衆議院

メインへスキップ



第23号 平成15年3月24日(月曜日)

会議録本文へ
平成十五年三月二十四日(月曜日)
    午後六時三十分開議
 出席委員
   委員長 藤井 孝男君
   理事 斉藤斗志二君 理事 自見庄三郎君
   理事 杉浦 正健君 理事 萩山 教嚴君
   理事 宮本 一三君 理事 末松 義規君
   理事 原口 一博君 理事 細川 律夫君
   理事 石井 啓一君
      石川 要三君    岩崎 忠夫君
      衛藤征士郎君    尾身 幸次君
      大原 一三君    亀井 善之君
      栗原 博久君    佐藤  勉君
      阪上 善秀君    高鳥  修君
      竹本 直一君    津島 雄二君
      中山 太郎君    中山 正暉君
      丹羽 雄哉君    葉梨 信行君
      萩野 浩基君    林 省之介君
      三塚  博君    持永 和見君
      山口 泰明君    吉野 正芳君
      石井  一君    上田 清司君
      大出  彰君    海江田万里君
      河村たかし君    中村 哲治君
      長妻  昭君    細野 豪志君
      前原 誠司君    松原  仁君
      米澤  隆君    赤羽 一嘉君
      田端 正広君    西  博義君
      一川 保夫君    達増 拓也君
      都築  譲君    木島日出夫君
      佐々木憲昭君    今川 正美君
      横光 克彦君    井上 喜一君
      松浪健四郎君
    …………………………………
   内閣総理大臣       小泉純一郎君
   外務大臣         川口 順子君
   文部科学大臣       遠山 敦子君
   経済産業大臣       平沼 赳夫君
   国務大臣
   (内閣官房長官)     福田 康夫君
   国務大臣
   (国家公安委員会委員長) 谷垣 禎一君
   国務大臣
   (防衛庁長官)      石破  茂君
   内閣府副大臣       伊藤 達也君
   防衛庁副長官       赤城 徳彦君
   外務副大臣        茂木 敏充君
   財務副大臣        谷口 隆義君
   予算委員会専門員     中谷 俊明君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月二十四日
 辞任         補欠選任
  伊吹 文明君     林 省之介君
  池田 行彦君     竹本 直一君
  尾身 幸次君     吉野 正芳君
  奥野 誠亮君     岩崎 忠夫君
  原田昇左右君     中山 太郎君
  松岡 利勝君     阪上 善秀君
  田中 慶秋君     大出  彰君
  中村 哲治君     前原 誠司君
  吉田 公一君     松原  仁君
  赤羽 一嘉君     西  博義君
  斉藤 鉄夫君     田端 正広君
  中塚 一宏君     都築  譲君
  樋高  剛君     一川 保夫君
  矢島 恒夫君     木島日出夫君
  中西 績介君     今川 正美君
  井上 喜一君     松浪健四郎君
同日
 辞任         補欠選任
  岩崎 忠夫君     奥野 誠亮君
  阪上 善秀君     松岡 利勝君
  竹本 直一君     池田 行彦君
  中山 太郎君     佐藤  勉君
  林 省之介君     伊吹 文明君
  吉野 正芳君     尾身 幸次君
  大出  彰君     田中 慶秋君
  前原 誠司君     中村 哲治君
  松原  仁君     吉田 公一君
  田端 正広君     斉藤 鉄夫君
  西  博義君     赤羽 一嘉君
  一川 保夫君     樋高  剛君
  都築  譲君     中塚 一宏君
  木島日出夫君     矢島 恒夫君
  今川 正美君     中西 績介君
  松浪健四郎君     井上 喜一君
同日
 辞任         補欠選任
