衆議院

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第4号 平成28年3月18日(金曜日)

会議録本文へ
平成二十八年三月十八日(金曜日)

    午前八時四十五分開議

 出席委員

   委員長 赤澤 亮正君

   理事 伊藤信太郎君 理事 石川 昭政君

   理事 北川 知克君 理事 助田 重義君

   理事 藤原  崇君 理事 福田 昭夫君

   理事 松田 直久君 理事 江田 康幸君

      穴見 陽一君    小倉 將信君

      鬼木  誠君    白石  徹君

      田中 和徳君    高橋ひなこ君

      寺田  稔君    中山 展宏君

      福山  守君    堀井  学君

      前川  恵君    吉野 正芳君

      菅  直人君    田島 一成君

      中島 克仁君    真山 祐一君

      吉田 宣弘君    塩川 鉄也君

      河野 正美君    小沢 鋭仁君

      玉城デニー君

    …………………………………

   環境大臣         丸川 珠代君

   環境副大臣        平口  洋君

   環境大臣政務官      鬼木  誠君

   環境大臣政務官      白石  徹君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 中西 宏典君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 緒方 俊則君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   鎌形 浩史君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            三好 信俊君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  梶原 成元君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            高橋 康夫君

   政府参考人

   (原子力規制庁次長)   荻野  徹君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          山田 知穂君

   環境委員会専門員     関  武志君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十八日

 辞任         補欠選任

  牧原 秀樹君     中山 展宏君

  真山 祐一君     吉田 宣弘君

同日

 辞任         補欠選任

  中山 展宏君     牧原 秀樹君

  吉田 宣弘君     真山 祐一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 独立行政法人環境再生保全機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第二九号)


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     ――――◇―――――

赤澤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、独立行政法人環境再生保全機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官中西宏典君、内閣府大臣官房審議官緒方俊則君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長鎌形浩史君、環境省総合環境政策局長三好信俊君、環境省地球環境局長梶原成元君、環境省水・大気環境局長高橋康夫君、原子力規制庁次長荻野徹君、原子力規制庁長官官房審議官山田知穂君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤澤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤澤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田島一成君。

田島(一)委員 おはようございます。民主党、維新の会の田島一成でございます。

 トップバッターで質問させていただきます。

 きょうは、独法環境再生保全機構法の一部改正、いわば、これまで環境省の中で行っていた環境研究総合推進費の配分業務を移管するという極めて単純な法改正でございますけれども、その移管する根拠となっている法律、それが研究開発力強化法でございます。この研究開発力強化法が求めている、競争的資金を含む公募型研究開発に係る業務の独法への移管を通じて効率的な運用を図ること、また、複数年にまたがるさまざまな研究等々に支障を来さないこと等が求められているというふうに冒頭説明があったと思います。

 きょう、今、皆様のお手元にお配りをさせていただいております資料、ちょっと順序を変えますけれども、資料のB、裏面をごらんいただきたいと思います。裏面の資料Bの一番下、競争的資金制度の一覧を取りまとめたものを皆さんにごらんいただきたいと思っております。

 これまで既に法人に移管をされたもの、文科省の助成金等々が上の方に挙がっており、もう既に競争的資金の九二・四%が法人に移管をされておりますが、まだ七・六%が各省庁、本省等に残されたままになっております。

 その一つが今回の環境研究総合推進費であり、五十三億円というふうに挙がっておりますが、実は、これを見ていただきますと、環境省が今回法改正で移管をしようとしている五十三億円をはるかに上回っている競争的資金がまだございます。経産省の革新的ものづくり産業創出連携促進事業は何と百二・七億円、厚労省の厚生労働科学研究費補助金は七十一・八億円など、環境省が今回移管する以上に移管しなければならないとおぼしきものがまだこのようにあるわけであります。今回、横串を通して法改正が出されるものかなと思っておったところ、出ているのはこの環境省だけでございます。

 環境省以外の競争的資金は独法に移管する気配も見えていないところでありますが、果たして今回の法改正を出す意味が本当にあるのかどうか、他省庁が動いていないにもかかわらず、なぜ環境省だけが移管しなければならないのか、そのあたり、御説明をいただきたいと思います。

丸川国務大臣 おはようございます。

 御指摘いただきました研究開発力強化法にどう書いてあるかといいますと、独立行政法人に移管することが公募型研究開発の効率的推進に資すると認めるときは、可能な限り、これを移管するものとするとなっておりまして、特段の事情がない限りは独立行政法人に移管されていくものと承知をしております。

 このため、環境省においても、これまで複数あった競争的資金を整理統合するとともに、研究者にとって使いやすい制度とするための運用の改善を行うなど、体制の整備を行ってまいりました。

 あわせて、昨年の八月に中央環境審議会の答申において、環境研究総合推進費について予算の弾力的な執行等による利便性の向上が求められましたことから、今般推進費を環境再生保全機構に移管するものとしたものです。

田島(一)委員 つまり、厚労省や経産省は特段の事情があるということですね。どのように把握をされていますか、その特段の事情を。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、先ほど大臣から御答弁申し上げましたような法律の趣旨に沿って今回法律改正をお願いしておるところでございますけれども、この観点でこういう研究推進費を取りまとめております内閣府等とは調整をいたしてまいっておりますけれども、先生御指摘の他省庁の動向については、特に現時点で把握をしているものではないところでございます。

田島(一)委員 閣僚会議等々でそれぞれ話し合う機会は多分大臣にはあろうかと思います。このあたり、経産省や厚労省の大臣にお尋ねになられたことはありますか。

丸川国務大臣 特段大臣に対してお尋ねしたことはございません。

 私どもとしては、研究開発力強化につながるということのために、法改正を伴うこの研究推進費の移管を進めさせていただいているところでございます。

田島(一)委員 よその省のことをなかなか口出ししづらいというところもあろうかと思いますけれども、決して環境省が率先してこのように移管することを真っ向から否定するつもりでお尋ねしたわけではありません。

 ただ、そもそもこの研究開発力強化法に基づいてということであるならば、環境省だけではなくよその省も本当に一緒になって移管をしていくことが望ましいはずであります。こうした、政府の中にあって非常にちぐはぐな動きがなされているということを大変遺憾に思うところでもあります。

 これは環境省だけの話ではなく、与党そして政権下でのバランスが非常に欠けているのではないかということをまず指摘させていただきたいと思います。

 次に、平成二十七年六月、財務省が発表いたしました平成二十七年度の予算執行調査総括調査票についてお尋ねをしたいと思います。

 環境省が設定をした政策評価の目標値は、研究課題の事後評価を五段階であらわし、その上位二段階を獲得した課題数が全体の六〇%以上と据えていらっしゃいますが、残念なことに、結果、四年連続の未達成となっています。目標値が未達成、加えてこの研究の中身等々を見ても、実証化された研究はわずか一・七%、環境政策に何らか反映された研究は二八・七%と、研究の効果は極めて低いと言わざるを得ません。問題があることは明らかであります。だからこそ、今回の法改正なのか。

 本来ならば、本省の中でしっかりとチェックをし、この目標値達成に向けた努力をしっかりと専門領域で図っていただくことが非常に大事だと思いますが、この目標未達成の原因はそもそも何だというふうにお考えなのでしょうか。研究者のレベルダウンなのか、それとも怠慢なのか、環境省による採択の炯眼が衰えているからなのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、推進費の事業に関する政策評価の目標値が四年連続で達成できておりません。早急に改善をしていく必要があるというふうに考えているところでございます。

 原因についてのお尋ねでございまして、さまざまあろうかと思いますけれども、例えば、政策検討状況等の研究者への情報提供や進捗管理が不十分である点とか、あるいは各研究者への環境政策に対する意識づけの問題等があろうかというふうに考えているところでございます。

 このため、私どもといたしましては、研究者やプログラムオフィサー、それから行政担当者も参画をいたしますアドバイザリーボードの会合の場で、政策の検討状況などの情報提供や進捗管理等を実施するとともに、平成二十八年度の実施課題からは、全研究課題につきまして、この会合の議論の俎上にのせるとともに現地調査も義務づけるというようなことで、今まで以上に各研究者への意識づけを進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

田島(一)委員 問題があることは御認識をいただいているようであります。

 であるならば、改善をしっかり図ってから環境再生保全機構に運営業務を移管するのが本来やるべき話ではないでしょうか。どうも順序が違うように思います。目標値も達成できていない、それで保全機構に押しつけて、この六〇%が本当に達成できるのかどうか、甚だ疑問に思うところであります。何か、再生保全機構にしてみれば、環境省のお荷物の政策を押しつけられているというふうに思われているのではないか、そんなふうにも危惧するわけであります。

 ちなみに、大臣は、今回のこの法案提出に当たって環境再生保全機構の理事長と協議をなさいましたか。

丸川国務大臣 協議は行っておりません、私自身は。

田島(一)委員 やはり機会はつくっていただいた方がよかったかなと思うんですね。目標値が達成できていない、実証化も政策反映も非常にレベルが低い中で、押しつけられる側の機構にとってどのように感じるかは、恐らくこの法案の中身をごらんになられたら、大臣も心を痛められたんじゃないかなと私は思ったんですね。であるならば、直接、機構の理事長と今回のこの法案について、移管することについてきちっと説明と報告と意思統一を図る、その努力をすべきだったのではないかと私は思うわけであります。

 残念ながら、法案は国会には提出されておりますけれども、機構側との政務三役のやりとりがないという事実は極めて残念なことだと言わざるを得ません。

 次の質問に移らせていただきます。

 お手元の資料Aをごらんいただきたいと思います。これまでの環境研究総合推進費の応募数、採択数、採択率を一覧にさせていただきました。

 ごらんいただきましたとおり、トータルで、応募数は年々減少傾向にございます。環境省が設定をした戦略的研究開発領域の応募件数そのものは非常に少ないわけでありますけれども、高い採択率となっております。一方、その他の領域や研究につきましては、応募件数が非常に多いにもかかわらず、採択率は非常に低いわけであります。

 もちろん、環境の政策に生かしていくわけですから、この戦略的研究開発領域に力を入れていくというのは当然でありますが、これを違った視点から捉えますと、環境分野での本当の研究、またトレンドと、今環境省が設定をしている戦略的研究開発領域とのずれがひょっとしてあるのではないかというふうにも見える数字であります。

 環境分野での研究がより高まりを見せる傾向にあると言いたいのですが、応募数が年々減少傾向にあること、これをまたもう一つの違う視点で捉えると、環境省の競争的資金よりも他省庁の競争的資金の方が非常に的確に支援をしていただけるということから他の競争的資金に逃げているのではないかというような疑念も持ちますし、外部の評価委員会による審査も踏まえているわけでありますが、この数字や審査に問題があって、政策評価の目標値に届いていない原因があるのではないかというふうにも見てしまえるところであります。

 この環境研究の潮流、トレンドを環境省が十分に捉え切れているかどうかという点について、お考えをぜひお聞かせいただきたいと思います。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、行政ニーズを提示して公募をしていくわけでございますけれども、これが、その時々の環境政策の、我々としては必要性の観点から示させていただいているところでございます。

 これにつきましては、環境省が単独で設定するものではなくて、例えば、いわゆる中期的な観点からでは、中央環境審議会から環境研究・環境技術開発の推進戦略ということで答申をいただいておりまして、それを踏まえて設定をいたしておりますし、また、各年におきましては、例えば、地方公共団体から国の施策として実施すべき研究開発テーマの募集などもさせていただいておりまして、可能な限りその時々の必要性をしっかりと反映できるようにさせていただいているところでございます。

 その上で、先生御指摘の応募件数が減少傾向にあるということでございますけれども、これにつきましては、一つは、重点的な分野を決めまして、そこについてはやや大規模な予算を確保してそれに充てるということで、そのあたりの件数の、単純に件数だけではないという点は先生も御理解いただいていることと存じますけれども、それ以外に、大きく件数自体を左右するものといたしましては、予算額全体がどうなっているかということでございまして、実際問題といたしましては、近年はちょっとこの研究推進費の予算額が減少傾向にあるところでございまして、その点が応募数に反映しているのかなというふうに考えております。

 ただ、私どもといたしましては、その中でも、件数の向上ということが研究推進の基礎となる基盤を広げるものでございますので、例えば平成二十八年度の新規課題公募におきましては、応募数は二百六十二課題となりまして、前年比で比べると一六%向上したところでございます。

 そういったことでございますので、まず予算の確保をしっかり頑張りたいということでございますけれども、さらに、使い勝手の観点からは、今回法律改正でお願いをいたしております複数年度契約を可能とするような機構への配分業務の移管など、研究者から見てさらに使いやすい競争的資金制度に改善していくようなことで、引き続き努力をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

田島(一)委員 使い勝手のよさ、さらには、研究者が望む支援等々、課題はやはりまだまだたくさんあろうかというふうに思います。この先、環境再生保全機構というワンクッションを通してしまうことによって、研究者とまた戦略的な研究開発がより進んでいくのかどうか、すごく心配になるところでもあります。どうぞ、そういったところは十分に心を砕いていただくことを強く望んでおきたいと思います。

 さて、時間もございませんので次の質問に入らせていただきますが、お手元の資料Bの一番上をごらんいただきたいと思います。公務員の定数を記させていただいた数字であります。

 国家公務員全体の数、その中の環境省、さらには、この環境研究に携わっている総合環境政策局、環境研究技術室、そして環境再生保全機構を、それぞれ、震災前の二十三年から来年度の予定の二十八年度までを記させていただきました。

 国家公務員全体の伸び率は抑えられて九八・六%というふうになっておりますが、環境省は、震災のこともあり、また、機構改革もありましたものですから二二七・五%、倍以上に膨れ上がっています。ところが、この総合環境政策局であるとか環境研究技術室にあっては下がる一方で、公務員全体の伸び率よりもぐっと悪いという実態がごらんをいただけると思います。非常に数少ない中で御苦労いただいているんだということはよくわかりますし、実際に環境研究等々にもっともっと充実を図っていかなければならないと考える一方で、この数字は余りにお寂しい、また悲しい数字であります。

 こうした数字をしっかりと頭に焼きつけていただいて大臣が交渉することがやはり何より大事だと思うんですけれども、この実態をごらんになられて、大臣、正直どのようにお考えでしょうか。

丸川国務大臣 委員が今お示しいただきましたとおり、平成二十八年度末の環境省の定員は、平成二十三年度と比較をして、震災復興関係で七百名程度増加をしております一方で、震災復興以外の定員は八名減となっております。

 震災復興に多くの職員を割かなければならない状況ではありますが、そのほかの業務についても支障が生じないように、適正な定員の確保や人員の配置にこれからもしっかり努めてまいります。

田島(一)委員 環境政策のコントロールタワーであります局自体がこうして人員が減ってきていることに対して、今の政権が環境に対してどれだけ力を入れているのかがうかがい知れる数字ではないかというふうに私は思います。少なくとも、震災復興、原発事故対応等々、大変重要な課題があることももちろん承知しておりますが、だからといって、既存の、これまでの環境政策がないがしろにされることだけは看過できません。

 こうした数字を必ず逆転させることができる、伸び率を向上させることができるという覚悟と決意をぜひいただきたいと思いますのと、それとあわせて、環境再生保全機構、二十八年度はこれは未決定ということで数字が入れられませんでしたけれども、今回移管に合わせて増員をされるんだろうというふうに思います。若干名ではなく、どれぐらい増員をされる予定なのか、明確にお答えをいただきたいと思います。

三好政府参考人 機構の定員全体につきましては、その他の業務の全体の効率化等の要請もございますので、そういう中で反応していくことになろうかというふうに考えておりますけれども、総合研究推進費の移管に伴いましては、研究の進行管理をするような専門家といたしまして、当面、二名程度、専門家を新たに採用するということを予定いたしているところでございます。

田島(一)委員 二名とは若干名ですね。残念です。

 機構のこれまで取り組んでこられている業務、これも皆さん御承知のこととは思いますけれども、公害健康被害予防基金やアスベスト健康被害救済業務、PCB基金、さらには地球環境基金と非常に多岐にわたり、国民と向き合わなければならないさまざまな課題を抱えているわけであります。

 こうした中で、業務の効率化ということを三好局長は今口にされましたけれども、こうしたさまざまな業務にかかわり、またすがる思いでいらっしゃる国民の方々からは、今回の機構改革で他の業務に支障を来すのではないかという懸念の声もあります。こうした支障等々を来すことはないと断言をしていただきたいということと、今後、業務に支障を来さない取り組みについてどのようにお考えなのか、お聞かせください。

平口副大臣 お答えをいたします。

 今般新たに研究開発関係業務を追加することとしておりますが、このことは、これまで取り組んできた公害補償業務や石綿救済業務などの重要性を下げるものではないため、環境省としても、これらの業務が今後とも引き続きしっかりと実施される必要があると考えております。

 独立行政法人の制度においては、主務大臣などによる、毎事業年度と中期目標期間の終了事業年度などにおいて法人を厳格に評価する仕組みが設けられており、このようなことを通じて、これまでの業務に支障が生じないよう環境省としてもしっかり関与してまいります。

 以上です。

田島(一)委員 定足数が危うくなってまいりました。このまま続けられるのかどうか、ちょっと心配ではございますけれども。

 今回のこの機構への移管を通じて、環境政策全体をどう捉えていくのか、さらには、環境研究が実証化もしくは環境政策にしっかりと生かされているという足跡を残していかなければならない大切なタイミングだろうというふうに思います。

 機構の理事長ともお話もされていない中で、どうぞもう一度、押しつければそれで事終わりということのないように、くれぐれもチェックをしっかりとしていただくこと、連携をとっていただくこと、このことを強く要望させていただいて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

赤澤委員長 次に、菅直人君。

菅(直)委員 きょうは、独立行政法人環境再生保全機構法の改正に関する質疑のときでありますが、今も同僚議員からその点についてはかなり詳しく御質疑がありましたので、私は、せっかく丸川環境大臣と多分初めての質疑だと思いますので、少し環境行政全般について御意見をお聞かせいただきたいと思います。

 まず、今の環境省あるいは環境大臣にとって最も重要な課題、たくさんあると思いますけれども、一つは、昨年十二月に行われたCOP21、地球温暖化の問題、さらには除染を含む震災対応の問題、それぞれ重大な課題だと思っております。

 その中で、まず、昨年行われたCOP21に関してちょっと見解を伺いたいんですが、私は、今回のCOP21は本当に画期的な結果を生み出されたと。大臣も、みずから乗り込まれて、頑張られたんだということは承知をいたしております。

 特に、ポイントになったのは、私は、従来温暖化に比較的消極的とされていたアメリカと中国という最もCO2排出が多い二つの国が、かなり今回積極的に対応するようになった、それに加えて、もちろん、いわゆる先進国と途上国という区分けではなくて、全ての国が一つのルールのもとで目標を決めることになった、これは非常に画期的だと思います。

 特に、私は、アメリカや中国がこういった方向に進めようと思っているのは、もちろん政治的ないろいろな見通しもあると思いますが、それが可能にできるという見通しもあるのではないかと思っています。

 そのあたりについて、丸川大臣として、COP21、特にそういったアメリカや中国の対応が変化しつつあることについてどういうふうに見られているか、もし見解があればお聞かせいただきたいと思います。

丸川国務大臣 御質問ありがとうございます。お答えさせていただきます。

 それぞれの国にそれぞれの事情があろうかと思いますけれども、全般を通して私が現場で感じましたことは、一つは、地球温暖化に対する危機感が先進国、途上国の違いを超えて身近なものとして迫ってきているという実感をそれぞれが持っていたということではなかろうかと思います。その危機感が一つ。

 そして、もう一つは、やはり京都議定書の反省に立って、二〇二〇年以降全く枠組みがないところに対して、世界がその危機感に後押しをされて、どう取り組むかということがそれぞれに思いがあったということではないかと思います。

 世界共通の長期目標として、二度目標のみならず、一・五度に抑える努力についても言及されたということは、長い長いこれからの地球の将来に向けて、それぞれ弱い立場、特に地球温暖化にさらされるような立場の国に対しても思いを共通にしていこうという、一つになる機運というものが大変強くあったように思います。

 私自身も議長国のフランスを初めさまざまな国と直接対話をさせていただきましたが、事京都議定書においての反省を踏まえて、この条約の発効条件として、締約国数のみならず、排出量の面においてもこれを発効要件の一つとして加えることを強く主張いたしまして、一度途中で落ちたんですけれども、やはり最後は、この国数と排出量の二つを発効要件として備えることが通りました。

 これからも、これまでの反省を生かして、世界共通の取り組みに我が国としても貢献してまいりたいと思います。

菅(直)委員 そういう中で、我が国としては、二〇三〇年までに二〇一三年度比で二六%の削減をこの会議で、国連にそういう目標を提示されたと理解いたしております。

 余り細かい点はいいですが、この二六%というのはかなり大きな目標だと思いますが、いかなるやり方でこれを実現するつもりか、概略的なところで結構ですから、説明いただきたいと思います。

