衆議院

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第9号 平成28年4月19日(火曜日)

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平成二十八年四月十九日(火曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 赤澤 亮正君

   理事 伊藤信太郎君 理事 石川 昭政君

   理事 北川 知克君 理事 助田 重義君

   理事 藤原  崇君 理事 福田 昭夫君

   理事 松田 直久君

      小倉 將信君    大串 正樹君

      大西 宏幸君    大見  正君

      鬼木  誠君    勝俣 孝明君

      神山 佐市君    木村 弥生君

      白須賀貴樹君    田中 和徳君

      田中 英之君    高橋ひなこ君

      谷川 とむ君    寺田  稔君

      中谷 真一君    比嘉奈津美君

      福山  守君    古川  康君

      前川  恵君    牧原 秀樹君

      宮路 拓馬君    八木 哲也君

      吉野 正芳君    菅  直人君

      田島 一成君    中島 克仁君

      真山 祐一君    塩川 鉄也君

      小沢 鋭仁君    河野 正美君

      玉城デニー君

    …………………………………

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    丸川 珠代君

   環境副大臣        平口  洋君

   経済産業大臣政務官    星野 剛士君

   環境大臣政務官      鬼木  誠君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            田中 俊一君

   会計検査院事務総局第一局長            村上 英嗣君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 山本 哲也君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官付参事官)           米津 雅史君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 中村 吉利君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           白間竜一郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           三又 裕生君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源エネルギー政策統括調整官) 吉野 恭司君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      多田 明弘君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局次長)           篠原 康弘君

   政府参考人

   (気象庁地震火山部長)  上垣内 修君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   鎌形 浩史君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            三好 信俊君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  梶原 成元君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            高橋 康夫君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  奥主 喜美君

   政府参考人

   (原子力規制庁次長)   荻野  徹君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房緊急事態対策監)      大村 哲臣君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議官) 片山  啓君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          山田 知穂君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          青木 昌浩君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          櫻田 道夫君

   参考人

   (東京電力ホールディングス株式会社代表執行役社長)            廣瀬 直己君

   環境委員会専門員     関  武志君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十九日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     白須賀貴樹君

  白石  徹君     神山 佐市君

  堀井  学君     木村 弥生君

  前川  恵君     谷川 とむ君

同日

 辞任         補欠選任

  神山 佐市君     八木 哲也君

  木村 弥生君     大串 正樹君

  白須賀貴樹君     田中 英之君

  谷川 とむ君     前川  恵君

同日

 辞任         補欠選任

  大串 正樹君     大西 宏幸君

  田中 英之君     勝俣 孝明君

  八木 哲也君     大見  正君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 宏幸君     中谷 真一君

  大見  正君     白石  徹君

  勝俣 孝明君     比嘉奈津美君

同日

 辞任         補欠選任

  中谷 真一君     堀井  学君

  比嘉奈津美君     古川  康君

同日

 辞任         補欠選任

  古川  康君     宮路 拓馬君

同日

 辞任         補欠選任

  宮路 拓馬君     穴見 陽一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五一号)

 環境の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

赤澤委員長 これより会議を開きます。

 この際、丸川環境大臣より発言を求められておりますので、これを許します。丸川環境大臣。

丸川国務大臣 衆議院環境委員会における御審議に先立ちまして、熊本地方を震源とする地震への現在の対応状況について御報告を申し上げます。

 まず初めに、今般の地震により被災された皆様方に改めてお見舞いを申し上げますとともに、亡くなられた皆様方に対して心よりお悔やみを申し上げます。

 十四日夜の地震の発災直後は、私から事務方に対して、関係省庁と連携して対応に当たるように指示をいたしました。

 被災地に所在する環境省の施設や職員については、特段の被害等は確認をされておりません。

 また、原子力規制委員会からも、九州電力の川内原子力発電所、玄海原子力発電所、四国電力の伊方発電所及び中国電力の島根原子力発電所の施設への影響はないとの報告を受けております。

 被災地におきましては、今後、廃棄物の処理が大きな問題となる可能性がございます。一昨年の広島の土砂災害や昨年の常総市の水害に鑑みますれば、先手先手の対応が必要であると考えております。

 発災翌日の十五日に九州地方環境事務所に災害対策本部を設置いたしまして、熊本県庁には現地支援チームを派遣いたしました。

 現地に派遣した職員に対しては、初動の対応といたしまして、被害の状況の把握、それから災害瓦れきの仮置き場の早急な設置と適切な管理、そして仮設トイレの適切な利用など衛生状態悪化の予防の三点について自治体への支援を指示しております。

 また、一部地域で片づけごみの収集が追いついていないという報道がございましたので、片づけごみの適切な収集運搬について自治体への支援を指示しまして、大都市の廃棄物部局で構成されます全国都市清掃会議の責任者に現地で対応に当たっていただいております。

 さらに、今後予想されます大量の災害廃棄物の円滑な処理を進めるために、十八日に、大分県庁に現地支援チームを、そして環境省福岡事務所に九州ブロック広域支援チームを開設いたしております。

 引き続き、関係自治体と緊密に連携をしながら、し尿、生活ごみ、片づけごみへの対応、災害廃棄物の処理を中心に、被災地が直面するさまざまな課題について、環境省として万全の対応を進めてまいります。

     ――――◇―――――

赤澤委員長 内閣提出、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官山本哲也君、経済産業省大臣官房審議官三又裕生君、資源エネルギー庁資源エネルギー政策統括調整官吉野恭司君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長多田明弘君、国土交通省総合政策局次長篠原康弘君、気象庁地震火山部長上垣内修君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長鎌形浩史君、環境省総合環境政策局長三好信俊君、環境省地球環境局長梶原成元君、環境省水・大気環境局長高橋康夫君、環境省自然環境局長奥主喜美君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤澤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤澤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。牧原秀樹君。

牧原委員 おはようございます。自由民主党の牧原でございます。

 まず最初に、私の方からも、熊本で発生した地震について、亡くなられた皆様に心よりお悔やみを申し上げますとともに、今なお十万人程度の方が大変な思いをされて避難所にもいられると伺っております。心よりお見舞いを申し上げます。

 そして、今大臣からございましたように、素早い対応をしていただいておりますが、特に、今までの私の政務官等の経験をしても、瓦れき処理については環境省は知見も経験も相当積み重ねておりますので、ぜひリーダーシップを発揮して、一刻も早く被災地の皆様が通常の生活に戻れるよう御尽力を賜ればというふうに思うところでございます。よろしくお願いします。

 さて、こうした震災被害は今、与野党なくみんなでしっかりやっていこうという機運が生まれておりまして、私としても、こうした問題については、与党は野党はということなく、国会議員として全員が力を合わせてやっていくべきことだと思っておりますが、地球温暖化対策の問題も全く同じでございます。この問題については、やはり我々が現在生きている者として、次の世代あるいはその次の世代、そして地球全体に対して責任を持つべき課題であるというふうに認識をしているところでございます。

 どんなに経済がよくなったとしても、どんなに何かがよくなったとしても、地球全体が、地球自体がだめになってしまったら元も子もございません。そういう意味で、地球温暖化の問題が今こうして進んで、この法案が提出され審議されるということ自体が私は大変喜ばしいことですし、これはきちんと結果を残していかなきゃいけない、こういうことでもございますので、気合いを入れて質問もさせていただきたく存じます。

 地球温暖化で、昨年、パリ協定が結ばれて、これはよく合意をされたなというふうに思います。私も、それまでのCOP等を見ておりまして、特に途上国と先進国の間の対立なんかも大変ございまして、これはよく合意したなと思いますが、他方で、きょう、資料の六枚目、世界のエネルギー起源のCO2排出量というのを、これは二〇一三年ですけれども、お配りさせていただいておりますが、地球温暖化を防止していこうと考えたときには、現実に温室効果ガスを減らしていかなければいけないということになります。

 そうすると、このCO2だけのデータですけれども、二〇一三年で見ますと、中国が四分の一以上になっております、今でも三割近い、そして、アメリカが一六%、二割程度ということで、この二カ国が、半分とはいかないまでも相当程度になっています。そして、続いてEUが二十八カ国、インド、ロシア、そして日本までが三%を超える水準になっておりますので、途上国の皆さんも主張していたとおり、自分たちは一生懸命やったとしても、それが地球温暖化対策の根本的な解決にはならないではないか、こうした主要排出国がしっかりと義務を果たすことが重要であるという議論がされております。私、全くそのとおりだというふうに思います。

 私は通商をやっておりまして、WTOのドーハ・ラウンドがローンチしたときにWTOにもいたんですけれども、あのドーハ・ラウンドを見てみますと、世界全体の国でやっていこうというときにはいいんですが、現実になると、いろいろな反対をする人がいて、全員のコンセンサスをとっていくというのは大変難しいので、最後は物すごい、内容のない玉虫色になりがちか、それでも決着しないということになって、だんだんFTAのようなブロック経済が生まれているという現状にございます。

 今回のパリ協定も、自主的目標であるとはいえ、それぞれの目標をみんな掲げて合意をしたわけですけれども、私は、やはりこの大きな枠組みに加えて、少なくとも主要な排出国の国々が現実に減らしていくというようなしっかりとした枠組みをつくっていくことも極めて重要じゃないかというふうに思っています。

 例えば、G20などで必ず地球温暖化に関する環境相会議、環境大臣会合をやるとか、何らかそうしたような新しい枠組み、主要排出国による枠組みをつくっていくということを日本がリーダーシップを持って提唱したり牽引したりする必要があると思いますが、大臣、いかがでしょうか。

丸川国務大臣 ありがとうございます。

 地球温暖化対策を進める上で、中国、アメリカ等の主要排出国が責任を果たしていくということは極めて重要でございます。

 我が国としても、国内対策を進めることはもちろんでございますが、世界全体で温暖化対策が、取り組みが進んでいくように働きかけをし、また貢献をしていくということも、地球全体の中で我々が果たしていく大きな役割であると考えております。

 具体的に言いますと、毎年、日本とブラジルの間で共同議長をやって非公式会合を開催しておりまして、エネルギーと気候に関する主要経済国フォーラム等でも積極的に参加をして気候変動交渉の促進に具体的な貢献をしてきております。また、国際機関等と協力しながら、すぐれた低炭素技術の普及を目的としたセミナー等を、特にアジア、東ヨーロッパ等、我々の技術が生きる地域を対象にして行っているところでございます。

 そして何よりも、ことしは我が国がG7サミットの議長国でございます。環境大臣会合は十五日、十六日に富山で行われますが、その前に、今月の二十六日、二十七日には日中韓の三カ国環境大臣会合が静岡で行われます。

 こうした機会を捉えまして、私どもの取り組みを紹介するとともに、我々に貢献する用意があるということ、そして、パリ協定での機運というものを高めるために果たすべき役割というものをしっかりと発信をしていくということを努めてまいりたいと思っております。

牧原委員 ぜひお願いをします。

 国際会議では、我々はマフィアと呼ぶんですけれども、その分野に物すごく長くいる人がいて、そういう人が人脈をつくって、会議なんかに行くと、ようとか言って、みんなが、知り合い同士が握手し合って、そしてその人たちがほぼインナーのように意思決定をしていくということがあります。

 ぜひ日本でも、人事異動はありますけれども、そうしたプロフェッショナルをつくって、マフィアの一員として常に内部情報をとったり交渉を先導したりするという体制をつくっていただきたい、こう思うところでもございます。

 そして、パリ協定について申し上げますと、私も、GLOBEという環境を考える議員の皆さん、これは超党派でございますけれども、超党派の皆さんでパリに行って、協定に関する会議の雰囲気等を見てまいりました。非常に、よく合意をしたと改めて評価をしたいと思いますが、あくまでこれは二〇三〇年度の自主目標にすぎないということが言えます。したがって、これはよく合意したけれども、これで満足して、これで地球温暖化が防止できるんだというわけでは全くないということを私たちはやはり認識しなきゃいけないというふうに思います。

 その意味で、三〇年より先の話ということを考えますと、安倍総理が一期目のときに、二〇五〇年の温室効果ガスの半減、先進国では八割減らすんだというようなクールアース構想というものを御提唱され、その後、翌年の洞爺湖サミット、あるいはその翌年のラクイラ・サミット等で、こうしたものは先進主要国G7、G8、当時はG8ですけれども、確認をされております。

 三〇年より先の五〇年に向かったこうした合意は引き続き有効であるというふうに考えているかどうか、この点について環境省にお伺いしたいと思います。

梶原政府参考人 お答え申し上げます。

 温室効果ガスの長期的な大幅な削減が必要であるという認識につきましては国際的にも共有されておりまして、先ほど来お話しのところのパリ協定におきましても、産業革命以後の世界の気温上昇を二度よりも十分に下方に抑えること、そして、世界全体で温室効果ガスの排出と吸収をバランスさせること等を目標として規定されたところでございます。

 我が国の長期的な目標といたしましては、今先生がおっしゃられるように、二〇五〇年までに八〇%の排出削減を目指すということにつきまして、第四次の環境基本計画に位置づけ、閣議決定をしているところでございます。

 そして、国際的な動きについては先ほど先生おっしゃられましたけれども、それもさらに踏まえまして、二〇一三年十一月には、「美しい星への行動」、ACEということで、これが安倍総理から御発表されまして、二〇五〇年までに世界全体で半減、先進国全体で八〇%の削減を目指すという目標を再度総理が掲げられたところでございます。

 このような状況を踏まえまして、現在策定作業中でございますけれども、地球温暖化対策計画におきましても、我が国の目指すべき方向として、二〇五〇年までに八〇%削減をするという方針をしっかりと位置づけているところでございます。

牧原委員 今まで、京都議定書、そしてカンクン合意、さらには今回のパリ協定ときて、日本の目標というのはこんなふうになっていくと思うんですね。つまり、二〇〇五年で三・八、二〇年、そして二〇三〇年度には二〇一三年度比で二六、そして二〇五〇年には八割減です、これはどこを基準にするかということはまだ技術的にはあり得るかもしれませんけれども。ある意味、未来に先送りしているところもあると思うんですね。

 したがって、二〇三〇年以降のことを、やはり日本自体も大変きつい、大変苦しいという目標を掲げているということ自体我々は認識しなきゃいけないし、逆に、世界も、三〇年度で、それぞれ今のところは自分でできそうな目標を掲げているということになりますけれども、今のように、世界全体で半減、先進国で八〇%減と大変重い目標になっていますので、こうしたことは日本がまさにリードして、パリ協定後の世界というのをしっかり考えていかなければいかぬということだと思います。

 それについて、私は、きょうお配りしている、自民党の中の環境・温暖化対策調査会、これは事務局長としてこの提言をまとめさせていただいて、ここにいらっしゃいます北川筆頭とか、いろいろな皆様と一緒につくり上げたわけですけれども、当時我々が大変苦しんだのは、よくある環境省と経産省という対立軸がありまして、エネルギーミックスについての議論というのが大変複雑に絡み合ったということでございます。特に、原子力発電の割合をどうしていくのか、こういうことを我々として本当に苦しんだわけでございますが、とりあえず、二〇三〇年時点では原発について二〇から二二ぐらいの高い割合でまず設定をされているということだと理解をしております。

 これは、三〇年時点はいいんですけれども、五〇年で八割減をしなきゃいけないときに、では原発がどうなるのかと考えますと、今、原発は四十年で原則廃止というような形になっています。三〇年段階で、原発はもう建設してから四十年たっちゃっているのがほとんどということになりますので、三〇年以降の原子力発電所というのは、今新規もやっていないし、ほとんど四十年以内のものというのはなくなってくるということになります。そうすると、仮に原子力発電を前提として我が国はCO2、温室効果ガスの削減を考えていますと、とんでもないことになりかねないということでございます。

 改めて、二〇三〇年以降、エネルギーミックスもちょっと視野に入れながら、あるいは原発のことも視野に入れながら、この点について環境省として今の二〇五〇年の目標との関連でどう考えているか、お聞かせください。

平口副大臣 お答えをいたします。

 現在策定中の地球温暖化対策計画では、我が国は、パリ協定を踏まえ、長期的目標として二〇五〇年までに八〇%の温室効果ガスの排出削減を目指すことを位置づける方針でございます。

 一方、二〇五〇年八〇%削減に向けた大幅な排出削減は、従来の取り組みの延長では実現が困難でございます。

 このため、抜本的排出削減を可能とする革新的技術の研究開発、普及などイノベーションによる解決を最大限に追求するとともに、国内投資を促し、国際競争力を高め、国民に広く知恵を求めつつ、長期的、戦略的な取り組みの中で大幅な排出削減を目指し、また、世界全体での削減にも貢献していくこととしております。

 環境省としては、今後の長期大幅削減に向け、社会構造やライフスタイルの変革などを含めて、目指すべき絵姿を示すため、長期低炭素ビジョンの検討に着手したいと考えております。

 以上でございます。

牧原委員 原子力についての話がなかったんですけれども。

 このことは、相当先のように見えて、わずか十四年後のことでございます。真剣に考えていかないと、本当に、単に未来に義務を、あるいは検討を先送りするということになってしまう。だから、ここはやはり環境省としてもどうするのかということを、三〇年のことまでを考えるんじゃなくて、五〇年の八割をどうやって実現していくかということは、原発のことも含めてやはりしっかり検討をしてもらいたいというふうに思います。

 次に、今回の法改正について申し上げますが、今回の法改正、内容を見ますと、すごく新しいことが入っているというよりは、これまでやってきたことを法に明記するという、私は精神論的な側面が強い法律ではないかなというふうに思います。

 キャンペーンでクールチョイスというようなものがございますが、私、きょうは胸にあえてファン・ツー・シェアのバッジをつけさせていただきました。これは私が政務官のときにやったものでございます。あるいはウオームビズ、こういうキャンペーンなんかもやっていまして、私もファッションモデルみたいなことをやった経験がございます。

 こうしたキャンペーンは年ごとに予算がついて、そして、そのときの年ごとに考えている面が正直強いんじゃないかなと思います。そして、そのときそのときは、スタートするときにいろいろな芸能人を呼んでプレーアップしようと思うけれども、クールビズのようにうまくいったという例もありますけれども、なかなか続かない。ファン・ツー・シェアについては、私はこのバッジを国際会議で、潘基文事務総長も含めて、アル・ゴアさんとかいろいろな人の胸につけたりして随分やったんですけれども、その後、ほとんど知られていないような感じでもございます。

 余りキャンペーンを乱れ打っても、その年その年で終わると忘れられていってしまう、もうかるのはキャンペーンを考えた広告会社だけみたいな話になりかねないので、私は、やはり何か具体的なインセンティブとか、あるいは、努力義務ではなくて、これ以上のものをやったら罰則のようなものがあるという強制力、こういうものをやはり考えていかなきゃいけないと思いますけれども、この点についての環境省の具体的な策も含めたお考えをお聞かせいただきたいと思います。

鬼木大臣政務官 お答えいたします。

 御指摘のとおり、国民に温暖化対策を理解、協力していただくためには、何らかのインセンティブが重要であり、普及啓発において温暖化対策を行うことの具体的なメリットを示すことが効果的であると考えております。

 例えば、冷蔵庫やエアコンを省エネ型のものに買いかえると、光熱費を節約でき、長期的には生活コストを低減できるといったことや、白熱電球からLED照明に買いかえた場合、約八〇%の省エネとなることに加え、寿命も約四十倍あるため、長く使えて経済的であるといったこと、また、省エネリフォームにより窓やサッシを高断熱にすると、冷暖房の光熱費を節約でき、さらに、室温差が小さくなり、急激な温度変化の体への影響を緩和でき、快適でかつ健康的であるといったメリットがあるといったこと、こうしたメリットを伝えることが、まさに今、環境省が行っている国民運動のクールチョイスであるわけでありますが、あなたの起こしたクールな選択があなたに返ってきますよといったメリットを伝えることにおいて、自主的な取り組みをまずは促すという形をとっております。

 こうした生活コストの低減や快適で健康的な暮らし等のメリットをしっかりアピールし、低炭素型の製品やサービス等の普及に取り組んでまいります。

 以上です。

牧原委員 もう一歩踏み込んでほしいなと思うんですね。

 今のは今までの延長でございまして、例えばウオームビズを、私もさっきモデルみたいなことをやったと申し上げましたけれども、ああ、これは普及しないなと思ったのは、何よりも環境省の職員の人がやっていないということなんですね。クールビズは逆で、環境省の人は、ほとんどビーチサンダルみたいなものを履いたりして、非常に涼しい格好で、誰よりも率先してやっているんです。

 要するに、自分たちがやらないことを人にやってくださいとお願いするのは難しいということなんです。

 では、なぜウオームビズが難しいかといえば、余計にお金がかかったり、そういう格好が余り格好いいというふうに認識されていなかったりといういろいろな理由があると思いますけれども、いろいろな、今もおっしゃったような、ちょっとメリットがありますよということは、一般の消費者の人はもう十分知っていることだと思うんです。知っているけれども、買いかえて、より高い製品にかえるよりは今のまま使った方が得じゃないかとか、あるいは、そういうお金もないじゃないかみたいなことがあります。

 近年でエコ商品に大量にシフトしたときというのは、エコポイントというものをつけたときがありました。あれはリーマン・ショック後の経済対策でもあったんですけれども、エコのこういう商品を買ったらポイントがついてほかのものも買えるということで、一斉に薄型テレビとかああいうエコ商品に移転したということがございました。

 こういう、一時的な政策なので需要の先食いになってしまうという批判がある政策からもう少し持続可能な政策まで、いろいろ幅はあると思いますので、単に普及啓発をするというだけ以外の、本当に、自分が消費者であると考えたときに、これを今やりたいとか将来のためにやりたいと思うことをぜひ、これは我々も考えますので、環境省としても、今の答弁では絶対不足なので、考えていただきたいというところでございます。

 今回のパリ協定について、我々がずっと懸念を示してきて、ぜひ一点だけ確認をさせていただきたいことがございます。

 それは、京都議定書のときの、私個人は余りよくなかったと思っていることに、排出権購入ということがございます。これで多額の税金を東欧に対する補助金みたいな形で渡してしまったというような批判がやはりございますし、何となく納得感がいかないものが残ったと思います。

 今回のパリ協定では、排出権購入というものを国としては行わない、こういうことをまず一つ確認させていただきたいと思います。

梶原政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、地球温暖化対策計画の中で設定をしようとしております削減目標につきましては、これは約束草案で示したときと同じでございますけれども、技術的な制約やコスト等を考慮した裏づけのある対策、施策を積み上げて設定したものでございます。

 今先生おっしゃられる排出権購入につきましては、この対策、施策の積み上げには含まれておりません。国として、排出権購入を行うことを想定しているものではございません。

牧原委員 その点は、今、想定していないということですが、後にそうならないようにもぜひしていただきたいというふうに思います。

 結局、地球温暖化対策というのは、国民もこれは全体としてはやらなきゃいけないという理解が昔と比べても相当広がっていると思いますが、各論に落ちてくると、ええっと思うこともあるんですね。

 その場合に、全体として排出権購入みたいなものをやると、日本みたいにずっとオイルショック以来世界でも一番頑張っていて、エネルギー効率もナンバーワンで努力をしてきた国が何で努力していない国の排出権購入を税金でしなきゃいけないんだ、こういう不公平感を生むもとになりますので、やはり日本は、世界の中でずっと一番努力してきて、環境先進国で、そしてむしろほかの国がまねる、ほかの国にノウハウを上げる、こういうような堂々たる交渉を私はぜひ貫いていただきたい、こう思うところでございます。

 最後に、先ほどもちょっとありましたけれども、環境と経済という問題で考えると、技術開発、環境技術の開発というところは多分みんながハッピーに笑顔で合意できるところだというふうに思います。

 きょうお配りした提言案の中でもそのことは幾つか書かせていただいておりまして、四ページの(四)とかに、あらゆるイノベーションが必要で、そのためにあらゆる施策を講じてくれ、特に水素エネルギー関連技術、再生可能エネルギーの利用も含んだり、あるいはCCS、人工光合成といったさまざま想定されている技術がありますので、こういうことはやっていただきたいんです。

 これは、私も随分、水素あるいは人工光合成も含めて後押しをしているんですけれども、現時点では将来可能だろうという夢のようなものも含まれているわけですね。ですから、その夢を追うことは大事なので、そのことにはぜひ注力をしていただきたいと思いますし、これがうまくいけば日本が世界をばあっとリードできるという意味で、やらなきゃいけないことだと認識をしております。

 他方で、今ある技術をしっかりと生かしていくという視点もこれは絶対欠かせないと思います。その一つが、先ほど政務官もおっしゃっていましたけれども、LEDとかですね。このLEDは、私もLED議連というのをつくって、昨年末に、自民党本部なんですけれども、古い古い自民党本部の一階と四階と八階、ここはLED化をしようということで、ちょっとお金は言えませんが、かなり幹事長の決断がなければなかなか決断が難しいぐらいの大きなお金を使って、ことしの初めからまず一階をLED化いたしました。

 もし全国の電球がLED化されると、原発が十三基分浮くというふうに言われております。人によっては十七基分ぐらい浮くんだと言う人もおります。これは、やはり今ある技術で、しかも日本がこの技術でノーベル賞もとっているわけですから、私は、もし多少お金がかかっても、何を今やるんだということを考えれば、先ほどのインセンティブも含めてですけれども、ぜひこのLEDを一つの柱として進めていただきたい。例えば、官庁とかいろいろなところはまずLED化をして、そして消費電力、自民党の例でいえば七割浮きます、こういうことによって原発が要らなくなるかもしれない、そういうような時代をつくれるかもしれない、私はそう思っています。

 ぜひこういう考えを環境省に御提言申し上げたいと思いますが、いかがでしょうか。

鬼木大臣政務官 温室効果ガス排出量の二〇三〇年二六%削減、また二〇三〇年以降の大幅な削減に向けて、おっしゃるとおり、新たな技術開発と今あるLED等の技術の普及、ともに重要であると認識しております。

 そのため、環境省では、地球温暖化対策税の税収を活用いたしまして、CO2削減効果の高い技術の開発、実証を支援するとともに、民生部門を中心に商業化された技術の導入支援を行っております。

 具体的に申し上げますと、技術開発や実証については、再エネ等から水素を製造し、貯蔵、輸送を経て利用するまでの低炭素な水素サプライチェーンの実証、また、電子機器のデバイスの効率を大きく向上させる窒化ガリウム半導体の開発、実証等を行っております。

 また、既存の低炭素技術の普及につきましては、業務用ビルや賃貸住宅へのLEDや高効率空調設備等による省エネ化の支援、工場、事業場を対象としたCO2削減ポテンシャル診断等の事業を行っております。

 削減目標の達成のため、引き続きこうした取り組みを進めてまいります。また、政府としても、率先してLED等の低炭素技術の導入に取り組んでまいります。

 以上です。

牧原委員 ありがとうございました。

 また最後の部分になりますけれども、官庁、特に環境省が真っ先にそれをやらなければ、ほかの人は、民生部門にやってくれやってくれと言っても、それは進みません。ですから、やはり環境省、ちょっと厚労省のを間借りしているのでなかなか難しいかもしれませんけれども、環境省がまずこういう世界を目指すんだというモデルを進めて、そして、例えば、環境省がLEDにされていないのにほかはみんなLEDにしろと言ったって無理です。そういうところをぜひモデルをつくって、そして自分たちが実践をして、範を示して、日本を、世界をリードしていっていただきたいと思います。

 我々も与野党を超えてそうしたことを応援していく環境をつくっていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 では、これで質問を終わります。ありがとうございました。

赤澤委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 地球温暖化対策推進法について質疑をいたします。

 最初に、熊本、大分を初めとしました九州地方地震災害におきまして亡くなられた方々に心からの御冥福をお祈りし、また、御遺族の皆さんに心からのお悔やみを申し上げ、被災者の皆さんへのお見舞いを申し上げるところであります。

 政府としても、被災者の救助、救援に全力を尽くしていただきたいと思っておりますし、避難者の避難状況の改善のために力を尽くしていただきたい。我が党としても、できるところで皆さんと一緒に取り組んでいく決意であります。

 この被害をもたらした熊本地震の特徴について気象庁にお尋ねをいたしますが、過去の地震との対比で今回の地震がどのような特徴を持っているのか。住民、避難者の皆さんが留意すべきポイントということについてお示しください。

上垣内政府参考人 お答えいたします。

 平成二十八年四月十四日二十一時二十六分に、熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード六・五の地震が発生し、最大震度七を観測いたしております。その後、この地域で最大震度六強を観測する地震を含めたくさんの地震が発生しておりました中、十六日未明一時二十五分には、マグニチュード七・三の地震が発生し、最大震度六強を観測しました。この地震によって、広域にわたって強い揺れを観測しております。

 その後、強い揺れを伴う地震の発生は熊本地方にとどまらず、阿蘇地方、大分県中部地方でも発生しております。昨夜も、阿蘇地方を震源とする最大震度五強となる地震が発生しているところであります。

 このように、今回の地震は、マグニチュード六・五の地震の後に同じ地域でマグニチュード七・三の地震が発生するという経過をたどったという特徴、並びに、地震の活動域が熊本地方から大分県中部にかけての非常に広範囲に及ぶという特徴がございました。

 そのため、気象庁では、地震活動について引き続き強い揺れに警戒を呼びかけるとともに、揺れの強かった地域では、これはかなり広域にわたっておりますけれども、家屋の倒壊でございますとか、地盤が緩んでいる可能性がございますので、土砂災害などに注意をするように呼びかけているところでございます。

 以上です。

塩川委員 今お話しいただきましたように、いわゆる前震がマグニチュード六・五で本震がマグニチュード七・三。こういう規模で起こった前震、本震、余震型の地震というのはないわけでありますね。そういう意味でも、過去最大規模のこういう形での地震が起こったということが、一度、最初の地震で避難をし、片づけに行ったら本震で被害に遭われた方ということ、このことをもってしましても、避難者の皆さんがこの先どうなるのかという大変不安の中にあることでもありますし、地震の活動域が広がっているということ、北東方面にも南西方面にも広がっているということについても、多くの方が避難を強いられるのではないのか、こういった不安に今なっているところであります。

 マグニチュード三・五以上の地震回数が過去の地震を上回る規模ということも言われております。いわば予想外、想定外のことが起こっている中で、内閣府が集計をしています避難者数というのが現時点で約十一万人ということなんですが、内閣府防災の被害状況を見ますと、屋外避難者なしと書いてあるんですよ。皆さん、ニュースをごらんになっても、避難施設の外で、車の中で避難されている方がたくさんいらっしゃるというのがあるのに、国の集計では屋外避難者なしとなっているんですよ。これは余りにも実態をつかんでいないんじゃないのか。

 そういう点でも、実情に即した支援策というのも極めて重要だと思っておりますし、何よりも、想定外のことが起こっていることについての不安が大きいということを私たちがしっかり受けとめなければいけないと思っております。

 そういった中で、川内原発が稼働していることに不安の声が上がっております。日本共産党は、不測の事態に備えて川内原発は直ちに停止すべきだと考えます。

 少なくとも、稼働の継続ありきではなくて、政府として英知を結集して真剣な検討を行い、このような国民、住民の不安に応えるべきだと思いますが、丸川大臣にその点についてお答えいただきたいと思います。

丸川国務大臣 稼働中の川内原発においては、今回の地震による最大の地震加速度が補助建屋の一階で十二・六ガルと、原子炉を自動停止させる設定値であります八十から二百六十ガルを下回っております。

 また、原子力規制委員会は、新規制基準への適合性審査において、川内原子力発電所は地震加速度六百二十ガルに対しても安全上重要な設備の機能が損なわれないことを確認していると承知をしております。

 昨日の午前に開催されました原子力規制委員会では、現状において川内原発を停止する必要がないと判断していると聞いております。

塩川委員 現状においてということですけれども、やはり先ほど紹介をしましたように、今回の地震については、想定外のことが起こり、避難者の皆さんは今後の予測がつかないという不安の中に置かれているわけであります。こういった国民、住民の不安に応えることこそ政府が行うべきことだ。川内原発の稼働の停止、このことを含めて真摯な検討を行った上で国民、住民の不安に応える、このことを強く求めておくものであります。

 温対法についてですけれども、COP21でのパリ協定採択を受けて、地球温暖化対策推進法に基づき地球温暖化対策計画案が策定をされ、政府の地球温暖化対策推進本部がこれを了承したところであります。地球温暖化対策計画案は、温室効果ガスの排出抑制、吸収の量に関する中期目標として、日本の約束草案に基づき、二〇三〇年度において二〇一三年度比二六・〇%減の水準にすることとしたところです。

 その際、温室効果ガス削減目標積み上げに用いたエネルギーミックスでは、原子力が総発電電力量に占める割合は二二から二〇%となっているわけですけれども、この点について確認したいと思います。

吉野政府参考人 お答えをいたします。

 昨年の七月に策定をいたしましたエネルギーミックスでございますけれども、これにつきましては、安全性の確保を大前提に、自給率をおおむね二五%程度まで引き上げ、改善をする。それから、電力コストを現状よりも引き下げる。具体的には二〇一三年よりも引き下げるということでございます。それから、欧米に遜色ない温室効果ガスの削減目標を掲げる。議論の過程でEU、アメリカが既に目標を出しておりましたので、それに遜色ない形で取り組もうということでございました。

 そうした三つの具体的な目標を同時に達成するように検討を行ったものでございまして、その中でお示しした原子力発電の比率でございますが、これに関しましては、徹底した省エネ、再エネの最大限の導入、火力発電の効率化、具体的には、二〇三〇年にGDP当たりのエネルギー効率を三五%改善するですとか、再エネは現状のほぼ倍に当たる二二から二四%導入する、火力発電も同様でございますけれども、そうした努力によりまして、原子力発電の依存度を可能な限り低減させた結果として、御指摘のような数字になっているということでございます。

塩川委員 二〇三〇年度における総発電電力量一兆六百五十億キロワットアワーに対して原子力が占める割合は二二から二〇%程度。これは、実際に想定される原発の稼働はどのぐらいになると見込まれるのか、この点について説明をしてください。

吉野政府参考人 お答えをいたします。

 個別の原子力発電所ごとの状況につきましては、規制委員会の審査によるところもございます。また、原子力発電所ごとに出力規模、実際の稼働率も異なりますので、確定的なことはお示しできませんけれども、二〇三〇年に原発比率二〇%を達成するためには、これは例えばでございますが、稼働率を八〇%と置きますれば、三十基程度という計算になるということでございます。

塩川委員 稼働率八割にということですけれども、震災前でも稼働率は七割なわけでありますから、それをさらに高める。実際に今の運転を考えても、例えば、林経産大臣が三月の参議院の経産委員会の答弁でも言っていますけれども、四十年を超える運転期間延長を行い、震災前の七割の稼働率を八割にするとすれば、三十基程度という計算になるわけで、そういう意味では、まさに四十年を超える老朽原発を三十基も動かす、稼働率もさらに上げるということがいわば二二から二〇%の根拠となっているという点は極めて重大だと言わざるを得ません。

