衆議院

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第12号 平成15年2月17日(月曜日)

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平成十五年二月十七日(月曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 藤井 孝男君
   理事 斉藤斗志二君 理事 自見庄三郎君
   理事 杉浦 正健君 理事 萩山 教嚴君
   理事 宮本 一三君 理事 末松 義規君
   理事 原口 一博君 理事 細川 律夫君
   理事 石井 啓一君
      伊吹 文明君    池田 行彦君
      石川 要三君    岩崎 忠夫君
      尾身 幸次君    大原 一三君
      亀井 善之君    栗原 博久君
      小西  理君    近藤 基彦君
      高鳥  修君    竹本 直一君
      津島 雄二君    中山 正暉君
      丹羽 雄哉君    西川 京子君
      葉梨 信行君    萩野 浩基君
      林 省之介君    原田昇左右君
      菱田 嘉明君    福井  照君
      増原 義剛君    松岡 利勝君
      松島みどり君    松宮  勲君
      三ッ林隆志君    三塚  博君
      水野 賢一君    持永 和見君
      山口 泰明君    吉野 正芳君
      石井  一君    上田 清司君
      海江田万里君    河村たかし君
      田中 慶秋君    中村 哲治君
      長妻  昭君    細野 豪志君
      牧野 聖修君    吉田 公一君
      米澤  隆君    太田 昭宏君
      斉藤 鉄夫君    西  博義君
      一川 保夫君    達増 拓也君
      中塚 一宏君    樋高  剛君
      児玉 健次君    佐々木憲昭君
      矢島 恒夫君    保坂 展人君
      横光 克彦君    井上 喜一君
      山谷えり子君
    …………………………………
   総務大臣         片山虎之助君
   法務大臣         森山 眞弓君
   外務大臣         川口 順子君
   財務大臣         塩川正十郎君
   厚生労働大臣       坂口  力君
   農林水産大臣       大島 理森君
   経済産業大臣       平沼 赳夫君
   国土交通大臣       扇  千景君
   国務大臣
   (内閣官房長官)     福田 康夫君
   国務大臣
   (国家公安委員会委員長) 谷垣 禎一君
   国務大臣         細田 博之君
   国務大臣
   (金融担当大臣)
   (経済財政政策担当大臣) 竹中 平蔵君
   国務大臣
   (規制改革担当大臣)   石原 伸晃君
   内閣府副大臣       伊藤 達也君
   内閣府副大臣       米田 建三君
   法務副大臣        増田 敏男君
   外務副大臣        茂木 敏充君
   財務副大臣        谷口 隆義君
   厚生労働副大臣      鴨下 一郎君
   厚生労働副大臣      木村 義雄君
   農林水産副大臣      北村 直人君
   経済産業副大臣      高市 早苗君
   国土交通副大臣      吉村剛太郎君
   環境副大臣        弘友 和夫君
   内閣府大臣政務官     大村 秀章君
   内閣府大臣政務官     木村 隆秀君
   農林水産大臣政務官    熊谷 市雄君
   経済産業大臣政務官    桜田 義孝君
   環境大臣政務官      望月 義夫君
   政府特別補佐人
   (人事院総裁)      中島 忠能君
   会計検査院長       杉浦  力君
   会計検査院事務総局次長  白石 博之君
   政府参考人
   (人事院事務総局勤務条件
   局長)          大村 厚至君
   政府参考人
   (総務省大臣官房総括審議
   官)           伊藤祐一郎君
   政府参考人
   (総務省自治行政局長)  畠中誠二郎君
   政府参考人
   (総務省自治財政局長)  林  省吾君
   政府参考人
   (法務省民事局長)    房村 精一君
   政府参考人
   (法務省刑事局長)    樋渡 利秋君
   政府参考人
   (法務省矯正局長)    中井 憲治君
   政府参考人
   (財務省主計局長)    細川 興一君
   政府参考人
   (財務省理財局長)    寺澤 辰麿君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房総括
   審議官)         鈴木 直和君
   政府参考人
   (厚生労働省老健局長)  中村 秀一君
   政府参考人
   (厚生労働省年金局長)  吉武 民樹君
   政府参考人
   (社会保険庁運営部長)  磯部 文雄君
   政府参考人
   (経済産業省大臣官房長) 北畑 隆生君
   政府参考人
   (国土交通省大臣官房長) 安富 正文君
   政府参考人
   (国土交通省道路局長)  佐藤 信秋君
   参考人
   (都市基盤整備公団総裁) 伴   襄君
   予算委員会専門員     中谷 俊明君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月十七日
 辞任         補欠選任
  石川 要三君     増原 義剛君
  衛藤征士郎君     近藤 基彦君
  奥野 誠亮君     松島みどり君
  津島 雄二君     菱田 嘉明君
  丹羽 雄哉君     竹本 直一君
  松岡 利勝君     水野 賢一君
  三塚  博君     吉野 正芳君
  山口 泰明君     福井  照君
  海江田万里君     牧野 聖修君
  赤羽 一嘉君     太田 昭宏君
  樋高  剛君     一川 保夫君
  矢島 恒夫君     児玉 健次君
  中西 績介君     保坂 展人君
  井上 喜一君     山谷えり子君
同日
 辞任         補欠選任
  近藤 基彦君     小西  理君
  竹本 直一君     丹羽 雄哉君
  菱田 嘉明君     津島 雄二君
  福井  照君     山口 泰明君
  増原 義剛君     石川 要三君
  松島みどり君     岩崎 忠夫君
  水野 賢一君     西川 京子君
  吉野 正芳君     三ッ林隆志君
  牧野 聖修君     海江田万里君
  太田 昭宏君     西  博義君
  一川 保夫君     樋高  剛君
  児玉 健次君     矢島 恒夫君
  保坂 展人君     中西 績介君
  山谷えり子君     井上 喜一君
同日
 辞任         補欠選任
  岩崎 忠夫君     奥野 誠亮君
  小西  理君     松宮  勲君
  西川 京子君     松岡 利勝君
  三ッ林隆志君     三塚  博君
  西  博義君     赤羽 一嘉君
同日
 辞任         補欠選任
  松宮  勲君     林 省之介君
同日
 辞任         補欠選任
  林 省之介君     衛藤征士郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 会計検査院当局者出頭要求に関する件
 政府参考人出頭要求に関する件
 平成十五年度一般会計予算
 平成十五年度特別会計予算
 平成十五年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――
藤井委員長 これより会議を開きます。
 平成十五年度一般会計予算、平成十五年度特別会計予算、平成十五年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般的質疑を行います。
 この際、お諮りいたします。
 三案審査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局勤務条件局長大村厚至君、総務省大臣官房総括審議官伊藤祐一郎君、自治行政局長畠中誠二郎君、自治財政局長林省吾君、法務省民事局長房村精一君、刑事局長樋渡利秋君、矯正局長中井憲治君、財務省主計局長細川興一君、理財局長寺澤辰麿君、厚生労働省大臣官房総括審議官鈴木直和君、老健局長中村秀一君、年金局長吉武民樹君、社会保険庁運営部長磯部文雄君、経済産業省大臣官房長北畑隆生君、国土交通省大臣官房長安富正文君、道路局長佐藤信秋君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局次長白石博之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
藤井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
藤井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。太田昭宏君。
太田(昭)委員 おはようございます。公明党の太田でございます。
 国会が法律をつくって成立させるということは非常に大事なことで、私もそういうことに二年ぐらいずっと一生懸命やってきましたが、現場を回りますと、法律はつくったけれども非常に使い勝手が悪いとか、それがどう展開されてくるかということは非常に大事なことだと思います。
 昔、いつごろだったか、東大の大塚久雄先生の本を読んだときに、地図と現実が違っているときに、地図が間違っているのか現場が間違っているのかという当たり前のことがよくわかっていない人がいるということを大塚先生が言ったことがありまして、印象に残っているんですが、現場からよく物を見ながら法律をつくり、あるいはまた、法律をつくった後、生むことばかり精いっぱいというわけではいけないということで、きょうは何点か質問をさせていただきたいというふうに思っております。
 交通バリアフリー事業のあり方についてでありますが、先日、私は、町がどういうふうになっているかということで、車いすに乗りましてずっと町を歩きました。随分バリアフリーがここ進んできているということは自分も認識をしていたんですが、実はこのバリアフリーは段差がなくなっただけという場面も多々ある。車いすでこのくらいの段差があれば、私などのようになれていない人間はもう上れない。あるいは、車道から歩道に行くときは、非常にスロープがきついというようなことがありますと、これまた上れない。段差がなくなっているけれども、それは車が入るためにというようなことがあったりするということで、もう一度、せっかくこういうバリアフリーが進んでいるということからいきますと、よく現場を点検して、あるいは車いすに乗っている人たちの声を聞いて、それを手直ししていくというような措置が私は非常に大事だなということを痛感いたしました。
 あるいは、障害者用のトイレがあるんですが、何カ所か回ってみますと、かぎが閉まっていて、昼間であるのですが使えない。せっかくそこに飛び込んでいっても使えないというようなことがありまして、これは大変困るという話は随分聞いたわけですね。
 私は、そういうことからいきますと、現実のそうしたことに対してしっかりと障害者の声を反映すべきであるというふうに思います。質問ですが、バリアフリー事業の設計というものがどういう基準で行われているか、そして、どのような方法で障害を持つ人の声を聞いているのか、そして、設計段階で障害を持つ人の声をもっと反映できるようにしていただきたい、こういうことをまず申し上げたいと思いますが、答弁をお願いします。
扇国務大臣 おはようございます。
 太田議員の御指摘のように、世の中にはまだまだ暮らしいいと言い得ないような場所がたくさんございます。けれども、御存じのとおり、交通バリアフリー法というものを通させていただきまして、少なくとも皆さん方のお役に立てるように、また、健常者と同等の通行ができるようにということで、バリアフリー法を通していただいた後、駅でありますとかあらゆるところで、まずエスカレーターの設置ということで、今まではほとんどが上りだけしかエスカレーターもつくっておりませんでしたけれども、下りもつけようということで、これも、バリアフリー法の後、順次いたしております。
 また、エレベーターで段差解消をしよう、そういうようなことも鉄道駅等々で行われておりまして、また、今御指摘の通路の段差、これにつきましては、視覚障害者の皆さん方が、歩道から車道にはっきりとわかるようにしてほしい、そういうような御要望がございまして、二センチメートルの標準とするということで、この段差の手前から二メートル、スロープをつけて上がりおりできるように、これもいたしております。
 それからまた、先ほど申しましたエスカレーターも、本来であれば、駅の一日の乗降客が五千人以上というところからまず手始めにしていきたいということでいたしておりますけれども、これも私から、地方の駅にとりましては、五千人に満たない一日の乗降者でございますけれども、例えば温泉地とか何かで、私も行きましたら、ほとんどお年寄りがその保養地にいらっしゃる、温泉地にいらっしゃるという駅では、五千人に満たないところも、駅によっては、お年寄りの比率の多いところには五千人に満たなくてもエスカレーターもつけようではないかということにも今努力の最中でございます。
 全部の予算が、十四年度の補正を通していただきましたけれども、今年度も、特に、予算を通していただきますと、あとは道路特定財源もバリアフリーに転用するというようなことも幅を広げておりますので、これも私は、十五年度の予算を通していただきますと、十四年度の補正とあわせまして、バリアフリーというものが多くの皆さん方の御希望にかなえられるというふうに考えております。
 ただ、今残念なところ、現状どれくらいかということに関しましては、バリアフリーの基準を満たしている駅というのは、十四年の三月現在でございますけれども、まだ三三%でございまして、これを私は少なくとも、今申しましたような五千人以上の駅以外でもということで、すべての駅を、ちょっと先が長うございますけれども、平成二十二年には全部の駅にしたいということで頑張っておりますので、でき得るならば早く予算を通していただきますと、少しでも多くの駅にバリアフリー、あるいは街路の車道と歩道との段差も解消できるというふうに頑張っていっておるところでございます。
太田(昭)委員 予算が必要なことはよくわかるんですが、その辺の二十二年というこのスケジュールを明確に示して、ここまでにこうしますよということを提示するということ自体が非常に安心感を与えるというふうに私は思いますので、その辺の方針もよく徹底をしていただきたいというふうに思いますと同時に、もう一度申し上げますが、トイレにかぎがかかっているなんというのは、国の仕事か、どこの仕事かというんじゃなくて、そういうことをもう一度全国に徹底していただいて、点検するようにという指示を出していただきたいということや、あるいは、できるだけこの時点で、かなりバリアフリーが進んできているというこの時点で、どうか、声を聞くという作業をしっかりやるようにということを指示を出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
    〔委員長退席、萩山委員長代理着席〕
扇国務大臣 これに関しましては、先ほど申しましたように、障害者の皆さん方の御意見も聞きながらいたしておりますけれども、よりこれは、厚生労働省の皆さん方の御意見も聞きながら、我々はそれを加味して、そして迅速な対応を図っていきたいと思っています。
太田(昭)委員 ETCが進んできたわけですが、障害者の中から、このETCは障害者にこそ便利である、実際、お金を出すとかカードをとるとか見せるとかいう作業が、非常にこれが苦労するし大変な作業であるということが言われているわけですが、しかし一方で、障害を持つ人の高速料金が割引をされている、しかしETCを通過すると通常料金になるので従来のゲートを使うしかない、こういうことがあるわけですね。
 去年の国会審議で、年内をめどに結論が得られるように急いで検討したいという答弁が政府側からされているわけですが、年内というと、もう年内というのは、できるだけ早い決定が必要なんですが、私は、本当にこれについても、いつごろまでにどうして、今現状がどうなのかということで、明確にしていただくと同時に、しっかりとこれは対応していただきたい、結論をきょうはむしろ出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
佐藤政府参考人 先生御指摘のように、ETCは、料金所をノンストップで通過するということが可能になりますので、身体障害者の方々にとって特にメリットの大きいシステムである、こう考えております。
 しかしながら、現在のETCシステムでは、身体障害者等割引に完全に対応できるものとなっておりません。障害者御本人の確認も必要である、こういうことで、料金収受員へ障害者手帳を提示していただいているということでありまして、当面、ETCノンストップ通行時には身体障害者等割引の適用を受けることができない状況であります。
 以上のような状況から、有料道路事業者と関係者の間で、本人確認の方法について検討してまいったところであります。新たに障害者の割引システムを構築して、障害者御本人のETCカードと割引の対象となる自動車に設置されている車載器を事前に登録しておく、こうした方法で何とかなるのではないかということで、一定の結論を得たところでございます。
 今後、関係機関と調整、許認可手続、障害者割引システムの構築といったことを進めまして、来年度中を目途に、ETCによるノンストップ通行時の身体障害者等割引を実施できるように努力してまいりたいと思っております。
太田(昭)委員 努力するという話でありましたが、予算もたしかこれはついたはずでありますし、ことし中にひとつ結論を出すということは、もう来年の今ごろにはそういう体制になっているというふうにしていただきたいと思いますが、その辺もう一度。これは大臣。
扇国務大臣 今、太田議員のおっしゃったとおりでございますけれども、障害者のみならず、今のETCは単車に適用できません。私は、ETCを導入するときにこれを検討すべきだったと言っているんですけれども、これも含めまして、単車の皆さん方にもETCが通れるようにということで、両方あわせて、早急に連絡をし、なおかつ実行できるようにしていきたいと思っています。
太田(昭)委員 来年の今ごろには大体実現できるということでいいですか。
佐藤政府参考人 先生御指摘のように、そうした方向で鋭意努力してまいりたいと思っております。
太田(昭)委員 日本版のADAについてですが、障害を持つ人の最も強い声というのは働きたいという希望、あるいは、パソコンを使えば全く同様に働けるというようなことで、働く機会が十分に与えられるということが非常に大事なことだというふうに思います。
 我が党は日本版ADAということを強く主張してきているわけですが、雇用、交通、公共的施設あるいは通信、各分野において、アメリカではADAというのがありまして、大きく拡大をしているわけでありますけれども、日本におきましても、日本版ADAをしっかりやって、あるいはまた与党の女性議員によるプロジェクトが、仮称でありますけれども、ユニバーサル社会形成推進基本法という法案づくりを進めているという状況にあります。
 政府としての取り組みを伺いたいと思います。
米田副大臣 お答えをいたします。
 障害者等に対する不当な差別的取り扱いの禁止につきましては、今国会で御審議をいただいております人権擁護法案で手当てをしているところであります。
 そこで、お尋ねの日本版ADA法の制定いかんということでございますが、米国のように、障害者に対する雇用や、またさまざまなサービス提供における差別につきましての救済措置として、一般企業それから事業者の特別の賠償責任等を認める仕組みを我が国に導入することにつきましては、一律に一定規模以上の事業所に責務を課す、賠償責任を課す点、あるいはまた、差別と申しましても、障害者の方のみならずさまざまな差別の要因というのはあるわけでございまして、これら他の分野についてどうするのか、今後さらに真剣に検討をしなければならない課題が残されている、これが現状の認識でございます。
 いずれにつきましても、障害者の権利を尊重し、社会経済活動への参加機会を確保するために、さまざまな制度の見直しは絶えず進めていく必要がある、不断の努力を行わなければならないというふうに考えております。
太田(昭)委員 アメリカではチャレンジド、こう呼ぶわけですが、社会参加を図るために、国防総省が軍事技術を転用した機器の開発に取り組んでいるという状況がございます。政府として技術開発に取り組むべきであるというふうに私は思いますが、この辺はいかがでしょうか。
米田副大臣 障害者の皆様方がさまざまな制約を乗り越えて御活躍をいただく社会をつくっていく、そういう趣旨におきまして、ただいまの御提案はまことに重要な御提案であるというふうに理解をさせていただきました。
太田(昭)委員 よく認識をして進めていただきたいというふうに思います。
 きょうは竹中大臣と平沼大臣にも来ていただいておりますが、中小企業を回りますと、昨年の秋ぐらいから貸し渋りという言葉は出ないんですね。この国会論戦で、貸し渋り、貸しはがし、こういうことを言っていますが、私はちょっと、もうこれは生ぬるい国会の論戦ではないかとその言葉だけで感じたわけです。貸しはがしという、猛威ともいうべきそういう状況でありまして、まともに仕事をしているという企業がいっぱいあるわけですが、大変な状況で、本当に、もう仕事どころじゃないよ、全部銀行との折衝に追われている、頭はもう資金繰りでいっぱいだというような企業がいっぱいあるわけです。
 そういう意味で、全体的には、セーフティーネットを用意するということ、産業の活性化という、攻めと守りということが、私は今本当にもう一歩も二歩も力強く政府として推進していかなくてはいけないというふうに思います。
 まず金融姿勢でありますけれども、今、中小企業の活性化に向けた動きにブレーキをかけているのは、私は金融機関の姿勢であるというふうに思うんです。金融機関は、不良債権処理を優先する余り、リスクに臆病になっている。石橋をたたいて渡るどころじゃなくて、もう何もしない。金融機関が事業リスクを引き受けることなくして、中小企業の活性化とかあるいは我が国の産業の再生というのは全くない。
 そういう意味でいいますと、金融は産業、企業活動のためにあるのであって、決してその逆ではない。この姿勢が変わらない限り何ともならないという状況が今あるわけです。
 政府においては、金融機関への基本姿勢を、リスク回避重視から産業・企業支援重視という方向に転換を明確にして、金融検査など実際の行政の現場に反映すべきである、私はこのように思っています。
 この産業・企業支援重視というポイントを一項目、明確につけ加えるべきであるということを私は主張したいと思いますが、いかがでしょうか。
竹中国務大臣 太田委員の御指摘のとおり、我々も、中小企業、特に地方の中小企業に対する金融の問題に対しては、いろいろと御指摘を受ける中で、対応策を一生懸命講じているところであります。
 金融検査マニュアルの話でありますけれども、これは基本的に、銀行の原資となっている預金者に不測の事態が及ぶことがないようにということで、その信用のリスク管理という観点からこれを定めているわけであります。
 したがって、その中に、産業支援を行うかどうか、企業の支援を行うかどうかというのは、これはやはり個々の融資判断でありますので、そのマニュアルの中でそういうことを明示するというのは、現実にはなかなか難しい面があると思います。
 ただし、これもよく誤解されている面があると思うんですが、マニュアルそのものは、中小企業等々に関して、零細企業に関しては、あくまでもその実態に即して総合的に判断するということを強く求めております。
 この地域においてこの産業がやはり重要だと、それがその地域の繁栄になり、ひいてはその金融機関の経営も高めていくというような判断、これは当然していただかなければいけないわけで、その意味では、まさにマニュアルに書いている総合的な判断というのを周知徹底して行っていただくというのがやはり大変重要なポイントになるのではないかと思います。
 それともう一点、何度か申し上げておりますが、リレーションシップバンキングについては、やはり大手主要行の金融とは別の視点が要るということで、今、この年度末に向けて、急ぎ金融審議会のワーキンググループでその根本的なあり方を見直しております。そういうことも含めて、ぜひ地域の中小企業に対する金融のあり方が活性化するような方策を探していきたいというふうに思っております。
太田(昭)委員 私は、この委員会でも何度も言ってきたんですが、いわゆる目ききの問題ですが、地域で公的なものをつくって、それぞれの銀行に任せておくというわけにいかないとするならば、例えば、暫定的にでも、しっかりした目ききができる、そういうものをつくったらどうだということを提案したことが何度もあるんですが、中小企業への貸し出し姿勢ということについて、最近では、もうコンピューターによって機械的、画一的審査ということで、ぱっと最初から、それで話し合うというようなもの以前に切られるということが非常に大きいわけです。
 そういう意味からいきますと、量というより、あるいは担保ということだけでなくて、質ということについて本当に真剣に何らかの手だてをしないと私は大変なことになると思いますが、この辺の手だてについて何か具体的に考えたことがありますか。
竹中国務大臣 今委員の御指摘の中で、目ききという言葉がありましたが、まさに本来これが銀行業のすべてであるというふうに申し上げてもよいのだと思います。しかし、残念ながら、不良債権がふえて財務内容が悪化する中で、銀行自身が非常にかたい守りに徹する中で、この目ききの本来の仕事がともすれば非常に後退しがちであるという深刻な状態に陥っているというふうに考えております。
 それに対する対応策でございますけれども、例えば、昨年二月の早急に取り組むべきデフレ対応策の中で、我々は、無担保無保証、迅速審査による事業者向け融資の創設等、これまでの金融機関にない融資ノウハウを活用した新たな取り組みの推進を盛り込むなど、金融機関に対してこれまで繰り返して要請を行っているところでございます。
 例えば、金融機関においては、一定の融資金額、融資期間について迅速に審査を行って担保や第三者保証を不要とする事業向け融資というのを創設する、企業の技術力等を積極的に評価し融資に結びつけることをねらった融資制度をつくる、原稿やアニメーションの著作権などを担保とした融資をつくるなど、新たな取り組みが行われつつある、そういったものが今少しずつ出てきているというのが現状であると思っています。
 しかし、この動きをやはりもっともっと加速していく必要があるわけで、この点に関しては、引き続き九銀行に対して強く要請をしたいと思っておりますし、先ほど申し上げた金融審議会の新たなリレーションシップバンキングの中でも、こういったものをいかにより拡大していくかということを今検討していただいているところでございます。
    〔萩山委員長代理退席、委員長着席〕
太田(昭)委員 こういう中でこそ政府系金融機関の出番であるということを痛感するわけですが、昨年十二月に政府は、平成十六年までの不良債権集中処理期間において金融円滑化のための政策金融を活用するということを決定したわけです。政府系金融機関は率先して、担保に依存せず技術や事業を評価していくような融資手法を私は導入すべきであると思いますが、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 太田先生にお答えをさせていただきます。
 私どもの調査でも、中小企業庁幹部が全国を回らせていただきまして、そして民間金融機関の貸し出し状況についてずっと把握をいたしました。そうしましたら、中小企業の二七%を超えるところが、非常に貸し出し態度が厳しくなってきた、こういうデータが出ておりまして、御指摘のように、非常に厳しい状況になっていることは事実だと思っています。
 そういう意味で、政府系金融機関としては、やはりそういうニーズにこたえていかなければならないということで、いろいろやらせていただいているところでございまして、一つは、セーフティーネット貸し付けに対しましては担保徴求を半分までは免除しよう、あるいはまた商工中金の貸し渋り対応無担保貸し付け、これは限度額五千万円までは一切担保をとらない。
 それから、これは今御指摘だったんですけれども、目ききということがございました。新たに業を起こすということがやはり雇用を確保することに中長期的にはつながっていくわけでございまして、新たに業を起こす方々に対しては、そういう個人保証だとか担保ということよりも、まさに目ききで、事業計画に着目をして、そしてここでしっかりと創業資金を貸し出そう、こういうことを国民生活金融公庫の窓口を通じてやらせていただいていまして、これはおかげさまで、前年に比べますと十倍ぐらいのスピードでここは実績が上がっているということでありまして、これは非常に私はよかったと思っております。
 また、中小公庫におきましては、担保徴求を四分の三まで免除をする、そういう制度もやらせていただいておりますし、また国民生活金融公庫におきましては、金利を若干上乗せをさせていただく、こういう前提がありますけれども、第三者保証人は一千万円までは不要とする、こういうことも設けさせていただいております。
 それともう一つは、最初なかなかスタートがうまくいかなかったんですけれども、売掛金債権を担保として融資をする制度も、おかげさまで、PRを続けてきた結果、本年の二月十四日現在のデータでは、これも約五千件を超えて、そして二千四百億円の、そういう実績を上げるに至りました。
 そういう中で、大変厳しい状況に置かれております中小企業者に対しましては、やはり目ききの部分もしっかりとしながらきめ細かく対応をさせていただきたい、こういうふうに思っております。
太田(昭)委員 時間になりましたので、最後一問だけお聞きしますが、平沼プランというのがあって、一昨年、政府は五年間で創業を倍増させる、こういう話であったわけですが、これが、いろいろなプランがあったりして、そういう話が随分あるんですが、一体進捗状況はどうなっているんだということについて心配があるわけですね。私は、それがどうなっているかと同時に、年間十八万社から三十六万社という話があったわけですが、これが具体的にどういうふうに展開されているのか、それから、さらにこの加速策というのを考えるべきだということを申し上げたいと思いますが、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 御指摘のように、一昨年五月に策定をいたしました新市場・雇用創出に向けた重点プランの中で、開業創業倍増プログラム、こういうものを打ち出させていただきました。その中で、大学発ベンチャー、これを一千社体制を構築する、こういうことでやりまして、現在、この一千社の目標に対して、現時点では四百二十四社が大学発の新しいベンチャーとして設立をされて活動している、こういうことでございます。それから、ストックオプション制度の弾力化ということもやらせていただいておりまして、いろいろな面では、すべての項目について実施をいたしまして、着実に進行している、こういうことであります。
 そして、今ちょっと御指摘のように、日本では、新たに業を起こそうという希望を持っている人が年間百二十万人いるわけでありまして、十八万社しか誕生していないわけであります。そこで、これをとにかく倍増しよう、こういう形で今やらせていただいておりまして、ここも先ほどの答弁で触れさせていただきましたけれども、開業するに当たっては事業計画に着目をする、こういう形でやらせていただいていまして、ここも、前の年に比べましては十倍のスピードで新しい企業が立ち上がっている、こういうことでございまして、ある意味でさらに一生懸命やらなきゃいけないことでございますけれども、今申し上げたように着実にいっていることは事実でございまして、さらに加速をしていきたい、このように思っています。
太田(昭)委員 終わります。
藤井委員長 これにて太田君の質疑は終了いたしました。
 次に、細野豪志君。
細野委員 おはようございます。
 きょうは、四点ほど質問をさせていただきたいというふうに思います。
 まず第一点は、イラク問題でございます。
 金曜日、十四日に査察の追加報告が出ました。小泉総理は盛んに、今まで日本がどういう対応をとるかというのを明確にしてこなかったわけですけれども、十四日の議論を見て日本としての方向を出したいということを党首討論でも明確におっしゃっていました。イラク攻撃を是認するのか、もしくは査察を継続すべきなのか、十四日の議論が出ましたので、川口外務大臣、明確に御答弁をいただきたいと思います。
川口国務大臣 十四日におきまして、委員が御案内のとおりの国連の安保理での議論が行われたわけでございます。そして、その中で、ブリクス及びエルバラダイ事務局長は、一月二十七日に行われた安保理の報告以降の査察につきまして、イラク人の科学者の単独のインタビューが行われたとか、あるいはU2の飛行が認められたとか、そういう意味で、手続面において進展があったということは言ったわけですけれども、他方で、実質的な協力、それは大量破壊兵器を実質的に廃棄するという証拠をイラクが見せるということであるわけですけれども、実質的な面においてはイラクは協力を行っていない、したがって、即時無条件に、それから積極的に協力をするということが不可欠だ、そういうことを言ったわけでございます。
 それで、我が国のそれを受けての態度といいますか立場でございますけれども、それは、平和的な解決をしたいと思っている、ただしそれはイラクによるということを言っているわけでございまして、イラクが、エルバラダイあるいはブリクスが指摘をするような態度、消極的な態度である限り、イラクの査察についての有効性に疑念が生じているということは否めないということを考えております。
 我が国としては、引き続き、イラクが、これが最後の機会を与えられているのだということを重く受けとめて、積極的な協力をするということを強く求めるというのが、現在の我が国の立場であります。
細野委員 外務大臣、十四日の結果を見てきちっと日本として方針を出しますと総理がおっしゃったんですよ。先週と全然変わらないじゃないですか。十四日を受けて、日本の政府の判断が以前は決まっていなかったけれども、どういう決断をしたのか、十四日を境に何が起こったのかをきちっと説明してください。
川口国務大臣 総理もたびたびおっしゃっていらっしゃいますけれども、我が国の立場というのは極めて明確であるということでございます。
 それは何かということは、幾つかありますけれども、大量破壊兵器の問題は、まさに、我が国みずからの大事な、我が国みずからの脅威として受けとめるべき問題であるということでございます。
 それから、問題を極力平和的に解決したいということでございまして、そのためにあらゆる努力をするということだけれども、それはイラクにまさにかかっているんだということが二点目です。
 それから三点目として、国際社会が協調をするということでございまして、協調して対応する、そのために、我が国としては、今まで同様に、引き続き外交的な努力を重ねていくということでございます。
 それから四番目に、新たな国連の決議ということについて、採択されることが望ましいということを考えているわけです。武力行使が不可避となったような状況において、新たな国連決議があることが望ましいということを考えている。そして、仮に、安保理の決議がないという場合の武力行使があるという対応については、これも従来申し上げていますように、今まで申し上げたようなそういった点を総合的に判断して、我が国の態度を自主的に、主体的に決めていくということです。
 今我が国が明らかにしていないのは、我が国の態度はそういう意味ではもうすべて明確であって、我が国が態度を明らかにしていないのは、唯一、武力行使があった場合の、その武力行使を支持するか支持しないかということについての態度は明らかにしていない。それについては、これも今まで申し上げましたように、現在、国際的に、平和的に解決しようという国際協調をつくるための努力が続いている現時点で、武力の行使をすることがいいとか悪いとかそういうことを言うことは、我が国の国益に照らして適切ではない。
 その理由は、この前も申し上げましたけれども、二つありまして、一つは、まさに国際的に協調してやろうとしているときに、主要国の立場、これが分かれるということは、一致して圧力をイラクにかけていくという立場から、イラクに利用されることこそあれ、望ましくないということでございます。それから、我が国としては、この平和的な努力、これがうまくいくということを願っているわけですから、そういう意味で、今の時点で、武力行使をすることがいいとか悪いとか、いいということを言うことは適切ではないだろう。
 そういうことで、武力行使をするしないということについて我が国の立場は明らかにしていない。ほかの点については全部明らかになっていると思います。
細野委員 いや、外務大臣、先週と言っていることが全然変わらないんですね。もういいかげんにだんまりはやめた方がいいと思いますよ。
 では、加えて聞きますが、少なくとも国連決議を求めるという方向は、若干これで前向きになったのかという感じはいたします。外務大臣は、特にこの新しい国連決議については、日本は安保理に入っていないわけですから、非常任理事国に対して新しい決議の採択を求める働きかけをするというようなことを記者会見でおっしゃっているように報道されています。
 まず、これが事実かどうか確認をしたい。加えて、では外務大臣、あなたが今度決議されると考えている、決議されるべきだと考えている安保理決議とはどういったものなのか。これを明確に御答弁いただきたいと思います。
川口国務大臣 武力行使ということになった暁に、国連の決議があるということが最も望ましいということは、きょう何も初めて申し上げたことではございませんで、前からずっと申し上げていることです。
 それで、十四日の報告を受けて、査察が当面継続をされ強化をされるということになった場合には、我が国としては、イラクが、先ほど申し上げたように、能動的にこたえて、そして平和的に解決につながることを望んでいるということです。
 我が国として、外交努力を続けていくということは、これも先ほど申し上げたとおり、前から申し上げているとおりですけれども、安保理の非常任理事国等についての働きかけは行っております。