  佐藤  勉君     原田昇左右君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 予算の実施状況に関する件(イラク問題等)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――
藤井委員長 これより会議を開きます。
 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。
 本日は、イラク問題等についての集中審議を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中山太郎君。
中山(太)委員 自由民主党の中山でございます。
 本日は、集中審議に当たりまして、まずもって、小泉総理の先日の、日米安保条約を堅持する、そしてアメリカを支持するという決断に対して、我々自由民主党としては心から敬意を表するものであります。一国の総理の決断というものがいかに重たいか、またそれによって国の命運が変わっていくわけであります。そういうことで、大変な御心労があったと私は思っております。
 そういうことで、総理の本会議における演説に対する質問を聞きながら、野党の中には総理の決断に対して厳しい批判の声も出ました。しかし、私は、忘れてはならないのは、村山総理が総理としておつきになったときに、自衛隊は違憲ではない、合憲である、そして、日米安保を維持するとはおっしゃらないで、日米安保を堅持するという決意を表明されたことを忘れることはできません。
 こういう状況の中で、私は、総理の言われるように、日米関係をこれからどう維持していくか、また国民の皆様方になぜ小泉総理がこの決断をされたのか、そこいらのところをよく理解が行き届くようにお話をちょうだいしたい、私はそういうふうにかねがね思っておりました。
 国連決議の六百八十七あるいは六百七十八、一四四一というこの数字だけが国民の頭に残って、どういう経過でこのプロセスが来たのか、私は、きょうはパネルを用意してきましたので、これを申し上げてみたいと思います。
 一九九〇年の八月二日にイラクのクウェート侵攻が起こった。このイラクのクウェート侵攻というものは、私はちょうど海部内閣の外務大臣をしておりました当時でありまして、私はちょうどASEAN外相会議、そしてAPECの閣僚会議に出席をして東南アジアを回っておりまして、ラオスに来たときにイラク軍のクウェート占領を報告されたわけであります。そのときの私の驚きというものは、これは大変なことになる、クウェートを一夜にして全土を征服した、こういう状況の中で国際社会がどう対応するか、私は直ちに東京へ戻りました。そして、外務省で緊急会議を開きました。
 そういう経験から見て、私は、今回の総理の決断というものは正しかったというふうな認識を強く自由民主党の一員として持っております。
 そこで、問題は、クウェートを占領したイラク軍、これが一体何をしたか。これに対して、ここのパネルにありますように、八月二日にクウェートを侵攻したために、安保理決議を、直ちに六百六十号で、国際平和と安全の破壊、こういうふうに安保理は決定をして、そして八月六日、六百六十一号、対イラクの経済制裁、日本政府も行いました。
 こういうことで時が流れて、九〇年の十一月二十九日、安保理は対イラクの武力行使の容認決議をやったわけであります。そして、あらゆる外交努力をやりながら、クウェートからのイラク軍の撤退について国際社会は努力をいたしましたが、残念なことに、占領したイラク軍はクウェートから撤退しなかった。こういう状況の中で、ついに一月の十七日、湾岸戦争が勃発したわけでありますが、それまでには、幾度となくイラクに対して警告を発しておったのが安全保障理事会であります。
 こういう環境の中で、私は、アメリカがいよいよ決断をするときの一月十四日、ホワイトハウスで、今のブッシュ大統領のお父様のブッシュ大統領を初めベーカー国務長官、あるいはスコウクロフト大統領特別補佐官等と話し合いをいたしましたが、アメリカの決意は固かった。このイラクの無法を許しておいては民主主義は崩壊してしまう、こういうことで、私は、この会談を終えたときに、アメリカを支持するということを申し上げると同時に、イラク軍が撤退すれば平和がやってくるけれども、撤退しなければ九〇%は国連決議による戦争が起こるということを直ちに日本政府に電話でワシントンから連絡をいたしました。そして、国内体制を整備するように時の総理にお願いをしたわけであります。
