衆議院

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第11号 平成27年9月1日(火曜日)

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平成二十七年九月一日(火曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 北川 知克君

   理事 熊田 裕通君 理事 助田 重義君

   理事 平井たくや君 理事 藤原  崇君

   理事 牧原 秀樹君 理事 田島 一成君

   理事 松田 直久君 理事 浮島 智子君

      穴見 陽一君    井林 辰憲君

      石川 昭政君    小倉 將信君

      笹川 博義君    田中 和徳君

      高橋ひなこ君    武村 展英君

      福山  守君    堀井  学君

      前川  恵君    吉野 正芳君

      篠原  孝君    中島 克仁君

      福田 昭夫君    馬淵 澄夫君

      小沢 鋭仁君    篠原  豪君

      高井 崇志君    真山 祐一君

      島津 幸広君    玉城デニー君

    …………………………………

   環境大臣         望月 義夫君

   農林水産副大臣      あべ 俊子君

   環境副大臣        北村 茂男君

   文部科学大臣政務官    赤池 誠章君

   厚生労働大臣政務官    橋本  岳君

   国土交通大臣政務官   うえの賢一郎君

   環境大臣政務官      高橋ひなこ君

   環境大臣政務官      福山  守君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局整備部長)         印藤 久喜君

   政府参考人

   (水産庁漁港漁場整備部長)            高吉 晋吾君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           石塚  孝君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       野村 正史君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            三好 信俊君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            高橋 康夫君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  奥主 喜美君

   環境委員会専門員     石上  智君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月十三日

 辞任         補欠選任

  赤枝 恒雄君     武村 展英君

九月一日

 辞任         補欠選任

  小沢 鋭仁君     高井 崇志君

同日

 辞任         補欠選任

  高井 崇志君     小沢 鋭仁君

    ―――――――――――――

八月二十五日

 瀬戸内海環境保全特別措置法の一部を改正する法律案(末松信介君外十一名提出、参法第二二号)(予)

同月二十八日

 瀬戸内海環境保全特別措置法の一部を改正する法律案(参議院提出、参法第二二号)

同月二十六日

 原発ゼロと温暖化対策の着実な実行に関する請願(志位和夫君紹介)(第四〇五九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 琵琶湖の保全及び再生に関する法律案起草の件

 環境の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

北川委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省農村振興局整備部長印藤久喜君、水産庁漁港漁場整備部長高吉晋吾君、国土交通省大臣官房審議官石塚孝君、国土交通省水管理・国土保全局次長野村正史君、環境省総合環境政策局長三好信俊君、環境省水・大気環境局長高橋康夫君、環境省自然環境局長奥主喜美君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

北川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武村展英君。

武村委員 質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 また、先日は、衆議院環境委員会として滋賀県の地においでをいただきまして、琵琶湖の視察をしていただきました。北川委員長を初め理事、委員の皆様に対しまして、心からの感謝を申し上げます。

 早速質問させていただきます。

 琵琶湖環境の再生についてですが、琵琶湖総合開発特別措置法に基づく琵琶湖総合開発事業、これは平成八年をもって終了をしています。この法律の果たした役割、そしてまた残された課題について、お伺いをいたします。

うえの大臣政務官 武村議員にお答えをいたします。

 琵琶湖総合開発特別措置法は、琵琶湖の自然環境の保全と汚濁した水質の回復を図りながら、水資源の利用と関係住民の福祉をあわせて増進することを目的といたしまして、昭和四十七年度から二十五年間にわたり、時限法として施行されてまいりました。

 この法律に基づいて、琵琶湖総合開発計画により実施をされました瀬田川のしゅんせつ、あるいは湖岸堤の設置といった治水事業、あるいは砂防、造林といった治山事業によりまして、水害による琵琶湖沿岸の被害の軽減等大きな治水上の効果があったものと考えています。

 また、利水上の効果といたしまして、水道用水の供給事業等の実施によりまして安定的な水供給が図られてまいりました。

 さらに、水質対策といたしましては、下水道、し尿処理施設整備率の向上等によりまして流入河川の水質が大幅に改善をされたところでもございます。

 こうしたさまざまな効果が発揮をされましたけれども、これは、当然、関係行政機関のみならず滋賀県民あるいは流域の府県の皆さんの御協力があったからこそだというふうに考えています。

 一方、近年、さまざまな課題が残されているのも事実だと思います。

 琵琶湖自体の水質の保全、あるいは在来生物の保全、外来生物による被害の防止、あるいは周辺の水辺環境の保全、水草の適正な管理方法の確立、さらにはエコツーリズムの推進などによりまして琵琶湖を活用した観光政策というものが現在喫緊の課題になっていると考えておりますし、さらに、これらの施策の大きな前提となります琵琶湖の自然環境に関する調査研究についても、これからさらに充実をしていく必要があるというふうに考えます。

 私ども国土交通省といたしましても、そのような課題に対しましてしっかりと対応してまいりたいというふうに思います。

武村委員 ありがとうございました。

 今御答弁をいただきましたように、先人の御努力によりまして、近年、琵琶湖への流入負荷量というものは削減をされておりまして、水質は改善傾向にあります。

 一方で、在来魚介類の減少やプランクトンの変化など、生態系において課題が顕在化をしています。こうした生態系に関する課題の多くは、その要因が相互に影響を及ぼし合い、一方の課題の解決が必ずしも全ての課題の解決につながらないといった矛盾を抱えている状況にあります。

 こうした琵琶湖の生態系に関して、国による研究というものはまだまだ不十分ではないかというふうに思っておりますが、国として積極的に調査研究を行う考えは持っておられるのか、環境省の御見解をお伺いいたしたいと思います。

 それから、滋賀県の琵琶湖環境科学研究センターでは、県内の関係機関が有機的に連携をして、それぞれが有する知見や情報を集約、総合化する取り組みを進められています。

 資料一をごらんいただきたいのですが、例えば、滋賀県は、地方創生の政府機関移転に関する提案の中で、国立環境研究所の一部を琵琶湖分室として移転する提案をしています。こうした研究機関の連携に関しまして、環境省の御見解をあわせてお伺いいたします。

奥主政府参考人 お答えいたします。

 私の方からは、生態系の調査に関しましてお答えさせていただきます。

 琵琶湖は、ラムサール条約湿地に登録されているなど、生物多様性の保全上重要な湖沼の一つであると認識しております。

 このような観点から、環境省では、琵琶湖におきまして定点を設けまして、プランクトンでありますとか底生動植物あるいはガンカモ類など生態系の指標となるような生物相の調査を行っているところでございまして、その結果を引き続き公表しているところでございます。

 今後とも、このような調査を進め、情報発信をしていくことによりまして、琵琶湖の生態系の保全が図られるよう取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、滋賀県におかれましては、地方創生の施策といたしまして、国立環境研究所の一部を滋賀県琵琶湖環境科学研究センター内に誘致をするということで、昨日、八月三十一日でございますけれども、内閣官房のまち・ひと・しごと創生本部に提案書が提出されたというふうに承知をいたしております。

 御提案の内容についてでございますけれども、何分昨日提出されまして、私どもの方にも届いたばかりということでございますので、これから、まず、その詳細な内容につきましてしっかり考えていきたいというふうに考えておりまして、それを踏まえまして適切な対応をとってまいりたいというふうに考えております。

武村委員 ありがとうございました。

 琵琶湖の水位の低下についてお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 平成四年に瀬田川洗堰操作規則が制定をされまして、それから琵琶湖の水位の低下が常態化し、生態系に大きな影響を与えています。水位の低下によりまして水草が活発に光合成を行うようになりました。そうした光合成を活発に行うことによりまして大量発生をするようになりまして、ニゴロブナやモロコが産卵する場所が、これはヨシ帯なんですけれども、ヨシ帯が減少するといった問題が生じております。

 水産庁としての御認識をお伺いいたします。

高吉政府参考人 お答え申し上げます。

 琵琶湖におきましては、委員御指摘のように、ニゴロブナなどの産卵場となるヨシ帯の減少ですとか、夏場に水草が大量発生し、それが冬場になると枯れてしまう、こういうことが繰り返し発生することによりまして、湖底が貧酸素化することによりまして水産生物の生育環境に悪影響を及ぼしていると認識しております。

 このため、農林水産省といたしましては、水産多面的機能発揮対策事業による漁業者等が行う湖沼内の水草の除去活動や水産基盤整備事業によるヨシ帯や砂地の造成などに対し支援を行っているところでございます。

 今後とも、水産生物の生育環境の改善に向け、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

武村委員 ありがとうございました。

 琵琶湖それからまた下流での治水や利水との関係で、この生態系の問題というのは大変難しい状況にはあるとは存じますけれども、水産庁としてもお取り組みをいただきたいというふうに思います。

 先日の視察の中で、水草についても、その実態を委員の皆様には見ていただいたところでございます。

 琵琶湖では、水草の異常繁茂が大きな課題となっております。従来から課題となっております水草の除去につきましては、国としての支援制度がない中で、滋賀県や市町が独自の取り組みとして水草の除去を行っておりまして、大変大きな負担となっております。

 お配りさせていただきました資料二それから資料三をごらんいただきたいというふうに思います。資料二につきましては、平成二十七年度の予算について配付をさせていただきました。

 こうした水草の異常繁茂について、環境省の御見解をお伺いさせていただきます。

 それから、近年、外来生物であるオオバナミズキンバイが急拡大をしています。一年間に三倍のペースで拡大をする、大変脅威であるというふうに考えます。こちらにつきましては、資料二の下段と資料四をごらんいただきたいというふうに思います。

 オオバナミズキンバイの駆除につきましては、環境省の直轄事業及び補助事業を実施していただいているところですが、こうした外来生物の駆除に対する環境省の御見解もあわせてお伺いさせていただきます。

高橋政府参考人 前段の水草の異常繁茂のところにつきましてお答え申し上げます。

 御指摘のとおり、琵琶湖におきましては、近年、水草の繁茂によりまして、水質の悪化、悪臭あるいは船の航行障害というような問題が起こっております。滋賀県等が刈り取り等の対策を講じていらっしゃるというふうに承知をしてございます。

 環境省としての取り組みでございますけれども、水草の異常繁茂による影響の分析でございますとか、刈り取った水草の資源としての活用の効果、こういうようなことの検討を目的とした実証試験を琵琶湖において実施してございまして、その結果を公表してございます。

 このような形の支援を通じまして、関係地方公共団体及び関係する省庁と連携いたしまして、琵琶湖の水質保全に努めてまいりたいというふうに考えております。

奥主政府参考人 オオバナミズキンバイにつきましてお答えさせていただきます。

 ラムサール条約湿地でもあります琵琶湖における外来植物対策の推進は、環境省としても非常に重要であると認識しております。

 環境省におきましても、特に近年問題となっておりますまさにオオバナミズキンバイにつきましては、平成二十六年度より、滋賀県や関係市、NPO等で構成する協議会が実施する防除事業を環境省としても支援するとともに、直轄防除事業を行いまして、関係機関と連携して防除を進めているところでございます。

 今後も引き続き、琵琶湖の外来植物対策の推進のため、関係機関と連携をして取り組みを進めてまいる所存でございます。

武村委員 ありがとうございました。

 これまでの質疑を踏まえまして、琵琶湖環境を再生、保全する取り組みに対する環境省の御決意、高橋政務官の方からよろしくお願いをいたします。

高橋大臣政務官 お答えいたします。

 環境省では、昭和六十年に琵琶湖を湖沼水質保全特別措置法に基づき指定をし、これまで申し上げてまいりましたとおり、この取り組みとあわせ、工場及び事業場からの排水の規制、浄化槽設置による汚濁負荷の削減のための措置等の水質保全対策を実施するとともに、生態系の保全及び再生に係る施策に取り組んでまいりました。

 今後も、琵琶湖の重要性に鑑み、引き続き水質の保全や生態系の保全及び再生を初めとする施策にしっかりと取り組んでまいります。

 御質問ありがとうございます。

武村委員 ありがとうございました。

 世界湖沼会議は、琵琶湖を有する滋賀県の提唱によりまして、第一回会議が一九八四年に滋賀県の地で開催をされました。琵琶湖環境を再生し、保全することによって、その成果を全国の湖沼にも展開していきたい、そしてまた、湖沼環境の重要性をこの日本から世界に発信していきたい、そういう思いの中でこの琵琶湖環境の問題に取り組んでいく所存でございます。

 環境委員会の皆様の御厚情に改めまして心からの感謝を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

北川委員長 次に、篠原孝君。

篠原(孝)委員 民主党の篠原孝でございます。

 きょうは、時間をいただきまして質問させていただきたいと思います。

 琵琶湖の視察、私も行かせていただきました。きれいなところで、きちんと水質も保全しながらいかなくちゃいけないと思っておりますけれども、汚染源の一つに農薬があります。この農薬について、きょうは集中的に質問させていただきたいと思います。

 資料をお配りしておりますので、資料をごらんいただきたいと思います。

 まず、一ページ目の資料。

 じっと眺めて、ちょっと字がごちゃごちゃして読みにくい人も、埋まっているか埋まっていないかがおわかりいただけると思います。日本とアメリカとEUで、ネオニコチノイド系農薬、舌をかみそうなのでこれからネオニコ農薬と略称させていただきます、これについて、どういった適用作物にどういう使用方法が許されているかというものなんです。空欄がいっぱいあるところの方が、禁止したり認めていないということなんです。日本は一番埋まっているんですね。こういうことなんです。

 このネオニコ農薬は、非常に問題になってきているんです。どういうところで問題になってきているかというと、皆さん御存じだと思います、ミツバチが巣箱に帰ってこない、授粉ができないということです。

 それで、EUが一番こういうときはいつも先進国で、立派なんです。おととしの十二月一日以降、ここに書いてありますね、ここのところの左から二番目、イミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサム、これを二年間とりあえず禁止するんです、使用禁止です。その間にどれだけ悪影響があるのかということを見るためなんです。

 どうしてそうするかというと、簡単なんですね。我が方はミツバチの、養蜂業者の被害ですが、あちらは、ばあっと一面トウモロコシ畑、一面菜種畑、一面ヒマワリ畑です。あべ農林水産副大臣はアラバマ州とイリノイ州におられて、だだっ広いミッドウェストとディープサウスで見てこられたと思う。ああいうところと日本とは違うんですね。

 ですからあちらは、虫媒花で、ミツバチがいなくなったら、長野県、私の地元だったら、ミツバチがいなくなっても、桃にもリンゴにも人工授粉をやっているわけで、小さな面積だからいいんですけれども、そんなことはできるわけがない。だから、真剣になるわけです。EUがまず気がついたんです。

 アメリカも、ことしの四月二日に、今ここに書いてある以外のものは一切新しく使わせないと。そして、アメリカもやはり検討して、禁止するかどうか決めるというふうになっているんです。何にもしていないのは日本だけなんです。

 理由は、日本は恵まれているんですよ、平地はちょっとしかない。ほとんどの昆虫は、山の中に逃げ帰って生き延びるんです。アメリカやヨーロッパでは、逃げ帰るところがないから全部だめになってしまう。だから、彼らの方が敏感になるんです。我々はそこのところが鈍感になってしまうんです。しかし、後で橋本さんにも伺いますけれども、人間に悪影響が出てきたりする可能性があるんですよ。だから、ちゃんと禁止していかなくちゃいけないと思うんですよね。

 十二月一日、二年たったら検討し直すということになっているんですが、その状況がどうなのか、そして、なぜ日本は、EUやアメリカがネオニコ農薬を禁止しようとしているのに、おくれて、禁止できないのか。この点、あべ農林水産副大臣にお伺いしたいと思います。

あべ副大臣 委員にお答えいたします。

 この質問、特にネオニコチノイド系の農薬につきましては、委員から平成二十五年の六月にも質問いただいたところでございますが、EUにおきまして、ミツバチの被害が生じることがあるということで、平成二十五年十二月より、登録されている五種類のうち三種のネオニコチノイド系の農薬につきまして、ミツバチの好む作物、例えば菜種、トウモロコシなどにつきまして、また穀物の使用の一部を制限すること、一般家庭などによる使用を禁止し、農家などによる使用のみ認めることの処置を実施しているということは、委員がお話ししてくださったようでございまして、私どもも承知しているところでございます。

 現状でございますが、これらの措置の導入に当たりまして、二年以内に、新たな科学的知見を考慮いたしまして評価を開始することとしているため、EUにおきましては、農薬のリスク評価を担当するところの欧州食品安全機関、EFSAというふうに言いますけれども、ここが、加盟国の政府また研究機関、産業界の関係者に対しまして、関連する最新の研究結果をことしの九月三十日に提出するよう求められているところでございます。