 現状でも川内一、二号機の稼働のみになりますから、これを大幅に稼働させるということとなれば、政府の目標達成のためには、四十年を超えた老朽原発を動かし、震災前よりも高い稼働率で運転することになります。あるいは、リプレースとか新設とか、新たな原発建設に踏み出すことにもなりかねない。原発推進策を盛り込んでいるのが今回の地球温暖化対策計画案だ、このように言わざるを得ない。

 こういったことを想定するような計画というのが本当に妥当だと言えるのか。大臣はどのようにお考えですか。

丸川国務大臣 二〇三〇年のエネルギーミックスというものは、昨年までの決定の過程でさまざまな議論を経て決定されたものでございまして、我が国の温暖化対策計画あるいはINDCとも結びついているものでございますが、これは引き続き、毎年の状況を見ながら、しっかりと将来的に必要な検討はなされていくべきであろうと考えておりますけれども、いずれにしても、これはエネルギーと表裏一体のことでございますので、十分な検討が必要だと考えております。

塩川委員 十分な検討だからこそ原発依存ではない、そういう道にこそ踏み出すというときだと思います。

 こういったエネルギー政策と一体の地球温暖化対策でありますけれども、その際には、やはり東電の原発事故の総括が必要であります。原発事故による損害額の大きさというのは真摯に考えなければならない問題であります。

 そこで、原発の事故費用について確認をしたいと思います。

 原発の事故費用についても、さまざま、復興にも充てるような費用もあるわけですけれども、そこはおいても、原状復旧に充てるような、賠償等、事故収束、廃炉費用、そして除染、中間貯蔵施設、これについてどのぐらいかかるのか。

 最初に、賠償について経産省にお尋ねをいたしますが、東電が想定をしている賠償費用の見込み額、これは除染等を除く額で結構ですけれども、それは幾らになっているのかについて教えてください。

吉野政府参考人 お答えをいたします。

 東京電力の被害者賠償、それから除染、中間貯蔵施設に係る要賠償額の見込みにつきましては、平成二十八年三月三十一日に変更認定されておりますが、新・総合特別計画において、現時点で合理性を持って見込まれる額として約七・七兆円を見積もっているということでございます。

塩川委員 七・七兆円の中には除染のも入っていますか。

吉野政府参考人 現時点で、総合特別計画の中で認めているものは入っているということでございます。

塩川委員 ちょっと、除染を除いた額で教えてほしいんですけれども。

吉野政府参考人 申し上げますと、要賠償額として計上されておりますのは、申し上げましたように約七兆七千億円でございますけれども、そのうち、除染等として現時点で見込んでおりますのが一兆二千億でございます。

塩川委員 今、数字でも、東電の試算で六兆五千億近くという金額がいわゆる賠償に当たるところであります。大変大きな金額になるわけです。

 次に、事故収束、廃炉費用は幾らを見込んでいるのか、お答えください。

吉野政府参考人 お答えをいたします。

 福島第一原子力発電所の廃炉、汚染水対策につきましては、まず、国においては、技術的難易度が高く、国が前面に立って取り組む必要がある研究開発への財政措置を行っておりまして、これまでに約二千四十九億円の予算額を計上してきております。

 今後見込まれます予算額につきましては、廃炉作業を進める中で新たに判明する事象などもあることから、現時点で見通しを立てることは困難でございますけれども、必要な財政措置を含め、引き続き国も前面に立って取り組んでいきたいと思っております。

 また、東京電力は、この福島第一原子力発電所事故の廃炉、汚染水対策のために、平成二十六年度時点で合理的な見積もりが可能な金額として約一兆円を引き当てておりまして、このうち約〇・五兆円を支出済みということでございます。

塩川委員 今お話しのように、国として研究開発費二千億を既に補助し、さらにそれもふえるだろうということですし、東電自身が計上してきた事故収束、廃炉費用というのが、実際の計上済みのものが一兆円近くあって、今後十年間でさらに一兆円を積み上げて準備をしましょうと。ですから、国費を含めて二兆二千億円を上回るような額がもう現時点では見込まれている。

 実際、廃炉を考えた場合には、燃料デブリの取り出しだけでも数十年単位と言われておりますから、そういう費用を考えればさらに大きく膨らむということは明らかであります。

 次に、除染、中間貯蔵施設の費用の見通しについて環境省にお尋ねします。

 環境省の試算によれば、実施済みまたは計画されている除染の費用は約二・五兆円程度、中間貯蔵施設への費用は約一・一兆円程度と見込まれるとしておりますが、その根拠は何でしょうか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の平成二十五年十二月の閣議決定に示された費用の試算でございますけれども、その時点で実施済みまたは計画されていた除染、中間貯蔵施設、汚染廃棄物処理につきまして、当時除染事業の実績が少ない中で、その時点での限られた情報を前提に試算したものでございます。

 具体的な除染費用といたしましては、除染本体の費用に加えまして、計画策定や測定等の準備行為の費用、あるいは仮置き場や減容化施設の設置、運営費用などを見込んでございます。

 汚染廃棄物処理につきましては、指定廃棄物及び対策地域内廃棄物の処理費用などを見込んでございます。

 また、中間貯蔵施設につきましては、設置、運営費用を見込んでおるというところでございます。

塩川委員 この金額が記載されているのが、二〇一三年十二月の復興加速化指針の欄外の注記にあるわけですけれども、この注記には、「上記の費用見込みは、上記の交付国債発行限度額の算定のためのものであり、今後速やかに計数を精査するとともに、除染・中間貯蔵施設事業の進捗等に応じて、適時に見直す。」とありますけれども、この適時に見直すというのはやっていますか。

高橋政府参考人 除染費用でございますけれども、現状では、政府全体で平成二十八年度までに計上した予算の総額は約二・五兆円でございます。また、汚染廃棄物の処理費用としては約〇・五兆円となってございます。このほか、中間貯蔵施設事業の費用として約一・一兆円を見込んでございます。

 今後の費用の見込みでございますけれども、今後の労務費や資材費の動向、帰還困難区域の取り扱い、あるいは中間貯蔵施設への搬入の見通し等に応じまして経費が変動しますことから、現時点で確たる数字をお示しすることは困難でございますけれども、平成二十九年度以降も、例えば、モニタリングでございますとか、仮置き場の維持及び原状回復、あるいは除染廃棄物の減容化等に係る費用につきましては必要となるという見込みでございます。

塩川委員 除染、中間貯蔵施設で今出た数字だけでも四兆円ということですから、さらに膨らんでいくということにもなります。

 それと、この環境省の試算においては、実施済みまたは計画されている除染という言い方をしているんですけれども、そうすると、この実施済みまたは計画されていない除染費用というのは、具体的にはどんなものがあるんですか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 二十五年十二月時点でまだ実施、計画されていなかったものとしては、例えば、現在行われております帰還困難区域における除染などが含まれているというふうに考えております。

塩川委員 ですから、平成二十五年十二月時点で計画をされておらず、その後執行された、そういった事業とすれば、帰還困難区域の除染がありますと。例えば、大熊町の下野上地区というんでしょうか、復興拠点となる地域の除染などが具体的にあるというのをお聞きしております。そういう点では、その経費がどうなるのかというのも今後の課題に当然なってくるわけです。

 そうすると、いわゆる除染特措法の特措法三事業、除染と汚染廃棄物処理と中間貯蔵施設、その関係費用というのは、今の把握し得る限りで、トータルでどのぐらいかかると見込んでいるんでしょうか。

高橋政府参考人 先ほども御答弁申し上げたとおり、現時点においては、今後の見通し、全体の見込みというのは、さまざまな要因がございますので、具体的な額をお示しすることは困難であるというふうに考えております。

塩川委員 そういう点でも、四兆円を超えるというのは現時点でも出ている数字であるわけです。さらに積み上がるということが想定をされるということになるわけです。もちろん、これは環境省分だけで、そもそも、直後に内閣府が行った除染費用二千二百億円というのはこの中には含まれておりませんし、内閣府や環境省以外の他省の除染費用などについても、これは会計検査院が集計しておりましたが、積み上げてみると千三百三十二億円という金額でもあります。そういう点でも、除染だけをとっても大変大きな金額がかかっているわけであります。

 そこで、大臣にお尋ねをいたしますが、東電原発事故によって大変な損害が生じたわけであります。現時点で積み上げた費用だけでも、賠償で六・五兆円、除染、中間貯蔵施設で四兆円を超える、事故収束、廃炉費用でも二・二兆円を超える、合計すればもう十三兆円となるような、これでさえ今時点の把握の数字であるわけですから、今後さらに積み上がっていくわけであります。まさに天文学的な損害額と言わざるを得ません。

 この前、PCBの廃棄物処理についても幾らかかるのかというのはやりましたけれども、今後の経費を含めて八千億円、それ自身も大変大きいなと思ったわけですけれども、それと比べても大変な巨額な損害をもたらしたのが原発事故だったわけであります。

 そういう点でも、原発事故がこういった天文学的な損害を生み出したということは原発のリスクを明らかに示すものだと考えますが、大臣にお尋ねをいたします。

丸川国務大臣 環境省としては、東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う環境回復を担当しておりまして、その点、係る費用については今事務方から御説明申し上げたとおりでございますけれども、それらに係る費用も踏まえて、原子力エネルギー政策全体をどう考えるのかということについては、一義的にはエネルギー所管官庁であります経済産業省が検討すべきものでございまして、また一方で、原子力利用に係る安全規制については、三条委員会であります原子力規制委員会が独立して業務を行っております。

 環境省は、原子力規制委員会が独立して業務を行えるということをきっちり担保することが重要な責務でございますので、この担保するという意味においても、私どもがこのことについてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 加えて、原子力防災は私の担当でございますが、これは、原発が稼働しているか否かにかかわらず、避難計画あるいは緊急時対応というものについてしっかり取り組んでいくことが重要でございますので、引き続き、その充実強化に努めてまいります。

塩川委員 除染は担当しているわけですから、そういう点でも、除染経費そのものも膨大にかかるわけです。

 こういった損害をもたらすような、原状復旧のための経費だけでも、除染だけでも現時点でも四兆円を超えるような額、さらにふえるかもしれない、こういったふうに原発事故が多額の損害をもたらす、そういうリスクのあるものだということについては、お考えは示してもらえるんじゃないですか。

丸川国務大臣 環境回復に係る費用を今後東京電力にどのように求償していくかということは非常に大きな課題でございますけれども、こうした事業者の負担と、そしてエネルギー政策全体とということは、一義的には経済産業省がまず議論をすべき所管官庁であるという認識でございまして、今後、私どもは、まず環境回復、全力で地域の皆様にお約束した期限を守るべく努力をし、そして、そのための費用の獲得というものにしっかりと努めてまいりたいと考えております。

塩川委員 化石燃料を使うような、そして原発の活用のエネルギー政策というのは、まさに地球温暖化対策、環境対策と不可分のものであるわけで、そういうのも環境省としてしっかりとその立場から臨む必要がある。政府として原発推進をとる、そういう姿勢そのものが今問われているわけであります。

 この間、私も、埼玉県内に東電原発事故で避難をされている方がたくさんいらっしゃいます、お話も伺った中で、やはり、双葉町の方などは戻りたくても戻れないところに置かれております。子供たちの健康不安のこともありましたし、高齢者の健康悪化についてのお話もお聞きしました。

 例えば、双葉町は、事故前は要介護認定の方が三百人ぐらいだったんだそうですね。それが、この事故を機に、それこそ全国に避難をされる中で体調を崩されて要介護認定になった方が五百人を超える、こういう形での健康悪化というのがもたらされている。それは、もちろん、住環境の困難さも当然あるでしょう、同時に、家族がばらばらに暮らさざるを得ない、そういうもとで、家族と一緒だったらこういう介護になるような環境にならなかった、ばらばらになる中で介護が必要となった、そういう例もあるということもお聞きいたしました。

 こういった費用というのは、お金ではもう償えないんですよ。お金では償えない話なんです。それと同時に、これだけの膨大な被害をもたらすような原発事故について、その費用を誰が負担するのか。

 大臣、東電への求償の話をされました。これはまた午後の一般質疑でもう少し突っ込んでお話ししようと思いますけれども、実際にこの事故費用を誰が負担するのかといえば、加害者の東電のステークホルダーである株主とかあるいは貸し手の大手の金融機関じゃないわけです。結果とすれば、電気料金とか税金という形で国民が負担をすることになる。

 原因者負担、汚染者負担の原則というのであれば、東電が最後まで責任をとるべきなんですよ。実際には、足らず前といって税金を許し、東電の方も電気料金を上乗せして利用者に負担をする。これは本当に汚染者負担原則を貫いていると言えるのか。

 こういう立場でも、こんなことを起こしているような東電の再稼働、東電の経営を存続させるようなあり方そのものも問われているわけで、こういった事故費用の負担の問題について、汚染者負担原則が貫かれていると言えるのか。この点について、大臣はどのように受けとめていますか。

丸川国務大臣 汚染者が負担をするということについて、私どもは、今もなお、環境回復に係る費用の点について今後とも努力が必要である、私どもの方からもお願いをしている部分もございますので、この点については今後もしっかり取り組んでいかなければならないと考えております。

塩川委員 午後、東電の廣瀬社長も見えますので、そこで引き続きその議論をしたいと思います。

 私は、こういった事故を生み出した、被害をもたらした原発の稼働を前提とした地球温暖化対策計画というのは、きっぱりと見直し、撤回をすべきだと。この点について最後に一言答弁を求めて、終わります。

丸川国務大臣 私どもといたしましては、まず、今回の原子力発電所の事故からの環境回復ということが一番の責務でございまして、この点しっかり取り組んでいくということに加えまして、今後、政府が帰還困難区域についての方針を夏までに示す中で、どのような費用の負担のあり方があるのかということについても検討されていかれると思います。

 こうした議論を通じて、先生御指摘の点についてもさまざまな議論があろうかと思いますけれども、私どもはまず、なすべき責任をしっかりと果たしてまいりたいと考えております。

塩川委員 終わります。ありがとうございました。

赤澤委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 民進党の福田昭夫でございます。

 本日は、地球温暖化対策推進法の一部を改正する法律案等について、政府の基本的な考え方をただしてまいりますので、簡潔にお答えをいただきたいと思います。

 まず、パリ協定の目標と抜本的な法改正の必要性についてであります。

 一つ目は、パリ協定の目標についての認識についてであります。

 パリ協定では、御案内のとおり、気温上昇を産業革命前の水準から二度C未満として、一・五度Cに抑制するよう努力すること、可能な限り早期に温室効果ガス排出を頭打ちにし、その後速やかに減少させていくこと、二十一世紀下半期のうちに人為的な排出と人為的な吸収を均衡させる、人為的排出をゼロにさせることを合意したわけでありますけれども、そのことに対してどのような認識をしておりますか、大臣の見解を伺いたいと思います。

丸川国務大臣 パリ協定という法的文書において二度目標を含む長期目標が定められた、位置づけられたということは、大変重要な成果として私どもも高く評価をしております。

 一方で、これまで世界各国が示している温室効果ガスの削減目標、これを全て足し合わせましても、この二度目標の達成に必要な削減量には達しておりませんということが、世界全体として、さまざまな機関の分析で指摘をされております。追加的な削減がさらに必要だという指摘でございます。

 ですので、パリ協定の目的達成のためには、パリ協定において、目標の五年ごとの提出また更新のサイクル、そして野心の向上が規定をされておりますけれども、今後、各国がこの目標を提出、更新していく中で、中長期的に世界全体でさらに取り組みを強化するということは極めて重要であると考えております。

 そして、この二度目標ということについてでございますが、温対法の目的規定の中では、この二度目標の考え方の大もととなります気候変動枠組み条約の究極目的、すなわち、気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼすこととならない水準において大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させることということが既に規定をされておりますが、この安定化させる一つの水準というのが今回二度目標という形で示されたというふうに認識をしております。

 いずれにしても、我が国としては、まず、二〇三〇年目標のクリアとともに、これを着実に達成することに取り組むとともに、パリ協定の規定に沿って適切に対応してまいりたいと考えております。

福田(昭)委員 大臣、パリ協定の目標を高く評価している割には、今回の法改正では、法の目的にこの三つの目標が位置づけられていないんですね。国民運動などが中心なんですね。この三つの目標を位置づけるという認識はなかったんですか。

丸川国務大臣 この法改正において、特にやはり私どもが今後強化していかなければならないということを国民の皆様にも意識していただくためにも、国民運動の強化、普及啓発ということを書き込ませていただきました。

 一方で、長期的な目標ということに関しましては、現在パブリックコメントにかけられております地球温暖化対策計画の中で、目指すべきものとして、長期的な目標を二〇五〇年八〇%削減ということについて位置づけをさせていただいておりまして、まずもって二〇三〇年目標について着実に達成していく中で、しっかりと長期的なビジョンについても議論を通じて皆様にも意識をしていただけるよう努力をしてまいりたいと考えております。

福田(昭)委員 非常に残念です。

 二つ目は、我が国の役割と約束草案についてであります。

 我が国には、パリ協定で示された目標を踏まえて、世界規模での排出削減に向けて長期的かつ戦略的に貢献することが求められていると思いますけれども、今回の提出済みの約束草案、二〇三〇年度の削減目標を二〇一三年度比で二六%減、二〇〇五年度比で二五・四%減は、これは低過ぎるんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。

平口副大臣 二〇三〇年度二六%減という削減目標は、技術的制約、コスト面の課題などを十分に考慮した裏づけのある対策、施策や技術の積み上げによる実現可能な削減目標でございます。

 我が国としては、まず、二〇三〇年目標の達成に向けて着実に取り組むとともに、パリ協定で二度C目標が世界の共通目標となったことも踏まえ、技術の研究開発や社会構造、ライフスタイルの変革等を含め、今後、大幅な削減に向けて長期的、戦略的に取り組んでまいる所存でございます。

福田(昭)委員 長期的な戦略に取り組んでいくということであれば、我が国の中長期目標、二〇五〇年までに温室効果ガスの排出を九〇年比八〇%削減する、二十一世紀下半期内に人為的な排出実質ゼロ、長期低排出発展戦略の策定などを今回の法改正でやはり明記する必要があったのではないですか。

 加えて、五年ごとの提出にあわせ、削減目標を引き上げるとか、目標達成のための具体策なども位置づける必要があったのではないですか。いかがですか。

梶原政府参考人 地球温暖化対策の法律、温対法でございますが、温対法の中では、具体的な目標の設定、そして、その目標を達成するための施策につきましては、地球温暖化対策計画の中で規定することとされているところでございます。

 今先生御指摘の、二〇三〇年の二六%減、あるいは二〇五〇年に八〇%減を目指すといったようなことにつきましては、現在策定作業を進めております地球温暖化対策の中で明確に位置づけるということで作業を進めさせていただいておるところでございます。

 さらには、その計画の中では、我が国の削減のみならず世界の削減に貢献するよう技術開発も進め、そしてまた、先進国あるいは途上国との間でしっかりと削減ができるような国際協力も進めていくといったような位置づけの計画にさせていただいているところでございます。

 そして、最後の点につきましては、今回、そのことがスムーズにできるように、温対計画の中の策定事項として改正をしていただけるように御提案させていただいておるところでございます。

福田(昭)委員 私は、やはり地球温暖化対策計画に位置づけただけでは大変実現性が乏しい、したがって、ぜひ法定化すべきだ、こういう話をしているわけであります。

 そこで、三つ目でありますけれども、新たな気候、エネルギー政策を統合する気候変動防止のための国内法整備の必要性についてであります。

 今まで議論してきたように、残念ながら、今回はパリ協定の実施を担保するような法改正にはなっておりません。そこで、パリ協定の実施を担保し、我が国の中長期目標を明記するなど、地球温暖化対策推進法の抜本改正も含めた、気候、エネルギー政策を統合する気候変動防止のための国内法の整備が必要だと思いますけれども、そうしたことは考えておりませんか。

鬼木大臣政務官 我が国の温室効果ガス排出量の約九割を占めるエネルギー起源CO2の削減を図るために、エネルギー政策と地球温暖化対策は表裏一体のものとして進めていくことが重要であると認識しております。

 このため、地球温暖化対策推進法に基づく地球温暖化対策計画には、我が国のエネルギーミックスの実現及び削減目標の達成に必要となる徹底した省エネルギーや再生可能エネルギーの最大限の導入などをしっかりと位置づけることとしております。

 地球温暖化対策計画の効果的な実施と点検等を通じ、エネルギー政策と十分に連携しつつ、地球温暖化対策の実効性を確保してまいります。

 以上です。

福田(昭)委員 エネルギー政策と調整を図りながらということでありますけれども、しかし、なかなかそこがうまくいっていないようであります。

 そこで、四つ目でありますけれども、石炭火力発電所の新設と中長期目標との整合性についてであります。

 環境省の調査によれば、平成二十八年三月時点で四十一基の石炭火力発電所の建設計画があるとされております。最新鋭の石炭ガス化複合発電でも、環境影響の増大が懸念をされております。

 我が国は、二〇五〇年までに世界全体で五〇%削減、先進国全体で八〇%削減という長期の温室効果ガス削減目標を掲げております。石炭火力発電所の新設は、こうした中長期目標との整合性がとれるのか、その辺について環境省の見解をお願いしたいと思います。

平口副大臣 お答えいたします。

 石炭火力発電は、天然ガスに比べ、同じ発電量当たり二倍のCO2を排出いたします。石炭火力は現在多数の新増設の計画があり、実効的な対策を講じなければ国の削減目標等の達成が危ぶまれるところでございます。

 このため、電力分野における実効性ある地球温暖化対策について、丸川環境大臣が林経済産業大臣と合意し、電力業界の自主的枠組みの実効性、透明性の向上等を引き続き促すとともに、省エネ法やエネルギー供給構造高度化法について、エネルギーミックスと整合する基準を設定し、経済産業省に責任を持って運用していただくことにより、電力業界全体の取り組みの実効性を確保することとしております。

 また、取り組みが継続的に実効を上げているかどうか、毎年度進捗状況をレビューし、目標の達成ができないと判断される場合には施策の見直し等を検討いたします。

 地球温暖化対策に責任を持つ環境省として、二〇三〇年二六%削減が達成されるよう、しっかりと取り組んでまいります。

福田(昭)委員 環境省と経産省との間で電力分野の自主的枠組みの実効性を確保する仕組みが導入されたようでありますけれども、私はそれだけでは足りないなと考えているところでございます。

 五つ目は、気候変動の影響への適応計画の法定化の必要性についてであります。

 平成二十七年十一月に、政府として初の全体の総合的、計画的な取り組みである気候変動の影響への適応計画を閣議決定されました。パリ協定では、適応の実施を各国に求め、排出削減と同様、五年ごとに進捗を評価することとなっております。

 これに対応するために、昨年閣議決定した適応計画を法定化する必要があると思いますが、いかがでしょうか。

鬼木大臣政務官 気候変動の影響は、農業、自然災害、水環境、水資源、自然生態系、健康など、非常に幅広い分野にわたっております。このため、昨年十一月に、分野ごとの影響の評価と対策を取りまとめた我が国で初めての適応計画を閣議決定いたしました。今後、適応計画を着実に実施してまいります。

 この適応計画の法制化につきましては、同計画の実施状況や実施に係る課題を把握しながら、引き続き検討してまいります。

福田(昭)委員 ぜひ、お題目にならないように、しっかり実現するためには、私は法定化が必要だと思います。

 六つ目の質問は、地球温暖化対策に関する基本法案の制定についてであります。

 先ほど大体お聞きいたしましたけれども、そこで、やはり改めてパリ協定の実施を担保する本格的な地球温暖化対策の基本法が必要だと考えておりますので、ここはお答えは要りませんけれども、ぜひ検討すべきだということをお話しして、次に行きたいと思います。

 次に、地球温暖化対策計画案についてであります。

 一つ目は、排出抑制、吸収の量に関する目標についてであります。

 この表を見た上で、今回、環境省としては、国民運動を推進するために、民生部門、家庭、業務部門の削減に重点を置いたわけでありますが、私はそれだけでは足りないんじゃないかと。この表を見ればおわかりのように、確かに産業部門は確実に低下をいたしておりますけれども、しかし、総排出量が四億二千九百万トンCO2と一番多いのも産業部門であります。しかも、地球温暖化対策と経済成長を両立させる鍵は、環境省も計画の中で革新的技術の開発であると述べているわけですから、やはり重点目標に、民生部門に産業部門も加えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

梶原政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生がおっしゃられるように、産業部門につきましては、我が国のエネルギー起源CO2の三五%を占めることから、今後とも着実に削減を進めていくべき分野だと考えてございます。

 そして、この全体像を見るときに、民生部門との関係で見るときに、もう一つ念頭に置かなければいけない事項といたしましては、産業部門につきましては、一九九〇年以降これまで、一五%程度の削減をしてきた一方、家庭、業務部門におきましては大幅に増加をしてきているという傾向にあることも念頭に置いて対策を進めていく必要がございます。

 産業分野におきましては、現在策定作業中の地球温暖化対策計画案におきまして、自主的取り組みとして、個別業種ごとに低炭素実行計画を策定していただき、目標を定め、しっかりと対策をとっていただく。特に、その中では、利用可能な最善の技術を最大限導入するといったようなことを初めとした対策をとっていただく必要があると考えてございます。

 私どもといたしましては、このような産業界の取り組みがしっかりと行われるように、関係審議会におきましてその取り組みを厳格かつ定期的に評価いたしまして、目標のさらなる引き上げ等を必要に応じて求めていくといったような対応も進めてまいりたい。そういうことで、この大きな排出量を占める産業分野の対策もしっかりと進めてまいりたい、かように考えております。

福田(昭)委員 後で指摘するつもりでしたけれども、実は、先日、安倍総理がお呼びになった米国のスティグリッツ教授でありますが、スティグリッツ博士は、ぜひ炭素税をつくるべきだと言っております。炭素税は技術開発を促しますので、経済の活性化と地球温暖化対策にもなると言っております。

 したがって、やはり産業部門を削減するということが実は経済の活性化にもつながるということを考えて、これは積極的にやるべきだというふうに思います。これは後で言う話でありましたが、今、話をさせていただきました。

 二つ目は、国民運動の展開についてであります。

 ここで何点か具体的な質問をいたします。

 まず第一点、エネルギー転換部門の取り組みについてであります。

 ここには、再生可能エネルギーの最大限の導入、火力発電の高効率化など、安全性が確認された原子力発電の活用とありますが、二点伺います。

 一点は、家庭用の蓄電池の開発と低価格化であります。

 現在、五キロワット時の蓄電池で少なくとも百万円かかるそうでありますが、これは、私は、五十万円以下になると、太陽光発電と組み合わせれば、それぞれの家庭が、北海道から沖縄まで、自力で電力を賄うことができるんじゃないか、そしてそれがCO2の削減につながると考えておりますが、いかがですか。

梶原政府参考人 蓄電池につきまして御質問がございました。

 自立分散型の低炭素社会の構築におきましては、再生可能エネルギーの最大限の導入が必要でございまして、その再生可能エネルギーの利用という意味におきまして、蓄電池をしっかりと活用していくということが効果があるものというふうに私どもも理解をしてございます。

 例えば、一般家庭におきまして蓄電池を活用するといったようなことになりますと、屋根に置きます太陽光発電が、昼間発電するわけでございますけれども、それをためておいて夜に使うといったようなこともできる、つまり自家発電、自家消費がさらに進むということも、そのとおりでございます。

 そして、この分野につきましては、二〇三〇年の二六%の削減、そして二〇五〇年の八〇%削減、そしてさらに将来へ向けたという意味におきましても、この蓄電池技術の果たす役割は非常に大きいものと思ってございます。

 そういったような観点から、現在の蓄電池の効率改善のみならず、次世代型の大型の蓄電池等につきましても、ぜひ研究開発、実証を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

 そしてまた、これが有効に使われるといったような視点も重要だと考えてございまして、現在、そういった蓄電池を活用したシステムが実際に実証できないかといったようなことで、例えばコミュニティー、あるいは、地区あるいは離島といったようなところで、このような蓄電池を使ったシステムの実証を進めているところでございます。

福田(昭)委員 そういった意味では、家庭用の小型の蓄電池、また大型の蓄電池の開発は民間企業で努力しているというような報道もありますので、大型の蓄電池も小さな小型の蓄電池もぜひ進めてほしいと思います。特に、この四月からは電力の自由化もスタートしておりますので、家庭の電気は家庭で賄う、そういう日本をつくったら、それこそ世界の先進国としてモデルになると私は思っております。

 もう一つは、資料の一をごらんください。

 これは質問通告をしておりませんので、これを見て、ぜひ大臣からお考えをいただきたいと思います。

 これは、四月の十五日に国立環境研究所が発表した「二〇一四年度の温室効果ガス排出量(確報値)について」であります。この確報値の参考データから、こちらは私が合成をいたしました。

 これをごらんいただきますと、上の表が電源種別の発電電力量と二酸化炭素排出量です。赤いのが原子力発電であります。青色が石炭火力であります。まさに原発を停止してから、それに石炭火力が取ってかわっております。二〇一四年度は原発稼働ゼロでしたので、全て石炭火力が、全てというかそれ以上ですかね、取ってかわって頑張っている。それから、LNG火力ですか、この辺が頑張っているというような表でございます。その下の表が原子力発電所の利用率の推移、二〇一四年はまさに原子力発電ゼロとなっております。

 この二つの表を見ますと、原子力発電所は実は要らないんです、現在でも。全く再稼働する理由がありません。ましてや、先ほど申し上げましたが、新規の石炭火力発電所を四十一基つくるということになると、火力発電所の中には古いもの、老朽化したものもあるので、多分新しいものにつくりかえるわけでありますが、そうしたことを考えると、これは全く原子力発電所が要らない資料なんです、実は。日本の電気、エネルギーを全部賄えちゃうということになるんです。

 ですから、原発の再稼働は全く必要ない、そういう資料になるんですが、いかがですか、大臣。

丸川国務大臣 確報値において、まず、二酸化炭素排出量が昨年よりも減ったことの要因分析としては、省エネが進んだということ、そして暖冬であったということ、また、再生可能エネルギーの導入が、このグラフにもございますけれども、全体から見ますとわずかですが、しかしながら確実に進んだということが背景にあるという分析を私どもはしております。

 一方で、エネルギー全体のバランス及びエネルギー安全保障、あるいはエネルギーのコストについてどう考えるかというのは、エネルギーを所管する官庁がまず一義的に判断した上で総合的に考えられるべきものと思いますので、私どもとしては、まずもって二酸化炭素排出量が減っているということは大変望ましい傾向であるということを申し上げさせていただきたいと存じます。

 これに油断することなく、しっかり二〇三〇年目標に向かって取り組んでまいりたいと思います。

福田(昭)委員 ちょっと情けない発言ですが、時間の関係がありますので、次に第二点に移ります。

 分野横断的施策についてであります。ここでも、時間の関係で二点は無理かな、お伺いしたいと思いますが、まず一つは、地球温暖化対策税の有効活用であります。

 現在の仕組みでは、森林吸収源対策には使えない状態になっておりますが、税率を引き上げて一般財源として活用することをやはり考えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

梶原政府参考人 地球温暖化対策税につきましては、特別会計法におきまして、使途がエネルギー起源のCO2削減に限定をしてございます。そういうことから、例えば、森林というのを一つの例に出されたわけでございますけれども、森林整備の取り組みに活用することは想定されていないところでございます。

 ただ、我が国の豊かな森林資源を木材やエネルギーとして活用することにつきましては、化石燃料代替によるCO2削減につながることから、地球温暖化対策としても非常に重要であるというふうに考えてございます。

 そういう意味におきまして、環境省におきましては、地球温暖化対策税の税収を活用いたしまして、木質バイオマス発電、あるいは木質バイオマスを使った熱利用等を地域で行う実証事業等に取り組んでおるところでございます。

 また、森林全般の整備につきましては、新たに、森林環境税といったようなことについても検討されているというところでございます。

福田(昭)委員 先ほどもスティグリッツ教授の話を申し上げましたが、やはり、炭素税を課税することによって、引き上げることによって、企業はそれなりの技術開発に努力しますから、必ず経済もよくなる、私もそう思っておりますし、さらに、足りない税源を賄うということにもつながると思うので、ぜひこれは考えるべきだと思います。

 もう一つは、国内排出量の取引制度の充実ということで質問したかったのですが、ぜひ、二国間の取引制度よりも、私は、都市と農山村での取引制度、そうしたものをつくると、間伐が促進をされ、吸収源対策がさらに進むと思っておりますので、そんな検討もされたらどうかなというふうに思っております。

 時間が来ましたので、最後に、地方公共団体の役割についてであります。

 平成二十六年度の環境省の調査によれば、地方公共団体実行計画、区域対策編の策定率は、全地方公共団体千七百八十八団体のうち、策定済みの団体は三百八十三団体で、策定率は二一・四%となっております。

 今後どのようにして策定をしようとしているのか、お伺いをしたいと思っておりましたが、時間の関係で私の方から申し上げます。

 我が国は、太陽光や水力など自然エネルギーの豊富な国です。私が申し上げるまでもありません。都道府県や市町村が自然エネルギーを使ってエネルギー自給都市を目指す、自給圏を目指す、もし基本法を制定するとしたら、ぜひそうした計画を法律の中に位置づけてやれば、地方公共団体が積極的に取り組むと思いますし、地方自治体の活性化にもなる、こう考えておりますので、そんな御検討もお願いを申し上げたいと思っておりますが、いかがでしょうか。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、地方公共団体が率先して取り組むということは非常に大事でございまして、現在の地球温暖化対策推進法にも地方公共団体実行計画を位置づけておりますし、今回も、その部分につきまして、地方の取り組みを強化する改正をお願いさせていただいているところでございます。

 具体的には、先生御指摘の、地域の事情に適合した再生可能エネルギーの利用の促進でございますとか、あるいは、省エネ、コンパクトな低炭素型の都市、地域づくりなどに地方公共団体が取り組んでいただくことを促進すべく、環境省としても、さまざまなマニュアルの改定とか財政上の支援などを通じて、地方公共団体がその役割をより効果的に果たしていただけるよう、引き続き支援をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

福田(昭)委員 そろそろ時間が来たので終わりにしますが、環境省ができたのが、ちょっと歴史が浅いので、しかし、環境省は遠慮し過ぎていると思っています。地球温暖化対策は世界的な待ったなしの取り組みだと思います。ですから、そういったことを考えれば、遠慮せずに、しっかり頑張っていただくことを期待して、質問を終わります。

赤澤委員長 次に、松田直久君。

松田委員 民進党の松田直久でございます。よろしくお願いをいたします。

 質問に入ります前に、まず、熊本、大分を中心に九州の地域で、今回の地震で大変な被害に遭われました。亡くなられた方にはお悔やみを、また、今十万人とも二十万人とも言われています避難をされた方、おけがをされた方に心よりお見舞いを申し上げたいと思います。