 それで、その内容についてですけれども、これはまさに外交の中身にかかわることでございますので、細かいことはその国との関係であり申し上げられないわけですけれども、基本的に、国際的な協調が必要である、国際社会として一致して、そしてこれを進めていくということが大事であるということを言っている、そういうことでございます。
細野委員 そろそろ、やはり国民に対しても説明責任が、外務大臣、あるんですよ。これは、もう国民がそろそろどういう法律が必要なのかという議論もみんなでしなきゃならない時期に来ている、お金もかかる、そういう問題なんですね。
 ですから、外務大臣が理想とされている国連決議、これは、アメリカが言うようなイラクへの攻撃の最後通牒につながるものを意識されているのか、もしくは、フランス、ドイツが言うような査察の継続を意識されているのか。報道されるところですと、アメリカ型のものだということですが、そういう内容の方向のものだということでよろしいんですか。ここは明確に御答弁ください。
川口国務大臣 私が先ほどの答弁で申し上げたことは、私が記者会見で言っていることと全く同じことを申し上げたわけでして、働きかけの努力、それの内容については、それは国際的に協調をして、そして武力行使が不可避になった場合、あるいはそれに至らないような状況、いずれにしても、関係国といいますか国際社会が一致団結して、イラクが武装解除をすることが重要であるということを言っているわけでございます。
細野委員 この点については、後ほど原口委員の方からも御質問いただけると思いますが、最後に一つだけ申し上げます。
 川口外務大臣は、国連で安保理決議が採択をされるように非常任理事国に対しても働きかけるという極めて積極的な姿勢を今示されるようになっているわけですね、この点に関しては。国連できちっと決議ができることを求めるということであれば、当然、その決議が採択をされなければ日本は違う行動があるんだと。そうじゃなきゃ、国連で決議ができればそれでよろしい、できなければアメリカはどうぞ、要するに、アメリカに白紙委任しているだけで、日本は何にも外交姿勢を決めていないということじゃないですか。
 国連決議を求めるということを非常任理事国に積極的に働きかけておきながら、採択されなかった場合の行動については全く留保する、これは矛盾していると思いますよ。もう一度この部分、御答弁ください。
川口国務大臣 これは全く矛盾していることはございませんで、従来から繰り返し繰り返し申し上げているように、我が国は我が国の考え方があるわけです。
 先ほどもこの考え方については申し上げましたので繰り返しませんけれども、決議がないような状況においては、我が国としてはそういった幾つかの点、一例を挙げれば、大量破壊兵器の問題というのはまさに我が国にとっての脅威であるということが一番最初に申し上げたことですけれども、その他、その後申し上げたことを踏まえて、我が国として主体的に、自主的に態度を決定する、そういうことでございます。
細野委員 自主的にという言葉が非常にむなしいんですね。自主的に決める決めるとおっしゃりながら、ずっと今度は決定を留保されている、本当にこの部分に関しては、国民も相当いらいらきていると思います。十四日に何も変わらなかったということだとすれば、これは外務大臣、私も本当に責任問題だと思いますよ。そのことだけ申し上げて、あとは後の質疑に譲りたいと思います。
 私、二点目に伺いたいのが、十四日から十六日の間に行われましたWTOの非公式の閣僚会議、これでございますが、川口外務大臣が議長として采配を振るわれた、日本にとっては非常に大切な会議だというふうに私は認識をしております。
 ただ、ここ数日の報道を見ておりますと、その会議の成否がどうだったのかということに関して、必ずしも積極的ではないような発言が散見をされます。例えば、途上国の中では、エイズウイルスの問題を中心に特許の問題についてもう少し先進国に譲歩してほしいというような要望をされた国がたくさんあった。一方で、アメリカの方としては、農業問題についてそれなりのプラスの方向に動くことを期待した。最終的に、では、この閣僚会議で決まったことは何だったのか、議長としてここをどう総括をされているのか、まず評価をいただきたいと思います。
川口国務大臣 議長としての総括は、この東京会議は非常に有意義であったということでございます。
 それで、委員に御理解をぜひいただきたいのは、そもそもこの非公式閣僚会議なるものがどういう性格の会議であるのかということであります。それは、交渉をする場ではない。交渉はジュネーブで今の段階では行われているわけで、閣僚が、しかも数人の閣僚、まあ二十何人かの閣僚でして、これは私は記者会見の場でも言いましたけれども、WTOの会合のメンバーシップを反映するものではあるけれども代表するものではない、したがってここで交渉をして何かを決めるということはもともと想定をされていない、そういうことでございます。
 そういう枠組みにおいて、出席をした閣僚が、全部が集まってやる閣僚会議等では言えない率直な相互の事情についての理解を深めていくということをするというのがこの会議の目的ですから、そういう意味で非常に成果があったということでございます。
 それで、主なテーマが、農業の市場アクセスが一つの大きなテーマでございました。それからもう一つは、交渉のさまざまな側面に途上国の視点といいますか、途上国の問題をどういうふうに取り入れていくかということがもう一つの問題でして、委員が二番目におっしゃったエイズ等の医薬品の問題、これはその二番目の分野に入る問題です。
 それで、それぞれにかなり時間を割きまして、農業については二時間半近く割きましたし、それから医薬品の問題についても、ちょっとはっきり覚えていませんが、多分それぐらいの時間を割いた。それぞれ非常に建設的に議論をし、それぞれの立場を述べ、相互について理解が深まった。特にTRIPs、医薬品の方の問題については、いろいろな知恵を出しながら話をしていくという雰囲気があって、とてもいい、有意義な会合であったと私は思います。
細野委員 農水大臣にも来ていただいていますので、農水大臣、先週のいろいろなWTOの議論については委員会の質疑の中にもございましたけれども、この会議を終えて、三月には基本的な枠組みをつくるという形に農業はなっているわけですね。その辺について展望を一言でお聞かせください。
大島国務大臣 今委員から展望をという御質問でございましたので、その展望をお話をするに当たって、恐縮でございますが、せっかくの機会でございますから、簡明に今回の私どものスタンスを申し上げた上で、展望を申し上げたいと思います。
 先ほど川口大臣からもお話しされましたように、非公式閣僚会議の一つの大きな問題は農業でございました。既に私どもは、一言で言いますと、各国の農業が農政改革を進めながらもぎりぎりに存在をする、そういう中にあってルールをつくっていくという基本に立った、いわばバランスのとれた内容にすべきだということを主張してまいりました。その結果として、今の非公式閣僚会議の前にハービンソン議長がいわば一次提案というものをされました後、当然にその評価をめぐっての議論というものがかなりありまして、簡単に言いますと、多面的機能、非貿易的関心事項を大変大事にして考えていこうというグループ、それはEU、日本、あるいは韓国を中心とした、インド等もそうでございましたが、そういうグループと、アメリカ、ケアンズ、要するに輸出国、この対立軸というものが激しい議論になったのは事実でございます。
 結果として、一次案が触媒としての機能を果たす存在だということに議長が仕切られて、私もそれに賛同いたしました。したがって、今後、三月末のモダリティー確立に向けまして、まず今次の議論の状況を、多分、ハービンソン議長も非常に真剣に聞いておられましたので、それらを踏まえて二次提案をされるのではないかと思います。
 したがって、私どもとしては、まさに今まで私どもが提案している、そしてまたフレンズ国、いわゆる友好国、基本的な思想、考え方を同じにする国々、また違う国々に対しても、先ほど申し上げたようなことを理解を求め、その二次提案が出されるであろう経過の中で、来週からまたジュネーブで議論にコミットし、強く主張し、努力してまいりたい、こう思っております。そして、そういうことを重ねながら、三月末のモダリティー確立に向けて全力を尽くしていく、こういうふうな方針、見通しを持ちながら努力してまいりたい、このように思っております。
細野委員 農業については後ほど少し詳しく聞きたいと思っているんですが、WTO、私は非常に大きな期待を寄せています。今、農業と途上国の問題だけ出ましたけれども、GATSもある、サービスの貿易協定、これは投資も含むわけですけれども、非常にこれも日本にとって影響力が大きいですね。TRIPsもある。そういう雑多なテーマ、もう物すごい膨大なテーマ、ほとんど国内の法制が全部そこに乗っかるぐらい重要なテーマが議論されているわけですので、期待をしておるわけですけれども、一方で、このWTOに対する基本的な世界の期待みたいなものが、若干ここのところ温度が下がっているんじゃないかという危惧を持っております。その一つの大きな原因が、私はFTAだと思っているんですね。
 私自身は、個人的にはFTA自体を否定的にとらえているわけではないんですけれども、ここの部分が肥大化し過ぎることによって、WTO自体の枠組みの重要性というのが、世界の認識、少し下がってきたんじゃないか、そんな思いも持っておりまして、ちょっと話をそちらに移して議論をしたいというふうに思います。
 FTAなんですが、去年の十月、日本のFTA戦略という形でペーパーが外務省から出ておりました。それを拝見すると、WTOは大事だけれども、FTAの動きも視野に入れて対外経済関係の強化を行う必要がある、こういう記述になっているんですね。
 私の、個人的にこの分野をずっとフォローしてきた人間として、印象としては、かつて日本はこういう戦略をとっていませんでした。すなわち、WTOの多国間の枠組みがまさに重要なんであって、FTA、これは一部だけ先取りするような形になるので、世界の自由貿易体制に対してはむしろマイナスに働く可能性がある。実際、外交白書などを読んでおりましても、九四年の時点では、地域統合、地域協力などの動きは、ともすれば域外国に対し透明性を欠きがちでありと、否定的な見解になっているんですね。
 この九三年から九四年にかけて、一番FTAがここ数年ずっと盛んになってきた時期に、日本はマイナスの評価をしてしまって、そして二〇〇〇年ごろからいきなり、FTAは重要だということで、いきなりシンガポールと結ぶ形になったんですが、ここは率直に言って、日本はこれ、スタートが遅かった。過去の政策の評価、私は、失敗したんじゃないか、そういう思いを持っているんですが、外務省としてはここの部分をどう評価されているのか、まず伺って、同じ見解を経済産業大臣にもお伺いしたいと思います。
川口国務大臣 我が国が多国的な、多国間の自由貿易をずっと進めてくる旗頭であったということは、もう歴史的にずっとそうであったと思います。すべてのラウンドで我が国はかなり積極的にそれをやってきたということです。
 それで、我が国の外交政策の転換がおくれたのかどうかということですけれども、私は、一つの大きな要素というのは、多国間の枠組みが大きくなり過ぎて、要するに、途上国がたくさん入ってきましたから、それを通じて自由化を進めていくということが非常に難しくなってきたという、多国間、マルチの枠組み自体の変質ということが一つあるだろうと思います。
 したがって、従来であれば、人数が、国の数が小さくて割に自由化を進めやすかった、それでもいろいろ大変でしたけれども進めやすかった、効果がそこから出てきたというところが、それがやりにくくなったということを一つの大きな要素として、我が国がFTAのことに向き出したということだろうと思います。
 我が国がFTAを進めるに当たって、あるいはマルチの交渉を進めるに当たって、困難の度合い、特定の国際競争力が弱いセクター、ここが問題になるという点は全く同じなんですけれども、マルチの状況だけに頼っていると自由化のメリットが得にくくなってきたということが、我が国の政府の政策転換ということにつながっていったということでございます。
 おっしゃるように、ほかの国はさらにFTAを我が国よりも一歩先に進めていましたので、我が国もFTAをやらないと、そういったほかの国が小グループで共有をしているメリットを我が国が享受できなくなってきつつあるというところも、もう一つ大きな政策転換の要素であると思います。
 我が国は決してFTAを今マルチの枠組みと同等に並べて考えているということではなくて、FTAというのはマルチの枠組みを補完するものである、そういう位置づけで今、FTAといいますか我が国の場合はEPA、より広く経済連携協定ということで考えていますが、そういうふうに考えている。補完するものである、そういう位置づけです。
平沼国務大臣 認識は外務大臣と同じでございますけれども、やはり、WTOというのは、例えてみれば世界の大きな土俵の中でルールをつくってやっていく、FTAというのは、よりきめ細かくそれを補完するという形でやっていくべきものだと思っておりまして、世界では、もう既にFTAは、委員一番御承知だと思うんですが、二百五十を超えるようなFTAが現実に起こってきております。
 日本の場合には、確かにそれは御指摘のように出おくれまして、昨年の十一月にシンガポールと日本初の経済連携協定という形で結ばせていただきました。
 そして、現時点は、これも御承知だと思いますけれども、やはり日本とそういう二国間の協定をやりたいという国がたくさんございまして、例えば韓国とでも、非常に、検討中の段階からもう一歩先に進んでおりますし、特にメキシコとの間では、メキシコに進出している企業が既にあるNAFTAというようなものの影響を受けて大変不当に扱われている、そういう中でメキシコと話が進みまして、これはうまくいけば、ことしの秋ぐらいにはメキシコとのFTAが締結できる。
 さらには、小泉総理がASEANを訪問されたときに、このASEANを踏まえた経済連携をやっていこう、こういう形で、具体的にはタイでございますとかフィリピンでありますとか、昨日私はマレーシアの大臣と会談をいたしまして、そういう形で、御指摘のようにちょっと日本はおくれておりますけれども、しかし、日本とやりたいというところは世界にございます。
 ですから、繰り返しになりますが、大きな枠はWTO、これは百四十五カ国加盟しています。そして、きめ細かく補完する、そういう形でやっていく。このことが日本の通商にとって大切なことだ、私はこのように思っております。
細野委員 私、個人的には、WTOというのはもともとトレードだったわけですから、貿易の自由化だったんですね、そこから少し広げ過ぎたかなという感じはしておるんです。あらゆるものをハーモナイズして、制度自体を同一化して、それによって交易を盛んにしようという思想はいいんですけれども、そこのハーモナイゼーションの部分は、むしろFTAを先行させるというのは、補完性という意味においては大いに可能性があると私も個人的に思っています。
 ただ、一つ懸念をしていることを申し上げると、特にASEANの部分に関して言うと、今タイであるとかフィリピンの名前が挙がっていますけれども、ASEANというのは経済的な一体性が非常に強いですから、ASEANを一つのグループとして、そこに自由化のあり方として日本がかかわるという考え方の方が、私は、実際にこのASEANを一つの、何といいますか、これからの可能性としても、日本としてはそういう対応の方が望ましいんじゃないかということだけ申し上げておきたいと思います。
 FTAに関してもう一つ私が懸念していることを申し上げると、これはWTOの阻害にならないようにということで、WTO法上は、実質的にすべての貿易を含むものでないとFTAはWTO違反ですよ、こうなっているんですね。これはもう貿易上の常識なんですけれども。
 先日、資料をいただいて、それぞれの、今FTAが議論になっているところの国々との貿易状況を見てみると、例えばメキシコとの場合、貿易全体に占める農産物の割合というのはわずか七・三%。これなら何とか実質上すべての貿易となりそうなんですが、これは数字のトリックがございまして、輸入に占める割合を見ると二一・九%。当然、輸出は全部フリーにしてください、輸入は二〇%留保しますよということは、こんな話にならないわけで、恐らく輸入も二〇%ぐらいは関税を残すという形になりがちなんですよね。
 そうすると、では、このメキシコとFTAを結べるのかどうか。これは根本的に極めて大きな問題になるんですね。この部分を本気でクリアできるような外交体制を、日本の国内状況を外交面に反映できるのかどうかということについて、これは農水大臣に短目に御答弁いただきたいと思います。
大島国務大臣 細野委員が通商政策について大変勉強しておられるということを伺っておりますし、またこういう議論ができることを大変うれしく思います。
 FTAの問題は、今、外務大臣、経産大臣がお話しされましたように、補完するものであるということを言っております。私も相当なバイ会談をやりましたが、FTAの希望が非常に多うございます。そのときに私が申し上げていることは、包括的という範囲の中に具体的な数字が何割だから、その包括的の以外に置きますということは一切申し上げておりません。農業も当然その枠の中にあっての議論になるというのが我が方の基本ですと、一つは。
 そういう状況の中で、さはさりながら、どの国においても農業というのは非常にセンシティブでありますから、また、各国のFTAのやり方を見ますと、そこにおいては、農業において二国間で、ぎりぎりの知恵を出し合ってやっているという中にあって、ただ、EUは一〇%というものを一つの基準にしているのは承知しております。
 したがって、今具体的に経産大臣が、メキシコとの話がございました。率直に言うと、豚肉の問題が非常にセンシティブな問題でございます。こういう問題をどう乗り越えていくか、私どもは知恵を出し合いながら、今後、さまざまな形で、この問題を疎外しないで話し合ってまいりたい、このように思っております。
 もう一度申し上げますと、その大枠の中に農業という分野を外しては考えません、入っている形で考えます、したがって、ガットの中でも、一〇%あれば、それは枠の外に置くのかということが一〇〇%オーソライズされたものではないという基本に立って交渉をしてまいりたい、こう思っております。
細野委員 外務大臣には聞きませんけれども、日本は、このFTAに関しては、貿易阻害要因になるということをWTOの会議でも、可能性があるということを何度も懸念を表明してきたわけですね。その日本が結ぶFTAが、今農水大臣は、枠の中には含めるとはおっしゃったけれども、かなりの例外項目になってくると、極めてこれは風当たりも強いと思います。
 私は、日本の農業は大事だと思うし、何でも自由化してもいいとは思わないけれども、少なくとも世界の貿易のルールにのっとった形で、整合性のある形でこれから議論をしていただきたいな、そんな思いを述べさせていただいて、このテーマは終わりたいと思うんです。
 その前に一点だけ農水大臣に、WTOについてもFTAについても言えることなんですが、私は、この農業の問題を考える際に、先日も、先週も農水大臣、何でも守るんだ、自由化しないんだということでは世界に通用しないというお話をされましたね。それは、私は基本的に賛成です。九三年に米の自由化があって、あれが極めて象徴的なテーマだったんですけれども、それからもう十年近くたっているんですね。
 この間、日本の農業をしっかりと競争力のあるものにして、そしてFTAにおいてもWTOにおいても、きちっと勝負できるところまで持っていくのが日本の農業政策の大きな役割だったんじゃないかというふうに思っているんですね。では、果たしてそれができたのかどうかという検証はやはり必要だ。
 ウルグアイ・ラウンドの予算をちょっと私も見てみたんですが、これは有名な、例のあける、あけないの最後の議論があって、最後に六兆円というお金が出てきて、これで納得をして自由化だという話になった。少なくともミニマムアクセスという話になったんですね。
 この六兆円の中で、予算の配分を見ると、公共事業が当初三兆五千五百億円、途中でさすがにこれは多過ぎるという話になったのか、訂正をされて、見直しをされて、三兆一千七百五十億円。
 この内訳を見ると、いろいろな資料があって、私もこれから追加で見ていきたいというふうに思っているんですが、そもそもウルグアイ・ラウンドのこの六兆円の予算で五千八百も施設をつくったんですね。五千八百の内訳を見ると、基幹施設といいまして、食物を乾燥したりとっておいたり、そういう農業関連の施設に二千三百、これは三千五百ですか。これはまだ納得ができなくもない。(発言する者あり)
 しかし、実は関連施設の中に、今ちょっと声も出ていますけれども、わけがわからない、その他というのが千六百八十二あって、その中でも温泉施設が全部で二十三ある。わけのわからない施設がいっぱいあるんじゃないか。兆単位でこういう関連施設にお金をぶち込んで、その検証が、農水大臣、どれぐらいされているのか、農水省でですよ。
 こういう中間評価も出ているんですけれども、これをばあっと見ましたけれども、おおむね効果があったとしか書いていないんですね。特に箱物に関しては、今これだけ言われているわけですから、もう少しきちっと検証して、果たしてこの十年間、農業の競争力にこれが貢献したのかどうか、これはしっかり検証すべきだと思うんですよね。
 そのことをまずきちっと御答弁いただきたいということと、その他の部分、これは千六百八十二あるんですが、担当の方に聞きましたが、何かよくわかりませんということでした。大臣、これを把握されていますか。そのこともお答えをいただきたいと思います。
大島国務大臣 細野委員の質問に対しまして、まず、全体論として言いますと、やはり評価をきちっとしなきゃいかぬと思うんです。したがって、平成十二年度からその政策評価に取り組んでおりますが、この膨大なウルグアイ・ラウンド対策というものを今後もさらに検証してまいらなきゃならぬと思っております。
 改めてこういう成果があったということは、もう委員も御承知、そこだけは出ているよ、こう言っていますから、申し上げることは詳細にわたってはいたしませんが、今指摘されたところも含めて、私もちょっと細かにはわかりませんで、具体的にわかりませんので、いつか機会を見つけて、そこら辺に対してもまたお答えする機会をつくりたいと思っておりますけれども、まず、担い手の経営規模がやはり二・五倍になったことも事実でございますし、また、その担い手の稲作の労働時間が約六割短縮されたのもそのとおりでございますし、また、農地の過半を集積するという目標は、担い手の集積が五四%の増加となっておりますが、これは低水準の状態である、決して、目標にはほど遠い、私はそういう思いを持っております。いずれにしても、もう委員が持っている資料の中に書いてあります。
 今後も、これだけではございません、中海の干拓に対しても検証すると申し上げましたが、私どもは、検証の中から新しい政策を生み出す、そういう覚悟を持って進まなきゃならぬ大きな一つの課題であろう、このように思っております。
細野委員 施設の五千八百の内訳については、農水大臣の方からコメントがございませんでした。多分まだ御承知をされていないんだと思います。そういうことこそ、こういう中間報告で検証すべきなんですよ。こういう成果が出ました、成果が出ましたとお手盛りのことだけやっていたら、これは評価にならないんですよね。これは私、引き続きやりますので、ぜひその資料を出していただきたいな、そのことを要望したいと思います。
 外務大臣と経済産業大臣はこれで結構でございます。ありがとうございました。
 農水大臣とこういうテーマについて政策の議論ができればそれはそれでありがたいんですが、私の役割としてはそれだけで終わるわけにいきませんで、農水大臣の例の口きき疑惑について、これは木曜日にも集中審議がありますのでそこで主に聞きたいと思っているんですが、幾つか積み残しのテーマがありますので、確認をさせていただきたいと思います。
 まず、あの質問をしてから新しく出てきた事態といたしまして、農水大臣があの週刊誌を告訴したということが報道されておりました。記者会見でもそういうことを言われたというふうに記憶をしております。
 その告訴をした趣旨及びどこの部分を告訴されたのか。聞くところによると、これは御自身の問題が書かれた学校法人の問題、あの部分についてのみ告訴をされたということですが、その辺について、どういう趣旨で何を告訴されたのか、御答弁いただきたいと思います。
大島国務大臣 お答えを申し上げます。
 週刊文春の二〇〇三年二月六日号におきまして、私、「農水相 学校法人「補助金四億円口利き」疑惑」との大見出しを付した記事を掲載し、私があたかも医療専門学校の設立について不正な行為をしたかのような名誉毀損をしたので、提訴させていただきました。それが基本でございます。
細野委員 逆に、この学校問題以外のところ、ずっとこの週刊誌が追ってきたのは、むしろ秘書の宮内氏の問題ですね、ここの部分については告訴をされない。すなわち、事実として認めるということでよろしいんですか。
大島国務大臣 これもずっと申し上げておきました。
 タイトルはいかにも仰々しく書かれて、そしてこちょっと元秘書官と書いてあるんですね。そして、中身も、委員ももうよく見ておられると思いますが、ほとんど元秘書の話であります。したがって、私にかかわる問題については、もちろん今弁護士にお任せをしているところでございます。思いはいろいろございます。そういうことで、今弁護士さんにお任せしているところでございます。
細野委員 十分あれも名誉毀損なんですよね。本当にこれ、事実を明らかにすることも大臣の責任だと思いますよ。きちっと告訴をされて、それを裁判所でも争うということをやられることをお勧めしますし、それがあなたの義務ですから、ぜひそのことを申し上げておきたいと思います。
 もう一点だけ。これは、前の参議院の予算委員会でも議論されていますが、九二年の九月九日に設立されたさくら商事、これは大島大臣の秘書の山本さんと、大臣自身の奥様が役員をされていて、何か事務所を間仕切って、事務所の中になぜか本社があったという企業で、民間の調査会社のデータによると、設立した直後に年商三億円もあった、そんなデータもあります。
 これは何をやっていたのかということ自体よくわからないんですが、一つ確認をしておきたいのが、このさくら商事から奥さんは給料をもらわれていましたか。
大島国務大臣 もう十年前の話でございまして、役員としての報酬をもらっていた、こういう記憶はある、こういうことでございました。
細野委員 役員報酬は幾らだったのかということと、奥様が実際そこで業務をされていたのか、役員会に出られていたのか、社に対する何らかの貢献をされていたのかどうかということをお聞かせください。
大島国務大臣 これは、そのときも申し上げましたのですが、率直に申し上げますと、当時、秘書の立場というのは、どの秘書も、特に私設秘書は身分が非常に不安定なものです。したがいまして、私の一番古い秘書がそういう会社をつくって、政治資金もそんなにありませんし、厚生年金だとかそういうもののためにそういう会社をつくりたい、そういうことで代議士の了解を得たいということですから、しかし、一切公共事業とかそういうものにかかわってはならぬよ、そういうことができるのかと言ったら、いろいろ相談して、そういうふうなことはできますということでやって、それじゃ対外的にもあれだというので、家内が……(細野委員「給与、給与」と呼ぶ)そういうふうなことになりました。
 そこで、さまざまに相談を受けたり、そして彼らからも相談を受けたりした、そういうことはあったようです。
 給料につきましては、先ほど申し上げましたように、十万前後ではなかったかというふうに言っておりますが、本当にもう十年前の話でございますので、資料があるのかないのか一生懸命調べさせました。そういうことですが、本当に資料はないのでございます。そんな記憶であったというふうに聞いております。
細野委員 このことについても、これは文春の記者が調べていますので、記者とも話したんですけれども、直接電話で大島農水大臣の奥様に聞かれていて、私はさくら商事については何にも知りませんということをかなり強調して答えられたそうです。私もメモしか拝見をしていませんが。
 さっきおっしゃった、相談を受けたというのは、奥様が受けられたということなんですか。私、この部分、宮内さんのときでもそうなんですけれども、お姉さんも奥さんも、もう何かよくわからぬけれども会社の役員になっていて、給料をもらえる。御自身の奥さんも、何かよくわからぬけれどもどこかの役員に座って、月十万ですか、私はもう少し多いと聞いていますが、それの給料をもらえる。その仕組み自体が、非常にこれは国民から見ると見えにくいんですよ。
 しっかり、何をやっていたのか、もう一度答えてください。
大島国務大臣 今委員が、くしくも、週刊文春の記者から聞けばというお話をされました。参議院でも私は申し上げましたが、週刊文春の方々が本当に大変な取材のありようをしているんです。そのときに、冷静に、例えば家内であろうがだれであろうが、十年前の記憶をいきなり聞かれて、私はどう答えたかはわかりませんが、そのやりとりは本当に信憑性のあるやりとりであったかどうかわかりません。
 そういう記事もあったので、また質問もありましたので、私は、改めて十年前の話をその秘書からも、また家内からも、冷静になって考えて私に伝えてくださいということは、まず最初に、それは会社の云々のときは当然私にもそういう相談があり、その上に立って、先ほど申し上げたようなことをしたわけでございます。
細野委員 質問に答えていただいていないので、もう一回聞きますが、奥さんはこの会社に貢献をきちっとされていたのかどうか。これはもう簡潔に、一言で結構ですから、何をやっていたのか答えてください。
大島国務大臣 貢献ということを、どういうことをお話しされるかわかりませんが、山本の相談に乗ったりしておったのは事実です。
細野委員 この問題についてはまた集中審議でゆっくりやりますので、大島農水大臣、きょうはこれで結構でございますので、御退席いただいて結構です。ありがとうございました。
 時間もなくなってきましたので、個人情報保護法案、先に通告しているのですが、それをちょっと後回しにしまして、住基ネットの問題について幾つか質問をしたいと思います。
 これは先週、実は大変な事件が明らかになりました。片山大臣もよく承知をされていると思います。九月に、全銀協が住民票コードを利用して本人確認をしていた。しかも、そのことを、九月に案内を出す前に、各銀行にこういうことをやっていいですよという通達を出したというんですね、それを出す前に、実は金融庁に相談をしていて、金融庁も、どうぞ使ってくださいと言っていた。去年の九月ですよ。それを、ことしの二月になって総務省が知って、大慌てでやめろという指示を出した。これが事実だとすれば、住基ネット、大変なことですよ。果たして、これ、では何件のデータを、通知コードを確認して銀行が持っているのか。どういう形で利用されていたのか。この部分、きちっと、まず、現段階で把握されていることを総務大臣にお答えいただきたいと思います。
    〔委員長退席、萩山委員長代理着席〕
片山国務大臣 御指摘のように、去年の九月の二十日付で、全国銀行協会がQアンドAを出したんですね。金融機関は今本人確認をやりますから、その本人確認をずらっと並べているんですよ。御承知のとおり、保険や年金やパスポートや運転免許や、そういうことの中に、一番最後に、その他の中に住基ネットの通知票というのも入っているんですね、本人確認の資料の一つとして。
 そういうことを私どもの方も知りましたので、それは法律違反の疑いがあるのでやめてくれ、こういうことを言いまして、それじゃ、やめますということで訂正の通知を出したと聞いておりますが、これに基づく私どもの方の報告では、全銀協からの報告では、これによって確認した事実はありません、こういうことでございまして、今後とも、そういうことは十分注意してまいりたい、こういうふうに思っております。
細野委員 大臣、疑いがあるとか、そんなええかげんな話じゃないんですよ。住基法の三十条の四十三の二には、民間で利用しちゃいかぬと書いてあるでしょう。大臣、今までの総務委員会でも内閣委員会でも、何度も何度もこの部分を答弁をされて、民間じゃ利用しませんから大丈夫です、官できちっと守ると言っていたじゃないですか。疑いなんてものじゃないでしょう。
 この部分に関して、法律違反かどうか、きちっと答弁してください。
片山国務大臣 具体の事情等を聞きますと、そういうことで本人確認した事実はないという報告を受けておりますから。
 ただ、法律上は民間の利用は完全に禁止しておりますから、そういうことで、やめてくれ、通知をしてくれ、訂正をはっきり徹底してくれ、こういうことを申し上げただけでございまして、その点は全国銀行協会の方も認識が少し不十分ではなかったか、こういうふうに思っております。
細野委員 いや、とったかとらないかなんて、本当に大臣、それ、一件もとっていないと確認できるんですか。これは九月に出していて、二月まで何カ月たっているんですか。これは金融庁がそのことを全く関知していなくて、これでいいですよと答弁しているわけですよね。ほかにも個人情報を扱っている業界なんか幾らでもあって、いろいろな省庁がいろいろなことをやっている可能性があるわけですよね。それを全部チェックできるんですか。
片山国務大臣 私の方から全部調べて何とかすることはなかなかできませんわね。だから、それは全国銀行協会で調べてもらって、その結果、そういう事実はないという報告を受けておりますから、現にそのことについてのいろいろな問題があったとかトラブルが起こったとかという報告は受けておりませんし、そういう意味では、全国銀行協会のQアンドAですよ、事例集、これが適切であるとは思いませんので、これはもう直ちに訂正をさせていただいたわけでありまして、今後ともそういうことのないように徹底をしてまいりたい、こういうふうに思っております。
 ただし、住民票の写しは、住民基本台帳の四情報につきましては、皆さん御承知のように、ある意味ではだれでもそれは承知できる情報だ、こういうふうに思っておりますが、その通知票そのものの利用は、私どもとしては、今後とも厳重にそれについては徹底してまいりたいと思っております。
細野委員 総務大臣、そんな甘いものじゃないんですよ。あなた、通帳をつくったことがあるんですか。通帳をつくったとき、本人確認情報を持って、どうするんですか、コピーするんですよ、金融機関が。コードも、そこの金融機関が手に入れて、その人の、個人の金融の情報ですよね、それとこのネットワークの番号がマッチングできるんじゃないですか。四情報だけなんてうそを言っちゃいかぬですよ、そんなのは。
 では聞きますけれども、そもそも、こういう各業界で住民票コードを使う可能性は当初から予想されていました。金融庁にちゃんとその話は行っていたんですか、この住民基本台帳がスタートするときに。
 せっかく金融担当大臣が来ていますので、この部分に関して、きちっと事前に把握していたのかどうか、お伺いします。
竹中国務大臣 ちょっとこれはとっさのお尋ねですので、今の時点で私自身ちょっとお答えする情報を持っておりません。これは後ほどまた調べさせていただきたいと思います。
細野委員 金融担当大臣には通告していなかったので、今のはちょっと留保して、この部分に関して追加で一言だけ申し上げたいのは、先週、河村委員の方から、この住基ネットに関しては、漏えいの可能性があると。適切な管理がなされていない場合は必要な措置を講じなければならない、それで、これは切断できると大臣自身御答弁されているわけですよね。これ、各大臣に、きちっと業界への指導が徹底されなければ、どこでどうそのコードが流れるかわからないんですよ。
 この部分に関して、まずきちっと調べて、今御答弁いただきたいと思います。
片山国務大臣 法律は、法律に定める行政機関については、本人確認情報の照会に答えるわけですから、それで、この法律をつくるときからずっと各省庁には協議をいたしておりますから、徹底もいたしておりますが、こういうふうなやや不心得な、QアンドAでございますけれども、そういうことの最後の、何十もの中に、住民票コードと書いてあるわけじゃないんです、住基ネットの通知票も本人確認の資料になると書いてあるわけでございまして……(細野委員「コードが行っているじゃないですか」と呼び、その他発言する者あり)いやいや……
萩山委員長代理 静かにしてください。
片山国務大臣 コードについては、だから、そういうことについて徹底をさらにしてまいりたい、こういうふうに思っております。各省庁には十分事前に協議いたしております。
細野委員 事前に徹底していたならば、では、金融庁が大変なこれは瑕疵を犯したか、総務省の指導が行っていなかったか、どっちかでしょう。金融庁に行っていたのか行っていないのか、しっかり答弁してください。(発言する者あり)
萩山委員長代理 委員の皆さん、静かにしてください。
片山国務大臣 これは、全国銀行協会がつくったQアンドAなんですよ。事例集の一つのあれでございまして、金融庁がどこまで承知しているかということは私どもの方では存じ上げませんが、ただ、何度も言いますように……(発言する者あり)いやいや、協議はしていますよ。だから、十分徹底いたしますと、こういうことを申し上げたわけであります。(発言する者あり)
萩山委員長代理 速記をストップしてください。
    〔速記中止〕
萩山委員長代理 速記を始めてください。
 金融・経済財政担当大臣竹中平蔵君。
竹中国務大臣 先ほども申し上げましたし、今細野委員も言ってくださいましたんですが、この件に関してちょっときょう私の方に通告をいただいておりませんでしたので、これは、金融庁としてどういうことであったのかということをお調べしまして、御報告をしたいと思います。
細野委員 大臣、今からやりますという話じゃないんですよ、もう既に、国民全員この番号を持っているんですから。本人確認だという形でどこでどう使われているかわからないわけでしょう。明らかにこのこと自体、河村委員の方にお答えになった、適切な管理がなされているかどうか、大臣、これは責任を持てるんですか。
 例えばある市町村が、これではどこでどういう形でこのコードが利用されているかわからないから、これは切断しなきゃならないという形で言ったら、それは当然認められますね。大臣、お答えください。
片山国務大臣 何度も同じことを申し上げておりますが、これは全国銀行協会がつくったQアンドAなんですよ。それに基づく金融機関が本人確認をしたという報告は一件も受けていないんですよ。だから、この事例集、QアンドAは直ちに訂正をしてもらいまして、さらに私どもは、関係のところが、わかってもらっていると思いますけれども、さらなる周知徹底をいたします、こういうことを申し上げているので。
