衆議院

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第5号 平成13年11月13日(火曜日)

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平成十三年十一月十三日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 野呂田芳成君

   理事 北村 直人君 理事 久間 章生君

   理事 小林 興起君 理事 坂井 隆憲君

   理事 自見庄三郎君 理事 城島 正光君

   理事 仙谷 由人君 理事 原口 一博君

   理事 谷口 隆義君

      伊吹 文明君    池田 行彦君

      石川 要三君    大原 一三君

      奥野 誠亮君    上川 陽子君

      亀井 善之君    栗原 博久君

      高鳥  修君    谷川 和穗君

      津島 雄二君    中山 正暉君

      丹羽 雄哉君    葉梨 信行君

      萩野 浩基君    蓮実  進君

      三ッ林隆志君    三塚  博君

      宮本 一三君    森岡 正宏君

      八代 英太君    山本 明彦君

      五十嵐文彦君    岩國 哲人君

      上田 清司君    金子善次郎君

      北橋 健治君    五島 正規君

      首藤 信彦君    野田 佳彦君

      伴野  豊君    古川 元久君

      松本 剛明君    山口  壯君

      横路 孝弘君    白保 台一君

      若松 謙維君    達増 拓也君

      中井  洽君    中塚 一宏君

      佐々木憲昭君    山口 富男君

      吉井 英勝君    阿部 知子君

      植田 至紀君    辻元 清美君

      横光 克彦君    井上 喜一君

      宇田川芳雄君

    …………………………………

   内閣総理大臣       小泉純一郎君

   総務大臣

   農林水産大臣臨時代理   片山虎之助君

   法務大臣         森山 眞弓君

   外務大臣         田中眞紀子君

   財務大臣         塩川正十郎君

   文部科学大臣       遠山 敦子君

   厚生労働大臣       坂口  力君

   国土交通大臣       扇  千景君

   環境大臣         川口 順子君

   国務大臣

   (内閣官房長官)

   (男女共同参画担当大臣) 福田 康夫君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当大臣)     村井  仁君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      中谷  元君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当大

   臣)

   (科学技術政策担当大臣)

   経済産業大臣臨時代理   尾身 幸次君

   国務大臣

   (金融担当大臣)     柳澤 伯夫君

   国務大臣

   (経済財政政策担当大臣) 竹中 平蔵君

   国務大臣

   (規制改革担当大臣)   石原 伸晃君

   内閣官房副長官      安倍 晋三君

   内閣府副大臣       松下 忠洋君

   内閣府副大臣       村田 吉隆君

   防衛庁副長官       萩山 教嚴君

   総務副大臣        遠藤 和良君

   外務副大臣        杉浦 正健君

   財務副大臣        村上誠一郎君

   財務副大臣        尾辻 秀久君

   文部科学副大臣      岸田 文雄君

   厚生労働副大臣      桝屋 敬悟君

   厚生労働副大臣      南野知惠子君

   農林水産副大臣      遠藤 武彦君

   経済産業副大臣      古屋 圭司君

   国土交通副大臣      佐藤 静雄君

   内閣府大臣政務官     渡辺 博道君

   総務大臣政務官      山名 靖英君

   外務大臣政務官      丸谷 佳織君

   財務大臣政務官      中野  清君

   環境大臣政務官      西野あきら君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    津野  修君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  黒澤 正和君

   政府参考人

   (郵政事業庁長官)    足立盛二郎君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  小林 芳雄君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力

   安全・保安院長)     佐々木宜彦君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    杉山 秀二君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・

   リサイクル対策部長)   岡澤 和好君

   参考人

   (原子力安全委員会委員長

   )            松浦祥次郎君

   予算委員会専門員     大西  勉君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十三日

 辞任         補欠選任

  奥野 誠亮君     森岡 正宏君

  栗原 博久君     上川 陽子君

  中山 成彬君     三ッ林隆志君

  北橋 健治君     伴野  豊君

  野田 佳彦君     金子善次郎君

  古川 元久君     上田 清司君

  山口 富男君     吉井 英勝君

  辻元 清美君     植田 至紀君

  横光 克彦君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  上川 陽子君     栗原 博久君

  三ッ林隆志君     山本 明彦君

  森岡 正宏君     奥野 誠亮君

  上田 清司君     古川 元久君

  金子善次郎君     野田 佳彦君

  伴野  豊君     北橋 健治君

  吉井 英勝君     山口 富男君

  阿部 知子君     横光 克彦君

  植田 至紀君     辻元 清美君

同日

 辞任         補欠選任

  山本 明彦君     中山 成彬君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 平成十三年度一般会計補正予算(第1号)

 平成十三年度特別会計補正予算(特第1号)

 平成十三年度政府関係機関補正予算(機第1号)




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     ――――◇―――――

野呂田委員長 これより会議を開きます。

 平成十三年度一般会計補正予算(第1号)、平成十三年度特別会計補正予算(特第1号)、平成十三年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として警察庁生活安全局長黒澤正和君、郵政事業庁長官足立盛二郎君、農林水産省生産局長小林芳雄君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長佐々木宜彦君、中小企業庁長官杉山秀二君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長岡澤和好君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野呂田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

野呂田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野田佳彦君。

野田(佳)委員 おはようございます。民主党の野田佳彦でございます。

 本日は、特殊法人改革を中心に質問をさせていただきたいというふうに思います。

 担当大臣におかれましては、一番遠いところから何度もお運びをいただきますけれども、恐縮でございますが、よろしくお願いいたします。

 特殊法人改革、一九六七年の佐藤内閣のとき以来、大小織りまぜてこれまで十四回行われてまいりました。その間には、あの土光臨調のときのJR等の民営化、一定の成果を上げたものもあるように思いますが、基本的には、整理合理化として、きのうも話題になっていましたけれども、看板のかけかえであるとかあるいは焼け太りであるとか等々、統廃合は進んだけれども、名前の消えた法人はあるけれども、実体はずっと残っているというものが随分あるように思います。佐藤内閣のとき百十三あった法人が、現在七十八にまでなっている。しかし、その内実は、先ほど申し上げたようにまだまだ不十分、整理合理化だけは進んだけれども実体は変わっていないというふうに私は認識をしています。

 その中で、過日、衆議院の本会議で、我が党の仙谷委員が大変すばらしい言葉をおっしゃいました。総括なくして改革なし。私も、特殊法人改革のこれまでの歴史を踏まえて、どのように総括をしていらっしゃるか、それをどのように改革に生かそうとされているのか、まずは大臣にお伺いをしたいと思います。

石原国務大臣 野田委員にお答え申し上げます。

 野田委員御指摘のとおり、佐藤内閣当時、昭和四十二年だったと思いますけれども、特殊法人の数は百十二ございました。そして、昨今の改革では、平成八年四月の九十二法人から七十八法人に削減するということで、数においては一定の成果は出ておりますけれども、その業務内容、看板のかけかえ、たしか廃止になったと思われるものが名前を変えて同じ仕事をしている、さらには事業を肥大化させている、そういう問題も指摘されていることは委員御指摘のとおりだと思います。

 今回、こういう仕事をさせていただくに当たりまして、やはり特殊法人の抱える問題は大きく言って四つぐらいあるんじゃないでしょうか。経営責任が明確でない。そして事業運営が、やはりパブリックカンパニーでありますので非効率になっている。そして、先ほどもお話をさせていただきましたように、自分で自分の仕事をふやしていく、自己増殖。さらには、経営の責任がないということで自立性が欠如、国から補助金をもらう。こういうものが指摘されておりますけれども、これをさらにもう一歩含めまして特殊法人の子会社、これは我が党の委員も質問をされることが多いわけですけれども、実は、これまでは、子会社のところまで視野に入れて検討が行われてきていないと思います。

 このようなため、今回は事務事業というものに着手いたしまして、ゼロベースから見直して、あわせて特殊法人の形態、委員御指摘のような問題点が発生しないように、年末の特殊法人の整理合理化計画策定を目指して、今、鋭意詰めの作業を行っているところでございます。

野田(佳)委員 総括における基本認識としては、私は、今の御指摘は基本的には正しいだろうというふうに思います。

 私なりの解釈ですと、世界一貯蓄性向の高い国民の郵貯であるとか簡保であるとか年金といったこつこつため込んできたお金を、ある意味では世界一無責任に散漫に使ってきた、そのことを厳しく総括をしなければならないというふうに思っています。

 その上で、今の総括を生かして、今回の特殊法人そして認可法人の廃止、民営化をどのように行っていくのかということにお話を進めていきたいというふうに思いますが、まず今の総括を踏まえて、廃止とは何ぞや、民営化とは何ぞやというちゃんとした定義をしっかり据えていかなければ、私は改革は失敗するだろうというふうに思っています。

 大臣なりのその廃止、民営化、どのようにお考えでございますか。

石原国務大臣 その点は非常に私も、前段の質問で、衣がえということになったところから関しても重要な点であると思っております。

 さきの通常国会で成立いたしました、これは議員立法でございますけれども、特殊法人等改革基本法の立法者の解釈によりますと、廃止とは、特殊法人を解散してその法人格を消滅させることをいうものであると答弁されております。

 また、廃止、民営化、この民営化の方でございますけれども、民営化とは大まかに言って三つの解釈があると思います。

 その一番目は、特殊法人等を特別の法律に基づいて政府が任命した設立委員によって設立されたいわゆる商法上の株式会社である特殊会社に改組すること。過去の例で言いますと、野田委員御指摘のとおり、JRになった民営化がその例でございます。

 さらに二つ目といたしましては、国またはこれに準ずるものの出資を廃止して、政府の関与を最小限にしていく、いわゆる民間法人に改組する。これはどんなものがあるかと申しますと、いわゆる共済組合とか農中とか農業会議所といったような非営利事業、こういうものがあると思います。

 そして、その最終的に目指すべきものは、本州三社が今回完全民営化されるわけでございますけれども、一般株式会社への完全民営化、この三つが民営化にはあるというふうに解釈をさせていただいております。

野田(佳)委員 解釈はそういうことでございますが、基本的には、廃止というのは、今大臣から御説明のあった、法人格の消滅でよしとすることは、これはまずい。すなわち、法人格はなくなったけれども、事業や予算やあるいは人はどこかの機関に統合されていくというのがこれまでの繰り返しでございました。今回の特殊法人改革の廃止、目指すものはそれであっては私はいけないというふうに思っています。

 それから、民営化については、三形態御説明がございました。それぞれこの後触れていきたいというふうに思いますが、私は、民営化の究極は、株式会社になって自由に設備投資をして、自由に料金を決めてというものを目指していかなければいけない。仮に最初は特殊会社でスタートしても、その民営化プランというのは、いつまでに完全民営化をするのか、いつまでに上場するのか、配当できるのかというものもちゃんと見据えた内容でなくてはいけないというふうに私は思っています。

 それらを踏まえまして、過日、十月五日に行革推進事務局の組織見直し案というものが出されました。

 百六十三の対象法人のうち、廃止、民営化は三十四法人となっています。これを見ますと、引き続き検討が五十四、先ほど大臣がお話しになっていたような共済組合とか国の政策実施機関以外の法人が五十八あります。NTTなど既に民営化が決まっているものは十三、地方移管が四ということで、百六十三のうち三十四が新たに廃止、民営化の見当なんですが、これは原則として廃止、民営化と言えるのかどうか。まだそれは途中の過程ですから、これからまだ頑張るというお話があるかもしれませんが、私は、これでは、ほとんど原則として独立行政法人、あるいは原則として民間法人に行くというふうに解釈をせざるを得ないんじゃないかと思いますが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

石原国務大臣 特殊法人等、認可法人も含めた数につきましては、今委員が御指摘されましたので重複は避けさせていただきたいと思うんですが、百六十三法人のうちに、いわゆる民間法人、共済組合、もう委員御指摘のとおりですが、そういうものと、整理されるべきものとして、士業の団体、弁理士会とか税理士会とか、そんなものも入っておりまして、この五十八法人というものは除外して考えるのが、私も、委員の御指摘のとおり、正しいと思います。

 そうしますと百五残って、このうち三十四法人を民営化するということを指摘させていただいているわけでございますけれども、残る五十四法人についても、もう委員がお答えになられてしまったんですが、今、できる限り廃止、民営化の方向に向けて引き続いて関係省庁と折衝を続けている最中でございます。

野田(佳)委員 行革推進事務局といっても、ほとんど役所の方が多くて、民間の方は少ないわけですね。その中の個別事業の見直しの中から、何とかここまで、三十四まで廃止、民営化というプランが出てきていますけれども、これからはまさに政治のリーダーシップだと思います。そのことをぜひ、私は大臣に強く求めていきたいというふうに思います。

 その中で、十五法人が統合を含めて廃止の方向で検討となっているわけでありますけれども、先ほどの、過去の特殊法人改革の歴史を総括して、数合わせや焼け太りにはならないという基本的なお考えを示されましたが、この十五法人については少なくとも今申し上げたような結果にならないように、私は、細心の制度設計をしていただきたいというふうに思うのです。

 例えば、宇宙開発事業団は廃止の方向です。だけれども、言われているところ、航空宇宙技術研究所、宇宙科学研究所と、この三機関を統合するということになる。そうすると、三機関あったものが、一つは廃止、残り二ではなくて、三引く一だったら普通は二なんだけれども、三引く一が実は三プラスアルファになってしまう可能性を私は非常に危惧をしています。

 この点についての大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

石原国務大臣 委員御指摘の十五法人というものは、いわゆるRアンドDと称される、リサーチ・アンド・ディベロプメントですから、研究開発が主になっている国立大学や各府省が持っております試験研究機関あるいは独法、特殊法人と、さまざまな形態でいわゆる研究開発をやっているものであります。

 それが、今委員は宇宙開発事業団を例にとられておりましたけれども、三つがくっついて、三つの総務部門とか研究部門がばらばらであれば、これはまさに三プラスアルファになってしまいますけれども、三マイナス二、一となるように事務事業の見直し、統廃合のときも、今回初めて実は事務事業の見直しということをこの行政改革で手法としてとらせていただいておりますので、委員御指摘のような懸念のないようにさせていただきたいと考えております。

 また、基本なんですけれども、他の法人と統合する場合は、統合によって効率やサービスの質について相乗効果が見込める法人に限定していかなければ、懸念が実現してしまう、まずいことになってしまうと思いますし、その上でやはり必要なことは、徹底した事業見直し、オーバーラップしているものはどっちかにしろ、切る。そういうことによって、数合わせあるいは焼け太りというようなことにならないように、最大限の留意を払っていかなければならないと考えております。

野田(佳)委員 最大限の留意を確約させていただいたというふうに認識をさせていただいて、次は、民営化とされている十六法人についてお尋ねをしていきたいと思います。

 十六法人は、民営化ないしは民営化を検討するとなっていますが、その中身は、特殊会社にしていくか、民間法人化に大別をされるんですね。これが本当に民営化なのかどうかだと思うのです。

 特殊会社というのは、もう釈迦に説法でありますけれども、個別設置法が残っている、そして出資も国からある、監督権限は役所にある、天下りもある。要は株式会社形態の特殊法人であります。

 民間法人というのは、これも土光臨調のころの産物ですが、非常に悩ましい、わけのわからない存在ですね。過日、総務委員会で片山大臣に御質問をしたときも、何か大変悩ましい存在であるとおっしゃっていました。その民間法人という、これまた国の関与が残っている、要は行政上民間とみなすことに決めたという特殊法人であって、そういうやり方で本当に民営化なのかどうか。

 特殊会社をまずとりあえず置くのならば、それは当然すべて完全民営化に向けた道筋を示さなければいけないと思うし、少なくとも、民間法人化検討というのは、私は、これはやはり根本的考え方を改めるべきであるというふうに思いますが、お考えをお伺いしたいと思います。

石原国務大臣 委員御指摘の、まず民間法人化の方からお答えさせていただきたいと思うのですが、そもそも特殊法人が、政策目的を持って国が関与をして行うということで実はスタートしております。そうしますと、民営化だということをしましても、事業が、民間事業として行うにはなじむ、しかし、実は営利を目的としないというものがあるわけですね。そうしますと、株式会社形態は必ずしもなじまない場合は、非常に悩ましいこの民間法人化という言葉を使わざるを得なくなってしまう。政策目的が全くないのであるならば民間がやればいいわけですけれども、パブリックカンパニーが実は生い立ちとして政策目的を持ってきているところに、この特殊法人の民営化で委員御指摘のような点が顕在化する部分が私もあるんじゃないかと思っております。

 特殊会社化というのは、やはり特殊法人等の事業が民間事業として行うことになじむものである場合に、先ほどもお話をさせていただきましたけれども、いわゆる商法上の株式会社に改組した上で、政府が特別の法律に基づいて最低限の関与を行う。もちろん、委員御指摘のとおり、最終的に目指すものは、政府保有株式を売却して、その売却益というものは国庫に入ってくるわけでありますので、完全民営化を視野に入れたものであるということは必然ではないかと私も考えております。

 このようなことから、実は、民間企業と同様な効率的な業務運営がこの特殊会社でも期待できると解釈をさせていただいているところでございます。

野田(佳)委員 今の御答弁は、ちょっと私は腑に落ちないのですが、そもそも、すべての特殊法人は、根拠法があって政策目的があったからできたわけです。それを改革しようということは、政策目的がなくなったとか変更しなければならないという認識の上に立って改革するものだろうと思います。政策目的があるからこの中途半端な民間法人がどうのというのは、それはちょっとお答えになっていないと私は基本的に思います。そのことについて、ではもう一度御答弁を。

石原国務大臣 委員も御承知のことだと思いますけれども、すべての法人を、政策目的がなくなったからすべて廃止、民営化というような処理は実はできない。政策目的のあるものがまだ残っていると考えております。そんな中で、非営利、すなわち営利を目的としないためのものというものはやはり存在せざるを得ない。その一部分が民間法人化という言葉を使わせていただいているのですけれども、民間法人化ということをもう一回正確に言わせていただきますと、国の出資は実は引き揚げます。経常的経費を国の補助金に依存されることも許されなくなる、すなわちプライマリーバランスは均等していなければならない。法人は、原則として、みずからの努力によって必要な収入、運営するような収入を上げなければならない。それによりまして、民間法人化というカテゴリーも、効率的な業務運営が期待できる一つの形態ではないかと理解をさせていただいております。

野田(佳)委員 今の御答弁だと、本当はもっと先にいっぱい質問があるんですけれども、ちょっとひっかかっちゃうんですが、かなり民間法人化を比較的肯定的にとらえていらっしゃるように私は思いますけれども、私はそうじゃありません。

 設置法は残るし、政府との人事交流は残るし、一方で特殊法人からリストを外れ、行政監察も外れるという非常に都合のいい存在になっていくわけであって、私は、これまでの特殊法人改革の歴史を踏まえると、特殊法人にメスを入れようとすると認可法人が出てくる、認可法人まで投網がかけられると今度は指定法人が出てくるというように、私は、この民間法人というのは一つの逃げ込む先になってきていることを心配していますという点を強く申し上げておきたいというふうに思います。

 次に、引き続き検討とされているのは五十四法人もまだあるわけですね。これはほとんど独立行政法人に逃げ込んでいくのか。過日、新聞報道だと、総理も独立行政法人というこれまで視野がなかったはずなのに、そういうものの存在を認めるような話が出てきている。私は、これは明らかに後退であろうというふうに思っています。

 それで、この五十四法人を見てみると、九月に所管官庁が条件つきで民営化などの見直しにも言及していたものも複数含まれている。地域振興整備公団、緑資源公団、水資源開発公団、鉄建公団、環境事業団など、これらを取り逃がしているというのは私は後退だというふうに思いますけれども、お考えをお示しいただきたいと思います。

石原国務大臣 決して後退しているわけじゃないということを冒頭申し述べさせていただきたいと思います。

 五十四法人がそういう形で存在しているということは事実ですけれども、実は、これも事務局と担当府省とはかなりの議論、私も議論を承知しておりますけれども、聞いておりますが、民営化の可能性について検討とか、これは相手の所管している府省が出してきたものですけれども、一定の措置が講じられれば民営化も可能というような提案なんですね。

 その詳細を見ますと、いわゆる前提条件をこれはどういう意味だと詰めていきますと、一定の措置と民営化の整合性が図られるかどうか、甚だ問題がある例が実は見受けられる。平たい言い方をしますと、民営化とは言っていますけれども、例えば、公的な使命を果たす仕組みが必要だ、そういうものがあるなら民営化できるというわけです。そうすると、公的な使命を果たす仕組みがあるんだったら民間会社とは全くなじまない。

 ハードルを高く置いて、やるとは言っていますけれどもやれない、話を詰めていくとやれない、そういうものが実は中に幾つか、今、委員が御指摘された公団もそうなんですけれども、あるわけであります。

 ですから、いずれにいたしましても、今回の十二月に取りまとめられます整理合理化計画では、各法人の事業の見直しと組織形態の見直しをすべてまとめるということになっておりますので、今のような点をもう少し詰めて、ハードルを本当にできるなら下げてもらって踏み込めるような形に努力をさせていただいていると御理解をいただきたいと思います。

野田(佳)委員 石原大臣が御苦労されていることはよくわかるのですが、だとすると、そういうハードルを高くするような回答をし、総理が言っている原則廃止、民営化に向けて、私はむしろその他の閣僚の皆さんのリーダーシップがまずないんだろうというふうに思います。特殊法人改革というのは、小泉改革の構造改革の一丁目一番地、これはまあ大臣がどこかでおっしゃったお話だと思いますが、その大事なテーマを政権全体の意思として各閣僚がそれぞれ担当している部門におろしていない、リーダーシップを発揮していない、これはどういうことなんだろうと。

 まさに、一月の省庁再編で内閣主導、政治主導というものが確立をされたと言われている。その内閣主導のもとに大臣がリーダーシップを発揮しないんだったら、私は何ら改革はできないというふうに思うのですが、この点は官房長官にお尋ねをしたいと思います。

福田国務大臣 現在、特殊法人等改革につきましては、年末の特殊法人等整理合理化計画策定に向けましていよいよ詰めの段階に来ておるところでございます。石原行政改革担当大臣を中心にしまして、各大臣にも御協力をいただきまして、精力的な検討を進めているところでございます。

 総理からも、各大臣に対しましては、特殊法人等改革推進本部とか閣議、また個別に所管の特殊法人の見直しについて精力的に取り組むよう、これは幾たびか指示をされているところでございまして、各大臣におかれましても、この指示に基づいて徹底した見直しを図り、年末の整理合理化計画策定に向けて、さらに踏み込んだ改革を進めてくださることを期待いたしておるところでございます。

野田(佳)委員 詰めの段階という割にはそんなに進んでいる感じも私はしないのでありますけれども、ちょっと全体像の話が続いてしまって時間がなくなっていきますので、個別の法人の問題に入っていきたいというふうに思います。

 まずは、象徴的な存在になっている日本道路公団の問題です。

 昨日も私どもの政調会長から質問がございまして、基本的な答弁はきのう総理がされていましたけれども、改めて、私は石原大臣にお考えをお伺いしていきたいというふうに思います。

 まず、日本道路公団のいわゆる償還主義、プール制。私は、この償還主義とプール制というのは諸悪の根源だというふうに思っていまして、償還主義というまさに時間軸、そしてプール制という空間軸、二重のどんぶり勘定になって、それが意味なき拡大につながっていく。少なくとも、これまでつくってきたものはそれでひとまずとして、これから先のものについてはじっくり見直さなければならないだろうというふうに私は思います。

 そういう意味では、現行の高速道路整備計画は、きのうはたしか総理大臣は見直しというところまで、このままでいいとは思っていないというところまでおっしゃっていましたけれども、私は、やはりこれは一時凍結というところまでちゃんと踏み込んでいかないとだめだろうと思います。そうでなければ、過大な需要見通し、コストに対する過小見通し、不採算路線がたくさんある中で、債務の拡散になることは間違いないと思います。ここでやはり勇気を持って立ちどまるということが必要だと思いますけれども、石原大臣はどのようにお考えでしょう。

石原国務大臣 竹中大臣が主宰されておりますタウンミーティング、あるいは私が今、三会場ほど地方も回ってきたのですが、行革フォーラム、そこで共通しておりますのは、道路はつくってくれ、高速道路をつくってくれ、そういう声がどの会場でも出ました。

 一時凍結する、私ども行革事務局が、やはり立ちどまって採算を考えて、もう一回、本当につくるべきなのかつくらないべきか考えた方がいいという言葉として、凍結という言葉を実は使わせていただいたのですが、総理も申しておりますように、必要な道路は、高速道路はつくるのだと言うのですが、実は地方で出るのは、凍結という言葉は、もう絶対凍結の名のもとに何もつくらない、それで我々はだまされてきた、そういう声を非常によく聞きます。

 そういうことを考え直しますと、今委員が御指摘されましたように、凍結というのは、見直すということであるならば私も賛意を表させていただきたいと思いますし、総理もきのうの予算委員会で、私も聞いていたのですけれども、むだや将来の多くの国民負担を許すような道路建設は避けると。岡田政調会長だったと思いますけれども、それは整備計画を見直すことですかと言ったら、見直しますと総理は述べられておりました。

 現在、総理からの御指示に基づきまして、今月中に自主的な結論を得るよう、今、扇大臣も含めまして関係各位の皆様方と議論を深めながら、鋭意検討していると御理解いただきたいと思います。

野田(佳)委員 私は、一たん立ちどまって凍結をしなければ、さっき申し上げたように、非常に意味なき拡大につながる可能性を強く感じています。

 その意味では、ある意味では、過去の閣議決定であるとか国幹審の決定があるにしろ、さかのぼって政策変更を考えるというのが基本だろうというふうに私は思います。そうでなかったら、だらだらとつくっていくことを前提に民営化だったならば、これは意味がない、民営化自体に意味がなくなるというふうに私は思っています。今、慎重に言葉を選んでいらっしゃる御答弁で、今月中に結論を出すということですから、その結論を待ちたいと思いますが、私はそのように考えています。

 その後の、凍結後の個別路線を、凍結じゃなくて見直してということなんでしょうけれども、その上で個別路線の見直しをするときに、私は、国土交通省のもとの第三者機関じゃなくて、総理大臣のもとの新たなる第三者機関でこれは厳しく吟味をすべきだと思いますけれども、大臣のお考えはいかがでしょうか。

石原国務大臣 ただいまの御指摘は、総理が見直しと言っている以上は、整備計画を、凍結という言葉を委員は使われた、凍結した後、総理大臣のもとに第三者機関を設けて検討しなければという御質問だと思うのですけれども、高速道路の整備のあり方というものは、今回、道路公団の改革の中で、先ほども申しましたように、今鋭意最終的な詰めの作業を行っているところで、今後高速道路をどのように整備していくのか、見直すとすればどのように見直していくのかというような点を、委員の御指摘のとおり、第三者機関で検討してまいらなければならない。現在のところは、そこの部分についてはまだ検討の途上にあるということでございます。

野田(佳)委員 みんな検討の途上にある話ばかりでやりにくいのですが、もともと国土交通省から出てきた統合・民営化案、あるいは自民党の中でも考えられている民営化の案というのは、いわゆる上下分離方式と言われているものであります。私は、この上下分離方式も基本的には賛同できない立場であります。

 上下分離方式、すなわち上物の管理運営部門は民間、下物の要は施設整備、保全は公的法人という考えは、間違いなく下物法人の建設をしようとする支配力の方が強くなっていくだろうというふうに私は思っていまして、上物がどんなに民営化で頑張って利益を上げても下物がピンはねをするというような構図になってしまうおそれを私は強く感じています。やはり資産も負債も一体として民間に任せるという形じゃないと、本当の意味の経営努力というのはしないのではないかと思います。その意味で、上下分離方式ではなく上下一体方式をとるべきだというふうに思いますけれども、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

石原国務大臣 この問題につきましては、本当に多方面から、上下分離案あるいは上下一体案、路線別分割案、地域別分割案、業態ごと分割案、さまざまなものが出されていると私も承知しております。

 そんな中で、どの形がこれから道路公団というものを改革していく上で国民の皆さん方にとって一番よいのか、総理はかねがね申しておられますけれども、国民の皆さん方が一番よい案をとるんだと各委員会でも述べられております。その一番よい案を、一体何であるのかということを含めて十分検討してまいりたいと考えております。

野田(佳)委員 何にも決まっていないなと思うのですが、十分検討するというか、私は、特殊法人改革の旗振り役、率先垂範するのが担当大臣だと思っているから、検討中とはいいながらも、もう少し自分はどういう考えを持っているかということはぜひ本当はお示しいただきたいのです。

 ちょっとその辺はお話を聞いてつらいなと思うのですが、手を挙げていらっしゃるから、じゃ、お願いします。

石原国務大臣 現在検討中でありますので、個人的な意見はなるべく差し控えたいと思っておりますが、御質問でございますので、若干問題点の整理をさせていただきたいと思うのです。

 いわゆる一体案でおりますと、民営化したとき、その企業が固定資産税をどういうふうに払っていくのかというような大きな問題が私は発生してくると思います。国あるいは県あるいは町の道というものは公のものであるはずでありますから、公のものを、国あるいは県が持っているものを民営化して民間の道になったとき、それが本当にこれまでの道路体系の議論とどういうふうに整合性をとってくるのか、そういうところも十分考えていかなければならない。

 実は、私は、民間の道というものを先日通ってまいりました。山口県の宇部にあるんですけれども、それはある興産会社が持っている道ですけれども、一般の方は入れません。しかし、そこは免許がなくても走れる。許可をいただければ走ることができる。そこで走っている車は、一般道を走ることが許されていない、映画で出てくるような大きなダンプカー等が走っている。

 そういうものが特別な存在として存在しますけれども、民間が所有するということは、それとある意味では同じになってしまいますので、そこの関係をどう整理するのか、まだ結論が出ていない、検討中であると御理解をいただきたいと思います。

野田(佳)委員 随分検討をされているということですけれども、検討しながら、まだどちらの方向に行くのかという集約化までいっていないんじゃないかなと思うんですが、例えば、この間、報道で見ると、行革担当大臣は、七十二通りの高速道路整備計画を総理に説明に行ったというふうにありました。まだその程度なのか。そんなの総理大臣に説明に行ったって、総理はきのうだって道路のことはよくわからないと言っていましたから、それは無理ですよ。それは自分の政治判断で、私はこう考えましたがどうですかとか、せめて選択肢を二つか三つに絞って持っていくならわかるけれども、これじゃ役人のやっていることじゃないですか。その辺はどのようにお考えでしょう。

石原国務大臣 私の説明の仕方がちょっと不十分だったのかなと、今のような委員の御指摘を受けると感じるんですが。

 実は、私が持っていった試算というものは、もう委員御承知のように、国土交通省から十月十五日に行革事務局に提出のあった高速自動車国道の償還見通しと言われるものであります。総理に御説明するとき、私が七十二通り、こうこうであるというような説明はしておりません。大まかに言って三つのケースが考えられるというような形で説明をさせていただきました。

 総理が扇大臣にまず御指示をされたのは、償還期間、有償資金でありますから、返すまでに期間があります。これを仮に三十年として、そして、今高速道路建設には、道路公団にはと言いかえてもいいと思うんですが、国費が三千億円入っている。これをゼロにする、償還期間を三十年に短縮する、これがケースAというものだと思います。

 そして、何で七十二通りあるかというと、道路の需要見通し、どれだけの交通量があるか、あるいは経済成長がどのくらいと考えるか、また、それによって、金利を何%置くかによって何通りもケースが出てくるわけですけれども、私は今のこの状態を考えると、交通量はほぼ横ばい、そして金利も、一九九五年以来公定歩合が史上最低を更新しているような金利状況からいくと、金利の動向は大体三・五%と見るのが適当ではないか。

 そうしますと、真ん中のものが一つ、Bという案としてかなり絞られてまいります。このBの案の中に、償還期間を三十年、四十年、五十年、国費投入をゼロ、一千億、二千億、三千億、これだけのバリエーションがある。それがいわゆるB案であります。そして、C案はというと、現行のとおり、国費を三千億ずつ投入して、五十年で償還する。この三つがある。そして、償還期間の短縮、国費投入ゼロを前提に、かかわる論点を含めて、実は総理に御報告をさせていただいたということでございます。

野田(佳)委員 そういう検討を進めるということですけれども、もう、しかし、少なくとも対象七法人は今月中に結論を出すということになっていて、私は、やはりまだまだ進捗状況が遅いのではないかなというふうに思います。

 この道路四公団関係の取りまとめの責任者、実体的には一体どなたになるのか、もちろん最終決断は総理なんでしょうけれども、実体としてはこれは行革担当大臣なのか、国土交通大臣なのか、その辺の責任は最終的にはどなたがとるんでしょうか。

石原国務大臣 今般の特殊法人改革については、昨年の十二月に決定いたしました行革大綱、あるいは六月の通常国会で成立いたしました特殊法人等改革基本法に基づいて、内閣を挙げてすべての特殊法人について抜本的な見直しを行い、今年中に整理合理化計画を策定するというふうになっております。

 内閣を挙げてやらせていただいている問題でありまして、私は行政改革を担当する国務大臣として、特殊法人の改革を進める立場にありまして、年内の整理合理化計画の取りまとめに今最大限の努力を傾注していると御理解いただきたいと思います。

野田(佳)委員 ということは、道路四公団はだれなのかということなんですが、要は、内閣全体でやるといっても、それは、自分の守備範囲はこれだとショートもサードもレフトもみんな思っちゃったら、ぽてんヒットになっちゃうわけですよ。やはり行革担当大臣が、ここはおれがやるよとか、どんどんもっとリーダーシップを振るわなきゃ私はだめだと思いますよ、それぞれの担当大臣に任せていただけだったならば、というふうに思います。

 私は、これまでの行革担当大臣とのお話の中で考え方を示させていただいたように、一時凍結、上下一体、そして総理のもとに第三者機関を置くという原則のもとに改革をしていくべきだと思いますが、担当大臣といいますか、国土交通大臣の方はどのようにお考えでしょうか。

扇国務大臣 今、野田議員のお話を伺っておりまして、我々もこの時期、一番原則的なことを改めて総括するということをおっしゃいました。私は、大変大事なことだと思います。

 土光臨調の第二臨調のときに、先ほどおっしゃいました特殊会社というものがありましたね。そのことで、いわゆる民営化論というものをどう持っていくかということで、私は、特殊会社というのは、民営化は半民営化だと思っています。そして、民間会社というのが完全民営化、この間の国鉄、ことし法案を通していただいたように、あれでやっと完全民営化になったわけですね。それまでは半民営化なんです。

 そして、少なくとも、先ほどおっしゃいました設置根拠、これも私は、特殊会社というのは個別の設置法がある、あるいは民間の場合はこれが商法である、全然違うわけですね。そして、御存じのとおり、国の出資は、特殊法人、特殊会社はあるけれども、民間、完全民営化会社はない、こういう大きな違いがある。そして、財投の投資も、これは特殊会社であれば財投の投資ができるけれども、完全民営化ではできない。こういう差の中で我々はどれを選ぶべきかと。

 そして、今おっしゃいました土光臨調の第二臨調の答申のときに、私はこれは失敗だったと、民間に果たしてなったのか、看板の書きかえだと冒頭に野田議員がおっしゃいましたけれども、私はそのとおりだったと思う。その反省を含めて我々は今選択をしているというのが現状でございます。

 そして、私たちは少なくとも、今民主党の話をなさいました。野田議員の個人の意思もおっしゃいましたけれども、収入と支出を一体化するというのは、私は民営化するとき当たり前だと思います。そうでなければ、収入はこっち、下が取って、支出は向こう、上よ、そんなことでは困るので、今おっしゃったことの基本的なことは、収入と支出を一体化するというのがまず民営の大きな原則であるということを考えております。

 そしてまた、経営の責任、これを明確化するということにおいては、私は、コストの意識を持った効率的な事業を運営していくという大前提が、民営化を図る場合には基本的にされなければならない。しかも、今おっしゃいました特殊法人につきましては、総理から国土交通省に一番大きな荷物を背負わされています。

 けれども、力は足りませんけれども、私どもだけの考え方では私はいけないと思いまして、民営化する場合には、民間の皆さん方が、世の中、私たちは永田町で論議しておりますけれども、民間はどういう考え方が民営なのかということで、少なくとも、諸井虔さんに、太平洋セメントの相談役ですけれども、座長になっていただいて、トヨタの奥田さん、早稲田大学の杉山教授、公認会計士の高木理事、そして東京大学の森地教授、これだけの五人のメンバーで、世の中の民間という観念はどうあるべきか、それと今の道路公団との整合性をどこへ持っていくか。今冒頭に申しました、半民営化なのか完全民営化なのかということの選択の中で、この皆さん方の御意見を聞きながら、少なくとも現段階で八回の会合を開いて民間の御意見を聞いているというのが現実でございまして、今月末にはこの答えを出させていただいて、総理に申し上げようと思っております。

 私は、国土交通大臣として、まず道路公団と今おっしゃいましたので、道路公団の方程式ができれば他の公団もこれに準じて整理がしやすくなるということで、基本的な日本道路公団のスケジュールあるいは目安、そういうものを今検討しているというのが現実でございます。

 そして、これまで論議されている点というのを少しだけ、今石原大臣がお答えになっているので申し上げられなかったんですけれども、これは少なくとも国民の視点で民営化のメリットを整理する、これが第一点。交通需要予測などの採算性の前提条件を十分にチェックするというのが第二点。三点目には、民営化される組織でどこまで整備することができるのか。この大きな問題を勘案しながら、今答えを出そうとしているところでございます。

野田(佳)委員 たまたま土光臨調のお話をされましたけれども、土光臨調のときは、上下分離案というのが出てきたときに、土光さんは、それは建設部門が支配力を発揮するからとして一蹴されているんですね。土光臨調のお話をされるんだったら、そのことをぜひ参考にしていただきたいというふうに思います。

 では、国土交通関係でさらに質問を進めますが、住宅金融公庫改革案、国土交通省のお考えは、銀行の住宅ローン債権の証券化を支援するという一つの独立行政法人と、中低所得者対象の融資に絞った特殊会社という形態に改編をする内容だというふうに思いますけれども、私は、中低所得者向けの住宅対策、これはいろいろ悩ましい問題ですが、融資じゃなくても、例えば税制であるとか利子補給で代替可能ではないかというふうに思いますけれども、この点のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

扇国務大臣 まず基本的に、私は、この住宅ローン問題、金融公庫の話をしましたときに総理に申し上げたことは、今既に利用している五百五十万人、この人たちが路頭に迷わないようなことをさせていただきたいという条件をつけさせていただきました。

 それが、今野田先生がおっしゃいますように、民間の金融機関になったら、長期、低利、固定、この条件が満たされるかどうか。それで、民間の金融企業でこれをローンにしてくれる条件に合う会社があるかなしや。今、世間には二社ありますけれども、これもほとんど短期でございまして、公庫のような長期というのが無理でございます。そういう意味では、金利の固定、少なくともそれらの条件がかなうというものをぜひ私は選ばせていただきたい。

