衆議院

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第11号 平成28年4月26日(火曜日)

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平成二十八年四月二十六日(火曜日)

    午前八時五十二分開議

 出席委員

   委員長 赤澤 亮正君

   理事 伊藤信太郎君 理事 石川 昭政君

   理事 北川 知克君 理事 助田 重義君

   理事 藤原  崇君 理事 福田 昭夫君

   理事 松田 直久君 理事 江田 康幸君

      穴見 陽一君    小倉 將信君

      鬼木  誠君    佐々木 紀君

      田中 和徳君    高橋ひなこ君

      寺田  稔君    福山  守君

      古田 圭一君    堀井  学君

      前川  恵君    牧原 秀樹君

      吉野 正芳君    菅  直人君

      田島 一成君    高井 崇志君

      中島 克仁君    馬淵 澄夫君

      真山 祐一君    塩川 鉄也君

      小沢 鋭仁君    河野 正美君

      玉城デニー君

    …………………………………

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    丸川 珠代君

   環境副大臣        平口  洋君

   環境大臣政務官      鬼木  誠君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            田中 俊一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官)  平井 裕秀君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           黒澤 利武君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           星野 岳穂君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            藤木 俊光君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        藤井 敏彦君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      多田 明弘君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         清水喜代志君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            三好 信俊君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  梶原 成元君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  奥主 喜美君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          櫻田 道夫君

   環境委員会専門員     関  武志君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十六日

 辞任         補欠選任

  白石  徹君     佐々木 紀君

  馬淵 澄夫君     高井 崇志君

同日

 辞任         補欠選任

  佐々木 紀君     古田 圭一君

  高井 崇志君     馬淵 澄夫君

同日

 辞任         補欠選任

  古田 圭一君     白石  徹君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五一号)


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     ――――◇―――――

赤澤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官平井裕秀君、経済産業省大臣官房審議官黒澤利武君、経済産業省大臣官房審議官星野岳穂君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長藤木俊光君、資源エネルギー庁資源・燃料部長藤井敏彦君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長多田明弘君、国土交通省大臣官房技術審議官清水喜代志君、環境省総合環境政策局長三好信俊君、環境省地球環境局長梶原成元君、環境省自然環境局長奥主喜美君、原子力規制庁原子力規制部長櫻田道夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤澤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤澤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福山守君。

福山委員 おはようございます。自由民主党の福山守でございます。

 本日は、機会をいただきまして、本当にありがとうございます。

 質問の冒頭ではございますけれども、まず、このたびの、十四日発災いたしました熊本そして大分両県を中心とした震災に心よりお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復興復旧が成りますよう、私どもも力いっぱい頑張ってまいりたいと思っております。よろしくお願い申し上げます。

 それでは、本日の地球温暖化対策法の質問に入りたいと思っております。

 けさも、宿舎から歩いてくるとき、まるで初夏のような暖かさでございます。近年、この我が国日本でも四十度近い、三十九度、三十八度は毎年あるという非常に高い温度になっておりますし、国際的に見ても北極海あるいはアルプスの氷河が解けておるというような報道が常になされておって、世界至るところでこの温暖化現象があるわけでございます。

 例えば、魚を例にとると、氷見のブリ、冬はおいしいんですけれども、ところが、このブリが最近北上しておりまして北海道の近くでとれるということで、堀井先生うなずいておられますけれども、そういうふうな、産地が変動しておるというようなことも言われております。

 では、産業革命以来、世界でどれぐらいこの温度が変化したかと申しますと、世界ではたった平均〇・八度ぐらいらしいです。日本では、いろいろ、海洋国の関係でしょうけれども、一度ぐらいだそうでございますけれども、それぐらいの変化でこのような大きな温暖化現象というのが起きてくるわけでございます。

 このまま何も手を加えずにいくと、今世紀末には恐らく四度を超えて五度近くまで上がるだろうということを言われております。また、二〇五〇年には二度は上がるだろうというふうに言われております。二度上がると何もシミュレーションができない。先ほど申し上げましたように、産業革命以来たった〇・八度で今のようなこの現状から考えますと、大変な状況になることが予想されております。

 本年もラニーニャ現象がありまして、恐らく温暖化の状況の中で非常に暑い夏で、猛暑であるというようなことも言われております。

 そこで、質問に入りたいと思いますけれども、このような状況の中で、昨年末に気候変動枠組み条約締約国会議、いわゆるCOP21においてパリ協定が採択され、去る本年四月二十二日にニューヨークの国連本部において百七十五の国と地域が署名をいたしました。パリ協定は、歴史上初めて全ての国が参加する合意であり、世界共通の長期目標として二度目標を設定し、全ての国が削減目標を定期的に提出、更新することや適応行動を実施することなどが盛り込まれました。

 これは、アメリカ、中国のような主要排出国を含む全ての国が積極的に交渉に参加し、排出量が急増する新興国をも含め、世界全体を動かす機運をつくることができたことによるものであります。

 今後、京都議定書のようにアメリカなどが方針を変えず、地球全体で温暖化対策に前向きに取り組んでいく機運を醸成し維持していくためにも、我が国がリーダーシップを発揮していくべきだと考えますが、丸川大臣の御所見をお伺いいたします。

丸川国務大臣 福山委員におかれましては、環境大臣政務官というお立場で環境行政にもお取り組みをいただき、さまざまな視点から先輩としての御指摘をいただいているところでございますが、事この地球温暖化対策については、昨年のパリ協定の合意、これは大変歴史的な大きな意味があったと私どもも認識をしております。

 ずっと私ども、全ての国が参加する公平で実効的な仕組みをということを申し上げ続けてきて、そのことが取り入れられたわけですが、中でも、この合意に向けた機運の醸成においては、世界の二大排出国でありますアメリカ及び中国が大変前向きに臨んできたこと、この姿勢が大きなよい影響を及ぼしたということを考えております。

 四月二十二日にパリ協定の署名式がニューヨークで行われましたけれども、ここにも百七十五の国と地域が参加をして署名をし、パリ協定の意義とその早期発効に向けた意思を確認いたしました。

 我が国としても、パリ協定の締結に向けて必要な準備を進めながら、本日から始まります日中韓三カ国環境大臣会合や五月のG7富山環境大臣会合等の機会を活用して、各国にパリ協定の早期締結を呼びかけてまいります。

 また、パリ協定をより実効的なものとするために、透明性に関する手続など詳細ルールの検討を今後進めていく必要がございます。この詳細ルールの構築に我が国として積極的に貢献をしてまいります。

 また、我が国のすぐれた低炭素技術や知見を活用して、都市間連携や人材の育成に関する協力を推進することで、世界全体の気候変動対策に貢献をしてまいります。

福山委員 ありがとうございます。

 大臣のそのやわらかいほほ笑みの中で温かく包み込むような形で、どうかリーダーシップをとって、世界の中でこの温暖化対策をしっかりとっていってほしいと思います。

 今御答弁の中にありましたけれども、日中韓の環境相会議、まさに隣国の日中韓というのがやはり一番大きな問題になろうかと思っております。特に、今現在言われている、我々が幼いころ、もう四十数年前ですけれども、光化学スモッグというのが日本は非常に大きく取り上げられました。そういう環境問題を取り上げられて、中国、まさにオリンピックのときもそうですけれども、今もそうですけれども、北京のスモッグの中、あるいはPM二・五、いろいろな形で、偏西風に乗って我が国に与える影響も非常に大きなものがございます。

 こういう形の中でいけば、やはり隣国との国際関係、これは非常に大きな問題となると思いますので、この日中韓、これについて、大臣の御所見、どう臨むのかもあわせて、お願いいたします。

丸川国務大臣 御指摘のとおり、中国や韓国との協力は非常に重要でございます。日中韓三カ国が協力を継続、強化しながら、共通の課題の一つである地球温暖化対策に取り組むことが重要と考えております。

 本日午後、日中韓三カ国環境大臣会合に出席するため、私は静岡へ向かいます。本日、中国及び韓国の大臣と、それぞれバイ会談を行う予定にしております。

 昨年、この会合で共同行動計画を採択いたしました。この中では、気候変動対応や大気環境改善など九つの優先分野について具体的な活動を定めておりまして、今回は、その進捗状況について初めて確認をする機会を持たせていただきます。

 特に中国とは、大気汚染等の環境対策と温暖化対策を同時に実現するコベネフィットアプローチの推進に取り組んでまいりました。

 委員御指摘のとおり、我が国は経験と知見を持ち合わせております。そして、すぐれた環境技術においても貢献できる部分がございますので、こうしたものを共有することを通じて、中韓両国の温暖化対策を後押しするとともに、世界の排出削減にも貢献をできるよう、この三カ国環境大臣会合の枠組みを軸とした連携協力の着実な推進を図るべく、議長としてしっかり議論をリードしてまいりたいと考えております。

福山委員 本当に、今の大臣の御答弁をいただきまして、心強いものがございます。しっかりと、議長国として、よろしくお願いをいたしたいと思います。

 そして、先ほど来答弁の中でいただきました問題ですけれども、我が国は、低炭素における産業とか、あるいは従来の経済、ずっと右肩上がりの成長した段階の中のCO2対策については、世界に冠たるものを持っております。やはりこれからの世界の中で、この日本の持っているノウハウ、そして技術というものは世界ではトップだと私自身感じております。

 そういう中で、これから世界が一つになって地球温暖化に取り組もうという機運が醸成された中でございますので、こういう中で、環境省がやはり中心になって、そういう技術的な、機械類も含めたそういうものを、例えば経産省、あるいは外務省、あるいは国交省とか、そういうものを合わせた中で、やはり一つのリーダーとして環境省がこういう形で世界を引っ張っていくような、まさに環境ビジネス、こういう形で引っ張っていけないかということをちょっと伺いたいと思います。

丸川国務大臣 私どもの技術は世界全体で見ても貢献できる力を持ったものであるという認識を持っております。こうしたすぐれた低炭素技術を世界に展開することが、今委員が御指摘になった環境ビジネスという形で発展をということに当たるのではないかと思っております。

 LED、また次世代自動車、燃料電池などの我が国のすぐれた技術というのは、とりわけどこの、先進国だからこれが当てはまるとか途上国だからこれが当てはまるということでなくて、世界全体が今後パリ協定の合意に基づいて底上げされていく中で、あらゆるフェーズにある経済の発展段階で生かしていただける技術だと思っております。

 環境省として今取り組んでおります中でも、特に窒化ガリウムを活用した半導体、こうしたものは基盤の技術でございますので、経済の、社会のあらゆる場面でベースとなって省エネルギーを推進する力になり得ますし、また、セルロースナノファイバーなどの革新的技術については、今後とも研究開発をさらに進めてまいります。

 そして、仕組みとして、JCM等を初めとする二国間の具体的なプロジェクトの実施を通じた低炭素技術の普及、これも環境ビジネスと一体となって、我が国が世界に貢献できるものであると思います。

 加えて、大気汚染などの環境対策と温室効果ガスの排出削減を実現するコベネフィットアプローチについては、私どもは、既に汎用化された技術を世界に展開することによって世界に貢献できるということでもあろうかと思います。

 今後、国際機関とも協力しながら、また、関係府省庁とも協力をしながら、こうした技術の普及を目的としたセミナー等を、アジアにかかわらず、東ヨーロッパ等でも開催してまいります。

 環境省としては、今後とも、JCM等を初めとする二国間の具体的なプロジェクトの実施や、環境大臣会合及びハイレベルの環境政策対話等の機会を活用しまして、我が国の低炭素技術の開発や普及についての取り組みを世界に発信してまいりたいと存じます。

福山委員 どうかよろしくお願いいたします。

 続きまして、個別な問題に入ってまいりたいと思います。

 CO2を二〇三〇年二六%削減や二〇五〇年八〇%削減を達成した社会は、我慢ばかりの貧しい社会ではないかというふうなことも言われます。しかし、また逆に考えれば、明るい未来、社会であるとも思います。

 鬼木政務官としてはどのような社会像のイメージを持っているのか、お伺いをしたいと思います。

鬼木大臣政務官 議員御指摘のとおり、二〇三〇年二六%削減や二〇五〇年八〇%削減を達成した社会は、自分たちの子供や孫たちの世代が健やかで豊かな社会生活を営むことができるような社会にしていかなければならないと考えております。

 今後必要となる大幅な排出削減に向けては、地域の資源、技術革新、創意工夫を生かし、経済の発展や質の高い国民生活の実現、地域の活性化にもつなげていくことが必要だと考えており、その旨を、現在策定中の地球温暖化対策計画案においても、対策の基本的な考え方として位置づけております。

 また、中長期的な骨太な戦略を議論するために環境省が立ち上げました気候変動長期戦略懇談会の提言では、二〇五〇年八〇%削減が実現した社会の絵姿の一例として、再エネや火力発電所へのCCS導入等により低炭素電源が九割以上となる姿、また、断熱性向上や省エネ機器の利用等と相まって家庭や業務部門ではゼロエミッション化がほぼ達成されるといった絵姿を示していただきました。

 環境省としては、今後の長期大幅削減に向け、こうした目指すべき明るい未来、社会の絵姿を示すため、長期低炭素ビジョンの検討に着手していきたいと考えております。

 以上です。

福山委員 明るい未来につながるのであれば、賛同してくれる民間企業も多いのではないかと思います。

 国民運動、普及啓発運動についてどのように民間企業を巻き込んで行うのか、具体的なそういうアクションプランがありましたら、お教え願いたいと思います。

鬼木大臣政務官 福山委員の御指摘のとおり、地球温暖化対策に関する国民運動を推進していく上では、民間企業に参画していただくことは極めて重要だと認識しております。

 そこで、総理からの指示も受けまして、環境大臣がチーム長となり、経済界などをメンバーとして、効果的な普及啓発を行うためのクールチョイス推進チームを設置いたします。

 その中で、LED照明や省エネ家電、エコカー、省エネ住宅を初めとする国民運動の分野ごとに、関連する民間企業等と連携をいたしてまいります。地球温暖化対策の効果に加え、生活コストの低減や快適で健康的な暮らし等のメリットを国民にわかりやすく伝えることを含めて、行動に結びつく効果的な普及啓発の手法を検討し、実施していきたいと考えております。

 以上です。

福山委員 国民運動においては、まず、なぜこうした取り組みを行わなければいけないのか、国民に理解をいただくことが何よりも重要であります。そのためには、気候変動の影響がいかに深刻なのか、また、CO2削減に取り組むことが実は財布や健康に優しいといったメリットをわかりやすく伝えることが大事だと思うのであります。

 この場で、わかりやすくこのあたりを国民に御紹介していただければと思います。

鬼木大臣政務官 国民にわかりやすく伝えるということは、本当に大事なことだと思います。また、この場でその説明をさせていただく機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まずは、気候変動の影響についてお答えいたします。

 近年、我が国において、集中豪雨等により自然災害が頻発するほか、高温による農作物の品質低下や熱中症による多数の方の救急搬送が生じるなど、甚大な被害が発生しております。今後、温暖化が進めば、自然災害や渇水の深刻化や農作物の品質の一層の低下、夏季の熱波による死亡率の増加、多くの種の絶滅などが懸念されております。

 こうした科学的な知見をわかりやすい形で国民に発信することにより、危機意識の浸透を図り、国民一人一人の意識と行動への機運を醸成してまいります。

 また、次に、CO2削減に取り組むことのメリットについてお答えいたします。

 例を挙げますと、冷蔵庫やエアコンを省エネ型のものに買いかえると、光熱費を節約できるだけではなく、長期的には生活コストを低減できるといったこと、また、白熱電球からLED照明に買いかえた場合、約八〇%の省エネとなることに加え、寿命も約四十倍あるため、長く使えて経済的であるということ、また、省エネリフォームにより窓やサッシを高断熱にすると、冷暖房の光熱費を節約でき、さらに、室温差が小さくなり、急激な温度変化の体への影響を緩和でき、快適で健康的であるといったメリットがございます。

 このような、地球温暖化対策の効果に加え、生活コストの低減や快適で健康的な暮らし等のメリットをしっかりアピールし、効果的に国民運動を展開してまいります。

 以上です。

福山委員 ありがとうございました。国民にわかりやすく、広くこれを浸透していくことが非常に大事だと思っております。

 だから、こういう意味で、私は次に環境教育という点を指摘したいと思うんです。

 やはり、地球温暖化、こういう問題一つ一つについて一体どれだけ理解をしていただけるか。今これをやらないとこういう形になる、それを個人がやる、全体がやる、いろいろな形がある。一人一人がやるということをしっかりと自分で理解をしなければいけない。

 これを辛抱しなきゃいけないからそれが不幸なんだというふうな考え方、これから先は大変な社会というのではなしに、これから先が、未来があるような社会にする、子供たちや孫たちのためにこういうふうな形でするということをしっかりと国民運動の中で教えていただきたいと思います。

 そういう意味の中で、環境教育というのが私は非常に大きな課題だと思います。小さなころから環境問題を子供たちに教えていく、それが大きくなってそのまま継続できるような国民運動につなげていく、これが私は大きな教育だと思っております。

 今、小学校の中で環境教育の副読本は、たしか四年生ぐらいでやっていると思います。我が県はそういうのをやっておって、実は、私は県議時代、もう二十数年前に提案して、当時岐阜県の方に視察に行きまして、それで取り入れた覚えがあります。それは温暖化とは直接関係ないんですけれども、みそ汁一杯、淡水魚がどれだけの水で生きられるかということも書いてあるんですね。これが約八百リッターから千リッター、風呂おけ二杯半要るということなんです。

 今は都会の方では公共下水道、ガス、非常に盛んですけれども、我々、私のふるさと徳島は特に日本一公共下水道の普及率が悪いところなんですね。だから、そういう意味で、非常にやはり河川が汚れる。そういうことも教えていく、全て教えていくことが必要だと思うんです。

 先ほど言いましたように、子供たちにそれを教えることによって国民運動につながる。それがひいては、ずっと代々つながっていって、地球温暖化教育ができるということと思っております。

 そういう意味で、今後の環境教育について、平口副大臣の方からお答え願えればと思っております。よろしくお願いいたします。

平口副大臣 お答えいたします。

 委員が御指摘のとおり、温室効果ガス排出削減のためには、国民一人一人の行動を喚起することが必要であり、あらゆる場で環境教育を実践していくことが重要であると考えております。

 環境教育につきましては、環境教育等促進法に基づき省庁横断的に推進しておりまして、環境省においては、地方環境パートナーシップオフィスを活用して、地域の連携体制づくりや地域環境教育プログラムの作成等に取り組んでいるところでございます。

 今後は、こうしたこれまでの環境教育の成果も生かしながら、現在策定中の地球温暖化対策計画において、気候変動による影響等の正確な情報を国民にわかりやすく伝える者を養成し、教育現場で御活躍いただく取り組みを盛り込むなど、関係省庁とも連携して、地球温暖化対策に係る環境教育の一層の充実に努めてまいりたいと思っております。

 以上です。

福山委員 どうか、そういう環境教育、これは子供たちだけでなしに国民運動として地域コミュニティーの中にもしっかりと取り入れて、この地球温暖化を国民一丸となった運動として取り組めるようにお願いを申し上げたいと思います。

 続きまして、今回の熊本の地震を見ても、災害時のエネルギーの確保という問題は人命を救うために大変重要であるということが改めてわかったと思います。

 そのような意味でも、地域の分散型の再生可能エネルギーによるエネルギー供給体制を確保することは、温暖化対策と災害に強い地域づくりを両方実現する取り組みだと思いますが、こうした取り組みを今後どのように進めていくのか、お伺いをいたします。

梶原政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のとおり、再生可能エネルギーを活用したエネルギーの地産地消といったようなことを推進することは、もちろん地球温暖化対策として極めて重要であると同時に、例えば、地域外へのエネルギー代金の支払いを抑えて、地域での経済の好循環につながるといったようなことに加え、さらには、電源の分散化によりまして、災害時の強靱性、いわゆるレジリエンスの強化につながるものと考えております。

 こうした考え方のもと、私ども環境省といたしましては、再生可能エネルギー等の地域でつくったエネルギーを地域で消費するエネルギーシステムの技術実証等に取り組んでいるところでございます。

 例えば、東日本大震災で被災いたしました宮城県の東松島市におきまして、災害公営住宅とその周辺の病院、公共施設を自営線で結びまして、太陽光発電と蓄電池の組み合わせによりまして地区内でのエネルギーの地産地消を実現するという実証も行っているところでございます。

