衆議院

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第10号 平成13年2月22日(木曜日)

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平成十三年二月二十二日(木曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 野呂田芳成君

   理事 北村 直人君 理事 久間 章生君

   理事 小林 興起君 理事 自見庄三郎君

   理事 細田 博之君 理事 池田 元久君

   理事 佐藤 観樹君 理事 原口 一博君

   理事 谷口 隆義君

      池田 行彦君    大原 一三君

      亀井 善之君    倉田 雅年君

      栗原 博久君    塩川正十郎君

      田中眞紀子君    高木  毅君

      高鳥  修君    谷川 和穗君

      津島 雄二君    中山 正暉君

      丹羽 雄哉君    萩野 浩基君

      平井 卓也君    牧野 隆守君

      松宮  勲君    三ッ林隆志君

      宮本 一三君    森岡 正宏君

      八代 英太君    吉野 正芳君

      五十嵐文彦君    岩國 哲人君

      生方 幸夫君    海江田万里君

      金子善次郎君    木下  厚君

      城島 正光君    中田  宏君

      平岡 秀夫君    松野 頼久君

      白保 台一君    田端 正広君

      若松 謙維君    鈴木 淑夫君

      達増 拓也君    中井  洽君

      佐々木憲昭君    山口 富男君

      吉井 英勝君    中川 智子君

      横光 克彦君    井上 喜一君

      森田 健作君

    …………………………………

   法務大臣         高村 正彦君

   外務大臣         河野 洋平君

   財務大臣         宮澤 喜一君

   厚生労働大臣       坂口  力君

   経済産業大臣       平沼 赳夫君

   国土交通大臣       扇  千景君

   環境大臣         川口 順子君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     福田 康夫君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 伊吹 文明君

   国務大臣

   (経済財政政策担当大臣) 麻生 太郎君

   内閣府副大臣       仲村 正治君

   総務副大臣        小坂 憲次君

   法務副大臣        長勢 甚遠君

   外務副大臣        衛藤征士郎君

   財務副大臣        村上誠一郎君

   厚生労働副大臣      増田 敏男君

   厚生労働副大臣      桝屋 敬悟君

   経済産業副大臣      中山 成彬君

   国土交通副大臣      高橋 一郎君

   国土交通副大臣      泉  信也君

   環境副大臣        沓掛 哲男君

   総務大臣政務官      山名 靖英君

   環境大臣政務官      熊谷 市雄君

   会計検査院長       金子  晃君

   会計検査院事務総局第一局

   長            石野 秀世君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  柴田 雅人君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  黒澤 正和君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    五十嵐忠行君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   中村  薫君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    首藤 新悟君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    北原 巖男君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    古田 佑紀君

   政府参考人

   (法務省矯正局長)    鶴田 六郎君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  中尾  巧君

   政府参考人

   (外務大臣官房長)    飯村  豊君

   政府参考人

   (外務大臣官房領事移住部

   長)           小野 正昭君

   政府参考人

   (財務省主計局長)    林  正和君

   政府参考人

   (国税庁次長)      大武健一郎君

   政府参考人

   (厚生労働大臣官房総括審

   議官)          木村 政之君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長

   )            澤田陽太郎君

   政府参考人

   (厚生労働省職業能力開発

   局長)          酒井 英幸君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児

   童家庭局長)       岩田喜美枝君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    縄野 克彦君

   参考人

   (日本銀行総裁)     速水  優君

   予算委員会専門員     大西  勉君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十一日

 辞任         補欠選任

  井上 喜一君     松浪健四郎君

同日

 辞任         補欠選任

  松浪健四郎君     井上 喜一君

同月二十二日

 辞任         補欠選任

  大原 一三君     三ッ林隆志君

  奥野 誠亮君     松宮  勲君

  葉梨 信行君     平井 卓也君

  三塚  博君     高木  毅君

  八代 英太君     倉田 雅年君

  仙谷 由人君     木下  厚君

  白保 台一君     田端 正広君

  山口 富男君     吉井 英勝君

  辻元 清美君     中川 智子君

同日

 辞任         補欠選任

  倉田 雅年君     八代 英太君

  高木  毅君     吉野 正芳君

  平井 卓也君     葉梨 信行君

  松宮  勲君     森岡 正宏君

  三ッ林隆志君     大原 一三君

  木下  厚君     仙谷 由人君

  田端 正広君     白保 台一君

  吉井 英勝君     山口 富男君

  中川 智子君     辻元 清美君

同日

 辞任         補欠選任

  森岡 正宏君     奥野 誠亮君

  吉野 正芳君     三塚  博君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成十三年度一般会計予算

 平成十三年度特別会計予算

 平成十三年度政府関係機関予算




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     ――――◇―――――

野呂田委員長 これより会議を開きます。

 平成十三年度一般会計予算、平成十三年度特別会計予算、平成十三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官柴田雅人君、警察庁生活安全局長黒澤正和君、警察庁刑事局長五十嵐忠行君、防衛庁防衛参事官中村薫君、防衛庁防衛局長首藤新悟君、防衛庁運用局長北原巖男君、法務省刑事局長古田佑紀君、法務省矯正局長鶴田六郎君、法務省入国管理局長中尾巧君、外務大臣官房長飯村豊君、外務大臣官房領事移住部長小野正昭君、財務省主計局長林正和君、国税庁次長大武健一郎君、厚生労働大臣官房総括審議官木村政之君、厚生労働省職業安定局長澤田陽太郎君、厚生労働省職業能力開発局長酒井英幸君、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長岩田喜美枝君、海上保安庁長官縄野克彦君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第一局長石野秀世君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野呂田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

野呂田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。平井卓也君。

平井委員 皆さん、おはようございます。

 自民党の平井卓也でございますが、本日は、お時間をいただきまして、ありがとうございました。

 きょうは、張り切って質問をさせていただきたいと思いますが、時間が大変短いので、答弁は短くしていただくとありがたいなと思ったりもしております。

 最近、毎日、新聞を見ると、いいことが全くなくて、朝起きるのが憂うつになるぐらい心配なことが多いわけですが、本当に日本が立ち直れるのかどうなのか、その分岐点というか、ターニングポイントというのはもうすぐのところに来ているような気がします。いわばもうぎりぎりのところまで、残された時間は本当に少ないと思いまして、私が何となく待ち望んでいるのは、体から責任感がにじみ出るようなリーダーで、福の種を植えて、福の風を吹かせるような、そんな人があらわれたらいいなと思いながら質問をさせていただきたいと思います。

 一九五〇年代以降、旧建設省の予算配分というものは、例えば私の地元でいろいろな工事を見ても、土木と建築の比率等も含めて、余り比率に変化がないように思います。日本のインフラ整備とか公共事業を考えるときに、本当に何が必要か、また何が必要じゃないかということを十分に考えていく必要があると思います。

 そこで、大切なのは、いかに優先順位を決めていくかということではないかと思うんですが、この予算配分方式について、省庁再編となった現在、やはり根本的に見直す必要があると思います。この予算配分主義というものが直らないがために、使い切ってしまわなきゃいけないというような悪習が省庁の中にもあると考えられますし、こうした莫大な公共事業予算を持つ国土交通省として、この点を改善していく必要は当然あると考えております。

 また、日本の公的固定資本形成を国内総生産との比率で見ると、西欧諸国に対しては二倍以上、アメリカに対しても三倍以上というような巨額な予算の計上がもう四半世紀以上続いていると考えます。

 このような状況の中で、国土交通省として、公共事業の再評価などいろいろ取り組まれておりますが、結局は、そのこと、公共事業の見直しというものが国民にいかにわかりやすく伝わるかということが大切ではないかと思います。

 その点、いつも歯切れのよい答弁で国民的人気の高い扇大臣に御所見を伺いたいと思います。

扇国務大臣 きょうは早朝から、元気のいい御質問をしてくださるということで、国会の活性化という意味では、平井先生のような若い二世議員の台頭によって、私は、二十一世紀型の日本の国土づくりの論議ができることを大変うれしく思っておりますし、また、御期待も申し上げております。

 私が国土交通相になって、答弁は短くとおっしゃっていますので、ぜひ申し上げたいことは、四省庁を統合して何がどう変わったのかというのは今後の我々の双肩にかかっている、私は、そういう重要な立場にあるということを認識して、少なくとも、国民の皆さん方に、何が変わったのか、どこが変わるのかということを目に見えるように、パンフレットなりインターネットなり、そして何よりも、今まで、二十世紀の公共事業には、野党の皆さんにも国会でも、国民の皆さんにもマスコミにも、公共事業の頭に丸投げだとかあるいは談合だとか、あらゆる冠がついております。

 真に国民のために必要な公共事業というものは、今、社会資本整備と平井先生はおっしゃいましたけれども、まだまだ欧米に比べて社会資本整備はおくれているというのが日本の現状でございますので、欠くべからざるところにはどんとつぎ込む、そのかわり不必要なものは切る、そしてそれを必要なところへ回しスピードアップをする。そのスピードアップをすることによってコストダウンも図れるということで、私は、少なくとも公共工事の必要性というものを、ぜひ目に見えたものにしていきたいと思っています。

 短くて済みません。

平井委員 本当に、これから政治主導という言葉の真価が問われるのではないかと思うんです。確かに私も、予算をつけるときには、官僚の皆さん方に陳情でお願いしたりとか、いろいろそういうことも今までしてきたわけですが、今、田中康夫知事が脱ダム宣言などをされまして、それに対して、扇大臣は、何でもやめればいいのではなく、利水、治水の面から本当に検討されたのかどうか、少なくとも私たちは、ただ公共事業をしたいからしているのではなく、国民の財産、生命を守るという基本姿勢の上に立って計画したことだとコメントをしたと聞いております。

 結局、国民にとって今一番必要なことは、一体どっちが正しいんだ、河川行政を見直していくことなのか、それとも、やはりダムを全部やめちゃうのか。これからは扇大臣対田中知事の対決というのを国民は見守ると思いますが、このときに、結局何が真実なのかということを明らかにしていく必要があると思います。その点について、まず一つ聞きたいということ。

 もう一つは、結局、公共事業の落札率というのは、平均して九五%ぐらいになっているわけです。先ほど大臣が触れられました丸投げの問題も、その中に当然大きな要素としてあるわけですが、大臣は、建設大臣のころに公共事業適正化法案等にも御尽力をされておりました。結局、どのような形で成果を出していくかということ、国民にいかに説明するかというところが今ポイントだと思いますが、大臣の御意見を、できればまた短くお願いいたします。

扇国務大臣 今、長野の例をお例えになりましたけれども、長野の問題は、中止すると知事がおっしゃったのは長野県の事業でございまして、国の直轄ではございませんから、本来は、これを中止して住民あるいは今までの協力者に説明する義務というのは、長野県にございます。

 ですから、私からそれに対してのコメントをすることではないんですけれども、少なくとも、ダムをつくる基本的なものは治山治水ということから出発しておりますから、私は、特に昨年、国土庁の長官になりましてからは、名古屋の水害、そして地震等々で、いかに公共工事で、ふだんの治にあって乱を忘れずというその精神というもので、我々は責任を持つべきである。ですから、もしも水害があったときには、国土庁長官あるいは国土交通大臣に対しての損害賠償の請求がありますけれども、そうではなくて、それなれば、百年に一度でも百年目に当たった人は大変なことになるので、私たちはすべからくそういう精神のもとで安全を期する。

 ただ、利水という面には、その川の沿岸あるいは川下等々に工場地帯がなくなってきて、利水の必要性が少なくなったという面はなきにしもあらずというところがありますので、昨年、与党三党での公共工事の見直しということも含めて、むだなものは省くということには果敢に挑戦していっております。

平井委員 これからどんどんいろいろなところで御自分のお考えをPRしていただければと思っております。

 続きまして、もう時間がありませんが、ちょっとリゾート法に触れさせていただきたいと考えています。

 シーガイアが倒産したというのは、やはり我々にとっては非常にショックでありますし、私自身、今全国で約八千五百ある第三セクターの経営状況というものがどのようになっているかよくわからないわけでありますが、結局第三セクターの問題というのは、当時、昭和六十二年にリゾート法というものがつくられて、そのときと今とは余りにも時代環境が違うわけですが、当時考えた、計画したこと、当時は六省庁の共管で、本当に日本の国をよくしようということでつくった法律ですが、結果、今は地方の経済にも大きな影響のあるような事業が不安にさらされているわけで、その意味において、地域の第三セクターの経営状況がどんなような形になっているのかということ、その情報公開をさらに進める必要があるのではないかと思います。

 第三セクターはだれが責任者かわからぬというようなところもあって、そういう意味では非常に地域にとっては不安の要素が多いと思いますが、これは国土交通省、総務省双方に簡単に御所見を伺えたらと思います。

小坂副大臣 平井委員にお答えを申し上げます。

 平井委員御指摘のように、リゾート法ができました昭和六十二年当時、大変に期待を担ってスタートをいたしたわけでございますが、その後の環境の変化等で、第一号であったシーガイアがこのような状態になった。これを契機に、今御指摘のように、第三セクターのあり方について今後どのようにしていくのかという点でございますけれども、第三セクターの情報公開につきましては、私ども、第三セクターに関する指針というものを出しておりまして、地方自治法に基づく議会への報告義務のない、すなわち出資割合が五〇%未満である第三セクターについても必要に応じて定期的に議会にその経営状況を説明すること、また、外部監査制度を積極的に活用するなど、監査体制を強化することを指示いたしております。

 また、地域住民の理解を得るために、必要に応じて経営状況をわかりやすい形で第三セクターみずから開示を行うことを指導いたしておるところでございまして、今後とも、そういった形で地方自治体がこの規定、地方自治法の第二百四十三条の三の二というので先ほどの状況があるわけですが、そういったものにかかわらず、より一層情報公開を推進するように指導していくことを期待いたしておるところでございます。

平井委員 時間がなくなりましたので、この件についてはこれでやめさせていただきまして、ITについてちょっとお聞きしたいと思っています。

 結局、ITという言葉が昨年あたりでもう賞味期限が切れちゃって、ネットバブルも崩壊しちゃうと何となく夢がなくなってしまった中で、これからやはり地に足のついた政策を進めていかなきゃいけないというふうに考えています。

 そこで、もう皆さんお忘れになったかもわかりませんが、昨年の十二月スタートしたインパクというのがあるんです。このインパクというのはインターネット博覧会で、当時の堺屋大臣とか中川大臣はもういらっしゃらないから何となく盛り上がらないのかもわかりませんが、実はあれ、百億の金をつぎ込んで、最初のころはものすごくアクセスがあったんです。これはニールセンの調査データですが、最高は五十四位まで行っていたんです。ところが、今は百五十四位、しりすぼみになっていることは間違いないわけです。

 なぜそうなっちゃったかというと、その一番大きな原因は、つくっているコンテンツの内容が非常に重過ぎて、今のネットの環境の中では十分な魅力がわからない。それと、最近急にPRが不足したということですが、私は、インパクがだめだと言っているのではなくて、こういうことは、コンテンツ、ハードウエア、ソフトウエア、この三位一体でやらなきゃいけない中で、これに懲りずにやってほしいなという気持ちがあるんです。

 きょうは小坂副大臣が来られていますので、一つだけ最後にお聞きしたいと思っておりますことは、結局、ファイバー・ツー・ザ・ホームでありますとか、インターネットを五年以内に日本全国に敷設するとかいろいろな話がありますが、インターネットの環境を整えるというのは、今までの公共事業のように道路をつくるというようなものとは少し違うと私は思っています。

 というのは、特にラストワンマイル、今は光ファイバーはほかの国に負けないだけ引けているわけですから、ラストワンマイルというのは利用者が多いところから効率的な手段を選んでいく。要するに、だれが使いたがっているか、どこにニーズがあるか、そのことを判断して、予算的にもスピード的にも一番効率のいいものを選んでいく。そのことを基本に据えて進めていただかないと、今回のインパクの、失敗とは言いませんが、はっきり言って中身もおもしろくないし、私は自分のホームページからリンクして見られるようにしてPRしておりますが、もっと皆さんで盛り上げていただくためには、基本的なこれからのネットの進め方、そのことについて総務省としての見解を聞いておきたいと思いますので、よろしくお願いします。

小坂副大臣 時間もないので手短にお答えをさせていただきたいと思います。

 今委員御指摘のように、インパクは大変アクセスが多かったわけでございますけれども、コンテンツが重過ぎるということで、なかなかおもしろいコンテンツが少ないという御指摘でございます。その点につきましては、さらにまだ残り期間、本年末までございますので、充実をしてまいりたいと存じますし、また、委員がリンクを張っていただいているということで、心から感謝を申し上げる次第でございます。

 今後は、今御指摘のように、加入者線のアンバンドル、すなわち開放を進めて規制緩和を行いながら、ADSLのような、DSLのような、現在のメタルケーブルでも使えるような高速のテクニックを迅速に導入し、さらにそれ以外の地域においては光ファイバーの敷設を、民間を主導にしながらも私どももいろいろな助成事業を導入しまして、その施策で支援をしてまいりたい。そのような形で、委員御指摘のようないわゆるブロードバンド、高速のネットワークを構築して、よりおもしろいコンテンツの流通を促進してまいりたいと考えております。よろしく御指導のほどお願いを申し上げます。

野呂田委員長 これにて平井君の質疑は終了いたしました。

 次に、松宮勲君。

松宮委員 おはようございます。伝統あるこの予算委員会で、非常に短時間ながら質問の機会をちょうだいいたしまして、大変光栄に存じております。美声ではございませんが、一生懸命質問させていただきたいと思います。

 まず、日本銀行の金融政策についてでございます。

 去る二月九日、日本銀行は、政策委員会・金融政策決定会合におかれまして、流動性の供給方法の改善策、そして公定歩合の引き下げを決定されました。昨年の八月の十一日、いわゆるゼロ金利の解除以降ほぼ半年ぶりの日銀の非常に意味のある金融政策の決定だろうと思っております。この半年間、実体経済の動きと関連いたしまして、日本銀行の金融政策の一挙手一投足に内外から大いなる関心が払われていたわけでございますが、ここに来られて、先般のような、公定歩合を〇・一五%引き下げて〇・五から〇・三五、短期国債の買い切り型の積極的活用とか、いわゆるロンバート型貸出制度の創設、これは来月から実行されるようでございますが、こういうことから成る新しい政策を打ち出されたわけでございます。

 そこで、御質問させていただきたいと思いますが、今回の政策決定の背景、実体経済の認識が昨年の八月と半年後の最近時点でどういうふうに変わられたのか。変わられたから恐らく今般の政策決定があったんだろうと思います。この実体経済についての認識と、今回の金融政策の決定による実体経済へのインパクト、効果についてまず、恐縮でございますが、手短にお答えを願いたいと存じます。

速水参考人 お答えいたします。

 私どもの経済情勢に関する現在の判断は、緩やかな景気回復基調が維持されているものの、そのテンポが鈍化してきている、特に海外経済、アメリカを主としてですが、それと内外の資本市場、株式市場の動きなど、下振れ方向のリスクが高まってきているという判断をいたしております。先般の措置は、こうした情勢を踏まえまして、金融市場の安定を確保するということと同時に、金融面から景気の回復を支援していきたいということで決定をいたした次第でございます。

