる、こういう仕組みをとっているというところでございます。

 そして、今のような仕組みに関しまして、現在、地域ブロックごとに災害廃棄物処理のための協議会なども立ち上げてございますけれども、そういう場も、国がお声がけをして、自治体あるいは民間事業者に集まっていただいて議論をするという場でございます。そういう場を通じまして、国としてしっかりと対応していく、こういう場合には出ていくんだということを議論しながら、平時から巨大災害が起きた場合の対応というものについてしっかり議論していく、このことが市町村の御不安を解消する一つの手だてになるのではないかと考えております。

田島(一)委員 とりわけ、最近の地震や火山の噴火などなどで、大変多くの国民は自然災害の発生に対する不安を今抱えているところでもあります。そういったことを想定しての前向きな今回の改正、自治体それぞれで努力をしていただきたいというサインではありますが、なかなかすんなりとこのようにはとっていただけないのも事実であります。地方自治体の財政的な余裕が大変なくなってきている昨今、やはり問題になる課題は財政支援のあり方ではないかというふうに思います。

 実際にどの程度財政支援が行われようとしているのか、この法案の中で、また現時点では明確になっていないところでもありますが、正直申し上げて、災害がどれぐらいの規模で起こるかわからない中で予算を立てようがないというのも正直なところだろうと思います。

 これに対して、確約しろとなかなか申し上げられないものでありますけれども、ただ、平成二十六年の十一月、巨大災害発生時における災害廃棄物対策検討委員会で話し合われた議論の中には、やはり国と自治体の考え方に大きな認識のずれがあるのではないかと考えるところであります。

 例えば、この議事録の中にも上がっておりましたが、御発言のあった東京都。東京都ほどの財政力がある自治体であっても、東日本大震災以上の規模の災害が発生した場合には、災害廃棄物処理の費用負担に対して不安を抱いている様子がうかがえるものであります。

 今回、災害対策基本法に、政令で指定されるような著しく異常かつ甚大な非常災害が発生して国による代行処理が行われる場合であっても、「市町村が負担する費用について、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。」と規定される予定でもあります。

 この努めるという文言、どうもやはりこれはひっかかってしまうんですね。努力しますというのは、やらなかったとしても努めたという足跡が残ればそれでオーケーというような非常に無責任な感じに私たちはどうしても捉えてしまうところでもあります。実際に我々が政権を預かっていたとき、東日本大震災のときに制定した特措法におきましては、この努めるという文言は一切使ってはおりません。

 国による財政支援に対する姿勢というものが、今回、随分後退したように感じられるわけでありますけれども、大臣、その点についてどのようにお考えか、ぜひお答えを下さい。

望月国務大臣 今、田島先生が政権にあったときに副大臣ということで、私がこの質問の前に環境省でいろいろ先生のそういうしてきた仕事を聞かせていただいたんですけれども、役所の人間以上に勉強して、そしてよく知っている、勉強したということで語りぐさになっているという話を聞いて、大変きょうの質問も興味深く、いろいろ先生の御指導をいただきたいなと思って今聞いておりました。

 まさに、大規模な災害発生時において、甚大な災害廃棄物の処理を適正かつ迅速に行うためには、政府全体で支援していく、こういうことは大切なことでございまして、地方自治体に、いざ大きな地震が起きてこういうような瓦れきが多いときには国も一緒になってやりますよというような、そういうサジェスチョンは必要だと思います。

 ただ、一義的には、これは一廃ということでございますので、まず市町村がやる、それから、県も、今までは県の立ち位置というのがなかなかわからなかったんですけれども、市町村それぞれをつなげる役目をしっかりと位置づける、そして国も、国がやらなくてはならないことも位置づけていく、そういう意味での今回の法律であると思います。

 そういう意味で、東日本大震災において、社会的、経済的影響が極めて大きな災害であったことから、財政支援のための特措法、財特法でございますけれども、これは実質的に全額国庫負担、こういうふうにしたところでございます。

 そういうことでございますので、今後も、将来大規模災害が生じた場合には、必要な財政支援にしっかりと努めてまいりたい、このように思います。

田島(一)委員 その姿勢をしっかりと本当は条文にあらわしていただきたいんですね。何か、努めると書いただけで、東日本大震災の特措法と比較されて、講ずるではなく、講ずるよう努めるという非常に後退した印象を各自治体が持つようになってしまったとすれば、これは国の信用を失墜することになっているわけであります。

 これは実は環境省のこの法案だけではなくて、ありとあらゆる各省庁が提出している法案の財政措置については、努力規定に全部後退してきているんです。これは本当に、実際にはつけなきゃいけない、措置しなきゃならない。わかっているし、大臣も今お答えになられたように、措置しますとはっきり皆さんは思っているんだけれども、なぜこういうようなトーンダウンのような表現になってきているんでしょうか。

 実際に、東日本大震災が発生したときにも三千百万トンという災害廃棄物が出ました。しかし、今回のこの法案で想定されている巨大災害については、南海トラフ地震、首都直下型地震、これはどれもこれもとっても、今推計されている災害廃棄物の量は東日本大震災の十倍レベルの大きなものであります。あの東日本大震災ですら、やはり国の全面的な支援がなければできなかったという足跡が反省としてありながら、なぜ、これから十倍以上の大きな災害を目の前にして努力規定で終わっているのか。この点について、本当に私は、政権、政府としての姿勢が非常に後退しているように、国民に不安をあおっているようにしか思えないんですね。

 政権与党の閣僚として、大臣、全体を見渡して、財政措置に対する努力規定にどんどんどんどん後退しているということについてどのようにお考えか、所見をぜひお聞かせください。

望月国務大臣 これは努力規定というものではなくて、そういった災害が起きたら国がやはりしっかりそういったものの支援をしていかなくてはいけないということでございます。

 ですから、今までも、もちろん、さまざま、やはり災害はいつどこで何がどういう形で起きるかわかりませんし、そして、支援の仕方も、その大きさだとか地域全体に対する経済への打撃とか、そういったところによって、国の役割、あるいはまたその地域の役割というものは変わってくると思います。

 ただ、本法案におきましては、災害対策基本法の中に大規模災害発生時の災害廃棄物対策を明確に位置づけた、こういうことで、これまで以上に、政府全体としては、行う財政支援の対象であることが明確になった、私はそのようには理解をしております。

 先生の御指摘、ただ努力規定だけではなくて、実際にそこで即するように、そしてまた、地域の皆さんが、地方自治体の皆さんが安心するような形というものを我々もしっかりと伝えていきたいな、このように思います。

田島(一)委員 法案を閣議決定するまでのプロセスの中でいろいろな圧力があることも私も承知をしております。しかしながら、環境政策を今後国も自治体も足並みをそろえて一緒に取り組んでいくとする中で、国はここまで頑張りますよという決意表明をあらわされるのがこの条文の中の文言だと思います。

 努力しますだけで本当にそれぞれの自治体も同じように、いつ起こるかわからないですが、大規模災害に備えられるかどうかを考えると、やはりトーンがまだまだ弱いと思うんです。国もここまで頑張ります、約束します、だから自治体も頑張ってくださいよというのが、やはり大臣として、また政府としての大きな使命なのではないかと私は考えるわけであります。

 恐らくこの議論、朝までやったとしても、夜までやったとしても平行線のままで多分終わるんでしょうし、この圧力になかなか逃れられないという現実がございますが、ぜひこうした議論を踏まえて、今の政府としてのお考え、これも、横串できちっと他の省庁とも連携をとっていただいて、やはり国民に対して送るべきメッセージはきちっと送っていくというその姿勢をぜひ貫いていただきたい、そのことをぜひお願いしておきたいと思います。

 さて、この財政支援にかかわって、実際に今回、廃棄物処理施設で、それぞれ各自治体でも頑張っていただきたい、処理していただきたいというお話でありますが、実際に東日本大震災のときをちょっと振り返っていきたいと思います。

 あの当時でも、一般廃棄物の処理施設、それから産業廃棄物の処理施設もそうでしたけれども、地震や津波で崩壊、損壊をし、処理がおくれたということがございました。もしあのときに十分に施設の津波や地震対策がとれていたならば地元での処理がもっとスムーズに行えたであろうにという反省も、私たちは教訓としてこの法案にやはり生かしていかなければならないと考えるところでもあります。

 実際に、地震であるとか津波で機能不全が起こらないように施設を強靱化していくことも大変重要でありますし、何よりもそのための予算の確保というのが重要だというふうに考えるわけであります。

 実際に、各自治体で今設置されている一般廃棄物処理施設は、ダイオキシン対策で施設整備を集中的に行ってこられたところでありますが、やはり時期が集中していたこともあって、老朽化してくるタイミングも集中をしてきているところでもあります。

 昨今、この老朽化してきた施設の更新需要というものが非常に高まってきているところでもあり、今年度の一例を御紹介させていただきますと、市町村からの要望額は既にもう一千億円を超えているオーダーが寄せられております。今年度、残念ながら、当初予算ではその約半分、五百四億円の確保にとどまっており、正直、各自治体は真っ青になったところでもありました。

 自治体では、それこそ迷惑施設と煙たがられる中を、自治体の首長さん以下担当職員が苦労して施設の更新に地元住民の理解と協力をいただいて、苦労に苦労を重ねて了解を得られて、さあいよいよだと思ったところ、国からの金が全然おりてこないということで、多くの自治体の皆さんが苦労されてきたところでありました。

 幸いにして、補正予算でその残りの額がようやく措置をされて、ほぼ近い額が確保されたところでありましたけれども、こうした不安を自治体に与えていることについては、やはり政府は責任を感じるべきだと思いますし、これから先、平成三十一年度までは、ことしと同じように大体毎年千億円のオーダーがずっと続いていくわけですね。

 補正で何とかしますで不安をどんどんどんどんあおっているようでは、果たして、今回の大規模災害が起こったときの災害廃棄物処理、各自治体等でも処理をしてほしいとお願いをしていながら、その施設整備が滞ってしまえば、結局これは笛吹けど踊らず、絵に描いた餅、口だけの法律に終わってしまうのではないかというふうに考えるところでもあります。

 これから先ずっと十年以上続いていく一千億円規模のオーダーに対して、きちっと応えていくだけの覚悟と姿勢があるのか。予算措置自体を努力規定で済ませてしまおうという政府の姿勢であるとするならば、大変この点についても不安を抱いていらっしゃる方々、自治体が多いのではないかと思うわけでありますが、どのようにお応えになられるのか、ぜひお答えください。

望月国務大臣 先生御指摘のように、実は今から二十年前にちょうどダイオキシン対策で、各市町村の焼却場を全て変えようという形の中でこういう形になりました。ですから、そのときは大気汚染とかさまざまなことでそういうことをしたんですけれども、ここへ来て、先生おっしゃるとおりに、全て建てかえなくてはいけない。それからまた、そういう時期でございましたので、震災でどれだけ耐震ができたかと思うと、我々、ああなるほどなと思うようなところもございました。

 ですから、もっと早くそういった改良をしていけばよかったのかなということでございますけれども、少なくとも、ことし、二十六年度補正予算及び二十七年度当初予算で合計約一千億円近い予算を何とか確保した。これで、一時どことどこに市町村を割り振ってどこにちょっと待ってもらおうかなというような話くらいもあったようでございますけれども、財政当局と話をして、大体こういう形で、各地から上がってきている要望についてはほぼ応えられるような状況になってまいりました。