 このような取り組みを通じまして、災害にも強い自立分散型の低炭素社会を実現してまいる、こういうことで進めてまいりたいと思っておるところでございます。

福山委員 このたび、被災地の皆さんもそれぞれ避難場所に行きました。それで、これはもっと小さい話になってしまうんですけれども、そういうときに一番大事なのはやはり燃料、エネルギーだと私は思っております。

 そういう意味で、例えば中越沖地震のときにそうですけれども、例えば新潟なんかは天然ガスが非常に多いところなんですけれども、あそこはLPガスを県条例で、県議会で定めておるんですね。それは何かというと、それぞれ、都市ガスとかああいう形だと、低圧ガスの場合は、途中で折れたり切れたりして、みんな大もとでとまってしまう、それでエネルギーとして利用できない。それで、LPガスみたいなタンクであれば、その場所にそのまま置いておけば使える。

 最近、ソフトバンクの方で、中圧ガスでする、中圧ガスという非常に強い配管らしいんです、それで視察にも行きました。部会の方で行かせていただいたことがあるんですけれども。そういうのを見ても、私は強いことは強いなと思いますけれども、しかし、それが流れていない地域、あるいはそういう田舎の方の地域に行くと中圧ガスなんかはないわけですね。だから、LPガスで発電できるような機械はないのか。そういうものを今開発されているそうです。

 そういうことも考えれば、発電も可能そしてまた燃料としても使えるという意味で、私はそういうことも、これからの震災のことは考えていくべきかな、かように思っております。

 最後に、私どもの地元でもありますけれども、現在公表されている地球温暖化対策計画案において、LEDなどの高効率照明を二〇三〇年までにストックで一〇〇%普及することを目指していますが、LEDの生産について、我が地元の徳島県は世界的なシェアを有し、関連企業が集積しております。

 このように、地方にある技術が地球温暖化対策に資することも考えられますが、環境省として、地球温暖化対策技術の開発や普及促進にどのように取り組むのか、お伺いをいたします。

梶原政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘の例示として挙げていただきましたLED等の高効率照明、これにつきましては、二〇三〇年二六%減、そして二〇三〇年以降の対策を進める上で極めて重要な対策の一つだと考えてございます。

 そのために、環境省におきましては、地球温暖化対策税の税収をも活用いたしまして、LEDに関するCO2削減効果の高い技術の開発、実証を支援するとともに、民生部門を中心といたしましてLED照明の導入支援を図っているところでございます。

 具体的には、技術開発、実証という点につきましては、ノーベル賞を受賞いたしました青色LED関連技術を活用して、照明ということからさらにパワーデバイス、半導体の効率を大きく向上させます窒化ガリウム半導体の開発、実証を進めるといったようなこと、さらには、既存の低炭素技術の普及ということで、業務用ビルとか賃貸住宅へのLED照明等の導入による省エネ化の支援、そして、政府実行計画に基づく公共施設でのLED照明の率先導入等といったようなことを実施していきたいと考えております。

 このさまざまな技術、その施行も含めて、中小企業の方々も含めていろいろな方々が関与していただいているところでございます。私どもといたしましては、こういったような新しい技術が普及することで、いろいろな方々の雇用の拡大でありますとか経済の循環といったようなことも含めまして、地球温暖化対策を進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

福山委員 まさに地球の未来はこの地球温暖化法にかかっているということで、丸川大臣初め環境省の皆様のこれからのますますの御尽力を心より御期待申し上げます。

 そしてまた、大臣はきょうお昼から日中韓三カ国の大事な会議でございます。議長国としてしっかりまた頑張っていただくことを心からお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。

赤澤委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 おはようございます。日本共産党の塩川鉄也です。

 地球温暖化対策推進法について質問をいたします。

 二〇三〇年度における温暖化ガス排出量二六%削減は、家庭部門においては四割の削減とされております。政府は、国民運動の強化といって、低炭素製品への買いかえや低炭素サービスの選択、低炭素なライフスタイル転換といったクールチョイスを推進するとしております。

 そこで、環境省にお尋ねしますが、低炭素マーケットの拡大、創出ともいうわけですけれども、ということは国民の経済負担を伴うわけですけれども、こういった政府の家庭部門の四割削減、国民運動の強化、この点で国民の負担額というのはどのぐらいかかるのか、どのように見積もっているのか、このことについて説明をお願いします。

梶原政府参考人 お答え申し上げます。

 家庭部門におきます温室効果ガス削減のために必要となるコストにつきましては、長期的に元が取れるものであると考えておりまして、必ずしも長期的に負担を求めていくものということとは考えてございません。

 例えば、照明を従来の白熱電球からLED電球に買いかえた場合でございますけれども、白熱電球に比べて約八〇%の省エネになります。そして、価格につきましても、LED照明が二千円だといたしましても、約九カ月で投資回収ができるという試算があるだけでなく、寿命も約四十倍長いということになりますので、地球温暖化対策に資するというほか、経済的にもメリットがあるということでございます。

 私どもといたしましては、家庭部門での対策のメリット、これをわかりやすく国民の方々にお伝えすることが大変重要であるというふうに考えておりまして、政府として、低炭素な製品、サービス、そして行動を促すクールチョイスを訴えてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

塩川委員 もちろん将来的にはペイをする、そういう話もあるわけですけれども、初期経費としてどれだけかかるかというのは、それはそれとして大きなものがあるわけでありまして、そういうことについてきちんとした数字も持ち合わせていないということは、この点をとっても問題だと言わざるを得ません。

 普及啓発というお話でしたけれども、家庭部門四割削減のために行うといっても、全体に占める家庭の割合というのが一五%のうち、一一%というのは電力由来の排出量が寄与しているわけであります。ですから、よく家庭、民生四割削減とかと言われますけれども、この点について言えば、電力業界の取り組みこそ問われているんじゃないですか。

梶原政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国におきますエネルギー起源の二酸化炭素排出量のうち、電力由来の排出量が約四割を占めております。そういう観点で考えますと、電力部門の対策は極めて重要でございます。

 そして、今、家庭部門の御指摘でございますけれども、家庭部門において約四割の削減が必要であるというふうに考えておりますけれども、そのうち、二六%分につきましては、電力部門での排出係数の改善努力によってこれを補うということでございます。

 したがいまして、繰り返しますが、四割といううちの二六%は電力の部門で削減し、一四%につきましては省エネで対応するということを計画しておるところでございます。

塩川委員 電力業界の取り組みこそ重要であるわけで、国立環境研究所の温室効果ガス排出量の取りまとめにおいて、家庭部門の排出量の増加は、火力発電の増加により電力の排出原単位が悪化したこと等によるとあります。

 ですから、まさに火力のたき増しということがあったわけですけれども、そういうときに、今、石炭火力をどんどんどんどんつくり続ける、こういう石炭火力をふやす電力業界の取り組みというのが結果として地球温暖化に逆行する、そういうものにならざるを得ないんじゃないか。大臣の御見解を伺います。

丸川国務大臣 電力部門がどのように二酸化炭素排出、グリーンハウスガスの排出を減らしていくかというのは非常に重要な課題であることは、私どもも深く認識をしているところでございます。

 電気事業分野をどうしていくかということで、私ども、従前より電力業界に対して、自主的な枠組みをきっちりつくって、そしてこれをどう回していくのかお示しくださいというお願いをしておりました。

 実効性ある地球温暖化対策について、電力分野については、林経済産業大臣とも御相談をさせていただきまして、二月九日にその内容を公表させていただきました。

 その中には、自主的枠組みの実効性、透明性の向上等を促すということとともに、省エネ法やエネルギー供給構造高度化法について、エネルギーミックスと整合する基準を新たに設定していただいて、経済産業省に責任を持って運用していただくということによって、電力業界全体の取り組みの実効性を確保することとしております。

 こうした取り組みによって、老朽火力の休廃止や稼働率の低減、火力発電の高効率化等を促進してまいります。また、取り組みが継続的に実効を上げているか、毎年度、進捗状況をレビューいたします。環境省としてもこれはレビューをさせていただきます。そして、目標の達成ができないと判断される場合には、施策の見直し等も予断を持たずに検討してまいりたいと考えております。

 以上です。

塩川委員 エネルギーミックスと整合的ということになれば、原発の再稼働ということに当然なるわけですし、石炭火力も位置づけるということになるわけであります。何かあれば最後に施策の見直しを求めると言いますが、この点について何らかの強制力が働くものでもありません。

 電力業界の自主的枠組みというのは、今の電力自由化の競争のもとでどのように達成するのか、その具体策が見えてこない。もともと原単位目標であり、CO2排出量の抑制策もないということも指摘をしなければなりません。石炭火力の新増設を推進する一方で国民にツケを回すようなやり方は本末転倒だということを指摘しておくものであります。

 そこで、地球温暖化対策計画案にあります二国間オフセットクレジット制度、JCMについてお尋ねします。

 このJCMというのはいかなるものかについて、まず最初に御説明をお願いいたします。

梶原政府参考人 お答え申し上げます。

 二国間クレジット制度、JCMにつきましては、途上国への温室効果ガス削減技術、製品、システム、サービス、インフラ等の普及や対策実施を通じまして実現する温室効果ガスの排出削減そして吸収への我が国の貢献を定量的に評価いたしますとともに、我が国の削減目標の達成に活用する、そういった制度でございます。

塩川委員 日本からの排出削減への貢献を評価し、我が国の削減目標の達成に活用するということであります。

 この地球温暖化対策計画案に書かれておりますけれども、政府の事業によるJCMの記載があるわけですね。毎年度の予算の範囲内で行う政府の事業により三〇年度までの累積で五千万から一億トンの国際的な排出削減、吸収量が見込まれるとありますけれども、これはどういうことなんでしょうか。説明してもらえますか。

梶原政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のように、地球温暖化対策計画案におきましては、JCMによりまして、毎年度の予算の範囲内で行う政府の事業によりまして、二〇三〇年までの累積で五千万トンから一億トンのCO2の国際的な排出削減、吸収量を見込んでおるところでございます。

 この中身でございますけれども、例えば、民間企業がJCMのパートナー国、現在十六カ国ございますけれども、これに低炭素技術を導入するプロジェクトを行う場合に、その初期投資の一部を助成いたしまして、そしてその排出削減、吸収量のうち二分の一以上をJCMクレジットとして獲得するというJCM設備補助事業や、アジア開発銀行と連携いたしまして、低炭素技術を導入するプロジェクトの追加コストをADB、アジア開発銀行の中に設置いたしました基金により支援いたしまして、その排出削減量の一部を獲得する事業、そして、低炭素技術の海外における有効性を実証するためのプロジェクトを支援し、排出削減効果等の当該技術の有効性を確認する実証事業等を行っているというところでございます。

 こういったような政府の事業を通じまして、クレジットの獲得、そして我が国の技術を中心とした低炭素技術による海外への支援を進めていくというものでございます。

塩川委員 政府の助成などによってクレジットを獲得するということであります。

 あわせて、民間ベースの事業と書いてあるんですけれども、これはどういうものでしょうか。

梶原政府参考人 地球温暖化対策計画案におきましては、JCMによりまして、毎年度の予算の範囲内で行う日本政府の事業とは別に、民間ベースの事業にも言及をしているところでございます。

 これは、民間資金によりましてJCMを実施するスキームを想定しております。そして、その内容につきましては、現在検討を行っているところでございます。

塩川委員 民間資金によるものということです。

 先ほど、政府の資金を使って初期投資の一部の助成を行う、その助成に見合って二分の一以上についてクレジットを獲得する、それがJCMのスキームとしてありましたから、これの民間バージョンということで、民間が資金を出します、例えば、メーカーが初期投資に係る経費について値下げをします、その値下げ分についてクレジットとして獲得をする、あるいは、商社が導入に当たって寄附をする、そういった寄附について一部をクレジットとして獲得する、そんなイメージということでよろしいですか。

梶原政府参考人 今後、具体的に民間の事業者の方々が行われるビジネスモデルがどういうものになるかというものを見ながら、実際のスキームを考えていく必要があろうかと思います。

 例えば、今御指摘のようなケースもあり得るかもしれませんし、さらには、REDDプラスと申しまして、途上国の森林が劣化をしたりあるいは森林減少が起こったりすることを防ぐといったような事業もございます。そういったような事業を認証していくといったようなスキームも将来考えられるのかもしれません。

 いずれにいたしましても、どのような形になるのか、さらに今後、実態を踏まえながら、民間の方々そしてパートナーとなる途上国の政府の方々とも相談しながら、具体的なスキームをつくってまいりたいというふうに考えております。

塩川委員 国内の削減努力ということではなくて、民間企業が海外での削減にかかわる、そういう事業によってクレジットを獲得する。それがだから民間企業にすればみずからの削減目標にカウントをされるという仕組みになってくるわけであります。

 地球温暖化対策計画案には、JCMについては、温室効果ガス削減目標積み上げの基礎としていないが、日本として獲得した排出削減、吸収量を我が国の削減として適切にカウントをすると述べています。先ほどの説明でも我が国の削減目標の達成に活用とあったわけですけれども、これは、つまり、二六%の積み上げには入れていないけれども、もし二六%に届かないような場合があれば、その穴埋めをJCMでするということも可能ということになりますかね。

梶原政府参考人 地球温暖化対策計画案におきまして、二六%削減目標というものを出してございます。これは、二〇三〇年度におきます国内の排出削減そして吸収量を積み上げたものでございます。したがいまして、この積み上げにはJCMによる削減というような分を含めておりません。

 ただ、JCMにつきましては、途上国で実現をした排出削減、吸収量への我が国の貢献を適切に評価していただき、そして我が国の削減目標の達成に活用できる制度でもございますので、獲得をしたJCMクレジットについては削減分として適切にカウントするということを予定しているところでございます。

 いずれにいたしましても、二六%の削減につきましては、国内の対策、そして吸収量のもので積み上げたものでございますので、JCMについてはこの削減目標に含まれていないということでございます。

塩川委員 二六%の積み上げには含まれていない、それはわかるんです。

 約束草案で二六%、国際的な約束をしました。それ自身は重いものだと思います。国際的に見て極めて不十分だということもつけ加えるものでありますけれども。そういった際に、しかし、二六%に届かないような場合であっても、このJCMを使えば、それを当然同じようにカウントするわけですから、そういう意味では、このJCMについて、いわば二六%の積み上げの内数ではないけれども、二六%を達成する場合にはそれも当然カウントをし得る。

 つまり、二六%に絶対このJCMは入らないということは言えるんですか。

梶原政府参考人 削減の状況につきましては、どういう形で削減をしたかということについては国連等に報告をすることになります。その際に、例えば、吸収源でどの程度削減をしたか、あるいは、エネルギー起源の二酸化炭素でどういう形で削減をしたかといったような形と同時に、こういったJCMの対策でどれだけ削減をしたかといったようなことについてもあわせて報告をすることとしております。

 そういったようなことで、実際にどういったような形で日本が削減に成功しているか、あるいは世界に貢献していくのかということを報告できるものと考えております。

塩川委員 経産省にお尋ねします。

 経産省のJCMについての説明ペーパーにおいても、このJCMの活用で、我が国の削減目標の達成に活用と書いてあるわけですよね。それはそのとおりですね。

星野政府参考人 そのとおりでございます。

塩川委員 ですから、我が国の削減目標の達成に活用ということであれば、二六%の達成に活用するということも含んでいるということですね。

星野政府参考人 お答えいたします。

 我が国のCO2削減をどのような手段で達成していくかというのは、先ほどの答弁にもございましたように、国連の方に報告をしまして、全体として評価されるものと理解しております。

塩川委員 二六%の積み上げにJCMは入っていないけれども、でも、このJCMについて、我が国の削減として適切にカウントをするということですから、その他の積み上げで二六%にいかなかった場合でも、このJCMの積み上げで二六%にいきますよということが当然通る話でしょうということなんですけれども、その点については否定できるんですか。では、環境省。

梶原政府参考人 繰り返して恐縮でございますけれども、二六%の削減の積み上げは、国内の対策、排出削減対策あるいは吸収源対策で積み上げて実施をしていく予定でございます。

 ただ、国際的に認められているこういう市場を使いました削減につきましては、我が国として世界に貢献する大きな、重要な施策だと思ってございます。その分についても、しっかりとカウントできるという形にするのが日本の貢献としては適切だと考えておりまして、そういったような実績につきましても、しっかりと国際的に報告をしてまいりたいというふうに考えております。

塩川委員 日本の削減目標達成に活用とあるわけですから、当然のことながら、二六%に含んでいくということにならざるを得ません。

 現場でどうなっているのかということがあるんです。

 これは、日本鉄鋼連盟の話を紹介しようと思うので、環境省でも経産省でもどっちでもいいんですが答えてほしいんですけれども、日本鉄鋼連盟の低炭素社会実行計画には、目標達成の担保措置として、「ポスト京都の国際枠組みや国内制度が未定であるため、どのような担保措置が取り得るか不明であるが、計画の信頼性確保の観点から、未達の場合は何らかの方法で担保する。」とあります。

 これは、鉄鋼連盟の削減目標が未達、達成できないときには、クレジット制度などの活用によって、海外における削減量をみずからの削減目標にカウントすることで穴埋めをしようとする、そういうものということじゃありませんか。

星野政府参考人 お答えいたします。

 それぞれの産業界が具体的にどのような削減をするのかということにつきましても、先ほどの答弁にもございましたけれども、これから産業界と調整をしながら進めていきたいと考えてございます。

塩川委員 否定されませんでした。

 それぞれ業界団体が目標を持っているんだけれども、未達の場合には海外のクレジットで穴埋めしますよということも容認し得るような中身というのがJCMだということを指摘しておかなければなりません。

 大臣にお尋ねしますが、こういった海外でのクレジット獲得というJCMというのは、国内の削減努力を弱めることにつながらないのか、この点についてお答えください。

丸川国務大臣 まず、この二六%削減目標は、我が国は具体的な施策を積み上げてつくってきたものでございまして、これらは国内対策です。ですので、国内対策を行うことによって二六%削減目標を達成していくという道筋を描いて、それに向かって進んでいくわけでございます。

 一方で、JCMについては、我が国のみならず世界全体で地球温暖化対策を進めなければならないという中で、私たちの国がどのような貢献ができるかということを考えたときに、その施策として重要な位置づけと思っております。

 それであるがゆえに約束草案にも位置づけられておりますので、JCMは世界への貢献として積極的に取り組むと同時に、国内対策においては、やはりこの二六%削減目標をつくる中で積み上げた国内対策を着実に進めていくということが重要であると考えております。

塩川委員 業界団体の中では、実際には、掲げた目標が達成しなかった場合には海外のクレジットで穴埋めをする、そういうことも想定しているという点でいって、そもそもの二六%を本気でやる気があるのかということが問われているわけであります。そういう点でも、こういう海外のクレジットの活用というのが国内の削減努力を弱めることになるということは指摘をしなければなりません。

 そこで、JCMの中身について質問しますけれども、環境省にお尋ねしますが、JCMは、途上国へのすぐれた低炭素技術などの普及を通じて地球規模での温暖化対策に貢献するものといいますけれども、このJCMの対象として石炭火力は含むんでしょうか。原子力はどうでしょうか。

梶原政府参考人 JCM、二国間クレジット制度でございますけれども、温室効果ガスの排出削減に資する技術を用いた排出削減事業を対象としております。

 そして、具体的にどれを対象事業とするかという決定につきましては、各国の状況に応じまして、国際的な理解が得られるかという点も考慮した上で、一つ一つ関係国と、両国の間で議論をしていくということになります。

 今御指摘の石炭火力や原子力発電という事業につきましても同様でございまして、具体的な事業内容をもとに、両国の間で温室効果ガスの排出量を削減する事業として位置づけられるかどうかを議論することになります。

 現時点で、JCMとして実施している石炭火力発電または原子力発電の事業というものは具体的にはありません。そしてまた、今後も予定しているものではないということでございます。

塩川委員 そんな現状の話とか今後の希望的観測の話ではなくて、石炭火力と原発が除かれているのかということなんですけれども、除かれている、入らないということなんですか。

梶原政府参考人 お答えいたします。

 明示的に除いているものではございませんけれども、繰り返して恐縮でございますが、二国間で具体的に決めていくものであるということと、現時点において具体的な事業はなく、また、今後も予定しているそういう事業はないということでございます。

塩川委員 経産省にお尋ねしますが、経産省において主なJCMの支援事業が行われています、例えばMRVの適用調査とか。これは石炭火力や原子力というのは明確に除かれているんでしょうか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 経済産業省といたしましては、JCMプロジェクトの組成に向けまして、御指摘の、NEDOと連携をして、JCM実証事業ですとかJCMの実現可能性調査事業、MRVの適用調査事業、キャパシティービルディング等の支援事業を実施しているところでございます。

