衆議院

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第20号 平成15年3月3日(月曜日)

会議録本文へ
平成十五年三月三日(月曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 藤井 孝男君
   理事 斉藤斗志二君 理事 自見庄三郎君
   理事 杉浦 正健君 理事 萩山 教嚴君
   理事 宮本 一三君 理事 末松 義規君
   理事 原口 一博君 理事 細川 律夫君
   理事 石井 啓一君
      伊吹 文明君    池田 行彦君
      石川 要三君    衛藤征士郎君
      尾身 幸次君    大原 一三君
      奥野 誠亮君    亀井 善之君
      栗原 博久君    高鳥  修君
      津島 雄二君    中山 正暉君
      丹羽 雄哉君    西川 京子君
      葉梨 信行君    萩野 浩基君
      原田昇左右君    松宮  勲君
      三塚  博君    持永 和見君
      森岡 正宏君    山口 泰明君
      吉野 正芳君    伊藤 英成君
      石井  一君    上田 清司君
      海江田万里君    河村たかし君
      首藤 信彦君    田中 慶秋君
      筒井 信隆君    中村 哲治君
      長妻  昭君    細野 豪志君
      前原 誠司君    吉田 公一君
      米澤  隆君    赤羽 一嘉君
      斉藤 鉄夫君    達増 拓也君
      中塚 一宏君    樋高  剛君
      木島日出夫君    佐々木憲昭君
      矢島 恒夫君    東門美津子君
      中西 績介君    横光 克彦君
      井上 喜一君
    …………………………………
   内閣総理大臣       小泉純一郎君
   総務大臣         片山虎之助君
   法務大臣         森山 眞弓君
   外務大臣         川口 順子君
   財務大臣         塩川正十郎君
   文部科学大臣       遠山 敦子君
   厚生労働大臣       坂口  力君
   農林水産大臣       大島 理森君
   経済産業大臣       平沼 赳夫君
   国土交通大臣       扇  千景君
   環境大臣         鈴木 俊一君
   国務大臣
   (内閣官房長官)
   (男女共同参画担当大臣) 福田 康夫君
   国務大臣
   (国家公安委員会委員長)
   (産業再生機構(仮称)担
   当大臣)         谷垣 禎一君
   国務大臣
   (防衛庁長官)      石破  茂君
   国務大臣
   (沖縄及び北方対策担当大
   臣)
   (科学技術政策担当大臣) 細田 博之君
   国務大臣
   (金融担当大臣)
   (経済財政政策担当大臣) 竹中 平蔵君
   国務大臣
   (規制改革担当大臣)   石原 伸晃君
   国務大臣
   (防災担当大臣)     鴻池 祥肇君
   内閣官房副長官      安倍 晋三君
   内閣府副大臣       伊藤 達也君
   内閣府副大臣       米田 建三君
   防衛庁副長官       赤城 徳彦君
   法務副大臣        増田 敏男君
   財務副大臣        谷口 隆義君
   農林水産副大臣      北村 直人君
   経済産業副大臣      高市 早苗君
   経済産業副大臣      西川太一郎君
   国土交通副大臣      中馬 弘毅君
   総務大臣政務官     吉田六左エ門君
   法務大臣政務官      中野  清君
   外務大臣政務官      新藤 義孝君
   農林水産大臣政務官    熊谷 市雄君
   経済産業大臣政務官    桜田 義孝君
   経済産業大臣政務官    西川 公也君
   政府特別補佐人
   (内閣法制局長官)    秋山  收君
   政府特別補佐人
   (人事院総裁)      中島 忠能君
   会計検査院長       杉浦  力君
   政府参考人
   (内閣官房内閣審議官)  村田 保史君
   政府参考人
   (法務省大臣官房長)   大林  宏君
   政府参考人
   (法務省刑事局長)    樋渡 利秋君
   政府参考人
   (法務省矯正局長)    中井 憲治君
   政府参考人
   (法務省人権擁護局長)  吉戒 修一君
   参考人
   (雇用・能力開発機構理事
   長)           七瀬 時雄君
   参考人
   (衆議院法制局長)    窪田 勝弘君
   参考人
   (衆議院法制次長)    郡山 芳一君
   予算委員会専門員     中谷 俊明君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月二十七日
 辞任         補欠選任
  池田 行彦君     伊藤信太郎君
  石川 要三君     林 省之介君
  三塚  博君     石田 真敏君
  上田 清司君     武正 公一君
  海江田万里君     水島 広子君
  河村たかし君     山田 敏雅君
  長妻  昭君     木下  厚君
  吉田 公一君     大谷 信盛君
  斉藤 鉄夫君     上田  勇君
  佐々木憲昭君     木島日出夫君
  井上 喜一君     山谷えり子君
  津島 雄二君     小西  理君
  石井  一君     松野 頼久君
  山田 敏雅君     家西  悟君
  木島日出夫君     石井 郁子君
  中西 績介君     中川 智子君
  山谷えり子君     松浪健四郎君
  伊藤信太郎君     谷田 武彦君
  木下  厚君     三井 辨雄君
  田中 慶秋君     後藤  斎君
  中村 哲治君     津川 祥吾君
  細野 豪志君     高木 義明君
  松野 頼久君     鎌田さゆり君
  米澤  隆君     前田 雄吉君
  石田 真敏君     松浪 健太君
  林 省之介君     森岡 正宏君
  家西  悟君     今野  東君
  三井 辨雄君     城島 正光君
  達増 拓也君     高橋 嘉信君
  中塚 一宏君     一川 保夫君
  石井 郁子君     塩川 鉄也君
  横光 克彦君     阿部 知子君
  中川 智子君     保坂 展人君
  大谷 信盛君     川端 達夫君
  津川 祥吾君     井上 和雄君
  赤羽 一嘉君     太田 昭宏君
  一川 保夫君     東  祥三君
  高橋 嘉信君     武山百合子君
  後藤  斎君     渡辺  周君
  今野  東君     齋藤  淳君
  上田  勇君     福島  豊君
  太田 昭宏君     遠藤 和良君
  矢島 恒夫君     児玉 健次君
  阿部 知子君     原  陽子君
  保坂 展人君     金子 哲夫君
  井上 和雄君     今田 保典君
  鎌田さゆり君     金田 誠一君
  齋藤  淳君     大石 尚子君
  城島 正光君     中山 義活君
  武正 公一君     平岡 秀夫君
  水島 広子君     伴野  豊君
  福島  豊君     赤松 正雄君
  樋高  剛君     塩田  晋君
  児玉 健次君     吉井 英勝君
  金子 哲夫君     重野 安正君
  原  陽子君     北川れん子君
  原田昇左右君     上川 陽子君
  赤松 正雄君     上田  勇君
  遠藤 和良君     青山 二三君
  東  祥三君     藤島 正之君
  吉井 英勝君     春名 直章君
  北川れん子君     山口わか子君
  川端 達夫君     川内 博史君
  高木 義明君     横路 孝弘君
  渡辺  周君     鉢呂 吉雄君
  武山百合子君     都築  譲君
  塩川 鉄也君     藤木 洋子君
  春名 直章君     赤嶺 政賢君
  重野 安正君     山内 惠子君
  山口わか子君     菅野 哲雄君
  上川 陽子君     原田昇左右君
  金田 誠一君     平野 博文君
  鉢呂 吉雄君     牧野 聖修君
  前田 雄吉君     大畠 章宏君
  青山 二三君     桝屋 敬悟君
  上田  勇君     赤松 正雄君
  塩田  晋君     土田 龍司君
  山内 惠子君     保坂 展人君
  今田 保典君     永田 寿康君
  中山 義活君     木下  厚君
  平岡 秀夫君     楢崎 欣弥君
  牧野 聖修君     渡辺  周君
  赤松 正雄君     斉藤 鉄夫君
  桝屋 敬悟君     太田 昭宏君
  土田 龍司君     樋高  剛君
  菅野 哲雄君     北川れん子君
  松浪 健太君     松島みどり君
  大畠 章宏君     小沢 鋭仁君
  斉藤 鉄夫君     上田  勇君
  北川れん子君     東門美津子君
  永田 寿康君     井上 和雄君
  上田  勇君     斉藤 鉄夫君
  藤木 洋子君     小沢 和秋君
  小西  理君     津島 雄二君
  谷田 武彦君     池田 行彦君
  松島みどり君     三塚  博君
  森岡 正宏君     石川 要三君
  井上 和雄君     中村 哲治君
  小沢 鋭仁君     米澤  隆君
  大石 尚子君     河村たかし君
  川内 博史君     吉田 公一君
  木下  厚君     長妻  昭君
  楢崎 欣弥君     上田 清司君
  伴野  豊君     海江田万里君
  平野 博文君     石井  一君
  横路 孝弘君     細野 豪志君
  渡辺  周君     田中 慶秋君
  太田 昭宏君     赤羽 一嘉君
  都築  譲君     達増 拓也君
  藤島 正之君     中塚 一宏君
  赤嶺 政賢君     矢島 恒夫君
  小沢 和秋君     佐々木憲昭君
  東門美津子君     横光 克彦君
  保坂 展人君     中西 績介君
  松浪健四郎君     井上 喜一君
同月二十八日
 辞任         補欠選任
  河村たかし君     城島 正光君
  田中 慶秋君     大畠 章宏君
  細野 豪志君     肥田美代子君
  達増 拓也君     佐藤 公治君
  樋高  剛君     西村 眞悟君
  佐々木憲昭君     春名 直章君
  井上 喜一君     金子善次郎君
  葉梨 信行君     谷本 龍哉君
  上田 清司君     石毛えい子君
  海江田万里君     山井 和則君
  城島 正光君     鮫島 宗明君
  中村 哲治君     大石 尚子君
  春名 直章君     瀬古由起子君
  矢島 恒夫君     吉井 英勝君
  中西 績介君     植田 至紀君
  谷本 龍哉君     西川 京子君
  大石 尚子君     平岡 秀夫君
  長妻  昭君     武正 公一君
  肥田美代子君     古川 元久君
  米澤  隆君     鍵田 節哉君
  横光 克彦君     大島 令子君
  金子善次郎君     井上 喜一君
  鍵田 節哉君     平野 博文君
  武正 公一君     今野  東君
  吉田 公一君     小沢 鋭仁君
  中塚 一宏君     黄川田 徹君
  瀬古由起子君     大森  猛君
  吉井 英勝君     小沢 和秋君
  西川 京子君     松島みどり君
  三塚  博君     森岡 正宏君
  小沢 鋭仁君     山内  功君
  平岡 秀夫君     松原  仁君
  平野 博文君     大島  敦君
  大島 令子君     阿部 知子君
  井上 喜一君     山谷えり子君
  松島みどり君     葉梨 信行君
  森岡 正宏君     三塚  博君
  石毛えい子君     上田 清司君
  大島  敦君     米澤  隆君
  大畠 章宏君     田中 慶秋君
  今野  東君     長妻  昭君
  鮫島 宗明君     河村たかし君
  古川 元久君     細野 豪志君
  松原  仁君     中村 哲治君
  山内  功君     吉田 公一君
  山井 和則君     海江田万里君
  黄川田 徹君     中塚 一宏君
  佐藤 公治君     達増 拓也君
  西村 眞悟君     樋高  剛君
  小沢 和秋君     矢島 恒夫君
  大森  猛君     佐々木憲昭君
  阿部 知子君     横光 克彦君
  植田 至紀君     中西 績介君
  山谷えり子君     井上 喜一君
三月三日
 辞任         補欠選任
  松岡 利勝君     森岡 正宏君
  山口 泰明君     吉野 正芳君
  中村 哲治君     首藤 信彦君
  細野 豪志君     伊藤 英成君
  矢島 恒夫君     木島日出夫君
  中西 績介君     東門美津子君
同日
 辞任         補欠選任
  森岡 正宏君     西川 京子君
  吉野 正芳君     山口 泰明君
  伊藤 英成君     前原 誠司君
  首藤 信彦君     筒井 信隆君
  木島日出夫君     矢島 恒夫君
  東門美津子君     中西 績介君
同日
 辞任         補欠選任
  西川 京子君     松宮  勲君
  筒井 信隆君     中村 哲治君
  前原 誠司君     細野 豪志君
  中西 績介君     東門美津子君
同日
 辞任         補欠選任
  松宮  勲君     松岡 利勝君
  東門美津子君     中西 績介君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 平成十五年度一般会計予算
 平成十五年度特別会計予算
 平成十五年度政府関係機関予算
 主査からの報告聴取


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     ――――◇―――――
藤井委員長 これより会議を開きます。
 平成十五年度一般会計予算、平成十五年度特別会計予算、平成十五年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
 この際、各分科会主査から、それぞれの分科会における審査の報告を求めます。
 第一分科会主査持永和見君。
持永委員 第一分科会における審査の経過及び内容について御報告申し上げます。
 本分科会は、二月二十七日及び二十八日の二日間審査を行いました。その詳細につきましては会議録に譲ることとし、ここでは主な質疑事項について申し上げます。
 まず、内閣所管については、道路関係四公団民営化推進委員会の意見書の取り扱い、構造改革特区推進への取り組みなど、
 次に、内閣府本府所管については、男女共同参画社会の理念及び地方自治体への周知のあり方、女性の家族従業者の地位向上の必要性、原子力発電の利点及び原子力発電所の事故防止策など、
 次に、警察庁所管については、交通事故に対する捜査のあり方及び検察の対応、北朝鮮による拉致被害者及びその家族に対する政府の対応、ピッキング窃盗犯罪の現状及び防止策など、
 次に、防衛庁所管については、在日米軍基地等の返還及び移設問題、文民統制のあり方など、
 次に、金融庁所管については、資金・労働間のグローバリズムの違いなどでありました。
 以上、御報告申し上げます。
藤井委員長 第二分科会主査山口泰明君。
山口(泰)委員 第二分科会について御報告を申し上げます。
 本分科会は、総務省所管について二日間審査を行いました。その詳細につきましては会議録に譲ることといたします。
 その主な質疑事項は、固定資産税制度のあり方、市町村合併の現状、フランチャイズ契約の実態、救急医療体制の整備と消防組織の充実策、公務員における労働基本権の制約、簡易生命保険事業のあり方、住民票コードをめぐる問題、地方自治制度のあり方、地上波放送のデジタル化、新幹線建設時の並行在来線の第三セクター化問題等々であります。
 以上、御報告申し上げます。
藤井委員長 第三分科会主査杉浦正健君。
杉浦委員 第三分科会について御報告申し上げます。
 本分科会は、法務省、外務省及び財務省所管について二日間審査を行いました。その詳細につきましては会議録に譲ることといたします。
 その主な質疑事項は、司法制度改革、難民申請者の入管施設への収容問題、名古屋刑務所における特別公務員暴行陵虐致死事件、我が国の難民対策、我が国のODAのあり方、那覇軍港移設問題、イラク問題、大衆課税問題、輸入牛肉に係る関税引き上げの是非、適正な円・ドル交換比率等々でございます。
 以上、御報告申し上げます。
藤井委員長 第四分科会主査斉藤斗志二君。
斉藤(斗)委員 第四分科会について御報告申し上げます。
 本分科会は、文部科学省所管について二日間審査を行いました。その詳細につきましては会議録に譲ることといたします。
 その主な質疑事項は、中央教育審議会における教育基本法見直しの進捗状況、検定前教科書原本の流出問題、薬学教育のあり方、獣医学教育の充実、学校教育における読書活動の現状、スクールカウンセラーの期待される役割、構造改革特区における株式会社による学校経営、日本語教育施設の設置に係る規制、高速増殖炉サイクル技術の研究開発、観光振興のための人材育成、教育改革等々であります。
 以上、御報告申し上げます。
藤井委員長 第五分科会主査石井啓一君。
石井(啓)委員 第五分科会について御報告申し上げます。
 本分科会は、厚生労働省所管について二日間審査を行いました。その詳細につきましては会議録に譲ることといたします。
 その主な質疑事項は、救命救急医療の推進方策、雇用対策の実施状況、在外被爆者の現状、年金及び医療制度改革、自動除細動器の普及状況、アレルギー疾患対策、障害児福祉のあり方、原子力発電所労働者の健康管理、ハンセン病問題、ホームヘルプサービスのあり方等々であります。
 以上、御報告申し上げます。
藤井委員長 第六分科会主査萩山教嚴君。
萩山委員 第六分科会について御報告申し上げます。
 本分科会は、農林水産省及び環境省所管について二日間審査を行いました。その詳細につきましては会議録に譲ることといたします。
 その主な質疑事項は、森林整備に関する支援策、将来に向けた漁業及び農業の担い手対策、BSE感染源及び感染ルートの調査状況、バイオマス・ニッポン総合戦略の取り組み内容、宍道湖淡水化事業問題、地球温暖化防止対策における国有林整備の重要性、食糧供給確保の重要性、循環型社会形成に向けた施策、廃棄物不法投棄問題、動物愛護管理及び動物の適正飼養の推進方策等々であります。
 以上、御報告申し上げます。
藤井委員長 第七分科会主査宮本一三君。
宮本委員 第七分科会について御報告申し上げます。
 本分科会は、経済産業省所管について二日間審査を行いました。その詳細につきましては会議録に譲ることといたします。
 その主な質疑事項は、国内産業の空洞化対策、中小企業の金融セーフティーネット対策、創業に対する保証制度の充実強化、ディーゼルエンジンの排気ガス規制が小規模事業者に及ぼす影響、下請取引の公正化の必要性、イラク情勢が我が国経済に及ぼす影響、原子力政策の今後のあり方、原子力発電所の安全性・信頼性確保策、サマータイム制度導入の検討、商店街振興による地域活性化等々であります。
 以上、御報告申し上げます。
藤井委員長 第八分科会主査栗原博久君。
栗原委員 第八分科会について御報告申し上げます。
 本分科会は、国土交通省所管について二日間審査を行いました。詳細につきましては会議録に譲ることといたします。
 その主な質疑事項は、関西国際空港の利便性の向上、スーパー中枢港湾構想、一般国道及び高速道路の整備、ダム建設等公共事業の見直し、座礁放置船舶対策、大都市圏における地下高速鉄道の整備、中央リニア新幹線の整備状況、低公害車の普及・開発の促進、都市基盤整備公団住宅のあり方、トラックによる事故防止対策等々であります。
 以上、御報告申し上げます。
藤井委員長 以上をもちまして各分科会主査の報告は終了いたしました。
    ―――――――――――――
藤井委員長 この際、お諮りいたします。
 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官村田保史君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
藤井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
藤井委員長 これより一般的質疑を行います。
 本日の午前は、特に外交等について質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。池田行彦君。
池田(行)委員 総理、三月になりました。春が来た、桃の節句だと申し上げているわけじゃございません。貸しはがしがひどくなるぞ、三月危機だぞ、こう言われた怖い三月が来たということでございます。
 民間の、特に中小企業の経営に当たっておられる皆様方は、文字どおり、生き残りをかけて、何とかこの年度末も乗り越え、将来につなげたいと、本当に、文字どおり、血のにじむ思いで取り組んでおられると思います。そして、国民の総理にかける期待は何かといえば、何とかしてデフレスパイラルに陥ることを回避してほしい、また将来に向かって経済を再生する道をつけてほしい、本当に国民の切なる願いであると思います。
 そういった観点からいたしましても、きょう、我が衆議院における審議の大詰めを迎えております平成十五年度の予算につきまして、これは、きっちりとけじめをつけまして年度内成立へつなげていかなくちゃならない、こう考えている次第でございます。
 しかし、午前中は外交問題中心の集中審議ということでございますので、私は、与党の立場から、当面する外交課題、とりわけイラク問題あるいは北朝鮮問題について、時間は限定されておりますけれども、総理、外務大臣のお考えをお伺いしてまいりたい、こう考える次第でございます。
 その具体的な問題に入ります前に一言付言しておきたいと思いますのは、二十一世紀に入りまして世界のありようも随分大きく変化してまいりました。そういった中で外交も従来とは随分違った難しい取り組みが求められる、こういう点でございます。
 考えてみますと、二十世紀というのは、戦争の世紀とも言われましたし、イデオロギーとかあるいは社会運営の仕組み、システムをめぐる壮大な争いが展開されたわけでございますけれども、いわゆる冷戦も終えんして十数年が経過したわけでございます。
 これからどういうふうな世界になっていくのか。歴史の終わりだとか文明の衝突だとかいろいろなことも言われてまいりましたけれども、最もはっきりしているのは、世界のプレーヤーと申しましょうか、この世界、国際関係を動かしていったり、あるいはそういった国際関係の安定や秩序を脅かす、そういった存在というものが従来とは大分変わってきたなということだと思います。
 ここ数百年、人によってはウェストファリア条約以来という言い方もされますけれども、国際関係というのは、国民国家といいましょうか、国と国との関係ということで基本的に律せられたといいましょうか、動いてきたわけでございますけれども、ここへ参りまして、グローバリゼーションの進展その他の関係もございまして、世の中を、世界を動かしていく上においても、あるいはその秩序を破るという面においても、国家以外の存在というものが無視できない、いや、場合によっては国家以上に大きな役割といいましょうか、そういったことを果たすような状態になったかと思うんでございます。
 そういうことがございますので、当面しますいろいろな問題、例えばイラク問題なんかについても、国際社会、とりわけ国際連合であるとか、あるいは今唯一の覇権国とも言われております米国の取り組みも、従来とは違った難しい面があるんだと思いますし、我が国の対応についても、総理もいろいろ従来にも増して御宸襟を悩ませることが少なくないんだな、こう思っておる次第でございます。
 こういった問題について御認識をお伺いしておりますと時間が全部なくなってしまいますので、きょうはそれ以上申しません。これから御質問してまいります具体的な質問への御答弁の中で、そういった大きな変化についての総理あるいは外務大臣の御認識を踏まえて御答弁いただきたいし、必要な場合には、若干それについてのお考えに言及していただければ、そういうふうに考える次第でございます。
 さて、イラク問題でございますが、今週と申しましょうか、ここ数週間の動きがどうなるか、これが本当に、これからのイラクだけではなくて、世界のありようを左右するんじゃないか、大きな山場に差しかかっていると思います。そういった中で我が国としてどういうふうに対処していくのか、お伺いしてまいります。
 我が国の基本的な立場につきましては、これまでも総理もいろいろな場で明らかにしておられますが、一番まとまった形でそれを日本国政府として表明されたのは、先般、国際連合で原口大使がされた演説ではないか、こう考える次第でございますが、この演説を拝見しますと、三点ぐらいに集約されるのかな、こういうふうに拝見しました。
 まず、平和的解決ができるかどうか、これはイラクの対応にかかっているんだ、この点を明確にしたということ。二つ目には、決議の一四四一で与えられた最後の機会をイラクは重く受けとめて、みずから進んで大量破壊兵器の廃棄等、従来のたび重なる安保理決議で求められているところをきちんと履行していかなくちゃいかぬ、これが第二点。それから第三点が、国際協調を大切にしていかなくちゃいけない、その意味においても安保理において新たな決議が出されることが望ましい。
 大体この三点に集約されるんじゃないか、こういうふうに拝見したわけでございますが、この演説については、国際的にもさることながら、国内的にもいろいろな見方、いろいろな声がございます。国際世論だけじゃなくて、国連における各国代表の表明した態度を見ても、どうも日本は、必要以上にといいましょうか、何か際立って米国の立場に、すり寄っているという表現がいいのかどうかわかりませんけれども、そういう一辺倒じゃないかという批判といいましょうか、そういった見方もあるところでございます。
 私は、必ずしもそうは思わない。この姿勢というものは、現在の世界の中で日本が、我が国自身が置かれている立場、あるいはその中での我が国が追求すべき国益というものを踏まえた自主的、主体的な判断である、そういうふうに考えるところでございますけれども、総理として、我が国のこの基本的な立場について、いま一度国民の皆様方によく理解していただくように明確に御説明いただければと存ずる次第でございます。
小泉内閣総理大臣 国連での原口大使の演説において日本の立場をはっきり表明したと私は考えております。
 これは、アメリカとイラクの問題でもないし、アメリカとフランスの対立の問題でもない、国際社会全体とイラクの問題である。まさに、イラクがどのような態度をとるかによって、今後大きく国際社会全体の枠組みにも影響してくる。イラクが全面的に協力すれば戦争は起こらない。そういう観点から、私は、日本として今後も、この問題というのは、国際社会協調体制と、日本としては国益を考えながら、日米同盟の重要性、両立させるよう全力を尽くしていくということを考えながら演説をしたわけでありまして、極めて妥当な演説だと思っております。
 今後も日本政府としては、国際協調体制、日米同盟、これを両立させるよう全力を尽くしていきたいと思っております。
池田(行)委員 ただいまの御答弁の中でもお話がございましたけれども、我が国の国益を踏まえると同時にまた国際協調を大切にしていくんだ、こういうお話でございました。
 そういった中で、我が国とアメリカは同盟関係にございますが、それは日本だけじゃございません。ヨーロッパの例えばフランスやドイツも、米国とは価値観も共有し、同じような立場にあるわけでございます。しかし、ひとしく同盟関係にあるとは申しながら、そういったヨーロッパの国の今回の問題に対する対応というのは我が国とも異なっている。米国との間では、見る人によっては、本質はそうではないんだけれども、何かヨーロッパと米国との対立じゃないかというふうなとらえ方をされるような立場になっているわけでございます。これはやはり、地政学的な、あるいはそれぞれの国の位置しているところからする安全保障環境その他からして、同じ同盟国といってもそれは違ってくるんだ、こう思うわけでございます。
 それは、簡単に申しましても、ヨーロッパでは今、EUとかNATOとかいうような地域的な多国間の枠組みがずっと進展しておりまして、非常に安定した状況になっております。具体的な脅威というか、不安定要因も見えてこないということもある。それに比べまして、我が国のございますアジア太平洋地域といった場合には、まだまだ、朝鮮半島その他、非常に不安定な要因も残っているわけでございます。
 先ほど、私は、ネーションステート、要するに国民国家中心の時代は変わりつつあるとは申しましたけれども、やはり国家あるいはそれに準ずるものとの間の対立関係の芽というか、可能性というものも、なお否定し得ない状況にあるわけでございますし、また、そういうものに対応する地域的な、国際的な枠組みがきちんとできているかと申しますと、確かに、ARF、ASEAN地域フォーラム等々の組織もございますけれども、これはまだ信頼醸成からいわゆる予防外交というような段階にとどまっているわけでございまして、NATOとかEUとかいったような、いわば実力で裏打ちをされた安全保障機構というものは、なかなかアジア太平洋地域では具体化してくるように思えません。まだまだ、そういうものがあるとしても時間がかかるんだと思いますね。
 そういった状況の違いを考えただけでも、同じ米国との緊密な関係を有しているとはいえ、ヨーロッパの諸国、特に独仏と我が国とは、今回の問題について違ったスタンスをとるというのはやむを得ないところもあるんだと思うのでございますけれども、その点、外務大臣からお話しいただきましょうか。
川口国務大臣 池田委員は私の何代か前の外務大臣でいらっしゃいまして、いろいろ日ごろお教えをいただいていますけれども、きょうも池田元外務大臣のお胸を拝借いたしまして、いろいろお教えをいただきたいと思っております。
 委員がおっしゃられますとおり、国際政治に関係をするこの地域の状態とそれからヨーロッパとは非常に違うということは、おっしゃるとおりでございます。
 冷戦がヨーロッパでは終結をして十年ということになるわけですけれども、この地域の安全保障環境、これはまだまだ不透明、不確定、それに対応するやり方ということにつきましても、先方はNATOがあり、こちらはまさにおっしゃったようにARF等ございますけれども、信頼醸成の段階あるいは予防的な外交をやっている段階、そういった差があるわけでございます。そういったその差が、いろいろ反映をタイトにしてくるということはそういうことであるかなと思います。
 他方で、ヨーロッパと米国との間で全部意見が違っているかというと、そういうことでもない。共通な点というのも幾つかあると思います。一つは、これは平和的に解決をするためには、イラクが対応をするということが何よりも大事であるという認識であると思います。そして、平和的に解決をできない場合、最終的な手段としては武力に依存せざるを得ないということも、これはフランスもドイツも言っておりますし、そこについてもそういうことかな、その認識はそういうふうになっていると思います。
 あるアメリカの高官が私に、フランスとアメリカは二百二十五年間結婚相談所に通い詰めているんだということを言われたことがありますけれども、フランスとアメリカというのは、さまざまなところについて意見は異なるということは多いわけですけれども、我々は、でも決して二百二十五年間離婚はしなかったと。
 そういうことでございまして、さまざまな違いはありますけれども、このイラクの大量破壊兵器の問題に対して国際社会が結束をして対応するということの重要性、これは国際社会の国々全員が共通の認識、必要性についての認識を持っているというふうに思います。
池田(行)委員 かつて「セブンイヤーイッチ」という映画があったのを思い出しましたけれども、米仏両国は二百二十五年間にわたって情事を楽しんでおったということはただいま初めて教えていただきました。
 しかし、考えてみますと、今回のような動きを見ていて、すぐに我々は、ああ、フランスとアメリカはどうだと言うんですけれども、やはりあれだけ長いつき合いをしているところは、表面的な動きと同時に、いろいろ先も見ながら、また幅広く気を使いながら考えているんだということを我々は忘れてはならないと思うわけでございます。
 そういった意味で、日本も今、この問題についてどういうふうに取り組んでいくか、御苦労なさっていると思います。安保理のメンバーじゃございませんし、なかなかそういった場も難しいんだと思いますけれども、やはり、今お話にもございましたように、米欧の立場は違うように見えるけれども、根底においては共通する部分がきちんとあるんだ。特に、今二点を挙げられましたけれども、まずイラクの対応が何よりも大切。そして、ずっと迫っていって、最終的にそれが確保できないときに、ザ・ラストリゾートとしては武力の行使に訴えることもフランス、ドイツもやむを得ないという認識を持っているんだという点。
 その辺を踏まえていきますと、我が国も、緊密な関係にございます米国あるいはヨーロッパ諸国に対して、何か、その仲を取り持っていくという努力、現在もしておられるんだと思います。総理、外務大臣も、いろいろな場でこの話をしておられますし、また、米欧だけではなくて、今イラクにも茂木副大臣を派遣しておられる、また周辺諸国、アラブ諸国にも高村さんや中山元大臣もお出かけになるということでございますが、こういう外交努力をこれからもさらに、時間は限られているかもしれませんけれども、強化していっていただきたいと思う次第でございます。
 三月七日の報告が一つの山場になるとかいろいろなことが言われておりますけれども、基本的な立場に共通するものがあるならば、必ずしもデッドラインというのはデッドラインでないかもしれない。なお粘り強い御努力を続けていただきたいと思います。
 とりわけ総理は、ブッシュ大統領にも耐えがたきを耐えとおっしゃったという話は承知しておりましたけれども、きのう、某報道を見ておりましたら、パスカルの「パンセ」か何かを引用されて、正義なき力は暴力だということも一年前に既におっしゃったということを知ったわけでございますけれども、そういった意味で、各方面にこれからも日本としての働きかけを強めていただきたいと思う次第でございます。
 アメリカも、随分早い段階から、いや、もう我慢できない、もうやるんだ、こう言いながら、今日まで、もう何カ月になりましょうか、最初のときからいいますと。ともかく、国際連合というものを大切にしながら、その手順を踏みながら今日まで来ているということは、やはり米国もいろいろな要素を考えている。
 それと同時に、また各国、とりわけ同盟国である我が国の米国に対する働きかけ、日米関係を何よりも大切にしながらも、我が国として言うべきことは言ってきた、それがやはりあずかって力があるんだ、米国の今日までの政治に、そういうふうに考えるわけですが、その点、簡単で結構です、どうでしょうか。
 それとあわせて、もう一つは、何となく、米国の政権が今ブッシュ政権だからこういう強硬姿勢をとるんだ、政権が違ったらまた米国の対応も異なったんじゃないかと見る向きもあるんですが、この辺はどう考えたらいいんだろうか。
 確かに、前政権、クリントン政権時代のイラクへの対応、あるいは北朝鮮問題、後ほど時間があれば触れますけれども、そういう対応と違っているようなところがございますけれども、それは政権が違ったからというだけじゃなくて、やはり米国民にとっては、九月十一日というものが、本当にショックであると同時に、大きく国民全体の気持ち、考え方を変えたんだと思うんですね。それは感情的な面だけじゃなくて、冒頭に述べました、これからの国際社会の不安定要因としても、国以外の面にもテロリズムだとかテロリズムと結びつくいわゆる暴れ者の国家とか、そういうものとのあり方というものを基本的に考え直さなくちゃいけないという気持ちが随分大きくなっているんだと思います。
 そういった意味では、仮に今日ブッシュ政権でなかったとしても、やはり米国の基本的なスタンスは大きなところでは同じようなものになったんじゃないかという感じもするわけでございますけれども、その点も含めて、これは外務大臣、総理ですか、では総理にお願いします。
小泉内閣総理大臣 前段の御質問につきましては、各国それぞれの立場があります。時の政権、首脳によっても個性があります。その発言が、政治的意味合い、それぞれ受け取られ方が人によっても違うし、国によっても違うと思います。また、外交ですから、当然駆け引きもあると思います。しかし、アメリカにしても、国際協調の重要性は十分認識していると私は思っております。
 それと、後段の御指摘、当然、外務大臣を経験された池田さんでありますから十分わきまえておられると思いますが、九月十一日のあのテロ、これはやはりアメリカ国民の意識、それから紛争といいますか、戦争に対する認識、随分変わったなと思っております。特に、アメリカに行きますと、話に出るのはリメンバー・セプテンバーイレブンです。こういう九月十一日のあのテロ事件以来、私としては、新しい平和と安定をどのように世界が構築していくかということを考えますと、意識面においても対応面においても随分変わったなと思っております。
 そういう中で、日本としては、これからの平和と安定のためにどのような責任を果たせるかということを十分認識しながら発言をし、行動していかなければならない。これが、日本を支えてきた今までの発展の原動力といいますか、それは国際協調体制と日米同盟であります。この繁栄の基礎を揺るがしてはならない。これを念頭に、日本政府としてはいろいろな場面を想定しながら対応していきたいと思っております。
池田(行)委員 先ほどの後段の質問、外務大臣からと思いましたけれども、時間もなんでございますから、結構でございます、恐らく同じ認識を持っておられると思っておりますので。
 時間もあれでございますので、イラクの問題につきましては、これから、先ほど申しましたように、日本としてもさらなる努力を進めていただきまして、何とか武力行使に至らずに平和的な解決、しかもイラクがきちんと対応をして、それを実現することを期待するわけでございますが、もしそれができなくて、最後の手段に訴えざるを得なくなった場合に、我が国としてどう対応するのか。そのときに、安保理の新しい決議があった場合となかった場合とでどうなるのか等々も、本来でございますとお伺いしなくちゃいけないわけでございますけれども、時間の関係もございますし、これからの事態の推移を慎重に見ながら、我が国として、その法的な根拠はどうなのかということも踏まえ、しっかりと対応していただきたいと思います。
 いま一つというよりも、考えようによりましては、我が国にとりましてもっともっと重大な問題は、お隣、朝鮮半島、これはお互いに引っ越しするわけにいかぬわけでございますから、いろいろございましても、何とかそことの関係をつなぎながら、折り合いをつけていかなくちゃいけない、そういう運命にあるんだと思いますが、北朝鮮問題、本当にこれは難しい状況になっております。
 総理が昨年、みずから北朝鮮に赴かれまして、金正日総書記との間で平壌宣言を発出されました。本当に、何とかこの近くて遠い国との関係を正常化したい、そういった熱意に支えられたその積極的な姿勢、取り組みを評価するものでございます。しかし、その際に明らかになりました拉致問題の実態というものは、本当に余りにも酷な、ひどいものでございました。それだけに、御家族の方々はもとよりのこと、国民世論が極めて厳しいものになった、これはいわば当然だと思います。しかし、そういったこともございました。
 また、米朝間あるいは南北間の交渉もいろいろ難しい問題が出てまいりまして、今北朝鮮と国際社会との関係というものはあらゆるところでストールしてしまう、とまってしまっている、いわば袋小路に入った感がございますが、これから我が国としてどういうふうに北朝鮮との関係を進めていけばいいのか。
 一つは、基本的には、これまで米国、韓国と緊密な連携をとって北朝鮮に当たってきた。北朝鮮は大変な外交の巧者、うまいあれでございますから、あちらこちら手玉にとろうとする。そのときにはどうしても日米韓の緊密な連携というのは不可欠でございます。これはここ数年、非常にうまくワークしてきたと思うのでございますね。それに、さらに中国、ロシア等の協力も得てという日本の基本的なスタンスというものは、私はこれからも継続しなくちゃ、大切にしなくちゃいけないと思うのでございます。
 しかし、それにしましても、どうなんでしょうか、最近、日米韓の連携という中で、米国の姿勢がこれまでとどうなのかな、違ったのかなという声も時々聞かれます、二つの方向から。
 一つは、いわゆるKEDOの枠組みですね。重油の供給をとめてしまったとか、あるいは米朝二国間の交渉、これは日米韓協調して当たるということを大切にする面もあるんでございましょうけれども、いわば朝鮮戦争、まだ決着していない、その両当事者間の交渉というものからちょっと腰が引けてきている、それを避けようとしている姿勢が見える、これは米国としてどうなのかなという見方が一方でございます。
 他方においては、イラクとの関係で、イラクに比べると北朝鮮の方がもっとひどいんじゃないか、イラクの場合は核兵器についても開発段階にあるかどうかということだけれども、北朝鮮はもう現に持っておるのじゃないか、ミサイルぼんぼん飛ばすじゃないか、それなのに北朝鮮に対してはちょっと姿勢がやわらかいんじゃないか、こういう見方もございます。この辺をどう考えているかなというのがございます。
 それと同時に、いずれにいたしましても、そういった、我が国にとりましては、すぐ隣にございますが、北朝鮮の問題、本当に重大でございますし、それから、先ほど申しましたように、アジア太平洋地域において安全保障の枠組みというものが、多国間のもの、しっかりしたものがない、何が何でもこれは日米同盟、日米安保体制というものを大切にして当たるということが日本の国益の観点からいって大切でございますし、また、日米同盟はその効果においてアジア太平洋地域全体の安定を図る上でも大きな役割を果たしている、このことも大切にしなくちゃいけないと思います。そういったことがイラクに対する我が国の米国との関係においても影響するのはある意味で当然だ、こういうふうに思うわけでございます。
 話がちょっと、若干あちこちいたしましたけれども、時間もあと一分三十秒しかございませんけれども、ワンフレーズのお得意の総理でもこれは難しいと思いますので、外務大臣にお願いしましょうか。
川口国務大臣 基本的な北朝鮮との関係については、まさに今委員がおっしゃったとおりだと思います。
 外務大臣でいらっしゃったときに、日米の関係については共同宣言をまとめていただきまして、まさに日米安保が考え方、政策の基軸であるということをおっしゃっていただいた、そのとおりだと思っています。
 北朝鮮については、日米韓の連携、そしておっしゃった中ロとの連携を行いながら、国際社会の責任ある一員になるということが大事である、NPTに戻るように等々の働きかけを行っておりますし、引き続きやっていく所存でございます。
池田(行)委員 終わります。
藤井委員長 これにて池田君の質疑は終了いたしました。
 次に、伊藤英成君。
伊藤(英)委員 民主党の伊藤英成でございます。
 実は、先週、民主党からは、イラクの方に、きょうもここに出ていますが、石井議員を団長とするメンバーが参りました。そして、ワシントンの方には、私と、後ほどまた質問をいたしますが、前原議員が参りまして、イラクの問題それから北朝鮮の問題につきまして、民主党としての考え方もしっかりと話をし、それぞれの政府の当事者の皆さん方にもいろいろと要請等もしてきたところであります。そういうことを踏まえながら、きょうは、私からは北朝鮮の問題、イラクの問題を中心に質問をさせていただきます。
 実は、私はいつも思っているんですが、かつてまだ私が議員となりまして一年生か二年生議員のころ、十数年前にイスラエルに参りました。そのときに、当時外務大臣をしておりましたペレス外務大臣、彼は首相をしてすぐその後外務大臣をやっていたんですが、イスラエルの外務大臣に、首相をやってから外務大臣はどうですかという話をいたしました。そのときに、私は忘れもしませんが、ペレスはこう言ったんです。イスラエル国家の存亡にとって、外交そのものがイスラエルの存亡を決定するんだ、外交がイスラエル国家の存亡を決定するんですという話をされました。
 私は、実は日本も全く同じだと思っているんですね。そういう思いで、私自身も外交問題について、あるいは外交や安全保障の問題について取り組んでいるつもりなんですが、正直言いますと、最近の政府のやっていらっしゃる話は、やはり何となく違うんじゃないかなということを非常に思うんです。そんなことを思いながら質問をいたします。
 まず最初に、北朝鮮問題について伺いますが、今北朝鮮の状況が、最近は次から次へと深刻の度合いを増しているということですね。核の問題あるいはミサイルの問題等々もそういう状況です。そうした現在の状況について、政府として、今の北朝鮮情勢について、日本への脅威という面から見てどういうふうに認識をしているか。核の問題、ミサイルの問題、生物化学兵器の問題、あるいは工作員の活動の問題、それぞれについてどういう認識を今持っているか、まず伺います。
小泉内閣総理大臣 北朝鮮は北朝鮮としての立場もあると思いますが、国際社会から孤立しているという一つの焦燥感もあると思います。私は、そういう意味から、国際社会に門戸を開いて、国際社会と協調体制をとることが、北朝鮮にとっても地域の安定にとっても、また世界の平和にとっても望ましいんだということを今後も北朝鮮側に働きかけていく必要があると。
 いろいろ、ミサイルを発射したり、あるいは核稼働のエネルギーの問題にいたしましても、かなり挑発的な面もあると思いますが、私は、冷静に、慎重に対応しながら、アメリカ、韓国はもちろん、中国、ロシアを初め関係国との緊密な連携のもとに、北朝鮮側に、早く国際社会からの孤立から国際協調体制への転換を働きかけることが今後も必要だと思っております。
伊藤(英)委員 私は、今の状況について、今、総理の言われたよりはもうちょっと、もうちょっとというか、非常に危機感を持ちながら、その上で、どういうふうにこれから対応すべきかというふうなことを思うわけであります。
 北朝鮮に対して云々という話はあるわけですが、よく、日米韓協力して云々、こう言います。今、日米韓の状況を考えたときに、今度、韓国の方も盧武鉉新大統領の体制になりました。そして、北朝鮮の問題についての政策も、いわゆる平和繁栄政策といいましょうか、そういうことでやろうとしたりしています。
 今、日米韓で、特に核問題等、核の脅威についての認識並びにそれについての取り組みといいましょうか、そうしたことについて、やはり若干の差があるのではないか、こういうふうに思うんですね。その辺のことについて、どういうふうに認識をして、日本としてどういうふうに取り組もうとされるのかということについてお伺いをいたします。
 参考までに申し上げます。先週、私は、ワシントンにおりました。これは先週末の段階のワシントン・ポストの記事でありますが、この大きなタイトルは、「パウエル メイクス フュー ゲインズ オン エイジア ツアー」、フュー・ゲインズ、なかなか大変だったんですね。そしてこの中に、北朝鮮の問題についても、韓国の状況等、あるいは中国の問題も含めて書いてあるんですが、私は、日本としてはこれから本当にしっかりと、ある意味ではその役割といいましょうか、そういうことも含めて、これはアメリカ、韓国との間の、ということも含めてやっていかなきゃいけない、こう思っているんですが、現在、どんな認識で、本当にどういうふうにしようとされているのか、伺います。
川口国務大臣 北朝鮮の問題と一言で言いましてもいろいろな種類の問題がございますけれども、委員がおっしゃっているのは核の問題だと思いますので、その点についての三カ国の認識というのは一致をしていると思います。
 それは、核、大量破壊兵器の問題というのは三カ国にとって懸念であって、そして、北朝鮮がNPTに戻り、合意された枠組みに戻り、核の開発のプログラムをやめ、そしてIAEAの査察のもとに復する、そういうことが大事であるということで、認識は一緒だと思います。また、この北朝鮮の問題について対応するに当たって、慎重に、そして冷静に対応するということが重要であるということも一致をしていると思います。また、この問題について、三カ国、これはもうずうっと密接に話をし、連携をし、一つ一つ相談をしながら話を進めてきているという今までの実態もございますし、今後もそれをずうっと使っていくということになると思います。
 それで、今、韓国で新しい政権ができて、この政権について、新しいプレーヤーが出てきたということで、ここできちんと再度、三カ国の連携が重要であるということの認識を今しているということですけれども、それについては、総理も、この前盧武鉉大統領にお会いになったときに、きちんとおっしゃっていただいて、盧武鉉も、それが非常に大事であるということを話をしていただいています。パウエル・盧武鉉の会談についても同じであったということでございまして、基本的な、三カ国が連携をしてやっていくということについて何ら差がないということだと思います。この三カ国の連携をますます深めていくように努力をするということだと思います。
伊藤(英)委員 私は、今、外務大臣が言われたほど容易ではないかもしれないということを思っています。よっぽど日米韓はしっかりしていかないとなかなか難しいのではないか、こういうふうに思っています。
 日朝国交正常化交渉というのは、今は全くというかとんざしている、こんな感じですね。そこで、結論的なことを伺うんですが、この核問題にも絡んでということなんですが、私はこういうふうに思っているんですね。日朝国交正常化というのは必要だ、私もそういうふうにずっと主張してきたつもりです。そういうことなんですが、最近の状況を見てますます、ああ、こうだと私なんかが思いますのは、これから先、北朝鮮が核兵器を含む大量破壊兵器の問題について、文字どおり、無条件かつ無制限の査察によって検証可能な形で完全廃棄していることの確認ができなければ、正常化もできないし、まして、日本から経済援助といいましょうか、経済協力をすることは、それを開始することはできない、こういう大前提だと思っていますが、それはそういうふうに政府も考えているでしょうね。
