衆議院

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第14号 平成15年2月19日(水曜日)

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平成十五年二月十九日(水曜日)
    午前九時四十六分開議
 出席委員
   委員長 藤井 孝男君
   理事 斉藤斗志二君 理事 自見庄三郎君
   理事 杉浦 正健君 理事 萩山 教嚴君
   理事 宮本 一三君 理事 末松 義規君
   理事 原口 一博君 理事 細川 律夫君
   理事 石井 啓一君
      荒巻 隆三君    伊吹 文明君
      池田 行彦君    衛藤征士郎君
      尾身 幸次君    奥谷  通君
      奥野 誠亮君    亀井 善之君
      栗原 博久君    竹本 直一君
      津島 雄二君    中山 正暉君
      丹羽 雄哉君    葉梨 信行君
      萩野 浩基君    林 省之介君
      原田昇左右君    菱田 嘉明君
      福井  照君    松岡 利勝君
      松島みどり君    松宮  勲君
      三塚  博君    宮澤 洋一君
      持永 和見君    山口 泰明君
      山本 明彦君    井上 和雄君
      石井  一君    上田 清司君
      海江田万里君    河村たかし君
      鈴木 康友君    田中 慶秋君
      中村 哲治君    長妻  昭君
      平岡 秀夫君    細野 豪志君
      前田 雄吉君    山花 郁夫君
      吉田 公一君    米澤  隆君
      赤羽 一嘉君    斉藤 鉄夫君
      達増 拓也君    都築  譲君
      中塚 一宏君    西村 眞悟君
      樋高  剛君    小沢 和秋君
      佐々木憲昭君    矢島 恒夫君
      中西 績介君    日森 文尋君
      横光 克彦君    井上 喜一君
    …………………………………
   総務大臣         片山虎之助君
   法務大臣         森山 眞弓君
   外務大臣         川口 順子君
   財務大臣         塩川正十郎君
   厚生労働大臣       坂口  力君
   経済産業大臣       平沼 赳夫君
   国土交通大臣       扇  千景君
   環境大臣         鈴木 俊一君
   国務大臣
   (内閣官房長官)     福田 康夫君
   国務大臣
   (国家公安委員会委員長) 谷垣 禎一君
   国務大臣
   (防衛庁長官)      石破  茂君
   国務大臣
   (科学技術政策担当大臣) 細田 博之君
   国務大臣
   (金融担当大臣)
   (経済財政政策担当大臣) 竹中 平蔵君
   国務大臣
   (規制改革担当大臣)   石原 伸晃君
   内閣官房副長官      上野 公成君
   内閣府副大臣       伊藤 達也君
   防衛庁副長官       赤城 徳彦君
   総務副大臣        若松 謙維君
   財務副大臣        谷口 隆義君
   厚生労働副大臣      鴨下 一郎君
   厚生労働副大臣      木村 義雄君
   経済産業副大臣      高市 早苗君
   厚生労働大臣政務官    渡辺 具能君
   厚生労働大臣政務官    森田 次夫君
   経済産業大臣政務官    西川 公也君
   国土交通大臣政務官    鶴保 庸介君
   環境大臣政務官      望月 義夫君
   政府特別補佐人
   (内閣法制局長官)    秋山  收君
   政府特別補佐人
   (人事院総裁)      中島 忠能君
   会計検査院長       杉浦  力君
   会計検査院事務総局次長  白石 博之君
   政府参考人
   (人事院事務総局勤務条件
   局長)          大村 厚至君
   政府参考人
   (内閣府道路関係四公団民
   営化推進委員会事務局長) 坂野 泰治君
   政府参考人
   (警察庁長官官房長)   吉村 博人君
   政府参考人
   (警察庁生活安全局長)  瀬川 勝久君
   政府参考人
   (警察庁刑事局長)    栗本 英雄君
   政府参考人
   (総務省情報通信政策局長
   )            高原 耕三君
   政府参考人
   (郵政事業庁長官)    團  宏明君
   政府参考人
   (財務省主計局長)    細川 興一君
   政府参考人
   (財務省理財局長)    寺澤 辰麿君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房総括
   審議官)         鈴木 直和君
   政府参考人
   (農林水産省大臣官房長) 田原 文夫君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁長官) 岡本  巖君
   政府参考人
   (環境省大臣官房廃棄物・
   リサイクル対策部長)   飯島  孝君
   予算委員会専門員     中谷 俊明君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月十九日
 辞任         補欠選任
  大原 一三君     山本 明彦君
  奥野 誠亮君     荒巻 隆三君
  亀井 善之君     奥谷  通君
  丹羽 雄哉君     宮澤 洋一君
  山口 泰明君     林 省之介君
  石井  一君     前田 雄吉君
  海江田万里君     山花 郁夫君
  河村たかし君     井上 和雄君
  長妻  昭君     平岡 秀夫君
  中塚 一宏君     西村 眞悟君
  樋高  剛君     都築  譲君
  矢島 恒夫君     小沢 和秋君
  中西 績介君     日森 文尋君
同日
 辞任         補欠選任
  荒巻 隆三君     奥野 誠亮君
  奥谷  通君     亀井 善之君
  林 省之介君     山口 泰明君
  宮澤 洋一君     福井  照君
  山本 明彦君     松宮  勲君
  井上 和雄君     河村たかし君
  平岡 秀夫君     長妻  昭君
  前田 雄吉君     石井  一君
  山花 郁夫君     鈴木 康友君
  都築  譲君     樋高  剛君
  西村 眞悟君     中塚 一宏君
  小沢 和秋君     矢島 恒夫君
  日森 文尋君     中西 績介君
同日
 辞任         補欠選任
  福井  照君     竹本 直一君
  松宮  勲君     松島みどり君
  鈴木 康友君     海江田万里君
同日
 辞任         補欠選任
  竹本 直一君     丹羽 雄哉君
  松島みどり君     菱田 嘉明君
同日
 辞任         補欠選任
  菱田 嘉明君     大原 一三君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 会計検査院当局者出頭要求に関する件
 政府参考人出頭要求に関する件
 平成十五年度一般会計予算
 平成十五年度特別会計予算
 平成十五年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――
藤井委員長 これより会議を開きます。
 平成十五年度一般会計予算、平成十五年度特別会計予算、平成十五年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般的質疑を行います。
 この際、お諮りいたします。
 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣府道路関係四公団民営化推進委員会事務局長坂野泰治君、警察庁長官官房長吉村博人君、生活安全局長瀬川勝久君、刑事局長栗本英雄君、総務省情報通信政策局長高原耕三君、郵政事業庁長官團宏明君、財務省主計局長細川興一君、理財局長寺澤辰麿君、厚生労働省大臣官房総括審議官鈴木直和君、農林水産省大臣官房長田原文夫君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長飯島孝君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局次長白石博之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
藤井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
藤井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村哲治君。
中村(哲)委員 民主党・無所属クラブの中村哲治です。
 私は、小泉政権の問題点は大きく分けて二つあると思います。一つは、市場主義的な構造改革がまだ不十分であるという点。もう一つは、これがもっと悪いことだと思うんですけれども、構造改革というものには負の部分があります。市場主義的な構造改革をすれば、必ず貧富の格差も出てくる、弱者が出てくる、そういった負の部分に対して手当てする政策が十分にとられていない。社会を守るという観点、社会の連帯、コミュニティーの連帯を保障するという観点が非常に欠けているんじゃないか。それが小泉改革の一番悪いところだと私は思います。
 ある意味で、戦後、自由民主党を初めとして守ってこられたいい意味での保守政治というものが、一九八〇年ぐらいから非常に悪くなってきている。そこの抜本的な政治としての改革をしなくてはならないのではないか。私は、そのように考えて、二十代から、かわり得る政党をつくらないといけない、その思いで活動をしてまいりました。本日は、そういった意味で、社会を守る、社会の連帯を保障するという観点からの質問をさせていただきます。
 まず第一に、昨日、生命のメッセージ展というものがこの国会でもありました。法務大臣、国家公安委員長も出席なさったと聞いております。そこでの話を少しさせていただきたいと思います。
 トラック業者による交通事故、それに対する被害者の補償、また加害者であるトラックのドライバーに対するケア、取り組みというものが果たしてなされているのかどうかということが問題となります。
 と申しますのは、構造改革を進めれば進めるほど市場主義的な競争が起こります。そして、今、トラック事故による被害者の方たちがおっしゃっているのは、このような構造改革が進めば進むほど過当競争が激しくなる、そうすると、ドライバーの過剰な労働環境、過労が生じさせられてしまう、その結果事故が起こる、そういったことが切実に訴えられています。これは、各省庁を超えて取り組まないといけない課題だと私は感じています。
 そこで、国土交通省にまずお伺いいたします。
 こういった事故を起こしたドライバーを雇っているトラック業者に対する監査はきちんとしているのでしょうか。監査をする以上、きちんと生きる形にしていかないといけませんが、そこの運用はどのようになさっているでしょうか。
扇国務大臣 今、中村議員から御質問がございましたトラック業界、特に交通事故を起こした後どうするか。大事な点だと思っておりますけれども、今、交通事故の死亡者は、御存じのとおり、昨年には八千三百二十六名ということになりまして、目標を達成いたしまして、少なくとも、八千四百六十二人目標だったのがそれを下回ったわけですから、下回ったことだけは了といたしますけれども、かといって、事業用のトラックは死亡事故の約八%を占めています。
 そういう意味では、一たび事故が発生したときに大変大きな被害を大型であるだけにもたらすということで、最も重要な課題の一つであると国土交通省でも認識しておりまして、トラック事業者に対しまして、これまでも機会あるごとに注意をし、安全の規制の強化、そういうものを指導はしてきておりますけれども、安全確認の徹底を図って、少なくとも、危険運転致死傷罪を設置した刑法の一部改正を踏まえまして、飲酒運転等の悪質な、危険な運転行為によります事故防止に万全を期するようにということを徹底いたしております。
 ちょっと風邪ぎみで、声がかすれて済みません。
 本年四月から、少なくとも飲酒運転の処分等を強化して、厳正に監査そして処分を行っているというのが現実でございます。
中村(哲)委員 大臣、さらに聞きますけれども、監査をしたときに、監査というのは業者からの報告書をとることが基本となっているんですね、その業者からの報告の信憑性を確認する必要があると思うんです。そこがきちんとなされているのかどうか、そこが今問題なんです。遺族が問い合わせても、それは確かめていませんというふうに答えられる。少なくとも遺族に対しては、この報告書で遺族としては納得しますかということを問い合わせる必要があると思うんですが、いかがですか。
扇国務大臣 遺族に対してまでは私ども至っていないと思っておりますけれども、事業者に対しては、少なくとも酒酔い運転をして事故を起こした場合というのは、確実に監査に入っております。そして、少なくとも今までは、ひどい場合は営業停止も含めてという監査を今行っているというのが現実でございます。
中村(哲)委員 私は、遺族の確認をしていただきたいと思うんですね。そこを一点、いかがですか。
扇国務大臣 私は、事業者に監査に入ったときに、その会社の監査のときに、事業者がどういうことを言うのか、遺族に対してこうこうこういう事情でという、遺族と話し合ったとか、そういうことも監査のときに事業者から報告があると思いますので、もしもその報告に疑義が持たれるときには、監査に入った意味がありませんから、監査というものは遺族の意見まで聞くというようなことが、事業者の態度によっては私はあり得るべきだと思っています。
中村(哲)委員 そのあたりのところをきちんとしていただきたいと思います。
 次に、厚生労働省にお聞きいたします。
 このトラックの業者の問題としては、ドライバーの過剰な労働条件というものがあると言われております。しかし、事故が起こったときに労基署がきちんと監査、監督しているのかどうかというところがまた問題となっております。このトラック業界のドライバーの過剰な労働条件ということに関しては、厚労省はきちんと把握しているんでしょうか。
坂口国務大臣 運転手が事故を起こします場合に、長時間労働等の場合があって、そして一つの企業に例えば多発をしているといったようなことは当然起こり得る話でありますから、トラック運転等をやっておりますそういう企業に対するふだんからの、いわゆる長時間労働等につきましては、監督署からも鋭意指導をしているところでございます。特にこのトラック業界におきましては、その業務上、長時間労働にどうしても陥りやすいということがありますので、特別に上限等を設けまして、その中でやっていくといったようなことを今やっているところでございまして、そういうことも我々としてはこれからも心がけていかなければならないというふうに思っております。
中村(哲)委員 事故を起こしたときの当該ドライバーの労働条件について、改めて労基署から調査なり監査なりする必要があると思うんです。大臣、そこをどういうふうに今後取り組んでいくのか、そこについての御答弁をよろしくお願いします。
坂口国務大臣 事故を起こした人全部を監督署として見ていくということはなかなか難しいというふうに思いますけれども、ここは警察とよく連携をとりながら、そして、これは長時間労働による疑いがあるというものにつきましては、私たちもそのことを実は調査しているところでございます。もう一つ我々が関係することといたしましては、労災であるという申し出がありましたときには、そのことに対して我々すぐに調査をいたしております。その二点だと思います。
中村(哲)委員 遺族が労基署に、長時間労働があったんじゃないか、そのことについて調べてくれと言ったときにどのような対応がなされているのか。一説によると、企業から訴えられたら困るので、遺族には、そういったことは言えませんと労基署の方は言っているという話を聞いております。この点については、大臣、どのようにお考えですか。
坂口国務大臣 私も具体的に知っているわけじゃありませんけれども、そういうお申し出があれば、それは調査の対象にするだろうというふうに思います。それは、交通事故の問題であれ、一般の労働者の問題であれ、長時間労働がここは多いというような情報がありましたところには調査をしておりますから、交通事故の場合にそういう申し出がありましたら、それは調査の対象になっていくだろうというふうに思っています。
中村(哲)委員 このトラック事故の問題というものは、企業側の問題、そして労働者の問題、それから交通事故という道路交通法上の問題、さまざまな問題が複合しております。この問題については、これからも非常に粘り強く取り組んでいかないといけないと思っておりますので、続きは法務委員会でしたいと思いますけれども、最後に、国家公安委員長、こういったことの解決のために、刑罰として、今後、交通事故、またこれは営業状態、営業に基づく交通事故ですね、特別な刑事上の法体系が必要なんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
谷垣国務大臣 今の中村委員の御質問は、トラック事故のときに、実際に運転して事故を起こした者、これはもちろん、先ほどからの御議論のように、刑罰なりいろいろなものがあるわけですが、その背後の経営のあり方とか労働のあり方にまで踏み込んだ刑罰体系が必要ではないかという御趣旨ではないかと思うんですね。私も、背後責任というものを追及して、その安全運転の運転管理の徹底を図ることが大事だろうと思います。
 それで、御質問を機に私も道路交通法の該当部分を読み直してみたんですが、かなり制度としてはでき上がっているという感じがいたします。
 具体的に申しますと、使用者等がその業務に関して過労運転であるとかあるいは過積載というような違法行為を命じている、あるいは命じないまでもそれを容認していた、こういう場合には使用者に罰則を科すことができるというふうになっておりますし、さらに、過労運転等の違法行為を防止するために適切な運行の管理を怠っている、行っていない、こういう使用者に対しては、必要な措置をとるように公安委員会が指示をすることができる、また、道路における交通の危険を防止するための措置として、自動車の使用を制限する制度、こういうものも設けております。それから、これに加えまして、事業用自動車の運転者の道路交通法違反行為などにつきましては、監督行政庁である国土交通省に通知をして所要の行政措置を促すというような制度も設けられておりまして、こういう制度を我々も十分活用して、トラックに関する事故をもっと減らしていくように努めなければいけないと思っております。
中村(哲)委員 今おっしゃったように、制度はきちんとできているんです。また、制度ももっと整備をしなくてはいけないと思うんですけれども、より大事な問題は、制度ができていてもきちんと運営されていないんじゃないか、その思いが被害者の皆さんは強いんです。だからそこを、きちんと運営はしっかりやっていく、約束していただけますね。
谷垣国務大臣 制度の趣旨を十分踏まえまして、トラック事故をさらに減らしていくように、運営に、国家公安委員会としても督励をしてまいりたいと思っております。
中村(哲)委員 ありがとうございました。国土交通省の扇大臣、また国家公安委員長の谷垣さん、もう結構ですので。
 次に、予算書の提出時期について伺います。
 吉田公一委員の二月十三日の質問で、予算書がこれだけ提出されたという話もされました。そして、上田清司委員の二月十七日の質問では、予算書を精査しての質問がなされました。
 しかし、ここで問題なのは、予算書の国会への提出は一月二十四日なんです。この資料の第一ページを見ていただきたいんですけれども、議案の提出は一月二十四日になされている。閣議決定は十二月二十四日なんです。一カ月もたっているんです。予算審議が予算書を精査して本来なされるものであるのならば、閣議決定をしてすぐ国会に提出されないといけないのではないかと私は思うんです。そして、国会議員はその予算書をきっちり見て予算を審議する、これが本来あるべき予算委員会のあり方なんじゃないか。
 しかし、そう考えると、この一カ月のギャップというのは非常に長過ぎるんじゃないか。なぜこの一カ月というタイムラグがあるのか、そこについて、財務大臣、お答えください。
塩川国務大臣 これはやはり現場に当たっていただくのが一番、実情を見ていただくのがよくわかると思うんですが、実は、閣議決定いたしますね、それは百万単位で決めておるんですね。そして、それを予算書にしますとき、各省持ち帰りまして千円単位に切りかえて精査しておるんです、千円単位に。百万単位から千円単位に変え、計算をしておるんです。この作業がどうしてもやはり一週間ほどかかっちゃうんです。それから、それをまとめまして印刷所へ出します。印刷所に出しまして、作業いたしまして、正月休みでもずっとやりまして、最低三週間はかかる。(発言する者あり)いや、ばかなと言うけれども、実際それぐらいかかるんですよ。(発言する者あり)
藤井委員長 御静粛に。御静粛に願います。御静粛に。
塩川国務大臣 だから僕は言っておるんです。現場を見てやれと言うんです。一回現場を見てからの判断をしてもらわな困る。
 そして、印刷にかけます。そして、校正をしなきゃならぬのです。この校正が、虎ノ門の印刷所でやっていますから、これは一回現場を見てやっていただいたらわかると思うんです、どうして予算書ができておるかという。これをいたしますのに、千人からの人間がずっとかかり切って読み合わしておるんです。それが非常に時間がかかるんです。そして、詰めまして、せいぜい速くやりましても大体十四、五日はもう絶対かかります。そこへもってきて、ことしの分は補正予算も一緒にやったんです。ですから、非常に日数がかかったということでございます。しかし私は、せいぜい、精いっぱいやってこの日数だったと思うんです。それは、一回、予算作成の現場をずっと見てやっていただいたらよくわかると思うんです。
 ですから、もう正月も返上して一生懸命編成していますから、できるだけ早く出すように今後も努力いたします。いたしますけれども、そういう物理的な制約もあるということを見ていただきたいと思います。
中村(哲)委員 塩川財務大臣がおっしゃった、現場を見てくれという意見は、確かにそれは私ども委員としても聞かなくてはいけないかとは思うんですが、例えば、今もうこれだけデジタル化が進んでいる時代です。だから、現実に印刷をしなくても、予算委員にだけ、予算委員というか国会議員にだけはデジタルデータで配るという方法もあるんじゃないですか。例えば、全部の議員室にはパソコンがあります。エクセルのデータで、表計算ソフトのデータで出すことにすれば、技術的には可能じゃないですか。そういうことも含めて、もう少し早く情報開示をする方法を考えるべきなんじゃないですか。
谷口副大臣 今塩川大臣がおっしゃったように、大臣自身が現場を拝見されて、この大変な状況を見られたわけでございますけれども、閣議決定から予算書作成までに単位の切りかえがございますし、また、ちょっと大臣、言及されませんでしたが、一般会計と特別会計と政府関係機関の全体で千八百ページあるという、やはり膨大な予算書のことでございますし、また、この作成作業のほか、関連作業として予算の説明また各目明細書も同時につくるということがあって、かかっておるわけでございます。
 また、今中村委員がおっしゃったような、電磁媒体を使えばというようなことなんだろうと思いますけれども、これにつきましても、平成十三年度より本格的に運用させていただいておりまして、各省庁との間の計数データの交換を初め、印刷原稿データの交換について、省力化をできるだけ図るということで、極力早期に提出をさせていただきたいというように頑張っておるところでございます。
中村(哲)委員 電子媒体の話は答弁になっていないじゃないですか。それは、政府内部では電子媒体でやりとりはしているけれども、こちらには電子媒体として出すつもりはないということと同じじゃないですか、今の答弁は。
 事ほどさように、補正予算も出すかどうかは、それは政府の判断の勝手でしょう。閣議決定が十二月二十四日になるというのも勝手じゃないですか。だから、きちんと十分な審議をすべき、そして年度内に通すということであるのならば、ここはもっと早く情報公開すべきなんじゃないですか、どうなんですか。
谷口副大臣 今委員がおっしゃった、例えばCD―ROMで出すといったようなことをしましても、このスケジュール感で見ますとそんなに早期に提出をできるというような状態にならないわけで、財務省といたしましては、委員のおっしゃるように、なるべく早く決定をいただいた後に提出をさせていただくように、極力努力をいたしておるところでございます。
中村(哲)委員 これは、何日間で予算を提出しないといけないかという法的な決まり、今はありませんよね。だからこそ、立法府と内閣との信頼関係がすごい大事なわけですよ。
 審議をする上でデータというものは確実に必要なわけですから、ここを延ばせば延ばすほど、私たちは実質的な審議をしなくて済む。立憲主義の原則また三権分立の原則からすれば、立法府は政府から上がってきた予算を厳しくチェックするというのが議会の第一の目的じゃないですか。そこをいわば換骨奪胎するための方法として予算書を提出するのをおくらせる、そんなことあっていいはずはないじゃないですか。一カ月かかるというのも、もう少しきちんと資料でまた私たちに提出していただけませんか。
 委員長、ちょっとどうですか。
谷口副大臣 冒頭お話をさせていただいたように、印刷局の職員を初め、寝る時間も惜しんでやっておるわけでございます。大変な作業をやっておるわけです。
 それで、おっしゃるような作業日程については、これはお渡しできる資料はございますので、これは見ていただければ大変なその状況を御理解いただけると思いますので、この資料について出させていただきたいというふうに思います。
中村(哲)委員 この問題については、予算の編成のやり方とかいう抜本的な問題にかかわってくる問題だと思いますので、今後とも取り組みをさせていただきたいと思います。
 次に、予算の単年度主義について伺います。
 やはり今経済がこんな状態で、先ほども同僚議員とお話をさせていただいて聞いているのは、単年度主義が予算執行の大きな弊害になってきている、そして経済にかなり悪影響を与えているという話を聞いております。
 そこで、塩川財務大臣、予算が単年度で使い切りにならないといけないんじゃないか、そこの制度をそれこそ構造改革していく必要があるのではないかと考えるのですが、いかがですか。
塩川国務大臣 もっと予算の行使に多様化してもいいと思いますけれども、これは今財政法で一定の縛りがございますので、法改正が伴ってくる問題だと思っております。よく検討いたしたいと思います。
中村(哲)委員 つまり、財政法の縛りがあるから今はなかなかできないと。ここはやはり構造改革という意味でも、財政法を変える、それぐらいの意気込みがないといけないと思うんです。今のは、財政法を変えることも積極的に検討するという意味でいいですね。
塩川国務大臣 これは、いろいろ解釈もございまして、広く解釈すると憲法問題にも関係してくるということもあるし、いろいろと各法令との関係がございますので、よく精査してやっていきたい。私は、ちょっと感じとしては簡単に進むことではないけれども、検討して努力をするということはやってみたいと思っております。(発言する者あり)
中村(哲)委員 不規則発言にありますけれども、行政へのチェックと同時に、そのことによって行政のむだ遣いが非常に横行しているということもあるわけでして、そこのバランスは非常に難しい。先ほどの予算書の提出時期がいつかという問題とも関係してくる、立法府と内閣との関係の問題に大きくかかわる問題ですから、ここは非常に大きな議論をしていかないといけないんですが、ここの議論をしながら、そのような検討も今後していかないといけないと私は考えております。
 次に、脱北者の問題について伺います。
 資料の二ページを見ていただきたいんです。四番目の項目に今入っております。
 先日、私は、北朝鮮からのいわゆる脱北者の問題について質問をさせていただきました。そこでの質問に対する答弁が非常に不十分であったから、二月四日に質問主意書を提出させていただきました。その回答が以下のとおりに示されております。私は質問主意書の中で、「脱北者のプライバシーや安全確保、更には北朝鮮に残された家族の安否にどういう影響を与えるのか、具体的に示されたい。」ということで、情報開示に伴う問題点についての質問をさせていただきました。そうすると、答弁の方は、プライバシーを保護する観点、また安全に配慮するとの観点から、明らかにすることは差し控えさせていただくという答弁が返ってきていました。これは質問と答えが一致していないんですね。私は、明らかにすることがどういう影響を与えるから答えられないのか、そのことをお聞きしているんですが、そこには、影響を与えるから明らかにできないとしか答えていなくて、理由は書かれていないんです。
 外務大臣、ここはどういう影響を与えるからということなんでしょうか。
川口国務大臣 私どもが一番避けなければいけないと思っておりますのは、だれがその人かということが何らかの形でわかってしまうということであるわけです。その結果として、その御本人の身の安全や関係者あるいは北朝鮮に残った家族の人に影響が及ぶということを恐れているということでございます。
 恐らく、そう申し上げると委員は、数を言うことが何でではその人がわかるということにつながるのかというふうにお思いになられると思います。それは、そういうふうにお思いになられるのはもっともだと思いますけれども、若干想像力をたくましくしてお考えいただきたいんですが、例えば、一度数字をお出しします。そして、恐らくその一年後の数字をお聞きになられるでしょう。そうやって、こうやって出していくということになりますと、一回お出しして次はお出ししませんということになりませんから、例えば、その一年間に、極端な話ですが一人いたと言うと非常にわかりやすくなってしまうケースが考えられるわけですね。これは一例でございますけれども、それから、その関係国の政府の立場もあると思います。何人を何年間で日本に行くように計らったかと。そういうことが今後の脱北者の動きに影響を与えるということもあるだろうと思います。
 いずれにしても、何らかの形で本人のアイデンティフィケーションにつながるようなこと、ここにいくことを、本人の安全、家族の安全、プライバシーのために絶対に避けたい、そういうふうに思っているということでございます。
中村(哲)委員 先ほど大臣は、人数も知らせないことに関して不満があるということはもっともだとおっしゃいました。
 しかし、先ほどおっしゃったように、一年後の数字を聞くとまた違ってくるということになると、一つ妥協案としてあるのは、何名までとは言わずに、どれぐらいのオーダーだ、例えば二十数名だとか三十数名だとか百数十名だとか、そういったぼやかした数字で概算を言う、それは方法としてあるんじゃないかと思うんです。
 なぜこういうことが必要かと申しますと、例えばこの受け入れした人たちに対して支援立法を考えるのであれば、予算のことも含めて大体どれぐらいの数の人たちが法案の対象者になるのか、そこはやはりつかんでおかないと法案審議ができないと思うんです。
 そういった意味で、妥協案として、何名までということではなくて、概算の数字、大体何名かということは言ってもいいんじゃないですか。
川口国務大臣 脱北者が日本でちゃんと暮らしていけるようにするための支援を政府として考えていくということは、私は大事なことだと思っています。委員がおっしゃるように、そのために大体何人ぐらいという見当がつかないとできないということももっともだと思います。
 そういったことと同時に、先ほど申し上げたような、本人がわかってしまうということをぜひ避けたいということのはざまにあってこれは非常に難しい問題であるわけでございますけれども、今、どれぐらいかということについては、この前薮中局長から何十人ということであるということを申し上げた、そこまでは申し上げられますけれども、それ以上についてはなかなか難しいと思います。
中村(哲)委員 この問題については、昨日、このような形で報道もされております。新しい脱北者の方が北京の日本人学校に駆け込んだという記事も報道されております。そういったことで、これからこの何十人という人たちがどういうふうにふえていくのか減っていくのか、そういうことも踏まえながら考えていかないといけない問題なんですね。
 この間からの外務省の答弁というのは、行政府は情報を抱え込んで、私たち立法をする者に関しては情報を伝えない、そういう姿勢だと受け取ってしまうわけですよ。しかしこれは、立法も行政も国政に携わる者すべてが同じように情報を共有化して議論すべき問題なんじゃないか、私はそう思うんです。だから、もし悩みを共有化したいのであれば、ある程度の情報を今後開示していくようにお願いいたします。
 資料がありますから、その続きを申します。
 質問主意書で、保護した方々のうち、我が国に滞在している方々はどのように生活しているのか、仕事についているのか、日本国政府の支援内容はどうなのか、NGO等の支援を受けているのかということを聞かせていただきました。
 そうすると、答弁書の中にはこのように答えられております。「親族等からの支援を受けられないような場合には、自立した生活を送ることができる環境を早期に整えることができるよう、政府として必要な対応を行ってきている。」このようにお答えになっています。
 この「政府として必要な対応を行ってきている。」ということの具体的内容はどうなんでしょうか。これは官房長官ですね。
川口国務大臣 外務省としてやっているところというのは、日本に入ってきて生活を始めるというところでございますけれども、基本的に、御本人が自立をなさる、あるいは関係の親族の人がそれを支援する、そしてNGO等の支援者が手伝う、そういう形で暮らしていらっしゃるわけですけれども、それぞれがプライバシーでございますので、それを政府として、公的な機関として入っていって、どうやって暮らしているかということを調べるということは控えるべきであると思っています。
 外務省としてお手伝いをしているということは、例えば、生活保護を受けるための手続等、それから住居を探さなければいけませんのでそういったことのお手伝い、その程度のことをやらせていただいているということです。
中村(哲)委員 それは、日本国籍を有する者、また有しない者すべてについて同じようにされているということですか。
川口国務大臣 答えは、そういうことでございます。
中村(哲)委員 その費用は、予算のどこから出ているんでしょうか。
川口国務大臣 外務省の予算からいいますと、貸し付けの予算が若干あるということでございまして、生活保護の手続をお手伝いするとかそういったことについては特に予算を必要としない。ですから、人件費の範囲内でということで、職員がやっている、そういうことです。
中村(哲)委員 それでは、急な話なんですけれども、本日報道されているこの脱北者の問題について少しお聞きいたします。
 難民条約によると、難民の定義は以下のようになっています。一、自分が国籍を有する国、国籍国の外にあり、二、人種、宗教、国籍、特定の社会的集団の構成員であること、三、迫害を受ける十分に理由のあるおそれが存在するために、四、国籍国の保護を受けることができず、または国籍国の保護を受けることを望まない者、この四要件が難民の定義であります。
 そうすると、この脱北者四人というのは、明らかに難民条約上の難民の定義に当てはまると考えるんですが、いかがですか。
川口国務大臣 これは一概に申し上げるということが難しくて、個々の事案による、個々のケースによるということです。
 したがって、今回のケースにそういうことが当てはまるかどうかはわかりませんけれども、一般的に申し上げますと、我が国としては、申請者の人定事項の確認をする、希望を聴取して、そしてこの人の生命あるいは身体の安全が適切に確保されるかといった人道的な観点、そして関係国との関係という観点、それを総合的に考量して、具体的な対応については検討をする、そういうことでございます。
中村(哲)委員 私は、このケースについては、どこで難民認定の判断をするのか、つまり、日本でするのか中国でするのかということが非常に大きな分かれ目になると思うのです。今、日本の領事部に身柄があるということですから、私は、日本で、日本国が難民認定の手続をすべきなんじゃないかと考えますが、いかがですか。
 それは、この四人の人たちが日本で難民認定の手続を受けたいという希望をしているということ、それから、過去の経緯を含めても、人道的な観点を考えると日本でやった方がいいのではないかということがうかがわれること、その二点が理由なんですが、いかがでしょうか。
川口国務大臣 我が国において、申請者が難民条約に定義をされる難民に該当するか否か、この判断は出入国管理法そして難民認定法で行われるわけですね。そして、その手続によりますと、難民の認定の申請をすることができるのは、本邦にある、日本にいる外国人であるということでございます。本邦外にいる外国人は難民認定を受けることができないということになっています。
 それではどうするかということですが、外国人が日本の在外公館に対しまして庇護または第三国への亡命を求める場合、この対応につきましては、これはまさに個々の事案によるということでございますので、一概には言えませんが、一般論としては、先ほど申し上げたようなことに戻るわけです。
中村(哲)委員 この問題についてはまた引き続き法務委員会などでもさせていただこうと思っておりますが、これからこういう問題はたくさん起こってくるのです。日本として外国人をどういうふうに受け入れていくのか、そういうことは大きく問われる問題になると思います。
 日本という国は、古くから、律令制度の時代から、外国人を受け入れて、さまざまな文化を自分たちに取り入れる中で国が発達してきた歴史もあります。そういったことを考えると、積極的に受け入れていく、人権の観点から受け入れるという感覚が、日本国に世界から問われるんじゃないかと思うのですね。だからこそ、ここは外務大臣にも、もう少し情報を公開した上で、今後この問題についても日本国民にしっかり訴えかけていただく、そして国民の理解を得ていただくというふうな方向に話を持っていっていただきたいと思います。
 それでは、これでこの質問は終わりますので、内閣の方も、外務大臣も御退席ください。
 では、次の質問に移ります。
 五番目、民間委託による職業訓練についてです。
 昨年四月十七日の厚生労働委員会で、我が党の加藤公一委員が坂口厚生労働大臣に質問をさせていただいております。これはどういうことかと申しますと、今政府の方で、五年間で五万人のキャリアコンサルタントを設けるという方針が出ております。しかし、その人たちがどこで働くのかということは余りはっきりしていません。私たち民主党の議員の中で今考えていることとしては、イギリスの民間委託の制度を私たちも、国も導入すればいいのではないかということでございます。
 厚生労働省とお話をしていて、私たちも民間委託していますとおっしゃるのです。しかし、どこに委託するのかはすべて官が決めているのです。しかし、イギリスの制度では、それは労働者の方が決める。そして、職業訓練を担当する民間企業は、労働者に投資をします。そして、その労働者がきちんと再就職できたら、その時点で補助金を成功報酬として与える。また、三カ月間雇用が継続していれば、その時点でさらに補助金を与える。そういった成功報酬型の職業訓練、民間活力の利用というのがされているわけです。
