衆議院

メインへスキップ



第5号 平成14年1月28日(月曜日)

会議録本文へ
平成十四年一月二十八日(月曜日)
    午後三時九分開議
 出席委員
   委員長 津島 雄二君
   理事 伊藤 公介君 理事 木村 義雄君
   理事 北村 直人君 理事 小林 興起君
   理事 藤井 孝男君 理事 枝野 幸男君
   理事 城島 正光君 理事 原口 一博君
   理事 井上 義久君
      伊吹 文明君    石川 要三君
      衛藤征士郎君    大原 一三君
      奥野 誠亮君    金子 恭之君
      上川 陽子君    亀井 善之君
      栗原 博久君    小坂 憲次君
      小島 敏男君    高鳥  修君
      中山 正暉君    丹羽 雄哉君
      西川 公也君    野田 聖子君
      葉梨 信行君    萩野 浩基君
      細田 博之君    三塚  博君
      宮本 一三君    持永 和見君
      森岡 正宏君    八代 英太君
      五十嵐文彦君    池田 元久君
      石毛えい子君    岩國 哲人君
      河村たかし君    鮫島 宗明君
      筒井 信隆君    中沢 健次君
      永田 寿康君    野田 佳彦君
      前田 雄吉君    牧  義夫君
      牧野 聖修君    松野 頼久君
      松原  仁君    松本 剛明君
      山内  功君    青山 二三君
      赤松 正雄君    達増 拓也君
      中井  洽君    中塚 一宏君
      小沢 和秋君    佐々木憲昭君
      辻元 清美君    横光 克彦君
      井上 喜一君
    …………………………………
   内閣総理大臣       小泉純一郎君
   総務大臣         片山虎之助君
   法務大臣         森山 眞弓君
   外務大臣         田中眞紀子君
   財務大臣         塩川正十郎君
   文部科学大臣       遠山 敦子君
   厚生労働大臣       坂口  力君
   農林水産大臣       武部  勤君
   経済産業大臣       平沼 赳夫君
   国土交通大臣       扇  千景君
   環境大臣         川口 順子君
   国務大臣
   (内閣官房長官)
   (男女共同参画担当大臣) 福田 康夫君
   国務大臣
   (国家公安委員会委員長)
   (防災担当大臣)     村井  仁君
   国務大臣
   (防衛庁長官)      中谷  元君
   国務大臣
   (沖縄及び北方対策担当大
   臣)
   (科学技術政策担当大臣) 尾身 幸次君
   国務大臣
   (金融担当大臣)     柳澤 伯夫君
   国務大臣
   (経済財政政策担当大臣) 竹中 平蔵君
   国務大臣
   (規制改革担当大臣)   石原 伸晃君
   内閣官房副長官      安倍 晋三君
   内閣府副大臣       熊代 昭彦君
   内閣府副大臣       松下 忠洋君
   総務副大臣        若松 謙維君
   外務副大臣        植竹 繁雄君
   外務副大臣        杉浦 正健君
   財務副大臣        谷口 隆義君
   厚生労働副大臣      宮路 和明君
   農林水産副大臣      遠藤 武彦君
   経済産業副大臣      古屋 圭司君
   国土交通副大臣      佐藤 静雄君
   外務大臣政務官      今村 雅弘君
   政府特別補佐人
   (内閣法制局長官)    津野  修君
   政府参考人
   (法務省刑事局長)    古田 佑紀君
   政府参考人
   (外務省大臣官房審議官) 佐藤 重和君
   政府参考人
   (外務省中東アフリカ局長
   )            重家 俊範君
   政府参考人
   (外務省中東アフリカ局中
   東第二課長)       宮原 信孝君
   政府参考人
   (国税庁次長)      福田  進君
   政府参考人
   (農林水産省農村振興局長
   )            太田 信介君
   参考人
   (外務事務次官)     野上 義二君
   予算委員会専門員     大西  勉君
    ―――――――――――――
委員の異動
一月二十八日
 辞任         補欠選任
  奥野 誠亮君     森岡 正宏君
  亀井 善之君     金子 恭之君
  小坂 憲次君     西川 公也君
  持永 和見君     上川 陽子君
  赤松 広隆君     牧野 聖修君
  河村たかし君     石毛えい子君
  山口 富男君     小沢 和秋君
同日
 辞任         補欠選任
  金子 恭之君     亀井 善之君
  上川 陽子君     持永 和見君
  西川 公也君     小坂 憲次君
  森岡 正宏君     奥野 誠亮君
  石毛えい子君     牧  義夫君
  牧野 聖修君     赤松 広隆君
  小沢 和秋君     山口 富男君
同日
 辞任         補欠選任
  牧  義夫君     山内  功君
同日
 辞任         補欠選任
  山内  功君     永田 寿康君
同日
 辞任         補欠選任
  永田 寿康君     鮫島 宗明君
同日
 辞任         補欠選任
  鮫島 宗明君     松原  仁君
同日
 辞任         補欠選任
  松原  仁君     前田 雄吉君
同日
 辞任         補欠選任
  前田 雄吉君     河村たかし君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 会計検査院当局者出頭要求に関する件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 平成十三年度一般会計補正予算(第2号)
 平成十三年度特別会計補正予算(特第2号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――
津島委員長 これより会議を開きます。
 平成十三年度一般会計補正予算(第2号)、平成十三年度特別会計補正予算(特第2号)の両案を一括して議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として法務省刑事局長古田佑紀君、外務省大臣官房審議官佐藤重和君、外務省中東アフリカ局長重家俊範君、外務省中東アフリカ局中東第二課長宮原信孝君、国税庁次長福田進君、農林水産省農村振興局長太田信介君、国土交通省河川局長竹村公太郎君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第四局長有川博君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
津島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
津島委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原口一博君。
原口委員 民主党の原口一博でございます。
 関係大臣に、数点にわたり、事実そして基本的なスタンスをお伺いしたいと思います。
 まず、外務省問題についてでございますが、委員長、お許しをいただいて、委員に資料を配付させていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
津島委員長 どうぞ。
原口委員 この一ページ目をごらんいただきたいと思います。
 会計検査院から報告のあった、いわゆる官房機密費、官房報償費の流れでございます。そして、総理外国訪問に係る経費の内訳、そして、松尾事件会計検査院報告、これは、私が長い報告の中から抜き出したものでございます。
 そこで、官房長官に基本的な御認識を伺いたいと思いますが、報償費に関するこの会計検査院の報告を見ると、内閣官房と外務省で事務と経費の分担が明確になっていないという指摘がございます。また、なぜ松尾室長がこの事務を所掌するようになったか、そのことも明確ではない。そして、特にこのお金は、一の資料にございますこの上の絵の一の一、内閣官房長官に直接渡されるお金から出されていたということが会計検査院の指摘によって明確になっておるわけでございます。
 これまで、本委員会でも、外務省から上納はなかったという答弁を官房長官そして外務大臣はなさってきましたが、それと矛盾しているんじゃないか。足りない分は、ここにしっかり書いてあるように、外務省の報償費等で補てんしていたのではないか。基本的な認識を伺いたいと思います。
福田国務大臣 ただいま御指摘の点につきましては、会計検査院の報告に、内閣官房と外務省で事務と経費の分担が明確になっていない、この指摘についてであろうかと存じますけれども、これは、これまで総理の外国訪問に際しましては、現地で必要となる自動車や会場借り上げ等に関する契約などの事務は、外務省が通常の外交政策を遂行していく、こういう上で必要となるものも含め、実質的に外務省が一括して行うということになっておりました。
 その費用分担については、個々の使用目的に応じ内閣官房と外務省が分担を行ってきたということでございまして、その範囲の取り決めが明確でないということはございました。また、支払いに関して内閣官房から外務省に対して正式な会計手続がとられていなかったということを指しているものと認識をいたしております。
 そういう御指摘というか、そういう明確でない点がございましたので、内閣官房においては、既に平成十三年度から、現地で必要となる自動車の借料等の庁費の支払いというものは外務省に支出委任を行い、会計責任の明確化を図るなどの改善処置を講じております。
 さらに、平成十四年度におきましては、総理の外国訪問に必要な経費のうち、内閣官房の職員の宿泊などに要するいわゆるホテル代、そういう経費以外は外務省において予算措置を講ずることといたしておりまして、内閣官房と外務省との間における事務分担、そして経費の分担の一層の明確化を図っております。
 また……(原口委員「聞いてないです」と呼ぶ)そういうことでやっておるところでございます。
原口委員 前回もこの質疑でお願いをしましたが、聞いたことだけお答えをいただきたいんです、限られた時間でございますので。
 私は、過去にこういう所掌がはっきりしていないということは、どこからどこまでが外務省のお金で、どこからどこまでが内閣官房のお金かわからない。とにかく内閣官房で一括して払っていたということであったら、これは実質的に上納じゃないですか。違うんですか。違うんだったら、どう違うというふうに教えてくださいということを聞いているんです。どうぞ。
福田国務大臣 これは、そういうように経費が入り組んでいたということがあったわけですね。これを上納と言うかどうか、私どもは上納というふうに言っていない。要するに、経費の明細が、項目によって向こうで負担してもらうとかいうようなことがあった。そういうような事実があったということは確かでありまして、それは、現在と申しますか、十三年度から明確にして疑いのないようにするというように改めておるところでございます。
原口委員 何を上納とするか、この定義を聞いているんではありません。実際に外務省機密費が内閣官房から払われるその経費の中に入っていたということは、今もお認めになったとおりでございます。
 この資料二をごらんになってください。二十五ページに、外務省の松尾元室長の事件に関して「松尾元室長が関与したと思われる総理外国訪問の全てについて損害額を確認し債権保全措置を講ずるまでには至っていない。」と書いてあるんです。どういうことですか。国民の税金をたくさん使って、そして、これは官房報償費だけじゃなくて、外務省報償費についてもどれほど指摘されていますか。こういう体質を変えるために田中大臣は出てきたんじゃありませんか。
 私は、委員長にお願いをしたいんですが、二十五日の政府委員の答弁はとても容認できるようなものではない。同じ質問を何回も繰り返して、そして約一時間を浪費した。このことについては、委員長からしっかり、質問したことに答えるように、そして誠意を持って国民に対する説明責任を果たすように御注意をいただきたい、このように思うんですが、いかがでございましょうか。
津島委員長 そのとおりでありますので、しっかりと政府委員、答弁してください。
原口委員 機密費の問題、報償費の問題は何も終わっていないということを指摘し、今回の問題に移りたいというふうに思います。
 NGOの参加拒否問題についてでございます。
 まず、事実関係だけを伺います。幾つのNGOから参加申請があり、外務省は幾つについて断ったのか。それは、いつ、だれが、そしてどんな理由で断ったのか、お尋ねを申し上げます。
重家政府参考人 お答え申し上げます。
 今回の会合には、多くのNGOから参加の希望が寄せられておりました。約二十五の団体から希望が寄せられたというふうに記憶しております。こういう状況の中で、今回の会合への参加NGOは、アフガニスタンのNGOを中心にしてやろうという共同議長国間の合意もございましたので、我が国を含め、国際NGOの参加は、現地での活動を十分に行っているかどうかといったような基準に基づいて絞らざるを得なかったわけでございます。
 そしてその結果、最終的には、日本側、二十日でございましたが、二十日の会議に参加していただいた方々は十二団体であったということでございます。
 この決定は、外務省の中で検討いたしまして決定したということでございます。
原口委員 現地での活動を行っているかどうかというのが、これの、呼ぶか呼ばないかのメルクマールだったということですね。
 資料をごらんになってください。資料五、これは今回問題になっておりますピースウィンズ・ジャパンのホームページからとらさせていただいたものでございます。私も、民主党の市民政策議員懇談会の事務局長として縁の深いNGOでございます。ジャパン・プラットホームとともに、このピースウィンズ・ジャパンというのは大変現地に即した活動をされています。
 今の答弁、おかしいんじゃないですか。
重家政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど申し上げましたように、アフガニスタンで活動を行っているかどうかといった点を勘案して決定したわけでありますが、先ほど先生御指摘のピースウィンズ・ジャパンは、アフガニスタンで活動を行っておられることは十分私どもも承知しているところでありますが、いろいろな経緯によりまして信頼関係を損なうような事態があったということがございましたので、そのことを踏まえまして検討した結果、不参加という決定をしたということでございます。
原口委員 最初からそう言えばいいじゃないですか。現地での活動を行っているかどうか。ここの五に書いてありますように、越冬用のテントを配布、本当に日本のNGOの中でも草分け的で、大変大きな活動をやっている、こういうところです。
 それでは、外務大臣にお尋ねします。
 私たちは、予算委員会で外務大臣が御答弁をされた、そしてある政治家の名前があったんではないか、それは事実だということを何回もおっしゃった。そして、その中で、まだこの委員会審議が始まるか始まらないかのうちに事務次官が記者会見をし、そして自分が言ってもいないようなことを大臣が予算委員会で言うのはまるでカミュの世界だ、カミュって、多分フランスのカミュのことだと思いますが、不条理の世界である、こんなことを言うわけです。
 こんな不条理のことを私たちが許すわけにはいかないんです。外務大臣が違うことをおっしゃっているのか、それとも野上事務次官が違ったことを言っているのか、その辺、大臣、基本的な御認識をまずお伺いしておきたいと思います。
田中国務大臣 お答え申し上げます。
 私が先日の予算委員会で申し上げていることに、何ら間違いはございません。
原口委員 先日の予算委員会、もう一回それをここで事実として再現をしておきたいと思います。
 田中大臣はこういうふうに、一月二十四日の予算委員会の質疑の中で我が党の菅幹事長の質問に対して、菅さんが何回も、「そうした名前があったというのは、もうちょっとはっきりさせていただきますが、鈴木宗男さんといった名前があったということを言われたわけですね。」という質問をしています。これに対して大臣は、「その日も電話でもおっしゃっていましたし、また、けさの予算委員会の前のときも具体的に名前をおっしゃって認めておられました。事務次官が言っておりました。」こういうふうにお答えになっています。
 これは、鈴木宗男さんという名前を事務次官が言っていたということで認識してよろしいですか。
田中国務大臣 結構でございます。
原口委員 鈴木宗男さんが――鈴木宗男さんと言っていいのかな、鈴木宗男代議士が、「けさの予算委員会の前のとき」に、そのお名前が事務次官の口から出たということを今はっきり確認させていただきました。
 さて、並行して事実についてお尋ねをしたいと思います。
