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第6号 平成28年4月1日(金曜日)

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平成二十八年四月一日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 赤澤 亮正君

   理事 伊藤信太郎君 理事 石川 昭政君

   理事 北川 知克君 理事 助田 重義君

   理事 藤原  崇君 理事 福田 昭夫君

   理事 松田 直久君 理事 江田 康幸君

      小倉 將信君    鬼木  誠君

      勝沼 栄明君    白石  徹君

      田中 和徳君    田野瀬太道君

      高橋ひなこ君    寺田  稔君

      福山  守君    堀井  学君

      前川  恵君    牧原 秀樹君

      村井 英樹君    吉野 正芳君

      菅  直人君    田島 一成君

      中島 克仁君    真山 祐一君

      塩川 鉄也君    小沢 鋭仁君

      河野 正美君    玉城デニー君

    …………………………………

   環境大臣         丸川 珠代君

   環境副大臣        井上 信治君

   経済産業大臣政務官    北村 経夫君

   環境大臣政務官      鬼木  誠君

   環境大臣政務官      白石  徹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 牛尾  滋君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長)           福田 祐典君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           三木  健君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 青木 由行君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   鎌形 浩史君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            三好 信俊君

   環境委員会専門員     関  武志君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月一日

 辞任         補欠選任

  小倉 將信君     村井 英樹君

  牧原 秀樹君     田野瀬太道君

同日

 辞任         補欠選任

  田野瀬太道君     牧原 秀樹君

  村井 英樹君     勝沼 栄明君

同日

 辞任         補欠選任

  勝沼 栄明君     小倉 將信君

    ―――――――――――――

四月一日

 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第四〇号)


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     ――――◇―――――

赤澤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房参事官牛尾滋君、厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長福田祐典君、経済産業省大臣官房審議官三木健君、国土交通省道路局次長青木由行君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長鎌形浩史君、環境省総合環境政策局長三好信俊君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤澤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤澤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀井学君。

堀井委員 おはようございます。自由民主党の堀井学でございます。

 本日は、質問の機会をいただきました赤澤委員長、そして理事の皆様方には感謝を申し上げたいと思います。

 私の地元の方にもJESCO北海道室蘭事業所がございまして、こうした御配慮もいただいたものだと思っております。また、地元の事業でもありますので、責任、責務を果たしてまいりたいと思っております。

 環境省の皆様方におかれましては、地元との合意形成を図っていく上で、何度となく地元の方を訪れていただきました。丁寧な説明と理解を得る柔軟な対応をしていただきましたこと、これは本当に感謝をするところであります。PCB廃棄物を確実に処理する、世界との条約期限を必ず守る、こういった環境省の皆様方の強い使命感というものが地域住民の皆様方にも伝わったものだと私は理解をさせていただいております。

 東日本大震災から五年の歳月が経過いたしました。被災地の復興なくして日本の復興なし。環境省の所管する事務には、自治体に協力を要請し、地元との合意形成を必要とする諸課題が数多く残っています。今回、私どもの地域に行っていただいたように、環境省の皆様方が誠意を持って丁寧に御説明をして、何度となく足を運び真剣に向かい合えば、必ず理解を示し、被災地東北の復興に協力する自治体があらわれると信じております。

 丸川大臣初め両副大臣、政務官、環境省職員の日々の御労苦に敬意を表し、さらなる御尽力をお願い申し上げて、質問に入らせていただきたいと思います。

 ポリ塩化ビフェニル、いわゆるPCB廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案についてでありますが、この特別措置法は二〇〇一年に制定をされております。現在が二〇一六年でありますから、十五年経過していることとなります。

 そこで、この法律の附則第二条には、法律施行後の十年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加えて、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとするとあります。附則にのっとり、検討委員会が開催され、その後、今後のPCB廃棄物の適正処理の推進についてお取りまとめいただいたようでありますが、この時点でお取りまとめいただいた問題点、または改善策はどのようなものであったのか、最初にお伺いをしたいと思います。

鎌形政府参考人 PCB特別措置法附則第二条に基づきまして、法施行後十年を経過したことを踏まえまして、平成二十三年からその施行状況に係る検討が行われました。

 この検討におきましては、高圧トランス、コンデンサーなどの処理につきましては、世界でも類を見ない大規模な化学処理方式であったため、処理開始後に明らかとなった課題への対応などによりまして、期間内の全ての処理を完了するということは困難であるということが明らかになりました。このため、処理困難な機器につきまして、円滑に処理する能力のある別の事業所を活用して処理を行うなどの取り組みや、また、処理期間の延長について地元自治体とよく相談することが重要である、こういう指摘がございました。

 また、安定器につきましては、北九州及び北海道事業エリアにつきましては処理施設の整備が進んでおりましたが、東京、豊田及び大阪の事業エリアにつきましては施設整備の見込みが立っていない状況でございました。そして、その処理体制の確保が課題であると指摘されたところでございます。このため、北九州及び北海道事業エリアの処理推進に努めるとともに、東京、豊田、大阪の事業エリアの処理体制の確保に具体的に取り組むこととし、その検討のため、自治体と環境省で協議を行うことが必要とされたところでございます。

 さらに、微量PCB汚染廃電気機器等につきましては、無害化処理認定施設の処理体制が不十分であるとして、処理体制の充実、多様化が必要であるとされたところでございます。

 こうした指摘を踏まえまして、五事業所の地元自治体や関係事業者との調整を行いまして、PCB特措法施行令を改正し、PCB廃棄物の処理期限を平成三十九年三月に延長するとともに、高濃度PCB廃棄物については、平成二十六年にPCB廃棄物処理基本計画を見直しまして、五事業所ごとの計画的処理完了期限の延長を行ったところでございます。また、基本計画の見直しにおきましては、期限内処理の達成のために、都道府県等による掘り起こし調査や使用中のPCB使用製品に係る計画的な処理に向けた必要な措置を講ずるということを盛り込んだところでございます。

堀井委員 微量のPCBに汚染された電気機器が大量に存在することの判明、JESCOにおける処理が想定よりおくれている。従来の法律で行っていては期限内の処理が危ぶまれる極めて深刻な状況となっていることが、十年の見直しを行った上で明らかになったわけであります。答弁にもありましたとおり、こうした問題点を踏まえて、処理期限の延長を図り、また、関係自治体への処理期限の延長の協力の要請、そして、PCB廃棄物処理基本計画の変更に至ったとのことであります。

 時間の要する関係する自治体の了承を得て、確実に処理を推進するために、これも加えてでありますけれども、専門家による検討委員会、ワーキングチーム等の報告書の取りまとめを行って、さらには、この問題に対するパブリックコメントの聴取、中央環境審議会の審議など、行政上の手続をしっかりと踏んで、PCB廃棄物特措法の一部を改正する法律案提出となったわけであります。そして、このたび、PCB廃棄物処理基本計画の閣議決定を行うこととなりました。

 政府一丸となって、各省庁連携して取り組むことを決めたわけであります。従来の法律に加えて、より強力に処理を推進するための改正法となったわけであります。この法律のポイントについてお伺いをしたいと思います。

白石大臣政務官 堀井委員におかれましては、日ごろから地元においてPCB処理の推進に御尽力を賜っておりますことを、改めてお礼を申し上げたいと思います。

 今の御質問の中で、そのポイントも幾つかもう堀井委員おっしゃっておられたわけでありますけれども、PCB特措法改正案においては、期限内の処理が当然確実に行われていく、これが大前提でありまして、そのための措置を盛り込んだところであります。

 第一に、これまで環境大臣が定めることとしていたPCB廃棄物処理基本計画を閣議決定計画に格上げすることにいたしました。そして、計画的処理完了期限前における高濃度PCB廃棄物の処分や高濃度PCB使用製品の廃棄の義務づけを行いました。そして、未届け出の高濃度PCB廃棄物に係る事業者への報告徴収、立入検査の都道府県等の権限強化を行うようにいたしました。そして、四つ目として、保管事業者が不明等の場合における都道府県による高濃度PCB廃棄物の処分の代執行といった措置を新たに盛り込んでいったところでございます。

 こうした措置によって、高濃度PCB廃棄物の期限内処理に向けて万全を尽くしてまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。

堀井委員 今回の改正法案には、高濃度PCB廃棄物の期限内処理を確実に行っていくために、掘り起こしのための報告徴収、立入検査の権限の強化、それから処分の代執行と、非常に強い権限が自治体に付与されております。しかしながら、自治体の権限の強化とは、裏を返せば自治体の責任と業務が増大するということにもなります。

 自治体が業務を確実に遂行していくために、国も、掘り起こしや代執行を自治体に任せず、しっかりと必要な措置を講じていくべきと考えますが、御見解をお伺いいたします。

鎌形政府参考人 いまだに届け出のないPCB廃棄物などが存在するということが見込まれますので、現在、各自治体においてアンケート調査による掘り起こし調査が行われております。ところが、その回答率が五割程度にとどまるなど、調査が難航している状況でございます。

 このため、まずは、掘り起こし調査の効率化のため、電気事業法の届け出データなどをもとに調査対象事業者を絞り込んだデータを環境省で作成して、都道府県に提供するということを予定してございます。

 さらに、未届け出の高濃度PCB廃棄物などにつきまして、都道府県等による事業者への報告徴収や立入検査の権限を強化するほかに、現行法では緊急時のみに限られていた環境大臣の立入検査、報告徴収の権限を拡大し、特に必要な場合には、地方環境事務所も活用して国も立入検査、報告徴収を実施するということとしてございます。

 さらに、環境省や自治体のみならず、経済産業省、電気保安関係団体なども加えた早期処理連絡者会議を各事業エリアごとに立ち上げ、関係者間の連携協力の具体的な進め方について協議するとともに、掘り起こし調査の進捗状況について定期的にフォローアップを行うなど、関係者の連携体制を一層強化することとしてございます。

 また、本年二月の検討会報告におきましては代執行の費用に係る支援のあり方を検討する必要があるとされたことを踏まえまして、環境省において、有識者などから構成される検討会を設置いたしまして、都道府県が行う行政代執行に対する支援のあり方について議論を開始したところでございます。

 このように、自治体の取り組みを後押しするとともに、国としてもしっかり必要な措置を講じてまいりたいと考えております。

堀井委員 まさに政府一丸となって、省庁間の連携を図って取り組みを進めていくものとなるわけでありますけれども、環境省や自治体のみならず、経済産業省、電気保安関係団体なども加えた早期処理連絡者会議を各事業所エリアに立ち上げて関係者の連携の強化を図り、都道府県を後押しするということであります。

 そこで、ただいま答弁にありました経済産業省の皆様にもお伺いしていきたいと思います。北村政務官には、環境委員会まで御足労いただきまして、まことにありがとうございます。

 そこででありますが、私も以前より危惧をしていた件であります。

 使用中の機器も含めて、いずれ廃棄物としてJESCOで処理する必要があることになります。改正案で、JESCOの計画的処理完了期限より前に廃棄を義務づけるとのことでありますが、これは非常に重要なことだと思っております。

 しかし、電気事業法の電気工作物については適用除外とするとのことです。高濃度PCBの大宗を占めるのがトランスとコンデンサーですが、これはいずれも電気工作物になります。これら電気工作物がJESCOの計画的処理完了期限を過ぎてからの廃棄になってしまうおそれがあります。

 そこで、経済産業省にお伺いいたしますが、使用中の電気工作物については、どのようにJESCOの計画的処理完了期限までに廃棄させていくのか、また、あわせて、現在のPCB含有機器を使うことを当面認めている電気事業法の省令改正を行っていただく必要がありますが、これをいつまでに、どのような改正を行うのか、お伺いをしたいと思います。

三木政府参考人 高濃度PCB使用電気工作物につきましては、既に電気事業法におきまして新規設置を禁止する等の措置を講じてきたところでございます。このため、この電気事業法の枠組みを最大限活用しまして、処分施設の操業期限内の処分を進めていく方針でございます。

 具体的には、高濃度PCB使用電気工作物につきまして、関係省令などを改正しまして、期限までの廃止を義務づけるとともに、使用中の機器の廃止、処分の見込み、処分事業者との処分委託契約の有無などを毎年度国に届け出る義務を課すこととするなど、PCB特措法改正案と同等の措置を講ずることを予定しております。

 加えまして、現時点で判明していない使用中の高濃度PCB含有機器の掘り起こしを行う観点から、電気工作物の保安を担う電気法人などに対しまして、使用中の機器がないか点検、確認する義務を課すこととしております。

 こうした措置につきまして、関係省令などの改正作業を進めているところでございまして、PCB特措法改正案の施行に合わせまして適切に措置してまいります。

堀井委員 ありがとうございます。

 関係省令の改正を行い、PCB特措法改正案、この法律の施行に合わせて同等の措置を講じていただけるとのことであります。また、あわせて、電気工作物の保安を担う電気保安法人等の御協力をいただけるということでありますので、これは心強い限りであります。今回は特に、現場をよく知り得る人たちの協力が不可欠であると考えております。ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 もう一問、北村政務官にはおつき合いいただきたいと思います。

 同じく高濃度PCBが使用された安定器は、電気工作物には該当しないと伺っておりますが、PCB特措法に基づいて、使用中のものの廃棄を行わせることとなります。

 しかし、この安定器の数が非常に多いということでありまして、電気工作物に係る対策と一体で行う必要があると考えますが、経済産業省のお考えをお伺いしたいと思います。

北村大臣政務官 御指名いただきましてありがとうございました。お答え申し上げます。

 委員の御指摘のとおり、電気工作物のみならず、安定器も含め、高濃度PCB使用製品の早期処分は喫緊の課題であると、同じ認識を持っている次第でございます。

 使用中の安定器につきましては、経済産業省といたしましても、PCB使用製品の製造事業者や、電気事業法のもとで電気工作物の点検を担う電気保安法人等を通じまして、その処分の必要性につきまして周知する方針でございます。

 また、経済産業省といたしましても、ことし二月から三月にかけまして全国六カ所で説明会を開催いたしました。使用中の安定器も含め、処分施設の操業期限内の処分に向けた周知を行ってきたところでございます。委員御地元の北海道も、年内にこの説明会を開催いたします。引き続き周知に努めてまいりたい、そのように考えております。

 いずれにいたしましても、環境省、都道府県等と緊密に連携し、しっかりと取り組んでまいりたい、そのように考えております。

堀井委員 ありがとうございました。

 このPCB処理に関しては、経産省の皆様の協力なしに期限内の処理完了は極めて難しくなります。政府一丸となった取り組みになるよう、今後とも御支援、御協力のほどをよろしくお願い申し上げたいと思います。

 北村政務官はお忙しいと思いますので、もし公務御多忙であれば退席をしていただいて構いません。

 続きまして、処理の見通しについてお伺いをしてまいりたいと思います。

 計画的処理完了期限までに保管事業者がJESCOに処分委託を行ったとしても、JESCOが立地自治体と約束をした処理期限を守るためには、着実にその処理を進め、期限内に完了させる必要があります。

 この法律の改正後は、速やかに、長期的な処理の見通しを持って計画的に、着実に事業を進めることが望まれますが、これについて御見解をお伺いいたします。

鎌形政府参考人 高濃度PCB廃棄物の期限内処理を確実に達成するためには、御指摘のとおり、当該廃棄物の長期的な処理の見通しを持って事業を進めていくことが重要でございます。

 こうした観点から、JESCOにおきましては、処理期限までの処理完了の見通しを立ててございまして、その内容につきましては、昨年十二月に有識者の検討会に報告し、公表しているところでございます。

 今後、JESCOにおきまして、さらに、期限内の処理完了に向けた定量的なロードマップを明らかにするとともに、処理の進捗に応じて毎年それを更新していくなど、このロードマップの不断の検証を行うこととしてございます。

 環境省としても、こうした取り組みを後押しいたしまして、計画的処理完了期限内の処理の達成に万全を尽くしてまいります。

堀井委員 有識者会議の方にも報告をして、公表するということであります。JESCOへの処理委託が順調になされれば、期限内処理の達成は可能であるという見通しであると思います。JESCOにおいてはロードマップについては不断の検証を行うようでありますので、これも環境省全体でバックアップ体制をしっかり整えて取り組んでいただきたいと思います。

 次に、今回の法案で、高濃度PCB廃棄物の保管事業者が不明の場合に、都道府県が処理の代執行ができるという規定が盛り込まれております。保管事業者が不明ということも考えられるわけでありまして、その費用を保管事業者から徴収するということは困難になることが予測されるわけであります。このような場合、都道府県がその費用の全てを負担しなくてはならないということは適当ではないと考えております。これは何らかの支援が必要になります。