 そういうようなことで、これはやはり、まず毎日、一日でもこれはとめるわけにいかない。それから、こういうような東日本大震災の教訓を踏まえて、平時からやはりそういったものに備える、そういうことで、こういう法律ができれば予算も逆にとりやすくなるということで、そういうことも含めますと、非常にこの法律は有効的なものだな、我々もそういったものをしっかりと確保して進めていかなくてはならないな、こんなつもりでおります。

 今後も引き続き、可能な限り予算の獲得に向けて頑張っていきたいな、このように思います。

田島(一)委員 廃棄物処理施設は、それこそ大臣も御認識のとおり、これから先、更新需要というものがずっと続いていくわけであります。途切れなく、そして確実に自治体からのオーダーに応えられる政府かどうかが試される、今回のやはり重要なところでもありますし、今回の法案が成立した暁に本当にしっかりとその姿勢を持って対応されるかどうかは、来年度の予算をしっかり注視させていただきたいと思っているところであります。

 ただ、自治体自体が全て国におんぶにだっこというわけではありません。自治体自体も、当然な財政負担をしていかなければなりませんので、できる限り無理、無駄、むらを省いた施設整備に努力されるわけでありますけれども、今、この廃棄物処理施設そのもの自体が地域の災害対応拠点としてしっかりと位置づけられていく必要があろうかというふうに考えます。

 つまり、一般廃棄物を処理する段階、過程で発生する熱エネルギーでありますとか発電施設等々を付随させた施設整備をしていけば、つまりは、廃棄物を処理する施設というものが、高機能を持たせることによって、より地域での充実した施設として、地域住民に対しても還元をすることができるわけでありますが、残念ながら、そういうオーダーに応えていこうとするには、予算的な、やはりオンしなければならない部分が非常に多くなってまいります。

 ですから、財政的な問題で、やりたいんだけれどもできないという自治体も結構あるんですね。そういう前向きな姿勢に対して、さらに応援できるようなメニューづくり、また、その施設自体を自治体にとってのエネルギーの生産拠点というような位置づけで今後もし計画をされていくのであれば、さらにその上乗せで予算措置をしましょうよというような、環境省らしい補助、支援のあり方というものに相当腐心していっても、私はおかしくないのではないかなというふうに思うわけであります。

 なかなか本当に財政が厳しい、これはもう国も自治体も同じでありますが、しかし、どうせつくるんだったらという思いで、より喜ばれる、効果が二倍にも三倍にも膨れ上がるような施設整備にさらに手厚く支援をしていくという姿勢も、私はこの際大臣から決意をぜひ聞かせていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

望月国務大臣 先生おっしゃるとおりで、焼却場とか、さまざまそういった施設は、迷惑施設というような形で、各市町村の首長の皆さん、住民の理解を得ながらこういったものを進めているということで、大変ありがたいことでございます。

 ただ、そういう中で、今御指摘のように、廃棄物のエネルギーの有効利用の推進も非常に重要なことだ、このように思っておりまして、環境省では、平成二十七年から、新たにエネルギー対策特別会計、エネ特でございますけれども、これを活用して、高効率ごみ発電設備等の先進的な設備導入の支援を始めたところでございます。

 まさに、地震が来て、こういう施設があって電気を起こす、そこでやはり地域の皆さんにそういったものを、停電してしまったときにいち早くこういったものを提供できる、さまざまなことで利用できるということでございます。

 ただ、エネ特、これはなかなか難しいことで、温暖化対策しか実は使えないというような、法律的にそういう形になっております。しかし、先生がおっしゃるように、知恵を絞れと。そういう中で、環境省はいろいろ知恵を絞って、これをうまく百四十億を、電気や熱を供給できる施設だ、そういうことでたてつけたところでございまして、今後、より一層そういったものを重点的にできるように配慮させていただきたい、このように思います。

田島(一)委員 エネ特の、それこそ温暖化対策のみという使い勝手の悪さ、そこはやはり、大臣がその思いでしっかりと要求し、そしてその間口を広げる覚悟と決意をお持ちかどうかにかかっていると思うんです。

 正直、温暖化対策にもなるわけですよ。目的をしっかりと拡大していけば十分に使えるはずですし、それをやっていかないと、今やりたいなと思っている高規格化、高効率化の施設整備にブレーキがやはりかかってしまうんです。高効率化の施設整備に、より手を挙げてくださる方々がふえるような条件整備は、やはり大臣の方が相当頑張っていただかないとだめだろうと思います。

 どうか、今回のこの法改正、正直申し上げて、放射性の汚染された廃棄物についても、また指定廃についてもまだまだ課題がありますし、横っちょに置いたままでとにかく走ろうという、ちょっと大丈夫なんだろうかと心配する向きも正直ございます。しかしながら、今回議論されていない、そして先送りされた部分も踏まえて、もう一度しっかりと、この法律が成立した先も見据えた取り組みをぜひしていただきたいと思います。

 時間が参りましたので、これで質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

北川委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 維新の党の小熊慎司です。

 今、田島委員が大体質疑したんですけれども、改めてさせていただきます。

 今回の法律、東日本大震災の教訓、知見を踏まえということでありますが、私も現地にそのとき車で寝泊まりしながら入っていて、大分混乱もありました。本当にあれだけの大規模災害、これは備えあれば憂いなしですから、しっかり対応していくという意味では、今回の法律、方向性としてはこれは非常にいいことだなというふうに思っています。

 改めて、では、その東日本大震災をどう捉えているのか。教訓、知見とはいいますけれども、どういったものを知見として持たれたのか、まず初めにお聞きいたします。

望月国務大臣 これは大変大切な問題でございまして、東日本大震災におきましては、質もそうです、それから量もそうなんですけれども、これまで想定をしていなかった、想定外という言葉は余り好きではないんですけれども、本当に想定もしていなかったような規模の災害廃棄物が生じた。環境省としても、この対応から大変多くの教訓を得たと思います。相当やはりそのときには慌てもしたでしょうし、それから、これだけのものをどれぐらいでやっていったらいいのか、相当な、反省をしなくてはならない教訓を得たと思います。

 この多くの教訓を得たところで、また、その後に発生した伊豆の土砂災害、それから広島もそうでございます、土砂災害においても、通常行っている処理、これでは対策が困難な事態が生じた。やはり、そういったことに直面して初めて、災害廃棄物の処理について教訓や知見を得ることになったなというようなことを感じます。

 そして、具体的に言いますと、円滑かつ迅速な処理を実現するために、やはり事前の備えが不十分であったんだな、そんなふうにも思います。国のリーダーシップの強化や、国、地方自治体、民間事業者の関係がしっかりと連携していたかどうか。そのときになって、余りにも多いから、県の方はどうなっている、市町村でできるの、もう満杯でできません、あるいはまた、民間に本当は頼まなきゃならないのに今から頼むとか、トラック協会に頼むとかJRに頼むとか、そういったことを、やはり連携ができていなかったのかなと思いますと、役割分担を明確化していかなくてはいけないな、そんなことを考えました。

 それから、処理の方のことにおきましては、適正処理の指針や仕組みが不十分であって、大規模災害の発生後も適正処理と再生利用を確保する基本方針というのをやはり明確化するとともに、それからまた切れ目のない、ここまで来たら足りないから、またどこかに頼みましょう、そこでまた時間がたってしまう、そういうことのないように、切れ目のない対応、そういう基本方針を明確化していかなくてはならないな、そういうことを考えました。

 これらの教訓について対応するということの反省の上に立って、今回の法案を提出させていただいたということでございます。

 そして、この法案につきましては、廃棄物処理法において、関係者の責務、それから災害廃棄物処理に関する原則を定めて、一般廃棄物処理施設の設置に関する特例を整備するとともに、災害対策基本法においては、これは災害対策ですから、大規模な災害、そういったものが発生した際の環境大臣による処理指針、マスタープランでございますけれども、これを策定及び廃棄物処理の代行、市や県でできないものについてはやはり国がやっていかなきゃならないという代行、国の方がやりますというようなものも決めていく。

 要するに、あのときには、はっきり言って、そういった廃棄物については大分進みまして、もうできたというような形の中で、大体できたという形の中で、その反省を踏まえてこれをやっていく。

 ただ、問題は、先ほど申しましたように、初めてのことだったものですから、マスタープランをつくるのに二カ月も三カ月もかかった。これをもう一カ月、もう二カ月早くつくったらなと思うと、なかなか、市町村も、あるいは協力していただけるさまざまな業界等もございますけれども、そういったものがおくれてしまったという反省を考えると、マスタープランは一カ月くらいにはできるという箱型みたいなものを最初につくっていく。そして、それに沿って切れ目なく皆さん協力してやっていただけるというような、円滑かつ迅速な処理を確保していく。こういうことを教訓として、今回の法律に出させていただいた。

 ちょっと大変長くなって申しわけなかったんですけれども、大体、包括的に言うとそういう形でございます。

小熊委員 先の質問にまで答えていただいたような感じなんですが。

 そうなんです。私も現地に入っていて、やはり市町村と県の連携というのが、混乱していましたから、なかなかとれない。あと、民間との連携というのも必要だったと思いますけれども、これもままならなかった部分もありますし、大体、結構、ガソリンが足りないということで、それで動かなかったというのがあった。

 そういうロジスティックも含めてどうあるべきかというのは、あのときは、だから、西日本のガソリンを東北に持ってきてもらったということがありましたけれども、ある意味、その地域で解決できるものもあれば、日本全体でいろいろカバーしていかなきゃいけないところがあるということがありますし、今言われた仕組みをつくっても、その仕組みのそれぞれの部門部門が機能するのかどうか。本当に大規模災害が起きれば、一つの役場が機能しなくなってしまったり、では、頼もうと思っていた民間業者も被災して動かなくなるということもありますから、二重三重に、この場合はこうというのをしっかりやっていかなきゃいけないというふうに思っています。

 そうしたところまで含めてこそ、備えあれば憂いなしということですから、二重三重の、そこまでやるのというぐらいやっておかないと。今、大臣は、想定の範囲外というのは嫌な言葉だと。そのとおりなんですよ。そういう言葉は本当は使っちゃいけないということであれば、そうした二重三重の仕組みをつくっておかなきゃいけないというふうに思います。

 そうした方向性、深掘りしていくということに関して、もう一度御所見をお願いします。

福山大臣政務官 本法案では、廃棄物処理法において、災害時における地方自治体を含む関係者の適切な役割分担と相互の連携協力の責務を新たに定めております。

 これは、災害廃棄物処理に関する対応に当たっては、国が主導的な役割を果たしつつ、被災地域の市町村や都道府県を初めとした関係者が緊密に連携し、その処理に取り組むことが重要との考えに基づくものでございます。

 このため、国としては、いざ災害が発生した際に、関係者が連携して災害廃棄物の円滑かつ迅速な処理に取り組めるよう、平時から、地域ブロック協議会の場などで地域の実情に応じた役割分担を行うことを促しております。

 また、既に、都道府県と市区町村の連携の具体的な事例としては、災害が発生した際に、県が経験豊富な職員を災害廃棄物処理支援要員として被災市町村に派遣する例や、県が市町村とともに災害廃棄物処理計画の策定を検討する例なども把握をしております。

 私自身が以前、関西広域連合の議員をしておったときに、当時、例えば奈良県で水害の例がありました。そのときには、そちらの方を兵庫県井戸知事が担当しておったんですけれども、そちらの方に要請がございまして、各府県の方からそういう関係者が奈良県の方に入った例、あるいは、和歌山県の方では仁坂知事さん、後で私も聞いたんですけれども、そういう災害があったときには市町村の連携が当時はやはり十分できていなかったという例もございます。