 私も、ピースウィンズ・ジャパンに直接電話を入れて事実を確認してみました。十九日午後四時ちょっと前に、その鈴木宗男さんが怒っている、朝日の「ひと」欄に、お上の言うことは信用できないと紹介されたことを指して、先ほど局長がおっしゃった信頼関係を損なうというのはこのことではないかと思いますが、謝りの電話を入れてほしいということが外務省の方からあったということでございますが、朝日の「ひと」欄、何て書いてあったのか、これも資料で御提示をしています。四ページ。
 これだけの記事をもとにNGOに圧力をかけたり、あるいは、さまざまなことが行われる。小泉内閣は何を目的にしているのですか。これまで先送りをし、族議員という体質が公益を私物化してきた、これを壊すために改革者として期待を受けているのじゃないのですか。外交は、憲法七十三条を持ち出すまでもなく、内閣の専権事項です。この内閣の専権事項に、議員が口を突っ込めば変わるのですか。
 そこで、事実を伺いたい。十九日午後四時ちょっと前に、この電話はだれが入れたのか、そして、これは事実なのか、なぜなのか。局長にお伺いしたいというふうに思っています。
重家政府参考人 お答え申し上げます。
 大西代表との電話の内容を逐一、一言一句正確に記憶しているわけではございませんが、私自身が、十九日の午後、大西さんに電話をいたしました。十九日の夕方十八時からNGOの登録の時間が始まることになっておりましたので、非常に事態が迫っておりまして、何とか事態を打開したいということもございまして電話をしたわけでございます。その際、私自身から、朝日新聞の記事につきまして、外務省自身として、記事の内容は遺憾である、問題であるという趣旨を伝えたと記憶をしております。
 それからまた、昨年来、ジャパン・プラットフォームの活動をめぐりましてさまざまな意見が表明されていたことも念頭にございまして、今回の朝日の記事についても、自民党の対外経済協力特別委員会の委員長でおられます鈴木先生に何らかの説明をした方がいいのではないかというふうに思いまして、この点を大西さんの方に伝えたと記憶をしております。
 以上でございます。
原口委員 あなたがお電話をされたということがここでわかりました。
 この四の、この記事のどこが問題なのか。外務大臣、私は、やはり公益を自分たちが代表するという考え方はもうやめた方がいいと思うんですよ。NPOやさまざまな国民の皆さんが支えているのです。
 さあ、この四のどこが問題なんですか。どうぞ。
重家政府参考人 お答え申し上げます。
 私ども、現場で仕事をしておりまして、この記事を読みまして、まず最初のところとか、それから最後のところとか、それから最後の下にございます「お上の言うことはあまり信用しない」というようなことにつきましては、私どもも非常に失望をしたわけでございます。また、以前、一月の上旬にほかの新聞等にも、同じような内容ではございますが、出ていたということがございます。
原口委員 私は、今恐ろしい答弁をされたのだと思います。だれでも自由に自分の意見を言い、そして、それが政治的であろうがなかろうが、あるいは体制を批判しようが批判すまいが、自由であるはずじゃないですか。
 あなたは、鈴木宗男さんが怒っているということを言われたと証言をいただいていますが、鈴木さんは同じことを怒っていたんですか。そして、鈴木宗男議員の方から電話があったんですか。それともあなたの方が、こうやって自分たちに逆らうNGOは参加をさせないでおきましょうか、そういうふうにおっしゃったんですか。違うでしょう。鈴木宗男さんが怒っている、謝りを入れさせろ、こういうふうにおっしゃったんじゃないんですか。違いますか。
重家政府参考人 お答え申し上げます。
 これに関しまして、私の方に鈴木先生から電話があったわけではございません。それから、大西さんに私が電話した際に、鈴木議員が怒っているというようなことを言われておりますが、私の電話の内容、先ほど申し上げましたように、恐縮でございますが、一言一句記憶しているわけではございませんが、そのように述べたとは記憶しておりません。
 ただ、この記事を見まして、私ども外務省の者が、言葉は適当でないかもしれませんが、怒っているというような趣旨のことを述べたことはあるかと思っております。
原口委員 私は、今みたいな答弁を続けられるとなかなか質問しにくいなというふうに思います。外務省が怒っている。これ自体だって大問題ですよ。皆さん、公務員の規範をお読みになったことがあると思います。中立でしょう。
 今の答弁、もう一回繰り返してください。私には到底理解できない。
重家政府参考人 お答え申し上げます。
 今の言葉が不適切であったかと思いますが、私どもは、NGOの方々と一緒にやっていこうということでやっておりましたので、あの記事を見まして、そういう信頼といいますか、裏切られたといいますか、そういう感じを持ったということでございます。
原口委員 本当に傲慢と不遜の答弁だというふうに思います。
 中東二課長に伺います。
 その後、あなたは高輪プリンスに飛んでいかれて、出ることをやめることはできないかということを、登録を始めていたこの代表に言われています。政府に批判的で非協調的だから政府の主催する会議に出すわけにはいかない、こういうことをおっしゃいましたか。
宮原政府参考人 お答えいたします。
 当日、六時半ごろ大西氏が登録にいらっしゃったということは聞きましたので、七時に登録場所に参りまして、同大西氏に対して、今回の参加を辞退してもらえないかということを私の方から申し上げました。
 理由としては、これまでいろいろと話をしてきたんですけれども、今回の十八日の記事というものがあって、外務省としては、非常に、一緒にやっていこうとしている部分について信頼を裏切られたというふうに感じている、そういう意味で今回は辞退していただきたい、そういうふうに訴えました。
原口委員 公の、国民の税を使い、そして世界じゅうの国民がアフガニスタン復興にかけるこの思いを結ぼうというときに、あなた方はそういうことをやっていたという事実がはっきりしたわけであります。
 政府に批判的で非協調的だから政府の主催する会議に出すわけにはいかない、おっしゃったでしょう。違いますか。
宮原政府参考人 お答えいたします。
 私が具体的にそういう言葉を言ったかどうかということについてきちんと覚えているわけではございませんけれども、今言ったようなお話をしたと思います。
原口委員 今言ったようなというのは、私が言ったようなということですか。
宮原政府参考人 お答えいたします。
 訂正させていただきます。今先生がおっしゃったような言葉を使ったと思います。
原口委員 外務大臣に伺います。
 あなたの外務省はどうなっているんですか。私はこの委員会に野上事務次官も来ていただくようにということで要求をしております。なぜか。それは、野上事務次官が、あなたがこの委員会で答弁をされたことと全く違うことを、国会では説明もせずに、記者会見をしているということなんです。
 このことについてどうお思いになるのか、お伺いをいたします。
田中国務大臣 全く言語道断だと思っております。
原口委員 言語道断とまで、強いお言葉でございます。
 私は、こういう状況の中で大臣と事務方のトップとが全く違ったことを言っている。そして、それを責任者である大臣は言語道断である、このように言われています。
 私は、まず、ここまで言われるんであれば、本委員会に野上事務次官をお招きして真偽を確かめるべきだ、このように思いますが、委員長の確約をお願い申し上げたいと思います。
津島委員長 理事会でよく相談をいたします。(発言する者あり)
 原口委員にお願いを申し上げます。答弁はかなりはっきりしておりますから、それを踏まえて、今の外務事務次官の件については理事会で相談をすると申し上げておりますから、それを踏まえて質問を続行してください。(発言する者あり)
 それでは、原口委員の御要請に申し上げますが、与党の理事も誠意を持って御相談すると言っておりますから、それを踏まえて質問を続けてください。
原口委員 誠意を持って対応するということでございますが、ここは少し詰めておきたい。
 と申しますのは、内閣の中が一致していないんですよ。政府全体の、一体何を考えているのかがよくわからない。官房長官はこの間、外務大臣の方が勘違いしているんじゃないか、そして我が党の議員の質問に、それを私に聞くのは筋違いじゃないか。ここは、そちらの方が筋違いだと強く言っておきます。
 今の言語道断であるという外務大臣の答弁、これでよろしいですか、官房長官。
福田国務大臣 ちょっと私、外務大臣が今発言された言葉がどうかと言われてもちょっと困るんですけれども、まあ、言われたんだから、そのとおりだと思います。
原口委員 ふざけて答弁しないでほしいんですよ。私に言われてもって、だって、内閣全体をあなたが所掌するんでしょう。まとめ上げるんでしょう。
 私は、事務次官をしっかりと呼んで、そして真偽について白黒させなきゃいけない。何回も言いますけれども、私たちが外交を担当していないんですよ。あなた方が担当しているんですよ。その大事な国際会議の中で、大臣と事務方のトップとが違う。こんなのでどうやって審議できるんですか。皆さんはどういう見解をお持ちなんですか。その基本的なスタンスがわからない。
 私は、言った言わないとか、そんな話をここでやっているんじゃないんです。事実を詰めていくといかに醜いものが出てきたのか、今答弁の中で明らかじゃないですか。官房長官、あなたとしての考え方、こういう状況が外務省で起こっている、外務事務次官と外務大臣の間で意見が食い違っている、このことを内閣を総括するお立場としてどのように責任をお感じになり、そして、言語道断とまで今、田中大臣がおっしゃるからには、しかるべき措置をとられるべきだ、このように思うんですが、いかがでしょうか。
福田国務大臣 外務省のことでございますので、外務大臣が統率されていらっしゃるんだから、外務大臣がリーダーシップを発揮されて内部調整をされる、そうあるべきだと思います。
 私も、今回のことにつきましては新聞報道で初めて知ってびっくりした、一面トップだったと思いますのでね。せっかく、アフガニスタンの支援会議が順調に、極めて順調に、日本の存在感を久しぶりに発揮できるいい機会だ、それがうまくいっているんだということを喜んでいたところにこういうことが起こったわけでございますので、非常に残念に思い、その事実関係も直ちに聞きました。そしてその結果、その後で、この問題は当該NGOを参加させるということで決着したということを聞きまして、ああ、それはよかった、こんなふうに思っているわけであります。
 ですから、今後、外務省の中でしっかりとこの辺のことについて調整をして、その上で、NGOももちろんそうでありますけれども、外交政策全般にわたりしっかりと対応していただきたい、このように思っているところです。
原口委員 外務省の問題だから外務省に任せておけばいい、これはあなたと総理の態度はよく似ていますよ。私はこういうこと自体が――憲法七十三条に何と書いてありますか。「内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。」「外交関係を処理すること。」二です。全体としてやらなきゃいけないんですよ。それが崩れているんです。しかも、あなたはおとといの、先週の質問のときに、勘違いと。全然違う答弁をされていたじゃないですか。
 外務大臣、私は、今までのような、予算やあるいは法律といったことを、口ききをし曲げる、そして権力を使って、草の根無償援助のようなものまで一部の国会議員が口を出している、こういう疑いまで出たわけです。このことについてどのようにお考えになるのか、基本的な認識をまずお伺いしたいと思います。
田中国務大臣 前回の予算委員会の席でも申し上げたかというふうに思いますし、また二十四日でございましたか、菅直人先生の質問がありまして、それに対する準備の勉強会を政府委員室で早朝からいたしました。そのときの話が言った言わないになっているわけでございますが、そのときにも私は、事務次官、それから重家局長等もおりましたけれども、まあ事務次官は後から入ってこられたわけですけれども、ほかの関係者の前で、とにかく基本的なことは、どこの省庁でもそうかもしれませんけれども、外部の方から意見とかアドバイス等があるかもしれない、しかし大局を決して見誤ってはいけないのだ、殊にこの復興会議については世界じゅうが、日本政府ももちろんですけれども、それぞれの国家、国際機関及びNGOが有機的にお互いに三位一体となって連携することによってアフガン復興ができるのであるから、そこのところは絶対に忘れてはいけないし、ねじ曲げてはけしからぬ、そんなことがないようにということは申し上げてございますので、それはもう私の基本的な考え方であります。
原口委員 今の認識と私も同じであります。しかし、その中で、今のような外務省の状況であれば、言語道断なことをした人たちをあなたがどのような処分をし、そしてどのように外務省を改革されるのか、そのことまで伺わなければいけない。
 それともう一つは、総理についても、あなたに任せます、そんな態度でいいんでしょうか。私は、高い支持率の中で少し鼻が高くなっていらっしゃるんじゃないか。だれが、何を総理に期待して改革を託しているのか。一生懸命やっているその大臣に、あなたのところでやってくれ、女性が泣かれたら困るもんな、こんな話じゃないはずです。
 大臣、野上事務次官初め今御答弁がお二人、ありました。こういう方についてどのように対処をされるんですか。明確な答弁を求めます。
田中国務大臣 世間の総理に対する態度とか御発言についてのことは、もう世間の皆様の御判断にお任せするのであって、私は小泉内閣の閣僚を拝命いたしておりますので、私が一番念じておりますことは、自分の政策課題に一日も早く専念できるようにしたい。そして、今までにも最善のことをしてまいりました。そのことが速やかに遂行できるような環境にしてほしいというふうに思っております。
 それから、内部のことにつきましては、やはり残念ながら局長以上、特に次官の人事につきましては、皆さんも御存じのとおり、官邸マターになっておりまして、六月の人事で大変もめたことも御存じであるというふうに思いますので、今後、やはりこうしたことも、実態は、私が外務省を所掌させていただいております限り、実態を一番やはりこの九カ月間の中でもって把握しているつもりでございますので、閣内でも官房長官初め御関心を持っていただき、御指導していただくのも大変ありがたいんでございますけれども、そのことによって大局が間違うこともあるといけませんので、御指導は賜りたく存じますけれども、私が責任を持って人事をやりますときには、ぜひ御協力を総理大臣からも官房長官からもいただきたく、心からこいねがうところでございます。
原口委員 答弁されるたびに私も非常にびっくりするんですが、外務省の事務次官の人事が官邸マターになっている。英語がよくわからないんですが、官邸マターというのはどういうことですか。
田中国務大臣 もちろん幹部の人事は大臣の専権事項でありますけれども、やはり局長以上につきましては、殊に外務省が慣例なのかどうかは私は前任者にでも聞かなきゃわかりませんけれども、やはり官邸でちゃんとチェックをなさっているというのが実態でございます。
原口委員 官房長官、これは事実ですか。
福田国務大臣 人事権者は各省大臣でございます。そこから上がってきます幹部人事については、内閣官房に人事検討会議というものがございます。特に問題なければそのとおり了承するというようなことになっておりますけれども、時によってはこのことについて意見を申し上げる、各省に、大臣に意見を申し上げる、そういうようなことはございます。
原口委員 具体的な、個別名を出すと非常に厳しいのであれなんだけれども、では、この事務次官の人事は、外務大臣、御意向に沿った人事だったんですか、それとも今おっしゃる官邸マターだったんですか。
 そしてもう一点。
 言語道断だとまで言われるんであれば、あなたがこの事務次官に命令をし、国会に行ってしっかりと説明をすべきだとアドバイスなり命をされるべきじゃないかと思うんですが、二点についてお伺いします。
田中国務大臣 要は、組織の長は大臣でございます。どこの役所もそうです。したがいまして、その所掌をする政策課題に専念をして実を上げるということに協力をするようなスタッフ、そうした人材を求めていくのは当然であると思いますし、余りトラブルが多いということは好ましくございません。
原口委員 二つ質問をした私が悪かったのかもわからない。
 一つは、まず、今回の事務次官人事というのは、いわゆる官邸マターであって、あなたの意に沿う人事であったのか。イエスかノーか。
 もう一つは、言語道断とまで言うからには、しっかりこの国会で説明してきなさいと。私たち予算の委員会の中で出たこの問題でございます。それをしっかり予算委員会に行って説明責任を果たせ、こういうことをおっしゃるお気持ちがありますか。
 この二点についてお伺いします。
田中国務大臣 意に沿うかどうかということにつきましては、これはもう先ほど官房長官もおっしゃったような暗黙のルールがございますので、私からお答えを今申し上げることはできません。
 それから、二点目につきましては、先ほどの繰り返しになって恐縮でございますけれども、やはり職を遂行するに当たって本当に胸襟を開いてお互いに率直に意見を言い合えて、いない留守にいたずらをしたり変わったことをやったりしないように、しっかりと外務大臣の顔を見て、そして内閣全体の方針に沿うような活動をしてくれる人を私は今後求めていきたいというふうに思いますし、総理大臣のお考えも同じであるというふうに思います。
原口委員 国会に対する説明責任を果たせとおっしゃるかおっしゃらないか、これを聞いているんです。