丸川国務大臣 ありがとうございます。

 二〇三〇年二六%削減目標の達成に向けては、まず徹底した省エネ、それから再エネの最大限の導入、そして火力発電の低炭素化が必要だと思っております。

 先日、地球温暖化対策計画の案を取りまとめまして、事業者そして国民などの各主体が取り組むべき対策や国の施策を具体化し、目標達成に向けた道筋を明らかにしたところでございます。

 特に、再エネの導入については、発電量に占める割合を現在の二倍、これは発電電力量の絶対値にしてもおよそ二・二倍から二・四倍に引き上げていかなければなりませんので、政府として、固定価格買い取り制度の適切な運用や見直し、また系統の整備や系統運用ルールの整備、そして浮体式洋上風力の実証事業等、具体的な対策を含むさまざまな施策を実施してまいります。

 着実に削減目標を達成できるように努力をしてまいります。

菅(直)委員 今の丸川大臣の答弁を伺って、私も多少気持ちを強くしました。

 つまりは、最初に言われたのが省エネ、それから再エネ、火力の低炭素化というのは議論すればあるんですが、いわゆる石炭火力の問題がありますから。きょうはそれには余り触れません。再エネというものを特に重視しなきゃいけないということを大臣みずから言われました。

 私は、先ほど中国とアメリカのことを申し上げましたが、中国とアメリカというと、何か原発大国、あるいはそれを目指しているという印象が強いんですが、実は世界で最も風力発電が多いのが中国であり、アメリカであります。その伸びる勢いも、世界で最も大きく伸びていると承知をいたしております。

 風力だけではなくて、太陽光とかバイオマスとかいろいろと再エネはありますけれども、アメリカや中国が、先ほど申し上げたように、COP21でかなり積極的に行動している背景には、技術的に見て、再エネで将来相当部分を、つまりは化石燃料に頼らないでやっていけるという方向性が見えてきた、だからそこに力を入れることをいわば前提として、こういったCOP21においても積極的な対応がとれてきたのではないか。

 日本の場合は、今の大臣の答弁は非常に積極的で、私にとっては大変勇気づけられましたが、今の政府全体としては、どちらかというと、再エネを少し抑えぎみにしながら、逆に原子力に戻る、原発に戻るという傾向が非常に強いと私はいろいろな質疑の中で感じております。

 そういった意味で、もう一度お尋ねしますが、再エネについて、世界の傾向、その中における日本のこれからの再エネの目標、もし可能なら、先ほど福島沖の浮体のことも言われましたが、私も船で見てきました、そういったことも含めて、再エネというものについてどのような形でより一層進めようとされているか、もし具体的なことがあればお聞かせいただきたいと思います。

丸川国務大臣 御指摘のとおり、きのうですか、IEAのプレスリリースが出ましたけれども、世界が経済成長をしている一方で、排出量が二年連続で横ばいであった、その大きな役割を果たしているのは、新たに発電された電力のおよそ九〇%が再生可能エネルギーによるものであったということでございました。

 私どもとしては、ポテンシャルはかなりある、しかもそれは地方にあるという思いをいたしておりまして、地方がエネルギー的に自立することと再生エネルギーの活用ということは非常に重要なリンクがあると思っております。

 事風力に関しては、ゾーニングといいまして、この地域は風力発電に適しているということがより明確に事前に御理解をいただけるような、そういう情報を提供していくことについて積極的にこれから取り組んでまいろうと思っておりますし、また、地熱発電についても、国立公園で、開発をしてはいけない地域の外側から地面を斜めに掘っていくというような方法でやっていただけるように、今もう既にやっているところでございますが、こちらのポテンシャルについても、積極的に情報がとれるような体制をつくっていきたいと思っております。

菅(直)委員 前向きな答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 今、地方の自立に再エネが非常に役立つと言われていましたが、まさにそのとおりであると同時に、私は、実は、再エネのポテンシャルは、世界各国が、根源的には太陽エネルギーですから、自国のエネルギーの自給につながってくると思うんです。もし自国のエネルギーを全ての国が自給できるようになれば、例えば、我が国がホルムズ海峡まで出かけていって、サウジとかそういうところから石油を買ってくるということが事実上必要なくなる。つまりは、エネルギー資源をめぐる国際紛争の種もなくなっていく。そういう意味では、再エネの持っているプラス要素というのは、地域的にも大きいし、国際的にも非常に大きい、このことを少し指摘しておきたいと思います。

 そこで、少し話を、COP21のことを終えて、国内の問題に移りたいと思っております。

 福島県の放射能汚染地域の汚染状況について、私も何度か出かけてまいりました。あの汚染土の入ったフレコンバッグの山を見ると、本当に心が痛むというか、非常に厳しい状況を感じました。大臣も視察をされたと聞いておりますが、住宅地に加えて農地の除染も始まっているというふうに聞いております。しかし、同時に、大部分の面積を占める森林の除染はかなり難しいという話も聞いております。

 除染について、どこまでやっていこうとされているのか、その基本的な考え方をお聞かせください。

丸川国務大臣 私も、フレコンバッグが積まれて、そしてそれが農地やあるいは仮置き場のところにずっと奥の奥まで、高速から見ても見えるようなところを、ずっと奥まであるような状況を拝見いたしまして、まさにこれが、福島県の皆様にとって、中間貯蔵施設に運び込まれ、あるいは処理をされることが、目に見えて復興を感じていただく上で極めて重要であるということを感じました。

 除染の実施対象となっております地域、平成二十九年三月末までに面的除染を完了させるという目標を被災地の皆様にお約束しておりまして、まずもってこの目標を達成するために、さらに作業を加速化させてまいりたいと考えております。

 また、仮置き場を早期解消するために、先日、平成二十八年度を中心とした中間貯蔵施設事業の方針を公表させていただきましたけれども、この方針に沿って、中間貯蔵施設の整備また除染土壌等の輸送に全力で取り組んでまいります。

菅(直)委員 私はチェルノブイリにも昨年行ってきたんですけれども、三十キロ圏が一般の人は入れない状況が今も続いております。一部には戻っている人も少数いるとは聞いていますが、基本的には中で普通の生活をすることはできない状況です。

 福島の場合も多くのところが山林ですけれども、そういった山林を今後どういうふうに考えていくのか。今言われた中にちょっとそれが入っていなかったようなので、それについてお聞かせください。

丸川国務大臣 ありがとうございます。

 福島県の皆様方が山というか森林とともに生活を送ってこられたということを、今回、森林除染をめぐるさまざまな御意見を伺う中でつくづく改めて認識をさせていただきました。

 三月九日に、関係省庁プロジェクトチーム会合で、これまでも各省庁が、林野庁あるいは我が省また復興庁としてそれぞれ取り組んできた施策を改めて徹底し、また拡充し、新たに実施していくものをまとめまして、福島の森林・林業の再生に向けた総合的な取組として包括的に取りまとめを行いました。

 具体的には、住居周辺の里山、皆様方、タケノコをとりに行ったりシイタケをとりに行ったり山菜をとりに行ったり、そうやって山の中にあるものに身近に触れてあるいは食卓に並べてという生活を送ってこられてきた中で、そういう生活を取り戻していくための第一歩として、地元の皆様の御要望を踏まえまして、日常的に人が入る場所の適切な除染、また広葉樹林の整備を行ってまいります。また、里山再生のための取り組みを総合的に推進するモデル事業を実施いたします。そして、さらに奥の方です。林業をなさっている地域に関しては、奥山等の林業の再生に向けた取り組みをさらに進めていくことなど、環境省による除染のほか、林野庁の林業の再生や、復興庁による復興加速化のための省庁横断的な取り組みなどを盛り込んでおります。

 特に、復興庁からいただいているお金で線量マップを里山近辺でつくったりですとか、あるいは、林業の方たちが作業を進めるときにどうやって安全に進めていただくかというガイドブックのようなものをつくったり、こうしたことをして、少しでも森林との暮らしを取り戻していただけるような後押しを私どもとしても取り組んでまいります。

菅(直)委員 私は、目指す大きな方向としては間違っているとは思いませんが、やはり心配があります。

 かつて、やはりチェルノブイリの問題でいろいろな映画を見ましたが、あの地域もいろいろとキノコとかそういうものがたくさんとれて、多くの人が余り気にしないで事故の後もどんどんそれをとって家族で食べていた。これは食べるものですから内部被曝しますから、それが心臓病を発生させているんじゃないか。「チェルノブイリ・ハート」というような言い方でそういうことが、もちろん細かいデータがあるわけではありませんが、そういう記録映画が出ております。

 ですから、里山を戻したいという気持ちそのものは私も大賛成です。ただ、そのことが本当に、そこに入って、場合によったらそういうキノコといったようなものを採取して食べたりすること、その安全性が確保されているのか、そういった点についての検討なり、あるいは、マーケットに出るものについてはたしか全部、全量検査されているはずですが、そういうことではないマーケットに出ないものについての検討はされているんでしょうか。

高橋政府参考人 山菜、キノコ等の安全対策でございます。これは環境省は直接の所管ではございませんけれども、私どもで今把握している範囲で御説明させていただきます。

 御指摘のとおり、流通品になるものにつきましては、食品衛生法に基づく基準値、百ベクレル・パー・キログラムを超えるものにつきましては、原子力対策本部の方で出荷制限の指示をしてございます。

 また、家庭で消費するものについては、厚労省、消費者庁、林野庁が、自治体による放射性物質の検査の強化でございますとか、消費者に対する採取の自粛等の注意喚起あるいは情報提供、こういうことをされているというふうに認識をしてございます。

菅(直)委員 ちょっと今の、所管でないという言い方は、確かに食べ物そのものは厚生省なりそういうところがやりますよ。しかし、今まさに大臣が言われたように、里山を、みんながもっと戻って里山でいろいろな活動ができるようにして、場合によったらそこでとれたものを食べるとかということを可能にするかしないかは、まさにそういう整備をすれば入るわけですよ。

 私は、セシウムというのは大体三十年が半減期ですから、百年ぐらい待てば相当レベルが下がるわけですけれども、今のレベルにもよりますけれども、どんどん入るというやり方があるのか、それとも、ある時期までは抑えて、本当の意味でそういうものは食べても大丈夫ということが確認されてから開放すべきなのか、そこはまさに除染を担当している環境省も責任の大きなところを担っていると思います。

 もう一度、そういう確認はされているんですか。何か、食べ物については厚生省で、里山に戻ってくる政策は環境省というのは、若干食い違っていませんか。

高橋政府参考人 失礼いたしました。

 委員御指摘のとおり、これから里山の再生を進める中で安全性の確保も大変重要でございますので、私どもとしても、私どもの取り組みを踏まえて、関係省庁と十分連携して情報共有しながら進めてまいりたいと思っております。

菅(直)委員 これは本当に悩ましい問題であることはよくわかっているんですが、放射線量マップの作成というだけではなくて、本当にそういうところでとったものを食べていいのか。先ほど申し上げたように、それの被害を報道するチェルノブイリの映画もありますので、場合によってはそういうこともよく見られて、安全性というものをきちんと確認するということがやはり前提になるべきだということを改めて申し上げておきます。

 そこで、問題なのは、今、そういう住宅地を中心にした除染を環境省が行っておられるわけですが、政府全体としては、現政府は、除染によって放射線量が下がった地域については住民の帰還を進めるという方針をとられていると思います。

 そのことはそのこととして理解はできるんですが、しかし、人によっては、多少政府や県が放射線量が下がったと言っても、やはり心配だから帰還をしたくないという人もいます。特に、小さな子供を抱えた母親の皆さん、これは避難区域から逃げている人もそうですし、場合によっては、避難区域でなくても自主的に避難されている人がいます。東京、私の地元でも、そういう人たちが何人か都営住宅に入って生活をされています。

 その人たちにとって今一番大きな心配は、この地域は除染が終わって線量が下がったから帰れます、そこまではまだいいんですよ。しかし、帰らなかったときどうするか。帰らなかったら、これまで住宅支援が行われているわけですが、その住宅支援を打ち切りますと、来年の三月で。

 私は、これは考え方が違うのではないかと。少なくとも、三・一一前の状態に完全に戻ってはいないわけですし、戻すことはできないわけで、それを、どのレベルまでは安全かどうか、先日もいろいろと、放射能レベルのことで大臣も発言を撤回されておりましたけれども、つまりは、客観的な事実というのも非常に難しいんですけれども、主観的に自分たちの子供の二十年先、三十年先を考えたら帰れないという母親がおられるのは、それはそれとして私は一つの選択だと思うんですね。

 そういう皆さんに対する支援の打ち切り、もちろん、これは環境省が中心というわけではないけれども、大臣ですから、やはり政府の方針としてこういうやり方は私はおかしいと思うんですが、大臣、どう思われますか。

丸川国務大臣 まず、避難指示の解除ということについては、単に線量が下がったかどうかということだけではなくて、インフラの整備ができたかどうかということに加えて、やはり地元の皆様が自治体を通じて帰還する、あるいは避難指示の解除に対して了とするかどうかということが一番の鍵でございますので、地元の自治体の皆様が、解除されるに当たっては、まずこれで本当にいいとするのかどうかという御議論を十分に尽くしていただくことは大変重要だと思っております。

 その上で、私どもも、除染に際して、一度面的除染をやった後で、線量が高いところが残っていないか、あるいは面的除染でその効果が維持されていないところがないかどうかというのをチェックいたしまして、もし残っているようであればフォローアップ除染という形でさらに除染をさせていただいております。

 また、線量を計測するときも、子供たちが使うところに関しては、大人の使うところは一メートルの高さですけれども、子供たちのところは五十センチの高さで計測をするなど、さまざまな配慮をしております。

 これからも、お母様方、またお子様をお持ちの御家族の皆様方にも安心して御帰還いただけるような努力を、環境省のみならず、現地の災害対策本部の生活者支援チーム等とも協力をしながら進めてまいりたいと思っております。

菅(直)委員 ちょっと私の質問と相変わらずずれているんですが、それでも心配される人はいるんですよ。小さな子供を持っている方には多いんですけれども、そういう心配を、いや、もうあなたは大丈夫だからと。しかし、二十年後、三十年後、自分の子供のことですから、やはり心配だと。著名な歌をつくられる方も、子供を連れて遠くに避難されていると聞いています。

 ですから、そういう人に対する支援を打ち切ることについて、どうですか。いろいろ努力されるのは大いに結構です。フォローアップも大いに結構です。しかし、それでもやはり帰りたくないという人はいるんですね。そういう人に対する支援を打ち切ることがおかしいのではないかということを言っているんです。どうですか。

丸川国務大臣 十分に安全かどうかということを何よりもまず確認できるような状況をつくっていくということが、一義的に必要だと思っております。

 その上で、御安心をいただけないという皆様方についてこれからどう向き合っていくかということは、私どもにとっても大きな課題であると思いますので、これから解除が進んでいく、あるいは町への帰還が進んでいく中で、どういう御支援ができるかということは、その都度その都度、きちんと向き合っていかなければいけない課題だと思っております。

菅(直)委員 大臣もいろいろこの放射線のことで苦労されていると思いますけれども、とにかく専門家の中にも非常に評価に幅があるんです。

 それから、期間が非常に長いんですね。だから、今でもチェルノブイリ、私も博物館というところへ行ってきましたが、当時の小さい子供たちの写真がずっと並んでいました、ずっとフォローしています。中には、やはり甲状腺がんがふえているんじゃないかと言う人もいます。二十年、三十年かかるんです。それでもはっきりしません。

 ですから、十分に安全性を考えるという考え方はいいんですけれども、それでもやはり帰りたくないという人が現実におられるわけですね。そういう人に対して、いや、もうあなたは絶対大丈夫なんだからと。やはり、絶対に大丈夫ということはなかなか言えないんです、誰も。

 だから、私は、これは被災者支援法、超党派でつくった法律の中でも、やはり最終的にそういう帰りたくないという選択をされた人には、その選択を尊重する形できちんと支援を続けるべきだ、このことをもう一度申し上げておきます。これはぜひ、丸川大臣、特に女性の、母親に非常にそういう人たちが多いから、一度機会があったら話を聞いてみてください。

 そこで、残された時間は余りありませんが、ちょっと原子力規制庁について、例の五年前の福島原発事故のときは、経産省、エネルギー庁の中に原子力安全・保安院というものがあって、そこにいろいろな報告が東電からなされ、いろいろな判断を保安院を通して時の原災本部にも知らせが来たもの、来なかったものがあります。

 私がまずお聞きしたいのは、この原子力安全・保安院は今なくなっているわけですが、その業務の大部分は原子力規制庁に引き継がれている、こういうふうに理解していいのかどうかが一点です。

 そう理解できるとしたら、例えば福島第一原発の事故で、メルトダウンの時期についていろいろと言われておりますけれども、一号、二号、三号のメルトダウンがいつ始まったという報告を、事故当時、東電から保安院が受けているのか。また、保安院が受けたそういう報告を現在の原子力規制庁は把握しているのか。そのことをお尋ねします。

荻野政府参考人 お答え申し上げます。

 旧原子力安全・保安院が作成した行政文書のうち原子力規制に関するものについては、原子力規制委員会が引き継いでおります。規制委員会設立当時、全体として約一万三千冊の行政文書を引き継いでいるところでございます。

 その中には、事故直後に東京電力から旧保安院に報告された記録、東京電力から旧保安院に時々刻々と送付されていたファクスを中心とする資料等も相当数存在するところでございます。

菅(直)委員 先ほど一つの例を挙げました、例えば、一、二、三号のメルトダウンがいつ始まったかとか、こうなったという報告も来ているということですね。東電からですよ。

荻野政府参考人 その当時、東京電力から旧保安院に送られてきたファクスというものは相当数存在いたします。

 その中で、今先生御指摘のものについて、ぴたり存在するかどうかというのは、まさに個別の文書が存在するかどうかということでございますが、いずれも、これらにつきましては当時からもホームページ等でも公開をしておりまして、東京電力から送付されたファクスそのものについては保管をされているということでございます。

菅(直)委員 答えになっていないじゃないですか。こういうものがありますかと。

 この問題は、先日も、東電が、自分たちの基準があったことを忘れていたというか、それがなくて、本来なら二日目か三日目にはメルトダウンということを発表しなきゃいけなかったのに発表していなかったということをみずから認めたわけですよ。だから、多分、その前にはそういう報告が来ていないのかもしれません。

 だから、何万枚あるからということを言っているんじゃなくて、それが来ていたのか来ていなかったのかとこの間から実は聞いているんですよ、もう一カ月近く前から。だから、今からめくりますと言うけれども、きちんとそれを報告してもらえますね。

荻野政府参考人 お尋ねの件につきましては、先生の事務所の方からもいろいろお問い合わせがありまして、担当者を派遣して御説明しているところでございますが、いろいろ御指示を受けておりますので、現在、生データを精査の上、御説明できるような形での作業を進めているところでございます。

菅(直)委員 時間になりましたのでこれで終わりますが、先ほど同僚議員からもありましたように、環境省というのは、この数年で、よくも悪くも非常に大きく変化をしました。

 この原子力の問題は非常に厄介な問題ですから、難しい課題であることは重々わかっていますが、やはり、そうはいっても、原子力規制委員会が中心ではあるけれども、行政的なサポートは環境省。つまり、経産省から切り離して環境省につけたというのは、経産省から切り離すことに非常に意味があったわけです。もうおわかりのように、推進側が、推進の役目と規制の役目を両方やっていた。これはIAEAからも指摘がずっとあったんです。それで、あの事故の後に切り離したわけですね。切り離して、一応独立した委員会ではありますが、行政的にはいわば環境省の行政のもとにある。

 ぜひ、大臣も、そういう位置づけをよく理解されて、余り他の省庁に引っ張られないように頑張っていただきたい、そのことを申し上げて、質問を終わります。

赤澤委員長 次に、松田直久君。

松田委員 おはようございます。民主・維新・無所属クラブの松田直久でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。

 質問に入らせていただきます。まず、独立行政法人環境再生保全機構法の一部を改正する法律案に関連して伺いたいと思います。

 前年度の決算状況を見ますと、収入額が六百二十五億四千八百六十三万円で、支出額が五百九十七億二千五百十五万円であることがわかります。

 この支出についてですが、予算額六百五十五億円に対して決算額五百九十七億円とされているわけですが、内訳を見てみますと、支出のうち、人件費が予算額から見て七六・六%に減少、特に、業務経費関連の人件費は六九・八%と約七割程度の支出となっております。

 一見すると、人件費を抑えた健全な経営、こう見られておるわけですけれども、業務経費の内訳は、公害健康被害補償予防業務、石綿健康被害救済業務、基金業務、承継業務で、全ての人件費が予算額から大きく減少をしています。また、過去の決算書でも、平成二十四年、二十五年と確認すると同様な傾向がある。人件費の過剰な予算取りをしているのではないかと思ってしまうわけです。