 切断をする場合は、具体の権利侵害等が発生をしてそれが確認できている、全体の住基ネットの重大な脅威になるような場合には、それは関係のところが協議して切断することもあり得る、こういうことを申し上げているわけで。
 これは単なるQアンドAなんですよ。それについて、それぞれの個別の金融機関がそれによって本人確認したという報告は一件も受けておりません。
細野委員 片山大臣、事の重要性をあなたはわかっていないと私思いますよ。この番号が行って、それによって管理をされる可能性があれば、十一けたのあるナンバーが、例えば銀行で管理をされています、やみ金で管理をされています。データのマッチングがこの番号によって物すごく簡単になるんですよ。これは、国民総背番号じゃないとおっしゃったけれども、これを発端として、役所ではもちろんですけれども、民間でも幾らでも利用できる発端になるんですよ。通知が行っただけですよとか、そんないいかげんな話じゃないんですよ。
 この部分に関しては、午後の上田議員のときに金融庁に再度聞きますので、しっかりまずこの部分については調べて、御答弁をいただきたい。
 そして、もう一つ、これは初めて民間利用が疑われる事例でございますので、全銀協の会長をこの予算委員会に参考人として呼んでいただくことを要望したいと思います。
萩山委員長代理 はい、理事会で協議いたします。
細野委員 大臣に。
竹中国務大臣 ちょっと、午後に報告できるかどうか、今事務的にあれしておりますが、できるだけ早くそれは御報告をさせていただきます。
細野委員 最後、済みません、一問だけ、通告をしていましたので、細田大臣に。
 個人情報保護法案ですが、この法案に関しては、細田大臣は、担当されてまだ数カ月、お気の毒な立場ではございますけれども、答弁の中で何度もこの法案が一番いいとおっしゃっていましたね。個人情報保護法案、ずっと議論されてきて、国会で、内閣委員会で議論してきましたが、これが一番いい法案だとおっしゃっていた。
 しかし、先日の臨時国会が終わったときに、なぜか廃案にして、国会で法案をつくるというのはわかるんですよ、なぜか、一番よかったはずの法案を政府内でつくり直しているんですね。これはどういうことですか。これを最後に一言だけ御答弁いただいて、これから私、再度もう一回違う場面で質問したいと思います。
細田国務大臣 お答え申し上げます。
 個人情報保護法案は、政府で閣議決定をいたしまして提出をいたしまして以来、二十数時間御審議いただきましたし、世論においていろいろな御指摘をいただいたわけでございます。もちろん、審議会のような組織もつくりまして内容を詰めた上で提出いたしましたので、政府としては問題がないと承知しながら出したという意味で申し上げたのでございますが、その後の国会御審議あるいは与野党間、与党間の御審議で、どうしても御理解を十分得られない部分があるので廃案をして出し直すようにという御指摘もございましたので、国会の御意向等を踏まえまして、今、法案を修正しておるところでございまして、より理解を得られるような内容に改定しようと思っております。
細野委員 過去の経緯もきちっと議論をしなければなりませんので、いろいろ言われていますが、内閣委員会できちっと議論をするということを、特にこれは官房長官に、過去の経緯をよく御存じですので、要望して、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
萩山委員長代理 これにて細野君の質疑は終了いたしました。
 次に、原口一博君。
原口委員 民主党の原口一博です。
 冒頭、官房長官に強く要請をしておきたいことがございます。
 それは、前の森内閣のとき、官房長官が、中川さんだったと思いますが、さまざまな陳情活動について、これは自粛しよう、そういうお話をされました。私は、これは大変大事な自粛だと思います。
 やはり積極的な提案活動を国会が受けるのはいいんですが、依存と分配とまがうようなそういう陳情合戦は、やはり行うべきではない。今もそれが続いているのか、続いていないとしたら、続けていただきたい。まず、このことを冒頭要請しておきたいと思います。
福田国務大臣 陳情というふうにおっしゃいましたけれども、そもそも政治家というのは、民意を代表する、そういう立場の職務がございますので、広くいろいろな意見を聞くということはすべきことであろうと思います。
 ただ、何というんですか、予算シーズンになりますと、恒例のようにグループで押しかけてくる、こういうたぐいのものは、これは決して、そういう趣旨に沿っているかどうか、ある特定の団体のいわゆる陳情というものは一時期集中する、特に予算の時期に集中する、こういうものは考えていただかなければいけないものではなかろうか、こう思っております。
 ただ、国民の意見をたくさん聞くということは、我々にとって極めて大事なことであるということも申し添えます。
原口委員 もう一つ要請をしたいのは、やはりこの間、政治家主導という形で国会改革を進めて、与野党協力しながらやってきたわけですが、大臣、副大臣、大変なお仕事をなさって、私たちもそこには一定の敬意を表しているわけですが、笑っている、財務大臣に笑われると次の質問をしにくいんですが、政務官や副大臣について、やはり先日、我が党の田中慶秋議員がこの委員会で指摘をしましたが、予算審議の最中も地元にお帰りになっている、あるいは質問を、もともとは役人の、官僚の皆さんの負担を軽減し、そして政治主導にするために政務官がやはりそういったことについてはしっかり指導をしていく、質問取りもそこで行っていくということでございました。それは必ずしも守られていない。
 大変多くの国費をそこに使っておるわけでございますので、これもお願いでございますが、政務官、副大臣の勤務、一体この平日どこにいらっしゃるのか、それを公開していただきたい。実際に役所にもいない、地元で、まさに政務官という肩書を利用したり副大臣という肩書を利用したりして、依存と分配、あるいは選挙の後援会活動、そんなことをやっているなんというのは言語道断でここで論じる必要もないことだと思いますが、やはり副大臣、政務官のパフォーマンスをしっかりと公開すべきだというふうに思いますが、官房長官の所見を伺います。
    〔萩山委員長代理退席、委員長着席〕
福田国務大臣 副大臣、政務官のあり方、これはもう国会改革の中でいろいろと議論されておりますので、私から申し上げるまでもないと思います。
 具体的に政務官がどういうような役割をしているか、それは各省庁の役割分担ということの中で、協議の上行われているというように承知しておりますので、質問取りに必ずしも政務官が行かなければいけない、またそういう余裕があるかどうかといったようなことも検討しなければいけない課題であると思います。
 また、政務官の動きについて公表するかどうか、これは、この委員会の方でどういうふうに公表というか、そういうふうな手続をなされるか、できるだけの協力はさせていただきます。
原口委員 私は、政府としての姿勢を問うているんです。政府として、やはり新たに副大臣、政務官というものをつくった、省庁再編の中でつくってきた。国民の中には、そういうものは必要なかったんじゃないか、実際どういうお仕事をされているのかしっかりと見届けたいという声があるわけですから、それに対して政府はこたえる義務があるんじゃないかということを申し上げているんです。もう一回。
福田国務大臣 それは、公表することについては、どういうような形で公表するか、これは検討させていただきます。
 ただ、政務官が例えば選挙区ばかり行っているだとか、そういうようにおっしゃられるのであれば、それはそういうことでないというように私から申し上げておきます。
原口委員 私はそう申し上げているんじゃなくて、そういうのはもう論外だと申し上げているので、訂正をしたいと思います。
 さて、そこで、扇大臣それから大島農水大臣に伺いたいことですが、雪印食品の偽造事件、牛肉偽装事件がございました。これ、委員長、資料の配付をお許しください。
藤井委員長 どうぞ。
原口委員 資料の三でございます。
 この雪印食品事件というのはどうしてわかったかというと、西宮冷蔵、その雪印食品の食品を扱っている倉庫業者の方が、こんなんではだめだということで告発をされたんですね。そして、それでもって明らかになって、雪印食品は御案内のような処分、そして、社員の皆さんには大変気の毒な状況でしたが、営業を御案内のような状況にするということになったわけです。
 この資料三をごらんになってください。これは、二〇〇一年の十月二十九日の西宮冷蔵の社員の備忘録です。雪印食品の担当営業マンが雪印食品の関西ミートセンターに二〇〇一年の十月二十九日に呼び出されて、ちょっと読みにくいので私が下にワープロで打っておきましたが、雪印食品のオースト牛、RV牧場と書いてありますが、これはオーストラリアのレンジャース牧場のものを国産牛にするようにということを指示されているんですね。まさに会社挙げての不正行為をやっていて、それが勇気ある社長の告発で明らかになっているわけです。
 私は、このBSEの問題を議論するときに、今でも不思議なものが三点あります。
 一つは、BSEがイギリスで、欧州で問題になった。そのときに、九六年の三月だったと思いますが、農水省は大変な危機感と、そして政府を挙げての対策を、三月、四月の議事録を私も全部読みましたけれども、物すごい危機感を持っています。だから、前の農水大臣は危機感が薄かったんだというお話をされたけれども、必ずしもそうではない。そうではなくて、不思議なのは、五月に、もう一回連休明けに再度議論をしようというところからその年の九月まで、議事録が全くないんです。つまり、大きな力がかかったとしかわからないような状況で、空白が生まれている。このことがBSE事件をさらに深刻にしているんだと思います。ここについてはまだ解明がされていない。これは、きょうそのことをやることはしません。私はここで一つ提起だけしておきます。
 それから二点目は、BSEが発見をされた、実際牛が発見された後の数カ月間、この数カ月間もおかしなことが起こっている。その中で起こってきたのがこの雪印食品の牛肉偽装問題だというふうに私は思っています。ここはしっかりとした場を設けて、どういう力が加わったのか、どんな議論がされてきたのか、明らかにする責務が国会にあると思います。
 さて、そこで扇大臣に伺いますが、十月二十九日にこの指示を受けて、雪印食品の、まあ大手のお得意さんですから、西宮冷蔵の社員は、これを迷いながらも、やはりそれに従わざるを得ないのか、いや、こんなことはだめかという、かんかんがくがくの議論をしています。
 ただ、私が不思議なのは、西宮冷蔵株式会社に対する行政処分をやっているんですね。その行政処分を国土交通省が出すに当たり、取引先まで処分の聞き取りをやっているんです。私はこれはどんなものかなと思います。一月に告発しているんですよ。十月二十九日にこの指示があって一月に告発をした人を、即座にこの倉庫業法に基づく営業停止処分といったことを、聞き取りをやっている。
 私はここにも不可思議な力を感じるんです、扇大臣。農水省のしかるべき機関から国土交通省に、これは倉庫業法違反だから、一月にこの西宮冷蔵の社長が告発をしたときに、倉庫業法でしっかりと取り締まるべきだ、そういう声あるいは政治家からの働きかけ、これはございましたか。
扇国務大臣 今の原口議員の御質問は、以前にも既に出ておりました。
 それから、今、原口議員からお示しのこの備忘録、これは全く読めません。原口議員が下にコピーで書いていただいたからわかりますけれども、上のメモは、以前にもこれ私拝見しましたけれども、全く、アラビア語のようでこれは私にはわからなかったので、きょう原口議員が初めてこうして書いていただいたので、初めて私はわかったわけです。それを一言申し上げておきます。以前にも拝見したということ。
 ただ、この西宮冷蔵で七日間の営業停止処分をいたしましたのは、私が決裁をいたしました。それに関しては、私はだれからも何もいただいておりません。
 と申しますのは、少なくとも倉庫証明というものは商取引の基本的になるものです。そして、なぜ済んでから改めてこれを告発されたのか、私にはわからなかったんです。だったら、今原口議員がお示しになったこの十月の二十九日に、偽造の倉庫証明を出せと雪印に言われたときになぜ告発しないんですか。それを証明してしまって、相手に渡して、商取引が行われるかもしれないときに、済んでから言って、そして僕は告発した、偉いだろうと言われても、それは私としては倉庫業界の例にのっとって処分するしかないんです。
 そして、私は、これを少なくとも七日間にした。本来は一カ月なんです。一カ月倉庫停止するのを、私は、今まであなたがおっしゃいましたように、強要された部分でありますとか、あるいはみずから告発した、その部分を酌量して、私は、本来は処分というのは一カ月ですけれども、七日間に情状の参酌をしたというのが現実でございまして、だれの指示も受けてはおりません。
原口委員 私が聞いたことに答えてほしいんです。
 私は、倉庫業法に基づく処分を下したことが悪いと一言も言っていないですよ。むしろ、扇大臣はここでしっかりと情状を酌量した決断をされた、そのことを私は非難しているわけでも何でもない。そうではなくて、現場が取引先まで聞き取り調査をしたのは越権ではないですかということを言っているんです。
扇国務大臣 それは、私、今お答えいたしました。
 在庫証明というのは商取引に使う基本なんです。その商取引の、倉庫業の信頼にかかわるものを偽造したんですから。ですから、これによって商取引があったんですかという、被害があったかないかをまず調べなければ処分できないんですから。これは、倉庫の在庫証明というのは商取引の基本だということは、今、私申し上げました。
原口委員 たくさんの偽造事件があった、そして、では、国土交通省はしっかり監督をしてきたというふうに私は思いますが、倉庫業法でこれまで何件処分を行われましたか。
扇国務大臣 これ、私の下の方にも載せてあると思うんですけれども、倉庫証明の、昭和五十五年九月、処分、会社名――会社名言っていいですか、これ。(原口委員「いやいや、やめてください」と呼ぶ)いいですね。言わなくていいですか。はい。営業停止一カ月でございます。これは虚偽の在庫の回答がございました。在庫証明書の交付、同じことでございます。それから、昭和五十七年七月二十八日、これも虚偽の入庫報告書及び出庫報告書の交付で、営業停止一カ月でございます。平成三年九月十八日、これも営業停止一カ月でございます。これも虚偽の在庫証明及び入庫報告の交付でございます。
 まだありますけれども、以上、とりあえずあります。
原口委員 何件というふうに伺ったわけです。
 私は、私たち民主党は、やはり公益開示法が必要だというふうに思っています。やはりこういう不正を、さっきおっしゃった、偽造をしたことは私は悪いと思う。ただ、現在の現実の商取引を見てみると、大手のさまざまな問題に対して泣き寝入りをしている、その状況も事実なんです。ですから、勇気を持って告発をした人たちをしっかりと保護していく、こういう法制度が必要だということを私は申し上げたいと思います。
 そして、農水大臣、私は、この件でいろいろ聞き取り調査をすると、イの一番に取引をやめたのがやはり外国産、特に中国からの野菜の輸入業者だったというふうに聞いています。トラックをあけて一時間は人がその中に入れないような、そういう状況もあったという証言をいただいています。
 先ほど細野議員がWTOの交渉の話をしましたが、私は、価格だけで農業が切り取られていくことはいかがなものかと思います。やはり環境会計基準と申しますか、遠くから物を運んできて、そしてたくさんのポストハーベストを、薬剤を使い、そして多くのエネルギーを使う。これは、エネルギーということで環境に対しての負荷を与えているわけですから、こういったこともしっかりと農業交渉の中で主張していただきたい。
 「エンデの遺言」という、これはドイツの童話作家でございますが、ミヒャエル・エンデさんという方がこういう遺言を残しています。それは、現在のバーチャルな貨幣経済がどんどん広がっていって実体の経済と乖離をしてくると、一番被害を受けるのは農業や農村、そして実際に生活をしている人たちです。
 実際に、一日にたくさんのお金がバーチャルな部分で動いています。それと実体経済との乖離はどんどん広がっています。この乖離をそのままにしておくと生まれてくるのは貧困とそれから格差でございますので、ぜひこういう視点で、非公式の閣僚会議がございましたが、結論を得べく努力をしていただきたい、そのことを申し上げたいと思います。
大島国務大臣 環境への負荷が農業交渉、通商交渉においてどのように取り上げられ、どのように位置づけられていこうかということは、今原口委員が言ったような環境負荷、例えばトランスポーテーションの中における負荷だとか、そういうふうなところの視点の議論は、個別的にはそういう視点はないものの、環境と農業という問題は大変大事な視点だと思います。
 通商交渉、農業交渉においてそういう視点からも議論しろということは、既に私ども、一つのあり方論として、非貿易的関心事項、あるいは環境と一次産業という視点からの議論は一層していかなきゃならぬと思いますし、国内政策におきましても、実は農業は環境に負荷ではなくて貢献しているということを申し上げておるわけでありますが、一方、負荷も与えているという意味で、環境に負荷のない農業という視点を一層政策として打ち立てていく必要性もある、このように認識しております。
原口委員 今まさに、国内の政策の環境に対する負荷をおっしゃいましたが、私は、農業関連のさまざまな公共投資についても、やはりこれはスクラップして、それが後世にどういう負荷を与えるかということまでも視野に入れて建設をすべきときに来ているというふうに思います。例えば諫早湾の干拓事業についても、これを環境負荷と考えてみると、莫大な環境負荷を与えている。ことしも、今ノリは大変厳しい状況です。
 こういう状況の中で、今まではやはり予算面、金額面、そういうことでさまざまな決断がされてきた、しかしこれからはそうではないんだということを御指摘申し上げ、国土交通大臣、農水大臣、もうこれで結構でございますので、次の質問に移らせていただきます。国土交通大臣には、また別の機会に御質問申し上げます。
 さて、それで、きょうは経済のお話をしておきたいと思います。パネルを出して、デフレの問題について少し議論をしておきたいと思います。
 政府挙げてのデフレ対策ということで、財務大臣、今たくさんの議論がされていますが、この資料の一は、消費者物価の前年比です。ちょっと、色がついていないので、皆さんごらんになりにくくて恐縮ですが、一番上の赤い線が、これはサービスです。サービスはそんなに価格が下がっていない。それに対して、一番下がり方が激しいのは耐久消費財です。そして、いわゆる繊維製品、財、こういったところもずっと下がっている。
 この価格の下落というのは世界的な状況で、例えば、三年連続アメリカのダウが落ちたということは、これは今までアメリカの歴史の中でも過去二回しかありません。一九二〇年代それから三〇年代、この後は戦争です。こういう状況の中で、大変深刻な価格の下落が起こっている。
 ただ、これをただただ単に物価を上げるだけであれば、私たちは、さらに国内の競争力を弱め、そして日本全体の経済を弱めることになるんではないか。アメリカの消費者物価指数を見ると、同じようにサービスは下がっていないんですね。サービスの価格は下がっていない。
 もう一つ、資料をごらんになってください。資料の二。これは、まさにこの国会で喫緊の課題としている就業者数の内訳です。ここに私たちが解決しなければいけない問題の焦点があるというふうに思って、私はこの資料を出しました。
 今まで、不良債権の処理あるいはバブルの後始末、こういうことを申し上げてきましたが、実はこの間、製造業というのは二百二十一万人もの下落をしています。就業者数自体が減っている、大変大きな問題だというふうに思います。金融や保険、不動産も、一九九〇年と二〇〇一年を比べれば、こういう減少です。
 これほどの就業者数の減少にこたえるためには何をやればいいのか、世界はもう同じような傾向にある、世界はどういう施策をやっているのか、このことを国会できっちり議論をしておかなきゃいけないというふうに思います。
 ここの下に書いておりますが、この価格の下落が世界的に起こっているんであれば、その価格の下落を食いとめる、そういう業種、そういう構造的なものを意識的に伸ばしていく、この施策が一番必要である。つまり、サービス業をいかに伸ばすかということが、私たちが最も議論をしなきゃいけない。そこの就業者数をどうふやしていくか。ここは石原大臣、規制の改革の出番なんだと思うんです。
 私たちは、今までともすれば後ろ向きの、いわゆる処理の話をしてきた。これからはもう少し石原大臣とも、私も民主党の規制改革のプロジェクトチームの座長をしました。規制というのは一体何のためにあるのか、そしてこれからの規制はどのように考えていけばいいのか、基本的なお考えを石原大臣から伺いたいと思います。
石原国務大臣 ただいま委員が示されました就業者数の数字を見ても明らかなように、これからの日本の産業はどうしてもサービス分野で就業者数をふやしていく必要があるということを拝見させていただいたわけでございます。
 そんな中で、規制がどう意味し、そしてこれからどうあるべきかという御質問であったと思うんでございますが、やはり日本のサービス業も含めて、製造業も含めて、非常に成熟していない段階ではある程度の規制を設けて、ある基準を満たしたものでなければ消費者に提供しない、あるいは生活者に提供しないという意味で、規制というものが機能してきた。
 しかしながら、時代の変遷、日本は物づくりの国であったわけですけれども、一九九〇年と二〇〇一年の数字であれだけの数が減っているということは、産業構造も大きく変わってきた。同じように、これまで有効に機能してきた規制というものも、実は消費者、生活者にとって必ずしもプラスではなくて、高コストあるいはサービスの低下といったような負の面が出てきた。そういうものを是正していく上で、やはり民間の活力というものを規制によって阻害することのないように、規制というものを緩和していくという流れが規制改革議論の中で出てきたんだと思います。
 そんな中で、一昨年は、今就業者数のところで非常に伸びておりました医療あるいは福祉あるいは人材派遣といったようないわゆる社会的規制の分野に初めてメスを入れました。
 しかし、残念ながら、この分野は規制によって守られてきた分野でありますので、なかなか既得権を持っている方々がその分野を放そうとしない、そういうところに今あつれきがあるわけでございます。そういう分野を活性化する。
 さらには、昨年は、経済的規制、こういうものに緩和策をとってきたわけです。
 一例、示させていただきますと、例えば、私も持っておりますが、Edyカードといったような非接触型のプリペイドカード、こういうものも、無線局の規制で、無線局一局ごとに規制を出さなければならないことによって、日本の技術でありますけれども日本で普及していなかった。しかし、これが日本で今一千万枚を超える。これによって、国民の皆さん方は小銭を持たないでデポジットを持って、非接触型のプリペイドカードを使うことによって自分の生活の利便性を高める。
 多々、規制緩和することによって国民の皆さん方の生活の質の向上を図るということもなされてきておりますし、これからは、冒頭申しました社会的規制の分野で就業者数をふやす努力をしていかなければと考えております。
原口委員 石原大臣、私もその点全く同じです。
 レッセフェールの時代には、人の作為、不作為を事前に禁止したり義務づけることはなるべく行うべきではない、規制のフリーの時代でした。しかし、産業構造が高度化して、そして不作為によってあるいは作為によってもたらされた被害というものを事後的に救済するということが個人個人にとっては大変なリスクを負うようになった。だから、危険がもたらす被害の対処に迅速性を欠いてしまう。あるいは、経済活動が大規模化して法人が加害者となる場合が増加して、これには自由刑の適用がないというようなことで、規制がずっと広がってきた。
 すべての人は法のもとの平等を約束されていますが、しかし、被害の救済を個人にゆだねて司法のみで事後的に救済する方法は、非効率であるばかりか、いわゆる社会的な労働者、弱者、立場が厳しい状況に置かれている人たちをこれでは守れないということで、規制が生まれた。私はそのように考えています。
 私たち民主党は、規制をやはりもう一回積極的に定義し直すべきだというふうに思っていまして、規制を四分野に分けて、今お話しになったような社会的規制の分野についてもしっかりとメスを入れていかなきゃいけない。
 先ほどのこの資料、就業者数の内訳をごらんいただいても一目瞭然としていますが、医療や教育、ここの分野を、いかにたくさんの皆さんに参入をしていただけるように、あるいは世界の中ですばらしいサービスを供給できるように規制を改革していくかということが大事なことだと思います。
 社会的規制というのは、私たちは、基本的には強化だと思います。しかし、社会的規制の強化という中で、弱者の顔をした強者、あるいは不必要な規制がたくさんあった、ここについてはしっかりとメスを入れていかなきゃいけない、このように考えていますが、石原大臣の基本的なスタンスをお尋ねしたいと思います。
石原国務大臣 ただいま委員が御指摘されました医療分野、教育分野、ここはある意味で、高齢化社会で国民の皆様方のニーズの高い分野が医療分野でございますし、少子化社会の中にあって、これは中国を見るまでもなく、子供さんの教育、こういうものに対して親の方が持つ熱意というものは高まっている。そういうところにビジネスチャンスもありますけれども、今委員が御指摘されましたように、ある意味では、そこの部分は規制がかなり強いことによりまして自称弱者であるけれども非常に権限を持った人たちが存在しているということも、私も事実だと思っております。
 委員が御指摘されましたような観点で規制を整理、私は、すべて規制をなくすという考えではなくて、やはり委員御指摘されましたように社会的な規制というものはある意味では一面強化をしていく、そういう整理というものが必要なのだということで、委員の考え方と一にしております。
原口委員 ありがとうございます。
 例えばシンガポールでは、世界の最高の教育にアクセスする機会を子供たちに与える、人材に思いっ切り投資をしていくということをやっています。あるいは、これもアジアの国ですが、直接、医療の指導を最先端の方にお願いし、アメリカの大学だったと思いますが、ジョンズ・ホプキンスかの大学だったと思いますが、そこの皆さんの医療チームの指導のもとに、世界最高の医療をクアラルンプールにおいて受けることができる。随分、アジアの中も先に行っているんですね。
 私たちは、製造業の空洞化というものを何としてもとめなきゃいけない。それとともに、新しい産業が起こってくる、このことの規制を積極的に撤廃しなきゃいけない。
 きょう、規制改革特区についてはお話をしませんが、特区という形で一つだけ指摘をしておくと、沖縄の特区が、今まで政府としてやってきた特区ですが、残念ながら、その果実は生まれていません。ですから、一つのブレークポイントをつくるんだということで特区という形をなさったと思うんですが、やはり私たちは、この規制を改革していく、それの政治的な勢力をしっかりと結集しなきゃいかぬ、このように思います。
 公益法人の改革についても、石原大臣、積極的に取り組んでいただいているということでございますが、国土交通大臣、農水大臣にはもうお帰りいただきましたけれども、国交省やあるいは農水省のいわゆる公益法人が政治連盟をつくって、そして、まさに公益法人と政治連盟が不可分のような状況でやっていたのでは、私は、公益法人改革も実を上げないし、今までの、五百兆のGDPのうち三百十兆を分配するという、これほどの状況を変えることはできないというふうに思います。
 公益法人の改革について、石原大臣はどのような方針で取り組んでいらっしゃるのか。そして、私は、公益法人がそれと全く同じような形で政治連盟をつくったり、やっていくのであれば、公益法人としてはもう資格を失うはずだし、失わなきゃいけないというふうに思っていますが、基本的なお考えをお尋ね申し上げます。
石原国務大臣 まず、前段の方のお話をさせていただきたいと思うんですが、委員が御指摘されました、所管省庁の認可によって数多く、あるいは都道府県認可もございますけれども、公益法人が、地方も合わせまして二万六千ぐらいございます。その公益法人が、委員御指摘のとおり、前段の御議論の中にありました規制を隠れみのに独占的に事業を行い、それが高コスト体制の原因になっているというものもございますし、また、そちらに、政府の実務部隊、行政の実行部隊として、一つだけの公益法人に、一つだけの検査、検定等々の行政委託型の公益法人が仕事をして、民間が同じ能力を持っているのにその分野に参入することができないといったような弊害もるる指摘されてまいりました。
 一つだけ例を出させていただきますと、例えば大型施設の空調設備につきましても、現在は製品の精度が非常に上がっておりますので、公がチェックをしなくても、そのメーカーの責任においてユーザーが不利益をこうむることなく機能するわけでございますけれども、かつては、そういうものについても一つ一つ公益法人が検査に来て、その検査の結果、了とされない限り、設置された空調機械も使用できないといったような問題もあったわけであります。
 これは一つの例でございますけれども、こういうものは、生活者、消費者にとってマイナスの方が多いわけでございますから、こういうものを変えていく。そういうものの手先となっていた公益法人というものはやはり是正していかなければならないと考えております。
 後段の政治連盟の件につきましては、若干、事実関係を掌握しておりませんので、何とも言いがたいと思っております。
原口委員 公益法人の定義というと、民法第三十四条によるもの、社団法人、財団法人、それから特別法によるもの、学校法人、社会福祉法人云々というものがありますが、前段については、私は大臣のお答えを了としたいと思います。
 やはり公益を何も官が担う必要はない。私たち民主党は市民公益ということを申し上げています。市民が自由にNPOをつくり、公益を担うその主体をつくっていく、ここに対しても寄附金控除を積極的に行っていくべきだ、つまり、公益を官が独占している状況を分権化すべきだ、こういう主張をしています。
 税についても同じです。税も、すべて財務省に集めてそれを分配するという今までの主張ではなくて、それを、公益を担うその主体に例えば寄附をすればそこには大きな控除がある、これを私は税の自由化、よく河村代議士がお話をしていますが、ここの部分についてはしっかりとした姿勢を、方針を政府も示していただきたいと思います。
 そして、公益法人と政治連盟が一体となっているということについては、事前のレクで国交省と農水省に聞きましたが、ほとんど把握していないんですよ。では、だれが把握しているのか、だれがチェックしているのか。いやむしろ、チェックをするどころか推奨しているのではないか、こう思われる事案もあります。
 国交省は、全国宅地建物業協会連合会、それから東京都自動車整備振興会と東京都自動車整備政治連盟、これとの関係を承知しているというふうに言ってきたんですが、私は、このこと自体も、石原大臣、行革相としての強いリーダーシップで政治の方の構造改革もやらないとやはりだめなんだと思います。既得権益の中で、その分配でもって政治を動かしていくということはもう限界に来ています。大臣は与党の中からそれを壊そうという思いを持っていらっしゃると私は期待をしています。私どもはそれを外から壊すことをやる。本当は、政局の話をきょうする気はありませんが、石原大臣には、一刻も早くそういう既得権益の中にいらっしゃるものを出ていただいて、私たちと一緒に仕事をしてくださればな、こういうエールを送っておきます。
 ぜひ、公益法人と政治連盟が一体となっているそういうものについては、これは行革を妨げている、あるいは規制改革を妨げている構造の裏面に、背景にあるものでございますので、今、承知していないということでありましたが、しっかりとこの実態を把握するように努力をしていただきたい、そう要請をしたいんですが、いかがでしょうか。
石原国務大臣 委員が御指摘になりましたように、各省庁が、公益法人の実態、つくったときの課長さんが残っていれば、どういう経緯でどういうものを認可したかということはわかるわけですけれども、経緯がわからない公益法人も、私どもが調べていきましてかなりあることも判明いたしました。
 これは私、一つ大きな理由は、やはり公益法人というネーミングがいいんだと思うんですね。公益に資する、そのネーミングのためにだれも手をつけなかったということと、委員が先ほど来御指摘されておりますように、民法三十四条のすなわち民間団体である、すなわち行政が関与をしないことが前提になっている。
 ですので、この公益法人改革の端緒としては、行政の事務事業の代行をしているようなもの、これは合わせて七百程度ではございましたけれども、この点にはメスを入れることができたわけですが、先ほど言いましたように、二万六千の七百でございますので、これからがまた非常に大きなポイントでございますし、さらに、委員が御指摘されましたように、NPO法というものができまして、私が公益を考えて法人を設立するということも可能になってまいりました。
 しかし、残念ながら、ここは範疇の外ではございますが、委員が御指摘されましたような寄附文化というものがまだ日本に根づいていないことによって、このNPO法人の活動阻害というものも指摘をされているわけでございますので、こういう分野については、やはり寄附を円滑に行えるような体制というものを今回の公益法人改革の中でつくっていかなければならない重要なポイントだと思っております。
 そして、後段の政治連盟の話でございますが、これはやはり政治と金、政治家と金、政治家の政治資金をどのような形で集めるのか。すべてを公にするという考えもありますけれども、私は、個人的にはこれには反対で、個人の献金というものをやはり透明な形で獲得できるような形というものをつくっていかなければなりませんし、先ほど委員が例を出されましたようなことが批判の対象になるようなことは厳に戒めていかなければならないと考えております。
原口委員 大臣、大事な指摘をされたと思います。つまり、公益法人は、できたときは知っている人がいても、サンセットできないんですよ、なかなか。そして、それをチェックするという力が働きにくい。私は、公益法人がすべて悪だということを言っているんじゃありません。公益法人の中には、本当に大切な役割を担っている、そういう法人があるということを前提に議論をしているんですが、サンセットができないんですね。やはりどこかでサンセット規定を入れていかなきゃいけないということを申し上げたいと思います。
 さて、そこで、少しデフレのことについて話を戻したいと思いますが、財務大臣、デフレがやはり内需の自律的な回復を阻害しているというふうに思います。これ以外に政策不況があるというのはこの間小泉総理に申し上げた。小泉総理のやり方で成功したところは幾つかあります、世界の中で。ノルウェーとかそういったところです。私の友人である経済評論家の植草さんがお話をされていますが、いわゆる北壁から、大変厳しい状況の中で一気に駆け上がるという目標の達成の仕方もこれはある。そして、それは成功したところもあります。しかし、今の現状、この二年間、小泉内閣の二十カ月を見てみると、そういう状況の中に思いっ切り、思いはいいですよ、思いはいいけれども、現実はどんどん山から落ちている。そして、国民は追いまくられているというのが現実だと思います。
 スウェーデンにサムハルという会社があって、この予算委員会でも他党の議員も指摘をされましたけれども、年間五千億の補助金を入れて六千億の売り上げを上げて、その障害を持った人たち一人一人が実際に納税者としての権利を行使できるようになっているんですね。
 私たち、政府があるいは国会が考えるべきことは、国民を追いまくることではなくて、国民の皆さんの力をどうすれば最大限発揮していただけるか、その環境をつくることが私たちの務めだというふうに思います。残念ながら、小泉内閣の北側の壁を登る路線というのは、もう破綻をしているというふうに思います。
 先日、税収の弾性値について総理とも議論をさせていただきましたが、あの後さまざまな資料を見てみて驚いたのは、あのとき谷口副大臣が誠実に答えていただきましたが、バブルのいわゆる高度経済成長時代の弾性値でやっているということでしたが、いわゆる「改革と展望」は、一・一で計算してもああはならないんですよ。税収の弾性値一・二で計算されているんじゃないでしょうか。私は、国民の皆さんあるいは国会の皆さんが、実は絵にかいたもちを見ながら、実際これが実現すれば何とか財政も立て直すことができるし、経済も立て直すことができる、そういう前提のもとに議論をしていたとしたら、前提が崩れているということを申し上げたいと思います。
 企業は、今、内部資金を下回る設備投資しか行っていないというのが現状です。実質の賃金上昇率が企業収益増を上回ってしまっているために、雇用コストを回避するために雇用も回復しない。一五%を占める設備投資、これと個人消費五五%、日本経済の第一エンジンと第二エンジンを直撃されたまま経済運営をやっているというのが現状でございます。
 そこで、竹中大臣にお伺いをしますが、インフレターゲティングの議論が盛り上がっていますが、竹中大臣は何回かテレビでも御発言をされて、日銀に適当なインフレ目標を立てさせるとして、そういう議論をされているのではないかと思いますが、具体的には何をさせるのか。
 日銀のバランスシートが非常に厳しい状況になっているというのは、この間、日銀総裁がお話しになったとおりです。長期国債、長期金利が一%上がれば、一兆円の日銀のバランスシートの痛みを負うということを、この場で、私の質問に対して明らかにされました。竹中大臣は日銀に何を期待されているのか、まずお尋ねをしたいと思います。
竹中国務大臣 経済の活性化に向けて、政府、日本銀行、それぞれにやらなければいけないことが、重要な問題があるというふうに認識をしております。
 その中で、政府に関しましては、例の四本柱、歳出、歳入、金融システム、それと規制改革、規制改革については今まさにお尋ねがあったわけでございますが、それは政府はしっかりやっていきましょう、しかし、このデフレに関しては、これは貨幣的な現象であるという側面も非常に強いということから、これに関しては、マネーサプライがふえるような状況をつくっていただきたいというような期待を持っております。
 具体的に、日本銀行が何をすべきかということは、これは、今申し上げたような政策の大きな方向について共通の認識を持っていただいた上で、具体的な金融の政策の手段そのものについては、これは、私は、日本銀行が専門家の立場で独立してやはり決めていただく必要があるというふうに思っております。そういった形での、まさに日本銀行と政府が一体となった対応が必要であるというふうに思っております。
原口委員 私は、もっと具体的におっしゃっていると思いますよ。