川口国務大臣 日朝平壌宣言の精神と原則にのっとって、さまざまな問題、核の問題も含め、安全保障の問題も含め、そして拉致問題等の二国間の問題も含め、これらの問題をこの地域の平和と安定が増すような形で解決をして、両国は国交を正常化する、そしてその後で経済協力を行う、そのとおりの考え方でございます。
小泉内閣総理大臣 核の問題につきましては、これは、盧武鉉新政権も容認できないと。もちろん日本もそうです、アメリカもそうです、中国もそうなんです、ロシアもそうなんです。だから、この働きかけはやはり今後も強めていかなきゃならないと思っております。
伊藤(英)委員 今総理も言われたように、それぞれの関係者もそういうふうに思っているということなんです。その上で、私が申し上げたのは、日本の国交正常化、そして経済協力をするという場合には、その前に、先ほど申し上げたように、核兵器等大量破壊兵器、これの無条件かつ無制限の査察による、その検証した形での完全廃棄ということが確認されないといけない、されないと正常化並びに経済協力の開始はしないという大前提ですねということを申し上げたんです。
小泉内閣総理大臣 これは、日朝平壌宣言にも、はっきり核問題あるいは国際法遵守ということをうたってありますし、そういう前提のもとに日朝国交正常化がなされる、そのための交渉であるということを申し上げているわけであります。
伊藤(英)委員 それは、今私が申し上げた大前提を、まずその前提としてやりますということであると言われたわけですが、それはもう絶対に守っていただきたい、こういうことを強く申し上げます。
 それから、最近北朝鮮が、ついこの間もミサイルの演習といいましょうか、それもあったりいたしました。これからどういうことが本当に起こるかわかりませんが、しかし、北朝鮮によるミサイル発射ということが、この間は非常に短いものだったんですが、いわゆる弾道ミサイルが発射される可能性もあるかもしれません。このときに、一つのケースは発射実験の場合もあるかもしれませんし、あるいはもう一つは、ただの実験ではなくて、実際に攻撃のための発射ということもあるかもしれない。そうしたときに、一体日本はどういうふうに日本の国民の生命や財産を守ることになるのか。これはどなたでしょうか。
石破国務大臣 委員の御指摘のように、仮に実験であるとか、あるいはテポドンのときのように衛星であるとか、そういう場合には、正確な情報を国民にお伝えするということになるだろうと思っております。
 仮に日本に向けて撃ち込まれた場合にはどうなのだろうかということは、それがどのようなことか判断する、極めて短い時間ですから、どのようにして判断していいかというのは、その時々によって違うだろうと思います。基本的には、現在のところ、いかにしてその被害を最小限にするかということに限定をせざるを得ない。つまり、災害派遣という枠組みに多分なります、時間的には。そこでどうやって被害を局限するか、早く情報をつかみ、早く被害を局限するか。そして、自衛隊が出動する場合もあります、警察が出動する場合もありますが、基本的に、現在の段階で申し上げられるのは、被害の極小化ということであろうかと思っております。
伊藤(英)委員 それでは、まず一つは、発射実験がされた場合、日本としてはそのとき、発射の実験がされたときに、私どもとしては、そのときに、例えば北朝鮮に対して、ならば、そのときは送金の停止だとか、あるいは万景峰の入港を禁止するんだとか、あるいは、そういうたぐいの、日本としてすぐ、それに対する抗議の意味も含めて、できることはあるかもしれない。私たちは、そうしたらすべきだ、こう思っていますが、例えばそういうことについてどう思うかということが一つ。
 それから、実際に攻撃等が行われるようなことになるかもしれない、そのときのためにどういうことをするのか。
 先週私どもがワシントンに行ったときに、アーミテージ副長官は、もしも日本が攻撃されたならば、これは安保条約に従って、アメリカはアメリカ本土が攻撃されたとみなして対処するという話をはっきりと言われました。一つは、アメリカに対してどう言うかという話と、もう一つ伺いますが、では、日本はこれから先、将来と考えてもいいかもしれませんが、一体日本はどうあるべきなんだろうか。防衛庁長官として、今のような形で、これはすべてアメリカに頼みますよというふうに考えるか、これから、守るためにどういうふうにするか。あるいはひょっとしたら、日本を、自衛のために、ある面では攻撃ということもあるかもしれません。そうしたことごとについて、防衛庁長官としては、これから将来、どういうふうにあった方がいいと考えますか。
川口国務大臣 御質問の前段の部分だけお答えをさせていただきたいと思います。
 そういうことがあったらどうするかということでございますけれども、いろいろなことが考えられますけれども、ここで非常に難しいのは、例えば何々をいたしますということを言うこと自体が、北朝鮮に対して、日本の対応はそうなのか、それならばこういうふうにしようという次の手を考えさせるという意味で、国会のこの議論は公開の場でございますので、なかなか申し上げにくいということでございますので、それは御理解をいただきたいと思います。
 一般的に申し上げれば、この問題について、我が方として、今そういう用意をしているという、その情報の確認をしているわけではございません。それで、そういうことがあった場合には、関係国と連携をしながら、そして国際機関とも連携をしながら、どういうような事実関係があったのか、そしてそのときの、どういう考え方、真意は何なのか、そういうことの把握に努め、そして、いろいろな政策のオプション、あり得ると思いますけれども、適切にその中から対応していく、そういうことだと思います。
 それで、後段の御質問については防衛庁長官がお答えになると思いますので、失礼します。
石破国務大臣 委員と、それから前原議員が先般訪米をされて、アーミテージ副長官と会談をされた。その内容を私も関心を持って拝見をさせていただきました。
 その中でアーミテージ副長官が言っておられますのは、これは英語がどういう原文でおっしゃったかは知りませんが、報道によれば、日本が攻撃された場合には、米国は自国への攻撃とみなして対抗措置をとる、こういうふうにおっしゃったというふうに承知をいたしております。
 つまり、私どもとしては、自衛のために必要最小限のものでなければいけない、こういうことになっております。そして、日米安全保障条約、防衛協力のための指針、必要に応じて打撃力を使用することを考慮する、こういうことになっております。私どもとしては、アーミテージ副長官がおっしゃいましたように、この打撃力の部分は、日米安全保障条約の信頼ということにかかってくるだろうというふうに現在のところ考えておるわけでございます。(伊藤(英)委員「日本としては今後どう考えるか」と呼ぶ)
 日本としては、ですから、申し上げましたように、日本としていわゆる先制攻撃というのはやらない。あくまで向こうが着手をした時点で自衛権として武力を行使するということは、法理上は可能でございます。そのような力を持つかどうかということにつきましては、前段にお答えをしたことが現在の政府の方針であるというふうに理解をいたしておるところでございます。
伊藤(英)委員 実は、外務大臣がお答えになられた話について、私はこう思っているんですよ。日本がいざというときにはこうするんだよというぐらいの、それはそれなりのしっかりしたスタンスを明確にする話は、抑止ということにもなりますし、それは必要なんですね。だから、一連の国会の外務大臣の答弁なんか聞いていますと、私は、全く逆じゃないかという気がしているんですよ。そのことだけ申し上げておきます。
 それから、食糧支援の問題についてお伺いいたしますが、この間、米国の方は、北朝鮮に対して食糧支援することを発表されました。日本は、もちろん拉致問題等々いろいろありまして、今日、国民感情からしても、日本としてということはないだろうと思っています。
 そこでお伺いするんですが、そもそも、北朝鮮に対する食糧支援という問題について本当にどういうふうに考えるのか、人道支援ということについてはどう考えるのかという話と、もし万一日本が北朝鮮に食糧支援を行うというような場合には、どういうことがクリアされたら食糧を支援する、つまり条件といいますか、そこのところをどういうふうに考えますか。
川口国務大臣 食糧支援についてどのように考えるかということについては、今国内、さまざまな御意見があると思います。アメリカは人道的な立場から十万トンの支援をするということを言い、ほかの国も人道的な立場から支援をするということを言っているわけでございます。委員御承知のように、我が国としては、現在、そういうことは考えていないということです。
 それで、どういうような条件が整ったらやるのかということですけれども、これは、まさに我が国として、今まで食糧支援を行ってきた際には、人道的な立場、そしてその他のいろいろな条件を総合的に考えて判断をしてきたということでございますので、今後の起こり得るさまざまな状況、そういうことに照らして、具体的にそういう状況が来たときに考えるということではないかと思います。
伊藤(英)委員 さまざまな云々とか、そういうのはもう全然わからないですね。要するに、何をベースに、僕は、外交もある一つのベースに基づく原則があって、その原則のもとにどうするかということをしなければ、一体日本はどういう国かということがわからないですね。今のような答弁ばかりやっているものだから、日本の外交はわからないということになるんですよ。そんな外交でどうして日本を救えるのか、冒頭私が申し上げたのはそのとおりなんです。
 では、イラクのことについて聞きます。
 先ほどもちょっと話が出ておりましたけれども、先般、二月十八日に国連の原口大使が演説をされた内容のことについて伺うんですが、あのときに原口大使は、英語の文章では、査察が強化されて延長されてもその有効性に重大な疑問があるという一つの文章で断定して書いてあります。
 なぜ査察を延長しても、これは有効性に否定的なのか、その理由を、どういう根拠があってそう考えたのか、政府の考えを伺っておきます。
川口国務大臣 査察を継続しても、査察の継続の有効性に疑問が生じていることは否めませんということを原口大使が国連で言われたわけですけれども、これは、過去十二年間、さまざまな違反を決議についてイラクはやってきているわけですね。それから、今回、一四四一が昨年の十一月に出て、イラクに対して最後の機会を与えた。そして、これが守られないときには深刻な結果に直面をすることになるだろうということが書かれていて、それでイラクがやったことは、まず十二月に報告を出した。その時点でいっぱい欠落があった。そして、例えば、U2の飛行あるいは科学者の協力について全く進展をしていない。科学者の協力という意味でいえば、三人やって、そして、テープがなければだめだとか、いろいろな話があって、結局まだ数人しかできていないということであるわけですね。それから、最近のミサイルの廃棄、これについても、これはイラクはもっと前に自分で申告をしなければいけなかった、百五十キロを超えているものであるということを申告しなければいけなかった。それを行わなかった。
 これだけの国際社会全体としての圧力があって、イラクが積極的にこれをやっていくということを行わない限りは査察の継続の有効性に疑念なしとしないということは、イラクの態度がまさに見えない。エルバラダイあるいはブリクスについても、彼らが言っていることは、査察官は自分がその証拠を捜し出さなければいけないということではないと言っているわけですね。日本の一・二倍の国土で二百人程度の査察官、これが捜し回ったときに、イラク側が積極的に証拠を見せない限りは、全く、継続をしていくということがうまくいい結果を出すかということについてよくわからない。したがって、継続の有効性に疑問が生じていることは否めない、そういうことを言ったわけです。
伊藤(英)委員 いいですか、もう一回言えば、この英語の文章は、コンティニュード・インスペクションズ、これを継続することにはもうシリアス・ダウトだ、その一文で断定しているんですよ。いいですか。
 それで、もう一度伺いますが、さっき話が出ました、今回イラクが、弾道ミサイル、アッサムード2、これについても廃棄を始めました。きょうの新聞では、百基ぐらいいくのかな、どんどん今進んでいますよね、進んでいます。そういう状況があって、もちろん私は、これは米軍の圧力とかそういうこともあると思うんですよ。あると思うんだけれども、そうなんですが、こういうのが進んでいる。まだ今でも、査察を継続することについて、有効性について、それは疑問だと思うんですか。
川口国務大臣 これは既に大勢の人が言っていますように、ブリクス自体が言っていますように、これ自体でほかにたくさん残されていることがある、それについてイラクはやっていないということは言っているわけですね。これだけで全部ではない。ほかに、例えば化学爆弾、あるいはVXガス、これはあの地下鉄事件を七万二千回起こす量のものを持っていると言われているわけですね。そういうことについて全く何もやっていない。小出し、小出しにしていって、本当にやる気があるかどうかわからない。このミサイルについても、きょうの時点で十基廃棄がされたと言われていますけれども、多くの数のものを持っている。これを本当に全部やっていくかどうか、これについてのイラクの態度についてもまだはっきりしないところがあるわけです。
 それから、この英文についておっしゃいましたが、これは日本語と英文と比較をしていただいたときに、非常にいい英語であり、なおかつ日本語の言っていることを正確に言っていると私どもは考えております。
伊藤(英)委員 ちょっともう時間が余りないので、私はこの続きはまた外務委員会でも何でもやりますが、しかし、それにしても、今の話は僕はでたらめだというような感じですね。一体、日本はどういう国で本当にやろうとするのかということなんです。
 それから、もう一つだけつけ加えておきますよ。今、茂木外務副大臣がイラクの方に行っていますよね。いいですか、この問題は、やはり外務大臣も総理も御承知かと思うんですが、実は私は昨年の十一月の時点で、委員会の場で、これからのイラクの問題のためにというので、イラクに特使を派遣したらどうか、こう言ったんですよ。いいですか。そうしたら、その次に、これは外務委員会で、文字どおり外務副大臣は何と私に言われたかというと、私の意見もあって、周りにまでは送るようにいたしました、自分も行きました、周りというのはイラク周辺の国々に行った、しかしイラクには派遣しない、その話をされました。いいですか。そして、この間の総理の施政方針演説について私が代表質問をいたしました。この問題を申し上げました。そうしたら、そのときに総理は、イラクへの特使派遣は考えないという話をされた。
 今この時点になって行くというのはどういうことだ。私は、何で日本の外交がこんなでたらめに動くんだ。私からは支離滅裂だと、支離滅裂。なぜもっと日本が、国連外交なら国連、国際社会なら国際社会としてやっていくんだというふうにちゃんとやらないのかということです。
小泉内閣総理大臣 支離滅裂と言いますけれども、はっきりしているんですよ。原口大使の演説にしても、あるいはイラクの対応にしても、私ははっきりしていると思う。批判される理由はないと政府の立場としては思っていますよ。野党と与党とは違うけれども、何が支離滅裂しているか、全くわからない。特使派遣についても、時期の判断です、政府の。
伊藤(英)委員 終わります。ありがとうございました。
藤井委員長 これにて伊藤君の質疑は終了いたしました。
 次に、首藤信彦君。
首藤委員 民主党の首藤信彦です。
 イラク問題を中心に、日本の外交の課題について、総理大臣及び外務大臣にいろいろ御意見を伺いたい、そういうふうに思っております。
 イラク問題というのは、本当に焦眉の急といいますか、いつアメリカが攻撃するかもしれない、本当に攻撃がカウントダウンになっている、こういう感じがするんですね。
 よく言われるものはどういうのかというと、アメリカの攻撃のシナリオはこうであると。北からは、トルコを経由してクルドの支配地域に入りまして、キルクークの油田を押さえる、南からは、クウェートからバスラへ進攻して南の油田を押さえる、こういう両方で挟み打ちにしていってフセイン政権の命脈を断っていこうという作戦だと言われています。その一番のかなめが、やはり北方からの進入路なんですね。
 ところが、その北方にあるトルコは、何と、アメリカ軍の通過やその他の便宜供与を国会で拒否した。毎日毎日が緊張の、そしてまた、アメリカの描いたシナリオは、必ずしも世界の賛同を得ていないばかりか、自分たちの考えていたシナリオにも合っていないということがだんだんと明確になってきました。
 しかし、ここで我々は、日本の立場を考えるときに、一体この攻撃というのは何なんだろうという原点をもう一度確認してみる必要があると思うんですよ。総理、そうじゃないですか。そもそも、一体イラクという国はどうしてアメリカの攻撃にさらされているのか。戦争の惨禍とそれから地域の不安定性、これが起こることがわかっているのに、どうしてアメリカはイラクを攻撃するのか。そしてまた、なぜ、平和主義であるとか平和憲法であるとか国連中心主義であるとか言ってきた日本が、アメリカの単独の軍事行動にどうして支持をしようとしているのか。
 例えば、いろいろな批判はあります、クウェート侵攻したじゃないかと。それは確かにそうですね。しかし、その結果は、イラクはやはり世界じゅうから大変な制裁を受けました。経済制裁によって、ある調査によると、百八十万人が経済制裁で死んだと言われています。私自身も、九四年に入って、国連経済制裁というものはどんなに過酷なものか、そして九四年の段階でも、国連のユニセフのレポートでも、子供を含めて五十万人の市民が死んでいるということが明らかになっていましたね。もうこれだけの制裁を受けている。
 それから、アメリカは、国際社会が、イラクがもう二度とこういった戦争を起こさないように大量破壊兵器を廃棄しよう、そのために査察をしよう、何度も行われました。トラブルも多かった。しかし、その中には、例えば最近の、海兵隊出身で査察官をやっていたスコット・リッターさんのように、実はその大量破壊兵器の査察がイラク政府の転覆の意図も入っていた、こういうことも明らかになってきましたね。
 それから、イラクが一体どれだけ、例えばテロリズムに関与しているか、アルカイダと関係があるのかとか、どの程度大量破壊兵器をつくろうとしているのか、そういうことに関しては二月五日のパウエル国務長官の証言というのがありました。しかし、その証言というのはほとんど現実性がない、あるいはでっち上げであるということもすぐばれてしまいました。
 それから、イラクは、では協力していないのか。イラクが協力しない、協力しないとおっしゃっています。しかし、ここへ来たって、加速的にイラクは協力しているわけですね。U2における、偵察機における査察もしているし、あるいは最近では近距離ミサイルのアルサムード2の破壊も始めたわけですね。
 攻撃の目的がフセイン政権の打倒というところにあればともかく、一体なぜ根拠が明確でないアメリカの攻撃を支持するのか。総理、いかがですか。それは一番大事な点ですからね。総理、きっちり答えてください。
小泉内閣総理大臣 大事な問題です。なぜイラクが協力していないのか。協力しているとあなたは思っているんですか、イラクが。むしろ協力していないのはイラクの方じゃないですか。アメリカは攻撃するなんて言っていませんよ。いまだに平和的解決を望んでいると言っていますよ。根本的に見解が違うんじゃないですか。では、イラクが十分に協力しているとあなたは思っているんですか。おかしいですね。国際社会は一致してイラクは協力不十分だと言っているんですよ。どう考えているんですか。
首藤委員 いや、総理、あなたはそういうことを言われるけれども、一体どこからその情報は得ていますか。現地に行かれましたか。特使がだれか行って、現地に行きましたか。今送っているんでしょう。私は二度入りましたよ。どこがわかりますか。
 では、言いますよ。では、総理、ブリクス報告、ブリクスさんが何度、前回も、それから最近のやつも、そして最近のアルサムード2の破壊に対して、これでいよいよもう本当に進み始めた、今まで確かにいろいろな問題があった、IAEAのエルバラダイさんもそれからブリクスさんも、言っていることはみんな同じですよ。最初は難しかった、しかしだんだんよくなった。エルバラダイさんに至っては、もう大体核に関してはほとんど発見し尽くしてきた。それはそうですよ。大体科学者側から見れば、核兵器というのはガンマ線が出るんだから、ガンマ線の調査をすれば大体わかってしまうんですよ。だから、ほとんど問題は調査されて、これからやはり残された懸案をやろう、そしてそのうちの一番大きなのがこのアルサムード2の破壊だということでしょう。ずっと進歩しているわけですよ。それは国際社会が認めている。
 あなたのおっしゃる情報はどれに基づいているんですか。総理、どうですか。あなたのおっしゃったことは何に基づいているんですか。毎日テレビをごらんになっているんでしょう。いかがですか。
小泉内閣総理大臣 それは、私がイラクに行ったってわかるとは思いませんよ。私はあなたがイラクに行ったってわかると思わない。しかし、ちゃんと査察委員会が設けられて、ブリクス委員長も報告をしている。国際社会も、イラクが査察に十分協力しているとは言っていないというのは明らかじゃないですか。私が行けば明らかになる、あなたが行けば明らかになる、そういう問題じゃない。
 私は、国連安保理の議論、ブリクス委員長の報告、エルバラダイ事務局長の報告を見て、ではイラクが本当に十分に、無条件に、無制限に、能動的に協力しているか、協力していないということは国際社会の一致した見方です。
首藤委員 いや、それは総理、言葉が走り過ぎましたね。国際社会ではやはり進んでいると言っているんですよ。だからこそ、フランスも、ロシアも、中国も、ドイツも、これだけ進んでいるじゃないか、あと四カ月すればいいじゃないかと言っているんですよ。全然見解がおかしいじゃないですか。
 では、総理、私の質問に答えてください。それは確かに今まではなかなか進まなかったかもしれない。それが、数十万人の惨禍を呼び、恐らく十万単位の死者を呼び、それからこの地域をめちゃくちゃにする攻撃の理由になるか、根拠になるかということですよ。それはどうですか。最初の質問ですよ。いかがですか。
小泉内閣総理大臣 国際社会が一致してイラクに全面的に協力しなさいと。そこが大事じゃないですか。
首藤委員 何も答えていないじゃないですか。
 私は、今世界は二つに分かれちゃっているんですよ。アメリカの単独行動主義と、そしてフランス、ドイツ、ロシア、中国。そして、大変なデモンストレーションをやって、世界で一千万人の人がデモに参加した。世界を別にして、あなたのおっしゃる国際協調とか国際一体化というのはどこにあるんですか。今分かれているんですよ。分かれさせないように一生懸命やっているのに、全然話が違うじゃないですか。
 もう一度言いますよ。もう一度いきますよ、時間が限られているから。まず、アメリカがイラクを攻撃することの、人を殺し、人を爆撃し、子供たちを殺すことの根拠は一体何があるのか、イラクのどこがそれに値するのかということですね。第二は、日本の立場からいって、それがどうして日本も支持ができるのか。
 この点だけしっかり答えてください。ここは一番重要ですからね。
小泉内閣総理大臣 はっきり答えていますよ。
 反戦運動があるのはわかっていますよ。イラクが全面的に協力すれば、戦争起こらないんですよ。(首藤委員「協力しているじゃないの、今」と呼ぶ)協力が不十分なんですよ。協力が十分じゃないというところに問題があるんですよ。だから、アメリカとフランスの対立じゃないと。アメリカも国際協調を構築するように努力しているじゃないですか。日本は国際協調するように働きかけている。そうすれば、戦争起こらないんですよ。アメリカも平和的解決を望んでいると言っているんですよ。そうでしょう。
首藤委員 いや、これはもう日本国の総理大臣の言う言葉と思えませんね。兵は国の大事。本当にもっと真剣に考えてもらわないと困りますよ。兵は国の大事、あなたとしては公約だろうが兵法だろうが大事じゃないのかもしれないけれども、兵は国の大事、孫子の最初に出てくる言葉ですよ。軍が関係することは、それに関係するすべての国の存亡がかかることだ。
 日本がこれからアメリカの軍の行動に対しても支持をするということは、日本の命運がかかってくるわけですよ。それに対して、どうしてそんないいかげんな答えしかできないんですか。これを話していったら、それだけだって三十時間もかかってしまいますよ。
 では、もう一つ。今、先ほどの質問からつながるんですが、この間の国連で、原口大使が日本の立場を説明しました。それで、要するに、もう視察は打ち切りだ、もうこれで終わりだと。やはりもうこれから武力攻撃を容認するような一歩を、新しい決議案を求めよう、そういう話をされているわけですね。
 しかし、私はこの予算委員会で、二月十八日、この問題について聞きました。川口大臣に聞いたんですよ。なぜ聞いたかというと、実は、その前の日に読売新聞で、その原口大使が恐らく国連で言うであろうということはもう公開されていたわけですね。それは、査察はもう打ち切りだ、いよいよもう武力決議を求めるような強い決議を求める。こういう話を知って、私は驚いて、早速川口大臣にそれをお聞きしました。
 そうしたら、どうですか。そんなことは絶対ないと。あなたは、あなたはそんな新聞を信じるのですか、そういうふうにおっしゃっていたんですね。基本的には今まで日本がイラクについて言っていることと新しいことは全くない、そういうふうにおっしゃっていたじゃないですか。どうですか。しかし現実には――そして外務大臣は、あなたは新聞なんかの言うのを信じるのか、それとも大臣である私の言うことを信じるのかとおっしゃったんです。私は、偉い、さすが外務大臣だと褒めたんですよ。しかし、翌日はどうですか。原口大使の国連演説というのは、ここにある原口大使の英語のものは、先ほど我が党の伊藤議員が言ったとおりじゃないですか。もう最初に読売新聞に出ていた内容そのものじゃないですか。
 あなたはここにおいて、私はあなたに対して、これは間違いないですね、あなたの言うことが正しくてこの読売が前に出したのが間違いですね、それだったら責任をとられますねとはっきり言いました。責任をとってくださいよ。どうですか。
川口国務大臣 原口大使の演説は、査察の継続をもうやめなさいとも言っておりません。武力の行使を容認する決議をしましょうとも言っておりません。原口大使が言われたことは、今まで国会で御答弁を申し上げてきたとおり、それを一歩も超えるものではございません。
首藤委員 外務大臣、もううそはいいかげんにしてください。うそは私についているんじゃないんですよ。あなたは国民に向かってうそをついているんですよ。だれが見たって違うじゃないですか。英語を、そこらでちょっと学んだ英語にとっては、もう全然違う内容ですよ。そんなことはわかっていて、だから私は読売の記事を言って、新しいことはありませんねと言ったら、新しいことは全くございませんと。そこで私は安心して引き下がったんですよ。しかし、全然違うじゃないですか。(発言する者あり)さっき指摘したじゃないか。そして、この原口大使の……
藤井委員長 皆さん、冷静に。
首藤委員 こうした今までずっと外務省あるいは日本が続けてきた考え方と違うわけですが、どういうふうに今までの国論、今までの国の考え方と、これからの一歩踏み込んで、ある意味で武力攻撃を容認するような、そういう決議を求めるような方針転換とは、今までの日本の路線とはどう違うんですか。外務大臣、いかがですか。
川口国務大臣 武力行使を容認する決議などとは一言も言っていませんで、今まで国会の場で再三再四申し上げていますように、イラクに対して、国際社会が一致して毅然とした態度をもって今までの決議をやっていく、それを求めることが大事であるということを申し上げているわけです。
 そういったことを申し上げているわけでございまして、武力行使を容認せよというふうな意図はこの中には入っておりません。
首藤委員 外務大臣、これは別に素人に向かって話しているわけじゃないわけですよ。外交文書の中で、どこで武力を使いますとかこれから攻撃しますとかいう、そんな文書がありますか。そうじゃないでしょう。英語の文書を読めば、これは武力攻撃を容認するんだということはわかるわけですよ。そうでしょう。どこの外交文書の中で、攻撃しますとか、これから攻めますとか、武力攻撃をやりますという文書がありますか。そこでは、重大な結果であるとか深刻な結果であるとかさまざまな表現でそれを認めていくわけでしょう。それを読んだ者は、それを受け取って、わかるわけですよ。
 時間がかかるから、それはまたきちっと外務委員会で詰めますけれども、外務大臣、よろしいですか。この点に関してもあなたは責任があるということをよく考えておいてくださいね、もう一回この問題が返ってきますから。
 さて、政府は、先ほど総理も、何かもうイラクでは全然査察が進んでいないというような、そういう話があったので、いよいよ特使を送ろうということになりましたね。しかし、私は最初から、この問題に関しては特使を送ってほしいと。そして、私自身が、十二月に入ってからは特に、そういう問題に関しては特使を送って、さらに向こうの言い分だって聞いてあげなきゃいけない、なぜならば、戦争というのは長いプロセスだから、最初の段階ではなく戦争が始まってからでも、何度もそれを中断し、それをとめる、そして平和を回復するチャンスがあるんだ、だから、現地の言い分というものを知っておくということがいかに大切かということをもう何度も何度も繰り返し言ったわけですね。
 そして、川口大臣に対しては、もう外務委員会のほぼ毎回、特使を送るべきだということを言いました。それに対して、それはもう何度も何度も否定されて、最後に否定されたのが、最後にお目にかかったのがやはり同じように衆議院の二月十八日の予算委員会でございました。そこでも、私は何度も特使を送ってほしいということを言いました。しかし、それも拒否された。
 要するに、そこでおっしゃっていることは、そういうことをすること自体、特使を送ること自体が間違ったメッセージを送ることになる、そしてそこの場面がテレビに出たり報道されたり、そういうことがイラクに対して間違ったメッセージを送るということを盛んにおっしゃって、それが拒否の理由だとされている。しかし、茂木副大臣がイラクへ旅立つとき、盛んにテレビが入って、カメラが入って、在日のシャーキル代理大使と一生懸命握手している。これからイラクに行きます、にこやかに笑って握手して、いろいろ説得に行きますよということを言っていたわけですね。全然違うじゃないですか。
 一体何で、これも今までこんな拒否されていて、しかも、これから何で行かれるかといったら、特使派遣は、何とイラクに完全査察を要求するためだと。もう既に完全査察になっているんですよ。最大のものはこのアルサムード2で、要するにもともと防衛的な兵器で、これはもう単に防衛的な兵器であるのにもかかわらず、ともかくそれすら放棄しようというイラクに対して、これから何の情報を得ようとしているのか。
 新聞でもいろいろ書かれていますけれども、本当に一応やりましたというアリバイ以外のものでもないと思うんですけれども、問題は、外務大臣、おわかりだと思いますね。何度も何度も特使派遣を否定された。全く意味がない、それをやることはイラクを利するだけだと。そして最後、二月十八日も、私がそういうことで、絶対送ってください、送るべきだと言ったにもかかわらず拒否された。違うじゃないですか。あなたはもうずっと拒否されてきて、そして今はどういう根拠でお送りになるんですか。
川口国務大臣 今まで再三再四御答弁申し上げましたように、特使を送るということについてはリスクを伴います。例えば、向こう側に行って、向こう側の宣伝に使われてしまう。それから、日本について、イラクの国内で反日感情をかき立てるために使われてしまう、そういう例も過去にあったわけでございますけれども、そういうことがあってはいけないということでございまして、私どもは、政府として特使を派遣することについては非常に慎重でなければいけないということをずっと考えたわけでございます。
 それで、今回、それではなぜ送ったかということですけれども、これは、新しい決議が出まして、我が国としてはこれが最後の外交的な圧力を加えるときであるというふうに思っております。我が国としては極力平和的に解決をしたいということで、先ほど申し上げたようなリスク、これがなくなったわけではない、リスクはありますし、結果について、それは必ずしも保証できるということではありませんけれども、我が国としては、平和的に問題を解決するために、イラクに対して最後の翻意、これを促すために努力をするということが大事であるということでございます。
首藤委員 外務大臣、そんなこと最初からわかっているんですよ。そんなの、状況に合わせて送るか送らないかを決める、だから、そうお答えになればいいじゃないですか。どうしてそれを最初からずっと拒否されていたんですか。そして、今はこういうのは状況が変わりましたと。支離滅裂ですよ。
 私が何を言わんとしているかというと、あなたが国会で私たちに向かって答弁した、すなわち国民に向かって答弁したことと、やることが全然ばらばらだということですよ。国民に対する説明責任がないじゃないですか。今それは、私が質問したからそういうふうに言ったんでしょう。しかし、本当に国民はそういうことは納得しているか。
 おかしいですよ。今まであなたのやったことはすべて、一方では何か国会に向かって言い、一方ではアメリカに向かって言い、一方にはまた国民に向かって言い、例えばいわゆるタウンミーティングなんかではいろいろなことを言い、そして今度またイラクに対してメッセージを伝えようとする。もうてんでんばらばらなことをやっていて、このイラク問題という日本の命運がかかることに対して、根本的な方針というのは一つも定まってないじゃないですか。どこに方針があるんですか。総理、いかがですか。
小泉内閣総理大臣 根本的な方針は前から何回も表明しております。イラクが全面的に協力すれば戦争は起こらないんですよ。特使の派遣も、時期を見て判断すると。これはやはり政府の判断です。
 じゃ、特使を派遣していけないんですか。いいんでしょう。特使を派遣するのはけしからぬけしからぬということじゃないでしょう。特使が派遣されるということは民主党も評価されるでしょう。それを、特使をいつ派遣するかというのは、これは政府の判断ですよ。時期を見て……(首藤委員「特使を派遣しない、絶対派遣しないと言ったから批判しているんですよ」と呼ぶ)当時は派遣しないということであって、外交にはそれは幅がありますよ、判断は。それは政府の判断ですから、私は、特使派遣を非難されるいわれはないと思っております。
首藤委員 総理、結局、私が今回聞いているのは日本の方針なんですよ。日本は、どういう社会を、どういう方針でこの問題に対応しようとしているのかということですよ。
 では、お聞きしますよ。今アメリカ案が出まして、これは攻撃も含む新決議案なんですけれども、それに対してフランスがメモランダムを出しました。これは国連に採用されました正式文書ですね。それからドイツが乗り、そして中国、ロシアも乗っています。安保理の要するに過半数が乗りました。これに対しては総理はどういうお考えをお持ちですか。
小泉内閣総理大臣 日本の立場は、原口大使の演説ではっきりしているんです。ちっともはっきりしていないとあなたは言っているけれども、私は、はっきりしているんですよ。読み上げましょうか、要点を。
 今、最も重要なことは、国際社会が今後も一致団結した行動をとり、イラクに対し圧力をかけること。安保理が結束して行動できなければ、国連の信頼性を傷つけ、イラクに間違ったメッセージを送られる。日本政府としては、国際協調を重視している。イラクが非協力であり義務を十全に履行していないという事実を踏まえ、国際社会の断固とした姿勢を明確な形で示す新たな安保理決議の採択が望ましいと考えており、安保理はその採択に努力すべき。
 これは前から発言して、今もこの方針に全く変わりありません。
首藤委員 総理、答えが違いますよ。私が質問しているのは、今フランス案というのが出てきた、後ろから回っているじゃないですか、それですよ。フランス案が出てきた。フランス案に対しては日本はどういう対応をとるか、どういう考え方があるのか、それを聞いているんですよ。それが日本の基本的な問題でしょう。いかがですか、総理大臣。
小泉内閣総理大臣 これは、平和的解決のためにあらゆる努力を傾注するのは当然だ。そして、問題の根本は、イラクが安保理決議に従い、大量破壊兵器の廃棄のために、即時、積極的かつ無条件の協力を示すかどうかである。したがって、フランスの覚書の言うように、査察を継続、強化しても、これまで不十分な対応をとってきたイラクの態度が改まらない限り査察は有効たり得ない、はっきりしているじゃないですか。どうしてこれがはっきりしていないんですか。
首藤委員 では、総理、その査察が、今まで不協力であって、これから延ばしても進展が見られないということは、もうブリクスさんの言っていることと全然違うんですけれども、どうですか、何の根拠に基づいてそういう主張をされるんですか。
小泉内閣総理大臣 ブリクス委員長も言っていますよ、イラクの協力は十分じゃない、イラクが能動的、積極的な協力をしない限り有効たり得ない。はっきり言っているんですよ。私が言っているんじゃないんですよ。私はそれを支持しているんです。
 正確に、与党の立場のある、立場は違いはわかっていますけれども、正確に判断してくださいよ。
首藤委員 それは総理、今状況はどんどん変わっているんですよ、残念ながら。今、私が一週間前に総理に、また後ろから来ていますけれども、一週間前に私がそう言ったら、総理の答えはそれでいいんですよ。しかし、もうこの三月になってから、三月一日からはもう状況はドラマチックに変わっているんですよ。だから、総理、これはよく反省してください。
 もう時間もなくなりましたから、一つ大きな点を一つでもお聞きしたいんですね。
 イラクには攻撃、北朝鮮へは外交というダブルスタンダードが今行われようとしているんですけれども、イラクというのは、客観的に言えば、もう核兵器はないですよ、ガンマ線でこれだけ見て。それから、化学兵器はあるかもしれないけれども、化学兵器は、充てんするには巨大な工場が要るんですよ。生物化学兵器は、それは確かに、冷蔵庫と台所があればつくれる兵器とよく言われますよ。しかし、それも兵器として充てんしようと思えば大規模な工場が要るんですよ。そんなものはイラクには今はないわけですよ。
 一方、北朝鮮の方は、核施設も持っていて、原子力施設も持って、それから、もっとすごいものもあるというふうに言っている。これに対して、どうやって影響を与えるんですか。どういうような対応を日本はアメリカと話し合っているんですか。総理、いかがですか。
小泉内閣総理大臣 北朝鮮に対してもはっきり表明しております。日本は、韓国、アメリカと緊密な連携のもとに協力していく。同時に、中国やロシアとも協力して、北朝鮮に対しては働きかけていく。もう何回も言っていますけれども、はっきりしているんです。なおかつ、核は容認しない。平和的、政治的解決を求めていく。はっきり言っているんです。どこがはっきりしていないんですか。
首藤委員 何回も同じことを言っていちゃだめじゃないですか。状況はどんどん変わっていくと、さっきの話があったわけでしょう。状況はどんどん変わるわけですよ。だから方針は何かと聞いているんですね。
 例えば、アメリカと一緒にやっていくと。アメリカの行動というのは、基本的には単独主義的な行動ですよ。結局、いろいろな反対があっても、最後は自分たちだけで、あるいは同じ意思を持った国だけで攻撃しようということですね。そうしたら、北朝鮮に対しても、同じ意思を持った国だけで攻撃しようということになるじゃないですか。おかしいんじゃないですか。それに本当にお乗りになるのか。
 それよりも、例えばフランス案に乗れば、国際的な枠組みでやっていこう、そしてイラクは一つの試金石になる。イラクで成功したら、その国際的な枠組みをこれは北朝鮮にも当てはめて、そしてそのフランス案に乗っている中国とかロシア、これはまさに北朝鮮の背後を構成しているんですよ。ロシアと中国が本気になれば、これはそんな核開発もできなくなってしまうんですよ。
 だから、むしろ、フランス案の国際的な枠組みがこの北朝鮮においても適用されたら、それは日本にとっても国際社会にとっても、よりリスクの少ない形で展開できるのと違いますか。そうした考えにどうしてお乗りにならないんですか。総理大臣、いかがですか。
小泉内閣総理大臣 これは誤解があると思いますけれども、アメリカは、日本と韓国と協力してやっていきたい、北朝鮮の方がアメリカとだけとやりたいと言っているんですよ、今。
 アメリカは、これは米朝だけの問題じゃない、日本と韓国の方がより密接な関係があるから、アメリカは日本と韓国の意見も聞きながら密接に協力し合いたい、同時に、国際社会の場で北朝鮮に対応していこうと。むしろ北朝鮮の方が、これは日本に関係ない、アメリカとの問題だと言っているのを、これは日本だけの問題じゃない、アメリカも、アメリカと米朝だけというよりも、まず国際社会の中でやっていこうとアメリカは言っているんですよ。そう言っているんです。
首藤委員 もう絶望感を持って終わります。
藤井委員長 これにて首藤君の質疑は終了いたしました。
 次に、前原誠司君。
前原委員 民主党の前原でございます。
 総理に、まず、前回の質問の中で総理が御答弁をされたことの確認をさせていただきたいと思います。
 国連加盟国が他国を攻撃できる正当性について、二つお答えになられました。自衛権の行使と国連の安保理決議と。総理がお答えになったことです。日本のスタンスというのは、そのおっしゃったことで、国連に加盟をしているし、当然、他国を攻撃できる法的根拠はその二つしかない、また国際社会もそうあるべきだというふうに思われますか。その点、簡単にお答えください。
小泉内閣総理大臣 はい。自衛権の行使と国連安保理の決議、この前答弁したとおりでございます。
前原委員 その二つについて、日本の立場も当然そうであるし、国際社会もそうあるべきだというふうに思われますか。
小泉内閣総理大臣 そう思っております。
前原委員 外務大臣、歴史の確認で二つお答えをいただきたいんですが、一九八一年にイスラエルがイラクを空爆していますね、爆撃していますね、核施設の建設で。これは国際法的にはどう解釈したらいいんでしょうか、これが一つ。それから、一九九九年にNATOがセルビアを空爆していますね、いわゆるコソボの介入というもの。この二つは、国際法的にどう正当性として判断したらいいんでしょうか。
川口国務大臣 突然の御質問ですので十分なお答えはできないかもしれませんけれども、まず前者の方ですけれども、これについては国際社会は非難をした、日本も含め非難をしたということです。それから後者の方について、我が国としては、これが起こった、遠いところでございますし、当事者でもないものですから、その状況はよくわからないということでございます。
前原委員 前者については非難したということは、イスラエルは国際法を逸脱した行為を行ったということを日本政府としてはおっしゃっているわけですね。ということは、後者のNATOのセルビア空爆、コソボ介入については、アメリカも当然NATOの一員でありますので入っていますね。先ほど総理がお答えになった国連決議にはなかったわけです。しかも、これはいわゆる内紛、内乱に対する空爆であったわけで、自衛権の行使ではないわけですね。
 ということは、このコソボ介入というものは国際法上問題があったんではないですか。政府のスタンスはどうですか。
    〔委員長退席、杉浦委員長代理着席〕
川口国務大臣 後者の方につきましては、それは、まさに国際法というのは常にイボルブしていく、国際法というのは常に変化をしていく、発展生成をしていくという性格のものでございますから、人道的な観点からということをどういうふうに国際法として位置づけるかということであったわけですけれども、これが国際法違反であったかどうかということについて安保理で決議があって、これは否定をされたということ、すなわち違反ではないというふうに安保理としては判断があった、そういうふうに聞いております。
前原委員 私は、今後起こることについても、あるいは過去起こったことについても、いかに国際法のルールというものを厳守した上で国際社会が対応していくかということを確認していかなくてはいけないというふうに思います。その意味で、少し二つのことについては歴史の事実として質問をさせてもらいました。
 先ほど伊藤委員からお話がありましたように、先週アメリカに伺いまして、二月の二十六日にアーミテージ国務副長官とお話をさせていただきました。そのときにアーミテージさんが言ったのは、決議六七八で攻撃は十分可能なんだ、多分公電で行っていると思いますけれども、そういう発言をされました。
 今まで、私も前回の予算委員会で質問させていただきましたけれども、仮定の質問には答えられない、こういう御答弁でしたので、アメリカの国務副長官がおっしゃった六七八で武力攻撃が可能だ、そのときに、逆にパウエルさんは日本に来られていまして、与党の三幹事長ともお話をして同様の発言をされたと伺っておりますけれども、では、この解釈、仮定の質問じゃなくて、アメリカの政府高官、つまりは国務長官、国務副長官が六七八で武力攻撃は可能だと言っている。では、日本政府のその見解に対する解釈、日本政府としてはどう考えるのか、その点についてお答えをいただきたいと思います。
川口国務大臣 米国がまだ武力行使を決めたわけではない状況において、また、今後さまざまなことがイラクをめぐって起こり得る中で、米国がどのような法的根拠に基づいてそういうことをやるのかということについて、私どもは全く何も承知をしておりません。米国としても今の時点で決めたということは、その法的な根拠についても決めたということはないと思います。米国はまだ決定をしていないわけでして、したがって、万が一そういうことがあったらば、そのときに米国はどういう法的な根拠で言うかということを見るしかないということでございます。
 したがいまして、我が国としては、今、茂木副大臣が行っていますけれども、まさに平和的な解決をして、問題がそういうことにならないように最大限の努力をしているということです。
 それで、この前、前原委員にお答えをしましたように、純粋に、論理的にお話をすれば、そのときの答弁は繰り返しませんけれども、そういうことは前にもあったし、純粋に、論理的に言えば、六八七の根拠が崩れているという状況があれば、六七八によって行うということは、純粋法律的、論理的には可能性としてはあるという趣旨の御答弁を前に申し上げたと思います。
前原委員 では、統一見解を出してほしいというお願いをしました。それで、それについては外務省から拒否の回答が来ていますね、不適切と考えると。なぜ不適切かということについては今外務大臣が答弁をされたとおりなので繰り返しをしませんけれども、純粋法理論的にはあり得る、こういうお話ですね。だったら、その純法律論的な話をさせていただきたいんです。
 つまりは、六七八、外務省からいただいた日本語の訳というのもありますけれども、六七八で、どの文言をとって今外務大臣は純法律的、論理的にはあり得るとおっしゃったんですか。その点について、場所を示してお答えください。
川口国務大臣 幾つかの決議が関係をすることになると思いますけれども、まず、安保理の決議の六七八の規定ぶりでございますけれども、ロジックの問題として御説明をいたしますと、六七八の第二パラグラフでございますけれども、これは、あらゆる手段、必要な手段をとる、そういうことが書いてあるわけです。そして、そのときの条件として、これが二つありまして、一つが、安保理決議の六六〇、これはクウェートをイラクが侵攻したことを非難した決議ですけれども、六六〇及びあらゆる累次の関連決議を堅持かつ実施するためということが一つ。それから、二つ目として、並列して並んでいますが、同地域における国際の平和及び安全を回復するためという、二つを挙げているわけです。
 そして、そもそも、政府としては、安保理の決議の解釈は、そのときの国際情勢や、その決議が成立をした経緯あるいは精神といったものを総合的に判断するということであると考えていますけれども、決議の六七八、これは、クウェートを侵攻するといった形でこの地域の平和と安全を破壊したイラク、このイラクの行為を停止させるとともに、イラクがこの地域の平和と安全を再び脅かすことを阻止する、それを目的としているというふうに解すべきだと考えております。
 したがいまして、政府としまして、従来から、六七八に言う「あらゆる必要な手段」、これをとるために、二つの条件を満たす、先ほど二つ言いました二つの条件の両方を満たす必要があるということは考えていないということでございまして、これについては前々から答弁を何回か過去させていただいているところでございます。
    〔杉浦委員長代理退席、委員長着席〕
前原委員 六七八の主文の二つ目で、「あらゆる必要な手段を取る権限を与える。」と。その前提として今おっしゃったのが、六六〇の安保理決議を堅持かつ実施するというところと、それから、同地域における国際の平和と安全を回復するために、この二つが並列だ、こういう話ですね。
 ここは、そこまでお答えになっているのであれば、ぜひここで、きょう三十分しかありませんので、純法律的な議論をしている暇はないと思いますので、これが本当に並立なのか。並立であるとすれば、今外務大臣がおっしゃったように、同地域における国際の平和と安全を回復するためというところで武力行使の法的根拠があると。
 そして、もう一つ大臣がお答えにならなきゃいけないのは、これは一九九〇年なんですね、六七八というのは。ということは、もう十二、三年たっているわけですね。そのときの国際の平和と安全という考え方と今の考え方が、本当に累次的に、アーミテージ国務副長官の言葉をかりれば、セカンドレゾリューションじゃない、第二の決議じゃないんだ、十八番目の決議を今模索しているんだ、今まで十七決議やっているんだ、こういう考えに立つかどうかということのやはり説明もしていただかないと、私は今のお答えだけでは具体的な内容が詰められると思いません。
 したがいまして、これは委員長にお願いします。
 今、政府の統一見解を出すのは不適切と考えているとおっしゃいましたけれども、今まさに外務大臣が、ある程度の中身についてお答えになりました。したがって、そこの箇所の、今私が指摘をした点について政府の統一見解をお出しいただきたいということをお願いしたいと思います。
藤井委員長 その前に、答弁をもう一度。
 川口外務大臣。