 それでは、地球温暖化対策推進法の改正及びそれに関連した事項について質問をさせていただきます。

 昨年、我が国の二〇三〇年温室効果ガスの削減目標が、二〇一三年度比二六%削減に決まりました。先月には、地球温暖化対策計画案を国民が目にすることになりました。長期的な削減目標について、今回の計画案では、我が国は、パリ協定を踏まえて、全ての主要国が参加をする公平かつ実効性のある国際枠組みのもと、主要排出国がその能力に応じた排出削減に取り組むよう国際社会を主導し、地球温暖化対策と経済成長を両立させながら、長期的目標として二〇五〇年までに八〇%の温室効果ガスの削減を目指すと記載をしております。

 しかし、二〇三〇年度の目標でも議論になったわけですけれども、八〇%の削減の基準年なんですけれども、明言がされていないということでありまして、環境省としては、ハードルは高くなりますけれども、長期目標の、二〇五〇年までに温室効果ガス排出量一九九〇年度比八〇%を目指すと、少なくとも政府の中でアピールすべきと考えます。

 改めて、基準年は一九九〇年でいくのか、二〇一三年でいくのか、また国際的に足並みをそろえて二〇一〇年にするのか、環境省の方の御見解をお伺いさせていただきます。

梶原政府参考人 二〇五〇年の八〇%目標につきましては、平成二十一年七月のラクイラ・サミットのG8首脳宣言におきまして、先進国全体で、一九九〇年またはより最近の複数の年と比較して二〇五〇年までに八〇%またはそれ以上削減するという目標が共有されたことを踏まえたものでございます。それ以降、我が国がコミットする国際合意あるいは対外的な表明におきまして、二〇五〇年八〇%削減目標については基準年を示していないというところでございます。

 この二〇五〇年八〇%削減目標、現在策定作業中の地球温暖化対策計画で、長期的に目指すべき方向としてしっかり位置づけているところでございますけれども、この目標を設定することで二〇五〇年に向けて大幅な削減を行っていかなければならないといったようなことを明示する、そういったようなことが重要だと考えておるところでございます。

松田委員 重要であるから早く決めた方がいいというふうに思うんですけれども。

 環境省が提唱するファン・ツー・シェアの地球温暖化対策に係る中長期目標ロードマップには、低炭素社会の構築に向けて、二〇五〇年までに温室効果ガスの排出量の一九九〇年比八〇%を目指す、ホームページ上でそういうふうなことが国民の方に示されているんですよね。それは御存じでしょうか。示されているということなんですね。

 ですから、こうやってきちっと環境省として基準年を、ある程度、意思といいましょうか、はっきり出されているならば、やはりリーダーシップをとって早くお決めになった方がいいと思いますし、一九九〇年と二〇一三年ですか、比べると、八%から一〇%ぐらいの差が出てくる、私の方の試算ですけれども、出てきているんですね。やはり、より厳しいところに基準を合わすということの考え方を持たなくてはいけないと思うんですけれども、いかがでしょうか。

梶原政府参考人 この八〇%の数値でございますけれども、長期的に八〇%を達成していく上では、大きな変化が必要でございます。そして、この八〇%を目指すということを示すことによって、その大幅な削減のために、イノベーションであったり、そのイノベーションを支える社会的な変化あるいは人々の認識の変化というものに訴えていくというようなことが重要だと思ってございます。

 具体的に基準年の議論をすることによって、数%の数字はちょっと違ってくるとは思いますけれども、そのことよりも、この八〇%といったような数字によって、大幅な削減が必要であるといったようなことをまずはアピールさせていただきたいというふうに考えております。

松田委員 今、数%と言われましたけれども、私どもは八%から一割、違うと首を振ってみえますけれども、逆に、数%なら早く基準を決めたらいかがでしょうか。問題があるんでしょうか。

梶原政府参考人 その点につきましては、今後、どういう形で二〇五〇年八〇%の削減をするための道筋が描けていくかというビジョンを検討することとしておりますので、その中でも検討してまいりたいというふうに考えております。

松田委員 ホームページでしっかりと基準年を示しているんですから、ぜひともリーダーシップをとっていただいて、これは大臣の方からも早く基準年を決めるような形で、環境省の目標が定まらなければ、なかなか国民も企業もいろいろ、これに向かって頑張っていこうというのがやはりぶれるわけですから、ぜひともその辺のところを早急にお願いしたいと思います。

 次の質問に入らせていただきたいと思います。

 地球温暖化対策として環境省が施策を講じなくてはいけない家庭部門について伺いたいと思います。

 まず、二〇三〇年の目標、めどが立たない状況でありますけれども、二〇一〇年に公表した「日本低炭素社会に向けた道筋検討 二〇五〇年CO2排出量八〇%削減社会実現に向けて」のレポートには、今から検討しなくてはいけない八〇%削減に係るコストの評価がされておる。

 レポートでは、八〇%削減に至るコストを部門的に見ますと、家庭部門への追加投資額が最も大きく、業務部門、運輸部門、産業部門と続くわけであります。ここではただ追加投資額だけの記載があるだけで、これが全て国民の負担となるのか、施策を検討するために国から設備投資などの補助金が必要となるのかなど、今後検討する課題となっていると思います。

 そこで、二〇五〇年に向けた施策の議論は難しいと思いますので、二〇三〇年に向けた取り組みとして、家庭部門への施策についても、家庭用燃料電池など高効率な省エネ機器の普及やスマートメーターなどでエネルギー管理を行い、現状から約四〇%削減することを計画に組み込むため、国民負担と国の補助金導入などについて議論をされているのか、また、議論されているのであれば、どれぐらいの割合になるのか、伺いたいと思います。

 時間がありませんので、続いて質問させていただきますが、家庭部門のエネルギーはどれぐらい削減可能かもお聞きをいたします。

 先月の質疑において丸川大臣から、環境省のフロア照明をLEDに交換したことで電力使用料金が六割削減したという御報告をいただきました。これはこれですばらしいと思うんですけれども、このLED化が各家庭においてもさらに普及していくことも期待をするわけでありますけれども、資源エネルギー庁がホームページで公開している、世帯当たりの電気機器の使用量の内訳の資料によりますと、これは二〇〇九年度ですが、上から順に、冷蔵庫が一四・二、照明器具が一三・四、テレビ八・九、エアコン七・四、電気温水器が五・四となっております。

 大臣が省エネの効果の例え話で環境省のフロアのLED化を挙げましたけれども、残念ながら、今のちょっと言わせていただいた分でいきますと、照明器具が一三%しかない、LEDに切りかえても、まだエネルギー使用量の削減が必要だと考えております。

 そこで、家庭部門のエネルギーに関して、ほかにいろいろな削減想定をされていると思いますけれども、具体的な説明があれば、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

梶原政府参考人 家庭部門におきます削減につきましては、実際、四割の削減のために、どういったような分野でどういった対策をとるのかといったようなことについて、積み上げを行ってございます。そして、それぞれの分野でどれぐらいのCO2の削減を目指すかといったようなことの積み上げもさせていただいているところでございます。

 コストにつきましては、今、私の手元にございませんけれども、省エネ全体で、これは産業界も含めて、業務も含めてでございますけれども、二〇三〇年度二六%の達成のためには約百兆円ぐらいのコストが必要だというふうに計算したところがございます。

 そして、家庭部門は、今、四割削減をするという計画を掲げさせていただいてございます。この分野につきましては、実は、電力の低炭素化の努力によってまず二六%ほどの削減を見込んでおりまして、残る一四%程度を省エネ対策で進めていくことにしてございます。

 さらに、具体的な内訳でいいますと、LED等の高効率照明を二〇三〇年までにストックで一〇〇%にする、あるいは、断熱性の高い、いわゆる省エネ基準を満たす住宅をストックでこれも三割を目指すといったようなことで省エネを進めるということを考えているところでございます。

松田委員 今、少し数字を挙げましたけれども、いわゆるLEDだけではなかなか削減ができない、ほかの分野の方が逆に言えば比重が重いよという形で、それをやはりきちっと意識して、何か、LEDを進めれば進むんだよ、この対策に非常にそぐっているよというようなことは、もちろん、思ってはいらっしゃらないでしょうけれども、やはりその辺のところもしっかりとお取り組みをいただきたいと思います。では、大臣、一言。

丸川国務大臣 LEDは、まず最初の取りかかりというところでございまして、家電の買いかえというのも、できればボーナス時期に合わせてぜひアピールをさせていただきたいなと思っております。

 特に、御指摘のとおり、冷蔵庫なんかですと、十年前のものと比べますと、およそ七割の省エネが最新のもので期待できるということで、こうした比較が個別の製品でできるサイトというのが実はあるんですけれども、こうしたものをより利活用しやすいような形で国民の皆さんに御提示できるように研究をしなさいという指示も出しておりますので、引き続き努力をしてまいります。

松田委員 ありがとうございました。

 なかなか、本当に、一般家庭におけるそういうお取り組みというのは費用も重なってくることですし、今、ボーナス時にと言われましたけれども、そういった面でぜひとも推進をいただければ、こう思っております。

 ちょっと時間がございませんので、次の質問に入らせていただきます。

 昨年六月に、安倍総理が、地球温暖化対策推進本部で、人々が省エネに役立つ製品やライフスタイルを選択することを推奨する運動、いわゆるクールチョイスを旗印とした国家的行動喚起キャンペーンと、非常に大がかりなといいましょうか、重たい名前で展開をしていくと発言されたわけですけれども、これまで、このようなキャンペーンはほかに実例があったのでしょうか。そして、この国家的行動喚起とは、具体的にどのような手法で行っていくことなのか。また、キャンペーンの目標とする成果は何か。クールチョイスの説明も加えて、答弁を求めたいと思います。

梶原政府参考人 国民運動につきましては、これまでも、六%削減といったような段階のときにも、これは京都議定書第一約束期間の数字でございますが、その達成の際にも、運動体として進めてきたところでございます。

 そして、昨年七月から始めましたクールチョイスにつきましては、これまでにも増して、実際の地球温暖化対策の影響といったようなもののデータが随分ふえてきた、そして、それを理解していただくための我々の知見もふえてきたということも踏まえまして、それを国民の方々にしっかり理解をして危機感を持っていただく。そしてさらには、先ほどLEDをちょっと例に出しましたけれども、LEDに限らず、さまざまな活動を通じて削減ができるといったようなことを、役所だけではなく、そういった低炭素商品とか低炭素サービスを提供する業界とも一緒になって、繰り返し繰り返し理解をしていただく。そしてまた、公共交通機関の利用といったような観点もしっかりアピールをさせていただきながら、そういったようなものも進めさせていただきたいと思ってございます。

 そして、効果につきまして、どれぐらいの効果があるのかということでございますけれども、例えば、クールビズということ一つとってみると、さまざまな仮定の計算をすることになるわけでございますけれども、実際に、これまでの国民運動の効果につきましても、数値化してまとめているところでございます。例えば、二〇一三年度におきますクールビズの効果としましては、開始前に比べて約二百九万トンぐらいの削減ができているのではないかといったような試算もしているところでございます。

 今後とも、こういった国民運動のところについては、できるだけCO2あるいは省エネ量といったような形で数値化をする努力を進めながら、国民の方々に理解を求めていきたいというふうに思ってございます。

松田委員 クールチョイスに関しましては、昨年の七月から、要するに夏と冬と経験をしましたから、いろいろな事例が出てきていると思うんですよね。そういった事例もひとつ参考にして、これから活動に生かしていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 それでは、次は、クールビズ普及におけるCO2の削減についての質問をさせていただきます。

 今回の改正法案の背景には、低炭素なライフスタイル転換の一つとして、クールビズが挙げられている。

 クールビズは、二〇〇五年四月に環境省の一般公募によって選ばれて、夏場の軽装、冷房の節約と、キャッチフレーズとして定着をしてきた。二〇一二年には、東日本大震災による東京電力福島第一原発事故の影響で、電力不足も考慮して、環境省などでは、スーパークールビズという活動に変化をしていった。

 このクールビズも、活動としてことしで十二年目になるんですね。この十二年間で、冬場のウオームビズを含めて、クールビズが進めた効果と今後の発展の可能性について、考え方があればお聞きをしたいと思います。

 続けて行きます。

 平成二十六年七月の地球温暖化対策推進本部で報告している京都議定書の目標達成計画の進捗状況には、国民運動の実施として、二〇〇五年から二〇一二年のクールビズやウオームビズの実績を評価している。二〇一二年のクールビズの実施率は七四・九%、ウオームビズの実施率は七〇・一%。クールビズによる活動は既に定着した活動と判断していると私も感じているわけであります。

 そこで、質問なんですけれども、昨年の、二〇一三年度を基準として二〇三〇年度二六%削減するという目標において、これまでのクールビズなどの低炭素ライフスタイルの転換の活動によるCO2の削減を今後どれぐらい見込んでいるのか。先ほどの質問とあわせて御質問させていただきます。

梶原政府参考人 クールビズ、ウオームビズにつきましては、これまで長年にわたってこれの浸透を図ってきたところでございます。現在、クールビズ、ウオームビズともに約八割程度の浸透をして、実施をしていただいているのではないかと考えているところでございます。

 そして、クールビズ、ウオームビズの効果につきましては、必ずしもそれ単独の施策でなるということではないわけでございますけれども、いろいろな前提を置きながら計算していきますと、先ほどちょっと申しましたけれども、二〇一三年度では、クールビズで二百万トン程度、ウオームビズは、実績といたしましては百三十九万トン程度の効果を見込んでいるところでございます。

 こういったような点につきましても、今、手元にちょっと私、数字を持っておりませんけれども、二〇三〇年でしっかり見込んでまいりたいというふうに考えてございます。

松田委員 済みませんね。二度上げたからどれだけ効果があったとかいうふうな、非常に出しにくい数字とは思うんですけれども、やはりそういったことが一つの目標設定になったり、やる気になったりしますので、そういう観点からちょっと質問させていただきました。ちょっと質問がてれこしましたけれども、そういった面でしっかりとお取り組みをいただきたいと思っております。

 次の質問に入らせていただきますが、今回の法改正によります地方公共団体の実行計画に関する質問をさせていただきたいと思うんです。

 先月公表した地球温暖化対策計画には、自転車などを使ったり、鉄道、LRTとかBRTなど公共交通を使って、シームレス、途切れのない公共交通の実現といった取り組みをすることによってCO2を削減する、そういうことで計画は皆さんに示されていました。

 しかし、ある新聞報道なんですけれども、公共交通網を脅かす人口減少、十五年間で三十七路線が要するに採算が合わなくて撤廃していると。内容は、国土交通省によりますと、中小私鉄や第三セクターが運営する地域鉄道の二〇一三年度輸送人員は、一九九〇年に比べて二二%減の四億人、乗り合いバスは三五%の減で四十二億人となりました、また、鉄道や路面電車などは、二〇〇〇年から十五年間で三十七路線、計七百五十四キロが廃止、乗り合いバスは、二〇〇九年から五年間で六千四百六十三キロの路線が代替の運送手段がないまま廃止されているというようなことなんですね。

 これは、片や公共交通を利用してCO2削減に役立つではないかということですけれども、片っ方では公共交通がどんどん採算の面で路線が減ってきているということで、私はそういう面で非常に危惧をしているわけですけれども、二〇三〇年に向けて、今後このような対策がどういうふうになっていくのか、お考え方をちょっとお聞きしたいと思います。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、地方では、公共交通機関の機能低下や利用減少が進んでいると承知をいたしております。

 他方で、しかし、そういうものが維持されて、さらに活用されるようになりますと、温室効果ガスの削減には非常に大きな効果があるということでございまして、先生御紹介いただきました地球温暖化対策計画、現在策定中の案でございますけれども、地方公共団体に対しましては、地域公共交通網形成計画に関して、その目的達成との調和を図りつつ、地方公共団体実行計画と連携して温室効果ガスの排出抑制等が行われるよう配意することを求めているところでございます。

 今年度には、環境省といたしまして、地方公共団体向けの地方公共団体実行計画策定マニュアルの全面改定も予定いたしておりまして、地方における公共交通機関の利用促進の優良事例なども盛り込んでまいりたいというふうに考えております。

 引き続き、国土交通省を初めとする関係省庁と連携をいたしまして、地方公共団体による取り組みの環境整備を進めてまいりたいと考えているところでございます。

松田委員 地方創生事業というのも、今、国家的な事業ということで進んできています。地方の活性化を何とかせなあかんと。環境においても、今このように示したように、公共交通をたくさん使ってなるべくCO2を抑えましょう。

 もう一つ言えば、例えば医療の面でも、私どもの地元なんですけれども、津市なんか七百十平方ありますから、例えばお年寄りが乗り合いバスに乗っていこうと思ったら病院まで往復三千円要るとか、地方の交通が今いろいろな面で見直されなくてはいけない、私はこう思っているんですね。ただ単に採算が合わないだけで廃止をしてしまう、では、環境の面から見たらどうなの、医療の面から見たらどうなの、地方活性、地域の活性という面で見たらどうなのという、いろいろな尺度を当てますと、やはり廃止というところに、ただ単に採算が合わないからどんどん削られていくというところに、僕は日本全体の大きな問題を抱えていると思うんです。

 環境の面においても、大臣、やはりここはしっかりと国交省さんにでも考え方というのをお示ししていただいたらどうかなと思っているんですけれども、突然で申しわけないですけれども、大臣、その辺のところのお考えはいかがでしょうか。

丸川国務大臣 大変重要な御指摘だと考えております。

 地方においてどのような町づくりをしていくのかということと一体となって考えられるべき課題だと思っておりますので、私どもも、地方公共団体が広域的に温暖化計画を立てていただけるようにということで、今回、法律にもそのようなことを盛り込ませていただきました。

 今後、広域的に、各地方自治体単体で考えることも重要でございますけれども、地理的、文化的につながっている地域の中で、どのように連携して地域をつくる中で公共交通を考え、そして町をつくるのか、またどのようにして住まうのかということも含めて協議をいただけるように、私どもも環境という側面からしっかり支援をしてまいりたいと考えております。

松田委員 今大臣から、やはり考えなくてはいけない、重要なことだというようなお考えをいただきましたけれども、国交省としても、自分らのエリアだけで考えるのではなくて、やはりトータルで物の価値観というのをどう見ていくかというのが僕は絶対必要だと思うんです。

 ですから、採算とは一体どうなんだろうといったときに、やはり全域で、全省庁で鉄道やら公共交通というのをしっかり考えていく必要があると思うんですけれども、再度その辺のところをちょっとお聞きしたいと思います。

篠原政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員あるいは大臣から御答弁ございましたとおり、地域の公共交通の役割は、環境の観点のみならず、町づくりや観光、さらに福祉、地域創生という観点からも非常に重要な観点であると思っておりますので、広く連携をして取り組んでいく必要があると思っておりまして、国交省といたしましても、一昨年、地域公共交通活性化再生法というものを改正いたしまして、地方公共団体が中心になりながら、関係者が合意のもとに持続可能な地域の公共交通ネットワークのマスタープランを描くというふうな制度をつくったり、その制度に基づいたいろいろな対応を補助金あるいは人材、ノウハウ面で支援するということをしております。そういう形でしっかりと地域の公共交通の活性化に取り組んでまいりたいと思っております。

松田委員 しっかり取り組むと言うんですけれども、やはり国交省の枠の中でいつも考えていらっしゃる。だが、そこが一番問題だということなんですよ。ですから、枠を超えて、これは大きな問題ですから、環境だけじゃなくて、いろいろな面で非常に大きい問題ですから、ぜひとも力を発揮して頑張っていただきたいと思います。

 時間が来ましたので、終わります。

赤澤委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 民進党の中島克仁です。

 まず冒頭、大臣からも冒頭にコメントがございました、先週の木曜日、十四日の夜から始まりました熊本中心の地震災害、本当に、犠牲になられた方々の御冥福をお祈りするとともに、現在も不安な環境下で避難生活を送られている方々に心からお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 私も東日本大震災のとき、ちょうど一週間目に医療支援に入らせていただいて、避難所を初め、取り残された御自宅を歩いて回るという医療支援だったわけですが、先ほど大臣の中で、環境行政が、当然ながら七十二時間という人命救助のタイム的なこと、そしてきょうで五日目ということで、今後、医療体制、また衛生環境の整備等々が非常に重要になってくるということで、仮設トイレの話をされておられました。

 これは大変重要なことだというふうに私は思っておりまして、私も東日本大震災のとき、避難所へ行って、特に御高齢の方々がトイレを我慢したりとか、できる限り御高齢の方をトイレの近くにとか、これもまた時間がたってくるとにおいの問題とか、そして、御自宅におられる方も、水道がとまっていた場合、トイレが不便になる、そういうことがこれから今後一週間、二週間の間非常に大事になってくるというふうに思って先ほども聞いておったわけです。

 安倍内閣の閣僚の一人としてその姿勢を、繰り返しになるかもしれませんがお聞きするとともに、この時間的な経緯の中で、もちろん今後、災害廃棄物、これは環境行政が非常に主になってくるとは思うんですが、今現在、発災から五日目ということでございまして、ここ一週間、二週間の間、今後の取り組みに対する姿勢と、仮設トイレをどのように、もちろん衛生状況ということになるとまた厚生労働省との連携ということにもなるかと思うんですが、具体的にどのように考えられて取り組まれるおつもりなのか。

 通告していないんですが、先ほど冒頭のコメントでございましたので、お尋ねをできればというふうに思います。

丸川国務大臣 ありがとうございます。

 まず、トイレの件についてでございますけれども、簡易トイレといって、箱の中に凝固剤が入っておりまして、こういうものについては、経済産業省を中心に、十分な数をお届けするようにということでやらせていただいております。

 一方、仮設トイレ、バキュームカーでタンクにたまったものを取っていくというのは、これは私ども、処理の部分を担当しているわけでございますが、数が十分足りているかということは随時、計画よりもどうも市が把握している数は相当、避難所となっているところが多いようでございますので、しっかりこれは把握して、十分な数に届くようにということには配慮しておりますとともに、トイレの使い方が、多少紙がたくさん流れますとそれだけ詰まりやすくなったりタンクが予定よりも早くいっぱいになるというケースがございますので、こういうことについて早目早目に手を打つようにということで、回収はもちろんですけれども使い方に関しても留意をいただくようにということでお願いをして回っているところでございます。

 加えまして、生活ごみあるいは片づけごみに関しては、市の方で収集が追いつかない部分もあろうかと思いますので、これについては、市の方で足りない部分をしっかりと、全国的なネットワークがございますので、こうしたところで御尽力をいただいて、今もう既に全国都市清掃会議というところから人が行って御要望等を伺っておりますけれども、パッカー車を送れるようなスタンバイというものも既にさせていただいているところでございます。

 加えて、災害瓦れきというものがこれからの課題になってまいりますけれども、これをまず仮置き場に運んでいくというところが第一段階になりますので、既にもう大分県庁それから熊本県庁に支援チームがありますし、福岡の方の環境事務所の方で、この仮置き場の手配ということについて既に人を送って支援を始めさせていただいているところでございます。

 とにかく先手先手で、これまでの災害の経験を踏まえた早目早目の対応というものをこれからも心がけていきたいと思いますし、状況の変化に応じてすぐ動けるようにということで、これからも努めてまいりたいと考えております。

中島委員 ありがとうございます。

 今後のことと現状のこと、仮設トイレに関しては簡易トイレとかいろいろなやり方があると思います。大きな避難所になればなるほど、千人を超えるような避難所、やはりトイレの場所が限られていたり、先ほど言った御高齢の方々がそれによってストレスも感じたりということで、ストレス、風邪、避難所で亡くなられた方ということも報道もされておりました。

 過去の災害のときの教訓も踏まえながら、先手先手というお話もございました。このことについて、我々も当然ながら、与野党を問わず協力できることはしっかりと知恵を出し合いながらでもやるべきことという認識でございますので、閣僚の一人としても、全体的に縦割りにならないように、横串を刺した、現場のニーズ、現地のニーズに合った対応をぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。

 この時間は法案の質疑でございまして、午後も一般質疑ということで私も質問の時間をいただいておりますので、またそのときにも今回の熊本における地震災害について質問させていただきたいというふうに思います。

 法案の質疑に入りたいと思いますが、先ほど来、我が党の福田委員初め他の委員からも質問があり、重複するところをできるだけはしょりながら質問させていただきたいと思います。

 昨年の十二月、二〇二〇年以降の温室効果ガス排出削減のための新たな国際枠組みとしてパリ協定が採択をされました。先ほども高い評価ということでございましたが、我が国は、パリ協定に先立つ昨年の七月に、温室効果ガスを二〇三〇年度に二〇一三年比で二六%削減するとの目標を柱とする約束草案を国連に提出しております。

 今回提出されている改正案は温室効果ガス排出量を削減する計画の根拠法と位置づけているものと私は理解をしているわけですが、であるならば、先ほど福田委員からも御質問がございました、今回改正に当たっては、パリ協定で合意された、気温上昇を産業革命前の水準から二度C未満とし、一・五度Cに抑制するよう努力すること、また、可能な限り早期に温室効果ガス排出を頭打ちにして、その後速やかに減少させていくこと、また、人為的排出をゼロにさせることなど、合意内容、目標を法目的にやはり明確に位置づける必要があると私も思います。

 さらに、長期目標、二〇五〇年までに九〇年比で八〇%削減する。これはやはり、今回根拠法という位置づけであるのは、先ほども御答弁いただいているわけですが、改めて私からも、これはしっかりと入れ込むべきだということに対してまた御答弁いただければと思います。

丸川国務大臣 地球温暖化対策推進法の目的規定が第一条にございます。ここには、パリ協定に盛り込まれた二度目標の考え方の大もととなります気候変動枠組み条約の究極目的、すなわち、気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼすこととならない水準において大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させることということが規定をされております。これを具体的に示したものが二度目標であるという認識でございまして、パリ協定の二度より十分下方に保持するということ、これがその濃度を安定化させるということであるということでございます。

 そしてまた、地球温暖化対策推進法の第八条においては、地球温暖化対策計画に地球温暖化対策の推進に関する基本的方向を定めることとされておりますが、この規定に基づいて、地球温暖化対策計画案は、もうパブコメが終わって今それを受けてのまとめに入っておりますけれども、我が国の目指す方向として二〇五〇年八〇%削減の長期目標の数字を位置づけております。

 地球温暖化対策計画に基づいて、大幅削減に向けて長期的、戦略的に取り組んでまいりたいと考えております。

中島委員 先ほども質疑がございましたので繰り返し追加の質問はいたしませんが、やはり、全ての国が参加する公平で実効的な新たな国際枠組みであるパリ協定、今この時期に、昨年末に採択をされた、これは大変意義深いということは私も認識しております。そして、今回改正される温対法は、京都議定書実施スキームにとどまるもので、今後閣議決定される地球温暖化対策計画も、見る限りはやはり具体性にはちょっと欠けるんじゃないか、不十分ではないか。やはり、今回、パリ協定に基づくしっかりとした今後のアプローチという意味でも、しっかりと明確に盛り込む必要があるということは何度も御指摘をさせていただきたいと思います。

 次に、地球温暖化対策計画の策定、この時期になったことに対する影響について御質問をさせていただきたいと思います。

 平成二十四年末をもって京都議定書の第一約束期間が終了して、現行の京都議定書目標達成計画に基づく取り組みも平成二十四年度末をもって終了しております。このため、平成二十五年度以降も引き続き地球温暖化対策に取り組むための地球温暖化対策推進法が三年前に改正をされまして、京都議定書目標達成計画にかわり地球温暖化対策計画を策定する法的根拠が現在担保されておるという状況だというふうに思います。

 新たな地球温暖化対策計画は、地方公共団体の取り組みベースとなる温室効果ガス削減目標のもととなるものでありますが、これまでエネルギー政策やエネルギーミックスが検討中だったということもあり、未策定の状況が続いてきている。政府が昨年七月に我が国の約束草案を決定して国連に登録をしてから、間もなく一年が経過しようとしているわけです。

 なぜこの時期まで新たな計画の策定がおくれたのか、これまでの国内対策の進展への影響をどのように考えておられるのか、大臣の御見解をいただきたいと思います。

丸川国務大臣 まずもって、地球温暖化対策計画を考える上で、COP21がどのような結論に至るのかということは非常に重要な鍵でございました。二〇二〇年以降の国際的な枠組みがない中でこれを合意したということは、それまで本当にさまざまな積み重ねの議論、また国際交渉、一度は大きな決裂もあったりしながらここまでに至ってきた経緯の中で、この合意を踏まえて我が国が国内対策をどう取り組むのかということを具体化するのがこの温暖化計画でありましたので、まず、昨年七月に約束草案を我々はCOP21に臨む意思として示したわけですけれども、改めてこのCOP21の合意を踏まえて地球温暖化対策計画をつくるということにさせていただいたわけでございます。

 五月上旬ごろにはこの閣議決定を目指して今策定作業を進めているところでございますけれども、既に地方自治体においては、一方で、熱心なところであればあるほど、御自分たちでの地域的また社会的条件に応じて多種多様な取り組みを進めていただいているところでございまして、国の計画の策定の時期がそれにどのような影響を与えているかということについて、一概に申し上げることは難しいと考えております。

 いずれにいたしても、昨年七月の約束草案の提出以降、既にもう再生可能エネルギーや省エネルギーに関する設備導入への補助ですとか、あるいは地方公共団体の職員向けの政策研修といったことについても支援措置をさまざま行ってまいりましたので、引き続き、私どもの計画策定作業を進めると同時に、並行して、地方公共団体への取り組みの促進も今後続けてまいりたいと考えております。

中島委員 もちろんCOP21前提というのはわからないわけではないわけですが、地方公共団体、地方の計画策定には、やはり進捗状況に影響があったと私は考えています。

 例えば、今、積極的な自治体という話がございましたが、随分温度差もあるのかなと。私の地元山梨県、二〇〇五年比で中期目標として三六・四%、そして二〇五〇年、長期目標としてはCO2ゼロという目標を立てている。全国でも高い数字を出している方だと思うんですが、国の策定が、国の軸というかがなかなか決まらないと、実行計画自体に影響が出ている。結果、施策に反映させるまでさらに時間がかかるということも言えるのではないかなというふうに思います。

 この後質問していく地球温暖化対策計画、この内容についても、例えば昨年、ちょっと本筋からずれますが、適応計画に関しても、従来はもっと早い段階でつくられるべきだった。昨年の夏まで、最初は春まで、それが夏までになり、COP21を念頭に置きながら、その直前に適応計画がつくられた。自治体に対しては、その方向性をしっかりと見ないとなかなか実効性のある計画がつくれないという実情があるということは御指摘をさせていただきたいと思います。

 具体的な排出削減の道筋を示したのが、先ほどから出ております、三月に案が公表され、今後閣議決定をされる予定になっておる地球温暖化対策計画ということでございまして、この改正案、国民に対する普及啓発の強化、国際協力の推進、地域における対策推進が今回の改正案の柱となっております。

 まず、普及啓発の抜本的強化についてちょっと質問していきたいと思うわけです。

 環境省は、以前から、低炭素社会に移行することを目的として、地球温暖化を解決するための国民運動を展開されてきております。京都議定書における第一約束期間五年間の間に、九〇年比で六%の温室効果ガス削減のための国民運動として、クールビズさらにウオームビズなどを推奨してこられました。昨年の七月からは、二〇三〇年度二六%削減するという目標の達成のために、今度はクールチョイスが開始されて、総理を先頭に国民運動ということになっておるわけですが、先ほどもどなたか質問されておりましたが、既に推進している施策ですよね、これは。特に目新しいという印象を私は受けないわけです。

 今回改めて、普及啓発も含めて、国際協力に関する事項、従来からやっている施策を法律で明記することになった背景について、なぜ今まで法定化されなかったのか、今回法律で規定することによって一体どんな効果が期待されると考えておられるのか、お尋ねをしたいと思います。

鬼木大臣政務官 家庭、業務部門四割という大幅削減のためには、国民一人一人の意識改革やライフスタイルの転換をお願いするための普及啓発を抜本的に強化する必要があります。

 また、パリ協定では、世界全体の気温上昇を二度よりも十分下方に抑えることが規定され、国際協力を通じた地球温暖化対策が今後ますます重要となってきております。

 加えて、広域的な取り組み等を推進し、地域における温暖化対策を一層推進することも必要です。

 このため、地球温暖化対策計画に記載すべき事項として、普及啓発及び地球温暖化対策に関する国際協力を明記し、これらの施策を強化していくという国の方針を明らかにいたしました。そして、幅広い方々の御協力を得ながら施策を強化していくものです。また、地方公共団体実行計画を共同で作成できる旨や都市機能の集約などについて規定することによりまして、地域における温暖化対策を推進いたします。先ほどから出てきております普及啓発、国際協力、そして委員も御指摘のありました地域といいましたこうしたキーワードを重要な取り組みであるとして啓発、推進していこうということで法的に位置づけ、推進していくわけでございます。

 本改正を踏まえた温暖化対策の強化にしっかりと取り組んでまいります。

 以上です。

中島委員 先ほども答弁されていましたので、またこれも繰り返し質問はいたしませんが、やはり、今回法改正するに当たって、要するにもっとやりますということで本当に民生部門の四〇%というものが達成できるのかどうか。今まで、本来であれば、知恵を絞り出してでも何か目新しいものを入れ込んでいくという姿勢が、ちょっと正直感じられないかなというふうに思います。

 先ほども、民生部門四〇%削減するということになっておるわけですが、この目標を達成するために普及啓発、国民的な運動が必要だということは一定の理解をいたしますが、先ほども福田委員だったと思います、一方で、産業部門が六・五%とされておる。これはさまざまな理由を先ほどもお答えいただきましたので、質問を飛ばさせていただいて御指摘だけにさせていただきたいと思いますが、日本では今まで産業部門一五%、一割強というところにとどまっております。

 EU諸国や米国、GDP当たりの排出量は四割以上削減したというところもあるわけで、総排出量を見れば、本質的には産業界の奮起こそ本来最も必要な部門だ、先ほど答弁の中で、家庭部門がどんどんふえているからというお答えもございましたが、やはり本質的には産業部門が低炭素市場を切り開いていくこと、これが経済成長につながるんだ、そういうことを明確にしていかなければいけないというふうに思うということは、質問しようと思ったんですが先ほども御答弁いただいておりますので、私もそのようなことだということで、御指摘にとどまらせていただきたいと思います。

 次に、大臣、今月一日の本会議質疑、趣旨説明の際に、今回の法改正による温室効果ガス排出の削減効果について、「この法律改正による効果の総体を切り出してお示しすることは困難ですが、普及啓発と規制、税制、補助金等の施策の相乗効果により、家庭部門でいえばおよそ一四%分相当の省エネ等による削減を図ります。」と御答弁をされておられました。

 この一四%、私、事前のレク等でも余り示されていなかったんですが、本会議の質疑でこの一四%という数字が出てきましたのでちょっと御質問をさせていただきたいんですが、この一四%の数字をお示しになった、この数字の根拠。どういった取り組みによって、それぞれどれくらいの効果を見込まれてこの数字を示されたのか。普及啓発と誘導施策の相乗効果で本当に一四%省エネ削減できるのかどうか。具体的なことをちょっと、根拠も含めてお示しいただきたいと思います。