 二〇〇三年の二月三日、これはテレビ朝日の番組ですが、日銀の買う資産にいろいろ工夫する余地があると竹中金融担当大臣はお述べになって、そして、日銀が、株価指数連動型の投資信託購入など新たな量的緩和の手段を講ずるべきだ、こういう主張をされたと私は思いますが、これは事実だと思いますが、いかがですか。
竹中国務大臣 その引用をしてくださったのがどういうものであるのか、ちょっと私、直接は思い出せないんでありますが、私はかねてから申し上げているのは、マネーサプライをとにかくふやしてください、そのときに必ず出てくる質問といいますか、反論であり質問は、しかし資金需要がなければ日本銀行というのはマネーをふやすことができないのではないだろうか、そういう疑問が必ず出てきます。
 それに対して私はいつも答えておりますのは、そういう面ももちろんないわけではないけれども、それでも、これは一種の考え方の整理として、中央銀行というのはそれでもマネーサプライをふやす方法がある、それは、マネーを買うかわりにマネーを出すということは、何か資産を買ったらマネーが出る、今現実に国債を買っているわけでございますけれども、そういった資産を買ってマネーを出すという方法はある、そういう趣旨のことをいつも申し上げているつもりでございます。
 御指摘のがそれに相当しているかどうかちょっとあれですけれども、私が主張したい点は、まさにそういうことであります。
原口委員 先ほど、勘のいい方が、だからもうかるのかとおっしゃいましたが、ここなんですよ、財務大臣。財務大臣はこのETFの日銀買い入れについては少し慎重な姿勢だという報道もありました。竹中大臣はしっかりと、ETFか外債を買うかは日銀の判断にしてもらえばいいという、そういうものを、ETFも買うべきだというふうにおっしゃっているじゃないですか。ETF購入を兆円単位で購入すべきかという質問に対しても、しっかりお答えになっているんですよ。それはテレビですからね、なかなかそれは言わなかったというふうには言えないので、私はまず、ETFの購入について、先ほど私が申し上げたさまざまな、これ、二〇〇三年の二月三日だけを言っているんじゃないですよ。
 二〇〇三年の一月十日、株価対策が必要であり、日銀がETFを購入すべきだ、こういうふうにおっしゃっているじゃないですか。おっしゃったのかおっしゃってないのか、まず確認をしたいと思います。
竹中国務大臣 私の記憶している範囲で、日銀がETFを購入すべきであるというようなことを申し上げたという記憶はございません。
 先ほどから申し上げているように、日本銀行は何らかの資産を買ってマネーをふやすことができる。繰り返しますが、現実に国債は買っている、外債もこのポートフォリオの中に入っている。そういう資産そのものについては、これはいろいろと日本銀行で専門的に検討をしていただければいい、そのことを機会があるごとに繰り返して申し上げているつもりであります。
原口委員 今記憶にないというふうにお話しになりましたが、おっしゃっていると思いますよ。おっしゃっているんですよ。
 今、委員の皆さんに私は何を質問したいかと申し上げると、まさに金融担当大臣、経済財政担当大臣として、政府の経済政策、これに大きな影響を与える立場にいらっしゃる方であります、その方がETFについてはきっちり方向を出していらっしゃったということを確かめたくて、今の質問をしているんです。
 別の観点から質問をしますが、私は、デフレは貨幣的な現象であるから金融政策で解消できるという主張、これはいかがなものかと思います。風邪が原因で熱がある人に対して、熱冷ましの薬を飲ませて熱を下げればいいという主張と同じで、私は、先ほど石原大臣がお話しになったような、積極的な規制改革、そして日本の経済全体のROE、いわゆる収益率を上げていくこと、新しい企業をつくっていくこと、このことにこそ力を尽くすべきで、まさにびほう策でやるべきではない。
 よくデフレ対策という話をするけれども、私どもは、地域を回ってみると、経済失政を日銀に押しつけて、そして自分たちは関係ないよと、口をぬぐうための、そのためにやっているんですかという声をたくさん聞きます。
 竹中大臣、金融担当大臣としてお伺いいたします。
 いわゆる証券を監視する日本版のSEC、私たちは、さまざまな証券監視の仕組みをつくるべきだということをこの金融国会でずうっと議論をしてきました。あなたの所掌の金融庁の中に証券監視委員会というのがございますか。
竹中国務大臣 金融取引等監視委員会が金融庁の中にございます。
原口委員 金融担当大臣は、この金融庁、そして証券監視委員会に対して何か意見を言ったり、あるいはそことの関係、どのような御関係ですか。
竹中国務大臣 これは、金融庁の設置法の中に、委員会の委員長及び委員は、独立してこの職権を行うということが記されておりまして、これは独立性を持って、きちっとして監視をしていただくという組織になっております。
原口委員 私ども民主党は、こういう監視委員会が金融庁の中にあること、それは独立性を問われる、ですから、本来は外にあるべきだという主張をしていますが、きょうは本題から外れるのでこのことを突っ込んで議論をしません。
 資料の八をごらんになってください。
 竹中大臣の絶対もうかるという発言があってから、私どものところにはたくさんの、不信でこのままではやってられない、証券会社あるいは外資、それから日本の国内資本、これを問わず、たくさんの声がございました。
 先ほど記憶にないとおっしゃいましたけれども、日銀に対してこういう量的緩和を大臣はお求めになった上で、そしてETFを、絶対もうかるんだ、絶対買うんだということをおっしゃっているんですよ。これはインサイダー以上の話ですよ。
 私は非常に疑問に思ったのは、大臣に御質問申し上げますが、大臣になられてからも一投資家としてのビヘービア、閣僚が投資信託や許されている限りのことをやる、それは百歩下がってあってもいいのかなと思います。それは許されています。しかし、金融担当大臣が一投資家としてのビヘービアをやっていいんだろうか。今も、大臣になられてからなさってきたのか、まずその点についてお尋ねを申し上げたいと思います。
竹中国務大臣 お尋ねの件につきましては、こういう経緯でございます。
 二月七日の閣僚懇において、これは貯蓄から投資への流れを加速するという方針から、各閣僚にTOPIX、日経二二五に連動するETFの購入の呼びかけを行いました。これを受けまして官房長官からも、証券市場の活性化は重要な課題であり、ETFの普及促進に協力を願いたい、このETFは、いわゆる大臣規範の規制の対象外になっているとの御発言がございました。
 閣僚懇談会は閣僚が自身の立場で自由に発言する場でありまして、各閣僚にも協力を要請したとしても、それ自体、閣僚を拘束するものでも、もちろん閣議の決定を行ったという性格のものでもございません。
 閣僚懇談会の後の雑談の中で、これに関して、投資家としてもうかると思っているという発言をいたしましたが、この発言は、日本の経済の未来が明るいと考えているということを私としては表明したいということだったわけでございます。
 その後の記者会見での発言は、これも記者から、竹中大臣自身もETFを購入するかと問われたのに対しまして、買います、もうかると思っておりますと答えたものでありまして、個人としての認識を申し上げたものでありまして、これは、もうかるから買いなさいというようなことを申し上げたわけではございません。
 しかしながら、この発言は、趣旨を誤解されない部分があったという面において適切ではなかったというふうに考えておりまして、この記者会見での発言を掲載した金融庁のホームページの該当部分については、二月の十四日に削除をいたしました。
原口委員 私は、その経緯を伺っているんではなくて、大臣になられてから一投資家としての行動をなさってきたんですかということを伺っているんです。
竹中国務大臣 閣僚のその規範に沿って行動をしております。
原口委員 全く答えていません。
 委員長にお願いをしますが、投資家としての行動をされてきたのか。閣僚の規範に沿ってさまざまな投資を行ってこられたんですね。
竹中国務大臣 これは個人的に私の財布の中身の問題でもございますが、余りそういう資金は持っておりませんので、投資と言われるようなものは残念ながら余り行ってきておりません。
原口委員 投資行動はやっていないということですね。
竹中国務大臣 投資行動という中身の問題でございますけれども、いわゆる株の取引等々はもちろん行っておりません。
原口委員 だから、株の取引は閣僚で禁止されているでしょう、財務大臣。株の取引じゃなくて、大臣規範の中にある投資、大臣はこれこれこれはやっていいと。今回のETFはやっていいんですよ。こういったものは今までもなさっているんですかということを聞いているんです。
竹中国務大臣 ETF、投資信託投資は行っておりません。
原口委員 では、投資は全く行っていないということを大臣はお答えになったということでよろしいですね。
竹中国務大臣 ちょっと、これは本当に私の財布の中身の話になってしまいますものであれなんでございますが、あえて御質問がございましたので、そういう投資は、今おっしゃったようなETF、投資信託、そういうようなものは持っておりません。銀行に対する預金も、これは利子が低いですけれどもつくわけですから、これは広い意味での投資ではございますが、そういうものはございますけれども、そういった意味での投資はございません。(発言する者あり)
原口委員 金融担当大臣は、私が伺っていることの真意をわからない方じゃないんですよ。
藤井委員長 御静粛に願います。
原口委員 今のような答弁では納得いきません。
 私は、どんな投資行動をされているのか、本当にびっくりするようなお答えなので。実際に、李下に冠を正さずという話があります。あなたの個人的な財布の中身を聞こうなんということを全然思っていないんです。まさに、日銀に対してETFを買えと言っている人が、ETF、絶対もうかると、これは当たり前じゃないですか。日銀が買えばETFは上がるんですよ。そして、あなたは、金融担当大臣、経済のつかさとして、あなたしかわからない情報を持っているんです。明確にお答えください。
竹中国務大臣 私は、大臣規範にのっとった資金の運用を行っておりまして、その中で、特にETFや投資信託というようなものは持っておりません。
 今回の閣僚懇でお願い申し上げました趣旨は、まさに、日本の市場の活性化を行いたい、その意味で日本の未来を買いましょう、そういう趣旨のあくまで発言でございます。
原口委員 私は、どんな趣旨かということを聞いているのではありません。質問に全くお答えにならない。
 では、別の視点から伺います。
 委員の皆様には恐縮ですが、これは岩井証券のホームページからとった「不公正取引について」というものです。そして、資料の八がそれでございます、十四ページ。十五ページ目は、資料の九、これはETFは何かということをわかりやすく書いた東証のホームページでございます。そして、その後ろ、資料の十は、大臣が所掌をされている有価証券の取引等に関する規制、これの法文でございます。
 聞き方を変えますが、絶対にこのETFがもうかるという根拠は何ですか。
竹中国務大臣 ETFそのものは、元本の保証をするものではございません。私は、しかし、日本経済の未来は大変明るいというふうに思っております。
原口委員 つまり、根拠はないんですよ。根拠はないんです。
 これは、資料の八をごらんいただければ明らかです。明らかな風説の流布なんです。そして、末松議員の先日の質問に対して法制局長官が、この風説の流布は何人にも当てはまるという答弁をされています。大臣にも当てはまるんです。
 そして、その三つ目、相場操縦取引ですね。「市場において相場を意識的、人為的に変動させ、その相場をあたかも自然の需給によって形成された」云々と、相場を操縦するということも厳しく禁じられているんです。これはあなたの所掌のところなんですよ。風説の流布を流す大臣が金融担当大臣で、この金融危機は乗り越えられますか。私は違うと思う。
 日本の将来を買う、それはみんな同じですよ。私たちだって、日本の未来をつくるために国会議員になって、そして日本の将来をいかに明るくするかということをやっている。しかし、あなたがやっていることは、日銀に対してETFを買えと言い、量的緩和をさまざまなところで議論をし、ETFは絶対もうかりますと閣僚にも勧め、そしてそれの根拠はなしに風説の流布を流しているじゃないですか。明らかな不公正取引の類型そのまま、いや、この法さえも予定していない。予定していないんですよ。日銀に量的緩和なんというのは、もう異常な経済状況だから起こってきているわけで、そのことも片っ方でやっておいて、この風説を流布しているということは、私は、この大臣のもとでは金融のまともな審議はできない、そう断ぜざるを得ない。反論があったら教えてください。
竹中国務大臣 私は、日本銀行に対して、どういう手段をとってやるかは、マネーサプライをふやすかは、これは日本銀行が独立してお決めになることであるということを繰り返し主張しているつもりでございます。
 さらに、相場操縦に関する御指摘でありますけれども、証券取引法百五十九条の相場操縦禁止規定は、需給関係によって形成される相場に作為を加える目的を持って売買等を行うことや、取引を勧誘する目的を持って相場が自己または他人の手によって変動すべき旨を流布するなどの行為を禁止している。
 取引を勧誘する目的を持って相場が自己の手によって変動すべき旨を流布したというような指摘でございますが、そういう指摘は当たらないというふうに思っております。これは、日本の未来は明るいということ、証券市場の活性化を進めようではないかということを申しているわけでありまして、取引を勧誘する目的を持って、つまり相場を操縦したということでは断じてございません。
原口委員 実際に、大臣からも、この間官房長官もお話しになりましたけれども、勧誘されているんですよ。しかも、あの審議の中では明らかにできませんでしたけれども、明らかに日銀に対しても大きな影響力を与える、与え続けてきているわけです。
 あなた方は、この国会の総理の所信表明演説で何と言っていますか。政府、日銀一体となってと言っているじゃないですか。政府、日銀一体となってやろうとしている人が、政府、日銀一体となってETFでもうかろうとしているじゃないですか。違うんですか。
 もう一回お尋ねをしますが、あなたは、このETFについて、量的緩和、日銀の量的緩和はそんなにたくさんありますか、自民党の皆さん、与党の皆さん、国会議員の皆さん。そんなにないんですよ。外債を買うかETFを買うか、そのどちらかを決めるのは日銀でしょう。あるいは、私がこの間質疑をしたように、国債ということもあるだろう。しかし、国債の暴落リスクは高まっていますからね。だれが考えたってこの三つなんですよ。それを強く求めておいて、そして閣僚に求めるというのはいかがなものかと思いますよ。絶対もうかるんですよ。そうでしょう。日銀が買ってくれるんですよ。買えと政府一体になって言っているんですよ。
 もう一回聞き方を変えますが、竹中大臣は、日本の将来が明るいとかいう、そういう答弁ではなくて、絶対もうかるとおっしゃった、そのもととなる、その判断の基準となるものについてしっかりとお示しください。
竹中国務大臣 日本銀行に関しましては、繰り返し申し上げていますように、これはマクロの金融政策でございまして、その中身については、これはたくさんの方法があるというふうに私は思いますので、これは専門家として日本銀行に独立に決めていただければよいということであるというふうに思っております。
 証券市場の活性化に対しては、日本の未来は明るい、そのための構造改革を進めているということでありますので、これについては、活性化のために我々も先頭に立って努力をしなければいけないというふうに思っております。
原口委員 もう質問に対して全く答えていません。私は無理な質問をしているんじゃないんですよ。根拠を示してくださいという、そのことだけ申し上げているんですよ。絶対にもうかるという根拠をお示しください。それは日本の将来が明るいという根拠にもなるわけでしょう、あなたのロジックだと。
竹中国務大臣 小泉総理の指導、リーダーシップのもとで四つの構造改革を進め、デフレ克服に向けて政府、日銀が一体となって取り組み、さらに、さまざまな規制の改革、金融のシステムの改革等々について一つの方向が見え始めているというふうに私は認識をしております。構造改革の効果が発現し、日本の経済は明るくなるというふうに思っているわけでございます。(発言する者あり)
藤井委員長 速記とめてください。
    〔速記中止〕
藤井委員長 速記を起こしてください。
 竹中国務大臣、いま一度答弁をお願いいたします。
竹中国務大臣 日本の将来、日本の未来は明るいと考えております。
 日経二二五、TOPIX等々に連動するETFは、ある意味で日本の未来を象徴するというものであると思っておりますので、私は、日本の未来は明るいということを伝えたわけでございます。
原口委員 ETFというのは、委員長にも皆さんにも聞いていただきたいんですが、個別の商品ですよ。個別の商品が上がるか上がらないかとか、上がればもうかる人も出れば、損する人も出るんですよ。それの根拠を聞いているんです、上がるという根拠は何ですかと。
 ETFが日本の全体経済指標に連動しているからなんという答えは、あなたは金融担当大臣としては不適だということを言っているんですよ。根拠があればあなたはインサイダーなんですよ。根拠がなければ風説の流布。どっちかなんですよ。個別の商品について何かを言う、あるいは閣僚にまで勧めるというのは、このどっちかなんですよ。だからどっちも言えない。どっちなんですか。
竹中国務大臣 取引を誘引する目的を持って風説を流布したものではございません。私は、日本経済の未来が明るいというふうに思っておりますので、この日本の経済の未来を反映している株価、TOPIX、日経二二五と連動するETF購入の呼びかけを閣僚懇で行ったわけでございます。日本の経済の未来は明るいと思っております。
原口委員 もう国会の権威を地に落とすのはやめていただきたい。誘われたと言っているじゃないですか、閣僚だって。それも議事録に残っていますよ。勧誘しているじゃないですか。
 資料の十をごらんになってください。「相場の変動を目的とする不正行為の禁止」、あなたがなさっているのはこっちですか。「何人も、有価証券の募集、売出し若しくは売買その他の取引若しくは有価証券指数等先物取引等、有価証券オプション等」云々、ちゃんと書いてあるじゃないですか、第百五十八条。そして、第百五十九条は「相場操縦の禁止」です。
 閣僚はさまざまな相場に対して大変慎重な姿勢を求められると思いますよ。それを、何でこの法律ができているんですか、じゃ。伺います、この法律は何のためにあるんですか。
竹中国務大臣 この法律は、証券市場の公正性と透明性を確保し、証券市場に対する投資家の信頼性を確保するために設けられております。
原口委員 法律の解釈はすらすらできますね、そのとおりなんですよ。証券市場における透明性、公正性なんです。あなたは、それを統括する立場にありながら、それをゆがめているんです。
 しかも、実際のプレーヤーからここにもたくさんファクスが来ていますが、こんな人たちのもとで今銀行は自己資本の増強に走っていますよ。そして、地方の銀行もそうだ。貸し渋りを起こして、中小企業は泣いている。こんなときに閣僚に特定の商品を勧め、市場をゆがめる、こんな大臣のもとで審議できますか。
 私は、識見とかそういうのを超えているんだと思うのです。竹中さんが不良債権の処理を一気にやる、公正にやる、そして責任を追及してやる、この三つの原則は私たちが常に言ってきたことです。しかし、あなたが今回なさったことは、それと真反対なんです。大臣がこのようなことを、明確な風説の流布なのか市場の操縦なのか、このどちらかにしか当たらないんです。勧誘をしていないと言っているけれども、勧誘はもう議事録にあるんです。明確な答弁をお願いします。
竹中国務大臣 閣僚懇等々での呼びかけは、相場の変動を図る目的で行ったものではございません。日本の経済の活性化、証券市場の活性化のため、貯蓄から投資への流れをつくり出そう、その先頭に立とうということで行ったものでございまして、その趣旨を何とぞ御理解いただきたいと思います。
 記者会見におきましては、私自身はどうだと聞かれまして、それに対して答えたものでございます。
原口委員 なぜ私が、資料の十、法律を持ち出したかというと、あなた今答えられたばかりじゃないですか。公正で透明性を確保する、そのためにあるんですよ。なぜあなたが金融担当大臣としてこれを先頭立ってやらなければいけないんですか。そのこと自体がおかしいんだと言っているんですよ。(発言する者あり)
藤井委員長 御静粛に願います。
竹中国務大臣 貯蓄から投資へという流れをつくる、それによって証券市場を活性化するというのは、これは骨太の方針以来内閣が掲げている方針でございまして、この方向に沿って我々も努力をしているところであります。有価証券等の相場の変動を図るという目的を持って行ったものではございません。
原口委員 竹中大臣にお願いをいたします。私は個別のことを聞いているんです、政策全体の話をしているんではありません。あなたは、政策の全体の流れを利用して、個別のもうけや個別の取引について、しっかりと世間に対して予断を与えているじゃないですか。市場に対して予断を与えているじゃないですか。この予断を与えていることに対してどう考えるのか、一点。二点目は、絶対もうかるという根拠は具体的に那辺にあるのか、この個別の商品のもうかる根拠。この二点についてお尋ねします。
竹中国務大臣 予断を与えるのではないかというお話でございました。
 私が申し上げたのは個人の認識でありまして、同時に、これは日本の経済の未来が明るいということをあくまでも伝えたかったわけでございますが、その発言の、表現は趣旨を誤解されない部分があったという面において適切ではなかったというふうに思っております。
 さらに、その根拠につきましては、先ほどから御答弁させていただいておりますとおり、小泉内閣の構造改革を通して日本の経済は明るくなる、そのように私たちは信じて政策をしておりますし、それが根拠でございます。
原口委員 今の答弁は全く理解できません。金融担当大臣としての記者会見が個人としての考え方を言ったなんというのは、そんなことは通りませんよ。
 そして、個別の商品は、日本の経済が上昇しようが下落しようが、これは上がったり下がったりするんです。全くむちゃくちゃな答弁ですよ。答弁のやり直しを求めます。
竹中国務大臣 記者会見におきましては、あなたはどうですかというふうに聞かれまして、私は買います云々の私の御答弁をさせていただきました。
 個別の商品云々ということでございますが、これはETFの中にも幾つかありますが、今回呼びかけましたのはTOPIX、日経二二五に連動するものでありまして、まさに日本の未来を買うという趣旨でございます。(発言する者あり)
藤井委員長 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
藤井委員長 速記を起こしてください。
 竹中国務大臣。
竹中国務大臣 記者会見での発言は、個人としてどうしますかというふうに聞かれたのに対しまして、買います、もうかると思っておりますというふうに答えたものであって、個人としての認識を申し上げたものでありますが、これが公人としての発言というふうに趣旨を誤解されない部分があったという面においては、適切ではなかったというふうに反省をしております。ホームページの該当部分についても削除をいたしました。
藤井委員長 原口君。原口君。
 速記をとめて。
    〔速記中止〕
藤井委員長 速記を起こしてください。
 竹中国務大臣。
竹中国務大臣 記者会見では、個人として買いますかというふうに聞かれまして、そのように、先ほどから申し上げているように答えたものでございますが、しかしながら、大臣として、公人としての発言として受け取られかねないという面があったというふうにおいて適切ではなかったと深く反省をしております。
 今後は、この点を国務大臣として深く肝に銘じて、大臣規範にのっとり、しっかりと行政に当たりたいと思っております。
原口委員 全くの間違いです。この大臣記者会見要旨には、どこにもそんなこと書いてありません。大臣はどうされるんですか、買います、絶対もうかりますと。これは私がつくったんじゃないんですよ。あなた方がつくっているんじゃないですか。そして、ついこの間までホームページに載せていたんです。
 二点についてあなた方は間違っている。一点目は、金融担当大臣が記者から個人としての意見を聞かれるわけない。そして、個人としての意見であろうが、こんなことを、市場に大きな影響を与えるようなことをあなたが言って、あるいは閣僚懇でも言うということは、まさにその資格を問われているということです。
 本当に、大臣の答弁が、すべて、一回一回変わっている。こんな状況では私は審議ができない。これは、速記録を起こされても、今私が聞いただけでも、あなたがおっしゃっているのはずっと変わっているというのはわかりますよ。どうですか。
竹中国務大臣 個人として発言したわけでありますが、公人としての発言と受け取られたというふうに思っております。この点は、繰り返し申し上げますが、国務大臣として深く反省をいたしまして、国務に専念し、業務を推進したいというふうに思っております。
藤井委員長 原口君。原口君、質問をしてください。
 速記をとめて。
    〔速記中止〕
藤井委員長 速記を起こして。
 原口君。
原口委員 今の答弁は本当にひどいと思いますよ。どこにも個人として買いますかなんということも聞いてもない。国会の質疑についても重視する姿勢が全くない。しかも、金融政策全体を誘導しながら、その中で、絶対もうかる、根拠についても明確な根拠を示さないばかりか、絶対もうかるとまで言って、世間に対して、市場に介入をし、その根拠も示さない。そして、問いただされると全く違う答弁をしてくる。私は、大臣として失格だと思います。
 そして、先ほど竹中大臣は、記者が、あなた個人としてどうされるんですかというふうに聞いたというふうに明確に答弁をされました。私は、それを裏づける資料を、つまり記者会見録、記者会見のビデオがあるはずです、それを理事会に提示していただきたい。それがまず第一点。
 第二点目は、こういう大臣のもとでは公正な金融行政というのは望めないと思います。まさにあなたが監督をする、その大臣である。辞任が必要だ。このことを申し上げます。
 あと、質疑時間……。
藤井委員長 もう終わりです。
原口委員 外務大臣、せっかく来ていただきまして、申しわけございません。
 先ほどの資料の確認については、理事会で協議をお願いしたい。
藤井委員長 理事会で協議いたします。
原口委員 外務大臣には、アフリカのODA、これは、入札も、予定価格も出さない、そして入札さえも行われていない。こういう実態も資料の中に挙げておりますので、外務省改革の一環としてしっかり取り組んでいただいて、根拠のある説明をしていただきますように、そして、こういう予算の立て方はおかしいということを財務大臣に、アフリカのODA、これは一つの例ですが、申し上げて、質問を終わります。
藤井委員長 これにて原口君の質疑は終了いたしました。
 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時十四分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時八分開議
藤井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。上田清司君。
上田(清)委員 民主党の上田清司でございます。
 午前中の細野議員の質疑に関して、さらに通告をさせていただきましたので、金融担当大臣、御調査の方はいかがでございますか。
竹中国務大臣 ちょっと時間に制約がございましたんですが、現時点での状況を申し上げたいと思います。
 住民基本台帳法上の、三十条の四十三において「住民票コードを告知することを求めてはならない。」というふうに書いてありまして、このことは金融庁としても、もちろん承知をしております。
 お尋ねの全銀協のQアンドAでございますけれども、QアンドAの作成に当たって、本人確認法施行規則、本人確認法、これは金融庁が所管している、まさに金融取引のときの本人を確認する法律でございますが、これについて、その中で、官公庁から発行されて等々で、自然人の氏名、住居及び生年月日の記載があるものについては、そういう規則の中でいかなる書類がこれに該当するのかというふうなことを金融庁としては照会を受けたことがございます。そのときには、官公庁からまさに発行されて、氏名、住所及び生年月日の記載のあるものは、これは、本人確認法上は本人確認書に該当するという旨をお伝えしております。
 なお、金融庁としては、金融機関等に対して、実務において顧客等の本人確認手続が、本人確認法の規定に、たとえ金融庁の所管する本人確認法の規定に違反していなくても、他法に違反し得る場合が存在するので、これについては十分な注意を行うようにというふうな指示をしてきたということでございます。
上田(清)委員 必ずしも細野議員の質問に十分大臣はお答えしていないと思いますが、もう結論の方を先に申し上げますと、全国銀行協会の事務システム部が十四年九月二十日に発出した全銀協の第五十五号の文書でこんなふうに書いてありますね。「行内の本人確認に係る事務手続きを整備されますようお願い申しあげます。」等、云々というくだりがありまして、「なお、今回の通達のとりまとめにあたっては、金融庁と協議し、了解を得ておりますので、申し添えます。」と。
 全銀協の方は金融庁の了解を得て、いわば役所の方から私のところにも来ました、あなたの番号は○○ですという通知書が来たんですよ。まさに住民基本台帳ネットワークの通知書が私のところにも参りました。これを持っていけば、当然生年月日も住所も書いてありますし、番号も書いてある。それをもって本人確認の材料にする、全銀協としては金融庁からも了解を得ていると。政府じゃないですか、金融庁は。片山大臣はしばしば、絶対民間には利用させない、あなたたちの番号はと。違うじゃないですか。
 大臣、何を調べた。
竹中国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、全銀協がそのQアンドAを作成する過程で、住民票コード通知票が本人確認法上の本人確認書類に該当するかという問いに対しては、申し上げましたように、氏名等々の条件を満たしているという点で、本人確認書類に該当する旨をお答えしたところであります。
 ただし、全銀協が作成したQアンドAについては、金融庁としても事務的な報告を受けております。その報告を受けた際に、当該書類の住民基本台帳法上の取り扱いについて別途明記するような指示をしなかったことについては、必ずしも適切ではなかったというふうに考えております。
上田(清)委員 これは適切か不適切かじゃなくて、そういう協議があったときに、悪いけれどもこれは民間で使えないんですよと言うのが政府の務めであって、当然のことをしないどころか、むしろ金融庁のお墨つきを与えたような仕組みになってしまったということですから、片山大臣、困っちゃうんですよ、そういうことでは。総務大臣。
片山国務大臣 今竹中大臣から御答弁しましたように、本人確認法の証明する文書には該当する、しかし、ほかの法律でだめだと。私どもの方の住民基本台帳法は、金融機関の方から告知を求めてはならない、金融機関の方から。これは法律で縛っているんですよ。本人がぜひと言って出した場合は、そこまでは法律は縛っていないんですよ。いないけれども、法律の趣旨からいうと、そこは適当でない、こういうことでございまして、そこのところは金融庁さんが少しやや徹底を欠いたなと。本人確認法には該当する、しかし、住基法では告知を求めてはならないという規定があるわけですから、そこははっきり言うべきだったのではないかと私は思っております。
上田(清)委員 委員長にお願いを申し上げたいと思います。
 これはとっても重要なことでございますので、金融庁ではこの辺の事実関係、さらに明確に説明ができるような仕掛けをしないと、次の予算委員会でこれを問題にする方は、こんなことでは、個人のプライバシーも守れないような政府を相手に何の審議もできないよということを言われると思いますよ。(発言する者あり)だって、わからないんでしょう。わからないんですか。
片山国務大臣 QアンドAでは、なるほどやや明確でない書き方をしておりますが、我々は、金融機関がそれを本人確認に使ったという報告は一件も受けていないんですよ。だから、今後とも、そういうことははっきりと徹底させたい、こう考えておりまして、金融庁ともよく連携をとってまいります。
竹中国務大臣 金融庁としましては、本人確認法の観点から、こういう要件を満たしていればそれに当たるということの回答を申し上げました。それに関連して、QアンドAが作成された段階で、他の法律との関連で必ずしも適切な指導をしてこなかったというふうに思っております。いずれにしても、検討をしたいというふうに思っております。
上田(清)委員 金融担当大臣、今の答弁は、問題は、全銀協が金融庁に問い合わせをして、そして了解したかどうかということが一番問題なんですよ。金融庁は了解したと言っているんですよ。公式な文書で業界に流しているわけですよ、使ってもいいぞと。でも、政府は使ってもいいぞと言っちゃいけないんですよ。
 今も大臣が言われたように、たまたま身分の証明をするものがないからみずからの番号とかを確認してくれとか、そういうことであればまだしも……(発言する者あり)それでもだめだ。いやいや、どちらにしても、政府が勧めていることになっちゃうんですよ。そのことの確認をしているんですよ。全銀協がうそを言っているのかどうかを聞いているんですよ。
竹中国務大臣 金融庁としましては、本人確認法の要件を満たすものとしては、氏名、住居及び生年月日の記載のあるものであればそれを満たすというふうに、本人確認法の要件を満たすということを答えたわけでありまして、さらに、しかしながら、他法に違反し得る場合もあるので十分注意するように、そのような回答を行ったわけであります。
上田(清)委員 だから、了解したんですか、してないんですかと聞いているんですよ。
竹中国務大臣 金融庁が全銀協に回答をしましたのは、本人確認法の要件はこういうことでありますということと、他法に違反しているような場合が存在するので十分な注意を行うように指示した、そういう点でございます。
上田(清)委員 じゃ、認めたということですね。
竹中国務大臣 今申し上げましたのは、事前の問い合わせがございましたときに、本人確認法の要件についてお話を申し上げて、その上で、他法についても注意をしてくださいというような指示をした、その点でございます。
上田(清)委員 QアンドAには、住民基本台帳ネットワーク稼働に際して、地方公共団体から通知書が送付されているが、その通知書は本人確認書類になるのか、それで、なると言っているわけですよ。こういうことをやっていいかと、全銀協は金融庁に協議をして了解を得たといって、各金融機関に流しているんですよ。文書があるんだから。そのことを聞いているんだけれども、あなたはちゃんと答えないじゃないですか。(発言する者あり)
藤井委員長 竹中国務大臣、事実関係を、どういうことであったかを含めて答弁願いたいと思います。
竹中国務大臣 今把握しております事実関係を申し上げますと、先ほども申し上げましたとおり、このQアンドAの作成に当たりまして、事前に全銀協の方から、この作成に当たって、本人確認法で示されている当該自然人の氏名、住居及び生年月日の記載があるもの、こういうふうに書かれているけれども、これにはいかなる書類が該当するのかという問い合わせ、照会を受けたわけであります。それに関しまして、この本人確認書類には、官公庁から発行され、氏名、住居及び生年月日の記載があるものは本人確認法上は本人確認書類に該当するという旨のお答えをしたということでございます。なお、その際に、金融庁としては、本人確認法の規定に違反しなくても他法に違反し得る場合が存在するので、十分な注意を行うようにという指示をしたところでございます。(発言する者あり)
藤井委員長 御静粛に願います。
竹中国務大臣 全銀協が作成したQアンドAにつきましては、金融庁としても、事務的な、その後報告を受けたということでございます。その際に、当該書類の住民基本台帳法上の取り扱いについて別途明記するように指示しなかったということは必ずしも適切ではなかったというふうに考えているわけでございます。
上田(清)委員 それでは、全銀協が勝手に書いた、こういう理解でよろしいですか、大臣。
竹中国務大臣 経緯は今申し上げたとおりでございます。
 我々が事前に相談を受けたときの我々の回答に基づいて全銀協がQアンドAを作成いたしました。それに基づいてこちらは報告を受けました。その報告を受けた際に、当該書類の住民基本台帳法上の取り扱いについて別途明記するようというような指示を与えなかった、この点は適切ではなかったというふうに思っているわけであります。
上田(清)委員 全銀協の会長を参考人でお呼びしていただくようにお願いしたいと思います。
藤井委員長 理事会で協議いたします。
 竹中国務大臣、この全銀協の資料をそちらは持っていますか。
 このところの、「なお、今回の通達のとりまとめにあたっては、金融庁と協議し、了解を得ておりますので、申し添えます。」というこの部分ですから、ここはもうちょっとしっかり事実関係を精査しておいてください。
 先ほどの件は理事会で協議いたします。
上田(清)委員 委員長、御配慮ありがとうございます。
 それでは、どうぞ、大臣、退室して結構でございます。
 それから、外務大臣ですが、先般、ソ・サン号がイエメン沖で拿捕された際、射程距離五百キロのスカッドミサイルが十五基イエメンに輸入されるのが現実に起きたわけでございますので、私としては、イエメンに関しては十五年度のODAは一切、一円も出すことはならない、こういう趣旨をお訴えしましたところ、今年度の予算ではまだ未定だ、こんなふうに御答弁をされましたが、その後調査をして明らかにするという御返事、というよりも委員長の裁定でございましたので、大臣、その後どうなったかをお伝えしてください。
川口国務大臣 調査をするということではなくて、私が理解をいたしましたのは、十五年度の予算についてどう考えるかということについて聞きたいということであったかというふうに思います。
 それにつきましては、いろいろな、今までほかの国あるいはほかの状況においてもやってきましたのと同じ方針を持っておりまして、それは、経済協力の大綱を踏まえて、要請主義ですから案件案件があるわけですけれども、それを精査するということで、そのときに、大綱でございますので、武器の輸出入の動向に十分注意を払いつつ、経済社会状況や二国間関係などを総合的に判断をして政府開発援助を実施するという基本の方針はイエメンについても変わっていないということでございます。