 今後、EUにおきまして、提出された最新の科学的知見に基づきまして、EFSAによるリスク評価が行われるものというふうに考えているところでございます。

 また、なぜ日本はEUと歩調をとってこの農薬の使用を禁止できないのかという委員の質問でございますが、このネオニコチノイド系の農薬に関しまして、ほかの殺虫剤に比べますと、人や水生生物に関する毒性が弱いなどということから、いわゆる稲作のカメムシを初めさまざまな作物の害虫の防除に広く使用されているものでございます。

 我が国は、平成二十五年から実施しているミツバチの被害事例に関する調査の結果から、欧米で報告されているような蜂群崩壊症候群はこれまで報告されていないとのこと、農薬に関するミツバチの被害は、いわゆる稲作の開花期に、このカメムシ防除に使用した殺虫剤を直接浴びたことなどが原因の可能性になることがわかっております。

 このため、我が国では、ミツバチが農薬を浴びないよう、農家と養蜂家の皆様と情報共有を行うように指導してきたところでございまして、さらに、二十六年度の調査結果を踏まえまして、情報共有をまた徹底するよう改めて都道府県に指導通知を出すとともに、被害の多かった都道府県の意見交換を行うなどの指導の改善を行ったところでございます。

 引き続き、ミツバチの被害事例に関する詳細な調査、また、この農薬のミツバチへの影響に対する試験研究を行っているところでございまして、必要があれば、使用方法の変更も検討していきたいと思っております。

 また、蜂群崩壊症候群でございますが、実はアメリカでCCDの原因は今も特定されていないところでございまして、ミツバチの減少が短期間に急激に生じる、また、巣箱の中には蜜また女王蜂が残されている、また、働き蜂は小さな固まりしか残っていない、死んだ蜂が巣の中や周りに発見されないという、本当に特徴があるのが症候群でございまして、引き続き、私ども、しっかり検討しながら、また方向性も見直していきたいところでございます。

篠原(孝)委員 日本のやり方はちゃちなんです。さっき言いましたように、日本はちっちゃいんです。だから、ミツバチはほかのところに逃げ帰ったりして生き残れるんです。ヨーロッパやアメリカでは、一面同じ作物ですから、逃げていくところなんかないんです。だからといって、手をこまねいていてはいけないんだろうと思うんです。

 全然違った方向に日本は行っているところもあるんです。

 次のページの資料を見ていただきたいんです。

 農薬の関係のお金がどれだけかかるか。非常にわかりやすい名前ですね。ダントツ粒剤DL、断トツによく効くということがあるんだろうと思います。これがネオニコ農薬の典型的なものです。

 それで、今、副大臣の答弁の中にありましたように、カメムシ、開花期にちょっとしたいたずらをする。それで斑点米というのができるんです。斑点ができてしまう、色が変わってしまう。だから、これがよくない。

 日本の制度は精緻にできているんです。大分古めかしいんですけれども、一九五一年にできて、七八年に改正したっきり後は改正していない。この斑点米が〇・一%以内だったら一等米、〇・三%だったら二等米、〇・七%を超えると三等米。価格差があるんです。一等米と二等米で六百円なんです、六十キログラム当たり。これは頭の中に入れておいてください。

 どれだけお金がかかるかというのは、人によって、場所によって違うんですが、平均大体二回だそうですので、三回以上散布してはいけないというふうになっています、三回で計算してあります。ちょうど三キログラム、これが三千円ですけれども、十アールにぴったりなんです。それで、僕、一ヘクタールので試算してあるんです。見てください、一ヘクタールに使用する農薬はこれだけになって、三回散布するとすると年九万円から十二万円かかる。

 下を見てください、ここが日本のやり方なんです。果樹の選果場で、糖度計、光センサーとかですね、糖度が外から見てわかる。米についてはもっと進んでいるんです。

 サタケというところから聞きました。日本の一番の企業で、世界じゅうに日本の精緻な精米機が輸出されています。そこに色彩選別機というのができました。一九七〇年代からです。最初は三千万とか四千万とかいう高いものでした。今はずっと安くなって、下を見てください、カントリーエレベーター、でかいところにやるようなものでは六百九十万。二番目の丸、農家、一農家当たりは二百万とか百六十八万。一時間の電気代は十四円です。電気代が高くなったって知れているんです。それで、そこにLED。耐用年数のところを見てください。蛍光灯からLEDに変更して、耐用年数は相当長くなっている。一応税法上の減価償却は七年でなっていますけれども、十五年から二十年もつと言われているんです。

 何を申し上げたいかというと、いいですか、皆さんおわかりになると思います。玄米にして、玄米で流通する、また、精米して白米に、完璧にするんです。今、でかいライスセンター、カントリーエレベーターの中で、この色彩選別機がついていないなんということはめったにないんです。地元に帰って聞いてみてください。高橋大臣政務官も、岩手県に帰って聞いてみてください。だから、どういうことかというと、最後に色彩選別機で選別できるんです。農薬をかけなくたっていいんです。

 それを、古めかしい基準があって、それで古めかしい防除暦があって、みんなそれに従うわけじゃないですけれども、私のところ、長野県の真面目な農家は、防除暦というのが農協から配られてくる、このときにこういうふうに防除するのだと、これだけだといったら、そのとおりに、マニュアルどおりに必ず消毒をするんです。そして、少しでも等級が上の方にと。等級自体が何の意味があるのかと私は思います。発想を変えなくちゃいけない。農薬を使わずに。

 日本のイノベーションはここまで進んでいるんです。色彩選別機、これはガラスだとか変なものをみんな省くんです。だから、そんなこと、農薬でもって斑点米をなくして、カメムシをなくしてということをする必要はないんですけれども、これについてどうお考えになるか。

 私は、そうやってやっていったら、この一等、二等のところにいろいろなものがあると思いますけれども、基準も無意味になってきているんじゃないかと思うんです、昔と比べて。そんなものは関係ないんだということで。ちょっと違うだけなんです。外観ですよ、中身じゃなくて。見てくれがいいかどうか。ジャガイモがでかい、でかいけれどもちょっとでこぼこしている、これは見てくれが悪いから等級がだめだと言っているようなものなんです。だけれども、色の悪いものというのはわかりますよ。色が入っていたら、銀座の高級すし屋さんで斑点米が入っていたら、これはよくないと思います。だけれども、そんなことはもうこの技術進歩であり得なくなっています。

 だから、斑点米の排除などというのは米の等級の基準から外してもいいと思うんですけれども。ぜひそうしていただきたいと思っています。いかがでしょうか。

あべ副大臣 委員にお答えいたします。

 等級に関しまして、また、農産物の検査規格に関してでございますが、米などの大量流通する農産物に関しまして、現物を確認することなく効率的な取引を可能とするための仕組みが農産物の検査規格でございまして、国が生産者、流通業者、また消費者などの関係者の意見を聞いて決めている、定めているものでございます。

 着色粒に関しての検査規格に関しましては、本年も、一月から三月にかけて三回にわたりまして、生産者、実需者、さらには消費者などの関係者を集めまして、玄米の農産物検査規格に係る情報交換会を開催したところでございます。

 生産者からは、着色粒、いわゆる厳しい検査規格設定が生産者に過度な生産管理を強いているという意見が委員のおっしゃるとおりある一方で、実需者の方に関しましては、着色粒に関しまして、依然として消費者のクレームの主な要因でございまして、流通段階で着色粒の除去は多額のコストがかかるため、生産段階の十分な対策が必要との意見があるところでございます。

 このように、着色粒の検査規格に関しまして、関係者間でもさまざまな御意見があるところでございまして、引き続きさまざまな関係者の御意見を伺った上で、私ども農林水産省として判断をしてまいりたいと思っているところでございまして、また、着色粒の生産段階の対策に関しましては、カメムシの水田への侵入を防止するための畦畔の下刈り、また、休耕田の除草の励行などを行いまして農薬の軽減を図ることも可能であるということも私ども考えているところでございます。

篠原(孝)委員 それはちょっと、現場の声がちゃんと副大臣に届いていないんですね。消費者、私の昔からつき合ってきている安全に非常に気を使う消費者は、前からこの問題について気がついているんです。

 アンケート調査ですけれども、実需者からクレームがつくというのはほとんどないはずなんです。なぜかというと、さっき言いましたように、二段階で、玄米の段階でも選別機をかける、このときはまだ玄米だからちょっと見逃すところがあるんですけれども、白米になったらほぼゼロになるんです。コストもそんなにかからないんです。大量流通するところはもうみんな持っているんです。

 では、どういうところに気を使うかというと、精米についてのクレーム、アンケートでは、一番は虫が入っているというものです。二番目は味です。三番目は白濁米です。これは同じように白いから区別できないんです。黒い米はという問いに対して、流通業者、実需者、もう精米工場で取り除かれているので、黒い米についてのクレームは最近聞いたことは全くありませんと。これが実態です。おわかりになりますか。お金がかかると言うけれども、さっきの二ページのところを見てください、本当にお金がかかっていないんです。

 次に、三ページ目を見てください。

 これは私の長年おつき合いしている農家の方でして、彼らが一生懸命無農薬米をつくろうということで苦労されているんです。見てください。ちょっと算数は私も余り得意じゃないので、こういう表を見せられてもぱっとわからないんですけれども、わからない私が説明をすると皆さんはわかっていただけるんじゃないかと思うので、聞いていただきたいんですが。

 二等米と一等米の差は六百円。見てください、一番左。それを、右側で四百二十一円というのは、防除薬剤費と散布料金でもっていろいろやると、さっきの農薬とちょっと違う名前の農薬ですよね、それから無人ヘリ、ドローンじゃないですよ、無人ヘリの散布料金が十アール当たり千百円とか、こういうのをかけると、四百二十一円かかっているということなんです。左から二番目のところの一等米の色彩選別の歩どまりロスというのが十五円、二等米のところは四十六円だと。

 これは後でじっくり読んでみていただければわかるんですが、六百円の一等、二等の格差をなくすために膨大なコストをかけてしまっているということなんです。そして、そんなやらなくてもいい農薬を使って、絶対に、虫に悪いものは人間にも悪いんです。自然を壊すということになるわけです。外部不経済。膨大なコストがかかっている。

 ところが、ちゃんと、日本のメーカーは立派ですから、そういう農家の要望に応えて色彩選別機というのをつくっているんです。何で、これをわかって、こっちでもって解決しようとしないのか。これは農林水産省の姿勢一つで変わるんです。消費者もそんなことをもう要求していないんです。それで、実際に現場で困ってもいないんです。

 もちろんあるんです。あるというのはどういうことかというと、全部がカントリーエレベーターに行って、ライスセンターに行って出荷するんじゃないですから、小さな農家、一ヘクタールの農家が、大体六万円ぐらいの農薬、そして散布代とか何かやれば十万円だと。俺は、もう息子はやる気がないし、あと十年ぐらいでやめるといったら、毎年十万だって百万で、選別機を買ったら百六十五万とか二百万になったら、もう買うのをやめようという農家はいます。いますけれども、それはちゃんと農協に持っていったりして、検査してもらったり選別してもらえばいいわけです。これで農薬代が減りますし、琵琶湖の水もきれいになって、農薬で汚染されることはないんです。

 残留農薬の問題も相当あるんです。これはもうつべこべ言ったってしようがありませんけれども、下流に一〇%ぐらいが流れ込んでいるんです、川の水に。ですから、外部不経済のことを考えたら大変なんです。

 それで、外部不経済の中で、こんなの、お金はどうやって計算するかといったら、もう計算し切れないわけです。農業は多面的機能を持っている、自然を守っている、それはあるんです。あるんですけれども、農薬を使って、化学肥料をがばがば使ってやっているところは外部不経済。逆なんです。環境を傷めているんです。それはそうですよ。自然の状態のを人間に都合のいい作物に変えて、一面をそれにしてしまうわけですから、物すごい環境破壊なんです。だけれども、しようがない。

 だけれども、自然界の方がもっと脆弱です。ミツバチだけじゃないんです。赤トンボ。私は二年前のときに、赤トンボとスズメとツバメと、減っている、これは気がついているの、ミツバチだけじゃないんですよと。だけれども、赤トンボの数を調査して、十年前、二十年前と比べられる人はそんなにいないんです。

 僕なんかが小さいころは、竹でこうやってやっていたらもうばたばたおっこちるぐらいアキアカネが秋になると山からおりてきて、もう田んぼの上じゅうみんな赤トンボで、今、この赤トンボもほっておくと絶滅危惧種になっちゃうかもしれないんです。やっと環境省が調査、調べるということで、高橋大臣政務官、遅過ぎるような気がするんですけれども。

高橋大臣政務官 御指摘ありがとうございます。

 環境省としましては、平成二十六年度から、ネオニコチノイド系農薬が我が国における水域生態系の重要な指標であるトンボ等の生息状況にどのような影響を及ぼしているかを把握するための調査を行っております。今年度も、毒性試験方法の改良やトンボ等の継続的な生息実態調査などを進めていきたいと考えております。

 また、スズメ等の鳥類について、平成二十五年五月に、鳥類に対する農薬のリスクを評価、管理するためのマニュアルを作成、公表しております。このマニュアルに基づいて、現在まで、各農薬開発企業によるリスク評価も行っております。

 御指摘いただきましたように、環境省の方も取り組みをしっかりとしてまいりたいと思っております。

篠原(孝)委員 環境にも大きな悪影響を及ぼしているはずなんです。だけれども、因果関係が、先ほどあべ副大臣の方からありましたけれども、アメリカのCCDが、完璧な因果関係はわからないと。それはわからないんですよ。わからないんですが、わからないからほっておいていいというんじゃなくて、これらに関係あるんじゃないかという前提のもとに対策を講じていかなかったら、気がついたときには遅過ぎるというふうになってしまうんです。

 私はよくわかりません。ここから後は、いいかげんなことを言うなと言われるかもしれませんけれども、我々、昔は花粉症なんてなかったです。私なんかも全然ないんです。私の周りで見ていると、これを言うとまた怒られるかもしれませんけれども、ちょっと空気が汚れたところとかで育ったりして、余り新鮮なものを食べなかったような人の方がなっているような気がするんです。僕なんかは全然なっていないんですね。こんな減らず口をたたいて、あしたから花粉症になると大変なんですけれども。

 それで、アトピー性皮膚炎なんというのも確実に昔はなかった。いろいろな変なものを吸い込み、変なものを食べて、添加物だとか何かを食べたりしているから体が拒否反応を示しているはずなんです。私はわかりません。それから、ぜんそくとかいうのもそうです。だから、鼻とか皮膚とかが反応しているんです。だけれども、最も敏感に反応するところはどこでしょう。看護婦さんをやっておられて、勉強されたのでおわかりだと思うが、私は脳だと思う。脳の中の成分が、ちょっとした変化があってもおかしくなっていくんじゃないかという気がするんです。

 だから、これは、そんないいかげんなことを言うんじゃないと言われるかもしれませんけれども、我々のときはなかった発達障害児だとかADHDだとか、こういう問題があります。何でこういうふうになっているか、因果関係はわかりません。ですけれども、何か変なものが我々の体に入り込んで、それが脳に行って変なふうになっているんじゃないか。私は、スズメやツバメやトンボもそうですけれども、人体への悪影響というものを真剣に考えなければいけないんじゃないかと思います。

 EUもアメリカもそれをしているはずなんです。日本もぜひしていただきたいんですけれども、橋本さん、いかがでしょうか。

橋本大臣政務官 お答えをいたします。

 ネオニコチノイド系農薬を含め、食品中の農薬の残留基準値というものが定められているわけですけれども、それは現に、食品安全委員会が最新の科学的知見に基づいて定めた一日摂取許容量、御案内のとおりADIというものですけれども、に照らして、子供さんあるいは妊婦の方も含め、国民の健康に影響が出ないように適切に設定をされているという状況なわけであります、既に。

 また、厚生労働省では、流通する食品について、平均的な食事を摂取した場合の実際の農薬の摂取量を調査しておりまして、この調査結果によりますと、国民のネオニコチノイド系農薬の摂取量は、一日摂取許容量、ADIを大幅に下回ることが確認をされております。