田中国務大臣 理事会での決定というものがございますから、それを尊重することになると思います。
原口委員 大臣は、御自身の責任を全く痛感されていないんじゃないですか。事務方がこういうひどいという、今のような答弁をすることも、これも問題ですよ。しかし、あなたには外務省を統括し管理する責任があるんですから。そして、あなた御自身が言語道断とまでおっしゃったんじゃないですか。理事会のことは理事会で決めますよ。私たちは呼んでくれと。今も委員長並びに藤井筆頭が、誠意を持って対応する、こうおっしゃったわけだから、ここはもう結論が出ているんです。
 問題はあなたの方なんです。あなたの方がどうされるかということを聞いているんです。政府の方がどうするかということを聞いているんです。
田中国務大臣 これは、繰り返しますが、理事会マターでございますが、今回の件につきましては、私はきょう早くに小町官房長に電話をいたしまして、理事会でお声がかかった場合には、逃げたりしないで、必ず事務次官が出ていって話をするようにということは申してございます。しかし、これは理事会マターでございます。
原口委員 最初からそういうふうにおっしゃっていただければ済む話なんです。
 さて、時間が随分たってきました。私は、総理が御出席の中でもう一回この問題について質問をいたしますが、政府参考人のお二人にまたお伺いしたい。
 鈴木議員から電話があったということは一体どういうことなのか。そして、その内容については何だったのか。このことについて、局長、御答弁をいただきたいと思います。十九日に鈴木議員から電話があった、それは違うんだ、そうではなくて、いつの時点で、そして何を怒るようなことをおっしゃっていたのか、事実についてお伺いいたします。
重家政府参考人 お答え申し上げます。
 鈴木先生から私どもの方に、NGOにつきまして全般的な意見や照会を言ってこられたことはございますけれども、今般の会議の参加、不参加という、そのことにつきまして具体的に言ってこられたことは一切ございません。そういう意味で、先生から参加問題について圧力があった、かかったということもございません。
 いずれにしましても、私ども、いろいろ機会をつくりまして、与野党の先生方にもいろいろな御説明等をさせていただいておるところでございまして、そういうことは通常のこととしてやっておるわけでございます。
 そういう中で、今月の前半だったと思いますが、アフガニスタンの復興支援会議につきまして、関係の先生方に御説明させていただく中で、これは私自身も参りましたけれども、鈴木先生にも説明をさせていただいた、こういうことでございます。
原口委員 本当に、正しいことをおっしゃってください。今の一つとってみても、さっきの外務大臣の御答弁とあなたの答弁と違うじゃないですか。「予算委員会の前のときも具体的に名前をおっしゃって認めておられました。」と。
 参加、不参加ということで電話があったんじゃないですか。違うんですか。
重家政府参考人 お答え申し上げます。
 先生の方から参加、不参加について御連絡があったということはございません。先ほど申し上げましたように、全般的なお話の中で、アフガニスタンの治安状況とかNGOの治安確保が大事だ、そういう話はあったと申し上げた次第でございます。
原口委員 大臣、あなたがさっき三十分ぐらい前におっしゃったことと違いますよ。大臣の答弁を求めます。
 鈴木議員が具体的にこういうことをおっしゃった、どちらから電話をかけたかというのは、それはまた別ですよ。あなたの方からかけておっしゃったのか、それはわかりません。こちらから不参加にしておきましょうかとか、あなたが持ちかけたのかもわからぬ。それはわからぬ。しかし、大臣がさっきおっしゃった答弁とあなたの答弁とは明確に事実が違う。
 大臣、どうぞ。鈴木議員は、このNGOの参加、不参加問題について、しっかりとおっしゃっていたわけですよね。三十分前にそういう答弁をされていますが、田中大臣に明確な答弁をお願い申し上げます。
田中国務大臣 私は基本的に、言った言わないについてここで議論をすることは本当にどうかというふうに思っておりますけれども、ですけれども、私がこれから申し上げることがございます。
 それは、一月二十一日だと思いますけれども、ちょっと簡単に早口で申し上げさせていただきますけれども。
 一月二十日の夜、パウエル長官とお会いをして、レセプションで私がスピーチをした帰りがけに、メディアから、一部のNGOを排除するという情報があるけれども知っているかと言われました。私も秘書官もびっくり仰天して、知らないと言いました。私は夜じゅう気になっておりまして、翌日は極めて忙しいスケジュールで、七時二十分に家を出てから、夕方の、九時近くまでだあっと会議が入っておりました。ですが、翌日二十一日の朝八時十五分に、重家局長に私は電話しておりまして、そのときに走り書きをしたメモがここにございます。
 それは、臨時閣議があったので朝早かったんですけれども、官邸から高輪プリンスへ行く車の中から電話をいたしまして、そういう話があったというのをきのうの夜マスコミから聞いたのだけれども、これは本当かと聞きましたらば、もうこれは大臣、そのときに名前を出されまして、いろいろないきさつがある、そしてこれは事実だと。何でそんなことしたのか、なぜ私に言わなかったのか、どういうことかと言ったときに、具体名が出ました。
 それから、その後で、私はもうびっくり仰天したんですが、その後、ずっと会議をやっておりまして、これはパウエル長官と総理が会談なさるときに、私と塩川大臣が陪席をしたわけですが、その寸前に、私、忙しい時間を縫ってかけたんです。このことがもう私は本当に頭から離れませんで、大問題になると思いました。
 そして、次は、今度は十一時十五分に、これは高輪プリンスのホテル内で――そのとき私、重家さんにも言ったんです、野上さんもこの話を知っているのかと八時十五分に言ったら、もちろんだと。野上次官ももちろん承知している上からの全部の話であるということを聞きましたので、野上さんに言ってすぐ出席してもらいなさい、これを言ってくださいということを私は言ったのです。
 ところが、返事もありませんで、十一時十五分に私、ホテル内から電話をいたしまして、もうきょうは時間がたって、きのうは終わってしまったから、二十日の日は、したがってあすは必ず出席してもらいなさい、そう言いました。そうしたらば、野上さんは非常に不機嫌になりまして、鈴木さんは難しい人だ、それから前からの経緯もある、鈴木さんの言うことを聞かないというわけにいかないので、これは絶対に出席させられないということを言ってありますと。
 そこで私は、あなたはそんなことを言うんだったらば、この今回の会議の趣旨、すなわち国家と国際機関とそれからNGOが有機的に働いて、お互いにこの復興にかかわっていくという本分と違う、それから、私たちも今そのために日本で会を主催してここまでやっているのに、それはもう根本から外れることだということを申しました。それで私は、どうしてもそれはできないというふうに野上次官が電話で言い張ったので、私は、職を賭してあなたはそのように反対をするんですかと申しましたらば、職を賭してというのはだれが言っているんだと、すごい怒声といいますか強い調子で言われまして、私は、私ですと言いました。
 そういうことがありまして、後は天皇陛下が御臨席の開会式もあったりいたしましたけれども、その後いろいろございましたけれども、私は幹部たちとも接触をしながら話をしましたけれども、全員、局長やら幹部たち、ほとんどの方たちは知っている事実でございました。
津島委員長 原口一博君。(発言する者あり)
 原口委員に申し上げます。
 ただいまの外務大臣の答弁を伺いますと、関係者のしっかりしたお話を伺う必要があると委員長としては考えますので、善処をいたします。
 では、質問を続けてください。(発言する者あり)
 原口委員、質問を続行してください。
原口委員 重家局長、もう一回答弁してください。
 今大臣がおっしゃったことと、この一時間あなたがおっしゃったことは、全く違います。どうぞ。
重家政府参考人 お答え申し上げます。
 二十一日、朝、大臣からお電話をいただいたことは事実であります。私自身もよく覚えておりまして、その二団体の方々を二十二日のオブザーバーとしての出席に含めるようにという御指示をいただきました。そういうことでやったわけで、相手の団体にお伝えさせていただいたわけであります。
 いずれにしましても、その関連で混乱を招いたことは、私どもも恐縮に、また申しわけなく思っております。
 それから、二番目に、さらにその日の夜、大臣に、私自身、私自身といいますか、私から間接的に御報告したことも事実でございます。
 また、その日、その次の二十二日の朝八時ごろだったと思いますが、大臣に直接御報告したことも事実でございます。
 ただ、先ほど大臣が言われました、まことに私自身申し上げにくいわけでありますが、私の電話連絡の中で、鈴木先生の名前を含めてお話ししたというようなことは、私の最前の記憶に関する限りございません。(発言する者あり)
津島委員長 原口君。(発言する者あり)
 では、速記をとめてください。
    〔速記中止〕
津島委員長 速記を起こしてください。
 それでは、外務省の重家中東アフリカ局長、しっかりと答弁してください。
重家政府参考人 先ほど御答弁申し上げました件につきまして、いろいろ会議もやっておりまして、いろいろなことが起こっておりました。したがいまして、記憶が不定かだったかもしれません。
 以上でございます。(発言する者あり)
津島委員長 それじゃ、速記をとめて。
    〔速記中止〕
津島委員長 それでは、速記を起こしてください。
 中東アフリカ局長、しっかりと質問にもう一度答えてください。(発言する者あり)御静粛にお願いします。
重家政府参考人 先ほど記憶について申し上げましたけれども、定かでありませんし、そういう意味で、大臣の御答弁のとおりかと思います。
津島委員長 原口一博君。(発言する者あり)
 原口君、質問を続けてください。
 原口委員、質問を続行してください。
 原口委員、答弁がありましたから、質問を続けてください。(発言する者あり)
 原口委員に申し上げます。
 論点を整理するために、要点を原口委員からもう一遍御質問いただいて、そして、大臣と局長に答弁をさせます。
原口委員 私が、今までと違う答弁をしている人の論点を整理するというのも、なかなか難しいことでございますが、まず、今まで何時間もわたってこの問題について答弁をしてきたことが、記憶があいまいであるということで、先ほど二十分ほど前には大臣とは違う答弁をしていたことがどうして変わったのか。ということは、鈴木議員が圧力をかけて、しっかりとこのNGOの参加不参加問題については言ったということを認めたということですね。
 私は、今までの答弁を全部撤回し、そして全部一からやり直すということなのか、局長並びに外務大臣から明確なお答えをいただきたい。国会でこんなふうに質問を愚弄された、こんなことは私たちは国民を代表する者として絶対に許さない、このことだけを申し添えて、答弁を求めます。
津島委員長 まず、外務省重家中東アフリカ局長。
重家政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたところの趣旨は、以下のとおりでございます。
 私の記憶につきましては先ほど申し上げたとおりでございますが、私の先ほど申し上げたかったことは、大臣がそういうふうに言われておりますので、そういうこともあるかもしれないということを、そういう趣旨を申し上げたわけでございます。(発言する者あり)
津島委員長 御静粛にお願いします。
 外務大臣田中眞紀子君。
田中国務大臣 私は、きょうは一つの、委員長に申し上げますが、決意を持ってきょうは臨んでおります。それは、与党であるとか野党であるとかということではなくて、政治に対する不信を払拭できるかどうか、それからもう一つは、外務省改革をきょうできるかできないか、意を決して来ております。
 したがいまして、今、重家局長は、大変つらかったと思うんですけれども、たくさんのプレッシャーの中でよく言ってくれたと思っています、まだ迷っているように聞こえますけれども。しかし、きょうも先ほど、この委員会の前の勉強会のときにも、あなた、もう偽証みたいなことはしないでください、国会を愚弄しないでください、納税者を思ってください、アフガンの人のことを思ってください、あなたは本当にちゃんと正しいことを言ってくださいよと申しました。
 ほかに一生懸命働いている役所の人はいっぱいいますし、若い人は、在外でもいっぱいいますし、私たちは本当に、本来の仕事の、政策の話をしたいんです。皆様もそうだと思います。
 言った言わないの話も、あれについても私は思いがあります。お尋ねがあったときにお答えしますけれども、あれだったら、みんなが口裏をそろえてそんな話はなかったと言っているんであるということはもうこれでおわかりになったと思うんですけれども、要は、これが実態でございますけれども、これを踏まえて、ぜひ仕事ができるように、そして国会が機能するように、納税者の皆様、いろいろな方たち、苦しんでいる方たち、世界じゅうの方たちが、よく、政治とは何か、政と官の関係はどうであるかということを、私は、局長はよくわかってくださっていると思いますが、もう一点だけ言わせてください。
 それは、先ほども言ったことなんですが、どこの省庁でも、あらゆる意見だとかアドバイスとか干渉はあるわけですよ。それは政治家が言ってもだれが言ってもあるんです。御本人は、言ってない、そんな干渉はしてないとおっしゃるならそうなのか、それは確認すればいい話ですが、ところが、それに屈する次官、それを局長やら課長やら、組織の長たる私に一言も言わずに、政策を、根本の国やら世界の方針を変えて、そして何ら恥じない、さらにまだこのような違った証言をさせようとしているということに私はあきれ返っているし、こんなことが起こってはならないと思っています。
 以上です。
原口委員 大使は天皇陛下が認証されるんですね。一人の外交官をつくる、そして各国の、その人たちが活動をし、信頼を結ぶことがいかに大変なのか、私も、この予算委員会で派遣されて中東に行って、目の当たりにしてきました。サウジの人たちが、当時の大使は大島さんでしたけれども、いかに信頼をお持ちなのか、だから、軽々に首にするだ何だなんということを言ってはいけないんですよ。
 しかし、もう一回重家さんにお尋ねをしますが、かもしれないというのはどういうことですか。あなたの答弁は聞くたびに変わっている。どれが本当なんですか。もう一回伺います。
重家政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど申し上げたことでございますが、私の記憶は先ほど申し上げたとおりでございます。
 先ほど私が言いたかったのは、そういうことではありますが、大臣が言われたことでありますので、それはそういうことかと思いますという趣旨を申し上げたのでございまして、ぜひそういうことで御理解いただきたいと存じます。(発言する者あり)
津島委員長 原口委員。(発言する者、退場する者あり)
 では、速記をとめてください。
    〔速記中止〕
津島委員長 速記を起こしてください。
 ただいま、民主党・無所属クラブ、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合所属委員の御出席が得られません。
 理事をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。
 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
    〔委員長退席、木村(義)委員長代理着席〕
    〔木村(義)委員長代理退席、委員長着席〕
津島委員長 速記を起こしてください。
 この際、暫時休憩いたします。
    午後五時二分休憩
     ――――◇―――――
    午後六時二十七分開議
津島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、参考人として外務事務次官野上義二君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
津島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
津島委員長 質疑を続行いたします。原口一博君。
原口委員 委員の皆さん、そして大臣に、資料三をごらんいただきたいと思います。これは、当委員会で、伊藤公介理事が大島国対委員長陪席のもと、一から四まで、四者に聞き取りを調査したものでございます。この中でも矛盾があるし、きょうの答弁の中でも、さっき言ったことを、全く違うことを言う。そして内閣の中でも違うことを言っている。
 そこで、まず中東局長にお伺いしますが、あなたは、鈴木さんからどういう話を受けて、そしてNGOの出席問題について大臣と何をお話しになったのか、明確な答弁を求めます。
重家政府参考人 私の答弁で御迷惑をおかけいたしましたことをおわび申し上げます。
 改めて御答弁を申し上げさせていただきたいと存じます。
 私が申し上げたとおり、アフガニスタンの復興支援をどうするかという議論の中で鈴木議員から意見が示されたことは事実でございますが、特定のNGOの参加、不参加の問題につきまして同議員から言及があったことはございません。また、二十一日朝の大臣との電話の際も、私の方から鈴木議員の名前に言及したことはございません。ただし、大臣が明白に私の方から言及があったとされるのであれば、記憶が定かでございませんので、なかったと断定するだけの自信はございません。