丸川国務大臣 私が本会議での御答弁で申し上げました一四%というのは、家庭側の省エネの努力、これは、日常的な動作以外にも、どのような設備を導入するかということも含めてでございますが、その分の省エネ努力で一四%。そして、家庭部門で四割と言っておりますのは、これに、電力会社による電力排出係数改善の取り組み分の二六%相当、これが相まって四割ということを申し上げております。

 この一四%削減相当をどう実現していくかということでございますが、三割の住宅の窓の断熱化等を実施するということ、それから、LED等の高効率照明を一〇〇%導入していただくということ、そして、省エネ型製品、これは家電等ですが、これへの買いかえを促進するといったことを具体的に積み重ねていくことになります。

 先ほど、産業部門と業務、家庭部門というお話がございました。一九九〇年と二〇一三年を比べますと、確かに産業部門は一五%減っております。業務部門は倍にふえております。そして家庭部門は五割ふえております。実は、九〇年当時では産業部門の方が圧倒的に排出量が多いんですが、二〇一三年度は逆転をしております。

 こういうこともありまして、ぜひ家庭、業務部門で削減を進めさせていただきたいということで、今、国民運動の中にもそれを入れさせていただいたところでございます。

中島委員 時間もないのでどんどん進んでまいります。

 要するに、その家庭部門、省エネで一四%ということで、これはポンチ絵、資料の一枚目はどなたにも配られて目にするポンチ絵ですが、「CO2削減の普及啓発強化のイメージ」、これで低炭素製品への置換、低炭素サービスの選択、ライフスタイルの転換ということになるわけです。この一四%の数字、もちろん家庭での増加率は非常に高いということはわかります、そして、今回普及啓発ということであるわけですが、このライフスタイルの転換で私ちょっと目につくというか、都市部で銭湯の利用とあるわけですよ。これは、低炭素社会をつくり上げるために、ライフスタイルをクールビズやウオームビズのように、では皆さん銭湯に行きましょう、それがこれから迎える低炭素社会の真っ当なスタイルということなのかどうか。

 私、時間もないのでこの後質問しませんが、やはり省エネというと我慢を強いるというイメージが皆さん非常に強いわけです。先ほど断熱材の話をされましたが、この後質問しようと思っていたのですが時間がないですけれども、エコカーが普及したのは、例えば環境の問題はさまざまあると思いますが、やはり快適性なわけですよね。

 我慢を強いる省エネ、そういう低炭素社会をつくる努力というのはなかなか続かないということからいくと、都市部では銭湯に行くというものが、先ほど、積み重ね上げられる一四%、こういったもろもろの中に本当に具体的に入っていて、これを本当に普及啓発させようとしているつもりなのか。まずそこだけちょっとお答えいただけますか。

丸川国務大臣 銭湯に行くのが我慢かどうかというのはちょっと、それは人の価値観によるものだと。私たちは、銭湯でコミュニケーションを楽しんで町の人たちと触れ合うことも楽しさの一つであり、楽しみながら地球温暖化対策にもなるということを取り組んでいただけたらということの一つの例として挙げているわけでございまして、これは決して我慢を強いることではないということだけは申し上げさせていただきたいと思います。

 答弁がございましたら、事務方からもさせていただきます。

梶原政府参考人 今、大臣の方から御説明がございましたけれども、加えて申し上げますと、自宅での入浴を我慢して銭湯に行きなさいといったようなことではないということでございます。

 いずれにしましても、こういったような身近なことで御理解をしていただくのが非常に重要だと思っております。

 国民の啓発に関しましては、今、省エネの機器の普及とかそういったようなものも極めて重要でございます。これは、ただ国民の方々にお願いするということだけを言っていくんじゃなくて、供給する側の方々の協力も必要だということで、大々的な運動の展開を進めていきたいと思っております。

中島委員 私は、銭湯が我慢と言ったんじゃなくて、その後の断熱材とちょっと混同してしまったので、例えば、断熱材を使うということは、私は地元が山梨県で、夏は四十度近くまでなり冬はマイナスになるという、温度差が非常に激しいところでもあって、断熱材を使った御自宅、私も何度も行ってみたんですが、やはり気温差が非常に小さくなるわけですね。そこで、例えば一般の家庭で設定温度を二十八度にしましょうとか、そういうぎちぎちの中でやること、これは少し我慢に当たるかなということで。

 銭湯はもちろんおっしゃるとおりです。私も銭湯は大好きです。そんなことはどうでもいいんですが。ただ、普及啓発で、ここまでしないと達成できないというようなことまで盛り込まれているとしたら、非常に何か違和感を感じるということを言いたかったわけです。銭湯に関しては、我慢ということではないです。

 ただ、断熱材に関しては、多くの方々が、省エネをしようということに対しては、常に、私も嫁さんによく言われます、電気をまめに消しなさいとか、そういったことを強いられながら、何か窮屈だなという思いでやられるということで、資料の二枚目で、もう時間もないのであれですが、先ほど言った省エネ住宅、窓の断熱化など、これの目標が、三〇年見通しが三〇%にとどまっておるということで、私は、家庭部門の取り組みとしては、住環境が大前提になると思うんですね。

 先ほども言ったように、やはり住みながら、快適に暮らしながら低炭素に寄与するということからいくと、家を何度も建てる方は余りおられないと思います、一生に一回、もしくは改築も恐らく一回、三回ぐらい建てる人もいるのかもしれませんが、だとすると、もっともっとさらにこれこそ国民運動的にしっかりと対応して、私の知り合いの建築屋さんも非常にこの観点が強くて、お客さんには、こういうものにしましょう、最初、コストはかかりますが、数年後には電気代も抑えられますということを説明するんですが、なかなか皆さん御理解いただけない。さらには、公営住宅、各自治体の県営や市営住宅、こういったものも、各市町村はコストのことをやはり非常に気にします。

 これはまさに、例えば冷暖房の使い方も、日本の文化は各部屋を暖めようという文化ですが、欧米諸国へ行きますと、全体を暖めた方が効率がいい、全体を冷やした方が効率がいいという文化がある。まさに今回の国民啓発、国民運動的というのは、その日本の文化をも改めていくというぐらいの突破力がないと、なかなか温暖化対策には資さないんじゃないか。

 そういったことも含めて、先ほどはちょっと誤解があったかもしれませんが、何を質問するかちょっとよくわからなくなってしまいまして、質疑時間が終わりましたので、また午後も質疑がございますので質問させていただければと思います。

 ありがとうございました。

赤澤委員長 次に、真山祐一君。

真山委員 公明党の真山祐一でございます。

 まず冒頭、私からも。

 先般発生いたしました熊本、大分を中心とした地震におきまして、多数の皆様が犠牲となられております。亡くなられた皆様に心からの御冥福を申し上げるとともに、被災された皆様、特に今避難生活を余儀なくされている皆さんも多数いらっしゃいまして、心からお見舞いを申し上げるとともに、今救助を待たれている方々もいらっしゃるわけでございまして、一刻も早い救助を念願させていただきながら、質問に入らせていただきたいと思います。

 その観点で、熊本地震におきまして、一点、まず冒頭、お伺いをさせていただきたいと思います。

 先ほど大臣からも、現在の環境省としての取り組み、対応を御報告いただいたところでございます。

 この災害対応におきまして、環境省が所管する分野でやはり大きな役割を担っていただきますのは、災害瓦れきの早期処理であるというふうに考えております。現在、懸命な救助活動が行われている渦中でございますので、情報収集をしながら、その経過を見守って、時が来ればいざ瓦れき処理に動き出す、そういう段階ではあろうかと思いますけれども、やはり、いざというときに迅速な対応が必要であるというふうに考えております。

 東日本大震災の際におきましても、やはり瓦れきの処理が進まないということが復旧復興の大きな足かせになったというのは言うまでもないことでございますけれども、一方で、この東日本大震災の折も、例えば東松島市は分別回収を早期に実施いたしまして、確かに分別回収をするというのは手間暇はかかるわけでございますけれども、しかし、その後の処理を考えたときにはむしろトータルでは時間の短縮、さらにはコストの圧縮にもつながる。実は、東松島市がこの取り組みを進めたのは、東日本大震災以前の地震災害の際の反省を踏まえてこういった分別回収を行ったというふうにお聞きをしております。

 こういった取り組みも踏まえて、しかしながら、自治体にとっては、恐らく今、熊本や大分なんかもそうだと思いますけれども、震災対応、災害対応、瓦れき対応とかも含めて恐らく初めての経験であって、どのように取り組んでいいかわからないという実態もあろうかと思います。そういった観点で、環境省の職員をお送りいただいているということでございますけれども、ぜひ環境省のリーダーシップをお願いしたいところでございます。

 こういった廃棄物を含めて、また全般にわたりまして、この熊本地震の復旧復興に対する環境大臣の御決意をお伺いさせていただきます。

丸川国務大臣 委員御指摘のとおり、災害廃棄物の処理ということは、過去の我々の経験も積み重ね、また、この国会でも災害廃棄物法制を、昨年充実を図っていただきました。今年度からは環境省の本省に災害廃棄物対策室が創設されました。

 今回の熊本地震においては、大変機動的に我々も対処しなければいけないということで、翌日には熊本県に職員を派遣いたしまして、県庁に現地支援チームを派遣いたしました。そして十八日、きのうでございますが、大分県庁にも現地支援チーム、そして環境省の福岡事務所には、九州ブロック広域支援チームということで、これは、熊本県、大分県をさらにまたいで、県境をまたいでほかの県でも支援ができるようにということで、そのコーディネーションを図るために派遣したものでございますけれども、それぞれ派遣をいたしまして、環境省の総力を挙げて災害廃棄物の処理に取り組む体制を整えております。

 加えて、動物愛護の観点からも、獣医会と協力いたしまして、現地の状況を確認するための職員の派遣を行わせていただいております。

 また、先ほど、し尿処理、また生活ごみについても自治体の支援を行うようにということで、この現地のチームが対応に当たっておるところでございます。

 引き続き、関係自治体が要請してくる前でも、私どもで、過去の経験に基づいて必要と考えられるところについては先手先手で対応するようにということで動きをしておりますので、また、関係業界にも大変な御協力を賜っておりまして、情報の収集もこうした業界団体を通じて行っているところでございまして、これからも万全の対応を行ってまいりたいと考えております。

真山委員 迅速に職員を派遣いただいて体制を構築していること、ぜひ引き続きお願いをしたいと思います。

 いずれにいたしましても、まずは緊急の救助をされること、またそれに伴う、緊急でやらなければいけない、先ほどのトイレの問題もあろうかと思います、衛生上の管理もございますので、ぜひ総力を挙げて取り組んでいただきますように、心から念願をするところでございます。

 それでは、今回の地球温暖化対策推進法の一部を改正する法律案につきまして、法案の質疑をさせていただきたいと思います。

 まず一点目、お聞きいたしますのは、国民運動の強化についてでございます。

 昨年十二月、パリ協定が合意となりまして、この気候変動に対する地球温暖化対策、大きな転換、次の枠組みができたわけでございますけれども、このパリ協定で日本が掲げた二〇三〇年度二六%削減を達成するために、家庭、業務部門でそれぞれ約四割の削減を掲げております。二〇一〇年以降は、先ほども資料の提示なんかもありましたけれども、日本の温室効果ガス排出量は増加傾向でございましたけれども、最新の直近のデータでは削減に転じたという段階でございます。

 本法律案では、国とさまざまな主体が連携した地球温暖化対策の普及啓発の強化を盛り込んでおります。これまで、クールビズ、ウオームビズといった運動が広く国民的に展開されてまいりましたけれども、今後さらに踏み込んだ国民運動を展開していくためには、強力な運営主体が必要でございます。また、気候変動に対する正しい知識の環境教育、こういった必要性も挙げられるところでございます。

 環境省として、民生部門四割削減にどのように取り組んでいくのか。クールチョイス推進チームの設置、また国民運動実施計画の策定を検討されている、策定中ということも伺っておりますけれども、この普及啓発の具体的な取り組みについて環境省にお伺いをさせていただきます。

梶原政府参考人 家庭、業務部門、特に家庭部門、民生部門についての大幅削減につきましては、まずエネルギーの需要側、省エネ側でございますけれども、省エネ法に基づく家電あるいは建築物省エネ法に基づきます住宅の断熱性能とかエネルギー基準、さらには税制上の優遇、削減ポテンシャルの診断、そして普及啓発などの事業が必要でございます。また、供給側としては、実際に使用される電気をより低炭素なものにしていくといったような作業も必要でございます。

 こういった、エネルギーの需要対策そして供給対策の両方から進めていくということでございます。

 そして何よりも、個々、個人個人の行動が変わっていただく必要がございますので、今委員が御指摘のように、クールチョイスの推進チームを立ち上げ、これは環境大臣をチーム長としますものでございますけれども、関係者そして広く産業界も含めて入っていただきまして、行政側だけが情報提供をしてお願いをするだけじゃなくて、しっかりとした、どの製品がどれだけいいのか、どのサービスがどれだけ削減になるのかといったようなことも事業者の方々からもしっかりとアピールをしていただきまして、国民全体のうねりという形になるように国民運動を展開していきたいと思ってございます。

 そして、国民運動の計画につきましては、常に機動的に動いていかなくてはいけないというふうに考えてございます。

 地球温暖化対策計画を策定した後も、こういったクールチョイスの推進チームの方々、そしてその下にワーキンググループ等をつくりまして、分野ごとにしっかりとした形で、どういう形でならば国民の方々に理解をしていただけるのか、そして協力して作業分担ができるのかといったようなことも含めた計画をつくって進めていきたい、かように考えてございます。

真山委員 クールチョイス推進チーム、また国民運動実施計画、こういった取り組みがこれから展開されると思いますけれども、先ほども御答弁ありましたとおり、つくった計画がその後どうなっていくのか、やはりPDCAをしっかり回していくということが必要であろうと思いますので、まず、そういう主体としてこの推進チームがなるように、ぜひ運営をお願いしたいと思うところでございます。

 そして、二六%削減目標の内訳を見ますと、家庭、業務部門、先ほど言いましたとおり四割削減でございますけれども、一方で、先ほども質疑の方がございましたけれども、産業部門においては六・五%という削減でございまして、一部では、産業部門を保護し、家庭、業務部門にしわ寄せしているのではないか、そういった批判もあるわけでございます。

 これは非常に、産業部門の内実にも大変重要な観点、大きな関連する分野でもございますので、経済産業省の認識をお伺いさせていただきます。

三又政府参考人 お答え申し上げます。

 産業部門におきましては、既に、石油危機以来これまでの取り組みによりまして、エネルギー消費原単位にしまして四〇%以上の大幅な効率の改善を実現しておりまして、主要産業においては世界トップレベルのエネルギー効率を実現しているところでございます。この結果、産業部門におけるエネルギー起源CO2の排出量は、二〇一三年度実績で、一九九〇年度比にしまして約一五%の削減を実現しているところでございます。

 こうした中、現在検討中の地球温暖化対策計画案では、低炭素社会実行計画の着実な実施と評価、検証や、省エネルギー性能の高い設備、機器の導入促進など徹底した省エネに取り組むことなどで、一・七%程度の経済成長と両立させながら、産業部門のエネルギー起源CO2の排出量を二〇一三年度比でさらに約六・五%削減するということを目指しているところでございます。

 他方、家庭部門、業務その他部門におきましては、産業部門に比べてこれまでエネルギー効率の改善が進んでおらず、二〇一三年度のエネルギー起源CO2の排出量は、一九九〇年度比で見ますと、家庭部門におきましては約五三%、業務その他部門におきましては約一〇八%という大幅な増加となっているところでございます。約束草案や地球温暖化対策計画を検討いたします当省と環境省の合同の審議会におきましても、特にこれら両部門の取り組みの重要性につきましては多くの委員の先生方から御意見をいただいたところでございます。

 こうしたことを踏まえまして、今回の地球温暖化対策計画案では、今後、省エネ機器の普及や住宅建築物の省エネ化などの省エネ対策によって効率改善が進展すること、また、家庭部門や業務その他部門のエネルギー消費の約半分ないしは過半を占めます電力において今後低炭素化が見込まれることなども踏まえまして、先生御指摘のとおり、二〇一三年度比で約四割の削減を目指しているところでございます。

 いずれの部門におきましても、裏づけのある対策を最大限積み上げた結果でございまして、この実現に努めてまいりたいと思います。

真山委員 この課題については、当然産業界も前向きに取り組んでいく内容であると思いますし、また、これまでも取り組んできた結果でございまして、環境省また経済産業省連携して、積み上げた目標の達成にぜひ尽力していただきたいと思うところでございます。

 次の質問に移らせていただきたいと思います。

 次は、国際協力、国際連携のポイントでございます。

 まず、国際協力の観点でいいますと、やはり、今月末に静岡県で開催される日中韓三カ国環境大臣会合、第十八回の会合の開催がございます。そして、来月にはG7富山環境大臣会合が開催されるわけでございます。パリ協定後に開催される重要な環境分野の国際会議でございまして、また、日本が開催国として国際社会をリードできるかどうかということが期待されるわけで、注目が集まっているわけでございます。そして、こうした国際枠組みにおいて実効性のある成果が得られるかどうか、これも注目がされるわけでございます。

 この日中韓三カ国環境大臣会合及びG7富山環境大臣会合において、環境省としてどのような成果を目指すのか、環境大臣の意気込みをお伺いさせていただきます。

丸川国務大臣 我が国が議長国となりまして、今月の二十六日及び二十七日に静岡におきまして、第十八回日中韓三カ国環境大臣会合を開催させていただきます。これはTEMM18と申しますけれども、昨年、同じ三カ国環境大臣会合で、環境協力に係る日中韓三カ国共同行動計画を採択いたしました。まず、この計画に基づく活動を着実に進展させるということが必要でございまして、この進展について確認をぜひしたいと思っております。

 加えて、G7についても、我が国が議長国でございまして、五月十五日及び十六日に富山において環境大臣会合を開催いたしますが、G7環境大臣会合は七年ぶりの開催でございまして、なおかつ、COP21を受けた環境大臣会合でもございますので、非常に重要な位置づけであるという認識を持っております。

 具体的な議題として、持続可能な開発のための二〇三〇アジェンダ、資源効率性・三R、生物多様性、気候変動及び関連施策、そして化学物質管理、都市の役割、海洋ごみ、この七つの議題を想定しております。これらについて、世界の環境政策の方向性を示し、また、力強い推進のためのメッセージを発信できるように、議長国として引き続き関係各国と調整をしてまいりたいと存じます。

 特に、パリ協定については、ことしが行動の元年であると私どもは位置づけておりましたので、行動の元年と言うにふさわしい、ともに発信できるメッセージをつくってまいりたいと思っております。

真山委員 ぜひ丸川環境大臣のリーダーシップで、充実というか、成果のある大臣会合にしていただきたいとお願いするところでございます。

 そして、次に、パリ協定において日本が主導的役割を果たしました一つに、やはり二国間クレジット制度、JCMを含む市場メカニズムの活用がこのパリ協定には盛り込まれたわけでございますけれども、この二国間クレジット制度は現在十六カ国と結ばれておりまして、COP21では、パートナー国会合を開催し、今後の方向性を確認したところでございます。

 日本には、世界をリードする低炭素技術があります。国内でCO2削減に取り組むことは当然のことながら、低炭素技術が確立していない途上国において日本の世界最高水準の低炭素技術の導入される効果は、世界のこの排出削減に大きな影響、寄与を与えるものであると考えております。

 また、JCMによって得られるクレジットは二〇三〇年度二六%削減目標には含まれておりませんけれども、地球温暖化対策計画においては、JCMによるクレジットの効果として五千万から一億トンのマイナス、CO2の排出削減、吸収量が見込まれるとされておりまして、今後のさらなる展開に期待されるところでございます。

 本法律案では、温室効果ガス削減に貢献する国際協力を通じた地球温暖化対策の推進に関する事項を地球温暖化対策計画に明記することが新たに盛り込まれております。JCMはその有力な手段の一つでございます。

 二国間クレジット制度について、今後さらなる拡大について環境省の考えをお伺いしますとともに、また、低炭素技術を提供する上では経済産業省との緊密な連携が必要になると思います、この点も含めて、環境省のお考えをお伺いさせていただきます。

梶原政府参考人 お答え申し上げます。

 温室効果ガスの削減につきましては、世界のどこで削減をしても同じ効果を持つという意味におきまして、海外での削減、世界での削減に貢献することは極めて重要なことでございます。JCMにつきましても、その有力な手段の一つとして位置づけてまいりたいと思ってございます。

 現在、インドネシアにおきまして廃熱利用発電、あるいはベトナムでの送電網の効率化など、十四の国で五十八件のプロジェクトも既に実施をしております。その中では、九件のプロジェクトとしても、JCMのプロジェクトとして登録されているものもございます。

 今後とも引き続き、このJCMの事業につきましては、資金的な支援といったようなものも続けていきながら、その効率のいい執行の仕方についても検討してまいりたいというふうに考えておりますし、また、民間資金をどういう形でJCM事業の中に、スキームの中に入れていけるかといったようなことも含めまして、事業の底を強いものにする、基盤を強くしていくといったようなことも考えていきたいと思っておるところでございます。

 あと、今先生御指摘のように、JCMを進めていく上では、オール・ジャパンでやっていくというのが非常に重要だと私どもも認識しております。現時点におきましても、外務省、経産省、環境省が中心となりましてオール・ジャパンで対応することによって、支援されているパートナー国の方もオールパートナー国で対応していただけるといったような形になってございます。

 今後とも、関係省庁としっかりと連携を組みながら、日本の世界に対する貢献が大きいものになる、そして印象の強いものになるように頑張ってまいりたいと思っております。

真山委員 国際協力に関連してもう一問お伺いさせていただきます。

 気候変動の影響に対する適応に関して、昨年十一月に、分野ごとの影響の評価と対策をとりまとめた適応計画が閣議決定をされました。今後、この適応計画に沿った施策を展開し、また、国民にも広くお伝えをしていかなければなりません。

 一方、我が国が有する知見、技術等の提供も含め、適応分野において途上国をいかに支援していくかという観点も重要でございます。

 適応分野における途上国支援について、環境省の取り組み方針をお伺いさせていただきます。

梶原政府参考人 適応につきましては、パリ協定におきましても、削減と同じように、緩和と同じように重要であるという位置づけを受けて、なおかつ、途上国におきましてはこの分野での支援を強く希望しているというのが実態でございます。

 環境省といたしましては、昨年の十一月の適応計画の中で途上国支援を一つの大きな柱といたしております。

 具体的には、バイの関係では、インドネシアやモンゴル等におきまして、適応計画の策定、そしてその前提になります気候変動の影響の評価といったようなものの支援を行っているところでございますし、また、マルチの場では、アジア太平洋のネットワーク、そして世界全体の適応ネットワークといったようなものに支援をしておりまして、こういったようなものを通じまして、途上国に我が国の知見や、彼らの自分たちで考えていただく能力の向上について支援をしていっているところでございます。

 この分野、極めて重要な分野でございますので、今後とも引き続き強化をしていきたいというふうに考えてございます。

真山委員 それでは次に、地方公共団体実行計画の共同策定について関連してお伺いをさせていただきます。特に、再生可能エネルギーの飛躍的な導入、そして地方創生の観点からお伺いをさせていただきたいと思います。

 今回の法律案では、この地方公共団体実行計画を他団体と共同で作成できるということが盛り込まれております。これによりまして、近隣市町村や都市部の地方公共団体と連携し、例えば、地方の農山村に豊富な自然資源を活用してエネルギー供給を行うことや、場合によっては、エネルギーの資源供給、発電、消費を地方公共団体間で分担して広域的に展開する、そういった可能性も広がるかと思います。

 この地方公共団体実行計画の共同策定が広域的取り組みの促進にどのような影響を与え、役に立つのか、また、具体的な共同策定のケースについて、環境省にお伺いをさせていただきたいと思います。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、地方公共団体実行計画が共同で策定できる旨を今回の温対法改正案に盛り込ませていただいております。

 これは、先進的なところでは個別に協力関係も既に実施していただいているところでございますけれども、このように法律上明記することによりまして、広域的な取り組みがまさしく地方公共団体の法定の計画の中に体系的に位置づけられることを目指したものでございます。

 具体的には、これも先生から御指摘いただきましたとおりでございますけれども、再生可能エネルギーは賦存状況が地域的には偏在しておりますので、その供給と需要といったものを連係するということもございますし、また都市部から農山漁村に資金やノウハウが提供されるというようなことも期待されるところでございまして、現にそのような取り組みが進んでいる地域もございます。

 このような計画の共同作成を通じまして、個々の広域的な取り組みが短期的、個別的なものにとどまることなく、より持続的、戦略的なものとなるよう、一層の促進を図ってまいりたいと考えているところでございます。

真山委員 地方には自然エネルギー資源が豊富に存在しておりまして、その資源を生かした自立分散型エネルギーシステムの構築は地方創生に資する取り組みとして注目を集めているところでございます。

 一方で、連系線の増強、活用や送電網の整備等で、電力系統の強化、さらには環境アセスメントの迅速化など課題があるわけでございまして、これが先ほど言いました自立分散型エネルギーシステムの導入に対して時に壁になっている実態もございまして、こうした課題に対する取り組みについて、これは環境省と経済産業省、両省にお伺いをさせていただきます。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 私の方からは、電力系統の強化の話についてお答え申し上げたいと思います。

 先生御指摘のとおりでございまして、再生可能エネルギーの最大限の導入を図るためには、もちろん固定価格買い取り制度などもございますけれども、系統の強化というのが非常に重要な課題でございます。

 私ども、まず予算面といたしまして、政府の取り組みといたしまして、二十五年度から、再生可能エネルギーの導入を図る系統対策ということで、風況が良好だけれども十分な系統が整備されていない、こうした地域を風力の重点整備地区に指定いたしまして、風力発電のための送電線の整備実証事業、いわゆるSPC事業というものでございますが、これをやっております。

 そのほか、昨年の四月にできました電力広域的運営推進機関、こちらの方で、さまざまな、地域間連系線の増強あるいはその運用の強化といったものに取り組んでおります。

 まず一つ申し上げますと、既存の系統を活用する、これは、増強しなくともソフト面でさまざまな工夫をするということで、ことしの四月から、地域間連系線の空き容量を利用して、再生可能エネルギーの受け入れ余地のある他の地域に送電を行う、こういった運用ルールを定めました。

 そのほか、同じ広域機関では、送電網の整備を円滑に進めるために、昨年の四月から、複数の事業者が系統増強に必要な工事費をそれぞれの発電規模に応じて共同負担することが可能となります電源接続案件の募集プロセス、こうしたルールの運用も開始をしております。

 これにあわせまして、私ども国といたしましても、これまでは、FIT電源などにつきましては原則特定負担ということでございましたけれども、発電設備を設置する方が負担する特定負担と、広く需要家の方々に御負担をいただく一般負担、これの割合というものを算定するための考え方、いわゆる費用負担ガイドライン、こういったものを公表いたしまして、発電事業者にとりましてどれだけ費用を御負担されればいいか、こうした点についての明確化も行っているところでございます。

 ハード面の増強につきましても、同じ推進機関が、広域運用の観点やエネルギーミックス、こうした国の政策方針も踏まえながら、設備の増強計画というものを作成することとしております。

 これらのさまざまな取り組みによりまして、御指摘のような自立分散型電源が我が国において系統が障害となって導入されない、こういった事態を解消していきたいと思っております。

三好政府参考人 環境アセスメントの迅速化の面についてお答え申し上げます。

 風力発電等の導入促進に向けまして、具体的には、環境省が調査いたしました環境基礎情報をデータベースといたしまして整備、公表いたしまして事業者が行うべき環境調査の一部を代替する環境アセスメント基礎情報整備モデル事業の実施や、国と自治体の審査を並行して行うなど審査期間の短縮に取り組んでいるところでございます。

 加えて、自治体主導によりまして、地元や事業者などの関係者との調整等と一体的に環境配慮の検討も進めていただきまして、風力発電等のための適地をあらかじめ設定しておくことで、事業者の環境影響評価手続などに係る負担を軽減させ、アセスメントに要する期間を短くするための事業を平成二十七年度から実施しているところでございます。

 このような取り組みを通じまして、引き続き、質が高く効率的な環境アセスメント手続の迅速化に努めてまいりたいと考えているところでございます。

真山委員 時間となりましたので、以上で終わります。ありがとうございました。

赤澤委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 おおさか維新の会の河野正美でございます。

 まず冒頭、先日来の熊本地方におきます地震におきましてとうとい命を失われた方々に心より御冥福をお祈り申し上げたいと思います。また、被災された全ての方々にお見舞いを申し上げたいと思います。また、現在も行方不明の方がおられます。一刻も早い救出を願うものであります。

 私どもおおさか維新の会は、十五日の金曜日に現地に入らせていただきました。倒れかけの壁や家屋の一日も早い撤去が二次災害防止の観点から急がれる問題であるというふうに思います。震災瓦れきの問題も生じると思いますので、環境省におかれてもしっかりと対応していただきたいと思います。

 こういった問題は、与野党関係なく、しっかりとスピード感を持って対応していかなければならないというふうに思っておるところでございます。

 そこで、一点、原子力防災担当大臣としてのお考えを伺いたいと思います。

 被災地では、現在も断続的に地震が続いております。そして、大分、熊本は阿蘇地方、天草地方、そして福岡もですけれども、九州の広域で揺れが続いております。今回の地震を起こした日奈久断層帯の南側の部分はもともと地震の発生確率が高く、連鎖して大きな地震が起こるのではないかと心配する声も根強く聞いております。

 川内原発は、施設に異常がないとして現在も運転を継続されています。川内原発は加圧水型軽水炉でありまして、沸騰水型の原子炉と比べれば大丈夫であるという考えもあるかもしれません。しかし、原子力災害が発生した場合の避難計画、これの前提とする条件が現在大きく変わっているのではないかなというふうに考えております。

 御承知のように、九州新幹線は脱線による全線不通、重ねて何カ所かの場所で損壊が見つかり、きょう現在、復旧の見込みが立っていません。高速道路も、陥没や土砂崩れにより各所で不通になっております。残された国道などのルートも、私は陸路で、車で現地に入りましたけれども、極めて激しく渋滞を来しています。鉄道、道路、水道、電気といったインフラも大きな被害を受けています。

 原子力防災計画では、熊本県から避難時のバスを提供する内容も含まれているかと思います。自衛隊、警察、消防等の支援が必要となったとしても、熊本地震に対応している現状ではその実施が難しいのではないかなと思います。

 このように、原子力防災計画や避難計画の前提が変化している以上、少なくとも、現状を評価し、本当に原子力防災計画が実施できる体制が確保されているのかを確認すべきではないかと思います。そして、計画の実施が難しいのであれば、一時的に川内原発については運転を停止することも政治判断として決断する必要があるのではないかと考えますが、丸川大臣のお考えはいかがでしょうか。

丸川国務大臣 まず、原子力防災に関して、その災害対策は、あらかじめ自然災害との複合災害ということが前提となって、それに備える内容となってございます。例えば、自然災害による道路の寸断を想定して、あらかじめ複数の避難経路が設定をされておりまして、この中から、その地域の状況を踏まえて、各自治体が、仮に寸断があるとするならば、代替の経路を選択していただくということになっております。

 今回の川内原発に関しては、いずれの経路においても問題がないということをまず既に確認しております。

 さらに、複合災害が発生した場合、政府としては、自然災害に対応する本部と、それから原子力災害に対応する本部と、これは両方でリエゾンを互いに派遣して、一方から一方ではなくて互いに派遣をして、同時に情報共有を図るという仕組みになっております上に、合同で会議を開催して、情報共有または意思決定を一元化するという仕組みになっております。

 こういう体制の中で、不測の事態が起きた場合には、当然自治体で対応できない場合もございますが、自治体からの要請を受けて、この両本部で一元的に調整を行いまして、実動部隊の資源の配分を行います。人命救助というのがまず最優先でございますけれども、それを踏まえた上で総合的に調整を行うということになっております。

 現在、熊本地震ではおよそ三万人の実動部隊、自衛隊が派遣をされておりますけれども、東日本のときはおよそ十万人でございました。また、予想です、これは見込みでございますけれども、仮に南海トラフ地震が起きたら十一万人という体制が検討されておりますので、これは、もし被害の拡大がある場合には、それに応じて実動部隊の派遣というものがなされるということが見込まれております。

河野(正)委員 現地に行きましたし、私も福岡ですので、いろいろな声を聞いております。原発ゼロといった観点ではございませんけれども、避難ルートが制限され、さらに、地域住民の方々の多くが川内原発は大丈夫なのかというふうに言われております。そういう声がある以上、川内原発に関しては一旦とめるなどの政治的判断も必要ではないかなというふうに考えるところであります。

 また、安倍総理は、常日ごろ、リーマン・ショック級の経済状況になったり、あるいは東日本大震災級の災害があった場合、消費税増税をやらないということをおっしゃっていたかと思いますが、この際、やはり多くの被災者の不安を解消する意味で、川内原発はとめるであるとか、あるいは消費税増税をもう見送る、さらに国会議員の給与を削減する、こういったことを政治的に決断していく必要があるのではないかなと思いますので、意見としてお話をさせていただきます。

 それでは、温対法に関しての質問に移りたいと思います。

 まず、立法事実という観点から丸川大臣に伺いたいと思います。

 ずばりお聞きしますが、本改正案の目的についてお聞かせいただきたいと思います。

丸川国務大臣 二〇三〇年二六%削減、温室効果ガスですが、この達成に向けて、特に家庭、業務部門においては四割という大幅な削減が必要となります。そのためには、規制、税制、補助金といった施策に加えて、やはり国民の皆様お一人お一人に、意識の変革、ひいてはライフスタイルの変容、こうしたものをお願いする必要がございます。

 これには、何といっても、危機感を共有し、そして、どのような行動をとることができるのかといったことについての普及啓発が非常に重要になってまいりますので、地球温暖化対策計画に記載すべき事項として普及啓発を法律上明記いたしまして、強化するという国の方針を国民の皆様にもはっきりお示しする必要がございます。

 加えて、二国間クレジット制度、JCMなど、地球規模での温室効果ガスの削減に貢献する国際協力、これも重要でございます。

 一方、地方自治体にも主体的に地球温暖化対策に取り組んでいただく必要がございますし、広域的な連携が非常に効果的でございますので、こうした取り組みを進める必要もございます。

 これらを、地球温暖化対策の基盤を強化するために、この法改正に盛り込ませていただいた次第でございます。

河野(正)委員 目的を実現するための本改正案では、大きく三つの改正事項があると思います。国とさまざまな主体が連携協力した地球温暖化対策を推進するための普及啓発等を明記、二国間クレジット制度などの国際協力を通じた地球温暖化対策を推進することを明記、そして三点目として、複数の自治体で地球温暖化対策計画をつくれるようにすることなど、地域における地球温暖化対策を推進すること。

 こうして見ますと、今も答弁をいただきましたけれども、三点目以外はほとんど実行を既にされてきたのではないかなと思います。なぜ今改めて法改正までしなければならないのか、繰り返しになりますけれども、その理由、根拠を伺いたいと思います。