 例えばを言えば、一つのものについて、最大のものであってもADIに対する摂取量の比は〇・七三%ということで、ADIの一%にもいっていないという状況であります。

 このような形で、現在の残留基準値について安全性に問題はないものと考えておりますが、ネオニコチノイド系農薬の人への健康影響に関しては、引き続き、情報収集や摂取量の調査を行い、食品の安全性の確保に努めてまいる所存でございます。

 以上です。

篠原(孝)委員 基準値とかいうのをどうやって定められるのか、それはそれなりの一定の基準値があるんだろうと思いますけれども。

 私が聞いたりしているのでちょっと紹介いたしますと、農薬をかけるので、それで日本は住宅地と近接しているわけです。そうすると、これに気がついて、長野県で大反対運動をしている人がいるんです。経験からなんです。何か、幼稚園児ですけれども、保育園児、幼稚園児、幼保一体でいろいろありますけれども、そこで子供たちが変になるというんです。何を言い出すのかわからない。そのとき、決まって農薬散布をしているというわけです。おかしくなる。

 我々、放射能に対しても、四十歳以上と四十歳未満で感受性が違うというのはあると思います。子供たちに確実に悪影響が及んでいるんじゃないかと私は思います。直接散布で、直接吸引ですよ。もちろん残留農薬というのもあります。だから、悪いにおいはもとから断たなくちゃだめなんです。

 日本は、冒頭申し上げましたけれども、森林が六割以上あって、そこがあるから、そこがねぐらになっていて何とかもっている、そういうのがあるので一番ルーズになってしまっているんです。これをちゃんと改めていかなかったらいけないんですね。

 そして、技術進歩が相当しているんですよ。こうやって色彩選別機で斑点米など全く問題をなくすことができるんです。高コスト、高コスト、高コストと言っているわけですね、日本の農業は。農薬代もかかっているんです。こういう技術革新を取り入れてこれを低減することを、三省庁、日本政府全体で取り組んでいただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。

北川委員長 次に、田島一成君。

田島(一)委員 民主党の田島一成でございます。篠原委員に続いて質問させていただきます。

 まずは、二十四日、先週、この環境委員会で、私の地元でもございます滋賀県の琵琶湖に御視察をいただきました。委員長以下皆様に心から御礼を申し上げますとともに、また、地元滋賀県にあっても、いろいろと御準備をいただきました。そのことに心から御礼を申し上げたいと思います。

 百聞は一見にしかず。やはり生の琵琶湖を見ていただいて、御出席いただいた委員の皆様も、琵琶湖の生の雄大さ、また、まだ今なお抱えているさまざまな課題について見識を広げていただいたことと思っているところでございます。

 この視察を含めまして、きょうは、滋賀県の琵琶湖につきましてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 残念なことに、大臣は御多忙でありましたので御一緒していただくこともできませんでしたが、大臣は、琵琶湖、船に乗られたことというのはあるんでしょうか。

 それだけでは終わりません。御承知のように、日本で一番大きな湖でもありまして、古代湖、さらには、一千四百五十万人、日本人の一割を超える人々の命の水を提供する湖でもあります。

 琵琶湖にしかすんでいない固有種もおり、そういう意味では非常に特性が高いという認識を私は持っておるんですけれども、これまで大臣はどのような御認識を持っていらっしゃったのか。これまでの琵琶湖とのかかわり、御経験もあれば、そのあたりも含めて御紹介いただき、お答えをいただければと思います。

望月国務大臣 琵琶湖は、私は行ったことが何回かございまして、琵琶湖のほとりのホテルに、私の後援会があそこに泊まりたいということでバス何台かで、泊まったことがございまして、そのときに、我が国最大の湖といいますか、そういったことで、すばらしいな、やはりこういったものをこれからも大切にしていかなくてはいけない、我が国の大切な湖だなということを感じたことを今でも覚えております。

 今、先生の方から御指摘がございましたように、琵琶湖は日本最大の、国内に比類なき湖であるということ、それから近畿圏、特に二府二県の、治水、利水を通じて約千四百五十万人ですか、これはもう日本の人口の一五%程度ですから、相当の皆さんがこれの恩恵をこうむっているということ、そういうことで、社会経済活動を支える貴重な水資源として重要な役割を果たしている、我々はやはりそういったことをしっかりと認識しなくてはいけないな、こんなふうに思っております。

 また、琵琶湖は、先生の今御指摘のように、四百万年以上の歴史を有するという世界的に本当にまれな湖でございまして、多くの固有種が存在する等、豊かな生態系を有している。先ほど局長の方から話がございましたが、ラムサール条約といいますか、そういう湿地帯ということで、国際的に重要な湿地としても登録をされている。そういう意味では、我々は、日本の国の一番最大の湖、湿地帯を我々がしっかり守っていかなくてはいけないな、こんなふうに思っております。

 貴重な自然環境及び水産資源の宝庫として重要性が非常に高い、このように認識をしております。

田島(一)委員 ありがとうございます。

 どうも、琵琶湖は滋賀県の県土の中にすっぽりとおさまっているというところもありまして、我々その琵琶湖のほとりに住まう者としては、何か滋賀県だけが琵琶湖を預かって、保全や再生活動に取り組んでいるやに思うところでもあります。

 事実、七月一日は、びわ湖の日と制定をし、滋賀県民総出となりまして、七月一日を前後する日曜日や土曜日には、琵琶湖一斉清掃の日と位置づけて、自治会単位で、またいろいろな各種団体がこぞって琵琶湖の湖岸清掃や河川清掃等々に汗を流すのがもう当たり前になってまいりました。なかなかそのことを、恩を売ろうだとかというつもりは毛頭ございませんが、決して滋賀県だけのものではない、今大臣も御認識をいただいたとおり、二府二県のためのものだけでもない、貴重な生態系と、そして大きな命を育んでいる湖を、国民全体の財産という位置づけを、ぜひこの機会に改めて認識を共有させていただきたいと思っているところであります。

 さて、他の委員からも質問があり、重複する部分もできる限り割愛させていただきながら次の質問に移らせていただきたいと思いますが、平成八年に失効いたしました琵琶湖総合開発特別措置法について振り返らせていただきたいと思います。

 琵琶湖にまつわる単独の法律といえば、この琵琶湖総合開発特別措置法、二十五年間にわたって国費約二兆円が投入をされ、水質また利水、治水等に重点的に予算が向けられてきたところでもあります。現に、琵琶湖に負荷をかけないようにと、公共下水道の整備や、また湖周道路の整備等々、目に見える形での足跡もたくさん残していただき、一定の成果はあったと私も認識をしているところでありますが、改めまして、この琵琶湖総合開発特別措置法、当初の目的と照らし合わせながら、幾つかやはり積み残した課題があるのではないかというふうに思っております。

 その点につきまして、まず、国土交通省の審議官にもお運びいただいておりますので、お答えをいただけますでしょうか。

石塚政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の琵琶湖総合開発特別措置法でございますが、この法律に基づきます琵琶湖総合開発計画では、保全、治水、利水の観点から、計二十二分野における事業が行われております。

 治水面では、瀬田川のしゅんせつによる疎通能力のアップでありますとか、湖岸堤の設置によります浸水被害の防除等の治水事業による直接的な効果に加えまして、砂防等の治山事業による土石流の発生あるいは流出抑制などによりまして、水害による琵琶湖沿岸の被害の軽減等に大きな効果が得られております。

 加えまして、利水上の効果としては、水道用水の取水口の琵琶湖沖への移動等、種々の水位低下対策等や水道用水供給事業等により、渇水時におきましても被害がほとんど生じなくなり、安定的な水供給が図られるようになっております。

 さらに、水質向上の効果といたしましては、下水道、し尿処理整備率の向上、畜産環境整備施設、農業集落排水処理施設、ごみ処理施設といった水質保全事業によりまして、流入河川の水質、特に南湖に流入する河川の水質改善が図られております。

 一方で、当時、引き続き残されていた課題といたしまして、琵琶湖それ自体の平均的な水質につきまして、水質汚濁の指標でありますCODが漸増傾向にある等水質保全についての課題が残されていたわけであります。また、森林、農地等の減少によります水源涵養機能の低下でありますとか、生物多様性、琵琶湖固有の景観の保全といった自然的な環境あるいは景観保全に関しても、その保全の必要性が認識をされていたと理解をいたしております。

田島(一)委員 ありがとうございます。

 今御指摘をいただきました水質汚濁の観点につきましては、やはり課題として残ってきていることを御承知いただいていることを大変うれしく思っているところであります。

 この琵琶湖総合開発特措法のみならず、滋賀県の中にあっても、粉石けん運動というものを、当時、武村正義滋賀県知事が提唱されて、県民運動として大きく展開をされました。そのことによって、日本全体の洗剤メーカーをも動かし、無燐洗剤の開発が大きく伸び、今日ではそれが当たり前のようなマーケットになってきたところでもあります。

 こうした地元での地道な取り組み、当時は、婦人会や女性たちが、軽トラックに洗濯機を載せて、粉石けんを使いましょうという運動を本当に地道に展開をされました。こうした努力もあって、琵琶湖の流入負荷量の推定値、先ほども示されましたCODや全窒素、全燐自体は昭和四十年代の数値にまで戻ってきたという画期的な数字が、しっかりとその努力、足跡を残しているところでもあります。

 しかしながら、栄養塩のバランスでありますとか、また水環境の変化、しかも溶存酸素の低下などで湖底環境も相当変わってきておりますし、さらには水草の大量繁茂、そして水質と生態系の関係がいま一つ解明につながっていないというような問題もあるやに私は思っているところでもあります。

 とりわけ、汚濁のメカニズムについては、琵琶湖だけではなく日本国内のありとあらゆる湖沼にも適用される問題であり、これは湖沼特別法の改正を審議する折にも私も取り上げた課題ではありましたが、やはり、琵琶湖におけるさまざまな大きな課題、問題点を解明せずして、全国の湖沼の水質汚濁メカニズム、水質汚濁を解明していくことにはなかなかつながらないんだという認識が必要なのではないかと思っているところであります。

 そこで、環境省にお尋ねいたしますが、今し方国交省審議官の方が、総合的な評価というものをしていただいた上で、特措法失効の平成八年から今日に至るまで、環境省として新たに浮上してきたこの課題についてどのような認識をお持ちなのか、お伺いをしたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 滋賀県におきましては、琵琶湖総合開発特別措置法失効後におきましても、湖沼水質保全特別措置法に基づきまして策定されております琵琶湖水質保全計画に沿いまして、下水道、浄化槽の整備などの生活排水対策、あるいは工場、事業場からの排水対策等の措置に取り組んでおられます。

 また、水質汚濁のメカニズム解明という観点からは、平成十七年度から、水環境保全施策の効果を定量的に予測するための琵琶湖流域水物質循環モデルというものを構築されるというような先駆的な取り組みもされているということを承知しております。

 このような滋賀県の先駆的な取り組み、積極的な取り組みの結果として、御指摘のとおり、琵琶湖に流入する汚濁負荷は着実に削減をされてきているということで、県の取り組みについては一定の成果を上げられているというふうに考えております。

 ただ、御指摘のとおり、環境基準の達成という意味では、北湖のトータル燐以外は達成をしていないということもございますし、特に、難分解性の有機物がふえてCODがふえているというようないろいろな知見が出ております。また、プランクトンの組成も以前のものに比べると変わってきている、それが魚の生産に必ずしも結びついていない、さまざまな指摘がございますけれども、これらの要因についての分析といいましょうか解明については、引き続き課題になっているというふうに認識をしてございます。

田島(一)委員 先ほども武村委員の方からも御指摘があったとおり、年を追うごとに、いわゆる温暖化の影響ももちろんあろうかと思います、気候変動や環境の変化は琵琶湖に本当に多大な影響を及ぼし、昨年大量発生した水草や外来植物、藻が来年も必ず繁殖するとは限らない。本当に、その年々によって状況がどんどん変わっているという予測しがたい環境に今置かれているということも、ぜひこの場で皆さんとともに認識を共有させていただきたいと思っているところであります。

 滋賀県が先駆的に、本当に琵琶湖を守らなければならないという責任感に基づいてさまざまな施策を展開されてきましたが、滋賀県一つの自治体だけで対応が及ぶものではありません。ぜひとも、今御認識をいただいたことを踏まえて、国としての宝という意思、思いがあるのであれば、ぜひ力強い対策を講じていただくことを強くお願いしたいと思っているところであります。

 さて、話を少しかえますが、琵琶湖は、水質の問題だけではなく、琵琶湖を通じて環境学習等々に生かそうという、そういった取り組みも滋賀県で独自にやっていただいております。滋賀県教育委員会が、学校教育の一環ということで、滋賀県内の全ての小学校五年生を対象に昭和五十八年度からスタートいたしました学習船「うみのこ」、これについて文科省にお尋ねをさせていただきたいと思います。

 先ほど申し上げました昭和五十八年就航以来、ことしで既に五十万人を超える小学校五年生が乗船をし、一泊二日の宿泊体験学習を行っております。私の五年生のときにはまだ就航しておりませんでしたので経験はないんですが、子供たちはほとんど、他の小学校の児童と乗船を一緒にし、そして宿泊体験をし、大変強烈な思い出を残しながら、琵琶湖の偉大さ、そして、琵琶湖を守ろうという意識づけに非常に効果が上がっているというふうに私は認識をしております。

 残念なことに、滋賀県内の児童だけでありますが、私が思うに、ぜひ、つい二十四日にこの環境委員会の皆さんが船に乗っていただいたのと同じように、少なくとも二府二県の流域の子供たち、いえ、それにとどまらず日本全国の子供たちにも、こうした環境学習の一環として体験をさせてあげたいな、そんな願いをずっと持ち続けておるところでもあります。

 さて、文部科学省におかれましては、こうした「うみのこ」、環境学習船の取り組みについてどのように御認識をしていただいているのか。とりわけ、今後、私が先ほど申し上げた、下流府県や全国の児童にこのような機会を提供するには、もちろん一隻の船だけでは、年間二百日近く稼働しているわけでありますから、全員乗せるわけにもまいりません。しかし、何とか乗船の機会を拡充すべきというふうに考えますけれども、どのようにお考えか、御所見を聞かせてください。

赤池大臣政務官 委員御指摘のとおり、滋賀県内におきましては、環境に主体的にかかわる力や人と豊かにかかわる力を育むためということで、学校教育の一環として、県内の小学校五年生を対象とした、環境学習船「うみのこ」による琵琶湖を舞台とした宿泊体験活動を行っていることを文部科学省といたしましても承知をしているところでございます。

 滋賀県の御努力によりまして、平成二十六年は京都府三校、大阪府三校、平成二十七年は京都府三校、大阪府二校にも既に乗船をしていただいているということも聞いている次第でございます。

 文部科学省といたしましては、児童生徒の社会性や豊かな人間性を育むために、平成十八年の改正教育基本法にも、発達段階に応じて、自然体験活動等のさまざまな体験活動を行うことや、環境に対する理解と関心を深められるようなことも改めて明記をさせていただいて、環境教育を推進することが大変重要であるというふうに考えている次第でございます。

 環境学習船「うみのこ」の取り組みというのは、大変これらの趣旨に合う有意義な取り組みであるというふうに考えている次第でもありますし、貴重な自然環境である琵琶湖を活用して、滋賀県下にとどまらず、広域的な形で自然体験活動や環境教育が行われることに対しまして大変期待をしているところでもございます。

 既に平成十四年度から、学校が行う宿泊体験活動に対して、文部科学省といたしましても財政的な支援を行っている次第であります。来年度の概算要求に関しましても、約三億円を計上させていただきまして、これは各地域の自主的な取り組みを文部科学省が支援するという枠組みになっておりますので、ぜひそういうような形で、環境学習船の活用も含めて、宿泊体験活動が取り組まれることを期待しておりますし、推進してまいりたいと存じます。

田島(一)委員 ぜひ、政務官も一度「うみのこ」に乗って、子供たちと一緒に一泊二日研修を体験していただくといいかなというふうに思うんです。そのときには私も御一緒させていただきますので、日程が調整できれば御一報いただければと思います。

 実は、もう一点、国環研の移転の問題についても御用意をさせていただきましたが、先ほど別の委員からもお尋ねがありました。まだ始まったばかりの議論でもあり、申し込みがようやく締め切られた段階でありますから、お答えができないことを承知で用意した質問ではありましたけれども、理にかなった要望ではないかというふうに私も思っております。ぜひ、そのあたり、私の方からも深い検討をしっかりとしていただくことを強く要望させていただき、質問については割愛をさせていただきたいと思います。

