衆議院

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第14号 平成27年12月18日(金曜日)

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平成二十七年十二月十八日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 北川 知克君

   理事 あかま二郎君 理事 助田 重義君

   理事 平井たくや君 理事 藤原  崇君

   理事 田島 一成君 理事 松田 直久君

   理事 浮島 智子君

      秋本 真利君    石川 昭政君

      大串 正樹君    鬼木  誠君

      勝俣 孝明君    木内  均君

      笹川 博義君    白石  徹君

      新谷 正義君    高橋ひなこ君

      武村 展英君    中村 裕之君

      堀井  学君    前川  恵君

      吉野 正芳君    篠原  孝君

      中島 克仁君    福田 昭夫君

      馬淵 澄夫君    中川 康洋君

      真山 祐一君    島津 幸広君

      椎木  保君    鈴木 義弘君

      玉城デニー君

    …………………………………

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    丸川 珠代君

   厚生労働副大臣      竹内  譲君

   環境副大臣        井上 信治君

   環境大臣政務官      鬼木  誠君

   環境大臣政務官      白石  徹君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 山本 哲也君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 水越 英明君

   政府参考人

   (文化庁文化財部長)   村田 善則君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官)  平井 裕秀君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   鎌形 浩史君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            三好 信俊君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       北島 智子君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  梶原 成元君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            高橋 康夫君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  奥主 喜美君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          山田 知穂君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 山本 達夫君

   環境委員会専門員     石上  智君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月九日

 辞任         補欠選任

  井林 辰憲君     白石  徹君

  熊田 裕通君     鬼木  誠君

同月二十六日

 辞任         補欠選任

  篠原  豪君     吉田 豊史君

十一月二十六日

 辞任         補欠選任

  笹川 博義君     あかま二郎君

十二月九日

 辞任         補欠選任

  小沢 鋭仁君     椎木  保君

  吉田 豊史君     鈴木 義弘君

同月十八日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     大串 正樹君

  小倉 將信君     木内  均君

  田中 和徳君     秋本 真利君

  福山  守君     笹川 博義君

  真山 祐一君     中川 康洋君

  鈴木 義弘君     小沢 鋭仁君

同日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     田中 和徳君

  大串 正樹君     中村 裕之君

  木内  均君     小倉 將信君

  笹川 博義君     新谷 正義君

  中川 康洋君     真山 祐一君

同日

 辞任         補欠選任

  新谷 正義君     福山  守君

  中村 裕之君     勝俣 孝明君

同日

 辞任         補欠選任

  勝俣 孝明君     穴見 陽一君

同日

 理事熊田裕通君十月九日委員辞任につき、その補欠としてあかま二郎君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

九月二十五日

 一、原子力災害対策特別措置法の一部を改正する法律案(田嶋要君外三名提出、衆法第三〇号)

 二、環境の基本施策に関する件

 三、地球温暖化の防止及び低炭素社会の構築に関する件

 四、循環型社会の形成に関する件

 五、自然環境の保護及び生物多様性の確保に関する件

 六、公害の防止及び健康被害の救済に関する件

 七、原子力の規制に関する件

 八、公害紛争の処理に関する件

の閉会中審査を本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

北川委員長 これより会議を開きます。

 理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事にあかま二郎君を指名いたします。

     ――――◇―――――

北川委員長 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、気候変動枠組み条約第二十一回締約国会議及び京都議定書第十一回締約国会合の結果について政府から報告を聴取いたします。丸川環境大臣。

丸川国務大臣 おはようございます。

 このたび、環境大臣及び原子力防災を担当する内閣府特命担当大臣を拝命いたしました丸川珠代でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 十一月三十日から十二月十三日までの間、気候変動枠組み条約第二十一回締約国会議及び京都議定書第十一回締約国会合がフランス・パリ郊外で開催され、安倍総理が出席した首脳級会合に続き、私も閣僚級会合に出席をしてまいりました。この会議の結果について御報告いたします。

 現地時間十二日、この会議において、温室効果ガス排出削減等のための新たな国際枠組みであるパリ協定が採択されました。

 先進国と途上国の立場の違いを乗り越えて、歴史上初めて全ての国が参加する公平な合意が得られたことを高く評価します。また、このような合意に我が国が積極的に貢献できたことを喜ばしく思います。

 パリ協定には、長期目標として気温上昇を二度より十分低く保つこと及び一・五度以下に抑えるよう努力することへの言及があり、全ての国が削減目標を五年ごとに提出、更新し、実施状況の報告、点検を受けること、五年ごとに世界全体の状況を確認すること、適応の長期目標を設定し、各国が適応計画立案過程及び行動の実施に取り組むこと、先進国が引き続き資金を提供するとともに途上国も自主的に資金を提供すること等の内容が定められました。また、二国間クレジット制度も含めた市場メカニズムの活用が位置づけられました。

 私は、会議期間中、議長であるフランスのファビウス外務大臣との意見交換を数度にわたり行ったほか、アメリカ、カナダ、オーストラリア及びニュージーランド等の交渉グループ内の調整、中国、インド、南アフリカ、ブラジル等の主要国閣僚との対話を通じて交渉してまいりました。

 また、自治体等の非政府主体の取り組みを促進すべく、フランス、ペルー及び国連が提唱したリマ・パリ・アクション・アジェンダにおける我が国とアジアの都市間連携の取り組みを発信しました。また、我が国が提案する二国間クレジット制度に署名をした十六カ国が一堂に会する第三回JCMパートナー国会合を開催し、関係国との協力関係の強化を確認いたしました。さらに、フランスのロワイヤル・エコロジー・持続可能開発・エネルギー大臣との低炭素で環境に優しい社会を構築するための二国間連携に関する協力覚書への署名など、我が国の貢献の発信及び強化を積極的に行いました。

 今後、地球温暖化対策推進法に基づく地球温暖化対策計画をできるだけ早期に策定し、我が国の約束草案に盛り込まれた排出削減への取り組みを着実に実施するとともに、適応計画に基づく取り組みを進めてまいります。

 気候変動問題は長期的な課題であり、より一層の抜本的な排出削減を実現していく必要があります。将来世代に美しい地球を引き渡さなければなりません。経済社会システムやライフスタイルの変革を含め、関係省庁や地方公共団体、産業界、NGO、NPOなど多様な主体と連携をし、国民の皆様と一緒に地球温暖化対策の推進に全力で取り組んでまいります。

 以上です。

北川委員長 これにて報告の聴取は終了いたしました。

    ―――――――――――――

北川委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官山本哲也君、外務省大臣官房参事官水越英明君、文化庁文化財部長村田善則君、経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官平井裕秀君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長鎌形浩史君、環境省総合環境政策局長三好信俊君、環境省総合環境政策局環境保健部長北島智子君、環境省地球環境局長梶原成元君、環境省水・大気環境局長高橋康夫君、環境省自然環境局長奥主喜美君、原子力規制庁長官官房審議官山田知穂君、防衛省大臣官房審議官山本達夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

北川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。助田重義君。

助田委員 おはようございます。自由民主党の助田でございます。

 本日は、質問の機会をいただきましたこと、北川委員長初め理事、委員の皆様方に感謝を申し上げます。

 十一月三十日から十二月十三日までフランス・パリにおいて行われました国連気候変動枠組み条約第二十一回締約国会議、COP21についてお伺いさせていただきます。

 COP21において、京都議定書にかわる温室効果ガス排出削減等のための新たな国際枠組みであるパリ協定が十八年ぶりに採択されましたことは、大変すばらしいことだと思います。日本政府代表団の団長として各国閣僚との交渉を精力的にこなし、我が国がこれまで求めてきた、全ての国が参加する公平で実効のある国際枠組みの構築に道筋をつけられた丸川大臣らに、改めて敬意を表させていただきます。特に、我が国の主張が受け入れられた部分も多いと思われ、我が国の貢献、我が国が頑張った姿勢は、世界に胸を張ることができると思います。

 先進国と途上国の立場の違いを含めて数多くの論点があり、最後まで予断を許さない緊迫した状況であったと思われます。まずは、丸川大臣に、COP21の成果と、COP21に参加されての所感を伺いたいと思います。また、合意文書の取りまとめに当たり、日本の主張が受け入れられた部分などについても、この機会にぜひお伺いしたいと思います。お願いします。

丸川国務大臣 助田委員から御質問いただき、まことにありがとうございます。

 御指摘のとおり、本当に最後の瞬間まで百九十六カ国が合意に至るかどうか予断を許さない状況であったという大変な緊迫感の中で、無事合意に至ったことは本当に歴史的な成果である、人類の英知がそこに至ったことについては本当にお互いに喜び合いたいという思いであります。そして、我が国が長年主張してまいりました、全ての国が参加する公平な合意になったということについては、高く評価をしたいと思います。

 会合の初日、安倍総理が参加をして、そして合意に向けて我が国の強い意思を示しました。その際には、途上国支援について一・三兆円の資金プレッジを表明したわけですけれども、これも合意形成に向けての後押しになったというふうに私どもは考えております。

 私自身も、議長国フランスとは何度もお会いをして話をさせていただきましたし、また、交渉グループとして内部で調整をしながら、主要国閣僚との対話を通じて合意形成のために大変な努力をさせていただきました。

 とりわけ、我が国が主張しておりましたこととして、これはほかの国も主張していたことでいうと、五年ごとに削減目標を提出してそれを見直していくということ、それから、全ての国が共通のやり方で取り組み状況を報告して、そして専門家のレビューを受けるということ。このレビューを受けるということについて、やはり我々が、ほかの国も同様ですけれども、強く主張していたことが基本的に取り入れられているということは大変重要なことだと思っています。

 加えて、特に我が国が言ってまいりましたのは、JCMを含む市場メカニズムを活用するということでございます。また、発効要件でございますが、国数とそれから排出量、この両方が必要であると、一旦議論の過程で国数だけになっておりましたものを、排出量もこれは含めなければいけないということで我が国は特に強く主張いたしまして、これらが取り入れられたことは大変よかったと思っております。

 このような歴史的な合意に我が国も貢献ができたということを大変うれしく思っております。

 以上です。

助田委員 大変な御苦労があったと思います。大変お疲れさまでございました。ありがとうございました。

 次に、気候変動枠組み条約事務局の報告によれば、今回、各国の約束草案を足し合わせても、二度目標の達成のためには、さらなる、一・五度以内と、より厳しい水準への努力が必要であると指摘されております。パリ合意においても、丸川大臣の御尽力により、今ほどお話しされたとおり、レビューであるとかいわゆる野心の向上といったことについての大枠が盛り込まれました。

 しかしながら、一方で、そうした論点を含め、今後の詳細ルールに送られた部分も相当あると思われます。交渉は今後も続きますが、我が国としてしっかりと貢献していくものが必要であると思われます。

 そこで、詳細ルールの構築に我が国としてどう貢献していくのかお伺いしたいと思います。お願いします。

梶原政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生おっしゃられたとおり、パリ協定におきましては、今後、技術的な事項等について、ガイドラインでありますとかガイダンスという形で取りまとめることが非常に多うございます。

 一例を申し上げますと、先ほど大臣から申し上げました各国の取り組み状況の報告、あるいはそれに対するレビュー、専門家のレビューといったようなもののガイドライン、そしてまた市場メカニズム、これはJCMといったものも含みますけれども、そういったものに対する活用の指針といったようなものの詳細ルールを構築することが必要になってございます。

 これらにつきましては、例えば今の報告、レビューのあり方につきましてはこれまでにも日本からさまざまな提案を行っておりまして、また、市場メカニズムの利用につきましても、二国間クレジット制度の実施を通じて得られました経験等を踏まえて、さまざまな提案をするという形で貢献をしてまいりたいというふうに考えてございます。

助田委員 ありがとうございました。今後の詳細の設計、ルールにおきましても、ぜひ議論をリードしていただきたいと思います。

 そのためには、国連のもとで、正式な交渉はもちろん、さまざまな場面で日ごろから各国と意見交換を行い、協議していくことが必要であると考えられます。

 来年は、G7の議長国であり、G7富山環境大臣会合もございます。先進国、途上国、それぞれとの協調が必要であり、気候変動だけではない、環境全般でのパッケージの中で相手から前向きな部分を引き出すということも必要だと思います。今回パリで培われた各国との顔の見える関係を生かして、今後も国際連携を強化していっていただきたいと思います。

 そこで、気候変動問題を中心として、今後の国際連携をどう進めていくのかお伺いしたいと思います。お願いします。

鬼木大臣政務官 このたび、環境大臣政務官を拝命いたしました鬼木誠でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 今回のCOP21において、丸川大臣を筆頭に関係国の閣僚や事務方との交渉を行うことにより、さまざまなレベルで国際的なネットワークを構築、強化することができました。

 来年は、日本が議長国となって、G7富山環境大臣会合や日中韓三カ国環境大臣会合を開催いたします。また、OECD環境大臣会合などの閣僚会合やさまざまな二国間の環境政策対話も多数行われる予定となっております。

 これらの機会を捉えまして、COP21で培ったネットワークや我が国の強みを生かして、気候変動等の分野における国際連携を積極的に推進していきたいと思います。

助田委員 若干時間も余っているようでございますけれども、これで終わりたいと思います。

 最後に、気候変動の影響はいろいろなところで出ております。地方におきましても、また農林水産業におきましても、鳥獣被害もそうでございます、大きな関心事であると思います。まずは国内で、できるだけ早期に地球温暖化対策計画を策定し、排出削減の取り組みを着実に実行していくことが必要であろうと考えてございます。そして、このままではいけない、もう後がないという認識を国内でもっと広めることが必要ではないかと思います。

 環境省といたしましても、丸川大臣を先頭にぜひ頑張っていただきたいと思います。私も一生懸命頑張ります。

 以上で終わります。ありがとうございました。

北川委員長 次に、馬淵澄夫君。

馬淵委員 民主党の馬淵でございます。

 閉会中審査ということでの環境委員会、質疑の機会をいただきましたが、まずは冒頭、大臣は所信も述べられておりません。COP21という重要な国際会議の成果の御報告ということでありますが、与党さらには政権は、この重要な期間に臨時国会も開かない。このことは、国民の、まさに国政をしっかり監視する、そのことを負託されている国会の権能、機能を無視することになります。このことに関しまして、まずは冒頭強く抗議を申し上げたい。

 その上で、本日は、質疑の機会でありますから、今大臣からも御説明ありましたCOP21、このパリでの、重要な京都議定書にかわるパリ合意、パリ協定に関しまして質疑をさせていただきたいと思います。

 私自身も、国際会議に関しましてはIPUの一員として出席をさせていただきました。

 さて、日本政府は、先ほどの御報告にもありましたが、公式発表では、ステートメントとして、丸川大臣、さらに木原外務副大臣、二人を筆頭に、積極的に会合に参加し、新たな枠組みは全ての国が参加する公平かつ実効的なものであるべきとの立場を発信するとともに、具体的なテキスト案を提案するなど議論に貢献した、このように書かれている。自画自賛をされているわけでありますが、さて、果たしてそのような成果だったのか。

 これに関しまして、政府がCOP21に臨む前段階、さらにはCOP21における政府の取り組み、そして今後のこのパリ協定を受けての対策について、この三点から、この委員会の短い時間でありますが、確認をさせていただきたいと思います。

 まず、政府は、COP21に臨んで約束草案を提出されました。これに関しましては、温室効果ガスの排出量、二〇三〇年で二六%、この草案をUNFCCCに提出されているわけであります。

 これは、前任の望月大臣にも私は再三この委員会の機会で質疑をさせていただきましたが、改めて、丸川大臣、所信も述べられておりませんので確認をさせてください。この政府として出された数値目標、他の先進国と比較して十分に高い目標あるいは国際的な責任を果たすものだとお考えでしょうか。いかがでしょうか。

丸川国務大臣 馬淵委員におかれましては、パリでもお目にかかりまして、IPUの議員として大変熱心に地球温暖化対策にお取り組みであること、尊敬を申し上げております。

 ただいま御質問いただきました我が国の約束草案についてということでございますけれども、私たちのこの約束草案は、きちんと積み上げをした上でつくってきたものだという思いで受けとめております。

 二〇三〇年度に二〇一三年度比二六%削減するという内容については、技術的制約、またコスト面の課題というものを十分に加えて考慮した裏づけのある対策、施策や技術の積み上げによる実現可能な削減目標であるという認識です。

 一方で、この目標の達成のためには、徹底した省エネそして再エネの最大限の導入に取り組むとともに、火力発電の低炭素化を進めることなどが必要になるという思いを持っております。また、業務部門、家庭部門からの排出量についてはおよそ四〇%削減する必要がございまして、国民一人一人の皆様の意識の改革、そしてライフスタイルの変革に取り組む必要があります。

 ですので、この約束草案の達成に向けてできるだけ早期に地球温暖化対策計画を策定して、事業者また国民などの各主体が取り組むべき対策や国の施策を明らかにして、着実に取り組んでまいりたいと思っております。

馬淵委員 現実的な数値をということではありますが、今お話しいただいたことは、望月大臣からも同様の答弁をいただいております。

 特に、政府側の発表としては、国際的に遜色のない野心的な目標ということで、とりわけ、GDP当たりの排出量を四割以上改善する、あるいは一人当たりの排出量を二割改善、これによって世界最高水準だ、このように説明をされているわけですね。今大臣は、それに加えて技術やコスト、こういったものを勘案したんだということもお話しいただきました。