 このいいところは、どういった職業訓練をすれば再就職に結びつくのか、ここに民間企業同士の競争原理が働きます。そして、成功報酬ですから、政府の側としてもむだなお金を使うことはない、こういったメリットがあるんです。
 だから、今政府がやっている民間委託と私たちが言っている民間委託では、そういった意味で、市場原理を利用するという意味で大きな差があると思うんですが、大臣、今後、この、結果を見ての成功報酬という形の民間委託に関してはどのように取り組まれますか。
坂口国務大臣 一番最初、キャリアカウンセラーのお話が出ましたが、これは五年間で五万人ということで、十四年に約一万人できたというふうに思っております。
 それで、この人たちは、人によりますが、ハローワークで働く人たちもおりますし、それから企業の中でそれぞれ雇用問題をつかさどる人たちもおみえでございますし、また民間の職業関係の機関で働かれる人もあるだろうというふうに思っております。このキャリアカウンセラーの間でできるだけ、もうその皆さん方があらゆる地域で働いていただいていて、そしてその皆さんのいろいろの立場の情報を交換して、そして一つの方向に行けるように一つはしたいというふうに思っております。前提の話でございます。
 それから、その次に、民間機関に成功報酬的に費用を支払うべきではないかというお話がございました。
 それで、私は、どこの民間企業にお任せをしてもいい、どこでもいいということになってしまうと、これはやはり少しルーズになり過ぎる、余り適切でないところも入ってくるわけでありますから、どういう民間機関にゆだねるかという、そこの設定はやはりやらなければいけないんだろうというふうに思っています。その設定しました民間企業の中のどこに行くかは、それは個人にお任せをするということでいいのではないかというふうに思います。
 その後、その成果が、成功報酬にして、上がればいいし、上がらなければだめだ、それは確かにそういうことを考えなければいけないわけでありますが、今国がとっておりますのは、機関として多くの人を就職させた、そういう優秀なところに対しましては、より多くその人たちを優先的に委託するといったことをとっておりまして、直接的ではありませんけれども、間接的な競争原理というものを導入しているというふうに思っております。
 ここのところは、しかし、委員が御指摘になりますようなことは十分検討に値する話でございますから、今後とも検討していきたい、こう思っております。
中村(哲)委員 直接的な競争原理の導入については明確に検討するとおっしゃったので、今後検討していただきたいと思います。
 それでは、厚生労働大臣、ここで結構でございます。
 それでは、前回に引き続きまして、公務員制度改革について質問をいたします。六番目以降の項目であります。
 資料の三ページを見てください。これは、二月十三日の島聡委員による予算委員会の質問の未定稿でございます。島委員は、いわゆる公務員の採用試験の二・五倍、四倍問題について質問をしました。その中で、島委員は中島人事院総裁に、「あえて二・五倍という結論を出した理由を言ってください。」という質問をしました。それに対する中島人事院総裁の答弁は議事録にあるとおりです。少し引用しますと、「就職浪人というのがことしも昨年よりは多くなっておるということがございますし、」とおっしゃっております。また、多様な人材が確保できたかということについても、「必ずしもそういうふうになっていない」というふうにおっしゃっております。
 そして、これを受けての石原大臣の答弁の中にはこのように書かれております。「経過期間であるので二・五倍を維持したと総裁は申されていたんだと私は理解させていただきました」というふうに答えられています。
 しかし、これは、議事録で見る限り、中島人事院総裁がおっしゃっていることと、石原大臣が中島人事院総裁はこうおっしゃったということと、全く違うんですよ。中島人事院総裁は、経過期間であるので二・五倍にしたとは言っていないんです。
 それは、次のページから載っております、人事院の発表した資料にも明らかです。四ページ目は、一・九倍から二・五倍になったときの内定者の変異が書かれております。そして、五ページ目と六ページ目を比べていただきたいんですけれども、六ページ目が、十三年度の合格者の人らがどういうふうに採用されたかです。そして、五ページ目が、昨年どのように採用されたかです。
 この表を比べてみたら、採用されている大学というものはほとんど変わらない。そして、合格者がふえた分だけ採用されていない学校というのはふえているんですよ。ということは、必ずしも、合格増ということが多様な人材の確保ということにはつながっていないということは明らかなんです。
 そして、七ページを見てもらってもわかるとおり、官庁訪問の時期についても、ことしから改善が図られるということですけれども、最終合格の時期が早くなれば賛成ということで、こういったことはやはり就職浪人ということにも大きく関係してくるわけですね。
 さて、石原大臣、中島人事院総裁は経過措置であるので二・五倍を維持したと申されてはいないと私は思うんですが、この点についての認識をお伺いいたします。
石原国務大臣 私の言った意味は、平成十五年度採用試験の合格者の規模についてはもう一度二・五倍として様子を見てみたいと中島総裁が委員お示しの資料の中で言われておりますね、それを聞きまして、この延長線上のものと思われることから、私のボキャブラリーの中で、経過期間であるので二・五倍を維持した、そういう意味で言ったわけでございます。
中村(哲)委員 ということは、石原大臣も、人事院総裁がおっしゃっているように、一・九倍から二・五倍にふえたことで就職浪人がふえている、そういった問題、また、多様な人材を確保できたのかといったら必ずしもそうはなっていないという問題、こういった問題はあると御認識されているということでよろしいですね。
石原国務大臣 就職浪人という言葉が試験の内定者と採用された人との差を指しているとしたら、それはふえるのは当然ですよね、そういうふうに仕組んだわけですから。
 しかし、その一方で、省庁から話を聞いてきたという報告、一・九倍から二・五倍になったことによって多様な人材を採ることができた、そういう報告もありますので、そういう話もあるということも、委員ぜひ各省の人事担当者を呼んでいただいて聞くと、そういう事実を確認することは私はできると思っております。
 そして、合格者を出した大学数は、委員お示しの資料の中で、四十一校から五十八校とふえましたけれども、内定者を出すことができた大学数というのは実は同じですね、その表を見ますと。
 そういうことで、それをどう評価するかということは、現実に採用した省庁の人事担当者の話というものをぜひ聞いてもらいたいと思いますし、十四年度の地方大学からの内定者、これは内定者ですけれども、内定者の数は二割ぐらいふえている。こういうことをいろいろ考えていただきたいですし、昨年閣議決定をいたしまして、四倍程度ということを言っておるのですけれども、人事院の方も、もちろん三条機関的な独立機関でありますので、いろいろお考えになって決定されることはそれなりの意味があったと考えますけれども、やはり閣議決定の重みというものもこちらの方で十分配慮していただきたいというのが私の率直な感想でございます。
中村(哲)委員 石原大臣は、多様な人材は確保できていると各省庁の人事担当者は言っているというふうに今御答弁されました。これは、中島人事院総裁が十三日におっしゃったことと違っております。
 中島人事院総裁、この点に関しては、やはり石原大臣がおっしゃったことは正しいんでしょうか。
中島政府特別補佐人 それぞれの立場で受け取り方が違うんでしょう、きっと。
 私たちは、今お話しになりましたように、合格者を出した学校数が四十一校から五十八校にふえたけれども、内定者を出した大学というのは二十五校で変わりがない。しかも、内定者のいない学校が十六校から三十三校にふえたということでございます。
 そしてもう一つは、十三年と十四年とを比べました場合に、採用予定数というのが二十五人ふえている。二十五人ふえているけれども、その中の十三人が東大だということですね。それで、東大の中でもいろいろな人材がおるから、東大ばかり採用しても多様な人材が採用できたというふうに言うのか、それとも、合格者は出すけれども毎年採用されない大学が地方にたくさんありますけれども、そういうところからもやはり採用する方がより多様な人材を採用したということになるのか、そこらは受け取り方の違いじゃないかというふうに思います。
中村(哲)委員 この両者の答弁を見てもわかるとおり、人事院と石原大臣の見解は全く違うんですよ。そして、ここは受け取り方の違いということでぼやかしていますけれども、ここは実質的な議論が必要なんです。人事院の総裁が今おっしゃったような数が事実を物語っているじゃないですか。
 私は、ここで一つの提案をさせていただきます。それが、資料の八ページにありますイギリスの国家公務員の試験制度です。
 英国の場合は、ファーストストリーム育成プログラムということで、一番下に書いておりますけれども、合格者は省を選ばなければ最終的にはどこかに採用される、つまり一倍ということなんですね。そういう制度をつくっているんです。
 そして、具体的な内容はどういうことかと申しますと、資料に書いてありますとおり、この制度は、第二次大戦後、軍務に従事して教育の機会を失した優秀な人たちを公務から排除することがないように、知識の検証ではなく、面接、集団討論、模擬職務試験、これは大量の資料を分析して課題に対する解決策を起案する等の試験などを内容とする新タイプの試験が導入されたことが発端となっております。
 そして、九ページの資料の下のところにつけておりますけれども、その試験の担当責任者はこのように言っております。「他者理解、分析力、判断力等々の(試験の評価要素となっているような)資質はそう簡単に身につけることはできない一方、これらを有する優秀な人材であれば必要な専門知識は各省に入ってから身につけることができる」、だから「幹部候補の試験では専門知識よりも基本的資質の検証の方がずっと重要である」と言っているわけです。
 そういった意味で、このような形で試験内容を知識中心からこういった集団討論や模擬職務試験を中心とすることによって、倍率は四倍にしなくても、石原大臣が十三日におっしゃったような、予備校に通って特殊な勉強をした人しか受からない試験にはならない試験となるのではないでしょうか。石原大臣、いかがですか。
石原国務大臣 この点につきましては、中村委員と私の考えに差異はないなと。私も、このファーストストリームですか、これは非常に参考になると思って勉強したんですけれども、政府から民営化された、いわゆるエージェンシーの試験機関に委任されているということで、筆記試験を主体とした一次試験合格者は採用予定者数の六倍程度になっていて、ファーストストリームのこの表を見せていただきますと、二次試験では、議員の御指摘のとおり、集団討議あるいはマンツーマンの面談などが行われているということであります。これは私も承知しております。
 今回の公務員制度改革では、委員が御指摘されましたような、こういうファーストストリームに記載されているような内容、内閣の定める公正なルールのもとに、各府省が行う総合的な人物評価による採用を進めたい、そういうことを私どもは考えているわけでありまして、その考え方と、委員が御指摘されましたこのファーストストリームの考え方は非常に共通するものがある。
 それで、委員、一倍の話をされましたけれども、これを見ますと、二〇〇〇年九月、英国内閣府ヘロン・ファーストストリーム試験課長と、内閣府の方でこれをやっていて人事院ではないと思うんですけれども、日本の場合は、採用試験は人事院が行っております。人事院が面談試験まで行って、その後、三次試験という言い方は適切かどうかはわかりませんけれども、各府省が採用している。ですから、人事院の試験制度プラス各府省の最終面談までを公務員試験と考えるならば、実は一倍になるということだと私は理解しております。
中村(哲)委員 時間が参りましたので、本来、人事院にお聞きしたいところなんですが、質問を終わります。ありがとうございました。
藤井委員長 これにて中村君の質疑は終了いたしました。
 次に、平岡秀夫君。
平岡委員 民主党の平岡秀夫でございます。
 きょうは、まず最初に、昨年、衆議院の法務委員会そして厚生労働委員会で連合審査をした心神喪失等の状態で重大な他害行為をした者の医療及び観察等に関する法律案、この法案は、重大な他害行為をした心神喪失の状態にあった精神障害者の方々に対する処遇を決めようとする法案であったわけでありますけれども、法案の中身は、政府の説明によれば、手厚い医療を行い、そして社会復帰を促していく、そういう法案であるというふうな説明があったわけでありますけれども、これは、私は、赤ずきんちゃんのオオカミ法案であるというふうに申し上げてまいりました。
 というのも、この法案の実態というのは、やはり先ほど申し上げたような方々を社会から隔離してしまおう、そういう法案ではないかということで、坂口厚生労働大臣ともあるいは森山法務大臣とも盛んに議論をさせていただきました。
 昨年末に、残念なことに、衆議院は、野党三党が慎重審議を求めている中で強行採決をされてしまったということで、この通常国会に継続審議という形で参議院に今行っておるわけであります。
 それはそれとして、実はその法案審議を通じて、私も含めて多くの法務委員あるいは厚生労働委員が、精神病院あるいは医療刑務所、そういったところにも行きまして、現地を見てまいりました。また、そのほかにも、委員会の審議の中で参考人の方に来ていただいて、今の日本の精神医療の問題点あるいは社会福祉施設の問題点、こういったところをいろいろと勉強させていただいて、今、日本の精神医療あるいは精神保健福祉というものが非常に問題が大きいということがよくわかりました。七万二千人の社会的入院あるいは劣悪な医療環境、救急医療の貧困、そして社会復帰施設の未成熟、こういったたくさんの問題があるということがわかったわけであります。
 時を同じくして、昨年の十二月に社会保障審議会障害者部会精神障害分会の方でも報告書が出されておりました。基本的な考え方としては、この報告書では、入院医療主体から、地域保健・医療・福祉を中心としたあり方へ転換をしていくべきだという考え方を示しているところであります。
 この報告書の中身をつぶさに見ると、いろいろ問題になるところもこれから指摘していかなければならないと思いますけれども、基本的な方向性としてはある程度私も納得できる部分があるようにも思います。
 そこで、まずお聞きしたいのは、こういう報告書がせっかく出されておりますし、また昨年の委員会での激しい審議の中で、いろいろな方々が今の日本の精神医療あるいは精神保健福祉について問題を指摘したところでございます。こういう問題に対して、来年度予算はどのようにこたえるようなことになっているのか、これをまず坂口大臣の方からお伺いいたしたいと思います。
坂口国務大臣 今お話をいただきましたように、精神医療の問題は、現在の医療制度の中でもやはり最も整備のおくれている分野であるというふうに私も思っている次第でございます。これは、どういう立場の精神障害者の皆さん方であろうとも、やはりもう少し丁寧に、そしてこの皆さん方におこたえをしていくような体制をつくらなければならないというふうに思っている次第でございます。委員会でも御答弁をさせていただいたとおりでございます。
 今お話がございましたこの社会保障審議会の精神障害分会の報告が昨年十二月の十九日に出されたわけでございまして、その中には、精神障害者の地域生活の支援でありますとか社会復帰施設の充実といったことがうたわれておりまして、基本的に、私たちもこの方針というものは重要な方針だというふうに思っております。
 ただ、昨年の十二月の十九日に出ましたわけでございますから、この内容を予算の中に十分に生かしていくだけのゆとりというものはなかったわけでございますから、この報告書に沿った予算編成というのは、私も、されている部分もあるし、されていない部分もある、率直にそう思っている次第でございます。
 今後の方向性として、こうした方向性に沿ってこれからやっていかなければいけないというふうに思っておりますが、十五年度予算の中にも部分的に、これらに沿った方向性のものをかなり盛り込まれたものもございます。しかし、十分でない点もあるというふうに、率直に私、そう思っております。
 主な部分は、例えばホームヘルプサービスでありますとかショートステイ、グループホームといったような在宅福祉サービスの充実を図るという面では四二%増、二十六億七千八百万というふうにして、かなり前進をした部分もあることも事実でございます。精神科の救急医療システムにつきましても二十一億四千二百万円で、約八%増というふうになっております。社会復帰施設の運営に必要な経費としましては百七十九億二百万円、二〇%増というふうになっておりますから、前進をしている部分もあるというふうに思っております。しかし、すべてこの報告書に沿った形に到達するまでには至っていない、私も率直にそう思っております。
平岡委員 今いろいろ充実された点もお話ありまして、それはそれで私も評価させていただきたいというふうには思うんですけれども、報告書とは直接関係ないにしても、委員会の審議の中でもあったのは、やはりこの精神医療の問題については地域が一緒になって取り組んでいく、あるいは地域がそうした精神障害者の方々の社会復帰に対していろいろ支援をしていくための枠組みづくりをしていかなければいけない、こんな議論がたくさんあったわけでありますね。
 そういう点でこの平成十五年度予算を見てみますと、地域精神保健福祉施策の推進という、これは厚生労働省が整理した項目でありますから予算書にそのまま出てくるわけではございませんけれども、この項目を見てみますと、平成十四年度九十億円が平成十五年度六十七億円。地域精神保健福祉施策、つまり地域における精神保健福祉の充実が重要であると言っているにもかかわらず、ここが大幅に減少をしているという状況になっている。例えばこの精神障害者社会復帰促進事業費というものについても数億円の減になっている。こんなことが予算の中にはあらわれているということであります。
 その点については、どのような考え方に基づいて減少をされたのか。報告書には必ずしも従うようなタイミングではなかったというお話がございましたけれども、その点についてよろしく御説明いただきたいと思います。
坂口国務大臣 今お話のございました地域精神保健福祉施策というのがございまして、これは確かに、おっしゃるように、私も見ましたところ減らしているわけでございます。この一番中心でありますのは地域精神保健福祉施策の推進というところでありまして、ここが一億八千万ぐらいに減っているというふうに思いますが、一億八千万円、ちょっと後で数字を見ますけれども、ここが減っている。
 ここはなぜ減っているのかと私も見たわけでございますけれども、今まで予算化をいたしておりました額に現実問題、到達していないんですね、平成十三年、十四年を見ましても。十三年におきましては二十五億二千百万、予算がついておりまして、実際にこれが、交付額というのは十億七千九百万円、それから十四年度におきましては、二十八億七千百万の予算額に対しまして、十一億九千八百万円しか出ていないということでございまして、これは、市町村がそれぞれお使いいただく前に、もう少しPRが足りなかったのか、こういうことをやっておりますからこれをお使いくださいということが足りなかったのか、市町村の方がなかなかそこまで現在進んでいないのか、両方私はあるのではないかというふうに思っておりますが、そうしたことがあって、今回、例えば十五年度予算には十八億二千四百万円に減っているということでございます。
 今までの、十三年、十四年の実施されました交付額からすれば十分ということにはなっておりますけれども、それにいたしましても、こういう結果が出ているということは、これは今後の進め方の中でやはり考えていかなければならない。こういう部分は非常に今後の精神医療の中で重要な部分を占めるというふうに、私も率直にそう思っております。今後考えていきたいと思っております。
    〔委員長退席、萩山委員長代理着席〕
平岡委員 減少した理由にはいろいろ技術的な理由もあったようでありますけれども、いずれにしても、今、日本の精神保健福祉の状況というのが、先進諸外国に比べてみても非常に問題が多い、これから改善しなければならない点が非常にたくさんある、それには予算がかかる、そういう状況を踏まえて、もう改めて聞きませんけれども、来年度以降、この予算の充実については特段の配慮をしていただきたいというふうに思うわけであります。
 そこで、そういうお願いをしながら、先ほどの心神喪失等の状態で重大な他害行為をした者の医療及び観察等に関する法律案の審議に関して、実は、昨年の臨時国会のときに、厚生労働省の多分役人だろうと思いますけれども、医療関係者等に対して、この法案を通さないと、十億円の指定入院医療機関の設備をつくるという予算が使えなくなってしまう、そういうことになったら大変だからとにかくこの法案を通してくれといったような圧力がかけられておって、私もこれは非常に頭にきたわけですね、何だ、まだ我々がこれの問題点をいろいろやっているのに、そんなことをするのは役人の越権だと。具体的な確証、私自身は直接圧力は受けておりませんでした。非常に圧力に強い男だと思いますから受けておりませんでしたけれども、そういう圧力があったということをいろいろな方から聞きました。けしからぬと思います。
 それで問題は、では、この十億円、まだ法律案が通っていないというこの状況の中で聞きましたところ、繰越明許費になっているので、来年度に繰り越して使いたいといったようなことを事務当局は言っておりました。
 言っておったんですけれども、私自身ちょっと考えてみますと、そもそも、今年度に使うことの根拠、法律ができていない状態、つまり今年度使おうと思っても使えないようなものを来年度に繰り越すというのは、繰越明許費の考え方からしておかしい。そして、政策的にも、今法案が与野党の間で真剣に議論されているときに、この予算を当然に繰り越すというような政策的判断も適切でない。他方、先ほど来から言っているように、精神保健福祉施策における予算も必ずしも十分ではない。この十億円は、こんな指定入院医療機関に使うのではなくて、別の方法で使ったらどうかということをちょっと言ってきたわけであります。
 そこで、坂口大臣にお伺いいたしますけれども、この指定入院医療機関整備費、十四年度は十億円、まだ使われていないそうでありますけれども、これは繰り越していくという方針でおられますでしょうか。いかがでしょう。
坂口国務大臣 これは、翌年度に繰り越すことは考えておりません。したがいまして、ことしこれを使うということになれば、これは法案が通過をするということが前提でございますから、そうでない限りこれは繰り越しはしないという考え方でございます。
平岡委員 繰り越しはしないということになりますと、どういうことを考えておられるんでしょうか。
坂口国務大臣 これは、繰り越ししないということは、もう使わないということでありますから、お返しをするということになるんだろうと思っております。
平岡委員 先ほど来から言っているように、精神保健福祉関係のお金というのは、幾らあってもまだ足りないような状態にあるわけでありますよね。それを使わないでおくというのは、私は、ちょっと待ってほしいなというふうな気がするんですね。もっと必要なところがたくさんあるわけでありまして、ぜひこれを今年度、精神保健福祉施策の中で、緊急に必要性があるというふうに認められているところについて、流用なりあるいは移用なりという仕組みの中でぜひ活用してほしいというふうに思うんですけれども、そのようなお考え方はありませんでしょうか。
坂口国務大臣 気持ちとしては私も同じような気持ちでおりますけれども、しかし、予算というのは一つの目的を持って組み立てられているわけでありますし、これは私よりも専門家である先生の方がよく御存じのことでございます。
 それが適用されないということになりましたときに、その予算を、ほかのところにこれを流用できるかといえば、これはなかなかまた難しい話なんだろうと思うんですね。全体として精神医療の問題を前進させなければならないことは、これは御指摘のとおり、私もそう思っておりますが、この十億円をそうした方向に使えるかといえば、それはなかなか難しいというふうに私は思っておるところでございます。
平岡委員 なぜ使えないのかを具体的に説明してほしいと思うんですね。きょうは多分無理だろうと思います。
 実は、この質問をするということで、きっかけとして、本当は明許繰り越しでいきたかったとしていたのを、不用にしますという報告を先ほど受けたので、私も今、これを何に使うのかはっきり明確にしろ、あるいはなぜ使えないのかはっきりしろということは、多分時間的余裕がないと思います。分科会で、私、厚生労働省のところでぜひこの十億円について、なぜ使えないのかということについて大臣としっかりと議論したいと思いますので、そのときまでによく対応策を考えておいていただきたいというふうに思います。
 それで、次の質問にちょっと移らせていただきますけれども、公務員制度改革の問題でございます。
 この公務員制度改革の問題については、この予算委員会でもかなりいろいろ議論されておりまして、その議論そのものについて、私も参考にさせていただいているわけでありますけれども、私もかつて公務員という立場にあったものですから、ある意味では勤務評定をされる側でもあり、する側でもあったという、そんな経験もあったりするものですから、この公務員制度改革についても私も非常に関心を持って見させていただいているということで、かつてそういう立場にあったということから、ちょっと補完的な質問をさせていただきたいなということで、質問させていただきます。
 まず最初に、昨年の十一月に結社の自由委員会の第三百二十九次報告書というのが、何回か話としては出ているわけですね。その中で、公務員制度改革の意義と内容について、関係するすべての団体と全面的で率直かつ有意義な協議が直ちに実施されるよう強く勧告するというふうに報告書は出されておりまして、これに対していろいろな方が質問されています。質問されている中で、片山大臣も、相談をしていきたいとかいうようなことを言っておられたりするわけでありますけれども、協議の場をいつ、どのようにつくっていくのかということについて、全く方針が示されていない、答弁されていないというのが現状であります。
 この法案は、この通常国会に出すことを考えておられるんでしょう。日にちもたくさんありません。そういうことを考えると、早くこの協議の場をつくっていただきたい。特に、先ほど言いましたように、この制度によって、その制度のもとで働かなければならない公務員の方々については、やはり自分たちの制度というのがどのようになるかということに対して、非常に大きな関心を持っています。特に具体的な、団結権の問題であるとか団体交渉権とかスト権の問題、いろいろたくさんの課題があるということはわかっておりますけれども、そういう課題も含めて、ぜひきちっとした協議の場をつくっていただきたいと思うんですけれども、これはまだできていないですよね。石原大臣、どうでしょう。
石原国務大臣 ただいま委員が御指摘になりましたILOの勧告、公務員制度改革の意義と内容について、関係するすべての団体と全面的で率直かつ有意義な協議が直ちに実施されるよう勧告するという勧告はちょうだいしておりますし、さらに、昨年でございますけれども、連合の側から、協議の場を設置していただきたいという要請が小泉総理のところに参っているということも承知しております。
 これらの趣旨を認識いたしまして、率直かつ有意義な意見交換が実質的に行われる方策というものを今具体的に検討している最中でございますが、私といたしましても、先週でございますか、連合の側に、予算委員会の審議の場でもこの問題についての議論が、きょうも平岡委員が御質問いただきますように、深まってまいりましたし、一つポイントでございますいわゆる能力等級ですか、こういうものの考え方、これもどう考えるかということを議論させていただきたい、お会いできないかというような御要請を今させていただいているところでございます。
平岡委員 今の、ちょっとわかりにくかったんですけれども、石原大臣の方でいわば組合側に対して、こういう問題について議論させてほしいという呼びかけをされているということでありますか。それは、そういう呼びかけで一たんされたら、それはそれで別にいけないことではないんですけれども、そういうのをきちっとやはり協議の場という形で、十分な時間をかけて協議していくという必要があるんじゃないかと思うんですけれども、そうした定例的なといいますか、定期的なといいますか、そのような協議の場を設けるというお考えはないんでしょうか、どうでしょう。
石原国務大臣 どういう形で具体的に、先ほど申しましたように、有意義かつ効率的に。と申しますのも、各連合の単組の方々が、傘下の方々が集まっていただくので、皆さん方、海外出張が入っていたり、かなり私の方の日程も国会等々ありますと縛られますので、定期的にどうのこうのという形にはまだなっていませんけれども、具体的に、これは先ほど平岡委員が御指摘されましたように、平岡委員の御経験として、見る場また見られる立場にあったということ、そういう率直な意見の開陳がございましたわけでございますので、私としても誠意を持って、これも私の持論ですけれども、今回の公務員制度改革は、公務員の方々が公務員の皆さん方のために公務員の皆さん方で勝手にやったような改革であっては歴史に禍根を残しますので、十分な現場との協議というものは行っていく、そういう必要があると認識をしております。
平岡委員 一回限り声をかければ、それでいいということではないんで、その点は、多分石原大臣もよくおわかりだろうと思います。
 やはり枠組みをつくって、それは、どこか出張していれば、そのときはできないというのは、それは当然でしょう。そういうときでないときにまた日程を選んでちゃんとやるという、そういう枠組みをちゃんとつくってやっていただくことをお願い申し上げたいと思うんですけれども、石原大臣、再度どうでしょう、そういう枠組みをつくっていただけますでしょうか。
石原国務大臣 この問題につきましては、予算委員会でもILOの問題、かなり議論が深まってまいりましたし、まだこちらの方としても能力をどう評価するかといったものの具体的な方法あるいはフレームもお示ししておりませんので、つかさつかさで、そしてまた時期を見て、十分に両者の意思疎通というものを誠意を持って行わせていただきたい、そういうふうに御理解をいただければと思っております。
平岡委員 ちょっと何かよくわからない答弁なんで、もうちょっと具体的に言います。
 せんだって、この委員会でかなりいろいろ議論されていまして、坂口厚生大臣もILOの最終報告を見て検討したいというような発言、あるいは石原国務大臣は法案が詰まってきた段階でILOに十分に情報提供を行わせていただきたいという発言、石原国務大臣が骨子がまとまり次第十分な情報提供というものをILOの側に図っていきたいという発言、片山国務大臣の組合の皆さん方も、その辺とも十分相談したいと思っておりますという発言、そして同じく片山大臣の関係各省庁集まりまして、十分相談をして対応したいという発言。
 確かに、それなりに何かやろうとしているということはわかるんですけれども、それらがどういうタイミングで、骨子と法案と協議とILOに対する情報提供と最終報告とどういうタイミングで時系列的に進んでいくのか、そして、その時系列の中で協議のための十分な時間を確保されるのか、全く示されないままに、ただ単に、やりたい、こうしたいと考えるというので終わっているわけですね。
 ぜひここは、政府の統一見解として、今私が申し上げたようなさまざまなできごとについて、どのような手順で、どれだけの時間をかけてやるのかという、そのスケジュールを政府の側から示していただきたい、これをお願いしたいと思います。石原大臣、片山大臣、お願いします。
石原国務大臣 私も片山大臣も坂口大臣もこの問題につきましては前向きに考えて、できる限りの情報提供をILOの側にさせていただきたいと考えております。
 正直申しまして、これまでの労働基本権の問題の解釈が今回の中間勧告、中間取りまとめというんでしょうか、そういうものの中では、これまでの考え方を、私どもの方から見ますと百八十度変更されたというような点も感じておりますし、さらに誤解もある。そういう意味で、情報を十分に提供させていただきたいと再三再四御答弁をさせていただいておりますし、ILOの直接の所管は厚生労働省でございますので、坂口大臣も誠意を持って取り組むと答弁をさせていただいているということでございます。
片山国務大臣 ILOの中間報告に対します政府の見解は、私は当委員会でも、三月中ぐらいに各省相談してまとめて、ILOに出したい、こういうことを申し上げました。
 それから、公務員制度改革大綱の方は石原大臣が担当でございますので、この辺は、職員団体等との話し合いは十分石原大臣の方でお考えだろう、こう思いますし、その他万般については私の方が組合の窓口ですから、きょうも実は午後、組合の皆さんとお会いするんですけれども、そういうことでの意見交換、私どもの方ではそうやってまいりたい、こういうふうに思っております。
平岡委員 やりたい、やりたいという話は、さっきから言っているように、皆さん言っていただけるので、それを否定するわけじゃないんですけれども、そのタイミングとそのために十分な時間が確保されているかということがさっぱりわからないので、そこは政府の統一見解として、ちゃんとした手順、そしてどれだけの時間を確保するのか、それを示されるものをちょっと示していただきたい。
 これ、委員長、お願いします。
萩山委員長代理 はい、わかりました。
平岡委員 それで、ちょっと内容的な……(発言する者あり)何か扇大臣、所管外ですけれども御意見があるんですか。ないんなら黙っていてください。
 この公務員制度改革の中で、いろいろなことが議論されていますけれども、能力等級制度というのがございます。
 これも、ちょっと私、自分が現役だったころに、振り返ってみて、これは一体どんな制度なんだろうかというのが自分でもよくわからないんですね。端的に言うと、この能力等級というのは一体何なんでしょうか。人を何か格付するようなものなんですか、石原大臣。
石原国務大臣 今回の公務員制度改革では、能力等級を入れるということが一つの特色になっているわけですけれども、もう委員は公務員としての御経験がございますから、これまでは職務あるいは職責に応じて、例えば、平岡委員は優秀だと潜在的な能力を人事者が感じて、じゃ、平岡委員には大蔵省の中の税の一課長をやってもらおう、優秀だから。ただ、例えば同僚の中で、平岡委員よりも私の方が優秀なのに何でおれはこんな金融のことをやらされているんだ、そういうような思いがやはりいろいろなところであるんだと思います。
 それは、すなわち潜在能力を人事権者が見てその職責に、職務に与えている、そういうものを何とかもう少し客観的に見ていくことができないのかということで、この能力等級制度を基礎とする新人事制度をトータルに機能させるために、評価というものとあわせてその適切な実施というものがこれからは不可欠なのではないか。
 この点につきましては、せんだっての当委員会でも片山大臣が、能力等級というものが本当にワーカブルなものができるのであれば支持するけれども、なかなか難しいんじゃないかと。大変難しいと思います。
 例えば、能力等級、単純にちょっとモディファイして言いますと、例えば平岡委員は税の課長として主計局と交渉能力がある、他との交渉能力のグレード。さらには、部下が二十人いる、この部下をどの程度掌握することができるのかといったようなグレード。また、画期的な間接税をどういうふうにやっていくのかといったような企画立案能力。こういうものを指標として数値化する。そして、それはもちろん、その数値化されたものを本人が納得できなかったら、納得できないというものを、不服が言える仕組み。また、評価する側も、これまでそういう評価というものをしてきておりませんので、評価をするトレーニングを行って、複数の者が評価をする。
 こういうものを相まって機能させれば、これまでの制度と違う、今御議論いただいているようなものができるものと私どもは考えているところでございます。
平岡委員 今のお話を伺ってちょっと率直に思うのは、現在も職務職階制度のもとでいろいろ能力の評価とか実績の評価というのをやってきているわけでありまして、そういうものと一体どこがどう違うんだというのが率直な感じですね。むしろ、いろいろな、別のところにもまた何か目的があるのかなというような気もするんです。
 別のところに何が目的があるかというと、例えば、能力評価の基準をつくるのはだれがつくるかというようなところにも、何か各省庁の関係で、共通に各省庁がつくっていくとか、あるいは、人事権者が評価をするという中に、例えば憲法十五条に「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」というふうに書いてあるんだけれども、この能力等級制度の中では、やはり人事権者が非常に強い力を持っていて、例えば私、例として挙げたら大変失礼かもしれませんけれども、片山大臣が、河村たかし議員が部下でいたときに、河村たかし議員をどう評価されるか。大変高く評価されるかもしれませんけれども、そうでもないかもしれません。全体の奉仕者として見たときには、大変高い評価をされるかもしれません。だけれども、大臣の言うことをなかなか聞かぬ、こいつはつまらぬというふうな評価をされるかもしれません。
 そういうふうに、能力の評価というのは非常に難しいし、公務員は全体の奉仕者という立場から評価していかなければいけない。そういう意味でいくと、行革推進事務局が提案している能力等級制度というのはかなり問題があるんじゃないか。
 さらに重ねて言えば、人員枠というのがありますけれども、この人員枠も、よく読んでみますと、どれだけ予算が確保できるかということ等を通してこの人員枠というものを設定する、こう書いてあるんですね。先ほど言った能力を評価するんだったら、もうある程度は、この人はこういう能力があるからということで、予算とは関係なしにその人たちの能力が評価されていくべきなのに、片方で、予算の枠があるから一定の割合しか多分このランクには評価できませんよというようなことになっちゃうわけですよね。
 だから、こういうのを見ると、私、一々もう反論は求めませんけれども、やはりただ単に行革事務局とかあるいは総務省で単純に自分たちの頭だけで考えてやるんじゃなくて、関係者から十分意見を聞いてやらなければいけない。そのためには、先ほど言った協議の場というものをきちっと設けて、やはりそれぞれの意見が十分に反映されるようなものでなければいけないというふうに思うわけですけれども、この点について、石原大臣、どうお考えでしょう。
石原国務大臣 やはり、人間のある意味では能力の格付なわけでございますから、それをこれまでやったことがございませんので、難しいというのは当然だと思います。
 しかし、現行の人事制度が、さっき平岡委員を例に出して大変恐縮だったんですけれども、その評価の基準というものが具体的に設定されていないことや、評価の結果をどこのポストに任用するか、あるいは給与にどのように、今の場合ですと等級ですね、活用するのかが明らかにされていないことなどから、不満もありますし、適材適所の人事配置ができていないというような批判もあるし、現に、やはり公務員の制度改革をやらなきゃいけないということでは機運が熟しているんだと思います。