 それで、もし委員の御質問が、今の時点でイエメンに対して十五年度のODAをやめるということを決めたのかということでございましたら、今の時点ではODAについて、十五年度、イエメンに対しましてODAをやめるという方針は決めておりません。
上田(清)委員 なぜやめないんですか。いいですよ。なぜやめないんですか。
川口国務大臣 総合的に考える要素として、一つはODAの大綱というのがあります。そして、そのほかに総合的に考えるという中で、イエメンがテロとの闘いでどのような貢献をしているかということの配慮もあるということも申し上げました。
 それで言いますと、イエメンはテロとの闘いの中では大変に国際協調の立場から大きな努力をしてきて、治安、テロ対策に大きな努力を払っています。それの結果として、主要ドナー国はイエメンの努力を評価しまして、例えば、オランダは前年比六六%、ドイツは八七%の援助の増額を表明いたしております。フランスもイエメンを優先支援国ということで指定をいたしております。そういったようなことが、国際社会のイエメンのテロの対策、治安に対する努力の評価ということでございます。
 我が国は、イエメンに対してどういう方針で、どういう分野に援助をやってきているかということで言いますと……(上田(清)委員「いや、言わなくてもいいです。時間のむだ。そんなの聞いていない。聞いていないことを答えないでください」と呼ぶ)
 ということで、ただいまの時点でやめるということは考えていないというその理由は、そういうことでございます。
上田(清)委員 各国がどういう取り扱いをしているかは別にしても、ODA大綱に書いてあるでしょう、ちゃんと。四原則のうちのスリーに。「国際平和と安定を維持・強化するとともに、開発途上国はその国内資源を自国の経済社会開発のために適正かつ優先的に配分すべきであるとの観点から、開発途上国の軍事支出、大量破壊兵器・ミサイルの開発・製造、武器の輸出入等の動向に十分注意を払う。」これが日本の原則ですから、外国は関係ないんです。
 それから、要請主義、要請主義とあなたは言われるけれども、支援委員会の出来事一つ見ても、要請主義じゃなくて日本で枠組みをつくったりしているということは百も承知じゃないですか、外務省が。そんなの書いてあるよ、この中に、ちゃんと政府開発援助白書の中にも。いいですか、「実施機関レベルでも、こうした政府の政策枠組みを踏まえた事業実施計画等を策定して、事業の方向性を明確にしています。」と。一定程度の枠組みをつくっているんですよ。つくらなきゃODAの意味がないじゃないですか。要請主義で、それを受けてすぐ出しますでは。そんなのわかっているんだから、今回の事件があったんだから出さないとはっきりすればいいんですよ。それでもあなたは、ああでもないこうでもない、総合的に考えますということを言うんですか。
 もういいです。そういう答えしかできないんだったら答弁要りません。次に移ります。余り話しても意味ないです。
 財務大臣、本予算と補正予算で、資料の1を見ていただければありがたいんですが、少し勝手に仮説をつくってみました。当初予算と補正予算の決定額の足し算は、当初予算の要求額につながるんじゃないかということで……
藤井委員長 上田委員、外務大臣はいいですか。
上田(清)委員 外務大臣は結構でございます。済みません。(発言する者あり)もう本当、来なくてもいいですよ。
 それで、財務大臣、たまたま道路関係と河川関係だけに絞って、資料の1ですね。例えば、道路環境、当初予算の決定額が三千六百六十三億、そして補正の決定額五百八十一、それからそれを合算すると四千二百四十四億。本予算の要求が四千四十二で、一〇五%、つまり足し算した部分が本予算の要求額の五%増しになっている、こういう状況でありまして、同じように、道路整備も五・五%増し、それから治水事業も一〇八増し、一〇八%ですから、八%ふえている。海岸事業は若干多くて、一一六%で一六%。
 つまり、本予算を要求するときに減額されるけれども、補正予算で必ず大体埋め合わせしますよということが内々に決まっているんじゃないでしょうかという仮説を、ちょっと私、考えてみたんですけれども、財務大臣、これは間違いでしょうか。
塩川国務大臣 それはちょっと空想の行き過ぎですね。決してそうじゃなくて、数字はおっしゃるように合っていると私は思いますけれども、しかし、動機はそういうことではないということであります。
上田(清)委員 これは国土交通省関連予算ですので、ないというようなことの、少しひとり言が聞こえておりましたけれども、どうですか。
扇国務大臣 今、資料を見せていただきまして、これを拝見しております。
 この資料の、おっしゃるとおりの予算でございますけれども、十五年度の予算と補正予算との、予算要求をして、足らざるを補正で補ってどんぴしゃり数字が合うのではないか、そういうことの上田議員の御指摘でございますけれども、これは、たまたま金額が合うといいますけれども、中身が全然違っております。
 当初、昨年の八月から予算要求のときと、今回、十五年度の予算案を御審議いただいておりますけれども、その中身は全然違っておりますし、当時、十四年度の補正予算では重点加速プログラムというのをいたしましたけれども、本予算で要求しましたものと今回は、その重点四部門ということで、都市とあるいは地域の再生、環境対策というようなものは一般予算の十五年度には要求しておりませんでした。枠外でございました。けれども、今回は十五年度でどうしても、二十一世紀型ということでこれを加味いたしまして、中身が全然違いますので、中身を一々言うと時間をとるから怒られますけれども、見ていただきますと、環境ですとか、あるいは都市再生でありますとか、あるいは今までしなかったもの、あらゆるものが中身が違うということを、もしお時間がありましたら説明させていただきたいと存じます。
上田(清)委員 なかなか、当該担当者は証言をするわけにもいかない部分もありますが、名前を変えたりしながら実質的に同じ予算を継続的に維持していく、こういう仕組みが広範囲にとられておりますので、そのことは長としてぜひまた見ていただき、国民の税金が、政策的に目的が終わったものにいつまでも使われることのないように、わかっていただいているとは思いますが、なかなか世の中そのとおりいかぬよというようなことも聞こえてくるような気もいたしますが、ぜひ頑張ってもらいたいと思います。
 そこで、財務大臣、私も今回初めてこの特別会計八百ページ、文句なしに一ページ目から八百四ページまで全部読みました。場所場所によっては何回も読んだ場所もありますが、強力な問題意識を持っておりまして、一般会計と特別会計の中身、一般会計は八十一兆七千八百九十億七千七百六十六万六千円、こういうことでありますが、しかし、特別会計は三百六十九兆ある、合わせると四百五十兆だと。ネットで、入れたり出したり引いたりいろいろしていますので、最終的には日本国の予算は二百三十二兆だ、これが基本的な理解じゃないかなというふうに思いますが、財務大臣、これは、特別会計の入れたり出したりを除いて、ネットで日本国の総予算は二百三十二兆、こういう理解でよろしいんでしょうか。
塩川国務大臣 今よく経済界で言われます、日本のGDPの約四割五分は公会計であると言われておりますが、その公会計の主たる計算といいましょうか、勘定は、特別会計が主として占めておるということは私たちも認識しております。
上田(清)委員 3を大臣、見ていただきたいんですが、ちょっと数字は細かくなるのであえて入れておりません、大きな数字だけしか。どんなお金の流れかということを一応図示してみました。
 この一般会計八十一兆から約五十兆円が一たん特別会計に繰り入れされて、そしてこの特別会計の三十二を通じて特殊法人や民間団体やあるいは地方公共団体にお金が流れていき、そしてこの特殊法人、公益法人、すべてで二万六千ほどあるわけですが、こうしたところのまた関連会社にもさまざまな形でお金が流れていく、こういう仕組みであります。もちろん、特別会計からまた一般会計に繰り入れする部分もありますし、特別会計内で受け入れ、繰り入れを繰り返していく、こういう仕組みになっております。
 いわば一般会計は、補助金も二十兆円ぐらい流れていますので、事実上トンネル化している、こういう理解を私はしておりますし、こういう理屈からいくと、まさしく日本の財政の仕組みというのは補助金で成っておるんだ。補助金をどんどん流しながら政策の誘導や政策の実現をしている、こういう形でありますし、もっと言えば、各省庁は特別会計という別個の財布を持って、たまたまこの八十兆円の行方を追っかけているわけですが、三十二の特別会計の行方を追っかけない限り、実は日本国の財政規律も財政再建もできないんだということをあえて私は強調したいというふうに思っております。
 そこで、こういう認識に立った上で見てみますと、結局、行政の手段として補助金を使う、出資金を使う、あるいは融資をさせる、債務保証をするという形で、常に何らかの形で政府がお金を使いながら、後で、経済産業省の予算を見れば一目瞭然ですので、経産大臣にもお尋ねをしたいと思いますが、政策の手段として補助金、出資金、融資、それに債務保証という形でやっていきますから、どうしてもこれが流しっ放しになって、特殊法人や公益法人が受け皿になっていますので、幾ら借金がかさんでも、三年ぐらいで責任者はかわっていきますし、ある意味での責任のないところで最終的な予算の支出が行われているということで、結果的に財政赤字の大もとがもうこの財政構造、予算構造の仕組みそのものの中にあるということを強く認識して予算の編成などをしていかない限り、少々増税をしてもとても間に合わない、そういうことだというふうにまず理解していただいた上で、例えば、おもしろい仕組みになっております。
 例えば、お手元の資料4では、国家公務員の行政職の平均給与の月額が、人事院の方から資料を出していただいております。これは平均年齢四十・九歳の方が三十八万二千八百六十六円で、年間給与は六百二十七万円だ。よく六百九十万だとか六百七十万だとか、あるいは七百万で四人家族だというのはこういうイメージかなと私は思うんですが、ところが、6を見ていただきたいと思います。それぞれ、この三十二の特別会計の中にも人件費が計上してあります。人数の少ない勘定の部分だけを追っかけてみました。地震再保険特別会計には六名の職員がこれを運用、経営に当たっております。森林保険特別会計では七人の職員がこれを運用、当たっている。そして、貿易再保険特別会計では三十五人が当たっている。特許特別会計では二千四百九十九人。自動車検査登録特別会計では千九百九十六人。これで、基本給と諸手当と超過勤務手当と児童手当と国家公務員共済の負担金を全部足し算して人数で割っていくと、一番右側の数字が一人当たりの給与という形になるんですが、最初に挙げました4の平均給与の六百二十七万円、人事院が出した六百二十七万円とどうしてこんなに差が出るのか、私はなかなか自分で説明ができないんですね。
 それで、聞いてみましたら、実はこの人事院の中には超過勤務は入っていませんとか、それから管理職手当も入っていませんという、超過勤務と管理職手当を入れないで実は年間で六百二十七万円だと。そうすると、超過勤務手当や管理職手当を入れると一千万ぐらいになるのかね、こういう話になりますが、これは人事院、人事院でこうした平均給与や年間の給与を出すときにこうなるんです、会計をこうしてみるとこうなるんですね。
 別にこれは特別会計だけじゃありません。次のページの資料の7ですね。一般会計においても、人事院も七百六人でお仕事をされているんですが、この計算でいくと、人事院も一千万を超えております。会計検査院もほぼ一千万、総務省本省、そして外務省本省、文部科学省本省と、本当に実額でもらっている金額を追っかけていくとこんなふうになるんですね。
 ところが、国家公務員の基本給与はこんなものですよということで発表するときはこうなるんですけれども、この乖離はどんなふうに理解するんでしょうか。人事院総裁、お答えしてください。
中島政府特別補佐人 今お話しになりました一千万を超えているという基礎の中には、共済組合の負担金とかあるいはまた基礎年金の負担金とか、そういうものが入っておりますけれども、職員に給付するという意味における給与というときにはそういうものは含まれていないということと、もう一つは、私たちが計算するときに、実績に基づいて支給する給与、先ほど先生がお話しになりました超過勤務手当とかあるいはまた宿日直手当とか、そういうものは通常含まれていないというようなことがございまして、そういう差が出てきているということじゃないかというふうに思います。
上田(清)委員 説明をすればそのとおりかもしれませんが、国民から見れば、国民の方は実額を一般的に見ております。
 国税庁は呼んでおりませんでしたが、財務省主計局長、副大臣でも結構でございますが、いわゆる民間給与の実態というものが出されておりますけれども、国税庁が出すところの民間給与の実態で一人当たりの給与という中身が、国税庁で把握するときにはどんな数字で出しているのか、お答えしていただければありがたいと思いますが。――わからないということですから。一般的には四百六十万という数字が出ております、国民一人当たりの平均給与が。
 そうすると、この四百六十万という数字の算出において、やはり賃金の実額が出ているんですね。国税庁では実額を出しているんですね。当然、税金をかけなくちゃいけないもので、いろいろなものを引いてしまうと税金が取れないですから、実額の所得にかけているわけですね。
 しかし、人事院は余りそういうことはしないということで、こういう乖離が出てくるわけですが、先ほど人事院総裁は、国家公務員共済負担を除いてということですが、これは除いても、資料の7を見ていただければわかりますが、やはり相当な額になりますよ。人事院は、除いても一千十万六千円という形になりますよ。除いても一千万を超えているところが多いんですよ、会計検査院だけ一千万をちょっと切っていますけれども。除いてもそうなんですよ。だから、結構この実額というのがかなり払われている。
 それと、相当興味ある部分で、5の資料を見てください。財務大臣、たまたまこれは特別会計が人数が少ないもので、割り算が易しかったので特別会計を当てておりますけれども、諸手当と基本給の比率がどれもこれも五〇%を少し超えているんですよ。基本給がある、基本給で三十万もらうと、諸手当十五万もらうんですよ。
 諸手当というのは五十五あるんですね、種類が五十五。最近一つ減りましてことしから五十四になったはずですが、落下傘からおりる隊員の方の手当も入っていたり、特殊な手当とかもいろいろあるんですが、とにかくこの手当が五十五もありまして、多分、細川主計局長わからぬでしょう、五十五。五つぐらいだったら言えるかもしれないけれども、五十五なんか言えないと思うんですね。本当にそれほどたくさんの手当をつけることが必要なのかどうかということについても疑問があります。多分に基本給を上げることができないので、この手当で実額所得の保障をしているんじゃないかという疑念を持たざるを得ません。
 これは、もしそういうことであれば、人事院はきちっと基本給の方を手当てをして、こうしたわけのわからない手当はできるだけ減らしていくような仕組みを勧告すべきだというふうに思いますが、そもそも五十五も手当があるということに関して、人事院はどんなふうな理解をしていますか。
中島政府特別補佐人 五十五というふうにおっしゃいましたけれども、その中で三十五というのは特殊勤務手当ということでございまして、その特殊勤務手当というのは、もう先生御存じのように、海上保安庁の職員が不審船に対してとにかく対応するときの手当とか、あるいはまた死刑執行するときの手当とか、死体処理するときの手当だとか、そういうものを一つ一つ数え上げますと三十五あるということでございます。
 したがいまして、そういう手当を設けるか設けないかということにつきましては、各省庁からの要求と労働団体の意見というものを聞きながら一つ一つ査定しておるわけでございますけれども、先生がごらんになりまして、この手当は不要じゃないかというような話がございましたら、お聞かせいただければ、私たちの方で検討させていただきたいというふうに思います。
上田(清)委員 それでは、後でまた、それは一つ一つ協議をさせてください。
 何よりも、これに超過勤務手当を入れていくと、基本給の六〇%から七〇%になります。この諸手当に超過勤務を加えると、各省庁の職員の基本給の六〇から七〇ぐらいがプラスされていくというような仕組みになっておりますので、それで先ほどの一千万ぐらいの実額所得になっていくという仕掛けになっていますので、これは国民的な観点から見れば、なかなか今まで見えなかったところでございますので、改めてそこの点については確認、精査が必要になるということをあえて申し上げたいと思います。
 それで、特別会計の具体的な問題に移る前に、先ほど申し上げましたあのスキーム図に関連して、経済産業省の予算について見ていただきたいと思います。資料では8という形になります。平沼大臣、恐縮です。
 大臣も御承知のように、経済産業省の総予算額は八千八百九十一億七千七百七十三万三千円、これが十五年度予算の総額でございますが、見ていただければわかりますように、まず、先ほど申しました、特別会計に繰り入れる部分が約半分、ぴったりカンカンのほぼ半分ですね。四千四百億、こうして繰り入れがまず行われる。そして、独立行政法人への支出、それから委託費、補助金、補給金、出資金、交付金、拠出金、分担金、貸付金、合計で八千七十億、九割以上、ずっと要するに支出金という形で出ておりまして、本省で使う部分は、実態的に、もちろん他会計からの繰り入れがまた戻ってきたりもしますけれども、まさに一〇%弱の庁費だとか人件費でいろいろ賄っている。もっとも、今言った特別会計の中で人件費を払ったりしていますから、わけがわからなくなっているんですね。
 経済産業省全体で、人件費幾ら使っているんでしょう。大臣、わかっていますか。私もわかりませんけれども、副大臣、わかったら。担当局長でも結構です。
北畑政府参考人 詳細な資料を持ってきておりませんが、一般会計分で、合計金額が二百数十億だったと記憶しております。
上田(清)委員 いや、今言ったように、特別会計で人件費をそれぞれ計上していますから、経済産業省全体で使われている人件費というのはどのくらいかということを、わからないならわからないで結構ですよ、わからないならわからないと答えてください。
平沼国務大臣 現時点ではちょっと正確にわかりませんので、よく精査をして、また御返事したいと思います。
上田(清)委員 財務大臣、先ほどから申し上げていますように、特別会計の中で繰り入れした部分の中で、そこの会計をやっているところでも人件費を払ったりしていますから、実は経済産業省の職員の給料は、本省分で払う部分もあれば特別会計の中で払う部分もあるし、いろいろなところで払っていきますから、ネットでどのぐらいあるかというのはわからなくなるんですよ、実は庁費も。全部わからなくなるんですよ。一般会計で出ているのは、多分全体の五分の一とかそういうものしか出ていないと思うんですよ、四分の一とか。実は特別会計の方で人件費も何でも払われている、庁費も旅費も。いろいろなものが払われているんですよ。
 だから、できるだけわからなくしているんじゃないかなと。面倒くさければ、政治家も嫌になって余りやらないだろう、そんなふうに言いたくなるぐらいわかりづらくなっていまして、その中でもわかりやすい部分だけをちょっと見つけてきて、例えば経済産業省は、先ほど言いましたように、いきなり半分は繰り入れして、特別会計に入れちゃうんですよ。
 そして、すべて政策誘導や政策を支えるために、さまざまな形で調査をしたり、補助金を渡したり補給金を渡したり出資金を渡しているんですけれども、大臣、これだけ、四千四百億ぐらい委託費、調査費、補助金、補給金、出資金、交付金、分担金、貸付金を出して、日本経済にどのくらいこれは貢献できるんでしょうか。私なんか、こんなもの出さないで電気代半分にした方がいいんじゃないかとか、国民の方に上げた方が早いんじゃないかと思っているんですけれども、例えばアメリカの開業力は一二%ですよ、昨年度で。日本はたった三%だと。これだけ委託費だ、補助金だ、補給金、出資金を上げても、新しい産業を起こすことに関してはたったの三%だ、アメリカは一二%だ、一体何なんだ、こういう疑問があるんですけれども、どうでしょう、大臣。
平沼国務大臣 経済産業省といたしましては、厳しい今の財政制約の中で、やはり民需主導の持続的な経済成長を実現することが喫緊の課題だ、こういうふうに認識しております。
 私どもといたしましては、非常に特化をして、十五年度予算についても、例えば実用化、市場化に直結する戦略的技術に力点を置いた四つの柱を打ち立てて、ライフサイエンスですとかITですとか、環境、ナノテクノロジー、こういったところに資源を集中して投入する。それから、今、不良債権の処理の加速が始まっておりますから、そういう意味では、これに対してセーフティーネットをしっかりやる。そして、新たに業を起こして、この国の雇用を確保するために起業創業支援をしていく。こういう形で重点化をして、そういう厳しい中でやっているわけです。
 そして、お尋ねの、一般会計予算の半分、これが特別会計ではないか、これで我が国の産業振興に向けて十分な対策を講ずることができるか、こういうことでございますけれども、特別会計への繰り入れにつきましては、石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計法など、そういう関係法令の定めるところによって毎年度の繰入額が決定されております。エネルギー問題あるいは環境問題への的確な対応ですとか、あるいはエネルギー安全保障の確保など、我が国の経済産業の発展にとって不可欠なそういう政策課題。
 したがって、こういういわゆる石特会計は、そういう主目的のために使っているわけでありまして、ここから垂れ流しのようにやっている、こういうことではないわけでありまして、限られた中で重点的にしっかりやっている、こういうことでございます。
上田(清)委員 そういう文言を建前として役人の方が書いてくるわけでありまして、大臣がそれを読んじゃだめであって。
 では大臣、今申し上げました委託金だとか補助金、項目で、中小企業庁のところですけれども、これは別に大臣は知らなくてもいいですよ、担当者がわかればいいですよ、少なくとも我々にこれを審議しろと言っているんですから。ページでは一般会計の六百八十九で、中小企業庁の部分ですが、項目では六〇〇六二―二一二五―一四、中小企業統計調査委託費というのがありますね。それから中小企業施策情報提供委託費。この二つの違いはどう違うのか。地域中小企業対策調査委託費と中小企業対策調査委託費、これはどう違うのか。中小企業活性化補助金と小規模事業対策促進事業費補助金とどう違うのか。私にはこれがわからない。わかるように説明してください。
北畑政府参考人 御指摘の点ですけれども、中小企業統計調査委託費は、調査統計部がやっております統計の関係の委託費でございます。
 それから、地域中小企業対策調査等委託費は、中小企業対策を実施する上での基礎的な調査をする委託費でございます。
 それから、中小企業活性化補助金は、中小企業の企業再生その他のための補助を行うものでございます。
 小規模事業対策推進費補助金は、中小企業のうちの零細な企業に対する補助金でございます。
上田(清)委員 そうすると、小規模事業は零細で、中小企業活性化補助金というのは零細でない中小という理解ですか。
北畑政府参考人 お答え申し上げます。
 活性化補助金の方は、零細以外の中小企業一般を対象とした補助金でございます。
上田(清)委員 もう一度確認しますけれども、中小企業対策調査委託費と地域中小企業対策というのはどう違うんですか。
北畑政府参考人 失礼いたします。
 地域中小企業対策というのは、都道府県でありますとか通産局とか、地域単位で行う中小企業対策の補助金でございます。
上田(清)委員 そうすると、十五年度の要求額が九千四百十二万七千円だと。都道府県が行うという、これはまた四十七都道府県に分けるんですか。
北畑政府参考人 都道府県に交付をして、都道府県の負担分と合わせて交付する予算であったと思います。
上田(清)委員 九千四百万を都道府県に分けたら、幾らになりますか。
北畑政府参考人 通常は、都道府県で半分ないし三分の一の負担をお願いしているのが多いと思います。すべての都道府県に回っているというわけではないんじゃないかと思っております。調べてみます。
上田(清)委員 まあ、ちょっと酷な質問もしております、正直言って。
 ただ、何カ所にこれは振りつけているかという、例えば九千四百万をまさか四十で割って二百万ずつ都道府県に分けたという話でもないでしょう。それでは何の対策にもならないでしょうから、どんな形で使っているかということを確認しているんですよ。
北畑政府参考人 中小企業対策は、実は、補助金以外の金融その他の大きな、金融制度その他を活用して展開しているというのが通常でございまして、中小企業予算そのものは、会議で行うとか、知恵の部分に使うということで、予算的には小さな金額になっている、こういう形でございます。
上田(清)委員 そんなこともないですよ。多いところには多いですよ。金融の方が大きくて、こうした対策の部分が少ないなんという、とんでもない間違いですよ。先ほど大臣にお示ししたじゃないですか。ちゃんとこの中にもいっぱいありますよ。研究開発費だとか補助金で大変なオーダーがありますよ。六十億からのオーダーだってありますよ。五百億のオーダーだってあるんですよ。別に金融だけでやっているわけじゃないんですよ。ちょっと今の発言は間違っていますよ。
北畑政府参考人 中小企業対策全体につきましては、中小企業金融三機関を合わせた二十兆円規模の金融、それから都道府県信用保証協会を通じた保証というのがメーンの対策費でございます。それから、中小企業対策につきましては、都道府県を通じて実施をしていただく部分が多うございまして、都道府県とともにお金を出してやっていく部分がございます。
 御指摘のとおり、補助金として大きなお金が出ている部分と、それからいろいろな政策の調整、調査ということで金額の小さな予算と、両方計上させていただいているということでございます。
上田(清)委員 私は予算書に基づいて審議をさせていただいておりますから、二十兆の枠の話だとか、そういうのは一々言わなくて結構でございます。
 これをずっと見てみまして、例えば、調査費はマルをつけたり、委託費には三角をつけたり、それから補助金にはカケをつけたりしながらずっと見ていくと、項目が二百ぐらい出てくるんですよ、経済産業省だけで。
 それで、この中で、本当にこれは何だろうというのがちょこちょこありまして、ほんのさわりだけを聞きましたけれども、例えば六百七十四ページの、この辺は調査委託費関係ですが、なかなかわかりづらい調査費もたくさんあります。製造技術高度情報化研究開発委託費、製造技術高度情報化推進対策、研究開発と推進対策はどう違うのかと。こういういろいろ同じ中身でも微妙に感じがちょっと違うという感じで、この項目はどれもこれもちょっとずつ違う。
 ちょっとずつきめ細かくやっている、こういう解釈にもなります、解釈次第によっては。しかし一方では、そういう似たり寄ったりの仕組みを小さく分けることで、何もやっていないんじゃないか、こういうことにもつながるんじゃないかと私は思っておりまして、経済産業大臣、例えば事務取り扱いのところで旅費というのがあります。経済産業省の本省部分で旅費だけで十五あるんですよ。職員旅費、中小企業支援調査旅費、研修旅費、赴任旅費、外国旅費、海外市場調査等外国旅費、政府開発援助海外市場調査外国旅費、国際博覧会開催準備外国旅費、外国留学旅費、在外研究旅費、委員等旅費、政府開発援助委員等旅費、中小企業支援調査委員等旅費、独立行政法人移行準備委員等旅費、海外貿易会議委員等外国旅費、外国人招へい旅費。何か疲れるでしょう。
 やはり額はそれぞれ小さい部分もあります。しかし、本当にどんな仕組みで何をしたいのかというのがわけわからなくなる状況と私は思っておりまして、大臣、こういうのを率直に、とことん、前例主義にとらわれずに、大体昨年度から少し減らしたというのが現況ですね。例えば、この外国旅費も毎年同じように計上しています、特別会計でも、いろいろな部署部署でも。場所によっては、その部署に六人しかいないのに、二百万円毎年そこに計上している。果たしてそれが本当にいいことかどうかという、なぜ同じ金額なのか、わけわからないんですね。
 これはぜひ大臣、改めてそれぞれの特別会計のところでまた聞きます。今度は個別に聞いていきますけれども、若干の披露をさせていただいたんですけれども、どのように御見解を持たれるか。
平沼国務大臣 それぞれ細目にわたっているというのは、やはり私どもとしてはそういう必要があって、そして細かく規定を設けて、そして緻密に対応しているという側面も私はあると思います。
 しかし、御指摘のように、やはりこういう中で、少しよくわかるように大くくりをする、そういう方向も必要だと思いますけれども、しかし、限られた中でみんなが一生懸命やっているわけであって、原点は、何か不正をするためにそういう項目をこさえてやっている、こういうことではなくて、やはりいかに、出張旅費にしても、それぞれの地域を細かくして、その国の国情だとかあるいはその国にかかるコストだとか、そういうことも含めて精緻にやっている面も私はあると思っております。
 いずれにしても、やはり大くくりにして、そしてみんながわかるような形にしていく方向は必要だと思っておりまして、今ちょっと御指摘をいただきましたけれども、私どもとしては、この旅費にかかわらず、その他の予算に関しても、大くくりをしてわかりやすくする努力は始めているところでございます。
上田(清)委員 ありがとうございました。
 片山大臣、まず、特別会計の譲与税、交付税のところです、一番最初に特別会計の予算書が出てきておりますから。
 これは御承知のとおり、事務経費の中に基本給だとか諸手当とか、人件費を出しておりません。なぜ人件費に出ないで回っているんでしょうか。当然、兼任でやっているんでしょうね。どなたか、結構ですよ、大臣がわからないと言うので、どうぞ。大体、わからない予算書が出てきているんですよ。
林政府参考人 お答えを申し上げます。
 特別会計の事務は一般会計の職員がやっておりまして、特別会計自身は整理会計のような形で運用されているところでございます。
上田(清)委員 そうすると、これもばらばらでありまして、各特別会計ごとに、職員の給与を払っている会計もあれば払っていない会計もありまして、しかし、ここではちゃんと職員旅費を計上したり外国旅費を計上したりしております。例えば、外国旅費を三百二十七万二千円計上しているんですね。職員はここでは使っていません、兼任で仕事をしていますと。しかし、ちゃんと職員の旅費を使ったり外国旅費を使ったり、庁費では一億七千万使っている。こういう分け方というのは、何でこうなっちゃうんですか。
林政府参考人 お答えを申し上げます。
 交付税及び譲与税配付金特別会計におきましては、交付税の算定事務、譲与税の算定交付事務等々の事務があるわけでございまして、その特別会計の設置目的に照らした事務経費につきましては、旅費等を特別会計の予算として計上いたしているところであります。
上田(清)委員 職員の給与や手当は出さない、しかし、その事務をするための費用はちゃんと特別会計から取る、こういうことでありますね。
 そうすると、財務大臣、一方では職員の事務経費もその特別会計から出す場合もある、出さない場合もある。この使い分けというのは、どこで使い分けをするんですか、最終的には。
谷口副大臣 上田委員も、その予算書に大変な附せんを張って調べられたことに対して敬意を表する次第でございますが、まず申し上げたいことがございまして、これは、特別会計がどうしてできたのか、どうしてあるのかということをまず考える必要があるんだろうと思います。
 企業会計におきましても、御存じのとおり、一つの会社であっても、例えば一つのイベントを行う、また一つの製品をつくるといった場合にプロジェクトチームをつくったりしますので、そのような観点も国の会計にもあるということで、一つは国が特定の事業を行うような場合、またもう一つは特定の資金を保有してその運用を行うような場合、また、その他特定の歳入をもって特定の支出に見て、一般の歳入歳出と区分して経理をするような場合。
 ですから、その場合場合によって、間々、上田委員おっしゃったような、人件費が計上される場合、現実にその事業を行っておる専担者がそこにおられてそこでやっておる場合と、そうでないような場合、いろいろ分かれておるということで今おっしゃったようなことになるんだろう、そういうふうに思っております。
上田(清)委員 だから、そのいろいろな理由の線引きはどこで決めているのかということを聞いているんですよ。
谷口副大臣 それは、一つは今、当然ながら上田委員御存じのように、事業特別会計というのがありますね。これは、地震再保険だとか厚生保険特別会計だとか、こういう専担者がおられる場合にはその人件費はその特別会計で持つといったようなことがあると思いますね。
 それとまた、例えば外為だとか財政融資資金特別会計、これは先ほども申し上げました資金運用特別会計でございますけれども、そういうような場合に、専担者がおられるのかどうかといったようなことで、それぞれの特別会計の法律に準じた形で人件費等を負担するということになると思います。
 ちなみに、今申し上げました事業特別会計と資金運用特別会計と、また整理区分特別会計というのがございまして、これは、先ほどの総務省の交付税及び譲与税配付金特別会計なんかはこの中に入るわけでございますけれども、このような、大きく申し上げますと三つの分類された特別会計があるというような状況の中で、それぞれの専担者がつくといった場合には人件費、旅費が発生するというようなことがあるということだと思います。
上田(清)委員 ちょっと、谷口副大臣。農業経営基盤強化措置特別会計、農水省の所管の。これは、職員がいないんですけれども、さっきの分類とは違うけれども、どう理解すればよろしいですか。
谷口副大臣 特別会計の関係で、私が申し上げたように、現在、特別会計の性格上、定員を計上していない特別会計がございます。これは、一つは都市開発資金融通特別会計、また特定国有財産整備特別会計、また、今おっしゃったような農業経営基盤強化措置特別会計、また国債整理基金特別会計、また交付税及び譲与税配付金特別会計。これは、当初から人件費を計上しない特別会計でございます。
上田(清)委員 それはわかっているんですけれども。まあ、いいや、時間がもったいないですから。
 それじゃ、法務大臣。登記特別会計ですが、これは御承知のとおり、登記の印紙収入をもとにして特別会計ができておるわけですけれども、例えば印紙の収入だけで約一兆円近くありますが、なぜ登記だけこの収入印紙の入金を元手に特別会計にしているんでしょうか。
森山国務大臣 これは、昭和六十年ごろからコンピューター化、登記のコンピューター化ということを考えまして、登記事務の改善を図り、登記所における事務の円滑化ということを考えましたので、受益者負担の考え方に立って、登記関係手数料を登記関係経費に充てることを明確にするために創設されたと聞いております。
上田(清)委員 副大臣でも結構ですから、質問の趣旨に答えていただきたいと思います。
 そういうことであれば、たばこもアルコールも全部特別会計をつくれるわけでありまして、ほかにも印紙収入はありますので、なぜ登記の印紙納付金を元手にして登記特別会計があるのか、その現実的な意味は一体どういうことなのか。一般会計七千七百億受け入れして、でもこの特別会計を運営しなきゃならない意味というのは一体どこにあるのか。
房村政府参考人 お答えいたしますが、まず第一に、登記印紙収入としては大体現在年間一千億程度でございます。
 登記を利用する場合には、謄抄本あるいは閲覧のときに登記印紙で納めますただいまの登記印紙収入以外に、例えば所有権移転登記をするときの登記申請、これに伴って登録免許税を納付していただいております。この登録免許税は、おっしゃるように一兆円あるいは現在でも七千億から八千億、年間、税金として納付されております。
 それで、登記の事務と申しますのは、例えば移転登記の申請があったときに、その申請が要件を満たして適正なものかどうか、こういう審査をする事務、これが登記審査事務と申しております。それからもう一つ、その登記を登記簿等に記載いたしまして、これを一般の国民が閲覧あるいは謄抄本の請求をする、これを登記情報管理事務と申しております。(上田(清)委員「質問に答えて」と呼ぶ)はい。
 それで、登記手数料、閲覧等のときに納付します登記印紙に基づく収入は、登記情報処理のための事務に充てる。一方、登記の申請のときには国民の方々は登録免許税を納付しておりますので、これを新たに別途手数料を徴収するということはいたしませんで、登記審査事務に関しては一般会計で負担をしていただく。こういう考え方で登記特別会計ができておりまして、登記特別会計全体の収入としては、閲覧あるいは謄抄本のための登記印紙による収入と、一般の登記審査事務のために充てる一般会計からの繰り入れ、この二本立てでできている、こういうことでございます。
上田(清)委員 一般会計から七百億受け入れをして、それでこの登記特別会計が成るということであれば、最初から法務省の予算の中で、印紙代の収入と一般会計の部分、全部一緒のたぐいにして一般会計の中で処理しても別に何の問題もないじゃないですか。何か問題があるんですか。
房村政府参考人 先ほど大臣からも御答弁を申し上げましたように、昭和五十年代後半から登記事務が非常に伸びまして、これを処理するためにはコンピューター化等の抜本的な改革が必要である、そのためには相当の経費がかかる。それで、例えばコンピューター化による最大のメリットは登記情報処理、閲覧、謄写の部分にあらわれますので、その経費を受益者に負担していただく、そのことを明確にするために特別会計を採用しようと。
 ただ、従前から一般会計で持っております登記審査事務につきましては、性質上、基本的に登録免許税の上にさらに手数料を徴収することは好ましくない、こういうようなことから、特別会計にはするけれども二本立てにする。それによって、登記全体としては、登記事務処理にかかる経費を明確にし、受益者負担の考え方を明らかにする、こういう考え方でございます。
上田(清)委員 そうすると、登記関係以外の事務には一切使われていない、こういう理解ですか。
房村政府参考人 法務局の仕事としては、登記以外にも戸籍事務、国籍事務、供託事務等ございますが、これは別途一般会計で持っておりまして、登記特別会計で持っておりますのは登記関係に関する部分でございます。
上田(清)委員 一部、一般会計にまた繰り入れする部分がありますよね。一般会計から受け入れをして、また繰り入れする部分がありますね。予算の中でも計上されていますけれども、これはなぜですか。
房村政府参考人 御指摘の登記特別会計から一般会計へもう一度繰り入れしている部分は、国家公務員の退職手当の関係ではないかと思われます。