 そういう経過から見て、この湾岸戦争の結果、どういうことになったかというと、一九九一年の四月の三日に、対イラクの停戦決議が安保理で行われる。しかし、その停戦の条件というのが、イラクが受諾すればイラクは実行しなきゃならない。その中身は一体何かというと、大量破壊兵器の破棄に関する国連特別委員会及びIAEAの査察の無条件受け入れ、経済制裁の継続、クウェートの財産返還ということでありまして、これが四月の十日、イラクによって受諾をされたわけであります。
 そのときにイラク軍は撤退をするわけでありますが、イラク軍が占領中にクウェートで何をやったかというと、多くの関係のない市民を殺りくしていた、あるいは女性を家族の前で暴行した、こういったようなことから、いろいろと政府に関係のない一般市民が、占領したイラク軍によって大変な殺りくを受けたわけであります。こういう経過から見て、私は、今回の第二次湾岸戦争とでも申しますか、この状況を見ながら、率直に申し上げて、イラク軍がクウェートから撤退するときに、千六十本あったクウェートの油井を六百本以上放火したわけであります。その天を焦がすような黒煙がテレビの映像で日本国民にも紹介されたと思いますけれども、我々の国の環境問題担当者も、海鳥が油の流れたこの湾岸で飛べなくなっている姿、そして天を焦がす黒煙、これによる大気汚染、こういうことが起こって、日本はこの汚染の排除のために政府を挙げて協力をしたということは事実だと私は思います。
 こういうことを考えてみますと、今回の新しい米、英、スペインの国連安保理決議に対する、イラクに国家権益を持っている国家は一体どこかというと、油田に関しては中国あるいはフランス、そしてロシアも現在交渉中。こういう状況の中で、安保理決議にかけて、国連の安保理決議のもとにこの無法なイラクの停戦決議の実行を迫るという考え方は、シラク大統領が、ちょうど三月でしたか、たとえ安保理事会の理事国九カ国が賛成をしてもフランスは反対をするということをテレビのインタビューで言われたわけであります。つまり、安保理の常任理事国というものはかつての戦勝国でありまして、その中にフランスがいる。そのフランスが反対意思を、投票で決めるということは拒否権の発動であります。つまり、安保理による決議はできない、こういうことの予測を私はしたわけであります。結局、安保理決議に至らなかった、そして米英を中心とする、四十五カ国がこのアメリカ、イギリスあるいはスペインの考え方に同意をしている。
 こういう状況の中で、今日、日本の国会ではいろいろな議論が行われておりますが、きょうは集中審議であります。こういうことを考えると、私どもは、この中東地域で日本政府はどのような関係を持っているのか、これは一番大きな私は問題だろうと思います。
 この地域と日本との関係は何でしょうか。それは、我々の国が輸入をしている重油の八八%がこの地域から来ているという現実であります。この現実を考えるときに、この中東地域に八八%の油を依存している世界の国はどこもありません。こういうことを考えると、日本のいわゆる石油政策というものを国家として考え直す必要があるんじゃないかな。
 こういう問題から、私は総理にお願いをしたいことは、なるほどLPガスはアジアが中心に日本に入ってきている、しかし、油については中東、そういう中で、アメリカは既にロシアの油を昨年二百万トン輸入しているわけであります。つまり、油というものが国際市場において一点に集中することはその国の命運に関係をする、こういうことでありまして、私どもは天然資源に恵まれず、あるいは燃料にも恵まれない国家でありますが、そこで、これからの日本をどうするか。
 こういうことで、私は総理に特にお尋ねをしたいのは、我々の国の近所のサハリンで石油が出た、ガスが出た、全く鼻の先に新しい油田あるいはガス田が出てきたわけであります。また、総理は、プーチン大統領との話し合いで、シベリアの油をナホトカに輸送してくる、こういうパイプラインの構想も協議されたと承っておりますが、この点について、まず総理のお考えをお伺いしたいと思います。