 そこで、機構は適正な事業計画を立てることができる体制なのか、そして、大臣が役職員及び財務、会計等に係る管理業務の主務大臣になっておられますので、これまでの環境省は会計等に係る管理業務が適正に実施できていたのか、伺いたいと思います。よろしくお願いします。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、人件費につきましては、決算額と予算額とを比較しまして、私ども、手元の調査でございますと、先生は七割という御指摘でございましたが、約八割ということでございますが、いずれにしても、乖離があるということでございます。

 それで、人件費に関しましては、万一足りなくなるというようなことがあってはいけないということで慎重な計上をいたしておりますけれども、予算と決算の違いに関しましては、育児休業や出向者等が復職等をしたときに備えまして予算を計上しておりますけれども、計画どおり復職等が行われない場合とか、あるいは中途退職者が発生するようなことがあるということも想定いたしまして、このような乖離が発生しているというふうに承知をいたしております。

 機構におきましては、これまでも、人件費を含めまして、継続的な業務の見直し等により組織や業務の効率化を進めてきたところでございますけれども、このような効率化を今後とも進めて、より適正な予算の執行になるように努力をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

松田委員 いろいろなケースがあるから八割という御答弁でしたけれども、やはり適正な事業実施のためには、適正な予算、執行というものがあると思うんです。やはりその辺のところをしっかりとこれから注意をして取り組んでいただきたいというふうに思います。

 次の質問に入らせていただきたいと思います。機構の業務範囲について伺いたいと思います。

 現行の独立行政法人環境再生保全機構法の第三章「業務等」、第十条で、「機構は、第三条の目的を達成するため、次の業務を行う。」として、七つの業務とその業務に附帯する業務を含めて八つの業務の実施が明記をされております。本改正の提案理由説明で、環境保全に関係する研究及び技術開発を効率的、効果的に推進するため、当該研究及び技術開発の実施及び助成に係る業務を現在の八つの業務の範囲に新たに追加するということであります。

 現在の業務である第十条の第一項の三と新規で追加される業務との違いについて、これまでの具体的な実施支援、助成の業務例がありましたら、含めて説明をお願いしたいと思います。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 機構は、先生御指摘のとおり、これまでも法律に基づきましてさまざまな業務を執行してきておりますけれども、大きく申し上げますと、環境分野における政策を専門に実施しております唯一の独立行政法人という位置づけでございまして、公害健康被害の補償業務でございますとか、環境保全活動の支援業務、石綿健康被害の救済業務等に取り組むなど、環境の保全に関する事務や事業を実施してまいったところでございます。

 今回追加をいたします公募型研究開発の資金配分業務でございますけれども、これまで機構が実施してきておりました業務を通じて獲得しております環境の保全に関する事務や事業に関する一定の知見に加えまして、先ほど申し上げました事業の例などからごらんいただけますとおり、資金の配分をしていくという業務に関しましては、かなりのノウハウを蓄積しているところでございます。

 機構に備わりました環境の保全や資金の配分等に関する知見とノウハウを活用しつつ、さらに、先ほどの答弁でも若干申し上げましたけれども、環境研究ということにつきましての適正な推進に関しましては、人員の増強等を図りまして、今回の業務を適切に運営できるように努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

松田委員 適切な業務に努めるということですので、ぜひしっかりとお願いをしたいというふうに思います。

 次に、現在まで環境省が実施をしている環境研究総合推進費について伺います。

 環境研究総合推進費は、今、田島委員からも質問がございましたが、環境省で唯一の競争的資金で、平成二十七年度予算は五十三億円、そして、実施研究課題は百四十五課題ということであります。

 これまで環境省が実施してきた環境研究総合推進費に係る業務の実績には専門性の高い研究が多く含まれていると思いますが、それら専門性を保ったまま機構へ業務移管ができるのか、また、今までの代表的な研究成果があれば伺いたいと思います。業務移管をするということは、当然、機構においてはより行政ニーズに合致した効果的な研究ができて、さらなる研究効果が見込めるからだと思いますが、そのところをちょっとお伺いしたいと思います。

三好政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回、環境再生保全機構に環境推進費の配分業務を移管させることに伴いまして、まずは、公募型の研究資金でございますので、行政ニーズを提示するところは引き続き環境省が中心になりまして主体的にお示しをする、そういう行政ニーズに基づきまして機構の方で効果的な配分をしていただくということでございますけれども、先生御指摘の専門性の確保という観点からは、従来からの仕組みでございますけれども、研究のテーマの設定でございますとかあるいは採択に当たりまして、外部の専門家から成ります委員会を設けまして、評価をしていただきまして採択をするという仕組みを導入いたしておりまして、これは引き続き機構において適切に運営をしていただくような形を考えているところでございます。

 さらに、研究を機構自身としてしっかりとコントロールしていくという観点が必要でございますので、先ほどもちょっと申し上げたところでございますけれども、この業務を移管した際には、そういう研究プログラムをマネージするような専門の職員を増員いたしまして配置いたしまして、研究費の効率的な運用に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

松田委員 具体的な専門性については少しお話がなかったようなんですけれども、しっかりとそういった形で専門性を生かしていただいてお取り組みをいただきたい、こういうふうに思っております。

 次の質問に入りたいと思います。プログラムオフィサー、PO、これについて質問をさせていただきたいと思います。

 環境省では、円滑かつ効率的な研究の推進及び研究チームと環境省との密接な連携体制の確保に資するため、それぞれの研究に対して担当のPOを定め、当該POが研究内容等に関する環境省側の窓口を務めることとしています。

 環境研究総合推進費ではこれまで、分野ごとに一から二名、計九名のPOを配置しているということでございますが、現在の環境省におけるPOの人員体制、また、その選任基準を具体的に教えていただきたいと思います。

 そこで、現行の環境研究総合推進費のPO体制に対して、財務省の予算執行調査において、行政ニーズを踏まえた助言や進捗管理をするPO等が研究課題の数に比べて十分な体制になっていないというような意見が上げられています。また、中央環境審議会において、PO等が実施する進捗管理や情報体制の強化が必要であると指摘をされています。

 今後、研究の採択時に想定された成果を確実にやるために、POの十分かつ強力な体制整備が必要だ、こう思いますけれども、今回、改正法でPO等の選定等についても機構に移管する中で、どのような体制で業務を進めていくことが望ましいのか、伺いたいと思います。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、先生御指摘のとおり、プログラムオフィサー、POでしっかりと研究を管理していくという体制をとっておりまして、科学技術の側面から責任を持ち得る実施体制を整備するという観点から、競争的資金制度の運用につきまして、統括する研究経歴のある高い地位の責任者たるプログラムディレクター、これは一名でございます、それから、研究管理を行う責任者といたしまして、豊富な研究経歴を有するプログラムオフィサー、PO、これを八名、先生御指摘のとおり、合わせまして九名ということで現在やらせていただいているところでございます。

 環境再生保全機構への推進費の配分業務等の移管に関しましては、これを機に、研究管理を支援いたしますPOの人員の増強等によりまして、その研究課題に対する管理体制を強化いたしまして、先生今御指摘がございました、これまでの指摘に対応いたしまして、より効率的、効果的な研究費の運用に努めまして、研究成果を最大限発揮したいというふうに考えているところでございます。

 今後のことになりますけれども、このPOの選任に関しましては、先ほど申し上げました、プログラムディレクター、PDと環境省との協議を踏まえまして、各研究分野に適切に対応したPOを選任する予定でございます。

 先ほどの答弁、忘れまして失礼をいたしました。専門性に関しましても、このPOの専門性を最大限活用するということで、研究成果を最大限発揮してまいりたいというふうに考えているところでございます。

松田委員 先ほども田島委員からも御指摘がありましたけれども、別にこだわることはないんでしょうけれども、財務省の予算執行調査で、研究が実証化されたものが一・七%、環境政策に何らかの反映がされた研究は二八・七%ですか、研究が必ずしも効果的に行われているとは言いがたいという指摘があるわけなんですね。私は、要するに、このPOの数が大きく関係をしているのではないかなと。

 いろいろ聞いてみますと、やはりPOが総合的にマネジメントして方向性を示していくということで、非常に大きい役割をしているというふうにお聞きしました。今のは漠然として、POを何とか充実させてというような御答弁でしたけれども、やはりもっと真剣に、何人ぐらいふやしていくとか、どうするとか、しっかりとした考え方を持っていただいた方がいいと思うんですけれども、もう一度質問させていただきたいと思います。よろしくお願いします。

三好政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生御指摘いただきました、この研究が環境政策に具体的にどのように反映されているのか、特にその反映率が低いのではないかという点でございますけれども、環境研究の性質上、この調査自身は、その研究が終わった直後に、一体具体的にどうだったかということなんでございますけれども、研究成果をしっかりと政策に生かしていくためには、やや中期的な観点も必要ではないかということで、先ほど御指摘がございました財務省からの指摘を踏まえまして、少し、研究成果が具体的にどういう形で段階を追って環境政策に生かされていくことになるのか、そういう調査も改めて始めたところでございます。そういう中で、しっかりと環境政策に生かしていく道筋をつけたいというふうに考えております。

 それから、先生御指摘のプログラムオフィサーを具体的にどの程度増員するのかということで、真剣に検討しろということでございます。

 御趣旨はまことに重く受けとめさせていただきたいと考えておりますけれども、一方で、こういう中間的な、管理費的な部分はできるだけ効率化を図って、まさしく研究者の方に渡る研究費の部分をしっかりと確保していくという要請も、両面ございますものですから、先生の御指摘をしっかり踏まえながら、具体的な検討をこれから進めさせていただければというふうに考えているところでございます。

松田委員 よくわかりました。ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 ちょっと時間がなくなりましたので、秘密保持義務の方の質問に入らせていただきたいと思います。

 環境再生保全機構は、現在も多くの研究に対して助成、支援を実施していますが、現在の機構の秘密保持義務に関して、規程などの整備はどうなっているのか、そして、大小限らず、これまで秘密保持義務に関する問題はなかったのか、伺いたいと思います。

三好政府参考人 お答えをいたします。

 先生御指摘の機密保持義務、いわゆる法律上の義務に関しましては、実は今回、この推進費の移管に伴いまして新しく設けさせていただくことにしたものでございます。

 これは、研究開発ということでございますので、研究者の方の創意工夫でございますとか、あるいは企業に御参画いただいたときの知的財産権の保護の問題ということがございますので、法律上しっかり位置づけまして、役職員に対する秘密保持義務、それから罰則ということで担保したいということでございます。

 これまでの機構の取り組みも、そういう意味では法律に基づかなかったものでございますけれども、いわゆるコンプライアンスという形で内部で規程を設けまして、もちろん業務が適正に執行できるような形で取り組みを進めてきたところでございます。

松田委員 少し時間がなくなってきましたので、あとの質問はまた今度の機会にと思うんですけれども、せっかく大臣に来ていただいておって一つも質問していないので、通告にはなかったのですが、少しお伺いをしたい。

 今、菅委員から御指摘がありました、里山づくりに力を入れたいというお話を伺いました。僕は大いにやっていただきたいなと思うし、だんだん里山がなくなってきたことで、僕らが子供のときなんかはいろいろなところで勉強ができたようなことも、最近の子供にはそういうことができないというところがあると思うんですね。

 全国にそういった里山を推進していただきたいと思うんですけれども、特に今、震災があって五年たちました。今までいろいろなハードの整備をしてきて、高い防波堤をつくったりとか、避難の高台をつくったりとか、いろいろなことをしてきましたけれども、五年たった中で、やはり人間が住める環境というのをさらにどうしていくかということを今から考えていかなくてはならない新たな五年だと私は思うんですね。

 そういった面では、やはり被災地に里山をきちっともう一回つくり直してもらうということも、避難されている方々が戻ってこられる一つの大きな要因になってくる、心の癒しにつながってくるものだ、こう思っているんです。

 そういった面で、ぜひとも被災地に関しても里山の事業をしっかりやっていただければなというふうに思うわけですけれども、何か御所見があったらよろしくお願いをいたします。

赤澤委員長 申し合わせの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いをいたします。

丸川国務大臣 委員と思いは同じでございまして、事福島県においては、そもそも林業県でございますし、皆様が常に、宅地、田畑だけではなくて森林も生活が同じ、一体のエリアであったということをきっちりと踏まえて、里山とともに生活が取り戻せるように努力してまいります。

松田委員 力強い御答弁をいただきました。

 ありがとうございました。

赤澤委員長 次に、小沢鋭仁君。

小沢(鋭)委員 改革結集の小沢鋭仁でございます。

 今回のこの法案は、環境研究総合推進費のマネジメントの問題、独法の方に移管する、こういう話でございます。このことそのものは私は賛成でございますし、きょうは、せっかくの機会ですから、環境に関する研究開発の話を、少し幅を広げて質疑をさせていただきたい、こういうふうに思っています。

 というのは、やはり私は、環境問題に関する研究開発、さらにはそれに続く投資、こういった話が日本のこれからにとって大変重要だ、こういう思いでいるわけであります。今回政府がお招きしたアメリカのコロンビア大学のスティグリッツ先生も、消費税の話にかなりマスコミ、メディアは特化して報道していますけれども、今私が申し上げたような話が世界にとっても日本にとっても極めて重要だ、こういう提案をしています。ですから、そういった視点で質問させていただきたいんです。

 環境省は、環境省だけではない政府全体の研究開発に対する調整機能を持っているはずなんです。その根拠法とその効果、そういったことを、まず一点、御質問させていただきます。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の研究開発分野を含みます環境政策に係る総合調整機能の根拠でございますけれども、環境政策に関する総合調整機能の根拠は環境省設置法の第四条第一号から第三号までに書かれてございまして、具体的には、環境の保全に関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進に関すること、環境の保全に関する関係行政機関の事務の調整に関すること、地球環境保全、公害の防止並びに自然環境の保護及び整備に関する関係行政機関の経費の見積もりの方針の調整等に関することとして規定をされているところでございます。

 この規定を根拠といたしまして、政府全体の基本的な環境政策の内容を実施するために関係行政機関に働きかけて調整を行うことなど、環境省の任務の達成のために関係行政機関に働きかけて環境政策全体の整合性を図ること等を行っているところでございます。

 一例でございますけれども、これは、環境基本法に基づきまして、環境の保全に関する総合的かつ長期的な施策の大綱でございます環境基本計画を策定する場合には、環境大臣が、環境基本計画の案を作成し、関係行政機関等との調整を経て、閣議決定を求めるというようなこととされているところでございます。

小沢(鋭)委員 今、三好さんから説明がありましたように、環境に関する話は、大臣、全ていわゆる総合調整機能を環境省が持っているんです。設置法の中にきちっと明記されているんです。ですから、あらゆることに大臣は発言もできるし、権限を持っている。こういうことを改めて御認識いただいて、やっていただきたい、こういうふうにまず申し上げたいと思います。

 それから、今のような調整機能、二十八年度予算ではどのように機能しましたか。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 環境保全に関する予算は、先生御案内のとおりでございますけれども、多くの省庁により要求されているところでございまして、先ほど申し上げました設置法の四条第三号の規定に基づきまして、環境保全経費全体の調整を行っております。

 具体的には、毎年の概算要求に際しまして、環境保全対策として重点的に推進すべき事項を基本方針として定めまして、各省庁へ通知するとともに、環境省から財務省に対する配慮要請を通じまして、各省庁の予算要求を支援しているところでございます。

 こうした調整を通じまして、関係省庁間での施策の重複を排除いたしまして、政府として重点的かつ効率的な予算要求が行われるように努めているところでございます。

小沢(鋭)委員 それで、関連予算は、二十八年度予算、総額幾らになっていますか。そして、これは大臣にもお答えいただきたいんですが、その調整機能は十分果たせたとお思いでしょうか。

三好政府参考人 予算額、計数につきまして申し上げます。

 平成二十八年度の予算案における環境保全経費の総額につきましては、二兆一千三百三十七億円となりまして、平成二十七年度当初予算に比べまして三千二百六十七億円の増額となったところでございます。

 なお、増加の理由といたしましては、除染の実施や中間貯蔵施設の整備、放射性物質に汚染された廃棄物の処理に係る予算などの増額でございますとか、温室効果ガス削減目標を着実に実行するための新たな施策が措置されたこと等が大きいというふうに考えているところでございます。

丸川国務大臣 総合調整機能が大変重要な役割であるということは認識をしております一方で、委員が御指摘のとおり、遠慮せずに、環境に関しては環境省が、環境大臣がしっかり物を言っていくべきだということはこれからも重く受けとめていきたいと思います。

 その上で、方針としてしっかり示して各省に御理解をいただくという努力をことしはしたわけでございますけれども、これまでの長い経緯を伺っておりますと、だんだんと各省が環境に取り組むことを当たり前のようにやるような世の中になってきた中で、むしろ、重複を防いで効率的にしっかりと調整を行っていくということにことしは重点が置かれていたように思います。

 地球温暖化に対してはとりわけ新しいスタートを切る年でもございますので、より積極的に調整機能を果たしてまいりたいと存じます。

小沢(鋭)委員 今大臣の話にもありましたように、各役所も、環境分野はある意味では新分野なものですから、ですから、そういう意味ではかなり積極的にやっているのは事実なんですね。ですが、だからこそその総合調整機能が極めて重要だ、こういう話でありまして、そういった意味では、環境省が本当に自覚を持って取り組んでもらいたい、こういうふうに思います。

 そしてもう一つは、計画をしたらば、その後はいわゆる点検が重要だ、こういうふうに思っておりまして、その点検作業なんかもきちっとなされているのかどうか、それをお尋ねしたいと思います。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 環境政策の基本にございますのは環境基本計画でございまして、これは、先生御指摘のとおり、しっかりとした、着実に実行を確保していくためには点検が非常に重要だという位置づけでございます。

 具体的には、中央環境審議会におきまして、毎年、環境基本計画に基づく施策の進捗状況を点検いたしまして、その後の政策の方向性につきまして政府に御報告をいただくことになっているところでございます。

 具体的には、この審議会におきまして、毎年、関係省庁から施策の進捗状況につきまして個別にヒアリングをいたしまして、個々の進捗状況を点検いたします。その結果を取りまとめて政府に報告をいただくということにしております。

 この点検の中で今後の政策の方向性も御指摘をいただくことにしておりまして、関係省庁の施策間の調整が図られる仕組みとなっているところでございますので、こういう仕組みを活用して、環境省としてもしっかり総合調整機能を果たしてまいりたいというふうに考えております。

小沢(鋭)委員 時間でありますので終わりますが、政府の中にも、閣僚会議、正式な名前は私はわかりませんが、閣僚の皆さんとか、総理を本部長にしたいわゆる本部があるはずですね。そういう中でもやはり環境大臣の役割は大変大きいと思いますが、今の内閣はそこが、環境大臣が仕切る形になっていないんですね。

 ですから、そういったことも含めて、もう少し大臣としてもさらに力を発揮していただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

赤澤委員長 伊藤信太郎君。

伊藤(信)委員 おはようございます。自由民主党の伊藤信太郎でございます。

 政府は、今そこにある危機に対して迅速に対応して、国民が安心して暮らせる環境を守り、また、そのことがずっと可能になるようにするという責務があると思います。その観点から、今回の法改正についてお伺いしたいと思います。

 まず、今回、この法改正を今やる必然性、必要性がどこにあるのか、お伺いしたいと思います。

丸川国務大臣 お答え申し上げます。

 環境研究また技術開発は、持続可能な社会の構築に不可欠なグリーンイノベーションの基盤をなすものでございまして、その確実かつ効果的な実施によって環境の各分野への貢献を果たしていくことが重要です。

 ですので、環境省においても、環境研究総合推進費などにより、環境分野における調査研究や技術開発を支援してきたところでございますが、この推進費については、昨年八月の中央環境審議会の答申において予算の弾力的な執行による利便性の向上が求められておるなど、その改善が必要となってきております。

 ですので、このような背景から、今回の移管を通じまして、複数年度契約方式の採用による研究費の使用の効率化、また研究者への助言等の支援の強化、そして研究課題の審査や評価の高度化によって、環境研究、技術開発のさらなる効率的また効果的な推進を図ってまいりたいと考えております。

伊藤(信)委員 環境関係の研究というのは、今までも、今御指摘のあったものだけでなくて、環境省直轄、それから国立研究開発法人国立環境研究所が運営交付金で行うもの、そして今回の環境研究総合推進費等の競争的資金で行うものという、いろいろな形で行われているわけです。

 まず、振り返りまして、今までそれがどのような形で実施され、どのような役割分担を立体的にされていたのか。そして、前段の質問でいろいろありましたけれども、本当に効率的、戦略的に、そしてまた喫緊の課題に応えるように、緊急性、重要性、また国民のニーズに合った形で環境研究が行われてきたのか、お伺いしたいと思います。