 お尋ねのMRV適用調査事業におきましては、民間ベースのプロジェクトにおきまして、JCMに必要な温室効果ガス削減量の測定、報告、検証に要する費用をNEDOが支援するものでございまして、これに基づいて民間ベースのプロジェクトによるJCMの利用を促進していくというものでございます。

 本事業では、対象分野におきまして御指摘のような特段の制限は設けてはございませんけれども、ただ、原子力発電につきましては、これはNEDOの事業、NEDOの業務範囲として原子力は規定されておりませんので、MRV調査事業の対象としては、原子力発電は対象にはなっていないということでございます。

塩川委員 今の経産省でいえば、石炭火力はオーケーだという話に当然なるわけですけれども、いずれにしても、明示的に除いているものではないということで、制度設計上の話であります。JCMに基づく海外での石炭火力、原子力による削減量が我が国の削減量にカウントされることにもなりかねないということも意味しているわけであります。

 こういう点で懸念するのは、例えば電気事業連合会の電気事業における環境行動計画を見ますと、電気事業における低炭素社会実行計画には、「国際貢献の推進」として、二国間オフセットクレジット、JCMを含む国際的な制度の動向を踏まえ、先進的かつ実現可能な電力技術の開発、導入等により地球規模での低炭素化を目指すとあって、「参考」として、高効率のプラント導入及び運用補修改善により、二〇三〇年度におけるOECD諸国及びアジア途上国での石炭火力CO2削減ポテンシャルは年間最大九億トン、このように記されているわけであります。

 環境省にお尋ねしますけれども、電力業界は、海外における石炭火力発電支援により得たCO2削減量というのをみずからの削減量にカウントするという考えじゃありませんか。

梶原政府参考人 現在、低炭素実行計画というものを各業界につくっていただいているところでございます。

 これにつきましては、その対策の進捗状況、例えば電力業界でありますと、これに加えて自主的に排出係数を下げていただくという行動をやっていただくということでございますが、その進捗状況につきまして、審議会等の議論を踏まえながら、しっかりと私どもとしては注視をしていき、そしてまた必要があれば改善を求めていくということにしております。

 いずれにいたしましても、まず国内対策が基本でございますので、国内対策でしっかりと排出係数を落としていただくといったようなことが必要だと思っております。

塩川委員 大臣にお尋ねしますけれども、電力業界が今、石炭火力の新増設を続けております。そうなりますと、電力業界は、国内で石炭火力発電の新増設を行ってCO2をふやしました、こういうCO2の拡大分を海外における高効率の石炭火力発電によって獲得したクレジットで穴埋めをする、国内でも石炭火力を拡大し、海外でも石炭火力を売り込む、こんなことが行われるんじゃないのか。これでは地球温暖化対策にも逆行することになりかねない、そういう懸念というのはお持ちになりませんか。

丸川国務大臣 石炭火力のインフラ輸出についてどう考えるかということについては、一義的には経済産業省の御担当という認識をしております。

 一方で、国内における電力分野の実効性ある対策というものは、これは私どもも経済産業省にお願いをして、しっかりと省エネ法等に基づいた政策的措置を責任持って講じてくださいというお願いをさせていただいたところでありまして、これからも毎年毎年レビューをやってまいります。

 そこに関連を見出されるお考えも先生はお持ちなのかもしれませんが、少なくとも、私ども、国内の対策においては厳然と二六%削減という目標を掲げて、そこに占める電力事業分野の責任の重さというのは大変大きいものがございますので、これは何が何でも経済産業省さんにもしっかり動いていただいて実現をさせていただきたいと思っております。

塩川委員 懸念を申し上げるのも、過去、電力業界はみずからの削減目標達成を目指して海外の削減分を積み上げてきた、京都メカニズムクレジット等を反映させてきたという経緯があるからであります。

 電気事業における環境行動計画では、CO2排出抑制に関する数値目標として、二〇〇八年度から二〇一二年度におけるCO2排出原単位を、一九九〇年度実績から平均で二〇%程度低減するよう努めるとしていました。〇・三四程度にまで低減をするということでしたけれども、これは達成できたんでしょうか。環境省、確認できますか。

梶原政府参考人 もともと京都議定書第一約束期間の段階で低減を予定しておりました排出係数の低減については、達成をしていないというふうに認識しております。

塩川委員 達成をしていない。東電の原発事故に伴う原発稼働停止、排出量増加、こういう経緯があるわけですけれども、東日本大震災原発事故以前におきましても達成できていないわけであります。

 それでは、その点についても、京都メカニズムクレジットを反映したにもかかわらず目標は未達成だったということであるわけで、電力業界の自主的取り組み任せでは目標達成はできないというのは、過去の実績が物語っているのではないでしょうか。今回の自主的枠組みについても、そのことを同じように指摘せざるを得ないということを申し上げておくものであります。

 それと、関連して、この地球温暖化対策計画案には、我が国の貢献による海外における削減として、JCMとは別に、産業界による取り組みが掲載されております。

 これは経産省になるかと思いますけれども、地球温暖化対策計画案には、JCMのほか、産業界による取り組みを通じたすぐれた技術の普及等を促進するとともに、こうした取り組みによる削減貢献分を見える化して示していくなど、その意義を海外に積極的に発信し、パリ協定の枠組みに基づき地球温暖化対策を進める国際社会において広く評価されるよう働きかけていく、これにより、二〇三〇年度に全世界で少なくとも年間十億トンの排出削減ポテンシャルが見込まれると書き込まれております。

 このJCM以外の産業界による取り組みとは何なのか、また、この十億トンの内訳がどのようなものかについて御説明をお願いします。

星野政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘の産業界の取り組みによる排出削減ポテンシャルにつきましては、日本企業がビジネスを通じて全世界にすぐれた低炭素技術を普及させた場合に少なくとも見込まれる削減量を示したものでございまして、この十億トンという数字におきましては、低炭素社会実行計画において定量的な排出削減ポテンシャルを国際貢献に掲げた業界の協力を得て、政府として推計をしたものでございます。

 具体的な内訳といたしましては、発電分野で年間で約六・五億トンのCO2の削減、家電分野では年間約二億トンの削減、化学分野では年間約一億トン、その他の分野で年間約一億トンという内訳をしております。

塩川委員 発電が六・五億トン、家電二億トン、化学一億トン等々、合計約十億トンということですけれども、発電においては石炭火力や原発も入っているということでいいんですか。

星野政府参考人 お答えいたします。

 産業界におきます海外での排出削減ポテンシャルの数字でございますけれども、お尋ねの発電分野を含めまして、それぞれの分野で一定の仮定のもとに政府として試算したものでございまして、その内訳について具体的にお示しすることは差し控えたいと思っております。

 ただ、いずれにいたしましても、経済性やエネルギー安全保障の観点から、石炭をエネルギー資源の一つとして選択せざるを得ない国というのも世界には多数あると承知しておりまして、アジアの新興国を中心に石炭火力の利用拡大が見込まれているところではございます。こうした国では、可能な限り高効率な石炭火力発電を導入するということは実効的な気候変動対策になるとは考えてございます。

塩川委員 インドなどで原子力協定の話なんかも進んでいるわけです。インド等々、あるいは中東などにおいても、原子力の売り込みをずっと安倍総理は行っていますけれども、原子力は積み上げに入っていない、一定の仮定と言いますけれども、一定の仮定には原子力はまるで入っていないということなんですか。

星野政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますが、産業界における各分野の削減ポテンシャルについては、一定の仮定のもとで試算をしてございまして、具体的にどういった内訳かというのは差し控えたいと思っております。

塩川委員 電力業界六・五億トンといっても、電事連が出しているのは九億トンと書いてあるんですよ。だから、それは政府が精査をして六・五に、妥当なものとして数字をとったんだと思うんですよ。だから、当然その内訳はわかっているんじゃないですか。環境省、わかっていますよね。わかっていない。では、経産省が計算をしたということなんだから、それは当然わかっていていい話であるわけで、当然のことながら、石炭火力は見込まれているということのお話もありましたけれども、原子力も含めて、海外に売り込む、いわばお墨つきを与える形になっているのがこの地球温暖化対策計画案だと言わざるを得ません。

 今、政府は、インフラシステム輸出戦略を進めております。経産省にお尋ねしますが、インフラシステム輸出の主要分野における日本企業の海外受注額の推計を行っています。電力分野と原子力分野における海外受注額推計は、二〇一〇年と二〇二〇年でどういう数字になっておりますか。

黒澤政府参考人 お答えいたします。

 政府のインフラシステム輸出戦略における数字ということでございますが、二〇一〇年におきましては、電力につきましては約二・二兆円、原子力につきましては約〇・三兆円でございます。二〇二〇年におきます将来推計の数字でございますが、電力につきましては約二・六兆円、原子力につきましては約二・〇兆円を見込んでおります。

塩川委員 推計そのものは三年前に出したインフラシステム輸出戦略に添付をされているわけですけれども、原子力は〇・三兆円を二〇二〇年には二兆円にする、七倍化をするという目標でありますし、電力分野は二・二兆円から二・六兆円なんですが、その内訳も気になるわけですけれども、この電力分野の内訳として、例えば石炭火力とか再エネとか、そういう数字で明らかにしていただけませんか。

黒澤政府参考人 お答えいたします。

 この統計につきましては内閣府で出されている統計をベースといたしておりますが、統計そのものにおきまして、これ以上のブレークダウンで統計をとっていないということでございます。

 したがいまして、経産省といたしましても、この中身、石炭火力がどのぐらいかという数字は把握しておりません。

塩川委員 IEAなどの将来推計の割合を掛けているということだと思いますけれども、もともと電力も内訳があるわけですから、そういった数字というのは当然できるはずで、これは改めて要求しておきます。きちっと出していただきたいということと、経産省なり政府として、石炭火力発電の将来推計そのものは持っているのかどうなのか。特にアジア地域などについてどうか。この点について教えてもらえますか。

藤井政府参考人 お答え申し上げます。

 日本企業による石炭火力発電の将来受注に関する推計、これは特に存在していないというふうに認識をしております。

塩川委員 政府でなくても政府系の機関、例えば経産省所管のジェトロなどでも、例えば二〇一五年五月のジェトロレポートによりますと、東南アジアでは、建設中の火力発電能力の四分の三を石炭火力が占めることなどから、地域全体の電源に石炭が占める比率が二〇三五年には五割前後に高まると予測をされている、日本企業にとって大きなビジネスチャンスと強調しているわけであります。

 これは、経産省の中でもこういう認識というのは共有しているんじゃありませんか。東南アジアにおいて大いに石炭火力の普及が見込まれる、そういう予測のもとで施策を考えているんじゃありませんか。

藤井政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、例えばIEAにおきましても、特にアジア地域において石炭火力発電の伸びが予測をされております。

 他方、繰り返しになって恐縮でございますけれども、私どもが知る限りでございますが、日本企業における石炭火力の発電の将来受注に関する数値というものは特段承知をしておりません。

塩川委員 急速な需要があるということは当然見込んでいるわけであります。それに対応した受注についての目標、推計、これは今後の話ということなんでしょうけれども、そもそも、アジアで伸びる石炭火力について、これを取り込んでいこうというのがアベノミクスの成長戦略であるわけであります。

 大臣にお尋ねしますけれども、以前も紹介しましたが、安倍総理自身が国際会議で石炭火力発電の活用を宣伝しているわけです。二〇一五年五月二十一日の第二十一回国際交流会議「アジアの未来」、こういう会合において、安倍総理は、アジアの資源とも呼ぶべき石炭をもっと効率的に活用してはどうでしょう、石炭火力発電は、世界の発電量の四割を担うにもかかわらず、地球温暖化の元凶のように言われ、敬遠されがちです、アジアならではの石炭火力の分野で、伸び行くエネルギー需要に応えていきたいと。

 大臣、こういう安倍総理のトップセールスというのが、世界の流れに逆行する石炭火力推進政策となっているんじゃありませんか。

丸川国務大臣 地球温暖化対策は、安倍内閣の最重要課題でありまして、総理も全力を挙げて取り組んでいくという発言をしております。

 途上国の中には供給安定性の観点から石炭火力を選択せざるを得ない国もあるという事実を踏まえますと、そのような場合には、より高効率な石炭火力発電設備の導入を支援することも実効的な地球温暖化対策の一つになり得ると考えております。

塩川委員 世界は、そもそも、石炭はもう表に出さない、埋めたままにしておきましょうというのが大きな声となっていて、だからこそ、世界の流れを見ても、化石燃料からの投資を撤退するダイベストメント、こういうのが大きな声となっている、世界の潮流となっているときに、逆に、どんどんどんどん石炭を表に出しましょうという石炭火力の推進の先頭に立つのが日本政府ということは、これはやはり世界の流れに逆行するというのは明らかじゃありませんか。大臣、いかがでしょうか。

丸川国務大臣 世界的に低炭素技術を普及させていくということは非常に重要でございますし、それにかなう行動も我々はとっていくということ、その主軸に変わりはございませんけれども、一方で、さまざまな国がさまざまな手段でそれぞれの置かれた立場でエネルギー源を入手しなければならないわけでありまして、そうした中で、どうしても石炭に頼らざるを得ないという状況に置かれた国もあるわけでございます。

 こうしたところでどのように石炭のエネルギー効率が達成されているかということを見たときに、私どもの持っている技術がそれらを改善する余地があるのではないかという観点に立っての施策であるという思いでございますので、世界全体としての低炭素な社会の実現という方向性に決してそぐわないものではないという考えのもとに、こうした政策が進められているものと認識をしております。

塩川委員 参考人質疑におきましても、やはり、世界の国々を見渡せば、初期投資に金がかかるような石炭火力で将来的にCO2をふやすということよりも再生可能エネルギーに投資をした方が、結果とすればコストも安く上がるし、当然のことながらCO2削減もゼロという方向での転換が図れる、こういうことこそ、本来日本政府が進むべき道なのではないのか。しかし、やっていることは、世界のあちこちで、原子力と同時に石炭火力の売り込みですよ。

 この前も日経新聞などで一面に紹介されていましたけれども、エジプトのシーシ大統領が日本を訪問し、安倍総理と会談をいたしました。その際に、日本企業による二兆円規模の事業参画などで合意をしたということであります。両国の共同声明におきましては、電力関連のインフラ整備に約四百十一億円の政府開発援助、ODAを供与するということを盛り込んでおりました。

 個々の企業が、当然のことながら、さまざまな投資についての合意を交わすということなどもあって、例えば、丸紅が、石炭火力発電所の事業化調査に着手をする、出力四百万キロワットというエジプト最大の発電所を目指す。住友商事も、エジプトで火力発電所の事業化調査を実施する。伊藤忠商事は、それに対しての原料提供ということで、火力発電所の燃料となる石炭供給の事業化調査を開始する、伊藤忠商事が出資をする南米コロンビアの鉱山から輸出をする。

 こういうように、エジプトのシーシ大統領の来日をきっかけとした合意の中で石炭火力をまさに大いに進めるという立場であるわけで、安倍政権がアベノミクスの一環として官民連携によるインフラ輸出を推進する、その中心が石炭火力だということは明らかであります。

 パリ協定では今世紀後半に温室効果ガス排出の実質ゼロを求めており、石炭火力発電はつくらないというのが世界の主流であります。また、原発は、発電コストも高く危険であることから、撤退する動きが広まっています。世界の流れは、脱石炭火力、脱原発。政府の姿勢はこうした流れに逆行するものと言わなければならない、このことを指摘して、質問を終わります。

赤澤委員長 次に、田島一成君。

田島(一)委員 民進党の田島一成でございます。

 いよいよきょうで審議が閉じようという最終に、また質問に立たせていただきます。

 やはり、どう考えても、今回の法改正、六回目に実はなるんですけれども、六回目にして何でこの程度なんだというのが私の正直な気持ちなんですね。

 今まで、もちろん、京都議定書から大きな大転換を図るパリ協定に合意した、非常に意義あるCOP21だった、私も当初評価をしたつもりです、この委員会で、大臣の活躍も含めて。そこまでやったんだったらと期待して、出てきたのがこの法案。何でもうちょっと野心的なものをつくれなかったのかな、交渉に当たってきた方々の思いを受けとめる法案にしては随分ちゃっちいなというのが本当に本音であります。

 何がどう変わっていったのか。加えて、私が冒頭、本会議の代表質問で申し上げたときもそうでしたけれども、長期目標が、地球温暖化計画の中には明確に入っているんですけれども、この法案の中ではまるで位置づけが無視されちゃったような気になっています。

 直接的に関係のないことだからというようなことも参考人のお一人はおっしゃいました。しかし、中期目標のゴールには何があるのかということを明確にするためにも、私は、やはり長期目標を入れて今回の改正案として提出をなさるべきだったのではないかなと今なお思っております。

 それと、申し上げました、中期目標と長期目標の整合性にやはり大きなそごがあります。二〇三〇年までの年平均の削減が、二〇三〇年以降になると一・五倍の負担になってしまう。一・五倍の削減量にふえるその先は何をめどにして削減していくのかと問われたら、「イノベーションによる解決を最大限に追求する」というふうに大臣も答弁なさったところでもあります。

 イノベーション、期待は確かにしたいですね。どんな技術開発が今後出てくるのか、多くの皆さん、期待もしたいでしょう。しかし、全くそれは雲をつかむような話で、明確に削減できるための担保にはならない。だから、今回、長期目標は飛ばして中期目標だけを課題として、この法案に長期目標を書き込まれなかったのかな、そんなふうにも思うわけであります。

 そこで、お尋ねしたいと思います。

 何らか長期目標を達成するための道筋を国民にも示していかなければならないと思うんですね。そのために、大臣が追求しようとされているイノベーション、一体どのようなものを想定されているのか、そして、その目するイノベーションが着実にCO2削減を期待していいものなのかどうなのか、その実効性等々も含めてどのように思い描いていらっしゃるのか、まずお答えをいただけますでしょうか。

丸川国務大臣 まず、長期の大幅削減に向けた目標ということについて、温暖化対策計画の中で示させていただいておりますけれども、ここに向けた道筋については、我々環境省として、まず長期低炭素ビジョンの検討に着手をしたいと考えております。

 総理からの御発言の中で、長期目標も含めて、今後、抜本的な排出削減を可能とする革新的技術の研究開発、普及などについて触れられたときは、イノベーションによる解決は最大限に追求する、加えて、国内投資を促し、国際競争力を高めて、また国民に広く知恵を求めながら、長期的、戦略的な取り組みの中で大幅な排出削減を目指し、また世界全体での削減にも貢献していくというふうにお話をされております。

 具体的に我々がどんなイノベーションに取り組んでいくかということについては、総合科学技術・イノベーション会議において、二〇五〇年を見据えたエネルギー・環境イノベーション戦略を先週取りまとめました。

 この中で、例えば、具体的に言いますと、窒化ガリウム半導体のことであるとかセルロースナノファイバー、また、次世代蓄電池や水素等、これは、水素のみならず水素と結合させて運ぶということも含まれておりますので水素等になっておりますけれども、水素等の製造、貯蔵、利用等の革新的技術など、特定をしております。

 これはどういうイノベーションかということを横軸で申し上げると、今までの延長線ではないということです。今までの延長線ではないので雲をつかむような話とおっしゃるかもしれませんが、やはり、非連続的で、ディスラプティブで、極めてインパクトの大きい革新的技術を入れていかなければいけない。これは残念ながら、今話を聞いただけでは確かに雲をつかむような話になるかもしれませんが、そうした技術でなければ逆に変えられないということだという認識をしております。

 加えて、実用化までには、決して、短期間、すぐ目先、見えるというような技術ではありません。中長期を要しますし、かつ、産官学、総力を結集してこれを実現する道のりをつくっていかなければならないと思っております。

 こうしたもので、単に技術を進めるだけではなくて、新しいマーケットをつくっていくということも重要だと思っております。

 先日、LEDの技術を開発した天野教授が私の部屋にお見えいただいて、しきりにおっしゃっていたのは、使っていただく技術にすることが重要だ、使っていただくためにどうするかということを考えてきたとおっしゃっていて、こうした革新的な技術も、単に今ある構造を打ち破るだけではなくて、それを使っていただけるレベルにまで低廉化する、つまりコストを下げていく、普及をさせていく、そしてさらなる技術革新を積み重ねていくということが極めて重要でありますので、こうしたことを通じて新しい市場をつくり普及させていくこと。