 次に、農水省の方からもきょうはお越しをいただきましたので、農林水産業の分野における琵琶湖とのかかわりについてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 琵琶湖は淡水湖でありますから、湖魚という、いわゆる淡水魚の漁等々ももちろんなされているところであります。しかし、漁業だけではなく、農業にあっても林業にあっても実に大きくかかわりを持ち、そしてまた、滋賀県にあっては、琵琶湖を守るという大きな崇高な目標のために、農業も漁業も林業も非常に心を砕き、さまざまな施策を展開してきたということがこれまでございました。

 例えば、かつては琵琶湖と田んぼがつながっていた中を湖魚の稚魚が行き来をする中で産卵し、そしてまた湖魚が生育し琵琶湖へと渡っていくという当たり前の光景、最近では全く見られなくなりました。こうした原風景をもう一度というような思いから、魚のゆりかご水田という事業を滋賀県で独自に展開もしており、水田で育った湖魚をさらに琵琶湖へと戻していこうというような取り組み、もうこれも既に、二百五十ヘクタールを目標に設定をして、魚のゆりかご水田プロジェクトをスタートしています。

 さらには、先ほど篠原委員がお話しいただいたネオニコチノイド系もそうなんですけれども、化学合成農薬や化学肥料の使用量を五割以下に低減をし、濁水の流出防止に努めた環境こだわり農業を推進する中で、こだわり農産物の認証制度も既にスタートをしているところでもあります。この栽培面積も、一万八千ヘクタールを目標に進めようとしているところであります。

 これからもさらにこうした琵琶湖の保全、再生に重きを置いたさまざまな取り組みを支援していく必要があるのではないか。ある種、環境にこだわる農業のあり方のフロントランナーとして大きな役割に期待が寄せられているのではないかというふうに私自身思っているところでもあります。

 その一方で、琵琶湖に注ぐ水の水源地に目を向ければ、鳥獣被害対策がまだまだ十分と言えない状況にもあります。

 鹿や猿、イノシシ、熊といった全国の山林で見られる鳥獣被害の対策、このことが結局、水源の生態系、自然、また保水力を損ねているという事実からすると非常に大きな問題にもなっておりますし、森林の荒廃も同様に、この琵琶湖へ及ぼしている負荷が非常に大きいと言わざるを得ません。

 こうしたさまざまな課題をどのように農水省として御認識をいただいているのか、また、今後、農水省としてどのような役割を果たそうとお考えか、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。

高吉政府参考人 お答え申し上げます。

 琵琶湖につきましては、豊かな生態系や貴重な自然環境を有しておりまして、水産資源の宝庫として重要であると認識してございます。

 農林水産省といたしましては、先ほど委員からもございました、滋賀県で取り組まれている化学肥料などを低減する環境こだわり農業に対し、環境保全型農業直接支払いによる支援、また、農業用水の水質汚濁防止に関しましては、地方公共団体が行う水生生物を活用した浄化水路や曝気施設等の設置に対する支援、あるいは森林の整備、また、漁業分野におきましても、湖沼内の水草の除去を図るために漁業者等が行う活動に対する支援などを行っているところでございます。

 今後とも、琵琶湖の保全、再生に向けまして、必要な対策をしっかりと行ってまいりたいと考えております。

田島(一)委員 今、藻の繁殖がいわゆる網状にどんどんどんどん湖底に広がって、二枚貝の生息すら危うい状況になっています。琵琶湖といえば、セタシジミを初め淡水の貝にあっても非常に大きな漁業資源でもありますが、こうした危機に瀕しているという事態、これもぜひ重く受けとめていただき、具体的な施策の展開につなげていただきたいと思います。

 時間もそろそろやってまいりました。

 このように、多岐にわたり、さまざまな省庁に関係をする琵琶湖について、やはり必要性や重要性、保全、再生の取り組みの必要性は御認識をいただいたものというふうに私自身思っているところでありますが、最後に望月大臣から、今後、政府としてどのような姿勢でこの琵琶湖の再生、保全に取り組むべきとお考えか、その覚悟をぜひ聞かせていただきたいと思います。

望月国務大臣 田島先生の方から、本当に地元として、それからまた、地元だけではなくて、県あるいはまた国全体でしっかりとこの対策を進めていかなくてはこれは守ることができないという御指摘をいただいて、まさにそのとおりだなというようなことをつくづく感じました。

 それから、環境省としては、琵琶湖の豊かな環境を守り、その恩恵を将来世代にも享受できるように、今の時代だけではなくて次の時代にもやはり引き継いでいくということ、このすばらしさを。そのためには、今の生きている我々にもやはり責任がある、それも、オール・ジャパンというか全ての皆さんで、若い人たちから高齢者の皆さん、全ての皆さんで力を合わせなくてはこれはできないという認識をさせていただいております。

 そういったことで、将来世代も享受できるように、関係地方公共団体及び関係省庁と連携をいたしまして、琵琶湖の保全及び再生に係る施策に引き続きしっかりと取り組んでいきたい、このように思います。

田島(一)委員 ありがとうございました。

 今、滋賀県のキャッチフレーズは、「びわ湖とつながる、びわ湖と生きる」であります。琵琶湖抜きには語れない私たちの暮らし、大切に大切にお預かりをしていきたいという思いで、百三十万の県民、みんな心一つに琵琶湖を守っていきたいと思っているところでもあります。

 ぜひ、こうした県民一人一人の思いを酌み取っていただいて、さらに、具体的に保全、再生の施策を、環境省、またきょう答弁にお越しいただいた各省、連携をとっていただいて、進めていただけることを心からお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

北川委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 維新の党の高井崇志でございます。

 きょうは、質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 きょうは、動物愛護について三十分間御質問をさせていただきたいと思います。

 犬猫の殺処分ゼロを目指す動物愛護議員連盟というのがあります。超党派で、自民党の尾辻先生が会長を務めておられ、我が党の松野代表が会長代行を務めておりますが、先般、八月二十七日に、望月環境大臣のところに、私を含めて十名の国会議員が要請書を持っていかせていただきました。きょうは、この要請書に基づいた質問をさせていただきたいと思っております。

 動物愛護というと、動物より人の方が大事じゃないかとかそういうことを言う方がいらっしゃるんですけれども、インドのマハトマ・ガンジーの言葉に有名な言葉があります。国の偉大さと道徳的発展は、その国における動物の扱い方でわかると。全く私も同感でございまして、やはり、その小さな命を守れないのに人の命を守ることはできない、そういう思いでこの問題にも取り組んでいます。

 質問に入る前に、なぜこの動物愛護議員連盟は殺処分ゼロを目指しているのかということについて少しお話ししたいと思います。

 かつて、動物は、人に危害を与えるものということで、生活衛生上の観点からも捕獲や処分の対象でありました。しかし、時代が変わってまいりまして、犬や猫というのは、ペットととして家族の一員となって、愛護の対象となりました。

 昭和四十八年に制定された動物保護と管理法、今までは動物管理法と言っていたものも、次第に動物愛護法という通称に変わったのもその一例だと思っています。命を大切にする心を育む、このことが動物愛護法の大きな目的の一つであります。

 そういった中で、近年大きな注目を浴びているのが動物の殺処分でございます。昭和四十九年度には百二十二万頭の殺処分が行われていたんですけれども、それ以降、関係者の努力によって随分減ってまいりまして、平成二十五年度では十三万頭と随分減りました。しかし、まだまだ殺処分をゼロにするという目標に向けて取り組む必要があると思っております。

 この分野、私も実は地元が岡山なんですけれども、岡山の動物愛護センターに見学に行ってまいりました。そのときに殺処分の、殺処分というのは皆さんどうやって行われるか知っていますかね。犬、猫がおりに入れられていて、それを、犬、猫が自動的にベルトコンベヤーに乗せられて、そしてベルトコンベヤーから運ばれて、殺処分機という、大きな器に入れられて、そして炭酸ガスを注入して窒息死させるんですけれども、実は、炭酸ガスで死に切れない犬、猫というのがいて、その生きたままの犬、猫も含めてその後火葬する、火で火葬してしまう、そういうやり方であります。

 この話を私はいろいろなところでしていると、岡山の動物愛護センターから、最近は一匹一匹生存を確認してから火葬していますというふうに言われましたが、しかし、昔はそうやってきた。今もそういう都道府県もあると思います。

 こういった話を私はフェイスブックに上げたんですね。そうしたら、フェイスブックをやっている方はびっくりされると思いますが、何とこの話に九百のシェアがされた。いいねじゃないですよ、シェアです、シェアで九百。私、フェイスブックの友達は三千五百人で、いいねというのはせいぜい二百、多くても三百なんですけれども、何とこの問題だけでシェアが九百もあったということで、私は、非常にやはり国民的な関心の高い問題であるということも改めて再認識いたしました。

 そういった中で、まず、この殺処分を減らしていく、ゼロに向けていくために非常に重要な活動として地域猫活動というのがありますので、このことから質問したいと思います。

 今、殺処分は年間十三万頭と申し上げましたが、そのうち九万頭は猫です。大部分が子猫であります。

 猫というのは一度に五から七頭の子供を産み、一年間に三回出産することができる。そうすると、大体、一頭の雌猫が産む子猫の数というのは百頭以上になります。そうしますと、こういった野良猫を漫然と放置していくと、かわいそうな命をふやすということになります。

 こういったことを何とかしようということで、全国でNPOとか個人が、野良猫を保護して、そして不妊、去勢の手術を行って、そして地域に返すという地域猫活動というのをやっています。TNRと言ったりします。トラップ・ニューター・リターン。トラップ、捕まえて、ニューター、不妊、去勢をして、戻す、リターン、こういった活動をやっております。

 先日も、私は岡山でこのTNR活動を見に行ってまいりました。NPO法人の犬猫みなしご救援隊という、これは広島に本拠があるんですけれども、全国を飛び回って、獣医師さん二名、岡山には二名来られていましたけれども、バスに乗って全国を飛び回って不妊去勢手術を行う。そうすると、地元の岡山のにゃんともライフというNPOが、夜中に、徹夜で、猫というのは夜、明け方捕獲できるので、夜を徹して猫を捕獲してきて、そしてある場所に連れていって、そこで不妊、去勢の手術を行うということをして、その日は五十匹以上の猫の不妊去勢手術をやっていました。しかし、当然、これにかかる手術代、費用というのはかかるわけで、こういったものを募金とか集めてやっているんですけれども、その費用は大変足りなくなっています。

 この地域猫活動というのは、殺処分ゼロに貢献するだけじゃなくて、地域住民が管理をしていくということによって地域の生活衛生の悪化も防げる、あるいは、動物を飼えない子供たちに動物に触れ合ってもらえる、そういう機会にもなります。

 私の地元の岡山に笠岡市というところがあって、そこに真鍋島という島があります。人口三百人の島なんですが、別名猫の島と呼ばれているぐらい猫がすごくたくさんいて、猫が好きな観光客が真鍋島に行ったりします。しかし、この野良猫を放置しておくと、なかなか、住民とのいさかいが起こったりするので、地域猫活動、TNR活動をボランティアの方が島に行ってやったりしていますけれども、なかなか島の方との折り合いがうまくいかなくて、結局、手術をしてまた猫を返しに行くんですけれども、そうすると、いや、もう返してくれなくていいのにと言われたりする。

 つまり、この活動は非常に地域住民の理解が必要だ。私は笠岡市長に電話でお話をしたり、あるいはうちの秘書が笠岡市役所まで行ってこの活動を、住民への周知とか合意形成をやってもらえませんかということを働きかけていますが、こういった自治体が乗り出していかないとなかなか地域住民の方だけで自発的にそういったことを理解してくれよと言っても難しいので、やはり地方自治体や地域住民との、あるいはそういったNPOとの連携が必要だと思いますし、また、先ほどの手術にかかる、費用というのがかかりますから、こういった補助なども必要だと考えますが、大臣、最初に、地域猫活動についてこういったことが必要だと考えますけれども、いかがでしょうか。

望月国務大臣 先生、皆さんで、先日、私のところに御陳情いただいて、大変いろいろな御指導をいただきまして、ありがとうございました。

 実は、私も昔、子供のころ犬を飼っていたことがございます。ただ、犬の寿命というのは、私たち、人に比べて短いですから、結局、死ぬときに非常につらい思いをして、私はそれ以来犬を飼ったことがないんですけれども。

 私がこの環境省に来て、何年か前まで、一年間に、犬、猫で、百万匹というか百万頭というんですか、殺処分されているという話を聞いて、余りにも多くてびっくりしたんですが、最近は、一応、先ほど先生御指摘のように十三万ぐらいだというようなことで、でも、十三万という数字はまだそれは何と多い数字だなというようなことをつくづく感じて、これは我々みんなでやはり力を合わせていかなきゃいかぬなということを思った次第でございます。

 そしてまた、今の御指摘の地域猫活動でありますけれども、環境省において、平成二十六年六月に発表した人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト、アクションプランでございます、そういったものに基づくモデル事業を実施しましたが、これは、今、牧原先生がいらっしゃいますけれども、牧原先生が政務官のときに頑張っていただいて牧原プランというのをつくっていただいたことでございますが、それに基づくモデル事業を実施して、その効果や課題の検討を行っているところであります。

 環境省では、自治体がNPO等と連携した効果的な取り組み事例の紹介、あるいはまた地域猫活動に関するモデル事業の結果を取りまとめたガイドラインを作成しまして、猫の適正飼養の手法に関する情報提供を進めるとともに、地域猫活動に取り組む自治体を支援してまいりたい、こんなふうに思っております。

高井委員 今申し上げましたように、自治体の役割は非常に大事だと思っています。自治体の担当者はわかっている方も多いですけれども、やはり首長となるとなかなかそこまで理解していない、あるいは、小さな自治体だと担当者も誰かよくわからないというようなケースもありますので、ぜひここは環境省として、しっかり自治体に対して普及啓発活動をやっていただきたい、また、助成の方もぜひ御検討いただきたいなと思います。

 続いて、殺処分を減らしていくためには、迷子になった犬の対策というのも大事でございます。

 どんなに懐いてしつけられたペットでも、ちょっとしたことで迷子になってしまうのが犬、猫でございます。その対策のために迷子札とかマイクロチップというものがありますけれども、必ずしもその装着率が高くないというのが現状でございます。迷子札の配付なんかは自治体では普及しつつあるんですけれども、やはりお金がかかるということで、財政状況で取りやめた自治体もあります。

 こういった観点から、マイクロチップを義務づけするとか、あるいは迷子札の普及に係る財政支援を行うべきではないかと考えますけれども、いかがでしょうか。

望月国務大臣 マイクロチップあるいはまた迷子札というものが必要だという御指摘だと思いますが、迷子の犬、猫を所有者に確実に返還するために、飼い主が所有者を明示するマイクロチップや迷子札の措置を実施することが重要である、こんなふうに考えております。

 平成二十四年度の改正動物愛護管理法の附則第十四条においても、販売の用に供せられる犬、猫等へのマイクロチップの装着の義務づけに向けて、装着に関する啓発等必要な措置を講ずるものとされているところであります。

 これを受けて、環境省としては、パンフレットの作成等さまざまな普及啓発を進めるとともに、マイクロチップに関するモデル事業を実施しているところでございます。

 今後、このようなモデル事業の成果を踏まえて、当面はマイクロチップの普及に向けた取り組みを進めてまいりたい、こんなふうに思います。

 聞いたところによりますと、マイクロチップを埋め込むのに大体五千円ぐらい、そんなような形だという話も我々は聞いておりますが、現在、一般の家庭で飼っている犬が一千万頭、それから猫がやはり一千万、二千万だとすると、これを国で補助するとなると約一千億円ぐらいかかるのかなというようなこともありますけれども、さまざま、ただ、やはりそういったものを、それぞれ飼う飼い主の皆さんがしっかりとした、生きている、大切な生き物でありますので、そういったことを認識してもらうことに対する、我々、モデル事業を踏まえて啓発活動をしっかりと進めていきたいな、こんなふうに思っております。

高井委員 マイクロチップが私もやはり一番確実だし、まあ、お金は多少かかりますけれども、一番推進すべきだ、進めてほしいと思うんですが、一方で、ちょっとこういう意見の方もいらっしゃって、マイクロチップを、かわいがっている犬、猫に埋めることに抵抗がある人もいるんじゃないか、あるいはお金がかかるという問題もあるので、実はこんな提案をしている方がいます。