三好政府参考人 先生御指摘をいただいておりますさまざまな形で私どもは予算をいただいてやっておりますけれども、御指摘のとおり、環境省が直轄でやっているものと、国立環境研究所が運営費交付金で行っているものと、いわゆる競争的資金でございます。

 環境省が直轄で行っているものにつきましては、研究内容が具体的に決まっているものを対象に、委託事業等の体制で行っているところでございます。

 一方、国立環境研究所は、我が国の環境科学分野における中核的研究機関として、さまざまな環境科学分野における調査研究をみずから実施し、国の環境政策への科学的、技術的な基盤を提供いたしているところでございます。

 環境研究総合推進費は、これまでも御議論いただいているところでございますけれども、環境省が必要とするニーズを提示して公募を行った上で、広く産学民の研究機関からの研究者からの提案を募りまして、専門家による評価委員会等で採択された課題に対し研究者等に研究開発資金を配分する競争的資金の手法を通じて、政策活用が見込まれる応用研究等を主として実施してまいったところでございます。

 今申し上げましたとおりの役割分担がございますけれども、それぞれの性格の違いを踏まえまして、適切な体制で、効果が最大限発揮できるように努力をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

伊藤(信)委員 残念ながらその効果が十分発揮されていないという御指摘も出ているわけでございまして、今回、環境研究総合推進費が機構の方に運営を移管されるわけですけれども、今まで環境研究総合推進費でどのような研究がなされ、それが具体的にどのように環境行政に生かされてきたのか。たくさんあるので、時間がありますから、二つか三つ実例を挙げて、的確にお答え願いたいと思います。

平口副大臣 お答えをいたします。

 環境研究総合推進費においては、地球温暖化の防止、循環型社会の実現、自然環境との共生など、持続可能な社会の構築のための環境政策の推進にとって必要不可欠な調査研究や技術開発を後押ししてまいりました。

 そのうちでも、例えば、IPCC、COPなどへの科学的知見の提供とともに、我が国の中期目標策定に貢献したこと、第二に、PM二・五の越境汚染の影響の割合を把握したこと、第三に、廃太陽電池から低コストで高純度のシリコンを回収、再利用する技術を開発したこと、第四に、アルゼンチンアリなど外来種の防除手法を開発したことなどといった面で環境行政に貢献してまいりました。

伊藤(信)委員 ありがとうございました。

 今回改正するわけですけれども、この改正に伴い組織の変更あるいは人事の異動があると思いますが、環境省、環境再生保全機構はどのようになるのか。具体的に、環境省でどの局、どの部、どの室で何人減り、機構では何人ふえるのか。

 また、機構においては、先ほどの質問の方の中にもありましたけれども、この環境研究、技術開発にかかわる組織と人員というのはどのようになるのか。そういう予想される変更によって、本当に環境研究、技術研究を今までよりもより適切に、効果的に行うことができるのかどうか、お伺いしたいと思います。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 組織、人事異動の関係でございますけれども、まず、機構におきましては、今回法律改正をお認めいただけましたら、その業務に関しまして新たに室を設けることといたしております。

 初年度でございます平成二十八年度におきましては、機構内での既存業務の効率化による配置がえとともに、研究経歴のある専門的な職員は新規採用することにいたしまして、全体としては、まずは五名程度の体制を確保するということで検討しておりまして、これによりまして適切な業務を進めてまいりたいというふうに考えております。

 一方、環境省でございますけれども、この推進費に係る業務につきましては、これまで環境研究技術室内での専従で一名と兼務で二名ということで取り組んでまいりまして、また、環境政策全般にわたるテーマでございますので、関係部署から他業務と兼務をする形で七名の職員で取り組んできたところでございます。

 今回、業務を移管するわけでございますけれども、そういう意味で、専従の職員につきましては減員をするということを考えているところでございますが、他方で、環境省といたしましては、行政ニーズの提示でございますとか、あるいは、先ほどからも御議論、御指摘ございました、研究成果を的確に政策に生かしていくという観点からの業務は環境省本省に残りますので、その点につきましては引き続き従来の体制で取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。

伊藤(信)委員 現在、環境再生保全機構の理事の方のお名前、あるいはその背景を拝見しますと、必ずしも環境研究、技術開発の専門家が今現在いらっしゃらないというふうに見受けられるんですけれども、そういった理事構成の中で、機構として一貫した、また適切な判断というのができるのかどうか、お伺いしたい。

 そしてさらに、将来的には理事の増員、変更をお考えになっているのか、その場合はどういう判断基準でお選びになるのか、お聞きしたいと思います。

平口副大臣 お答えいたします。

 今回の業務移管に関しては、推進費事業の高度化のため必要な体制を必要最小限に構築する予定でございますが、新たな人員の確保に際しては、研究経歴を持つ職員の配置を検討しております。

 また、現在も個々の研究管理や助言をお願いしている外部の専門家、いわゆるプログラムオフィサーとの連携についても、研究経歴を持つ職員が間に入ることでその強化が図られることとなり、これらの取り組みによって、より一層環境政策と結びついた実効性のある研究成果が得られることが期待されるところでございます。

 このようなことを通じて、機構が適切に業務を実施できるよう、環境省としても必要な支援をしてまいりたいと考えております。

 また、理事の人選については、その改選時期において、今般追加された業務の実施状況も踏まえながら検討してまいりたいと考えております。

伊藤(信)委員 現在環境研究総合推進費の審査に当たっている委員というのは、今度の改正によって、環境再生保全機構においてそのまま移行するんですか。それとも、総入れかえになるんですか。それとも、新たな判断基準で選ばれるわけでしょうか。

三好政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、環境研究総合推進費の採択に当たりましては、外部専門家や有識者等から構成されます環境研究企画委員会や、その下に設置されました部会によりまして審査を行っております。

 委員の選定におきましては、各研究分野の研究内容に応じた多様な専門分野の委員を委嘱させていただいているところでございます。

 移管後でございますけれども、基本的には現在の委員が、大宗が引き継がれるというふうに考えておりますけれども、研究テーマも変わってまいるところもございますので、そういう中で適切な人選が図られるように努めてまいりまして、適正な審査の確保が図られるようにしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

伊藤(信)委員 前段で、政府は今そこにある危機に迅速に最優先で対処しなければならないということを申し上げました。私は被災地宮城県の選出でありますけれども、福島県を含め、今そこにある危機の一番というか非常に大きなものはやはり放射線の問題だと思います。除染あるいは中間貯蔵施設、指定廃棄物の最終処分場、放射線がどのように人体にあるいは生物に影響を与えるか、また、そこから出てくる問題として風評被害、いろいろなことがあります。

 今回は保全機構の話ですけれども、放射線にかかわる調査研究の専門家は現在の委員の中にいるんでしょうか。

三好政府参考人 先ほど御答弁の中で申し上げました研究部会の委員の中に、放射線に係る調査研究の専門家が一名、それから関連分野の専門家ということで三名、委嘱をして審査に御協力をいただいているところでございます。

伊藤(信)委員 そういたしますと、今度は環境省全体の話に広げてお伺いしたいと思いますけれども、環境省として、今後、放射線にかかわる調査研究は、どのようなやり方で、どのような体制で行うというお考えでしょうか。

三好政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほども答弁の中で申し上げましたけれども、環境省では大きく三つの形でやっておりまして、環境省が直轄で行うもの、国立環境研究所が運営費交付金で行うもの、競争的研究資金で行うものでございます。

 放射線の健康被害や被曝線量等に関する調査研究等につきましては環境省が直轄で行っておりますが、例えば、放射性物質に汚染された廃棄物等の処理処分技術やシステムの確立等につきましては国立環境研究所が運営費交付金で行っているところでございまして、国立環境研究所は、福島県内に、そういう意味では支所といいますか、そういうものも設置をさせていただいているところでございます。また、競争的研究資金に関しましては、原発事故により放出されました大気中の微粒子等の暴露評価とリスク評価のための学際研究などを実施しているところでございます。

 これらはこれまでの取り組みの例でございますけれども、それぞれの研究の性格の違いということを十分勘案いたしまして、適切な役割分担のもとで調査研究を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

伊藤(信)委員 今回の改正で機構の業務範囲というのが広がるわけですけれども、私は、単にウイングが広がったというだけでは余り意味がないと思うんですね。

 やはり、従来この機構が行ってきた、例えば公害健康被害補償業務等、そういったこととの相乗効果というものを上げる、そのことも今回の改正の一つの役目だろうと思うんですけれども、そういう相乗効果というものがどのように生まれるか、あるいは生まれるとは考えていないのか、そこをお伺いしたいと思います。

平口副大臣 お答えいたします。

 機構は、設立以来、公害健康被害補償業務、国内外のNPOやNGOが行う環境保全活動を支援する地球環境基金事業など、環境保全分野における各種資金の配分業務を実施してまいりました。

 今回新たに推進費の配分業務を行うことで得られる科学的な知見を生かしつつ、例えば、地球環境基金事業において、現場の視点に学術的な視点を加えながら、助成活動の決定や事業成果の評価ができるようになるなどの相乗効果が期待されるところでございます。

伊藤(信)委員 これまで機構自体も環境保全調査研究等の業務を行っていたようでありますけれども、今回追加される環境研究総合推進費の配分、交付業務との関連性というのはどのようになるんでしょうか。

三好政府参考人 先生御指摘のとおり、これまで機構におきましては、具体的に、公害健康被害予防事業というときにおきまして、健康被害の根本的な予防という観点から、環境保健分野とそれから大気環境の関係分野につきまして、調査研究を公募により実施してきたところでございます。

 今回、環境研究総合推進費ということで、いわば環境政策全般にわたってさまざまのテーマについての業務を移管したいということでございますけれども、これまで機構の方で実施をしてきておりました運営関係の業務につきまして培ったノウハウや知見は活用していただくということで、そのようなことで進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

伊藤(信)委員 今後、環境研究、技術開発に必要な額がどのように変化するということをお考えになって、それをどのように確保するか。

 というのは、かつて八十億あった推進費が五十三億に落ちているんですね。そして、私は、むしろこれから環境研究のニーズというのは広がることはあっても縮まることはないと思うんです。だから、その予算をやはり安定的に確保するということが必要だと思うので、予想される額も含めてお考えを示していただきたいと思います。

平口副大臣 お答えをいたします。

 環境研究総合推進費については、その時点で把握、想定されるニーズや財政状況等により増減はあるものの、毎年度必要な額を最大限確保してまいりました。

 例えば、東日本大震災を受けて被災地域の復旧復興に係る研究、技術開発の必要性が生じた際などには、その重要性に鑑みて、平成二十四年度から平成二十六年度にかけてその必要な額を確保するなどしてまいりました。

 今後とも、その時々のニーズに応じた額の確保に努めてまいります。

伊藤(信)委員 最後の質問になると思いますけれども、今回の改正によって、環境研究のテーマの選択、研究機関、研究者の選択、研究の効率と実効性、研究成果の活用がどのように具体的に改善されるとお考えなのか、お答え願いたいと思います。

丸川国務大臣 今回の改正で、環境再生保全機構へ配分業務等を移管することによって、複数年度契約を採用することによって研究費を効率的に運用することができるようになるということが一つ。それから、機構においても、専門性のある職員を配置することによりまして、研究者への行政ニーズの周知徹底、また研究者への政策検討状況の情報提供などが可能になると考えております。

 また、現在も個々の研究管理や助言をお願いしております外部の専門家、プログラムオフィサーでございますが、その連携についても強化が図られることになりまして、これらの取り組みにより、より一層環境政策と結びついた実効性のある研究成果が得られるものと期待をしております。

 加えて、業務移管後の環境省の側においては、研究テーマの設定や研究成果の政策への反映に専念することが可能になりますので、この推進費事業によるさらなる環境行政への貢献が期待できるものと考えております。

伊藤(信)委員 ありがとうございました。

 これで質問を終わります。

赤澤委員長 次に、真山祐一君。

真山委員 公明党の真山祐一でございます。

 所信の質疑に引き続きまして質問の機会をいただきましたこと、心から感謝を申し上げる次第でございます。

 きょうの議題は、独立行政法人環境再生保全機構法の一部を改正する法律案でございまして、この法律案の内容について質疑をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いを申し上げる次第でございます。

 今回の改正案につきましては、地球温暖化の防止や循環型社会の実現、自然環境との共生など、これまで取り組んできた、またこれから取り組んでいく環境政策を推進していくための研究予算である環境研究総合推進費の配分業務をこの独立行政法人環境再生保全機構に移管することが目的の法律案でございます。

 この移管について触れますと、平成二十年に自民、民主、公明で成立させました研究開発力強化法に基づいて行われるわけでございますけれども、この研究開発力強化法は、研究開発システムの改革の推進等による研究開発力の強化及び研究開発等の効率的推進のために必要な事項を定めることにより、我が国の国際競争力の強化及び国民生活の向上に寄与することを目的としているものでございます。

 要は、研究開発力の強化、効率化を妨げる障害を取り除こうというのが研究開発力強化法の大きな趣旨であるというふうに理解をしておりますけれども、そうした目的のもと、研究開発力強化法は競争的資金を含む公募型研究開発に係る業務の独立行政法人への移管を求めている法律でございまして、まずお聞きをしたいことは、その意義についてお伺いするとともに、今回の移管によって期待される効果について、環境省の答弁をお願いいたします。

丸川国務大臣 ありがとうございます。お答えさせていただきます。

 移管の意義についてということでございますが、先生御指摘いただきました研究開発力強化法にどのように書かれているかと申しますと、「公募型研究開発に係る業務の全部又は一部を独立行政法人に移管することが公募型研究開発の効率的推進に資すると認めるときは、可能な限り、これを独立行政法人に移管するものとする。」とされております。

 これは、独立行政法人をその業務の実施主体とすることによって、複数年度契約など柔軟な資金運用が容易になることに加えまして、その効率的な業務の実施や、専門的な人材によるマネジメントが可能になるものとされています。

 このような趣旨も踏まえまして、今般の移管によって、複数年度契約方式の採用による研究費の使用の効率化や、研究者への助言等の支援の強化、そして研究課題の審査や評価の高度化が期待できるものと考えております。

真山委員 ただいま御答弁いただきましたとおり、移管を進める意義というのは、複数年度契約であったりとか、それによる効率化である、つまり、環境総合推進費による研究成果が最大化される、政策に反映される意味で最大化されることが一番大きな意義であるというふうに私も認識をしているところでございます。

 次の質問をさせていただきますけれども、研究開発力強化法は平成二十年に施行されまして、他省庁においても競争的資金の配分業務を独立行政法人に移管する取り組みが進めてこられたわけでございます。

 平成二十七年度予算ベースでいいますと、既に約九割、全体の競争的資金の九割が既に独立行政法人に移管が済んでいるという状況でございまして、そういう観点で見ますと、この環境研究総合推進費の移管については、少しほかのものに比べると時間がかかったように感じてしまうわけでございますけれども、この点につきまして環境省の見解をお伺いさせていただきます。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、研究開発力強化法に関しましては、平成二十年に施行されております。その中で、可能な限り移管するということでございまして、実は、環境省におきましては、平成二十二年度から二十三年度にかけまして、それまでございました三つの競争的資金を、現在の環境研究総合推進費という形でいわゆる一本化、整理統合いたしました。それで、研究者にとって使いやすい制度とするための運用改善などを行っておりまして、移管に向けた体制整備を行ってきたところでございます。

 一方で、別途の事情でございますけれども、平成二十四年度から平成二十六年度に関しましては、東日本大震災における被災地の早期復興にとって不可欠な科学的知見の集積や技術開発を推進するために、被災地域の復旧復興及び被災者の暮らしの再生のための施策への貢献を要件といたしますいわゆる復興枠による研究というものを実施することになったわけでございまして、そういう意味では、新しい分野が加わったということで、復興に係る研究を実際進めていくことを優先して取り組んでまいったところでございまして、今般、さまざまなこういう形の整理ができましたので、今国会で法律改正をお願いするような状況になったということでございます。

真山委員 環境省における環境研究のための予算の、恐らく構造上のいろいろな課題がある中でその体制整備を進めてきて、そういう中で東日本大震災もあったわけでございまして、一時期は震災復興に関する復興枠の予算も計上されてきたわけでございます。そういった経過の中で、少しおくれてしまったわけではございますけれども、しかし、着実に進めてきたことが今回の国会で改正の時期をやっと迎えたということで理解をしているところでございます。

 そして、この環境研究総合推進費は、環境省が政策を推進していく上で必要となる研究テーマを提示して、そして公募を行って、研究者からの提案を採択する仕組みになっております。先ほど来審議の中でも出ておりましたけれども、環境省の行政ニーズ、つまり、こういう研究をしてほしい、こういう研究結果が欲しい、また分析してほしいという、非常に直接的な行政ニーズに立脚した研究を進めるための予算というのが環境研究総合推進費というふうに理解をしているところでございます。

 そうした意味で、これは当然我々が審議をする政策と不可分な関係にあるわけでございまして、先ほど伊藤委員の方からも目の前にある危機という話がございましたけれども、まさにそうした直近の課題に対応するものでもあるわけでございます。

 そういった意味で、行政ニーズについてお伺いさせていただきたいと思いますけれども、この行政ニーズがどのようなプロセスを経て決定がなされ、つまり、この研究課題を、研究テーマを公募しようというふうに、行政ニーズをどのようなプロセスで決定され、提示され、そして公募されるのかについてお伺いをさせていただきます。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、推進費は環境政策への貢献を目的とする競争的資金という位置づけでございまして、環境省から行政ニーズを提示いたしまして、環境行政にとって必要な研究課題を採択するということでございます。

 具体的には、行政ニーズの策定に関しましては、やや中期的な観点から五年に一度、中央環境審議会から「環境研究・環境技術開発の推進戦略について」というものを答申いただきまして、それを踏まえまして大きな五年の枠組みを決めました上で、毎年に関しましては、環境省内はもとよりでございますけれども、地方自治体からも国の政策として実施すべき研究開発テーマはどういうものがあるかということの案につきましても募集をして、総合的に検討しております。

 そういう研究開発テーマの中から、環境政策の推進にとって不可欠な科学的知見の集積と技術開発の促進に資する研究テーマにつきまして、外部有識者で構成をされます専門部会及び環境研究企画委員会で審議をした上で選択をいたしまして、行政ニーズとして公募の際に提示をさせていただくというようなプロセスを経ているものでございます。

真山委員 そうしたプロセスを経て行政ニーズが提示されるわけでございますけれども、独立行政法人環境再生保全機構はこれまで、公害による健康被害の補償、救済、また、地球環境基金による、NGO等が行う環境活動支援を含むそうした基金業務等を行ってきた機構でございます。

 今御答弁いただきましたように、環境研究総合推進費は、その性格上、行政ニーズを正しく理解して、そしてある意味でいえば忠実である必要があるというふうに私は思います。よって、先ほどのプロセスを経てこういった行政ニーズを環境省として提示するわけでございますけれども、そういった際に、公募の際に研究者が正確に行政ニーズを理解できるように提示されなければならないわけでございます。

 今回、環境再生保全機構に移管されるわけでございますけれども、先ほど述べたとおり、これまで環境保全機構はそういった専門業務は行ってきていないわけでございます。先ほどの補償業務であるとか基金業務であるとかそういった業務を担ってきた機構でございますので、そういう意味で、推進費の配分業務そのもの、配分するという業務自体は問題はないかと思うんですけれども、環境省から提示される行政ニーズを正しく理解し、そしてその行政ニーズを研究者に正しく伝えるという中継役を担うことになろうかと思います。近年、環境分野における課題が多岐にわたる中で、専門性のある機構職員の存在がやはり必要不可欠になってくると思っております。

 今回の移管によりまして、安定的かつ継続的な審査、評価業務等を実施し、環境総合推進費の事業全体の高度化を図るというふうにしておるところでございますけれども、やはりその鍵は専門職員の確保また人材育成にかかっているというふうに考えております。

 この専門職員の確保、人材育成について、環境省としてどのような御見解をお持ちであるか、お伺いをさせていただきます。

平口副大臣 お答えをいたします。

 環境再生保全機構においては、環境分野の政策実施機関としての役割を果たすため、環境分野における専門性と知識、能力を有する人材を確保するとともに、職員研修を積極的に実施するなど、職員の専門性の向上を図る取り組みなどを進めてきております。

 また、機構への配分業務等の移管後には、機構において、研究経歴を持つ職員を新たに配置することなどで、業務の専門性を確保し、研究管理体制を充実させてまいりたいと考えております。

真山委員 ぜひ、そうした取り組みを環境省として御検討いただいて、やはり行政ニーズを正しく理解していただかないと意味をなさなくなってしまいますので、そういった点もきちんと見ていただきたいと思います。