 そういう例を参考にした中で、環境省としては、各地域に昨年度から設置されている地域ブロック協議会などの場において、平時から、地域における災害廃棄物対策を検討していただく中で、こういった自治体間の連携協力の強化を図ってまいりたいと考えております。

小熊委員 それは資料を読めばわかったんですけれども、地域ブロックも飛び越えた連携というのはどうなりますか。そういうのも必要だと思いますよ。実際、この大震災のときは、東北だけでやったわけでもない、関東だけでもない。日本全国から御支援いただいたということはありますか。

福山大臣政務官 例えば、先ほどの話の続きでございますけれども、先生御存じのとおり、カウンターパート方式ということで、関西広域連合の中で、そのとき、徳島県は兵庫と鳥取で、三県で宮城県の方に救済に当たりました。

 やはり今先生が言われたように、まさにそういうことだと思います。都道府県、そして市町村、そしてそういう各ブロックの、例えば東に災害があれば西の方の各地域の方でその担当を決める、そういうことだと思っております。そういうことを踏まえた中でしっかりと対応してまいりたいと思っております。

小熊委員 これは、自治体間だけじゃなくて、さっきの民間のお話を大臣もしてもらったとおり、では、誰が運ぶのとかというのも含めれば、実際行うのは民間業者だったりしますから、こういうのも含めて、ブロックも越えてどうするか。トラックも壊れてままならない、運ぶものもない、ガソリンもないという状況も出ますから、これはしっかり対応していただきたいなというふうに思っています。

 この法律はいいんですけれども、知見を生かしたという意味では、そうした市町村、県、また民間業者からどの程度意見を聴取してこの法律作成に当たりましたか。これは国だけの知見ではやはり足りないんですよ。まさに前線にいたのは、そういう市町村であり、県であり、民間業者の人たちですから。そういう人たちの、この際こういうのがあってもよかったのにという意見聴取というのはありましたか、この法律について。

鎌形政府参考人 この法案を検討するに際しましては、私ども環境省におきまして、有識者、自治体、そして民間の事業者から成る検討会をつくりまして、当時の経験も含めて、議論、ディスカッションを積み重ねてまいりました。

 自治体は、都道府県や市町村はもちろんでございますが、民間事業者につきましては、通常の廃棄物処理事業に携わる方だけではなくて、建設関係とか、セメント関係でも今回いろいろ御活躍いただきましたけれども、そういった方々の意見を反映できるように、メンバーに加わっていただくとかヒアリングをするとか、そういう中で議論を積み重ねてきたということでございまして、そういった意見を一年以上かけて議論してきた末に、この法案に、ある意味エッセンスを盛り込んだ、制度的に対応すべきエッセンスを盛り込んだということでございます。

小熊委員 これは、あとは、さっき知見を、後世にも伝えていかなきゃいけないわけです。やはり、喉元過ぎればというのは人間ありますから、これをどうやってやっていくかという意味では、いろいろな防災訓練なんかに行っても、仕組みだけ、ペーパーだけ用意しても、実際動かしてみないとわからないというのもありますから、これは、今回の東日本大震災の知見を人材的にもしっかり伝えていくということと、あとはやはり、具体的に防災訓練みたいなところでちょっとやってみるというものを今後具体化していくべきだというふうに思いますので、それはぜひ前向きに検討して取り組んでいただきたいというふうに思います。

 一方、この後触れていきますけれども、原子力災害はまだ継続中ですが、津波でやられたものも、海に行っちゃったものがまたどこかに漂着するという問題があります。あと、想定したとして、山の方で起きた災害で、川から流れて川下に行ったというようなものもあります。災害地ではなくて、そこから広がる廃棄物というのも出てくると思います。しかも、その瞬間ではなくて、何カ月後、何年後ということにもなってきますから、こうしたものにはしっかり対応できるようになっていますか。

 長期にわたる、流れてしまったものが一回戻ってくる、全然違うところに漂着する、これをしっかり処理していくというものは想定していますか。

鎌形政府参考人 今回の法案は、災害で生じた廃棄物を処理する、こういう枠組みでございますが、先生御指摘の事例の中で、例えば川上から川下へ流れていったというものは、まさに、ごみとして場所が変わっただけということでございまして、災害で生じたということは変わりないことでございますので、そこは十分対応できるというふうに考えてございます。

 海の方に流れてしまったものに関しては、日本の国を越えての場合にはなかなか難しい問題があろうかと思います。今回、東日本大震災のケースでは、対岸、アメリカの方に流れてしまったものについては、NGOの協力に対して政府としても支援をした、こういうような実績があろうかと思います。

 そういったことも踏まえながら検討すべきだと思います。

小熊委員 海外に行ったものはそうなんですけれども、国内でおさまった場合、この想定はしていますか。

鎌形政府参考人 それは、川上から川下へとのアナロジーでございまして、場所が変わったということでございますが、実際の発生は災害によって発生したものということでございますので、その処理についてはこの枠組みで対応できるというふうに考えております。

小熊委員 あと、これは附帯にも入ってくると思いますけれども、原子力災害だけではなくて、化学物質とかそういう工場が被災した、そこからそういうものが出てしまったとなると、普通の災害瓦れきと処理が、多分これは難しくなると思うんです。普通のごみをここに処理しますよというのは、住民説明、御理解というのもしやすいと思いますし、実際、東日本大震災のものをとりあえずここに置いておくといっても、そこで、いや、うちのところの裏庭には置くななんという話もそんなになかったですから。

 だけれども、切り分けて原子力災害のはちょっと後でやりますから、こういう化学物質みたいなものが廃棄物になってしまったときの処理、化学物質の処理方法というのは法律であるのはわかりますが、災害が起きたときにはこれはどういうふうになってきますか。

鎌形政府参考人 今回の法案におきましても、災害時の廃棄物の処理の原則として、有害物質を含むおそれのある廃棄物につきましても、災害時であっても適正処理を図ることを原則としているということでございます。

 それで、東日本大震災の場合には、例えば、PCBを含む廃棄物でありますとかアスベストを含むもの、これが津波で流されるとかそういうような事態が一部生じました。それで、廃石綿やPCB廃棄物が混入した災害廃棄物の対応の仕方について、発災後、今手元にある資料によりますと、三月十九日でございますけれども、関係自治体にまず通知という形で出してございます。基本は通常時の有害な廃棄物としての管理なり処理の仕方というもので対応するように、こういうような通知をしているというところでございます。

 例えばPCBなどにつきましては、実際にその保管場所というのがわかってございますので、そこを点検するとかということで、流されたものがどれだけあるかとか、そういうので対処して対応するということがなされていたということでございまして、災害時であっても適正な処理がなされるようにしていくということが必要であります。

 そしてまた、もう一つは、専門家の派遣などもしまして、通常なれていない有害な廃棄物の処理に対して技術的支援を行う、こういうことが必要かと思います。

 それからもう一点、事前に把握しておくということも必要でございますので、地域ブロック協議会などの活動もしていく中で、例えば有害物質の所在地や保管量について自治体や事業者などの関係者があらかじめ概況を把握しておく、こういうことが必要だというふうに考えられますので、そういう平時からの関係者間での情報の共有というものも促していきたいと考えているところでございます。

小熊委員 もう少し深掘りしなきゃいけないと思うのは、阪神・淡路のときはそのものがそこなんですよ。東日本大震災は津波でしたから、ばさっといって、私も現地に入って、アスベストの話が出ましたけれども、大分飛んでいるのかなというような感じを受けましたよ。そこのものがそこにないんですもの、流されるから。どこに行ったか。散らばる、どこに行ったかわからない。ここの建物はまだ残っていると把握していても、それがどこに行ったなんというのは、拡散してしまったり、かなり流されたりしますから、これは、まずはどこにどういうものがあるかというのを把握するのは重要なんですけれども、津波の場合の災害には、本当にもうちょっと検証、研究していかなきゃいけないと思いますよ。

 私も、これがぽっと、ばあっとなったらどうするのと。では、それは調べてから片づけますと言ったって、それだって衛生的にもよくないから、ばさっとやるしかなかった。ばさっとやっていましたよ、当時も。でも、今言った有害物質もちゃんとしなきゃいけないよねといったらば、では、一個一個、こんなにやっていたら時間がかかり過ぎるし、もうちょっと知恵を出さなきゃいけないところです、これは。

 今すぐ答えは出ないと思いますが、これは今後、有害物質、アスベストまで言っていただいて、ちょっと私も思い出しましたけれども。そういうものまで含めると、そんな簡単なことではありませんから、これは今後も研究、検証、そして新たな対策というのをしっかりやらないと、実際、起きないことがいいんですけれども、そういう大規模災害で津波みたいなものが起きて、どこに何が移動したか、壊れていったのが拡散してしまったといったらどうするかというのは、手をつけられないということになりますから、しっかり対応できるように、今後もちょっと研究していっていただきたいと思います。

 大臣、何かありますか。

望月国務大臣 いい指摘をいただきまして、ありがとうございます。

 多分、いろいろな面でそういったものについては研究はしていると思いますけれども、そこまで、津波で拡散してしまったということまで考えていたかどうかというのは我々もちょっとじくじたるものがございますが、やはり今後も、そういったことも含めまして、しっかりと対応できるような形というもの、それが全てできるかどうかというのは、こういう場合には非常に難しい問題がございますけれども、そういったPCBを初め有害物質が出た場合には、地方自治体の消防が出るとかそういうことだけではなくて、場合によっては、物によっては実行部隊とかそういうことも考えられますので、我々としても、これからさまざま研究をさせていただきたいな、そしてまた、住民が安心できるような形というものを一日も早く考えていきたいな、このように思います。

 ありがとうございます。

小熊委員 そういう意味では、この法律、方向性はいいとしても、まだまだ足りていない部分がありますから、しっかりと今後もさらにいいものにしていくように、対応を怠りなくしていただきたいと思います。

 次に移りますけれども、この法律そのもの、附帯の方には少し入ってきますが、結局、災害というか、原子力災害ですよ。これはまだ継続中ですから。何回もこの委員会でも大臣ともやりとりさせていただきましたけれども、これをどうするかというのは本当に、知見、教訓、生かすといっても、生かされていないし、具体的に進んでいません。

 そういう意味では、今、指定廃棄物の各県の状況ですよ。いっぱいありますから細かく言うことはなくて、進捗したものがあれば、そこだけちょっと説明してください。

鎌形政府参考人 指定廃棄物につきまして、ざっくり申しますと、まず福島県の対応がございます。

 福島県につきましては、十万ベクレル以下の指定廃棄物につきましては既存の管理型処分場を活用するということを私どもとして提案しているということでございます。

 本県につきましては、住民説明会や議会への説明を何回か繰り返しまして、先週でございますけれども、望月大臣が、知事、関係の町長さんのところに参りまして、新たに国有化をしてしっかりとして管理していくということを申し上げたところでございまして、一定評価をいただきまして、今後、関係町での、町の議会での御説明、準備説明会ということで、理解を求める活動をしていきたいというふうに考えているところでございます。

 それから、福島県以外の五県、栃木県、宮城県、千葉県、群馬県、茨城県の五県につきましては、一時保管の状況が逼迫しているということで、施設をつくろうということで、それぞれお願いしているところでございます。

