衆議院

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第4号 平成13年2月13日(火曜日)

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平成十三年二月十三日(火曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 野呂田芳成君

   理事 北村 直人君 理事 久間 章生君

   理事 小林 興起君 理事 自見庄三郎君

   理事 細田 博之君 理事 池田 元久君

   理事 佐藤 観樹君 理事 原口 一博君

   理事 谷口 隆義君

      池田 行彦君    石川 要三君

      大原 一三君    奥谷  通君

      奥野 誠亮君    亀井 善之君

      栗原 博久君    左藤  章君

      塩川正十郎君    七条  明君

      田中眞紀子君    高木  毅君

      高鳥  修君    谷本 龍哉君

      津島 雄二君    中山 正暉君

      丹羽 雄哉君    葉梨 信行君

      萩野 浩基君    林  幹雄君

      牧野 隆守君    宮本 一三君

      八代 英太君    吉野 正芳君

      五十嵐文彦君    石毛えい子君

      岩國 哲人君    生方 幸夫君

      海江田万里君    金子善次郎君

      城島 正光君    中田  宏君

      長妻  昭君    平岡 秀夫君

      松野 頼久君    斉藤 鉄夫君

      白保 台一君    若松 謙維君

      鈴木 淑夫君    達増 拓也君

      中井  洽君    西村 眞悟君

      佐々木憲昭君    山口 富男君

      辻元 清美君    保坂 展人君

      横光 克彦君    井上 喜一君

      近藤 基彦君    森田 健作君

    …………………………………

   総務大臣         片山虎之助君

   法務大臣         高村 正彦君

   外務大臣         河野 洋平君

   財務大臣         宮澤 喜一君

   文部科学大臣       町村 信孝君

   厚生労働大臣       坂口  力君

   農林水産大臣       谷津 義男君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     福田 康夫君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当大臣)     伊吹 文明君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      斉藤斗志二君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当大

   臣)           橋本龍太郎君

   国務大臣

   (金融担当大臣)     柳澤 伯夫君

   国務大臣

   (経済財政政策担当大臣) 麻生 太郎君

   内閣官房副長官      安倍 晋三君

   内閣官房副長官      上野 公成君

   内閣府副大臣       坂井 隆憲君

   内閣府副大臣       村井  仁君

   防衛庁副長官       石破  茂君

   総務副大臣        遠藤 和良君

   総務副大臣        小坂 憲次君

   法務副大臣        長勢 甚遠君

   外務副大臣        衛藤征士郎君

   外務副大臣        荒木 清寛君

   財務副大臣        村上誠一郎君

   文部科学副大臣      河村 建夫君

   厚生労働副大臣      増田 敏男君

   厚生労働副大臣      桝屋 敬悟君

   文部科学大臣政務官    池坊 保子君

   文部科学大臣政務官    水島  裕君

   厚生労働大臣政務官    奥山 茂彦君

   会計検査院長       金子  晃君

   会計検査院事務総局第一局

   長            石野 秀世君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  加藤 利男君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    五十嵐忠行君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    金重 凱之君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   中村  薫君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    北原 巖男君

   政府参考人

   (総務大臣官房審議官)  衞藤 英達君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部

   長)           大竹 邦実君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    古田 佑紀君

   政府参考人

   (外務大臣官房長事務代理

   )            飯村  豊君

   政府参考人

   (財務省主計局長)    林  正和君

   政府参考人

   (国税庁次長)      大武健一郎君

   政府参考人

   (厚生労働大臣官房総括審

   議官)          木村 政之君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長

   )            日比  徹君

   政府参考人

   (厚生労働省職業能力開発

   局長)          酒井 英幸君

   政府参考人

   (食糧庁長官)      石原  葵君

   予算委員会専門員     大西  勉君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十三日

 辞任         補欠選任

  亀井 善之君     奥谷  通君

  七条  明君     林  幹雄君

  三塚  博君     吉野 正芳君

  宮本 一三君     左藤  章君

  岩國 哲人君     長妻  昭君

  若松 謙維君     斉藤 鉄夫君

  鈴木 淑夫君     西村 眞悟君

  辻元 清美君     保坂 展人君

  森田 健作君     近藤 基彦君

同日

 辞任         補欠選任

  奥谷  通君     亀井 善之君

  左藤  章君     宮本 一三君

  林  幹雄君     七条  明君

  吉野 正芳君     高木  毅君

  長妻  昭君     石毛えい子君

  斉藤 鉄夫君     若松 謙維君

  西村 眞悟君     鈴木 淑夫君

  保坂 展人君     辻元 清美君

  近藤 基彦君     森田 健作君

同日

 辞任         補欠選任

  高木  毅君     谷本 龍哉君

  石毛えい子君     岩國 哲人君

同日

 辞任         補欠選任

  谷本 龍哉君     三塚  博君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成十三年度一般会計予算

 平成十三年度特別会計予算

 平成十三年度政府関係機関予算




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     ――――◇―――――

野呂田委員長 これより会議を開きます。

 平成十三年度一般会計予算、平成十三年度特別会計予算、平成十三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 本日は、ケーエスデー中小企業経営者福祉事業団・報償費問題等についての集中審議を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官加藤利男君、警察庁刑事局長五十嵐忠行君、警察庁警備局長金重凱之君、総務大臣官房審議官衞藤英達君、総務省自治行政局選挙部長大竹邦実君、法務省刑事局長古田佑紀君、外務大臣官房長事務代理飯村豊君、厚生労働大臣官房総括審議官木村政之君、厚生労働省労働基準局長日比徹君、厚生労働省職業能力開発局長酒井英幸君、食糧庁長官石原葵君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第一局長石野秀世君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野呂田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

野呂田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。若松謙維君。

若松委員 公明党の若松謙維です。

 先週木曜日、金曜日と、KSD問題、そして外交機密費、いわゆる報償費、これを中心に総括質疑がなされました。そして、きょう、いよいよその集中質疑ですけれども、御存じの、先週金曜日、ハワイ沖におきまして、あのアメリカの原子力潜水艦のグリーンビルが実習船えひめ丸に衝突したという大変悲しい事故が起こってしまいました。これにつきまして、大事な週明けの初国会の委員会でございますので、ぜひ関係大臣に、まず官邸としてどう対応したのか、それと今回の事件の概況、さらに、特に今後の対応ですけれども、何といっても九人の生存者、これをとにかく頑張っていただきたい、また、沈んでしまった実習船の回収、引き揚げ、これは何としてもやらなければいけない、そして、特に米側に対してクレーム、それをしっかり申し上げなければいけない、そういう状況だと思いますけれども、伊吹大臣そして河野大臣の説明を求めます。

伊吹国務大臣 今先生御質問の件につきまして、まず遭難をされた方、それから、なお行方不明になっていらっしゃる方々の御家族に対して、心からお見舞いと、事故というものに対して遺憾の意をあらわしたいと思います。

 今の御質問について、まず経緯を御報告いたしたいと思いますが、総理官邸内の内閣情報集約センターというところがございます。これはあらゆる情報が入ってくる場所でございますが、ここに第一報が入ってまいりましたのが十時十五分でございました。そして、ここへ入ってきた情報を、国家の危機として処理をするのか、それとも重大な事故として処理をするのかという判断をするために、私か官房長官か、副大臣という立場での安倍官房副長官か、どなたかが残っているという体制をとっております。この日は安倍副長官が御担当で残っていただいていたわけですが、十時四十分に私に御連絡がございました。

 私がそのとき感じましたことを政治家として率直に申し上げますと、これは日米のというか、日本の国家の安全保障の重大なパートナーである米側の原子力潜水艦によって引き起こされた事故であるので、今後、外交、安全保障上、国民感情等を考えると大きな問題になるなと。

 国家危機なのか、外交、安全保障上の重大な事故ととらえるべきなのかということが、一瞬私は脳裏をよぎったわけでございますけれども、なお生命の安否がわからない方がいらっしゃるという状況では、ともかく日本国民の生命、安全を最優先で処理しなければならないという観点から、私は、独断ですぐに米側と、つまり外交ルートと防衛庁のルートを通じて、命の確保のために最優先の配慮をしてもらいたいということを伝えてもらいたいということを、その時点で実は担当者に指示をしたわけであります。それを受けて外務省と防衛庁ルートで対応をしていただいて、救助活動が今に至るまで実は行われているわけです。

 私が危惧をいたしましたのが、事原子力潜水艦が事故に絡んでいる、アメリカの基地の前であるだけに、防衛上の理由というような、あるいは軍事上の理由ということを振りかざされるということは絶対困るという気持ちを実は持っておりましたのですが、その点は、外務省と防衛庁の御努力で、そういうことがないまま、米側としてはアポロジーという言葉やグレートレグレットという言葉を使いながら最大限の協力をしていただいているのですが、残念ながらなお九名の方の安否が、かなり広域の海面を捜査していただいておりますけれども、いまだ不明の状態です。

 アメリカのフォーリー大使も、わざわざ関西空港へ出かけられて、御自分で宇和島の方々がハワイに関空から行かれる際にもごあいさつをなすっていたのですが、そのときの御家族のお気持ち、あるいはハワイで伺いました御家族のお気持ち、それから愛媛県を代表して御上京になった愛媛県知事からの御要請等も考えますと、当然今沈んでいる船、この中に、これだけ広域に濃密な捜査をしても見つからないということは、閉じ込められておられる可能性もある。

 昨日の段階で、生命の安全、つまり、海面の捜査というのはもちろんなんですけれども、同時に、この船を浮揚させることができないのかどうなのか、また、技術的に困難であっても、この船がどのような状態になっているのかを知りたいということは、御家族として当然のことでありますので、総理からも強い御指示がございまして、関係省庁を通じて、つまり米側に防衛庁と外務省からその点についての御協力をお願いし、日本国内における技術的な判断も今検討をしている、そういう状況でございます。

河野国務大臣 経緯は今伊吹大臣から申し上げたとおりでございますが、外務省としてアメリカ側とどういうやりとりがあったかということをごくごく簡単に申し上げれば、十時前、すなわち九時五十五分ごろ、アメリカ太平洋軍外交顧問のトワイニング大使からホノルルの渋谷総領事のところに連絡があった。その後、さらにそれからおよそ三十分ぐらいたってでございますが、ファーゴ太平洋艦隊司令官よりさらに渋谷総領事に連絡があって、救助活動に最大限の努力をする旨連絡があったということでございます。

 私の方からは、ファーゴ太平洋艦隊司令官に対して、さらにはフォーリー大使に対しまして電話連絡をいたしまして、とにかく最大限の捜索活動をまずやってくれということを申しました。と申しますのは、先方からは、もう電話に出た瞬間から、まことに申しわけないことをしたというお話がございましたので、私の方からは、それはもう全く遺憾なことだ、しかし今は人命救助を何よりも優先してやってくれ、それからそれが終われば事故原因の究明というものをきちっとやってもらいたいということを申し上げたわけでございます。

 その後は、先方とのやりとりがいろいろございまして、パウエル国務長官からは、ブッシュ大統領の伝言ということで、私どもの方に、森総理及び日本国民におわびの気持ちを伝えてくれというような連絡も入っております。

若松委員 ぜひ国会でも、まず生存者の確認、人命救助、そしてその沈没した船の回収、サルベージ、これは何としてもやっていただきたい、まずこれを強く要請するわけですけれども、事故が起きたときに森総理がゴルフ場におられた。それはそれでそういう日程だったんでしょうけれども、二時間ゴルフ場にいたとかそういう議論はあると思うんですけれども、ではそのときに、総理としてどういう態度をとるべきだったのか。やはりこれは大所高所から議論すべきではないかと思っております。

 そう思いますと、本当は総理がそこにいらっしゃれば一番いいんでしょうけれども、おられないので、私がまず感想を言わせていただくわけですけれども、こういった原子力潜水艦ですから、極めてあってはいけない、かつ日米外交の一番大きな問題となるわけですから、かつアメリカの軍事の責任者は何といってもブッシュ大統領ですから、だからこそ、外交ルートとかそういう実務的なレベルじゃなくて、そのときに総理がしっかりとブッシュ大統領にそこから電話をして、人命救助に何としても頑張ってもらいたい、それをまず一言言う、そのことが本当に日米のある意味でトップの信頼関係につながるわけだと思うんですね。それがなされていないというのが今回の一番不幸な事件だと思うんです。

 それについてぜひ御見解をいただきたいんですけれども、なぜそのような指摘をされなかったのか。またそのときに、総理がきちんと、いわゆる携帯電話なりを持って、アメリカのブッシュ大統領にでも、寝ているかもしれませんけれども、これだけの事件ですから、当然起こしてもいい話だと思います。それをなぜ進言しなかったのか。

 これは外務省でしょうか、それとも官房でしょうか、伊吹大臣でしょうか、ちょっと答弁をお願いします。

福田国務大臣 現場から直ちにブッシュ大統領に電話連絡をするというお話がございました。

 確かに、今御指摘を受けまして、なるほど、そういうこともあったかな、こういうようには思いますけれども、しかし、そのときの判断は、一義的には、やはりこれは外交ルートを通じて指示をするということが一番適切であろうかということを総理もお考えになられまして、そして、それは直ちにしたわけです。また、原潜ということでございますので、防衛庁ルート、そういうルートで向こうの軍に連絡をする、このこともあわせて指示をしております。この指示は、その連絡がありまして直後に、直ちにやっておられるわけでございます。

 その指示をしたことによりまして、一義的に、これはやるべきことはやった、そういう気持ちを持たれたのではなかろうかなというように私は思っておりますので、私は、なるほど、ブッシュ大統領というお話を伺いますと、そういうことも、直ちにということでなくても、その後にそういう機会があったかなというようなことは思うのでありますけれども、そういうことで、一義的に直ちにやるべきことはやったということでございますので御理解をいただきたい、このように思っております。

若松委員 ぜひ外務大臣も、やはり私としては、外務省からしっかりと総理に一報する、これはすごく大事なことだと思うんですよ。御存じのように、アメリカだっていろいろな官僚がいるわけですから、まさに大統領から、認識している、しっかりやれということで、捜査の範囲だって五倍にも十倍にもなる可能性があるわけなんですよ。その結果、生存者の確率が高まる。それができなかったというのは大変な失態だと思いますよ。いかがですか、外務大臣。

河野国務大臣 直接の担当者といいますか責任者と申しますか、太平洋艦隊司令官に私自身直接電話をいたしまして、この問題についての我々の抗議の気持ちを伝えて、そして全力を挙げて全員の救助をしてほしいということを伝えたわけでございます。

 さらに、私としては、フォーリー大使に連絡をいたしまして、フォーリー大使はアメリカを代表して日本におられるわけでございますから、フォーリー大使に伝えて、これはアメリカに対して我々として申し上げることであるわけですから、我々の気持ちをきちっとお伝えしたということでございます。

 アメリカ国内におきましては、いち早くホワイトハウスにおられますライス補佐官もこの問題について動かれたようでございまして、ブッシュ大統領のメッセージをパウエル長官から日本に伝えるという作業がアメリカ国内では行われたというふうに承知をしております。

若松委員 官房長官に確認したいのですけれども、総理は常に携帯の国際電話というんですか、そういうふうなものをお持ちですね。それを確認させていただきます。

 あと、資料を配ってください。

福田国務大臣 携帯電話はもちろん持っておるわけでありますから、自身でということでなくて、秘書官とかまたSPは持っておりますので、それをもちまして連絡をとることはできます。

若松委員 国際電話はできますね。

福田国務大臣 できます。

若松委員 ぜひ、国会でこういった議論があったと、やはり私としては、恐らく大勢の議員も、与党もそうだと思うんですけれども、総理が一本電話をかける、これがすごく重要だったということを、それは総理に直接伝えていただきたいし、またその旨もぜひブッシュ大統領に伝えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 報償費の問題、またKSDの問題にも触れなくちゃいけませんので、この原潜のハワイ沖での事故については、これで終わらせていただきます。

 まず報償費の問題ですが、ちょうど皆様方に資料をお配りさせていただいております。これは、あの松尾元室長の在任期間、平成五年十月から十一年八月までの期間の内閣総理大臣、外務大臣、官房長官そして官房副長官、そういうことで、私もその平成五年はちょうど菅外務委員長を支えていました与党の理事でありました。そのときは、細川内閣総理大臣、羽田外務大臣、武村官房長官、そして鳩山由紀夫官房副長官、こういった形で、現在与野党ともに、いわゆる政治家として、この外交機密費、いわゆる報償費には何らかの形で関係していたわけです。

 実際に、政治家が今回の事件のようなことについて、じゃチェックする時間があるかといったら、ないと思います。現実に、現地に行って外交交渉とかさまざまな厳しい交渉があるわけですから。だからこそ、これは全く、まさに官僚、事務方の問題なわけですね。ですから、一義的には、結論として官房の総務課長の責任、二義的には官房長の責任、やはりこれがしっかりできなかったというのが今回の事件の発生の最大の原因だと思います。

 そこで、結果的に、じゃだれがチェックするかというわけですけれども、今回の大きな見逃しというのは、結局いわゆる内部牽制組織と言われるチェック機能がなかった、これは何度もほかの委員が言っております。かつ、この六年間、なぜこの松尾元室長を交代しなかったのか。これは、私どもが聞いている限りでは、総理の海外出張の連続で交代時期を逸した、ある意味では言いわけになるわけでしょうけれども、こういう事実であったからまたこういった事件も起きたわけなんですね。それは事実ですか、大臣。

河野国務大臣 まことに安易な説明で恐縮でございますけれども、議員が御指摘のとおり、六年間もこういうポストに特定の人間が長くいたということがこうした事件発生の可能性をもたらしたということは、もう議員の御指摘のとおりでございまして、これは、私としては弁解の余地がないというふうに思います。

 なぜ六年もいたのかということについては、今議員がお話しになりましたように、この六年間の間に四十回を超える総理大臣の外国訪問があったとか、あるいは極めて専門的な仕事であるとか、いろいろな説明はできますけれども、何であれ、そうしたものを乗り越えてきちっと人事の異動というものをやるべきであった、私としては全く申しわけないことをしたと言う以外に申しようがございません。

若松委員 そこで、今回のこの報償費、外交機密費ですけれども、少なくとも会計検査院はチェックしていたと思うんですね。

 それについて、私への会計検査院からの説明では、バウチャー検査というわけですが、個々の支出についてはきちんとしていました、これは言っております。しかし、そういう組織的な問題、これについて指摘しなかった。

 これは私、もう有名になっておりますけれども公認会計士なので、通常の監査ですと、まずバウチャーチェックというのは、もうこれは監査手法としては古い手法なんです。そうじゃなくて、そういう組織にどういうリスクがあるのか。当然、いわゆる報償費、外交機密費というものであればリスクが高まる。ましてや六年間も同じ人がいる。当然、そういうことを、質問を通して、そういうリスクが所在する、それについては徹底的に調べるというのが監査の常道なんです。それを会計検査院としてはしていなかったんではないか。まず会計検査院、ちょっと簡単に言ってください、その状況を。恐らくしていないんでしょう。

金子会計検査院長 報償費につきましてのこれまでの会計検査院の検査について御説明申し上げます。

 実地検査時に、手元保管を要請しております領収証書等の証拠書類の提示を受け、さらにその上で説明を聴取いたしております。他の経費と同様、違法、不当な使用がなされていないかなどに重点を置いて検査をしてきております。検査に当たりましては、報償費の使途について、支払い額全体の概要をまず把握し、その上で、個別の支払いについて、経費の性質、支払い額などを勘案して検査を行ってきております。

若松委員 院長、今回チェックをできなかった、不正を発見できなかった、やはりこれは会計検査院の業務怠慢でしょう。それに対する責任をとる考えはおありですか、担当者の責任とか。

金子会計検査院長 会計検査院の院長といたしまして、今回このような事態を事前に発見できなかったこと、また事前に防止できなかったことについて、非常に大きな責任を感じております。

 先ほど委員御指摘のとおり、私も三年半前に会計検査院の検査官に就任して以来、その後の、警察の捜査のあり方等が問題になり国会でも議論され、そのときに私は、検査に当たっては、検査体制がどうなっているか、それから内部的なチェック機構がどうなっているか、それが有効に機能しているかということについても十分留意するように指示をしてまいりました。

 そういう点で、今回こういうような事態になったということについて、院長として大変重い責任を感じております。

若松委員 もう時間がないんで結論的な話をさせていただきますが、今回、いずれにしてもこの外交機密費、いわゆる報償費、ほかの国を見ますとやはり、せいぜい日本と同じぐらいの報償費の予算額はフランスぐらいで、あとドイツにしろイギリスにしろアメリカにしろ、アメリカはもう本当に百倍とかけた違い、そういう状況で、決して金額が多いとかという議論にはならないと思います。それは恐らく与野党ともに共通だと思います。大事なのは、こういうふうに公表できないからこそどうシステムをつくっていくか。

 ですから、当然会計検査院はしっかり見る。それは何を目的にするかというと国益ですよ。国益のために使われているかどうか、それを会計検査院もちゃんと報告書として出すとか、そこをきちんとやるということですね。それをやっていただいた上で、まず検査基準の見直し。会計検査院はこれが機能していなかったようですから、会計検査院の検査基準の見直しをしてもらって、かつここをどうきちんと責任をとるかですね。これは委員長、委員会にしっかりと報告していただきたいわけですけれども、委員長、よろしくお願いいたします。

野呂田委員長 後ほど、理事会で相談します。

若松委員 それで、結局このような公務員のある意味で簡単なイージーミスをチェックできない、これはやはり会計検査の検査にも限界があるわけですよ。それぞれやっていますよ、仕事は。だけれども、時代の流れのいわゆる監査ノウハウというのをやはり吸収していないんですよ。

 ですから、これはアメリカでもやっておりますし、ニュージーランドとか先進国でやっておりますけれども、もう全省庁に外部監査を義務化させる。これをやっていれば既に、これは官房長官にお伺いしたいんですけれども、こんな問題は大体一挙に解決しますよ。どうですか、そういう全省庁への外部監査を義務化させる。それは神崎代表が先週月曜日の本会議で代表質問いたしました。いかがでしょうか。

福田国務大臣 全府省の予算執行につきましては、内閣から独立した憲法上の機関でございます会計検査院の検査を受けているところでございまして、諸外国においても、それぞれの国のいわゆる我が国の会計検査院に相当する機関が国の機関の検査を行っていると承知しております。

 御指摘の中央省庁への公認会計士等の監査などにつきましては、欧米において会計検査院が財務諸表の監査を監査法人に委託しているというような例を、おっしゃるとおり伺っております。諸外国における事例につきまして引き続き研究をさせていただきたい、このように思っております。

若松委員 ぜひお願いいたします。

 それでは、時間がないんでKSDの方に入らせていただきますけれども、私として先週の公益法人KSD問題を整理しますと、次の四点かなと。

 まず一つは、古関元理事長の横領等の刑事犯罪。二つは小山被告の贈収賄罪。また、その他関連政治家がおります。それと、労働省の監督責任。さらには公益法人と政治家との関係。いわゆる党費立てかえとか政治倫理、まさに政治倫理の確立が今回のこのKSD、公益法人を通じた最大の問題ではないかと思います。

 そういったことで、実際に公益法人に関しては平成八年度にかなり立派な運営改善のためのマニュアルができているんですね。これさえしっかり守られていれば、こんな問題は起きない。だけれども守られていない。特殊法人も、昭和の後半のあたりにいろいろな改善指導のためのマニュアルをつくりましたが、結果的に守られていない。天下りが多い、むだが多い。ということで、今回、与党三党で特殊法人改革基本法を出しました。

 ですから、やはり公益法人も、これは平成十二年度の総理府がやった公益法人に関する年次報告ですけれども、これも立派な調査をしております。だけれども守られていない。ですから、私は結論だけ申し上げるわけですけれども、この際、公益法人の運営が適正化される、そのような法律をつくるべきじゃないか。

 では、どういった中身を入れるかというと、まず、先ほど言いましたが、一番の問題は、いわゆる公益法人と政治家の関係、政治倫理の確立です。これは、公益法人もその行動の自由というものを与えられていますから、パーティー券を買っちゃいけないとか、特定の政党、政治団体に対する献金はいけないとか、いきなりそれは規定できないかもしれないけれども、もともと公益法人ですから、やはりお金の関係は絶つ、だけれども政策要求はしていく、そういった一つのものを、これは何らかの形で規制しなければいけないんじゃないか。

 もう一つは、公益法人の運営体制の透明化を図るために、これはちょうど商法改正の議論をしておりますけれども、コーポレートガバナンスという概念があります、いわゆる企業統治。日本の会社の取締役会が機能しないのは、コーポレートガバナンスが機能していないんです。社長を取り締まる取締役が、社長から取り締まられているんです。

 そういうことで、大事なのは、全く理事長と関係のない複数の理事、そして監事を入れる、あと外部監査の義務化です。今回、総務庁が要請という言い方をしましたが、要請だと受けません。先ほど言いましたように、もう歴史が繰り返していますから、ぜひ義務化をしていただきたい。

 そういう意味での公益法人運営適正化法、現在これは公明党で法案を検討中でありますけれども、ぜひそういったものをつくっていただきたい。これは片山総務大臣なんでしょうか、それをお答えいただいて、質問を終わります。

野呂田委員長 片山総務大臣。時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いします。

片山国務大臣 はい。

 今委員から、公益法人の指導監督についていろいろお話ございました。

 御承知のように、平成八年に閣議決定しておりまして、さらにこの趣旨の徹底を図るため二月九日に申し合わせをして、さらに指導監督を強化する、こういうことにいたしたわけであります。現在、橋本行革担当大臣のところで、年度内に、三月末までに公益法人の総点検をしよう、こういうことも考えておりますし、さらに、行革大綱に基づく委託型の公益法人の抜本的な見直しも考えております。

 そういう中で、若松委員御提唱の適正化法でございますけれども、そういうことの検討作業の状況を見ながら、これは公益法人だけではなくて、特殊法人や社会福祉法人や宗教法人や学校法人や、いろいろございますから、全般の法人法制の中で前向きに検討する必要が場合によったらあるのかな、私はこう思っておりますが、もう少し時間をかしていただきたい、こういうふうに思っております。

若松委員 以上で終わります。

野呂田委員長 これにて若松君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

野呂田委員長 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として財務省主計局長林正和君、国税庁長官伏屋和彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野呂田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

野呂田委員長 次に、井上喜一君。

井上(喜)委員 保守党の井上喜一でございます。

 きょうは機密費につきまして御質問をさせていただく予定でありましたが、若干、ハワイ沖の事故につきましても最初に言及させていただきたいと思うんです。

 ハワイ沖で、愛媛県の宇和島水産高校の実習船がアメリカの原子力潜水艦と衝突をして沈没して、なお九名の不明者がいるということで、必死の救助活動が続けられていると理解をいたしております。政府の方もいろいろな努力を重ねてきておられると思うのでありますが、何せこれはアメリカの、ハワイ沖での事故でありまして、大変もどかしい一面もあるんじゃないか、そんなふうに思います。

 そこで、国民の皆さん方に対してはっきりさせておきますために、これまでわかりました事件の真相といいますか中身、それから原因の究明がどの程度進んでいるのかとか、あるいは政府がとってこられました対応、あるいはアメリカ側に要請をされました中身、それにこたえてアメリカがどの程度応じているか等々につきまして、官房長官でも危機担当大臣でもどちらでも結構でございますけれども、お答えをいただきたいと思います。

伊吹国務大臣 時間の関係もございますので、経緯は先ほど来若松委員にお答えしたとおりでございます。

 それで、原因については、米側においても現在調査中でございますけれども、フォーリー大使それから国務長官、国防長官、それから太平洋軍の司令官等が、防衛庁長官あるいは外務大臣、総理大臣、官房長官等といろいろ電話でやりとりがございます中で、米側としては正式に、アポロジーという言葉を既に使っておりますので、原因は自分たちの方にあるということは、ある程度認めていると私は思います。

 そして、委員御指摘のとおり、米側の主権内にあることでございますので大変もどかしいことは事実でございますが、外務省、防衛庁のルートを通じて非常に濃密な捜査が現在行われているということは、私どもも認めなければいけないと思います。

 一番大きな問題は、これだけ広域にやっておりますけれども、なお生存者の安否が確認できていないという状況なので、米側に、船が沈んでいる位置の確認、再浮上の要請を強く行っております。これにこたえて、米側が何らかの措置をとることはほぼ間違いがないだろうという確信を持っていることをつけ加えたいと私は思っております。

井上(喜)委員 報道によりますと、沈没した船の引き揚げを行方不明者の家族が要請しておられるというようなこともお聞きするのでありますけれども、この可能性なり見通しにつきましてはどのようにお考えですか。

伊吹国務大臣 昨日、総理からその点についても強い御指示がございました。現実問題として、大変深い海、約六百メートルの海底に沈んでおりますので、これを再浮上させることについての技術的な可能性はいろいろ意見が分かれているところでございますが、今持っておる技術で最大限の努力をアメリカ側にもしてもらいたいし、我が方も各省庁、昨日局長クラス全員集まっていただいて、その要請をし、今作業が進んでいるところです。

 それからもう一つ、先生の今御質問のように、サルベージをする以外に、現在位置の確認と、その沈んでおる写真をやはり見たいという、これも御家族の強い御要望でございますので、これはロボットとか深海探索船等で可能だろうと思いますので、この点も米側が近々何らかの措置を当然とると思いますし、日本側も、米側が日本側にそのことを要請した場合には、とれるような態勢を今つくっておるところでございます。

井上(喜)委員 この水産高校の実習船の問題というのは大変大きくマスコミで取り上げられておりますけれども、しかし、日本の沖でも、福島沖ですか、漁船に乗っておりました二名が行方不明というようなことがありまして、これはどういうせいか余りマスコミに取り上げられないのでありますけれども、これもやはり人命の問題としては大変大きな問題だし、また、これは日本の沖の問題でありますからハワイ沖よりもより対応しやすいんじゃないかと思うんですが、この点についても何かございましたら、お答えいただきたいと思います。

伊吹国務大臣 この点につきましても、今国土交通省の海上保安庁を中心に捜査が続けられているわけですけれども、なお残念ながら生存者の発見ができないというまま現在推移しております。

 先生が今御提起になったことは、まさに国家の危機という形でとらえるべきものと、事故としてとらえるべきものとの差はどこにあるかということだろうと思います。しかし、現在、日本国民の命が、ハワイ沖ででもあるいは福島沖ででも、まだ安否がわからないまま推移しておりますので、先生の御指摘のそもそも論はあるわけでございますが、政治家としては、ちょっとその話は後にしたいと私は思っております。

井上(喜)委員 それでは、本論の報償費、機密費の方に移ってまいりたいと思います。

 財務省の方から、報償費につきまして、各省庁別の予算、決算の資料をいただきました。

 それを見ますと、大体この報償費といいますのは、総額で七十五、六億円、七十七億円前後になっているようでありまして、一億円を超すのが皇室費あるいは内閣、警察庁、防衛本庁、外務省ということでありまして、外務省が一番多い五十六億円余ということになっております。

 この報償費、機密費とは一体何なのか。国家の機密に属することでありまして、どうしてもやはり解明しないといけない、そういう費用に充てられるものだと思うのでありますけれども、しかし、いろいろなお方の話を聞きますと、政治のある種の潤滑油みたいなものに使われているような節もないわけではないわけでございます。

 財務省の方から資料をもらいますと、報償費はこう書いてありますね。国が、国の事務または事業を円滑かつ効果的に遂行するため、最も適当と認められる方法により機動的に使用するため計上されている経費だ、内政、外交の遂行に当たり重要な意義を有すると。

 わかったようなわからないようなことでありますが、もう少しわかりやすく機密費、報償費というのはどんなものなのか、これは主計局長の方に御説明を願いたいんです。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 報償費は、ただいま先生御指摘ございましたように、国が、国の事務事業を円滑かつ効果的に遂行するため、状況に応じて最も適当と認められる方法により機動的に使用する経費であるということで、例えば、国の事務あるいは事業に関し功労があった者等に対し、特にその労苦に報い、さらにそのような寄与を奨励することを適当と認める場合において使用する経費、あるいは部外の協力者に対し謝礼的または代償的な意味において使用する経費というように予算上は整理をしております。

 それぞれ省庁の報償費によって性格がございますが、一般的に言いますと、以上のようなことでございます。

井上(喜)委員 類似の予算としましては交際費というものもありまして、これも財務省の方から資料をいただきましたが、大体これは七億円余り、八億円弱でありまして、一億円以上の交際費を計上しておりますのは、国会それから外務省、こういうことになっているのですが、一体この交際費とは何なのか、交際費と機密費の関係、これについて御説明をいただきたいのです。

林政府参考人 交際費でございますが、各省各庁の長その他の職員が、国またはその機関を代表して行政を遂行するに際して必要な場合に、儀礼的、社交的な意味で部外者に対し支出する一方的あるいは贈与的な性質を有する経費というように整理をしておりまして、具体的な予算の計上につきましては、こうした経費の目的、性格にかんがみまして、中央省庁あるいは外局、地方官庁等の機関のランクに応じて計上しているところでございます。なお、具体的な交際費の執行については、各省各庁の責任において行われているものでございます。

 報償費の方は先ほど申し上げましたようなことでございまして、総括して申し上げますと、報償費は国の事務あるいは事業の円滑かつ効果的な遂行を図るための機動的経費というものに対しまして、交際費は儀礼的、社交的な意味で支出される経費ということで、両者はその支出目的あるいは動機において異なるというような整理をさせていただいております。

井上(喜)委員 交際費につきまして、会計検査院はどんな検査をしているんですか。

金子会計検査院長 交際費につきましては、報償費のように証拠書類の手元保管という取り扱いは認めておりません。したがいまして、通常の経費と同様に検査をいたしております。すなわち、在庁において計算証明書類等により書面検査を行い、実地検査において関係書類の提示を受けたり説明を聴取したりして、違法、不当な使用となっていないかなどを検査いたしております。

井上(喜)委員 報償費と交際費、それぞれ説明がありましたけれども、どうもそれぞれの執行におきましてはお互いにダブるようなところもあるんじゃないか、こんな感じがいたしますし、また、相互に関連させながら実行していくということが、より予算としては効率が高まるんじゃないか、こんな感じもいたすわけでございますけれども、形式的には今の御説明のようなことだろう、こんなふうに思います。

 そこで、私は、機密費につきましては、いろいろなことに使うので外部に発表することは適当でないということをずっと政府の方は答弁をしてきておられるのでありまして、確かにそうだと思うのですね。だからといって、何に使ってもいいということでもないんじゃないか。そこにおのずから、使っていいもの、使うことが必ずしもよくないものというふうな区分があると思いますし、あるいは、使い方としまして、つまり執行の体制としましても、勝手にだれが使ってもいいんだというようなことじゃなしに、しかるべき手続が要るということですね。そういうことがあって初めて、対外的に発表できないけれども機密費については政府の方に任せてほしい、こういうことが言えるんじゃないかと思うのですね。

 果たしてそういう中身になっているかどうかということでありまして、私は順次御質問をしていきたいと思うのですが、例えば、例えばですよ、私、これは現実にあったかどうか知りませんけれども、野坂浩賢さんが村山内閣のときの官房長官であった。この方が新聞で、時の村山総理が軽井沢かどこかで休養するときの費用を機密費で出したんだ、こんなことを言っておられるんですね。私は事実かどうかということはわかりませんよ、知りませんけれども、仮にそうであるとすれば、そういう費用のためにこの機密費を使うことは適当かどうか。官房長官、どうお考えですか。

福田国務大臣 私は、野坂氏がどのような発言をされていらっしゃるか、それは承知いたしておりません。

 しかし、報償費の性格というものを、私的な目的に使用するということは、これは許されないのは当然でございます。歴代の官房長官は、内政、外交を円滑かつ効果的に遂行するという報償費の目的に沿って厳正な運営に心がけておられたというように私は思っております。もちろん私も、就任以来、報償費の厳正かつ効果的な運用ということには常に意を用いながら行っておるわけでございます。

井上(喜)委員 次に旅費ですね。これも大変悩ましいものだと思うんですよね。

 総理が外遊されるときに、専用機で行かれる場合もありましょうし、場合によっては民間の航空機を使われることもありましょうし、いろいろな態様があると思うんですけれども、お聞きするところによりますと、旅費なんかにもこの機密費が使われているようであります。この旅費なんかについて機密費を使うということ、これについてはどんなお考えですか。

福田国務大臣 総理の外国訪問に伴う経費につきましては、宿泊費の差額を、これは総理を一生懸命支えてくださる随員個人の負担としないで、訪問団の活動条件を整えて首脳外交を成功させようというようなために一生懸命やっておられる、そういう人のための経費として、これまでは内閣官房の報償費から支出をしておりました。

 現在は、旅費制度の運用が改められまして、旅費は実費支給に切りかえております。

井上(喜)委員 私は、この報償費、機密費の使い方としまして、これは使ってもいい分野だ、これはどちらかといったら使っちゃ余りよくない分野だ、こういうことに分けるべきだと思うんです。あるいは、使っていい分野を特定する。あるいは逆に、それが難しければ、使っちゃいかぬような分野を特定することによって、おのずから機密費の使う分野というものをはっきりさせていく必要があるんじゃないかと思うんですね。

 官房長官にお伺いしたいんですが、機密費を使っていい分野、これは余り抽象論じゃなしに、わかりやすいようにお答えいただきたいんですよ。あるいは、それがちょっと難しければ、使っちゃいかぬ分野、これはちょっと控えた方がいいというような分野があれば、そういうことでもいいと思いますが、お答えをいただきたいと思います。

福田国務大臣 内閣官房報償費は、官房長官のもとで使用される経費でございますけれども、内政、外交の円滑な遂行、そういう目的のために使用するという制約を受けております。こういうふうな性格から見まして、以上申し上げました目的以外のためとか、私的な目的に支出をするということは許されないのは当然でございます。

 いずれにしても、その使用に当たっては、厳正かつ効果的な運用に常に心がけていかなければならない、このように考えております。

井上(喜)委員 そうしましたら、私的目的が入るような場合は使うことは適当じゃないけれども、その他の場合はいいんだ、すべてがいいということじゃないんだけれども、必ずしも使っちゃいかぬということじゃない、こういうぐあいな理解でよろしいのですか。

福田国務大臣 目的のために効果的に使用するという報償費の性格から見まして、使用が許されない分野を具体的に挙げるのは困難なんですけれども、しかし、これは内政、外交をつかさどるという意味において効果的に運用するということを適切に判断してやるということ以外ないと思います。

井上(喜)委員 機密費が問題になりましたので、やはり国民に対して何かきちっとしたものをつくる、しかも、そういう基準に従ってきちんと執行されるんだ、そういう体制をつくるということ、これは、要するに対外的に公表しないのですから、少なくともそういうことが必要なんじゃないかと私は思うのですね。