 そして、環境研究総合推進費におきましては、先ほども少し議論が出ておりましたけれども、さまざまな研究がこれまでなされてきたわけでございまして、一つ個別の研究にちょっと触れたいと思います。前回、所信の質疑で積み残しになった案件がございまして、それについて触れさせていただきたいと思います。

 環境研究総合費において、持続可能な開発のための二〇三〇アジェンダ、SDGsでございますけれども、これに関する研究もこの推進費の中で行われていらっしゃいます。

 昨年は三つの大きな国際的な合意があったと言われていまして、仙台国連防災会議における仙台防災枠組、COP21のパリ協定、そして、先ほど言いました持続可能な開発のための二〇三〇アジェンダ、SDGsでございます。

 このSDGsの前身となりますのはミレニアム開発目標、MDGsでございますけれども、これは主に開発途上国をターゲットに、貧困と飢饉の撲滅、また初等教育の完全普及など八つの目標を掲げ、一定の成果を上げたわけでございます。

 そして、それに続くSDGsでございますけれども、これは、開発途上国のみならず先進国においても持続可能な開発でございますので、それを達成することを盛り込みまして、また、例えば、先進国内、日本においてもいろいろな貧困問題が言われているわけでございますけれども、貧困格差に取り組む、こういったことも記載されているわけでございます。

 そして、このSDGsは、十七のゴールと百六十九のターゲットが明示されておりまして、新たに顕在化した課題にも対応していく。そういう中で、実は環境に関する分野が非常に大きく、また幅広く関連しておりまして、それは当然気候変動の問題がございますので、そういった環境をしっかり守っていくという観点で、十七のゴール、また百六十九のターゲットの中に幅広く盛り込まれているのが環境分野でございます。

 そういう観点で、環境省が取り組むべき課題は多岐にわたると思いますけれども、そういった強靱な推進体制が必要であると考えております。

 その基礎的な研究がまさに環境研究総合推進費で行われているわけでございまして、この研究成果をもとに具体的な政策展開が必要と考えておりますけれども、このSDGsの取り組みに対する環境省の考えについてお伺いをさせていただきます。

鬼木大臣政務官 真山委員におかれましては、SDGsにおける環境の取り組みということに強い関心を持っていただきまして、ありがとうございます。

 持続可能な開発目標、SDGsは、今後十五年間に国際社会が実施すべき行動や目標を示すものとして、昨年九月に国連サミットで採択されました。

 SDGsの多くの目標が環境に関連することから、環境省では、環境研究総合推進費において、持続可能な開発目標とガバナンスに関する総合的研究プロジェクトを採択し、平成二十五年度から三カ年で研究を進めていただいているところでございます。

 このプロジェクトは、日本におけるSDGsの実施と国際貢献の方向性を研究するものでございます。日本にある課題の解決を政策に落とし込んで、それを国際目標の実現に結びつけようという提案がなされますので、ぜひ御注目いただければと思います。

 環境省としては、こうした研究から得られた知見も活用しながらSDGsへの取り組みを進めておりますし、またさらに、具体的には、研究者、民間企業、NGO等のさまざまな関係者が一堂に会するステークホルダーズミーティングを開催いたしまして、率先して取り組む企業等の事例を共有し、それが規範として認識されることにより、他への波及へとつなげていきたいと考えております。

 以上です。

真山委員 環境省としても既に具体的な取り組みがスタートしているということでございますので、こういった推進費が活用されて効果を発揮するのは、こういった問題はもう少し先になるかもしれませんけれども、環境行政をさらに効率的に進めるためにもこの取り組みを進めていただきたいと思っておりますので、ぜひよろしくお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

赤澤委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党と山本太郎となかまたちの玉城デニーです。

 きょうは、先ほど携帯端末の天気のアプリを見てみますと、東京で十五度、沖縄で二十三度で、非常に暖かい日差しがあふれています。

 実は、御党の北川筆頭ともエレベーターの中で桜の開花の話も出まして、きょうは筆頭が桜色のネクタイをしていらっしゃるということに、季節を感じるというのは本当にすてきなことだなというふうに思いました。

 さて、済みません、大臣、これは通告にはないんですが、ちょっと感想を聞かせていただきたいと思います。

 私たちは、この環境委員会で、常日ごろから、持続可能な社会を構築していくということに各委員から真摯な質問、御意見をいただいて、我々もしっかり国民のためにそれに努めていこうと思っておりますが、最近、大臣は参議院会館が事務所ですが、私は衆議院の第一会館なんですが、会館の中が非常に明るいんですね。

 明るいというのは、今までの適度な暗さになれていた私たちが、電気がちょっと多くついているのではないかなというふうに思っておりまして、明るいのは、私も性格が明るいので、うれしいんですが、しかし、そこは少し節約をしながら、過度にならないような形での、私たちもそういう毎日の勤務をさせていただければ支障ないと思いますが、大臣から一言、そのことについて、もしお気づきの点があれば、お話を伺えればと思います。

丸川国務大臣 私、参議院におりまして、衆議院にお邪魔しますと、全体として明かりのついている場所が少ないという認識を持っておりまして、恐らく相当省エネのために御協力をいただいているのではないかと思います。

 一方で、余り電気をたくさん使わないように注意するがゆえに目を悪くされる方もいらっしゃるかもしれませんので、適切に適切な場所で電気を使うということは重要かと思います。

玉城委員 ありがとうございます。

 私だけが館内が明るくなっているのかなと思いきや、やはり、それは、私たちが震災を忘れてはいけないということの気持ちも、また、きちんと思い返していくということの日々の確認も必要だなというふうに思いまして、あえてきょうは大臣の感想を聞かせていただきました。ありがとうございました。

 では、質問に入らせていただきます。

 独立行政法人環境再生保全機構法の一部を改正する法律案ですが、今回は、研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する法律、これは研究開発力強化法と申しますが、競争的資金を含む公募型研究開発に係る業務の独立行政法人への移管などを通じて効率的な運用を図ることが求められている、このため、環境省本省で行っている競争的資金である環境研究総合推進費の配分業務等を独立行政法人環境再生保全機構に行わせることで、複数年度にわたる契約の締結を可能にするなど、環境研究総合推進費の効率的、効果的な推進を図るため、所要の改正を行うということで上がってきております。

 今回、この機構法の改正法案に新設、新規の改正の部分がありますので、ここに絞りまして私は質問をさせていただきたいと思います。

 まず、機構の業務の範囲についてお伺いいたします。

 今回の改正で、第十条「業務の範囲」において、第三条、機構の目的を達成するためとして業務を新設している点についてお伺いいたしますが、八号に「大学、国立研究開発法人その他の研究機関の能力を活用して行うことによりその効果的な実施を図ることができる環境の保全に関する研究及び技術開発を行うこと。」とあります。

 お伺いいたします。研究機関の能力を活用するとはどのような具体例が挙げられるのでしょうか、お聞かせください。

三好政府参考人 先生御指摘の第八号でございますけれども、これは、先生の方からも御指摘がございました競争的資金、いわゆる外部の知見を活用するということで機構本体が研究開発をするのではないという趣旨で、大学や国立研究開発法人などの研究機関の能力を活用するということでございまして、具体的には、研究機関に研究資金の配分を行うことによりまして研究や技術開発を進めていただくという趣旨をあらわしたものでございます。

 したがいまして、御指摘の、研究機関の能力を活用するということになりますと、環境再生保全機構から委託という形で大学や国立研究開発法人などの機構以外の外部の研究機関の能力を発揮していただくという趣旨を明らかにしたものでございます。

玉城委員 ありがとうございます。

 では、それによって導かれる、この条文に「環境の保全に関する研究及び技術開発を行う」とあるのは、どのような研究や技術開発及びその成果が期待されているのでしょうか。

丸川国務大臣 環境研究総合推進費は、さまざまな分野における研究者の総力を結集しながら、環境政策への貢献を目的とする競争的資金として、新規研究課題の公募に当たっては環境省から行政ニーズをお示しすることで、環境行政にとって必要な研究課題を採択、実施しております。

 これまでも、その成果として、例えばIPCC等国際的な政府間パネル等への科学技術的な側面からの支援や、PM二・五また特定外来生物の防除等、直面する環境問題の解決などに貢献をしてまいりました。

 今般の移管により、環境省においては、研究テーマの設定や研究成果の環境政策への反映に専念することができるようになりますので、より効果を高めていくことができるのではないかと思っております。

 IPCCの第五次報告書に対しての貢献、あるいは適応計画をつくる上での貢献においても、この環境研究総合推進費を使った研究が大変大きな役割を果たしております。

玉城委員 ありがとうございます。

 新設の条文の十条の九号には、前号の業務に関する成果の普及及びその活用を促進することとなっております。

 成果を普及させて活用を促進することというこの九号に掲げている内容で期待されることというのはどういうことでしょうか、お聞かせください。

鬼木大臣政務官 第九号の規定においては、その前段であります第八号に基づく委託事業として行った研究や技術開発の成果について、研究発表の場としてのシンポジウムなどの開催によって普及させることを想定いたしております。

 このような成果の普及により、環境の保全に関する研究や技術開発の成果が社会で実用化され、広く使われるようになることを期待しております。

玉城委員 文字どおり、この新しい項目によってさらに研究の成果が広く、国民の生活はもちろんですが、世界的な分野で貢献していくということが期待されるわけです。

 新設の条文十号についてお伺いいたします。

 十号は、「環境の保全に関する研究及び技術開発に関し、助成金の交付を行うこと。」とあります。この助成金ですが、どのような原資による拠出及び配分の構成による助成金を示しておりますでしょうか。

三好政府参考人 先生御指摘の助成金でございますけれども、現在の環境研究総合推進費におきましては、循環型社会の形成の促進の分野におきまして、国から民間事業者等へのいわゆる補助金の交付という形で行っております研究がございまして、これを今回、環境再生保全機構に移管するに際しまして、このような助成金の交付を含めて移管するということで、第十号に掲げさせていただいたところでございます。

 したがいまして、機構に行わせることとしております環境研究総合推進費の業務でございますので、全て国から交付される運営費交付金を充てることを想定いたしているところでございます。

玉城委員 ありがとうございます。

 業務の範囲を聞かせていただきましたが、そのほかにも新設が、ちょっと前後しますけれども、第八条に「秘密保持義務」というのがございます。

 この第八条についてお伺いいたします。

 第八条の二において、機構の役員もしくは職員またはこれらの職にあった者は、十条の第一項第八号から十号までの業務に係る職務に関して知ることのできた秘密に関して漏えい及び盗用を禁じるという規定が新たに課されまして、これに違反した者は、第五章の「罰則」、第二十一条で、一年以下の懲役または五十万円以下の罰金が科されるということになります。非常に厳しい罰則がかかるわけです。

 なお、資料によりますと、現在、競争的資金の運営を行っている独立行政法人における秘密保持義務違反の罰則は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構が一年以下の懲役または百万円以下の罰金、国立研究開発法人科学技術振興機構が一年以下の懲役または五十万円以下の罰金、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構が一年以下の懲役または三十万円以下の罰金となっております。

 このように、その他の競争的資金の運営を行っている行政法人と比較して、二十一条の規定は適正であると判断されるものでしょうか、お聞かせください。

鬼木大臣政務官 競争的資金の配分に係る業務を行っている他の法人などにおいても、ただいま御紹介ありましたとおり、役職員に対する秘密保持義務が定められております。

 改正案における秘密保持義務に係る量刑の程度については、これらの他の法人の秘密保持義務に係る量刑の程度も勘案して定めているところでありまして、適正なものであると考えております。

玉城委員 ありがとうございます。

 そういうさまざまな研究開発を行い、そしてそこで資金を扱うということになりますと、そこに不透明な部分があっては絶対にいけないわけでございまして、当然、私たち議員それから公務員もそうですが、知り得た秘密に関しては守秘義務をしっかりと通していくということが求められるわけです。

 さて、今回の質問に当たりまして、私は実は、独立行政法人環境再生保全機構、英語の頭文字をとってERCA、多分エルカと言っていらっしゃるんでしょうか、そのように認識をしておりますが、そのホームページをのぞいてみますと、非常にしっかりしていらっしゃると申しましょうか、ここまで外部に公表して、私たちは仕事に邁進するという姿勢が出ているのかなと思うところに、きょうは資料としてはお配りしておりませんが、「コンプライアンス・マニュアル」というホームページがございます。

 このコンプライアンス・マニュアルを見てみますと、ERCAの福井理事長の「コンプライアンス宣言」というページがまず最初にありまして、その前にもちろん目次のページはあるんですが、この中でちょっと抜粋して御紹介させていただきますと、

 業務を進める上では、「コンプライアンス」を十分に理解し、実践することで、国民をはじめとするERCAの業務に関係する皆様からこれまで以上に「信頼されるERCA」をつくり上げ、その信頼を維持していくことこそが重要であると深く認識しています。

  そのために、私たち一人一人が、国民本位の事業の運営、健全な経営の推進は無論のこと、法令、規則、内部規程、社会規範などのルールを遵守し、コンプライアンス意識を高め、社会の要請に応じて、より質の高い行動をとるように努めてまいります。

というふうに、それ以外にもしっかりと書かれているコンプライアンス宣言が福井理事長から発せられています。

 「コンプライアンス・マニュアル」というコーナーが設けられ、コンプライアンス宣言を初め、詳細なコンプライアンスに対する視点及び業務に接する職員への啓蒙と、これはいわゆる総合的なコーポレートガバナンスですから、その重要性を主張する全体像が実にわかりやすく掲載されています。

 そこで、質問させていただきます。

 このような啓蒙活動について、社内向け、職員向けの専用アクセスページではなく、ふだんの企業ですと、社内に向けて、あるいは内部に向けて、きちんとアクセスコードを付して、職員しかそれを見ることができない、そういうふうなつくり方をするのが一般的だろうと私は認識しているんですが、しかし、誰もがアクセスできるフロントページでこのようなコンプライアンス・マニュアルを紹介することの意義は何でしょうか、お聞かせください。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 機構におきましては、例えば、公害により健康被害を受けられた方々への補償でございますとか、石綿の患者さんへの救済でございますとか、あるいは環境NGOの支援というような、国民の皆様に非常に密接に関係する業務を行わせていただいているところでございまして、そういう観点から、環境再生保全機構におきましては、コンプライアンスを業務運営上の重要な要素として位置づけておるものと承知をいたしております。

 そういう観点から、国民の皆様を初めとするさまざまなステークホルダーからの信頼を獲得し、環境再生保全機構の社会的な価値を高めるという観点から、ホームページにおいて広く国民の皆様にコンプライアンスの関係の規程等を公開しているものと承知をいたしているところでございます。

玉城委員 このコンプライアンス・マニュアルに目を通してみますと、実に、本当に細かいところまでしっかり行き届くための判断基準を設けているなというふうに思います。

 その中に、「コンプライアンス判断基準」「コンプライアンスは、良識ある社会人として、健全な社会常識から逸脱した言動がないよう常に自らを律することが基本になります。その基本はあくまでも個々人の倫理観です。職場や一般社会において、何か迷うことがあったら、今一度、以下のことを思い起こしてみてください。」というふうに書いてありますが、これは私たち議員に対して発せられているのではないかと思う言葉が並んでいます。「常識的におかしいと思われることをしていませんか」「家族に自信を持って話すことができますか」「上司、同僚、部下に堂々と説明できますか」「誰かにつけ込まれるすきを与えることにはなりませんか」「嘘や隠しごとはありませんか」と、ごく当たり前の倫理観が書いてあるんですが、思い返すと、こういうことが徹底できるということは非常に意義の高い、しかも、それをオープンにして国民が誰でも見ることができるページにしてあるということに、私は非常に高い意識を持っていらっしゃるというふうに思います。

 その一方で、うがった見方で考えると、先ほど私は、厳しい罰則規定が設けられている、新規の条文が入っているという話をしましたが、これらの、事細かく判断基準や心構え、報告、連絡、相談などを徹底する項目が列記されているということは、暗に、先ほど質問させていただきました第八条の秘密保持義務規定及び第二十一条の罰則規定を想起させることによって、二重三重の機密の縛りを意図しているものと思い受けられるということにもなりかねません。

 そのことについての真義をぜひお聞かせください。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 先生から御紹介いただきましたとおり、環境再生保全機構のコンプライアンス・マニュアルは、機構全般の業務運営に関しまして、いわゆる法令遵守のみならず、この機構が有しております社会的使命に基づく行動を職員がとるべきことを定めたというものでございます。

 一方、今回、法律で措置をさせていただいております秘密保持に係る規定に関しましては、今般新たに業務に追加することとしている環境の保全に関する研究及び技術開発に係る業務におきまして、これは、これまでの業務とは異なりまして、研究機関等における研究内容やノウハウ、あるいは関係企業の営業上の秘密等を知り得る機会があることから、これらの業務に限定をいたしまして役職員に秘密保持義務と違反の際の罰則を科すこととさせていただいたものでございまして、このように、両者の趣旨、適用範囲は大きく異なるものでございまして、御指摘のような点を意図しているものではございません。

玉城委員 ありがとうございました。安心いたしました。

 ぜひ、我々も、東日本大震災から幾年月がたとうとも、その思いを忘れることなく、しっかり職務に精勤していきたいと思います。

 ありがとうございました。ニフェーデービタン。

赤澤委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 民主党の福田昭夫でございます。

 本日は、独立行政法人環境再生保全機構法の一部を改正する法律案と、先日の質問でできなかった栃木県の原発事故の被害状況等について、環境大臣等の考えをただしてまいりますので、簡潔にお答えをいただきたいと思います。

 まず、環境研究総合推進費の業務移管を通じた推進事業の高度化についてであります。

 先ほど来、この研究の成果が余りないということで、大変厳しい評価を受けていたようでありますけれども、今度、独立行政法人に移管をすることによってぜひ成果を上げてほしいなということから、私の方からは三点質問させていただきますが、一つ目と二つ目をまとめて質問いたします。

 まず一つ目は、複数年度契約による効率的な研究費の使用についてであります。

 今回の改正で、運営費交付金化により複数年度契約が可能になるわけでありますが、資料を見ますと、研究開発の期間が三年以内または五年以内となっております。御承知のとおり、独法通則法の改正で、五年プラス二年の延長というのが可能になっているわけでありますが、そうした仕組みを活用する考えがあるのかどうか。

 それから二つ目は、専門職員の配置による研究成果の最大化についてであります。

 専門職員には、先ほど採用の計画などもありましたけれども、無期と有期と採用することができると思いますけれども、この点についても、独法通則法の改正で、五年プラス五年間の最大延長が可能になっていると思います。

 この制度も活用して、今申し上げましたように、研究費については五年プラス二年、七年の契約ができる、それから、専門職員については五年プラス五年で最大十年の活用ができる、こうしたことも活用して、しっかりとこの推進費の成果を上げる、そういう考えもあるのかどうか、お伺いをしたいと思います。

三好政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生御指摘の国立研究開発法人は、たしか中長期目標期間が五年から七年まで可能になったという措置がされたということは承知をいたしているところでございます。

 この七年度の複数年度契約まで考えるかどうかという点でございますけれども、環境研究総合推進費は、環境政策への貢献を目的としておりまして、三年から五年ということでありますけれども、ある程度見通せる範囲で政策活用や実用化が期待できる応用研究や技術開発を念頭に課題を募集しているところでございます。ということで、現時点では、五年を超える研究課題の設定にはしておらないところでございます。

 ただ、三年とか五年ではなかなか一定の成果が得がたいというようなものにつきましては、例えば第一期、第二期というような形で、研究の継続性を維持しながら、適切な中間評価を入れながら研究を進めていくというようなことで工夫をしてまいりたいというふうに考えております。

 一方で、労働契約の特例に関しまして、先生御指摘のとおり、無期労働契約に転換する期間が五年から十年に延長されたと承知をいたしております。

 環境研究総合推進費の実施におきましては、一方では正規職員として活用していくということも念頭にございますので、それとの比較を含めまして、今先生御指摘いただきました制度の適用が適当であるのかどうか、あるいはそれが研究成果の最大化に資するかどうかにつきまして、今後研究をさせていただきたいというふうに考えているところでございます。

福田(昭)委員 私は、やはりすばらしいものを研究して、それを実用化するのには十年かかるんじゃないかなというふうに思っているんですね。例えば、山中教授のiPS細胞にしても、中村教授の青色ダイオードにしても、やはり十年かかっているんですね。ですから、そういう長いスパンで、長いといっても五年、十年ですけれども、やはりそうしたスパンでいいものを研究開発していく、そういう姿勢が必要だなというふうに思っておりますので、今まで評価が低かったようですが、ぜひこれを機会にいい成果を上げられるように頑張ってほしいなと思っています。

 それから三つ目は、これは先ほど玉城先生の質問にもありましたので、質問にしないで私の方からは要望だけにしておきたいと思いますが、研究費の適正な執行についてであります。