 以上でございます。
原口委員 二転三転した上で、そして二十五日の答弁に戻られたというふうに認識をします。
 先ほど大臣は、このことを野上さんも知っているのか、出席してもらいなさい、あすは出席してもらいなさい。ところがあなたは、鈴木さんは難しい人だからそれはだめだ、出席はかなわぬ、そうおっしゃったと大臣は答弁されています。これはうそですか。局長。
重家政府参考人 先ほど私が申し上げましたとおり、アフガニスタンの復興支援をどうするかという議論の中で鈴木議員の意見が示されたということは事実でございます。しかし、特定のNGOの参加とか不参加とか、そういう問題について先生から言及があったということはございません。
 以上でございます。
原口委員 外務大臣、先ほどあなたは、勇気を持って言いかけられている、そういう気配も見えるニュアンスの答弁をされましたけれども、またもとに戻りましたよ。これ、本当ですか。
 一体、鈴木さんは難しい人だとあなたにおっしゃったのはだれですか。局長ですか、それとも、きょうお見えの次官ですか。明確にお答えください。
田中国務大臣 重家局長も議員の名前を挙げてその電話のときにもおっしゃっていますが、今御指摘の、鈴木氏は難しい、前からの経緯云々ということを言ったのは、これは野上次官でございます。
原口委員 今のだけでも答弁が違うんですね、局長、大臣。
 そこで、野上事務次官に伺いますが、私たちがこの委員会で質疑をしている、それが、二十四日、終わるか終わらないかにあなたは記者会見をされた。そして、カミュの世界である、不条理の世界だ、こういうことを全国民に向かって言われた。自分が言ってもいないことが予算委員会で言われる、大臣が自分が言ってもいないようなことを言う、これは不条理の世界だというふうにおっしゃったというふうに思いますが、あなたは、鈴木さんは難しい人だと今大臣は言われた、このことを言われたのか。そして、大臣の、二十四日、菅直人委員に対する答弁は全くのうそだというふうにおっしゃるのか。明確な答弁を求めます。
野上参考人 お答え申し上げます。
 本件のNGOの参加問題に関しまして、当初の段階から大臣に御相談しなかったことは私ども事務当局として反省すべき点であったと思います。
 今の先生の御質問でございますけれども、私は、二十一日の昼前であったかと思いますけれども、大臣との間では、概略、次のようなやりとりをしたと記憶しております。
 大臣の方から電話をいただきまして、まず、大変なことをしでかしてくれたねということを大臣の方から言われまして、私は、何のことでしょうかと伺ったところ、NGOの参加問題だと。排除したNGOを会議に出席させなさい、これはあなたの職を賭してやりなさいというふうに言われたと記憶しております。私は、経緯もあるようだから難しいかもしれないが、やってみようというふうにお答えいたしました。それで、再度大臣の方が、あなたの職を賭してやりなさい、テレビ等が周りにいるのでこれ以上あなたと話をすることはできないとおっしゃったので、私の方から、職を賭してというのはどなたがおっしゃっておられるのでしょうかという御質問をしたところ、私ですという御返事があって、そこで電話が切られたというふうに明確に記憶しております。
原口委員 鈴木さんの部分についてあなたは何も答えていない。大臣は、鈴木さんは難しい人だとそのときに事務次官がおっしゃったと。おっしゃったんですか。
野上参考人 今私が申し上げたことが全容でございます。それ以上の会話はございません。
原口委員 大臣、今目の前でお聞きになったでしょう。あなたが鈴木さんは難しい人だと野上さんが言ったというのはないと今言っているわけです。どっちが本当なんですか。どうぞ。
田中国務大臣 先ほど来の議論でも申し上げましたけれども、私は言った言わないの議論というのはもう本当に不毛だと思いますが、この紙が、ここに書いてある、これは菅先生が持ってこられた一月二十一日の申し入れ書なんですが、そのときにこの紙にたまたま、私がもうだあっと走り書きでいいからと思って書きました。
 今おっしゃった私の発言はほぼ合っていますが、あの方は御自分の言ったことを何も正確に伝えていません。それで、私はこれは大変なことを言っていると思ったものですから、鈴木氏は難しいということ、それから前からの経緯があり云々ということを言ったことは、私は走り書きをしております。
原口委員 大臣はみずからそのときの証拠を持ってあなたがおっしゃったと言われているんです。本当に一体何を信用していいのか。午前中の質疑から、いや、きのうの質疑からきょうの質疑、ほとんど何も統一的なものが出てきていない。
 官房長官、このやりとりを聞いて、私は、外交の責任というのは内閣にあるんです。これを、内閣法で事務を外務省が所掌しているだけなんです。総理のように外務省に任せたなんて言えないんです。政府の統一見解を出すべきじゃないですか。今みたいな全然違うのを目の前でやられて、まだ審議をやれとおっしゃるんでしょうか。官房長官の基本的なお考えを聞きたい。
福田国務大臣 ただいまのやりとりを聞いていまして、同じ省内でこのように意見が食い違うというのはまことに遺憾なことだと思っております。ぜひ、政府として統一見解が出せるように努力をしてみたいと思っております。
原口委員 これは今出せる話なんですよ。そんな外交の相手のあるような話ではなくて、それこそ、事務を所掌する担当の外務大臣と事務次官、しかも、私、事務次官、外務大臣に何の許可もなく記者会見をする、こういうことをやっていられたのでは、とても外交の信頼のそのまた基礎が壊れてしまうというふうに思います。いつ出すんですか。教えてください。
福田国務大臣 私も全容を承知しておるわけでございませんので、これはよく事情を聞いてその上で対処するしかないと思っておりますので、できるだけ早く対応したい、このように考えております。(発言する者あり)
津島委員長 原口一博君。(発言する者あり)
 暫時休憩いたします。
    午後六時三十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後七時四十五分開議
津島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。原口一博君。
原口委員 私は、内閣として一体となって責任を持って取り組む、この姿勢を強く求めて、一回質問を留保し、次の質問に入りたいと思います。
 資料の七をごらんください。
 経済産業大臣、お待たせして申しわけありません。
 いわゆる不良債権問題というのは、都市銀行の問題であり、三十社問題である、都市の再生をすればいいんだ、どっかで聞いたような話でございますが、資料の七をごらんいただければ、それがほとんど違うということがおわかりになると思います。貸出金も、大手行に比べて、地方銀行、第二地銀、信金、信組、農協系、大変大きな割合を占めています。また、預金については、それよりもさらに大きな割合を占めているわけでございます。問題の設定を間違えれば、解決方法も間違える。
 そこで、経済産業大臣にお尋ねをしますが、ペイオフを控え、中小企業は、すさまじい貸しはがし、そして厳しい状態に遭っています。どのような対策をお考えなのか。
 そして、さきの予算委員会でも申し上げましたが、私は、公開している大企業を対象とした会計基準とは別に、中小企業の実態に即した緩やかな会計基準が必要なのではないか。私は、ただただ金融庁に、検査のスタンダードを変えればいい、こういう話ではないと思います。現に、イギリスにおいては、まさにしっかりとした中小企業用の固有のルールをつくっています。そして、アメリカにおいても、デファクトスタンダードとして中小企業用のスタンダードを持っておるわけでございます。そういう中から、大臣がどのように御検討なさっているのか、あるいは中小企業を守るために何をお考えなのか。
 そして、昨年の国会で提案された売掛金債権担保融資保証制度のようなさらなる金融手段を広げ、それに対して財政支援をしっかり考えていくべきではないか、このように思うのですが、三点にわたって経済産業大臣の基本的な御姿勢を伺っておきたいと思います。
平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。
 今、図表をもってお示しをいただきました。確かに、中小企業をめぐる金融情勢というのは非常に厳しいものがございます。そこで、経済産業省といたしましては、やる気と能力のある中小企業までがその連鎖に巻き込まれて破綻に追い込まれる、こういうことは絶対あってはならない。やはり中小企業というのは我が国の経済の基盤を支えてくだすっているわけです。そういうことで、金融面でのセーフティーネット対策に万全を期さなければならないと思っています。
 その中で、例えば、取引金融機関あるいは取引先企業が破綻になって、そしてその連鎖に巻き込まれるような中小企業者に対してはセーフティーネットを構築させていただいています。これは第一次補正予算で、一千四百億の規模でセーフティーネットに万全を期す、こういうことで貸付限度額を引き上げる、そういうような形で具体的に対応させていただいています。
 それから、委員が御指摘になられましたけれども、御賛同いただきまして、さきの臨時国会で、新しい制度でございますけれども、売掛金債権に着目をして新たな信用保証をして、この売掛金債権というのは、中小企業を全部寄せますと土地に次いで八十七兆円あるわけでありまして、これによって、土地担保、こういうものが下落している中で、セーフティーネットを張っていかなきゃいけない。
 さらに、これを円滑に進めていくためにやはりもっとPRをさせていただかなければならないということで、百五十万パンフレットをつくったり、テレビでアナウンスをしたり、そしてまた全国二十数県に中小企業庁の幹部を派遣して、こういったきめの細かい対策をやらせていただいています。
 それから、御指摘のいわゆる会計基準の問題であります。
 確かに、御指摘の点は、私はあると思います。今、会計基準というのは、例えば上場企業等を対象とした会計基準というのは大変複雑化しているわけでありますね。ですから、債権者ですとかあるいは株主の数が限られている中小会社にこのような上場企業等と同じような基準を適用することが果たしていいのか、こういう問題がございまして、我々としては、すべての中小会社が遵守すべき会計基準の内容を明確化すべきではないか、このような観点も持っております。
 したがいまして、御意見がありましたとおり、今後とも当省といたしましては、委員の問題提起も踏まえまして、中小企業の実態に即した会計基準のあり方について、関係省庁と連携をしながら対応をさせていただきたい、このように思っています。
 それから、売掛金に着目をした融資の保証制度、これはこれでこれからどんどんやっていかなきゃいけません。そのほかにさらに考えるべきではないか、こういう御指摘であります。
 確かに、今の中小企業が置かれている立場というのは大変厳しいものがあります。しかし、現段階では、昨年の臨時国会で御賛同をいただいてこれがスタートしました。これをいかに機能的に、そして十分にやるかということが今一番重要なことだと思っておりまして、さらに、こういう厳しい中で、我々としてはさらなる対策もこれから検討をさせていただこう、こういうふうに思っております。
原口委員 前向きの御答弁をいただいて、評価したいと思います。
 日本の現行商法では、大会社会計基準を定め、それを適用除外し軽減するという方法をとっています。しかし、これがいわゆるBIS基準だ何だというので大きな誤解を与え、中小企業が肩身の狭い思いをし、そして猛烈な検査という中で大変な思いをしておりますので、ぜひ今の御答弁の実を上げていただくように要請をし、厚生大臣そして国土交通大臣、それぞれ医療制度改革それから中部国際空港といったことを質問する予定でございましたが、質問時間がなくなりまして本当に恐縮でございます。また後ほど御質問させていただきたい。財務大臣についても、財政の健全化、構造改革とは一体何なのかということを質問させていただきたいと思います。
 これで野田委員にかわります。ありがとうございました。
津島委員長 これにて原口君の質疑は終了いたしました。
 次に、野田佳彦君。
野田(佳)委員 原口委員に続きまして、私の方からも数点にわたりまして質問をさせていただきたいというふうに思います。
 まずは、第二次補正予算案についてでございます。
 改革推進公共投資という大変耳当たりのいい言葉でくくられた今回の予算でございますが、これをよく見ていくと、私どもの城島委員も松本委員も触れたと思いますけれども、要は役所の建てかえであるとか官僚の住むところの建てかえというところが目立っていて、とてもこれは改革推進には思えないというふうに私も思っています。
 例えば都市機能高度化等対策費という中では、公務員の宿舎施設費、法務省施設費、海上保安官署施設費、警察庁施設費、裁判所施設費。環境配慮型地域社会実現対策費というのは、官庁営繕費。科学技術等対策費は、文化庁、厚生労働本省、法務省、官庁、国土地理院施設費等と、羅列をしても切りがない。これは一般会計だけですけれども、特別会計についても基本的には同じというふうに私は認識をしています。
 「最近の経済情勢等にかんがみ、構造改革を加速しつつデフレスパイラルに陥ることを回避するため」と言うけれども、経済情勢をかんがみているか、構造改革を加速しているか、デフレスパイラルを回避するようにしているかというと、どれも違うんじゃないかというふうに思っています。
 この改革推進公共投資と言うゆえんについて、財務大臣にお尋ねをしたいと思います。
塩川国務大臣 今回の改革推進プログラムを組みましたことは、従来の公共事業と違う公共投資をいたしたいということから名称をつけたのでございまして、これが構造改革へのいわば道筋を示しておるものの一つになっておる。
 したがいまして、例えば、この中を見ていただきましたら、公務員の宿舎をおっしゃいましたけれども、そのほかに、例えば電子装置によるところの医療記録の編さん、レセプトの電子化とか、あるいは公立学校のLANの整備とか、そういう新しい分野をしておりますし、また、従来公共事業として、一般公共事業として扱いし得られなかった分野といたしまして、保育所あるいは小児医療施設というようなものを掲げておるのでございまして、したがって、相当機軸としては新しい機軸に重点を置いたということの認識をしていただきたいと思っております。
野田(佳)委員 新しい機軸に重点を置いたということは、私はやはりどうしてもわからないのですね。
 先ほど、NGOの参加問題についてずっと議論がありました。それを聞いていて、本当にこの国は大丈夫かなと思ったのは、役所にとって、お上にとって都合の悪いこと、愉快でないことを言う人は、当然参加できるような会議にも参加させないという、まあ言ってみれば、昔の弁士中止の時代に戻ったような、とんでもないようなさじかげんをしていると私は思います。
 そのお上の顔色をうかがって生きていかなければならないような不自由な空気を醸し出しながら、今回の第二次補正予算というのは、さっき言った公務員の宿舎整備、お上の住むところ、その他の役所の施設整備はお上の働くところ、改革推進公共投資と言いながらも、お上が住んだり働いたりするようなところの整備ばかりです。私は、到底これは改革推進には思えません。結局は、その場しのぎの需要創出しかないというふうに思います。
 こういうふうに言葉のインフレで改革推進、改革推進と言うことは、いずれ改革推進国債とか、改革推進補助金とか、改革推進財務省とか、余りにもこれはとんでもないことになっていくというふうに思います。
 改めて、改革推進の意味合いを、どこが新しい力点、軸があったのか、教えていただきたいというふうに思います。
塩川国務大臣 先ほどおっしゃいました公務員の宿舎ということでございますが、この様式も、従来は、公務員宿舎を一定の敷地の中に囲い込みまして、豊かな敷地を使って十分な施設をつくっておりました。しかし、これが老朽化いたしましたことを機会にいたしまして、その囲い込みという考え方をやめまして、この敷地を高度化利用する、高度に利用する、民間の者もこれを利用することによって、いわば公務員宿舎の経費の節減にも資するようにしようというふうなことを考えておるのでございまして、従来の公務員宿舎の建設とは相当手法も違っておりますし、考え方も変わってきておるということでございますので、その点は実際に中身をもう少し詳しく検討していただきたいと思っております。
 それからもう一つ、この建設につきましてはPFI方式というものを導入していきたいと思っております。でございますから、今回の補正予算で、二兆五千億円の中に占めます公務員のいわば国費負担というものは、恐らく一、二%の程度のことではないかと思っておりますが、しかし、その一、二%、金額的には比較的少ないものではございますけれども、新しい方法で公務員宿舎を再建するということについては刮目していただきたいと思っております。
野田(佳)委員 どういう新しい手法だろうと、やはり公務員宿舎をベースにした予算措置であることには間違いなくて、せっかくその二兆五千億円の、やっと見つけたとらの子のへそくりですから、それこそ米百俵の精神で、本当に今必要なもの、七転八倒の中小企業に対する対策であるとか、本当に不安におびえる雇用の問題とか等に充当するんだったらばへそくりを使う意味があると私は思いますが、残念ながらどんな話を聞いたって、要は基本的にはお上のためのお金の使い方としか私には思えません。