 官房の機密費につきましては、恐らく官房長官の了解なしには使えないようになっていると思うのですね。それは私はきちっとしていると思うのですが、外務省の場合、この機密費の使い方、これはどういうようになっているのか。恐らく大臣のところまで上がってこないんじゃないかという感じが私はするのですけれども、その辺はどうなっているんでしょうか。

飯村政府参考人 お答え申し上げます。

 外務省報償費の執行体制につきましては、まず支出決裁でございますけれども、本省におきましては、各案件ごとに担当する各局部が、使用目的、金額等を掲載した文書を起案いたします。それで、局部長以上の取扱責任者、会計課長、官房長、場合によっては次官以上の決裁を経ることになっております。

 それから、在外公館におきましては、取扱責任者である公館長の決裁を経ることとなっておりまして、その上で、所定の支出手続を経て支出しているということでございます。

井上(喜)委員 以上、この質問で明らかなように、私は、繰り返して申しますと、機密費の使用分野というものを明確にする、そして執行体制は、官房の機密費は当然のこととして官房長官が、あと外務省の機密費等につきましては、やはりダブルチェックがきくようなそういう執行体制をぜひとっていただきたいと思います。そのような基準をつくるということが最低限必要になってきていると私は思うのです。この機密費の問題については、よくわからないと思うのですね。どうも何か、こういう金があったのかとか、何か自由に使えるんじゃないかみたいな印象を与えておりますので、そういった点について明確にしていただきたい、こんなふうに思います。

 それから、外務省の松尾室長の公金横領疑惑でありますけれども、こういう事件が起こるというのは、私はもうとても想像できないんですね。こういう事件が起こります場合は、うわさだとかあるいは投書のようなものが必ずあると思うのでありますけれども、そういうことは全くなかったのですか、どうなんですか。

飯村政府参考人 お答え申し上げます。

 まことに残念なことでございますけれども、従来、長期にわたりこういうことが起きていたということは私ども承知しておりませんでした。ただ、昨年の十二月の中ごろですか、警察の事情聴取を松尾元室長が受けたということを承知いたしまして、それ以降、事態が判明し始めたわけでございます。

井上(喜)委員 この事件を警察が知るようになりましたのは、どうも投書のようなんですね。ですから、私は、外務省におきましても投書ないしはうわさとして当然これはないとおかしいと思うのです。僕は本当にそれがよくわからないのですよ。本当に今のような御答弁のとおりなのかどうか、なお私は疑問を持ちます。

 それから後、そういうことを本人から聞きまして、外務省が内部調査を始めたということでありますけれども、公表までに大変時間がかかっておりますね。公表しましたのも五千四百万円ということでありまして、この使用時期も、かなり長きにわたって五千四百万を使った、こういうことになっているのですね。

飯村政府参考人 お答え申し上げます。

 松尾室長から提出がございました第一勧業銀行の口座でございますけれども、ここにおきましては、室長在任中に五・六億円の公金の入金があったということでございますけれども、私金と公金が非常に混在しておりまして、公金を流用したということが、非常に把握が難しい状況でございました。

 そこで、出と入りの金を突合いたしまして明確になってまいりましたのは、平成九年の十月の時点で銀行の残高が一・三億円あったということでございまして、これは全額公金であるということがわかったわけでございます。その後、十一年三月までに私金は数百万円しか入金しておりませんで、そのほかに公金が二億円入金しているということでございまして、この間の引き出し、これはすべて公金から引き出したのであろうということが推定されたわけです。その額が五千五百万円でございまして、競走馬五頭の購入と種つけに充当したということで、この観点から告発をいたした次第でございます。

井上(喜)委員 どうも中身がよくわからないのでありますけれども、五千四百万円を横領した期間も、ごく短期間じゃなしに、かなり長い期間のうちに五千四百万を使ったというような感じだったのでありますけれども。

 外務省だって、この機密の関係というのは、かなり厳重に管理をしているわけですね。だから、職員がどういう行動をしているのかというのは、お互いにチェックできるようなシステムになっているんじゃないかと思うのです。したがいまして、当然、それは外交上の秘密だけじゃなしに、職員個々の行為につきましてもかなりの相互チェックが働いているんじゃないかと私は思うのですけれどもね。

 こういう事故が起こるということ自身につきまして、一体、外務省も、大きく言えば機密保持、そういうような体制は本当に十分なのかね、こういう感じを持つのですよ。だから、こんな公金の管理ですら十分できない、果たして国の機密の管理なんてできるのか、そういうことに疑問を持たざるを得ないんですね。私は本当にその辺はきちんとしていただきたい、こういうことを要望いたしまして、時間が参りましたので、終わります。

野呂田委員長 これにて井上君の質疑は終了いたしました。

 次に、生方幸夫君。

生方委員 民主党の生方でございます。一時間半ほど質問をさせていただきます。

 まず、宇和島水産高校の実習船の事故に際して、けがをされた方々にお見舞いを申し上げますとともに、行方不明になっておられる方が一刻も早く見つかることを心からお祈りを申し上げます。

 今度の事件は、政府の危機管理能力というのが問われていると思います。私は、ニュースを聞いて、森総理がゴルフをそのまま続けられていたということを聞いて、本当に強い憤りを感じるとともに、本当に失望いたしました。まずこのことを冒頭申し上げておきます。

 そこで質問なんですけれども、先ほど伊吹危機管理担当大臣が、第一報を十時十五分ごろお聞きになったということですが、これはどこから、具体的にどういう内容のものがあったのか、まずここからお伺いいたします。

伊吹国務大臣 十時十五分に私が情報を聞いたというわけではございません。先ほど御説明を申し上げましたように、内閣の情報集中管理センターに海上保安庁からの一報が入ったということでございます。

生方委員 そうしますと、その内閣の情報管理センターにはだれがいて、どういう内容のことを聞いたか、そこを詳しくお伝えをください。

伊吹国務大臣 済みません。正確を期すために、報告があるそのものを持ってまいりました。

 内閣情報管理センターには、四人の職員が二十四時間体制で詰めております。そして、その職員は、情報を受ける、言うならば受け手でございます。これを受けまして、安全保障・危機管理室の担当事務官というか責任者に連絡をするわけです。

 まず受けた情報は、愛媛県宇和島水産の練習船えひめ丸がオアフ島の南十マイルで米原潜グリーンビルと衝突、沈没した、現在コーストガードのヘリが事故現場の上空におり、十四名の人を確認している、九時五十分、米軍とコーストガードの船が現場に着く予定、こういう情報が入ってきております。

生方委員 私のところに入っている情報によりますと、海上保安庁が遭難信号を受信したのは日本時間八時四十八分となっておりまして、十時十五分まで一時間以上の時間がかかっているわけですけれども、この間には外務省あるいは官邸に何の連絡も入らなかったんですか。

伊吹国務大臣 これは非常に技術的なことでございますので、少し御説明をさせていただきたいと思いますが、海上保安庁は、日本国籍の船について、遭難信号をすべて識別できるように置いているようでございます。したがって、先生の御指摘の時間に事故があったというか、やられたというものが入ってきているわけですね。この信号がどこから発せられて、どの地域にいて、どういう状況であるかということは、それは何も入ってきません。単なるピピピッというような危険信号が入ってきているということです。その後、海上保安庁として種々努力をして、ハワイのオアフ島沖にいるということがまずわかったということですね。わかって、米軍のカウンターパートであるアメリカのコーストガード、沿岸警備隊に連絡をとって、そして確認をして十時十五分に連絡をしてきた、こういうことです。

生方委員 そうすると、外務省に連絡が入ったのも、ほぼこの十時十五分ぐらいに同じような内容のものが外務省にも入ったというふうに確認をしてよろしいのですか、外務大臣。

河野国務大臣 外務省の出先機関、ホノルルにございます総領事館、そこには、ファーゴ太平洋艦隊司令官より渋谷総領事に対しまして連絡が来ております。それは大体十時半ごろと。そして、その前に、太平洋軍外交顧問のトワイニング大使から渋谷ホノルル総領事に対しての第一報は、九時五十五分ごろということでございます。

生方委員 ホノルルの総領事から外務省には、正式にはいつ、どういう連絡が入ったのか、重ねてお伺いいたします。

河野国務大臣 今申し上げましたように、総領事館に先方から一報が入れば、総領事館から本省にそのまま入るということでございます。

生方委員 具体的な内容はどういう内容が入ったのかを聞いておるんですけれども。

河野国務大臣 それは、オアフ島沖にて愛媛県立宇和島水産高校練習船えひめ丸がアメリカ潜水艦と接触し、沈没したという趣旨の連絡でございます。

生方委員 人命とか救助の状況についての説明というのは何もないんですか。

河野国務大臣 その時点ではございませんでした。

生方委員 それぞれ官房長官と外務大臣と危機管理大臣にお伺いしたいんですが、第一報をいつ、どこで、だれから、どういう状況で聞いたのか。時間と、だれから聞いたのかということと、内容をお伺いさせていただきます。

福田国務大臣 私が第一報を受けましたのは、私、ちょうど群馬県に行っておりましたので、車の中で携帯電話で、私の秘書官からその報告を受けました。

 そのときにはまだ、はっきりしたというか、多少間違った部分もあるような内容の情報でございまして、例えば、宇和島水産は高校でなくて民間の水産会社というような、私に対しましてはそういうような報告がございました。また、人命救助につきましては、次々に救助されているような感じで第一報は受けました。

生方委員 何時ですか。

福田国務大臣 それが十時四十分でございます。

河野国務大臣 私には十一時前、すなわち十時四十五分ごろと記憶をしておりますが、東名高速の厚木の辺でございました。車中におりました。

 秘書官から、宇和島水産高校の練習船えひめ丸がオアフ島付近で潜水艦と接触して沈没した模様だ、乗員は三十五名、現場付近には既に救助のためヘリコプターなどが到着している、洋上に浮いている救命いかだには少なくとも十余名でしょうか、何人かの人が乗っているというのが第一報でございました。

伊吹国務大臣 私は、実は四日の日に母の三回忌をやりまして、その後始末でお寺にごあいさつに行こうと思って京都駅をおりて、車の中で連絡を十時四十分に受けました。そして、その際に受けた情報は、先ほど先生に申し上げたとおりであります。

生方委員 森総理には、だれが何時にどんな連絡をいたしましたですか、官房長官。

伊吹国務大臣 実は、そういう状況でございますので、内閣の情報集約センターで九時十五分に情報を受けた後、安全保障・危機管理室の方へその情報を移しまして、同時に、情報の内容を確認しながら、十時半ごろから総理、危機管理担当大臣、官房長官、官房副長官の各秘書官に順次連絡を開始したということでございます。そこで私のところにも四十分に来た。総理には、総理秘書官に同時刻前後に連絡が行っておると思います。

生方委員 秘書官から総理にきちんと情報が伝えられたのは何時ですか。

福田国務大臣 十時五十分ごろと思います。

生方委員 総理はそのときゴルフのプレー中だったんでしょうか。そのゴルフ場に出ていって秘書官が話を伝えた、その伝えた内容は具体的にどういう内容だったのかをお聞かせください。

福田国務大臣 ゴルフプレー中でございましたけれども、携帯電話に受信いたしました。(生方委員「内容は」と呼ぶ)伊吹大臣が先ほど答弁しておられることと思います。

生方委員 ということは、原潜と高校の練習船であるということまでは認識していたんですか。とにかく、日本の船が原潜とぶつかって、人命救助に当たっていると。先ほどの外務大臣の話では、三十余人中の十何人かは現認されているということで、逆に言えば三十何人乗っていたうちの十何人かはいない可能性があるということですね、行方不明になった可能性がある。沈没というのまで入っていれば、原潜と日本の船が衝突をして、沈没をして、客観的に考えれば、かなり人命に損傷が出ている可能性もあるということまで総理に十時三十分の時点で伝わった、もうちょっと後ですか、五十分の時点ですか、伝わったというふうに理解してよろしいんですね。

福田国務大臣 先ほど伊吹大臣からお答えしたと思うんですけれども、第一報の内容は、宇和島水産の練習船がグリーンビルと衝突をした、そして沈没した、現在コーストガードが十四名を確認、こういうことでございました。その内容が総理に伝えられた、こう思います。

 私に対してもその内容だと思うのでありますけれども、私も、そのとき受けましたのは、米国の原子力潜水艦だ、こういうことで、これはちょっと違うな、国際問題だな、こういうふうに受けたわけでございますけれども、なお、そのときに私は、私の秘書官と話をしましたのは、秘書官から情報をさらに確認したい、こういうことがございました。率直に申しまして、私もすぐ帰ろうかということを申したのでありますけれども、もう少し情報を確認させてくれ、こういうことがございまして、私の予定を続行した、こういうことでございます。

生方委員 伊吹大臣はどうされたんですか。

伊吹国務大臣 先ほど若松委員にもお答えしたとおり、いろいろな事情はあるだろうけれども、日本人の生命が危険にさらされているわけですから、ともかく外交、防衛ルートを通じて人命救助に全力を挙げてもらいたいということを申し上げたんです。(生方委員「伊吹大臣がどうされたのか。聞いたとき、その後すぐ戻ったのか、続行したのか」と呼ぶ)それで、その時間で許される……(発言する者あり)いやいや、わかっています。(生方委員「だから、聞いて、何をしたのか」と呼ぶ)申し入れてくれということを申し上げて、そして私はトンボ返りでこちらへ戻ってきたわけです。

生方委員 だれが聞いてもこれは重大な事故でありますよね。当然総理は、少なくとも、報道によれば友人とゴルフをしていたということで、十時五十分に聞いた段階で事の重大さというのは十分判断できたはずで、友人とゴルフのプレーであれば当然それは公式のものでない、プライベートなものだというふうに総理も述べているようですから、その場でゴルフを中止してすぐに官邸に戻るというのがごく普通の対応だと思うんですが、外務大臣、いかがですか。

河野国務大臣 私自身のことを申し上げれば、私は、十時四十五分ごろ第一報を聞きましたので、真っすぐ霞が関に参りまして外務省に入りまして、できる限りの事情、状況を収集するという作業をいたしました。できる限りの状況、事情を収集して、それを官邸に持っていって御報告を申し上げる、その間に、アメリカとも電話で話をいたしましたし、一時間近くかかってしまったかと思いますけれども、そんな状況でございました。

生方委員 私はそのときたまたまテレビを見ておりまして、ニュース速報が流れておりました。もう十一時半の時点では行方不明者が十人ぐらい出ているという報道がなされておりました。十二時のニュースのときには現地からの映像も入っていて、びしょびしょになってハワイに着いた方たちの映像も映されておって、原子力潜水艦がそこに停泊しているのも映っている。あれだけ見れば、いかに重大な事故であるのかというのは、国民の多くの方は認識をしているはずですよね。

 総理大臣というのは、国民の生命、財産を守るというのが第一の使命なわけで、アメリカの原子力潜水艦とぶつかって人命が損なわれるおそれがあるというときには当然総理が一番に官邸に駆けつけて指揮をとるというのが、国民の皆さん方に対しての責任だと思うし、それが外交上も、日本の総理大臣は日本国民を守るためにこんなに一生懸命やっているのだということをきちんと示すことになると思うのですが、これで本当に、ゴルフ場にいてそのままプレーを続けるということが日本の総理大臣としてふさわしいのかどうか。外務大臣、その辺いかがですか。

河野国務大臣 相手はアメリカでございますから、当然、外務省がアメリカとの間の連絡あるいは先方に対する抗議といいますか、そういったことをしなければならないのは当然でございますが、そうした御指示がございましたので、そうした指示を踏まえてアメリカとも連絡をした次第でございます。

生方委員 総理の発言として、私がすぐ今帰ってきて飛び込んでばたばた慌てても仕方がない、私は当番の安倍晋三官房副長官によろしくと頼んだというふうに発言をしているようですが、安倍さんによろしく頼むと言ったのはいつの時点で、どんな内容でございましたか。

安倍内閣官房副長官 今の委員の御質問でございますが、前日でございまして、危機管理の対応上、伊吹大臣また福田長官と私、三人のうち一人が在京、そういうシフトになっておりまして、当日は私でございましたので、総理から前日に、もし何かあったときはよろしく頼むということでございました。前日の段階でそういうふうに御発言があったということでございます。

生方委員 報道では、記者団に、政府の初動態勢がおくれたとの指摘がありますがという質問に対して、総理は、危機管理対応の当番の安倍晋三官房副長官によろしくと頼んだと。これは前日じゃないでしょう。じゃ、ここで頼んでないのですね。総理はこの日には、安倍さんによろしくというふうには頼んでいないのですね。

安倍内閣官房副長官 今、最初に頼まれたのはいつかという御質問でございましたから、前日にそういう確認があったということでございまして、当日にはもちろん総理とは連絡をとっております。(生方委員「いつですか」と呼ぶ)私のところに連絡が入った直後であります。私のところに連絡が入りましたのは十時四十分前後であったわけでありますが、その後、先ほどから答弁をされておられるように、十時五十分に総理に連絡が入ったということでございますから、私のところに連絡が入ったときには、総理の秘書官には連絡が入っている、総理秘書官経由で総理には連絡が入っているということで私のところにも連絡が入ったわけでありますから、私も総理のところに連絡を申し上げたということでございます。

生方委員 だから、総理から安倍さんに連絡が入ったのは何時で、そのときはどういう内容だったのか、その二点だけお伺いします。

安倍内閣官房副長官 総理から私に連絡が入ったのではなくて、私が連絡をとった、総理の秘書官と。それと、現地にも、総理と直接ではございませんが、連絡をとったということでございます。

生方委員 これは記者のあれですからどこまで、必ずしも総理がこのように言ったかどうかはわかりませんけれども、少なくともここで言っているのは、当番の安倍晋三官房副長官によろしくと頼んだというのは、これだけ聞くと、総理が頼んだというふうに普通は理解しますね。だから総理は、安倍さんに頼んだのだから、私がばたばたしてもしようがないからゴルフをやっていたんだという論理展開になるので、これだと秘書官が言ったというふうにはならないで、総理は秘書官に任せていてゴルフを続けたというふうにもなってしまうわけですよ。当人が実際言っているんじゃない。それで、報告を受けられないまま私がすぐに飛び込んでばたばたしても仕方がないから万全の態勢をとったということですからね。

 そうすると、これは違うということですね。総理じゃなくて総理の秘書官が行なったのであって、総理の肉声の指示はだれがどこでいつ伺ったのですか。

安倍内閣官房副長官 今の委員のおっしゃった、総理が安倍君によろしくと言ってあると言ったことは、前日に私に総理がおっしゃったということを記者に対して総理がおっしゃっているわけでありまして……(生方委員「そんなことは言っていない。前日は、日常のルーチンワークの中であしたよろしく頼むと言っただけでしょう。これは、こういうことが起こって、危機管理のことを今言っているんだから」と呼ぶ)ですから、その危機管理対応を、私が当番になっているわけでありますから、私が当番になっているということを総理が御存じで、その段階で私に、当番のときにはしっかりやってくれということをおっしゃったということでございます。

生方委員 危機管理で、三人のうちの一人が当番だから、今度は安倍さんの番だからよろしく頼むというのは、これは何もないときだってごく普通に言うわけでしょう。

 安倍さんは当番で、その日はもちろん官邸にいたんでしょうね。

安倍内閣官房副長官 三人でそれぞれ在京しているということになっているわけでございますので、私は自宅におりました。三十分以内に官邸にいられるという範囲、私の自宅はそういう範囲でございましたから、自宅にいたということでございます。

 それと、先ほど、総理の秘書官にお話をしたときに、もちろん、総理の伝言として頼むということは、総理の秘書官からはあったということです。

生方委員 私邸にいて、三十分以内に入るということですから、十時四十分に聞いたということですから、ということは、官邸に十一時二十分に入ったということですね。

安倍内閣官房副長官 私が連絡を受けたのは十時四十分前後でございまして、自宅で受けまして、その段階において、危機対策本部を設けるかどうかということを今検討しているということでございました。その後、連絡室を……(生方委員「何時に入ったんですか」と呼ぶ)私が入ったのは一時十分でございます。

生方委員 今おっしゃったように、三人担当がいて、三十分以内に官邸に来られるというために三人いるわけでしょう。そのうちの二人は、今おっしゃったようにお二人とも地元にいて、安倍さんが担当なんだから、安倍さんが聞いたのは十時四十分で、この内容というのは極めて重大な内容だということはみんな認識しているわけですね。危機管理室を設けるも設けないも、それを判断するのも一つの大事な仕事なんですから、何はともあれ官邸に駆けつけなければいかぬわけでしょう、三十分で。

 それが何で一時になるんですか。三十分で駆けつけるために三人がいるわけですからね。それが何で、十時四十分に聞いて、実際に官邸に来たのは、これによると十三時十二分ですよ、あなたが入ったのは。何でこんな時間、昼飯でも食べていたんですか、あなたは。

安倍内閣官房副長官 十時四十分前後に私は自宅で連絡を受けまして、その後、順次私の自宅に連絡も入りまして、私もその後、伊吹大臣あるいは総理と連絡をとっていたわけでありますが、その段階で、連絡室を十二時に設けるかどうかという協議をしていたわけでありまして、そして、その後連絡室を立ち上げて、一時半に大体の情報を集約する。そして、情報を集約するに際して、私と危機管理監が、危機管理監は十二時四十五分に入られたわけでありますが、その前後、相前後して入って情報集約を行ったということでございまして、その前の指示は既に伊吹大臣から十時五十分になされて、また総理からもなされているということでございます。米側への依頼の指示はしたということでございます。(発言する者あり)

野呂田委員長 大事なところだから、正確に聞いてください。

生方委員 だから、三十分でこちらに来るということは、電話で連絡できないことがあるから、当人が来ることが大事だからいるわけでしょう。電話連絡をするだけだったら、別に何も在京でいる必要はないわけですから。電話連絡は車の中でもできるし、いろいろなところでもできるわけですよ。やはり、当人がいて、ここで指揮をするということが大事だから、三十分以内に来られるような体制をとっているわけでしょう。だから、三十分とっている意味がないじゃないですか、全く。

 それと、事故が発生したのは八時四十八分ですよ。八時四十八分、おおむね九時として、十、十一、十二、三時間、四時間も首相官邸に指揮をとるべき人間がだれもいなかった。これで危機管理ができるんですか。四時間ですよ。

 八時四十八分に事件が発生して、一番最初に政府関係者が入ったのは十三時十二分、安倍さんが危機管理センターに入る、十三時十四分に河野外務大臣が同センターに入る、それから十三時三十九分に福田長官がセンターに入るという格好で、みんな五時間以上たってから来ているんですよ。森さんに至っては、入ったのは十四時十五分ですよ。とんでもない話じゃないですか。これでちゃんとした危機管理ができるというんですか。外務大臣、いかがですか。

福田国務大臣 この事故が事故であるということを確認された時間の問題が大事になっておるようでございますので申し上げますと、繰り返しになりますが、海上保安庁が避難信号を受信したのが八時四十七分ということでございますので、これは受難信号でありまして、どういう状況かというのがわかったのは、十時十五分に海上保安庁から第一報が官邸に入ってきたということでございます。ですから、それが我々に連絡されましたのは早くて十時半ということでございまして、それからの時間で計算をしていただきたい、こう思います。

 それから、官邸に危機管理ということでもって我々が参集するのは、三十分というように言われておるのですけれども、これは別に三十分というふうに決まっているわけじゃないのです。ただ目標としてそういうふうにしようということを言われているだけでありまして、何も三十分以内に必ず来なきゃいかぬということじゃなくて、危機のときには、緊急のときには、やはり指揮をしやすい場所にいるということが大事だと思うのですよ。

 その意味からいきまして、安倍副長官がいろいろ答弁されましたけれども、安倍副長官は自宅でもって自分の家の電話ですね、携帯以外に、その電話でもって初動捜査を始めちゃったわけですよ。ですから、そこに連絡が来る。家におる、こういうふうに言えば、どんどんそこに入ってくるわけですから、むしろその方がよろしいということも言えるわけでございます。その点は、よくそういう状況を御自身の立場で考えていただきたい、こう思います。

生方委員 そうしたら、何で危機管理センターなんて設けるのですか。家にいた方がよほどいいというのなら、何も危機管理センターなんて設ける必要はないじゃないですか。

 そこへみんな集まってきているのでしょう。そこへ集まれということは、いろいろな情報が入ってくるので、電話一本の連絡と、あらゆる情報が入ってきて、いろいろな秘書官がいろいろな情報を集めて、総合的に判断するために危機管理センターというのを設けているのでしょう。それを自宅にいたら、何の意味もないじゃないですか。

 何のために自宅にいたのですか。自宅にいた理由を言ってください、理由を。

安倍内閣官房副長官 二十四時間、情報集約センターで四名の職員が当たっておりまして、そこに第一報が入ったわけなんですが、そこは情報集約センターですから、常時、いつも情報は入っております。この事案以外にも、普通の漁船の救難についても情報は当然入っているわけであります。

 私が自宅で待機をしていたということでございますが、私が危機管理室に行くということは、そこでさらにオペレーションを開始しなければいけない、あるいは、伊吹大臣とも総理ともまた官房長官とも全く連絡がとれなくなって直接指示を仰げなくなった段階においては、私が行ってそこで指示をするということになっているわけでありますが、しかし、実際は伊吹大臣とも総理とも官房長官ともそれぞれ連絡がとれて、既にそちらから指示が直接、私を通さずに、官房長官あるいは伊吹大臣から、また総理からも、御指示が既に十時五十分の段階でなされているわけでありまして、あとは、米側に捜索の依頼をしておりまして、米側がオペレーションを展開しているという段階で、こちらは情報を、それでは今私は自宅にいるから自宅に、とにかくすぐに情報が入ったら入れてくれということになっておりまして、私のところには防災無線も完備をしているということになっております。

生方委員 危機管理センターというのをつくるのは、いっぱいいろいろな情報が集まってくるからでしょう。自宅にいたら、幾ら電話があったって電話をとれるのは一人ですね。いろいろな人間がとって、その情報を総合的に判断するために三人の危機管理の担当者が決まっているわけでしょう。それが自宅にいたのでは、いろいろな情報が入ってこないじゃないですか。自宅で入ってくるのは電話一本ですよ。何人もの方が情報を集めることによって初めて、その情報を総合的に判断するために危機管理センターというのを設けるわけでしょう。それだったら、危機管理センターなんて設ける何の意味もないじゃないですか。

 それともう一点、総理が指揮をしていると言いましたけれども、総理がこの事件に関してどういう具体的な指揮を何時にどこで発したのか、それを伺わせてください。

伊吹国務大臣 ちょっと大切なことですから、状況を……(生方委員「短目に」と呼ぶ)いやいや、それは大切なことですから。(発言する者あり)ちょっと待ってください。

野呂田委員長 答弁も質問もしっかりする必要がありますから、余り委員席から言わぬでください。

伊吹国務大臣 今、生方委員がおっしゃったように、危機管理センターでやるべきことは、生命財産の大規模な侵害を受けることをどうするかということでございます。

 したがって、この事件は、残念ながら米国の主権下で起こっていることなんですね。もし日本沖でこの事故が起これば、海上保安庁をどう動かし、防衛庁をどう動かし、警察をどう動かし、あらゆる政府の機能をどう動かすというオペレーションをやる場所なんですよ。ですから、今回は、すぐにその段階で米側に、まず日本の生命を完全に把握していただきたいという第一報を入れているわけですね。そして後、情報は、それはもう一人プラス救助されたとかいろいろな情報は入ってくるでしょう。そして、その情報は安倍さんは的確にセンターから受けております。

 したがって、これは、日本の主権の範囲内で、日本の危機管理としてどういうオペレーションをするかというときに当番の安倍副長官がそこにいなかったということは、それは先生御指摘のとおりです。したがって、危機の態様によって、そして、これが事故であるのか危機であるのかというのは、先ほど井上先生がおっしゃったように、そもそも論はやらねばなりません。しかし、今政治家としてそもそも論をやるべきときではありません。したがって、命を最優先にして対応しているということです。

生方委員 いわば危機管理センターはオペレーションをやるところであるというのであれば、何で十二時に危機管理センターを設置したのですか。設置する必要ないでしょう。オペレーションだけをやるのだ、事はアメリカの領海内だから日本は何もすることができないということであれば、どうして十二時に、今おっしゃったことでいうのであれば、何で危機管理センターを設けたのですか。

伊吹国務大臣 危機管理センターというのは、これはマスコミやなんかでいろいろな報道なされておりますが、つくったのは、連絡室を立ち上げたということですよ。

生方委員 これは危機管理センターではないのですか。違うものなのですか。

福田国務大臣 組織的に申しますと、内閣情報官のもとに内閣情報調査室があります。そこに情報集約センターというのがございますけれども、この情報集約センターが二十四時間体制で、四人体制でやっているわけですね。そこに情報連絡センターをつくった、こういうことであります。

 本格的な対策本部というのは、外務省とそれから文部科学省につくったということでございます。

生方委員 二点お伺いしたいんですけれども、じゃ、危機管理センターは今回はつくられなかったという点が一点と、それから、先ほども聞いていますけれども、森総理から具体的にどんな指示が何時にどこにあったのか、一番最初の指示はどこのだれにどういう指示があったのかをお聞かせください。

伊吹国務大臣 今回は、先ほど申し上げたような事情でございますから、米国主権下で一生懸命やってもらうということをまずやらねばなりません。したがって、そのあらゆる情報を確保するための情報連絡室を立ち上げたということです。

 それから、二番目は、これはまことに申しわけありませんが、私はそのときに情報連絡室にはおりませんから、森総理からだれにということを私が今ここで確定的に申し上げられませんが、報告を受けておりますのは、十時五十分に総理より、情報集約センターの第一報を受けて、引き続き人命を第一に情報集約に当たってほしい、新しい情報があれば速やかに自分に教えるように、いつでも帰れるようにしておくからという御連絡があったということです。

生方委員 じゃ、その次の指示というのは何時に、具体的にどういう指示が、だれにあったんですか。

伊吹国務大臣 引き続き、十一時に、総理秘書官を通じて、人命救助と情報収集に最大限の米側の協力を要請してもらいたいという総理からの御指示が情報連絡室に来ているということです。

生方委員 宮澤財務大臣にお伺いしたいんですが、総理も経験をされておるわけで、今回の、総理が、私は、ごく普通に国民感情からして、ゴルフが優先をして官邸に戻らないという判断にはなりようがないと思うんですね。どうであれ、ゴルフというのはこれは個人の楽しみですから、それを中止して戻ってくるのが私は総理大臣として当然の行動だと思うんですが、宮澤大臣、いかがでございますか。

宮澤国務大臣 いろいろ御説明がありましたように、総理としてはこういう事態に備えてかねてから当番の閣僚あるいは準閣僚を置いておられたし、また、情報のやりとりについても、彼我の距離を別にいたしますと十分であったと思うし、また、総理にもそれが迅速に伝わっており、総理からの指示もあった。恐らく総理としては、官僚、関係大臣初め全部の準備はできておることであるから、自分としてはむしろ動かずにそれと常に連絡をとっておいた方がいい、帰る必要があればいつでも帰る、そういうふうに考えられたと思います。私は、私でもそういう判断をいたしたと思うんです。

 その間、実際の危機管理なりあるいは情報について欠くるところはなかったと私は思いますが、ただ、こういうオーディオビジュアルの時代になりますと、総理というのが早くその場に帰っていてほしいんだという御議論があれば、それはそういう点はやはり考えた方がいいかもしれない。

生方委員 やはりこれは、アメリカに対して人命救助を一生懸命お願いしますということを言っている立場からも、ゴルフ場からの指示というのでは、アメリカの方だって総理がその程度の認識なのかということで、もちろんアメリカ側が手を抜いているとは私は言いませんよ、言いませんが、ごく一般的に考えれば、それぐらいの認識なのかということは当然アメリカ側だってそう思ってしまうわけですよ。我々が、今、実習船をどうしても引き揚げてくれということをアメリカ側に要望するときにでも、最初に総理の認識がその程度だったのかということは、当然その後の処理に重大な影響を及ぼすと僕は思うんですよ。

 その意味では、総理がとった態度はとても国民感情としては私は許せるものではない。こういう方にやはり日本を任せるわけにいかないという思いが一層強くなりましたですよね。こんな危機管理能力のなさでこれからの日本を任せられますか、本当に。

 外務大臣、いかがなんですか。総理がとった態度というのは、行動様式というのは本当にこれでよかったのか、これからもこういう同じようなことが起こったときも引き続きゴルフ場にいていいという判断なのかどうか、お聞かせください。

河野国務大臣 これは一つ一つのケースによって考え方、対応の仕方はそれぞれ違うわけで、この対応一つをとって総理の資質云々などというふうに言うのは、私はいかがかと思っております。

 私どもは、十二時に外務省で対策本部を招集をいたしまして直ちに、大臣政務官に直ちにハワイへ行けと、とにかく現地で指揮をとれという指示をいたしまして、桜田政務官は直ちにハワイへ行く準備を始めたわけでございまして、これは、近くで指揮をとる場合もあるし、遠くで指示をする場合もあるし、そういうことはいろいろあるのだろうというふうに思います。

生方委員 明確なお答えが聞けないので、これ以上してもしようがないと思うのですが、連立を組んでいる坂口大臣、今、この総理がとった行動について、感想で結構でございますから、どんな感想をお持ちでございますか。

坂口国務大臣 突然のお伺いでございますが、大変不幸な出来事であったというふうに思いますし、そして、こうしたときに総理としてとられる立場というのは、やはりどこにお見えになるかもさることながら、的確な御指示をなさるかどうかということが最大の問題ではないかというふうに私は思っております。

 今朝来も、閣議におきましても、伊吹大臣からその経過等についてお聞きをいたしまして、的確な御指示をされておみえになるというふうに思っておりますが、ゴルフをなすっていて早くお帰りになった方がよかったのではないかというお話がございますが、それは、そのことにつきましては、できれば私もそれはそれにこしたことはなかったというふうに思いますが、しかし、的確な指示は打っておみえになった、そういうふうに思っております。

生方委員 これでやめますが、ゴルフ場にいて的確な指示が出せるかといえば、これはやはり出せないですよね。(発言する者あり)いや、それは危機管理センターで出すのと、ゴルフ場で出す指示は、それはおのずと違ってきますよ。当然です、それは。当たり前の話です。こんなことは久間さん、わかるでしょう。そんなもの、ゴルフ場にいるのと危機管理センターにいるのと同じ指示が出るわけないのですから、それは当然帰ってきてしかるべきだったということだけ申し上げまして、次の質問に移らせていただきます。

野呂田委員長 ちょっと財務大臣から。

生方委員 では、一言だけどうぞ。

宮澤国務大臣 それは、おっしゃることは決してわからないのではないのですが、総理大臣という立場は、例えば、二〇三高地で最後の戦争が始まったときに、大山元帥は、きょうは戦争があるのですかと言ったそうです。やはり総理大臣というのはそのぐらい重いものですから、あっち行ったりこっち行ったりするばかりが能じゃないので、その点もひとつお考えいただきたい。

生方委員 それは、あっち行ったりこっち行ったりがゴルフ場でじっとしているということには僕は絶対ならないと思いますね。ゴルフ場ですから。首相官邸にいてどっしりしているというのは、それは構いませんよ。ゴルフ場という、普通に言えば遊びの場所ですね。遊びの場所からだったら戻ってこなきゃいかぬですよね。

 私は、少なくとも私に関して言えば、ゴルフは、開会中はもちろん一回もやりません。年間だってせいぜい一回か二回ですよ、ゴルフへ行くなんというのは。(発言する者あり)あんたの勝手じゃない。総理がゴルフ場にいることが動かないということにはならないということを申し上げまして、もうこれ以上私はこの問題を言ってもしようがないから、次の問題に移らせていただきます。

野呂田委員長 生方質問者にお願いでございますが、官房長官から修正発言があるそうですから、お許しをいただきたいと思います。

福田国務大臣 一点訂正させていただきます。

 先ほど、連絡室の位置づけを申し上げましたけれども、これは独立の連絡室、こういうふうにお考えください。先ほど、内閣情報調査室の下、こういうふうに申し上げましたが、そうではなくて、独立した部分でございまして、それは内閣危機管理監が統括しております。

生方委員 この問題は引き続き同僚議員が質問すると思いますので、次の質問に移らせていただきます。

 これも既に何人もの質問が出ておりますが、機密費の流用事件について質問をさせていただきます。

 この間の河野外務大臣の答弁を聞いておりますと、何か人ごとのように聞こえてならないのですね。事は、やはり外務省の職員が公金、公金じゃなくてこれは報償費ですが、報償費を多額に、私的に流用していた。国民の税金でございますから、外務省の責任、一応もちろん処分はされておりますけれども、極めて大きいものがある。どうも、でも、その責任の大きさというものを外務大臣が自覚しているようには私は思えない。松尾氏個人の問題にこれをおとしめてしまって、押し込めてしまって、外務省全体の問題ではないのだ、これは個人が犯したことであるのだということにどうもしようとしているのじゃないかという気がしてならないのですが、いかがでございますか。

河野国務大臣 何か個人の犯罪にしようとしているという御発言でございますが、私どもは、事実関係をできるだけきちっと把握するということに努めたつもりでございます。

 それで、私自身考えますことは、どうしてこういうことが起きたかなと率直に私も驚き、そして、納税者の皆さん、あるいは日本の外交それ自体の信頼を失墜させたということから、まことに申しわけないことだ。これは、繰り返しこの委員会でもおわびを申し上げているわけでございますが、私が調査を命じまして、私自身も何人かの人間を呼んで直接話も聞きましたけれども、私が調査をした人間から、あるいは直接聴取をいたしましたところでは、松尾元室長の個人の犯罪というふうに私は思います。

 このことはしかし、このことが正しいか正しくないかは、やがて捜査当局が明白にするだろうというふうに思いますが、私はそう思っております。そのことと、そういう事件を起こしてしまった、しかも相当長期にわたってそういうことが確認もできずに、指摘もできずに時間が推移してしまって、その被害額が多くなってきてしまったということについては、外務省の組織、外務省の仕組みそれ自体に大きな欠陥がある。これはもう外務省として大きな責任がある。その外務省のトップとして私自身の責任は非常に重いというふうに、私はこれまでも繰り返し申し上げてきたところでございます。

生方委員 外務省の調査は、私が聞いたところによりますと、二十二日間にわたって行われたということですが、それは二十二日でよろしいのですか。

河野国務大臣 一月の四日に、私は調査委員会をつくって調査を始めることを命じました。そして、報告書をつくって公表をいたしましたのが二十五日でございますから、日数は議員のおっしゃるとおりです。

生方委員 もちろん、報道されていますように、松尾氏は八つの預金口座と郵便貯金口座を持っていたということで、外務省が実際に調査をなさったのはDKBの二口座だけだったという話ですが、八つあるうちのどうして二つだけしか調べなかったのですか。