 鼻紋といって、人間でいう指紋と同じ、犬、猫は鼻紋で全てを認証できる。そうすると、携帯電話とかスマホとかで簡単に撮って、それを登録するシステムをつくっておけば、迷子になっても捜せるんじゃないか、こういう提案をする方がいらっしゃって、ちょっと私もまだ詳しくは研究中なんですけれども、こういった提案についてどんなふうにお考えか、お聞かせください。

奥主政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の鼻紋につきましてですけれども、今、牛とかでそういう活用した例があるというふうなことは承知しております。

 ただ、犬、猫につきまして、敏捷な動きをするものでございますから、そういったものに対しまして鼻紋を採取する方法でありますとか、実際に登録、照合のための電子システムをどう構築するかとか、さまざまな課題があると考えています。

 鼻紋を活用した登録システムにつきましては、技術に関する情報収集を今後とも行ってまいりたいというふうに考えている次第でございます。

高井委員 一つ簡易な方法というか、スマホがこれだけ普及していますから、うまくいくのであればそれも一つの選択肢だと思いますので、ぜひ研究していただきたいと思います。

 続いて、こういった保護された動物が新しい飼い主に引き取られていく仕組み、やはりこれが大事だと考えています。

 これは動物愛護法に基づいて自治体がそういった事務を行うということになっているんですが、しかし、自治体ではその対応はまちまちでありまして、広い敷地に立派な動物愛護センターを設置して、そして譲渡もする、しかもそれだけじゃない、触れ合いの場をつくったり、学校の子供たちに見学をさせたりというような自治体もあれば、非常に老朽化施設を何か無理やり使ってやりくりしているとか、あるいはもう収容スペースさえない、そんな自治体もあります。ただ、この問題は地域によってそんなにばらつきがあってはいけないと思います。

 動物の保護施設の整備には国からは二分の一を上限とする補助制度というのがありますが、今は全国の自治体はどこも財政難ですから、二分の一ではなかなか厳しいと。これについて、補助率をもうちょっと上げる、三分の二とかに上げるという考えはないでしょうか。今、国の予算が補助金で大体総額一億円程度と聞いていますが、先般の要請のときにも、一億じゃ全然足りない、二億ぐらいにすべきだというふうに各議員からお願いしたと思うんですけれども、この点いかがでしょうか。

望月国務大臣 我々環境省の動物愛護管理に関する予算のうちの主なるものが動物の収容や譲渡、これは大切なことでございますので、もらいたい方と上げる方の仲立ちをする、そういう施設の整備に対する補助金がほとんどでございます。

 この補助金は、自治体が引き取った動物の収容や譲渡のための施設を新設する場合に国が事業費を補助するもので、今先生から御指摘がありましたように、補助率は実は二分の一ということになっておりますが、これは、やはりさまざま、補助金というのはいろいろ出ておりまして、ある程度他の補助事業とバランスを考えると、精いっぱいこの程度かなということでございまして、そういった横のことを考えると、二分の一をそれぞれ動物愛護センターの設備といいますか、そういうものをつくるのに二分の一以内としているところでございます。

 環境省としては、こういう収容、譲渡の施設の整備の促進のため、補助金の活用につきましては都道府県等に周知を図っていきたいと思いますし、また、引き続き必要な予算の確保に、財務省もあることでございますので、努めてまいりたいな、こんなふうに思います。

高井委員 先日の議員連盟で要請に行ったときも、一億円なんて、大きな予算の中からすればという話もありましたので、ぜひ引き続き御検討いただきたいと思います。

 ただ、収容の施設をつくるというのも殺処分を減らす、ゼロにする一つの手ですけれども、もう一つは、施設に収容された、動物愛護センターに収容された犬、猫を新しい飼い主に譲渡する、この取り組みを進めることも極めて有効なわけであります。こっちはそんなにお金がかからなくてできるんじゃないか。それは、実はNPOが非常に熱心にそういった譲渡、マッチングをする役割を果たしてくれているところがありまして、今、協働の時代、行政のことをNPOとかにできるだけお願いしていこうという時代でありますから、もっと積極的にこれをやるべきじゃないか。

 実は殺処分ゼロを既に実現している自治体というのは幾つかあって、神奈川県とか熊本市とか、あるいは最近では広島市とか、あと私の地元のすぐそばに神石高原町という有名な町があって、ピースワンコ・ジャパンというNPOが全面的に譲渡をやって、殺処分ゼロを実現している。

 そういうような事例がありますので、ぜひ、やはりこういった仕組みを、NPOをうまく活用して譲渡できる仕組みをもっと国として、例えば自治体に広く周知するとか推奨するとか、そういったことを考えられないでしょうか。

北村副大臣 御指摘のとおりでありまして、環境省といたしましては、いわゆる譲渡を進めるために、新たにペットを飼養しようと考えている人向けの犬、猫の適正飼養のパンフレットやDVD等において、動物愛護団体や自治体などから譲渡を受けることができるよう説明し、その普及啓発を推進しているところであります。

 また、環境省では、自治体向けに譲渡支援のためのガイドラインを作成するとともに、自治体の譲渡に協力しているボランティアや自治体職員を対象とした適正譲渡講習会を平成十八年度より開催いたしております。

 引き続き、自治体やNPO等の動物愛護団体と連携をいたしまして、譲渡の推進に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

高井委員 自治体によっては、なかなかNPOの方をちょっと信用できなかったり、どうしても行政というのは守りに入るところもありますから、そこはぜひ環境省が後押しをして、そういった優良なNPOをつくっていくというまた取り組みをぜひ行っていただきたいと思います。

 次に、犬、猫の殺処分を減らすためのもう一つに、犬、猫が劣悪な環境で飼われているという実態、これが結局、そういった状況で飼育すると、ほえたりかんだりといった問題行動を起こして、結果として、間接的に動物を遺棄する、殺処分しなければならないという問題があります。

 パピーミルという言葉がございます。これは、響きはかわいらしいんですけれども、日本語に訳せば子犬工場、つまり、工場のように子犬をどんどん産んで、そして劣悪な環境で育てて子犬として販売している繁殖業者のことを指しております。動物は工業製品ではありませんから、こういった劣悪な環境での繁殖の実態というのはしっかり把握すべきだと思いますし、また、繁殖の施設だけじゃなくて、生体販売、いわゆるペットショップでも劣悪な環境が見られます。

 こういったものを防止するためには、飼養の施設の基準とか飼養の管理基準、こういったものを数値化するなど、飼養環境に対して厳格な規制を設けるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

望月国務大臣 動物愛護管理法でありますけれども、こちらでは、動物の繁殖業者、ブリーダーと一般に言いますけれども、この飼養施設については数値基準は定められておりません。これは、大きいのとか小さいのとかさまざまな形態があるものですから、一様にどれくらいの大きさの入れ物に入れなさいというのはなかなか決められませんが、法に基づく告示というのがございまして、その告示において、個々の動物が自然な姿で立ち上がる等、十分な広さ及び空間を有するもの、こういった基準が定められております。悪質なブリーダーはやはり排除していかなきゃいけない。

 それから、今先生の御指摘のように、そういったところに、生まれたらそのまま監禁するような形で置いておくなんというこんなばかげた、そういったものは何とか排除していかなきゃいけないし、それから、小さいうちの方が売れるからといって本当に小さいうちに、もう産めるだけ産ませるというような、全く考えられないような事例が後を絶たないというようなこともございます。

 環境省においては、自治体が法に基づく監視、指導を適切に行えること、数値基準のあり方について、自治体の監視、指導の実態調査、それからまた海外制度の調査及び専門的な知見を持つ有識者の意見を踏まえながらしっかりと検討してまいりたい、このように思っております。

高井委員 続いて、それでは動物虐待の問題にも質問したいと思います。

 近年、残虐な犯罪というのが本当に増加していますけれども、そういった例を見ると、人に危害を加える前に実は動物に対する虐待を行っているという例が多く見受けられます。虐待の中には、殴るとかいったそういう積極的なのじゃなくて、ネグレクト、食餌を、餌を与えない、こういった消極的な虐待もあります。

 こういったものをやはり防止するためには、社会的な関心が高まるということによって防止できるのではないかと考えています。

 毎年九月の二十日から二十六日までが動物愛護法によって動物愛護週間でありますけれども、この際、動物虐待に対する国民の理解を深める取り組みを進めるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

北村副大臣 環境省におきましては、改正動物愛護管理法に関するパンフレットや虐待防止に関するポスターなどを作成して各自治体や関係機関等に配付をいたしまして、普及啓発に努めているところであります。

 また、愛護動物の虐待や遺棄の防止のための取り組みといたしましては、虐待や遺棄についての事例集を作成し、自治体の業務の参考として情報提供をいたしております。

 また、飼い主やペット業界、法を運用する自治体に対する周知徹底、普及啓発等を図ることにより、動物の虐待が防止され、人と動物の共生する社会の実現を図れるよう、これからも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

高井委員 先ほど大臣からも御答弁がありましたように、やはり非常に劣悪な飼育環境でいまだに営業をされている悪質な動物取扱業者がまだございまして、そういったところが登録が取り消されないままにずっと放置されている。これは実は自治体がやる仕事なんですが、やはり自治体によってその取り締まりのレベルに非常に差があると思っています。

 そういうことからいけば、法の運用は自治体なんですけれども、ひとつ全国一律のそういった取り締まりのガイドライン、実は環境省の廃棄物処理法などではそういうガイドラインをつくっている例がありますので、このガイドラインをつくるというお考えはないでしょうか。

北村副大臣 動物愛護管理法においては、不適切な飼養管理を行っている動物取扱業者に対しましては、自治体が立入検査を行いまして、改善すべき点を指導し、指導に応じない場合は、改善に係る勧告、命令を行うこととされております。こうした自治体による対応が適切になされていくことが重要であると考えております。

 このため、昨年十一月に、自治体に対しまして、第一種動物取扱業への立入検査等の監視、指導等を行うに当たって徹底すべき点について明確にした通知を出しておるところでございます。

 さらに、本年二月、自治体の動物愛護管理担当課長会議において、先進的な取り組みを行っている自治体の取り組みを広く周知いたしたところでありまして、このような取り組みを通じて、不適切な飼養管理を行っている動物取扱業者に対して適切な措置が行われるよう、自治体と連携して取り組みを進めてまいりたいと考えております。

高井委員 まだたくさん質問したいことがあるんですが、そろそろ時間のようなので、最後に大臣にお聞きいたします。

 先日、我が議連で要請書を持参した際に、二〇二〇年、東京オリンピックが開催され、それに向けて訪日外国人がたくさんいらっしゃいます、そういった中で、動物愛護の先進国の方がいっぱいいらっしゃったときに、日本に来て、何だ、日本はおくれているじゃないか、そんなふうに思われないようにしなければと、殺処分ゼロは目指していくんだというふうにおっしゃっていただきましたけれども、ぜひここで改めて、いつまでにどのように殺処分ゼロを目指していくのか、大臣の決意をお聞かせください。

望月国務大臣 殺処分ゼロを目指すという今のお話でございますけれども、人と動物が幸せに暮らす社会の実現ということになっていくと思います。それから、飼い主の適正飼養の浸透や国民全体の意識向上、要するに、命の大切さというのは、国民全体の皆さんが、環境省もそうですけれども、文科省とか教育の場においてとかいろいろなところでやはり意識の向上をさせ、適正な譲渡の推進などが必要であると思います。

 要するに、殺すのをやめましょうとただ強制的に言うだけではなくて、これはやはり、しっかり飼うことがいかに大切か、一緒に暮らすことが大切かということを徹底的にやるということが大切だなということは私はつくづく思っております。ですから、さまざまな取り組みを丁寧に進めていく、こういうことが重要であると考えております。

 このため、環境省では、昨年六月に人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクトのアクションプランを発表し、自治体や関係団体等と連携したモデル事業や適正飼養の普及啓発に取り組んでいるところであります。

 このような取り組みを通じまして、自治体や関係団体と連携して、人と動物が幸せに暮らせる社会が早期に実現できるように我々も一生懸命頑張っていきたいな、こんなふうに思います。

高井委員 これで終わりますが、先日、二〇二〇年という具体的な数字も出ましたので、それまでには実現できるように、本当にこれは大臣のリーダーシップにかかっていると思いますので、ぜひよろしくお願いします。

 質問を終わります。ありがとうございました。

北川委員長 次に、篠原豪君。

篠原(豪)委員 維新の党の篠原豪です。

 先日の琵琶湖視察で、委員長を初め多くの方に勉強させていただき、大変勉強になりました。ありがとうございました。

 日本一の広さを持つ琵琶湖は、実は世界でも有数の古い湖で、その誕生は四百万年前ということです。そういった中、琵琶湖の現状を伺いましたところ、二〇一五年度の琵琶湖と川の魚という資料一つ見ても、固有種が十六種類、そのうちの十三種が絶滅危惧種という状態になっています。これは大変な問題なんだろうと思います。

 そこでまずお伺いしたいのが、これまで琵琶湖のような大きな湖に対して、我が国がどのような取り組みをしてきたかということです。

 琵琶湖総合開発特別措置法に基づいて琵琶湖総合開発事業が行われましたけれども、これはどのようなものだったか。終了の理由とその評価は、また他の委員からもということでしたので、私としては環境の側面からこの計画について伺いたいと思います。

 これまでの政策でいえば、この琵琶湖の特別措置法が昭和四十七年、私の生まれる前ですから、もう随分前から平成九年まで事業が続けられてきたわけです。これは国家プロジェクトで、事業費が二兆円近くに及んでいたものです。メーンの洪水被害とか水利の改善というのはあったんだと思うんですけれども、その中で自然環境保全という項目も入っていたと聞いています。

 そこで、環境省として行った取り組みはどのようなものがあり、事業失効の理由、そしてどのような評価をされているのかを今改めて伺います。

望月国務大臣 琵琶湖の総合開発特別措置法に基づく琵琶湖の総合開発事業については、湖沼の自然環境の保全と水質の回復、下流地域の水源開発、それから琵琶湖周辺の洪水、渇水被害の軽減等の施策について約一兆九千億円の事業が投じられている、我々の計算ではそんなふうになっています。このうち、環境保全に関する取り組みとしては、下水道事業が五千七十二億円、農業集落排水施設六百六十六億円、それから、し尿処理施設の整備百十五億円、ごみ処理施設の整備が二百十億円、自然公園施設の整備が二十一億円、水質観測施設の整備十六億円などの事業が実施されております。

 これらの事業については、滋賀県が国と調整の上、必要なものが実施された、このように認識をしております。

篠原(豪)委員 現実を今見てみますとなかなか、うまく環境保全の取り組みが進んでいるのかというと、どうなのかなと思うところもあります。

 この計画が終わってから、九七年から九八年にかけて、国は琵琶湖の総合的保全のための計画調査を取りまとめたと聞いています。そして、この計画に基づいて、関係省庁、厚生労働省、農水省、林野庁、国交省、環境省で連絡調整会議を組織して、この計画に基づいて琵琶湖の保全の取り組みについて行っているという枠組みが九九年から現在まであるというふうに聞いています。この計画目標と計画期間については二〇二〇年までで、二〇一〇年までを第一期、二〇二〇年までを第二期としています。

 他方で、滋賀県について見れば、この調査を踏まえて、マザーレイク21計画を独自に二〇〇〇年に策定し、こちらも二〇一一年に第二期計画へと改定しています。これは、二兆円のプロジェクトをやったんですけれども、先ほど伺ったような規模で環境においてはあって、結果的には、今の状態を見れば、環境改善がなされているのかということで、余りそうでもないということで、今、琵琶湖の総合保全で、引き続きこの計画にのっとって滋賀県は取り組んでいる状態です。

 そこで、この滋賀県の策定するマザーレイク21計画とはどのようなものか、教えていただければと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 滋賀県の策定されましたマザーレイク21計画でございますけれども、これは琵琶湖の総合保全の指針ということで平成十二年三月に策定をされてございます。琵琶湖と人との共生というのを基本理念にいたしまして、琵琶湖を健全な状態で未来へ継承することを目指すためのいわゆる長期ビジョンというようなものであると承知してございます。

 計画期間は平成十一年度から平成三十二年度までの二十二年間でございまして、平成二十三年十月に改定をいたしました第二期の計画におきましては、第一期における水質保全、水源涵養、自然的環境・景観保全という三つの観点の取り組みを踏まえまして、新たに、琵琶湖流域生態系の保全、再生、それから、暮らしと湖のかかわりの再生という二つの新しい柱を立ててございます。