 これは、ちょっと見解の相違が続くだろうから、このことについてはもう結構でございます。次の問題に行きたいというふうに思います。
 農水大臣、いらっしゃいますね。偽装牛肉の問題なんですけれども、これまでは、輸入牛肉を国産牛肉に偽装していたというのは、これは大きな問題でございましたが、きょう新たに国産牛についても雪印食品は、北海道産を熊本産にラベルを張りかえて装うという、またまたとんでもないような事件が発覚をしています。
 この事件について、きょう立入調査もされたようでございますが、その経緯、そして今後の対処方針についてまずお尋ねをしたいと思います。
武部国務大臣 まことに残念な話でございますが、雪印食品が北海道産の牛肉を熊本産というラベルを張って流通させたということでございまして、農林水産省としては、きょう夕刻、立入調査を行っている次第でございます。
 詳細についてはまだ詳しく判明しておりませんが、厳正な対応をする所存でございます。(発言する者あり)
野田(佳)委員 後ろからいろいろアドバイスもありますけれども、まさにそのことであって、このことは随分前から多分恒常的に行われていた可能性が極めて濃厚であろうというふうに私は思っています。
 だとするならば、JAS法違反に当たるこうした行為、なぜ今まで全くわからなかったのか。今回はたまたまこれは牛肉の話でありますけれども、ラベル表示がかわっているような話というのは、ほかの農産物でも私はよく聞くことがあるんですね。農水省は、こうした、突然発覚した問題じゃなくて、これまでどういう検査をやってきたのか、そのことについてお尋ねをしたいと思います。
武部国務大臣 ただいま委員御指摘のように、JAS法に基づきまして、これらが行われないようにという指導をしてきているところでございます。
 今委員御懸念のとおり、私どもといたしましては、雪印食品の今回の件だけなのかどうかというような、そういう声にも率直に耳を傾けまして、徹底究明してみたい、このように事務当局に指示をしている次第でございます。
野田(佳)委員 この雪印食品だけではなく、もっと幅広く徹底して調査をするということですね。わかりました。
 では、この問題はちょっとこれからの経緯を見守っていきたいというふうに思うんですが、その前に、前の、輸入牛肉を国産牛肉という形の偽装をした問題であります。
 一月二十五日に雪印食品社長を農水省に呼んで生産局長が、これは行政指導をしていますね。これを見てみますと、事実の徹底した解明については、社内調査委員会を発足させており、事実上の調査解明ができ次第報告すること、市場隔離肉については、今回の事件にかかわる受取金については返納し、それ以外の部分については辞退をし、雪印食品において処分すること、行動規範については、案はできており、これを社員一人一人に徹底する方法を策定し報告をすること、牛肉関係の営業については再発防止策が社内的に周知徹底されたと認められるまでの間は自粛すること、責任者に関しては厳正に処分すること、及び社長自身のことはいずれ近いうちにはっきりさせるというようなことが事項としては出ているように思うんですが、これらのことというのは、逆に言うと、これまでの狂牛病の一連の事件の中の、農水省そのものに当てはまる事項だというふうに私は思うのです。
 特に、監督責任者を含む責任者の厳正な処分、これは民間の雪印食品には厳しく言っておりますけれども、では農水省はどうなるんだ。雪印にはまさに社長の責任まで言及する、では農水省はどうなるかという問題が当然降りかかっていると私は思います。果たして、みずから襟を正して、ちゃんと堂々と言える話なのかどうか。農水大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
武部国務大臣 雪印食品は、未曾有の牛肉消費の低迷の中で、牛肉に対する消費者の不安の一掃と牛肉流通の円滑化を図るために講じているBSE対策事業の制度を悪用しておりまして、極めて悪質である。かように考えますと、農林水産省が求めたことが厳し過ぎるものではない、私はかように考えております。
 また、今回の雪印食品の事件は、企業みずからが意図して制度を悪用する行為についての責任論でありまして、農林水産省の行政指導は、不祥事に対するけじめとして求めたものであることを御理解いただきたいと思います。
 今回のBSE発生に関しましては、農林水産省の組織全体として、危機意識の希薄さや縦割り行政の弊害等が顕在化したものと私は認識しております。したがいまして、私は、前事務次官等幹部を初め関係職員に対しまして、二度とこのような事態が生じないよう、厳重に注意を促し、指導した所存でございます。
 このため、過去の行政対応上の問題解明につきましては、現在、BSE問題に関する調査検討委員会において、ありとあらゆる資料を提出しまして、公開のもとで、客観的な検証と科学的な知見に基づく検討をお願いしているところでございまして、この提案を踏まえまして、畜産・食品衛生行政のあり方という問題について全力を尽くして立ち向かっていきたい、かように考えている次第でございます。
野田(佳)委員 危機意識の欠如とか、よくおっしゃっています。また、全力でこれからいろいろなことをやるというお話でございますけれども、その前に必要なのは、やはりこれまでの経緯を踏まえて、責任をとるべきはとる、けじめをちゃんととるというのが基本であって、民間に厳しい、自分には甘い、自分には甘くて他人に厳しい、官には甘くて民には厳しい、そんなスタンダードではだめだと私は思います。まず、みずからの襟を正すために、まさに監督責任者の処分というものを真剣に考えるべきではないか。BSEの検討委員会のいろいろな客観的な、そんなお話がありますけれども、まずやるべきことは、みずからが襟を正すために、責任の所在をはっきりさせて、そして責任者を処分する。
 前農水次官は、九千万円近い退職金をもらって、今は何かどこかでいろいろなことをおっしゃっているようです。余りにも無責任だと私は思っています。もう一度農水大臣の答弁を求めたいと思います。
武部国務大臣 私は、これまでにも申し上げてまいりましたように、BSEの発生以来、危機管理意識の希薄さ、これは行政の構造上の問題に由来しているのではないか、そういう認識のもとに、この徹底解明が必要である、過去の問題についても客観的に検証し、科学的な知見を得て、その上で、今後の対応について、最も望ましい、ふさわしい体制を構築していかなきゃならない、かように決意をいたしまして、今日まで諸般の努力をしてきている所存でございます。
 前事務次官のことにつきましては、私は管理者として厳重に注意をし、指導をした所存でございます。今回の退職金の問題につきましては、法に従って行ったものでありますことを御理解いただきたいと思います。
野田(佳)委員 これはなかなか世の中にはわかりにくいと私は思っていまして、構造上の問題とおっしゃっていますけれども、多分、雪印食品だってこれは構造上の問題かもしれません。構造上の問題だけれども、出先のフードセンターのそういう担当者だけではなくて、恐らくこれはやはり経営責任者の責任が問われていくだろう、そうならざるを得ないだろうと思うのですね。
 同じように農水省も、これは構造上の問題だというならば、まさに、しかるべき責任ある立場の人が責任をとるというのがけじめ中のけじめだと思います。もう一度御答弁をお願いします。
武部国務大臣 何度もお答え申し上げておりますが、過去の行政上の問題の解明につきましては、客観的な検証と科学的な知見を得るという努力が私は必要だ、かように思いまして、BSE調査委員会をもう今日まで四回開催しているわけでございますが、これまでに二千ページ以上のあらゆるデータを提出して御検討いただいているわけでございます。ここでどのような見解が得られるか、そのことによって、私どもは畜産・食品衛生行政のあり方という問題について真剣に考えてまいりたい、かように存じている次第でございます。
 委員御指摘のことにつきましても、私どもは謙虚に耳を傾けて、今後、二度とかような問題が起こらないような体制づくりに私の責任を果たしてまいりたい、このように考えている次第でございます。
野田(佳)委員 二千ページの調査報告書をつくる、それはもうもちろん膨大な労力でしょう。それはそれでやってもらわなきゃいかぬと思います。ただ、そのこととその責任をとることとは全く別の問題であって、それは全く理屈に合っていないというふうに私は思うのですね。
 余り責任論を言っていてもなかなかこれは堂々めぐりですけれども、ちょっと具体的なことを、通告していませんが、聞いておきたいと思います。
 BSE対策事業で、これは屠畜場の烙印があることが前提であるような動きがあったけれども、いろいろな圧力があって消えてしまったとかというようなことがよく言われていますね。これは事実なのかどうか、ちょっと御見解をお伺いします。
武部国務大臣 当初、私どもは、屠畜場の屠畜検査証明書を求めたのでございますが、これは枝肉にこの証明書が出るわけでございます。しかし、十七日以前の肉は部分肉にほとんどなっているわけでございまして、この屠畜検査書というものは実際問題不可能であるという状況であるということを知らされまして、これにかわるものとして在庫証明書というものをつけることにいたしました。在庫証明書があれば、今回の場合は荷主と倉庫業者の共謀によるものでありまして、通常はひとりではできない犯罪的行為でございますので、この在庫証明書で私どもは実態が把握できる、このように考えました。
 また、抽出調査もやりましたが、しかし、その後、厳しい御批判にも率直に耳を傾けながら、今二百五十九の全倉庫、三十九は終わっておりますから、残るところ全部検査する体制を今整えようとしている次第でございます。
 また、事業六団体に対しましても、書類等総点検をするように、あの事件があった翌日、私どもは早速招きまして徹底を指導している次第でございます。
野田(佳)委員 このことについては後刻また松野委員が取り上げるそうですから、私はこの辺にしますけれども、基本的には、私は、救済とか処分とかのスタンダードが大変今国民にわかりにくくなっている。例えば、ダイエーは政府もあるいは銀行も一生懸命救済する、マイカルはそうではない。大手行については公的資金の再注入の検討もある。私の地元の船橋信用金庫は、この間破綻をしました。この一年間で本当に多くの中小の信用組合、信用金庫が倒れている。これとの扱いがまた全然違う。
 また、ちょっとこれは論理は違いますけれども、官に近いところ、官そのものには甘くて民には厳しい、小さいものには厳しい、そういうスタンダードが定着するとするならば、これはとてもよくないというふうに私は思っていまして、そういう意味では、再三先ほど来申し上げましたけれども、農水省のこれまでの不始末というのは、生産者を困らせ、流通業者を困らせ、消費者を不安がらせ、いろいろな意味で万死に値する大罪だと思っていますので、その意味では、私は、早急に責任をとるという姿勢を望んでいきたいというふうに思います。
 ちょっと幾つも通告をしておりますので、次の問題に行きたいというふうに思います。
 規制改革についてお尋ねをしたいと思います。
 石原担当大臣に、まず、今回の規制改革の第一次取りまとめ案がまとめられましたけれども、これについての取り組み姿勢についてお尋ねをします。
 これは少し前になってしまいましたけれども、総合規制改革会議にこの案を上げる際に、石原大臣が、小さいタマでもいいというような発言をされたとかされないとかという記事がございました。加えて、関係するこの会議に余り出席をされていなかったというようなことも伝わってきております。どれぐらいの出席率だったのかも含めまして、大臣に御答弁をいただきたいと思います。
石原国務大臣 野田委員にお答え申し上げます。
 規制改革は、言うまでもなく、小泉構造改革の最重要分野であるという認識のもと取り組ませていただいてまいりました。その発言については、どなたが申しているかは存じませんけれども、私は、やはり今回の総合規制改革会議の答申を見ていただいてもわかりますように、実は、これまで大変手のつかなかったいわゆる社会的規制分野、すなわち、生活に関連しております環境とか、あるいは労働とか、雇用とか、そういう分野を中心的に取り組んでいただいてまいったと思います。そんな中で、これまで手つかずであっただけに、どんなに小さなテーマであっても積み重ねることによって、その一つ一つ実現可能なものを積み上げることによって改革が邁進するという信念のもと、取り組ませていただいてきたところでもございます。
 また、会議の出席ですけれども、関係団体からのヒアリングを除いて委員会の議論には、物理的な問題、私、担当は一人でございまして、特殊法人改革、公務員制度改革あるいは公益法人改革等をやっておりましたので、可能な限り出席をさせていただきましたし、各省の次官を呼ばせていただいて委員の方々とダイレクトに、これまでは課長さんとか課長補佐さんと委員の方がやり合う、それではらちが明かないということで、次官に集まっていただいて、その席には私も全部同席させていただいて、どっちの言っていることが本当に正しいのかというようなこともさせていただきましたし、関係する省庁をまたぐ規制もございます。そういうものは各省の局長さんに集まっていただいて、どの省がこの規制改革に対してネガティブなのかということが浮き彫りになるような初めての試みもさせていただいたつもりでございます。
 いずれにいたしましても、内閣として、政府として、この総合規制改革会議の答申を最大限尊重するという閣議決定をしておりますので、この三月に、総合規制改革会議からいただいた答申を最大限尊重して、改革三カ年計画の改定を図って実現していく、そういう強い決意を持っております。
野田(佳)委員 端的にお聞きしますが、小さいタマでいいと言ったのか言わないのか、出席率はどれぐらいだったのか、お尋ねします。
石原国務大臣 現在、会議が何回あったかという数字を持ち合わせておりませんので、後日御報告をさせていただきたいと思います。
 申しましたように、小さなテーマでも積み重ねていくことが重要である、実現可能なものからやっていく、そして中長期的には、このだれも手をつけることができなかった社会的分野、大きなものはもう野田委員も既に御承知のことだと思いますけれども、かねがね総理が申しております株式会社の参入、こういうものは、すぐには実現することはできないけれども、御答申を最大限尊重するという立場で取り組ませていただきたいと考えております。
野田(佳)委員 では、整理しますと、小さいテーマでもいいから積み上げていくと言ったのですね。小さいタマでいいと言ったわけじゃないということですね。
石原国務大臣 ですから、どの発言を指して言われているのか詳細には記憶しておりませんが、私の規制改革に対する、今回の社会的規制分野に対する取り組みは、小さなテーマでもその積み重ねが重要である。
 すなわち、私は、経済的分野の規制改革は、党の方で五年間ほど金融と財政の主査をやってまいりました。そのとき、大きなテーマじゃない、すなわち、一つ例を出させていただきますと、ある保険会社が新しい商品を出したいと、それを規制している規制はないんです。しかし、民間からのヒアリングをすると、聞きに来いと。当時は証券局、銀行局がございまして、聞きに行く。そうすると、こういうものをした方がいいですよというような指導がある。それは民間から言わせると規制なんですね。
 これは大きなテーマではございません。しかし、そういう積み重ねが必要でございますし、可能なものからどんどん実現するという立場で取り組ませていただいたということでございます。
野田(佳)委員 タマかテーマかというのはちょっと、余りこだわるつもりはないんですけれども。
 要は、ではテーマにしますよ、小さいテーマでも今回はいいと言い切っちゃったらこれは意味がない。小さいテーマでもいいから積み上げてやっていこうというのだったらこれはわかる。では、後者で理解します。ちょっと次に行かなきゃいけないものですから。
 次に、これは比較的、今後検討するが非常に多いんですね。その中で、株式会社の問題もあるんです。先ほど大臣がお話しになったように、医療や教育とか福祉とか農業とか、私は、この規制改革の中で、株式会社が参入するような可能性というのをもっと大胆に切り開くべきだというふうに思っています。
 というのは、基本的には、社会的規制の分野でも、株式会社も十分に公益を考えて社会的な責任を果たしていくことは可能であるし、私は、株式会社を、悪玉論といいますか、悪玉とは言えませんけれども、信用しない自由主義経済という国があるのかどうか極めて疑問でございまして、規制改革に取り組む際の株式会社についてのあり方、考え方、大臣の基本的なお考えをお示しいただきたいと思います。
石原国務大臣 これも小泉総理の御持論でございますけれども、民間にできることは民間にゆだねる、地方に任せられることは地方に任せるという基本原則にのっとって規制改革に取り組ませていただいております。
 今委員御指摘のような、いわゆるサービスの供給主体についても制約が今一番多いわけであります。しかし、こういう制約も規制改革の検討の対象の一つであると初めて今回取り上げさせていただいたということを御理解いただきたいと思いますし、御党もまた我が党も、都市出身の議員あるいは農村出身の議員について、この分野についてはいろいろな意見があるということもまた事実であると考えております。