 各県、市町村長会議を開きまして、選定の手法などを議論してまいりましたが、宮城県と栃木県と千葉県の三県につきましては、詳細な調査を行うための候補地、詳細調査候補地の選定をいたしまして、それぞれお伝えしているというところでございます。

 それで、宮城県、栃木県におきましては、宮城県については、一部詳細調査に入りましたけれども、地元住民の方々の理解がなかなか得られない状況が続いておりまして、具体的な調査を先に進めるということは、現在はなかなかできていないところでございますが、県民全体への説明会なども通じて、さらに働きかけを強めているところです。

 栃木県におきましても、詳細調査に理解を得るべく県民全体への説明会などを行っているというところでございます。

 千葉県につきましては、既に、千葉市議会での御説明、あるいは住民説明の要望がございましたので、住民説明会のセットに向けての調整を進めているというところでございます。

小熊委員 これは進んでいないんですよね。千葉へは副大臣が行かれたのかな。行った後で、逆に、自民、民主、公明さんで、反対というのが、議会で強い意思を示されていますけれども、丁寧に真摯に説明しても、結局はそういうことなんですよ。地元住民理解といっても、定量的に、何かをもってして、では、住民の理解が進んだとかということもないんですよね、この仕組みは。

 では、その町で、十人でも二十人でも反対運動があったら、これはどうするのというのもあって、首長の決定でできる、いや、議会の決定でできる、いや、住民投票にかける、何をもってして住民の理解というのかというのが、実はないんですよ。定量的な、これだと賛成ということでやらせてもらいますというのは、ないんですよ。ないですよね。

 それで、今、やっていないとは言っていませんよ。説明はしているけれども、それはどう考えても、ほとんどの人が賛成なんという状況は生まれないと思いますよ。そんなだったら、今、我々福島県が苦しんでいる風評被害なんてものはないし。これは地道に頑張っていますけれども、今までも頑張ってきていて結果が出ていないんですよね。これはずっと続きますよ。それで、そのうち大臣とかもかわっちゃうのかな、それでまた同じことが始まるんですよ。担当者もかわっていくんですよ。

 これは、何をもって決断するんですかね。住民の理解を得るのも、住民の理解は、私、なかなか難しいと思いますよ。これは大臣、どうですか。今までの努力、していないとは言いません。でも、今までの努力は結果が出ていないんです。いなければ、違ったことをしなきゃいけないんじゃないですか。

 住民の理解といっても、最終的にはこれは何で決めるか。首長がオーケーすればオーケーなんですか。議会の議決が必要なんですか。住民の理解というのであれば、反対運動が起きれば、それはやはりやらないということですか。どこがその分岐点なんですか、やるかやらないか。

鎌形政府参考人 まず、今回の指定廃棄物の長期管理施設の建設につきましては、放射性物質汚染対処特別措置法に基づき、国が行う事務ということでございますので、責任は国が持つ、つまり、判断については国が行う、環境省が行っていくということでございます。

 その判断を行うために、地元住民の方々の理解を得る活動が不可欠ということで、議会への説明、住民への御説明なども繰り返しているというところでございます。

 判断に当たりましては、そういった説明を尽くして、地元の自治体、県とかあるいは市、町などの自治体の御意見もお聞きしながら、御相談して判断していく、そういうことになろうかと思います。

望月国務大臣 この問題は、進んでいないだろうという話を指摘されれば、そうであるのかなと思います。しかし、我々はこれを進めなくてはならない、環境省はそういう立場におります。

 それから、例えば中間貯蔵施設、福島の皆さんに大変なお願いをして、これも、多分できないだろうというような形だったんですけれども、しかしながら、今、パイロット輸送ではありますけれども、中間貯蔵施設が動き始めました。

 ただ、パイロット輸送してトラックが町の中を通るだけでも怖いじゃないか、そういった積んでいるものが事故でも起きて町の中へ出てしまったら一体どうするんだ、それから、やはり、きのうも福島の知事が見えましたけれども、一番近い町を通らないようなことをするためには、インターチェンジを二つばかりつくってもらいたいと。これは環境省が予算を半分ぐらい出すというような形で、さまざまお願いをしています。

 今、例えば福島にフレコンバッグが山となって積まれているところが八万八千カ所ある、これが町の中に八万八千カ所あったら町は復興しないだろう、だから一カ所にまとめたいと。それから、エコテックの問題もそうでございます。大熊町あるいはまたさまざまな町がやはり協力をしていただかなきゃならない。うちは嫌だよ、そういうことをさんざん言われておりますけれども、一生懸命お伺いしています。

 また、中間貯蔵施設につきましても、職員が、環境省だけではなくて、そういったものをつくるのには、国土交通省あるいはまた農水省、そういった職員が全部来て、私は最後にここで福島のために働いて、環境省で働かせてもらってやめていきますと。何しろ夜駆け朝駆け一生懸命やって、それでもやはり、例えば地元の皆さんからすれば先祖伝来の土地を何で我々が提供しなきゃならないんだというようなことがありますけれども、それを乗り越えて一歩一歩進めているという状況でございます。

 ですから、指定廃の問題につきましても、各県の皆さんが、いろいろ御質問もありますけれども、それは福島へ持っていけ、そういうような話もございますけれども、これ以上福島には御迷惑をかけるわけにいかないし、今までの信頼関係がなくなってしまいます。ですから、各県でよろしくお願いしたい、そのために丁寧な説明をしていく、今そういう状況でございまして、まだそれが、きょうあした解決するだとか、一カ月後とか、そう簡単にいきません。

 これからじっくりと、本当にそれぞれの職員初め我々が力を合わせて、これを皆さんに丁寧な説明をして、そして、そういうことによって、これから台風が来たりあるいはまたさまざまな災害が起きたときに、そういったものが分散して置いてあって注意が行き渡らなくてもっとひどい目に遭うというようなことがないように、この方針に従って進めているということでございまして、ぜひひとつ皆様方の温かい御協力もお願いしたいな、このように思います。

小熊委員 真面目にやっておられる、大臣も真面目ですからね。でも、その真面目さが実はこれは事が進まないというか、理屈はそうなんですよ。反対があるというのは理屈ではもうないんですよ。ちゃんと科学的な知見も、それも安全性も示していますけれども、やはり地元の人から、風評被害になるから嫌だと、感情の部分なんですね。感情に訴えるものがないから変わらないんですよ、真面目に理屈を説明しているから。反対しているのは思いで反対していますから。そこに訴えるものがなければ、それは真摯にやっていたって変わりようがないんですよ。

 福島とほかのものが違うのは、ほかの県のはそこで終わるんですよね。福島なんてとりあえずですから、中間貯蔵だもの。だけれども、これは、中間貯蔵をつくれないなんて思いませんでしたよ、福島県民は。これはまあまあできるんだろうなと、どこかで。最終処分は無理だろうなというのはみんな多くの方が思っていますよ。結局、三十年後に持っていくといったって、延長しちゃうんだろうなというのは。

 予算委員会でも、大臣、やるのに、では、自分の地元に誘致するというぐらいのことができるのかと。なかなかできないですよ、そんなの。いや、環境省の人は言いましたよ、福島のためにやっています、退官しても福島のためにやっていきますと。だったら、地元の町長にでもなって誘致運動をしてくれよと。できないですよ。

 もし私が逆の立場でやるんだったら、本当に腹をくくるつもりだったら言えますよ。本当はそういう人がいてもいいんですよ。これは県外ということじゃなければ、では、会津に持ってきますかと私は議論したっていいですもの、地元の人たちと。

 でも、政治が決断をする、決められない政治から決める政治といって安倍政権は誕生しましたけれども、結局、これは科学的根拠だ何とかという部分を超えて、もう覚悟なんですよ。覚悟がないもの。それを見透かされているから、福島県の人も、最終処分場なんて受け入れるところはないねと言っているんですよ。

 まして、これを減容化すれば東京ドーム何十個分が一個か二個分になる、そのほかの残土は建設資材に有効活用しますといったって、そんなものは、では、大臣の地元で住宅開発するからばあっとそれを使いますといったって、それは大丈夫ですよ、多分。そんなもの使えないと思いますよ。だから、結局、二十何個分をどうするかということになるんですよ、分けたとしても。では、それをスーパー堤防に使うなんて発表してみてくださいよ、有効活用ですなんて。途端に反対が起きるのが目に見えていますよ。

 そうした分け隔てした残土だけじゃなくて、小里副大臣も前向きな答弁を前してもらったんだけれども、まだ進んでいないんですけれども、運ぶトラック。これは、一回やったものだと、きれいに除染したって使えませんよとトラック協会から言われていますよね。国が買い上げてくれと言われているんですよ。それが今の、人の心ですよ。科学的根拠がないけれども、そういうのは嫌がるんですよ、それは。

 トラックの話が出たから、トラックの話はどうなっていますか。そういうのも含めてですよ。除染して有効活用してくださいといったって、トラック業者の方からすれば、それは運んだもので、除染してきれいになっていますといったって、それは使ったものですとお客さんに堂々となんか言えないですよ。これはどうなっていますか、副大臣、前は前向きな答弁をいただきましたけれども。こういうものも片づけられなければ、この指定廃棄物の処理施設だって、もっとハードルが高いんですから、できようがないんですよ。小里副大臣、これはどうなっていますか。

小里副大臣 輸送で使用したトラックは、風評影響等もあってなかなか他の用途では活用できないんじゃないか、そういう御指摘でございます。

 現時点では輸送に使った車両を買い取るといった対応は考えていないところでありますけれども、輸送車両の確保を円滑に進めることが重要と認識をしております。

 関係団体との情報交換等を行うとともに、輸送車両の稼働状況、その耐用年数等の実態を踏まえて、長期かつ継続的に車両を確保するべく、適切に対応に努めてまいりたいと存じます。

小熊委員 これは、多分、まだ折り合っていないので、引き続きしっかり関係団体と協力を得られるようにしていただきたいと思いますし、トラック一つでこうなんですから、東京ドーム二十数個分のものも、減容化してそのものは有効活用しますというけれども、それは理屈はそうだけれども、そんなものできますかという話なんですよ。

 できないということも含めて、では、それはどうするのと。それじゃ、できないと思っているけれども、最終処分場は県外にと言ったけれども、県外に持っていくのは減容化した部分ですから。技術が進めば東京ドーム一個か二個分になるという説明を受けていますけれども、それは持っていくけれども、その残った残土は有効活用だから県外には持っていかないわけですよ。では、どこで使うの。皆さんの選挙区で使いますか、使えますか。きれいなものですよ。

 これは、結局、多分、そこもだぶつくと思いますよ。最終処分場だってつくれない。だって、三十年後といったら、多分、いろいろな設計、測量とか地元説明といったら、それは十年も二十年もかかると思いますから、全然手がつけられていない。その各県のものですら進まないんですから、もっと膨大な量のものなんていうのは、これはとてもじゃないと思っています。

 では、どうするのかといえば、そこで処理するしかないと私は思いますよ。今、中間貯蔵で進めて、ちゃんと時限を切って、最終処分場はいつまでに決定しますと時限をちゃんと切ってやらないと、これはだらだらだらだらいきますから。時限を切って、ちゃんとゴールを決めて、ここまでに最終処分場の選定地を決めますと。やってできなかったときには、もうごめんなさいとするしかないでしょうね。そうじゃなければ、だらだらだらだらいきますから。この指定廃棄物のものも、決めた方がいいと思いますよ、けつをしっかり。そうじゃなければ、いつまでたっても平行線の部分は平行線ですから、住民とは。感情で対立しているんですから。