 そして、少なくとも、今先生がおっしゃいましたように、民間の皆さん方にとおっしゃいますけれども、私が現実に聞きましたら、多くの皆さん方は、民間に行って断られたから金融公庫に借りるんだと。そして、民間に行きますと、あなたはどこへ勤めているんですか、会社のどんな位置にいるんですか、課長ですか、係長ですか、あらゆることを聞かれる。けれども、なおかつ聞かれた後に断られる。こういうことで金融ローンを住宅金融公庫に借りている人が大半でございますので、そういう人たちに少なくとも、金融公庫の利用者の中の平均年収が六百六万円という中所得者でございますので、私は、そういう人たちがまず公平に、不安を抱かないでできるものは何か、そういうことで今鋭意検討しております。

 先生がおっしゃいました、この多くの職業や勤務先などを聞かなくて、そして融資できるようなということで、税制や利子補給によります中低所得者向けの支援が十分に機能するということをぜひ図りながらこれを民営化する、これは一時、それこそ今の話じゃないですけれども、いきなり完全民営化というところへは難しいであろうと思っておりますので、途中的には特殊会社的な民営化ということに移行しながら、何年か先にというふうにこれは持っていかざるを得ないと思っております。

野田(佳)委員 少なくとも財投対象機関の多くはここで質問したいと思っているんですが、なかなか、ちょっと時間がなくてつらいところですが、今の住宅金融公庫については、例えば石原大臣の私的諮問機関、行革断行評議会は、住宅金融公庫の廃止・民間市場化案、また、都市基盤整備公団についても廃止案、道路公団についても大胆な分割・民営化案を出されています。この行革断行評議会というのは、提言をしている内容やあるいはその発表の仕方を含めて、これは大臣の意向を踏まえていらっしゃるというふうに考えてよろしいんでしょうか。

石原国務大臣 この機関は、もう委員御承知のとおり、マスコミの方あるいは公認会計士の方、大学の行政改革の専門家の方が、民間人の立場で行政改革を考えようということで私を応援してくださるという、全く私的な諮問機関であります。これまで、今議員が御指摘のように、八法人についての改革案を公表されておりますけれども、先ほど申しましたように、自由な、民間人としての立場から公表したものであり、もしこれが石原案なるものであるならば、石原案というクレジットがつくと私は承知をしております。

野田(佳)委員 基本的には直接責任を負うものではないということなんですね。まあ、いいですよ。でも、私的諮問機関ですから、当然その考え方は吸収しようとされているんだろうと思いますが、ちょっとよくわけがわからない関係だなと思います。

 いずれにしても、その事の是非は別にして、私は、行革断行の断行、断じて行う、絶対やるぜという姿勢を、むしろ逆に担当大臣、持ってほしいなというふうに思いますので、そのマインドは。内容は、見ると、ちょっと乱暴なところがありますけれども、そのマインドは、私は、ぜひ大臣はちゃんとやはり酌み取っていかなければいけないというふうに思います。

 というのは、最近どうも、自由民主党の中に、随分公然とこれらの動きについて反対の意思を表明される方がふえてきていらっしゃるように思うのです。例えば住宅調査会、予算委員長が会長なんですね、住金の民営化や都市基盤整備公団の廃止に反対する決議を採択されている。

 それから、その後もまとめて申し上げちゃいますけれども、自民党行革推進本部長会議の議事録が、この間週刊誌で漏れていました。文書管理の問題で大臣は陳謝をされていましたけれども、それは、文書管理で外へ漏れるのは陳謝すべき筋だと思います。

 ただ、出ている内容は、これは相当壮絶なんですよね。「ここでせっかく議論しても、扇さんは自分の案を勝手に出す。また、変な作家が我がもの顔でやっている。」とか、「石原大臣もテレビによく出ていろいろ意見を言っているが、決まるまでは立場上出ない方がいい」とか、そのほか、小泉さんの基本路線についても公然と批判をしている内容だというふうに私は思うのです。

 その内容が漏れたことを陳謝することはいいと思うけれども、その内容については、私は、石原大臣が逆に反論をしていかなければならないものがいっぱいあるというふうに思いますが、今の住宅調査会の動きとか、こうした行革推進本部における議論とかを踏まえて、どのように対応していこうとされているんでしょうか。

石原国務大臣 もう委員も御承知のことだと思いますが、この特殊法人改革には本当にさまざまな立場からさまざまな意見があると承知しております。しかし、小泉総理が、聖域なき構造改革ということを掲げてこの政権をつくられ、私ども自由民主党、また公明党、保守党と三党連立政権でこの運営を行っている以上は、やはり改革の理念に照らして適切な事業の見直し案、組織形態論というものを取りまとめていかなければならないというふうに考えております。

 そして、後段の問題でありますけれども、私は、その文章がどうも当方の事務局から出たんじゃないかというような調査結果が報告されたので、発言の内容自体について橋本先生があるいは野中先生が発言されたかということは承知しておりませんけれども、ああいう形のものが出て行政改革が進むかということを考えれば、これは明らかにマイナスであります。

 それはなぜかと申しますと、政府・与党でございますので、与党の行政改革本部の本部長は太田先生、そして最高顧問が橋本先生、常任顧問が野中先生であります。この方々が改革に対して後ろ向きな態度をとられるようなことになってしまえば、間違いなく党と政府の両輪が崩れるわけであります。そのようなことが惹起されるような内容であった。発言の詳細については、事実か事実じゃないかということは、両先生に確認しておりませんのでわかりませんが、その文章のつくられ方を見ますと、実は行政改革の足を引っ張ろうとしている人たちがわざと情報を出したんじゃないかとさえ思えるような内容であったと私は承知しております。

野田(佳)委員 いずれにしても、党の中で多様な意見があって、また強烈に抵抗されたり反対される意見もあるという中で、私は、総理大臣が石原大臣に指示をしたという、サンドバッグになってぼこぼこになれという路線をやはり堅持して、そういうところにもどんどんと積極的に出ていって議論をするという姿勢をぜひ貫いてほしいというふうに思います。

 それで、次に石油公団関係に行きたいと思いますが、きょうは経済産業大臣が御出張ということなので余り詰めていきませんけれども、経済産業省の廃止案というのは、リスクマネーの供給、開発技術の維持、石油備蓄、それぞれに国の関与を残そうという掲げ方であって、これは、廃止というよりも事実上の公団の機能の存続なんですね。

 この石油公団廃止案には、そのほか、行革事務局案とか行革断行評議会案とか、あるいは堀内総務会長の私案とか、いろいろなのが出てきております。随分これは出そろってきていると思うのですが、どの案を軸にまとめていこうとされているのでしょうか。

石原国務大臣 石油公団をめぐりましても、さまざまな立場でさまざまな方が御発言されているということは事実だと思います。この点につきましては実は総理から指示がございまして、平沼経済産業大臣、そして私、与党の関係者と相談しつつ案を取りまとめるようにという指示を踏まえて、よりよい改革案をつくるべく努力しております。

 そのベースとなるものは、平沼大臣がさきに、実はこれは口頭なんですけれども、私に御説明になった経済産業省の案と、そして我が党の堀内総務会長が何度かにわたりまして提案されている案、いろいろなものを今一枚のマトリックスにしまして、どこが相違点で、どこが違うのかということを鋭意検討しているところですけれども、行革の立場から言わせていただきますと、その基本は二つあると思うのです。

 一つは、いわゆる探鉱投融資、技術開発、一番お金がかかっている部分ですけれども、ここの部分は、類似の法人等もありますので、それと統合するなどの形で廃止してもらいたい。そして備蓄、これは今、国家備蓄で八つの会社を使ってやっているんですけれども、国の直轄化ということによって、二つの廃止に伴って石油公団を廃止していただきたい、こういうふうに平沼大臣にはお話を私の方からさせていただいております。

野田(佳)委員 次に、空港関連の問題に行きたいというふうに思います。

 成田と関空と中部国際空港、これを、各空港施設を管理運営する三つの民間会社、そして三空港の整備や施設保有を横断的に受け持つ一つの公的法人に分離をするような案が国土交通省から出ているように思います。これも上下分離というやり方で問題があるし、そもそも有利子負債で一兆円を超える関空救済の措置であって、極めて不合理な料金プール制になるというふうに私は思っています。という点で、基本的には、私は、この三つを統合していくというやり方には反対であります。国土交通省はどういうお考えでしょう。

扇国務大臣 これも今回の行政改革の一環でございまして、成田、そして中部、関空、これはまだまだ工事が残存しております。御存じのとおり、私どもは、国際空港の拠点の上下分離論というものは、今整備が道半ばであるという、今私が申しました三空港に関しまして、官民の役割を再構築していこうということでこれを申し上げたところでございます。

 それは、総理がおっしゃいますように、民間にゆだねられるものは民間にゆだねるということで、他の国際的な空港を拝見いたしましても、下と上と上下分離をしているところが世界的には多うございますし、上はもっと競争意識を持って、いろいろなテナントを入れたり何かしながら、競争意識で、そして利益を上げて、そしてこれを還元していくということも、各空港ごとに民間法人で、旅客ターミナルの施設等々を保有した上で空港の管理をしていくというこの上下分離論というものは、私は、むしろ民間にゆだねられるものは民間にゆだねるということの最適なことだろうと思っております。

 ただ、問題は、下物の法人というのは、これは御存じのとおり、公的法人として、国際空港と看板のつくものに関しましては、少なくとも、空港の整備ですとか大規模の改修でございますとか、あるいは環境対策等々を考えてみましたときに、制度の計画性の詳細については、私はこれは大いに検討していかなきゃいけない。また、国際的に、もし何かあったときに国がきちんとこれを面倒を見るということでなければ、国際空港としての拠点として多くの皆さんに不安を与えるのではないか。

 そのためには、今、関空の救済だとおっしゃいましたけれども、関空の二期工事が苦しいことは御存じのとおりでございますけれども、昨年の暮れ、予算のときに、当時の宮澤大蔵大臣と運輸大臣でございました私とで合意をいたしまして、覚書を交わしました。本年の八月に、これに基づきまして事業の削減をするとともに、少なくとも二期工事の路線供用開始時には最小限必要な施設のみを整備するということで、二〇〇七年度の事業費を、一兆五千六百億円から一兆一千百億円、四千五百億円、三割を減額してこれを考えたわけでございますので、私は、この収支性も考え、また、なおかつ国際空港として多くの皆さんに不安を与えない空港のあるべき姿ということで、上下分離論というのを御提示したわけでございます。

野田(佳)委員 今、関空についていろいろお話しされましたけれども、私は、空港の民営化をいろいろ考えていくことはいいと思うのです。また、石原大臣も、羽田と統合した民営化等、考えていらっしゃいました。それはそれでいろいろな構想が出てきていいと思うのです。

 ただ、関空ですけれども、これは報道に出ていましたとおり、会計検査院の調査によると、開港以来、事業別の明確な損益を計算していなかったりとか、需要予測算定データを廃棄していたりとか、私は経営体質に非常に問題があるというふうに思っていまして、今二期工事の総事業費を圧縮するお話をされていましたけれども、今はむしろ、私は高速道路の整備を一時凍結と申し上げましたけれども、関空こそちょっとこのことは一時凍結をしてから民営化とかなんとかという話にするべきであって、二期工事は今のままで進めるべきではないというふうに思いますが、いかがでしょうか。

扇国務大臣 私もこのことは報道によるまで存じませんでしたので申しわけないとは思っておりますけれども、会計検査院がきちんと適切にこの決算の処置を行っているということを私は報告を受けておりましたので、きちんと監査法人による監査を受けているにもかかわらずということが私には解せないという点が残ったことだけは事実でございます。

 けれども、少なくとも私がその後いろいろ伺いましたところは、事業個別の損益のみを切り出して評価を行うということよりも、総合的に判断する点もあろうということから、事業別の損益の判断をどうするか、航空系と非航空系の区分、そういうこともあったということ、それを、事業別の損益の計算を行っていないというのは、今申しました航空系と非航空系のこの計算を行っていなかったということなんですけれども、これが上下分離論ということにもなるわけですけれども、今後は、会社の経営資料として各事業部門別損益を作成することについて検討していくというふうに改善策をやるということを私のところへは持ってきておりますので、それ以上は、長くなりますので失礼しますけれども。

野田(佳)委員 基礎的なデータを破棄したり基本的なことを計算していなかったり、もうなっていないというふうに私は思っていまして、それで例えば新東京国際空港とあわせて民営化なんてとんでもない話で、これは、いつ単年度黒字になるとか累損が解消するとか有利子負債をいつまでに返せる、基本的なことが全然わからなくなっちゃうんですよ。もうそもそも論から違っているので、これは勇気を持って凍結して、ちゃんとその辺の体質を変えなければいけないというふうに私は思っています。

 ちょっと時間がなくなってきまして、私は、今回の特殊法人改革の中で、実は聖域があると思うんですね。聖域というのは、大変ちょっと言いにくいんですが、政府系金融機関なんです。

 確かに、今の景気悪化の状況であるとかマイカルの問題だとかテロの問題だとか狂牛病とか出てくると、政府系金融機関の存在感が出てきている。このタイミングで何か物を言いにくいところはあるんですが、しかし、政府系金融機関というと、財投計画の五八・二%が政府系金融機関、毎年一兆円前後の税金が一般会計から流れている。それから、金融システムの中においても総貸し残高の約三割ぐらいを占めるというように、財政システム、金融システムの中に占める比重が非常に大きいわけです。それを全く手つかずにやって、特殊法人改革と言えるのかどうか。私は、特殊法人改革の空洞化になってしまうと思うのです。

 もちろん戦略的に考えなければいけないと思うんですが、この政府系金融機関については、景気悪化を理由に事実上断念をしたというふうに考えていいのかどうか、石原大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

石原国務大臣 断念しておりません。

 と申しますのは、与信残高、信用金庫とか労金とか小さいところまで含めて大体八百兆、丸い数字で八百兆ぐらいございます。その一方で、政府系の九あります金融機関、これの与信残高が百八十兆円弱ある。さらに、金融機関じゃないのに特殊法人が、例えば住宅金融公庫の融資残高は七十四兆円なんですが、同じようなことを政府系金融機関が十兆円ぐらい融資しています。こういうものをもろもろ合わせると二百兆円弱。そうすると、これだけ政府系金融機関が今委員御指摘のとおりボリュームが大きい国は、世界じゅうにないんですね。

 ですから、行政改革大綱あるいは特殊法人改革基本法に基づいて、年内には、政府系金融機関を含めてすべての特殊法人、認可法人の事務事業を見直すということになっております。その一方で、委員が御指摘されたように、今御審議いただいておりますこの補正予算の中でも、中小企業対策で、中小企業関係の政策金融機関への割り増しみたいなものも議論されている。やはり経済状況も十分に踏まえて、原則は、冒頭申しましたように、聖域ではなくて、この問題についても方向性を示さなければならないと認識しております。

野田(佳)委員 商工中金とかちょっと個別のお話をしたかったんですが、次に行って、経済財政諮問会議でもこの政府系金融機関のあり方を議論されているということです。竹中大臣に、その中身と、御自身の御意見をお伺いしたいと思います。

竹中国務大臣 前回の経済財政諮問会議の集中審議で、この政府系金融機関の問題を取り上げました。

 これは制度改革、規制改革の一環として集中審議を行った関係で、市場に不測の予見を与えてもいけないということで非公開とさせていただいておりますので、申し上げられることもちょっと限られるのでありますが、基本的には、政府系の金融機関の中でも民間でできることはかなりあるだろう、民間でできることは民間に移すというのが大変重要であるという議論が大宗を占めました。

 また、石原大臣から今お話がありましたけれども、金融全体に占める政府系機関のウエートが諸外国に比べて日本は高いし、その比率が上昇しているということに対するやはり危惧が表明されました。また、業務の内容につきましても、直接貸しを必ずしもする必要はないのではないだろうか、保証とかそういった形態への移行が必要であるということも、非常に強い意見として出されました。同時に、中小の関係の政府系金融機関については、一方で民間の金融機関がうまく機能していないということに関しては、やはりそれなりの配慮が必要だろうということも議論されました。

 政府系の金融機関につきましては、そもそもマーケットで、マーケットを重視するけれども、その中でどのくらいの長期の金融を本当に行えるのか、政府系の金融機関とはそもそも何をすべきなのかという、そもそも論をさらに深めることが必要だということが基本的な結果でありましたので、引き続きこうした方向で議論を詰めていく必要があると思っています。

野田(佳)委員 特殊法人関連、最後の質問ですけれども、特殊法人向けの財政支出、来年度は一兆円削減という方針で、もう具体的に数字が出ていますが、その実現見通しを、財務大臣、端的に、簡単にお答えをいただければと思います。

塩川国務大臣 現在、御承知のように、特殊法人、認可法人等に対しまして、政府の特別会計、一般会計の支出しておりますものが五兆数千億円ございます。これを大体二割ぐらいは検討する、できたら削減いたしたいと私は思っておりまして、概算要求の段階において五千八百億円を、一応チェックいたしまして、削減いたしております。あと三、四千、あるいは五千億円になるかもわかりませんが、その程度の部分は精査いたしまして、削減いたしたい。

 削減の目標は何かといいまして、やはり金があるから使うんだ、そういう使い方をやめてもらうために一回精査をしてみろ、こういうことを申しておる、そういうことであります。

野田(佳)委員 次に、近畿郵政局の問題について質問をしたいと思います。

 長官が来ていらっしゃると思いますが、長官にまず第一問は、有名になったDM事件ですけれども、DM事件で逮捕された四名の局員というのは、これは平成十二年十一月から平成十三年二月にかけてでありますけれども、起訴時点で皆懲戒免職になっております。でも、高祖事件で逮捕された三嶋近畿郵政局長、西田総務部長という幹部は、これから公判だという理由で処分が見送られているわけですね。幹部に甘く、そうでない関係者に非常に厳しい体質があるというふうに思いますが、お考えはいかがでしょう。

足立政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆるDM事件は、郵便サービスを提供するに当たりまして収賄等の犯罪を犯したものでありまして、この種事案におきましては、当方はできる限り事実確認を行いまして、事実が確認できた者については判決を待たずに懲戒免職に付するのが通例でございます。速やかに人事院の承認を求め、懲戒免職としたものでございます。

 一方、公職選挙法違反につきましては、現在記録が残っております昭和四十七年以降、国家公務員に関する公職選挙法違反事件では、起訴休職となった後、判決が確定いたしまして失職となった事例はありますものの、判決確定前に懲戒免職となった事例は見当たらないことなどから、裁判の推移を注視して、その上で厳正に対処することとしたものであります。

 したがいまして、今回の二つの問題につきましては、事案の性格が違うものでございまして、幹部に甘く、そうでない職員に厳しく対処したというものではございませんので、御理解を賜りたいと思います。

野田(佳)委員 通例がどうのとかおっしゃっていますけれども、いわゆる普通の組織の常識だったならば、両方とも、それは事案は違うけれども、世間をお騒がせして郵政事業庁あるいは総務省の信用を失墜させたという意味で、むしろ上ほど厳しく処罰するのが常識だというふうに私は思います。

 次に、過日、総務委員会で我が党の松崎公昭議員が十月三十日と十一月六日、足立長官について質問をしています。近畿郵政局長在任中にDM事件が起こったことを知っていたかどうかということだったのですが、長官はずっと、知らないと言う。潜伏的に動きがあったのかもしれないけれども、表に出ていなかったので自分は知らなかったという答弁なんですが、これは本当でしょうか。重ねてお聞きしたいと思います。

足立政府参考人 平成八年の七月から一年間、私は近畿郵政局長に在任しておりました。いわゆるこのDM事件に関しまして、近畿郵政局郵務部の職員が業者からわいろを受け取ったことにつきましては、当時、私は承知していなかったものであります。事業庁長官に就任いたしまして、本年二月、本人が逮捕され、当局の捜査、解明によって初めて知り得るところとなりました。

 今にして思いますと、当時、知らなかったとはいえ、私の在任期間中に犯罪が潜伏していたわけでありますので、大変遺憾に思っておるところであります。

野田(佳)委員 これはどこかの月刊誌にも発表されましたけれども、財団法人逓信協会に出た九六年八月号の中央郵便局の局長さん同士の話し合いですが、これは近畿郵政局長に長官が赴任される前の座談会なんですね。これはもう全国的にこうした動きが出ていることが話題になっていて、そして監察にも通報したという話が出ている。ある郵政局に対しては、アンフェアなことはやめてほしいと申し入れもしているということが、もう全国的なレベルで認識をされていたわけです。

 近畿郵政局についても、この座談会の前年の九五年十月、「DMの大口引き受け状況実態調査対象局について」という通達を出している。そして、要注意業者の一覧表も出している。それに対応して、本省情報で具体的な局名も上がってきていると書いてある。それは近畿郵政局の中の九の郵便局です。大阪中央とか、大津中央とか、神戸中央とかいろいろ出ています、それ全部言いませんが。

 ということは、長官は事件としては知らなかったけれども、こういう動きは当然近畿郵政局も把握をしていた。どういう局がそういう動きをしているかも把握をしていた。それを全く最後まで知らなかったというのかどうか。知らなかったというんだったら、あなたの感度が悪かった、注意義務違反か、あるいは知ってはいたが不作為だったか、私はどっちかしかないと思いますが、お聞かせください。

足立政府参考人 郵便のいわゆる営業のやり方につきまして不適切な事例というものが発生しておったというのは、当時もあったと思います。しかし、本件のように、いわゆる業者の差し出す差し出し通数をごまかしたことに対する見返りとしてわいろをもらっておったという本件につきましては、私、先ほど申し上げましたとおりでございます。

野田(佳)委員 もう総務大臣の質問なくなってしまいましたし、外務大臣にも質問する予定でしたが、時間なくなりましたが、外務大臣には一言、外務大臣として頑張ってほしいというよりも、外務省、随分不祥事がいっぱい続きました。もう、一匹、一匹ハエを追いかけても切りがない、どぶさらいが必要だと思います。そのためには、綱紀粛正担当大臣としてぜひ頑張っていただきたいと思って、次の上田議員にバトンタッチしたいと思います。

野呂田委員長 これにて野田君の質疑は終了いたしました。

 次に、上田清司君。

上田(清)委員 民主党の上田清司でございます。どうぞよろしくお願いします。

 それでは、資料一を配ってください。

 石原大臣、大変御苦労さまです。ぜひ、小さなタマじゃなくて大きなタマを出していただきたいというふうに思っております。

 御承知のとおり、特殊法人改革も大事でありますが、ことしより独立行政法人制度が発足したわけですが、今配付しております資料一の三条のところの、これは独立行政法人日本貿易保険という旧通商産業省、経済産業省関連の外郭団体でありますが、常勤役員の理事長の給与が百五十万月額になっております。

 御承知のとおり、特殊法人は事務次官を上限にして役員の報酬を定めました。これを上回っているという形をとっておりますが、極めてふらちなことだというふうに私は思いますが、担当大臣、所管は総務大臣だということですが、行政改革一般の担当大臣としてどのようにお考えか。私は、全面的に調査をして、厳しく糾弾すべきだと思っておりますが、いかがでしょうか。

石原国務大臣 今見せていただきましてびっくりしております。と申しますのも、独立行政法人にしたのは、役員報酬の支払い基準を、これまでは特殊法人等でありますと基準がなくて高くするから、そういうことのできないようにという趣旨でつくって、給与を決めるときに国家公務員の給与水準、それと民間企業の役員報酬、そしてその理事長がそれなりの仕事をすれば上がるけれども、業績が悪くなったら給与が下がる、そういうふうに考慮して定めるという前向きなことで我々もこれを進めてきたのに、これをちょっと見ますと、詳細はわかりませんけれども、所管大臣ではございませんのでわかりませんが、高い。ということは、この趣旨、今言いました三つの趣旨から大きくかけ離れているのではないかと思います。

 いずれにいたしましても、委員御指摘の点につきましては、各省における独立行政法人の評価委員会というのが経産省にもありますので、きょうは経産大臣おいででございませんが、私の方からしっかりと伝えさせていただきたいと思いますし、片山大臣所管の総務省に政策評価・独立行政法人評価委員会というものがございまして、毎年こういうものをチェックするということになっておりますので、そちらの方で十分に委員の指摘に沿って検討されるものと承知しております。

上田(清)委員 片山総務大臣、ぜひ調査をしてやっていただきたいと思います。

 それでは、石原、片山両大臣、退席してください。しっかり大きなタマを出していただきたいと思います。

 それでは、資料二を配ってください。

 塩川財務大臣、平成十三年度の税収見積もりが一兆一千二十億ぐらい欠損になるというようなことを先ほどの財政演説の中でも述べておられましたが、やはりその見通しというのは正しいんでしょうか。

塩川国務大臣 大体そのような見通しになります。

上田(清)委員 ところで、財務大臣、節税という言葉は財務省の中にございますか。内容、中身。

塩川国務大臣 節税というのは、役所の中でどういうぐあいにするか、そういう議論はいたしておりませんけれども、税は絶えず公平であり合理的でなければならぬというその精神で扱っておるということには間違いございません。

上田(清)委員 私が知るところでは、国税庁とかで、あるいは各税務署なんかでは節税という言葉は使わないそうですね。節約なんかの意味と全く違う、税を納めるか納めないか、あるいは逃げるか、あるいは滞納するか、こういう話になってまいりますし、むしろ節税という言葉よりも、より合理的な選択をしてできるだけ少ない額を払う、こういう考え方はあるみたいです。まずこのことを念頭に置きながら、竹中大臣にお伺いいたします。

 さる報道では、九三年から九六年にかけて日本と米国に住民票を移動させ、住民税を日本国内で払わなかった、さる雑誌にこういう報道をされておりましたが、事実ですか。

竹中国務大臣 私は、居住の実態に合わせて、法律の定めるところにより、きちっと住民税は払うべきところに払ってきたというふうに自覚しております。

上田(清)委員 居住の実態に合わせて住民票を、住所を移動させたということでございますか。

竹中国務大臣 基本的には、居住の実態に合わせて、その時々で住む場所を届けるべきところに届けておりました。

上田(清)委員 居住の実態に合わせてということですが、あなたは最初は、四月から六月の慶応大学の春期講座に合わせて日本に来られる、それ以外はアメリカに在住されて研究を続けておられる、一部客員講師なんかやっておられるかもしれませんが。居住の実態に合わせるということであれば、なぜ九四年とか九五年には、十月七日とか十一月二十三日に住民票を移動されるのですか。おかしいじゃないですか。

竹中国務大臣 基本的に、まず居住の実態を申し上げておきたいと思いますけれども、私は多くの場合、四月の半ばから七月の半ばまで、その期間についてでありますけれども、約三カ月間慶応大学で集中講義をいたしました。基本的に生活の実態はその間もアメリカにあったというふうに考えております。

 そのことの意味は、家族がアメリカに住んでおりました。そのとき、コロンビア大学で古川委員とも一時、あの時期を御一緒させていただいておりますけれども、アメリカに家を持っておりました。アメリカに住んでいたということの意味は、家族も、妻と娘がアメリカに一緒に住んでおりました。娘はアメリカの現地校に通っておりました。ペットもそこで飼っておりました。したがって、アメリカに居住の実態があったというのがその期間を通じての実態であります。

 ただし、日本に集中講義に来る間は、日本でアパートを借りておりますから、その間は日本に住民票を移す、四月から七月まで住民票を移すということを、そうしておく方がよいのではないかなと思って、原則、そうしておりました。

 ただし、実質、行ったり来たりでありましたですから、その間、住民票を移すのを忘れて、今度出張に来たときに慌てて移したりしたということがありましたので、住民票を移すのが二カ月ぐらい、場合によっては三カ月ぐらいおくれたということがあったというふうに記憶をしております。

 繰り返しますが、生活の実態はアメリカにありました。

上田(清)委員 アメリカで住民票が必要なことはありましたか。

竹中国務大臣 アメリカには住民票はございません。したがって、日本で住民票を移すということは日本の住民票から抜くということであって、抜いた住民票に、米国に移住というふうに書き込む、御承知のように、それが手続であります。

上田(清)委員 結局、一々移す必要はないということじゃないですか。

 あなたはこういうことを言ったことがありますか、同僚の慶応大学の教授に。知ってる、一月一日に日本にいなければ住民税は請求されない、つまり払わなくていいんだ、だから、毎年暮れに住民票を海外に移し、年を越してから戻ってくれば、効果的かつ合法的な節税になるよというような趣旨のことを、同僚の慶応大学の教授に言われたことはございますか。

竹中国務大臣 そういうことは記憶しておりません。

 ただし、一月一日に住民票に登録されているところで住民税を払うという、いわゆる台帳課税主義というのは、基本的には財政学のどの教科書にも書いていることですから、大学一、二年生の学生で勉強している人ならみんな知っていることだと思います。

上田(清)委員 いずれ、このことは明らかにさせていただきます。

 それでは、田中外務大臣、お待ち遠さまでございました。

 外務大臣、外務委員会で我が党の委員の皆さんがいろいろな質問をする中で、外務大臣は政策論争をしたいというようなことを常に述べておられましたので、きょうは政策論争を中心に、一部気になるところを質問させていただきます。

 まず、私も余り知らなかったのですが、世界の外交官にとってまさに標準的な教科書というもので、ハロルド・ニコルソンの「外交」というこの本がありまして、まず外交官になったらほとんどの方がこの本を読むそうであります。この本を読んだことはございますか。

田中国務大臣 委員のこのたびのお尋ねがありまして、私は存じませんでしたので、役所の方から抜粋を取り寄せてもらいました。

上田(清)委員 このニコルソンの中の五章に「理想的な外交官」という項目がございます。資料三を配っていただきたいと思いますが、この「理想的な外交官」という中身は、今の外務省の職員に聞かせると、大変有用な、意味のある、意義のある中身ではないかなということで、この本を読み上げるよりは、委員の皆さんも含めまして、その抜粋の部分だけをメモにさせていただきました。

 読み上げますと、第一は誠実であると。「交渉する相手の心に、何事であれ、間違った印象を残さないように努めなければならない。」こういうことでございますので、中国の新任大使の表敬をなかなか受けなかった、アーミテージ国務副長官のドタキャン、キャンセル、ハラジ・イラン外務大臣の会談との遅刻などは、極めて間違った印象を残す可能性があるなというふうに私は感じております。

 第二は正確さ。「ここで正確さと言うのは、単に知的な正しさばかりでなく道徳的な正しさも意味する。交渉者は精神においても心情においても正確でなければならない。」と。アメリカのミサイル防衛について二転三転される外務大臣の発言について、極めて正確さに欠けるのではないかというふうに感じたりしております。

 第三は平静の資質であります。もう読み上げるのも大変恐縮ですが、後半だけ読ませていただきますと、「またすべての個人的遺恨、すべての個人的偏愛、すべての熱狂、偏見、虚栄、誇張、脚色及び道徳的憤怒を慎まなければならない。」と。もうあえて申し上げません。

 第四は機嫌をよくしていなければならない、こういうことであるそうです。

 第五は異常なまでに忍耐強くなければならない。少なくとも、我慢できずにすぐいろいろお話をしてはいけない。国務省の一時避難先を漏らすなどは、これは罷免に値するような話だと私は思っております。

 第六は謙虚でなければならない。

 第七は忠誠でなければならない。このことに関して、第七の忠誠に関して言えば、総理の靖国神社参拝問題で中国の外務大臣に同調し、私が説得するなどと言うのは、国益に反する話だ、私はそう思っております。少なくともその席では、内政不干渉とまで言わないが、お伝えするが筋でありまして、むしろ個人的に、総理に対して国内でその旨については自分の見解を述べられればいいのであって、外国でそういうことを述べられるのは極めてよくないことだというふうに思っております。

 いずれにしても、この一から七までについて、外務大臣は自分に照らされてどのような評価をなされるか、お伺いしてみたいと思います。恐縮です。

田中国務大臣 私は職業外交官ではございませんが、ニコルソンがそういうことを書いておられるということは承知をいたしております。

上田(清)委員 自己評価をどうですかということを聞いているんですけれども。

田中国務大臣 すべては、長い時間のタームの中で第三者が評価するものというふうに思っております。

上田(清)委員 結構でございます。

 それでは、大臣は、外務委員会の委員長でありました土肥委員長に、当時、外務委員会の委員の発言を制限すべく、連絡をとられてお願いをされた、こうした経緯があり、陳謝もされた経緯がございますが、これは三権分立の基本的な部分であり、この部分について、議会と行政、あるいは憲法で定めるところの三権分立について、一体どのような基本的な認識をしておられるか、改めて問いたいと思います。

田中国務大臣 基本的な政治家としての認識はもちろんいたしております。

 それから、先ほどいろいろ、るる週刊誌的といいますかワイドショー的におっしゃったこと、それから今おっしゃったことにつきましても……(上田(清)委員「ちょっと、失礼だよ、それは。何が週刊誌的な話だ」と呼ぶ)その本じゃありませんで、それに関連してお聞きになったことですけれども……(上田(清)委員「委員長、ちょっと注意してください」と呼ぶ)それについては、書面できちっとある時期に私の事実関係なり意見を申し上げさせていただきたいと思います。

上田(清)委員 今は全く週刊誌の話もしていなければ、このニコルソンの「外交」の話をしたばかりです。注意をしてください。

野呂田委員長 外務大臣に申し上げますが、発言を慎重にお願いします。(上田(清)委員「陳謝、陳謝」と呼ぶ)

 今、答弁で触れますから。

 上田清司君。

上田(清)委員 陳謝もあわせてしてください。

 北朝鮮について、ラングーン事件、大韓航空機事件などのテロの事件の関与がいろいろ云々されましたけれども、アメリカの連続テロ事件後の北朝鮮の姿勢について、何らかの変化があったかどうか、この辺について事務方も含めていろいろ御検討もされていると思いますので、その辺についてお話を承りたいと思います。

田中国務大臣 北朝鮮が今回の……(上田(清)委員「陳謝」と呼ぶ)九月十一日のテロ以降、テロに対する反対ということを表明していることは委員も御存じでいらっしゃると思いますし、そして、国連で採択されたテロ資金の供与の防止条約でございますとか、人質の行為の防止条約への加盟の意向も表明していることは御存じでいらっしゃるというふうに思います。

 そうして、こうした北朝鮮の対応ぶりにつきましては、事件発生から二カ月しか経ておりませんこともありまして、具体的な評価は、今はどうこうであるかという変化のことをお尋ねでございますけれども、現在は日本の政府としてはコメントは差し控えさせていただきます。

上田(清)委員 今陳謝を求めております、私は。仮にも本会議にかわる総括的な予算委員会で、ちゃんと世界的な標準的教科書に基づく外交の話をしておるにもかかわらず、週刊誌のたぐいだとかということを聞いて、審議なんかできるわけない。陳謝しろ。

野呂田委員長 外務大臣、しっかり答弁してください。

田中国務大臣 その本について言ったのではございませんで、それに関連して先ほどるるおっしゃったことが、そうしたことのたぐいであると言ったのであって、「外交」という本は名著であるというふうに先生も、委員も御推薦でいらっしゃいますから、それとは別でございます。

上田(清)委員 それでは、行きましょう。

 日本外交におけるイランの位置についてどう考えるか。

田中国務大臣 日本との関係を今お尋ねになったと思いますけれども、中東地域の安定、これは大変重要でございますけれども、それから、日本はもちろんエネルギーを、安全保障上、そうした観点も対イラン関係で大変重要でございますから、そうした関係を強化、拡大していきたいというふうに常々考えております。

上田(清)委員 ところで外務大臣、イランの権力機構の中でハタミ大統領というのは序列で何位なんでしょうか。

田中国務大臣 ハタミ大統領が大変精神的にも国民の皆様に尊敬をされておられる方であるということはわかりますけれども、日本が序列が何番というふうなことを申し上げるような立場ではないというふうに思いますけれども。

上田(清)委員 ハタミ大統領は国家元首ですか。

野呂田委員長 外務大臣。どうぞ外務大臣、さっきから呼んでいますから。

田中国務大臣 済みません。

 国民に選ばれた代表でございますけれども、正確を期するために、今事務方が調べてお答えを申し上げます。

上田(清)委員 それでは、ハメネイ最高指導者、この方、御存じだと思います。アメリカのテロ事件に関してどのような姿勢をとられておるか御存じですか。

田中国務大臣 ハメネイさんにつきましては、保守派でございます。ですから、それ以上、アメリカとの関係について、全体のイランとアメリカとの外交関係ということではお答えを申し上げられますけれども、ハメネイ師個人がどうであるかということは、今、日本の国会で言及することは適切でないと思います。

上田(清)委員 イラン外交全体について、パキスタンもそうですし、周辺国との外交関係をどうするかというのは今回の問題、大変重要でありまして、別に難しい話をしているわけではありません。最高指導者がどんな考え方を持っておられるのか、このアメリカの空爆あるいはテロ事件に関して、それを聞いているだけですよ。

田中国務大臣 今大変デリケートな国際情勢の中でありまして、それぞれイスラムの国々は立場が違いますので、個人的なものは、もう一回繰り返しになって大変恐縮でございますけれども、アメリカとイラン全体の外交関係についてはお答えできますけれども、一人の方がどのように考えておられるかということについては、今この時点でお答えすることは適切でないと思います。

上田(清)委員 今、極めて不適切な発言であります。少なくともイランの最高指導者であり、ある意味じゃ、日本でいえば天皇陛下に対する敬愛の心を持つような方でもあります、イラン国民にとっては。一種のそういう部分があって、どちらかといえば、テロ問題に関してきちっとした発言をされているわけですよ。だから、そういうことに関して日本政府としてはどう考えるのかということを聞いているんですよ。外交にならないですよ、それじゃ。

田中国務大臣 トータルといたしまして、アメリカとイランとの外交関係については、繰り返して申しわけございませんけれども、申し上げられます。

 それから、ハメネイ師があらゆるテロ行為を非難しているということもわかっておりますし、それから、ハタミ大統領が、無実の人々に被害を及ぼし得るいかなる報復行為も受け入れられないということを発言なさっていることもありますが、そうしたいろいろな御意見がイランという国の中にありますから、それに対して日本の政府トータルとしてこうであるということを今のこの段階で申し上げるということは適切ではないと思います。

上田(清)委員 トータルとして申し上げる必要はないというようなことを言われましたが、もうその前段の部分で言われましたよ、ちゃんと。どういう考えに立っているかということをあなた自身の口で言われましたよ、ちゃんと。それでいいんですよ。何の難しいこともありません。

 どうも、政策論争をしたい、トータルで外交の話をしたいと言われるにもかかわらず、何かそういうことをするのを嫌がっておられるような感じがいたします。(発言する者あり)失礼な話をするな。何を言っているんだ。

 ハメネイ最高指導者は、御承知のとおり、いわば大統領と若干意見の、若干どころか、ある意味じゃ正反対の対立状況にあるような発言がお互いになされておりますが、この点については、外務大臣、日本政府としてどのようにとらえられ、あるいは調整されているのか、そのことをお伺いしたいと思います。

田中国務大臣 ハタミ大統領とそれからハメネイ師の少し違ったような考え方が折々、考え方かどうか存じません、発言が、日本政府もすべてをフォローしているわけではありませんけれども、そうしたものもありますが、それらをトータルで分析しないうちに、今のこのアフガン問題があるときに、日本政府としてこうであるということを断定することはふさわしくないと思います。