川口国務大臣 今の委員の御質問についてお答えをさせていただきたいと思いますけれども、まず、これは一四四一の決議の中にこの六八七という決議が生きているということは、ちゃんと書いてあるわけでございます。それから、九八年の十二月にアメリカ、イギリスがイラク攻撃をした。そのときに、これは先ほども申し上げた、この地域における国際の平和及び安全を回復するためにとられた措置であるという説明がされていて、この時点で、国会でも議論がなされて、政府の御意見は申し上げたということです。
前原委員 そういうことも含めて、統一見解を出していただきたいと思います。
藤井委員長 理事会で協議をいたします。
前原委員 それでは、法律的な議論は、それを見た上でまた改めてさせていただきたいと思います。
 今回、アメリカに行かせていただいて、これは総理、聞いておいていただきたいんですけれども、アメリカの戦争観が多分変化したんだろうと私は思っています。
 つまりは、九月十一日のテロ以降、特にそういう考え方が強くなったと私は思うんですが、もともとの戦争の形態というのは、一般的には、ある国が、主権国家が他国に宣戦布告をして、そして攻撃をしかける、こういう戦われ方が過去の戦争においては一般的であったんだろうと思います。
 ただ、アメリカが唯一の超大国、特に軍事的な超大国になって、面と向かってアメリカに宣戦布告をして攻撃をしかける国はなくなってきた。しかしながら、面と向かっては攻撃をしないけれども、いわゆるテロ組織などに武器や資金を横流しして、そして間接的に戦争をしかけるということが新たな戦争の概念とアメリカはとらえているんじゃないかという思いを、私は今回訪米して強く感じました。
 アメリカ自身も、川口外務大臣は先ほどロジックの話を、私の質問にお答えをいただいて、かなり綿密にしていただきましたけれども、一般的なアメリカ人は、国務省の高官も含めて、パウエルさんやアーミテージさんは別ですよ、その下のレベルの方々というのは、とにかくやるんだ、イラクに対しては。そして、それについては国連決議とかそういうものは関係ない、我々は自衛権の行使をやる権利があるんだ、あるいは、イラクについては我々はやるという国内的な手続をもうとっているんだ、だからやるんだ、こういう言い方が国務省やペンタゴンの高官も含めて、あるいはいろいろなシンクタンクの方々の意見も含めて、一般的でありました。国務長官や国務副長官は、そこら辺は法律的な精緻な議論を詰めてやっておられると思いますけれども、雰囲気としてはそういう議論であったということはお伝えをしておきたいと思います。
 実際問題、この後の、この決議がなされるかどうかというのは予断を許しませんけれども、仮に、先ほどの六七八というものが辛うじて今までの解釈に当てはまって、何とかこの急場はしのげたとしても、アメリカの今後の問題、つまり私は、イラクにとどまらない可能性があると思いますよ。
 つまりは、先ほど申し上げたように、戦争観が彼らは変わっているわけですよ。つまりは、テロ支援国家に対しては、徹底的に我々はいわゆる敵対国として戦争をしてもいいんだ、そうしないと自国の安全を守れないんだ、そういう考え方に立っているわけですね。
 私は、先ほど一番初めに総理に御質問をいたしまして、総理がお答えになりました。自衛権の行使と国連安保理の決議をよりどころにしない限りは国連加盟国が他国を攻撃することは許してはいけない、こういう話で、日本もそう思う、こういう話をされました。
 しかし、昨年アメリカが出したいわゆる国家安全保障戦略、プリエンプション、つまりは先制攻撃、先制行動という概念がありますけれども、多分私は、先ほど申し上げた戦争の形態が変わったわけで、そういう新たな脅威に対応するためには、その二つの概念にとらわれなくても、他国を攻撃することはアメリカはやるべしという考え方に立っていると私は思っています。
 そのことについて総理はどうお考えなのか、評価されるか。アメリカのことは理解できるというふうにおっしゃるのか、いや、今までの国際法の二つの枠にはめるべきだとおっしゃるのか、あるいは、私が答えを言うのはあれですけれども、一をとるのか二をとるのか、三番目は、アメリカの言うことも理解できる、やはり新たな国際的なルールづくりが必要だというふうにお考えなのか。この三つから選んでください。もし三つに当てはまらない、四つがあるんだったら四つ目で結構です。
小泉内閣総理大臣 前原議員が指摘されたように、九月十一日のテロ以来、やはりアメリカの自国を防衛する、自国民の安全を図るという考え方に変化が出てきた、私もそう思っています。
 アメリカのそういう国民感情、あれだけの多くの犠牲者を出し、しかも本土、ニューヨーク、国防省、そして他の地域にも同時攻撃がなされたということから、その国民感情は理解できますが、やはり武力行使ということに対しては、先ほど申し上げましたように、国連安保理決議あるいは自衛権の行使、国際社会から理解されるような行動が望ましいと思っております。
前原委員 今後どういう世界情勢の転換になっていくかわかりませんけれども、私はさっき申し上げたような見通しを持っています。つまりは、今までの自衛権の行使の急迫不正の侵害という狭い範囲の自衛権の行使を認めるという考え方と、あるいは国連決議だけでは、なかなかアメリカの今後の行動というものが本当に制御し切れるかどうかというところが大きな問題があります。それが先ほど申し上げた昨年の国家安全保障戦略の新たなプリエンプション、先制攻撃、先制行動という概念だと私は思うんですね。
 同盟国として、あるいは国際法、国際社会の正義というものを重んじる国であれば、先ほどイスラエルあるいはコソボの介入の話もさせていただきましたけれども、やはりそういう例外があってはいけないわけです。国際法のルールにのっとった行動をすべての国がとれるような国際社会をつくっていくことが、もし日本が特に国連の安保理常任理事国入りを目指すとすれば、そういった崇高な考え方もやはり設立をしていく、建設をしていくというような視点に立たないと、すべて起こったときに能動、あえてきょうはそれほど掘り下げては申し上げませんけれども、何とか昔の国連決議に当てはまったからよかった、こういう古い考え方では、私はアメリカの戦争観の変化にはついていけない。
 ひいては、ひょっとすれば今回はよかったかもしれない、何とか昔の決議で当てはまったから。では、そうじゃない場合においては日本はどうするんだと。今から質問しますけれども、北朝鮮の問題があるからアメリカとは共同歩調をとらなきゃいけないんだということを言い続けて、国際法の正当性に反したことを、自国の現実の問題があるからといってそれに引きずられてしまえば、逆の立場で国際法を破られたときに日本がどういう態度をとるのかという、その対照性の問題で私は正当性を持てないと思うんですね、国際社会の発言において。
 そういう意味で私は、先ほどの総理が、新たな概念というよりは、今までの自衛権の概念あるいは国連決議というものしか他国を攻撃できないんだとおっしゃいましたけれども、私は、本当にそれで今後できるかどうかということは非常に懸念をしているところでありますので、これはもう意見として申し上げておきますが、ぜひ、将来的な問題としてもお考えをいただかなきゃいけない問題だということを指摘しておきたいと思います。
 最後に、防衛庁長官に質問をしたいと思います。
 先ほど伊藤議員が質問されたことで、少し私も突っ込んで話をさせていただきたいと思います。
 今お話をしたように、北朝鮮の問題があるからイラクには協力をしなきゃいけない、あるいはせざるを得ないんだという議論が政府・与党のかなり有力な議員から聞かれるたびに、私は非常に情けない思いをしています。先ほど申し上げたように、現実の問題と国際社会の大義、正当性というものを照らし合わせてどう判断するかということが全く検証されていないまま、短絡的な議論になり過ぎているという嫌いがして私はなりません。どちらも対応においても同一性がなければいけない、ベースにおいては。
 つまりは、国際法に基づいて、あるいは、国連というみんなが支えなきゃいけない組織の運営に基づいて、イラクの問題、北朝鮮の問題も、どちらも同じように照らし合わせて考えなきゃいけない。自国の利益不利益があるからイラクに対してはアメリカを支援するというような言い方をするのは、余りにも情けないというふうに私は思っています。
 そこで、長官に質問したいのは、盾と矛の役割分担というのがありますよね。つまりは、ニクソン政権のときに、日本の安全保障についてはいわゆる盾だ、専守防衛。大規模着上陸侵攻があったときには、日本の自衛隊がまずは対応すると。しかし、矛の役割分担については、日米安全保障条約に基づいてアメリカに任せると。こういう形で昭和三十一年に決められたような、弾道ミサイルが来た場合においての敵基地攻撃なんかは、日本は自衛権の範囲、憲法の範囲の中であるけれども、日米安保条約に基づいてアメリカに頼るという今まで考え方で来たわけです。
 果たしてそれでいいのかということは、私は、今から申し上げることでやはり真剣に考えていかなきゃいけないと思うんですね。
 つまりは、盾と矛の関係というのは今成り立たないんですよ。先ほど申し上げたように、大規模着上陸侵攻なんというものがあるかどうか、これからわからないわけですよ。つまりは、旧ソ連というものを前提として日本の安全保障が今までニクソン政権時の役割分担で来たわけですけれども、大規模着上陸侵攻なんというのはあり得ないかもしれない、ひょっとしたら。ミサイルが急に飛んできたり、あるいはテロ、ゲリラが急激に日本の国内で起こる。テロ、ゲリラの内容にしても、サイバーテロのような武力を伴わないようなもので、しかし日本が大混乱して人が死ぬかもしれない、あるいは日本の経済に大きな損失が与えられるかもしれない。そういうものに対しての盾と矛の役割分担、自衛隊は今果たせないような状況になっているじゃないですか。
 つまりは、北朝鮮の脅威があるからイラクには協力せざるを得ないというすべての前提が、その役割分担の旧態依然とした今までの前提では成り立たない状況から生まれてきているんだと私は思うんですね。今のままの自衛隊の体制あるいは日米の役割分担で本当に長官はいいと思われるんですか、未来志向の問題として。その点についてお答えください。
石破国務大臣 委員のおっしゃるような問題意識は、私たちは本当に持たなきゃいかぬのだろうと思います。
 ただ、申し上げておきたいことは、北朝鮮がこうだからイラクにこう対応しなきゃいけないというそういう論理で私ども政府は申し上げたことはございません。
 ただ、実際にどうやってこれも、イラクのときは知らぬ顔、北朝鮮のときには助けてくださいという話が通りますかねというような、何か巷間そういうような御議論があるようですけれども、その辺をきちんと整理をする必要があるのだろう。ただ、政府としてそういうことを申し上げたことはございません。
 それで、伊藤先生のときにも私はちょっと意識して申し上げたのですが、では、委員がアーミテージにお会いになって、アーミテージ副長官は、そうなったらば集団的自衛権を行使する。確かに、防衛協力の指針の中でも言われておるように、必要な打撃力の行使を考慮する、こういう言い方になっています。それを信じるのか信じないのか、そういう議論になってくるのだろうと思っています。
 私たちは、日米安全保障条約というものの信頼性を高めるということでやってきました。では、打撃力を日本としても持つべきなのか否かという御議論は、それはあるのだろうと思っています。
 そういう議論をどのように考えるか……(発言する者あり)末松委員がそういうふうにお話になっておられまして、きのうも某月刊誌に石破防衛庁長官にただすというふうにお書きになりました。そうしますと、私の方が、じゃ、民主党はどう考えるんだというふうに聞いたので、そんなこと言われても、おれたちは野党だからそんなことをまとめる立場にはないというようなお話でありましたが、いずれにいたしましても、私どもは、どうすれば日本の国の平和と安全を守れるか、そのことはきちんと議論をしなければいけないのだろうと思っています。
 そのことが日本国憲法に触れるものではない。つまり、向こうが攻撃に着手したときには、自衛権の行使として我が方の方から敵基地に対して攻撃を加えることは、座して死を待つことが憲法の予定することとはとても思われない、憲法論としてはそうなんです。だとするならば、その憲法の範囲内で、私たちは、どうやって国の平和と安全、独立、国民の生命財産に責任を持てるかということを、机上の議論ではなくて、本当に責任のある立場で議論をしなければ国民の皆様方に対して責任を果たしたことにはならないというふうには考えておるところでございます。
前原委員 今の、ちゃんと私の質問にもう少し答えてください、端的に答えてください。
 盾と矛の関係、盾の役割、じゃ、今果たせるんですか。考えられるような武力攻撃、つまりは大規模な着上陸侵攻ではなくて、ミサイルが飛んできたりあるいはテロが起きたりしているときに、それでも自衛隊というのは、年間五兆円も使って盾の役割を果たせるんですか。盾の役割も矛の役割も果たせないのが今の自衛隊の体制じゃないですか。それについて甘んじるんですか、どうなんですかということを聞いているわけですよ。
石破国務大臣 現在、矛の役割を果たすような装備体系にはなっておりません。それが日米安全保障条約のもとでやっていくということは今日まで積み上げられた議論であります。今日まで積み上げてきた議論というものがどうなのかということは、本当に全体的な議論の中できちんきちんと論証していかなければいけない。今、矛としての役割は持っておりません。そのような装備体系は持っていません。そのような政策を今まで選択してまいりました。(前原委員「盾の役割を果たせるかどうかを聞いているんだ」と呼ぶ)盾の役割を果たせるかということですか。盾の役割、つまり打撃力は有しないが盾として守り得るかということをお尋ねになれば、それは果たし得るものだと思っています。
 つまり、先方から、どことは申しませんよ、攻撃をしかけられたときにそれを防衛するという、要するにこちらから攻撃を加えなくても、向こうから攻撃を受けたときに守れるかということでいえば、自衛隊は相当の能力を有しておるということは申し上げることができます。
前原委員 時間が来ましたのでこれで終わりにいたしますが、今防衛庁長官がお答えになったことは、実態がわかっておられながら苦しい答弁の部分があると思いますよ。
 私は、アメリカとの関係というのは今後も大切だと思うし、アメリカを信じるかどうかということを言っているわけじゃないんです、それは。信じる部分はあって、同盟関係もこれから違う形にしても続けていかなきゃいけないけれども、自国を守るための体制として最低限の役割を果たせるような自衛隊なんですかというときに、時代が変化してなかなかそういう体系になっていないでしょうという話をしているわけです。そのことについて真摯な答弁をいただきたかったということであります。
 総理、一言それに対してお答えがあれば。
小泉内閣総理大臣 私は、前原議員の意図、質問、よくわかります。理解できます。これはやはり大事な議論であり、日本の防衛力はどうあるべきかということに十分関連してくると思っておりますし、私は、最小限必要の防衛力を維持している、だからいいのかという質問に対して、十分かといえば、これは十分と言えないからこそアメリカと同盟関係を結んで日米安保体制を維持しているということしか言えないと思います。
 どこから攻撃するか、日本一国だけで十分な防衛体制なんというのはとれないと思っているんです。だからこそ、これからそういう、防衛力はどうあるべきかという議論は、前原議員みたいな建設的な議論というのは私は大変重要なものではないかと理解しております。
前原委員 終わります。
藤井委員長 これにて前原君の質疑は終了いたしました。
 次に、樋高剛君。
樋高委員 自由党の樋高剛でございます。
 きょうも質疑の時間をいただきまして、ありがとうございました。きょうは、イラク、北朝鮮問題について端的に議論してまいりたいと思います。
 まず、平壌宣言についてでありますけれども、昨日、NHKの「日曜討論」の番組におきまして、司会者から麻生政調会長にお尋ねになりました。平壌宣言では国際合意を遵守することになっておりますけれども、最近の動きを見ていますと、北朝鮮側は平壌宣言そのものをなお有効と考えていると思いますかとの問いかけに対して、麻生政調会長は、考えていないだろう、一連の行動を見てもはっきりしていると。つまり、北朝鮮側は有効とは考えていないだろうということをはっきりおっしゃったんですが、総理は同じ認識ですか。
小泉内閣総理大臣 私は、日朝平壌宣言というものに対して北朝鮮も、遵守していきたい、遵守していると思っております。また、これが今後、日朝間の正常化交渉にとって不可欠であるという点を北朝鮮側も思っていると思っておりますし、日本も、この遵守を、今後とも尊重するように、また誠実に履行するように働きかけていく必要があると思っております。
樋高委員 政調会長と総理の言っていることが違いますね。矛盾していますね。政府・与党の政策責任者が、北朝鮮側は平壌宣言について有効とは考えていないだろう、はっきりしていると、テレビで堂々と言っているんですね。これはどうなっているんですか。また政府と与党と言っていることが違う。二枚舌外交だけでも私はびっくりしているのに、またこうやって使い分けをして、またいいかげんな外交をするんですか。こんなのは外交じゃないじゃないですか。いかがですか。
小泉内閣総理大臣 これは議員の考え方でありまして、政府としては一致しているんです。それは議員外交あるいは政府外交、違う面もあります。そういう点に関して言えば、政府としては今私が言っている方針、この方針に沿って今後とも働きかけていきたいと思っております。
樋高委員 重大問題ですよ。自民党の政調会長が言ったことは間違いでしたと、それではこの場で訂正してください。謝ってください。
小泉内閣総理大臣 私は、そのテレビも見ておりませんし、その発言も聞いておりません。そういう点について言えば、どういう発言をされて、どういう意図を持っているのか、今の時点では言うことはできません。
樋高委員 聞いていないからでは許されないのであります。
 政府の最高責任者である内閣総理大臣と、政府・与党の政策最高責任者である自民党の政調会長が言っていることが百八十度違う。こんな大切な外交政策で、こんないいかげんなことではだめであります。いかにでたらめであるか。それでは、今まで総理が言っていることと政府・与党が言っていること、つじつまが合わないのではないですか。いかがですか。
小泉内閣総理大臣 それぞれ政党には意見の違った議員もおられると思いますが、よく話し合いをしていけば最後は一致するんです。百八十度違うとかどうかということはありますが、私は必ずしもそうとは思っていませんよ。どういう発言をされたのか本人に確かめれば、私は、百八十度違うとは思わないと思っております。
 今までも、こういうことはしばしば起こることです。今の発言におきましても、私はじかに聞いておりませんし、その真意がどこにあるのか、発言がどう思ったのかということはわかりませんけれども、私は、この政府の方針に対して麻生政調会長も十分理解されていると思っております。
樋高委員 百八十度違うわけですから。国民に向かってテレビで政調会長がはっきりと、北朝鮮側はあの平壌宣言は有効とは思っていない、はっきりしている、そこまで言っているんですよ。おかしいですね、明らかに。それで、しばしばあるからといって許されることじゃないですよ。今、最もこういう重要な大切な時期にあって、政府と与党と言っていることが違う。本来、政府・与党というのは一体ですね。総理も与党の一員ですから、当然意見は一緒でないといけないわけですね。いかがですか。
小泉内閣総理大臣 それは、話し合っていけば、政府の考え方に十分な理解を示されると思っております。
樋高委員 話が進んでいきませんので次に進みますけれども、北朝鮮の現状につきまして、平壌宣言についてでありますけれども、宣言に基づいて、核やミサイルなどの安全保障上の脅威をなくすべく北朝鮮側が誠実に守っているとは、百歩譲っても私は思えないのでありますけれども、総理はそれでも北朝鮮側が守っているといまだに認識していらっしゃるんでしょうか。
小泉内閣総理大臣 守るようにこれからも努力していきたい、働きかけていきたいと思っております。
樋高委員 北朝鮮側が守っているかいないか伺っているんです。いかがですか。
小泉内閣総理大臣 それは、日本側が考えるようにきちんと守っていると言えない面もありますが、独特の瀬戸際外交です。余り挑発に乗らないで、冷静に対処する必要があると思っております。これが政府の立場であります。
樋高委員 守っていないという総理からの言葉でありました。
 そもそも、総理は、ブッシュ大統領とは親友であり、北朝鮮の金正日総書記とは友好関係を誓い合ったばかりでありますから、三者会談を目指して努力なさったらどうですか。
小泉内閣総理大臣 将来、可能性は否定いたしませんが、今はとてもそういう状況ではないと思っております。
樋高委員 平壌宣言が事実上ほごにされて、つけ焼き刃、ごまかしだからできないのであります。
 そもそも、北朝鮮は、先月二十四日、地対艦ミサイルを日本海に発射しました。ミサイルの訓練といえども、韓国の大統領就任式の前日、北東アジアが安全保障上の緊張状態にある中で強行をされたわけであります。また、二十六日には原子炉の再稼働が明らかになって、原子爆弾を持とうとしている、北朝鮮の意図は見え見えであります。
 そもそも、ミサイル発射について、アメリカには近く行うという事前通告があったようですが、日本側にはあったんでしょうか、総理。
石破国務大臣 そのような通告はございませんし、アメリカに通告があったというようなお話も今初めて承りました。
樋高委員 日本海にイージス艦はいたんでしょうか。それで、情報収集できたんでしょうか。
石破国務大臣 そのような個々のことにお答えできないのは、防衛政策上当然のことであります。
樋高委員 では、国民には説明責任は果たさなくていいということですね。
石破国務大臣 私どもは、政府として国民に対して、国の独立、安全、国民の生命財産、これを守るという責任を有しております。そういうような観点から、御説明すべき点は御説明をいたします。申し上げられないことは申し上げられません。
樋高委員 相も変わらず、隠ぺい体質は変わらないということであります。
 テロ特措法の適用範囲について伺いたいと思います。
 自由党の平野貞夫参議院議員が、参議院の本会議でこのようにお尋ねしました。アルカイダがイラクにいることが証明されたときテロ特措法を適用すべきだと言う与党首脳がいますけれども、米国がイラクを先制攻撃した際、テロ特措法を適用しますかというお尋ねに対しまして、総理の答弁は、「イラクに対して武力を行使する場合にテロ特措法に基づいて我が国が支援を行うということは、状況に大きな変化がない限り考えにくい」と。
 状況に大きな変化がない限りテロ特措法は適用しないという認識は変わりありませんでしょうか、総理。
小泉内閣総理大臣 テロ特措法とイラクの問題とは別でございます。
樋高委員 では、ここでおっしゃっております状況に変化があったらテロ特措法を適用することもあり得るということですか。
小泉内閣総理大臣 その状況の変化の度合いを見なきゃわかりません。
樋高委員 では、状況の大きな変化とは具体的にどういうことでしょうか。
小泉内閣総理大臣 これは、その状況の変化を見て、今から予測でき得ない変化があるかもしれませんし、今その状況の変化がどうあるべきかというのは、不透明な部分がかなり多いと思っております。
樋高委員 また、そのときになってからしか考えないということのようであります。
 また、テロ特措法、仮に後方支援ということで、米国のイラク攻撃を支援するために特別立法はあり得るんでしょうか、あり得ないんでしょうか。
川口国務大臣 まだ武力行使があるということが決まったわけでもない、そういう状況で、そういう事態に政府として具体的に何をするかということについては、なかなか申し上げられないわけでございます。
 ただ、一般的に申しますと、仮に万が一そういうようなことがあった場合に、大量破壊兵器の問題は、これはまさに我が国の問題でもございますので、我が国として、国際社会に責任のある国として、例えば難民支援ですとか周辺国支援ですとか、どのようなことについて対応ができるかということは、あらゆる選択肢を今検討しておりますけれども、新しい法律を何かつくるかどうかということについては、事態がよくわかりませんので一〇〇%はっきり申し上げられませんが、今まだ、何かを決めた、そういうことではございません。
樋高委員 特別立法、あるのかないのか。否定をしないということは、特別立法をする可能性もある、そういう答弁ですね、外務大臣。
川口国務大臣 今何も決めていない、そういうことです。
樋高委員 政府の態度がこういう状況なんですね。今もう、もしかしたら今週中にも米国単独の攻撃が始まるかもしれないわけです。そういう大変大きな安全保障上の脅威に今直面しているにもかかわらず、政府は方針も示さない、そして認識も示さない。
 別に私は結論を聞こうとしているんじゃないんですよ。その大きな事態に向かってどういうふうな方針で臨もうとしているのかということについて伺っているだけなんであります。いかがですか。
川口国務大臣 ですから、考え方については、再三再四御説明をしているとおりです。結論については、まだ決めていないということを申し上げているわけです。
 ここで、機会をいただきましたので、改めて考え方について御説明をさせていただきますと、まさに大量破壊兵器の問題は我が国の問題である、我が国として、国際社会の責任ある一員である、そういったことをベースに、そういうことを踏まえまして、邦人救出の問題、あるいは周辺国支援、難民の支援等々、我が国として、いろいろな選択肢、ありとあらゆる選択肢を置いて考えているということでございますけれども、今の時点で、戦争が始まるとも決まっていない時点で、これをするともしないとも、そういうことを確として申し上げられる段階ではない、そういうことです。
樋高委員 そもそも国内法だけつくって兵を派遣すること自体がおかしいわけでありますけれども、政府では何にも準備していないということのようであります。
 ところで、総理に伺いますけれども、お休みになっているようでありますが、ちょっと起きていただいて話を聞いていただきたいのですが、国連安保理の決議の方に話を移りたいと思います。
 イラクについての決議がいよいよなされようとしているわけでありますけれども、決議が否決された場合、アメリカは攻撃をするべきではないと、日本は独立国家として、主権国家として、また真の同盟国として、当然、毅然として働きかけをするおつもりですよね、総理。
小泉内閣総理大臣 否決されるとかいう、状況がどうなるのかわかりませんが、また、この決議がどのような形で推移するのかというのはまだ不透明な点もありますが、私としては、国際社会が一致結束してイラクに対処する、そのような方向に向けて日本としては全力を尽くすべきだと思っております。
樋高委員 また当たり前のことを繰り返しているばかりでありますけれども、国連安保理で決議が否決されるということは、つまり、国際社会がイラク攻撃すべきでないと国連で意思表示するに等しいわけですから、当たり前のことですが、日本は米国の武力攻撃は支持しないという理解でよろしいんですよね、総理。
小泉内閣総理大臣 当たり前のことを言うと批判されますけれども、当たり前のことを言わなくても批判される。どう答えていいのかということはありますけれども、私としては、この問題について否決を前提としてなぜ議論する必要があるのか。これは……(樋高委員「議論じゃなくて総理の方針を伺っているんです」と呼ぶ)方針は前から言っております。当たり前だと言っていますけれども、当たり前だったら、あいまいでも何でもない、はっきりしているじゃないですか。私は、国際協調体制をとるようにぎりぎりの努力をすべきだ、国際社会が一致結束してイラクに対応するべきだと。
 ということに対して、それはあなたがけしからぬという発言は、それは御自由ですけれども、私は、これが今の日本政府の立場なんです。
樋高委員 総理はまた答弁をはぐらかしております。またごまかしています。
 国連安保理で決議が否決された場合は、日本国は、主権国家として、また米国の同盟国として、きちんと働きかけを、あなた武力攻撃やめましょうよというふうにするのかしないのかだけ伺っているんです。いかがですか。そんなことも示されないんですか。
小泉内閣総理大臣 これは、今否決されたらどうかというような議論をして、私がそのことについて答えるのが適当かどうかという判断もあります。
 あなたの議論はわかりますよ。立場が違うんですから。総理大臣として、今そういう点について、否決されたらどうするかということを答弁する段階ではないと思います。
樋高委員 立場が違って、総理は日本国の責任者なわけですから、むしろ方針をきちっと、はっきりそのぐらい打ち出したっていいじゃないですか。そんなことも言えないわけなんですか。
小泉内閣総理大臣 日本政府の立場は、私は何回も表明しております。これをはっきりしていないと言われるのは勝手でありますけれども、それは見解の相違だ。どこがはっきりしていないのか。日本の政府の立場は、国連大使が演説したとおり、はっきりしております。
樋高委員 見解の相違と言ってごまかさないでください。論理が通らない。
 では、総理がおっしゃっている国際協調という意味は、国連とは関係ないということですね。
小泉内閣総理大臣 何で関係ないんですか。十分に密接に関連あると私は思っていますよ。国連安保理という重要な場がある、日本が国際協調をとる、日本の外交の基本は国際協調、日米同盟、これを基軸に考えていると、もう何回も私は答弁しているんです。
樋高委員 国連安保理で武力行使容認決議が否決された場合は、そして米国が兵を引けば、国際連合の権威を高めることができるんです。その上で、今後テロリストは米国を攻撃する大義名分がなくなる。その方がよいと思うから言っているんです。世界じゅうの無用なテロが起こる可能性を少しでもやはり少なくする努力をしなくてはいけない。総理が言っていることは、日本国内でも報復テロが起こる可能性を高めても仕方がないと言っていることに等しいわけであります。
 北朝鮮もイラクも安全保障上の脅威を抱えておりますけれども、大量破壊兵器をめぐって両国とも疑いを払拭し切れないと政府は表明しておりますけれども、両国とも同じ状況にありながら、総理はピョンヤンで金正日総書記と握手しておいて、サダム・フセインに対しては武力行使を支持するというのは矛盾しませんか。いかがですか。
小泉内閣総理大臣 イラクと北朝鮮とは事情が違います。
 金正日と握手していけないんですか。いろいろな意見がありますけれども、会って握手するというのは、人間として、礼儀として、交渉の相手として、何ら悪いことじゃないと思いますよ。意見が違って握手しないという方がおかしい。私は、自由党党首だろうが共産党の党首だろうが、意見が違っても、会うときは握手ぐらいはしますね。
 イラクの問題につきましても、私は、この問題は、イラクが国連の決議に全面的に協力すれば、世界が平和になるし、国連の権威も保たれる、そう思っております。
樋高委員 森前総理は、以前、報道によりますれば、北朝鮮問題を抱える日本は米国に依存せざるを得ないということを発言して、イラク攻撃を事実上支持するしかないということが今の政府の本音なんであるというふうにはっきりおっしゃっています。つまり、米国の協力を得るために、北朝鮮が暴発したときにその協力を仰がなくちゃいけないから、米国に追従せざるを得ないんだというのが日本政府の真意ではないかと思いますけれども、総理、いかがですか。
小泉内閣総理大臣 どういう主張をされようとも、それぞれの個人の立場があるからいいと思いますが、日本の平和と安全は日本一国だけで守れるものではない、その点はやはり考えなきゃいけない。アメリカと安保体制を組んで日本の平和と安全を守っているというのが戦後一貫した方針でありますし、こういう中で日本の国益はどうあるべきかということを考えていく、それが必要であると私は思います。
樋高委員 イラク問題は、朝鮮半島問題もありますから、アメリカを支持した方が得策だと単なる打算で考えている、そのような答弁でありました。
 いずれにいたしましても、政府の考え方は弱腰外交であり、こっけいな安全保障政策であります。このままでは歴史に禍根を残しかねないということを申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
藤井委員長 これにて樋高君の質疑は終了いたしました。
 次に、木島日出夫君。
木島委員 日本共産党の木島日出夫です。
 私も、きょうはイラク問題、とりわけ、去る二月二十五日に米、英、スペイン三カ国から国連安保理に提出された決議案に対する日本の態度について、主に総理中心にお聞きをいたします。
 米、英、スペイン三国は、二月二十五日、国連安保理に対して決議案を提出いたしました。前文がいろいろ書かれておりますが、本文には、イラクは決議一四四一が与えた最後の機会を逸した、そういう決議案であります。これは、提案者米英の意図が明らかでありますが、現に行われている査察を打ち切って、イラクに対する武力攻撃を開始する、そのための決議であります。
 総理は、先週二月二十八日の衆議院本会議で、民主党の阿久津議員からこの問題を問われて、本会議でこのように答弁をしております。大変大事な答弁でありますから、速記録そのまま読んでみます。総理答弁、「イラク問題についてでございますが、米国等による決議案提出は、平和的解決のための外交努力を最後まで行うものとして評価し、支持しております。」答弁全文であります。
 平和的解決のための外交努力を最後まで行うものなら、総理がそのようにこの決議を受けとめておるのなら、仏独ロ覚書にあるように、この決議案に反対をして、査察の継続、強化を主張しなければならないんじゃないんでしょうか。米、英、スペインによるこの決議案提出のどこが一体平和的解決のための外交努力を最後まで行うもの、そんな評価が一体どこから出てくるんですか。総理。総理答弁についての質問です。
小泉内閣総理大臣 それは極めて簡単な決議案ですから、イラクが安保理決議一四四一によって与えられた最後の機会を生かすことができなかった旨述べているんですから、それを支持しております。そして、アメリカは最後まで国際社会と協調してイラクに武装解除を求めるということを述べているわけですから、私は支持しております。
木島委員 ごまかしているんですよ。
 よく聞いてください。今どういう段階にあるか、イラクの大量破壊兵器廃棄の問題で、私、三つのベースを言いますよ。
 第一のベース、大量破壊兵器の廃棄はイラク側の責任である、これは当然です。全世界これで一致しています。
 第二の段階、九一年から九八年まで査察が行われた、昨年末からまた査察が開催された。いろいろ報告も出ております。プロセスに関する協力、実質に関する協力、ブリクス委員長の報告もたび重ねて出ております。総体的にはかなり協力はしてきた、しかしまだ完全ではない、そういう段階だ。これも大体全世界、認識は一致しているんじゃないでしょうか。
 それで、第三段階が今、問題。そういう局面にあって、今この現時点で、イラクの大量破壊兵器を、完全に目的達成させるために国際社会はどのような道をとるべきかが今第三段階として問われている。そこに大きな意見の分裂が始まっている。
 一つの立場は、アメリカ、イギリスの立場であります。もう査察は有効でない、時間切れだと査察を打ち切って、そして武力行使に入っていく、その道です。その一つの手段として、米英はスペインを携えて今度の決議を出したんじゃないですか。
 もう一つの大きな意見は、そうではない、イラクは完全に協力はし切ってないけれども、査察は前進してきている、引き続き査察をやるべきだ、そして強化すべきだ、それができればイラクの大量破壊兵器廃棄が達成されるであろう。これが、一番大きな立場は、フランス、ドイツ、ロシアの覚書なんでしょう。
 その三段階のところで意見が分裂している、そういう局面ですよ。
 総理の答弁は、第一の場面、第二の場面までしか答弁しない。そうじゃない、第三段階のところで今、日本の政府の態度が問われているんじゃないですか。どうですか、総理。
小泉内閣総理大臣 それは日本の外交姿勢として問われているというのは事実でありますけれども、はっきりと、これは最後の機会だ、イラクはこのチャンスを逸するなという働きかけを行っている。アメリカもそのつもりで、最後の機会だと言うことによって国際社会がイラクに圧力をかけることが必要だと言っているんだから、私は何らおかしいことはないと思っております。
木島委員 総理は、アメリカやイギリスがこの決議案を何のためにどういう意味を持たせて国連安保理に提案してきているのか、理解してないんですか。米英がこの決議案を出したのは、これを賛成してもらって、決議案をお墨つきをもらって、そしてイラクに対する武力攻撃に入っていこうと、明白な意図、目的を持ってこの決議を出したんでしょう。そんなことは国際社会の常識じゃないですか。そんな常識理解できないで日本は外交やれるんですか、総理、どうですか。
小泉内閣総理大臣 そういう意図がわかっているからこそ、イラクは、小出しでありますけれども、今までやってなかった査察に若干協力姿勢を示してきたことでしょう。いかにアメリカ、イギリスの決議案が重要であるか、効果を発揮しているか。十分ではないけれども、効果を発揮しているんです。さらに国際社会が一致結束して働きかけることが重要であると思います。
木島委員 質問をそらさないでください。私は、イラクがどういう態度をとるか聞いているんじゃない、米英がこの決議を出した意図を問うているんです。
 この決議で国際社会、国連安保理のお墨つきをもらって武力攻撃に入る、そのための決議でしょう。米英の意図を聞いているんですよ、総理。そこをごまかしちゃだめですよ。その意図に対して、あなたは二月二十八日の本会議で、これを支持すると言ったんじゃないですか。答弁してください、総理。
小泉内閣総理大臣 私は支持しておりますし、アメリカが国際社会と一緒になって武装解除を求めているということも、意図もわかっております。フランスもドイツも、武力攻撃は最後の手段だと言っております。私は、意図ははっきりと理解していると思っております。
木島委員 それなら、こういうことになりやせぬですか。アメリカの意図はこの決議を武力攻撃をするための手段として提起してきた、その意図はあなたはわかっている、わかった上でこれを支持するというのなら、アメリカのイラクに対する武力攻撃を支持しているということになりはしませんか、総理。
小泉内閣総理大臣 これは、国際的な圧力をかけないとイラクは協力しないということもわかっているでしょう。イラクが何で協力しないんですか。アメリカがいけない、アメリカがいけないとばかり言っていますけれども、イラクの方が何ら国連決議を尊重していないじゃないですか。そこについて共産党はどう考えるのか。
木島委員 共産党の態度は明白ですよ。査察継続、強化すべきだ、武力攻撃の国際法上の根拠はないと。明白ですよ。そらさないでくださいよ。
 国際社会のいろいろな形の圧力をかけてイラクに迫ることは当然ですよ。しかし、この決議はそんなものじゃないでしょう。査察の打ち切り、そして武力攻撃に入るための一里塚として出してきたんでしょう、それに賛成しているんでしょう。圧力をかけて、イラクに大量破壊兵器を廃棄させるための決議じゃないでしょう。だからこそ、この決議はだめだ、この決議は戦争につながる決議だ、だから、フランス、ロシア、中国、反対し、ドイツ反対し、圧倒的多数の世界が反対しているんじゃないですか。そらさないでくださいよ、一番の中心的な問題ですから。
小泉内閣総理大臣 全然そらしておりません。圧力をかけても、十二年間イラクは協力してこなかったんですよ。そこをどう考えるのか。
木島委員 問われているのは、査察を中断して武力攻撃に入るのか、査察を続行、継続して、平和的にイラクの大量破壊兵器を廃棄させるのか、それが国際社会に今問われている。そして、分裂をしている。片やアメリカ、片やドイツ、フランスの立場がある。
 そこで、日本の政府はこの国連決議を支持するというのなら、アメリカの立場を支持するということになりはしませんか。国際社会は当然そう思わざるを得ないんじゃないですか。あなたは国会と国民を、そうじゃないと言ってだまそうとしても、国際社会はそういうふうに日本の態度を受けとめるんじゃないですか。そんなの、国際社会の常識じゃないですか。そんな二枚舌は通用しないということを、私はここではっきりと申し上げたい。
小泉内閣総理大臣 何が二枚舌なんですか。これほどはっきりしているのはないじゃないですか。アメリカの立場もあります。フランスの立場もあります。イラクの立場もあります。日本の立場もあるんですよ。日本は、原口大使が言ったとおり、はっきりしているんです。
木島委員 それはだめですよ、答弁になってないですよ。(発言する者あり)
藤井委員長 御静粛に願います、御静粛に。
木島委員 だって、アメリカの意図は、この決議で武力攻撃に入るための決議だって、意図は承知しておるとさっき答弁したんだから、これを支持すると言ったら、アメリカの意図を支持することになるじゃないですか。
小泉内閣総理大臣 それは政治的圧力の一環じゃないですか。この圧力かけないで、イラクが協力してきたんですか、十二年間。それはいろいろありますよ。最後の、外交ですから、駆け引きもあるでしょう。
木島委員 そこを私は論じているわけじゃないし、それを否定しているわけじゃないですよ。政治の結果として、こんな決議が出されればイラクは恐ろしいからいろいろな動きをするでしょう。しかし、この決議の意図はそうじゃない。査察をもう打ち切ってしまう、そして武力行使に入るための、アメリカはそんなものなくてもやると言っていますが、国際社会のお墨つきが欲しいというんで、そういう意図を持ってこの決議案を出してきたんでしょう。答弁になってないですよ。
小泉内閣総理大臣 何が答弁になってないんですか。あなたの意見に従わないから答弁じゃないというのはおかしい。私、あなたの意見とは違うんですよ。
 なぜ今までイラクが協力してこなかったのか。アメリカは最後の圧力をかける、国際協調体制をとるという努力をしているんです。そういうことによって、イラクも、これはもう最後の機会だなということをわかってきたからこそ、今まで協力していなかった部分を多少協力してきたということじゃないですか。(発言する者あり)
藤井委員長 ちょっと静粛に。
 木島委員、もう一度質問してください。そして、総理、それに対して答弁をしていただきます。
 もう一度お願いいたします。
木島委員 ですから……(発言する者あり)いや、悪くないですよ。
 このアメリカを中心とする決議案は、イラクは決議一四四一が与えた最後の機会を逃したという文書です。これはアメリカの意図もそうだし、これに対する国際社会の受けとめは何か。もう査察は効果がない、査察を打ち切る、そして武力行使に入っていくそのお墨つきなんだ、そういうふうに受けとめられているし、それは受けとめられているだけじゃない、提案者の意図なんですよ。その提案者の意図ということを先ほど総理、認めたじゃないですか。そうしたら、あなたが二十八日の衆議院本会議でこの決議を支持すると言ったことは、アメリカのその意図を含めてこの決議を支持するということになりはしませんかという質問ですよ。
藤井委員長 はい、その質問に、小泉内閣総理大臣。
小泉内閣総理大臣 そういう意図をイラクが感じたからこそ、今まで協力していない点に協力してきたわけでしょう。
 これは私の答弁です。納得できるできないは、立場が違うんだからそれは違う。納得できないからけしからぬというのはおかしいんじゃないか。(発言する者あり)
藤井委員長 木島君、木島君、質問を続けてください。(発言する者あり)
 川口外務大臣、どうぞ答弁してください。――御静粛に。答弁を聞いてください。
川口国務大臣 この新しい決議の意図についてのお尋ねでございますけれども、アメリカは、前にも言っていますように、仮にこの新しい決議がないとしても武力行使をするということはできるということも言っているわけですね。ですから、それにもかかわらずアメリカがこういう決議を出してきたというのは、我が国やほかの国々の働きかけにこたえて、国際協調をやって、そしてイラクに対して最後の外交的な圧力をかける機会である、そういうことをやっていくというアメリカの努力、そして国際協調への努力のあらわれであるわけですね。我が国は、この決議について、再三総理がおっしゃっていらっしゃいますように、そういう性格のものであるということで、その努力を評価し、支持をしているわけです。
 それから、ちなみに、我が国として武力行使をすることを支持するか支持しないかということについては、これも再三再四、総理がおっしゃっていらっしゃいますように、これは、今後のイラクがどれぐらいまじめに対応していくかということ、そして、安保理等でこういったことにどういう議論がなされるか等々を受けて、我々は最後の段階まで見て、ぎりぎりのところで判断をする、そういう厳しい判断をするということになるわけです。
 それで、今まで再三再四、ブリクスが言っていますように、今査察について進展があったとはブリクスは言っていないということです。実質面については非常にその協力はリミテッドであるということをブリクスは言っている。このまま続けたらばイラクが対応する、そういうことをブリクスが決して言っているわけではないということです。(発言する者あり)
藤井委員長 御静粛に。
 木島君、質問をしてください。
木島委員 全然答弁になってないです。
 いいですか。このアメリカ、イギリス、スペインが出した、今現に国連安保理に上程されている決議案というのは、この文面そのものも、もう査察を打ち切ってしまう、そしてイラクはもう最後の機会を逃したと書いてあるんです。だから、これはもう査察を打ち切って武力攻撃に入るための一里塚としての国際法上の意味を持つ、そしてアメリカもそういう意図を持って出している、そういうことを総理、認めている。そうしたら、これを支持するということは、そういう国際法上のこの位置づけ、アメリカの意図を丸ごと含めて支持するということになりはしませんかと私は質問している。イラクがこれを受けて、これは大変だというんで一歩協力を始めたというのは、その結果にすぎないんですよ。そんなことを聞いているんじゃない。アメリカが出したこの決議の意義、国際法上の意味、そしてアメリカの意図、それを聞いている。
小泉内閣総理大臣 国連安保理決議を遵守させるような努力の一環だ、だから支持しているということです。これははっきりしているんですよ。それは共産党の立場と違いますよ。それははっきりしているんです。(木島委員「アメリカの意図、決議をどう見るかという問題です」と呼ぶ)
 アメリカの意図は、国際社会が圧力をかけてイラクが安保理決議を遵守する、誠実に履行する、その圧力の一環であるということを理解し、支持している。これはもうはっきりした答弁です。(発言する者あり)
藤井委員長 木島君、質問してください、もう一度。
木島委員 総理、いいですか。この決議を支持するということが、査察を打ち切ってアメリカが武力行使に入るため、それを支持するということとは違うんだなんという理屈は、国際社会で通らないですよ、そんなことは。笑い物になりますよ。だから、この決議を上げたら大変だというんで、フランス、ドイツ、中国、ロシア、全世界の国々が、この決議を上げたらだめだ、そして覚書を出したんじゃないですか。それで、査察を継続すべきだという覚書を出してきたんじゃないですか。
 こんな答弁が許されていったら日本は笑い物になる、そういう自覚ないんですか、総理。こんなことで外交やれるんですか。
小泉内閣総理大臣 日本の外交は十分展開しております。日本の立場は、私が再々言っているとおりです。
木島委員 こんなごまかしは絶対、世界にも国内にも通用しないということを私は最後にもう一回強調して、質問を終わります。
藤井委員長 これにて木島君の質疑は終了いたしました。
 次に、東門美津子君。
東門委員 社会民主党の東門でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 けさから、イラクの問題を中心に、ただいまもかなり議論が紛糾しておりましたけれども、私もかなり重複するようなところがあると思いますが、私は、本当に素朴に感じている疑問そのまま、総理にお伺いしたいと思います。
 今イラク問題で世界が二分されている、そういう感がございますが、イラクへの武力行使を主張するイギリス、アメリカ、そして査察の継続を主張しているフランス、ロシア、ドイツ、その両側の立場が連日のように鮮明になってきて報道されてきています。その中で、今もありましたけれども、日本の立場がよく見えないというのがちまたで聞こえます。
 去る二月十八日の国連演説で、米国支持を鮮明にしたのではないかとは思われていますが、総理は、それに尽きる、そこではっきりしているとおっしゃっておりますが、それが米国側を支持なのかどうかがやはりいま一つわからないんですね。
 それで、総理にお伺いしたいと思います。日本の立場は、アメリカ側を支持するという立場なのでしょうか。
小泉内閣総理大臣 それは日本は、アメリカ、イギリス、スペイン、決議案を支持しています。
東門委員 ということは、武力行使、それもやむを得ないという立場で臨んでいかれるということでしょうか。
小泉内閣総理大臣 これは、はっきり言っておきますが、フランスもドイツも、武力行使は最後の手段だと、否定していないんですよ。
 私は、今回、国際社会が一致してイラクに働きかけない限りイラクが査察に協力しないんですから、その一環だと理解しております。
東門委員 最終的な手段ということは言っている、フランスもそうだよとおっしゃる。それは私も承知しております、報道等で。
 ただ、その中で一番大事なところは、総理いつもおっしゃいます、外務大臣もよくおっしゃるんですが、平和的解決を目指す、それが絶対な条件だとおっしゃっている。平和的解決というのは、じゃ、何なのか、そこを教えてください。武力行使がその中に選択肢として入っているのかどうか。
 委員長、申し上げておきます。
 私、きょうお願いしたのは総理だけです。外務大臣はお願いしておりませんのでよろしくお願いします。あちらで挙手しておられますから。
藤井委員長 ちょっとお待ちください。
 指名権は委員長にございますので、必要のある場合は私が指名いたしますので、御理解いただきたいと思います。
 小泉純一郎内閣総理大臣。
小泉内閣総理大臣 イラクが安保理決議に協力すれば、これは平和的解決になるんです。
東門委員 私がとても懸念しておりますのは、日本はイラクに対して誤ったメッセージを送っているんじゃないかということなんです。
 日本はアメリカ側を支持している、だから武力行使も辞さないよというところが先に走っているのではないかという気がするものですから、そういうふうに伺ったんですね。平和的解決と言うのであれば、やはり査察継続あるいは強化、それを主張していくのが日本の立場だと私は思うんですよ。それでこういう質問をしたんです。
 では、質問を続けます。