 また、この目標の達成に大きく貢献することが期待でき、また、関係機関が連携をすることでさらに効果を高めることができる事業、施策というものを重点プロジェクトというふうに位置づけてございまして、具体的には、琵琶湖の生きものにぎわい再生プロジェクトでございますとか、水環境の保全プロジェクト、こういうプロジェクトを立てております。

 これらの重点プロジェクトに基づきまして、二〇五〇年のあるべき琵琶湖の姿の達成に向けて各種の環境対策を実施していく、こういうものだというふうに認識をしてございます。

篠原(豪)委員 琵琶湖の総合保全をやっている滋賀県ですけれども、琵琶湖に係る財政需要を見てみましたところ、滋賀県の琵琶湖に係る追加財政需要は、毎年度、事業費総額で六十億円程度、実質的な県費負担で五十億円程度と聞いています。ちなみに、財源で不足額が九億円と考えているということでした。

 なぜ伺ったかといえば、国と県とがそれぞれに計画を策定して事業を進めているようにも見えるからです。

 今回、委員会として視察してきて、いろいろと見させていただいたわけですけれども、いまだ課題が多いわけで、そこで、この意味で、現在の推進体制がどうなっているかというところが気になります。実際にどのような体制でやっているのかを調べましたところ、現状、琵琶湖総合保全連絡調整会議、琵琶湖総合保全推進協議会というのがあって、実態としては、この部分で国の施策、各省庁そして各自治体の取り組みを行っているんだろうと思います。

 そこで、まず、おのおのがどういう役割を担っており、その推進体制がどうなっているのか伺います。

石塚政府参考人 お答えいたします。

 琵琶湖の総合的な保全のための国と自治体の取り組み体制でございますが、琵琶湖の総合的な保全の推進体制といたしまして、厚生労働省、農林水産省、林野庁、水産庁、国土交通省、環境省によります琵琶湖総合保全連絡調整会議と、琵琶湖に関係をいたします地方行政機関と地方公共団体から成ります琵琶湖総合保全推進協議会が設置をされております。

 このうち琵琶湖総合保全連絡調整会議は、琵琶湖の総合的な保全について情報交換をまず行いますとともに、それぞれの取り組みの推進、それから施策、成果に係る連絡調整等を行いまして、広域的かつ中立的な立場で、申しました琵琶湖総合保全推進協議会と連携をしながら計画の円滑な推進を図る、そういう組織でございます。

 一方で、琵琶湖総合保全推進協議会でございますが、琵琶湖の総合的な保全について同じく情報交換を行いますとともに、琵琶湖の保全に向けたそれぞれの主体の主体的な参加を促していく、下流域を含めました一体的な取り組みを推進する、そういう協議会でございます。

 この琵琶湖総合保全連絡調整会議でございますが、先ほど来委員からもお話がございましたように、琵琶湖の総合的な保全の推進のための計画調査に関しまして、協議会と連携をしながら、まず、平成二十二年度まで実施をしておりました第一期計画の総括をいたしました。その上で、二十三年度以降、第二期の計画の策定を行いまして、さらに、その計画の実施に係るフォローアップを現在行っているところでございます。

 第一期計画の中では、特に流入水質の基準達成が昭和四十年代のレベルにまで何とか上がってきたということで、一定の成果は上がっているものというふうに理解をしておりまして、そういったことも含めまして、計画推進の体制としては機能をしているのではないかというふうに理解をいたしております。

篠原(豪)委員 多くの省庁と自治体等でそれぞれ計画があって、これをまとめていって、琵琶湖は大きいですから、その中でやっていくというのは、本当にちゃんと意思疎通ができているか、とても大事なことだというふうに考えています。考えていることがそれぞれ誤解があるとまたそれもうまくいかない、こういうことだと思います。

 そういう意味で、現状の体制で本当に仕組みとして有効になっているかというのが気になったので、お伺いしました。

 では、環境省としては、実際に自治体と連携して有効な施策展開がなされてきたと考えていらっしゃるか。これは環境大臣に伺いますが、その点を踏まえて、さらに顕在化している課題が今の時点であれば、教えていただければと思います。

望月国務大臣 琵琶湖の総合開発特措法でございますけれども、これは時限立法でございますので、平成九年三月に失効いたしました。ただ、その後も、現在の体制、先ほど先生から御指摘がございましたように、総合保全連絡調整会議あるいはまた推進協議会ですか、この二つによって、国と自治体がしっかりと連携をしつつ、琵琶湖の環境保全の施策が有効に行われているものと我々は認識をしております。

 もちろん、環境省としては、これまでの取り組みにより汚濁負荷は着実に削減されているとはいうものの、環境基準の達成には至っていないという、大変残念で、我々もしっかりしていかなきゃいかぬなというふうに思っていますし、また、外来種等による生態系への影響に対する課題、こういったものもあるということをしっかりと認識しておるところでございまして、これからその対策をしっかりやっていきたいな、こんなふうに思っております。

篠原(豪)委員 ありがとうございます。

 目標値があって、これから達成に向けてさらなる努力をなさるということだと思います。

 大臣が今おっしゃられましたように、オオバナミズキンバイなどは外来種で、爆発的にふえている。最初に確認されたのが平成二十一年だというんですね。たった五年ぐらいでどおんとふえてきて、これはなかなか大変。

 生態系を本当にきちっとわかっているかというと、なかなか、実はいろいろなものがいまだに、水質汚濁の関係でいえば、依然として高いものも残されているし、なかなか改善されていないところが生態系的にも水質にもあるとすれば、汚濁が進むメカニズムとか、なぜ水草が大量発生、こういったことも含めて、わかっていないことが多いというふうに伺っております。

 その原因がそもそも明らかでないということであるのであれば、二兆円かけてやった最初のプロジェクトから大分時代も変わって、今もうニーズが変わってきている中で、先ほども田島委員からの、大臣の決意として、次の世代に、これからの将来に対してということはお話しいただいたと思います。私からは、それを踏まえて、大切な問題ですので、この琵琶湖の保全に取り組むとき、きょうまでの反省を踏まえて、今後、課題の原因究明、自治体との連携などを再確認させていただきました。

 その上で、環境大臣として、この琵琶湖の問題に取り組むときに最も大切なことというのは何だというふうにお考えかを伺います。

望月国務大臣 先生御指摘のように、最も大事なことというのは幾つもあるんですけれども、先生の御指摘のさまざまな施策、考えられないような、そういった外来種が数年の間に繁茂してしまう、これが原因がしっかりわかっていない、あるいはまた、湖底の酸素が、CODといいますか、そういったものがどうしてこんなにふえてしまっているのか、外から入ってくる流入が少ないのにもかかわらず、その中で何らかの形で異常発生しているとか、さまざまな研究をしていかなきゃいけないと思っております。

 これを、やはり今先生がおっしゃったように、地元の県の皆さんがこういったものを研究してよくわかっているということでございますので、環境省としても、しっかりとそういったところと連携を行っていくことが大切である、そのように認識をしております。

 また、先ほどもお話をさせていただきましたが、豊かな環境を守り、その恩恵を将来世代も享受できる、そういうように、関係地方自治体及び関係省庁と連携を、我々環境省だけではありません、やはり国交省、農水省、先ほどの水産の関係もございました、そういった連携をして、また、先ほど申しましたように、課題の原因究明、これも大切なことでございますので、琵琶湖の保全及び再生に係る施策に引き続きしっかりと取り組んでいきたい、このように思っております。

篠原(豪)委員 時間ですので終わりますけれども、四百万年前というのは、まだチンパンジーが人類とDNAが一%か二%違う、そういう時代で、四百万年前はまだ三重県に実は琵琶湖があって、琵琶湖は、委員長と一緒に見せていただいたんですけれども、四十万年前に今の形になって、今の場所になってということなんです。

 四十万年前というと、ちょうど人類が、ホモサピエンスが大体四十万年から二十五万年というので、人類の歴史と同じなんだなというふうに私も考えていまして、その中で、今、絶滅危惧種の話もありますし、我々、人類に対する大きな課題、責任があると思いますので、しっかりと取り組んでいただきますようお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

北川委員長 次に、真山祐一君。

真山委員 公明党の真山祐一でございます。

 先日は、委員会といたしまして、琵琶湖の保全及び再生に関する視察を実施していただきましたことを、委員長初め御尽力いただいた理事の皆様に心より感謝を申し上げる次第でございます。

 先ほど来お話がありますとおり、琵琶湖は、日本最大の湖として、近畿圏の水がめでもございます。また、固有の生態系を育んでもまいりました。私も視察をさせていただきまして、改めて、御地元の皆様が不断の努力を重ねられてこの琵琶湖の環境また水質の維持に取り組まれている、そうした努力のさまざまな取り組みをお聞きして、感銘させていただいたところでございます。

 私の地元は福島県でございまして、福島県には、日本第四位の広さでございます猪苗代湖というのがございまして、県内随一の観光スポットでもございますし、当然、水源でもあり、農業用水の重要な湖でもございます。過去には日本の水質ランキング四年連続一位を獲得させていただいたこともありますけれども、近年は、主に生活排水の影響がありまして、ちょっとその座は譲っているところでございます。そうした観点からも、今回の視察に関して、さまざまな、視察をさせていただく中で勉強をさせていただいたところでございました。

 そこで、まずお聞きしたいと思います。

 水質維持管理についてお聞きいたしますけれども、琵琶湖の環境改善については、国、また県、地元、一体となってこれまで取り組みをされてこられましたけれども、今後のさらなる向上、維持のために、今後の環境省の考え方をお伺いしたいと思います。

 特に水質の維持に関しまして、先ほど来議論があったところでございますけれども、水草の除去については、専用の機器を導入されて実施をされているということも見聞したところでございました。こうした専用機器の開発導入というのも非常に重要な取り組みであるというふうに認識したところでございますけれども、こうしたことを含めて御答弁いただきたくお願いします。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 環境省の取り組みでございますけれども、昭和六十年に琵琶湖を湖沼水質保全特別措置法に基づく指定湖沼に指定をいたしまして、それに基づきまして、工場、事業場からの排水規制、あるいは浄化槽設置による汚濁負荷の削減等の措置を講じてまいりました。また、さまざまな水質メカニズムの解明という観点から、例えば底層の溶存酸素量の改善に向けた効果的な水質保全対策などの調査研究も行ってまいりました。

 これまでも、指摘ございましたように、滋賀県を初めとする関係者の皆様方の御努力によりまして、琵琶湖に流入する汚濁負荷は着実に削減をされてございますけれども、環境基準の達成には至っていないということから、環境省といたしましては、引き続き、関係地方公共団体、それから関係省庁と十分連携をいたしまして、琵琶湖の水質改善にしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

 また、御指摘のございました水草の問題でございます。

 近年、水草の繁茂によりさまざまな障害が起こっているということで、地元滋賀県等が刈り取りの対策を講じておられるということでございます。

 環境省といたしましては、水草の異常繁茂による影響の分析でございますとか、刈り取った水草の活用の効果の検討を目的といたしました実証事業を琵琶湖フィールドに実施をしてございます。その結果をまた滋賀県に提供するというようなことで支援をしてまいりました。

 このような支援を通じまして、引き続き、関係自治体、関係省庁と連携の上、琵琶湖の水質保全に努めてまいりたいというふうに考えております。

真山委員 ありがとうございました。

 環境省としても、この取り組みをしっかり後押しというか、こうした取り組みが功を奏していくにはまだまだいろいろな課題があるというふうに認識しているところでもございますので、ぜひ引き続きお願いしたいと思います。

 そして次に、教育の問題でございます。

 先ほど別の委員からもお話がありましたけれども、滋賀県、この琵琶湖におきましては、びわ湖フローティングスクールという、小学校五年生全員を対象とした宿泊体験学習が既に実施をされているというところでございました。こうした体験学習を教育機会の中に盛り込んでいくということは非常に重要であり、子供たちにとっても有意義な取り組みであるというふうに認識しているところでございます。

 そして、環境教育ということとともに、やはり湖というのは、私の地元でもそうでございますけれども、一つ、自分の暮らす地域、ふるさとのシンボリックな存在でもございまして、ふるさと教育というか、そういった観点でも非常に重要ではないかというふうに思っております。

 そこでお聞きしたいと思うんですが、こうした既存の教育機会に盛り込んでいくという取り組みを含めて、これから琵琶湖の保全、また再生の中における教育のあり方といいますか、教育のかかわり方について環境省としてどのようにお考えか、お聞きいたします。

奥主政府参考人 お答えいたします。

 環境省といたしましても、自然環境に関する教育を充実させていくことは重要であるというふうに認識しております。こうした観点から、環境省としてもさまざまな支援を行っているところでございます。

 例えば、自然環境に関する教育につきましては、国立公園の自然教育フィールドへの活用事業によりまして、国立公園等におきます自然体験プログラムの実施等についての支援を行っておりますし、また、地方環境パートナーシップオフィスにおきまして、地域の環境リーダーの育成等を支援しているところでございます。

 こうした取り組みを通じまして、さまざまな自然環境に関する取り組みを進めているところでございまして、琵琶湖におきましても、地域の皆様方の声をお聞きしながら、こうした施策を通じまして、琵琶湖の自然環境に関する教育に係る取り組みにつきまして支援してまいりたいというふうに考えておるところでございます。

真山委員 ありがとうございました。

 さまざま、国立公園のことも含めていろいろと、環境省として、この環境教育の充実ということは非常に重要であるというふうに認識しているところでございますし、ぜひ今後とも後押ししていただきたいと思うところであります。

 また、田島委員の方からは全国から琵琶湖にというお話がございましたけれども、ぜひ私の地元の猪苗代湖にも来ていただきたいと願うところでございます。

 続きまして、これまでもそうでありますし、また今後の検討の中でも検討がされておりますけれども、こうした琵琶湖の保全、再生について、国としても、やはり日本一の湖としてこれから環境の保全、再生に取り組んでいくわけでございますけれども、こうした琵琶湖の環境改善で得た知見というものをこれからほかの地域でも全国的に生かしていく、また水平展開していく、そういったことも重要ではないかというふうに思っているところでございます。

 私の地元の猪苗代湖でも、県が二十五年の三月に、猪苗代湖及び裏磐梯、これは猪苗代湖とセットの地域でございますけれども、水環境保全計画を策定して、県民一体となって水環境保全対策に取り組んでいるところでございます。

 例えば、生活排水対策としては、下水道、農業集落排水、浄化槽等の整備に積極的に取り組んでいるところでございます。

 また、そのほかにも、ボランティアによる水辺に生息するヨシの刈り取りや、このヨシが水環境改善に非常に重要な役割を果たしているということで、これが枯れ草になる前に刈り取るということが重要でございまして、このヨシの刈り取り。また、漂着するさまざまな植物、さらにはごみ、こういった湖岸の清掃なんかも積極的にボランティア活動が行われておるところでございます。

 実は、我々公明党福島県本部の青年局でも、党員、支持者の皆さんとともにこの猪苗代湖の漂着ごみ清掃を行ったことがございました。震災の翌年のことでございましたけれども、やはり、ふるさとのために何かできることはないかという若者の皆様の発意がそうした取り組みにつながったところでございまして、そういった意味でも、こうしたふるさと教育といいますか、こういった部分でも非常に意義のある取り組みだろうなというふうに思います。

 そこでお聞きいたしますけれども、環境省として、今後の湖沼の水質保全対策の方針について、これは全国的にどういうふうに展開していくかということも含めて、今後の考え方、方針についてどのようにお考えか、お聞きさせていただきます。

高橋大臣政務官 全国の湖沼の化学的酸素要求量、CODに関する環境基準の達成状況は低く、琵琶湖でも未達成な状況でございます。

 このため、環境省では、環境基準が現に確保されていない琵琶湖を初めとする湖沼について、湖沼水質保全特別措置法に基づき指定を行い、さまざまな水質保全対策を講じております。

 具体的には、下水道や浄化槽の整備などの生活排水対策や、工場及び事業場からの排水対策等を実施しています。

 環境省として、引き続き、関係地方公共団体及び関係省庁と連携をし、琵琶湖の水質保全対策に取り組むとともに、琵琶湖での取り組みを先駆けとして全国の湖沼に展開をし、湖沼の保全及び再生を図っていきたいと考えております。

真山委員 ぜひ環境省のリーダーシップをお願いしたいというふうに思います。

 次に、ちょっと話はかわりまして、福島県の除染の問題についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 除染の現場には今さまざまな課題がございます。そのうちの一つに、除染作業員に対する住民の不安というのがございます。私も八月九日に、今月五日に楢葉町が避難指示解除になりますので、この準備宿泊をされている方を訪問させていただきました。その方のお声をお聞きしましたところ、その方のお住まいのすぐ近くに千人、二千人規模の作業員宿舎をつくるというお話を聞いて、大変に不安を感じていらっしゃる、せっかく帰町しようという決意をしたのにという思いをお聞かせいただきました。