 そんな中で、委員御指摘のように、現実は、そこで働いている人たちがやる気を持って、これまで以上に公務に精励できる体制をつくっていくということでございますので、当然、そこで現実に働いている方々とは、機会をとらえて、今の能力等級の話につきましても、現場の、今現場で感じている生の声というものも聞かせていただいて、十分協議をして、すばらしいものをつくっていくという立場に立って取り組ませていただいているとぜひ御理解をいただきたいと思っております。
    〔萩山委員長代理退席、委員長着席〕
平岡委員 石原大臣も、評価される側の問題についても、いろいろとちゃんと考えてやらなきゃいけないということを言っていただいているので、ぜひ協議の場というのを、やはり枠組みをちゃんとつくって、そこでやはりいろいろな議論をしていただきたいというふうに思います。
 特に能力等級制度については、これがうまくいくのかどうかということについては、片山大臣も、それから人事院総裁も、いろいろ慎重に考えなきゃいけない、あるいはいろいろ克服しなければならない課題があるということを言っていますので、やはりすぐに導入するというようなことではなくて、いろいろ試してみる、そして、悪いところがあったら直していく、点検していくといったような手順もちゃんととっていかなければいけないというふうに思うわけですけれども、石原大臣、いかがでしょうか、そういうような手続で進めていっていただけるんでしょうか。
石原国務大臣 もちろん、今委員が言われたように、また先ほど私が答弁させていただきましたように、やったことないわけですね。ですから、試行するということは当然必要ですし、能力等級制度を基礎とする人事制度のかなめとなるのは、先ほど来話しておりますように、その評価に対して不満のある人があったら評価をしたところに訴えられる、あるいは評価する側もトレーニングを積む、そして複数の者が評価するといったような評価システムを円滑に導入しなければ、実は絵にかいたもちで終わるということは十分認識しておりますし、公務員大綱の中では、平成十八年度からの本格実施までの間に試行を十分に行う必要があると認識しているわけでございます。
 現在、この試行の具体化について、もう既に民間企業でこのような能力評価を行っているところもありますので、そういう民間企業とのディスカッションや、あるいは地方自治体に関する、これは当然国家公務員の改革をやりますと地方公務員の方に移ってまいりまして、そうしますと、今度は片山大臣の御担当になるわけでございますけれども、そういう関係者との意見交換など所要の準備を進めさせて、憂いなきようにさせていただきたいと考えております。
平岡委員 能力評価がうまくできるかできないのかわからない状態で能力等級制度をいきなり導入するというようなことは、ぜひ避けてほしいというふうにも思います。
 そういう問題もあるので、ぜひ、最初から言っているように、いろいろな関係者の間で十分に協議ができる、そういう場を設けていただきたいと思いますし、ちゃんとタイムスケジュールも示して、十分な協議ができるようにやってほしいというふうに思います。その点だけ最後に確認させていただきたいと思うんですけれども、石原大臣、お願いします。
石原国務大臣 先ほど委員がこの質問に入りました冒頭に御紹介されたILO勧告の趣旨を踏まえまして、誠意ある対応を行わせていただきたいと考えております。
平岡委員 誠意ある対応ということで、私に対して誠意ある対応であるとともに、今、国会の答弁で言われたわけですから、関係者皆さんに対して誠意ある対応ということで私は理解させていただきたいというふうに思います。
 坂口大臣、済みません、結構でございますので。
 そこで次に、道路公団改革の問題について入っていきたいと思います。
 最初に、道路公団改革の目的というのは一体何であったのかということについて、これは石原大臣でもよろしいのでしょうか、まずお聞きしたいと思います。
石原国務大臣 ちょっと長くなりますが、おさらいを兼ねましてお話をさせていただきたいんですが、特殊法人改革を小泉内閣で行おうと決意をいたしまして整理合理化計画というものを取りまとめましたのは、一昨年の冬のことでございます。七十七ある特殊法人、九つを廃止し、二十五を民営化し、二十九を二十七の独立行政法人に改める、こういうことを行うわけでございますが、その理由は、今委員が御指摘されましたように、ではなぜやるのか、道路公団の民営化をなぜやるのかということに私は端的にあらわれているんだと思います。
 すなわち、私は、特殊法人というものが、昭和三十年代、四十年代を通じて、実は時代の優等生として、限られた予算の外の財投資金を使って国民の皆さん方のためにさまざまな仕事をしてきたという事実は否定できないと思います。(発言する者あり)
 しかし、その中で、ただいま上田委員から優等生かというかけ声がかかったように、非効率である、あるいは仕事を肥大化していく、あるいは民間ができる部分も出張っていって民間の仕事を奪う、こういう問題点が多々出てきて優等生から劣等生に転落してしまった、そういうことがあるんだと思います。
 そして、道路公団につきましても、高速道路をどんどんつくってまいりましたけれども、交通量の予測、これはどんどん車ができるから四車線の道をつくろう、しかしその交通量の予測が過大になっていて、償還、すなわち借りたお金を返せないおそれがあるのではないか。あるいは、本来であるならば、私も外環道を見てまいりましたけれども、一メートルつくるのに一億円ですね、一キロで一千億、本当にそれだけお金をかける必要があるのか。すなわち、コストが高くなってしまう、あるいはファミリー企業に……(平岡委員「そういう具体例はいいですから、一般的、抽象的に」と呼ぶ)申しわけございません。
 抽象的に申しますと、そういうような弊害を除去して、将来にわたり国民負担の軽減や利用者サービスの向上を図る上では、落第生より民間の方がいいのではないかと考えているわけでございます。
平岡委員 道路公団改革の目的というのは、いろいろこれまでも国会で答弁されていますので、まずそれを前提に議論をしていきたいと思いますけれども、せんだっての衆議院の菅代表と小泉首相との間の中で、国費を投入しないということについて守られていないんじゃないかというような議論がされました。昨年の四月の段階で見ますと、総理も石原大臣も、国会では、道路関係四公団の改革については、ちょっと省略して、国費を投入しない等の基本方針のもと、第三者機関において具体的内容を検討することとしていると言っておられます。
 ただ、そのときの菅代表と小泉首相との議論の中でもあるように、小泉首相は、これは日本道路公団だけなんだ、ほかのところとは関係ないんだといったようなことを言ったりしているというようなことで、当時、昨年の四月ごろに言っていたこととは大分後退した発言になっているというのが率直な印象でありますし、事実そういうことであろうというふうに思います。そういう意味でいくと、これは国費を投入しないということの具体的意味というのは一体何なんでしょうか。
 例えば今回、推進委員会の報告書の中にも、保有・債務返済機構とかあるいは民営化前の公団、あるいは新会社といったような主体が登場してくるわけですけれども、これらに対して債務の引き受けをしたり、あるいは政府保証をしたり、そして税の特別措置を講じたり、そして新たにつくる道路について税金による高速道路の建設をしたり、こんなことは一般的に言えば国費を投入しているというふうに我々としては認識をするんですけれども、この点について、国費投入しないということは一体どういうことを具体的に言っているのか、まず明確に示していただきたいと思います。
石原国務大臣 私どもが言っております国費を投入しないという意味は、先ほど冒頭御披露させていただきました一昨年の冬、今こちらに詳細もあるんですけれども、十三年の十二月十九日にまとめました特殊法人等整理合理化計画の中で、日本道路公団、事業というところで「国費は、平成十四年度以降、投入しない。」こういうふうに文言を書かせていただき、閣議決定したわけであります。
 その意味は、日本道路公団に対して平成十三年度まで投入されていた高速道路の建設資金及び借入金の支払い利息に充てる補給金、これは予算の中で見ていただければはっきり書いてありますけれども、当時たしかおよそ三千億円程度だったと思いますけれども、これを平成十四年度以降は投入しない、そういう意味で国費は投入しない、すなわち整理合理化計画に示された日本道路公団、事業、(2)、国費は投入しないという意味で、国費を投入しないと申してまいりました。
 しかし、それが、ただいま委員御指摘のように、広い意味でいいますと誤解を招くようなことがありますので、今の質問の答弁で明確にさせていただき、感謝を申し上げたいと思います。
平岡委員 ここに昨年の四月の本会議、衆議院、参議院の本会議での答弁とかあるいは委員会での答弁なんかを見ると、本当に格好よく、国費は投入しない、四公団については国費は投入しないんだというふうに言っておいて、国民に対して非常に大きな期待を持たせておきながら、実際、今度、来年度予算を含めて見てみたら、いろいろなところに国がさらに負担を負っていかなければいけないような状態が生じているというのは、これは道路公団改革の本当にある意味ではしり抜けといいますか、ごまかしじゃないかというふうに私は思うんです。
 それはそれとして、もっと具体的な話にちょっと入らないと余り進展がありませんので、いろいろ聞いてみたいと思います。
 まず一つは、来年度予算において見ますと、直轄事業として国と地方の負担によって高速道路が建設されるというのが、予算的には事業費で千三百二十三億だったですかね、ついています。そして、この点について小泉首相の答弁をちょっと見てみますと、こういうふうに言っています。高速道路をつくるに当たっては、必要な場合には税金でつくるという方がいいという意見も当然あるんだ、その場合には地方にもやはり負担してもらわなければならない、今みたいに地方は全然負担してくれないというんだったら、つくってくれ、つくってくれの大合唱ですよというようなことを言って、これは地方も負担をするんだということを言っているわけであります。
 ただ、今回のスキームを見ますと、実際、地方が負担する部分というのは国が譲与税で賄っているという、地方には実質的な負担が全くないという構図で直轄事業を行おうとしている。これは全く、総理の答弁というものはごまかし以外の何物でもないんじゃないですか。
 これは扇大臣が答えるべきなのか、石原大臣答えるべきなのか、どっちでもいいですけれども、答えていただきたいと思います。
扇国務大臣 平岡議員が、本年度の予算の中で計上しております事業費の一千三百二十三億円、おかしいではないかというお話でございますけれども、これは、今まで、年平均で予算をとっておりましたのが少なくとも約二千億円でございます。そして、残事業として基本的に二十兆円あるわけですね。二十兆円の中で四兆円は節約しましょうということで、十六兆になるわけでございます。コスト削減を図って十六兆になって、そのうちの、整備事業としては約三兆円、現在はこれを目安として三兆円だというふうに考えておりますけれども、全体としての……(平岡委員「地方負担の問題」と呼ぶ)地方負担は、千三百二十三億円の中の国費が一千億で、地方負担が三百二十三億円ということになるわけでございます。
 それは、地方負担の中でも、北海道だけは、今までと違って、一般の県と負担が違っておりますことは御存じのとおりでございますので、この千三百二十三億円の中の一千億が国で、残りが地方でございますけれども、その内訳は、国が一千億で、地方の事業費を計上しておりますのが三百二十三億円で、これを地方にしますと、そのうちの北海道だけは十一億円で、負担が少なくなっています。そして地方は、御存じのとおりの、今までの負担のとおりで割り振っていくと、これを引いた金額になるわけでございます。
平岡委員 私の質問の趣旨は、小泉首相は、地方が高速道路が欲しいんなら地方も応分の負担をすべきだということを言って、そういう負担を求めれば、つくってくれ、つくってくれという声も少しはなくなるんじゃないかということを言っておられた。そういう仕組みでできているのかなと思ったら、地方負担分は全部自動車重量譲与税ですかで賄われるという仕組みの中で、地方負担が全く行われていないという、そういう中で、また高速道路をどんどんつくろうとしている。それじゃ、これからも地方は、つくってくれ、つくってくれと言うに決まっているじゃないですか。全く歯どめになっていない。この点についてどう考えるかということを扇大臣に聞いたんですけれども、片山大臣に答えてもらった方がよろしいですかね、譲与税の問題ですから。
扇国務大臣 これは、地方負担に関しては片山大臣も後でお答えになると思いますけれども、少なくとも、十五年度の高速道路の整備の直轄方式というのを申し入れてあります。
 なぜ直轄方式になったかという理由は、平岡先生御存じのとおりでございまして、新たな負担を地方に求めるということになりますために、そのための財源も地方には移譲しようということ、要するに、今、地方が負担するのを援助するのはおかしいじゃないかとおっしゃいましたけれども、まさにこれが私は地方分権だと思っておりますので、そういう意味では、道路の、例えば特定財源の直轄の重量税も、これは地方に今まで以上に贈与する、分譲ですね、地方分権ですから。そういう意味では、地方へ多く配分するということもまさに今の時宜にかなったことで、あとは、お受けになる片山大臣の方から。
 私たちは、地方分権で、本来は国がもっとするのを地方分権にするということを私は実行しているんだということです。
片山国務大臣 高速道路は、今まで地方負担がなかったんですね。だから、直轄方式を入れよう、こういうことになりまして、採算が合わない路線が中心なんでしょうが、その場合に、国が四分の三で地方が四分の一、それだけの地方負担を新たに求める、こういうことになりまして、私どもの方は、もともと自動車重量税の地方の配分率を上げてくれというあれがあった、特定財源のいろいろな利用の中で。
 そういうことで、この際、新たに負担を求めるんだから、税源も移譲しましょう、こういうことで、今まで四分の一であったものを三分の一にしてもらいまして、それは額がきちっと合うわけじゃないですよ。全部で、譲与税の四分の一を三分の一にしますと九百三十億か四十億あるんです。半分は市町村に与えまして、市町村に対する国の補助を零細なものをやめて、それを自主財源でやってもらう、そのための税源移譲。半分が直轄方式でやる高速道路の負担。こういうことでございまして、リンクしているようなリンクしていないようなあれで、我々としてはこれは税源移譲だ、こう受けとめておりまして、これはこれで、国の大きな道路政策として、ありがたく受けとめさせていただいておるわけであります。
平岡委員 そんな何かいいかげんな答弁されたらちょっと困るんで、また今度これをやりたいと思いますけれども、実質的に、それでは、高速道路が通るところの地方が負担するのがどれぐらいになるのか。今の譲与税の配分の仕方というのも、いろいろあるんだろうと思いますよ。だから、それをさらに突き詰めて、これはどこで通るかということがまだ決まっていませんから、どこに配分されるかもわからない。そういうことがわかった段階で、本当に地方負担というのがあるのかということを検証させてもらいたいと思いますね。
 それはそれとして、その議論をやっていくとちょっと時間がないので、民営化の問題についてちょっと言いますと、実は、昨年の十月に、検討している際に、委員の中から、これは実質的には債務超過じゃないかと。新聞にも、五兆円とか七兆円の債務超過、出ていましたよね。今現在、道路公団の中では、この問題について、財務諸表検討委員会というのが精査中だというふうに聞いていますけれども、仮に五兆円とか七兆円の債務超過があった場合には、上場どころか、そもそも株を買ってくれるような人もいない、そういう倒産しなければならない、破産しなければならない会社になるというふうに思うんですけれども、そんな会社、本当に民営化できるんですか。
扇国務大臣 どうしても、私たちは、民営化するということで御論議をいただき、また、第三者委員会といいますか、民営化推進委員会で論議いただいて、今、私たちは答申をいただいているんですけれども、私はこれはむしろ石原大臣が御答弁になる方がいいのかもしれませんけれども、債務超過か否かの判断は、少なくとも私は、民間並みの財務諸表を出さなければ民間になるということの基本ができないということから、昨年も、私はその答申をいただいた途端に、来年の九月、ということはことしの九月でございます、ことしの九月に道路公団等々の財務諸表を出すとおっしゃったから、十六年度に法案をつくるのに九月に財務諸表が出たのではできないということで、道路公団に、私は、おかしいと。財務諸表を慌ててつくってくださいと言って、今、至急に、百人から百五十人体制で、この国会、六月の十八日、この少なくとも六月の初めまでに道路公団は財務諸表を出しますということを今努力中だということでございますので、財務諸表を見なければ少なくとも私は判断ができないというふうに考えておりますし、その意味では、少なくともこの資産評価を適正に行わなければ一歩も前に進まない、これは不可能だと思っています。
 そういう意味では、固定資産税等課税の標準額の試算結果をもとに、財務諸表あるいは債務超過の議論というものは、それを見なければできないというのが今の私の立場で、それを急いでもらっているというものでございます。
平岡委員 確かに、仮定の議論をしても仕方ないところがあるかもしれませんから、その財務諸表が出てきた段階でもっと、本当にこの報告書が成り立ち得るのかどうかということについて検証したいと思います。
 それともう一つ、経営陣について、「直ちに、道路関係四公団の現首脳陣に代わり企業経営について豊かな経験と知見を有する複数の民間人を登用する。」というふうにこの報告書の二十ページに書いてあるんですけれども、これを見たときにちょっと違和感があったのは、例えば、今回の民営化推進委員会の委員長をやっておられた方は、鉄屋さんというようなことをちょっと言われていましたけれども、そういう方でしたね。
 考えてみますと、この民間人も、例えば建築会社、建設会社の出身の方であったりとか、あるいは建設資材をつくるような、セメントとか鉄とか、そういうものをつくるようなところの出身の方であったりというようなことになると、やはりどうしても、つくろうつくろうというような話になってしまうんじゃないかなと思うんですけれども、そういう民間人の登用ではないんだ、公正に判断できる民間人であるんだということを、大臣、あるいはこれは石原大臣なのかもしれませんけれども、扇大臣なのか、ちょっとわかりませんけれども、どのようにお考えになっているかということをお聞かせ願いたいと思います。
扇国務大臣 今おっしゃったように、少なくとも、経営再建そして民営化に向けて、民間人の登用ということは、民間人の経験の知恵を入れるという、例えば今申しました財務諸表一つをとっても、ノウハウを民間人から登用するというのは私はとてもいいことだと思っています。また、そうしたいと思っております。
 けれども、問題は、少なくとも私たちはその出身元について条件をつけるべきではないと。そうしますと、だんだん狭まってきて、わけのわからない、今まで経験のない人が来たのでは、また一から出直しということになりますから、今までの職業がどうだとかいうことではなくて、私は、まさに道路のことがよくわかり、国益に資する人であれば、出身のことは論外にしていって選びたいと思っていますけれども、問題は、今の役員にかわって、新たな現員の役人の解任ということが必要になりますけれども、私は、日本道路公団の公団法におきましては、総裁と副総裁の任期は四年、また理事、監事の任期は二年と決められているわけでございますので、それまでの間に現役員、それを解任するというときには、解任の理由なくして解任することはできない、こう公団法になっていますので、現段階で役員の交代というのは、少なくとも早い人でも平成十六年の四月ということになるわけでございます。
 ですから、私、役員ではなくて、例えば参与でありますとか、そういう人たちであれば今すぐにでも登用できると。監事とか参与というところにまず民間人を入れて、私は道路公団の民営化の推進に資する人を選んでいくということはできると思っております。
平岡委員 今のお話を聞いていると、何かこう、やはり本当の民営化というのを阻害するように阻害するように聞こえてしようがないんですよ。もっときっぱりと、本当に民営化を進めるなら、こうやってやっていきますという明確なメッセージを出して、まさにそれを実行しなきゃいけないんですよ。何か逃げ道ばかりつくって、どうなっても対応できるようにしましょう、そんなふうに聞こえてしようがないんです。
 それはそれとして、感想ですから、ちょっと時間が来てしまったので終わりますけれども、しっかりと民営化、本当の民営化を達成するための努力をしていただきたいというふうにお願いいたしまして、質問を終わります。
藤井委員長 これにて平岡君の質疑は終了いたしました。
 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午前十一時四十八分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時五十分開議
藤井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 三案審査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局勤務条件局長大村厚至君、資源エネルギー庁長官岡本巖君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
藤井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
藤井委員長 質疑を続行いたします。河村たかし君。
河村(た)委員 河村たかしでございます。
 これで三回目になりますけれども、警視庁の情報公開室、あそこへ行きますと、いわゆる、私に言わせれば監視カメラでございます、三つもついておる。私も、こういうものは言うだけではいけませんので、また三回目、先ほど行ってきまして、ほかのところ全部見てきたんです、情報公開室以外のところも。そうしたら、一個もついとりゃせぬじゃないですか、問題は。当然入るところにはついておりますよ、いわゆる歩道から入るところとか、庁舎へ入るところ。だけれども、例えば、ずっと見せてもらいましたけれども、オービス3で捕まっておもしろくなさそうな顔して来た人とかあって、そういうところにいろいろな出入りがあるんですけれども、一個もついておりません。
 それから、冒頭にちょっと言っておきますけれども、警察法の二十一条の一項八号、これは皆さんのところにありますね、六法の条文が。これにありますように、この情報公開に関する事務というのは特に警察庁の事務とされておりまして、警視庁だから私は知りません、お任せしてありますというぐあいにはいかぬのですよ。この趣旨というのは、やはり国民の権利が、これは大臣も言われたけれども、知る権利を十全ならしむるためにやはり情報公開していく、これはどえらい重要な権利なんです。どえらけない重要な権利。
 こういうのを守るために、この間も言いましたように、公安委員会というのは何をやるか。これはもう谷垣さん、ちゃんと言われたけれども、戦前のオイコラ警察ではいかぬということで、戦後、これに一種のシビリアンコントロールというんですかね、そういう趣旨でできたということが、最も大臣、谷垣さんがこれをやるのに最もふさわしいテーマなんです。国民の権利を守るために公安委員会があり、その一つのシンボルである情報公開権を守るということであります。
 ちょっと大臣にお伺いしたいんだけれども、もし防犯のためというなら、何であれをよそのところにもつけぬですかね、これは。どうですか。
谷垣国務大臣 この件で委員と議論させていただくのも三回目になるわけですね。それで、幾つか論点はあるわけですが、警察法二十一条一項八号の解釈に関しては、これを今うんと議論しようとは思いませんが、ややここは両論、河村先生の意見と私の意見は違うわけです。
 それはちょっとおきまして、なぜここにやっているのかという件につきまして、河村委員の今までの問題意識、情報公開に、つまり知る権利に使われるものではないかという問題意識は、これは警察庁を通じて警視庁に伝えてもらっております。したがいまして、警視庁も委員のその問題意識は十分に受けとめているところというふうに私は承知をしております。
 それで、今、現在警視庁においては、この四月にいろいろな組織の見直しを、犯罪情勢の変化等に対応しましていろいろな組織の見直しを行っているところというふうに聞いております。それで、その中で、いろいろな組織とか業務の見直しを行っておりまして、今委員が御指摘になりました情報公開センター、何でほかのところには何にもないのにここだけあるのかということは、これは事務方の方からも御答弁させておりますように、ここは独自の入り口があるということもあったわけであります。
 したがいまして、その辺のことも考えまして今組織の見直し等も行っておりますので、それが完成しました暁には、完成しましたというのはそう遠い先のことではありませんが、ほかの、今オービスのことにもお触れになりましたけれども、そういうところと同じように、もちろん入ってくる入り口にはそれなりのチェック体制というものはこれは必要でございますけれども、この情報公開センターそのものはほかのところと同じようになるのではないかというふうに私は理解しております。
河村(た)委員 これは、やはりあれですか、かなり踏み込んだ意見ととらせていただいていいですかね。
 せっかくですから、ほかの部屋と同じようになるということでございますので、まあ、ほかの部屋よりもこちらの方が本当は大変なんですよ。やはり情報公開というのは、ここはちょっと若干大臣にも確認しておきたいんだけれども、やはり怖いじゃないですか、だれだって行くのが。役所に対して、私は一種の異議申し立てではないんだけれども、そういう気持ちで入っていくわけでしょう。だけれども、そういうのをどうぞウエルカム、来てちょうだいよと。まあそういう気持ちを、英語で言うと格好いいみたいですけれども、エンカレッジする、こういうところでないといかぬですわね。その辺の精神はどうですか、大臣。
谷垣国務大臣 結局、警察は、もちろん防犯やテロ対策、きちっとやっていかなきゃならないという一方の立場がございます。しかし、委員が強調されました情報公開の重要性ということにかんがみますと、防犯なりあるいはテロ対策というようなことも考えながら、より制限的でない手法というのは何なのか、こういうようなことは常に考える必要があるのではないかと思っております。
河村(た)委員 せっかくいい答弁いただいたのに、いろいろ聞くと焦るといけませんので、このくらいにしておきます。これは、私はあんまり、そう人をわざわざ褒めるつもりはありません。これは別に自民党というわけじゃないんだけれども。
 やはり、本当に国民の権利を大事にしていくというか、やはり国家公安委員長として、今の僕の感覚では四月にはほかの部屋と同じになるということですから、ここはいわゆる監視カメラはなくなると。入り口のところは当然調整されてもいいですけれども、そういうことになるという、それでよろしいですね。もう一回確認しておきます。
谷垣国務大臣 そのように御理解いただいて結構です。
河村(た)委員 いや、私もこれは議員をやっていてよかったですわ、これは。本当に、具体的なものが一つずつ解決していくというのは、どえらい大事なことなんですよね。こうやって警察が、一歩でもやはり国民の権利を大事にした、国民に近づいてきたということはすばらしい決断だと思います。谷垣さんも総理大臣に一歩近づいたんじゃないか、そんなふうに思います。ぜひ報道の方も、非常にこれは珍しいことですから、大いにこういう点は拍手したい、こんなふうに思います。
 このことは、じゃ、オーケーでございますので、これで四月までは質問しませんから。その状況を見て、また変なことがあったら当然やりますからね。ありがとうございました。では、御退席いただいて結構でございます。どうもありがとうございました。
 それから、一問だけですけれども、ちょっと総務省に。これは、ちょっと問題点の指摘だけにとどまるかもわかりませんが、簡易保険に入りますと、これは六%でしたか手数料が入るんですね、団体でやりますと。手数料というのは、今もうちょっと広く見ないかぬですけれども、いろいろこれが裏金づくりの材料になっておりまして、これは簡保だけじゃないんですよ。いろいろありまして、それで若干の情報をいただきました。この簡易保険の手数料が、何というところだったかな、総合通信局ですか、こういうふうなところでは、どうも使い方が不明瞭、わけがわからぬふうになっておるというお話をいただきましたので、まあ一言だけちょっと聞きまして、ちょっと勉強せなあかんですから、問題をとにかく提示しておきます、これから始まるということでございますので。
 これはちょっと、政府委員室でもいいですよ、細かいですから。
團政府参考人 お答えいたします。
 私、簡易保険の制度について御説明申し上げたいと思います。
 御指摘の保険料の団体払い込み制度というのがございまして、一つの事業所等の団体に属する契約者が十五個以上の保険契約についてまとめて郵便局に払い込むという場合につきましては、払込保険料の六%を割り引くという制度がございます。これは、集金の手数が省略されますし、保険契約の維持にも効果があるということで、六%の割り引きをしているものでございます。
 割り引いた部分につきまして、この取り扱いを行う者、代表者がいらっしゃいますので、そこら辺に手数料を払うということもあろうかと思いますけれども、その六%の使途につきましては、これは簡易保険の契約としては関与をしていないというものでございます。
河村(た)委員 きょうはとりあえず、いろいろあと片山大臣との住基ネットの話もありますし、これで結構でございます。とりあえずは問題を提示させていただいたということでございます。
 それでは、住基ネットについて。
 竹中さんもお見えになりますけれども、この間の話ですね。要するに、銀行協会がこれを本人確認の手段としてもいいよと言っておったということでございますけれども。いかぬことをいいと、こういうことを銀行協会に正式に答えたわけだけれども、こんなことは言ってもいいんですか、竹中さん。まず、自分でわかっておりますか、これ。要するに、住基ネットを銀行に使ってはいかぬということを。わかっておらずに答えたんじゃないですか。
竹中国務大臣 一昨日に御答弁させていただいたことでございますけれども、全銀協が昨年の九月の二十日に発出した連絡文書、お尋ねのQアンドAでありますけれども、「顧客等の本人確認の取り扱いについて」、これを作成する過程で、全銀協から金融庁に対して、いかなる書類が本人確認法上の本人確認書類に該当するかという問い合わせがありました。この本人確認法は、金融庁が所管しているものであります。
 これに対して、条件としては、官公庁から発行され、氏名、住所及び生年月日の記載のある書類は本人確認法上は確認書類に該当するという答えをさせていただいた。その上で、その他の省庁の法律についても十分チェックしてくださいということは申し伝えたようでございますが、その後、全銀協から、そのような経緯を経て取りまとめられたQアンドAに記載されているものについては、住民票コード通知書が本人確認法上の本人確認書類に該当するということについて了解をしたということであります。
 しかしながら、本人確認法上の本人確認書類であっても、他の法律において利用制限等の規定がある場合には、これは当該書類を確認、利用できないということもあり得るわけでありまして、このような観点から、法務省に確認の上、当該書類の取り扱いについて、住民台帳法の取り扱いについて明記するよう指示しなかったということは、これは適切ではなかったというふうに思っているわけであります。
河村(た)委員 えらい異なことをおっしゃられる。とろ臭いことを言っておったらいかぬですよ。
 法律上使っていかぬ文書を、法律上使っていかぬものを、それは本人確認の文書に該当します、そんなことを言っていいんですか、大臣。違法行為を奨励したんじゃないですか。どうなんだ、これ。
竹中国務大臣 そこは、まさに不適切であったということであろうかと思います。いかにも、金融庁が所管している法律にのっとればこういう条件でございますということは言ったわけですけれども、住基台帳法に基づいてどうこうであるということの指摘は適切になされなかったわけでありまして、この点については、金融庁として適切さを欠いたところがあったということであるというふうに考えております。
河村(た)委員 これは、金融庁によればよかったなんて、こんなことは通りません。そうしたら、文書一つずつ省庁にお伺いを出したときに、これはオーケーです、ほかの法律によれば違法かもわかりません、こんなことを答弁するんですか。そういう趣旨ですか、これ。これはちょっと、びっくりするような答弁ですよ。これこそ本当に質問できぬというか、全然内閣ばらばらにやっておるということじゃないですか。
竹中国務大臣 これは、もう今申し上げましたとおり、所管している法律についてのみ言及をして、その他の部分について、その他の法律全体について配慮が十分でなかったわけでありますから、これは明らかに適切さを欠いていたというふうに思っております。
 この点については、金融庁の中でも、これは大変重要な法律でございますし、この点はぜひ徹底をさせていかなければいけないというふうに思います。
河村(た)委員 そういう、ただ不注意であったということであれば、それじゃ、全部それぞればらばらで、こういうふうでいいんですか、本当に言っておきますけれども。私の省庁ではぱっと見ればこれはいいですよ、いや、ほかの法律には反しております、そういう趣旨ですか。まだ認めるの、そういうことがあり得るということを。はっきり違法であったと言わないかぬじゃないでしょうか。
 総務大臣、これはどう思いますか、所管だから。
片山国務大臣 法案をつくる際には各省と十分念入りな協議をしますし、法案を出すときは閣議で決定するし、政府広報でも繰り返しやっておりますから、やはり私は、金融庁の担当の方の不注意であった、こういうふうに思います。
河村(た)委員 不注意では済まされぬぜ、これ。即刻全部とめてくださいよ。あなたは、三十六条の二で、要するに、こういう危険があったとき、または重大なおそれがあるとき、市町村長は切断できると言ったでしょう。まさに起こったじゃないですか、これ。それも内閣で起こったじゃないですか、内閣の中で。これはとめてくださいよ。責任持って言ってくださいよ、そんなもの。
片山国務大臣 これは全銀協のQアンドAなんですよ、事例。内閣そのものがどうこうということじゃなくて、QアンドAをつくるに際して金融庁に照会した場合の金融庁の指摘が不適切だった、こういうことでございますので、委員からの御指摘もありますので、再度各省庁には十分注意をいたしました。
河村(た)委員 そんなものじゃ済まされませんわね、はっきり言いまして。まだ銀行協会だとかなんとか言っておって、これは本当に全国民に謝らなあかんですよ。一たんとめなきゃいかぬ、運用を。
 内閣で、内閣の中で、ほかのところが知らぬところで違法行為をやりました、ああ、ほかのところを大事にします、それだけで済むわけないじゃないの、こんなものは。これはとんでもない話だよ。とめなさいよ、本当に。
片山国務大臣 全銀協の話では、これによって本人確認した例はないという報告を受けておりますし、本人確認の法律が、あれは一月の六日か何かからですから、そういう意味では私どももそういう事例はない、こう思っておりますし、以後こういう間違いがないように十分に徹底周知をしてまいります。
河村(た)委員 それじゃ、どうやって確認したんですか。一個もないなんて、どうやって確認したんですか。
片山国務大臣 全銀協からの報告でございます。
河村(た)委員 どういうふうに答えたの。どういうふうに具体的に聞いたんですか。
片山国務大臣 私が直接ということじゃございませんで、私どもの方の担当の職員と全銀協のいろいろなやりとりの中で、これについてそういう確認をした事例はない、こういう報告を受けたという報告を私は受けております。
河村(た)委員 どういうふうに聞いたんですか、それ。具体的にどなたが、あなたのところのどういう担当官が、だれにどう聞いたんですか、だれに。これは大変なことなんですよ。
片山国務大臣 それは、だれがどうとは聞いておりませんが……(河村(た)委員「そんなことなら余分なこと言うなよ、そんなのは」と呼ぶ)いやいや、それはちゃんと私どもの方の担当の職員と全銀協との協議の中でそういう報告を聞いているわけでありますから、それがおかしいというのなら、それは委員のお考えであると。
河村(た)委員 だれが、どういう協議の中で、だれに聞いたんですか。ちゃんと答えにゃいかぬよ。違法行為が行われたのに、ちゃんと弁明せにゃいかぬよ、きちっと。
藤井委員長 竹中さん、答えられますか。どちらですか。
 片山総務大臣。
片山国務大臣 いや、違法行為が行われたということはないという報告を受けているわけでございまして……(河村(た)委員「どうやってそれを確認したんだ」と呼ぶ)いやいや、だから、それは全銀協の方のQアンドAですから、全銀協の方でどういうお調べがあったか知りませんが、私どもの方は、それを報告を受けましたから、委員にお答え申し上げているわけであります。
河村(た)委員 あなた、これは大変なことなんですよ、違法行為なんだから。いいですか、はっきり言って違法行為なんだ。違法行為があったかなかったかというのは、どうやって確認したかというのは、どえらい、主務大臣として最大のテーマじゃないですか。具体的に言いなさい。
片山国務大臣 私どもの方は、全銀協に注意をして、全銀協の方にそういうことは一切やめてくれと言って、向こうもすぐ訂正をしたわけでありますから、その間に、そういう事実はなかったという報告を受けた、こういうことでございまして、だれがといって、役所がちゃんと聞いているわけでございますので、それは信用していただかなければ。QアンドAに記載されているわけでありまして、それについて、本人確認はあったという事実はないという報告を受けたんですからと申し上げているわけであります。
河村(た)委員 どうやってそれを確認したかと言っておるんですよ。(片山国務大臣「全銀協に聞いてください」と呼ぶ)何が全銀協に聞いてくれだ、めちゃくちゃ言って、冗談言っちゃいけません。職務放棄だよ、職務放棄、職務放棄。(発言する者あり)
藤井委員長 いいですか。
 片山総務大臣。
片山国務大臣 私どもの方の、先ほども言いましたが、担当の職員が全銀協の担当の人に聞いた、そういうことでございまして、これは何度も言いますけれども、QアンドAの中の、何十種類かの中の一つに、まあ私は不注意だと思いますけれども、そういうことが載ったわけでありまして、それによって照会を、本人確認をしたとかなんとかという事実はないという報告を受けているということを何度も申し上げているんです。
 しかも、これがもし、そういうことが反復して行われるのならば、法律上は、知事が中止勧告をし、あるいは中止勧告をしても聞かない場合には、命令をして罰則をかけるわけでありまして、そういう手だても十分あるわけでございまして、直ちに違法行為があるようなことを言われるのは、私は、それは言い方が十分ではないのではないかと思います。