 しかし、この温室効果ガスの排出量、九〇年度は十二億七千万トンでありました。それが二〇一三年度、十四億八百万トンであります。これは一〇・八%増加をしています。これは、二〇一三年度は御案内のように原発の稼働停止がございました。これによって若干増加した。そして、この二〇一三年度を基準としてある意味この削減目標を大きく見せているのではないかということを私は再三指摘してきたところであります。

 京都議定書の基準となった九〇年比、この九〇年比でいえば、先進国の目標値は、EUではマイナスの四〇%です。そして、アメリカではマイナスの二四%。そして、これを置きかえれば、我が国、これは二六%ではありません、九〇年比ではマイナス一八%ということになります。

 我が国は、二〇五〇年に八〇%の削減目標を掲げています、これに関しては麻生政権で。閣議決定をして、これは現時点も維持をするとしています。このような状況の中で果たして本当に最終目標に達するペースになるんだろうか、このことも再三指摘をしてきたところであります。ちなみに、我々民主党は、この九〇年比で温室効果ガス削減目標は三〇%、これを掲げています。

 そこで、大臣にお尋ねをしたいんですが、我が国が提出をした二六%、九〇年比では一八%にすぎません。これが、欧米先進国、今申し上げたように、EUあるいはアメリカに比べても低い目標数値になっている。このことに対しては、大臣、どのようにお考えでしょうか。いかがですか。

丸川国務大臣 私どもが過去に資源のない国として努力を重ねてきた結果というのがどの時点から反映されるべきものあるいは理解をするべきものかという議論は、多々あろうかと思います。しかしながら、一方で、我々が今エネルギーの構成としてどのような状況を抱えているかというのは、委員も御承知のとおりだと思います。

 この環境を踏まえた上で、我々は二〇三〇年に確実に達成していくことができる目標というのをやはり掲げるべきだというふうに、前大臣と同様に私は思っているところでございまして、まずこれを確実に達成していく中で、今後、一方で、長期目標に向かってさまざまな技術の革新あるいは社会構造のイノベーションというものを進めていく必要があろうかと思います。

 そうした努力と相まって長期目標というのが一方でこれから達成されていくべきものだと考えております。

馬淵委員 そのようにお答えになられるとは承知をしておりますが、ただ、先ほど申し上げたように、欧米諸国から比べてもこれは低い数字なんですよ。そして、我々は高い目標を掲げているんですね。二〇五〇年に八〇%です。果たしてこれが現実において野心ある目標だと言えるのか。それについては、今の御答弁、それ以上出てこないのはわかりますが、私は、それに対して、今回のCOP21への我が国政府、大臣も含めまして御努力はされたと思いますが、十分であったのかというのを次に確認していきたいというふうに思います。

 さて、この期間中の日本政府の行動についてであります。

 私も、IPU、列国議会同盟での会議への参加、また各国要人との会談、これも私自身も行ってまいりましたが、現場で感じましたのは、途上国、先進国も当然ですが、途上国の皆さん方、百九十五を超える国と地域の方々の中で熾烈ないわゆるリーダーシップ争いといいますか、それぞれの主張を強く打ち出されてこられた、ある意味主導権争いというのが私はあったというふうに感じました。

 その中で、アピール合戦が当然ながら繰り返されます。特にIPUなどは、島嶼国の方々が大変積極的な発言を求められておりました。これは政府間パネルでも同様だというふうに私も承知をしています。

 この中で、我々は、世界第三位の経済大国、そして第五位の温室効果ガスの排出国でもあります。果たして我々が、京都議定書の採択の議長国であった立場として積極的なリーダーシップをとるべくアプローチができていたのかということであります。

 アメリカはCOP21が始まって以降六回、そしてEUは三回の海外メディア向けの公式会見を開きました。そして、みずからの立場を世界に発信されてきました。

 そこで、外務省の事務方にお尋ねいたします。

 では、日本政府は、会議が始まって以降合意が成立するまでの間、海外メディア向けの公式会見を何回行ったのか。回数のみを回答してください。

水越政府参考人 お答え申し上げます。

 一回でございます。

馬淵委員 私は今、回数をお尋ねしたので、回数をお答えいただきました。一回です。二週間の中で、二週間を超えましたね、一回。もちろん、ぶら下がり等々あるいはバイの会談、さまざまなことをやってこられたのはよく承知をしています。このような状況の中でたった一回の、初回の一回の公式会見のみです。世界への発信というのは、まさに全世界のメディアに対して公的に発信する場をつくらなければ、バイ会談では伝わりません。

 このような状況の中で、では過去はどうだったのかということです。

 これは外務省の気候変動課に確認をいたしましたが、ファイルが残っていたのはCOP17以降だという話でありました。そしてCOP20まで、すなわち昨年まででありますが、この間では、会期中は週に一回、すなわちそれぞれ二回ずつの公式会見を行っていたということであります。

 今回のCOP21は、かつての途中経過の中では注目度が低かったCOPもあります、そのような状況の中でも最低二回の公式会見を行っていた、にもかかわらず今回は一回しか行っていない。しかも、極めて重要なCOP21という世界の枠組みの中で、百九十五以上の国と地域がかかわってきているわけであります。

 私は、何も外形的な会見の回数だけでこのことを言うわけではありません。しかし、余りにも消極的な姿勢ではありませんか。私はそのことが非常に気になっておりました。

 大臣、今具体的な会見の回数を確認いたしましたが、そしてさらに加えて、主導権争いというのが大変熾烈でした。これについてもお尋ねをしたいんです。

 会議中に、これは十二月の九日であります。これは、アメリカとEU、アフリカ、島嶼国、こういった国々が中心となって、当初九十カ国程度、これは厳密にどれぐらいかはっきりわからないんですが、いわゆる野心的な目標を掲げる野心連合というのが正式に結成されました。さらに加入国をふやしていくということで、熾烈な多数派工作が行われていたわけであります。

 パリ協定の採択を後押しした、これは、先ほど大臣からは日本の取り組みも後押しをしたんだというお話がありましたが、百九十五をまとめるわけですから、日本はたった一回しか公式会見をしていない中で、野心連合は、今申し上げたように百を超えていくような多数派工作を行って、まさに現実的に後押しをした。このような温暖化対策に対する野心的目標を実効たらしめるように世界じゅうの国々が動いていた。では日本はどうだったのか。

 環境省の事務方にお尋ねします。

 では、日本がこの野心連合に加わったのは会議のいつの時点ですか。具体的にお答えください。

梶原政府参考人 野心連合につきましては、二週目にアメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、ノルウェー等の交渉グループの中で野心連合の趣旨等について情報が共有されまして、我が国としても、その情報を精査した結果、パリ協定の合意に向けて交渉を後押しするため参加をしたところでございます。

 具体的には十二月の十二日、最終日にしっかりと、みんなと一緒に、これについて大臣が先頭になってアピールをしていただいたところでございます。

馬淵委員 野心連合は、百以上の国、地域が参加をしている。最終日ですよ、最終日に、状況を見て、そして参加を決めた。これは協定の締結日です。野心的な目標を掲げて、かつ率先してリーダーシップを発揮したと自画自賛されている政府でありますが、現実には、このような動きの中で、最終日、全く動こうとしてこなかったということじゃないんでしょうか。

 大臣、これに関しては、今、野心連合に加わった会議の時点ということで私はファクトを尋ねましたが、野心連合にかかわるこの取り組みの過程、いかがお考えですか、いかがお感じですか。お答えをどうぞ。

丸川国務大臣 ありがとうございます。

 長年この気候変動枠組み条約にまつわるさまざまな動きをごらんになっている馬淵委員からの御指摘というのは、非常に重要な御指摘だと思いますので、重く受けとめさせていただきたいと思います。

 なかなか、バイ会談で我々が何をやっているのかというのは、交渉の過程で言えること、言えないことがあるというのは確かでございまして、一方で、自分たちがどういう思いを持ってこれに臨んでいるのかということについて世界に向かって発信するというのは重要な視点だということを、改めて今、馬淵委員の御指摘を伺って、そのとおりだなと思いました。

 決して何か隠そうと思って会見をしなかったわけではないのですが、いかんせん交渉のペースがどんどん加速するような状況の中にありまして、そのあたり、交渉に一生懸命ついていっている状況の中で、自分たちがこういう意思を持っているということを発信する機会が少なかったという御指摘はそのとおりだなと思いますので、これは今後の我々の外交交渉の中で、そうした視点を大切にしていくということは考えていきたいと思います。

 加えて、ハイ・アンビション・コアリションのことについては、交渉中、やはり我々なかなか微妙な論点を抱えておりましたので、一方でハイ・アンビション・コアリションも、実は、始まった当初からいろいろな紆余曲折を経て、どこへ向かうのかちょっと様子が見えないところもございましたので、その内容を確かめながら、我々としても、しかし、これは合意に向けての機運を高めるというのはどうしても必要だという思いで加わらせていただきました。

 実際に最後の瞬間まで、特に大きいプレナリーで最後にやる前、二時間ぐらい会議が始まらなかったわけですが、その時点でも留保をしたいという国が出てきたり、あるいは、文言についてまだ一悶着あったり、こういうことがあったものですから、やはりあそこで合意に向けて機運を高めるという動きに参加できたことは、そうしたタイミングの問題はあったかもしれませんけれども、私はよかったと思っております。

馬淵委員 大臣、就任されてすぐにCOP21という、これだけ大変大きな、非常に重い役割を背負っての国際会議ということですから、それは私も、同じように政府にいた者としては御心情も含めまして理解はいたします。

 ただ、申し上げたいのは、やはり役所というのは、これは役所の皆さんを私はやゆするわけではありませんが、慎重です、物事に対しては非常に慎重。特に、大臣を傷つけないようにしようとします。そういう中で、本当に日本政府が野心的に、さらにこの国際会議をリードしようとするならば、大臣、政治家のリーダーシップが必要なんですよ。役所は、必ずそこはストップをかけますよ。あるいは、大臣に傷がつかないようにということで、さまざまな調整、前さばきをしようとします。

 これを打ち破り、さらに推進できるのは、政治家しかできないんです。私は、非常にそこは残念であったなというふうに感じているんですよ。せっかくあの場で、日本が先駆的な役割を果たす方法論があったのではないか、こういうことなんです。

 これはもう余り多くは申し上げませんが、例えば、この野心連合以外にも、議長国フランスは、会議を七分野、主要テーマごとに分けて、そして、非公式の交渉をまとめる仲介役十九カ国を指名しています。これに関してはもちろん大臣も御存じだと思いますけれども、具体的に申し上げれば、日本は仲介役として議長から指名されていません。

 どういうことかということですよ、私からすれば。日本が先進国として矢面に立ってしまわないかということで、役所側が非常にちゅうちょしたのではないか。いやいや、お笑いになられているけれども、私は役所の立場というのもよく理解をした上で申し上げているんです。

 繰り返しこの後に確認をしますが、我が国が温暖化排出に対して徹底的な強化を進めていくということであれば、エネルギー由来が九割ですから、エネルギーの問題に切り込まなければならないんです。申しわけありませんが、環境省は弱小の、少予算の役所だったんです。強大な権限を持っている通産、経産省から押し切られる、その歴史が繰り返されているんですよ。私は何度も望月さんに申し上げた。宮沢さんと同じ派閥だから話している、そんな問題じゃないと。私は応援をしているんですよ。厳しいことを言いますが、しっかりやっていただきたいんです。

 さてそこで、今申し上げたような形で、政府は十分な公式会見もできていません。そして、ある意味、リーダーシップを発揮できているというふうには、私は実は余り感じることはできなかった。その上で、では、このパリ協定が決まったわけですから、これを受けて我が国がどのような取り組みをしていくかということになります。

 そこでお尋ねをしたいんですが、さて、これはちょうど昨日、通告の後でしたので、申しわけございません、私もニュースで見まして確認をさせていただいたんですが、昨日、環境省の有識者の懇談会が開かれました。そこで、今後、国内でも火力発電所の割合を減らす必要があるということが議論をされてきた。

 つまり、二度目標があり、さらに一・五度という目標値まで言及をしていく中で、エネルギー由来の温室効果ガスの排出を徹底的に削減していくためには、やはり石炭火力の発電所の建設に対して我が国はより一層慎重な方向性を打ち出していかなければならないのではないかと私は思っています。

 そのような状況で、昨日の有識者の懇談会、ここでは火力発電所の新設は慎重にすべきだとする提言案の骨子がまとまったと報じられました。これは、既に閣議決定、先ほど申し上げた二〇五〇年までに温室効果ガス排出八〇%削減という長期目標を達成するためにも相当程度減少させる必要がある、このようにしていると報じられています。

 この報道に上がっているとおり、大臣にお尋ねをしたいんですが、このような有識者懇談会の提言案を受けて、今後、我が国における、国内における火力発電所の新設を抑制し、さらには石炭火力の発電比率を減少させていく、その方針をお持ちであるということでよろしいでしょうか。いかがでしょうか。

丸川国務大臣 ありがとうございます。

 国内の石炭火力の問題について御質問いただきました。

 石炭火力発電は、もう言うまでもないことですが、天然ガスに比べて同じ発電量当たりで二倍のCO2を排出いたします。通常数十年稼働することから、長期的に考えて対応する必要がある、先々どうなるのかということを考えて、バックキャストで今はどうするべきかということを考える必要があるという認識を持っています。

 現在でも、石炭火力の設備容量というのは、二〇三〇年度の削減目標、エネルギーミックスの想定、もう多うございます。加えて、多数の増設計画がございますので、このままいきますと国の削減目標等の達成が危ぶまれるのではないかという危惧を持っております。

 ですので、環境省としては、電力業界に対して、実効性や透明性の確保の観点から、石炭火力発電所由来のCO2をどう削減していくのかということ、そして、その進捗状況を管理する中で、全体のCO2排出が目標どおりにおさまらない場合にどう対応するのですかという二つの投げかけを電力業界にさせていただいて、これに対応する具体的な仕組みづくり、ルールづくり等を求めているところでございます。

 この答えはまだ確実な形で返ってきておりませんので、内容をよく見させていただきながら、どのような対応が必要かということはきちんと用意をさせていただきたいと思います。

馬淵委員 これも私はずっと望月大臣に申し上げてきたんですよ。電力業界はなかなかぐずぐずして前へ進まないわけです。だから私は、この委員会も出席をし、そして経産委員会も出て、裏表の質問を繰り返しやってきました。これはなかなか進まないんです。

 安倍政権はその一方で、実は、石炭火力に関しては高効率の最新型、これを行うということもありますし、それ以外の輸出についても、公的な支援を行おうとしてきました。

 その上で、ことしの十一月のOECDの作業部会では、高効率の最新型でないもの、これに対する公的な支援の制限というのを、新たに規制すべきだということで基本合意をしています。

 我が国は、公的支援、これは二〇〇七年から二〇一四年までトータル、世界一なんですね。このような状況の中で、今申し上げたように、世界的に石炭火力ということに対して厳しい規制がかかってくる。そして、今私、確認をもう一回させていただきますが、有識者の懇談会では、まさにこの石炭火力に対しては、新たに今後進めていくべきではない、相当程度減少させる必要があるということを提言として出されてきたわけですよね。

 すなわち、環境省としては、政府のお立場でありますが、一方で、カウンターパートである経産省にその方針を強く求めていくということでよろしいんでしょうか。お答えください。

丸川国務大臣 二〇三〇年のエネルギーミックスに向かっていく上で、私たちは言うべきことはしっかり言っていかねばならないという思いでございます。エネルギー効率という観点から経産省はごらんになるんだろうと思いますけれども、私たちはやはり環境省として、しっかり申し上げるべきことは申し上げていきたいと思っております。

馬淵委員 確認ですけれども、石炭火力に対して低減させていくという方針を環境省としては明確にお持ちだということですか。イエス・オア・ノーで答えてください。

丸川国務大臣 エネルギーミックスが目指す姿に向かって確実に進んでいきたいと思います。

馬淵委員 先ほど申し上げたように、九〇年比で見ても非常に低い数値なんです。その中で、安倍政権では、現状の三〇%、これを二〇三〇年に二二から二六程度に減らすという、そのレベルなんです。それではまだまだ足りない。

 いいですか、大臣。私は望月大臣にも確認をしていますが、山口県の西沖の山の石炭火力の建設に対して、エネルギーミックスに基づく約束草案の達成に支障を及ぼす懸念があるとして、環境省としては、国のCO2排出削減の目標、計画と整合性を持っていると判断できないとして、現段階で是認できないとまで、このように強くおっしゃっているんですよ。エネルギーミックスの数値目標のために実行するだけでは足りない。

 私は、先ほど来繰り返し言いますが、二〇五〇年の八〇%目標を掲げている以上は、政府内ではそれはきちっと整合性をとっていただかなければなりませんが、環境大臣のお立場としては、それは強い姿勢で明確に国民に、さらには、国会での発言は国際社会にも発言できる重要な発言になるわけですから、新任大臣であれば私は本来ならば所信の表明に対してこういった質疑をしたいところですが、まだ所信を出されておりませんので改めてまたお伺いをしなければなりませんが、最後に、再び確認です。

 丸川大臣は、この石炭火力に対して、低減すべきというこれら有識者の声、さらには国際社会の声に対して、しっかりと受けとめて、そしてその方針で突き進んでいくということでよろしいんですか。いかがでしょうか。