 環境省として、この点についてどのような支援策を講じていくのか、御見解をお伺いいたしたいと思います。

鎌形政府参考人 御指摘のとおり、保管事業者の破産などによりましてPCB廃棄物の処理が滞っているものが一定数存在するということでございますので、高濃度PCB廃棄物の処分に係る代執行が円滑に行えるようにすることが重要でございます。このため、本法案におきまして、こうした代執行に係る規定を設けているというところでございます。

 これに関連いたしましては、本年二月に取りまとめられたPCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会の報告書では、事業者が不存在、資力不足等の場合であって、代執行に要した費用を事業者から徴収することが困難な場合について、支援のあり方をあわせて検討する必要があるとされたところでございます。

 環境省では、これを踏まえまして、有識者等から構成される検討会を別途設置いたしまして、都道府県が行う行政代執行に対する支援のあり方について議論を開始したところでございます。速やかに検討を進め、成案を得たいというふうに考えてございます。

堀井委員 検討委員会の指摘事項に沿う形で、行政代執行に対する支援のあり方について議論を開始していただいたということでありますが、この法律のかなめとなる部分でもありますので、都道府県にも御協力をいただいて期限内処理を進めることとなるわけであります。また、PCB廃棄物処理基金においても、都道府県においては二百八十億円の基金にも御協力をいただいているということであります。行政代執行の場合の費用負担分について、都道府県の理解が得られる支援措置となるように、鋭意取り組みを進めていただきますようにお願いするものであります。

 先ほどのPCB廃棄物処理基金でありますが、総額五百六十億円の基金によってJESCO処理費用の支援を行うこととしております。中小企業者などについては処分料金の七〇%、または費用負担脆弱な個人については処分料金の九五%となっておりますが、これについては周知を図り、速やかに処理に御協力いただけるよう取り組んでいただきたいと思います。

 次に、高濃度PCB廃棄物を立地自治体と約束した期限内に確実に処理をするためには、期限内処理完了に向けたロードマップと関係者の役割分担を明らかにして、取り組みの進捗状況について定期的にフォローアップしていくことが必要であると考えます。

 この件について御見解をお伺いしたいと思います。

井上副大臣 環境省といたしましては、立地自治体と約束した処理期限は必ず守るべきものであり、処理期限内に確実に高濃度PCB廃棄物の処理を終えることが不可欠であると認識をしております。

 私自身、前回の環境副大臣時代でございますけれども、堀井委員の御尽力もいただきまして、私自身が御地元の室蘭市に三度にわたって訪問いたしまして、青山市長やあるいは市議会の議員の皆様とも直接お約束をさせてもらいました。この約束を確実に守るように、責任を持って進めてまいりたいと思います。

 委員の御指摘も踏まえ、現行のPCB廃棄物処理基本計画について速やかに見直しを行い、期限内の処理の達成に向けたロードマップと関係者の役割分担を明らかにすることとしたいと考えております。その上で、見直し後の基本計画に基づく取り組みの進捗状況について定期的にフォローアップを行い、講じた措置の実効性について不断の点検を行い、高濃度PCB廃棄物の期限内の処理の達成に向けて万全を尽くしてまいります。

堀井委員 ありがとうございました。

 私の地元の方からも、期限内処理完了に向けてぜひ環境省の取り組みをしっかりとやってくださいという声もいただいておりますので、引き続き、今回の法改正を機に、より一層処理が進むように、それぞれの役割を担っていただいて取り組んでいただきたいと思います。

 法改正後の講じる措置に対して、進捗状況や実効性について不断の点検を行っていただけるということであります。ぜひ、我々にも、委員側にもその都度御報告をいただいて、環境省の皆様のPCB廃棄物期限内処理の使命を共有させていただきたいというふうに思っております。

 時間がちょっとありますので、これは指摘でとどめさせていただきたいと思いますが、低濃度PCBの処理についてであります。

 低濃度PCB処理は、民間事業者により処理されると伺っております。もちろん、環境大臣認定の無害化処理事業者または都道府県許可の特別管理産業廃棄物処理事業者の方に限るわけでありますけれども、低濃度PCBについては、PCB特措法の制定以降に問題が発覚したため、状況を十分把握していなかったようであります。

 国内には低濃度PCB廃棄物がたくさんあることが現状明らかになっておりますので、処理体制の充実、多様化を進めることを、現在全国に約三十の認定の民間企業に御協力をいただけるということとなっておりますが、まだまだこの数が少ないという御指摘を受けているともお聞きしております。

 さらなる協力や拡充も図らねばなりませんし、低濃度については処理期限が三十九年三月三十一日となっており、これはストックホルム条約の期限直前で処理を終えるということになりますが、低濃度PCBにつきましても、これまで申し上げてきたもの同様に、高濃度も低濃度も処理に対しましては速やかに処理を行うように、指摘とさせていただきたいと思います。

 では、最後に、丸川大臣の決意をお伺いしたいと思います。

 これまで長きにわたってPCB廃棄物を処理するために御尽力をいただいております有識者や専門家、その方たちの形成されるワーキングチームからの指摘事項でも明らかになったように、各委員から心配や不安視されたことは期限内処理の完了ということであります。ここを皆さん一番御心配されております。

 環境省においては、ストックホルム条約、国際条約の遵守に加えて、JESCO事業所の立地自治体と合意した約束を果たしていかねばならないわけであります。不退転の決意で臨まなくてはなりません。最後に大臣の決意をお伺いしたいと思います。

丸川国務大臣 委員御指摘のとおりでございまして、この計画的処理完了期限は、ストックホルム条約の約束は約束として、それとは別に、私どもが地元の皆様方と約束をして設定されたものでございまして、国としては確実にこれを守らなければならないものでございます。

 ですので、このPCB特措法の改正案において、例えば、高濃度PCB使用製品の廃棄の義務づけや、都道府県等による高濃度PCB廃棄物の処分の代執行等の必要な措置を盛り込んだところでございます。

 法律案を成立させていただきましたらば、これを着実に実施するとともに、徹底的に掘り起こしを行いまして、対策の進捗状況についても、御指摘のとおり定期的にフォローアップをいたしまして、期限内の処理の達成に万全を尽くしてまいりますので、ぜひとも、お地元であられます委員におかれましても、御指導、御協力のほどよろしくお願い申し上げます。

堀井委員 ありがとうございました。

 質問を終わります。

赤澤委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 PCB廃棄物特別措置法案について質問をいたします。

 今回の法案が出された背景ですけれども、そもそも、一九六八年のカネミ油症事件、PCBを原因とする食中毒事件のカネミ油症事件発生を契機にPCBの製造が中止をされ、その処理施設の建設がその後の大きな課題となったわけであります。

 しかし、民間主体の焼却方式による処理施設建設は、排ガス問題などが忌避をされて、地元住民の理解が得られず、約三十年間頓挫をしてまいりました。

 一方、北極など地球規模のPCB汚染が広がる中、二〇二八年までのPCB廃棄物処理を求めるストックホルム条約について、我が国は二〇〇一年に批准をしたところであります。

 このような経緯があり、二〇〇一年、PCB廃棄物の処理の促進を図る特別措置法を制定したわけです。

 また、国が直接関与して、化学処理による処理施設を整備することとなりました。それが、JESCOを活用した全国五カ所の処理施設であり、その処理事業の完了は二〇一六年三月までとされたわけです。

 しかし、二〇一二年には、その処理事業の完了時期を二〇一六年三月から二〇二七年三月まで延長することとなりました。

 環境省にお尋ねしますが、このように延長した理由は何か、お答えください。

鎌形政府参考人 延長の理由についてのお尋ねでございます。

 JESCOにおける高濃度PCB廃棄物の処理は、世界でも類を見ない大規模な化学処理方式によるものでございまして、処理開始後に明らかとなった課題への対応などにより、当初予定していた平成二十八年三月までの事業の完了が困難となったところでございます。

 処理開始後に明らかになった課題といたしましては、JESCOの作業環境におけるPCBの揮発量が想定よりも多く、作業員の安全対策が必要となったこと、また、PCB廃棄物中の紙や木などの部材に含まれるPCBの洗浄などの処理に想定よりも長時間を要したことなどが挙げられておるところでございます。

 このように、平成二十八年三月までの事業の完了が困難となりましたので、五事業所の地元自治体との調整を行った上で、平成二十六年にPCB廃棄物処理基本計画の見直しを行い、計画的処理完了期限の延長を行ったものでございます。

塩川委員 世界でも例のないような大規模な化学処理方式のために、いろいろ試行錯誤だったということであるわけです。

 そういう意味で、揮発性が高いということなども明らかになって、作業者の方の健康、安全確保の対策も必要でしょうし、施設についての改修も求められるという中で、いろいろ初期段階でのトラブルも続いて、結果として完了時期の延長になったわけです。しかしながら、その後もトラブルは続いているわけです。

 そこで、環境省にお尋ねしますが、二〇一一年以降、この五年ぐらいで、トラブルにより数カ月単位で操業停止を行った事業所とその停止期間を明らかにしてください。

鎌形政府参考人 お尋ねの、二〇一一年以降で、トラブルに伴って操業を停止した事業所と停止期間ということでございます。

 まず、一つ目でございますが、豊田事業所でございます。二〇一一年と二〇一二年にそれぞれ二カ月程度の処理を停止したことがございます。

 また、二番目、大阪事業所でございますが、二〇一二年にやはり二カ月程度、ラインでの処理を停止したことがございます。これは、トランス解体ラインでございます。

 それから、三番目、東京事業所でございます。二〇一四年でございますけれども、一、二カ月程度の処理を停止してございます。

 また、四つ目、北九州事業所でございますが、二〇一五年から、つまり昨年からことしにかけて、十一月以降、受け入れを停止しているというところがございます。

 以上が、事業所とその停止期間についてのことでございます。

塩川委員 今御説明があったように、二〇一一年以降、この五年間を見ても、豊田事業所で二〇一一年に二カ月、二〇一二年に二カ月、また、大阪事業所では二〇一二年にも二カ月程度、東京事業所は二〇一四年にも二カ月程度、北九州事業所では二〇一五年の十一月から現在まで操業停止が続いている、四カ月、五カ月という操業停止に置かれたままであります。

 毎年のようにこういうトラブルにより長期の操業停止が繰り返されているわけですけれども、その原因は何なんですか。

鎌形政府参考人 それぞれの事案に応じまして、トラブルの内容は異なってまいります。

 例えば、初めに申し上げました豊田事業所における二〇一一年、二〇一二年の処理停止でございますけれども、二〇一一年につきましては、排気管のフランジ箇所から凝縮液が漏えいしたということでございます。それから、同じく豊田事業所でございますけれども、二〇一二年につきましては、攪拌洗浄エリアにおける洗浄排液の漏えいがあったというところでございます。

 また、大阪につきましては、トランス解体ラインで油に着火するというようなことがございました。

 また、東京におきましては、水熱酸化分解設備の配管に穴があき、水蒸気が噴出するということがございました。

 また、北九州事業所におきましては、処理施設からのベンゼン濃度が北九州市との協定の値を超えたということがございました。

 こういったことで操業ないしラインの停止をしているというところでございます。

塩川委員 今御説明があったように、トラブルの事例というのはいろいろなんですよ。ですから、何か特定の部署で、特定の原因で起こっているわけじゃないんです。やはり、大規模な、こういう例のないような化学処理の中で、いろいろなところでのふぐあいが明らかとなる。単に機器のふぐあいだけではなくて、ヒューマンエラーの問題も含めた人的な要因におけるトラブルというのもその中に含まれているわけであります。そういう点でも、どういう対応をするのかというのが、原因解明、対応策とあわせて求められているところであります。

 そこで、今もお話のあった、現在操業停止中の北九州事業所の例についてお聞きします。

 高濃度のベンゼンが検出をされる、地元と約束をしている環境保全協定値の十一倍を超えるというような高濃度のベンゼンが処理施設の排出ガスから検出をされたということであります。

 極めて重大なことであって、大臣にお尋ねしますが、JESCOは、国が一〇〇%出資をして環境保全を目的とした事業を行う会社であります。北九州事業所は、立地地域の住民に安全を約束して立地をしております。立地自治体、住民から厳しい指摘が出されていますが、その声をどう受けとめているのかをお聞きしたい。

丸川国務大臣 PCBの処理事業は、地元の皆様方の御理解があって初めて成り立っているものでございまして、その信頼関係を揺るがすようなことというのは決してあってはならないことでございました。

 北九州事業所の件は非常に、地元の皆様にとっても御不安をお与えしたという点でまことに遺憾でありまして、私どもとしましても、協定値を超過したベンゼンを排出したことについては大変重く受けとめております。

 また、今回は、設備の不備にとどまりませず、JESCO本社のコンプライアンスあるいはガバナンスの問題でもあるという受けとめをしておりまして、私からは、設備改修等のハード面の対策に加えまして、コンプライアンス、ガバナンスに対して、例えば第三者のチェック機能の強化といった体制の改善を図るようにJESCOに対して指示をいたしました。

 これを受けて、再発防止策に対する報告書がことしの一月に提出をされたところでございます。

 私どもとしては、この報告書に盛り込まれた再発防止策がきちんと行動に移されるということが重要と考えておりまして、引き続きJESCOに対する指導監督を徹底してまいります。

塩川委員 こういった地元との関係でも信頼関係を損なうようなトラブルというのは大変重いものだということを言わざるを得ません。

 JESCO本社のコンプライアンス、ガバナンスに問題があったということで、それに対しての対応策をとるという話ですけれども、施設ができるときには、地元の住民の方からは、その施設への心配の声も上がっていたわけですね。そのときの環境省の説明というのは、施設の運転は十年だけなんです、十年たてば更地にして返します、こういう説明もし、英知を集めて安全運転を行う、安全対策については自負を持っている、こういうことを地元の方に説明していた。それだからこそ、住民の方は、それならばということで建設を認めてきたという経緯があるわけです。

 それなのに、こういった、協定でも取り結んでいるようなベンゼンなどの環境協定値を大きく上回る数値が出ていたにもかかわらず、それ以前から数値が少しずつ上がり続けていた、こういう状況がわかっていたにもかかわらず、一年半も地元に説明をしない、一年半も隠蔽をする。なぜこんなことが起こるんですか。

鎌形政府参考人 先ほども大臣からお答え申しましたとおり、コンプライアンスやガバナンスの問題があったという点がございます。

 具体的には、今回のベンゼン排出の原因につきましては、高濃度PCBコンデンサーからPCBを蒸発、回収する装置、真空加熱分離装置において発生したベンゼンが、排ガス処理工程で適切に除去されず排気されたということでございまして、この排ガス処理工程中の一部装置を平成二十六年四月から運用を停止したことがベンゼン排出の一因でございます。

 この運用変更につきましては、運用変更に先立って、本来必要なJESCO社内の承認手続を経ていなかったということも明らかになってございます。

 こういったことが原因究明の中で明らかになってきましたので、JESCOに対して再発防止策の検討を指示いたしまして、JESCOの中でガバナンス、コンプライアンス体制の改善を図る、こういうような再発防止策が示されているというところでございます。

塩川委員 だから、なぜそうなったのかが聞きたいんですよ。何で二十六年四月から一年半もかけてこういうことが明らかにならなかったのか。その問題について、どうですか。

鎌形政府参考人 まさに二十六年四月に排ガス処理工程中の一部の装置の運用を停止するということにつきましては、本社に報告した上で具体的な承認手順を経るべきだったというところでございますけれども、そういった手続に対して職員の自覚が足りなかった部分があるということでございます。

 そういう意味で、今回、再発防止策の中では、職員に対して、そういった規定類の徹底をするとか、それをしっかりと遵守していくことについての徹底が盛り込まれているというところでございます。

塩川委員 それは何ですか、担当者がちゃんとしなかったという担当者の自覚の問題という形で、個人の責任にとどめるということなんですか。そういう考えなんですか。

鎌形政府参考人 そのような手続を経ないということが行われたということが、そういうことが防止できなかった、そういう組織的な問題もあるということで、本社も含めた全社的なガバナンス、コンプライアンスの問題と捉えて、JESCOに再発防止を徹底するように指示しているところでございます。