 常におっしゃるのが、これは米国対イラクの問題ではなくて、国際社会対イラクの問題だともおっしゃっておられます。それも、一見、ちょっと聞くとそうだという気がしないでもありません。ところが、政府のおっしゃっている国際社会というのがどこを意味しているのか、よくわからない。何となく国際社会イコールアメリカという印象を持っている人が多いのではないかと思いますが、どうなんでしょうか、総理、国際社会というのは、総理がおっしゃるとき、国際社会、国際協調と強調されるときはどこを見ておられるのか。
小泉内閣総理大臣 国際協調という場合、国連がやはり一番主な場でしょうね。
 今回のイラクの問題については、安保理決議、これを注視しております。安保理の議論の動向、これをやはり注目しております。
東門委員 国連であれば、今、正直言いまして、報道を通して伝わってくるのは、一般的な意味での国際社会ということからしますと、大多数の国から、あと数カ月ほど査察を継続すべきという声が出てきているわけです。
 むしろ、日本政府としてはそういった多くの声に配慮すべきではないかと思うんですね。それが、今おっしゃる国際協調あるいは国連重視を外交の柱としている我が国のとるべき態度ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
小泉内閣総理大臣 それは、安保理決議というものが履行されるということについて、各国がどのような態度をとるかということでありますが、そういう立場において、今、アメリカとフランスの立場の違いというのはわかっております。
 しかし、今ようやくイラクも、これが最後の機会だなということで若干協力姿勢を示しておりますけれども、しかし、まだ十分でないということにおきまして、私は、さらに今後働きかけていく必要があると思っております。
東門委員 イラクには現在茂木副大臣を特使として派遣されておられますが、アメリカに対して、総理の方から、ぜひ、武力行使、これはやはり絶対にしてはいけない最終的な手段であるとおっしゃっていますから、これはできるだけ回避する方向でというふうに進言したことはございますか。
小泉内閣総理大臣 日本としては平和的解決を望んでいる。そして、アメリカも全世界も平和的解決を望んでいると言っているんですよ。ブッシュ大統領も平和的解決を望んでいる。一にかかってイラクだ、イラクが協力すれば平和的解決になる。
東門委員 いや、今の御答弁を伺っていますと、平和的解決の中にはしっかりと、また最終段階でとおっしゃるかもしれませんが、何か先に武力行使可能であるというのが入ってくるような気がして、とても気になるんですね。戦争をやはり回避するという立場で日本は動いていただくのだろうなと思っていただけに、えっ、これはアメリカに余りにも遠慮し過ぎているのかなという気がしないでもないということを申し上げておきたいと思います。
 余り時間がないですから、どんどん進んでいきたいんですが、北朝鮮問題との関連で、私、沖縄への影響について伺いたいと思います。
 朝鮮半島情勢の緊張が高まる中で、ラムズフェルド米国防長官は二月十三日に、上院軍事委員会公聴会において、在韓米軍の再編に着手する方針を表明しました。再編においては、機動力強化、あるいはハイテク化を進めるとともに、兵力削減もあり得ると表明しておられます。
 そこで、この時期に米国が在韓米軍の再編を打ち出したことについて、総理、どのように受けとめておられるのか、見解を伺いたいと思います。また、韓国で削減された部隊が、日本、特に沖縄に移ってくるようなことはないということをこの場で明言していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
小泉内閣総理大臣 在韓米軍のことにつきましては、基本的に韓国とアメリカとの問題であります。
 沖縄の問題につきましては、基地の問題に関しまして沖縄の負担が大変重いということは私も理解しておりますし、SACOの最終報告にのっとって、沖縄負担を、沖縄県の県民の負担を軽減していくという方針に変わりはございません。
東門委員 総理の口から今SACOが出ましたけれども、おっしゃるように、沖縄は、基地あるがゆえに、常に国際情勢に翻弄されています。
 国土面積のわずか〇・六%にすぎない沖縄県には在日米軍施設の七五%が存在しており、基地は県の総面積の一一%、本島に限りますと約二〇%を占めています。総理はもう御存じだと思います。このような状況は、だれが見ても正常とは言えないでしょう。
 私たちが政府に対し基地の整理縮小の問題を指摘しますと、いつも、今ちょうど総理が御答弁なさったように、約七年前のSACO合意の着実な実施という答弁しか得られないのですが、SACO合意が完全に実施されることによって、基地のマイナス影響がなくなると言えるのでしょうか。同様に、SACO合意が完全に実施されることによって、米軍基地が沖縄へ及ぼす、特に観光に及ぼす悪影響がなくなると保証ができるのでしょうか。これらについて、私は総理御自身の、本当に御自身の御見解、それをお伺いしたいと思います。
小泉内閣総理大臣 それは、基地がある限り負担はなくならないという議論もわかります。しかし、日本の防衛、安全ということを考えれば、たとえSACOの最終報告が実施されたとしても、全基地がなくなるという状況にはならないと思います。
 そういう点におきまして、基地があることに対してのそれぞれの負担感というのは地域によっても違いますが、できるだけ基地は縮小整理していかなきゃならないということは、私は、基地を抱えている住民にとっては当然の感情だと思っております。
東門委員 これまで長い間、半世紀以上にもわたって、沖縄は基地の重圧に苦しんできました。SACOがあたかも救い主であるかのように、これさえ実現すれば沖縄は随分よくなるよというような思いを持っておられるかもしれませんが、決してそうではないということを私は強く申し上げておきたい。
 総理は、沖縄に行かれて、沖縄の基地の状況あるいは住民の声をどれくらいお聞きになり、あるいはごらんになってきたかわかりませんが、七五%という基地、SACOの最終報告が本当に完全に実施されたその暁には、では五〇%ぐらいにでも減るというのならまだ少し違うかもしれません。七一%残るんですよ。では、それによって住民が抱えている負担も不安もそれだけ減るか。さあどうなんでしょうか。
 私は、それについても、観光立県である沖縄は今本当に大変な状況なんです、ちょうど一昨年の九・一一のあの悪夢がよみがえってくるような状況であるということをお伝えしておきたいと思います。要するに、イラクと北朝鮮、そういう中で、国際情勢が緊迫している中で、沖縄の米軍基地がかなり緊張してきているということです。お聞きになっておられますでしょうか。海兵隊員は駐留が延長される、あるいは異動が凍結される、あるいは退役時期も延長になる、基地の警備体制は強化される、嘉手納基地には新たに電子偵察機が飛来する、そしてホワイトビーチにはエセックスなどふだんそこにいない揚陸艦等が押し寄せてくる。こういう状況を本当に目の当たりにしていますと、沖縄はまたあの一昨年の九・一一、あれが戻ってくるんじゃないかというのが県民の不安なんですね。米軍基地が集中する沖縄は危険だというイメージがひとり歩きしたことをよく御存じだと思います、覚えておられると思います。基幹産業である観光が物すごい打撃を受けました。こういう中で、これを解消していく手だてを政府として、総理としてどうなさるのか。
 それと同時に、私、先ほどから申しておりますSACOの最終報告によっても、最終報告を完全に実施してもあれだけ巨大な基地は変わらないどころか、四%縮小されるということで、むしろ基地の機能は強化され固定化されるというのは目の前に見えているわけです。
 そういうことに対して、日本国を預かる、防衛の、国を守るためには仕方がないというふうな先ほどの答弁かなと、ちょっと寂しいなと思ったんですが、私はもう一度伺いたい。総理として、国民の生命財産あるいは安全をしっかりと守っていかなければいけない、その頂点に立っておられる総理ですから、どのように対応されるのか。今のこの緊張の問題、要するに観光への打撃、そういうことにどういうふうに当たられるかと同時に、SACOの最終報告、もう一度御見解を伺いたいと思います。
小泉内閣総理大臣 沖縄県に対する観光の問題、これは沖縄県だけの問題ではないということは、私も理解しております。特に、沖縄県とは関係ないニューヨークでの九・一一のテロ、ああいう事件が起こっても沖縄県に対する観光客が減って沖縄経済に打撃を与えているということも、過去事実だったわけであります。
 最近テロ以前の状況に観光客の数も戻ったという報告は受けておりますが、最近またイラク情勢等の緊迫がありまして、また観光客が減ってきているんじゃないか、あるいはこれからの観光振興に対しても影響が出てくるんじゃないかという御心配は私もわかっておりますが、SACOの問題も含めまして、沖縄振興のために政府としてもできるだけの努力をこれからも続けていきたいと思っております。
東門委員 沖縄の振興に心を寄せてくださるのはとてもありがたいのですが、県民が一番望んでいるのはやはり基地の整理縮小だということ、海兵隊の削減につながるようなことをやっていただきたいということなんですね。
 最後にお伺いいたします。
 それは、仮定の話ですけれども、もし何かあれば、例えば北朝鮮が、もし何かあればですよ、するかどうかわかりません、全然それは仮定の話ですが、沖縄はあれだけの基地があるから、何かあればそこが先かなということを県民は話しております、攻撃ですね。そうすると、私の、これまでのこの予算委員会での議論を伺っていますと、米軍基地は米軍が日本を守るために駐留している、だから米軍基地があれだけ広大にある沖縄県は日本の中でもまず一番安全な場所、そういうふうにとらえられましょうか。それをお聞かせください。
小泉内閣総理大臣 基地があるから安全か危険かという問題は、古くて新しい問題なんです。日米安保条約が締結されたときも、米軍基地があると戦争に巻き込まれる、いや、日本独自では安全は保障できないから、アメリカと協力して日本の防衛を図ろうということだったわけです。
 ですから、基地があるから安全か、平和かという直接の問いには答えることにはならないと思いますが、やはり日本の安全と平和ということを考えますと、アメリカと協力するためには日本が米軍基地の存在を認めるということも、これは日本としての選択だというふうに私は考えております。
東門委員 終わる前に一つだけ。
 それであれば、やはり基地は全国民で応分に負担をしていただきたいということを強く申し上げておきたいと思います。沖縄県民だけに押しつけないでください。これは、総理、どうでしょうか。それをお伺いして、終わりたいと思います。
小泉内閣総理大臣 それは当然だと思っております。
東門委員 ありがとうございました。
藤井委員長 これにて東門君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして一般的質疑は終了いたしました。
 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時十七分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時十一分開議
藤井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 三案審査のため、本日、参考人として衆議院法制局長窪田勝弘君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人として法務省大臣官房長大林宏君、刑事局長樋渡利秋君、矯正局長中井憲治君、人権擁護局長吉戒修一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
藤井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
藤井委員長 これより締めくくり質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。末松義規君。
末松委員 民主党の末松でございます。
 きょうは、イラクそして北朝鮮の問題について、外交的な意味での締めくくりということで質問させていただきます。
 私、その前に一点、イラク問題から始めますが、イラクの大使館に外務省のときに二年間赴任しておりまして、八四年から八六年だったですか、ちょうどイランからスカッドBというミサイルがどんどん飛んできたときに当たりました。そこで、私の自宅というか、住居のほんの数百メートル先にもスカッドBというミサイルが落ちまして、夜中でしたけれども、それが当たりまして、三、四十メートルぐらいですか、全部クレーターみたいになりまして、そして、私が駆けつけたときには、まだうごめく者、そして死体が焼けるにおい、非常に、もう本当に嫌なものでございました。そういった思いから、私は、戦争というのは決してやっちゃいけないという思いを強くしたわけでございます。そういった体験のもとでこの質問をさせていただきます。
 先ほど、午前中に我々の同僚議員からもこの質問がありました。総理ははっきりと日本の立場についておっしゃっておられるというお話でしたけれども、私の方はよくそれはわからない。特に、総理がいつもおっしゃっておられる、このイラクの問題というのは、イラク対国際社会全体の問題であって、イラク対米国の対決じゃないんだという話でございますが、改めてお伺いしますが、イラク対国際社会全体の問題ということでよろしいんですよね。
小泉内閣総理大臣 そのとおりです。
末松委員 そうすると、今度、三月のこれから数日後にもある安保理で、今、米英等案とそれから仏独等の案が対決することになると思うんですが、その場合、このイラク対国際社会全体の国際社会全体が今割れてしまった、そういうことで、日本としてどうしようかというふうに今迷っている中で、午前中の討論を聞いていると、小泉総理が、国際協調とそれから日米同盟の重要性、それを考えて判断すると言っておられますが、小泉総理が米英等の案を国会で支持したと明言されたわけですから、それは、日米同盟等も非常にそこは考えられてそういうお立場を決められた、そういう理解をしてよろしいですか。
小泉内閣総理大臣 かねがね言っておりますとおり、日米同盟と国際協調、これを両立させる。これは、今までも将来も変わりありません。
末松委員 そうしますと、今度の米英案で非常に重要なことは、対イラクの新決議案の中で非常にこれは重要だと思うんですが、イラクが国連が与えた最後の査察協力の機会を逃した、こういう位置づけがなされております。そして、原口国連大使も、イラクの査察協力あるいは査察の効果に対して、シリアス・ダウトといいますから、重大な疑念があるということを言われております。小泉総理がこの米英案に賛成したということは、もうイラクは査察協力について完全に、最後の機会、これを逸するほど重大な違反をした、そういう御認識ということですね。
川口国務大臣 日本といたしましては、今茂木副大臣がバグダッドに行っていらっしゃいまして、恐らく副首相にお会いできることになると思いますけれども、イラクが、これが決議を守っていくということがあれば全く問題はなくなるわけですから、そういうことを働きかける、そしてイラクが最後の機会を逸しないようにそれを働きかける、この努力を、今、日本がやっているわけです。
末松委員 最後の機会を逸するという、これは、では外務大臣に聞きますけれども、米英の決議案がもし仮に可決されるのであれば、いつから、いつ最後の機会を逸したことになるんですか。
川口国務大臣 イラクの態度に全くよると思います。イラクの態度を国際社会として見て、そしてこれを安保理で議論をして決議をどうするかということを決める。パウエル国務長官は、この前日本に来ましたときに、七日に報告がある、そしてその後近い時期に決議をどうするかということを安保理として決めてもらいたいということを言っていたということです。それもあわせて、国際社会で、あるいは安保理で、いつごろどうするかということは決める話だと思います。
末松委員 でも、いつごろ決めるかというのじゃなくて、決議が通ったら、それは安保理で、イラクが査察の協力というか、査察の効果について、査察に協力しなかった、最後の機会を逸したというのはそこで判断があるわけでしょう。それは安保理決議が成立したときに、そこはそういうふうな判断になるわけでしょう。違うんですか。
川口国務大臣 今国際社会でやっているのは、イラクがそういったことにならないように全員で働きかけている、そういうことであるわけです。それで、それを見て、安保理としてそういうことなのかどうかを判断する。それについてまだ時間はあるわけでして、したがって、日本も努力をしている、ほかの国も努力をしている。
 決議が賛成をされるかされないか、これは各国とも今票読みを水面下でやっていると思いますけれども、それについては、今の時点では何とも言えないということだと思います。
末松委員 いや、私は解釈を聞いているんですよ。安保理決議がそこで採択されたら、イラクは最後の機会を逸したという位置づけになるんでしょうと。これははっきりしているじゃないですか。これは違うんですか。これの先にまた何か安保理が最後の機会というのを、まだあるんですか。ちょっと悪いけれども、そこをイエスかノーかで言ってくださいよ。そのくらい答えてくださいよ。
川口国務大臣 仮定の話ではありますが、決議が採択をされたということであれば、その主文である文章は安保理によってそういうふうに決定をされた、そういうことに当然なります。
末松委員 そうすると、近日中に安保理で米英の案が採択されたら、そういうことになるわけですから、それ以降は、米英等が武力行使を行ったとしても、それは何ら不可思議じゃないですね。全くそれは認められるという位置づけになりますよね。これは総理にお伺いしましょう。それぐらいは、そこが大きなポイントなので。そう不思議そうな顔をしないでくださいよ。聞いていなかったんですか。(小泉内閣総理大臣「聞いていますよ」と呼ぶ)
 安保理決議が、米英案が通ったら、そしたらもう最後の機会を逸したということになるから、それであれば、イラクはいつ攻撃されても、それは、国際社会としてその攻撃がその意思になるから、結局は、イラクが攻撃されてもいいんだという位置づけになりますね。
小泉内閣総理大臣 それは、そのような、末松議員が今言ったようなことは書いてありませんけれども、生かし切れなかったということでありますので、そのように受けとめるべきだと思います。
 そこで、あとイラクがどう判断するかであります。
末松委員 イラクがどう判断するとはどういうことですか。それは、安保理が決議をして、そして攻撃をした。イラクにどんな判断が残されているんですか。
小泉内閣総理大臣 それは、だれが考えてもわかるでしょう。
 逸したという決議が採択された場合、イラクは真剣に考えると思いますね。戦争か平和か、選択権はイラクにある。これを生かそうというどのぐらいの時間が残されているか。そこではっきりとイラクは受けとめる状況はあると思います。そして、イラクが全面的に協力するということになれば、戦争は起こす必要はない。
末松委員 イラクが全面的に応ずるといったって、あなた、最後の機会ですよ。最後の機会を逸したというのがあの決議の内容でしょう。そしたら、もうそれ以上ないじゃないですか。最後じゃないんですか、あれ。ちょっとおかしいね、総理の認識は。
小泉内閣総理大臣 ちっともおかしくないんですよ。国際政治は複雑怪奇。
 そういう決議が採択された後、イラクがどう判断するか。まだ時間はあると思います。採択された後、直ちにイラクがどう判断するか、それを見守るということも考えておかなきゃならないと思います。
末松委員 何かおかしいですよ。
 では、例えばサダム・フセインが自分で退陣しますと言って国外に逃げますとか、あなたはそういうことを想定しているということですか。
小泉内閣総理大臣 いろいろな事態が想定されると思っております。それは一つじゃありません。
末松委員 では、確認しますけれども、米英が武力攻撃することに対して、その場合、当然、日本政府としても一つの立場をとらなきゃいけません。あなたは、今ここで表明するのは難しいと、答弁を午前中からずっと避けていましたよね。だったら、そういった場合に、イラクが最後の査察の機会を逸したということですから、あとは国際社会がこれはどう判断しようが、日本政府としては、それは国連の意思だということで受け入れるということですね。
小泉内閣総理大臣 既に、昨年十一月、一四四一決議、最後の機会を与えるといって、イラクは生かし切れていなかったんです。そこがイラクの難しいところなんですよ。あのフセインの、なかなか交渉相手として難しいところなんです。生かし切れなかった。
 あの決議を十分と思っていないんです。だから、もう一段の決議が望ましいということで、今努力されている。生かし切れなかったという決議があった後、イラクがどう判断するか。その判断は、対応は一通りじゃありません。
末松委員 ちょっと私も今、論理的にやや混乱をしておりますけれども。
 では、そしたら、米英が攻撃する、私も正直言うと、もうアメリカは攻撃すると思っていますよ。アメリカは、何にもかかわらず政権転覆ということを明らかにしていますし、それはあると私は予想はしています。
 そのときに、日本が、では、あなたがずっと言っていらした、平和的に解決しよう平和的に解決しようと、それは私もまさしく、本当にそう思うし、そういったときに、やはりアメリカ等が攻撃をした、そうしたら、日本はそこで、平和的に考えてきた国として、そこは、これは残念である、やはりそこは何かそういったコメントがあってしかるべきじゃないですか。それを、そのまま、支持をするということになりますか、総理。
小泉内閣総理大臣 七日のブリクス委員長の報告、そして決議の対応、国際社会の対応、そしてイラクの対応、よく見ながら判断したいと思います。
末松委員 あなたも多分、それは、武力攻撃があるかもしれない、ある可能性が高いというのは予想はしておられると思います。私自身、この攻撃によって何らいいことはない、私はそう思うわけですよ。
 あなたも、この前の予算委員会の答弁で、もし攻撃があった、そういった場合に、イラクが破壊されて何十万人という人が死ぬかもしれない、そして物が壊され、大変なことになる、そういったことを想定して、小泉総理は、国際社会の一員として、その戦費等について応分の負担をすると言われました。戦費について、日本は負担をするんですか。
小泉内閣総理大臣 負担することは考えておりませんし、そういう要求は来ておりませんし、これから国際社会の責任ある一員としてどう対応するか、これは日本が独自に判断したいと思います。
末松委員 もう一つ、今の観点で伺いますけれども、アメリカが今、ブッシュ政権、占領後のイラクというものを考えています。そうした場合に、占領費というのがかかるわけです。そして、イラクの復興費というのもかかるわけです。それに対して、小泉総理は、日本が応分の負担をするという中に、占領費やそして復興費、それについて日本が出すべきと考えておられますか、全くおられませんか。
小泉内閣総理大臣 この問題は、まだ戦争も起こっていませんし、どういう状況で終わるかというのもわかっていません。また、国際社会がどのような判断を下すかもわかっておりません。しかし、私は、日本が国際社会の責任ある一員として、世界の安定のために、あるいは人道上の問題点について、応分の負担はする用意はございます。(発言する者あり)
末松委員 そう、確かに私も聞きました。あなたは、午前中に、難民対策もやりますということを言いましたよね。それは戦争が前提で言われているわけですよ。
 いいですか、だから、そういった意味で、これから、別に一年、二年先の話じゃないんですよ。もう本当に、ここ数日あるいは数週間以内の話なんですよ。それに対して、国民の負担がふえるかどうかという大きな瀬戸際でしょう。これをあなたが何も言わなくてどうするんですか。ほとんどそれについて何も言われない。
 いいですか、戦争があることは国民もだれしも予期しているわけですよ、可能性があることを。それに対して、国民が、では、今度、負担をすべきといった場合、どんな負担があるんだ、当然、関心を持ちますよね。関心を持たない方がおかしい。
 そうしたときに、今、アメリカの米議会の予算局なんかが試算しているところによると、戦費と占領費、それから復興費、合わせて大体九兆円から二十兆円ぐらいこの一年間ぐらいでかかると言われているんですよ。これに対して小泉総理が当然、応分の負担をするということになれば、例えば国連の費用等、例えば二割なら二割、まあ弱ですけれども、それをやったら大体三兆円ぐらいの感じになるわけですよ。
 そうすると、国民一人当たり、三兆円もし負担するなんという話になりますと、三万円ですよ。こんなとんでもない負担を国民がしなきゃいけないんですかという思いになるわけです。それに対して総理はどうお考えになられているのか、それを聞きたいんですよ。
小泉内閣総理大臣 何回も申し上げていますとおり、はっきりしているんですよ。戦争があろうがなかろうが、日本は人道上の支援、難民対策、応分の負担をしているんです、今までも。これからもいろいろな事態を想定して、国民に明らかにしなきゃならない場合があれば明らかにします。
末松委員 ちょっとさっきの問題に返りますけれども、私たち民主党は、この危機は査察で乗り切れるというフランスとかドイツの提案、これに私たちは賛成しています。
 このコストの面を見ても、国民は、一人頭三万円かという話になるよりは、査察の費用を考えたら、今、あのUNMOVICという査察のチーム、これは年間百六億円ですよ、百億円ぐらい。ならば、これを応分の負担で二割日本が負担するとしても、年間一人当たり二十円ですよ。一家四人で八十円。十年続けても八百円ですよ。一方、この戦費とか占領費、それから復興費、これは合わせて一人三万円で、一家四人で十二万円ですよ。
 こんな大きな負担の違いがあるということ、そういうこともきちんと、日本の本当に一般の人々の、国民の立場に立ってあなたは考えるべき立場にあるんじゃないですか。
小泉内閣総理大臣 いつ三万円と決まったんですか。私は初めて聞きましたね。まだ戦争もしていないのに、終わってもいないのに、何で三万円とわかるんですか。
末松委員 逆に聞きたいんですけれども、内閣は、こういう試算を全く出さない、今は不適当ということで、全く試算もしていないんですか。言えないというのはわかるかもしれない、言えないのはわかるんだけれども、あなた方、何にもその計算もしていないんですか。そんな無責任な内閣なんですか。国民に向かって言ってくださいよ。
小泉内閣総理大臣 私は、いつも国民に向かって言っております。公表すべき時期が来れば公表するし、試算を明らかにしなきゃならないときは明らかにします。
末松委員 では、試算をしているんですか。少なくとも、そこだったら、しているということぐらいは言ってくださいよ。結果は、あなたは今言わなくてもいいかもしれない。
 この予算は、本当にこの予算をどうするかを言っているんですよ。国民一人頭一万円以上と。湾岸危機のときはよかったんですよ。あれは、クウェートをとにかく侵略者イラクから守ろうよ、それで国民一人頭一万円、税金で負担したんです。それはそれなりの本当に正当性があったからやった。
 でも、今回のやつは国民のだれが望んでいますか。アメリカが攻撃すると言わなければ、日本人がイラクを攻撃すると言いましたか。だれも言いませんよ。経済的にもめちゃくちゃな、破壊的な影響が出てくるし、そしてイラク人からも、あとはアラブの社会、中東の社会からも、私は中東にいたからわかるけれども、恨まれるんですよ。恨まれることを何で、好きでもないそんな戦争に、しかもそれを一万円、二万円単位で国民が負担しなきゃいけないのか。これこそ大きな政治決断じゃないですか。それこそ、あなたが決断をする際の考慮材料になるべきでしょう。
 試算があるなら試算があるとだけ言ってくださいよ。あるいは、全くないんだったらないと言ってください。
小泉内閣総理大臣 政府としては可能な限りいろいろな事態を想定しておりますが、それを公表するとしないとはまた別問題であります。予期しないことについてあれこれ言うものでもないと思います。予期しない、予期できないことが起きた場合は、その状況を見て柔軟に対応するのは、これまた当然のことだと思っております。
末松委員 予期しないことというのは予備費で対応するんでしょう。予備費というのはどのくらいですか。四、五千億ぐらいあるんですか。我々予算の審議をしているんですよ、では、これを全部予備費で対応できる額とお思いなんですか、総理は。難民対策だってそうじゃないですか。どこに入っているんですか。
小泉内閣総理大臣 それははっきり答弁しているでしょう。予期しない出来事だったら柔軟に対応する。今どうしてそれに対応する必要があるんですか。アメリカの試算、アメリカは戦費でしょう、アメリカの試算は、戦費含めて。それは、まだ戦争もしていないんですから、なぜ今、私たちがそういうことを想定して予算を組む必要があるんですか。その方がよっぽどおかしいじゃないですか。
末松委員 ここもこの言い方なんですよ。だから、いや、あなたが判断をする場合に、そういうことを全く考慮に入れないで、予算審議のときはそれは一切関係ないでしょうという態度がおかしいと私は思いますよ。
 だって、イラクを攻撃したら国際社会に負担がかかりますよ、そして復興するのにも大きな負担がかかる。それを今度国民に負担させることになるかもしれない、それに対して、そんなことは関係ないでしょうと、今の予算の審議に関係ないでしょうとあなたがすっぱりと割り切って言う、私はそのモラルのなさというか、政治家の見識が、不見識がおかしいと言っているんですよ。どうせ国民の負担になるんでしょう。それは、ならないんですか。あなたが応分の負担をすると言った発言はそれほど重いものなんですよ。そういうことも考えなしに、あなたは、いや、応分の負担をしますと軽く言ったということなんですか。
小泉内閣総理大臣 戦争が起こることを想定して予算を組んだ方がよほどおかしいんじゃないですか。
末松委員 そしたら、数週間以内に、あなた、今の発言の重みを知らされることになりますけれども、戦争が起こったら、いやもうこれだけ大変なことですから、では国民に負担をお願いしますということを、そのときから言い始めるということですね。それまでは一切言わないと。
 そうですか、わかりました。いやあ、そこまで。
 では、あなたにもう一つ聞きたい。私は、アラブにいたからよくわかる。中東という国は一神教の国でもありますから、かなり執念深いところがあるんですよ。そこで、パレスチナ問題なんかも非常に、あのパレスチナ問題で五十年たっても自分たちの主張を引かない。そして、今は自爆テロ、そういうところまで彼らはやっていますよね。もし、アメリカのお先棒を日本が担いで、そういったことで今、外交的にちょろちょろしているわけですよ、そういったときに、もし日本人が海外旅行とかそういったところでテロの標的にされた、そういうことが当然起きるわけですね。そういったときにあなたは責任をどうとるんですか。
小泉内閣総理大臣 私は、末松議員と思えないような発言だと残念に思っています。何で日本がうろちょろしているんですか。日本は国益を考えて外交をやっているんですよ。アメリカと協力しているんです。決してうろちょろしているんじゃないんです。外交官を経験された末松議員だったらわかると思います。戦後一貫して、日本はアメリカと一緒にうろちょろして外交してきたんですか、外務省の職員として。そうじゃないでしょう。日本は日本の国益を考えて、日米協力は重要視しながら外交を展開しているんです。それをうろちょろしているとか、まことに遺憾な発言だと私は思っております。
末松委員 あなたこそ言葉じりをとるのがうまいですね。そこは私の方で確かに不適切な発言がありましたよ。ただし、私は、本当に今の外交を見ていて、米国のお先棒を担いでいるようにしか思えない。だから、それを正直にあなたにぶつけたんですよ。
 いいですか、そういった意味で、もし今、北朝鮮問題でアメリカと一緒にやろうという中で不安があるということであるならば、それはまあ政府の方で否定されていますけれども、もしそうであるならば、むしろ、例えば三兆円とか数兆円、もし国際社会の中で日本が負担しなければいけない、そういった費用を、日本の対北朝鮮、北朝鮮からもし来るかもしれない弾道ミサイル、そういった脅威に対して、そのための防衛費用としてそちらの方に回した方が私は日本の国益の方によっぽどためになると思うんです。
 本当にそういった意味で小泉総理のこの考えをやはりここできちんと考え直していただきたい、私は改めてそう思います。総理、その答弁を。これから、今からきちんとアメリカに対して戦争は極力やるべきでないということを再度主張していく気概はありませんか。
小泉内閣総理大臣 それは防衛費を増額しろという御意見ですが、私は、今の予算状況を考えると、日本としては必要最小限度の防衛費を充てておりますが、そういう北朝鮮の行為に対してもっとしっかりと防衛対策をしろという御意見は理解できます。
 しかし、そのイラクの問題にかんがえて、今後イラクがどういうような情勢になるかわかりません。あるいは、戦争が起きていないのに戦後のことについて今明らかにどうやるかということを総理大臣の口から言うというのも私は適切だとは思っておりませんが、このイラクの問題と北朝鮮に対する防衛対策、防衛費をどうすべきかというのは、議論あってしかるべきだと思いますが、イラク対策を北朝鮮対策に費用の面においてももっと充てろというのは、私は今の時点において考えてはおりません。
末松委員 いや、それは我々として、もし中東で本当にそういうむだ金になるようなことをするんであれば、北朝鮮の守りをやった方がよっぽどいいだろうというふうに私は例えで申し上げてきたわけです。いいですか、ですから、ぜひ総理に再考をお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
藤井委員長 これにて末松君の質疑は終了いたしました。
 次に、上田清司君。
上田(清)委員 総理以下閣僚の皆さん、御苦労さんです。
 早速ですが、総理、四月になると、一カ月後ですが、サラリーマンの医療費の三割負担、厚生年金保険料等の年収ベースのボーナスからの負担、それから政府管掌保険の保険料引き上げ、年金物価スライドで給付額は一%削減、生活保護費の切り下げ、そして五月には失業給付の削減、そしてまた同じく五月には発泡酒、ワイン増税が始まります。そして、七月にはたばこ増税、来年にはまた配偶者の特別控除の原則廃止ということで、こういう予算の組み方で行くと、例えば第一生命の研究所の試算では、二兆一千億の増税で一兆三千億ぐらい個人消費が減るんじゃないかということで、GDP比も〇・三%下がる、こういう試算をやっておりますし、我が党でも二兆二千五百億の増税になる。これで景気がよくなるような予算と本当に言えると思うんですか、総理。
塩川国務大臣 その分につきましては、自然と当然増を吸収した上でやむを得ざる負担分はふえることは事実でございますけれども、それは極力抑制した上での話でございまして、一般に放置しておきましたならばさらに大きい負担になってくることは事実でございますが、抑えた状態、予定の数字であるということを御承知いただきたいと思います。
上田(清)委員 これでも増税を抑えたんだ、こういうふうに私には聞こえましたが、国民はこの程度の増税でも大変な不安を持っております。
 総理、今回の十五年度の予算について、こうした不安をはね返すような、まさに小泉内閣がデフレ経済を克服して景気回復につなげるんだというような、目玉になるような予算の中身というのはどこにあるんですか。
塩川国務大臣 後でまた総理が返事すると思いますけれども、まず最初に、このほかに減税分が先行しておりまして、減税分が一兆八千億円先行しております。この分のはね返りというものは、三年度から、四年度には私は確実に出てくると思っておりまして、その分とあわせて見ました場合に、GDPに対する影響は、増税分だけの影響だけではなくして、減税分は反映してくると思って計算をいたしております。
上田(清)委員 総理にもお願いしたいと思います。
小泉内閣総理大臣 これは、今、負担の面だけを強調されましたけれども、全体の予算を考えてみれば、減税の方が多いわけです。二兆円を先行減税している、そして、たばこ、発泡酒等で二千億円の増税、差し引き一兆八千億円の減税先行しております。さらに、予算の手当てをしております。公共事業も含めて、社会保障給付も含めて、あるいは、各、教育、福祉、全予算含めて、民主党も、この全体の規模は変えるなと言っているんですから。そういう点から見れば、私は、持続的な経済成長に結びつくような予算を組んでいる。
 現に、ことしじゅうにデフレ克服ということではなくて、不良債権処理も含めて、十六年度中には最終処理をしたいということで予算を組んだわけでありまして、全体の状況から考えて、将来の持続的成長をにらんだ予算だと思っております。
上田(清)委員 先行減税の一兆八千億は、例えば証券税制、九割の方が機関投資家ですから、一般大衆には余り関係のない話でありますし、企業研究投資減税も、これもまた一般国民には余り関係のない話であります。あるいは、贈与税で、住宅を建てる場合に三千五百万まで無税だという、これは住宅促進に役に立つ話だと思いますが、これも一般大衆には、場合によっては関係のない部分もあるかもしれない。私はこんなふうに思いますので、必ずしも、今十五年度の予算が、一般大衆、国民をハッピーにするような予算ではないじゃないかというふうに思わざるを得ないと思います。
 そこで、小泉総理は、何よりも構造改革を訴えておりますが、予算の本当の中身に切り込んでないじゃないかと私は強調したいんです。
 資料の二で、お手元にもありますが、一般会計の八十一兆七千八百九十億、これを主に国民は意識しておりますし、多くの方々は意識しておりますが、その根っこのところに三十二の特別会計があって、そこで三百六十九兆二千九百七十五億円が予算に計上されていまして、そしてこれが行ったり来たりしておりまして、一般会計も、いきなり六割は特別会計に繰り入れされるんですよ。そして、三割は補助金に行って、一般会計で本当に使っているのは一割なんですよ。そして、それが特殊法人に流れ、公益法人に流れ、関連子会社に流れていく仕組みを断ち切らない限り、民の花は咲かないですよ。枯れ木ですよ、先の方に行けば行くほど。
 そういう仕組みを、亡くなりました石井紘基がしきりにやっていたんです、日本がいかに官経済かということを。(パネルを示す)名目GDPの約五百兆のうち、これは二〇〇〇年度予算ですけれども、政府関連支出が二百六十兆円だと。さっき言いました一般会計と特別会計のダブりの部分を抜いたのが、今年度の予算では二百三十二兆円、二〇〇〇年度は二百六十兆円。アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、いずれも十分の一だとか五分の一ぐらいなんですよ。日本だけが半分以上官製ビジネスをやっているから、なかなか景気がよくならないんですよ。総理はそこに気づいて財投改革だとか郵貯改革を言っておられると私は信じておりますけれども。
 この十五年度の特別会計を一つ一つ、私も数字を追っかけてみました。十年在職して初めてやりました。八百ページ、ほとんど読み尽くしました。変わってないんですよ、全然昨年度と。特別会計を何とかしなくちゃ話にならぬ、私はこんなふうに思っておりますが、この特別会計にメスを入れる決意というのは、総理、あるんでしょうか。
小泉内閣総理大臣 だから私は構造改革なくして成長なしと言っているんです。官製経済、官から民へ、中央から地方へ、今ようやく緒についた。そして、今、上田議員が指摘されたように、特別会計、これも問題があります。こういう改革を進めることなくして私は持続的成長は不可能だと思っておりますので、この姿勢を一貫して貫いているということを御理解いただきたい。
上田(清)委員 財務大臣、先般、財務金融委員会で私のこの特別会計問題に触れて、母屋でおかゆを食って辛抱しているのに離れで子供がすき焼きを食っている感じだと。さすがに財務大臣はいい感性をしておられると私は思っておりまして、まさにそのとおりだと私は思っております。
 本当にこれは、特別会計が三十二もあって、私ちょっとマル、カケ、三角を全部やってみて、マルが六つぐらいしか残らなかったんですよ。これは、例えば登記特会、登記の印紙収入を特会にして、そういう話になってくるんだったら、すべての印紙は特会をつくれるわけですよ。とにかく各省庁に特別会計をつくって、その特別会計から特殊法人に流れていく。例えば、評判の悪い年金福祉事業団から年金資金運用基金になった、ここも厚生年金特会からお金がどんと行く。あるいは、二千七十の体育、勤労者施設をつくった雇用・能力開発機構、これも労働特会からぼんとお金が行っている、労働保険特会から。それがぐちゃぐちゃに使われているんじゃないですか。
 だから、これに本当にメスを入れない限り、幾ら特殊法人改革だと言っても、根元を絶たないとどうにもならないんですよ。
 財務大臣、本当にプロジェクトでも起こしてやってくれるんですか。
塩川国務大臣 これは、昨年の臨時国会のときにも上田さんから質問があって、私はそのときお答えした。さらに、最近、財金委員会におきましてもその御質問がございました。
 私は、このことについては、省内で検討の委員会といいましょうか、まだ委員会にはなっておりませんけれども、どういうふうに検討を進めるかということの段取りをするということで、主計局長と寄りまして話し合いを進めております。そして、近いうちに財政審議会の会長、委員が全部かわりますので、その先生方、委員の先生方に、特別会計のあり方について検討してもらう委員会を発足させてもらいたいと思っております。
 幸いにして、今度、今井会長から新しく貝塚委員長にこの件につきましての申し合わせもございましたので、言い渡しもございましたので、財政審議会でいってくれると思っておりますして、先週でございますが、この問題について総理とも相談いたしました。やはり構造改革の一つの大きい目玉として、特に総理から、自主財源を持っておる特別会計とそうでない特別会計とあるが、そういうようなものを区分して、自主財源を持っておる特別会計のいわば検討をまずやってもらったらどうだろうと。そういう段取りで進めていきたいと思っております。
上田(清)委員 ありがとうございます。
 そこで、今申し上げました独立行政法人の雇用・能力開発機構による勤労福祉施設が全国で二千七十カ所つくられて、今それが売却されているところが話題になっていますので、この問題を取り上げますが、そもそも雇用保険は失業者のために使うお金であって、それ以外のお金にやたらと使われているところに問題があります。
 御承知のとおり、雇用保険三事業に係る、資料の五ですけれども、パネルにしておりますが、ここから補助金をもらっている団体が四十二もある、その中の有名なところがこの雇用・能力開発機構だ、こういう位置づけで私見ておりますが、パネルの六、資料の六です。「勤労福祉施設の譲渡金額」、四つほど出してみました。十万五千円、一万五百円、一万五百円、一万五百円と。この四つですね、今話題になっております、やたらめったら安いと。それなりの理由があると思います。改めて、なぜこんなに安いのか、理事長、教えてください。
七瀬参考人 ただいま譲渡価格のことについてお話がございましたので、お答え申し上げます。
 先生のパネルの施設は、いずれも地方公共団体の土地の上に設置したものでありまして、このようなケースにつきましては、建物の不動産鑑定評価額から解体撤去費用を控除した額を譲渡価格とすることといたしております。その結果、御指摘の施設の場合、建物の評価額から解体撤去費用を控除した額は、いずれもマイナスとなっております。
 具体的に申し上げますと、総社につきましては評価額が三千三百六十万円、撤去費用が三千三百七十万円、稚内につきましては評価額が二百八十三万円、解体撤去費は一千四百九十万円、志雄につきましては、評価額九百二十八万円に対して撤去費用一千五百九十七万円、白鳥につきましては鑑定評価額は一千百四十万円、解体撤去費は二千二十万円でありまして、いずれもマイナスとなっておりますが、その場合、鑑定評価額が一千万を超えるものについては十万五千円、その他の施設については一万五百円ということでございまして、地方公共団体の要望を受けて一緒になって設置してまいりましたものを地方公共団体にゆだねるに際して、こういう土地の上に乗っているということも含めて、こういう譲渡価格になっているところでございます。
上田(清)委員 資料の七を見てください。
 そういうことしか言わないもので、調べてみましたよ。例えば、今、岡山県総社市への、平成二年に二億九千三百五十五万、そして十万五千円で売ったと同じころの、昭和六十三年の徳島県阿南市の二億七千五百万円、これは一億六百九十九万で売っているじゃないですか。いいですか。それから、今話した稚内の。同じ北海道の小樽市で一年前につくった、二千八百八十五万円の建設費、当時ですね。そして、同じ二千八百十二万。小樽市で四百六十二万で売っているじゃないですか。同じように、石川県志雄町のやつは、それから長崎県の鹿町町と同じ規模ですね。二千八百七十七万で売っているじゃないですか。香川県白鳥町、一万五百円だけれども、山口県柳井市、同じ時期に同じような建物をつくって民間に売ったわけですけれども、二千五百九万で売っているじゃないですか。何で違うんですか。理由を説明してください。
七瀬参考人 先ほど申し上げましたように、地方公共団体の土地の上に乗っているものについては、その撤去費用を控除いたしております。いずれも、鑑定の結果等、取り壊し費用の算定に基づくものでございます。
上田(清)委員 何も答えていないじゃないですか。質問をよく聞いてください。なぜ一方では一万円、なぜ一方では一億円になるんだと聞いているんですよ。同じ程度の規模のやつが。現場のやる気と、やる気のなさの違いじゃないですか、私に言わせれば。それとも、きちっとした理由があるんだったら答えてください。あなたは責任者でしょう。全部、二千七十しろとは言いませんけれども、少なくとも私は、朝のうち、この程度のことは言ったわけですから。何か一つぐらい覚えているでしょう。一方では一億六百九十九万だと。一年古いんだ、こっちの方が。建設費もこっちの方が安いんだ。同じ時期に同じものを建ててなぜこんなに値が違うのか。一つぐらい覚えているでしょう。一つも覚えていないんだったら、すぐやめて帰った方がいいよ。
七瀬参考人 いずれも鑑定評価額に基づいてやっているわけでございまして、先ほど御指摘のありました件については資料を持っておりますけれども、今、それ以外の新しく御提起のありました件については資料を持っておりません。
 ただ、徳島の阿南市のケースについては、建物の効用それから経済的な減価率、そういったものが比較的高いからそういう結果になっておるわけでございまして、鑑定評価額に基づいて、それから取り壊し費用を減価して計算しているわけでございまして、この建物が勤労者の方々に果たしてきた効用が一方にあり、時を経るに従って減価してきている、その減価してきている程度の違いでございまして、ちょっと具体的な、個々のところについて鑑定評価額なりなんなり、資料を持ち合わせておりませんのでお答えできませんが、考え方は一貫した考え方で譲渡しているところでございます。
上田(清)委員 理事長、例えば先ほど出したこの白鳥町も、ここだけが月額三十万円払っているのよ、お金を。あとのところは土地代を払っていないの。私が提案したさっきのこの資料七の八つのうち一つだけ、白鳥町だけが土地代を月額三十万払っていて、あとは払っていないの。ところが、一番最後に売っているの、この八つだけでいえば、白鳥町が。もし土地代も払うのも大変だから早く売っ払えということであれば、土地代を払っているところから先に売っ払えばいいんだけれども、土地代を払っているところは全然売らないで最後になって、土地代も払っていないところを先にぱっぱぱっぱ売っちゃっている。
 いいですか、あなたは最高責任者なんだから、これだけ世の中の話題になっていて、鑑定でいろいろやりましてそうですと言うんじゃなくて、個別具体的に、たった一つでもいいんですよ。二千七十のうちに高目で売れたところはなぜ高目で売れたのか、この差を国民に明らかにしなければ、冗談じゃないよ。去年、千分の十七・五になったんですよ、保険料が。おととしは千分の十四・五になったんですよ。その前はずっと千分の十・五だったんですよ。一番景気がよくて失業率がないときには、どんどん五兆円まで積み上がった保険金をどんどん使っちゃった。肝心の失業率が高くなって使わなくちゃいけなくなったときには、お金がないから今度は保険料を上げる。おまけにこの処分が、一万円だ、十万円だ、一方では一億だ。だれが納得するんだ。説明してください、一つぐらい。
七瀬参考人 いずれにしても、鑑定評価のときに、その残っているものについての評価が高いものについては、解体撤去費用を差し引いても譲渡価格がかなり大きな額になるということでございまして、徳島県の阿南市のようなところについては、まだ経済的な効果があるから高い鑑定評価になっているわけでございます。
上田(清)委員 二千七十個もこうした問題があって、一つも詳しく説明できないような理事長は、やめるか、それこそ厚生労働大臣にあれしていただくか。説明できなければ話になりません、これは。一つぐらいできるだろう。
藤井委員長 坂口力厚生労働大臣。労働大臣としてお答えください。
坂口国務大臣 御指摘をいただいております雇用保険、いわゆる雇用保険と、いわゆる雇用保険三事業というのがございまして、雇用保険三事業の方は、これは、いわゆる失業者に対する手当よりも、こうした勤労者に対する福祉の問題でございますとか、そうした問題を取り上げてきているものでございます。
 今御指摘いただきましたように、十万五千円あるいは一万五百円というこの価につきましては私も今まで知っておりましたが、その最後にお挙げになりました価との差というのは、私もちょっと今わかりませんので、至急調べまして御報告を申し上げたいと思います。
上田(清)委員 残り時間が少ないですけれども、この質問に関しては留保させていただきまして、同僚議員の後にさせていただきたいと思います。
 これは極めて大事です。保険料を値上げしております、ここ二年間。そして、失業率の高さで国民が不安感を持っております。そういう中で、今までに処理されたものが、理事長が一つも理解できていないというんじゃだれも救われませんので、私は保留したいと思いますので、委員長、お計らいいただきたいと思います。
藤井委員長 厚生労働大臣、理事長、今そのことに答えられますか。
 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
藤井委員長 速記を起こしてください。
 坂口厚生労働大臣。
坂口国務大臣 それでは、申しわけありません、この終わりますまでに調べまして、御提出をいたします。
上田(清)委員 では、よろしくお願いします。