河野国務大臣 これはどういうふうに申し上げていいかわかりませんが、恐らく、今日に至るも松尾元室長は、自分自身の行動について、横領をしたということについては否定をしているわけでございまして、私どもが、横領事件というものの調査をする、松尾元室長に対して、これまでの経過について説明をしてくれ、こう言っても、本人からは我々が言うような返事はなかなか得られないという状況にもございました。

 それで、私どもは、繰り返し申し上げて恐縮でございますが、捜査権はないわけで、まだほかに口座があるだろう、あの口座の通帳を持ってこい、この通帳を提出しろと言うわけにはいかないわけでございまして、この第一勧銀の二つの口座の通帳については、本人が話の中で納得して、公金を入れた口座はこれでございますといって本人から説明があったものがあの二つだということでございます。

 その二つについてできる限りの調査をしたということでございまして、あそこで私どもが言いました、五千数百万の公金横領について告発をいたしましたが、五千数百万の公金横領がすべてであるなどというふうに私どもは全く考えておりません。我々が公金横領として認定をし、確定をして、告発をすることができる、告発するに足る資料を得たというものが五千数百万であるというふうに御理解をいただきたいと思います。

生方委員 私は、外務省から聞いたところによれば、自宅に近寄れない、だから一銀行二口座だけしか調べられなかったということを聞いておるのですけれども、それならば、自宅にだれかが一緒に行くとかして全口座を見ることは可能だったんじゃないかと思う。もちろん、自宅じゃないところで調査をなさっていたらしいですが、私が聞いた説明では。

 だから、手元にあるのは一行しかないからその二つしかお見せできないですということであるならば、当然、本当に調査をする気があるならば、一緒に行くなり、そこにいる人をどけてもらって、もちろん松尾氏個人の了解がなければ行けませんけれども、そういう言いわけをしていたのであれば、そういう条件は取り払って、一緒にうちに行って調べるということだってできたんじゃないですか。

河野国務大臣 これは実際に調査に当たった人間から報告を受けたことでございますけれども、松尾元室長は、彼自身、先ほども申しましたように、公金横領の事実はないということを言っているわけでございまして、公金横領の確固たる証拠を見たいから口座、通帳を出せと言ったのでは、向こうはそれは出さないという状況にあったということは事実でございます。

 さらに、今議員がおっしゃいましたように、いち早く家を出て、姿を隠しながら、我々とは連絡をとりましたけれども、姿を隠しながらの聞き取りでございまして、とても自宅へ戻って他の通帳をとってくるというような状況にはなかったというふうに私は報告を聞いております。

生方委員 新聞の報道によると、衛藤副大臣が、八日の質問を聞いて初めて官房から幾ら報償費が松尾氏に支払われたのかを知ったというふうに言っておりますが、これはその調査の過程で一番基本中の基本ですよね。一体松尾氏が幾ら官邸からお金を引き出したのか、そこも聞かないで調査をしていたというふうに解釈してよろしいのですか。

河野国務大臣 松尾自身が、総理外遊の折、ホテル代その他の見積もりをみずからつくって提出して、その見積もりに見合った額を預かってきたということでございますけれども、その額が幾らであるかということがチェックできなかったことがこういう問題を引き起こした一番大きな要素でございまして、私どもが今考えておりますのは、もうまことに残念なことでございますけれども、当たり前のことでございますが、見積もりを提出するときには上司がサインをするとか、それから、金銭を預かるということであれば、いつ幾日幾ら預かってまいりましたという報告がなされておれば、こんな問題はもう全く起こっていない。さらには、松尾自身が外遊が終わって官邸に精算書を持っていく際にも、その精算書についての確認がなされればこうした問題は起こっていなかっただろうというふうに、その点は極めて残念に思っております。

生方委員 いや、私が言いたかったのは、官邸に幾ら出ていたのかということを聞くのは調査のイロハのイではないか、それを衛藤さんが八日になって初めて知ったというようでは、とてもちゃんとした調査ができていたとは思えないということを言いたかったわけでございます。

 それで、実際に使途不明になっているお金が幾らなのかということを私は知りたいのですが、官邸から松尾氏個人に渡したお金は九億六千五百万円、そのうちいわゆる官邸で使ったものは四億二千万円ということでございますから、いわゆる領収書等がないお金というのがここで五億四千五百万円発生をするわけですね。

 一方、外務省の調査では、公金の入金があったというDKBの口座だけで見れば五億六千万円が入金をされていて、そのうち実際に支払われている、クレジットカード等の決済で使われているのが二億五千万円ということでございますから、三億一千万円がいわば不明になっている。ということになりますと、この五億四千万円のうちに三億一千万円も恐らく含まれていると思うのですけれども、実際に現在、出ていきました九億六千五百万円のうち使途不明になっているお金、行方がわからないお金というのは、現在把握している段階で幾らあるということですか。

河野国務大臣 官邸から松尾元室長が総理外遊のためのホテル代の差額として受け取ってこられたお金の中には、口座に振り込んで、そして使った部分もあれば、現金でそのまま携行した部分もあると考えていいと思います。

 したがいまして、先ほど申し上げました五億何千万がすべてだというふうには全く思っておりませんで、九億幾らか松尾に渡したと官邸がおっしゃるのであれば、その差額については我々としては、現金で携行されたか、あるいはその他の方法で支払いに充てたのではないかと推定する以外にないわけです。

 ただ、ここで申し上げたいと思いますことは、ホテル代の差額を官邸に見積もりを出していただくわけで、そのいただいた額が、丸々差額が全然なくて、それが全部だれかの懐に入ったということではなくて、やはり差額というものは実際にあるわけですから、実際に差額は払われていることは事実でございますから、その差額は差額として使われたのであって、残額がすべて横領されたというふうに見るのは、これは少し見過ぎるのではないかというふうに思います。

    〔委員長退席、久間委員長代理着席〕

生方委員 いや、私は、その全部が使われたと言っているのじゃなくて、実際把握されている使途不明額は幾らなんですか、おわかりのことがあったら教えてくださいと言っただけでございますので。

 それで、報道によれば、松尾はクレジットカードで一括してお金を払ったケースもあるということですが、そうなりますと、それは差額を払ったのですか、それとも全額を払ったのですか、どちらなんですか。

河野国務大臣 松尾元室長が官邸からお預かりをした金子は、ホテル代の差額、それにプラス規定の宿泊費……(生方委員「規定の宿泊費も入るのですか」と呼ぶ)そうです。規定の宿泊費、そういうものを松尾は預かってきたというふうに私どもは承知をいたしております。これはただし、官邸の部分についてです。外務省の随行者、つまり総理外国訪問の随行者となるべき、例えば外務省から何人か随行が行くという部分については、差額だけでございます。

生方委員 では、官邸分に関しては全額を預かっていて払った、それで外務省分については差額だけ払ったということですか。そうなりますと、例えば宿泊費が三万円というふうに仮に仮定すると、外務省の分は二万円出るとすると、一万円だけ払うということですか。外務省の職員はあとの二万円は独自に自分でそのホテルで払うということなんですか。外務大臣に。

福田国務大臣 私から申し上げた方がいい部分もありますので。

 九億六千万円、この分は……(生方委員「九億六千五百万円」と呼ぶ)そうですね、これは宿泊差額です。ただ、内閣官房は別途、別途というか一緒なのですけれども、その九億六千万以外に若干の実費の部分、これは彼に渡しておる。ただ、これは領収書をきちんととっておりますので、犯罪対象になっていない、こういう認識をしておるわけであります。ですから、九億六千万は宿泊差額、このように御理解いただきたいと思います。

生方委員 要するに、もともと払われるべき規定のお金というのは別途松尾に渡していて、そのほかの差額の部分がこの九億六千五百万だということでいいのですね。長官、いいか悪いかだけ言ってください。

福田国務大臣 そのとおりでございます。

生方委員 先ほどの外務大臣にお伺いした点ですが、松尾さんが払ったのが差額分だけであるとすると、そのほかの分については外務省の職員、随行職員がホテルで別途払ったということでいいですか。

河野国務大臣 これは以前ここで御説明をいたしましたけれども、規定の部分については、旅費規程に基づいて外務省から本人がもらうわけですね。それで差額分については、官邸からお預かりをしてきて、少し時期がいろいろあって、少し私の答弁がいろいろするのは申しわけないと思っておりますが、当初は松尾室長は、官邸からいただいた差額分を、例えば封筒などに入れて一人ずつに渡して、そしてそれをもらって、規定部分の上に足して一人ずつが払ったという時期もあったわけです。

 ただし、今言葉足らずでございましたからもう少し申し上げますと、外務省職員分につきましては、当初は宿泊費差額を各人に支給をし、各人が個別にホテルで支払いをしておりましたけれども、その後、松尾元室長が外務省の所管部局より宿泊費規定額も預かって、官邸で受け取った宿泊費差額と合わせて、一括して松尾が払うということも出てきて、それが徐々に多くなってきたということでございます。

 これは、総理一行のチェックアウトその他が、非常に短時間でチェックアウトをして次の行動にいかなければいけない、車列の問題その他がございますので、一括して払うということが合理的だということがあったのだというふうに推定されます。

生方委員 これを重ねて聞いているのは、二重で払われた危険性がないのか。松尾は松尾で差額分やら何やら払っておきながら、外務省の職員は外務省の職員で別途精算をして、自分たちの方には宿泊費が来ているおそれがあるのかどうかということで重ねて聞いているわけで、そういうことは、調査の中ではないわけですね。

河野国務大臣 そういうことは全くありません。

生方委員 そのチェック体制の甘さというのは今さら指摘するまでもないのですが、一応在外の大使館あるいは領事館の方から、総理一行が行く、大体何人行って、どういうところに泊まってどうであるということであれば、宿泊のホテルから何から調査をして、おおむねこれぐらいの予算がかかりますよというのは来るわけですね。それをチェックするのは外務省から派遣された官邸にいる職員だとすれば、大体ニューヨークへ泊まれば幾らぐらい、北京へ泊まれば幾らぐらい、ロンドンへ泊まれば幾らぐらいというのはわかるはずですよね。大体わかるはずですよ。私だって、ウォルドルフ・アストリアへ泊まれば幾らぐらいだろうとか、どこへ泊まれば幾らぐらいだろうかというのは大体わかるはずで、それが、この話を見る限り、ほとんど倍請求しているわけですよね。

 そんなのをずっと見過ごしてきたというのは、見過ごしたというよりも、むしろこれは黙ってそれを見て見ぬふりをしていたのかとしか考えられないと思うんですよ。それが、一回や二回ならまだしも、四十数回にわたって、だれかがきちんともちろんチェックはしているはずなのに、それが毎回毎回水増し請求されていたのを見逃したというのは、見逃したというよりは、それは過失というより、むしろそれを黙って見て見ぬふりをしていたんじゃないか、私はそういう感じを抱くんですけれども、いかがでございますか。

福田国務大臣 おっしゃるとおり、結果で見てみればそういうことなんですけれども、手続が非常に煩雑でございます。委員、今ちょっとおっしゃっていましたけれども、総理の外国訪問、これはまず百五十人という、そのぐらいの規模で日本から出てまいりますので、日程だとか参加人員、大枠は確定しまして、その後に、外務省本省の訓令に基づいて在外公館から宿舎名、使用可能な部屋数とかタイプ、それから一泊当たりの料金などについて回答が寄せられまして、最終的に参加人員が確定した段階で外務省において宿泊差額に関する見積書を作成する、こういうようなことでございます。

 人数が多いものですから、一人一人精査するというのはなかなか難しい。結局、そういう意味において、在外公館を持って、そして現地の情報に精通しているという外務省との連係プレーがないとできないということなのです。また、特に在外地におけることでございますので、事務処理も外務省にお願いするということはやむを得ないのかな、こんなふうにも思っております。

 しかし、結果としてこんなふうなことになってしまったのでございまして、極めて遺憾に思っております。捜査当局による真相解明の進展も見ながら、政府としての原因の解明、再発防止に万全を期さなければいけない、こんなふうに思っております。

 ただ、現在は旅費の実費支給を行っておりますので問題の起こることはない、このように思っております。

生方委員 これは後ほど、差額分は今実費できちんと払われているんですから、当然それは機密費から今度は削除して、機密費を削減すべきだということはちょっと申し上げます。

 総理の海外訪問の場合の人数ですけれども、毎回百五十人ということじゃなくて、これを見たら、三十人、三十六人とかいうときもあるし、多いときで、サミットなんかだと百三十四人とか百四十人とかということになるようですけれども、大体六十人から百数十人、それも年間何回にもわたって行くのを、個人的な能力から見ても、一人の人間がこれを全部お金を払うということ自体が普通に考えたって不可能だと思うんですよね。それを六年にもわたって、これはもう何度もお答えになっていますけれども、一人に任せていたということ自体が、システム上の問題というか組織上の問題があると思うんですよ。

 これだけ見たって、普通、ただ行くだけだって大変なのに、百五十人分やら何やらのお金を全部松尾が一人で払っていたということ自体、そもそもおかしいですよね。何でこれがそもそもおかしいということをだれも言えずに来てしまったのか、その辺は外務大臣、どのようにお考えになっておるんですか。

河野国務大臣 かつては、ここでも御答弁申し上げましたけれども、総理がアメリカへいらっしゃるときには北米局北米一課がそうした作業をする、ヨーロッパへ行くときには西欧一課がそうした作業をするということでありましたけれども、そういうことになりますと、年間十回前後の総理の外国訪問、その都度、各局あるいはそれぞれ一課がそうした人材を抱えていなければならないということもあるものですから、一カ所に集めて、そのロジスティックスをやる集団といいますか、チームを一カ所にまとめてそれがすべてやるということにして、地域局はむしろそういうことよりも内容についてしっかり取り組むということの方が合理的であろうということだったんだろうと思うわけです。

 今官房長官からまさに御答弁がありましたように、日程をつくる、あるいは百人前後の人間の部屋割りをする、車列を組む、正直言ってなれていないとなかなかできない仕事ではあると思います。おっしゃるように、あのホテルなら幾らぐらいだろうと議員も大体見当をつけられますけれども、例えば総理がサミットに行く、あるいは国連総会に行くというときには、もう国連総会に行くというだけでニューヨークのホテル代は相場が上がってしまう。そしてまた、百人から行くと、それは局長も行けばノートテーカーも行くということで、だれをどの部屋にはめ込むかという問題もあって、これはなかなか専門的な知識が要る、そういう説明を聞けば、私もなるほどそうかなと思う部分もありました。

 しかし、いずれにしても、これは、議員がおっしゃったように、それにしてもちゃんと後継者をつくって交代をさせていくというのが常識だというふうに私は思います。これができなかったことはまことに組織としての失敗、まことに申しわけないと国民の皆さんにおわびを申し上げる以外にないと思っております。

生方委員 やはり常識の範囲内で処理をしてほしいのですよね。個人が随行員の宿泊費をクレジットカードで払うということ自体がそもそも常識ではないですね。常識で考えれば、日本国政府の信用なんですから、別に後で請求書を送ってもらってそれを大使館が払ったっていいし、現金を一々持ち歩くのは危険だからクレジットカードを持っているなんということをしなくたって、日本国がお金を払わないとはだれも思わないわけですから、そんなものは大使館に後で請求して処理すればいいはずですよね。

 そんなもの、普通の国民が普通に考えれば普通に処理できることが普通に処理できなくなっているということが、外務省がやはりちょっと制度疲労に陥っているのじゃないですか。きちんとそういうことをチェックするようにこれもしていかないと、また同じようなことが起きてしまうのではないかということで指摘をさせていただきます。

 それで、報償費の使い方の問題なんですけれども、この間も指摘をされましたように、ほとんど残がなく使われている。これは報償費でございますから、機動的に運用されるんだというために支出をされている、だからこそ領収書が時によってはないこともありますよということで、会計検査院も納得をされていることですよね。機動的に運用しているのであれば、ある年は大きくてある年は少ないということが当然起きてきてしかるべきなんですけれども、この間も指摘されましたように、外務省の本省分の報償費の支出等を、決算を見ますと、ほとんど、九九%使われている。在外公館の分に関しても、多いときで七十八万ぐらい残っていることはありますけれども、総額に比べればこれも微々たるものであって、ほとんどの額が使われている。

 この事実一つとってみても、報償費が本当に本来の目的のように機動的に使われていたのかどうか極めて私は疑問が強いのですが、差額が毎年ほとんどないこの事実と、機動的に運用されていたかどうかということについて、外務大臣、今どのようにお思いになっていますか。

    〔久間委員長代理退席、委員長着席〕

河野国務大臣 外務省の報償費につきまして、国民の皆様から大変厳しい御批判をいただいておりますことをきちっと受けとめなければならぬというふうに思っております。この御批判には、きちっと我々がこの御批判にたえ得るようなシステムをつくるということが今何よりも求められているというふうに私は思っておるわけでございます。

 他方、もうこれは釈迦に説法でおしかりをいただくかもわかりませんけれども、我が国の外交政策を遂行しようとすれば、やはりでき得る限りの情報を集める。情報がなければ外交政策というものは、正確な政策立案はできないというふうに私は思います。でき得る限り情報を集めるという努力というものはやはり必要だというふうに思います。

 もちろん、前段申し上げましたように、その使途について今日のような状況から見れば大変厳しい御批判があることは承知の上で私はあえて申し上げているわけでございますが、その上で、もしこれで情報収集能力が落ちるというようなことがあれば、我が国の外交を進める上でなかなか難しい状況も来るかもしれないというふうに思っているわけです。

 御承知のとおり我が国の外交機密費は、もうここ十数年、全く変わらない金額で我々は情報収集に当たっているわけでございまして、私、今大変おしかりをいただきましたけれども、でき得べくんば、情報収集のための予算というものは、少しでもあればそれだけ収集ができるという気持ちは今でも持っております。しかしこれは、今のような状況の中で申し上げるのは少し言葉が過ぎるというおしかりがあれば、それはもうおっしゃるとおりだと思います。

生方委員 担当の大臣としては少しでも予算が多い方がいいというふうに思うのは当然でしょうけれども、その前にやることは、実際に適正に使われていたのかどうかと。情報収集のために使われているのであれば、国民はそれは許してはくれると思うのですけれども、報道されるところによれば、大使の息子の誕生祝いに使われたお金がどうも機密費から出ているらしいとか、あるいは在外公館で全部使い切ってしまわないといけないからお金をプールしているとか、こういう報道がたくさんなされているわけですよ。

 まずやるべきは、増額を要求するなんということではなくて、どのぐらいむだがあったのかをきちんとチェックして、私は大使館にもよく行って食事もさせていただきますけれども、本当にコックさんがいる必要があるのかどうか。今、日本料理店というのはどこにでもあるわけで、お客さんをもし呼ぶということであれば、そこからコックさんが来ていただくことだってたまにはあってもいいだろう。全部が全部コックさんがいて、それはお客さんの食事をつくることがあるかもしれぬけれども、大使の食事をつくることもあるかもしれないし、その辺の食材だってぐちゃぐちゃになってしまうということは、あり得るわけですよ。

 在外の大使館というのはたくさんあるわけですから、それを一個一個チェックしていたらチェックする方のお金がいっぱいかかってしまうかもしれませんから、そうではなくて、きちんと一括全部調べて、むだなものは一切切って、姿勢を正して、本当にこれだけ必要なのだと。それで、これは機密費ですから、報償費ですから、毎年やはり違った額をきちんと請求するようにすれば、国民だって納得ができると思うのですよ。毎年同じ額が出されて毎年ほとんど残がないということになれば、いいかげんに使われているのではないかと思うのは、これは国民の常識ですよ。常識からかけ離れないような行政、政治をやっていただかないと、信頼は失われてしまうのですよ。

 その意味からも、在外公館で本当に適切に使われていたのかどうか。これは松尾氏個人の件だけではなくて、しっかり私はチェックをしていただきたいと思うのですが、その調査をやるおつもりがあるかどうか、お聞かせをください。

河野国務大臣 いろいろ御存じの上での御発言でございますから、あえて申し上げることはどうかと思いますけれども、例えば、大使館でつくります食事の準備をいたします者は、一定の金額で契約をしているわけでございまして、それは上限を切ってございますから、それ以上のものは大使の私的な負担ということに、もしどうしてもあれが連れてきたいと言えばそういうことになっているということは事実でございます。

 私は、メディアからいろいろと御批判がございますことについて、私自身大変残念に思っておりまして、事実であるとすれば私は厳正に処分すると。私自身の立場は報償費についてはぜひ御理解をいただきたいと思うけれども、その報償費を使って何か私的なことをやるということが見つかれば、それは私は厳正に処分しなければならぬというふうに思っていることを申し上げておきます。

生方委員 今度の松尾の報償費に関しては、内閣官房からお金が出ているわけですね。内閣官房の方も、決算額と予算額を比べますと、ほとんど毎年決まった額が使われている。これも、いわゆる内調が使う部分とそれから内閣官房が使う部分で、ここに内訳が出ております。官房で使う方が大体約十四億円、内調の方が二億三千万円ですか。十四億円ということになりますと、大体松尾が六年間で九億六千万円ですから、毎年一億六千万円ぐらいここから引き出していたということになりますと、一割以上が松尾に行っていたという勘定になりますよね。

 そこで、報道されているように、一割が個人に行くというのはどう考えてもおかしいので、外務省からの上納があったのではないかという指摘がなされておって、これは繰り返し否定をされておりますが、どう考えても、内閣官房が使っている機密費の一割以上が松尾という個人に渡っていたというのは不自然で、巷間言われておりますように、やはり外務省から二十億円程度が毎年内閣官房の方へ来ている、その一部が松尾に流れたのではないかという指摘がなされておるのですが、この辺については否定をされるのでしょうけれども、調査をするつもりがあるのかどうかをお伺いしたいと思います。

福田国務大臣 いわゆる上納という問題につきましては、これは何度も何度もそういうことはないというように申し上げておるわけでございまして、過去においてもそういうように答弁しておりますし、私もそういうふうに申し上げているわけでございます。

 ですから、調べるといってどういうふうに調べるか、こういうことなんでありますけれども、上納はないということでまずは御理解いただきたいと思います。

生方委員 ことしの四月から情報公開法が施行されるわけですから、今すぐに云々というのではなくていいですから、例えば十年後とか十五年後にも、例えば機密費に関してはこの年はこういうふうに使われたんだということを、国益を損しない範囲においてきちんと公表するようにしておけば、これが歯どめになるというふうに私は考えますので、ぜひその辺は御検討していただくようにお願いを申し上げます。

 それともう一点ですが、松尾さんが払っていた首相随行の差額分というのが大体毎年一億六千万円になるわけですね。これが、去年の四月から法令が変わって、差額分についても政府できちんと予算を計上して出すようにするということでございますから、少なくとも一億六千万円分については機密費から削減をすることが可能だと思いますが、いかがでございますか。

福田国務大臣 九億六千五百万の対象金額、そのうち官邸でもって実費として四億二千万というのは官邸職員。ですから、残りの五億円何がし、そのうちからどのぐらい松尾室長が自分のものにしたかということがわからないわけですね。ですから、今おっしゃられた一億数千万というのはそういうものも含まれているわけでございますので、その辺はこれからの捜査によって明らかになるだろうというふうに思います。ですから、一億五千万とかそういうふうな数字にはならぬだろうということをまず申し上げておきます。

 それから、内閣官房の報償費は、我が国の経済規模がかつてに比べて大変拡大いたしておりますし、また首脳外交が重要性を増しました、また会議数もふえるという中で、予算規模につきましてはこの十年ほどほとんど変わっていないというような実情もございます。

 また、内閣官房報償費の具体的な使用に当たっては、取扱責任者でございます私、内閣官房長官のその都度の判断で、予算額の範囲内で、優先度を勘案しつつ最も適切なる方法で機動的に使用している、こういうような趣旨でございますので、また積み上げ方式ではないということでございますので、まあその一部が仮に横領されたということがあったとしましても、その相当分について今後の予算から減額するということは適当でないというように考えております。

生方委員 九億六千五百万円が六年間で払われていて、その名目は差額分ということですね。だから、差額分については今後予算措置をされるということですから、六年間で九億六千五百万円程度の削減がなされて当然なんじゃないですか。

 これまで出ていったお金はそれはきちんと、この中で松尾が個人的に横領していた部分があったとしても、それは出ていったお金であることは変わりないわけですから、その分はむだなお金だったわけですから、むだなお金と、出張費として差額分として出された分で九億六千五百万、一年にすれば一億六千万。これだけ財政が厳しい中でその分だけ削減するという姿勢を見せることが、国民に対してもおわびになるんじゃないですか。

福田国務大臣 ただいまお話し申し上げたことでもありますが、全体の予算規模がこの十年間はほとんど変わっていない、こういう実情もございますし、なおその間に首脳外交も格段にふえているんです。恐らく倍ぐらいになっているんじゃないかな、こんなふうに思います。

 そういうふうなこともございますので、旅費だけではございませんけれども、そういうことも含めまして、やはりこの報償費を維持したいということは、私どもは本当に考えているところでございます。そういうことで、今後もその規模を維持したいというふうに思っておるわけであります。

生方委員 これだけの事件が起こって、実際に九億六千五百万円もの、まあそのうちのどのぐらいが使途不明になっているかわかりませんけれども、どこかへ行っちゃっているわけですよね。こういうことが起こったら、国民の皆様方に対して申しわけないということを示す意味でも、当然、今年度予算、報償費に関しては減額修正するのが当たり前だと思うんですよ。

 宮澤財務大臣、いかがですか。

宮澤国務大臣 今官房長官言われましたような御事情ではないかなと私も思っておりますけれども、いろいろまた官房長官の方からお話がございますればともかく、今度のことは残念なことでございますけれども、だから、総体の金額についていろいろ問題がある、考え直さなきゃならないといったようには、今の段階では私は思っておりません。

生方委員 借金がこれだけ多くなっているときに、むだなお金は一銭たりとも使わない、使わせないという態度を毅然と示す意味でも、私は、今ここで予算を論じているわけですから、むだなお金があれば、当然それは削減するという姿勢を見せるのが政治としての果たす役割だと思うんですけれども、外務大臣、いかがでございますか。

河野国務大臣 先ほど来から申し上げておりますように、私どもといたしましては、この報償費をむだに使うことなく、適切に、しっかりと国益のために使い、またその使い道については、会計検査院の監査などを受けて疑いのないものにしたい、こう考えております。

生方委員 調査に携わった官房長、それから会計課長、総務課長、三人そろって入院されたということでございますが、本当に御入院なさっているのなら非常に気の毒で、一日も早く回復することをお祈りいたすのですが、松尾氏個人もまだ強制捜査が及んでいないので、一部には四人で口裏合わせをしているんじゃないかというような指摘もなされておりますので、そういうことがくれぐれもないように今後も徹底した調査をするようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

河野国務大臣 官房長を初め、この調査に当たりました人間は極めて責任感の重い人たちでございまして、今議員がお話しになりましたようなことはもう一二〇%ない。大臣の立場からすれば、かりそめにもそういうことをおっしゃっていただかないようにお願いをしたいと思います。

野呂田委員長 これにて生方君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

野呂田委員長 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として国税庁次長大武健一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野呂田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

野呂田委員長 次に、海江田万里君。

海江田委員 民主党の海江田でございます。

 私の質問時間は一時間半でございますが、昼休みを挟みますので、大臣の皆様方あるいは会計検査院の院長、わざわざお越しいただいておりますが、場合によっては、午前でなしに午後に延びてしまうこともありますので、その点は最初に、失礼の段、お許しを願いたいと思います。

 さて、先ほどこの委員会で、総理の危機管理意識の問題と言った方が正確ではないかなと私は思いますが、大変、私どもとすれば、この危機管理の意識の問題において、総理はそういう意識が希薄ではないだろうかと思われるわけでございます。これは何も私どもが野党だから言っているわけではありませんで、特に、昨日、一昨日、事故の起きました時期というのは、皆さん休みでございましたし、それから天候も比較的寒かったものですから、家でテレビなんかを見ておりまして、森さんがゴルフ場に行っていた、官邸に入っていないというような報道も見ながら、果たして本当にこの人に日本の国を任せることができるんだろうかという、意識の問題を超えてやはり能力の問題まで人々は疑問を持つように至っているんですね。

 ですから、私はその点でいえば、やはり総理が、先ほど宮澤財務大臣は二〇三高地の話なんかもお出しになりましたけれども、昔の言葉ではまさに率先垂範という、先んじて模範を垂れるという言葉があったわけでございますから、大山元帥はどこにいたかということ、あれが児玉源太郎さんじゃないかとかいう話もありますけれども、それから乃木さんは御子息を二人まで亡くしてまさに率先垂範をやっておるわけですから、やはりこれは本当に政府の一番上に立つ人がそういう率先垂範というような気構えがなければ。先ほどの官房副長官だって、正直に申し上げまして、むだに、無為に時間を過ごし過ぎですよ、連絡を受けてから官邸に出るまでに。それはやはりみんな上を見ているわけですよ。上これを行えば下これを倣うで、そういう気概が果たして本当にあるのかどうなのか。

 私の知り合いで警視総監の御家族の方から聞きましたら、もう大分前の話ですが、警視総監というのは、総監の地位にいる間は東京を離れないというんですよ。今どうなっているかわかりませんけれども。だから、その御家族にとってみれば、やはり東京を離れられないのが自分にとっては一番つらかった、だけれども、それが警視総監の仕事だからそういうものだろうと思っていたということがあるわけでございますから……(発言する者あり)いや、しかし、日本の国のトップのリーダーであるわけでございますから、私はそう安易に、例えば私どもだって、国会がいよいよ始まったとなれば、それはやはり行いを正しくするわけですよ。(発言する者あり)いや、私はそうだと思う。そうでなきゃいかぬと思っていますよ。特に予算委員会が始まっておるということになれば、いろいろな、ゴルフなどがあっても、それは少しそういうことを先延ばしにする、国会が終わってからにするぐらいの気持ちがあったっていい、予算が通ってからにした方がいい、それくらいの気持ちを持つのは私は当然、それを国民が求めているんだろうと思いますけれども、いかがでしょうか、伊吹大臣。

伊吹国務大臣 ただいまの御質問について、二つを分けて考えねばなりません。

 政界の大先輩であり総理の御経験をなさいました宮澤財務大臣が、先ほどビジュアルな時代だからということをおっしゃいました。私は、確かにそういう面は否定はいたしません。しかし、そのことと、総理が最終的な責任者として打つべき手、必要なことをなさったかなさらなかったかということは別なんですね。政治家に要求されているのは、国民の生命財産をきちっと守っていく、あるいは、国家の秩序が揺らぐあるいは国家主権が侵される、そのようなときに危機管理として総理がどのような御指示をなすったかというところが本質でございますから、私は、よく公平に物を見ていただいておる海江田委員ですから、そのあたりは分けてぜひ考えていただきたいと思います。

海江田委員 宮澤大臣、どうですか。今回のケースというのは、相手がアメリカ軍の原子力潜水艦でございますから、そこにはアメリカの国家の、まさに国家そのものなわけでございますから、我が方はこれは民間の船でございますけれども、日本とアメリカ、日米安全保障条約もあり、しかもこれからいろいろな議論をしなければいけないというときに、アメリカの原潜が我が国の民間の船を、もちろん故意ではありませんけれども、緊急浮上という非常にその意味では危険性の高い訓練をやって、それも恐らく――私も緊急浮上というのを見たことがございます。委員長も防衛庁長官でしたから、ごらんになったことがあると思います。見ている分には非常にエキサイティングでスリリングな光景でありますけれども、恐らくやっておる中の潜水艦というのは大変な作業があって、しかも本当にごく短い間で浮上するわけですから、ソーナーだとかを、きちっと探知をしておるのかどうなのかということも大変微妙な問題でございますけれども。

 だけれども、そんなような問題も含めて、とにかく、アメリカの原子力潜水艦が相手であって、しかも日本の国民の命が恐らく何名かは失われたであろうという場合に、国家の本当に一番のリーダーであります総理大臣が、国民から見て、それはビジュアルな問題というかもしれませんけれども、まさにビジュアルな時代なわけでございますから、やはりそこは、総理が直ちに官邸に取って返して、そして、本当にまさに陣頭指揮をとっている、そういう光景をこれからは見せる必要があるんじゃないだろうかというふうに思いますが、それは宮澤大臣、いかがでしょうか、改めまして。

宮澤国務大臣 それはいろいろな考え方があると思いますのですが、まず一番この際大事だったのは、我が国のこれに対する対応は、関係閣僚等と事前にそういう仕組みはできておりますので、それがそのまま間違いなく動いたということ、これは認めていただかないといけないと思います。そして、総理大臣は常にそういうものを、自分がどうあろうと間違いなく動くということが総理大臣としての最終的な責任でございますから、それはちゃんと責任を尽くしておられたと思います。これが第一でございます。

 恐らくその点は、海江田委員もそれに疑問を差し挟んでおられるわけではないと思いますけれども、結果としてはやや異常な出来事であった。それはそうでございましょう。そのことはしかし、あの段階でわかっておったわけでは必ずしもございませんから、わかってから後、次々の行動をとられたという、多少時間の問題はあっても、全体としては、これは少し酷なことをおっしゃっていらっしゃるんではないかなという感じを、私は率直に言うと持っておりますけれども。これはしかし、物の考え方でございましょう。

海江田委員 日本の船が沈んだ、高校生、練習船が沈んだ、ハワイ沖でということでしたら、これは宮澤大臣がおっしゃるような判断も僕は十分成り立つと思うんですけれども、それがアメリカの原子力潜水艦との接触によって沈んだという瞬間から、やはり私は大分これは様相が違ってくるんではないだろうかというふうに思います。

 それから、あと、これは私が言っておるんじゃなしに、きのうも地元の集まりがありましたけれども、本当に国民の人たちが、私の話を聞きに来るんだから若干野党びいきのところはあるかもしれませんけれども、来ていた普通の人が、これは森さんに任せておいて平気なんだろうかということを心配しているということだけは、これは本当にうそ偽りなしにお伝えをしておかなければいけない。

 やはりそういうような気概を持って、きょうは大変残念ですが、ここに森さんがいらっしゃいませんので御本人に向かって言うことはできませんが、官房長官、あるいは本当にそれこそ宮澤大臣、ここはしっかりそのことを森さんに伝達しておいていただきたいというふうに私は思うわけです。

 国民はやはり不安を感じている人もいるということを、一挙手一投足はきちっと国民からいつも見られているんだというふうな自覚を持って行動していただきたいということをぜひ伝達していただきたいんですが、いかがですか。

福田国務大臣 森総理の行動について、いろいろな見方もあるかもしれませんけれども、私は、やるべきことはきちんとやったというように評価をいたしております。そういう意味におきまして、そういう御意見があったということは、これはしっかりと伝えておきますけれども、私は問題はそのことによって一切生じていないというように理解いたしております。

 それからもう一つ、ちょっと委員の質問ではないんですけれども、三十分ルールというのがございまして、これは自然災害のとき、特に大規模な自然災害のときに三十分ルールというのがございまして、三十分をめどにして集まろう、こういうふうなことがございますけれども、あとのことにつきましては、その都度状況は違いますので、家にいて指揮をとるということがベターだということも、これはあり得るんだろうというふうに思いますので、その辺は一つ追加をさせていただきます。

海江田委員 別に私が聞いたことでもないことに、場外の発言に対して時間をとってお答えをいただくと私が大変困りますので、そういうことはおやめいただきたいということでございます。

 さて、外務省の公費の流用の事件でございますが、私、外務省が出しました報告、一月二十五日付の報告でございますが、拝読をしましたけれども、これは一月二十五日で、その後、新聞も連日報道があったりしまして、大分この中身が違ってきているのじゃないだろうかと私は思うわけでございます。

 例えば、先ほど来出ております松尾前室長が持っておりました銀行の口座の数も、この報告書によれば、ABCDEと五つの銀行に八口座を持っているというようなことが書かれているわけでございますけれども、別の新聞によりますと、実はABCの三つの銀行であってトータル七口座でありますとか、そういう事実が判明をしたとか、あるいは別な新聞によれば、四つの銀行に十四口座でありますとか、かなりこれはばらつきがあるんですね。

 特に、その後の調べで新たにふえたというのならばいいんですけれども、ある新聞のは、きちっと新聞社が調べをしたところ、ABC三つの銀行で七口座である。外務省の調べよりも減っておるわけです、銀行あるいは口座が。

 今現在外務省が把握をしております銀行、つき合いのありました、預金のありました、口座のありました銀行の数と、それから口座の数は幾つでございますか。

飯村政府参考人 お答え申し上げます。

 第一勧業銀行の二口座のほかに、私どもが承知している限りでは、残り四銀行六口座、さらに郵便貯金一口座ということでございます。

海江田委員 では、この報告書に書いてあるとおりでよろしいということになりますね。

 そうしますと、そこで、第一勧銀だけは調べができた。これは任意の調べですけれども、松尾前室長の方が、ここに公金が入っていますということで持ってきましたので、そこを調べてみたということでございますが、当然のことながら公金が入っておるのはここだけだという認識を持っておるのか、調べられなかったけれども、あとほかの四つの銀行六口座にも、当然多い少ないはありますけれども公金は入っているという認識なんですか、どうなんですか。

飯村政府参考人 お答え申し上げます。

 松尾元室長自身はここの銀行口座に公金を入金していたということで私どもは調査を進めておりますけれども、その供述が全面的に正しいかどうかはわかりません。

海江田委員 ここのというのは第一勧銀のことですか。これは常識的な質問ですから、大臣に答えていただければいいんです。ほかのところにも入っている可能性はありますよね。どうですか。可能性でいいですよ。

河野国務大臣 可能性は否定できないと思います。

海江田委員 そうしますと、もう一度確認しますけれども、第一勧銀の二口座に入っている公金の性格というのは官房機密費ですね。

河野国務大臣 本人の説明によればそういうことでございます。ただし、第一勧銀の口座には、本人の説明によりますと、事前に私的な金も入っておったということは言っております。

海江田委員 私的な金は重々承知しておりますので。公金はと言いましたけれども。

 そうしますと、あと四つの銀行の中に入っている公金、可能性は否定し切れないわけですけれども、これはどういう性格の公金ですか。

河野国務大臣 可能性は否定できないと申しましたけれども、どういうものであるかということまで私ども、そこまで推測をして申し上げるほど確信はございません。

海江田委員 そんな難しい話じゃないんですよ。公金なわけですから。これは公金ですからね。

 公金というものの中で、しかも報償費、機密費絡みでいうと、これは官房機密費かあるいは外務省の外交機密費か、どちらかではないですか。

河野国務大臣 いや、先ほど申し上げましたのは、公金が入っているということ自体は確信を持てないということを申し上げたわけです。可能性は否定できないけれども、それじゃ入っているかと言われれば、それは入っているでしょうと言うほど確信は持てませんということを申し上げたわけでございます。