野田(佳)委員 余り都市、農村というのは関係ないような気がするんですけれども、例えば医療とか教育とか、これはやはり都市、農村に関係なく株式会社をどう見るかという話だと思います。
 いろいろおっしゃっていますけれども、例えば医療だって、株式会社の参入はアメリカだってイギリスだってドイツだってフランスだってやっている話であって、なぜ日本がだめなのかという話です。そのことはいいとして、それでは次に、特殊法人の問題に入りたいと思います。
 十二月の十八日に特殊法人等整理合理化計画というものが発表されて、閣議決定をされました。この百六十三法人についていろいろ、経営形態の見直し、事務事業の見直しが行われてまいりましたけれども、このできばえというものを大臣はどのように評価をしているのか、御意見をお伺いしたいと思います。
石原国務大臣 お答え申し上げます。
 ただいま委員御指摘のとおり、百六十三法人は、七十七の特殊法人プラス認可法人でございます。このうち四十五の共済組合がございますので、この四十五を別に考えますと、百十八法人ベースで廃止・民営化を決めさせていただきましたものが六十二法人、そして独立行政法人化を決めさせていただいたものが三十八法人、そして政府系金融機関が八法人、また、日銀等のようにそのままの形態でというものが五法人、さらには、ギャンブルをやっております法人が五つございます。これを除きました、合わせて百十八のうちの百法人について改革の方向性を示すことができた。また、政府系八法人についても、経済財政諮問会議で議論が始まりまして、総理も、できるだけ早い時期に結論を得るようにというような発言をされていると承知しております。
 そのような方向で取り組ませていただきますし、さらに、この方向性を示させていただきましたが、法案が通らないことにはこれは絵にかいたもちになってしまいますし、また、いろいろな役所がこの案を骨抜きにするんじゃないかというような御指摘もいただいておりますので、こういうものをフォローアップしていく、進捗状況を評価あるいは点検するための組織を、特殊法人改革推進本部、総理が本部長でございますけれども、この下に置くべき準備も現在させていただいております。
野田(佳)委員 いや、分類はもちろん私も資料を持っておりますのでわかります。わかるんですけれども、このできばえをどのように評価されているかということをお尋ねしましたので、その点をよろしくお願いします。
石原国務大臣 ただいま委員御指摘の、数字を御披露させていただきましたのは、やった本人が評価をするのではなくて、この数字をもってどう考えるかということは、第三者に私は評価をしていただきたいと考えております。
野田(佳)委員 謙虚な姿勢だと思いますが、本当は自己評価だってあるはずだとは思うんですね。
 では、私の方が意見を申し上げますけれども、例えば廃止は、検討を含めて十七ですけれども、ほとんどこれは別組織への移管が多いですね、後で石油公団についても触れたいと思いますが。主たる機能を別の組織に移していってほとんどかわりばえしないじゃないかというようなものが非常に多いということ。例えば、簡易保険福祉事業団は郵政公社へ移るとか、宇宙開発事業団はほかの組織との統合ですね。等々、これは切りがないくらい、みんなそういう感じです。
 それから、民営化といっても、これは、特殊会社になって株式会社を目指すというのは従来からJRとかJTとかNTTがございましたが、帝都高速度交通営団は前から言われていたし、新たに加わったのは多分せいぜい環境事業団ぐらいというふうに思うんです。
 民営化等という四十五法人の中を見てみると、ほかには財団法人とか共済組合とかいろいろありますけれども、私は、原則廃止・民営化、言われているほど貫かれていないという印象を持っていますが、その点についての御意見をお伺いしたいと思います。
石原国務大臣 先ほども評価は委員も含めて第三者の方にお願い申し上げたいと申しましたけれども、私も、一九九五年に政府系金融機関二つの統廃合を自社さ政権で行わせていただきました。このときは七カ月かかりまして、二つの法人を一つにするということにエネルギーを費やしました。それをこの短期間の中で、もう重複になりますので数字は省略させていただきますけれども、これだけのものを一遍にその方向性を決めたということは、私は特殊法人改革の歴史の中で初めてだと思っております。
野田(佳)委員 数としては多いと思います。それは認めます。内実は伴っていないというふうに思います。
 その上で、独立行政法人についてでありますけれども、これについては三十八法人ですね。ただ、これはほとんど第二の特殊法人になってしまうんじゃないかという懸念を持っています。
 昨年の四月からスタートした独立行政法人、五十七法人のうち五十二法人は、これは公務員型の法人ですね。そして、今までの実態を見てみると、トップは全部、所管官庁から来ている。ほとんどそう。役員の数も変わっていない。というように、これまでの独立行政法人を見ると、改革とは何だったのかと思わざるを得ません。今回もその可能性を私はとても感じています。この点についての御意見をお伺いしたいと思います。
石原国務大臣 その点につきましては、野田委員以外の御同僚の皆様からも、他の委員会で御質問をいただいた点でございます。
 しかし、今回の改革、もう一度振り返らせていただきますと、事務事業の見直しというものを徹底的に行わせていただいた上での廃止、民営化、統廃合であるという点が大きく違いますし、それでもなおかつ国の関与が必要であるというような事業、こういうものがやはりあることは委員もお認めのことだと思います。ですから、特殊法人、すなわちパブリックカンパニーという形で事業がなされてきた。
 そして、この独法化ということは、決して第二の特殊法人をつくることだと私は思っておりません。すなわち、何が違うのかというと、目標管理が徹底的になっておりますし、第三者が業績評価ということも行います。また、定期的な組織の見直しということも行わなければなりませんし、事業の見直しも行わなければならない。今の特殊法人は、一度始めた事業をやめないわけであります。ここも大きな点でございますし、業績が悪化したら役員報酬というものも必然的に下がっていく。あるいは、理事長にしても、天下ってきた方がそのまま居座っていたとして、業績が低かったらその方は解任されるわけであります。ですから、委員御指摘のような、第二の特殊法人という御指摘は、私は当たらないのではないかと考えております。
野田(佳)委員 第二の特殊法人にしないためには、やはり天下りの温床とするんじゃなくて、その独立行政法人のトップは公募で民間から選ぶとか、そういう原則をつくることが第一だと私は思います。
 次に行きたいと思います。日本道路公団についてであります。これは、国土交通大臣と行革担当大臣に、それぞれにお聞きいたしたいと思うのですが、まず国土交通大臣にお尋ねします。
 来年度から国費投入ゼロ方針を受けて、道路公団は、昨年の十二月に十三件の高速道路工事の発注を見送ったはずでありました。しかし、短期間の間にそれが撤回をされる動きになってまいりました。これは私、よくわからない。何でこの短期間にそんなに方針がころころ変わるんだ。政治的な圧力があったとか、いろいろなお話があります。参議院の幹事長、自民党の方が随分お怒りだったとか、いろいろなことがあるようでありますけれども、極めてこれは不可解、不透明な動きに見えています。
 その点について、国土交通大臣は、この経緯を道路公団からどのように聞いているのか、またどのような見解を持っているのか、お尋ねしたいと思います。
扇国務大臣 今るる先生の方から、圧力があったとかないとかというお話がございましたけれども、日本道路公団、そこから私に対しては、何も私のところへ報告はございませんでした。
 と申しますのも、これは、もともと日本道路公団が事業の進捗状態というのは独自で判断して発注しておりますから、私に報告がなかったからといって、それが違法でも何でもありませんし、おもしろおかしく書かれることでもございませんで、これは正常でございます。
 そして、国民の皆さんに不安を与えないようにということですけれども、道路公団といたしましては、私にそれぞれをこうしますという報告は後にございました。
 というのは、それはもともと国費投入ゼロという、御存じのとおりの総理からの御意見がございまして、三千億円が入らなくなったらどの工事ができるかというそのクエスチョンマークを道路公団自体が不安に感じて、これでは縮小しなければならないなということからの、中止ではなくて一時延期をしたということで、どうしてこんなに早く結論で解除したのかなというのを野田先生御疑問に思われたということですけれども、それは御存じのとおり、少なくとも、今後道路公団をどうするかということになったときに、財投債を発行するという、これは日本道路公団としては初めてのことでございました。
 そして、昨年十二月に、私、予算のときに塩川財務大臣とお話し合いもしたのですけれども、この道路公団が出す債券についてはうまくできるようにという話を、配慮してくださいねという話もしながら予算を組んだわけですけれども、先生もう既に御存じなんだろうと思いますけれども、財投機関債の発行をやっと一月の二十四日、六百五十億円分が、これが財投機関債で売り出しができた。
 しかも、ムーディーズの格付がAa2ということになりまして、やっとこのめどがついたということで、今回これが、先生が今おっしゃる、なぜこんなに早くついたのだろうというのは、すべてこの金策ができたから解除したということでございまして、これは十三件だけではございませんで、ただ、道路公団としても節約しようということで、本来であれば十三年度の工事というものが当初七千三百億円を予定しておりましたけれども、これを縮小しようということで、三千億円がゼロになりましたから、これを縮小して、一・二兆円から十四年度〇・九兆円ということに伴って、千七百億円分の発注を延期したということでございまして、今度五千六百億円となったと聞いておりますので、先生が今御質問になったことに関しましては、すべてこの資金手当てのめどがついたということだというふうに御理解いただいてよろしいと思います。
野田(佳)委員 今年度中に、財投機関債の発行はたしか千五百億円予定でございました。だから、今回の六百五十億円の機関債の発行というのはある程度織り込んだ上で、しかし、次、第三者機関がどうやってつくられるかわからないけれども、採算に合わないような道路は工期が何年かかるかもしれないから今から手控えておこうと。私は、初めて公団がこういうコスト意識に立った経営判断をしたのだろうというように理解をしていまして、それがこの短期間の間にころころと変わるのは、やはり不自然だと思っているんですね。
 これについては、石原大臣は、工事をやる必要がないと公団側が考えたところで受注量が減ってくるのは当然ではないか、非常にミステリアスな感じがするという会見をされているそうです。そのミステリアスというのはどういうことなのか、率直なお考えをお尋ねしたいと思います。
石原国務大臣 これはやはり、国交大臣が御答弁されましたように、一義的には日本道路公団が判断するべき問題であると私は考えております。
 その上で、何がミステリアスかということを申したかと申しますと、実は、昨年でございますけれども、十一月の二十一日から入札参加資格確認結果通知及び指名通知というものが、この問題とされる十三を含む四十弱の、支社ごとから挙がってきた地域に通知がなされたということでございます。それが、十一月二十七日に、政府の方といたしまして、平成十四年度以降は国費三千億を投入しないということを決定いたしました。それを受けて、十一月三十日に十四年度の予算方針の打ち合わせが行われたと。それが、十二月の三日から一週間ぐらいかかって入札の取り消しの決裁及び通知が今度行われたということであります。
 ですから、わかっていたわけですから、わかっていて、四十弱のところに通知を出しておいて、入札したい人はやってくださいと言っておいて、急に、十日もしないうちにだめですよというところを言って、先週ですか、また大丈夫ですよと言ったということが、私の感覚からするとミステリアスだということを申し述べたわけでございます。
野田(佳)委員 もう石原大臣のおっしゃるとおりだと思います。やはり、これはわからないですよね、こんな短期間に。――終了しちゃいました。終わります。
津島委員長 これにて野田君の質疑は終了いたしました。
 次に、中塚一宏君。
中塚委員 自由党の中塚でございます。
 きょうは、ペイオフの話、それに関連して貸し渋りの問題ということをお伺いいたしますが、まず柳澤金融担当大臣にお伺いをいたします。
 昨年の十一月二十八日に、スタンダード・アンド・プアーズが日本の長期国債の格付というのを引き下げたわけですね。そのときの引き下げの原因というのが、概括的には、小泉政権による抜本的な構造改革の進展におくれが出ているということを挙げておる。そして、今後構造改革がゆっくり進展する可能性はあるが、抜本的な措置が講じられる前に日本経済及び日本政府の財政状況がより一層低下すると考えられるというふうに述べているわけです。そして、それまでは二番目だったのが一番に、脆弱な金融部門ということが挙がってきているわけです。
 そして、その脆弱な金融部門というものの中に、日本の銀行業界が債務不履行を避けるためには、国内総生産の三%程度までの政府による追加資本注入が必要になろうというふうに書かれておりますが、大臣は、資本注入の必要はないということをずっとおっしゃってきているわけですけれども、このスタンダード・アンド・プアーズの格下げの、引き下げの理由ということについて、どういう御所見をお持ちでしょうか。
柳澤国務大臣 私ども、民間の格付会社の格付についても相応の注意は払っておりますけれども、これについて政府当局としていろいろコメントを申し上げる立場にはないという認識でございます。
 資本注入の問題につきましては、私ども現在、特に大手銀行を中心に物を言わせていただきますと、BISの規制に照らしまして、過少資本に陥っている銀行はないということを申し上げていることは今御指摘のとおりですし、それからまた、重ねて私どもは、金融危機が生ずるおそれがある場合には、これは預保法上の諸措置、その中には公的資本注入という措置もうたわれておりますけれども、これを適切に発動してまいりたい、こういうことを申し上げている次第でございます。
中塚委員 今、BIS規制のお話がありましたけれども、スタンダード・アンド・プアーズが言っているのはBIS規制の話じゃないんですね。債務不履行を避けるためにはということを言っているわけです。だから、民間の格付会社のことについてというふうにおっしゃるけれども、このスタンダード・アンド・プアーズという格付の会社が、それほどまでにやはり日本の金融システムということについて不安視をしているということがあるわけですね。
 そして、そのことに加えてもう一つ言っているわけです。追加資本が注入されても、銀行の弱い収益力、リスクを計算し、そのリスクに合ったリターンを得る貸し出し技術の不足及び事業会社部門の設備過剰により、銀行は引き続き貸し出し増加には消極的であろうというふうに言っているわけです。
 そのことと関連して貸し渋りのお話を伺うわけですけれども、今、政府の方針として、不良債権の抜本処理ということを言われている。抜本処理、最終処理ということを言われているわけですね。もう一つ、ペイオフの解禁というのを公約されているということがあります。それに加えて、危機的な状況に陥ったら公的資本注入により銀行を救済するということもおっしゃっているわけですね。三つのことは全くもってトレードオフのように思えてしようがないわけです。
 一体、当局は、この銀行なり金融システムというのをどのようにしたいというふうにお考えなのか。柳澤金融担当大臣の御所見をお願いします。
柳澤国務大臣 これは、全く私どもの言わせていただいておるとおりに素直に御理解を賜りたいところでございますけれども、要するに、ペイオフの解禁、それからペイオフの凍結の延長、あるいは公的資本の注入というのは、ある意味で言うと、当該の金融機関の緊張を弛緩させるというふうに私ども思っております。これをできるだけ避けまして、そして緊張感を持って、先ほどまさに先生が御指摘になられたとおり、収益力の向上、回復、こういうものを図っていくことが最も大事だと我々は申し上げているわけであります。
 しかし、そういうペイオフの解禁を延長するようなことを避け、そして、公的資本の注入でふわふわするような状況も避けていくということを追求した場合においても、そこにシステムの危機というようなものが起こったときには、これはもう放置できないわけでありまして、果断に我々は先ほど申したような措置を適切に運用して、その危機の顕在化を回避していく、こういう考え方でありまして、そこにはすっきりと筋が通っているということをぜひ御理解いただきたいと思います。
中塚委員 そういうふうに不良債権の抜本処理を掲げて、ペイオフ解禁を公約するということで、一つお伺いしたいのはダイエーの問題なんですね。
 これは平沼大臣にもお伺いをしたいわけですけれども、不良債権とは言いませんが、問題企業というか要注意先、要はケアフルウオッチなこのダイエーというところを、構造改革の断行といいながら、政府主導の再建策によってダイエーは救済をする、再建をするということになるわけですけれども、これは、要は、ペイオフ解禁のためにダイエーを初めとするそういった問題企業を救済しなければならなくなっているということではないんですか、柳澤金融担当大臣に伺います。