丸川国務大臣 既に、温暖化対策のために国民の皆様それぞれがそれぞれの生活の中でお取り組みいただいていることがあると思います。

 委員も恐らく家庭でいろいろと気をつけていただいていることがあると思いますが、私どもが二〇三〇年目標、また、ひいてはその先にある二〇五〇年の目標に向かっていくためには、発想の転換あるいはライフスタイルの転換にもつながるような大きな変革が必要であると考えておりまして、では、これが一体何に基づいているのか。

 もちろん、制度の改正や規制あるいは補助金といったさまざまなインセンティブが必要ではございますが、こうしたものに対しての御理解を得る上でも、やはり国民の皆様お一人お一人に、地球温暖化に向かって新たに我々が行動を起こすとしたらどんなことができるかと考えるきっかけを持っていただく、それを行動につなげていただくということが基本のキになると考えております。

 そのためにも、普及啓発ということが国の方針であることはやはり法律にしっかりと書き込む必要があると考えております。

河野(正)委員 今大臣に御指摘いただきましたように、私も、自宅もこちらの宿舎も含めて、ほぼLED電球を使ったりとか、そういった対応はさせていただいております。

 地球温暖化対策の議論におきましては、常に、家庭を初めとした民生部門におけるCO2削減をどのように進めるかが問われてまいりました。法律で個人の生活や暮らしを規制することは難しいために、どのように個人の行動の変革を促していくかという観点から取り組みが進められてきたものと思います。

 そこで、国民運動という手法が一貫して用いられてまいりました。クールビズという言葉も、もともとは国民運動で使用されたのが始まりだというふうに思います。平成十七年度、二〇〇五年度、環境省は三十億円もの広報予算を投じましてキャンペーンを展開しています。チーム・マイナス六%という名前に記憶がある方もいらっしゃるかと思います。

 そこで、お尋ねいたしますが、これまで環境省が地球温暖化対策の国民運動のために投じてきた予算がどのくらいの金額になるのか、総額と毎年の推移をお示しいただきたいと思います。

梶原政府参考人 これまでの推移でございますが、平成十七年度から始めております、チーム・マイナス六%という名で始めたわけでございますが、十七年度から十九年度には予算化されたものは三十億円、二十年度二十七億円、二十一年度十六億円、そして二十二年度十二億円、二十三年度十億円、二十四年度七・六億円、二十五年度からはファン・ツー・シェアという形で進めておりますが十七億円、二十六年度は十五億円、二十七年度十五億円、二十八年度十七億円でございます。

 済みません、ちょっと今、足し算のあれなんですが、トータルとして二百億強になるのではないかと思っております。

河野(正)委員 そのように地球温暖化対策の国民運動に大きな、今、足し算の結果は二百億強ということでしたが、取り組んでこられたというわけでございますが、そうした取り組みによってどの程度CO2削減が実現できたと考えているのか、環境省としての見解を伺いたいと思います。

梶原政府参考人 実際に、例えばクールビズという形でどれだけ減ったかということになりますと、二百万トン程度減っております。また、ウオームビズという形でも百六十万トン程度減っているところでございます。

 いずれにいたしましても、このクールビズとかウオームビズといったようなものを通じまして削減量を一定程度計算できるわけでございますけれども、こういった温暖化について理解をしていただくということ。これ以外にも、例えば電気製品を買っていただく、あるいは低燃費の自動車を買っていただくとか、さらには省エネの改修をしていただくといったようなことの直接的な行動、さらには、実際、企業の方々がそういった商品をつくって売り出すときに、一般の方々がそれを買って支えるといったようなことも含めて大きな効果があるもの、つまり、基盤としては極めて重要なものだと考えておりまして、今後とも、正しい温暖化の知識とともに、行動が世の中を変えられるんだということを伝えてまいりたいというふうに考えております。

河野(正)委員 平成二十七年度行政事業レビューシートで低炭素社会の構築に向けた国民運動事業を見てみますと、平成二十六年、二十七年度とも十五億円の予算が投じられています。まず気がつきますのは、先ほどもお話しいただきましたが、平成二十四年度は七億円程度だった予算が、自民党、公明党に政権交代後の二十五年度には十七億円と増加していることであります。

 なぜこのように大幅に予算がこの時点でふえたのか、その目的について伺いたいと思います。

梶原政府参考人 今御指摘にございましたように、二十七年度の行政事業レビューシートにおきまして予算額を記載しておりますけれども、平成二十四年度の六・八億円から二十五年度については十七億円に、そして二十七年度の十五億円からまた二十八年十七億円と、それぞれ二回にわたって増額をしておるところでございます。

 中身的には、平成二十五年度につきましては、IPCCの新たな報告書、第五次報告書を出すべく、作業部会において順次成果が出てきた年でございます。これらの科学的な知見を理解していただくのは極めて重要でございまして、そういう意味においては、IPCCレポートコミュニケーターとして担い手を育てる、伝え手を育てるといったようなことも含めた形で強化をしたところでございます。

 また、二十八年度からは、クールチョイスという旗印のもとで現在の国民運動を展開するべく、増額をしていただいたところでございます。

河野(正)委員 レビューシートによりますと、この国民運動の成果目標、実績は、地球温暖化防止国民運動への賛同数、具体的には、先ほどもお話ありましたが、安倍総理が打ち出したファン・ツー・シェアへの賛同数を設定しています。例えば、平成二十四年度、目標八十万人に対して実績二十二万人と達成度二八%、平成二十五年度、目標八万人に対して実績十九万人で達成度が二三八%、平成二十六年度、目標千人に対して実績一万一千八百二十六人で達成度が一一八三%というふうになっています。

 こうした評価を見ると、国民運動に本当に意味があるのかという感じもありますが、国民運動そのものの目的は大きく変わっていないものと考えますが、年を経るごとに目標値が大きく減少していることについて、理由をお尋ねいたしたいと思います。

梶原政府参考人 国民運動につきましては、先ほどレビューシートの数字が出て、御指摘も賜ったところでございます。

 現在作業中の地球温暖化対策計画におきましては、国民運動に関しましては、例えばクールビズの実施率でありますとか、家庭エコ診断を診断していただく世帯数の目標でありますとか、それらの施策に伴います省エネ量、これは原油換算量で出しております。さらには、それに伴ってCO2がどれだけ減るかといったような数値設定も行ってございます。

 そういったような数値設定を行いながら、今後とも、毎年度、本当にそのとおりにいったのかどうかといったようなものをチェックして進めていきたいというふうに考えておるところでございます。

河野(正)委員 そもそも国民運動の成果目標として運動への賛同者数を設定するのがふさわしいのかということをお尋ねいたしたいと思います。

 国民運動を行う目的は、地球温暖化対策のためにCO2を削減するということにあるはずです。運動そのものへの賛同者がふえたところでCO2が減るとは限りません。なぜこのような成果目標になっているのかを伺いたいと思います。

梶原政府参考人 大変失礼いたしました。

 企業の数とか参加数だけではなくて、今おっしゃられるように、国民運動の最終的な目標も、それによって最終的には個々の活動が刺激される、そして、その分、CO2の削減がされるということが極めて重要な目的でございます。

 したがいまして、今後、地球温暖化対策計画、さらにはそのもとでの国民運動の実施計画の策定に当たりましては、そういう視点をしっかり強く持って、具体的な行動にどうやってつながって、どうやって削減につながったかといったようなところまで踏まえて、しっかりと対応していきたいというふうに考えてございます。

 そういう意味では、数値目標もしっかり考えて進めてまいりたいというふうに考えております。

河野(正)委員 数値目標については若干の違和感もあるところですけれども、次に行きます。

 今回、国民運動の抜本強化ということをうたっています。これまでの国民運動と何が違うのか、丸川大臣の見解を伺いたいと思います。

丸川国務大臣 地球温暖化の状況が、先進国、途上国にかかわらず、生活に非常に大きく影響を及ぼす事態になってきているということは、既に我が国のみならず世界において共有され始めているところでございまして、こうしたことが背景にあったからこそCOP21の合意も達成できたものと考えております。この危機的な状況が最終的にどのような未来をもたらすのかという、まずその危機感を共有していただくための普及啓発ということをしっかりやっていきたいと考えております。

 加えて、これまでも申し上げてきましたとおり、さまざまな温暖化対策の取り組みが各場面でもたらされてきた中で、もう一度、何をなすべきかということをチームをつくりましてよく議論させていただきたいと思います。私が先頭になりましてクールチョイス推進チームというものをつくらせていただきますけれども、この中において、抜本的に強化するために必要な対策は何かということをよく議論させていただいて、メディアの方にも、あるいは自治体の方にも、NPOの方にも入っていただいて、経済界だけではない、一体となった議論を始めたいと考えております。

 それから、委員御指摘のこと、大変重要でございまして、どのような目標を持って、指標を持っていくのかということが重要でございますので、これはしっかりとこの国民運動でも掲げてまいりたいと思っております。

 以上です。

河野(正)委員 国民運動が求めるものというのは、国民が温暖化に対する危機感を持つこと、それによって、低炭素なもの、サービス、ライフスタイルに変えることにあるかと思います。

 第一次安倍内閣では、二〇〇七年、美しい星50という温暖化防止対策の総合戦略をまとめておられます。その中では、各家庭で一人一日一キログラムCO2を削減するという国民運動の実施を掲げてこられました。その年の夏に行われた参議院選挙においても、自民党の公約になっていたと思います。

 この国民運動は、果たして成果を上げたのかどうか。ただ国民に減らしてくれと求めるだけの国民運動では、意味が極めて少ないように思います。今回の国民運動も同じ延長線上で考えられていないのかどうか。むしろ、各家庭に低炭素の利用を促すような経済的インセンティブをふやしていくといった施策を実現していく方が、低炭素な社会の実現に近づくのではないかと思います。

 なぜ国民運動にこだわるのか、また繰り返しにもなりますが、その理由を含めて政府の見解を伺いたいと思います。

平口副大臣 お答えいたします。

 国民に温暖化対策を理解、協力していただくためには、何らかのインセンティブが重要であり、普及啓発において温暖化対策を行うことの具体的なメリットを示すことが効果的だと考えております。

 例えば、冷蔵庫やエアコンを省エネ型のものに買いかえると、光熱費を節約でき、長期的には生活コストを低減できる、白熱電球からLED照明に買いかえた場合、約八〇%の省エネルギーとなることに加え、寿命も約四十倍あるため、長く使えて経済的であるといったメリットがございます。

 このような生活コストの低減や快適で健康的な暮らし等のメリットをしっかりアピールし、低炭素型の製品やサービス等の普及に努めてまいります。

河野(正)委員 福島の原発の事故の後に計画停電ということがあったかと思います。結果的に停電は起こりませんでしたから、当時の電力会社の呼びかけというのは節電に一定の効果があったのではないかと思います。

 実際の節電の効果がどの程度あったとお考えなのか、その手法の評価を含めて政府の見解を伺いたいと思います。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 震災直後の計画停電についてのお尋ねでございます。

 私ども、震災後、国の審議会、具体的には総合資源エネルギー調査会、こちらの方で、毎年夏と冬、電力の需給検証というのをやっております。その中で、震災後、定着した節電がどのぐらいあるかといったことを第三者の検証を受けているところでございます。

 その結果、ことしの夏の見通しにつきましてやる中で、節電によるピークカットの影響、震災前の二〇一〇年度比で全国で比べておりますけれども、全体合計千六百十二万キロワット、割合で申しますと約九%の節電が見込まれる、このように評価をさせていただいております。

 計画停電の手法の評価という点でございますけれども、御記憶にございますとおり、震災直後に、東京電力が中部あるいは西日本の方から電力の融通を行いましても、供給が最大で約一千万キロワット、これは大体必要な需要の四分の一ぐらい、これが足りないという見通しであったために、三月の十四日以降、強制的に計画停電というものをやるということで、区域を限ってやったわけでございます。ただし、これは、国民生活あるいは産業活動に非常に大きな影響を与えたというふうに考えております。

 その同じ二〇一一年の夏には、計画停電を回避いたしまして、ただ、大口の需要家の方々には、電気の使用制限、一五%カットしてください、こういう使用制限命令をかけたところでございます。

 こうした強制的な手法といいますものは、やはり私どもといたしまして、震災後の臨時異例の事態に対応した極めて例外的な措置である、このように認識をいたしておりまして、持続性のある措置ではないと思っております。

河野(正)委員 ライトダウンキャンペーンというものがございます。二〇〇三年から環境省が実施してきたもので、七夕の夜などに一斉に照明を落として節電意識を高めるということを狙ったものだと認識しております。昨年も実施されましたが、夜道が暗いなどの苦情を受けたコンビニエンスストアやファストフード店が参加を取りやめてしまい、参加施設数がピークのときよりも三分の一に減ったというふうに聞いております。

 こうしたキャンペーンは毎年継続し、周知することも大切とは思いますが、ことし以降、こうしたキャンペーンをどのように見直していくのか、あるいは見直さずにそのまま続けていくのか、政府の見解を伺いたいと思います。

梶原政府参考人 お答え申し上げます。

 ライトダウンキャンペーン、これにつきましては、家庭での温暖化防止に向けた実践への契機としていただくということを狙った、極めてシンプルなメッセージといたしましての消灯を呼びかけるといったようなキャンペーンでございまして、先生御指摘のように二〇〇三年から開始しております。

 二〇〇九年をピークにいたしまして、今減少しておるわけでございますけれども、全国的には、このキャンペーンをきっかけに、例えばキャンドルナイトでありますとか、ライトダウンコンサートでありますとか、星空観察会でありますとか、いろいろな創意工夫を凝らした対策活動の取り組みも進んでございます。多くの方々にとっては環境を考えていただくきっかけの一つになっているのではないかと今でも考えております。

 そういう意味におきまして、国民一人一人の意識改革やライフスタイルの転換を促すという観点から、今後とも継続的に呼びかけてまいりたいというふうに考えてございます。

河野(正)委員 残り時間がありませんので、最後に一問だけお聞きして、あとはまた次回お伺いしたいと思います。

 これまでの温暖化対策に向けた取り組みを振り返りますと、我が国に求められるのは、本改正案のようないわば小手先の取り組みではなくて、社会や生活のあり方を根本から変えていくための仕組みづくりが必要なのではないかと思います。国民の意識を変える運動に重きを置くのではなく、国民の行動を促す仕組みを用意することこそ政府の仕事ではないかというふうに思うわけであります。

 例えば、CO2排出量の多いサービスは値段を高くする、あるいは少ないものに財政支援をすることによって値段を下げる、このように国民が自然と行動を変えていくような仕組みをつくっていく、整えていく。また、これまでも議論の俎上には上りながら実現してこなかった国内の排出量取引制度も、その一翼を担い得る可能性があるかと思います。

 このように、地球温暖化対策のための総合的な政策メニューを網羅した法制度をつくっていくパリ協定という世界で新しいルールができた今、私たちがなすべきはそうした取り組みではないかと考えますが、政府の見解を最後に伺いたいと思います。

平口副大臣 お答えいたします。

 地球温暖化対策推進法では、政府は、地球温暖化対策の総合的かつ計画的な推進を図るため、地球温暖化対策計画を定めることと規定されております。

 また、同法においては、計画に、排出削減目標、その達成のために必要な措置の実施に関する目標及びそのために必要な施策を定めることと規定されております。

 こうした規定に基づき、地球温暖化対策計画案においては、二〇三〇年二六%削減を達成するための対策、施策について、規制、税制、予算等さまざまな手法を用い推進する幅広い施策を具体的かつ総合的に盛り込んでおります。

 また、同計画案においては、長期的な温室効果ガスの大幅削減に向け、革新的技術の研究開発やその社会実装、社会構造やライフスタイルの変革など、長期的、戦略的取り組みについて引き続き検討していくこととしております。

 今後、法律に基づく地球温暖化対策計画を着実に実施することにより、実効的な地球温暖化対策に取り組んでまいります。

 以上です。

河野(正)委員 時間が来ましたので、残りの質問は次回にさせていただきます。ありがとうございました。

    ―――――――――――――

赤澤委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る二十二日金曜日午前九時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤澤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時四十分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時三十二分開議

赤澤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として東京電力ホールディングス株式会社代表執行役社長廣瀬直己君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人として内閣府大臣官房審議官山本哲也君、内閣府政策統括官付参事官米津雅史君、外務省大臣官房審議官中村吉利君、文部科学省大臣官房審議官白間竜一郎君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長多田明弘君、気象庁地震火山部長上垣内修君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長鎌形浩史君、環境省水・大気環境局長高橋康夫君、原子力規制庁次長荻野徹君、原子力規制庁長官官房緊急事態対策監大村哲臣君、原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議官片山啓君、原子力規制庁長官官房審議官山田知穂君、原子力規制庁長官官房審議官青木昌浩君、原子力規制庁原子力規制部長櫻田道夫君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第一局長村上英嗣君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤澤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤澤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中島克仁君。

中島委員 民進党の中島克仁です。

 午前中の質問に引き続きまして、午後もトップバッターで質問をさせていただきたいと思います。

 きょうは、本当は核セキュリティーサミット、この件についてまずお聞きをしようと思ったんですが、午前中の質疑、また先ほどの本会議でも、熊本で起こりました地震災害に関しまして、川内原発の稼働の是非についてたびたび質問がございまして、ちょっと確認も含めて、再度質問させていただきたいと思います。

 昨日、原子力規制委員会ということだったと思いますが、臨時の会合を開かれたということで、停止をしない理由は安全性に影響が出ていないと。これに対しては先ほど本会議でも我が党の質疑に対して丸川大臣も答えられておりましたが、その根拠というかを改めてお聞きしたいのと、では、一体どのような状況になった場合、停止をするのか。

 先ほどの質疑の中でもございました、私も現地の方と話をしていて、原発が動いているだけでも不安だという声が聞こえてまいります。そういう意味では、これは明確に、情報発信も含めて、どのような場合に停止をするのか、そして、今現在どういう根拠で稼働を続けているのかということをお答えいただきたいと思います。

櫻田政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力規制委員会といたしましては、今回の地震において事業者から報告を受けてございますけれども、川内原子力発電所につきましてですけれども、今のところ特段影響は発生していないという報告を受けてございます。

 その上で、原子力発電所につきましては、福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえて定めた新規制基準への適合性を確認してございまして、川内原発につきましては、運転に当たって求めてきたレベルの安全性が確保されているということを確認して、設置変更許可をしたところでございます。

 その審査におきましては、原子力発電所の耐震設計の基本となる基準地震動というものを定めてございますが、これは原子炉施設の周辺の断層などを評価して定めています。その基準地震動に対して安全上重要な設備が機能を損なわれないということを確認してございます。

 さらに、原子力発電所は、地震によって一定の値以上の揺れを検知した場合には原子炉を自動停止させて安全を確保する、そういう機能もございます。現在運転を継続している川内原子力発電所においては、これまでに原子炉を自動停止させる大きさの揺れ、この自動停止を作動する、そういう設定値に至るような揺れは観測されていないということでございます。

 ちなみに、数字を申し上げますと、川内原発におきましては、これまでの地震で観測された地震動の加速度のレベルでございますけれども、まず、原子炉の補助建屋の一階、これは海抜十三・三メートルでございますけれども、ここで十二・六という数字でございます。また、同じ補助建屋の地下の一番下、これは海抜マイナス二十一メートルでございますが、ここでは八・六ガル、こういう数字が観測されています。

 これに対しまして、原子炉自動停止の設定値は、例えば一階でありますと二百六十ガル、また地下の一番下であると八十とか百六十とか、こういう数字で設定されてございますので、実際に観測されたものがこの設定値よりも一桁ぐらい小さな値であるという状況でございます。

 ちなみに、最初に申し上げました基準地震動は、建屋の中というよりも、もっと下の岩盤のレベルでございますけれども、そこで六百二十という数字を当てはめてございます。この六百二十の地震動が来たときに安全機能が損なわれないことを確認したということでございます。

 こういうことを昨日の規制委員会で御報告いたしまして、現状でその停止を求める必要はない、そういう御判断があったと思います。

 原子力規制委員会といたしましては、引き続き地震の状況を注視して、原子力発電所の状況について情報発信をしてまいりたい、また、適切に対応してまいりたいと考えてございます。

 それから、もう一つ御質問で、どういった場合に原子力発電所を停止することになるのかということでございますが、今御説明いたしましたように、一定レベルを超える地震動が発電所で検知された場合には自動で停止されることになります。

 それのほかに、原子炉等規制法には、第六十四条に危険時の措置という条項がございます。この条文の中では、原子力規制委員会は、原子炉等による災害の発生の急迫した危険がある場合において、原子炉等による災害を防止するために緊急の必要があると認めるときは、発電用原子炉施設等の使用の停止その他原子炉等による災害を防止するために必要な措置を講ずることを命ずることができる、このようにされてございますので、こういう場合に至れば、こういう措置を作動するということになるかと思います。

中島委員 根拠としては、地震動が余裕がある、稼働をとめるまでに達していないということ、さらに、活断層についても川内原発の場合は影響を受けない、そんなようなことで安全性が確認されておるということなんだというふうに、今のお答えだと思います。

 一方で、十四日の晩に最初の地震があり、結果的には十四日の晩の地震が前震、その後本震があった。その後も震度三以上の地震がたびたび繰り返しあり、これは気象庁の予測というか見解では、今後一週間予断を許さない状況だというふうなコメントを出されておるわけですね。これは、今までよりもさらに大きい地震がある可能性が否定できない、予断を許さない状況だということが言われておるわけであります。

 先ほども言ったように、私も、地元熊本の方初め何人かの方と直接話をしました。地元の方、先ほど午前中の質疑の中でもございましたが、熊本は、新幹線もストップ、復旧の見込みも立っていない、そして高速道路も復旧がされていない、そもそもの避難計画の安全の前提が現在担保されていないという状況の中で、これは一応、原子力規制委員会とすれば新規制基準に沿ってそのようなお答えになるんだろうと思いますが、丸川大臣、これはやはり、地元にいらっしゃる皆さんの不安、さらには気象庁の今の見通し、これを含めて、先ほど午前中は私、避難所の話もしましたけれども、少なくともまだ停電している世帯もたくさんある、そういう中で本当に不安を抱えられているんだと思います。

 そういう意味では、規制委員会はそのような見解、決まったことに対する判断、答弁するしかないと思うんですが、これはまさに私は政治判断だというふうに思うわけですが、大臣の御見解をいただきたいと思います。

丸川国務大臣 規制委員会は政府から独立した三条委員会でございまして、なおかつ専門家の集まりでございます。私ども環境省がなすべきことは、まさに政府から独立した三条委員会が独立性を担保された中で判断を下すことにあろうかと思いますので、その独立した委員会が専門家として判断したその判断を尊重したいと考えております。

中島委員 何度質問しても多分そのようなお答えが返ってくるんだなと思いますが、やはりこれは、そもそも今回の地震自体が予測不能、本震が後から来た、今後も予断を許さないという、想定外が起こる可能性があるということで、私の方からは引き続きこれはしっかり、政治判断も含めて、原発の稼動をとめるべきだということは強く主張させていただきたいと思います。

 続いて、きょうは外務省にも来ていただいております。三月末にございました第四回の核セキュリティーサミット、この件に関連して、我が国の核セキュリティーについて質問をさせていただきたいと思います。

 五十カ国以上の首脳が参加をし、四回目の核安全保障サミットがワシントンで開催されました。まずお尋ねをいたしますが、この第四回核セキュリティーサミット、安倍総理も出席をされたわけですが、具体的にどのようなことが話し合われて、どのようなことが決まったのか、御説明いただきたいと思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘の核セキュリティーサミットでございますが、三月三十一日、四月一日の二日間、ワシントンDCで行われております。

 このサミットにおきましては、さきのベルギーなどにおけますテロ事件を踏まえまして、ISILを初めとする国際テロ組織による核テロの脅威に対して各国が連携して具体的措置をとる必要性などを再確認するといったような、さまざまな成果があったと認識をしております。

 我が国としましても、さまざまな点で貢献を行ったと考えておりますけれども、特に安倍総理からは、核物質の最小化への取り組みの一環といたしまして、JAEAの高速炉臨界実験装置、ここからの機微な核燃料の全量撤去を完了したこと、さらに京都大学の臨界集合体実験装置、ここの低濃縮化を通じた高濃縮ウラン燃料の撤去を実施することを表明いたしまして、こうした取り組みについては、議長のオバマ大統領、さらには各国から高い評価を得ているところでございます。

中島委員 今、各国から高い評価を受けたということでございまして、私は報道ベースでしか知らなかったので今お聞きをしたところですが、報道で、サミットでは、核物質や原子力関連施設の安全管理は国家の根本的な責任であって、その強化を永続的な優先課題だとするコミュニケを採択されたと。

 この核セキュリティーサミット、これはオバマ大統領が核テロ防止を目的に提唱して二〇一〇年に始まったものですが、今もお話がございましたように、先般のベルギーでのテロを初め、テロの手法が多様化しておる。

 我が国においても、五月には伊勢志摩サミット、そして二〇二〇年には東京オリンピック・パラリンピックも控え、不断の注意、対策が不可欠だということなんだと思いますし、安倍総理も、サミット昼食会でスピーチされて、五月の伊勢志摩サミット、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック、このテロ対策については、日本にとって喫緊の課題であって、核テロを含むテロの未然防止に万全を期すと表明をされています。

 この核セキュリティーサミットですが、今回が最後というふうに聞いております。前回、二年前だったというふうに記憶しておりますが、この二年前の通常国会、いわゆる放射線発散処罰法の改正のときにも私が質疑をさせていただいた内容について引き続き質問をさせていただきたいわけですが、平成二十四年の三月に原子力委員会が決定した我が国の核セキュリティー対策の強化において示されている主な検討課題のうち、信頼性確認制度の導入について議論が進められたとされておりました。

 この信頼性確認制度、釈迦に説法かもしれませんが、原子力発電所等の内部脅威対策の手段の一つで、内部で働く人間の経歴等の個人情報に基づき、その人間の重要区域への入域及び防護情報の取り扱いを制限する措置で、これは資料の一枚目になりますが、国防、治安等を含めて、原子力分野においても、主要国で我が国だけがこの信頼性確認制度の措置が講じられていない。これに対しては、IAEAからも二〇一一年に勧告を受けているという状況でございました。

 ここで御質問いたしますが、その後、ワーキンググループも設置されて、議論を重ねてこられたと承知しているわけですが、この信頼性確認制度についてどのような議論がなされ、現在どのような状況にあるのか、お尋ねいたします。

片山政府参考人 お答え申し上げます。

 個人の信頼性確認制度につきましては、平成二十七年十月十九日に開催をいたしました第五回の核セキュリティに関する検討会におきまして、制度の方向性について報告書を取りまとめたところでございます。

 その中におきましては、原子炉等規制法で事業者に義務づけられた核物質防護のための措置といたしまして、原子力規制委員会規則において、関係企業を含む従業員に対し、一定区域への入域や防護情報の取り扱いを許可する場合に、自己申告に基づき信頼性を確認した上で、これを許可する仕組みを構築する、おおむねそのような報告書が取りまとめられております。

 その後、平成二十七年十月二十一日に開催されました原子力規制委員会にこの報告書を報告いたしまして、制度の方向性についてはこの方向でさらに詳細を詰めるようにという委員会での御決定をいただいたところでございます。

 その後、原子力規制委員会規則の詳細の設計を今鋭意進めているところでございます。

中島委員 確認ですけれども、では、その方向性、これは私、きょう資料にも二枚目に提出させていただいておるわけですが、「原子力施設における個人の信頼性確認制度の方向性について」、この方向性の概要は昨年の十月に記されました。

 では、順番をちょっと変えるかもしれませんが、これをもとに、今の話ですと、関係規則もしくはガイドラインですか、それで信頼性確認制度が日本で初めてできるということでよろしいんでしょうか。

片山政府参考人 お答え申し上げます。

 核セキュリティ検討会におきまして、種々、原子炉等規制法の現行規定に基づいて個人の信頼性確認制度を導入できるのか、あるいは法改正が必要なのか、そういった点も含めてるる検討してまいりました。

 それで、今の原子炉等規制法は、法律に基づいて事業者に核物質防護措置を義務づけておりまして、その具体的な詳細は原子力規制委員会規則によって定める、そういう法体系になってございます。

 そういうことを受けまして、あくまでも法律に基づいて事業者に義務づけるわけでございますけれども、その具体的手法につきましては規制委員会規則で定めるということで制度設計をするということで今進めているところでございます。

中島委員 二枚目の資料はこの概要であるわけですが、これによると、二ポツの「制度の方向性」、一「概要」のところですが、「原子炉等規制法に基づく核物質防護措置の一環として、事業者に対し、信頼性確認の実施を義務付ける。」そして、「信頼性確認の具体的内容については、今後、原子炉等規制法の委任を受けた原子力規制委員会規則(及びガイドライン)において定める。」と今御説明いただいたんですが、そして、その次が、「確認主体」は「事業者」というふうにされておるわけです。

 今もいただいたように、法整備、法改正ですか、その必要性もるる検討しながらということなんですが、先ほども言ったように、私、二年前にこの件について質疑をさせていただいております。いわゆる放射線発散処罰法の改正案の質疑でございますが、これは資料の三枚目ですね。このとき、四段目の、ちょっと赤いラインが薄くなってしまっておりますが、信頼性確認制度、今後の検討というか今後の進め方ということについて質問したわけですが、原子力規制庁放射線防護対策部長の黒木参考人がお答えになっています。

 信頼性確認制度について、「基本的にはつくるべきであろうと。しかし、つくる際には、例えばガイドラインでやるとか事業者が自主規制するとかそういうのではなくて、やはり、事柄の性質上、これは正面から法律でやっていくのが正しいのではなかろうかというふうな形の議論が今進んでおるところでございます。」と答弁されておられます。

 さらに、この真ん中の方ですが、「この問題は基本的に原子力規制委員会の方で法律を担当する形になると思います」、「それに対して一定の方向性をつけた上で、きちんとした形での立法に向かっていくというふうな形になろうかと思います」とも答弁されています。

 さらに、「ただ、決してのんびりやれるような話ではないのももちろん承知しておりますので、一生懸命やっていきたいと思っています。」

 このように答弁しているその議事録なわけですが、あれから二年がたちました。

 このときの答弁だと、この信頼性確認について、大変重要だから、ガイドラインとか規則とかではなくて、これは正面から立法でするべき問題だというふうに明確に答えられているわけですね。

 しかし、今回、さきに示された報告書、方向性ということですが、今後るる検討するところはあるにしても、これをもとに信頼性確認制度ができるという前提で考えますと、立法ではなく、まさにこれはガイドライン、関係規則で定めるということになりますが、このようなことで本当に期待に応えるものとなるのか。

 二年前には、これは正面から立法でやるんだ、ガイドライン、規則では到底容認できないと言っていたものが、二年後の今、なぜこのようなことになっているのか、御説明いただきたいと思います。

片山政府参考人 お答えいたします。

 やや舌足らずの答弁で恐縮でございます。

 当時の黒木参考人の答弁は、法律に、原子炉等規制法に基づいて事業者に信頼性確認を義務づけるのではなくてあくまでも自主的に事業者が確認するような制度というようなものは導入しない、そういう趣旨を答弁したものというふうに理解をしております。

 と申しますのも、実は委員が参考で配られた一枚目の資料は、平成十七年当時に当時の保安院が検討していたものでございます。その後、平成二十三年から二十四年にかけまして、当時の原子力委員会が同じような検討をしております。その報告書の中で、まずは先行的に事業者の自主的措置としてやるようなこともあるんじゃないかというような提言が出ております。

 当時、核セキュリティ検討会で議論していたときに、そういったような論点についても議論をしておりました。それを踏まえた上で答えているものというふうに理解をしております。

 いずれにいたしましても、今回我々が導入しようとしております制度は、あくまでも原子炉等規制法に基づいて事業者に実施を義務づけるものでございます。その制度の詳細については、法体系上、規制委員会規則に委ねられておりますので、そこで詳細な設計をしていくということでございまして、事業者が自主的にやるのではなくて、あくまでも法律上の義務を事業者に負わせた上でやる、そういう制度設計にしていきたいというふうに考えてございます。

中島委員 もともとは、原子炉等規制法に基づいて事業者にそれをさせるということで、確認主体は事業者ということですよね。

 では、その責任主体はどこにあるんですか。

片山政府参考人 お答えいたします。

 原子炉等規制法上、核セキュリティーにつきましても、一義的に責任を負うのは事業者であるというのが明定されてございます。

 したがいまして、当然のことながら、法律上の義務を果たすのは事業者であるというふうに考えております。

中島委員 二年前の答弁、質疑の内容は、今御説明いただきましたが、私は当然これは立法でしっかりやるんだというふうに受けとめていました。しかし、昨年十月に示されたものは、事業者に確認主体があり、あくまでも原子力管理事業者に責任があるんだというたてつけになっていて、さきの核セキュリティーサミット、国が根本的にテロ対策、原子力の管理についてもしっかりとやるんだというものと、一方でこの報告書、概要の中にも、IAEAの勧告に十分応え得るものだということが取ってつけてあるわけです。

 私も、IAEAの勧告、和訳のものを見せていただきました。もちろん、これは解釈のあり方ということもあるとは思うんですが、私は、先ほども言ったように、例えば直近でベルギーのテロ、これは情報ですが、当初は核施設を狙っていたとも言われています。さらに、冒頭にも言ったように、テロ行為の多様化というものは本当に脅威になります。

 例えば、安全保障法制。いろいろな議論がございました。我が国でもテロの脅威が高まったのではないかと心配する、不安に思う国民の声もあります。

 そういったところで、事業者に対して確認主体があり、責任がある。例えば、東京電力やさまざまな電力会社が、テロの情報等について本当に確認できるのか。そして、その責任主体も事業者に任せて本当にいいのか。私は正直、これでは不十分だと言わざるを得ないというふうに思います。

 これに対して、原子力規制委員会の田中委員長が、我が国では核セキュリティーへの対応がおくれていた、国際社会の動向を踏まえ、この報告書に基づく制度の導入は核セキュリティーに対するファーストステップになると話されているんですね。

 このファーストステップというのはどういう意味ですか。

片山政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力規制は、セキュリティーにおきましても常に継続的に改善をしていくということが一番大事だということでございます。

 そういう意味で、個人の信頼性確認制度につきましても、まず制度を導入した後、その施行状況を見ながら随時制度に継続的に改善を加えていくということは当然であろうと思っておりますし、規制委員長の発言はそういう基本的な姿勢を示したものだというふうに受けとめております。

中島委員 もう一度確認というか、先ほども聞いたように、これが我が国において初めての信頼性確認制度となるわけですよね。でも、田中委員長の発言はファーストステップと言っている。この先、もちろん、いろいろなさまざまな状況を判断してということでもあるわけですが、私は、どう考えても、二年前の答弁と、田中委員長、恐らくこれは個人の個人情報の問題等々るる検討されて、こういうところになったんじゃないか。