 そして、市場のあり方そのものも、安かろう悪かろう、悪かろうをつけるべきかどうかはちょっとよくわかりませんが、より高い付加価値を評価する市場をつくっていくという、構造的な変化をもたらしていくような取り組みというものが我々にとっては必要であると思っております。

 そうした市場をつくる上では、今盛んに言われておりますESG投資というのは重要な鍵の一つだと思っております。年金積立金管理運用独立行政法人、GPIFが昨年九月にPRIに署名してくださったことは、非常に大きな契機となったと思っております。まだまだ日本ではESG投資の総額は大きくありませんけれども、こうした思想や思い、投資の活動というものも大きな後押しとして、てことして、我々はこうした新しい市場の創造にも取り組んでまいりたいと考えております。

田島(一)委員 イノベーションだけを頼りにしていては、明確に削減目標を達成できるかどうかというものはやはりわからない話なんですね。ひょっとしたら、LEDと同じように、もっとすぐれた技術が出てきて目標をはるかに超える削減が可能になるかもしれない。しかし、かもしれないでは明確に国際約束に貢献することはできないわけであります。ですから、私も本会議の質問の中で、今やれることからきっちりおやりなさいよということを申し上げました。

 これはまた、経産省にもお越しいただいていますので、具体的にどうやっていらっしゃるのかもちょっとお伺いしたいと思っておりますけれども、いかに技術、イノベーションが実用化されるか、もうここに正直かかってきています。ですから、競争的資金も上乗せを当然していかなきゃいけないし、さらにはマーケットでしっかりとそれが受け入れられるような環境も整えていかなきゃならない。

 しかし、今あるマーケットの中から温暖化対策に邪魔なものを排除していくこともやはり大事なんですね。ちまたを見れば、百円均一のお店の中にまだまだ温暖化を助長するような商品や製品なんかもごろごろ転がっています。本体が安いからといって、結局LEDに切りかえず白熱球に切りかえている消費者の方々もまだまだいらっしゃいます。こういったものの排除も含めた、今できることを着実にやっていくことがやはり大事だと思うんですね。それすらやらずにイノベーションに頼るだけでは、これはなかなか国民の皆さんも理解も納得もしてくださらないと思います。

 中期目標だけでも二六%削減、決して黙っていても達成できるとは思えません。努力しなければならないでしょう。加えて、その先の長期目標八〇%削減となれば、もはやその時代には我々は生きていませんからみたいなことで逃げるわけにもまいりません。計画にこれを掲げた以上は、しっかりと八〇%に到達する道筋、ロードマップをお示しいただかないと、これは場当たり的な法改正とそしられてしまうのではないかなと私は思います。

 もう一度、長期目標をこの法案の中に、多分環境省としては入れたかったんだろうと私は思っているんですね。入らなかったことの言いわけではなくて、ここに入らなかったことによっても、八〇%削減を着実に達成していくために努力を重ねるんだという決意をぜひ聞かせてください。

    〔委員長退席、北川委員長代理着席〕

丸川国務大臣 二〇五〇年まであと三十四年ですね。私、平均寿命からしますとまだ生きておりますので、責任がございます。ですので、しっかりこれからも取り組みをさせていただきますけれども、今おっしゃったように、ちまたにはまだ、二酸化炭素排出削減になかなか貢献するとは言いがたい商品が並んでいる、おっしゃるとおりだと思います。

 我々は、市場主義経済の中に生きている中で、消費者の選択が市場をつくっていく側面も大いにございます。だからこそ、国民運動をしっかりやっていくということは極めて重要でありますし、最終的には消費者の選択が事業者の選択を変えていくわけでありまして、私どもは、この市場の形成を根底から支えている消費者の選択をどのように変えていけるのかというところに重きを置くがゆえに、今回の法律改正の中には国民運動ということをあえて書き込ませていただいたわけでございます。

 根っこから思いを変えていくということを一つ、もちろん、規制や補助金や税金、こうしたもののドライブも必要ではございますけれども、大もとの大もとは我々の思いと心にかかっていると思いますので、こうしたものが国民の皆様と共有できるような仕事をこれからしっかりとやっていきたいと思っております。

 加えて、二〇五〇年八〇%の件でございますが、これは、目指していく上で、まず二〇三〇年の中期目標をクリアしないことにはその先はないのでありまして、二〇三〇年二六%をいかに確実にクリアするかということがその先にかかっていると思います。

 道筋をということですが、まさに一朝一夕に描ける道筋ではないということは今るる申し上げたとおりでございますので、このビジョンを描いていくに当たっての作業にまさにこれから私どもは着手をしてまいりますし、それは国民の皆様とともにつくっていくものであると思いますので、今後とも委員にも御指導を賜りたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

田島(一)委員 次のテーマに移らせていただきます。

 ダイベストメント。先ほど、塩川委員からも脱化石燃料についてお尋ねをなさり、なかなか的を得た答えが返ってこなかったところでありますけれども、世界が今世紀後半には脱化石燃料を実現することを、今回COP21で決定されたパリ協定は求めていると私は認識をしております。

 もう既に世界の主要な機関投資家の中には、化石燃料資産への投資を撤退するダイベストメントの取り組みが急速に広がりつつあります。その一つが、代表質問でも取り上げた、ロックフェラー基金の化石燃料関連業界への投資を中止したことであります。もはや、アメリカ石油大手、エクソン・モービルの株式保有も解消する方針すら表明をしているロックフェラー基金。

 今回、化石燃料を財務価値が毀損する座礁資産と捉えて早々と投融資を引き揚げるダイベストメント、さらには投融資先の企業に対して圧力をかけているエンゲージメントが広がっていることについては、大臣も答弁でお述べになられましたので御存じのことだと思います。

 しかしながら、このダイベストメントの動向についてどのようにお考えかと耳を澄ましていると、国内での議論はまだ緒についたばかりで、動向を今後注視していたいと、私からすれば随分のんびりしたような状況だなというふうにお伺いをしたところであります。

 今もなお、やはりこの動向をまだ注視する段階だというふうにお考えなのかどうか、大臣が捉えていらっしゃるこのダイベストメントに対するスピード感をお伺いしたいと思っています。

丸川国務大臣 海外では、特に、御指摘いただいたように、金融機関また機関投資家等が、石炭等の化石燃料を、パリ協定も踏まえた世界的な低炭素経済への移行の過程で財務価値が毀損するという資産、つまり座礁資産とおっしゃっていただいたかと思うんですが、と捉えて、こうした資産から投融資を引き揚げる動き、ダイベストメントや、また、投融資先企業に対して取り組みをきちんと求めていく動きが広がってきているということは承知をしております。

 やはり、これは企業自身がみずからの持続可能性、ビジネスにおいてあるいは企業自身にとっての持続可能性をどのくらいのタイムスパンで見ていくかということと大きくかかわっていると思いまして、やはり、グローバルに責任を負っているという自負を持っている企業ほど、しっかりこうしたことに対して取り組みをしているというふうに私は理解をしております。

 決して短期的な視座に陥らずにビジネスを続けていかねばならぬという意識を全ての企業が持っているわけではないかもしれない市場において私どもがやるべきことは、ともにビジネスにおいてもそして地球環境においても持続可能性が今後市場で評価される鍵になっていくのだということを、市場の側からも投資の側からもある意味でのプレッシャーを与えていく環境をつくっていくことだと思っております。

 確かにまだ緒についたばかりでありまして、国内の機関投資家あるいは金融機関も大変興味は持っている、話は聞きたいけれども、はて、それをどのようにこの先自分たちの投資行動の中に取り入れていくべきか、あるいは、どの程度までそれがリターンとして、評価されるものとして返ってくるのかということについては、状況を探っているような状況にあるというふうに私は認識をしております。

 これは、押し広げていくことによってそうしたものが価値としてつくり上げられていくというような種類のものだと思っておりますので、私どもも、情報開示、特に企業がそのような活動をしている情報開示について既にいろいろな支援をして、あるいはシステムの整備などを行っているところでありますけれども、よりそれらを押し広げ、評価していただける市場づくりというところに大きな発信を今後も続けていかねばならないと思っております。

 二十一世紀金融行動原則というものがあって、それについて、むしろ、我々というよりも金融機関が自主的にこの取り組みを押し広げていただいていることは御存じかと思いますけれども、こうしたものの後押しをしっかりやっていくということも重要な活動の一つだと思っております。

田島(一)委員 私、今回のダイベストメントの捉え方というのはちょっと大臣と違うんですね。専ら気候変動の危機回避という公的、公益的な観点から行われているというよりも、化石燃料を抱えているということがビジネスとしてのリスクが非常に大きいものなんだという捉え方でダイベストメントの流れが随分出てきているんだと思うんです。これから先、化石燃料の資産は、負の財産、負の資産、負の遺産になっていくという認識が世界的に相当広がってきているから、今こういう投資撤退、投資撤収の流れになってきているんじゃないかなと私は思っているんですね。

 今、大臣、具体的に、日本の金融、生保等々でどれくらいこの化石燃料を保有しているところの資産を抱えているか、今の段階で把握はされていますか。これは質問に入れていないんだけれども、御存じかどうかだけお聞かせください。

三好政府参考人 お答えをいたします。

 先生の御指摘でございますけれども、ちょっと今、手元にそのデータを持ち合わせておりません。後ほど調べまして御説明申し上げたいと思います。(田島(一)委員「持っているの」と呼ぶ)ちょっと調査をする必要があろうかと思っております。

田島(一)委員 私も、どこかでこういうような数字がないかなといろいろなところをちょっと探し回りましたが、どうも役所絡みでは何も出てきませんでした。

 しかし、ことしの二月十一日、環境NGOですけれども、350ドットオルグ・ジャパンが、日本の銀行や保険会社による化石燃料会社、原発関連会社などへの具体的な投融資額を集計して公表したという結果がありました。

 これによりますと、具体的な名前を出してしまいますが、三菱東京UFJ、みずほ、三井住友、三井住友信託を含む日本のメガバンクグループによる二〇一四年の化石燃料、国内石炭火力増設、原子力関連企業への投融資は、合計で約五兆三千八百九十二億円に上ったということです。また、日本の大手生命保険会社にあっても、化石燃料及び原発関連企業に対し三兆三千三百億円の投融資を行っていたという数字が出ておりました。

 環境NGOの調査でありますから、一〇〇%確かかどうかまで私は保証できませんが、今探した中で出てきた数字がこれだったので、皆さんに御紹介をさせていただきたいと思います。

 ちなみに、ついでですが、日本の銀行グループの化石燃料への投融資額に対して再生可能エネルギーへの投融資額は、残念なことに、わずか約八分の一程度の規模であったということもぜひ申し添えておきたいと思います。

 二〇一六年の四月、報道によりますと、運用資産が百兆円を超える世界最大級の政府系ファンド、ノルウェー年金基金は、世界の石炭関連企業五十二社を基金の投資対象から外すと発表し、日本もそのあおりを受けて、投資先として北海道電力、四国電力、沖縄電力の三社が除外されました。

 このような感じで、日本のいわゆる石炭、原発関連企業も世界の大きなうねりに巻き込まれて、投資先から除外をされたり外されたりしている、こういう事態に今なってきているんですね。もうのんびり構えている余裕は全くないと思うんです。

 この先ほど御紹介をした350ドットオルグ・ジャパンは、つい先日、四月の二十二日にダイベストメント声明というのを発表し、日本の銀行、保険会社、年金基金や公的機関を含む全ての機関投資家に、化石燃料及び原発関連企業への投融資の停止、撤退、自然エネルギー開発への転換などを求める署名活動を行ったと新聞にも載っていました。

 このように民間レベルでは相当大きなうねり、動きがある中で、調査すらまだかけていらっしゃらない環境省は果たしてどのように受けとめられたか、御感想をお聞かせください。

丸川国務大臣 年金基金はとりわけ超長期の運用を考えなければいけないところですので、持続可能性ということにおいては大変重きを置いて投資先を検討されることだと思います。そういうこともあって、GPIFもPRIに署名をされたんだと思います。

 いずれにしても、パリ協定を踏まえますと、長期的に見て市場の環境が大きく変化をするであろうということについて、グローバルに、しかも持続可能性をビジネスの上において非常に重きを置いて見ておられるところは、いち早くその変化の先行きを見通して投資を考えておられるんだと思います。

 私どもも、そうした長期の見通しとして、こういう社会がやってくる、こういう市場がやってくるということについて、より国民の皆様、投資家の皆様にわかる形で発信をしていくことは重要でございますので、先生の御指摘も踏まえて、我が国の動向もしっかりと精査をしながら、今後そうした環境づくりに努力をしてまいりたいと存じます。

    〔北川委員長代理退席、委員長着席〕

田島(一)委員 私、今、民間NGOの調査結果を引用させていただきましたけれども、ダイベストメントの効果でありますとか影響についてさまざまな議論がまだ今もあるのは私も承知をしておりますし、それを短絡的に、単純に評価を下してしまうのは非常に危険だというふうにも思っています。

 しかし、こうした潮流の中に今も世界はあるんだということは、環境省もしっかりと御認識をいただいて、それこそ公的金融機関等々も含めた今後の投資のあり方や、また日本の重厚長大産業等々が今後どういう波にのまれるのかということは、予想を絶対今からしておかないと手おくれになってしまうと思うんですね。役所の中でしっかりとこの調査、ダイベストメントとインベストメントも合わせた動向の調査というのを早々にお取り組みいただくことをぜひお願い申し上げたいと思っています。

 気候変動について、今環境省が先頭に立って取り組んでいただいている。もちろん、それにはエネルギーの問題もありますから、経産省も影響を相当発揮していただいているんだろうと思いますが、アメリカの国防総省が、それこそ気候変動がアメリカの安全保障に与える影響というものを分析して、その対応のための行動、計画というものももう既に取りまとめています。いわゆる安全保障にまで気候変動が大きく影響を及ぼすというようなことから、国防総省までもがその脅威として捉まえるようになってきました。

 日本の防衛省はどうでしょうか。きょうお呼びしておりませんので、わざわざ聞くことはありませんけれども。質問ではありません。

 やはり考えてみますれば、大いなる脅威という位置づけは、日本にあっても当然、政府の中で同じ意見を、問題意識を共有し合っていくことがやはり大事だと思っています。にもかかわらず、何度も繰り返すようですが、今回のこの改正ではちょっと物足りないな、何でもっと大きく省庁にくさびを打つようなそういうアクションを起こされなかったのかなというのが、私自身、残念でならない点であります。

 この点については、またこれからも議論は続いていくと思います。またの機会に送らせていただくこととし、次の質問に移らせていただきます。

 先ほど冒頭、今すぐにでもできる取り組みをやらずにイノベーションにだけ期待をしていることは余りに本末転倒だというようなことも申し上げました。実際に、本会議の代表質問のときにも、工場の配管の保温材の劣化対策や廃熱利用、さらには住宅アルミサッシの樹脂化についての取り組みを御紹介させていただきました。本会議での答弁で林大臣は、工場の配管の保温材の劣化対策については、交換費用の一部を引き続き支援して対応するというふうにおっしゃってくださいました。

 私も、その後、調べさせていただいたら、資源エネルギー庁が用意をされているエネルギー使用合理化等事業者支援補助金のことでありますよね。それなりに予算は積み上げられておりますし、実際に、この投資効果も、行政事業レビューシートを拝見させていただくと、初年度は非常に残念な執行率だったりもしましたけれども、経験をもとにして着実に実績が上がってきているなというふうに私は思っているところでありますが、私が問題点として指摘した工場の配管の保温材、ここを直すだけでも相当なエネルギーロスをカバーできるという点で、一点突破でもいいから本当はやった方がいいんじゃないのというような思いでの問題提起でありました。

 もちろん、二十八年度、このエネルギー使用合理化等事業者支援補助金、五百十五億円がついておりますけれども、実際に、工場の配管の保温材は、毎年毎年積み上げられている予算の大体何%ぐらいを占めているのか、わかれば教えてください。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 今御紹介いただきましたように、エネルギー使用合理化等事業者支援補助金、いわゆる省エネ補助金というふうに呼んでおりますけれども、これでかなり大きなプラントから小さな中小企業に至るプラントまで応援をしております。昨年で申し上げますと、新規採択分だけで千三百件強の支援をしております。

 それで、大変恐縮なんですけれども、そのうちどのくらいが保温材の交換かということなんですが、大体これを使われる方は、ほかの機器の入れかえとか配管そのものの入れかえと一緒に保温材の改修をなさるというのが普通でありまして、その割合がどのぐらいになっているかというのは、申しわけございません、手元に積み上げた数字がございませんし、これは千三百件全部ひっくり返すということになりますので、ちょっと御容赦いただければと思いますが、正直申し上げて、熱の問題、この中で相当な解決が進められているというふうに認識しております。

田島(一)委員 恐らくそんな時間もなかったでしょうから、意地悪な質問だったかもしれません。

 でも、私はやはり、CO2削減、そしてエネルギーロスをストップさせていくんだという観点からすると、もちろん千三百件もあって、事業所の規模も、またこの補助金を活用する目的も相当、千差万別あろうかと思いますけれども、省エネのために、またエネルギーロスを防ぐためにという観点に立って、より効果があるものにこそやはり補助金として出していくべきだと思うんですね。

 いろいろなバランス感覚をとらなきゃいけないのはわかりますが、今回のパリ協定を前提にした形で、この補助金の決定をしていく部分についてもぜひいろいろと工夫と知恵を絞っていただきたい、そのことを強くお願いを申し上げておきたいと思います。

 時間もだんだんとなくなりました。本当は廃熱利用でありますとかアルミサッシの部分なんかも聞きたかったんですけれども、多分ないとお答えになられるだけだろうと思いますので、割愛させていただきたいと思います。

 最後、パリのCOP21交渉で極めて大きな争点となりましたが、余りここで議題にも上がっていなかったので、損害と被害についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 損害と被害条項、これは大きな争点になり、具体的に申し上げますと、パリ合意の中に、適応に関する条項とは異なる独立した条項として損害と被害を入れるかどうか、気候変動、難民保護などに関する新たな組織をつくるかどうかなど、アメリカを中心とする先進国と脆弱国を中心とする途上国が対立し、最終的には、先進国側が損害と被害を独立した条項とすることを認めて、一方で、途上国側も、パリ合意の中に損失と被害条項は責任と賠償の議論につながらないという一文を入れる、そして、損失と被害の具体的な制度設計に関して、ワルシャワ国際メカニズムという既存の組織を活用するという先進国側の要求を受け入れる、言ってみれば痛み分けでまとめたというような経緯があります。

 この気候変動をめぐる責任と賠償の議論、しかしながら、これで終結したわけではないと思っております。今後、温暖化の被害者が加害者の法的責任を問う訴訟活動などを通して、責任と賠償の具体化や制度化の要求はより強まっていくのではないかと予想されるわけであります。

 先進国として扱われる日本も、この争点、損害と被害でどのような主張を行ってきたのか。また、将来間違いなく求められていくであろう脆弱国からの責任と賠償の具体的な制度化など、どのような要求等々にも応えていけるような姿勢をお持ちなのかどうか。そのお考え、姿勢をぜひ聞かせていただきたいと思います。

丸川国務大臣 いわゆるロス・アンド・ダメージの議論でございますが、我が国を含む先進国は、適応に関する取り組みの一環として、二〇一三年に設立が決定されましたワルシャワ国際メカニズムのもとで、早期警戒体制や気候リスクに関する情報共有等の取り組みを着実に促進するべきだという主張をしてまいりました。

 一部の途上国からの主張が取り入れられました結果、パリ協定では、適応とは別の条としてロス・アンド・ダメージが位置づけられまして、ワルシャワ国際メカニズムの活動の継続や既存の組織等との協力等が規定をされたところです。

 ただし、責任と補償ということについては、COP決定において、パリ協定の規定が責任と補償を提供する基礎とはならないという旨、合意をされております。

 パリ協定の実施に向けて、開発途上国、とりわけ気候変動に脆弱な国の適応策への支援、これが重要になると考えております。我が国は災害が多い国でありまして、気候変動の影響を敏感に捉える感度を持つとともに、それに対応する知見や技術を蓄えた国でございますので、今後、途上国の適応計画の策定あるいは知見共有ネットワークの強化等を通じて途上国支援を積極的に行ってまいります。