塩川委員 では、なぜそういうことが起こるか、その背景にある組織的な問題ということなんですけれども、そういう組織的な問題が起こる理由は何なのかということは、どうですか。

鎌形政府参考人 繰り返しになりますけれども、本社そして事業所を含めて、作業の手順などについてルールがあるわけでございます。そういったルールについての徹底が足りないというところがそれぞれにあったんだというふうに考えております。

塩川委員 繰り返されてお答えにならないわけで、なぜということの説明になっていないですよ。もう一回。

鎌形政府参考人 こういった事故が起きないためのルールというのが設定されておるわけでございます。そのルールを遵守していくということが、本社においても、あるいは事業所そして職員においても徹底が必要だというところでございます。

 ですから、繰り返しになって恐縮でございますが、そういったことがそれぞれの部署において徹底していないところがあったというところが、こういったルールを逸脱したような行為が行われたということの原因になっていると考えております。

塩川委員 説明になっていないんですけれども。ルールの遵守が徹底していないといったら、徹底して理由が何かという話になるだけなんですけれどもね。

 こういう問題の背景に何があるかというと、組織的な問題というその大もとには、そもそも、こういった重要な事業について現場に丸投げしているような実態があるんじゃないのかということなんですよ。環境省がJESCOに丸投げをし、JESCO本社は各事業所に丸投げをし、さらに言えば、その事業所の中においても下請の請負の事業者に丸投げをする、こういう丸投げの連鎖というのがトラブルにつながっているんじゃないですか。

 そういう丸投げをしている張本人は環境大臣じゃないですか。大臣、いかがですか。

丸川国務大臣 PCB処理事業の現場で実際に作業に当たっていただいている皆様方というのは、この処理事業の施設そのものの設計から携わっていただいている方々でございまして、それぞれ事業所によって処理方法が違うところもございますけれども、そうした処理工程から組み立てに携わっていただいている専門的な知識をお持ちの方、あるいはノウハウをお持ちの方でございます。こういう方々を運転会社に設定して、設計段階からともにこの処理に当たっていただくことによって、私どもは、大変高度で化学的な処理施設を運営していくに当たって、十分な安全性を担保するように努力をしてきたわけでございます。

 今回の北九州事業所の件については、その作業工程を変更するということに対して、本来であれば、JESCOの社内において承認の手順というものが必要になります。これがJESCOの中の規定で決まっておるわけでございますけれども、こうした承認手順が必要だということについての理解が十分に徹底されていたとは言えないのではないかという認識に立っておりまして、まずもって、JESCOが専門的なノウハウをお持ちの皆様方に対して、専門的な知識を踏まえた上でどのような工程管理をしているかということについて、しっかりとJESCOの側で手続を踏んで把握をし、そして管理をするという一段の努力を行わなければならないということに反省点として至ったわけでございます。

 私どもは決して丸投げをしているわけではございませんで、今申し上げたように、設計の段階、その処理工程をつくっていく段階からともに作業を進めてきているわけでございますけれども、やはり運用していく過程において、私ども環境省とJESCOとの連携はもちろんでございますが、JESCOと運転会社の間でも、ともにやっていく中できっちりと手続を踏むということについて、改めて、一番現場の段階からJESCOそして環境省に至るまで、ともにこの手順の確認というのをしっかり行っていくということについて認識を共有していくことが安全を守る上で極めて重要だということで、今後とも取り組みをさせていただきたいと思っております。

塩川委員 今、大臣のお話にもありましたけれども、全国五つの事業所、それぞれ建設をした事業者が子会社をつくって、それぞれ運転会社を運営しています。ですから、いわば建設段階に入った業者がそのままこの操業に当たっての業務を行っている、この子会社で行っているわけですよね。設計そして建設、さらには操業、運転、管理まで行うということなんですけれども、それが結果として、やはり現場の業者に丸投げという仕組みになっているんですよ。設計の段階では環境省がかかわったかもしれないけれども、実際動かし始めたらJESCOによろしくと。実際の日々の対応については運転会社によろしくと。その運転会社もさらに子会社があるわけですから、そういう子会社に丸投げをする。結果はやはりこういう丸投げの連鎖なんですよ。

 そういうのをやはりきっちり改めるということなしにはこういうトラブルは解消もされないし、こういうトラブルが解消されない限りは期限内のPCB廃棄物の処理もできないんじゃないのかという点でも、JESCOの組織問題というんじゃなくて環境省の組織問題、そのトップの環境大臣の責任こそ問われているんじゃないのか。

 そういう点でも、謝りに行くのは環境大臣が現場に行く、こういう性質の問題じゃないかと思うんですが、改めて、いかがですか。

丸川国務大臣 今回の件については、私どもも直接地元自治体とお話をさせていただく機会があったわけでございますが、コンプライアンス、ガバナンスというのは、まさに組織そのものの体質をしっかりと改善していく、根っこからの体質改善だと思っております。

 ですので、環境省とJESCO、そして実際に運転している会社ではない第三者の目をこのプロセスに入れるということを、JESCOの今回の報告書の中にも入れておりますけれども、私からもそれは、当初、この事態が起きたときから、これは第三者の目を入れるべきだということを申し上げまして、必ずこのプロセスを今後は第三者がきちんと見ていただくということをもって、今後コンプライアンス、ガバナンスの強化を図らせていただきたいと考えておりますし、そのことをもって、地元の御理解を今いただいて、作業工程をもう一度きちんと点検させていただいているという段階にあるという認識でございます。

 今後とも、安心、安全を最大の私たちの約束として、この作業を進めさせていただきたいと思っております。

塩川委員 コンプライアンス、ガバナンスが必要なのは環境省であり、大臣じゃないのかということを指摘しておくものです。

 次に、豊田事業所のトラブル事例についてお尋ねをいたします。

 このトラブルが起こった際、二〇一一年の二月の二十四日、豊田市議会の環境福祉委員会が意見を豊田市に提出いたしました。JESCO豊田事業所に関する意見であります。

 その中には、直接現場で従事をする豊田環境サービス社員の多くが派遣社員であり、その平均勤続年数の短いことは技能の蓄積という点において不安である、可能な限り、豊田環境サービスのグループ会社である神鋼環境ソリューション、これは神戸スチールの関連企業ですけれども、の正社員から一定数の人材確保が図られるよう豊田事業所に申し入れることとあります。

 こういった意見が豊田市議会から出されているということは、環境省は承知しておりますか。

鎌形政府参考人 豊田市議会の担当委員会から豊田市に対して意見書が出てございまして、運転会社において派遣等非正規の雇用があるが、安全対策のためには正規雇用の一定数確保が必要という指摘があるということは承知してございます。

塩川委員 我が党の大村義則豊田市議によりますと、汚染処理作業を行った作業員は三人とも派遣労働者であり、事故処理を現場で指揮したのも派遣労働者の班長だったといいます。

 豊田PCB処理施設では三つの雇用形態があるとされ、一つは、JESCOの職員三十一名、二つは、JESCOから委託をされて現場の施設運転をしている豊田環境サービスの職員四十一名、三つ目は、その豊田環境サービスに派遣をされて実際の作業に当たっている派遣労働者が百一名、派遣会社十三社からの派遣労働者ということで、平均勤続は二・八年という短期のものだということであります。こういう三つの労働形態になっており、この派遣労働者の方たちが現場作業の多くを行っていることが指摘をされています。

 しかも、各職員の勤務体制は、JESCOの職員は日勤のみ、豊田環境サービスの職員も基本的には日勤、したがって、日勤以外の時間、夜から朝にかけて、一日のうち十六時間は派遣労働者だけで作業しているということが確認されたとのことであります。

 ですから、我が党の大村市議は、この危険な作業が想定される処理施設において、一日のうち十六時間は派遣労働者だけで作業している体制というのは妥当なのか、もともと派遣労働というのは派遣先の指揮命令を受けて行う労働だ、その指揮命令者がいない、派遣労働者の中で班長を決めて、それで事故の処理も判断させる、このような勤務体制が果たして労働法制に照らして適法なのかと指摘をしております。こういった現状というのがトラブルの背景にもあるんじゃないでしょうか。

 このように、非正規雇用の労働者が業務の中心を担っている、こういう認識は、環境省、お持ちですか。

鎌形政府参考人 JESCO事業所におきます運転会社への委託ということでございますけれども、JESCOから実施すべき作業とか要求される水準についてしっかりと指示した上で行われているというふうに考えてございます。

 このため、正規雇用かあるいは非正規雇用かという御指摘がございますが、そういう正規雇用か否かにかかわらず、各種作業の内容に応じ適切な作業が行われるようにJESCOにおいて指揮しているというふうに認識しております。

塩川委員 実態とすれば、トラブルが多数発生しています、その現場では非正規の方が中心となっているような状況にあるんだと。そういう人たちが率直に勤続年数が短いという中で大変な御苦労もされておられるということなんですけれども、そういう現状については知らないということですか。

鎌形政府参考人 JESCOと運転会社との関係で申しますと、作業の内容についてJESCOが指示をいたしておりますし、そして運転会社の作業状況などについてJESCOが把握して、問題があれば指揮をする、こういう形でやっておるということでございまして、適切な作業が行われるような体制をJESCOが組んでいるというふうに認識しております。

塩川委員 答えになっていません。

 この五つの事業所における運転会社の従業員のうち、いわゆる正社員が何人で非正規が何人か、そういう数字というのは、環境省、持ち合わせていますか。

鎌形政府参考人 豊田事業所の運転会社、豊田環境サービスにつきましては、総勢百五十九人のうち、社員七十七名、派遣六十八名、出向十名、請負四名、これは平成二十七年九月末現在でございますが、そういう数字を把握してございます。

塩川委員 その時期、その時点での人数ですけれども、多数が非正規雇用というところも明らかであります。後で五つの事業所全体の数字はいただきたいと思います。

 それで、大臣にお尋ねしますけれども、今環境省が説明しましたように、現場の方々は非常に頑張っておられます。ただ、そういう中でも、非正規雇用の中で派遣労働者の方も多くて勤続年数も短い、そういう方のことも考えれば、安定した雇用でこそしっかりとした仕事ができるんじゃないのか。

 そういう意味でも、今、運転会社、それぞれありますけれども、そのもとに幾つもの企業がぶら下がるような格好で仕事に従事をしているわけで、その多くが非正規雇用となっている。こういった非正規雇用を容認するような作業環境というのが、高濃度PCBの処理作業を行う上では改める必要があるんじゃないのかと考えますが、大臣はいかがですか。

丸川国務大臣 PCBの処理作業工程の中には、大変複雑なものから一定の定型的なものまで、さまざまあろうかと思いますので、その作業の流れに応じて、また工程に応じて、JESCOが適切にそれを考慮しているものと考えておりますけれども、いずれにいたしましても、これは、作業される方の安全ということ、また環境に対する配慮ということは一番このプロセスで重要なことでございますので、引き続き、雇用形態にかかわらず、労働安全衛生には徹底を期してまいりたいと存じます。

塩川委員 雇用形態にかかわらずということではなくて、やはり雇用形態がこういった作業環境に影響を与えているのではないのか、こういう立場で検討すべきだと考えます。

 環境省、JESCOによる業務の丸投げの連鎖の問題に加えて、請負事業者の重層下請構造のもとでの非正規雇用の多用がトラブルの原因となっている、こういう認識が求められております。コストダウンの要請のもとでの安全対策の軽視が問われることで、安全で確実にPCB廃棄物の処理を進めるために人手もお金もかけるべきであり、そのための費用問題については、次回の委員会で質問したいと思います。

 きょうは、続けて、PCB廃棄物の処理期限についてお尋ねをいたします。

 大臣にお尋ねしますが、既に期限を一回延長しました。これ以上は延ばせない。その処理期限終了後にPCB廃棄物が出てきたときにはどうするんでしょうか。

丸川国務大臣 PCB特措法では、廃棄物の排出事業者責任に基づきまして、事業者に対して、保管するPCB廃棄物をみずから処分するか、処分を他人に委託することを義務づけております。ですので、JESCOの計画的処理完了期限の経過後については、事業者の責任でPCB廃棄物を民間主導で処分することを求めることになります。

 しかし、これは、PCB特措法制定以前に、全国三十九カ所で高濃度PCB廃棄物の処理施設の設置が民間主導で試みられたものの、いずれの場合も地元の御理解を得られずにこの処理に至りませんでしたので、こういう経緯に鑑みますと、民間主導でPCB廃棄物をみずから処分するということは、現実的には極めて困難です。

 ですので、こうした事態が生じないように、法案を認めていただいた暁には、今般の改正案に盛り込みました措置によりまして計画的処理完了期限内に処分委託が完了するように、事業者の皆様にも十分理解をいただく必要がございますし、私どもも全力を尽くしてまいります。

塩川委員 排出事業者が責任を負うというのは当然でありますけれども、しかし、実際には残ってしまったというときにどうするのかということなんですけれども、そういうのは全く想定しないということなんですか。

鎌形政府参考人 現在、高濃度のPCBにつきましては、JESCOの事業所で処理をする、それに計画的処理完了期限があるということでございますが、その期間の経過後は、今ほど大臣から御説明いたしましたとおり、事業者の責任で民間主導で処分ということになってしまいますので、そうならないようにするためのこの法案ということでございます。

 ですから、この法案に盛り込まれた事項をしっかりと講ずることにより計画的処理完了期限内に処理が完了するというふうに実施してまいりたいと考えております。

塩川委員 そうなることを私も願うものでありますけれども、実際にどうなるかというのは現場の問題ですから、そういういろいろなシミュレーションも含めて考える必要が出てくるわけであります。実際、事業者の方が十分出してこないという経緯もあるということは当然踏まえた対応が求められるところです。

 そこで、私が懸念するのは、先ほども紹介しました北九州ですけれども、二〇一三年十二月の北九州市議会において、我が党の八記博春市議の質問に対して、北九州市の環境局長は、二〇一三年十一月二十二日の環境省による市民説明会では、延長期間内の確実な処理に疑問の声が上がったわけだが、これに対して環境省は、国としての再延長はしない、その考えに基づき、最大三年間の予備期間を設定している、したがって北九州事業は平成三十五年度で終了する、仮に平成三十五年度を過ぎてもPCB廃棄物が残ってしまった場合は、PCB特措法ではなく、別の枠組みの中で処理することを国の責任で明らかにした、このように環境局長が答弁をしているわけです。

 お尋ねしますが、平成三十五年度を過ぎてもPCB廃棄物が残ってしまった場合は、PCB特措法ではなく、別の枠組みの中で処理するというのは、どういうことを説明したんですか。

鎌形政府参考人 御指摘の、二〇一三年、平成二十五年十一月二十二日、PCB廃棄物処理に係る国の検討要請に関する説明会というのが行われました。

 環境省からは、JESCO北九州事業所の事業終了準備期間である平成三十五年度まで操業がございますが、それでもPCB廃棄物の処理が完了しなかった場合、PCB特措法の枠組みの中で処理するのではなく、排出事業者責任に基づく処理をすべきという旨の説明をしたというふうに聞いております。

塩川委員 排出事業者責任のことを説明したんだ、PCB特措法の外に出ますと。

 そうすると、それは、廃棄物処理法に基づき排出事業者が処理責任を負うということなのか。それは実際どういうことになるんですか。

鎌形政府参考人 PCB廃棄物は産業廃棄物でございますので、排出事業者責任のもとで処理すべきというのが廃棄物処理法の枠組みということでございまして、その世界での処理が行われるべきということを申し上げたというふうに認識しております。

塩川委員 高濃度廃棄物の処理施設はもう終わりです、だけれども出てしまいました、そういった高濃度PCB廃棄物を排出事業者の責任で処理するというのは、どういうふうにするということなんですか。

鎌形政府参考人 現在、高濃度廃棄物の処理はJESCOの事業所のみができる、そういう能力を有しているというところでございますので、であるからこそ、そういった事態が生じないように、今回の法案に盛り込まれた措置でもって処理を完了する必要があるという趣旨で当時の担当者も説明会で申し上げたというふうに考えております。

塩川委員 ですから、高濃度PCB廃棄物を持ち続けてしまったといった場合には、特措法の外に出て、廃棄物処理法に基づいて排出事業者が責任を持って処理をしますということになった際に、実際どうなるのかという話なんですけれども、例えば、北九州の事業は終わりました、では、ほかの大阪とか東京へ持ってきて処理してもらう、そういうことというのもあり得るんですか。