 すなわち、まず、我が国で初めての新しい貸出制度であるロンバート型の貸し出しということを導入したわけでございますが、これは、金利安定化効果を高めていくために、公定歩合の引き下げとともに、この制度で、何か起こったときには日本銀行に来れば証券担保で〇・三五%の金利で貸しますということを決めた。これは初めての私どもの試みでございます。また、幅広く安定的な資金を供給するために、短期国債の買い切りオペの積極活用を始めました。これももう既に二回、三千億やっております。それからもう一つ、全国的な手形オペを早期導入して、調節手段の面で幾らかの工夫を行っていきたいというふうに考えております。これも七月ごろから導入するつもりでおります。

 期末越えを含めました中期の金利というのが、〇・六ぐらいまでいっていたのですが、それが期越えで〇・四に下がっております。それから、先ほどの短国オペでも、資金の供給をこのペースで行っていけば、かなりの金額が必要なときに供給できると思っております。それから、中央銀行として必要な対応を機動的に、弾力的に講じていくということを私ども考えております。

 こうした措置を進めていくことによりまして、金融市場の円滑な機能の維持と安定性の確保に万全を期していきたいと考えております。

松宮委員 弾力的、機動的な金融政策を展開される、そして既に長期金利を中心に、例えば〇・六が〇・四に下がっているというような効果が出始めているという非常に結構なお答えでございます。

 ただ、私は、今の日本経済の足元を直視いたしますと、今般の日本銀行がおとりになられた金融政策だけではどうも、デフレとは断定はいたしませんが、間違いなしに資産デフレだけは長年にわたって発生しておりますし、そして実体経済もデフレ的な様相を呈しつつあるのではないか、今、非常に重大な、踊り場と申しますか曲がり角に来ているのじゃないかという感じがいたしております。

 そして、その背景は、ここに来てというよりは、今いみじくも総裁は金利〇・六とか〇・四という数字をおっしゃいましたが、私は、実質金利で考えますと、今はひょっとしたら史上まれに見る高金利の時代ではないかなという気さえいたしております。

 GDPデフレーターで実質金利を出しますと、まだ確かに、十年ほど前のバブルの最盛期あるいはその後の九〇年代の前半に比べても実質金利は低うございますが、しかし、それにしましても、例えば九七、九八、九九と一・二から三・二ぐらいに上がっておりますが、このGDPデフレーターは、御承知ようにフローの価格をベースとしてつくられているものでございます。しかし、実体経済は、月々の給料、あるいは企業にいたしますと、毎月なり決算期ごとの売り上げと同時に、企業が持っているあるいは家計が持っているストック、資産価値がどうなっているかということで、いかなる経済主体も日々の経済行動、営為をするわけでございます。

 その意味で、私は、日本銀行の物価政策を念頭に置きながらの金融政策も、あるいは金融政策の一つの指標でございますいろいろな金利についても、実物経済の一面をなす資産、ストックの価値の動向についてしっかりと配意をしてきめ細かな政策をぜひともやっていただきたいと思っているわけでございます。

 その意味で、GDPデフレーター、ストックじゃなしにフローを反映したGDPデフレーターでさえ、九五年以降、九七年に若干はプラスでございますが、実質的にはこれはもうマイナスなのでございます。そして、卸売物価に至っては、バブル崩壊後の失われた九〇年代、九二年以降、これも九七年に多少プラスでございましたが、基本的にはマイナス。これは、近代経済国家として、恐らく史上まれに見る異常な状態が続いているのだろうと思います。そして、その状態は今なお継続されていて、ひょっとしたらもっと強まるおそれさえあるという感じがいたします。

 だからこそ恐らく、先般、二月の十七日に開かれましたG7、蔵相及び中央銀行ガバナー会談における共同ステートメント、共同声明におきましても、日本経済については、物価の下落が続き、そしてダウンサイド、経済の下方リスクが依然として残っている、そういう文章が入っておりました。恐らく、そのステートメントに至るまでには随分いろいろと、総裁なりあるいは財務大臣なり事務方での折衝、国益を背景にした折衝があったのだろうとは思いますが、しかし、やはり物価の下落が続いているということがステートメントに出るということは、これはポジティブな評価じゃなしに、困ったものだという評価だと思います。

 そういうことに照らして、これからの金融政策、私は今般の政策結果というのをぜひ眺めさせていただきたいと思いますが、なお一段の金融政策の拡充というのが必要じゃないかというふうに思うのでございますけれども、総裁の御所見をお伺いしたいと思います。

速水参考人 物価の動向につきましては、私どもも非常に関心深く見詰めているつもりでございます。

 最近の物価の動きにつきまして、特色としては、需要サイドの面と供給サイドの面、この二つをどういうふうに考えていくか。需要サイドの要因につきましては、景気の緩やかな回復もありますし、そんなに強い引き下げの要因があるとは思っておりません。技術革新あるいは流通合理化、規制緩和といったような供給サイドで物価を下げていく要因がかなり強く動いているように思います。そういうものがCPIにも卸売物価にも出始めてきているのだというふうに思っております。これは今後どういうふうに動いていくか、もう少し注意深く見させていただきたいと思います。

 特に、所得がそんなにまだ減っているわけでもございません。そういうものが家計の貯蓄にとっては、かなりまだ家計の預貯金がふえているというふうに理解しております。それはもうずうっと一貫してふえてきているわけで、そういう家計が、元本の価値がしっかり守られているということは、彼らとしては非常に安心だと思いますし、そう物価が上がった方がいいというふうには私どもは考えておりません。

松宮委員 私自身は個人的には、物価に代表される日本経済の今の現実というのはもう少し厳しく見詰めておりまして、本来、時間がございましたら、恐らくマネタリーベースを拡大し、そしてマネーサプライの量的緩和をさらに一層やっていただいて、そしてそれは、今、史上まれに見る、例えば北極にいて、夏、暑くなったらどうしようかと心配するような状況だろう思うのです。そういうことで、余りそういう御心配をなさらずに、やるべきことをやるという意味での日銀の文字どおりのレーゾンデートルが問われている大事な時期だろうと思います。

 時間の関係でこれで終わらせていただきたいと思いますが、インフレーション・ターゲティング・ポリシーなり、今申しましたようなマネタリーベースの議論もまたいずれかの機会にさせていただきたいと存じます。御出席どうもありがとうございました。

 残された時間、扇大臣、恐縮でございます、もう延々と前置きはできません。私は地元は福井県で、整備新幹線問題をどうしても質問しなければいけません。

 そうしますと、何となく今失笑が出たのでございますけれども、実は、良質な社会資本の最たるものが整備新幹線だと私は思っております。そして、今この予算委員会等で御審議いただいている平成十三年度の予算案につきましても、整備新幹線問題については、あたかもむだ遣いの典型である、悪の権化である、日本の財政破綻の根因をなすというような議論がされていましたが、とんでもないことでございます。

 例えば九兆四千億の公共事業の中で、整備新幹線の予算というのは七百五十億円、〇・六九%にすぎません。そして大変な効果を持つということは、もちろん公共事業については、限られた時間と限られた予算の中で本当にコストベネフィット、費用便益を徹底的にこれから精査するということは時代の要請でございまして、ぜひとも、その大きな一歩を平成十三年度予算案で踏んでいただいたわけではございますけれども、これからもやっていただきたいと思いますが、そういう作業を進めてもなおかつ、整備新幹線のプロジェクトというのは、国民的な最も大事な、私どもが真剣に取り組むべき課題だと私は思っております。

 大臣の前向きの御所感をお願いいたしたいと思います。

扇国務大臣 時間が迫っているようなので簡単に申し上げますけれども、国民が、いつまでにどこに何をしてくれるか、そういう社会資本整備というものを二十一世紀のグランドデザインとして示すことによって、むだな陳情も、そして国民感情も、次はうちなんだなということがみんなで納得できるようなグランドデザインというものを国が示すべきだと私は思っておりますので、ぜひ与党三党のお力も得て、二十一世紀の国のグランドデザイン、すべての社会資本の、新幹線も高速も含めての整備のあり方というものをお示しする時期をなるべく早くしたいと私は思っております。

松宮委員 ありがとうございました。

野呂田委員長 これにて松宮君の質疑は終了いたしました。

 次に、田端正広君。

田端委員 公明党の田端でございます。

 本来、二十一世紀最初の通常国会ですから、日本の二十一世紀の国のあり方とか、あるいは国際社会における日本の平和貢献のあり方とか、そういったことをもっと本質的に議論すべき国会であったのではないかなと思いますが、残念ながら、相次ぐ政治的スキャンダルとか、あるいは先般来の米原潜との衝突における事故の際の不手際なことから、大変内向きな議論になってしまっているということを私は残念に思っておりますが、それが国際的社会において日本の政治家の資質の問題になっているところが非常に大きな、残念な今回の経緯だと私は思っております。

 したがって、そういう中で、唯一日本が世界に向かって発信できるものがあるとするならば、それは環境政策ではないかな、私はそんな思いをいたしておりますが、そういった観点からきょうは質問させていただきたい、こう思います。

 そういう意味で、今回、二月十六日に、二十一世紀環の国づくり会議というのが、総理のもとに全閣僚及び民間人が入って官民一体で構成されたということでありますが、これは非常に結構なことだと思いますし、日本がそういった意味で環境立国としてメッセージを発していく大きな機会だと思います。

 先日もテレビを見ていましたら、プノンペンとかマニラとかが大変なごみで大問題になっているというニュースが出ておりました。そういった意味で、日本がアジアの中で環境立国としての先進的な位置づけで世界に対してリードしていくべき、そういう立場にあるのではないかなと思っております。この一月六日から環境省になって新しくスタートしたわけですから、そういった意味で、環の国づくり会議をぜひ成功させてもらいたいと思うわけであります。

 本来、日本は資源のない国であります。したがって、いかに資源を有効に使うか、そしてごみを出さない、ごみゼロ社会を築いていくかということが、これはもう大変な問題であると思います。そういう意味で、ことし一月六日から施行になった循環型社会形成推進基本法という法律は、日本の二十一世紀の一つの方向を示した法律だと私は非常に評価しているものであります。

 そういう意味で、この環の国づくりの環(わ)というのは、循環の環のワであり、環境省の環、ワであり、この二つをかけた言葉を採用されたな、こう思っておりますが、川口大臣は初代の環境大臣でもあり、そういったことを踏まえて、この環の国づくり会議をどういう方向で推進役として議事を進められようとしているのか、そこら辺のところからお話をお伺いしたいと思います。

川口国務大臣 田端委員がお話しになられましたように、環の国の環(わ)は、環境の環(わ)であり、循環の環(わ)であり、さらに申し上げれば、人と人の共働、ともに働く環(わ)でありますし、人と生物の環(わ)でもありますし、日本と世界のほかの国々の環(わ)でもあるというふうに思っております。

 二十一世紀を考えましたときに、地球規模で人口はどんどんふえていきますし、それから地球への負荷、これは先ほどテレビとおっしゃいましたけれども、廃棄物の問題でもそうでございますし、それから温暖化ガスの濃度という意味でもそうでございます。そういうことで負荷がますます高まっていくという現状にございます。その中で、私どもは、やはり国民の一人一人、あらゆる主体が環境に対してそれを保全する行動をとることによって問題が改善をしていくというふうに思っております。

 それで、そういう意味で申し上げますと、この会議では、環の国をつくっていくのに必要ないろいろなお考えを自由に出していただいて、それを政策に反映すべきところは反映し、それから国民その他各主体が行動に反映をさせていただく部分についてはそうしていただく、そういう考えに基づきましてこの会議が進められるということがいいことだと思っております。

 以上です。

田端委員 この環の国づくり会議と、それから、今度環境省に、中央環境審議会の中に循環型の特別部会といいますか、そういうものをつくられる方向になっていると思います。これは、循環型社会形成推進基本法の法律に基づいて、この基本計画を策定する指針づくりにそういう民間の方の知恵をかりてスタートするというふうに伺っておりますが、これが屋上屋にならないように、そこのところをひとつ整理していただきたい、こう思います。

 それで、私は、循環型社会というのは非常にすばらしい方向だと思いますが、この循環という言葉が、先日もちょっといろいろな方に聞いてみましたら、英訳した場合に、サーキュレーションという表現だとこれは血液の循環になってしまう、それからサイクルと言うと景気のサイクルのような表現になってしまう、あるいはレボリューションというふうになるとまた、周期が一巡してくるような、そういう表現になってしまう。ローテーションと言うと季節が変わっていく、こういう意味で、なかなかいい翻訳名がないということであります。私は、それなら思い切って、カラオケとかジュードーが世界共通語になったように、日本発の言葉としてジュンカンというものに言葉を押し切っていったらどうかな、こういう思いもしております。

 そういった意味で、ぜひ、この循環型社会形成推進基本計画をこれからどういうふうに進めて、そして日本がそういう世界の中においてリーダーシップをとっていかれるのか、大臣の御所見を伺いたいと思います。

川口国務大臣 先ほど委員がおっしゃられました、環の国と循環型社会形成推進基本法に基づく基本方針とのダブりということについてでございますけれども、この具体的な基本法に基づく指針といいますのは、来年の四月一日までに中央環境審議会が議論をいたしまして、環境大臣に意見を言うということになっております。

 それで、環の国づくりの会議はことし前半ぐらいのところで議論をしたいというふうに考えているわけですけれども、そこでの議論は中央環境審議会での指針づくりのための場に反映をしていただく、そこに御報告を申し上げるという形になるというふうに思っております。

 循環型社会という、循環という言葉が大変に英語になりにくいというのは御指摘のとおりでございまして、私もいろいろ考えましたけれども、委員がおっしゃられたような、循環を世界の言葉にしてしまうというところまで発想が及んでおりませんで、それも含めて考えさせていただきたいというふうに思いますけれども、循環型社会の形成というのは二十一世紀を目指して非常に重要なことでございますので、指針をつくり、その先、政府の他の省庁とも連携をいたしまして進めていきたいと思っております。

田端委員 循環型社会を築いていくに際してのいろいろな法整備、あるいは既にある法律との整合性の問題、あるいは各省庁との連携といいますか、これは非常に大事になってくると思いますが、そういう観点から少しお伺いしたいと思います。

 例えば、容器包装リサイクル法は、既にこれはもう実施されている、これはもう完全実施に入っているわけであります。これは、環境省はもちろんですが、経済産業省との共管ということで、きょうは平沼大臣にもお越しいただいているわけでございますけれども、例えば、こういうごみの収集ということに自治体では非常に苦労なさっている。そして、この容器包装リサイクル法に従って一生懸命まじめにやっている市町村とそうでないところとの温度差は多少あると思います。

 それで、分別収集をまじめにやっているということになれば、例えば名古屋市なんかは十種類に分別しているようですね。そして、十種類で分別して、例えば紙なら紙で分別しますが、その紙を今度はまた新聞、雑誌、段ボール、紙パック、紙容器とさらに五つに分けている。だから、最終的には二十種類に分別収集しているというのが名古屋の実態でありますが、こういうふうに、法律に従ってまじめにやればやるほど、これは手間暇がかかります。そして、その分別収集されたものをどう処理するかということで非常にまた経費もかかってくるわけであります。

 そういう意味で、先般も関東関係の市会議員の関係の方が何人か集まって、例えば茨城県の龍ケ崎市は、分別収集を去年から始めたプラスチック容器が、リサイクルされず一部焼却炉で燃やされていると。あるいは江東区では、PETボトルの回収量が二倍にふえたために、保管のために経費がかかる。要するに、自治体ではそういうことで何とかしてくれということで、国は法律でどんどんつくっていくけれども、それをやる自治体はますます金がかかるじゃないかと。経費が、手間暇がかかると。こういう苦情がたくさん出ておりますが、ここのところをどうこれからフォローアップしてあげるかということが大事だろうと思います。

 だから、法律をつくってどんどんやるのはいいんですが、現場の方が非常に困っているということでありますから、これについて経済産業大臣はどういうふうなお考えでございましょうか。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 確かに、田端委員御指摘のとおり、市町村が、今名古屋の例をお出しになられましたけれども、細分化して、そしてきっちりやろうとすれば、負担がかかるということは事実でございます。そういう意味で、私どもといたしましては、関係各省の連携のもとで、各主体の負担をいかに軽減するか、また取り組みを促進するためのどういった施策を講じていくか、また、市町村に対しては施設整備等について、御承知と思いますけれども、環境省が既に支援措置は講じております。

 我々経済産業省といたしましても、引き続き、再商品化技術の開発でございますとかあるいはリサイクル設備の導入等を促進するための予算、それから税制の支援措置を講じまして、市町村が分別収集した包装容器が着実にリサイクルされる体制の整備、これからもそういった過度の負担が起こらないような、そういった形で強力に行っていきたい、このように思っています。

田端委員 ぜひ自治体に対してのバックアップ、フォローアップを、これは政府としていろいろお考え願いたい、こう思います。

 それで、地球温暖化問題についてお尋ねいたしますが、IPCC、気候変動政府間パネルのワトソン議長の報告によりますと、二十世紀の百年間、これで地球の気温は〇・四から〇・八度上昇した、つまり平均〇・六度であったということでありますが、過去、地球の気温は、どの百年をとっても一度以下でおさまっているといいますか、上昇率というのはその程度であったわけですが、このIPCCの報告によりますと、二十一世紀末には平均気温は一・四から五・八度になる、こう報告されています。つまり、最高約六度上がるところが出てくるであろう、こういうことでありますから、これはもう百年で六度上がるとなれば大変なことだ、こういうことであります。

 ところが、我々、ことしなんかは少し寒いなということで、まだ実感としてそんな六度も上がるなんということは考えられないわけであります。また、先のことでもあるからもう一つ実感がこない、そういうことでもあると思いますが、こういうふうなことになりますと、例えば海面が八十八センチ上昇するとか、あるいは洪水とか干ばつとか山火事が起こるとか、害虫が発生するとか、いろいろなことが付随して起こってくるだろう。例えば、東京は沖縄ぐらいの年間気温になってしまうだろう、こういう思いがいたします。

 こういう大切な問題に対して、いかに自然、地球との共生というものをやっていくかということがこれからの大きなテーマでありますが、そういう意味で、COP6がなかなかうまくいかなかったということは非常に残念に思っておりますが、川口大臣は、大変精力的に頑張っていただいてCOP6の再会合を今交渉されているということでありますが、その辺のところをお伺いしたいことと、この六%の削減に向けた国内政策というものを、これはもう本気になって取り組んでいただきたい。

 私は、極端に言えば、来年の通常国会に地球温暖化防止法というような法律を制定するぐらい前向きにいかないとこの国内対策も進まないんではないか、こういう思いをしておりますが、川口大臣の御所見を伺いたいと思います。

川口国務大臣 COP6後の進捗状況につきましては、その後引き続き私のレベルでも電話等で会議を続けましたし、それから、事務当局のレベルにおきましても、会合を開いたりなどいたしまして交渉を続けております。

 それから、二月の上旬にナイロビでUNEPの会合がございまして、その折にも途上国を交えて温暖化の議論がなされたようでございますし、それから、三月の二日からイタリーで始まりますG8の環境大臣会合というのがございまして、そこでも温暖化、ハーグ会議の後の議論がなされるものと承知をいたしております。