上田(清)委員 それでは余り外務大臣として意味がないですね、いろいろなことの発言を差し控えるということであれば。

 わかりました。次に行きましょう。

 日本外交におけるイラクの位置というのはどのようにお考えなのか、できたらメモを見ないで来てくださいよ。

田中国務大臣 イラクも同じように今大変国際状況がデリケートなときでありますので、そうした中でもって外務大臣が簡単にこうであるというふうなことになりますと、またいろいろ後ほど問題が国際環境の間でありますので、したがって、イラクの位置をどう見るかということにつきましては、石油の供給の八割以上を日本は依存いたしております。そして、湾岸地域の中で豊富な人的な、そしてエネルギー資源というものを有する重要な国であります。したがいまして、そうした国ともうまくおつき合いが、お互いに平和的に共存共栄できるようにつき合えるようにするということが基本原則でございます。

上田(清)委員 イラクに石油依存を八割というのは、それは中東地域だと思いますが、まあそれはいいでしょう。

 イラクの生物化学兵器開発について、どのように把握され、どのようにお考えになっているか、お伺いしたいと思います。

田中国務大臣 イラクは、九八年の暮れだと思いますけれども、それ以降、大量破壊兵器等の廃棄に係る国連の査察ですけれども、これを受け入れておりません。したがいまして、生物化学兵器等の大量破壊兵器を生産しているか、あるいは保有しているかどうかにつきましては、確認はいたしておりません。

上田(清)委員 それでは、仮定の話をしてもまた時間がもったいないので次に移ります。

 イスラエルとパレスチナ紛争の関係についてお伺いしたいと思います。

 もう大方の話はよしてずばり聞きたいんですが、イスラエルとパレスチナ紛争がこれほど悪化している原因は一体何でしょう。

田中国務大臣 これは本当にもう委員御存じでおっしゃっていると思いますけれども、非常に長い歴史がありまして、歴史の時系列の中でどの辺から紛争ととらえるかということにもよると思いますけれども、非常に長い間の不幸な対立があるというふうに承知しております。

上田(清)委員 それでは、この紛争に対して、日本政府としてどのようにかかわってきておられるのか、それから、今後どのような形で、何らかの形で中東和平のために日本が関与していくのか、二点について。

田中国務大臣 今申し上げましたように、非常に長い紛争であるということは、各国がいろいろな知恵を使ってアプローチをしていてもなかなか解決ができないほど難しい問題であるということは御認識いただけるというふうに思います。

 私が着任しましてからも、ことしの夏のG8、ローマのときも、やはりいつも帰結するのが、このパレスチナ、イスラエルの問題をどうして紛争を解決していけばいいかというふうな問題がテーマに上がりましたし、そのほかの国際会議でも非常に象徴的な難しい事件として取り上げられております。

 そして、私はしょっちゅう電話をいただくんですが、特にペレス外務大臣からはしばしばお電話、先方からくださいますし、それから、パレスチナのシャース長官ですとかアラファト議長はこちらからこの間おかけしましたが、両方が本当にミッチェル・レポートに準拠してお互いに話し合いによる解決をということをこちらもお願いしていますし、ほかの国々もそれをおっしゃっているわけですけれども、もう少しというところでもってまたもとに戻ってしまうような、話し合いが後退をする、そういうふうなことがあることを大変残念に思っておりまして、日本としましても、話し合いの場を提供したいというふうなことは双方にお話も申し上げております。

上田(清)委員 余りはっきりしませんね。具体的に、積極的にどういう形でかかわっているのかということについての話がありませんが、述べるものがございますか。

田中国務大臣 両方の国に対しましては日本は中立的な立場で今までいたということが一種のアドバンテージであるというふうに思いますので、そうした先入観を抜いてお互いに話をしていただけるということをこちらも提案をしておりますし、そうした意味ではイスラエル側もパレスチナも同感であるということを言ってくだすっております。

上田(清)委員 それでは、外務省改革についてお伺いします。

 機密費の官邸上納問題があって、大臣は就任当時に非常に熱心にこのことについて触れられておりました。

 資料四を配付してください。

 実際、調査の結果、上納はなかったと大臣は最終的にはお答えになっておりますが、どういう調査報告を受け、御自身でどういう調査の確認をなされたのか、そのことについてお願いしたいと思います。

田中国務大臣 官邸への上納でございますけれども、私も、関係の書類が、会計課等にありますものは大変膨大ですから、全部をとても見るなんということはまず不可能でございますけれども、会計課が言ってくれる資料等も見ましたし、それから、関係者からお話も聞いております。すなわち官房長官、現官房長官もそうでございますし、官房長官経験者、この内閣にももちろんいらっしゃるわけですけれども、外務大臣経験者等からもお話は伺っております。

上田(清)委員 大臣は機密費問題に関して、四月二十六日の就任時の記者会見では、国民の税金が何に使われたのか徹底的に調べる、こういうお話をされ、また、五月十四日の衆議院予算委員会では、外務省から官邸への機密費上納問題について、個人として興味を持っていた。それで、五月二十二日の参議院予算委員会、調査から否定へ転換ということで、上納はない、こういうお話をされて、その後、また一週間後の衆議院予算委員会では、今精査しているというお話もなされました。

 調査の結果、ないと言われて、その後精査されているというのは、また改めてよく調査されているということですか。

田中国務大臣 この間に、記者会見で聞かれたり、委員会等で聞かれることもございますので、ですから、それはやはり今申し上げたような、当時の関係者とかそれから役所の方に書類を見せてもらったり、あるいは直接お目にかかって伺っておりますけれども、いずれの方もないという、特に官房長官、外務大臣経験者がそうおっしゃっておりますし、私には証拠が見つかりませんので、そのように存じます。

上田(清)委員 どのぐらいの調査書だったんですか。

田中国務大臣 会計課は大変たくさんの資料がございまして、倉庫が二つに分かれておりますけれども、そこだけ行ったのでは、とても膨大でわかりかねます。したがいまして、紙でもって説明を聞いたことはございます。

上田(清)委員 四枚の調査報告書で大臣に出されて御説明があったと思いますが、何時間ぐらい聞いたんですか、それ。

田中国務大臣 何枚かは、私はわかっておりません。

上田(清)委員 何時間話を聞いて納得されたのか。

田中国務大臣 何枚であったか、今急におっしゃられても、何時間であったかということは、正確にはお答えできません。

上田(清)委員 漠とした数字で、時間で結構です。

田中国務大臣 重要なことでございますので、漠としたようなことでもってお答えしてはいいことだと思いませんので、あやふやなことは申し上げられません。

上田(清)委員 憲法六十三条にちゃんと、こうした国会において大臣は説明する義務がある、ちゃんと憲法六十三条にあるんですよ。私が許可しているんだからいいんですよ。漠とした数字、言ってください。

田中国務大臣 いいかげんなことは申し上げられませんので、漠としていようといまいと、申し上げられません。

上田(清)委員 それでは、憲法六十三条をあなたは否定するんですか。国会で質問しているんですよ、私は。いいですか、四枚のちゃんとレポートがあって、あなたは、ちゃんとここの委員会で言われたことがあるんですよ。そして、何よりも熱心にあなたが、外務省改革をやらなくちゃいけないし、やってもらいたいという国民の願いがある。にもかかわらず、よく覚えていないと。何枚の報告書があったのか、また何時間聞いたのかもよく覚えていない。それじゃ、本当に熱心にやったんですかということを問われるんですよ。また言いましょうか、あなたが余り熱心じゃないということを。

 外務省の改革要綱推進委員会、御存じですね。正式な名前は覚えていなくてもいいですよ。別にいいんです、そんなのは。そういうことをやっているということをしっかり把握して指揮をしておられれば。これは何回やりましたか。

田中国務大臣 こういうお尋ねもあると思って、さっき調べてメモに自分で書いておきましたけれども、三回ないし四回ではないかというふうに思いますが。

上田(清)委員 どういう中身が議論されておられるか、御存じですか。

田中国務大臣 この外務省改革の推進会議のことをおっしゃっているんだと思いますけれども、そうですね。

 これにつきましては、副大臣それから政務官全員が担当を決めまして……(上田(清)委員「中身です。組織はいいんです、さっきから中身を聞いているんでしょう。よく質問に答えてくださいよ。注意してください」と呼ぶ)今答えている最中でございますけれども……(上田(清)委員「質問の中身が違う」と呼ぶ)

 ですから、例えば領事移住部のことはどういうふうにして改革をするか、それから情報サービスの拡充はどのようにするか、人事の制度はどういうふうにするか、それから綱紀引き締めについてはどのようにするか、トータルで外務省全体の改革をどうするかということを、副大臣やら政務官別に担当を割り振って改革の討論をいたしました。

上田(清)委員 答えていないです。委員長、注意してください。質問と違うことを言っております。

野呂田委員長 まあ、後半ちゃんとしゃべったからいいじゃないですか。

上田(清)委員 私は、外務大臣、そんなに頭を痛めないで、一番大事なことを聞いているんですから、あなたが熱心にやりたいということを。どうして頭を抱えちゃうんですか。

 いいですか。とにかく、外務省改革をやらなくちゃいけない。やってほしいんです、みんな。そう国民が思っているんです。だから、ちょっとチョンボも多いけれども皆さん我慢しているんですから。(発言する者あり)ちょっとじゃなくて多いんだって。与党の人がそう言っているよ。

 とにかく、この改革推進委員会で、外務省改革要綱推進委員会でどういう議論を大臣の方に上げてきて、大臣がその上げてきた報告をもとにどういう指示をなさって改革のプログラムを実行しようとしているのか。それを聞いているんですよ、最初から。組織がどうなっているなんというのは、大臣は細かく知らなくてもいいの。

田中国務大臣 普通の外交政務をやりながらですから、分担をしながらこうしたことを皆様で鋭意やってくださっているわけでございます。

 それで、この中身については、もう皆様は御存じだと思いますけれども、いかにしてトータルで、いわば外務省の今までの古い制度を改革して、そして、こうした報償費にまつわる問題もございましたし、そのほか機能不全になっていることもございますから、そうしたことを改革して、どのようにして外務省を活性化していくかという制度の面でございます。

 そういうものをつくりまして、例えば、園部最高裁の判事を長といたします監察査察制度でございますとか、部局会計の一元化でございますとか、それから在外公館の査察とか、そういうことを具体的にやったりいたしました。

上田(清)委員 極めてむなしいですね、何かメモを棒読みされて。大臣の指示あるいは報告、そういうものが余りなされている感じがいたしませんが。

 ちなみに、あなたが指揮されている副大臣、政務官、これらの方々の報告を聞く機会、あるいはこれらの方々を集めて具体的な指示をなさっていることはあるんですか。

田中国務大臣 お互いのスケジュールがありますので定例開催というわけにはまいりませんけれども、ともに食事をしながらということもございますし、報告に来てくださることもありますし、私が政務官の部屋や副大臣の部屋に伺ったり、それだけではなくて、事務方が非常に熱心に説明に来てくだすったり、それからメモを届けてくだすったりもいたしております。

上田(清)委員 きちっとした会議をやられたかと聞いているんですけれども。

田中国務大臣 省議もいたしておりますし、報告という会もそうした形でやったりもいたしておりますし、そうでない形で、個人的に時間を見ながら報告をしてくださるということもございます。メモやレポートを置いてくださって、それを週末や飛行機の中で読むこともございます。

上田(清)委員 極めて、余り熱心な改革推進をなさっているようにお見受けすることができません。

 それでは、次に移ります。

 外務大臣の住民税の滞納問題についてお伺いしたいと思います。

 資料五を配ってください。

 その前に、財務大臣、恐縮ですが、歳入不足ということで、やはり税収の調達に対して、国税庁を通じ、極めて厳しいある意味での徴収を命じておられると思いますが、この点についてはどうですか。

塩川国務大臣 それは、就任以来私は、税収の正確な徴収ということについては、鋭意各担当のところで努力するよう指示をしております。

上田(清)委員 田中外務大臣、いろいろな経緯があったということも想像をいたします。ずっと住民税を滞納されて、結果的には、ここに触れておりますように、本税を納められたのは平成六年三月二十五日、十九年後になった、こういうことについてどのように感想、所感がありますか。

田中国務大臣 これはきちっと正式にお伝えしないと誤解があると思いますので申し上げますが、これは相続をした負債の一つでございまして、私自身が課せられた税金ではないということをまず申し上げなきゃいけないんですけれども、このことにつきましては、裁判などで課税処分後十数年もかかりまして、その後三年間で分割して完納をいたしております。

上田(清)委員 延滞税もたくさんになりましたが、たまたま偶然でしょうか、延滞税を毎年払っておられたんですが、十三年だけは一気にお支払いになっております。たまたま担保が解除されたのは外務大臣が就任された日でありますが、やはり外務大臣に就任するということがわかった以上、あるいはそういう話が出ている以上、払わなくちゃいけないというようなそういう強い意識になったんでしょうか。

田中国務大臣 細かい事務的なことは税理士さんとか専門の方がやってくだすっておりますので、私は、何日に、今委員がおっしゃった日にちが正しいかどうかも、ちょっと今ここでは確認もすることができません。極めて事務的にお支払いをしていただいておりますので、わかりません。

上田(清)委員 いろいろな経緯を見ると、相当税務に関して田中外務大臣は詳しいというふうに私は理解しております。かつて参議院の方で、当時の野末陳平議員が極めて厳しい鋭い質疑をなされて、一回目はともかく、二回目は相当勉強されてお答えもなさっておられましたし、その後の経緯もありますのでしっかり把握されているものだと思っております。

 今、六の資料を配付させていただきました。相続税の残額が四十四億円、これがことしの四月に、日付は別に構いません、今言われましたように一々覚えていなくても結構でございますが、物納をされました。なぜ物納されたんでしょうか。

 一般的に言いますと、御承知のとおりの順序があります。言うまでもなく、現金からスタートして、資産の評価のしやすい土地家屋、それから公開されている株式、こういう順序になっておりますが、なぜいきなり、もちろん別枠で八億円という現金でお支払いもありますが、残った部分に関して未公開株を提示されたのか、この件についてお伺いしたいと思います。

田中国務大臣 これもきのう、夜分遅かったんですけれども、税理士さんや専門家に調べてもらいましたら、この数字の四十四億というのはどこから上田清司議員が手に入れられたかわかりませんが、こちらでは二十二億弱というふうに承知しておりますので、正確にしていただかないと名誉の問題もございますが、どこから入手なさったのでしょうか。

 いずれにいたしましても、答弁をさせていただきますと、父の相続が平成五年にございまして、そのときに遺産は、換金可能なものは納税資金に充てました。そして、平成七年に、母がすぐに亡くなりましたものですから、結局、相続税額に見合う資産は、これは非上場株でございますけれども、これしかございませんで、そして、それが結果として物納対象となりまして、申請し、受理されたわけでございます。

 いずれにいたしましても、関係法規にのっとりまして、当局の指導に従いまして、適正に納税をいたしております。ここはしっかりと、よろしく御理解のほどお願いいたします。

上田(清)委員 田中外相夫妻と書くべきだったところを、その夫妻が抜けておりましたことを恐縮し、おわびいたします。メモのところでありますが、御夫婦で約四十四億円という意味であります。

 そして、御承知だと思いますが、未公開株の物納案件というのは、全国的には極めてまれなケースであります。当然、先ほど言いましたように、ちゃんと、国税庁から手に入れました物納制度の概要ということで、物納の要件に関してはいろいろな順序がありますよということを示してありますが、この順序からするとなかなか理解しがたい状況であります。

 財務大臣、私、先ほどちょっと申し上げました、順位をどういう順位でいくかと。例えば、どうしても居住したいということであれば、無理やり追い出したりはしないんですね、税務署というのは。住んでいいですよ、そのかわり底地だけでも物納してください、そういう指導をするんですが、なぜ田中外務大臣御夫妻に関してはこういう順序が適用されていないんでしょうか。

 こちらに、田中外務大臣の資産について謄本を取り寄せましたら、五十枚ぐらいあります、いろいろ記述されたものが。五十枚あるから五十物件があるということじゃありませんが、しかし、土地、山林、マンション二十二室ですか、あるいは御自身の御住居も含めて相当な資産があるということでありますけれども、順序からすると、どうもこれはおかしいなと思わざるを得ません。法的には完璧だと外務大臣が言っておられますが、それでは財務省、国税庁が非常にあいまいな仕事をされたのかなというふうに思わざるを得ませんが、財務大臣、いかがでしょうか。

塩川国務大臣 物納のことにつきましては、個別の問題でございまして、非常に微妙な問題でございますから、守秘義務もあり、個別には答えられませんけれども、一般論で申しておきますならば、相続税につきましては、金銭で一時に納税していただくのが原則でございますけれども、そうでない場合は、物納するときは、適切な措置をとって納税の手続をしておると思っております。

 本件につきましては、個別になりますので答弁を差し控えさせていただきますけれども、原則としては、手続はきちっとしておると私は信じております。

上田(清)委員 先ほど私申し上げましたように、税金を払う場合には、まずは現金からスタートする。そして、物納に充てる場合にはこういう順位だというふうに承っております。第一順位が、国債及び地方債、不動産及び船舶あるいは登録美術品。登録美術品というのは、極めて高価な価値を持つ絵画であるとかつぼであるとか、そういう登録された美術品のことでありますが、これをまず処分しなさいということであります。第二順位は、社債及び株式並びに証券投資信託または貸付信託の受益証券、こういう形になります。そして第三位が動産、こういう判断を国税庁はしているわけですが、田中外務大臣の物納案件は未公開株でありますし、なかなか評価もしがたい話であります。

 しかし、一方では、山林初め、相当な定期預金もございますし、それから住宅もございますし、マンション等もございます。どうしてそちらの方の処理を先にしないで未公開株をされたのか。田中外務大臣、なぜだったか、御記憶ありますか。

田中国務大臣 先ほど来申していますように、これらは専門家にやっていただいておりまして、私は細かいことは今ここではお答えすることは差し控えます。

上田(清)委員 この補正予算をめぐる予算委員会というのは、歳入歳出に関連する極めて重大な話をしなければならない。とりわけ、先ほど塩川財務大臣も言われましたように、歳入の確保ということに関しては極めて大きな意味を持つ時代であります。

 そういう中で、なぜ閣僚の一人でありますところの田中外務大臣の物納に関しては順位が逆さまになっているのかということを聞いているのですが、専門家の方にお任せすると言っては、先ほども資料で配っておりますが、きのうも五十嵐議員の質問に答えて、国民の血税というような言葉も使っておられます。一つ一つの税金というものがどういう意味を持っているかというのはもうよく御承知でこれらの発言をされておりますし、森前総理がゴルフの会員権を無償でいただいているといったら、それは贈与税をかけるべきだというような発言もなされておられました。

 そういうことも含めれば、ぜひ田中外務大臣は、この問題について、専門家の人にお任せしていますからわかりませんと言っては、国民になかなか伝わりませんよ。

田中国務大臣 私にもささやかな名誉がございますので、森総理に関して、私はそのような場にも居合わせておりませんし、そのような発言はいたしておりません。

上田(清)委員 それはお聞きしました。御本人が否定されるのであれば、私もそれは取り下げますが、ちゃんと答えてください、私の質問には。

田中国務大臣 ですから、当局が法律にのっとってやってくださったことでございまして、そういう次第でございます。

上田(清)委員 極めて不見識な発言ですよ。当局が決めた、当局で決めたことは事実です。しかし、この間にいろいろな話し合いがあったはずですね、どういう形で納税するかということについて。その経過の中で、このような形になった。これを国民に明らかにしなければ、あなたは、血税だとか、外務省の税金流用疑惑だとか、こういうことは通用しませんよ。

田中国務大臣 私も私の家族も税金はちゃんと払っておりますので、誤解がありませんように。法律にのっとってしっかりと払っております。

上田(清)委員 払っていないなんてだれも言っておりません。しっかり払っていただいて大変ありがたく思っております。

 しかし、物には順序がありまして、その順序が逆さまになっているというこの事実に関して、あなたは国民に対してどういうふうに説明するのか。いいですか。(発言する者あり)

野呂田委員長 ちょっと不規則発言はやめてください。

 どうぞ、外務大臣。

田中国務大臣 ちょっともう一回お願いします。

野呂田委員長 ちょっと質問が不明確だったようですから……(上田(清)委員「いや、きれいな質問でしたよ」と呼ぶ)もう一回やってください。

 上田清司君。

上田(清)委員 それは外務大臣がぼうっとしているんであって、外務大臣に注意してください。冗談じゃないですよ。

野呂田委員長 私が発言したので、聞こえなかったと思いますので。

 どうぞ、上田清司君。

上田(清)委員 そういうわけでありまして、不規則発言で聞こえなかったというふうに言われておりますので、もう一度確認します。

 何度も申し上げますが、税金を支払っています、当局が決めました、しかし、この当局の決め方の順位が違うということを私は言っておるわけですね。逆さまになっているわけですね。

 なぜそういうふうな結果になったのかということについて、あなたは国民に説明しないと、国税庁も説明する義務があるけれども、あなた自身も説明しなければ、外務省改革があんなに熱心じゃないのはそうかと、そんなふうに思われますよ。全然熱心じゃなかったでしょう、先ほどの質問にちゃんと答えられないんですから。それと同じように、この問題はかなり大っぴらになっているんですよ。

田中国務大臣 先ほどのことを繰り返させていただきます。

 平成五年に、父の相続が、一次相続が発生いたしまして、換金可能な遺産は大方処分をいたしまして、納税資金に充てました。

 平成七年に、母の二次相続がございました。そして、父の相続に当たって物納済みであって、ほかのものがなく、他の不動産が少額で、結局、相続税額に見合う資産はこの非上場の株式のみでございましたので、これを物納対象とせざるを得なくなりまして、そして、これが四十四ではなくて二十二億円弱でございますけれども、それを充てて申請し、受理をされたものでございます。

 したがって、しっかりと税にのっとって、私どもは、私どもの家族、それぞれ皆様が税金を払っておられる、それぞれのお立場もあると思います、スタイルもあると思いますが、私どもは法律にのっとって税金を払ってきております。

上田(清)委員 質問の趣旨にお答えになりませんね。委員長、注意していただきたいんですよね。ちゃんと質問の趣旨に答えていただきたいんですね。細かい話は御存じじゃないですか、そうしてメモに持ってきているぐらいだから。肝心な話になるとよくわかりませんと言って、そして、何かのときにはそういう細かいメモを持ってこられる。おかしいじゃないですか、言っていることが。注意してください。

野呂田委員長 委員長から見ると一生懸命答えているように思えますから、どうぞ質問を続行してください。

 どうぞ、上田清司君。

上田(清)委員 それでは、財務大臣にお伺いします。

 ちょっと細かいことになるかもしれませんし、個々のケースになるかもしれませんが、やりとりを聞いていてわかっていただいたと思いますが、物納の順位ということについては、大臣がもう御承知のとおりであります。こういう事例というのはどんな場合にあるのですか、一般論で。

塩川国務大臣 一般論で申しまして、やはり担当者は法律あるいは通則等に基づいて判断して、いろいろな次元がございますけれども、その中では法律どおりにいくものと、また、その中できちっと解釈を正確にして適用を誤らないようにやっていく例もございますので、いろいろなケースによって判断したのだろうと思っております。

上田(清)委員 それを聞いたのは、こういうことなんですね。順位が逆さまになっている、こういう事例というのは一般論としてどの程度あるんですか。

塩川国務大臣 私も余り定かではございませんが、そういう物納案件でやっておるもので相当件数はあることは事実でございます。正確には私もわかりませんが、年間においてやはり数十件あることは事実でございまして、本件もその一つではないかなと思ったりいたしております。

上田(清)委員 多分、その細かい話を大臣に求めるのは大変だと思ってはおりますが、しかし、考え方として極めてこれはまれなケースだというふうに私は思っておりますよ。財産があり、土地家屋があり、そして山林があり、なぜ未公開株を物納として許されるのか。そういうことを聞いたら、なるほど、田中大臣ですら許されるんだったら、我々は現金や家屋やあるいは土地を処分しなくても未公開株を出せばいいのか、こういう議論になりかねない。そういう重い意味を持つので、あえて私はこの問題について質問しているんですよ。田中外務大臣、こういう意味なんです。

 あなたがいつも納税者だとか血税だとか、こういう言葉をよく使っておられます。特にトータルという言葉を特別に使っておられますが、同じようにこういう思いを日本国民が持つといけないんで、納税義務を、日本国憲法に書かれている義務は三つしかないんです、権利は十七ありますけれども。そのうちの一つなんですね。だから、きちっと答えてほしいんですよ。どういういきさつでそういうふうになったのか、御記憶にある範囲内で。

 これが、委員長、難しい話だと思いますか。聞いていただきたいと思います。

田中国務大臣 専門家にゆだねておりますので、その指示に従っておりますし、それで了承されたというふうに理解をいたしております。

上田(清)委員 説明責任を果たしておりませんので、審議を続けるわけにいきません。

野呂田委員長 質問者に申し上げますが、一般にそういう専門家に任せるというのはあり得ることでありますから、そんなに不自然な答弁だとは委員長は思いません。どうぞ、質問をしていただきたいと思います。(上田(清)委員「国民は払わなくなりますよ」と呼ぶ)そんなことはない。

 どうぞ、上田清司君。

上田(清)委員 それでは、この問題について委員長にお願いしたいと思います。(発言する者あり)いえいえ、補正予算の問題ですから、税収の問題ですから、委員長にお願いしたいと思います。

 この問題について、きちっと国税庁が最小限度、予算委員会の理事に克明なる資料を提出することを望みます。

野呂田委員長 理事会で相談してみます。

上田(清)委員 それでは、外務大臣にもう一つだけ、大変お疲れさまです。

 あなたの政治資金管理団体、田中眞紀子後援会という団体がございますが、これは平成十二年度に法律が改正されまして、個人献金を主とした形になっておりますが、この個人献金のリストを見ますと、あなたが関与されておられますファミリー企業の役員合計二十二名から、二十万から五十万の額の個人献金を受けておられます。そのこと自体は何の問題でもありませんが、しかし、日付が五月三十日と五月三十一日で、皆さん打ちそろって献金をなさっておられます。ちなみに、それまでにはこの方々は個人献金をされたことはありません。

 そして、十一年度は、逆にすべてこのファミリー企業八社のいわゆる企業献金で処理をされております。その方の、代表者の名前がそっくり今度は個人献金になっておりますが、これは何かこのようにしなさいという指示でもなさったのかどうか。

田中国務大臣 政治団体に対することについては、強要などもいたしておりませんし、それから、関係の知り合いのそういう方もおりますが、そのほかの議員さんと同じように、各種団体等個人からも献金もいただいていたこともありますので、そういう強要というふうなことをやるということはあり得ません。

上田(清)委員 もう一つ、大臣のもとに、外務省改革に絡むいろいろな内部告発だとかさまざまな意見とか具申がございましたか。内部告発の文書だとかファクスだとか、そういうのが大臣のもとに届いておりますか。

田中国務大臣 ちゃんと御自分の名刺を添付したようなものもございますし、立場を明らかにしたお電話もありますし、そうでないものもありますし、本当に玉石混交で、たくさん来ております。

上田(清)委員 竹中大臣と田中外務大臣は、どうぞお引き取りしていただいて結構でございます。どうぞ。

 それで、柳澤金融担当大臣、お待たせをいたしました。大和都市管財の問題についてお伺いします。

 御承知のとおり、豊田商事に次ぐ被害者の多い問題でありますが、この点について、いろいろな報道もなされておりますが、一番気になるところ、九四年の近畿財務局の立入検査で、関連会社の経営悪化というものが把握されていて、本体については把握されなかった、こんなふうに言われておりますが、事実でしょうか。

村田副大臣 委員御指摘のように、近畿財務局におきまして、九四年に大和都市管財を立入調査いたしました。その結果、関連会社について財務上の問題があるということは把握をいたしましたわけでございますが、本体については、私どもとしては、債務超過の事実があるということまでは把握ができなかったということを御報告申し上げたいと思います。

上田(清)委員 九七年の検査で、約束手形の販売禁止や経営健全化計画の提出を求める業務改善命令を出しておられます。この命令で、具体的な指導というのでしょうか、紙切れだけしか私は見ておりませんので、どういう具体的な指導をなされてこの改善命令を実行されようとしたのか、この点についてはどうでしょうか。

村田副大臣 まず第一に、本体を含みます会社、企業の経営の改善でございますね。それからもう一つは、抵当証券に対します返済原資を確保してもらう、そういうことでございます。それから、抵当証券特約つきの融資をしておりますが、その融資先に対します審査の体制を確立するようにということで、この三点を業務改善命令で指摘したところでございます。

野呂田委員長 上田清司君、時間でございますので。

上田(清)委員 このとき営業停止をしていれば、少なくとも三百億円の新たなる被害はなかったというふうに私は理解をしておりますが、九七年の検査で、グループ全体で債務超過に入っておるということは、もう財務局は押さえておられたんですよね。

野呂田委員長 時間が超過しておりますので、簡単にお願いします。

村田副大臣 法律上、業務停止あるいは取り消しをする要件として、財務の内容について、それが理由になっておりませんで、そういう意味で、私どもとしては業務改善命令を発出した、こういうことでございます。(上田(清)委員「いや、答えていません。委員長」と呼ぶ)

野呂田委員長 時間、終了しました。

上田(清)委員 質問に答えておりませんので、質問に答えさせてください。

野呂田委員長 いや、時間が終了しました。

 これにて上田君の質疑は終了いたしました。

 次に、中塚一宏君。(上田(清)委員「それはないよ。理事、取り消さないとだめだよ、質問に答えていないんだから。それは委員長の横暴だよ」と呼ぶ)それはだめじゃないですか。時間を守るというのはルールじゃないですか。(上田(清)委員「だって、答えないのはもっとルールじゃないですよね」と呼ぶ)ちょっと、速記とめて。

    〔速記中止〕

野呂田委員長 それじゃ、議事録を起こしてください。

 中塚一宏君。

中塚委員 自由党の中塚でございます。

 では、まず補正予算について伺いますけれども、この補正予算なんですが、実際、四月の末に小泉内閣が発足して、まだ具体的な、改革自体が行われていないし、改革の成果というのもあらわれていない。そういった中でどんどん景気が落ち込んできて、雇用対策というふうな名目で追加歳出というのが行われているわけですけれども、しかし、この補正予算、こうやってフレームを見ますと、追加歳出というのはほとんど既定経費の節減等によってもう賄われているわけですよね。

 結局、税収が落ち込んでいる、税収減の一兆一千億というのがあるわけですけれども、早い話が、追加歳出をするということを見せかけながら減額補正をしているということじゃないんですか。

塩川国務大臣 一兆一千億円の減収になったということを見込みということは事実でございますけれども、これをやはり私たちは正確に処理しておく方が国民に対して親切でもあり、財政の基本にかなっておる道だと思いまして、あえてこれを計上したということであります。

中塚委員 それは親切というんじゃなくて、当たり前のことなわけですね。

 減額補正をしなければいけなくなってしまう。要は、追加歳出なんかなくたって補正予算は必要なわけですよね、税収が落ち込んだわけだから。だから、十三年度当初の予算の骨格というものを変えざるを得ない。そのような税収の落ち込みが出てしまったということについて、経済財政運営はもう破綻しているんじゃないですか。いかがでしょう。

塩川国務大臣 今回の補正は、先ほども言いましたように、若干義務的経費の見直しをするとか、あるいは税収の落ち込み等がございましたけれども、要するに、今緊急改革をしていかなきゃならぬ、先行いたしまして改革する、構造改革につながる案件につきまして、これを幅広く事業を着手させるという意味におきまして、金額ベースにおいては少のうございましたけれども、これによって事業をスタートさせたということが一つと、それから、雇用対策につきましての要望がやはり非常に多く出ておりますので、これに対する措置を講じたということでございまして、やはりここで中間的に補正をいたしましたということは、年度全体通じましての政策の見直しをきちっとやっておるということにも通じてくることでございまして、その意味において意義は十分あったと思っておりまして、決して財政の破綻、そういうものではございません。

中塚委員 意義があるとか財政が破綻しているというんじゃなくて、税収が落ち込んだということ自体が、これが経済財政運営が破綻をしたということではないんですかというお尋ねなわけです。ちょっと竹中財政大臣。

竹中国務大臣 今回の補正に合わせまして見通しの改定をさせていただいておりますけれども、確かに大変厳しいマイナス〇・九という数字を出さざるを得ませんでした。ところが、マイナス〇・九のうち、寄与度で見ますとマイナス〇・六が外需であるということになります。

 したがって、要するに基本的には、さまざまな要因がありますけれども、直接的な要因としては、外需の落ち込みがあって、それがいわゆる輸出乗数を通して全体を下げさせたということでありますので、日本の経済の基盤が弱いというのは御指摘のとおりでありますけれども、運営が破綻したというよりは、やはり外的なショックが非常に大きかったということだと思います。

 それと、委員申しわけありません、もう一点だけ。減額補正というお言葉がありましたが、その趣旨は、経費の節約をしているからネットの刺激効果はマイナスではないんだろうか、そういう趣旨なんでしょうか。――それでは結構でございます。そういうことではございません。

中塚委員 マイナス〇・六が外需というふうにおっしゃるんですが、そもそも外需任せの景気回復シナリオだったわけでしょう。外需任せの景気回復シナリオというのを織り込んだから、三十兆円の国債発行枠という話だってあったわけですよね。アメリカが予想以上にIT不況が深刻になってしまったということ自体が、もう経済見通しの誤り以外の何物でもないということを言いたいわけです。そして、それに輪をかけてテロなんかの問題も起こっているということですね。いかがですか、竹中大臣。

竹中国務大臣 前の経済見通しを作成したのは前の内閣でありますので、ちょっと私としてどうコメントしてよいかわからない面もあるのですが、一年前の状況では、確かにアメリカの経済が絶頂であって、外需に依存したシナリオというのが描かれていたのかと思われます。しかし、外需依存ではなくて内需依存で自律的な成長に持っていこうというのがまさに構造改革でありますから、こういう状況があるからこそ、構造改革という我々が掲げる政策をやはり進めていかなければいけないということを意味しているのだと思います。

中塚委員 そうはいっても、四月の末に発足する、あるいは小泉総理自体が総裁選挙の途中から、公債発行の枠というのを三十兆円にするということをずっと言っていたわけですね。そういったことは、何もかも経済見通しを見越しての上での話でなければいけなかったはずです。それが破綻をしているから、要は景気も悪化をして、税収も落ち込むようなことになってしまっているわけですね。

 そして、もう一つお伺いしますが、昨年度も補正予算がありました。昨年度は増額だったわけですね、税収は。昨年の補正予算というのは、税収はふえていたわけです。それが、一年たって、今度は減額の補正をしなきゃいけなくなった。このことについて、経済財政運営が破綻をしているということになるんじゃないですか。塩川大臣、いかがでしょう。

塩川国務大臣 昨年の補正のときは、非常に思わぬ利子税の増収がございました。これはもう中塚さん十分御存じのはずです。あの分が大きく財政に寄与して、それをベースにして補正予算を組むということをやったことでございまして、今回はその利子税の収入が、二年連続してふえておりましたが、ことしになりましてから非常に多額な減額がございましたことと、それがやはり減収、法人税の減収等を合わせまして、マイナスに予測されるような状態になったということであります。

中塚委員 では、そういった去年の利子税の源泉分ですね、源泉分の増収がある。ことしはそれがない。ないというのがわかっていた上で、構造改革もしない、三十兆円の国債発行枠をはめたということなんですか。

塩川国務大臣 いや、そういうことの間に因果関係はございません。

中塚委員 次に、来年度の予算の編成のあり方について伺いますけれども、三十兆円の国債発行枠というのは、政策目標というよりは、もう政治目標というか政治課題のようになっているわけですね。この三十兆円の国債発行枠というのを堅持しようとすると、来年度の予算編成というのは、これはもう本当に並大抵のことじゃ予算の編成自体ができないようになっている、数字を積み上げてもそういうふうになってしまっているわけですね。

 塩川財務大臣は、参議院の財政金融委員会で、来年度の予算規模は八十兆円を割るだろうというふうに御発言されているんですが、今に至ってもそういうふうにお考えでしょうか。

塩川国務大臣 予算というものは、入るをはかって出るを制する精神がなければ予算は組めません。でございますから、どれだけ入るかということを厳格に査定いたします。それに基づきまして歳出もおのずから決まってくるかと思っております。

 国債発行三十兆円ということを私たちが非常に強く言っておりますことは、財政に節度を持たすことが必要であるということの趣旨でございまして、これはやはり厳格に守っていきたいと思っておりますし、また、三十兆円という意味は、国際的にも非常に重要な計数であると私は思っております。現在、世界各国が日本の財政をどう見ておるかということ、これは日本のあらゆる基本的な計数に影響を与えてくることは、もう経済の専門家である中塚さんは十分御存じのはずでございまして、そういう点から見まして、ここで財政の節度を守る意味においても、三十兆円ということはやはり堅持していきたいと思っております。

 そうするならば、入るをはかって、その上における予算のスケールというものを決めるべきであって、最初に八十兆円あり、そういうことで予算を組むということはなかなか難しいのではないか。予算は流動的に動くのではないか。八十兆以下であるかもわからぬし、上であるかもわからぬし、これは歳入の見積もり次第によって変わってくるものであると思っております。対前年度幾らという比、対前年度比というものは、この際にはやはり慎重に考えなけりゃならぬ問題だと思っております。

中塚委員 八十兆円を超えろというふうに言っているわけじゃないんです。大臣自体が参議院の財金委員会で、八十兆円を割るというふうに御発言になっているということなわけです。

 この予算の編成に当たってですけれども、そこで、来年、再来年もまだ厳しい経済状況が続いていくわけですよね。ゼロまたはマイナスという厳しい成長が続いていく。

 ここに来年度の概算要求基準がありますが、これは、来年度の税収というのを五十・四兆で見積もっているわけですね。マイナス成長ということになれば、この税収自体も必然的に落ち込んでいくということにならざるを得ないと思います。十四年度の予算の中期展望であっても、あのレベルから比べても一・七兆円切らなきゃいけないわけですね、来年の予算編成に向けて。

 では、さらに予算をカットしていかなければいけない、マイナス成長になることによって税収が落ち込むということがあるわけですから、さらに予算の規模というのは縮小しなきゃいけないということでよろしいですか。

塩川国務大臣 予算規模全体で申し上げることは、今申し上げられないと思いますけれども、先ほども申しましたように、収入全体、歳入全体が幾らになるかということが定かではございませんので、予算規模が幾らになるということは現在の段階では申し上げられないということを言っておるわけです。

中塚委員 では、竹中経済財政担当大臣に伺いますけれども、来年、再来年度とマイナスあるいはゼロということですね。財務省がいつも国会に提出している財政の中期展望というのは、一・七%ぐらいの経済成長というのが前提になっているわけですね。その上で、五十兆円というふうな税収をはじき出しているわけです。これがゼロまたはマイナスになるということは、それに応じて税収も落ちますよね。そして、必然的に予算の規模というのも少なくならざるを得なくなるのではないですか。

竹中国務大臣 まず、ゼロまたはマイナスなどということは、だれも一言も言っていないと思います。経済状況が厳しいということは認識をしています。その中で、税収の見積もりとその中での歳出の削減をどのように調和させていくかという、まさに来年度の予算編成の基本方針は今月末を目途に作成したいというふうに諮問会議で議論をしておりますので、その議論をちょっと深めてみないと、数字的なことは何とも申し上げられないということだと思います。