 さらに、もう一言つけ加えれば、議員が、これは内閣からお預かりしたものか外務省のものかというお尋ねもございましたけれども、松尾室長が総理大臣の外国出張にかかわっている限り、外務省の金を扱うということはないと思います。

海江田委員 私もそう思いたいんですけれども、例えば、新聞記事でございますけれども、新聞記事で、外務省高官からも公金が入っていると。これは第一勧銀じゃありませんで、その他の、B、C、D、Eと言われる銀行の口座の方ですけれども、こういう新聞記事がありますよね。「外務省高官からも公金で 外交機密費の疑い」というふうに書いてあるわけですけれども、これはいかがですか。こういう可能性というのは全くないわけですか。

河野国務大臣 新聞がどういう根拠でお書きになったかわかりませんが、少なくとも私どもが知る限り、そうしたことはあり得ないというふうに思います。

海江田委員 今、あり得ないということまでおっしゃいましたけれども、可能性からすればあるんですよ、これは。

河野国務大臣 済みません。ありませんと申し上げます。

海江田委員 あり得ないという、可能性は否定し切れないはずだと思うんですね。

 実は、外務省の公金横領の疑惑というのは、私も今回の事件があって思い出したんですけれども、同僚議員の中にも覚えていらっしゃる方がいらっしゃるかもしれませんけれども、今を去る三年、四年前ですか、九七年ですね、私も当時実は予算委員をやっていたわけでございますが、今大変残念ですが落選をされております中村鋭一議員が、池田行彦代議士が外務大臣だったときでございますけれども、平成九年二月の二十八日、当委員会でまさに外務省の外交機密費の問題について池田大臣に対して質問を行っているわけでございますよ、主にお答えをしておるのは原口政府委員でございますけれども。

 私もそのとき隅にいましてこのやりとりを聞いた覚えがありまして、今回の、先ほど来出ています松尾元室長というのは私はどこかで聞いた覚えがあるなということを思ったんです。そして調べましたら、実はこのときに松尾さんの名前が出ているわけですよ。委員会の席では出ていませんよ。委員会の席では出ておりませんけれども、この委員会の席で当時の中村委員が質問をする材料になりました週刊誌の記事などで、当時は、M室長、外務省の官房のM室長という形で名前が出ているわけですよ。そのときは一番メーンになったのは実はS課長という方で、この方は実は今某国の、日本のすぐ近くの国の大使館で勤務をしておりますけれども、そのときはまさに外交機密費、外交機密費ということで一色だったわけでございますね。

 それが今度は、まさにこの報告書によれば公金という表現になり、それから公金の中でも、いや、実は外交機密費ではなくて官房機密費なんだということを、これはもう河野大臣などはかなり早い段階からおっしゃったということがあるので、私は、そういう流れというものをずっと聞いておりますと、本来でしたら、まさに内閣官房の機密費の方がその意味ではいろいろな影響というものもありますし、それから外務省自身のお金じゃないわけですから、上納もないわけですから、その意味では、なぜその内閣のお金について被害届を出さなきゃいけないのかとか、あるいは、もう一回、被害届とは別に、今度は内閣官房から警視庁がいろいろな事情聴取をしなければいけないとか複雑な問題もあるので、何でこれがそういう、官房機密費だ、官房機密費だということを言って、それこそ、今河野外務大臣だって外交機密費であるなんということはあり得ないとまで、まあ口が滑ったと私はあえて、ちょっと意地悪ですけれども、言わせていただきますけれども、何でそんなに外交機密費であってはいけないのですか。何であり得ないのですか。そこがまさにこの問題の一番核心だと思うのですが、どうですか。

河野国務大臣 要人支援室というのは、総理の外国出張を支援するというのが目的でつくられておりまして、その仕事をしているのが支援室でございまして、それ以外の仕事をするという仕組みになっていないわけです。したがって、総理の外国出張に伴います金品のお預かりは、官邸から何がしかのものが渡されるということはあったかもしれませんが、外務省から支援室長にそういうものが渡されるという仕組みになっていないわけです。したがって、あり得ないことだと申し上げたわけです。

海江田委員 その、仕組みになっていないことがまさにあり得る可能性があるというところに、私は今度の問題の根深さというものを認識しておるのですよ、これは。

 これは、その九七年のときの――いや、ちゃんと聞いておってくださいよ、後で大変なことになるかもしれませんから。九七年のときの問題というのは、実は、外務省の中にそういう外交機密費を流用するシンジケートがあるということが言われておったわけですよ。先ほどお話をしたSさんという方、この方は元、事務次官の秘書官をずっとやっておられた。その時期というのが、実は今回、この松尾さんが室長となって、そして公金を使い始めた時期とまさに一致をするわけでございますけれども、この時期から、そのSさんという方は、これは元、次官の秘書官、今、先ほどもお話をしましたけれども、近隣の国の大使館の勤めをやっておる。それから、これは九七年の時点ですけれども、九七年の時点で条約局の国際協定の課長をやっておられた方、それから大臣官房の要人外国訪問支援室長、これはまさに松尾さんですけれども、それから駐独大使館のM参事官という方と、それから駐英大使館のH参事官という方、この人たちがまさに自分らでもって、当時は、そのときの問題意識というのは外交機密費なわけですけれども、外交機密費をプールし合って、そしていろいろな形で自分たちの私用に流用をしていたということがやはりその時点で指摘をされているわけですよ。まさにそこにこの大臣官房の、当時はM室長という書き方でありましたけれども、M室長が実は松尾さんだったということがあるわけですから、これはつながっておるわけですよ。

 まさにこの松尾さんのところに、先ほどもお話をしましたけれども、口座がたくさんある。その口座の中にこの外交機密の資金も入っているということになれば、これはどうなんですか。この九七年の話というのが、私は、まさにこの問題の、今取り上げられている問題は氷山の一角であって、そのもう片側にやはり外交機密費の問題があるのだというふうに考えられるわけでございますが、これはいかがですか。

河野国務大臣 外交機密費の使い方につきましては、先ほど来政府参考人からも御答弁を申し上げましたように、きちんとその目的に照らして局部長の了承も得て支出をされる、しかも、その大部分についてはきちんと領収書もあるということになっているわけで、議員は九七年とおっしゃった。九七年の時点で、会計検査院の検査はきちっとしておられるわけでございまして、そうしたことを考えれば、だれが考えても、今おっしゃるようなことがあったというふうに見るのは、ややストーリーをつくっておられるというふうにしか私には思えないのでございます。

 私どもは、外務省の報償費について、きちっとそれなりに整理をされた支出になっているわけで、このことは、繰り返して申し上げますが、部内のチェックもできますし、会計検査院のチェックもされているということをぜひ御理解いただきたい。

海江田委員 この中村鋭一委員の質問に対して、当時の池田外務大臣は、このときは、メーンで流用されたと言われるのは、実はMさんではなしに、Mさんというのは今回の松尾さんではなしに、S課長だということになっているのですが、そのS課長に対して、「ひとつ細心の注意をもって事に当たるべしという観点から官房長が本人に口頭で厳重に注意をした、こういう措置をとったところでございます。」ということを言っておるわけですよ。では、これは何ですか。全然ぬれぎぬだけれども、そんな事実も全然ないけれども、厳重注意をしたのですか。何で厳重注意したのですか。

河野国務大臣 恐らく、週刊誌の記事になって、その週刊誌の記事なども参考にされて、そうした質疑が行われたのではないかと、これは推測でございますが、思います。ということになれば、当時の大臣としては、こうしたこと、少なくとも週刊誌だねにならないように十分考えて行動しなさいよということを、きちっとした行動をとりなさいよという注意をされるということはあるだろうと思います。

海江田委員 異なことをおっしゃいますね。週刊誌ネタになったら、大臣が官房長を通じてその職員に対して口頭で、しかも厳重注意するんですか、週刊誌に書かれただけで、事実無根でも。そんなばかなことがあるんですか。

河野国務大臣 週刊誌に書かれ、なおかつそれが国会という場で質問をされるということになれば、それは担当大臣としてそういうことがあってはならぬという注意をするということはあるだろうと思います。

海江田委員 そんなばかな話ないですよ。そうしたら、しょっちゅう週刊誌に出て、その週刊誌をもとに国会議員が質問をしたら、それだけで口頭注意になるんですか。厳重注意になるんですか。では、どんどんやってくださいよ、それは。

 そんなばかなことないでしょう。何らかの疑わしきがあるからでしょう。そうでしょう。そうでなきゃ、国家公務員というのはちゃんと国家公務員法でもって身分の保障があるわけですよ。そんな簡単に厳重注意されていいはずがないじゃないですか。

河野国務大臣 私は、国会議員の質問というものはもっと厳粛なものだと。週刊誌にちょっと出たからすぐ言って、言われたから厳重注意をするのかとおっしゃいますけれども、国会議員がいやしくも国会で質問をされる以上は、それなりに十分調査もされて、根拠を持って質問をされることが多いだろうと思いますので、そういうことがあれば責任者としては注意をする。それは、例えば注意というのは、もう少し具体的に申し上げれば、その場所であるとか、そういうものについてもっと注意をしろというような注意をするということはあるだろうと思います。

野呂田委員長 海江田君の午前中の質疑は終わりました。午後から継続してください。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

野呂田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。海江田万里君。

海江田委員 それでは、午前に引き続き、まず外務省の外交機密費流用、今のところは官房機密費流用ということになっておりますが、続きまして質問をさせていただきます。

 もう一回河野大臣にお尋ねをしますが、この外務省の報告、一月二十五日付の報告によれば、この松尾元室長が口座を持っていましたのは、A、B、C、D、E、五つで八口座あったということで、そのうちのAの、これはもう第一勧業銀行という説明があるわけでございますが、この二口座について調べをした、そうしましたら、そこに五億六千万円の公金が入った形跡がある、その五億六千万円というのは官房機密費だ、こういうことでございますね。

 このB、C、D、Eの四つの銀行、そして六つの口座については調べに至っていないというわけでございますが、もう一度、何でここのところを調べないのかということについて御説明をお願いしたいと思います。

河野国務大臣 これは私どもに捜査権がございませんので、提出を要求するということができません。これは、任意で、来て説明をしてくれという話し合いで見る以外にないわけでございまして、そこが捜査当局と我々等の限界だということをぜひ御理解いただきたいと思います。

 それから、大変申しわけありませんが、午前中の私の答弁でもし誤解があるといけませんので、海江田議員からお話がありました某職員に対しまして、厳重注意をしたというふうに私申しましたが、これは国家公務員法上のものではございませんで、言ってみれば、外務省の内規に基づく厳しい口頭における注意だというふうに受け取っていただきたいと思います。

海江田委員 今の後段のお答えですけれども、内規に基づく厳重注意だというのはわかっておりまして、私がさっき大臣の答弁で納得ができなかったのは、じゃ何で彼が厳重注意を受けたのかということなんですよ。

 先ほどは大臣は、いや、マスコミに書かれて、そして国会議員がそのマスコミを取り上げた質問をしたから、それで厳重注意があったんだと。つまり、マスコミに取り上げられたことと、それから国会議員に委員会で質問をされたという、この二つの要件がそろえば注意もあり得るんだというお話だったわけで、この場合はそういうケースで注意をされたんだという話なので、それはちょっとおかしいんじゃないですかということなんですが、それに対する訂正なりなんなりありましたら。

河野国務大臣 少なくとも誤解を生むというようなことはあってはならぬということであったろうと思います。

 当時、私は外務省におりませんので、これは私から申し上げるのは、もし必要とあらば十分調べた上ででなければ御答弁を申し上げるべきでないと思いますが、私の感じとしては、そういうことであったろうと思います。

海江田委員 できましたら、実は、九七年の二月時点のこの問題というのは、やはりもう一回お調べになった方がいいんじゃないかなという気が私はしているのです。

 そこで、先ほどもお話をしましたけれども、M室長という人が登場しているわけです。その人は、九七年、もっと前でいうとこれは九三年、まさにこの人が要人外国訪問支援室長になったときからの、そこからのずっと公金の不正流用、横領事件なわけですから、ここの九七年の二月に議論になった、話題になったときの時系列というのが、今お話をしたように、九三年の大体夏ごろぐらいからなんですね。このときに、ある方が外務省の事務次官になられて、そして、九七年の二月の時点でのメーンでありますS課長という人がその人の秘書をやっていてという話で、ずっとつながってくるわけですから、私は、ぜひそこのところをお調べいただきたいと思うのですが、いかがですか。

飯村政府参考人 お答え申し上げます。

 当時報道がございまして、それを踏まえまして、外務省の中で調査をいたしました。調査の結果、当時二億円という報道がございましたけれども、その事実はなかったということを確認いたしました。それから、その報道を行いました週刊誌に対して、正式に厳重抗議を行っております。

 もう一点、なぜ口頭による厳重注意を行ったのかという点につきまして、大臣の御答弁を補足させていただけたらと思いますけれども、職務上の必要性に基づく会食とはいえ、場所等を含めて、社会通念上疑念を持たれることのないようにすべきことは外務省員として当然である。このような観点から、外務省としては、特に事務次官会議申し合わせに基づきまして、外務省倫理規程の制定以降は、これまで以上に会食等の場所については華美に流れないようにと関係省員に注意を喚起しておりました。

 報道されました職員の行った会食等はこの倫理規程の制定以前に行われたものでございますけれども、外務省としては、今後の自戒をも含める意味で、当該職員に対して、当時の官房長より、口頭で、社会通念上疑念を持たれかねない点があったという指摘を受けたことは遺憾であって、今後このようなことのないように厳重に注意したということでございます。

海江田委員 先ほど来お話をしておりますように、そのときメーンで取り上げられたのはS課長ですけれども、だけれども、そのときの週刊誌に、M室長という形で何度も何度も出てきているのですよ、これは。では、当然M室長についても調べたわけですね。そうしたら、調べた結果、今お話があった、調査した、その事実はなかったことを確認したと。

 今度の調査報告で、まさにこのM室長ですよ、M室長は、九三年の八月から九五年の間に、M室長の調査のスタートというのは九三年の八月からでしょう。M室長のスタート、いつからなんですか。教えてください。

飯村政府参考人 M室長が室長に在任しておりましたのは、九三年の十月から九九年の八月でございます。この間に、公金は五・六億円入金したというふうに推定されるわけでございますが、今般告発に至りました五千四百万円は、少なくとも五千四百万円でございますけれども、この五千四百万円と申しますのは、九七年の十月から九九年の三月まで、この期間につきまして、公金だけが蓄積された時点というふうに認定されましたので、そこで、五千四百万円の支出があった、競馬馬四頭、それから種つけ、この合計五千四百万円の支出があったというふうに推定されたわけでございます。

海江田委員 ちょっと待ってください、ここ大事なところだから。

 そうすると、このM室長は、もちろん九三年の十月に室長になったわけですけれども、そこから九七年の十月までの分というのは、それは調べなかったの、それとも、調べても何にも怪しい問題は出てこなかったの。

飯村政府参考人 これは調査報告書に載っているところでございますけれども、そもそも九三年、室長就任の当時から室長離職までの間に五・六億円、公金の累計があったと推定されているわけでございます。そのうちカードの引き落としが二・五億円あった。仮にこの引き落とし額が公費の支払いであったといたしましても、少なくとも三・一億円が公金として蓄積されていたであろう。これは全期間についてでございます。

 他方、告発するためにはしっかりとした特定が必要でございますので、その特定できた期間が、先ほど申し上げましたように九七年から九九年の三月まで。ここの期間は、口座の中に公金が一・三億円、九七年の十月にあって、その後、数百万円の私金を除いて、公金が二億円しか入金されておりませんから、五千四百万円の競馬馬等については、これは公金を使ったのであろうというふうに推定したわけでございます。

海江田委員 だから、それは、推定をしたのはそこのところだけれども、調査は、いいですか、さかのぼって九三年の十月から九七年の九月か十月ぐらいまでの間というのは、このM室長について、調べたのですか調べなかったのですかということをお尋ねしておるのです。簡単ですよ。

飯村政府参考人 全期間について調査いたしました。判明したのが先ほどの五千四百万円ということでございます。

海江田委員 さっきは、九七年の時点で当然Mさんについて調べをしたという話でしょう。その時点は問題が全然なかったわけでしょう。そうしたら、今度も、もう一回改めて調べ直しをしてみたけれども、やはり問題がなかったという話ですか、これは。

飯村政府参考人 問題がなかったというふうに申し上げているわけではございませんで、告発に至るまでの確信を持てた額が五千四百万円でございまして、そのほかに、先ほど申し上げましたけれども、少なくとも三・一億円の公金の部分があって、その部分は使途不明でございます。これは捜査当局が今御捜査されるべき事項であるかと了解しております。

海江田委員 私が言っているのは、このMさんという人はまさにずっと、九七年のときにも問題になったし、それから今回も、今回はまさに一番のメーンなわけですけれども、ずっとつながっているわけですね。そのもともとの出発点というのは九三年からあるわけです。

 そこで、つながっておるということで、さっき官房長の代理は、九七年のときでMさんについて調査をしましたよと。調査をしたけれども、その事実はなかったことを確認したとおっしゃいましたよ。だから、一回調査をして確認して、九七年に調査して何にもなくて、今回もまた改めて、九七年に一生懸命になって調査をしたのだからもうやることもないんだけれども、一応念のため調査をしてみたら、やはり何にもなかったということがはっきりしたのですか。そうなんですか。

野呂田委員長 答弁者は明確に御答弁ください。

 飯村君。

飯村政府参考人 一点だけ明確に申し上げる必要があると思いますけれども、当時の週刊誌が報道いたしましたのは、外務省の機密費についてでございます。今般問題になっておりますのは内閣報償費でございまして、内閣報償費の流れについてということでございますので、別の話でございます。

 外交機密費については、当時調査をいたしまして、そのような事実はなかったという確認をいたしております。

海江田委員 ちょっと待って。あなたたちが調べたのは公金という話でしょう、内閣機密費を調べたわけじゃないでしょう、これは。公金を調べたら結果が内閣機密費だという話であって、公金を調べているのだから。

 だから、先ほども話したわけですよ。公金の中には外交機密費も入っているのじゃないですかという話をしたんで、先ほど来聞いていると、とにかく外交機密費というものだけには触れられたくないというような意図がありありなんですけれどもね。

 公金を調べたんでしょう。公金の中には当然外交機密費も入るわけでしょう。外交機密費は最初から除外をして調べたわけ。前回外交機密費を調べたから、今度は最初から内閣機密費だと。この調査をやる一月四日から、もうこれは内閣機密費だとわかっていたわけですか。

飯村政府参考人 松尾元室長は職責柄、総理の外国の御訪問を扱う立場におりまして、外務省の機密費については扱う立場にございませんでした。

海江田委員 先ほどシンジケートと言いましたけれども、九七年のS課長、この九七年というのは比較的このグループの人たちが国内にいた時期なんですよ。だけれども、その後九七年以降、このグループの人たちのほとんどが海外に出てしまって、残っているのはまさにこのM室長しかいないわけです。だから、M室長の職務柄、それは官房機密費であれば職務と結びついてくる話になるのだけれども、もしこれがまさに外交機密費を握っていたとすると、話はもっと大きくなってくるわけですよ。

 だから、そこのところはやはりきちっと調べなければいけない話ですし、どうも、公金と言いながら、その公金がいつの間にか、最初は私もこの報告を読んだときに、それから新聞なんかも公金ということを書いてあるのは、まさに官房機密費という、官房という名前がつくといろいろなところに迷惑がかかるから、それを薄める意味で公金という名前にしたのかなというふうに思っていたのです。

 だけれども、どうもそうじゃなくて、公金で何ですかというと、すぐ官房機密費だという話は出てくる。だけれども、本当に、外交機密費だという話はまるっきり、一言も出てこないわけであって、ここの外交機密費についてもやはりきちっと調べるべきだと私は思うわけですよ、はっきり言って。

 それから、新聞にも、週刊誌で調べをしたのなら今度新聞でも、さっきもお話をしましたけれども、外務省のさる高官が、外交機密費について、この人間に金を渡しているという大きな新聞報道もあるわけですから、そこのところは当然調べるべきじゃないんですか。調べないでいいんですか。

飯村政府参考人 先ほど申し上げましたけれども、松尾元室長は外交機密費について扱う立場にございませんでしたけれども、他方、今委員御指摘のとおり、外交機密費、あるいは正確に申し上げれば報償費につきましていろいろな報道がございましたことは私ども十分承知しておりまして、そこら辺についてはきちっと調査してきているつもりでございます。

 いろいろな新聞報道がございましたね。新聞報道については一つ一つきちっと調査をしておりまして、問題はないというふうに理解をしております。

海江田委員 問題はないという結論を出すのが早過ぎると私は思うわけで、むしろ、先ほどの河野大臣の言によれば、報道だけではだめなんだけれども、その意味では、ちゃんと国会で取り上げられれば、それは本当にきちっと調査をして、場合によっては口頭厳重注意ぐらいはすぐやってくださるそうだから、それならば、ぜひ、新聞に大きく出ていますこの外務省の高官という人に聞き取りをやってもらって、そしてどういうことなのかということをきちっと聞いてもらわなきゃいけない。それから、疑われただけでも不名誉なことでいけないということであれば、やはりそれはちゃんと口頭注意でも何でもやってもらわなきゃいけないと思うのです。

 まず、本当にこの問題でもう一回、外交機密費を調べるつもりがあるのかどうなのか。これは任意で全く構わないわけだけれども。

 それからあと、この外務省の機密費の横領に、この松尾元室長は同僚に一千五百万円貸与をしている、もちろん返ってきたけれども、住宅ローンか何かの。これもこんな大きく新聞に出ているわけで、これでも当然聞いたわけですね、何で彼に借りたんだというふうに。何で彼から借りたんだということを何か事情聴取で話をしていましたか、どうですか。

飯村政府参考人 今の一千五百万円の件でございますけれども、この点につきましては、松尾元室長の口座から別の外務省職員の口座に対する送金、入金が判明しております。これは両人の説明によれば、松尾元室長が平成八年三月に一時的に千五百万円の金を用立てし、同年六月に返済されたということでございます。

 その外務省職員、借りた方の外務省職員は、住宅を購入する関係で、友人である松尾元室長から一時的に用立てしてもらったというふうに認識しておりまして、今回の松尾元室長の事件の背景については全く承知していなかったということを述べております。

 ちなみに、この職員は、用立てを受けた時点では外務省を既に退職しておりましたけれども、その後、平成八年四月一日付で外務省に再度採用された後、お金を返済しているというふうに理解しております。

海江田委員 あともう一つ、私が聞いたのは、外務省の職員だから共済組合とかいろいろあるんだけれども、何でこの松尾さんからお金を借りたんですか。何で借りたんですか。普通、聞き取りをやったという話ですから、それは当然聞くんですよ。何で松尾さんから借りたのと当然聞きますよね。何でと答えたんですか。

飯村政府参考人 両人は友人関係にあったということでございます。

海江田委員 本当に、友人だから借りられるという話じゃない。ここにあるなという話がなければ、さっきいろいろな場外からの発言がありましたけれども、千五百円なら手当たり次第借りますよ。だけれども、まあ手当たり次第は借りないけれども、友達から本当に手元不如意なら借りますけれども、一千五百万円を友人が貸してくださいということは、その友人が少なくとも、彼は一千五百万円ぐらいのお金があるなということは当然認識していたわけですよね。そうでしょう。

飯村政府参考人 そういうことで借金をしたというふうに理解しております。

海江田委員 つまり、この人にも、彼がお金が潤沢だということが非常にわかっておった話なんですね、これは。みんな知っている話なわけですから。

 それからあと、ぜひ大臣、外交機密費についてもやはり調べをしてみる必要があると思う。

 これも新聞記事で恐縮ですけれども、局長級機密費年六百万円は、月五十万円は使えるよとか、何かそういうような、ただ、これは相手が一応外国の方じゃなければ、大使館の方じゃなければいけないとか、いろいろな話があるけれども、そんなような報道も出ているので、私は、この外交機密費について、この際ですから改めてきちっと調査をすべきだと思うのですけれども、いかがですか。その必要は全然ないんですか。

河野国務大臣 外交機密費につきましては、その仕組み等について、我々が反省すべき点があるかもしれないということも考えておりまして、先週、外部の方からの御意見を徴するという意味で、七人の外部の方々の参加を得て、会計処理と申しますか、あるいはそれ以外にも、できるだけ自由な議論をしていただいたらどうかということでお願いをしておりまして、私どもから、でき得べくんば三カ月程度の議論の後で何らかの御提案をいただきたいということをお願い申し上げているところでございます。

海江田委員 それじゃ、大臣もこの外交機密費の使われ方についても問題がありというふうな認識を持っておられるのですね。

河野国務大臣 私は、基本的にそういう認識は持っておりません。おりませんが、これはやはりでき得る限りどなたにも批判をされないようなしっかりとしたものにしておかなければならぬというふうに思いますから、でき得る限り今申し上げたような作業を続けていきたいと思っています。

海江田委員 普通は、持っているから何とかしなきゃいけないということで外部の方にもお願いをするわけで、我々は持っておりません、持っていないけれどもやるんだといったら、何のためにやるのか。わざわざお願いをする人に本当にそれは失礼な話であって、まあ、それはいいです。

 それからあと、ただ一般的に調べるんじゃなくて、外交機密費が特に国内でもってどういうふうに使われているかというようなこともやはりきちっと調べなきゃいけませんよ。

 私はこの九七年のときの調査が完全だなんてさらさら思わないわけで、この問題があったときに、まさにここの九七年、九八年というのが、恐らく、お調べになった第一勧業銀行の二つの口座についても、九七年、九八年の資金の出どころというのは、資金の出入りというのは一番ピークになっているわけですよ、これは。

 だから、まさに本当に、外交機密費の問題がそうやって週刊誌で書かれて、国会でも取り上げられて議論になって、そして外務省がきちっと調査をしたその時期に、まさにそこの時期に、後で会計検査院にも聞きますけれども、会計検査院も検査をして、その時期にここで大量に流用されているということ、このことはやはり大変大きな問題だと思う。それはやはり調査が手ぬるいとしか言いようがないです。

 言いたいことがあったらどうぞ。

河野国務大臣 別に、言いたいことと言われると困るのですけれども、私が考えておりますことは、官房報償費の横領事件というものを外務省の職員が起こしまして、外務省の職員の起こしたこの事件をチェックできなかった外務省の仕組みといいますか、体制といいますか、そういうものにはもう我々は、大変申しわけない、責任を感じているわけでございます。

 もちろん、松尾元室長が起こした事件そのものについても、これは国民の皆様におわびをしなければならぬと思いますが、私は、そうした事件の全容を解明するということと同時に、こうしたことが二度と起きないようにしなければならぬということを考えて、その再発を防止する意味で外部の方の意見を伺おうというのが先ほど来御説明を申し上げていることだというふうにぜひ御理解をいただきたい。そして、全貌解明は、捜査当局が必ず全貌を解明されるに違いないというふうに思っています。

海江田委員 チェックできなかったことに責任を感じるということですけれども、一回出て、それでそのときにきちっと調査しなかったのがいけないんで、ああ、これならば外務省の内部の調査なんというのは簡単なものだというふうな形で、やはりそれをやっていた人は。そこから九七年、九八年と急激にこの松尾元室長の横領というものが激しくなったというふうな見方もできるわけですから、やはりチェックするためにはきちっと厳しく、煙が立ったときに、全く火がないわけじゃないわけだから、そこはやはりそこでやらなきゃいけない。

 そのときに、先ほどお話をしました当予算委員会での質問のところでも、会計検査院がその後お調べになったというふうに聞いておるんですけれども、ただ、お調べになりましたけれども何の指摘もなかったということですから、何にもなかったという結論だろうと思いますけれども、どんな調べ方をしたのか、そして、それが不十分であったのかどうなのか、今の時点でどういう認識を持っておられるのか、院長にお尋ねをしたいと思います。

石野会計検査院当局者 お答えします。

 御指摘の件につきましては、会計検査院としましても、国会で御議論があったということを参考にいたしまして調査いたしましたところ、検査結果報告で指摘するというような事態は見受けられておらないところでございます。

 調査の内容でございますけれども、やはり証明責任者の手元保管がとられております領収書等とか、あるいはそういった証拠書類の提示を受ける、あるいは説明を聴取するということで、違法、不当な事態がないかということで検査をしたという内容でございます。

海江田委員 証拠書類の提示を受けて、その証拠書類を見て、それで問題ないというふうに判断をしたということですか。

石野会計検査院当局者 必要な書類は当然提示を受けまして、説明を受けて検査をしたということでございます。

海江田委員 それから、そのときの調査をした公金というのは、これは外交機密費ですよね、念のために。

石野会計検査院当局者 外務省の報償費について検査をしたということでございます。

海江田委員 それでは、ものつくり大学に入りますが、大分お待たせをしましたが、高村法務大臣、一月の十六日ですか、十五日ですか、亀井政調会長とある会合で会って、その後十分ぐらい立ち話をしたということですが、どんな中身のお話だったんですか。

高村国務大臣 十分ぐらいと言いますが、立ち話としては確かに長い話でありましたけれども、五分ぐらいだ、私はそう思っております。

 その会合は、自由社会研究会という経済人と政治家と両方いる会合でありますが、その会合の中で、まず亀井政調会長が今の状況についてかなり長い話をされました。その中に、今の経済の状況だとか、それから心の問題、教育改革の話まであったわけであります。

 その後で、私が、あれだけ長い話をしながら司法制度改革の話が全く出なかったのは残念だ、そういうことを申し上げたわけであります。すべての改革が事前規制から事後チェックの方向に向かっていて、そして、その事後チェックの中心機関がまさに司法であるから、司法制度改革、今いかにも、司法、それぞれ優秀な人がやっているけれども、脆弱であるから、もうちょっと量をふやさなければいけない、そういうことをぜひやらなければいけない、そういうことを申しました。

 それに対して亀井政調会長が、量も大切だけれども質も大切だよ、リークがあるではないか、こういうようなことを会合の中でおっしゃったわけであります。それは、昔はあったかもしれないけれども、最近意図的なリークはないんじゃないかと私が言いまして、亀井さんが、いや、高村さんが法務大臣になってからもあるよと。それでちょっと押し問答にその場でなったわけであります。

 それで、九時半ごろでありますが、帰り際に亀井さんがちょっとちょっとと言って私を呼びとめまして、呼びとめたところは、まさに新聞記者だとかあるいはSPだとかいろいろな方がいた前でありますが、もちろん声の内容は聞こえませんけれども、みんなが見ている前で亀井さんの方から、やはりリークはあるよ、こういうような話をして、私も、最近リークがあるという話であれば、意図的なリークがあるという話であればこれは反論しなければいけないな、こう思って身構えて聞いていたわけでありますが、かなり古い話を亀井さんはしておられた。

 そういう話で、私として特に反論することもないな、こう思って、そしてちょっと長くなるようでしたので、私としては最後に、過去いろいろあったかもしれないけれども、やはり司法制度改革は大切なので応援してくださいよ、まさにそういう話をした、これが私の記憶でございます。

海江田委員 今、高村法務大臣からもお話ありましたけれども、その立ち話は多くの新聞記者などの見るところでありましたので、当然お二人が話をしていれば、何なのかなと思って新聞記者等も聞くわけで、新聞記者が亀井政調会長に聞いたところ、たしか一月十五日ですから、小山前参議院議員のことも新聞に出ているので高村氏と話をした、自民党の党費立てかえの話とかを混同しないように言っておいたということを亀井政調会長は言っているんですが、この自民党の党費立てかえの話というのは出ましたか、出なかったですか。

高村国務大臣 少なくとも立ち話の中では出なかったと思います。

海江田委員 では、立ち話じゃないところでは出たわけですか、少なくともという話ですが。

高村国務大臣 自由社会研究会が始まる直前、一、二分だったと思いますが、ちょうど亀井さんと私は席が隣だったもので、私の方から、今選挙制度も変わったんだけれども、たくさん候補者を立てなければいけないのに、党員二万人などという縛りがあるから、私のグループでも立てたいのになかなか立てられない、こんなものは取っ払っちゃった方がいいですよということを亀井さんに申し上げたら、今の事件の絡みで話しているの、こういう反問があったので、そうじゃないですよ、選挙対策ですよ、こう申し上げて、まさに一、二分、それで会議が始まりましたので、それで終わったということはあります。

 いわゆる記者たちが見ていた立ち話の中で、党員の話あるいは党費の話、そんな話は全く出ておりませんし、亀井さんが頭の中でどう考えていたかわかりませんが、KSDと混同するなとか、そういうような話ではなくて、私の方からむしろ、党員二万人の縛りをなくした方がいいですよと、これは今のまさに選挙で候補者を立てる場合のことを申し上げたのに対してそういうことを言った、こういう経緯はありましたが、立ち話の中では全くなかったと記憶しております。

海江田委員 ちょっと細かい話ですが、亀井さんが今の事件との絡みでそのことをお話ししているのかという質問があったようですが、それに対して高村大臣はどういうふうにお答えになったのですか。

高村国務大臣 今も申し上げたように、そうじゃないですよ、これは選挙対策の話ですよ、こう申し上げた。まさに一、二分の話であったと思います。

海江田委員 党費立てかえの話というのは非常に、この委員会でも随分話がされましたけれども、ナーバスな問題といいますか、亀井さんはせんだって、この党費立てかえの問題がもし問題ならば、それはよく調べをして返したらいいじゃないかというようなこともおっしゃっていましたし、それから森総理は、これは少し調べをしてみるというようなこともおっしゃっていましたね。

 ちょっとこれは法務省にお尋ねをしますが、収賄罪というのは、一般には、これはと思う人に現金を贈ったり、あるいは現金以外のものでも、とにかく人間の欲望を満たすものを提供すれば、そしてそれによって働きかけをやれば成立をするという話ですが、何か刑法の第百九十七条で、第三者にそういう提供をして、そして、その第三者に提供したものが、結果的に働きかけをしてくれた人あるいはこれから働きかけをしようと思っている人に便宜を与えるということになれば、これはもう贈収賄罪が成立をするというふうな話も聞いたわけでございますから、一般論でよろしゅうございますので、そういうことがあり得るのかどうなのかということを教えていただきたいと思います。

古田政府参考人 お尋ねは、刑法百九十七条の二のいわゆる第三者供賄と呼ばれることについてのものかと考えますが、第三者供賄罪の構成要件は、公務員または仲裁人が、その職務に関し、請託を受けて、第三者にわいろを供与させた場合、この場合に第三者供賄罪が成立するということとなっております。

海江田委員 そうしますと、例えば党費の立てかえをやって、そして、今高村法務大臣からもお話がありましたように、二万人が条件になっている。二万人の名簿が集まれば、その意味では党の比例の名簿の上の方になる。事実、小山さんも上の方になりましたし、それから証人喚問にお出になるということをおっしゃっている村上さんも、これは九八年の選挙では第二位になっているわけで、二位だとか何位になれば、これはもうその名簿が発表になったときに当選が決まるわけでございますが、そういう形での党費の立てかえというものが、今お話のあった第三者供賄罪に絡んでくるのかどうなのかということを教えていただきたいと思います。

古田政府参考人 第三者供賄罪の構成要件は先ほど申し上げたとおりでございますが、ある具体的な場合に、それが先ほど申し上げた構成要件に該当するかどうか、それは実際に内容が正確にわかりませんとお答えするわけにもまいりませんし、また、ある特定の、今御指摘のような場面を想定してのお尋ねについて、私の立場で、それが何らかの、おっしゃるようなことに当たるかどうかとか、そういうことについて申し上げることは適当でないと考えますので、恐縮でございますが、それ以上の答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。

海江田委員 これも非常に微妙な問題だろうと思うわけでございますが、もしこれが第三者供賄罪というものになるということになれば、そのお金を返そうが返すまいが、一たんそういう行為が行われて、その結果議員になったという事実があれば、私は、その意味では成立をしてしまうことになるだろうと思いますので、これは今後の捜査の展開というものを見なければいけないと思います。

 あと、もう一つ、私はこれは国税庁にちょっとお尋ねをしたいわけでございます。

 さっきの公金の横領の問題では、松尾元室長に対して税務調査を行っているということでございますが、このKSDの課税ということは、これは公益法人でありますが、集まります共済金でありますとか、それからその他の収入でありますとか、こういうものに対する課税の現状がどういうふうになっておるのかということをちょっと教えていただきたいと思います。これはKSD本体についてでございます。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 御存じのとおり、個別につきましては守秘義務がありますので私どもとして答弁できませんが、申告状況という点では、法人税法上、所得金額が四千万円を超える法人につきましては、その名称及び当該所得金額を公示することになっております。

 ちなみに、今御質問がございましたケーエスデー中小企業経営者福祉事業団に関しては公示がされておりません。

海江田委員 それでは、少し一般論でよろしゅうございますけれども、この種の財団法人の集めました掛金、これは幾ら入ってきても税金の対象にならないわけですか。法人税の対象にならないわけですか。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 財団法人あるいはそうした法人税法上の公益法人等に該当して、収益事業を営む場合に限って、その収益事業及びその付随行為から生じた所得について法人課税がされる、それ以外の場合には法人税は課税されないということでございまして、これは、公益法人等が公益的な活動を目的とする組織であって、かつ、営利活動を営む一般の法人とは異なる性格を有しているという法律に基づくものでございます。

 今御質問のございました、公益法人等が会員から徴収する会費、それが通常その公益法人等の業務運営のための経常的な費用の分担金として徴収するものであることから、原則として、収益事業に係る収入には該当せず、これについての課税は生じないということかと存じます。

海江田委員 今もお話ありましたけれども、公益法人がその公益法人の本来の趣旨に沿う形でそのお金を支出しているということであれば、これは課税の問題が生じないということはわかるわけでございますが、例えば、このKSDの場合は、これは御案内のことだろうと思いますけれども、豊明会という任意団体に毎年毎年かなり多額の資金を補助金という形で提供をしているわけですね。それで、この補助金も含んだ福利厚生事業費というのが、例えば平成十一年度の支出の内訳を見ますと、収入全体が二百七十四億七千八百三十一万円で、そのうちの三十九億二千七百九十四万円という形になっているわけでございますので、およそ一五%ぐらいがそこに使われているということであります。

 そういう本来の支出というものからかなりかけ離れた、そして、結果的に豊明会に行ったお金が豊明政治連盟に行って、豊明政治連盟に行ったお金が自民党の党費に入っているという事実があるわけでございますが、そういう使われ方をしておっても一向に差しさわりがないものかどうなのかということをお尋ねします。

大武政府参考人 ただいま御質問のございました話は個別論でございますので、一般論で申し上げますが、その使った先がどういうものであれ、その先の団体もまた、例えば人格なき社団であったり収益事業を行わないという規定になっているということを前提にいたしますと、いわゆる収益事業には該当しない団体ということかと存じます。