 それで、今大事なことは、二〇〇二年までの発効を目指して交渉を進め、合意に達するということでございまして、全力を尽くす所存でございます。

 それで、国内的にさまざまな対策をきちんととるということが、国際交渉における日本のポジションに対する信頼をいただくという意味で非常に重要だと思っております。

 環境省といたしましては、昨年の八月に中央環境審議会に小委員会をつくりまして、そこで六%の削減目標を遵守するためのさまざまな国内制度の方策の組み合わせを議論していただきました。それで、また今般、新しい中央環境審議会のもとで小委員会を二つ置きまして、どのような措置をもって六%の削減が可能かということの議論を始めております。

 私どもといたしましても、京都議定書の二〇〇二年までの発効を目指しまして、締結に必要な実効性のある国内措置及び国際的な合意を目指して、全力で取り組んでいきたいと思っております。

田端委員 地球温暖化防止法についてお触れにならなかったので、ひとつこれは前向きに御検討いただきたいと思いますが、私ども公明党の中に、先般、二十一世紀を環境の世紀という位置づけで、党内に循環型社会推進会議、エコ・ジャパン会議というのを設置いたしまして、今、大量生産、大量消費、大量廃棄というこの浪費型の社会から、地球環境を守り、そして同時に、経済の持続可能、発展可能な社会をどうつくるかという、これを今模索しながら、勉強会あるいは視察、各種運動、こういうことを今展開し始めたところであります。

 そういう意味で、私は、これは国を挙げてといいますか、国民、もう政府も自治体も事業者も、国民すべてがそういう意識を持っていかないと、これからはなかなかそういう方向は出てこない、こういう思いをいたしております。

 ごみをなくそう、あるいはできるだけ省エネ生活ということを考えよう、あるいは温暖化の防止のためにはどういうふうにしたらいいか、こういう具体的なことを身の回りからやっていく必要があるだろう、こういう思いをしております。

 九七年十二月のCOP3、京都会議がそういう意味では日本の国民の意識を大きく変えた出来事であったという思いがいたしまして、あそこから相当日本の中における環境意識が変わってきた、企業の姿勢も変わってきたという非常にいい流れができたわけでありますから、これを大切に、もっともっと大きく推進しなければならない、こういう思いであります。

 それで、例えば、これは非常に身近なことですが、車を使う場合は低公害車を使うとか、あるいは私たちの生活の中で、もっと極端に言えば、今リモコンに電気製品はほとんどなっていますから、リモコンで切っても電源が切れていないから待機電気が流れているわけですから、そういった意味で電源、コンセントを抜くとか、あるいはもっと極端にいけば、朝、顔を洗うときに水道の水を出しっ放しにしているとか、歯を磨きながら水を出しっ放しにしているとか、こういうことから我々は改める必要があるのではないかな。

 私は、こんな小さいチラシですけれども、「たばた正広のエコライフのすすめ!」こういうものをつくりまして、地域の人に一人一人手渡しでお渡ししていますが、これを冷蔵庫かどこかに張っていただいてやっております。

 そうすると、電気、ガス、水道のむだを省くということは、これは環境家計簿をつけるということにもなりますから、この環境家計簿を推進していけば家計の節約にもなって、大きな家庭では、年間にして二万円とか三万円という大きな金額にもなってくるわけであります。

 これをもし全国国民といいますか、多くの人がやっていけば、こういうエコライフ運動というものが非常に大きなエネルギーの節約に、エネルギーの節約ということはCO2の削減になるわけでありますから、そういった意味で、ぜひ環境省がリーダーシップをとっていただいてエコライフ運動というものを展開していただきたい、こう思います。

 この循環型社会の、そしてまた地球温暖化防止のために、その大きな政策の柱として、運動として、このエコライフ運動を環境省が音頭をとってやっていただいたらどうか、こう思うわけであります。

 ちょっと、ちなみに申し上げますが、これは先日、環境省の人事で、事務次官以下皆さんの人事異動が先日行われたときに、あいさつ状が私の手元に一日でこれだけ来ました。

 これは非常に立派な紙で、形としてはいいんですが、資源の節約という意味からいったらこれは問題だったと思うわけで、今はもうファクスの時代でもありますし、簡単でいいわけでありまして、こういうことをやっていることが果たしていいのかな。これは再生紙でも何でもないわけでありますから、非常にむだなことをしているなという思いもいたします。

 そういった意味で、ぜひ本気になって国の方から、政府の方から、各省庁からそういう運動を起こしていただきたいと思いますが、川口大臣、いかがでしょうか。

川口国務大臣 国民の一人一人が環境を保全、改善するために行動をとるというのは、委員御指摘のように大変重要なことだと思っておりまして、田端委員の「エコライフのすすめ!」は私も時々拝見をさせていただいて、反省をいたしております。

 それで、環境省といたしましても、さまざまな努力を今までもいたしまして、今後ともやっていきたいというふうに思っております。

 タウンミーティングというのを一月以降開いておりまして、来週には仙台で開きますけれども、国民の方々との環境についての直接の対話ということもいたしておりますし、それからこどもエコクラブ、あるいは国民の皆様に対するキャンペーン、それから政策の担当者に対する環境の研修等々をいたしております。

 今後とも、その意味で、大変に重要なことでございますので、全力を尽くして取り組んでいきたいと思っております。

 それから、御指摘のあいさつ状につきましては、再生紙を使っていたかいないかということ、私ちょっと存じませんので、もし使っていなかったといたしましたらば、今後、当然に再生紙を使う、それから使わないでほかの方法があるかどうかということも含めて検討をさせていただきます。

田端委員 エコという言葉のエコは、エコロジーとエコノミーと二つかかっている言葉だ、私はそういう思いでいるわけでありますが、そういう意味で、今までの環境庁と通産省が何か対立しているような、そういう力関係にあったと思いますが、これからは、新しい時代は経済産業省と環境省が仲よくやっていただいて、推進していただきたい、こう思います。

 先日も新聞のアンケートで、今の生活がある程度不便になったり快適でなくなるとしても、自然や地球環境の保護に力を入れていくべきだという人が七七・四%いるということが出ておりました。つまり、七七%の人は環境が大事だということをおっしゃっているわけでありまして、一番に環境政策を推しているわけであります。

 そういう意味で、循環型社会を推進していけば、私は、そこは必ずエコノミー、経済の活性化にも相通ずるものがあるだろう。つまり、今までの動脈産業を中心にした経済から、静脈産業を含めたこういうエコ産業、そういう新しい市場を生み出していくことによって、今八方ふさがりの経済に活性化を与えることができるのではないか、こういう思いを強くしております。

 昨年、経済企画庁が試算した、循環型社会になった方が、二〇〇五年以降、平均一・五%のGDP成長率になっていって、二〇二〇年には大きく今よりも変わっていくであろうという想定の試算が出ておりました。また、昨年の環境白書を見ても、二〇一〇年には三十九兆の新しい市場が起こるということ、あるいは八十六万人の雇用が広がる、こういうことも環境省でも試算をされているわけでありますが、この辺の数字、これでもっともっと上方修正もできる可能性があるのではないかと思っておりますが、平沼大臣の御所見をお伺いしたい。

 それから川口大臣には、先日、私、北九州を視察してまいりましたが、北九州というのは地域循環型社会が確立した社会だ。つまり、あそこには、研究機関があり、九州大学、北九州大学、福岡大学の指導のもとにいろいろな商品の開発、リサイクル製品の開発、リサイクル工場がたくさんありまして、そして廃棄物処理場、これもきちっと整備されていて、最終処分場がきちっとされている。そして北九州では、周辺の三十八市町村の一般ごみまで扱っておられる。

 こういう意味で、九州における循環型社会の一つのモデルがあそこにできている、こういう思いがいたしましたが、これを環境省が主導して、例えば東京湾あるいは大阪湾というような大きなところでそういうことができないだろうか、そういうエコタウン地域構想というものをやってはどうだろう、こういう思いがいたします。

 両大臣に、今二つ申し上げましたが、御回答をお願いしたいと思います。

平沼国務大臣 お答え申し上げます。

 確かに、委員御指摘のように、循環型社会の中で環境関連の産業というのは非常に私は成長性があると思っています。そういう意味で、やはり静脈産業というものをいかに育成して、そして経済を発展させていくか。むしろ、どちらかというと、環境問題でございますとか高齢化問題というのは負にとらえられておりましたけれども、そうじゃなくてプラスに転じるんだ、こういう発想で私はやっていかなければならないと思っています。

 そういう意味で、今ちょっと御指摘がございましたエコタウン事業などのリサイクル施設設備に対する予算等によってそれを援助していく、あるいは環境関連設備投資に対する税制面、金融面で強力な援助を展開する、あるいは環境関連技術開発に対する予算などの支援、こういったことを積極的に私どもはやっていかなければならないと思っております。

 今数字を挙げられましたけれども、例えば経済構造の変革と創造のための行動計画、こういった試算でも、今、一九九五年で雇用規模六十四万人が百四十万人に二〇一〇年ではなる、こういうこともございますから、雇用とそれから経済発展のために私どもは力を入れてやらせていただきたい、こういうふうに思っています。

川口国務大臣 北九州のエコタウンの試みは、地域の過去の歴史、あるいはそこにお住まいの方々の環境保全に向けての思い、そこに存在する技術、さまざまなものを組み合わせた大変にすばらしい取り組みだというふうに思っております。それから、北九州以外にも、ほかの地域でもそういう取り組みが行われつつあるというふうにも認識をいたしております。

 委員おっしゃられました東京湾あるいは大阪湾、そういった地域におけるより広域的なエコタウン化、エコ地域化への取り組みにつきましては、環境省といたしましても、どういう可能性があるのか、あるいはどういう支援ができるのかという観点から、他の省庁とも連携することが必要だと思いますので、研究をさせていただきたいと思います。

田端委員 ありがとうございました。

野呂田委員長 これにて田端君の質疑は終了いたしました。

 次に、金子善次郎君。

金子(善)委員 民主党の金子善次郎でございます。

 冒頭でございますけれども、きょうの十時三十九分現在ですが、株価が一万二千九百九十二円、前日比で百七十七円の値下がりということで、ついに恐れていた事態が来ているのかなと思ってしようがないわけでございます。

 先般のダボス会議におきまして、森総理は、世界の首脳の会議と申しますか、そういう場で、御承知のとおり、日本経済は安定成長に向かって順調な回復軌道にあるということを明言されたわけでございます。現実には、株がこのように下がってくる。実体経済との関係におきまして、私だけではないと思います、全国民がこれは大変なことだ、日本経済はどうなるか、政府の経済政策が間違っていたからこうなっているんじゃないかというようなことで見ているのではないか、このように考えますが、冒頭、宮澤財務大臣、よろしくお願いいたします。

宮澤国務大臣 ただいまの株価の状況につきましては、当然私も注意をいたして見ております。ただ、これがいわゆる日本売りというような感じに世界的になっているかといえば、そういうことはございませんで、現実に為替相場は安定をいたしておりますし、また、国内における長期金利は、国債の発行にもかかわらず一・三%台というかなり低い金利でございます。先般の十年物のクーポンレートは一・四で発行いたしたと存じますので、あれこれ考えますと、日本売りというような深刻な状態ではない。殊に、先般日銀で新しい政策も出されましたこともあって、世界的にその推移を見ようという感じであろうと思います。

 それで、指摘されている問題は、御承知のように金融機関の問題でございますが、そういうことはございますものの、全体として、我が国が消費の減退から通常の消費状況に返ってきさえすれば成長も普通に戻りますので、それを政策努力で、御審議いただいております予算あるいは過去の補正予算などを間違いなく施行していくということが大事ではないかと思っております。

 なお、株価自体には、最近幾らかアメリカの写真相場のようなところがございまして、それもナスダックに影響を受けることが多いように感じております。したがいまして、現況は注意をして見ておりますけれども、与えられました施策を順調に進めていくことが一番大事な問題だと考えております。

金子(善)委員 いずれにしましても、大変な政府の経済政策と申しますか、これまでの一連の政策の結果がこういう状態を招いていることはだれもが否定できないわけでございまして、その点指摘をして、次の質問に移らせていただきます。

 児童手当の問題に移らせていただきたいと思います。

 御承知かと思いますが、昨日でございますが、野党四党首が会談いたしまして、合意をいたしまして、予算の組み替えを要求するということで統一行動をとっているわけでございます。

 項目といたしましては、十三年度の政府予算に対する共同組み替え要求ということで、第一番目には、官房報償費及び外務省報償費等の仕組みの抜本的改革と適正額への大幅削減、それから公共事業費の削減、それから、児童手当所得制限緩和による追加支出額の削除、それから四番目といたしまして、ODAのあり方の見直しによる予算の節減、防衛費は前年度並みとする、五番目といたしまして、特殊法人の資金調達について政府保証債の縮減、六番目が、雇用環境改善策、仕事と家庭の両立支援策、福祉施策、バリアフリー施策、教育関係施策、大都市交通・防災・環境関係施策などの充実と、大きく分けましてこの六項目を予算の組み替えとして要求を既に提出されているところでございます。

 その中の児童手当の点につきまして質問をさせていただきたいと思います。

 児童手当、三番目のところ、皆様方のお手元に資料がたしか配付されているかと思いますが、私どものその理由でございますけれども、まず、児童手当を拡充するというこのたびの予算案でございますけれども、そもそも財源手当てがないという前提で、これからまた述べたいと思いますが、言っているわけでございます。

 これは全く話にならない。そもそも当初予算を財源手当てもなくて組むというのは予算編成上の常道から離れているのではないかというふうに思うわけでございます。もしも年度途中で考えるのであれば、それは補正予算なりということになってくると思うのですが、そもそも財源というものをこれから考えますよというようなことを言いながら一つの事業を拡大するというのは、予算編成上の本来の姿からいえば、余りにも異常な姿と言わざるを得ないのではないか、このように思うわけでございます。

 それから第二点でございますが、支給対象年齢を超える児童の低所得世帯との不公平が拡大する案になっております。つまり、対象年齢を上げるという方法ではなくて、所得制限を緩和するという案でございますから、時間の関係もございますから詳しくは述べられないのですが、不公平感は必ず出る要素というものがこの制度改革には盛り込まれているわけでございます。

 そこで、先ほど申し上げましたが、この予算の編成に当たりまして、与党の自由民主党、それから公明党、そして保守党の幹事長、書記長あるいは政調会長レベルにおきまして合意をして、この予算編成を行ったというふうに言われているわけでございます。私どももその文書も入手いたしておりますけれども、これを見ますと、「平成十三年度当初予算においては、支給対象児童を扶養する親等の所得制限を緩和し、概ね支給率を八五%に引き上げることとする。 その際の財源措置については、厚生省、自治省予算の歳出の見直しにより捻出することとする。」こうなっているわけでございます。

 そこで御質問したいと思うのですが、そもそも当初予算の段階から総合的な予算編成という視点が欠如しているということを申し上げたわけでございますけれども、児童手当というものは、そもそも国費とそれから地方公共団体の負担、そして一部、一部と言うとあれでございますが、サラリーマン層につきましては事業者負担というものもある、この三者から成る財源の構成によって現行の児童手当というものはでき上がっているわけでございます。

 それでは、まず総務省の方からお聞きしたいのですが、どうやって財源を捻出するというふうにしているのか。しかもこれは、六月から実施しますということを銘打っているわけでございます。六月までに何とかこの財源を探していかなきゃならない、そういう立場におありだと思うのですが、どうやって探すのか、その点を教えていただきたいと思います。

山名大臣政務官 今のお尋ねの件でございますが、自治省予算の歳出の見直しについて、具体的にどの予算を見直したのかという御質問でございます。

 自治省予算の歳出の見直しということは、地方歳出の見直し、このように理解をしているところでございますが、今回、国庫負担の増加分の財源につきましては、社会保障関係費の歳出の合理化あるいは効率化の観点から見直しをされ、対応をされたものと承知をいたしております。

 この中には、いわゆる措置費の見直しとかあるいは各種補助金の整理合理化等々が含まれているわけでございまして、こうした国の歳出の削減によりまして、当然それに見合う地方歳出も減となるわけでございますから、今回の児童手当の支給率の拡充等によります地方負担の増加分について、平成十三年度百四十億円でございますが、適切に対処できるものと考えているところでございます。

金子(善)委員 それでは、厚生労働省はいかがでございましょうか。大臣、お願いします。

坂口国務大臣 金子先生から児童手当についての御質問をいただきまして、大変光栄に思っております。

 私は、先生にこのお答えをいたします前に、若干、手短に申し上げますが、児童手当につきましての考え方を述べさせていただかなければなりませんが、やはりこの少子高齢化社会の中で、少子化対策はどうしても進めなければならないもの、そして、その少子化対策の柱の中の一つとして児童手当は位置づけなければならないもの、その児童手当の効用につきましては、先進諸外国におきましてきちっとした幾つものデータが出されておりますこと、これらのことを踏まえまして、非常に効果のあるものというふうに私は認識をしている次第でございます。

 そして、今先生の御質問でございますが、昨年、就学時までのお子さんに給付するということになりまして、ことしその範囲を広げる、八五%ぐらいの皆さん方に行き渡るようにする、こういう結果になったわけでございます。

 そして、連立政権でございますから、いろいろの御意見があります中をそこでまとめていただきまして、本来ならば、御指摘のように最終的に予算案の中に組み込めるところまで行きたかったわけでございますけれども、残念なるかな、そこまで行かなかったということがございまして、そして、先ほど御指摘になりましたように、十三年度予算案において、厚生労働省そして自治省の中でそれを見ていくということになったわけでございます。各種補助金等の見直しでございますとか国立病院への繰り入れの削減等によりまして歳出の減を図り、そして生み出していく、二百四十億でございます。そういう考え方に立っているところでございます。

 先ほど山名さんからも自治省の予算という考え方でお考えがございましたけれども、当然のことながら、国と地方との共通の部分もございますから、その部分、それから独自の部分、そうした部分を合計いたしまして、そしてこれをつくり出していくという状況になっておることを御報告申し上げたいと思います。

金子(善)委員 今、坂口大臣そして総務省の方からお話を聞きまして、この財源手当てにつきましては本当に愕然とする思いでございます。

 と申しますのは、冒頭申し上げましたけれども、今この予算審議をしている中で、既に地方負担分あるいは国費についても、こういうところから整理合理化して財源を生み出していくということを御答弁なさったわけでございますけれども、それなら、何でこの予算を提案する段階でそれを考えられなかったのかという思いがしてならないわけでございます。

 これは、そういう意味も含めまして、例えば、もしも今大臣が言われたことあるいは総務省が言われるようなことであれば、この段階で予算を組み替えればいいだけの話でございます。それで、政府案として堂々とこの国会審議にそれを提案すればそれで済む話ではないか、このように思います。そうでなければ、あくまでもこれは削除するという方針で臨んでいただきたいと強く要望する次第でございます。

 それと、坂口大臣の方から御丁寧なお話がございました。私も、まさに児童手当はそういう全体的な施策の中からこれを考えていかなきゃならない、このように思うところでございます。私ども民主党といたしましても、いろいろこの問題については研究と申しますか勉強も重ねております。