 今回の改正で研究費について格段に使いやすくなると思うんですけれども、しかし、そうした一方で、実は不正使用につながるおそれもあります。地方分権の流れの中で、要するに、細かい補助金から交付金になったという中で、結構、地方自治体がでたらめな使い方をしているのがたくさんあります。そういったことを考えると、これも、使いやすくなったけれども一方では不正も出てくる、こういう可能性もありますから、やはり、しっかりそこを監視するというか、そういう仕組みもしっかりつくって頑張ってほしいなというふうに思っております。

 それでは次に、栃木県の原発事故の被害状況についてであります。

 これからは、ぜひ、丸川大臣初め環境省の皆さん、あるいは環境委員会の皆さんに、栃木県がいかに原発事故の被害を受けていたかということを認識していただくために、少し細かくお話をして、聞かせていただきます。

 一つ目は、東京電力の損害賠償の基準及び対象についてであります。

 資料の一をごらんいただきたいと思います。

 これは、東京電力株式会社福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定等に関する指針であります。これを見ていただきますと、特に風評被害の欄を見ていただきますと、いかに広い地域で多くの被害があって、被害者に対して損害賠償金が支払われ、しかも、いまだにその賠償が終わっていないということを、丸川大臣、御存じですか。

丸川国務大臣 風評被害でいまだに、北関東、また、もちろん福島もでございますが、広い範囲においてこうした問題に取り組んでおられる皆様がいるということは承知をしております。私どももまた取り組みをしております。

福田(昭)委員 ぜひ御承知おきいただきたいと思いますが、栃木県は福島県に次いで放射性物質が飛散した土地であります。にもかかわらず、福島県民と差をつけられているというのも確かなことであります。それは、健康被害への対応や精神的損害への対応が大きなものがあります。

 那須町と那須塩原市の住民、七千人を超える方々が精神的損害への賠償を求めてADRで請求している、そういうこともございます。こうしたことも御存じでございますか。

丸川国務大臣 ADRをやっておられる方がいるというのは承知を申し上げておりますけれども、その詳細については存じ上げておりません。

福田(昭)委員 それほど、本当に、白河との県境を境にして差別をされている、そういう思いでこの方たちが請求をしているということも御理解をいただきたいと思います。まだ結果は出ておりません。

 二つ目は、県内の空間放射線量率の変化、航空機モニタリングについてであります。

 資料の二をごらんいただきたいと思います。

 これは三月十一日の地元の下野新聞の記事であります。ごらんのとおり、栃木県にも放射性物質が飛散をしましたが、三年四カ月で平均四〇%減少したとの報道であります。こうした事実を大臣は御存じでしょうか。

丸川国務大臣 航空機によるモニタリングによりまして、東京電力福島第一原子力発電所の事故の直後と比較をしまして、栃木県においても空間線量率が低下しているということが確認をされております。

福田(昭)委員 この表を見ますと、二〇一一年四月を一とすると、セシウム134と137による空間放射線量率の変化は、三年で約二分の一、九年で約四分の一、三十年で約七分の一になるそうでありますが、既に五年たっているわけですから、相当下がるということもよく理解できる話だと思います。

 次に、三つ目でありますが、資料の三をごらんいただきたいと思います。

 資料の三は「食品 十六品目出荷制限」というタイトルがついております。「シイタケ(原木)解除拡大」と書いておりますけれども、しかし実は、栃木県産の原木でのシイタケはいまだに出荷できません。遠く離れた県から購入した原木でやっと出荷ができているというのが今の現状であります。

 さらに、台湾、香港、中国、韓国、米国では、栃木県の食品を含めて最大十三県の日本食品がいまだに輸入停止になっていることは御存じですか。

丸川国務大臣 承知をしております。

福田(昭)委員 また、栃木県を含め七県、岩手、宮城、福島、茨城、栃木、群馬、千葉の内水面で、計十六の魚種が出荷制限とされております。

 栃木県の中禅寺湖ではヒメマスが激減をしており、ことしは県の水産試験場と国の水産総合研究センター、中禅寺湖漁業組合で、原因解明のため資源調査に乗り出すことを御存じですか。

丸川国務大臣 報道で拝見をいたしました。

福田(昭)委員 中禅寺湖は日光国立公園の中にある湖なんですけれども、環境省では何か支援するなんという考えはありませんか。

鎌形政府参考人 中禅寺湖、日光国立公園の中の湖と認識してございますけれども、今議員のおっしゃったような観点から支援していくということについては、まだ私どもはそういう検討には入っていないということでございます。

福田(昭)委員 日光にも環境省の出先機関もあるわけですから、ぜひ、農水省だけじゃなくて環境省も何らかのことをやはり考えるべきじゃないかなというふうに思っております。

 それでは次に、栃木県の指定廃棄物の放射線量の再測定等についてであります。

 資料の四をごらんください。

 一つ目の、県内の指定廃棄物の保管状況についてであります。これは塩谷町が作成したものであります。市と町の名前の下段の数字は全保管量で、上段の数字は農林業系副産物の保管量であります。

 塩谷町は、県全体の保管量一万三千七百五十七・二トンのうち、わずか二十二・八トン、〇・一六%しか保管しておりません。しかも、この農林系副産物は県内のよその町から購入したもので、塩谷町が詳細候補地に選定された二〇一四年七月三十日にはまだ指定廃棄物ではなく、二十二・八トンが指定されたのは二〇一四年十月三日でした。よその町から買ってこなければ指定廃棄物は全くなかった、ゼロだったのが実は塩谷町であります。

 この事実を大臣は御存じですか。

丸川国務大臣 御指摘の指定廃棄物二十二・八トンの件だと思いますが、これは平成二十五年の九月十八日付で指定申請があって、その後、現地の確認等を経て、平成二十六年の十月三日付で指定をさせていただいております。

 一方で、市町村長会議で数次に議論を重ねた上で確定をいたしました栃木県における選定手法によりますと、「安心等の地域の理解がより得られやすい地域を選定するための評価項目及び評価指標」におきまして、指定廃棄物の保管状況を評価項目の一つとしておりますが、この具体的な内容といたしましては、評価指標として、そのまま読み上げますが、「指定廃棄物の保管量(八千ベクレル・パー・キログラム超の未指定分を含む)」となっております。

 このことを踏まえまして、選定に当たっては、八千ベクレル・パー・キログラムを超える未指定の廃棄物も含めて評価を行ったところでございます。

福田(昭)委員 わかりました。それが言いわけですね。

 しかも、今いろいろ説明されましたが、栃木県の選定手順は、民主党政権時代のものとは実は大幅に変更されております。

 例えばですけれども、先日も言いましたけれども、河川との距離は全く評価しなくなりました。今回、塩谷町の上寺島の候補地はまさに荒川に隣接した土地であります。ですから、昨年の大雨で浸水して削られ、そして冠水をしたわけであります。そうした河川との距離は、今回は全く評価されなくなりました。

 さらに、保管量の重みは、今ありましたけれども、軽くされました。ですから、例えばでありますけれども、塩谷町の二十二・八トンと矢板市の二百八十二・六トン、これは全く、ほとんど差がつかないような点数のつけ方になっております。

 ですから、そういうこともありまして、まさに意図的に改悪された評価方法によって塩谷町が選ばれたということを御存じですか。

鎌形政府参考人 評価方法につきましては、市町村長会議で議論を積み重ねて確定させてまいりました。

 確かに、おっしゃるとおり、前に矢板市が選ばれたときと評価方法と点数のつけ方が異なるという部分はございますけれども、いずれにいたしましても、例えば水の問題でいいますれば、取水点からの距離というものを反映させるということで今回も考慮しているところでございまして、意図的というような御発言がございましたけれども、私どもはそのように考えてございません。

福田(昭)委員 そう言わざるを得ないんだと思いますが、しかし、事実が物語っておりますからね。

 さらに、候補地は高原山という自然豊かな水源地でありまして、環境省が名水百選を選びましたけれども、そこに実は見事な湧水があるんですね。これは時間の関係で質問しませんが、すばらしい湧水、尚仁沢湧水というのがありまして、多くの人たちが、塩谷町の人たちだけじゃなくて、県内外からこの水をくみに来ている、そういう一つの観光スポットにもなっているということを環境大臣にもぜひ御承知おきいただきたいと思います。

 次に、二つ目でありますが、塩谷町の詳細調査候補地の選定結果の返上についてであります。

 前回、大臣と何度もやりとりしましたが、改めて確認したいと思います。私の方の言い方も悪かったのかもしれませんが、改めて申し上げると、塩谷町は詳細調査候補地の選定結果を返上した、それでよろしいですか。

丸川国務大臣 私も、十二月七日に塩谷町からいただきました文書を確認させていただきました。ここには、「栃木県における指定廃棄物の処分場の候補地選定手法に基づく詳細調査候補地の選定結果を貴省に返上いたします。」とございました。

 この選定手法につきましては、知事及び県内の全ての市町長から成る市町村長会議における幾たびにもわたる議論を積み重ねて確定したものと理解をしております。この市町村長会議には、塩谷町長にも御出席をいただいたものと理解をしております。

 こうした選定の経緯は十分に尊重すべきものであり、選定結果の返上は受け入れがたいと考えております。

福田(昭)委員 大臣、市町村長会議というのはどんな会議ですか。何の権限もないですよ。どんな会議ですか。単なる任意団体ですよ。

鎌形政府参考人 市町村長会議は、今大臣からお答えがございましたとおり、全ての市町村長と、そして知事とが加わって議論を積み重ねる、そういう会議でございまして、ここでの数次にわたる議論を積み重ねた上で選定手法を環境省として確定した、そういう位置づけでございます。

福田(昭)委員 部長、何の権限もない任意の団体で、しかも、この委員会あるいは国会みたいに挙手で決めたわけでもない、賛成多数で決めたわけでもない、起立も挙手も何もない、こんな賛成か反対かの意思表示もしない、意思表示も求めない、そういう会議で決めたことが何の拘束力があるんですか。全く、環境省、ちょっととんでもない決め方をしているんですよ、これは。

 ですから、塩谷町の町長が賛成ですと言ったわけでも何でもない、任意の、何の権限もない、法的位置づけもない、そういう団体で決めたことを盾にして主張するというのはやめた方がいい。皆さんは法律に基づいて仕事をしているんだから、そういうことをやめるべきだということを申し上げておきたいと思います。

 そろそろ時間がなくなってきましたので、次の質問に入りますけれども、三つ目は、再測定の目的及び栃木県内の再測定の必要性についてであります。

 過日、宮城県からの申し出によって放射線量を測定して、その結果に基づき、他の四県の推計値を発表しましたが、再測定する目的は何ですか。

丸川国務大臣 指定廃棄物の放射能濃度の再測定は、現状をまず把握するということ、そして今後の方策を検討するという目的で実施をするものです。

 環境省としては、栃木県においても濃度の再測定を行うことといたしましたが、その時期や内容など詳細については県との相談を始めたところでございます。

福田(昭)委員 栃木県でも再測定することを決めたということだけれども、これはいつごろになるんですか。

丸川国務大臣 今まさに県との時期や内容の詳細についての相談を始めたところでございますので、今直ちにいつということは申し上げられません。

福田(昭)委員 報道によりますと、三月十六日に開催された第九回の指定廃棄物処分等有識者会議の中で一時保管の強化策が了承されたということのようでありますが、その中で、農林系は容量減少案も示したと報道されております。

 ついては、栃木県は、先ほど申し上げた量のうち、六〇・八七%を占める八千三百七十四・五トンと大量の農林系指定廃棄物があります。そういったことから考えると、それぞれ、宮城県で測定したときに相当放射線量が下がっているという事実もあるようでありますから、これはやはり栃木県の場合は急いで再測定をする必要があると思いますけれども、いかがですか。

鎌形政府参考人 今大臣からお答え申しましたとおり、栃木県につきましても再測定を実施するという方針でございますので、具体的な時期、方法についてまさに県と事務的に相談を詰めてさせていただきたいと思いますので、相談がまとまり次第、速やかに開始したいと思います。

福田(昭)委員 報道によりますと、どうも栃木県が再測定を余り求めないという報道もあるわけですが、栃木県が求めないと再測定しないんですか。それとも、県内のどこかの市町が、自治体が再測定を求めたら再測定するんですか。これはどうなんですか。

鎌形政府参考人 環境省といたしましては、再測定を栃木県においてもしていこう、こういう方針でございますので、その方針に従って県や市、町とも話していくということでございます。

 繰り返しになりますが、再測定は行っていくという方針でございます。

福田(昭)委員 ぜひ一日も早く再測定をして、やはり次の方法を考える、その材料をつくるということが大事だということを訴えて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

赤澤委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 おおさか維新の会の河野正美でございます。

 本日は、三十分の時間配分をいただきました。冒頭、委員長初め理事の皆様に感謝申し上げます。

 それでは、早速質問に入りますが、きょうは十人の質問者がおられまして、九番目ということで、重なっている質問も多々あるんじゃないかと思っておりますが、よろしくお願い申し上げます。

 まず、政府全体の科学技術関係予算を見ますと、平成十三年度以降、おおむね三兆五千億円前後で推移しています。我が国の成長戦略を考える上で、科学技術分野への研究投資は極めて重要だと考えますが、一方で、全体の金額自体に大きな変化は見られないというような状況です。

 このような現状を踏まえますと、政府は科学技術の重要性を訴え続けているのにもかかわらず予算自体が大きくふえていないということは、一見矛盾するんじゃないかと感じられるところでございます。政府の見解を伺いたいと思います。

中西政府参考人 お答え申し上げます。

 科学技術関係の予算につきましては、科学技術基本計画の中で、政府関係の投資金額目標というのを掲げております。それに基づいてその確保に鋭意努めてきたところでございまして、もちろん年度によって多少のばらつきはございますけれども、これまで、第二期から第四期の科学技術基本計画の期間中、その累計の金額を比べますと、毎期ごとに予算の総額というのは確実にふえてきているというふうな状況でございます。

 さらに、この一月に閣議決定をさせていただきましたけれども、第五期の科学技術基本計画、こちらの中でも、五年間の投資総額の目標といたしまして、第四期では二十五兆円というふうなものが、第五期の中では二十六兆円というふうな目標値を掲げております。

 我々といたしましても、この目標達成に向けまして、鋭意各省と協力しながら頑張っていきたいと思ってございます。

河野(正)委員 一方で、平成二十一年度、二十四年度は一兆円を超える補正予算がつけられております。単年度で急激に予算がふえると、予算の内容よりも、予算を消化すること自体が目的になりかねないというふうに危惧をするわけでございます。

 この二回の補正予算はどのような科学技術研究に使われて、どういった成果を上げたのか、政府の認識を伺いたいと思います。

中西政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十一年度の補正予算につきましては、最先端研究開発支援プログラム、我々はFIRSTと呼んでおりますけれども、そういったプログラムや、耐震化や老朽化といったものに対しまして、先端的・基盤的教育研究施設・設備の整備というふうな事項につきまして予算を措置してございます。

 先ほど申し上げましたFIRSTというプログラムの成果につきましては、事業終了後に行われました事後評価という中では、多くの課題につきまして世界の最先端をリードする成果が得られているというふうに認識してございまして、例えば、平成二十四年にノーベル生理学・医学賞を受賞されました山中先生の研究成果等々の、先駆けたそういった成果がちゃんとできているというのがございます。

 平成二十四年度の補正予算につきましては、まさに東日本大震災に伴います復興・防災対策という位置づけで、例えば、国公私立学校の施設の耐震化、老朽化対策といった話であるとか、海洋、宇宙のフロンティアのさらなる開拓、そういったものに予算を措置しております。

 例えば、宇宙、海洋関係のフロンティアのさらなる開拓というプログラムの中では、具体的な成果といたしまして、陸域観測技術衛星二号といったものを整備しておりまして、その成果につきましては、例えば、観測データを用いた防災機関による解析結果が、気象庁のいろいろな、例えば噴火警戒レベルの判断とか自治体の立ち入り規制の判断といったものに具体的に活用されているというふうに聞いてございます。

河野(正)委員 厳しい財政状況の中で予算がつけられているわけでございますので、しっかりとそういった検証もしていっていただきたいと思いますし、なかなか、科学技術はすぐに成果を求めても厳しいものもありますが、ちゃんとそれが成果になるように、使いやすい制度にしていただきたいと思います。

 今回審議する法案が対象とする環境研究総合推進費は、競争的資金と位置づけられております。

 この競争的資金は、平成十八年に閣議決定された第三期科学技術基本計画において、資源配分主体が広く研究開発課題等を募り、提案された課題の中から、専門家を含む複数の者による科学的、技術的な観点を中心とした評価に基づいて実施すべき課題を採択し、研究者等に配分する研究開発資金というふうに位置づけられております。その上で、引き続き拡充を目指すとされております。

 そこで、競争的資金の予算額を見てみますと、閣議決定された平成十七年度の当初予算は四千六百七十二億円でしたが、平成二十一年度には四千九百十三億円にふえています。しかし、その後は減少が続き、平成二十七年度は四千二百十三億円となっていて、引き続き拡充とは言いがたいのではないかという数字になっています。

 研究者にとって研究費の選択の幅や自由度が広がるという大きなメリットがある仕組みではありますが、この間の競争的資金の予算額の推移を踏まえて、政府の科学技術関係予算における競争的資金についての考え方と、今後の方向性を伺いたいと思います。

中西政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、競争的資金と申しますのは、我が国におきます研究開発の多様性というものを確保しながら、競争的な研究開発環境の形成というものに資するものだというふうに認識してございます。

 競争的資金の予算規模につきましては、平成二十一年度四千九百十三億円をピークに減少傾向でございました。しかしながら、平成二十六年度からは増加傾向に転じているというふうな状況になっているというのが現状でございます。

 また、現在、二十七年四月現在では、九府省庁で十九制度がございます。この競争的資金の制度につきましては、関係府省で執行に関する指針といったものをつくっておりまして、使い勝手がいいような制度に投資的な対応を実施するといった努力もしてございます。

 いずれにしましても、引き続き、我々としては、そういうふうな形で研究環境の向上のために努力していきたいと思ってございます。

河野(正)委員 委員会室、かなり人が少なくて、定数割れぎりぎりの状況か、微妙なところじゃないかなと思います。ぜひしっかりと最後まで審議を続けたいと思いますので、各党の方々、よろしくお願いしたいと思います。

 環境研究総合推進費は、環境省が持つ唯一の競争的資金となっております。ただ、研究者が自由にテーマを設定できるわけではなく、環境省自身が必要とする研究テーマ、行政ニーズを提示して公募を行い、研究者からの提案を審査し、採択するという形となっております。

 研究者にとっては環境省によって研究の幅が狭められているというようにも思いますが、このような手法をとっている意図について、環境省の見解を伺いたいと思います。

三好政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生御指摘の推進費でございますけれども、環境省の方から行政ニーズを提示することといたしております。これは、推進費の位置づけが、環境政策への貢献を目的とする競争的資金ということでございまして、そういった趣旨から、環境行政にとって必要な研究課題を採択、実施してきているものでございます。

 他方で、例えば科学研究費補助金、科研費と言われるものにつきましては、その趣旨が、研究者の自由な発想に基づく学術研究を発展させるという目的というふうに承知をいたしておりまして、私どもの推進費とはそういう資金を設けられた趣旨が異なることから、扱いが違っているのではないかというふうに考えているところでございます。

河野(正)委員 毎年、環境省が提示される行政ニーズの策定に当たっては、中央環境審議会から答申された「環境研究・環境技術開発の推進戦略について」を踏まえて、環境省内の各部局、地方自治体から国の施策として実施すべき研究開発テーマ、行政ニーズの案を募集し、それらの案の中から、行政としての優先度、環境政策の推進にとって不可欠な科学的知見の集積、技術開発の促進に合致するものを外部専門家も審議した上で決定していくと聞いております。

 このような作業をとることで、政策課題を毎年掘り起こし、対応できるメリットがあると感じる一方で、時の流行に乗ったテーマや大きな話題になった問題に注目が集中することによって、中長期的な政策課題に安定して取り組んでいくことがやりにくくなるといったデメリットも生じるのではないかと推察をいたします。

 提示する行政ニーズについて、短期的課題と長期的課題とのバランスのとり方を初めとして、どのような方針で取り組んでおられるのか、環境省の見解を伺いたいと思います。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御紹介いただきましたプロセスで行政ニーズを提示させていただいておりまして、ここは、先生の方から御紹介もありましたとおり、いわゆる環境研究、技術開発の推進戦略は五年ということでローリングをさせておりまして、そういう意味で、やや中期的な観点からの必要なものということでございます。それを踏まえた上で年々の課題を改めて検討して提示するということで、毎年毎年、何か重点が変わっていくというようなことを意図して運用しているものではないところでございます。