鎌形政府参考人 JESCOの五つの事業所における処理すべきものの中身につきましては、どういった種類のもの、コンデンサーなり安定器なりそういったもの、処理すべき種類につきましては御地元との合意で決まってございます。そういう意味で、他の事業所の、想定されていなかった、計画の中になかったものを運び込んで処理するということは、地元との合意の中では認められないということでございます。

塩川委員 そういうことだと思います。その辺、どういう整理をされるのかというのがよくわからないんですよ。ですから、北九州などでも、こういう事業についてさまざま関心をお持ちの方の中でお聞きしていることなどもあると、どうするんだという話が出てくるわけですよね。だって、市議会で答弁しているんですから、環境省がこういうふうに説明したと。これは問題ですよね。

 そうすると、高濃度のPCB廃棄物の処理施設を使わないんだったら、低濃度のPCB廃棄物の処理施設が今高度化もしていますから、民間でやってもらうというのはどうなのかという話も出てくるんですけれども、そういうのはもう絶対ないということで言い切れますか。

鎌形政府参考人 高濃度PCB廃棄物につきましては、JESCOの五事業所で処理いたしますし、それ以外のところでは処理することが地元との関係で難しいということだと思います。

 かつて、三十年間、焼却処理で設備をつくろうとしてきて、できなかったという経過がございます。そういう意味で、JESCOにおける処理を完遂するということが必要だというふうに考えております。

塩川委員 低濃度PCB廃棄物処理について何点か確認しようと思うんですが、低濃度PCB廃棄物処理について、今後処理すべき処理量というのがどのくらいか、把握している量がわかりますか。

鎌形政府参考人 推計でございますが、使用中のものも含めて、柱上トランスが約百四十六万台、柱上トランス以外の電気機器が約百二十万台、OFケーブルが約千四百キロメートル存在するという数字がございます。

 ただ、低濃度のPCB廃棄物は、特措法の制定以降にそういった問題があるということが発覚したものでございまして、使用中のものも多くございます。そして、PCB汚染の有無を実際に分析しなければ確認できないというものも多いので、処理対象量の実態が十分把握できていないという課題はございます。そういう上での推計値ということで受け取っていただければと思います。

塩川委員 さらにふえる見込みがあるということですから、それを期限内に確実に終わらせるという取り組みも極めて重要であります。

 低濃度PCB廃棄物の処理は、無害化認定業者など数十者、三十者程度あるというふうに聞いておりますけれども、その処理方法は焼却方式でされておられるということですが、それはそういうことでよろしいですか。

鎌形政府参考人 低濃度のPCB廃棄物につきましては、まず、廃棄物処理法に基づきまして都道府県知事などから特別管理産業廃棄物処理業に係る許可を受けた者、そして、同じく廃棄物処理法に基づきまして環境大臣から無害化処理の認定を受けた者により処理されているというところでございます。数といたしましては、環境大臣の無害化認定が二十七、それから都道府県知事の許可が二というふうに承知してございます。

 これらの事業所におきましては、焼却、洗浄などで処理をしているというふうに把握しております。

塩川委員 こういった低濃度PCB廃棄物の処理施設の一覧なども見ておりますと、JESCOの事業所の運転会社と同じ系列の企業があるわけですよね。

 北九州でいいますと、新日鉄住金がそもそも建設しました。運転会社も、新日鉄住金が出資をしているSPCの運転会社が行っております。ですから、高濃度PCB廃棄物の処理施設を新日鉄住金のグループがやっています。新日鉄住金は一方で低濃度PCB廃棄物の処理施設も持っているんですよ。光和精鉱という会社ですけれども、いずれも北九州に立地をしているわけであります。

 ですから、先ほども言ったんですけれども、高濃度廃棄物の処理施設の期限が終わりました、でも出ちゃいましたといったときに、同じような系列にある例えば新日鉄住金のグループ企業の中で、高濃度はやめたけれども低濃度のを引き続きやっています、これは技術的にも高度化されてきたから高濃度のもできますよ、こんなふうな形で認めるようなことは決してあってはならないと思うんですが、いかがですか。

鎌形政府参考人 高濃度PCB廃棄物の処理につきましては、御承知のとおり、焼却処理を進めようとして三十年間施設の立地ができなかったという経過があるがゆえに、国が責任を持って、かつ大規模な化学処理方式という特別な方式をもってJESCOに処理をさせるという方式をとってきているということでございます。

 こういった経過に鑑みますと、JESCOで処理できないから焼却の方法によりということは現実的にできるというふうには考えてございませんので、JESCOによる処理をしっかりと進める、これがまず肝要というふうに考えてございます。

塩川委員 では、この件で大臣にも最後に一言いただきたいんですけれども、やはり高濃度PCB廃棄物というのは処理に結構お金がかかるわけですよ。もちろん中身は違いますけれども、低濃度の方は相対的には安くできるんですよね。

 だから、事業者の腹の中はわかりませんけれども、高濃度で出すのを置いておいて、期限が過ぎた後にどうするかという処理で、自分で処理してください、では低濃度に持っていきましょう、こんな話で安上がりに事を済ませるようなことというのは絶対やっちゃいけないわけですから、そんなことを決して行わせない、こういうことについて、大臣としてお答えいただきたい。

丸川国務大臣 高濃度PCB廃棄物を処理するに至るまでの長い経過を振り返りますと、お地元の理解と安心、安全に対する万全の体制なくして受け入れというのは考えられません。ですので、今後とも、それに基づいて、私どもは期限内の処理ということに対して万全の体制で当たってまいります。

塩川委員 終わります。ありがとうございました。

赤澤委員長 次に、松田直久君。

松田委員 おはようございます。民進党の松田直久でございます。

 きょうは、PCB廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法の一部改正法案について御質問させていただきます。よろしくお願いいたします。

 今回のPCB特措法改正においては、根幹のPCB廃棄物処理基本計画を閣議決定により定められることは、政府一丸となって取り組んでPCB処理をさらに進めるという強い意思のあらわれだ、こう思います。

 そこで、法改正前における高濃度PCB廃棄物の処理の現状について、まず質問をさせていただきたいと思います。

 現在、高濃度PCB廃棄物の処理に関して、中間貯蔵・環境安全事業株式会社、今御質問ありましたけれども、いわゆるJESCOが一元的に実施をしています。

 JESCOによりますと、平成二十七年の三月末で、北九州、大阪、豊田、東京、北海道の全国五カ所にある事業所全体の処理の進捗率が五一・五%で、前年度から七・三%増加しているということでございますので、このデータから予測しますと、現時点では大体六割程度処理が進んでいるというふうに思われます。

 各エリアによって処理の進捗は違いますが、現在の処理進捗率で、各エリア事業所と立地自治体との間で約束した計画的処理完了期限に間に合うのか。今も質問が出ましたけれども、改めてもう一度お伺いをさせていただきたいと思います。

 さらに、計画的処理完了期限は、平成二十六年六月のPCB廃棄物処理基本計画改定の際に、当初平成二十八年三月末とした期限を延長しました。そのとき、環境大臣名でそれ以上の再延長は絶対しないということを各自治体に約束されています。

 万が一、各エリアで事業が終了した時点で未処理の高濃度PCB廃棄物がわかった場合、どうするのか。

 先ほどもいろいろ議論があったところですけれども、やはり僕は出てくるんだろうと思うんです、完璧はないですから。だから、出てきたときにどう処理をするのかという考え方は、やはりある程度持っていなくてはいけないと思います。

 保管事業者が自己責任という形で処理をするのか、大臣にお伺いをしたいと思います。よろしくお願いします。

丸川国務大臣 現在のJESCOの各処理施設の計画的処理完了期限は、平成二十六年に、今委員が御指摘いただきましたとおり基本計画を見直しまして、当初の期限を延長させていただいたわけでございます。この際には、二度と延長はないということを環境大臣名で地元の皆様とお約束させていただいたわけでございまして、これは国として必ず守らなければならないものでございます。

 ですので、今般の特措法の改正にはそのための手だてを盛り込ませていただいているところでございまして、法律をお認めいただいた暁には、着実にこれらの措置を実施するとともに、進捗状況をしっかり管理して、確実に期限内の処理を達成していくために、我々、全力を尽くすわけでございます。

 事業者の皆様にもぜひこれは、これからまた法律をお認めいただいた上でさらにこれを加速させたいと思っていることは、基本的には、排出者、排出事業者の責任において処理するということになってしまいますよと。

 それは、今までの経過を考えた場合に、地元で受け入れていただくということが不可能だった三十年間があったわけでございまして、この経過について、いろいろ企業内でも世代交代等があって御理解いただいていない担当者の方がいてはいけませんので、改めて、この法律改正とともに、お認めいただいた際には、事業者の皆様方にこれまでの経過というものをしっかり踏まえていただくために、我々も努力をし、そして徹底した掘り起こしを行ってまいりたいと考えております。

松田委員 徹底しての掘り起こしというのは、後ほどの質問でさせていただこうと思います。

 JESCOの体質というのが、今も質問に出ましたけれども、幾つかの事業者に聞きますと、JESCOに処理をお願いした、何もないままで順番待ちをずっとしている事業者というのが結構あるんですよね。なぜかな、なぜかなという形でずっと延びているということなんですけれども。

 やはり、今の体質の話で、雇用といいましょうか、そこで働いていらっしゃる人の問題にもなるんでしょうけれども、十年延長しました、そして十年延長して、その雇用体系というのが、十年前、ちょうどこの事業が終わる時期に合わせて人を雇い入れているという部分があるから、ちょうど今、年齢的にも五十五歳ぐらいで、いわゆる平均年齢がかなり高くて雇用をしたということをお聞きしているんですけれども、そういうことはあるんでしょうか。

鎌形政府参考人 職員の雇用につきましては、専門性を有する必要があるということなどもございまして、経験のある方々を採用しているというケースが多いということで、結果的に、年齢層は高いというふうに承知してございます。

松田委員 すると、当初、この事業を始めるときにその雇用で雇い入れているわけですから、終わったらどうにかしなくてはいけない、そういうお考えというのは全然なかったということなんでしょうか。

鎌形政府参考人 具体的には、従来から新卒社員は採用しないという対応をしてきているということでございまして、いずれにいたしましても、事業が継続するという限りは必要な職員を手当てするという考えで臨んでいるということでございまして、結果的に、年齢層が高くて、退職年齢に達した方が多くなっても、逐次補充していくということでございます。

松田委員 私は、年齢層が高いから仕事ができないなんということは全然思わないんですけれども、ただ、十年間延長になりますと、非常にその辺のところに僕は大きな問題が出てくると思うんですね。

 もう一度、その辺の対応策というのは考えていらっしゃるんでしょうか。

鎌形政府参考人 今ほど申しましたとおり、退職年齢に達する方が順次出てくるというわけでございますけれども、延長しているということでございまして、そのための事業は続けなければならないわけでございますから、そのための補充をJESCOにおいてしっかりやっていただくということが必要だというふうに考えて、そのように私たちも支援してまいりたいと思います。

松田委員 今の事故の問題も、ちょっとホームページなんかを見させてもらいますといろいろな人的な事故が幾つか起こっておるということでありますので、これは、僕は年齢とイコールとは思いませんけれども、やはりそこはしっかりと対応していただかなくてはいけないと思います。

 もう一つ、順番待ちの問題なんですけれども、やはり事業者としては、PCBを処理してもらおうと順番を待っている、しかし全然何も連絡が来ない、ただ待っている状況だということなんですけれども、これは余りにも不親切だと思うんですね。

 こういう案件で、こういうふうに延びますよ、そしていつごろになりますよということを言ってあげなきゃ、やはり事業者としてもいろいろな計画とかいろいろなものがあるわけですから、その辺のところはどうなっているのかということと、もう一つ、例えば、PCBの処理の運搬業でJESCOの窓口に行ったら、今さら遅いですよというようなことを言われたんですけれどもという相談事も僕にはありました。

 そういった面で、上から目線とは言いませんけれども、体質的に、そういうところを本当にしっかりと事業者向けに、また地元向けにも、本当にやはりきちっとそういうところを情報も提供させてもらう、そういう体質が欠けておるように思うんですけれども、いかがでしょうか。

鎌形政府参考人 JESCOの事業者への対応のあり方という御質問でございますけれども、御指摘のような不親切、あるいは今、上から目線とおっしゃいましたが、そのようなことがあるとすれば、事業者にしっかりとPCB廃棄物を出していただくということには障害になるわけでございますので、私どももJESCOに対して、そのような不親切な対応などがないようにしっかりと指導してまいりたいと思います。

 また、処理が滞って、いわゆる順番待ちというようなことについての御指摘がございました。

 高濃度廃棄物の処理が当初予定よりおくれたというようなことで、受け入れが滞って、保管事業者の皆様にお待ちいただいている状況があるということはそのとおりでございまして、認識しております。こうした状況を踏まえまして、期限内の処理委託が円滑かつ迅速に行われることが必要でございます。

 今後、JESCOにおいて事業者と相互によく調整を図る、どういった時期にどういっただけの量、どういった種類のものが出てくるかということに関しまして事業者とよく調整をして、そして、JESCOの方も今後の処理の見通しをしっかりと出していくということでロードマップを示して、それを逐次改定していく、そういう中で事業者との調整も進めて、いわゆる順番待ちというような形にならないように、処理が進むように環境省としてもそれを後押ししてまいりたいと考えております。

松田委員 くどくど言いませんけれども、民間でいえば、順番待ちをしておるのに何の連絡もないというのでは、民間の感覚からすれば本当に考えられないことですので、その辺のところはやはりしっかりとお取り組みをいただきたいと思いますし、大臣の方もぜひとも、JESCOの体質という意味で、もっともっと皆さんの近いところで物事を考えるというような、そういう体質にやはりしっかり変えていただかなくてはいけないと思いますので、お願いをしたいと思います。

 次は、高濃度PCB使用製品の把握について御質問させていただきたいと思います。ちょっと順番を変えさせていただきました。

 平成二十六年の改定PCB廃棄物処理基本計画に基づいて、各自治体はアンケート調査により、高濃度PCB使用製品、廃棄物の使用実態、保管実態の全容を把握するための未届けの掘り起こし調査を行ってきていますが、行政指導による取り組みには限界がある、調査が難航しているのが現状だということであります。

 そこで、今回、改正案では、報告徴収、立入検査の強化により調査権限を補強して全てを把握した上で、事業者が現在使用中の高濃度PCB使用製品についても期限前に廃棄を義務づけることになっています。

 まず、現在のPCB特措法に基づく届け出と今までの掘り起こし調査結果から、どれほど使用中の高濃度PCB使用製品が存在しているのか、また、各届け出の調査の回収率はどれぐらいなのか、あわせてお聞きをしたいと思います。

 先ほども北九州の例が出ましたけれども、北九州においては調査に五年以上要したということであります。今後、他の自治体においても、掘り起こし調査の完了まで同様に五年またそれ以上要することが考えられ、法改正を行っても、各事業所エリアにおけるPCB処理事業の計画的処理完了期限までに調査が完了しないおそれがあるのではないかなと非常に心配をいたしております。

 そこで、地域住民のPCB処理に対する不安感を取り除くためにも、掘り起こし調査を完了する具体的な期日を定め、期限を区切る必要があると考えますけれども、見解を伺います。

白石大臣政務官 お答えいたします。

 現状の数値については後でまた御対応させていただくようにいたしますけれども、先ほど来議論がありましたとおり、また委員もおっしゃるとおり、調査について徹底して行う、それが一番重要であるということは我々も本当に強く思っておりますし、先ほど大臣の答弁にもございましたとおり、それを徹底していくことによって今回の期日を守っていく、それを進めていくつもりであります。

 このために、各地域に設置されているPCB廃棄物早期処理関係者連絡会の場を活用するなど、経済産業省と都道府県市、電気保安関係者等の協力を得て、連携して、一定の期限内に掘り起こし調査が計画的に進められるように国として自治体の取り組みを後押ししてまいりたいと思っております。

鎌形政府参考人 幾つか御質問があった中のうち、数字についてお答え申し上げます。

 自治体の掘り起こし調査、アンケート調査などでやっているものの回収率はおおむね平均で五割程度ということで、なかなか難航しているという状況でございます。

 また、そのうち、掘り起こしなどで出てきたもので、都道府県に届け出があったものにつきましては、私どもが今把握している限りでは、使用中のものとして、トランス五百五十台、コンデンサー類六千四百十四台、安定器九万四千九百四十八台、こういったものが使用中のものとして把握されてきているということでございます。