 確かに、少子化時代、これをどう乗り越えていくのかという観点から考えた場合でございますけれども、児童手当だけをいじって必ずしも子供が多くなるということではないだろうと。やはり子供を育てる環境と申しますか、例えばの話でございますけれども、女性の方々の子供を育てた後の職場復帰の問題あるいは保育所のあり方、いろいろ総合的に考えて、少なくとも、子供を産みなさいというような、何と申しますか、余りにも率直的なそういう施策ではなくて、子供を育てるというのは社会全体が支えていくんだという観点から総合的な政策の中で児童手当を位置づける、こういう説明をできるような政策にしていかなきゃならない、このように考えているところでございます。

 そういう意味で、時間の関係もございますのでこの点につきましてはこの程度にいたしておきますけれども、何としてでも、野党四党が一致して削減の組み替え要求をいたしております、その実現を切に要望いたしまして、次に移らせていただきたいと思います。

 次に、外国人の犯罪問題について質問をさせていただきます。

 最近、新聞、テレビ報道、大変な外国人の犯罪ということが今どんどんと出てきているわけでございます。もともと日本は安全な国であった。ところが、最近はやはり、物、人、金、情報というのが国際的に流れまして、その中で犯罪というものも国際化してきたというようなところかもしれません。しかし、我が国において、いわゆる治安当局、そこに工夫と本当の意味でのこれを防止するための施策というものが十分になっているのかどうか、この点につきましてお聞きしていきたいと思うのであります。

 治安のよさというものは、私から申し上げるまでもなく、基本中の基本であると思います。これがどうも最近怪しいぞと国民一致した認識、特に都市部ではそういうような状況になっていることは御承知のとおりであります。そういう観点から御質問をさせていただきたいと思うのであります。

 まず不法滞在者なんですが、不法入国者、いわゆる不法滞在者という概念で結構ですが、十年前と比較いたしまして、多少国別も入れていただきまして、本当の概要で結構でございますから、この点について御答弁をお願いできればありがたいと思います。

中尾政府参考人 まず、在留期間を超えて我が国に在留するいわゆる不法残留者について申し上げますが、平成十二年の一月現在で総数が約二十五万二千人でございます。平成五年に約二十九万人ぐらいに達したことがございますが、その後大体二十数万人台で推移しております。

 不法入国者につきましては約三万人ぐらいおると推定されておりますので、先ほど委員がおっしゃいました不法滞在者は、合わせますと約二十八万人我が国に在留しているものと考えられております。

 この二十五万人の不法残留者につきまして国別の話がございましたが、まず韓国が約六万人、フィリピンが約三万六千、中国が約三万三千、タイが二万四千、マレーシアが約一万人という順番になっております。

 これを十年前の平成二年と比較させていただきますと、当時の不法残留者の総数は約十万六千人でございます。国別で申し上げますと、一番がフィリピンの二万四千、以下韓国が約一万四千、タイが一万二千、中国が約一万、五番目にパキスタンが八千人という状況になっております。

金子(善)委員 そこで、外国人の不法滞在者というものを取り締まっていく場合につきましては、何といっても水際作戦と申しますか、そういう人が余り入らないようにするということも極めて重要な対策であろうかと思います。

 そういう点でまず外務省にお伺いしたいと思いますが、不正査証あるいはビザ対策といたしまして、いろいろなことを考えておられるということも事務的にはお聞きしているんですけれども、今どのようなことを、いつまでにそれをなさろうとしているのか。具体的には、宇宙衛星を使いましてそれぞれの入管と直結するような、そういうことも考えておられるということを聞いているわけでございますが、その辺の見通し。私はできるだけ、こういう今の状況を考えますと、一日も早い実行と申しますか、そういうことが必要だと思っているわけでございますが、見通しをお聞かせ願いたいと思います。

小野政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、外務省といたしましては、査証発給のオンライン化を進めるべく準備を進めてきております。本委員会委員各位の御理解を得まして、できるだけ早く実現していきたいというふうに考えております。

 このオンライン化によりまして、外務本省と全在外公館との間において査証発給関連情報を瞬時にして共有することができるわけでございまして、その結果、査証の発給の迅速化あるいは効率化が図れるわけでございます。と同時に、委員御指摘の、悪質な査証申請ということを水際でより効果的に防止することができるというふうに考えているところでございます。

 このために、現在、所要の予算要求をさせていただいているところでございまして、何とぞよろしくお願いしたいと思います。(金子(善)委員「いつまでに」と呼ぶ)

 本年度予算におきましてソフト面を要求、実現させていただきまして、来年度予算につきましてハード面で実行に移していきたいというふうに考えております。

金子(善)委員 私はこういう点にこそ、技術的な問題もあって時間がかかっているというならともかくですが、大分ソフトの面とかなんかにつきましては技術面ではもうできる状態だということを聞いております。こういう点に重点的に予算をつけるべきではないかというふうに思うわけでございます。これでソフト一年、それでハードで一年というと、二年後の対策になってしまうわけです。一刻も早くしなきゃならないという状態にあろうかと思いますけれども、そういう点につきまして、今回の予算ではそういう状態になっているということのようでございますけれども、少しずつやるというのではなくて、やはり必要なことについては思い切ってお金もそこにはかけますというような財政運営というものも必要ではないかと思う観点から御質問をさせていただいたところでございます。

 それでは、引き続きまして御質問させていただきますが、昨年九月から中国人団体観光旅行者の受け入れが始まったというふうに聞いておりますけれども、その中から不法残留者の数というのは現在どれぐらいになっているか、そしてどのような見通しを持っておられるか、これをちょっとお聞かせ願えればと思います。これは法務省になりますか、あるいは外務省さんですか。

中尾政府参考人 中国の団体観光につきましては、日中両国の健全な交流の発展に寄与する目的で、委員御指摘のとおり、昨年の九月から実施されているところでございますが、本日現在把握しているところで、不法に残留している者は八名でございます。

金子(善)委員 今、八名という答弁がございましたが、後ほどまたお話しいたしますが、そういう中からまたどんどんそういう不法残留者がふえるということがないように十分気をつけていってもらいたい、このように要望をいたしておきます。

 ところで、そうした中で、私が聞いているところでございますが、先ほど不法滞在者というものが二十八万余というようなお話がございました。それはあくまでも、正規で一度ビザをとって入った方々、それがビザの期間が過ぎても残留しているというような人たちが二十八万余いるという数字でございまして、あくまでもこれは推定でございますけれども、密入国と申しますか、そういう形で入ってくる者もいるわけでございまして、おおむね大体三十万人ほど不法滞在者がいるだろうというのが一般的な推定になっているようでございます。

 そういう中で、今、法務省の方でございますけれども、この首都圏で申しますと、実際には摘発されますと法務省の入国管理局に収容されるわけでございますが、そこが満杯の状態だということで、摘発する警察サイドの方、こう言っては大変失礼かもしれませんが、これはあくまでもうわさかもしれませんし、わかりません。ただ、摘発しても収容するところがもうない、満杯でどうしようもないというようなことで、摘発の意欲が鈍ってしまうといううわさがあります。わかりません、これは実際のところは。しかし、そういううわさが出るような状態になっているということは、現実のいわゆる収容所の規模からいって、そういう状態になっているようでございます。これは、余りにも本末転倒ではないか。

 ダボス会議で石原知事も発言しておりました。日本は今不法滞在者とかがすごくいるのだというような話で、首都圏の収容施設はそういう人で満杯だというような話もされています。大変これは、世界に対しても名誉のあることではなくて、この予算措置、どういうふうにこの状態を変えようとしているのか、法務省の方に、できましたら法務大臣から御答弁をお願いします。

中尾政府参考人 先ほど委員が、不法残留者が約二十八万とおっしゃいましたけれども、残留者が二十五万で密航等の不法入国者が三万、合わせて不法滞在者が約二十八万、こういうことでございます。

 委員御指摘の、その収容の状況につきまして、私どもも収容施設の拡充整備について努めておるところでございますが、やはり絶対的な不足の状況でございますけれども、平成五年以降、順次入国収容所等の整備を続けてまいっておるところでございます。平成五年には東日本入国管理センター、平成七年には西日本入国管理センター、平成八年には大村入国管理センターを整備しております。現在の収容定員が合計、ほかの収容所等を含めまして約二千四百人の収容定員でございます。平成十二年度予算で認められました東京入国管理局の新庁舎の建設によりまして、収容定員が三百五十人アップすることになっておりますけれども、それとて、結局二千七百五十人という状況でございます。

 今後も収容設備の整備に努めてまいりたいと思いますけれども、そもそも私どもの入国警備官が約千人しかございません。先ほど申し上げた二十八万人の摘発等にかかわる入国警備官が千人という現状でございますので、その限りで精いっぱい頑張っているところでございます。

 以上でございます。

金子(善)委員 恐らく当局の方々は大変な御苦労をいただいていることは間違いないと思います。

 私は、本日の質問をさせていただく中で、基本的に考え方として思っておりますのは、必要なことは少しずつ、前向きにやっているということは、それは理解できたとしても、この大変な額の国家予算でございますから、必要なところには思い切って対応していく。それで、現場で苦労している方々が、自分たちが頑張ってもその結果としてどうなんだというような状態では甚だ遺憾ではないか。こういう観点から御質問しているわけでございまして、ただいまの答弁でも、前向きに対応しているというお話でございますけれども、この収容所の改築と申しますか増設につきましても、十四年までかかるというようなお話でございます。わずか、現在の定員四百五十を八百にふやすということだけで二年間もかかるのか。これは、民間の世界ならばとてもとても考えられない。これは、硬直的な財政運営そのものを物語っているのではないかというふうに思うところでございます。

 それから、時間の関係もございますので、通告申し上げていたところにつきまして大変恐縮な方もいらっしゃいますが、最近特に話題になっております中国人のピッキング犯罪、これにつきまして御説明をお願いすると同時に、もう一点でございますが、特に、法務大臣いらっしゃいますので、外国人の犯罪対策というものについて、法務省としてどういうようなお考えを持っておられるか。ピッキングの状態につきましては事務当局からお答えいただいて結構でございますが、どう対応するかという点につきまして御答弁いただければありがたいと思います。

高村国務大臣 入管行政について応援をしていただきまして、御理解をいただいて本当にありがたいことだと思っております。

 先ほど入管局長から申し上げたように、不法滞在者が二十八万人いる中で、その人たちを、対策といいますか、摘発し、収容し、そして送還するという業務に携わっている入国警備官は千人足らずであります。九百九十八人ということで、これは具体的にどういうことかといいますと、具体的な情報、ここに不法滞在者がいるぞという情報を得ても、対応できるのが四分の一しかない、こういう状況であります。

 委員が先ほどからおっしゃっているように、必要なことはちょびちょびやるのじゃなくて一気に対応せよというのは、これは極めてもっともなことだと思いますので、私も政府の中で声を大にしてそのことを言ってまいりますので、今後とも応援をよろしくお願いしたいと思います。

五十嵐政府参考人 我が国の国際化の進展に伴いまして、来日外国人による犯罪が深刻化しており、平成十二年中の検挙件数ですが、これは刑法犯と特別法犯でございますけれども、三万九百七十一件、検挙人員は一万二千七百十一人でありまして、過去十年間では、検挙件数で約四・九倍、検挙人員で約二・七倍という状況になっております。

 また、近年は組織的に犯罪が行われる傾向が顕著にあらわれておりまして、強盗事件やピッキング用具を使用した侵入盗の事件が増加しております。特に、ピッキング用具を使用して行われる空き巣ねらいとか金庫破り、事務所荒らしなどの侵入盗事件は、近年、関東圏の都市部を中心に大幅に増加するとともに、全国的に波及している状況にありまして、平成十二年中の認知件数は全国で約二万九千件に上っております。

 なお、十二年中にピッキング用具を使用した侵入盗事件で検挙された五百二十四人の被疑者のうち、四百十三人、約七九%でございますが、これが外国人となっております。

金子(善)委員 今、首都圏を中心にいたしまして、ピッキング事件は大変な状況のようでございます。

 実は、これに関連してですが、これは要望にとどめさせていただきたいと思います。東京の板橋区でございますが、警察とそれから地元の商店街の方々が防犯パトロールというものを組織化いたしまして、これはNHKだったかと思いますけれども、テレビのドキュメンタリーで拝見したのですが、ピッキングの見回りを始めた、パトロールを始めた後、急速にその数が少なくなった。

 これは警察の、それは大変な努力もしているかもしれませんけれども、それだけでは今の世の中対応できない時代になってきているのだという認識を持っていただきたい。それは、やはり地域との密着。これは、教育の問題、学校等の問題、今さまざま言われております。警察行政におきましても、地域との結びつき。

 ただ、残念ながら、警察の方に事務的にお伺いしますと、板橋のパトロール、もう三月で警察の方からいろいろ応援してやるのは終わりだと。いろいろ予算の問題とか人員の問題とかあるのだという苦労話を聞かせていただいた次第でございますが、これは、これからの日本のあり方というものを考えた場合、単なる協力者の好意に甘えてやるというのではなくて、そういうものを何か組織化するとか、私が申し上げているのは、必要なところはお金も出して、人の好意にただ甘えるというようなことではない、例えばNPOの活用等もこれから考えていけると思います。そういうことで、何とか、地域社会の連帯性と申しますか、そういうことを取り戻すための御努力をいただきたいと思います。

 それでは、次の問題に移らせていただきたいと思います。官房長官、おいでになられましたので。

 実は、先般の二月十九日の我が党の池田元久委員の質疑に際しまして、日経新聞での長官の発言が出まして、それを長官は明確に、それは誤報であるということを答弁なさったわけでございます。ただ、実際には日経新聞だけではなくて、時事通信社、これは二月十六日の時事通信の配信でございますが、ここでも、全く同一ではありませんけれども、ほぼ同一の配信がなされているわけでございます。これは私も、そのお話をなさったときの状況等について話は聞いているところでございますが。

 官房長官は、国民だれもが考えております内閣のスポークスマン。この方が、大新聞が、確かに誤報もあるのかもしれません、それは私はよくわかりませんが、ただ、相当の覚悟を持ってそういうことをおっしゃらないと、あのときはテレビも入っておりました。官房長官が、大新聞が誤報というものをやるんだよと。その明確な根拠がすべてあれば、また私は理解もできますが、現実に時事通信の方にこういう全国に配信されているというような中でそういう御発言があったということについては、強く異議を申し立てておきたい、このように思う次第でございます。答弁を。

福田国務大臣 私は、前回この予算委員会で、あの報道にあるようなことは申していない、こういうふうに申し上げました。私、きょうもそういうふうに申し上げます。それ以外のことはございませんので、申しわけありません。

金子(善)委員 確かに、ああいうようなことを御発言なさるとすれば、私もようやく政治家の端くれでございますから、皆やっているというようなことになりますと、あんたもやっているのかというようなことで冗談も人に言われる、そういうようなことになってしまうわけで、官房長官であれば、本来絶対にそういう発言はなさらないと思いますけれども、今後とも、そういう点については十分御注意をいただければありがたい、このように思う次第です。

 それでは、えひめ丸と原子力潜水艦の衝突事故についてお伺いをしたいと思います。

 これは今、日米とも、救出それから沈没船の引き揚げとかいろいろ御苦労なさっている、アメリカサイドもいろいろ真摯な気持ちで対応していると思います。

 ただ、なぜこの問題がこのような日本人の心を揺るがす大事件になってきたかというのは、二つあると思います。一つは、実習船の高校生、青少年というのでしょうか、若い方々が事故に遭われたという点と、もう一つは、なぜ原子力潜水艦の乗組員が救出に向かわなかったのか、最初の大西船長の悔し涙ながらの会見がテレビに流れまして、それが、今もって何となくみんなの心が晴れない要因があるような気がしているわけでございます。

 そこで、防衛庁の方にお伺いしますが、日本の海上自衛隊所有の潜水艦の場合についてですが、まず、現在潜水艦を何隻持っているか、そして、救命用ボートとかあるいは救命用具ですが、それを整備されていないのかどうか、これについて、日本の場合ですが、御答弁いただきたいと思います。

北原政府参考人 委員にお答え申し上げます。

 現在、防衛庁、海上自衛隊では、潜水艦は全部で十六隻を保有いたしております。

 それから、海上自衛隊の潜水艦、これが万々一船舶等の遭難を知りましたときには全力で救難活動に当たらなければいけないと思っておりまして、そのためのいわゆる船舶等の事故に対します救助、救難用装備品といたしまして、委員御指摘の、私どもといたしましてはゴムボート、これは船外機、エンジンつきでございます、速やかに救出に向かう、そういうもの、あるいは、救命索投射器と申しまして、縄の先に浮きみたいなのをつけまして、それを撃ち出す、それにつかまっていただいて引っ張るといったもの、さらには保温潜水服、また、そのほか浮き輪などを装備しておりまして、また、これらを使って全力を尽くしていきたい。

 また、ちなみに、こうしたことを必要な事態が生ずることに備えまして、訓練もやっているところでございます。

 以上であります。

金子(善)委員 ただいまの答弁のように、日本の場合は、最低限のものは装備をしている、救助用のものを装備しているという答弁だったと思います。

 実は、ここに大変な資料がございます。というのは、これはアメリカではございませんが、日本の防衛庁から我が党の池田元久委員に、資料要求として防衛庁の方にお聞きして、それの回答としていただいた資料でございます。これは二月十八日にもらっております。

 これは、こういうことなんです。「グリーンビルの救難装備について 防衛庁」「米側の説明や同乗していた民間人の証言を総合すると、グリーンビルは以下のような救難装備等の準備を行っていたものと承知している。」まず、救命ボートでございますが、ボート二そう、縄ばしご、さらに、ダイバーの待機。これは防衛庁が恐らくしかるべき方に聞いていない限りは、このようなことを資料要求ということに対して出さないと思うのですね。かなりの信頼すべき筋と申しますか、そういうところの情報でこの資料をお出しになった、そういうふうに確信をいたします。

 この点について、私は、前回予算委員会で質問させていただいた際にも、日米の国民間のいわゆる相互信頼というものを損なうことのないよう、そういう点については、はっきりさせなきゃいけないということを申し上げたつもりでございます。

 私は、今いろいろ新聞に報道されているところを連日見ているわけでございますが、今もってこの点について、確かに波が高かったとかいうようなことはございますけれども、グリーンビルに救命ボートがあったのかなかったのか。外務省は、それは確認されておりますか。

河野国務大臣 グリーンビルは救命ボートが搭載されているかどうかについて確認をいたしました。アメリカ太平洋艦隊司令部に確認をいたしましたところ、グリーンビルには二隻の救命ボートが搭載されていたと承知をいたしております。同時に、アメリカ側よりは、事故発生時の海上の状況がハッチを開いて適切に救命ボートを展開することを妨げていたため、救命ボートによる救援活動を行うことができなかったとの説明もございました。

金子(善)委員 それでは、これは今明確に外務大臣からお話があったわけでございますが、我々日本人の気持ちからすると、潜水艦の構造の問題とか技術的なところはわかりませんけれども、自分がぶつけた、自分が原因を与えて、それで船が沈んだのも確認しているわけですから、高校生と気がつかなかったかもしれませんけれども、あるいは日本人ということも気がつかなかったかもしれませんけれども、少なくとも、相手は軍人でございます。人を助けるため、国を守るため、そういうことをやっている連中が、何で飛び込んで助けなかったのか。ハッチをあけるとかあけられないとか、そういう話では私はないと思うのです。