 また、実際上も、行政ニーズに関しましては、PM二・五への対応など直面する環境問題の解決といったものから、国際交渉や国際的な政府間パネル等への科学技術的な側面からの支援、あるいは諸外国との環境政策や研究開発の協力関係の構築といった中長期的なものまでございまして、研究期間も三年から五年ということで、さまざまな幅の中で適切な運用に努めてまいりたいと考えているところでございます。

河野(正)委員 研究の審査のプロセスについてお尋ねをしたいと思います。

 環境省が示した行政ニーズを見ながら研究者は公募に応じることとなりますが、その公募の審査には二つの段階があります。書面による一次審査、ヒアリングによる二次審査というふうになっております。

 例年、どのくらいの提案が寄せられ、審査の公募の状況、それぞれの審査がどのような結果になるかを教えていただきたいと思います。

三好政府参考人 平成二十六年秋に実施いたしました平成二十七年度新規研究課題の公募に関しまして、先生御指摘の点につきましてお答え申し上げたいと思います。

 まず第一段階、研究者からの応募のあった研究課題は二百五十でございます。書面審査を経過いたしました課題が百十六課題ということでございまして、ヒアリング審査に進んでおります。ヒアリング審査を受けました百十六課題に対しまして、六十九課題が最終的に採択されているところでございます。以上によりまして、平成二十七年度の新規研究課題への応募に対する採択率は二七・六%ということになっているところでございます。

河野(正)委員 二次審査では、一次審査を通過した研究者が環境省に出向き、ヒアリングを通じて、今おっしゃったように、その採択の可否が判断されるということで、約二百五十件の応募に対して二七・六%が採択されるということでございます。

 地方で研究に取り組んでいる研究者にとって、このヒアリングのために自費で東京に出向いてくる、その時間と費用は決して無視できるものではなく、厳しいものだと思います。さまざまな競争的資金の公募に応じるべく積極的に取り組めば取り組むほど、その負担はかさんでいくことになりかねません。さりとて、ヒアリングのための交通費を支給するのも、事業を運営する側にとっては極めて大きな負担になってしまうと思います。

 政府を挙げて、東京への一極集中の是正、地方創生に取り組んでいる中で、地方での研究活動をしやすくすることで、地方の研究開発力をより高めることが可能になるはずだと思います。例えばヒアリングをビデオ会議で行う、こういったことをすれば、地方も東京と同じ土台に立って評価を受けることが可能になるのかなと思います。

 地方で活躍する研究者の立場から、より公募、審査のプロセスを工夫できるのではないかと考えますが、こういった地方で頑張っておられる研究者の方々を採択しやすい制度というのをどのように考えているか、伺いたいと思います。

三好政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生御指摘をいただいたとおり、ヒアリングでは東京の審査会に御出席をいただくということになっておりまして、地方の研究者の方には一定程度以上の負担をおかけしているというふうには認識をいたしております。

 ただ、ヒアリング自体は、やはりしっかりした研究成果を上げていく上で重要でございまして、その重要性についてはぜひ御理解を賜ればというふうに考えているところでございます。

 なお、先生の御指摘のテレビ会議ということにつきましても、含めまして、例えば、研究内容を把握しておられる東京近傍の共同研究者の方によるヒアリング審査への代理出席等、そのような柔軟な運用ができないかの工夫については、少しお時間をいただいて検討させていただければというふうに考えているところでございます。

河野(正)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、そういう柔軟な対策を考えていただいて、地方の研究者がしっかりと持ち場を離れずに研究ができる、さらに、そういった予算等々もついていくようなシステムを構築していただきたいなと思います。

 私も、大学院で勉強させていただいた経験がありますけれども、本来、研究が専門で、白衣を着て実験室にいて、しっかりと我が国の科学振興あるいは環境問題のために汗を流すべき方々が、研究費獲得や許認可申請などのために、なれないネクタイを締めて、スーツ姿で霞が関を歩き回らなければいけないというお話も耳にしたことがあります。時として、応募をする担当官庁が定まらず、たらい回しのようになって、本当に、まさに汗して歩き回って、研究の持ち場を離れて、そういったことに労力を費やさなければいけないという声も聞いております。

 地方で頑張る研究者が少しでも研究に専念できる体制づくりを念頭に置いていただきたいと思います。

 さて、決して恵まれた研究環境になく、待遇面でも厳しい状況に置かれがちな若手の研究者にとって、環境研究総合推進費のような競争的資金は挑戦しやすいものであるかというように思います。ある程度野心的な研究課題であっても、前向きに評価することで研究の機会を提供していくことも重要ではないでしょうか。

 事前審査では、必要性、効率性、有効性、経費の妥当性といった点を評価されると聞いております。若手の研究者からの提案を少し優遇するといった形などによって一定の評価がなされるような仕組みは考えられているでしょうか。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 環境研究総合推進費におきましては、いわゆる若手枠といいますか、四十歳以下の若手研究者のみが応募できる枠を設けさせていただいておりまして、課題採択時の審査におきまして、先生も今御指摘をいただきました、若手らしい独創的な研究を優遇することとしているところでございます。

 今後、そういったことも含めまして、若手の研究者の方が参画しやすいような運営に努めてまいりたいというふうに考えております。

河野(正)委員 また、提案のあった研究について、例えば、単体では難しいけれども、別の研究提案とコラボレーションすればより評価の高い研究になるといったものもあるかというふうに思います。このように、提案された研究同士を結びつけるような取り組みがなされていたのかどうか。産官学民、それぞれの研究課題、問題意識を結びつけることで新たな価値ある研究を生み出していく、国の研究においてそのような役割も期待できると考えますが、見解を伺いたいと思います。

三好政府参考人 これまでの推進費におきます環境研究の実際といたしましては、複数の研究者が研究を分担して、共同で一つの研究課題として応募されてくる事例は数多く見受けられるところでございます。

 他方で、先生が御指摘の、単独で応募してきた者につきまして、環境省側から共同研究をコーディネートするような機能は従来果たしてきていなかったところでございます。どのようなやり方があるのか、ちょっと研究をさせていただければというふうに考えております。

河野(正)委員 独立行政法人環境再生保全機構への移管について伺いたいと思います。

 平成二十年に制定された研究開発力強化法では、公募型研究開発の効率的推進を図るために、可能な限り、独立行政法人に移管するものとされていたと思います。それから八年近くたちましたが、ようやく今回法案が提出されたということで、なぜこのように時間を要したのかをお示しください。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御紹介いただきました研究開発力強化法におきましては、独立行政法人に移管することが公募型研究開発の効率的推進に資すると認めるときは、可能な限り、これを移管するものとするとされておりまして、特段の事情がない限り、独立行政法人に移管されていくものと承知をいたしております。

 環境省でございますけれども、平成二十年度以降でございますけれども、平成二十二年度から二十三年度にかけまして、それまで三つございました競争的資金を環境研究総合推進費として整理統合しておりまして、それから、研究者にとって使いやすい制度となるように運用改善などを行いまして、移管に向けた体制の整備を行ってきたところでございます。

 一方で、平成二十四年度から二十六年度にかけましては、平成二十三年三月に起きました東日本大震災における被災地の早期復興にとって不可欠な科学的知見の集積及び技術開発を推進するために、被災地域の復旧復興及び被災者の暮らしの再生のための施策への貢献を要件とする復興枠による研究を実施し、復興に係る研究を優先して取り組む必要があるということで、そちらの方に専念をしたところでございまして、今回、そのような取り組みのさまざまな整理もつきましたので、本法律改正をお願いさせていただいたところでございます。

河野(正)委員 東日本大震災からもう既に五年が経過しておりますので、しっかりとスピード感を持ってやっていただきたいなと思います。

 ところで、財務省がまとめました平成二十八年度予算執行調査反映状況調査によれば、今回の移管によって配分業務等の効率化も図られ、人件費の見直しによって予算額も縮減されたというふうに聞いております。どの程度の縮減になったのか、具体的にお答えいただきたいと思います。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の財務省の予算執行調査でございますけれども、ここでは、配分機関の独立行政法人への変更と独立行政法人に対する交付金化が求められたものでございます。

 その中で、予算の縮減にかかわる部分でございますけれども、平成二十八年十月より、新規課題公募にかかわる業務を環境再生保全機構へ移管することによりまして、環境省における公募、事前審査に係る業務がなくなるという観点からの予算額の見直しを行ったものでございます。

 具体的な反映額といたしましては、二十七年度予算額の中で四千百万円ということになっているところでございます。

河野(正)委員 独立行政法人環境再生保全機構は、もともと、旧公害健康被害補償予防協会、旧環境事業団の業務を継承し設立した団体かと思います。大気汚染や石綿による公害の健康被害の補償や救済、PCB廃棄物処理の助成制度などを中心に取り組んでこられたものと思います。

 今回移管される研究資金の配分業務を専門に行ってきたわけではないように思われますが、なぜこの機構に移行することになったのか、お伺いいたしたいと思います。

三好政府参考人 今回、公募型の研究開発の資金配分業務を環境再生保全機構へ移管したいということでございますけれども、幾つか要件があろうかと思いますけれども、環境の保全に関する事務や事業に関し一定の知見があること、それから、資金の配分業務を行うノウハウがあることなどの条件を満たすことが必要ではないかというふうに考えているところでございます。

 機構は、環境分野における政策を専門に実施しております唯一の独立行政法人でございまして、今先生御指摘いただきました公害健康被害の補償業務その他の業務に取り組んできておりまして、環境の保全に関する事務や事業に関し一定の知見を有しているところでございます。

 また、地球環境基金事業ということで、NPOやNGOの環境保全活動を支援してまいりまして、資金配分業務に関しましては、安定的、効率的な運営をしてきた実績があるところでございます。

 今回移管をした暁には、研究のマネジメントにつきましては、専門の職員を配置させていただきまして、そのあたりの専門的な知見を補いながら、機構において効率的、効果的な資金の配分業務に当たらせたいというふうに考えているところでございます。

河野(正)委員 時間もありませんので、質問を割愛させていただいて、環境研究総合推進費の政策への応用について伺いたいと思います。

 採択された研究課題を見ますと、リスクコミュニケーションや合意形成手法といったものがございます。環境省はかねてから、さまざまな廃棄物処分場の立地問題などの紛争の調停であるとか合意形成にも力を注いでこられたものと思います。さらに、東日本大震災以降は、震災瓦れきの処理や放射能で汚染された廃棄物の処理、その貯蔵施設などの立地、抱える問題がさらに複雑さを増して、大変な業務を担われているものと思います。

 いろいろな問題があると思いますが、なぜこれほど事業が進まないのか、これまで環境省が培ってきたノウハウでなかなか乗り越えられないということなのか。こういったことについて原因をどのように分析されているのか、環境省の認識を伺いたいと思います。

鎌形政府参考人 指定廃棄物の長期管理施設の立地に関することでお答え申し上げたいと思います。

 まず、地元との合意形成は大切なことでございますけれども、その前提といたしまして、私ども環境省といたしましては、施設の安全性等の技術的事項についてはしっかりと有識者会議で議論を重ねて、科学的、技術的に安全な施設になるよう万全を期すということに取り組んでおります。

 また、各県ごとの合意形成の場として、各県ごとに知事、県内全ての市町村長が出席する市町村長会議で候補地の選定手法などについてたび重なる議論を進めるということで、地元の皆様の合意形成を図りつつ取り組みを進めるという方針でやってきてございます。

 ただ、指定廃棄物は放射性物質を含むということから、通常の廃棄物以上に周辺の方々が不安を抱かれる、こういった事情がございます。こういったことでございまして、この御理解を得るための努力を続けているというところでございます。

 一朝一夕に解決する課題ではございませんが、御地元の御理解をいただけるように、科学的な安全性の御説明はもとより、住民の不安に寄り添う形で丁寧に対話を重ねて、御懸念、御不安の解消に努めてまいりたいと考えております。

河野(正)委員 最後に、丸川大臣に伺いたいと思います。

 リスクコミュニケーションの観点から、環境省はこれまでさまざまな努力を重ねてこられたことと思います。放射線による健康影響調査を初め、一つ一つデータを集め、分析して、事実の発見に取り組んでこられたものと思います。大変なお仕事をされてきたというふうに認識をしております。

 そうして積み重ねてきたデータを国民に対し明らかにしながら、国民の理解を得るように努めていかなければならないのではないかと思います。

 丸川大臣御自身が環境省のこれまでのさまざまな取り組みをしっかりと把握していただいて、環境研究総合推進費による研究成果などこれまで真摯に取り組まれてきた、繰り返しますが、さまざまな蓄積情報を活用して環境政策に取り組んでいただきたいというふうに考えるわけでありますが、丸川大臣の思いを伺いまして、質問を終わりたいと思います。

丸川国務大臣 福島県におきましては、これまで、環境研究総合推進費を活用いたしまして気候変動からさまざまな分野にわたる研究の蓄積を行ってまいりましたけれども、事被災地に対しましては、放射性物質の動態解明と汚染土壌等の除染など行政ニーズを踏まえた各種研究を推進してきております。

 さらに、ことし四月に開設をされます福島県の環境創造センターには国立環境研究所の福島支部が置かれます。ここにおいて、地元と密着した共同研究を福島県また日本原子力研究開発機構と連携をした中で展開していくこととしております。

 被災された皆様のお気持ちをしっかりと受けとめまして、このような研究成果を活用しつつ除染等の対策を実施し、福島を初めとする被災地の復興のために全力を尽くす覚悟でございます。

河野(正)委員 それでは、私の質問を終わります。ありがとうございました。

赤澤委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 環境再生保全機構の改正案について質問をいたします。

 本法律案は、環境研究総合推進費に関する業務を独立行政法人環境再生保全機構に移管をするものです。

 環境省にお尋ねしますが、この環境再生保全機構の主な業務が何かについて、まず教えていただけますか。

三好政府参考人 環境再生保全機構の主な業務でございますけれども、機構は、良好な環境の創出その他の環境の保全を図ることを目的といたしておりまして、例えば、公害健康被害の補償等に関する法律に基づく公害健康被害補償業務、民間団体が行う環境保全に関する活動を支援する助成事業及び振興事業、石綿による健康被害の救済に関する法律に基づく石綿健康被害救済業務などの業務を行ってきているところでございます。

塩川委員 環境再生保全機構は、公害健康被害補償法や、また、石綿救済法などに基づいて、大気汚染や石綿健康被害等に対する補償のための資金の徴収や補償給付の配分等を行う実務機関であります。

 こういう重要な業務を担う機構でありますが、主務官庁である環境省は、独立行政法人の機構に対して中期目標を示し、それに基づき機構が中期計画をつくることになっています。

 この点で環境省に確認をしたいんですが、政府は、機構を含む独立行政法人全体について、独立行政法人改革等に関する基本的な方針の中で、法人に対し、国から交付される運営費交付金を適切かつ効率的に使用する責務を課し、主務大臣が中期目標において効率化目標を指示することを定めています。機構の中期計画では、業務運営の効率化として、計画的に経費等の縮減が求められ、国から交付される運営費交付金などの計画的な削減が規定をされています。

 中期目標、中期計画、こういうふうになっていると思うんですが、それでよろしいですか。

三好政府参考人 先生御指摘のとおり、中期目標におきまして削減の目標を示し、その達成を求めているという状況でございます。

塩川委員 そこで、幾つか具体的な話でお聞きしたいんですが、第二期の中期計画、今第三期ですが、その前の第二期の中期計画が、二〇〇九年度、平成二十一年度から二〇一三年度、平成二十五年度の五年間でありました。この第二期中期計画における業務運営の効率化の数値目標とその実績を三つに区分して、一般管理費と業務経費とそれから人件費に分けてそれぞれ説明していただけますか。

三好政府参考人 先生御指摘の独立行政法人環境再生保全機構の第二期中期計画における業務運営の効率化の数値目標でございますけれども、まず、一般管理費につきましては、平成二十年度比で一五%を上回る削減、業務経費につきましては、同比五%を上回る削減とされておりました。

 平成二十五年度の実績でございますけれども、一般管理費で二二・九%、業務経費で二九・一%ということでございます。三つに区分ということで、人件費についてのお尋ねがございましたけれども、人件費に関しましては人員数による指標を掲げております。削減率といたしましては、九・〇九%の削減率を達成したところでございます。

塩川委員 この五年間で、一般管理費は二割以上、業務経費は三割という大幅な削減であります。人件費については九・〇九%というお話でありますが、これは二〇〇六年から始まりました行革推進法に基づいて、非常に大きな純減を求められるということで、そういう中で強いられた削減でもあったわけであります。

 続けて、今現在の第三期の中期計画でありますけれども、二〇一四年度から一八年度の第三期中期計画に基づいて、一般管理費及び業務経費の削減目標は幾つか、人件費についての削減の目標がどうなっているのか、この点について確認をしたい。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 第三期中期計画でございますけれども、一般管理費でございますけれども、人件費を除きましてその削減率は、初年度の平成二十六年度比六・五%を上回る削減、業務経費、これも人件費を除きまして、における削減率は、同比四%を上回る削減とされているところでございます。

 平成二十六年度予算における運営費交付金十六・九億円のうち、業務経費は十三・八億円、一般管理費は三・一億円でございまして、そのうちの人件費は六・一億円ということでございます。

塩川委員 一般管理費は六・五%を上回る削減、業務経費は四%を上回る削減という目標があり、人件費についての直接の言及はありませんでした。

 人件費は、私が伺っているところでいえば、運営費交付金とまた各勘定の経費、その双方から充てられているということで、運営費交付金における扱いについて、係数がどうなっているかとかわかりますか。

三好政府参考人 ちょっと今手元に資料が十分ではないのでございますけれども、これまでの機構の人員数の計数ということで申し上げますと、平成十八年度の機構の人員数が百五十六名であったものに対しまして、平成二十七年度の人員数は百四十名ということになっておりまして、十六名の減員ということになっている状況でございます。

塩川委員 今直接のお答えはありませんでしたが、人数という点でいえば今お話しのとおりのところで、石綿に係る業務が加わりました二〇〇六年四月時点の常勤職員数が百五十六人で、直近の昨年の二〇一五年四月で百四十人ということですから、やはり一割を超える削減であります。もともと世帯が大きくありませんから、そういう中でのやりくりを考えても、一割を超えるような削減というのがこういう短期間で行われるというのは大変大きな業務への支障が出るのではないかという懸念を強く思うところであります。

 それと一体に、一般管理費や業務経費についても、削減についての係数がかかって、削減目標に沿った対応が行われているということは、なかなか実態としても厳しいものがあると受けとめております。

 それで、第三期中期計画においての常勤職員数については、機構はどういうふうにそれぞれ示しているんでしょうか。

三好政府参考人 第三期に関してでございますけれども、現在、第三期の中期目標上の定員といたしましては百四十名ということでございますけれども、今般の法改正をお認めいただけましたら業務が追加になりますので、若干名の増員を予定しているところでございます。

 今後、その目標上の定員をどうするかということに関しましては、法改正成立後、それを踏まえまして、中期目標の改正とあわせまして検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。

塩川委員 今答弁ありましたように、中期計画、期初、期末、百四十人ということで常勤職員数は変わらないということで、ただ、今回の業務の追加がありますので若干名の増員を予定している、それは中期目標を書きかえるという形での対応というお答えでありました。

 もともと全体としてこの間一割以上削ってきて、それだけで常勤職員をふやす計画になっていないというところで、若干名ふやすという話でしたけれども、具体的に、環境省から推進費の配分業務が機構に移管されるのに伴って機構の人員配置はどういうふうになるのかについても、もう少し説明していただけますか。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 機構におきましては、今回の推進費の配分業務が移行いたしましたら、新たに室を設けまして、追加業務に係る事務を実施する予定といたしておるところでございます。

 新規増員と機構内での配置がえということをあわせて措置するわけでございますけれども、当面、五名程度でその室は発足させたいというか予定と聞いているところでございまして、引き続き機構と実質的な業務に支障が出ないように相談をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

塩川委員 五名程度で室を新たに設けるということで、新規増員と機構内での配置がえというお話でしたけれども、それぞれ、新規の増員は何人で、機構内の配置がえは何人なんですか。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 新規の増員に関しましては、研究の指導とか監督をする専門的な知識を有する人間を二名程度増員したいというふうに考えているところでございまして、それ以外の、資金の配分等に関しましては、既存の業務の中からの配置転換等で確保したいというふうに考えているところでございます。

塩川委員 そうすると、五引く二で、機構内の配置がえは三人ということでよろしいんでしょうかね。

三好政府参考人 先生おっしゃるとおり、三名の配置がえということを進める予定というふうに承知をいたしております。

塩川委員 大臣にお尋ねいたします。

 もともと、機構におきまして、多様な、特に公害患者の方にかかわるような重要な業務を担っておられる。そういったときに、さまざまな、効率化というかけ声のもとで一般管理費や業務経費の削減が続き、人件費について、別枠でということであっても、二〇〇六年以降の行革推進法に基づく純減ですとか、それ以降についても実際に減らされてきているところであります。