藤井委員長 河村君、河村君。(発言する者あり)
 ちょっと速記をとめてください。
    〔速記中止〕
藤井委員長 速記を起こしてください。
 片山総務大臣。
片山国務大臣 私どもの方の自治行政局の市町村課の理事官が、全銀協のシステム事務部ですかの担当の方に聞いた、こういうことであります。
河村(た)委員 それは、聞いたということはどういうふうに聞いたんですか。どういう問題があるかということ、こういうことですよ。銀行はたくさんあるんですよ、銀行は。一つずつ確認したかということなんですよ。あなたは、使われたことはないと勝手に言っているけれども、どこの銀行が、名前を言うわけにはいかぬけれども、一つずつ銀行が本当に大丈夫なのかと、ちゃんと確認したのか、そういうふうに聞いたかということですよ。どうだ、あなたのところは、ああ、そうかいで終わったのかということですよ。問題はそういうことなんだ。そういうことですよ。
片山国務大臣 どういう聞き方をしたかは詳しく私は聞いておりませんが、基本的にはそういうことで注意をして、向こうは直ちに、それはやめます、QアンドAは直します、こういうことでございまして、その間、そういう事実はない、こういうことを言われたわけでありまして、全部の銀行支店までその人が確認したとは私も思いませんけれども、しかし、それを、その時点から後は全部やめているわけでありますから、これで具体的に何かのことが起こるとか何とかということは一切ないので、それは法律上、ちゃんといろいろな手だてがあるわけでございまして、そういうことでございますので、ぜひ御理解を賜りたい。
河村(た)委員 何を言っておるんですか。要するに、これは違法行為なんですよ、言っておきますけれども。たった一行でも違法行為なんですよ、どこかの銀行が使ったといっただけでも。いいですか。それを一つずつ確認してくれにゃいかぬじゃないか、一つずつ。銀行、何行あるか知らぬけれども、全銀協に入っておるところはたくさんあるじゃないか。特に今度の場合は、金融庁が、いいというお墨つきを出して書類を出しているんだよ。
 だから、当然あなたは主管する大臣として、これはプライバシーを大事にするんだったら、一つずつの銀行が使っていないだろうか、こういうことを。そういう心配はないだろうかと確認をする務めがあるじゃないか、あなたは、大臣が。そこはどうなっているんだよ。どういう聞き方をしたんですか。金融庁でもいいよ。
片山国務大臣 それは、当方は直ちに注意をして直させて、そういうことでございまして、それは全部の銀行支店まで確認したとは私も思いませんけれども、そういうことで、末端まで徹底するということによって、これは今後は一切起こらないし、具体にそれは確認を仮に……(河村(た)委員「いや、確認せにゃいかぬよ、すべての支店」と呼ぶ)いやいや、だからそれはさらに徹底をいたしますけれども、今後の話でございまして、それは十分御趣旨については、私どもの方もそういう対応をしてまいります。
河村(た)委員 では、結局一つずつを確認していないということだね。今えらいことを言いました。一つずつ支店を確認したことはないだろうと思いますなんて、それはとんでもないことです。職務放棄だ、これは明確に。(発言する者あり)当たり前じゃないですか。軽く思ったらいかぬですよ、これ。銀行が一つずつ使うという、それを金融庁がお墨つきを出しておるんだから、やらせないかぬ、こんなもの。とんでもないことですよ。(発言する者あり)何が無理なんだ。大したことないじゃないですか、銀行の数なんていうのは。
竹中国務大臣 全銀協においては、会員行に対して、現在、二月十日付の訂正通知、訂正する通知の徹底を図っているものというふうに承知をしております。金融庁といたしましては、その状況も見きわめつつ、報告を求めることも含めてその対応を検討していきたいというふうに思っております。
河村(た)委員 まだ結果が出ておらぬな、これは。調べていないということだよ。調べておる途中なんだ。今、何をやっておるんですか、金融庁は。もう一回。
竹中国務大臣 金融庁としては、QアンドAに問題があった、QアンドAの策定過程で必ずしも適切な指導は行わなかったというふうに思っております。
 先ほど言いましたように、二月十日付で連絡文書を発出したところでありまして、金融庁としても、全国銀行協会に対して、会員行に周知徹底を図るように指導しているということであります。遺漏なきように、そのような指導をしていきたいというふうに思っております。
河村(た)委員 一言訂正してもらいたい、完全に。必ずしも適正でないという言い方は訂正せないかぬ。明らかに違法なことを認めてしまった、そういって言わなきゃだめですよ。
藤井委員長 竹中国務大臣、先ほど大臣が答弁で、不適切であったということ、そのことは認められているんですから、必ずしもとか余計なことを言わないで、とにかく、そういうことを素直に認めて、今後それを徹底して対応しますということだけをもう一度答弁してください。
竹中国務大臣 金融庁の対応は不適切であったというふうに思っておりますので、しっかりと指導をしていきたいというふうに思っております。
河村(た)委員 私は、不適切はちょっと聞けませんね、これは。不適切というのは、まだ違法でない場合の、不当というぐらいの言葉なんですよ。これは明らかに違法だったんだ。違法なんだよ。違法な行為をしてしまったとはっきり言ってくださいよ。法律違反なんだ。
竹中国務大臣 これは全銀協のQアンドAでございますけれども、それに対して問い合わせを受けた段階では、他省庁にも確認するようにということは言っておいたのでありますが、その確認をする段階で不適切であったというふうに思っているわけでございます。
河村(た)委員 いいですか、住民票コードを銀行が使うということは違法なんです。不適切じゃないんです。いいですか。金融庁はそれを公式に認めたんだ、文書で。違法な文書を認めてしまったということですよ。それははっきり認めなきゃだめですよ。これは違法だよ。
片山国務大臣 金融機関側が、銀行側が本人確認のために告知を求めれば、これは違法ですね。ただ、本人が自分で、これが私です、こう言った場合には、今の法律上は、それはだめだ、違法だということにはなっていない。しかし、趣旨からいって……(発言する者あり)
藤井委員長 御静粛に願います。
片山国務大臣 適当ではない、こういうことでございまして、銀行側が告知を求めるのは明らかに違法です、告知を求めるのは。本人が自分で、これで自分を確認しますという場合は、法律に即抵触はしませんけれども適当ではない、こういうことであります。
河村(た)委員 ええかげんにしときゃあよ、本当に大臣。何を言っているの。銀行の自己確認の法律、読んだことあるのかね、あんたは。務めなんですよ、銀行は本人確認をするのが。
藤井委員長 河村君、言葉遣いには十分気をつけて発言してください。
河村(た)委員 条文に書いてあるんだよ。言葉って、内容がひどいんだよ、こっちの方が。
 大臣、大臣、竹中さん、自己確認は義務でしょう。自己確認は銀行の義務でしょう。本人確認、本人確認。銀行、預金を受け入れるときに。義務ですと一言言ってください。義務ですよ。
竹中国務大臣 自己確認は義務でありますが、その選択手段は個人に任されているということです。
河村(た)委員 いろいろなものでできますけれども、あなた、本人確認してくれといったときに、住基ネットしか持ってなかったら、それを出さざるを得ないじゃないですか。当然そうなるじゃないですか、当然。
 いや、僕は……(発言する者あり)名刺はだめですよ、だめですよ。
藤井委員長 では、もう一度答弁。(発言する者あり)
 ちょっと御静粛に願います。御静粛に願います。御静粛に願います。
竹中国務大臣 まさに、本人確認するに当たってどういうものが本人確認書類に該当するのかという問い合わせが全銀協からあったわけです。それで、どういうものが該当するかということに関しては、官公庁から発行されているもの、氏名、住居及び生年月日の記載のある書類、これは本人確認法上はすべて本人確認書類に該当するということになるわけです。
河村(た)委員 議員年金もやらないかぬですからあれですけれども、これはちょっと本当に片山さん、こんなようなプライバシーの感覚では、やめてもらおうかね、本当に。
 まず銀行に行って、法律に従って、名刺じゃだめなんですよ、住基ネットの通知票を持っておったら、これは出さないかぬのや。銀行は本人確認の義務があるから。あなた、本人確認出してくださいよ。免許を持ってなかった、何にもなかったらどうするんですか、住基ネットしかなかったら。出すんですよ。義務があるんだよ。そうですよ。
 そういうような状況の中で、銀行協会に金融庁がお墨つきを出して、これを使ってもいいですよじゃ、明らかな違法行為を、違法行為を認めた。(発言する者あり)免許証、冗談じゃないですよ。免許証を持っておらぬ人、幾らでもおる。冗談じゃない。
 私は、全体的にこれは恐ろしいものを感じる、本当に。こんなプライバシーの状況の中で、大変なことが起こってしまったと思わないかぬですよ、これは。
 だから、まずとりあえずは、それでは全銀行に対して、どういうふうにこれを本人確認として使ったことがあるのかないのか、きちっとこれは調査するように、これだけは最低約束していってくださいよ。
竹中国務大臣 まさに今、全銀協においては会員に対して訂正の通知の徹底を図っているというふうに思っておりますので、金融庁としては、その状況も見きわめながら、報告を求めることも含めて、ぜひ検討をしたいと思います。
河村(た)委員 ここは、悪いですけれども、違法行為なんだから、そういうことじゃなくて金融庁として率先して、違法な文書を認めてしまったんだから、率先して全銀行に対して住基ネットを使ったのではないかということを確認すると、きちっと言ってくださいよ。だって務めがありますよ。当たり前じゃないですか。それはできぬのはめちゃくちゃですよ、そんなの。
藤井委員長 竹中国務大臣。
 自信を持って答えてください。落ちついて。
竹中国務大臣 河村委員の御指摘につきましては、全銀協を通じてぜひ確認をしたいというふうに思います。
河村(た)委員 ちゃっと、全銀協を通じてはそれはいいとして、金融庁の責任において、全銀行において住基ネットが使われたかどうかについて確認をすると、はっきり、直ちに言ってくださいよ。当然ですよ、これ。国民の権利が侵されておるんだよ。
竹中国務大臣 御指摘のような点につきまして、全銀協を通じて全行に確認をしたいと思います。(河村(た)委員「直ちに、直ちに」と呼ぶ)速やかに確認をしたいと思っております。
河村(た)委員 一応、じゃ、とりあえずそういうことで。
 それから、いつまでにしますかね、これ。いつまでかをちょっと言ってください。なぜかというと、これは、だれかの人権が侵されておる可能性が非常に強いので。ここで見えない全国民の人のだれかが住基ネットの票を持っていった可能性があるんですよ。その人たちのためを思って言わなきゃだめなんだよ。抽象的な話じゃないんだよ。だから、その権利救済をちゃんとせないかぬからいつまでにと。責任の所在をきちっと明らかにしてください。
竹中国務大臣 ちょっと、今御指摘を受けて、今の時点で、いつまでにできるかということについて、自信を持ってその期日をお答えすることはできかねますので、これは極力、私の責任において、速やかにその調査を行いたいと思います。
河村(た)委員 では、とりあえずこのぐらいにしておきますけれども……(発言する者あり)責任の所在だな、これはやらないかぬ。責任の所在をやらないかぬ。
 なぜかというと、要するに違法な行為が行われているんだから。いや、竹中さん、首かしげておるけれども、あなたこれ、だれか日本国民のどなたかが住基ネットの通知票を持っていった可能性があるんですよ、そこに、銀行に。その人の人権というか権利はどうなるんですか。これは本当に国会の務めじゃないですか。ちゃんと答えてください、責任の所在を。
竹中国務大臣 金融庁の対応に不適正なところがあったということに関しましては、私の方から厳しく庁内に指導をしたいと思います。また、全銀協に対しましても、そのように申し入れて指導をしたいというふうに思っております。
河村(た)委員 金融庁の責任であると言ってくださいよ、はっきりこれは。権利侵害があったんですよ、これ本当に。
藤井委員長 河村君、質問を続けてください。
 ちょっと速記をとめてください。
    〔速記中止〕
藤井委員長 速記を起こしてください。
 竹中国務大臣。
竹中国務大臣 今回のようなことが二度と生ずることがないよう、庁内に対しては私の責任においてしっかりと指導をしたいというふうに思っております。
 また、各行に対してもしっかりと私の責任で指導をしてまいりたいというふうに思っております。
河村(た)委員 調査、調査。
藤井委員長 河村君、調査するとも言っています。
河村(た)委員 指導ということは調査を含むんですね。それをちょっと確認してください。
藤井委員長 それは先ほど答弁しました。
河村(た)委員 いやいや、過去のことがあるから。被害者が出ておる可能性があるから、ここははっきりしておいてください。
藤井委員長 竹中国務大臣。
 指導ということは調査と先ほど言った答弁を繰り返してください。
竹中国務大臣 先ほども申し上げましたように、全銀協において会員に対して二月十日の訂正通知の徹底を図っているものと承知しております。金融庁としては、その状況を見きわめつつ、報告を求めることも含めて対応を検討していきたいというふうに思っております。
河村(た)委員 その中に、何人の被害者が出たかとか、それから、ちょっとこれは片山大臣に、これは金融庁でこうなったんですけれども、やはりほかでもある可能性があるわけだ。こうなると、ほかでもある可能性がある。例えば厚生省なんというのは、ひょっとしたらわからぬですよ。(発言する者あり)いや、そう疑うのが当たり前じゃないですか、こうなっちゃったんだから。
 だから、片山大臣、こういうことがあったんだから、全省庁にもう一回確認してみる、こういうことがあるかないか、私の責任で。これを言ってください。
片山国務大臣 各省庁には私どもの方で通知を出しましたし、それから、近々に会議をやって、今委員も御心配の点を含めてさらなる徹底を図りたいと思っております。
河村(た)委員 それから、竹中さん、何遍も言いますけれども、これは結構重要なところなんだけれども、不適切だと言いますから、不適切だということは違法ではないということだな、これ。どういうことですか。
竹中国務大臣 これは先ほど総務大臣の方から御答弁がありましたけれども、告知を求めることは、これは違法なわけであります。それに関して、そういう可能性があるということに関して、QアンドAの作成過程で適切に指導しなかった、その点において私は先ほど不適切であったというふうに申し上げたわけでございます。
河村(た)委員 これは全く違うけれども、ちょっと議員年金やらないかぬから、次にまた引き継ぎますけれども……(発言する者あり)いやいや、これはやらないかぬ。またやります。
 言っておきますけれども、これは本人確認をする義務があるんだ、金融機関というのは。違法を奨励したということをはっきり言わないといかぬですよ。これははっきり言っておきます。これがもし不適切だということで終わるんだったら、住基ネットはむちゃくちゃですよ。やめないかぬですよ、これ。そういうことです。
 では、次へ行きましょうか。
 議員年金につきまして、厚生労働大臣にちょっと聞きたいんですけれども、庶民の目線ということで、公明党さんは非常にこういうことはデリケートなところだと思いますけれども、要するに、今度物価スライドで庶民の方は年金が減りますわね。だけれども、議員年金の、国会議員に限って言いますと、七割が税の負担だということになっております。これはどう思われますか、こういう議員年金の実態を。
坂口国務大臣 議員年金の方は私の方の所管ではないわけでありますけれども、普通の年金とそれから議員年金、これはなかなか比較が難しいというふうに思いますが、やはり厚生年金の方もこういうふうな状況になってきているわけでありますから、議員年金の方につきましても、それは鋭意見直しを行って、そしてやはり適切に対応していくということは大事だというふうに思っております。
    〔委員長退席、斉藤(斗)委員長代理着席〕
河村(た)委員 鋭意とかなんとか言っておりますけれども、悪いですけれどもあれでしょう。では、塩川さんに聞こうかな。
 塩川さん、これは確かに国会でやることかもわからぬけれども、やはり国の税金が使われていますから、七割、議員に。だから、これほどまでに、今いろいろな庶民の苦しみがありますけれども、やはり国民年金の苦しみというのはすごいですよ、言っておきますが。六十五歳から、四十年掛けて一人一万三千三百円ですけれども、大体年間八十万だな。夫婦で百六十万。一方、国会議員は、ちょうど僕らの三期生ですと六十からもらえる。六十からですよ、四百十二万。これは実は三年で元が取れるんだ。どう思われますか、この税の出費は。
塩川国務大臣 議員の年金を決めましたのは、議員立法で決められておりまして、政府が決定したものではございません。しかし、議員年金制を創設しましたその当時の記録を見ますと、一つは、議員には退職金が出ない、したがって、長年議員をしても、それに相当するものをある程度年金に加味したものを加えたらどうだろう、そういう発想があったということが一つございます。
 それともう一つは、議員を退職いたしまして、以前でございますが、この制度ができた当時は議員の生存年数もそんなに長くなかったので、そういうこと等でしたのでやった、ということです。
河村(た)委員 まことにこれは塩川さんに聞きづらいことですが、選挙に落ちまして大変御苦労な時期があったということですが、ただ、これは国民の税金のことですからお許しをいただきたいんだけれども、落選をされたときに、まことに申しわけない、こういうことを聞くのは個人的には申しわけないと思うけれども、これは制度として聞いておるので許してほしいんだけれども、そのときにはやはり年金をもらわれておられましたか。
塩川国務大臣 年金、もらいました。
河村(た)委員 ということになると、普通年金というのは、一たん仕事をやめて、要するに所得がないから、そういう性格のものですね、一般的に言うと。
 そうするとまた、塩川さんのように、申しわけない、落選中のときと何遍も言います、これは私も人生の先輩を大事にしますから申しわけないと思って聞いておるんだが、国の制度だからしようがない、そういう、もう一回当選しよう、同じ職業を続けようという人がもらうわけですよ。やはりそれは金に色はついていないから、自分の政治活動に、要するに混然一体となって使われたということになりますね、これは。
塩川国務大臣 それは各人によって事情が違うだろうと思います。
河村(た)委員 いずれにしろわかったのは、やはり議員年金の場合は、同じ職業を続ける場合でも出てしまうということがわかったということです。一般国民の年金と全く違うということですね。
 そのほか同時に、坂口さん、これは国民年金も当然もらえますよね。
坂口国務大臣 国民年金の方は、掛けております以上、それはもらえます。
河村(た)委員 これはダブルなんですよね、ダブルになる。
 退職金だ、退職金だと言いますけれども、悪いけれども、自営業者、営という名前はちょっと議員は余りふさわしくないけれども、ラーメン屋のおやじさん、税理士さん、農業をやっておる人、それからフリージャーナリスト、みんな退職金というのはないんですよ。みんな国民年金なんだ。もし自分たちだけ退職金をもらうというんだったら、これは国民年金をもらっておる人に失礼じゃないか。どうですか、塩川さん。
塩川国務大臣 そういうようなものを勘案して、国会で相談されたらそのとおりになるだろうと思っております。
河村(た)委員 自分の意見は余りないというのか、よくわかりませんけれども。
 私は、やはりこれはすっきり廃止して、国民と同じ目線で、これは国民年金でやるんだから。議員年金がなくなっても、皆さん誤解してはいかぬのは、何にもなくなるわけじゃないんだ、国民年金はあるんです、ちゃんと。それでやるというのがやはり国民に、税金を払っておる人よりいい目をしちゃいかぬのですよ、パブリックサーバントは。私はそう思います。
 それからもう一つですけれども、これは総務大臣、要するに地方議員さんとダブルで出るんですね、地方議員の年金と。だから、今国会議員をやってみえる方の中で何人地方議員としての年金をもらってみえるか、きのうから質問通告してあるけれども、出せせんのよ、これ。
 これはきちっと、個人名はいいです、プライバシーがあるから。個人名はいいですけれども、ぜひ、これは地方議員の共済がやっているから、せめて、税の使い道の問題ですから、同じような仕事に年金としての税金が使われることは問題だから、これは調査するとだけ言ってください。
片山国務大臣 地方議員さんの互助年金制度は私どもが所管しておりますけれども、今委員が言われたように、全部の運用、給付はそれぞれの共済会がやっているんですよ、御承知のとおり。私どもの方には個人のデータも何にもありません。
河村(た)委員 それは所管しているんだから、そんなことは今まででも幾らでもやっているじゃないですか、自分の所管しておるところで。だから、どのくらいの国会議員が、このメンバーの中で地方議員の年金を今現にもらっておられるのか、数だけは、あれは共済ですか、調べるように命じてください。
片山国務大臣 制度が違いますから、ダブルの支給というのはあるんですけれども、あれは所得制限がありまして、地方議員のやつは、御承知のように。だから、共済会とよく相談してみます。
河村(た)委員 相談。相談ってわけわからぬ。それは調べてもらわないかぬ、税が入っているんだから。これはもう一度答弁してくださいよ。
片山国務大臣 それぞれの議員さんの種類ごとの共済会で全部やっているんですから、共済会の御意向を聞かないと。私の方は、制度は所管しております。これももともと議員立法ですからね。
 だから、そういうことで、調査について各議員さんの共済会と相談してみます。
河村(た)委員 何でこれは隠す必要があるんですか、一体。どうして隠すんですか。相談するということはそういうことでしょう。向こうが嫌だと言ったらやめるんですか。そういうことですか、それじゃ。
片山国務大臣 それぞれ責任を持って運用しているところの意向を聞かないと。だから、調査について相談をしてみますと。(河村(た)委員「やらないと言ったら、やらないんですか」と呼ぶ)いや、それはよく合意に達するように努力いたします。
河村(た)委員 いや、これは別にプライバシーとかそういう問題じゃないんですよ。私も名前を言えなんて言っていませんよ。
 しかし、やはり普通の年金というのは、悪いですけれども、職業が終わってからやるんですよ、みんな。地方議員さんが終わったからと単純に言えないですよ、国会議員をやっておる場合は。職業を継続しておるとも言えるわけですよ、これは。
 だから、そういうところにどれだけ税の負担が、庶民の税金が入っているか。これはなぜ隠すんですか。じゃ、もうはっきり言ってくださいよ、数は調べてみると。言ってくださいよ。
片山国務大臣 別に隠してはおりませんけれども、それぞれの意向があると思いますので、意向を確かめた上で、御趣旨に沿うように努力いたします。
 大変突っ込んだ答弁でございます。
河村(た)委員 僕、きのうから、これ本当に聞いておるんですよ。全然答えてくれぬ、今のところ。それで私、共済に聞いたんだ、直接電話かけて。それから、共済組合の場合は掛金の中に半分税金が入っていますから。これ、ちゃんと税が入っています。
 それで、どうなっておるんだと言ったら、全部コンピューターに、もらっておる人は入っていますよと言うんですよ。そうしたら、それぞれわかるじゃないですか、地方議員御出身の国会議員の方が。全部一遍当たってみればわかるじゃないですかと言ったら、まあそれはそうですわということでございますので、ぜひ大臣、言えば物理的にはいとも簡単なことですから、くれぐれも言いますけれども名前は要りませんから、お願いするということで。
 しようがないので自分で調べたんだわ、これ。やってくれせんもんだで。大変でしたよ、正直言って。自分で調べました。ただ、これは年金もらっておるかどうか。なぜかというと、選挙三回、三期地方議員やられた方、だけれども、これは補欠選挙なんかあるから、この方が全員もらっておるかどうかちょっと確証はないです。
 これはどのくらいおみえになるかといいますと、百九名みえます。これは、国会議員が七百何名でしたか。百九名の方が年金を多分受給されておるだろう、少なくとも三期にはなるだろうということでございます。
 これ、どうですか。大臣、感覚としてですよ、議運でやれとか言われずに、やはり庶民の国民年金をもらっておる人たち、自営業の人たち、職業皆終わって大変なんですよ。そこと比べてどうですか。
片山国務大臣 いろいろな見方、評価ができると思いますけれども、制度は、それぞれ目的を持って、しかも、いずれも国会の意思として決まっておりまして、私は、国会の中でいいか悪いかは十分御議論していただくべきではなかろうかと。議員立法ですから、何度も申し上げますように。そういうように考えております。
斉藤(斗)委員長代理 時間来ていますよ。
河村(た)委員 それじゃ、これで最後にします。
 本当に、地方発の大増税が始まっていまして、よくここでも中小企業の苦労を言うじゃないですか。年金だけじゃないけれども、本当に国民年金でやっておられる方はみんな退職金ないのよ、言っておくけれども。僕が議員に言うと何を言うかというと、すぐ落選したときに仕事がなくなると言いますけれども、悪いですけれども、自営業というのはそういうものなんですよ。議員は営とは言いませんけれども、自営の営とは言いませんけれども、みんなそういう中で苦しんで国民年金で生きているんだから、これ。
 だから、私は何遍も言います。日本経済をもう一回再生しようと思ったら、やはり税金で食っておる人ら、僕たちは、税金を払う人より決して優遇があってはならない、パブリックサーバントである原点に戻るべきだ、そういうふうに思っております。
 以上で終わります。
斉藤(斗)委員長代理 これにて河村君の質疑は終了いたしました。
 次に、上田清司君。
上田(清)委員 民主党の上田清司です。特別会計について質問をしたいと思います。
 まず、先般、外為特会について外国旅費が非常に多いと。四十人の職員でこの外為特会を動かしているわけですが、そこで二億五百八十二万九千円使っているということで、いろいろな会議に使っているということで資料もいただきました。IMF関連会議、G7、サミット、G7の財務大臣会合、APEC、ASEAN、OECD云々と、こういう形でお金は使っているんだということですが、例えば、財務省本省で千六百三十九人おられるわけですが、ここでの外国旅費は三億八千二百七十八万四千円ということからすると、四十人で使うこの外為特会の外国旅費が二億円を超えるというところに、大変異常な使いっぷりだということですが、これはまさか、職員が事実上ここに四十人しかいないところで、それぞれ四十人が使っているわけじゃないというふうに私は思っておりますが、これについては、大臣、間違いありませんか。
寺澤政府参考人 お答え申し上げます。
 外国為替資金特別会計に計上されております外国旅費は、為替市場や外国為替資金に関する用務の外国出張旅費に充てられております。
 具体的には、御指摘のように、G7やIMF国際通貨金融委員会等に使用しておりますが、この出張旅費のうち、IMFとかG7、たくさんの職員が出張いたしますけれども、通貨、為替を担当する職員の旅費は外国為替資金特別会計から支出をいたします。それ以外を担当する職員の旅費は一般会計から支給しております。また、例えばG7の場合、大臣の旅費は一般会計から支給するということになっているわけでございます。
 また、今、先生御指摘の外為特会の職員の定員は四十名でございますけれども、これは同特別会計から人件費が支給されている職員の定員の数でございまして、旅費につきましては、出張目的が外国為替資金や為替市場に関する用務で同特別会計から経費を支出することが適当である場合には、支給の対象となる出張者は同特別会計職員には限られないということでございます。
    〔斉藤(斗)委員長代理退席、委員長着席〕
上田(清)委員 これは、外務省の支援委員会と同じで、ある意味では、お金が十分潤沢なところから適当に抜いているということになりかねないじゃないですか。四十人の職員でこの外為特会を動かしているんだけれども、本来なら、こういったところは二千万ぐらいの外国旅費ですよ、せいぜい。ところが、それが二億を使う。しかし、その職員が使っているのじゃなくて、関係する国際金融課の職員とかがついていっているわけでしょう、IMFだ何だと、G7。では国際金融課で出すべきであって、何で外為の特会から旅費を出しているんですか。
 会計検査院、こういうのは、違法とは言いませんけれども、望ましい使い方じゃないんじゃないですか。不当支出とも言いませんけれども、何かそういう指摘をしたことがありますか。
杉浦会計検査院長 お答え申し上げます。
 この特別会計につきましては、外国為替資金の運営に関する経費を一般会計と区分して計上しておるということで、私どもは、その運営に必要な経費が計上されておると基本的には考えております。
 そして、私どもの検査に当たりましては、本当に必要なものかどうか、経済的に使っているものかどうか、こういった点につきまして検査を行っておるところでありますが、今後とも十分注意を払ってまいりたいと思っております。
上田(清)委員 今、院長の答弁は、当然特別会計の性質からしてこの特別会計を動かすための支出に使われるべきだということですけれども、どうしてサミットやAPECやASEANの首脳会議に国際金融課の職員がついていく費用をここから出しているんですか。違うんですか。
寺澤政府参考人 お答え申し上げます。
 外国為替資金特別会計が設けられております趣旨は、為替介入に伴う外貨の売買等の為替政策の実施に係る収入、支出の状況を明確にするということでございまして、外国旅費につきましても、為替市場等に関する用務の出張につきましては、為替政策遂行のコストとして同特別会計に計上することが適当である。
 したがいまして、今御指摘の会議に行きました場合に、会議の目的が為替の問題であれば外為のコストとして計上する、そうでない例えば開発政策であれば一般会計が負担するということで、案分をして負担しているわけでございます。
上田(清)委員 それでは、十三年度の資料をいただいておりますので、サミット、ASEAN、APEC等々の、こちらで本当に通貨の会議が含まれていたかどうか。為替関連、それ以外の会議があったように私は思いますけれどもね。それが全くない会議もあるような気がいたしますよ、このリストだけ見ても。しかも、どちらかというと、為替資金の特別会計というのは、そういう為替の制度だとか通貨の制度だとか、そこを取り扱っているところじゃないんですから、どちらかというとこじつけに近いんじゃないですか。
 どうされるんですか。間違って、ここで答弁されたけれども、もしこの会議の中で一切通貨や為替の話がなかった会議があったらどうしますか。
寺澤政府参考人 お答えいたします。
 最近のG7における主な議題を見ますと、昨年の九月のワシントンにおきますG7でも、為替を含む世界経済の問題、国際金融危機の予防、解決等の問題が入っておりまして、その声明文、ステートメントの中にも為替市場の点に言及しているわけでございます。また、四月のワシントンにおきますG7におきましても、為替を含む世界経済が議論になっております。
上田(清)委員 そのときの会議録とかを資料としていただきたいというふうに思います。
 それにしても、前年度から若干数字が減っておりますけれども、こういうのももうわかっているんでしょうか、次の議題というのは全部。
寺澤政府参考人 会議を行います前にあらかじめどういう点を議論するかということが準備をされておりまして、その中に入っているということであれば外為特会から支出をするということでございます。
上田(清)委員 会計検査院にもぜひ調査をお願いしたいと思います。
 そこで、同じ歳出の諸謝金のところですけれども、ここも一億四千八百万計上されておりますが、四十人で割ると三百七十万円。講師の方々とかに謝金を払ったということになりまして、ここもほかの会計と比べると非常に大きいもので、例えば弁護士謝金とか講師謝金はまだわかるとしても、調査謝金という形で一億計上されておりますが、一般的には調査費なんというのは謝金のところで余り扱わないで委託費だとか調査費とかという項目で扱っている場合が多いんですね。これはどうですか。
寺澤政府参考人 お答えいたします。
 為替介入等に伴う外貨の売買や運用による収入、支出の状況を明らかにするという外国為替資金特別会計の趣旨に照らしますと、外国為替資金に関する調査研究、同資金に関する国際会議における通訳等に要する諸謝金、これは為替政策遂行のコストとして特別会計に計上することが適切と考えております。
 具体的にはどういうものに調査謝金が払われているかということでございますが、例えば、平成十三年度の実績で御説明をいたしますと、アジア地域内の貿易取引、地域金融協力強化に関する調査委託等を行っているところでございます。
上田(清)委員 後でまたリストをいただきたいと思います。
 それでは、地震再保険特別会計に移ります。
 ああそうだ、失礼しました、ちょっと順番を変えます。細田大臣はたった一問、二問ですので、先にこれを片づけさせていただきます。
 一昨日以来話題になっておりますETFについて、竹中大臣が閣僚懇でお勧めもされたというようなこともあって、風説のたぐいですが、細田大臣は何か買われたと聞いておりますので、ETFを購入されたかどうかという確認であります。
細田国務大臣 おっしゃいましたように、二月七日金曜日の閣議後の懇談の中でETFの問題が出されまして、そして閣僚といえどもこういうものは購入して特に問題はないし、貯蓄から投資へということで税制も改正になったし、お勧めするというようなお話がございまして、たまたま二月十日月曜日は連休の合間で、予算委員会のために時間をとっておりましたら予算委員会がないということでございましたので、みずから証券会社へ、生まれて初めてと言っていいほど、もう行ったことないんでございますが、行きまして、このETFというものを購入したのでございます。
上田(清)委員 購入をされた動機というのは。
細田国務大臣 やはり、小泉内閣が政策的に今非常に苦しんでおるわけでございますが、この一つの大きな理由が、個人の貯蓄、しかもたんす預金のような貯蓄が大きくて投資に回らないということがあり、私自身も普通預金で何がしかの資産を持っておったわけでございますが、やはり投資に回していくということが日本経済の発展のためにもいいのではないかと自分も思いまして、個人的にも、現在の市況に対しては、私は三十五年以上、経済産業政策や通商エネルギー政策に従事しておりますが、若干の底値感も持っておりますので、この際、そういうお話もあり、内閣の一員として、また古き友人である竹中さんとの友情ということもあり、購入したような次第でございます。
上田(清)委員 ありがとうございました。どうぞ御退室されて結構でございます。
 そこで、財務省、地震再特会でありますが、ここも、六名で運用している特別会計ですけれども、毎年二百万ほど外国旅費で使うということは、人数を確認しましたら毎年二名派遣しているということですけれども、三年に一回は、この地震再保険特別会計の、何の調査に行くんですかね。日本が一番地震は多いんで、日本ほど参考になるところはないんですけれども。
寺澤政府参考人 お答えいたします。
 地震再保険の調査でございますが、地震保険の企画立案のために、我が国の地震保険制度のあり方を考える上で、諸外国の地震保険制度の実態調査を行うことが必要でございます。
 具体的には、地震保険につきまして、アメリカ、メキシコ、フランス、スペイン等の国々が公的な保険として取り扱っております。諸外国もたび重なる改定を実施しておりますので、地震国である我が国におきまして、各国の最新の状況を十分把握しておく必要があるということから、調査を実施しているものであります。
 海外調査の結果、これらも参考にいたしまして、例えば、この三年間で見ますと、平成十三年十月から、耐震性能割引、耐震性能のあるものについて地震保険料を割り引くというような制度、それから建築年の割引をするといったようなアメリカの制度を導入した新たな保険料率の設定もしているところでございます。
上田(清)委員 会計検査院にもまたお願いいたしたいと思いますが、どうも、毎年、この六名の方が二名ずつ、三年で一回は必ず調査にこの職員が行かれるという形になります。もちろん、入れかわりがあるからそうとばかり言えませんが、理論的にはそうなります。果たしてそんな意味があるのかどうか、このことも調べてもらいたいと思います。
 それから、庁費が六名で、事務取扱費が人件費も含めて一億三千万ですので、それを除く分ですから、六千四百四十七万三千円。この庁費、一種の事務経費的なものがかかっておりますが、一人当たりの事務経費が一千万を超えておりますので、これも、なぜそうなるのか、六名でやっているからそうなのか。ほかのところはこういう数字になりません。この半分ぐらいです。であれば、何か特別な、かかる部分というのがあるんですか、これは、財務省。
寺澤政府参考人 お答えいたします。
 十五年度の予算に計上しております庁費は五千九百四十五万一千円でございますが、この大宗は、地震保険普及促進広報経費五千五百九十五万五千円でございまして、この内容は、地震保険を普及促進するための駅張りポスター等の広報に必要な経費でございます。
上田(清)委員 要するに、広報関係の費用だということですね。わかりました。それだとまた理解もできます。なかなか細かく書いてありませんので、そこの辺については理解ができませんでした。
 そこで、人事院総裁と会計検査院の院長にお伺いしたいんですが、先日も指摘いたしました各特別会計また一般会計、見れば見るほど私にとっては不思議であります。
 基本給があります。そして、基本給の後に諸手当がありますが、必ず予算が、どの項目を見ても、どの会計を見ても、どの省庁を見ても、どの省庁の各部局ごとに見ても、基本給の半分諸手当が計上されております。四・七カ月のボーナスに一・三カ月程度の諸手当が必ずつくということになっておりますし、そして、必ずどの省庁のものも、超過勤務手当が大体基本給の一割程度、前後ですけれども、必ずトータルでついています。
 そういうことで、例えば会計検査院の皆さんの人数千二百五十七人で割ったりすると、公務員共済の負担金まで含めると一千万を超えてしまいますし、仮にそれを除いても九百八十六万になりますし、人事院はいずれも一千万を超えてしまいますし、総務省本省も一千万を超えてしまう、外務省本省も超えてしまう、文部科学本省も一千万を超えてしまいます。実額所得は、実は公務員の平均は一千万なんだ、人事院が報告するところの六百六十七万と違う。
 こういう乖離について、会計検査院は本当に、一割、どの省庁もどの特別会計の職員も全部そうなっていますけれども、こういうことについて不思議に思ったことありませんか。
杉浦会計検査院長 お答え申し上げます。
 国家公務員の給与につきましては、その構成につきましても、官民比較の結果をもちまして人事院でお決めいただいておるわけであります。その結果として、今上田先生おっしゃいましたような手当とか基本給とかいうような格好の比率になっておるんだろうと思いますが、私どもは、その職員給与の内容については、トータル的には調べておりますが、個別の比率が何ぼがいいかというところは、官民比較等、そういったものも十分考えておられる方の制度官庁の方でおやりいただいておると思っております。