丸川国務大臣 馬淵委員から大変強い、温かいお励ましをいただきました。しっかり頑張ってまいりたいと思います。

馬淵委員 これは本当に相当程度取り組まないと。繰り返し申し上げますが、私、経産委員会にもまた行って質問しますけれども、強い力で。

 環境省はいつも、私らの質問通告のときには、経産、環境が並んでやるときなんかは、環境省の皆さんは下を向いちゃいますよ。気の毒ですよ。私も役所にいたので、一年四カ月国交省にいましたけれども、常に財務省とそれこそせめぎ合いですよ。政府にいらっしゃる皆さん方だったらおわかりでしょう。いいですか、野党の力を使ってくださいよ。

 今、この石炭火力の問題、ことしのG7でも、エルマウ・サミット首脳宣言の中では、二〇五〇年、これはIPCCの提案によるものですけれども、二〇一〇年比での四〇から七〇%の幅の上方に削減するという目標を掲げているということであります。したがいまして、これは全締約国、全ての国々がこうした方向に向いて取り組まなければ実現はできないわけでありますから、繰り返しのお話で恐縮ですけれども、この石炭火力に対して、パリ協定を受けて、今、海外の石炭火力への支援、これは世界一なんです、我が国は。

 では、少なくとも、この方向性に対しては、大臣は政府の一員として、閣僚の一員として、このことを安倍総理並びにその内閣に対して提言をされますか、いかがですか。

丸川国務大臣 既にもう政府部内でそこのエネルギーミックスに向かって進んでいくという議論をさせていただいている状況ですので、もしそこに向かわないような方向が出てきた場合にはきちんと申し上げさせていただきたいと思っております。

馬淵委員 大臣、私が言っているのは海外への支援の話なんですね。エネルギーミックスの話は、二二から二六は我が国の話です。

 海外への支援もこれは同様なんですよ、世界でそれこそ削減目標を定めているわけですから。海外への支援も見直さなければなりません。二〇〇七年から二〇一四年まで世界一ですよ、我が国は。

 世界じゅうの途上国で多量に排出している非常に効率の悪い石炭火力があるから日本の高効率の技術を輸出していく、これで全体を減らせるじゃないかというのはありますが、考え方を変えればいいんですよ。再生可能エネルギーのものをどんどんどんどん輸出していく、こういったことの方がより効果があるわけです。

 すなわち、石炭火力への支援の方向性というものの転換を図るべきですよ。大臣、いかがですか。お答えください。

丸川国務大臣 ありがとうございます。

 石炭火力については、OECDも高効率のものについてのみ、国の状況にもよりますけれども、あるいは石炭火力発電所のサイズによりますけれども、段階的に融資の限度というか融資の範囲を見直すということをなさったわけでございますが、やはり私たちの国が持っている高効率の発電技術というのは、既存の低効率の石炭火力の稼働を抑制する場合には、現実的でかつ実効的な温暖化対策となり得るものだと思っております。

 馬淵委員の御指摘もそのとおりだと思いますけれども、経済性また供給安定性の観点から、どうしても石炭火力をより利用せざるを得ない国というのがあるという認識も一方でございますので、そうした国に我々の高効率の技術が到達するように、届いていくように考えていきたいと思います。

馬淵委員 もう時間で終わりますけれども、大臣、そんな経産大臣みたいなことを言わないで、あなたは環境大臣なんだから。

 環境省の代表としてしっかりと地球温暖化対策に取り組んでいただきますことを強く求めまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

北川委員長 次に、田島一成君。

田島(一)委員 民主党の田島一成でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 COP21、大変お疲れさまでした。京都議定書締結以来十余年、日本がこれまでずっと主張し続けてまいりました、全ての国が参加する公平で実効的な枠組みをようやく実現することができたのかなと私自身も素直に結果を受けとめているところでもあります。

 それにしても、議長国のフランスはやはり見事だったなと私も思っております。去年と比べて大違い。去年があったからこそ、ことしがこのような成果が出たのかなという思いもいたしますが、やはりフランスの議長国としての役割、非常にこれは素直に褒めたたえるべきだなというふうにも思いました。

 これまでのさまざまな国際交渉に、日本もその先頭に立って頑張ってきた、その交渉役を担ってきた担当官、交渉官にとっては大変残念なことだったかもしれませんけれども、全て過去の流れがある中で今回の一つの大きな一歩が踏み出せたんだというふうに思いたいと思っておりますし、少なくとも、これまでかかわってこられた交渉官等にはねぎらいの言葉を贈りたいと思っております。

 逐一、パリからもいろいろな情報が私のもとにも入ってまいりました。大臣の活躍ぶりも入ってまいりました。かつて参議院でやじられたあの元気で、またやじを飛ばすんじゃないかなと私自身も正直心配をしておりましたけれども、品格を疑うやじも飛ばすことなく、非常に流暢な語学力と、そして明瞭な話しっぷりが他国からも非常に評判がよかったというふうに聞いておること、これぐらいはちょっと褒めておきたいと思っております。

 さて、先ほどの報告の中にもうたわれておりましたけれども、今後、適応計画に沿った形で取り組みを進めていくと大臣は御報告をされたところでありますので、この適応計画について幾つかお尋ねをさせていただきたいと思います。

 気候変動の影響への適応計画、十一月に閣議決定をされましたけれども、この中身を逐一拝見させていただきますと、かなりいろいろな分野に網羅をされていること、これは評価ができます。しかしながら、影響評価、とりわけ生態系サービスへの影響であるとか、感染症、それから産業、経済活動に関する適応などについては、まだまだ研究事例や研究結果、成果があらわれておらず、その指標たるところには、緊急性や重要性が高いのか低いのかすらまだわからない、でも挙げなければならないという、非常に苦しみ抜いた中での今回の計画が出されているところであります。

 この閣議決定された適応計画、ある意味ではその実効性であるとか成果もあらわれていない中で、それでも進めなきゃいけない、非常なジレンマの中でのスタートになろうかと思うわけでありますが、科学的知見の集積が不完全な中で進めていく意義、そして、科学的知見をこれから短期間で、五年ごとに見直していかなきゃいけないと言われている中で、どのようにして集積を図ろうとしているのか。競争的資金の確保であるとかさまざまな研究者の情報等々をやはり集積していかなければならないという、緊急度の高い課題が欠落した中での今回の適応計画の閣議決定でありますが、どのようにお考えなのか、どのように取り組もうとしているのか、大臣のお考えをお聞かせください。

丸川国務大臣 田島委員におかれましては、COP21の歴史的な含意というか意義を本当に的確に御指摘いただきまして、ありがとうございます。特に、エキスパート、交渉官の人たちの労をねぎらってくださったことは、本当に感謝申し上げます。彼らの努力の成果だと私も思っております。

 その上で、適応計画を持った形で我々がCOPに臨むことができたのは、与野党かかわらず先生方の御支援のおかげであると思っておりまして、これもまた感謝申し上げたいと思います。

 そして、今御指摘のあった点でございますが、この適応計画のベースとなる影響評価については、五十七名のさまざまな分野の第一線の専門家から、五百点以上の文献を用いて議論を行わせていただきました。ただ、農業や自然災害のように既に知見が充実している分野もあれば、残念ながら、水の供給であるとか災害の緩和などの恵みをもたらす生態系サービスについて、また感染症への影響について、こうした論点については、知見がまだ不足をしている分野というのがございます。

 これをもとに、この計画の基本戦略の一つに、「調査・研究の推進」ということを書かせていただいております。この調査研究の推進によって、継続的にまだ知見が至らない分野については充実を図っていくこととしております。今後、関係省庁と連携して調査研究を進めていきたいと思っております。

 適応については、途上国からの期待も大変大きい部分がございますので、我が国としても、自国のためのみならず、世界への貢献のためにも努力をしていきたいと思います。

 ありがとうございます。

田島(一)委員 確実にもう予算が不足しているんだと思いますね。知見の集積、問題意識はそれぞれ省の中でも認識はあったと思うんですが、やはりそこの集積を図るだけの競争資金の確保が十分でなかった証左だと思います。大変恥ずかしいことだと思うんですね。

 環境省はぜひ、時間的に今せっかく協定がこうして進んできたわけでありますから、いかにこの計画の実効性を担保するのか、その裏づけとなるのが科学的知見の集積でありますので、何があっても予算の確保は十二分にやっていただきたい、また、関係する省庁にも十分にこの重要性を働きかけていただきたい、そのことを心からお願い申し上げておきたいと思います。

 さて、この適応の課題で幾つかの分野にわたってお尋ねをしたいと思います。

 まずは、自然生態系の、とりわけ陸域生態系における野生鳥獣による影響についてであります。

 鳥獣保護法が昨年改正されまして、野生鳥獣の捕獲数の増加、そしてまた食肉としての利活用の増加を見込まれて、厚生労働省にあっても、ガイドラインが昨年の十一月に表に出されたところでもありました。

 実際に、鹿であるとかイノシシのジビエ、最近は何やらブームのような流れにもなってきているところでありますけれども、果たしてこれがブームで終わってしまうのか、今後、家畜にかわって野生動物の食肉利活用がどんどん進んでいくものなのかどうなのか、いろいろな想定もされていると思いますけれども、実際に食肉利活用の増加の統計データというのは厚生労働省の方でお持ちですか。

竹内副大臣 お答えいたします。

 厚生労働省としては持っておりませんで、環境省からいただいている資料があるのみでございます。

田島(一)委員 ありがとうございます。

 どうぞ、後ろの方々、心配しないでください。大丈夫です。イレギュラーなボールは投げないつもりです。

 実は、こうした温暖化対策の適応計画を進めていく上では、各省庁が本当に連携をとらなきゃいけない。今申し上げた野生動物の食肉としての利活用を進めていくには、厚生労働省も農水省も環境省もきっちりとした連携をとっていかなきゃいけないんですね。

 では、実際に、この野生鳥獣の食肉としての利活用の数字はどれぐらいなのか、環境省でお持ちならば、ぜひお答えをいただきたいと思います。

奥主政府参考人 お答えいたします。

 農水省の調査ということになりますけれども、本年行った調査で、農林水産省の交付金で整備した食肉加工施設への集荷地域におけるニホンジカの食肉利用率は、平成二十六年度で約一四%と聞いております。

田島(一)委員 わずか一割少々の食肉利活用しかデータがない、数字が少ないからなのかどうなのかも疑問になるところでありますけれども。

 実は、家畜であれば、食肉の衛生管理については、と畜場法なるものがあります。しかしながら、野生動物の食肉利活用に関しては、と畜場法にかわるものがありません、だからガイドラインがという話だったんですけれども。実は、厚労省が去年ようやくつくったガイドラインですが、その前から、自治体によっては既に独自のガイドラインをつくられて、たしか三十幾つか、もう既にできていたかというふうに思うんです。厚労省としては、全国どこででも同じようなガイドラインをというので、本来ならばもっと早くやるべきだったんですけれども、ようやく去年できたというような事のてんまつでありました。

 野生動物の食肉としての利活用を進めていく上でも、やはりリスクを回避していかなければならないという課題があります。ガイドラインだけで本当に十分にいけるのか。やはり、私は、と畜場法に匹敵するような野生動物の食肉利用に関する法律の整備が急務ではないかというふうに思うんですけれども、厚生労働副大臣、お考えをぜひお聞かせください。

竹内副大臣 お答えいたします。

 食用に供する野生鳥獣肉の処理、販売等につきましては、食品衛生法に基づきまして、営業許可を受けた施設で、条例等で定める衛生管理基準を遵守して行う必要があるということになっております。

 安全に野生鳥獣肉が利用されることは重要であると考えておりまして、厚生労働省では、食品衛生法に基づく規制に加えて、昨年十一月に野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針を策定し、各都道府県等を通じて、狩猟者、食肉処理業者等の関係者に対して当該指針の遵守を求めているところでございます。

 厚生労働省といたしましては、現在の取り組みを推進しつつ、今後の野生鳥獣肉の流通状況や公衆衛生上のリスクに応じて、引き続き必要な対応を検討してまいりたいというふうに思っております。

田島(一)委員 必要な対応というのは立法というふうに私は理解をいたしましたので、どうぞ前向きな検討をぜひ進めてください。

 その一方で、先ほど一四%と奥主局長からも御報告がありましたけれども、残り八六%は、埋設であるとか焼却処分されているわけなんですね。

 実際に、焼却処分と簡単に申し上げますけれども、普通、生物の体内の水分量というのは八〇%あります。その八〇%の水分を抱えている死んだ鹿、イノシシが焼却処分される。その焼却処分設備の交付金等々が国からも用意をされているわけでありますけれども、いかにこれが温暖化対策という視点から見ても非効率的な施策なのかは、誰の目から見てもおわかりいただけることだと思います。

 例えば、水分を脱水させてから焼却をするのであればまだまだ効率的でありましょうし、ましてや、先ほど申し上げたような食肉の利活用で、とうとい命をありがたくいただくという、精神論的な話になるかもしれませんけれども、生き物の命をありがたくいただくという姿勢に転換を図っていくならば、焼却、埋設といった、その命をありがたく、とうとくいただくことができ、私は、やはり食肉の利活用等々にもっともっと広げていく必要があろうかと思います。

 とはいいながら、鹿の肉でも、人間が食べられる割合、部位というのはわずか三〇%程度です。七割以上は人間が食べられない、そんな部位でありますが、もう工夫をしているところは、こうした食べられない部位をドッグフードなどペット用のフードに変更させて、加工させて流通をさせようとして努力もされています。

 こうした、単に殺せばいい、数を減らせばいいという発想だけではなくて、各省庁それぞれの領域の分野をしっかりと連携させながら、今後、この野生鳥獣対策の取り組みを進めていかないと非常に難しいんだろうなと思います。

 ましてや、狩猟をしてから、加工して、解体をして、そして消費者の口に入るまでのトレーサビリティーもまだまだ確立されていません。個体数の品質や衛生を保っていくための仕組みもまだ確立されていません。

 鳥獣法が改正をされて、管理鳥獣として今後減らしていかなきゃならないと旗を振ったところで、実際に、末端の流れが、まだまだ少数の捕獲のレベルでの発想でしか終わっていないんだ、大量捕獲、大量処分、大量にやらなきゃいけないということを視野に入れられた法体系やルールに今なっていないんだということをぜひ御認識いただきたいと思うのであります。

 こうした、食肉の処理がわずか一四%ということも非常に残念な結果だというふうに思っておりますけれども、大臣、この点、どのように御認識なのか、どのように取り組もうとしていらっしゃるか、お考えを聞かせてください。

丸川国務大臣 ありがとうございます。

 田島委員が今お話しいただいたことというのは、自然からいただいた命を最後まで生かし切るという思いを持って取り組むということにもつながろうかと思います。

 今、野生鳥獣の、特に鹿の肉の話をされたわけです。これを我々が食する、あるいはほかの形で加工していくというのは、ようやく国民の注目を集めるようになって始まったばかりの面もあろうかと思いますので、さまざまな整備がこれから必要な点もあろうかと思いますので、御指摘を受けまして、よく検討させていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

田島(一)委員 ありがとうございます。

 市場に出れば、必ずニーズはあります。しかしながら、市場に出回らないんです。残念ながら、その流通経路であるとか販路といったものを現場の皆さんはお持ちではありません。こうしたところには、また別の省庁なんかの力もやはりかりる必要があろうかと思います。衛生の面については厚生労働省の専門です。そして、食肉として扱うならば農水省、また、環境省はどのようにして数を確保していくのかという問題でもあります。

 単に減らすだけではない、自然からいただく命をとうとく、ありがたくいただくという、そのとうとい気持ちを持った中でこのふえ過ぎた野生鳥獣対策にぜひ当たっていただきたい、そのことを心からお願いしておきたいと思います。

 あと、この適応計画の中の項目、分野の一つにも挙がっております淡水生態系に関する適応の施策について、お尋ねをさせていただきたいと思います。

 淡水生態系に関する適応の施策、この重要度は決して高いと言えないというようなベンチマークが入っておりますけれども、御承知のように、さきの通常国会の会期末ぎりぎりで琵琶湖保全再生法が成立をいたしました。衆参両院にわたって全会一致で成立をしていただいたことは、私だけではなく、かかわった皆さんとともに本当に喜んできたところであります。

 この琵琶湖保全再生法、今ここでわざわざひもとくつもりはございませんけれども、法に記されている国による基本方針の策定が何よりも一番最初に急がなければならない課題でありますが、成立後三カ月たっても、いまだにその足音は聞こえておりません。環境大臣だけではなく、総務、文科、農水、国交など多くの省庁にまたがっている主務大臣でありますから、この皆さんがテーブルに着くことが難しいなんておっしゃりたいかもしれませんけれども、臨時国会も開かれていないわけでありますから、やる気があれば何ぼでも時間はつくれると思います。

 一体、この基本方針は、いつでき上がるのか、いつ定めようというゴール設定をされているのか。財政上の措置や資金の確保を講じることも急がなければならない課題でありますけれども、それをおくらせるための怠慢ととられないためにも、このゴールを明確にお示しいただきたいと思います。

丸川国務大臣 ありがとうございます。

 琵琶湖の大切さというのは本当にこの法律に定めていただいたとおりでありまして、私自身、小さいころ琵琶湖に泳ぎに行っておりました。豊かな近畿の水がめでもあり、そして固有種の存在する生態系の宝庫でもあります。

 この琵琶湖について、私たち、国で基本方針の方を作成して、それを受けて県が今度は保全再生方針をつくるということになっているわけでございまして……(田島(一)委員「県は計画です」と呼ぶ)はい、計画ですね、失礼しました。県の御協力を得ながら、今ほかの主務省とも連携をして議論させていただいているところで、作業を進めております。