海江田委員 そうしますと、このKSD豊明会自体が任意の団体なわけですけれども、これが幾ら補助金をもらっても、これもまた全然課税の問題は発生しないということでございますか。

大武政府参考人 ただいまのことも一般論で申し上げますと、いわゆる相手の団体が人格なき社団で収益を目的としていない団体である場合には、それは収益課税はされないということかと存じます。

海江田委員 そうすると、これは全く課税の問題がなしでここのところはずっとお金が流れていると思いますが、例えば、今度は、KSD本体の方が幾つかの保養施設を持っていますよね。今度、大分その保養施設を売却するという予定のようですが、軽井沢クラブでありますとか草津の保養所でありますとか、これの固定資産税等はどうなっていますか、課税関係は。

大武政府参考人 お答えさせていただきますが、固定資産税は国税庁の所管外でございますので、把握しておりません。

海江田委員 そのことだけを言うために出てきたんですかね、これは。

 細かなことを言うと、ゴルフの会員権を今売却を進めておるようで、恐らく売却損が出るんじゃないかと思いますが、持っていたゴルフの会員権を売却してもし売却益が出れば、これは当然課税問題は出てきますね。こちらは国税ですね。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 当該事業が収益事業を一切営んでいない公益法人であったとしますと、そのゴルフ会員権を売って万が一収益が発生したとしても、その使途として収益事業に回らないということからしますと、課税されないということでございます。

海江田委員 そうすると、この団体というのは、本当にお金を全く集めるだけ集めて、そして豊明会に流したり、あるいは豊明会の政治連盟に流しても、政治連盟の方は政治団体としての会計上の規制はありますけれども、ほかは全部ないということになりますね、これは。

 特に、課税問題でいうと、古関前理事長だとか、あの人たちがかなり公私混同していたということでいうと、その部分の、先ほどの松尾元室長の話じゃありませんけれども、その意味での調査というのは、可能性としてこれはあり得る話ですか、どうですか。

大武政府参考人 お答えさせていただきます。

 当然のことながら、国税当局は、常に納税者の適正な課税を実現するという観点から、あらゆる機会を通じまして資料情報をとっておりまして、課税上問題があると認められる場合には、当然、調査を行うなど、適正な課税の実現に努めているということでございます。

海江田委員 あともう一つお尋ねをしますが、このKSDの会員が百万人を超えたわけですけれども、その百万人を超えるに当たっては、これは金融機関の募集が大変力があったというふうに言われているわけでございますが、この金融機関の募集について、これは金融庁ですね、いろいろ調べをしているということですので、その中間的な御報告でもよろしゅうございますし、それと、あと業法の違反の事実があるのかないのか、あれば処分はどうするのかということもあわせてお教えいただきたいと思います。

柳澤国務大臣 先生今御指摘のとおり、KSDにつきましては、昨年十一月の下旬に、いわば任意ベースで実態の調査を行いました。

 これは、全国の銀行、信用機関、信用組合を悉皆的に行ったわけでございますけれども、その結果、やはりちょっとこのままでほっておけないというケースも見受けられたということで、今度は法令に基づく、より踏み込んだ実態の解明のための調査を現在行っておるということでございます。

 進捗状況といたしましては、これは、ことしになりまして一月の下旬に始めたわけでございますけれども、若干その途中で補足の調査等もかけておりますので、現在のところはまだ取りまとめの段階に至っていないということでございます。ちょっと、あと一カ月足らず必要なのではないかというのが我々の見通しでございます。

 今先生御指摘の銀行業法違反のことにわたらないかということでございますけれども、これは先生も恐らく他業禁止との関係での御質問かと思いますが、この点については、私ども、まだ現在どちらかというような結論を実は持っておるわけではございません。当然のことながら、実態調査はかなり、これは態様によって個別のケースごとに判断しなきゃいけないというふうに考えておりますので、結論はまだ我々として得ていないということでございます。

 ただ、ここであえて言いますと、他業の問題なのか付随業務として認められる問題なのかということが私としては検討を要する点ではないか、このように考えておりまして、不適切なことについては私ども厳正に対処するつもりでございますが、他方、銀行については、先生御案内のように、フィービジネス、手数料ビジネスを大いにやるようにということを私非常に呼びかけさせていただいている立場もこれあり、このことによってその面が萎縮してしまうのも困るというようなことを念頭に置きながら、しかし社会的に大きな広がりを持っている問題でもありますので、そのあたりをがっちり詰めて結論を出したい、このように考えております。

海江田委員 ちょっと今、他業なのか付随業務なのか、それからフィービジネスの方に移行していると言うけれども、これはちょっと違う性質の話じゃないかなと私は思うんです。そもそも何で銀行について他業を禁止しているのかという、そこの原点に立ち返らなければいけないわけで、それはやはり銀行が融資という大変中小企業にとっては生き死にの、生殺与奪の権を握っておるから、この融資と他業とが結びつきをすると大変危険なことになるよというのがそもそもの趣旨だろうと思うわけです、私は。もし違うんであれば、それはお考えを教えていただきゃいいんで。

 まさに私が実際に、このKSDの問題でも結局、苦情を受けている、何とかしてくださいということを言っているのは、やはりその融資のところと結びついているケースがあるんですよ。それ以外だったら、今回こういうことになりましたから、腹が立つだとかそういう意見はたくさんありますよ。これはもうちまたにあふれていますけれども、一番根本的なところで、何で金融機関のこのあれがいけないかというと、まさに融資のところと絡んでいる話ですから、だから、そこのところは付随業務になるんじゃないだろうか。それで、そこはむしろこれからどんどん後押しをしていっていい話だということにはならないと思うんですが、いかがでしょうか。

柳澤国務大臣 それが、まさに私が問題にしているところでございます。

 ちなみに、私ども、他業禁止が何で銀行法に入っているんだろうかということについては、やはり銀行が他業をやることによってむやみなリスクをさらに抱えてしまう、それで本業の業務に支障があるようなリスクを抱え込んでしまうということを予防する、こういうことに一つ核心があるんじゃないかとも思うわけでございます。

 そういう観点からすると、今まさに先生御指摘のとおりでございまして、銀行という非常に信用があるとされている社会的な存在、それからまた、場合によっては今御指摘のような融資という取引を常とする存在、こういうものがほかのことをそれと絡めてやった場合にどういう社会的な弊害が出るだろうかということも、あるいは当然この考慮の中には入っていると思います。

 そうなると、私ここのところは今思案して、必ずしも事務当局とも一致しないことなんですけれども、社会的に不公正なだれか主体がおって、それのいわば片棒を担いでしまうようなことにわたったことというのが、他業禁止の問題なんだろうか、銀行としての本来あるべき、公正に仕事を進めなきゃいけないというような、そういうもっと一般的な問題なんだろうか。そういうようなことについて現在、これからまた調査の結果も上がってきますので、それとのかかわり合いも含めて少し考えさせていただきたいというのが、私、現段階での御答弁いたしたいことでございます。

海江田委員 他業を行うことによって銀行がリスクを抱えてしまうというのはこれからの話でありまして、これまでの業法で、とりわけ護送船団方式とかいろいろ言われております、それからペイオフもないとか、十重二十重に守られた銀行の中で、果たして本当にリスクを抱えておったのかどうなのかということは大いに疑問があるし、むしろ、やはり融資の方と絡ませた話ではないだろうかと私は思うわけです。

 この辺はもっとこれから委員会で議論を、予算委員会以外の金融財政等の委員会でも議論をしなければいけないわけでございますが、今金融庁がやっている法律に基づいた調査というのはみんなやはり見守っているわけでございますから、特にこのKSDの、金融機関経由で会員になって、そして今回のような事件を目の当たりにした人たちは。ですから、ここのところはやはりしっかりと調査をしていただいて、そして法律に違反のところがあれば、これはしっかりとそういう処分をしていただきたいというふうに思うわけでございます。

 あと、かなりいろいろな大臣の方にお越しをいただきまして、最後まで質問ができずに申しわけございませんが、最後に、冒頭に私もお話をしまして質問をさせていただきました、それから私の同僚議員の生方議員も質問をさせていただきましたけれども、ホノルル沖の不幸な事故についての森総理の対応というものにつきましては、やはり国民の間にかなり不満というか不安がございますので、ここはぜひ森総理に、きょうはお見えになっておりませんけれども、当委員会に出てきていただいて、やはりこの議論をしっかりとしなければいけない、そのように思っているわけでございます。これは委員長、よろしくお取り計らいのほどをお願い申し上げます。

 どうもありがとうございました。

野呂田委員長 これにて海江田君の質疑は終了いたしました。

 次に、金子善次郎君。

金子(善)委員 民主党の金子善次郎でございます。

 初めに、ハワイ・オアフ島の南海上で日本時間の十日に起きました、愛媛県宇和島水産高校の実習船えひめ丸とアメリカ原子力潜水艦衝突事故で犠牲になられました皆様に、心からお見舞いを申し上げます。また、行方不明者の方々も一刻も早く救出されますことを、心からお祈り申し上げる次第でございます。

 さて、外務大臣、ノルマントン号事件というのは御存じでございますか。

 ちょっと説明させていただきますと、これは小学校六年生の歴史の教材にも出ている話でございますが、こういうものがございます。これは古い話でございまして、明治十九年、イギリスの貨物船ノルマントン号が和歌山沖で難破、沈没をいたしました。そのときのイギリス船員二十六名、ドレイク船長以下でございますが、二十六名はいずれも全員救助された、ただ、乗り合わせた日本人二十五人は救出されずに全員死亡してしまったという事件でございます。これが教科書の教材にもなっているわけです。

 それで、当時の井上馨外相でございますが、これはいろいろな差別待遇と申しますか、やはり国権の回復の重要性というものを身をもって教えられたというようなことが言い伝えられている事件でございます。

 今回のこの衝突事故をそのまま結びつけるつもりは毛頭ございませんが、一つちょっと心配しておりますのは、今度のえひめ丸の大西船長さんでございますが、テレビを通じて涙ながらの会見をされたわけでございますが、その際に、原子力潜水艦の船長が、波も高くないのに遠くに離れて見ていたというようなことを発言なさっているわけでございます。

 国民の間に、これはなぜなんだというような疑問が非常にあるわけでございまして、恐らく原子力潜水艦の場合には構造上すぐには救助対応がとれないという話もあるようでございますが、国民に冷静かつ適正な行動を求めるためにも、なぜそうだったのか、その理由をはっきりさせることが重要だと思うわけでございます。

 そういう意味で、アメリカとの間でこの点を早急に話し合いを行いまして国民の前に明らかにしていただきたいと思いますが、その点いかがでございますか。

河野国務大臣 まことに不幸な事件、発生以来、私どもはアメリカに対しまして、全員の救助のためにできる限りのことをしてもらいたいということを言ってまいりました。アメリカ側も、全力を挙げて救助あるいは捜索活動をいたしますということを言っておりまして、現に二日、三日、夜を徹して捜索活動は続いているわけでございます。しかし、残念ながら、それにもかかわらず全員救助というところに至らないのはまことに残念なことでございます。

 今議員がお話しになりましたように、一体、潜水艦は救助活動をしたのかしないのかということについては、これは当事者、えひめ丸に乗っていた人はもちろん、それ以外の日本人にとっても大変大きな関心事でございます。

 そこで、私は、今ホノルル・オアフ島におります桜田外務大臣政務官に対しまして、先方にこの旨きちんとただすように指示をいたしました。原子力潜水艦グリーンビルの衝突後の動きについては、ファーゴ・アメリカ太平洋艦隊司令官より、次のとおりの説明があった。

 その説明によれば、グリーンビルは、事故発生直後から捜索・救助活動に当たった。グリーンビルは、事故発生後、直ちに沿岸警備隊に通報するとともに、えひめ丸の救命いかだを視認し、沿岸警備隊と連携しつつ捜索活動に従事した。ただし、そのとき洋上には三から六フィートくらいの波があり、また、潜水艦の湾曲構造もあって、潜水艦で救命いかだにいた乗員を直接収容するよりも、現場に急行した沿岸警備隊の船で乗員を収容する方が安全であるとの判断があった、こういう説明でございました。

金子(善)委員 いずれにいたしましても、大変不幸な事故と申しますか事件でございまして、日本政府の完全な対応をお願い申し上げたいと思います。また、私ども民主党の同僚議員の海江田委員、そして生方委員の方からも話があったように、危機管理能力、この問題というものは大変国民も注目をしているわけでございまして、私も、全くこのたびの対応というのは問題があったというふうに認識をいたしております。今後、二度とこういうことのないようにぜひとも心がけていただきたい、そのように考えているところでございます。

 それでは、通告に従いまして、本来の質問に移らせていただきます。

 まず、内閣官房の報償費の問題でございますが、このたびの松尾元支援室長の不透明な蓄財というものが、本年の正月早々でございますが、読売新聞社の記事で大々的に報道がなされたわけでございます。これは国民に大変大きな衝撃を与えたわけでございます。

 ところで、真偽はともかくでございますが、マスコミ報道、私もラジオ等を聞きましたし、また、これは一部の週刊誌でございますけれども、昨年十二月中に松尾元室長が、フランス大使館に赴任するということを自分自身で関係者に話をしているという報道があったわけでございます。

 人事異動の内示がなければ本人がそういうことを他人に話すということはないはずでございますから、松尾に対してそういう事実はあったのかどうか。事実だとすれば、組織ぐるみの大変な隠ぺいをはかるようなことにつながってくるわけでございまして、極めて重大なこととなってくるわけでございます。事実かどうか、明確にお答えをお願いしたいと思います。

飯村政府参考人 お答え申し上げます。

 そういう内示があったということはございません。

金子(善)委員 いずれすべての真相は明らかになってくると思います。

 それでは、報償費の性格につきまして御質問をさせていただきます。

 通常の報道等によりますと、どうしても機密費というような言葉を使ってしまうわけでございますが、あくまでもこれは予算上は報償費でございます。当委員会でこれまでも多くの委員の方々からこの報償費の質問があったわけでございますが、報償費ということイコール非公開ということにはならないわけでございます。あくまでもこれは、国の事務等に功労のあった方々の労苦に報いて、そのような行為を奨励するためのものということになるわけでございます。そう考えますと、場合によりましては、報償費は積極的に公開した方が報償費の性格に合うのではないかということさえも言えるわけでございます。

 そこで、これまで政府側の答弁といたしましては、あくまでもこれは機密なので、その使い道等々すべてについて明らかにすることはできないんだというようなお話でございました。

 そこで、八日の予算委員会で我が党の菅幹事長に対する答弁といたしまして、外務大臣は、報償費の報償費たるゆえんで、その使用目的とかどういう使い方をしたかということは申し上げられないという答弁をなさっています。もう少し詳しくお聞かせ願えればありがたいと思うのですが。

飯村政府参考人 報償費につきましては、外務省においては、情報収集及び諸外国との外交交渉ないし外交関係を有利に展開するために使用されているということでございます。

 具体的な使途にかかわることを公表した場合、行政の円滑な遂行に重大な支障が生じるということで、本来公開すべき性格のものではないというふうに考えております。

金子(善)委員 それでは、報償費を非公開とする法的根拠というものは、今のお話でございますと、解釈によってはいろいろな解釈ができるというような非常にあいまいな御答弁だというふうに思いますが、それは確かにそういうものもあればそうじゃないものもあるというふうに言えると思います。

 そこで、法的根拠というものは何かあるのかどうか、それと、非公開か公開の、だれがそれを決定する権限があるのか、その辺につきまして外務省にお伺いしたいと思います。

飯村政府参考人 報償費につきましては、外務省のみならず、幾つかの省庁で予算が計上されておりまして、したがいまして、そういったルールはむしろ共通のルールに基づいているのではないかというふうに考えます。

金子(善)委員 全く今の説明ではだれもが納得できないと思います。つまり、これから申し上げますけれども、私は、報償費の中でも恐らく機密費的な扱いをしなきゃならない経費というのがあるのではないかと考える一人でございますが、すべてがそれに該当するというような、例えば今のお話ですと、報償費は外交活動をするためのものですべてなんだというようなお話であったわけでございます。

 今この委員会で問題になっておりますのは、内閣報償費ではございますけれども、旅費の差額であるとか、特に内閣総理大臣の外国訪問、外遊についての場合の同行者の旅費の差額だというようなことが政府側の答弁であるわけでございますが、それさえも機密、平たく言えば秘密扱いにしなきゃならないというようなことを言っておられるわけでございます。これは、一般国民が、そういうものまでが秘密扱いなんだ、機密なんだというようなことをとてもとても了解できないと思うんですけれども、その辺、明快な答弁をお願いいたします。

飯村政府参考人 今回の事件に際しまして、宿泊費の差額については、これが報償費によって充てられたということは公表されたわけでございます。本件につきましては、今回の事件を通して明らかに犯罪行為の疑いのある不正な使われ方が明白になったということで公表に踏み切ったものでございます。

金子(善)委員 これまでの政府サイドの答弁を聞いておりますと、そういう流れに終始しておりますので、とても納得できる答弁ではございませんが、次に移らせていただきたいと思います。

 次に、官房報償費の流れにつきまして質問させていただきます。

 これも二月八日の予算委員会でございますが、官房長官がこういう御説明をなさっておられます。まず、官邸において官房長官の決裁がありまして、当時の首席内閣参事官、その指示のもとに総理秘書官付の事務官が当該内閣官房報償費というものを現金で松尾元室長に手渡していたということでございますが、そうしますと、この松尾元室長はあくまでも外務省の一事務官であったわけでございまして、たとえ国家公務員であったとしても、内閣官房とは、いわゆる国家公務員としてであっても身分的な任命権者が違いますから、つながりというものは全くない。したがって、極端に言いますと、民間の一私人と何ら変わらない、このように思うんですが、官房長官、この点いかがでございましょうか。

福田国務大臣 内閣官房職員は、総理と行動をともにする必要があるということから、宿泊費の支払いを行っている時間的余裕がありません。したがいまして、外務省職員に事実上の支払い行為をゆだねている、こういうことになります。総理外国訪問の際の支援を担当する外務省の組織の一員である松尾元室長に実務的な支援の一環として支払いをゆだねたものであるということで、全くの部外者にゆだねたものではないということでございます。

金子(善)委員 ただいまの答弁であっても、あくまでも法的な関係ではない、一般的な事実行為であるというふうな御説明でございましたが、事実行為というのはすべてやっていいわけではなくて、基本的には公金でございますから、それは基本的な身分関係もはっきりしたつながりのある方にその処理を任せるというのが本来の筋だと思います。

 そこで、便利だからといって事実行為に任せるというのは、政府の組織論からいってもおかしい、私はそう思います。

 そこで、官房長官にお伺いしますが、これまでそうやってきたわけでございますけれども、本来であれば、内閣官房から直接、支払い先に可能な限り支払うべきであったとお思いになりませんか。

福田国務大臣 これは、こういうような事件がございましたものですから、そういう反省を踏まえまして、先般、ダボス会議、これは一月二十六日から二十八日の三日間でございますけれども、この首相の海外出張の際には、内閣官房職員が宿泊費の支払い事務を行ってまいりました。

 今後の取り扱いにつきましては、再発防止の観点から、支払い方法や外務省との役割分担というものは検討していかなければならない、こう思っております。

 しかし、ダボスの会議は、非常に短時間だったし、また同行随員も数が少なかったということで可能になったわけでございますけれども、大規模の首脳外交ということになりますと、どうなりますか、この辺の検討が必要であるということでございます。

金子(善)委員 これからは本来の筋に従っておやりになるというような御答弁でございましたから、それは結構だと思いますが、これまではいかにおかしかったかという点が一つ明確にあらわれたというふうに考えます。

 この点でございますが、本来ですと、仮に総理一行の規模が大型になった場合であっても、例えば外務省の人間を活用するという場合でも、内閣事務官というような身分をあわせ持たせることは法的には可能でございますから、そういう手続をとる必要があったのではないかというふうに思いますし、今後もそういう点については十分注意をしていただきたい。

 そこで、この点につきまして、予算を認める立場にあられます財務大臣の見解もあわせてお伺いをさせていただきたいと思うのです。

宮澤国務大臣 報償費そのものは、何度もけさから申し上げているような目的を持つものでございます。会計法上は恐らく、間違いなく、支出官が個人に金を渡しましたときに会計法上の支払いはなされるわけでございます。

 しかしながら、支出官から受け取りました本人は、その金はいわば公金として、定められた目的に用いられなければならないわけでございますから、もしその金がそれ以外の目的に用いられましたときには、会計法上の問題ではなく、当然、刑法その他の適用を受けることになるわけでございます。

 この点は、考えますと、会計法としては、やはり支出官が支払いを行ったところでその支払いが済んだと考えるのが適法でございましょうが、しかし、それならその金があたかも給料をもらったかのごとく自分の金になるわけではございませんので、公金でございますから、それを所持した者は、それを公の目的に使わない場合に、法律上の制裁を受けなければならない、こういうふうに考えるものだと思います。

金子(善)委員 財務大臣のお話は、大分会計上のお話ということになりましたので、また私は私なりに意見はございますが、先に進ませていただきたいと思います。

 今度の一連の国会質疑を聞きまして、先般、ある党の質問にもございましたけれども、月刊誌の「選択」の二月号にも出ておりました上納金、結局、権限のない松尾元室長が官邸に行って、多額の金を預かってくるというようなことは、そもそも官邸の金ではなくて外務省のお金じゃないか、報償費ではないんだろうか、そういう疑念さえも、こういうお金の取り扱いのいいかげんさから出てくるものだというふうに私としては考えさせられるところでございます。

 いずれにいたしましても、今後こういう点につきましては改めていただかなきゃならない、そのように考えているところでございます。時間の関係もございますので、先に進ませていただきたいと思います。

 会計検査院の検査についてお伺いをさせていただきます。

 まず、内閣官房、外務省いずれもでございますけれども、報償費につきましては、会計検査院法第二十二条第一号に言う「国の毎月の収入支出」、これに該当して必要的検査事項であると理解しております。そして、この支出計算書の証拠書類といたしましては、計算証明規則第二十一条一号で言う領収書、領収書が得がたいときは云々という規定がございますが、報償費以外の他の支出と取り扱いというものは何ら変わらないことはそれでよろしいですね、会計検査院。

石野会計検査院当局者 報償費につきましては、計算証明上の取り扱いと申しますと、規則十一条に基づく承認というのがございますけれども、それ以外につきましては、今お話しのとおり、何ら変わるところではございません。

金子(善)委員 そこで、ポイントになろうかと思いますが、報償費につきましては、外務省あるいは内閣官房の報償費どちらでもいいんですが、予算決算及び会計令第二十二条及び計算証明規則第二十条以降の規定によって、基本的には支出計算書やその証拠書類を会計検査院に送付しなければならない、こうなっているものを、計算証明規則第十一条に基づきまして、会計検査院の承認を経て領収書等の証拠書類の手元保管が認められる、ちょっと長ったらしくなりますが、ということでよろしいですね。

石野会計検査院当局者 報償費の計算証明につきましては、経費の性質上、役務提供者等の支払い相手先を明示して計算証明をするということが適当でないという理由によりまして、役務提供者等の領収書等の証拠書類は会計検査院から要求のあった際に提出できるように証明責任者が保管したい旨の各省庁からの申請、申し入れに対しまして、そのとおり検査院が承認しているものでございます。

金子(善)委員 そうしますと、巷間言われておりますように、巷間というのは、一般的に国民はそう思っているんじゃないかなということで申し上げるんですが、報償費につきましては、領収書や証明書が要らないということではなくて、単に領収書等の手元保管が認められているということでよろしいですね。

石野会計検査院当局者 領収書をとるあるいはとらないというような会計経理上の取り扱いというものをこの計算証明規則で定めているものではございませんで、あくまでも、その取り扱った会計経理を検査院に対しまして証明を行うという過程においての領収書等の手元保管という扱いを認めたものでございます。

金子(善)委員 そうしますと、このたびこの委員会で問題になっております報償費の中の総理大臣の外遊一行の宿泊費の差額分ということでございますけれども、これはその範疇で認定されているということでよろしいですね。

石野会計検査院当局者 外務省あるいは内閣の報償費に対しまして、先ほど申しましたように、各省庁の申し入れに基づきまして承認しているというものでございます。

金子(善)委員 いや、そういうことではなくて、今度の報償費、これは、何回も繰り返しますが、総理大臣の外国訪問の際の一行の差額分も含まれているというふうに考えてよろしいわけですね、承認のされた中としてです。

石野会計検査院当局者 総理の外国訪問に際しまして報償費が支払われているということは聞いておりましたところでございますが、今お話しの宿泊費の差額であるということについては把握しておらなかったという状況でございます。

金子(善)委員 今大変なことをちょっとお聞きしたような気がするんですが、そうしますと、会計検査院というものは何を検査するんですか。

 基本的に、先ほど申し上げましたとおり、会計検査院としては必要的検査事項として法律で定められております。先ほどの答弁といたしましては、まさに領収書の取り扱い、これだけは差はつけているわけですが、たとえ報償費であっても、領収書を会計検査院に提供するのか、あるいは手元に置いてもらうだけでいい、その差だということを確認してお話ししてきたわけでございますけれども、今お聞きしますと、中身についてまでわからなかったと。会計検査というものは中身がわからないで検査するとはとても考えられないわけですが、もう一度御答弁お願いします。

野呂田委員長 金子会計検査院長。大事な問題ですから、院長からやってください。

金子会計検査院長 ただいま局長から御説明を申し上げましたけれども、今回の事件については今検査を継続中でございます。したがいまして、今回の問題について会計法あるいは会計検査院としてどのように取り扱うかということは、検査結果に基づいて検討していきたいというふうに考えております。

金子(善)委員 今の御答弁をお聞きしていても意味がさっぱりわからないんですけれども、それはそれといたしまして、会計検査院の承認というものはあくまでも、領収書をどこに置くか、保管しておくか、あるいはとれなかった場合の方法について、ほかのものとちょっと取り扱いが違いますよ、ただ、そのお金の使い道、あるいはどこに使ったかということはあくまでもはっきりしておけというのが、会計検査院の法律に基づく流れでございます。

 そうしますと、今のお話でございますと、中身についてわかりませんでした、これでは済まされないと思うのです。ですから、会計検査院にこの点でちょっと角度を変えて御質問したいと思います。

 今、報償費ということで十把一からげに承認というものをしているわけですが、本来ですと報償費の中でも区分けをして承認すべきだったのではないか。そう思いませんか。

石野会計検査院当局者 会計検査院は、検査の結果によりまして違法、不当と認めた事態あるいは改善を要する事態というものを、検査報告という形で掲記するということで公表してきております。それ以外につきまして、今お話しの報償費の使途をどう公表するかということにつきましては、検査院から述べる立場にないということを御理解願いたいと思います。

金子(善)委員 あくまでも国のお金というものは会計検査院が、国民が一番頼りにしている、すべての事柄はやはりチェック体制というものがちゃんとしてなきゃならない、そこが会計検査院に求められているところであると思います。

 一般的な国内の補助金とかいろいろなそういうお金でございますと、例えば新しい橋をつくっても、検査に行って、一部分を実際にその材料が使われているかどうかきめ細かな検査をしている会計検査院が、事報償費だというだけで、会計検査院もわかっていると思いますが、何も秘密ではないわけです。それを報償費だからといって中途半端な検査をしているということは、これはどう考えても説明がつかないんではないかというふうに思います。

 今、会計検査院長さんの方から、検査をしている最中だというお話がございましたので、どういうふうな形でなさるかあれですが、とにかく厳正な検査をお願い申し上げたい。

 そして、今後の問題といたしまして、いわゆる本来の、ほかの各省庁のいろいろな予算がございます、そういう予算と報償費を別の取り扱いをする場合でも、その中をきちっと押さえた上で、いわゆる承認行為というものがあるわけですが、そういうふうにしてもらいたいと思いますが、そうなさる御決意があるかどうか、その辺をちょっとお聞きしたいと思います。

金子会計検査院長 先ほど申し上げましたように、報償費であるからということで異なった取り扱いをしているわけではございません。ただ、手元保管ということを認めているだけでございます。そういう点では、報償費についても、他の費目と同じように、会計検査院としては今後とも厳正に対応していくというふうに思っております。

金子(善)委員 院長の御発言は今後の課題としてそういうふうに進めていかれるという決意を示されたというふうに理解をさせていただきます。

 ただ、これまでの状態について申し上げれば、私も民主党の疑惑解明プロジェクトチームの一員と指名を受けましていろいろ調査といいますか、調べてまいりました。余りにもわかりにくい一つの事件だというふうに思っております。つまり、一つは、報償費たるものが非公開性、つまり秘密なんだということでほとんどのことが答えていただけないから、あるいは、外務省の調査というものが余りにもずさんである、理論的に考えてもおかしいという点が、これから御質問いたしますが、はっきりするかと思います。

 いずれにいたしましても、今後の課題としてよろしくお願いいたします。

 それでは、外務省の調査報告書の方に移らせていただきたいと思います。

 外務省の調査委員会のメンバーでございますが、官房長、官房の総務課長、人事課長、それから会計課長、それぞれの課の職員合わせて六名、したがって合計で十名であると聞いておりますが、間違いありませんね。――いや、結構です。恐らく間違いないと思うのです。

 それで、その調査のやり方でございますけれども、一般的に不正事件とか疑惑と言われるような事件が発生した場合ですが、本来であれば、関係する周りの人間を外して、たとえ外務省の中につくるといたしましても、公正な第三者というか、そういう立場にある方々を中心に据えて調査するのが私は一般的な常識というものではないかと思うんですが、どうも、このメンバーをお聞きしますと、阿部官房長をトップといたしまして、総務課長、そして会計課長、このお三人は病気になられたというお話でございますけれども、それと人事課長、こういうことでは、本来いろいろ責任が問われるような方々が調査委員会の重立ったメンバーになっているというのは非常識ではないか、このように思います。

 本来でございますと答弁を求めたいところでございますが、時間がございませんので、この点は指摘だけにとめておきたいと思います。

 ところで、お聞きすることはたくさんございますので、二十五日に出されました報告書、松尾元室長からだれが入出金記録を受けられたか。それと、預金口座の通帳自体の提出を受けたのですか。コピーですか、それとも銀行にある入出金記録の写しですか。この点について明確に答弁ください。

飯村政府参考人 お答え申し上げます。

 調査に当たりましては、先生が今御指摘のとおり、十人の委員を構成メンバー……(金子(善)委員「それはいいです」と呼ぶ)よろしゅうございますか。で調査を続けてまいりましたけれども、出入りの証明となりますステートメントというんですか、口座というんですか、そういったものについて、それがコピーであるかあるいは本物であるかというのは調査の内容にかかわりますので、避けさせていただけたらと思います。

金子(善)委員 これまでの答弁でも捜査というようなことで、外務大臣の方からの答弁も捜査中云々というお話、よくありました。

 一点お伺いしておきます。その資料というものが捜査機関から受け取ったというようなことはないですね。確認しておきます。

飯村政府参考人 ございません。

金子(善)委員 またこれも確認でございますので、簡単に御答弁いただきたいと思います。

 一月二十五日の外務省での記者発表後の記者会見で、外務大臣は、松尾元室長が横領した疑いのある金は五千四百万円だ、これは官房機密費、つまり内閣官房報償費であると認められましたが、間違いございませんか。

飯村政府参考人 そのとおりでございます。

金子(善)委員 外務大臣は、内閣官房のだれに確認して官房報償費と認定されたのですか。

福田国務大臣 本件は、私どもから、内閣官房から出した、そして渡したお金が報償費である、報償費以外ないわけでございますので、そういう意味において報償費が対象になるというのが自然であるというふうに考えております。

金子(善)委員 時間がございませんので、たくさんお聞きしたいことがございますが、次に移らせていただきたいと思います。

 松尾元室長に渡った総額に関連いたしまして御質問しておきます。

 まず、官房長官にお伺いしたいんですが、さきに、松尾室長在任中に、四十六回首相外遊の際、九億六千五百万円が、官房報償費が手渡されたというふうに御答弁されております。そのとき一緒に渡した正規の官房職員等の旅費があったと思います。これはどれぐらいのものであって、だれにお渡しになったのか、この点をお伺いしておきたいと思います。

福田国務大臣 これは、九億六千五百万の報償費以外に、正規分として平成七年から十一年までの五年間に二千八百万円渡しております。ただ、この分につきましては、領収書を確実に徴取しておりますので、不正はないというように確信をいたしております。

金子(善)委員 実は、資料を要求させていただいていたところですが、きょうの朝になりましてこの資料をいただいたわけなんです。

 これを見ますと、ますますわからなくなってしまうと申しますか、ただいま官房長官がお答えになった、二千八百万というふうにおっしゃいました。これは本来の旅費の実績であって、いわゆる不足分、松尾元室長に渡された分ではないんじゃないかと思うのですが、この資料の読み方は私が間違っているのでしょうか。

野呂田委員長 質問者に伺いますが、その資料はどちらから届いたものですか。

金子(善)委員 これは、内閣官房からきょういただきました。

福田国務大臣 それは金額が違うということですか。

金子(善)委員 金額はいいのですが、実績額というのは、あくまでも本来の旅費から実績として出された分であって差額分ではないということじゃないんですか、これは。差額分と考えてよろしいのでしょうか。

福田国務大臣 いや、それは旅費として支給された実費であります。(金子(善)委員「いや、ちょっと、差額分……」と呼ぶ)宿泊費の実費です。宿泊費の実費、旅費の。その旅費のうちの宿泊費です。ついでに申し上げれば、規定額である。

金子(善)委員 恐らく、今官房長官が言われました数字でございますけれども、これはあくまでも、私の手元に参りましたこの予算項目は、外国旅費から出たお金でございますので、規定分のものだと思います。これでは足りなかったということで九億六千五百万ですか、そのうち官邸職員分として四億二千万、これだけ出ているのだと思いますが。

 そうしますと、先ほど、ますますわからなくなったということを申し上げました。というのは、本来の旅費として二千八百万しか出ていない、期間が平成七年度から十一年度までの期間の数字でございますから、仮に倍としても五千万です。それが、差額分を松尾元室長に渡したというふうに言われるわけですが、官邸職員分として四億二千万、そのほかも含めて九億六千万。余りにもこの金額、何か不足分を――実際この資料をいただいて、ますますその使い道に対する疑念がわいてきたのですが、この辺の答弁をお願いいたします。

福田国務大臣 委員のおっしゃるように、確かに差額分が多い、こういうことであります。私もそれは疑念を持ちまして、調べてみました。

 それで、わかりましたことは、結局、規定の旅費が安過ぎるということがあるんですね。例えば総理大臣の一泊、幾らだと思いますか。ニューヨークとかパリとか行って、四万二百円なんですよ。一泊四万二百円でございますので、実際問題として、東京の帝国ホテルとかオークラとか、ああいうようなホテルを見ていただければわかりますけれども、首脳外交をする場所ということになりますと、その何十倍の一泊、旅費を取られる、ホテル代を取られるということでございますので、それは私自身も納得をいたしました。

金子(善)委員 今のお話を皆さんお聞きになられましても、かなり変だなと思われたと思うのです。

 この点、外務省はどうですか。つまり、総理外遊に伴いまして、外務省職員分の差額もこの内閣報償費の中から受けているというようなこれまでの答弁がございましたが、それに対してどれぐらいの金額、今官邸の方からは、二千八百万円実際に旅費から払いましたというような御答弁があったわけです。

 では、外務省の旅費から幾ら払いましたか。

飯村政府参考人 お答え申し上げます。

 総理の御訪問のときに、外務省の職員、日程がお互いに違ったり、出入りが非常に複雑でございまして、まことに申しわけございませんけれども、今この時点で金額は申し上げることはできないのですが、いずれにしましても、平成七年五月から十一年八月までに三十五回の総理の外国訪問、そのうちの外務省職員の旅費規程分の総額、これは大至急計算させておりますので、若干お時間をいただけたら幸いに存じます。

金子(善)委員 私は冒頭から、外務省の調査のやり方が余りにもずさんだということを申し上げました。これは官邸では出していただきました。外務省に対しても実は資料要求をしておりました。こう言っておられるのです。これは、民主党の調査のためのプロジェクトチームがございまして、私もその一員に指名されているわけでございますが、その中で、外務省からいただいた回答では、松尾元室長が総理の外国訪問の際に扱っていたのは内閣官房所管の報償費及び外国旅費並びに外務省所管の旅費であったというふうに言っております。

 しかし、考えてみますと、この松尾元室長の不正な事件、しかも、どの程度の金を松尾自身が扱っていたかということを調べるとき、内閣官房から来た報償費だけを調べて、ほかの――ここにはっきり書いてあるわけです。外務省所管の旅費、これも松尾が扱っていたということをはっきり答弁しているのです、民主党からの要求に基づきまして。その分について今もって調べていないというのは怠慢以外の何物でもないと思いますけれども、いかがですか。

    〔委員長退席、自見委員長代理着席〕

飯村政府参考人 お答え申し上げます。

 外務省の規定旅費は基本的に足りないということですので、内閣報償費の方から差額を補てんしていただいているわけでございまして、したがいまして、外務省の規定旅費から横領されたということは理論的に考えにくいということから、内閣報償費に焦点を当てて調べたものでございます。

金子(善)委員 全くそこが、だれが考えても、松尾元室長のもとにどの程度の金が集まったのか、それから扱っていたのかというのが一番の、通帳に幾ら金を、先ほども外務大臣また官房長官にわざわざ確認させていただきました、それは内閣官房報償費だったんですかと。

 しかし、考えてみますと、外務省から正式な回答をいただいたものでも、報償費だけではなくて、本来の旅費も皆どんどん松尾元室長が扱っていましたということを答弁しているわけです。それについて、その部分を調査しないで官房報償費だけ調査したところで、答えは出てこないんじゃないですか。これは論理の当然だと思うのですけれども、そこを余りにもずさんじゃないかと私は申し上げているわけなんです。答弁はもう結構です。とにかく……。

 では、答弁してください。

飯村政府参考人 外務大臣の方からたびたび御説明申し上げておりますとおり、今般の調査の手法でございますけれども、松尾から提出がありました第一勧業銀行の二つの口座の金の出入りを突合いたしまして、ある一定期間、基本的には公金が入っている時点で私用に使った時期がある、これが五千四百万円の競馬馬と種つけ馬で、これは明らかに公金の流用ではないか、そういう手法で告発に至ったわけでございます。

金子(善)委員 とにかく、全く私の質問に答えていないと思うのです。

 それでは、質問をちょっと変えたいと思うのですが、私がただいま質問いたしました内容の意味は不明でございますか。それとも、おわかりだけれどもやりたくないということですか。どちらですか。全容を解明するためには、両方必要だと思いませんか。

飯村政府参考人 先ほど申し上げましたように、外務省から出ております規定宿泊費分、これについては総額を今計算中でございますので、可及的速やかに御提出申し上げたいと思います。