上田(清)委員 私は、ひょっとして、仮説ですけれども、一種の基本給に六カ月分を加えたものを何となく保障しているんじゃないかと。そうすると計算が合うんですね。四・七カ月じゃなくて、六カ月分を加えた分をいろいろな形でカバーしてくれているんじゃないかなというふうに思うんですね。
 例えば、登記特別会計で処理されているところの全国の登記所の職員の方のところも、超過勤務手当が基本給の一割あるんですよ、総額で。どう考えても、五時に閉まって残務処理を延々とやっているようには思えないんですよ。我々、選挙区で前を通りますけれども、電気が消えている場合が多いですからね。
 そういうことも含めて、どの省庁も同じような割合で、どの勘定も同じような割合でこの超過勤務手当がついている。例えば、財務省だとか、それこそ外務省の去年なんかは、決算でどんなふうになるのかわかりませんが、どう考えてもむちゃくちゃ超過勤務があったんじゃないか。しかし、同じような割合だと。何か調整しているんじゃないですか。
 人事院は、そういうことについて、何かわかったことありませんか。
中島政府特別補佐人 各給与種目についての予算編成のあり方については、私たちは特段関与いたしておりません。
上田(清)委員 そうすると、会計検査院の仕事だということですが、これも頭割りで、人数で割っていくと、どこもここも年間百万円から百二十万近く超過勤務手当がついていまして、月当たり十万ぐらい。何か意図的にそんなふうになるように、なかなか基本給を上げるわけにいかないから、いろいろな諸手当や超過勤務手当を加味しながら調整している疑いがあると私は理解せざるを得ないんですね。
 もっとばらつきがあればわかるんですが、もう本当にそれぞれの勘定がそうなっていますから、こんなに偶然が起こり得るわけがない、こんなふうに思っていますので、もし基本給が少ないんであったら基本給を上げる仕組みをつくるべきで、何か調整して、わけのわからない仕組みにしてはいけないと私は思っておりますが、会計検査院ではそういう指摘というのは内部ではなかったんでしょうか。
杉浦会計検査院長 お答え申し上げます。
 特に超過勤務費等につきまして申し上げますと、それぞれの業務の繁閑、こういったものを考慮して決められておるというように理解いたしております。
上田(清)委員 それぞれの業務に考慮をしているということですから、当然、超過勤務が多いような部署もあれば、そういう省庁もあるし、むしろそういうことは比較的なくて、ルーチン業務を淡々とやっていくところもあるはずなんですね。見てください、一つ一つ、院長も。みんな同じですよ。ほぼ基本給の一割ですよ、本当に判で押したように。これはどう見ても私はおかしいと思いますので、後日また、その点については、事務方も含めて照らし合わせをさせてもらいたいというふうに思います。
 それから、会計検査院の検査というのはどこがするんですか。
杉浦会計検査院長 会計検査院は、会計検査院自身で慎重にやっております。
上田(清)委員 どのような形でそれは報告をされているんでしょうか。
杉浦会計検査院長 私どもの検査の結果も各省の検査の結果も同じでございまして、問題があれば検査報告に指摘するということでございますが、私どもの内部の検査をした結果、今まで意見を表示したケースはございませんでした。
上田(清)委員 じゃ、再度繰り返しますが、会計検査院の人数は千二百五十七人おられて、基本給が総額で六十二億八千十八万一千円、諸手当がほぼ半分の三十四億六千五百八十四万、超過勤務が基本給の約六分の一、大変長時間やっておられるということでございますし、児童手当、ちょっとこれは極めて少ない七百万、それから国家公務員共済負担金が十六億九千四百万等々で、合計で百二十四億六百四十九万三千円。これを人数で割っていくと、先ほど言いましたように、共済の部分を入れたら一千万円になる。こういう理解なんですが、こういう理解で内々には済んでいるんでしょうか。
杉浦会計検査院長 お答え申し上げます。
 細かいけたのところでは少し違うかもわかりませんが、内容は今先生のおっしゃったとおりでございまして、総人件費を総定員で割りますと一千万を若干超すという点でございます。
上田(清)委員 こういう実態で、なかなか超過勤務の多いところであるというふうに理解しておりますし、それから、これも不思議だなというふうに思っているのは、これは人事院総裁の範囲だと思いますが、各役職に応じて、等級によって給与が支払われておられる、基本給が決まっている、しかし一方では管理職手当という形で手当がある。それぞれの等級に合わせて給料が決まっているにもかかわらず、なぜ管理職手当があるのかということについて、どのような歴史的な経過の中でこういうふうになったのか、お答えをしていただきたいと思います。
中島政府特別補佐人 管理職手当、民間でいいますと役付手当ということになるわけですが、それぞれ民間におきましても、公務員と同じように管理職手当に相当する手当が出ております。
 その理由というのは、やはり管理監督にある人たちの勤務の特殊性、いわゆる通常の勤務時間管理になじまない仕事をしておる人たち、そしてそういう人たちの高度の責任というものを考慮して管理職手当が官民ともに出ておるというふうにお考えいただいていいんじゃないかというふうに思います。
上田(清)委員 しかし、そういう高度な仕事等をされるので等級で分けているのではないんですか。そのために等級を分けて給料に差をつけているんじゃないですか、基本給に。だから、国家公務員の平均給与のところではこの管理職手当は抜けているわけでしょう。わざわざ外しているわけでしょう。
 では、なぜ外しているんですか、これ、統計のときにはこの管理職手当は外すのですか。民間と同じだったら、何で外すのですか。
中島政府特別補佐人 公務員給与の平均として先生がお話しになりました六百何十万とかあるいは一千万を超えるというその額の中には、管理職手当が入っております。
 それともう一つ、等級別に給与表というものができております。確かに、上級の等級につきましては、その職務の困難度とか責任の重さとかいうことを考慮しながら給与法ができておりますけれども、先ほど申し上げました、また先生がお話しになりましたような、高度な責任を負っている、いわゆる管理職手当が出ているような人たちの、そういう勤務の特殊性まで俸給表では考慮されていないというふうに認識していただいたらどうかというふうに思います。
上田(清)委員 俸給表で十分評価できない部分について管理職手当で評価をするという仕組み、それだったら、基本給のところで俸給表をきちっと出せばいいじゃないですか、わからない形で管理職手当を出すよりも。
 事実、今、平均給与のところは管理職手当と超過勤務も入っていると言われましたけれども、入っていませんよ。そちらからいただいたものでは入っていないんですよ、この六百二十七万というものには。そういう御報告を私は受けていますよ、事務方から。総裁が間違っておられるか、事務方が間違っておられるか。
 事務方、いらっしゃるんでしょう、答えてください、どっちが正しいのか。
大村政府参考人 お答えします。
 先生にお示しした資料でございますが、これは、月例給の方は官民比較の資料でございますので特別調整額については入っておりませんが、年収を出すときには、それも入れて先生の方にお示ししているところでございます。
上田(清)委員 そうすると、年収ベースのときには管理職手当だとか超過勤務手当は入れて、月収ベースのときには入れないと。そうすると、給与の比較をするときには、民間の管理職手当とか管理職における給与とか、そういうのはみんな除外してから民間の平均給与を出しているんですか。
大村政府参考人 民間と比較しておりますのは、四月の月例給、決まって支給される手当でございます。したがいまして、超過勤務手当等は、どちらかというと実績給、幾ら支払われるかというのはちょっとわかりませんので、その辺は除外して比較しているところでございます。
上田(清)委員 大変混乱した答弁になっておりますし、これが年額ベースで六百二十七万というのは全くのうそになってしまいますね、予算書で計算すると。どんなに少ないところでもこんなところないですよ、六百二十七万なんて。予算書をみんな足し算してくださいよ、それぞれ。なりませんから。全部八百万ぐらいになりますよ、最低でも。超過勤務手当と管理職手当やら全部足し算していけば。大体、ほとんどのところで超過勤務手当が百万ぐらいになるんですから、一人当たり。だから、明らかに今の答弁には矛盾がありますので、今ここでそのことをやあやあ言っても、足し算、割り算等々、簡単ではないと思いますので、改めてそれは確認させていただきます。
 まだまだ続きも山ほどありますし、せっかく経産大臣来ておられますので、最小限度、ちょっと経産大臣の守備範囲のところをやらせていただきます。電源開発の部分であります。
 電源開発、我が国のエネルギー政策を安定的に、なおかつ未来に向かって進める意味でも、大変貴重な特別会計だというふうに理解をしておりますが、そもそも経産省本体の予算もやたらめったら補助金、補給金、委託金、調査費というのが多いということはもう御指摘をさせていただきました。同じように、この電源開発の特別会計も極めて、予算の中でそうした補助金や調査費やそういうものが多いということでありますが、大臣、ざっと、その委託金、補給金、調査費、補助金、全体の予算の中でどのぐらいあるかというのは何となく御認識されていますか。別に、していないからといっても恥になりません、細かく見ていないですから。ちょっと、大臣の感覚だけで結構でございますので。
平沼国務大臣 委託費でございますとかあるいは補助金というのは、やはり経済産業全般、エネルギー全般にわたって所管をしております。そうしますと、それぞれから多様なニーズがある、こういうことでございまして、したがいまして、きめ細かくそのために対応する、こういうことで、そういった今御指摘の点は相当ある、私もそういうふうに認識はいたしております。
上田(清)委員 政策を遂行するために、その政策を遂行するための受け皿として財団、社団をつくって、そこを使いながら政策を実現していくという手法をこの霞が関の中では極めて多くつくっております。法律をつくる、そしてそれを実現する手段として財団、社団あるいは特殊法人をつくる、そしてそこにお金を流していく、そしてそれがまた出資をしたりしながら民間企業もつくっていく。そして、そこに業務調査費をしていく。そうすると、幾つも幾つも、いわば大きな企業が徐々に中小企業の建設会社に流して、またどんどん流していくうちに、本当に、下に来るときにはその半分ぐらいになっているという話がよくありますが、同じようなことがこの電源開発に関しても起こっているのではなかろうかというふうに私は思います。
 膨大な数の関連団体がぶら下がっていまして、この予算も半端じゃありません。それぞれ、調査補助金も十数億というのが結構多いんです、二十億クラスのものが。なかなか半端なものじゃない。しかも、それが毎年続くんですね。去年も同じような金額。さすがに少しずつ減らしていますよ、最近の傾向として。これは決算書を十年ぐらい見ればまたおもしろいと思います。ぜひまた決算書を十年ぐらい見てみたいと思いますけれども、果たして、これで本当にうまくいくのかどうか、こんなやり方をやっていて。
 何か無責任な調査報告書や、極端なことを言えば、こういう調査報告書もありましたよ、通勤時間と疲労度の関係。これは余暇センターか何かで出ていた報告書ですけれども、結論、通勤距離が延びれば延びるほど疲労度が高くなると。当たり前のことだ。当たり前のことを当たり前に報告するのに、わざわざ調査委託費が出て、そういうのが平気な感じで出てくるんですね。
 それは当たり前だ。別にそんなの調査しなくたって、だれだってわかることなんですね。通勤距離が延びれば疲労度が高くなる、当たり前のことだ。それをわざわざ結論で出してくるというような、そんなにひどいとは私は思いませんが、そのたぐいのものがたくさん出ていますので、私どもは、前にも申し上げましたけれども、本会議場で答弁される大臣の姿というのは、非常にまじめに謙虚に、そしてできるだけ原稿を見ずに、みずから勉強された中身で御答弁されている真摯な姿勢を高く評価しておりますので、改めてぜひ、この辺について大臣は検討された方がいいというふうに、生意気ですけれども申し上げたいと思いますので、その点について御所見を伺いたいと思います。
平沼国務大臣 国民の皆様方から出していただいた税金というものを、いかにこの国のために有効に使っていくか、このことがやはり基本的に大切なことですから、今御指摘のように、しっかりとそれが使われるように常にチェックはしていかなければならないと思っています。
 今、いわゆる疲労度のお話をされました。これは、通勤でございますとか、あるいはサラリーマンの皆さん方、勤める方々の健康問題等々の一環の中で計数的に一応調査をした、こういうことではなかろうかと思っておりますけれども、やはり、そこのところはどなたもが納得いくような形でしっかりと、国民の皆様方の税金ですからちゃんと使うべきだ、私はこれを基本にしなければならない、このように思います。
上田(清)委員 ここは細かい話ですので、事務方で結構でございます。
 この支出の中で、民間企業、そして民間団体というところに相当支出をしておりますけれども、これは、憲法八十九条で言うところの公の支配に反するところに公金が出せない、こういう仕組みが出ておりますけれども、ちょこちょこ、民間団体等とか、出ております。
 例えば、電源立地推進調整等委託費、「民間団体等」ということで七十六億円とか、これは総括でたくさん出ているとは私も思うんですよ。あるいは、電源利用勘定のところの電源利用対策費の中で、噴流床石炭ガス発電プラント開発費補助金、「民間企業」ということで十六億とか出たりしておりまして、また、太陽エネルギー発電の開発導入促進対策に必要な経費で、「民間団体等」で十四億とか、ちょこちょこ出ておりまして、これはまさか公の支配に関係のないところに勝手にお金が出たりはしていないでしょうねという質問をしたいと思います。
岡本政府参考人 お答え申し上げます。
 私ども、エネルギー政策の実際の実施に当たりまして、各種の民間団体に、例えて申しますと、広報のような事業でありますとか技術開発のための事業でありますとか、あるいは原子力発電を中心に安全性の実証試験をやるための事業でありますとか、そういったものについて、日本立地センターでありますとか社会経済生産性本部でありますとか放射線計測協会でありますとか、いろいろな民間の団体に事業を委託したり、あるいは補助をさせていただいているところでございます。
 先生御指摘の憲法の八十九条との関係でございますが、八十九条自体は、宗教上の組織もしくは団体の使用、便益もしくは維持のための公金の支出を禁止するということと、その後段において、公の支配に属しない慈善、教育もしくは博愛の事業に対する公金の支出等を禁止しているものと承知をいたしておりますが、この八十九条に関しまして、昭和二十四年に当時の法務庁法務調査意見長官からなされました解釈におきまして、前段の方は信教の自由との関係、それから後段につきましては、一般に慈善、教育もしくは博愛の事業は、これを民間人が行う場合に、こうした事業に対して公の機関が援助、特に財政的援助を与えることは、公の機関によるこれらの事業への不当な干渉を行う動機を与えるおそれがあること等から、これらの事業への公金の支出等を禁止している旨、述べられているところでございます。
 電源特会におきます委託費、補助金等の支出につきましては、先生も御理解いただきますように、宗教上の組織もしくは団体の使用、便益もしくは維持とか、あるいは公の支配に属しない慈善、教育もしくは博愛の事業に対して支出されるものではございません。したがいまして、ただいま申し上げました憲法八十九条の趣旨に抵触するものではないと私ども考えているところでございます。
上田(清)委員 たまたま、ほかのところでは社団だとか財団だとかという名前が出たり、独立行政法人云々ということですけれども、一括的に「民間団体等」と書いてありますので、その中に、公の支配を受けないところの純な民間団体なり企業なりがひょっとして含まれているのかなというふうにちょっと思ったもので、確認の意味で質疑をさせていただきました。また詳しい中身を教えてください。
 同じように、ちょっと気になりますので、これは財務省との共管でもありますが、同じ論点ですから、石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計の方です。これも、どちらかといえば経産省ではなかろうかと思いますが、この小冊子の方ですけれども、この中の三ページ目の石油・石油ガス備蓄増強利子補給金、「石油精製業者等」と、支出が、これも七十三億でありますが、多分これは、備蓄ですから、国家政策とのかかわりの中で何らかの法的解釈なりなんなりをしているのかなとは思いますが、念のために教えてください。
岡本政府参考人 石油の備蓄は今、日本全体で百七十一日分、国家備蓄で五千百万キロリットル持っておるわけですが、逐次備蓄を増強してまいりました。
 そのタンクについて、国家備蓄基地ということで特別会計による出資をもとに国でつくったタンクのほかに、一部民間の精製業者等のタンクに余裕がある場合には、これを借り上げてやるということを行っております。それに対する支払いというのが一つございます。
 それからもう一つ、中身の油でございますが、一挙に買うわけにいきませんので、国際市場の状況を見ながら、三百万キロリットルとか、年によってはそれよりも少ない数量ということで、逐次中身の備蓄の原油の買い増しというのをやってきたわけでございますが、その中身につきまして、石油公団に買ってもらうわけですけれども、資金それ自体はシンジケートからお借りをする、それについての利子分相当を、これを石特会計から補給金で出していく、そういう形で積み増しをやってきたものでございます。
上田(清)委員 だから、説明は大体私もわかっているの、多分そんなことだろうということ。そうじゃなくて、さっきの問題意識で質問を聞いたんですから、質問に忠実に答えてください。長い時間とられてもったいないですから。
 法的な手当てはできているのかどうかということですよ。民間企業でしょう、精製業者というのは。それを確認したいと言ったんです。
岡本政府参考人 私ども、この備蓄のケースにおきましても、先ほどの八十九条との関係で、これに対して助成を行うことは抵触をしないというふうに考えているものでございます。
上田(清)委員 ちょっとそれだけだと弱いような気がいたしますので、またこれで議論していると時間がかかりますので、また改めてやりたいと思います。
 同じように、この中にもやはり民間団体としか書いていなくて、ほかのは社団だとか独立行政法人だ云々というのが出ていますので、非常に誤解を招きやすいので、もう少し工夫をされたらいいかなというふうに思います。それだけはちょっと申し添えます。
 坂口厚生労働大臣、申しわけありません。ちょっと時間の配分からすると、今からETFの問題で竹中担当大臣とお話をしなくちゃいけないので、申しわけありません、そこまで行けないと思いますので、御退室されて結構でございますので、まことに申しわけありません。おわび申し上げます。(発言する者あり)財務大臣はだめですよ、主管ですから。
 竹中大臣、済みません、お待たせしました。(発言する者あり)経産大臣ももちろんどうぞ。申しわけありません。
 それで、竹中大臣、幾つかちょっと確認ですが、竹中大臣は二つ担当されておりまして、経済財政担当大臣と金融担当大臣という形で、いわば現場と政策の決定の部分と両方持っておられると思います。
 そこで、例えば、竹中大臣のもとには特に経済財政担当大臣としていろいろな報告があると思いますが、一般的に主な、さまざまな経済指標を中心に、どのような報告がまず経済財政担当大臣として来ておりますか。例えば、ざっと私の方で申し上げますと、月々あるいは下半期の、四半期の情報で景気動向指数だとか機械受注統計調査報告だとか、こういうのはずっと報告が上がるようになっているんですか。
竹中国務大臣 内閣府で、主な統計としてGDPの統計は、極めて集約的なものでございますが、これは内閣府の経済社会総合研究所で推計をしているものでございますし、GDPに象徴されますように、内閣府で作成しておりますような指標、アンケート調査等々は私のところに報告が上がってまいります。
 さらに、月例経済報告という、これは政府としてどのように現状の経済を見ているのかというまさに現状景気判断でございますけれども、これを報告する立場にございますので、これについても事務方からいろいろな案等々が上がってきまして、私なりに判断をして御報告をするというシステムになっております。
上田(清)委員 そうすると、最近では二月十四日の四半期のGDP速報、これなどは、一応表向きは二月十四日ということになっておりますが、それ以前に大臣のところに報告があったんでしょうか。
竹中国務大臣 経済指標、重要な指標はたくさんございますけれども、とりわけGDPの統計というのはすべての経済活動を集約的にあらわすものでありますので、その意味でも重要性は高い指標だというふうに認識をしております。
 この統計の発表につきましては、これはたしか堺屋経済企画庁長官のときだったと思います、ちょっと記憶ははっきりしておりませんが、そのときにシステムをかなり全面的に変えておりまして、今回の場合は、二月十四日でありますけれども、その当日の朝、これは九時にマーケットが開くその直前にこの指標が、八時五十分であったと記憶しておりますが、公表されることになっている。そのさらに直前、八時半ごろなのかなと思いますが、そこで最終的に集計がされまして、そのときに初めて数字が出てくる。その数字が出ましてから発表までの間に、記者に聞かれる等々のこともございますので、急いで私自身のところに報告が上がってくる。そういうシステム、かなり厳しい、厳格なシステムになっております。
上田(清)委員 十四日の速報以前にそういうのが入るのかどうかということの確認もさせてください。
竹中国務大臣 今申し上げましたように、この数字そのものは、その日の朝にコンピューターからそこにインプットされた数字が初めて出てくるということでございますので、その報告が出てくるのが発表の、ちょっと正確には記憶しておりませんが、二十分前とか三十分前であろうかというふうに思います。その時点まで私自身、その数字を知るということはあり得ないことでございます。
上田(清)委員 ちょっと念のために。この手のものは大体御報告を受けているわけですか。法人企業動向調査、消費動向調査、それから単身世帯消費動向調査、景気ウオッチャー調査。とりあえず今の部分だけ。
竹中国務大臣 たくさん経済統計がございますので、それを一つ一つ確かかどうか今ちょっと事務方にも確認をさせましたが、今御指摘のような指標につきましては、これは私のところに報告が上がってまいります。
上田(清)委員 そこで、今話題になっていますETFの出来高のグラフなんですね。これは二月三日、四日、五日、六日、七日、十日、十二、十三、十四、十七、十八と、こう来ておりまして、七日の日に、済みません、見えないとは思いますが、七日の日に竹中大臣が発言された後、ぐぐっとこの出来高が上がりましてね、十日あたりをピークに。そして、十四日の議論が出てきたら、実は下がってきているという。それこそ、財金で増原議員が、そんなの信用できるか、大臣の発言が、そんなことを言っておられましたけれども、これはTOPIXで、こちらが日経二二五型の出来高で、やはり同じように十日あたりでぐんと上がって、七日でお話があった後上がって、大臣の発言に市場が敏感なんだということをあるいは証明するものかなというふうに思います。
 また、これは一日の出来高なんです。朝一番に、これが七日の日ですけれども、九時段階で、大臣が発言された後、ばんと上がりまして、これは二二五型であります。明確に一日の出来高で、このアナウンス効果というのが非常に市場に影響を与えているということでありまして、まずこのことを大臣として認識していただきたいと思います。
 一つ、私の方も質問を忘れておりました。
 金融担当大臣として、銀行等の不良債権の処理状況についてはどのぐらいのペースで大臣のもとに報告があるんでしょうか。例えば一カ月置きに報告があるとか、三カ月置きに報告があるとか、もう一週間置きに報告があるとか、いかがでしょうか。
竹中国務大臣 不良債権の処理についての報告というお尋ねだと思います。
 この不良債権の処理は、これはいわば決算の数値でありますので、決算に当たって報告を受けるという形になっております。その意味では、不良債権の処理状況に関しては半年ごとに報告を受ける、そういうシステムになっております。
上田(清)委員 それはちょっとおかしいと思います。表向きは、我々にも半年に一回、破綻処理の報告で国会でもしておりますが、そういうことではなかなか健全化計画だとかを実行することが不可能になってしまいますから、当然、非公式な報告がいろいろな形で入ってきていると思うんですね。そういう部分はどんなふうになっているのか。本当に半年に一回しか金融担当大臣に報告がないということであれば、我が国の金融行政というのは守れません。
竹中国務大臣 ちょっとこれは確認も含めて申し上げさせていただきたいですが、不良債権の処理がどのように進んでいるか。
 不良債権の処理のプロセスといいますと、当然これは資産査定をやる。資産査定に当たっては、評価を行って、これをどのように引き当てするか。これは間接的な引き当ての場合でありますけれども、これはやはり決算の話だと思います。あとは、そうした上で、必要に応じてオフバランス化をしていく。この二つが重要な不良債権の中身だということだと思いますが、そういう意味においては、やはり、我々が把握できるのは決算においてということにならざるを得ないかというふうに思います。
上田(清)委員 ありとあらゆる意味で、途中経過というのは金融担当大臣のところに一切報告がないという理解ですか。
 例えば、わかりやすいように申し上げますが、個別の金融機関とかの不良債権の処理状況だとか、あるいは検査の状況の中で途中の経過報告があるとかないとかを含めて、半年に一回しか事務方から報告を受けないということですか。
竹中国務大臣 上田委員、今ちょっと例を御提示くださいましたけれども、銀行はもちろんいろいろな活動を行います。不良債権に関して、その引き当てとかオフバランス化ということに関してはやはり半年ごとということになるんですが、例えば、今度そういったオフバランス化を促進するために何らかの会社を設立するとか、これはやはり関連する情報ではもちろんあるのだというふうに思います。こうしたものに関しては、これは経営戦略として各社いろいろ考えておられるし、これを公表するに当たっては、これは事前に監督部局には通常はお話があるというふうに思っております。
 そういう意味では、日々の活動の中で、特に、銀行がいろいろなことを社会に対して戦略としてアナウンスする、これは銀行業界全体ではありませんが、個々の経営に関して、そういったやりとりは監督部局との間ではあるというふうに認識をしております。
上田(清)委員 なぜこういうことを前提的にお聞きしたかと申し上げますと、ETFの問題に関してインサイダーの疑いがある。
 まさしく経済財政担当大臣というのは、日々の景気動向の指標を知る立場にある、また経済政策として常に誘導をするための政策を行うことも可能である、そしてアナウンスメントの効果を持って、金融政策も含めて、さまざまな立場にある、そして、例えば銀行の不良債権処理の状況も知り得る立場にありますから、この二二五の連動の部分に関しても、銀行株の動向も知り得る立場にある。
 そういう人が、これが絶対もうかりますよということを記者会見で言えば、まさしくこれはインサイダーじゃないですか。これは自作自演の話ができているじゃないですか。これは、完全に日本国の経済財政大臣として失格じゃないですか、こういうことを言っていること自体。これで本当に日本の経済財政をつかさどることができるんだろうかと私は不思議に思いますね。
 何とも思いませんか、矛盾を。
竹中国務大臣 これは私の名誉にもかかわることでございますので、インサイダー取引の定義云々からぜひ御理解をいただきたいと思います。
 そもそも、インサイダー取引の対象となるのは特定有価証券でございます。この特定有価証券の中に、こういったETFは含まれておりません。したがって、証券取引法の百六十六条に規定するインサイダー取引ということはそもそもあり得ない話であるということをぜひ御理解いただきたいと思います。
上田(清)委員 風説の流布はどうですか。どうぞ、法解釈してください。
竹中国務大臣 風説の流布というのは、自己または第三者の証券取引を有利に行うため、または有価証券等の相場の変動を図る目的を持ってうわさのたぐいを流すということでございます。
 これに関しては、自己または第三者の取引を有利に行うためでもありませんし、有価証券の相場の変動を図るものでもございません。さらには、これはうわさのたぐいというものではなくて、日本の未来は明るいという私なりの根拠に基づいて申し上げているわけですので、これまた、風説の流布に当たることは絶対にあり得ないわけでございます。
上田(清)委員 ぴったりかんかんに当たったような気がしますけれども、それはまた議事録を精査していただいて、あすのメンバーにその分についてはさらに議論を進めてもらいたいと思いますが、十七日の原口議員の質問に答えるところで、日銀によるETF購入を勧めたいということを竹中大臣は言っていないということを言われましたけれども、これは間違いありませんか。
竹中国務大臣 私の記憶している範囲で申し上げれば、日銀とETFの関連に関しては、私は、常に次のように申し上げてきたつもりでございます。
 私たちが日本銀行に期待するのは、デフレの克服のために政府と一体となって取り組んでいただくこと、具体的にはマネーサプライがやはりふえるような状況をつくっていただくことである。
 マネーサプライをふやす手段としては幾つものものがありますが、これには、マネーと代替的な手段を購入する、その見返りとしてマネーが世間に出ていく、これがやはり金融政策の一つのロジックであろうというふうに思っているわけでございます。そうしたことについてはさまざまに御検討をいただきたい、そういう形でマネーサプライがふえるような政策をとっていただくということを私たちは期待しているわけでございます。
 しかし、同時に、常に申し上げているのは、ただし、このような政策の目標に関しては共有をしていただきたいが、政策手段の選択、具体的には何を買うか、これに関してはまさに日本銀行の独立性が尊重されなければいけない、そのことを繰り返して申し上げているつもりでございます。
上田(清)委員 これは二月十八日の記者会見ですが、まずこういう問いかけがありまして、またきょう、自民党の方から、このETFのほかにも、RCCの実質簿価での買い取りであるとか、何点かの提案がありました、こういうことについて具体的な議論がなされたかということと、それから先ほど、財務大臣に対して総理から、財務省にも反省してもらうことがあるというのは、具体的にどういったことを示していらっしゃるか、お願いしますと。
 そして、この答えの中で、ちょっと前段をもう省略しますが、あと、日銀によるETF購入というのは与党では議論されているようでありますが、これは先ほど言いました新たな金融手段の一環として、つまりオペ対象の多様化の中で、日銀の中で議論していただけるかどうか、これについては、総裁は日銀法の枠内で考えるということでおっしゃいましたけれども、引き続きその金融のあり方については御検討をお願いしたいということできょうの議論は締めくくっておりますということで、ある意味では、ここでは勧めておられるように私は理解をいたします。
 それから、同じく、十八日の議論の中で、ETFについても、マネーサプライをふやすというための一つの手段として有効な手段であるというふうに私自身も思っておりますし、三者ともそのような議論をいたしましたと。こういう形ですね。これは記者会見の議事録です。
 また、経済財政諮問会議の中でも、竹中大臣は、第四点、公的資金、日銀資金等によるETF購入という議論があったが、PKOは好ましくないとの議論もあった、きょうの相場は戻したが、非常に微妙な状況で、大胆かつ慎重に御論議願いたいと。あたかも、相場の関係からこのETFが呼び水になるんではなかろうかというようなことを示唆するような発言があります。
 また、速水、諮問会議の議員ですね、総裁でありますが、このETFに関しては否定的なことを述べられた後に、竹中大臣は、本間議員御指摘のハイパワードマネーが、前年比三〇%増だが、前月比ではふえていない結果、マネーサプライが三%しかふえていない点はどうかとか、その流れの中で、資産が多様化すれば需要がふえてくるとか。
 結構竹中大臣は、日銀に対して、独立的に考えなさいよというよりは、むしろETFを日銀が買い込んだ方がいいんじゃないかということを示唆されているんじゃないですか。
竹中国務大臣 これは、先ほどまさに私が申し上げたとおりでございまして、我々としては、マネーサプライをふやしてほしい、デフレは貨幣的な現象であるので、その点に関していろいろと日銀に検討してほしいというような期待を持っているわけであります。
 繰り返して言いますが、その方法としては、何らかの資産を買う、マネーと代替的な資産を買う、それについていろいろな議論が経済財政諮問会議でもなされております。
 上田委員、今いろいろな引用をしてくださいましたので、その一つ一つについて、改めて資料をこれは見させていただいて、御説明を申し上げることがあれば御説明を申し上げますが、例えば、今御引用の中で、本間議員がこう言いましたということを私は記者会見で申し上げているとか、そういうような意味で、私は、日銀の独立性について非常に慎重であらねばならないと常に自分自身に言い聞かせておりますので、こういう形について、いろいろな方法はあるだろうというような議論は、これは経済政策の議論としてさせていただいておりますが、繰り返しますが、その具体的な政策手段の選択については日本銀行の独立性を尊重すべきであるということも、同時にいろいろな場で申し上げさせていただいているつもりでございます。
上田(清)委員 もう一つですが、竹中大臣は、ここでの議論の中で、個人として聞かれたからと言っておられましたが、昨日の本会議では、大臣として聞かれたと。どちらが本当ですか。
 個人として聞かれたので、個人的に答えた、こういうことを十七日は繰り返しておられました。ところが、きのうの本会議では、大臣はどう思うんですかと言われたので個人的に答えたと。もうかりますという話ですよ、ETFが。
竹中国務大臣 上田委員今お尋ねの点が、いろいろ誤解されているようでございますので、ぜひ申し上げさせていただきたいと思います。
 記者会見では、大臣はどうされるのですかというふうに聞かれました。しかし、ここはぜひ御理解をいただきたいですが、私自身、大臣になってから、あなたはとか、竹中さんはとか、そういうふうには聞かれないわけです。大臣は御家族は何人ですか、大臣はけさ何時に起きられましたか、例えばこういうのは、やはり個人としてしか受け取りようがないのではないのでしょうか。
 例えば、大臣はどうされるのですかというのは、これは、買いますということでありますから、公費で買うのではなくて個人で買うわけでございますから、大臣はどうされるのですかというのは、大臣個人はどうされるのですかというふうにしかこれは受け取りようがないのだというふうに思っております。
 その意味で、個人的にこのように聞かれたという解釈のもとにお答えをしたわけでございます。
上田(清)委員 では、もう時間ですから、大臣、確認しますけれども、二月十四日に、海江田万里さんの質問に対しては、記者会見におきましてあなたは購入しますかというふうに言われまして、私は買います、私はもうかると思っております、個人の発言としてしたものでございます、こう言う。そして、十四日に、末松さんに対しては、あなたは買うんですかというふうに聞かれて、私は買いますと言った、個人として私は買いますか、こんなふうに聞かれたのでそう答えたと。そして、十七日も、原口さんに対してもあなたは、記者会見での発言は、個人としてどうしますかというふうに聞かれたのに対して、買います、もうかりますと思っておりますと答えたものであって……
藤井委員長 上田君、時間が参っていますので、簡潔にお願いします。
上田(清)委員 個人としての認識を申し上げたものですと言って、あなたはさっきは、大臣として問われたと言うんですよ。だから、くるくる変わるんですね。そのことだけ御指摘しておきます。
 以上です。
藤井委員長 これにて上田君の質疑は終了いたしました。
 次に、都築譲君。
都築委員 自由党の都築譲です。きょうは特に、坂口厚生労働大臣初め厚生労働省の政務官の皆さん方にお聞きをいたしたいと思います。
 本当は、私どもの小沢党首が衆議院の本会議、代表質問で日本一新の政策を訴えて、その社会保障政策、国民生活基本法案、こういったものを中心に少し議論を深めていきたい、こんなふうに思っておりましたが、まず最初に、実はきのう、私どもの予算の理事担当の達増さんから、きょうの予算委員会、質問時間がとれました、委員会が立ちますということで朝九時過ぎにお話がありましたので、早速十時に、私自身は、厚生労働省の方に質問の通告をするということで、質問の趣旨と主な論点というペーパーを出して、厚生労働政務官にぜひお会いしてお話をしたいということをお願いしたわけであります。
 厚生労働政務官にお願いするというのは、結局、国会審議の活性化ということで平成十一年から随分進めてまいりましたが、党首の代表質問の中にもありましたように、どうもその本来の趣旨が忘れられて、もとのもくあみになっているんではないかということで、民主党さん初め野党がみんな今、しっかりとやっていこう、こういう思いで取り組んでおりますので、そういうふうに私もお願いをして、そうしたら、十一時三十分にお会いをしましょう、こういうふうな返事をいただいたから、さあといって私は、ちょっと議運の理事会がおくれてしまいましたので、いや、どうも済みませんと言ってその部屋に入っていったら、政務官はどこにもいない、役所の皆さんが十二、三人もばあっと待ち構えている、何だこれはと、こんな話であります。
 なぜこれを取り上げるかというと、私がばかにされたという話だったら、まあそれでいいのかもしれないけれども、そうじゃなくて、だって、上野官房副長官が議運の理事会でも、あるいはまたこの予算委員会でもあの日刊ゲンダイの記事で問題になったかもしれない。結局、国会で質問をすることが、何か、国家公務員の超勤をさらにひどくして、税金のむだ遣いをやっている、とんでもない話だと私どもは議運の理事会でも厳重に抗議をしたわけでありまして、だから、大臣政務官に通告をして、さてやりましょうと言ったら役所の皆さんばかり来ている、一体何だこれはと。少しでも役所の皆さんの負担を軽くしようということで与党の皆さん方は政務官に任じられて、一体何をやっているのか、こんな思いで私は受け取って、けさほどまで実は怒り心頭に発しておったのですが、大分時間がたったら落ちついてきましてこの程度で済んでおりますけれども。
 まず、厚生労働政務官、渡辺政務官それから森田政務官、お越しですか。ちょっと官房副長官はまた後でお聞きしますけれども、どういうことでこういう状況になっているのか、それはどういうふうにお考えですか。まずお聞かせいただきたいと思います。