 しかし、これは、何度も言うようですが、この後、核輸送の話もしようと思ったんです。核輸送も二年前に質問していて、これは資料の最後ですか、これもその管轄が多岐にわたるわけです。例えば、輸送経路、日時、これは都道府県の公安委、海上輸送においては海上保安庁、陸上輸送については国交省、所内に関しては原子力規制委員会。二年前もこれは指摘をしまして、やはりここのはざまのところが非常に危険なんじゃないか、例えば、何かあったときの情報の伝達ミスや、さまざまなことが起こりやすい、こういう指摘に対しても、当時の黒木参考人が、るる問題はありそうだ、ただ、餅は餅屋で、それぞれの特徴を生かしてやることが当時は望ましいと。

 そして、これは議事録にも、四枚目の議事録の方ですが、当時の石原大臣も、この問題、非常に問題意識がありますとお答えになって、これはしっかり環境省としても指導していくというふうに答えているわけです。

 しかし、私が知っている限り、この輸送に関しても、これもワーキンググループがあったんですが、最後にワーキンググループでの会議があったのは平成二十六年の一月だったというふうに承知しておりますが、この問題に関しても、その後一体どうなっているのか、その件についても御答弁いただきたいと思います。

片山政府参考人 お答え申し上げます。

 輸送時の核セキュリティー、いろいろな関係省庁がそれぞれ分担をして規制をしているというのは委員御指摘のとおりでございます。

 したがいまして、まさしく委員が御指摘されているような、縦割りの弊害をいかに除去して、関係機関そして事業者が緊密に連携をして輸送時のセキュリティーに万全を期すのかというのが非常に重要でございます。

 そういう観点から、今、原子力規制委員会がある意味音頭をとりまして、関係省庁及び事業者を含めた輸送時のセキュリティー訓練というのを実施いたしております。昨年からことしにかけまして、机上訓練、実動訓練、それぞれ二回ずつ実施をしております。その結果を、それぞれの省庁あるいは事業者との現場レベルでの連携にフィードバックをしていくということを積み重ねてきております。これは今後とも継続をしていって、関係省庁それから事業者との間の緊密な連携、これを向上させていきたいというふうに考えております。

 それから、核セキュリティ検討会の輸送ワーキンググループでございますけれども、INFCIRC二二五のリビジョン五という最新のIAEAの勧告の当面取り入れるべき措置についての検討が終わりました。今後は中長期的な課題というものにつきまして検討しなければいけないフェーズなんですけれども、今、国交省において、鋭意その準備が進められているというふうに承知をしております。

中島委員 時間が来たのでまたの機会にしたいと思うんですが、これはもう二年たっているわけですよ。そして、今回の核セキュリティーサミットにおいても、安倍総理も、これは喫緊の課題、全力でやる、そして、採択されたコミュニケでも、これは国が責任を持ってやるんだと。今も答弁を聞いていても、問題意識は持っていると。だけれども、なかなか、さまざまな課題を抱えながら、もう二年たっているわけですよね。

 先ほどの信頼性確認制度についても、これは先ほどベルギーのテロの話もしました。昨年はパリでのテロもございました。本気でこの問題に国が取り組んでいるとは、二年前の議事録と今の現状を考えたときに、私には到底そうは思えないわけです。

 大臣、いかがですか。

丸川国務大臣 個人の信頼性確認制度についてでございますが、委員御指摘のとおり、現在、原子力規制委員会において検討が進められているものと承知をしております。

 我が国の原子力発電所等のセキュリティー対策は極めて重要な課題であるという意識は私も同じでございまして、原子力規制委員会におけるセキュリティー対策の取り組みを我々はサポートする立場でございますので、しっかりとサポートしてまいりたいと存じます。

中島委員 時間ですので終了しますが、これはしっかりと、大臣、グリップをきかせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

赤澤委員長 次に、菅直人君。

菅(直)委員 まず冒頭、丸川環境大臣に。

 先ほどの本会議でも、あるいは防災会議でも、現在の熊本を中心とした大きな地震に対して、川内原発について心配の声が上がっている。しばらくとめたらどうか、こういう意見も私の耳にも入っています。それに対して丸川大臣は、簡単に言えば、観測された地震動が自動停止する設定値よりも低いから停止させる必要がないという規制委員会の考えをそこで述べられている、こういうことですね。

丸川国務大臣 私ども環境省の立場は、規制委員会が独立性を担保して、我々政府や政治から独立して議論をし、専門家の見地から判断をすることを尊重する、そのための環境をサポートするということが仕事でございますので、そのようにしております。

菅(直)委員 独立性を尊重するということは私も賛成です。

 ただ、現在、熊本の地震は、一般的に言うと、まだ終わっていないどころか、一部、南西方向に地震域が拡大している。そういうことも含めて、みんなが心配しているわけですね。

 どこまで拡大するかわからないから、しばらくの間、予防的にそういうことに対して原発をとめておく、これは多分規制委員会が判断できない問題だと思うんです、つまり何ガルとかという基準じゃありませんからね。こういうことをやられるおつもりはありませんか。

丸川国務大臣 規制委員会は、専門家の見地から、そうした状況も踏まえて判断をしているものと承知をしております。

 なお、私は原子力防災担当大臣の立場でもございますので、川内原発周辺の避難路については確認を既にしておるところでございます。

 川内原発は、御承知かと存じますけれども、基本的には、国道、県道、市道等、いわゆる高速道路ではない道路を経由して避難をする経路が設定されておりまして、かつ、そもそも複合災害を前提に複数の避難経路が設定をされております。

 この複数設定されている中から仮に使えないものがあった場合には、自治体が、それぞれの自治体で経路が異なりますので、それぞれの状況においてどの経路をとるべきかということを判断して住民を避難させるという仕組みになってございます。

 その緊急時対応を閣議で確認しておりますので、私どもは、少なくともそのルートについては問題がないということを確認しておるところでございます。

菅(直)委員 予防的に原発をとめた例があるということを御存じですか、丸川大臣。

丸川国務大臣 浜岡原発のことかと存じます。

菅(直)委員 そのとおりです。

 二〇一一年の五月の六日に、当時の海江田経産大臣が当時の総理である私のところにやってきて、前の日に視察をした、あの地域は東南海地震の予想される震源域にある、だからこれは非常にリスクが高いのでとめた方がいいのではないかと。私も同感でしたから、経産大臣の方から中部電力に停止の要請をし、それを受け入れてもらって停止をした。

 当時はまだ規制委員会はありませんけれども、少なくとも、今の数字ではなくて、将来起き得るそういう地震を想定して停止をしたんです。今の鹿児島の場合はもっと、現時点で既にいろいろなことが起きて、まだ収束という状況が成っていない。

 ですから、今、避難路のことを私は聞いたんじゃありません。私も現地に行っていますから、ある程度の土地カンはあります。そうではなくて、そういう予防的な観点からしばらくは停止をするといったことを、環境大臣も内閣の一員ですから、そういう考えをお持ちなら安倍総理に進言されたらどうか、私はこう思いますけれども、いかがですか。

丸川国務大臣 御承知のことかと存じますけれども、私ども環境省は、中でも、原子力規制委員会が独立性を保つためにいかに機能するかということが問われておりますので、少なくとも私どもが原子力規制委員会の判断について云々ということは、これは独立性を担保することになりませんので、私がそのことについてコメントをすることは控えさせていただきたいと存じます。

 なお、原子炉等規制法第六十四条の規定におきまして、原子力規制委員会は、原子炉等による災害発生の急迫した危険がある場合において、原子炉等による災害を防止するため緊急の必要があると認めるときは、発電用原子炉施設等の使用の停止その他必要な措置を講ずることを命ずることができるとなっておりますので、私は原子力規制委員会が御判断をされるというふうに理解をしております。

菅(直)委員 丸川大臣あるいは今の安倍政権の姿勢がはっきりしました。

 つまりは、危ないとみんなが思って、現実にどの程度の危なさかはいろいろな人が判断します。しかし、少なくともそういう心配をしている人があったときに、規制委員会が判断するので、自分のところは物を言わないのが政治の立場なんだ。私は、それはやや何かを履き違えている。

 専門機関である規制委員会は規制委員会で、専門的な立場でいろいろ言われるのはもちろん結構。それを尊重するのも結構。ただ、予防的というのは、必ずしも、それを超えた問題なんですね。

 ですから、浜岡の場合も、別に地震が起きていたわけじゃありません、東南海地震が起きていたわけじゃありません。ただ、地震予知連が何年間の間に何%ぐらいで起きる可能性があるということを指摘していました。そういった中で、リスクを大きく見て、つまり、保守的に考えてあらかじめとめるのか、ぎりぎりになるまでは放置するのか、まさにそれが姿勢として問われている。

 結果として、福島原発では全てが想定外。起きてしまったら、いや、想定外だった、想定外だった。こういう責任のとり方は私は間違っていると思いましたので、あえて御質問いたしました。

 そこで、次の問題に移ります。

 皆さんに資料を一から四までお渡ししております。

 この資料の一は、福島原発事故についての政府事故調の中間報告九十七ページであります。

 ここの線を引いたところを読んでいただくと、「同日」というのは、これは事故発生の日です。三月十一日の「十七時十五分頃、発電所対策本部技術班は、一号機について、炉心の露出が開始する有効燃料頂部(TAF)に原子炉水位が到達する時間の予測を検討し、その結果、このまま原子炉水位が低下すればTAF到達まで一時間と予測した。」つまり、十七時十五分というのは地震発生からわずか二時間半です。二時間半の時点で既に免震棟にあった発電所の対策本部は、あと一時間で水位が有効燃料の頂部まで下がってくると。

 そして、下の線にあるように、「本店対策本部も、テレビ会議システムを通じて同様の情報を得ており、同様の認識であったと考えられる。」

 きょうは東電の社長にお出ましいただいていますから、まず確認したいと思います。

 当時、こういう予測をしていたのかどうか。まず、できればイエス、ノーで簡明にお答えください。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 先生のお配りになった資料の上の方の線の部分でございますけれども、そうしたことがあったのは事実でございます。

菅(直)委員 本店がわかっていたというのはどうですか。

廣瀬参考人 お答えいたします。

 ここについては、いささか御説明が必要だと思っております。

 「テレビ会議システムを通じて同様の情報を得ており、」とありますが、これは、このとおり、テレビ会議システムが機能しておりましたので、ここの場で発話されていれば、当然、情報は伝わっていたと考えられますし、また、福島第一の免震棟には保安検査官の方も数名いらしたということですので、その方たちにも伝わったということは、可能性としてあります。

 ただしかし、「同様の認識であったと考えられる。」という部分については、これは、この線の下をずっとお読みいただくとそういうことが書いてありますけれども、なかなか、これについては、はっきり、皆さんでしっかりとこうした情報が共有されていたのかということは、周りの状況を考えると、どうもそういうことではなかったのではないかということも考えられるというふうに考えているところでございます。

菅(直)委員 当時は、原子力安全・保安院が行政としては担当していたわけですが、今、その仕事の大部分といいましょうか、規制委員会、さらには規制庁が引き継がれたと聞いております。

 そういう意味で、こうした東電の予測は、当然、いろいろな法律が、もし必要であればと言いますけれども、原災法の規定からしても、主管の主務大臣、当時は経産大臣ですが、経産大臣や知事に報告されるべきだった、私の理解ではそう思いますけれども、規制委員長なりどなたかに、当時の保安院にそういう報告、つまり、十七時十五分で、あと一時間でTAFに水位が達するという報告が来ていたのか来ていなかったのか、お答えください。

荻野政府参考人 お答え申し上げます。

 旧原子力安全・保安院の分掌のうち、原子力規制に関するものにつきましては、原子力規制委員会、原子力規制庁が引き継いでおります。

 御指摘のございました事柄につきまして、事故直後から数日の間に東京電力から送付されたファクスが残されておりまして、それを精査いたしました。その結果といたしまして、東京電力が平成二十三年三月十一日の十七時ごろに、約一時間後に一号機の炉心が露出すると予測したという情報は見出せなかった、記載はなかったということでございます。

菅(直)委員 つまり、私が知る限り、現在見ても、十七時十五分というのは、このメルトダウンにつながる一番最初の情報だと思います。もしその情報があれば、その情報をもとに、原災本部は、避難についても、もっと急ぐのか、もっと広げるのか、そういうことを考えなきゃいけない立場に、私自身も原災本部長としてありました。しかし、私が調査した限り、今の報告にもありましたように、政府に対して、あるいは保安院に対して、報告が来ていない。

 東電の社長にお聞きします。出していないんですか。もし出していないとしたら、なぜ出されなかったのですか。

廣瀬参考人 お答えいたします。

 先ほどお配りいただいた資料の一の三、少し上ですけれども、そこにもございますように、十七時十五分の三分前に、原子力発電所福島第一は大変重篤な事態に陥っておりましたので、原災法第十五条の報告を行っております。三分前でございます。御存じのように、この原災法十五条というのは、原子力緊急事態宣言あるいは住民避難の指示につながる極めて重要な報告でございます。これを三分前にいたしております。

 その結果、かなり情報がふくそうしていたと考えられるため、かなり現場ではいろいろな対応をしていたとは思います。実質、吉田は、この十五条の報告も受けて、水を原子炉に注入するべく、消火系あるいはほかの給水系、さらには消防車まで使ってその事態を食いとめようという行動に既に出ております。

 そうしたことから、保安院に正式に伝えた記録は先ほどの御指摘のように残っておりませんけれども、事態に対して現場の職員たちはしっかりとした行動をとったというふうには考えております。

菅(直)委員 今言われたのは、皆さんには配っていませんので。私の資料、配ってある資料三を見てください。

 つまり、二十二時ごろ、それとは全く逆の情報が政府に寄せられております。この下のところに、一号機の原子炉水位は現在TAFプラス四百五十ミリ付近にある、こうあるんですね。私の記憶でも、当日夜の十時ごろまで、東電から、まだ水はある、燃料棒の上にあると。それを前提に避難のことも班目先生なんかと議論したことを覚えております。

 このことは、私は、原災法の規定、二十五条の二によれば、報告することが法律で定められていたと考えますが、規制委員会、いかがですか。

田中政府特別補佐人 先生御指摘の原子力災害対策特別措置法第二十五条では、政令で定める事象が発生したとき、先ほど廣瀬社長の方からありましたけれども、こういう場合には、原子力災害の発生または拡大の防止のために必要な応急措置を行うとともに、応急措置の概要について報告することを求めております。

 御指摘の点については、法令上の判断をするにはもう少し実態をよく調べなければいけないところもあるかもしれませんけれども、技術的に見れば、当然、報告しておくべき事象であったというふうに考えます。

菅(直)委員 当時が大変混乱していたであろうということは私も個人的にはよくわかります。ただ、極めて極めて重要な情報が届いていなかったんです。

 現実は、この十七時十五分の予測が当たっていたんじゃないですか。今の東電やかつての保安院の認識では、十八時ごろから既に炉心部が表に出てメルトダウンがスタートしているわけですよ。そして、この私が資料に入れた二十二時の報告は実は間違っているんですよ。

 私も聞いてみました、東電と原子力規制委員会のメンバーに。つまり、この二十二時という時点は、もうメルトダウンがずんと進んで、もう炉心は相当溶けていた。だから、もう炉心の水位がどうこうという段階をはるかに超えて、つまりは、水位計そのものが正常に機能していなかったときに来たのがプラスの四百五十。そういうことではないですか、社長。いかがですか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 済みません、先ほど先生の資料にと申し上げたのは、資料の一の三に十五条を通報したということが書かれているということを申し上げたので、資料の三ではございません。失礼いたしました。

 それで、おっしゃるとおり、二十二時ごろの通報は結果としては間違ったものであるということは、今になってわかっております。

 御存じのように、当時、吉田初め福島第一にいた人間は一号機のICと言われる非常用復水器が動いているというふうに思い込んで対応しております。したがいまして、二十二時のデータは、動いているという前提に立てばむしろ逆に得心のいくデータになってしまっていたということがあって、大変事故の対応上はまずいということではございますが、二十二時のデータは、おっしゃるように、今となって考えてみますと間違っていたということは事実でございます。

菅(直)委員 私は、これは東電にもさらにお願いしたいし、規制委員会にもお願いしたいんですが、政府事故調も終わりました、国会事故調も終わりました、その後、これはこの委員会じゃありませんが、原子力の委員会の委員長にもよく申し上げるんですが、国会事故調の後継組織をきちんと立ち上げて、もう一度最初から徹底した検証をしないと。

 今になって私も気がついたんです。この中間報告はもらっていました。しかし、この中間報告にはICに絡んで今のような表現があったので。十七時十五分、その日のですよ、そんな早い時点で、あと一時間でTAFに到達するなんという重要なことが、分厚いものですから、どこに入っているかということは、私も今回新潟の資料を調べる中で初めて、ああ、そういうことだったのかということがわかりました。

 どうですか、社長、もう一度徹底的に検証をし直す必要があるんじゃないですか。

 今言われたICの問題も、私もよくいろいろ読みました。しかし、四十年前にできた、もうちょっと前ですか、一号機で、ICの稼働を実際に体験した人は一人もいなかったというのが、たしか吉田調書か何かで読んだことがあります。誰かわかっていたら、ICが稼働していたら物すごい音が出て、物すごい水蒸気が出る、とても見誤るようなことはなかったと。

 しかし、誰も経験していないから、ICがちょこちょこっと水蒸気が出ていただけで、いや、これで動いているんだろうと思った。その後の判断がそれで全部違っていますよね。いかがですか、社長。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 事故のことをもう一度検証すべきという御指摘だと思います。

 御存じのように、私ども、一二年の六月の二十日、事故発生から一年三カ月少したった時点でございますけれども、東京電力の福島原子力事故調査報告書というのを出しております。さらに、それから約九カ月たった後、二〇一三年の三月二十九日に福島原子力事故の総括および原子力安全改革プランという報告書を取りまとめております。この報告書によりまして、事故発生のプロセスは解明ができているということを考えて、それを取りまとめております。

 まさに先生のお配りの資料の二、これが私どもの一三年の三月二十九日の原子力の総括および原子力安全改革プランでございます。そこで、ちょうど線が引いてありますが、下の方の線ですけれども、十八時に水位が炉心頂部にまで低下するという予測をしたということがあるんだけれども、それの七行ぐらい上でございますが、発電所緊急時対策本部で十分に共有されていなかった、こういう私どもの取りまとめ、総括をしておるところでございます。

 その後も、もちろん、まだまだ、事故の進展がどういうふうになっているのか、あるいは現在炉心がどういうふうになっているのかということについては未解明な事項も当然残っておりますので、それらにつきましては、未確認、未解明事項として今後も現場調査を引き続きやってまいりますし、適宜報告をしてまいる所存でございます。

菅(直)委員 先ほども、ちょっと重なりますけれども、来ている情報と来ていない情報があるわけですよ。一号の水位に関しては、結果としては正しかったことが今わかっている、あるいは東電も認められている十七時十五分の情報は来なくて、結果としてもうメルトダウンが進んでいて、水位としては間違っていて、プラス四百五十というのが来ているわけですよ。

 確かにこういう報告書を出されて、私も大分あちこち見ました。しかし、私が見た中で、政府に対する報告がしていない。あるマスコミの人は県にも聞いたそうです。県にもそういう報告が来ていないそうです。これは私個人は確かめていません。そういうことは東電の報告書に書いてありますか。これは報告がしていなかった、混乱してできていなかった、間違った報告だったと、二十二時の。

 そういうことがわかった上で、なぜそういうことが起きるかです。例えばの話、複数の原発が暴れ出した、特にあのときは二号が大変でしたでしょう。だから、その中の混乱で、吉田所長もあちらやこちらを考えなきゃいけなくてこうなった。そのことがよかった悪かったという評価を私はするつもりはありません。しかし、そういう事情であったかなかったかということは、そういうことがあって、今でもいろいろな原発が複数基並んでいるわけですから、そういった意味で、私は、先ほどの社長の、何かもうこれで全部自分たちが知っていることは調査が終わっているという考え方は間違っている。もう一回国民的な目で見直してください。

 特に、これは聞いておられる方もおわかりかもしれませんが、事業者と原災本部というのは役割が分かれているんですよ。原発事故のオペレーションは、事業者である東電の責任ですよね、社長。それに対して、住民避難、職員じゃないですよ、住民避難の責任は原災本部にあるんです。本来なら、現地対策本部が地元の自治体の皆さんと話をして、そして計画を立ててくるわけですけれども、当時は現地対策本部が立ち上げができなかったんですね、複合災害で。現地対策本部長になる人もなかなか届かない、そして地元の自治体もなかなか集まらない。

 ですから、逆に言うと、東電は、地元の住民の避難、これは大臣もよく聞いておいてください、地元の住民の避難については責任を持っていない。そして、地元の住民の避難に最も重要な、原発がどのぐらい危険な状況にあるかということについて、正しい情報を政府にも、私が間接的に聞いたのでは県にも伝えていない。

 これで検証がもう十分だなんということは言えないと思いますが、もう一度だけ社長に聞いておきます。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 検証が十分だというふうに申し上げるつもりはなく、引き続き、未解明事項、未確認事項については努めてまいります。

 私どもは、先ほどから御指摘の事象の三分前に、原災法十五条という極めて大きな報告を行っているところでございます。それに基づいて避難計画等々が実施されていくというふうに認識しているところでございます。

菅(直)委員 もちろん、原災法十五条はちゃんと政府に届いています。そして、先ほど原子力規制委員長が言われたように、そこで行った措置について、必要な措置についてもちゃんと伝えると書いてあるから、そのことまでちゃんと、法律まで指摘して言ったんですよ。十五条が来ていないなんて言っていません。十条も来ています。

 しかし、少なくとも、十条、十五条の中で、あと一時間でメルトダウンが始まるところまで水位が下がるなんということは、もちろん十条、十五条には、一般論では書いてありますよ、全ての電源が落ちたとか冷却ができなくなった、それは書いてあります。しかし、いつごろから始まるかというのが一番避難の場合は重要じゃないですか。

 そこで、もう時間も少ないので、最後にもう一つだけ、原子力規制委員長にこれもお願いを含めて申し上げておきたいと思います。

 資料四は、委員長にとってはわざわざ出す必要はないかもしれませんが、原子力規制委員会設置法の二十三条には原子力事故の調査という項目があって、この上の四条十号に掲げる問題については、簡単に言えば、そういう被害の拡大を防止するための措置を講じた者その他原子力事故の関係者から報告を徴する、場合によっては事務所その他に立ち入って調べる、つまり調査を強制的にやることができると書いてあります。

 私は、先ほども申し上げたように、別に現在の規制委員会の責任と言っているんじゃないですよ。そうではなくて、残念ながら、政府事故調あるいは国会事故調、いろいろな皆さんが事故調査をやっているけれども、まだまだ、五年たった今日でも、こういう重要なことがきちんとした形で位置づけられ、なぜこういうことが起きるのか、今後こういうことを起こさないためにはどういうことが必要なのか、そういうものに十分につながっていないと思うから、ぜひ、規制委員会、大変忙しいのはわかっているつもりですが、やはりこの二十三条に基づく原子力事故調査を改めて福島原発事故について行っていただきたい。いかがでしょうか。

田中政府特別補佐人 原子力規制委員会としては、これまでも何度かお答えしましたように、今、原子炉の廃止措置が進む中で、格納容器等、内部に入って調べなければいけない事柄もあろうということもありまして、そういった状況が可能になりましたら、できるだけ速やかにそういった調査を行い、技術的な知見で今後の規制に反映すべきことがあれば、それを取り入れていくという方向で調査を進めることにしております。

 ただ、今、当時の情報伝達がどうかということについては、政府事故調とか国会事故調で事実関係は相当丁寧にきちっと取りまとめられているというふうに認識しております。したがって、現時点で政府事故調等の調査について改めて検証するということは、そういう必要性は感じていないということを申し上げておきたいと思います。

菅(直)委員 政府事故調の調査をやり直せと言っているわけではなくて、原子力規制委員会が持っている権限で、きょう指摘したような問題を含めて、まだ問題点があちらこちらにありますから、それはきちんと調査してもらいたい。

 最後に、もう時間ですのでやめますが、大臣にも申し上げておきたいんですが、つまり、先ほども避難が、川内原発で国道ではないところは何とかがあるからとか言われました。避難という問題は大変なんです。まして複合災害の場合の避難は大変です。つまり、道があったって人がいっぱいだったり、実際にも、あの事故の中で、今でも本当に心が痛むのは、大勢の人が、避難の途中で命を落とされた病人やお年寄りがたくさんおられます。そういった意味で、避難のための準備というのは極めて重要で、やってもやっても足らないぐらいだ。

 だから、そういう中で、情報も正しく事業者から上がってこなければ的確な避難ができない、そのこともよくわかった上で対応をお願いして、私の質問を終わります。

赤澤委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、東電の廣瀬社長においでいただいております。

 まず最初に、除染の経費について、東電への求償に係る問題について質問をいたします。

 最初に、環境省にお尋ねをいたしますが、放射性物質汚染対処特措法、除染特措法に基づいて講ずる措置は、原賠法の規定により、原子力事業者、東電の負担のもとに実施するとされておりますが、その理由は何でしょうか。お答えください。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 放射性物質汚染対処特措法第四十四条第一項の規定におきましては、事故由来放射性物質による環境の汚染に対処するため法律に基づき講ぜられる措置は、原子力損害の賠償に関する法律第三条第一項の規定により、当該原子力事業者の負担のもとに実施されるものというふうに規定をされております。これに基づきまして、環境省としては、この放射性物質汚染対処特措法の規定や関連の閣議決定などを踏まえつつ、東京電力に支払いを求めているところでございます。

塩川委員 これは環境行政のいわゆる汚染者負担原則と整合的なものだと考えますが、いかがですか。

高橋政府参考人 今申し上げた特措法の規定に基づきます対処につきましては、汚染者負担の原則とも整合しているというふうに考えております。

塩川委員 原発事故を起こした東電が汚染者負担原則に基づいて除染経費を負担する、こういうことになっております。

 次に、会計検査院にお尋ねをいたします。

 放射性物質汚染対処特措法に基づくいわゆる特措法三事業に係る環境省分の事業実施済み額、求償額及び東京電力の支払い額は幾らか。また、その求償率及び支払い率が何%かについてもお答えください。

村上会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 会計検査院は、東日本大震災からの復興等に対する事業の実施状況等に関して、平成二十四年八月に参議院からの要請を受けて検査を実施し、その結果につきまして、四月六日に四回目の報告を行っております。

 この報告書におきまして、委員御指摘の特措法三事業に係る二十三年度から二十六年度までの環境省分の事業実施済み額は七千八百四十三億余円、これに対しまして、二十七年十月末現在の東京電力への求償額は四千六百五億余円、東京電力の支払い額は三千六百五十三億余円であると報告いたしております。

 また、求償額の事業実施済み額に対する割合でございます求償率は五八・七%、求償額に対する東京電力の支払い額の割合でございます支払い率は七九・三%となっているところでございます。

塩川委員 求償額四千六百五億円に対して、東電の支払い額が三千六百五十三億円、支払い率七九・三%ということでした。

 この支払い額につきましては、東電の方が新総特の中でも数字を挙げております。二〇一六年二月末現在では、除染支払い合意実績が三千九百億円となっていますから、時期的に見ても対応しているのかなと思っております。

 いずれにせよ、求償額と東電の支払い額に差があるわけであります。

 環境省にお尋ねいたしますが、帰還困難区域の除染経費について、環境省の除染経費求償に対する東電の応諾状況を確認したい。二〇一三年十二月以降に計画、執行された帰還困難区域における除染経費について、東電が応諾をして支払った事例がありますか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 帰還困難区域の除染費用についてでございますけれども、これにつきましては、平成二十八年三月二十八日現在のところ、概算でございますけれども約七十五億円を求償しておりまして、そのうち約五十一億円が応諾をされているということでございます。残りの支払いについては、東京電力においてその支払いの可否を検討されているというふうに認識をしてございます。

 なお、御指摘の平成二十五年末以降に計画をされた帰還困難区域の除染事業の支払いにつきましては、全て検討中ということになっております。

塩川委員 ですから、平成二十五年十二月以降については払われていない、検討中ということではありますけれども払われていない。それ以前は払っているけれども、平成二十五年十二月以降については、検討中と述べて払っていないということであります。

 こういう具体の事例については紹介ができますか。平成二十五年以降に計画されて執行された、皆さんの方が求償をし、東電の方がこれについては支払っていないという事例がわかりますか。

高橋政府参考人 済みません、今手元にちょっと資料がございませんので、後ほど御報告をさせていただきたいと思います。

塩川委員 幾つか紹介はしていただいておりますが、例えば、平成二十五年浪江町除染等工事一ということでは、これは執行額が五十七億円に対して東電への求償額が五十七億円、全額求償しているわけですけれども、応諾が五十五億円ということで、その差の二億円が帰還困難区域に相当するということで支払われていないとか、平成二十六年度の飯舘村の墓地除染等工事、長泥地区というんでしょうか、二億円の執行に対して、求償が二億円で、応諾がゼロということなども東電が支払っていないという例になっているわけであります。

 こういったように、同一の事業の中でも、帰還困難区域と区域外の地域がある場合に、区域外は支払いをしているのに帰還困難区域は支払っていない。こういうのはおかしいんじゃないですか。

高橋政府参考人 先ほども御答弁を申し上げましたけれども、帰還困難区域の一部についての支払いについては、今、東京電力の方でそれを検討中というふうに認識をしてございます。

塩川委員 どういう理由で検討中だと聞いているんですか。

高橋政府参考人 その理由までは、私、今認識はしてございません。

塩川委員 求償をしているのにその理由も聞かないんですか。払わない理由、検討中だと。理由を聞かないんですか。

高橋政府参考人 先ほど申しましたけれども、平成二十五年十二月以降に計画されたものの扱いについて検討されているというふうに私どもは認識をしてございます。

塩川委員 平成二十五年十二月以降に計画された除染の事業、帰還困難区域の除染事業について検討しているということですけれども、では、東電の方にお尋ねいたします。廣瀬社長にお尋ねしますが、今言った平成二十五年十二月以降に計画、執行された帰還困難区域の除染事業について支払っていない、その理由は何ですか。

廣瀬参考人 お答えいたします。

 私どもは、いわゆる帰還困難区域の除染費用の負担に関しては、放射性物質汚染対処特措法、いわゆる特措法に基づいて国から除染費用の請求があって、その法律、並びに、これは賠償の一環でございますので中間指針並びに二〇一三年十二月の閣議決定に基づいて、関係省庁と協議をさせていただきながら適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

塩川委員 今、除染特措法と原子力損害賠償制度とそれから二〇一三年十二月の閣議決定、これに基づいて関係省庁と協議しながら対応したいということですけれども、これで言えば、法律は除染特措法なわけですよ。除染特措法では、東電、原子力事業者の負担のもとに実施をするとなっているわけですけれども、当然のことながら、除染特措法に基づけば東電が負担するのは明らかであるわけで、払わない理由はないと思うんですけれども、何で検討中などと言ってごまかすんですか。払うということでおっしゃっていただけばいいんじゃないですか。

廣瀬参考人 繰り返しになりますけれども、いわゆる特措法に基づいてお支払いをするということ、さらに、これは原子力損害賠償制度の一環でございますので中間指針も当然踏まえて、さらには国の閣議決定も踏まえて考えていこうということ、それが基本方針でございます。

塩川委員 環境省に確認しますけれども、東電の説明で二〇一三年の閣議決定に基づきとあるのは、今御紹介しております復興加速化指針のことであります。

 そこでは、実施済みまたは現在計画されている除染、中間貯蔵施設事業の費用は、除染特措法に基づき、復興予算として計上した上で、環境省等から東京電力に求償する、現在計画されている除染を実施した後のさらなる取り組みについては、復興のインフラ整備、生活環境整備という公共事業的観点から、帰還者、移住者の定住環境の整備等、地域再生に向けた取り組みとして実施するとあるわけですけれども、この帰還困難区域の除染は公共事業的観点で行うというのはどういうことなんでしょうか。

高橋政府参考人 帰還困難区域の除染につきましては、これまでも、例えば常磐道等のインフラ、非常に重要なインフラなどを対象としてやってきてございますけれども、そういうインフラの整備でございますとか、あるいは将来の町づくりでございますとか、そういうものとも密接に関連をしてくるということでございまして、そういう観点で、公共事業的な観点、色彩も非常に強いということかと思っております。

塩川委員 公共事業的観点ではあれ、除染の経費です。であれば、当然のことながら東電に求償し、東電から支払ってもらう、そういう筋のものということですよね。

高橋政府参考人 特措法に基づく除染事業であれば、当然東電に求償するというものだというふうに認識をしてございます。

塩川委員 大臣にお尋ねいたします。

 今のやりとりを聞いていただいたと思うんですけれども、私は、除染特措法に基づいて、当然のことながら、かかった除染の経費は東電に求償し、東電に支払ってもらう、これ以外ないと思います。

 しかしながら、二〇一三年十二月の閣議決定をもって、そこから後に計画をされ、執行された経費については検討中ということで支払っていないわけですよ。それはそもそもおかしいんじゃないかと思うんですよね。

 ですから、閣議決定で何か法律が上書きをされてしまうなんということは当然あってはならないことですから、改めて、二〇一三年十二月の閣議決定以降に計画、執行された帰還困難区域の除染の費用について、当然のことながら東電が支払うべきものだと思いますが、大臣のお考えをお聞かせください。

丸川国務大臣 放射性物質汚染対処特措法によりますと、事故由来放射性物質による環境の汚染に対処するためこの法律に基づき講ぜられる措置については、東京電力の負担のもとに実施されることとなっておりまして、東京電力に支払い義務があります。

 現在、帰還困難区域における除染等については、平成二十七年六月の閣議決定を踏まえて、復興に不可欠な広域的インフラや復興拠点における個別の除染に取り組んでおるところでございます。

 こうした費用の支払いについて、東京電力には、放射性物質汚染対処特措法の規定や閣議決定などを踏まえつつ、迅速かつ適切に対処していただく必要があると考えております。

塩川委員 いや、質問に答えてほしいんですけれども、二〇一三年十二月の閣議決定後、帰還困難区域で計画、執行された除染費用について、帰還困難区域分については東電が検討中という名目で支払っていないんですよ。その分は当然支払ってもらうという立場ですよね。

丸川国務大臣 二〇一三年十二月の閣議決定、これについてきっちりと東京電力と協議をさせていただくということが必要かと存じます。

塩川委員 いや、協議するまでもなく、除染特措法に基づいて、その二〇一三年十二月の閣議決定以降の分についても支払ってもらうという立場なんですよね。

高橋政府参考人 先ほどから繰り返してございますけれども、放射性物質対処特措法に基づいて実施をしている措置については、東京電力の負担のもとに実施するということになってございますので、東電に支払い義務があるということでございます。

 現在行っております帰還困難区域の除染につきましては、この法律それから閣議決定を踏まえて、適切に対応していただく必要があるというふうに考えております。

塩川委員 閣議決定を踏まえてというのはおいておいても、そもそも除染特措法に基づいて東電に支払いを求める、東電は支払うということが決まっている、法律に基づく措置ですから。