松田委員 一つ、今、掘り起こしの期限を切ったらどうかなという御質問をさせていただいたんですけれども、そういう考えはどうなんでしょうか。

白石大臣政務官 先ほども申しましたとおり、委員のおっしゃること、もっともであります。

 先ほども申しましたとおり、地域のいわゆる連絡協議会を通じて、各地域ごとに目標を設定していくということがやはり重要だと思っておりますので、それの後押しを我々環境省はやっていくというようなスタンスで考えております。

松田委員 私は個人的には、期限をもう少し切って、しっかりと皆さんにさらにスピードアップをしていただくことがいいな、こう思いますけれども。

 今御答弁いただきましたように、環境省としてはバックアップをしていくんだということですけれども、さらに掘り起こし調査の強化のためには、やはり担当といいましょうか、各自治体、調査には結構マンパワーというのが必要だと思うんです。

 もしバックアップということであれば、マンパワーも含めてそういうことを支援されたらどうかなと思うんですけれども、それはいかがでしょうか。

井上副大臣 委員おっしゃるとおり、自治体のマンパワーの増強を含めましてさまざまな、国も自治体に対する後押しを、できることをしっかりやっていくということで臨んでまいりたいと思っております。

 例えば、まず、掘り起こし調査、その効率化を進めなければなりませんので、電気事業法の届け出データなどをもとに調査対象事業者を絞り込んだデータを環境省が作成して、都道府県、自治体に提供することも予定しております。

 また、未届けの高濃度PCB廃棄物等につきましては、都道府県等による事業者への報告徴収や立入検査の権限を強化いたしますけれども、それに加えまして、現行法では緊急時のみに限られていた環境大臣の立入検査、報告徴収の権限も拡大をし、特に必要な場合には、地方環境事務所も活用して国も立入検査、報告徴収を実施することとしております。

松田委員 具体的には、やはりバックアップをしていただくということですので、僕は、現場主義が第一だ、こう思っています。やはり現場の意見をしっかり聞いていただいて、きめ細やかにバックアップをしていただくということだから、これは延長してなんですけれども、またさらに延長ということになっていきますと、やはり地元の方からしても、二度三度そういうことがあってくると、国の言っていることというのは本当なのかな、環境省の言っていることというのは本当なのかなという、そこの信頼関係というのはこういう事業に最も大切なんだと僕は思うので。

 環境省はうそをつきませんよ、言ったことはきちっと守りますよということが絶対、除染の問題もいろいろありましたけれども、やはりしっかりとお約束したことを徹底的に守っていただくということが必要だ、私はこう思いますので、お願いをしたいと思います。

 次の質問に移らせていただきます。

 先ほど質問にもありましたように、経産省所管の電気事業法と、PCB特措法の関連についてお尋ねをしたいと思います。

 環境省所管のPCB特措法と経産省所管の電気事業法に関する問題なんですけれども、高濃度PCB使用電気工作物の保管等の届け出は、電気事業法の定めによるものとされています。それ以外の届け出は、PCB特措法によるものとされています。その結果、電気事業法、改正後のPCB特措法の二つの法制度でPCB使用製品の届け出が行われることになっているということであります。

 二つ、両方による届け出制度が一体的に運用されてPCB使用製品の量が的確に把握されることになるのか、また、経済産業省及び環境省のいわゆる、こう言うとあれですけれども、縦割り行政によって業務が滞らないか、連絡を密にしてやっていくということがきちっとやれるのかということを、まず大臣のお考えを。

丸川国務大臣 これまで電気事業法において、PCBが使用された電気工作物の使用規制の枠組みというのが設けられておりまして、こちらの方は経済産業省で見ていただいているわけでございますが、今回のこちらの特措法の改正案の中には、環境大臣が経済産業大臣に必要な協力を求めることができる、特に、期限内処理の達成のために必要がある場合には、経済産業大臣に対して必要な協力を求めることができるという規定がございます。

 このPCBの処理ということについては、経済産業省の方でも政省令の改正等を御対応いただくというふうにお伺いをしておりまして、環境省がしっかりとリーダーシップをとって、経済産業省とともに連携をして、処理がしっかりと確実に進むよう対応してまいりたいと存じます。

松田委員 冒頭申しましたように、閣議決定をされて政府一丸となって取り組んでいくということで、経産省だけではなくて国交省も、例えば古い車両とかいうものにPCBが使われておるとか、各省ではいろいろそういう問題を持っていると僕は思うんです。

 ですから、そこはやはりきちっと連携をとっていただいてしっかりとお取り組みをいただきたいと思いますし、僕は、やはり環境省がリーダーシップをとってしっかりやっていただかなくてはこの期限内に処理ができない、それがひいては地元の方々、国民の方にもどうせ信頼を損なうという形で、お願いをしたいと思います。

 時間が来ましたので、最後の質問をさせていただきます。

 海外におけるPCBの処理なんですけれども、海外を見ますと、ドイツでは、二〇〇〇年から一リットル以上のPCB使用機器の使用の禁止、そして、百ミリリットル以上のPCB使用機器は二〇一〇年までに使用禁止としています。また、スウェーデンでは、既に二〇〇八年でPCB処理が完了しておる。海外の事例を見ますと、日本より、いろいろ日本の国の中で問題はあったといえども、やはり海外の方が非常に実は進んでおるということなんです。

 今回の十年延長するということに一つかかわって、海外の事例というのもしっかりと研さんというか勉強していただいて、やはりそういったいいところをしっかりと取り入れていくということが必要だ、私はこう思っているんです。

 海外におけるPCBの処理、特に処理前におけるPCB全体の把握調査、捜査等々、参考にした事例があったのかなかったのか、よかったところが、入れるところがあるかどうか、そして、どうして海外はそういうふうなしっかり進んだ事例があるのか、あわせてお尋ねをさせていただきたいと思います。

鎌形政府参考人 海外についてのお尋ねでございますが、米国、フランス、ドイツなどの諸国におきましては、民間企業が実施主体となって、焼却処理を中心的な手法としてPCBの処理を実施しているということでございます。

 一方、日本では、焼却処理に関しては、立地を試みたんですけれども、分解されずにPCBが残って排ガス中に含まれるのではないかとか、あるいは副生成物質としてダイオキシンが発生するのではないかといった不安から、焼却処理自体については地元の合意が得られないという状況が続きましたので、焼却によらない化学分解の方法ということでの無害化処理をという、JESCOによる無害化処理という方式をとっているということでございます。

 そういう意味で、海外、欧米の事例は焼却処理で物が進められたというところでございまして、我が国にはなかなか適用が難しかったということで、別の方法として、化学的な処理により地元の理解を得るという方法をとったというところが日本のある意味特殊性でございます。

松田委員 もちろん、日本と状況が違いますし、日本は非常にハードルが高いんだろうから、その辺のところは違いますよという御答弁だったと思いますけれども、やはり僕は、今のマンパワーにおいても、物事に携わる従事者においても、そういったいろいろな学ぶことがあると思いますので、その辺のところはしっかりと勉強もしていただいて、延長をしたわけですから、何とかそれで完結するように全力をもってやっていただきたいと思います。

 時間が来ましたので、終わります。

赤澤委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 民進党の福田昭夫でございます。

 本日は、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案についての質疑でございますけれども、ただいままでの質疑をお聞きしておりまして、私も随分理解が深まったなというふうに思っているところでございますが、私からは、改めて政府の基本的な考え方をただしてまいりたいと思いますので、簡潔にお答えをいただきたいと思います。

 まず、PCB特措法に関する関係機関の責任と役割及びPCB処理事業のこれまでの進捗状況についてでございます。

 資料の一をごらんいただきたいと思います。

 これは環境省が作成した資料から抜粋したものでありますけれども、これを見ますと、国、都道府県、JESCO、PCB廃棄物保管事業者、製造者、メーカーがそれぞれ役割分担をして頑張ってきたということであります。

 しかし、下の「これまでのPCB処理事業の進捗状況」を見ますと、どうしてもおくれぎみということでございますけれども、このおくれぎみの理由は何なのか、お伺いをしたいと思います。

井上副大臣 JESCOによる高濃度PCB廃棄物の処理は、当初、PCB特措法制定当時の処理期限である平成二十八年三月までの処理完了を目指して進められました。

 しかしながら、世界でも類を見ない大規模な化学処理方式によるPCB廃棄物の処理は、作業者に係る安全対策など、処理開始後に明らかとなった課題への対応などによって、その処理期限内の完了が困難な状況となりました。

 このため、事業所の地元自治体との調整を行った上で、平成二十六年に基本計画の見直しを行い、計画的処理完了期限の延長を行いました。

 しかしながら、いまだ使用中の機器が相当数存在すること、いまだ届けられていないPCB廃棄物やPCB使用製品が相当数存在していること、PCB特措法に基づく届け出をしているにもかかわらずJESCOへの処分委託をする見込みのない事業者も存在することなどの課題があるため、処理期限内の達成が必ずしも容易ではない、そういった状況になっているところでございます。

福田(昭)委員 大きな課題が三つ、この後また質問していきたいと思いますが、そのほかの課題もあるということで、環境省は、ストックホルム条約で約束した平成三十七年までの使用全廃、平成四十年までの適正処理を実現するため、今回、特措法を改正するということになったと思うんですけれども、その意気込みをまずぜひお答えください。

井上副大臣 委員おっしゃるように、今回の法改正の背景の中には、ストックホルム条約の期限が迫っていること、あるいはその計画的処理期限、こういったことがございます。

 ですから、こういった条約、また自治体との計画的処理期限の約束、こういったものを確実に守るようにしっかり環境省といたしましても取り組んでまいりたいと思っております。

福田(昭)委員 ぜひ、この法律が制定された暁には頑張ってほしいと思っております。

 次に、期間内の処理完了に向けて必要なステップと主な改正事項についてであります。

 一つ目は、PCB廃棄物処理基本計画の閣議決定についてであります。

 今回、その意気込みを示す一つの事例かな、あるいは基本かなと思っておりますけれども、この処理基本計画を閣議決定するのはどうした効果を期待してやるのか、なぜなのか、お答えいただきたいと思います。

鎌形政府参考人 期限内にPCB廃棄物の処理を確実に終えるためには、関係省庁が連携協力して、政府を挙げてPCB廃棄物の適正な処理を推進する必要がございます。

 関係省庁といたしましては、例えば、関連する電気事業法を所管する経済産業省、あるいは、それぞれの省庁は業を所管してございますけれども、その業の中で事業者がPCBを使っていたというようなケースもございます。そういったあらゆる省庁の協力を得ながら進めていく必要があるということでございます。

 このため、今回の改正におきましては、環境大臣が策定してきた基本計画を閣議決定という形で、政府一丸となって取り組めるようにそういった形式をとることとしたということでございます。

福田(昭)委員 政府一丸となって取り組むために閣議決定をするということでありますが、そうすると、PCB廃棄物の処理を規定している法律は、この特措法のほかに改正しなくちゃならないような法律とかそういったものがありましたら、また所管省庁がありましたら、教えていただきたいと思います。

鎌形政府参考人 今回、法案といたしておりますのは、特に高濃度PCB廃棄物の処理を期限内に行うということでございまして、まず、廃棄物につきましては廃棄物処理法がございますけれども、期限内の処理ということに関しましては今回PCB廃棄物処理特別措置法で対応しているということでございまして、これはいずれも環境省が所管する法律ということでございます。

 なお、今回の改正案につきましては、電気工作物である高濃度PCB使用製品については、経済産業省が所管する電気事業法の定めるところによるということでございまして、電気事業法において、先ほどから経産省からもお答えがございましたけれども、省令の対応などがなされるということでございます。

福田(昭)委員 そうすると、環境省のほかに、経産省が所管している電気事業法に基づく廃棄物も今回対象になってくる、こういうことですか。

鎌形政府参考人 廃棄物となったものに関しましては、PCB特措法の対象ということになります。

 そして、今回、電気事業法の規制に委ねておりますのは、使用中の使用製品についての、電気工作物に係る使用製品の規制ということでございます。

福田(昭)委員 では、そのことについては今後の質疑の中でまた確認をしたいと思います。

 二つ目でありますが、二つ目は、主な改正事項についてであります。

 その第一点、報告徴収、立入検査権限の強化、第二十四条と二十五条についてであります。

 今回、この報告徴収、立ち入り権限の強化を図る目的は何ですか、また、この効果を、何を期待しているんですか。

鎌形政府参考人 報告徴収、立入検査につきましては、PCB廃棄物あるいはPCB使用製品の把握を徹底するという目的から、この条項を活用していきたいというふうに考えてございます。

 現在は、いわゆる掘り起こし調査という形で行ってございますが、任意のアンケート調査という形でございます。これで調査の回答率が五割程度にとどまるなど限界があるということでございまして、この立入検査、報告徴収の改正を考えているというところでございます。

 現行のPCB特措法では、PCB廃棄物の保管事業者のみが報告徴収、立入検査の対象でございます。したがって、高濃度PCB使用製品を所有している事業者、あるいは高濃度PCB廃棄物、使用製品であることの疑いのあるものを保管ないし所有している事業者は、報告徴収、立入検査の対象となってはいないというところでございます。

 今後こうしたものを対象とすることによりまして、高濃度PCB廃棄物、使用製品の存在を徹底的に掘り起こしていく、そのためのツールとして活用することを期待しているということでございます。

福田(昭)委員 そうすると、何としても今回、全量を把握したい、そういう考えに基づいての法律の規定ということですね。

 次に、第二点でありますけれども、使用中の高濃度PCB使用製品の廃棄の義務づけ、第十八条についてであります。

 こうした使用中のものまで廃棄を義務づける、それはどうしてですか。

鎌形政府参考人 現行の特別措置法では、PCBの廃棄物となったもの、PCB廃棄物についての規制があるわけでございますけれども、高濃度PCB使用製品は、仮にJESCO各事業所の計画的処理完了期限経過後に廃棄物として出てくるということがあった場合には、JESCOによる処理ができず、適正な処理が困難な状態になるということでございます。

 そういうことなので、高濃度PCB使用製品が計画的処理完了期限内に廃棄されて、そして高濃度PCB廃棄物として確実に処理されることを確保する、こういった必要から、期限を設けて高濃度PCB使用製品の廃棄を義務づける、こういう必要があるということでございます。

福田(昭)委員 それでは、そうした使用中のものまで廃棄を義務づけて、財産権を侵害するというようなことにはなりませんか。

鎌形政府参考人 高濃度PCB使用製品は、昭和四十七年にPCBの製造が禁止されて、既に製造禁止から四十年以上経過しているということでございます。

 また、トランス、コンデンサーにつきましては、電気事業法、昭和五十一年以降、その新規の使用は既に禁止されておりまして、更新推奨時期あるいは法定耐用年数といったものも既に過ぎている、こういう状況にございます。そして、こういった耐用年数や更新推奨時期を過ぎているものにつきましては、劣化によるPCB漏えいなどが生ずる危険性もあるということでございます。

 また、安定器につきましては、法令上使用は禁止されておりませんが、十年以上使用されているものは劣化によるPCB漏えい等が生ずる危険性があり、老朽化した安定器からの漏えい事故なども発生してございます。

 さらに、JESCOの各事業所の処理完了期限を過ぎると、高濃度PCB使用製品は処分するということが事実上困難になるということになります。

 こういったことを踏まえまして、その期間内に廃棄を求めるということは財産権に対する合理的な範囲内での制約と言えるというふうに考えております。

福田(昭)委員 次に、第三点でありますが、計画的処理完了期限前の高濃度PCB廃棄物の処分の義務づけ、第十条、義務違反者に対する改善命令、第十二条、高濃度PCB廃棄物の処分に係る代執行、第十三条についてであります。

 こうした規定を規定するのはなぜなのか、お答えをいただきたいと思います。

鎌形政府参考人 高濃度PCB廃棄物につきましては、JESCOの五事業所の地元自治体との調整を行った上で、平成二十六年にPCB廃棄物処理基本計画の見直しを行い、計画的処理完了期限の延長を行ったところでございます。

 しかしながら、いまだ使用中の機器が相当数存在すること、いまだ届け出られていないPCB廃棄物やPCB使用製品が相当数存在していること、PCB特措法に基づく届け出をしているにもかかわらずJESCOへの処理委託をする見込みのない事業者も存在することなどの課題があるため、処理期限達成は必ずしも容易ではない状況にございます。