 ただ、いつという明確な期日を、今まだ調整の作業の途中でございますので申し上げることはできないのですけれども、県が琵琶湖保全再生計画の策定作業に入れるように、早期の作成に努めてまいりたいと思っております。

田島(一)委員 早期というのはいつごろを想定されておっしゃっているんですか。年度内ですか。それをお答えください。

丸川国務大臣 先生の御指摘も踏まえて、早期の策定を進めていきたいと思っております。

田島(一)委員 私の指摘は、いつ、具体的な何月という数字であります。年度内に頑張ると決意をぜひ示していただければと思いますが、いかがですか。

丸川国務大臣 年度内も含めて早期に進めていきたいと思います。頑張ります。

田島(一)委員 これだけにちょっとかかわっているわけにもまいりませんが、やはり計画をつくるべき滋賀県にあっては、もう担当の部局もつくって、わざわざパンフレットまでつくって、いわゆる周知徹底を図っていこうと今か今かと待っている状況にあります。

 私、決して滋賀県出身だから申し上げるわけでもなく、やはり立法に携わってきた者として、議員立法をないがしろにされることは絶対に許しがたいことでもあります。役所がそれぞれの省庁を飛び越えて、この法律の意義をどこまで認識されているのかが問われるんだと思います。その姿勢をあらわすための指針の策定でありますから、三カ月たってもまだ何にも出てこないということは、本当にやる気がないんだ、議員に対する、国会に対する冒涜だと言われてもおかしくありませんので、どうぞそういったそしりを受けることのないように、年度内に必ずお示しくださいますように強く要望しておきたいと思います。

 最後、通常国会が閉会されてから環境省に関してのさまざまな動きの中で、やはり関係する地元で非常に大きな問題となっている課題、それが東北、関東の指定廃棄物の長期管理施設の確保の問題であります。この点についても少し、ぜひ触れさせていただきたいと思います。

 これまで、通常国会でも、我が党の福田委員の方からも何度も質問もありました。田嶋要委員からも、地元千葉でのお話を提起され、いろいろと指摘もされてきたところでありますが、その五県の中の一つ、宮城県。昨年八月、県内の市長、町長の総意として知事が詳細調査の受け入れを表明し、開始をしたはずと思っていたんですけれども、一年以上たっても現地調査が実施できず、今年度内の現地調査は降雪等を理由に断念したとの報道がなされているところであります。

 井上副大臣にもきょう委員会にお運びをいただきまして、大変現場で御苦労いただいているのかなとは思うわけでありますけれども、一方で、千葉県や栃木県においても今なお詳細調査は未実施のままで、茨城や群馬にあっては現状保管を維持する案まで出ているというふうに仄聞をしているところでもあります。

 詳細調査の候補地選定に係る再協議を求める声も出てきている中で、どうもこの指定廃の長期管理施設確保は暗礁に乗り上げているのではないかなというような印象を正直持っているところであります。

 井上副大臣以下、環境省が対話を重要視している、そのことについて、私は全く異論はございません。しかしながら、原発事故が発生してから間もなく五年がたとうとしておりまして、放射能の濃度ももう既に八千ベクレル以下になっている指定廃棄物もあるやに聞いております。この指定廃棄物の解除の仕組みもつくってほしいという声も上がっておりますが、対話を重要視しながらも、答えが、一向に結論が見えてこない。説明やお願いに今後いつまで終始をしていこうとお考えなのか。

 間もなく五年目を迎えるきょう、ここで、井上副大臣、担当されてきた中でどのようにお考えなのかをお聞かせください。

井上副大臣 このたび環境副大臣に就任しました井上信治でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、指定廃棄物につきましては、福島県以外の五県で、それぞれの県内の廃棄物を処理する長期管理施設を県内に一つ整備するという方針であります。

 これに当たりましては、有識者会議を累次開催し、あるいは各県で市町村長会議も重ねて、議論をした上で選定手法や選定基準というものを決めたものですから、これはしっかり尊重して堅持をしていきたいと思っています。

 ただ、他方で、委員御指摘のとおり、今、それぞれで厳しい意見が相次いで、難航しているということも事実であります。しかし、だからこそ、この問題を進めるに当たって、私は地元の理解と協力が不可欠だと考えておりますので、丁寧に説明をしていく、御理解と御協力をいただく努力を引き続き続けていきたいと考えています。

田島(一)委員 丁寧に説明をしていくという姿勢は共感を覚えます。しかしながら、その丁寧な説明で理解を得られなければ、ここは、その説明が適切ではなかったと振り返る必要もあろうかと思います。

 法改正のチャンスがことしありました。省の中でも改正をすべきかどうかの検討もしていただいた足跡は私も理解をしております。しかしながら、法改正することなく、これまでのやり方の延長線上にこのゴールを見出そうとされ、副大臣もこれまで幾度となく関係五県の皆さんと対話を重ねていただいてきた、そのことは敬意を表したいと思います。しかしながら、やはり、間もなく五年目にもかかわらずゴールが見えない、本当にこのままでいいのかなという気もしております。

 十二月十四日付で、千葉市長に対し、詳細調査候補地選定に係る再協議に対する回答を大臣名でお出しになられました。この中身を拝見いたしますと、指定廃棄物を一カ所に集約する方針を堅持するとか、施設の必要性や安全性について丁寧に御説明を続ける所存と大臣は御回答をされています。

 しかしながら、先ほども申し上げたように、一カ所に集約する方針を堅持するといいながら、茨城や群馬では現状のままで保管をするというような話もまことしやかに出てきていて、対応する県によって対応策、結論が何かちぐはぐになっていきやしないかなという心配も正直しているところであります。

 信念を貫いていくことは非常に政治家としては大切でありますが、やはり、この先行きが全く不透明で、暗中模索を続けられていても一向にらちが明かず、塞いでしまっているような事態にどのような解決策を見出すかといえば、ここはもう政治判断で、大臣以下皆さんがやはり頑張らなきゃいけないと思うんですね。

 加えて、宮城県の知事なんかは、記者会見があるたびに、副大臣ではなく大臣が出てこいと何度も何度もおっしゃっています。

 ここはもう、お勉強の時間もそろそろ切り上げて、やはり現場へ出ていって、大臣が皆さんと直接やりとりするべきだ、そういう時期ではないかなと私は思うんですね。決して副大臣の能力に疑念を持っているわけではありませんが、やはり、何一つ変わってこなかったということを重く受けとめるならば、大臣がそろそろ表に出ていかなきゃいけないんだろうと思っております。

 大臣は、どのようにこの閉塞状況にあります指定廃の長期保管施設の確保についてお考えなのか、今後の方針、姿勢についてぜひお聞かせをいただきたいと思います。

丸川国務大臣 田島委員から大変真摯な御議論をいただいて、感謝を申し上げたいと存じます。

 今まで井上副大臣は、本当に各県に足を足しげく運んで、これは石原大臣のときからそうでございまして、地元に一番顔の見える存在として信頼関係を築いてくださいました。

 理解をしていただける説明が我々にできていないのではないかというのは、我々も十分反省する必要があると思っておりますし、都度都度に、我々が何を皆様方にお伝えすべきかということについては考えさせていただいているところでございます。

 井上副大臣に対しての信頼の厚さというのは私もよく理解をしておりますので、井上副大臣には引き続きもちろん現場に行っていただいて、その信頼関係の中で得たさまざまな感触であったりあるいは言葉というものを私は伺いながら判断をさせていただいているところですが、一方で、状況に応じては私みずからも地元に伺うことも含めて、今後の進め方を検討したいと思っております。

田島(一)委員 ありがとうございました。

 もうことしも終わります。本当に光陰矢のごとし。実はもう、来年もさまざまな我々がつくってきた法律の改正、見直し時期もあったりと、大変忙しくなる環境省だと思います。どうぞ皆さん、我々は環境省の応援団であることを重ねて申し上げて、きょうの質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

北川委員長 次に、真山祐一君。

真山委員 公明党の真山祐一と申します。

 私からは、COP21について今回質疑を行わせていただきたいと存じますが、その前に一言だけ申し上げたいと思います。これは通告もしておりませんので答弁は求めません。

 私、福島県の在住でございます。ただいまも議論がありましたとおり、福島県の復興に関しましては、まさに環境省が担っている、除染であり、中間貯蔵施設の建設、また先ほどもありました指定廃棄物の処理、そしてさらにはリスクコミュニケーションも含めて、まさに環境省が所管する分野、この進捗なくして福島の復興はあり得ないというのが現実でございます。

 大臣の就任会見の折にも福島の復興を第一に御発言いただいたことに心から感謝申し上げたいと思いますし、現在、平成二十八年度の税制改正また予算について議論がされ、また補正予算に関しても復興関連の予算が組まれているところでございまして、来年は五年の節目、復興・創生期間のスタートの年度になりますので、ぜひそのスタートを担っていただく担当大臣として環境行政の陣頭指揮を冒頭心からお願いをさせていただいて、質疑に入らせていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 それでは、先ほど来お話ございます、先般合意がなされました、フランス・パリで行われましたCOP21、今回、百九十六カ国・地域、全ての国が参加する新たな気候変動枠組みとしてパリ協定が採択をされたわけでございます。共通だが差異ある責任という言葉に象徴されるように、各国の立場、とりわけ先進国と途上国の間に深い溝があったわけでございますけれども、そうした差異を乗り越えてこれだけ多くの国が参加する合意をつくり上げたことは、二度目標を考えれば、さまざまこれから検討しなければいけない課題はあろうかと思いますけれども、歴史的な合意であったことは間違いないことであると思いますし、また、交渉に当たられました大臣初め関係の皆様の御苦労に心から敬意を表する次第でございます。

 私自身も今回、IPU、列国議会同盟の議員会議の方に参加をさせていただきました。このIPUの会議におきましても、やはり、先ほどもありましたが、途上国の皆様からは大変厳しい意見表明がなされる中で議会運営がなされました。一方で、そういったさまざまな差異はあるにしても今回のこのパリでは合意をしなければいけない、そういう空気も感じていたわけでございます。

 そして、IPUの会議では、議会人である我々が、パリ協定後に自国において、温室効果ガス排出削減に向け、必要な立法を措置し、そして政府の取り組みを監視していかなければならないことを確認し合ったわけでございます。

 この日本が掲げた二〇三〇年までに二〇一三年度比二六%削減目標の達成とともに、すぐれた環境技術による国際貢献についても日本に期待されるところではございますけれども、パリ協定の採択を受けて、約束草案達成への意気込み及び国際社会に対する日本の役割について、丸川環境大臣にお伺いをさせていただきます。

丸川国務大臣 ありがとうございます。

 真山委員におかれては、今、福島の思いを代弁していただいて、大変重く受けとめました。私自身も、福島の復興なくして日本の復興再生はないという思いで取り組ませていただいておりますが、我々環境省が担っている仕事が真っ当に進んでいかなければ福島の復興は第一歩が踏み出せないという認識を持っておりますので、除染の進捗、また中間貯蔵施設、あるいは特定廃棄物、指定廃棄物に対しての取り組みというものを着実に前に進めてまいりたいと思っております。

 そして、COP21ではIPUのメンバーとしておいでいただいているところ、大変心強くお姿を拝見させていただきまして、ありがとうございました。

 御指摘のとおり、本当に途上国、先進国、そして産油国もあり島嶼国もありという、百九十六カ国それぞれが違う立場を持ち、大きな対立も一つのみならず複数の論点であった中で、合意に至る人類の英知が結集をしたということは本当に喜ばしいことだったと思っております。

 こうした中で、私たちが議論に貢献することができたという自負を持っておりますのは、とりわけ二国間クレジット制度を活用する市場メカニズムにおいて、この条項をきちんと協定の中に入れるということ、また、発効要件において国数のみならず排出量をきちんと要件に加えるということが、主要な排出国をその中に含めていくという上で非常に重要だという思いを持って臨み、それが協定の中に入ったことだと思っております。

 こうやってレビューを受ける、あるいは透明性を維持するということが、それぞれがそれぞれに出すINDCを高めていく上で非常に重要であるという認識を持っておりましたので、このレビューに対して、全ての国が共通するやり方で、そして専門家のレビューを受けるということになったのは大変望ましいことであったと思います。

 一方で、この協定の中に技術の重要性ということが入りました。我々はすぐれた環境技術で世界にこれまで貢献をしてきましたけれども、今回は削減においても、あるいは適応においても、我々の持っている技術あるいは災害に対応してきた知見というのは非常に期待をされ、望まれているものだと思っております。

 ぜひ、この点、自分たちの自負を持ってしっかりとこれから貢献をしていきたいと思っております。

 ありがとうございます。

真山委員 ただいま御答弁いただいた内容と多分に重なる質疑になるかもしれませんが、今回のパリ合意、パリ協定において非常に大きな成果といいますのは、やはり、米国、中国が参加する枠組みをつくることができたということでございました。京都議定書におきましては、なかなかそういった実効性という部分で頓挫といいますか、なってしまったわけでございますけれども、しかし、そうした経験を踏まえて、今回のパリ合意の中では、主要排出国が参加できる枠組み、そういった土壌をつくり上げたということが非常に大きかったのではないかと思います。

 そういったパリ協定に至ることができたという観点で、日本の果たした役割について大臣の御所見をいただければと思います。

丸川国務大臣 主要排出国がこの協定にきちんと合意をしていくということは、京都議定書以来の、その後の経過を踏まえた上で、我が国のみならず世界が感じ取って、そしてこの合意に臨む前に、この合意をどういうものにしていくかということを考える上で頭の中をよぎったことだと思っております。

 私どもは、先進国グループの一員として、アメリカと同じグループの中で議論をさせていただいてきたわけですが、やはり、アメリカがきちんと入ってくれるために、例えば途上国にはある程度譲歩していただかなければならないことがあるというぐらい非常に厳しい意見があったことは真山委員も御承知のとおりだと思いますけれども、そこで折り合える言葉というものはどういうものだろうかというものを、文言の模索であったり考え方の模索であったりというものをともにやらせていただきました。

 と同時に、EUとEU以外の先進国の間でも微妙にいろいろ意見の異なる部分も事前の段階ではあったわけですけれども、最終的にはお互いに折り合えるところというのを、先進国グループとEUのグループの間で議論する中で着地点を見出していくというようなこともできたと思っておりまして、最初に私が国連の潘基文事務総長と会談をさせていただいたときに、日本には橋渡し役を期待しているということを言われて、まさに先進国の中でのブリッジということも一つ我々が機能を果たせたことではなかったかと思っております。

 ありがとうございます。

真山委員 そして、これから具体的な取り組みが必要になってくるわけでございますけれども、パリ協定では、先ほどありましたとおり、五年ごとに各国の緩和約束を更新するサイクルが、レビューが義務づけられたわけでありますし、また、その中でこれからの目標のボトムアップもしていかなければならないわけでございます。

 総合的に整合性のある国内対策として、これからエネルギー・環境イノベーション戦略としてまとめていかれると思いますけれども、日本において目指すべき具体的な方向というのは、さまざま課題があるにしても、ある程度見えているのではないかと思っております。

 それは、再生可能エネルギーの普及促進、拡大でございますし、また、省エネルギーとして、例えばLEDの普及、また、省エネ、環境性能のすぐれた自動車、またそれを含めた運輸部門の低炭素化であったりとか、そして、これは大きなイノベーションになろうかと思いますけれども、水素社会、これはためる技術としてまさに大きな可能性を秘めているわけでございますけれども、こういった分野、まさに日本が世界をリードできる分野が環境、地球温暖化対策の中にあるわけでございます。

 エネルギーのいわゆる創、省、蓄というふうによく言われるわけでございますけれども、こうした方向性は既にもう歩み出している方向性でございまして、やはり、COP21を経て、日本がさらにさらにこの歩みを加速させていくことが非常に大きな責務ではないかと思いますけれども、こちらに対して政府の検討状況をお伺いいたします。

梶原政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のように、地球温暖化対策の強化は極めて重要であります。

 まず初めに、二〇三〇年までに温室効果ガスを二六%削減するといったような目標を柱といたします我が国の約束、これについてしっかりと実施していく必要がある。その中身は、原油換算で五千万キロリットルの省エネ、あるいは現在の二倍の再生可能エネルギーの導入といったようなものを見込んでいるということでございます。

 そして、その実現のためには、再生可能エネルギーの大幅な拡大、そして徹底した省エネによります電力やその他のエネルギーの消費の削減、そして運輸部門、これも二割ほどCO2を出してございます、その分野の低炭素化といったような、あらゆる施策が必要になっているところでございます。

 具体的には、地域でつくった再生可能エネルギーをしっかり蓄え、そして融通して地域で使うシステムを実証していく、また、再生可能エネルギーの中では最もポテンシャルが高いと言われている風力、そしてその中でもポテンシャルが高い浮体式の洋上風力の低コスト化、あるいはバイオマスや地熱利用の着実な進展といったような施策を進めていく必要があると考えてございます。

 また、省エネの世界におきましては、街路灯等のLED化を通じまして、将来的には、基本的に全ての家庭、業務の中で高効率の照明にかえていく、そして、エネルギー効率の極めて高い先進的な技術、それをリスト化し、また使っていただく、そして、物流におきましても、それぞれの自動車の低炭素化ということだけではなくて、物流そのもののモーダルシフトといったようなことも考えていかないといけないと考えております。