 これは、国家公務員の退職手当法に基づきまして、特に若年の国家公務員が退職したときに、その退職手当の額がいわゆる失業給付に満たないような場合、この場合には特別に退職手当として支給するという定めがございます。これは一般会計であれば当然一般会計から出すわけですが、特別会計の適用を受ける国家公務員についてもこの給付を行うこととされておりまして、現実の給付は公共職業安定所、一般会計で行っておりますので、特別会計の適用を受ける職員の負担分は特別会計から一般会計に繰り入れをしないとおかしくなる、こういうことから繰り入れをしているわけでございます。
上田(清)委員 法務大臣、御退室してください。どうぞ、結構でございます。
 それでは、今度は財務省の所管です。
 財政融資資金特別会計の部分でありますが、こちらで五十四兆の予算が計上されておりますけれども、財務大臣、この中で大半がそれぞれの会計に繰り入れを、繰り入れというより融資をしていくわけですけれども、前からこの財投というのは第二の予算ということで指摘がありました。この部分に関して、結局、予算とどう違うんでしょうか、基本的には。どういう認識でこの財投というのを位置づけるんでしょうか。
塩川国務大臣 特別会計をつくりましたときは、趣旨は、それぞれの事業が明確に収支計算が立つように、明確にすることということが一つあったことと、それから、特別会計で扱います収入につきましては、要するに、受益者負担の原則に基づく収入金が多いものでございますから、一般納税者の会計とはちょっと切り離して計算しようという趣旨等があって、特別会計制度というものをつくってきたと思っております。
 したがって、あくまでも、特別会計の収支明細は透明にしていくということをふだんから心得なきゃならない問題だと思っております。
上田(清)委員 これは結局融資なわけですよね。
 そうすると、それぞれ、日本のさまざまな役所の中でも、融資事業もたくさんあります。すると、この財投では、本当にやらなくちゃいけないというのは一体何なんでしょうか。本当にやらなくちゃいけない本当の目的というのは。
塩川国務大臣 やはり行政の補完的な事業というもの全般になってくるだろうと思っておりますが、あくまでも行政が代行しなきゃならないものを、それを特別会計の負担で融資の事業も行っておるということであって、公経済の一環としての融資であると思っております。
上田(清)委員 では、ちょっと具体的な部分に行きますけれども、この中でも事務経費が現実に使われているわけでありまして、四百十二人の方がこの財投関係の仕事をしております。そして、当然、ここでまたさまざまな手当をいただいたりしているわけでありますけれども、例えば、外国なら外国の旅費というものが毎年同じような金額。ほとんど変わらない。例えば三十万ぐらいの単位でしか変わらない。
 こういう仕組みというのは、別にこれは財務大臣の仕事じゃありませんので、主計局長に聞きたいんですけれども、同じ金額が毎年同じように計上されているというのは、なぜそうなるんですか。年によって、どかんと調査団を派遣しなくちゃいけないからつくとか、そういう仕組みというのはないんですか。決まったように、七百万なら七百万と。それで何人が行くのか知らないけれども。
 なぜそうなるのか。少しは考えていらっしゃるんでしょうか。予算というのは前の年と大体同じにしなくちゃいけないというような、そういうふうになっているんでしょうか、事務経費まで。
寺澤政府参考人 お答え申し上げます。
 財政融資資金特別会計の外国旅費につきましては、十五年度、七百四十万二千が計上されておりますけれども、御指摘のように、例えば十三年度でいいますと六百九十三万二千でございます。
 これは、毎年度、海外におきます財政投融資類似制度の調査、また政策コスト分析等に係る調査等を行っておりまして、計画的に毎年度調査を実施しておりますので、国の数とか行く先によって若干違いますけれども、歳出を平準化しているところでございます。
上田(清)委員 わかりませんね。
 総務大臣、済みません、言い忘れておりました。どうぞ退室して結構でございます。失礼しました。むだのないようにお仕事してください。
 ちょっと今の説明、よくわかりませんが、ほかにもまだ関係していますから、ちょっと国債整理基金に切りかえますよ。
 国債整理基金で、これは外国旅費が同じように九百八十七万円。これも一応、専任で職員のいないところだよね。このお金はだれが使っているんですか。
寺澤政府参考人 お答え申し上げます。
 国債整理基金特別会計は、御指摘のように、特別会計に所属する職員はおりませんけれども、事務をしております職員は大勢おります。
 この外国旅費でございますけれども、大量の国債発行を行っております中、国債の安定消化のための仕組みの構築、より高度な債務管理手法の導入等が課題でございまして、そのために私どもは、外国の国債発行当局関係者との情報交換、また外国の制度等の調査が不可欠でございますので、国債整理基金特別会計におきまして外国旅費を計上して調査を行っているところでございます。
上田(清)委員 どこが使っているんですか。
寺澤政府参考人 理財局の国債課の職員がこの出張をしております。
上田(清)委員 毎年毎年、一千万ぐらいのお金を使って、大量発行している我が国の状況をかんがみ、世界各国のどういう調査結果がどんな形で生かされているんですか。
寺澤政府参考人 お答えいたします。
 十五年度でいいますと、例えば物価連動国債を新たに発行することとしておりますけれども、各国におきます物価連動国債の発行状況等の調査も行っているわけでございます。また、シ団引き受けという制度の見直しを今行っておりますが、先進国でシ団を持っておりますのは我が国だけでございまして、先進国の安定的な国債発行の仕組み、例えばアメリカのプライマリーディーラー制度とか、各国のそういった制度の調査を行っているところでございます。
上田(清)委員 では、まだ聞きますけれども、例えば諸謝金という項目がありますが、この諸謝金の中で一般会計の負担部分も負担していますね、国債整理基金の中の問題じゃなくて。項目書いてありますよ。諸謝金の中で一般会計負担分三千七百八十七万五千円という数字が出ていますけれども、何で国債整理基金の中から出されているのか。
寺澤政府参考人 一般会計が発行いたします国債、それから国債整理基金特別会計が発行いたします借換債、そういった発行の割合に応じましてそれぞれの会計が負担をするという考え方のもとで、一般会計から負担をしていただいている額を国債整理基金特会がいただいているというものでございます。
上田(清)委員 そうすると、庁費でもそういう考え方に立って一般会計の負担部分も出してくるんですか。
寺澤政府参考人 お答えいたします。
 庁費につきましても同じでございまして、例えば通信運搬費につきまして四千百万余でございますが、一般会計負担分が三千八百万余、その他各特別会計の負担が計上されているわけでございます。
上田(清)委員 そうすると、それぞれの特別会計が発行するさまざまな国債の発行の部分についてのそれぞれ扱っている部分に関しては、全部その分担に応じて一般会計分を払う、こういう認識なんですか、国債整理基金では。
寺澤政府参考人 お答えいたします。
 先ほど借換債を特会負担と言いましたけれども、大変申しわけございません、これは一般会計負担でございます。
 一般会計負担以外のものといたしましては、財投債を発行しております財政融資資金特別会計、その他、FBを発行しております外為特会等々、各特会からそれぞれ分担をいただいておりまして、先ほどと同じ考え方でございます。
上田(清)委員 どうもそれだとわかりづらくなりますね。ぜひクリアにしていただいて、少し工夫された方がいいと思います。
 次に、今話が出てまいりましたが、外為の特会に行きます。
 これは四十人の規模で運営をされていますね。
寺澤政府参考人 お答えをいたします。
 外国為替特別会計の定員は四十名でございます。
上田(清)委員 外国旅費に二億五千万使っているから、四十人で割ると一人五百万円使っていることになるけれども、ばかに、べらぼうに多いな、こんなふうに読めますけれども、なぜですか。
寺澤政府参考人 お答えいたします。
 外国旅費は、定員何名当たり幾らという積算ではございませんで、それぞれ特会の仕事上必要な国際会議等が幾らあるかということで積算をされておりまして、外為特会におきましては、国際会議出席旅費等が一億九千万計上されているわけでございます。
上田(清)委員 それはおかしいでしょう。国債整理基金では一千万ぐらいの旅費で四百十二人いて、国債整理基金だって重要ですよ、御承知のとおり、日本の国債をどう返していくかとかという大変重要な課題が残っていますし、どういう国債を発行してこれから運営していくかとか新しい課題もたくさんありますが、外為なんか、ある意味じゃルーチン業務じゃないですか。それが何で二億五千万で四十人で使うんですか。わけわかんないですよ。別に定員で決めているわけじゃない、そんなことはわかっていますよ。そんなの答弁じゃないんですよ。
寺澤政府参考人 外為特会で計上しております国際会議の例を申し上げますと、G7であるとかIMF・世銀総会等の国際会議が代表的な例かと存じます。
上田(清)委員 雑駁で結構ですから、どのくらいでどのくらいの人たちが行き、どのくらい大体費用をかけているのか言ってください。
藤井委員長 これは、ちょっと精査しなきゃわからないんじゃないですか。
上田(清)委員 この部分は留保いたします、終わるときにちょっとまた時間上げますので。もう時間も余りないのかもしれませんが。
 それじゃ、産業特会でありますが、これは経済産業大臣であります。
 これもなかなか解せないのが、国際協力銀行納付金はまあまあとしても、電源開発、日本たばこ産業、NTT、いずれも今回の、改革と言うべきかどうか私はまだまだ疑問を持っておりますが、特殊法人改革関連で完全民営化などがなされたところですけれども、ここの配当金を原資にして、そして電源開発等々の費用に充てているわけでありますが、そもそも論で、この民間の配当金を優先的に特別会計に入れるという、受け入れるというこの仕組みについて、一体どんな理解なんでしょうか、大臣。副大臣でも結構ですよ。
藤井委員長 寺澤理財局長。
上田(清)委員 ちょっと待ってください。これは原理の話ですので、できたら副大臣か大臣でお願いします。
藤井委員長 答えられますか。
 とりあえず寺澤理財局長、答弁してください。その後。
寺澤政府参考人 お答えいたします。
 産業投資特別会計は、産業の開発及び貿易の振興のために国の財政資金をもって投資を行う事業について経理するために設けられたものでございます。特別会計として、一般会計と区分をいたしまして経理することによりまして、将来の収益の可能性がある事業に投資を行う、その収益をまた新たな財源として別の事業に再投資を行うという仕組みが明確になるという点に意義があると考えております。
上田(清)委員 あんまりわからないですね。
 でも、そういう考え方で、例えば同じ、産業投資勘定と社会資本整備勘定と二通りの勘定があるわけですけれども、社会資本整備勘定だけを見ていきますと、非常に、言い方の表現はありますが、少額の貸し付けとかがありますね。
 例えば、改革推進公共投資卸売市場施設整備資金貸付金などというのは二十六万千円でありまして、何だこれはと。二十六万千円とか、これは百三十六ページですよ、経済産業大臣、ここの項目みんな見ても、治水事業資金貸付金二千万とか、本当に、それぞれにちまちまと繰り入れをしていくことを、どういう意義づけでこういう予算の仕組みになっているのか、非常に疑問を持っているんですよ。
 お答えしていただければ。
平沼国務大臣 大変恐縮ですけれども、産業がついておりますけれども、これは私どもの所管じゃないので。
上田(清)委員 失礼しました。産業がついていましたから電源開発と勘違いしまして、失礼しました。財務省です。
 非常にちまちまとしたこういう予算のつけ方というのはどんな効果があるんだろうというふうに思いますね。財務大臣はこういう細かいことを知らないと思いますので、これは主計局でしょう、どうぞ。
細川政府参考人 お答えいたします。
 ただいま先生御指摘になりました卸売市場等の小さい金額のものでございますが、これは特別の制度といいますか、後進地域の特例法で補助率差額というのがございます。これは十三年度補正において処理したものについて翌々年度までにその補助率差額を交付するという仕組みになっておりますので、その補助率の差額の部分だけが載っているというものでございます。
上田(清)委員 わかりました、極めてわかりました、それは。
 それじゃ、もう一番前のものでわかりやすいものにしてください。百三十五ページ、社会資本整備勘定の治水事業資金貸付金、治水特別会計へ繰入れに必要な経費、平成十五年度二千万、この考え方、どう理解すればいいですか。
細川政府参考人 きちんと確かめたいと思いますが、私の記憶では、これも補助率差額だと思います。
上田(清)委員 そうすると、補助率の試算とかで極めて小さな数字が、改革推進公共投資農地等保全事業貸付金等々とか、ずっと数字が並んでいますが、最後に、時間がなくなってきましたので、ここで、実は社会資本の整備関係で結果的には三千億の一〇%増しなんですね。結局、一般会計の予算やらそういったところで抑えながら、この産業投資特別会計の部分で三千億、ふやしている、こんなふうに思いますけれども、そうじゃないんですか。
藤井委員長 どちらですか、主計局長、理財局長。
 答弁できますか。細川主計局長。
細川政府参考人 失礼いたしました。
 先生がおっしゃっていますのは、この十五年度予算予定額の歳出額をおっしゃっているわけですか、二千九百。(上田(清)委員「はい」と呼ぶ)これは、前年度もそういう事業はあります。ここにありますが、二百億ぐらいふえております。ですから、そこで減らしてこっちをふやしたという関係ではないと存じます。
上田(清)委員 この社会資本整備勘定に関してはずっと例年ふやしている、こういう理解ですね。
細川政府参考人 この歳出は、この後ろの方で見ていただきますように、事業費そのものだけではなくて、いろいろなもろもろの歳出案が含まれておりますので、事業としては、毎年ふやしてきているとか、ふやしていないというものではございません。きちんとした数字は精査できると思います。
上田(清)委員 ただ、一般論で言えば、各項目の予算を必ず減らしているんですから、そういう意味で、一〇%程度ふえているというのは、事業でもふやさないと減らしようがないんじゃないかなというふうに私は思っておりますので、また精査した上で確認いたします。
 最後に、もう時間ですので。この社会資本整備勘定のところで、産業資本整備勘定と社会資本整備勘定のところの人件費の超過勤務の手当を一人当たりで割ると、百十九万円になっちゃうんですよ、年間で。やたらと多いんですが、メンバーは全部でこれは十人ぐらいですね。よっぽど忙しいところなんでしょうか。
細川政府参考人 社会資本整備勘定に従事している者は、二人分を計上いたしております。
上田(清)委員 二人分。わかりました。
 ちょっと数字が違う。私の把握しているので十人ということになっています。数字も、足し算をすると、総額で一億一千九百十二万が超過勤務手当の総額になっていますから。まさか二人でやって一億一千万ということはないでしょうから、何かの手違いだと思います。
 どちらにしても、予算の提出をしていただいたそれぞれの省庁から、財務省だけ特別に二人ということですが、トップクラスの方々に来ていただいて御説明をお願いしましたけれども、なかなかやはり細かいことはわからないんだということがよくわかりました。よくわからないものをよく出したなというふうにも思いました。我々も怠けておりましたので、引き続き、これは時間のある限り、予算の審議をやっている限り、隅から隅まで……
藤井委員長 ちょっと答弁させます。
 寺澤理財局長。
寺澤政府参考人 お答えさせていただきます。
 先ほど、外為特会の国際会議について説明できませんでしたので、改めて説明をさせていただきます。
 主な国際会議といたしまして、IMF・世銀総会並びに十カ国財務大臣・中央銀行総裁会議、同代理会議及び国際通貨金融委員会、同代理委員会に約一千二百万でございます。国際通貨金融委員会及び同代理会議、いわゆるG7、ワシントンでございますが、これは七百四十万強。主要国首脳会議・財務大臣会議、サミットでございますが、これが八百十万強。それから、国際金融及び通貨問題について、米国財務次官及び欧州諸国大蔵次官との定期会議並びに臨時会議、いわゆるG7Dと言っておりますが、これが九百万等々でございます。これが積算の中身でございます。
上田(清)委員 ありがとうございました。ただ、外為特会で出す理由がよくわかりません。また改めてお伺いしたいと思います。
 ありがとうございました。
藤井委員長 これにて上田君の質疑は終了いたしました。
 次に、一川保夫君。
一川委員 自由党の一川保夫でございます。
 私は、市町村合併にかかわる問題と、引き続きまして、WTOに関する問題を御質問したいと思います。
 ちょうど二年前の二月十六日に、私はこの委員会で、当時も片山さんは総務大臣でございましたけれども、合併問題について、当時の政府としての合併に向けてのいろいろな基本的なお考えを確認したことがございました。
 今、現時点で、私も昨年の年末からことしの年明けにかけて、自分自身が常日ごろかかわっている石川県の市町村長初め議会の方々なり地域の方々ともいろいろな話をする機会がございました。
 率直に言って、今、我々地方では、合併問題というのが非常に重要な課題になりつつありますし、もう既に、御案内のとおり、法定協議会と称するものがスタートしておりますし、また任意協議会というものもスタートしております。そしてまた、いろいろな合併に向けての、協議会設立までは至っておりませんけれども、いろいろな研究的なこと、いろいろな準備的なことも含めた、問題意識を持って取り組んでいる市町村もあるわけですけれども、まだ方針が定まっていない。
 また一方では、自分で何とか頑張りたいということで、自立していこうという町村もございます。さまざまな姿が見えてきておりますし、私の率直な印象としましては、今、時代の背景がそういうふうにさせているのかなという感じも一つはするわけですね。
 大臣御案内のとおり、地域経済が大変冷え込んでおるわけです。そういう中にあって、合併のいろいろな俎上にのっかっている、特に町村、小規模な町村なんか特にそうですけれども、少子高齢化の悪影響がもろに出てきておるということですよね。
 そういう中で、当然ながら地方の財政も悪化してきておるわけだし、いろいろな面で、これから先行きに対する不安感が山積しておるという中での合併のいろいろな動きでございますので、当時の、昭和の大合併とかいろいろなことが言われますけれども、あの当時と比べても、日本の経済が順調に伸びている段階での合併劇と全然また違うというふうに思っております。
 そういう中で、今、合併のいろいろな動きがこれまで進んできておりますけれども、まず冒頭に総務省の方から、現時点で合併の進みぐあいを大臣の方からちょっと御説明願いたいと思います。
片山国務大臣 今お話しの市町村合併が国の大きな政策として取り上げられましたのは、平成十二年の十二月の国の行政改革大綱ですね。今の合併特例法が五年の時限法で、十七年の三月末までですから、それを一つの区切りにしまして、今三千二百十七あるんですけれども、それを千ぐらいにしたらどうかというのが与党三党の御提案で、それを踏まえてやろうと。
 そこで、現在、委員が言われましたように、全国の八割の市町村が合併を検討しております。特に、合併の前提になる法定協議会、これは二百七の法定協議会ができまして、八百六十二の市町村が参加しております。それから、事実上の協議会まで入れますと千六百十八でございまして、もう五割を超えているんですね。そういう意味では、二年三カ月の間に大変大きな盛り上がりになったな、私はこう思っております。
 ただ、昭和の大合併はちょうど今から五十年前、明治の大合併はそれからさらに六十年前ですね。あのときは明確な一つの目標があったんですね、明治のときは大体、戸数が三百から五百とか、昭和のときは人口八千以上とか。今回はそういう意味ではなくて自主的な合併でございまして、それぞれの都道府県に合併のたたき台、パターンはつくってもらっておりますけれども、基本的に、関係の首長さん、議会の皆さん、住民の皆さん、十分話し合って進めてくれ、こういうことでやってまいっております。
一川委員 今、大臣の方から、数字の説明も含めて御説明がありましたけれども、そうしますと、大臣は、今の合併のいろいろな協議会等の動きをにらんで、では、今の特例法の期限内にはおよそこれくらいの数の合併ができそうだなという感触はいかがですか、そのあたりは。
    〔委員長退席、萩山委員長代理着席〕
片山国務大臣 与党三党は、千を目指せ、こういうことですが、私は、今の総合的な状況で千は難しかろう、こう思っておりますが、できるだけ千台に突入して、できるだけ目標に近づけたい、こう今思っております。
一川委員 そこで、今回の一連の合併劇の動きをいろいろと分析、当然されていると思いますけれども、俗に、いろいろな動きを聞いておりますと、日本全体を見渡したときに、西高東低と言ったらおかしいんでしょうけれども、どっちかといったら西日本の方が非常に合併劇が活発に行われている、東日本の方が若干低調じゃないかというようなお話も聞くわけです。
 先ほど、ちょっと明治なり昭和の代のお話もございましたけれども、今回のこの合併の一連の動きを見て、大臣としては、何か特にこういう特色があるなと、何か特性的なものを分析されているのであればそれをお聞かせ願いたいと思います。
片山国務大臣 今委員御指摘のように、全体として見ると西高東低ですね。西の方がより熱心といいますか熱意といいますか、進度が進んでおりまして、東の方が幾らかおくれている。それからもう一つは、都道府県が、特に首長さんが、知事さんが熱意がある、そういうところはやはり進度が高い。
 こういう状況がありますが、全国的に見ますと、やはり政令市を目指そうというところが幾つもあります、政令市ですね。今度、四月からさいたま市が政令市の仲間入りをしまして政令市が十三になりますけれども、例えば静岡、清水は政令市になるのを一つの大きな目標にしての合併でございますし、その他幾つかのそういう拠点都市で政令市の動きがあるということ。
 それから、やはり今広域市町村圏というのをやっておりますから、そういう広域市町村圏単位で一つになりたい、拠点都市を中心に周りの県内の市町村が一つになりたい、こういうのも特徴の一つかな、こう思います。
 それから、郡ごとに市になる、こういう動きも幾つかありまして、そういう面が今回の特徴かな、こういうふうに思っておりますが、これも実は大変大ざっぱな私の感想でございまして、都道府県によって相当な違いが見られます。
一川委員 きょうの新聞でも一部報道されておりましたけれども、群馬県の富士見村の村長さんは、住民団体のリコールが成立して、もうその職を辞すしかないというような報道がございました。そのほかにも、合併の是非を問うてのいろいろな住民投票的なものが方々で行われておりますね。
 片や、長野県の田中知事の方針なんですかね、要するに、合併を予定していない、そういう町村に対して、県として何か独自の支援策を用意したいというような報道も一部の新聞に載っておりました。
 こういったように、現時点でも、いろいろな合併の方針を定めることで悩んでいる県なり町村なりがたくさんあるわけでございますけれども、一連のこういう動きの中でやはり最も気になるのは、俗に小規模な市町村という、例えば人口一万人以下と言われているような市町村ですね、全体の市町村の数の約半分を占めているというふうに言われておりますけれども、こういうところで、まだ合併に踏み切れない、合併すればますます過疎化するんじゃないかとか高齢化するんではないかとか、行政サービスが低下するんじゃないかと、いろいろなことが気になるわけです。
 こういう小規模な市町村でも、大きく分けて二通りあるというふうに私は思います。今言ったように、いろいろな問題を抱えていて、余りにも問題が多過ぎてなかなか判断できないというところと、割としっかりと財政基盤がそれなりに整っていて、自分で自立するんだといって頑張っている町村もございますし、そのどちらでもないと悶々としているところもあるような気もしますけれども、こういった小規模な町村で、今回の合併の動きについていけない、そういうところに対して、これから総務省としてはどういう対応をされるのかというところが、私は、現時点でもやはり相当皆さん方心配されておると思う、不安感を持っておると思いますけれども、大臣の責任のある見解をお聞かせ願いたいと思います。
片山国務大臣 今お話しのように、一万未満の市町村が五割を超えるんですね、まだ。だから、そういう意味では、もう少し、ロットといいますか、規模、能力を高めてほしいという一般的な希望を我々は持っておりますが、しかし、今までの合併と違うのは、自主的な合併ですから、あくまでも自主的な選択でやっていただく、こういうことでございまして、小規模から切り捨てるとかということは、私はなかなか、それは今の地方自治法の精神からいってできないだろう。小規模でも、自立の志と力があれば、それはそれでやっていくことも可能でありますから。
 ただ、これから我々は、国から地方に対し、特に市町村に対し、権限の移譲や税財源の移譲をやってもらおう、こういうときに、規模が余り小さいものが残りますと、それじゃ、権限移譲や税財源配分がスムースになかなかいかないおそれがある。そうなりますと、今の画一の市町村制度というのをもう少し見直す必要があるのではなかろうか、もっと多様な、選択的な市町村の制度でもいいではなかろうか、こういう意見もありまして、今、第二十七次の地方制度調査会で、総理の諮問機関でございますけれども、この問題を大変意欲的に、精力的に御議論いただいておりまして、三月末ぐらいまでになるんでしょうか、中間的な御報告がいただけるのではなかろうか。
 その中で、西尾先生という、東大の先生を長くやられた方が地方制度調査会の副会長ですから、あの人が西尾私案を出しまして、一万未満の市町村が残った場合には、合併特例法が切れた後、新たな対応を考えたらどうかという提案をされていまして、これについてはいろいろな意見がありまして、大変いろいろ、賛成論、反対論入りまじっておりますけれども、いずれにせよ、西尾私案を一つのたたき台に、地方制度調査会で適切な結論をいただければ我々としては大変ありがたい、こういうふうに考えております。
一川委員 小規模な市町村で、合併の動きに今乗り切れないような市町村というのは非常に不安感を抱いておられますし、今ほど、西尾私案なるものがもう出ているという話なんですけれども、こういった規模の小さい市町村が合併できない状態のときに、都道府県とそういった合併に乗り切れなかった市町村との関係というのは、今までのような県と市町村の関係を若干見直して、一部、事務的なところは県が代行するとか、そういうようなことも考えられるというお話も聞いたりしますけれども、都道府県とそれから小規模市町村との、合併できない小規模市町村ですね、そういうところの業務分担の役割分担みたいなところを大臣としては見直した方がいいというふうにお考えですか、そのあたり。
片山国務大臣 今、過疎の市町村等では、山村もそうですけれども、市町村道だとか公共下水道の施行を県が代行しているんですね。そういう制度があるんです。
 そこで、これから、我々、先ほど言いましたような権限の移譲や税財源の移譲をぜひお願いして進めてまいりたい、こういう場合に、小さいものが小さいままで残ったときに、それじゃ、いろいろな仕事ができないということになる可能性がかなりあると思いますね。そういう場合には、都道府県が補完するとか、あるいは、隣の、大きな市が仮にあるとすればそこが代行するとか、いろいろな仕組みがあるのではなかろうかという気が私はいたしますが、これも西尾先生の私案では、県にやってもらったらどうかというようなことの御提案もありますので、そういう事務処理のあり方を含めて、現在、地方制度調査会では御検討いただいている、こういうふうに理解しております。
一川委員 今回の合併の一連の動きの中で、私自身、非常に不満な思いを抱いたことがあるわけですけれども、きょうは担当の大臣、ここに見えていませんけれども、地方財政問題に余りにもこだわり過ぎたような議論が、末端の市町村レベルでは合併のときに話題になるわけです。合併すれば、交付税のいろいろな特例扱いがあるんだとか、それから、地方債の特例的な扱いがあるんだ、そうすればまたじゃんじゃん公共事業ができるんだとか、いろいろなことが、ちょっとオーバーぎみに話が広がっておりますよね。
 ですから、非常に財政的に苦しい町村なんかは、過去のいろいろな歴史的なつながりなり、そういういろいろなことを忘れちゃって、何か財政的に豊かになる方へなびこうとするような動きも私は見受けられたと思いますけれども、本来であれば、旧建設省、旧国土庁等が、当時村づくり、町づくり、定住圏構想なるものをいろいろと積み上げてきた時代があるわけですよね。そういうものが、今回の市町村合併のときの下敷きとして余り参考資料として用意されなかったのではないかという嫌いがあるわけです。
 それは、国土交通委員会の席でも扇大臣にもお話ししたことがあるんですけれども、私、これから、まだ合併の方針が決まっていないようなところについては、やはりそういった歴史的ないろいろな問題、伝統的な文化的な問題、そしてまた自然条件なり、そういうことを踏まえた、もうちょっと将来を見据えた、本当に我々が住みやすい自治体をどうするかというような議論をもっと深めていただきたい、そのように思うわけです。
 先ほどちょっと、東日本側が合併劇がやや少ないというようなお話を私なりに分析しますと、やはり相当自然条件が厳しいですよね、ある面では。そういう中で踏ん張って頑張ってきたというその町村長さんたちにすれば、そういうプライドもありますし、何とかそれを守っていきたいという気構えを持っていると思うんです。そういうことを考えますと、やはりどちらかというと、今までは地方の財政、行政基盤を強化するということにちょっとこだわり過ぎたような嫌いがありますので、そういったところをしっかりとまた反省しつつ指導していただきたいなというふうに思っているわけです。
 今回、合併の方針を打ち出した、法定協議会をスタートさせた中にも、無条件で合併合併と賛成しておるわけじゃなくて、やはりいろいろな心配事を抱えながらやむを得ずその協議会に参加しておる町村もたくさんあると思うんですけれども、こういういろいろな悩みを抱えた、特に過疎地域のそういう町村に対して、合併協議会の場でもそういう方々の意見がうまく反映し、新しい自治体が形成できるような方向に当然指導していらっしゃると思いますけれども、それに対する大臣のお考えをまずここでお聞かせ願いたいと思います。
片山国務大臣 合併に対する一番の心配は、大きくなると、今役場を中心にそれなりに活況を呈しているところが場末になるんではなかろうか、あるいは、きめの細かいことができなくなるんではなかろうか、コミュニケーションが悪くなるんではなかろうか、寂れる、こういう心配が私は一番強いと思います。
 今の合併特例法では、旧町村単位に例えば地域振興協議会というようなものが、審議会というものが置けるとか、あるいはその地域のためのファンド、基金をつくってそれを有効に活用するとか、それなりの手当てを考えておりますが、今、北海道その他で、もう少し旧町村単位の優遇を検討してはくれないか、こういう御提案もありますので、私どもでも検討いたしますが、先ほども言いました、地方制度調査会等でも検討してもらいたいと。合併して大きくなると、大きくなったメリットはもちろんあるんですが、デメリットもあるので、どうやってそのデメリットをなくしていくかの具体的な方策を検討していただきたい。
 それから、今委員言われました、やはり何のために合併するかというたら、町づくりや地域づくりをしっかりとやる、市町村が役割を果たせるようになる。役場だけあればいい、三役だけおればいい、議員さんだけおればいいというようなことじゃだめなので、やはり市町村というのは仕事をする、住民の福祉の増進だとか地域の活性化にちゃんと仕事ができるようになる、こういうことでございまして、我々はそのための行財政基盤を強化したい、こう思っておりますので、ぜひ今の町づくりだとか地域づくりというものを念頭に置いた、そういう合併の計画を協議会等でも御議論いただいて決めていただければ大変ありがたい、そういう指導を都道府県を通じて徹底してまいりたいと。お金がどうにかなるとか、お金のためだけだというのでは、ちょっと私はそれだけでは不十分ではなかろうかと思っております。
一川委員 ぜひそういう指導を徹底していただきたいというふうに思っております。
 本当の末端の市町村の首長の皆さん方も、合併協議会に参加したけれども、気持ちとしては非常に寂しいんだろうと思いますね。これから合併する時点まで単なる引き継ぎ役じゃないか、何か新しいことに余りチャレンジする意欲もないというような感じを私も受けます。
 しかし、今そこに住んでいる方々の意向なりその地域の課題を最も熟知しているのは今の町長であり村長さんたちであるわけですから、合併するまでにしっかりとしたその地域の課題を整理して、それをデザインされて、そしてしっかりと合併協議会の場で引き継いでいくということができやすいような、そういう何か裏づけをつくってあげないと、何か新しい市が誕生したが、過疎地域からほとんど新しい市会議員はもう誕生できなくなる、もう物理的に有権者の数からして。そういうことをすごくやはり心配されておるわけですから、今大臣がおっしゃったように、また新たないろいろな方策を考えながら、住民の自治組織なり、そういうものをやはりもっともっとしっかりと位置づけをしながら、その地域の意向が反映できるような仕組みを何か新たに考えてあげた方がよろしいんじゃないかな、そのように心からお願いをする次第でございます。
 それから、先ほどちょっと大臣もお話しされました政令指定都市ですか、今全国で、さいたま市を今度入れますと十三カ所になる。昭和三十一年の合併の折には、日本は五大都市という時期がありましたですね。我々はそういうのを若いころ勉強しましたけれども、それが十三になった。
 この政令指定都市を目指したいという地方の都市というのは結構あるような気もします。しかし、そうかといって、今の何か人口基準だとか、今の合併劇で相当広域的に合併したということも含めたいろいろな運用基準があるらしいですけれども、全国的にこの政令指定都市なるものをどういうバランスでつくっていこうとしているのか。いや、それは特に地域バランス的なことは考慮していないとおっしゃるのか。しかし、日本の均衡ある発展をねらうということであれば、政令指定都市といえども、もう少し全国的に、ある程度均衡のとれた、バランスのとれた配置というのがあっていいような気もします。そのあたり、大臣の所見を伺いたいと思います。
片山国務大臣 政令指定都市は、法律上は五十万以上で政令で定める市なんですね。だから政令指定市、こう言うんですが、今、一川委員言われましたように、かつては五大市なんですね。その後ふえまして、さいたまを入れて十三になるわけですが、今の政令指定の基準は人口が百万以上あるか近い将来確実に百万になるか、こういうことでございます。全国、今さいたまはもう百万を超えていますから、百二万ですから。今百万を切っているのは、千葉市が九十万なんです。あとはもう皆百万を超えています。
 そういう意味で、今までやってまいりましたが、政令市が県並みになるものですから、権限が。そういう意味で、ぜひ政令市を目指したい、こういうところは全国に何カ所かありまして、そこで、一昨年の政府の合併支援本部で、政令指定市の指定については弾力的に対応しよう、こういうことにしまして、その第一号が静岡、清水。これが七十万なんですね。しかし、やはりかなり拠点性がありますし、これから静岡、清水が合併しますと、私は人口も相当にふえてくる、そう思いますので、これについては政令市ということで検討してみようと、支援本部の中で。こういうふうに考えております。
 それ以外に全国で、例えば中国地方、九州地方、北陸地方その他、ぜひ政令市を目指したい、こういうことで今いろいろな努力、検討されておりますから、ぜひそういうところがまとまってくれば政令指定市にすることは適当ではなかろうか。
 ただ、地域的にバランスを考えるといいましても、やはり人口が百万近くあって拠点性があって将来性があるというと、なかなか地域バランスというわけにもいきませんので、状況を十分見ながら適切な対応を考えてまいりたいと思っております。
一川委員 今大臣がおっしゃったような、ただ機械的にバランスをとるというのは当然それは難しいわけですけれども、地方分権という一つの大きな流れの中で、できるだけ権限を住民に近い政令指定都市に譲っていくという一つの流れからすると、そういう努力をしているような地域については、政令指定都市をできるだけ適用するような方向というのは考えてもよろしいんじゃないかなというふうに私は思います。
 そこで、大臣、今、合併に向けていろいろと努力している地域については、それなりのいろいろな優遇措置というのが講じられておりますよね。これに対してのいろいろな期待があって、皆さん一生懸命、ある目標に向かって合併を努力されているわけです。
 先日、大臣は、二月八日、どこかの会合で発言されたことが新聞に一部ちょっと載っておりましたけれども、要するに、今の期限内に手続が終わらなくても、合併することが明らかであれば、その手続が若干おくれても、いろいろな優遇措置は残しましょうというような趣旨の何か発言をされたということがちょっと報道されておりましたけれども、非常に関心のある部分でもあるわけですね。そこのところを大臣に、改めてこの場でちょっとお話を聞かせていただきたいと思います。
片山国務大臣 今、一川委員御指摘の発言は、せんだっての和歌山県の地方自治トップセミナーでの私の話の中で報道されたわけでございますが、今の合併の優遇措置というのは、平成十七年三月末までに合併が終了しないといかぬのですね。ただ、合併はもう永久に続きますから、ただ今の優遇措置は平成十七年の三月で終わる、こういうことですから、その優遇が受けられる間にというのが、今、全国の市町村の合併の盛り上がりになっております。
 ところが、手続が相当時間がかかるんですね。合併協議会をつくって、建設計画をまとめて、個々の市町村が市町村の議会の議決をやって、市町村長さんが県に申請をして、今度は県議会の議決を経て、市の場合には、国に協議して、告示をしてとか、大変時間がかかるんですよ。
 そこで、一生懸命やっているんだけれども、最終期限が近づいてきて、間に合わないんではないかと。熱意はある、ぜひやりたい、しかし、間に合わずに合併の優遇措置が受けられないのは極めて不本意だ、こういう意見がかなりあるものですから、私は、合併の意思が確定しておって、手続だけ残る場合には、優遇措置を受けられることも検討してもよろしい、検討することを我々も考えます、こういうことを申し上げたわけでございます。