 作業員に対する不安の声は各地で聞かれておりまして、例えば隣の広野町でもやはり同じようなお声を聞いております。当然、地元自治体ではこの不安を払拭するために、関係する企業、県警、そして自治体と、連携しながら協議会をつくって取り組んでいるところでございます。そうした中で、先日、大阪府寝屋川市の事件がございまして、住民の方の不安はさらに高まっている状況でございます。先ほどの御意見いただいた楢葉町の方からも、ちょうど私が訪問したすぐ後でございましたので、話したらすぐにこういうことになって、大変残念だというお声をいただきました。

 当然これは個別具体的な話でございますし、多くの作業員の皆様は真面目に働いていることは重々承知でございます。しかし、一部の作業員の不法行為によって、せっかく帰ろうとしている避難者の皆様がちゅうちょするような、こういった水を差すような結果になってしまってはいけないわけでございまして、こうした実態の把握、改善について環境省としてどのようにお考えか、お聞きしたいと思っております。

 また、今回の事案では川俣町でございましたので、除染作業は一時中断いたしました。川俣町初め、葛尾村、南相馬市では来年の避難指示解除を模索しておりまして、昨日より準備宿泊が始まったところでございます。その大前提は除染の完了であることは言うまでもないわけでありまして、特にこの三自治体にとっては二十七年度中が重要でございます。この除染完了の見通しについてもあわせて環境省にお伺いさせていただきます。

高橋政府参考人 除染作業員に対する住民の不安についての御質問でございました。

 環境省では、国直轄除染工事の受注者に対しまして、暴力団の排除でございますとか、作業員等に対する法令遵守の徹底や交通マナー等の向上につきまして、これまでも指導や注意喚起を行ってまいりました。またさらに、住民の方から環境省が設置しているコールセンターに、何か不安のようなことを感じた場合には通報いただくということもしてございます。通報いただいた場合には、通報者の保護に留意しながら、受注者等が特定できるものについては個別に受注者への指導を行っているところでございます。

 また、今御指摘ございましたように、川俣町の除染作業員が寝屋川市の事件に関与していたという件につきましては、地元の方で大変な御不安があるということは承知をしてございます。

 事件の容疑者が川俣町の除染作業員であることが判明しました後、直ちに受注者に対しまして、日常生活を含めた法令遵守や規律、風紀の維持等につきまして作業員や雇用主への教育を徹底すること、また作業員の状況の把握を実施することというようなことにつきまして指示をいたしました。また、福島県内の他の除染工事の受注者についても同様の指示を行ったところでございます。

 また、福島県警と連携をいたしまして、川俣町以外で除染などの工事を受注している業者も含めまして、受注者に対する特別講話というものも行ってございます。

 地域の方々の御不安が生じないように、受注者に対して引き続き作業員への教育等を指導していくとともに、住民の皆様からのお問い合わせなどにつきましても丁寧に対応してまいりたいと考えてございます。

 また、南相馬市等の除染の完了の見通しでございますけれども、まず、南相馬市につきましては、宅地の除染を平成二十七年度末までに終了させるという計画になってございます。また、川俣町と葛尾村については、宅地の除染は既に完了してございまして、残る農地、森林等の除染を平成二十七年末までに終了させる計画となってございます。

 除染作業を進めるに当たりましては、まず関係人、地権者の方の除染の同意取得が必要でございますし、また仮置き場の確保が重要でございます。これらの三自治体につきましては、これらの手続がほぼ終了または相当進んでいる状況でございます。このため、除染工事の受注者に対しまして、必要な作業員の確保と適切な工程管理を指導いたしまして、計画に基づくスケジュールに従って除染が終了できるよう、全力で努めてまいりたいと考えてございます。

真山委員 以上で質問を終わらせていただきますけれども、ぜひ、実態をしっかり把握していただいて、住民のためにも、また作業員の皆様のためにも、環境省の取り組みをお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。

北川委員長 次に、島津幸広君。

島津委員 日本共産党の島津幸広です。

 先日委員会で視察いたしました琵琶湖の問題について、私も質問させていただきたいと思います。

 これまで議論があったように、琵琶湖は、国際的にも学術的にも貴重な湖です。また、水資源という意味でも重要な役割を果たしています。

 そこで、望月大臣にお聞きしたいんですけれども、将来、どのような琵琶湖にするのか、どういう琵琶湖を残していくのか、その理念についてお考えをお聞きしたいと思います。あわせて、近年、琵琶湖が変貌しつつあるわけで、自然環境、景観の破壊、生態系の変化、水質汚濁、漁業への影響等々、琵琶湖の現状の認識ですね。別々に通告してあったんですけれども、時間の関係で、二つあわせて簡潔に、済みませんが、お答え願いたいと思います。

望月国務大臣 それでは、なるべく簡潔にお答えしたいと思います。

 先ほどからお話ししましたように、まず第一に、琵琶湖は日本最大の湖で、近畿圏の約千四百五十万人の社会経済活動を支える貴重な水源であるということ。

 それから、歴史的にも四百万年以上の歴史を有する、我が国の最大で、そしてまた世界的に希少な湖である。それから、多くの固有種が存在する豊かな生態系を持っておる。あるいはまた、自然環境及び水産資源の宝庫として、その重要性は高い。

 これをやはり、豊かな環境を守って、次の世代の人たちも享受できるようにする、その保全と再生、再生もしていかなくてはならない、こういったことを念頭に置いていきたいと思います。

 先ほど、真山先生、猪苗代湖の大切さというのをおっしゃいましたけれども、島津先生は私と同じ静岡県ですから、浜名湖がいかに県民にとって大切かということは島津先生ももう十分に御存じのことだということで、私とそういったものを共有できるのではないかな、こんなふうに思っております。

 それから、水質及び生態系のことでございますけれども、工場及び事業場からの排水の規制、下水道や浄化槽の整備による汚濁負荷の削減などの取り組みによって、琵琶湖に流入する汚濁負荷は着実に削減はされておりますが、いまだ環境基準を満たすには至っておりません。

 これは、やはり多様な動植物が生息するなど、生態系の保全上重要な湖沼の一つであると認識をしておりますが、そういった意味でも、さまざまこれからしっかりと研究をして原因を突きとめて、それでいち早くそれを取り除くことができるようにしていかなくてはいけないと思っております。

 それから、カワウによる漁業被害。近年、新たな外来種の侵入等によって被害が生じている。こういったことも、例えばカワウだけでも、実は、それでも、前には八万羽いたのが今は八千羽ぐらいになっている。まだこの半分ぐらいにしたいなというような話も聞いています。どの程度が適正かということも含めて、これからしっかりと対応してまいりたい、このように思います。

島津委員 ありがとうございました。

 今いろいろ答弁があったわけですけれども、多少の改善があっても、全体として見ると琵琶湖は疲弊してきたというのが現実だと思うんです。個々の問題については後で触れたいと思いますけれども、この基本認識は、私は非常に大事だと思うんです。

 私は、この間、当委員会の視察とともに、独自にも足を運んで、現場を見て、滋賀県の担当者を初めそれぞれの立場の人からいろいろな話を聞いてきました。県の担当者も、どこかで生態系のバランスが崩れている、こういうふうに話していました。

 大臣、こうした認識の上に立って改めて聞きますけれども、なぜ琵琶湖が疲弊し、環境が悪化してきているのかという点について、もう少し立ち入ってお話しいただきたいと思います。

望月国務大臣 琵琶湖については、先ほど私お話ししましたが、さまざまな法律あるいはまた努力によって、流入する汚濁負荷は着実に削減されてきた。確実にそれはわかっておりますが、湖内の植物プランクトンによる生産などによって環境基準の達成に至っていない、こんなふうに考えられます。

 こういった問題につきましては、まだまだ研究をしっかりして、それを取り除いていかなくてはならないというものがございます。CODだとか、あるいは全燐、全窒素、そういったものが本当に中で減っているかというと、これもまた非常に微妙なところがございますので、こういったものについてもしっかりと対応してまいりたいと思っております。

 それから、先ほど私お話ししましたように、外来種対策、カワウの広域管理が進められております、その効果もあらわれ始めてきてはおりますが、琵琶湖の生態系保全を進めていくためには、これらの取り組みをなお一層推進していくことが必要である、我々はこんなふうに認識をしております。

 環境省としては、関係地方公共団体及び関係省庁と連携して、水質汚濁のメカニズムの一層の解明に努め、これまでの取り組みを検証して、そして適切な措置を講じてまいりたいと考えております。

 また、滋賀県における外来種対策においても引き続きしっかりと支援をしてまいりたい、こんなふうに思っております。

島津委員 琵琶湖の環境悪化はさまざまな要因が重なっていると思うんです。

 私は、一九七二年から二十五年かけて取り組まれた琵琶湖総合開発事業、いわゆる琵琶総の影響が大きいと考えます。

 この琵琶総についての成果、残された課題については議論があったわけなんですけれども、改めて、琵琶総をどう検証、総括しているのかという点について、お答え願いたいと思います。

高橋政府参考人 琵琶湖総合開発計画につきましては、当時、琵琶湖の水質が悪化して、琵琶湖を水源とする国民生活、経済活動に支障が生じていたことから、琵琶湖の自然環境保全及び水質改善を図るなどを含めた総合的な計画として策定されたものであるというふうに認識してございます。

 その結果、琵琶湖の水質につきましては一定の改善が見られたところでございますけれども、さらなる水質改善と、自然環境の保全と再生に関する取り組みをさらに実施していく必要があるというふうに認識をしてございます。

島津委員 環境面からの検証、総括というのはどうなんでしょうか。これは環境省、ぜひお答えください。

北川委員長 今は環境省が答えて、先ほどの件については、では国土交通省石塚大臣官房審議官。

石塚政府参考人 お答えいたします。

 琵琶湖総合開発特別措置法全般にわたった検証、総括につきまして、まず御説明をいたしたいと思います。少々重複いたしますが……(島津委員「簡単でいいです」と呼ぶ)はい。

 治水面それから利水上の効果につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、水害による琵琶湖沿岸の被害の軽減等、大きな治水上の効果が得られ、かつ、利水上の効果といたしましても、渇水時においても被害がほとんど生じなくなった、安定的な水供給が図られるようになったという効果がございました。

 同時に、水質向上の効果としては、下水道、し尿処理整備率の向上等によりまして、流入河川の水質、特に南湖に流入する河川の水質改善が図られたところは事実でございます。

 一方で、琵琶湖自体の平均的な水質につきましては、水質汚濁の指標となりますCODが漸増傾向にあるなどの水質保全についての課題が残されておりました。

 さらには、森林、農地等の減少によります水源涵養機能の低下でありますとか、生物多様性、琵琶湖固有の景観保全といった、自然的な環境あるいは景観の保全に関しても必要性を認識していたところでございます。

島津委員 二十五年かけて一兆九千億円投入した大規模プロジェクトですから、それなりの効果があるわけですけれども、同時にいろいろなマイナス面もあると思うんです。

 琵琶総とは何だったかということなんですけれども、簡単に言えば、近畿圏一千四百万人の水需要に応えるためとして、自然豊かな琵琶湖をダム化して、琵琶湖から新たに毎秒四十トンの水を下流域に供給する、そのかわりに、滋賀県内の利水、治水、湖岸道路の建設、河川改修などをどんどん推し進める、こういうものだったわけです。

 その結果どうなったかといいますと、一九七七年には赤潮が大発生する、八三年には初めてアオコが発生する、最近では、繁殖力が非常に強い外来種の水草、オオバナミズキンバイが急速に広がり、漁業にとっても死活問題になるなど、影響を与えています。

 琵琶総について具体的に聞きたいと思うんです。

 一つは水位操作です。水位の操作。

 琵琶湖を丸ごとダム化したことによって、水位の変化を人為的に調整することになったわけですけれども、これによる弊害というのはどのようにあらわれているんでしょうか。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 ダムのお話がございましたけれども、琵琶湖の水位は、瀬田川洗堰によって行っております。この洗堰ですけれども、これは、淀川流域の治水、利水上極めて重要な役割を持つ施設でございまして、琵琶湖周辺の洪水防御、琵琶湖の水位維持、それから洗堰下流の淀川の洪水流量の低減、流水の正常な機能の維持、そして都市用水の供給、これらを行うことを目的とする重要な施設になってございます。

 それで、琵琶湖の水位ですけれども、非洪水期には、都市用水を補給するために、高い水位で維持しております。それを、洪水期には、洪水を貯留する容量を確保するために水位を低下させる、こういう操作になります。

 一方で、例えば春の水位が高い時期に魚類が産卵しまして、その後、瀬田川洗堰の操作により水位を低下させると魚類の卵が干上がるなどの影響が懸念されているところでもございます。

 この魚類産卵への影響に対して、私どもは、専門家により構成されるワーキンググループを設置して、水位調節やその分析を行ってきておりまして、その結果を踏まえて、平成二十六年度、昨年度から、春における魚類の産卵後の卵の干上がりを抑制するための、水位の低下を弾力的に行う洗堰の操作を行っております。

 引き続き、専門家の意見を踏まえて、自然環境の保全に向けて丁寧な対応を行ってまいりたいと考えておるところでございます。

島津委員 今お答えがあったように、魚類の産卵期に水位が低下して産卵ができなくなる、また、それ以外にも、ヨシの刈り取り時期、三月、ここに水位が上昇して刈り取りができなくなる、こういう事態が生まれています。こういう事態を解消して生態系を保存するためにも、水位操作の見直しが必要だということを改めて指摘しておきたいと思います。

 二つ目に、湖周道路、湖岸道路の問題です。

 これは、湖周道路ができまして、湖、琵琶湖を一周できるということで、便利になったという意見がある一方で、かつて湖だったところに道路ができて、七カ所の人工の内湖もつくられる。これに伴う生態系の破壊が今日大きな問題になっています。

 この湖周道路の生態系への影響についてどのように見ているんでしょうか。

奥主政府参考人 お答えいたします。

 環境省におきましては、琵琶湖において定点を設けまして、生態系の指標となる生物相の調査を行いまして、琵琶湖全体の生物相がどのような状況になっているか、推移しているかというのを把握しております、調査しておりますけれども、先生御指摘のように、湖周道路の整備による生態系への影響につきまして的を絞った調査というものは行っておりませんので、環境省といたしましては、その影響につきまして把握はしておりません。

島津委員 これは大きな問題だと思うんです。

 例えば、元湖南漁業組合長の方はこう言っているんです。外来種と固有の藻が絡み合って、どうしようもない事態になっている。昔はマコモやヨシ、柳が群生したが、全ての湖岸の道路のために潰された、ヨシ破壊道路である。琵琶湖の自然を生かしてやってくれればよかった。一九七五年までは漁としては成り立っていたけれども、六五年から七五年は全盛期だったけれども、衰退した。どのように再生したらいいのか。今までの悪いことは全部やめなきゃならない。こういうふうに指摘しています。

 この湖周道路でヨシ群がなくなったりヨシが後退したりするんですけれども、このヨシは面積がどのようになっているかというのは承知しているんでしょうか。

奥主政府参考人 湖周道路の影響によるものであるかどうかは今不分明でございますけれども、滋賀県によりますと、昭和二十八年には二百六十一ヘクタールのヨシ群落が存在していました。その後の埋め立てや湖岸堤の整備等によりまして、平成三年度には百二十八ヘクタールにまで減少したとのことでございます。

 その後、滋賀県によるヨシ群落の保全、再生に向けた取り組みが進められまして、平成二十六年度は百八十三ヘクタールまで回復したというふうに聞いております。

島津委員 湖岸道路で、湖周道路で、やはりヨシ初めいろいろな影響が出ているわけですから、しっかりそこを見て、これからの事業は、反省の上に事業を進めていかなきゃいけないと思うんです。

 この琵琶湖の問題で、ちょっと時間がありませんので、幾つか質問を飛ばさせていただきたいんですけれども、緊急な対策を求められている具体的な問題についてお聞きしたいと思うんです。

 一つは、水草の異常繁茂の対策です。

 御承知のように、最近、水草が異常に繁茂し、滋賀県も積極的に取り組んでいるわけですけれども、一向になかなか対策が進まない。特に外来種であるオオバナミズキンバイは、二〇〇九年に確認されて以来、毎年三倍の勢いで拡大しているわけです。私も実際に見てきましたけれども、船のスクリューに絡みついて、水深の浅いところでは船が入れない。