 水素につきましては、再生可能エネルギー等を利用して水素をつくる、そして燃料電池、あるいは家庭用、業務用の燃料電池に使うといったサプライチェーンの評価、そして、一部もう導入を始めておりますけれども、再生可能エネルギー由来、それを使った水素ステーションといったようなものに取り組んでいるところでございます。

 いずれにしましても、この分野は非常に広くわたってございます。政府一丸となった取り組みが不可欠だと思っておりますので、関係省庁との連携を緊密に図りながら取り組みを進めてまいりたいというふうに考えてございます。

真山委員 時間となりましたので、済みません、質問を用意しておりましたけれども、残りはまた次回にさせていただきます。

 先ほどございましたとおり、今大臣からも力強いお言葉をいただきました。そして、今御答弁いただきましたように、具体的な取り組みは既に動いている。こういったことをさらにさらに加速させ、そして、再生可能エネルギーを含めた環境性能にすぐれた技術をやはり環境省がリードしていくということが非常に期待されるところでございますので、丸川大臣におかれましては、ぜひそういった陣頭指揮を心からお願い申し上げまして、質疑を終わらせていただきます。

 本日は、まことにありがとうございました。

北川委員長 次に、松田直久君。

松田委員 維新の党の松田でございます。よろしくお願いいたします。

 まず、大臣、COP、お疲れさまでございました。

 何人もの方が質問されましたので、重複する部分があるかわかりませんけれども、なるべく角度を変えて御質問させていただきたいと思います。

 この二カ月ほどは、国内のみならず、フランスで開催をされましたCOP21など、精力的な活動は、この委員会のみならず、多くの国民が注目をしているところが多いわけであります。大臣の所感とあわせて質問させていただきますが、まず、今回のCOP21に参加された大臣にお伺いをいたしますけれども、大臣はどのような内容の発信をされたのか、概要を伺いたいと思います。

 また、一部では、京都議定書第二約束期間の離脱の後遺症から積極的な発言ができなかったのではないかなとも言われているんですけれども、丸川大臣の日本政府を代表する発言は、今回のCOP21においてどの程度リーダーシップ、存在意義を発揮できたのか、また今後の効果に結びつくものとなったのか、ともにお伺いをさせていただきたいと思います。

丸川国務大臣 松田委員には、御質問いただきましてありがとうございます。

 先ほど来と私の答弁もちょっと重複をしてしまうかもしれませんけれども、私たちも、これまでの経緯を真っ当に考えたときに、約束草案を提出し、それを更新していくやり方の中で何を重視するべきかということを考えた場合に、恐らく我々が言っていることとほかの国が言っていることとがダブる部分も多くあっただろうと思います。

 そういう意味でいうと、独自性というよりは、我々が声をそろえて上げたということの一つが、やはり五年ごとに削減目標を提出して見直すということについては、我々はもちろん五年のサイクルがいいと言いましたが、ほかの国も言っていたところがあります。これをまずやっていくこと。そして、それのレビューを受けるということについては、特に共通のやり方でということが非常に重要だ。これは、先進国、途上国でそれぞれやり方を分けるべきだというような声がたくさんあった中で、先進国、途上国にかかわらず共通のやり方でやっていくべきだということは我々はずっと言っておりました。これが採用されたことは、INDCを見直して前へ進んでいくというやり方を進めていく上ではとても重要なことだったと思っております。

 加えて、市場メカニズムのことを先ほどから申し上げておりますけれども、これについては先進国の中でも我が国がとりわけ毎度毎度主張しておりましたので、先進国グループの中でもたまたまカナダがファシリテーターとして出ていっていたわけですけれども、日本に、この文言でいいのか、これで納得できているのかということをいつも確認していただいておりました。

 加えて、先ほど来申し上げておりますけれども、発効要件の中で排出量の件が抜け落ちていた。これはADPの結果で抜け落ちていたわけですけれども、これについては、京都議定書のときの、その後の経緯の反省から、やはり主要な排出国がこの協定に入るということがどれほど重要かということを物語ってというか、私たちは強い思いを持って臨んだわけですが、それを実現する上で、どうしても排出量というもう一つの発効要件がなければならないという強い思いがございましたので、これは強く発言をさせていただいたところであります。

 こうしたことが取り入れられた協定になったことは我々として本当によかったと思っておりますし、二〇二〇年で終わるわけではなくて、むしろ二〇二〇年が始まりでありますので、この仕組みを動かしていくためにこれからも貢献を続けていきたいと思っております。

 ありがとうございます。

松田委員 やはり世界から見て日本がどういうリーダーシップ、どういうふうなことを考えているのかということはアピールするべきだ、このように思うんですね。僕としては、個人的には今回開催国のフランス、アメリカの存在というのは大きかったと思うんですけれども、次の質問に入らせていただきたいと思います。

 百九十六の国と地域により合意されたわけでありますけれども、これまで日本が進めてきた地球温暖化の施策の、後押しになることも少なからずあったと思います、しかしそうでなかった部分もあると感じているんですね。

 会議最終日になるはずだった十二月十一日なんですけれども、私は三重県なんですが、史上初めて十二月の夏日、最高気温二十五度を記録した。地球温暖化という気象異変の疑いの余地はもうないんだろう、こう思っています。

 今回、我が国は、地球温暖化対策として、二〇三〇年までに二〇一三年比でCO2の排出量を二六%削減するという目標を挙げております。国内では他省庁が保守的な目標を示す中にあって、リーダーシップをしっかりとってもらったんだろう、こういうふうに僕は思いますが、ここで、我が国の、日本の約束草案に掲げる内容について、COP21を踏まえた確認をさせていただきます。

 今回のパリ協定では、今世紀後半に人為起源の温室効果ガスの排出を正味ゼロにする、つまり、人間活動からの温室効果ガスの排出を地球が温室効果ガスを吸収できる能力の分までに抑えるといった内容が盛り込まれていますが、日本の約束草案には、国内の排出削減、吸収量の確保により、二〇三〇年度に二〇一三年度比マイナス二六%にする中には、温室効果ガス吸収源に関して、吸収源活動を数字に盛り込んでいると思います。

 このパリ協定の解釈と我が国が進めてきた吸収源活動は、地球が温室効果ガスを吸収できる能力の分まで抑えると言っていますけれども、どのような違いと施策に影響があるのか、お伺いをさせていただきます。

梶原政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のように、今回のパリ協定の中では、人為的な排出と吸収のバランスをとるように長期的にはしっかりと対応していくといったような規定が入ってございます。

 また、我が国におきましては、二〇三〇年の約束草案、これは二六%減ということでございますが、その中で、約二・六%を吸収によって確保するといったようなことを目標の中に加えてございます。

 パリ協定の中におきましては、締約国は、森林を含みます吸収源の保全あるいは強化に取り組むべきといったような規定が盛り込まれたところでございます。

 そして、どういったような形で吸収源とかをカウントするのかといったようなことについても規定がございます。これについては、今後、第一回のパリ協定の締約国会議で採択することになっておりますけれども、あわせて、これまで長く培ってまいりました技術、あるいはそれに伴うガイドラインとかを踏まえてやるべきであるといったようなものも規定されたところでございます。

 我が国では、例えば、先ほど申しました二・六%という数字を出してございますけれども、それは京都議定書に基づきます方法で進めております。したがいまして、そういったような方法も含めて今回認められたというふうに考えてございます。

 大幅な削減を進めていく、そして二〇五〇年、さらには二一〇〇年といったような、科学的な知見に基づきまして大幅な削減に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

松田委員 現在の地球の吸収能力というものの倍ぐらいのCO2が今排出をされておるということですので、これを抑える。また、植樹も、いろいろ含めて対策をとっていかなくてはならないと思いますし、対策をとらなかった場合は、今世紀末には五度近く、二・六から四・八ぐらいになるとされていますので、今御答弁をいただきましたけれども、最大限に頑張っていただかなくちゃいけないというふうに思っております。

 次に、気候変動の影響への適応計画について、その対応について伺わせていただきたいと思います。

 先月二十七日に閣議決定をされました気候変動の影響への適応計画は、十月二十三日に原案を取りまとめ、パブリックコメントも募集をされていました。

 この適応計画では、第一部の第二章第二節に「計画の対象期間」として、本計画においては、二十一世紀末までの長期的な展望を意識しつつ、今後おおむね十年間における政府の気候変動の影響への適応に関する基本戦略及び政府が実施する各分野における施策の基本方向を示すとしており、また、同部の第三章の「基本的な進め方」には、「計画の見直し」として、今後、国際動向を踏まえつつ、おおむね五年程度を目途に気候変動の影響の評価を実施しこれを取りまとめるとあります。

 この適応計画は我が国として初めてでありますけれども、既に適応計画を策定している諸外国があります。本計画の策定後、一年程度をめどに、諸外国における適応計画の進捗管理の方法について調査を行うとしておりますが、諸外国の計画見直し時期については早期に調査ができるのではないかな。この見直し期間は五年で適切なのかどうなのかというふうなものをあわせて御質問させていただきます。

梶原政府参考人 お答えを申し上げます。

 適応の分野につきましては、これまでさまざまな調査研究のもとで閣議決定をさせていただいたところでございます。そして、先生御指摘のように、おおむね五年ごとに見直していこうと考えておるところでございます。

 この点につきましては、例えば、IPCCという、世界の有識者の方々が温暖化の影響についておおむね五年ごとに評価をするレポートを出しておられます。そういったような世界的な知見も踏まえながら、我が国としての科学的な知見も蓄積し、五年ごとぐらいに見直していければいいかと思っております。

 この分野は、まだまだ知見ということに関しましては蓄積をしながら進めていく必要がございます。そういう観点からも、常に新しい知見を蓄積しながら見直していく必要があろうかと思っております。

 そしてまた、もう一点、海外の状況ということでございます。実は諸外国も、計画の進行管理と申しますか、そういったものについては試行錯誤を重ねております。新たな知見に基づいて、また、どういったような視点から見直していくのかということを検討しながら進めているところがございます。

 私どもも、他の国の御苦労もしっかりと調査をしながら、関係省庁と一緒になりながら進行管理について進めていきたいというふうに考えておるところでございます。

松田委員 本計画の策定後、一年を目途に諸外国の調査もしていくということなんですけれども、いろいろ試行錯誤される、こう言いましたが、それがまさしく僕は勉強になるものだと思うんです。その試行錯誤をきちっと、どういう試行錯誤をしているかということが、それだけ勉強していただくことが私どもの計画に役立つということだと思いますので、同時進行でしっかりと諸外国のやり方というのを見ていくべきだ、このように思いますけれども、いかがでしょうか。

梶原政府参考人 今先生がおっしゃられたことは極めて重要だと私どもも認識しております。

 そのために、今後一年をめどに、諸外国の適応計画の進捗管理の方法について、特にその分野について勉強いたしますけれども、それを我が国に生かしていきます。

 そしてさらには、それ以外の分野におきましても、諸外国ではどういう形で情報を収集し知見を整理していくのかといったような点につきましても、諸外国と一緒になって、我が国の知見も向こうに伝えながら進めてまいりたいというふうに考えております。

松田委員 ぜひ、そういった面で諸外国の対応等々も参考にしていただきたいと思います。

 続いては、COP21において一番時間を費やして議論された、日本を初めとする先進国に課せられた合意について伺います。

 世界の環境問題対策について、先ほども質問がありましたけれども、途上国に対しては、経済開発協力機構、いわゆるOECDの環境保健安全プログラムによる取り組みがこれまで積極的に取り組まれてきました。日本は途上国への資金支援について、二〇二〇年に現在の一・三倍となる一兆三千億に増額すると十一月三十日の首脳演説で表明をされております。

 COP21を踏まえて、地球温暖化対策として、OECDの今後の活用について、また途上国への支援がどれほど地球温暖化対策として効果が認められるのか、意見を伺いたいと思います。

丸川国務大臣 ありがとうございます。

 まさにそれも議論の中で出てきた話でありまして、先進国に対して途上国側は、どのような資金の提供をして、あるいはサポートをしたのかというようなことをはっきり見える形で透明性を高めろという意見がある一方で、今度は先進国側から、では、受け手の側がそれをどう生かしたのかということについて透明性の中ではっきり打ち出すべきだというような議論がありました。

 そういうことで、お互いにその実施状況を透明性のある形で明らかにしていくための仕組みというのが、報告しレビューを受けるという形で、この協定の中で実現されたものだと思っております。

 今後、CMA、パリ協定の締約国会議の中でその具体的なガイドラインや詳細ルールが定められていきますけれども、ぜひこの中できっちりとそれが見える形になるように我々も貢献していきたいと思っております。

松田委員 資金的な援助はするけれども、その効果がどれぐらいだったのかなというのは、細かいところまでは別として、ある程度検証していただくということは大切なことだ、こう思うんですね。ぜひともそういった面の観点でもお取り組みをいただきたい、このように思っています。

 次に、原発とその災害対策に関連して質問をさせていただきます。

 去る十一月十八日に、丸川環境大臣、井上副大臣、白石政務官が、東京電力の福島第一原子力発電所の視察をされました。視察をした率直な感想について伺いたいと思うんですが、廃炉作業について、また遮水壁などの汚染水対策について、さらには作業員の作業環境について、どのような感想をお持ちになったのか。

 また、視察時に発言されたコメントでは、住民に対して配慮して、風評被害を払拭しなくてはいけないとの発言をされておられますけれども、原発視察の現場で、被曝防備をした作業服を着ての発言で、そのギャップに、国民に趣旨は伝わらないのではないのか、そういった意見といいますか考えの方もいらっしゃいます。風評被害に関して、発言以降、好転したことはあるのか。

 視察前の十月二十六日に完成した、地下水が護岸から海に流出するのを防ぐための海側遮水壁について、海水に含まれる放射性セシウムの濃度を抑えることができたのか、あわせてお伺いをさせていただきます。

丸川国務大臣 ありがとうございます。

 十一月十八日に福島第一原子力発電所を視察させていただきました。行く前に、私は実は初めてお伺いしたんですが、以前行ったことがある政務の方から、皮膚を全く出さない状況でマスクをしなければならないと聞いて行ったところ、顔の部分は出せる状況で、半面マスクと言えばいいのでしょうか、そういう形で視察ができたというのは随分変わったというふうに伺いました。

 建屋のそばの、実際にまだ線量が高いところがあって、当時は、全ての作業員の方が真ん中のところに鉛が入った板のようなものをつけて作業されていたそうですが、私が現場で見たのは、本当に建屋の近くで作業されている方たちだけが鉛の板をつけて作業されているような状況でしたので、随分線量が下がってきて、作業の環境もよくなり、また非常に整理された状況の中で作業が進んでいるという印象を持ちました。

 特に、労働環境の改善ということはずっと福島第一原子力発電所の作業の中で言われておったわけですが、私が伺ったときには、休憩棟が完成をして、温かい御飯が食べられる、また休憩できる場所がある、ちょうどそのときはインフルエンザの予防接種をやっていらっしゃいましたけれども、そこで働いていらっしゃる方たちへのきちんとした対応が進んでいるということが目に見えて感じられるような状況であったと思います。

 ここからまだ、汚染水対策ということを今御指摘いただきましたが、まさに遮水壁が閉まったすぐ後にお邪魔をしたわけですが、いかに地下水のコントロールが重要であるかということは、そのときも説明を受けましたし、これからもそれが非常に重要なキーポイントになるのであろうというふうに理解をしております。

 ありがとうございます。

松田委員 防護服を着て大臣が幾ら安全ですよと言っても、一般の方に、本当なのかなというような思いも持たれた方がみえますけれども、大臣が見えたところは非常に汚染度の高いところだったんだろう、そこでいろいろなインタビューもあったんだろうというふうに理解をいたしております。

 そこで、遮水壁の効果で、今、地下水から流れ出るのも非常に大事だと大臣は言われましたけれども、十一月二十二日の東京新聞なんですが、東京電力福島第一原発で汚染した地下水が護岸から海に流出するのを防ぐための遮水壁が十月二十六日に完成したが、海水に含まれる放射性セシウムの濃度は、護岸付近は下がったものの、それ以外は完成前とほとんど変わらない状態が続いている、東電の試算では、壁により地下水の流出量は一日四百トンから十トンにまで減り、セシウムの流出量も約四十分の一になるとされた、東電の担当者は、効果の検証には時間がかかる、様子を見たいと話している、こういうふうなことが記事に載りました。

 これは実際、現場としてはどうなのか、セシウムの濃度がどうなっているのか。もしこの記事をそのまま読み取るとするならば、四百トンから十トンになった、四十分の一になっても、全然その量が、要するに、護岸部分は別として、全体的に変わらなかったということなんですけれども、僕はこれは非常に大きい問題だと思っているんですけれども、これについて説明をいただきます。

山田政府参考人 今お尋ねをいただきました海側の遮水壁の効果の関係でございます。

 原子力規制庁といたしましては、現時点で、海側遮水壁完成後における港湾内に流出している地下水の量、これについて公式に東京電力から報告を受けていないところではございますけれども、海側遮水壁の近傍の地下水の水位が上がっていること、それから遮水壁近傍に設置された井戸からくみ上げている地下水の量、これがふえているということを踏まえますと、流出している地下水の量は減っているということは確かだろうというふうに考えてございます。

 また、海側遮水壁の近傍の海水中のストロンチウム、セシウムの濃度、これは海側遮水壁のすぐそばですけれども、海側遮水壁の閉合後、それぞれ大きく減少しているという状況にございまして、これも海に流出している地下水の量が減少していることに起因するというふうに考えているところでございます。