 このため、今御指摘にございましたような、計画的処理完了期限前に高濃度PCB廃棄物の処分を義務づけること、そして、義務違反者に対する改善命令によりそれを担保すること、そしてさらに、保管者が不明などになった場合のことに対応するものとして、高濃度PCB廃棄物の処分に係る代執行の規定を設けるということによりまして、期限内の処理が確実に達成するような仕組みを設けた、こういうことが、これらの規定を設けた必要性ということでございます。

福田(昭)委員 まさにそういった意味では、破産、死去、相続等に起因して処理が滞っているものについても処理するというかたい意思を示したものかなというふうに思っております。

 それでは三番目。次に、期限内処理の達成に向けた課題、環境省が大きく三つ挙げておりますけれども、それなどについて質問をしていきます。

 まず、大きな課題のうちの一つ、掘り起こし調査の強化についてであります。

 PCB特措法の対象について、それから電気事業法の対象について、電気事業法の対象外の対象、例えば輸送機器のPCB使用機器ということでありますが、三点、あわせてお伺いをいたします。

 次に、資料の二をごらんいただきたいと思います。

 これは環境省が作成をした資料でありますけれども、今回の法改正で追加的な措置を講ずるものが整理をされております。このフローを見ながらお聞きしたいと思います。

 今回の掘り起こし調査、まずこれが大きな課題となっておりますけれども、そうすると、今までお聞きしたことを考えますと、特措法に基づいて、電気事業法に基づく例外措置をとられているもの、それから輸送用機器、全てこれらを掘り起こす調査をやるということでよろしいんでしょうか。

鎌形政府参考人 高濃度PCB廃棄物の期限内処理の確実な達成のためには、高濃度PCB廃棄物に加えまして、高濃度PCB使用製品を網羅的に把握するという必要がございます。

 御指摘のとおり、電気事業法の対象になります電気工作物は電気事業法において対応していくということでございますが、電気事業法の電気工作物に位置づけられないものにつきましては、今輸送機器というような御指摘もございましたが、こういったものもPCB特措法の対象として、掘り起こしの対象としてまいりたいというふうに考えております。

三木政府参考人 PCB使用電気工作物の掘り起こし調査につきまして、経済産業省からお答え申し上げます。

 まず、電気事業法では、平成十三年以降、電気事業法の省令であります電気関係報告規則に基づきまして、〇・五ppmを超えるPCBを含有している電気工作物の使用が判明した場合及びこれを廃止した場合に、国に届け出ることとしております。

 さらに、今回のPCB特措法改正案を踏まえまして、現時点で判明していない高濃度PCB使用機器の掘り起こしをしっかりと行うべく、電気工作物の保安を担う電気保安法人等に対しまして、使用中の機器がないか点検、確認する義務を課すこととしております。

 こうした掘り起こし調査の状況につきまして、環境省、都道府県等ともしっかり共有をしまして、連携して取り組んでまいります。

福田(昭)委員 ということは、ほとんどのトランス類、コンデンサー類それから安定器等については、今回の特措法の改正に基づいて、環境省が輸送機器も含めて徹底的に掘り起こしの調査をする、そして、それに経産省が電気工作物等の調査をして、政府が一体となって取り組む、こういう話でよろしいんでしょうか。

鎌形政府参考人 御指摘のとおり、電気工作物で使用中のものについては電気事業法による対応になりまして、それ以外のものにつきましては、それ以外の高濃度PCB廃棄物、そして高濃度PCB使用製品で電気工作物でないものにつきましてはこのPCB特措法で対応してまいりますし、先ほど経産省からもお答えございましたように、掘り起こしの状況につきましては、連絡の会議などで共有することにより、連携して取り組んでいくということでございます。

福田(昭)委員 そうしますと、二つ目の課題の方まで何か聞いたり答弁するような形になっちゃいましたが、二つ目の課題であります使用中の高濃度PCB使用製品への対応強化ということでありますが、このことについては今整理をさせていただきましたけれども、環境省と経産省が協力をして、全てのPCB使用製品の処理に取り組んでいくと。特に、使用中のものについては経産省が電気事業法に基づいて省令を改正して取り組んで、廃棄物となったら今度は環境省がそれの処理に取り組んでいく、こういうことなんですね。

 それでは、課題の三つ目の方に入りたいと思いますけれども、課題の三つ目の、高濃度PCB廃棄物の確実な処理のための対応強化ということであります。これについて、PCB特措法の対象と、電気事業法の対象及び対象外の対象について、あわせて伺います。

 PCB特措法に基づき高濃度PCB廃棄物の保管の届け出をしているにもかかわらずJESCOへの処分委託をする見込みのない事業者が相当数存在をしている、しかしながら、現行のPCB特措法は、計画的処理完了期限までに処分委託をしなかった事業者に対する改善命令等の措置を規定していない。また、保管事業者が不明、破産等のため処理が滞っているPCB廃棄物が一定数存在。これらの対応を先ほどの法律の規定で対応するということであります。

 この法律の規定によって、これからこれを具体的にどのように進めようとしているのか。先ほどもありましたけれども、期限を決めてJESCOの方にちゃんと処分を委託するようにさせるのか、具体的な方法がありましたら教えていただきたいと思います。

鎌形政府参考人 今回のPCB特措法の改正案におきましては、PCB廃棄物の保管事業者に計画的処理完了期限より前の処分委託を義務づけることとしてございます。具体的には、法案の十条一項におきまして、要は処分期間ということを設定いたしております。これは計画的処理完了期限の一年前に設定するということとしてございます。そうしたJESCOの計画的処理完了期限より一年前に処分委託を義務づけるということでございまして、その義務違反に対しては改善命令を出せることにする、さらに、その命令に違反した場合には罰則を科すということで担保するということとしてございます。

 また、保管事業者が破産、死去、相続などにより不明確となり処理が滞っている場合や、事業者が資力不足等の理由で処分委託を忌避し続ける場合などに対応するために、処分期限を経過した高濃度PCB廃棄物について都道府県が代執行を行うことができる規定を設けているところでございます。

 これら二つを動かすことによりまして、まず計画的処理完了期限よりも一年前までの処分を目指しますし、それができない場合には、今申し上げた改善命令、命令違反に対する罰則、あるいは代執行というものを適用いたしまして、計画的処理完了期限までの処理が確実にできるようにするということを担保する、そういう考えでおります。

福田(昭)委員 ここでちょっと基本的なことをお伺いしますが、資料の一にJESCOの五カ所の処理施設があるわけですが、処理施設ごとに自治体と約束した期限が違うんですけれども、例えば九州が一番早く期限が来ちゃうわけですが、この赤色に染められていた地域の中で期限内に処理できなかったものは、別の地域に、まだ期限のある地域に移して処理してもらうということは可能なんですか。

鎌形政府参考人 JESCOの各事業所の御地元との合意事項では、トランス、コンデンサー、安定器、それぞれどの範囲のどの種類のPCB廃棄物をその事業所で引き受けて処理するかということが決まってございます。

 そういったものの処理をするための計画的処理完了期限が定まっているということでございますので、仮にそれを徒過したからといって別の場所で処理するということについては地元との合意には含まれないことでございますので、そのようなことのないように対応していくということでございます。

福田(昭)委員 そうすると、日本各地で、この五地区で処理期限は違うというふうに解釈してよろしいんですか。

鎌形政府参考人 期限につきましては政令で定めることとしてございますけれども、御指摘のとおり、五事業所ごとの計画的処理完了期限を定めていくということで、それぞれ異なった期限が定まるということでございます。

福田(昭)委員 では、そのことをよく自治体に徹底しないと、本当に処理期限内にできなかったということが相当出てきちゃうんじゃないですかね。ぜひそれはしっかり徹底させていただきたいと思います。

 そろそろ時間がなくなってきたのでその先に行きますけれども、四つ目は、中小企業者等の負担軽減措置についてであります。

 中小企業者等が高濃度PCB廃棄物の処分をJESCOに委託して行う場合にその費用が軽減されるよう、PCB廃棄物処理基金から中小企業者等の費用負担軽減に要する額を支出しているということでありますが、どの程度軽減されるのか、お答えをいただきたいと思います。

鎌形政府参考人 御指摘のとおり、PCB廃棄物処理基金を独立行政法人環境再生保全機構に設けまして、中小企業者などにつきましては処分料金の七〇%を軽減する、特に費用負担能力が脆弱な個人につきましては処分料金の九五%を軽減するということを行ってございます。

 基金の規模も、出捐総額五百六十億円を予定しておりまして、大規模なものとなってございます。この助成を継続することによって、引き続き中小企業者の負担の軽減に取り組んでいくということでございます。

福田(昭)委員 それで、中小企業者はこれだけ、あるいは脆弱な個人についてはこれだけ軽減をされて、その処理はやはり進むと見られているんですか。どうなんですか。今までの進捗状況から考えて、どんなふうですか。

鎌形政府参考人 今申し上げましたとおり、七〇%ないし個人の場合は九五%の軽減という仕組みで運用しているところでございます。

 これまでの基金では、必要額として五百六十億円を積むということで積み立てておるわけでございますけれども、現在まで、平成二十六年度末の数字でございますけれども、基金からの支出済み額は約百二十億円ということでございます。基金総額予定額の約二割ということでございます。

 少しずつ進んできているということでございますが、今後もこれを活用して中小企業の対応を促進してまいりたいと思います。

福田(昭)委員 どうも進捗状況を見ると余り芳しくないようなので、これもしっかり力を入れて頑張っていただきたいなと思います。

 それでは、五つ目でありますが、低濃度PCB廃棄物の処理についてであります。

 こちらの方は、高濃度に比べると何かさらに非常に先行きがよく見えないな、こういう感じでありますけれども、JESCOではなく民間事業者により処理されているということでありますが、今後どのように対応しようとしているのか、お聞きしたいと思います。

白石大臣政務官 お答えいたします。

 低濃度PCB廃棄物については、ストックホルム条約において平成四十年までの適正処理が求められております。これを受けて、PCB特措法の政令において平成三十九年三月までの処理期限を定めておるところでございます。

 低濃度PCB廃棄物については、先ほど委員おっしゃったようにJESCOではなく民間事業者により処理されていますが、PCB特措法の制定以降に問題が発覚したために、使用中のものが相当数あることが想定されまして、処理体制が整備の途上にあることなど、高濃度PCB廃棄物とは状況、事情が異なる点に留意する必要があります。

 このため、まずは、低濃度PCB使用製品の使用実態の把握を十分に行うとともに、低濃度PCB廃棄物の処理体制の充実、多様化を進めてまいりたいと思っております。

福田(昭)委員 では、低濃度についても期限内にきちっと処理するという考えなんですね。

白石大臣政務官 低濃度についても、先ほども申しましたように、期限内に処理するということの重要性においては同様に考えておりますし、それに向けてこれからも、政令等で対応しながら、期限に向けてしっかり処理できるように努力してまいります。

福田(昭)委員 それでは、そろそろ最後にしたいと思いますが、最後に大臣にお聞きしたいと思います。

 大臣が御承知のことなんですが、ストックホルム条約で言う残留性有機汚染物質とは、環境中で分解しにくい難分解性、食物連鎖などで生物の体内に濃縮しやすい高蓄積性、長距離を移動して極地などに蓄積しやすい長距離移動性、人の健康や生態系に対し有害性がある毒性のような性質を持つ化学物質を指すようであります。

 この残留性有機汚染物質から人の健康の保護及び環境の保全を図るということでストックホルム条約ができたようでありますけれども、大臣の、PCB特措法を実現するための所見といいますか意気込みというか、それをお答えいただいて、質問を終わりにします。

丸川国務大臣 ストックホルム条約の期限というものは守ることは当然として、さらに、私どもの国内におけるPCB処理事業所とそれぞれの地域とのお約束というものがございます。

 これを、国の責任においてしっかりと確実にこの期限内に処理を進めていくためにも、この法案をお認めいただいた暁にはしっかり取り組んでまいりたいと思いますので、今後とも引き続き御指導をよろしくお願い申し上げます。

福田(昭)委員 終わります。

赤澤委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党と山本太郎となかまたち、玉城デニーです。

 ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案、内閣提出第四〇号について質問をさせていただきます。

 さて、先ほど来質問が出ておりました国際的な取り組みについて、PCB特措法及び今回の改正法案とストックホルム条約の関係性からまずはお聞きしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 PCBは、絶縁性、不燃性などの特性により、トランスやコンデンサーといった電気機器を初め幅広い用途に使われていましたが、我が国で、昭和四十三年、カネミ油症事件が発生するなど、その毒性が社会問題化いたしました。そして、昭和四十七年以降は製造は行われておりません。

 しかし、国際的に見ると、全く使用していない地域、極域、例えば北極圏域などへの汚染の拡大が報告されたことによって国際的な規制の取り組みが始まり、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約、POPs、パーシステント・オーガニック・ポリュータンツ、略してPOPsと言っているようですが、POPs条約が二〇〇四年、平成十六年五月、五十カ国により締結、発効いたしました。現在、二〇一五年の一月では、百五十一カ国とEUが署名し、日本を含む百七十八カ国とEUが締結をしております。

 そして、我が国では、これまで、PCBの処理に向けては民間主導による処理施設の動きが幾度かあったのですが、長いことそれが保管されているということによって、確実かつ適正な処理を推進するために、平成十三年六月二十二日に、先んじてPCB特措法が公布され、施行されています。

 このストックホルム条約、POPs条約と本邦のPCB特措法との関係についてまずはお聞きしたいと思います。

鎌形政府参考人 御指摘の残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約は、残留性有機汚染物質から人の健康及び環境を保護することを目的とし、これらの物質の規制について国際的な枠組みを定めるものでございます。

 PCBは、一部のPCBを使用している地域から、北極圏等の全く使用していない地域への汚染の拡大が報告されたことなどから、国際的取り組みが必要であって、優先的に対策を講ずべき物質として、この条約の規制対象物質とされたところであります。そして、五〇ppmを超えるPCBについて、平成四十年までに廃棄物の環境上適正な管理を行うことを目的とした確固とした努力を払う、こういったことが条約上規定されております。

 これを踏まえまして、PCBに関する規定のうち、PCBの廃棄物の環境上適正な管理について、我が国で対応するというところで、平成十三年に制定されたPCB特別措置法により、一定の届け出ないし期限内の処分ということが義務づけられております。その期限につきましては、現在、政令で平成三十九年三月ということになっておるところでございます。

玉城委員 今答弁にありましたように、世界的に使用している国々の規制と、それから、使用しているけれどもまだ規制が取り決められていない、いわゆるストックホルム条約に未締約、未批准国という国々が存在するわけであります。

 先ほどの福田委員からも、ストックホルム条約の中での定義というものがありましたが、この定義の中では、環境中で分解しにくい難分解性、それから、食物連鎖などで生物の体内に蓄積しやすい高蓄積性、長距離を移動して極地などに蓄積しやすい長距離移動性、そして、人の健康や生態系に対して有害性がある有害性ということが先ほども質問で挙げられていました。

 このストックホルム条約、POPs条約の中の残留性有機汚染物質というのは、日本残留性有機汚染物質ネットワークのホームページによりますと、空気中に蒸発して拡散し、その後、大気の循環で極地方に移動し、さらに極地方の冷たい空気によって冷やされて凝縮し、地上に降下するというふうに、あっちこっちにまるでバッタのように跳んでいくというふうなことから、バッタが跳びはねるように長距離を移動することから、グラスホッパーエフェクト、バッタ効果というふうに言われているそうです。

 つまり、赤道地方で環境中に放出された汚染物質が、バッタ効果によってそれ以外の地域、日本はもちろんですが、もっとさらに遠くの極域、極地などへも移動するということですね。そして、農産物あるいは魚介類などの輸出入によって各国に拡散するという危険性があるというふうに言われています。

 そこで、外務省にお伺いいたしますが、この条約批准国、先ほども例示いたしましたが、現在日本を含む百七十八カ国とEUが締結しているストックホルム条約にまだ締約を済ませていない、あるいは批准していない国などへの援助、協力等について、どのような立場でそれを行うものであるかということをお聞かせください。

牛尾政府参考人 ストックホルム条約のもとでは、締約国会議の決定に基づき、地球環境ファシリティー、GEFを通じ、非締約国に対し同条約締結に向けた支援を提供しております。我が国もGEFに拠出しております。