 原因をつくったのは自分たちですから、それを私は、外務省から米国政府に対して強く抗議をしていただきたい。それをすることによって、日本の政府もアメリカのただ言いなりになっているとかよく言われるわけですけれども、そうではないと、そこを示すことができる。事故後これまでたって、恐らく生存者も全くそれは期待できないことは皆さん方が理解していると思います。ただ、こういう問題は、言うべきことは言う。そして、原因、いろいろな点があったかもしれません。確かに、私がただいま申し上げていることがすべて正しいのかどうかわかりません。早急にそういう点だけは、向こう側の事故調査委員会の決定を傍聴、あるいはアドバイザーとしてただそれを聞いているというようなことではなくて、日本政府がもっとイニシアチブを持って対応すべきではないか。

 そういう意味で、時間の関係もありますので、本当は具体的にお聞きしていきたいのですが、現在では、海上保安庁では事故対策室、危機管理センターでは官邸連絡室、外務省では外務省対策本部というものをつくられているようですが、それぞればらばらにつくられているわけでございます。

 私は、アメリカの事故調査委員会、国家安全運輸委員会というものがそこで調査、あるいは米海軍の査問委員会というものでやるとかいろいろ言われておりますが、これは基本的にはその捜査についてアメリカが主導権を持つというのは当然のことだと思います。ただ、被害者は日本人ですから、そして、過去にイタリアで、NATO軍の演習機がイタリアのリゾートのカバレーゼというスキー場のゴンドラケーブルを切断してしまって二十人の犠牲者が出たという事故がございました。これは一九九八年です。御記憶の方もいらっしゃるかと思いますが、その後のやはり補償問題、いろいろ大変だったということが報道されたのを見たこともございます。

 そういう意味で、今は沈没した船を引き揚げることが第一義的だと思いますけれども、その原因究明の段階でちゃんとした日本政府として統一的な行動をとっておかないと、後でいろいろまた問題が出てきますよということを私は御指摘したいと思うのです。

 そういう意味で、何とか日本人の今思っているもやもやがきちっとすっきりするように、非常に悲しいという思いは残りますけれども、日本政府もよくやっている、なるほどと言われるようなことをぜひお願いしたいと思うところでございます。

 そこで、外務大臣、答弁をお願いします。

河野国務大臣 本件につきましては、政府がきちんと統制のとれた指示を外務省あるいは防衛庁その他に出しております。官邸におきます危機管理センターから、外務省に対しては、アメリカに対する捜索活動の徹底あるいは事故原因の徹底、さらには船体の引き揚げについての折衝、そういったことについて官邸からの御指示を受けて、外務省としては、そうした作業をいたしております。

 ちなみに申し上げますと、えひめ丸引き揚げについての各省連絡の会議を既に持っておりまして、この連絡会議が、今えひめ丸の引き揚げについての技術的な問題についても、十分日本の知見というものをそこに集めて作業をしようと。つまり、アメリカがどういう作業をするかということをよく調査する、あるいはアメリカから技術的な問題についての何か要請があれば助言をする、あるいは日本の知見を提出することによって協力をするとか、そういったことができるかどうか。そうした連絡会議というものを既に立ち上げて、その連絡会議から人を既にハワイに出しているところでございます。

金子(善)委員 いずれにいたしましても、きちっとした対応をお願いしたいと思います。

 ちょっと時間が迫ってまいりまして、本来でございますと、内閣報償費につきましても、もっともっと質問したい点がございました。一、二点お伺いしておきたいと思います。

 これまで、きょうの朝日新聞の中にも、また外務省の旅費の関係ですが、これは私ども民主党として、あるいは国会審議の中でも再三資料の要求をしているのに一切出てこない。正規の、報償費ではなくて旅費の資料も出てこない。そういう中で、新聞には出てくる。恐らく、新聞社が計算したのではなくて、外務省の中で計算しているんじゃないかと思うのです。

 こういう国会審議の中で、本来秘密でも何でもないものを出さないで、新聞には、それはだれが漏らしているのかどうかわかりませんけれども、外務省の人間が漏らしているに決まっている、それは。そういうようなことでは、私どもも、別にこの問題を追及だけしようと思ってやっているのではなくて、いろいろな疑問点を本当に疑問だと思うからお聞きしているわけで、それが本来秘密でも何でもないものさえも出さない。ところが、新聞にはぽろっと出す。こういうやり方については、強く抗議をしておきたい、このように思います。

 そこで、会計検査院にお聞きしたいと思うのですが、総理一行が外遊された場合の経費でございますけれども、その中には庁費というものはありましたか。

石野会計検査院当局者 会計検査院では、従来の検査におきまして、総理外遊に際しましての報償費以外の経費につきましては、他の経費と同様に書面検査、実地検査を行い、違法、不当な事態がないかなどについて検査してきたところでございます。今回の事態を受けまして、現在、会計検査の観点から、報償費についてその管理体制がどうなっているか、チェック体制はどうなっているかなどの事実関係の調査を行っているところでございます。

 今委員御質問の報償費以外の経費につきましても、今回の事態とどのように関連するかなどを見きわめつつ、必要な検査を実施しているというところでございます。

金子(善)委員 ちょっと明確な答弁じゃないなと思うのですが、ではいずれ、時間もありませんので、またの機会にお聞きしますが、再検査はいつごろまでに終わる予定でございますか。

野呂田委員長 石野第一局長。(金子(善)委員「委員長、会計検査院長がおいでのようですから」と呼ぶ)

 金子会計検査院長。質問者が求めておりますから、指名します。

金子会計検査院長 外務省本省につきましては、一月末から実地検査を実施したところでありますけれども、内閣官房の実地検査についても既に着手をしております。早急に結果を出していきたいというふうに努力しております。

野呂田委員長 金子君、時間が来ました。

金子(善)委員 ちょうど時間が参りました。会計検査院長のただいまのあれは、できるだけ早くということを常に言われているだけで、これは非常に困る発言です。いつまでにするかということをまた改めて質問させていただきますので、本日は、これで私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

野呂田委員長 これにて金子君の質疑は終了いたしました。

 午後三時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時三十分開議

野呂田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。木下厚君。

木下委員 民主党の木下厚でございます。何とぞよろしくお願いしたいと思います。

 本来ならば、平成十三年度予算案を含め、政策論争を徹底的にしたいところでございますが、何せ最近大変なスキャンダルが起こっております。KSD事件、これにつきましては、先ほど、KSD疑惑を取りざたされておりました自民党の村上正邦参議院議員が、二十二日午後、十五時十五分に議員辞職願を参院議長に提出したということでございます。そのほかに、外交機密費の問題、あるいはえひめ丸の衝突事故、それから森総理の対応等、国民の怒りが今政府・与党に向けられております。

 したがいまして、私自身は外交機密費の問題を取り上げてみたいなと思っております。

 その前に、二月二十一日に四党首会談で合意しましたのですが、平成十三年度政府予算の共同組み替え要求に関する合意を提出しておりますので、外務省の公金疑惑、これ等につく平成十三年度政府予算案の共同組み替えを強く要求しておきます。

 まず、外交機密費疑惑に対する国民の怒りというのは、今非常に不景気の中で、倒産あるいはリストラ、そうしたときに、やはり国民の多くが血税を必死になって払っている。その血税を官僚たちが、今わかっているだけでも五千四百万円、使途不明金を含めると恐らく数億円になるのではなかろうかと言われている公金が私的に流用され、競走馬あるいはマンション、ゴルフ会員権、そういったものに使われていることに対して本当に怒りを持っている。一円たりとも血税をむだにしてはいけない、そういう思いが怒りとなって出てきていると思うのです。

 ただ、それに輪をかけて、私自身、民主党の外交疑惑プロジェクトチームの事務局長として、これまでこの問題について調査してまいりました。と同時に、これまでの予算委員会における政府答弁を、議事録をすべて読みましたけれども、どうも政府側の答弁は何を言っているかわからない。場合によっては、黒いものを白にしよう、そういう意図が見え見えである。今の国民は、本当に真実を知りたい。どこかに何かを隠そうとする意図が答弁の間にかいま見られる。ですから、何を言っているかわからない。ですから、国民の怒りがますます高くなっている。

 やはり透明性あるいは公開性、これが今何よりも求められている。ですから、公益を考えた場合、外務省あるいは内閣の名誉を守るのか、あるいは本当に国民から信頼される政府をこれからつくっていかなければいけないのか、その辺のところで、できるだけ事実を明らかにしていただきたい、そう思います。そういう観点から、まず質問させていただきます。

 官房長官が途中退席されるということなので、最初にまず官房長官に対する質問からさせていただきますが、その前に資料をちょっと、よろしゅうございますか。

野呂田委員長 許可しました。

木下委員 この資料につきましては、既に予算委員会の席である政党から出された資料でございます。これに対して、出所不明の文書については答えられないという答弁があったと思うのですが、実はこれは、内閣の専用の便せんに書かれた、いわゆる報償費が外交機密費から官房機密費へ上納されているのではないかというその内容を記したものであります。

 この中身については既に論議されておりますものですから、私は違った角度から議論してみたいのですが、実は、この文書を、一昨日、テレビ朝日の「ニュースステーション」で、ある四人の筆跡鑑定人を使って調査しました。これは官房長官、ごらんになっていますか、テレビ。――見ておられない。外務大臣はいかがでございますか。一昨日の「ニュースステーション」でやったこれに関する……。

河野国務大臣 私、見ておりません。しかし、話は聞きました。

木下委員 この文書は、ここにも書いてあるとおり、平成元年五月に書かれております。これを書いたとされるのが、これはテレビでももう名前が出ておりますので申し上げてよいかと思うのですが、当時の内閣官房首席内閣参事官であった古川貞二郎さんの筆跡ではないかということで、四人の鑑定人を使って、古川さんの手紙と自筆の文書と、この手書きの部分を筆跡鑑定しました。著名な四人の筆跡鑑定の専門家の鑑定によりますと、実に八二から九五%の確率で同一人物であると認められるという結果が出ております。

 当時、古川貞二郎さんは、六十一年六月に先ほど言いました内閣官房首席内閣参事官に就任し、平成元年六月に異動しておりますが、まさにこれは引き継ぎのために文書として残して引き継いだ、その可能性が極めて高いわけですが、これについて、官房長官、何かお聞きになっていますか。

福田国務大臣 いつでしたか、前にもそのような御質問がございまして、古川現副長官に確認いたしました。しかし、本人は、そういうことはないということを断言しておりました。

木下委員 これは、テレビでも本人に確認して、逃げ回っていたようでありますが。

 事実、どうですか、筆跡鑑定で八二から九五%その本人と同一人と確定できるという、専門の、著名な鑑定人が確定しているのですが、これについては古川さんから御報告ございましたか。

福田国務大臣 鑑定人の話は聞きませんでしたけれども、今、逃げるように、こういうふうにおっしゃられた。それはどうも事実と違うようでございますので、御訂正を御本人の名誉のためにしていただきたいな、こんなふうに思っております。

 そういうふうに、その出所が、どこから出てきたのかわからぬそういう資料について、何か決めつけていらっしゃるような発言をされるということは、政府高官であります古川氏に対して大変失礼な話ではないのかな、こんなふうにも私は思っております。

木下委員 実は、私自身、本委員会に古川現官房副長官の出席をお願いしたのでございますが、出席しない、できないということなんですが、この理由は、官房長官、何で出られないのですか。

福田国務大臣 政府参考人について、先般理事会で議論をされたというように伺っておりまして、その施策及び業務に責任ある立場にある者である古川副長官については、副長官として報償費の業務にかかわっていないことから、政府参考人として招致するのは不適当である。また、報償費に関する質問であれば、現在これに責任を負っております私、官房長官から直接答弁をさせていただく、こういうことになっております。

木下委員 いや、そんな理由は成り立たない。やはり公的な立場にいて疑惑がかけられているわけですから、もし疑惑がなかったら、堂々と出てきてはっきり否定すればいいんです。ましてや、テレビで、何千万と見ている前で、名前まで出されて指摘されているんですから、もし疑惑がなければ、出てきて堂々と言えばいいじゃないですか。(発言する者あり)テレ朝じゃないですよ。物的証拠があるんですから。

福田国務大臣 物的証拠とおっしゃられますけれども、どこから入手されたものか、その辺を明らかにしていただかないといけないんじゃないかと思いますね。証拠とまでおっしゃるのであれば、そういう責任があるんじゃないかと思います。

木下委員 それは、筆跡鑑定をして、八二から九五%同一本人と間違いないという形が出ています。もしあれだったら、官房長官、筆跡鑑定するつもりはありませんか。

野呂田委員長 質問者に申し上げますが、予算委員会の理事会で諮りまして、あなたが要求の古川副官房長官は報償費を担当している者じゃありません。上司の官房長官がお答えするという理由で、委員長の私がそういうふうに取り計らったのです。(発言する者あり)おかしくない。

 どうぞ、質問を始めてください。

木下委員 先ほど言いましたが、官房長官、やはり疑惑を持たれているんですから、何千万という人がテレビを見ているのですから、もしあれだったら筆跡鑑定してやったらいいじゃないですか。やるおつもりはありませんか。

福田国務大臣 いずれにしましても、出所不明の文書でございますから、それを一々取り上げるというのはどうかなというふうに私自身は思っておるんです。ですから、確認を行うという気持ちは今のところございません。

木下委員 出所不明といっても、それは出所を明らかにすることができないんですよ。それはやはり守秘義務があるわけですから。守秘義務があるんですから。これは政府が調べればいいんです。わかることですよ。(発言する者あり)いや、合理的な疑いがあるんですから私は言っているわけで、もし政府の方で鑑定する気がないならば、今私どもの方で準備を進めております。

 これがもし今のように、例えば八〇%、九〇%同一人であるという……(発言する者あり)あなた、鑑定のこと知らないですね。ですから、それについて、もし八〇%から九〇%以上同一本人と確定できるとなった場合、官房長官、どう責任をとりますか。

福田国務大臣 今私が御説明申し上げましたように、本人がそうでないというふうに断言しているわけでございますので、そのことを信じていただきたいというように思っております。

木下委員 それは、官房長官が信じても、私が信じられないから質問しているわけでございますので、あるいは、国民の皆さんが信じていないから、私のところにもいろいろ鑑定してくれという要望が来たから、私もあえてきょう質問させていただいているんです。

 もし事実と違うというのであれば、官房長官、古川さんはテレビ朝日に抗議をしましたですか。

福田国務大臣 抗議とおっしゃいますけれども、そういうことは、我々、いつも毎日毎日抗議をしたいというように思っているようなことはたくさんあるのですけれども、そのぐらいのことでございますので、本人が抗議をしたかどうか知りませんけれども、そういうこともあるかなというようなことで思っていらっしゃるんじゃないでしょうかね。

木下委員 今回の外交機密費の最大のポイントは、やはり外務省から出ている機密費が官房へ行っているんじゃないかという疑惑、これがはっきりしないことにはこの問題は解決しないんです。

 私も多くの官僚の皆さん、あるいは官僚をやめられた皆さんにいろいろ取材をしました。みんな、こんなことは周知の事実だと言っているわけです。ですから、この問題を、あくまでもこれは官房機密費の中から出ているんだと言い張るのならば、その辺のところを、きちんと疑惑を晴らしていただきたい。

 私どもは引き続いて筆跡鑑定を求めていくつもりでありますので、ひとつ政府の方もこの問題について、もう一度じっくりと古川さんにお聞きするなり、確認していただきたいなと思います。

野呂田委員長 済みませんが、官房長官が記者会見で退席しますが、よろしいですか。

木下委員 では一言、最後に。

福田国務大臣 必要なことがございますればやらせていただきます。

木下委員 古川さんを連れてきてもらえますか。

福田国務大臣 先ほど私から申し上げましたように、これは理事会でお決めくださることでございますので、そちらの方にお任せしたいと思います。

木下委員 あくまでも私は求めていきますので。

 それから、これは実は外務省をやめられた方から私あてに届いた文書でございます。ちょっと読み上げてみたい。

 今政府に求められているのはアカウンタビリティーであり、この責任を果たすことによって公共性を保ち、公のことを行い得る信頼の基礎となるものと言える。このような巨額の機密費の横領事件が起こった後も、政府、外務省の行うことを信頼せよ、しかし機密費は依然として使途を明らかにできない、機密費を減額することも考えていないという政府、外務省の説明が、納税者である国民の納得を得ることができるであろうか。このような説明を納得する人があるとすれば、その人物はよほどのお人よしか、自分たちの政府、外務省が何ら改善されなくてもよいと考えている、それこそ無責任な人である。

 守るべきは、政府、外務省の無誤謬性ではなく、正しく正当な目的に自分たちの税金が使われているという国民からの政府、外務省への信頼である。総理官邸や外務省の機密を守ることが本当の国益であろうか。むしろ、その政府、外務省を支える国民の信頼感こそ、政府、外務省がよって立つ基本であり、今後とも守っていかなければならないものである。

 これは、つい最近、キャリア高官として勤めていて、外務省に嫌気が差してやめた人の言葉であります。この言葉は、河野大臣、どうお考えでございますか。

河野国務大臣 でき得べくんば、名を名乗ってそういう手紙を書いていただきたいと思いますが、それはそれといたしましても、そこで言われる国民の税金が目的としないものに使われた、あるいは横領されたということについて、我々が深い反省と責任を感じているということは私は申し上げたいと思います。

 ただ、私は、報償費について申し上げれば、報償費は、やはり国の仕事あるいは外務省の仕事を円滑に進める、あるいは機動的に進める意味で必要なものでございまして、このことをぜひ理解をしていただきたい。しかし一方で、私は、このことに大変厳しい御批判があることも承知をいたしておりまして、この使い方、使われ方についてなお一層厳正にしていかなければならないし、使われ方についても、その後の検査その他に十分正当性が認められるものでなくてはならないということを考えております。

 私は、機密費を守るというつもりはございません。しかし、国益を守り、国の情報収集のために必要なものはやはり必要だということをきちんと申し上げなければならないと思っております。もちろん、私が申し上げますのは、もしこの問題で不正があり、また批判されるに当然だと思われるような者がおりましたら、私自身が厳正な処分をもっていたしたい、こう考えております。

木下委員 それから、もう官房長官はお帰りになられたのであれなんですが、これは官房機密費ということなんですが、内閣官房でなぜきちんと調査をしないのか、その理由を述べていただきたいと思うのです。

柴田政府参考人 内閣官房におきましても、外務省から提出されました見積書、精算書、領収書、こういうものを点検いたしまして、当時の担当者の方から話を聞くなどして、支払いと精算事務について確認をするとともに、松尾室長への支払いの実態の把握を行ったものであります。

 今回の事案につきましては、外務省の告発とかあるいは内閣官房からの被害届を受けて既に捜査が進められているというところでありますので、内閣官房としても、これに全面的に協力するということによって、一日も早く事実が解明されることを望んでおります。

 内閣官房としては、原因の解明と再発防止に万全を期していく考えでございます。

木下委員 実際に松尾元室長に支払われた金額は、これまで、在任中の九三年十月から九九年八月までの約六年間で九億六千五百万円ということでございますが、これはもちろん内閣官房の方で確認した数字でございますね。