田島(一)委員 適応の方に力が入っているんだというような御答弁だったというふうに思います。

 もちろん、日本にとっては、非常にリスク管理をきちっとやっていかなきゃいけないという意味からも、適応の部分に対する認識、また閣議決定までされたわけですから、そこは政府も重きを置いているということは十分に承知をしています。

 本来ならば、今回の温対法の改正ではなくて、温暖化対策基本法なるものをお出しになって、その中ででもこの適応の問題をきちっと法制化していくことが、私はやはり今回大事だったんじゃないかなというふうに認識をしているんです。時間がなかったからなのか、省庁間での折り合いがつかなかったからなのか。確かに間口も広いです、いろいろなところに横断的にくさびを打っていかなきゃいけないし、意識と認識をしっかりと持たせていかなければならない、非常に大変な作業だというふうに思います。

 最後に、この適応について、もちろん今後対応はしっかりしていきたいというようなお話ではありましたけれども、具体的に法制化をしていくようなお考えというのはお持ちかどうか、大臣、ぜひお考えをお聞かせください。

丸川国務大臣 適応計画、昨年十一月に取りまとめまして、閣議決定させていただきました。

 まず、この実施状況や実施に係る課題を把握した上で、法定化については、今すぐ検討規定を設けるということは時期尚早かとは思いますけれども、しっかり状況を把握した上で、どのような対応が必要になるかということについては見通してまいりたいと思います。

田島(一)委員 わかりました。

 時間も参りました。

 本当に、私は、もっとドラスチックな、そして野心的な法改正であってほしかったなと一番、心の底から願っていた一人であります。温暖化対策という長きにわたる課題、そしてこれからも続いていきます。長期目標というものをしっかりと認識し、踏まえた中での対策を今後とらなきゃならない、そのことだけを強くお訴えをさせていただいて、私からの質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

赤澤委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 おおさか維新の会の河野正美でございます。

 四月十九日に続きまして、前回残した質問を中心にお話をさせていただきたいと思います。十五分間よろしくお願い申し上げます。

 まず、我が国は、四方を海に囲まれ、国土面積のおよそ七割を森林が占める豊かな自然環境を有しております。CO2排出量の低いエネルギーをふやすという観点から、もっと、自然エネルギーの活用、そのための技術開発投資を進めていく必要があるのではないかなというふうに考えるところであります。

 私の地元であります九州は、火山が多くありまして、地熱発電が多数立地している地域であります。九州電力は、地熱発電の開発、その運用の能力が高く、世界をリードする力があるのではないかなというふうに考えております。

 我が国にとってこうした自然エネルギーの技術開発力は、地球温暖化対策のみならず、自給自足できるエネルギー源としての潜在力を高めることにつながってまいります。

 地球温暖化対策のための国際的な連携協力のメニューには、地熱発電を初め自然エネルギー分野の技術の活用が大変に重要だと考えますが、政府の見解を伺いたいと思います。

鬼木大臣政務官 再生可能エネルギーは二酸化炭素を排出しないことから、その導入は地球温暖化対策として極めて重要でございます。

 私も河野議員と同じく福岡選出の議員でございますが、九州地方はまさに地熱発電のポテンシャルが極めて大きい地域でもございます。また、こうしたように、地方部には再生可能エネルギーのポテンシャルが豊富にございます。このようなエネルギーの地産地消を実現することで、温室効果ガス削減と地域経済の好循環、また、災害時のレジリエンスの強化など、地方創生にもつなげることができます。

 このため、地球温暖化対策計画においても、地域の活性化を図りながら温室効果ガスの排出削減等を推進すべく、再生可能エネルギーの最大限の推進を図ることといたしております。

 環境省としては、多様な再生可能エネルギー源の開発、実証や導入支援等の施策を実施し、再生可能エネルギーの導入拡大による低炭素社会を実現してまいります。

 以上です。

河野(正)委員 自然エネルギーとあわせまして、水素や燃料電池などの新エネルギーの実用化に向けた技術開発も、低炭素社会を実現する上で大変重要だと思います。福岡では、産学官が一体となって福岡水素戦略を策定し、研究開発から実用化まで一貫して支える仕組みが整えられているところであります。

 水素は、燃料電池自動車や電力貯蔵システムなど、さまざまな可能性が広がっているエネルギーであり、地球環境への負荷も小さく、低炭素社会の実現にとって、その拡大が求められていると考えます。

 水素を活用したエネルギーの技術開発、実用化に向けた環境省の取り組みについて伺いたいと思います。

丸川国務大臣 水素は、利用するときに二酸化炭素を排出せず、地球温暖化対策として重要なエネルギーでございます。一方、製造や運搬の過程で二酸化炭素が排出される場合がございまして、再生可能エネルギー等に由来する水素を活用することで、サプライチェーン全体を低炭素化していくという取り組みが必要だと考えております。

 また、再生可能エネルギー由来の水素は、再生可能エネルギーを水素の形で貯蔵するというところにもポイントがございます。再生可能エネルギーを水素の形で貯蔵する、また、それで運搬することによって、そのポテンシャルをより一層有効に利用する道が開けると考えております。

 ですので、環境省としては、水素の利活用を推進するとともに、そのサプライチェーン全体の低炭素化に向けた取り組みを進めております。

 具体的に申し上げますと、再生可能エネルギー等から水素を製造して、輸送して、そして利用するまでのところの低炭素のサプライチェーンのトータル技術の実証、また、再生可能エネルギー由来の水素を燃料電池自動車に供給する水素ステーションの技術開発と、その成果をもとにした導入支援、そして、燃料電池フォークリフト、ごみ収集車等の技術実証、開発を実施しているところでございます。

 こうした取り組みを通じて、低炭素な水素社会を実現するべく今後も努力を続けてまいります。

河野(正)委員 次に、地球温暖化が我が国の国土や自然環境にどのような影響を及ぼすかを、幾つかの視点からお尋ねいたしたいと思います。

 まず、サンゴ礁の保護について伺いたいと思います。

 先月二十四日のナショナルジオグラフィックのインターネット記事において、世界最大のサンゴ礁であるグレートバリアリーフで過去に例を見ない大量死が報告されたということが報じられております。

 日本国政府として、現状、どう把握しているのか、伺いたいと思います。

奥主政府参考人 お答えいたします。

 グレートバリアリーフにおけるサンゴの白化については、オーストラリア・グレートバリアリーフ海洋保護局のホームページでも報告がされているところです。

 このホームページによれば、二月の海域の高水温によってサンゴの白化現象が生じており、特にグレートバリアリーフの北部海域では、サンゴの死亡率が五〇%に及ぶ状況が確認されているとされています。また、サンゴの白化現象について詳細な水中調査を進めているところとのことでございます。

 このように、サンゴ礁は環境の影響を受けやすい脆弱な生態系であると認識しています。

 今後とも、国際サンゴ礁イニシアチブ等を通じて、各国のサンゴの白化等に係る情報の収集に努めてまいります。

河野(正)委員 我が国において同様の事例が起きているのかどうか、現状認識を伺いたいと思います。

奥主政府参考人 お答えいたします。

 我が国では、二〇〇七年に沖縄県の八重山海域において高水温による白化現象が発生しましたが、その後は高水温による白化現象は確認されていません。

 なお、昨年十二月に開催された国際サンゴ礁イニシアチブの総会において、アメリカ海洋大気庁は、大規模なエルニーニョ現象の発生により、熱帯海域を中心としてサンゴの大規模な白化がこの春以降起こるとの予測が報告されたところです。

 我が国のサンゴ礁は熱帯海域より北に位置する亜熱帯海域に分布しているものの、エルニーニョ現象の影響は広範囲かつ長期に及び得ることから、環境省では、引き続きサンゴ礁のモニタリングに努め、白化現象に対する監視強化を図ってまいります。

河野(正)委員 また、記事によりますと、化石燃料の使用で大気中の二酸化炭素濃度が高まり、海水へ溶け込む二酸化炭素の量が増加し、海の酸性化が進む、酸に溶けやすい石灰質であるサンゴ礁は、その環境ではサンゴ礁をつくることが難しくなるということが指摘されています。

 こうしたメカニズムについて、環境省の見解をお聞かせください。

奥主政府参考人 お答えいたします。

 CO2排出量がふえると、海水中にCO2が溶け込み、海洋酸性化が進む結果として、サンゴ礁を形成する造礁サンゴの骨格形成を困難にし、サンゴの生育に大きな影響を及ぼす可能性があると認識しております。

 海洋酸性化の進行につきましては、現時点ではその実態が十分に明らかになっていない状況であるため、環境省としましては、引き続き情報の収集に努めるとともに、高水温や海洋酸性化などの地球規模の変化についても念頭に置きながら、サンゴ礁のモニタリングを推進してまいりたいと考えております。

河野(正)委員 地球温暖化を初めとした気候変動によってサンゴの白化などが大規模に生じる危険性も指摘されております。

 サンゴ礁の保護を進める必要性が高まっていると感じますけれども、政府の見解を伺いたいと思います。

奥主政府参考人 お答えいたします。

 気候変動に伴う海水温の上昇がサンゴ礁生態系に影響していると指摘されております。サンゴ礁生態系の保全に向けて、我が国では、地球温暖化の防止に向けた国内外のさまざまな取り組みに加え、サンゴ群集の保全や回復力を高めるための各種対策を進めています。

 具体的には、平成二十二年度策定のサンゴ礁生態系保全行動計画を昨年度末に改定し、新たにサンゴ礁生態系保全行動計画二〇一六―二〇二〇として策定しました。

 改定された本行動計画では、陸域に由来する赤土等の土砂及び栄養塩等の対策の推進、サンゴ礁生態系における持続可能なツーリズムの推進、地域の暮らしとサンゴ礁生態系のつながり構築を重点的に取り組むべき課題として位置づけており、今年度より、この三つの重点課題の対策を総合的に実施するためのモデル事業を実施する予定です。

 また、サンゴを食害するオニヒトデの駆除や、サンゴ礁の適正利用に向けた普及啓発、モニタリングの実施、サンゴ群集の再生事業等の取り組みについても実施しているところです。

 今後も引き続き、関係省庁や自治体等と連携しながら、サンゴ礁生態系の保全に努めてまいります。

河野(正)委員 続きまして、温暖化が島での水資源を失わせるという問題について伺いたいと思います。

 離島をしっかりと守っていくということは、我が国固有の領土を守っていく面でも非常に大切なことだと思います。

 先日、地球温暖化の影響で地球の赤道から中緯度にかけての島嶼部の約四分の三が二〇五〇年までに渇水に陥るとする試算を、アメリカ・コロラド大学などの研究チームがまとめたという報道がありました。この島嶼部には、我が国では琉球諸島であるとか小笠原諸島というのが含まれます。温暖化により蒸発や蒸散が進み、降水量を上回ることによって水が得られなくなるというメカニズムを示したものであります。

 島嶼部は、電力、水道などの社会インフラの整備に極めてコストがかかるため、現状でも十分なインフラがあるとは言いがたい状況にあります。そのため、先ほどお話ししましたように、離島振興法などの法が整備され、整えられてきたものと思います。離島を守っていくということは非常にコストもかかると思いますが、国家的には大切な問題だと思っています。水資源をいかに確保するのか、これが極めて大きな課題となってきます。

 この研究の指摘を含めて、政府の問題意識や対応について伺いたいと思います。

梶原政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘の件につきましては、IPCCの第五次報告書においても、第二作業部会報告書の中の小島嶼の章におきまして評価がされているところでございます。

 具体的には、南太平洋の幾つかの島嶼部では極端な高潮によって水不足が生じている、あるいは、ハワイ諸島でも長期的な河川流量の減少により水不足が生じている、そして、将来的にはカリブ海、太平洋、インド洋の島嶼国で水不足や極端な干ばつ等が現地の人々によって懸念されているというふうな記述がございます。

 我が国におきましても、二十一世紀末にかけて、沖縄、奄美地域に限らず全国的に年間の無降水日数は増加するというふうに予測されております。そして、同時に、大雨による降水量も全国的に増加するというふうな予測がされておりまして、気候の両極端化が懸念されておるところでございます。

 こういった気候変動の影響の被害を最小化または回避するために、昨年の十一月に適応計画を閣議決定させていただいたところでございます。

 その適応計画におきましては、水資源分野におきます適応策の基本的な考え方の一つといたしまして、渇水というものを挙げてございます。渇水につきましては、しっかりと評価を行って、国、地方公共団体、そして利水者、企業、住民等の各主体が渇水リスク情報を共有して、そして協働いたしまして備えていくといったようなことが必要であるとしております。

 環境省といたしましては、こういったような影響に関する情報が地域地域でより細かく提供できるように、ことしの夏ごろをめどに気候変動適応情報プラットフォームというものを立ち上げることとしております。そういったプラットホームを通じまして情報の提供を図るとともに、地方公共団体が適応計画を策定できるようにしっかり支援をしてまいりたい、このように考えております。

河野(正)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

赤澤委員長 次に、小沢鋭仁君。

小沢(鋭)委員 おおさか維新の会の小沢鋭仁でございます。

 限られた時間なので、足早に質問させていただきたいと思います。

 まず、先週木曜日だったと思いますが、参考人質疑を行いました。国会活性化、こういう観点からも、参考人質疑の中身をどう生かしていくかという話は大変重要だと思っておりまして、先般の参考人質疑で出た案件をきょうは主に政府の方に質問させていただきたい、こう思っております。

 まず、今回の改正案、先ほど来いろいろな評価が出ておりますが、私は、その参考人質疑でも、気の抜けたビールのような法案だ、こういう言い方をいたしました。パリ協定はある意味で私も大変評価をしているわけでありまして、それを受けた法案としてはもっと本当にしっかりした内容のものをつくってもらいたかったと思うわけでありますが、気の抜けたビールであっても、アルコールを飲みたい人にとっては、ないよりはあった方がいいのかなというような程度の話かな、こういうふうに思っております。

 その中で、参考人からも私は意見を聞かせていただきましたが、せめて数値目標として、パリ協定で決められたくらいの数字は入れたらどうか、それを受けてこの法案を修正するわけですからという話を私はさせていただいて、参考人の方で、お一人を除いては皆さんがそうだそうだという意見でありました。

 政府はいかがですか。これはもう一回考え直す必要はないでしょうか。

梶原政府参考人 お答え申し上げます。

 今御審議を賜っている法律、地球温暖化対策推進法の第八条におきまして、地球温暖化対策計画に、地球温暖化対策の推進に関する基本的な方向を定めるというふうにされておりまして、この規定に基づきまして、現在策定作業中の地球温暖化対策計画案におきまして、二〇三〇年二六%削減の目標を明記するとともに、我が国の目指すべき方向として、二〇五〇年八〇%削減の長期目標の数字も位置づけているところでございます。

 また、地球温暖化対策推進法の目的規定、第一条でございますけれども、そこには、パリ協定で盛り込まれました二度目標の考え方の大もとになる気候変動枠組み条約の目的であるところの「気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼすこととならない水準において大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させ」ということを既に目的として規定しているところでございます。

 地球温暖化対策推進法の目的規定に位置づけられている濃度の安定化を実現するために、温対法に基づきまして地球温暖化対策計画を策定し、中長期の大幅な削減について長期的、戦略的に取り組んでいくということでございます。

小沢(鋭)委員 梶原さん個人を責めるつもりはありませんけれども、環境省も昔とかなり違ったな、こう思いますね。

 まさに、中期目標まで入れろ、こういう話じゃないんですけれども、パリ協定の数字くらいは入れてやらないと、基本計画でやるからいいよという話ですが、基本計画というのは幾らでも変えられるわけですから。そういった意味では、ぜひもう一回政府も考え方を変えていただきたいなと改めて申し上げておきたいと思います。

 それから、先ほど田島委員からも質問が出ておりましたが、いわゆる配管の保温断熱材の問題を明日香参考人がおっしゃっていました。省エネ、いわゆる産業界というのは、これは私がやっていたときからずっと言っていたんですが、乾いたタオルで、日本の温暖化対策はもう幾ら絞っても水が出ない、こういう話ですが、そんなことはないということで明日香参考人がおっしゃっていたわけで、いわゆる配管保温断熱材劣化によるエネルギーロスを、日本保温保冷工業協会は三%、省エネルギーセンターは一一%とそれぞれ推定、仮に三%だとしても、これは電力換算で原発七基分相当、こういう数字が毎日新聞に載っているという紹介があって、せめてこのくらいやったらどうかという話がありました。

 先ほども田島委員が質問しておりましたが、重なった質問になりますけれども、政府は今言った数字を現実に認めているんですか、認めていないんですか。

 これから政府の方は、いわゆる補正予算の審議に入るという話ですね。私は、補正予算というのは二つに分けなきゃいけないと思っているんです。熊本地震の対策のための直接的な話と、それから経済対策という話があろうかと思いますが、少なくとも経済対策の部分ではせめてこれぐらいやったらどうか、こういう話をこの間もしたわけでありますが、政府の見解を求めたいと思います。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 配管部分の保温断熱ということに関しまして、今御紹介がありましたように、日本保温保冷工業協会というところで熱の損失の試算をしているところでございます。今御紹介があったとおり、産業部門のエネルギー使用量の約三%に相当するんじゃないかという試算が出ているところでございます。

 私ども、まずこの数字についての評価でございますが、これはいろいろな前提を置いているものでありまして、実際にはやや大き目の数字になっているのではないかと思っておりまして、また、対策をしたからこれが全部熱損失が防げるかというと、そういうものでもないんだろうというふうに思っております。

 ただ、一方で、御指摘ありましたように、熱の損失を防いでいく、それから保温材の劣化が進んでいるというところについてしっかり交換を進めていく、そういった小さい積み上げをやっていくということもまた非常に重要な対策だと思っております。

 先ほどの質疑でもございましたけれども、例えば省エネ補助金の中でこういった工場の改修を支援するといったようなこと、さらには、廃熱の有効利用ということで省エネ法の運用を見直していくといったようなことによりまして、工場の省エネを進めていきたいというふうに考えております。

小沢(鋭)委員 ぜひ進めてもらいたいと思いますね。

 私、この委員会の中でも、環境公共事業、こういうコンセプトを立てたらいいということを一貫して申し上げてまいりました。経済対策としての補正予算、こういうことに関して言えば、こういった分野をしっかりやっていくということは、国民からも本当に評価されると思いますよ。ですから、まさに原発七基分、若干過大評価ではないか、こういう今答弁でありましたけれども、七基分じゃなくても、一基分でも二基分でも大きいわけでありまして、せめて、そういった意味で、環境公共事業というものの一つとして大いに進めていただきたいと申し上げておきたいと思います。

 それから、今回の法案に関しての国民運動に関して、参考人の方から、これはやはり、国民にとってプラスだ、そういうふうに思われる話でないとなかなか進まない、こういう意見がありました。そのとおりでありまして、私はぜひそこは政府としては考えていただきたいと思いますし、その中でも、具体的に、時間がないので直接質問しますが、住宅のエコポイント、これをやったらどうか、こういう話を申し上げたいと思います。

 住宅というのは、結構お金がかさむ話だし、そして、断熱材あるいは二重窓、あるいはまた太陽光とかそういうものを上に乗せるというような話を含めて、いろいろなやりようがある。そして、国民にとっては大変ある意味ではそれを実感として効果を考えられるという話でありまして、環境教育とかそういった話も極めて重要だと思いますけれども、やはり、そういった身近な生活の中で、経済的にも、ああ、これはいいな、こう思える話というのは、この間の参考人の意見ではありませんが、大事だと思うんですね。

 こういう話をこれまた補正予算の中で十分やれると思っているんですが、政府の見解を求めたいと思います。

梶原政府参考人 お答え申し上げます。

 住宅エコポイントにつきましては、平成二十一年度から五年間やらせていただきまして、これによりまして、新築住宅に占める当時の省エネ基準への適合率が五割に上がったということが推計されておりまして、効果があったものというふうに考えてございます。

 また、二〇三〇年に向けた家庭、業務部門におきます温室効果ガスの削減のためには、住宅や建築物の一層の省エネ化は極めて重要な施策と考えてございます。そして、この分野につきましては、建築物省エネ法という法律をつくっていただきまして、建築物、住宅の省エネ基準の義務化といったような道を開いていただいております。この義務化の対象範囲を拡大するといったようなこと、そしてまた、省エネリフォームに対する減税でありますとか融資といったようなことも進めていく所存でございます。