 とりわけ福島県の最終処分場、県外、三十年後といいますけれども、このちゃんとした工程表を、時限を切った工程表を出すべきです。出さないから不安なんですから。出せないんだったら、県外というのもまた再検討しなきゃいけない。正直に言わなきゃいけない。格好いいことを言ったって、できないんだもの。

 まず、その工程表をしっかり示す、選定のプロセスを決める、時限を切る。失われていくんですよ、時間が。これが一番だめですから、被災者にとっては。時限を切るということに関して、大臣、どうですか。

望月国務大臣 まず第一に、減容化したもの、これは今お話がありましたように、安心、安全ということで考えると、安全であっても安心でない、そういったことは、やはり住民の皆さんに対する我々の説明不足かなというようなことを感じます。ただ、説明をしても、先祖伝来の土地だとかさまざまな思い入れがあって、一つ一つ全部皆さん思い入れが違いますので、そこをやはりお願いする。我々はお願いする立場ですので、それ以外には何もございませんので、信頼関係を構築して、しっかりとそれを進めていきたいな。

 それからまた、そういうような問題で、幾らそういったことで公共工事に使うといってもなかなかという話がございましたが、あのときも、福島のごみをそこでし切れなくて、各県、各市町村でやっていただきたいと。うちは嫌だよというところと、やりましょうというところもございました。静岡県、私の地元でも、ある市長がやりましょうと。ほかの市長がやりましょうと言ったら、反対を受けてだめだったということもございます。ですから、そこら辺、できるところ、できないところ、やはりあるということを考えると、そういった説明もしっかりしていかなきゃいけないな。

 ですから、危なくないようだったら、そういう安全なものだったら、各道路だとかバイパスだとか、あるいはまた空港だとか港湾とか、そういうコンクリートの中に入れさせてもらうとか、そういうさまざまな手法があると思いますが、そういったものについても、やはり安全というもの、安心できるような形のものをしっかりと説明して進めていきたいと思います。

 それから、三十年後ということでございます。この間、皆さんに法律をつくっていただきました。これはやはり国が約束することでございますので、しっかり減容化し、三十年後ぐらいには相当な技術も進みます。さまざまなアイデアも今環境省の方へ来ておりますので、そういう中で採用できるものをしっかり採用して、なるべく少ないものにしていって、そして最終的に、今一応、八つのステップでここまでこういうふうにしましょうとなって、まだ細かいものはそんな簡単に三十年後までにできませんけれども、そういったものをしっかりとスケジュールをつくって進めていきたいな、このように思っております。

小熊委員 県内のはそういうことで、県外に持っていくのは今から始めたっていいわけですし、待っている方からすれば、三十年間で技術が進みますからと言ったって、三十年間どうなるかわからないのに待たされる方は酷ですよ。そういういいものであればうちへ持ってきてもいいと言ったっていい政治家なんて一人もいないもの。よく、農産物なんかで何かあると、それを食べて、安全ですとやるけれども、では、今言ったように、福島県のこの残土を使ってうちの方で公共工事をやりましょうよなんて言う政治家も一人もいないですよ。

 そういう状況を踏まえて、しっかり、これは本当にどうなのかと、今言ったのは、例えば五年後に最終処分地も決めましたというぐらいのことがなければ、住民不安は拭えないということなんですよ。幻想を抱かせることはだめですよ。そこは見透かしていますから、住民も。しっかり対応していただく。今後もこの点については議論していきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

北川委員長 次に、島津幸広君。

島津委員 日本共産党の島津幸広です。

 私からも幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 今回の法案提案趣旨説明では、東日本大震災を初めとする最近の災害の教訓を踏まえたとしています。しかし、最大の教訓の一つである原子力災害を受けた対策が触れられていません。大規模災害の場合、当然、原発事故も想定しなくてはなりません。

 これまでの質疑の中でも、福島第一原発事故に伴う放射性物質に汚染された廃棄物の処理はまだ途上だ、ですから今回はそれは脇に置いて、今やっている処理を見きわめて、教訓、問題点を踏まえて対策を講じるという旨の答弁がありました。

 見きわめた上で、この問題については別法をつくるのか、あるいは、今回審議している法制に加えていくということで理解してよろしいですね。大臣、どうですか。

望月国務大臣 まず、原発事故由来の放射性物質に汚染された廃棄物の処理については、こういった事故を再び起こさないようにしっかりと規制が行われることが重要である。

 ただ、それは、万が一といいますか万々が一、万が一というのは百年に一度、万々が一は千年に一度だという話がございますけれども、そういう対応については、災害対策基本法に基づく防災基本計画に、環境省を初めとした関係省庁が必要な措置を講ずることと位置づけられております。

 環境省としては、東日本大震災の経験も踏まえて適切に対応してまいりたい、このように思っております。

島津委員 適切にこれからもやっていかれると思うんですけれども、今やっている福島原発での処理が完全に終わらなくても、教訓、問題点というのは明らかにできると思うんです。

 大規模災害での原発事故に伴う廃棄物処理に対応するための法整備というのは早い方がいいと思うわけですけれども、大臣が答弁されている、見きわめて、教訓、問題点を踏まえるということなんですけれども、その見きわめるというのは、処理がどこまで進んだときというふうに考えているんでしょうか。お考えをお聞かせください。

望月国務大臣 これはなかなか、はっきり言って難しい問題で、要するに、災害瓦れきといいますかそういうものについては、この三年間、四年間の間に処理が進みまして、ほとんど減ってきて、大体こういう形でやればいいなというような形でございます。

 しかし、先ほどからさまざまな先生方から御質問がございましたように、放射性のものについては、なかなか進んでいるという状況にない、努力はしてもそんな簡単に進むものではないということもわかっておりますし、若干時間の経過も必要だということでございます。

 こういった結果を見きわめることが可能な時期については、一定の、ですから、そういった意味では道筋がついた段階と考えておりまして、この処理の途上にある今、一概に申し上げることはなかなか困難かな、こんなふうに思っています。

 まずは、原子力発電所の事故によって生じた放射性物質に汚染された廃棄物の処理、これは引き続き尽力をしていきたいな、こんなふうに思っております。

島津委員 そういうことだと、非常に長い時間がかかるというふうに思われるんですけれども。

 けさも地震が起きました。南海トラフ巨大地震など、いつ起きてもおかしくないということなんですけれども、そして、福島第一原発のような重大事故に至らない場合でも放射性物質は放出されます。

 今度、新規制基準がつくられましたけれども、その中には、原子炉建屋の水素爆発を防ぐためにベントをする、そのためのフィルターつきの装置の設置を義務づけているわけですけれども、ベントによる放射性物質の放出基準というのはどのぐらいになっているんでしょうか。

清水政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力規制委員会が策定した新規制基準においては、まず炉心損傷を起こさないこと、また、万一炉心損傷が発生した場合でも、格納容器の破損を防止し、かつ、放射性物質が異常な水準で敷地外へ放出されることを防止することを目的として、各種の対策を要求しております。

 これら各種の対策の中で、格納容器の破損を防止するための対策においてフィルターベントを用いる場合、放射性物質による環境への影響をできるだけ小さくとどめる観点から、その有効性を評価するための基準として、セシウム137の放出量が百テラベクレルを下回ることを要求しております。

島津委員 先ほども、重大事故が起こらないように取り組みを進めていることだという話があったんですけれども、重大事故が起こらなくてもこういう事態があるわけです。規制庁も、絶対安全とは言えないといって、事故に備えた対策をとっているわけです。

 こうしたベントによる汚染、これも当然あり得るわけですけれども、これから法整備していくべき放射性物質に汚染された廃棄物処理では、こうしたことも当然想定していますね。これは確認です。

鎌形政府参考人 ベントにより放射性物質の放出がどの程度になるかというのは、条件によって大きく異なるというふうに想定されます。

 仮にでございますが、ベントによって放出された放射性物質により周辺環境の汚染が生じる、そういった事態が想定される場合には、先ほど申しましたように、災害対策基本法に基づく計画のもとで、関係者と連携し、東日本大震災の教訓も踏まえ、適切に対応していくということかと思っております。

島津委員 高レベルに汚染されなくても、そうしたレベルの汚染された廃棄物が出てくるわけです。

 東日本大震災の特措法では、特別に管理が必要な指定廃棄物はセシウム134とセシウム137の濃度が合計で一キログラム当たり八千ベクレル以上のものと定めています。これを超えるものは国が処理する、こうなっているわけですけれども、では、それ以下のものはどのように処理され、そして今、どこまで処理が進んでいるんでしょうか。

鎌形政府参考人 放射性濃度が一キログラム当たり八千ベクレル以下の廃棄物につきましては、周辺住民及び作業者のいずれの安全も確保した上での処理が十分可能であると確認をされております。このため、廃棄物処理法に基づき、従来と同様の処理方法による処理を行っていただいているというところでございます。

 地域の理解を得るのに苦慮する場合もあると聞いてございますが、多くの市町村や廃棄物処理業者等の努力により、着実に処理が進んできているというふうに考えてございます。

 例えばでございますが、環境省が事故由来の放射性物質の飛散のおそれのあった十六都県にアンケート調査を行いました。その結果、一キログラム当たり八千ベクレル以下の飛灰等を最終処分できずに一時保管していた廃棄物処理施設、この数でございますが、全体で、回答のあった二百八十三施設のうち、平成二十三年度は四十を超えてございましたが、平成二十六年度では十カ所以下ということになってございます。

 こういったように、少しずつ着実に処理が進んでいるということでございまして、こういった処理が進むように、市町村などへの支援に努めてまいりたいと考えております。

島津委員 今お答えがあったように、指定廃棄物とされないため、一般廃棄物と同様の扱いとなっているということなんです。しかも今、着実に処理されているということでしたけれども、事実上まともな対策が講じられていない状況です。そのために、瓦れきの処理に当たって、焼却の際の排気によって放射性物質が拡散するんじゃないか、飛灰の処理をどうするのか、あるいは廃棄物や焼却灰の埋立処分場周辺の放射線量が高くなるんじゃないか、雨水や地下水などで漏れ出さないかという心配が多々出されています。各地で今でも、大きな混乱が生まれています。今でもさまざまな問題が発生しているわけです。

 そもそもこのキログラム当たり八千ベクレルという基準は、当時の原子力安全委員会が当面の考え方として示したものに準拠して審議されただけのものです。これは、政府の試算でも、廃棄物の処理に携わる作業者に年間一ミリシーベルトに近い被曝を容認するという数字です。住民の健康と安全を守る立場で、放射性物質で汚染された廃棄物の基準と放射線防護対策を抜本的に見直し、強化する必要があると思うんです。

 大規模災害で原発事故が起きる。放射性物質、いろいろなレベルで廃棄物が汚染されるわけです。その処理を円滑、迅速に進める上で、住民の納得を得ることは極めて重要な問題です。これも、これまで議論があったとおりです。

 東日本大震災の教訓、問題点を生かすためにも、これから備える大規模災害に伴う対応では、今、各地でいろいろな問題、混乱を生んでいるこの八千ベクレルという基準、あるいは対策そのもの、これを抜本的に見直す必要があると思うんですけれども、この点でのお考えはどうでしょうか。

望月国務大臣 この八千ベクレルという基準でありますけれども、これは特別な処理をする方法をとることなく、周辺住民、作業者のいずれにとっても安全に処理することができる基準として設定したものでございます。