 今、総務省の事務方には検討してもらっておりますが、役所だけの検討もいかがかと思いますので、地方制度調査会その他の御意見も聞きながら、これは一川委員御承知の、法律を直さないといかぬものですから、そういうことで、結論が出れば、できるだけ早い機会にそれを全国の市町村に明らかにして、法律改正もやらせていただきたい、国会の御審議をお願いいたしたい、こういうふうに考えております。
一川委員 そこのところの法律改正は当然必要なわけですけれども、今回、法定合併協議会なり任意協議会なり、そういうものをスタート、現時点ではまだスタートできていないけれども、非常に合併を前向きに考えている市町村も当然あると思うんですね。そういうところにすれば、もう少し時間をもらえれば、合併の方針を明確にして、何とかやりたいというところも私はあるような気がするのです。しかし、今の期限までに確実に手続を終えろと言うと、これはもう物理的に無理だということで、ギブアップしているようなところもあるような気もします。
 そうしますと、大臣の今お話しになったようなことを、もう早目にある程度方向を定めてあげないと、非常にタイミングを逸する気の毒な町村が出てくるんじゃないかという気もしますので、そこのところを大臣、もう一回改めて整理してお話ししていただけませんか。
片山国務大臣 合併の強い意思があるのに、いろいろな事情で手続だけがややおくれる、そういうケースを今の合併の優遇の措置から排除するというのは、私も大きな全体のあれから見るといかがかと思いますので、できるだけ、委員の御指摘もございますし、私もそういうことを発言いたしましたので、ぜひそういう形になるように、十分な検討、あるいはいろいろなところの御意見を聞いて進めてまいりたい、こう考えております。
一川委員 一連の合併のいろいろな動きの中で、まだこれから残されたいろいろな課題というのは、先ほど来出ているように幾つかあるような気がするわけですね。基本的には、先ほどの西尾私案たるものの中にも、この特例扱いといいますか、こういうものは継続して別の施策として引き続きやるべきだという意見も当然あるわけですし、当然ながら、その後の引き続きの特例扱いを希望する方は、私は非常に多いというふうに思います。
 そういう観点の課題は当然残っているわけでございますけれども、また、先ほど大臣の答弁の中にもありましたように、合併を決めた町村の中でも何となく不安感がある。それは、地域のいろいろな意向が正しくまた確実に反映できるかどうか、今後ちゃんと新しい自治体の中で、人口は少ないけれども広大な面積を抱えている、そういう地域の意向というのはどういうふうに反映されるんだろうということが非常に気になりますよね。
 こういったところは、私は、やはり日本の国土保全という観点からも、また自然環境の保全という観点からも、無視できない大事な地域だと思うんですね。そういったところは、もし新しい町村で、新しい、できた、合併した市で対応し切れないということであれば、当該都道府県が責任を持って国土保全なり環境保全を、その部分は責任を持ってカバーしてあげるというぐらいの考え方があっていいような感じもいたします。
 そういうことを、いろいろと課題が残されているように思いますけれども、合併施策全体の一つの今後の課題として、大臣はどのように認識をされ、どういうふうな基本的なお考えを持っているか、お聞かせ願いたいと思います。
片山国務大臣 私どもは、総理も言われますように、市町村でできることは市町村でやってもらう、市町村でできないことを都道府県でやってもらう、市町村も都道府県もできないことを国がやってもらう、そのためには、一番国民に身近で基礎的な自治体である市町村は規模、能力を強くしてもらう、権限も財源も人間も全部市町村に集まるような、そういうことが地方分権、地方自治の尊重から望ましいのではないか、こういうように思っておりますが、大きくすればいいというだけでもありませんよね。それはやはりコミュニティー意識というものがなければいけませんし、そういう意味で、これからの大きくした場合の課題は、都道府県との関係をどう考えるか。都道府県から事務移譲、権限移譲してもらうにしても、都道府県との関係をどう考えるか。
 もう一つは、大きくなった自治体の中で、基礎的なコミュニティーの発言権、意向というものを市町村行政の中でどう生かしていくか、これが課題だと思いますね、市町村が大きくなった場合に。
 これについては、今いろいろな見解、議論がありますが、我々としても、基本的には地方自治の尊重であり、地方分権の推進であり、地域の住民の意向を生かすことですから、今一川委員の御指摘もありましたし、ぜひ前向きに検討してまいりたい、地方制度調査会等の御意見も賜りたい、このように思っております。
一川委員 この合併という問題は、地方自治体の存立にかかわる重大な事柄でも当然ございますし、もろに日々の生活にかかわる、そういうことでもございますので、非常に今各地方の自治体は関心が強い段階でございますので、この時期に国としての責任あるそういう施策を強力に推進していただきたい、そのように思っております。
 どうぞ大臣、これで結構ですから。
 引き続きまして、WTOの交渉経過等につきまして、外務大臣なり農水大臣のお考えをお聞きしたいと思っております。
 まず、外務大臣にお尋ねするわけですけれども、今この時期に東京で、先日来、三日間ぐらい、非公式の閣僚会議というふうに言われていますように、関係する国々の関係の閣僚が集まっていろいろな議論があったというふうに報道されています。今この時期に東京でこういう会合をやるというもともとの目的は何なのですか。
    〔萩山委員長代理退席、委員長着席〕
川口国務大臣 そもそも非公式の閣僚会議というのは、年に何回かをやっていきまして、WTOの新しいラウンドを前に進めるというときに、限られた数の閣僚が集まって意見交換をやって、次へのステップを模索する、そういうものでございます。
 それで、今回は、三月から五月、特に三月において、農業、それから非農業の製造業ですね、それからサービス、そういった点での市場アクセスのさまざまな締め切りのときが来ます。それから、途上国の問題も少し前に進めなければいけないという時期でございます。九月になりますと、メキシコで第五回の閣僚会議が開かれます。ということで、今回のこの時期というのは、特に市場開放、そして、途上国が関心を持っている途上国関係のことについて前に進める努力をする、そのための意見交換をするということが非常に大事な時期でございます。
 我が国は、十一月にシドニーで会合がありましたときに、この大事な時期に我が国としてWTOの新ラウンドに向けての貢献をするのにいいタイミングであるというふうに考えまして、相談を関係の国にいたしましたところ、日本でやったらどうかという話になりましたので、ホストをするということを決めたわけでございます。
一川委員 そこで、外務大臣は、議長役を務められて、一つの取りまとめ役として御尽力をいただいておると思いますけれども、大臣は、この会合が終わった後のコメントで、ある新聞によると、この段階でのいろいろな問題点の理解は深まってきた、だからこのWTOの交渉は確実に前進したと思うというような趣旨のコメントを出していたというふうに思いますけれども、今回のこういった閣僚会議、それから、これまでのWTOの交渉をずっと眺めてきて、現段階では、スムーズに物事が運んでいるというふうにお考えなのか、これは大変だなということなのか、今回の非公式の閣僚会議の成果も踏まえて、外務大臣の見解をここでお聞かせ願いたいと思います。
川口国務大臣 今回の会議は有意義であったと思います。関係の閣僚が非公式に、率直に意見を交換してお互いの立場が理解できたという意味ではよかったと思います。次へのステップに向けての大きな一つの段階であったと思います。
 他方で、この会議、今、WTOの全体のスケジュールが非常にそのスケジュールどおりに進んでいるかというふうに考えますと、これは物によって違いがございますけれども、東京での非公式の閣僚会議でのみんなの意見は、これから交渉をますます加速化させなければいけないということでございました。
 九月にメキシコで会合がございますけれども、そこで次の幾つかのことをそこまでにやらなければいけない。例えばシンガポール・イシューズと言われている新しい分野、これは、投資ですとかそういったことがありますけれども、そういうことを交渉として立ち上げるかどうかというのを九月に決めなければいけない。その前にそういったモダリティーについての議論が始まっていなければいけないといったようなこともあります。そのあたりもこれからということでございますし、それから、三月に農業のモダリティーズを決める、そしてサービスについてもオファーを出すということであります。非農産品についても概略のモダリティーの紙が出る。
 そういうことについてはまだこれからどんどんやっていかなければいけませんし、途上国への配慮ということについても、加速化させないと間に合わないという状況だと思います。
一川委員 それで、今大臣もお話しになりましたように、いろいろな分野で交渉の期限も切っていろいろと交渉されているということの中の一つに、今回非常に話題になっている農業交渉というのがあるわけですね。ハービンソンという農業交渉議長が、今回の非公式閣僚会議の前日に一つのたたき台と称するようなものを出されましたですね。これについては外務大臣はどういう見解をお持ちなんですか。今この時期にこういうものを出されてよかったと思うんですか、それに対する見解はいかがですか。
川口国務大臣 この紙についての見解は後で大島大臣にお話しいただいた方がいいかと思いますけれども、我々の立場というのは、まずこれは、我が国の農業が関心を持っている非貿易的関心、これが反映をされていない、バランスがとれていない、現在農業で行われています改革の努力、これを十分に認めていないというようなものでございます。
 ただ、一次案が出てくるというタイミングについては、これは、先ほど言いましたように、モダリティーズについて三月の末に合意をするということからいいますと、一カ月半しかあとないわけですから、当然にそのタイミングに来ているということだと思います。
一川委員 では、ちょっと農水大臣にお聞かせ願いたいと思うんですけれども、今外務大臣も、この問題は農水大臣の方がいいということでもございますけれども、非常に今、農業関係者を中心に今回の農業交渉議長のそのたたき台についていろいろな反響がありますよね。当然、農水大臣としては、これまでの我が国政府の農業分野の交渉の中身からして到底受け入れがたいという発言もされていますけれども、今回のこういったたたき台を分析されて、これまでの農業交渉全体の中でこういうことがある程度予測されたことなのかどうかということも含めて、大臣の現時点の見解をお聞かせ願いたいと思います。
大島国務大臣 ハービンソン議長は、まず、このミニ閣僚会議の前になぜいわゆる一次案を出したのだろうか。これは、そういう議論をハービンソンさんとしたわけではございませんが、一種の、一つの今までのさまざまな、私就任以来、ジュネーブ、それからヨーロッパ、アメリカとこう回って考えたときに、限定された非公式会合で意見をさまざま聞いた後で出しますと、一部の意見が反映された案になるというふうに考えたのではないかなと。したがって、やはりその前に出して議論をいただくという方がいいのではないか、こういうふうにお考えになったのかなと思います。
 そして、こういう案を想定しておったかということでございますが、結局、今までの二〇〇〇年から議論していく中で、農業交渉ルール、農業ルール、通商ルールの中に、基本的に言えば二つの基本的な違いがあるんだろうと思いますね。
 御承知のように、先生はもう専門家でございますから、一つは、いわゆるスイス・フォーミュラ、ケアンズの皆さん、アメリカの皆さんのように、輸出大国、この基本に立って物を考えるという方々と、そうではない、やはり農業というものは、非農産品と違って、単純に比較優位論だけで、そしてそういうマーケットに任せて貿易をすればいいんだという考え方で受け入れない、いわゆる多面的機能、非貿易的関心事項というものをしっかり根底に入れた、それぞれの国々の農業が改革をぎりぎりまでしながら、頑張りながら存在していくというふうなことをしっかり認めた上で一層重要な農業交易があるという、この二つの思想がある。
 私も、与党の先生方もいろいろな形で動いていただく、私どもの両副大臣も行っていただいて、さて、ハービンソン議長が一次案を出すといったとき、どういう内容になるんだろうか、さまざまな考え方、予測をいたします。そういたしますと、率直に言えば、どちらかの原則に乗って、そして、どこかに接点を見出すような多分ぎりぎりの案を持ってくるのかなという感じがいたしました。
 私どもは、初めて見ましたときに、いわゆる形式的にはウルグアイ・ラウンド方式的な中身にはなっております。しかし、形式的という言い方をするとあれかもしれませんが、一見ウルグアイ・ラウンド方式でございますが、その中身を見ますと、関税の部分における削減幅、あるいは国内支持のあり方につきましても、今度は個別的にその支持の上限を設ける等々、これは、何となく一見はウルグアイ・ラウンド方式だけれども、そこに盛り込まれている数字とか思想を考えてみますと、いわゆるスイス・フォーミュラ的な、つまり、輸出側サイドに立った中身になっておる。
 これでは、その舞台に乗って、数字がどうであるとか、あるいはここを直せばいいとかという議論はできない、これは。したがって、やはり基本的な、今後の二十一世紀の世界の農業がどうあるべきか、そういう中でどういうふうなルールの哲学、原則論を持つべきかというところから議論しなきゃならぬということで、総体として受け入れがたい。
 ただ、その中に一つだけ、私どもはこれから考えなければならないことが一つあると思うのでございますが、それは開発途上国の問題だと思います。この部分については、私どもとしては一定の評価はできる形になっておると思うんです。
 したがって、私自身は、そういう意味で、総体的な形として受け入れがたいということを主張し、私どもの主張をこの非公式閣僚会議でしてまいった、こういうことでございます。
一川委員 かねてから我が国は、今回の交渉に当たっては、農業の持つ多面的機能というものを相当前面に押し出して、農業というのはそこの国のその場所で農業を営んでいることに意味があると、農地を貿易の対象にするわけにいきませんから。そういう中で、国土保全なり環境保全なり、もろもろのそういう多面的機能を、その農地で農業を営むことによってそういった効果があるんだということを、私はやはりそれぞれの国々がもっと真剣に議論した方がいいと思うんです。
 大臣として、これからこの交渉を、三月末には今のモダリティーの方向を決めなきゃならぬというせっぱ詰まった段階ですけれども、もう一回、農水大臣として、本当にその心構えのところをしっかりとお聞かせ願いたいと思います。
大島国務大臣 私ども、この非公式閣僚会議で、私はバイ会談を大体九カ国とやりました。先ほど申し上げましたように、就任以来、ヨーロッパ、ASEANそれからカナダ、アメリカと参りました。それらを含めまして、特に途上国の皆さん、今回特に私が感じましたのは、インドという国が、多面的機能というものに対して非常に理解をある意味ではいただいたような気がするんです。
 今のハービンソン議長の一次案には、まさに今先生がおっしゃったように、この非貿易的関心事項、多面的な機能というものが非常に少ない。これはもうEUと本当に一致した考え方であり、韓国あるいはまたインドネシアもそうでございますが、そういう意味で一致したという意味で、私どもは、まさにそういうこともしっかりと入れた、包括的、そして受け入れることが可能な現実的な案でないといけないよということをずっと主張してまいったわけで、この非公式会合でも改めて主張し、したがって、川口大臣が最後に仕切られた触媒というその位置づけをしたわけでございます。
 したがって、また来週から始まりますジュネーブでの会議において、当然にそういうことをしっかり主張し、そしてハービンソン議長の第二次提案なるものが出てくるであろうそのときにそういうことが受け入れられるように、全力を尽くしてまいりたい、こう思っております。
一川委員 最後に、農水大臣に、私、近年のいろいろな我が国の食料問題ということを考えてみた場合に、御案内のとおり、一九九九年に新しい農業基本法を策定した後、今の食品の安全性にかかわるような重大問題が出てきておるわけですね、BSE問題を中心にして。それから、その前には口蹄疫の問題もありましたね、家畜に関する。あれも中国からのわらが原因じゃないかなというふうに言われております。BSEにしたって、今、現時点でも感染源とか感染ルートが明確でない。これは、要するに、余りにも海外に家畜の飼料なり我々が食べる食料が依存し過ぎている体質にあると私は思うんですね。
 そういうことを考えてみた場合に、今回のこういったWTOの交渉の中で、私はやはり、日本国民の食料を、より安全なおいしいものを安定的に確保するという国内の生産体制を、私は農水大臣にしっかりとこの機会に見直していただきたい。そのために多少コストがかかったとしても、私は国民全体の合意が得られるというふうに思いますし、ぜひそういう方向で力強い政策を、今、米の改革問題、いろいろなものを控えておりますけれども、いいチャンスでございますので、その気構えを大臣からお聞かせ願いたいと思います。
大島国務大臣 国際通商、農業通商のルールの問題の中においても、その安全性の問題等々は大変重要なこれからのポイントになると思います。輸出国側は、非常にこの問題に対してはいわば慎重的な姿勢をとります。我々は、非貿易的関心事項の中にその問題も含まれると思いますし、国内においては、食の安全と安心の問題というものは、まさに今度の国会で食の安全、安心五法案を御審議いただこうかと思っております。
 また、国民の皆様方に、目に見える食をいただく、そして地産地消を含めて、食育というものの考え方、食育というものを進めながら、食の安全、安心という基準を、選ぶ側が、消費する側がそういう選択をしていただく、そういうことによって、私は結果として国内の生産のものを消費していく。一層、食の安全、安心に対して確立したシステムをつくるということが国内政策においてまず大変大事なことであり、同時に、世界の中でそういうルールをどうやってつくっていくか、こういうことも二十一世紀の農政の大きな課題だ、こう思っておりますので、また御指導、御鞭撻をいただきたいと思っております。
一川委員 終わります。ありがとうございました。
藤井委員長 これにて一川君の質疑は終了いたしました。
 次に、児玉健次君。
児玉委員 日本共産党の児玉健次です。
 官房長官に幾つかのことを伺おうと思っていたけれども、記者会見とちょうど重なったために、それは行いません。坂口大臣に、また平沼大臣に幾つかのことを伺います。
 医療保険制度の問題ですが、小泉首相は、この問題に触れるとき必ず、持続可能な社会保障制度を構築するため、このように判で押したように言います。それでは、政府は健康保険制度を持続可能なものにするために一体何をしてきたのか、ここが今厳しく問われなければなりません。
 第一の問題は、政府管掌健康保険です。
 坂口大臣はよく御存じのように、健康保険法七十条ノ三、健康保険への国庫補助率について、こう書いてありますね。「千分ノ百六十四乃至千分ノ二百ノ範囲内ニ於テ政令ヲ以テ定ムル割合ヲ乗ジテ得タル額ヲ補助ス」、これが法の本則です。
 私はこの問題で、今から十一年前だけれども、九二年の三月、政府と論議をしました。そのときの政管健保の経営状態はどうであったか。単年度で三千五百億円の黒字があった。そして一兆四千億円の積立金もあった。それで政府は、政管健保の財政運営が十分図れる、こういう理由から、全くの特例の措置として国庫負担率を一三%にした経過がある、よく御存じだと思う。
 そのとき、私の質疑に答えた厚生省の局長は明確にこう言った。この特例措置は法律で言うところの授権の範囲ではないと。授権の範囲ではないと認めて、そして当時の山下厚生大臣は、担当者の、この特例の措置はできるだけ速やかに繰り戻されるよう適切に対処します、こういう答弁を受けて、「ただいま政府委員が申し上げたとおりであります。」と明確に述べました。大臣の国会での答弁というのは軽いものではありません。
 この十一年間、この特例の措置によって、一兆六千億円強が、政管健保に入るべき国の補助が入っていない、それが政管健保の財政困難の最大の原因ですね。小泉首相が政管健保を持続可能にするというのであれば、まず隗より始めよじゃないですか。法の本則のとおり国の負担を戻していただきたい。大臣、いかがですか。
坂口国務大臣 今お話しになりました点は、現在、一三%、千分の百三十入れられておりますが、これを百六十ないし二百のところに戻せ、こういうお話だろうというふうに思います。
 昨年の医療改革のときにもお願いをし、そしてまた、政府の方もそこを決定したところでございますけれども、やはり高齢者医療が大変な状況になってまいりましたために、七十五歳以上の高齢者医療につきましては、二分の一国庫負担を導入するということを決定し、そして平成十九年には二分の一にそれが達するように、七十五歳以上二分の一になるようにする、こういうことが決まったわけであります。
 したがいまして、政管健保という形の中で国庫負担がその中に、一三が一六にというふうに戻ってはおりませんけれども、国から出しております医療費というものはこれからふえていくわけでありますし、十九年にはそれが一つの完成した形になるというふうに思っております。
 全体として、やはり医療費を見ました場合に、国庫負担は今後ふえ続けていく、そういうふうに思っております。
児玉委員 坂口大臣、そこのところは問題をはっきりつかんでいただきたいんですね。
 政府管掌健康保険、そこに対する国の補助のいかんというのは健康保険法の一つの中心的な柱として明確にうたわれているんだから、日本が法治国である以上、それに対して、日本政府はそれを遵守する義務がありますよ。そこのところを私は言っているので、私は、この問題はこの後さらにこの国会の中で大いに議論していかなければならない。国の財政云々というのは、銀行に対する巨額の公的資金の注入などをやめてから主張したらどうか、私はそのことを明確に申します。
 そこで、この持続可能にするために政府は何をしてきたか。第二の問題は、国民医療において高過ぎる薬価、医療機器に思い切ってメスを入れる課題です。
 九七年のとき、大臣もそのときたしか同僚の委員としていろいろ一緒に議論をしたけれども、予算委員会で私はこの問題を議論した。国民生活白書を取り上げて、日本の国民医療費の約一五%を占める医療機器、その中のPTCAバルーンカテーテル、ドイツでは五万円から六万円です、フランスでは六万円から九万円、ところが日本では十三万円である、この価格差をほっておいていいのかと。当時の橋本首相、小泉厚生大臣も、これは放置できない課題だというふうにはっきり述べられた。
 この議論がきっかけになって、翌九八年三月、平沼経済産業大臣においでいただいているんだけれども、日本貿易振興会、ジェトロ、対日アクセス実態報告書が明らかにされました。
 その中で、前の年の予算委員会における議論を踏まえて、「PTCAバルーン・カテーテル、ペースメーカーは、ほぼ一〇〇%外国製品を使っており、それらは生産国における価格と比べて、日本での価格は三倍以上高い」、わざわざ括弧をつけて、「(ものによっては五〜六倍)といわれている。日本と同様に外国製品を輸入している諸国と比べても、日本の価格は高いという。こうした高価格は、外国メーカーが日本向けには出荷価格を差別化している可能性があるのではないか」、貿易の実態を一番よく知っているジェトロがこのように述べました。
 医療機器の内外価格差解消のために、経済産業省がこの間どのような努力をなさってきたか、そして現在の課題は何か、その点を平沼大臣からお答えいただきたいと思います。
平沼国務大臣 児玉先生にお答えさせていただきます。
 御指摘のように、平成八年に調査をいたしました。そのときに、もう数字は御承知だと思うのですけれども、例えばペースメーカーなんかは、米国で六、七十万のものが日本で百六十万とか百八十万、異常に高い。そういったことで問題意識を持ちまして、私どもといたしましては、やはり内外価格差を解消していくためには、国際競争力のある医療機器産業の育成強化、これが重要であろう、こういうことで、そのときから医学と工学の連携を通じまして、そして高度医療機器の研究開発、これを積極的に進めてきているところでございます。
 具体的に申し上げますと、平成十二年度より五カ年計画で、例の一つでございますけれども、体内埋め込み型人工心臓システム、あるいは、これも平成十三年からですけれども、五カ年計画で人工視覚システム、こういった医療機器の開発に予算等を計上して取り組んでいるところでございます。
 これも、日本も潜在的なそういう能力がありますから、こういったところをしっかりとして、私どもとしましては、日本も競争力あるそういう医療機器をつくっていくことが、やはり福祉の増進そして医療費の軽減、こういったことにつながると思っておりますので、さらにこういった問題を中心に努力をしてまいりたい、このように思っております。
児玉委員 その御努力は幾らか承知をしておりますが、まだ実際上の効果を上げるには至っておりませんね。ぜひ努力を強めていただきたい、こう思います。大臣、御苦労さまでした。
 そこで、坂口大臣、やはり今のお話のあったペースメーカー、PTCAバルーンカテーテル、これらの価格引き下げに対して厚生省としてどんな措置をとられたか、具体的に示していただきたいと思います。
坂口国務大臣 医療機器の保険償還価格につきまして、平成十二年度に、従来の銘柄別のいわゆる価格設定をやっておりましたが、医療機関の実際の購入価格によります保険償還の仕組みを改めまして、機能別の価格設定に見直しを行うことにしたところでございます。価格決定の明確化の観点から算定基準を明確に定めますとともに、中医協の中に専門家による価格算定組織を設置するというようなことをいたしました。
 そして、今お挙げになりました、特に高いペースメーカー、それからPTCAバルーンカテーテル、それから冠動脈ステントというんですか、冠動脈のステント、これらをとにかくまず引き下げを行うということで、ペースメーカーを一二%、そしてPTCAバルーンカテーテルを二五%、そして冠動脈ステントを四%、これらの引き下げを行うということで、今進行中でございます。
 これで外国並みになるものも中にはありますけれども、まだ下げられるものがあるというふうに思っております。アメリカの関係者が参りましたときにも、カテーテル等についてはとにかく値下げを断行してほしい、私も何度か直接に要求をいたしております。ここは、我々としてももう譲れないところであるということを言っているところでございます。
児玉委員 大臣、今お話しの一連の措置によって、医療費に対する節減効果はどのぐらいと見込めるでしょうか。
坂口国務大臣 先ほど申しました取り組みによりまして、平成十四年度の保険医療材料価格を基準にして考えましたときに、医療費ベースでいきますと、マイナス〇・一%、二百七十億円ぐらいになるというふうに試算をいたしております。
児玉委員 二百七十億円というのは少なくない額ですね。それをさらに拡大していく、そのことで文字どおり健康保険制度を持続可能にする、これが努力の本筋だと思います。
 さて、一番大きいのは、やはり薬価の問題です。国民医療費三十兆円、その中で薬剤費は約六兆円に上ります。この薬価に対して、去年の六月、私は、健康保険法の改悪の問題のときに坂口大臣と集中的に議論をしました。そのとき、私が主張した後発品、同じ成分、同じ薬効を持つ後発品、それを持っている先発薬品ですね、厚生省の調査によれば、三四%がそういう後発品を持っているということ。そうすると、六兆円の三四%というと約二兆円ですね。そして、先発薬品と後発薬品は、後発薬品が価格が二分の一ですから、同じ効き目があるのであれば、後発品に切りかえた場合に一兆円浮くんです。その努力を思い切って強めるべきだ、昨年、私はそのように述べた。坂口大臣も、一定の努力をお約束なさった。その後、どのような進行状況でしょうか。お答えください。
坂口国務大臣 昨年議論をさせていただいたときには、まだ一%に至っていなかったと思います。大体五%台のところまで、昨年の九月のところで来ております。
 特に、国立病院でありますとか国の関係しております病院、あるいは地方自治体におきましても、公的な病院等におきまして積極的に取り入れてほしいということも言っているわけでございますし、また、診療報酬の中におきましても、若干ではございますけれども、後発品を使っていただいたときにそれに対する配慮を行ったということもあるわけでございますが、これは御承知のとおり、使います医師が、私はやはりこの薬だというこだわりのあるのもかなりあるわけでありまして、もうそれをやめてこの安いのにしろといって、余りそれも無理に言うわけにもなかなかいかないという、そこも難しいところもあるわけでございます。薬というのもなかなか信頼の問題でございますから、その人がやはりこの薬はいいというふうに思い込みますと、これは同じ種類のものだからその代替でどうだということを言いましても、なかなかそういうふうにかえない人たちもいるわけでございますから、ここは、医師の投薬に対する姿勢というのを強制することを私はできないというふうに思っております。
 ただし、しかしできる限り、できるならば、同じ効果のものですから、こういったものも使ってくださいということをお願いするということは続けなければいけないというふうに思っておりますし、そうした努力もまた製薬メーカーもしなきゃいけない。そして、こういう内容でこういう効果がありますというようなことも、日ごろからやはり先生方にもよくお伝えをするという努力もしてもらわなければならないというふうに思っている次第でございます。
 国といたしましても、今まで以上にこの薬を使うことができるようにしてもらいたいというふうに思っておりますけれども、先生が言われたように、二兆円ある中の半分でも一兆円じゃないかというふうに御指摘になりますけれども、そううまい調子に先生方に、皆一発でかえてくれというわけにもなかなかいきにくい現状もある。これは、お願いする立場でございますから、これからもお願いし続けたいと思っているところでございます。
児玉委員 今の問題は非常に重要ですね。もし小泉首相が本当に医療保険制度を持続可能なものにしようとする場合に、一番現実的で確実な道はここに開けていますね。
 それで、坂口大臣に私は申し上げたいんだけれども、民間の医師がそれぞれの医師としての専門家性に従って最善の医療行為をなさる、それは当然だと思う。そのときも、やはり医療費の節減に努力してもらわなきゃいけない。
 とりわけ国立病院ですよ。国立病院ではどうだろうか。全国の後発品への切りかえは四・七%であるのに対して、大臣のおひざ元の国立病院では、昨年明らかになったところでいえば、〇・六四%でしかありませんね。なぜだろうか。国立病院の薬剤費は約一千億円です。ところが、その〇・六四%、六億円ぐらいしか後発品に切りかわっていない。
 なぜかと思って調べてみたら、私の判断ではどうもこういうことがあるらしい。国立病院に対して厚労省は、事実上新しい薬品を採用するときには、他の国立病院で既に使用している後発薬品があればそれを使用すること。これでは、圧倒的な比率を占める既存の薬品には指一本触れることができませんね。ここのところを思い切って変えるところから全国の医療機関に影響を与えたらどうか。それが、持続可能にしたいという以上、あなたたちの務めだと思うけれども、いかがですか。
坂口国務大臣 国立病院を初め、先ほど申しましたように、公的な病院が率先してやはり採用をしなきゃいけないというのは、私もそう思っているわけです。しかし、そこが今まで十分でなかった。最近は少しふえてきておりますけれども、それにいたしましてもまだ十分とは言えないというふうに思っております。まだ、もっともっと後発品をお使いいただくチャンスはあるのではないか、そして、それを使って治療していただくケースは多いのではないかというふうに思っております。
 そこを、いわゆる厚生労働省が言わないからとかなんとかということではないと思うのです。現場の先生方も、そこは十分よくおわかりになっていると私は思います。
 おわかりになっているんですけれども、やはり薬に対するこだわりがあるということも事実でございまして、しかしそこを変えていただいて、この全体の、経済的な問題に対しましても財政上の問題に対しましてもよく理解をしていただくように、国立病院であれあるいは大学の附属病院であれ、やはりそこはお願いはしなければならないというふうに思っておりますし、現在もお願いをしているところでございます。
 しかし、先ほど申しましたように、さりとて、そうすればあすから全部かえてくれるかというと、そういうわけにもこれはなかなかいきにくい問題もあるということも理解をしなければならないと思います。
児玉委員 どうも、身内を正そうとするときは非常に悠長な感じで、ところが国民に対する負担増の押しつけという点では待ったなし、ここに現在の小泉内閣の姿勢がよく示されていますね。みずから行うべき努力を十分進めているとは到底言えませんね。
 小泉内閣は、今野党四党が共同して国会に提出している医療費三割負担凍結法案、これを受け入れることによっていささかでもみずからの責任を明らかにしてはどうか。どうですか。
坂口国務大臣 もう少しきちっとした数字を申し上げますと、昨年の九月三十日現在におきまして、国立病院で五・二%、国立療養所で五・五%、合計で五・三%、ここまで来ているわけでありますから、かなり上がってきていることは事実でございます。
 しかし、ここの努力はするといたしましても、この努力だけで現在の医療費、足りないものを全部補うというわけには私はいかないというふうに思っております。もう少しこれは長い目で、今後の状況も見ながら、そして皆さん方にお願いするところはお願いをしなければならないというふうに思っている次第でございます。
 身内と言いますけれども、それは国立病院は厚生省の所管ではございますけれども、これは開放された病院でありまして、すべての日本の国の中で多くの方がここにかかっておみえになるわけでありますから、やはりその患者さんの健康というものもよく見ながら医師は判断をしているわけでありまして、国立病院の医師たちが行っております薬の使い方がすべて間違いであるということは、私はそれは言えないというふうに思っております。
児玉委員 坂口大臣、議論はかみ合わさなきゃいけない。今おっしゃった五・何%という数値は品目別じゃありませんか。一番実勢を明らかにするためには購入額で調べなければ物は出てこない。それが一つ。
 もう一つは、医師が最良の医療行為をしなきゃいけないというのは当然のことです。そのとき厚生省は、後発医薬品についていえば、成分、薬効等、今市場に出ているものについては十分な安全性が確保されていると常に言っているじゃありませんか。そのことが徹底されれば、この問題は大きく進む。
 そして、私が言っているのは、何より政管健保に対する本則どおりの負担を国がきちんとやる、これが基本なんですよ。それらについては全部首を振ったまま今のようなお話では、到底納得できない。この点を厳しく指摘しておきます。
 さて、介護保険制度の問題です。
 皆さんは、この制度が始まるときに、家族による介護から社会が支える制度へ、保険制度で受けたいサービスが自由に選択できる、こういうふうに宣伝された。今どうなっているか。
 厚生省の資料によれば、要介護の認定を受けている人、要支援を含めて、二百九十八万人、在宅サービス受給者百六十二万人、施設サービス六十七万人。そうすると、六十九万人の方が介護サービスを申請しながらサービスを受けていない。この状況を厚生労働省はどのように受けとめていますか。大臣、答弁を求めます。
中村政府参考人 介護保険につきまして、要介護認定を受けた方と実際にサービスを利用されている方との間に、二割程度、常にギャップがございますが、そのギャップについてのお尋ねだと思います。
 要介護認定を申請されまして現実に介護サービスを受けておられない方、これを分析させていただきますと、一つの類型としては、現に医療機関に入院されているという方、こういった方がございます。この方々は、今医療機関などで治療中でございますので、退院後、介護保険を利用されるということで、いわば予約的な要介護認定を受けておられる、こういう方がございます。
 もう一つのグループといたしましては、要介護認定を受けておられますけれども、いわば、現時点においては、外部の介護サービスを利用する必要はない、現に例えば御家族に介護していただいている、そういったことで、介護保険を利用されていない。
 大体こういう二つの理由で、制度発足以来今日まで、要介護認定申請者はこの二年半くらいで五割、介護サービスを利用されている方は人数として七〇%くらいふえておりますが、常に、要介護認定者と実際の介護サービスを利用されている方との間には二割程度のギャップがございます。
児玉委員 今の点、議論をしたいけれども、厚生労働省は実態を直視しなければなりませんね。
 例えば、入院している方、入院がその方本来の意思なのか。特別養護老人ホームに入りたいけれども、そこへ入れないから仮に入院をしている、その問題が、皆さんが制度発足のときに言っていた医療費から介護費へのシフトを大きく妨げているんじゃないですか。そういう実態がここに明確にある。
 それから、要支援要介護認定を受けるというのは、社会のサービス、保険制度のサービスを受けたいという明確な意思のあらわれであって、そういう意思表示をしている人が七十万人、サービスを受けていない、なぜかという問題ですよ。それは、もう端的に言って、利用料の負担が重過ぎるからです。
 厚労省の、いろいろな調査がありますけれども、内閣府がこういう、平成十四年八月、「介護サービス市場の一層の効率化のために」、お読みになっていると思う。非常に興味深くこれを私は読んだ。その中でこういう事実が明らかになってきていますね。二〇〇〇年から二〇〇一年にかけて、訪問介護サービス利用者は全体として確実に前進しています。ところが、大きくこの間利用が落ち込んでいる部分があるんです。一年間で実に二五%利用が減じている。それは、一世帯三百万円以下の収入の部分です。低所得者の皆さんにとって、この介護サービスが利用料の負担によって本当に困難になっている。
 だから、内閣府の国民生活局のこの文書は、それらの結論として明白にこう言っているじゃありませんか。原則利用費一割負担によって低所得者の介護サービス需要が減少した可能性があると明確に言って、低所得者が真に必要な介護サービスが受けられないということのないよう十分配慮していく必要がある、政府の中の調査がこの点を指摘している。私は、これは正当な指摘だと思う。