 そして、さらには、今回、まだ今住宅エコポイントということは考えていないわけでございますけれども、新築着工の場合に、実は余りインセンティブの働かない賃貸住宅、賃貸物件ですね、賃貸物件はオーナーさんには余りインセンティブが働かないんですけれども、こういったようなことについての高効率の導入による省エネ化の支援とか、テナントさんとビルのオーナーの関係についても、グリーンリースといったような取り組みを支援することによって、新たな動きをつくってまいりたいというふうに考えてございます。

 住宅建築物の新築、リフォームについては、省エネ以外にもヒートショックがなくなるとかいろいろな、それ以外のベネフィットもございます。しっかりと国民の方々にアピールしながら進めさせていただければと思っております。

小沢(鋭)委員 国民運動、いろいろな分野があると思いますけれども、私は、端的に言って、住宅と車、これは国民生活に物すごく直接的に、国民がある意味で実感できる、そしてなおかつ効果が大きい分野だ、こう思っております。きょうは車の話はしませんでしたけれども、住宅に関しては大いにやっていただきたいと改めて申し上げておきたいと思います。

 それから、やはり参考人質疑で出ました話で、排出権に関しての問題が議論をされました。これを一言で言うと、空気に価格をつける、こういう話であります。

 イザヤ・ベンダサンが、日本は水と空気はただだと思っているという話を大分前に本に書きましたけれども、水は、もう御案内のとおり、今や相当、ガソリンよりも高い価格になっておりますし、空気も、ある意味では空気に、温暖化ガスに価格をつけていく、こういう考え方が出されているわけであります。

 これは、京都メカニズムの中である意味で最初に出てきたコンセプトであると思っていますが、今回のこのパリ協定において、どのように書かれているんでしょうか。

 そして、今回の温暖化法案には載っていないですね。私がつくらせていただいたときは、税と、それから再生エネルギーの買い取り制度と、排出権取引制度の創設と、三つ出させていただいて、排出権取引制度という話がいまだ頓挫している、こういう状態の中で、排出権の問題をどう考えるか。

 空気に価格をつけるという話は、後ほど申し上げますが、日本にとって大変な経済的な優位性を持つわけで、二国間クレジットの話が先ほども出ていましたけれども、日本の輸出の新しい大きな目玉ですよ。そのくらいの戦略的発想を持ってやっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

梶原政府参考人 お答え申し上げます。

 パリ協定におきまして、市場メカニズムの活用についてどのように規定されているかということでございますが、第六条におきまして、海外で実現した削減、吸収量を自国でも使えるという形であります。

 これは、各国が独自でつくるアプローチ、そして国連中心に行いますやり方、こういった二点について規定されているところでございます。

小沢(鋭)委員 もうちょっと詰めたいんですけれども、時間がないので飛ばさせていただいて、最後の質問にさせていただきます。

 いわゆる地球環境を考える場合、当然国内だけの話で済みませんね。地球全体で日本がどれだけのことができるのか、こういう話があって、二国間クレジットなんかの話もまさにそういう世界だと思います。

 そういう中で、私が大変注目しましたのは、ことしの三月三十日、これはソフトバンクのグループ会社が発表した話でありますが、中国の国家電網、韓国電力公社、ロシア・グリッドと、いわゆる国際間での電力連系推進のための覚書が締結されたという話ですね。

 これは、アジアスーパーグリッドという名前で呼ばれていて、ある意味で、地球は時差がそれぞれありますからそれぞれのピーク時電力というのは違っていますから、それを生かしていくためには、まさにそれぞれの国でピーク時に合わせて、つくっている電力を融通し合っていくという話が極めて重要で、既にヨーロッパでは行われていますね。それをアジアでもやったらどうかという話があって、再生エネルギーを地球規模で日本が推進していくという意味でも、これは本当に大変重要な案件の一つになるのではないか。

 かつて、情報通信の分野で、海底ケーブルを一本引いたならば世界じゅうがつながっていく、世界じゅうとつながっていく、それと同じ話で、まさに電力融通がアジアの中で行われていくそのきっかけになるのではないかと思っているんですが、政府としては、これに対する見解、推進の方針等がありましたらお聞かせください。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生今御指摘の、再生可能エネルギーなどを電源といたしまして東アジア地域において国際連系線を通じて電力を融通する、こういった構想が事業者の間で検討を進められていることは私どもも承知しております。資源エネルギー庁としても、関係事業者の方から直接お話を伺う機会もあるところでございます。

 今先生御指摘のように、我が国の場合、島国ということで、一国の中で電力の需給をコントロールしていかなければいけない、こういった一つの制約があるというところでございます。そうした中で、この国際連系というのは、その比較劣位を克服していくある意味での一つのアイデアだというふうに私どもも思っております。

 他方で、これは関係事業者の方々も認識されている点ではございますけれども、幾つか実現に当たっては課題もございます。

 例えば、事業性の問題ですとか、それが経済性に合うかといったような問題、これは当然ビジネスとして慎重な検討が必要かと思っております。それに加えまして、一つは技術面、これは、長距離あるいは深い海底を送電技術がしっかり確立できるかどうか、あるいは工事の実施が大丈夫か、こういった問題。さらには、技術を超えまして、安定供給をしっかりこの東アジアの中で確保できるか、あるいは、国際的な権利関係を整理するために、場合によると制度面の整備が必要ではないか。こういった課題がございます。

 まずは、こうした課題につきまして事業者の間でもさまざまなFSが行われると承知をしておりまして、私ども、そうした取り組みをしっかり見守っていきたい、このように考えているところでございます。

小沢(鋭)委員 技術的な問題等は民間業者の話ですから、それぞれ民間業者がやるんだろうと思うんですね。私がお尋ねしたいのは、今回の電力自由化の話がありました、そういう中で、要は、政府として、こういった形で電力を輸入してそして売っていくということが法制度的に可能かどうか、それは今の時点で問題なのかどうか、それをお聞かせいただけますか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 現時点では、電力の海外からの輸入というものにつきましては、私どもが所管しております電気事業法の中では想定されていないところでございます。

 したがいまして、本件につきましてあえて申し上げますと、外国事業者をどのように取り扱っていくのか、あるいは、電気事業法上、各事業者にはある一定の義務が課せられておりますが、それをどのようにして履行していくのか、さらには、場合によって、これは国を越えておりますので、国際的な協定でありますとか契約といったような問題に発展していこうかと思いますが、そうした問題についてどのような規制を課すべきなのか、こういったところについては法的に論点があろうかと思っております。

 現時点で、これにつきまして、プロジェクトの内容もまだ必ずしも明確ではございませんので、私どもは予断を持たずにこの検討を進めていきたいと思っております。

小沢(鋭)委員 時間ですから終わりますが、省エネ、再エネの観点から大変おもしろい話だ、こう思っておりますので、どうぞ御検討ください。

 以上です。

赤澤委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 岡山から参りました民進党の高井でございます。

 きょうは、地球温暖化推進法の前に、ちょっと川内原発のことを二、三お聞きいたしたいと思います。

 先般、経済産業委員会で櫻田規制部長やそれから内閣府の山本審議官にはお聞きをしたんですが、ちょっとまだ納得できないところもありますので、きょうは、それぞれ、上司の田中委員長や丸川大臣がいらっしゃいますので、改めてお聞きしたいと思います。

 今回、川内原発、科学的根拠に基づいて、とめる必要はないと田中規制委員長はおっしゃっているわけですけれども、私は、ちょっと幾つか指摘したいと思うんです。

 一つは、六百二十ガルという根拠の数字に対して、極めて低い数値しか想定されないという説明だったんですが、例えば、これは西日本新聞で、大阪府立大の長沢名誉教授という方は、実は、いろいろなシミュレーションをしてみると、約五百三十ガルぐらいの揺れが川内原発の場所でもあるんじゃないかという指摘をしていたり、あるいは、これは朝日新聞の四月二十一日の記事ですが、これは政府の地震調査委員会の委員長が言っているんですけれども、今回、布田川断層の部分については、当初、予測はマグニチュード七・〇だったんだけれども、実際は七・三であったと。それで、こうコメントしています。「最新の科学成果を入れて評価を見直してきたが限界がある。火山周辺は土砂崩れが多く、地表のずれから推定することは難しかった」と、委員長の平田さんがみずからそうおっしゃっているということもあります。

 それと、私は、もう一つは、免震重要棟が、九州電力が突如建設を撤回して、そしてそれを今、原子力規制委員会ではまさに審査中という途中経過の段階にあるという状態にあるということ。

 それから、もう一つは火山ですね。これも何度も言われていますが、火山の予知というのは極めて難しいということで、これは政府自身が認めています、質問主意書に答える形で。

 きのうも山本審議官から、今回は、噴火が起きたときに火山灰が降ってくるのと、もう一つは火砕流、七百度ぐらいの溶岩が過去には噴火でこの川内原発のところまで来たという結果が地層から出ているわけですけれども、そのような大きなカルデラ噴火、巨大な噴火は起こる可能性は相当に低いんだ、可能性は十分に小さいと言いましたかね、そういう説明だったわけですけれども。

 加えて、さらに、地殻変動や地震活動のモニタリングで巨大噴火の兆候があれば運転停止とか燃料体の搬出などを行うというふうに、政府は川内原発の再稼働のときにそう言っているわけです。

 しかし、一方で、その前兆を捉えた例を承知しておらず、つまりこの巨大噴火の前兆を捉えた例を承知しておらず、噴火の具体的な発生時期や規模を予測することは困難であると、これは政府がみずから質問主意書に答える形で認めている。さらに、火山の影響評価ガイドに不備があるとは考えていないが、安全研究の推進による新たな知見の収集と新規制基準等の継続的な改善に努めていく必要があると。

 まさに、この火山という分野は、学者の皆さんからも予想が不可能だというコメントがたくさんある。そういう状況の中で、まさに今回、これだけの大きな地震があって、そしてまだどうなるかわからないという状況の中で、この火山というところも非常に不確定な要素である。

 そういった、今るる申し上げましたさまざまな不安な要素を考えれば、私は科学的に絶対大丈夫なんだということは言い切れないと思いますが、これは原子力規制委員長、いかがでしょうか。

田中政府特別補佐人 幾つか新聞記事等の報道の御紹介がありましたけれども、その詳細については、私、今、詳しくその中身まで理解しているわけではないので、回答、コメントは控えさせていただきます。

 その上で、まず、地震についての御質問です。

 川内原子力発電所の審査においては、今回の地震が発生している布田川断層帯と日奈久断層帯については、文献調査結果から、これら二つの断層帯が連動して一気に動くことを想定し、長さ九十二・七キロメートル、マグニチュード八・一として評価しております。

 地震動評価においては、マグニチュードと震源から発電所までの距離によってその影響を評価しており、両断層帯の連動により川内原子力発電所に与える地震の影響は百ガル程度であります。原子力発電所の耐震設計に用いているより近傍の別の活断層による地震に比べて、こちらの影響は小さいということを確認しています。

 また、川内原子力発電所では、詳細な調査の結果、敷地内に活断層の存在を認められていないが、その上で、あえて活断層が存在すると仮定して、震源を特定せず策定する地震動についても評価をしているところです。

 具体的には、過去に国内十数カ所で発生した震源を特定できなかった地震のうち、北海道の留萌支庁南部の地震をもとに評価し、最終的に六百二十ガルという基準地震動を設定しています。

 川内原子力発電所の新規制基準への適合性審査においては、この基準地震動の地震加速度六百二十ガルに対して、安全上重要な設備の機能が損なわれないことを確認しております。

 実際に、今回の地震により川内原子力発電所で観測された最大の地震加速度は、数ガルから十数ガル程度です。基準地震動はもとより、原子炉を自動停止させる設定値というのも設定しております。これは垂直で八十ガル、水平で二百六十ガルでございますが、これから比べても小さいものであります。

 こうした状況を踏まえ、四月十八日に開催した原子力規制委員会では、現状において原子力発電所を停止する必要がないと判断しているところですが、引き続き地震の状況については注視し、原子力発電所の状況について情報発信に努め、国民の御心配をできるだけ少なくするように対応してまいりたいと考えています。

 また、火山についての御質問もありました。

 火山についても、川内原発の火山対策については、通常の一般火山についても、周辺の三十以上の火山について調べました。それの影響はないことは確認しています。

 その中で、最大が桜島で、過去最大規模の噴火が起こることを前提にして、それでも火砕流が敷地に到達しない、また火山灰が積もっても原子炉の安全性を損なわないことを確認しています。

 また、先生今御指摘がありました、九州全域に壊滅的被害をもたらすような破局的噴火、いわゆるカルデラ噴火ですが、これは、地下のマグマの状況や過去の噴火履歴等を総合的に検討した結果、川内原発の運用期間中に影響が及ぶ可能性は十分小さいということを確認しております。

 御指摘のように、人類はまだカルデラ噴火をきちっと観測したという事例は歴史的にありませんので、だから観測できないという御意見もあるのも承知しておりますけれども、私どもとしては、さまざまな火山学的な知見を集めまして、そういった可能性の十分小さいことを確認しています。

 なお、地震発生前から気象庁は、阿蘇山は噴火警戒レベル2、桜島は噴火警戒レベル3としており、このレベルに変更はありません。また、原子力発電所に降下火砕物、火山灰もなく、特段の対応をとる必要があるようなレベルにはないと考えています。

 いずれにしても、地震にしても火山にしても、一応、私どもとしては、科学的知見をベースに判断しておるところでございます。

高井委員 今いろいろ私が申し上げたのは一々承知していないと言いましたけれども、学者の意見を全部把握できるかというのはありますけれども、例えば地震調査委員会の平田委員長の発言であったり、あるいは政府が過去に質問主意書に答えている答弁であったり、こういったものについて、ありとあらゆるいろいろなものを考慮して本当に決めたのかというのはちょっと私は疑問なんです。

 それはなぜかというと、十八日の委員会というのは、たしか四十分ぐらいで終わって、二十分説明で、議論は二十分しかなかったとお聞きしておりますし、その後、十八日からもう八日たっているわけですけれども、いろいろな情報が今どんどん出ていますよね、私の耳なんかにも入るぐらいですから。

 こういったことを規制委員長は常にいろいろと情報収集されているんでしょうか。そして、その情報収集の結果、例えば火山だって、原子力規制委員会には専門の委員がいないわけですから、例えば火山の専門家、第一人者の方に話を聞きに行くとか、そういういろいろなことをこの八日間にやれるんじゃないかと思いますけれども、そういったことを規制委員長はやっているんでしょうか。

田中政府特別補佐人 地震の状況については、随時、今後の地震の様子とか原発への影響ということについては報告をいただいていますし、それを見ていろいろ判断しております。

 それから、火山については、今差し当たって火山の影響は、阿蘇で小さい噴火があったということはありましたけれども、基本的に川内原発とか原子力発電所の敷地に影響を及ぼすようなことはないということです。

 情報の収集については、原子炉安全専門審査会の方に火山部会を設けて、そこに火山の先生方の御協力を得て、いろいろこういった川内のカルデラ噴火等の状況について、もしデータの変化があった場合にはそれの評価もしていただくということで、情報の収集には常に努めております。

高井委員 現行法律上、とめるのは規制委員長の権限しかないということでありますので、そういう意味では、まさに科学的見地、知見、根拠、これが本当に正しいのかということを、その一回の四十分の委員会で終わりということじゃなくて、常に不断に見直していただきたい。

 委員長にはもう本当に寝る間も惜しんで情報収集に、委員長の判断一つで九州全体がどうなるかという本当に大きな、九州だけじゃないですね、次もし事故が起こったら本当に原発政策そのものがもう終わるというようなことでありますから、私は、そういう観点からしても、もっと慎重に判断をして、わからないことが、例えば火山がカルデラ級の巨大な噴火というのは人類史上観測したことがない、でも、ないからやらなくていいんだということじゃなくて、ないからこそ、では危ないことはやめておこうとなるのが普通でありますけれども、そういう対応にならない。

 私は、これは法制度上もやはりちょっと不備があるんじゃないかという気が今しています。まさに規制委員長が科学的根拠でしかとめられないということであります。

 しかし、もう一つ重要なのは避難計画ですよね。避難経路が万全なのか。ところが、この避難計画が適正かどうかというのは規制委員会は関知しないということですよね。これはまさに丸川大臣が所掌しているわけですが、私は、この川内原発の避難についても、いろいろ情報収集すると、これはきのう山本審議官からお答えいただいているんですけれども、その計画ではやはりいろいろな無理があるんじゃないか。

 例えば、また地震が起きて、川も結構あそこは流れていますから、そこの橋が崩れてしまったら、今の、車で十時間以内に移動するとか、三十キロ圏外に車やバスで移動すると言っていますけれども、本当にバスの運転手さんが確保できるのかとか、あるいは、火砕流なんかが降ってきたら、そんなところに誰が行くのか。

 そういったいろいろなことを考えると、通常の、平時の避難計画はそれで、今のままでいいのかもしれませんけれども、熊本や大分で現に、そしてきのうも鹿児島で震度四の地震がありましたよね。こういう状況下において、改めて私は避難計画というのは見直すべきなんじゃないかと。

 見直した上で、この稼働を続けるのがいいのかどうかということをまさに丸川大臣と田中委員長が話し合うというか、そういう制度になっていないんですけれども、しかし、誰かが判断しなきゃいけないわけで、そうしたことに取り組むお考えは丸川大臣はありませんか。

丸川国務大臣 まず、原子力発電所の事故に係る避難計画は、複合災害を前提としております。つまり、地震やあるいは火山の噴火等々、ほかの災害が起きることと同時に原子力発電所の事故が進行するということを前提にして避難計画を立てておりますので、そのことをまず御承知おきいただきたいと思います。

 ですので、避難経路についても、単に原子力発電所事故で何か避難しなければいけないときにその経路が使えるかということのみならず、事故とほかの自然災害が同時に進んだときにその経路が使えるのかどうかということを検討して、その結果、計画を複数の経路について立てているという状況がございます。

 ですので、ある経路がだめであればほかの経路をとるということが既に計画の中で前提として入っている中で、実際には自治体が道路の寸断の状況を見ながら避難経路を設定し、また、地元の道路管理者、あるいは場合によっては実動部隊が出て道路を啓開するというようなことを通じて避難の経路を確保していくことを行います。

 今、地震で二万五千人から三万人近い自衛隊が出ているわけでございますが、東日本大震災のときはトータルで十万人の自衛隊が出動いたしました。こうした実動部隊が最終的に、どうしても地域の自治体の対応だけでは難しいといった場合には避難のお手伝いをする、あるいは支援をするといった体制を組んでおります。

 また、経路の選択についても、三十キロ圏内から圏外へ逃げることに関しては、この川内地域においては原子力防災・避難施設等調整システムというものがございまして、鹿児島県内のあらかじめ登録された複数の避難先、これは偏ったある地域ではなくて、満遍なく受け入れの方向が避難計画で決まっているわけですが、もし今回のようなケースで熊本方面に逃げるのが難しい場合は鹿児島県内に逃げる、鹿児島県内に逃げる場合にはこのシステムを使って調整をするというようなことになっております。

 また、陸路だけではなくて、伊方なんかの場合は特に空路、海路の避難ということについても実動部隊の支援を得て行うことになっております。

 いずれにしても、今申し上げたように、さまざまな状況を勘案して、避難手段や避難先を多様化して、状況に応じて適切な判断をしていくことが重要と考えております。加えてもう一個申し上げますと、避難計画というのはつくったら終わりじゃないです。その後に訓練をやって、その反省を生かしてブラッシュアップを常に続けていくことが重要でございますので、こうしたことの積み重ねを私どもはこれからも続けてまいります。

高井委員 我が民進党からも、この避難計画については早急に再度見直し、検討してくれと。それで不十分であれば私はやはり停止をするということも考えなきゃいけないと思うんですが、そもそも今の現行制度上、科学的根拠に基づいて原発を停止するときに、この避難計画がどうであるかというのは考慮に入らないんですね。ですよね。考慮するようになっていないですよね。

 実は、アメリカなんかは、連邦緊急事態管理庁、FEMAですね、ここがこういう避難計画をつくっていて、そこの意見を原子力規制委員会のような組織が聞いて、その上で最終的に停止するかどうかを判断する、そういう制度になっているんですが、我が国はなっていない。

 これは、実は原子力規制委員会をおととしおやめになった大島賢三さんという方がそういうことを指摘されて、退任の記者会見のときに言っている、そういう制度をアメリカのようにすべきじゃないかと。

 私は、これは極めて必要だと思いますけれども、委員長、いかがですか。

田中政府特別補佐人 私どもの審査の条件としては避難計画は入っておりませんけれども、そもそも避難計画をつくるときの基本となる指針については、私どもの責任においてつくらせていただいています。