 この八千ベクレルでいきますと、今、作業者の基準が年一ミリシーベルト、それから最終処分場周辺住民は年に十マイクロシーベルト、そういうような基準に合致できるということで、これまで、ホームページ、パンフレット、会議や通知によって八千ベクレル・パー・キログラム以下の廃棄物の処理の安全性の周知を図ってまいりましたし、関係自治体、関係省庁と連携して、早期処理に向けて取り組んでまいりました。

 その結果もありまして、この八千ベクレル・パー・キログラム以下の廃棄物については、その処理に当たりまして、地域のを得るのに時間を費やしてまいりましたけれども、多くの市町村や廃棄物処理業者の努力によってその一時保管場所の数が相当減ってきておるなど、着実に処理が進んできているということが現状でございます。

 今後も、こういった取り組みをしっかりと通じまして、廃棄物の処理が一層進むように努力してまいりますので、今のところ基準を見直すというようなことは考えておりません。

島津委員 現実に住民の皆さんの不安が高まって、処理は着実と言いますけれども、まだまだ終わっていないし、問題も多いし、時間もかかっているわけです。そういう点では、この八千というのが本当にいいのかということは改めて検討してもらいたいと思うんですけれども。

 今回の法案にありますように、県レベルでも災害廃棄物処理計画を作成しなきゃいけないということになるんですけれども、全国に先駆けて作成した静岡県に行って、話を聞いてきました。

 静岡県の場合は、やはり東海地震あるいは南海トラフの巨大地震に備えて急いでつくらなきゃいけないという思いがあって、行って話を聞く中で、いろいろ話がありました。もっと国が前面に出てほしいだとか、あるいは、仮置き場の問題をどうするかという、いろいろなことがあったんですけれども、そうした心配の中の一つに、やはり放射性物質に汚染された廃棄物の問題があるんです。

 大臣、御承知のように、静岡県には浜岡原発があります。東海地震の震源域の上に立っているという、世界でも例のない、世界一危険な原発と言われているわけです。ですから、県民の不安も非常に大きい。当然、東海地震や南海トラフ巨大地震が起きれば事故が起きることは十分想定されるわけです。そういうことで、放射性物質に汚染された廃棄物の処理をどうするかということは考えなきゃいけないんだけれども、国の対策がないからやはり静岡県の対策でも立てていないわけです。

 県の担当者も言っていました。国がやはり責任を持って示してもらいたい、そうしないとできないということがあったわけです。そういう声をよく受けとめていただいて、一刻も早くこの問題では混乱を生まないような、必要な法整備を行うべきと強く要求して、次の質問に移りたいと思います。

 国の代行制度についてお伺いします。

 東日本大震災の際、国が代行した自治体は四つだということが、先ほども答弁がありました。国が代行処理した内容はどんなものか。国は直接に処理事務を行うわけではないわけです。しかし、では、実際に処理事業を行ったのはどんなところがやったのかというのをお聞かせください。

鎌形政府参考人 東日本大震災の災害廃棄物処理のための特別措置法に基づきまして、相馬市、新地町、広野町、南相馬市の四市町におきまして代行処理を行っているということでございます。

 要請を受けて代行処理をしているということでございますが、その代行処理の範囲は、市町で選別をした後の可燃性災害廃棄物の減容化、いわゆる焼却処理でございます、それと、当該減容化により生ずる焼却灰の最終処分ということでございます。

 可燃性災害廃棄物を減容化するための仮設処理施設の建設、運営、解体というのが今行われているところでございますが、いずれも民間事業者に発注して処理を行っているというところでございます。

島津委員 東日本大震災では、今お答えがあったんですけれども、そういう中でも仙台市では、地元建設業界の協力を得ながら、燃やすもの、リサイクルするものと収集を区別して、それぞれの担当者がそうしたものを区別して集めて、それぞれ仮置き場に運ぶ、そして、そのことをやった結果、仮置き場からのその後の処理も早い、そして、地元の雇用や仕事にもつながったということをお聞きしてきました。これに対して、石巻市などほとんどの市町村は、県に委託し、県が四つにエリアを分けて、ゼネコンが中心になったJVに処理を発注する。

 この県のJVへの一括処理というのは、環境省、適切な方法だったというふうに今思っているんでしょうか。

福山大臣政務官 東日本大震災の際、岩手県と宮城県では、複数市町から地方自治法上の事務委託を受け、迅速に処理を行うなどの観点から一定の処理ブロックを設定し、この処理ブロックごとに、公募型プロポーザル方式により、災害廃棄物の処理に関する業務を一括して発注しました。

 その結果、ゼネコンを中心とする共同企業体、いわゆるJVがこれを受注し、処理を実施いたしました。

 東日本大震災では、共同企業体に処理を一括して発注したことにより、多岐にわたる業務を一元化して委託し、管理できたことなどによる業務の効率化などのメリットがあり、円滑かつ迅速な災害廃棄物の処理が可能となったと考えております。

 また、ことし二月の有識者などからの提言においても、共同企業体などの適切な能力を有する事業者の活用が、迅速な処理を確保するための有効な方策の一つとして位置づけられており、今後の対策においても、災害廃棄物の円滑かつ迅速な処理のための一助になるものと考えております。

島津委員 メリットが紹介され、有効だったという御答弁だったんですけれども、しかし、デメリット、問題もあるんです。

 このJVは、廃棄物処理のノウハウ、とりわけゼネコンにあるわけではなくて、実際にはやはり県内の産廃業者の協力や再委託で処理が進んだんです。

 宮城県では、県内の産廃業者は、全て県内業者でというのは難しい面もあったけれども、市町との協議で対応可能なところもあったはずだと。宮城県は、四ブロックという区にしてしまったため、そういうことでJVになるわけですけれども、その時点でもう、四ブロックにくくった時点で地元産廃業者、地元業者が入る余地がなくなった、こういうふうに言っています。

 処理方法の面でも、分別せずに仮置き場に持っていってその後仕分けして処理するということで、分別して一時置き場へ持っていくところよりも処理時間がかかる、処理費用も高くなるという問題もあります。

 こういう問題があったという認識はないんですか。

鎌形政府参考人 いずれにしても、迅速な処理を確保するために共同事業体の活用が有効であった、こういう認識であるわけでございます。

 今おっしゃったような課題につきましては、今までのところ私どもは把握してございませんけれども、そういった課題があれば、今後、適切な処理がなされるように対応していきたいというふうに考えております。

島津委員 ぜひ、よくつかんでいただきたいと思うんですけれども。

 いろいろな問題がありますけれども、ゼネコン中心のJVによらない処理をしたところ、例えば、宮城県では東松島市というのがあるんです。ここは、市でほとんど独自処理をすることにして、地元の業者を活用しました。そして、被災者を雇用して手選別を行う、こういうことで雇用の確保にも努力した。その結果、総額の処理コストも、県内では最も低くなる、県平均の半分以下になったというんです。量ももちろんあるかもしれませんけれども。

 また、宮城県では、焼却処理の割合が高いほど処理コストが高くなるというふうに総括しているんです。焼却する関係費のうち、七割が仮設焼却炉の建設と解体の施設費、三割が処理費なんですけれども、ゼネコンに、事実上JVということですけれども、丸投げしたゼネコン中心のJV、これが二十六基焼却炉を設置したんですけれども、これが過大投資だったという指摘もあるんです。

 瓦れき処理は、ゼネコンが分担して受注して暴利をむさぼった、こんな声もあります。こうした問題もしっかり認識して、これからの対策、対応に生かしていかなければならないと思うんです。

 次に、自治体で全て処理できない場合、国が代行することも必要になると思います。しかし、その際、国の方針を一律に押しつけるようなことになってはいけないと思うんです、処理の仕方も含めて。地元自治体や住民の意向を踏まえず考え方を押しつけることになると、要らぬ混乱や対立を生む、処理がおくれる原因にもなります。

 ですから、国が代行してやっていく場合には、必要な力をかすし、支援も惜しまない、こういう姿勢を明確にしつつ、地元の意向を最大限尊重して処理に当たるということが大切だと思うんです。

 この点での大臣の見解をお聞かせください。

望月国務大臣 これは、先生の御指摘のように、被害の規模やそれからまた態様がさまざまでございます。量や状況も極めて多様でございます。そういったことから、代行処理を含む国による支援は、被災自治体の状況を踏まえて柔軟に行われる必要がある、このように思います。

 そのため、代行処理の要件としては、被災自治体と災害廃棄物の状況を十分にしんしゃくして柔軟に対応すべく、そこは幾つかございますけれども、わかりやすく言うと、これは定量的ではなくて定性的、要するに、量でここで何トンだからどうだということではなくて、いわゆるその地域の事情、実情を踏まえて、定性的な要件を定めたところでございまして、そういったことをしっかりと考えていかなきゃならない。

 それからまた、大規模災害時には、国みずから被災地、地域全体についての災害廃棄物の要処理量を衛星写真等によってまず把握する、そういうようなことも、被災自治体からの要請を待たずに、我々が必要に応じて国による代行処理の準備を進めていく、そういうこと等もしております。

 以上の取り組みによって、国による代行処理が被災地域の状況を踏まえ柔軟に実施されるように、先生の御指摘も踏まえまして、努力してまいりたい、このように思います。

島津委員 先ほども指摘したように、宮城県でJVの問題等々あるわけです。そういう点では、ぜひ、地元の意向を踏まえて、柔軟という言葉でしたけれども、国も意欲、責任を持って、しっかりやっていただきたいと思います。

 次に、財政支援の問題です。

 これまでも議論がありましたけれども、今回の法案では、措置を講ずるように努めるという努力規定にとどまっているわけですけれども、これに対して、先ほどの議論でも、努力規定にとどまっているとはいえども、支援する対象を明確にしたなどの答弁があったわけです。しかし、どの程度国が支援するかというのは、やはり明確になっていないわけです。

 また、自治体がみずから処理する場合の負担についても、今回の改正では触れられていないため、現状の補助金の上限二分の一のままとなってしまいます。南海トラフ巨大地震のような大規模災害が発生して、特措法ができるまで自治体の負担がどこまでになるか決まらない、これでは、財政的な不安があることによって、廃棄物処理の初動が鈍るということも懸念されます。

 迅速、適正な処理を進めていくためにも、財政面でも国がきちんと責任を果たすということを明確にする必要があると思うんです。これはもう答弁がありましたけれども、改めて大臣、決意をお聞かせください。

望月国務大臣 これはやはり、財政的な問題は、中小の市町村にとっては非常に厳しい状況であるし、大切なことでございまして、国が被災市町村からの要請を受けて災害廃棄物の処理を代行することとなった場合には、まずは国がその費用を全て負担して、その後、本来市町村が負担すべき額について市町村に適切な御負担をいただく、そういうことになっております。

 これはやはり、実際に災害の規模とか被災状況等を鑑みて、全体的な見地から別途特別立法がなされることを踏まえまして制度設計をしていることでございます。やはり、地震とかさまざまな災害によって地域地域違いますので、これは別途特別立法がなされるということでございまして、これも、例えば、災害復旧工事に係る国による代行措置についても同様の制度設計がなされていることを踏まえたものでございます。