 加えて、海水を採取して測定をいたしました港湾の中の海水中の放射性物質の濃度につきましては、減少傾向にあるという数字を確認してございます。

 なお、港湾外における放射線のモニタリングの結果に関しては、海側の遮水壁の閉合後では有意な変化はないという状況にございます。

 いずれにいたしましても、原子力規制庁といたしましては、引き続き海側遮水壁閉合に伴う影響については確認をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

松田委員 委員の皆さんにも資料をお渡ししてあるんですけれども、いわゆる高台と海側の方に高低の差があって、高台の方から四百トンの水を、海側の遮水壁で十トンに抑えた。これはしかるべく、恐らくセシウムの量が減るんだろうという形で許可を出されてこの海側の遮水壁ができたんだと思うんですよね。

 何らかの計算をもとにして遮水壁をつくったけれども、四百トンから十トンになったけれども、今おっしゃられたように、港湾の中は余りセシウムが減っていないという御答弁でしたけれども、そうしたら、何のためにこの遮水壁をつくったのか、つくらせたのか。これは要するにどこの指示でこの遮水壁をつくったのか、もう一度お答えください。

山田政府参考人 今先生、港湾内の海水の放射性濃度は下がっていないというふうにおっしゃられましたけれども、港湾内のデータにつきましては、我々が報告を受けておりますところでは、くみ上げて測定をした放射性物質の濃度については低下傾向にあるということは確認をされているところでございます。

松田委員 どれぐらいですか、下がっているというのは。

山田政府参考人 済みません、今手元にございますデータは、ちょっと……(松田委員「いいです」と呼ぶ)

松田委員 一番神経質になるところだと思うんですね。どれぐらいのセシウムがどれぐらい減ったか、この遮水壁をつくることによってどうなったか。そのために遮水壁をつくっているわけですから、一番この数字が、僕だったら一番真剣になりますよ。ああ、これだけあったのがこれだけになったのかということを。今、僕も数字を用意してくれと言ってありませんでしたけれども、やはり一番そこが大事なところだと僕は思うんです。

 いろいろと質問の聞き取りをしていただいたときに、要するに、岸壁は東京電力が独自でつくったものだとかいろいろなことをお聞きしましたけれども、やはり、こういったものをトータルで、どのように減らして、どういう対策でどのように、どういう施策でどのように減らしていくということを一元的に管理していかなくてはいけない、こう思うんです。

 こういったものを一元的に管理して、そして適切な処理をするというところは、いわばどこになるんでしょうか。一遍、教えていただきたいと思います。

平井政府参考人 先生の御質問にお答え申し上げます。

 まず、冒頭のところで、どれぐらい下がったのかというところ、私の手元にございますのは、港湾内でございますと、ストロンチウムでいえば約百分の一、それからセシウムについていえば五分の一、それぞれはかっている期間が違うのでございますけれども、おおむねそのような値になっているかと思います。そうした顕著な効果が出ているということは、はっきり申し上げられると思っております。

 さらに、今御質問いただきました、国としての対応のあり方というところについてでございますけれども、これまでも、中長期的なロードマップというのを策定いたしまして、計画的な廃炉を指導してきたところでございます。

 それに当たりましては、二〇一三年にさかのぼりまして、原子力災害対策本部、この本部のもとに廃炉・汚染水対策関係閣僚会議を設置いたしまして、これ以降、事業者による対策の進捗管理ですとか、国の財政措置による事業の進捗というようなことのさまざまな取り組みを通じて、全てを東電任せにするのではなくて、政府として総力を挙げて対応してきているという体制にございます。

 規制機関としての原子力規制委員会についても、こうした福島第一原発を特定原子力施設に指定して、同法に基づく規制、実施、運用に当たっているというふうに理解しておるところでございます。

 こうしたところの機関を含めまして、国全体として総力を挙げて、これからも緊密に連携、連絡をとりながら、政府一体として取り扱っていきたいというふうに考えているところでございます。

松田委員 用意していた質問はもっとたくさんあったんですけれども、時間の配分で最後になります。

 原子力規制庁、これはホームページで、原子力の安全確保を一元的に担う政府機関である原子力規制委員会を支える事務局、東京電力福島第一原子力発電所の事故の反省を踏まえ、二○一二年六月に成立をした、内閣府の原子力安全委員会や経済産業省の原子力安全・保安院、文部科学省の放射線モニタリングの部門など、縦割りの行政組織を統合して発足したとここに書いてあります。

 やはり、どこが責任を持ってやるのか、どこが情報を発信していくのか、例えばこの湾内のセシウムの問題も、濃度が高かったらどこが追いかけるのか、非常に僕は大事なところだと思います。せっかくのこの縦割りを一つの固まりというか組織になったんですから、組織として、この組織の持ついわゆるリーダーシップをしっかりととっていただいて、今後の対応に当たっていただきたい、このように思います。

 これで質問を終わります。

北川委員長 次に、島津幸広君。

島津委員 日本共産党の島津幸広です。

 COP21が終わったわけですけれども、百九十六の国が参加し、そろって温室効果ガスの削減に取り組むことを確認したわけです。これは一九九七年の京都議定書以来の成果だと言えると思うんです。

 丸川大臣も会議に参加されて、いろいろな思いを持ったと思うんですけれども、改めて、このCOP21の成果、意義について、報告でもこれまでの答弁でもありましたけれども、簡潔にお聞かせください。

丸川国務大臣 御質問ありがとうございます。

 先進国と途上国の間に、当初、議論を始めたころは深い溝がありましたけれども、この立場を、最後には、違いを乗り越えて、大変歴史的な意義深い合意ができた。特に、全ての国が参加する合意となったこと、それから公平な合意で実効性を担保する仕組みをそこに埋め込めたことは非常によかったと思っております。

 ありがとうございます。

島津委員 パリ協定の具体的な内容にかかわってお聞きしたいと思うんですけれども、何より、パリ協定では、法的拘束力を伴う国際条約として合意されました。今も答弁があったわけですけれども。京都議定書以来さまざまな経緯があったわけなんですけれども、ここに至った背景についてはどういうふうに捉えているんでしょうか。

北川委員長 では、まず事務方が答えて。

梶原政府参考人 大変恐縮でございます。私の方から。

 一番大きな理由の一つが、これまで、先進国、途上国の別なく、実際に気候変動の影響、地球温暖化の影響が及んでいるということで、今直ちに対策をとらなければならないといったような意識が先進国そして途上国双方にしっかりと根づいたというのが一番大きい背景だと思います。

 さらには、昨年の国連総会のときから、首脳の方々が参加された気候サミットでありますとか、G7でありますとか、首脳レベルでの、新たな協定をしっかりと結んでいかなくちゃいけないといったような共通の理解があったものと考えております。

丸川国務大臣 今局長からもありましたけれども、実際現場にいて、やはり、先進国、途上国の差なく、もう既に気候変動の影響を我々は受け始めているということが共有された危機感であったと思います。どういう形であれ、全ての国がこれにかかわって、そして一つの枠組みをつくっていかなければいけないという非常に強い意志を感じました。

 ありがとうございます。

島津委員 やはり、今のお話を聞きましても、非常に重みのあることだというふうに思います。

 関連して、二度目標についてお聞きしたいと思うんです。

 今回の会議で日本が果たした役割についてはこれまでもいろいろな議論がありましたけれども、二度を十分下回ると厳格にした上で、一・五度に抑える努力をする、こういうふうにしています。今回の会議の成果のかなめをなす一つだと思うんですけれども、この点で日本の政府はどんな主張をしてきたんでしょうか。

丸川国務大臣 私たちの立場としては、この法的合意が二〇二〇年以降永続的に続いていくということが非常に重要だという観点から、長期目標を必ず入れ込むべきだということを言っておりました。

 既にカンクンの合意の時点で二度及び一・五度への言及があったわけでして、閣僚級のステートメントや交渉会合でも我々長期目標、長期目標と言い続けてきたのはまさにこれでありまして、それがこうした形で協定に入ったということは、我々も一つ長期目標を入れるべきだと申し上げたことの中に入っていると思っております。

島津委員 長期目標ということで、具体的に二度を十分下回るだとか一・五度という主張はしてこなかったけれども、長期目標に入っているということですね。

 いずれにしても、パリ協定は、長期的には今世紀末までに温室効果ガスの排出を実質ゼロに抑える目標を明記しています。そのためにも、各国の努力を促す重要なものです。

 そこで、問われているのが日本国内での取り組みです。

 大臣に聞きますけれども、削減目標について、丸川大臣は、長期目標の設定や目標の提出、見直しのサイクル、レビューの仕組みを法的合意に位置づけることを主張してきたということで、今もあったわけですけれども、パリ協定は、目標達成の義務化こそ見送られましたけれども、五年ごとの見直しを義務づけ、その際、目標を前向きにするということを促しているわけです。

 しかし、こうした問われていることに対して、国内の現状を見ると、COP21の到達点とやはり乖離があるんじゃないかと言わざるを得ないんです。

 先ほども議論がありましたけれども、日本の削減目標です。二〇三〇年までに二〇一三年比で二六%減。これは、一九九〇年比にすると一八%減です。この目標でふさわしいと思うのか。確実にできる目標という答弁もありました。

 しかし、実際に、客観的に見て、例えばEUの場合は、一九九〇年比で四〇%減なわけです。日本の場合はこれまでしっかり対策をやってきたからということの、前回、望月大臣のときの議論もあったんですけれども、京都議定書の基準年の一九九〇年から二〇一三年の間に、日本は一〇・八%温室効果ガスの排出量をふやしています。しかし一方で、EUは、同じ時期に二〇%以上の削減を達成しているんです。

 一人当たりの排出量を見ても、一九九〇年のときには、確かに日本はEUよりも少なくなっている。しかし、日本はその後横ばいで、むしろ五%ふえている。一方、EUの方は努力を続けて、二〇〇五年には、一人当たりの排出量はほぼ日本と並んでいます。今では逆転している。これは二〇一二年の数字ですけれども、一人当たりの排出量、日本の十・五トンに対してEUは八・九三トン。EUでやれて日本でやれないわけがないわけです。

 目標について、客観的に見て、やはり低い、ふさわしくないんじゃないかと思うんですが、どうでしょうか。

丸川国務大臣 交渉の過程の中で、ファビウス議長とお話をしたときに、技術が進んでいくんだ、衛星が打ち上がって、どこの国も、自分たちがどれだけの温室効果ガスを排出しているか、もう隠し立てができない世の中になる。まさに我々もこれから衛星を打ち上げようという考えを持っているわけですけれども、今までよりもずっと細かいメッシュで、どの都市がどんなふうに排出しているかということまでわかるようになってくる。まさにそれが、今後私たちが排出削減目標を野心的に引き上げていく上で、非常に重要な鍵になると思っております。

 技術の革新、そして社会経済構造の変化ということは、中長期的に見て、私たちが温室効果ガスの排出を削減していく上で非常に重要な鍵でございます。と同時に、二度目標を達成していく道のりというものも、それによって複数存在するというふうに考えております。

 一方で、今回私たちが示した二〇三〇年、二〇一三年度比で二六%減という目標でございますけれども、これは、私たちが将来にわたって、申し上げたような低炭素技術の開発や普及、あるいは社会経済構造の低炭素化などの施策をとっていくことによって、二度目標達成のための二〇五〇年までの長期的な温室効果ガス排出削減の達成に支障を来すものではないというふうに考えております。

 長期目標の達成に向かっては、技術開発に力を入れるということは我々の主張もあって協定に入りましたけれども、これはもちろんですけれども、ライフスタイルの変換、こういうことも実はこの協定のデシジョンの方に入っているかと思います。

 このパリ協定を、我々も強力な後押しとして、これから長期的に、戦略的に取り組んでいきたいと思っております。

島津委員 技術ができるのを待つとまでは言いませんでしたけれども、そういう趣旨のことなんですよね。

 今ある技術で対策を進めていくのがいいのか、それとも将来もっといい技術が出てくるからということで、これは議論があると思うんです。ただ、今やはり急いでやらなきゃいけないわけで、将来できるかできないか、いつできるかわからない、でも、そういう技術を待っていたのでは取り返しのつかないことになるわけです。

 実際に、今各国が出している目標を全部合わせても二度にはできないという現実があるわけです。そういう、世界全体の中から見ても、さらに数字的には日本は不十分だということなわけですね。ですから、これから見直しの機会があるわけですけれども、ぜひ野心的な、積極的な目標に抜本的に見直していってほしいと思うんです。

 ところで、次の質問ですけれども、大臣は、このCOP21に先立って経団連と懇談しています。そこで、COP21で合意されるべき国際的枠組みのあり方について、経済界と認識を共有していることを表明、これが十一月十九日号の経団連タイムスに報道されているんですけれども、認識を共有している、この認識とはどういうものなんでしょうか。

丸川国務大臣 COP21に先立って、経団連等の産業界、また労働組合の皆様、NGOの皆様とも意見交換を行わせていただきました。

 経団連との意見交換において我々が認識の一致を見たというのは、これまで主張してきた、全ての国が参加をする公平かつ実効的な法的枠組みの構築を目指すという点でございます。

島津委員 経団連が出している低炭素計画、ここでどう言っているか。「わが国のエネルギー効率はすでに世界最高水準で、CO2排出量の削減余地は小さい。」こう言っているんです。

 この姿勢が実際に経団連の中で、各産業、企業の中にどうあらわれているのか。経団連が出している二〇三〇年に向けた低炭素社会実行計画、これはことしの九月十一日に改定していますけれども、ここで部門別のCO2削減計画を出しています。

 製造業では、エネルギー消費量の約七割を占めているのが鉄鋼、セメント、化学、紙パルプです。この中で、セメント協会は、目標をつくるに当たって、会員会社に対して対策の調査を実施し、その積み上げから削減目標を求めた、こういうふうにしています。日本ゴム工業会なども、会員会社の削減努力を精査し、積み上げた目標にしている。また、日本鉄鋼連盟は、目標年次までの期間が長期にわたり、その間の経済情勢、社会構造の変化が見通せないので、目標内容を適宜見直すというふうにしています。生産量が大幅に変動した場合は、想定の範囲外である可能性があり、その場合には実態を踏まえて見直す、こうも書いているんです。生産量がふえれば削減目標を低くするということなんですね。

 CO2削減というのは、まさに人類的な課題です。やれるだけやる、場合によっては当初目標もできないかもしれない、こんな姿勢で責任を果たせるんでしょうか。ここにやはりきちんと切り込む必要があると思うんです。大臣、経団連にもっと努力すべき、こういうことで要請すべきじゃないんでしょうか。どうですか。

丸川国務大臣 まだまだ産業の中に組み込める温室効果ガス排出削減のための新しい投資というのはあり得ると私は思っておりまして、官民対話でもそのような議論に参加をさせていただきました。

 エネルギー効率の改善だけではなくて、企業にとってもコストの改善につながるような技術というのでまだ導入が十分進んでいないものはございますので、そういう意味でいえば、むしろ企業の側にとってもインセンティブがあろうかと思います。しっかり後押しをしていきたいと思います。

島津委員 ぜひその立場で頑張っていただきたいと思うんです。

 日本の温室効果ガス排出の九五%を二酸化炭素が占めていて、その排出は、発電所などのエネルギー転換部門が四割、工場などの産業と合わせると四分の三近くを出しているわけなんですね。つまり、わずかな数の大口発電所と工場に排出量が集中しているわけです。この対策がやはり鍵を握っているわけです。ぜひしっかり大臣として必要なことを言っていただいて、強く要請していただきたいと思います。

 次に、この議論に先立って、私は静岡県の温暖化対策計画を聞いてきました。ふじのくに地球温暖化対策実行計画というのをつくって努力しています。

 ここでは、二〇二〇年までに二〇〇五年比で二〇%削減を目標にして頑張ると。これは、一九九〇年比にすると二〇二〇年までに一八・六%の削減です。政府の出している、二〇三〇年までに一九九〇年比では一八%削減ですから、国よりも十年前倒しで、積極的な目標で頑張っているんです。

 ここで聞きましたら、ふじのくにエコチャレンジということで県民運動をやったり、いろいろなことをやっているんです。産業部門の方は、乾いたタオルだ、これ以上対策の余地がないということもよく言われているんですけれどもどうですかと聞いたら、いや、そんなことはない、静岡県では省エネ診断というのをやっていて、それをやってみると、まだまだやはり各工場などに削減の余地があると。今も大臣おっしゃいましたけれども。

 この静岡県は、省エネ診断の実施で、環境省認定の環境マネジメント、エコアクション21の導入を支援して、ことし三月時点ですけれども、九百七十六の事業所が取得。これは全国一位で、全国の約一二%だというふうに伺いました。省エネを進めると効率もよくなり、生産も上がってくるということを言っていました。

 そこで、国でもCO2削減ポテンシャル診断の制度がありますけれども、二〇一〇年度から始まっています。これまでにどれだけの実績があるんでしょうか。

梶原政府参考人 環境省におきましては、平成二十二年度より、事業所等に対しますCO2削減ポテンシャル診断を実施してまいってございます。平成二十七年十月現在で千四百十八件の診断をしているところでございます。

 この中では、先生がおっしゃられるように、短期間で投資の回収ができて、そして中小企業でも適用可能な低炭素技術があるということにもかかわらず、それが十分認識されていない状況にあるといったような実態がわかってまいりました。