 その中で、PAZ、五キロ圏内は緊急事態の発動とともに即避難をしていただく、それから、五キロから三十キロまでのUPZについては基本的には屋内退避をしていただくということとか、もろもろ細かいことをそこに決めております。

 実際にいろいろな地域の状況がありますので、それについては、地域の特性に沿ったきめ細かな、より実効的な避難計画をつくっていただこうというのが我が国の考え方です。それは、アメリカとは国土の状況も違いますし、必ずしもアメリカのやっていることが、本当にそれが理想的かどうかということもあろうかと思います。

 ですから、今私どもが判断しておりますのは、基本的に、きちっと避難計画ができているかどうかということ、これについては、まず、総理を議長とする原子力防災会議で、きちっとできているということについて、もちろん丸川大臣も責任者としてそれを確認させていただいて、その上で原発の稼働ということが行われているというふうに認識しておりますので、特に現段階においてそのことが問題であるというふうには認識しておりません。

高井委員 結局、再稼働するときにいろいろ避難計画をつくって、そこにはかかわっていらっしゃるということなんですが、停止をするときというのが、なかなか規定が十分じゃないと思うんですね。

 つまり、避難計画というのは見直さなきゃいけない、新たな災害が起こって随時見直す、そのときに、果たしてそれが十分で、原発を動かし続けていいかとめるかという判断のときにそういう手続になっていないというのは、私は、やはりこれは制度の不備だと思いますから、変えるべきだと思います。

 そして、これは丸川大臣にお聞きしたいんです。

 これは、実は、国立国会図書館のレポート、昨年の一月に書いた、川内原発の再稼働のときの、稼働をとめるんじゃなくて再稼働のときのレポートに、今回、川内原発については、いろいろな客観的な、国立国会図書館ですからかなり客観的な見地でレポートを書かれていますが、やはりいろいろな懸念点があるということが書いてあって、最後にこういうふうに書いています。

 科学的な判断というのは、専門家の間においても意見が分かれるケースがあって、特に巨大噴火の予想のように現段階の科学的知見では困難である事項も少なくないなど、自然科学には限界がある。科学的な調査や検討を徹底的に行うことを大前提として、最終的な判断においては、人々の暮らしや次世代への責任を勘案した価値判断、すなわち科学を土台とした社会的な判断を完全に排除することは難しい。

 私は、本当におっしゃるとおりだと思います。多くの国民の皆さんの思いじゃないですかね。科学的知見だけで判断するといったって、その科学的知見がいろいろと揺らいでいる中で、最後はやはり人々の暮らしや次世代の責任、そういったものを判断する、これはやはり政治家しかできないと思います。

 そういった判断を、まさに今これだけ多くの方が熊本、大分を中心に九州地方で被災されて不安な中で、さらに原発のことも負担をかけるのであれば、まずは一旦とめるという選択を政治の判断で行うということは私は十分あっていいと思いますけれども、原子力防災担当の大臣である丸川大臣、いかがお考えですか。

丸川国務大臣 原子力防災担当大臣としては、原子力発電所が稼働しているしていないにかかわらず、緊急時の対応をしっかり地域と協議した中で、具体的にその内容を詰めて、それを閣議で了承できる質のものに高めていく、そして了承した後もなおそれをブラッシュアップしていくというのが重要な責務でございまして、これは、稼働している稼働していないにかかわらず、そこに燃料棒がある限り、取り組んでいく課題でございます。

高井委員 つまり、稼働をとめる権限はないということですよね。そうなんだと思います。では、経済産業大臣なのかといっても、この間経済産業委員会で聞いても曖昧な答弁であって、結局、責任者がいない。

 とめるかどうかを判断する責任者というのは、科学的知見においては原子力規制委員長ですけれども、私は、委員長もかわいそうだと思いますよ。科学的知見のことは言えるけれども、今言ったような次世代への責任とか、人々の暮らしとか、被災者の思いとか、そんなことは、ましてや避難計画だって委員長の管轄じゃないわけですから、それで判断しろというのは、私はやはり、この法制度に不備があると思いますので、これはもう早急に見直し、できれば考えたい。ちょっと、私一人が言ってもあれなので、また同僚議員とも相談してということになりますけれども、今私はそう思っています。

 それでは、原発の話はここまでにいたしまして、地球温暖化の話に入りますが、私は再生可能エネルギーの話をちょっとさせていただきたいと思います。

 今回、FIT法が改正になる、まあ、まだ法案審議はこの後でありますが、私、経済産業委員会委員じゃないので質問のチャンスがもうないかもしれませんので、ちょっとこの場をかりて、この地球温暖化に対しても極めて重要なのでお聞きをしたいと思います。

 まず、今回のFIT法で、五条の再生可能エネルギーへの接続義務が削除されているというところが私は問題だと。

 これは、経済産業省は、いやいや、これは改正電気事業法の十七条四項で全ての電気事業者にひとしく担保されるから大丈夫なんだという説明で、私もそうなのかなと思ったんですが、その後いろいろな方から聞いて、いや、やはりそうではないと。それはなぜかというと、今のFIT法の五条では、再エネ事業者から接続の申し込みが電力会社にあれば、それは必要な費用を払えば必ず接続をしてもらえていたということがあります。

 ところが、今回の電気事業法十七条四項は、正当な理由がなければ当該接続を拒んではならないとだけ規定されていますけれども、これで本当に、接続申し込みがあった場合に接続費用を払えばこの系統に接続してもらえると考えてよろしいんでしょうか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 FIT法の改正法案でございますが、現行のFIT法第五条で接続義務ということを定めているわけでございますが、今御説明ありましたように、これと同様の規定が、電気事業法十七条第四項ということで規定されております。

 具体的には、一般送配電事業者は、ちょっと中を抜かしますが、接続を求められたときは、当該発電用の電気工作物が当該電線路の機能に電気的または磁気的な障害を与えるおそれがあるときその他正当な理由がなければ、当該接続を拒んではならないという規定がございます。

 したがって、FIT法五条がないからといって、送配電事業者が勝手に、恣意的に接続を拒むということはできないわけでございます。

 それから、今御紹介ございましたが、旧FIT法では、ではどういう場合に接続を拒めるのかということで、三つ規定してございます。一つは、事業者が接続に必要な費用を支払わない場合、それから二つ目は、電気の円滑な供給の確保に支障が生ずるおそれがあるとき、それから三つ目は、これは、経済産業省令で定める正当な理由ということで、契約内容がるる定められているわけでございます。

 この一号に関しましては、当然に、この第十七条の四項で、必要な費用を払わないわけですから、これは正当な拒否事由に当たる。それから、第二号の電気の円滑な供給に支障が生ずる、これも十七条の四項でまさに書いてあることでございますので、これも対応しております。また、第三号において、例えば出力制御や指定電気事業者あるいは優先給電といったことが書いてございますが、これに関しましては、今回送配電事業者の買い取りに移行するということに伴いまして、買い取り義務、こちらの方の条項に移動する、新FIT法第十六条の方に移動するということをもちまして、前後において何ら変更はないというふうに考えております。

高井委員 詳しくお答えいただきましたけれども、変わらないということでよろしいわけですね。

 それでは、ちょっともう少し詳しく聞きますけれども、出力制限について、今までは変動電源の出力抑制とか広域調整、卸電力市場の活用などをした後でなければ出力制限はできないというふうにされていたと思うんですが、それも今後も変わらないということでよろしいですか。

藤木政府参考人 今御指摘ございましたいわゆる優先給電ルールでございますが、これに関しても、新しい法律の十六条のもとに新たに規定するということにさせていただきたいと思っております。変わりません。

高井委員 わかりました。

 それでは、もう一つ、電力会社が再エネ事業者の接続を拒否した場合どうなるのかということをお聞きしたいと思いますが、拒否した場合に、例えば、その接続を拒否した根拠とか、拒否したという情報、事実、あるいは資料の公表とか、あるいは広域機関などの検証を、法律ではないですけれども、施行規則、省令とかで義務づけたりするというお考えはありますか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 接続の求めがあって、それについて正当な理由がなければ当該接続を拒んではならないという規定になっているわけでございますから、当然、お申し込みのあった御本人に対してはこういう理由で接続がされないということを御説明する、こういうことになるというふうに考えております。

高井委員 ありがとうございます。

 まだ疑問点はあるんですけれども、もう時間がありませんので次に移りたいと思います。

 それでは、地球温暖化対策について、パリ協定の話、恐らくこの委員会でももう何度も議論になっているとは思うんですけれども、今後、批准に当たってどういった対応が必要になるのか、法整備は行うのかどうか、お答えください。

梶原政府参考人 パリ協定の実施に当たり必要となる法的な措置につきましても、今後、締結に向けた準備の中で、政府部内で検討していきたいというふうに考えてございます。

高井委員 わからないわけですね、それでは。

 それでは、これは大臣に通告していますのでお聞きしますけれども、今回のパリ協定に合意したわけですから、二度未満の気温目標、それから一・五度に抑制するという努力目標は、これは日本も当然支持をして、その実践に取り組むという考えでいいのか、そしてあわせて、そのことは法律に位置づけるべきだと考えますが、いかがでしょうか。

丸川国務大臣 まず、パリ協定において二度目標が位置づけられたことも踏まえまして、地球温暖化対策計画に、長期的な目標として、二〇五〇年までに八〇%削減を目指すと位置づけてまいります。

 また、二度目標、一・五度努力目標を法律に位置づけるべきではないかという御指摘でございますけれども、温対法の目的規定、第一条では、二度目標の考え方の大もとになります気候変動枠組み条約の究極目的、気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼすこととならない水準において大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させることを既に規定しているところです。この人為的干渉を及ぼすこととならない水準というものが具体的に表現されたものとしての二度目標という受けとめ方を我々はしておるところでございます。

 地球温暖化対策推進法の目的規定に位置づけられている濃度の安定化を実現するために、温対法に基づいて地球温暖化対策計画を策定して、中長期の大幅削減に向けて、長期的、戦略的に取り組んでまいります。

高井委員 これも大臣に通告していると思うんですが、世界各国のINDC、国別の約束草案を総じてもパリ協定の二度未満には全く足りないということが、もう明らかになっています。二〇二〇年、二〇三〇年の目標の引き上げも議論されています。

 二〇二〇年前にもう一度正式に目標を提出することになると思いますが、その前に、再度、もう一回国民的な議論を経て、この目標を再検討することが必要じゃないかと考えますが、いかがでしょうか。

丸川国務大臣 二〇三〇年の目標については、詳細に具体的な積み重ねを入れつつ、これを達成する道筋を具体的に描いているものでございます。

 一方で、パリ協定を受けてこれから世界がどのようなサイクルで動いていくかということに少し触れさせていただきますと、NDCの更新の二年前にグローバルストックテークを行うということで、二〇二〇年以降の枠組みですから、最初のグローバルストックテークは二〇二三ということになるわけですが、その前にも促進的対話を二〇一八年に行うということが、これはパリ決定、COP決定の方に入っているわけでございます。

 こうした機会も捉えながらしっかりと、世界全体での取り組みの強化に合わせる形で私どもがきちんと着実に取り組んでいるかということも、当然のことながら、国民の目で見、また世界の目が見るということになろうかと思いますので、今後とも、パリ協定の規定に沿って適切に対応しつつ、世界全体の取り組みの強化の中で我々も努力をしてまいりたいと存じます。

高井委員 それでは次に、石炭火力についてお伺いします。これも大臣に通告していますので、お願いします。

 電気事業者の業界の自主目標では、排出係数を〇・三七キログラムCO2とするとなっています。これを国が促すことになっていますが、最新の磯子の石炭火力発電所でも〇・八一キログラム・キロワットアワーだと。

 このまま建設計画を進めれば、石炭火力の設備利用率を大幅に減らさなければならなくなると考えますが、どのようにこの目標を実現すると見込んでおりますでしょうか。

丸川国務大臣 石炭火力発電については、議員御指摘のとおり、現在、多数の新増設の計画がございます。

 実効的な対策を講じなければ国の削減目標等の達成が危ぶまれるということで、ことしの二月に、林経済産業大臣と電力分野における実効性ある地球温暖化対策について相談をさせていただきまして、これまでもお願いしてきた電力業界の自主的枠組み、これについては、引き続き実効性、透明性の向上等を促していくとともに、省エネ法やエネルギー供給構造高度化法について、エネルギーミックスと整合する基準、ベンチマーク等を設定して、経済産業省には責任を持ってこれを運用していただくということによって、電力業界全体の取り組みの実効性を確保することといたしました。

 この取り組みについては、実効性を上げているか、毎年、進捗状況をレビューいたします。これは環境省もやらせていただきます。目標の達成ができないという判断がされる場合には、施策の見直し等についても検討させていただきます。

 こうした取り組みを通じて、二〇三〇年の二六%目標が達成されるように、毎年度毎年度、しっかり目を光らせながら着実に取り組んでまいりたいと存じます。

高井委員 もう時間がなくなりましたが、最後に一問。

 全然全く関係なく、また地震に戻るんですが、私は動物福祉を一生懸命やっておりまして、今回、避難所にペットを一緒に連れて同行避難、これについては環境省もガイドラインをつくっていただいて、それをしっかりサポートしていただいていることは評価していますが、やはり被災された方々は本当に心細い気持ちで、家族同然にペットをかわいがっている方もたくさんいるわけで、一方で、でも、避難所で、ペット、犬や猫は嫌いという方もいる。

 なかなか難しいところだと思うんですが、しかし、だからこそ、避難所に任せるんじゃなく、ぜひ環境省が音頭をとってしっかり対策をとっていただきたいと思いますが、大臣の決意をお聞かせください。

丸川国務大臣 東日本大震災等の反省を踏まえまして、今回の震災に対しましては、十九日の火曜日から環境省の職員一名を現地に派遣しておりまして、自治体との意見交換、また避難所の巡回等を行って、情報収集や被災者のニーズの把握を行っております。

 派遣した職員が確認している限りにおいては、現在、各避難所において、敷地内へペットを受け入れるということまでは認められておりますが、同じ室内に置くことまでが認められているかどうかというのは、これは施設の大きさや構造にもよるということでございます。

 本日二十六日火曜日から、環境省の要請とそれから九州ブロック自治体間の協定によりまして、周辺各県の応援職員を得まして、熊本県内におきまして、避難所の巡回、また環境の改善等に取り組んでおります。環境省の職員はそのコーディネーター役を務めております。

 また、飼い主と離れた迷子のペットについては、熊本の県や市が保護してホームページ上で紹介をするということを行って、返還に取り組んでいるところでございます。

 さらに、熊本県の獣医師会が災害救護対策本部を設置して、二十三日の土曜日から被災した動物の一時預かり等の相談に応じていただいておりまして、これも環境省がバックアップに当たっております。

 こうした取り組みと連携しながら、被災者の皆様が家族として過ごしているペットとともに過ごしながら避難生活を安心して送っていけるように、また、一刻も早く住居の確保がされる中でペットと過ごす環境を整えるように努力をしてまいりたいと存じます。

高井委員 よろしくお願いします。

 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。

赤澤委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党と山本太郎となかまたち、玉城デニーです。

 地球温暖化対策に関する法律の一部を改正する法律案、私が最後のバッターとなりますので、重複する質問もあろうかと思いますが、どうぞ真摯な御答弁をお願いしたいと思います。

 きょうは、まず、温室効果ガス削減目標達成への取り組みについて、我が国では二〇三〇年二六%、それから二〇五〇年、世界全体で五〇%、先進国では八〇%、非常に中長期的には高い目標に向かって取り組んでいかなければならないということを改めて確認する意味で質問をさせていただきたいと思います。

 では、まず経産省にお伺いいたします。

 パリ協定で示された長期的な目標の実現に向けてさまざまな取り組みを行うものでありますが、平成二十八年三月時点で現在四十一基の石炭火力の新設、増設の許可及び新増設を進めた場合に、その発電当たり二酸化炭素、CO2排出量が他のLNG等の発電と比較して実は大幅に減らされないという事実がございます。これは、環境省が資料として提出しております。

 この現在の石炭火力が新増設された場合に減らされないという現実について、政府はどのように見解を持っていらっしゃるか、経産省にお伺いしたいと思います。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘の件でございますけれども、当省におきましては、約千八百万キロワットの石炭火力の新増設の計画を把握しているところでございます。あくまで計画ベースのものでございますが、そのように把握をしております。他方で、LNGの火力、こちらの方につきましても計画がございまして、約二千九百万キロワット、このような計画になっております。したがいまして、客観的には、石炭火力ばかりがふえるという状況では今はないかとは思っております。

 その上で、御指摘のように、石炭火力はCO2の面で問題があるという御指摘であります。

 他の電源と比較いたしましてCO2を多く排出するということで、環境面での課題がございます。他方で、安定供給でございますとか経済性の観点からはすぐれているということで、私ども、エネルギー基本計画の中でも、重要なベースロード電源というふうな位置づけをさせていただいております。したがいまして、今後とも一定の割合での活用というものを図っていくことは不可欠ではないかと思っております。

 他方で、御指摘がございますように、環境面での課題等がございますものですから、私どもも、CO2の排出を削減するということを同時にやっていかなければいけないと思っております。

 したがいまして、先ほど丸川大臣の方からも御紹介がございましたけれども、今般、省エネ法の中で、事業者に厳しい発電効率の定量的な基準を定めさせていただいたところでございます。これによりまして、古くて効率の悪い石炭火力につきましては、稼働率の低減、さらには休廃止といったようなことも促すことができる、このように考えてございまして、石炭という重要なベースロード電源を活用しながらCO2の排出を削減する、これは高効率な火力発電への新規投資ということになろうかと思いますが、こうした形でしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

玉城委員 さまざまなエネルギーミックスと勘案して、ベースロード電源としては、石炭火力も引き続き高効率の新規施設を含めて運用していくということでの確認をさせていただきました。

 他方で、石炭火力発電の設備容量とCO2の排出量の資料、これも環境省の資料をもとに見てみますと、二〇三〇年の時点において、エネルギーミックスと、それから今お答えいただいた現状の追認という形で比較をしてみますと、計画されている石炭火力発電所が稼働し、あるいは老朽化した発電所が稼働四十五年で廃止された場合でも、約六千万トンの排出増加となる見込みなんですね。

 これは環境省にお伺いしたいんですが、これを中長期の削減目標で考える場合、環境省としてどのような整合性が図られるのかについてお伺いしたいと思います。

梶原政府参考人 今先生御指摘のように、各社公表資料をもとに、新規に計画されている石炭火力発電所は約一千八百万キロワット、そして、これらが全部稼働し、そして既存のものについては四十五年で一律に廃止され、そしてまた一定の稼働率を想定しますと、エネルギーミックスの想定を六千万トン上回るCO2が排出されるという計算ができます。

 このような石炭火力につきましては、実効的な対策を講じなければ国の削減目標等の達成が危ぶまれるといったようなことから、電力分野につきましては、実効ある地球温暖化対策について、本年二月に環境大臣と経済産業大臣との間で合意をして対策をお示ししていただいたところでございます。

 この中身につきましては、電力業界の自主的な枠組みについて、引き続き実効性と透明性の向上を促すとともに、省エネ法あるいはエネルギー供給構造高度化法につきまして、エネルギーミックスと整合する形での基準を設定して、経済産業省に責任を持って運用していただくということで、電力業界の取り組みの実効性を確保するということにしてございます。

 環境省といたしましても、その取り組みが継続的に実効を上げているか、毎年度、進捗状況をレビューいたしまして、目標の達成ができないと判断される場合につきましては、施策の見直し等について検討いたしていくところでございます。

 地球温暖化対策に責任を持つ環境省として、二六%の削減目標の達成にしっかりと取り組んでいきたいと考えておるところでございます。

玉城委員 では、資源エネルギー庁にもう一度お伺いいたします。

 排出量が多い石炭火力を扱う事業者に対しては、地球温暖化のあり方としての努力をしっかりと求めていくということで、改めて確認させてください。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 今、環境省の方からも御説明があったとおりでございまして、私ども、両大臣の合意を踏まえて、しっかりと地球温暖化対策に取り組んでまいりたいと思っております。

 今御紹介があった点をもう少し具体的に申し上げたいと思います。

 まず、省エネ法でございます。これは発電事業者に対する規制でございます。石炭火力を初めといたしまして発電設備を新設する際に、その効率性について定量的な基準を設けるということにさせていただこうと思っております。したがいまして、この結果として、新設される設備というものは一定の効率を満たすものに限られるわけでございます。