藤井委員長 五分間残っておりますから、五分間保留にしまして、民主党さんの最後の質問の後に上田清司君の質疑をしていただくことになりました。
 次に、筒井信隆君。
筒井委員 民主党の筒井信隆でございます。
 この前に引き続いて、大島農水大臣の想定問答を衆議院の法制局がつくった、この問題について質問をいたします。
 大臣の答弁の想定問答をつくることは、これはあり得ないし、必ず断る、これは窪田法制局長がこの予算委員会でも明確に答えたことでございます。これは、あのときも申し上げましたが、当たり前のことで、大臣は行政府の長でございまして、その行政府の長の金銭スキャンダルの問題について、衆議院の、立法府の法制局が想定問答をつくるなんというのは、まさに三権分立の否定であって、また、衆議院法制局の公正不偏、公正中立、これに明確に反する重大問題でございます。
 そして、しかも今回のこの想定問答は、まさに大臣のこの予算委員会における答弁の想定問答をつくったことは明らかでございます。大体時期的にも、二月の二十日に予算委員会の集中審議が予定されていて、そこでは政治と金の問題、最大のテーマが大島農水大臣の問題であった。それを前日の十九日につくった。前日の十九日の、何か窪田法制局長は、予算委員会の理事会では、四時ごろに大島農水大臣からの依頼があって、週刊文春の原稿がファクスされて、そして八時ごろまでにつくった、こういうふうに述べておられるようでございますが、四時なのか六時なのかは別にしましても、前日に、急遽五人の課員を動員してつくった。その書類を、農水大臣が、農水省の車で農水省の秘書課の人間にとりに行かせた。内容は、もちろん想定問答の問い、答えという形式になっていると同時に、法律解釈はほんの一部であって、ほとんどが、申しわけなかったとか事実関係とか、そういう中身になっている。それで、実際に、二十日の予算委員会で大島大臣はその想定問答の中身のとおりに答弁している。どこから見ても、これが大臣の答弁の想定問答をつくったこと、これは明らかでございました。
 これを一つ一つお聞きしていきますが、まず、きょうは窪田局長、次長も……(発言する者あり)局長だけ。お聞きしますが、次の日、翌日、予算委員会で政治と金の問題の集中審議があって、そこで農水大臣の問題を含めて審議される、こういう予定であった、この認識はもちろんあってつくったものでございますね。
窪田参考人 お答え申し上げます。
 この時期に予算委員会、連日行われておりますので、毎日予算委員会、審議が続いているということは存じておったわけでございますが、ある議員がこのような質問で答弁に立つという認識はなかったということでございます。
筒井委員 そうしますと、厳密に聞きますが、まず、二十日に予算委員会が開かれて政治と金の集中審議がある、その最大のテーマが大島農水大臣の問題だった、この認識はあったんですか、なかったんですか。
窪田参考人 お答え申し上げます。
 私どもが依頼を受けたことについて、二月二十日の委員会の、そのための答弁資料であるというような認識はなかったわけでございます。
筒井委員 全然質問に答えてないですね、一貫して。私が聞いているのは、法制局において、翌日二十日に予算委員会の集中審議があって、ここで政治と金の問題が議論されて、審議されて、大島農水大臣の問題が最大のテーマだった、この認識があったかどうかを聞いているんです。今、答弁用につくったかどうか聞いているんじゃないですよ、それは後の質問ですよ。事実関係の質問だけ、ちゃんと答えてください。
窪田参考人 私どもが議員から問い合わせを受け、資料をまとめておつくりしたという件に関しましては、おっしゃるような認識はなかったわけでございます。
筒井委員 何かあいまいなんで、今、想定問答、その件に関してはと言うけれども、翌日予算委員会の集中審議が予定されている、この認識はあったかどうかを限定して聞いているんですよ。どっちなんですか。
 この前のときは、この前の予算委員会では、窪田長官はその認識はなかった、しかし次長に関してはあったかどうかわからないと言った。それで、予算委員会の理事会では、次長にも聞いたけれども、その認識はなかったと言ったんですよ。それで、今、厳密に改めて聞いているんです。質問だけに、委員長、答えるように言ってください。
藤井委員長 窪田参考人、端的にお答えください。
窪田参考人 この時期でございますので、連日予算委員会が行われていることは知っておりましたけれども、翌日大島議員が答弁をするということは知らなかったわけでございます。
筒井委員 そうしますと、政治と金の問題が審議される、予算委員会でそれが集中審議を予定されている、この事実はどうですか。そして、最大のテーマが大島農水大臣の問題である、この事実はどうですか。
窪田参考人 連日予算委員会が行われておりますから、予算委員会が連日行われているということは承知したわけでございますが、御依頼を受けた翌日に議員が答弁をするということは知らなかった次第でございます。
筒井委員 そうしますと、前の予算委員会の答弁とも、窪田長官、違うんですが、今の認識は法制局次長についてもそういう認識ですね。同じですね。
窪田参考人 それでは、お答え申し上げます。
 現行法の解釈を初めとする法律問題につきましては、議員等からの問い合わせがあった場合でございますが、具体的な議員等からの依頼につきましては、その有無も含め、内容等については答弁を差し控える、これが私どもの基本的な考えでございます。
 そしてさらに、その内容について理事会において、その際私が申し上げましたのは、私は存じ上げなかったと。法制次長はどうかという問い合わせがございましたので、その時点では、私は次長がどうだったかということについてはわからないという答えをしたわけでございます。そして、その後に藤井委員長から、あすの昼の理事会までにしっかりとそういった事実関係その他をすべて精査して予算委員会の理事会に報告していただきたい、その点を強く要請する、こういうお話がございましたので、それを踏まえて御報告したわけでございまして、それが、法制局といたしまして、連日予算委員会が行われておりますので、その予算委員会が連日行われているということは知っておりましたけれども、翌日に大島議員が答弁をなさるということにつきましては私どもは知らなかったということでございます。
筒井委員 では、翌日に予算委員会が開かれるという事実、これは知らなかったというふうに、予算委員会の理事会でそういうふうに答えられているでしょう。厳密に聞きますからね。二十日の日に予算委員会が開かれる、この事実は知らなかった、それは次長もそうである、こういうふうに理事会で答えられているでしょう。その点はどうなんですか。
窪田参考人 この時期でございますので、連日予算委員会が行われていると……(筒井委員「二十日に限定して聞いているの」と呼ぶ)はい。二十日に予算委員会が行われるということは知っていたわけでございますが、その一月二十日に大島議員が答弁をなさるということについては、私どもとしては承知しておらなかったということでございます。
筒井委員 もうその都度あいまいな形ですが。
 きょう配付許可いただいております資料を配っていただきたいと思います。窪田法制局長官にも渡っているかな、資料が。
 窪田長官が言われた……
藤井委員長 筒井君、長官じゃございません。
筒井委員 失礼、局長。
 局長が言われた、大島大臣から電話があって、それでその後ファクスが送られてきた、そのファクスを見ながら電話で話してあの文書をつくった。このファクスされた週刊文春の記事の一枚目だけでもう十分だと思うので一枚目しか出しておりませんが、今示している資料、これでございますね。
窪田参考人 週刊文春のこの記事でございます。
筒井委員 そうしますと、この大見出しに、「ついに国会で集中審議」、それから真ん中あたりに、リード部分ですが、「大島農水相の金銭疑惑追及が、遂に国会でクライマックスを迎える。」それからこの文章の本文、一番最初ですよ。一番最初の行からちょっと読みますが、「二月二十日、」二月二十日ですね。「国会では「政治とカネ」に関する集中審議が行われる。 「最大のテーマが、大島理森農水相に関するさまざまな疑惑です」(民主党国対幹部)」この文章が入っていますが、もちろんこれを読んでつくっているわけですね。
窪田参考人 この週刊誌の記事につきましては、私ども見ているわけでございますけれども、今御指摘になった箇所について承知していたか、私もその点を中で調査の際に聞きただしたわけでございますが、そういうことは承知していなかったというのが事実でございます。(発言する者あり)
藤井委員長 ちょっと静粛に。ちょっともう一回よく聞いてください。
筒井委員 委員長、今の答弁で納得できますか。厳密な法制局ですよ。それが、この文章読みました、しかし、今私が読み上げた部分に関しては、一番最初の文章であり、見出しであり、リード部分ですよ、これに関しては承知しておりませんなんて、そんな答弁が通ると思いますか。そんな答弁をやっている限りは、質問なんか継続できませんよ。
藤井委員長 まず大島農水大臣……(筒井委員「今法制局に聞いているんですよ」と呼ぶ)大島農林水産大臣に、まず経過説明を求めます。
 大島理森農林水産大臣。
大島国務大臣 私が議員としてその論点整理をしたことにかかわって、法制局の今答弁があったわけですが、これは、その日の事実をちょっと筒井委員に経過としてお話をしたいと思うんです。
 そこで、その認識をやはりお願いした上で法制局の答弁を聞いていただきたいと思うのでございますが、私は、二月十六日から既に我がスタッフは論点整理しておりました。当日……(筒井委員「委員長、ちょっとひど過ぎるよ」と呼ぶ)ちょっとお待ちくださいませ。当日、法制局に問い合わせたのは四時前後でございます。そしてそれは、それまでに論点整理をしたことを私が電話で申し上げ、確かにそれそのものかどうかわかりませんが、そういうものをファクスで送ったのも事実でございます。そしてその上に立って、具体的な質問をちょうだいしたのは、その後の六時ごろ、私は質問をいただいております。
 問い合わせしたのは四時でございます。
筒井委員 質問、継続できない。今のはひど過ぎますよ。私、全然今聞いていないんで。
 この文章を読んだ、しかし自分の都合悪い部分は読んでいないというんでしょう。こんな答弁がそのまま、そんなのを前提にして質問できませんよ。
藤井委員長 窪田局長、局長として答弁をおっしゃってください。今の答弁ではどういうふうに釈明するかよくわかりませんので、答弁が。もっとわかりやすく答弁してください。
窪田参考人 お答え申し上げます。
 その週刊誌は見たわけでございますけれども、その部分を認識していたかということでございまして、そのことについては、先生御主張、私、国会職員ですから、それは御主張の趣旨はわかりますけれども、それはそういう認識はしていなかったと私は事実として申し上げている次第でございます。(発言する者あり)
藤井委員長 速記をとめて。
    〔速記中止〕
藤井委員長 速記を起こしてください。
 それでは、窪田参考人、答弁をお願いします。
窪田参考人 週刊誌を見ていたかという点についてでございますが、前回、私は、見ていないし、存じ上げなかったと答弁したわけでございますが、先ほど私が答弁申し上げましたのは法制局としてということでございまして、法制次長以下の職員がどうであったかということでございます。
 特に、法制次長については、理事会で報告をせよという御要請がございましたので、そこのところは入念に聞き取りをして御報告をしたわけでございます。そして、その内容が次長のところに来て、次長はゲラを見ていたということでございますが、今の点に、御指摘の点について、その認識は全くなかったということでございまして、法制局とすれば、その作業というのは、とにかく政治資金規正法あるいは公職選挙法の法律違反があるかないかというような点についての御質問でございますので、その質問について対応いたしたわけでございます。
 私は、その調べた内容を実際に職員から聞き取りをいたしまして、そのような認識があったかどうかという点について、事実としてそのような認識はなかった、このようにお答え申し上げます。
筒井委員 一回だけ質問しますが、もう今の答弁じゃめちゃくちゃで、本当は立てないんだけれども。
 この原稿は、この記事は読んだ、これは認められましたね。だけれども、私が今指摘した「ついに国会で集中審議」、それから最初の六行、それからリード部分で「大島農水相の金銭疑惑追及が、遂に国会でクライマックスを迎える。」これらの部分について認識がなかったとはどういう意味ですか。そこは、読んだと言われたでしょう。読んだけれども認識がないという趣旨ですか。その部分だけ除いて読んだという趣旨ですか。
窪田参考人 お答えいたします。
 聞き取り調査では、その点は、今御指摘があったような点についても問いただしたわけでございますが、結局、法律関係、何法に違反するのかしないのかということについて集中して見ておりますので、見たといいましても、全体を要約して見たというようなそういうふうな読み方、見方でございました。そういうぐあいに認識を、そういうぐあいに読んでいたということでございますので、認識といたしまして、先生御指摘の箇所を認識して当然ではないかという御指摘でございますけれども、事実として、そのような認識がなかったというのが事実でございますので、申しわけございませんが、そのままお答えさせていただいているわけでございます。(発言する者あり)
藤井委員長 速記をとめて。
    〔速記中止〕
藤井委員長 速記を起こしてください。
    ―――――――――――――
藤井委員長 この際、お諮りいたします。
 三案審査のため、本日、参考人として衆議院法制次長郡山芳一君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
藤井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
藤井委員長 筒井信隆君。
筒井委員 大島次長、ようやく出席をいただきまして……(発言する者あり)失礼、失礼しました。郡山次長、ようやく出席いただきました。当初から私は当事者として要求しておりましたが、今まで拒否されておりました。いろいろなことを聞きたいんですが、今までの、きょうの審議の経過に関した継続の点だけまずお聞きします。
 二月十九日に、こちらが言っている想定問答、これを法制次長郡山さん初めとして五人の法制局職員がつくった。それが想定問答であるという根拠の一つに、翌日、二月二十日に予算委員会の集中審議、政治と金をテーマに行われる予定であった。そこでの最大のテーマは、これは大島農水大臣の金銭疑惑問題であった。この事実は知っていて十九日の日にあの書面をつくったわけですね。
郡山参考人 お答えいたします。
 当日、この週刊誌の記事はいただきましたが、先生御指摘のように、翌日予算委員会において大臣が、大島先生が答弁をされるという事実は全く知りませんでした。
筒井委員 資料、今あなたが見たと言われた週刊文春の記事、それを今あなたお持ちですね。
 そこに明確に、ついに国会集中審議、大島農水相ついに国会集中審議と大見出しで書いてありますね。それから、リード部分に、大島農水相の「疑惑追及が、遂に国会でクライマックスを迎える。」こう記載されていますね。そして一行目に、「二月二十日、国会では「政治とカネ」に関する集中審議が行われる。 「最大のテーマが、大島理森農水相に関するさまざまな疑惑です」」まさに、大島大臣の問題が二十日に審議されるということがここに記載されていますね。これは読んでいるんでしょう。
郡山参考人 事実をはっきりと申し上げます。
 まず、その前に……(発言する者あり)
藤井委員長 聞きなさい。御静粛に。
郡山参考人 先生方がなかなか、私がその事実を知らなかったということを御理解いただきにくいということはよくわかります。そのこと自身は、よく私、先生が御疑問を持たれるということはよくわかります。
 私、その前、私が説明させていただく前に、当法制局が置かれている特異な状況ということを一言だけ御説明させてください。その上でお答えいたします。その上でお答えいたします。それが理由です。(発言する者あり)
藤井委員長 御静粛に。御静粛に。
郡山参考人 まず第一点として、今、法制局は、七十数名という少ない数で、与野党を問わずさまざまな先生方からさまざまな問題を、法律問題なり立案の依頼を受けております。みんな走り回るような忙しさの中で仕事をやっております。私もそうであります。したがって、本件はその忙しさの中でやっております。(発言する者あり)
藤井委員長 御静粛に。
郡山参考人 そしてまた、私どもは、先生方の法律問題を検証する、口幅ったいようですが、専門家であります。したがって、法律問題の複雑多岐にわたる論点を与えられますと、私どもの頭はそのことでいっぱいになるんです。それに対していかに誠実にこたえるか、そういうふうになります。
 したがって、もう既に大島先生から、こういう問題、こういう問題、こういう問題というふうに電話でおおよその法律問題についての検討すべき論点が与えられていたものですから、したがいまして、これを読むためには、私がどうやって読んだかというと、この中のそれに関係する部分だけ拾い読みするんです、私どもは。頭からしっぽまで読むなんということをしないんです。そのために、この部分は私どもの目に入っていないんです。
 これは、以上が真実であります。
筒井委員 最も厳密であるべき衆議院法制局が、この文書を読んでいるけれども、読んでいないという答弁なんですよ。こんなめちゃくちゃな答弁を続ける限りは、質問なんかもうできませんよ。(発言する者あり)
藤井委員長 郡山参考人。(発言する者あり)休憩しません。休憩しません。(発言する者、退場する者あり)
 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
    〔委員長退席、宮本委員長代理着席〕
    〔宮本委員長代理退席、委員長着席〕
    〔委員長退席、宮本委員長代理着席〕
    〔宮本委員長代理退席、委員長着席〕
藤井委員長 速記を起こしてください。
 委員長から一言申し上げます。
 先ほど来、筒井委員と法制局との間の質疑応答がございましたけれども、委員長といたしましては、法制局の答弁には、委員長といたしましても大変、常識的に考えられないと申しましょうか、非常に不安な点が多いと私も判断をいたしております。
 しかし、この問題につきましては、予算委員会でこのことについて審議することはもとより、協議することはもとより、所掌する委員会において、この衆議院法制局のあり方、そしてまたその責任の所在等々含めて、その所掌する委員会において措置をすることといたしたいと思いますので、よろしく御理解のほどをいただきたいと存じます。
 筒井君の残余の質疑時間は保留することといたします。
    ―――――――――――――
藤井委員長 この際、お諮りいたします。
 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官平井敏文君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
藤井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
藤井委員長 質疑を続行いたします。長妻昭君。
長妻委員 民主党の長妻昭でございます。本日はよろしくお願いいたします。
 先日、この予算委員会、二月二十日の予算委員会で、私は総理の私設秘書である弟さんの件で質疑をさせていただきましたけれども、そのときの総理の御答弁に関して訂正されることは、総理、ありますか。
小泉内閣総理大臣 疑惑はありませんという答弁、訂正する必要はありません。
長妻委員 契約はないという答弁、訂正する必要はないというふうに今言われましたけれども、結局、この前の委員会でも申し上げましたけれども、この日立金属も私に契約はあるというふうに証言をしております。(発言する者あり)疑惑はないというふうに言われたということですけれども、では契約はないということですか。
小泉内閣総理大臣 契約かどうか、ともかく疑惑はありません。
長妻委員 これは総理、そうしたら答弁をこれは訂正していただかなきゃいけないですよ。
 これは速記録でありますけれども、二月二十日、前回、政治と金の集中審議、小泉総理大臣、そういう契約はないと言っているんですというふうに明確に言われていますから、契約はないということですか。
小泉内閣総理大臣 疑惑を持たれるような契約はありませんと言っているんです。
長妻委員 いや、形容詞がなく、そういう契約はないと言っているんですから、と総理が御答弁されているんですから、では契約はあるということですか。
小泉内閣総理大臣 契約とかそういうのじゃなくて、あなたは、不当な口ききの働きかけがあるという、疑惑があるということを言ったんでしょう。そういうことはありません。(長妻委員「そんなこと聞いてないです。違います。契約です」と呼ぶ)そういうことはありません。契約など、特定の工事発注についての契約などありません。
長妻委員 総理、それはおかしいですね。
 もう一回聞きますけれども、平成十二年の十二月入札の舟倉ポンプの工事、日立金属が落札をいたしましたけれども、そのときに、成功報酬契約として弟さんがやられているコンステレーションと日立金属が前もって契約をした、成功報酬契約、これはありますか。
小泉内閣総理大臣 契約というとかそういうものじゃなくて、はっきりと、それは領収書は書いたということであって、不当な口ききとかじゃ、全く関係ないんです。
長妻委員 どんな領収書を書かれたんですか。
小泉内閣総理大臣 それは、コンステレーションという会社と日立金属の間に、普通のビジネスとしての領収書ということであります。全く不当な口ききとか不正な政治献金とかいうことはないということであります。
長妻委員 それでは、総理、これは議事録をよくお読みいただきたいと思うんですが、二月二十日の総理答弁で、そういう契約はないと言っているんです、よく注意して御発言いただきたいと思いますというふうに私に言われているんですけれども、これは訂正してください、そうしたら。
小泉内閣総理大臣 先日の委員会で、長妻さんから、弟の会社が横須賀の公共事業に関し、特定の企業の受注の手伝いをしてそういう契約をしたのではないかという質問がありましたけれども、疑惑は一切ないという話を聞いておりまして、私はそのような答弁をしたところであります。
 実際に調査せよという話がありましたが、そのような疑惑は一切なかった。(長妻委員「契約はあるんじゃないですか」と呼ぶ)契約とかいう、そういう問題じゃありません。あなたは、口ききの疑惑に対する契約と言ったんでしょう。契約じゃありません。(長妻委員「納得できません、それは。訂正しない限り、納得できません」と呼ぶ)
藤井委員長 もう一度質問してください、長妻君。長妻君。長妻君。(発言する者あり)ちょっと待って。冷静に。冷静に。
 では、小泉内閣総理大臣。
小泉内閣総理大臣 私は、口ききなどの疑惑に対する契約はないと言っているんです。
藤井委員長 長妻君、もう一度質問してください。(長妻委員「訂正してください、答えてないです。よく注意して御発言ということで総理、言われているんですよ」と呼ぶ)
 小泉内閣総理大臣。
小泉内閣総理大臣 しかし、疑惑がないにもかかわらず、あたかも疑惑があったような、不正な口ききがあったような質問をされたじゃないですか。私は、そのような疑惑は一切ないと言っているんですよ。(長妻委員「契約を聞いていたんですよ」と呼ぶ)契約もない。契約とは、これはちゃんと質問してくれていいですけれども、それは、領収書というようなものはあったと聞いております。しかし、特定の工事に関する契約はないということであります。(発言する者あり)
長妻委員 総理、今、特定の契約がないと言われましたけれども、特定の契約というのは、平成十二年十二月の入札、これは日立金属の、落札しましたけれども、日立金属が事前に、日立金属とコンステレーションとの間の契約、この特定の契約がない、こういうふうに今御答弁ですか。
小泉内閣総理大臣 特定の契約はありません。
長妻委員 特定の契約がないという御答弁。ということは、これは二月二十日の答弁と、では同じということですね。
 そうしましたら、だから、これがちょっとおかしくなるわけでありますけれども。資料にもつけさせてもらいましたけれども、例えば、私が質問した翌日の朝刊、資料2でございますけれども、朝日新聞とか毎日新聞も日立金属に取材をして、日立金属は契約、報酬の支払いを認めたと。契約の有無については否定しないということを言われていると。
 そして、自民党の求めに応じて、テープを提出しろということでありましたので、私が持っているテープを提出しております。自民党は精査をするということでありましたけれども、一体どうなっているのか、まだ聞いておりませんけれども。いずれにしても、こういう日立金属は契約があると言っているんですよ。総理はないと言われている。それ、ぜひ調査してください。
小泉内閣総理大臣 私も調査を指示して、いたしました。
 そしてテープを、あなたが日立金属側とのテープを配付いたしました。それで私も読んでみました。ところが、一部省略ということを書いてあるじゃないですか。それで、その省略しているところのテープも入っていました。そうしたら、日立金属側は、日立金属は小泉純一郎とのつき合いは全くない、政治献金もないなどと述べているじゃありませんか。なぜそれを隠すんですか。そこだけ省略して、違うところの速記録を皆さんのところに配っている。これはいかがなものか。
 テープを持っていながら肝心なところは省略して、カットしている。これは私は、いかにも、向こう側は小泉純一郎とのつき合いは全くない、政治献金もないと述べているところを何でカットしたんですか。それで、いかにも疑惑ありげな、不正な口ききがありげなようなことをしている。
 そして、調べた結果、特定の工事に対する契約などありません。
長妻委員 総理、質問に答えていただきたいと思うんですが、そのテープは……(発言する者あり)
藤井委員長 御静粛にお願いします。
長妻委員 テープは私、全部オープンにして、マスコミの求めに応じても、マスコミにもオープンにしている。
 総理は、今私の質問というのは、特定の契約がないというふうに言われているわけですよね。それは二月二十日と同じ答弁なわけ、契約がない、工事の契約がない。日立金属はあると言っているんですよ。私にも言っているし、新聞にも言っているわけです。
 そうすると、片方はあると言っている、総理はないと言っている。そうであれば、総理、どんな契約かぜひ調査をしていただきたいというのを求めます。
小泉内閣総理大臣 調査をした結果、言っているんです。特定の工事の契約はないんです。
 しかも、あなたが言っている工事についても、横須賀市は不正な口ききが入る余地ないんです、これは。ないんです、それは。ありようがないんです。これはよく調べていただければわかりますよ、市で。
 こういうことを、あなたも、それは議員ですから、疑惑があるんだ、あるんだという一部の報道を信用して私の方を信じない、それは野党と与党で、長妻さんが私を追及したいという気持ちはわかりますよ。私を傷つけたいとか、イメージダウンを図ろうという意図はわかりますが、それはないんですから、ないんですから。そういうことはないんですから。(発言する者あり)
藤井委員長 御静粛に。御静粛に。
小泉内閣総理大臣 それがあたかもあるような形で質問されるというのは、私は大変残念だと思っております。(発言する者あり)
藤井委員長 冷静に。御静粛に。冷静に。
長妻委員 ちょっと今の総理の発言、取り消していただきたいと思います。
小泉内閣総理大臣 何で取り消す必要があるんですか。疑惑がないのに、何で疑惑があたかもあるようなことを。
 それははっきり言っているでしょう。特定の工事に対して不当な口ききが入る余地ないんですよ。
長妻委員 そうしたら、領収書があると言われましたね。この領収書は何に対する報酬の領収書ですか。だれがもらったんですか。
小泉内閣総理大臣 それは、コンステレーションという会社と日立との普通の仕事上の領収書ですから。これだって、聞いたところによりますと、不正な金でも何でもない。日立側も、正規のものだと。そういうものであって、ちゃんと届け出もしている。それは会社同士の話ですから、全く不正じゃない。しかも、聞いたら、銀行振込で、正規の手続全部踏んでいると。これがどうして疑惑なんですか。
長妻委員 そうしたら、その今の領収書というのは、これは舟倉ポンプ場における平成十二年十二月の工事に関する報酬ということでよろしいですね。
小泉内閣総理大臣 全くそういうことじゃないんです。それは、会社同士でありますよ。そういう特定の工事に対する契約なんかないんですよ。
長妻委員 では、どういうお金ですか、領収書は。何の仕事の領収書ですか。
小泉内閣総理大臣 それは、会社同士ですから、どんな仕事かというのはいろいろあるでしょう。(発言する者あり)
藤井委員長 御静粛に。
長妻委員 再度、日立金属の証言を整理いたしますと、日立金属は、このテープにもありますけれども、私に、何しろ成功報酬の契約をあらかじめ結んだ、その費目は販売手数料である、その目的は、日立金属が平成十二年十二月のこの舟倉ポンプ場の沈砂池機械設備工事を落札するかしないか、この工事の成功報酬契約だと。
 二番目としては、弟さんの方からアプローチがあったと、日立金属に。マル三としては、一般には手に入らない情報をいただいたんだ、こういうことを言っているわけでありますから、総理、その領収書の金というのは具体的に、じゃ、どういう仕事の報酬なのか。総理、これは答える義務があると思うんですよ。
小泉内閣総理大臣 これは、特定の工事に対する手に入らない情報なんかないんですよ。横須賀市は、それは……(発言する者あり)よく聞いてください。市を調べていただければわかります。工事についても横須賀市は、もう早く発表しているんです。口ききの入る余地はないんです。日立金属側はどう言うかわかりませんよ。(発言する者あり)それは普通のつき合いでしょう。それは、弟が、そういう特定の工事に対する日立金属側との工事の契約はないと言っているんですから、一方的な情報をもとにして、あたかも特定の工事との契約だという、そういう疑惑がある、疑惑があるというのは、私は甚だ残念であります。
長妻委員 ちょっと、総理の御答弁、さっぱりわからないんですね。この領収書があるということですよね。領収書があるということは、日立金属から報酬の支払いがあるということでありますけれども、じゃ、これは具体的にどういう性質の報酬なのか、幾らなのか、いつなのか、その三つをお答えいただきたいと思います。
小泉内閣総理大臣 それは、普通の仕事上の話し合いで、特定の工事の話し合いじゃないと。
藤井委員長 長妻君。――小泉内閣総理大臣。
小泉内閣総理大臣 何度も答弁しておりますが、横須賀市のいろいろな工事に対して不正な口ききとか、そういうことは入る余地がないんですよ。よく調べていただけますか。
 だから、私は、長妻議員の言うことに対しては、関係ないと言っているんです。これは、信じる、信じないはあなたの勝手ですけれども、ないんだから、どうやって調べたって。横須賀市の工事、それじゃ、よく調べてくださいよ。どうやって秘密の情報を手に入れられるのか。入れられない。そして、この普通の工事の、特定の工事に対する、ないと言っているんですから、ほかのことについて答弁する必要はないじゃないですか。
藤井委員長 長妻君。長妻君。長妻君、質問してください。(発言する者あり)
長妻委員 そうしましたら、お金の授受は今認められたわけでありますけれども、じゃ、包括的な契約というのはあるわけですね。
小泉内閣総理大臣 それは会社同士ですから、いろいろな仕事はあると思いますよ。しかし、日立金属側は、小泉純一郎とのつき合いは全くない、政治献金もない。それは関係ない。それは会社同士ですから。それは、弟の秘書は来ておりますけれども、やはり私の仕事とは関係ないんですから。それを一々私的なところまでどう関係あると、私は甚だ迷惑ですよ。日立金属側も言っているじゃないですか。全くつき合いもないし、献金もないと。(発言する者あり)
藤井委員長 小泉内閣総理大臣。
小泉内閣総理大臣 それは、コンステレーションと日立側との特定の工事との契約書はありません。(長妻委員「包括的はあるんですか。包括的契約書」と呼ぶ)包括とか何かわかりませんけれども、それはどういう約束かわかりませんけれども、収入等の領収書というのはあると聞いております。しかし、特定の工事の契約ではない。
長妻委員 領収書はあるけれども、その領収書の契約、基づく契約がないと。そんなことはあり得ないんじゃないですか。包括的な契約は、コンステレーションと日立金属の間で、あるということじゃないんですか。
小泉内閣総理大臣 契約とかどうか、私わかりませんけれども、今長妻さんは特定の工事と言われておりますけれども……(長妻委員「包括的と今言っているじゃないですか、包括的と」と呼ぶ)それは会社側ですから、どういう仕事をしているかわかりませんが、そういう、契約書じゃないけれども、領収書のやりとりはあるとは聞いていますけれども、それは全く契約書とは違う。
長妻委員 コンステレーションという会社は弟さんが社長の会社で、飯島秘書官も監査役に入られていて、公設秘書の方も役員で入られている会社なんですよ。そして、この横須賀市の入札というのは、横須賀市というのは総理のまさに地元なんですよ。そして、弟さんというのは、単なる弟さんじゃなくて私設秘書なんですよ。そして、ことしの新年会も、弟さんが名刺を持って総理の名代としてあいさつをかなりされているというのも聞いておりますよ。
 それで、あっせん利得処罰法は、今度は私設秘書も含まれるようになっているんですよ、公共事業のこういう問題でも。ですから、総理、これは私は疑惑だと思いますよ、はっきり言って。
 ですから、総理が、その包括的契約がない、でも領収書はあると。領収書があるということは、お金をもらっているわけですから、その契約がやましいところがなければ、堂々とここで言われることは何ら差しさわりないと思います。いかがですか。
小泉内閣総理大臣 私は、前から言っているように、弟は私設秘書をしています。それと同時に……(長妻委員「だから、どういう契約書なんですか。何の対価なんですか」と呼ぶ)契約書はないと言っているんです。それは、仕事上のいろいろな約束みたいなものはあると思いますよ。それとどうして私と関係あるんですか。弟は私設秘書として私を支えてくれておりますが、それと同時に社会人ですから。その会社のコンステレーションとの関係についてどうして疑惑があるかと、一般人として……(長妻委員「では、証明してください、ないと」と呼ぶ)だから、ないんだから。ないんだから、それは。
長妻委員 では、最後、もう一回聞きますよ。この領収書というのは、コンステレーションがもらっているわけですけれども、どういう情報を上げたり、どういう行動をしたことに対する対価なんですか。その一点だけ。
小泉内閣総理大臣 私が聞いたところ、特別の対価ということではなくて、社会人同士で、つき合い事で、覚書みたいのはあると。仕事をしているんですから、どんな会社でも。そういうことで……(長妻委員「何の仕事か言ってくださいよ」と呼ぶ)これはいろいろな、社会人としてあると思いますが、疑惑につながるような不正は全くないということであります。
藤井委員長 長妻君。長妻君。(長妻委員「内容を言わないと」と呼ぶ)長妻君、質問してください。長妻君、質問をしてください。時間が経過しますよ、長妻君、質問しませんと。質問してください。(発言する者あり)
 もう一度、長妻君、質疑してください。そして、総理、今領収書の件はあるという、認められましたから、それがどういう中身なのかということを長妻君は聞いていると思います。それに対して、どこまでどう答えられるのか、そこのところだけ。非常に単純な問題なものですから、そこのところだけ。
 要するに、もう一度、長妻君、質問してください。
長妻委員 ですから、領収書があるということは、お金の受け渡しがあったわけですから、何に対してそのお金をもらったのか。
小泉内閣総理大臣 再三答弁しておりますが、領収書のようなものはありませんし、特定の対価を……(発言する者あり)領収書のようなものはありませんし、特定の、特定の対価を求めた契約書もありません。(発言する者あり)
藤井委員長 ちょっと速記をとめてください。
    〔速記中止〕
藤井委員長 速記を起こしてください。
 小泉内閣総理大臣。
小泉内閣総理大臣 前から言っているように、特定の契約に結びつくような領収書のようなものはないと言っているんですよ。疑惑はないんですから。しかも、その肝心な、つき合いがないというところをカットしちゃったんでしょう、あなたは配るのに。政治献金もない、疑惑がないというところをカットして、いかにもありそうな、テープがあるあると言って。そういう特定の工事に基づくような契約書はないと言っているんですよ、これは。(発言する者あり)
藤井委員長 長妻君。――総理、領収書はあるわけですね。領収書があることは先ほど認められた。
 内閣総理大臣。
小泉内閣総理大臣 一般の仕事上の関係で領収書のようなものはあるけれども、特定の工事とか契約書とか、そういうのはないと言っているんです。
長妻委員 じゃ、領収書はあるということだと思いますけれども、今の話は。じゃ、そのある領収書の話をしましょう、ある領収書の。あるということですから。その存在する領収書は、日立金属とコンステレーションの間だと思いますけれども、どういうものの対価でそれは支払われたものですか。
小泉内閣総理大臣 それは、特定の工事とか、長妻議員が言われるようなそういうものではないと言っているんです。(長妻委員「じゃ、どういうものなんですか」と呼ぶ)それは仕事、私企業同士の話ですから、全く疑惑はないと。(発言する者あり)
藤井委員長 長妻君。
 ないと言っているわけですから。(長妻委員「中身、全然言ってないですよ」と呼ぶ)だから、ないと言っているわけですから。(発言する者あり)
 もう一度答弁しますか、総理。もう一度答弁しますか。
 小泉内閣総理大臣。
小泉内閣総理大臣 何回も言っているように、一般的な商行為としてのものであって、特定の工事の契約書はないと言っているんだよ。
藤井委員長 長妻君。――要するに総理、あれですか、そうしますと、領収書はあるが、それは一般的な企業同士の関係の領収書だ、こういうことでございますね。
 小泉内閣総理大臣。
小泉内閣総理大臣 一般的な商行為がある、そして、金銭の支払いはあるが、そういう特定の工事の領収書ではない。
長妻委員 そうしたら、それは、もう一回聞きますけれども、金額は幾らですか、では。
小泉内閣総理大臣 それは聞いておりませんが、ともかく一般的な商行為であって、今言っているような特定の工事とか不正な口ききとか、それは一切関係ないということであります。
藤井委員長 長妻君、時間が来ております。質疑時間が来ております。質疑時間が来ています。だめです。
 これにて長妻君の質疑は終了いたしました。(発言する者あり)御静粛に。御静粛に。
 総理、総理、総理、もう一度。これは疑惑とかそういうことではないので、総理、答えられる中のことを御答弁いただきたい。最後に申し上げます、委員長から。これは何の対価であるかということを御答弁いただきたい。
 内閣総理大臣。
小泉内閣総理大臣 それは何回も言っているように、特定の工事のものではない、不正な口ききもない、入る余地はない、それは普通の私企業同士の商行為だと。
藤井委員長 長妻君。
 ちょっと速記とめて。
    〔速記中止〕
藤井委員長 速記を起こして。
 長妻君の質疑は終了いたしておりますが、最後にもう一度長妻君の質問を許します。
 長妻君。
長妻委員 包括的なというお話ですけれども、そうすると、この舟倉の平成十二年の十二月のポンプ場の日立金属の工事も含む、それも含んだトータル的なコンサルタント料ということでよろしいんですか。
小泉内閣総理大臣 そんな日立側が何を考えているのかわかりませんけれども、特定な工事の契約書なんかないし、そんなのに入り込む余地はありません、横須賀市は。一般的な商行為はあると、会社同士の。そういうことであって、私とは全く関係ないことなんだから。その証拠に、日立側は、一切小泉純一郎とは関係ない、政治献金もないと言って、普通の商行為だと言っているんですから。どうして疑惑があるんですか。委員長がよくさばいてくださいよ。どうして疑惑があるのかと。
藤井委員長 これにて長妻君の質疑は終了いたしました。
 次に、河村たかし君。――次に、河村たかし君。――河村たかし君、質問に入ってください。河村たかし君、質問に入ってください。
 またいずれ機会はありますから、長妻君、いずれまた質問の機会はありますから。
 河村たかし君、質問に入ってください。――河村たかし君、質問席に入ってください。河村たかし君。――河村たかし君、入ってください。
 河村たかし君、席に着いてください、質問席へ。
 総理に申し上げます。先ほどのいろいろなやりとりありますが、総理、今後、この件につきましてまたさらに調査し、そして、一般的な商行為というのは一体何であるかということがもしわかれば、また後刻、後日また御報告いただけますでしょうか。
 内閣総理大臣。
小泉内閣総理大臣 それは、先ほどから答弁している以上のものはないんですから。
藤井委員長 はい。それを踏まえて、また委員長としては、それを踏まえて、契約があるのかないのかということの問題がありますけれども、いずれにしても、一般的な調査をすることはできませんでしょうか、総理、一般的な。特定と申しましょうけれども。内閣総理大臣。
 総理、私から申します。いずれにしましても、今ここで答えられないということもあるのでしょうけれども、よく事実を整理して、後日、また調査して御報告いただきたいと思います。
小泉内閣総理大臣 私は、何度も答弁しているつもりでありますが、どういう点が問題なのか、整理して、後ほど委員長に従って答弁いたします。
藤井委員長 次に、河村たかし君。
河村(た)委員 河村たかしでございます。
 それでは、森山大臣につきまして、それから総理にも後で森山大臣の責任について伺いたいということでございます。
 私のふるさと名古屋でございますけれども、そこで二人の受刑者が亡くなられて一人が重傷を負われたということで、どうもこれが、大臣はいろいろ謝ったりされておりますけれども、本当にそれで済むのだろうかということです。やはり大臣というのは、私は別に個人的に何の恨みもありませんけれども、非常に重い重責を担っております、当然のことながら。
 特に、それが法務大臣ですからね、法務大臣。法務大臣なんだ。これが非常に重要なんだよ。法務大臣、法の正義をつかさどる方がきちっと、罪と罰というか、やったことのけじめがつけられなかった場合は、一体日本国民に対してどういうことが言えるのかということで、私は、結論から言いますと、森山さんにまことに申しわけないけれどもやめていただかなければ、到底この刑務所問題はおさまらないというか法の正義は貫かれない、こういうふうに思っております。
 ところで、まず、前の委員会でありましたけれども、情願というのがありまして、受刑者が、要するに訴える手が何もないものだから、これは「大臣ニ」と書いてありますね、「進達ス」という手段を持っております。
 それで、何とびっくりしましたけれども、私も驚いた。毎年百三十も暴行情願、これがあったらしいんですよね。毎年というか、平成十三年、十四年のところですけれども、職員から暴行を受けたというので、何と百三十件ずつあったと。この声が届いていませんでしたか、大臣。どうですか。
森山国務大臣 名古屋の刑務所でありました一連の事件につきましては、まことに申しわけないと思っております。
 私も、もっと早くにいろいろな情報がたくさん入っていれば、このようなことにならないように手が打てたかもしれないと思いまして、まことに申しわけなく、心から反省しているわけでございます。
 先ほどおっしゃいました情願のことでございますが、情願につきましても、私は、就任当時は存じませんでしたが、しばらくたって、昨年の夏ごろでしたか、参議院の先生からの御質問にかかわりまして説明を聞いたことがございますが、それ以後、これは、大臣あてという、社会から隔絶されている人たちがぜひとも聞かせたいということで出すものであるから、それを大臣がやはり見なければいけないのではないかというようなことを申したものでございましたが、量的にも、数がたくさんありますし、どのように整理したらよろしいかというようなことも含めて検討をいたしますということで、ことしになりまして初めて全部私が見るということになりました。
河村(た)委員 ここでちょっと資料を配っていただけますか。皆さんのお手元に今資料が、これは内部の資料でございますけれども、行きます。
 いいですか。平成十三年及び十四年に処理した法務大臣情願の申し立て事項について。職員関係と、ずらっとありますね。総理もぜひ、後で聞きますから、見てくださいね。十三年、職員関係千九十一と、いろいろ書いてありまして、その後、米印になっていますね。「職員から暴行を受けたとする申立ては、上記表中の「職員関係」に分類されるところ、取り急ぎ調査した結果、平成十三年、十四年ともおよそ百三十件であった。」百三十件ですよ。これは受刑者の最後の叫びなんですよ。これしかないんだ。これしかないんだ、手だては。最後の叫びなんです。これが毎年百三十もあった。
 いいですか。その後、行きましょう。「上記表において、「苦情処理」とは、幹部職員との面接、情願処理に対する不服等を、「保安」とは、独居拘禁、検査、保護房収容、戒具等に関する不服を、「給養」とは、食事、衣類・寝具等に対する不服をそれぞれ指す。」ということで、保安というものの中に戒具等に関する不服も、これまで入っているんですね。だから、後で出てきました五月、九月事犯では、いわゆる戒具で亡くなっているわけですよ、革手錠というので。これはこっちに入っているんだよ。
 そうすると、何とこれだけ膨大な数の受刑者の声が一体どこへ行っておったんだ。何をやっておったんですか、あなた。悪いけれども、これは知らなかったで済まされないよ、言っておきますけれども。
 矯正局長、これはあなたは知っていたのかね。
中井政府参考人 承知しておりました。
河村(た)委員 承知していたと。
 これ、大臣に何も言わなかったんですか。
中井政府参考人 実態についてでございますけれども、実は、非常に長い間の実務慣行といたしまして、矯正局長の段階で事案を処理しておりまして、大臣のもとに上げるようになりましたのは、先ほど大臣の御答弁にもありましたように、昨年来から検討いたしまして、本年に入りまして大臣の方に案件を上げるようになった、こういう経緯でございます。
河村(た)委員 では、この書類は本当のものですね。本物かどうかだけ確認してください、皆さんの内部の。
中井政府参考人 新聞報道の内容の確認はいたしかねますけれども、山花委員の資料要求に対して、多分同じものだと思いますけれども、お渡しした事実はございます。(河村(た)委員「これは本物ですね」と呼ぶ)
藤井委員長 ちょっと待ってください。ちょっと待ってください。質問するときは――資料は行っているんだから。(河村(た)委員「見せたでしょう。自民党の方から見せたはずですよ。ちゃんと言ってください、マイクに入るように」と呼ぶ)
中井政府参考人 間違いございません。
河村(た)委員 では、これは法務省内部の資料ですね。
 それで、この情願というのは、一たん上がってくるとどこでやるんですか。あなたが全部見るわけじゃないでしょう。
中井政府参考人 御説明させていただきます……(河村(た)委員「矯正局の中のどこか」と呼ぶ)
藤井委員長 河村君に注意します。着席のまま勝手に発言しないでください。
中井政府参考人 委員御案内のとおり、情願書につきましては、被収容者がみずから封筒に入れて、封緘いたしまして、封印いたしまして、行刑施設の職員に提出するわけでございます。行刑施設の長が被収容者から封緘された情願書を受け取って、これを速やかに法務大臣に進達することになっております。
 具体的に申しますと、これまでは、行刑施設の長から進達された情願書は、矯正局の職員におきましてこれを開封してきたわけでございますが、現在では、情願制度の趣旨にかんがみまして、進達された情願書は、法務省大臣官房秘書課におきまして開封いたしまして、その全部について法務大臣が内容を確認するとともに、問題があると認めた場合は、その旨指摘するように改められているところでございます。
河村(た)委員 内部の、矯正局の中のどこですか。矯正局の中のどういう部署か、言ってください。――知らないじゃないか。どうなっているんだ、これは一体。
中井政府参考人 矯正監査室でございます。
河村(た)委員 矯正監査室の職員は、刑務官の方じゃないですか、かつて。それから、転勤によって本省からまた刑務所へ戻るんじゃないですか。
中井政府参考人 お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、矯正監査室の職員は、いずれも一般的な矯正職員の人事異動計画の中で配置されているものでございまして、いずれ刑務所等の矯正施設に異動させることもあり得るところでございます。
 同室におきましては、これまで事務処理を行ってきたわけでありますが、情願の今後の取り扱いといたしましては、先ほど申しましたように取り扱いを改めておりますので、大臣から指示があったものにつきましては、今後は、人権擁護局において調査等が行われることとなっております。
河村(た)委員 注意してくださいね。今後のことを聞いておりませんから、今後のことを。僕ばかり注意せずに、ちゃんと言ってくださいよ。
 要は、これは、刑務所官吏これを開披することを得ずということになっておるんですよ。これは、僕は人類の知恵だと思いますね。やはり受刑者が、刑務所官吏ではいかぬから、直接あなたのところに行くようにと。こういう歴史の知恵ですよ、これ。ところで、矯正局の今あける部局は、いつもこれ、転勤して、その人たちなんですよ、刑務所の官吏の人たち。何が言いたいかというと、あなたが見なきゃだめだということなんだよ。そういうことだ。
 あなたは、なぜ就任以来こういういろいろな制度を勉強しようとしなかったんですか。
森山国務大臣 おっしゃるとおり、先月になりましてから、全部を私が見るように変わりました。(河村(た)委員「過去のことですよ」と呼ぶ)
 今までは、先ほど申し上げましたように、最初のころ、このような話がございませんでしたので、私自身承知しておりませんでしたが、昨年の十一月ごろに承知いたしまして、その後、検討し、直すようにということを言ったわけでございます。
河村(た)委員 大臣、だから、あなたはこういうことを見る義務があったということでいいですね、情願を。きちっと答えてください。
森山国務大臣 私の責任だと思います。(河村(た)委員「義務があったと」と呼ぶ)義務もあると思います。
河村(た)委員 そして、その義務を果たしておれば、電話を一本でもかければ、いいですか、毎年百三十件だ、膨大な数なんだよ、一本でも名古屋刑務所へ電話をかけておれば、この結果を防げていたと思わないですか。