渡辺(具)大臣政務官 国務大臣、副大臣及び大臣政務官の規範におきましてただいま御指摘のことについて書かれているわけでございますが、具体的には、国会対応につきましては、大臣政務官あるいは副大臣は事務方の先頭に立って対応するということでありまして、例えば質問取りにつきましては、大臣政務官がみずから出かけていって行うということではなくて、事務方を適切に指揮して対応するということであります。
 いずれにせよ、大臣、副大臣、大臣政務官が適切に役割分担をいたしまして、国会対応に万全を期しているところでございます。
森田大臣政務官 ただいま渡辺政務官から御答弁がございましたとおりでございまして、事務方の先頭に立って、事務方を適切に指揮して対応に当たらせてまいりたい、このようなことで、一緒でございます。
都築委員 事務方の先頭に立ってやっているんだったら、私がこの質問を出したという話をいつお聞きになって、それで事務方で行ってこい、こういう指示を出したんですか。それを聞かせてください。渡辺政務官だけでいいです。
渡辺(具)大臣政務官 都築委員から御質問があるということを伺いまして、私が指揮をいたしまして、担当の事務方に、行って質問を伺ってくるようにということを申し上げました。
都築委員 では、いつその指示を出したんですか、いつこの私が出したペーパーをごらんになったのか、それを言っていただけますか。
渡辺(具)大臣政務官 私もこの仕事だけをしているわけではございませんで、いろいろな仕事の中でそういう仕事が参りましたので、いつの何時だったかということは、はっきりは覚えておりません。
都築委員 だから、私が十一時四十分ごろにそのレクの会場に行って、この趣旨だ、それで、一応こういうことも聞くからというふうに言って、渡辺政務官にもよく伝えるようにと。ところが、その後何が起こっているかといったら、役所の皆さん方が必死になって私を追いかけてきて、それで言うから、私は渡辺政務官には通告するよと言っておいた。ところが、政務官はどこにも出てこないじゃないですか。けさになってようやく政務官がお会いしたいというふうな話が出てきたんです。
 では、政務官の役職は一体何なんですか。副大臣も大臣を補佐する、政務官も特定の職務について大臣を補佐して政務に当たるというのが本来の仕事じゃないんですか。その趣旨を忘れて、ただただ政務官の職、ああ、いいな、役所の皆さんが支えてくれるなんと言っていたら、それこそ職にあらずして官位をむさぼるというのは、古来中国から一番恥ずかしいことだと私は思うんですよ。だから、そういう仕事をやっているのかということですよ。
 だから、私が政務官には通告をすると言ったのに、役所の皆さんが何で飛び回っているんですか。ちょっと言ってください。
渡辺(具)大臣政務官 先ほど申し上げましたように、大臣政務官は、国会との連絡調整に立つということでありますが、質問がありました場合は、必ずしも出向いていって大臣政務官が聞くということではなくて、役所におりまして、だれが行くべきか、あるいは、どういう問題かということを聞いてくるように指示することも重要な仕事でありまして、これも国会との連絡調整の一環である、指揮することが大変重要な仕事であるというふうに思っております。
都築委員 おっしゃるように、その指揮することが自分の仕事であると言うんだったら、その言葉を私は本当に信じたいんですよ。
 ただ、今何でこんな問題になっているかというと、一番の問題は、あなたが本当に指揮をしているのかと。実は役所の皆さんが、政務官や副大臣や大臣に上げなくたって、とにかく自分たちで処理をしていこうとさっと気を回して全部やっているんじゃないのかと。ということは、政務官とか副大臣とか大臣になっても、実際のところは、みんな祭り上げられて、役人の手玉に乗っているピエロみたいなものじゃないか、そういうふうに思うんですよ。いかがですか。
渡辺(具)大臣政務官 私も、過去役人時代、質問取りにも何度も参りました。そういう質問に対して、先生の論点がどこにあるかということは大切でございますので、事務方が持ってまいりましたペーパーを見まして、先生のお聞きになりたい点、あるいは議論していただく点はどこかということを事務方といろいろやりとりをしまして、質問の整理を事務方に対して指示したところでありまして、私は大変重要な仕事をしたというふうに思っております。
都築委員 そこのところを、実は私も役所の中でずっとあなたの動きを追いかけているわけではないし、日程を出してくれと言えば、まあ出していただけるんだったらぜひ出していただきたいと思うんですけれども、そこら辺のところを本当に今証明する手だてが実はないのが実態であります。
 だから、今渡辺政務官が言われたように、そういうふうに、自分で重要な仕事をやっている、そしてまた、政務官についてもうそれなりの期間を経過しておられるわけですから、そういうことで、私はちょっと今から、坂口大臣に本当は聞きたかったけれども、政務官もそういう職務を分掌されておられるというのであればあなたに聞いていきたい、こんなふうに思っております。
 それで、その前に、上野官房副長官にお越しをいただいておりますけれども、いいですか、議運の理事会のときも申し上げたように、こういった何かいろいろな調査用紙を役所の国会担当の窓口に配られて、そしてそれを報告させる、こういうことでやっておられますけれども、実際のところ、では、私が今回、渡辺政務官、おつきで例えばメモ取り一人二人来るんだったらいいですよ。その方たちに集中的にこういう問題を聞きたいというふうに言えば二人かそこらで済んだ話が、十二、三人も役所の皆さんが、若手の課長補佐や係長がどっと押しかけてきて、厚生労働省からこの国会に来る間の時間だって結構あるわけですよ。そういった時間を全部つぶしておいて、多分みんなそれぞれ日常業務を持って忙しいと思うんですけれども、それが、私が、だからこれがまた超勤の原因になっている、あるいは税金のむだ遣いの原因になっているとおっしゃるんですか。どうですか。おかしいじゃないですか。
 こんな調査をやって、しかも本当に断片的なもので、むしろ国家公務員の職務の本当に大きなところは、もちろん国会への対応というものを支えるというところがありますけれども、あと大蔵省の予算折衝だって、各政党への、いろいろな部会への折衝とか、あるいはまたいろいろな団体との連絡調整とかいろいろなところで、そして残業しなきゃならないときは残業しなきゃならない。だから、むだな時間は避けようということで、一週間に一度は定時退庁日とかそういったのを設けてやっていますけれども、何で国会の質問だけこんなふうに取り上げて、精緻に取り上げるのか。財務省の復活要求とか、あるいは概算要求を出した後の九月からのずっと予算折衝の過程とか、いろいろなところで大蔵待機がかかるなんというのは昔からの慣例じゃないですか。
 そういったものを調べないで、なぜ国会だけやって、それで国会は税金のむだ遣いをやっているなんという話につながっていくのか、私はよくわからないですね。まことにけしからぬと思うんだよ。どうですか。
上野内閣官房副長官 厚生労働省が大勢行ったとかいうことは厚生労働省の方にお聞きいただきたいと思いますけれども、これは副大臣会議で、昨年の十月だったと思いますけれども、国会対応で大変遅くなっているというお話が何人かの副大臣から出されまして、そして、それはもう一年前にさかのぼりましても、そういう申し入れをしたわけでございますけれども、なかなかいろいろ御要望申し上げましてもうまく対応をしていただけないということで、それではどのぐらいの状態であるかということを調査させていただいたわけでございます。
 この調査は、あくまでも国会の方の対応でどのぐらい遅くなっているかということを調査しただけでございまして、それをどの先生がどう遅いとか、そういうことは全然ないわけでございまして、トータルとして、しかもこちらの政府の側にも、今言われたように、こちらできちっともう少し簡潔にやらなきゃいけないという旨もありましたので、こちらはこちらとして、なるべく政府としても時間を短くして大勢の職員がかからないようにという努力もしているところでございます。
都築委員 これでちょっとこの問題は打ち切らないとほかの論点に入っていけないんですが、上野副長官と坂口厚生労働大臣にお聞きしますが、一番、国会用務の関係で本当に国家公務員が超過勤務でかわいそうだ、残業ばかりやっていて大変だ、こうおっしゃるんだったら、なぜあの国会活性化のときに決めた政務官が国会対応をやって、その国会対応をやるというのは政策に十分精通して、だから、なぜ十二、三人も来たかというと、結局役人の係長、課長補佐のレベルだと自分の所掌の課の問題しか議論をできないから、ほかのところを聞かれたらおれは責任持てないからというて、当たりそうなところの者には全部声をかけてみんなで行ってこい、こういう話になるわけです。そんなことばかりやっているからむだになるので、むしろ政務官一人が業務に精通をする、あるいはメモ取りが一人で来る、そういった形で的確な割り振りができるような、議論がちゃんと活性化できるような、そういう政務官の国会対応、こういったものを全省的にやったらどうか。
 これは、坂口厚生労働大臣は、今回も、またこれからも同じようなことを厚生労働省は政務官に指揮をゆだねてそういうことをやり続けられるのか、そこら辺のところを私はお伺いしたい。
上野内閣官房副長官 まず、質問取りは政務次官、当時政務次官がということでございますけれども、先ほど渡辺大臣政務官がお話をしたとおり、先頭に立つということでありまして、みずからやるということではありません。これは、三党の、当時自由党も与党だったわけでございますけれども、自自公の国対委員長からそういうことがきちっと出ております。それからまた、そのときの申し合わせからいえば、前々日の十二時ということもそのときにやった申し合わせで、これはそういうことでございますから……(発言する者あり)いや、これは国対委員長間でずっと決めたことでございますから、それは国対の方できちっとまたお確かめいただければいいと思いますけれども。
都築委員 委員長、今のは答えていないですよ。
 だから、どうするんだ、全省的に、本当に。政務官が先頭に立つということで、ではやはり同じようにこれをずっとやり続けるわけですか。では何のためにあんな調査をやっているわけですか。
上野内閣官房副長官 今申し上げましたとおり、大臣政務官は先頭に立つということでございます。国会対策に当たるということでございまして、大臣政務官がみずから質問取りに当たるということはあり得ないわけでございます。むしろ、大臣政務官は答弁をするということが一つの大きな役割になっております。これは、大臣政務官の規範にちゃんと書いてございます。
坂口国務大臣 都築議員がお出しいただきましたペーパーが各般にわたっていたものですから、多くの者がお邪魔をしたんだろうというふうに思いますけれども、しかし、今お話ございましたように、大臣政務官が中心になっておまとめをいただいて、そしてこれからもいくということは大事なことだというふうに思っておりますから、大臣政務官にこれからまたいろいろお願いをしたいと思っております。
都築委員 今の坂口大臣の趣旨は、大臣政務官にお願いしたいというのは、いろいろな議論の活性化を、深みのある議論をするためにも、ぜひ大臣政務官が、単に役所にこもって指揮をしているんじゃなくて、先頭に来て、そして少しでも本当に公務が順調に、効率的に進むと同時に、国会審議も充実するようにという趣旨で私は理解をしたい、こんなふうに思っておりまして、これから厚生労働関係の質問をするときは、ぜひそういうふうにお願いをいたしたいと思います。
 それでは、論点ということで入っていきたいのでありますが、まず一つは、正直申し上げて、健保の改正を強行されまして、十月から老人医療の関係、さらにまたこの四月からは二割から三割負担への引き上げということで、そして各団体からも、日本医師会からも野党の私どもに対して、二割―三割の引き上げというのはやはり問題じゃないか、何とか凍結できないかという要請が出ているような状況であります。
 そんな状況の中で、最近の新聞で報道されたのは、当初、これだけの改正をやれば初年度大体千八百億円ぐらいの黒字が見込めて、五年ぐらいはこれで何とかなるんではないか、こういう見込みの上で実は去年の健保法改正の審議のときに言われておったわけです。ところが、最近の状況だと、実は、当初千八百億円の二〇〇三年度の黒字見込みが六百億円に縮小する見込みだというふうな話になってきている。六百億円で本当に、では一体五年もつのか。もうしばらくは改定しませんというふうな、国民に負担を押しつけるようなことはしませんという議論をやっておられたんじゃないのかと思うわけです。
 その新聞では、六百億円に縮小する要因としては、結局、雇用が縮小し、賃金が縮小するからなかなか保険料が見込めない、こんな話に実はなっておりますけれども、私は、それはちょっと、それだけの話じゃ済まないんじゃないのかというふうに思うんです。
 まず、その実態として、社会保険の適用事業場、これは例えば政府管掌健康保険それから厚生年金、いわゆる中小企業を対象とした事業所、五人以上雇うようなところはそういったところに強制適用ということで加入しなければならないことになっている。ところが、実際にその状況を見ると、社会保険の適用事業所数の推移というのをこの間いただきましたけれども、平成十三年度で政府管掌健康保険の方は約百五十二万。ところが、厚生年金保険の方は約百六十五万。十三万、事業所の違いがある。それぞれこれは問題があるかもしれません。しかし、実際のところは、本当はどうなのか。
 さらにまた、例えば、厚生労働省ということで合体したけれども、労働保険の適用事業場数、こういったもので見ると、労働保険の適用事業場、全体では、これは三百五万あるわけですよ。労災保険の適用、これは全適ですから。雇用保険の適用事業所数、これは二百万もあるわけです。そうすると、何でこんなに、三十万も四十万も五十万も乖離があるのか。雇用保険の方だったら、多分同じようなものを対象としている、若干定義の違いがあるかもしれないけれども。
 それは、一体何を言っているのかといったら、新聞でまた続々と報道されておるのは、実は、社会保険事務所のそういった審査とかそういったものが非常に甘いというか、そんな状況の中で、実は相当抜けていっているんじゃないのか、こんな指摘もあるわけです。
 だから、どうですか、渡辺厚生政務官、この格差は一体どこから来ているんですか。
渡辺(具)大臣政務官 委員御指摘のとおり、社会保険の適用事業所数は今御指摘のとおりでございまして、平成九年をピークに下がっておりまして、十三年度末には百六十五万。それから政管健保の方は、やはり九年度をピークにいたしまして、現在百五十二万ということでございます。一方、労働保険の適用状況は、これも委員御指摘のとおりでありますが、十三年度末で適用事業所数は三百五万、非常に多くなっているわけでございます。
 この乖離でございますが、社会保険の強制適用事業所というのは、ただいま委員も御指摘になりましたように、法人の事業所で常時従業員を使用するもの、あるいは製造、建設業の所定の事業を行う個人の事業所では五人以上の従業員を行うということになっているわけでございます。一方、労災あるいは雇用保険の労働保険の強制適用事業の方は、基本的には、個人の事業所か、あるいは法人の事業所か、あるいは事業の種類を問わず労働者を使用する事業所ということになっておりますので、こういう乖離があるわけでございます。
 したがって、両者の適用事業所数を単純に比較するということは、乖離があるというふうに断定するのは適当ではなくて、両者の適用事業所数の差が社会保険の適用漏れを意味するとは言えないというふうに考えておりますが、しかし、法人のリストを見まして、社会保険事務所の職員が適用になっていない事業所について一つ一つ今チェックをしておりまして、みずから職員が出かけまして、雇用の実態がどうなっているか、そういうものをヒアリングいたしまして、これは適用すべきである、強制の範囲に入るということになれば、そういう指導をいたしておるところでございまして、なるべくそういう漏れがないように努力をしているところでございます。
都築委員 違うんですよ、そういう理由もあるかもしれないけれども。
 雇用保険と社会保険の適用でこんな四十万も五十万も差があるというのは一体何があるのかといったら、雇用保険というのは逃げ場のない問題になる。それからさらに、労働保険ということで労災保険と一緒にやると、結局、労災事故があったときに事業主は全部責任を、保険をやってなきゃかぶることになってしまうから、そうすると大変だからやはり入る。ところが社会保険の方は、実は事業主負担が重過ぎちゃって、それで逃げていっているケースがたくさんあるじゃないですか。
 この新聞の記事でも、実は首都圏の社会保険労務士事務所に勤める職員の発言として、社長や役員の標準報酬月額を本人の納得ずくで引き下げて保険料の負担を軽減してあげることもある、これは額を軽減しているんです。それからさらに、全喪届という形で、全部資格を喪失して、そして保険逃れをする、こういうケースがいっぱいあるんです。
 私はなぜこれを指摘しているかというと、健保が、これから二割が三割負担になったら国民健保と何にも変わらなくなってしまうんですよ、政管健保が。そうでしょう。そうすると事業主は、今までは、まだまだ一割負担の差があった、二割と三割の差があったじゃないか、だから自分の抱える労働者のために少しでも、高いけれども事業主負担で面倒見てやろう、こういうふうな思いを持っていたかもしれないけれども、二割が三割でみんな同じじゃないかと。同じになったら、今度は社会保険の審査が甘いとか適用が甘いとかそんな話がぼろぼろ出るんだったら、今だって全喪届がもう八万件もあるというような状況でしょう。そうすると、みんなこの程度の、賃金が縮小するとかそんな程度の話じゃなくて、事業主がみんな事業主負担の重さを逃れて逃げていったらどうするんですか。国民健保だって、今だってもう大変だ。国民年金だって、三分の一がもう年金保険料を納めていない状況になっているわけでしょう。
 だから、本当に社会保険というものの基盤が根底から崩れるような話が、二割から三割負担への引き上げなんですよ。そこをどう思いますか。
渡辺(具)大臣政務官 従業員を使用する事業主においては、従業員が必要な医療や年金を安心して受けられるように、社会保険に加入して保険料を納付することは法律上ちゃんと規定された事業主の責務でございます。
 しかし、委員御指摘のとおり、現下の厳しい経済情勢を背景にいたしまして、社会保険制度に対する理解に乏しい事業主、あるいはやりたくてもなかなかやれない、そういう事業主も見受けられることは事実であります。
 このため、従来より、先ほどもちょっと申し上げましたが、社会保険事務所におきましては、法人登記簿を閲覧しまして未適用事業所を把握いたしまして、社会保険労務士や社会保険事務所の職員が未適用事業所を巡回いたしまして、事業主が適正な届け出をするように指導しているところでございます。
 二割―三割の問題はまたこれからの問題でありますが、現在のところはこういう指導を徹底して行っておりまして、事業所の適用促進に向けて努力しているところでございます。
都築委員 ちょっとその役所の本当に形式的な答弁で、それで済む話じゃないと僕は思うんですよね。
 だから、実際に、こういった社会保険事務所の職員の皆さん方は確かに大変ですよ、何万件も抱えてやらなきゃいけないから。ただ、それだからといって、では、今のような仕組みで本当にずるずると、払いたくない人は払わなくていいですなんという形でやっていったら、社会保険なんかもうやっている意味がないじゃないですか。
 だからこそ、私どもは前から言っているように、基本的な社会保障の部分は消費税を充てて、社会保険料の水準を今以上にもう上げないような状況にしてこなしていかなければ、本当に取りやすいところ、まじめなところから取るだけ取って、そのほかのところはみんなもう世の中におんぶにだっこ、こういう状況になってしまう。
 こんな不公平な仕組みというのはもう破綻をしているんだ、そういう思いでなぜ考える、あるいはまた、今回、今僕が指摘したことについて、一体どういうふうな状況になると推測しているのか、ちょっと厚生労働大臣、お答えください。
坂口国務大臣 今御指摘をいただきましたように、各企業において、そういう逃れようとするところがあることも事実でございます。
 しかし、ここは、我々は、こういう方法で今後臨もうといたしております。それは、健康保険の保険料それから労働の関係の保険料を一括して、これは徴収の一元化をやりたいというふうに思っております。これをかなりもう計画を進めてまいっておりまして、そう遠くない時期にこれを実現したいというふうに思っております。
 労働の方は、先ほど御指摘いただきましたように、ここを掛けないということはいろいろの心配もありますから、ここは掛けていただける。ここを出していただいているところにはぜひ健康保険の方も出していただくという、この両方を同じにすることによってそこの責任を果たしてもらうようにしたい、こういうふうに思っているところでございます。
都築委員 今の議論がこの論点の実は最終局面に至るわけで、だから、そういうふうに打ち合わせしよう、こう思っておったんですが。
 それで、ただ、私が専門家の方から聞いたら、多分、労働保険と社会保険のギャップが約十五万件ぐらいあるだろうと。僕が実際見たらこれは五十万件ぐらいあるから、これはとんでもない話なんですが、もしそこの徴収漏れというものが一人十人ということだったら、年間約六百万ぐらいの社会保険料徴収ですから、そうすると九千億、一兆円近くが出てくるだろう、こういうふうに思うから、労働保険徴収の一元化というのは、これは大事なことだ、こう思うんです。
 ただ、問題は、なぜこの事業主の負担逃れをやっているのかという、事業主の立場、中小企業の立場に立ったら、今の経済運営が完全に失敗してしまって、デフレを加速ばかりしているからこんな状況になってしまったので、さらに労働保険の徴収一元化をやって、それで二百万だ三百万だという事業所を完全に把握して、そこからお金をいただきます、いただけなければ徴収手続を強制でとらせていただきますというのが労働保険ですよ、はっきり言って。それをやったら、今の中小企業の経営の実態、ただでも苦しいところを、さらに日本の経済をつぶすような話に実はなっていってしまうと思うんです。
 だからこそ、二割―三割のこの負担引き上げというのは私は断固やめるべきだ、こういうふうに思うんです。今ならまだ間に合うんです。どうですか、厚生大臣、坂口大臣。
坂口国務大臣 三割負担につきましては既に決定をさせていただいたところでございますし、これはぜひお願いを申し上げたいというふうに思っております。
 今、二割から三割にしたことによって企業の方は負担がふえるから、あるいはまたそれによって支払いをするときに同じになるからということで払っていないというお話がございましたが、これは、全く影響ないと私も思っておりません。思っておりませんが、しかし、そのことよりも、やはり企業の場合には半分、この社会保険料の負担をずっと今までからしていただいてきたわけでございますし、その負担が経済の状況等によってなかなか払うのに厳しいということは私も理解をいたしますけれども、しかし、そうはいいますものの、この半額の負担というものはぜひこれからも続けていただかなければならないわけでございますから、そこはお願いをしていく以外にない、そう思っております。
都築委員 私の申し上げたい趣旨は、半額の負担をやめろということではないんです、はっきり言って。基礎的社会保障ということで、老人医療の方に、今、勤労世代の方から保険料を集めて、そこに全部突っ込んでいっている、こういう状況。あるいはまた、年金にいたしましても、三号被保険者の問題とかいろいろ問題がありますけれども、そういった上積み部分のところはいい、こういう状況。基礎的な社会保障の部分は、不均衡、不公平感、世代間の不公平、こういったものをなくしていくためにも何かやる必要があるんじゃないか、そういうことで申し上げていて、その第一歩としての二割から三割負担、健康保険の部分を申し上げた。まあ、この問題はいいです、ちょっとほかの議論に移りたいのです。
 ということで、社会保障のもう一つ、年金の議論も出てまいりましたけれども、今、厚生年金基金の解散とかあるいは代行の返上というのが、特に大手企業、こういったものを中心に続々と実は起こっておるわけであります。
 ただ、これはよくよく見ますと、単体の、いわゆる企業単位の厚生年金基金で、大手の会社で、資金力が、まあ潤沢とは言えない、これだけ厳しい経済状況ですから、本当に超優良企業と言われているところだって、何千億という代行返上のための積立金を企業の利益をつぶしてでも出さなければいかぬという大変な状況の中で、これ以上やっていたら泥沼にはまっちゃうから返上しようということでやっておるわけです。
 ところが、実際の問題は、中小企業が入っている各地域の、連合の、総合型の企業基金。これはもう利益さえも上がらないような状況になって、これは返上したいんだ、そうでないと、毎年毎年傷口が広がっていく、予定利率で運用できないからという状況の中で、実はもう、多いところだと一人当たり二百万円も積立金を返さないと、十人だったら二千万円も返さないと返上できない。こういう仕組みの中で、返せないからいつまでもそこにとどまり続ける、こんな状況が起こっているという話を私は聞いたわけです。いろいろ見てみたら、確かにそうです。これはとんでもない話だ、こう思うわけです。
 それで、これは坂口大臣に聞く前に渡辺厚生政務官にお聞きしますが、一体これはどうするんですか。本当にこんな問題、強制解散という手もあるんですけれども、強制解散をやるつもりはあるんですか、どうですか。
渡辺(具)大臣政務官 御指摘のとおりの状況になっておりますが、大臣の命令による強制解散というのは、大臣がいろいろ事務的な運営について指導しても、そういう場合にその指導に従わないというようなときの規定でございまして、大臣がそういう解散指示をするようなことは、これまでもありませんし、今のところ考えておりません。
都築委員 そうすると、渡辺政務官、今の、解散できないまま、返上できないまま、そこから足抜けができずに借金ばかりがどんどん積もっていく、昔の本当に人身御供じゃないですけれども、そんな状況になっちゃった企業は、つぶれちゃったときには、企業の年金とか、自分の年金とか、年金の受給権とか、損失とか、そういったものはどうなるんですか、教えてください。
渡辺(具)大臣政務官 いろいろ厳しい状況の基金に対しましては、必要な積み立てを行うため、給付水準を見直して積み立てやすくするとか、あるいは基金にとどまって一定の期間をかけて積み立てていただくなど、個々のケースに応じていろいろな工夫が考えられますので、相談に乗っておるところでございます。
都築委員 相談に乗って、それでみんな納得しているんですか。納得していないから、こんな大変な状況だ、こういうことを言っているんじゃないんですか。いかがですか。
渡辺(具)大臣政務官 委員御指摘のとおり、大変難しい問題でありまして、役所としても大いに悩んでいるところでございますけれども、今申し上げましたように、いろいろな工夫が、考えられる工夫をみんなで持ち寄って、個別的な解決方法を相談しているところでございます。
都築委員 相談しているといったって、相談のその結果はいつ出てくるんですか。いつ出てくるんですか、その相談の結果は。
坂口国務大臣 確かに、今御指摘のように、中小企業で合同で設立をしたところが一番なかなか難しいと思うんです。個々でやっていただいているところにおいては、それぞれ、それはまた難しい点もあると思いますけれども、それはそれぞれで御判断をいただいていろいろやっていただくわけですけれども、合同でやっていただいておるところから、そこから抜けたいというときに、そこを抜けようと思いますと、今までそこで出すべきものが残っておりますと、それを出してもらって抜けてもらわなきゃならない、こういうことになるものですから、今までたまっておりました部分を出さなければならないということになりますから、そこをどうするかという問題になってくるだろうと思います。
 そこを労使のお話し合い等によりまして、そして、できればその期間を延長するということをやっていただく。例えば五年で支払いをするというところを七年にするという問題もございますし、それから、これは厚生年金基金、三階建ての三階の部分の話でございますから、その額を若干減らすということが労使で合意ができればその額を全体で減らすことができる、そうしたことも考慮に入れながら今後見ていかないといけない。
 しかし、それでもなおかつ困ったというようなところもそれはあるでしょう。それは、それぞれお話に乗っていきたいというふうに思っています。
都築委員 大臣が言われた足抜けの話ですけれども、それは、私の知っている企業も早目に、九〇年代の半ばに、これじゃとてもやれないから、大変なことになるから、早目に見越して脱退できた。ところが、今の人たちはもう抜けなくなっているという状況をお聞きしたことがあるんです。
 問題は、だから、抜けるだけじゃなくて、全体が、もうみんな同じ状況ですよ、同じ業界で、同じようにみんな景気が悪いんだから、全体がつぶせないから、みんなでつぶせないつぶせないと残っているわけですから。
 今のような話を聞くと、本当に年金制度というのは、私は、特に代行部分の基本的な部分のところさえそういう状況になってしまっていることの問題もありますし、年金制度の問題、前からこう主張しておりますし、去年の特殊法人改革委員会のときでも坂口大臣とやりましたけれども、結局、あのときは私は八千三百億と言った。そうしたら、今度は七月から九月の分が一兆一千七百億も実はまた赤字が出ちゃった、損失を出した。合計二兆ですよ。これはどうするんだ、こういう話になる。この話はもう既にこの予算委員会でも議論をされておりますけれども、こんなに無責任な仕組みというのは本当にあるんだろうか。
 それで、私が一番ここで聞きたいのは、例えば、では、今七―九までいきましたから、今度は十―十二月というのは、渡辺政務官、いつごろ出るんですか。
渡辺(具)大臣政務官 三月末の予定でございます。
都築委員 三月末だったら、もうそろそろ見当がついているんじゃないですか。もう一カ月半もたつわけですから、大体どんな実績だったか、さっきのETFじゃありませんけれども、株式の標準的な指数やあるいはまた外国の株式の指数とかそういったものが出るわけだから、大体どれぐらいの損失と見当を見込んでいるか言ってください。
渡辺(具)大臣政務官 今精査をしているところでございまして、ここで申し上げられるような見通しは立っておりません。
都築委員 だから、そういうあれで、本当に私がきょうここで一番聞きたかったのは、さっきの代行返上もできないような状況に追い込まれた中小企業の皆さん方や、あるいはまた老後の安心のためにと思って一生懸命保険料を積み上げた、そして従業員の老後の安心のためにと思って事業主が一生懸命半分を負担して積み上げた年金の保険料が、このわずか半年で二兆円もどこかへすっ飛んでしまった。二兆円すっ飛んだこの責任はどうやってとられるんですか。だれが損失を見てくれるんですか。大臣、いかがですか。
坂口国務大臣 ここでも何度か御指摘をいただいたところでございますが、総論的なことを先に申し上げますと、この年金の運用資金の問題をどう運用していくかということに対する見直しを現在やっております。
 間もなく結論を出したいというふうに思っておりますが、その中で、今後それは、非常に安定したものにのみこれを運用していくか、それともハイリスク・ハイリターンのところにも若干をしていくかということが今後の課題になるだろうというふうに思っております。私は、できるだけ安定した方法でやっていきたいというふうに思っておりますけれども、しかし、そこはさまざまな御意見のあることも事実でございます。
 要は、この年金というのは、皆さん方の賃金の上昇分というものは確保していかないといけないわけでございます。そこがほかの郵便貯金とは違うところだというふうに思っておりますので、そこをやはり確保するということを十分に踏まえながら、私はこの年金資金の運用というものを見直していきたいと思っております。
都築委員 将来の話はいいんですよ。だれがその責任をとって、この損失を埋め合わせてくれるのか。そうじゃないですか。年金資金運用基金、結局、特殊法人が姿を変えて、理事長さんや理事の皆さん方は、そしてまたその先に投資顧問会社、いろいろなところに厚生省の幹部の皆さん方は行かれている、それで高給をはんでいるという状況。
 これは別として、ただ、もう一つちょっと聞いておかなきゃいけなかった話は、四月―六月、七月―九月で二兆円の損を出したというんですけれども、外国投資で失敗というふうなことですけれども、では、実際に、時価評価だから持っていればそのうちよくなるという議論もあるかもしれないけれども、破綻をしちゃった例えば外国株だったらエンロンとかワールドコム、一体どれぐらいあったんですか。損切りしなきゃならない額というのは幾らぐらいあるんですか。政務官、答えてください。
渡辺(具)大臣政務官 ただいまの質問につきまして、そういう質問の予定を聞いておりませんでしたので、今手元にありませんので、また後日、調べて御報告させていただきます。
都築委員 これで終わりますが、だからこそ質問通告をちゃんと私はやりたかったんです。ちゃんとこれからもしっかりと対応してほしいということを申し上げて、私の質問を終わります。
藤井委員長 これにて都築君の質疑は終了いたしました。
 次に、西村眞悟君。
西村委員 十五分ですので、端的にお伺いします。
 旧正田邸に関してのことであります。
 旧正田邸は国有財産であり、私がこの国会で現に質問していることから明らかなように、その管理、処分は政治の領域にかかわるものであります。しかるに、この国有財産に関して、何ら管理及び処分をする権限のない宮内庁においては、皇后陛下がこの解体を望まれているということを殊さら公表し、国会議員に告げ回り、果ては保存運動をしている責任者に架電して、皇后陛下が迷惑されておる、皇后様のお言葉です、運動をやめなさい、皇后様のお気持ちがわからないのですか等々を申し向け、保存運動をやめさせてこの建物を解体しようとしておったわけであります。これは明らかに皇室の政治利用であります。
 このことを私がただした質問に対し、政府は、本件のような行為は「皇后陛下御自身には旧正田邸を残してほしいとのお気持ちが無いことを、客観的な事実として国会議員や地元で保存運動を行っている関係者に御承知いただくために行ったもの」であるという弁明をいたしました。
 しかし、この弁明を放置することはできません。アリの一穴でございます。我が国体を腐らす、皇室の政治利用を忍び寄せる、非常に重要な詭弁であります。もしこの論理が通用するならば、皇后陛下もしくは天皇陛下におかれては小泉内閣を支持するという気持ちがないことを客観的な事実として御承知いただくために宮内庁が国民に発表することもできるのであります。このことを放置できますか、官房長官。
福田国務大臣 これは今まで何度も御説明申し上げていますのでもう御案内のことかもしれませんけれども、この経緯というものは、宮内庁が、地元で保存運動を行っている関係者の一人に連絡をして、正田家の御遺族の一人である皇后陛下が、旧正田邸の保存を望む人々の気持ちを本当にありがたく思われながらも、御自身にはこれを残してほしいとのお気持ちがないことを伝えました。これを客観的な事実として御承知いただくためでございまして、国有財産である旧正田邸の処分の決定に介入するような趣旨ではなかったんです。
 このような趣旨につきましては、その連絡に際しても十分に説明したところでございまして、御指摘のように皇后陛下を政治利用して解体を承服させようというような事実はございません。
 したがって、宮内庁からの連絡が皇后陛下の政治利用であるという御指摘は当たらないものと考えておるところでございます。
西村委員 重ねて質問しますが、皇后陛下のお気持ちを客観的事実として御承知いただく必要を感じて公表したというならば、今申し上げた、皇后陛下は小泉内閣を支持する気持ちはないということを客観的な事実として申し上げることもできる。そして事実として、これは非常に高圧的な電話である。私は、この電話に接して、これは許せないと思ったわけです。アリの一穴であります。我が国体に関することであります。私は納得できません。
 重ねて、政府が申される論理。お気持ち、国有財産に関してこういう気持ちを持っておるというお気持ちを客観的事実として御承知いただくために公表できるというならば、あらゆるお気持ちを客観的事実として公表できるということですが、官房長官、いかがですか。
福田国務大臣 これは、今結局繰り返してお答えするしかないのでありますけれども、皇后陛下は、今申し上げましたようなお気持ちを伝えたと。これは、それを客観的な事実として御承知いただくというためでございまして、それ以上の意図はないのであるということなんでございます。
西村委員 皇后陛下がどういうお気持ちを持っているか確認するために、我々が皇后陛下をここに参考人としてお呼びすることもできるんですか、こういうことになるんです。これを君側の奸というんです。どうして我々は皇后陛下のそのお気持ちを確認できるんですか。政治の世界に例えれば、そうなるじゃありませんか。我が国会においても、開会式に出席しない政党があるんです。もう少し慎重にやらなければ我が国体をつぶす。そういう危機感のないお気持ちではだめです。
 次に申し上げます。
 それで、十五分ですから次に行きますが、財務省が解体を決定したのは、大きく改造、改修が行われているので文化財の価値は著しく損なわれていると判断した、こういうことであります。では、文化財としての価値があるのかないのかがポイントである。
 この保存運動には既に八万五千人が保存してくれと署名しております。価値ないものに八万五千の署名が集まるはずがないということ。それから、日本建築学会は昭和五十五年に、この建物は特に重要なもの、あるいは注目すべきものと考えられる作品であるとして、便覧で公表しております。
 それから、増改築の部分でありますが、建築史の専門家である文化女子大学内田教授は、それらの増改築は昭和八年からスタートした家族生活の痕跡であって、これらこそ戦前戦後の我が国の都市における中小規模独立住宅の生活の変遷を具体的に知り得る重要な住宅の遺構と言えるものであり、登録文化財としての価値を十分有していると考えられます、このように言っておるわけですね。そして、百聞は一見にしかずです。行かれたらわかるんです。風格ある建物であります。
 さて、政府は文化財保護法によってどういう責務を持っておるのか。文化財保護法三条は、
 政府及び地方公共団体は、文化財がわが国の歴史、文化等の正しい理解のため欠くことのできないものであり、且つ、将来の文化の向上発展の基礎をなすものであることを認識し、その保存が適切に行われるように、周到の注意をもつてこの法律の趣旨の徹底に努めなければならない。
では、その文化財の所有者はどういう責務を持っておるのか。第四条二項で「文化財の所有者」、本件では国そのもの「は、文化財が貴重な国民的財産であることを自覚し、これを公共のために大切に保存するとともに、できるだけこれを公開する等その文化的活用に努めなければならない。」と書いてある。
 財務省が調査した、価値なきという回答はいかにして得られたのか。財務省からの回答によると、登記簿謄本、写真、そして建築当時の状況を示した資料、これをもって判断しただけだ。中に入ったこともない、現場で見たこともない、そして文書も残っていない。
 そこで、大臣にお伺いしますが、正田邸がこういうものであるということでこの保存運動をする者は、大臣が記者会見で申されたようにエゴイストなんですか。それとも、文化財保護法にのっとって国民の責務を果たしている者なんですか。どうなんですか、エゴイストですか。