 そのために、CO2削減ポテンシャル診断ガイドラインといったようなものを策定しまして、診断機関の診断能力を上げるとともに、企業の方々により一層御活用していただけるように進めておるところでございます。

島津委員 今お答えがあったように一千四百十八件ということなんですけれども、静岡県一県だけでも、二〇一一年度から三年間で百八十五件の診断を実施しています。国の制度としては余りにも不十分だと言わざるを得ません。各企業に任せておいただけでは、やはり目先のコストを考えて対策が消極的になります。そこで、行政が知恵も出し、支援もすることが必要になるわけです。そして、やれば成果も上がる。

 排出削減の目標を無視したり逆行する企業は、社会の評価を得られず二十一世紀に生き残れない、こういう指摘もあります。対策を進めた場合の設備投資は、光熱費の削減などで回収できます。日本経済全体で見れば、対策投資が国内企業、地場産業にもたらされて多くの雇用を生み出す、環境対策が経済的な対策にもつながるわけです。

 安倍首相は、今回のCOP21の談話で、気候変動対策を内閣の最重要課題として取り組む、こう述べています。対策を進めていく上で、企業に頑張ってもらう仕組みをより抜本的に強化する必要がある。もちろん、中小企業に対しては財政的な支援も必要だと思います。政府の本気度が示されると思うんですけれども、この対策を強めるということで、どうでしょう、大臣。

丸川国務大臣 大変強い応援をいただいているという気持ちでございます。

 やはり国民の行動変容というのがこの温暖化対策に大変重要であるわけですが、それは企業の投資行動においても同様でございます。私は今、企業の側にもインセンティブがあるというふうに申し上げましたが、企業なりあるいは資金の出し手においても、今、より地球環境に優しい資金の出し方をしようという意識がヨーロッパ中心に高まってきているところでございまして、先般、GPIFも国連の責任投資原則にコミットしたわけでございます。

 ぜひこうした動きを私たちもより奨励するような形で、社会全体を温暖化ガス抑制の方向に向けるように努力をしていきたいと思っております。

島津委員 当委員会の海外派遣の際、これはフィジーの国会の環境委員会に当たる天然資源常任委員会と懇談したわけですけれども、この席で北川委員長が、環境問題は与野党を問わず、地球のために、国民のために協力していかなければならない、こうおっしゃいました。本当に私はそのとおりだと思いました。とりわけ、地球温暖化対策というのは、まさに与党、野党はもとより、官も民も、今大臣もおっしゃいましたけれども、国民も経済界も一致して取り組む課題です。ぜひこれからも頑張ってやっていただきたいと思うんです。

 この問題は、例えば脱炭素が世界の流れですけれども、石炭火力を温暖化対策にしているというのは世界に逆行している日本の象徴の一つですけれども、原発問題、さまざまな問題があります。その議論はまた次の機会に回し、きょうは残りの時間で地熱発電についてお伺いいたします。

 再生可能エネルギーの普及は、もちろん力を注いでいかなければなりません。しかし、やみくもにふやせばいいということではないと思います。

 政府は、長期エネルギー需給見通しの中で、再生可能エネルギーの地熱もベースロード電源として位置づけています。地熱発電の拡大のために、調査や開発への財政的支援や国立公園の規制の緩和をしています。しかし、それが今、問題を引き起こしつつあります。この点について伺いたいと思うんです。

 九州電力の八丁原地熱発電所を見てきました。このセンター長は、地熱発電を再生可能エネルギーとして使うには、地下水のバランスを見きわめるための詳しいモニタリングと綿密な運営が必要だというふうにおっしゃっていました。そこで心配されるのが乱開発なんです。

 大分県九重町の観光協会の方にお話を伺いました。温泉を持っているところに、バイナリー発電をするから源泉と土地を貸してくれ、十七年契約ぐらいでいい、使用料を払うから、こういう話がいっぱい来るそうです。十七年というのはつくった後十五年ぐらい動かすということなんですけれども、固定価格買い取り制度で高く売れる期間だけしかやるつもりがない。

 これをやっていきますと、地下から熱水、蒸気をくみ上げるんですけれども、温泉成分のスケールというのがたまって井戸が使い物にならなくなるんですよ。大体十五年ぐらいの期間でそれが詰まって使えなくなる。だから、その期間だけ発電できればいいという、後はかれてもいい、こういう姿勢なわけです。

 十五年で発電が終わるというものは再生可能でも何でもない。このような、ただその期間だけもうければいい、こういう考え方ではいけないと思うんですけれども、これはどうでしょうか。

奥主政府参考人 お答えいたします。

 ただいま島津先生御指摘の件でございますけれども、環境省といたしましても、国立公園は、すぐれた自然の風景地を擁するものでございまして、その保護が必要であるということと、一方、温泉資源につきましても、温泉法を所管いたしまして、温泉資源の適切な利用が重要であるというようなことから、さまざまな取り組みを行っているところでございます。

 国立公園におきましては、有識者検討会を設置いたしまして、国立公園内の地熱開発に係ります掘削につきましては、自然環境や景観に十分配慮され、地元合意にのっとった優良事例について認めるというふうなことをやっておりますし、温泉につきましても、これは許可自体は都道府県知事でございますけれども、温泉利用ガイドラインをつくりまして、モニタリングをどういうふうにしたらいいとか、そういったような事例を集めて都道府県の方に示して、温泉の掘削につきまして適切な運用がされるようにというようなことを示しているところでございます。

 環境省といたしましては、このような取り組みを通じまして、国立公園における自然景観の保護、あるいは温泉資源の保護について、適正な利用が図られていくように取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

島津委員 地熱発電のあり方を聞いたわけじゃなくて、私が紹介したように、もうかればいい、その期間だけ発電して、後はもうどうでもいい、こういう姿勢はうまくないんじゃないかということなんですけれども、どうなんでしょう。

梶原政府参考人 先生御指摘の点は、固定価格買い取り制度の運用等も関係しているかと思います。

 本件につきましては、資源エネルギー調査会の中で見直しの議論が進められているところでございます。その中では、発電事業の実施可能性をしっかりと確認した上で認定をするとか、あるいは、先ほど先生御指摘の、発電事業者が持続的に発電を継続して、買い取り期間終了後も安定的な発電を継続することが促される、そういったような仕組みづくりといったようなことも検討されております。

 いずれにしましても、再生可能エネルギーは非常に将来的にわたって重要なエネルギー源だと考えてございます。そういった系統の方に戻して使われていく再生可能エネルギーだけではなくて、例えば、そういった制約を受けない、地域でつくった再生可能エネルギー、電気が蓄えられ、蓄積され、そして地元で使われるといったようなシステムも積極的に進めていく必要があると考えております。

 環境省といたしましても、そういったようなシステムの実証を進めまして、真に安定的なといいますか、将来的にも使われる再生可能エネルギーの定着を目指してまいりたいというふうに考えております。

島津委員 九重町役場でもお話を伺いました。千キロワット、二千キロワットという小規模な発電をやりたいという相談がたくさん来るそうです。中には、今、別の業者や別の方が使っている地熱発電の資源になる貯留層、そこに、使っているところにまた新しく掘りたい。つまり、自分では何にも調査しないで、ここに出るのを一緒に使わせてほしい、こういう人もいるそうです。当然、資源のとり合いになります。

 そういうもうけ主義で来てもらっては困るというふうに町の担当者の方はおっしゃっていたんですけれども、しかし、町には許可、不許可、これを決める権限はないんです。温泉審議会でも、決められた間隔以上に掘る井戸が離れていたら不許可にできないということで、乱開発になることを非常に心配されていました。

 静岡県の南伊豆町にも行ってきました。当初、緑の分権改革、温泉共生型地熱貯留層管理システム実証研究で調査したんですけれども、キャップロックが見つからないということで一度は結論を得たんです。町としては、地熱発電はやらない、こう結論を出したんですけれども、新しい町長が突然蒸し返して、今新たな事業をやっています。ところが、温泉関係者の理解も得られていない。源泉の脆弱性、既にもう湯量も温度も低下している。大掘削してやる地熱発電は反対だ、バイナリー発電ならともかく、こういうことをおっしゃっていたんです。

 このように、ポテンシャルとしても余り期待ができないところでも、そして国立公園の中でも深度までの掘削を認める、こういうのは無謀な開発ではないかと思うんです。無駄に自然を傷つける。この南伊豆町も国立公園の地域です。無駄に自然を傷つけるだけじゃないんでしょうか。

 長期的な見通しのない地熱発電、もうけ主義の地熱開発、地域を困らせるような開発を規制する、こういう仕組みをつくるべきじゃないんでしょうか。どうでしょう。

奥主政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のように、まず、国立公園の関係でございます。

 それにつきましては、先ほど御説明申し上げましたように、自然公園法に基づいて適切に許可を図っていく。その中におきまして、真に地元との合意形成がとれるでありますとか、あるいは発電等によって地元に還元するというような優良事例の場合、さらに、風致景観にも影響を与えないというような場合について地熱発電を認めていくというふうな取り組みをしているということでございます。

 また、温泉資源につきましても、先ほど申し上げましたように、これは確かに、先生おっしゃいますように、井戸の掘削権限は都道府県知事の権限でございます。自治事務でございますので、国としてなかなか言えないところがございますけれども、掘削の許可をするに当たりまして、どのような中身であればやっていいのかどうか、先ほど申し上げましたようにガイドライン等をまとめまして、温泉の地層のある場合にはこういうモニタリングをする例があるとか、そういった優良事例等を整理いたしまして都道府県に提示する。そういったものを通じまして、都道府県の方で適切な運用がなされて温泉資源の保護がなされるというふうにしていきたいと考えているところでございます。

 そのような取り組みを進めまして、温泉資源の保護、あるいは国立公園におけます風致景観、すぐれた自然の保護について図れるように取り組んでまいりたいと考えております。

島津委員 今答弁がありましたけれども、現実に、私が紹介したこういう例は一例です。各地ではいろいろなことが起きています。そういう点では、現実にこういうことがあるわけですから、これまでの、規制緩和、開発を進めていく、あるいは補助金なんかでも支援していくという、これはこれで大事なんですけれども、しっかりとした規制の仕組みをつくるように、これは大臣もぜひお願いしたいと思います。

 時間が来ましたので終わりますけれども、別府温泉に行って話を聞きましたら、別府の皆さんは温泉をなりわいにしているわけなんです。源泉を地獄と呼んでいましてね。ところが、地熱発電で業者がやってきて、とにかく掘らせてほしいと。その掘る場所というのは別府温泉街の山の手、上手にありまして、そこを掘っちゃうと下の地獄がやはり影響があるということで非常に心配しているんです。地獄のこともわからない業者が来てやられては困ると、もう本当に切実な問題でした。

 このように、地域と共生を考えない地熱開発や短期的なもうけのための地熱開発、これを規制する仕組みが本当に弱いもとで規制緩和だけを進めていくことは、今ありましたけれども、国立公園の環境や温泉資源に重大な影響を及ぼす、影響が高いんです。規制緩和一辺倒、こういう進め方は、結果的に地域の再生可能エネルギーへの信頼を失ってしまう危険があります。再考していただくことを強く求めて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

北川委員長 次に、椎木保君。

椎木委員 おおさか維新の会の椎木保でございます。

 本日は、パリ協定、そして脱原発並びに電力自由化に関してのテーマを中心に質問させていただきます。

 まず初めに、パリ協定で一定の結論に達したことは人類にとって大きな進歩だと思います。政府関係者の御尽力にまず感謝申し上げる次第です。

 さて、気候変動は人類にとって戦争に匹敵する脅威であることは、今日、誰の目から見ても明らかであると思います。その人類の脅威に対して、日本人がどのような姿勢で取り組むべきでしょうか。

 日本国憲法の前文は、次のような文言で締めくくられております。「われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。」

 日本国憲法は戦争と平和という文脈で語られていることが多いのですが、気候変動という新たな人類の脅威に対してどのように取り組むべきでしょうか。パリ協定の理念にも通ずるものがあると思います。

 パリ協定を推進することは、日本国民にとって是であることに異論のある方は少ないと思います。一方で、日本のエネルギー政策を見る限りにおいては、パリ協定とトレードオフが発生する内容がございます。

 例えば、本年成立した改正電気事業法による電力自由化は、需要変動に対応しやすい天然ガス等化石燃料による発電比率が高くなるため、長期的には脱原発が実現するものの、短期的には二酸化炭素排出量がふえ、パリ協定に逆行する政策でもあります。逆に、原発再稼働は、二酸化炭素排出量が減るためパリ協定には合致するものの、高速増殖炉、いわゆる「もんじゅ」を前提とした核燃料サイクルはいまだめどが立っていないため、放射性廃棄物の増加という別の大きな問題を解決できないでおります。

 そこで、丸川環境大臣へ質問です。

 パリ協定の推進は日本の国是であるとお思いでしょうか。是非について答弁をお願いします。

丸川国務大臣 ありがとうございます。

 椎木委員御指摘のとおり、内閣総理大臣もこれは内閣の最重要課題だと言っていただいております。

 気候変動の影響を最も大きく受けるのは最も脆弱な立場に置かれている国あるいは人々でありまして、まさにこの人たちが今後その先どこへ行くのかということによっては国家の安全保障にかかわることであるという認識は、特にヨーロッパを中心に広く共有されつつあるところであります。

 我が国においても、そのような思いを持ってこの気候変動対策に取り組んでいくべきという思いでございますので、ぜひとも、今後とも御支援をよろしくお願い申し上げます。

椎木委員 今の答弁は是ということでよろしいでしょうか。

丸川国務大臣 日本国にとっても重要な課題であると思っております。

 電力自由化のことについて触れていただきました。

 私どもが特にこの点について申し上げているのは、消費者が賢い選択をできるために、地球のための選択をできるために、透明性を高めていくということでございます。この点についても、今後努力してまいりたいと思います。

椎木委員 次に、是ということですので、パリ協定を推進する立場からお伺いしたいと思います。

 脱原発並びに電力自由化という政策との整合性に関して、環境省の見解を丸川大臣にお伺いいたします。

丸川国務大臣 今、環境省としてという御指摘がございましたので、環境省の立場としてお答えさせていただきます。

 御承知のように、環境省のもとには三条委員会であります原子力規制委員会がございます。この原子力規制委員会の独立性を担保しておくということが、私たち環境省に課せられた非常に重要なテーマだと思っております。この規制委員会の独立性が担保されているからこそ、私たちはこの安全基準というものについて信頼を持つことができるわけでありますので、逆に言うと、この原子力規制委員会の判断を尊重する上で、私がその判断について、あるいはその後を受けた原子力発電所の稼働について予断を与える発言というのは差し控えさせていただきたいと思っております。

椎木委員 パリ協定は大きな進展があったということは肯定しつつも、中立的な立場でという、このところが非常に理解しがたいんですけれども、次の質問とあわせて、再度お聞きしたいと思います。

 パリ協定を推進する立場から、高速増殖炉、いわゆる「もんじゅ」の稼働についてのめどが立っていない中での原発再稼働という政策との整合性に関して、環境省の見解を丸川大臣にお伺いします。

丸川国務大臣 大変先生御承知でお伺いいただいているんだと思いますけれども、高速増殖炉につきましては、これは文部科学省の所管でございますので、大変申しわけございませんが、私からは御答弁を差し控えさせていただきます。

椎木委員 パリ協定の大きな進展ということについては非常に成果として発信しているにもかかわらず、進展があった、大きな枠組みも決まったとはいいながら、原発再稼働、いわゆる原発政策には関知しないというのは、何か今までの答弁を踏襲しているようにしか聞こえないんですけれども、どうなんでしょうか。大きな進展があって、大きな枠組みができて、それについて今後新たな考えをお持ちなのかどうか、この点について再度お聞きします。

丸川国務大臣 大変恐縮です。環境省の立場として答えざるを得ない立場に今私はあるわけでございますけれども、今までと変わらないんだと思います。私たちが今、自分たちの中に抱えている原子力規制委員会が独立しているということで、その意見が尊重されるということが何よりも重要であるというのが私たちの立場でございます。

椎木委員 私は、原子力規制委員会を所管する立場から、今回のこのパリ協定の大きな進展を踏まえて、今後どういう方向性をお考えなのですかということをお尋ねしているんですけれども、中立性とか所管が違うということで御答弁されるのであれば、きょうはもう時間もありませんので次回に回したいと思います。

 私は、今回のパリ協定の成果、丸川大臣のその御尽力に対しては本当に深く敬意を表しています。ただ、これまでの答弁を踏襲するだけじゃなくて、何かやはり一歩踏み出すような、そういう御答弁を期待していたということだけは申し上げておきたいと思います。

 次の質問に入らせていただきます。

 次に、リサイクル預託金制度、いわゆるデポジットについて質問をさせていただきたいと思います。

 さきの質問は地球規模の内容でしたが、続いての質問は身近な生活に関する質問でございます。

 日本は世界的に見て清潔な国との定評がございます。これらの評価は、ごみ収集といった公的サービスだけではなく、さまざまな団体の清掃ボランティア活動や日本のモラルに支えられている側面も大きいと思われます。委員の先生方の選挙区でも、町会や企業がボランティアで清掃活動を行っているのではないでしょうか。中には御自身で清掃活動に参加されている先生方もいらっしゃると思います。

 しかしながら、東京都市長会事務局企画政策室がまとめた地域力の向上に関する基礎調査報告書の中では、日常的な清掃活動の担い手である町会、自治会等が少子高齢化や加入率低下により人手不足に陥ることが予想されております。