柳澤国務大臣 ダイエーの今回の措置、まだ進行中でありますが、そういったことについては、これは官主導あるいは政府主導というような側面は全くないということを、まず誤解を解いておきたいというふうに思います。
 それで、私どもは、一般論として、一般的に市場の評価が厳しく、また当該企業の経営者も自分たちの企業に問題を感ずるというような企業については、できるだけ早くこれに対して企業の再生というものを図っていくべきだ。
 我々、たびたび申させていただいておりますけれども、バイアブルな部分とノンバイアブルな部分を切り分けて、そしてノンバイアブルな部分についてはこれを処分し、それはある程度金融機関についても負担を負うことがあろうけれども、そういうことを果断に実行して、バイアブルな部分についてこの再生を図りさらに発展を図っていくということが、日本経済の構造改革を進めるというか、そのものだということを申しているわけでございます。
 今回のダイエーについても、そういう我々の一般的な働きかけに応じてくれたというふうに我々は受けとめていますけれども、そういうことで、金融機関と当該の企業がいろいろと相談をして、その再生を図るべく、今、企業の側の申し出に対して、銀行、金融機関の側はこれを前向きに検討するということを答えて、今その具体の検討に入っている、こういう段階である、このことをぜひ御理解賜りたいと思います。
中塚委員 同様の趣旨ですが、平沼大臣、いかがでしょう。
平沼国務大臣 趣旨としては柳澤金融大臣と同じ見解でございますけれども、政府として、ダイエーを支援するあるいは支援しない、そういう判断を行ったものではありません。
 ダイエーというのは、十八日、御承知のように再建のための新三カ年計画、その骨子を発表いたしました。再建策の具体策については、今後、当事者がみずから決めるべきものだと思っています。
 当省といたしましては、ダイエーが選択と集中による構造改革を進めまして、主力行がそれを支援する、そういう危機感を持った自主的な取り組みを行っている、このように理解しておりまして、私どもとしては、こうせい、ああせいというようなことを言っているわけではありません。
中塚委員 金融機関とダイエーとの話し合いというふうにおっしゃるけれども、さっきの外務省の話なんかを聞いていても、とてもじゃないけれどもそういうふうには思えないですね。まさに、やはりこれは、ダイエーをつぶすということがまたペイオフ解禁ということと密接に問題が絡み合ってくるからこそこのような処置になっているというふうに思わざるを得ない。
 平沼大臣、このダイエー、産業再生法の適用について言及されていますけれども、この産業再生法の適用の可能性というのはどうなんでしょう。
平沼国務大臣 お答えをいたします。
 産業再生法の適用の可否につきましては、計画の詳細が固まらない今の段階では具体的に申し上げることはできませんけれども、当省といたしましては、そういう具体的な適用申請があれば、当然、法の趣旨に照らしまして適切に対応しなければならない、このように思っております。
中塚委員 今、銀行とダイエーとの間の話し合いでということをおっしゃいましたが、では、どうして話し合いで――マイカルは民事再生法を適用してああいうことになりました。青木建設が破綻をしたときも、総理自身は、構造改革が進んでいる証拠だというふうに述べたわけですね。では、どうしてダイエーは銀行との話し合いの結果残ることになるというふうにお考えですか。
平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。
 ダイエーは、昨年来、新しい経営体制のもとで、着実な資産売却等による有利子負債の削減や営業力回復等に一生懸命努めていると承知しております。しかしながら、依然として多大な債務が経営の足かせとなっていることも事実でありまして、今般、主力行と密接に協力しながら、有利子負債を抜本的に処理して経営再建を図るため、先ほど申し上げたように新三カ年計画に係る骨子を発表したところでございます。
 お尋ねのマイカルでございますけれども、再建計画の目標を大幅に下回り、主力行の支援、それも受けられない中で法的整理に移行した、このように私どもは承知しております。
中塚委員 ということは、平沼大臣は、このダイエーの再建計画の中身について、産業再生法の適用まで言及されているというわけですから、三年間で有利子負債を一兆円未満にまで切り下げるということが実現可能だというふうにお考えになっているわけですね。
平沼国務大臣 私は、記者会見等で、このダイエーに関しては基本的にどういう態度で臨むのか、こういう御質問が再三あります。その中で、産業再生法というのがあるわけでありまして、もしダイエーサイドで、その再建計画の中でこれの適用というものを申請してくれば、先ほどお答え申し上げたように、それは適切に私どもはその時点で対応させていただく、こういうことであります。
中塚委員 ダイエーという企業がやはり今度、政府主導ではないというふうにおっしゃるけれども、あちこちから聞く話というのは全部政府主導だということばかりなわけですね。そういうダイエーが助かって、やはり今、中小企業というのは、さっき大臣自身が答弁されていましたけれども、大変な厳しい資金環境の中にあるわけです。
 これもペイオフ解禁ということと密接に関係があるというふうに思いますけれども、次に柳澤担当大臣に伺いますが、金融危機対応会議で、資本注入できる場合のケースとして三つ挙げていらっしゃいますよね。一つが金融機関の連鎖的な破綻、次に連鎖的な資金繰り難ということを言っておられて、三つ目に大規模な貸し渋りの発生ということが書かれているわけですけれども、この大規模な貸し渋りの発生というのは一体どういうことなんですか。
柳澤国務大臣 ちょっと、御質問の中のお言葉でございますけれども、金融危機対応会議は、もう既に御案内のことだと思うのですけれども、預保法上の三つの措置を発動できるということになっておりまして、その中の一つが資本注入ということでございますので、ほかにも、特別危機管理であるとかあるいは預金の全額保護というような措置も可能になっているということでございます。そういうことが発動されるのは、言うまでもなく、国及びそれぞれの地域の金融秩序に重大な支障があるおそれがある、こういう場合ということに法律上の規定はなっているわけでございます。
 しかし、それではよくわからないではないか、もう少し具体的に状況を説明できないのかということをたびたび御質問いただくわけですけれども、基本的には私どもは、それについては建設的なあいまいさというものを残しておいた方が最も適切に対応できるんだ、こういうことを申し上げて、余りこのあたりのことについて具体、詳細に申し上げることを差し控えているのですが、それにしてもわからないではないかということの中で、今先生が御指摘になられたような状況というものを御説明させていただいているわけでございます。
 そういう中で、その三つのケースを御説明させていただいているわけです。破綻とそれから資金繰りの問題、こういうものが連鎖的に非常に困難な状況を呼び起こすということ、それに加えて申し上げているのが、貸し渋りというか回収というか、そういうようなことでいわゆる信用の急速な、急激な収縮が起こるケースが考えられるということを申し上げているわけでございます。
 これもまた、具体的に、数量的に言うということは我々は避けなければならないわけですけれども、これは先任の宮澤大臣なぞが申していることだと、私、議事録を読んだ記憶があるのですけれども、九七年、九八年当時のような、ようなです、そういう信用の収縮というようなことが想定されていると言わせていただいていいでしょうか。しかし、それにしてもそれに限られるわけではないし、またそういうことはケース・バイ・ケースで判断をさせていただくということを申し添えさせていただきます。
中塚委員 ツービッグ・ツーフェール、大き過ぎてつぶせないということがある一方で、中小企業向けの貸し渋り対策というのは建設的なあいまいさというふうな言葉で終わってしまう、そういうふうなことで果たして本当にいいのかということなんですね。
 平沼大臣、それこそ今、九七年、八年ですか、あのときのような状況というお話がありましたが、あのときだって特別保証制度をつくって、とにかく必死でつないだわけですね。その特別保証制度も終わって、もう間もなく一年たつわけです。
 やはり今、その据え置きをしてくれとか、リスケをしてくれという声が本当に地方からほうはいとして起こっているわけです。それこそ、どんどんと、この特別保証というお金自体も返せない、保証協会自体も代位弁済でまた求償権行使をするものだから、保証協会自体がその貸し出し保証ということに慎重になり過ぎて、新しい保証をしないというふうな事例が多々あるわけですね。だから、そういったこともちゃんと実態に合った対応というのが必要だと思うのですが、いかがでしょう。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 平成十年の未曾有の貸し渋り状況に対応するため、御承知のように特別保証制度、これは百七十二万件で二十九兆保証させていただきました。これは委員御承知のとおり、通常の信用保証とは異なりまして、積極的な保証を行うために、所定の事項に該当しない限り原則としてすべて保証を承諾するネガティブリスト方式を採用したところです。
 こういう厳しい中でも中小企業の皆様方は頑張ってくださっておりまして、代位弁済の状況につきましても、当初一〇%を想定しておりましたけれども、昨年の十二月末でまだ三・五七、こういう形で非常に頑張っていただいている、こういうことは事実として申し上げられると思います。
 そこで、私どもとしては、やはりこういう厳しい状況の中にあって、条件の緩和等、そういうことをやらしていただいていることも事実でございまして、昨年三月の特別保証制度終了を踏まえまして、個々の中小企業者の実情に即したきめ細かな審査を通じまして総合的な判断を行うこととしておりまして、その趣旨につきましては、特別保証の終了時あるいは年末の金融繁忙時といった時期に、保証協会に周知徹底すべく文書で指導を行っています。
 また、大型倒産や取引金融機関の破綻といった不測の事態に見舞われた中小企業の連鎖的な破綻を回避するためのセーフティーネット保証につきまして、累次の制度の充実を図っているところでございまして、平成十三年度第一次補正予算においても一千億円の予算措置をとらせていただいております。
 いずれにしても、先ほど来申し上げておりますように厳しい状況でございますので、私どもとしては、さらに信用保証制度の適切な運用を行って、皆様方に対して円滑な資金供給に努めていかなければならない、このように思っております。
中塚委員 終わります。
津島委員長 これにて中塚君の質疑は終了いたしました。
 次に、小沢和秋君。
小沢(和)委員 二十五日に引き続き、諫早湾干拓問題で質問をいたします。
 前回の質問で、私は、今さら干拓で農地を造成しても全く意味がないこと、むしろ、その干拓によって深刻な環境破壊、漁業への重大な被害が発生していることなどを指摘いたしました。さらに私は、この事業が、干拓農地を半分に減らした結果、土地改良法で求められている費用対効果の比率一・〇という最低要件を満たさなくなったことも指摘をいたしました。宮入興一愛知大学教授によれば、その比率は〇・八二だといいます。
 きょう、まずお尋ねをしたいのは、二十五日に農村振興局長が、数字は示せないと答弁しながら、その一方で、事業開始後の計画変更の段階では比率が一・〇以上であることは求められていないと発言したことであります。びっくりしてすぐ土地改良法を読み直してみましたら、確かに法律では、干拓事業は、始めるときは一・〇以上でなければならないが、見直し後についてはそれが要件になっておりません。これなら、干拓は、見直し後なら、費用対効果が〇・五になろうが〇・三になろうが、法律上はよいということになってしまうのではないか。幾らでもむだな干拓事業を続けられるということになるんでしょうか。
太田政府参考人 お答え申し上げます。
 国営土地改良事業は、事業規模が大きいために一般に工期が長期にわたることから、この間に事業を取り巻く社会経済情勢の変化が生ずる可能性が大でございますが、このような場合には、事業規模を縮小し、これに伴う附帯的な工事を実施いたしまして早期に事業を完了させることが、より公益にかなうと考えられる場合もございます。このため、総合的な価値判断により、土地改良法上、費用対効果が一・〇以上であることを求めないこととされているものと考えております。
小沢(和)委員 今の答弁からいくと、私が言ったように、〇・五になろうが〇・三になろうが法律上はよいということになってしまうということをもう一度言っておきたい。
 諫早湾干拓の費用対効果は、八六年の当初計画から災害防止効果が四七・五%で、これが事業の中心でありました。それが、九九年の変更で災害防止効果は実に五八・八%にふえ、逆に作物生産効果はわずか一八・五%まで下がってしまいました。今回さらに農地造成面積が半減すれば、この傾向は一層大きくなります。
 大臣は、これでもこれが本来の土地改良法上の事業たり得ると言い張るのかどうか、承りたい。
武部国務大臣 諫早湾干拓事業は、地元の要望に沿って、防災機能の強化と優良農地の造成を目的に着実に実施してきたところでございます。
 本事業については、平成十一年三月に潮受け堤防が完成し、高潮を防止するとともに、調整池の水位を標高マイナス一メートルを基本に管理して、潮汐の直接的な影響を受けることなく河川、排水路等から調整池への排水が速やかに行われ、背後地において大雨時でも洪水被害の軽減が図られるなど、既に防災機能が発揮されているところでありまして、地元から高い評価をいただいているところでございます。
 また、諫早湾干拓事業の計画変更につきましては、現在、土地利用計画、営農計画及び工事計画等、事業計画の変更作業を鋭意行っているところでございまして、これらの結果を踏まえまして、費用対効果分析を行うこととしている次第でございます。
 この計画変更は本年度末を目途に行うこととしておりまして、変更計画案につきましては長崎県知事との協議を始める際に明らかにしたい、かように考えておりますが、私も現地に参りまして、当該地域の皆さん方が平たんな、広々とした農地を求めているということについては十二分に理解ができる、かように感じた次第でございます。
小沢(和)委員 地元が求めているとか防災で高い評価を受けているなんていうのは、とんでもない話です。
 この費用対効果の計算では、毎年九十五億円もの防災効果があるというんです。調べてみたら、そのうち五十億円以上は、古くからある海岸堤防が将来高潮で七割以上も全壊するような被害を受けたときに、堤防再建に五十億円以上かかるという話なんです。
 本来、防災というのは、住居や農地などをどれだけ災害から守ることができるかで効果を論ずるべきものじゃないですか。それを、そちらの効果は全部足しても四十数億円しかない。防災効果の大部分は堤防そのものを守ることだとは、余りにばかげた話ではありませんか。
 ついでながら、農水省が高潮、高潮と言うので、きょう諫早市に問い合わせてみたら、諫早湾では高潮は過去二十年に一回しか起こっていない、それも床上浸水十八戸程度のものだったと言うんです。それを防止するために潮受け堤防などに千五百億円もかけるのが妥当な投資だと言えるんですか。
武部国務大臣 災害防止に係る効果につきましては、諫早湾周辺地域における農地、住宅、道路等の資産を総合的に評価し、伊勢湾台風級の高潮と諫早大水害級の洪水が同時に発生した場合に、それらの被害が防止または軽減される効果を算定した結果、年効果額が約九十六億円と算出されたものでありまして、適切に評価されている、かように存じます。
 また、潮受け堤防により諫早湾を締め切り、調整池の水位をマイナス一メートルを基本に管理することにより自然の高低差で排水できる範囲が広がっております。また、雨の降り方などによって一時的に湛水が生じる場合があるが、総体といたしまして、湛水時間が大幅に短縮するなど、十分に防災機能が発揮されているところでございまして、これらは地域住民にも実感されており、感謝の声が多く寄せられているところでございます。
小沢(和)委員 今私が言ったように、高潮というのは過去二十年に一回しか起こっていない、それも床上浸水十八戸程度のものなんですよ。それを防止するのに、潮受け堤防なぞに千五百億円もかける。(発言する者あり)今こちらからお話が出ているように、そうしたら、日本じゅうに刑務所の塀みたいなものをずらっと張りめぐらさなきゃいけない、こういうばかげたことになるんじゃないですか。
 これだけ私が言ってもなおかつ工事を続行するというのは、やはりその背景には、二十五日にも明らかにしたとおり、政権党である自民党への多額の企業献金があるということを言わざるを得ません。
 二十五日に、干拓事業を受注しているゼネコンなどが、ここ六年間に自民党長崎県連に三億三十万円献金していることを資料で明らかにいたしました。そのほかにも、諫早市周辺の自民党長崎県第二選挙区支部や金子県知事にも数千万円献金しておる。改革と言うのなら、こういう企業献金を受け取るのを今こそきっぱりやめるべきであります。
 中には、悪名をとどろかせている企業もある。例えば若築建設は、一九九六年、当時の中尾建設大臣に、指名ランク格上げのため、現金など三千万円をわいろとして贈った企業であります。この若築建設が性懲りもなく、事件が発覚した二〇〇〇年にも引き続いて自民党長崎県連に五百万円献金している。大臣は、こういう業者の献金も何のわいろ性もない浄財だと思うんですか。