柴田政府参考人 そのとおりでございます。

木下委員 これは事後精算の額だということを聞いたのですが、精算前の支出額やその残金の額というのは把握しているのでございますか。

柴田政府参考人 ただいまお尋ねの金額でございますけれども、今その犯罪事実全体を捜査当局でとらえようとしているということでございまして、そこにもかかわる事実でございますので、大変恐縮でございますけれども、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。

木下委員 それはおかしいですよ。事後精算の額はわかっていて、なぜ精算前の支出額がわからないのですか。請求額があって初めて金額を切るわけでございましょう。はっきり言ってくださいよ。

柴田政府参考人 あるなし、それから具体的な金額につきましては、先ほど申し上げたような事情がございますから、お答えを申し上げられないということでございます。

木下委員 そんな答弁では納得できない。事後精算の額が出ていて、なぜ事前に渡した金がわからないのか。例えば、お金をとるときには、当然幾ら幾ら欲しいという金額を出すはずなんですよ。それをなぜ出さないのですか。出してくださいよ。

野呂田委員長 後刻、官房長官に出席をいただいて、答弁させます。

木下委員 外務省がさきに調査をして出した、五億幾らでしたか、五億六千五百万ですね、これと先ほどの九億との間に四億円の差があるわけですね。四億五百万円。この差というのは埋められないのですか。わからないわけですか。

河野国務大臣 五億数千万という金額は第一勧銀の口座に入ったお金の額でございまして、恐らく現金で携行した部分もございましょうし、それ以外のものもあろうという、これは推測でしか申し上げられませんが、そういうこともあり得ると思います。この間の誤差といいますか、数字の違いというものを、私どもは今把握はいたしておりません。

木下委員 例えば、私も先ほども言いましたように、何人もの官僚の方に伺いました。公金が個人口座に振り込まれる、こんなことがあっていいのかどうか。公金が個人口座に振り込まれるのは給料以外にあり得ないわけで、それが何億円も個人口座に振り込まれ、そしてそれがクレジットカードで支払われている。宮澤大臣、予算の立場からそんなことがあっていいものですか。

宮澤国務大臣 私も法律のことは詳しくありませんけれども、支出官から渡されたときに、会計法上の公金であることは終わるわけでございますね。しかし、受け取った人は、自分の給料だけは別でございますが、これは国の公金を受け取って、それを国の目的のもとに使う義務がございますから、その人には、会計法上の責任はなくても、刑法その他すべての法律上の責任がございます。

木下委員 いや、それが会計法上云々じゃなくて、要するに官僚のモラルとしてそういうことが許されていいのかどうか。例えば、私どもが会社の金をもらったらすぐ個人口座へ入れる、そんなことはないわけで、そういうことが公の立場であっていいものかどうか、会計法上はあれとしても。

宮澤国務大臣 法律上、詳しくはありませんが、会計法上そういうことが必要であって、そこで支出を終わった、そして受け取った人間は、国のために最もいい方法でこれを目的に従って使わなければならないという義務を負いますから、そのときに、個人の口座にそれを置くことが国のために、目的のためにいいと仮に判断するということはあり得ることだろう。私は、いい悪いは言えませんけれども、あり得ることだろうと思います。もちろん、それで使い込んじゃったんじゃ、これはどうしようもないわけですけれども。

木下委員 いや、そうなったから今問題になっているわけです。

 ですから、やはりそこはきちんとしてもらいたいなと。それは、すべての人を善意に解釈してやるのも結構なんですが、現実に起こっているわけですから、そこはきちんと歯どめをかけてもらいたいと思うんです。どうですか、大臣。

河野国務大臣 恐らく、これは推測の域を出ませんが、受け取った金額をそのまま現金で腹巻きに巻いて持って歩くとか、家へ持って帰って、あるいは役所でどこかに置くということもあるかと思いますけれども、やはり口座に入れておくというのは一つのやり方、考え方であって、今財務大臣からも御答弁がございましたように、総理の外国出張に同行して外国へ出ていくときに、現金でも恐らく携行した部分もありましょう。しかし、口座に入れて、そして支払いに使ったということもあるのだろう。これは推測の域を出ません。どちらが安全であるか、どちらが持ちやすいかといったようなことを、本人は本人なりに考えたのではないかというふうに思います。

木下委員 やはり総理の外国訪問ですから、それは日本国総理として行くわけですから、ホテルなんかの支払いは後で請求書をもらって払って、それの方がはるかに明快ですし、きちんとしている。かつてはアタッシュケースに入れて現金を持ち歩いたという話も伝わっていますが。

 ですから、そこはできるだけ効率的な方法でやっていただければいいんですが、ただ、こういう問題が起こった以上、やはりそこはきちんとしてもらいたい。ましてや、これはクレジットカードで支払っていたということですが、この事実は御存じでしたか。

河野国務大臣 クレジットカードで払っていたということは認めざるを得ないわけでございます。

 口座があって、その口座からクレジットカードを使って支払いをしていたという事実は調査の結果明らかになっておりまして、もっと言えば、そうであったから調査はその部分はできたということもあるわけでございます。

木下委員 要するに、個人口座があって、クレジットカードで払っていた、やはりここに公金を横領するすき間があったわけです。

 しかも、この問題を、外務省もあるいは内閣官房も、松尾個人、一人の犯罪だというふうに言っておりますけれども、実際に多くの人に聞くと、そういうことは、これまでもいわゆる裏金をプールしていたという話は随分伝わってくるんです。これは私もまだ証拠がありませんからあれですが、多くの皆さんに聞くとやはり裏金をプールしていたという話を聞くんですが、そういう話はいかがでございますか。

河野国務大臣 議員が御指摘の前段の問題は、こういうことがあった以上はこういうことをさせてはいかぬぞという御指摘は、私もしかと承っておきます。

 クレジットカードの使用につきましては、私、調査委員会を立ち上げて、調査の結果が出た直後に、自今クレジットカードの使用などは一切ならぬということで、これはもう、そこの停止は外務大臣としてきちっと命じてございます。

 私、こういうことまで申し上げるのは少し行き過ぎかとは思いますけれども、一番問題であったことは、クレジットカードに私的なお金と公金が混在していたというところに一番問題が、これはもう話のほかだと私は思います。

 もしあれが、公金用の口座というものを一つつくって、そこに全部公金が入って、そこから全部クレジットカードで公的な支払いができているということであれば、これはそれなりに記録も全部残って、極めて透明度の高い記録も残っていたであろうというふうに思いますから、私はそれ自体が全部いかぬというふうには思いませんけれども、少なくともそれに私的な金まで入れたり出したりしていたということになれば、これはもう全然話のほかでございますから、私は、とにかくこれは一切やってはいけないということで、現在は中止を命じております。

木下委員 恐らく、私的な金と公的な金を混在させたということは、ある面ではやはり痕跡を残すまいという意図的なものがあったのではないかと、これは推測ですけれども、思うんです。

 それから、この前、松尾元室長の扱っていた名義の銀行口座が明らかにされましたが、私が調べた口座ともかなり違います。これは官房から出た口座ですか、外務省で調べた口座でございますか、口座名、きちんと出ましたけれども。

河野国務大臣 口座名は、松尾本人から我々が任意で聞き出したものでございます。

木下委員 この口座はすべて本人名義でございますか。

飯村政府参考人 本人名義の口座でございます。

木下委員 私が調べた口座の中には、馬の名前がついていますので申し上げていいと思うんですが、アケミという名前の口座も私が調べただけで三口座あります。

 それから、二月二十一日の毎日新聞によると、松尾元室長は二十四口座管理していた、そのうち、残高が三億七千万円あるという報道がございましたが、この報道は承知しておりますか。

河野国務大臣 新聞の報道は拝見をいたしましたが、たしか二十四口座がそこに書いてあったと思いますが、その中には知人の名義とか元夫人の名義とかそういうものがあるのであって、そういう知人の名義とかもとの御夫人の名義とかというものを一括して本人の名義と言っていいかどうかというのは、これはちょっと私どもが判断いたしかねます。

木下委員 ただ、こうした口座にやはり公金が振り込まれている可能性があるわけですから、そこはきちんと調べるつもりはございませんか。

河野国務大臣 銀行口座を調べるかどうかということについては、以前にも何度か御質問をいただきましたが、私から御答弁を申し上げたとおり、銀行にございます口座もしくはその口座のバランスを本人の了承なしに他人が調べるということは、これはできないことでございまして、銀行に問い合わせても、たとえ奥さんからのお話でも一切お教えしませんというのが銀行の返事でございまして、私どものよく調べるところではございません。

 これは、捜査権その他を持って調べればあるいは調べられるというふうに思いますが、我々として調べる力といいますか、権利といいますか、そういうものを持っていないことをぜひ御理解いただきたいと思います。

木下委員 それから、今問題になっている機密費がホテル代の差額に使われていたということなんですが、せっかく御出席でございますので、宮澤大臣に。

 財務省、もとの大蔵省では、当然機密費もありますが、出張したときは、そういった差額分というのは機密費から出るということはありますか。

宮澤国務大臣 大蔵省には報償費はたしか百万円でございまして、それは税関と国税庁が情報提供を受けるために使っただけでございます。

木下委員 そうすると、差額を出したというのは総理外遊だけということでございますか。その他、外務省の皆さんが海外出張したときなんかは、この差額というのはどういう扱いになっていますか。

河野国務大臣 官房の報償費というものは、外務省の要人外国訪問支援室が扱いますのは総理の外国訪問だけでございます。

木下委員 そうすると、一般の外務省の役人が海外出張する場合は、足りない部分についてはどういう形になるわけですか。

飯村政府参考人 平成十二年度に旅費法を改正いたしまして以来、そういうことは起きておりませんけれども、以前は差額の補てんは行っておりました。(木下委員「行っていたわけですね」と呼ぶ)はい、そうでございます。

木下委員 それはどこから出していましたか。

飯村政府参考人 それは外務省の報償費でございます。

木下委員 外務省の報償費から出ていたわけですね。

 そうすると、まず何よりも疑問に思うのは、これまでの委員会の説明によると、資金の流れというのがどうもはっきりしていないのです。官房長官の決裁を得て首席内閣参事官が指示し、最終的には、首相秘書官付の首相官邸秘書職員が直接松尾に現金を渡したという説明をされていますが、これで間違いないわけですね。

柴田政府参考人 そのとおりでございます。

木下委員 そうすると、すべて、このうちの松尾に現金を渡す最終的な責任者は、首相官邸秘書職員が直接現金を渡しているということになるわけですね。

柴田政府参考人 官房長官の指示によりまして現金を渡しているということであれば、そういうことでございます。

木下委員 そうすると、現金を渡したときは、領収書か何かは当然もらうわけでございましょう。

柴田政府参考人 松尾元室長がお金を受け取ったという、それを示す書類というのはいただいております。(発言する者あり)いただいております。

野呂田委員長 注意しますが、語尾をはっきりさせてください。

木下委員 語尾が一番大事ですから。どうにでもとれますので、ひとつお願いします。

 そうしますと、最終的な現金を渡す秘書職員というのは、これはやはりほとんど外務省から派遣されているわけでございますね。

柴田政府参考人 もともとの本籍は確かに外務省にいたかもしれませんけれども、内閣官房に来た場合には内閣官房の職員として働いていただいているということでございます。

木下委員 そうすると、これは当然、首相外遊である一定額の金額を振り出す、その場合、残金なんかは戻ってきたためしはあるのですか。

柴田政府参考人 戻ってきたこと、それから、要するに過不足という事実はございました。だから、足りなかったこともあれば、余ったこともありました。

木下委員 私がある在外公館に聞いたところ、首相外遊で行くということと、現地の大使館員に御苦労さまというような形で五十万、百万の束を置いてくる。それでも余ってきた場合は個人口座へ入れてプールしておくというのが慣習化していたという指摘があるのですが、そうした事実は把握はしていませんか。

河野国務大臣 ちょっと語尾がはっきりしなかったのですが、だれの口座に……

木下委員 あの松尾元室長の口座にプールされていたと。

河野国務大臣 そこは我々が知りたいところでございまして、今、捜査当局が捜査をしているものだと思います。

木下委員 それから、外務省のいわゆる交際費というのもあると思うのですが、これは年間どのぐらいになるわけでございますか。

飯村政府参考人 お答え申し上げます。

 委員の御質問は外務省の報償費ということかと……(木下委員「交際費」と呼ぶ)交際費でございますか。ちょっとそれでは手元をチェックいたしますので、お時間をいただきたいと思います。

木下委員 そうすると、この交際費と、この前新聞報道にも出ました、局長以上に年間六百万円の情報収集の枠がある、課長クラスでも五十万円の枠があるという内規があるということなんですが、その事実はありますか。

飯村政府参考人 今の御質問にお答え申し上げる前に、先ほどの交際費の件でございますけれども、交際費ということでは、これは平成十二年度の数字でございますけれども、外務省の本省分として二千二百七十万円、それから在外公館分として約四億二千五百万円ということで、総計約四億四千七百六十万円計上されております。そのほかに外務省の報償費というのが別途あるわけでございます。

 それから、今の御質問でございますけれども、いろいろな報道はなされておりますが、外務省の報償費の使い方として一定の指針がございますし、それからチェック体制、決裁体制というのはきちっとございますけれども、詳細につきましては、事柄の性格上、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。

木下委員 それから、これは私のある同僚議員から聞いたのですが、新聞記者時代に、飯倉の外務省公館に行けば、あそこに大量のワインがあるということを聞いて、何か一本百万もするようなものがあったという話なのです。いわゆる年度末になって報償費が余るとワインを買って貯蔵しておくという、これも新聞報道がありましたけれども、そうした事実はありますか。

飯村政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、飯倉公館におきましては、主として外務大臣が外国要人等をお招きして外交活動として接遇する場でございますので、外交上の接遇のために必要なワインを保管していることは事実でございます。これが報償費が使われているかどうかということにつきましては、報償費の具体的な使途にかかわることでございますので、答弁を差し控えさせていただけたらと思います。

木下委員 そうすると、使っているということと理解してよいわけですね。

飯村政府参考人 その点については、御説明を差し控えさせていただきたいと思います。

木下委員 使っていないとはっきりは言えないわけですね。答弁をいただけますか。使っていないとはっきり断定できますか。

飯村政府参考人 先ほど申し上げているとおりでございまして、御説明を差し控えさせていただきたいと思います。

木下委員 どうもはっきりしませんが、本当に機密費として必要なものは、これはもうどうぞ隠してください。しかし、例えばホテル代とかそんなものは明らかにしたって何ら不都合がない。なぜそんなことをあえてもったいぶって隠す必要があるのか。堂々と公開していいんじゃないですか。

 例えばそういったものをほかの費目で買うことはできるんですか。もし買うとすれば、どういう名目で買うことができるんですか。

飯村政府参考人 ちょっと私、手元に資料がございませんのでまことに申しわけございませんけれども、ほかに購入に充てるべき費目はあるかと存じます。これはまた後刻御報告させていただきたいと思います。

木下委員 いつまでに報告していただけますか。

飯村政府参考人 可及的速やかに御報告させていただきます。

木下委員 それから、これも私どもの同僚議員がさきに質問させていただいたんですが、実は四年前にある週刊誌で、外交機密費が二億円横領されているという、これを記事にして三週にわたってやりましたのですが、そのときの疑惑と指摘された人たちが、松尾元室長もその疑惑の一人だったわけなんですが、それ以外の人たちはみんな海外へ、飛ばされていると言うとまたあれがありますので、外へ転勤になっているということですけれども、当時の四年前の週刊ポストですが、会計検査院、これはどの程度調べたのでございますか。

河野国務大臣 ちょっと当時、私はおりませんで、私自身の経験で申し上げるわけにはまいりませんが、今回のこともございまして当時の話も聞きましたけれども、当時の御指摘は御指摘として当時しっかりと調査をした、しかし、調査の結果は、雑誌で言われるような事実はなかったというふうに私は報告を聞いております。

木下委員 それはずさんな調査をしたからですよ。当時、やはり名前が挙がっていたんです、松尾さんは。あのとききちんと調べていれば、こういうことはなかったんです。ですから、自分たちのメンツを重んじられる余り、すべてをふたしちゃった。

 どうなんですか。もう一度過去にさかのぼって、疑惑と言われた人たちをもう一度きちんと調査する気はございませんか。

飯村政府参考人 平成九年二月から三月にかけまして週刊誌でさまざまな報道がなされまして、それを受けまして、私ども広範な調査をいたしました。当時、M室長という形で週刊誌で報道されておりますけれども、M室長を含みましてきちっと調査した結果、週刊誌で報道されているような事実は把握されなかったということでございます。

木下委員 いや、きちっと調査したと言いましたけれども、きちっと調査していないから同じ人物がまたこういうことになったわけなんで、そこは反省してもらわなきゃいけないですよ。きちんとやりましたなんて堂々と言える筋合いの話じゃないでしょう。国民の前に謝ったらどうですか。きちっとやりましたなんという言いわけは通用しないですよ、同じ人間がまたこれだけの金額を横領しているわけですから。きちんと言ってください。

飯村政府参考人 一点だけ申し上げておきたいと思いますが、当時、週刊誌等で報道されましたのは外務省の報償費ということでございます。他方、今回問題になっておりますのは内閣官房の報償費でございますけれども、内閣官房の報償費の問題につきましては、この時期も含めて松尾元室長を調査したということでございます。その点につきましては、外務大臣が繰り返し申し上げていますように、本当に国民の皆様に対して申しわけないということを深く感じておる次第でございます。

木下委員 外務大臣、いかがですか。その点についてもう一度お尋ねします。

河野国務大臣 私の記憶はあるいは間違っているかもしれませんけれども、当時、週刊誌が指摘をされた事件といいますか視点は、今回のものとは少し違った視点で指摘をしておられた。しかも、確かに当時もM氏というような書き方であったように私は記憶をいたしておりますけれども、このM氏というものにフォーカスを当てて書いていたのではないというふうに私はたしか記憶をしておりまして、あの当時の記憶をたどれば、別の問題、別の人物について書かれておった。そのことについては、今官房長から申し上げましたように、相当きちっと精査、調査をされたというふうに私は報告を聞いております。

木下委員 それから、これまで外務省の担当者三人が入院されておられるということなんですが、過労で大変お気の毒だと思うのですが、今はどういう状態におられますか。出てきてきちんと説明なりできる状態にありますか。出てきていただきたいのですが。

飯村政府参考人 お答え申し上げます。

 今の委員の御質問は、官房長と官房総務課長それから会計課長のことだと思いますけれども、官房長それから官房総務課長は退院いたしまして、その上で、今現在自宅静養中でございます。

野呂田委員長 木下君、終了いたしましたが、官房長官が戻られたので、手短にお願いいたします。

木下委員 最後にあれですが、外務省の告発が一月二十五日で、警視庁は即日受理した、それからほぼ一カ月近くたつのに松尾元室長に対する動きが全くない。今、松尾はどうしているんでしょうか。国民の中には、なぜ逮捕しないのか、あるいは身柄拘束しないのか。これは刑事局長さん。

五十嵐政府参考人 警視庁では、去る一月二十五日、約五千四百万円の業務上横領の事実で外務省から告発を受理いたしまして、これは極めて重要なものと受けとめまして、証拠に基づいた事案の解明を可能な限り速やかに行うため、関係者からの事情聴取や関係資料の収集等、鋭意捜査を推進しているところでございます。