 いずれにしても、日本の経済には明らかに二つのリスクがあると思います。一つは、景気が非常に悪い、景気を底割れさせないように運営しなきゃいけない、そういうリスク。しかし、一方で、これだけ財政赤字が拡大しておりまして、長期金利が非常に不安定であって、やはり財政規律をしっかりとさせないことには国債が暴落していくかもしれないというリスク。そのリスクの非常に狭いはざまを運営していかなければいけないわけですから、十一月末の予算編成の基本方針の議論をそこに向けてぜひ深めていきたいというふうに思っているところであります。

中塚委員 今年度予算、当初予算とこの補正予算があって、しかも、来年度三十兆円という国債発行枠は、もうこれは政治課題として堅持をするということになったときに、本年度の成長見通しをマイナスに修正されましたよね、では、どうやって来年度がプラスになるというふうな話になるのでしょうか。いかがでしょう。

塩川国務大臣 来年度税収はプラスになると私は言ったことはございません。どうなるかわからぬということを申し上げておるのです。ですから、収入ははからなければわからぬことでございまして、それを答えろとおっしゃることは無理な話だと思います。

中塚委員 わからぬのですか。経済財政政策の御担当として、わからぬということでよろしいのでしょうか。

塩川国務大臣 正確な数字がわからぬということであります。でございますから、私も先ほど言っていますように、来年度予算の規模については、八十兆円の規模にこだわることなく、そこは上になるか下になるか、柔軟に動くであろう、こういうことを申しておるのでございまして、中塚さんは、八十兆円を割るのか割らぬのかどうなんだ、こうおっしゃるけれども、その点については今定かに答えることはできないので、残念でございますけれども、もう少し待っていただいたらお答えできる時期も来るだろうと思っております。

中塚委員 要は、小泉総理はきのうは、我が党の中井委員の質問に対して、二、三年マイナス成長とおっしゃったですね。たしか一、二年とおっしゃっていたはずなんですよ。それが一年延びちゃっているのです。マイナス成長になっても構造改革をやるのだというふうに言っていらっしゃるからお尋ねをしているのであって、当然それは、経済財政政策の担当者としては、プラス成長になるように考えるというのが当たり前なんじゃないでしょうか。どうなんでしょう。

塩川国務大臣 大分質問の中身が変わってきましたね。今お聞きになっているのは、マイナス成長になっても構造改革をやるのかという御質問ですね、今のは。そうですね。今、そういうぐあいに聞きましたので。そこは、二つが一つになっちゃっているから何かごちゃごちゃになってきているので、ちょっと整理せないかぬと思うのですが、たとえマイナス成長になったとしても経済構造改革をやるかということにつきましては、私たちは、やはり構造改革の方針は変えないということでございます。

中塚委員 それはもう前々からおっしゃっているわけだから、お答えいただかなくても構わないのですけれども。竹中経済財政担当大臣が、来年度はゼロとなるともマイナスとなるとも言っていないというふうにおっしゃったわけだからお聞きをしているのですけれども、どうですか、政策担当者として、ゼロまたはマイナスになっていいとは思っていらっしゃらないですよね。

竹中国務大臣 繰り返し言う必要はありませんけれども、そういう数字そのものをどなたも言っておられないと思います。一種の構造改革に関する覚悟を総理は示しているわけですね。これは当然のことながら、プラス成長が好ましい、これはもうだれでも当たり前の話なのだと思います。

 しかし、これは別の委員会で議論させていただきましたけれども、日本のいわゆる地合いが、地力が非常に低いところで、その前後で経済がプラスマイナスするということになると、残念だけれども、マイナスになるということはあり得るわけですね。これは、アメリカだって今マイナス成長なわけです。そうならないように極力運営をしていかなければいけないというふうに担当者としては思っておりますが、経済は当面二年ないし三年、集中調整期間として大変厳しい状況であるということも認識しなければいけないと思っております。

中塚委員 それじゃ、来年度の経済成長見通しは大体どれぐらいだとお考えですか。

竹中国務大臣 つい先週、ようやくの思いで今年度の見通しを出したところでありまして、とても来年度の数字をまだ申し上げられる段階ではございません。

中塚委員 そんなことであと一カ月先の予算編成というのができるんですかね。そして、成長率を、見通しが出せなければ税収だってはじけないわけでしょう。そして、その税収に応じて歳出をつくると今財務大臣がおっしゃっているじゃないですか。

塩川国務大臣 中塚さんね、まあ、そう怒らぬで、ちょっと話を聞いて。

 大体、政府が来年度の税収を見通すというのは、予算編成の前、つまり十二月の上旬ごろに税収の見込みを税調で判断されまして、それによって見積もりをいたします。そのときに、税の見積もりをするときに間に合うようにといいましょうか、それまでいろいろな計数の整理、かかるのでございますけれども、十二月の上旬には、政府は来年度経済見通しというのを正確に立てるということでございます。

 先日発表されましたのは、内閣が統計上の問題として、内閣府の統計として発表したことがございます。これを受けまして、さらに精査いたしまして、十二月の上旬に政府見通しをきちっと立てます。そのときまで待ってほしいと、私が先ほど言ったのは、そこに意味があるということでございます。

中塚委員 来年度の税収見通しというのが今の時点でわかってないということ自体が、本当にこんなことで大丈夫なのかなというふうに思わざるを得ないわけですよ。

 そして、もう一つお伺いしますが、この三十兆円の国債発行枠というのは、今後いつまでお続けになるおつもりですか。

塩川国務大臣 現在の日本の経済並びに世界的な経済の情勢からいいまして議論すべきだと思っておりますが、これは将来どう変わるかわかりません。現に、テロ撲滅作戦が世界的に展開されておりますので、この影響は深刻に見ておかなきゃならぬと思っておりますので、定かな予定は申し上げられませんけれども、我々の一応の抽象的な表現でございまして恐縮でございますけれども、それで申すならば、プライマリーバランスが達成するといいましょうか、少なくとも今後数年の間にプライマリーバランスが確保し得られる状況に入るという見通しがつくまでの間は、やはり三十兆円ということを一つの規律として運営していかなきゃならないと思っております。

中塚委員 プライマリーバランスがバランシングするような状況というのは、具体的にはどういうことなんですか。竹中大臣、いかがでしょう。

竹中国務大臣 まず、十一月の十三日、きょうは十一月の十三日でありますから、その段階で来年度の経済見通しを出した政権というのは、過去当然なかったと思います。財務大臣からお話がありましたように、統計の整備を待って、やはりもうしばらく待っていただいて、それを明らかにしていくというのが重要なことだと私は思います。

 それと、もう一つの、プライマリーバランスの議論、三十兆をいつまで続けるのかという議論でありますけれども、そういうことを総括して議論するために、中期の経済財政の計画、これは計画というかビジョンというのかはともかくとしまして、そういうものを取りまとめるという作業をしております。財政の規律をとにかく第二段階で、二つの段階でしっかりさせていこうということははっきりしているわけであります。

 究極的には、プライマリーバランスの回復を目指して財政を再建させていく。しかし、そこに至るまでに、そこに急激に移れないから、当面三十兆、来年度三十兆という数字を総理は掲げられたわけで、その後、御質問はその後ですけれども、その第一段階を赤字、収支差額で議論していく方がいいのか、歳出額で議論していく方がいいのか、どういう形で規律をとっていったらいいのかということも含めて、その中期の見通し、展望の中で包括的な方針を示していきたいというふうに思っております。

中塚委員 塩川財務大臣、以前、財務金融委員会で御答弁いただいたときに、十四年度は三十兆円でできる、国債発行三十兆円枠内でできる、十五年は難しいというふうにおっしゃいましたけれども、今、御認識はいかがですか。

塩川国務大臣 十四年はできて十五年は難しいと私、言いましたか。その記録はありますかな。

 私はそういうことは言っていないと思います。十四年並びにここ数年の間はと私は言ったと思います。数年の間は三十兆円を堅持していきたいというふうに申しております。

中塚委員 いずれにしても、来年度の成長見通しのことをお伺いしたのですけれども、マイナス成長になってやめなかった内閣というのはないんですよね。田中内閣だってそうだし、橋本内閣だってそうなわけですよ。だから、この経済財政運営というものについては、それこそ経済財政諮問会議をつくって中長期の見通しを立ててやるというふうにおっしゃっているわけだから、今までの内閣が言ったことがないからといって、小泉内閣が言う必要がないということにはならないはずですよね、新しい試みとしておやりになるわけだから。だから、この経済財政政策の運営というのはもっと気を配っていただかなきゃいかぬというふうに思います。

 そして次に、ちょっと話題を変えまして、衆議院の選挙区の区割りのお話、きょうは片山大臣と官房長官にお越しをいただいているのですが、衆議院議員選挙区画定審議会ですか、その設置法を見ますと、国勢調査の結果が官報に公示されてから一年の間に区割りの案を出さなきゃいかぬということになっていますよね。それはいつ出るのでしょう。

片山国務大臣 今お話しの件は、この十二月二十二日までであります。

中塚委員 さて、そうやって区割りの選挙区の画定審議会が出した案、この出した案を与党の合意によって一年間凍結されるということですか。

片山国務大臣 審議会が勧告をいたしますと、これは尊重して、それに基づいて法案を出す、こういうのが本来の建前なんですよ。ただ、今回は、十月三十一日に与党三党が合意をしまして、その中には、選挙区の人口格差を二倍未満にする、投票価値の平等にも配慮する、現行選挙制度の抜本的見直しをやって一年以内に成案を得る、こういう合意なものですから、やはりそこは与党三党合意の今後の進みぐあいを見ながら考えさせていただきたい、こういうふうに思っております。

中塚委員 今総務大臣、いみじくも建前というふうにおっしゃいましたけれども、総務大臣としてそういうことでいいと思うのですか。法律で決まった手続にのっとって、審議会の皆さん、一生懸命おやりになっているわけですよね。それで出てきた区割り案について一年間たなざらしにしておくということは、大臣としていいと思っていらっしゃるのですか。

片山国務大臣 御承知のように、選挙制度は議会制民主主義の根幹ですね。今までも選挙制度については各党各会派で十分な御議論の上に進めてきたわけで、今、議院内閣制で政府・与党一体でございまして、そういう意味で、与党の方のそういう合意があるときに、直ちにそれじゃということにはなかなかならないのではなかろうか、こう思いますが、委員の言われることも私はよくわかりますので、そこは十分検討してまいりたいと思います。

中塚委員 やはりおかしいですよ。だって、何のために区割り画定のこの選挙区画定審議会というのはあるんですかね。審議会の委員の皆さんにお給料、日当ですか、日当を払って審議してもらっているわけでしょう。そこで出てきた案を、法律にのっとって十二月二十二日までに出してくるのでしょう、それを一年間ずっとほったらかしておくって、おかしくないですかね。

片山国務大臣 与党三党の合意は「一年以内に」とありますが、一年ほっておくとか放置するとかということじゃないのです。我々は、今言いましたように、与党三党の動向を見ながら、ずっと待つということじゃありませんよ、そういうことの中で検討してまいるということを申し上げているわけであります。

中塚委員 議論する、選挙制度は民主主義の根幹だ、与党の議論の方もずっとウオッチしていくということなら、国会でおやりになればいいのじゃないですか。いかがですか。

片山国務大臣 国会には倫選特もありますし、そういうことは与野党の間で、各党各会派で十分な御議論をいただきたい、我々はそういうふうに思っております。

野呂田委員長 中塚委員、時間が来ましたので。

中塚委員 まだ来ていないですよ。

 私どもは、一票の格差を一対一にするための法律を国会に提出しています。官房長官、最後に伺いますけれども、今は所管大臣としての御答弁をいただきました、官房長官はどのようにお考えですか。法律で決まった手続にのっとって出されてくるものを一年近くもたなざらしにするということが、これがいいのでしょうか。

福田国務大臣 勧告は尊重すべきものと考えております。しかし同時に、選挙制度の抜本的な見直しの検討が進められているという場合にありましては、政府として、直ちに勧告に基づく法律案を提出せずに、状況を踏まえて対応することもできるものと考えております。

 いずれにしても、この問題は議会政治の根幹にかかわる、そのような問題でございますので、各党各会派において十分な議論をいただく、その動向をまた見守りたいと思っております。

中塚委員 終わります。

野呂田委員長 これにて中塚君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

野呂田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、参考人として原子力安全委員会委員長松浦祥次郎君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野呂田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

野呂田委員長 質疑を続行いたします。吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 私は、最初に、先日発生いたしました浜岡原発一号機の事故及びその後明らかになってまいりました機器の故障といいますか、これらの問題について伺っておきたいと思います。

 それで、浜岡原発一号というのは、七六年三月十七日が運転開始ですから、もう二十五年たっている老朽原発でありますが、できたときから、七七年、七八年にかけて、制御棒駆動水圧系配管の水がしみ出したりとか、いろいろなトラブルも既にあったわけですが、今回、制御棒駆動機構ハウジング貫通部の溶接部の異常が発生して、それで炉心の内部から冷却水が漏れ出すという問題が出てまいりました。

 この浜岡原発というのは、この周辺では、七八年に大規模地震対策特別措置法が施行され、ここは観測強化地域として定められておりますように、大規模地震の震源域にある原発、こういう点では、老朽化の問題と、それから大規模地震の震源域にある原発ということで、住民の安全ということを考えたときに、非常に大きな問題をもともと抱えているところであります。

 そこで、この地域で最大規模の巨大地震が過去どれぐらいあったかというのを見てみましても、これは、千年ほど前の一〇九六年のマグニチュード八・四、永長の地震とか、一四九八年のマグニチュード八・六、明応の地震とかずっとありまして、ですから、マグニチュード八・四とか六とか、巨大地震がもともと起こってきた地域だということは歴史的にも記録されております。先年の兵庫県南部地震のマグニチュード七・二に比べても、もっと大きな地震が起こっていたところです。

 そこで、二十五年経過して老朽化した原発の場合、腐食とか疲労などさまざまな要因によって設計、製作当初の状態から変化しておる、これは明らかでありますが、浜岡の審査のときのマグニチュード六・五、阪神の大震災のマグニチュード七・二、歴史的に何度か経験しました、例えば安政のマグニチュード八・四とか、それぐらいの規模のそれぞれ直下型地震を想定したときに、今回のような制御棒駆動機構ハウジング貫通部の溶接部で問題が起こってくる、冷却水が漏れ出してくる、こういう問題を抱えたこの原発の運転を続けた場合、つまり、原発の運転中にこういう巨大規模の地震が発生したという場合に、制御不能となるのかならないのか。

 つまり、地震によって制御棒がうまく働かなくなると、これは原発をとめることができなくなるわけですね、今回のような溶接部の亀裂からハウジングがトラブった場合に。あるいは冷却水喪失という事故、こういうことが心配されるわけですが、地震に遭遇しても、浜岡の審査のときの六・五はもとより、阪神の七・二、安政の八・四、そういう巨大地震に遭遇したときに、原発を運転を続けておって制御不能となる心配はないのか、冷却水喪失の事故は起こらないということが言えるのか。この辺、これまでそのことをきちんと実証した実験、それがあるのかどうか。これを原子力安全委員長の方に伺いたいと思います。

松浦参考人 原子力安全委員会委員長、松浦でございます。お答え申し上げます。

 まず、最近起こりました配管破断の事故でございますが、原子炉は御存じのように多重防護のシステムがございますので、今回のような配管破断が起こっても、重大な事故に至るということはございません。ただし、一次系の配管に損失が起こった、特に高圧系の配管に損失が起こった、それから続いて制御棒の下部に水漏れが起こった、そういうことが続いておりますので、こういう点では、国民の安全を守る、そういう立場から、原子力安全委員会も非常に重大に受けとめております。このため、徹底した原因究明、再発防止に努める所存でございます。

 原子力安全委員会といたしましても、既に原子力安全・保安院から状況を伺いまして、徹底した原因究明を要請したところでございますし、原子力安全委員会自身も、原子力事故・故障調査専門部会を本日十三時三十分から開きまして、本件に関する調査審議を進める予定としております。事故の原因等につきましては、現在調査中でございますので詳しいことはまだわかりませんが、徹底した原因究明、必要な再発防止措置が図られる等、万全な安全確保対策を進める次第でございます。

 また、先ほどから御質問があります、こういう破断が起こっても冷却が大丈夫かということでございますが、これにつきましては、例えば浜岡の今回のリアクターですと、五つの非常冷却をいたします系統がございます。そのうちの一つが損傷したわけでございますが、これは他のシステムがございますので、十分に作動不良を補って冷却することができるわけでございます。このように、一つの系統が損傷いたしましても、多重防護のシステムで原子炉は安全を確保するということができるようになっているわけでございます。

 御質問の耐震性の問題でございますが、原子力発電所につきましては、耐震性に関しましては、次の三つの点からその安全確保を図っているわけでございます。

 一つはまず、非常に強固な岩盤の上に建設すること。それから二番目が、先ほどからいろいろと例を挙げていただきましたが、およそ考えられないような大きい地震に関しても十分に耐えられるように耐震の設計を行い、また建設しているということでございます。三番目には、一定以上の地震が参りますと、これはそういう巨大地震よりはるかに小さな地震ですが、しかし一定以上の地震が参りますと、直ちに……(吉井委員「実証実験をやっているかどうか」と呼ぶ)はい、装置をとめるようにいたします。そういうことで、十分に、地震が参りましても原子炉はとまって冷却ができるという仕組みになっております。

 ちなみに実証試験でございますが、これに関しましては、原子力発電技術機構、NUPECと略されておりますが、ここに、多度津に工学試験所がございます。この多度津の工学試験所におきまして原子力発電施設耐震信頼性実証試験というのが行われておりまして、ここは私も伺ったことがございますが、原子力発電所の格納容器であるとか、それからいろいろな配管系であるとか、こういうものに関しまして非常に大きな地震が来たことを想定した実証試験がなされております。今回の事故に関するものといたしましては、高圧スプレー系に関する実証試験が、幾つかの例によって行われているというのを承知しているわけでございます。

 原子力安全委員会といたしましては、先般の原子力安全白書におきまして、原子力の利用については絶対安全ということはだれにも言えない、ただ努力を続けることであるというふうに言っているわけでございますが、そのことを心得まして、今度の事故を教訓にして、今後の安全確保に努める予定でございます。

 以上でございます。

吉井委員 随分長いお話をされたんだけれども、結局、東京電力の第一原発六号機で、茨城県沖地震で震度四で蒸気逃がし小口径配管の破断事故が起こっておったりとか、あのときは東京電力は震度六で設計しておって破断してしまっているんですね。それから、私も二年前に調査に行きましたが、日本原電の東海第二の原発では、緊急炉心冷却装置の炉心スプレーそのものが、弁棒が破断してしまうということが起こっておるんです。いざというときに働かない。それから、同じくこの日本原電で、制御棒ガイドローラー等の破損事故が起こったり、制御棒の腐食膨張事故が起こったりとかしているんです。

 私が今言ったのは、要するに老朽化している。老朽化する前の実験はいろいろやってみた、しかし、現に老朽化して、溶接部に問題が起こってきたとか、そういうものについての実証試験というのはやったことがない。

 そして、多度津の話を出したけれども、巨大なものを全部、パーツ、パーツに分けて実験をやっているのは私もよく知っています。しかし、全体を、そんなのを乗せることはできないわけで、そのことをもって、老朽化したものの老朽化した部分についての実証試験をやったのかといったらやっていないんですから、そのことだけをきちんと答えてもらったらいいんです。

 老朽化したところ、腐食その他、実証試験を本当にやっているのかどうか伺っておきたい。

松浦参考人 御指摘の、使用した原子炉そのものの年を経た材料を使っての実証試験というのは行っておりませんが、しかし、日本では毎年定期検査を行いますので、そこで確認しておりますので、その点は、安全確保については大丈夫だと認識しております。

吉井委員 要するに、老朽化したものについての実証試験なんてやっていないんです。このことは一つの事実です。

 それから、定期点検をやっているから大丈夫かといったら、定期点検と定期点検の間にこれまで幾つもの事故をやっているわけですから、定期点検をやれば大丈夫ということにならない。美浜原発二号機のときもそうでした。そういう事故はいっぱいあるわけです。

 それから、多重防護といっても、実は冷却水系統の、さっき言った日本原電の場合、それがいざというときに問題になってくる。そして制御棒機構そのものがトラブってくるという、これが二つ重なれば大きな問題になるので、今おっしゃったような多重防護があるから大丈夫ということは成り立たない。このことを申し上げまして、そして今、要するに老朽化したものについての実証したものはないというお答えですから、それはもうそれで結構です。

 最後に、沸騰水型原発全体について、これは尾身大臣、この機会にきちんと調査されますね。

尾身国務大臣 原子力の開発利用につきましては、安全性の確保が大前提であるというふうに考えております。今回の事故、トラブルにつきましては、安全性に直ちに影響はないと聞いておりますが、しかし、いずれにいたしましても、予測し得ないことが起こった以上、原因を徹底的に突きとめて対策を講じていくことが極めて大切であるというふうに考えている次第でございます。

 今後とも、安全性の確保に万全を期してまいりたいと思っています。

吉井委員 松浦委員長、会議がおありということですから、次のテーマに移りますから退席していただいて結構です。

 それで次に、今問題になっております、中小企業の下請企業が大変だという問題です。

 昨日は雇用の面から今日の問題を取り上げましたが、私、最近も各地の調査に回りまして、例えば山形県調査で、富士通とかNECその他の下請企業をやっている中堅のところでも、親会社が急に仕事を持ってくる、それでいて納品の三日前になって断られるというふうな場合があるとか、契約書などはない、何で結ばぬのかといったら、それはもう仕事をもらえなくなるからだ、そんなことを言ったら仕事をもらえなくなるから言えるわけありませんよと。

 こういう例は随分今あるわけですが、十一月に全国中小企業団体中央会が「下請中小企業の最近の動向」というのを発表した中でも、もう親企業の動きは、コストダウン要請、下請企業の選別、集約を図る、海外の部品調達のコストでやれということを押しつけられてくる、下請企業はコストダウン要請に関して防ぎようがない、こういう答えが、もう悲鳴が上がっております。

 それで、下請振興法では、そういった問題についてはきちんきちんと定められているわけですが、ところが現実には法律違反がまかり通っている、これが実態なんです。

 そこで、経済産業大臣の代理で尾身さんの方に、やはりこういう事態が現に広がっているのに、この法律違反というものについて手を打たないのかどうか。手を打っておれば、東大阪の中小企業にしても、大田区の中小企業にしても本当に何とかなるわけですが、そうはいかないから、この間も、中小企業に対する対策を今こそやってもらいたいと東京の大田区で危機突破大会が開かれております。

 私は、この下請振興法の基準に照らしてどうしているこうしているという話は、もう時間が来ましたので、尾身大臣の方に、現に法律違反がまかり通っていることについて、手を打たないのか、どういう手を打っていこうとしているのか、これを大臣の方から伺っておきたいと思います。

尾身国務大臣 下請中小企業は何といっても弱い立場でございまして、今全体の景気状況が大変な中で、非常に厳しい経営を強いられているというのが実情でございます。そういう中におきまして、製造業の基盤ともなっております働きをしているわけでございますが、製造業全体も厳しい状況の中で、例えば海外に工場を移すとか、あるいは下請の切りかえをやるとか、そういういろいろなことが起こってまいりました。

 そういう中で、私どもは、あくまでも日本経済の根幹を支えている下請中小企業の方々が、何とかこの状況のもとで生き延びていけるように、下請の企業、親企業との関係についての調整をいたしますのと同時に、技術開発その他できるだけの対策を講じて、我が国経済の根幹である中小企業、下請企業がこれからも頑張ってやっていけるように全力を尽くしてまいりたいと考えている次第でございます。

吉井委員 まあそういうお話でこの二十年来聞いてきたわけなんですが、現実にどうなってきているかというところが大事なところで、一九九一年と、九七年のデータでも以前国会で質問したことがありますが、最近の、二〇〇〇年のデータも含めて少し見ておきますと、国内の投資と海外直接投資がどう変わってきているかですね。

 九一年から九七年にかけては、国内の投資が、電機でいいますと、八千九十億円減少してマイナス一七・五%。海外直接投資の方は、電機に関しては、五千六十億円伸びて二・六一倍にふえている。自動車についても、海外で九一年から九七年にかけて一・三二倍ふえるというふうに、要するに、国内で大企業の方は設備投資をどんと減らして、海外でどんとふやしていく。

 それに伴って従業員がどうなってきたか。これは、九一年から九七年、電機と自動車だけ合計してみますと、輸出大企業として力のあるところですが、国内で三十五万四千人減っていたんですが、九一年から二〇〇〇年までの十年で見ますと、五十四万五千人減ってきている。つまり、この三年間にもさらに二十万、どんと減ってきている。非常に厳しい事態が進んでいるわけです。

 一方、海外はどうなっているか。海外の方は九一年から九七年にかけて五十五万四千人ふえたのですが、これも大きな伸びなんですが、二〇〇〇年までの十年間で見ますと、海外で八十三万人ふえている。この三年間にも物すごくふえているわけですよ。そうして、海外生産比率はどうなったかというと、これはちょっと政府統計の関係があるから八九年―九八年度になりますが、十年で電機も自動車も海外生産が二倍にふえているわけです。

 この傾向がこのまま進んだら、これはもう本当に日本の物づくりの基盤そのものが崩れていくわけで、これ自体が大変なことなんですが、まず、こういう事実というのをきちんと把握しておられるかどうか、これを最初に伺いたいと思います。

古屋副大臣 お答えをさせていただきます。

 今委員御指摘のように、最近、製造業を中心に海外へのアウトソーシングというのが非常に進んでいるということは事実であります。統計上も、例えば平成十一年は約一二・九%ですね、製造業で。十二年度は、まだこれは予測値でございますけれども、一五%程度にはなるのではないか、こういう予測がされておるわけでありまして、こうなりますと、当然国内の事業の縮小であるとか雇用調整というものが余儀なくされることもあると思います。

 しかし、各企業は、安易に例えば雇用調整を行ったりということではなくて、やはり失業の予防であるとか雇用の安定に最大限努力をしているということは申し上げるまでもないことでありまして、また、どうしても余儀なく非自発的離職をさせられてしまった労働者の皆様方には、やはり再就職というのを適切に、適宜にあっせんをしていくという必要も重要であると思っております。

 また一方では、こういった状況に対応するため、私どもも総合雇用対策をつくり上げまして、その中にいわば雇用のセーフティーネットワーク、こういうものを盛り込んでいるわけであります。

 とともに、やはり何といっても新しい企業を創造させていく、こういうことも必要だと思います。そのための種々施策も積極的に講じていきたい、このように思っております。

吉井委員 安易に雇用調整してはならないといっても、現実には今本当にすさまじいリストラ競争で大量に雇用が削減されていっている。このことは昨日議論しましたので、きょうはその問題はやりませんが。

 今進んでいる状態について、先日、日刊工業はこう書いていましたね。IT不況が回復しても、一度海外で安いコストで生産を始めたら、国内需要はもとに戻らない。これは金型を中心とする業者の人たちの声であります。

 日本経済新聞は八月にこういうことを書いておりました。「世界景気が回復に向かっても国内企業の輸出が伸びず、外需が日本の景気回復に結びつきにくくなる」と。つまり、日本企業は海外で生産して海外から輸出するものですから、国内の景気回復につながらないというところへ来ているのですね。「内需が回復しても」、ユニクロ現象に見られるような「輸入品に食われて国内生産の拡大につながらない可能性がある。」今こういうところまで来ているわけですから。

 また、別な日の日経が、「政府は「効率性の低い部門から高い部門へ資源を移す」とも言う。実際には効率性の高い製造業が続々と海外に出て、効率性の低い非製造業や官業の比重が高まっている。皮肉である。」と書いておりましたが、現実に進んでおるのはこういう事態なんですよ。

 そうすると、これまでのような産業政策、経済政策そのものを、やはり大きく切りかえていく。企業が海外へ行くのもこれは自由主義経済だから仕方がない、そういうことだけを言っておったのではもう解決不能のところへ来ているというのが今日の現実の姿だと思うわけです。

 やはりこういう点では、かつてソニーの盛田会長が、国際ルールから外れたような長時間労働だとか過密労働の問題とか、あるいは下請取引の問題、これを適正化しないと、やがて日本は国際ルールに立った生き方ができなくなるということを指摘しておられましたが、今現実に進んでいる事態というのはここへ来ているわけです。

 そこで、私は、きのうは労働の問題で雇用の問題を取り上げましたが、日本の大企業を中心として海外へどんどん直接投資をやって、そして海外へ生産拠点を移していく、あるいは精密工業、軽工業に至るまでが開発輸入というやり方、農業までそうなってしまっていますが、要するに、農業から、物づくりから、あらゆるものが全部海外で、海外でと、このやり方を続けておったのでは、二十一世紀には日本は成り立たなくなる。ここはやはりきちんとしたルールというものを考えていくということが必要だと思うのです。

 ここは大臣、やはり政治的にどういう転換を図っていくのかということが大事なので、これはあなたに伺っておきたいと思います。

尾身国務大臣 今吉井委員の御指摘の問題点は、我が国経済、我が国産業の一番の大問題だというふうに考えております。

 企業の立場から見ますと、国際競争、グローバルな競争で勝ち抜くためには、やはり条件のいいところを選ばざるを得ないということもあると思っております。つまり、企業が国を選ぶ時代になってきたというふうに考えているわけでございまして、適切な国を選ばなければ企業自身が生き残れないということも実態であると思っております。

 そういう中で、全体の大きな産業空洞化の流れに対抗するためには、日本という国が企業活動にとって魅力あるような国に脱皮していかなければならないというふうに考えている次第でございます。

 そういうことをどうやってやるかということでございますが、私は、あくまで技術開発を進め、頭脳で勝負するような国に日本が脱皮していかなければならない。これは企業も頑張っていただかなければなりませんが、国全体としてもいろいろな意味の技術開発を促進し、日本の国の頭脳集団、技術水準が、企業活動にとって魅力あるような、そういう国づくりをしていかなければならないと考えております。

 それからまた同時に、いろいろな分野での規制、日本という国は大変に規制が強い国でございまして、例えば福祉の分野とか、あるいはサービス分野とか、あるいは農地の転用などの分野とか、そういう面での規制が非常に強くて、企業活動がしにくいという面もございますから、そういう規制緩和もしていき、企業が活動しやすいような体質に変えていかなければならない。

 そういういろいろな総合的な対策を講じて、国全体として、企業活動にとって魅力あるような、そして、この高い生活水準をさらに高く維持できるような総合的な対策をとっていくことが大切であるというふうに考えております。そういう中で、中小企業対策もその一環として、きめの細かい対策が必要であるというふうに考えております。

吉井委員 日本の中小企業を初めとして、非常に研究開発をよくやって新しい製品を開発したとしても、今は最新鋭の機械を海外へ持っていっているのですよ。直ちにそれは世界的に展開してしまうものだから、かつてのようないわゆる雁行型、日本が進んだものをつくって、おくれたものを海外でつくる、そういう時代じゃなくなってきたのですね。こういう中でのあり方というものが今問われているわけです。

 それで、今規制緩和というお話をされたが、実は逆なんですね。ヨーロッパは、きちんとルールをつくるという方向へ行っているのですよ。国としてのルール、そして国際的にもルールをつくるということをやっていかないことには、雇用と、そして地域経済や地域社会、国際的な地球的規模での環境というのは守ることができない。ですから、EU指令だけではなくて、グリーンペーパーというのもことし七月に出して、企業の社会的責任ということについて、今ヨーロッパではそれを考えていくということになっているのですね。やはりそういうルールというものを日本自身が考えて、そして国際的にもそれを築いていかなかったならば、解決不能ということにならざるを得ないわけです。

 例えば、世界の政治の舞台でルールをつくるということでは、ルノーのベルギーのビルボールデ工場の全面閉鎖という問題が出たときに、ヨーロッパではちゃんとこのEU指令に基づいて、どんどん外へ出ていってしまって勝手に工場を閉鎖するとか、そういう勝手なことは許さないというところにいったんですね。

 日本はそのルールがないから、あの日産のように、村山や京都の宇治や、どんどんつぶしてしまって、中小、下請を切り捨てる、リストラもどんどん進める、失業者も出すということになっているわけで、やはり今必要なことは、ヨーロッパがさまざまなEU指令という形で、解雇、リストラを規制するだけじゃなしに地域経済をどう守っていくのか、これに取り組んでいるわけですが、私は最後に、この企業の社会的責任ということについて、そういう地域経済、そういう産業、そういうものをきちんと守る仕組みというものを、日本もやはりそういうルールを持った経済社会というものを築いていくという方向へ大きな政治の転換を図るということを考えなかったら、規制緩和万能でいったんじゃとんでもないことになると思うんです。

 何か尾身さん一言あれば、伺っておきたいと思います。

野呂田委員長 時間が到来していますので、簡潔にお願いします。

尾身国務大臣 企業の社会的責任についての自覚をしていただきたいということを訴えてまいることも必要だと思いますが、全体としては、日本経済全体、日本社会全体の競争力をつける方向も大変大事だと考えております。

吉井委員 時間が参りましたので終わりますが、企業の社会的責任はきちんとやらなきゃいけない、このことだけ強調しておきたいと思います。

野呂田委員長 これにて吉井君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子と申します。

 冒頭、まず、昨日ニューヨーク市の郊外で航空機事故が発生いたしまして、一時はまたテロであるかというふうな不安もささやかれましたけれども、昨今の世情は、何につけやはり不安ということで、国民も、また世界もおびえなくてはならないような時代になっております。

 アフガニスタンでは、米軍による空爆が相も変わらず続けられておりまして、このことがまた、一般の被災者あるいは村人たちが多く被害を受けているというような現状もございます。

 そこで、まず第一点目は、田中外務大臣にお伺い申し上げます。

 田中外務大臣にあっては、近くパキスタンに、視察と申しますか、この間のさまざまな戦禍の様子も含めて、あるいはまた外交的な課題について調査のためにお出向きになるということを伺っておりますが、御予定等についてお聞かせいただけますでしょうか。

田中国務大臣 お答えいたします。

 どういう施設なり、どういう方にお会いするなり、どういう予定ということは、今詰めておりまして、先方の御都合もありますものですから、今の段階では、勝手ですが、ちょっと公言はできませんが、どうぞ、アドバイスなり、御意見がありましたら、おっしゃってくださいませ。

阿部委員 御出発の日時にもよりますが、今の田中外務大臣の前向きなお答えをいただきまして、私として、ぜひとも要請していただきたい点がございますので、以下に申し述べさせていただきます。

 一言で突き詰めて言えば、ワクチン停戦と申されるものでございますが、田中外務大臣にあっては、現在アメリカの攻撃の対象になっておりますアフガニスタンで、子供たちの置かれている状況、とりわけどのような疾患が子供たちの命を奪っておるかということについて、現段階でどのような御認識がございますでしょうか。

田中国務大臣 あらゆることが想定できるというふうに思いますけれども、破傷風でありますとか、栄養失調でありますとか、内臓疾患もありますでしょうし、それから地雷のようなことで外科手術を要する方もおると思いますし、それから潜在的にポリオが多いというふうなことも聞いております。

阿部委員 今お答えいただきましたように、この地区では、やはり高い乳幼児死亡率の原因がはしかとポリオと言われる小児麻痺ですね。これが子供たちの命を奪う強敵として知られておるわけでございます。

 この六年間、実はポリオの接種ということにおいてさまざまな方面の努力が実りまして、従来戦闘状態にありました北部同盟とタリバンと言われる勢力も、このポリオワクチンの接種期間に限っては停戦をずっと実施しておりました。この六年間でございます。

 こうしたワクチン停戦ということの実態というか事実があったということを、まず、田中外務大臣は御存じでいらしたでしょうか。

田中国務大臣 阿部委員はお医者様でいらっしゃるのでそうしたことには御関心がおありかと思って調べさせていただきましたけれども、そのワクチン停戦という言葉は私もわかっておりますし、委員の御関心がそちらにあるということもわかっております。

 多分、質問を先取りすることになってしまうかもしれませんけれども、ユニセフの関係ですけれども、ユニセフが子供に対するポリオのワクチン配布を行うために空爆を停止したらどうかというふうな意見があるやに聞いておりましたので、事実関係を役所ですぐ調べましたところ、ユニセフの内部でそうした理由で停戦を求めている職員の意見はある、しかし、ユニセフとして正式にそうしたことを理由として停戦を求めているということはないというふうに承知いたしております。

阿部委員 今のような御答弁は、昨日も実は私が質問予告に際して外務省の人権人道課からいただきまして、その後、私の方もアメリカ並びにイギリス等々に問い合わせいたしましたところが、英米から得られました情報によりますと、一応世界保健機構と国連児童基金の要請でコフィー・アナン事務総長が米国に対して要望を出したというふうに英米からは伝えられております。どちらが真偽のほどであるかは、これは言ってしまえば水かけ論になりますので、とりあえず、私としてはこの場で、さらに外務省といたしまして、このユニセフの申し出の実態について認識のずれが英米とございますようですから、お詰めいただきますことが一点。

 それから、重ねて、これは田中眞紀子外務大臣がパキスタンに行かれたときにぜひともお調べいただきたいのですが、実は、人権人道課に昨日伺いましたら、五百万人のワクチンが既にアフガニスタン国内に届き、配布されておるという御答弁というか御回答をいただいておりますが、この件も、私の方で調べましたデータでは、五百万人分のワクチンはアフガニスタン国内には着いたが、実際にその子供たちのところにまでは届いていない、とめ置かれているような状態であるという私どもの情報もございます。

 これらは、やはり確実に子供らの口に、特にこれからはしかが蔓延いたしまして、このためのビタミンAとポリオワクチンというのは本当に未来の死活問題でございます。今般のこの空爆が、ある時期本当に平和的に解決されたとして、そこを担う、国を担う子供たちがいなければ国には何も残らないわけです。ですから、ぜひとも外務大臣が現地に赴かれたときに、ユニセフ、UNHCRあるいは国連等々の配布したと言われるものが、現実に子供たちの手に渡っているかどうかというところまで情報を収集してきていただきたい。

 実は、私は三日間、本当に短期間でしたけれども、社会民主党の調査団として向こうに出向きまして、国連からの物資が倉庫内にとめ置かれている状態、そして、小麦がかびけている状態も見聞してまいりました。そうなりますと、国連やユニセフやあるいはUNHCRに上げられている情報というものが、現実にはいかなるものであるかということまで確認しないと、必要な支援が届かないということでもございます。

 私は、女性である田中外務大臣に、本来的な人道、命ということにぜひとも御活躍いただきたいので、この点を視察の中にぜひともお組み込みいただきますように、まずは確認の御答弁をお願いいたします。

田中国務大臣 五百万人分のワクチンということも伺いましたけれども、ほかの、水ですとかあるいは食料品とかテント、シート、そうしたものにつきましても、戦況が変わってきているにつれて物資の輸送のルートというものが非常に限られてきているというふうな情報が入ってきております。したがいまして、トラックで運んでも、その最後は細い路地を通って、路地といいますか、細い道をロバで運ぶという話も伺いました。