塩川国務大臣 ちょっと状況を申し上げますと、正田邸の問題につきましては我々も非常に慎重に考えたことは事実でございまして、それがために、例えば文化財あるいは重要保存記念物とかいろいろな面の状況を査定いたしましたところが、そういうものに登録されておらなかったということでございまして、そういう意味におきまして、相続税の物納によりまして引き受けた財産は、できるだけ早期に売却し売却代金を国庫に納めるといういわば国有財産管理の法律に基づきまして、この趣旨に基づいて行ったということでございまして、公正に扱いましたことを、我々は管理者としての扱いであったと思っております。
 それから、エゴイストという話でございますが、どういう趣旨で言ったのかわかりませんけれども、私は記者会見でそういうことは言ったとは余り思うておらないのでございますけれども、どういう解釈をされたか、ちょっと私は不明でございます。
西村委員 慎重に判断していない。
 あなたの、決定した官僚機構は、文化大革命の紅衛兵のもとでも務まる官僚機構なんだ。我が国は立憲君主国なんだ。皇室ゆかりの財産というものに対する慎重な態度が全くない。共産主義者の官僚だ。大臣も近くにおる京都、千年の都、貴重な文化財として残っているのはみんな皇室ゆかりのものだ。これはおびただしい。この東京、百三十年の都、この百三十年の中で御皇室ゆかりの財産が民間住宅の中で残っていること、これが文化の保存であり、文化財保護法に言う国の責務なんだ。
 解体の方針をまだ貫かれるのかどうか。慎重だ慎重だと、官僚に説明を受けて、共産主義者のような官僚に説明を受けて答弁されているだけじゃありませんか。どうですか。(発言する者あり)エゴイストと言われたんでね。どうぞ。
塩川国務大臣 いや、解釈することがエゴ的だと言ったのかもしれませんけれども、私は、関係者の方々のことを指してエゴイストと言ったことは、絶対にそういう覚えはございません。
西村委員 いや、解体を本当に実行さすんですか。八万五千の国民の保存要求、そして解体はしないでくれという現地の人々を排除して、解体を本当にやるんですか。それも、日本人業者は解体を辞退している。外国人の解体業者が、ヘルメットをかぶって顔を隠して覆面をして解体に来る。これをまだ実行さすんですか。
塩川国務大臣 現在、作業がどうなっているか、私は現場に最近行っておりませんので、承知しておりません。けれども、先ほど申しましたように、法律に基づいて、私は、皇室に関係があるということ、これは十分心得ておりますだけに、その精神は私は持っていきたいと思いますけれども、しかし、物事はやはり公正に法律に基づいてやっていく方が私はいいと判断しておりまして、その意味におきまして、手続をしている。
 ただし、正田邸の跡であったということにつきましての国民的ないわば尊敬のしるしを何かの形で残せるならば、私たちもそれに協力はいたしたいと思っておりますが、しかしながら、それが解体と直接結ぶものではない。解体は解体といたしまして、要するに、国有財産の処理の法則並びに手続に基づいて公正にやっていきたい。しかし、尊敬の念を何かの形であらわすことについては、我々はどんな努力でもし、これに協力していきたい、こう思っております。
西村委員 時間がないんですが、ポイントは、財務省の決断は、価値がない、私は価値があると今御説明申し上げた。もう一遍点検していただけませんでしょうか。大臣も今何らかの形でとおっしゃった、その何らかの形なんです。マニュアルどおりはもういいじゃないですか。価値ないというマニュアルで進んだことを、今価値ある、文化的、歴史的、そして国民の記憶の中に価値がある。八万五千の署名でわかるじゃありませんか。どうか、考え直して、保存の方向で御英断をお願い申し上げます。
 質問を終わります。
藤井委員長 これにて西村君の質疑は終了いたしました。
 次に、矢島恒夫君。
矢島委員 日本共産党の矢島恒夫でございます。
 質問通告の方では法務大臣の質問が入っていたんですが、こちらの方は、明後日の集中というのがございますので、そちらに回すことにいたしまして、きょうは環境問題でお尋ねしたいと思います。
 特に、今全国的にも大変問題になっているのが産業廃棄物の不法投棄の問題、これは深刻な問題になっているわけですけれども、例えば、環境大臣、環境省の調査によりましても、平成十三年度において、都道府県及び保健所設置市が把握した不法投棄事案のうち、一件当たり投棄量が十トン以上、こういう条件のもとでの事案、いわゆる件数は千百五十件、そしてその投棄された産廃の量は約二十四万トン、こういうのが出ております。それぞれ、件数は少し前年度よりふえておりますが、産廃の量は少し減っているようでありますけれども、いずれにしろ大変な量だということが言えるわけです。
 そこで、私は、やはり国民の生命と財産、こういうものを守るという立場から、特にきょうは、利根川河川敷に不法投棄され放置されている大量の産廃、この問題を中心に質問したいと思うわけですけれども、最初に、政府の環境政策のあり方の基本、こういうものについて大臣にお尋ねしたいと思うんです。
 それは、大臣、昨日、閣議後の記者会見でもやはり産業廃棄物の処理問題で発言されておりますが、地方自治体が直面している困難な問題であります。とりわけ暴力団とのかかわりの問題というあたりは大変な状況にあるわけです。例えば栃木県の鹿沼市の問題、大臣も御存じだと思いますけれども、市の職員が殺されたり、あるいはその幹部職員が自殺するというような事態。私も、群馬県へ行ってまいりまして、群馬県の県当局で担当部門の方と話し合ったんですが、非常に命の危険を感じる、こういうような状態なんですよ。
 そういうわけで、大臣、なぜ産廃業界がこのような事態にあるのか。やはり、産廃業界とそれから暴力団、さらにはうわさされるいろいろな政治家とのかかわり合い、こういう癒着、これがその根底にあるからなんだ。
 大臣、小泉首相が施政方針演説で、一つの柱として不法投棄の一掃ということを挙げられました。まさにそういうことをやっていくためには、産廃業界とそれから暴力団や政治家との利権のつながり、不法投棄、こういう問題の暗部、暗い部分、こういうところにメスを入れるということが必要ではないか。そのことがこの事態の抜本的改革になるんじゃないかと私は思うんですけれども、大臣、この辺についてのお考えをお尋ねいたします。
鈴木国務大臣 産業廃棄物の不法投棄を含めまして、廃棄物処理法の違反事案、これを見てみますと、そこに暴力団員が介入している事態、あるいは不法投棄のそうした仲介にいわゆるブローカーが介在する事態、そういうのが見受けられるわけであります。矢島先生がおっしゃいましたとおり、産業廃棄物業界を適正化するためには、こうした暴力団でありますとかブローカー、こういうものを排除していくことが極めて大切なことであると思っております。
 そこで、平成十二年に廃棄物処理法の改正を行いまして、その中で、暴力団員あるいは暴力団が支配する法人等は産業廃棄物処理業の欠格要件に加えることにいたしました。それから、不法投棄の仲介を行った者、こういう者に対しましても原状回復命令がかけられる、そういうような法改正をしたところであります。
 この法改正が施行されましたのは平成十三年四月からであるわけでありますが、この一年間、約一年間で、処理業許可の取り消しが百八十五件、原状回復等の命令が三百九件実施をされまして、暴力団の排除、違反行為への厳正な対応が進められているところであります。
 今後とも、警察とも協調して、また、都道府県とも一体になりまして、こうした産業廃棄物処理業界の適正化のために環境省としても一層の努力をしてまいりたいと思っております。
矢島委員 今大臣答えられたように、その法律ができた以降、一応この廃棄物の量は減っていることは確かなんです。ただ、それ以前にあちらこちら暴力団関係とのかかわり合いの中で不法投棄されたところの産業廃棄物、これをどうするかという問題ですね、この辺が非常に重要な問題だろうと。そのためにも、あるいは今後のこういう不法投棄をなくしていく問題の中でも、そういう暴力団やその他との癒着というようなものにメスを入れていくということが重要だと思うんです。
 そこで、具体的な問題でお聞きしたいんですが、今配付していただいた参考資料、行っていると思いますが、大臣、ごらんいただくわけですが、大量の産廃が不法投棄されて埋められたのが、その資料の三ページ目ですね。まず最初に三ページ目をあけていただきたいと思います。
 そこにありますように、地図がございます。まず下の地図ですが、群馬県の太田市、利根川とそれから石田川、これの合流地点であります。そこに、AとそれからB、こういうように印をつけておきましたけれども、そのA地点とB地点、ここに大量の産廃が埋められて、そのまま放置されているというのが今日の状況なんですね。
 そこで、上の方の地図を見ていただきます。同じ三ページの上の方は、利根川、荒川水系の状況をあらわしておりますが、つまり、首都圏の大変たくさんの方々がその水を飲んでいる、こういうことなんです。
 次の四ページをちょっとあけていただいて、これは厚生労働省の水道課の方からいただいた資料ですけれども、ずっと、それぞれの県や地域でどれだけの水をこの流域から、水系から取水しているかというのをあらわした表であります。
 一番下にありますように、毎秒約九十八立方メートル、こういう大量の水が使用されている。これは、人数に直しますと、大体千八百万人の人たちが飲んでいるんですよ。ですから、東京都で、今この委員会でも水がたくさん飲まれておりますけれども、こういう水全部、この利根川水系の水を飲んでいる、こういうことですよね。しかも、今言ったようにこの上流、これは高崎から下流の方の状況です、今千八百万人が飲んでいるというのは。その川の上流に大変な量の産業廃棄物が捨てられて、そしてそのまま放置されている。後で申しますけれども、これは大変な毒物を含んでいると私たちは分析しているんです。
 環境省に聞きますけれども、この事態というのをどのように把握していますか。
    〔委員長退席、萩山委員長代理着席〕
飯島政府参考人 委員御指摘の群馬県太田市内の利根川河川敷におきます産業廃棄物の不法投棄事案につきましてでございますが、平成十一年五月から十月に、利根川及び石田川の中州の二カ所におきまして大規模な不法投棄が行われたという週刊誌の報道がございました。
 これに基づきまして、平成十二年の十二月二十七日に、群馬県と太田市が共同して、関係者への事情聴取を実施するとともに、一部の掘削調査を行いました。その結果、建設残土の搬入と、それから、わずかな量でございますけれども、家屋解体の廃材等が確認されました。ただしかし、報道にありましたような大量な産業廃棄物の不法投棄というのはそのときは確認されませんで、さらに、水質調査あるいは現場から採取したものの分析結果、これがすべて環境基準以下であったということでございます。群馬県は、この結果、関係者を文書によりまして厳重注意するとともに、堆積土砂の撤去を指導したと聞いております。
 また、昨年の十一月でございますが、日本共産党の県議団などの方が行いました試験的な掘削によりまして、先ほど申し上げた家屋の解体物の建設廃材が確認されまして、一部の採取物から基準値を超えるジクロロメタンという物質が、また一部の浸出水からダイオキシンが検出されたということも承知しております。
 ことしになりまして、二月の六日から八日にかけまして群馬県警が現場検証を行いまして、先ほど申し上げました家屋の解体廃棄物あるいは包装用のビニール、木くずや紙くずなど、工場を解体したときに出るような廃棄物、あるいは保管の積みかえの段階で出たと思われる廃棄物を確認したと聞いております。
 群馬県では、石田川の水質調査をさらに強化するとともに、関係者の事情聴取により行為者を特定し、撤去措置の検討を行うというふうに聞いているところでございます。
矢島委員 まず、環境省もごまかされた。県の調査、今言いましたね。二〇〇〇年の十一月から十二月に群馬県の方で行ってみたというんですが、こういうふうに言っているんですね。現地の最小限の試掘を行った、少数の廃棄物があった、ただし特に異常はなかったような報告を言っているんです。
 しかし、あそこの土地へ、ぜひ見ていただきたいんですが、広大なところに、どこを掘ったかにも問題がありますよ、これ。それから分析の仕方にも問題があるんですが、私たちはそう思っているんです。去年の十月には、やはり目撃された方がここだという指定をして掘ってみたら、大変なごみが出てきた。それも、自動車の解体したようなものだとかタイヤみたいなものだとか、それから廃液ですね、真っ黒な。出るわ出るわ、そういう状態だったんです。
 そこで、その後私たちは、これはどうももう一度きちんと調べる必要があるということで、日本共産党の県議団と国会議員団一緒になって、そしてその現地へ行きまして、十一月十六日の日ですけれども、大体四百メートル四方ぐらいになりますかね、そして深さは五メートルか六メートル、このくらいの深さ掘ったんですよ。それがA地点とB地点において。そうしましたら、本当にこのまま放置していいんだろうか、物すごい悪臭ですわ。そばへ近寄れない。少しいますと涙が出てくる、こういうような状況だったんですよ。
 ですから、県の報告をあなた方は聞いて、ああ、これは大丈夫だな、石田川の水の方も検査しているなということで終わっていたんです。最初から、もう三年間も放置されていたんですよ。ここに重大な問題があるということを目撃した方々から聞いて、それでやってみました。
 そして、いいですか、環境大臣、聞いてください。カナダのマクサム社という、これまた国際的にも分析問題では権威のある会社です。そこへ私たちは、そこでサンプリングした、試掘したところの水と、それから固形物その他を送ったんです。
 その結果が、資料を見ていただきたいんですが、五ページ以降に出ているんですが、まず五ページの結果。これは、県の結果とこれだけ違いがあるという点については、先ほど言いましたように、試掘した場所の問題もあれば、あるいは分析の仕方も違っているという点などがあって、それだけを信じていて今まで来たということに私は問題を感じているんですが、まず五ページの「四・調査結果二(液体試料 A地点)」、つまり、先ほどの地図のA地点で液体をとったんです。
 それは、実はその資料の一番最初へ戻りますけれども、写真があります。一ページは固形、固体の物質。二ページの方です。これが、深さ四メートルぐらいのところへ行きましたら、下の方に、ちょっと見にくいかもしれませんが、泡立っているような液体があると思います。これが真っ黒な液体なんです。これをとりましてカナダへ送ったわけです。
 その分析の結果。文字で書いてある「四―一 ダイオキシン類」、一番上ですね。そして、線が引いてある部分、ダイオキシン類のみの濃度で既に四十ピコグラム、コプラナPCB、これを加えた濃度で四十六ピコグラム・パー・リッターという極めて高い濃度となったわけです。表にあるように、一つ一つの縦にずっとその表の数値です。
 そういうような事態があった上に、その部分では重金属類、これはその下の四―二です。ここにもカドミウム、クロム、鉛、亜鉛、その他もありますが、量の少ないのもありますけれども、そういう重金属類が分析された。
 次に、六ページを見ていただきたい。今度はB地点の方です。B地点の方で、固形試料による、つまり、一ページの写真の部分からとったものです。これはダイオキシン類、これも下に線を引いてありますが、十三ピコグラム、これまた大体普通の四倍程度の濃度であるということが言えます。
 三―一の表、それから三―三は重金属類の分析表ですが、外国のカナダやドイツやそのほかのガイドラインに比べて異常に高い重金属類が出てきたということも言える。
 さらに、一番重要なのは、この「三―三 PCB類」です。これも下にずっと横線を引いておきましたけれども、結局、〇・四二マイクログラム、こういう分析が出てきたわけです。
 スウェーデンでは、汚染土壌に関するPCBガイドラインというのがありますが、一九九七年にできている。その中で、子供の遊び場などでは〇・〇二マイクログラム、こういうのを一つの目安にしているんです。そうすると、〇・四二ですから約二十倍、こういう濃度のPCBが検出されたわけであります。
 以上、私たち、この状況を見てまいりました。もちろん、実際の報告文書というのはこれだけの厚さのあるものなんですよ、英文で。ですから、この中を全部資料として出すのは大変ですから、その中から主なものを取り上げた、こういうことであります。
 そこで、申し上げたいのは、大臣、この横に千八百万人の飲み水があって、地図でおわかりのように石田川のすぐわきですから、捨てられたのは。つまり、川、いわゆる川岸のもう瀬戸際に置いてある。そこからこれだけのごみが出てきて、これだけの毒物が入っているということになったわけですから、何としてもこれは解決しなきゃいけない、早いところ。
 そこで、どうですか、大臣、政府がこれは何も手を打たなくてよいなんて言えるわけがありません。早急に対策を立てていただきたいんですが、いかがですか。
鈴木国務大臣 産業廃棄物の不法投棄の問題ですが、いろいろ重要な問題がございますが、やはりその中の大きな重要な問題は、投棄されました産業廃棄物が人間の健康に悪い影響を与えるというような、そういう生活環境保全の上で影響が出るということ、これを防止するということが大切なことであると思っております。
 今回の事案につきましては、昨年十一月に日本共産党が行われました現地の掘削調査時の分析結果におきまして、投棄地内では一部有害物質の濃度が高い状況にあるということは、環境省もお知らせをいただいているところでありますし、今先生からもお話があったところであります。
 また一方、群馬県が行っております石田川の水質調査、それから太田市が行っております投棄地周辺の上水道水源調査では、これまで有害物質は検出されておらないということであります。
 また、利根川から水道用水を取水しております群馬県、埼玉県及び東京都の水質調査結果でも、有害物質にかかわる問題は確認されていない、こういうふうに聞いております。
 したがいまして、本投棄地の産業廃棄物により直ちに利根川を水源とする首都圏の飲み水が危険な状況にあるとは思えないわけでありますが、しかし重要なのは、今後とも県における水質モニタリングが適切に確実に実施されるということであると思います。
 また、早期に行為者等の特定を進めて、責任ある者に撤去等の措置を講じさせることができますように、環境省としても、関係方面と情報交換を通じまして、適切な対応をしてまいりたいと思っております。
矢島委員 太田市がやったり、そのほか流域の自治体がやったところ、水の中から有害物質は検出されていない、されたら大変なんですよ、千八百万人も飲んでいるのがいきなりされちゃったら、それこそ大変なことですからね。
 ただ、あるんですよ、穴を掘ってその中に埋めましたから。しかも、ダイオキシンの濃度というのが一挙に出ました。もちろん大臣御案内のとおり、ダイオキシンというのは水に溶けませんから、水のpHを酸性にしないと実際には出てきません。だから、それをそのまま検査したという部分も群馬県はあるかもしれませんが、それはこれからの問題として。
 いずれにしろ、穴の中にこれだけ汚れた水があるということ、これは恐らく分析した会社の人に言わせれば、その近くに燃した灰があるんじゃないか、それが埋められちゃったんじゃないか、だからダイオキシンの異常な高さが出てくるんじゃないかという話もあるんです。
 そこで、これがこのまま放置したらそれこそ大変な事態になるということは想像できるんです。今は、なるほど検出されていない。それから、今後も一生懸命警戒をしながら調べますよと言っても、そのときやっていたら出ちゃった、こうなったら大変なことなんですから、これをどうするか、今埋められているこのごみをどうするか、ここに問題があるんですよ。
 そこで、今大臣は言われましたね。つまり、不法投棄した行為者の特定ということが、これが重要だと。わかれば一番それがいいんですよ。撤去させるんですから、法律によって。ところが、ここに問題があるので、私はきょうは国家公安委員長にも来てもらっているんです。もう少し聞いていただいて、最後に感想をいただきたいんです。
 環境省に聞きたいのは、先ほどちょっと答弁の中で出ましたね、平成十三年四月十三日付で県が行政指導をやったと。要するに、私が言いたいのは、この産業廃棄物を不法投棄した業者の特定なんですよ。早く特定しなければならぬ、これは警察の力もかりてというような、それは環境省だけでできるような問題じゃありませんからそれは必要だろうと思いますが、相手は暴力団ですからね。名前はずっと、特にこの資料の中で、後でやりますが、ここに資料があるようにこれは警察の方ですね、太田警察署に出した。これは後で詳しくやります。
 いずれにしろ、これがある以上、特定できるんですよ。個人の富宇賀さんという人がやったんだから、それじゃなくて、公にやったものというので、それが先ほど出た十三年四月十三日付の行政指導なんですよ。ここでは、A地点については四名、それからB地点については三名、それぞれ産廃を搬入した者への行政指導が行われているんですよ。特定しているんです。
 ちょっとお聞きしたいのは、法令違反の根拠と、その四名及び三名、これの氏名を明らかにしていただけませんか。
飯島政府参考人 今、委員が御質問になりました平成十三年の四月十三日付の行政指導でございますけれども、群馬県は「土地の嵩上げ及び盛り土行為に関する指導書」というものを発出しております。太田保健福祉事務所長、東部農業総合事務所長及び太田土木事務所長の三者の連名でこの指導書を発出しております。相手方は、高野商事代表高野昌治、太田企画サービス代表田村隆、備建興業代表関塚忠男及び前原建設代表前原茂の四者に対して発出しております。
 当該指導文書の根拠でございますが、三者連名ということでございますので、河川法の二十七条に基づきます、河川区域内の土地の盛り土につきましては河川管理者の許可が必要だ、また、農地法第四条に基づきまして、農地を農地以外に転用することに関しまして都道府県知事の許可が必要、さらに、野外焼却が行われておりましたので、廃棄物処理法十六条の二に基づきまして指導を行ったというふうに承知しております。
 なお、もう一つの三名に対するということは私どもの方でただいま把握しておりませんので、四名についての指導を行ったというふうに聞いております。
矢島委員 今お聞きいただいたような状況が一度はあったんですよ。それで、警察との連絡とか、そのほか密にやっているんだろうと思いますが、そういうふうに考えてよろしいですか。
飯島政府参考人 先ほど大臣から御答弁申しましたように、まず実行者の特定、そしてそれに伴う撤去の措置命令、これが非常に重要だと思っておりますので、警察関係の情報についても、しっかり連携をとって情報をとるようにしたいと思っております。
    〔萩山委員長代理退席、委員長着席〕
矢島委員 中のごみの問題じゃなくて、盛り土だとか、河川敷を許可なくやったとかそういう問題の範囲であって、これだけのごみが入っていた、それを不法投棄したんだというところまで突っ込まなかったという一つの問題があります。これは指摘しておきます。
 そこで、警察庁に聞きたいんです。
 二〇〇〇年の二月に不法投棄現場を目撃していた地元の方、富宇賀さんと申します。富宇賀建材の元社長さん、この人がずっとこの現場を詳細に見ていて、私たちも、この人の、どこにどういうふうに埋めているところを見たよということを基準にしながら試掘したわけなんですけれども、その人が告発文書を出しているわけですよ、二〇〇〇年の二月に。この告発文書について、その処理をめぐる経緯、これについてお答えいただきたい。
瀬川政府参考人 群馬県の県警の太田警察署でございますが、御指摘の人物からそのような話を伺っております。これは、実はほかの事件の相談に来署をされた際に、太田市内の利根川河川敷への廃棄物の不法投棄事案があるということで情報提供を受けたというものであるというふうに承知をしております。
 告発文という御指摘でございましたけれども、私ども、群馬県警から聞いておりますのは、これは告発ではなくて情報提供であったということと、また、文書の提出はなくて、口頭でこういう事案があるという情報の提供を受けたものであるというふうに承知をしております。
 これを聞きました警察官は、しっかりこれを報告書にまとめまして、署内で決裁等をとり、生活安全課の担当の係に引き継いだというものであるというふうに承知をしております。
 しかしながら、現場の河川敷につきましては、それまでも不法投棄があるという情報が断片的に実は寄せられておりました。担当の係としては、それらの事案について、特に実際に確認することもできなかったこともありまして、今までの情報と同様のものであろうということで、この情報につきまして直ちに特段の対応をすることもなく、ほかの情報と保管をしていたものでございます。
 しかしながら、先ほども話がちょっと出たと思いますが、平成十二年の十一月に、週刊誌等において本件に関する報道がなされたということで、群馬県の方で現地で試掘等も行うということになりました。この週刊誌報道に接した際に、この御指摘の人物からの提供された情報につきましても、県警の方でまた十分再確認もしたところでございます。
 結果的に、その時点では、今お話がありましたように、報道に見合ったような廃棄物が発見されなかったということで、その後本格的な捜査は見送られてきたわけでありますけれども、昨年末の共産党県議団の試掘の結果を踏まえ、群馬県警察として現在、現在といいますか二月の六日から八日でありますが、現地で大規模な試掘を行いました。この際には、今御指摘の人物につきましても立ち会いをいただき、また現地で説明もしていただいて試掘をいたしました。
 その結果、大量の廃棄物を確認するという結果になりましたので、県警といたしましては、本格的な捜査を開始し、現在、全容解明に努めているということでございます。
矢島委員 生かされなかったんですよ。せっかくのこの目撃者の告発、私は告発と言いますが、あなた方は、告発じゃなかった、説明、情報提供だと、どちらでもいいです。要するに、そういう重大な問題が握りつぶされたというところに大きな問題があるんですよ。それを早く、今から、三年間ですから、それが出てからきょうまで。三年間ずっと放置されていたんですよ。ですから、このときにやっていれば、もっともっとこの行為者の特定だって早くいったかもしれませんよ。捨てて、どこかに逃げちゃっているのもいますから。ですから、そういう意味では私たちは、これだけの内容の書いてある告発、あるいは情報提供文、これを、太田警察は何をやっていたんだろうと。
 いろいろ書いてありますよ、この中には。ちょっと読んでみましょうか。私、告発文、情報提供文、これを全部持ってきていますから。
 この目撃者の富宇賀さんという方が、平成十一年の五月末から、高野商事というのがやっているんですよ、ですから大分犯人が特定できるんですよ。いいですか、これを見ていれば、きちんと読めば。これが筆頭で、前原を現場に常駐させ、毎日夕方から大きく穴を掘って、朝五時から九時までの間に集中してダンプカーが来て産廃を捨てていった。ダンプカーの上には残土を少し載せ、産廃が見えないようにして運搬してくる、次から次へと。週刊誌の報道ですから、これは警察が今掘っていますから、全容がわかると思いますが、千五百台のダンプカー分だ、こういうふうに報道されておりましたが、非常に広い部分に投棄されているということですね。
 あるいは、この方の目撃情報ですが、私が行ったときは、今までに一度も見たことがない真っ黒い寒天状のようなものをダンプ一台捨てていったと。先ほどの写真の中にも黒いどろどろしたものがありましたが、そういうものも捨てられているというのを目撃したり、あるいは自動車を解体したときに出る黒い油、それから建設廃材を泥にまぜまして、いわゆる建設残土だというふうな形で盛り土しているんだという偽装をするために、泥にまぜて捨てているんですよ、どんどこどんどこ捨てたんですよ。いろいろなあれがありますが、これがきちんと生かされていなかったというところに大きな問題があるのです。
 いいですか。警察庁に聞きますが、ことしの二月に入って、なるほど二月六日からずっとやっています。本格的にやっていらっしゃる。しかし、それはそれとして告発時点から三年間も放置された。これは、なぜそうなっちゃったんですか。
瀬川政府参考人 先ほども申し上げましたけれども、御指摘の人物からの情報提供の前から幾つか断片的な情報があったという状況の中で、確かに今となってみますとといいますか、御指摘のように、当時の、その御指摘の人物からの情報に対する評価という問題は、これはあるのかなというふうに思います。
 したがって、その評価の問題があって、その時点で特段の対応がとれなかった、とらなかったということだと思いますし、それから平成十二年十一月の各種報道の際も、県による試掘の結果を見て対応しようということで、その結果が、報道のような大規模の廃棄物が確認できなかったということで、いわば確信が持てないまま本格的な捜査を見送ってきたものだというふうに考えるところでございます。
 しかし、昨年末に行われました試掘の結果等を踏まえまして、先ほど申し上げましたとおり、現在、本格的な捜査に着手をしているところだということでございます。
矢島委員 この三年間も放置された理由の中には、現地ではいろいろなうわさが飛んでいるんですよ、太田警察署の中身にも入る問題ですが。それは告発文の中に出ていますから、後で見ていただければ、どういう癒着が警察と暴力団の中にあったかというようなことも、それは告発文の中の文章ですから、それが本当かどうかを確かめるのはあなた方のやることだろうと思いますけれども、いずれにしろ、住民の人たちはすっきりしていないんですよ。
 では、これから聞きますよ。まず、二〇〇一年の四月二十六日、一酸化炭素中毒死と警察が言っている産廃業者、この死体の問題で聞きたいんですが、わかりますよね、高野商事という会社ですよ、この社長です。産廃が主な事業ということです。一部、登記謄本を見ますと、何か不動産もやっているようなことが書いてありますが、産廃です。
 この産廃業者の死、亡くなられたわけですが、非常に不審な点が多いというので、当時、死体解剖の必要がある、こう言っていたんですよ、警察は。ところが、どうなったのか、解剖しなかったんじゃないかという問題が一つ。
 それからもう一つは、この問題について、亡くなられた高野商事のこの人の長男の方が証言しているんですね。父が死ぬちょっと前に私に言ったことですがということを言いながら、近いうちに逮捕されるかもしれないが、おれがいない間は家族のことを頼むぞ。産廃に関係している犯人の名前を全部話した。今回の産廃の件では、みんなして悪いことをしているのに、うちのおやじだけの責任にして焼き殺された。警察は寝たばこだと言っているが、おやじは寝たばこは絶対にしたことがない。死んだ事務所で寝たことも一度もない。そして不思議なことに、一階にガソリン用のポリタンクが置いてあった。絶対にこれは殺されているんだ。
 これは長男の方です。新聞記者あるいは地元の方、いろいろな方がこの話を聞いております。つまり現地では、暴力団に殺されたんだ、こういうようにも言われているし、余りにもこの高野という人が知り過ぎていると。産廃、仕切っていたんですから。産廃業者を土手の上で、おまえのダンプは向こうへ行け、こっちの穴へ埋めろと仕切っていた人なんです。それで、この人は恐らく相当内容に、ほとんど内容に詳しいと思います。このことで、この長男の方から警察は事情をいろいろお聞きしましたかということ。
 それからもう一つ、この方が亡くなったときに、死体の横にかばんがあったんですよ。そのかばんの中の帳簿類を警察は押収しているんです。その中身は、いわゆる産廃業者が、どこの業者が幾ら来て、一台幾らで請け負って、幾ら払って、おれのポケットに幾ら入ったと書いてあるかどうかわかりませんが、いずれにしろ、そういう収支まで書いてあるような帳簿だと言われているんですが、この帳簿が今どこにあるのか。
 この三つの点、よろしいですか。どうぞ答えてください。
栗本政府参考人 大変多岐にわたる点でございますので、若干時間をいただきまして答弁させていただきたいと思います。
 まず第一の、遺体を解剖したのか否かという点についてでございます。
 本件の遺体につきましては、群馬県警警察本部の捜査一課の検死官が、医師立ち会いのもとに検死をしているところでございます。このことによりまして、遺体には、一部に認められます火傷以外の外傷はなく、また、火傷の部分に生活反応が見られる。さらに、遺体から採取いたしました血液を鑑定いたしましたところ、一酸化炭素濃度が致死量であったということが確認されたことなどによりまして、死因は火災による一酸化炭素中毒であることが明らかになったところでございます。
 また、出火の原因につきましては、一階の出火現場の見分等において明らかになることでございまして、そのようなことを総合的に勘案いたしまして、当遺体の司法解剖については実施しなかったと報告を受けているところでございます。
 それからまた、二点目の、今、亡くなられた方の長男から云々という御質問でございますが、私ども、現在、群馬県警におきまして、この事案の全容の解明のために捜査を行っているところでございます。この捜査の中におきまして、いろいろな関係者の方の御協力をいただいているところでございますが、具体的にどのような方から、また、どのような内容の聴取をしているかということについては答弁を差し控えさせていただきたいと存じますが、いずれにいたしましても、現在、群馬県警におきましては、放火の可能性も十分視野に入れて、火災原因の解明等により、全容を解明するために鋭意捜査を行っているところでございます。
 また、三点目の、かばん云々という御質問だったと存じますが、この事件の関連につきましては、群馬県警といたしまして、亡くなられた遺族の方から任意提出を受けているものの中にかばんがございます。その中身につきましては、これもまた現在捜査中でございまして、どのような在中品があったかということにつきましては、詳細について答弁を控えさせていただきたいと存じますが、その中には、通帳とかキャッシュカードとか、あるいは会社の登記簿謄本などがございました。
 これらにつきまして精査した結果、本件火災の原因とか、あるいは動機等を明らかにするようなものは発見できなかったということから、約半年後になりますが、後日御家族の方に還付をいたしているところでございまして、その中には、お尋ねのような帳簿類等は確認できなかったという報告を受けております。
矢島委員 私、行為者の特定をやらなきゃならないと。これは鈴木大臣もおっしゃられました。撤去しなきゃならないですから、これは。それは捨てた違反者に、法律違反した者にやらせなきゃいけない。
 警察、今までのことを言いますと、どうもこの行為者の特定をわざわざやらないようなことをやっているんじゃないか。今一生懸命やり始めたということはわかりますが、この三年間、なぜこんなことをやってきたのか。というのは、こういうことです。そのかばんの中身はいいでしょう、そういうことで。
 そのほか、政治家の元秘書、これは岡部という秘書の名前ですが、この人のことで、県の方は、この人がいつも立ち会っていたと。盛り土するときにも、許可をとるのに口をきいてやるよというので、これは県の証言ですから、必ず同席していたと、この方が。
 ある産廃業者がこういうことを言っているんですよ。いいですか。ダンプ一台三十万円の産廃を十万円で受けてきて、五万円は先生の手に渡り、自分には五万円しか残らない、一番元請は、化学物質など正規の産廃、ダンプ一台六十万円が相場だ、近くの河川敷などに不法投棄すれば安く上がるので、末端下請が安く請け負い、不法投棄することになるんだよね、こういうような発言をしている。
 この秘書から事情聴取をしたかどうか、それだけお答えください。
栗本政府参考人 ある秘書の方を県警において事情聴取したか否かという御質問だと思いますが、先ほど申し上げました火災事件の関係の捜査、あるいはその他につきまして、警察としていろいろな観点から捜査を行っているわけでありますが、捜査の中において具体的な特定の人物について事情聴取をしているか否かについては、大変いろいろな問題がございますので、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
矢島委員 ぜひ、今それが言えないということについてはやむを得ないですが、こういうことが出ているんだということを基本に据えながら、この行為者の特定というものを急いでもらいたいと思います。
 それで、これだけちょっと言っておきますが、地元で警察に対しての不信感、あるいは、三年間放置されたという問題もありますけれども、もう一つあるんですよ、こういう問題が。これはなぜだろう、やはり癒着じゃないかというのは、先ほど出た高野商事の問題です。
 これは、亡くなられた、あのいわゆる焼死死体で出てきた、高野昌治といいます。高野商事の取締役であった広瀬さん。この広瀬さんというのは、当時群馬県警太田署長と姻戚関係にあるんですね。いとこじゃないかと思いますけれども、要するに親戚関係にあるんです。この会社謄本によりますと、広瀬氏は六年間、取締役でこの高野商事に勤めているんです。やめたのは平成十二年一月です。
 つまり、不法投棄活動の便宜を図るためにいろいろ口ききをしたという政治家の秘書、このコメントによれば、ちょうどこの不法投棄の問題が新聞に出たり週刊誌に出てきた、そのときに、それに合わせてやめているんです。実行犯の主犯格の一人が不審死した。それと政治家とのかかわりというのが取りざたされる。そして、手心を加えたんじゃないか、警察署長と姻戚関係にあるのが取締役だというようなことが現地では言われているんです。
 この事実、つまり、姻戚関係にあったということの事実は御存じですね。
瀬川政府参考人 平成十一年当時の管轄の群馬県警太田警察署の署長の親戚が当該会社の役員だったということは、事実であるというふうに承知をしております。
矢島委員 谷垣大臣、大分お待たせしました。私と、こういうやりとりをずっとお聞きいただいたと思います。
 結局、不審死の問題だとか、帳簿の問題だとか、姻戚関係の問題だとか、いろいろ挙げてきましたけれども、実際はやはりそういうものが、現地では、あそこは汚れたものがいっぱい入っているんだよ、だけれども警察は取り締まらないんだねとか、そういう警察への不信感というものになっちゃっているんですよ。やはりこれは払拭しなきゃいけないと思うんです。
 そのために一生懸命やっているんだろうと思いますけれども、ぜひ国家公安委員長として、警察庁から県警に対して厳正な監察を実施するというお気持ちがあるかどうか、その点を。
谷垣国務大臣 廃棄物を不法に投棄するというような犯罪は、先ほどの御議論にもありましたように、健康にも甚大な影響を与えますし、また地球環境にも非常に悪い影響を与えるということで、警察としてはこれは極めて重視して取り組んでおりまして、過去十年の間に、検挙件数も検挙人員も二倍ほどになっていると思います。これは今後ともこういう姿勢を堅持していかなきゃならないと思っております。
 それで、今御議論の不法投棄事件であるとか、あるいは火災の事件についても、委員もおっしゃいましたが、今群馬県警で一生懸命取り組んでいる最中でございます。それで、委員がおっしゃいましたような警察に対するいろいろな不信感があるとすれば、早くこういう事件の全容をきちっと解明して解決するということによって信頼を回復していくということではないかと私は思います。
 そこで、監察をせよということでございましたけれども、既に警察庁から県警に対していろいろ指導をしておりますので、今おっしゃったような監察というものを今する必要があるというふうには私は考えておりません。
 ただ、いずれにせよ、この事件というのは、今後環境犯罪というようなものに対処しますときに十分教訓にしていかなければならない事案だ、こう思っております。