 また、熊谷組、佐藤工業、飛島建設、間組、フジタ、三井建設など、銀行から巨額の債務免除を受けた企業もあります。その銀行の多くは、公的資金、つまり国民の税金の注入を受けておる。これでは、国民の税金が間接的に献金の形で自民党に渡っていることになる。
 私は、今、問題のある献金だけでも返したらどうかと言いましたけれども、一九九六年、九七年には、当時の橋本総理は当委員会で、問題企業や不良債権を抱える企業からは今後献金を受けない、受けていた分は返すと言明しました。せめて、こういう措置を講ずる気はないのか。
 この質問は官房長官に通告していたんですが、残念ながら席を外しておられるので、自民党の大幹部の一人である農水大臣にお尋ねをいたします。
武部国務大臣 私は自民党の大幹部ではございませんが、突然の御質問でございますが、国家公務員の再就職については、国家公務員法及び人事院規則に基づいて適切に対処しているところであり、御指摘の企業への再就職についても同様であろうと存じます。(発言する者あり)
 最後まで答弁を聞いていただかなければ、今、小沢委員は……(小沢(和)委員「聞いていないことを言うから言っている」と呼ぶ)聞いていないことって、小沢委員は、諫早湾干拓事業の工事受注企業からの献金問題をお話しされていたんじゃないでしょうか。そうでございますね。(小沢(和)委員「だって、あなた、天下りの話しかしていない」と呼ぶ)
津島委員長 質問に答えてください。
武部国務大臣 また、平成十三年十二月二十五日に閣議決定された公務員制度改革大綱において、公務員の再就職の問題については、国民の信頼を確保し得るルールを確立する旨が示されたところでありまして、今後とも、国家公務員の再就職については政府として適切に対処してまいらなければならない、かように思います。
 献金問題については、これはルール、法令に従って適切に対処されているもの、私はかように存じます。
小沢(和)委員 私がお尋ねしているのは、こういう問題を起こしたような企業やら、不良債権を抱えていて銀行などから債務の免除を受けたような企業、こういうようなところからの献金ぐらいは返すようにしたらどうかという提案をしているんです。自民党の幹部の一人としてお答えになったらいかがですか。ちゃんと通告してあるんだから。
武部国務大臣 いや、私にはその問題を通告いただいていませんが、官房長官への通告だ、かように存じますけれども、私も政治家ですから、私の所感を申し上げますと、委員は具体的にどういうことを考えて御発言かわかりませんが、問題のあるところから、企業献金であろうが、そういったものを受けることは私は適切ではないと思います。しかし、法令に従って、政治献金等は適切に、浄財をいただくということは問題ではないのではないか、かように存じます。
小沢(和)委員 だから、あなたは今、適切でないと言われたんですから、だったら、道義的にも返しなさいということを私は言っているんです。
 最後に、諫早湾干拓事業の契約を調べて驚いたのは、随意契約の多さであります。委員各位に配付している二枚目の資料が排水門を含む潮受け堤防工事契約の実態ですが、一番下にまとめているとおり、契約件数で見ると七六%……
津島委員長 小沢君、質問時間が終了しております。
小沢(和)委員 金額で見ると五六%が随意契約であります。(発言する者あり)いや、ピント外れのことを言ったから時間を食ったんですよ。そっちの責任です。
 随意契約といえば少額のものと思われるかもしれませんが、三十億円、四十億円という巨額のものが幾つもある。そして、一枚目の右端に丸印をつけているとおり、献金上位の有力企業の大部分が、多くの巨額の随意契約を獲得しております。最初の年だけ指名競争入札で、次の年からは最後まで随意契約は続いている。
 こういう随意契約が一番問題を起こしやすい。大臣が改革と言うんだったら、こういう契約形態を正すことが重要ではないか。これだけお尋ねして、終わります。
太田政府参考人 国が工事請負契約を締結する場合においては、会計法二十九条の三の規定に基づきまして、契約の性格または目的が競争を許さない場合や競争に付すことが不利と認められる場合等におきまして、随意契約により工事を発注しているところでございます。
 諫早湾干拓事業の堤防工事におきましては、分割して発注した前後の工事が密接に関連することから、一体不可分な構造物を建設するために、後の工事を前の工事の施工業者に施工させた方が有利となることから、随意契約としているところでございます。
津島委員長 武部大臣、時間が来ておりますから、簡潔に答弁してください。
武部国務大臣 諫早湾干拓事業における工事の発注については、会計法などの法令に基づき適正に執行されていると承知しております。
小沢(和)委員 納得いきませんが、終わります。
津島委員長 これにて小沢君の質疑は終了いたしました。
 次に、横光克彦君。
横光委員 小泉内閣が成立してから九カ月になるわけでございますが、この間、改革、改革という声は連発し続けておりますが、肝心の経済状況、この経済状況がプラスになったものは何一つない。あらゆる経済を取り巻く状況は下降線をたどるばかりなわけです。
 こういった中で、去る一月二十五日に、これからの構造改革と経済財政の中期展望、五年間の中期展望を示し、閣議で決定をいたしました。経済と財政。これも、最大の課題はデフレの克服とあるわけでございます。デフレの克服が最大の課題であるということは、これはもう申すまでもありません。そして、その位置づけとして、改革先行プログラムによるあの一次補正、そして今回の緊急プログラムによる二次補正、これが位置づけられているわけでございます。その中身は、今後二年間、十四年と十五年、この二年間はゼロ成長が続くだろうということ。そして、その二年間のうちにデフレを克服して、十六年からはGDPが実質で一・五%、名目で二・五%になるだろうと見通しを閣議で決定いたしました。
 背水の陣で臨んだと思うんですが、この決定は非常に重いわけです。これから内閣が、国内外に公約をしたも同然であり、この実現を図っていかなければならないわけですが、これから二年間はマイナスにならない、ゼロとはいえマイナスにならないと言っている。その後はプラスになるんだと。確かにそうなってほしい。それに向けて全力を出していただかなければなりません。
 しかし、財務大臣、昨年の消費者物価、これがまた三年連続して下落してしまいました。まさに完全にデフレスパイラルに陥っていると言ってもいい経済不況の中です。そういった中で、来年度の緊縮予算、さらに構造改革を進めていって、果たしてこの閣議決定のように本当にデフレを克服することができると思っておられるのかどうか、財務大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
塩川国務大臣 私は信じておりますし、そういう傾向が出てきております。
 先月発表いたしました月例報告によりますと、これは内閣府が発表したものでございますが、政府としての正式な公表でございますが、その中で卸売物価は前月比ゼロ%でございまして、要するに、卸売物価の下落がとまってきたということでございました。したがって、私は、物価も現在の水準で安定してくるのではないかと思っております。それから、輸出が増加してきております。
 そういう傾向等をつぶさに見てまいりますと、景気はなお悪化しつつあるということは事実でございます、これは私たちも心配しておりますけれども。個々に見るならば、それのまた新しい暁光の兆しが少し出てきておる。ここでやはり構造改革を進めて、力強い経済の運営をしていくべきだと思っております。
横光委員 私は、今の御答弁、大変甘い考えだと思いますね。毎日の各新聞で出るのは、企業の何千人リストラ、削減、こういった言葉、文言が非常に多い。ますます失業率は高まっていくだろうと。そうなりますと、完全に消費は冷え込むわけですね。そして、その中に構造改革が進むと、これはもう、経済は全く動かなくなるんじゃないかというぐらい私は心配しているわけでございます。
 そういった中、今回第二次補正が審議されているわけですが、このように経済状況が厳しいだけに、この二次補正というものの必要性は私もそれは認めます。しかし、それはあくまでも効果があってのことなんですね。
 しかし、問題点が非常にこの補正にもあるわけです。とりわけ財源ですね。
 確かに三十兆円の枠を守った守ったと言って、NTTの資金を活用する、無利子貸し付けということで。これはもともと国債整理基金特別会計へ返済しなければならない資金なんです。これを今回活用するというわけでございますが、これは、今回はほとんどBタイプになっている。つまり、Bタイプというのは地方公共団体に貸し付けるわけですね。無利子とはいえ、地方はいずれは返済しなければならないわけですが、これはどうやって返すんでしょうか、国の責任は重い。恐らく、いずれはいわゆる建設国債を発行して、償還財源として地方に渡すという手法になるんじゃないかということが考えられるんですが、これは非常に問題だと思うんです。
 結局は、一般会計が後から建設国債を発行するだけの話であり、今建設国債を発行しないだけで、後から発行する。つまり、このNTT資金の活用によって国債発行を先送りするだけだということになると思うんですね。このことに、三十兆円を守った守ったと言っておりますが、こういったやり方で守ったことにどれほどの意味があるのか、非常に私としては不思議でなりません。
 これは地方に償還財源として返す金、いずれは国債発行せざるを得ないという認識はおありでしょうか。
塩川国務大臣 とりあえず、どこの家庭でも、また国家でもそうでございますが、安易に国債に頼って、あるいは借金に頼って財政を運営するということは、必要な場合もありましょうけれども、原則としてそれは避けるべきであると思っております。今回も三十兆円に絞ったということは、安易に国債に頼らないという姿勢でございます。
 ついては、このBタイプの資金の回収についてでございますけれども、それはいずれ、補助金で計上いたしておるものでございますが、一般財源の中で、何も国債のみでこれを返さなけりゃならぬということではございません。いろいろな要素を集めまして、その時々の財政の運営の中で返済の計画を立てていけばいいものだと思っておりまして、その用意をいたしております。
横光委員 国債だけでない、いろいろな方法があるといって、用意しているとおっしゃいましたが、どのような方法を考えておられるんですか。
塩川国務大臣 一つは、さらに一層財政の支出を合理化し、節約するということによって財政支出を節約する、そこに財源を見出すということが一つ。それから、少しは経済も上向いてまいりましょうから、それによるところの増収、税の増収ということもございましょうし、また、政府自身として、第三の収入にいろいろな面で考えられるものがございますので、その方法をとっていきたいということです。
横光委員 節約といっても、これだけ巨額の財源を確保、創出するのは難しい。税収の増ということは、これは増税も考えているというふうにも聞ける。建設国債を発行しないという言葉もなかった。結局、国民にとっては非常にわかりにくい、いずれは国債を発行して地方の償還分に充てざるを得ないということになるわけでございます。そのことが非常に問題点があると私は今申し上げたわけでございます。
 そして、この活用は補助金型ですよね。つまり、補助金型では、地方公共団体は、交付されるNTT資金にあわせて新たな地方債を独自に調達しなければなりません。
 今、地方は財政が非常に厳しい。国も厳しいが、地方はもっと厳しいんです。そういった厳しい中で地方自治体は、単独事業をむしろ今絞り込もうとしている状況なんですよ。そういった中でどこまで今回のこの活用が効果を発揮できるか、非常に疑問であると言わざるを得ないんです。地方は、正直言ってこれ以上の地方債は出したくない、これが正直な声であって、しかし、中央との関係を考えるとどうしても渋々とやらざるを得ない、これが地方の姿なんです。私もよく自治体の方から聞きます。そんな実情の中で果たして効果があるのか。
 例えば、食べ物でも、食べたい食べたい、おいしいおいしいと思って食べれば、どんなものでも栄養になる。しかし、どんなに栄養があっても、そんなに食べたくない食べたくないと思って食べてしまえば、結果的に腹を壊してしまう。それと同じような形が今地方の実情なんですよ。
 つまり、先ほどのNTT資金の返済、これも国債をいずれ出さなきゃいけなくなるだろう。さらに今度は、地方が発行する新たな地方債、これも返済しなければならない。これは恐らく交付税という形で算定基準に加えるということをお答えになろうかと思いますが、では、この交付税の財源はどこで捻出されるおつもりなんですか。
塩川国務大臣 交付税は、国税五税の中から、一定の割合を掛けたもので捻出いたします。
横光委員 これも恐らく、新たな地方債の返還のためには、交付税の算定基準に加えて、交付税で返すということでしょうが、これも財源がない、結局は、これまた新たな国の支出になるわけでございますね。その地方の交付税への対応、面倒も見なければならない。結局、どうですか、将来的にはこの二・五兆円を完全に上回るほどの国の財政負担が始まるわけですよ。国債発行を完全に回避した妙案であるかのように国民には知らせておりますが、これはもう、むしろ国民を欺くものと言わざるを得ないような状況だと私は思うんです。ですから、確かに、形の上では三十兆円、国債発行はその中で守ったということになっておりますが、こういった形で、国民にはわかりにくい形での資金活用になっている。
 しかも、このNTTの資金活用事業は、今回はほとんどBタイプでございました。ところが、これまではこれをいろいろと活用しておりますね。Cタイプ、つまり社会資本整備促進融資、こういうCタイプ融資にも、日本政策投資銀行でこういった第三セクを対象に融資事業を行っております。
 ところが、この日本政策投資銀行における社会資本整備促進融資、いわゆるNTT資金の活用で使ったCタイプ、これの融資が現在、破綻先債権、そしてまた延滞債権、つまり、もうつぶれて返ってこない債権、全然返済されていない債権、こういうのを合わせますと二百九十八億円あるんです。二百九十八億円の金がほとんどむだな形になっていっている、NTTの資金の活用の中で。
 この二百九十八億円の結局返ってこない金、これは、いずれは国債整理基金特別会計に、国債の償還に、返す金に戻さなきゃいけないわけですよ。二百九十八億円も返ってきていない。これはどのようにして賄うおつもりなんですか。
塩川国務大臣 Cタイプのものは大体に担保が皆ついておりますし、また、担保のないもので、認定事業等によりましては保証制度、金融機関の保証等がついておりますので、回収についてさほど大きいミスはないと思っております。
 しかしながら、やはり破綻したものもございますからして、その回収には全力を挙げて回収に努力するということは当然必要になってまいります。私は、そういう担保物件等があるから一般貸し付けとは若干違うということを認識しております。
横光委員 このように、第三セクですから、地方自治体あるいは関係銀行等も融資してやっているわけですが、結果的にこれが国民の負担にならないように、今のような形で最善の努力をしていただきたいと思います。
 終わります。
津島委員長 これにて横光君の質疑は終了いたしました。
 この際、暫時休憩いたします。
    午後九時三十二分休憩
     ――――◇―――――
    午後十一時三十三分開議
津島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 ただいま、民主党・無所属クラブ、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合所属委員の御出席が得られません。
 理事をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。
 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
津島委員長 速記を起こしてください。
 理事をして御出席を要請いたさせましたが、民主党・無所属クラブ、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。
 質疑を続行いたします。
北村(直)委員 動議を提出いたします。
 両案に対する質疑は終局し、直ちに採決されんことを望みます。
津島委員長 北村君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
津島委員長 起立多数。よって、質疑は終局しました。
    ―――――――――――――
津島委員長 討論は御遠慮願います。
 採決します。
 平成十三年度補正予算両案を一括して採決します。
 両案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
津島委員長 起立多数。よって、両案は可決しました。
 両案の委員会報告書の作成を委員長に一任するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
津島委員長 起立多数。そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
津島委員長 本日は、散会いたします。
    午後十一時五十二分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.