 したがって、寒くもなってきますし、必要なことは十二分にわかりますし、子供の命、尊厳も大事でございますけれども、現実的にこういう状態の中で戦闘が続いている中で、物資を現場に確実に届けるということが、我々が平時で大都会なんかで考えている状態とは、もちろん御案内のとおり違うわけですから、したがって、困難さもあると思いますが、どういう方法が可能であるのかについてもぜひ調べて、そしてできることは速やかに、多分、やろうと思ってもできないというのが現実なんだと思うんですけれども、その実態をよく掌握してきて御報告したいと思います。

阿部委員 できないことの最大の障壁になっておりますのが、現下の空爆でございます。もちろん、空爆下にあってもユニセフの職員は、とりあえずアフガニスタン国内に届けるということを危険を賭してやっておられるわけですが、さらにその先の子供たちに届くように、私どもとしては、空爆の停止をとりあえずワクチン停戦という形で要求させていただきますが、この件についてもなお政府としても御検討をいただきたい旨、私の方から田中眞紀子外務大臣に重ねて要望をいたしておきます。

 続いて、福田官房長官にお伺いいたします。

 先般、テロ対策支援法が一応法として成立いたしまして、それにのっとって対米支援基本計画が策定中と承っております。その基本計画の現段階についてお伺いいたします。

福田国務大臣 今、基本計画を策定すべく所要の作業は行っております。行っている作業の最中でございまして、どのような活動を実施するかとかいうような、そういうことを申し上げる段階にないということを申し上げておきます。

阿部委員 では、その基本計画の発表の御予定はいつごろになってございますでしょう。

福田国務大臣 できるだけ早くつくりたいと思っております。今、そういうことで必要な調整作業をしているところでございます。

阿部委員 先ほどの田中外務大臣の御答弁と違いまして、田中外務大臣は、御要望があれば承っておく、御指摘の点は承っておくという非常に前向きな御答弁でしたが、今の福田官房長官のはやや四角四面で、にべもないというお答えではありました。

 私ども、国会にいながら、この基本計画の策定はほとんど知らされることなく、まして国民にはもっとわからないところで事が進められていると思います。

 そして、私の方で集めました情報によりますと、現在、内閣官房、外務省、防衛庁等の各省庁が協力のもと、十一日から十四日にわたって、パキスタンに対して十一人の調査団を派遣しているということも伺いました。この具体的な内容あるいは調査目的、調査の範囲についてお教えください。

福田国務大臣 調査団は派遣されました。それで、その調査団の調査の内容、これは、まさにあしたですか、帰ってまいりますので、その報告を聞きたいと思っております。

阿部委員 そもそも調査団を派遣なさるときには、本来、その調査する目的というのがございまして、それを幾つかの項目にわたってお伺いいたしたかったですが、すべからく事後報告に徹する姿勢というのは、極めていかがなものかと思います。

 特に、この十一人の中には防衛庁関連の医務官の方もお一人おいでだということで、私は、現地の医療状況視察についてお伺いをいたします。

 まず、これも重ねて福田官房長官にお伺いいたしますが、十年前の湾岸戦争時に医療先遣隊というのが派遣されましたが、こうした事実については御存じでありましょうか。

福田国務大臣 かすかに記憶いたしております。

阿部委員 かすかな記憶であるところが大変問題で、実は、そのときの医療先遣隊十一名から、まあ医療関係の専門者ばかりです、国立長崎病院の院長等々、救急医療にも造詣の深い方も加わり、また、団長としては外務省の大使が加わってくださいましたが、その十一人の医療先遣隊の出された報告、これは私も外務省に何度も問い合わせましたが、外務省の方に全文が残っておらないということで、私の方であえて知人のつてを介して入手いたしましたが、そのとき既に、現在この場で問題とされているような状況の報告が多々ございます。

 例えば、医療支援についても、緊急時にどうするか、それから難民等に対してどうするか、あるいは長期的展望に立った文化的交流を踏まえて医療支援の長いプログラムをどうするか。

 パキスタンにもこの二十年アフガン難民が流入し、さらにまたこれからの流入も案じられる中で、やはり医療ということを単に技術として考えておられる側面が非常に強くて、そのことが非常な問題だと私は思っております。

 ここで、福田官房長官に重ねてお伺いいたしますが、その十年前の湾岸戦争時の医療先遣隊の報告、もしお手元になければ私が後ほどお届けしますので、これから内閣官房、あるいはこの基本計画策定の中で、医療先遣隊の構成、派遣等々を再度お考えになるおつもりはないか。これは、本当、既に十年前きちんと計画され、ただし外務省の中にも、政府の中にもきちんとした報告が残されずに十年が経過しました。

 湾岸戦争から今また新たなこういう事態を踏まえて、いつも右往左往するような、そして形式的な、例えば防衛医官の派遣に終わってしまったのでは、私はこれからの日本の長い目で見た国際貢献のマイナスになると思いますので、再度この医療先遣隊派遣ということについて、これから検討を進めていただくお気持ちがおありや否や、お伺いいたします。

福田国務大臣 今、基本計画を策定している最中でございますけれども、その詳細について、まだ確定したものはございません。したがいまして、医療チームを派遣するかどうか、これについてもまだ決めたということではないんです。

 そういうふうなことは、これから最終的な決定をするという段階に近くなるんだろうと思いますけれども、もし難民等に対する支援活動を実施するということになれば、調査団を派遣したり、また在外公館からも綿密な調査をしてもらうといったような、現地の状況を十分に把握する、これは当然必要なことだと思います。

阿部委員 私がかかる御質問をいたしましたのも、先ほど御紹介いたしました私どもの党の視察で、実はペシャワール周辺の州立病院にも出向きましたし、そこでのスタッフあるいは医療技術レベル、いろいろな機材についてもあらかじめ私どもは情報を得てまいりました。そして、ある意味では中程度水準以上のものを備えておられますし、本当に、支援と申しましても、向こうがどのようなものをこちらに必要とされるかということとか、まず言語の壁もございますし、非常に文化的側面についてのアプローチが必要と思います。

 日本にはJICA等々調査能力にもすぐれた団体もございますし、拙速にとりあえず形だけの防衛医官の調査ということに終わることのないよう、私の方から重ねて福田大臣にもお願い申し上げておきます。

 では、次の質問に移らせていただきます。次は、狂牛病関係でございます。

 ちょうど九月十一日、アメリカで同時多発テロが起きます前日でございましたか、我が国においても狂牛病の発生が報道され、国民生活が不安におびえる、消費が低迷する等々の現状を生んでおります。

 そして、今週金曜日には、農水、厚生、環境等の合同部会も開かれますが、私は、現時点でぜひとも農水省並びに厚生省、環境省に確認しておきたいことがございますので、十六日に先んじてお伺い申し上げます。

 いわゆる狂牛病の検査体制、全頭検査に入ったわけですが、検査を行うのは人の手でございます。現在、さまざまないわゆる助成措置の中で、試薬キットや器械については、十分とまでは言えないまでも、ある程度助成がなされておりますが、それにかかわる検査要員について、これは厚生省関係では食肉衛生センター、農水省関係では家畜保健衛生所の人員配置についてでございますが、おのおのの責任担当部署から、人員配置、人員についての財源措置についてはどうなっておるかをお教えください。

坂口国務大臣 この屠畜場の問題等につきましては、これは自治事務でございますので、都道府県が中心になりまして、あるいは中に政令指定都市等もございますけれども、地方でこれはおやりをいただくことになっておりますから、その職員は地方のそれぞれの職員の方がおやりをいただくということになっているわけでございます。

 しかし、そうは申しますものの、新しくこれは発生したことでございますしいたしますから、先ほどのお話がございました試薬、検査等の問題も含めまして、どんな形でそれに対して国が支援をできるのかということにつきましては、トータルでこれから考えていかなければならない問題だというふうに思っております。

遠藤(武)副大臣 まず最初に、我が国で狂牛病が発生しまして、世界で十九番目、アジアで最初、非常に深刻かつ重大に受けとめ、かつまた、経済的にも大変な影響を与えておりますことを重く受けとめておりまして、感染源の追求、ルートの解明、そして何よりも検査・検疫体制を徹底する、そして、大きく揺らいだ食の安全性と信頼というのを取り戻すために一生懸命やっているところでございますが、その検査体制については、委員御承知かと思いますが、厚生省の方と私ども農水省の方の分と、二つあるわけであります。

 私どもの方の家畜保健衛生所は、全国で百八十三の保健衛生所がございまして、二千六十六名の獣医師が働いておるわけでございます。これらの職員はいずれも都道府県で採用しているわけですが、その人件費の二分の一を補助しております。また、家畜防疫員というのがおりますが、これの旅費全額、また獣医師の手当は二分の一支給という形にさせていただいております。

 各都道府県で必要な人員の確保をお願いしているところですが、今後とも、家畜伝染病予防法に基づきまして、国の負担あるいは支援というものも、どのようにしていくかを各県から聞き取りを行っているという状況でございますので、よろしくお願い申し上げます。

阿部委員 坂口厚生大臣も遠藤農水副大臣も非常に前向きな御答弁ですので、ぜひとも、全国知事会からの要望、「地方公共団体が行う検査要員の確保及び検査機器の整備等について引き続き支援措置を講じること。」というこの要望の一項を重く見ていただきまして、これは国の安全行政の結果が地方自治体に新たな財政負担を生んだという事態でございますから、地方自治体がつぶれることのないような国による支援策というのがやはり絶対に安全性の確立にも欠かせないと私は思いますので、今のお二方の御答弁を引き続き前向きにお進めいただくことをお願いいたします。

 あと、この狂牛病に関しましては、人員体制の確保とともに、いわゆる肉骨粉の焼却にかかわります費用、そして、とりわけ感染危険部位と言われます部位の焼却にかかわります費用の負担、あるいは焼却炉の問題が生じているかと思います。

 そこで、環境省にお伺いいたしますが、厚生省とも関連いたしておりますので、どちらでも的確な御答弁のなされる方で結構ですが、今いわゆる食肉センター内で危険部位は焼却しておりますが、この食肉センター内の炉の現状については、厚生省並びに環境省はいかがな把握をなさっておられますでしょう。

坂口国務大臣 ただいまお聞きをいただきました危険部位の状況でございますが、特定危険部位の取り扱いにつきましては、いわゆる屠畜場外で焼却をしておりますものが七十七カ所、それから屠畜場内で焼却をいたしておりますところが六十一カ所、そして保管中、なかなか住民の皆さん方とのお話し合いが進まないといったようなところが三十二カ所ございまして、現在で百七十カ所でございます。

 焼却におきましては、八百度以上で焼却をしていただいておりますしいたしますので、私たちはこの焼却におきまして問題はないというふうに思っておりますが、しかし、先ほど申しましたように、保管中というところが三十二カ所ございまして、最近その中で六カ所は合意が得られたということでございますけれども、残りの二十六カ所につきまして、地域の皆さん方とのお話し合いというものを早急に進めていかなければならないというので、現在努力をしているところでございます。

阿部委員 私がせんだって、質問をあらかじめ通告する段階でお願いしたのは、現在の屠場内の焼却炉の現能力、一応八百度C以上という規定はございますが、既に設置されて古いものもあるように思いますので、現状の調査をお願いいたしたいというのが一点でございます。

 それから、私がせんだって、私は神奈川の選出でございますが、神奈川県の食肉センターに出向きました折に指摘されましたのは、一頭の頭を焼くだけで約千五百円の費用が焼却にはかかる。一日四十頭を屠殺すれば、それ掛け四十の費用がかかってまいるということで、外にお出しになっているところは、当然それだけの費用がまたかかってくるわけでございます。

 今、これらは、いわゆるレンダリングには回すことができない新たな費用負担でございますので、その点についても今後支援措置等々を検討していただきたい。まずこの点を御答弁いただきます。

坂口国務大臣 それらの点も含めまして、地方自治体とよくお話し合いを進めたいと思っております。

阿部委員 坂口厚生労働大臣には、いつも前向きな御答弁をありがとうございます。

 引き続いて、同じように前向きな御答弁をぜひとも遠藤農水副大臣にお願いしたい点がございます。

 いわゆる十月十八日の一斉調査が始まる以前の肉が現在冷凍保存されております。この肉の処分に関しまして、まだ農水省の方としては定まった見解をお持ちでないというふうに伺っておりますが、これは、私が各小売業者あるいは肥育にかかわる生産の方々の何名にも指摘されましたが、ぜひともこの十月十八日以前の現在保管中のものはしかるべく処分していただきたい。処分とは焼くとかいろいろなことでございますが、この点に関しまして、農水の遠藤副大臣の御意見、これも極めて私は政治的な判断だと思うのですね。

 今、国民の中では非常に牛肉ということについて消費意欲が落ちており、そして、早い立ち上がりをどうやって小売業者にも、それから特に生産者にもたらすかということが私は政治の喫緊の課題であると思っております。その辺の政治の意味をよく御理解された遠藤副大臣だと思いますので、ちょっと御答弁をお願いいたします。

遠藤(武)副大臣 十月十八日以前は、三十カ月齢以上の牛について出荷を自粛しておったのですが、十八日から全頭検査となりました。そこで、十七日以前の食肉が、御存じのとおりもともと安全な肉なのですが、問題となってきたわけであります。

 そこで、農水省としては、とりあえず十七日以前の食肉については市場から隔離をする段取りをしました。そして、現在保管を進めておりますが、委員御提言の焼却も含めて、それらを視野に入れて、政府において責任を持って処分をしてまいりたい、このように考えておるところでございます。

阿部委員 冷凍保存されている状態が早くに最終処分されませんと、先ほど私が申し上げました消費者の不安感あるいは生産者の先行きが見えない思いは解決されることがないと思います。

 ただでもテロ等におびえ、あるいは消費の低迷をもたらしている今日の我が国の政治経済状況から見て、ぜひとも食の安全の部分で引き続き農水省の英断をお願いする次第であります。

 以上で私の質問を終わります。

野呂田委員長 これにて阿部君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

野呂田委員長 これより締めくくり質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩國哲人君。

岩國委員 民主党を代表して質問させていただきます。新内閣が発足しましてから初めての質問をさせていただきますので、各大臣、できるだけ要領よく、簡潔にお答えいただきたいと思います。私もできるだけたくさん質問させていただきたいと思います。

 まず、小泉総理にお伺いいたします。

 昨日も株価は下がり、きょうも下がって、一万円を割っております。こうした状況の中で、五年間、私はこの国会の中にずっと座っておりましたけれども、なぜかこの予算委員会が開かれる日は株価が下がる日が圧倒的に多いという印象を持っております。

 なぜでしょうか。恐らくこの予算委員会を通じて、一般国民の皆さんや経済界の人たちが期待しているような力強い、元気のいいメッセージがなかなかこの部屋から出ていっていなかったからかもしれませんし、あるいはわかりにくい説明が多過ぎたのかもしれません。

 そのような印象を私は受けておりますけれども、例えば、海外に対しても森前首相が、一月のダボス会議で、負の遺産を克服し、本格的な回復の軌道に乗り出した、このようなメッセージをそのときに全世界に対してダボスの国際会議で発表されました。それから約一年がたちましたけれども、その後、どのような本格的な回復を歩みつつあるのか、総理、御説明いただけませんでしょうか。

 前任者の森首相が海外に向かって発表された日本の経済の基調はこうであるということは、負の遺産を克服し、今や本格的な回復基調に入っておる、これを受けて御説明いただけませんでしょうか。

小泉内閣総理大臣 負の遺産を払拭するには時間がかかりますよ。半年や一年ではできないと思います。私が政権を担当してから約半年、まさに負の遺産を払拭しなきゃならない、そういう使命を背負って私は総理大臣の職責を担ったと自覚しております。

 構造改革が不十分だった、税金むだ遣い構造、民間ができてもいいところを役所がやっている、こういう今までの日本経済の特色というものがプラスに働かなくなってきた、むしろマイナスになってきた、そこを今直そうとしているのが我々の仕事であります。そして、むしろ、今までの負の遺産を払拭しようとすることに対して、また既得権を打ち壊そうとすることにおいて、政党も政治家も情熱が足りなかったんじゃないかと思っております。

 私は、そういう意味において、今回、何としてもこの負の遺産である今までの構造というものを一度見直して、真に持続的な経済再生への基盤づくりをすることが私の責任だと思っております。

岩國委員 私が総理にお伺いしましたのは、前任者の森総理は、負の遺産を克服し、つまり克服するではなくて克服して、それが終わったから本格的な回復軌道に乗り出した、こう全世界に説明されたのです。

 これは明らかに間違いだったのでしょうか、それとも言い過ぎだったのでしょうか。それとも、確かに負の遺産はもう既に克服されているのでしょうか。簡潔にお答えいただきたい。

小泉内閣総理大臣 人によって考え方が違います。その時点で森前総理はそう思ったのでしょう。私はそう思っていませんでした。

 今までの私の考え方は、自民党では受け入れられなかったのです。変人扱いされていたのです。その私が総裁・総理になったのですから、自民党も変わってもらわなければならぬ、政党も政治も変わってもらわなければ困る、そう理解しております。

岩國委員 政党も政治家もということを総理がおっしゃいましたけれども、日本は世界で一番たくさんのお金がある、千四百兆円、千五百兆円。世界で一番たくさん個人金融資産のある国が世界で一番不景気、これはどうやって説明できるのでしょうか。お金がないから不景気、これはわかりやすく説明できます。何がおかしいのか。経済は一流、政治は三流、政治が結局、経済の苦境というものを引っ張り起こすことができなかった、タイミングがずれておった、そういうこともあるのではないかと私は思います。

 そうした政治の問題ということについては、与党も野党もともにその責任を分かち合わなければならないことは我々も痛感しておりますけれども、この政治の世界を海外から見た場合に、日本の政治は何をしているかというときに、毎年毎年その責任者がかわっていく。これは、民間企業でいったら、十年間で十回社長がかわるような会社というのは、まずその製品が信用されないか、お客様が去っていくか、そういうところに問題があると思います。

 平成に入って、総理大臣がころころかわって十一回、内閣はくるくるかわって二十回。総理はころころ十一回、内閣はくるくる二十回。日本の大臣は三十回目の日曜日で交代される。これでは結果はパアになります。どれぐらいパアなのか、それを説明してみましょう。

 政治というのは、私はそんなに難しいものではないと思います。それを小泉総理は簡潔に、今まで以上にわかりやすく国民にアピールしておられる。その点は私たちも認め、また国民もそれを大いに期待しているわけです。政治というのは、仕事を守り暮らしを守る、私はその一点に尽きるのではないかと思います。

 政府は仕事を守ってくれましたか。失業率、最高じゃありませんか。暮らしを守ってくれましたか。暮らしが前よりよくなったという人はわずか三%、悪くなったと答えた人は三〇%。明らかにこれは落第の通信簿だと私は思います。小泉内閣の一年一学期の通信簿は、残念ながら、私は今現在においては、一年一学期に関しては落第だと言わざるを得ないと思います。

 政治が一番大きな責任を負わなければならないときに、今までの国民の見る目はどうでしょうか。消費税を上げる、売り上げは減る。医療費負担はふえる、貯金利子は減らす。倒産はふえる、株価は下がる。自殺はふえる、職場は減る。国の借金がふえて年金が減る。要するに、心配がふえて安心が減っているのです。これがこの四、五年の動きではないでしょうか。

 これに対して総理はどのように、このような国民の政治に対する期待というものをこれから変えていこうとされるのか、もう一度所信をお伺いしたいと思います。

小泉内閣総理大臣 十年で十人も総理がかわり、二十回も内閣がかわるから政治経済が悪くなるのか、あるいは経済の変化に追いついていけないから総理がくるくるかわるのか、どっちが本当かわかりませんが、ともかくこういう状況は正常な状況ではない。

 知事でも市長でも四年間の任期は保障されている。各国、先進国の首脳に、サミット会議が行われましても、毎年日本ではあいさつから始めなければならないという状況が果たして日本の政治経済にとっていいかというのは、御指摘のとおり、好ましいとは私も思っておりません。

 そういう中で、経済の循環説をとりましても、大体常に好況が続くとは限らない。どんなに政治がうまいという状況であっても、必ず好不況、波がある。今の状況におきましても、バブルが崩壊しましてかなり長期間停滞が続いておりますが、アメリカでさえも好況が続くと今また不況の波に落ち込もうとしている。そういう時期にいかによくするための努力と改革が必要かということを今までの歴史は教えているわけでありますが、私は、こういう不況期こそ、今までの状況というものに対しての反省と見直し、そして新たな発展のための意欲を持つのが大事ではないかと思っています。

 今挙げられた中には、日本はだめだ、だめだと言いながら、いい点もあるじゃないかということを言外に議員は指摘されたと思うのであります。一方的な悲観的な見方のみならず、いい面も見ながら、そのいい面をいかに伸ばしていくかというのが政治としても大事な役割ではないかと思っております。

岩國委員 森内閣から小泉内閣へ交代された。仙谷委員の質問にもありましたけれども、とにかく、内閣が交代するときには、たとえ同じ自民党内閣であっても、そこできちっとした反省なり総括なり、なぜその内閣がかわらなければならなかったのか、ましてや小泉首相の場合には前内閣を支えてこられた立場にある方ですから、この不況の中にあの森内閣はなぜ交代しなければならなかったのか、それをどのように首相は認識しておられますか。

 単にそれは自民党の気まぐれで、あるいは人事異動でかわったということだけではないと思います。小泉首相の頭の中に、なぜ森内閣が小泉内閣にかわらなければならなかったのか、端的にお答えいただけませんでしょうか。

小泉内閣総理大臣 これは政治分析の面においていろいろな意見があると思いますが、その辺が日本の政治というものに対して先進国と違う面があると思うのです。これだけ内閣がこてんぱんに批判されて、いつも新聞、マスコミからだめだ、だめだと言われる自民党が、選挙をやるとどうして勝つんでしょうか。普通、先進国だったらとっくに野党が多数を制していますよ。支持率が低いといって選挙をやっても、結局第一党を占めるのは自民党なんですよ。

 今まで戦後の新聞をよく調べてごらんなさい。常に日本はだめだ、日本はだめだの大合唱ですよ、新聞の政治経済面を見ると。支持率の低いときも、たまに一時期、細川政権が誕生したときがありましたけれども、わずかな期間、片山内閣あるいはそういうわずかな期間を除いて、だめだ、だめだと言いながら、選挙をやってみると常に国民は自民党に第一党の支持を寄せるのです。ここをどう思いますか。

岩國委員 私が総理大臣から質問を受けましたから、では私がお答えしましょう。

 しかし自民党も、だめだ、だめだと言われて負けた選挙は去年の衆議院選挙。これは自民党は負けたとはっきり認識されましたでしょう。国民も時々目覚めることがあるという説明なんです。日本人、有権者がずっと居眠りをしているわけじゃない。時には目を覚ますという証拠があの衆議院総選挙だったじゃありませんか。目覚めた有権者に目覚めた自民党が森内閣を交代させたんだ、私はこのように思っております。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 テロ対策については、私は、おおむね内閣が考えてこられたこと、実行してこられたことに対しては、私もニューヨークに住みベイルート所長をしておった人間として同じ思いを持っております。

 ただ、一つ欠けるところは、こうした武力的活動に参加する、これも大事なことだと思います。同時に、日本でしかできない役割を私は小泉首相にはっきりとブッシュ大統領との会談で言ってほしかった。それは、アメリカやイギリスは、今まで中近東の諸国を歴史の上で何回も結果としてだましてきた前科があります。日本だけはそのような前科はありません。そして、そういう当事者国に対して、武器を生産する能力がありながら武器輸出を一切してこなかった。この点についてもクリーンなんです。

 一方、経済関係においては、総理よく御承知のように、石油は大きくその地域の国に依存しております。そういった地域が社会的に、経済的に安定した国になること、それが究極の私はテロ対策ではないか。平和憲法を掲げる日本として、その日本に一番ふさわしい国際貢献というのは、テロの背景を根こそぎ刈っていくような、そうしたイスラム圏諸国の開発会議を、アメリカが呼びかけるのではなくて、日本が呼びかける。イスラム諸国は待っていると私は思います。私は、それを仕事を通じて体験してきました。アメリカ人、イギリス人の言うことはすぐには信用しないけれども、日本人の言うことなら信用したい、日本人だけはわかってもらいたい、日本は我々と同じ仲間なんだから、その声にこたえるのが日本の役目じゃないでしょうか。

 総理、今からでも遅くないと思います。ぜひ、そうした平和のための経済開発会議を、アメリカ、イギリスではなくて、アメリカ、イギリスもそうしたテロがなくなれば日本に感謝することは間違いないと思います。そうしたお考えはないかどうか。私は、十月に総理にそういった私の考えを届けさせていただいたこともあります。総理自身のお考えを聞かせていただけませんか。

小泉内閣総理大臣 いつも私は、総理に就任する前から、岩國議員の随筆とか、それからまた、先日御意見も拝見させていただきました。実に参考になる、示唆に富んだいい意見だと思っております。

 私も、ブッシュ大統領と会談した際に、これはテロとの闘いであり、アラブとの闘いでもない、イスラムとの闘いでもないということを申し上げました。また、APECの会合におきまして上海での会談におきましても、日本はアフガンの軍事戦略には参加しないけれども、今後のアフガンの和平、復興問題についてはできるだけの支援、協力をしたい。むしろ、今軍事戦略のみにのめり込まないで、後々の復興戦略、これも考えて今の軍事戦略を行うべきだというようなお話も私はしました。

 今回、先日、委員から届けていただきました御意見、読ませていただきまして、非常にうなずく、参考になる点が多かったわけであります。特に、日本は、今言ったように、イスラム諸国とアラブ諸国との関係は、アメリカやイギリスと違って、支配欲とか領土的野心が全く歴史的になかった、いわゆる手が汚れていないということは、今後イスラム社会とつき合いを深めていく、友好関係を増進していくという上において、これはプラスの面だと思います。

 そういう面におきまして、イスラム諸国との友好関係の持ち方、さらにはもう一歩加えて、パレスチナのイスラエルとの問題、こういう面についても日本はアメリカ、イギリスにはできない役割があるのではないか、そういう面を真剣に考えていくことによって日本の国際社会における責任なり役割というのを見出すことができるんじゃないかというふうに私も考えております。

岩國委員 ありがとうございます。

 ぜひ声高にそうした平和の面における、鬼手仏心という言葉がありますけれども、強い手は使わなければならないけれども、日本という国はアメリカやイギリスとは違うんだという、その違う顔、金も出す、技術も出す、口も出す、しかししっかりと顔を出していただいて、そういう子々孫々に至る安全保障、これこそ私は日本のための安全保障ではないかと思います。

 セーフティーネットワークを、日本だけのためではなくて、アメリカやイギリスのためにもセーフティーネットワークをしく、それは今の世界でできるのは日本だけではないかと思うからこそ、私は小泉総理にぜひそういう役をやっていただきたいし、また、総理大臣をされた橋本元総理、あるいは羽田元総理、海外へよくお出かけになります。私は、やはりあの地域に関しては顔を頻繁に見せること。羽田元総理の場合には、パキスタン、アフガニスタン、ウズベキスタン、タンのつく国は全部回るぐらいの勢いで一生懸命回っておられます。私はこれも立派なことだと思っていますし、タンのつく国がちょっと苦手な方はよそを回っていただくとか。

 元総理大臣をこれほど多く持っているというのは世界で日本が一番じゃないでしょうか。やはり、それだけの人的資産を活用する、活躍していただくことが日本にとって一番いいんじゃないかと思いますけれども、ぜひそういう方向で努力していただきたいと思います。

 次に、外務大臣にお伺いいたします。

 田中さんが外務大臣に就任されて直後、私は、ニューヨーク、ワシントン、ロサンゼルス、いろいろなところを回りました。そのときに、新しい内閣について、いろいろな皆さんの質問、たくさん受けました。それは、好意的、期待の声も非常に多かったことは私も認めます。私は、野党の立場として百点満点全部つけて歩くわけにいきませんけれども、その中で、何人かの大臣の方については期待のできる方だ、優秀な方だ。そして、田中外務大臣もその一人でした。

 それは、私が初めてあなたにお会いしたのは一九六二年十一月、あるいは今月今夜だったかもしれません。フィラデルフィアに留学していらっしゃった。我々は、ヨーロッパの銀行、日本の銀行の人と一緒に研修生としてフィラデルフィアを訪れたときに、理事長の後ろに、かわいらしい日本の高校生が楚々たる風情で立っておりました。それが田中眞紀子さんでした。私は、その印象が非常に強くありましたから、今までの外務大臣の中で、青春をアメリカの中で過ごし、そしてアメリカ人の痛み、喜び、悲しみを肌で感じる、皮膚感覚を持った初めての外務大臣ではなかろうか、私はそういう意味で期待しているんだ、そういうことを言って私はずっと回りました。

 それからもう早くも六カ月がたってしまいました。今この六カ月を振り返って、そういう経験をお持ちの外務大臣が、今までの外務大臣以上に、日米関係において、私は今までの外務大臣よりこれだけいいことができたんだと言えることはおありかどうか。あるいは、これから六カ月の間に、だからこそ私はこういうことをやってみせるんだという点について、実績と抱負を語っていただけませんでしょうか。

田中国務大臣 若輩でございますから、これといってまだ六カ月のことを言うこともございませんけれども、確かに、メリルリンチでございましたかモルガン・スタンレーか、どちらかに岩國委員がいらしたときにお目にかからせていただいて、本当に大昔のことでございますけれども、こうして御縁があって不思議だと思っておりますが。

 それとは別問題といたしまして、私は、けさも、きのうの夜中の飛行機の事故がニューヨークでありましてから、けさ起きてすぐ秘書官と車に乗って、七時過ぎでございましたけれども、すぐにパウエル長官のところへ電話しましょうと言って、すぐに朝八時十分過ぎごろに電話をしてお話をさせていただきました。

 今回、G8に行けなくて、国連でスピーチできなくて本当に残念だったけれども、でも待っていたけれどもとおっしゃりながら、やはり、この今起こっていることについて、すぐ、これは今の段階ではテロリズムでないというふうなこともおっしゃってくださいましたし、それからアフガン復興の問題とか、それから、ほかのG8のメンバーとどういうふうな話をしているかというふうなことについても、手短に、私も委員会の前でございましたから長時間お話はできませんでしたが、意見交換ができまして、本当に、何といいますか、非常にすぐに意思疎通が図れるというか、もちろん向こうは大ベテランでパウエル長官おられますし、あれですけれども、そうした人間的な呼吸というか息遣いがすぐにお互いにかけられるし、大変ありがたい。そういう形でお電話もいただけます。

 そして、そういう電話だけではなくて、私いつも感じていますことは、今、総理に対して、日本の平和に対する貢献ということをおっしゃいましたけれども、政治、経済、文化、そのほか貿易とかいろいろな国とのつながり方がありますけれども、やはり、それぞれの文化、全部違う背景が、宗教もあって、政治経済体制も違いますけれども、どんな善を積むか、どんなよい政治をするか。それを、相手がアフリカであってもヨーロッパであってもアメリカであっても、それがイスラム圏であっても、日本が常に何ができるか、自分が相手とどのような形でかかわれるかということは大事な視点だと思います。

 そして、一度もお会いしたことはありませんのに、イスラエルのペレス外務大臣はもう五回も六回もあちらから電話をくだすっていまして、それは、今までの外交実績が日本にあって、先ほど委員がおっしゃったような信頼関係がある。シャース長官もフィラデルフィアの学校に留学していらしたそうでございます。たまたま同じころだと思います、岩國先生がいらしたあの時期だと思いますが、そういうことがあったり、アラファトさんも電話でぱっと話ができる議長ですけれども。

 そういうことでもって、日本が本当に、東京で、総理もそう考えていらっしゃるに違いありませんが、会議をできる。中立的な立場で、今日本が何ができるかといいますと、胸襟を開いてどちらの立場も言ってくださる、そのことについてまたアメリカにもフィードバックができる立場でありますので、それが本当に外交であると思いますし、そうした場で懸命にやはり努力をさせていただきたいと思っております。

岩國委員 外交というのは、文化を大切にすることも外交だとおっしゃいましたけれども、外務省の文化とはどういうあれをつけていらっしゃいますか。

 例えば、今外務大臣が一番熱中していらっしゃる外務省改革、これについて私も今まで予算委員会でも質問をしてまいりました。外務省の幹部が、課長補佐以上でしょうか、今お金を出し合って弁償をしている。そのお金は幾ら集まったのか。また、どういう名目で支出し、どういう名目でそれを外務省は受け入れているのか。

 機密費について私が外務省に問い合わせましたところ、二月十六日付で大臣官房会計課長事務代理の杉山明という方から文書で回答をいただきました。これは、外務省機密費は適正に使用されております、簡潔に言うとそういうことなんですね。それから人事異動があったかもしれませんけれども、田中外務大臣は今でも、外務省機密費は一〇〇%、この文書どおり、適正に使用されておったと信じておられるのでしょうか。また、信じておられるんだったら、外務省の幹部はなぜそのようなお金を集めて、どこへ向かって弁済しようとしているんでしょうか。

田中国務大臣 外務省改革は重要でございますけれども、私はそれだけに血道を上げてこの六カ月間きたわけではございませんで、国際会議に五回、六回と出させていただきましたし、それから今回のテロ特措法にいたしましても、こうした日常的な参議院、衆議院での委員会、当然の義務でございますが、こうして委員会でも勉強させていただいておりますので、外交を放棄してそれしかしていなかったわけではございませんで、残念ながら、この内閣が成立する前から、この機密費の、報償費の問題が、松尾事件が一月にありまして、もうじき一年になろうとしておりますけれども、それで完全に終わらない段階である。

 そして、小泉内閣はあらゆる面での構造改革ということをおっしゃっておられますし、総理と一緒にずっと総裁選挙をお供させていただきました、小泉候補でいらっしゃったころ。そのころからやはり報償費の問題、外務省改革ということは、候補としてしっかりと小泉純一郎先生はおっしゃっておられました、総理がですね。したがいまして、私もそのことは一緒に、総理のお力もかりて、そして皆様のお力もかりながら、外務省のために、日本のために変えていくということが大事であるというふうに思っています。

 すなわち、百三十二年の歴史があって、五千人もいる中で、いろいろなことがあったと思います。ですから、報償費が適切に使われてきたかどうかということにつきましては、今そういうふうな回答を事務的にお受けになったのであればそうかもしれませんが、報償費のことのほかに、昨日も申しましたけれども、ほかの面での、まだ制度の面で変えなければいけないこと、見直さなければいけないこともございますので、今監察査察制度の責任を参与として引き受けてくださっています園部さんという前の最高裁の判事と、きょうのこの予算委員会終了後に、今までのプロセスにつきまして、全部の経過にはなかなか、手間がかかることもございますので、一応簡単な御報告の会見をさせていただくことにしております。

岩國委員 もう少し簡潔にお答えいただきたいんですけれども、そういう、支出項目は何なのか、受け入れた科目は何なのか。お金が名札もつかないで動いているはずはないわけですから、出す人には出す人の名目があり、それから受け取る外務省にはその名目があるはずです。それはどういう名目なんですか。受け入れ科目だけ。

田中国務大臣 いや、受け入れ科目だけというわけにはまいりませんで、これはちょっと申し上げます。

 松尾事件以降、一連の外務省の不祥事がございまして、基本的には、報償費以外の庁費等の科目において不正が行われたものもございます。ですから、デンバーの総領事の、これは査察に行かれましたのですけれども、行って発見したわけですけれども、不適正な経理の一部に報償費が含まれていたというふうな経緯もございます。

 ですから、外務省といたしましては、先般会計検査院の指摘なども受けておりますので、それももとにいたしまして報償費の執行の改善も図っておりますし、そのほかトータルで、今、予算の時期でもございますから、改めて全体を見直すという作業をいたしております。

岩國委員 大臣として、そのお金が外務省の中で、課長、部長、皆さんが払っていらっしゃる、そのお金は、今どこにどういう名目で置かれているのですか。外務省というお役所の中は、お金が名札もつけないであっち行ったりこっち行ったりしているのですか。ちゃんと名札ぐらいついておるんじゃないでしょうか、幾らの金額は、帳簿の上で。回答いただけますか。

杉浦副大臣 私からお答え申し上げます。

 今委員御指摘の点は、いわゆるプール金問題で、省内で調査を進めておるわけですが、各課ごとに蓄積しておいたお金がある、それを返還しなければならない、今調査をやっておるところでございます。(岩國委員「調査だけですか、お金は集めていないのですか」と呼ぶ)お金はまだ集めておりません。どなたがどれだけ負担するかも、まだこれから、御相談をしている段階でございまして、現実に集めてはおりません。結論が出てからでございます。

岩國委員 今度の予算要求で、外務省の機密費は五ないし一五%、一説には一〇%ぐらいカットして要求がなされておる、このように新聞では報道されております。

 そうした不正な使用がなかったら、なぜ外交機密費を減らす必要があるんですか。不正な使用がなされたのがそれ以外の旅費とかいうことであるならば、不正使用がされた費目について減額すべきであって、そっちの方は減らさないで、機密費の方だけ減額して要求しているということは、何かそこにあったからそういう減額請求がなされているんじゃないんですか。減額請求で出ているかどうか、それだけお答えいただけませんか。

田中国務大臣 結論といたしましては、外務省の改革要綱に従いまして、一五%減額修正を行うということにいたしました。しかし、それは、費目を、例えばレセプション経費でございますとかアルコール代とか、そういうものを移しかえたりしていくということであって、すべてが不正であるとかいうことではございません。

岩國委員 この問題についてはいろいろな委員からも質問が出ておると思いますけれども、そうした機密費の不正使用があったとはっきりわかるような予算請求の仕方は、私は、依然として疑惑を残すと思いますし、また、それぞれの外務省の幹部からお金を徴収する場合に、どういう理由か、それをやはり国民にはっきりさせる必要があるんじゃないか、そのように思います。

 次の質問に移らせていただきます。

 経済財政政策について、総理と経済財政担当大臣にお伺いいたします。

 まず最初に、ゼロ金利政策。これは、世界にもまれな、お金に給料を払わないという政策を日本が始めてから随分経過しております。人間と同じように、お金だって給料が欲しい。給料がもらえないお金はどうするか。結局、銀行へ行って働きということもしないで、たんすの中か仏壇の引き出しの中で、まあのぞいたわけじゃありませんけれども、そこでお休みするか、どうしても給料が欲しければ、パスポートなし、ビザなしでアメリカへ出稼ぎに行くか。出稼ぎに行ったお金は帰ってこない。世界で一番たくさんお金があるといいながら、日本の中で働いていないお金が余りにも多過ぎる。

 一つの試算ですけれども、このゼロ金利政策によってだれが得をしているのか。大口に借り入れている企業、そういう企業の有利子負債、それが利子が減っただけ、それで年間二十兆円のメリットがある。一方、一般大衆、預金者、年金生活者、その財布に入るべき利子が三十兆円失われている。これは明らかに、強い者を喜ばせ、弱い者を泣かせる、そのような政策の象徴ではありませんか。