矢島委員 今、監察の問題が出ましたが、ぜひひとつ、いろいろな情勢などを見ながら、ぜひ関心を持っていていただきたいと思います。
 最後に、環境大臣にお聞きします。お聞きするというよりは要望なんですが、不法投棄されたこの現場の調査、それからどうやって改善するか、つまり撤去するか。犯人が見つかればそれにこしたことはないんですが、そのまま見つからなかったら、そのままずっと埋めっ放しに置くなんということは到底考えていらっしゃらないと思いますけれども、そういう早急な対応、これが必要だ。ぜひそういうことをお願いしたいということと、もう一つは、千八百万人の首都圏の人たちの飲み水なんですから、ぜひひとつ現地に行って見ていただきたい、こう思うんですが、いかがですか。
鈴木国務大臣 現地の状況でございますが、昨年十一月、御党が行われました試掘調査のときに、環境省の職員も立ち会いをさせていただきました。そういうことで、環境省としても、その事態というものは、事情は承知しているつもりであります。
 いろいろ、環境問題の中で、国内いろいろ視察をしなければいけないところ、たくさんございますが、なかなかスケジュールの関係があって、今ここで必ず視察に伺うということはお約束できませんが、この問題についてしっかり問題意識を持って、水質モニタリングが確実に進むとか、それから原因者の特定を急ぐとか、もちろん環境省だけでできませんが、関係省庁とも連絡を密にしながらしっかり取り組んでまいりたいと思っております。
矢島委員 時間になりましたので、きょうは入ることができなかったわけですが、産廃業者と政治献金のリストを私つくっているんですよ。引き続きこの問題、というのは、産廃業者というのは違反者というわけじゃありませんから、今のところはまだ。出てくる可能性はあるんです。この中から、この私が持っているリストの中から出てくる可能性はある。そういうところから政治献金もらっているなんというのはとんでもないことなので、引き続きこの問題を私は取り上げていきたいということだけを申し上げて、質問を終わります。
藤井委員長 これにて矢島君の質疑は終了いたしました。
 次に、日森文尋君。
日森委員 社民党の日森文尋でございます。
 きょうは、公務員制度改革とイラク問題について御質問したいと思います。
 大変お疲れのところ、片山大臣、大変御苦労さまでございます。
 この問題については、きょうここにいらっしゃいます自由党の中塚議員さん、それから、恐らくこの予算委員会の場で質問された民主党の島さん、それから私も、昨年の暮れにジュネーブのILOに行ってまいりました。非常に貴重な御教示もいただいたし、勉強もさせていただきました。そういう意味で、改めてということになりますけれども、質問をさせていただきたいと思います。
 特に公務員制度改革は、この国の姿やありようを左右するような重要な問題だというふうに私たちも認識をしていますし、同時に、閣議決定までした大綱、これがどうも怪しくなっている。石原さんはいらっしゃいませんね、まだ。石原さんに後でそのことは質問したいと思いますが、どうも怪しいという状況もありますので、改めて確認なども含めて質問をさせていただきたいと思うんです。
 最初に、十一月の二十一日、ILOが、我々から見ると画期的な、政府から見ると驚愕をするようなというふうに言われるかもしれませんが、勧告いたしました。結論と勧告、これがあったわけですが、それについて両大臣、ちょっと最初にその感想をお聞かせいただきたいと思います。
片山国務大臣 もう既に答弁申し上げたところでございますけれども、あの勧告は、それまではILOが理解していただいたと我々が思っていることを覆すようなところがございまして、それから、今、公務員制度改革大綱については、石原大臣からお話があると思いますけれども、これからですからね、中身が決まるのは。それについても、やや理解が浅いのではないかという感じを私は持っておりまして、特に、消防職員や監獄職員の団結権の問題だとか、地方公共団体の登録制度の問題だとか、それから一番大きいのは、労働基本権制約の代償措置について疑念を持ったような見解を言われている。あるいは公務員の範囲ですね、労働基本権制約の公務員の範囲等がございまして、私ども少しびっくりしたわけであります。
 いずれにせよ、しっかりとILO当局に我が国の事情、経緯をお話しし、情報も提供して理解を深める努力をしたい、こういうふうに思っているところでございます。
石原国務大臣 感想ということでございますので、率直に申しますと、私も、これまでの労働基本権の制約について、ILOの側は我が国の制度というものに対して疑義というか、そういう印象を持っていなかったのではないか。それがあのような形で、今回の公務員制度改革を行う中であのような勧告が出ましたので、これから、ただいま片山大臣が申されましたように、まだ十分な公務員制度のフレームというものが御提示されていないわけですので、要点要点もできる限り情報を提供して理解を深めていただきたい、こんなふうに感想を持っております。
日森委員 片山大臣なりそれから石原大臣、それから総理、それから厚生労働大臣、外務大臣も含めて、これまでの答弁についてずっと見させていただきました。
 要約すると、ILOが誤解しているんじゃないかというのが一点。それから、国内事情をどうも理解してもらっていないようだと。それから、片山大臣のお得意な言葉ですが、これは中間報告だ、こう言っていらっしゃいますね。それから、ILOの認識がどうも大きく変わったようだと。石原大臣の言葉をかりると、百八十度ではないけれども大分大きく変わった、こうおっしゃっているわけですね。
 これらについて、実は我々は、ILOがどう考えているのかということについて確認するためにジュネーブに行ったんです。確認してきました。もう御存じのとおりなんですが、誤解しているのは片山総務大臣の方で、ILOが誤解しているんではないということが一点なんです。ILOは自信を持って、日本の公務員制度が国際水準に達していない、だからこれはかなり厳しい勧告をしたんじゃないんだ、グローバル・レーバー・スタンダードということでいえば当たり前の勧告をしただけであって、何もおかしくないんだと。それを誤解だと言う方がおかしいわけで、私は、片山大臣が誤解をされていると。
 それから、国内事情についてなんですが、これも再三、ずっと政府は見解の中で言ってきましたね。これについてもILOは明確でした。明快な答弁がありました。要するに、結社の自由原則というのは、国際的、普遍的な原則であって、それぞれの国の事情に左右されないんだと一蹴しましたよ。国内事情を考慮する余地はないんだというふうに、労働基準局長それから高級法律専門官ですか、お会いした方はおっしゃっていました。
 それから中間報告。これは明らかに大臣、誤り。なぜ中間報告としたかというのは、これはもう御存じのとおりだと思うんですよ。これは、今この国の公務員制度改革、大綱もそうですね、まだアイ・エヌ・ジーの段階にあるんだ、進行中の事態であるので、したがって、まだ法律なども国会に提出されていない、だから、例えば関係者と十分な協議をして、そういうことがまとまったらそれを情報としていただきたい、それが中間報告という意味であって、それ以外でもないんです。したがって、このILOが出した報告の結論それから勧告部分、これについては、たとえ日本が、我が国政府がいかなる追加情報を出そうと一切変更するものではありませんというふうに明言されていました。こういうことなんです。
 それから、ILOの認識が大きく変わったという話もありましたよね。これについても、実は、これまでILOは四十年にわたって一生懸命日本に勧告してきました、言ってみれば、ドライヤー勧告以来ずうっと一貫して言ってきたと。例えばストライキ権の問題もそうですね。もちろん、消防職員や監獄職員を言ってきた。もちろん、こういう形で条約違反だとは言ってこなかったけれども、再考しなさいということを再三再四言ってきたけれども、結局この国の政府は少しもそういう態度を示さなかった、したがって、もう堪忍袋の緒が切れたんだと。ここへ来て、四十年ぶり、いやいやもっとかな、半世紀ぶりに公務員制度を大改革するのに、しかもそのときにまだ、いまだに労働基本権の制約、これをきちんとやるんだと言っているような政府の改革について、もうあきれた、愛想が尽きた、だからここでILOとしてきちんと、国際水準に立って物を考えなさいよという勧告をしたんですよ、そういうことを我々は、中塚先生もそうですが、一緒に行ってしっかり聞いてきました。
 これについてどうですか、感想は。感想というか、御意見があったらお聞かせいただきたいと思います。
片山国務大臣 我々は長い経緯の中で、ILOが、条約上許容される、日本の今の公務員、現状ですよ、現状については、こういうことも言ってこられたわけでありまして、そこのところは、今度の公務員制度改革大綱でもって大きく変わったというところが私どもの方も理解できないところでございまして、もう少しそういう意味では濃密なコミュニケーションをやる必要があるんじゃないかと私は考えております。
 それから、中間報告につきましては、私どもの方も担当の調査官をせんだってジュネーブに行かせまして、そこで向こうの担当の方といろいろと話をしてきたんですが、向こうが言うには、ILOと日本政府との対話のプロセスだ、そういうことで中間報告ということにいたしました、こういうことですから、まだ対話のプロセスなんですね。だから、その対話を私は、先ほど言いましたように濃密にする必要があるのではないか、こう考えているところでございます。
日森委員 やはり片山大臣、誤解をされていまして、対話のプロセスは、これから公務員制度改革をやるんでしょう、法案を出すんでしょう、それをしっかり対話しなさい、社会的な対話をやりなさいというふうに言っているわけで、現行法、これはもう明らかに八十七号、九十八号条約違反だよ、こう言っているんですよ。
 だから、これの社会的対話を通じて法改正しなさい、することが望ましいんですよ、こう言っているわけだから、そこは二段階に分かれていて、そういう意味で、今二つの条約、八十七、九十八号条約違反だと言われたことについて、今度の改革大綱を見る限り、まだその違反行為を続けようとしている、だから、それについてちゃんと社会的対話をやって、関係者と十分協議をして改善しなさいというのが勧告の中身なんです。そうじゃありませんか。
片山国務大臣 私どもの方の担当官が聞いてきたのは、ILOと日本政府との対話のプロセスだ、こういうことでございまして、今委員が言われましたように、職員団体等との意見を聞くとか対話をするとか、これはこれで必要なことでございますから、私の方もあるいは石原大臣の方も、そういうことについては十分配慮してまいりたい、こう思っております。
日森委員 ともかく、片山大臣も石原大臣も、ILOは、そういう結社の自由原則、これをしっかりこの国が、今、ゴールデンチャンスだったか何だか、そういう言葉を言っている、絶好の機会だと。G7に入っているような先進国の日本が、皆さん方も口を開けばグローバルスタンダードとおっしゃるけれども、レーバースタンダードだけ何でグローバルじゃないんだという気持ちがあるわけですから、この機会に国際水準に持っていってくれ、当たり前のことなんだ、特別なことじゃないんだ、頼むよと。先進国日本がこういう国際水準からはるかにおくれた公務員の労働基本権制約なんということをやっていれば、これは、後からほかのアジアの国々やほかの国にも多大な影響を与える、公務員労働者の地位なんか上がらないんじゃないか、そういうことにもつながるんだから、しっかりやってくれというのがILOの気持ちですよ。そこはぜひ腹の中にずしんと入れていただきたいと思います。
 二つ目ですが、片山大臣も石原大臣も、三月には、厚生労働、もちろん行革本部もそうですが、協議をして意見をお出しになる、こうおっしゃっていました。もう日程は決まったかどうかわかりませんが、三月の初旬ですよね、ここに理事会が開かれる、これに間に合うように出さなければならないと思うんですが、それはいつごろお出しになるんでしょうか。
片山国務大臣 ILOの内閣における窓口は厚生労働省、旧労働省ですね、そこでございますが、そこが関係の各省と協議して取りまとめて出す、こういうことでございますが、今委員が言われましたILOの日程は必ずしも確定と私どもは聞いておりませんので、向こうの方と調整しながら適切な時期に出したい、こういうふうに思っております。
日森委員 いずれにしても、三月ということになれば、来月の話ですから、大して時間は残されていない。
 そうすると、各関係省庁が集まって協議をしましょうというふうにおっしゃっていました。それは、どういうふうな機関をつくられて、機関というか、どういうことを今やられているのか。そして、出される予定になっている意見は、これまで大臣、両大臣も含めてですが、厚生労働大臣も国会の質疑の中でお答えになったようなことを中心に構成された意見を言うことになるのか。どこまで準備されているんでしょうか。それは石原大臣。
石原国務大臣 ちょっと分けて御答弁をさせていただきたいと思いますが、手前どもの内閣官房の方の公務員制度をつかさどっている公務員室で、公務員制度の姿を今描きつつございます。
 その中で一つのポイントは、これも午前中の議論で出ました、いわゆる能力等級でございます。ここは、実はまず日本の組合の方々には、一次原案という形で、こんな考え方でこういうものをつくりたいということを昨年お示しいたしました。
 それがその後、ただいま御議論をいただきましたこのILOの勧告の方が出まして、この勧告の中の、私はさっき驚いたという感想を述べましたように、これまで慣行として日本に培ってきたと思われていました、いわゆる労働基本権の制約について、今委員御指摘のように、ストライキ権の制約等々、これが私は大きいと思うんですけれども、これについても疑義がある、そういう内容が出たことによりまして、組合の皆様方もこの労働基本権の問題の話の議論をしよう、そういう形でこの労働基本権の話が議題の中心になりました。
 しかしながら、昭和二十三年以来悠々と続いてきたものを、この一カ月、二カ月の間で解決できる問題では私はないと思っておりますし、重要な問題でありますので、議論の対象にはしなければならないと思っております。その結果、能力等級のお話というものも、実は昨年来途絶えてしまった。
 ですので、やはりこの労働基本権の問題はおいておいて、いわゆる能力等級の話もあわせて議論をぜひさせていただきたいと、現在、連合の方にお願いを申し上げているというのが現状でございます。
 私の方からは、この公務員制度、こういう情報も、ILOの窓口は旧労働省、厚生労働省でございますので、そこから逐次、要旨等々がまとまりましたら出させていただきたいと考えているところでございます。
日森委員 具体的な話はもう少し後で触れたいと思いますが、いずれにしても、国際的に恥をかくような政府見解だけは出さないように。僕らはジュネーブに行って、恥ずかしい思いをしました。実に恥ずかしい思いをしました。ですから、それはぜひお願いをしておきたいと思います。
 ちょっと具体的な話に入りたいと思うんですが、今度の勧告の中心は、社会的対話、これをしっかりやってくれということ、これはもう大臣がおっしゃるとおりで、総務省も、「公務員制度改革の理念及び内容について、全ての関係者と十分、率直かつ有意義な協議が速やかに行われるよう要請したものと理解している。」こうおっしゃったのです。
 そこで、片山大臣に聞きたいんですが、十分で率直かつ有意義な協議というのは一体どういうふうに理解をされていますか。
片山国務大臣 現在、私も年に何回かは公務員連絡会議の皆さんその他とお会いさせていただいておりますけれども、いずれも、私は率直かつ有意義な会合である、こう思っておりますね。
 今後ともそういう姿勢で十分な話し合いをしてまいりたい、こういうように思っております。
日森委員 全然わかりません。
 ILOは、全面的で率直かつ有意義な協議、これをやりなさい、こう言っているんですね。これについても勧告が出ているんです。これはもう両大臣も御存じのことだと思うんですよ。
 結局、ILOはどう言っているかというと、日本政府は、七十七回、六十数時間もやってきておるんだ、それが有意義な協議だったんだ、こうおっしゃるんだけれども、それについて、日本側の意見もそしゃくした上で、それも含めて判断したILOの見解というのは、これは聞き置くだけ、聞き置くだけで実行が全然伴っていないものと判断せざるを得ないというふうにILOは言っているんですよ。
 つまり、片山大臣の今の位置づけ、全然わかりませんでしたけれども、全面的で率直かつ有意義な協議に全然なっていない。なっていなくて、公務員制度改革大綱なるものを決めたんですよ。決めたというか、閣議決定したんですよ。そうでしょう。だから問題だと言われているわけで、これをしっかりやらなきゃいけない。
 そういうふうに、実行を伴う、それが有意義な協議なんですよ。そういうふうに理解されませんか。今までもう十分だと思いますか。いやいや、どちらの大臣でも構いません。
片山国務大臣 私が先ほど申し上げたのは、日本の職員団体等との私どもの方の話し合いのことを申し上げたので、ILOにつきましては、長い歴史の中でいろいろなやりとりをしてきたことはもう御承知のとおりでございますが、委員御承知のように、私どもの方の公務員制度や運用は、日本のいろいろな状況に合致して、定着して、例えば労働基本権制約の代償措置も私は機能していると思うんです。
 その辺について、ILOの見解について、私どもとしては、もう少しわかってほしいな、こういう感じがあるものですから、そういう点を含め、また、今石原大臣が中心でやっております公務員制度改革の方向も、中身はまだ決まっていないんですよ、方向が決まっているだけで、内容についてはこれから固めていくわけでございますから、それについても十分ILOの当局にお話しさせていただこうと。
 それこそまさに、今大臣が言われる、全面的で率直でかつ有意義な話し合いを我々は持ちたい、こういうふうに思っております。
日森委員 片山大臣、またそれも誤解で、人事院があることについてILOは全面的に納得しているわけじゃないんですよ。これは恐らく関係者も納得していないでしょう。疑問があるとずっと一貫してこれまでの報告なんかで言っているわけですよね。
 しかし、今度は人事院の機能を縮小しちゃうわけでしょう、あの大綱でいうと。縮小して、しかも、労働基本権の制約だけはしっかり残すということになっているわけだからだめだと言っているんですよ。
 だから、それは、理解していただいたというのは誤解、大臣の誤解であって、ILOは理解したなんて言っていないですよ。ずっと、具体的な文章の中で、挙げてもいいですけれども、そういうふうに、不十分だ、代償措置としても人事院制度というのは不十分だと。つまり、賃金だとか労働条件を決定する過程に関係者が参加できないんですから、参加できないんですよ、それを求めている。そういう勧告をずっとしているんですよ。
 だから、それは誤解じゃなくて、誤解を解いてください、片山大臣の誤解を解いて。十分じゃなかったと。しかも、その十分ではない人事院をもっと権限を切り下げちゃう、それが大綱だ、とんでもない話だよというのがILOの勧告なんです、報告なんですよ。そこをぜひ理解して、こっちからも理解していただきたい、こういうふうに思います。
 それで、結局、こういうことをILOから言われちゃうというのは、実はこれまでも、関係労働組合が中心になると思いますけれども、全面的で率直かつ有意義な協議がなかったということの証左なんですよ。なかったから、ILOがこういうことを言わざるを得なかったということだと思うんですよ。これはちょっと申し上げておきたいと思います。
 それで、大臣、石原大臣になるかな、七十七回、六十何時間も一生懸命やってきたよという話がありますけれども、実際にはそういう協議が調っていない。関係団体も納得しているわけでない。納得していないのに大綱をつくった。だから今、後で触れますけれども、ぐちゃぐちゃになりつつあるんだと。もともと無理な大綱ですね。関係者の合意もなくてつくった大綱だから、今になってぼろがどんどん出てきているわけじゃないですか。なぜこういう、有意義な協議ができなかったのか。なぜできなかったのか、それをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
石原国務大臣 私も、私どもの事務局と職域団体の方々との間が、本当にうまくいっているのか、意思疎通をしているのか、再三再四、注意もしてきましたし、その点には留意してまいりました。さらに、非常に個人的なことで恐縮なんでございますが、自治労の前委員長の榎本委員長とは非常に個人的にも親しくさせていただいて、腹を割った、率直な意見交換を実は行ってまいりました。
 しかし、それが、いろいろなことがございまして、榎本前委員長と率直に話し合う機会も実はなくなりまして、その後また、ILOの勧告というものが出て、労働基本権の制約、すなわち、スト権、今、公務員の方々がスト権を持つということに対して国民の方が一体どういう感情を持つだろうと、私も非常に悩む、大変大きな問題の提示が勧告という形でなされた。そして、その問題が議論の中心になってきた。これは先ほどお話をさせていただいたとおりでございます。
 私、個人的な見解ですけれども、この労働基本権の制約の問題は、五十年たったんですから、もう一回、本当にゼロから専門的に、それこそ、すぐには結論の出る問題ではございませんけれども、議論の対象として十分に値する。
 委員がジュネーブに行かれて恥をかかれた、そういう思いもわからぬでもないわけでございまして、この点は、これまで、残念ながら、私もこの職につかせていただくまで、当たり前だ、国家公務員初めスト権がないのは当たり前だと思っていたという事実もございます。
 そしてまた、先ほど申しましたように、先般、スト権がないわけですけれども、私は東京都出身なもので、東京都の方で、人事院勧告がマイナスになって、地方の方もマイナスになるということで、ストがあったんですね、二時間程度ですけれども。そういうものに対して、都民の皆様方の反応というものも私はその場でつぶさに見たわけであります。
 こういうことをもろもろ考え合わせて、この問題は時間をかけて新たな時代に合った新たなものをつくっていくということを、私は否定しているつもりはございません。
日森委員 個人的な見解だけれども、石原大臣としては、労働基本権についてゼロからちゃんと検討してもいいんではないかという思いを持っているということは、お聞きいたしました。
 同時に、公務員がスト権を持つなどいかがなものかという国民感情もあるということなんですが、これまでの代償措置でも、例えば、では人事院の制度をもっと強化すればいいんですよ、関係団体の人も参加をできるような格好にするとか。そういう方向を一切とらないで、後退させておいて、労働基本権だけだめよと言うから大きな問題になっているんで、そういう意味では、石原大臣の今のお答え、積極的に評価したいと思います。ぜひそういうことを広げていただきたいと思いますよ。
 時間の問題ではないんです。ただ時間をかければいいという問題ではなくて、この問題、ちょっと余り長くできませんので最後に一個だけ確認したいんですが、これまで大綱をつくる段階で、私の側からいうと必ずしも有意義な協議が十分にできたとは思っていないんです。これから、法律を出したり、もちろん出したらILOにも追加情報を出さなきゃいけない、コピーを送らなきゃいけないとかということを約束されているわけですから、そういう段階に至るまでの間、さらに積極的に関係団体と協議を続ける。その中で、お互いが合意ができるような、そういう中身で大綱の具体化といいますか、法整備をしていくお考えがあるのかどうなのか、この一点だけちょっと両大臣にお聞かせいただきたいと思います。
石原国務大臣 もちろんのこと、働いてくださっているのは公務員の皆さん方であります。その公務員の皆様方の働く環境をよりよいものにしていこうというのが、改革の意趣でございます。
 そういうことを考え合わせますと、働いている方々がそんな改革はだめなんだと言った段階でその改革は失敗になるんじゃないかと私は考えております。
日森委員 要するに、働いている方々がだめとかいいとかという意見を十分に尊重してこれから進めていくというふうに理解してよろしいですか。
石原国務大臣 日森委員と労働基本権の制約についても見解の相違があるのと同じように、意見の相違はあると思いますが、誠意を持って対応させていただきたいと考えております。
日森委員 それはもう必要不可欠の事項だと思いますので、ぜひそういう方向で進めていただきたいと思います。
 それから、時間が、大変申しわけないんですが、きょう新聞に報道されていました、これは読売と毎日だったと思うんですが、能力給、これは見送りだという記事が出ていました。午前中にも多分質疑があったかもしれませんが、石原大臣が改革の目玉だとずっとおっしゃってきた能力給、これはちょっと見送って後にしよう、後回しにしようという話になりました。この新聞報道について、ちょっと真偽のほどを最初にお聞かせいただきたいと思います。
石原国務大臣 この点につきましては、私も見出しを見ましてびっくりいたしました。しかし、内容を読んでみると、能力等級をやめるというような内容では、両新聞とも内容は違っている。
 そういうことから考えまして、能力等級を導入しない、あるいは見送るという事実は、確認しておりません。
日森委員 しかし、今度の法案の中に盛り込まれないということは事実なんですか。
石原国務大臣 先ほどの御答弁の中でも申し述べさせていただきましたように、この一次原案というものを昨年職員団体の方々に御提示して、この点が今回の改革の中心であるので、相互が理解できる形でどういうことが可能なのか、可能じゃないのか議論しようというお話をさせていただきましたが、先ほどと答弁が重なって恐縮なんですけれども、ILOの勧告が出まして、それよりももっと大きな労働基本権の話にスポットライトが移ってしまいまして、この能力等級等々の議論を職域団体の方々とやることができないでまいりました。
 しかし、ここは給与にまた直結する問題でございますので、非常に関心の高いところでもありますし、また、午前中の議論でもございましたように、人が人を評価する、これまではその個人の潜在力によって職制というものが、職域ですか、決まっていたものを変えるわけですので、もちろん現場の方々と話をしなければ何がいいのかということはなかなかつくり出していくことができないということで、今回、先週だったと思いますけれども、ぜひここの部分についても、労働基本権の話ももちろん非常に重要な話ですけれども、長く時間をかければいいものが出るとは私も思いませんけれども、やはりかなり精緻な議論をしなきゃいけない分野でありますので、それもあわせて、その前にやはり、この能力等級についての考え方、相互に意見の開陳をし合うという場をぜひ持たせていただきたいとお願いをさせていただいているところでございます。
日森委員 新聞によると、六年までに職員団体と協議をしてやるんだ、こういう話になっているんですよ。これが事実だとすれば、もうことしの法案は、公務員制度改革関連四法案とか言われていましたけれども、ここには入らないというふうに国民の皆さんはみんな理解するわけですよ。いや、公務員の人もみんな心配になっていますから、これはそうだというふうに理解しているが、それでいいんですね。
石原国務大臣 先ほど来御答弁をさせていただいておりますけれども、今この時点で、新聞がこういうふうに書いているような時点で能力等級制度を責任ある方が私以外に見送ったという事実もございませんし、私どもの事務局もこの制度を見送ったという事実はございません。
日森委員 能力給そのものが公務職場にはなじまないということが一つありますし、民間のやり方をそっくりそのまま持ち込んできて、さあどうだというやり方は決してなじむものではないというのが一つあるんですが、きょうの午前中の議論でもいろいろ出ました。
 重複は避けたいと思いますが、そもそもどういうマニュアルをつくるんだということ自体だって実に難しい。これはもう片山大臣も恐らく長い自治省以来の経験の中で御存じだと思うんですよ。これをあえてつくろうというところに無理があったわけで、これは少し慎重に議論するというよりも、一回引っ込めて、等級の合理化もできないわけでしょう。十一級を、では十級にしましょう、九級にしましょうという話にもならないわけで、結局今と何が変わるんですかという話になるわけですよ。そんな中途半端な話はやめて、もう今回はあきらめるということをきちんとやっていただきたいと思うんです。
 中身の問題なんですが、これは石原大臣にお聞きしたいんですが、能力等級制というのは、能力基準に基づいて職員の能力を評価する、それで職員の能力等級が決められるということなんですが、この能力等級によってそのままこれが職員の給与の格付が決まるという仕組みだというふうに理解してよろしいでしょうか。
石原国務大臣 ただいま委員がお述べになられた、大筋でそのように御理解をいただいて結構でございます。
日森委員 片山大臣に聞きたいんですが、今石原大臣がおっしゃったような、それがもうそういう仕組みである、これがもう給与の仕組みであるんだということになると、これはもう勤務条件そのものになるというふうに私どもは思います。
 そうすると、これは当然、職員団体と十分協議をする、合意ができるように。民間だってそうですよ。これは石原大臣もおっしゃっていましたが、二カ月、三カ月で、こんな勤務条件の大胆な変更を決められるはずがないんですから、十分協議が必要だということは当たり前になると思うんです。その辺について、大臣、どういうふうにお考えでしょう。
片山国務大臣 今の給与は職務給ですね、職務に応じて給与が決まってということですね。ところが、今回の公務員制度改革の大綱は、まず能力の評定があって、能力をきちっと評定をして、それに基づいて、例えば給与や任用や評価をやろうと。今、その逆になっているんですね。能力の評定がなくて、職務に応じた給与が決まっておって、そのポストについたら、その給与が自動的に適用される。
 だから、やはり能力主義、業績主義を徹底しようという意味では、能力等級制度というのは私は意味があると思うんですが、基準をつくるのがこれはなかなか難しい、能力の評定が。人間の能力というのはいろいろありますから、どの能力をどう見るのかというのが大変難しいんで、今、そこのところの法的な整理を石原大臣のところが中心になっていろいろやっているわけでありまして、そこで決まれば、まず能力の評定があって、その能力に応じて給与だとかなんとか決まっていく。
 そういう意味では、能力等級を決めるということが勤務条件性がないかというと、それは私もあると思います。しかし、勤務条件そのものではないんですね、勤務条件そのものではない。そこが今と違ってくるんで、そこはぜひ御理解いただきたいと思いますが、今、一生懸命、どういう仕組みをつくるか、関係の皆さんで検討中でございますので、私は、いいものができれば、それはその方が筋ではないか、こういうふうには思っております。
日森委員 いいものができるかどうかは大変疑問なんですが、今、こういう論争をしているのはおかしいんですが、課長補佐、仮になりますよね、課長補佐として能力があるから課長補佐にしているんでしょう。課長になるのは、課長として、その課全体をちゃんと取り仕切っていける、部下の指導もできる、そういう能力もあるし、その課の持っている職務をきちんとこなしていけるし、先見性を持っているから、課長になるんでしょう。やっているじゃない。
 だから、何をやろうとしているのかというのが、もう全然わからぬ。どういう制度がいいのかというのが何の、イメージぐらい語ってもらえばいいんですが、それは、今度の、新聞に出ていた原案を見ると、任命権者あるいはそれが委任した者が能力評価をするんだ、こういって、今までだって、そういうふうにやって、課長補佐にしたり、課長にしてきたり、局長にしたりしたんじゃないですか。
 だから、これは、そんなむだな努力はやめて、もうちょっと国民のためになる、国民に見える公務員制度改革をやった方が、片山大臣も余り悩まないで済むんじゃないか、こんなふうに思います。これは意見として申し上げておきます。
 それから、人事院総裁にお聞きしたいんですが、総裁いらっしゃいますね、中島総裁。今、片山大臣は、これは勤務条件であるようなないようなお話をされました。どっちなのかよくわからない。勤務条件でない方がでかいんだったら、いや、職員団体と協議しないよという話になるかもしれないけれども、勤務条件により近いんだったら、片山さん、どっちだかよくわかりませんけれども、それはちゃんと協議しなきゃいかぬということになるんですよ。人事院総裁は、これはどう思います。
中島政府特別補佐人 先ほど先生がお尋ねになりまして、能力基準というものに基づいて能力を評価する、そのことによって能力等級が決まる、それが給与と直結している、そういうことについて、石原大臣は肯定的な答弁をされました。そういうことなれば、能力基準とか、能力基準を実施する指針とか、そういうものは勤務条件だというふうに考えざるを得ないというふうに思います。
日森委員 その前に、ちょっと防衛庁長官と外務大臣、時間があともう十分切ってしまいまして、多分質問がそちらに行かないのでは、大変申しわけございません。よろしいですか。もしお仕事があったら大変申しわけないと思いまして、大変失礼いたしました。私の方はお邪魔しては申しわけないので、もしよろしければ。お忙しいようで、大変失礼いたしました。申しわけございませんでした。
藤井委員長 それでは、お引き取りください。
日森委員 今総裁は、勤務条件だ、給与に直結しているんだというふうにおっしゃいました。そうすると、これは当然協議の対象になる、十分協議をして決めていかなければならないということになると思うんですが、もう一度御答弁いただけますか。
片山国務大臣 能力等級、能力基準というものそのものは勤務条件じゃないんですよ。ただ、それに基づいて給与を決めていく、そこで勤務条件性が加わる、こういうことを申し上げたわけで、今お話が日森委員からありましたが、今は課長補佐にするということで能力があると推定しているんですよ。能力そのものを評価しているんじゃないんですよ。課長になったから恐らく課長になる能力があるんだろう、だからそれにふさわしい給料をやろう、こういうことなんですよ。だから、それをひっくり返して、まず能力を評定して、こういう能力があるからそれでは課長になってもらおう、課長になるからこれだけの給与を与えよう、こういうことなんですね。
 だから、発想がひっくり返るようなことでございますが、ただ、言いましたように、だから、どういう能力等級、能力評定をやるかで、勤務条件性が濃くなるか薄くなるかというところがあるんです。そこで、今法的な整理を関係者でやっておりますので。だから、勤務条件性を否定はしませんが、勤務条件そのものではないというふうに御理解賜りたいと思います。
日森委員 否定はしないということですから、これは、特に、この原案の中でいいますと、給与の総額の枠は決まっている、その中でいろいろ把握しなさいという話になっているわけですよね。原案というのは新聞でしか見てないので、私は直接見てないんですが、そうなると、結局、総裁が言っているようなお話になると思うんですよ。
 そういう意味からいうと、これについては徹底して関係団体と協議をして合意をしてもらいたい。そうしないと、やはり結果として非常にまずいことになるんじゃないかという心配がありますので、これはぜひ要望しておきたいと思います。
 それから……(発言する者あり)いやいや、ちょっと待ってください。いや、それはもう確かに要望だけしておきたいと思います。
 それから、これから時間をかけておやりになるということを石原大臣もおっしゃいました。これから具体的に職員団体といつ、どのような交渉を持っていくのか。仮に、職員団体との協議が調わなかった、こういう場合もあるわけです。そういう場合は、今閣議決定できればしていくんだという話ですが、一方的に法案を国会に提出をしていくということになるのか、これは重要な問題だと思うんです。先ほど言ったように、勤務条件であるというふうに我々は思っていますから、そういうことも含めての改革の中身になるわけですから、これはもう重要な問題だというふうに私ども思っていまして、そういう意味では、しっかりと合意の上でやっていただくということが必要最低限の条件ではないか、そんなふうに思っているんです。
 その辺のちょっとお考えをお聞かせいただきたいと思います。
石原国務大臣 能力等級制度につきましては、先ほども御答弁をさせていただきましたように、二次原案という形で昨年お示しいただいた後、この能力等級についての議論が、残念ながら深度化、深まっていないと思っております。それは職域団体の方との間でございます。ですので、私の方で、やはりここは重要な問題でございますので、ぜひ率直な意見を、久しぶりでありますけれども聞かせていただきたいとお願いをさせていただいているところでございます。
日森委員 問題は、合意を得られるかどうかということをお聞きしたんです。合意がない場合はどうされますか。合意がなくても、これはもう決めたことだから一気呵成に進んでいくということであると、これは、総理もそれから各大臣もILOの勧告は尊重しますと言うけれども、国内情勢がいろいろあるんだというふうにおっしゃるんですが、そのILOの言っていることとも随分、それに反することになると思うし、それだけではなくて、職員団体、団体というより職員そのものの生活にも多大な影響を与えるようになるということになるわけですから、合意をとる、合意の上で進めるということについて、もう一度御見解をお聞かせいただきたいと思うんです。
石原国務大臣 公務員制度改革につきましては、これまでも、勤務条件にかかわるのか否であるのかということにかかわらず、幅広い分野において意見交換を行ってきたところでありますが、労働基本権制約という大きな大きな命題が出てきたことによりまして、議論がそちらの方向に行ってしまったということは、私は事実だと思っております。
 しかしながら、先ほど来御答弁させていただきましたように、この問題は、先ほど来、日森委員と私の間でも、近づくようで遠ざかり、遠ざかるようで近づく、そういう問題であり、そんな簡単に結論の出る問題ではないと認識をしております。
 この能力等級等々につきましては、深度化していないということでありますので、やはり議論をして、委員が御懸念されるような状態にならないように努めるのが私の仕事であると認識をしております。
日森委員 最後、これはもう要望になりますけれども、急いでともかく閣議決定までしたけれども、実は、能力給もそうですし、それから採用試験の人数の問題、それから天下りの規制の問題、閣議決定した大綱と大分違う話がどんどんどんどん出てきているでしょう。違いますか。出てきているんですよ。閣議決定までした大綱からどんどんどんどん違う話になっている。これは、公務員制度改革大綱そのものが実に生煮えで、十分もまれていないようなものをぼんと出してしまったからこういうことになるんですよ。
 この根本的な見直しも含めて、ぜひ、関係団体との協議も含めた社会的な対話、これをしっかりやってもらうことを要望して、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
藤井委員長 これにて日森君の質疑は終了いたしました。
 次回は、明二十日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後七時五十八分散会


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