 そこで、聞きたいんですが、介護サービスの利用を困難にしているのは利用料負担、ここをどうやっていくかというときに、とりあえず伺いたいんだけれども、介護制度の前、措置制度のとき在宅介護を受けてきた方々に対して、特別対策として今行っている利用料三%負担、これをこのまま国が維持していくとすれば国の負担は幾らになるか、政府参考人、お答えください。
中村政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘の軽減措置、ホームヘルプサービスを使っておられる方、介護保険施行時に低所得であって、既にホームヘルプサービスを利用していた高齢者につきまして、介護保険では利用者負担が定率一割負担になっておりますけれども、利用料が制度の切りかえに伴って急増することのないよう、激変緩和の観点から経過措置を講じているものでございます。
 その経過措置は、平成十二年度から三年間は三%とし、その後段階的に引き上げ、平成十七年度から本来の……(児玉委員「説明は結構です」と呼ぶ)はい。十五年七月から六%に引き上げることにいたしておりますが、これを行わないといたしますと、平成十五年度予算において国庫負担所要額は十億円の増、こういうふうに見込んでおります。
児玉委員 大臣、私はあなたに率直に言いたいけれども、このわずか十億円の問題というのは財政云々の問題じゃありませんよ。介護保険に対する政府の姿勢が問われている。せめてこの三%は引き続き維持すべきだと思うが、いかがですか、大臣。
坂口国務大臣 現在利用しておみえになります方が、十三年度におきまして九十九万人おみえでございまして、そして、三%の方が十六万四千人でございます。だから、それ以外の方というのはみんな、この三%ではなくて普通の額をお払いになっているわけであります。
 最初、スタートのときに、この人たちはもう先にかかっておみえになりましたから暫定措置をとったわけでありますから、現在ほかのほとんどの方が御負担をいただいているのに、この人たちだけ三%に据え置くというわけにはいかない。やはり同じように御負担をいただかざるを得ない、そういうふうに思っております。
児玉委員 今の答えはなかなか興味がありますね。そういうときに本当に住民のことを考えている市町村はどうしているかということを、大臣、学ぶべきですよ。
 東京の武蔵野市、あなたが今言ったとおりのことをなさっている。措置制度のときの方に対する特例的な緩和措置としての三%を、武蔵野市では、訪問介護、通所介護、通所リハビリの利用料、なべて所得制限なしに三%にしている結果、在宅介護の利用率は、全国より一〇%高いじゃありませんか。なぜそれを国としては学ばないのか、答えていただきたい。
坂口国務大臣 全体としての話は先ほど申し上げたとおりでありまして、やはり介護というものを全体に、日本の中でどの人たちにも受けていただけるようにしていかなければなりません。
 そういう立場でまいりますと、一部の人にだけ負担を軽く、他の人たちには重くというわけにはまいりませんから、そこは同じようにお願いを申し上げる以外にございません。やはりこうして介護の皆さん方が全国、本当にだんだんと受けていただく方がふえてきたわけでありますから、それは好ましいことだというふうに思っております。その人たちが今後も受け続けられるようにしていくということが我々としては大事だと思っております。
児玉委員 資料を配ってください。
 今のあなたの答弁に、政府の介護保険制度に対する姿勢が本当に集中的にあらわれていますね。全体の介護を進めるために国として何をしなきゃいけないか。その点の努力不足の典型的な例が、特別養護老人ホームの現状です。
 ゴールドプラン21によれば、二〇〇四年度で三十六万人分。今どこまで到達しているか、参考人、示してください。
中村政府参考人 特別養護老人ホームの整備数でございますが、ゴールドプランで、平成十六年度三十六万床整備を目標といたしているところ、平成十四年八月現在、三十二万九千二百三十床まで整備が進んでおります。
児玉委員 今皆さんにお配りした資料は、この二月四日に、日本共産党国会議員団が手分けして全国に調査をしたものです。厚生省の資料で、二〇〇一年、特養の全国の定員は三十一万四千百九十二名。調査は、都道府県さまざまで、重複を含む分などもありますが、二十三万八千六百七十九人が入所を申し込んで、いまだ入所していない。その中で、在宅の方は七万五千三百八十五人である。いろいろあるにせよ、総じて二十万前後の方が入所を希望して、今待っていらっしゃる。
 そこで大臣、あなた、これを覚えていらっしゃるでしょうか。介護保険制度が始まるときに、皆さんが全国的に使った「介護保険制度がはじまります」、平成十二年四月一日から。このハートマークの、この中に何と書いてあるか。「介護保険では在宅サービスと施設サービスが受けられます。」ちょっとお持ちください、そこで、施設が足りないときは待っていただきますとは一切書いていないのです。一切書いていない。それはそうでしょう。これは保険制度なんですから、保険料を払っている以上、契約に基づいてその中身が履行されなければならない。介護保険制度の現状というのは、この特養の不足から見ても、余りにも明白ではありませんか。現状でよしとしますか、答えてください。
坂口国務大臣 介護保険というのは、在宅介護というものを中心にしてやはり進めていかなければならないということでスタートしたというふうに思っております。
 しかし、そうは申しましても、すべての人が在宅でというわけにはいかない。やはり施設に入りたいという御希望の方も多い。我々が考えておりましたよりも、やはり在宅よりも施設という、この御希望の方がかなり多くなってきていることも事実でございます。しかし、各都道府県でいわゆる待機者の数を出していただいておりますが、我々もこの待機者のものをよく調べているわけでございます。そして、それぞれの地域でお聞きをしてみると、やはり入りたいという気持ちから三カ所も四カ所もお申し込みになっているという方も多いわけであります。
 ですから、その数字そのものが待機者の数字ということではないというふうに思っています。もっとそれは少ない数字である。しかし、決してゼロではない。お待ちいただいている方があるということもあるわけでありますから、私たちも、さらにこの施設というものをつくっていかなければならないということで、これはかなりピッチを上げて、去年からことしにかけまして施設の数もふやしているわけでございます。
 今後も、この皆さん方におこたえをしていくようにしたいというふうに思っております。
児玉委員 その努力は思い切って強めていただかなければ、保険制度に対する国民の信頼が根底から崩れますね。
 そこで、今の保険制度全体を総括的に見て、どう国民は判断するか。
 介護保険制度が発足する五カ月前、九九年十一月の衆議院本会議、当時は小渕首相でした。我が党の不破哲三委員長、当時ですが、代表質問でこう述べた。「介護保険で一番問題なのは、国民から保険料を徴収しながら、国と自治体が必要な介護サービスを提供できないという状態に陥ることです。こういう事態が生まれたら、国政への国民の信頼は、国民生活の大もとから失われることになります。」残念ながら、今この指摘のとおりになっている。
 ことしの四月に向けて、今最大の急務は何かといえば、介護保険制度に対する国民の信頼を取り戻す最大の課題は、利用料についての負担を市町村だけに押しつけずに、国自身がそれをみずから引き受けることと、そして介護保険料の引き上げ、約二千億円と見込まれていますね、これを中止することです。
 私は、具体的に提案したい。介護保険に対する国の負担は二五%です。しかし、これは純粋に二五%じゃない。二〇%が国の負担で、残り五%は、確かに国が金を出してはいるけれども、これは調整交付金です。この調整交付金を国の負担二五%の外枠にすることによって、三年度の予算で二千四百億円を生み出すことができる。それを充当すれば、この四月の保険料の引き上げは必要なくなる。この道を選んではいかがですか。大臣、どうですか。
中村政府参考人 今先生からお話がありましたけれども、介護保険、平成十五年度の総費用は五兆四千億円と見込んでおります。四分の一が国庫負担でございまして、利用料を除きまして残りの四分の一が国庫負担でございます。
 今先生から御指摘がありました五%、これは調整交付金として使っておりますが、それは各市区町村、七十五歳以上人口の偏りがございますので、多くの高齢者を抱えている市町村には多く、高齢化が進んでいない市町村には少なくという意味で調整交付金でございまして、二五%国庫負担していることには変わりがございませんので、外枠にして二五%持つということは国全体として三割の国庫負担をするということになりますので、それはそれなりの財源が必要になる、こういうことでございます。
児玉委員 これは今、国民的な要求になっていますよ。坂口大臣はごらんになったと思うけれども、昨年十月、全国町村会の緊急要望、去年の六月の全国市長会の決議、いずれも、調整交付金五%は国の負担の外枠とすること、こういう提起をしているじゃありませんか。耳を傾けたらどうですか。
 それから政府参考人、あなたに私は一言言いたいけれども、あなたは、去年九月の全国介護保険課長会議であいさつをなさっている。そのあいさつの中で、介護保険制度は大変大事な制度だが、制度を維持することが目的ではない、住民本位、利用者本位という原点に立ち返り、制度の運営に当たっていきたいと。あなたの言はいいじゃないですか。そういうふうにしたらどうですか。
 大臣、どうですか。
坂口国務大臣 先生の御意見は単純明快でありまして、足らない分は国が出したらそれで済む、こういう話でございますから、まことに単純明快でわかりやすいですけれども、しかし、それならば、それをまた負担してもらわなければならないわけで、同じことになってくるわけでございます。
 したがいまして、社会保障というのは、それぞれ御負担をいただくところは御負担をいただく、そしてお互いに助け合うところは助け合う、やはりこれが社会保障制度だと思います。すべてを国が出すというのが社会保障制度ではないと私は思います。
児玉委員 介護保険制度が今のような姿勢で維持されていったのでは、これは保険制度という名前から大きくかけ離れてしまう。思い切った改善の措置を講じていただきたい。そのことを求めて、私の質問を終わります。
藤井委員長 これにて児玉君の質疑は終了いたしました。
 次に、保坂展人君。
保坂委員 社民党の保坂展人です。
 坂口厚生労働大臣に、引き続き年金積立金の議論をさせていただきたいと思います。
 坂口大臣、年金積立金はだれのものでしょうか。端的に。
坂口国務大臣 それは、年金を出した、積み立てた人のものであります。
保坂委員 昨年は当予算委員会で、年金積立金は今幾らですかという大臣への質問に対して、百四十八兆でございますと。つい先月、一月二十四日の当委員会では、百四十四兆から百四十五兆ですと変化をいたしました。これは、株式市場における累積利差損を二兆八千億、これを時価評価して差し引いた数字という説明を受けておりますが、ほかに差し引かなければいけない数字はありませんか。これで大丈夫ですか。
吉武政府参考人 厚生年金、国民年金の積立金は、平成十三年度末で、特会の簿価額といたしまして百四十七兆三千四百二十四億円でございます。これに対しまして、これまでの年金福祉事業団あるいは自主運用基金におきます時価評価におきます年金の運用部分の損失が三兆百九億ございますので、これを差し引きますと、時価評価を盛り込みますと百四十四兆三千三百十五億円というのが十三年度末の数値でございます。
保坂委員 もう少しよく明快に響くように答弁をいただきたいんですが、前回、同僚議員も他に取り上げておりますが、雇用保険のスパウザ小田原、四百八十五億かけて八億で売っちゃった、何たることかと言ったら、一万五百円や千五十円もあったということで、あきれるやら驚くやらということになっていますが、実は、グリーンピア、大規模保養基地も十三カ所すべて譲渡先がまだ決まっていないというふうに聞いております。
 年金局長に伺いますけれども、昨年三月には中央高原基地の解体工事を行ったとされていますね。これは年金特会から年金運用交付金として、これは大切なお金ですね、一億八千三百七十五万円を支出している。また、今審議中の予算の中では、鹿児島の指宿基地の解体費用として、何と七億千八百二十万円を計上している。こういうことですが、売却の見通しは一体あるんでしょうか。これは不動産鑑定をして時価評価すると幾らになるのか。これを明快にお答えいただきたい。
吉武政府参考人 グリーンピアにつきましては、平成十一年度の財政再計算が行われましたときには、それから二回目の財政再計算の前後二、三年ぐらいで基本的にはこれから撤退するということでございましたけれども……(保坂委員「いや、それはいいんだ。幾らなの」と呼ぶ)
 ただいま先生からお尋ねがございました中央高原基地の解体撤去につきましては、これは民間から公募もいたしまして、公募に対して申し出がございませんで、このため撤去をいたしまして、一億八千三百七十五万円の撤去をいたしております。
 それから……(保坂委員「だから、幾ら、土地は」と呼ぶ)はい。時価評価につきましては、今申しましたように、基本的には地元の自治体、あるいは場合によっては医療法人、学校法人等を優先して譲渡いたしまして、できるだけこの施設そのものを活用していただくということを基本といたしております。それが実際上、地元の自治体等で活用方策がない場合に、公募をいたしまして入札により譲渡することになっておりまして、公募によりまして入札をいたしますときに時価評価をいたしましてその入札を決定する、こういう仕組みをいたしております。
保坂委員 もう一回聞きますけれども、私の質問主意書に対する答弁にも書いているんですが、現時点ではいずれの保養基地においても時価評価の価格は設定していない、不動産鑑定業者による鑑定は評価していない、これでいいですか。イエスかノーで。
吉武政府参考人 ただいま申し上げました公募をいたします際には、不動産鑑定業者二社から見積もりをいたしまして、その時価評価額の平均値を入札の基本とするという形になってございます。
 したがいまして、これまでそういう意味で時価評価を確定いたしましたのは土佐の横浪基地、これを学校法人に譲渡いたしましたので、その際に時価評価を決定いたしておりますが、現時点ではまだそういう入札の状態になっておりませんので、時価評価は確定をいたしておりません。
保坂委員 五秒で済むことをいっぱい答えないでください。
 これは日本経済新聞から出ています「検証 特殊法人改革」という本で、年金資金運用基金について、前任者だと思いますが、矢野年金局長がこう言っているじゃないですか。「施設事業は時価の半額まで割り引いているが売却は進んでいない。」どうやって時価の半額まで割り引くんですか。時価が出せなかったら半額にならないじゃないですか。答えてください。
吉武政府参考人 時価の半額まで割り引きをいたしますのは、国有財産法の体系に基づきまして、先ほど申しました地元の自治体それから学校法人、こういうところが利用計画があるというときに時価の半額まで割り引くことをいたしております。
 したがいまして、私ども、そういう地方自治体に対しては時価の半額程度の割り引きになるということをお伝えしながら、自治体側で、そういうことで利用可能性があるかどうかというのを検討していただいているというのが現在の状況でございます。
保坂委員 何回聞いても余りにもむちゃくちゃなんで、私、スパウザ小田原はあきれましたけれども、こっちがまだ賢いかもしれないと思えてきたんですね。一億円以上かけて解体する、しかし買う人が全くいない。七億かけて解体する、だれも買いません。それで、固定資産税は毎年かかっていくわけですね。平成十一年から十三年度までの三年間で、グリーンピアだけで施設整備費二十三億円、固定資産税で二十億円、森林維持管理費等で、四十五億円かかっているんですね、これは。
 一体、こういう情報をしっかり出して、この年金積立金全体をどうやって守るかという決意のあらわれですから、大臣、どうですか、これ、きちっと国会に報告してください。
坂口国務大臣 施設につきましては、十七年度までに決着をつけることにいたしておりますし、その内容につきましてはすべて明らかにしたいというふうに思っております。また、年金の資産の運用等につきましても、今検討中でございますから、間もなくこの結論も出したいというふうに思っておりますので、そうしたことも含めまして皆さん方に御報告を申し上げたい。
 これらはすべて、大体、年金が来年改正をいたしますから、それに合わせてと申しますか、それまでに決着をつけたいというふうに思っている次第でございます。
保坂委員 よく聞いていただきたいんですが、雇用保険会計の建物については、国会での審議なしに勝手に売っ払っちゃったわけですよ、千五十円とか一万五百円とかで。解体費用の方が上回っちゃうわけです。ところが、今、グリーンピアに関しては七億計上されているんです。指宿というところについて、時価評価幾らなんだというデータもとらずに解体工事が入っちゃうんですか。少なくても、グリーンピアのそれぞれの、かなり、百万坪とか大変な広さですね、今どのぐらいの鑑定があるのか。果たして売る見込みが見通せるのか。それを見通せずして解体だけするというのはまた、逆に、千円だけ稼いで、こっちの方が賢かったなんという話にならないようにしていただきたいですね。それについて、答弁いただきたい、当委員会に出してください。
吉武政府参考人 グリーンピア指宿につきましては、地元の県それから地元の市町村でございますね、ここの御意向を現在確認をいたしております。それで、実は、地元の御意向がなかなか固まらないということがございまして、一度公募手続に入りましたけれども、残念ながら成立しないという形でございます。再度また地元の市町村を中心に検討していただいておりまして、私どもは、できますれば、この施設とともに、地元の自治体を中心にしたところへ譲渡をするということについて努力をしてまいりたいというふうに思っております。
保坂委員 時間がありませんので、委員長にお願いします。この時価評価について、委員会に提出いただくようにお諮り願いたいと思います。
藤井委員長 理事会で協議いたします。
保坂委員 さきの小泉総理の施政方針演説に対して、我が党の土井党首が代表質問でお尋ねをしました。このときには、累積利差損三兆円として、大体年金積立金の額は百四十四兆円となると、ざっくり答えられているわけなんですが、時価評価という言葉が内閣総理大臣から出てきたことに私は注目したい。
 この時価評価は、有価証券に限るのではなくて、貸出資産に対しても当然時価で再評価するべきだろう。財投を通して特殊法人に貸し出している資金の行方が大変気になる。この貸出資産の時価評価をする準備を大臣はされているかどうか。これはもう政治決断ですので、坂口大臣、お願いします。
吉武政府参考人 一つは、厚生年金特別会計あるいは国年特別会計から資金運用部へ従来から預託をいたしております。これは、法律に基づきまして、特別会計の積立金はすべて資金運用部に預託するという形にいたしておりまして、私ども、これまで資金運用部から、金利それから元本そのものを滞りなくいただいておりますので、そこの面では、私どもは貸付金について損失が生じるということはないんだろうというふうに考えております。
保坂委員 到底納得できない。
 というのは、先ほど、年金積立金はだれのものですかという単純な質問から始めさせていただきましたが、きのう、質問準備のために、平成十四年度版の厚生労働白書、昨年九月に出ておりますよね、こちらの資料編というところを読んでいて、何度か目をこすりました、これは本当かなと。これは、私が配付した資料の方に出ておりますが、「厚生年金の財政見通し」というところをちょっと見ていただきたいと思います。
 「厚生年金の財政見通し」のところを見ると、これは四百十九ページでしょうか、何と、大変な額が書いてありますね、平成十二年度で百八十一兆三千億円、十三年度で百八十四兆九千億円と。一緒にお配りした、その一つ前の、社会保険庁からいただいた年金積立金合計と比べてみると、これは、厚生年金の積立金だけで、平成十二年度で四十四兆、十三年度で四十七兆五千億の差があります。国民年金も合わせて積立金総計で見ると、十二年度で四十六兆、十三年度で五十兆、国債発行三十兆どころじゃないですね、五十兆違う。これはどういうことですか。
 この厚生労働白書、これは国民が見るんですね、みんな。どのぐらい、見通しどうかなと。その数字がこんな数字が書いてある。これは平成十一年度に計算した数字ですという答弁が出てくると思うんですね。しかし、見通しというのは未来のことをいうんです。もう既に終わった年についてもこんな数字を書いている神経がわからない。
 これは坂口大臣に。もう年金局長、いいです。ちょっと考え直していただけませんか。これは公的に出ているものですから、今の見通しがこれだけ違う、白書で五十兆とか四十兆違うというのはないんじゃないですか。
吉武政府参考人 今先生のお尋ねで、御説明だけ申し上げたいと思いますが、この年金財政の平成十一年度の財政再計算の際の年度末積立金でございますが、これは厚生年金基金の代行部分がございまして、厚生年金基金の代行部分は、厚生年金の報酬比例部分のうちの再評価、物価スライドを行わない部分が代行いたしております。したがいまして、厚生年金本体と全く同じ役割を果たしておりますので、厚生年金の代行部分も入れた計算でございます。
 先ほども先生がおっしゃいました数字は特会部分でございまして、この差は実は厚生年金基金の積立金でございます。
保坂委員 これについてはさらに精査していきたいと思いますけれども、見通しというものについては、これは将来のことですから、もう既に終わっている年度についてそういう金額があるということは、大変甘い計算を垂れ流している。したがって、国民からの預かり金だという意識が大変欠けているんじゃないかということを指摘しておきたいと思います。
 なお、保険料収入は、ここには二十二兆九千億とありますが、ペーパーをつけておきましたけれども、実際には、一番最後のペーパーですが、二十兆五百億が平成十二年、そして十三年度では二十三兆四千億とありますが、実際には十九兆九千三百億円で、それぞれ二・八兆あるいは三・五兆の差額が生じている。ここも指摘しておきたいと思います。
 見通しといっても、実際結果が出ているものについては書くべきじゃないか。いかがですか。
吉武政府参考人 保険料収入のところに、今申し上げました代行の問題がございまして、そこが包含されておりますが、確かに先生がおっしゃるとおり、最近厚生年金の保険料収入は低下をいたしております。
 したがいまして、私ども、今、次期の財政再計算に向けましたいろいろな試算を行っておりますが、その中では、足元の経済状況が厳しい姿をできるだけ反映しながら算定をしていくということを努力したいというふうに思っております。
保坂委員 年金の積立金というものがこれからどのように活用されていくのか、これまでの制度を抜本的に変えなければいけない、そういう議論をこれからしようというときに、やはりデータはしっかりと示していただきたいということを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。
 外務大臣と官房長官に同じ質問で伺います。
 イラクに対する攻撃の直前ということで、世界の世論がこの週末大変大きく動いたと思います。イラク戦争反対の大集会あるいはパレード、デモ、ラリーというものが、例えば、ロンドンのハイドパークでは五十万人から百万人、ベルリンでは五十万人、パリ二十万人、ローマも推定百万人、アメリカでも三十八万人。東京や全国各地でもあったようですが、私は、これは世界の各地で戦争を何とか直前でとめよう、もちろんテロにも暴力にも反対だ、しかし今回のイラク制裁の戦争については何とかとめられるんじゃないかという世界世論がうねりを見せていると思います。
 こういった世論というのは大変大きく歴史上作用するわけで、かつてのベトナム戦争でも、全世界で、ベトナム戦争に対して、戦争をとめろという声が巻き起こり、最終的には停戦合意に結びついた。
 川口大臣、そして官房長官、お二人に、このニュースをどう受けとめたか、そこに絞って御答弁いただきます。
川口国務大臣 報道については私も新聞等で見ております。イラクのこの問題に関連しまして、まさに大量破壊兵器の廃棄という問題ですけれども、平和的に解決をするためにあらゆる努力をするということは当然だと思います。そういう意味で、まさにイラクが、これはエルバラダイ事務局長やそれからブリクス委員長が言っているように、イラクが能動的に協力をするかどうか、これがかぎである、これをしなければ平和的に解決をしないということをニュースを見ながら思ったわけでございます。
保坂委員 官房長官にお願いします。
福田国務大臣 これは戦争に至らなければいいんですね、本当に。平和的な解決、これが望まれるわけでありまして、我々も本当にそう思っていますよ。そのかぎを握っているのは、やはりイラクがどういう態度をとるかということではないでしょうか。そのために国連決議一四四一も全会一致で決まったということもあります。国際社会の思いはその一点にかかっているということだと思っております。
保坂委員 きょうはイラク問題について、あえて、まあきょうも同僚議員から川口外務大臣、たびたび質問を受けておられますが、どうもこのところ壊れたテープレコーダーのように同じセリフばかり出てきて、国会での答弁席というのはやはり貴重ないわば政策形成の場所なんだという自覚がないんじゃないか。どうなんでしょう。一体、答弁の姿勢、国会の議論で何か川口大臣の認識が深まったとか、このように政策形成に対して議論を踏まえてこうしたとかいうことはあるんですか。最初から決めているんでしょう、答弁を。つまり、ほとんどこれのやりとりに意味がなくなっちゃった。大きいですよ、その責任は。
 答弁姿勢だけ伺います。
川口国務大臣 どういう点でそういうふうにお思いでいらっしゃるか具体的に教えていただければ、しかるべく対応したいと思います。
保坂委員 きょうは指摘するにとどめます。後ほど、それなら十二項目くらいお出しをしましょう。
 それでは、ここで、厚生労働大臣、外務大臣、官房長官、どうぞお引き取りください。
 それでは、都市基盤整備公団総裁に来ていただいていますので、本日私、大変残念なニュースを朝方聞きました。千葉県柏市にある、これは公団の草分けと言われるグリーンタウン光ケ丘、それから横浜市の日吉の住宅の住民たちが訴訟を起こされた。これは東京地裁で勝ったわけですね、住民側が。これからは値下げはしませんよと、これは公団側は、優先して入居をいただきますということで住民たちに御案内をして、そして買ってみたものの、二年余り募集が行われなかった。募集が始まってみたら、七百万とか八百万とか大幅に、二五%、三〇%も下回る、そういう価格で販売をされてしまった。値下げはしないということを何度も住民が念を押したにもかかわらず、住民との信頼関係がここで崩れちゃったわけですね。
 住民の提訴の内容はその差額を支払うべきだということでありましたが、裁判所はこれを認めずに、しかし公団の側にも説明義務に対して落ち度があった、これに対しては各人に百五十万ほど支払いなさい、総額六千七百万ですか、支払いを求めたという判決でした。
 大変、今、公団が今後の公共住宅を担っていけるかどうか、これから組織がえの議論も始まると思うんですけれども、一言総裁に伺いたいんですけれども、昨年、国土交通委員会で、この問題で公団の理事に問いかけたところ、値下げしないと言ったのに何で値下げしたんですかという質問に対して、いや、今は値下げをしないと説明したと答えているんですね。今は値下げしない、あしたはわかりませんと。
 総裁に伺います。今後、公団が値下げをしませんとか何々をやりますとか言ったときは、必ず今はをつけて聞かなきゃいけない、あしたはどうなるかわからない、こういうことなんですか。
伴参考人 二月三日に第一審の判決がございまして、きょう、控訴期限でございましたので、判決の一部について事実誤認というか見解を異にするところがございましたので、控訴させていただきました。
 今の御質問でございますけれども、契約時の値下げをしないという発言は、その時点の公団の方針として、提示した価格で引き続き販売努力を行っていくという姿勢をあるいは考え方を述べたものだと思います。非常にその後需給関係が激変いたしまして、そういった中で将来にわたって価格の見直しを一切しないというような趣旨ではございません。
 このことについては、実は類似の裁判でほかの判決が出ておりますけれども、将来の値下げをしない旨の約束あるいは保証をする趣旨と解すべきではないというような判決もいただいているところでございまして、そういうふうに御理解賜りたいと思います。
保坂委員 事実関係、一点だけ確かめておきたいと思います。総裁にもう一問だけ。
 これは光ケ丘についても、それから日吉の方についても、それぞれ平成七年十月、平成六年十二月に原告らと契約を結んだ後、平成十年七月に値下げした上で公募するまで一般公募を行わなかった。これは事実ですか。それは事実かどうかだけ伺います。
伴参考人 この建てかえの戻り住宅につきましては、建てかえの戻りの方のための分譲ということで、別に、別枠でつくっているものでございます。したがいまして、まず当該団地で希望者が入りまして満たした後、もし余った戸数がございましたら今度はほかの建てかえ団地で希望される方について入ってもらうようにするという仕組みになっておりまして、まだ余っていれば一般の方に分譲する、そういう仕掛けになっているわけでございます。
 したがいまして、この当該団地の皆さん方が契約された時点で直ちに一般公募はしない、ほかの団地の希望の方の入居を待っていたということでございます。
保坂委員 今の、国土交通大臣に一言感想を求めたいんですが、今回公団には、財政支出が、一般会計、特別会計の合計で、今審議中の予算案で、昨年の七百七十二億に比べて五百六十五億円のいわばプラス予算ですね、千三百三十七億円と、特殊法人全体の減額の中ではかなり目立つことになっています。今の総裁の答弁、そしてまたこの間問題にしてきた公団のあり方を見ていると、もう少し住民の目線に立って信頼回復に努めるという決意が少しでもにじまないかな、こう思うんですが、その点に絞って大臣の所感を伺いたいと思います。
扇国務大臣 先日、保坂議員と、廊下でだったんですけれども、このお話を伺いまして、私もこれを詳細に調べました。それで、私は総裁を呼びまして、なぜこういうことになったのかと。一番最初、平成四年に募集したときに百十二希望者があった、百十二人の希望者があったので百十二人用の分譲団地をつくった、そうすると、建てている間にだんだん数字が減ってきて、ついには三十八軒になっちゃったということで、それで私、言ったんです。だったら、分譲でお売りして、百十二の分建てたのに三十八になっちゃったら、あとずっと三年間空き家で幽霊屋敷みたいじゃないか、住んでいる人、大変じゃない、何でそれを賃貸にしなかったのと私言ったら、その途中に皆さん方に、あいているところを賃貸にしたいと申し入れたら、住民の組合の皆さんが、自分たちは分譲だ、賃貸の人と一緒に入ることは、私たちは違うということで賃貸にできなかったという事情もこれあり。
 そして、私は言ったんです。よくお金が三年間も、親方日の丸だからあったけれども、民間だったら三年間も、百十二つくって三十八だったら、とっくに倒産して会社なくなっていますよと。こういうことをしていたんじゃどうしようもないので、私は住民の皆さんの気持ちもわからなくはありません。けれども、これがたまたま公団だからとれるというようなことじゃなくて、そのときに、百十二の希望者が三十八になったんなら、あとは幽霊屋敷みたいになるから、皆さんと相談をして、どうして賃貸というのをもっとできなかったのかということも言ったんですけれども、今回はそういう双方の信頼関係が崩れていますので控訴せざるを得なかったという報告を受けていますので、今後は、民間だったらつぶれているという商売はしてはいけないということを言ってあります。
保坂委員 では、このテーマは終わりますので、どうぞ、扇大臣も総裁もいいです。
 法務大臣に来ていただいています。
 いろいろ刑務所問題では驚くんですが、こちらの「全裸受刑者に高圧放水」。例の革手錠は監獄法に一応書き込んである。これも監獄法改正が必要だと思いますけれども、どこの法律にも、真冬に真っ裸にして放水するなんということは、もう想定外ですよね。
 そういうことが起きて、しかも問題なのは、我が党の福島参議院議員が参議院の法務委員会でこの点をただしているんですよね。これは本当に不自然ですよ、肛門に自分で指を入れて腹膜炎で死亡したと言われているんですが、そういうことはあるのかどうかと。自分で指を入れて、翌日亡くなられた。これに対して矯正局長は、「自傷行為によると思われる腹膜炎を生じ、保護房の収容を解除した翌日、死亡に至ったものとの報告を受けているわけでございます。」という、これは全く虚偽答弁だったわけね、結果としては。
 これは責任重いですよ。大臣としてこの事態をどう受けとめているのか、簡潔に、まず所感を伺います。まず大臣からお願いします。
森山国務大臣 名古屋の刑務所で起きました一連の事件で国民の矯正行政に対する不信が高まっている中で、今回再び被害者死亡という重大な事件で新たな逮捕者を出しましたことは、まことにざんきにたえないところでございます。当初の刑務所からの報告が客観的事実に反するものであったということが明らかになったわけでございまして、本当に申しわけなく、遺憾のきわみでございます。
 これまで全国の矯正職員が、さらには教誨師とか篤志面接委員とか民間のボランティアの方々が一生懸命に築き上げてきていただきました矯正行政に対する信頼というのが、本当にこれで崩れてしまったということは本当に申しわけなく、被害者や遺族の方はもとより、国民の皆様に心からおわび申し上げたいと存じます。
 これまで、検察による厳正な捜査と並行いたしまして、法務省矯正局におきましても所要の調査を行っておりますが、この際、法務省といたしまして、省を挙げて行刑運営のあり方を徹底して見直すということにいたしまして、この十三日、法務事務次官を長といたしまして、官房長、関係局長らを委員とする行刑運営に関する調査検討委員会を設けました。
 今後、この委員会を中心に、名古屋刑務所事件の原因の徹底究明など、国民の不信を払拭するための所要の調査を行うとともに、抜本的な再発防止策を検討、策定することとしておりまして、一日も早い国民の信頼回復に向けて省を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
保坂委員 矯正局長にお答えいただく前に、私、まず答弁が虚偽であったということをわびていただきたいと思いますのと同時に、名古屋刑務所の現場では記者会見が行われて謝罪をされているようですが、以前あった警察の不祥事などですと、当然、都道府県本部長やそれに次ぐ部長さんが国民の前で謝罪されたんですね。今回、矯正局長は国民の前で、きちっと出てきて謝罪されましたか。何かそういう心構えが根本的に欠けているんじゃないかという気がします。そういう、これから謝罪する気、今大臣からはそういう言葉をいただきましたけれども、局長、いかがですか。
中井政府参考人 お答えいたします。
 委員御指摘の事案につきましては、名古屋刑務所から、自傷行為によると思われる腹膜炎を生じ死亡に至ったという報告を受けておりましたので、さきの参議院の法務委員会におきまして、その旨答弁いたしました。間違いございません。刑務所から私が答弁いたしましたとおりの報告を私ども矯正局が受けたということ、これは事実でございます。
 しかしながら、ただいま大臣が申し上げましたように、その後の検察捜査の結果、当時の刑務所の報告の内容自体が事実に反したものであるということが明らかになるに至りました。正直申し上げまして、痛恨ここにきわまる思いがしております。この事態の深刻さというものにつきましては、極めて大きく重い、矯正行政の根幹を揺るがすもの、かように受けとめております。
 故人、御遺族はもとよりのことでありますけれども、これまで矯正を支えていただきました国民の皆々様に対し、心から陳謝申し上げたい、かように思っております。
 本件の事実関係あるいは事件の原因等につきましては、大臣から徹底的に調査するよう御指示を受けておりまして、ただいま答弁にありましたように、行刑運営に関します調査検討委員会も全省的に設置されたところでございます。
 私どもといたしましては、これまでどおり、検察の捜査に全面的に協力するはもとより、この調査検討委員会におきまして、刑務所から事実に反した報告がなされた経緯、あるいはその背景等を含めまして、事案の真相解明に向けて徹底した調査を行うこととされておりますので、これにも協力するなどいたしまして、国民の信頼回復に向け職責を全うしたい、かように考えております。
保坂委員 法務大臣に簡単に伺います。
 昨年の予算委員会でたびたび外務省の問題が議論になりました。外務省はこの委員会で問題になった件について報告書を出しましたね。これは捜査中であっても、法務省もきちっとこの予算審議の中に、今最大限言い得る調査報告を出すべきじゃないかと思います。いかがですか、大臣。
森山国務大臣 現在、検察が入りまして徹底的に調査している最中でございますので、それらが一段落いたしまして、明らかになりました段階で御報告申し上げることができるかと思っております。
保坂委員 今回、過剰収容対策ということで、人員にして刑務官二百四十二人、人員増なんですよ。そして、予算もふえているんですね。これは、過剰収容対策と東拘の新庁舎の問題、どういう人をこれから入れるのかという最大の問題です。
 一点だけ指摘して、答弁を得て終わりたいと思いますが、今、東京拘置所に八十五歳の、冤罪を訴えておられる冨山常喜さんという八十五歳になっている死刑確定囚が、容体がどんどん悪くなって、森山大臣にも昨年尋ねましたけれども、そのときは車いす、今はもっと悪くなって、透析治療を受けている。しかし、透析の効果が全然出ていないという報告があって、これはもう獄死直前の状態だというふうに医療関係者は見ています。
 弁護団は、監獄法四十三条に基づいて病院に移送してほしいという申し立てをしましたが、この必要なしというふうにけられています。
 もう一回、人権という視点に立ち、そして、東京拘置所の中にどういう医療体制があるのか我々わかりません。医者が何人いるのか、集中治療室では二十四時間診ているのか、透析の機械がどの程度のレベルのものなのかわかりません。だから、しっかりと調査をして、もうこれは刻一刻と迫っているんです、この方の命は。しっかり対応していただきたい。答弁をお願いします。
森山国務大臣 おっしゃる事案につきましては、調査いたしまして対応したいと思います。
保坂委員 終わります。
藤井委員長 これにて保坂君の質疑は終了いたしました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時十一分散会


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