 どちらにいたしましても、将来の大規模な災害発生時には、支援策同様、適切な財政支援が行われるように努めてまいる所存であります。

島津委員 ぜひ頑張っていただきたいと思うんですけれども。

 次に、東日本大震災の際に、事前の備えで、仙台市では、先ほどちょっと紹介しましたけれども、事前に協定を地元業者と結んであって、スムーズな処理につながったというふうに聞いています。また、東松島市でも、宮城北部地震の教訓に学んで、日ごろから、仮設置き場のつくり方だとか、あるいは地元業者との細かな連携を行って対応できたということを聞いています。そういう点では、地元業者と震災後にスムーズに連携できるような備えというのは非常に大切だというふうに考えています。

 しかし一方で、東日本大震災のときには、瓦れき処理は、直営は迅速にできたんですけれども、先ほども言ったように、委託された場合は遅かったという場合もあります。

 なぜそうなるかということになりますと、委託された業者はやはり契約にないことはやらないわけです。こういう話はいろいろ聞いています。契約というのはやはりそういうものなんですよね。災害の起きたときに、自治体の職員みたく何でも対応できるわけじゃないわけです。もちろん、民間業者にできる限りの協力はお願いしなければなりません。しかし、すき間なく契約を交わすということはやはりなかなか大変で、無理もあるわけです。

 そういう点では、災害が起きたときの自治体職員の役割というのは非常に大きいものがあると思います。確認ですけれども、この御認識は、こういうことでよろしいですね。

望月国務大臣 御指摘のとおり、自治体は、平時から、生活ごみや、し尿処理のための施設や体制があるわけでございまして、ノウハウも蓄積されていることから、平時はもとより、大規模災害が発生した場合においても、廃棄物処理における自治体職員の皆さんの役割は非常に大きいと思います。

 そして、職員の皆さん、まさに職員になるときに、全体の奉仕者としてというような心構えがやはりございますので、非常にそういったときには、ふだんの、日ごろの訓練、さまざまなことを通じて、これは大変我々にとってもありがたいことでございまして、大規模災害時にその能力や役割が遺憾なく発揮されますように、国としてもそういったことに関しましては支援をしていきたい、このように思います。

島津委員 そういう役割があるわけなんですけれども、しかし、現実には、行革等で職員が減らされているという状況があります。とりわけ、清掃だとか廃棄物処理、こういう問題については、民間委託が進んで非常に職員が減っている、こういう実態があります。

 国がつくる基本方針、県がつくる処理計画に基づいて、市町村も計画をつくることになるんですけれども、今言ったように、民間委託が進んで現場の職員が減らされている。こういう状況では、計画を立てても、それを実行できるだけの体制が現場ではとれない、こういうことも心配になるわけです。

 東海地方のある自治体に行って聞きましたら、今、清掃業務、民間と直営を半々にする方針でずっとやっていたんだそうです。半々だということだから、この地域は民間、この地域は直営ということに当然なるんですけれども、そうしますと、地域によっては、全部民間になっちゃって職員がいない、対応できない、これからどうしようかということで心配されていた話を聞いたんですけれども、そういう心配もある。

 それから、公務員というのは配置転換があって、事務やマニュアルなどの引き継ぎが当然あります。しかし、実際の体験などを通じた継承はやはり完全とはいきません。東日本の現場を見ていない職員、担当者もやはりまだまだいらっしゃいます。行革で、こういうことで減っている。

 大規模災害が起きたら、大量の廃棄物処理の先頭に立てる職員の増員と育成が必要だと思うんですけれども、この点ではどんな対策を考えられているんでしょうか。

小里副大臣 まず、平時からノウハウを身につけた職員をしっかり確保することが重要になると考えております。

 そのため、平時、災害時ともに、地域の生活環境の保全と公衆衛生の向上を図るための人材の育成を目指しておりまして、例えば、適切な研修プログラムのあり方、大規模災害も想定した災害廃棄物処理の訓練の実施方法について検討して、今年度から順次実施していくこととしているところでございます。

 あわせまして、平時から、災害廃棄物処理を経験したことのある自治体の職員をリスト化しておきまして、災害発生時には被災自治体に対して他の自治体からこれを派遣する、そういった災害廃棄物の処理計画の策定や処理フローの検討等が行えるようにするといった人材ネットワークの構築も進めることとしているところでございます。

島津委員 時間が来ましたから終わりますけれども、研修だとか派遣だとかというような話があったんですけれども、人員そのものをふやしていくということに目を向けることがやはり必要だと思うんです。そういう点では、ぜひ環境省も力を入れて自治体を応援していただきたいと思います。

 南海トラフ巨大地震、首都直下地震など、いつ来るかわからないこうした大規模災害に備えるために、災害廃棄物処理でも原発事故を想定した万全の備えを進めていく、そして、国民の命と環境を守る実効性のある法整備、これを引き続き進めていくことを求めて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

北川委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党と山本太郎となかまたちの玉城デニーです。

 きょう最後の法案審議、質問ですが、重複する質問等についてもどうぞ真摯な答弁をお願い申し上げたいと思います。

 さて、東日本大震災とそれに伴う福島第一原発事故によって、国民の大規模災害に対する関心及び不安の思いというものはもう拭えないものとなっていると思います。あの震災から四年たって今なお、福島第一原発事故の収束は一向におさまっているとは言いがたい。それどころか、どのような状況になっているのかということが日々本当に国民の大きな関心になっているということも拭いがたい事実となっています。

 この法案でも、そのように大規模な災害によって生じる災害廃棄物等々について見直すものでありますけれども、その法案の内容について随時質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、廃棄物についてお伺いいたします。

 災害廃棄物についてですが、事業活動によって生じる産業廃棄物、市町村が処理責任を有するとする、産業廃棄物以外の一般廃棄物、それから、この法案では、環境大臣によって指定災害廃棄物というふうに分類するということになっております。この指定災害廃棄物に分類する理由について、まずお伺いしたいと思います。

望月国務大臣 今回の法律案でございますけれども、災害により生じた廃棄物は、廃棄物処理法上の一般廃棄物であるとの従来の整理でございますが、平時の備えから大規模災害まで、災害の規模のいかんを問わず切れ目のないよう対応するために、廃棄物処理法と災害対策基本法という既存の二つの法律を改正することによって対応する、そういうことになっております。

 一方、今先生の御指摘の指定災害廃棄物は、今回の法案において災害対策基本法に新たに規定した用語でございます。これは、著しく異常かつ激甚な非常災害が発生した場合でございますが、その災害の規模と被災の程度に鑑みて、国が発災後の処理指針の策定、これはマスタープラン、先ほどから何回かお話しさせていただいているように、必要に応じて処理を代行する必要がある廃棄物の範囲を明確化するために新たに規定をしたことでございます。範囲の中で、指定災害廃棄物ということにしたようなことでございます。

 このような対応が必要になる廃棄物については、新法ではなくて、災害対策基本法という既存の制度の改正により対応するとした理由でございますが、こういったことについて、災害の規模が大きいほど、政府が対策本部を設置して一体的に対応する、そういう必要が高くて、このために、基本法を改正して、この教訓を踏まえて政府全体で防災法制を見直したときに、廃棄物処理の特例についても、同法に位置づけて政府一体で対応するとの整理を行った、こういうことでございます。

玉城委員 確かに、東日本大震災でも、特措法などを制定して、その処理といいますか対応に当たるというふうなことが行われておりますが、しかし、さりとて、膨大に発生する災害廃棄物に関しては、国が明確に責任を持たなければならないという意味においては、やはりしっかりとした基本法を定めるという必要性があるのではないかというふうに思料するものでございます。

 そこで、この膨大に発生する災害廃棄物を、では、種別ごとあるいは量単位で処理するため推計するという、その方策はどのように求めるものであるかについてお伺いしたいと思います。

鎌形政府参考人 災害の廃棄物の発生量についてのお尋ねでございますが、一般的に申し上げて、災害そのものの情報、どのような災害がどのような広がりで起きているのか、あるいは、災害により生じた被害についての情報から、例えば家屋や建物の被害状況、何棟倒壊しているかとか、そういった状況を推計いたしまして、そこに、一般的に災害廃棄物の発生量を推計するための係数、これまでの経験から出てくる係数を掛けて推計するということでございます。

 実際に東日本大震災における発生量をどう推計したかと申しますと、まず、災害そのものの情報については、地震の震度分布や津波による浸水分布、航空写真による浸水面積などを把握いたしました。被害の状況につきましては、国土地理院による浸水範囲概況図や航空写真などから、市街地の浸水面積あるいは建物の被害状況などを割り出したということでございます。

 また、具体的に、災害廃棄物の発生量の係数、原単位でございますけれども、これは、津波を伴う被害について適切な係数がなかったということもございまして、阪神・淡路大震災やその他の水害時の実績を踏まえて、可燃物、木くず、不燃物、コンクリートくず、金属くずという種類ごとに新たに係数を確定して対応したということでございます。

 津波堆積物については、係数そのものがなかったため、汚泥の堆積の厚さなどの現地調査の結果で係数を作成いたしました。

 こういったことを総合して、当初の発生量の推計を行い、さらに、処理の進捗に応じて精緻な推計を実施していった、こういうような形でございます。

 これが具体的なやり方でございまして、今後も、そういった東日本大震災のやり方を踏まえまして、速やかに推計できるようにしてまいりたいと思っております。

玉城委員 本院が被災直後にいわき市に視察に行った際には、明らかにもう住まなくなっている家屋は取り壊すという張り紙がされておりました。しかし、今どこどこに避難をしておりますという張り紙がされている家屋もたくさんございました。そうすると、住まなくなったと判断した時点でその家屋は取り壊すということになりますから、結果的には、被災された廃棄物の量が減ることはないと思うんですね、ふえることはあっても。

 そういうことを考えると、やはり、その廃棄物を処理するために仮置きや処理施設等の建設にかかるためには、相当規模の面積を要する用地等を確保しなければならないというふうに思うわけです。そのことについてはどのような計画にありますでしょうか。

鎌形政府参考人 御指摘のとおり、災害廃棄物の処理のためには、仮置きの場所、そのほか仮設の処理施設を設置する場所なども必要でございまして、災害の規模に応じて相当程度の広さの用地が必要となる、御指摘のとおりでございます。

 東日本大震災では、約三千百万トンの災害廃棄物が生じたわけでございますが、一次仮置き場を最大の時点で二百八十一カ所確保し、それから仮設の処理施設は十四カ所ということで、合計三百二十一ヘクタールの土地を確保するということをいたしました。

 このように、多くの用地を要するのでございますけれども、廃棄物の処理だけでなく、例えば仮設住宅の設置など、ほかの目的でも一定の広さの土地が必要になるということになります。

 このため、各自治体に対して、災害廃棄物対策指針等であらかじめ私どもとして指針を示して、仮置き場などの、災害時に必要となる用地の候補について検討いただくということを促してございます。

 国といたしましても、例えば、国が所有する土地の情報を地域ブロック協議会を通じて都道府県や市町村に情報提供する、こういったことも含めまして、仮置き場の候補地やその地域における処理計画等について、あらかじめ地域の関係者間で協議をしていただく、もちろん国も入ってでございますけれども、協議していく、こういうことで対応していきたいと考えております。

玉城委員 では、次に、福島第一原発事故に起因する放射性物質等に汚染されている廃棄物について質問させていただきます。

 本法案の改正で、災害廃棄物に関して、放射線等に汚染されている廃棄物について法案改正に織り込んでいないというその理由はどこにあるのでしょうか。

福山大臣政務官 今般の法改正は、東日本大震災によって生じた災害廃棄物の処理が、福島県の一部地域を除き昨年三月末までに完了したことから、その経験、知見に基づき、制度的な視点から今後必要となる対応について検討を行ってきたことを受けたものでございます。