    〔自見委員長代理退席、委員長着席〕

金子(善)委員 時間の関係もございますので、問題点はよくおわかりいただけたと思います。これでは、全体的な解明というよりも、恐らく、解明というよりはちょこちょことやっているだけだというふうに思います。

 とにかく、松尾元室長の問題というものの全容を見るためには、これは通常、一般的なある会社の社員旅行的なものをちょっと考えていただきたいと思うのです。名前を拝借して大変恐縮でございますが、株式会社森商事というものがあったとします。社員百人が社員旅行をした。社員は、毎月千円の積み立てを行っております。一年間で一人一万二千円、百人だとして百二十万円が積み立てられる。旅行の世話をするのが好きな子会社の河野会社というものがある。その松尾という者が幹事をした。その場合の旅行幹事は、見積もりによると一人一万二千円じゃなくて一万五千円かかる、だから百五十万円かかるから、積立金はそうすると百二十万しか積み立てられていないから三十万円不足しますよと。森商事の会計を担当している福田専務のところに行って、そして福田専務のところから不足金三十万円を出しました。

 ところが、問題は、その積み立ててあった百二十万円の金額をだれが幹事の松尾に渡したのか。つまり、大もとのところを押さえないと、不足分だけのことを、つまり差額というお話がございましたが、そういうような調査だけでは、全容解明、それでもなかなか大変だと思いますけれども、とにかく、幾ら松尾のところに集まった可能性があるのかということを第一義的に考えていただきたい、このように強く要請をいたしておきたいと思います。

 そういうところで、次に、告発状と被害届の公表についてお尋ねをさせていただきます。

 告発状、被害届は捜査にかかわることだから公表できないと言われているわけです。確かに、捜査当局が公表するということは、これは適当でないことは当然でございますが、今国民に解明しよう、明らかにしようとしているこの問題、これは別に隠す話ではないと思いますし、御承知のように、告発状、被害届というものは、しばしば一般に明らかにされることはよくあるところであります。

 どうしてこの被害届と告発状を公表できないのか、それぞれ官房長官と外務大臣にお聞かせいただきたいと思います。

河野国務大臣 先ほど来議員がお話しになっていることで、一つ大変気になりますので、御理解をお願いしたいと思います。

 それは、宿泊費の規定額のことでございます。総理の外国訪問の一行の宿泊料というものは、本来の宿泊料の規定額では到底足らない。したがって、その差額をどうするかという問題になっているわけです。それは、どのぐらい足らないかというと、先ほど官房長官からも例示としてお話がございましたように、相当程度足らない。

 それは、例えば外務省の人間が同行、随行をさせていただいた場合でも、外務省の人間が例えばニューヨークへ行く、あるいはパリへ行くときに泊まるホテルと、総理が泊まられるホテルとでは、どだいホテル自体がまるで違う。したがって、部屋代のレートはまるで違うわけですね。さらに、総理が出かけるときにはサミットであったり国連総会であるわけですから、限られたホテルの、言ってみれば奪い合いのようなことになる。そうなると、ホテル代はがあっと上がる。それは、総理大臣の部屋だけが高くなるのではなくて、若い通訳の人間が泊まるべき部屋もみんな上がっちゃうわけですね。したがって、到底宿泊費の規定額では足らないということになるわけです。

 そこで、先ほど議員は、規定額もはっきりさせろ、こういうお話でございまして、私ども、その宿泊費の問題については官房長が御答弁申し上げましたように検討いたしますが、この宿泊費の規定額は、当然払わなければならない実額に比べればはるかに少ないわけでございますから、この少ない額から横領がなされるということはあり得ないわけですね。ということをまず御理解いただきたいわけでございます。

 それから、告発状を公表すべきではないかという御指摘がございました。

 これは、私が申し上げるよりも伊吹大臣から御答弁をいただくことの方があるいは正確かと思いますけれども、私どもは五千数百万の横領ということで告発をいたしましたが、その告発状の中には、本人は否定をしているままに、我々としてこういう問題があるんだということを書いて告発をしているということもあるわけでございまして、この点はぜひ御理解をいただきたい。そして、私の説明では御納得いただけないのなら、伊吹大臣からぜひ御答弁を聞いていただきたいと思います。

福田国務大臣 内閣官房から提出しました被害届でございますけれども、このことにつきましても、捜査当局に被害届を出したということでございまして、公開するということは捜査上の支障になるというように言われておりますので、差し控えさせていただきたいと思います。

金子(善)委員 これまでも当委員会の質疑の中で、ずっと同じような答弁を繰り返してきておられるわけですが、本当に、どういう支障があるのか、極めて疑問でございます。あくまでもこれは、今回の事件というものは、国民の間にも大変な衝撃といいますか、いろいろな疑念を抱かせているものでございまして、政府に対する不信の念も思わせているような事件になっているわけでございます。そういう意味で、私は、少なくとも告発内容、それから被害届の内容というものは、公にして何ら事件の捜査にもほとんど影響はないであろう。

 特にこの点につきまして一言指摘をしておきたいと思いますが、あくまでも捜査機関に捜査をゆだねるという姿勢でございますが、公金が数億円にわたりまして不明になっているわけでございますから、民事の問題もあろうかと思います。この損害賠償、これは捜査当局は一切関係しない、刑事事件でございます。そうしますと、この民事を追及する責任は官邸にも外務省にも私はあるというふうに思いますが、その点についてはどのようにお考えでございますか。

伊吹国務大臣 ただいま官房長官と外務大臣に御質問の件でございますが、かねてからこの委員会で資料提出の要求がございました。それで、被害届と告発状についてはかなり詳細なことが書いてございます。しかし、それは私は一部だろうと思います、強制捜査権がございませんから。その一部の被害や告発を受けて、警察当局としては強制捜査権を行使しながら、今、全容を解明しておるわけです。

 したがって、先生の御指摘もごもっともなんですが、それを開示することから得られる公益と、そして捜査によって守られる社会秩序と社会正義という公益と、どちらを重く見るか。つまり、国政調査権と捜査権、あるいは国政調査権と公務員の守秘義務、こういうことは常にこういう問題のときには問題になります。それは、刑訴法に、公益に反しない限りということは書いてございますので、理事会の賢明な御判断に……(発言する者あり)少し黙ってください。おゆだねしたいということを申し上げているわけです。

金子(善)委員 確かに、この問題は理事会の方にゆだねられるというようなこともあったことを覚えております。

 委員長、ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。

 いずれにしましても、これまでの答弁、全体としてお聞きしますと、少なくとも、報償費が機密であるというようなことで内容を明らかにされない。私も、官邸にあるいは外務省に機密的な経費が必要ではないというような考え方を持っている男ではございません。一定のそれは必要だということは、必要な場合もあるというふうに思いますが、少なくとも、総理大臣の外遊の際の差額を主に秘密のお金で処理していた、しなきゃならなかったというようなことであれば、予算制度あるいはこれからの予算の中身をよく吟味して、必要なものは必要、公開すべきものは公開する、そういうふうに改めていくのが国民の信頼を得るためにも必要じゃないかと思うんですが、その点、官房長官、いかがでございますか。

福田国務大臣 松尾室長によるこの事件で、かつて損害を受けたということが起こったわけでございますけれども、委員のおっしゃるとおりでございます。

 今後は、今現在は旅費法の変更によりましてそういうことがもう起こらないような仕組みになっておりますので、御懸念はない。ただ、我々としても、いつどこで、どういうような形でもって何が起こるかわからぬ、こういうことでありますので、それは十分にさらに厳正な取り扱いをしていかなければいけない、そのようには思っております。

金子(善)委員 そうしますと、今の官房長官のお話でございますと、厳正にやっていかなきゃならないというようなお話でございましたが、いわゆる報償費そのものの制度というものも見直してみるというお考えもあるということでございますか。

福田国務大臣 報償費そのものについて、これは、国の内政、外交というものを適切に報償費を使用することによって運営していくということにおいて極めて重要な部分であるというふうに思っておりますので、制度そのものを変えるとかいうようなことを今考えているわけではございません。

金子(善)委員 これまでの答弁で明らかになりましたように、国民は大変な気持ちでこの問題を見守っております。これからもいろいろなところでいろいろな点が、明らかになってくる点、残念ながらこの委員会だけでは明らかにならない点が、またいろいろな形で明らかになってくることもあろうかと思っております。

 政治家にとって最も大切な国民の生命財産を守るという姿勢、それから、開かれた政府というものを考えた場合に、できる限り明快な、そして、隠し事がないと申しますか不正がない、そういう政治でなければならないというふうに思っております。

 そういう意味で、私は、民主党の一員として、森総理大臣、それから河野外務大臣、この問題に対する真摯な解決への取り組みを心から期待して、要求して、この点についての質問はとりあえず中断をさせていただきたいと思います。改めて予算委員会で質問の機会もあろうかと思いますので、その際に改めてさせていただく点もございます。

 それでは、別の問題につきまして、通告に従いまして質問をさせていただきたいと思います。

 北朝鮮外交の問題でございます。

 御承知のように、河野外務大臣は、外交演説の中で、北朝鮮との関係で、我が国としても、第二次大戦後の正常でない日朝関係を正すことが極めて重要であると考えています、今後とも、米韓両国と緊密に連携し、北東アジアの平和と安定に資する形で、日朝国交正常化交渉に粘り強く取り組んでまいりますと述べております。しかし、どうも順調に進展しているとは見えないところであります。

 一九九五年六月、河野外務大臣によって始められました北朝鮮に対する経済援助としての米支援によって、外務省より二百六十八億円の国民の税金が使われることになりました。国民の最も関心のある一つである日本人の拉致問題、ミサイル問題、よど号引き渡し問題等、何ら進展、解決はしていない状況だと思います。

 昨年十二月に河野外務大臣は、WFPに対しまして一億六千四百十四万ドルの拠出を決めておりますが、大臣は、大臣が一九九五年六月と七月に延べ払いとして実施した三十五万トンの米の利息が一九九七年以降全く支払われていないことを承知されておりますか。

河野国務大臣 承知しております。

金子(善)委員 たしか、恐らくこの延滞金というものは五億二千六百万円だとの数字がございますが、食糧庁長官、いかがですか。

石原政府参考人 お答え申し上げます。

 北朝鮮に対する延滞金でございますけれども、平成七年の六月の……(金子(善)委員「総額だけで結構です」と呼ぶ)総額ですか。その全体はあれでございますので、約五億円ということでございます。

金子(善)委員 この予備交渉あるいは九回以降の本会談で、延滞金の支払いを請求しているというふうに聞いております。

 そこで、ちょっと食糧庁長官に、これは食糧庁長官でよろしいのか外務大臣がよろしいのかわかりませんが、北朝鮮の方から支払い猶予をしてほしいという旨の要請はございますか。

石原政府参考人 支払いにつきましては、こちらから督促しているだけで、向こうから猶予してほしいという話が来ているとは承知しておりません。

金子(善)委員 私は、何でも、外交の問題におきましても、やはりお互いに誠実な対応をしていかなきゃならないというふうに思いますが、私が調べた限りでは、食糧庁としては四十六回にわたって督促をしているというふうに聞いております。それに対して何の返事もない。外務省として、そういうことを承知していたら、そういう点について予備会談なりそういうところでも、問題点は問題点として、言うべきことは言う、そういう姿勢をやはりしていかなきゃならない。お互いの信用関係、信頼関係というものは、率直な意見の交換によって出てくるものと思われます。

 そこで、先ほど、国民の税金が二百六十八億円使われると申し上げました。これは外務省関係分だけで、農林省の食管会計や一般会計では千四百五億円が税金として使われており、合わせて千六百七十三億円が国民の税金として使われることになっております。ただいま申し上げましたように、延滞金でございますとか不良債権五十六億円等々がございまして、大変な金額に上っていることは御承知のとおりであります。しかも、昨年十二月に緊急食糧支援事業として決定された一千億円は、一般会計が三十年で負担するということになっております。

 私は、欧米を初めといたしまして、外国に対する経済援助は、基本的にはそのときの自国の国力に応じてなすべきものだというふうに思っております。三十年先の子供や孫の世代まで負担させていくような性質のものではないというふうに思っております。こういう点につきまして、国際社会から本当の意味で日本が信頼されるということにはならないのではないだろうかという気がしてならないわけでございます。河野大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

河野国務大臣 先般の五十万トンの対北朝鮮食糧支援の決定につきましては、依然として深刻な食糧不足に直面する北朝鮮に対しまして支援を行うとの人道的考慮に加え、朝鮮半島をめぐる最近の情勢を総合的に検討した結果、政府として、日朝関係の改善、ひいてはこの地域の平和と安定という大局的見地から、現在生じている前向きの潮流を後押しし、これをより確実なものにすることが適切であるという判断に基づいて行ったものでございます。

 他方、食糧支援の効果につきましては、現在の日朝関係が依然として相互信頼度の低い段階にある中で、日朝関係を改善させ、朝鮮半島をめぐる前向きな流れを確実なものにするという趣旨で決定したものでございまして、日朝国交正常化交渉に直ちに目に見える結果が出るということは、必ずしも期待しているわけではございません。このような効果は、長いプロセスの中で評価していくべきものであると考えております。なお、北朝鮮側からは、支援決定直後に、洪成南総理より森総理に対し謝意を表明する電報が寄せられております。

 五十万トンの食糧支援につきましては、補正予算成立後、種々の準備を進めてまいりましたが、先月末、一万トンを載せた第一船が日本を出発いたしまして、二月初めに北朝鮮に届き、先日、第二船も北朝鮮に向けて出発したところであります。今後、残りの支援米も順次北朝鮮に届けられる予定になっております。

 なお、日朝国交正常化交渉の現状につきましては、十月末北京にて行われた本会談において、同会談での協議を踏まえてさらによく検討を行い、双方の準備が整ったところで行うこととなっており、そのような状況に変わりはないということを申し上げておきます。

金子(善)委員 いずれにいたしましても、この日朝の国交正常化につきましては、アメリカのブッシュ政権の登場等々、いろいろな国際的な動きも多々あります。日本としてしっかりした姿勢を持ってこの問題の解決に臨んでいただきたい、このように強く要請をさせていただきたいと思います。

 そこで、実は拉致問題でございますが、昨年でございますが、私は拉致問題につきまして内閣に質問主意書を出させていただきました。その際に、いわゆる情報の提供、警察から被害者家族への情報開示ということで、どの程度になっているのでしょうかというようなことで、お願いかたがた内容をお聞きしたところ、回答では、いろいろ可能な限り提供をいたしていますというような御回答をいただいたわけでございます。

 ところが、救う会という会がございますが、いわゆる被害者家族の会の活動をいろいろな形で支援するそういう方々の会でございますが、その被害者の家族の方にアンケートと申しますか、警察からどういう情報を得ていますかという問い合わせを行ったところ、たしか九名の方から御回答がございまして、四家族だけが、所轄の警察から訪ねてくることはあるけれども、ほとんど何か変わったことがないですかねというようなことであって、いわゆる家族の拉致された方が、認定された方ですよ、いつどこでどんな形で拉致されてしまったのかというようなことについて、一切警察からの情報の提供はありませんというふうに回答をいただいているわけでございます。

 質問主意書では、できる限り情報の開示はしているつもりだという答弁をいただいているわけですが、余りに大きいギャップに私自身驚いている次第でございますけれども、とにかく、御家族の、いわゆる被害者家族の方々は、家族が拉致されて、どんな形で、いつどういう形でどこへされたのかということを毎日毎日心配なさっているのが現状のようでございます。当然のことだと思います。

 そういうことで、警察庁として、確かによくやっていますよというような御答弁をいただいたのですが、余りにもギャップが大きいということで、ぜひともこれは、これからもその点に意を用いてやっていただきたいと思っておりますけれども、現状に対する認識をお伺いしておきたいと思います。

金重政府参考人 お答えさせていただきます。

 警察におきましては、これまでも、この北朝鮮に拉致された疑いのあります方々の御親族に対しまして、被害者という立場や心情等に配意しつつ、適宜訪問するなどの対応を行っております。と同時に、捜査に関する情報についても、一般の方々や御家族から提供を受けた情報に基づいて捜査した結果あるいは捜査の進捗状況などを、捜査に支障がないという限りにおいて提供させていただいておるところでございます。

 今先生から、いつどこでどんな形で拉致がされたのかという情報の提供がない、こういうお話がございました。まさにそこのところを私ども捜査として今継続してやっておるというところでございまして、ここの部分で仮に捜査に支障がなければ、当然のことながら御家族の方々にそれを開示しなきゃいかぬ、こういうふうに思っておるわけでございますが、何せこれは捜査上やはり一番肝心な部分ということになるわけでございます。

 ただ、そうは申しましても、今先生の御指摘も踏まえまして、今後とも誠意を持って対応いたしたいというふうに思っております。

金子(善)委員 その点はよろしくお願いしたいと思います。

 それから、その質問主意書に対する答弁書によりまして、あくまでも現状における日朝正常化交渉におきまして、拉致された人の数というのが七件十人だというふうに限定的に回答なさっておられます。

 ところが、この間、ダボス会議におきまして、各新聞社が伝えたのですが、東京都の石原知事があるセッションにおきまして、日本人拉致に関しまして、既に合わせて百五十人の日本人が日本国内だけでなしにヨーロッパとか南米で誘拐されてきて朝鮮にいると言明したという記事が載っているわけでございます。

 ダボス会議と申しますと、森総理もまた我が党の鳩山代表も出席され、また各国の政財界の要人が集まるところで、大変影響力のある会議だというふうに聞いておりますけれども、そこで、これは失礼かもしれませんが、東京都の知事とはいえ、公人の方が百五十人だというようなことを言明された、しかも、これについては、北朝鮮の方からも厳しい反撃の声明が出されているというような状況にございます。

 実は、私は石原発言についてえっと思いましたので、この点について外務省の方に問い合わせをしたところ、余り外務省の方では関心がなかったというような感じを私はお見受けいたしました。余りにも差が大きいわけで、この辺につきまして、外務省として、石原知事に対して内容の確認をなさるつもりがございますかどうか。

 さらに、やはり七件十人というのは、あくまでも警察庁としてかなりの確度で、かなりの確度というのは相当の証拠がある、そういう方だけに絞っているのであって、多少の疑いのある人たちというのは石原知事が言われるようにかなりの数に上る可能性があるのかどうか、その辺だけでもお答えを願いたいと思います。

河野国務大臣 ダボス会議におきます石原都知事の発言は報道によって私も承知をいたしております。しかし、石原都知事がいかなる根拠に基づいてそのようなことを述べられたのかということについては私どもは承知をしておりませんで、捜査当局におきましてこれまでの捜査の結果を総合的かつ慎重に検討した結果、北朝鮮に拉致された疑いのある事案は現在までのところ七件十名と判断しているというふうに私どもは聞いておりまして、この捜査当局の判断というものを我々は重視しているわけでございます。

金子(善)委員 警察庁の答弁をお願いいたします。

金重政府参考人 ただいま警察庁の方で北朝鮮による拉致の疑いがあると判断しておるもの七件十名というふうにこれまで公表しております。それ以外にもあるのではないか、こういう御質問でございます。

 私ども警察といたしまして、この七件十名の事案以外の行方不明事案につきましても関心を持っておりまして、そういう可能性というのは当然あるであろうというふうに思っております。したがいまして、関連情報の収集などに現在も努めているところでございます。

金子(善)委員 時間が参りますので、要望としてさせていただきたいと思いますが、今警察庁の方から明快な答弁がございました。七件十人だけではなくて、そのほかの可能性もある、重大な、大きな発言だったというふうに思います。これは、被害者家族の方によりますと大変なことでございますので、ぜひ外務省におかれましても、今後の交渉の場でそういう趣旨のことを触れながら交渉を進めていただくということを心からお願い申し上げまして、これで私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

野呂田委員長 これにて金子君の質疑は終了いたしました。

 次に、西村眞悟君。

西村委員 西村ですが、本日、五十五分間よろしくお願いいたします。

 総論的な観点から御質問させていただくべく質問を事前に提出させていただいておりますが、現在も進行中の、米原子力潜水艦との我が国高校生が乗船する船の事故に関して、一言防衛庁長官と官房長官に御質問させていただきます。

 この一報を聞きまして、またその後マスコミ報道で私が認識したことは、また我が国に責任の所在が空白である、または責任者が何を考えているかわからないという時間が生まれてしまった、これは梶山先生がおられればすぐわかる言葉なんですが、死節時が生じたなという感じがいたします。

 私は、森総理大臣が十八番ホールまでゴルフをされても、それはそれでいいんです。ただ、森総理大臣が自分の手足をして、いかに死節時をなくして、もって緊急事態に対処するかという、この体制が我が国にあるのかどうかということについて御意見を賜りたいわけでございます。

 システムの問題として、我が国の現在の内閣の状態、また緊急時に対処する防衛庁において、その最高指揮官との連絡体制において死節時が生じることを回避し得ないのではないか、このように一点思うわけでございます。

 具体的な提案でございますが、緊急時に判断して行動しなければならない自衛隊の部隊、この最高指揮官は内閣総理大臣であります。したがって、死節時をなくそうと思えば、この内閣総理大臣と部隊が二十四時間一体の体制をとらねばならない。その体制があるのかないのか。現在はない、ないから死節時が生まれた。では、どうすればいいのか。それは、防衛庁長官、みずからの最高指揮官と二十四時間の一体関係をとらない部隊などはないわけですから、防衛庁から連絡将校を官邸に派遣して、二十四時間体制を形成するということはどうしても必要である。

 また、そうしなければ、ゴルフを途中でやめていつ官邸に入ったのか、官邸に入って何を判断して何を決断したのかという本質的な議論よりも、休みに、当然休みだからどこかへ行きます。そのときに、官邸に入るという形式的な時間差がこれこれあるからけしからぬですよという形式的な議論しか我が国会ではなし得ない。

 したがって、繰り返しますが、官邸と自衛隊部隊との二十四時間一体体制をつくるために、連絡将校をアメリカ大統領のように派遣するということがどうしても必要であると思いますけれども、防衛庁長官、私が自分で考えたことですから、防衛庁長官も責任者としてお答えいただきたい。そして、官房長官、もう記者会見ですから、官房長官もこの点について御意見をいただきたい。

斉藤国務大臣 お答え申し上げます。

 御案内のように、急な事件の発生という状況の中で、政府といたしまして連絡室が早速設置をされました。私ども防衛庁といたしましても、即座に連絡員を派遣いたしまして、逐次密接な連絡がとれる体制をとらせていただいておりますし、また、総理秘書官とは二十四時間常に連絡がとれる体制でございます。

福田国務大臣 今般、原潜がえひめ丸にぶつかるという事故で、九名の方々がまだ発見されていない、こういうことで、その無事をただただお祈りするばかりでございます。

 ただいま委員のおっしゃられましたことは、そういうことも含めまして危機管理をどうするかということなのでありますけれども、今現在、内閣官房に危機管理センターというものを設けておりまして、そこに武官も常駐するというような形でやっております。今回のことも、総理大臣がどこにいる、こういうことはともかくとして、連絡とかそれから判断を仰ぐとかいうような体制というのは、これだけはしっかりできているというように私どもは思っておりますので、どうか御納得いただきたいと思っております。

西村委員 私はそうは思っていないのです。そして国民も、マスコミの関心も、総理大臣が途中でゴルフをやめるのかやめないのか、多分十八ホールまでいけばごうごうたる非難が沸き起こったであろう、こういうことなんですね。

 デフコンディションとよく言われますね。このコンディションならば、これの総理大臣の指令がなくてもここまでは動く、次の段階ではここまでは動く、次の段階を動かすのは総理大臣だ、こういうコンディションに基づいた体制があるのか。平時ではそれは連絡はとれる、二十四時間体制の連絡をとる、これは当たり前のことです。総理大臣に限りません、我々でも自宅には電話があるわけですから。そのレベルではなくて、私は、総理大臣が十八番ホールのゴルフをしてもいい、ゴルフをしてもいいけれども、空白の時間がない、これを国民が知っておるのかということを申し上げている。

 知っている一番目に見える方法は、アメリカ大統領の横にはだれがついておるか。武官が必ずついておる。そして、森総理大臣がもし自分の判断で九番ホールでゴルフをやめて帰るとするならば、それは緊急事態だから帰るのであって、のろのろ車で行くよりも、武官を通じてヘリコプターをゴルフ場に入れて、ヘリコプターに飛び乗って帰るということを見せねばならない。国民は見ておるのです。阪神大震災でも経験で、またかと思っておるわけです、我が国は大丈夫なのかと。

 こういうことですから、形式的な二十四時間連絡体制をとれておるとかというよりも、人と人とが常駐して生の情報が入り、総理大臣が自分の手足としてその場で指令しながら、そこから事態を判断し得るという体制をとらねばならない。

 あのゴルフ場に、決して総理大臣の周りにそういう判断をできる体制があったとは私は考えない。考えないから、総理大臣御自身が言ったかどうかは私は直接聞いていないから知りませんが、記者が入ってきて、ここはプライベートな場ですよという発言が出てくる。もちろんプライベートな場です。しかし、総理大臣がこの事態の一報を受けたときに、プライベートな場ですからという言いわけはできないのです。それが総理大臣の立場なのです。もしプライベートな時間だという言いわけができるのなら、総理大臣なんかにならなければよろしい。総理大臣は二十四時間体制、プライベートな時間はない。

 特に、緊迫した、ああいう衝突事故が起きて、日本の高校生が行方不明だ、捜索をいかにしているのかというふうなアメリカに対する要望をするときに、神戸の地震のように、係長が自衛隊に電話して、知事の要請があったと同じようにしておいてくださいというわけにはいかないのです。向こうは国家の元首じゃありませんか。こちらは総理大臣が出て言わねばならない事態だということだから私は言っておるわけです。

 しからば再度聞きますが、今の状態で全く完璧にパーフェクトであったのか。アメリカ大統領に対して我が国民の人命救助を要請するに、我が国官邸に留守番でいる官房副長官でもない、そのほかの係員でよかったのかということについて私は問題意識を持っておるからこういう質問をさせていただいておるわけです。今の体制でよかったのかどうか、連絡将校を置く必要がないのかどうか、再度防衛庁長官、御答弁いただきたい。

 先ほどは二十四時間体制で連絡できますと、こういう形式的答弁ではだめなのです。ないのですから、連絡将校が。連絡将校がいてない限り、こういう問題が国民の不安を呼びますよと私は質問している。したがって、連絡将校なんか要らぬというのならよろしいよ。いずれか答弁してください。検討するなら検討するというふうな答弁でもよろしいですけれどもね。

斉藤国務大臣 大変貴重な御意見を承りました。先ほど私、官邸の中に連絡室が設置され、それで直ちに私ども連絡員を出したということを御報告申し上げましたけれども、一方、内閣におきましては、情報センターが設置されてございまして、これは二十四時間稼働しているセンターでございます。そこには防衛庁から武官を出しております。

西村委員 だから聞きますけれども、アメリカ大統領に対して我が国民の救助を緊急に要請する、あの数時間以内に、それはできたのかできないのか。総理大臣が、ゴルフ場からできたのかできないのか。

野呂田委員長 どなたに御質問ですか。

西村委員 今、向こうの防衛庁長官を、失礼ながら指さして御質問させていただきましたから、防衛庁長官と官房長官にお答えをいただいて、官房長官、これで御退席いただいて……。

野呂田委員長 それでは、記者会見がありますから、まず官房長官からどうぞ。

福田国務大臣 委員の御指摘は、大変私はかねがねもっともな御主張をされていらっしゃるというように思っております。それを目指して今一生懸命頑張っているというように御理解いただきたいと思います。完璧ではもちろんないのですけれども、完璧になるように刻々と整備をしていく、こういう御理解をいただきたいと思っております。

斉藤国務大臣 集められた情報に関しまして、私どもは直ちに総理へ御報告申し上げ、また、総理の御判断を仰ぐというのを基本にいたしております。

 今回も、事故の発生を一報いただきまして、私はたまたま北海道へ公務で行っておりましたけれども、現場から携帯電話を駆使いたしまして、あらゆるレベルでの情報収集並びに人命救出のお願いをしたところでございます。

 私ども、この日は、内閣情報集約センターを通じまして、また、危機管理担当大臣伊吹先生とも連携をとりながら対応させていただいたところでございまして、防衛庁といたしましては、御案内のように、内部部局、統合幕僚事務局及び海上幕僚監部から、それぞれ国防省、米太平洋軍、在日米軍及び在日米海軍に対しまして、乗船者の捜索救難活動に全力を挙げるよう依頼してきた経緯がございます。そういうわけで、いろいろなレベルでの連携を密にしながらさせていただいているところでございます。

西村委員 防衛庁長官、私は、アメリカ大統領に対して緊急に国民の救助を要請するのは、我が国は総理大臣でなければならない。ゴルフ場から森総理大臣がそれをできる体制があったのか否かということをお聞きしておるのです。

 今官房長官は、頑張っていきますと言われ、頑張っていつするのかはお答えにならなかった。防衛庁長官は、今私が言ったことには答えられていない。電話回線ぐらいあるのはわかっておる。わかっておるけれども、一国の関係で、総理大臣が大統領に、繰り返しになるけれども、あのゴルフ場でそれができたのかできていないのか。できれば、十八番ホールまでしてよろしい。どうですか。

斉藤国務大臣 私、そのゴルフ場の関係についてはよく存じていないわけでございますが、情報には、第一情報、第二情報、第三情報、それぞれ段階を追いまして、また進度も質も変わってきている、そういう基本的な認識がございまして、第一情報についてはここまで、第二情報についてはさらにここまでと、いろいろな段階での対応があるのではないかというふうに思います。

 いずれにしろ、西村委員のいろいろなアドバイスにつきましては参考にさせていただき、改善できるところは精いっぱい改善させていただきたいと思います。

西村委員 それで防衛庁長官、本件事故の一報を受けたときに、いかなる認識が長官の脳裏に浮かんだのかということをお聞きしたい。

 ただ、先ほどから言っていますように、官邸に入るのがおくれたとかそんな問題意識は私は持っていない。官邸に入ろうが入るまいが、この一報を受けたときに何を判断して、それを実行できる体制にあるのかどうかと聞いておるわけです。この意味で、今人命救助の要請に重点を当てて御質問した。

 次は、我が国政治としては、これが下手をすれば、我が国政府の、今死節時があって、我が国は総理大臣がゴルフ場に行っていたとか、こういうことばかりがマスコミで報道される。マスコミ報道には原子力潜水艦は救助しなかったと報道される。潜水艦の構造を無視した立論、これが増幅されていったときに、日米安保の危機のきっかけになり得るという問題認識はなかったのですか。どうですか、防衛庁長官。

斉藤国務大臣 この第一報に接しましたとき、私はたまたま千歳飛行場に舞いおりたときでございまして、ハワイ沖というのは、私の青春、数カ月を費やしたところでございますので、また、パールハーバー、それからCINCPAC等々の土地カンもあった背景の中で、潜水艦というのは大変大きな船だ、また強固な船だという認識がございましたので、これはただごとではないというのが私の第一印象でございました。

 いずれにしろ、詳細なる情報を待たないと的確な判断もできかねるという状況の中で、私の場合は札幌まで移動させていただき、その札幌でいろいろ指示を出させていただいたということでございます。

 いずれにしろ、これは大変なことになるというのが私の第一印象でございました。

西村委員 大変なことになるというのは、我が国国民もみんな認めておる。ただ防衛庁長官としては、それにとどまらず、情報操作というものがあるのですよ。潜水艦というものは、プロペラが海面上に出て回っておるのです。だから、事故の現場から離れねばならない、吸い込んで、浮かんでいる人を吸収して殺してしまうから。そういういろいろなこともあって、日米の情報の中に日米安保を離反させるきっかけとしてのものが出てこないようにしなければならない。

 そして、一番大切なことは、先ほど言ったこと。直ちに総理大臣から我が国民の救助を直接大統領に要請するということ。この体制がなかったら我が国国民は不安で仕方がないし、こんな体制がいまだつくれていない。官房長官の発言なら、頑張りますというレベルでは済まされないんだ。今太平洋の下に我が国の国民、高校生も含む国民がまだ行方不明になっている段階で、頑張りますもくそもありますかいな。今ないんなら、それをつくるとかいう答弁がなぜできないのだ。答弁を求めてもまた繰り返しになって、大分時間がたった。しかし、これは強く要請する。

 そして、日米安保条約が亀裂を生むきっかけにならないように、情報に対する説明も含め、一生懸命救助されている、ただし救助はしない、傍観したという議論も出る。その真偽を確認した上で、傍観したなら傍観したで抗議する。しかし、潜水艦というものの構造から、現場には近づけない、そういうこともあった。日本政府もそれを情報収集してください。

 私のこの潜水艦に関する質問をこれで終わらせていただきますので、長官、どうぞ、御苦労さんでした。

 本題の集中審議に入りますが、本件、横領と汚職、これを私は、この問題単品としてはとらえたくないわけでございます。なぜなら、ここは国会の場で、与野党を問わず、日本国の病状についていかに是正するかを政治家として議論する場であるからでございます。同時代に避けて通れない病状が我が国の社会にあって、政治の世界にあって、そこから浮かび上がってきた病状なら、この全体像を把握して、その発生の根源に我々は議論を集中するということが必要であります。したがって、本日は、総論としての集中審議を私としてはいたしたい。その総論の意味は、ディテールを捨象するという意味ではなくて、ディテールを総合して本件問題を考えてみたいということです。

 さて、我が国の病状の全体像の中にこの問題を位置づけたいと思います。

 例えば、昨年、警察官の懲戒処分を受けた者は五百四十六名。一昨年より百九十名増加。それと並行して犯罪は増加の一途をたどり、犯罪検挙率は反対に減少の一途をたどっている。少年犯罪の異常さは申すまでもないことであります。そして、本年に入って我々が直面したのは、若い母親がみずからの赤子を殺すという事件が続発した。

 それどころか、本年は成人式も各所でできなくなった。やじと怒号でできなくなった。そう思っていると、ちょっと前までその者たちを教えていた日教組の教研集会では、来賓に対するやじと怒号をだれもとめる者がいない。

 大阪府教育委員会の昨年の発表では、高校教員の四百名に問題行動がある。雨の日は学校に行かない。授業中にパチンコに行く。生徒の質問に答えられない。教育委員会が発表しただけでも、高校教員に大阪府だけで四百名。ということは、一つの教室が四十名の高校生から成り立っているとして、毎日一万六千名の生徒に問題行動をする教師が接しているということだ。惨たんたる状態だ。

 さらに言うならば、内閣府が一月発表した世論調査の結果、北朝鮮に関する国民の一番の関心の高さは拉致問題である。しかしながら、外務大臣は所信表明で拉致問題も挙げない。米だけ五十万トン渡す。

 また、ODA四原則というのがある。この四原則をもってすれば、核弾頭ミサイルを開発しつつ軍事大国化を目指し、人権を抑圧する独裁専制国家にODAは出せないんだ。しかしながら、中国に対しては、ODAは既定事実のように我が国は出し続ける。

 こういう中でこの問題を位置づけましたならば、我が国に何が欠けておるのか。文部科学大臣にお聞きすることでございますが、我が国には、国家としてのアイデンティティーを持つ官僚も政治家も青少年もいなくなったのではないか。それを結果せしめたのは戦後教育ではないか。その戦後教育が回避し続けてきたのが、我が国家の形、天皇を中心とする我が国家の形というものにあるとするならば、それを復元するために教育は、政治を復元さす大道は教育にあるわけですから、何をしなければならないのか、こういうふうにお聞きせざるを得ないんです。

 私は今突拍子もないことを言ったように聞かれますけれども、例えばロベルト・ギランという、「アジア特電」というページ数の多い本を書いた、戦前戦後日本に駐在したフランスの特派員、彼がシベリア鉄道で満州に入ってくる。満州に入ってきたら、そこで一挙に、タイムズもワシントン・ポストもニューヨーク・タイムズも手に入った。これは文明に来たんだと思って、東京に来た。そしてしばらくすれば、二・二六事件が起こった。直ちに官庁街に駆けつけた。これはクーデターかと隣におった日本人に聞いた。彼は一言のもとに答えた、天皇の国にクーデターはない。

 それから、戦前戦後を通じて弁護士をしておった正木ひろしという方の言葉も紹介します。彼は、官憲の横暴に対して弁護活動をした有名な弁護士で、首なし事件という映画化された物語の主人公でございますが、彼はこう言った。戦前の方がはるかに国民の権利は守られた、官僚もしっかりしておった、戦後はそれができない。なぜなら戦前は、天皇陛下の赤子におまえは何をしたんだと言えば、官僚の背筋は伸びて、申しわけございません、こういうふうになったんだと。戦後は、そういうことを言えば、おまえはあほかというふうな目で見て、それが魂に入るような官僚は一人もいない、こういうことを言っているのです。

 他の国が、他人が何と言おうともこれが日本だというものを、我々は教えていないのではないか。つまり、具体的に言うならば、教科書。日本人に生まれたことが後ろめたいような教科書をつくって、どうして成人式でしっかりして、責任感を感じ、祖国に対する愛を持って、それに対して使命感に生きようとする青年が生まれますか。日本国に対する愛を教えずして、歴史は悪かったんだと教えて、どうして国家に対する忠誠心を持つ官僚が生まれますか。こういうことになってきているんだ。

 もうかなめは一つ、我が国のアイデンティティーを子供に教えるか。日本に生まれて幸せだ、この国のために、祖父母が同じようにしたように自分もこの国のために働きたい、そういう青少年をつくるための教育に大転換するかどうかと私は思いますが、具体的には教科書を変えるということです。

 子供に犯罪現場を見せつけるような教科書なんかだめだ、それは大学へ行って教えたらよろしい。現代授業でも、交通事故の現場、暴力団の組織、売春宿、これを子供たちに見せてこれが現代社会ですよと教えることはしない。ただし、歴史教育においてはそればかりしている。こういうふうなのを、大臣、大臣の決断で大臣の在任中に変えるかどうかです。いかがですか。

町村国務大臣 大変多岐にわたることを言われたので、どこをお答えしていいのかいささか戸惑っておりますが、教科書の問題につきましては、私がここで、今、日本の教科書がどういう形でつくられるかということをるる御説明をすることは、多分差し控えた方がいいだろうと思います。先生はすべて御承知の上での御質問であります。

 しかし、いずれにしても、日本の教科書というのは、検定の制度があり、一定の幅の中でこの教科書が適切かどうかという判断をしているわけでありまして、こういうことを書きなさいとか、こういうことはだめですということは、明らかにフェアウエーの外、ちょっとゴルフを例えにして恐縮でございますが、明らかに一定の範囲の外へ出たらそれはだめですということを言いますが、その範囲の中であればそれは合格するという仕組みになっていることは、委員御承知のとおりであります。