 そういったときに、新たな業務が追加をされる、そういうことの際に、もちろんその業務に必要な新規採用というのがあるでしょう。ただ、機構内での配置がえでも担当するということになると、今でさえ非常に業務として詰まってきているときに機構内の配置がえで対応するということになると、これまでの機構の業務にしわ寄せが出るんじゃないのかという懸念というのを覚えるわけですけれども、この点については大臣はどのように受けとめておられますか。

丸川国務大臣 新たに追加をいたします研究開発関係の業務につきましては、今先生御指摘いただきましたとおり、機構の既存の業務から人員を割り当てることも検討しておりますけれども、これはまず、その業務の状況がそれを許すかどうかということであるとか、あるいは事務処理の効率化を図って、それを踏まえた上で配置がえを行っていくものでございまして、既存業務の質を低下させるものにならないようにすると理解をしております。

 また、今般新たに研究開発関係の業務を追加することにしていることが、これまで取り組んできた重要な業務、公害補償業務や石綿救済業務の重要性を下げるものではないのでありまして、今後とも引き続きしっかりと取り組まれるように環境省としてもしっかりと関与をしてまいります。

塩川委員 大気汚染公害、ぜんそく患者の方ですとか、アスベスト、石綿の健康被害の方、そういう方々にとってみても、さまざまな補償にかかわるような業務、予防事業についても要望も寄せられているわけですよね。率直に言って、現状についても、今の体制について十分とは言えないという声をいただいているわけなんです。

 石綿健康被害に取り組む市民団体の方にお話をお聞きしますと、私たちとしては機構の体制の強化が必要だと考えている、石綿健康被害に対する補償業務に当たっては被害者の立場に立った丁寧な姿勢が必要だけれども、現状の機構ではそれが十分にできているとは言えない、例えば、高齢の被害者の方が必要な書類を集めるのは大変なことだけれども、被害者の方からは、機構に電話で相談したけれども、対応が冷たくてどうしたらいいのかわからない、そういう相談が来ると。以前は申請から認定まで二カ月で結果が出ていたが、今は長いと半年を超える、認定の前に亡くなる方も多い、体制の強化が必要だということを訴えておられました。

 これまでも、現行においても、機構の業務の体制強化こそ求められていたのに、運営費交付金の削減目標がかかっていることに加えて、こういった新たな業務の追加で、そこに人員の配置がえも行わざるを得ない。そうすると、これまでのこういった公害患者の方に対する支援業務がさらに後退することになるんじゃないかというのが率直な声なんですが、どう受けとめておられますか。

丸川国務大臣 まずもって、被害者の皆様の立場に寄り添っていくということは、省においても、またこの機構においても重要なことであるという認識をしております。

 その上で、今先生が御指摘いただいたようなことについて、あるかないかということを事実関係も含めてきちんと現場の声を聞きながら、業務がどの程度効率化できて、またどのような状況にあるのかということをしっかり把握しながら、新しい業務に対応できるような体制を構築してまいりたいと存じます。

塩川委員 そういう事実はあるわけで、支援業務がさらに後退することになりかねないという懸念を拭えないということは申し上げておくものです。

 石綿健康被害やぜんそくなどの公害被害は深刻であり、その解決、予防への対策の拡充こそ求められているにもかかわらず、機構に推進費の配分業務が追加をされることで、人員面でも財政面でも公害健康被害対策が後退することになりかねないということを指摘するものであります。

 そこで、そもそも機構においてやはりこういった取り組みをやってほしいという声も寄せられているんですけれども、公害健康被害の予防事業における調査研究などですね。

 例えば、ぜんそく公害患者の会の方のお話を聞くと、機構にはぜひぜんそく患者の実態調査を行ってほしい、全国のぜんそく患者数というのは二百万人とも言われているけれども、これは厚労省が行ったサンプル調査に基づく大ざっぱな数字でしかないんだ、医師会に問い合わせるなどして実態調査を行って、ぜんそくの被害状況を正確につかんでほしい、こういう要望も出されております。

 ですから、こういった要望も踏まえた公害健康被害予防事業の調査研究、調査の対象としてこういうものもぜひ実施をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

三好政府参考人 公害健康被害の予防事業ということで、大気汚染の影響による健康被害の予防に寄与するような、ぜんそく等に対する対策や住民の健康確保に関する目的に関する事業を実施させていただいているところでございます。

 どのような事業が患者の皆様のニーズに合っているかということにつきましては、引き続きしっかりと検討し、適切な対応を図れるようにしてまいりたいというふうに考えております。

塩川委員 また、要望として、この前も石炭火力発電の質問をいたしましたけれども、石炭火発の新設計画というのが地域住民の方に十分な情報発信も行われないまま進んでいる、大気汚染の懸念や大量の温水を流すことによる周辺の水環境や農業への影響も心配をされる、一般的には日本の大気汚染は既に解決済みだと考えられているが、実際は石炭火力や車の排ガスの問題というのは依然未解決のままであり、そうした研究、情報発信を機構にはやってほしいという声も寄せられているところです。こういうのもぜひ受けとめていただきたいと思います。

 しかし、中期計画を見ると、公害健康被害予防事業の調査研究費総額を平成二十四年度比で一〇%以上削減するということも書かれているわけですね。そういう点でも、調査研究に当たっての公害患者の皆さんの声と逆行するんじゃないのかと率直に言って思いますけれども、この点についてはいかがですか。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 公害健康被害予防事業の調査研究費でございますけれども、平成二十四年度の実績では一億三千四百万が、平成二十六年度実績では八千百万円。第三期中期計画の期末における見込み額は八千百万円ということでございます。

 削減の理由でございますけれども、公害健康被害予防事業の原資でございますけれども、これは基金の運用益の収益を見込んでいるところでございまして、昨今の金利情勢の観点から減収していくトレンドにあるということで、調査研究費につきましても、公害健康被害予防事業の中ということでございますので、重点化を図りつつ削減をしていく必要があるという状況にあるということでございます。

塩川委員 やはり必要な事業はしっかりと手当てをしていくということが必要で、そもそも、大臣、お尋ねしますが、この独法に対して中期目標を主務大臣がお決めになって、それに基づき法人が中期計画を立てるといった際に、どうしても、効率化という形での指標を設けることによって、この五年間におけるさまざまな数字を示すことで、実際に業務の執行に係る経費が削られていくというのが実態であります。

 私は、やはり、こういった一律なやり方というのはおかしいという点でも、改めて、こういった中期目標、中期計画で効率化の名のもとに経費を削減するようなやり方そのものを改める必要があるんじゃないのか、このように考えますが、大臣はいかがですか。

丸川国務大臣 国の財政状況が大変厳しい中で、政府全体として取り組みをすべしということでそのような手続になっておるわけでございますが、一方で、競争的資金が運営費交付金として措置されているほかの独立行政法人においては、競争的資金については一律の削減対象とせずに、研究開発予算として必要な予算を確保されるものと承知をしておりますので、少なくとも、この研究開発予算ということについては、きちんと必要な予算の確保に努めてまいりたいと思いますし、業務の効率化において、重要な業務が人手が足りないということにならないように、これからもしっかりと目を光らせてまいりたいと存じます。

塩川委員 運営費交付金に当たっての研究開発費は、この後でまた質問もいたしますけれども、いや、研究開発費は削らないからいいという話にならないわけですよ、必要な一般管理費や業務経費をもう削っているわけですから。人件費についても、結局、キャップを決めた上で、実際に仕事がふえたとしても中で人員のやりくりをしてくれと。言うなれば、もうしわ寄せが来るのは明らかじゃないですか。

 そういったキャップをはめるようなやり方がおかしいんじゃないのか、そういうのは、やはり、業務の重要さを考えるのであれば、見直しを求めるということが主務大臣がやるべき仕事じゃないかと思うんですが、改めて。

丸川国務大臣 今後また、業務を移管していくプロセス、また、移管した後の運営の状況を踏まえながら、今回専門的な人員については増強するわけでございますけれども、全体の業務としてうまく運ぶかどうかということはよく注視をしていかなければならないと思っておりますし、非常に過大な問題が発生するようなことがあってはなりませんので、予防的に、そういうことが起こらないようにという配慮はしっかりしてまいりたいと思います。

塩川委員 この間も人も減らした中で、さらにそこから人も割いて新たな仕事に充てるということですから、これはやはりいろいろなしわ寄せが出るということは必至ということで当たらなければいけないと思いますし、人の話だけじゃなくて、業務経費や一般管理費を削る、こういうことについてもさまざまな問題が出てくるんじゃないのかということこそ、改めて見直す必要があると思うんですが、その点はいかがですか。

丸川国務大臣 今のところ、さまざまな問題が必ず起きると予見をされているわけではないとは承知をしておりますが、改めてよく確認をさせていただきたいと思います。

塩川委員 前後しますけれども、先ほど健康被害に取り組む団体の方のお話でも、石綿について、申請から認定まで二カ月で結果が出ていたのが、今は長いと半年を超えると。こういう実態というのはあるんじゃないのか。こういう事実については確認をしてもらえますか。

三好政府参考人 先生御指摘のような実態にあるのかどうかにつきましてはしっかりと確認をしていきまして、必要な対応をとらせていただきたいというふうに考えております。

塩川委員 ですから、現状がそういう形で後退しているんじゃないかと言われているときに、さらに業務の追加によってしわ寄せが拡大するようなことがあってはならないということであります。

 そこで、研究開発費に係る推進費についての、運営費交付金としての取り扱いのことです。

 環境省から推進費の配分業務が機構に移管されるのに伴って、推進費は運営費交付金として交付されると承知をしております。

 この間、政府は、機構を含む独立行政法人全体について、独立行政法人改革等に関する基本的な方針の中で、法人に対し、国から交付される運営費交付金を適切かつ効率的に使用する責務を課し、主務大臣が中期目標において効率化目標を指示することを定めております。

 そういった場合に、推進費はこのような運営費交付金の効率的な使用の対象となって削減はされないとはっきりと言えるんでしょうか。

三好政府参考人 先ほど大臣から御答弁ございましたけれども、競争的資金が運営費交付金として措置されているほかの独立行政法人はございまして、その中では、競争的資金は、先生が御指摘をいただいております運営費交付金の一律の削減の対象としていない例がございます。

 例えば、国立研究開発法人の科学技術振興機構でございますとか、独立行政法人日本学術振興会、あるいは国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構などが挙げられるところでございます。

 私どもは、まずは予算編成のプロセスでということになるわけでございますけれども、しっかりとした競争的資金を確保いたしまして環境政策にかかわる科学技術開発を進めていきたいというふうに考えているところでございまして、こういう他法人の取り扱いの例を参考にさせていただいて、必要な予算の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。

塩川委員 他法人と同じような扱いになるという保証があるのかということなんですが、どうですか。

三好政府参考人 これにつきましては、予算編成のプロセスの中でまた財務省等に要求をしていくということになりますので、このような他の法人の例を踏まえまして、環境省としてしっかりと環境研究、技術開発の推進に向けて必要な予算の確保をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

塩川委員 こういう研究開発費については運営費交付金の効率化係数から除外されているという話も伺いますけれども、仮にそうなったとしても、そもそも、では他の法人の研究開発費の額がどうなったのか。

 今紹介もありました、例えば文科省の日本学術振興会の科学研究費助成事業、いわゆる科研費ですけれども、この間、本省から独法の日本学術振興会に移管がされてきて、二〇一四年に全て振興会に移管をされました。その科研費というのは、二〇一一年度の二千六百三十三億円が、直近の二〇一五年度では二千二百七十三億円へと減少しているわけですよね。

 ですから、やはり全体として、効率化の名のもとでこういった経費も絞り込まれていく。ですから、この推進費も同様に削られないと言えるのかという点はいかがでしょう。

丸川国務大臣 今御審議をいただいております法案を仮に国会でお認めいただけるということになりますと、この研究費、研究開発予算を協議させていただくのが平成二十九年予算ということになります。ですので、平成二十九年度予算を協議するときには必ず、私どもとしては、これを一律の削減の対象とされないようにしっかりと議論をしてまいりたいと思っております。

 私どもが取り組んでおります研究開発については、被災地の復興や環境行政への貢献はもとより、広く世界においても役立つ研究をしているという自負がございますので、そのことをしっかりと訴えてまいりたいと存じます。

塩川委員 次に、大臣にお尋ねいたします。

 そもそも、推進費の配分業務を機構に移管する理由は何か。そもそもの点でお答えをいただけるでしょうか。

丸川国務大臣 環境研究、技術開発は、持続可能な社会の構築に不可欠なグリーンイノベーションの基盤をなすものでありまして、その確実かつ効果的な実施によって環境の各分野への貢献を果たしていくことが重要でございます。

 このため、環境省におきましても、環境研究総合推進費などにより、環境分野における調査研究や技術開発を支援してきているところでございます。

 このたびは、この推進費の配分業務等を機構に行わせることで、複数年度契約方式の採用による研究費の使用の効率化、そして研究者への助言等の支援の強化、これは専門の職員を新たに配置することによって行うことを意図しておりますけれども、加えて、研究課題の審査や評価の高度化によって、環境研究、技術開発のさらなる効率的、効果的な推進を図ってまいります。

 また、副次的になるかもしれませんが、一方で、環境省においては、これらの研究の成果を政策に反映するということに専念ができるようになりますので、こうした側面からも、より効率的にこの研究開発費を生かし、またその成果を生かしていくことにつながっていくものと考えております。

塩川委員 移管に伴う効果ということでのお話だったわけですけれども、もともと、移す理由というのが、先ほども議論もありましたけれども、二〇〇八年の研究開発力強化法の第二十七条において、「公募型研究開発に係る業務の全部又は一部を独立行政法人に移管することが公募型研究開発の効率的推進に資すると認めるときは、可能な限り、これを独立行政法人に移管する」、このようにあったことを踏まえての措置だと思うんです。

 その点はそれでよろしいでしょうか。

丸川国務大臣 御指摘のとおりでございまして、研究開発力強化法で、「資すると認めるときは、」とございますけれども、まさに、私どもは、それが私どもの環境研究総合推進費のより効率的、効果的な運用に資するという判断のもとに、今回、機構に移管を図るものでございます。

塩川委員 政府は、研究開発力強化法を踏まえて、研究開発の成果の最大化を図る、効率的な運営体制を強く求めるものとなっています。

 私は、この推進費の配分業務の独法への移管というのは、研究開発力強化法で掲げるような、成果の最大化や効率的な運営体制のもとでは、本来推進費が果たすべき、人の健康の保護と生活環境の保全、こういうことを目的とする環境政策を、率直に言って成果第一主義という形でゆがめることになりはしないのかということを強く懸念するんですけれども、大臣はいかがでしょうか。

丸川国務大臣 複数年度の契約方式を用いることができるということは、先々、何年間かにわたってその研究の見通しが立つということにもつながります。

 これまでも、研究者の皆様方にとって使いやすい環境研究総合推進費になるようにということで、項目の整理であるとかあるいは統合を進めてまいりましたけれども、より一層見通しを持って研究に取り組んでいただけるような環境をつくるという意味においても、今後、機構において運用させていただくことにしたわけでございます。

塩川委員 研究開発力強化法の第一条に何と書いてあるか。これは、「我が国の国際競争力の強化及び国民生活の向上に寄与することを目的とする。」とあるように、国際競争力の強化という観点が踏まえられているわけです。

 やはり、推進費というのは、地球温暖化の防止や循環型社会の実現、自然環境との共生といった環境政策の推進にとって不可欠な科学的知見の集積及び技術開発の促進を目的としているわけです。これが本当にそのとおりされているかどうかというのも我々なりに検証が必要だと思っていますけれども、そういうことをうたっている、目的としているわけです。

 こういった推進費の目的と研究開発力強化法の国際競争力の強化という目的は、これは相入れないんじゃないのか、率直に思いますが、どうでしょうか。

三好政府参考人 お答えを申し上げます。

 研究開発力強化法につきましては、議員立法で措置されたものというふうに私ども承知をいたしておりますが、その中で、やはり研究者の方にいかに効率的に研究を進めていただくかという中で、やはり本省で直接配分しておりました場合にはどうしても、複数年度契約という方式は採用できない、大きな壁がございます。そこを、この独立行政法人に移管することによりまして、研究成果を最大限発揮していただくということを目的といたしているところでございまして、大きな意味で研究開発力強化法の全体の趣旨に沿った対応というふうに考えているところでございます。

塩川委員 私の聞いたことに答えていないので、大臣、お答えいただきたいんです。

 研究開発力強化法の第一条には、国際競争力の強化というのが大目的なんですよ、大目的でうたわれているんです。それが、先ほど紹介したような、推進費の目的である地球温暖化の防止とか循環型社会の実現とか自然環境との共生といった環境政策の推進にとって必要な知見の集積、技術開発の促進、こういう推進費の目的と研究開発力強化法の言う国際競争力の強化という目的というのは相入れないんじゃないのかと考えるんですが、大臣にお答えいただきたいと思います。

丸川国務大臣 国際競争力の強化という意味においてどうかということでございますが、先ほども申し上げました、例えばIPCCの第五次報告書、また、私どもの国で適応計画をつくる上において、この環境研究総合推進費で行われた研究というのは大変大きな貢献を果たしました。また、被災地の復興においても、この環境研究総合推進費での事業というのは大変大きな役割を果たしております。

 直接的に国際競争力に結びつくかどうかという点で言われると、直ちにというわけではございませんけれども、こうした知見の積み重ねが、やがて我が国が国際的に貢献をしていく、国際社会の役に立っていくという面においては大変大きな意味があるのではないかというふうに理解をしております。

塩川委員 政府の成長戦略であります日本再興戦略におきましても、国際競争力の強化というのをうたっているわけですよ。そういうもとで何をやっているかといえば、我々からすれば、原発の再稼働を進めるだとか石炭火発を進めましょうみたいな、そういう話というのは、本来やはりこういった推進費の目的とは相入れないんじゃないのか。

 そういうことで、こういう形での、そもそも研究開発力強化法に基づく今回の推進費の機構への移管というのが、推進費のそもそもの目的に対して、それを大きく後退させることになるんじゃないのか。改めてお聞きします。

丸川国務大臣 環境研究総合推進費を今後どのような研究に投じていくかということについては、環境省も引き続き関与をしてまいります。

 その中において、私どもは、やはり第一に、先ほど先生が御指摘をいただきましたような、環境省として必要な行政ニーズを第一に考えてまいります。それは、これまで我々が取り組んでまいりました、国民の命を守るために環境を守っていくという思想、思いに基づいたものでございますので、それが先々どのような形でか国際競争力の強化に貢献することはあろうかとは思いますけれども、一義的には、私どもの行政ニーズということが一番基になろうと理解をしております。

塩川委員 地球温暖化の防止や循環型社会の実現、自然環境との共生といった環境政策の推進のための研究開発が、国際競争力の強化という政府の方針によってゆがめられるという懸念は払拭できないということを申し上げて、質問を終わります。

赤澤委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

赤澤委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党を代表して、独立行政法人環境再生保全機構法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。

 本法案は、環境研究総合推進費に関する業務を独立行政法人環境再生保全機構に移管し、同機構に推進費の配分業務や審査、評価業務等を行わせようとするものです。

 本省から切り離された機構の業務とすることで、環境政策の行政ニーズを反映した研究を進め、成果を得られるかは大いに疑問です。

 また、本法案によって、推進費は、運営費交付金として機構に交付されることになります。独法への運営費交付金が削減されているもとで現状の予算規模が維持、確保される保証はありません。

 こうした業務移管は、弾力的、効率的な運用の観点から可能な限り独立行政法人への移管を求めた研究開発力強化法二十七条に基づくものです。政府は、研究開発の成果の最大化や効率的な運営体制を強く求めてきており、本法案は、人の健康の保護と生活環境の保全を目的とする環境研究を成果第一主義にゆがめかねません。

 本法案は、機構に新たな業務を追加するとしていますが、受け皿である機構への十分な人員増などの対応は示されていません。機構は、追加される業務をこなすために内部で人員を融通するほかありません。これでは、現在機構が行っている大気汚染や石綿健康被害の被害者に対する補償業務や補償予防業務へしわ寄せが行き、これらの業務水準が低下し、国民の健康に対する権利が後退することは避けられません。

 ぜんそくなどの公害健康被害や石綿健康被害は深刻であり、被害者の方からはその解決、予防策の拡充が求められています。機構が行うべきは、補償、救済事業と予防事業の拡充であり、例えば、ぜんそくなどの公害の実態調査や治療費への助成、補償の拡大などです。

 以上の理由から、本法案に反対を表明し、討論を終わります。

赤澤委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

赤澤委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、独立行政法人環境再生保全機構法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤澤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤澤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

赤澤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時五十三分散会


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