 こうしたゼロ金利政策について、最近特に生命保険会社の経営に非常に大きな影響が出ていることは、総理も御承知のとおりです。

 この生命保険というのは、銀行の経営破綻以上に一般の人に非常に密着したものですから、国民の不安というものは非常に大きいものがあります。この生命保険会社の経営に大きなマイナス影響を与えているのは、このゼロ金利政策だと思います。

 一部の保険会社に対して、営業において風評被害ということでもって金融庁の方から注意が出ておりますけれども、今問題なのは、風評被害ではなくて、政策被害が問題じゃないんですか。政策が起こしている被害が問題であって、風評被害には問題がないとは言いませんけれども、風評被害以上に、みずからのまき散らしている政策被害の方をもっと真剣に反省すべきではないかと私は思います。

 金融理論の細かい点は結構ですので、総理が、そうした政策の大きな柱になっているゼロ金利について、国民にどういう影響を与えているのか、その痛みをわかっておられるのか、その点だけをまずお伺いしたいと思います。

小泉内閣総理大臣 これは、あらゆる面において政策というのはプラスとマイナスがあるといういい例だと思うのです。

 高金利のときにも必ず批判が出ます。この物価高、高金利、ちっともプラスにならない、もっと下げろという声が出るのです。低金利になると逆の批判が出ます。これは、どんな状況においてもそうだと思います。

 これだけ低金利だともっと借り手がふえてもよさそうなものだが、なかなか出てこない。では、高金利の場合は預金者は喜ぶかというと、そうじゃなかったですね、今までの日本の高金利時代は。物価が上がる、何とか物価を下げろ、下げろという声ばかりでした。高金利よりも物価を下げた方がいいという声が圧倒的でした。低金利になると、あれほど物価を下げてくれといった声が、今、物価を上げてくれですよ。

 今回、私は、これだけ低金利だと、本当はもっと景気が回復してよかったと思うのですね。そこがなかなか起こらないところに今の経済状況の難しさがあると思っております。

 しかしながら、年金生活者等金利に頼っている方には不利がある、借りている人はこれだけ低金利だと得だという面がありますけれども、これは、なかなか経済全体にうまくお金が回らない。そういう中にあって、それでは金利を上げればいいかというと、上げろという議論は出てきます、しかし、この不景気のときに上げたら、ますます経済を悪化させるんじゃないかという問題が起こってきます。しかし、私は、今の状況において低金利政策は続けていかざるを得ないと思っております。

岩國委員 景気が悪ければ金利を下げる、それは二十世紀までの古い教科書にそう書いてあったと思います。今はもう違うんじゃないでしょうか。日本においても、給与生活者よりも年金生活者の数が多くなろうとしているときには、この経済学は、もう書きかえなきゃならない経済学だと私は思います。

 ゼロ金利についても、一部の人だけが得をし、多くの人が損をしている、この現状を直視し、政治というのは、強きをくじき弱きを助けるのが政治であるとするならば、まさにこのゼロ金利政策も、そういう観点からも私は真剣に今の内閣において見直していただきたいし、金利を下げたら景気がよくなるのか、下げてみてもよくならなかった、では上げてみるか、そういう発想も今は必要ではないかと私は思います。

 次に、竹中大臣に株価についてお伺いいたします。

 最近、十月十八日ですか、自民党本部における講演の中で、竹中大臣は、十年後には株価は最低でも三倍になる、私が何十億も資産があったら、もう今すぐにでも買いたい、こういう大変わかりやすい演説をされたようで、その割には株価は上がらなかったのですけれどもね。そうしたインパクトがあるかと思いましたけれども。

 これについて、確かにそういうことをおっしゃったのかどうかをまず確認していただいて、その裏づけとして、どういうことを要素にして十年後には株価は三倍とおっしゃっているのか。簡単で結構ですから、お願いします。

竹中国務大臣 個別の株価についてどうこう言う立場にありませんので、今委員おっしゃったのは、多分こういう話だったと思います。

 一九九〇年代において、例えばアメリカの株価は、たしか十年間に四・二倍ぐらいに上がっていると思います。しかし、例えばスウェーデンは、それを上回る四・六倍ぐらいに上がっていたというふうに記憶をしております。スウェーデンは、ちょうど一九九〇年ごろ、日本に匹敵するような非常に厳しい金融の問題に見舞われていた。しかし、その不良債権を償却して、期待成長率を高めることによって四・六倍まで上げた。日本にも同じようなことが、政策をきちっとすれば十分可能であるというような趣旨のことを申し上げたわけであります。

 じゃ、そのためにどうするかということに関しては、今もまさに申し上げたように、不良債権問題、負の遺産をきっちりと解消して、同時に前向きの構造改革を行って期待成長率を高めること。この期待成長率を高めることによって、そういうふうな一種のサクセスストーリーをつくりたいというふうな願望を込めて申し上げた次第であります。

岩國委員 十年後あるいは五年後というスパンを見ましても、我々もそうありたいと思うし、また政治家の一員として、みんながそういう日本になるように協力しなければならないということは、私も共感いたします。

 恐らく、そういう一つのマクロの経済がそのときには回復しているであろうということで、そのようなお話をされたと思いますけれども、であるならば、今政府の手持ち、NTT、日本たばこ、これを担保として、転換国債として新しい資金を調達する、同時に、そうした株式が一般の国民に持たれるような一助にしたい、こういう構想をたしか竹中大臣は発表されたと思います。私は、その構想は、非常におもしろい構想だし、評価しております。しかし、たった一つ問題は、日本たばこの株も、それからNTTの株も、既に発行されておる何百兆円の国債の一般財源、償還原資として、既にお蔵の中で担保としてレッテルが張ってあるものであって、それを深夜ひそかに蔵から持ち出して別の国債を発行するときの担保に使うというのは、ちょっとそこに私は問題があるんではないかな、そのように思います。

 ですから、私も似たような構想を発表したことは御存じかどうかわかりませんけれども、私は、銀行に公的資金を投入するのではなくて、公的資金を投入したら、それに見合う、二十兆なら二十兆の株式を銀行から取り上げて、それを使って転換国債を発行すべきじゃないかと。今既に国債の担保になっているものを動かすよりは、そうした、銀行が株式を持っていることがいろいろな問題を起こしてきた、そのために公的資金を投入して見返りはない、ではなくて、二十兆円、銀行に新しいお金を渡して、それで不良債権をきれいにさせる、そして同時に、持っている株式という厄介なお荷物になってしまったものを引き取って、それを、竹中大臣のように、五年後、十年後、二倍、三倍になっているんだったら、国民にその楽しみを提供する。国債という安全保証と同時に値上がりという楽しみ、その二つを提供することこそ国民に対する一つのお返しではないか、そのように私は思いますけれども、大臣の御意見を伺いたいと思います。

竹中国務大臣 政策の議論には、非常に長期の一つの考え方、こういう考え方もあるのではないかというのを示唆するような場合と、非常に差し迫った、一つの政治的な決着として、えいやという、こういう考え方を示すという場合と、いろいろな局面があるのだと思います。

 言うまでもなく、私が申し上げたのは、こういう考え方もあってよいのではないかということで、一つの課題として申し上げて、それが、言葉だかがおもしろいものですから、結構ひとり歩きしたようなところがあります。

 具体的に幾つかの例として、わかりやすくNTTの株とかJTの株とか申し上げたかもしれませんが、それは一例であって、それがなかなか現実には一種の使用制約があるということは、制度的な問題は私も承知しております。むしろ、今後の考え方としては、将来的に国の機関を民営化していくわけでありますから、その民営化を前提にした一種の国債というようなものも視野に入ってよいのではないかというふうに私は思っております。

 今ちょっとおっしゃった具体的な公的資金も、それも一種の国が持っている株でありますから、その意味で岩國委員はおっしゃったのだと思いますが、これはやはり長期的な問題であろうかと思いますので、今ちょっと申し上げた、これも誤解なく、一つの考え方の整理の問題でありますけれども、国の特殊法人なんかを民営化していく場合の手法として、一つ視野の中に入れてもよいのではないかなというふうに思っております。

岩國委員 次に、塩川大臣に、中小企業に対する税制についてお伺いしたいと思います。

 塩川大臣の選挙区においても中小企業の人は非常に苦しんでおられる、それはもう十分よく御承知のとおりだと思います。そうした中小企業の方に対して、わかりやすくて元気の出る抜本的な税制改革、私は、小泉総理のおっしゃる改革、改革、聖域なき改革の中には、日本の税制というのが、今いろいろな活力や体力を締めつけるような税制がかなり多いんじゃないか。

 それを解き放つだけでも、あるいはもっとわかりやすい税制に変える。中小企業の税制を、例えば一律二〇%のフラットタックスにする。二割さえ税金を払ったら、あとの八割はもう全部自分が使える。だから元気が出る、だから仕事をやりたくなる、利益が上がる。利益が上がるから、二割の税金もどんどん財務省の方にたくさん入る。アメリカでも、ペローという人がそういうことを提唱したことがありますけれども、税制改革の中に、大臣の視野の中に、そのような思い切った改革というのは、中小企業を対象にした改革はありますか、全くありませんか。

塩川国務大臣 私は、よく言われますフラットタックスの考え方を面白い考え方だと思っていますけれども、日本の中小企業政策の中で、はっきりしない、それがために不鮮明でいつも効果が余り出てこないのは、零細企業、なりわいというのと、それから本当に中小企業、そしてまた中堅企業というのをまぜて一緒に政策の場面にのせておるからだと思っておりますが、今お尋ねのようなそういう制度を、零細、なりわいとしてやっておられる企業、そういうようなものには一回対象に考えてみてもいいんじゃないか。しかし、同じ中小企業でも企業としてやっておられるところは、それは適用はちょっと難しいと思ったりしております。

 零細企業の方は、そういうような方がかえって納税の手続も簡単だろうし、同時に、自分の会社とはいえども、有限会社、三百万円以下とか、資本金一千万円以下のところはもうなりわいでございますから、こういうようなものはひとつ会社としては、企業会計として見ないで、個人会計の一つの変形だと見てそういうことを考えてみたら、案外簡単で、また魅力ある制度になるかもわからぬと思ったりしますが、しかし、零細企業であるのか中小企業であるのか、ここの境、これをどう判断するかということが一番難しい、これを間違ったら非常な不公平が起こってまいるということも考えなければいかぬと思います。

岩國委員 日本の会社の九九%は中小企業でありますし、また、中小企業の大半は、数からいうと、大臣のおっしゃるなりわい的中小企業、企業的中小企業というよりもなりわい的なものが多いと思います。

 しかし、そういう人は現に数が多いということ、そしてそういうところにおける雇用もまた無視できないということを考えると、私は、そういうなりわい的中小企業に対するなりわいタックス、なれ合いでは困りますけれども、なりわい、フラットタックスを導入して、世界で一番簡単で世界で一番元気の出る、それは日本で中小企業をやることなんだというような元気の出る税制に、ぜひ前向きにどんどん取り組んでいただきたいと思います。

 世界で一番お金のある日本がなぜ世界で一番不景気なのか、その原因の一つはそこにもあるように私は思います。アメリカに出稼ぎに行っているお金を里帰りさせる、そのためには、お金に日本でも給料を払う。

 もう一つは、お金が高齢化していることじゃないですか。今、六十五歳以上の人が持っている金融資産が七〇%と言われています。つまり、人間の高齢化と同時に、お金も年をとってしまっている。

 昔から、お金のことをお足と言いました。お足というのは、江戸時代から、お金には足がついているから、目を離すとうっかりどこかへ行ってしまうからよく見張りなさいと。今、そのお足の足の速さが鈍ってしまっている。お金が余り生き生きと動いていないから、お金の柄だけ大きくて、生き生きと早足で動いているお金がない。それが二番目の原因だと思います。

 お金の里帰りを進めること。お金の若返り。里帰りと若返りをやるための金融政策と税制。若返りのための税制というのは、贈与税を思い切って三年間、特例として二〇%に下げる。お金の世代間交代を一挙にさせる。そして、お金の若返りを図って、それから、お金もある、若さもある、経済政策はやっとそれでできるようになるんじゃないでしょうか。

 急な話ですから大臣もお考えになっていないのかもしれませんけれども、先ほどのお話の延長として、ぜひ税制改革にこそ私は、景気回復と構造改革とのこの二足のわらじ、左足に構造改革、右足に景気回復、二足のわらじを小泉総理が履いていこうというのであれば、私は、この税制改革こそ日本を生かす道ではないか、そのように思います。大臣、そういう御決意はおありではありませんか、小泉内閣のもとで徹底的にそれを変えてみせるという。

塩川国務大臣 今すぐに決意をどうのということを申し上げるのは、ちょっとまだ不遜だと思いまして、これは越権だと思いますが、検討するのには一つの材料だと思っております。

 ちょっとついででございますけれども、岩國さんにちょっと私は検討していただきたいと思うのは、お足の話と税金の話をされました。私は、そこまでお考えになるのならば、今やはり日本の構造改善の中で一番大きい問題は賃金ではないでしょうか。

 賃金の問題を抜きにして日本の経済をどうするこうすると言うから、財政に頼れ、いや何にしろと言っておるんであって、グローバリゼーションの中にあって世界の賃金がどのように変動してきているかということをもう少し真剣に考え直して、日本の経済構造の立て直しをやらなきゃならないんじゃないか。そこに固執しておるから、この余りにも高賃金というのが産業空洞化を生み出してきておるし、またそして、貿易の面におきまして為替のレートにも非常に敏感になってきておるというのも、そういうところがあると思うのでございます。ぜひこれは、我々としても検討いたしますけれども、野党の皆さんも、では賃金はどうなんだろうということを連合なんかと一回話し合ってみられたらどうだろうと思っております。

 私は、NTTがああした大量の、十万人のリストラとやりましたので、びっくりいたしました。そして聞いてみますと、結局のところは、リストラじゃない。要するに賃金の変更をしたいがために人を動かす、こういうことをやっていますのでね。私は、やはりそこらに、最近財界もだんだんと賃金というものを検討し直してきたなと思うのですが、それにはやはり経営者の意識から変えなければだめだろうと思うし、また同時に、政治家自身の問題としても収入というものは考えていかなきゃならぬ。私、賃金革命だと思っておりますが、いかがでしょうか。考えていただきたいと思います。

岩國委員 アメリカも日本と同じ立場に追いやられたことはあります。当時のアメリカは今の日本、そして当時の日本は今の中国、そういった立場で、賃金格差が非常に激しかったとき、しかし、アメリカは賃金カットをやらないで結果的にはずっと来ています。

 私は、賃金というのは最後に手をつけるものである。その前に、税制をどうするか。その前に、お金に金利を払って、お金にも仕事をさせて、景気を回復させるのか。やるべき点は三つばかりその前に残っていると思います。

 そして、最後に賃金に手をつけるのであれば、アメリカがやったのは夫婦で働くワークシェアリング。結局、ダブルインカム・ノーキッズ、そういう言葉がありました。DINKSという言葉でしたけれども、一人で稼いだのを夫婦で稼ぐように、それでファミリーインカムを支えていこう。実質的には、給料の賃下げなき、しかし家計としてはそれでふえていった。そういう労働の流動性というものを高めることがまず先決だと私は思います。それでもいけないとき、四番目、五番目の手は、賃金に手をつけるということじゃないかと思います。我々も大いに勉強させていただきたいと思いますけれども。

 最後に、証券税制。

 株価の問題については、人間の体に例えれば心臓のようなもので、株式市場がちんたらちんたらしておったのでは景気は絶対によくならない。どこの国でも、株価が下がっているときに景気がよくなったというのは、私は見たことがありません。株価を上げる。しかし、それは人為的に上げるのではなくて、できるだけ自然の治癒力、自然の体力で上げていく。

 そのための一つとしては、私は、今の証券税制は余りにも障害が多過ぎる。もう少し匿名性を尊重して、そしていろいろなペーパーワークをなくして負担を減らして、そして、リスクのある株式には、キャピタルゲインにはタックスもかけない。それぐらいに世界で一番有利で世界で一番わかりやすい、だから今先進国で一番弱っている日本のマーケットは元気になる。それぐらいの発想を私はすべきじゃないかと思います。

 塩川大臣が、部分的ながら今度、一定限度内では税金をかけない、これは大きな前進であると我々も評価いたしますけれども、しかし、それだけでは私は根本的な解決にならないと思います。見てください、日本人で株式を持っている人はどんどん減るばかりでしょう、アメリカに比べて。日本は完全に法人資本主義になってしまった。アメリカのように個人が株式を持っている資本主義とは体質が全然違う。景気対策をやっても効き目が悪いのはそこにあると思います。

 景気対策をやっても、結局法人向けの景気対策しかやろうとしない。また、それが一番効き目があるのは、個人がほとんど株式を持っていないから個人に株式を持たせる。今は戦後マッカーサーがやった証券民主化運動をやる絶好のチャンスじゃないでしょうか。株価は幸いにして安い。幸いにしてというか、不幸にして安い。そして、銀行はたくさんのものを抱えていますから、銀行が持っている株式というのはある意味では宝の山です、証券民主化のための。

 その証券民主化を進めるために、一つは転換国債もいいでしょうし、もう一つは、一定期間株式を保有して、時期を見てほぐしていく、あるいはドイツのように株式投資には税制上の大幅な優遇措置をつける。まずわかりやすいことは、来年の一月一日から株式を買った人は全部税金をかけない、それぐらいのわかりやすくて余計な手間暇の要らない、そういうことはできないんですか。できない理由は何でしょうか。

塩川国務大臣 私も、証券税制がやはり非常におくれておると思っております。

 最近ずっと政府の財政関係を見ていましたら、余りにも主計局主義、中心の財務省であったと思うんですが、これはやはり、税と、収入と支出というものをバランスとらないかぬ。そういう意味において、主税局のこれからのウエートというものはもっと大きくなるんです。それは何か。おっしゃるように、税制の改正、これがやはり経済政策として一番残っておる政策のような感じがいたします。ここにもっとしっかりとした検討を加えていく、その中の一つとして、私、証券税制も大きいファクターではないかと思っておるんです。

 ところで、過去を顧みましたら、昭和三十年代から四十年代の間は、国民の貯蓄の形態の中で三十数%が株式だったんです。このときはなぜかといったら、株の配当がよかった。増資、増資で、持っておったらもうかる。だから物すごい魅力があって、土地よりも株の方がおもしろいという、そういう時代があった。

 ところが、平成の時代になりましてから、バブル崩壊してから、株を持っておったって何のおもしろみもない。配当はないし、そして増資はないし、こういうことでございますので、そこに一度、どうして会社が魅力を持つようにするべきかということを考えていきたいと思っております。

 そうでありますから、ただ株式を買う、買わぬというそんな検討も大事でございますけれども、それよりも、企業が株式に魅力を持ってもらえるような会社にどうして変えていくかというこの方法も考えなきゃいけないんじゃないか。そういうことを広く考えてみて、要するに、資本のあり方が間接資本から直接資本へ移行していくのには、どのような企業のあり方、そして証券の流通経路のあり方、そして個人のストックとしての魅力、こういうようなものを総合的に考えてみたいと思っております。

    〔委員長退席、北村(直)委員長代理着席〕

岩國委員 株式は、企業がよくなる、利益を出す、したがって買いたくなる、これが一番オーソドックスなあるべき姿であるということは全くおっしゃるとおりだと思います。

 同時に、企業が悪くても、金融相場といって、ほかに買うものがないから消去法で株式を買おう。金融相場は日本でも何回も起きました。低金利になり過ぎて、金利が低過ぎるから株式でも買おう、これが金融相場です。しかし、企業の業績の見通しが少々悪くても、金利が低くても、今回は金融相場がなかなか起きてこないのは、やはり、株式投資のための税制が、まだ一般の投資家が買いたくなるようなインフラ整備ができていないからだと思うのです。インフラ整備をやっておけば、企業業績が上がり出したら、これは当然、政府が大声を上げて一生懸命皆さんに働きかけなくてもやっていけるようなことになると思います。

 また、証券の民主化は、結果的に、株式を持つから政治や経済に関心を持つ、そういう責任ある国民や有権者を育成していく上でも証券が普及していくということは、私がそういう世界にいたから我田引水のように聞こえるかもしれませんけれども、証券が広がっていくということは、それだけ責任ある国民を育てるという点からも、私は、もっともっと前向きに取り組むべきではないか、そのように思います。

 次に、政府系機関の不良債権についてお伺いいたします。

 これは石原大臣の方でもいろいろお調べになっていると思いますけれども、民間の不良債権が、やれ七十兆だ百何十兆だとか、もうおどろおどろしい数字がよく飛び交いますけれども、民間がつくった不良債権だけじゃなくて役人がつくった不良債権はどれぐらいあるのか、その調査はどうなっているのか、お答えいただけますか。

石原国務大臣 ただいま岩國委員御指摘の件につきましては、小泉首相の指示に従いまして、財務省の方で九月末に、特殊法人から平成十二年度の行政コスト分析計算書をつくっていただきまして、それをもとに行革事務局で行政コスト分析をさせていただきました。

 これはあくまでもビジュアルなBS、PL等でございますので、そこから出てまいりました数字は、現存価値、すなわち株などの損益等はそこで売って初めて損が確定するものであるということを御了解の上にお聞きいただきたいと思うんですが、BS上の累積欠損額は二十五兆二千九百九十九億円、仮定BS上の余剰金等は二十一兆三千七百二十七億円、差し引き三兆九千二百七十二億円というものが計上されます。

 剰余金の中で大きいものは、日銀の七兆五千億円、あるいは道路公団の四兆一千億円、私学振興の三兆三千億円弱等。また、欠損金で大きいものは、上から申しますと、預金保険機構の四兆二千六百億円、簡保のおよそ四兆円、宇宙の二兆四千数百億円等々でございます。

 このほか、仮に将来コストとして発生するもの並びに貸借対照表上にあらわれていないもの、例で言いますと簿価と時価の乖離等々、わかるものを調べてまいりましたところ、住宅金融公庫における将来の国民の負担につながるおそれがある特別損失金額が三千四百十億円、また同じく中小企業金融公庫で三百五十八億円、またそのほか大きいものでは、核燃サイクル開発機構や原研が持っております放射性廃棄物等の処理、原子炉を廃炉にしたときにかかる費用等を計上されているものが合わせて一兆二千二百億円、合わせまして五兆五千億円程度がいわゆる欠損額ではないかと推察しております。

岩國委員 私がいただいた資料と少し違っているのかもしれませんけれども、このいただいた資料では、正常債権が、政府系金融機関だけ見ますと百六十兆円、それから、問題債権の分類に入るのではないかと思われるものが十兆円ぐらい。これを民間の不良債権と同じような分類をされた場合には、件数、金額はどれぐらいになりますか。これが一つ。

 もう一つは、政府系五十三法人の累積赤字が、朝日新聞の集計によれば二十七兆円を超えている。この記事は、大臣、当然ごらんになっていると思いますけれども、この二十七兆という数字は、大まかに言って政府の調査と一致していますか。

石原国務大臣 委員が御指摘されました数字について、私の手持ちの資料にそのような数字がないもので、後日調べまして報告をさせていただきたいと思いますが、そのような報告は現段階において私は聞いておりません。(岩國委員「朝日新聞の記事は」と呼ぶ)

北村(直)委員長代理 国務大臣石原伸晃君、朝日新聞の件について、答弁をお願いします。

石原国務大臣 新聞は拝見いたしましたけれども、そのような根拠となるような数字は承知しておりません。

岩國委員 数字が少し、民間の集計その他の資料と合わないようですけれども、こうした政府系金融機関の不良債権等の監督は、政策金融課というところが所管しておられるということですけれども、この政策金融課の人数は何人ぐらいおりますか。

尾辻副大臣 数字のことでございますので、私から答えさせていただきます。

 先ほどの二十八兆円の……(岩國委員「二十八兆円の話じゃなくて、今、人数だけをあなたにお伺いしている」と呼ぶ)その件でありますか。(岩國委員「政策金融課というのは大体何人ぐらいでこれをやっているのかということ」と呼ぶ)はい、それは私の手元にございません。また調べて、それではお答えいたします。

塩川国務大臣 行政担当大臣に聞いておられると思っておって、失礼いたしました。

 主計局のところで、各部局、主計官単位でやっておりまして、そして司計課というのがございますが、計算をつかさどる司計課、そこで担当させておるものでございます。人数にいたしましては、はっきり何名ということはわかりませんが、担当箇所はわかっておりますので、よく調べて、人数は後で報告いたします。

    〔北村(直)委員長代理退席、委員長着席〕

岩國委員 私が担当の方のヒアリングでいただいた数字は、二十人ぐらいの人数でやっていらっしゃると。

 二十人ぐらいの検査体制で、この不良債権の問題というのは正確に国民に説明できるような調査ができるものでしょうか。民間の不良債権についても、何度やり直しても、やり直すたびに数字が変わって出てくるわけですから、国民の大切なお金を直接使わせていただいているいろいろな特殊法人、政府金融機関がどういう貸し付け状況にあって、どういう資産状態にあって、経営内容、資産内容はどうなのか、これは二十人の体制で大丈夫なんですか。お答えいただけませんか。

塩川国務大臣 実は、数年前でございましたか、平成七年ごろから行政コストのチームが組まれまして、そこでいろいろと与党三党で協議をしておられました。現在でも与党三党でチームを組んでやっておられますが、そこで一番問題となりますのは、貸借対照表、損益計算のとり方が官庁会計と民間会計とは全然違ってきた。官庁会計はいわゆる金銭消費収支計算書ということになっております。ところが、企業はバランスシートで御存じのようにやっております。そこのつけかえというものをどうするかということ、これをしないと行政コストが明確に出てこないということで、現在どんどんと、両方の、両建ての計算書を作成するようにしておられますので、いずれはこの両面が、両方のシステムによるところの公表が定着してくると思いますので、その上での行政コストの計算ができる。

 一方、それは別といたしまして、現在の金銭消費収支計算書、これをBS型に直していくとどうかということがございますけれども、それは一つ欠点がございますのは、棚卸し評価が正確にできておらないというところに若干問題があると思っておりまして、これは、急いで行政コストのシステムをきちっと確立して、明確にしなきゃならぬと思っております。

野呂田委員長 ちょっとお待ちください。

 石原大臣に申し上げますが、理事からの申し入れがありまして、先ほど、政府系の不良資産の問題についての答弁が不十分であったという申し入れがあります。改めて答弁をお願いします。

 石原大臣。

石原国務大臣 先ほど私が御報告をさせていただきましたのは、仮定のBS、余剰金と欠損金との差額と将来発生し得るコストというものの数を説明させていただきまして、委員御指摘の二十七兆円に当たるというものが手持ちの資料にございません。

 多分、委員御指摘の件は、政府系金融機関の抱える貸し付けに対する余剰金あるいは欠損金との差額を指していられるのかと思いますが、今手元に資料がございませんので、また私はその数字を承知しておりませんので、後日御連絡をさせていただきたいと申し述べさせていただいたところでございます。

尾辻副大臣 今お答えできる範囲でお答え申し上げます。

 まず、政策金融課の人数をお尋ねでございましたが、これは十六人でございます。

 それから、先ほど御指摘の二十七兆七千億円という数字でございます。これは、先生お話しのとおりに、このたび特殊法人に民間企業並みの財務諸表を出してもらいました。その中で、先ほど石原大臣からお答えいたしましたのは欠損金の項目の総額でございます。新聞の記事は恐らく、繰越損失金の方を単純総額いたしますとこれは二十七・八兆円になりますから、この数字だろう、そういう意味では間違った数字ではない、そのことは申し上げられます。

 ただ、その後おっしゃいました十兆というお話のところにつきましては、今数字の持ち合わせがございませんので、後ほどお答えさせていただきたいと思います。

岩國委員 いずれにしても、政府系機関のそうした不良債権あるいは不良債権の懸念があるものについて、しっかりとこの予算委員会に資料を提供していただきたい、早急にそれをやっていただきたいとお願いいたします。

 また、十六人の体制でやっておられるということですけれども、これで本当に十分なのかどうか、それもあわせて、これだけ不良債権、不良債権と言うときは、民間の方にばかり顔がいっていますけれども、役人自身がつくった不良債権は一体どうなっているのか、調べているのか調べていないのか、そういったこともあわせてきちっとすべきじゃないかと思います。

 次に、KSDの問題について総理にお伺いいたします。

 森前総理が二月七日、国会で、これについてはきちっと調査いたしますと。自民党として、その調査はいつ始まったんですか。いつ終了したんですか。結果はどうだったんですか。それに基づいて、総裁としてどうされるおつもりですか。

小泉内閣総理大臣 御指摘のKSDに関連した自民党の調査については、去る八月十日に幹事長が会見して公表いたしました。

 その結果は、自民党豊明支部というんですか、豊かな明るいと書いて豊明支部の党員の調査を行った結果、七五%は党員としての認識があると認められたが、残念ながら、そのほかは党員であるとの認識が必ずしも明確であるとは認められなかったと報告を受けております。

 この調査結果を踏まえ、KSDとの間で自民党は、KSDに加盟する中小企業経営者に対し誤解と混乱を与えたことによる道義的責任の立場から、中小企業経営者の育成、発展のために、KSDに対して一億円の支援を行うという結論に達しました。

 自民党としては、今回のような事態を真摯に反省しなければならないと思いまして、今後は適正に党員集めが行われるよう入党手続や審査を徹底し、再発防止に全力で取り組んでいきたいと思います。

岩國委員 一億円と総理はおっしゃいました。一億円は、それはどういう数字に基づいて一億円の支出がなされるんですか。五億受け入れておったから一億ですか。十億に対して一億ですか。一億に対して一億ですか。

 二番目に、それは和解金という名目で伝票が切られて帳簿に計上されておるのか、それ以外の名目だったのか、それを御説明いただけませんか。

小泉内閣総理大臣 私が報告を受けている範囲内でお答えいたしますが、話し合いの結果こういうことで了承を受けたということでございまして、収支報告上は寄附金の項目となるとの報告を受けております。

 また、自民党は、政党助成金の使途を厳格に限定しておりまして、党が独自に集める資金と区別して経理しておりますので、今回の支出は政党助成金から支払われたものではないという報告を受けております。

岩國委員 受け入れたKSDの方はどういう項目で受け入れているのか。坂口厚生大臣、お答え願います。

坂口国務大臣 私が聞いておりますところでは、自民党からKSDに対しまして、中小企業経営者の育成、発展を支援するために一億円のお申し出があって、八月十日にKSDにおきましては一億円を雑収入として受け入れていると聞いております。

 そのような趣旨のものとして受け入れたものであれば、公益法人としては特に問題はないと考えております。

岩國委員 総務大臣にお伺いします。

 こうした公的助成を受けておる政党が特定の公益法人に対してこういう和解金とか支援金とか寄附金を払うということは、これは堂々と認められていることなんですか。全く異例なことで、前例のないことでしょうか。お答えください。

片山国務大臣 政党本部の収支は、委員御承知のように、年末現在で収支報告書をつくっていただきまして、次の年の三月までに総務大臣に提出してもらう、御承知のとおりでございます。

 現在までのところ、この実態を我々は承知いたしておりませんが、政治資金規正法上、政党の支出については特段の規制はございません。

岩國委員 今まで前例があったかという点についての答弁が抜けております。

片山国務大臣 つまびらかに調査いたしておりませんけれども、余り例はないのではなかろうかと考えております。

岩國委員 こうした公的助成を受けている政党が特定の公益法人に寄附、支援をするということは、私は全く異例なことではないかと思います。こういったことはあってはならないはずですし、また、調査がいつから始まっていつ終わったのか、それから受け入れたお金が幾らだったのか、総理はそれを明らかにしてはいただけませんでしたけれども、一部新聞では十一億円と報道されておりますけれども、そのとおりでしょうか。

小泉内閣総理大臣 この問題が起きて、たしかことしの三月から調査が始まったと思うんですが、そのときの調査報告を伺っておりますが、具体的に幾らの数字かというのは、今ちょっと忘れました。今質問の趣旨の、どういう結果になったかという報告を伝えたわけでありまして、詳しい具体的な額については今覚えておりません。

岩國委員 あれだけ国民の間に非常な関心を呼び、政治不信の一つの大きな原因になり、あるいは森内閣退陣の一つの原因になった問題でもありますから、実際どれだけ受け入れたのか。さっき党員の人数については、七五%対二五%、二五%は党員の認識がない。その二五%の認識のなかった人が幾ら払われたか。忘れましたとおっしゃいましたけれども、それもまた塩川大臣と同じような忘れましたでは非常に困るわけでありまして、どこかの時点で思い出していただかなきゃならぬ数字だと思います。

 次に、農業問題についてお伺いします、残り時間が少なくなりましたので。

 総理大臣は、農業についてどれだけの愛情、愛着を持っておられるのか。私は、森総理のときにも同じようなことを農水委員会で伺ったことがありますけれども、あれだけ長い所信表明の中で、農業の問題についてほとんど触れられておらないんです。森総理のときには、二行半か三行半、三くだり半よりちょっと短かったと思います。あれだけ膨大な予算を組みながら、所信表明の中で、政治に対する思い、国民に対する思い、食糧に対する思い、その中で、小泉総理の場合には今までの中で一番短かったんじゃないかというふうに思います。

 農村なんかをずっと回りますと、小泉総理に期待する声は農村地方でも非常に高い。高いけれども、しかし、本当に農業を大切にしてくれる人だろうかということに対して、これは私だけじゃなくて皆さんも聞いていらっしゃると思いますけれども、それはみんな、農業の予算を削られるとかいうことではなくて、人として、農業をやっている人たちに対する愛情、親近感というものをどれぐらい持っていらっしゃるんだろう、そういうことをよく聞かれることがあります。

 それは、今までの総理がほとんど首都圏以外の出身の総理であったのに比べて、初めての首都圏出身の総理であるということに対する距離感もあるのかもしれません。ごく簡単で結構ですから、総理はどういう思いをこれからの農業の位置づけについて持っておられるのか、御説明いただけませんか。

小泉内閣総理大臣 私の所信表明で農業部門に触れているのが少ないと言われましたけれども、文章で触れるのは長きをもってとうとしとせず、私は、できるだけ簡素に、施政方針演説じゃないんだから簡素にしたいという方針をまず打ち立てました。

 所信表明となると、各省庁からこれを入れてくれ、あれを入れてくれと、もう膨大な数になるんです。私は、できるだけ、長くても三十分以内、ほうっておいたら二時間もかかっちゃいますよ、あれを全部入れていたら。いかに総花的にならずに、臨時国会ですから簡素にやりたいということで、農業問題については確かに委員御指摘されたように短かったかもしれませんが、農業の重要性は十分認識しているつもりであります。

 特に、私の地元は横須賀市、三浦市なんですよ。都市農業の盛んなところなんです。私の政界の恩師であります福田元総理は、農は国の基だと言ったんですよ。農業というのは大事だ。工場と違って自然を相手にする。太陽、土、水。工業製品と違うんだ。健康に一番大事なのは食料なんだ、薬よりも何よりも食料こそ健康をつくる、食事こそ健康をつくる最も大事なものである、そのために農業というものは重視しなきゃならないと。

 今、都市化の中においても、私の地元の三浦においては、三浦大根というのがあるでしょう。夏はスイカもあるでしょう。キャベツもあるでしょう。カボチャもあるでしょう。驚くなかれ、肉まで生産しているんですよ。葉山牛なんというのは、これだけ外国の安い輸入牛肉が入っていながら、今狂牛病でちょっと肉が売れていないといって困っていますけれども、結構高くても売れている。

 農業の重要性は、都市の農業を育成しなきゃならないという、地元の私でも、今まで都市議員で、私が都市と農業は対立してはいけないと言っていた急先鋒だったんですよ。都市と農村は共存しなきゃならない、農業の重要性は一番大事にしなきゃいかぬ。農村党、都市党と盛んに私をけしかける人たちがいましたけれども、今まで私は頑として応じなかった。都市と農村は対立するものじゃない、共存共栄を図るべきだと言っていたことからしても、農業軽視は全く当たらないということを御理解いただきたいと思います。

岩國委員 小泉総理の熱意の一端は伺いましたけれども、それならばなぜ国民が一番注目している所信表明の中でたった一行半。しかも、森総理までは、農村は農村という一つの独立した単語として使われてきたんです、農村、山村、漁村。これが、小泉総理になると農山漁村と三つ一からげ。それから、森内閣までは、農業、林業、水産業と一つずつ独立して所信表明に入っていた。それが、農林水産業と、そこまで簡略化。私は簡潔過ぎると思うのです。

 農村の人は、やはりその言葉の長さでもってまだまだ期待しているところがあるのです、それは都会の人と違いますから。やはり言葉の長きをもって愛情の長さ、深さととる人が多いという日本人のそういう国民性、メンタリティーを、もう少し小泉総理は理解されなきゃならぬと私は思います。

 私は市長を六年間しておりましたけれども、私は農業の問題だけは部長に一切任せませんでした。全部自分で答えてきたんです。

 農業の人たちは寂しい思いをしています。これから自分たちの農業の将来はどうなるんだろう、農協はどうなるんだろう、農家はどうなるんだろう、そういう心細い思いをしている人は農村の人ばかりじゃありませんけれども、とりわけ心細い思いをしている。新しい総理はちょっと今までと違う。余計その不安があります。そういうときに、今のような力強い言葉で私はもっと農業政策を語っていただきたいし、また構造改革の中に、私は農業も構造改革の対象に取り上げるべきじゃないかと思うんです。

 今までのようなワンパターンの、マンネリの、予算さえとにかくつけていけばこれでみんなが満足しているというふうなことでは、農業の非生産性がますます高まるばかり。農業の生産性を高めなければ、私は、日本の経済の活力、浮揚ということも、足を引っ張るような存在になってしまうんじゃないか、そのように思いますから、ぜひ、一考も二考もしていただいて、農業に対する構造改革というものを。

 そして、それに関連して今度は国土交通大臣にお伺いしますけれども、農業、林業、水産業を大切にしようということになれば、中国や外国との対抗上、価格を下げる、そのためには国内の流通コストを下げる、そういう道路を整備するということも、これは農業に対する大きな構造改革につながっていくんです。今のように、不便なところで農業をやりなさいでは、いつまでも流通コストは下がらないんですよ。つくらなきゃいけない道路はもっと前倒しでしゃんしゃん早目につけて、農業や林業や水産業や、そうした地方の活力と東京の消費需要というものをもっと早く結びつけるようにすること。

 私は、道路というものは、道路なくして地方分権なしと市長時代に言ってきましたけれども、必要な道路は、むしろ、十五年、二十年だらだらやっているから、最初の一メートルに使った税金が二十年間泣かされるんです。それを三年でつける。三年後に生き生きと、にこにこと国のためにお役に立つ、そのような長期計画は全部短期計画に繰り上げるべきじゃないか。

 もちろん見直しもしなきゃいけません。きょう午前中、空間軸とそれから時間軸という言葉で我が党の委員もここで質問いたしました。まさに、空間軸は半減する、見直しをして半分はやめる。しかし、時間軸も半減する、日本列島の中の流通時間、流通コスト、そういう時間を半減する。時間軸も空間軸も半減していくんだ、それぐらいのわかりやすい切り方でもって私はこの道路問題に取り組んでいただきたいと思います。