森山国務大臣 百三十の情願のうち、幾通が名古屋であったか、あるいはその中の事実が、確認をしてから訂正したり注意したりするわけでございますが、その事実がどのように確認できたかということが、よく今私、数字もありませんのでお答えいたしかねますが、確かに、おっしゃいますように、私が直接最初から見ておりましたならば、もう少し事態を全国的に改善することはできたかもしれないというふうに思います。
河村(た)委員 よし、大分詰めてきましたね。
 それから、五月の革手錠事件の後、局長から大臣に報告が行っていますよね、捜査が継続されるというふうに。これはあなた、聞かれましたね、そこで。
森山国務大臣 報告は聞きました。
河村(た)委員 いや、これは本当に申しわけないですけれども、あなたは明らかにこういう受刑者の声を聞くべき法律上の義務のある立場にいた、そうですね。それで、その義務をちゃんと履行しておれば、この悲劇は防げたということですよ。なおかつ、五月にも局長からさらに報告を受けて、捜査が継続しているとまで聞いている。犯罪があったということでしょう、これ。あなた、これ、知らなかったで済まされると思うんですか、まだ。
森山国務大臣 大変申しわけないことだったと思います。これを少しでも早く改善して正しい方向に持っていかなければいけないと考えまして、情願をまず自分で見ることにいたしましたし、改正するべくいろいろな努力をいたしております。
河村(た)委員 悪いですけれども、僕は余りこういう場でも言いたくないとも思うんだけれども、しかし、これは政治上の責任を超える可能性がある。エイズの事件もありましたよね。行政の過失責任、これは。これは法律上の責任があるんだよ、あなたは。法律上の明確な責任がある。本人も認められた。そして、本人がきちっとやっておれば結果が避けられたであろうということも言っておられるということです。そうなると、業務上過失致死の可能性は十分にある、これは。
 それどころじゃなくて、刑務所の内部ではどうも、矯正局長でとまっておったというのはさっきのでもわかるけれども、矯正局の見るところは全部刑務官なんだよ。そこの中でわざととめて、これはわざと情願をさせて――情願をするということは説明しているね、一言、受刑者に入所のときに。
中井政府参考人 入所に当たりまして説明しております。
河村(た)委員 あなた、受刑者にだけ説明して、大臣に説明せぬとは何ということなんだ、一体これは。どういうことなんだ、一体。こんなの謝って済むものじゃないよ、本当に。犯罪を隠ぺいしたんじゃないのか、組織的な。見たのはみんな刑務官たちなんだよ。
 それから、何人情願者の中で亡くなったか。これ、ちょっと報告してください。
中井政府参考人 お答えいたします。
 取り急ぎ調査させていただきました。過去二年間に処理を終えたもののうち、お尋ねの、情願を申し立てた者が収容中に死亡した事実はないというぐあいに、とりあえずの調査結果では報告を受けております。(河村(た)委員「ない」と呼ぶ)はい。過去二年間でございます。
河村(た)委員 本当ですかね。もし違っておったら大変ですよ、これは。情願者で、ない。間違いありませんか、これは。一応そちらに、報告できないと聞いておったんですけれども、ちょっとびっくりしましたけれども。
 それは一つとしまして、そうしましたら、あと、大臣が自分の責任として三カ月分の給与。どういうことですか、これ、百五十万で。あなた、あなたがきちっと行為しておれば全部防げたんですよ。三カ月分の給与というと、僕は調べましたけれども、百五十万だそうじゃないですか。議員の給与じゃない、役人の給与だけで。そのとがというのが、一人亡くなって一人重傷ですよ。亡くなった方が百万で、重傷の方が五十万とでもいうんですか。そんな話なの、自分の、法務大臣として法と正義をつかさどる人がとる責任は。どうですか。
森山国務大臣 一連の事件に、しかも現在までに事実が明瞭になったものについて、かかわった人々、私も含め、はっきりと処分をした方がいいということを考えまして、二十八日に処分を発表いたしました。
 私については、おっしゃいますように大きな責任があると思いましたので、どのような方法をしたらいいかということを、他の例なども検討いたしまして、そしておっしゃるようにいたしたわけでございまして、これは、何が幾らとかいうことではなくて、全体としての責任を担うという意味で、そういう意味でこの辺が妥当ではなかろうかというふうに思ったわけでございます。
河村(た)委員 きょう、また新たな告訴があったのは知っていますか、大臣。これは先ほどですけれども。きょう、本当に先ほどですから、知らないなら知らないでいいですから。
森山国務大臣 存じませんでした。
河村(た)委員 これは、七月にまた事件があったということで、きょう、また告訴がありました。これはどんどんふえてくるじゃないですか。
 総理、あなた、申しわけないけれども、任意に国務大臣を罷免できると書いてあるんですね、憲法に。これは、やはり内閣の一体性を保つということでございますので。
 これは本当にいいと思いますか。知らなかった、それで、はっきり因果関係も認められておる。謝って済むことであれば、私はそれの方がいいですよ。だけれども、だめなんです、これは。こういうことにけじめをつけていくというのがやはり政治というものじゃないですか。これは総理、どうですか。罷免されませんか。
小泉内閣総理大臣 情願制度というものについて、いろいろ反省すべき点が多々あったと思います。また、今言われるような御指摘、正すべき点、よく反省しながら、今後、御批判のないような対応を図ることが私は法務大臣の責任であると考えております。
河村(た)委員 そうしたら、あれですね、不適正でないと。だから、大臣は森山大臣のままで適正であると言うんですね、解任しないと。そういうことだったら、今度は連帯責任になりますよ、総理大臣。あなたが自分自身で、またいろいろ出てきたら責任を負われますか。やめにゃいかぬですよ、本当に、また出てきましたら。どうですか。
小泉内閣総理大臣 御指摘の点を反省しながら、不備な点、過去の点、いろいろ反省して、このような御批判を受けることのないような対応をとるのが責任だと思っております。
河村(た)委員 いや、これは信じられませんね。
 それじゃ、全国の青少年に言ってくださいよ、総理大臣。いいですか、自分の職務を忘れて、それで、ちょっと努力すれば結果が避けられた。二人死んだ、それで。それも、殺された可能性がある。重傷もいる。それで、あれですか、これから頑張ればいいんですか、知らなかったでいいんですか、百五十万でいいんですか、三カ月分の小遣い返せばいいんですか。どう思われますか、これは。
 総理大臣、よく考えてください。守っちゃだめですよ、そういう仲間の論理だけで。これは法務大臣ですよ。だめなんだ、役所の論理で身内を守っては。どうですか。もう一回、総理。いや、総理、総理に聞きたい。全体の。
森山国務大臣 大変厳しい責任を感じておりますが、そのような経験をさらに生かして、これからの法務行政をより健全に、またオープンにしていかなければならない。そのためには、省内に行刑の検討委員会をつくり、さらに、近いうちに、社会的にこのような問題に見識をお持ちの民間の方に参加していただいて、行刑改革の会議をつくりたいというふうに考えております。
 そのようなものをスタートいたしまして、世間の皆様に御理解をいただき、また、信用を獲得しなければならない、それが私の仕事であるというふうに思っております。
河村(た)委員 先ほどの、ちょっと戻りますけれども、ぜひこれは、情願者で死亡した方の数、ずっとさかのぼって出してもらえぬですか。どうですか。大臣でもいいですよ。
中井政府参考人 お答えいたします。
 特に名古屋刑務所を中心にいたしまして、可能な限りやらせていただきたいと思っております。(河村(た)委員「全国、言ってくださいよ、そこで」と呼ぶ)
藤井委員長 河村君、質問してください。
河村(た)委員 全国でお願いします。
 時間がもったいないですよ。大臣、答えなさい。
中井政府参考人 可能な限りやらせていただきたいと思います。
河村(た)委員 それから、大臣、記者会見のときに、反社会的傾向の強い人たちを制圧すると言って、受刑者をこう呼びましたね、あなた。これはどう思いますか。こんな人権意識では、これはやめてもらわないかぬですよ。何ということですか。
 犯罪行為に至ったときは確かに反社会的だったかわからぬ。しかし、これは、刑務所というのは矯正施設なんだよ、矯正局というんだよ。こんなことを言うようなら、やめてください、本当に。どうですか。
森山国務大臣 犯罪を犯してしまって、残念ながら刑務所に入らざるを得ないという方がたくさんいらっしゃいまして、その方々の中には、私が申し上げたような傾向がそのまま相変わらず続いてしまう人もおります。また、多くの方は一刻も早く更生したいということで努力をしているわけでございますが、いろいろなレベルの、いろいろな内容の、さまざまなバックグラウンドの人が一緒に入っておりますので、それらを全部制圧して、静かな、秩序のある刑務所を保っていかなければいけないという仕事を持っている刑務官に対して、その仕事がさぞ大変であろうということを思いまして、そのような発言をしたのでございました。
河村(た)委員 本当にこれでは情けない、こんな人権感覚では。申しわけないけれども、やはりやめざるを得ないと思うよ。犯罪のおそれがある、これは不作為の。
 それから、時間がありませんから最後になってきますが、これは雪印食品でも、それから山一さんでも……
藤井委員長 河村君、時間が来ています。
河村(た)委員 検察が捜査しまして、みんなトップが責任とったじゃないですか。そういうものなんですよ。法務省のトップがこんなことで本当にいいと思うんですか、総理大臣。これをひとつ最後に答えてください。
小泉内閣総理大臣 いいとは思っておりません。反省すべき点、正すべき点が十分ある、そういう点を踏まえて、こういうことが起こらないように十分な対応をとるということで責任を果たすべきだと思っております。
藤井委員長 これにて河村君の質疑は終了いたしました。
 次に、石井一君。
石井(一)委員 総理、予算委員長、また大臣各位、大変お疲れだろうと思います。私、民主党のアンカーということでございますが、まだ積み残しもございますので。
 イラクへ旅行したりしておりましたが、予算委員会に出席したり、あるいは議事録を全部読んでまいりましたので、ここでの答弁、これまでの議論を踏まえて、ひとつ簡潔に御答弁をいただきたい。特に私は、総理の答弁を多く求めていきたいと思います。
 信なくば立たずというのがあなたの政治信条のようでございまして、国民の信頼というものが最も重要だ、民主主義の根幹だということでありましょう。
 さて、一年十カ月前、あなたは、劇的に自民党総裁に当選されました。これまでの数の論理、派閥の論理を乗り越え、経世会の総帥を見事に破って、国民の信頼を得て、草の根の声を結集して、そうして、その結果、八%の内閣支持率が八〇%に上がったんですから、驚いたですね。こういうことが世の中にあるのか、私の長い政治経験の中でも驚くべき事態が起こりました。
 その最大の理由は、自民党を批判して、自民党をぶっ壊す、政治を変えると。そのライオンのようなヘアで、そしてさっそうとした雄弁。国民は大きな期待を持って八〇%の支持を与えたと思うのであります。しかし、今では、「純ちゃんと叫んだわたしが馬鹿だった」、これは私が言うておるんじゃないよ、朝日の川柳がこういうふうに言っておる。結局、自民党は何も変わっていないじゃないか。政治は何も変わっていないじゃないか。口先だけで行動が伴わない。経済は低迷で、デフレ。都合の悪いことは抵抗勢力のせい、あとは丸投げ。並べたら切りがない、一晩じゅう言うておかにゃいかぬようになってくる。
 まず伺いたいが、総理、自民党をぶっ壊す、そういうことを最近あなたは言われなくなった。九月の再選をねらってか、あるいはもうその思想というものを忘れてしまったのか。簡単に御所見を伺いたいと思います。
小泉内閣総理大臣 自民党を変える、変わらなければぶっ壊すと言ったんです。変える、自民党は変わってきているじゃないですか。
石井(一)委員 自民党を変わってきていると思う人と変わってきていないと思う人を、今世論調査でも聞いたら、九五%そうは言わぬでしょうね。そういうふうに思うということ自体、ちょっとぼつぼつ時代的に感覚が狂ってきておるんじゃないですか。
 あなたが就任してから一年十カ月の間に自民党で出てきておる不祥事、私が調べただけでも六十三件ある……
藤井委員長 ちょっとお待ちください。勝手にはだめです。(発言する者あり)オーケーしておりますか。ではいいです。
石井(一)委員 許可を得てありますから。
 六十三件全部申し上げるわけにいきませんが、高祖憲治、松岡利勝、武部勤、加藤紘一、山崎拓、井上裕、鈴木宗男、久間章生、大島理森、片山虎之助、中谷元ほか、これは六十三件全部読み上げませんけれども、大きく取り上げられただけでもこれだけの事件というものが報道されております。その事件のケースは、総理のところへお渡ししました。皆にもお配りしようかと思ったけれども、もう御存じの方もあるし、そんなことは余りやりたくない。そういうことをしたくないですけれども、自民党の政治は前よりも悪くなった、そういう感覚を持っている国民が多くなってきておるんじゃないですか。総理はやっておると言われたけれども、どうですか。
小泉内閣総理大臣 それは、今資料を見ましたけれども、疑惑という報道まで列挙されております。これは、挙げられた方は随分迷惑な方も結構いるんじゃないでしょうか。単なる一部の報道で、疑惑がある、あるいは多額の献金があった、正規の手続にのっとっても疑惑があるという点も含まれておりますので、私はその点はよく注意する必要があると思っております。
 同時に、今までの自民党におきましても、政策の点におきましても、あるいは派閥の問題におきましても、随分変わってきたなと、見る人が見れば、中には、もう自民党は半分壊れていると言う人もいるぐらい、今までとは変わってきているなと思っております。
石井(一)委員 確かにそういう一面もあるかもわかりませんよ。
 今、ここに、私の手元に自民党の党員の強制加入の問題があるんですが、建設業協会から会長名で会員全員に入会を強制しておる。不況の先が見えない、工事が削減されておる、入札方式がさらに変わってきておる、こういう状況だから自民党へ入ってください、そのことによって仕事をもらいたい。こういうようなことが、建設業界だけでなく、三師会においても、特定郵便局関係においても、不動産業界においても、環境業界においても、すべて起こっておる。これが長崎県連の問題につながっていっておる。来年開業する九州の新幹線の工事受注者から、自民党、推進九名の議員が、過去十年間に自民党の支部を通じて七億円集めておる。これはみんな同じ体質ですよ。
 総理の言われるように、ここに疑惑を持たれたが正しい人もおるかもわかりませんが、今、地方統一選挙を前に、県会議員も市会議員も、どこの議会へ行っても自民党のボスがおって、それがその都市や県の公共事業を仕切っておる。これを国民は、つぶしてくれ、小泉ならやるだろう、この悪徳献金と税金のピンはねだけは何とかしてほしいと。こういうことに対して、何らかの改革を一つでも指示したことが、総理、あるんですか。
小泉内閣総理大臣 政治資金の問題につきましても、これは、今後あるべき政治資金の調達方法、あるいは献金のする側、受ける側、今よりも改善する方法を検討するように指示しているところであります。
石井(一)委員 あなたが公共事業受注企業の献金に対する検討をせよと言うたって、自民党が問題にしないじゃないですか。山崎幹事長に言ったって自民党の話はまとまらない。どうにもならぬという膠着状態にあるじゃないですか。我々は、政治資金規正法に対する改正案を出しております。速やかに審議を求めておきたいというふうに思います。
 十年前、政治改革の議論がありましたときに、私は政治改革特別委員長をいたしておりました。あなたともいろいろ議論をしたことがあります。細川、羽田内閣は、少なくとも選挙制度と政治資金、これを変えた、それなりの実績があったけれども、あなたは、守旧派というか、すべて反対した。中選挙区を主張し、こんなことは意味がないということを言われた。
 そのことを今どうこう言うつもりはありませんけれども、構造改革なしに景気回復はないというふうに繰り返して言われておるけれども、今申しておる自民党をぶっつぶすという政治改革に対して何の手も打たずに、構造改革せずしてどうして今の日本の政治が変わるのか。私はあなたに、もう一度初心に返った立場でこの問題に切り込んでいただきたいということをあえて訴えたいと思います。
小泉内閣総理大臣 構造改革なくして成長なし、私は、構造改革、初心忘れずやっております。
石井(一)委員 政治は結果責任であります。やっておるか、どれだけの成果が上がっておるのか、一々申し上げるだけの時間がこの締めくくり総括にございませんけれども、ほとんどその成果がないという今日に至っておるということだけ申し上げておきたいと思います。
 村山内閣以来、この国の政治は何でもありの政治になっておる。大体、自民党が選挙もせずに社会党の党首を総理にして政権へ返り着いて、自社さ、そうして自自公、そうしてその次に、今は自公保。公明党も、汚職追放の立党の精神というものを捨てて、このごろ公明党の議員の献金の額見ても五倍、十倍になっておるよ。イージス艦でも靖国神社でも、何でもオーケー。政権に入るというのはそれだけ魅力があるのか。保守党に至っては、新がつくのか、この間まで自民党をぼろかすに、公明党をまるで吐き捨てるように言うておった男が代表になって、それで手をもみ手にして、若くもないのに、若げの至りで相済みませんと謝り回っている。それとあなたが一緒ににこやかに手を結んで握手をするという姿を国民が見て、まさに、信なくば立たずというのでなしに、政治に対する信頼というのを失っておるんじゃないですか。
 あなたはもともと、公明党に対しても厳しい批判を持っておった人だ。野党に対してもっと厳しい目を持っておったはずだ。筋を通す小泉純一郎がどこへ行ったのか、最近の姿。反論があったらお伺いしたいが、反論がなければ結構です。
小泉内閣総理大臣 一国の総理大臣として、その内閣に協力してくれる方、できるだけ私は協力を得たいと思っております。過去の言動は問いません。今のいろいろな政策に対して協力してくれる方には門戸を広く広げております。
石井(一)委員 次に、外交案件を相当やろうと思っておったんですが、ちょっと申しわけありませんが、大島農林大臣の問題が先ほどから議論されておりますので申し上げますが、どれだけの時間をこの予算委員会でかけたか。読んでみたら、これぐらいあったよ。これは行政、国会の予算審議にもどれだけの障害を与えておるのか。言っておることを見てみたら、説得力はない。秘書の罪は認めておる。しかし、自分はとにかくあらしが過ぐまで、予算が通るまでどんなことがあろうともカタツムリみたいな顔をして引っ張っておる。
 我が党は審議拒否はしない。だからあれなんですけれども、こんなことをいつまでやっていいのか、もういいかげんにしてもらいたいという気持ちがします。そこまでして大臣の地位にかじりつかなければいけないのか。あなたは将来ある政治家だ。なぜそこまで大臣の地位にかじりつくんですか。簡単に答えていただきたい。弁明は要りません。
大島国務大臣 さまざまな御意見をいただきながら、また、石井先生、かつて自由民主党時代にも政治改革等で御指導いただいたこともございますし、この国会でのさまざまな御意見をいただいていること、これらを謙虚に、また、反省すべきことはして、今、私が総理からやめろとかということはまだ言われたこともございませんし、だとすれば、やらなければならないWTOの問題、米の改革、あるいはまた農協改革、それらに身を律して行うことが私の責務であろう、このように思っております。
石井(一)委員 昨年の四月三十日、鈴木宗男君の問題がクライマックスに来たときに、あなたは国対委員長だった。四月三十日の与党国対委員長会議において、あなたは立派なことを言っている。大変重い事柄だ、議員にはすべて秘書の監督責任があると。同時に発表した公明党の太田委員長も、秘書を監督する立場にある国会議員の政治的道義的責任は重いと。これは、当時の与野党の国対が、見識あるものとしてそれに合意し、そして鈴木君の処理をしたんだ。あなたはこの発言をどう思う。今大臣に座っておって、発言が変わったのか。
大島国務大臣 明確に、石井委員から御指摘いただいたことは承知しております。変わっておりません。したがって、私自身、反省すべきものはいたしながら、そして身を律して職務に専念すべきことだと思っております。
石井(一)委員 変わっておりません、そして反省して身を処しますと言えば、このとおりせないかぬのじゃないか。それでは、鈴木君を一遍こっちへ返してきてくれよ。そういうことになりますよ。そういう矛盾した答弁をぬけぬけと言いなさんな。謝れよ、申しわけないとか。内閣のためには私はやめられないんだとか、それがさらに政治不信というのを増幅しておるんだよ。
 野党は、強硬に辞職を求めるという手があるかもしれません、予算を質にとってどうだとか。私たちは、昔の野党じゃないという意識のもとに、今日、審議に応じております。しかし、内閣も、それなりの見識とそれだけの良識というものを出してもらわないかぬ。
 過去、大臣が辞職したというのはたくさんありますけれども、三十数件。村山内閣以降、村山内閣で三名、橋本内閣で二名、小渕内閣で四名、小泉内閣で一名、これは田中真紀子さんですけれども、その事由をもう一々言いませんけれども、その理由を見てみたら、なぜこの人がこんなことでやめないかぬのかなというのがたくさんありますよ。部下の不始末でやめたという三塚博先生とか額賀福志郎君なんというんだって、ちょっとした発注のところの、自分の知らぬところで部下がやったことを、あるいは、検査、大蔵でやったのに対して、みんな責任とっておるんですよ。
 森山さん、私は、あなたを尊敬しています。亡夫の森山欽司先生も尊敬しています。しかし、法の番人というのは重たい責任ですよ。今やっておられることで済むのか、有終の美を政治家としてどう飾るのか、お考えいただきたいと思います。
 さて、大島さん、私、さっきの筒井君の質問を聞いておって、本当にげっそりした。大島理森君は、農林大臣は、議運委員長、国対委員長を三期か四期、しかも、らつ腕を振るっていい仕事をした。そういう人間が衆議院の法制局に物を頼んだら、そんなもの断れへんわな。電話一本、やるよ。君はそれだけのベテランや。しかし、君は、やっちゃいかぬことを今度したんですよ。
 なぜ、この席で衆議院の職員をそれだけとっちめるんや。彼らは、夜も徹して紙つくって、我々に持ってきてくれるやないか。議員立法するのにどれだけ役に立つのか。それを、ここでの議論は、私はそういうふうな想定問答を想定せずに書きませんでしたとか、それから、私はそんなものに使おうと思って頼みませんでしたとか、そんなこと、通用するか。
 毎日毎日、毎晩毎晩、テレビにも新聞にもこのことが報道されておって、そこへ電話がかかってきたら、それを使うというのは当たり前や。それを、自分が使いませんでしたとかやってませんでしたとか、局長を呼んで、その次、次長を呼んで、そんなことするの、かわいそうや。
 責任は職員じゃないですよ。責任はあなたでしょう。なぜ、そんなことがわからぬのか。私は、あなたを個人的には恨んでない。君は将来、立派な政治家になると思う。こんなことで女々しき態度をとるな。答弁してくれ。
大島国務大臣 女々しい態度はとっておりません。日本は三権分立と同時に議院内閣制でありまして、衆議院という立場も私にございます。
 そういう立場で、十五日から既にそういう準備に入り、本当に論点整理を申し上げ、それに対する私の考え方を申し上げ、そして、だれでも法律的間違いのない認識を持って対応しなければならぬという思いで問いただしたことでございます。
石井(一)委員 さっき、法制局とのやりとりのときに、小泉さんがうつむいて、何というかな、つらい顔をして、半分眠ったように、しかし眠らずにずっといるのを見ていて、私は何か同情するような気持ちになったんですよ。
 しかし、小泉さん、物には限度というものがある。この予算委員会、これから参議院で延々と続くんですが、また、この大島問題を延々と何十時間やるんですか。問題が未処理であればやるということになるでしょう。法務行政の問題もそうだ。竹中さんのETFの問題だってお粗末や。あなた、議席ないからそんなこと言うておられるんや。まあ時間がありませんからあれですけれども、総理、これでいいんですか。
 もう一内閣一閣僚というものは終わっているじゃないか。新しい者を入れて内閣を補強してやっているじゃないか。何もこだわる必要はない。あなたの見識を示していただきたいと思いますが、答弁があればお答えください。答弁がなければ結構です。
小泉内閣総理大臣 各大臣、職務に精励していただいておりますので、批判というものを真剣に受けとめて、今後誤りない対応をしていただき、今後ともみずからの大臣としての職責を立派に果たしてもらいたいと思っております。
石井(一)委員 言うなれば領空侵犯なんですよね、この法制局の問題は。イラクやら北朝鮮では直ちに撃墜されてしもうておる。撃墜されてないのは、小泉内閣だから、何とか逃げようとしておる、こういう行為なんですよ。
 こうなれば、予算委員長、私はあなたに問題を提起させていただきたいと思うのでありますけれども、この問題は、衆議院なり、国権の最高にかかわる権威に挑戦されたんだ。
 いみじくも参議院議長が、禁断の実に触れた、やってはいけない三権分立のことだと言っている。それから、驚いたのに、参議院の青木幹事長も、何も名前を出す必要はないかもわからぬが、これは書いてあるから、きのう、参議院法制局ではそういうことは一切しないという発言を議長がしたが、本来、衆参両院で違うべきではない。当たり前のことや。ところが、衆議院、どうなんだ。衆議院の議長が言うとるコメントは、私もふだんから厳しく言っているが、どういうことかわからないうちは何とも言えない、こう言っておる。
 こんなことで衆議院の権威が守れるのか。予算委員長というのは最高のあれだよ。これで衆議院の権威が守れるのかどうか。一閣僚が衆議院に領空侵犯をして、それで放置して置いておけるのか。参議院の見識も考えてみろ。
 私は、あなたの見識において、常任委員長会議を招集するなり、衆議院議長の見解を聞いてきていただきたい。こんなことをしたら物すごい悪例を残しますよ。予算を通したらこれを認めたということになる。私は、予算をバリケードになんかしません。三十分待ったらできるはずや。三十分待ったらできるはずや。あなたは公正な予算委員長としての議事運営もやってきた。このままいけば予算が三十分ほど前に通りますけれども、衆議院の権威はどうなるんだ。行政に従属し、参議院に従属した中に、事情もわからずにあきませんと言う、こういう議長を持ったまま、これは私は、衆議院議員として、予算委員の一人としても許すことはできません。委員長のひとつ適切なる御処置とあれをお願い申し上げたいと思う。
藤井委員長 石井委員の御意見、拝聴いたしました。
 先ほども私から申し上げましたように、衆議院の法制局のあり方、そして立法府としてのその立場、あるいは衆議院と法制局と議員との関係、さまざまな事柄がございます。そういったことについて、しかるべき機関、それは所掌委員会においてどう措置されるか対応するということを申し上げたわけでありまして、予算委員会としての中で提起された問題でありますけれども、そうした所掌の委員会もございますので、そういった中で適切に対応されることを私は委員長として期待をいたしているところでございます。
石井(一)委員 その所掌の委員会で事務的に処理するということになれば、予算委員会の権威はどうなるのか、衆議院という第一院の権威はどうなるのか。衆議院議長はこれを見て、事情がわからぬからと言うて黙っておって、これで済むのか。国会全体の権威にかかってくる問題ですよ。そう軽々にできる問題ではありません。
 私は、どうせよとは言っておりません。議事を妨害しようということも言っておりません。議事を一回中断して理事は相談してください。我々野党の主張とか私の主張じゃない。衆議院全体の権威に対して領空侵犯が行われたということに対して、今の措置は納得できません。
藤井委員長 石井委員に再び申し上げます。
 私は、このことを事務的に措置するなんということを一言も申しておりません。その所掌する委員会というのは、権威ある委員会であることも石井委員御承知だろうと思います。そういった意味で、衆議院の立法府としての中における法制局のあり方、それと議員との関係、そういったことをしかるべく、委員会はこれまた権威ある委員会であります。そういう中で、私はどう対応すべきかということを申し上げた次第であります。
石井(一)委員 事務的でなければ、権威ある委員会でどういう措置をされるんですか。衆議院の予算の審議は今終わろうとしておるんです。これから参議院へ行くんですけれども、その間に処理するというんですか。それじゃ、衆議院のメンツはどうなるんですか。一体、あなたの言われておる具体的な、この問題に対する解決方法というのを私に教えてください。
藤井委員長 私から申し上げます。
 私が予算委員長であることは確かでありますけれども、他の委員会のことについて私がとやかく指図するということはできません。
 ただ、先ほど申し上げましたように、私が仄聞するところ、この問題につきましては、権威ある議院運営委員会で、今、委員会も開かれておるということも聞いております。そういった権威ある委員会でこの問題にどう対応するか、各党からも質問が行われているようでございます。そういったことを、私から、仄聞するところを今、石井委員に申し上げた次第であります。
石井(一)委員 そうすると、議運委員会においてこの問題を措置する。今やっているって、この議論がわからなければ、どうしてわかりますか。それじゃ直ちに、委員長なり理事に、議運委員会に、今開かれておるようですから伝えていただきたい。
 今、私が問題を提起しておりますことに関して、衆議院としてどういう見解を持つのか、どういう注意を与えるのか、当該大臣の罷免をも含めて、衆議院議長の見解もひとつ求めていただきたい。これを私は予算委員として強く要請したいと思います。
藤井委員長 御意見として承り、理事会において協議をいたします。
石井(一)委員 これが数の論理の議会運営なんですよ。これをこういうふうにやっておれば、数のある者がすべてである、権威も何もかなぐり捨てる、みんなお互いに傷のなめ合い。私は、藤井委員長の、長いつき合いだが、今の措置に対しては、まあ、これはもう予算の締めくくりの最後やから、気持ちもわからぬことないけれども、もうちょっと早く私が質問に立っておれば、これは許しませんよ。許すべきでないですよ。国会の見識において許すべきでない問題であるということを申し上げて、次に移ります。
 あと、たくさんの時間が要るんですけれども、一つの問題として、森山大臣、もう既に河村君がきつくやりましたので、これ以上申し上げませんけれども、私は、凛とした法治国家、法の番人、どこかの発展途上国の国の法律じゃないんだよ、それが、その中で殺人が起こり、リンチが起こり、これを今言っておられるような措置で済むというふうにはとても思えない。しかも、これから国会においては、情報保護法とか人権の法案とかという問題が審議されるというこの国会なんですよ。そんなところで何ぼ法律をつくってみたって、日本の法律というのはどうだ、こういうことになってきますよ。この点、もう一度反省を求め、御答弁があればお伺いしておきたいと思います。
森山国務大臣 名古屋刑務所で起きました刑務官による一連の受刑者致死傷事件について、私は、あってはならないことだというふうに思っておりまして、深い憤りを感じますとともに、悲しみを感じているというわけでございまして、法務大臣としての責任を重く受けとめております。
 これによって国民の矯正行政への信頼が大きく損なわれまして、矯正行政を預かる者といたしまして、まことにざんきにたえないというふうに思います。また、被害者や御遺族、御家族の方を含め、国民の皆様に対してまことに申しわけなく、心からおわび申し上げる次第でございます。
 このような残酷な事件が二度と起きないようにするためには、矯正の現場で働いている職員の抜本的な意識改革なくしてはあり得ないというふうに思います。私は、塀の中の常識が世間の常識と異なってしまってはいけないのではないかということを現場の職員一人一人が改めて思い直し、私が先頭に立って真剣に矯正行政の立て直しを図るほかに国民の信頼を回復する道はないというふうに考えております。決して容易ではございませんけれども、そのように職員の意識の抜本的改革を図ることが私の責任と考えまして、省内における検討委員会、さらには第三者のお知恵をおかりする改革会議等をできるだけ早く立ち上げまして、御趣旨に沿うように頑張っていきたいというふうに思います。
石井(一)委員 時間がなくなりましたので、最後に、医療費の三割負担の問題について一言申し上げておきたいと思います。
 私は、これは小泉改革の典型的な例だというふうに思うんです。財政もわかりますよ。一年間の予算、三千四百億です。改革せずして痛みだけを国民に配っておる。抜本改革をするというのが約束じゃないですか。それを飛ばして、強行採決してこれを決めたんですよ。これが低迷しておる景気にこれからどれだけ悪影響を及ぼしてくるんだ。三千四百億の負担というものは、三年ほど前に、赤字国債を発行して七千億の地域振興券というものをばらまいた。あれだけの金があったら、二年分これはできるんです。
 何でも一たん予算に入ったからできないと言うかもわからぬけれども、今この問題は大きいですよ。きょうの昼、四野党決起の集会もし、法案も提出しておりますけれども、一度決めたものなら変えれぬというんなら、ペイオフの解禁もやめて、三十兆円枠も守ったらええやないか。やらぬでもええものをやっておいて、本当に国民に、心に響く、本当の苦しいところに響くその痛みを、私は、景気対策の意味でもここで決断をするべきだというふうに思います。御意見がありましたらお伺いしておきたいと思う。
小泉内閣総理大臣 この医療費三割負担の問題は、昨年の国会で成立して、この四月から実施するということになっております。
 この問題につきましては、患者さんの負担と、そして保険料を負担している方の負担、さらには税金投入で医療保険制度というのは成り立っているわけであります。これは将来も、税金をどのぐらい負担するか、実際病気になった人の、患者さんの負担をどのぐらいにするか、また、健康な人も含めて、お医者さんへ行かない人も含めて、保険料の負担をどうするかというのは、今後も大きな政治課題だと思っております。
 同時に、今の医療制度の中で、診療報酬制度とか、あるいは薬価に偏重、薬に依存し過ぎるのではないかとか、あるいは出来高払い制度、包括払い制度、こういう改革にも手をつけております。
 この健保の三割負担のことを話題にしますが、既に国保は三割負担であります。家族も三割負担しているんです。今回、健保の加入者に対して三割負担をしておりますが、乳幼児に対しては、逆に三割負担を二割負担に軽減しております。なおかつ、今後、低所得者に対しても上限制度を設けておりますし、あるいは一定の上限を設けようということに対しては、高額所得者にも設けております。
 何よりも、皆保険制度をどのように持続可能なものにしていくか、そういう視点から判断したものでありまして、私は、これは必要な改革であり、今後とも御理解を得られるように努力していかなきゃならぬと。当然、この医療に携わる関係者は多岐にわたっております。国民すべてが病気に備えてどう対応しようかということにつきましても大きな関心を持っているということは、私も重々承知しております。
 そういう点も踏まえまして、あるべき医療制度というものにつきまして、常に改革していかなきゃならない問題でありますので、御批判は覚悟の上で、これからの医療制度、どうあるべきかについては、今後とも各方面からの御意見を聞いて改善措置をなさなきゃいけないと思っております。
石井(一)委員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、既に申し上げましたように、小泉内閣の公約というものはほとんど未完成のまま一年十カ月が過ぎております。政治は結果責任であります。特に、一内閣一閣僚という公約も破綻いたしました。そして今、今日これだけの問題閣僚があるということを、ずっとここに座って聞いておられて、あなたも耐えられぬところもあるんじゃないか。私は、このことに関して、どっちも親しくしておったから言いにくいけれども、大島さん、森山さんの責任というものは、これは性格、内容は違うけれども、非常に大きいと思う。さらに、だれとは言いませんが、その他で、我々から言えば不適格だ、答弁を聞いておって耐えられない、これが我が国の、その行政の最高責任者なのかというふうな人があります。
 任命権者はあなたですから、だから、あなたがそうであれば、それは我々は文句言う筋合いはございません。しかし、改めて、任命権者としての重たい責任ということをお感じいただきたいというふうに思います。
 以上で終わります。
藤井委員長 これにて石井君の質疑は終了いたしました。
 この際、上田君の残余の質疑を許します。上田清司君。
上田(清)委員 先ほどの中身について御答弁をいただきたいと思いますが、念のために申し上げますが、この雇用・能力開発機構には、雇用勘定から百二十七億出ております、労働保険特別会計。そして、この雇用勘定には一般会計から五十三億入っておりますので、国民のお金が間違いなくこの雇用・能力開発機構に使われて、しかも、先ほど申し上げましたように、昨年度はいわゆる雇用保険料が十五・五から十七・五に上がりましたし、一昨年は、平成五年の十一・五からの部分が十五・五に上がったという、まさに保険料が上がり、給付が減っていく現状の中で、失業率が高くなっていく中で、この雇用・能力開発機構のもしむだ遣いがあるとすれば、これは大変な問題でございますから、明確に、なぜこちらが一万五千円で、なぜこちらが一億六百九十九万なのか、あるいはまた、北海道小樽市と稚内市の、同じような時期に同じような金額でつくられたものが、なぜ一方では四百六十二万で、一方では一万五百円なのか、明確にお答えしてください。
七瀬参考人 先ほど比較対照で御質問があった件について、数字を示して御説明できなかったことをおわび申し上げます。
 さて、総社と阿南の差でございますけれども、これは大きく申し上げますと、不動産鑑定で、阿南市の場合に一億四千二百五十万円という鑑定評価になっているのに対して、岡山県総社市の場合には三千三百六十万円という鑑定評価の差でございます。
 そして、阿南の場合につきましては、建物の状態がよかったために、機能的な減少の割引率、減価率を五〇%とされたことが大きな理由でございます。これに対しまして、総社の方は、建物の状態が非常に悪うございまして、修繕を要する状態でありますので、そういった意味での割引率を七〇%にしたことと、さらに立地等の利便性の問題から、市場性の観点からさらに経済的な減価率を四〇%設けるということで、建物の保存状態及び経済的な利便性から割引率が高くなった結果、この差が出てきているということでございます。
 次に、北海道の小樽市と稚内市の件でございますけれども、鑑定評価におきまして、小樽市の場合に二千万、それに対して稚内市は二百八十三万ということになっておりますが、小樽市のケースにつきましては、平成五年と平成十年に約八千二百万のお金をかけて修繕をいたしておりまして、その修繕の効果が鑑定の評価に影響をしている結果、差が出てきているところでございます。
 次に、長崎県鹿町町と志雄町の差がございましたけれども、これは、長崎県鹿町町を譲渡したのが平成十二年九月でございまして、その時点では解体撤去費を控除するという方式をとっておりませんでした。その年の十二月に新しい方針で、解体撤去費を控除するということになったわけでございます。
 解体撤去費を控除することといたしましたのは、平成十二年まで時価で譲渡を行ってきましたけれども、市町村からの要望もあり、市町村の、先ほど申し上げましたように土地の上に建っているということで、解体撤去費を控除することが適当であろうということで、そのときから解体撤去費の取り扱いが変わった結果、こういう差が出てきているということでございます。
 それから、山口県柳井市と香川県白鳥町の差がこういうふうに出てきている大きな要因は、柳井市の場合には、譲渡先が関係の市町村ではなくて民間の企業であるということで、解体撤去費を控除いたしておりませんので、こういう結果が出てきているということ。
 以上でございます。
上田(清)委員 到底納得できる理由ではありませんですが、時間になってしまいました。
 これは、先ほどは、例えば阿南市と総社市の関係においては、撤去の費用の問題をされましたから、完全に答弁は食い違っております。それからもう一つ、今の点でも、阿南市と総社市では、建設したのもこの阿南市の方が古いんですね。にもかかわらず、なぜこちらの方が高い評価になるのか、この辺がよくわかりません、建物として。そしてまた、今の白鳥町と柳井市に関しても、民間の企業に売ったら高く売れる、そして市町村だったら安い。であれば、なぜ民間に全部売らないかという議論にもなりますので、ぜひ坂口労働大臣におかれましては、もう既に六百ほど処理が終わっておりますが、あと一千四百、協議中や関係のところといろいろやっている部分もありますので、精査をして、国民の費用負担を極力減らすという姿勢に立っていただきたいことをお願い申し上げまして、終わります。
 ありがとうございました。
藤井委員長 これにて上田君の質疑は終了いたしました。
 次に、達増拓也君。
達増委員 きょうは締めくくり質疑でありますので、予算委員会の審議を通じて、いまだ腑に落ちない点が多々ありますので、順に総理大臣に質問をさせていただきたいと思います。
 まず一番腑に落ちない点は、この平成十五年度予算、これを実施しても、政府見通しによれば、成長率は低下するし、失業率は上昇してしまうということであります。
 平成十五年度の経済見通し、これによりますと、経済成長率は、実質、平成十四年度の〇・九%から平成十五年度〇・六%に下がってしまいます。失業率は、平成十四年度五・四%から平成十五年度五・六%に上がってしまいます。景気が過熱している場合には、景気を冷ますために成長率を下げたりとか失業率が上がることを甘受するということが、景気が過熱している場合、物価が上昇しているとかインフレになりそうであるとか、そういう場合にこのような予算を提案してくることはわかるんですけれども、今全く逆でありまして、景気が落ち込んでいる、物価も下がり、デフレの問題に日本が直面している中で、なぜこのような、成長率が下がり失業率が上昇するような予算を出してくるのか。これは、閣僚の皆さん、内閣として決められたことでありまして、なぜだれも反対しなかったのか不思議でならないのでありますけれども、総理大臣に伺いたいと思います。
小泉内閣総理大臣 この予算につきましては、将来、民間主導の持続的な経済成長軌道に乗せたいという中で、当面やるべきこと、不良債権処理を進めていきますと、これは倒産なり失業なり出てまいります。しかしながら、将来のことを考えますと、不良債権処理は進めていかなくてはならない。同時に、予算の面から財政出動をもっとすべしという議論がありますが、これも、全体の財政状況を考えますと、増税はこの時期無理だろう。かといって、今、三十兆円枠外しましたけれども、これを野方図に五十兆、六十兆国債発行して、財政出動していいものかどうかという問題もあります。
 私は、現在の財政状況あるいは金融状況を見ながら、将来のあるべき持続的な民間主導の成長軌道に乗せるためにはどういう手が必要かということから、構造改革を進めていこう、この方針を崩してはいけないということから、もう徹底的な予算の見直し、行財政改革、あわせて金融面あるいは税制面、規制の面、歳出の面、こういう面を改革していくのが、迂回するようであるが必要な措置であるというふうに考えまして、このような予算を組んだわけであります。
 確かに成長率は、今年度が〇・九、そして来年度が〇・六を見込んでおりますが、実は、今年度は、〇・九も予想を超えてよかったんじゃないですか。〇・〇だったですね、見込みが。それが予想よりもよくて〇・九になったんです。そういう面から、私は来年度も、高いとは言えませんが、将来の持続的成長を目指して〇・六、実質的な成長を目指すような予算を組んだ。
 確かに、当面、不良債権処理を進めていきますと、失業率の面においてもいい影響を与えないということはわかります。しかし、それを乗り越えないと、いつまでも成長分野に必要な資金が回っていかないのではないか、これはひいては民間主導の持続的成長につながらないではないかという観点から、このような予算を組んだわけでございます。
達増委員 平成十四年度の成長率〇・九、ゼロよりふえているというのは、平成十三年度の成長率が実質マイナス一・四という、マイナスの成長率というのはやはりあってはならない数字でありまして、マイナス成長ということだけで政権交代になってもおかしくない数字でありますから、マイナス一・四からの回復ということで〇・九という数字だったのかもしれませんが、どん底からやや回復はしたけれども、そこから回復が伸び悩んでいるということだと思います。
 今の御答弁の中で、主なポイントは、要するに、不良債権処理をまだ進めるので、その間、失業、倒産がふえるため、そう簡単にプラスに転じていかないということと、財政規律の問題があるので、そう簡単に大盤振る舞いの予算編成ができないということだと思うんですが、実は、その不良債権処理を進めていくということと財政規律を維持するということが破綻しているんじゃないかということが、腑に落ちない点の二つ目であります。
 具体的には、今回の予算、国債を三十六兆円も発行してしまうということであります。あれだけ三十兆円枠にこだわっていて、それ以上年間の国の借金をふやさないということでやってきたにもかかわらず、借金を年間三十六兆円にふやしてしまうというのは、かえって財政が悪化しているということであります。
 そして、その主要な原因は、やはり端的に言えば税収の落ち込みということでありましょう。なぜ税収が落ち込んでいるかというと、不良債権処理ということが、バブルの総括というプラスの構造改革的な不良債権処理というよりも、むしろ可能性のあるような企業や個人が資金繰りでダウン、失業、倒産に追い込まれて、結果として日本経済が萎縮、弱体化して税収が落ち込んでしまう。
 腑に落ちない点の第二は、国債を三十六兆円も出さなきゃならなくなってしまったことというのは、実は、そういう不良債権処理を急ぐということと財政規律を維持するという小泉内閣の二大基本方針が行き詰まっているからではないかと思うんですが、この点、総理いかがでしょう。
小泉内閣総理大臣 私はもともと、十四年度予算で三十兆円枠を維持すべきだと述べておりましたけれども、そういう中でも、三年間法律で縛れという民主党の提案に対しては否定的だったんです。経済というのは生き物であり、情勢が変わる、それにはこだわらないと。情勢が変わったときには柔軟に対応するために、あえて私は法律で縛るということに対しては否定的でした。
 今回、私の政策を批判する人たちは、こういう不良債権を進めるとかえって景気を悪化する、不良債権をおくらせても景気対策が先だと。中身をよく見ますと、もっと減税しろ、もっと借金をふやして公共事業もしろということなんですね。果たして、不良債権処理をもっとおくらせて、減税して、その財源は国債に依存してもいい、これで本当に景気が回復するとは思えないんです。
 結局、後々もっと大きな副作用を起こすのではないかということで、私は、国債発行の三十兆円枠に対してはこだわらずに柔軟に対応しようということで、十五年度予算におきましては三十六兆円程度の発行を許容しておりますし、なおかつ、こういう状況で、財政規律ばかり考えて、一方で減税して一方で増税するというのも、これまた現在の経済情勢から考えてみると無理ではないかということから、単年度にこだわらないで、多年度で、来年度は、二兆円減税、増税二千億円を含めて、実質的に一兆八千億円程度の減税を先行させよう、来年度も一兆五千億円程度の減税を先行させようということでやっているわけでありますので、この路線は、将来、長い目で見れば適切ではなかったのかという評価を受けると思って、今の予算を組んでおります。
 なおかつ、財政の面におきましては、一般歳出をふやしていくと、景気がよくなって自然増収は上がっても、これまた借金がなかなか返せないということで、一般歳出は実質的に前年度以下に抑えよう、そういう中で、厳しく今までの歳出を見直そうということにも取り組んでおります。
 さらに、規制の面におきましても、構造特区等、今まで規制の面においてなかなか改革できなかった面においても取り組んで、民間の活力あるいは地方の意欲を引き立てるような規制改革もしていこうということで取り組んでいるわけであります。
 私は、今言った、では、不良債権処理も加速されるとマイナスになる、減税も十分でない、財政も十分でないといったらどうなるのか、対策は。対案が出た場合、それと比較して考えると、やはり今政府の考えている案が妥当なものだなという評価を受けるのではないかと思っております。
達増委員 経済は生き物である、柔軟かつ大胆な政策が必要と。確かに、特区というのも政権発足時にはなかった、後から出てきたアイデアで、これも柔軟かつ大胆な一つの試みなんでありましょうけれども、小泉内閣が、経済は生き物なので柔軟かつ大胆なやり方、前面に今出てきていると思うんですけれども、その中で、一つ腑に落ちないのが、消費税率について、在任中税率を上げないと言い切っていること。これは、経済は生き物、柔軟かつ大胆ということからしますと、そのように政権の手足を縛る、ただ、どう縛っているかよくわからないんですね。
 消費税率については、二つのポイントがあると思っております。
 一つは、余りに早く、経済が弱い段階で、景気が低迷している段階で消費税率を引き上げれば、これは景気を直撃し、さらに景気を悪化させ、経済を悪くしますし、もうそこは消費税を上げると言っただけでそういう効果が出てきてしまう。ただ一方で、未来永劫上げないなどということを言ってしまうと、これは逆に、政府は財政再建に本気じゃないんじゃないか、持続可能なあるべき税制、将来のそういう持続可能な財政ということを真剣に考えていないんじゃないかということで、将来の財政への不安からまた消費が萎縮したり、投資が萎縮してしまう。
 ですから、短期と長期の中間の、どういったタイミングで消費税率を引き上げるかということが非常に重要ですし、まじめな経済主体は、政府がどういうタイミングで消費税率を上げるかを見きわめて、家を買うとか事業に投資をするとか、いろいろそういうことを考えると思うんです。