 なぜ早く逮捕しないんだということですけれども、今申し上げましたように、警視庁ではできるだけ早く事案を解明すべく捜査を推進中でありますが、事案の解明には御案内のように一つ一つの証拠の積み重ねが必要だということで、鋭意捜査を進めているところでございます。

 現在捜査中の事案について、捜査の進捗状況とか捜査機関としての判断について申し上げることは今後の捜査にいろいろ支障を生じますので、御答弁は差し控えさせていただきたいというふうに思います。

野呂田委員長 時間が終了していますから。

木下委員 はい。

 私のところへ捜査関係者から、内閣官房が非常に非協力的だ、資料もなかなか出してくれないということを言われています。本当に国民注視の中であれされているのですから、積極的に呼び出しに応じて、積極的に解明していただきたい。これを明らかにすることがやはり外務省あるいは内閣にとって信頼回復の最大のポイントでございますので、それをひとつよろしくお願いします。

河野国務大臣 ちょっとお尋ねの中で私は解せないことがございます。

 外務省はこの問題について全面的に協力をするということを申し上げておりまして、もし全面的に外務省が捜査当局の捜査に協力しないことがあればいつでも言っていただきたい。私は、そんなことがこれっぽっちでもあってはいかぬ、あらゆるこの問題の捜査には外務省は全面的に協力する、そういう決意でございますので、もし何かそういう事実があればおっしゃっていただきたいと思いますし、捜査当局にも私どもはそういうことを申し上げておりまして、そうしたことに協力が足らないというふうに捜査当局がおっしゃっておられるということは私は全く聞いておりませんので、その点はぜひ御理解をいただきたい。

木下委員 ありがとうございました。

野呂田委員長 これにて木下君の質疑は終了いたしました。

 次に、山口富男君。

山口(富)委員 日本共産党の山口富男でございます。

 私は、内閣官房報償費、いわゆる官房機密費についてこれからお尋ねしてまいりたいと思います。

 我が党の志位和夫委員長は、九日の予算委員会で、八九年五月、竹下内閣から宇野内閣へ政権が移行する時期に作成されたと見られます「報償費について」と題する官房機密費についての引き継ぎ文書を委員会に提出いたしました。そして、極めて重大なこの内容について、当日、森総理、福田官房長官を初めとして、政府に見解をただしました。

 この中には、まず「官房長官が取り扱う報償費は、予算上、内閣官房と外務省に計上されており、形式的には外務省計上分を内閣官房に交付する形をとっている。」こういうふうに書いてあります。つまり、外務省計上分を官房長官が扱える、いわゆる上納が組み込まれていた、このことを示しております。これは、明らかに財政法に違反する事態、こう言わなければなりません。

 さらにページを、きょうは前回資料で配付しておりますので皆さん方にはお配りしておりませんけれども、この資料の中には、別紙Aの中に、例えば自民党外交対策費ですとか、夏季・年末経費、このほかに、新税制の円滑実施、これは消費税のことなんですけれども、と称して、一九八九年の消費税導入の際に億単位の機密費が活用された、そのことがわかる記載があるなど、大変党略的な流用を裏づける重大な内容が盛り込まれております。まさに暗い、隠された部分が明るみに出された重大な内容だと思うのです。

 そこで、福田官房長官にお尋ねしますが、先日の予算委員会で、あなたは必要があればこの文書についても調べるとおっしゃっていましたけれども、その後何かお調べになったんですか。

福田国務大臣 この前の委員にもお答えしたのですけれども、どういうところから出てきているものかさっぱりわからないんです。また、本人にも、本人というか当時の古川副長官、聞きましたけれども、これもわからぬというふうに言っておりますので、それ以上調べようがないというのが現状でございます。

山口(富)委員 わからないとか出所不明というのは議論にならないと思うのです。

 というのは、政治の世界で違法なおかしな状態がある場合に、それに気づいた方は、いろいろな形で政党、政治家に知らせること、これはあると思うのです。そして、これだけ国政の場で問題になってきているのですから、やはり当然必要な調査があってしかるべきだと思うのですが、重ねてお尋ねしますけれども、必要があれば調べると言われたわけですから、調べていないということは必要がないというふうに判断されたわけですね。

福田国務大臣 もう大分、十年前ですか……(山口(富)委員「十一、二年」と呼ぶ)そういうものを裏づけるような資料もないようでございますので、何ともこれ以上申し上げようがないというところでございます。

山口(富)委員 どうも福田官房長官のお話を聞いていると、この文書を非常に軽く扱っているように思うのです。しかし、国民の皆さんは、志位委員長のこの場での質問以降、さまざまな方々が、そしてさまざまな場やメディアが、この文書は一体何物なんだということでいろいろな探求を今始めたところです。

 私は幾つか示してみたいのですけれども、見出しだけ紹介いたしますが、例えばある雑誌は、「機密費「上納」の動かぬ証拠 内閣「極秘文書」入手 それでもシラを切るのか!」こういう見出しが立っております。それから、別のメディアでは、「“引き継ぎ文書”に永田町震撼」「“内部文書”で上納裏付け」こういう記事や、それから企画が枚挙にいとまがないくらい続いているわけですね。

 ここには、この予算委員会で示された文書の中身が、国民の税金が法律違反を重ねた上で私的、党略的に使われている、そういう疑惑が起こっているわけですから、この点に国民主権の原則から見て絶対に許されないということで探求のいろいろな仕事が始まっている、このように思うのです。

 そうしますと、あなたはこの間の委員会で必要があれば調べるというふうにおっしゃったわけですけれども、やはりこれだけ国民の中で厳しい追及が始まっているわけですから、この内閣の官房報償費、その執行に責任を負うあなた自身が、当委員会に提出された「報償費について」という文書を、責任を持ってその真実を明らかにする、そういう必要こそが今国民との間で生まれているんじゃないでしょうか。どうですか。

福田国務大臣 今いろいろ例を挙げられましたけれども、そのもとは結局この間志位委員が出されたものでしょう。同じものですよね。その資料そのものが一体何物であるのかということが私どもわからぬから、どうしようもないということです。

 だったらば、幾らでもそれに近いような文書をつくれば、それをもとにすべて調べなきゃいかぬ、こういうことになるのですか。

山口(富)委員 繰り返しになりますが、あなたの今の答弁は大変おかしな答弁ですよ。つまり、これが内閣の官房の文書じゃないかという指摘があるんですから、それをきちんと調べるのがまず第一の責任じゃないんですか。

福田国務大臣 今、内閣官房の資料、こういうふうにおっしゃったけれども、本当にそうなんですか。そういう何か事実があるんですか。であれば、教えていただきたいと思っております。

山口(富)委員 私は、今の答弁を聞いて、国民の皆さんが本当に悲しむと思うんです。というのは、例えば、先ほどここで木下委員が紹介いたしましたけれども、十九日の夜に放映された民放テレビの番組でも、志位委員長がここに提起しましたこの機密文書について、その内容や形式、それから書いた人物も、四人の専門家によった筆跡鑑定によって、この人物にもう間違いない、そういう形での、いろいろな形での証明が今あちこちで始まっているんじゃありませんか。それをもって、どうしてあなたは、まともにこのことを調べようという姿勢をとれないんでしょうか。

福田国務大臣 私が調べていないということをおっしゃるけれども、調べているんですよ。だけれどもわからぬということを申し上げているんです。

山口(富)委員 だったら、先ほど調べようがないと言ったのに、なぜ今度は私も調べているんですよという発言ができるんですか。

 では、この場に、あなたは一体どういうことを調べたのか、具体的な材料を提出してください。

福田国務大臣 私は、先ほど申したのは、当時の担当者にも聞いたし、それから当時の、こういうものがあるのかということも聞いております。調べているでしょう、そういうことは。ほかにも資料に当たってみましたけれども、そういうものがないということで、一々その中身を言うことはないと思います。

山口(富)委員 当時の担当者というのは古川貞二郎さんのことなんですか。いや、そうであればそれで結構です。そうなんですか。担当者にも聞いてみたというお話が今出ましたので、お聞きいたします。

福田国務大臣 そのころの時期のものというので、古川現副長官にも聞いたところでございます。

山口(富)委員 それでは、引き続きお聞きいたしますけれども、あなたは予算委員会で、機密費の使い方につきまして、官房長官の決裁を得た上で首席参事官、今の総務官が指示をしてその先に渡すと。いわば、松尾元室長の場合ですと、首席参事官の指示で最終的には官邸の職員が手渡したという答弁を繰り返していますけれども、そういうことなんですね。

福田国務大臣 これは、その案件によりまして違うんですけれども、松尾氏の関係する事件については、これは内閣総務官ですね、現内閣総務官、昔は首席参事官と申しましたけれども、その首席参事官が扱うということになっております。これは内閣がかわりますといろいろなことがあるのかもしれませんけれども、私はそういうことだと思っております。

山口(富)委員 いわば、松尾元室長の時代も、それから八九年五月の、後で問題にいたしますけれども、首席参事官だった古川貞二郎さんも、官房長官の言葉をかりれば、機密費の担当者だった、そういうことになるんですね、いろいろ案件があったとしても。

福田国務大臣 担当者という言葉をもう少し正確に申し上げますと、これは責任者は官房長官なんですね。ですから、官房長官の指示に基づいて、内閣総務官もしくは首席参事官がその指示に基づいて扱う、こういうことになります。

    〔委員長退席、北村(直)委員長代理着席〕

山口(富)委員 そうしますと、ちょっと法文を確認いたしますが、内閣官房組織令というものがありますね。その内閣官房組織令によりますと、その第二条で、内閣参事官室での事務として、例えば、機密に関すること、予算、決算及び会計に関すること、これが取り扱う事務に挙がっていますが、これは間違いありませんね。

福田国務大臣 これは第二条の八号ですか、「前各号に掲げるもの以外の内閣の庶務」、こういうのがございますね、それに該当するんだろうと思います。(発言する者あり)

北村(直)委員長代理 条例を持ってきてくれたんです。条例を持ってきただけです。

 山口富男君。(発言する者あり)山口富男君、どうぞ質疑を続けてください。(発言する者あり)質疑を続けてください。山口富男君。質疑を続けてください。山口富男君。質疑を続けてください。山口富男君。(発言する者あり)資料をそこに持ってきただけです。質疑を続けてください。山口富男君、どうぞ。

山口(富)委員 私は今の議事の中断に納得は全くできませんけれども、質疑を続けます。

 それで、福田官房長官、少しお互い落ちつきまして、私は今内閣官房組織令の話をしたんですけれども、その第二条で、内閣参事官室での事務の中身が明らかになりました。そうしますと、ちょうど今資料をお持ちのようですから、同じ資料なんですけれども、その第九条に、首席内閣参事官は、これからが引用ですが、その「事務を総括整理する。」このように定められていることに間違いありませんね。

福田国務大臣 そのように書いてございました。

山口(富)委員 そうしますと、八九年五月当時の首席参事官が古川貞二郎氏、今の官房副長官ですけれども、この方であって、しかもその位置は機密費の動きについて非常によく知り得る立場にあった。それは法律的にもそういう中身を持った仕事だった、このことをお認めになったということでよろしいですね。

    〔北村(直)委員長代理退席、委員長着席〕

福田国務大臣 先ほど申し上げましたけれども、報償費のことについては官房長官がすべてを掌握している、こういうことになるんですね。ですから、その部分部分で当時の首席参事官がその内容を知り得る立場にはあったかもしれぬというようには思います。

山口(富)委員 責任は内閣官房長官にあるけれども、部分部分で知り得る立場にあった、このことをお認めになりました。

 となりますと、やはり八九年五月のこの文書について、その真相を明らかにするためには古川さん御自身にここに来ていただくしかないと思うんです。そうじゃありませんか。

福田国務大臣 これも先ほど答弁申し上げたことなんですけれども、政府参考人については先般も理事会で議論されておりまして、現在その施策及びその業務に責任ある立場にある者である古川副長官については、副長官として報償費の業務にかかわっていないことから、政府参考人として招致するのは不適当である、また報償費に関する質問であれば、現在これに責任を負っている官房長官から直接答弁をさせていただく、こういうことでございます。

 それ以上のことは理事会の方にお諮りをしていただきたいと思います。

山口(富)委員 私が問題にしていますのは今やっていることでなくて、あの方がかつて報償費、機密費について知り得る立場にあり、その仕事の前後、その時期に今問題になっている文書が出てきているわけですから、そのことを確かめるにはあの方に話を聞くしかないのじゃありませんか。官房長官。

福田国務大臣 何度もお答えしているんですけれども、本人はそのような資料は一切存じ上げぬ、こういうように申しておりますので、それ以上のことは私からも申し上げられないということです。

山口(富)委員 国会はそういう人の伝聞であれこれ判断するような場ではありません。

 憲法の六十三条には、求められれば、憲法の場合は国務大臣ですけれども、きちんと出席して答弁、説明する、しなければならない、こういう規定があります。そして、これを受けて国会法の七十一条では次のように書いています。ちょっと読み上げてみます。「内閣総理大臣その他の国務大臣並びに内閣官房副長官、副大臣及び大臣政務官並びに政府特別補佐人の出席を求めることができる。」私は、こう定めているから、この委員会に古川さんの出席を求めたんです。

 あなたは憲法の六十三条やそれを受けた国会法七十一条をお認めにならないのですか。

福田国務大臣 何度も何度もお答えしているんですけれども、このことは、要するに出どころがわからない資料でございまして、そういうことについて我々はどこまでその義務があるかということになるんですね。

 ですから、そういうふうにこれが正しい、正しいとおっしゃるんだったらば、その正しいということをもう少し説明していただかなきゃいかぬな、こういうふうに私は思っております。

山口(富)委員 説明する責任と義務はあなたの方にあるんですよ。九日の予算委員会でも志位委員長が説明をし、そしてその後、いろいろなところで、これはおかしな文書だということがもうはっきり指摘されている文書なんです。いまだに出所不明と言っているのはあなたぐらいじゃありませんか。

 さて、もう一つお尋ねしますけれども、先ほどの私の前の木下委員の答弁の際に、この問題で、私は不当な話だと思いますけれども、予算委員長が認めたら古川氏の出席もあるという話をしましたけれども、それは間違いありませんね。

福田国務大臣 それは理事会の方にお任せをしたいということは先ほども答弁いたしました。

山口(富)委員 私は、改めて、この問題というのは、先ほど福田官房長官が何回も足を運ばれて同じことを繰り返しますがとおっしゃいましたけれども、それはそれだけ大事なことだから、お互いに議論をやりとりしているわけですね。

 私は野呂田委員長に求めますけれども、これは国会法に基づいて、古川氏の当委員会への出席を求めることを改めて要請しておきたいと思います。やはりKSDの問題でも、機密費の問題でも、真相の解明というのが本当に今の国会に求められた大事な課題だと思うんです。そのときに、憲法にも国会法にも反するような事態を私は黙過することはできません。

 引き続き、繰り返しになりますけれども、私は官房長官にお尋ねしますが、年度途中で内閣がかわることがございますね。そうしますと、報償費の引き継ぎというのは新しい官房長官に対してどのような形で行われるんですか。

福田国務大臣 その引き継ぎもいろいろなケースがあるんだろうと思いますよ、私はそういうことを存じ上げませんけれども。

 ですから、どのようにお答えしたらいいのかというように思いますけれども、必要なことは引き継いでおります。

山口(富)委員 全く答えていません。再答弁を求めます。再答弁を求めます。

 具体的に引き継ぎが起こる場合に、どのような形で行われるのですか。例えば、文書で行われるとか、お金の額がこうなっているという形で行われるのか、あなたが知り得る内容で結構ですから、お願いいたします。

福田国務大臣 これは口頭で引き継ぐこともございますし、また必要に応じて文書ということもございます。その対応の仕方はその時々で違うんだろうというように思っております。

山口(富)委員 お戻りになる時間が、ちょっと私余りありませんので、そのまま……。

 あなたの場合はどうだったんですか、引き継ぎは。

野呂田委員長 山口君に申し上げますが、三分で終わるところを野党の理事の皆さんの要請によりまして三分延長しますので、六分まで続けてください。

福田国務大臣 私は、口頭とそれから文書と両方ございました。

山口(富)委員 私、八九年五月、平成元年五月の日付を持った文書を問題にしているんですけれども、実は、最近、八九年の引き継ぎの当事者たちがいろいろな発言を始めております。

 例えば、亡くなられた竹下登さんですけれども、最近出ました「政治とは何か 竹下登回顧録」という本がございますが、この中で、インタビュアーに、内閣がかわったときに報償費についての引き継ぎはあるのかと尋ねられまして、次のように答えています。「ありますよ。極端にいいますと、内閣官房長官の引き継ぎ事項は、これだけなんです。」機密費だけだと言うんです。「新長官には(報償費が)これだけあります、と引き継ぐ。」このように内容を述べていらっしゃいます。

 それから、いわば竹下さんは引き継ぐ送り手側ですね。そして、その相手先である当時の宇野内閣での新しい官房長官であった塩川正十郎氏が、最近このように認めております。報償費は、今年度予算でこの程度で、この程度残っております、そういう引き継ぎはあった、こういうふうにおっしゃっているんですね。

 そうしますと、八九年五月の文書が、八九年の五月の段階で報償費が幾ら残っているのか、それが書いてあるそういう引き継ぎの文書であった可能性が、その蓋然性が高くなってくるんじゃありませんか。

福田国務大臣 その当時、私、どういうようにやっておられたか存じ上げません。

山口(富)委員 あなたが存じ上げないとおっしゃるから、古川官房副長官にここに来ていただこうじゃないかと言っているんです。

 それで、八九年五月に機密費は確かに竹下内閣から宇野内閣に引き継がれた、これが確認できると思うんです。そこでお聞きしますけれども、古川氏が首席参事官を離れて、その当時の厚生省に戻られたのはいつの時点でしたか。おわかりでしょうか。

福田国務大臣 今ここに資料がないので、わかりません。

山口(富)委員 これは、あなたが責任者を務めていらっしゃる内閣官房のホームページに出ているものです。これを見ますと、八九年の六月に厚生省に戻っています。そうしますと、八九年の五月当時、この機密費のありよう、担当者とかいろいろな言葉がありましたけれども、そういうありようを知っている方、そして塩川正十郎さんの言葉をおかりすればこの程度は残っていますよ、そういうことに熟知している方、それはやはり首席参事官であった古川氏だったと思うんです。その上、機密費の引き継ぎのために八九年の五月にしかこの文書を書くことができなかった人、それはやはり古川氏であったとしか考えられないんじゃありませんか。

福田国務大臣 出所不明の文書でもって決めつけられるような言い方をされては非常に困るんです。

山口(富)委員 私、決めつけられるような言い方はやめてほしいというのは、質疑者に対する大変失礼な言い方だと思うんです。この三十分間、いろいろな形で説明を繰り返してきたわけですから、その言葉はやはり撤回していただきたいと思います。

 しかも、この古川貞二郎氏の内閣官房のホームページを見て私驚いたんですけれども、彼がこういうふうに述べているんです。「首席内閣参事官時代、昭和から平成へ移行の実務を担当したことは忘れられない思い出」だと。これが皆さん、八九年のことなんです。

 ですから、私は、この方が忘れられないと言っているんだから、その忘れられない中身をぜひ国会の場で語ってもらおうじゃないか、そのことを要求しているんです。この点、どうお考えですか。