玉城委員 そこで、内容も少しお聞かせいただきたいんですが、そこでどのような形での呼びかけなどを行っているのでしょうか。内容があれば、お聞かせください。

牛尾政府参考人 GEFを通じて、条約の実施に向けた基盤づくり、あるいは条約に基づく義務履行及び報告への支援、POPsの管理のための国家の能力強化のため、プロジェクトを実施しております。

玉城委員 ありがとうございます。

 ぜひ、先進国、締約国からの積極的な働きかけによって、できる限りこの汚染物質が拡散しない、地球規模で拡散をさせないという立場で、日本からも積極的に取り組んでいただきたいというふうに思います。

 では、今回の改正法案の内容について質問を進めさせていただきます。

 このPCB特措法においては、全国五つのブロックに分け、五カ所のJESCOの処理施設で処理期限を設定し、それまでに処理を行うということになっています。

 この処理期限を設定している背景及びその処理期限を厳守する項目について、その中身をお聞かせください。

丸川国務大臣 PCBは、昭和四十三年のカネミ油症事件を契機に、その毒性が社会問題化いたしまして、昭和四十七年の製造中止後、民間主導で全国三十九カ所において処理施設の設置が試みられました。しかしながら、住民の同意が得られず、三十年間以上にわたって処理が滞ることとなりました。

 こうした状況を踏まえまして、平成十三年にPCB特措法が制定されまして、立地地域の関係者の皆様の御理解と御協力のもとで、国が中心となって、JESCOを活用して、全国五カ所に拠点的な処理施設を整備し、平成二十八年三月までに事業を完了することとされました。これは、平成十三年の法施行後五年間で施設整備を行って、その後十年間で処理を完了させることを想定して、当初設定されたものでございました。

 しかしながら、JESCOにおける高濃度PCB廃棄物の処理は、世界でも類を見ない大変大規模な化学処理方式によるものであったために、処理開始後に明らかとなったさまざまな課題への対応等によりまして、当初予定しておりました平成二十八年三月までの事業の完了が困難となりました。

 そのため、立地地域の関係者の皆様の御理解と御協力をいただきまして、平成二十六年に基本計画の見直しを行いました。各施設の操業の開始時期が異なるということや、各事業所の処理見込みを踏まえまして、五つのPCB処理事業所ごとに計画的処理完了期限が定められたものです。最も早いものは、北九州事業所におけるトランス類、コンデンサー類の処理の期限でありまして、平成三十年度末とされております。

 このJESCOの各処理事業所の計画的処理完了期限は、二度と再延長をしない旨を地元の関係者の皆様と約束をして設定されたものでありますので、国としては必ず守らなければならないものです。このため、計画的処理完了期限を守るために必要な措置をこの改正案に盛り込んだところでありまして、期限内の処理の達成に万全を期してまいります。

玉城委員 これまでに、やはり非常に高技術であり、そしてさらには、なかなか処理費用のために処理を委託できない事業者の方々も大勢いらっしゃるということも思料されるわけですね。

 このように、期限を決めて厳格にそれを守る、それは、国民の皆さん、地域の皆さんとのお約束であるということはもちろん異を唱えるつもりはありません。しかし、やはり、先ほど申し上げましたとおり、PCBの廃棄物を保管しているけれども、あるいは現在使用中であるけれども、なかなかその処理に向けて取り組みが進まないという現状や、これからの状況などを考えた場合、まだ未処理であるPCB廃棄物が新たに見つかった場合、最短で平成三十年度末ですが、最長でも北海道事業エリアですと平成三十五年度末になっております。その平成三十五年度末以降、新たにPCB廃棄物が見つかった場合については、どのような処理といいますか、取り組みをするものであるかということを一度確認しておきたいと思います。

鎌形政府参考人 PCB特措法では、廃棄物の排出事業者責任に基づきまして、事業者に対して、保管するPCB廃棄物をみずから処分するか、あるいは処分を他人に委託するということを義務づけております。それでJESCOに委託しての処理が行われているというところでございます。

 そして、JESCOの計画的処理完了期限の経過後はJESCOに委託できないということでございますので、原則に立ち戻りまして、事業者の責任でPCB廃棄物を民間主導で処分するということが求められることになってしまいます。

 しかしながら、先ほど大臣からも御答弁ありましたとおり、過去三十年間、民間主導での処理施設の設置というのは進まなかったということがございます。そういうような経過に鑑みれば、民間主導でPCB廃棄物をみずから処分するということは現実的には極めて困難であるというふうに考えております。

 そういう意味で、こうした事態が生じないように、今般の改正案に盛り込んださまざまな措置、これをしっかり取り組むことによりまして、計画的処理完了期限内に確実に処分委託が完了するようにすることが大事でございまして、そのために全力を尽くすというところでございます。

玉城委員 さまざまな形で電気事業者あるいは業者が保管しているPCB廃棄物に関して、しかるべき対応を急いでいただきたいということも考える次第です。

 さて、きょうは電気事業法に関連して経済産業省に質問をさせていただく予定だったんですが、時間の関係で後刻の委員会でその質問はまた行いたいと思いますので、きょうは失礼いたしました。ありがとうございます。

 最後に、もう時間も来ておりますので、現在、例えば安定器などを使ったいわゆる照明器具でありますとか、そのほか民生品がさまざま使われている状況において、こういう安定器を使った製品の廃棄に向けた取り組み、本当に数がかなり、もう膨大な量があると思いますが、その廃棄に向けた取り組みについて最後にお伺いしたいと思います。

赤澤委員長 申し合わせの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いをいたします。

鎌形政府参考人 今、民生品についてのお尋ねでございますが、PCBの入った安定器というものはいわゆる業務用のものでのみ使われてございまして、家庭用のものではPCBはその安定器の中に入っていないということでございます。

 ただ、いずれにいたしましても、安定器の数は大量に上ります。現在、PCB特措法の届け出の中で、使用中のものについても届け出があったものがございまして、それは二十七年三月末で約十万台把握がされているということでございますが、まだ未届けのものが一定数存在するということでございます。

 そうした意味で、掘り起こし調査を徹底してやるということでございまして、今回、法案が成立をいただきましたらば、それに基づきます立入検査、報告徴収などを活用して、またかつ、電気事業法の届け出データなども私どもが整理いたしまして都道府県に提供する、こういったことを通じて掘り起こしを徹底していきたいというふうに考えております。

玉城委員 ありがとうございました。

 時間ですので終わります。ニフェーデービタン。

赤澤委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 おおさか維新の会の河野正美でございます。

 ただいま議題となっておりますポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法の一部改正法律案について、三十五分間、質問時間をいただいております。きょう最後の質疑者でございまして、委員もかなり少なくなっていてあれですけれども、しっかり最後までよろしくお願いいたします。

 まず、我が国においてポリ塩化ビフェニル、PCBの危険性が社会に広く知れ渡ったのは、一九六八年に西日本一帯で発生したカネミ油症事件だというふうに思います。一九六八年、カネミ倉庫が製造した米ぬか油にPCBなどが混入し、約一万四千人が健康被害を受けたというものであります。

 当初、被害の認定基準は皮膚症状や血中のPCB濃度などでしたが、二〇〇四年には、ダイオキシン類のポリ塩化ジベンゾフラン、PCDFの血中濃度も加わりました。二〇一二年になってようやく被害者救済法が施行され、同居家族にも認定対象が拡大し、国などから年二十四万円が支払われるようになったというふうに聞いております。

 被害の発生から救済法の施行まで、実に半世紀近くかかってしまいました。なぜこれほど時間がかかったのか、これまでの経緯を振り返った上で、政府の見解を伺いたいと思います。

福田政府参考人 お答えいたします。

 カネミ油症事件は、昭和四十三年に西日本を中心に広域に発生した食中毒事件であり、カネミ倉庫が製造した米ぬか油中に製造過程で熱媒体として使用したPCBなどが混入し、これを摂食した方に健康被害が発生したものでございます。

 事件発生後、厚生労働省では、治療法の開発や診断基準の検討等を行う研究事業に対する補助を行ってまいりました。

 御指摘のカネミ油症患者に関する施策の総合的な推進に関する法律につきましては、カネミ油症の治療法がいまだ確立しておらず、患者の方々が長年にわたり多様な症状で苦しんでおられること、原因企業から医療費等が支給されておりますが、原因企業の経営状況への懸念等から患者の方々が将来に対して不安を抱えていることから、このようなカネミ油症患者の置かれた事情を考慮し、平成二十四年の第百八十回通常国会において議員立法として成立したものでございます。

 現在では、同法に基づきまして、従来の措置に加え、認定患者に対する健康実態調査の実施などの施策を総合的に進めているところでございます。

河野(正)委員 現在、カネミ油症被害者として認定を受けた方は二千二百人余り。被害者救済法に基づき、平成二十七年度健康実態調査というのが実施されております。その中では、およそ四分の三の方が日常生活で悩みやストレスがあるという回答をされています。そして、生活への不安や将来の健康への影響、治療法など、さまざまな思いを抱き続けていることが明らかとなっているところであります。

 こうした調査を受けてどのような取り組みを進めておられるのか、被害者救済に当たっての課題を含めてお答えいただきたいと思います。

福田政府参考人 お答えいたします。

 厚生労働省では、全国のカネミ油症患者の健康状態を把握するため、平成二十四年九月に施行されましたカネミ油症患者に関する施策の総合的な推進に関する法律に基づきまして、毎年度、健康実態調査を実施してございます。

 平成二十七年度に実施いたしました健康実態調査では、回答者の七六・三%に当たる千九十九名の方から、日常生活での悩みやストレスがあるとの回答があるなど、カネミ油症患者の方々はさまざまな不安を抱えておられるところでございます。

 このようなカネミ油症患者の方々が抱えるさまざまな不安などに対応するため、厚生労働省では、従来から相談員制度による相談や治療法の開発への補助などに取り組んできており、今年度からは新たに、都道府県に相談支援員の設置を進めるなどの取り組みの充実を行うこととしてございます。

 このような取り組みなどを通じまして、カネミ油症の患者の方々が抱える生活や症状などへの不安などにも適切に対応してまいりたいと考えております。

河野(正)委員 国内において、ほかにPCBによって健康被害が発生した例があるのかどうか、伺いたいと思います。

鎌形政府参考人 環境省といたしまして、PCBが環境を経由して人の健康に被害が生じた事例は、現時点では承知しておりません。

河野(正)委員 一九五五年に発生し、被害者約一万二千人に及んだ森永砒素ミルク中毒事件というのがございます。粉ミルクの安定剤に使用された第二リン酸ソーダが、砒素を大量に含んだにせものだったということであります。

 カネミ油症事件と酷似したような事件だったとも思われますが、当事者企業の経営規模に大きな差があり、それが被害救済能力の差にもつながったという指摘があります。

 最近では、中国製ギョーザの異物混入事件が発生するなど、食品による健康被害が生じる可能性が依然として少なくありません。ただ、当事者企業の経営規模によって被害者救済に差が生じるべきではないというふうに思うところです。

 被害発生に備えた基金をつくるなど、事前の備えをしっかりと考えておくことも必要だと思いますが、政府の見解を伺いたいと思います。

福田政府参考人 お答えいたします。

 近年、食品の流通が広域化してございまして、食中毒の発生が大規模化、広域化する傾向があることから、被害の拡大防止のために迅速な対応が極めて重要でございます。

 このため、食品衛生法に基づきまして、食中毒患者が五十人以上発生し、またはそのおそれのある場合などには、都道府県知事は厚生労働大臣に直ちに報告をすることとされておりまして、食中毒発生時には、関係自治体と連携し、原因食品の早期販売中止や回収等に努めているところでございます。

 厚生労働省といたしましては、引き続き、食品の飲食に起因する衛生上の危害の発生の防止に努めてまいりたいと考えております。

 なお、国として公費を投入して被害者に対する直接支援を行うということは、原因者負担の原則にも反することから、食品衛生協会などによります食品営業賠償共済等、民間の仕組みを活用すべきものと考えているところでございます。

河野(正)委員 これは想像したくないようなことでありますけれども、万が一、今後、PCB廃棄物によって健康被害が生じる事例が発生した場合、被害者の救済をどのように進めていくお考えかを伺いたいと思います。

鎌形政府参考人 PCB廃棄物処理事業は、多重防護、フェールセーフ、セーフティーネットなどの考え方によりまして、決してPCBが漏えいしないよう安全確保に万全を期しているところでございます。

 万が一、PCBが漏えいした場合については、速やかにバルブ操作などによる漏えい防止措置を図り、漏えいの範囲を最小限に抑え、その後、適正な保護具を着用した上で漏えいしたPCBを速やかに回収する、こういうことにしてございます。これにより、人への被害というものを未然に防止する体制を講じているところでございます。

 それでもなお、万一、PCB漏えいにより人への被害が生じた場合ということのお尋ねでございますけれども、この場合には、個別の事案に応じてJESCOとともに必要な措置を検討し、講ずるということになろうかと思います。

河野(正)委員 安全と言われていた原子力発電所でもああいった事故が起きておりますので、しっかりと対策を事前に検討されておくようお願い申し上げます。

 次の質問に移ります。

 カネミ油症事件の四年後、昭和四十七年にはPCBの製造が中止されています。その後、民間主導により全国三十九カ所で処理施設の設置が試みられましたが、いずれも、住民の同意が得られず、建設ができませんでした。そのため、三十年以上もの間、この問題は何ら処理がされない状態が続いていたと思います。

 なぜこのように放置されてきたのか、見解を伺いたいと思います。

鎌形政府参考人 御指摘のとおり、PCBの製造が禁止された昭和四十七年から三十年間にわたり、民間主導で施設の立地が試みられたというところでございます。

 ただ、民間主導のPCB廃棄物の処理につきましては、高温焼却処理施設を立地しようということが試みられたわけでございますが、このような焼却処理につきましては、分解されずに残ったPCBが排ガス中に含まれるのではないかといった不安や、副生成物質としてダイオキシンが発生するのではないかといった不安がございました。

 そういう意味で地方自治体や地域住民の理解が得られなかったということで、どこにも立地することができなかったということで、この結果、長期間にわたってPCB廃棄物の処理が滞ることになった、このように理解しております。

河野(正)委員 平成十三年になりましてPCB特措法が制定され、国が中心となって、立地地域とJESCOの協力により現在の体制が整えられました。

 三十年以上できなかったことが、なぜこのタイミングで動くことができたのか、見解を伺いたいと思います。

鎌形政府参考人 民間主導の処理施設の立地の取り組みが三十年間滞る中で、事業者によるPCB廃棄物の保管が長期にわたることになりました。

 そうした中で、当時、厚生省が平成十年度に調査を行いました。そうしたところ、トランス、コンデンサー類一万一千台が行方不明または紛失しているということが明らかになり、長期にわたる保管の継続が放置できない状況となってまいりました。

 また、世界的にも、一部のPCB使用地域から、北極圏など全くPCBを使用していない地域への汚染の拡大が報告されたことなどを背景として、国際的な規制の取り組みが始まって、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約の採択ということがございました。

 こういった背景から、我が国で長期にわたり大量に保管されていたPCB廃棄物の適正な処理が必要だということで、平成十三年にPCB廃棄物特別措置法が制定されたということでございます。

河野(正)委員 PCBの怖さをまさに実感した地域が福岡県であり、北九州でもありますが、そのような土地にPCBの処分施設が建設され、今処分が進められています。PCB被害を目の当たりにした地域にあえて処分施設の立地を決めたことに対して、やや違和感を覚えている方もおられると思います。地域の住民への説明や合意を得るために大きな努力が必要ではなかったのかと推察いたします。

 立地選定のいきさつや合意形成における困難などについて、お聞かせいただきたいと思います。

鎌形政府参考人 JESCOのPCB廃棄物処理施設の立地に当たりましては、全国五カ所の事業所、それぞれ地元自治体に国から施設受け入れの要請を行って、最終的には各自治体から条件つきでの受け入れを認めていただいたというところでございます。

 御指摘の北九州市についてでございますが、平成十二年に処理施設の立地についての検討の要請を行いまして、これを受けて、北九州市内で平成十三年二月から七月にかけまして、百一回、延べ三千五百二十二人の市民への説明会を実施したところでございました。

 こうした取り組みによりまして、地元住民の皆様の御理解をいただいた結果、平成十三年十月には、国が安全確保などを遵守することを条件に、北九州市に処理施設の立地を受け入れていただけることになったということでございます。