 日本人のモラル、美徳に頼るだけでは限界がある中で、リサイクル預託金制度、いわゆるデポジットですね、経済原理に基づく廃棄物処理の手法として私は有望なものであると考えております。食品トレーのようなものであればスーパー等での回収も可能でしょうが、たばこの吸い殻や空き缶、空き瓶、ペットボトルのようにポイ捨て可能なものはデポジットが有効であると思われます。

 そこで、環境大臣に質問です。

 リサイクル預託金制度、いわゆるデポジットは、どのような廃棄物削減に有効であるとお考えでしょうか。具体的な品名を挙げて見解をお伺いしたいと思います。

鎌形政府参考人 御指摘のデポジット制度でございますけれども、製品の価格の上に一定金額のデポジット、いわゆる預託金を上乗せいたしまして販売をする、そして、製品や容器が使用後に返却された際にデポジットを返却する、こういうことで製品や容器の回収を促進する制度というふうに受けとめてございます。

 現在、国内では、ビール瓶あるいはビール瓶ケース、飲食店向けに卸される瓶容器製のジュースなどについて、一部の事業者によって自主的に導入されているというふうに承知してございます。

 このデポジット制度は、このようなものにつきましては、資源の節約のためにリユース、リサイクルを促進するに当たりまして、こういった対象物の回収率を向上するといった利点があるというふうに考えてございます。

 ただ、一方、デポジット額の上乗せによりまして製品需要の減少があったり、あるいは回収、保管に伴う小売事業者等の負担が生ずるとか、あるいは既存の回収システム、例えば市町村の分別回収、こういったところへの影響といったものについても考えていく、そういった課題があるというふうに受けとめてございます。

 そういう意味で、デポジット制度の導入の適否、あるいは導入する場合どういう仕組みにするかということにつきましては、対象物の流通量とか大きさ、価値などによって異なってくるので、その課題とか解決方法もさまざまになりますので、それぞれにメリット、デメリットを踏まえて検討し、判断していくべきというふうに考えてございます。

椎木委員 小さなテーマですから、丸川大臣の答弁と言いましたけれども、事務方の答弁で、これは別にそれで結構です。ただ、環境省のやる気というのが何か全く私の質問では引き出せなかったのかなというような感想は持っていますので、今度これについても改めて質問させていただきたいと思います。

 最後に、さきにも述べましたけれども、廃棄物削減を目的としたデポジット制度を導入するに当たり、現行法に対してどのような法改正が必要となるか、これについても環境省の見解をお伺いいたします。

鎌形政府参考人 御指摘のように、例えば、空き缶とかペットボトルなどの容器包装、これを全国一律でデポジット制度を導入していく、こういうようにした場合の法的な措置というふうな御質問と受けとめさせていただきますけれども、例えば、今、容器包装リサイクル法で、市町村が分別回収をいたしましてリサイクルを進めていく、こういった制度が動いてございます。こういったものを大きく転換するということが必要になってくるのだと思います。

 その場合でございますけれども、審議会でも議論がございまして、中央環境審議会からは、かつて、そのような改正を行う場合には現行の市町村による回収システムに大きな影響が生じる可能性があるとか、あるいは、小売店における回収に係る負担の増加、保管場所の確保のコスト増加等の課題についての指摘もございます。

 こういったことについて解決していくようなことが必要かというふうに考えてございます。

椎木委員 ちょっと私の理解が不十分なのか、正直何を御答弁されているのか理解できません。

 最後に、だめ押しでもう一度お聞きします。

 これらのデポジットについて、公的サービスを経済の仕組みに乗せて、行政から切り離すお考えはおありでしょうか。答弁をお願いします。

鎌形政府参考人 デポジット制度の導入ということになりますと、いわゆる経済的な措置によって回収を促進していく、そういう仕組みでございます。

 先ほど御答弁申し上げましたとおり、ビール瓶などにつきましては、業界の取り組みにおきましてそういった制度が導入されているということでございます。そのほか、必ずしもデポジットというわけではないんですけれども、例えばペットボトルの回収に関しまして、いわゆるポイント制みたいなものを導入しているということも承知してございます。

 そういった経済的なインセンティブを与えることにより回収を促進していく、そういったことにつきましては、私どもも積極的に支援していきたい、こういうふうに考えてございます。

椎木委員 時間が来ましたので、最後にもう一点確認させてください。

 検討じゃなくて、切り離すお考えがあるのかどうかということを私は質問させていただいていますので、それについてだけお答えください。

鎌形政府参考人 容器包装ということに関しまして言えば、市町村の分別回収からリサイクルという流れが一つ今動いておるわけでございます。一方で、先ほど申しましたように、ビール瓶などについては事業者の自主的な取り組みによりデポジットの動きがあるということでございます。

 そういったものそれぞれの利点を生かしてリユース、リサイクルが進んでいく、そういうことが必要だということでございますので、切り離すというふうな御提案でございますけれども、それぞれの利点を生かして循環型社会が進む、こういうことに向かっていくことが肝要かと考えてございます。

椎木委員 時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。

北川委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党と山本太郎となかまたちの玉城デニーです。

 丸川大臣、きょうは本当にお疲れさまでした。質問がやはり重複することがあると思いますが、最後のバッターですので、ぜひよろしくお願いいたします。

 さて、きょう冒頭で、丸川大臣から、気候変動枠組み条約第二十一回締約国会議及び京都議定書第十一回締約国会合の結果についての御報告を頂戴いたしましたが、大臣より報告をいただく前に、私、外務委員会に所属をしておりまして、外務委員に外務省国際協力局気候変動課による今回のCOP21の概要と評価という資料が届きましたので、それを参考に実はこの質問を組み立てさせていただきました。その内容は、大臣の報告とほぼ同じ内容ではあるんですが、少し読み上げたいと思います。

 今回のCOP21概要と評価から、最も高く評価されることは、新たな法的枠組みとして、百九十六の国と地域、全ての国が参加し、公平かつ実効的な枠組みとなるパリ協定が採択されたことを挙げられています。

 この内容については、世界共通の長期目標として二度目標のみならず一・五度Cへの言及のほか、丸川環境大臣がステートメントで主張をなさった、長期目標の設定、各国が五年ごとに排出削減目標を提出、見直すサイクル、そして、各国の取り組みの状況に関する共通だが柔軟な報告、レビューの仕組みの位置づけなど、日本からの提案が多く取り入れられているというふうに報告を受けています。

 そこで、大臣自身の今回の主な総括と評価についての所見を伺いたいと思います。

丸川国務大臣 外務省の報告も読んでいただいたそうで、ありがとうございます。

 御指摘のとおり、本当に法的な枠組みで全ての国、百九十六カ国が参加する枠組みが合意できたということは、私たちの温暖化対策、地球の未来に向けての大きな転換点であるという意識です。

 正直言って、最後の瞬間まで本当に合意できるかどうかというところは不安で仕方がなかったわけでありまして、実際に、もう木づちを打つ会議、最後に合意をするという会議の直前、二時間ほど、まだ協議が終わらなくて留保するという国が出てきたり、この文言はやはりどうなのかということを言い始める国があったり、最後までなかなか合意に至るかどうかというところであったわけですが、やはり今申し上げたような、先ほど御指摘いただいたような、サイクルであったり、あるいは透明性、またレビューということについては、我が国も言いましたし、同じようにほかの国も必要であるということを異口同音に言ってきた結果、ここに入ったものだと思っております。

 加えて、市場メカニズムについて、私どもはやはり、削減余地が少ない国、例えばニュージーランドなんかも非常にこれを支援してくれましたけれども、一番に日本が関心を持っていることだという受けとめをほかの国からもしていただいております。世界には市場経済そのものがない国もあるわけですね。ですから、そんなメカニズムは受け入れられないという国もある中で、我々が具体的に文言を出して、それがそのまま実は協定に取り入れられております。

 というように、我々が仲介者としても役立つことができたというのは、この地球の未来を決める会議で貢献ができたという上で、非常に喜ばしいことだと思っております。

 ありがとうございます。

玉城委員 今ありましたとおり、最後までこれがまとまるかどうかということがわからなかったという他方で、例えば、京都議定書では締結を見送った米国、それから、沖縄までPM二・五が飛んでくるという、温暖化ガスの排出大国と批判される中国、さらに、国内で三億人余りの国民が電気のない生活をしているとも言われ、ジャワデカル環境大臣の発言に見るように、貧困撲滅と持続可能な発展が優先課題であるというような経済面と技術支援の両面を強く求めているインドなど、温暖化ガス排出削減参加にこの大国がついたことは、それぞれの国のエネルギー事情が大きく異なる点から見ても評価するべきであると私は思料いたします。

 このことについて、大臣の所見を伺いたいと思います。

丸川国務大臣 議員御指摘のとおり、全ての国が参加をするという言葉には、私どもは、主要な排出国がきちんと参加するということは特に意味を込めて申し上げてきたという思いがございます。

 京都議定書のその後の経緯を考えても、やはり主要な排出国がきちんと入った形で、発展途上国そして先進国の差は、多少はそれぞれの違いを考慮すべきですけれども、同じ枠組みの中に今合意を見たということは大変大きな意味があると思います。

 これを裏返しで言えば、どのような国であっても、今、気候変動の影響から我々は免れられない、その悪影響を実際に今受け始めているという、その危機感が共有されたことがこの合意を後押ししたのだと私は感じております。

 ありがとうございます。

玉城委員 ありがとうございます。

 大臣の本当に心からの意気込みを感じる答弁をいただいて感謝する次第であります。

 最後に、別の観点から少し厳しい質問ですが、お答えいただきたいと思います。

 今回の環境委員会は、憲法第五十三条に規定されている臨時国会の開会要求に政府が応じないまま、丸川大臣、新任大臣の所信表明を受けないまま、閉会中審査での委員会開催における特例の特例的対応によって、COP21の報告と関連質疑となっています。

 先ほど大臣から本当に熱意のこもった、COP21での討議、そしてその報告を受けると、やはり正しくあるべき手続を踏んでこういう委員会を開催すべきなんですが、今回は、与野党両筆頭、そして委員長の本当に特段の配慮で、我々がこうやって先んじて報告を受けられるという形になりました。しかし、しかるべきことをやはりただすべきであるというふうに思います。

 このように、臨時国会なし、所信表明なしで大臣から報告を受けたことについて、大臣なりのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

丸川国務大臣 ありがとうございます。

 今回、与野党の筆頭理事初め委員の先生方、また委員長のお取り計らいの上で、この閉会中審査の場でCOP21の報告を直ちにさせていただけた、その機会をいただけたということは、本当に心から感謝を申し上げたいと存じます。

 引き続き、今後も、与えていただいた機会に応じて精いっぱい私が御説明をさせていただいて、政府の取り組みに先生方の御意見を取り入れて頑張ってまいりたいと思います。

 ありがとうございます。

玉城委員 大臣、どうもありがとうございました。

 では、次の質問に移ります。

 防衛省と文化庁に質問させていただきます。

 米軍キャンプ・シュワブ内の埋蔵文化財についてですが、きょうはお手元に資料を用意させていただいております。

 二枚の資料、委員の諸賢には御参照いただきたいと思いますが、米軍普天間基地の移設先として、滑走路、弾薬搭載エリア、軍港機能などが併設、強化、整備される新たな基地として建設が予定されているキャンプ・シュワブの陸域には、四つの埋蔵文化財があることがこれまでの名護市教育委員会による試掘調査等によって判明しています。

 資料をごらんいただきますと、こういう資料をきょうは添付させていただきました。ちなみに、あらかじめお断りをしておきますけれども、この図面自体は名護市の教育委員会からお借りしたものですが、黄色く私がなぞってあるところは、名護市役所がつくった同じスケールの地図の上になぞって、大体、基地の概要の場所をあらわしてあるものですので、正確な投影ではないということをあらかじめお断り申し上げておきたいと思いますが、このように陸域も海域も盛り土をし埋め立てをして基地がつくられるわけですが、グリーンの部分が、実は、キャンプ・シュワブの中にある、遺跡があると言われている地点、そして、V字滑走路の右側の先端の方には、ピンクのマーカーで印をしてありますが、これがつい最近、碇石という文化財が発見されたポイントでもあります。

 本年二月の教育委員会による文化財調査によって、仮設護岸予定地、このピンク色で図示をしてありますあたりに碇石と見られる石が発見され、十月十三日から三十日までの間に実施した辺野古崎周辺及び海岸などの調査によって発見された十七点の土器や石器について、沖縄県教育委員会は埋蔵文化財であると認定し発表しています。

 移設先一帯の陸域にはこのような新たな埋蔵文化財があり、海域の調査を含めた本格調査によって、将来に向けて保存、保管がなされるべき歴史的遺産であることが証明されています。

 ところが、防衛省沖縄防衛局は、このような埋蔵文化財が点在する陸域、海域における調査について必要不可欠な調査報告をもとにした保存、保全の措置を行わないまま仮設護岸工事に着手すると思われ、連日大型トレーラーなどによる資材の搬入作業が行われていると報道されています。

 質問いたします。

 防衛局から名護市教育委員会が依頼を受けている文化財の確認調査は、仮設道路及び水路切りかえ工事等に伴い、工事実施範囲において埋蔵文化財の有無を確認するための試掘調査及び文化財確認調査、この資料でいうと青いラインで記されているところですが、それに相違ないでしょうか。

山本(達)政府参考人 お答え申し上げます。

 キャンプ・シュワブ内におきます埋蔵文化財の調査につきましては、昨年八月に仮設道路や水路切りかえ工事等を実施するに当たっての通知を行い、その後、沖縄防衛局と名護市教育委員会との間で調整した上で、本年七月から同市教育委員会が試掘調査を実施しているところでございます。

玉城委員 そうなんです。調査中なんです。調査は終わっていないんです。ですから、こういう仮設道路を使って資材を運搬することはできないはずなんですね。

 質問いたします。

 陸域のつけかえ道路並びに仮設護岸工事のための資材運搬には、文化財調査範囲にかかる可能性があるとして、防衛局へ事前に図面並びに工事概要書の提出が求められていると思います。提出が求められているでしょうか。それにお応えしているでしょうか。聞かせていただきたいと思います。

山本(達)政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、昨年八月、沖縄防衛局は、名護市教育委員会と調整の上、必要な図面等を添付して、法令に定められた通知を行っているところでございます。

 今後とも、教育委員会との調整の中で、お求めがあった場合には必要な資料の提出については適切に対応してまいりたいと考えております。

玉城委員 ですから、名護市の教育委員会が出しているのは、防衛省から求められた、埋蔵文化財に仮設道路や作業ヤードの影響がないかどうか調査してくれということなんです。そのために必要な図面であって、私が今聞いているのは、陸域のつけかえ道路と護岸工事をするための、その海域や陸域の図面がちゃんと出されているかということを確認したんですが、私が名護市の教育委員会に確認しましたら、その図面や概要書はまだ提出されていないということでした。

 次の質問に移ります。

 フロートを運ぶ車両通行以外の、仮設護岸工事のための敷石、ネット、骨材などは現場には車両で搬入していませんね。しているんでしょうか、お答えください。

山本(達)政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで、大浦湾側の砂浜におきまして、工事等のための各種作業の安全性及び効率性を確保するため、パネル等を一時的に敷設する作業を実施してまいりましたが、その現場に御指摘の仮設護岸のための資材搬入は行っておりません。

玉城委員 ということは、新聞で、十二月十五日付琉球新報で報道されている、護岸工事を年内にも着手するということはありませんね。

山本(達)政府参考人 お答え申し上げます。

 今後の工事の予定につきましては、これを明らかにした場合、作業を安全に実施できない等、事業の適正な遂行に支障が生じる可能性があるため、これまでもお答えを差し控えさせていただいているところでございます。

玉城委員 もう時間でもありますので、改めて委員の皆様に資料を見ていただきたいのですが、私があえてピンクの部分をマーカーでつけてあるのは、この間、碇石という文化財が発見された場所で、ここを新たな調査をしなければいけないところに仮設の護岸をつくろうとしているわけです。

 文化庁に質問いたします。

 文化財保護法の遵守を防衛省、事業者へ求めていくというふうなことが正論だと思いますが、いかがでしょう。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 文化庁といたしましては、キャンプ・シュワブ内の埋蔵文化財に係る態様の具体な詳細は承知しておりませんけれども、一般論としては、文化財保護法の趣旨に従いまして、埋蔵文化財保護と開発事業との適切な調整が図られることが大切であると認識しているところでございます。

玉城委員 そのとおりです。ここに埋蔵文化財があるということがわかった以上、適切な法的な措置によってそれをきちんと調査して、後々に残していくための作業をしなければいけません。

 例えば、このように名護市があらかじめ予備調査でキャンプ・シュワブの調査をして残してある、こういうふうなものにちゃんと残して、ここに何がありますよということを置いていかないと、米軍がかつて沖縄本島の基地を造成するために全ての敷地をならしてその地形を変えてしまったということの二の舞になるわけですから、これを強く文化庁は防衛省に求めていただきたいと思います。

 時間になりました。

 北川委員長、それから平井与党筆頭、田島野党筆頭、本当にこの間ありがとうございました。私たち少数会派への発言の機会を十分確保していただきながら、委員各位の御協力のもとで真摯な議論ができたと思っております。

 ありがとうございました。ニフェーデービタン。

北川委員長 本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十八分散会


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