 そこで、大臣に質問があります。

 この高速道路、いつまでも料金を払っておりますけれども、これは全国一律千円とか千円ぽっきりで日本じゅうどこでも行ける。島根県からも東京へ千円で行けるし、東京の人も北海道へ千円で行けるというように、もっとわかりやすい――私は、民営化ということについて、けさも大臣の答弁を聞いていました。そうした特殊法人にするのは半民営化である、民間企業にするのは民営化である。私は、そうではないと思います。民間企業にしても、私はこれは半民営化。本当の民営化の民は、国民の民じゃないでしょうか。国民の税金でつくって、私たちの税金でつくったものになぜ自分で料金を払わなきゃいかぬのですか。究極の民営化は国民の手に返すことじゃありませんか。それを、国民の手に返さないで、特殊法人だとかあるいは特殊法人を民営化して民間企業だとか。民営化というのは国民の手に返すこと。国民の民。

 道路を皆さんに開放して千円一律料金で日本じゅうどこでも行ける、東京が近くなる、これが究極の民営化であり、究極の首都移転は、鹿児島の人にも千円で手が届くようなところに東京がやってくる。そして、流通コストの大幅削減にもつながるじゃありませんか。そういう発想は全くないんでしょうか、国土交通省の中には。

扇国務大臣 今先生のお話を伺っていて、千円ですべてというこれも一つのアイデアだと思いますけれども、では、長く乗る人と短く乗る人の不公平さはどう図られるか、それを皆さん方が納得されるか、そういうことも一つ大きな問題として残ると思います。

 また、少なくとも、高速道路、日本の道路網というものは、戦後本当に苦しい中から私たちはやってきましたし、先生も御存じのとおり、私たちは、東名、名神、初めてできた一九六九年というのは、これは世銀でお金を借りて初めて完成したというあの苦しい時代もあって今日まで来たわけでございますから、低コストのときに全部つくっておけばよかったと、それはドイツのように第二次世界大戦までにアウトバーンができ上がっていれば日本もよかったんですけれども、その点では、社会資本整備というものが遅かったという、世界的にはおくれたという、スタート時点がおくれたということ自体は私たちも残念だとは思っていますけれども、それに近いことで何とか、先生がおっしゃったように、私も主婦でございますから、道路ができれば産地直送、そして無農薬の野菜というものは直接産地から来るわけですから、我々都会の主婦も、少なくとも、道路ができて便利になるということはよくわかっておりますけれども、ではどこまでかというのは今後の大きな問題に残っております。

岩國委員 今大臣のおっしゃることに、二つ問題があると思います。

 一つは、長く乗る人はたくさんお金を払う。では、東海道線で大阪まで行くときに、のぞみで短く乗っている人の方が高い料金を払っています。ゆっくり行く汽車は安く払っているでしょう。これだってやはり、どこから見るかということであって、その時間コストをどう評価するかということでしょう。長く乗っていればどうということではないんですから。そういう考え方もあるということ。

 二番目に、それはアメリカもドイツもイギリスも、それぞれ苦しい過程を経て道路をつくったでしょう。ドイツはアウトバーンを持っておっただけかもしれないし。しかし、なぜドイツやイギリスやアメリカでできることが日本の中でできないのか。

 私は、それも考え方一つだと思います。日本のように、流通コストをできるだけ下げて、そして農山漁村の育成を図っていかなきゃならない、地形的に非常に無理がある、地図の上で短く見えても時間がかかる、こういうところだからこそ、道路整備による時間コストの低減というのは、いろいろな産業にインパクトが大きいんです、アメリカ以上に、ドイツ以上に。

 そういうところだからこそ、発想を逆転させて、むしろ、無料だからそれだけ流通コストが、ハンディキャップがなくなっていくんだ、そのような流通革命、交通革命をやっていく。そのような発想が全くないというのが私は非常に寂しいと思います。

 次に、坂口大臣に雇用問題についてお伺いいたします。

 この雇用問題について、いろいろな検討をしていらっしゃいますけれども、ワーキングリンクスというイギリスの例、これについては既に検討していらっしゃいますか。検討した結果、なぜこのような、NPOを活用した、民間の人たちが、特にこれは女性ですけれども、失業をしている人、あるいは仕事を探している人、そういう人たちに対して、昔、地方によってはいろいろな言い方がありますけれども、へかへかばあちゃとかいろいろな世話やきのおばあさんたちがいて、嫁入りの口なんかあちこちしておられる。今は嫁入り、婿入りというよりも就職の方ですけれども。

 このワーキングリンクスというのは、ブレアが就任して、そして四カ月か何かで導入し、それからもう一年以上たって、非常に実績を上げている。この制度について検討をされたのかどうか。なぜ日本ではそれができないんでしょう。

 私は、日本でこそ、むしろこういうコミュニティーの中でのワーキングリンクスという、中年、高年の女性が中心となって、それから、若い人に洋服の着方からお化粧からちゃんと、面接に行くときには馬子にも衣装、非常に気分を高揚させて面接に行かせると、採用される可能性が非常に高い。そして、採用されると、その人たちのコミッションというか収入にもまたつながる。歩合制と言うと失礼な言い方になりますけれども、そういうNPOを活用したワーキングリンクスをぜひやるべきじゃないかと思いますが、検討されて、なおできない理由は何でしょう。

坂口国務大臣 私も、ワークリンクスというのは、NHKでございましたか、一度放送をしたことがございまして、あれを見せてもらったことがございます。確かに、携帯電話を渡しましたり、服装を用意しましたりしまして、いろいろのことをしながら人を就職にこぎつけさせるというやり方だったというふうに思っています。なるほど、こういう方法もあるかと思って私も見せていただいたわけでございます。

 それでは、日本の中でもそういうことを全然やっていないかといえば、これは民間企業がかなりいろいろのことを考えていただいて、そして、皆さん方を就職させるということにかなり懸命になっていただいている。

 我々のハローワークの方におきましても、ハローワークの人数は制限されておりますし、しかし失業者の方はふえてくるものですから、なかなかいけないので、その中にいろいろのアドバイザーみたいな人を雇って、そして、その皆さんが一対一でいろいろの御相談に乗らせていただいていこうということを今やっているわけでございます。

 英国のように、携帯電話を与えたりとか、あるいは服を買って与えたりというところまで至っておりませんけれども、しかし、そうしたいろいろのことをお世話していかないとミスマッチというのはなかなか解消しないというふうに私たちも思っておりまして、そこはある程度これからも取り入れてやっていきたいというふうに、これは日本式のやり方でひとつやっていきたいと思っているところでございます。

岩國委員 質問時間が尽きようとしておりますので、質問通告させていただいた各大臣に大変申しわけない結果になりました。

 最後に、私は、小泉総理に対して国民的な期待は非常に強いものがある、支持率は我々野党が期待したほど下がってこない。なぜか。支持率は上がる、景気は下がる、株価も下がる、雇用も下がる、こんな現象は普通の国では起きないことなんです。なぜ日本でそういうことが起きているのか。

 それは、ほかに選択肢がないからという国民の声ではないでしょうか。それは、野党も含めて、自民党の中も含めて、大変な失礼な言い方ですけれども。今は、景気にいろいろな問題が起きても、小泉さんという人にかけてみたい、期待してみたいと。これは、私が別に何も自民党の立場に迎合しているわけではなくて、民主党の支持者の中にも内閣に対する支持者が多いという事実は、これは私たちも認めざるを得ないと思います。

 靖国問題、私は、公人として靖国神社に総理が行かれることには個人的には反対です。その上、公約まで外して十五日を十三日にされた。しかし、日本人はそれを受け入れています。その問題があったにもかかわらず支持率が下がらなかったということは、国民はどう考えたのか。

 それは、何カ月も前の約束や公約ということにはこだわらないで、もっともっと大事な日本をどうするかという大きな問題に取り組んでほしいと。そのために、それは決して賛成できないことだけれども、内閣に対する支持は下げたくない。そういう国民のやるせない気持ち、私はそのことをもっと理解していただきたいと思います。

 今国民は、そうした痛みのある改革、これも大切だということは私もわかりますけれども、痛みのある改革を痛みのある方法でやる、これはある意味ではだれでもできることです。政治家が心がけなきゃならないのは、痛みはあるかもしれない改革をどれだけ痛みをなくしてやるか。それが政治家としての技量ではないでしょうか。痛みがあるぞ、怖いぞ、血が出るぞとそういうメスを振り回して、手術台の上に乗った患者さんは、もう結構です、この手術室から早く出してくださいと今悲鳴を上げているじゃありませんか。

 私は、そうした六カ月前、七カ月前の構造改革なくして景気回復なし、これには経済理論的な裏づけはないと思っています。しかし、それは総理の信念としておやりになること。そして、構造改革もやらなきゃいかぬ。しかし、構造改革をやりながら体力の回復、景気回復ができることがあるとすれば、一つでも二つでも三つでも、あるいは手法をぜひ変えていただきたいし、一般的に構造改革路線が後退したと仮に批判があったとしても、そういう批判にひるまず、恐れず、私はもっと大きな目的に向かってそれをやっていただきたい。

 民主党とは改革の方向は少し違います、手法も違います。しかし、国民が期待していることにこたえるのが我々すべての政治家の責任であるとするならば、今、小泉総理がここで挫折されることは再び大きな政治不信につながってしまうこと。そのために、私は、君子豹変する勇気を持っていただきたい。普通の人は、小人は顔を赤らめるだけ、君子だからこそ豹変できる。そういう勇気を持って、今の日本が何を必要としているのか、景気対策なのか。景気対策であれば、景気対策をしっかりとやった上で、まだ構造改革をやる時間は残されている、私はそのように思います。

 そういう政策の転換、あるいは物の順序の転換ということを私は恐れずやっていただきたいし、またそれが民主党の支持者も含めた国民の願いではないでしょうか。そのことを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

野呂田委員長 これにて岩國君の質疑は終了いたしました。

 次に、達増拓也君。

達増委員 まず、内閣官房報償費について質問いたします。

 今回の予算案で、内閣官房報償費一〇%の減額補正となっておりますけれども、五〇%の減額が必要でないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

福田国務大臣 お答えいたします。

 内閣官房の報償費は、内政、外交を円滑かつ効果的に遂行するための経費として国政運営上不可欠のものである、こういうことなんでありますけれども、何度も申し上げました。特に昨今は、官邸主導の内政、外交を進める、そういうことが多くなりました。そういうようなことがありまして、その必要性はむしろ増加しているのではないか、こういうふうには思っております。

 しかし、そういう中ではありますが、今般の補正予算においては、取扱責任者である私の判断によりまして、この内閣官房報償費全体として当初予算の一割を削減する、こういうことに決定をいたしました。

 今後とも、こうした取り組みは、厳正かつ効率的な使用に努めるというようなことでカバーしてまいりたいと思っております。

達増委員 では、後は記者会見の方に。

 次は、外務省報償費について外務大臣に伺います。

 まず、その前に一言言っておきたいのですけれども、このいわゆる機密費、内閣官房と外務省の機密費については、春の通常国会で最も激しく議論されたことの一つでありました。その中で、採決に当たりまして、オール野党で組み替え動議を提出いたしまして大幅減額を求めたわけであります。いろいろ項目のある中で、一番最初にその野党共同で提案した組み替えの項目が、この内閣官房と外務省の報償費、これを大幅減額すべしと主張したわけであります。

 今回の補正予算の中でそれぞれ一〇%、一五%減額補正になったということについては、これは、この衆議院の予算委員会の熱心な審議を通じて少数派の意見が採用されて、それで結果として新しい決定がなされた。

 代々、野党の言い分を聞いて本予算が修正されたためしはございません。住専国会のときに本予算の総則のところだけ修正されて、それで大きい話題になったくらいであります。しかしながら、今回のこの機密費については、これはやはり、野党が頑張ったとかいうよりも、国民意思が反映されたということでありましょう。それによって、議会のそういう議論に基づいて、結局、新しい決定をすることになった。

 思い出せば、三月二日の審議終了の際のあいさつの中で、野呂田委員長もこのように述べていらっしゃいました。

  去る二月七日の審査開始以来、終始真剣なる議論を重ねていただきましたが、特に報償費に関しては、その透明性の確保、管理の適正をいかに図るかに多くの議論がなされました。当委員会の審議の経過にかんがみ、政府におかれても、これらの問題についてより一層の対処を強く望むものであります。

極めて異例の御発言だったと思いますけれども、それによって、こういう異例の減額補正という成果が出た。国民意思に基づいて、国会による財政のコントロールという財政民主主義の趣旨が実現したということで、これは戦後の日本政治の中でも極めて珍しい、一定の評価を得られるケースだと思います。

 しかし、私はこれでは満足いたしません。我々が大幅減額と言ったとき、少なくとも私たち自由党は、半減、五〇%減を求めていたわけであります。

 そこで、外務大臣への質問ですけれども、今回の補正予算の中でのさらなる減額はしていただけないのでしょうか。

田中国務大臣 外務省報償費の一五%削減でございますけれども、これはもう原則節約率でございますから、財務当局からの要請であるということは御理解いただけると思います。もちろん、これ以上減らせればいいわけですけれども、基本的には、余りにゆとりがなくなる、要するにバッファーがないと、本来の外交機能というものにやはり異常を来すということもあるというふうに思います。

 ですから、前内閣では、委員ももちろん御存じでいらっしゃると思いますけれども、前大臣は、本当は報償費はむしろ足りないぐらいなんだというふうな御発言をなすったことを、私もこの委員でいて聞いたことがございますけれども、それに比べまして、やはりもう一回、こういう状態でございますから、効率的に運用していくというふうなことを、限られた財政の中で、一五%ということは適正であるというふうに思います。

達増委員 今、耳を疑うような答弁がありました。これは、大臣が今まで六カ月間、必死に機密費問題にメスを入れ、調べに調べた結果、これだけ、少なくとも一五%はむだがあるということでカットしたものと思っておりましたが、今の答弁によると、財務当局からの要請、一般的な、原則的な節約という中での財務当局からの要請で減らした。つまり、機密費問題にメスを入れた結果、一五%削減という結果になったわけではないんですか。

田中国務大臣 もちろん予算でございますから、財務当局ともすり合わせをしているという意味でございまして、言葉がちょっと足りませんでしたけれども、要するに、報償費自体の使われ方について、例えばレセプション費でありますとか、そのほか、表にもう少し出して、すべて報償費、機密費という中でくくらなくても済むものもございますから、そういうものは新たに費目を立てまして、そして効率的にわかりやすくするということでやってきておりますし、先ほど申しましたような要請というものももちろんございます。

達増委員 今の答弁を聞いていましても、これこれこういう調査の結果、これだけむだがあることが発覚したのでこうしたという説明にはなっていませんでした。まだ機密費問題については、実態の究明が進んでおらず、改革も進んでいないのかなという疑問を禁じ得ません。

 そこで、さらに外務大臣に質問いたしますけれども、ちょっと前に、会計検査院が外務報償費について会計検査を行いまして、大まか次のような改善処置を要求しております。報償費の使用に当たり事前決裁を必ず受けること、報償費の使用後に、会合等を行った者から報告を求めたり、必要な書類を十分に整備させたり、在外公館の証拠書類を本省に提出させたりする等々、また、報償費の使途について見直しを行い、他の費目から支出できるよう改善する云々と。

 これは、私も春の通常国会のときにも何回か申し上げたんですけれども、要は、本来の機密費として情報収集等に使われていない。したがって、外務省には国際情報局という国際的な情報の収集、分析に当たる部局があるわけですから、国際情報局の関与にかからしめればいい、事前ないし事後のチェック。

 ところが現状では、官房のライン、会計課とかそういうところで、うちが足りない、ちょっとくれというベースで使っているからむだに使われるわけでありまして、外務省機密費改革のポイントは、本当に情報関係を扱う部局がきちっと前後チェックできるようにしさえすれば、そこに記録が保存されさえすれば、例えば外務省五十五億六千万円程度の機密費のうち二十億円も毎年毎年官邸に上納されていると言われておりまして、先ほどの質問でも、明確な理由が説明はされていないと思いますが、情報担当部局がきちんと使途を明らかにできる体制があれば、だれが外務大臣になっても、そこに行って、去年の報償費は何に使われたかと聞けば、大体何%はアジア関係、何%はアフリカ関係、それを外部に出す必要はないと思いますけれども、ただ、上納がないという結論は確信できるわけですね。だから、そういうシステムをつくらなければだめだと思うのですけれども、外務省報償費執行体制の改革についてどのように取り組まれているか、伺います。

田中国務大臣 報償費が目的に沿って、本来の姿に返って適正な使用をするために、先般、会計検査院で報告がございました。手続の面で適切を欠いたとの指摘もございました。このことは、やはり真摯に受けとめなければなりません。

 そして、今後、報償費の執行を改善いたしまして、先ほど来申し上げていますように、透明性を持って、そして効率的、効果的なものとするようにいたしております。

達増委員 具体的な制度改正のことには触れられませんでしたけれども、報償費、今会計課所管になっているものを国際情報局に移すとか、そういう具体的な機密費制度改革というのは、とりあえずアイデアはないのでしょうか。

田中国務大臣 では、具体的な改善策について申し上げますと、報償費に関する会計とか、あるいは支払いの手続をより具体的なものに改善し、職員に対して周知徹底する。当然、基本なことでございます。

 それから、個々の支出ごとの報告の作成を徹底する。これも普通の企業であれば当然かと思いますが、そのような指摘をされました。また、在外公館の報償費に関する証拠書類を、原則としてすべて本省に提出する。

 それから、報償費を使用する事務についても監察査察制度の対象となっていて、今後、その具体化とともに、監察査察制度の効果的な運用をする。

 それから、従来の報償費の定義、目的に沿って使用してきたもので、近年、ある程度定型化、定例化、はっきり分けられるものにつきましては、平成十四年度の予算の概算要求において、予算執行の整理の観点から内容を精査して、そして、可能な場合には報償費以外の科目、これは先ほど申し上げましたけれども、それで具体的な事項を立てて、必要に応じて経費として積算するというふうなことでございます。

達増委員 監査にせよ報告にせよ、きちっとわかる人かつ責任のあるところにそれが来て、かつオープンな形で行われなければ意味がないのでありまして、今の報告では、まだまだ機密費改革というものは完成していないと思います。これは、先ほど紹介したように、委員長からも政府に対する一層の対処を強く望むものということで、いわばこの予算委員会全体がきちんと取り組むよう求めていることでありますから、きちんとやっていただきたいと思います。

 次に、外務省裏金プール金事件。これは、サミット等の大規模国際会議の際のホテル代あるいは国際会議場使用代とか、そういった経費にまつわる裏金事件。機密費問題と同じくらい、五億円とか六億円とかいう、もう問題外の、常軌を逸したお金が使われている事件でありますけれども、これについても、機密費改革と同じくらいのきちんとした改革が必要だと思います。

 焦点は、そういう、ここ数十年に出てきたことなわけですね。APEC首脳会議にせよサミットにせよ、そうした大規模国際会議について、一部の人が巨大な権限を持って巨額のお金を自由にできるような、そういう体制でだらだらやってきたところに問題がある。そこをどう改革していくのでしょう。大臣、お願いいたします。

田中国務大臣 このプール金の原因は、まさしく残念ながら、達増委員がおっしゃったような、大規模国際会議等で一部の人がお金を扱っていたというふうなことから生じたことでございまして、最終的な金額がどうなるかというふうなことについては今現在はっきりはいたしておりませんで、調査中でございます。要するにタスクフォースを立ち上げておりまして、こうした事案がほかにあるかどうかということの調査をいたしまして、任意の聞き取り調査や関係書類の精査を今行っております。

 いずれにいたしましても、こうした不祥事が次々出てきておりますので、物品・サービスに関する調達の一元化でございますとか、監察査察室を立ち上げたりもいたしておりますし、在外公館の抜き打ち査察もいたしております。

 先ほど、どなたかほかの先生に申し上げましたけれども、きょう、この委員会が終わった後に、参与として来ていらっしゃる先生とともに、今の進捗状況につきましてある程度御説明ができると思いますので、そうしたことを情報公開という意味できょうはしようというふうに思っております。

達増委員 これも予算委員会として看過できない問題でありますので、一日も早い実態の究明がなければ、他の予算審議等にも影響が出るであろうということを申し上げたいと思います。

 次に、東北郵政局渡切費不正使用事件、これは新聞等にも報道されておりますけれども、基本的に二つの問題、事件が発覚しております。

 一つは、東北郵政局管内の特定郵便局の役員局、これは特推連の、連絡会の役員を務めている郵便局に、サービス向上対策経費ということで、一局当たり一千万くらい追加的な渡切費が渡される。この中から二〇%ずつ上納して、特推連のそういう経費でありますけれども、正規の特定郵便局の組織、団体であります特推連とぴったり同じピラミッド、ダブるようにしてつくってある任意団体である局長会、そっちの方に上納、七年間で三億五千万円くらいの裏金をつくったという事件。そして、その裏金で、郵政省OB議員のパーティー券を購入したり、献金をしたり、選挙運動をしたり、あるいは東北郵政局の幹部を接待したりということで、東北郵政局も一緒になってやっていた。

 私の手元にも、このとき、郵便局長会の事務局から役員局の局長に送られた事務連絡なるものの写しがございますけれども、東北郵政局の方から渡切費が特推連の役員局に着いてすぐ、「サービス向上対策経費の増額について」「昨十五日付総総総第五四〇一号をもって通知されました。つきましては、従前のとおり何分ともよろしくお取り計らいのほどお願いいたします。」そして、「色々お手数をおかけいたしますが、くれぐれも厳密お取り運び頂きますようお願い申し上げます。」とはっきり書いているわけです。役所、特定郵便局、そしてそれが政治と一緒になって、恒常的にそういう裏金献金をやっているということが明らかになっております。

 今、内閣の方から笑い声が漏れましたけれども、笑い事ではございません。なぜ笑い事ではないかといいますと、このことが十月二十四日読売新聞の一面トップに載ったその日の朝七時、東北郵政監察局長がみずから命を絶っているところが発見されたわけであります。そのくらいの大きい責任を監察局長が感じる事態が東北郵政局の中で進んでいる。

 これは、総務大臣が、ことしの参議院議員選挙の前に、特定郵便局長が政治活動をしている、けしからぬということを野党議員から言われたときに大丈夫だ、大丈夫だと言っていた、高祖前議員の事件が発覚した後もこれからはそういうことのないようにすると言っていたわけでありますけれども、そういう中でこういう体制が温存され、ことしの参議院議員選挙が戦われてしまったわけであります。

 今話したのは、役員局への渡切費が裏金化されたケースですが、もう一つ発覚しているのは、千八百四十六局ある個別局に一律に配付される渡切費から、販売促進のための器材を買うお金を、なぜか局長会がそれをまとめて注文することで業者に八%割引させて、八年間で一億一千万円の裏金をそこでもつくっていたということも発覚しております。

 そこで、総務大臣に、こういった事態をそのままにしてことし参議院議員選挙をやることになった、郵政事業を監督する立場と、きちんとした選挙を監督する、実現すべき立場から、御自身の責任についてどう考えるか伺います。

片山国務大臣 せんだっての予算委員会でも同様の御指摘があったと思いますけれども、近畿郵政局管内の選挙違反につきましては、そういうことがないようにと相当注意したつもりですけれども、結果としてああいうことになりまして、大変遺憾に思っておりますし、申し上げましたように、責任を感じておる次第でございますが、事態をしっかり解明して二度とああいうことが起こらないようにする、綱紀粛正の徹底を図るということが私の責任ではないかと思っております。

 それから、東北郵政局管内の渡切費の不正流用の報道につきましては、承知いたしておりまして、直ちに郵政事業庁長官に命じまして、事業庁の中に首席監察官室というのがありますから、そこのメンバーと東北郵政監察局のメンバーで、両方でチームをつくりまして、現在鋭意調査中でございまして、いずれにせよ、その結果によっては厳正な対応をいたしたい、こう思っております。

 ただ、委員、東北郵政監察局長の自殺の原因は、これは遺書等もございまして、全く家庭上の問題、一身上の問題でございますから、今言われたようなことはございませんので、ひとつその点は御理解を賜りたい、こういうふうに思います。

達増委員 今の、監察局長のみずから命を絶たれた原因はこのこととは関係ないと言い切られましたが、それは言い切れるはずがないと思いますよ。どうしてそういうふうに言い切ることができるんですか。

片山国務大臣 それは、今の監察局長の関係につきましては、関係の局の職員あるいは郵政事業庁の職員等が、いろいろ調べたり聞き合わせたり、あるいは場合によっては警察等とも相談しているかもしれませんが、そういうことの総合的な結果として私はそういう報告を受けておりますし、事は個人の名誉の問題ですから、やはりこういうところで言われるのはいかがかなと私は思っております。

達増委員 郵政の監察制度がきちんと機能しているんだったら、こういうことにはならないんですよ。これは、その方の個人の名誉のことであるだけではなく、郵政監察制度全体の名誉が今問われている。その中で、個人が強い責任を感じて、こういう事態になってしまった。

 これは総理に質問しますけれども、今総務大臣は、今監察制度を使って実態調査、命令をしていると言いますけれども、監察制度が、郵政事業庁の中には東北郵政局と並行して東北監察局がある、それは近畿にもあるし、すべての地域に監察部局がきちんとあるにもかかわらず、今郵政事業がこのようなことになっているわけでありまして、これはもう総理がみずから先頭に立って、みずからの直轄として取り組まないと、自浄作用は既にないということだと思いますけれども、この点、総理、いかがでしょうか。

小泉内閣総理大臣 今回の選挙違反事件等をよく調べてみますと、非常に問題が多い、委員御指摘の点、多々あると思います。

 このような選挙運動に絡む不正が行われないように、今後厳しく見直していかなきゃならないと思いますし、今言った監察という問題も、十分に機能していなかった点もあると思います。まだこれに対する事案の判決は審理中でございまして、結論は出ておりませんが、結論の出た段階で、また改めてこういう不祥事が二度と起こらないような体制をとっていかなきゃならないと痛感しております。

達増委員 次に、小泉メルマガについて質問いたします。

 自由党中井洽議員、塩田晋議員提出、小泉メールマガジンの違法性に関する質問主意書というものを出しておりました。その中で、この小泉内閣メールマガジン、既に第二十一号が、先週十一月八日に出されているようでありますが、答弁書によれば一億八千四百万円支出を予定しているということで、メルマガにしてはかなりお金がかかっているなと思います。

 問題は内容であります。金額もさることながら、問題は内容でありまして、質問主意書でも問題にしたのは、余りにプライベート、パーソナル、私的な内容になっているのではないか、税金を使ってやるにはふさわしくない内容ではないかということであります。

 きょう質問するために、きのう、最新の十一月八日号をパソコンで出して見てみました。十一月八日であります。この平成十三年の十一月八日、こういう時期、この御時世と言ってもいいでしょう、こういうときに、日本の総理大臣が日本国民に税金を使ってどういうメッセージを出しているか、読んでみます。

  小泉純一郎です。

  食欲の秋。食べ物のおいしい季節だ。好きな食べ物は色々あるが、好物は焼き魚やしらすおろし、納豆、豆類やイモ類など。

  子どもの頃、遊んで帰ってくると、母親がよくトウモロコシを茹でたり、芋をふかしてくれた。実にうまかった。

  「海苔だんだん弁当」も格別だった。ごはんの上に海苔を敷きつめて少し醤油をたらす。その上にまた、ごはんと海苔をのせ二段重ねにする。これもおいしかった。

  今週は、五、六日とブルネイで開催された、アセアン諸国と日本、中国、韓国の首脳会議に出席した。東南アジア諸国との協力の重要性を改めて痛感した。

  これから補正予算の国会審議が始まる。民需主導の持続的な景気回復をめざして、雇用対策にも万全を期す。

  バランスのよい食事をとって、山積する課題に立ち向かっていきたい。

 言いたいのは、税金を使ってやるのであれば、もっと公的な、日本国憲法が定める総理大臣として、そして日本国憲法上の主権者である国民に対して、きちんとメッセージを送ってほしいということであります。私的なメッセージであれば、個人のホームページあるいは政党のホームページでやっていただければいい。

 これは物すごい誤解が今日本じゅうにあると思うのですけれども、政治家が私利私欲あるいは個人的な好き嫌いで政治をやってはいけないのと同じ程度に、国民も、政治参加する場合は、私利私欲とか個人的な好き嫌いで政治参加すべきではないんです。国民も、国政あるいは地方でもいいですが、政治に参加するときには、日本国憲法が定める主権者である国民として、公人、公の人として政治に参加してほしいと思うわけであります。

 この小泉メルマガというのは、もう私人である、私人として総理や閣僚が、私人としての個人の私的領域の中にまさにメールという手段で入り込んで、私的空間を共有することで政治をどうこうしていこうという、民主主義を、憲法が定める国のあり方というものを壊す効果があると私は懸念しているんですが、総理、いかがでしょう。

小泉内閣総理大臣 これはまさに、一部だけ取り上げて全体を評価している悪い例ですよ。

 しかし同時に、いい例もあるんですよ。こういう個人の情報に関心を持っているからこそ達増議員も取り上げたんですよ。政策の難しい言葉ばかり話していたら国民は関心を持たない。だからこそメルマガをやって、驚くなかれ、十万人でも参加してくれればいいかなと思ったら、二百万人を超えたんです。

 しかも、今言っているばかりじゃない、今達増議員が取り上げた例は私のごく一部の、ほかに政策関連用語、あるいは今までの小泉内閣の動き、キーワード解説、あるいは扇国土大臣が「電子入札で公共事業改革の加速を」とか、非常に政策的な話も盛り込んでいるんですよ。しかも、国民が政治に参加してもらいたい。内閣の掲げている政策がどういうことか、いろいろ大臣に登場していただいて、政策情報も提供しているんです。

 では、ほかの広報誌とかたくさんありますよ。しかし、一億で、安くて最も読まれているのはメルマガなんですよ。

 個人的な情報じゃない、内閣の方針なり各大臣の政策なり、こういう政策用語をわかりやすく国民に説明するということでやっているので、私は個人的宣伝をやっているつもりはありませんよ。いかに今の政治に国民が参加してもらおうか、関心を持ってもらおうかということで、国会で取り上げてくれる、効果があるじゃないですか。達増議員までがこういうことを取り上げてくれたということは、これまた政策にも関心を持っていただけるんじゃないかと私は思っています。

 一部を取り上げて全体を評価して批判するのはいかがなものかと。与党議員でも大臣でも、反論なり討論なりするのが国会ですから、大臣は反論しちゃいけないという理由なんか何にもないんですから。これは自由でしょう。私は、余り、一部だけ取り上げて全体を評価するのはいかがなものかと。

達増委員 世界の主要先進民主主義国ではどこもこういうことをやっていないということを重く考えていただきたいと思います。

 時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。

野呂田委員長 これにて達増君の質疑は終了いたしました。

 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 雇用問題について質問をしたいと思います。

 九月の失業率は五・三%で完全失業者数は三百五十七万人、大変な状況であります。六カ月連続して増加をしている。前年同月比で三十七万人ふえております。また、有効求人倍率は〇・五七倍に低下しまして、かつてない深刻な事態となっております。

 そこで、まず坂口厚生労働大臣にお聞きしますが、この有効求人倍率というものの意味ですけれども、これは、職を求めている方が仮に百人あるとすれば、企業が求める人というのは五十七人しかいない、そういう関係をあらわしたものだというふうに思うわけです。つまり、四十三人には仕事がない、絶対的に不足しているということを意味するというふうに思うんですが、このように理解してよろしいですね。

坂口国務大臣 有効求人倍率というのは、もう御承知のとおり、ある月、例えば九月ならば九月にどれだけ求人があり求職があるか。そして、それは三カ月で見ているわけですね。有効求人倍率のときには、その三カ月間は、もしもそこで求人を求めたら、それをその月できなければその次というふうにいけるわけです。一言で言えば、有効求人倍率は、ある月のそれまでのストックの比較、求人と求職の比較。それから新規求人、求職の場合には、ある月一カ月の間に来た求人と求職の比較、こういうことだと思います。

佐々木(憲)委員 何かちょっと複雑な説明をされましたが、要するに、ある月で百人職を求めている人がいる、しかし、その月に五十七人しか求人がない、これが〇・五七ということの意味だと思うんですけれども、そういうことですよね、簡単に言うと。

坂口国務大臣 それは、一カ月で見ればそういうことです。

佐々木(憲)委員 小泉総理にお伺いしますけれども、総理は、九月二十七日の所信表明演説で雇用問題についてこのように述べておられます。「公共職業安定所には求職者を上回る年間七百万人もの求人があります。バブル期に匹敵する水準です。」と。それから、九月十四日の予算委員会でもこう述べておられます。「公共職業安定所、ハローワーク等には毎月五十万人から六十万人、求人が来ている。年間七百万ですね。七百万人の人が欲しいと求人が来ている。どうしてこれだけ失業者が多いのに来ないのかというミスマッチもあります。」と述べておられるわけです。

 総理、今でも失業者をはるかに上回る七百万人の求人があると本当に思っておられるのかどうか。ミスマッチを解消するとこの失業者がほとんど解消する、こういうふうに思っておられるのか、確認をしたいと思います。

小泉内閣総理大臣 そんなに悲観すべき点ばかりじゃないなという例として挙げたわけであります。七百万人もの求人数がある。これは求職者を上回っている。このミスマッチをいかに解消するかによって、少しでも失業者が減ればいいな、雇用づくりに寄与できればいいなということで例を挙げたわけでありまして、こういう点については、なぜこれだけの求人数があるのに求職者はふえているんだろうかという点を解明することによって、一つでも雇用創出に手がかりができるのじゃないか。

 また、今までの情報にしても、もっと情報提供することによって、ああ、こういうところには職があるのか、こういうところに人が要るのかという点も今後の努力いかんによっては開発できるのではないかという点からその例を挙げたわけでありまして、こういうミスマッチを埋めることによって、もっと失業者が減る可能性を見出したいと思って例を挙げたわけでございます。

佐々木(憲)委員 先ほど坂口厚生労働大臣は、いわば百人の求職者がいても求人は五十七しかない、ある月をとってみますと。四十三人がいわばあぶれているわけです。それなのに、七百万人、年間あると。求職者数よりも求人が上回っていると。これは全く私は理解できないわけですけれども、七百万人という数字は一体どんな形でつくられてきているのか、究明しなければならぬと思うんです。

 この数字は厚生労働省がつくったと思うんですけれども、なぜこんなに大きな数字になるのか。実際には、失業者があぶれていて、求人よりも求職者の方がたくさんあるわけです。何で、年間にすると七百万人になるんですか。なぜこんな大きな数になるんですか。

坂口国務大臣 それが、先ほど私が最初にちょっと説明をしようと思ったことでありまして、ある月一カ月単位で見ればその一カ月の求人と求職があるわけで、一カ月単位の新規求人というのがあるわけですね。それを一月から十二月まで足したものが、先ほど総理がおっしゃったように、七百万、七百三万というような数字になってくるわけであります。それで、一カ月単位で見た求職の方を足していくと六百七十万になる。こういうことをおっしゃっているわけで、新規求人で見れば、これは求人の方が多い、こういうことをおっしゃったわけであります。

佐々木(憲)委員 数字のミスマッチなんですけれども、では、具体的に計算方法についてお聞きをしたい。

 例えば、ある会社が、ある年の一月に百人の求人を出した。しかし、その会社は、賃金が非常に低い、労働条件が悪いということで、応募者がだれもないということがあって、この百人の求人を一年間ずっと出し続けた。だれも応募する人がいなかった。そういう場合は、年間としてはどのような数になるのでしょうか。

坂口国務大臣 急に難しい計算をしろと言われるとなかなかできないわけですが、現実問題といたしましては、例えば百人なら百人、新規にあった。そうすると、普通、有効求人といいます場合には、三カ月の間に見るわけですね。その間で百人ありましても、それでだれもそこに応募する求職者がなかったという場合には、それでは、おたくの条件は少し厳し過ぎますよ、もうちょっとそれは下げないとだれも来ませんよということを言うわけです。そうすると、その会社は、それじゃ、もう私のところはやめておきますというふうに言うか、あるいはそれを下げて、そしてお願いしますというふうに言うか、どちらかになるわけですね。

 だから、百人あったものがそのまま一年間ずっと百人でいくということはないわけで、東京でも見ておりますけれども、百人ありましたものが、その人たちはその三月後には大体十一人ぐらいに減っておるわけですよ、途中でそういういろいろな話し合いをするものですから。だから、百人あったのが、それがそのまま最後までいくというわけではないということでございます。

佐々木(憲)委員 私は、実態を聞いているんじゃなくて計算方法を聞いているんです。百人求人を出したけれども応募者がいない場合、その会社が一年間求人を百人続けた場合、これは計算としては、年間の新規求人者数というのは何人という計算になるんですかとお聞きしたわけです。

坂口国務大臣 だから、それはそういうふうに、現実問題としてはそうならぬということを私は申し上げているわけで、それは小学校の数学式に足していけば、それは百人がいきますけれども……(佐々木(憲)委員「何人になるんですか」と呼ぶ)いや、何人になると言われましても、それは現実にはそうならないということを私はお答えをしています。

佐々木(憲)委員 私は質問通告を出しているんだから、このぐらいのことは答えてもらわなきゃ困りますよ。

 例えば百人を出しますね。その求人は、翌々月の末日までで一つの単位になるわけであります。それを越えますと新たな百人として登録をされまして、四月から六月までは百人と計算をされます。七月から九月までも百人、十月から十二月までも百人。ですから、合わせますと、ずっと同じ百人を求人し続けましても、年間の新規求人数としては四百人と計算されるわけです。こんなのは単純な計算なんです、求人倍率の定義にそうなっているわけですから。厚生労働省に確かめましたが、そのとおりでございますということでありました。

 ですから、今大臣にここではっきり確認をしたかったわけですが、そういうことになるんでしょう、大臣。そういうことでしょう。

坂口国務大臣 それは、小学校式の計算をすればそうなりますけれども、しかし、現実問題はそういうふうにやっていないということを私は申し上げているわけです。

佐々木(憲)委員 実際にダブルカウントされている部分がかなりあるんです。ですから、総理、七百万人とおっしゃいますけれども、例えば半年間同じ数を求人するという場合には、これは倍に計算されるということになりますし、年間ですと、同じですと四倍に計算されるということになるんです。その数字が積み重なっていったのが七百万人ということでありますので、この点は実態を正確には反映しないわけであります。専門家の方に聞いても、これは余り意味がない、足せばそうなるというだけの話だということでありまして、総理、この点、実態を正確に反映しない、ダブルカウントがかなりある、こういうことはお認めになりますよね。

小泉内閣総理大臣 今お話を伺っていまして、そういう場合もあるのかなと思っていますが、あるんだったらば、もっといい基準のとり方を今後考えればいいのであって、要するに、民間の職業紹介等を聞いてみますと、求職者よりも求人数の方が非常に多いんだという話を伺っていますので、まだまだそんな捨てたものじゃないな、もっとこれは努力の余地があるな、求人と求職の間を埋める余地があるなという点で例を挙げたんですから、そういう点については、もっといい統計の方法があれば、今後検討するのにやぶさかではございません。