 他の四地域についても、住民向け説明会や有識者の検討会の開催、地方議会への説明などで、それぞれの地域で処理施設の立地を受け入れていただいたという経過でございます。

河野(正)委員 北九州市におけるPCB処理の取り組みについてお話をしたいと思います。

 今回の特措法改正案では、北九州市におけるPCB廃棄物の掘り起こし調査が成果をおさめたことも契機となったというふうに聞いております。

 北九州市では、約五年をかけて、市内全ての事業場五万三千六百十六カ所の掘り起こし調査をし、新たに、それまでの届け出分の一割に相当する量の高濃度PCBトランス、コンデンサーが発見されたということであります。

 このような北九州市における取り組みが今回の法改正のきっかけの一つとなったものかと思いますが、政府の見解を伺います。

鎌形政府参考人 北九州市におきましては、御指摘のとおり、平成二十年から五年間かけまして、市内の全ての事業場、五万三千六百十六事業場の掘り起こしの調査を行ったところでございます。

 その結果、高濃度のトランス類七十六台、高濃度のコンデンサー類百三十六台、安定器四十六個が発見された。さらに、その後、アンケート調査の未回答事業場などの督促などを行いまして、総ざらいの調査を行ったところ、さらに、高濃度のトランス三台、コンデンサー類十七台、安定器千二百二十九台が発見されたというようなことがございました。

 そういった意味で、御指摘のように、従来把握しているものから一割増しという形になったということでございます。

 こうした北九州市の取り組みは、全国的にも先進的な取り組みだというふうに評価しておるところでございまして、北九州市に保管されている高濃度PCB廃棄物の処理が進んでいることは、こうした市の取り組みが功を奏していることのあらわれ、このように考えてございます。

 その実績や知見を今後、PCB廃棄物処理を進めるに当たって活用していくことが非常に有用だというふうに考えているところでございます。

河野(正)委員 北九州市は、平成二十五年十月、国からの処理期限延長の検討要請を受けて、処理の安全性の確保、期間内での確実な処理、地域の理解、取り組みの確実性の担保、こういった四つの柱を条件として示しておられます。

 国がこれら条件を全て承諾したことから延長を受け入れたというふうに聞いておりますが、国はこの四つの条件を全て守るという理解でよろしいかどうか、確認をしたいと思います。

鎌形政府参考人 北九州市につきましては、PCB廃棄物処理基本計画の変更による処理期限の延長の要請受諾に当たりまして、おっしゃったような四点の条件が示されました。

 具体的には、処理の安全確保につきましては、適切な予算、人員を確保した上で、施設の健全性確保、輸送時の安全対策及び災害対策を徹底するなど、処理の安全性確保に万全を期すこと。そして、期間内での確実な処理を達成し、かつ、一日でも早く処理完了させるよう、処理促進に必要な仕組みを早急に構築すること。そして、地元地域の理解を得るよう、積極的な情報公開や、理解、協力を促すための取り組みを推進すること。そして、取り組みの確実性を担保するよう、施設の進捗管理、評価とともに、北九州市との定期的な協議の場を設けることとされてございます。

 これを承諾することにより処理期限の延長をお認めいただいたということでございますので、環境省としては、これらの条件をしっかりと履行していくということで対応してまいります。

河野(正)委員 この受け入れ条件の中で、いかなる理由があろうと再延長はしないことという一文がございます。

 処分施設の故障などといった事態が生じて計画どおり処理が進まないようなことがあったとしても、期限を迎えれば施設の稼働を停止し、撤去に向けて動き出すという理解でよろしいのかどうか、伺いたいと思います。

井上副大臣 おっしゃるとおり、現在のJESCOの各処理施設の計画的処理完了期限は、平成二十六年にPCB廃棄物処理基本計画を見直し、当初の期限を延長した際に、二度と再延長はない旨を環境大臣名で地元関係者と約束して設定されたものでございます。当時、私も環境副大臣を務めておりまして、直接地元の関係者の方々と協議をし、お約束をさせていただきました。

 国としてこのお約束は必ず守らなければならないものでありまして、期限内処理に万全を尽くしてまいります。

河野(正)委員 北九州事業では、地元分の処理はおおむね終了し、大阪や豊田といった他地域から安定器等の汚染物が運ばれてきて広域処理をされているそうです。つまり、西日本を横断して北九州に運び込み、処理をしているということになります。地元の方々にとっては、国の責任のもと、信頼を持って受け入れを決めているものであり、その信頼を損ねることがあってはならないというふうに考えます。

 地域の理解を得るための不断の取り組みが、JESCOだけではなく、国にも求められると思いますが、見解を伺いたいと思います。

白石大臣政務官 お答えいたします。

 委員おっしゃるとおり、北九州において他地域からの処理をしていただいている、そういう状況でございます。

 PCB廃棄物の処理は、処理施設を受け入れていただいている地元の皆様の御理解と信頼なくしては成り立たないと思っておりますし、このため、処理事業の安心や安全の確保が極めて重要な問題であると認識しております。

 このため、国としてJESCOに対する指導監督を徹底するとともに、PCB処理事業の進捗状況や国の取り組みについて、北九州市PCB処理監視会議や住民説明会において定期的に報告をすることといたしております。

 今後とも、PCB廃棄物処理事業について、地元の皆様に信頼をいただけるように、安全の確保を大前提として期限内に一日でも早く処理を完了するように、北九州市、JESCOと一体となって取り組んでまいります。よろしくお願いします。

河野(正)委員 広域処理では、当然にPCB廃棄物の長距離輸送というのが必要となってまいります。その際には、交通事故発生などのリスクも十分考えられるというふうに思います。

 実際の輸送においてどのような安全対策を進めておられるのか、これは答弁は難しいかもしれませんが、テロ対策についてもどのように検討されているのか、可能な範囲で結構ですので、教えていただきたいと思います。

鎌形政府参考人 まず、JESCOにPCB廃棄物を搬入する収集運搬業者でございますが、JESCOの許可を受けた収集運搬業者でなければ施設に搬入することはできないということで限定してございます。

 その要件といたしましては、漏れ防止型金属容器への収納の義務づけ、PCB廃棄物が漏れないような金属容器への収納の義務づけ、そしてGPSによる位置情報の把握、さらに収集運搬に従事する者への教育などの安全対策を求めてございます。そうしたことを要件として掲げた業者のみに搬入を認めるということで、輸送時の安全を確保しているところでございます。

 さまざまな事故とか、テロについての御指摘もございましたが、PCB廃棄物の輸送時点では、GPSによる位置情報の把握などにより安全を確保するということで、万が一の場合には警察などと連携して適切に対応してまいるということでございます。

河野(正)委員 北九州市では、市内の輸送に使用する道路等の安全対策を進めるなど、広くインフラ整備にも力を入れておられます。北九州市からも、そのために必要な財政措置などを求める要望が出ていると思いますが、こうした周辺整備の予算についてどのように考えておられるのか、伺いたいと思います。

鎌形政府参考人 北九州市からは、基本計画の変更による処理期限の延長要請受諾に当たりまして、二十七項目の受け入れ条件を提示しましたが、そのうちの一つとして、「安全な輸送路を維持・確保するために必要と認める場合には、財政措置も含め必要な措置を確実に講ずること。」ということが盛り込まれてございます。

 基本計画変更に際しての市の受け入れ条件につきましては、国として誠実に履行するということとしておりまして、安全な輸送路を維持、確保するために引き続き必要な措置を講じてまいりたいというふうに考えてございます。予算も含めて、引き続き必要な措置を講ずるということでございます。

河野(正)委員 北九州で処理が可能となっているのは、本州と九州が道路でつながっているということが大きい要因かと思います。しかし、この道路は現在大きな課題を抱えておりまして、関門トンネルであれば五十七年、関門橋も四十一年、それぞれ建設から長い時間が経過し、老朽化対策工事などを進めていく必要があります。そうした工事が進めば、どちらかの道路を一時的に通行どめにすることも想定され、本州と九州とをつなぐラインの機能低下というのもあります。

 そのため、災害や交通事故による交通支障への対応力強化の観点から、三つ目のラインとして下関北九州道路の整備が求められており、その必要性も高いというふうに思っておりますけれども、国土交通省の認識を伺いたいと思います。

青木政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘がございました関門海峡でございますけれども、現在、このエリアの道路交通は、お話のございました関門橋、それから関門トンネルということで、六車線の橋梁、それから二車線のトンネル、これで支えられてございます。

 御指摘の下関北九州道路につきましては、山口県の下関市と福岡県の北九州市を結ぶ路線でございまして、関門海峡を渡る箇所というのは、いわゆる海峡横断プロジェクトの関門海峡道路とされているところでございます。

 この関門海峡道路を含めました六つの海峡横断プロジェクトにつきましては、種々議論がございまして、平成二十年三月に個別プロジェクトに関する調査を行わないという取り扱いになってございまして、それ以降、国において調査を行っていない状況でございます。

 一方、関門海峡道路につきましては、下関と北九州の間で交流が活発であること、それから海峡幅が狭いことなどの特徴がございまして、地元の方から御要望を伺っているところでございますけれども、まずは私どもといたしましては、地元の山口県、福岡県が行っておられます調査検討の状況を見守らせていただきたい、このように考えてございます。

 以上でございます。

河野(正)委員 やはり本州と九州を結ぶ貴重なところでございますので、しっかりと検討していただきたいというふうに思います。

 次に移ります。

 平成十三年に制定されたPCB特措法の附則第二条に基づき、施行後十年の見直しについて検討を重ね、環境省内に設けたPCB廃棄物適正処理に関する検討委員会の提言をもとに、処分の期限を平成三十九年三月三十一日まで延長するとともに、基本計画を改定し、計画的処理完了期限、事業終了期限を設けて、最長でも平成三十七年度までには処理を完了させることになったと思います。

 その際、現在処分施設がある地域には処分期限の再延長はしないと約束されたということでありますが、どのような経過で何が決まったのかを確認しておきたいと思います。

鎌形政府参考人 御指摘の基本計画の変更、処理期限の延長に先立ちまして、平成二十五年に、環境省からJESCOの五事業所の地元自治体に対して、変更に関する検討のお願いをしたところでございますが、各自治体から提示された受け入れ条件というのは、自治体により内容に若干の違いがありますが、おおむね、JESCO事業所における処理の安全性に万全を期すこと、処理期限を厳守し、できる限り早期に処理を終了すること、そして処理期限の再延長は行わないこと、こういったものが共通の受け入れ条件として示されたということでございます。

 環境省としては、これらの条件を承諾する旨の回答をしているところでございます。

河野(正)委員 時がたって、把握していた数よりも多く残っていたことがわかり、処分期限に間に合わない可能性が高まったため、今回の法改正のような措置を新たに行うこととなったということですけれども、なぜ平成二十六年のタイミングで法改正を行わなかったのか。問題解決に取り組む環境省自体が問題の全容を十分把握できていなかったという疑問の声もあるようですが、見解を伺いたいと思います。

鎌形政府参考人 平成二十六年の基本計画の見直しに際しましては、処理期限を延長する一方、その達成のための具体的な対策としては、掘り起こし調査の実施、使用中のPCB使用製品の廃棄に向けた働きかけ、意図的に処理を行わない事業者への働きかけなど、行政指導を中心とした取り組みを盛り込んだところでございます。

 こうした取り組みにより期限内の処理の達成は可能との考えのもと、この基本計画見直しの際には法改正までは考えていなかったところでございます。

 しかしながら、新しいこの基本計画に基づく取り組みを進めていく中で、法的強制力を伴わない行政指導ベースの取り組みには限界があることが明らかとなったため、地方公共団体からの要望も踏まえまして、今回の改正案を国会に提出させていただくこととしたものでございます。

河野(正)委員 本当に期限内に処分できるのか。処分できなかった場合でも、未処理のPCB廃棄物自体は存在するわけであります。誰かが処理に当たらなければなりません。必ずやりますと言葉では言っても、本当にできるのかどうかという確認をしておかなければならないというふうに思います。期限が近づいてから場当たり的に対応するということであってはいけないと思います。

 これまでの反省を生かしてやっていかなければなりません。政府の見解を改めて伺いたいと思います。

鎌形政府参考人 今回の改正案におきましては、計画的処理期限内に処理ができないということが生じないように、PCB使用製品の廃棄まで義務づけ、そして、都道府県知事の報告徴収、立入検査の権限を強化したり、行政代執行の権限を付与するなどの強力な規定を盛り込んだところでございます。

 こうした規定を活用いたしまして、徹底的な掘り起こしを行い、計画的処理完了期限内に処分が完了するように全力を尽くす所存でございます。

河野(正)委員 時間が残り少なくなりましたので、先に行きたいと思います。

 これまでPCB廃棄物処理事業所の運営などの実務を担ってきたJESCOは、新たに、福島の除染や復興に不可欠な施設である中間貯蔵施設の整備、運営、管理等の事業を担うことになっています。処分期限が定められているPCB廃棄物処理業務への影響はないのか、人員等が大きく割かれて業務が停滞することはないのか、政府の認識を伺いたいと思います。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 JESCOに中間貯蔵事業を追加させていただきましたのは平成二十六年の十二月でございますけれども、新たに、中間貯蔵の事業を担当する役員を選任し、さらに、本社内に中間貯蔵事業部を新設するとともに福島県内に中間貯蔵管理センターを設置いたしまして、人員につきましても、放射線に関する専門的な知見と経験を有する職員を採用するなど、中間貯蔵の業務の進捗の状況に合わせまして段階的に体制を強化してきているところでございます。

 一方、お尋ねのPCB廃棄物処理事業につきましても、これまで蓄積してきた輸送管理や安全な処理、モニタリング、地域住民との信頼醸成等の知見と経験に基づきまして、処理期限までに事業を安全かつ確実に実施するため、引き続き、人員増等によりまして体制を強化しているところでございます。

 JESCOにおきましても、それぞれの事業を着実に推進するため、両事業の体制の強化を図っているところでございます。

河野(正)委員 繰り返しにもなりますけれども、中間貯蔵事業については、中間貯蔵の開始後三十年以内に、福島県外で最終処分を完了するために必要な措置を講じることとされており、今回の法律も合わせると、JESCOは、極めて厳しい条件のもとに、期限つきの事業を二つ抱えてやらなければならないと思います。本当に大丈夫なのかどうか、改めて伺いたいと思います。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御答弁申し上げましたとおり、それぞれの事業の着実な遂行に必要な体制につきましては、それぞれ強化をしてまいってきているところでございまして、JESCOにおきましては、その業務が着実に遂行できるよう一層の体制の強化に努めてまいるところでございますし、環境省におきましても、JESCOの体制整備が確実に行われるように適切に対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。

河野(正)委員 最後に、丸川大臣にお伺いいたしたいと思います。

 福島の中間貯蔵施設以外にも、栃木や宮城、千葉などの指定廃棄物の処理についても事業がなかなか進んでいないという印象がございます。PCBの処理では三十年以上のブランクもありましたが、指定廃棄物の処分や、中間貯蔵施設そして最終処分施設と、環境省は、こうした合意形成に困難をきわめる施設の立地に向けた取り組みに継続的かつ長期にわたって取り組むことが求められております。これまでの経験を生かし、住民、国民との信頼に結ばれた形で施設整備へとつなげていただかなければならないと思います。

 丸川大臣の認識、見解を伺って終えたいと思います。

丸川国務大臣 PCB廃棄物と放射性物質に汚染された廃棄物では、その特性であるとかあるいは処理の方法などで異なる点はございますが、委員御指摘のとおり、その処理を進めるに当たって、地元の皆様の御懸念や御不安をしっかりと受けとめて、施設の安全性等を丁寧に説明して御理解をいただくこと、そのことが一番この事業を進める上で根本にあるということ、そして、我々の御理解をいただくための丁寧な姿勢というのは、これは変わりがございません。

 一朝一夕に解決する問題ではございませんけれども、今後も、PCB事業の経験も生かしながら、引き続き、指定廃棄物の長期管理施設また中間貯蔵施設事業については、御地元の皆様のお気持ちにしっかりと寄り添いながら、対話を積み重ねることで取り組みを前進させていきたいと考えております。

河野(正)委員 しっかりと取り組んでいただきまして、事故の起きないように、いろいろ福島の問題とかも参考にしながら、双方しっかりとやっていただきたいと思います。

 それでは、本当によろしくやっていただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

赤澤委員長 次回は、来る五日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四分散会


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