 あわせて、新設だけではなくて、既存の設備につきましても運転効率の目標を掲げまして、先ほど来環境省様の方からもありますように、毎年この取り組み状況を評価していく、このようにしたいと思っております。これによりまして、事業者の方も、この目標を満たすためには、結果として、古くて効率の悪い火力発電設備は、先ほども申し上げましたけれども、稼働を下げていく、あるいは、場合によっては休廃止、こういうふうな判断につながっていこうかと思っております。

 また、もう一つ、これは発電段階だけで絞っても、実際小売段階がうまくワークしないと、全体として国が掲げます目標との整合性が保てないという場合もあろうかと思っております。したがいまして、エネルギー供給構造高度化法という枠組みを用いまして、非化石電源についての高い導入目標を掲げさせていただきました。これによりまして、新規参入を含めまして全小売電気事業者が非化石電源の調達を拡大していく、こういったことを取り組むことになります。

 これは決して石炭火力を狙い撃ちにするものではございませんけれども、発電事業者には先ほど来申し上げておりますように一定の効率を求めますし、それから他方で、小売事業者にも非化石電源の調達を求めることで、結果的には、石炭火力を含めまして発電を行う事業者に対してはかなりの競争圧力というものがかかるものと認識をしております。

 先ほど来、環境省様の方からもお話ありますように、これは枠組みを決めるだけではなくて、実際に今後の事業者の方々の取り組みを毎年一回しっかりとレビューして、そのお取り組みを促すことが重要だと思っておりまして、経済産業省、資源エネルギー庁としてもしっかりこの分野について取り組んでまいりたいと思っております。

玉城委員 ありがとうございます。

 やはり、我が国は、再生可能エネルギーの技術をさらに革新し、そのパーセンテージをどんどんふやしていかなければいけないということも、非常に憂慮といいますか、それに向かっていかなければならないのではないかというふうに思います。

 さて、少し雑駁な質問になりますが、では、大型発電電力事業者以外の事業者、産業全体の事業者、特に中小企業の事業に関連する温室効果ガスの排出抑制対策としてどのような努力をしていくものであるかについて、経産省にお伺いしたいと思います。

星野政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘いただきました、中小企業を含めました産業部門の排出抑制対策といたしましては、現在検討中の地球温暖化対策計画案におきまして、低炭素社会実行計画の着実な実施とその評価、検証、また省エネ設備や機器の導入促進など、徹底した省エネに取り組むということ等によりまして、経済成長と両立させながらCO2の抑制を目指すことにしております。

 特に、お尋ねの中小企業に対しましては、同計画案におきまして、省エネ診断やCO2削減ポテンシャルの診断、それからエネルギー消費原単位の改善に着目した排出削減設備導入の支援などに取り組むこととしております。また、地域の商工会議所あるいは自治体と連携をいたしまして、中小企業による省エネの取り組みをきめ細かく支援するためのプラットホームを構築することとしております。これによりまして、省エネに取り組む中小企業の皆様の掘り起こしから運用改善、さらには設備投資などの取り組みのフォローアップをきめ細かく、幅広く支援することにしております。

 こうした取り組みを通じまして、中小企業を含めました産業部門における省エネ、排出抑制というものをしっかりと後押ししてまいりたいと思っております。

玉城委員 もう時間も迫っておりますので、きょうは国交省の政府参考人にもお越しいただいています、先に質問させてください。

 やる気のある地方公共団体のリーダーが登場してくる時代だと思いますが、例えば、首長さんが率先して低炭素型の地域の交通網連携を構築していきたい、その場合、LRTを中心にして新規導入を行い、地方公共団体の地球温暖化対策に取り組んでいきたいというふうな意見もこれから出てくるやに思います。

 しかし、その場合に、どうしても、地方公共団体が新規事業計画をその交通網体系で取り組む場合に、地球温暖化防止という目的はあるものの、コンパクトシティーやスマートシティーを構築していきたいという考えのもとでLRTを導入していきたいと考える方も少なくないのではないかというふうに思います。

 その場合にはどのような連携を図っていくのか、国交省にお伺いしたいと思います。

清水政府参考人 お答えいたします。

 本格的な少子高齢化を迎えまして、持続可能な都市、地域の形成を図るに当たりましては、乗りおりが容易で環境にも優しいLRTのような公共交通を整備することが有効であると考えております。

 また、LRTのような公共交通を整備する際には、バス等の他の交通モードとの円滑な乗りかえを可能とする交通結節点の整備や、旅客の待合スペースやパーク・アンド・ライド駐車場など、公共交通の利便性、快適性を向上させる施設の整備、公共交通の路線に沿いました商業とか集客施設等の都市機能の立地誘導といいましたような町づくりの取り組みとの連携を図ることが極めて重要になると考えております。

 こうした取り組みによりまして、LRTなどの公共交通の導入を進めることによりまして、コンパクトな都市の形成と低炭素な社会の実現に寄与するものと考えております。

 以上でございます。

玉城委員 ありがとうございました。

 ほかにも質問がありましたが、時間ですので質問を終わります。ニフェーデービタン。ありがとうございました。

赤澤委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

赤澤委員長 この際、本案に対し、福田昭夫君外二名から、民進党・無所属クラブ及び生活の党と山本太郎となかまたちの共同提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。福田昭夫君。

    ―――――――――――――

 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

福田(昭)委員 民進党の福田昭夫でございます。

 ただいま議題となりました修正案につきまして、提出者を代表して、その提案の趣旨及び内容の概要を御説明申し上げます。

 昨年十二月、二〇二〇年以降の温室効果ガス排出削減等のための新たな国際枠組みとして、パリ協定が採択されました。その際に合意された世界共通の目標の達成に向け、我が国としても、必要な措置をできる限り速やかに講じていく必要があります。この修正案は、パリ協定の内容を踏まえて地球温暖化対策を推進していくことを明らかにしようとするものであります。

 次に、この修正案の内容の概要について御説明申し上げます。

 第一に、温室効果ガスの排出の量の削減に関する長期的な目標として、国際的協調のもとに、世界全体の平均気温の上昇を二度より十分に低く保つとともに、これを一・五度以内に抑えるよう努めること等が必要であるとの地球温暖化の防止に関する国際社会における共通の認識を踏まえ、我が国における温室効果ガスの排出量を二〇五〇年までに一九九〇年比で八〇%削減することを明記することであります。

 第二に、地球温暖化対策計画について、一つ、長期的な目標に即して計画を定めるものとすること、二つ、計画の案を作成し、または変更しようとするときは、地方公共団体及び民間団体等の意見を反映させるために必要な措置を講ずること、三つ、政府は、毎年、計画の実績に関する評価を行い、その内容を国会に報告するとともに、公表するものとすること、四つ、計画の見直しに係る検討に際しての勘案事項に、国際約束に基づく義務の履行期限を追加することであります。

 第三に、地球温暖化対策に関する政策形成に民意を反映する等のため、広く事業者及び国民の意見を求め、これを考慮して政策形成を行う仕組みの活用を図るものとすることであります。

 第四に、別に法律で定めるところにより、地球温暖化への適応を図るために必要な施策を講ずるものとし、その法律には、地球温暖化への適応に関する基本的な計画の策定等について規定するものとすることであります。

 以上が、この修正案の趣旨及び内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

 以上であります。

赤澤委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

赤澤委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。田島一成君。

田島(一)委員 民進党の田島一成でございます。

 ただいま議題となりました地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案原案につきまして反対、修正案に賛成の立場から討論をさせていただきます。

 昨年、COP21において採択されたパリ協定に、「この協定は、世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて二度Cより十分低く保つとともに、一・五度Cに抑える努力を追求すること、適応能力を向上させること、資金の流れを低排出で気候に強靱な発展に向けた道筋に適合させること等によって、気候変動の脅威への世界的な対応を強化することを目的とする。」と記されています。

 人類存亡の危機を乗り越えるには、先進国として二〇五〇年までに温室効果ガスを八〇%削減し、世界全体で二一〇〇年までに温室効果ガス削減を、ゼロにしなければなりません。環境立国日本としても、技術と政策を総動員し、世界をリードする形で温室効果ガスの大幅削減をなし遂げる相当な努力と覚悟が必要となります。

 しかし、今回の地球温暖化対策法の改正にそのような覚悟は残念ながら見当たらず、温室効果ガスの大幅削減が可能となる仕組みがつけ加えられたとは到底思えません。

 改正の主な点は、何もやらないよりましと思える程度の内容で、相変わらず、省庁縦割り、短期的な目先の利益を追求し、長期的な課題は先送りする今の政権のやり方が見事に表現されている法案と言わざるを得ません。この法改正によって温室効果ガスの削減がどの程度可能なのかも明確に答弁できない、まさに、やったふりをしているだけで、温暖化対策に真剣に取り組む姿勢が全く見られません。

 民進党は、このような法改正は不十分であるとして、温室効果ガスの排出の量の削減に関する長期的な目標として、世界全体の平均気温の上昇を二度Cより十分に低く保つとともに、これを一・五度C以内に抑えるよう努めることが必要であるとの国際社会における共通の認識を踏まえ、我が国における温室効果ガスの排出量を二〇五〇年までに八〇%削減することを明記すること、地球温暖化対策計画について、長期的な目標に即して計画を定めるとともに、計画の見直しに係る検討に際しての勘案事項に「国際約束に基づく義務の履行期限」を追加すること、別に法律で定めるところにより、地球温暖化への適応を図るために必要な施策を講ずるものとし、その法律には、地球温暖化への適応に対する基本的な計画策定等について規定することなどを主な内容とする修正案を提出させていただきました。

 二〇三〇年目標は、あくまでも究極の目標への一里塚であります。ところが、中期目標の二六%削減と長期目標の八〇%削減の整合性は疑わしく、二〇三〇年から二〇五〇年までは、二〇三〇年までの一・五倍以上のペースで温室効果ガスを削減しなければならなくなり、次世代の負担は極めて重くなります。今できる対策すら十分に行わず、将来のイノベーション頼みでは、長期目標の実現は危ういと言わざるを得ません。

 加えて、各国が提出した削減目標では、二度C目標の達成は不可能です。日本もさらなる削減を迫られるのは必至です。次世代の負担はさらに重くなります。

 イノベーションに頼らなくても、大幅な省エネは可能です。新たな石炭火力を建設せずにLNG火力中心の電源構成にすれば、大幅に温室効果ガス削減が可能です。

 温暖化対策でも、再生可能エネルギーの導入でも、日本はかつてトップを走っていたにもかかわらず、今では先頭集団から完全に置いていかれてしまっています。

 民進党は、二〇三〇年に一九九〇年比温室効果ガス三〇%削減、二〇三〇年再生可能エネルギー三〇%以上導入を目指すべきであると考えています。省エネルギーを最大限に進めるとともに、再生可能熱利用の促進、再生可能エネルギーの最大限導入、石炭火力発電所からの脱却等により、温室効果ガスの大幅削減を達成すべきだと考えます。

 また、これらの目標を実現するために、分散型エネルギー社会推進四法案を今週にも衆議院に提出させていただきます。

 単なる反対ではなく、しっかりと実現可能な政策を提示していることをあわせて申し添えておきます。

 世界は今、大きな転換点に立っています。そして、先進国のみならず途上国においても、そのうねりはまさに大きくなってきています。

 安倍政権で、再生可能エネルギー導入、温室効果ガス削減目標が大きく後退してしまいました。日本のすぐれた技術でさえ、逆を向いている政権の意思によって殺されています。

 民進党は、エネルギー分権により地方の活気を取り戻し、世界一の環境技術立国として地球環境問題の先頭に立つ国に仕立て上げることをお誓い申し上げ、私の討論とさせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

赤澤委員長 次に、真山祐一君。

真山委員 公明党の真山祐一でございます。

 私は、自由民主党、公明党を代表して、ただいま議題となりました地球温暖化対策推進法の一部を改正する法律案に対して、賛成の立場から討論いたします。

 本案に賛成する第一の理由は、本案が普及啓発を国の責務や地球温暖化対策計画の記載事項として明記していることです。

 パリ協定に先立ち、我が国は、二〇三〇年度に二〇一三年度比で温室効果ガスを二六%削減する目標を国連に提出していますが、特に家庭、業務部門はそれぞれで四割の削減を想定しており、国民全体を巻き込んでいく必要があります。

 国民の意識改革やライフスタイルの転換のためには、異常気象による大規模災害などの気候変動による影響や、省エネ製品の活用などによる光熱費や健康面でのメリットがあることを、行動するインセンティブとして認識していただく必要があると考えております。

 今後、政府は、企業や自治体、学校などと連携し、環境教育の充実や普及啓発を強化するべきであり、本法律案が普及啓発を国の責務や地球温暖化対策計画の記載事項として明記していることは適切な改正であると考えます。

 賛成する第二の理由は、地方公共団体実行計画の共同策定によって、自立分散型エネルギー社会の構築に向け、自治体間の広域連携の進展が期待できるからであります。

 土地、水、風、熱、バイオマス等の活用可能な資源は、我が国の地方にこそ豊富に存在しております。地域資源を有効に活用し、自立分散型エネルギー社会を構築することは、温暖化対策としても地方創生としても極めて重要です。また、本法律案による改正で地方自治体の計画の共同策定が可能になれば、農村部で得られた再生可能エネルギーを都市部で積極的に導入することなど、自治体間の広域連携が進むと期待できます。

 賛成する第三の理由は、本案に国際協力、国際連携の強化が明記されていることであります。

 我が国として、途上国への削減技術、製品等の普及や対策実施を通じ、実現した削減、吸収への我が国の貢献を定量的に評価する二国間クレジット制度などを通じて、世界全体で温室効果ガスの排出削減に貢献することは、国際社会における責務です。

 今回の法案で、地球温暖化対策計画の記載事項として地球温暖化対策の国際協力について明記し、国際協力を強化していくことは適切な改正であり、政府には、来月のG7環境大臣会合などを通じ、国際協力を強化していくことを求めたいと思います。

 以上、賛成する主な理由を申し述べました。

 なお、民進党より提出された同法案修正案につきましては、見解を異にするため反対することを申し述べまして、私の賛成討論とさせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

赤澤委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、地球温暖化対策推進法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。

 本案は、昨年末に合意されたパリ協定を踏まえ、温室効果ガスを二〇三〇年に二〇一三年比二六%削減するとの日本の約束草案の目標を達成するため、地球温暖化対策計画に定める事項に普及啓発の推進や国際協力の推進等を追加しようとするものです。

 地球温暖化対策計画案は、二〇三〇年における削減目標として、二〇一三年比で二六%減と掲げていますが、これは一九九〇年比に換算すると一八%減にすぎません。

 パリ協定での合意は、世界の平均気温の上昇幅を産業革命前の水準と比べて二度を下回るようにし、一・五度に抑える努力をすると明記しています。日本の削減目標は、この合意の達成のためには余りにも不十分です。そもそも、本案には二度を下回るとの目標も明記されておらず、パリ協定の合意目標を本当に達成するつもりがあるのか、疑わざるを得ません。

 地球温暖化対策計画案は、原子力発電と石炭火力発電の活用を明記し、両発電のベースロード電源としての位置づけを容認しています。

 日本の温室効果ガス総排出量の四割を占めるのは電力部門です。にもかかわらず、政府は、二〇三〇年における石炭火力発電の割合を二六%とし、LNGの約二倍の温室効果ガスを排出する石炭火力発電を推進しています。その一方で、排出の大部分を電力由来が占める民生部門には四割の排出削減を求めており、石炭依存のツケを国民へ押しつけるものだと言わざるを得ません。

 また、二〇三〇年における原発の発電割合は二〇から二二%とされています。この電源構成比を実現しようとすれば、三十基もの老朽原発を震災前の稼働率を超える八割の稼働率で動かす必要があります。

 本計画は、福島原発事故の原因解明もされないままに原発の再稼働を強行するものであり、断じて許すことはできません。今必要なのは、原発や石炭火力発電から再生可能エネルギーへの転換を図ることです。

 本計画の国際協力の一つである二国間クレジットの対象に石炭火力発電と原発が含まれていることは重大です。獲得したクレジットは日本の排出削減目標の不足分の穴埋めとして使うものであり、企業に石炭火力発電と原発を海外に売り込むお墨つきを与えるものです。

 パリ協定では、今世紀後半に温室効果ガス排出の実質ゼロを求めており、石炭火力発電はつくらないというのが世界の主流です。また、原発は発電コストも高く危険であることから、撤退する動きが広まっています。世界の流れは、脱石炭火力、脱原発です。政府の姿勢は、こうした流れに逆行するものです。

 以上、本改正案は、パリ協定の実施を担保する法整備と言えないばかりか、パリ協定の合意にも反するものとなっており、到底容認することはできません。

 なお、修正案は、原案の問題点を改めるものとなっておらず、賛成できません。

 以上申し述べ、反対討論を終わります。

赤澤委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

赤澤委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、福田昭夫君外二名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤澤委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 原案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤澤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

赤澤委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、助田重義君外五名から、自由民主党、民進党・無所属クラブ、公明党、おおさか維新の会及び生活の党と山本太郎となかまたちの共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。助田重義君。

助田委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読してかえさせていただきたいと存じます。

    地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。

 一 国連気候変動枠組条約第二十一回締約国会議で採択されたパリ協定を踏まえ、産業革命以前と比べた世界の平均気温の上昇幅を二度より十分低く保ち、一・五度以下に抑える努力を追求すること、世界の温室効果ガス排出量が最大に達する時期をできる限り早くするものとし、今世紀後半に人為的な温室効果ガスの排出と吸収源による除去の均衡を達成することが人類共通の課題であることを認識し、この目標の達成に向けた国際的役割を果たすために、長期的展望に立って積極的に地球温暖化対策を実施すること。

 二 パリ協定の早期発効に向け、全ての主要国が参加する公平かつ実効性ある国際枠組みの下で温室効果ガスの主要排出国がその能力に応じた排出削減に取り組むよう国際社会を主導し、その国際交渉にリーダーシップを発揮すること。また、二〇五〇年までに八〇パーセントの温室効果ガスの排出削減を目指すという長期的目標の達成のためには、温室効果ガスの大幅な削減が必要であることを認識し、低炭素化と経済成長を同時に実現する経済社会システムの変革も視野に入れた二〇五〇年に向けた長期の低炭素戦略を早急に策定すること。

 三 パリ協定に基づく温室効果ガスの排出削減目標の五年毎の提出及び更新に合わせ、長期的目標と整合性を図りつつ、二〇三〇年以降の野心的な排出削減目標を定めるものとすること。また、同目標には、再生可能エネルギーの最大限の導入及び省エネルギーの最大限の推進を図ることを前提とした定量的な指標を設けるものとすること。

 四 我が国の温室効果ガスの排出削減目標の着実な達成のため、炭素の価格付けに関する施策について検討を行うとともに、再生可能エネルギーの導入及び普及促進に関する施策、建築物及び設備機器等の省エネルギー対策などの施策を早急に推進すること。

 五 地球温暖化に起因する気候変動による我が国への被害や影響を軽減する施策の実効性を高めるため、気候変動の影響への適応計画の早期の法定計画化を図ること。

 六 地球温暖化対策計画はもとより、適応計画等については、国際的動向及び最新の科学的知見を基に不断に見直しを行い、必要な追加的施策を実施するとともに、その見直し過程における公正性及び透明性を確保するため、基礎とした情報の国民への速やかな公開の徹底、議論への国民の参画の機会を十分に確保すること。また、それらの計画に基づく取組の進捗状況について、定期的に公表すること。

 七 中核市等以外の小規模の地方公共団体実行計画(区域施策編)の策定を進めるため、低炭素化を図る地域づくりの取組に十分な支援を行うこと。

 八 地球温暖化対策の推進を図るためには国民の理解及び協力を得ることが必要不可欠であることに鑑み、社会的機運の醸成を図るため、地球温暖化の防止に関する教育及び学習の振興のための施策を一層推進すること。

 九 二〇五〇年までに八〇パーセントの温室効果ガスの排出削減を目指すという長期的目標の達成のためにも、将来の環境・エネルギー分野における革新的な技術開発の推進に期待するのみならず、今ある技術の更なる普及による再生可能エネルギーの最大限の導入及び省エネルギーの最大限の推進を図るための取組を一層加速して進めること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

赤澤委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤澤委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。丸川環境大臣。

丸川国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、環境省として、その趣旨を十分に尊重いたしまして、努力してまいる所存でございます。

    ―――――――――――――

赤澤委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤澤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

赤澤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十七分散会


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