佐々木(憲)委員 ですから、正確な実態を反映するような統計といいますと、先ほど最初に坂口労働大臣がおっしゃったように、その月の有効求人倍率というのが極めて正確に反映するというものであります。つまり、ミスマッチを完全に解消しても四割以上があぶれているというのが実際の姿なんですよ。その点をぜひ認識をいただきたいと思うのです。

 次に、ミスマッチということをよく言いますが、その解消というのは、いわば五七%の部分ですね、この部分の枠内でのミスマッチの解消というのが問題になっているわけでありまして、絶対数が不足しているわけですから、やはりそちらの方に目を向けた対策ということを考えていく必要がある、同時に、その原因はどこかということを考える必要があるというふうに私は思います。

 そこで、それだけ絶対的に職がないわけですから、失業者があぶれて、職を探す人が職安に今押し寄せているわけです。次に問題になるのは、これにしっかり対応できる職安の体制があるのかどうかということであります。私が職安の職員から話を聞いたところによりますと、ともかく求職者の数が多いものですから、大変忙しい、もうトイレに行く時間もない、こういう話なんです。

 平成元年から今日までの間に、月間有効求職者数、この数字をお伺いしますけれども、これはどのようになっていますでしょうか。実数と増加割合を教えていただきたい。また、職安の人員、これは同じ期間でどのようになっていますでしょうか。

坂口国務大臣 例えば、平成元年の九月におきましては、これは有効求職者数でございますが、百三十四万九千七十八人でございました。それから、二年になりましてから百二十五万九千九百九十八人、三年になりまして百二十九万七千四百三十六人……(佐々木(憲)委員「一番新しいのだけでいいです」と呼ぶ)一番新しいのだけ。そうしますと、平成十三年の九月におきましては、二百六十万三千七百六十二名、こういうふうになっております。

佐々木(憲)委員 つまり、職を求めて来られる方が百三十四万人あったのが、現在では二百六十万人、倍近くふえているわけですね。

 では、職安の定員はふえていますでしょうか。

坂口国務大臣 平成元年度におきましては一万二千八百三十七人、平成十三年におきましては一万二千六百九十二人、こういうふうになっております。

佐々木(憲)委員 結局、職を求める方が倍にふえているのに、それに対応する職員の方が今の数字では百四十五人減っているわけです。つまり、一人当たりの求職者が倍になっているわけです。これは大変なことでありまして、私は、いろいろ現場の話を聞きますと、大変な労働強化だと言うのです。

 こういう訴えがあるので、ぜひ総理もお聞きいただきたいと思うのです。

 窓口には、仕事を求めて連日多くの人が列をなしています。本来であれば、十分な時間をかけて丁寧な職業相談を行うことにより就職に結びつけることが何よりも重要なのですが、現在の窓口はそれが行える状態にありません。込み入った相談を行っている最中に、列の後ろから、いつまでやっているんだ、何しているんだ、早くしろという罵声が上がることも珍しくなく、職員は、時間内で一人でも多くの利用者と相談し、紹介することと、時間かけて充実した職業相談を行うこととのはざまで悩み苦しんでいます。

 窓口の職員は、朝から晩までしゃべりっ放しで、机の後ろに見えないように置いてあるペットボトルからお茶をがぶりと飲んでまた相談を続ける、いわばマラソンランナーのような勤務がこの数年間続いています。相談待ちの列の切れ目でトイレに行こうとして大声を出され、怖くてすくんでしまった若い職員もおります。電話の応対も緊張の連続です。何しろ、列をなす求職者を待たせておいて電話に出るわけですから、大変なプレッシャーを感じます。職安に足を運んだ者より電話の方が大事なのかと言われてもやむを得ない状況にあるのです。

 これは現場の職員の生の声なんですけれども、総理、こういう訴えをどうお感じになりますか。

小泉内閣総理大臣 大変な御苦労だと思います。仕事がふえているのに人が少ないという状況で、御苦労のほどがわかるわけでありますが、その一方で、そういう点をカバーしているのが民間のいろいろな企業の方だと思います。

 今いろいろな話を聞いていますと、公共職業安定所よりももっと民間の方がきめ細かに、親切にいろいろ対応しているという声も聞きまして、ハローワークも民営化したらどうか、そうすると、人数が少なくてもっと求職者に手厚い対策ができるんじゃないかという声も聞いております。なるほど、ハローワークの民営化というのもあるか、これはおもしろいなと私は思っているのですけれども、そういうことによって今民間企業が本当にきめ細かに求職者に対して対応している点も見習いながら、ハローワークにしても、もっと効率的に求職者に対応するような仕事ぶりはどういうものかという研究の余地もありますし、同時に、仕事がふえるからまた役人ふやせとなりますと行政肥大化になりますから、これもまた政府として慎まなきゃならない。こういう点は、今後、ハローワークの民営化論も含めまして、よく検討していきたいと思います。

佐々木(憲)委員 今の発言はとんでもない発言であります。

 大体、民間の場合は、金にならなければ仕事をしないというのが民間なんですよ。ですから、求人を出す会社から今料金を取っているでしょう。今後は、そういう民間の企業というのは、職を求める人からも金を取ろうなんという、職のさたも金次第、そういう状況になろうとしているわけで、こんなことを政府が奨励したら大変なことになりますよ。今大事なのは、公共的なこの職安がしっかりと役割を果たすことだと思うのです。大体、民間の職業相談所に行きますと、難しい問題になると、あなたは職安へ行ってください、こういう話になるのですよ。そんな話、たくさんありますよ。

 大事なことは、職安の職員のこの労働強化の事態をどう解消していくか、ここにやはり政府が取り組むという一番大きなポイントがあると思うのです。やはり、国民の失業の実態からいっても、職安の職員の数がともかく少ない。この点についてやはり定員を見直して、この部分については異例の措置、臨時措置として、政府はよく言いますけれども、セーフティーネットだというなら、このところを職員をふやす。どうですか、総理、そういう決意をここで言っていただけませんか。

小泉内閣総理大臣 大事なことは、求職者に対して職を実際に見つけてもらうようにすることだと思うのですね。そこが、共産党と、自由主義社会の方が効率的に経済が活性化するという我々の考えと違うのであって、仕事があるから役人をふやせと言っていたら、本当に社会主義政権になっちゃいますよ。これを避けなきゃならない。仕事が多ければ多いほど民間にできることは民間に任せるということは、これはいいことなので今進めているのですから、今、ハローワークの中でも、実際は民間がやっている部分があるのです。そういうことによって、むしろ民間の方の職業紹介とかそういうところに行って職を見つけることができる人もいるのです。

 だから、そういうものも含めて、ただ役人をふやせばいいという話じゃないでしょう。仕事が多いから、そういう発想だと、ますます役人がふえて行政が肥大化するばっかりですよ。それで、民間は営利を求めるからとんでもないと言うけれども、職を求める人にとってみれば、職を見つけることができる、それだったら多少お金を払っても職を見つけたいという気持ちの方が多いのですから、そういう点も考えないと、ただ役人をふやせばいいという問題じゃないと私は思いますよ。

佐々木(憲)委員 全く今の実態をよく御存じない答弁だと思いますね。

 大体、民間の職安、民間の職業紹介所というのは、まあ効率的に、ともかくぱっぱかぱっぱかとやるということが第一で、難しい問題は全部、職安に行ってください、こういう態度なんです。

 自由主義経済と言いますけれども、今自由主義経済でどれだけ大企業が大手を振って人減らしをやっていると思っているのですか。このことがどんなに今失業をふやしているか、明らかではありませんか。そういうものに対して、国民の立場に立って、雇用を安定させる社会的責任を企業に果たしてもらう、こういう姿勢を国がとらないで、さあ、どうぞ自由に失業者をふやしてください、もう職安も民営化だ、こんなのでは、国としての役割を果たせないではありませんか。私は、もう全然根本的に発想が間違っているということを申し上げたいと思うのです。

 そういうことで、最後にそのことを強調して、質疑時間が終了しましたので、以上で終わりたいと思います。ありがとうございました。

野呂田委員長 これにて佐々木君の質疑は終了いたしました。

 次に、植田至紀君。

植田委員 社会民主党・市民連合の植田至紀でございます。

 きょうは、最後二十五分間でございますが、すべて総理にお伺いいたしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、きょうお伺いしたいのはすべて雇用対策にかかわってでございますけれども、九九年の六月に、小渕内閣時にも雇用対策というものが出されておるわけですが、今回、九月二十日に総合雇用対策ということで小泉内閣も出された。そして、これが今回の補正を含めて一応すべての一次資料として考えたいと思いますので、これをまず手がかりにしながら、総理には失礼だとは思うのですけれども、まず入り口から、初歩的なところなんですが、当時、平成十一年度、九九年当時、小渕内閣時における雇用を含めた経済状況の認識と、今現在、現段階どう違ってきているか。現在の雇用対策をつくるに当たって経済状況をめぐる現状認識というものが、悪化しているのだろうと思うわけですが、どのように違ってきているのかという、まずその基本認識について総理にお伺いいたします。

小泉内閣総理大臣 現在、戦後最高の失業率を記録しておりますし、厳しい経済状況になっていると思います。

 そういう点から、今回、雇用対策に取り組まなきゃいけないと思いまして、所要の措置を講じて補正予算案を提出しているわけでございまして、きょうはせっかく全大臣出席されております。ぜひとも、詳しいことは厚生労働大臣にお伺いいただきたいと思います。

坂口国務大臣 平成十一年の六月当時と現在とを比較いたしますと、これは非常に経済が厳しいことでは同じような状況が続いているというふうに思います。

 しかし、その当時と比較をいたしますと、十一年の六月にはGDPは一・五%増ということで進行をしておりました。現在、これがマイナスの〇・七%というふうにかなり厳しくなってきているということはございます。それから、完全失業率でございますが、その当時は四・八%でございましたし、現在は五・三%でございます。それから有効求人倍率は、このときは比較的悪くて、この十一年の当時というのは〇・四八倍でございましたが、現在は〇・五七倍。

 いいところ、悪いところ、交互しておるところもございますけれども、トータルで見れば、動向は現在の方がいろいろ問題点を含んでいるというふうに思っておりまして、ここをやり抜かなきゃならない。

 余り長くなると失礼ですから、このぐらいにしておきます。

植田委員 総理の御好意で、わざわざ詳細に厚生労働大臣からも御答弁いただいたわけでございますが、私、質問のレクに当たっても、余り細かい話は聞きません、今回の雇用対策に当たっての総理の総括的な基本認識について、そこからちょっと込み入った話にも波及するかもしれませんが、基本的な総理の考え方をお伺いしたいということで通告させていただいておりますので、できるだけお答えの範囲はすべて総理でということでお願いしたいと思います。というか、総理でお答えできる範囲の質問しか想定しておりませんから。

 その上で、今おっしゃったように、十一年当時はこういう表現になっていますね。緊急雇用対策及び産業競争力強化対策、「政策効果に下支えされ、公共投資が堅調な動きとなり、住宅建設が持ち直してきているなど、景気は下げどまり、おおむね横ばいで推移している。」と。そして、同じく現状認識、端的に、小泉総理のもとでおまとめになった総合雇用対策、ここでは、既にもっと失業率は悪くなっているわけですが、「七月の完全失業率が五・〇%となるなど、雇用情勢を始めとして一層厳しさを増している。」しかも「今後、不良債権処理の進展に伴い、雇用情勢が更に悪化する可能性も否定できない。」と。さらに悪化しているという認識はまずは共有できる。

 そうしますと、ここで総理にお伺いしたいのが、この雇用対策において、こうした小渕内閣当時に現状認識に基づいて設定された課題と、今回、状況がさらに悪化しているというその状況の中で、今私がわざわざ読み上げましたこの現状認識で設定されてくる課題というものは、やはり基本的に違ってくると私は思うわけですが、その点は小泉総理はどういうふうにお考えでしょうか。――いや、もうすべて総理です。

小泉内閣総理大臣 大分細かい質問ですね。

 具体的に、私は基本的な認識を最初述べたつもりでありますが、現在、雇用創出のためには規制改革も必要だ。今まで規制されていた分野、例えば保育所等の施設も、公共だけでなくて民間の力も入れてもらおう。

 さらには、教員なんかも、今まで教職員じゃなかったらだめだと言っていたところを、教員の免許は必ずしもなくても、教育熱心な方には補助教員みたいな形で、先生にも生徒にも父兄にも喜ばれるような仕事はないものか、これもふやそう。

 保育所の待機児童ゼロ作戦ということから考えましても、これまた今まで民間ではできなかった分野にも、民間にも参加してもらって、そういう保育所施設をふやしてもらおう。そういうところにも、保育士の方々にもそういう職の道をどんどん開拓してもらおう。

 さらには、地域の、森林が荒れているという面から考えますと、森林を育てるという面と、あるいはまた廃棄物の問題等につきましても、環境の面からも雇用をふやす機会があるんじゃないか。

 いろいろ知恵を絞りまして、五百三十万人創出計画という雇用プログラムをつくって、いろいろやっているんですよ。

 もっと詳しいことが聞きたかったら、厚生労働大臣も文部科学大臣も環境大臣も、たくさん控えておりますから、聞いていただければ、私よりももっと細かな具体的な対策は伺うことができるので、せっかくみんな大臣出ているんですよ、私だけ聞くのはもったいないですよ。これだけ全大臣がそろって質問する機会なんか余りないですよ。ぜひとも担当大臣に聞いていただきたいと思います。

植田委員 総理とトイメンでお話しする機会も、私にとってはこういう機会を逃したくないものですから。

 それと、何遍も言いますように、私はちゃんと全部、質問通告も詳細にやっております。そして基本的に、そうした、例えばこの総合雇用対策の中身のところでごちゃごちゃ余り聞いていたら、時間ありませんから。二時間もらえればやりますけれどもね。

 要するにこの一枚目の課題、今総理おっしゃったのは、要するにその課題設定から導出されるところの個々の今回目玉になるとする政策を言われたんでしょう。

 私が聞きたかったのは、もう言いますわ、要するにこの総合雇用対策では三つの課題というのがあるわけですよ。雇用の受け皿整備のために、規制改革、制度改革、新市場、新産業を育成する。第二に、雇用のミスマッチの解消のために、職業紹介、能力開発を推進する。第三に、セーフティーネットの整備をやる。大ざっぱに言うと、これがこの雇用対策で設定されたところの課題なわけですよね。

 今、この課題に基づいてこんなことをするんですということを総理はおっしゃったけれども、私が聞きたかったのは、総括的なことを聞くと申し上げているわけですから、この一枚目のところを見ていただければいいわけです。

 ただ、この三つの課題が、そもそも平成十一年度、九九年の小渕内閣時のいわゆる緊急雇用対策及び産業競争力強化対策で、雇用機会の創出を最大の柱として、規制改革等による新たな事業の創出、就職能力の向上や雇用のミスマッチの解消、社会全体としての雇用のセーフティーネットの整備、要するに全部小渕内閣時に言われている課題設定なんですよ。経済状況が悪化しているにもかかわらず同じ課題設定でいいんですかと。

 要するに、では、小渕内閣時に設定された、雇用対策として具体的にやるに当たって設定した課題と、今小泉総理が掲げられている課題は、同一のものですか違うんですかということを確認させてください。

小泉内閣総理大臣 違うものもあれば、小渕内閣のいいものは継続させていくべきものもある、両方やっているんです。

植田委員 いやそれは、私もそういう御答弁は想定しておったんですけれども。

 余り込み入ったことは言いませんが、要するに、事業規模を大きくするとか事業を延長するということで、現下の雇用状況、雇用対策になり得るのかどうかということなんですよ。風邪と肺炎は違うわけですよ。今まで、風邪やったらエスタックやルルやら葛根湯を飲ませていた。肺炎になって、大変だ、じゃ葛根湯を飲ます回数を減らせば解決つくんかという、そういう問題ではないはずなんです。薬の効能を聞いているわけではありませんが、そういう問題だと。

 だから、少なくとも、違うようでもあり同じようでもあるという、ちょっとそれは、私としては、ちょっと総理、いちびった答弁と違うかと思うわけです。

 要するに、雇用対策の設定される課題の根本が変わっているのか変わっていないのかということなんです。政策は、それは効果があったものは引き続きやるのもあるし、新規でやるものもあるでしょう。哲学が変わっているのか変わってへんのかということだけを聞きたい。

 もう一回お願いします。

野呂田委員長 厚生労働大臣。(植田委員「いや、総理に聞いているんですよ」と呼ぶ)

 ちょっと、委員長に指名権がありますから従ってください。

坂口国務大臣 いろいろ総理のお考えもあるというふうに思いますが、先ほど申しましたように、平成十一年当時と現在とを比較いたしますと、悪化はしてきておりますけれども、その内容が変わっているわけではない、質量ともに今回その雇用対策を充実させたということでございます。

植田委員 それぐらいやったら総理にお答えいただければありがたかったんですがね。

 ちょっと頼りない話ばかり繰り返されているようですが、じゃ、ちょっとだけ具体的なことも、これも総理に聞きますよ。

 今回、一兆六百億の補正の中で雇用対策が五千五百億、そのうちの半分以上を占めるのがいわゆる緊急地域雇用特別交付金。これが三千五百億ということで計上されているわけで、これも小渕内閣時から始まっているものですけれども、この施策そのものを私自身は否定するものではないんだけれども、実際には、これは安定した雇用につながっているかというと、そうではないだろうと思うわけです。

 そこは厚生労働大臣にお答えいただく範疇以内で、総理の答弁の範囲でおさまると思うわけですが、少なくともこういう政策を、今言ったみたいに葛根湯の量をふやすというようなことではなしに、安定した雇用を確保する、そういうことに主眼を置いた対策に組みかえていく必要があるんじゃないかと思うんですが、それは総理、お答えできますよね。

小泉内閣総理大臣 その点は大事なことだとは思っています。特に今までだと、地域に行きましても、失業していない人が職をかえてそういう事業に来てしまう場合があるわけですね。できたら失業している方に来ていただきたい。そういう点はもっときめ細かな対応があるんじゃないか。そして、六カ月ということで切るんじゃなくて、今せっかく新しい職についた、これを、この分野に才能があるな、いい人だなというんだったらば、もっと延長してもらうというような対応はこれから必要だと思っております。

植田委員 わかりました。

 少なくとも、安定した雇用を創出していくということがやはり雇用対策の主眼に据えられなければならない、その意味において、やや小出しの、一時しのぎの感が否めないというのが私の考えです。

 そのことについて論争する時間はありませんから、続いて、骨太の方針とのかかわりの中で何点か、これも、くどいようですけれども、総理の答弁の可能な範囲で結構です、足りなければまた再質問しますけれども。

 今言ったように、例えば緊急地域雇用特別交付金が全く意味がなかったとは私は言いません。厚生労働省さんを呼んでお話を伺いましたけれども、非常に一生懸命やっておられるなと思います。ただ、問題は、こうした雇用対策の効果を一方で減殺させるような政策が骨太の方針の中で構造改革と称して提起されていることにあるんじゃないかという疑問が私はあるわけです。

 そこで、一つ、この骨太の方針の中でこういう文言がありますよね。技術革新と創造的破壊を通して、効率性の低い部門から効率性や社会的ニーズの高い成長部門へ人と資本を移動させる、そして不良債権問題を二、三年で処理する。

 これをやっちゃうと、不良債権の処理を二、三年で処理すれば、御承知のように、これは本会議で聞いて、お忘れかもしれませんが、何が起こるんやと言うたら、痛みというのは失業と倒産ですと総理おっしゃいましたけれども、大量失業が発生することは必然なわけです。そうなれば、当然ながら、正規雇用労働者というものが失業を強いられる、そして不安定、非正規雇用労働者を量産することにしかならないんじゃないかと私は思います。

 そのことに対しての論評も加えながら御答弁いただければ結構ですけれども、では、効率性の低い部門から効率性や社会的ニーズの高い部門に人を移動させる、具体的にどんなイメージを描いておられますか、総理、イメージで結構です。

小泉内閣総理大臣 総論的に言えば、第一次、第二次産業に従事している方が、これから第三次産業、サービス産業の面に移っていかざるを得ないような状況だと思います。これは先進国共通していると思います。具体的に言えば、医療とか福祉とか保育、あるいはサービス産業はほかにもたくさんありますけれども、こういう面に移っていく人口が私はふえていくと思います。そういう対応をどうするか。

 さらに、IT先端国家を目指しておりますから、これからITの問題について訓練も要するでしょう。全く勉強も教育も訓練も受けない人が最先端のIT機器を使いこなせるとは思わない。そういうための教育訓練も大事でしょう。

 いわば、産業構造が大きく変わっていますから、例えば公共事業を削減するという場合においても、公共事業に従事している人の割合が少なくなってきますね。そういう場合に、第三次産業、サービス産業、新たな医療・福祉分野にどうつなげていくか。そういう新たな職業に対して何にも知識もない、訓練も受けてない人に対して、意欲があれば、そういう場を提供するということも必要でしょう。

 いずれにしても、産業構造が変わっていますから、そういう変わり目に対して、変わった職場に移っていこうという意欲に対してどうやってそういう機会を提供していくかということも大事ではないかと思っております。

植田委員 この骨太の方針によれば、効率性の高い部門、今もお話しされましたように、ライフサイエンスであるとかIT、環境、ナノテクノロジー、そして社会的ニーズの高い部門、部分というのが医療、介護、福祉、教育、環境と想定されておられます。確かにそうしたものが社会的ニーズが高いだろうと思いますが、こうした効率性の高い部門、いわゆるそうした部門でも果たして魅力的な雇用の新分野と言えるかどうかが、今その位置が揺らいでいるんじゃないか。例えば日立、東芝、富士通、こうしたIT関連のところもリストラをやっているわけです。そういう中で、かなりしんどいんじゃないかなということが一つ。それはやはり現状認識として持っておかなあかんと思うのですよ。

 その上で、効率性の低い部門というたらどういうところかというと、製造業であるとか建設業になりますね。そうなれば、これらというのは労働集約型の産業です。そうなりゃ、ここで切り捨てられた人が新たなそうした部門に転職するというのはかなり困難だろうと思います。恐らく、そこで職業訓練や交付金とか紹介とかというものを充実させるというふうにおっしゃったんだろうと思いますけれども、そういう理解でいいですか。

小泉内閣総理大臣 何から何まで国が手とり足とり指導するという以上に、今、民間のリストラは進んでいますね。民間企業が、激しいこの競争社会にどうやって生き残るかということで必死に取り組んでいるという点も、我々見習わなきゃならぬ。また、政府はそういう手助けもしていかなきゃならない。

 新しい産業に対して意欲のある人はたくさんいますから、たとえ職を離れても、あるいは自分の能力、現在ではできないけれども多少勉強すればできるんじゃないかと思う意欲のある人に対してはそういう機会を与えるということによって、今言われたような、議員が指摘されたような、職につけるようなお手伝いはやはり政府としてもしていかなきゃならぬなと思っています。

植田委員 ただ、問題は、例えばその職業訓練についても、民間でどんどんやることについても、そうした民間活力も活用するというのは厚生労働省さんのお考えだろうと思います。それもまあ了としたとしても、そうした職業訓練というものが雇用に実際結びついているんかということが問題なんと違うかと思うわけです。

 その意味で、例えば職業訓練の場合、これも後で別にるる細かい話を聞くつもりはございませんので厚生労働大臣は結構なんですが、公立の場合ですと六割、民間の場合は、悉皆調査してへんようですが、四割、そういう就職率だそうです。お世辞にも、実際に雇用に結びついていると言うにはちょっとまだお寒い状況にあると思うんです。

 なぜそういうことになっているかというと、むしろ日本においては意外と、安定雇用がずっと続いてきたがために、要するに大量の離職者というものを支援していく、そういうノウハウというものを実は余り持ち合わせていないんと違うやろうか、そこをやはりきっちりやっていかないことにはいかぬのと違うか。しかも、公立の場合の職業訓練校だと訓練期間も六カ月から一年ということですが、民間になると三カ月とか一週間まであるわけですよ。やはりそれは、一週間やそこらで通訳の技能が身につくわけでもないんですよ。

 その意味で、むしろ総理がきっちりと指導して、こういうことも厚生労働省にやれということを言ってほしいわけなんですけれども、実際、そうした民間委託の再就職の訓練者の再就職先、追跡調査をしてみるとか、就職率の具体的な状況の把握をしてみるとか、そうした訓練の効果というものを追跡調査すべきなんじゃないのか。

 要するに、一つの政策についてやはり、どこかで手を加えたり、充実させたり、あるときは必要ないといってやめるときもあるでしょう、いずれにしても、そうした政策の効果について検証するということは当然だと思うわけですが、どうもそういうことがやられていない。どうも、お役人さんも民間の施設にどうなっていると聞きに来てくれへんさかいに、私らも余りこっちから要望じみたことも言いにくいですねんと言う現場の、民間のそういう訓練校の人たちもいるわけです。

 そうした調査なり結果というものをしっかりと調べて政策の効果を検証する、そうしたことも必要なんじゃないかと思いますが、その点は、総理はどうお考えですか。

坂口国務大臣 そこは、ハローワークの中におきましてはそれは一生懸命やっているわけですよ。だけれども、民間の企業は今始まったところですからね。一年なら一年たって、そして、どういうことであったかというのは、それは私たちもその結果を見せてもらわないけないというふうに思いますが、今の段階のところでは、まだそこまで至っておりません。これは、民間の皆さんも始めたところですから、今、試行錯誤をしながらおやりになっているわけですから、間もなくそういうことも見せていただくときが来るだろうというふうに思っています。

植田委員 私は、何遍も言うようですけれども、総括的なことを聞いているつもりですし、すべて質問の中身についても、事前にちゃんと役所から来た人へレクしているわけです。こういうことを聞きますよということを丁寧に言っています。その上で、総括的な話を総理にお伺いしたいということでやりとりしているわけですから。厚生労働大臣に聞くときは、一般質疑で厚生労働委員会で差しかえで聞きますから。こういう機会、なかなか私もないものですからやったわけです。その辺やはり、すぐによそに振らぬと、ちゃんと答弁してほしいと思うわけです。

 時間がありませんからもう終わりますが、確かに新たな産業をつくっていく、効率性の高い部門に産業構造を転換するということは、中長期的にはそれはかまへんやろと思います。しかし、現状、そんな状況じゃないわけです。

 要するに、今回の雇用対策では、そうした中長期的な視点と短期的に何をやらないかんねんということが混在しながら、どれもこれも中途半端になっている。だから、今本当に最優先の課題というのは、少なくとも雇用不安からくる消費の減退なりさらなる不況という悪循環を断ち切っていくために、五千五百億なんというしわいことを言わぬと、もっと財政出動をやってもいいじゃないかというふうに私は思うわけです。

 そういう意味では、雇用対策は、一方で根拠のない五百三十万という絵そらごとを言いながら、雇用の流動化、多様化と称して、むしろ不安定雇用をどんどんこしらえていくことになるんと違うかという疑いがどうも濃いというふうに私は思っているところです。恐らくそうでしょう。それが政府の雇用戦略だと言われりゃそれまでですけれども、そういう意味では、今回の補正予算は反対せざるを得ないということであります。

 以上で終わります。

野呂田委員長 これにて植田君の質疑は終了いたしました。

 これをもちまして締めくくり質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして平成十三年度補正予算三案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

野呂田委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。谷口隆義君。

谷口委員 私は、自由民主党、公明党、保守党を代表して、ただいま議題となっております平成十三年度補正予算三案に対し、賛成の討論を行うものであります。

 我が国経済は、米国を初め世界経済の成長に減速が見られる中、輸出、生産、設備投資が減少し、失業率は過去最高の五・三%に達するなど、厳しい現状にあります。今後も、テロ事件の影響等、内外の経済動向を一層注視する必要があります。

 政府は、このような状況の中、民需主導の持続的成長を図るため、各般の構造改革を積極的に推進することを経済財政運営の基本とすべきとの考え方をとっております。このような観点から、去る十月二十六日に、構造改革を進めていく上で先行して決定、実施すべき施策を盛り込んだ改革先行プログラムが決定されたところでございます。今回の補正予算は、本プログラムに盛り込まれた施策を実施するために必要な国費一兆円を含む、まことに重要なものであります。

 以下、賛成する主な理由を申し述べます。

 その第一は、本補正予算が現下の緊急課題である雇用対策、中小企業等対策を最重点に編成されたものである点であります。構造改革を実施する過程では、非効率部門における失業や中小企業への悪影響など、社会の中に痛みを伴う事態が生じることもありますが、このような構造改革の痛みやそれに対する国民の不安を和らげることは政治の責任であります。

 本補正予算においては、改革先行プログラムに要する国費一兆円のうち、五千五百一億円を雇用対策費として、二千五百十一億円を中小企業等対策費として計上しております。

 補正予算の早期成立を図り、必要とされる施策の早期執行に努めるとともに、規制改革の推進による雇用創出等を進めることにより、構造改革の痛みを和らげることができると考えております。

 賛成理由の第二は、本補正予算が、改革先行プログラムに掲げられた電子政府の実現、保育所待機児童ゼロ作戦等の推進等、構造改革を加速するために特に緊急性の高い施策を推進するために必要な経費を盛り込んだことであります。これら施策の実施が、国民の利便性の向上、IT革命の推進を踏まえた人材育成、女性を初めとする個人や民間企業の潜在力の発揮に資するものと考えます。

 賛成理由の第三は、本補正予算に必要な財源について、歳出歳入の見直し、十二年度決算剰余金の活用などにより、補正予算後の国債発行額をできる限り抑制したことであります。

 以上、本補正予算に賛成する理由を申し述べましたが、私は、雇用対策等、現下の緊急課題に重点を置いた本補正予算が必要不可欠なものであるとして賛成の意を表するものであり、ぜひともその速やかな成立を期待するものであります。

 最後に、政府におかれましては、補正予算の成立後は、関連法案を含めた諸施策を速やかにかつ確実に実施されますよう強く要望するとともに、今後の経済状況を見きわめつつ、さらに必要があれば、財政、金融、その他あらゆる手だてを大胆かつ柔軟に講じていかれるよう強く要望いたしまして、賛成討論を終わります。(拍手)

野呂田委員長 次に、城島正光君。

城島委員 私は、民主党・無所属クラブを代表して、政府提出、平成十三年度補正予算三案に反対する立場から討論をいたします。

 今、日本経済に生命力をよみがえらせる唯一の方法は、財政構造改革と経済構造改革、そして不良債権の抜本処理を一刻も早く断行することであります。我々民主党は、改革にはスピードが必要だと主張してまいりましたが、それは、遅ければ遅いほど国民の苦しみと痛みをより大きくするだけだからであります。しかし、何もやっていないとの批判に、小泉総理は、まだ半年だとか、居直った答弁を繰り返すだけで、国民の苦しみと痛みをできるだけ小さくしようという熱意が全く感じられません。

 ただし、本補正予算に限って見れば、国債発行三十兆円枠を形だけでも守り、公共事業という名のばらまきをふやさなかった点については、一定の評価に値すると思われます。

 しかし、補正予算が提出される前から、既に第二次補正予算を組むべきだとの声が政府・与党内から噴出している中では、三十兆円枠を本補正予算で守ったというだけで賛成するわけにはまいりません。

 以下、具体的に補正予算に反対する理由を述べさせていただきます。

 第一に、前年度剰余金を全額補正予算の財源とする措置についてですが、本来国債に充てられるべき財源を流用するという点で、今年度公債の新規発行を見かけだけ三十兆円に抑えるための小手先の手段にすぎない、このような措置は到底容認できないのであります。

 第二に、例年どおりの予算執行状況であれば、十一月末時点での未契約の公共事業が二兆円程度もあると見込まれるにもかかわらず、むだなものは中止して、少しでも多く予算を雇用対策に回すという努力が全くなされていない点であります。これは、森政権下で策定された今年度ばらまき公共事業関連予算を現政府が是認していることにほかならず、到底容認できないのであります。

 第三に、ばらまきという批判が絶えない緊急地域雇用特別交付金を、本質的改善もせずに再び設ける点であります。民主党が提案しているような抜本的改革が盛り込まれていない、セーフティーネットに名をかりたばらまきにすぎない政府案は到底容認できないのであります。

 以上、本補正予算に反対する主な理由を申し述べてまいりました。

 これにて私の反対討論を終わらせていただきます。(拍手)

野呂田委員長 次に、中塚一宏君。

中塚委員 私は、自由党を代表して、平成十三年度一般会計補正予算、平成十三年度特別会計補正予算、平成十三年度政府関係機関補正予算に反対の討論を行います。

 反対の第一の理由は、この補正予算案が抜本的な構造改革に資するものでは全くないということであります。

 小泉内閣発足以来半年以上経過しているにもかかわらず、いまだに実行された構造改革策もなければ、具体策さえ提示されておりません。構造改革なくして景気回復なしどころか、構造改革がなくて景気回復もなしであります。

 本補正予算に盛り込まれている公共サービス雇用のための緊急地域雇用創出特別交付金は、結局のところ、構造改革を進めないで景気が悪化してしまっている無策の現状の穴埋めを一時的な失業対策でしのぐことでしかありません。構造改革を通じた抜本的な雇用創出効果をねらうものとは全く性質が異なっております。

 反対の第二の理由は、この補正予算案は小泉内閣の経済失政の象徴であり、当面の景気対策としても何らプラスにはならないし、提出のタイミングも遅きに失していることであります。

 補正予算案を編成せざるを得ない状況となったのは、政府が構造改革を先送りし続けた結果、四―六月期のGDPが落ち込んだからにほかなりません。景気が悪化したから補正予算を編成するという発想自体が、旧来の自民党政治と何ら変わるところがありません。

 反対の第三の理由は、小泉内閣の経済財政運営の方針が既に破綻をしてしまっており、この補正予算の位置づけも支離滅裂であることであります。

 政府は、当初から、外需、とりわけアメリカ任せの景気回復シナリオを想定しておりましたが、夏過ぎまでにアメリカ経済は予想以上に落ち込み、加えて、同時多発テロの影響によって低迷が長引きそうな中にあって、将来の景気回復への展望も、また財政健全化への道筋も全く見出せなくなってしまっております。

 以上がこの補正予算案外二案に反対する主な理由であります。

 私ども自由党は、日本の仕組みを変えるため、本日までに、特殊法人一括廃止・民営化法案、補助金の廃止と地方独自財源化法案、衆議院一票の格差是正及び定数削減法案を国会に提出をいたしました。今行うべきことは、その場しのぎの補正予算案を編成することではなく、構造改革を前倒しにして進めていくことであることを申し上げ、反対討論を終わります。(拍手)

野呂田委員長 次に、山口富男君。

山口(富)委員 私は、日本共産党を代表して、今年度補正予算三案に対し、反対の討論を行います。

 日本共産党は、通常国会に提案された本年度政府予算が、国民生活の安定と景気の回復に逆行するだけでなく、浪費を拡大し、財政危機を一層深刻化するものとして、これに反対の立場をとりました。今回提出された補正予算案は、本予算を何ら補正するものではなく、構造改革断行の名のもとで、大企業の解雇、首切りを進め、中小企業をさらに苦境に追い込むものとなっています。

 まず、雇用対策です。失業率五・三%、失業者は三百五十七万人と最悪の状態にあるにもかかわらず、雇用創出は、計画どおりでも三年間で延べ百万人にとどまり、わずかな公共部門での臨時雇用も、原則六カ月を超えない期間のつなぎとなっています。これは、失業大国の実態を何ら変えるものではありません。そればかりか、これらは、解雇規制などを緩和する改革先行プログラムと一体のものとして打ち出されており、失業問題の根本にメスを入れて解決を図る対策は全く盛り込まれておりません。

 次に、中小企業対策はどうか。これも、中小企業の厳しい資金繰りを解決するどころか、深刻な不況で経営難に陥った中小企業を倒産に追い込む不良債権の早期最終処理を整理回収機構などを使って促進するもので、中小企業を立て直すきめ細やかな支援策とはほど遠い内容です。その一方、大銀行に対しては、予算総則を改正し、銀行株式買い取り機構に対する二兆円の債務保証を与えるなど、新たな税金投入の仕組みをつくろうとしていることは重大です。

 さらに、本補正予算案は、二〇〇〇年度の決算上の剰余金を全額補正予算の財源に充てています。これは、剰余金の少なくとも半分を国債残高の圧縮の財源に充当することによって財政の健全性を担保しようとした財政法を根本から踏みにじるものであり、財政状況の悪化を広げるものです。

 国民の暮らしと営業は、今、未曾有の危機に直面しています。今必要なことは、失業、倒産など、痛みの押しつけではなく、暮らし第一の政治に切りかえ、国民生活と雇用を守り、個人消費と実体経済を温め、景気の回復を図ることです。

 このことを最後に強く要求し、補正予算三案に反対の討論を終わるものです。(拍手)

野呂田委員長 次に、横光克彦君。

横光委員 私は、社会民主党・市民連合を代表いたしまして、政府が提案しております平成十三年度補正予算三案に対し、反対討論を行います。

 反対の第一の理由は、十人に一人とも言われている大失業時代を迎えつつあるのに、不十分と言わざるを得ない雇用創出・安定化策しか講じられていないことです。

 現下の最大の政策課題は、積極的な雇用安定・雇用創出策の展開による、先の見える安心社会をつくることに収れんされるべきであり、また、このためにこそ政策と財政は総動員される必要があったことは論をまちません。しかるに、手当てされた額が五千五百億円に終わったことをもってしても、底割れ懸念すら現実味を帯びつつある危機的雇用失業情勢の改善に向けた決意があるのかさえ疑わしい補正案だと厳しく批判せざるを得ないのであります。

 反対の第二の理由は、ワークシェアリング推進などに向けた具体策が全くないことです。

 労働時間の短縮がワークシェアリングの効果を持ち、雇用の創出に結びつくことは、EU諸国の成功例からも明らかです。中高年者の生計費を軽減する社会保障制度の拡充を図ることを前提に、同一価値労働・同一賃金を含むすべての権利及び労働条件の均等待遇原則に基づくワークシェアリングの推進こそが、二十一世紀の我が国の真の経済基盤強化につながると言えます。

 このような、人間らしい働き方を前提とした本来あるべき雇用創出策等に何ら踏み込むことができないところに、強気を助け弱気をくじく小泉改革の本質はあらわと言わねばなりません。

 反対の第三の理由は、暮らしの向上に直結する構造改革の具体案の提示がない限り、GDPの約六割を占める個人最終消費が好転することは困難であるにもかかわらず、その手だてが講じられていないことです。

 このままでは、個人最終消費低迷の一層の膠着化によって必然的に生じる税収不足のために、特例公債に頼らない限り、構造改革推進へ欠くことのできないセーフティーネットのための財源すら用意できないことは必至です。生活再建を最優先する構造改革なくして財政再建は成らず、この論理の帰着を政府・与党は真摯に受け入れるべきです。

 よって、政府補正予算三案に反対であることを明らかにし、私の反対討論を終わります。(拍手)

野呂田委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

野呂田委員長 これより採決に入ります。

 平成十三年度一般会計補正予算(第1号)、平成十三年度特別会計補正予算(特第1号)、平成十三年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して採決いたします。

 三案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

野呂田委員長 起立多数。よって、平成十三年度補正予算三案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました平成十三年度補正予算三案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野呂田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

野呂田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十八分散会




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