 もう一回確認しますけれども、二〇一三年十二月の閣議決定以降、冒頭の答弁にあるように、東電に対して帰還困難区域の除染の費用を求償しても、検討中ということで現時点で支払っていないわけですから、その分については当然支払ってもらうものという立場で臨んでいるということですよね。

高橋政府参考人 環境省として、特措法に基づいて東電に求償しているものについては、当然支払っていただくものとして求償しているものでございます。

塩川委員 ということで、廣瀬社長、その分について支払っていただきたいんですが。

廣瀬参考人 繰り返しになってまことに申しわけないんですけれども、私どもは、汚染対処特措法、中間指針、それから閣議決定を踏まえて、環境省さんとも十分に協議をさせていただいて対応していきたいというふうに思っております。

塩川委員 これは極めて重大だと思います。法律で定められているにもかかわらず、このことについて東電の方が曖昧にし、環境省が支払えという立場で臨んでいないというふうになりますよ。協議するなんという問題じゃないじゃないですか、法律で決まっていることなんだから。

 何でそんなことになるのかと思いますけれども、大臣、もう一回。

丸川国務大臣 特措法に基づいて適切に対処していただくことは当然だと思っております。

 一方で、公共事業的視点と申しますのは、まさにインフラ復興と一体でやった方が、むしろ除染をやってから取り壊しをしたりするよりも一体としてうまく進んでいくという面もございますので、それはそれとしてどうするか、今後、夏ごろまでに検討するというのが政府の方針でございます。

 いずれにしても、私どもの求償に対しては東京電力さんにはきちんと応えていただけるように、今後とも協議をしてまいります。

塩川委員 では、改めて、二〇一三年十二月以降の帰還困難区域の除染費用については東電に支払ってもらうと。イエスでいいですか。

丸川国務大臣 閣議決定について東京電力さんにも御対応いただけるように、今後協議をしてまいります。

塩川委員 結局、安倍総理が、帰還困難区域の区域見直しに向けた国の考え方をことしの夏までに明確にしたいと述べたというのとも関連していると思いますけれども、帰還困難区域における除染経費について、東電の費用負担を見直すようなことというのは絶対あってはならないということは申し上げたい。汚染者負担原則に立った東電の負担、これは当然のことであります。

 その上で、事故費用については、午前中も申し上げましたが、東電のステークホルダーの株主、大手金融機関が本来負担をすべきものであって、電気料金や税金という形で国民が負担するというのは筋が通らないということもあわせて申し上げておくものであります。

 次に、除染労働者の特殊勤務手当に関して環境省に確認をしますが、特殊勤務手当、今では帰還困難区域であれば一万円とかとなっておりますが、この特殊勤務手当は現場の除染作業労働者に確実に届いているんでしょうか。

高橋政府参考人 特殊勤務手当でございますけれども、これは環境省と受注者との契約におきまして、受注者に対しまして、労賃に加えて、環境省との契約で定めた一定の額、すなわち特殊勤務手当でございますけれども、これを作業員に支給するとともに、その支給状況を下請事業者による支払い状況も含めて確認することを義務づけてございます。

 また、環境省におきましても、受注者に賃金台帳等を提示していただきまして、特殊勤務手当を含む賃金の支払い状況、支給状況を確認してございまして、基本的には適切に支払われているものというふうに認識をしてございます。

塩川委員 賃金台帳などで確認をする。例えば、労働条件通知書にも特殊勤務手当と明示をされている、こういうのも当然確認をされるということでよろしいですか。

高橋政府参考人 私どもの方では、まず、受注者において、原則三カ月ごとに、特殊勤務手当が支給されているかどうかを賃金台帳等で確認をさせております。その上で、工事が完了した段階で、賃金台帳を受注者に提示していただきまして、環境省においても改めて確認をしている、そういう手続でございます。

塩川委員 労働条件通知書での確認というのはしていないということですか。

高橋政府参考人 その点につきましては、ちょっと今、手元に資料がございませんので、後ほど確認をさせていただきたいと思います。

塩川委員 実際には、要するに、重層下請構造のもとにありますから、多くは大手ゼネコン、スーパーゼネコンが元請となって、一連の下請、孫請という構造の中での作業で、ピンはねですとか中抜きとかこういう実態になって、適正に賃金が支払われていない、こういう事例というのが除染労働者でも大問題になっているわけですね。

 こういったことについても、やはり本当に、特殊勤務手当というのが、放射線量の高い困難な作業下であるわけですから、しっかりと作業を進めてもらう上でも、労働条件をしっかりと保障するということは当たり前のことだ、それがきちっと貫かれるということを、これは環境省として責任を持ってやるべきところであります。

 そういう点でも、こういった重層下請構造によるピンはねとか中抜きの仕組みの是正がないと作業者の確保が困難になると思いますけれども、こういった重層下請構造のさまざまなゆがみを是正する、こういう点で環境省としての取り組みはどうかということについて確認をしたいと思います。

高橋政府参考人 まず、先ほどのちょっと御答弁できなかった部分で、労働条件通知書の件でございますけれども、これにつきましては、この契約の中で、受注者は、除染等作業員に係る労働条件通知書に、特殊勤務手当に関する事項が適切に反映されるよう周知する等必要な措置を講じなければいけないというふうに規定をしてございます。

 私ども、さっきおっしゃられた体制、下請も含めた事業全体の体制図は、当然、全体を確認してございます。また、コールセンターを設けまして、万が一その支払いが適切に行われていないというような苦情が作業員からあれば、適宜、コールセンターで相談を受け付けまして必要な対処をしているということでございます。

塩川委員 コールセンターよりもよっぽど、地元の労働組合の方に相談というのが物すごく多いんですよ。労働基準監督署の違反事例なんかも半期ごとで発表していますけれども、何か全体は減っているような傾向なんですけれども、現場は全然違いますからね。

 こういった重層下請構造のもとで、外から事業者が入ってきて、ピンはね、中抜きをして、結果として、受けているのは、地元の業者がとっているんだけれども、労働者そのものの労働条件は切り下げられている。こういう中で働かされていたら除染そのものが進まないということを厳しく指摘しておくものであります。そういう点でも、発注者の環境省の責任は極めて重大だということを申し上げるものです。

 そのこととあわせて、やはり福島第一原発の作業労働者の労働条件の問題があります。

 まさに事故現場の作業でありますから、高い放射線量下での困難な作業に当たられておられる労働者の皆さんの労働条件にふさわしい改善を図っていくということが求められております。この点では、発注者としての東京電力の責任は極めて重いということを申し上げておくものです。

 そこで、廣瀬社長にお尋ねをいたしますが、この間、二〇一三年の十一月のときに、設計上の労務費割り増し分の増額という形で、こういった一Fの労働者の労働条件の改善ということで東電としての取り組みを発表し、具体化をしているところであります。

 そこで、確認ですけれども、二〇一三年十二月以降の設計上の労務費割り増し分の増額について、新規契約件数及び既支払い件数、並びに、末次の下請会社の労働者の賃上げが確認された件数がどうなっているのか、この点についてお聞きいたします。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のように、一三年の十二月以降に新たに始めた取り組みでございますが、新規契約件数はことしの三月末時点で千七百七十三件ございます。また、支払い件数は千三百六十五件でございます。これは期間がちょっとずれておりますので、必ずしも一致はしないところでございます。

 それからまた、末次の下請会社の作業員の方々に賃上げされた件数については、延べ九十一社の元請さん、私どもの直接の契約相手である元請企業さんを通じて、二百十二社の下請企業さんに賃上げを確認して、これは賃上げがされているという確認を、これまた三月末時点でございますけれども、いただいております。

 以上でございます。

塩川委員 実際に二〇一三年十二月以降に新たに契約したものについてこの割り増しということですから、実際にその事業が終わった時点で支払いになるということですから、実際にはその時点で賃上げがされているかどうかということになってくるので、それ以前から始まっている事業は割り増しもないので対象にならないということでお聞きしたわけです。

 スタートをしてからもう二年以上たっておりますので、実態としてですけれども、賃上げが確認された労働者の賃上げ額というのはどのぐらいなのか。この点についてはわかりますか。

廣瀬参考人 これは繰り返しになりますが、私どもは元請企業の皆さんに工事として発注をお願いしておりまして、その元請企業からそれぞれの各協力企業にそれぞれ幾らで賃上げ額がされているかという具体的な金額については、それぞれの経営の問題もございますので差し控えていただきたいと思っておりますが、ただ、私どもとしては、先ほど来お話が出ております労働条件通知書を私ども自身で確認させていただいて、手当額が増額されているという確認をしておりますし、このときに同時に、設計上の労務費の増額ということに続いて、作業員の方々にちゃんと説明しているのかという説明記録もあわせて確認をしておるところでございます。

塩川委員 この間、この問題でやりとりした中で、実際、設計上の労務費単価の置き方の話として、廣瀬社長の答弁の中に、例えばマスク着用の場合は二万円、ボンベやアノラック着用の場合は三万円、タングステンベスト着用なら三万円以上、こういう設計労務費の単価は今も変わりがないということでよろしいですか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 これは、ちょうど二年前の衆議院の経産委員会で塩川先生から御質問をいただいたところでございますけれども、その際、マスク二万円、ボンベ、アノラックを着用した場合は三万円ということを話しておりますが、これは今も変わっておりません。

 タングステンベストについては三万円以上というふうにお話をさせていただいておりますが、細かく申し上げますと、線量や汚染度が特に高い場所での作業、かつ、過去に類似作業実績がなくて、精神的、肉体的にも非常に厳しい、負荷の高い、特に高い作業においてという対象においてですけれども、四万円と設定しているところでございます。

 以上でございます。

塩川委員 そのように、実際には、もともとの例示としても一万円を二万円にということであったわけですけれども、基本的に全体として引き上げるということでの対応をしたということであります。

 では、実際にどういうふうに現場に届いているのかということなんですけれども、発注者の東電の方が工事注文書において元請事業者に交付をする、その場合には、工事注文書には割り増し分の額が書面で明示をされている、明示をして元請事業者に交付をしているというふうに承知しておるんですが、そのとおりでよろしいでしょうか。

廣瀬参考人 繰り返しになりますが、私どもは、元請の企業さんに、例えばこの工事であれば十日間で延べ百人ぐらいの工事作業であろうということを想定して、その間の労働賃金はこのぐらいでしょうというふうに、内訳というんでしょうか、それが出るわけですが、その中で、特に今回の割り増し分は幾ら幾らですよと別に明示をさせていただいているところでございます。

塩川委員 例えば、一億円の契約であれば、そのうちの一千万円は別枠の割り増し分ですよ、こういう明示をされておられるということであります。

 また、東電と元請間ですけれども、先ほどの御答弁にもありましたように、労働条件通知書の確認もする、増額を確認するという話がございました。

 そうすると、例えば、元請の中には東電グループもあります。ですから、資本の系列のもとにあるわけですから、東電グループの例を挙げれば、東電が発注者で、東電グループの企業が元請になっている、その下に下請、孫請が入っているような場合ですけれども、そういった際に、労働条件通知書に当たっては、一F危険手当とか一F割り増し手当、こういう形で明示されて周知をするというふうになっているということをお聞きしていますけれども、そのとおりでよろしいですか。

廣瀬参考人 お答えします。

 そのとおりでございます。そしてさらに、そこには作業員さんの一人一人のサインがあって、こういう労働条件通知書でやっていますよというところまでは確認させていただいております。

塩川委員 ですから、一F危険手当とか一F割り増し手当というのが明示をされているんですけれども、そこには実額という形で入っているということなんでしょうか。

廣瀬参考人 繰り返しになりますが、私どもは、元請さんに発注をする工事の総額の中に、今回の増額分は総合計で、私どもの設計ですので、先ほど言いましたように、一週間で延べ何人というその前提に基づいてですけれども、その前提に基づくと増額はこれこれになりますという総額を示させていただいております。

塩川委員 そういう意味でも、実際に、元請の方からすると、ではどれだけ割り増しすればいいのかというのが見えないという点でも、東電が具体的な額を示すというのが元請側としても、考えるべき内容になっているんですけれども、その点については元請との間でのやりとりがあると思うんですけれども、いかがですか。

廣瀬参考人 これはいわゆる請負契約でございますので、私どもとしては、こうした仕事をお願いするわけで、そのときに我々としても当然見積もりをして、きっとこのぐらいの金額でお願いできるだろうということで実際の金額を決めていくわけですけれども、その中に労務費は幾らぐらいあるだろうというのは当然入ってきますが、そのときは、繰り返しになりますが、私どもとしては、この工事なら、このぐらいの期間、このぐらいの人数でできるだろうということを設計するわけですが、実際にそれを元請さんが必ず一週間かけなきゃいけないのか、あるいは百人かけなきゃいけないのかということは、これはまさに元請会社さんの工夫なり経営努力なり、そうしたことで実際には決まってまいります。

 ただ、私どもは、それをやり出すと切りがないので、実際の設計のときに延べ百人かかるでしょうということであれば、その分の増額はこれこれこういう額ですね、先ほどのお話の、一億円のうちの一千万円が増額に当たりますねというような示し方をしておりますが、その後は、それぞれの元請さん、あるいは元請さんから下請さんにお出しになる作業の実際のやり方、人数、延べ人数等々によると思いますので、そこまでは私どもが立ち入って入るということは契約上できないことになっております。

塩川委員 先ほど除染労働者の方のお話もしましたけれども、それ自身が非常に大変なお仕事だと思います。それに加えてやはり一Fの作業ですから、高放射線量下での作業に対してふさわしい待遇、賃金というのはあってしかるべきであるわけであります。そういう点だからこそ、割り増しという形での措置をとっているわけですね。

 そういう意味でも、東電として、賃上げがされているかどうかというのはアンケートはとっているわけです。一定の割合で上がっていますという回答があるというのもこの間の数字でいただいているんですけれども、実際の実額で幾ら上がったのか、こういうことを率直につかむことが、待遇改善になっているかどうかということにつながるんだと思うんです。

 だから、個々の事業者がどういうふうにやっているかというのはわかりませんけれども、少なくとも、現場の労働者が以前に比べてどれだけ上がっているのか、そういうのをつかむということが、実際の措置の効果というのがはっきり見える形になるわけですが、アンケートで聞けば、項目を入れればいいんですから、実額、どのぐらい上がりましたか、そういうのを入れてアンケートをとるということ、実態把握をするということ、そういうことを行うということは具体化しませんか。

廣瀬参考人 実際に出たかというのは、先ほどのように、元請企業さん初め下請企業さんの工夫に基づいていろいろなケースが考えられると思いますので、私どもが二万円増額するというところが、二万円上がっていないからといって、直ちにそれが、どこかでピンはねが行われている、あるいはどこかになくなってしまっているということに結びつくということは、証明するのは難しいです。人数が、もうちょっとたくさんの人数でもしやっていたらとか、効率よくやっていたらとか、いろいろなケースがあると思っています。

 したがって、我々がやっていることは、それぞれの労働者の皆さんが、これでやるよということを明示的に証明書をもらってそれにサインをして、最初からこれでアグリーしてやっていますねということは確認をさせていただいているということでございます。御理解いただきたいと思います。

塩川委員 やはり実際にどれだけ賃上げがあったかということが実感できなければ必要な人も確保できないわけで、私は、そういう点でも、実額でしっかりつかむし、現場の状況をどう改善するかということで、これは発注者としての当然の責務としてこういう取り組みを行ってこそ、事故収束、廃炉対策が前に進んでいく、こういうことになると思います。

 こういう対策について、もう一歩、本気で人の確保を図るという立場で、改善を図る必要があると思うんですが、改めて、いかがでしょうか。

廣瀬参考人 実際に増額が幾らかということを全く我々が知らないということではないわけです。それは、条件を、ちゃんとサインをしているものを見ておりますので、この方は例えば一万円増額だということで、それにサインをされて、その仕事について、実際その一万円を受け取っているということを確認しておるわけです。

 ただ、その一万円がだから我々の二万円と違うじゃないかということが、それ以上が入っていけないという嫌いがあるということを申し上げているところでございます。

塩川委員 いや、そういう点でも、実態が、実際に払われていないという訴えというのが大変多くて、賃金自身が、いわば困難な作業環境下でありながら、除染の労働者でいえば、特殊勤務手当が一万円だったら、あとは福島県の最低賃金分が時給で掛ける八時間分が張りついているような、そういうのが現にあるし、それすら払われていないというものなんかも訴えとして出てきているわけですね。

 そういう意味でも、東電として、一Fの労働者の作業環境を本気で整えていく上でも、賃金について、実額もつかむし、それを明らかにするということが、現状をリアルにつかみ、また労働者の労働条件の改善にもつながるということを強く求めて、時間が参りましたので、終わります。

 環境省としての災害対応の御質問、用意していただいていたのに、お聞きできずに申しわけありません。またの機会にしたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

赤澤委員長 次に、小沢鋭仁君。

小沢(鋭)委員 おおさか維新の会の小沢鋭仁でございます。

 一般質疑ということでやらせていただきます。

 私からも、まず、熊本地震について、心からのお見舞いを申し上げたいと思います。

 産業廃棄物についての対応を通告しておりましたが、これはもう前の委員の皆さんが何人か質問されて重複をしておりますので、割愛をさせていただきたいと思います。

 ただ、地震災害、一般の人たちは余り環境省と災害というのは結びつけて考えないと思いますが、災害廃棄物の処理という意味では大変重要な仕事がありますので、ぜひ丸川大臣を筆頭に頑張っていただきたいということは申し上げておきたいと思います。

 きょうは、東電の廣瀬社長にお越しをいただいております。何かと大変だとは思いますが、依然として、福島第一原発関係で約十万人、九万七千人と言われているようでありますが、十万人の皆さん方が避難生活を送られているわけですね。十万人の皆さん方の人生をある意味では変えた、こういう事故でありまして、そういった意味では大変重い事故であることは間違いないわけでありまして、ぜひそういった皆さんの心情を思いやりながら対応をお願いしたい、こういうふうにまず冒頭申し上げておきたいと思います。

 実は、私にとって、地震と原発、こういうことを明確に意識したのは、中越沖地震がありました、それが最初でありました。その前に柏崎の原発の視察を行っていたりして、そういう意味では、あらゆる事態に対して万全であります、視察でこういう説明を受けていた経緯があったりしたものですから、中越沖地震で柏崎がとまった、火災があってとまった、あるいはまた自動停止装置でとまった、こういう話があったときに大変な違和感というか驚きを感じたんですね。

 当時の二〇〇八年、マグニチュードでいうと六・八、それから亡くなられた方が十一名、こういうことであったと思いますが、そのときに東電さんの方からは想定外という言葉が出たように私は記憶をしているんです。

 正直言って、あの地震で想定外と言われたら、これはやはりたまらぬな、こう思っておりまして、その後、たまたま、三・一一のときに社長をされておりました清水社長と話をする機会があって、率直に言って、中越沖地震で想定外と言われたら私としては納得ができないという話を申し上げたことがあるんですね。そのときに清水さんから出た話は、いや、先生、大丈夫です、もうこれからは万全を期してやりますから、万全を期してやれる体制になっておりますから、こういうお話があって、私も単純な人間ですから、そうですか、それじゃ頼みますよ、こういう話をした記憶があったんですね。

 しかし、三・一一が起こってしまった。これが私のある意味では思い出であるわけです。

 例えば、中越沖地震で、その後何を対策として考えたのかということに関して、一言コメントをいただけませんか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 冒頭、まず、御指摘のように、福島で大変大きな事故を起こしてしまい、五年を経過した今なお大変多くの方々に御心配や御迷惑をおかけしておりますことを、改めましておわびを申し上げたいというふうに思います。

 さて、中越沖地震ですけれども、二〇〇七年の七月十六日ですので、間もなく九年がたとうとしております。その七月十六日の時点で、柏崎に七つありますユニットのうち、三号機、四号機、七号機が運転中でございました。そして、二号機が起動操作中ということで、これから運転をしていこうという準備に入っておりました。それら四つの号機は、御指摘のように、自動停止で無事に安全に停止をいたしました。

 しかし、非常に大きな揺れを、発電所の中に置いてある地震動を検知するところではそうしたデータが出ております、非常に大きな揺れがありました。実際、安全上重要な機器が地震で壊れたということは確認されてはおりませんけれども、ただ、実際に考えていたものよりもかなり大きな揺れを感知したというのは事実でございます。

 それによりまして、国や新潟県の技術委員会から、まずは施設の健全性の評価をいただきまして、それから基準地震動の見直し、当然、大きく揺れましたので見直し、それに基づいて耐震安全性の評価をいただいて、妥当だという評価をいただいたということで、この結果、一号、五号、六号、七号の四つが動き始めて、今度、福島で事故が起こってそれは今はとまっておりますけれども、一度、一、五、六、七の四つは再度運転を開始しております。

 安全上の教訓を大きく生かして、中越沖地震後の対策として、免震重要棟という、今や有名になりましたけれども、あれをつくっております。これは福島で生かされたと思っております。大変助かりました。それから、耐震強化としては、各種の配管にサポートを追加したり、原子炉建屋の屋根の強化、それから排気筒の強化、燃料取りかえ器の強化、さらには、消防車をたくさん配備する、防火水槽を設置するなどのいわゆる強化策をしてきたところでございます。

小沢(鋭)委員 まず、中越沖地震、二〇〇八年と先ほど私申し上げたようですが、二〇〇七年に訂正させていただきたいと思います。

 今のお話にもありましたが、さて、今度は、その教訓が福島第一で生かされたか、こういう話になったときに、福島第一の事故の最大の原因に関して、いわゆる国会の事故調、政府の事故調、あるいはまた東電さんの調査等々であるわけですけれども、これは最終的にぴしっと一つにまとまっていないんですよね。といいますのは、端的に言うと、揺れなのか津波なのか、こういう話があって、今の廣瀬社長の話も、いわゆる中越沖に関してはそれがなかった、こういうことなんでしょうが、津波の話は出てきていないわけですね。

 まず、では、福島第一の原因について端的にお聞きしたいと思います。津波なんですか、揺れなんですか。

廣瀬参考人 これは私どもは津波だと考えております。地震によっては原子力発電所の安全上重要な設備に損傷は確認されておりません。

 また、先生御指摘のように、政府の事故調査報告書、それからIAEAの報告書、規制委員会の見解も同様に、これは津波だということというふうに認識しております。

小沢(鋭)委員 先ほど菅委員からもう一回そういう調査をというような話も出ていましたけれども、まずここは、その原因に関しては各調査団といいますか調査報告のすり合わせをして本当は一本化をきちっとしておかないと、原因がはっきりしなければ対応を立てられないと思います。

 さてそこで、私も、これは揺れではなくて津波が最大要因だな、こう認識をしておるところでございまして、ということになると、私の意識は、もう非常に単純に考えて、津波であれば高さの問題というのが極めて重要だろう、こう思うわけですね。

 私は、実は福島第一の事故が起こった直後、当時の保安院の方に来ていただいて、とにかく全国の原子力発電所の、原子力発電所を急に高台に持ってくるということはできないわけですから、少なくても補助電源は全部高いところに置くようにしよう、こういう指示をしたことがあります。三年以内にやりますとか言っていたから、ばか言うな、即刻やってくれとお願いしたことを覚えているわけですが、例えば福島第一に隣接している女川原発あるいは福島第二、これは高さがあって助かっているというふうに私は認識しているんですが、その認識に関して御意見はありますか。

廣瀬参考人 結果論でございますけれども、女川原子力発電所は十四・八メートルの高台にございまして、実際の津波は十三・何メートルの津波があったと思いますけれども、一方で、福島第一は約十メーターのところにございましたので、遡上も入れますと十五・五メートルの津波が結果的には来てしまったということで、先生御指摘のとおり、高さというのがまずあったというふうに思っております。

 非常用の発電機等々が地下や一階に置かれていたということはもちろん決定的なこととして一つございますけれども、こうした非常に重いものはむしろ耐震設計上は下の方に置いていくという考え方がございましたので、もちろん、全部が全部下に置いていたというのがいけなかったというのはまさに御指摘のとおりだったと思いますが、そうしたことはあったというふうに思っております。

小沢(鋭)委員 私のささやかな知識だと、いわゆる原発事故の対応というのは三原則あって、とめる、冷やす、閉じ込める、こういう話だというふうに承知をしているんですが、とめるはとまったんですね。それで、その冷やすができなかったですよね、冷却ができなかった、こういう話であって、冷却がなぜできなかったかというと、電源喪失だ、こういう話ですよね。

 そうなってくると、先ほど申し上げたように、補助電源、あるいはまた、車でも何でもいいんでしょうが、いわゆる冷却電源を高いところに置いておくというのは非常に簡単で、なおかつ津波対策に関しては決定的に有効だ、こう思うんです。実際に女川の当時担当者だった方々は、そういうことを言っていますね。先輩たちが高い場所に建ててくれたおかげと、当時現場対応に当たった同原発の遠藤さんという所長代理さんはしみじみ語るとかですね。

 福島第一の五号機、六号機も、これはちょうどとまってはいたわけですけれども、これも高台にあったから被害がない、こういう話で、何でもうちょっと高いところに冷却装置をという話が一般論としてならないのか不思議でならないんですが、これは、先ほど廣瀬社長は、そのとおりで結構です、こういうお話だったと思います。原子力規制委員会、その辺はどうなんですか。

大村政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねは、新規制基準についてどういう要求になっているかということかと思います。

 新規制基準におきましては、最新の科学的、技術的な知見を踏まえまして、不確かさも考慮した上で、各発電所で想定される最大の津波、これは規制基準の中では基準津波というふうに申しておりますけれども、これを設定することを要求しているということであります。

 非常用電源の津波対策といたしましては、この最大の津波、基準津波が到達しない十分高いところに設置するということをまず要求しているということでございます。ただ、津波が到達する高さにあるという場合につきましては、防潮堤等を設置することを要求しておりまして、想定される津波によって非常用電源等の重要な施設の機能が損なわれないということを規制上は要求している、こういう状況でございます。

小沢(鋭)委員 私が持っている資料だとそれがよくわからないんですけれども、例えば、バックアップ施設に関しては、原子炉から百メートルの場所に電源、注水ポンプ、これらの緊急時制御室を常設化と書いてあるんですが、今おっしゃった話で、いわゆる想定される津波より高いところに非常用電源を置くという話は明快になっていますか。もう一回答弁をお願いします。

大村政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力発電所では、通常、常設の非常用の電源設備というのは置かれております。これは、例えば地震等でとまった、DG、非常用ディーゼル発電機、こういうようなものでございますけれども、こういうものにつきましては今私が申し上げましたような要求になっておりまして、基準津波が到達するところよりも十分高いところに設置するというのがまず基本です。ただ、そうでない場合は、津波が来ないように防潮堤等で全部シャットダウンするという対策を求めているということでございまして、例えば、端的な例は非常用ディーゼル発電機、こういうものについてはそういう要求をしているということでございます。

小沢(鋭)委員 そうでない場合はという、そうでない場合は考えなくて、とにかく非常用電源は想定される津波が来ても絶対に冷却機能を失わないところに設置するという明快な基準をつくったらいいんじゃないですか。それが一番、とにかくコストも安いし、明快じゃないですか。

 廣瀬社長、そうですよね。どうですか。あるいは、東電さんの今のほかのところはそういう対応になっているんですかね。

廣瀬参考人 私どもは今、柏崎の新規制基準対応をしていただいております。厳しい新規制基準に対応すべくさまざまな対策をとっておりますが、私どもは事故を起こしたまさに事業者でございますので、事故から最もたくさんを学ばなければいけないというふうに考えております。

 したがって、規制をさらに上回る安全対策をということで、柏崎には、高台にさまざまな消防車や電源車を置く、さらに、本当に万が一の場合に備えて、巨大な池を高台に持っておりまして、これは重力で水が下に落ちて、その水を使って冷却をしようという、もう本当に究極のパッシブな考え方、そうしたものを今取り入れているところでございます。

小沢(鋭)委員 とにかく、ここは要請として、ぜひ、要は、どんな津波が来ても非常用電源がだめにならない高台にそういった装置を置くと明快に基準をつくっていただきたい、こういうふうに改めて申し上げておきたいと思います。

 それは、これから、今停止中の原発に関しても稼働するときの当然の条件になるべきだし、また、廃炉の決定があるものに関しても当面の間はそういった話はやっていくと。

 これは僕は本当に不思議なんですね。防潮堤、防潮堤と言うけれども、これは一般の人命救助の話の防潮堤もそうですけれども、それよりも、高いタワーをつくって、とにかく避難できるところをきちっとつくれと僕はずっと国交省にも言っているんです。

 話は余談になりましたが、要は、津波に対しては高さですよ、最大の対応は。という話を考えるというのが一番決定的で、なおかつコストも安い、こう思うものですから、ぜひそれは徹底をしていただきたいというふうにお願いを申し上げて、次の話題に入りたいと思います。

 二つ目の話題は、これはちょっとしつこいぞと言われるかもしれませんが、私は、実は、ごみ屋敷廃止法案、これは略称ですけれども、そういう法案を、維新の会のときかな、党のときかな、平成二十六年五月に出させていただいたんです。正式名は、廃棄物の集積又は貯蔵等に起因する周辺の生活環境の保全上の支障の除去等に関する法律案でありまして、昨年の三月二十七日にこの委員会でも質問をさせていただきました。今は廃案になったままなんですが、またおおさか維新の会として出すようにしたい、こう思っているところであります。

 その昨年の三月二十七日の委員会で質問をした際に、鎌形政府委員から大変前向きな対応の発言をしていただいて、鋭意検討します、こういうことだったと思うんですが、鋭意検討はいかがになっているでしょうか。

鎌形政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年、御指摘のとおり、三月二十七日のこの環境委員会におきまして、廃棄物の集積又は貯蔵等に起因する周辺の生活環境の保全上の支障の除去等に関する法律案に関する御質問をいただいたところでございます。

 その際、私どもの方から、一部の自治体で条例を制定して対応しているということについてお答えした後、生活環境の保全を図る、こういう観点から必要な対応を検討してまいりたいということをお答え申し上げたところでございます。

 これ以降、環境省といたしましては、その他、各自治体においてもまた動きがございます、そして、いわゆるごみ屋敷への対策に関しての条例制定の動き、あるいは、条例に基づく措置の執行状況等について情報収集を行ってきたところでございます。

 こうした情報収集の結果も踏まえつつ、引き続き情報収集をするとともに、ごみ屋敷への対応に関しての検討を継続しているというところでございます。

小沢(鋭)委員 少し説明をさせていただきますと、私は、この法案で何をしたいかというと、生活環境という法益を確立したい、こう思っているんです。

 生活環境ということは、日常生活において、いわゆるごみとか異臭とか騒音とか害虫とか、そういった事柄を未然に防いで快適な生活環境を維持する、その中で生活ができる、これは成熟社会と言われる我が国においては十分あってしかるべきだろう、こう思っているんですね。

 ただ、これの最大の問題点は、例えば、ごみ屋敷と呼ばれるものに関しては、個人の所有権といわゆる公益といいますか法益がぶつかり合うんですね。それはごみではない、個人としては重要な財産だ、こういうような話になるんですね。だからなかなか対応ができないんですよ。ここが難しいところで、だから、法律をつくって、その法益を確定するということで対応ができるということが重要ではないかと私は思っているんです。

 そういった生活環境というのは、いわゆる環境省の所管する法律としては廃棄物処理法とか動物愛護法があるんですね。ただ、廃棄物処理法は事業者を対象にしているんです。動物愛護法は、動物の、飼っている、保管している、そこに起因する悪臭が対象になっているんですね。ですから、ふだんハトに餌をやる、ハトを別に飼っているわけじゃありませんから、そのハトふんで周りの近隣が大変困っている、でも、ハトに餌をやる人をある意味ではとめることはできない、こういうような話が起こっているわけですね。

 ですから、環境省の今の廃棄物処理法と動物愛護法には穴がある。いわゆる事業者じゃない一般の個人の方の財産、これが対象になっていない。動物愛護法のところの、いわゆる飼っている、保管している、そうではない、飛んでくるハトあるいは公園にいる猫、犬、そういったものに餌をやる、そういうことによって起こる異臭とかそういうものに関しては対応ができない。だから、そこを埋める法案をつくりましょう、こういう話をしているんですが、どうでしょうか。もう一回、この法益に関しては、何か御異論がありますでしょうか。

鎌形政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の生活環境の保全につきましては、今触れられたとおり、環境法令で広範に使われている用語でございます。環境基本法にも生活環境の保全ということがございますし、御指摘になりました廃棄物処理法あるいは動物愛護法、それから大気汚染防止法などのいわゆる公害関係の法律でも生活環境の保全ということがございまして、目的からして生活環境の保全ということを掲げておりまして、それに基づきまして、大気汚染なり水質汚濁なりを防止するために、生活環境の保全の観点からの対応というものを、必要な措置をそれぞれの法律に盛り込んで対応しているというところでございます。

 それで、御指摘のいわゆるごみ屋敷について申し上げますと、一般の家庭で集積されたものが生活環境上に支障を及ぼすようなケースということでございますが、御指摘ございましたとおり、そこの住人が廃棄物ではないというふうに主張するというような場合に、廃棄物の該当性ということにつきましては、占有者の意思でありますとか物の性状とか、さまざまなものを総合判断して対応していくということにしてございますけれども、廃棄物処理法上の廃棄物として、これに基づいて対応するというのはなかなか難しい、こういう課題があるということでございます。

小沢(鋭)委員 いや、だから、なかなか難しいからこそ、法案をつくって確定することが必要なんですね。

 私はかつて、ストーカー対策法という法律を起案して、つくったことがあります。そのときも、ストーカーというのは、ある意味で初めてのコンセプトでしたから、大変いろいろ難しい話がありました。いわゆる追っかけるという話だと、マスコミの皆さんのあの追っかけ報道はストーカーなのかとかというような話から始まって、いろいろありました。今の鎌形さんの話も、割と似たような話。

 だけれども、ここは、その法益を確定することによって、そしていわゆる公の、生活環境の保全を図るという話は十分あってもいいと私は思っているし、実際に各自治体で始まっているわけですね、既に。

 各自治体、幾つかあると思いますが、環境省は把握していますか。

鎌形政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆるごみ屋敷の対策を講じる条例を制定している自治体といたしましては、例えば荒川区、これは平成二十一年四月一日に施行されてございます。足立区、新宿区、いずれも東京でございます。それから大阪市、京都市といったものについて把握しているところでございます。

 先般御質問いただいて以降も、郡山市、愛知県の豊田市、また東京の世田谷区などでそれぞれ条例が制定されて、対応が進められていると承知しているところでございます。

小沢(鋭)委員 ついでにもう一つ、公害等調整委員会がありますね。それの公害苦情のうち、家庭生活が発生原因であるものが四千百六十一件、平成二十六年度受け付けというのがあるんですが、これも把握されていますか。

鎌形政府参考人 今、具体的に公害等調整委員会の資料を持ち合わせてございませんけれども、公害等調整委員会において、いわゆる公害苦情についての調査をされていて、その中で、御指摘のような生活環境にかかわるものについての苦情件数もデータとして把握されているということは承知してございます。