野呂田委員長 官房長官、山口君の時間が終了しましたので、簡潔な答弁をお願いします。

福田国務大臣 報償費については官房長官が全責任を負っていることでございますから、先ほども申しました、部分を知り得ることはできるかもしれぬけれども、これは私の推定ですよ、推測ですよ、かもしれぬけれども、全体を知っているわけじゃないんですね。

 また、昭和から平成への移り変わりということについて、その場に立ち会われたということは、それは報償費じゃないところの話をされているんじゃないですか。

山口(富)委員 それは本人に聞いてみないと、官房長官の推定ではお話にならないと思います。

 私、当時の経過とこの文書をめぐるいろいろな諸事情がこれだけ明らかになってきているわけですから、一つは、関連資料などの調査や国会への提出を求めたい。それから、真実を知っているはずの古川氏の証人喚問を求めたいと思います。そして、委員長に、この二つの点についてよろしくお取り計らい願いたいと思います。

野呂田委員長 先ほど、古川君についての理事会の結論は申し上げましたが、もう一度ひとつ検討させていただきます。

 これにて山口君の質疑は終了いたしました。

 次に、中川智子君。

中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子です。

 きょうは、まず最初に、坂口厚生労働大臣に対しまして、薬害クロイツフェルト・ヤコブ病の問題について御質問をいたします。

 日本で最初の薬害クロイツフェルト・ヤコブ病訴訟の原告となられた谷たか子さんが、一月の二十三日に亡くなられました。その三日前には、林琢己さん、三十代の若さでこのヤコブ病で亡くなりました。この病気は、発症すると自分で動くことも話すこともできなくなり、一、二年で亡くなると言われている恐ろしい病気ですが、たか子さんは、家族や支援者の方を逆に励ます存在となり、五年近く病と闘ってこられました。

 厚生省の承認した医療用具が汚染されていたためにクロイツフェルト・ヤコブ病に罹患したのに、製造企業からも厚生省からも謝罪の言葉を聞くことなく亡くなられ、さぞや無念だったと思います。私もその葬儀に参列いたしまして、本当に悲しみの涙がとまりませんでした。御遺族の悲しみや怒りは想像を絶します。

 私は、歴代の宮下厚生大臣、丹羽厚生大臣、津島厚生大臣、ずっと早期解決をすべきと一貫して質問もし、この予算委員会の場でもお訴えをしてまいりました。坂口大臣は、プロフィールで紹介されている中に、恵まれない人たちの医療に献身したと。みずからお医者様でもありまして僻地医療に取り組んでいらした前身を持たれる坂口大臣に、ぜひとも、薬害で苦しむ患者、家族の方のためにも献身していただきたいと思って御質問します。

 諸外国で禁止されて、それ以降十年間もこの日本では使い続けていました。症例の発症を続けさせた最も見苦しい厚生、衛生学的無策の例となっていることを言外に示している、このような手紙が弁護団長に届きました。この手紙の差出人は旧予研の部長さんであります。いわば身内からもこのような厳しい指摘がなされているわけです。

 昨年の厚生委員会の集中審議、閉会中にされましたが、厚生省の対応について、多くの議員が厳しく、与党の中からも厳しい質問が出ました。

 病と闘い、差別や偏見と闘い、あるいは最愛の家族を亡くして苦しんでいらっしゃる原告、患者の遺族の方々とこれ以上裁判で争うことをやめて、早期の救済と全面解決に御尽力いただくよう心から希望しながら、大臣の御所見を伺いたいと思います。

坂口国務大臣 中川先生がこのヤコブ病に熱心にお取り組みになっておりますことは、前々からお聞きをいたしておりました。

 私も、新しい病気でございますので、なかなかその真相、そしてその発生、どういうふうにして発生してくるのかということにつきましても、十分な知識が正直言ってございませんでした。最近になりまして私もいろいろと勉強を重ねているところでございます。そして、このクロイツフェルト・ヤコブ病というのが、発生すると急速に痴呆が進行しまして数年で死亡するという大変重篤な疾病であって、患者さん方や御家族におかれましては、大変な御苦労のあるものであるということを十分に拝察することができました。

 このため、国の方でいろいろ行っておりますことにつきましても私も聞いておりますが、患者、御家族の御負担を少しでも軽減できるように、全額医療費の負担でありますとか、訪問看護員の派遣でございますとか、こうしたことも行っているところでございます。今後とも、現在の医療とか介護、福祉の枠組みの中で最善の対応を責任を持ってやっていきたいというふうに思っております。

 しかしながら、このヒト乾燥硬膜、いわゆるライオデュラによりますところのクロイツフェルト・ヤコブ病の発生の問題等につきましては、既に裁判になっているということもございまして、私もこの点の、どういう経緯でこういうふうになったのかということも順を追ってずっと私なりに検証をいたしておりますが、世界で一例、二例、現在この訴訟を起こしておみえになります方の半分以上は、第一例が発生した前後の方でございます。第二例目のところの方が数名お見えになりますでしょうか。そうした、医学的に見ましても本当にこれがいわゆる感染性の病気なのかどうかということが非常に難しい段階のところで起こっておりますような状況でございます。

 したがいまして、こういう状況を背景にして訴訟が起こっているということにつきまして、なかなか判断は難しいんだろうというふうに思っておりますが、ここは、訴訟が起こっているわけでございますから、その結果をお待ちしなければならないんだろう、率直に私はそう思っているところでございます。

 中川先生から、今その訴訟を、和解等の道もあるではないかというお話がございました。そういう方法もそれはないとは言えません。しかし、非常に難しい判断が迫られているわけでございますから、ここは法律的にきちっと一遍けじめをつけるということも大事ではないかというふうに思っている次第でございます。

中川(智)委員 毎回、大臣が本当に半年置きぐらいでかわられますので、一生懸命そのたびにビデオをお渡ししたり、資料をお渡ししたり、患者、家族の方に会っていただいたりと忙しいんですが、また大臣にも、ぜひとも患者、家族の方に、原告の方にお会いになっていただきたいと御要望をいたします。うなずいていただきましたので、近々アポをとらせていただきます。よろしくお願いいたします。

 続きまして、KSD関係の関連財団の中小企業国際人材育成事業団、通称アイム・ジャパン。アイム・ジャパンというふうに今後言わせていただきますが、アイム・ジャパン問題について伺います。

 アイム・ジャパンは、主にインドネシアなどから外国人研修生を受け入れて会員企業に派遣しているわけです。実は、国際貢献とか人材の育成と言いながら、人権侵害でありますとか、いわゆるさまざまな法令違反の疑いもございます。これは経過的に言いますと、政官財のある意味での癒着構造が極めて顕著なものにもかかわらず、そのはざまで泣いているのは、希望に胸膨らませて海外から日本にやってきて、そして、思ったような仕事ではなく、自分の国に帰っても技術移転ができなかったり、また、文句を言ったり反抗的な態度をとったからといって強制送還されたり、そのような事例が、たくさん訴えが寄せられています。

 まずこの研修生、技能実習生の責任官庁はどこになるのかということを伺いたいんですけれども、法務省の方の局長さんにきょう来ていただいていますので、まず、責任官庁はどこかという、ここの政府機関を明確にしてから質問を始めたいと思います。

酒井政府参考人 この研修・技能実習制度は、先生御案内のようにいろいろな役所が一緒にやっているところでございますけれども、基本的には、法務省の入国管理の規定において研修という立場それから技能実習という立場、それが位置づけられているというのは法的な側面でございます。

 厚生労働省といたしましては、その研修制度及び技能実習制度を、開発途上国への技能移転を図って途上国の経済発展を担う人づくりに協力しようということで、かなり大きな責任を感じてやっておるというところでございます。

中川(智)委員 では、法務省の方に伺いますが、今厚生労働省は、責任官庁は、いろいろな役所がやっているけれども第一番目の責任官庁として法務省と言いましたが、それでいいんですか、法務省。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 私どもが一番の責任官庁というのは、ちょっと筋違いだろうとは思っておりますけれども。

 私どもの方は、在留される外国人の入国審査をいたします。そして、入国をして、その在留の関係で在留資格の変更というものが相なりました場合にそれの審査を行う、そういう側面で、外国人についての在留と入国審査、その限りでの責任を持っておる、こういうことでございます。

中川(智)委員 そうしたら、坂口厚生労働大臣、そして高村大臣、申しわけないんですが、今、法務省だと厚生労働省は言いました。法務省の方は、ちょっとそれはというふうに言いました。この外国人研修生の問題は、本当にどこが政府の責任機関か、これがあいまいなままきて、いつも責任転嫁がございます。法務大臣。

高村国務大臣 入国管理については、法務省が責任官庁であることはもちろんであります。外国人の方が日本に入っていただく、そして、それから在留期間を更新する、そういったことについては法務省が責任官庁でございます。

坂口国務大臣 公益法人としてのアイム・ジャパン、その総元締めと申しますか監督官庁というのは、それは厚生労働省だと思います。

中川(智)委員 それでは、やはり私は、これは認可した、許可した厚生労働省がしっかりと、その外国人研修生、実習生の身分問題、そして現在どういう状況に置かれていて、受け入れたはいいが後は本当にどこにその訴えをしたらいいかということで、これでNGOなんかも一生懸命動いているのですが、本当にそこが明確でないばかりに、いまだにさまざまな問題が放置されています。

 昨年からこれが国会で取り上げられまして、アイム・ジャパンの、研修生、実習生のパスポートの強制的な取り上げとか、大切な高校の卒業証書も取り上げる、そして強制的な積立貯金の問題、そして賃金のピンはね問題、強制帰国措置とかいうことに対して一定の調査をしたということですが、調査がしっかりどの程度まで行われているのかの資料をちゃんと出していただきたいと思いますが、それはもうまとまっていますか。

坂口国務大臣 立入検査をいたしましたことも事実でございますし、今そのまとめに入っておりますので、遠からずと申しますか、近いうちにと申しますか、それは発表させていただけると思います。

中川(智)委員 それは、資料としてちゃんと出していただきたいと思います。そして、近いうちというか、もう去年のことですし、そして、まだまだやはりパスポートの取り上げとかそのような問題がいまだにされているという報告がございますので、しっかりとした調査、そしてその報告を求めます。

 これは、研修生が日本に来てアイム・ジャパンが説明する説明書なんです。いろいろなことが説明されるのですが、その中に、つらいから研修から逃亡したり、そして研修生が物が言えない、いろいろな形で縛りが強くて、もしも盾突いたり企業に反抗的な態度をしたりしたら、即座に強制的に本国に帰して、そして三十万円の罰金を支払うとか、いろいろな取り決めがされているようです。

 日本でアイム・ジャパンが研修生にする説明の中では、そんな態度をして逃亡したら犯罪者としてインドネシアに帰国させるぞとか、研修生のすべての権利を取り消すとか、そして、研修から逃亡した研修生の出身地から研修生の受け入れは停止しますとか、いろいろあります。そのような縛りがかけられるような文書がアイム・ジャパンと研修生の間で取り交わされているということは、坂口大臣、御存じでしょうか。

坂口国務大臣 アイム・ジャパンの研修生につきましては、インドネシア労働移住省が定めますところの研修生規則に従うこととされておりますが、この規則におきましては、研修生が研修を終了せずに中途帰国する場合に違約金の支払いが必要となる場合があるなどの不適切な点が見受けられるというふうに思います。

 この点につきましては、今後、同規則に関しまして、アイム・ジャパンを通じインドネシア労働移住省に対し改善の申し出を行わせる等、適正化に関する指導を行ってまいりたいと考えているところでございます。

中川(智)委員 これはおとといの報道なんですけれども、日本だけではなく、インドネシアに対してもアイム・ジャパンは政官界にわいろ攻撃ということで、インドネシアの労働相の息子が結婚したときに御祝儀として五百万円の小切手が渡されたとか、毎月インドネシア労働省の役人にそでの下、いわゆるアンダーテーブルでお金を渡しているというアイム・ジャパンの実態というのは厚生労働大臣、御存じでしょうか。

坂口国務大臣 私もその新聞を拝見しまして、すぐにそういう事態があったのかどうかということを調べてもらいましたが、私も、見ているわけじゃございませんから言い切ることはできませんけれども、現在まで調べました内容から見ますと、そういう五百万とか大変なお金が動いているということは全くない。いわゆる儀礼的にと申しますか、正常の範囲の中でのお祝いとかなんとかということは、結婚だとかあるいは亡くなられたときだとかというようなときに対してそれはあったけれども、多額のそういうことが行われたということは全くあり得ない、この担当者の方はそういうふうに主張しておるところでございます。今後また、しっかりとそこは調査していきたいというふうに思っております。

中川(智)委員 アイム・ジャパンはほとんど役員は天下りですね。お給料を千八百七十万ほどもらっている専務理事、常務理事などは、元労働省、元労働省、元法務省、元外務省、元警察庁、元大蔵省、元大蔵省、元大蔵省、そんなふうに、十人のうちの八人ですか、すべて天下りでアイム・ジャパンの役員構成というのはされています。これは法務省も入っていますので高村大臣に振りますが、それは御存じですね。

高村国務大臣 それは知っております。少なくとも法務省に関してのことは知っております。そして、私の方から、今後この団体について要請があっても法務省から人を推薦しないように、こういうことを申し渡してあります。

中川(智)委員 ということは、高村大臣は、やはりこのような構成はおかしいし、それは誤解のもとであるし、また政官財の癒着構造というのが、かつて、やはりこういう構成だったらあったかもしれないというふうに思われてそのような指令を出されたわけですか。

高村国務大臣 大変申しわけありませんが、構成全体を知っていたわけではなくて、法務省からこの団体に推薦した人間がいる、今行っているということを聞きまして、そしてこういう問題のある団体には今後は推薦しないように、こういうことを申したということであります。

中川(智)委員 坂口大臣、労働省からも非常に行っておりますが、いかがでしょう。

坂口国務大臣 旧労働省からも二名行っておりますことを存じ上げております。

 これは、一般的な話でございますが、公益法人、幾つかございますけれども、やはり所管のところに、しかもその役員という形で元省庁の幹部の者が出るということは、望ましいことではないと私も思っております。

中川(智)委員 法務省の方に、法務大臣に伺いますが、研修生というのは、法令で、研修なので労働をしてはいけない、あくまでも研修生として一年受け入れて、残業をさせてはいけないということなんですね。小山前参議院議員の質問によって在留期間というのが延長になりまして、二年から三年になって、二年目、三年目というのは残業をしてもいいんです。

 二月の二十日に、これは大企業でありますクボタで研修生を強制的に残業をさせて、ほぼ一年間で五百時間残業をさせていたということで、元この実習生とそして労働組合の人たちがクボタの竜ケ崎工場の方に訪れました。このカレンダーがあるのですが、色つきですのできょうは資料としてちょっとお渡ししなかったのですが、残業を何時間させられたとか、二時間以上、三時間以上ということで、この研修生がこういうカレンダーにマークをつけたものがあります。そして、研修生は残業をしちゃいけないということなので残業代を払わなくてもいいというふうな形で、要求もできないし、どうせ非常に縛りがきつくて、企業に文句を言ったら強制送還されるかもわからない、そのようなことがありまして、ずっと言えませんでした。そして、もう既に実習時代を終わって帰ったインドネシア人の青年たちがそのことを訴えたわけなんです。

 残業をさせてはいけないのに残業をさせるということは、これは法令違反になりますね。局長で結構です。

酒井政府参考人 アイム・ジャパンのクボタの件につきましては、恐らく二十一日の読売の朝刊かと思いますが、本件につきましては、アイム・ジャパンに対しまして、実は事実関係について調査を行うように指示しているところでございまして、現在、法務省とも情報交換を行いながらやっていくつもりでございますけれども、アイム・ジャパンに対して、その結果によっては当然指導を行ってまいりたいと思っております。

 今私どもとして調査を指示しておりますのは、クボタにおける時間外、休日の研修の有無、その具体的な内容、それから、就労活動と認められる行為をさせていた場合には、そういう具体的な内容といったことをある程度詳しく調べて、適切な措置をとるように進めていきたいというふうに思っているところでございます。

中川(智)委員 高村大臣、これは法務省がつくった指針に違反する例だと思うのですね。指針に違反した場合は、受け入れ機関としての罰則はないのですが、厳重注意と、そして今後改めるという形の体質改善というのがきっちりと行われなきゃいけないと思うのです。実習生たちの陳述書というのがございますので、後ほど大臣に提出させていただきますので、その実態というのをやはり大臣みずから知っていただきたいと思います。

 そして、先ほど坂口大臣に、アイム・ジャパンとの取り決めのこととか、現在もパスポートの強制的な預かりというのをしているのかどうかというのは調査報告を出していただきたいとお願いしたのですが、もう一つ資料請求をしたいのです。インドネシア政府とアイム・ジャパンが、インドネシア国内において、日本に来る直前にいろいろな説明会をするときのインドネシア語の資料というのがありまして、研修生とアイム・ジャパンが取り交わしていて、アイム・ジャパンが預かっている契約書というのが、非常に人権侵害も含んだ中身に対して研修生たちが恐怖におののいていて、それで日本にいるときはともかく反抗してはいけないということで声が出せない状況が続いていますが、この資料をぜひとも出していただきたいと思います。いかがでしょう。

坂口国務大臣 後日、確認をいたしまして、提出させていただきます。

中川(智)委員 どうもありがとうございます。

 もう一つ、高村大臣、厚生労働省と、そして法務省、建設省、いろいろな五省庁がJITCOというのをつくっていて、こういうものも第一次的な受け入れの機関としてあるわけなんですが、研修制度を本当に楽しみにして、そして帰ったら母国で技術移転をして働きたいけれども、約束と違ったり、本来希望した職種に全然回されないで単純労働につかされたり、いろいろな問題がございます。

 ぜひとも第三者機関というのをきっちり、アイム・ジャパンが自助努力というか、今後はそういう法務省からのあれなんかないとしても、今現在こちらの調べでは、労働省だけでも一般職員の天下りの方が二十名ほどいる。今ここで、先ほど私が言いましたのは、役員とか監事とか、その人たちを象徴的にお話ししたのですが、非常にアイム・ジャパンが官僚の人たちの天下り先として存在していて、インドネシアの労働省とも癒着していて、わいろでつって、そのはざまで泣いているのが美辞麗句のもとに日本に連れてこられた多くの研修生であって、受け入れ企業がいいところはいいのです。でも……

野呂田委員長 中川君に申し上げます。質問時間が終了しております。

中川(智)委員 受け入れ企業とかいろいろな問題はあるのですが、ぜひとも第三者機関をこの際置いてチェックすべきだと思うのですが、大臣、いかがでしょう。

高村国務大臣 法務省は、入国管理を所管すると同時に、人権の問題も所管しているところでありますので、実情をよく調べまして、人権の問題がないように、そしてまた、制度本来の目的、実践的な技術が発展途上国に移転できるように、そういったことに法務省としても努力をしてまいりたい、こう考えております。

中川(智)委員 もう終わりますが、外交問題にも発展するので、外務省の方も、副大臣、ごめんなさい、質問する時間がなくて。また分科会なりで質問したいと思います。ありがとうございました。

野呂田委員長 これにて中川君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二十三日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三十九分散会




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