 他方、東京電力福島第一原子力発電所の事故によって生じた放射性物質により汚染された廃棄物は、いまだ処理の途上にあります。現在行っている処理の結果を見きわめる必要があるため、まずはその処理を完遂することが重要だと考えているところでございます。

 このため、本法案は、放射性物質に汚染された廃棄物については対象とはしておりません。

玉城委員 東日本大震災により生じた災害廃棄物の処理に関する特別措置法の定義、第二条では、この法律において災害廃棄物とは、東日本大震災により生じた廃棄物、これは、地震及び原子力発電所の事故による災害を並べてあります、その廃棄物として定義されています。

 つまり、特措法でも、要するに、東日本大震災によって生じた原子力発電所の事故によって被曝した廃棄物だということが、この特措法では置かれているわけですね。

 しかし、日本には今、五十一基もの原発、そして、政府は再稼働をさせるというふうな方針も出ている上で考えると、やはり環境省が、この放射性物質に汚染された廃棄物の対策についてしっかり取り組むべき必要があるというふうに私は思います。この放射性物質等汚染廃棄物に対する環境省の今後の取り組みはどのようにするものでありますか。

鎌形政府参考人 まず第一に、東京電力福島第一原子力発電所のような事故を再び起こさないようにしっかりと規制が行われることが重要だと考えております。

 今後、万一事故が起きた場合の対応につきましては、災害対策基本法に基づく防災基本計画に、環境省を初めとした関係機関が必要な措置を講ずると位置づけられております。

 東京電力福島第一原子力発電所事故由来の放射性物質につきましては、放射性物質汚染対処特措法に基づき取り組みを進めてございますが、今後の廃棄物につきましては、こうした東日本大震災の経験も踏まえまして適切に対処してまいりたいと思います。

玉城委員 放射性物質等に汚染された廃棄物に関しては、これまでにも、例えば、その処理をする場所を求める場合においても非常に困難をきわめているという現状認識があると思います。

 今後、これらの廃棄物を広域処理するということになった場合、決まった場合、この扱いについてはどのように行う予定ですか。

鎌形政府参考人 広域処理することになった場合についてのお尋ねでございますが、原子力発電所の事故につきましては、事故の規模や汚染の広がりなどの状況に応じて必要な対応が変わってくるのではないかというふうに認識してございます。万一汚染が起きた場合には、やはり事故の規模や状況、汚染の広がりなどを踏まえていろいろな対応をしていくということが必要かと思います。

 現在の福島第一原発事故由来の放射性物質汚染廃棄物につきましては、処理につきましては各県それぞれで処理を行う、こういった原則に従っているということでございます。今後につきましては、先ほど申しましたように、事故の規模や状況、汚染の広がりなどを踏まえて考えていく必要があると考えております。

玉城委員 今、都道府県、市町村の処理について、協力を求めるというふうな答弁がありました。

 低線量被曝廃棄物を処理する市町村、この場合には、セシウムの八千ベクレル・パー・キログラムについて、八千ベクレル以下が市町村で処理を行うということで分類されるわけですが、しかし、やはり国が責任を持って行う八千ベクレル以上の廃棄物と、では、市町村の住民からすると、八千以下であればもう大丈夫だというふうな安心感が伴うものであるとは思えないわけですね。

 今後、市町村、都道府県に処理を求めていく、依頼をするという場合においては、どのような計画で行われるものであるかについてお伺いいたします。

鎌形政府参考人 現在の八千ベクレル以下のものにつきまして、東日本大震災事故由来のものについての扱いは、八千ベクレル以下であれば、周辺住民及び作業者のいずれの安全も確保した上での処理が十分可能であるということが確認されておりますので、廃棄物処理法に基づき、従来と同様の処理方法による処理をいただいているというところでございます。

 この点につきましては、住民などの御不安もあろうかと思いますけれども、安全に処理できるということにつきまして啓発していくということに取り組んでいるところでございます。

 いずれにいたしましても、今後につきましても、八千ベクレル以下であれば通常の処理方法で処理が可能であるということについて、周知を図っていくということが必要かと思ってございます。

玉城委員 住民の意識からいたしますと、やはり、何もなかったところに、少しではあっても、安全ではあると言われても、汚染されている廃棄物が来るのは非常に不安を伴うということは言うまでもありません。

 そこで、国が市町村や都道府県に求める協力と役割についてお伺いいたします。

 市町村が行う平時における廃棄物処理事業と、災害時における新たに発生した災害廃棄物等の処理事業を行う際、国と地方自治体との協力体制はどのようにこの法案で定めるものでありますか。

小里副大臣 御指摘のとおり、膨大な量の廃棄物が大量に生じる、そういった災害の場合には、被災した市町村だけでは対応が難しいという場合があり得ます。このため、被災していない、また被災の程度が少ない自治体と国とが協力して、また民間事業者の協力もかりながら、オール・ジャパンでこれに対応していく必要があるわけでございます。

 このため、災害廃棄物を円滑かつ迅速に処理するために、地方自治体と国とが役割分担を明確にした上で連携協力する必要があることを法案に明記しております。

 平時の備えとしましては、本法案によりまして、廃棄物処理法に基づき環境大臣が定める基本方針と都道府県が定める廃棄物処理計画において、非常災害時の備えを規定することとしております。これによりまして、従来以上に平時における災害廃棄物対策が計画的に進められるものと期待をしているところでございます。

 具体的には、関係者間の連携協力を促しながら、環境省が災害廃棄物対策のより具体的な内容をあらかじめ指針として示すとともに、地方自治体や地域の民間事業者、専門家等が参画する地域ブロック協議会を十分活用しまして、地域ごとの行動計画の策定、あるいは災害協定の締結、共同での防災訓練の実施を技術的に、財政的に支援してまいるところでございます。

 発生後の対応策としましては、大規模災害時には、国による基本的な処理方針の策定と、必要に応じて国が廃棄物処理の代行をすることとしております。災害の規模に応じて必要な財政的支援も行えるように、例えば過去の阪神・淡路とか東日本大震災等の対応も踏まえながら、しっかり決断をし、対応してまいる考えであります。

 以上のような国及び地方自治体による適切な役割分担と連携協力については、法案をてことしながら、各地で進めている地域ブロック協議会での議論、また地域レベルの災害協定の締結等を進めていくことなどにより、今後一層実効性を高めてまいる所存であります。

玉城委員 日常の廃棄物処理に関しては、逼迫する地域事情などもあるというふうに思われます。その地域事情を勘案した災害廃棄物の処理事業を行う際、では、代行する事業者の選定については、どのように協力を求めるものでありますか。

鎌形政府参考人 廃棄物の処理は、平時においても余裕のある地域ばかりではございません。災害時にはさらに新たな廃棄物が生ずるということで、一般廃棄物、産業廃棄物の別なく処理能力を超えてしまう場合が想定されます。そういう意味でも、事業者の確保というのは課題ということでございます。

 東日本大震災におきましても、その処理能力を超えてしまった被災地域におきましては、まずは近隣市町村による県内での広域処理、あるいは国が主導して全国的な広域処理が行われましたほか、平素は一般廃棄物処理に関与しないような民間事業者、例えばセメント業者が有する施設を活用する、そういう意味で、一般的に廃棄物に関与してこなかったような事業者にも関与していただく、こういったことで処理能力を拡大いたしまして、オール・ジャパンで対応をしたということでございます。

 今後の災害発生時におきましても、処理能力を超える災害廃棄物の発生が見込まれるということから、法案をてこといたしまして、一つは、仮設の施設の新設とか既存施設の活用につきまして迅速にできるように手続を簡素化すること、地域ブロック協議会の場を通じて、廃棄物処理を行い得る事業者と平素から広域で顔の見える関係を構築して、あらかじめ災害発生時の協力関係について取り決めを行う、こういったことを行いまして、災害時の処理能力の確保、事業者の確保も含めてでございますが、それに努めていきたいと考えております。

玉城委員 時間になりましたので、最後に、簡潔にお答えいただきたいと思います。

 例えば、大規模災害で被災した地域、あるいは、被災した廃棄物処理施設で行っていた、その地域の日常活動に伴い発生している平時の廃棄物処理に関する問題の対策については、どのように行うものとなっておりますか。

鎌形政府参考人 東日本大震災におきましては、例えば、し尿処理のバキュームなど、応援を頼むとかいうようなこともございました。

 今後もこういった対応が必要になりますが、まずは、処理施設の破損については、平時から、耐震化ということで、処理能力が損なわれないようにするということ、あるいは、復旧が間に合わない場合に備えまして、平素から地域ブロック協議会を活用した協力関係を構築して、災害協定などを締結して、代替施設、ほかの施設が使えるように、それが速やかに確保できるように関係者間の協力連携を促していくということで考えてございます。

玉城委員 ありがとうございました。以上で質問を終わります。ニフェーデービタン。

北川委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

北川委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び災害対策基本法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

北川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

北川委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、牧原秀樹君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、維新の党、公明党、日本共産党及び生活の党と山本太郎となかまたちの共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。田島一成君。

田島(一)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読してかえさせていただきます。

    廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び災害対策基本法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。

 一 今回の法改正に盛り込まれなかった放射性物質に汚染された廃棄物の処理体制について、早急に法整備を含めた対応を検討し、万が一原子力災害が起きた場合に備えること。

   あわせて指定廃棄物の処理について各地域で混乱を招いていることから、処理促進についての法整備を含めた議論を加速化し、早急に対策を講ずること。

 二 災害廃棄物の広域処理については、東日本大震災により発生した災害廃棄物を処理する一環で実施した際に得られた知見も踏まえ、災害廃棄物の迅速な処理を大前提としつつ、地域の実情や経済性も考慮した上で、必要に応じ廃棄物処理指針の中に位置付けられ、効率的に処理が行われることとなるよう、関係機関と十分に協議すること。

 三 廃棄物処理施設の設置等に係る手続の簡素化、処理の再委託及び再生利用については、廃棄物の迅速な処理や減量化を進めるために必要性を認識するものの、不適正処理を誘発するおそれがあることに鑑み、適正な処理を確保するため厳格な条件を付すなど十分に配慮すること。

 四 大規模災害における災害廃棄物の処理には莫大な費用が必要になることから、地方自治体の負担に対する不安を払拭するためにも、十分な財政上の措置を講ずるよう努めること。

 五 東日本大震災では既存の廃棄物処理施設が地震や津波で損壊し、処理が遅れたことから、地震や水害で稼働不能とならないよう施設の強靱化に向けた整備、予算の確保など十分な災害対策を講ずるよう努めること。

   また、地域の災害対応拠点となる廃棄物処理施設について、避難所等への電気や熱エネルギーの供給施設としても機能することとなるよう、地方自治体の取組を支援すること。

 六 大規模災害発生時には、甚大な被害により被災地域のみで処理体制を確保することが困難な場合も想定されるため、災害廃棄物の発生量の推計及びその処理に係る最新の科学的・技術的知見を集積し、被災地域を支援するための体制を整備すること。

   また、自然生態系の有する防災・減災機能が災害廃棄物の発生を抑制し、被災地域の負担軽減に資することから、今後のインフラ整備において活用するよう努めること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

北川委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

北川委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。望月環境大臣。

望月国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、環境省として、その趣旨を十分に尊重いたしまして、努力してまいる所存でございます。

 どうもありがとうございました。

    ―――――――――――――

北川委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

北川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時二十四分散会


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