小沢(鋭)委員 ぜひ、公害等調整委員会、所管は総務省だったと思いますけれども、環境省とはある意味では大変緊密な関係にあるところですから、少し連携をとっていただいて、話し合いを進めていただければと思うんですね。

 というのは、たまたま何かの話のときに公害等調整委員会を呼んで、どんな案件があるんだというような話を聞いたときに、生活環境だったんですよ。それで、驚いて、ああ、生活環境というのはやはり国民の生活にとってある意味では最も身近で深刻な課題なんだな、こういうふうに改めて思ったんですね。

 先ほど自治体でそういった条例をつくっているところの話を鎌形部長からお聞きしましたが、そういった自治体にヒアリングをいたしますと、要は、そういった先駆的につくっている自治体が、国が後から出てきて偉そうな顔をするなというような話をするのかなと思っていたら、全然そうじゃなくて、そういった自治体も、条例作成には大変な苦労があった、各自治体がそれぞれやっていくというのは大変だと思うという話があって、国が率先してやってくれれば対応がそのとおりにやれると。

 あるいは、空き家対策、老朽家屋対策というのが、この一、二年の間に議員立法でできているんですが、それとセットでごみ屋敷対策も必要だ、こういう話があったり。

 その空き家対策とごみ屋敷対策の最大の違いは何かといったらば、空き家対策を出したのは与党で、ごみ屋敷対策を出したのは野党だった、こういう政治的な大きな違いがあるんですが、その当時、与党の皆さんたちも、これは結構必要だからやろうじゃないかという機運はあったんですけれども、途中でとまっちゃいました。特に、自治体に関しては、法案ができれば、そういった所管部署というのを自治体としてもつくりやすいと言うんですね。ですから、そういった国の法案をぜひつくってもらいたい、こういう話があります。

 そういった意味で、大臣、今お聞きいただいていて、どうでしょうか。これは議員立法でやってもいいんです。与党の北川筆頭を初め皆さんのところには、提出のときには、また野党の仲間の皆さんたちのところにもお持ちしたいと思っていますが、既に過去一回やらせていただいていることはやらせていただいているんですが、何といっても、やはり政府が必要なんじゃないという話がないと与党も動きづらいと思うんですが、いかがなものでしょうか。

丸川国務大臣 空き家対策については、私自身も多少関係をして勉強させていただいておりましたけれども、ごみ屋敷ということで、まだ所有者の方が居住をされておられる、あるいは廃棄物ではないという御主張をされているような物がたくさん置かれているような場合にどのような課題が生じているかということについて、私ももう一度ちゃんと勉強させていただいて、その上で、先生方の過去の御尽力もよく拝見をさせていただいて、また検討させていただきたいと存じます。

小沢(鋭)委員 時間でございますので終わりますけれども、これは前に法案を出したときにNHKが一回流したんですね。法案提出がありましたといったときのいわゆるリバウンドというんですか、それはこのごみ屋敷法案がその週の中では最大のリバウンド案件だった、こういう話もあって、国民生活に直結する大事な話だと思うし、それから、繰り返しになりますが、この先進国、成熟国家において生活環境という法益を大事にする、私はこれをつくりたいんですよ。快適な生活環境というのが我々のような成熟国家においては重要な法益なんだというコンセプトを立てたいんですよね。

 ぜひとも御協力をお願いして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

赤澤委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 民進党の福田昭夫でございます。お疲れだと思いますけれども、もう少々おつき合いをいただきたいと思います。

 きょうは、一般質疑の時間でありますけれども、放射性廃棄物の処理方針などについて、経済産業省、原子力規制委員会及び東京電力の考え方をただしてまいりたいと思いますので、それぞれ簡潔にお答えください。

 まず、原子力発電所の廃炉に伴う放射性廃棄物の処理方針についてであります。

 一つ目と二つ目をあわせてお伺いいたします。一つ目の、廃炉に伴う放射性廃棄物の処理の基本的な考え方と、二つ目の、最終処分場候補地が決定し整備されるまでの対応方針についてであります。

 我が国の放射性廃棄物はどのように分類され、それぞれどのように処分しようとしているのか。まず、経産省の考え方をお聞きしたいと思います。

星野大臣政務官 お答えいたします。

 高レベル放射性廃棄物の最終処分の問題は、既に目の前にある問題でありまして、現世代で解決すべき問題だと認識をしております。これまで処分地選定が進んでこなかったことから、新たな取り組みを検討し、昨年五月、最終処分法に基づく基本方針を七年ぶりに改定いたしました。

 これまでのいわゆる手挙げ方式から転換をし、国がまず科学的有望地を提示し、地域の関心や理解を深めながら、前面に立って取り組むことといたしました。

 また、廃炉に伴い発生する低レベル放射性廃棄物についても安全に処分することが重要でございます。これを着実に進めるためには、いわゆる発生者責任の原則のもと、廃棄物を発生させた事業者が処分場の確保等に責任を持って取り組むことが不可欠だと認識をしております。

 なお、事業者が処分場を確保する上では地域の理解を得ていくことが重要でありまして、国としても、政策上の重要性等を丁寧に説明するなど、適切に対処していく考えでございます。

福田(昭)委員 先日、原子力規制委員会の方から、放射性廃棄物の種類とその処分方法というのをいただきました。使用済み核燃料が高レベル放射性廃棄物だ、それ以外は、四つの低レベル放射性廃棄物と、二つの、放射性物質として扱う必要がないものなどに分類されているようであります。

 四つの低レベル放射性廃棄物のうち、原子力発電所の廃棄物は、現状では放射能レベルの比較的高いものから極めて低いものまで、レベル1からレベル3に分類されているとのことですが、この廃棄物を処理する責任者はどなたでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 処分責任者は、原子炉の設置事業者でございます。

福田(昭)委員 私もこれを聞いて、確認してびっくりしたんですが、レベル1からレベル3まで、これらを廃棄物として処分する責任者は原子力事業者だというんですね。福島第一原発の事故を考えると、あるいは最終的な処分場がないということを考えると、原子力事業者もよく納得して始めたなということで、びっくりいたしております。

 高レベルの放射性廃棄物の最終処分場は、現在、手挙げ方式から国が選定するんだということに変わっておりますが、これとてなかなか決まらないんだと思うんですね。それは、御案内のとおり、日本は地震列島、火山列島ですから、それこそ何万年も安定した地層というのは本当にどこにあるかわからないというのが我が国の国土の性質といってもいいかと思うんですが、そういう状況になっておりますので、簡単に決まる話ではないと思っております。

 また、使用済み燃料を廃棄物として処分する場合は高レベル放射性廃棄物に該当しますけれども、我が国では使用済み燃料を再処理する方針なので、放射性廃棄物として扱っていないということなんですが、そのとおりなんですか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の、私どもの国の方針として使用済み燃料をどうするかということでございます。

 御指摘のとおり、再処理をするということでございます。再処理をするというのは、使用済み燃料の中からまだ資源として使えますウランとプルトニウムを取り出す。残り、どうしても使えない廃液というものがございます、これは放射性のものでございます、これをガラス固化体にする形にしまして、そして地層の深くに埋める、これが我が国のとっている方針でございます。

福田(昭)委員 そうすると、使用済み核燃料も、ガラス固化体として処分するまでの間は、実は廃棄物じゃないんですね、定義は。

 ですから、そうすると、たくさんの使用済み燃料があって、これをリサイクルすると言っていますが、これもまたうまくいっていないんですね。御案内のとおり、「もんじゅ」が動くんだか動かないかわからないし、日本原燃はもうだめだ、ほかのところを考えろ、こう言われている状況であります。

 そうした中で、低レベル放射性廃棄物はどこに最終処分するんですか。考え方は決まっているんですか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、低レベル放射性廃棄物、先ほど申し上げましたように、廃棄物の責任は炉の設置者にございます。その中で、各電力会社が共同出資で日本原燃という会社をつくりまして、そこで低レベル放射性廃棄物の一定部分につきまして処理する方針が決まってございます。

 その中で、濃度の高いL1と呼ばれるものがございます。こちらにつきましてどこでやるかということにつきましては、まだ現時点では決まっていないという状況でございます。

福田(昭)委員 先日、報道によりますと、原子力規制委員会は、原子力発電所の廃炉に伴って出る放射性廃棄物について、安全に処分する規制の基本的な考え方を示した、こういう報道がございますが、これは本当なんですか。

田中政府特別補佐人 原子力発電所の廃止措置で出てくるのは、おおむね低レベル廃棄物であります。その中で、L1からL3まで、先生さっき御指摘のとおり、高い方から低い方まであります。

 それで、L1というのは、制御棒とか炉内構造物ということになりまして、従来は余裕深度処分、ある程度地下深くということ、今私どもはそういう余裕深度というのはちょっと日本語として誤解を受けるので、中深度と。先ほどの高レベル廃棄物、ガラス固化体の方はいわゆる深地層処分ですから、それよりはもう少し浅いところで処分するという考え方をとっています。

 それについて、実は半減期の長いものがありますので、そういったものについてはある程度、制度的管理と申しておりますけれども、そういった少しソフト的な対応も必要だろうということで、今、関係省庁ともいろいろ調整させていただいております。

福田(昭)委員 ちなみにちょっと教えていただきたいんですが、原子力発電所の廃棄に伴って出てくる低レベルの、レベル1が比較的高いもの、レベル2が比較的低いもの、レベル3が極めて低いものと書いてありますが、これはベクレルでいうとどれぐらいの分類になっているんですか。

青木政府参考人 回答申し上げます。

 L1、L2、L3につきましては、それぞれ処分できるベクレルの程度というのを原子力規制委員会の規則で定めているところでございます。

 例えば、セシウム137について紹介いたしますと、最初に、トレンチ処分という、素掘りで処分するものですけれども、それにつきましては、セシウム137につきましては百メガベクレル・パー・トンというのが基準になってございます。また、いわゆる人工構造物をつくりまして、コンクリートピット等で処分しているもの、こちらにつきましては、セシウム137で百テラベクレル・パー・トンというのを上限値と定めているところでございます。

福田(昭)委員 低レベルといっても、今回の原発事故に伴う放射性廃棄物などを考えると、物すごい高いものですね、これは。本当に低レベルと言っていいのかどうかという、これは素人として物すごく強い不安を感じるようなそういうものだということを今勉強させていただきました。

 その低レベルについても、最終処分場、特にL1についてはまだ決まっていない、こういう話でありますので、今後、やはり原子力規制委員会としてもしっかり方針を定めて、原子力事業者がやれという話ですけれども、原子力事業者も多分困ると思うんですけれども、国と原子力事業者で相談の上、協議の上、しっかり方向を出す必要があるんじゃないかなと思います。

 そして、三つ目でありますが、三つ目は、日本原子力発電が進める東海原発の廃炉作業で発生する放射性廃棄物の処理方針についてであります。

 東海原発は、一九九八年、平成十年に運転を終了いたしました。国内の商用炉で最も早く廃炉作業が進められております。高レベルの放射性廃棄物、低レベルの放射性廃棄物、L1からL3、その他の廃棄物はそれぞれどこへ処分する考えなのか。

 今のところ、放射能レベルが極めて低いレベル3、上限値はいろいろ異なるようでありますが、レベル3のものを原発敷地内に埋設する計画書を原子力規制委員会に提出しているということだそうですが、それはそのとおりなんですか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 先生から御指摘いただいたように、日本原子力発電東海発電所につきましては、平成十八年六月三十日に廃止措置計画というのが認可されておりまして、その中で、放射性固体廃棄物につきましては、放射能レベル区分や性状に応じた処理を行って、廃棄事業者の廃棄施設に廃棄するというふうにされております。

 その中で、御指摘のありました放射能レベルの極めて低い廃棄物につきましては、東海発電所の隣接地であります東海第二発電所の敷地内に埋設処分をすることを目的としまして、平成二十七年七月十六日に日本原子力発電から第二種廃棄物埋設事業許可申請が行われているところでございます。

福田(昭)委員 そこで、四つ目でありますが、茨城県東海村長が低レベルの放射性廃棄物埋設を容認表明したことについてであります。

 東海村の山田村長は、レベル3の低レベルの放射性廃棄物を、第二原発と言いましたが、第二原発の敷地内に埋設処分することを容認して、三月の村議会に意見を求めるとの報道がありますが、その結果はどうなったんでしょうか。

星野大臣政務官 お答えいたします。

 東海村の村長が、東海発電所の廃炉に伴う低レベル放射性廃棄物の一部について、発電所の敷地内に処分することを容認する考えを示したとの報道がなされていることは承知をしております。

 しかしながら、東海発電所を所有する発電事業者、ここでは日本原子力発電になりますが、発電事業者によれば、まさに現在、東海村の村議会において処分受け入れの是非について議論が行われており、現時点では村長として正式に考えを示したことはないと聞いております。

 そうした中でコメントすることは差し控えさせていただきたいと考えております。

福田(昭)委員 そうすると、この新聞報道は誤報だということで、三月の村議会には意見を求めていないんですか、どうなんですか。

星野大臣政務官 お答えいたします。

 求めていると聞いておりますし、ただ、先ほども申し上げましたように、ここは微妙なところでありまして、私も大昔新聞記者でやっておりましたが、要するに、現時点では村長として正式に考えを示したことはない、現在、東海村の村議会において処分受け入れの是非について議論が行われております。

 そういう、恐縮ですけれども、仮定の話についてコメントすることは差し控えさせていただきたいと申し上げました。

福田(昭)委員 そうすると、村長は表明したことはないが、村議会では議論されているということですね。まだ結論は出ていない、継続審議になっている、こういうことですね、では。違うんですか。

星野大臣政務官 委員おっしゃるとおりでございます。

福田(昭)委員 わかりました。

 私は、もし東海村が引き受けるということになったら、画期的なことだと思うんです。物すごく画期的なことだと思います。まだ結論が出ていないようでありますから、それ以上は追及しませんけれども。

 そこで、次の、原子力発電所の再稼働の条件であります。

 原発の再稼働に当たっては、法令上規定されているのは原子力規制委員会の安全性の確認だけ。地元理解や地域防災、避難計画の策定は、再稼働に必要な法令上の要件となっていないのはどうしてですか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 原子炉の規制をしております炉規制法という法律がございます。その中では、プラントの安全性、それからまた地盤の安全性等々を確認していくということで規制基準をつくって、それの適合性を審査しているというふうに、そういう仕組みになっていると承知をしております。

 今先生お尋ねの、原子力発電所を動かす動かさないという点でございますが、これは一義的には事業者の責任であろう、事業者の判断だろう、こう考えております。

 今、私ども政府としてとっております方針でございますけれども、これは、高い独立性を有する原子力規制委員会が科学的、技術的に審査したものということで、そこに適合性が認められれば、その判断を尊重する、ただ、その判断を尊重しますけれども、その上で、地元の理解を得てやっていく。避難計画等々につきましては、これは法令上の要件にはなってございませんけれども、総理大臣を本部長とする原子力災害本部でしっかりと内容を確認して、その上で進める、こういった方針をとっているということでございます。

福田(昭)委員 原発は、原則四十年廃炉です。これから廃炉にしなくちゃならない原発がどんどん出てくるわけですけれども、廃炉に伴って出る放射性廃棄物の処分場も決まらない。高レベルももちろん決まらない、低レベルも、レベル3だってまだ東海村で引き受けてくれるかどうかもわからない。東京電力福島第一原発の事故に伴う福島県以外の放射性指定廃棄物の処分場も、どこも決まりません。福島県でさえ、三十年以内に県外へ持っていけと言っています。

 こうしたことを考えると、やはり再稼働の条件として、廃炉または事故があったときは、東海村の村長さんの表明がまだはっきりしていないそうでありますが、原発敷地内で処分するということに同意しなければ再稼働は認めない、そういう条件をつける必要があると私は思うんですけれども、どうでしょうか。

星野大臣政務官 お答えいたします。

 資源に乏しい我が国が、経済性、気候変動の問題にも配慮をしつつエネルギー供給の安定性を確保するためには、原子力は欠かすことができないと考えております。もちろん、安全性の確保が最優先であります。

 政府としては、高い独立性を有する原子力規制委員会が科学的、技術的に審査をし、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認めた原発のみ、その判断を尊重し、地元理解を得ながら再稼働を進めることとしております。

 その上で、万が一事故が起きた場合には、政府として、国民の生命、身体及び財産を守ることは重要な、重大な責務であり、責任を持って対処してまいります。

 そうした中で、万が一事故により放射性物質による汚染物が周辺地域に発生した場合にも、政府として適切に対応していく考えでございます。

福田(昭)委員 何を言っているんですか。福島第一原発の事故処理、全くできていないじゃないですか。政府がどこまで責任を持ってやっているんですか。

 午前中の質問で資料も提供したんですが、今は提供しておりませんが、環境省がつくった資料、これは二〇一四年度に二酸化炭素排出量がどうなったかという、推移をずっと示した表があります。これを見ると、二〇一四年度、実は原発稼働ゼロ。何が原発のかわりになったかというと、実は石炭火力発電所やLNGの火力発電所が代替をしております。原発がなくても、電気は全部供給できていますし、実は排出量も削減しています。ですから、エネルギー基本計画そのものが間違っているということです。それをこれは証明しています。全く要りません。

 しかも、石炭火力発電所は、新設が四十一基も今手が挙がっている。ですから、今稼働している火力発電所は相当老朽化したものもあると思うけれども、今全部、これは新しいものにかわろうとしている。そういうことを考えると、原子力発電所は実は全く要らないんですよ。

 ですから、そういう意味で、まさに、それこそよくトイレのないマンションをつくっていると言われますけれども、この原子力行政は、安全神話は崩れたわけだから、これをやめて、しっかりと日本の国のエネルギーも確保していく、そういう考え方に基づいて、温暖化対策も同時にやっていくということが大事だということを指摘しておきたいと思います。

 だんだん時間がなくなってきちゃったんで、次の方に行きたいと思いますが、東京電力の福島第一原発の事故に伴う放射性廃棄物の処理方針についてであります。

 まず一つ目でありますが、東京電力の放射性廃棄物処理に対する基本的な考え方についてであります。

 廃炉に伴う放射性廃棄物の処分は原子力事業者の責任だ、こういう話でありますけれども、福島第一原発の、高レベル、つまり使用済み核燃料、それから低レベル、廃炉に伴って出てくる低レベルの廃棄物、その他の廃棄物をどのように処分するのか、その基本的な考え方をお聞かせいただきたい。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 まさに今、これから三十年、四十年をかけて、福島第一原子力発電所の廃炉に取り組んでいるところでございます。これをやっていく中でかなりいろいろな種類の廃棄物が出てくるというのは、当然想像にかたくないところでございます。

 今これから、それをそれぞれ、レベルに応じて、形状に応じてどういうふうな形で処分していくのかということは、これはもちろん地元の御了解も得ながら今後検討していかなければいけないというふうに考えておりまして、今現在では、出てくる廃棄物を、形状であるとか放射線のレベルに応じてまず区別をして、それぞれ安全な形でとりあえずまず保管をするという形で進めておりまして、最終的にどうするかというのは、これからの判断でございます。

福田(昭)委員 今、廣瀬社長のお話のように、全くまだ何も決まっていないわけであります。

 そこで、二番目から四番目の質問を一度にやらせていただきますが、平成二十三年九月七日、当時の西沢俊夫東電社長が福島県議会で約束したこと、そのことなどについて、三点、あわせて伺います。

 資料の一をごらんいただきたいと思います。これは平成二十三年九月八日の福島民報です。

 当時の西沢社長は、福島県議会で、県、立地町の合意が前提だが、放射性廃棄物を原発内に処分することを検討すると表明したということですが、これは本当かどうか。また、なぜ福島第一原発敷地内を含めた東電関連施設で引き受けられなくなったのか。四つ目、福島県や立地町の合意が得られなかったのはなぜなのか。その辺、この三点、あわせてお伺いをいたします。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 先生がお配りいただいた福島民報、九月八日の新聞の記事、これを私も拝見いたしました。実際には、当時の社長西沢は、この前の日の九月の七日に、全員協議会でお答えをしております。

 御存じのように、この九月七日の当日のさかのぼること一週間前の二〇一一年八月三十日に、放射性物質汚染対処特別措置法の一部が施行されて、その中で、関係原子力事業者、この場合は私どもでございますけれども、の責務が明記されております。具体的には、国や地方公共団体が実施する環境汚染の対処に関する施策への協力や、専門的知識及び技術を有する者の派遣、放射線障害防護用器具、機材等の貸与、これらの必要な措置を講じなければならないというふうにされているのが、その一週間前に施行された特措法でございます。

 これを受けて、当時の西沢が、私も議事録を見ましたけれども、廃棄物の処理について国と相談しながら検討していくということを説明させていただいたというふうに承知しております。

 また、中間貯蔵施設についても幾つか答えておりますけれども、これは、この九月七日の後、一カ月後の十月にロードマップが出たところでございますので、この時点ではロードマップが出ておりません。したがいまして、九月の県議会全員協議会では、事故の当事者として、国と相談して最大限協力していくという旨のお話をさせていただいたというふうに承知しておるところでございます。

 福島第一の施設の中に引き受けられない理由ということでございますが、私ども、今回の事故で放射性物質に汚染された廃棄物は、これは、その後、二〇一二年の一月一日に放射性物質汚染対処特別措置法というのが全面的に施行されるわけでございますけれども、この法律に基づいて、キログラム当たり八千ベクレル超については国が処理を実施していただく、八千ベクレル以下については、当社の敷地内ではなく、廃棄物処理法に基づいて処理を進めていただけるということで認識しているところでございますので、そうした考え方でこれからも対応させていただきたいと思っております。

 もちろん、事故を起こした当事者でございますので、できる限りの協力はしていかなければいけないと考えております。

福田(昭)委員 それでは、五つ目の質問ですけれども、福島県からの福島第二原発の廃炉要請があったと思いますが、そのことがまだはっきりしておりません。

 先ほどもありましたが、日本原電も、東海第一原発の廃炉作業に伴って出る低レベルのものは第二原発の敷地に埋設をする、こういうことになっていますが、第二原発の廃炉要請、今の知事からの要請はあったんですか、ないんですか。

廣瀬参考人 福島第二について廃炉にしてほしいという御要請は、前知事からもございましたし、今の内堀知事からもいただいております。また、各市町村、県議会を初め、議会での決議としてもいただいているところでございます。その点については、私ども認識しております。

福田(昭)委員 それでは、今の知事からも廃炉の要請があるということですね。それに対して、まだ答えられない、こういう状況だということですね。

 そうすると、第一原発の廃炉に伴って、低レベルのものもどこに処分、どういうふうに処分するかも決まっていない、そういうことでありますが、そこで、六つ目でありますが、資料の二をごらんいただきたいと思います。

 これは、福島第一原発の敷地であり、その上の部分は七号機、八号機の建設予定地でありました。しかし、これはもう廃炉に決定したわけでありますから、ここに七号機、八号機をつくるということは不可能でありますけれども、全部で三百五十町歩ありまして、北の部分、全て双葉町に属しますけれども、約百ヘクタールが実は建設予定地であります。

 これをどう利用する考えがあるのか、その計画があったら教えていただきたいと思います。

赤澤委員長 申し合わせの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いします。

廣瀬参考人 お答えいたします。

 先ほどの繰り返しになりますが、今後、長い時間をかけて廃炉をしてまいります。その過程で大量の廃棄物が出るというふうに想像されておりますので、それをしっかり対処すべく、必要な収納、保管等の建物を、地元の御了解もいただきながら設置していきたいというふうに考えております。

福田(昭)委員 いずれにしても、まだ廃炉が道半ばということで、これからまた引き続きただしてまいりたいと思います。

 以上で終わります。

赤澤委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党と山本太郎となかまたち、玉城デニーです。

 きょうは、熊本、大分両県で続発している地震について、幾つか確認の点も含めて質問をさせていただきたいと思いますので、質問が重なるやもしれませんが、どうぞ御答弁については丁寧によろしくお願いしたいと思います。

 まず、この地震で亡くなられた方々及びその家族の皆様にはお悔やみを申し上げ、そして被害に遭われた皆様にはお見舞いを申し上げたいと思います。

 日本はやはり地震大国、災害大国ということはもう国民誰もが感じている、頭では認識しているけれども、自分の身に起こってみると、これほど大きな問題になるとは思わなかったという、その皆さんの悲痛な声が報道でも紹介されています。きょうは、この熊本、大分地方の地震に関連して質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 まず、地震発生の被害と対応についてお伺いいたしますが、気象庁と内閣府にそれぞれお伺いしたいと思います。

 この地震が発生してから、避難していらっしゃる方々のさまざまな必需品などの支援の報道が繰り返し報じられておりますが、その避難に対する対応、それからライフライン、インフラ、停電、断水、鉄道、交通などへの復旧対応等、その被害と対応について、まず、それぞれ御報告を兼ねて確認をしたいと思います。

上垣内政府参考人 お答えいたします。

 まず、地震の活動状況でございます。

 平成二十八年四月十四日二十一時二十六分ごろ、熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード六・五の地震が発生し、最大震度七を観測しております。その後、この地域で最大震度六強を観測する地震を含め、たくさんの地震が発生しておりました。そうした中、十六日未明の一時二十五分には、マグニチュード七・三の地震が発生し、最大震度六強を観測しております。この地震によって、広域にわたって強い揺れを観測しました。

 その後、強い揺れを伴う地震の発生は熊本地方にとどまらず、阿蘇地方で十六日三時五十五分に最大震度六強、大分県中部地方では十六日七時十一分に最大震度五弱の地震を観測しております。昨夜二十時四十二分にも、阿蘇地方で最大震度五強の地震が発生しているところであります。

 これらの地域全体で、本日十九日十五時現在、震度一以上を観測する地震の発生が六百十九回に及んでおりまして、活発な地震活動となっております。

 以上です。

米津政府参考人 お答えいたします。

 まず、政府では、四月十四日夜の地震発生直後から、内閣府に河野防災担当大臣を本部長とする非常災害対策本部を設置いたしまして、関係省庁が一体となって災害応急対策に万全を尽くしております。

 それから、被災地でございますけれども、熊本県庁に内閣府の松本副大臣を本部長とする現地対策本部を設置いたしておりまして、自衛隊、警察、消防、医療部隊等が夜を徹して、現在、捜索救助活動、生活支援に当たっております。特に、被害が集中しております南阿蘇村につきましては、引き続き、建物倒壊等によりまして下敷きになっておられる方がおられる可能性があるということで、捜索救助活動を実施しております。

 それから、委員御指摘の物資の件でございますけれども、被災地におきましては依然として物資が少ない状況が続いておりまして、例えば食料、水、トイレ、毛布等の物資につきましても、昨日からは自衛隊をフルに活用いたしまして、避難所にきちんと届くように全力を挙げているところでございます。

 また、委員御指摘のライフラインの関係でございますけれども、現時点で私どもが把握している限りでは、電力につきましては、約一万三千戸が停電しております。ガスにつきましては、約十万五千戸で供給が停止しております。水道につきましては、約九万五千戸で断水となっておりまして、引き続き復旧に当たっております。

 また、現在、多くの被災者の方が不自由な生活を余儀なくされておりまして、被災者の生活支援を迅速かつ強力に進めるということがもちろん重要でございますので、現場主義を徹底いたしまして、被災者の不安な気持ちにしっかり寄り添いながら、そのニーズを的確に把握して迅速に対応してまいりたいと思っております。

玉城委員 ありがとうございます。

 まずは、現状、多くの方々に被害が及んでいるということの確認をさせていただきました。

 それから、やはり、国民の皆さんが今回の地震で大きく気にしていらっしゃることは、地震による近隣の原発への影響です。

 九州電力は鹿児島に川内、佐賀に玄海原発、それから、四国電力は愛媛に伊方原発がありますね。その近隣の原発への影響について、どのように評価といいますか見ていらっしゃいますか。お聞かせください。

櫻田政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの、川内原発、あるいは玄海、伊方の原子力発電所への影響ということでございますが、原子力規制委員会といたしましては、所有している九州電力及び四国電力から、今回の地震によってこれらの原子力発電所に特段の影響は発生していないということの報告を受けてございます。

 原子力発電所には、一般でございますけれども、地震によって一定のレベル以上の揺れを検知した場合に、原子炉を自動的に停止させて安全を確保する、こういう機能がございます。

 現在、運転を継続している川内原子力発電所におきましてもこの機能がございますが、これまでに観測された地震動はそのレベルにまで達していないということで、自動停止をさせるような状況にはなかったということでございます。

 それから、玄海原子力発電所、伊方発電所にも同じような機能がございますが、現在、この二つの発電所は停止中ということでございますので、自動停止はそもそも必要がございませんが、既に原子炉の中には燃料がなくて、全部取り出された状態になってございます。とはいえ、この二つの発電所の観測値を見ましても、原子炉の自動停止を求めるようなレベルの地震動は観測されていないということでございます。

 原子力規制委員会といたしましては、引き続き、地震の状況を注視するとともに、原子力発電所の状況について、これも確認をしながら、情報発信に努めて、かつ、適切に対応してまいりたいと考えてございます。

玉城委員 では一点、再度確認をさせてください。

 規制委員会による川内原発の基準値について、正確な数字を教えていただけますか。

櫻田政府参考人 今、委員の御質問があったのは、原子力発電所の安全審査、適合性審査をしたときの設計基準の基準地震動の値ということでございましょうか。(玉城委員「はい」と呼ぶ)

 こちらにつきましては、幾つかの地震動を設定してございますけれども、代表的なものを申し上げれば、基準地震動として六百二十ガルという水平の地震動を設定しているところでございます。

玉城委員 ありがとうございます。

 つまり、その六百二十ガルに至らず、わずかな数字だったので停止しなかったということですね。はい、ありがとうございます。

 それから、私が今なぜ玄海と伊方の件も含めて質問をしたかといいますと、今回は活断層のずれによって地震が起こったということ、これは、全国では二千余りの活断層、そして九州でも二十七、二十八、数字は定かではありませんが、そのぐらいの活断層が確認されているという現状から鑑みると、今後、いつ活断層が原因となる地震が起こるか、内陸直下型の地震が起こるかについては、十分予見する必要があるのではないかというふうに思うからなんですね。

 では、今度は、活断層と今回の地震との関連性についてお伺いいたします。

 文科省にお伺いいたします。

 活断層が原因とする今回の地震の判断と、今後の対策、対応との関連についての見解をお聞かせください。

白間政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回の地震に際しまして、地震調査研究推進本部の地震調査委員会を、四月十五日と十七日に臨時会を開催いたしまして、今回の地震の発生メカニズム等の評価を行っているところでございます。

 これによりますと、その際、まず、今回の地震の震源の深さ、また観測された地殻変動、それに現地調査によります地表面の状況、こういったことを踏まえまして、今回の地震は活断層によるものであるという評価がなされているところでございます。

 このうち、四月十四日に発生をいたしました地震は、日奈久断層帯と呼ばれる断層帯の高野―白旗区間の活動によるものという評価がなされておりますし、また、四月十六日の地震につきましては、主に布田川断層帯の布田川区間の活動によるものという評価がなされているというところでございます。

玉城委員 文科省は、いわゆる活断層に関するパンフレットといいますか、副読本に近い印刷物を発行していらっしゃると思います。国内に多く存在する活断層に関する知識の啓蒙などについて、予見される地震との関連についてはどのように見ていらっしゃるか、お聞かせください。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のございました活断層の活動による地震につきましては、今委員の御指摘にもございましたように、我が国には主要な活断層だけでも九十七の活断層があるというふうに把握をしております。今後も同様な地震が発生すると考えられるところでございますので、委員御指摘のように、活断層についての知識を普及すること、また、防災教育等を学校できちんと行うことということが非常に大事になってくる、このように考えているところでございます。

 活断層についての知識の普及啓蒙といった点につきましては、先ほど申し上げました地震調査研究推進本部におきまして、こういった活断層についての基礎知識等の広報活動に力を注ぐ、また、全国の主要な活断層において発生する地震の規模等についての長期評価を行っておりますので、こういったことを自治体の方々また地域の方々にきちんと説明を行っていく、こういうことに努めていく必要があると思い、こういったことについて取り組んでいるところでございます。

 また、学校においても、防災教育という形で教員向けの参考資料をつくるなどして、学校における防災教育が充実するように力を入れているところでございます。

玉城委員 ありがとうございます。

 時間が迫っておりますので、質問を一つ省略させていただきまして、最後の質問は内閣府に質問をさせていただきたいと思います。

 政府の地震調査委員会は、十七日の臨時会で、マグニチュード七・三の地震について、布田川断層帯のうち、布田川区間の活動で引き起こされたとの見解をまとめています。

 今回、実は、全長十九キロと想定していたこの区間の断層ですが、阿蘇外輪山からさらに阿蘇山カルデラの下まで延び、全長約三十キロだったと判断をしています。平田委員長によりますと、この区間が実際は長く、想定していたマグニチュード七より大きなマグニチュード七・三の地震が起きたと述べています。

 つまり、活断層はどこがつながって、どこがずれを起こして地震の原因になるかということを常に予見するための体制と、そして、地震があった場合にはできるだけ速やかに避難する日ごろの計画や訓練がやはり必要であると思います。

 ましてや、きょう、私は原発とあわせまして質問をさせていただいておりますが、原発立地地域における地震災害発生等を予想した地方自治体及び広域自治体等の、単独もしくは広域自治体で連携した原発事故を想定した地震への対応などの避難計画と訓練の実施が必要であるということは、言うまでもないと思います。そのことについてお聞かせください。

山本政府参考人 委員御指摘のように、原子力災害と自然災害が複合して発生するということは当然想定して事前の対策をしっかりやっていくということが極めて大事でございます。

 特に、原子力災害につきましては、対策を実施する地域の範囲が半径三十キロ圏と極めて広い範囲にわたってございます。そのために、複数県にまたがったり、あるいは、避難先も三十キロ圏の外側に設置する必要がありますので、特に人口が多い場合は複数の県に避難をいただくというようなことが必要になってまいります。

 そうしますと、当該立地県だけでは対応が極めて難しい点がございますので、そのために、私ども国の方としましても、そういう関係する自治体をしっかり支援して、広域の避難ができる体制をしっかりつくっていくことが大事だと思っております。

 そのために、私ども内閣府におきましては、国とそれから広域避難を行います関係自治体も含めました地域の原子力防災協議会というものを設置いたしまして、今御指摘がありました広域避難も含めた避難体制の構築のための調整などを実施しまして、その上で実効的な避難計画を作成する、こういう体制をつくって進めているところでございます。

 それから、もう一つ御指摘がありました訓練は極めて大事でございまして、計画をつくっただけではなくて、その計画に従って実際に訓練を行い、そしてその改善点を見出してさらに実効性を向上していく、これに継続的に取り組んでいくことが極めて大事でございますので、計画の策定と訓練を通じまして避難の実効性をさらに高めていきたいというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

玉城委員 ありがとうございました。

 とにかく、現下の状況については、一日も早く皆様が安心、安全な生活に戻れるように全力を挙げて取り組んでいかれることをお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。ニフェーデービタン。

赤澤委員長 次回は、来る二十二日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三十八分散会


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