 しかも、採択の段階で教職員が相当程度これに関与をするという形の中で、一定の方向がかなり明確な教科書が採択をされる。教科書会社は、教科書が売れたらいいので、一定の方向のものを書くそういう執筆者を依頼するというような、ある種の悪循環に陥っていたことは事実だろう、私はこう思っております。

 しかし、いろいろな教科書が今いろいろな方々によって工夫をされているということも聞いておりますから、これからだんだんいい教科書が出てくることを期待しているわけでございます。

 ただ、これは文部大臣の強権によって、文部大臣の権限によってこういう教科書をつくれとかつくるなということはできない仕組みになっていることは、委員御承知のとおりであります。

西村委員 深くはこの問題からそれていきますので余り言いませんが、人事における、組織におけるトップの気持ちというのは非常に重要なものなんですよ。それは、荒廃した中学校に校長が赴任して、その校長の人柄で数日のうちに雰囲気が一変するということは私の友人からよく聞いておりますし、大臣も御承知のとおり、東郷平八郎が連合艦隊司令長官に就任して一週間にして連合艦隊の雰囲気が変わった。人間の組織とはそういうことじゃないですか。機構として、トップの意向がそのまま反映できない仕組みになっておりますというのでは、大臣、これは大臣の職務はもっと重い、私はそう思います。

 したがって、私はここで再度大臣に要請する。本件KSDなり、起こっていることを、政治がそれだけ他人事のように非難はできないんだ。この社会全体の病状の中で起こっているんだ。それを復元するのは教育行政、教育の場が大道の復元場所である。したがって、この情けない政治の現状で一条の光を見つけるために、教育行政に邁進してくださいよ。お願いいたします。

 次に、質問を変えますけれども、これは私はシステムの問題だと思って仕方がない、KSDであれ、外務省の機密費の問題であれ。なぜシステムの問題が起こるのか。私は、行政組織は活性化してほしい。よく民活、民活と言われる。しかし、私は官活をしていただきたい。官の活力、それはどこから生まれるのか。人事のダイナミズムが国の底力を形成するんだ、私はそう思います。人事のダイナミズムというものはどこから生まれるのかといえば、ただ能力と見識に基づいた人事、これがダイナミズムだ。パウエルという方がアメリカの国務長官になった。彼は、部隊勤務とホワイトハウス、そして国防総省の担当を繰り返しながら見識を広め、成長してきたわけです。統合幕僚議長になったときは三十人の将官を飛び越えて彼が抜てきされた。こういうシステムは、行政改革といやしくも言うなら、行政改革の場で生かさねばならないなと思います。

 それから、橋本大臣にお聞きしておるわけですが、このKSDの問題は、一度三権分立の原点に返って、国会のあり方、内閣との関係を考え直さねばならないということを発信しておるんではないかと私は思うんです。

 というのは、大統領制のもとでは国会、行政、司法が分立している、形どおりいけば。しかし、議院内閣制なんですから、国会における多数派が内閣を構成するわけです。こういうふうな形の中で三権分立というのは、司法そして与党と野党なんです。したがって、私はここで質問しておるわけです。私がもし与党の議員なら、ここで質問しない。つまり、与党の議員がみずからが構成する内閣に質問をするという構造の中でこれが起こっている。つまり、質問する方と質問を受けて答弁する方は同じ仲間なんですから、これはマッチポンプといいますか、なれ合い質問になる。よし、この答弁を書くには質問が必要だ、これを質問しろと、質問する。そして、現実にその質問は金で買われた。これは単なる与党の恥辱じゃなくて、国会の恥辱なんです。国会議員が質問を金で売ったわけですから。

 これは橋本大臣にお聞きするのが適当かどうかは迷いましたけれども、行政改革という以上、また元総理であられる達見をもって、国会は与党が与党に質問するというのは自己矛盾なんだ、これは野党が内閣に質問する場である、そして政権交代したらまた逆をするという形の再構成がどうしても国家のために必要ではないか、こう私は思っているわけですね。

 それからもう一つ。我が国の長い歴史の中でも、機密費が国家の運命を救ったことはあります。機密費は必要です。しかし、今行われている低次の答弁では、機密費削減論に抗することはできない。なぜ機密費が必要なのか。情報の収集というのは国家の運命を左右するから、その収集が必要であるから。なぜ情報の収集に金がかかるのか。情報とは、奪うか、金で買うか、交換するしか集まらないから。したがって、いやしくも国家に機密費を設けるならば、国家の情報戦略に基づく機構を新たに検討、整備する必要があるのではないか。今のままでは情報はばらばらだ。

 先ほど私のところに陳情に来てくれたJRグリーンユニオンの労働組合の諸君は、JR東日本の異常な労務政策が改善されるよう政府に特に要望するという要望書を置いていかれた。

 これはどういうことかといえば、警察庁警備局長から、警察活動を通じて、警察としては、JR東日本の最大労組であるJR東労組に対し、極左暴力集団革マル派が相当浸透していると見ていると警察の答弁にあるわけです。こういう情報は総合して収集し、その情報に基づいて国家が運用を全うする、その体制が必要だと思うわけでございます。

 橋本大臣には、三権分立の原点に戻って、国会質疑のあり方が、身内が身内に質問するという茶番劇のようなものは国会ではもうやめた方がいい時期ですよということを質問申し上げるとともに、機密費の問題が出た、このまま国民の疑惑のもとに国家有用の機密費を置いていくわけにはいかない。したがって、この機密費を運用する、国民がそれに信託する情報収集の戦略的機関を設ける時期に来ているという二点をお伺いいたします。

橋本国務大臣 大変広範囲な中から議論を組み立てられたわけでありますけれども、大変残念なことでありますが、国会議員がそのみずからの質問によって金品を得て処罰をされた、国会の歴史を振り返りますと、与野党ともにそうした事件に遭遇をしてまいりました。私は、本当にそういうことがあったことを残念だと思いますし、悲しく思いますけれども、これはまさに犯罪であり、それ以前に、政治家一人一人の心の持ち方の問題であろうと思います。たまたま議員は与党の質問権にこれを重ね合わせられましたが、過去、野党の質問の中でも同じようなことがありましたことは歴史上の事実であります。

 その上で、私は、与党のメンバーであるかないか以前に、国会議員はそれぞれ、みずからの有権者によってその権限をゆだねられた責任を有する、そうした立場にあると思います。その場合に、質問権を行使することが、与党であるということをもって停止されるべきものだとは思いません。そして、百歩譲りまして、議員が言われるように、政府と与党の意見が全く同等であったとした場合に、与党議員がその質問権を行使することによって、改めて与党の考え方、それに対し政府がどういうことで同じ結論に達したかを国民に知っていただく利便はあるものと考えます。しかも、必ずしもすべて意見が一致している場合ばかりでないことは、議員もよく御承知のとおりであります。

 とすれば、私は、私どもも若い議員のときに余り質問のチャンスというものは与えられませんでしたし、与党議員として与党の政務調査会の中でその施策立案に関与してきた立場からすれば、それは遠慮すべきものと思っておりました。しかし、それでも何回か質問に立つチャンスはございました。ですから、私は、与党議員であれば政府に対する質問を遠慮すべきであるという御意見には同意いたしかねるものがございます。

 また、機密費というものについて、情報収集という視点から議員が組み立てられた御意見、すなわち内閣における情報の収集でありますとか集約機能を高める、これが重要な問題であるという御指摘はそのとおりであります。

 そして、現在、行政改革会議の最終報告などを受けまして、平成十年の閣議決定で、我が国または国民の安全に係る国の内外すべての情報のうちで、内閣の重要政策に関するものにつきましては、外交、国防、治安などの関係行政機関が相互に緊密な連絡を行うことにより総合的な把握をするために、内閣に内閣情報会議というものが設置をされております。

 その上で、今の議員の御指摘、受けとめが私もし間違っていたらおわびをいたしますけれども、情報の一元化のような、あるいは情報を集めてどこか一カ所の機能に集約すべきということであるなら、私は、残念でありますが、賛成をいたしかねます。情報は、さまざまな分野から得る必要があります。そして、さまざまなところから得られた情報をどこかで整合する仕組みが必要でありますが、場合によっては、相反する情報の姿のままトップの判断を仰ぐべき必要もあります。これを一元的な機能にして集約をすることが、我が国の情報というものをより高度に利用し得る組織になるかどうかについては疑問がございます。

 行革会議の最中、各国の仕組みなども私ども随分議論をしてみました。議員のお考えのような見解を述べられた方もございました。あるいは、さまざまな政府の出先機関の中から集まりましたものをどこかで集約し、整合するものが必要だという御意見もございました。

 そうしたことから、内閣情報会議というものが設置をされたわけでありますけれども、私は、情報を入手する機構は必ずしも一つに集約すべきではない、むしろ複数の違った立場から集められた情報をいかに組み立てるか、それはむしろトップの責任にかかってくることではないかと思います。

西村委員 この問題についてはもっと議論を深めたいんですが、私としては三権分立の原点から立論したつもりでございます。質問する野党の議員も与党の議員もともにそれを金で売るということは、過去あったことは十分承知しております。三権分立の原点から、議員の質問権というものは与党と野党で同等かといえばそうではない。なぜなら、与党は内閣を構成するからということでございます。

 また、情報について、いずれは国会議員も守秘義務を課したらいい、私はこのように思うわけですね。国会議員に守秘義務がないから、秘密会も開けない。国家の重要な情報、重要な観点に関して秘密会で議論して、そしてその秘密を守るということもできないということですから。

 さて、集中審議で、次に参ります。

 厚生労働大臣にお伺いいたします。

 私が、厚生労働省からレクチャーを受けたときに配付された資料、その中に、KSDに対する指導監督の経緯と題する書面があります。大臣も、私が質問するので、この書面に基づいていろいろ説明を受けたと思います。

 さて、この説明を受けて大臣がいかに判断したかということを聞きます。

 指導監督の経緯、平成五年三月二十五日、立入検査をしておる、事務処理要領を定める等事務処理の一層の適正化を図れ云々という立入検査。次に、翌年、平成六年、古関理事長に口頭指導、理事長のKSDの私物化、信金等による会員募集、労働省幹部へのお歳暮。八、九年という、このいただいた書面では何年かはわかりません。これには、また出てくる、KSD会館の私物化。古関理事長に対する口頭指導ですよ。「補助金の使途の明確化(政治献金についての指摘に対し)」。それで、平成十年に文書を交付して、職員の肥大化の抑制とか言っている。平成十年に口頭指導、豊明会におけるKSDからの補助金の使途の明確化等々が重なって、平成十二年に至っていくわけですが、平成六年に理事長に口頭指導をした、それを認知したいきさつは何か、だれから聞いたのか、みずから察知していたのかというふうな私の質問に対して、職員は答えませんでした。だから、ここでは聞きません。大臣は聞かれたんだろうと思う。聞かれたんだろうと思って、総合してお聞きしますよ。大臣は、この説明を受けてどう判断したんですか。

 一つ、労働省はよく監督指導したな、労働省はパーフェクトだ、こう判断したのか。これは私の分類ですから、違うならば、おっしゃっていただいたらお聞きします。

 それとも、少なくとも、古関理事長の私物化、口頭で指導する。平成六年の時点で今回の不祥事は防げたんだ、これが運命の分かれ道だったなと。このときなぜ、防げたであろうけれども防げなかった、この原因は何だ。そして、そう判断したら聞かれたと思うんです。つまり、前の厚生省のエイズのときですよ。なすべきことをなさずして惹起すべからざる結果を惹起した、だから、なさないけれども、なすべき者はこいつだというふうな原因者を突きとめられたのか。

 もう一つの大臣の判断があると思う。それは、指導は結局形式的だけだったんだと。平成六年のこのおたくから出した文書を見てみたら、労働省幹部へのお歳暮が口頭指導の原因になっておる。したがって、お歳暮どころか古関さんの接待攻勢に労働省はみんなはまったな、もう仕方なかったのだ、雪だるまだと。

 この三つの判断があったと思う。四つ目の判断があるなら教えてください。大臣、政治家としてどう判断されたのか。

坂口国務大臣 ただいま平成五年、六年、そして八年、九年、まあ十年以降もございますが、それらの労働省からKSDに対する指導の内容についての御質問がございました。

 今御指摘になりました中で、五年だけは若干中身が違います。五年の場合にはその業務内容についての指導でございました。しかし、六年から後は、現在とかなり関係をしてきておりまして、そしていわゆる古関前理事長と仲たがいをした人からの忠告というので入ってきているということも事実のようでございます。私も、それは、そのときいなかったわけでございますので、聞いた範囲におきましてはそういうことでございます。そして、六年、八年、九年と口頭での指導を行ってきた。

 今、先生の御指摘は、六年、八年、九年そして十年と、口頭だけでその指導をしてきている、そしてそれがちゃんとなっているのならいいけれども、ならないのになぜ同じ口頭での指導を続けてきたかという御質問ではないか、あるいは……(西村委員「どう判断されたかです」と呼ぶ)

 それで、その理由といたしましては、一つは関連会社をつくって一族をその中に入れているという情報でありますので、これは公益法人として適格でない、だから、ぜひやめさせなければならないというのがその一つの理由であり、それから、KSDが信用金庫と提携をして会員募集を始めたということにつきましても、これもやはり、もしそれが事実でありましたならば、公益法人の活動として適当でないといったような、理由としてはそうしたことがございましたし、先ほど御指摘になりました歳暮の問題もあったというふうに思いますが、これらの問題を二回、三回続けてきて、なおかつその指導が徹底しなかったということがあるわけであります。

 この徹底しなかった理由につきましては、口頭と文書と、そう厳密にその当時はやっていなかったということもございますが、一つは、指導体制が徹底していなかった。当時、六百二十一からあります公益法人を抱えておりながら、いわゆる専任の人というのは一人もいなかった、そういう中で行われてきたというところに最大の問題があったのではないかと私は思っております。

 それで、これではいかぬというので、今回専任の人を約五名つくりまして、そして体制を強化し、こういうことを二度と繰り返さないようにしていこうということに今しているということでございますが、その経過の中におきます口頭における指導が徹底しなかったのは何か。私も、ここは最大の関心を持って、何度も何度も問い直したわけでございます。

 やはり、そこには、先ほど申しましたような、仲たがいをした人からの忠告はあったけれども、そういう人であったがゆえにそのことを余り重要視しなかったということもあったのではないかというふうに思っております。

西村委員 なぜその仲たがいした人からの忠告を軽視したのかという原因も、語るに落ちて、ここに書いてある。労働省幹部へのお歳暮なんですよ。だから、構造は、なすべきことをなさなかったんです。それに尽きると私は思います。

 本日は、総論的な質問ということで、ここでKSDのことは終えさせていただいて、外務大臣、お戻りいただいた限りは、あと数分、機密費の問題、私は機密費と呼びますので、よろしくお願いいたします。

 機密費はそもそも何のために使われているかという観点については、後でお聞きしなければなりません。

 使われ方が余りにもみみっちい。旅館の宿泊費の差額。国民は、これでは許しません。だから、その差額を必要としない事態になれば機密費を減額せよというふうな論理に対しては、政府の今までの説明では抗し切れない。私は、機密費が重要だと思うから、もう少し機密費というものの、こういう使い方があるということと、今の外務大臣初め外務省にその機密費を扱う資格があるのか否かということについての認識をお尋ねする。

 さて、機密費は、本来、危険が伴う任務について、体を張って使うものであります。そうでしょう。明石元二郎の、満州の原野で戦闘する数個師団に匹敵する働きができた、レーニンに武器を購入して渡すことができた、これは機密費です。戦艦三笠を購入した。金がなかった。西郷従道海軍大臣は、これは公金を流用しよう、そして三笠を買うんだ、許してくれなければおれたちは二重橋の前で腹を切ろう。こういうことですな、大時代的なことを言いますけれども。機密費というのは、こういう使い方をするから国民が許すんです。

 では、外務省にそういう使い方をする資格があるか。ない。なぜか。外務省は、軍事を軽視している。軍事を軽視している外務省に、体を張って機密費を使う資格はない。

 例えば、軍事とは何か。国民の安全を守ることだ。なぜ大臣は拉致された日本人のことを所信表明で言わなかったのか。今、太平洋のハワイ沖で沈んだ方の人命救助、これは最大の関心事。それ以上に関心事なのは、拉致された日本人。外務大臣の所管じゃないか。こういうことを軽視して、核弾頭ミサイルを持つ中国にODAを漫然と出している外務省及び外務大臣に機密費を扱う資格はないんだということを私は申し上げて、時間が参りました。お答えいただけますか。

河野国務大臣 大変、いつもいつも西村議員の熱弁でございますけれども、きょうの御議論は、私は、そうですかとお伺いするわけにはまいりません。

 私は、つまり軍事費、軍事力あるいは軍の力をもって日本の国を守るために機密費が必要だ、そういうふうに伺いましたけれども、私は逆でございまして、軍をして国を守るのではない、軍事力をして、軍事力をもって国を守るのではない、軍を使うことによって国を守るということだけではない。やはり、情報を集め、いかに我が国が平和で安定した国際社会の中に位置するかということのために機密費が、報償費が必要なのだということを私は申し上げたい。恐らく議員とは結果においてそう違わないのだろうとは思いますけれども、私はそういうふうに申し上げたいのでございます。

西村委員 ありがとうございます。

野呂田委員長 これにて西村君の質疑は終了いたしました。

 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 宇和島水産高校の実習船がハワイ・オアフ島沖で、急浮上してきた米攻撃型原子力潜水艦と衝突して、沈没をした。依然として九名が行方不明であります。当面の最大の課題は、その捜索と救助に全力を挙げるということだと思うのです。

 今度の事故は、一般の船が米軍軍事用の原潜と衝突したという大事故でありまして、したがって、日本だけではなくて、どこの国でもこういうことが起こり得るという問題でございます。徹底的に原因を究明して、二度とこのような事故を起こさないというようにしなければならないと思うわけであります。

 今回の事故は米原潜が急浮上したために起こったわけで、そのために実習船の生徒が海に投げ出される。なぜ原潜が急浮上したのか、直ちにアメリカに対してその詳細を公表するように求めるべきであります。

 そこで、午前中の議論で、総理の対応が問題になりました。第一報は十時十五分に海上保安庁から内閣情報集中管理センターに入った。その内容は、簡単に言うと、衝突して沈没したという事実と、ヘリが上空にいて十四名を確認したということ、それから九時五十分、米軍とコーストガードが入ろうとしている、こういうことだということでございました。

 問題は、その内容がどのように総理に伝えられたのかという点でございます。この点が重要でありますけれども、総理に秘書官からどのように伝えられたのか。十四名が確認されたということが情報として入ったというわけですけれども、三十五人いたわけですから、あとの二十一人というのはどのような状態だと総理に伝えられたのか、この点をお伺いしたいと思います。

福田国務大臣 十時十五分に海上保安庁から官邸にあります危機管理センターに入った情報、これが総理に最初に伝えられたというように思います。

 その内容は、宇和島水産の練習船えひめ丸がオアフ島の南十マイルで米原潜グリーンビルと衝突、沈没、現在コーストガードが十四名を確認、こういう情報であります。

佐々木(憲)委員 ということは、二十一人については伝えられなかった、どのような状況かということについては説明を総理にはされなかった、こういうことですか。

福田国務大臣 その後、十時四十三分に、二十五名が救助された模様という追電が入っております。

佐々木(憲)委員 第一報の点についてお伺いしているわけでありますが、第一報が総理に連絡が入ったとき、二十一名については一切説明がなかった、こういうことでよろしいんですね。

福田国務大臣 この時間帯でいきますと、十時十五分の情報が第一報として総理に伝わっているのではないか、こう思っております。

佐々木(憲)委員 つまり、総理に対しての情報伝達が、十四名というのが確認されたというだけであって、それ以外の方々がどのような状況になっているかということについては報告がされていなかった、このことは確認できるわけですか。そういうことですか。

福田国務大臣 今私が持っております、手元にあります資料によりますとそういうことでございます。それ以外、私はなかったんじゃないかと思います。

佐々木(憲)委員 私は、総理に対する伝達の内容の問題というのは一つあると思うんですね。つまり、三十五名が乗っているということは、これはもう事前の事実関係でわかるはずですから、したがって、十四名が確認されたというわけでありますから、そのほかの方々がどういう状況なのか、つまり、助けられつつあるのか、あるいは依然として行方不明で生死の大変危険な状況にあるということなのか、その点が伝わっていなければ、これは総理の対応にもいろいろな変化が起こるといいますか、伝わっていなければ、ああ大丈夫なんだな、こういうことになるんじゃありませんか。

福田国務大臣 ただいま私は、十時四十三分の情報は入ってないというふうに申し上げましたけれども、時間的に言うとそれは入っていたというように、今ちょっと調べてわかりました。そうしますと、二十五名が救助された模様、この情報まで入っているんではないか、こう思います。

 十時五十分に総理に第一報が入りました、それは、今申しました十時四十三分の情報まで入っている、こういうふうに訂正させていただきます。

佐々木(憲)委員 そうしますと、二十五名というのは伝わったけれども、それ以外の状況は伝わらなかったということであります。そういうことですね。

福田国務大臣 まさにおっしゃるとおり、二十五名まで救助された、までというように言うべきか、二十五名救助された、こういう情報でございます。

 その情報に基づきまして、総理から、人命救助と情報収集に最大限の米国側の協力を要請せよという指示を出しております。

佐々木(憲)委員 それでは次に、二月十日の外務省の発表文を見ますと、米沿岸警備隊及び米海軍は全力を尽くして救助活動を行っている、こういうアメリカ側の伝達が伝えられているわけでありますが、アメリカ軍は全力を尽くしている、こういうふうに外務省は伝達を受けて、それを公表した。しかし、問題は、この事故が起こった直後にどのような対応がとられたかという点であります。

 実際には、事故が起こってから沿岸警備隊が、あるいは米海軍が派遣される、それまでの間約一時間、一時間が経過しているわけであります。したがって、問題は、この一時間の間に、事故を起こした潜水艦がまともな救助活動をやっていたのかどうかという問題であります。

 えひめ丸の船長はこのように言っております。潜水艦はしばらく通り過ぎたように見えたが、その後反転して近くで漂泊しているようだった、司令塔には数人の人が見え、そして司令塔から縄ばしごをおろしていた、でも、潜水艦に救助された乗組員はいない、ゴムボートか何かおろしてくれるかなと思ったが、ただ監視しているような感じだった。これは、現場にいた船長の正直な実感であり、また実態だったと思います。

 河野外務大臣にお伺いしますけれども、米原潜は、えひめ丸の乗組員を救助せずに、そのまま放置していたのではないか、こういういろいろな疑問も指摘されているわけであります。このことについて、事実を確認して、アメリカに抗議すべき点があれば厳重に抗議する、こういうことをやるのは当然ではありませんか。いかがですか。

河野国務大臣 原子力潜水艦グリーンビルの衝突後の動きにつきましては、ファーゴ・アメリカ太平洋艦隊司令官より桜田外務政務官、これは今現地におりますけれども、政務官に対する説明がございました。その説明によりますと、グリーンビルは、事故発生直後から捜索救助活動に当たった。グリーンビルは、事故発生後、直ちに沿岸警備隊に通報するとともに、えひめ丸の救命いかだを視認し、沿岸警備隊と連携しつつ、捜索活動に従事した。ただし、そのとき洋上には三から六フィートくらいの波があって、また潜水艦の湾曲構造もあり、潜水艦で救命いかだにいた乗員を直接収容するよりも、現場に急行した沿岸警備隊の船で乗員を収容する方が安全であるとの判断があったという報告を聞いております。

佐々木(憲)委員 今のは、アメリカのグリーンビルの話であります。その紹介だけでございます。つまり、捜索をし、救助活動に当たったと言われていますけれども、実態はそうはなっていなかったと船長が記者会見でおっしゃっているわけであります。

 えひめ丸の船長は、波が高いというようなことはなかったと。つまり、三から六フィートというけれども、まあ一、二メートルの波、そういう波が高いというようなことはなかった、いかだに乗っていても波で落ち込むこともなく、潜水艦にも波は打ち上げていなかった、潜水艦はゴムボートも積んでいないのかなと思った、こう証言をしております。つまり、太平洋艦隊の言い分と船長の認識というのは大変大きな食い違いがあると思います。この一時間の間に、潜水艦の方は一人も救助していない。連絡はしただろう、しかし救助の活動はしていない。

 外務大臣にお聞きしますけれども、この実態は実際どうだったのか。原因の徹底究明と再発防止のためには、この実態についてアメリカ政府に、すべての情報を公開して、その責任を明らかにするように求めるべきだと思いますけれども、この点はいかがですか。

河野国務大臣 当然、原因究明は、我々としては求めなければならないと思っておりますし、既に原因をきちっと究明してもらいたいということは先方に言っております。

 あの時点では、そのこともさることながら、とにかく人命救助に全力を挙げてほしいということが、まず私の米側に対する要請でございました。それが第一だ、そして、それと同時に、原因の究明をきちっとやってほしいということを言ったわけでございます。

佐々木(憲)委員 人命救助に全力を挙げてほしい、そういう気持ちはわかりますが、現実に衝突をして船を沈めた潜水艦の側が救助をしなかった。現実にそういう活動をしなかった、これが現実の実態だ。これはもう間違いのない実態だと思うのです、船長が言っているわけですから。救助されましたか。されませんね。したがって、そういう状況にあるわけですから、これはきちっと抗議をして、事実はどうだったんだ、こういうことを言うべきじゃありませんか。いかがですか。

河野国務大臣 確かに、えひめ丸の船長は、救助活動がなかったということを言っております。しかし一方で、グリーンビルの艦長を初め、グリーンビルサイドといいますかグリーンビルの関係者は、事故発生直後から捜索救助活動に当たったと述べているわけで、ここはそれぞれの見方だというふうに思わなければなりません。それはやがて明らかになってくるというふうに私は思います。

佐々木(憲)委員 河野外務大臣の態度は、一体どこの国の外務大臣なのかと思わざるを得ないですよ。つまり、日本の船が米原潜によって沈められた、原因は米原潜にある、まず抗議すべきだ。しかも、その米原潜が一人も救助しなかった。救助の手だてはいろいろあるはずだ、こう指摘されている。ゴムボートですとか、ブイですとか、いろいろなものを出すべきだという意見もある。ところが、あなたは、アメリカがこう言っている、アメリカがこう言っておりますと。実態を究明し、アメリカに対してきちっと抗議をするというのは当たり前じゃないですか。なぜそういうことをやらないのですか。

河野国務大臣 それはどうも、私のとった行動、発言をもう少しはっきりと受けとめてからおっしゃっていただきたい。

 私は日本の外務大臣として、日本の国民の生命財産、こういったものにだれよりも強い関心を持っております。したがって、ファーゴ太平洋艦隊司令官にも直接電話をしたときに、相当に私としては強い口調で私は人命救助について要請をいたしました。

 今繰り返して申し上げましたが、原因究明も重要です、原因究明もやらなければならぬということも言いました。しかし、何よりもあの場面で大事なことは、全員を救助することが何より大事だということでありますから、私は、あいつが悪い、こいつが悪いという議論ではなくて、とにかく、あそこにはアメリカの艦船があって、アメリカの基地があって、アメリカにたくさんの機材、つまりヘリコプターもあれば飛行機もあれば艦船もあるわけですから、そうしたものを全部使ってでも救助してもらいたいということを私としては言ったことが、何が日本の外務大臣らしくないとおっしゃるんですか。今の話は取り消してもらいたい。

佐々木(憲)委員 取り消す必要は一切ありません。何を言っているんですか。失礼じゃないですか、そういう言い方をするのは。

 あなたが言っているのは、アメリカ側はこう言っている、その紹介をしている。日本政府として、日本の国民の命を預かっている、そういう立場で、アメリカがどんな行動をしたのか、きちっと実態を明確にし、抗議すべきは抗議する。当たり前じゃないですか。そういうことをやるというのが日本の外務大臣の責任じゃありませんか。

河野国務大臣 私は、アメリカにきちんと言い、アメリカがそれを受けてきちんと作業をしているということを国会に報告しているのであって、それが何が悪いんですか。

佐々木(憲)委員 国会にアメリカの言い分をただただ伝えるというだけが外務大臣の仕事じゃない。そこははっきり言っておきたい。

 では、時間もありますので、次にKSDの問題についてお聞きをしたいと思います。

 KSDの問題は、国民の政治に対する不信、自民党政治に対する不信を非常に大きく広げました。日本共産党の志位委員長の質問で、KSDの党費の肩がわり、これで小山氏や村上氏が議員バッジをもらい、自民党はそのお金を吸い上げ、丸ごと汚染されていたということが明らかになりました。しかも、その原資は、中小企業の汗の結晶である共済掛金だった。このことに大きな怒りが寄せられております。

 では、KSDへの見返りはどのように行われたのか。これも自民党ぐるみだったんじゃないか。自民党がつくっているKSD関連の議員連盟、いろいろある。村上正邦参議院議員が会長をしていた豊明議連とKGS議連、また、額賀衆議院議員が会長をしていた国会議員の会などもあります。ダブりを除きまして二百二十二人が参加しているというのが豊政連新報に載っております。昨年六月の豊政連新報には、二百二十五人の名前が載っている。その先頭に村上参議院議員が立っていたということは明らかでございます。

 ここで、資料を配付していただきたいのですが、KSDは、今資料を配付いたしますけれども、関連合同部長会議という会議を一九九二年一月十日、KSDビルの八階で開いております。出席者は、逮捕されたKSDの古関理事長を初め赤松専務理事、小山理事などでありますし、また、豊政連から、逮捕された中村総長までが出席をしております。KSDの福利厚生部、各支局長が出席をしております。

 その内容を見ると、大変驚くべきものであります。この中には、最初に古関理事長が、村上正邦先生の署名運動について話したい。村上先生は、IMM、これはアイム・ジャパンのことでありますが、アイムの設立に大きな助力をいただいた。前回の比例区の選挙では名簿では六番であったが、今回の七月の選挙では三番目に上げたい。KSDで自民党の党員数二十万を確保する。そうなれば自民党の幹事長が最敬礼する、こう言っておるわけですね。この前哨戦が村上先生の署名運動である、こう述べて、百万人署名実現のためにどこにどう割り当てるかということを相談し、実際に実行したわけであります。

 総務省の選挙部長にお聞きしますけれども、九二年の参議院選挙で、村上議員は何位で当選をされましたか。自民党の党の順位であります。

大竹政府参考人 一九九二年、平成四年の参議院比例代表選挙におきますところの村上正邦議員の名簿順位は、自由民主党の第三位でございます。

佐々木(憲)委員 つまり、ここの会議で言われていたことがそのまま実現しているということになるのじゃありませんか。村上議員は、九二年にも九八年にも、KSD丸抱えで当選をしております。ちょうどその中間の九五年の選挙は、小山議員もKSD丸抱えでありました。

 九八年に使った署名用紙が、もう一つの資料でございます。ここに古関忠男氏の名前も出ております。ここで、こういうことを言っているのですね。村上先生は、中小企業経営問題議員連盟、豊明議連をつくって我々のために頑張っていただいていますと推薦文を書いております。下の方を見ますと「この署名簿は、自由民主党総裁に提出され、村上正邦議員の比例代表選挙において重要な資料となります。」こう書かれているわけであります。

 総務省にお聞きしますけれども、九六年に閣議決定された公益法人の設立許可及び指導監督基準、あるいは七二年の「公益法人監督事務連絡協議会申し合せ事項」、ここには、特定個人を支援するということは公益法人として適当でないと規定されていると思いますが、いかがですか。

衞藤政府参考人 今先生御指摘の指導監督基準でございますが、御指摘の箇所の特定個人とは特定の自然人の意味でございまして、したがいまして、ここでは団体は含まれないと解しているところでございます。

 ここでの規定は、後援会等は、通常、特定個人の精神的、経済的支援を目的とするものでございまして、公益法人としては適当でない旨例示したものでございます。

佐々木(憲)委員 そうしますと、こういう個人に対する公益法人KSDの支援というのは非常に問題があると思うわけですけれども、坂口厚生労働大臣にお伺いをいたします。

 KSDのこういうやり方というのは、公益法人の性格から見まして明らかに逸脱しているのではないかと思いますが、所管大臣としての見解をお伺いしたいと思います。

坂口国務大臣 現在から逆算をしてその当時のことを見れば、それは問題なしとしないというふうに思うわけですが、当時としては、やはりそういう状況であったかどうかということが完全に把握をされていなかったのではないかというふうに思います。

佐々木(憲)委員 またこれ、はっきりしない答弁であります。

 逆算をしてと言いますが、この会議が行われたのは九二年ですね。資料を提出いたしました。既にその時点では、一九七二年に公益法人監督事務連絡協議会の申し合わせ事項というのがあって、公益法人のあり方について規定がされている。その中で、後援会等特定個人の精神的、経済的支援を目的とするものは公益法人としては適当でない、こういうことが既に決まっていたわけでありますから、これは、逆算じゃなくて、普通に考えても、その流れからいうと逸脱しているということになるんじゃありませんか。

坂口国務大臣 私が逆算をしてと言うのは、そういうふうなことが行われていたということがわかっていなかった。お手元にいただいて、そういうことが当時行われたということを今拝見しておりますけれども、当時としてはそういうことがわかっていなかったということを言っているわけで、今からその当時を振り返ってみれば、それは問題なしとしないということを申し上げたわけです。

佐々木(憲)委員 問題なしとしないということでございます。(発言する者あり)問題ありですよね、問題なしとしないということは。当たり前のことであります。

 次に、注目したいのは、この議事録の中に「恩返し」ということが書かれていることであります。一体何の恩返しか。「村上先生は、IMMの設立に大きな御助力を頂いた。」つまり、アイム・ジャパンという公益法人の設立に大きな御助力をいただいた。「恩返しの意味もある。」と。「村上先生は豊明議連の幹事長であり、IMMの設立を三ケ月で労働省を捩じ伏せた。これは我々の力ではなく村上先生の力である。」こう書いてあるんですね。

 経過を振り返ってみますと、こうなんです。九一年五月十四日に、豊政連が外国人研修生受け入れ構想を実現するために総決起大会を開催いたしました。その後、村上参議院議員が同行して法務、外務、労働、通産の各省を訪問し、各大臣に陳情書と署名簿を提出しております。八月には、KSDがアイム・ジャパンの設立に向けて労働省との協議を開始いたしました。その八月からちょうど三カ月後の十一月、労働省はアイム・ジャパンの設立申請を受理し、一週間後に許可をしております。まさに三カ月でこういう事態が達成されている。アイムの設立を三カ月で労働省をねじ伏せたというのは、そのとおりではありませんか。

 厚生労働省にお聞きしたいんですけれども、この間、村上氏からどのような要請を受けたか、その内容を具体的に示していただきたい。

酒井政府参考人 お答えを申し上げます。

 アイム・ジャパンの設立の過程におきましては、ただいま先生も言及をされましたけれども、正式の許可申請から許可までは、一見、期間が短うございますけれども、その前の数カ月間にわたりまして私どもじっくり内容を検討しておったところでございまして、村上先生からの働きかけということでございますけれども、当時の労働省関係者への聞き取りも行っているところでございますが、特段承知していないということでございました。

佐々木(憲)委員 承知していないというのは調査不十分ですね。

 アイムを公益法人として認可してもらいたいというKSDの請託を受けた村上氏は、労働省をねじ伏せた。その見返りにKSDが百万人署名などで村上氏の自民党の比例順位を上げたというのが事実関係であります。それだけじゃありません。KSD豊明会は、この九二年に架空党員二万二千百三十八人をつくり、党費八千八百五十五万二千円を立てかえております。

 逮捕された小山氏は、請託を受けて質問をし、わいろを受け取ったわけであります。村上氏がやったことも全く同じ構造でございます。村上氏はこれと同じことをいろいろな形で繰り返しておりますが、ものつくり大学でも、同じようにKSDから請託を受けて労働省に働きかけております。その見返りをもらっている。

 そういう点で、次に、このものつくり大学についてお伺いをしたいと思います。

 まず、文部科学省にお伺いしますが、私立大学に対する補助金交付の原則についてお伺いをしたいと思います。

 文部科学省では、開校前の私立大学の設備整備費に対して補助金は出せないことになっておると思いますが、事実でしょうか。

町村国務大臣 お答えをいたします。

 文部科学省では、私立大学に対しまして、その教育研究条件の維持向上や学生に係る修学上の経済的負担の軽減を図るために、私立学校振興助成法に基づきまして、経常費や施設設備の整備費を補助しております。その際、同法第六条におきまして、設置後、完成年度、例えば四年制大学であれば四年間を超えていない私立大学には、経常費補助金を交付しないことができる旨規定をされております。

 それはなぜかといいますと、文部科学省は大学の設置認可を行う、そういう官庁でございますから、設置認可前の私立大学には補助を行っていない、文部省はそういうポリシーでやってきているわけであります。

佐々木(憲)委員 ところが、このものつくり大学については、開校前の施設整備費に対して補助金が出ているわけであります、労働省からでありますが。文部省に行けば、開校前の私立大学の施設整備費は出せませんと言われる。しかし、労働省に行きますと、それは出しましょう、こうなる。なぜこうなるんですか。

町村国務大臣 先に一般論でお答えをしておきますけれども、これは、大学等の設置の趣旨が特定の政策目的に沿ったものであれば、国やあるいは地方公共団体が大学等の設置のために助成を行う、この点は全く問題がないわけでありまして、既に自治医科大学等の前例もございます。

佐々木(憲)委員 同じ政府なのに、開校前の私立大学の施設整備費を、一方では出しましょう、一方では出せません、大体、こういう矛盾が起こるのはおかしいんじゃありませんか。

 この間の答弁を聞いていますと、今もそうですが、過去に二つの大学、産業医科大学と自治医科大学の例があると言いました。しかし、産業医科大学も自治医科大学も、民間の資金は一円も入っておりません。産業医科大学は、土地を北九州市が提供し、上物はすべて国が出しております。自治医科大学は、都道府県が計画し、資金は国と都道府県が出しております。いずれも実質的には準国公立大学と言えるものであります。どちらも民間資金は一円も入っておりません。

 改めてお聞きしますけれども、それでは、民間資金が入った大学の開校前の施設整備費に国の補助金を出した例はありますか。

町村国務大臣 国の金ではなくて、自治体が土地を提供したりお金を出したりして、民間のお金と一緒になって私立大学をつくった例はたくさんあります。

佐々木(憲)委員 例えばどういう大学でしょうか。

町村国務大臣 十三年度だけでも、例えば東北公益文科大学、これは山形県あるいは酒田市、鶴岡市ほか十二市町村、新潟医療福祉大学、これは新潟県及び新潟市、鳥取環境大学、これは鳥取県及び鳥取市などなど、幾つも例はございます。