 ですから、素朴な疑問として、在任中上げないと言うのであれば、では、いつまで在任されるんですかという質問、疑問がわいてくると思います。それがわからないと、経済活動、わからなくなってしまうのでありますけれども、その点はいかがでしょう。
小泉内閣総理大臣 消費税率を上げろという議論は、最近各方面で出ておるということは承知しております。また、消費を刺激する面において、中には、毎年一%か二%上げていけば、上がる前に買っておこうという意欲がわいて、消費刺激に役立つんじゃないかという議論もありますが、私は必ずしもそうではないと。特に、今の厳しい状況で一般歳出を前年度以下に抑制するというのは、現在の景気情勢から考えると、これはきつ過ぎるという意見が出ているのも承知しております。そういう中で、最初にそれでは消費税を上げてしまおうという議論になりますと、歳出を見直そうという意欲がそがれちゃうんですよ。
 それで、私は、私の在任中、消費税を引き上げないと言っているのは、たとえ私の総理在任がどんなに長くても、考えても三年ですよ、どんなに長くても。ことしの九月の総裁選でたとえ再選されたとしても三年なんですよ。三年間ぐらいは徹底した歳出の見直しに取り組むべきではないか、あるいは規制改革に取り組むべきじゃないか。
 そういう点から、税制改革の面ということを考えれば、消費税を上げて、もっとほかの税率を下げた方がいいという議論はわかっておりますが、それよりも現在の税の中でも見直すべき点があるんじゃないか、歳出の点でも見直すべき点があるんではないか。
 そういう点において、少なくとも私の在任中はまず消費税を上げるということを考えなしに、消費税を上げないでどのような歳出の見直しができるか、規制改革によってどのような民間の活力が出てくるか、地方の意欲が出てくるか。そして金融面においても、デフレ克服に向けて政府が日銀と一体となって取り組んでいくことの中で、私は、経済の面においてもいい影響が出てくるような努力が必要ではないかと。
 私は、まず消費税を上げるという議論が出てきますと今の歳出見直しの意欲がそがれるという点もあるし、同時に、今の時点で消費税を上げるということに対して国民の理解が得られるかどうか、それにも大きな疑問を持っております。そういう点から、少なくとも私の在任中は消費税を上げることを考えないで、ほかの面でできる対応をしようということであります。
達増委員 三年というような具体的な数字があれば、各経済主体もいろいろ考えやすくなると思います。ただ、財政の見直しですとか、そういった作業であれば、それはもっと早く終わらせて、それが早く終われば、景気が回復軌道に乗った後であれば、消費税率の引き上げということは合理的だと思いますので、それができるだけ早く実現するような経済情勢になればいいと考えます。
 さて、名古屋刑務所での革手錠死亡また重傷事件でありますけれども、これもこの予算委員会の審議中、非常に腑に落ちないことの一つでありますが、どうも内閣全体としての問題意識が低いんじゃないのかなと思っております。
 といいますのも、憲法三十六条なんですが、憲法三十六条に、公務員による拷問または残虐な刑罰は、絶対にこれを禁止するとあるんですね。「絶対にこれを禁ずる」、日本国憲法の中で絶対という言葉が出てくるのはここだけであります。この三十六条以外に日本国憲法に絶対というのはないのですが、ここにだけはある。それだけ、日本国憲法として、公務員のそういう残酷な暴力を禁止しているわけであります。
 拷問というのは自白を強要するための暴力ですし、残虐な刑罰というのはまだ刑罰の一環という建前があるのですが、今回起こった事件はそういう目的があってやっているわけじゃなく、目的から逸脱した、本当にむき出しの純粋な暴力で、憲法が絶対やってはいけないということ以上に悪いことをやってしまったわけですね。
 これは審議の中で明らかになったんですが、過去そういう例はなかったということですね。刑務官が、公務員の暴行陵虐によって受刑者を死なせてしまったということは今までなかったという、前代未聞、歴代内閣が日本国憲法のもとで曲がりなりにも守ってきたそういうことを、この内閣で犯してしまった。これはもう五十年に一度の不祥事と言っていいでしょう。
 そういう不祥事を内閣として引き起こした、公務員の問題ですからね、内閣として引き起こしたことについて、そういう内閣としての責任を、総理大臣に、どうとらえているか、伺いたいと思います。
小泉内閣総理大臣 この刑務所の問題につきましては、人権の面におきましても、あるいは実際の刑務所内での待遇にしても、あるいは今後の矯正等の面を考えるにしても、確かに反省すべき点が多々あった。そしてまた、この責任は大変重いものであると受けとめております。
 こういう点、しっかりと今までの不備を今後生かしていかなきゃならない。また、再発防止のために、どうしたらこのようなことが起きないようにできるかという点について、法務大臣初め法務省当局もしっかりと対応していくというのが責任ではないかなと思っております。
達増委員 日本国憲法下で前例のない不祥事でありますから、日本国憲法が用意している内閣のさまざまな責任のとり方のうち、最大のものは内閣総辞職であります。また、総理大臣が閣僚を更迭するということも憲法には書いてあるわけでありますけれども、そういった責任のとり方は考えていらっしゃいませんか、総理。
小泉内閣総理大臣 ただいま申し上げましたとおり、この問題につきまして、批判にどうこたえるか、また、御指摘の点、不備な点、重く受けとめて、どのような改善措置を講ずべきか、そういう点において責任を果たしていきたいと考えております。
達増委員 さすがに、大したことないとこれについても思っているとはさすがに思えないわけでありますけれども、日本国憲法下、前例のない不祥事だということの重み、そういったところを感じないような内閣では、内閣として憲法のもとに存在する資格はないと言わざるを得ません。
 もう一つ、憲法が絡む問題が、大島農水大臣が衆議院の法制局に答弁を作成させたという問題であります。
 内閣と国会のチェック・アンド・バランス、内閣を国会がチェックするということが日本国憲法が定める内閣と国会の関係の基本だと思います。そういったところで、一たび国会側のスタッフ、国会議員をサポートして、国会議員の立法活動、調査活動をサポートするはずの国会側のスタッフが内閣の味方をしてしまう、内閣の答弁作成の手伝い、しかも疑惑関連の、政治と金関連のそういった不祥事関係のことについて一たび国会サイドのスタッフが内閣の味方をしてしまうということが起きてしまいまして、それが万が一常態化しようものなら、憲法が想定する内閣と国会の関係というものは、もう取り返しがつかないことになってしまう。
 したがって、参議院議長も、禁断の果実に手をつけることだ、参議院ではそういうことは一切ないと言っているのでありましょうし、また、衆議院法制局長が予算委員会の理事会ではっきり述べたことは、もし答弁の作成を依頼されたとわかっていればそういう作業はしなかったと言い切っているわけであります。
 しかし、状況から見て、これは明らかに、少なくとも結果として答弁をつくってしまった、そういうことだと思いますけれども、この点について、内閣総理大臣としての、これは内閣の一員の閣僚がそういうことをしたわけでありますから、内閣総理大臣としての責任をどう考えておられるか、伺いたいと思います。
大島国務大臣 達増委員の今の御質問で、まず第一点は、三権分立という民主主義の基本の統治システムをとっていると同時に、議員御承知の議院内閣制でございます。そういう中で、私は、大臣であると同時に衆議院議員でありますし、会館も衆議院の会館を使わせていただいておりますし、したがって、議員として、これは答弁を依頼したのではございません。
 十五日、十六日から、弁護士と相談しながら、スタッフと相談しながら論点整理をいたし、そのことについて法律的議員立法が非常に多うございます。そういう意味から、議員として、法的ないわば解釈、そういうものをお尋ねしたということでございますので、その点はひとつ、しかと御理解をいただきたい、このように思っております。
 なお、これはさまざまな今御意見がございましたが、三月六日号の週刊文春に報道された法制局問題について、私は、きょう実は民事訴訟に追加して提訴をいたしました。
達増委員 一つ確認させていただきたいんですが、答弁作成を依頼したわけではないとおっしゃいますが、できてきたものについては、あれは役所がつくるような答弁書になっていたということについてはお認めになりますね。
大島国務大臣 筒井委員が資料として提出した、そのことを私は認めております。
 なお、既に月曜日に、こういう資料から、事実調査から、もう全部私どもはつくっております。そして、これは弁護士、スタッフを入れてきちっとした論点整理をしておりました。そして、その中で数点について、これは議員立法等があるから法制局に確認をし、自分はこういう論点整理をして、こういう解釈をしているんだがということも申し上げた次第でございます。そのことについて整理をして、お答えをいただいたということでございます。強要したりということも一切ございません。
達増委員 結果として、筒井議員ですか、示したような資料が出てきた。つまり、答弁書というものが結果として出てきたことは否定されない、否定されなかったと思います。
 もう一つ問題なのは、大島大臣は、議員としての立場、閣僚としての立場とおっしゃいますが、議員として法制局に相談する場合、例えば田中真紀子外務大臣が外務大臣時代に、議員としても何か議員立法、議員連盟に関係していて、そういう議員立法の作業を閣僚をやりながらでもやっていて、何か議員立法をするのであれば、そういう場合に、議員として法制局に相談するということはあるかもしれませんが、それはやはり議員立法のために相談するわけでありまして、身の上話的な、具体的に身に降りかかっている火の粉のことについて衆議院の法制局に相談するということは、特に閣僚でいる間は強く自粛すべきことではないか。田中外務大臣でさえ、閣僚中は、そういう議員立法の活動はたしか自粛して、そういう議員連盟の活動には余り出ないようにしていた。つまり、衆議院法制局から距離を置いていたわけですね、閣僚である間は。
 したがって、三権分立というより、議院内閣制の話として、あくまで内閣と国会はチェック・アンド・バランス、特に国会が内閣をチェックするわけでありますから、その点については、今回の事態は、やはりゆゆしき乱れが生じたというふうに言わざるを得ないと考えます。
 さて、今国会で腑に落ちない点のもう一つ、続けていきますと、公務員制度大綱、政府の公務員制度大綱であります。
 ILOが条約違反であるとの勧告を出しているにもかかわらず、小泉内閣としては、これでいいんだ、むしろILOが誤解しているんではないか、ILOには、日本もきちっと参加した上でやっているれっきとした国際機関なんですが、どうも、そうした、まさに国際協調主義をないがしろにするような内閣の答弁でありました。
 この政府の対応について、見直すつもりはございませんでしょうか。
石原国務大臣 公務員制度改革大綱の見直しについての御言及でございますので、私の方から御答弁をさせていただきたいと思います。
 再三再四、この問題につきまして、当委員会あるいは内閣委員会で御議論を賜っておりますが、片山総務大臣の方からも御答弁をさせていただいているILOのこれまでの見解と今回の勧告の内容に、大きく、私の言葉で言いますと百八十度違うものがあり、私も率直に今驚いているという答弁をさせていただいております。二、三例を出させていただきますと、消防の問題等々があるのではないかと思っております。
 また、政府としては、そういうようなことではございますけれども、ILOがこのような勧告というものを出されたということは非常に重要に受けとめ、結社の自由委員会が、今週でございますけれども、六日、七日でございますか、開かれるというようなことも聞いておりますので、我が方の見解とこれまでのILOの見解との中になぜこういうふうなことになったのかというようなことも十分御議論をさせていただきたいと考えておりますし、ILOの側に、今の検討状況、達増委員御設問でありますところの、公務員制度大綱に基づいてどのような改革案を考えているのかということも、人を派遣して具体的に説明をさせていただきたいという準備をしている最中でございますし、そういう中で、御理解を得つつ、公務員制度改革大綱が二十一世紀の新しい公務員像を確立できるようなものになるよう、幅広い意見を聞かせていただきまして、つくらせていっていただきたい、こんなふうに考えているところでございます。
達増委員 自民党長崎県連事件について、総理に伺います。
 二月十日に自民党としての報告書というのが出まして、予算委員会理事会を通じて我々も拝見させていただきましたが、あれはまだ、だれがどういう容疑で逮捕されたかというような事実関係についてとりあえず取りまとめたという性質のものでありまして、一体どういう背景があるのかとか、再発防止のためにどういうふうにしていかなければならないかといった、かつて、外務省不祥事でありますとか、あるいは民間ですけれども、電力会社の原発ひび割れ問題の報告書ですとか、そういったたぐいの報告書に比べれば、全然まだ報告書として二月十日報告書はできていなかったと思います。
 あれから一カ月近くたつわけでありますけれども、その後、自民党として、反省とか総括とか、行っているんでしょうか。
小泉内閣総理大臣 現在までにおいて、長崎県連において中間報告がなされたというところでございますが、今後、この県連の運営に長崎県連としても真剣に取り組んでいくということと私は承知しております。また、現在、党の山崎幹事長に対しまして、本件についての調査を行うよう指示しているところでありまして、できるだけ早く幹事長から調査結果を報告することとしたいと思っております。
 自民党としても、この長崎県連の浅田前幹事長らが公選法違反あるいは刑法違反容疑で逮捕、起訴されるに至ったということに対しまして、厳しく受けとめておりまして、今後いかなる点を改めるべきかということにつきましては、自民党におきましても、与党三党におきましても、今、検討作業を進めておりますので、今後、少しでも改善すべき対応をしなくてはいけないと努力しているところでございます。
達増委員 イラク問題についても伺いましょう。
 きょう午前中、外交をテーマにした審議が行われたわけでありますけれども、ちょっと時間を置いて、頭を冷やして、改めて、非常に重要な問題ですから伺います。
 また、ここ数週間の動きを見ておりますと、非常に国際政治のあり方が変わってきているなという感じがいたします。マスディプロマシーとでも申しましょうか、草の根を巻き込んだ外交、古い伝統的な意味での政府間のプロフェッショナルのやりとりとしての外交ではなく、草の根の諸国民を巻き込んだ、いわばもう国際政治というよりも世界政治というような、そういう草の根の諸国民の意見というものを、国連安全保障理事会もそういう草の根の諸国民の意見を踏まえないと安保理の議論も進んでいかないような、これは、CNNなどの映像の普及でありますとかインターネットの普及でありますとか、新しい情報通信技術の発達によって立ちあらわれてきている、非常に新しい現象だと思います。
 日本として、こういう中でいかに世界政治を乗り切っていくか。旧来型の政府間の、専門家間の外交という枠を超えた世界政治ということを、日本国民もきちんと説得し、説明責任を果たした上で、日本国民の理解と支持に支えられた政府の外交を進めていかなければなりませんし、それがまた諸外国の諸国民にも支持される、認められていくようなことでなければなりません。
 それで、腑に落ちない点は、本当にイラクの大量破壊兵器がテロリストの手に渡って使用されてしまう差し迫った脅威があるのかということであります。これは委員会審議の中で何度も質問しているのでありますが、今まさに、武力行使容認決議と呼ぶべき決議案がアメリカ、イギリス等から出されて、それほどの、万の軍勢、そして大量のミサイルや爆弾、そういったものを投じなければならないほどの差し迫った脅威というものが、世界の諸国民がそういう脅威にさらされているのかどうかという得心が得られないからこそ、多くの日本国民も戦争に反対と世論調査で答えているんでしょうし、世界じゅうでデモが起こっているんだと思います。
 この点、日本政府としてどのように説明してくださるのか、総理に伺いたいんです。
小泉内閣総理大臣 差し迫った脅威があるのか、テロリストの面でありますが、私は、これは、差し迫ったかどうかは定かには言えませんが、常にテロの脅威は、現時点において存在していると思っています。
 九月十一日のアメリカのニューヨークのテロ事件におきましても、恐らくあの事件が起こるまで、差し迫ったテロがあるとは多くの国民は思っていなかったと思うのであります。あの事件以来、各地区においてテロが発生しております。また、テロ組織がいまだに多くの地域で存在しているということも、多くの国民は感じ取っているのではないか。
 そういうテロ組織に、もしも大量破壊兵器が渡ったらばどうなるだろうか。今までの戦争形態におきましても、一国が宣戦布告して一国を攻撃するという状況ではない。一テロ組織が、大量破壊兵器を用いて、ある国、ある地域にテロ攻撃をしかけた場合には、今までの戦争に匹敵するような大きな被害を与え得るという脅威も存在していると思います。そういう面において、私は、テロの脅威というのは、今の社会において、残念ながら常に存在している。
 これに対しての対応、これは一国だけではできません。国際社会と協力しながら、テロ組織あるいはテロ撲滅のためにどういう対策を打っていくかということは、常に日本政府としても考えていかなきゃならない問題だと思いまして、御質問の、差し迫った脅威が存在するのかということに対しましては、否定はできない、いつテロが起きてもおかしくない状況であると言わざるを得ないと思っております。
達増委員 その脅威との関係で武力行使をすべきかどうかという決議を、国連加盟諸国民を代表する安保理においてこれから決めるのでありましょうから、自由党はむしろ、そこで、脅威がある、武力行使をすべきと決まったのであれば、日本も積極的に参加すべきと考えております。それが日本国憲法の趣旨だと考えております。
 しかし、もしそこで国連加盟諸国民の代表が武力行使決議を否決したのであれば、大アメリカといえども兵を引くべしというのが自由党の立場である、考えであるということを申し上げて、私の質問を終わります。
藤井委員長 これにて達増君の質疑は終了いたしました。
 次に、佐々木憲昭君。
佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 この国会ではさまざまな問題が噴出をいたしましたけれども、とりわけ大島農水大臣の疑惑、極めて重大であります。その中でも、想定問答を衆議院法制局につくらせ、それを答弁に利用していたということは、極めて看過することのできない大問題であります。
 大島農水大臣は、二月二十八日、先週金曜日の閣議後の記者会見で、以前にも法制局に問いかけをしたことがある、こう述べておられます。
 昨年十月以後、大島大臣の問題はさまざまな形で国会で取り上げられてまいりました。また、大臣も答弁をされておられるわけでありますが、これまでこの法制局にどのぐらいの回数要請をして、いわば想定問答という形であるのかないのかは別としまして、何度要請をしたのか、またそれは文書で提出をされたことがあるのか、またそれを答弁で使ったことがあるのか、この点について明確に答えていただきたい。
大島国務大臣 委員にお答えを申し上げますが、まず第一に、私は、議員として、想定問答をお願いしたのではなくて、法律的解釈そのものを確かめたいということで尋ねたことがございます。
 何度あったかというのは記憶に、何月何日ということはございますが、例えば、議員立法であっせん利得罪、あるいはあの公的助成が入った選挙法の改正の時期等々について問い合わせ、それは電話で主にお話をして、その上でペーパーでいただいたこともあろうかと思いますが、電話でお答えいただいたことの方が多いと思います。
佐々木(憲)委員 電話あるいは文書で問い合わせに答えてもらったと。それは、大島大臣のいわゆる疑惑に関連をする質問を想定して、いろいろな法的な解釈などについて問い合わせをされたんだと思うんでありますけれども、その回答を大臣の答弁として使った、こういうことは当然その後、あったということですね。
大島国務大臣 私は、弁護士あるいは私のスタッフと、さまざまな問題が報道されたこと等々について、事前に皆さんから調査をしろ。したがって、正確に調査をし、その上に立って、こういう点が問題であるということをまず論点整理をいつもいたします。そして私自身、そういう中にあって、その論点整理の中から議員立法あるいは議員にかかわるさまざまな法的解釈を確認することもいたさなければなりますまい。そのときは、さまざまな人にも意見を聞きます。その一つとして法制局から意見を聞き、それらを、既に論点整理したもの、あるいは確認したもの、踏まえて、最終的に私自身で答弁をスタッフとともにつくり、お答えをしております。
佐々木(憲)委員 今の答弁でも明らかなように、複数回、法制局に問い合わせをし、文書でも手にしたことがある、また、それを含めて答弁に使用した、いわば何度も同じことを繰り返していたということであります。ですから、今回のこの問題というのは一度だけではない。つまり、内閣が、議院の法制局、これを自分の疑惑をいわば言い逃れをするために利用していた。このことは極めて重大な問題でありまして、さらに我々はこの点について厳しく追及をしていく決意でございます。
 さらに具体的に申し上げますと、内容についてですけれども、大島大臣は二月二十六日、予算委員会で想定問答について聞かれまして、まず一枚目についてお答えになっております。事実関係について自分なりの論点整理をしてみたもので、前段部分は、法制局に書かせたというより、私が申し上げた点を書きとどめたということでございます、こうおっしゃっているわけですね。
 想定問答の一枚目にはこう書かれているわけであります。「秘書に問いただしたところ、たしかにお金を○○氏から受け取ったが、それは自分が使ってしまった、申し訳ありません、ということでした。」と書かれておりますね。これは間違いありませんね。
大島国務大臣 一年半全く私は知りませんでした。そして、問いただして、そしてそのときに、大変済みません、申しわけありませんと。一年半だれも知らずに彼のところにあったという事実。そして、君自身がこれを流用したのではないか、私的流用をしたのではないか、そのことに対して、明確に否定もしませんでした。さらに、すぐ返しなさい、すぐ返しなさいと言ったにもかかわらず、すぐ持ってくることができなかった。したがって、自分のやったことであるから自分で用意して返しなさいということ等から、彼が私的流用をしたと確信をしてそう申し上げておるところでございます。
佐々木(憲)委員 私が聞いたのは、この想定問答に書かれている事実についてであります。これは大島大臣自身が、論点整理でということで、自分でおっしゃっている。それを法制局にメモをさせたという性格のものであると。その中に、「秘書に問いただしたところ、たしかにお金を○○氏から受け取ったが、それは自分が使ってしまった、申し訳ありません、」と書かれている。こういうことを法制局に話をしたということですね。これは事実ですね。
大島国務大臣 そういうふうなことを申し上げたと思っております。
佐々木(憲)委員 そういたしますと、予算委員会で行った答弁は、こういうふうにおっしゃっているんです。私的流用もしたのか、こう厳しく、本当に大きい声で申し上げましたら、そのことに、率直に言って、はいともいいえとも言いませんでしたと答弁をしておられますね。あるいは、彼は、ただただ、済みませんと、そういうことで、答えはありませんでしたと言われているわけです。また、そんなことはしていませんという言葉もございませんと答弁をされております。
 つまり、要するに、藤田秘書は自分が使ってしまったとは言っていないというのが答弁なんです。自分が使ったとは言っていないというのが答弁なんです。これは想定問答とは明らかに違いますね。想定問答は「自分が使ってしまった、申し訳ありません、」というものでしたと。明確にこれは違うんじゃありませんか。つまり、大臣の答弁が真実であるならば、事実と違うことを法制局に伝えた、こういうことになるんじゃありませんか。
大島国務大臣 先ほど来申し上げましたように、私自身はそういう相当確かな確信を持っておるものですから、そういうふうに法制局には申し上げ、そういうふうなことから法的な整理を問いただしたということでございます。
佐々木(憲)委員 つまり、事実と違うことをあなたはおっしゃったということですね。
大島国務大臣 事実と違うというより、私自身の、彼自身のそのときの事のやりとりあるいはまた状況、そういうものからして、確かな確信を持ってそういうふうなことを申し上げました。
佐々木(憲)委員 あなたは法制局にこう言っているんです。秘書に問いただしたところ、それは自分で使ってしまったと秘書が言っていたと。しかし、秘書は言っていないわけでしょう。つまり、違うことを、事実と違うことを法制局に伝えた、こういうことになるじゃありませんか。
大島国務大臣 委員のところの代議士と秘書の関係はどういうふうな関係かわかりませんが……(佐々木(憲)委員「人のことはどうでもいいよ」と呼ぶ)いや、私は二十年間、なおかつ、そして青森から、遠い親戚ということもあり、一緒にやってまいりました。(佐々木(憲)委員「質問に答えてください」と呼ぶ)そういうさまざまな状況、彼自身の生活、そしてそのときのやりとり、そういうふうなことから私は確信を持っているものですから、そういうふうに法制局に言ったと思います。
佐々木(憲)委員 確信を持っていると思っているだけじゃありませんか。
 要するに、元秘書は使い込んだとは言っていないわけであります。使い込んだとは一度も言っていないんです。あなたが勝手に、使い込んだと断定をして、責任をその秘書になすりつけている、こういうことになるんじゃありませんか。
大島国務大臣 委員が使い込んでいないと断定できる材料はどこにあるんでしょうか。そして、私がそれを何か隠しているというまた証拠はどこにあるんでしょうか。
 私は、まさに一年半も後にそのことを知り、そしてそういうふうな意味で確かめて、そして、先ほど来申し上げたことでございます。週刊文春の記事には確かにそういうふうな報道がありましたが、それを、私は彼がどう言ったのかわかりません、私が申し上げているそういうふうなことが、まさに確かめたときに、そういうさまざまな状況、そして観点から、私はそのように申し上げているわけです。
佐々木(憲)委員 使い込んでいないという証拠を挙げろと言うんですが、使い込んだと言っていないわけですから明確な証拠じゃありませんか。しかも、この元秘書は、確かにお金を受け取ったけれども、金額については六という数字に記憶がある、懐に入れたなんということはありません、私はきちっと渡しています、お金は宮内さんに渡しましたという証言をしているんですよ。しかも、使い込みの調査を受けたことはありますかと聞かれて、ありませんと答えているんです。
 要するに、秘書は使い込んだと言っていないのに使い込んだと断定をしているのは大島大臣なんですよ。つまり、大島大臣が断定してその責任を全部秘書になすりつけて、自分は逃れようと。しかも、それを法制局に伝えて、疑惑を隠すために内閣と議会のルールを破壊して、法制局を利用しているんだ。そのことは明確じゃありませんか。
 私は、そういう大臣の姿勢がまさに今問われている、本当に大臣の資格はないと言わざるを得ないと思うんです。
 具体的なことを聞きますけれども、八戸スカイビルのオーナー山下氏に直接電話をされたことはありますか。
大島国務大臣 委員のお話は、全部週刊文春の記事から出して、そして私に問うております。
 私は、スカイビルのオーナーの方と電話でお話ししたこともあれば、以前に陳情においでになったときも、お会いしたこともあれば、お話ししたこともございます。
佐々木(憲)委員 携帯に電話をかけたこともありますよね。
大島国務大臣 その方の携帯番号は、私、わかりません。電話したことが、携帯で、どっちの携帯ですか。私の携帯から向こうの携帯……(佐々木(憲)委員「相手の」と呼ぶ)多分それは、電話でお話ししたことがあるときは向こうの携帯にお電話したかもしれません。
 これは、何月何日、いつどこでだれかというのは、私のちょっと記憶には定かではありませんが、お電話でお話ししたことはございます。
佐々木(憲)委員 携帯に電話したことは我々も証言を得ておりますけれども。
 さて、そこで、秘書が受け取ったこの六百万円であります。その処理です。返却の問題ですけれども。
 あなたは、二〇〇〇年六月に秘書に六百万円渡されたことは知らなかった、一年以上たって、後になってそういうことがあったらしいということで秘書に問いただした、こういうことで答弁をされていますね。それは、二〇〇一年の暮れというふうに言われていますけれども、十二月何日でしょうか。
大島国務大臣 いや、私は、その何月何日というのは記憶はないんです。ただ、平成十三年の暮れに近くなったと思いますが、そういう関係者からそういう話を我々のスタッフが聞いてまず問いただしました。それで、本人がそれを認め、そして私がまたそれを呼んで、本当に私は烈火のごとく怒り、また、一年半もどうしたんだということであったのが何月何日かというのは、ちょっと記憶にはございません。
 ただ、暮れ、平成十三年の暮れであったと思います。(佐々木(憲)委員「十二月」と呼ぶ)十二月だったと思いますが。
佐々木(憲)委員 そのときに、これは大変だ、すぐ返しなさいと言ったと答弁をされていますね。そのとき、当然山下氏にすぐ連絡をして、こういうことがあったので返さなければならないという連絡をされましたか。
大島国務大臣 当然、平成十二年の選挙のときだったそうですが、後で私伺って、その趣旨と、つまり何らか大島を助けよう、大島を応援しようと思った方と結果として全く違った形で、そのお金を彼のもとに預かっていた、結果として預かっておった。そういうことですから、それはおわびをしなきゃならぬ、まず。秘書が、多分その文春にも、私も見ましたが、その方が言われたそうですが、私的流用云々ということ等々、大体一年半も預かるというのは常識的に考えても私的流用以外に考えられないわけでございますけれども、そのオーナーの方の志と全く違う形になって済みませんと言うのが、当然私としての思いを言わなきゃなりません。したがって、いずれすぐに返させたいと思いますのでということは申し上げました。
佐々木(憲)委員 それはいつの時点の話ですか。その問い合わせて、問い合わせてといいますか、秘書に問いただしたその直後ですか。
大島国務大臣 当然、その実態を私が把握した後にお電話した、このように記憶がありますが。
佐々木(憲)委員 後というのはいつですか。一月に入ってからですか。
大島国務大臣 今、時系列を整理したのがありますので、ちょっとお待ちください。それに書いているのか――ありました。
 多分、平成十四年の一月ごろではないか。電話をしたのはその前ではないかと思います。お会いしたのは平成十四年の一月ではないかと思います。
佐々木(憲)委員 ちょっとよくわからないんですが、すぐ返しなさいと言ったわけですから、すぐ電話するのは当たり前じゃないんですか。何ですぐ電話しなかったんですか、一月ごろに電話をしたんですか。
大島国務大臣 電話の時期はちょっと記憶にないんです。(発言する者あり)いや、暮れだろうと思います。それで、私、お会いしたのは平成十四年の一月とここに調査には書いてあります。私どもの調査には。
 それで、委員、まあみんな忙しいんですが、このオーナーの方も大変お忙しいんですよ。それで、八戸とこっちにおうちがありますが、本当につかまらなかったんです。つかまらなかったんです。ともかく、私は、早くお会いをして、電話では失礼だし、お会いをして事情をお話しし、おわびするのが私のまず責務だろう、こう思いまして、ともかく探してくださいとうちの秘書に、そして一月にお会いをしておわびをしたと思います。
佐々木(憲)委員 極めて不自然であります。オーナーはお忙しいと言いましたが、私が最初に申し上げましたように、電話をする間柄です。電話を相手にすぐできるわけでしょう。携帯に電話をする間柄でしょう。お忙しいからつかまらないって、東京にいようが青森にいようがつかまるじゃありませんか。それを一月ごろに、いつかわからない。こういう問題が発覚して秘書に問いただした、直ちに携帯に電話をして、こういう事実があったので申しわけないと、当たり前じゃないですか、それを言うのは。
 それを言ったのは一月二十三日の山下氏が自民党国対委員長室に来たときじゃありませんか、初めて言ったのは。
大島国務大臣 そうですね、一月二十三日になっていますね。
 携帯電話で、委員がそのことについて、まず、委員は簡単に電話で云々、こうおっしゃいますけれども、これは私自身は、まず秘書を使って事情をお話しして、私自身がお会いをしおわびをしたい、経過をお話ししてというのは、私の感覚ですと、ある意味では私は当然だと思っております。
 ただ、先方の都合がございます。それで、おまえはどんなことがあったってどこへでも出かけるのが当たり前じゃないか、こう言われればそうかもしれませんが、私自身、早くお会いしたいのでアポイントをとってくれと言っても、本当に連絡がとれなかったわけです。それを委員は、変だとかおかしいとかと思い込むのは、それは委員の判断でございますが、実際問題としてそういう状況でございましたということは申し上げさせていただきます。
佐々木(憲)委員 極めて理解のできない答弁でありまして、電話がすぐできる間柄であるにもかかわらず一カ月も電話しない、しかも、初めて言ったのが一月二十三日だと。そのときに、秘書の藤田が金を使い込んでいた、申しわけない、藤田はやめさせる、こういうことをおっしゃったようでありますね。
 しかも、金を返すと。すぐ返しなさい、こう言いながら、実際に返したのはそれから一カ月から一カ月半後の二月末から三月初めにかけてということであります。つまり、十二月からいえば、二カ月も三カ月もかかっているわけですね。これ自体も極めて異常ですよ。すぐ返しなさいと言った、それなら、その時点で秘書が用意できなければ、直ちに連絡をして、立てかえてでも返す、まずはそれをやるというのは当たり前じゃないですか。それをなぜできなかったんですか。
大島国務大臣 平成十三年の暮れにまさにそういうことがわかりまして、問いただし、事務所が立てかえてでもやるという性格では、私、ないと思うんです。彼自身が、一年半も預かり申しわけありません、自分で預かって自分の責任で返すのが、私はこの案件は当然だと思いました。
 したがいまして、先ほど来、彼が流用したと確信をしたというのは、もしそれがそのまま預かっていたとするならば、次の日でも、翌日でもそのまま持ってこれたと思います。済みません、何をしてでも用意しますということで、その準備に少し時間がかかったこともそうですが、先ほどオーナーの方と電話をする仲とお話ししましたが、いわゆるメールだとか携帯電話の友達のようにしょっちゅうすることでは全くなくて、要するに、うちの秘書を通じてお話しすることがありますが、陳情事とかあるいはこの案件で電話もした記憶がありますが、そのオーナーの方の携帯番号を私、知らないんです。だから……(佐々木(憲)委員「じゃ、何で電話できるんだよ」と呼ぶ)それは、秘書が知っているから……(佐々木(憲)委員「秘書にやらせりゃいいじゃないか」と呼ぶ)いや、ですから、それで、ぜひお会いをして、こういう案件は、お会いをして事情をお話ししておわびをするというのが当然のことだと思います。ところが、暮れ、そして本当にお忙しい、そういう中でお会いができたのがこの日であったということを御理解いただきたいと思います。
佐々木(憲)委員 全然理解できない。
 すぐ返しなさいと言いながら、山下氏には電話ができるのに、連絡もしなかった。すぐ返しもしない、二、三カ月も後になってしまった。それは、なぜそうなるのかといえば、藤田秘書にすべての責任をなすりつけようとして、それに手間取っていたからじゃありませんか。ますます私は疑惑が深まったと思います。
 総理にちょっとお聞きしたいんですけれども、総理は、本人がきちんと説明すべきだ、こういうふうに答弁をされましたが、今の大島大臣の説明でこれは納得できますか。私は疑惑が深まったと思いますけれども、いかがでしょうか。
大島国務大臣 そのオーナーの方を探すのに、私どもの秘書は一生懸命電話をして、その調整、つまりお会いをする日を調整したのは事実です。そのときに案件も言っているわけです。ですから、これは電話でごめんなさいという話じゃございません。お会いをして、そして私がおわびをしなきゃならぬ案件でしょう。だから、何にも連絡をしていないわけではありません。秘書を通じて、ぜひお会いして、この案件でございますということはいたしました。
 それから、もう一度申し上げますが、一年半のお金をおまえがというそういう疑惑を勝手に、そのように今言われましたが、改めてこの委員会の場で、私は、一切、そういうお金があったこと、あるいはまた事務所に来ていなかったこと、私自身も受け取っていないこと、このことだけは申し上げておきます。
佐々木(憲)委員 あなたはそのようにおっしゃるけれども、それはだれも証明できないんですよ。だれ一人として証明をできないわけであります。そのように断定しているだけであります、大臣が。
 今回の、きょうの質問だけでも、大島大臣は、法制局に対して、自分が、秘書が使ってしまったと言っていると虚偽の話を伝え、しかも、すぐ返しなさいと言いながら、電話も直接はされていない。すぐお金も返さなかった。これらのことを考えますと、私は、二重、三重、四重に、これはもうおかしな話が積み重なって、疑惑が深まるばかりであります。
 総理にちょっと聞きますけれども、説明責任ということを言われました。しかし、私は、これは説明がついていないと思いますが、いかがでしょうか。
 総理、総理に聞いているんですよ。何回も同じことを言っていてはだめだよ。
大島国務大臣 したがいまして、委員、私は、週刊文春三月六日号において、あたかも政治資金規正法違反の責任を回避する疑惑隠しのために、違法な想定問答の作成方を衆議院法制局の幹部に対し強制したとする、全く虚偽の記事を掲載しておることから、従前提訴してある民事訴訟に追加して、本日、提訴しました。
小泉内閣総理大臣 今、さまざまな質問において、大島大臣がよく答弁して説明しているわけですから、それは今後とも、大島大臣としては、できるだけの説明責任について果たされると私は思っております。
佐々木(憲)委員 説明責任を果たしていないです。もう本当に矛盾だらけで、疑惑がどんどん深まるばかりでありまして、私は、大臣として、これはもう適格性を欠いていると言わざるを得ないと思います。
 時間がだんだんなくなりましたが、総理に、次に、公共事業の献金問題についてお聞きします。
 資料を配っていただけますか。一、二と、両方配ってください。
 公共事業は実質的には全然減っておりません。三・九%マイナスということを言われましたが、公共事業そのものはどんどんふえておりまして、補正も加えますと、前の年度に比べるとふえているわけであります。
 なぜふえるのか。これは、ゼネコンからの献金が裏にあるのではないかというのが大方の国民の見方でありまして、資料を見ていただければわかりますように、自民党、国民政治協会に献金している売上高上位ゼネコン三十社で、公共事業売り上げが全体の五〇%を超えている企業、これが七社しかありませんけれども、自民党の有識者懇談会、昨年七月に提言を発表しましたが、この提言で規制の対象となるのは五〇%を超えている企業だけでありますから、三十社のうち、たった七社しか規制の対象にならない。
 しかも、献金額の実績を本当に減らすことになるのか。五〇%を超えている企業に対しては寄附限度額を半分にするというのが有識者懇談会の提言であります。それで、半分にする試算をしてみました。ところが、ただの一社もこの規制にはひっかかりません。つまり、有識者懇談会の提言で具体的に規制を実行しようとしても、何の規制にもならない。このことを総理はお認めになりますか。
小泉内閣総理大臣 今伺いまして、どの程度それに当てはめるか、懇談会の報告に当てはまっているかというのは定かに答弁できませんが、有識者懇談会の報告を踏まえて、今自民党としても改善措置を検討しているところでございます。
佐々木(憲)委員 それを踏まえて検討して実行しても、規制にはならないということを私は申し上げているんです。
 上限を半分に減らしても、例えば五洋建設は一千九百八十五万円の献金をしていますが、あと七百六十五万円も献金をふやすことができる。住友建設は一千百八十九万円もふやすことができる。東洋建設は一千百八万円もふやすことができる。こういうふうに、規制を加えるというよりもむしろ、献金の幅がまだこれだけあるわけだから、献金の増額を奨励するようなもので、全然、何らの規制にもならないんです。
 ですから、野党は公共事業受注企業からの献金を全面的に禁止するというのを求めておりますけれども、これでは自民党有識者懇談会の提言というのは全くだめだということは明確だと思うんですが、これは実効性ある献金規制を行うべきじゃありませんか。
小泉内閣総理大臣 それは、自民党でも現在、資金の調達方法についてより改善していかなきゃならないという判断の上に検討しているわけであります。
 企業献金のあり方につきましても、全面的に個人に対しては禁止されましたけれども、政党に対してはどの程度認められるべきかという点については、有識者の懇談会あるいは与党との協議、野党の提案等も踏まえまして、政治活動に要する資金というのは、企業献金にしても団体献金にしても個人献金にしても、あるいは税金からの助成金にしても、どうあるべきか、総合的に今検討している最中でございますので、今後、改善に向けてさらに協議を進めて、しかるべき時期に結論を出して実施に移していきたいと思っております。
佐々木(憲)委員 実際に、公共事業受注企業からの献金を受け取るということは、国民の税金で仕事をする企業からの献金ですから、税金の横流しなんです、税金の私物化になるんです。それが政治をゆがめ、政官業の癒着の温床になるんです。そこをきっぱりと改めなければならないということを最後に申し上げて、時間が参りましたので、終わります。
藤井委員長 これにて佐々木君の質疑は終了いたしました。
 次に、横光克彦君。
横光委員 社民党の横光克彦でございます。
 小泉内閣がスタートして約二年になろうとしているんですが、この二年間、日本の景気がよくなったとは、まさか総理も強弁なさらないと思います。
 一月の完全失業率が五・五%、過去最悪水準を高どまりして続いている状況でございます。三百五十七万人、約三百六十万人の方々が職を失って、職を求めている。そして、この五年間でサラリーマンの所得は一割減少したというデータも出ております。さらに、年金給付額も引き下げられている。要するに、入ってくる金は減ってきているわけですね。
 その一方、負担増はどうですか。先ほどからも随分説明がございましたが、医療保険制度改革で、昨年の十月から高齢者の医療費が上がっております。そして、この四月からは政管健保加入者のサラリーマンの保険料が上がる。そして、三割負担がいよいよ四月から実施されようとしている。介護保険料も引き上げられます。雇用保険制度も見直されました。昨年の十月から保険料が引き上げられ、五月からは失業給付が削減される。
 また、数々の増税も予定されている。発泡酒やワイン、たばこの増税、さらには一年おくれで配偶者特別控除の廃止等々、まさに負担増のオンパレードなんですね。入ってくる金は少なくなっていく、出ていく金はこれだけ激しくなる。
 こういった中で、本当に消費の拡大ができるんでしょうか。景気の回復ができるんでしょうか。デフレを克服できるんでしょうか。総理、お答えいただきたいと思います。
    〔委員長退席、杉浦委員長代理着席〕
竹中国務大臣 経済そのものを活性化させるためには、構造改革を全面的に推し進めなければいけない、これはもう何度も、総理も我々も御答弁をさせていただいているところでございます。
 経済は一時的な需要不足で悪くなっているのでは決してありませんから、まさに歳出、歳入、規制、金融の改革を進めなければいけない。その中で、景気というその中での循環の動きがありますけれども、この循環的な動きに関しては、平成十四年度というのは、十四年の第二・四半期、第三・四半期、第四・四半期、むしろ成長率は予想を上回って高かったわけでございます。
 我々としては、今そうして少し予想より高くなってきたその循環的な動きが踊り場的な状況に差しかかっているということに注視をしながら、構造改革を進めながら、しかし財政が急激に経済を冷やすことのないように、そのような予算を組んで、今回、今後の経済運営に当たろうというふうに考えているところでございます。
横光委員 デフレを克服するというのが政府の最大の課題とおっしゃっております。そのためには景気の回復が第一なんで、そのためには消費の拡大が第一なんです。
 これだけの負担増で、本当に消費の拡大ができると思っておるんですか。恐らく、みんなもう不安で、貯蓄貯蓄という形になっていくでしょう。これだけ負担が続いているんですよ。せめて、総理、国民の七割が、この医療保険三割負担は凍結してほしい、反対だという声があるんですよ、直近の世論調査で。そして、各地方では凍結の決議が議会でどんどんされているんですよ。こういった国民の声に、地方の声に何で耳を傾けないんですか。
 先ほど総理は持続可能な制度のためと言いましたが、それは制度を維持するための持続可能であり、国民のための持続可能というふうには私は受け取れませんよ。やはり、持続可能というのは、国民に利用されやすい制度をつくることでしょう。それが、これだけ負担が高くなったら、国民が、だれもが利用できるという状態じゃなくなってくるんですよ。
 ですから、やるべきことをやって、それで負担をお願いするんなら、まだ国民も理解しますが、やるべきことをやらない、いわゆる抜本改革をやらないで負担増だけお願いするんで、国民の七割がやはり納得できないという声を上げているんです。この医療保険凍結というのは、本当に大きな課題である、これをやってしまうと大変な、健康にも影響を与える、経済にも影響を与える、このことを私は強く申し上げておきます。これは先ほど石井議員に答弁いただきましたので、到底納得はいきませんが、国民の声にとにかく私は耳を傾けていただきたい、そういう気がいたしております。
 大島農水大臣にお尋ねをいたします。
 大島農水大臣は、意識的であれ、結果的であれ、法制局をだましたことになると思いますが、いかがですか。
大島国務大臣 私は、国会議員になって十九年でございますが、人をだますとかそういうことはあってはならないという生き方をしてまいりました。委員から大臣という立場でさまざまな質問を受け、その中には耐えがたき言葉も浴びせられることがございますが、法制局をだますということはございません。
横光委員 結果的にそうなったんではないでしょうか。
 大臣は、議員として法制局にお願いをしたと言っておりますが、論点整理をした上で、では何をお願いしたんですか。
大島国務大臣 既に十五日から周辺に文春の取材があるということの情報がございまして、東京でミニ閣僚会議をやっておりましたが、たしか日曜日、十五日だと思いますけれども、そのときからスタッフは、元秘書、つまり藤田のことについて、そしてそのビルのオーナーとの関係について、正確な事実関係をまず調査し、整理することから始めました。
 その後、弁護士さんにも入っていただき、この問題点はどういう点があるかということを整理し、そして、私も月曜日あたりからその会議に参画し、政治資金、あるいは選挙法、あるいはその他について、自分なりに三点か四点論点整理をし、自分の考え方を申し上げ、そのことについて法律の確認をしたいという思いの中でお答えをいただいたところでございます。
    〔杉浦委員長代理退席、委員長着席〕
横光委員 大臣は、答弁の作成を依頼したわけではないというお答えをいたしておりますが、法制局の方も、答弁用にこの要請にこたえたのではないと言っております。
 しかし、結果的には大臣は答弁にこれを使用されたわけです。ですから、これは完全に法制局の意図と違った形で大臣は使われたわけですから、大臣は、きつい言葉ですが、法制局をだました、結果的にだましたことになる、私はこのように申し上げているのです。
大島国務大臣 人をだますとかだましたとかということを、私自身は簡単に使うべきではないと思っておりますが、事実関係をちょっと委員にお話しいたします。
 二十日の日でございますが、私は、法制局に、そのように日曜日から論点整理をした内容を電話をしたのが四時ごろでございました。そして、その四時ごろには、一体どういう質問項目が具体的に来るかということは一切わからない時点でございました。そして、明確に質問項目が私の手元に来たのは、もう七時近くだったと思います。
 したがって、その質問に答えるために問い合わせしたのではなくて、本当に議員として、先ほど来申し上げたように、これは法律にかかわることをちゃんと勉強もしておかなければならぬという思いの中で、既に弁護士さんたちと論点整理をしたことを、議員立法等もありますから、私なりに確認をしたということでございます。
横光委員 法制局につくってもらった想定問答、これは委員会で使用はしたんですね。
大島国務大臣 私のところには、こういう厚い質問応答がございます。そのものを使って答弁したのではなくて、そういう論点整理をし、そのことを申し上げ、そのことの整理をしていただいたわけですが、さまざまな、そういうことからしっかりつくったものをベースにして、私はお答えをしております。
横光委員 細野議員が質問通達したのが六時前だそうでございます。そして、六時半ごろから作業メンバー全員が法制次長室に集合して回答文書作成作業を開始した、こういった法制局の報告がございます。そして、細野議員の質問に委員会で答えたのと想定問答集が一致しております。ですから、これはもう完全に利用したわけでございます。
 となりますと、法制局は、委員会の答弁に使われると思っていなかった、そういった思いでつくったのではないと言っているわけですね。議員としての問い合わせに答えたんだと言っています。ところが、大臣は議員としてお願いして、そして、そのいただいた想定問答集を今度大臣として使用したわけですから、そういった意味で、私は先ほどからきつい言葉を言っているわけですよ。
 これはもう事実なんです。ですから、これはもう認めてもらわなきゃならないし、そのために参議院の議長もきついことを言っているわけでしょう。そういったことがなければ議長だってあんな発言はいたしませんよ、やってはいけない禁断の実に手をつけたと。
 やはり個人的な問題について相談は一切参議院では断っており、あり得ないことだということを大島大臣はやってしまったと思うわけですね。私は、法制局の皆様方は、ある意味ではやらざるを得ない立場であるし、被害者的な立場ではないかという気がいたしております。そもそも、お願いした、第一石を投じたのは大島大臣でございますので、そういった意味で、結果的にそれを利用したということは、法制局の人たちは、そういったつもりじゃなかったのにそうなったという今思いでいっぱいだと私は思うんですよ。