 これまでこのオオバナミズキンバイは、ボランティアなど多くのマンパワーで除去作業が進められているわけなんですけれども、繁殖の勢いにはとても追いつかないというのが現状です。このオオバナミズキンバイで、漁業の問題も非常に大きな影響を受けているわけなんです。

 政府は昨年六月、オオバナミズキンバイを特定外来生物に指定したわけですけれども、根絶に向けた抜本的な対策というのはとっているんでしょうか。

奥主政府参考人 お答えいたします。

 環境省といたしましては、琵琶湖におきますオオバナミズキンバイの防除につきましては、まずは、環境省の交付金を活用いたしました支援と国直轄事業によりまして、オオバナミズキンバイの防除に現在取り組んでいるところでございます。

 その結果でございますけれども、現在、琵琶湖でのオオバナミズキンバイの生育面積でございますけれども、平成二十五年度末におきましては六千四百、八百八十平方メートルであったものが、平成二十六年度末では四万六千三百平方メートルまで減るというふうなことで、一定の成果は出ていると思いますけれども、引き続きその防除に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

島津委員 オオバナミズキンバイというのは、私も現地に行って驚いたんですけれども、このぐらいでも刈り残しがあって、そうしますと、それが流れていきまして湖岸に着きますと、そこからまた大繁殖していくんですよ。取っても取っても切りがないということで。ですから、これを駆除するのは、根こそぎやらなきゃいけないということなんです。ですから、大きな面積で、ぐわっと機械を使ってやるのももちろん必要なんですけれども、一本一本、やはり根を残さずに駆除していくということが大切なんです。

 そういう点では、今、学生の皆さんなどがボランティアで行きまして、そして、二泊三日ぐらいのあれで皆さんで駆除して、そういう話も聞いたんですけれども、こういうボランティアの作業など、こういうところの財政支援というのはあるんでしょうか。

奥主政府参考人 滋賀県が事務局を担っております琵琶湖外来水生植物対策協議会が、今、実際の防除事業に取り組んでいるところでございます。それに対しまして、環境省としても事業交付金を交付しているところでございますけれども、大学生のボランティアによる防除等につきましても、協議会の事業の中に位置づけるということであれば支援も可能かというふうに考えております。

 あと、それと一点、訂正でございますが、先ほど数字で、オオバナミズキンバイのあれが、平成二十五年度末は六万四千でございますので、ちょっと改めて訂正させていただきたいと思います。

島津委員 これは地元にとってみても非常に死活的な問題なんです。

 このオオバナミズキンバイの対策で、生物多様性保全推進支援事業というのがあって、これは二〇一六年度で事業期間が終わってしまうんですけれども、地元の皆さんは、これで終わっちゃって、その先どうなるのかというふうに心配しているんですけれども、これは、終わった後の見通しというのはどうなるんでしょうか。

奥主政府参考人 お答えいたします。

 この事業につきましては、改めてまた申請が出された段階で、その事業に、予算の対象になるかどうか審査するということになろうかと思います。

島津委員 オオバナミズキンバイ初め、この事業で推進する事業というのは非常に大切な事業ですから、ぜひ充実させて存続させていく方向で検討していただきたいと思います。

 最後に、もう時間がありませんから、農業の問題について一言聞きたいと思うんです。農業水利施設の老朽化対策の問題です。

 琵琶総の時代に、農作物、とりわけ水田ですね、近江は近江米で知られるように米づくりの中心地なんですけれども、これに水が必要だということで、農業水利施設を琵琶総当時につくられたんですけれども、四十年経過して、老朽化が著しくなっています。

 この問題について、更新する財政的支援、これが強く地元からも要望されているんですけれども、この点についてはどのように考えていくんでしょうか。

印藤政府参考人 お答えいたします。

 基幹的水利施設の多くは戦後に建設され、全国的にも、既に標準耐用年数を超えた施設が全体の約二割に及ぶなど、老朽化が進んでおります。滋賀県におきましては、農業用ダムや揚排水機場などの施設が百九カ所、基幹的な水路だけでも七百八十四キロメートル存在し、これらの施設の約三割が耐用年数を超えるという状況でございます。

 このため、国、県等による機能診断に基づく施設の劣化状況に応じた補修、更新、土地改良区による適切な日常管理を通じた施設のさらなる長寿命化、そして、地域ぐるみの共同活動によって末端水路を保全する取り組みなどを組み合わせ、効率的かつ効果的な長寿命対策を行い、保全管理コストの低減を図ることとしております。

 今後とも、食料生産に不可欠な基本インフラであり、水循環等の公益的機能を発揮する農業水利施設について、適切な保全管理がなされるよう取り組んでまいりたいと思っております。

島津委員 時間が来たので終わりますけれども、いずれにしても、琵琶湖、これからの保全、再生については、琵琶総の検証の上に、反省の上にしっかりとして、今度は開発優先ではなくて環境保全、これを優先に進めていってほしいということを指摘して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

北川委員長 次に、琵琶湖の保全及び再生に関する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、牧原秀樹君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、維新の党、公明党及び生活の党と山本太郎となかまたちの共同提案により、お手元に配付いたしております琵琶湖の保全及び再生に関する法律案の起草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。牧原秀樹君。

牧原委員 琵琶湖の保全及び再生に関する法律案の起草案につきまして、自由民主党、民主党・無所属クラブ、維新の党、公明党及び生活の党と山本太郎となかまたちを代表して、その趣旨及び内容について御説明を申し上げます。

 琵琶湖は、我が国最大の湖であり、近畿圏の人々の生活、都市活動、産業活動を支える貴重な水資源として、また、人々に潤いや安らぎを与える心の支えとして、幾多の恵みをもたらす国民的資産であります。

 また、琵琶湖は、約四百万年の歴史を有する世界でも数少ない古代湖の一つであり、この悠久の歴史の中で、多数の固有種を初めとする動植物が生息、生育する豊かな生態系が育まれ、自然環境及び水産資源の宝庫になっております。

 琵琶湖については、旧琵琶湖総合開発特別措置法により昭和四十七年から二十五年の間にわたり、治水、利水環境の向上のための施策が講じられてきました。同法が平成九年に失効して以降は、今日に至るまで周辺地域の土地利用や産業活動、生活様式の変化等もあり、多くの環境保全の取り組みにもかかわらず、水草の異常繁茂、外来動植物などによる生態系や漁業への被害を初めとして、琵琶湖の自然環境等の悪化が一層顕在化してきている状況にあり、その総合的な保全及び再生を図ることが喫緊の課題となっています。

 また、そのような保全及び再生に向けた取り組みは、全国の湖沼の保全及び再生の先駆けともなり得るものであります。

 こうしたことから、国民的資産である琵琶湖を健全で恵み豊かな湖としてその恵沢を次世代に継承していくため、現行の各個別法の施策の実効性も高めつつ、その総合的な保全及び再生を図ることを目的として、本起草案を得た次第であります。

 次に、本起草案の主な内容について御説明を申し上げます。

 第一に、主務大臣は、琵琶湖の保全及び再生に関し実施すべき施策を推進するため、琵琶湖の保全及び再生に関する基本方針を定めなければならないこととしております。

 第二に、滋賀県は、同基本方針を勘案して、琵琶湖保全再生施策に関する計画を定めることができることとしております。

 第三に、国は、琵琶湖保全再生計画に基づく事業が円滑に実施されるよう、その実施に要する費用について、必要な財政上の措置を講ずるものとしております。

 第四に、主務大臣、関係行政機関の長、関係地方公共団体、関係事業者等は、琵琶湖保全再生計画の実施に関し、相互に連携を図りながら協力しなければならないこととしております。

 第五に、主務大臣、関係行政機関の長、関係府県知事及び関係指定都市の長は、琵琶湖保全再生施策の推進に関し必要な事項について協議を行うため、琵琶湖保全再生推進協議会を組織することができることとしております。

 第六に、琵琶湖の保全及び再生に関し、水質の汚濁の防止のための措置、湖辺の自然環境の保全及び再生、外来動植物による被害の防止等、国及び関係地方公共団体が講ずべき施策について定めております。

 なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び主な内容であります。

 何とぞ速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。

    ―――――――――――――

 琵琶湖の保全及び再生に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

北川委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 本件について発言を求められておりますので、これを許します。島津幸広君。

島津委員 発言をさせていただき、ありがとうございます。

 琵琶湖の問題は、この半世紀にわたり死の海と言われた水質汚染を防止して、環境を再生するためのさまざまな歴史や経過に照らして、今回、開発から保全、再生に転換する法律をつくるに当たっては、実態の調査だとか、あるいは環境保全、再生の運動を進めてきた関係者の意見を踏まえて、法案に即して十分な質疑が必要だと思います。ところが、今回は、起草案を今提案し、私一人、十分間の発言、質疑ということで結論を出すやり方では不十分だと言っておきたいと思います。

 その上で、限られた時間で幾つかの点について伺います。

 まず一番目に、第一条の目的についてです。

 ここにある「総合的な保全及び再生を図ることが困難な状況」、こうあるわけですけれども、この「困難な状況」、これはどういうことなんでしょうか。琵琶湖の現状、琵琶湖が置かれている現状についての認識をお聞きしたいと思います。

武村委員 お答えいたします。

 近年、人口増加や活発な産業活動の展開といった社会経済情勢の急激な変化によりまして、琵琶湖の自然環境は大きな変貌を余儀なくされています。具体的には、CODの高水準のままの推移、アオコの発生、湖底の低酸素化、漁獲量の減少、オオクチバス等の外来魚、オオバナミズキンバイ等の外来植物及びカワウによる生態系や漁業への被害、水草の異常な繁茂などが挙げられます。

 また、ヨシ群落や内湖の再生が図られていますが、いまだ昭和三十年代の水準まで回復には至っていないこと、近年、ニホンジカによる森林被害が急激に増加していることなど、琵琶湖の自然環境、景観や自然の水環境の悪化が懸念される状況にあるものと認識しております。

島津委員 今お答えがあったわけですけれども、それでは、困難な状況を生み出した原因についてもう少し詳しくお考えをお聞かせください。

武村委員 お答え申し上げます。

 御指摘の困難な状況を生み出した原因は、人口増加や活発な産業活動の展開といった近年の社会経済情勢の急激な変化によるものであると考えています。

 しかしながら、琵琶湖の抱える課題は多分野にわたり、また複合的であることから、滋賀県におきまして、琵琶湖環境科学研究センターが水質汚濁メカニズムに係る調査研究や琵琶湖生態系の修復に関する研究などを行っておりますが、その明確な原因は十分に研究できていないのが現状であると考えます。

 そこで、本法律案では、第九条におきまして、調査研究等についての規定を設けたところでございます。同条第一項では、「国は、琵琶湖の自然環境の状況を適切に把握し、琵琶湖保全再生施策の実施の基礎とするため、琵琶湖の自然環境に関する調査を行うとともに、その結果を公表するもの」とし、同条第二項では、「関係地方公共団体は、国との連携を図りつつ、前項の調査を行うとともに、その結果を公表するよう努めるものとする。」こととしております。

島津委員 調査研究ももちろん大事だと思うんです。同時に、今回の法案を受けて、さまざまな対策、計画が盛り込まれているわけですけれども、それを実行する上で、私は、琵琶湖総合開発事業の検証、総括がやはり欠かせないと考えます。

 失敗に学ばない者は同じ失敗を繰り返す、こういう言葉があります。もちろん、琵琶総の全てを否定するつもりはありませんけれども、メリット面とともにデメリット面もしっかり総括した上でこれらの事業を進めることが大切だと思います。

 次に伺いたいんですけれども、第三条二項三のホに関してです。

 琵琶湖の保全及び再生のための事項として、「農林水産業、観光、交通その他の産業の振興に関する事項」とあります。

 かつての琵琶湖総合開発事業では、地域産業の振興の名のもとに、いわゆる開発優先の施策を施行してきた側面は否めません。本法案で言われている先ほどの事項に関して、具体的にはいかなるものを想定しているんでしょうか。

田島(一)委員 御質問ありがとうございます。

 御指摘をいただきました「農林水産業、観光、交通その他の産業の振興に関する事項」は、琵琶湖保全再生計画の記載事項として定められているものでございます。

 これは、第三条の第二項第三号の柱書きにございますように、「琵琶湖の保全及び再生のための次に掲げる事項」として定めるものとされておりまして、あくまで琵琶湖の保全及び再生のためのものであることははっきり申し上げておきたいと思います。

 具体的にというお話でございましたので、この「農林水産業、観光、交通その他の産業の振興に関する事項」といたしましては、水産資源の適切な保存及び管理等、環境に配慮した農業の普及、その他、琵琶湖の環境と調和のとれた産業の振興、エコツーリズムの推進、琵琶湖周辺の環境負荷の低減等を図るための湖上交通の活性化などの措置について、琵琶湖保全再生計画に記載することを想定しております。

 いずれも、御指摘いただいております開発優先、琵総のときのイメージとしてお持ちの開発優先ではなく、あくまで琵琶湖の保全及び再生を図るための必要な施策が講ぜられるものというふうに考えております。

島津委員 ありがとうございます。

 今、話も出ましたけれども、湖上交通の活性化の問題です。

 第十九条で、「琵琶湖周辺の環境負荷の軽減、災害時における旅客又は貨物の輸送の確保等を図るため、湖上交通の活性化のために必要な措置を講ずる」、この意味なんですけれども、特にここに言っている「環境負荷の軽減、」「湖上交通の活性化」、この意味することについてもう少しお答えください。

田島(一)委員 本条におきます「湖上交通の活性化」は、琵琶湖への関心をまず高め、さらに琵琶湖周辺の環境負荷の軽減、災害時における旅客及び貨物の輸送の確保等を図るために行われるものでございます。

 すなわち、従来からございます湖上交通を、今後、恒常的にその利用を単に増大させるという意味での活性化ではございません。

 先生もこの間の視察でごらんいただきましたが、日本で唯一の淡水湖に浮かぶ有人の島、沖島の住民、約三百五十人が生活していらっしゃいますが、その沖島住民の生活航路や通学航路として既にもう船が利用されていることに加えまして、湖周道路の交通量の増大による渋滞等の道路交通環境への負荷を軽減すること、また、両岸、対岸ですね、への移動時間の短縮等を図るため定期航路や湖上タクシーというのも利用されているところでございますが、今後は、災害発生時の湖周道路の寸断を想定して、県の地域防災計画の中にも広域湖上輸送拠点に十個の港が指定されているわけでございますが、災害対策として、緊急時の物資輸送でありますとか人員輸送の確保のためにも湖上交通の確保は必要だというふうに考えております。

 それと、「環境負荷の軽減、」についての意味でございますが、道路交通環境への負荷の軽減を意味するだけではなく、広い意味では、現在滋賀県で取り組みが進められておりますエコ交通の一環として、地球環境や道路交通環境さらには経済環境など、人と環境に優しい交通体系として進めている、目指しているエコ交通の推進を図る一環として湖上交通の活性化が図られるべきものというふうに考えているところでございます。

島津委員 どうも時間が来ましたので、最後。

 第十条に関してですけれども、「水質の汚濁の防止のための措置等」とありますけれども、福井県にある原発が事故を起こした場合に琵琶湖への影響は大きなものがあるわけですけれども、ここで言われているのは、「水質の汚濁の防止のために必要な規制等の措置」の中に原発事故が起きたことも想定しているんでしょうか。

田島(一)委員 お答え申し上げます。

 まず、概念上ではございますが、「水質の汚濁」には、放射性物質による水質の汚濁も含まれ得るものであります。

 水質の汚濁を防止するために、琵琶湖におきましても、現行法制度に基づいてさまざまな規制や予算措置が講じられているところでございますが、御指摘の、原子力発電所、原発事故の際の原子炉等からの放射性物質に関しましては、まずは原子炉等規制法や水質汚濁防止法に基づいて規制が行われることを想定しておりますが、御承知のように、今御指摘をいただいた、この水質汚濁法には、事故が起こった際の放射性物質による水質の汚濁も想定できるものという認識でつくらせていただきました。

島津委員 ありがとうございました。

 いずれにしても、本法案に基づく施策が環境保全を最優先に展開されていくというべきであることを指摘して、終わります。ありがとうございました。

北川委員長 以上で発言は終了いたしました。

 お諮りいたします。

 本起草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

北川委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五十四分散会


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