佐々木(憲)委員 もう一度確認しますが、民間資金が入った私立大学に、開校前の施設整備費に出した補助金のことを今おっしゃったのですか。

町村国務大臣 民間寄附金を大学設置の財源としている大学で、さらに協力する地方公共団体があるのが、今言った新潟医療福祉大学とか、そのほか、例えば日本赤十字九州国際看護大学、これは福岡県と宗像市、長岡大学、これも新潟県と長岡市。

 こういう形で、民間寄附金を大学設置の財源として、さらにそれに地方自治体が協力をする。これは、今のはもちろん、平成十三年度開学の私立大学だけですよ。だから、十二年もたくさんあるわけです。そういう例はいっぱいあるわけであります。

佐々木(憲)委員 これまで、私立大学の開校前の施設整備費に国の補助金を出した例というのは二つしかないとおっしゃったのですね。自治医科大学と産業医科大学。その二つというのは、結局、私立、つまり民間の資金は入っていなかったわけであります。

 そうしますと、今まで説明したことは、この二つの大学以外にたくさんあった、二つの大学しかなかったという説明は間違っていた、こういうことですか。

町村国務大臣 ですから、よく聞いてくださいよ。自治体がと私は申し上げました。自治体が協力したのは、今これだけありました。国が出したのは、二校だけです。

佐々木(憲)委員 だから、そこを聞いているわけですよ。国が補助金を出している大学ですよ。私立大学の開校前の施設整備費に出したのは、二つしかない。その二つは、民間の資金は入っていないじゃありませんか。だから言っているんですよ。あなた、何かごまかして、いっぱいある、いっぱいあると、そんなことないんです。

 だから、民間資金が入った大学では、ものつくり大学というのは、開校前に国の補助金を受けた初めての例なんですよ。これは異例なんです。それはお認めになりますね。

町村国務大臣 ですから、国が設置前に出したのは二校ある、しかし国及び自治体が協力したケースでいうと、自治体はたくさんある、こう区別して私は答弁をしておるので、よく聞いていただきたい。

佐々木(憲)委員 そんなでたらめな答弁をしてごまかそうしてもだめなんで、私が聞いていることに正確に答えてくださいよ。私が聞いていることと全然違うことを答えているんじゃありませんか。だめですよ、そんなのは。

 つまり、私立大学の開校前の施設整備費に国の補助金を出す、二つしかない、民間資金が入った大学に出したことは今まで一度もない、これが事実ですね。初めてそれをやったのが、ものつくり大学なんですよ。だから異例なんですよ。

 だから、九六年六月十八日にKGS議連が設立されて、会長に就任した村上氏は、その実現のために奔走をするんです。労働、通産、建設など各省庁との協議などを行っていくとあいさつをして、実際にやったわけです。

 七月二十三日には、滋賀県八日市市でのものつくり大学大学研修施設開設式典に出席をしまして、この施設は大学建設のテンポを速める施設、KGS側の強いアピールにこたえていきたい、こういうあいさつをした。九六年十一月になりますと、KGS議連が関係六省庁を呼んで会合を開き、大学設置の協力を要請している。今までにないことをやろうとするから、そういうことを何度も何度もやるわけですよ。

 それで、村上議員は、九七年二月の豊政連新報でも、各省庁との協議を行っていきたい、こう宣言をして、あけすけにその立場を表明しているわけであります。

 ですから、こういうことで、今までやったことのないことを初めて実行するために、どんなにいろいろな形で圧力をかけたか、またKSDからいろいろな要請を受けてきたか。そのことが、小山さんなどのような逮捕者を生むような事態をつくったわけです。

 それで、結果的にどうだったか。その結果、四億九千万円の概算要求が出される。十二月の九八年度予算案では、ものつくり大学のために四億七千五百万円が初めて盛り込まれる。全くこれは異例な状況であります。

 村上議員の疑惑はこれだけではないのです。二〇〇〇年度概算要求のかさ上げ問題というのもございます。

 九九年八月の概算要求では、ものつくり大学については五十億八千万円でありました。ところが、その要求が変更されまして、二十億五千万円が追加されました。結果として、七十一億三千万円の予算決定となったわけでございます。その原因は、直接的には、九九年十一月二十九日にKGS財団、大学設立準備財団が主催して行われた都内のホテルでの朝食会で、労働省に対し大学予算の増額を要求した、これが原因であります。そこには、労働省から伊藤事務次官が出席をしております。ここに、村上議員を初め、亀井自民党政調会長、小山前参議院議員、藤井孝男元運輸大臣も出席しております。

 労働省にお聞きしますけれども、概算要求、最初の五十億八千万円、これを改定して増額要求をした。その原因となったのは、この十一月二十九日の会合で要請された、このことがその原因だったのじゃありませんか。いかがでしょうか。

坂口国務大臣 一方的に決めつけてお話をお進めになりますが、KSD関連のこの問題は、いわゆるものつくり大学の問題は、一九九〇年ぐらいから話はスタートしているわけであります。

 この前、私はここでも答弁をさせていただきましたが、いわゆるSSFというフォーラムができ上がりまして、そこがこのスタートをさせたわけであります。そしてSSFとKSDとが一緒になりまして、五〇、五〇の資金を出して現在のKGSをつくった、こういう経緯になっておるわけですね。そして、そこが準備財団になりまして、今日を迎えてきている。

 そういう経過の中で、自民党から、議員連盟からのいろいろの話があったということでありますが、このいわゆるものつくり大学というのは、これはもう自民党の党としての政策になっていた、私はそう理解をいたしております。だから、党としての政策になっております以上、それは政調会長等からこれは党としての意見だという御意見が出るのは当然の話だというふうに思っております。

佐々木(憲)委員 だから、自民党丸ごとやっていたということになるわけですね。

 概算要求を最初五十億でやっていたわけです、労働省としては。それでよろしいということで概算要求していたわけであります。しかし、その過程で、十一月二十九日に、それを変更して上乗せしてほしいという圧力がかかった。現にそれが実行されております。

 したがって、私が聞いているのは、そんな一般論ではなくて、この時点で要求された結果、二十億が上積みされたのですね、このことを聞いているわけです。

坂口国務大臣 それは、そのときに御要請があったということが大きく影響していることは事実だというふうに思います。

佐々木(憲)委員 つまり、十一月二十九日の以前の段階では、労働省として増額変更の計画は実態的にはなかった、しかし、十一月二十九日にそういうことをやってほしいということを頼まれて初めて増額の改要求、つまり概算要求の上積み、これをその後実施したということが明らかになりました。

坂口国務大臣 その前に、民間から集めるというふうに言っておりましたのが、これがその当時も非常に、経済的な問題もありまして、なかなか集まらなかった。そのことがあって、それのかわりをどこがするかということになって、とにかく国の方からここは何とかしてほしいという話になってきたということでございます。そこのところを御理解いただきたいと思います。

佐々木(憲)委員 ですから、労働省としては九月の段階で民間の資金が集まらないというのを認識した。しかし、それ以後、増額の要求をするということは、十一月二十九日のこの会合以前にはやっていないわけです。

 では、労働省としていつ大蔵省に対して改要求をしたのですか。

酒井政府参考人 大臣の方からの御説明のとおりなんでございますが、十一月の会合の以前から、実は概算要求後に、関係の国際技能振興財団、これが大学づくりを支えている財団でございますが、その大学づくりをやっている団体から、もっと魅力のある大学にしてほしいという要望がふだんから出ておりました。十一月の半ばに文書でもって私どもにもその要求、要望が出されておりました。

 そういう中で、ただいまのお話、朝食会等がありまして、亀井先生の話は、もちろん、大臣申し上げましたように、一定の重みがあるわけでございますが、それらを踏まえて、私どもといたしまして、必要性ありという労働省としての判断をいたしまして、十二月の上旬に大蔵省に対して話をし始めたということでございます。

佐々木(憲)委員 十二月の上旬というのは、十二月七日ですね、大蔵省に口頭で申し入れ。そして、文書で申し入れたのは二十二日ですね。

酒井政府参考人 そういうことでございます。

佐々木(憲)委員 最初からそういうふうに答えなさいよ。

 十一月二十九日の会合直後に、要請にこたえて、それで、ものつくり大学には二十億上積みをした、こういうことが明らかになりました。

 その当時は失業者が、今でもそうですけれども、大変な数でふえていたわけであります。労働省予算では、雇用保険の改悪がねらわれておりました。職業訓練校の予算をその結果削減するという事態まで生まれたわけであります。ものつくり大学の予算増額のためにこういう形でいろいろなしわ寄せを受けるというのは、私は絶対に許せないと思うわけであります。

 村上氏は、ものつくり大学の実現を要請する中で、九八年の参議院選での党費立てかえ、やみ献金などが指摘されております。既に小山氏はアイムとものつくり大学をめぐる受託収賄で逮捕されております。小山氏の場合とどう違うか。ほとんど違わないですよ、村上氏がやったことは。

 これまで指摘してきたような請託を受けて、そのために質問もしたり、あるいはいろいろな要請をして、そしてKSDからさまざまな形で見返りを受けております。これは、党費立てかえはもちろん、あるいは秘書の給与の立てかえ、その他パーティー券の購入、村上氏の著書の購入、わかっただけでも数億あるいは十億、こういう単位の金を受け取っている。そういう問題について、当然、この村上氏の一連の行動というのは受託収賄に当たる、そういう可能性があるというふうに思います。この点について、法務省としての見解をお伺いしたいと思います。

古田政府参考人 ただいまのお尋ねは、ある場面を想定しての犯罪の成否をお尋ねになっているわけでございますけれども、具体的な犯罪の成否は、事実関係の正確なところに基づいて判断されるべき事柄でございます。私がここでいろいろ答弁申し上げるのは適当ではないと存じますので、答弁は差し控えたいと思います。

佐々木(憲)委員 時間が参りましたので、厳しく事実関係を調べるように要求して、質問を終わります。

野呂田委員長 これにて佐々木君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

野呂田委員長 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として防衛庁防衛参事官中村薫君、防衛庁運用局長北原巖男君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野呂田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

野呂田委員長 次に、保坂展人君。

保坂委員 社会民主党の保坂展人です。

 本日は、緊急に、宇和島水産高校の実習船えひめ丸が米原潜グリーンビルに体当たりをされて、行方不明の方がなお見つかっていない、一日も早い救助と、そしてまた真相究明、再発防止を求めて、この点についてまず質問をしたいと思います。

 まず、官房長官に伺いたいんですが、午前中の委員会のやりとりで、森総理は、ゴルフ場に連絡があって、ゴルフ場にとどまってほしいと要請したのは秘書官だったと閣議後の閣僚懇でおっしゃっている。これは事実ですか。森総理の判断で残ったのではなくて、秘書官の要請をただ聞いただけ、こういうことなんですか。

福田国務大臣 第一報が入りまして、森総理はその時点において、人命にかかわることかどうかということを尋ねられたそうであります。当然帰るべきかどうかというふうなことも相談されたと思いますけれども、その段階においては、帰らないでその場にいてくれた方が連絡しやすい、こういうことであったろうかと思うのです。

 このことは、私の場合にも似たようなことがございました。その十分ほど前に私にも第一報がございましたけれども、私の場合にも、情勢が明確でないのでまだ動かないでくれ、こういうような連絡がございました。

保坂委員 細かい時刻までお尋ねしませんけれども、最初の第一報ではっきりした全貌がわからなかったということはあるかもしれません。しかし、その後、行方不明者が出ているということもわかってきたわけで、この森総理の判断、秘書官の要請をそのまま受けたと言われる判断は適切だったと今でも官房長官は思いますか。

福田国務大臣 完全な情報でない段階の話でございますけれども、総理はその話を、そういう情報が、第一報があったという段階において、人命を第一に、人命救助に全力を挙げてもらいたいという旨を外交・防衛ルートを通じて申し入れるというような処置を講じておるわけでございます。

保坂委員 伊吹大臣に伺いたいのですが、今回の中央省庁再編で危機管理にも対応するんだということで政治主導でやるということと、今回、例えば秘書官がそういう意見を総理に述べる、あるいは官房長官に述べる。しかし、やはり大事なところで政治判断だというシステムをつくったわけでしょう。ちょっとよく機能していないんじゃないですか。その認識、いかがでしょうか。

伊吹国務大臣 まず、今回の事態が、国家が管理すべき危機であるのか、重大な事件と認識するかは、これは御意見の分かれるところだと思いますが、実は、阪神・淡路大震災の大変な教訓、あのときは村山内閣時代ですが、これは村山内閣に責任があったわけでも何でもなくて、当時は各省に情報が入ってきておりました。ですから、今回でいえば、外務省には多分ホノルル総領事館から入ってきて、あるいはまた海上保安庁には別個の情報が入ってきて、お互いに動き出すということだったと思います。

 情報は、内閣情報集中センターで管理をされています。そこから第一報が、私にも、当時留守番役であった安倍副長官にも入り、総理にすぐに御連絡が行き、そして、これは私の独断であったわけですが、外務省及び防衛庁を通じて、まず人命の尊重を最優先にやってくれということを申しております。

 当時のままであれば多分各省ばらばらに動いていたと思いますから、森総理の御判断をも含めて政治主導で私は動けたと思いますし、問題はどのような対応ができたかということであって、先ほど宮澤財務大臣もおっしゃったように、結果としてはビジュアルなところへ総理が姿をあらわされた方がよかったかどうかというのは、これは姿勢の問題だと思いますが、まず対応としては、私は政治主導で万全が期せたと思っております。

保坂委員 そういう経過を聞いているんじゃなくて、これだけゴルフの問題も含めて国民が注視しているし、行方不明の方たちの救助も皆さん気をもんでいるという中で、秘書官の要請だったということをおっしゃるのはまたこれはどうかということを指摘だけしておきたいと思います。

 河野外務大臣にちょっと違う角度でお尋ねをしたいと思いますけれども、今回、緊急浮上訓練ということでアメリカ海軍の方は発表しているようです。そして、その緊急浮上訓練をなぜしたのか、ここになぞがあるわけですけれども、民間人の方が乗っておられた、その民間人の方に何らかのサービスというようなことも一部言われています。しかし、その真相はわかりません。アメリカ軍の方は、全部適正に手順を踏んで緊急浮上をした、こういうふうに主張をしておられる。現在のところ、そう確認できるんでしょうか。その点はいかがですか。

河野国務大臣 アメリカは、繰り返し本事件について遺憾及び謝罪の意をまず表明しております。

 アメリカ海軍は調査の担当官を任命いたしまして、アメリカ国家交通安全委員会も調査団をホノルルに派遣をいたしまして、現在調査を行っているところでございます。

 政府としては、引き続き、一刻も早い事故原因の究明と公開と再発防止をアメリカに求めていきたいと思っております。

保坂委員 外務大臣、答えていただいていないんですが、もう一回聞き直します。

 要するに、アメリカの海軍の潜水艦の緊急浮上訓練としては幾つか確認すべきことがあると思うんですが、その手順をもし踏んでいたとするならば、この先よく聞いてください、踏んでいたとするならば、ちょっと具体的にお尋ねしたいんですが、近年、このアメリカ海軍の潜水艦は、例えば日本の横須賀、佐世保、沖縄等にどの程度寄港していますか。おわかりですか。

河野国務大臣 申しわけありません。資料をちょっと持ってきておりません。

保坂委員 これはハワイで起きたこと、日本から地理的には離れている、多くの人がそういう認識だと思いますが、実は、これは調査室で調べたところ、去年で五十三回、そしてこの同型艦も五回寄港をしている。ことしに入ってからも潜水艦は五回日本に入港しているわけですけれども、もしこの緊急浮上訓練というものを、例えば浦賀水道だとかあるいは民間の船が行き来する日本の近海でも、これは行ってもらったら当然困るわけで、こういうことについてアメリカ側に強く要請すべきではないかと思うんですが、いかがですか。

河野国務大臣 御心配でございますけれども、領海の中でという意味でありましょうか。アメリカのそうした訓練が危険な状況の中で行われるということであれば、私は、これに対しては強く抗議をすると同時に、自制を求めたいと思います。

保坂委員 過去に、一九八一年に日昇丸事件という事件があって、このときは、その潜水艦は当て逃げというか、日昇丸は沈んだけれども現場を離れてしまうということで大問題になりました、通報も三十五時間後と。

 このアメリカ側の責任者は、何らかの処分を受けていますか。

河野国務大臣 いわゆる日昇丸事件と言われるものでございます。昭和五十六年四月九日、鹿児島県下甑島の西南西三十七海里付近の公海上で米国の原子力潜水艦ジョージ・ワシントン号と貨物船日昇丸が衝突をして、この結果、日昇丸が沈没をし、乗組員十五名のうち日本人乗組員二名が行方不明となったという事件でございます。

 アメリカ政府よりは、レーガン大統領、ヘイグ国務長官、ワインバーガー国防長官、マンスフィールド大使を初めとする米国政府要人から、本件事故に対する遺憾の意の表明が行われました。

 今お尋ねのことですが、本件事故の関連でジョージ・ワシントン号の艦長及び当直士官が懲戒処分となったと承知しております。

保坂委員 実は何年か前にイタリアで、これはゴンドラがロープが切れて落下したという事件がありました。この原因はアクロバット飛行、アメリカ軍機がロープの下をくぐろうとしたということが原因ではないかとイタリアでもかなり世論が沸いたわけですが、外務大臣はこのときのパイロットが軍法会議でどういう評決を受けているか御存じですか。

河野国務大臣 当時の報道によりますれば、軍事裁判において判決が出され、機長などは海兵隊を解任されたが刑は免れたというふうに書かれております。

保坂委員 これは、軍法会議で無罪の評決をしたのですね。イタリア国内でも大きな反発がここで生まれたわけです。

 ですから、今回、日本の実習船の方には、潜水艦を避ける、あるいは察知する、潜水艦が迫ってくるのを回避する義務というのはないわけですね。そういう能力もない。一方的にやはり潜水艦の側に注意義務があったと思います。

 ちょっと防衛庁に伺いますが、一点だけにしますけれども、近年、冷戦崩壊後、潜水艦の任務は海だけではなくて、地上戦に例えばゴムボートを使って乗組員を戦闘員として派遣するというようなことも含まれていると聞いていますけれども、潜水艦にボートを積んでいたのではないか。そして、そのボートを、例えば緊急脱出も含めて膨らませる、そういう訓練なども当然行っていたのではないか。アメリカ軍の場合はどうなのか。日本の自衛隊はどうなのか。簡単にお答えいただけますか。防衛庁、お願いします。

中村政府参考人 お答えいたします。

 まず、自衛隊の潜水艦は、艦船等の事故に対応するための救助機能装備品としてゴムボート、これは船外機つきのもの、六人乗りのものを一組、それから浮き輪を八個、それから救命索投射器といいまして、ロープがついた浮きを銃から撃ち出して、二百メートルぐらい飛ばしてロープで引っ張るような装置、それから携帯式探照灯等を装備しております。このうち幾つかのものは、六十三年の「なだしお」以降の見直しで装備されたものでございます。

 さらに、当然、ゴムボート等を出して、それから組み立てて船外機に燃料を積むというような訓練は行っているということでございます。

保坂委員 では、この問題で、まとめて外務大臣にぜひ強く要請をしたいんです。

 今のゴムボートの件も含めて、これはやはり日米で事故原因の徹底した調査、日本からも人を派遣してきちっと原因究明しよう、これをぜひアメリカ政府に申し入れていただきたい、それが一点。そして、潜水艦と民間船舶が衝突を回避する国際的な約束なり条約なり、こういうものがどうもないようなんですね。こういうものを、やはりこういう事件が起きてしまった以上、積極的に考えるべきではないか。この二点についてお答えいただきたいと思います。

河野国務大臣 前段のお話につきましては、日本側専門家が米側と協力をする、そして、事故原因の究明にプラスになるための努力をするということができるように全力を挙げたいと思います。

 後段のお話につきましては、少し研究をさせていただきたいと思います。

保坂委員 それでは、きょうの本題のKSDの問題に入りたいと思います。

 委員席に資料、委員長のところにも配られていると思いますので、こちらをちょっと一ページ目を開いていただくと、平成八年二月の衆議院予算委員会公聴会の議事録が登場いたします。それで、出席公述人は財団法人KSDの古関理事長なんですね。

 一枚めくっていただくと、アンダーラインのところで、四月には日比谷公会堂で、俗に言う職人のための総決起大会を実施する予定であります、そして、この職人大学をつくろう、こういうことを衆議院の本委員会の公聴会で述べておられます。

 そして、その後なんですが、三月十五日に、今度は参議院の中小企業対策特別委員会の会議録を見ますと、現在逮捕され、議員辞職もされた小山前議員が、衆議院の公聴会で中小企業の代表の方が公述されまして、新聞に職人大学の提案があったということで、衆議院の公聴会の様子を伝える新聞記事であたかもこの古関理事長の話に気づいたような、こんな陳述があります。そして、その新聞記事にそうだと実感して、労働省に早く実現するようにというふうに迫っている。

 この小山議員は、一連の国会質問、KSDの意向に沿った国会質問と、対価としてのわいろを受け取ったのではないかという容疑で現在捜査が進められている。

 委員長にちょっと伺いますが、この問題は、衆議院の予算委員会を舞台に、少なくても古関さんが公述をしたということも含めて、そういう問題なんです。ぜひ予算委員会の場で真相解明を徹底してやっていただきたい。委員長の問題意識を伺います。

野呂田委員長 これからさらに審議が続くわけですから、どうぞ皆さんの方でそういう質問を大いに展開してもらいたいと思います。

保坂委員 それでは、片山総務大臣に伺います。

 二月八日に、民主党の菅さんの質問に対して、いわゆる党費の問題ですね、架空党員の問題について、構成員でなければ自民党の党費を払っていけないということにはなっていない、党員は党費を払うべき債務を持つわけだが、その債務をかわって払うということは認めている、こういうふうに答弁していますが、当人に無断で入党申し込み手続をして党費を振り込むことは違法行為そのものじゃないのか。今、どういう見解ですか。

片山国務大臣 今御指摘のように、党員になった人が党費を払うというのが当たり前の話なんですよ。しかし、それは党員でなければ党費を払ってはいけないということはないんで、ほかの人がかわって払うということはあり得るんですよ。ただし、それは、払う人と払われる党員に登録された方とに一種の了解というのかコミュニケーションがあるのが普通だ、私はこう思います。

 だから、党員でない……(発言する者あり)いやいや、だから、それは党員でなきゃいかぬことはないんですよ。それは一貫した当方の解釈でございまして、ただ、そこで、今言いましたように、払われた党員と払った仮に団体との間に、私が言っているのは、一種のコミュニケーションの関係があるという前提だろうと我々は考えております。

保坂委員 これは、もう一度総務大臣に伺いますが、この予算委員会の現場でも、立てかえ、立てかえと言っているんですね、党費立てかえ問題と。

 これは、私、おかしいなと思って、辞書を引くまでもないんですが、広辞苑を引いてみたら、立てかえは、他人にかわって一時払う、つまり、団体が一時払って、払うべき人から後で徴収するのが立てかえ、肩がわりは、他人の負債、負担をかわって引き受けること。

 今総務大臣が言っているのは、この肩がわりもオーケーということですか。

片山国務大臣 少なくとも我々の政治資金規正法では、立てかえか肩がわりかは、もうそれはわからないわけでありますから、少なくとも、今言いましたように、一種のコミュニケーションがあれば、それが立てかえであろうが肩がわりであろうが、あとはその当事者間の関係でありますから、党費を払ったということは、それは認められる、こういうわけであります。

保坂委員 これは、総務大臣、政治資金規正法の五条の二項、この法律の適用については、「法人その他の団体が負担する党費又は会費は、寄附とみなす。」とあるじゃないですか。だから、本人が払わなくて丸抱えで肩がわりしたら、これは寄附ですよ。量的制限の違反じゃないですか。それを認めたことになるんですよ。

片山国務大臣 これも既に菅委員にも答弁いたしましたが、御指摘の政治資金規正法第五条第二項は、法人その他の団体自体が、ある政党、政治団体の党員または会員となり、そういう立場で党費または会費を支払った場合は寄附とみなす、こういう規定でございまして、それは菅委員にも申し上げましたが、何回もこの国会でも、予算委員会、本会議等で議論になり、そういう答弁で我々は御了解いただいております。

保坂委員 堂々とそういうことを言われるんで、参議院の非拘束のときも感心しましたけれども、では、これは何を禁止しているんですか。今言われた、つまり、この五条二項は何がいけないと言っているんですか。何を禁止しているんですか。はっきりしてくださいよ。

野呂田委員長 ちょっと質問者に申し上げます。

 要求者がなかったものですから、私も名前はわかりません。

保坂委員 それじゃ、要求します。総務大臣。

野呂田委員長 それじゃ、総務大臣。――あなたはだれですか、名前名乗ってくださいよ。――登録しておりませんので、答弁はできません。総務大臣お答えください。

保坂委員 片山総務大臣、今すぐ答えてくださいよ、そういう自信持って言うんだから。そこで打ち合わせしていないで。政治主導なんでしょう。めちゃくちゃな答弁するからだよ。何を禁止しているのよ。

片山国務大臣 団体がある党の党員になり、あるいはある党の団体、政治団体のメンバーとして党費を払ったといっても、それは認められない、それは寄附として、寄附の量的な制限の対象になりますよと、こういう趣旨でございます、あの法律は。

保坂委員 それはKSDとどう違うのですか。証明してください。そのものじゃないですか、今言われたことと。どう違うの。

片山国務大臣 KSDは会員でも党員でもないわけでありまして、我々のところは事実関係について一々それを審査して検証する権限を持っているわけじゃありません。だから、党員になるべき人にある団体が肩がわるあるいはかわって払うということは、これは受ける方としては認められる、党費として。あとは、言いましたように、私は、当事者間の内部関係で、返してもらうなり、ほかの話をするなり、それは御自由だ、こういうふうに申し上げているわけであります。

保坂委員 これは徹底的におかしな答弁です。

 別の角度からちょっと検証しましょう。

 法務大臣にお願いしますが、私文書偽造あるいは有印私文書偽造の構成要件並びに法定刑はどうなるのか。多分、私文書偽造というと、オウム真理教の関連事件で、ホテルに偽名で泊まったなどの理由で使われたと思いますけれども、どうなっていますか。

 もう一点。それで、十万を超える有印私文書偽造の容疑の事件なんというのは、過去ありましたか。

高村国務大臣 私文書偽造の構成要件と法定刑ということでありますが、刑法百五十九条をそのまま読んでみますが、「行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。」これが構成要件であり法定刑でございます。(保坂委員「十万人以上は」と呼ぶ)それは存じません。

保坂委員 法務省刑事局長に来ていただいていますが、これはやはり有印だと、判こが押してあると法定刑は重いのですね。その理由を簡潔に説明してください。

古田政府参考人 有印の文書についての法定刑が重くなっておりますのは、判がある、判が押されているということによって、その文書の作成者の信用性といいますか、その人が作成したのだという信用性が社会的に一般に高いと考えられているからだろうと理解しております。

保坂委員 法務大臣にもう一問。

 これは人生にとって、政党に入るというのはやはり相当大きな決断なわけですね。その政党の申し込みが、つまり自民党の党員になるという申し込みが、本人も知らない、了解もない、そして名前だけが使われて金も払われる、これはまさに前代未聞。しかも、この数が大変な数にわたっているということが今言われているわけです。

 法務大臣についての質問は、さっきのホテルの偽名云々で、そういうことでこの私文書偽造が行使される場合もあるわけですね。ただ、有印文書偽造で万単位だと、確かに捜査事務も膨大な形になるでしょう。しかし、簡単に立件できるものはやるけれども、面倒な、大変な量の膨大なものはやらぬ、これでは公平な捜査とは言えないわけで、これはきちっと行う、これは一般原則でいいから言ってください。

高村国務大臣 一般原則でいいということをつけ加えられましたが、具体的な問題を提起して一般原則でいいといっても、法務大臣という立場にある者が具体的な事件を、やるべしとかやるべきでないとか、そういうことを申し上げるのは適切でないと思いますので、答弁を差し控えたいと思います。

保坂委員 自民党の法務大臣も歴代いろいろな法務大臣がいらっしゃいましたけれども、やはりしっかり筋を通してほしいですね、法律家として。やはり、一件、二件のものは立件するけれども、万単位だとこれは大変だからできない、こんなことはあり得ないはずです。

 片山総務大臣にもう一度戻ります、先ほどの件とは離れまして。

 片山大臣は、国際技能振興財団を支援する国際技能工芸大学設立推進議員連盟、長い名前です、KGS議連の世話人というふうに存じ上げていますが、世話人となった経緯、そしてこの呼びかけは、古関理事長あるいは村上正邦さん、どういう形で呼びかけがあってなられたのか、これを簡単にお願いします。

片山国務大臣 我々の世界といいますか、自民党には議連がいっぱいございまして、つくると勧奨されるわけですよ、入ってくれないかと依頼、要請を。そういうことで、私は、議連ができたときに、親しい議員から、入れ、入ってほしいと言われて入ったような記憶はいたしますが、古関理事長なんかではもちろんないし、村上議員でもないと思います。

 それで、私はずっと平議員だったのですよ。ところが、平成十年の八月から、私も事務所も知らない間に世話人にしていただいたのです、大変光栄なことですけれども。これは恐らく、平成十年の八月に私は参議院自民党の国対委員長になりましたから、まあ国対委員長になったから平よりも世話人にしてやろう、こういうことだったのではなかろうかと思っておりますが、私は全く知らなかったわけであります。

保坂委員 それでは、資料の二をごらんいただきたいのですが、ドイツ・マイスター制度視察団の中に片山さんのお名前があるのですね。ですから、勝手に世話人にされたけれども、これは行かれなかったのですね。行かれなかったと聞いていますが、行かれなかった割には、こうやはり団に入っているじゃないですか。やはりちゃんと活動内容を知っていたのでしょう。

片山国務大臣 その調査の同行を要請されましたが、私はいろいろ都合がありまして断りましたが、名簿には名前が残っているわけであります。

保坂委員 それでは、これは上野官房副長官、いらっしゃっていますかね。上野さんもこのマイスター制度視察団に行かれていらっしゃいますよね。参加費はお幾らでしたか。

上野内閣官房副長官 私は、資料にもありますように三日間参加しただけでありまして、たまたまあちらの方に行っておりましたので、途中で参加をして、途中から入っておりまして、旅費は私自身が払っております。(保坂委員「費用は」と呼ぶ)費用はちょっとわかりませんけれども……(保坂委員「払ったのですか」と呼ぶ)いや、自分で払っております。(保坂委員「お幾ら」と呼ぶ)いや、それは旅費ですから、ちょっとわかりません。

保坂委員 資料の四を見ていただくと、上野さんも見ていただきたいのですが、国際技能振興財団のヨーロッパ・マイスター制度調査団を派遣した費用が二千万以上ですね。これはどうもKGSの方は六名分の旅費だというふうに言っているようなのですが、六名分だと三百何十万になってしまいますね。これは多過ぎる。これは財団で持っていただいたのじゃないですか。記憶に間違いないですか。

上野内閣官房副長官 間違いありません。私は自分自身で、その領収書もありますから、全く関係ありません。

保坂委員 では、参考までに領収書を出していただけますか、上野さん。ちょっと答弁してください。

野呂田委員長 資料の提出ですから、後刻理事会に諮ります。

保坂委員 答弁してください。

上野内閣官房副長官 理事会で協議をしていただいて、必要があればきちっと出します。

保坂委員 何か、一回出すと言われたので、積極的に出してくださいね。

 それで、週刊朝日に、この一回目の官房副長官が参加された欧州視察旅行で大金が紛失したという記事がございます。そして、いろいろ関係者に会って調べてみましたところ、上野さんもバスの中で何か盗難をされたという被害に遭われたんでしょうか。

上野内閣官房副長官 はい、かばんをとられました。

保坂委員 これは、ベルギーの大使館経由で被害届を出されましたか。

上野内閣官房副長官 はい、出しましたし、当時、警察にも個別に事情を説明いたしました。

保坂委員 外務大臣、念のため、今出されたと言われているので、ベルギーの大使館に、そういった盗難、事故ということが発生していたかどうか、後の質問の機会に確かめますので調べていただけますか。確認のためです。

河野国務大臣 努力をしてみます。

保坂委員 それでは、官房長官に伺います。

 ここの予算委員会のやりとりで、なぜ施政方針演説の中にものつくり大学が入ったかというのは、これは最大のなぞなんですね。そして、第一回目、第二回目の施政方針演説の検討会、こういうものの中には入っていなかった、三回目にこれが出てきた。どうも会議でこれを主張された方はいなかったと官房長官は答弁されましたよね。前回、二月八日の議事録を見てみると、そういうふうになっている。

 官房長官、施政方針演説に、関係者がだれも知らないのに、突然にものつくり大学云々のパーツがだれも確認できないのに入る、こういうことというのはあり得るんですか。だれが最終的にこれを責任持つんですか、内閣の組織で。

福田国務大臣 私は、当時、小渕内閣のときの施政方針演説をどうやってつくっていたかというところに立ち会っておりませんから、それはその場その場で違うんではないか、いろいろと事情があると思いますから、違うんではないかと思いますので、一般論としては言えるかもしれぬけれども、しかし、特定のものについては私から説明することはできません。

保坂委員 このものつくり大学という文言がどういうプロセスで入ったのかというのは大変重大な箇所ですね。私は、やはりこれはぜひ額賀さんに来ていただいて、この委員会で責任を持って証言をしていただくことを再度求めたいと思います。

 そしてさらに、これは町村文部大臣に伺いますが、ものつくり大学は、端的に言って、国策で設立を推進するような私立大学だったのでしょうか。国策で設立を推進する私立大学、これがものつくり大学だったのですか。

町村国務大臣 ものつくり大学の政策的な重要性といいましょうか、それはもう多分先生もそこは認めておられるんだろうと思います。

 文部省といたしましては、審議会に諮問をして、審議会で、財政的な基盤がどうかとか、先生たちがどうそろっているかとか、あるいは一定の土地なり建物なりがちゃんと整備できるかといったようなことを審査して、認可をしているわけであります。

保坂委員 それでは、資料の七をごらんください。これは行田市議会の会議録なんですね。

 左側の方をごらんください。アンダーラインが引いてあります。「この大学は国の政策として進めたいという労働省の強い意向があり、」右側の方は「日本の将来の物づくりを担う人材育成を行う大学として国・県・市が支援を行い、民間活力を導入して設立されるものであって、」その後「いずれにいたしましても、この大学の建設はいわば国策として」、こうありますね。

 一枚めくっていただけますでしょうか、坂口大臣にお尋ねしますので。

 この百六十ページにある丸がしてあるアンダーラインのところ、これはどういうことなのかと思うのですね。民間資金が集まらなかった場合の対応はどうするか。今後「集まらない場合の財源の対応については、国において責任をもって対応するということで、国、県、財団、本市との四者協議の中で確認している」と。つまり、国が、集まらなければ大丈夫よと確認している。これは一体どういうことですか。四者協議にだれが出ていってこういう約束をしたのですか。

坂口国務大臣 だれが行って、そこでそういうふうな話に参加をしたかは、そこまで私はつまびらかにわかりませんけれども、しかし、このものつくり大学というのが社会の一つの趨勢として、経済界も労働界も、ぜひこれは大事なことだからやろうという機運になっていたことは事実でございます。

 八年でございますが、八年の、小山前議員が質問いたしましたときにお答えになっておりますのは、御承知のとおり、当時、もう社民党になっておりましたかどうかわかりませんけれども、社民党出身の労働大臣でございます。そして、労働省としても全面的にこれについては御支援を申し上げたい、こう思っております、こういうふうに明確に言っておみえになるわけであります。そして、九年がその財政的なことを煮詰めた年だというふうに思っておりますが、ここにおいて、労働省はもちろんでございましょうけれども、内閣、そしてそのときの与党の皆さん方にも御相談を申し上げて、こういう財源でいこうということが決定されたというふうに承っております。

保坂委員 時間がなくなってきましたので。私は、永井大臣にも聞いてみました。労働省として、今のこういう具体的な中身で、民間のお金がなくなったら全部補てんするなんてそんなことは全然考えていないですよ。ですから、この問題については、ぜひ厚生労働省として調査をしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。後にまた聞きたいと思います。

 柳澤さんの方に、最後の資料を見ていただきたいと思うのです。九ページ目です。

 社民党でホットラインをやりまして、私ども驚いたのは、KSDに関してホットラインをやったのですが、信金とか信組あるいは第二地銀などの銀行に対する苦情が多いのです。例えば、融資を受けようと思ったら、融資を受けるときにKSDに入ってくださいねと、あるいはやめようとしたら信金の方が飛んできたとか、かなり密着をしておるな、そういうことでした。

 この九ページ目は、もう古関理事長は逮捕されているのですね、まさに逮捕されている。私どものホットラインにかけてこられた方は、見てください、二戸信用金庫年金旅行会、伍代夏子コンサートへのお誘いなんですね、これは。そうしか書いていないんです。そして、実は、これだと思って申し込んだら、この下のところにチケットがあります。ごらんいただけますか。これがバスの中で配られたそうです。え、KSD、私聞いていなかった、信金の専務や何やらに聞いたけれども、答えてくれなかったと。どうでしょうか。これは法違反の問題もさることながら、事件発覚後も、この会場には各地のKSDの方が集まって、KSDのコンサートだったそうです。しかし、この告知のチラシはわからないですね。年金旅行会としか見えない。

 これはやはり、指導を徹底するとともに、どうしてそういう関係になったのかも徹底してお調べ願えませんか。いかがでしょう。

柳澤国務大臣 このKSDという団体の会員に勧誘することが、今先生御指摘のような、どちらかというと地域の金融機関におきまして行われていたのではないか、こういうことが指摘をされましたので、我々のところでは、昨年十一月の下旬に、まず任意の調査を行ったわけでございます。その任意の調査を、任意の調査と申しましても、抽出ではなくて悉皆的に行ったわけでございますけれども、一部に不適切な業務に連なるようなことがあるのではないか、こういうようなことが心配されましたので、ことしの一月の下旬になりまして、より踏み込んで、法令に基づく報告の徴求を現在求めているところでございます。

 この報告の徴求、今取りまとめというか、まだ補足の調査もいたしておりますので、完全に回答を得ておるという段階でもないようですけれども、いずれにしましても、そういうことをすべて踏まえまして、もし法令に照らして適切でないようなことがあれば、適切な対処をしていきたい、このように考えているところであります。

野呂田委員長 保坂君、時間が参っております。

保坂委員 では、一言だけ。

 宮澤財務大臣、長いこと金融機関を見てこられて、これだけ、KSD、会員の九割が金融機関から生み出されているのですね。このチラシの勧誘の仕方の不公正もさることながら、どういう印象を持たれますか。一言聞いて終わります。

宮澤国務大臣 よくわかりません。こういうことがあるのかなという印象でございます。

保坂委員 では、終わります。

野呂田委員長 これにて保坂君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明十四日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時二分散会




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