 そういったことで総理にお尋ねをいたしますが、前回、私が二十日のときに、このような状況の中で、WTOの問題とかあるいは農政改革という非常に大きな問題がある前で、大島大臣で大丈夫ですかとお聞きいたしましたら、大臣は厳しい政治活動の中で、あれもやらなきゃならない、これもやらなきゃならない、大変な苦労の中を職務の遂行に今全力を投球してくれていると思っておりますとお答えになりました。
 あれもやらなきゃならない、これもやらなきゃならないの中に、こうしてかけられた疑惑に対して解明に向けていろいろ努力しなきゃならない分野が相当私は入っていると思うんですね。そして、このときにお尋ねしたときには、法制局の問題はまだ浮上しておりませんでした。
 総理、改めてお尋ねいたします。
 先ほどからの議員の質問にございますように、これだけ多くの秘書に関する疑惑がある中で法制局の問題も浮上して、やはり内閣と国会のいわゆるデッドラインを超えるようなことが起きてしまった。これほど多くの課題を持っていながら、これは大島大臣が個人的に持っていながら、公的にこれだけ今度は大きな仕事をしなきゃならない。果たしてこの重責に本当にたえられるのか、本当にふさわしいと思っておられるのか、いま一度お聞かせいただきたいと思います。
小泉内閣総理大臣 農林水産省の抱える課題というのは大変多岐にわたり、外国との交渉、そして国内の厳しい農林水産業等の状況を考えて、毎日大島大臣の苦労は並大抵のものではないと理解しております。
 そういう中で、あれもこれもと対応に苦慮されているのは、私もはたから見て、大変な精神的な重圧だろうと、察するに余りあるわけでございますが、しかし同時に、十五年度予算案を抱えて、この問題に全力で当たらなきゃならない、その自覚を強く持っております。そして、この予算案の一日も早い早期成立に向けて、省内におきましても、実際の職務に対する、仕事につきましても意欲を持って今当たっているわけであります。
 よくこれだけ厳しい追及を受けながらも、しっかりと、職務に遅滞なく、意欲を持って取り組んでおられる。タフネスぶりに、人並み以上の強靱な精神も持っておられますので、今後とも、厳しいこの内外の情勢に当たって、立派に農林水産大臣としての職務を果たしていただきたい。そして、この責任を全うするのが今の大島大臣の立場ではないかと私は思っておりまして、今後とも大島大臣の活躍に期待を持ちながら、大いに日本の農林水産業、そしてWTOの困難な国際交渉を踏まえまして、しっかりと対応してもらいたいと思っております。
横光委員 本当に今の総理の言葉というのは、国民はだれも信じていませんよ。これほどあれもやらなきゃ、これもやらなきゃならない上に、また法制局の問題が来て、本当にこの重責を担えるとは、私はほとんどの国民は思っていないと思います。それをかばう総理は、まさにこれから任命責任が大きく問われるときが来るんじゃないか、私はそのような気がいたしております。
 終わります。
藤井委員長 これにて横光君の質疑は終了いたしました。
 次に、中西績介君。
中西委員 冒頭に、委員長にお願いをしたいと思います。
 それは、私の質問時間、十五分です。したがって、イエスかノーで質問をいたしますので、そのように答えるように、極めて簡単に聞きますから、指揮をしてくださるようお願いをしたいんです。
 私は、本予算委員会における本日までの審議を通じ、我が党同僚議員が討論した中、小泉内閣の、憲法の三本柱である人権問題について明確になった点を指摘し、特にまた、法の番人であり、人権擁護の局の設置をしておる法務省の、法務大臣のその責任等を含みまして、わずかの時間でありますけれども、追及をしたいと思っています。
 そこで、総理、人権教育のための国連十年推進本部はなぜ設置されたのか、総理は本部長でありますので、お答えください。
小泉内閣総理大臣 これはちょっと時間を、イエス、ノーでは答えられないものでありますので、拝借いたしますが、人権教育のための国連十年推進本部については、平成六年十二月の国連総会において、平成七年から十年間を人権教育のための国連十年とすることが決議されたことを踏まえまして、人権教育について関係行政機関相互の総合的かつ効果的な推進を図るため、平成七年十二月に閣議決定により内閣に設置したものであります。
中西委員 そこの本部長であるということを先般は知らなかったわけであります。ということは、そうした内容を熟知しておらなかったということになるわけです。ですから、改めて勉強されたんであろうと思いますけれども、この点は、少なくとも十四、こうした本部長を設置して、内閣が中心になっていろいろな問題に対応するということになっています。
 ですから、この点、その中でも私が人権教育、このことに特に触れますのも、こうした問題が、依然として日本の政府、そして行政関係の皆さんの中に全く人権というものが、二十一世紀は人権の世紀だと言われながら、定着をしておらない、その証左を私は一つずつお聞きしたいと思います。
 これからはイエスかノーで答えてください。
 公務員制度改革問題の問題になっている主要な柱が、国際機関ILOから勧告されているのは労働基本権の問題と思うが、いかがですか。
石原国務大臣 そのとおりでございます。
中西委員 もう一つ、労働基準法は遵守されていると思うかという質問でございますが、なぜ私がこのことを聞くかというと、労働組合のあるところでも、ないところはもちろんでありますけれども、年休は全くとれず時間外労働、休日もとれない事業所では、年間二千時間以上、月二百時間以上サービス残業を含めて行われておるということであります。
 こういうことを先般からの論議の中で明らかにされたわけでありますけれども、こうした点について、遵守されておるかどうかについてお聞かせください。
坂口国務大臣 サービス残業の訴えがふえていることだけは間違いございません。全体でサービス残業がどれだけあるかということはなかなかつかみにくい話でございますけれども、お訴えが多くなり、そして調査をした違反がふえていることは間違いありません。
中西委員 調査ができないというのは、これは答えは要りませんけれども、指摘をしておきますと、調査すらもできない基準署の人員配置であるということの証左であろうと私は思います。
 したがって、この種行政のサービスというのは、こうした点でいかに国民の人権を守るか、こうした点が重要であるだけに、小さい政府がいいなどと言ってサボること自体が、今の政府は全くこうした観点が欠けておるということを指摘しておきたいと思います。
 特に過労死の場合には、国際語にまでなっておるということ、これは本当に恥じなきゃならぬ中身だと私は思います。あるいは、サービス超勤などということを外国に行って私たちが話でもしようものなら、唖然とします。先進国の話だろうかということをみんな指摘をするわけですね。この点、一回、各閣僚、外国に行ってそういう話をしてみたらどうでしょう。
 そこで、教育基本法改正は、三月末、中教審答申を得て法案化されるとのことですが、全く論議されていない重要な点が落ちておるということを気づかなくてはなりません。それは、教育で忘れてはならないのは人権の視点です。文科省はジュネーブの子どもの権利委員会から指摘、勧告されていることがあると私は思うけれども、イエスかノーか、お答えください。
遠山国務大臣 人権教育に関してましては、学校教育においては、学校教育活動全体を通じて、人権尊重の意識をさらに高めて、一人一人を大切にした教育の充実を図るということでございまして、私どもとしては、その方向で真剣に取り組んでいるところでございます。
中西委員 質問に答えていません。
藤井委員長 遠山文部科学大臣、もう一度答弁をお願いします。
遠山国務大臣 指摘があると思います。
中西委員 今、私がずっと各大臣に答弁を得ましたけれども、四点にわたってお聞きをしたところでは、すべてこれらの問題について国際機関から指摘をされておるということをここで確認したいと思います。
 もう一つ、人権擁護法についても国連から問題点を指摘されているとのことですが、この点について、委員会の独立性、構成組織などについてされておると思うんですけれども、認めますか、法務大臣。
森山国務大臣 委員会というのは、人権擁護委員会のことですか。
中西委員 人権擁護法です。
森山国務大臣 人権擁護法の内容でございますか。(中西委員「そうです」と呼ぶ)
 この問題については、国連の人権高等弁務官から手紙をいただきまして、問題を指摘されたわけでございますが、これは向こうの理解が十分でないという面もあり、私どもの方から御説明いたしまして、ほぼ御理解いただいたかと思っております。
中西委員 今言われましたように、これまた指摘をされたわけであります。このように、人権問題にかかわる国際的な関係、私、今ここでやるのは、すべてここで論議された問題についてのみ指摘をしたわけでありますが、こうした状況にあるということの認識をどのようにお受け取りになっておるか、総理、お答えいただけますか。
小泉内閣総理大臣 教育基本法についてではなくて、全体の問題についてですね。
 これにつきましては、人権について十分配慮するということは、私は、いかなる面においても大事な問題だと認識しております。
中西委員 ですから、そうであれば、こうした問題について、少なくとも総理は本部長でありますから、このように日本政府のとられておる内容が国際的に問題になっておるということをどう克服していくか、大事だと言われるからですよ、この点は全く、小泉総理になってから本部会議は開かれておりません。幹事会は確かに開かれたと思いますけれども、ところが、そこでは、こういう問題すらも論議されていないということになれば、これまた大変なことであるということを指摘しておきたいと思います。
 最後になりますが、民主主義は定着したと思っている我が国の名古屋刑務所の暴力による殺人事件はなぜ起こったと思いますか。この点についてお答えください。
森山国務大臣 少しお返事が長くなるかもしれませんが、お許しくださいませ。
 名古屋の事件につきましては、たびたびお話ししておりますように、とんでもない、あってはならない事件でございまして、私といたしましては、深く各方面におわびをしなければいけないというふうに考えております。
 このような事件が起こりました原因ということでございますが、現在でもなお……(中西委員「いや、もういいです。わかりました。お気持ちはわかりました」と呼ぶ)よろしいですか。
中西委員 今言われましたように、こうしたことに対しての反省とおわびを言われておるようでありますから、この事件がどういう内容であったかということ、性格を持つかということ、このことは十分お察しいただけると思います。
 私は、民主主義国家における、こうした行政の手によって殺人が行われたというこの重み、これは何としても問題にしなくちゃならぬと思いますよ。ここが今、法務省においてどのように考えられておるかということが、先ほどから、朝からずっと論議される際の御指摘に対して、例えば情願の問題にいたしましても、先ほど言われましたように、問題はどこで抑えられたかというと、御存じのように矯正監査室で行われたということ。そのことは、そこの職員自体が全く人権という問題を知らないだけに、あなたに対してどういう重要性を持っておるということも知らなかったというんでしょう。
 本部から出されておる十二年度の問題について、矯正施設だとか、あるいは子供に対するいろいろな問題だとかを含めまして、「人権教育に関する研修についてはほぼ定着してきており、矯正職員の人権に対する意識の高揚が図られてきている。今後は、研修の内容等、更なる拡充に努め一層の人権教育の推進を図っていきたい。」こういう評価、今後の課題となって記述されておるんです。これは、一月十五日であったと思うんだけれども、出された報告書です。ですから、こういうことであるだけに、中身は全く理解をしていないということのこれまた証左ですね。
 こう考えてまいりますと、私はこれだけ提案をして終わりたいと思います。それは、人権擁護法の提出権がないということ、その資格すらも法務省は持っていないということです。もう一つは、拷問禁止条約の選択議定書の批准を早急にやるべきだということ、それから刑務官の団結権を認めるべきだということ、こうした点が先進諸外国に比べて大変おくれておるということ。
 なぜ私はこのことをあえて言うかというと、本当に残念だけれども、驚いておるのは、この前から出ておりますように、例えば日本が先進諸国で関係しておる国々、三十数カ国中……
藤井委員長 中西君、時間が来ております。
中西委員 はい。OECDに加盟している国々の中で、日本だけがやっておらない、こういう団結権を付与していないという状況です。これは調査に行かれた方もみんな驚いたんです。ですから、これくらい今の小泉政権は、まさに民主主義を全く理解をされていない。
 したがって、私は、その点を明らかにするためにも、法務大臣を罷免していただいて明らかにしていただきたいと思います。
 以上です。
藤井委員長 これにて中西君の質疑は終了いたしました。
 この際、筒井君の残余の質疑を許します。筒井信隆君。
筒井委員 大島大臣の方にお聞きをします。
 先ほどは法制局の方に追及いたしました。法制局が、まさに委員長がおっしゃるように、常識で考えられないような答弁をした。そうせざるを得なかったのは、大臣がこういう依頼をしたからなんですよね。大臣が悪いんですよ。
 そして、大臣も法制局も、大臣としての依頼は正当ではない、しかし、議員としての依頼はそうではない、こう言っておられます。
 そうしますと、議員としての依頼を大臣は、今度のような、金銭スキャンダルにかかわる想定問答と疑われるようなもの、この作成の依頼、今後も法制局に続けるつもりですか。今後はそれとも一切やめるつもりですか。
大島国務大臣 お答えを申し上げますが、議員として法制局に法律上のことのお尋ねをすることは、私はあり得ると思います。そして、それは疑惑がどうだとか、何を隠すとかということではなくて、今までのように、議員として、例えば公職選挙法のこの点はどういうふうに、自分はこういうふうに解釈しているけれども、どうであろうかということはあり得ると思います。
筒井委員 そうしますと、今度、この予算委員会にも資料に出しましたような、まさに問いがあって答えがある、想定問答の形を少なくともとっている、こういうことはこれからも続けられる、こういうことを述べられたわけですが、これは極めて不適切じゃないですか、少なくとも。議員として、立法の問題についていろいろ、純粋に法律解釈の問題について、あるいは照会することはあり得るかもしれない。しかし、金銭スキャンダルの問題について、そして法制局次長はもう忙しくて法制局は大変な状況だと言っているところに、さらに今後も依頼される。今回の依頼を含めて、これは少なくとも不適切とは言えるんじゃないですか。
大島国務大臣 私は、申し上げておりますのは、議員として、法律の解釈あるいは確認ということはあり得るということを申し上げておるわけでございます。今後おまえはそういうことが、いろいろな想定をして、こういうことがあり得るかということではなくて、私自身は議員としての、当然、衆議院議員としてのそういう問い合わせはあり得るものと思います。
筒井委員 私の質問をよく聞いてください。私は、この予算委員会に資料として出した、問い、答えがある、このような形の照会をして、今後もこういう作成の依頼をするのか、そう限定して聞いているんです。
大島国務大臣 筒井委員、そういうQアンドAをつくらせて云々ということを前提にして、今私に質問しておりますが、私は、まさに十六日から既にスタッフで想定問答集をつくり、弁護士とも相談し、みずからが論点整理したことをお話しし、そして法律上の確認をして、お答えをいただいたわけです。
 基本は、あくまでも議員として法律上のその正確性を期すために問い合わせをしたことであり、筒井委員から、農水委員会や、ああいういろいろな立場で聞かれました。したがって、私は、法律については残念ながら筒井委員よりは知識が足りないと思うんです。そういう経験等々からも、当然に、法律上さらに確認をしてお答えをしてきたつもりですし、また、必要であればそういうことはいたすこともあり得ると思います。
筒井委員 そうしますと、今の趣旨は、結局、この資料で出したような想定問答とおぼしきようなこういう書面の作成を今後も依頼することはあり得る、こういう答えでした。――違うの。いや、そのとおりならいいんですよ、それで。
 総理大臣にお聞きしますが……
藤井委員長 もう一度答弁してください。
 大島農林水産大臣。
大島国務大臣 QアンドAとかという形でではなくて、私は、まさに論点としてお願いしたわけです。
 だから、法律の一つの解釈とか、そういうことを聞くことはあり得るだろう、こう申し上げております。
筒井委員 先ほどから私は限定して聞いているんですよ。一般論として聞いているんじゃないんです。
 今回のような、QアンドAになっているわけですよ、形式が。一枚目は完全な事実関係、二枚目以降はQアンドAになっているんです。
 こういう資料、想定問答とおぼしき資料の作成を今後も依頼するつもりなのか、それとも、今後こういうことが、一切依頼するのはやめるのか、どっちかと聞いているんですよ。
大島国務大臣 私が法制局に申し上げたのは、こういう問題点があります、それに対して自分はこう思っておりますということを申し上げたわけです。
 ですから、明らかにQアンドAをつくってくれとかというそういう依頼はいたしません。
筒井委員 初めから、こういう今度の資料のようなものは作成は今後依頼しない、こういうふうに言われたわけですが、こういう資料の、こういう書面の作成の依頼は不適切だからですね。適切ではありませんね。
大島国務大臣 何回も申し上げますように、想定問答集をつくってくれという依頼をしたことはないんです、筒井委員。
 したがって、十五日から既に、私どもは弁護士の方にも相談しながらその論点整理を、たくさんあります、それだけじゃありません。したがって、その中で、数点、私なりに確認をしたということです。
筒井委員 総理大臣にお聞きします。
 このような資料の作成の依頼が適切ではないと考えますが、違法だと本当は思うんですよ、だけれども、大臣と法制局の主張を前提にしても適切ではないと考えますが、総理大臣はどうですか。
小泉内閣総理大臣 質疑を伺っていますと、大島大臣は、QアンドAは依頼していないと言っているんですよ。(発言する者あり)
藤井委員長 御静粛に願います。
小泉内閣総理大臣 そういう点から考えて、法制局ですから、法解釈上の問題、これは議員として問い合わせる場合があるでしょう。
 しかし、このような、今回の問題ということを、こういうQアンドAは大島大臣は依頼していないと言っているんですから、それは大島大臣のをよく聞いていただいて、確認していただきたいと思います。
筒井委員 QアンドAという形でつくられた、それをちゃんと受け取って、それをこの予算委員会の答弁でも使っている。我々が問題にする前は、一切これは問題にしていないでしょう。
 もしこういうのが間違いだと思うならば、じゃ、こんなのは求めていないと言えばいいじゃないですか。そんなことは一言も言っていないでしょう。こんなことは求めていないというふうに言って突き返しましたか、大臣。
大島国務大臣 筒井委員、事実関係をちょっとお話ししてその上で、でも、よく短編的にそう聞かれますが、まず第一に、もう既に十六日からずっと私ども、論点整理を、想定問答をつくって論点整理をしておきました。そして、実際の想定問答と、こうおっしゃいますが、実際に四時ごろにその結果の想定問答の電話をして、そして皆さんの方から……(発言する者あり)いやいや、論点整理を、私どもがそういうふうなことを言って、それは想定問答をつくったものから論点整理をして、そして……(発言する者あり)いやいや、そして、十七時二十五分ごろから、何か、あした質問しますと、こう来たんだそうです。そして、実際にどういう質問が来るかというのは七時過ぎに私のところに来ているわけですから、そういうことを踏まえた想定問答をお願いしたことは、そういう経過からしてもないと思うんです。
 まさに、先ほどちょっと示したように、事実関係をずっと私ども調べ、その上で論点整理がどうなのかということをし、その上に立って聞いているわけです。
筒井委員 本当に時間稼ぎの言い逃れでしかないと思うんですが、それほど大臣としての依頼と議員としての依頼を区別して、今回は議員としての依頼だったとそれほど強調するなら、この書類をとりに行ったのがどうして農水大臣の車で、農水大臣の秘書室の人間にとりに行かせたんですか。
大島国務大臣 大臣の秘書官室にいる事務員に、純粋に連絡事務として、恐縮だがとりに行ってくれと言って、その紙をとりに行かせたのは事実でございます。
 それで、それは、そこは大臣じゃないか、あるいは議員じゃないか、こう言われれば、それはそうかもしれませんが、要するに、そこで調整をするとか何をするというんじゃない、その資料をとりに行っていただいたということでございます。
筒井委員 だから、そこではまさに区別していないんでしょう。大臣の車で、大臣の秘書室の人間にとりに行かせた。そこでは区別していないんです。それが、言いわけのときになると、これは議員として頼んだので、大臣として頼んではいない、厳密に突然区別するわけですよ。そんな御都合主義の言い逃れないでしょう。
大島国務大臣 大臣車ではございません。(筒井委員「これ、農水省の車」と呼ぶ)ええ。
 それと、確かにそれは、委員から言う主張は、うちの政務の秘書か何かをやってとりに行かせればよかったかもしれませんが、しかし、そこで何かを協議させるとかなんとかということではないことだけは御理解をいただきたいと思います。
筒井委員 それと、この文章を何の目的で、では、作成しようとされたのか。先ほども含めて、何か文春の取材に対応するためというふうな趣旨の答えをしていたんですが、そうですか。
大島国務大臣 今日まで、文春の取材がありますと、発売日の前の日に既にそのことについて御党から質問を受けたことがたびたびございます。
 いずれにしても、当然に、出された報道について、私どもはそれを事実を精査し、そして私自身もいろいろな形で調べ、そしてまた、当然国会の場で問われることもあるわけですから、当然にそれは、そのときからいろいろな事実を調べろと皆さんが今までもずっとやってこられたものですから、当然に、さまざまな形で、自分としては事実を確かめ、論点を整理し対応しておくというのが私のまた仕事の一つだと思っております。
筒井委員 これはもうはっきり、予算委員会の答弁用につくったことははっきりしているんですが、大臣は、文春の取材に対応するためという目的もあったという答弁ですか。
大島国務大臣 私自身が文春の取材の対応をするためということは全くございません。既に、取材に、周辺に来ているという情報があるわけです。そういたしますと、ああまたそういうことに対応しなきゃならぬな。皆さんはと言うと失礼になるかもしれませんが、その記事を見て、前の日だとか、発売の前の日に質問をされることが今までも何回かありました。それはほとんど週刊文春の記事をベースにして御質問されることが多うございました。
 したがって、そういうことも踏まえながら、私は、当然その調査をし、真実をしかと確かめておくということが私の仕事の一つであろう、このように思っております。
筒井委員 そうしますと、今重要な答弁をされたんですが、皆さんはというのは私たち野党の議員ですね。野党の議員が、今、これは事実に反しますが、文春の記事に基づいていろいろ質問されると。それに対応するためにこれをつくったということですね。
大島国務大臣 それをつくった理由ではなくて、既に、今筒井委員がお話をしたように、そういう取材の情報が入りますと、私どもとしては準備を、私自身もその実際の実態を調査しなきゃなりません。記憶というのは、きっちりいろいろなものを見て、調べて、先ほど時系列も用意しなきゃなりません。その中からどういう問題があるかということを、弁護士さんを含めて論点整理をします。そういうふうなことの対応を今までもしてまいりましたということを申し上げているのであります。
筒井委員 今の、先ほどの答弁を私は聞いているんです。議員の、皆さんというのは議員のことですからね、議員の質問があるから、それに対して対応するためにつくった。まず、今そう答弁されたことはあなた認められますね。
大島国務大臣 さまざまな形で対応を考えていかなければならないでしょう。そうして、そういう中で、私どもはもう既に日曜日からその調査をし、論点整理をし、そして、いつどこで皆さんの御質問が来るかわかりません。わかりませんが、少なくとも事実関係を確認し、そして法律的な問題も自分の確認という意味で正しくしておくということは、ある意味ではあり得ることではないでしょうか。
筒井委員 あり得るというよりも、そのためにつくったと私は言っているんですよ。議員からの質問に対応するためにこれをつくった。では、議員からの質問とは何だと。この委員会、予算委員会がほとんどじゃないですか。予算委員会の答弁のためにつくったことをあなた自身が認められたじゃないですか、今。
大島国務大臣 いつ、どなたが具体的に質問するかというのは全くわかっていないわけです。しかしながら、皆さんが質問に立ちますと、しかと調査して答弁しろと言ってきたでしょう。したがって、そういうふうな意味で、あらゆることに対応するためには事実を確かめる、法律のことも確認するという意味で私どもは既にやってきた、そういうふうなことでございます。
筒井委員 だから、しかと調べた上で答弁せよ、これは議員みんな言っていることですよ。だから、そのための準備として、そのためにこの文書をつくったんでしょう。さっきから認めていることを何言いわけしているんですか、一体。
大島国務大臣 言いわけでも何でもありません。法律の確認をすると言っているじゃありませんか。だから、そういうふうなことで、例えば筒井委員からいろいろな質問を受けてきました。そのときに、私の法律に対する解釈が間違っていれば、委員のように法律に大変すぐれた人であれば失礼になっちゃいけないわけでありますから、そういうことも確認して準備しておくということは、当然あり得ることではないでしょうか。
筒井委員 答弁用に法律解釈や何かもはっきりさせておきたいということでつくったということを認められたわけですね。(発言する者あり)答弁の前段階でもいいですよ。答弁するためには法律的な解釈や何か知らなきゃいかぬと。だから、答弁のための準備であることは認められたでしょう、今。
大島国務大臣 想定問答を書かせたのではないし、それからQアンドAをつくったのではありません。論点整理をして、その上で法律上の確認をするためにお願いをしたのでございます。
藤井委員長 筒井君、時間が来ております。
 これにて筒井君の質疑は終了いたしました。
 この際、委員長から一言申し上げます。
 きょうの質疑でもそうでありますが、衆議院法制局の問題がこのような形で問題になったのは甚だ遺憾なことでございます。かつ、三権分立の一翼を担う当院にとって極めて重要な問題であります。したがって、予算委員会の審議の経過を踏まえ、衆議院法制局の位置づけ、責任問題等を当院の所管委員会において明確にすることを強く求めるものでございます。
 これをもちまして締めくくり質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして平成十五年度予算三案に対する質疑はすべて終局いたしました。
    ―――――――――――――
藤井委員長 ただいま、民主党・無所属クラブ、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合の四派共同による細川律夫君外五名から、平成十五年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議が提出されております。
 この際、本動議について提出者から趣旨の弁明を求めます。原口一博君。
    ―――――――――――――
 平成十五年度一般会計予算、平成十五年度特別会計予算及び平成十五年度政府関係機関予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
原口委員 平成十五年度一般会計予算、平成十五年度特別会計予算及び平成十五年度政府関係機関予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について、民主党・無所属クラブ、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合の野党四会派を代表し、その趣旨の弁明を行います。
 予算の編成替えを求める第一の理由は、政府の提出した平成十五年度予算に、国民生活を破滅させかねない新たな国民負担増が数多く含まれていることであります。
 小泉政権発足以来、一年十カ月を経過いたしましたが、この間、我が国の経済状況は、株価などに代表されるように悪化の一途をたどっています。中でも、国民生活は極めて厳しい状況に追い込まれ、これ以上のしわ寄せに耐えられる状態にはないのです。政府が安易に国民に痛みを押しつける前に、まず政府として行うべきことは数限りなくあり、これを放置したまま数兆円もの新たな国民負担増を押しつけることは、決して許されません。
 よって、最低限、医療費患者負担増の引き上げ、雇用保険給付のカット、たばこ、酒の増税は凍結・中止することは当然であります。医療費負担増についても、既に野党四会派で凍結法案を国会に提出済みであり、速やかに同法案の審議、成立を図れば、凍結は十分に可能であると考えます。
 第二の理由は、政府予算が現下の深刻な状況にある雇用及び中小企業に対する施策が全く不十分なことであります。
 そこで、国民の安心を確保し、危機的な経済状況からの脱却を実現するために、求職者の能力開発を推進し、実際の雇用に結びつくような失業給付制度の改善を行った上での給付延長、雇用保険の財源安定化、就職支援体制の強化、失業者の生活を守るための子弟の教育費対策等、緊急地域雇用創出特別交付金事業の積極的活用、労使協力による雇用維持・創出に対する支援などの雇用対策の抜本的拡充が必要であります。
 また、中小企業対策として、特別信用保証の時限的復活、連鎖倒産回避のための支援措置拡充、起業に対する強力な支援、不当な下請圧迫の防止措置等が必要であります。
 さらに、国民が現在必要とするサービスを十分に提供することによって安心感を高め、さらに将来への展望を生み出していくために、多様な子育て支援策の拡充、小児医療体制の整備、介護サービスの基盤拡充、障害者対策の推進、三十人学級の早期実現に向けた条件整備、老朽化の進む教育施設の耐震化を含む速やかな改修などが必要であります。
 第三の理由は、予算を編成し、執行する内閣そのものに大きな問題があることであります。証取法違反まがいの発言を平然と行われる竹中経済財政・金融大臣、全く顔の見えない二枚舌外交の川口外務大臣、部下が人をあやめた疑いを受けながら、みずからを含め辞任という責任をとろうとしない森山法務大臣、秘書疑惑、答弁問題で大臣の資質のかけらさえ感じさせない大島農水大臣、そしてきわめつけは、公約破りを大したことないと公言し、国民を破滅に追い込もうとする小泉総理であります。内閣を構成するすべての閣僚がみずからを真摯に反省した上で、新たな国民負担増の凍結・中止など、真に国民の立場に立った予算へと組み替えることが、最低限の責任であります。
 このほか、我が国社会の新たな方向性を本予算で示すために、環境政策、バリアフリー、食の安全確保などにも重点的な予算配分を行うことが必要であります。
 一方、これらの諸施策を行うに当たって、その財源は、政府提出の予算のむだを排除し、効率性を高めることによって見出すべきであります。
 公共事業関係費は、入札制度の改革、単価の見直し等のみならず、自民党長崎県連事件で明らかとなっているように、不法な政治の介入が公共事業のコストを引き上げていることにかんがみれば、野党四会派で国会に提出している政治資金規正法改正案の速やかな審議、成立を図ることによって、一層の削減が可能であると考えます。
 また、何ら改革の実現ができていない外務省報償費及び官房報償費の大幅削減は当然のことであり、同時に、一層の行政経費の効率化、真の特殊法人改革に向けた関係予算の見直しが必要です。
 以上のように、来年度予算については、新たな国民負担増の凍結・中止、危機に面した雇用環境、中小企業等に対する支援策の拡充・追加、小泉総理を筆頭とするすべての閣僚の真摯な反省と、真に国民の立場に立った予算への組み替え等の実現のため、抜本的改革が必要であります。
 野党四会派は、以上のような見地から、二〇〇三年度政府予算を、別途お配りしております重点事項に沿って組み替えるように要求するものであります。
 政府・与党は、一昨年、昨年と続けて野党四会派の組み替え要求を受け入れず、その結果、景気を悪化させ、国民生活を危機に追いやりました。そして、本年もまた、政府は、同様の愚を繰り返そうとしています。かえって財政赤字を拡大させ、国民生活をこれ以上追い込むことをどうかやめてほしい。
 国民を真に代表し、賢明なる本議場の議員各位におかれましては、何とぞ、私たちの真意をお酌み取りいただき、御賛同くださいますようお願い申し上げ、趣旨の弁明といたします。
 ありがとうございます。(拍手)
藤井委員長 これにて本動議の趣旨弁明は終了いたしました。
    ―――――――――――――
藤井委員長 これより討論に入ります。
 平成十五年度予算三案及びこれに対する撤回のうえ編成替えを求めるの動議を一括して討論に付します。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。石井啓一君。
石井(啓)委員 私は、自由民主党、公明党、保守新党を代表して、ただいま議題となっております平成十五年度一般会計予算、平成十五年度特別会計予算、平成十五年度政府関係機関予算、以上三案に対し、賛成の討論を行うものであります。
 賛成する主な理由の第一は、本予算が、従来の枠組みにとらわれず、歳出構造を見直し、めり張りのあるものとされた点です。活力ある経済社会を構築するため、将来の発展につながる重点四分野、すなわち、一、教育・文化、科学技術、IT、二、魅力ある都市と地方の町づくり、三、高齢化・少子化対策、四、循環型社会・地球環境問題対策の予算を大幅に伸ばしました。公共投資についても、時代のニーズに応じた分野への重点配分を進めました。さらに、本予算は、重点配分のみならず、単価の見直し、国庫補助負担金の削減などにより、むだの徹底した排除にも努めたものとなっております。
 賛成の第二の理由は、我が国の財政事情が極めて厳しい中、歳出全体を、やむを得ない増加要因を除き、実質的に平成十四年度の水準以下に抑制したことであります。十四年度補正予算と相まって、景気と財政健全化の双方に配慮しております。
 以上、本予算に賛成する理由を申し述べました。私は、この平成十五年度予算が我が国の今後の発展に向けて必要不可欠なものであるとして、賛成の意を表するものであります。ぜひともその速やかな成立を期待いたします。
 先日発表された民主党予算案について、一言申し述べます。
 補助金の一括交付金化が目玉として挙げられておりますが、教員の給与や社会保障の負担金を含めて、単純に二割カットするという大ざっぱな内容です。また、公共事業を二割以上カットするとされていますが、これは経済や雇用全体に深刻な影響を与え、雇用減にすらなりかねません。さらに、医療費三割負担の凍結などが主張されていますが、後世へ負担をツケ回す予算案となっております。
 なお、民主党・無所属クラブ、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合から提出された平成十五年度政府予算に対する共同組み替え要求は、現在の経済情勢等に照らして到底現実的な提案とは言いがたく、反対いたします。
 政府におかれましては、現下の大変厳しい経済情勢にかんがみ、本予算の成立後は、さきに成立した平成十四年度補正予算とともに、切れ目のない対応をされますよう強く要望いたします。
 以上、賛成討論といたします。(拍手)
藤井委員長 次に、中村哲治君。
中村(哲)委員 私は、民主党・無所属クラブを代表して、平成十五年度政府予算三案に反対し、野党四党共同提出の組み替え動議に賛成する立場で討論を行います。
 小泉経済失政による厳しい経済情勢のもと、国民は何とかして経済再生につながる予算を組んでほしいと期待しています。しかし、残念ながら、政府予算案に対しては、私が討論するまでもなく、バブル崩壊後最安値の株価という形で客観的な評価が下っております。
 以下、平成十五年度政府予算三案に反対する理由を具体的に五つ申し述べます。
 第一に、税収の大幅な落ち込みです。総理に申し上げます。これは自然現象ではありません。小泉経済失政の結果です。
 第二に、その結果として、国債発行額三十兆円の公約が放棄されたことです。総理、これは大したことではないでは済まされません。私たち若い世代には大変なことです。
 第三に、サラリーマンの医療費自己負担の五割アップ、雇用保険の失業給付の削減、介護保険の介護報酬の引き下げ、配偶者特別控除の廃止、発泡酒とたばこの税率アップ、これら新たな国民負担増により、みずからの経済失政のツケを国民に負わそうとしていることです。
 第四に、相変わらずの既得権益でがんじがらめの歳出構造です。いまだむだな公共事業が続けられ、その口ききで税金がピンはねされている。まさに税金の使い道が間違っているのです。
 第五に、総理の改革姿勢の後退です。集中調整期間は一年先延ばし、成長軌道への回帰とデフレ克服は二年先送り、塩川財務大臣の答弁によれば、プライマリーバランスの黒字化も二、三年先送りするようです。
 次に、野党四党共同提案の組み替え動議に賛成する理由を五つ申し述べます。
 第一に、本動議では、先ほど申しましたように、政府が経済失政のツケを国民に押しつけようとしている新たな国民負担増の凍結・中止を盛り込んでいることです。
 第二に、完全失業率は過去最悪、極めて深刻な雇用情勢に対応して、雇用保険の失業給付の給付期間の延長や若年層に対する就職支援体制の強化など、雇用対策に七千億円を追加していることです。
 第三に、今多くの中小企業は理不尽な銀行の貸しはがしに苦しめられています。その中で、時限的に信用保証協会の特別保証を復活させるほか、連鎖倒産回避のためのセーフティーネット保証・貸付制度を拡充するなど、中小企業対策に二千億円を追加していることです。
 第四に、三十人学級の実現、日本育英事業の無利子貸付貸与枠の拡充、学校施設改修のために教育関係に二千五百億円を追加していることです。
 第五に、これらの真に必要な歳出に充てるために、巨額の財政赤字と政治腐敗、さらに自然破壊の原因になっているむだな公共事業を一兆六千億円削減していることです。
 本委員会の審議を通じて、ことしもさまざまな問題が噴出しました。自民党長崎県連をめぐる事件を通じて、自民党が何も変わっていない事実も明らかになりました。大島農水大臣の金銭疑惑はますます深まり、衆議院法制局が大島大臣の答弁書を作成していた事実が発覚し、立法府への信頼も大きく揺らぎました。川口外務大臣は、与党からもやめろという声が噴き出すほど国会軽視の不毛な答弁を繰り返しました。森山法務大臣は、答弁をころころ変えたばかりか、人権感覚そのものを疑われています。竹中金融・経済担当大臣は、ETFは絶対もうかるなどという、政治的にも法的にも極めて問題のある発言をし、金融行政に対する信頼性を失わせました。内閣総務官室は、質問とりの番付表などというものまで作成して、国会議員の質問権を侵害しようとしました。
 このような問題が噴き出すのも、内閣総理大臣であり自民党総裁でもある小泉さん、あなたの責任です。このことを強く申し上げ、討論を終わります。(拍手)
藤井委員長 次に、中塚一宏君。
中塚委員 私は、自由党を代表して、野党四会派提出の平成十五年度予算案につき編成替えを求めるの動議に賛成、政府提出の予算案三案に反対の討論を行います。
 冒頭、申し上げます。
 大島農水大臣の秘書を隠れみのにした不正献金疑惑や、大臣としての答弁を衆議院法制局に依頼し、作成させたのではないかということに対する説明責任。そして、刑務官が行った暴行に対する森山法務大臣の対応。
 大臣自身の説明責任と資質という基本的問題。そして、そうした大臣による予算編成で組み立てられたこの国の形。これらの説明責任が求められているにもかかわらず、それが誠実かつ十分に行われず、最終的には委員長職権で予算案の採決日程が設定されたことは、まことに遺憾であることを強く申し上げます。
 一方、なし崩し的、先送りの自民党体質による来年度予算案では、この国の将来の形を明確に描くことはできないばかりでなく、実体経済に対してどのように寄与するのかも不明確であると言わざるを得ません。我々は、日本の実体経済とは乖離したこの予算案には反対いたします。
 以下、理由を申し上げます。
 第一に、この予算案と小泉総理大臣が就任当初から言っていたこととは大きく乖離するものであり、その理由についての説明責任を全く果たしていないことであります。
 小泉総理の就任当初からの国債発行三十兆円枠という約束も果たされず、そんな公約など大したことはないと叫んだ小泉総理は、みずからの政策実行能力を否定したことになります。しかし、この矛盾に対して、何ら説明をすることもいたしておりません。方針が変わったのであればその説明をきちんと果たさなければならないにもかかわらず、する気がないのが小泉総理の実態です。これでは、小泉総理の編成する予算案というものが、中長期的な日本の将来を俯瞰して直近の来年度の課題に対してどのように対処するのか、理解することなどできません。
 第二に、具体的にその予算案の中身を見れば、国民の安心、安全に対して何ら答えを与えることのできない代物であることにほかならないのであります。
 先行減税、多年度税収中立と称した予算案は、たとえ今、政策減税として時限的な減税を実行したとしても、将来は、これまでの政府の小出しにしてきた増税を加速度的に実行することを宣言するだけのものであり、これで日本経済が回復するということはあり得ません。むしろ、これまでの歳出構造を変えないことを約束したようなものであり、小泉総理がかねてから口にしていた歳出見直し、ゼロベースからの見直しということからは全く乖離をする予算案であります。
 こうした政府・自民党の編成する堕落的な予算案に対して、野党四会派提出の編成替えを求める動議は、単なる負担増でしかない医療費本人自己負担三割引き上げ等の凍結や、小泉経済政策の失敗のあおりを受けている中小企業への信用保証の特別保証の時限的復活など、国民、企業の切迫する問題に的確に対処するため重点的に配分するものであり、賛成をいたします。
 改革の方向性は支離滅裂、結果として国債発行額は当初予算として過去最悪、景気も回復しなければ財政の健全化も見込みなし、言葉と実態が乖離した小泉総理の経済運営では日本の経済社会に塗炭の苦しみをさらに加えることを申し上げ、野党四会派の編成替えを求める動議に賛成、政府提出の予算案三案に反対をし、討論を終わります。(拍手)
藤井委員長 次に、矢島恒夫君。
矢島委員 私は、日本共産党を代表して、二〇〇三年度政府予算三案に反対、野党共同提出の予算組み替え動議に賛成の討論を行います。
 この間の審議で明らかになったことは、小泉内閣が、イラクをめぐる国際問題でも、経済や雇用、政治と金をめぐる国内問題でも、ことごとく民意に逆行する政治姿勢を際立たせてきたということであります。
 これらの重大問題が山積するにもかかわらず、与党が採決を強行しようとすることは許されるものではありません。私は強く抗議するものであります。
 以下、政府予算案に反対する理由を述べます。
 反対する第一の理由は、社会保障の改悪と庶民増税による国民に莫大な負担増を押しつけ、国民生活と日本経済に破壊的な否定的影響を及ぼすものであるからであります。
 医療、年金、雇用など社会保障の改悪によって年間二兆七千億円もの負担増と給付の削減、さらに発泡酒の税率引き上げ、配偶者特別控除の廃止、消費税の免税点引き下げなどの庶民増税を合わせると四兆四千億円もの負担増となるではありませんか。サラリーマン標準世帯で見ると、リストラ、賃下げなどで実収入が大きく減少していることを含めると、年間二十六万二千円もの購買力が奪われることになります。
 反対理由の第二は、政府が言う二兆円減税が、研究・投資減税や相続税の最高税率の引き下げなど、黒字の大企業や資産家にだけ恩恵が及ぶという内容になっているからです。
 その一方で、日本経済を土台で支えている中小企業対策費は、前年度当初比で七・一%も減額し、二十五年も前の一九七七年度と同額の水準にまで落ち込んでいるのが実態であります。深刻な雇用問題に対しては、最悪の失業率をさらに悪化させることを前提に、加えて労働法制の重大改悪ももくろむなど、雇用失業問題をますます深刻にするものであり、絶対に容認できません。
 反対理由の第三は、公共事業や軍事費など浪費が指摘されている分野は相変わらず温存していることであります。
 三・九%削減したという公共事業に至っては、帳簿上のからくりによる水増し数字にすぎません。むしろ、二〇〇二年度補正と一体となった十五カ月で見ると、公共事業費は大幅に増額されています。このように、むだな公共事業の温存と拡大の結果、当初予算としては最高の三十六兆五千億円も国債発行で賄うことになり、借金依存の国家財政をさらに深刻化させているのであります。
 今必要なことは、こうした経済と財政の破綻を生み出した小泉構造改革路線を直ちに転換することであります。そして、国民の暮らしに軸足を置いた政策、すなわち、社会保障、雇用、中小企業対策を重点とした内容に転換するべきであります。今緊急に求められている中小企業対策、雇用対策にまともに取り組んでいないだけでなく、全く逆行する施策をとっているからであります。
 日本共産党はそのための抜本的な予算組み替えを提案していますが、少なくとも四野党共同提出の予算組み替えは不可欠であります。このことを強調して、私の反対討論を終わります。(拍手)
藤井委員長 次に、横光克彦君。
横光委員 私は、社会民主党・市民連合を代表し、政府提案の平成十五年度予算案に対する反対討論並びに野党四党組み替え動議に対する賛成討論を行います。
 小泉内閣発足以来、総理は改革なくして成長なしというスローガンを叫び続け、構造改革政策を推し進めてまいりました。そして、約二年がたとうとしている今日、現実は、改革の姿もなければ成長のかけらもありません。完全失業率は五・五%と過去最悪の水準で高どまり、生活苦から自殺者は増加し、株価は依然低迷、勤労者世帯の消費も一向に回復する兆しはありません。
 このような状況にもかかわらず、政府予算案は、新たな国民負担増を求める施策で満ち満ちています。
 昨年の十月から老人医療の窓口負担がアップされましたが、四月からは政管健保加入者の保険料率が引き上げられ、サラリーマン健保の三割負担増も実施されます。介護保険料も引き上げられ、年金給付額は逆に引き下げられます。雇用保険も、昨年十月に保険料が引き上げられ、五月からは失業給付が削減されようとしています。こうした施策に加え、さらに発泡酒、ワイン、たばこの増税、一年後には配偶者特別控除の廃止、消費税の特例縮小などの増税が行われます。
 国民生活が困窮しているこの時期に、こうした景気回復に逆行する施策をよくぞ考えつくものだと思いますが、小泉総理の口癖は、改革には痛みが伴う、であります。痛みが伴うというその公約だけは皮肉にもしっかりと果たされていることに、あきれずにはいられません。
 しかし、世論調査では、これ以上の痛みは受け入れられないという国民が六四%、失業するのではないかという不安は七六%にも達しているのであります。
 こうした施策の一方で、政府は、一兆五千億に上る法人減税や、相続税、贈与税の減税という資産家優遇の減税を先行して実施しようとしています。これらの減税分が直ちに所得税や住民税のアップ、社会保障の切り捨て、消費税の引き上げ等々となって国民にはね返ってくるのは、火を見るより明らかであります。
 百歩譲って、改革には痛みが伴うというのであれば、その痛みはあらゆる人々が平等に負担、分担すべきものであります。しかし、総理の求める痛みとは、圧倒的多数の庶民の痛みであり、不公平な痛みであると言わざるを得ません。政府の予算案では、国民は将来の不安に備えてさらに貯蓄に走ることになるでしょう。そうなれば、消費はさらに冷え込むことは確実であります。政府予算案は、デフレを克服するどころか、デフレを加速する予算案であります。持てる者にはあめを、持たざる者にはさらなるむちをという予算案は、断じて認められません。
 政府は、四野党が提案しているサラリーマンの医療費の窓口負担の引き上げ凍結を初め、雇用保険給付カットの中止、酒、たばこ税の引き上げ中止など、新たな国民負担増の凍結・中止を即刻受け入れるべきであります。国民に犠牲を強いる政府予算案の組み替えを通して、国民負担を軽減し、デフレを克服する決断をすべきであります。
 以上、政府予算案に反対し、野党の組み替え動議に賛成する私の討論を終わります。(拍手)
藤井委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
藤井委員長 これより採決に入ります。
 まず、細川律夫君外五名提出の平成十五年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
藤井委員長 起立少数。よって、細川律夫君外五名提出の動議は否決されました。
 次に、平成十五年度一般会計予算、平成十五年度特別会計予算、平成十五年度政府関係機関予算、以上三案を一括して採決いたします。
 三案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
藤井委員長 起立多数。よって、平成十五年度予算三案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました平成十五年度予算三案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
藤井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
藤井委員長 この際、一言ごあいさつ申し上げます。
 去る二月五日の審査開始以来、委員各位には、委員会運営に御協力を賜り、終始真剣なる議論を重ねていただいた結果、本日、ここに審査を終了いたしました。
 これもひとえに委員各位の御理解と御協力のたまものであり、ここに深く感謝の意を表します。(拍手)
 本日は、これにて散会いたします。
    午後八時五十六分散会


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