小泉内閣総理大臣 中山先生におきましては、外務大臣としての豊富な経験から、先日はシリア、トルコに総理特使として訪問していただき、外交的な努力をしていただいたことに対して、まず感謝を申し上げたいと思います。
 また、あの湾岸戦争当時の外務大臣として今詳しく経緯をお話しいただきまして、今回こういう残念な事態に至ったということについての、今後の日本の生活に大きな影響を与えるエネルギーの問題等についての御質問だと思いますが、私は、一月、プーチン大統領と会談した際にも、日本とロシアの間には、北方領土、いわゆる平和条約締結に向けて大事な問題を抱えております。また、困難な問題であります。両方の主張に開きがある。これをどうお互い平和条約締結に結びつけていくか。この平和条約締結のためには領土問題の解決をしなければならないという問題がありますが、ロシアが、大きくソ連時代から、サミットの参加国に変わってきたという状況も踏まえまして、両国に見解の主張はありますけれども、国際舞台での協力はしていかなきゃならない面が多々ある。同時に、二国間の友好も図っていく中で、お互い信頼感を築き上げていく中でこの北方領土の問題を解決していこうという観点から、政治、経済、エネルギー、文化、芸術、スポーツ、幅広い交流を重ねていこうという会談をし、今後の日ロの行動計画をお互い確認し合ったわけであります。
 そういう中で、今お話しのシベリア、サハリンのいわゆるエネルギー開発問題、これは非常にロシア側も関心を持っておりまして、今後この問題についてはどういう点で協力が可能か、今話し合いを継続しております。
 特にこの問題については、ロシアは中国との関係も重視しておりますので、そういう点も踏まえながら、日本としては、ロシアのエネルギー輸出国としての立場と日本がエネルギー輸入国としての立場、相互補完的な面からも協力できる分野は十分あるのではないのかということで、今、平沼経済産業大臣にも指示しておりまして、今後どのような協力が可能かという点について十分検討する必要があるということで、この開発問題についても、日本としては、ロシアとの協力関係を増進する中で考えていかなきゃならない。
 同時に、今、エネルギーが中東分野で八八%以上依存している、このエネルギーの多角化も図っていかなきゃならない。同時に、石油の備蓄も大事です、あるいは省エネも大事ですが、このエネルギーの、油にかわる代替エネルギー、こういう面についても十分新たな道を探すべきではないか、これは環境にも大きく影響してまいります。
 そういう点、いろいろな分野に目を向けて、今後、エネルギー供給問題に対して、国民に不安のない対応をしていかなきゃならないと思っております。
中山(太)委員 問題は、この戦後の復興について日本がどういう点で協力ができるか。ここいらの点については閣内でもいろいろ御相談が行われていると思いますけれども、やはり日本は国連を中心にこの復興について御協力をいただきたい、私ども自由民主党はそのような方針を決定いたしております。
 そこで、私は、総理の特使としてイランのハタミ大統領にお目にかかったときに、ハタミ大統領が私にこう言われた。我々は、イラン・イラク戦争で八年間戦った。しかし、イラクは化学兵器を使った。その負傷者が現在でも三万五千人生きている。だから、化学兵器というものは大変人類に不幸をもたらす、もし今回の新しい戦争が起こってもイランは中立を守るという約束を、総理の特使である私に、ハタミ大統領はされたわけであります。
 こういうことを考えると、トルコにいたしましても、あるいはジョルダンにいたしましても、あるいはこのイランにしても、問題は難民の救援をどうするか、これが一つの大きな日本の課題であろうと思いますが、実は私も、第二次世界大戦の最中には、アメリカの空軍の大爆撃を受けて危うく死に損なったり、あるいは艦載機の機銃掃射を受けながら麦畑に飛び込んで命を取りとめたことも体験をしております。こういう中で、現在、イラクの、政府に関係のない一般の市民をどのようにこれから救援していくか、これは非常に大事な問題でありまして、ぜひひとつこれは積極的にやっていただきたい。
 私は、みずからの体験を通じて、この大規模爆撃の中に生き残るイラクの人たちあるいは負傷した人たちをどう救うか、それに、一般の民間の医療団体だけで事が済むのか、あるいは自衛隊の医療部隊を派遣できるのか、こういったことについて、川口外務大臣と石破防衛長官に御答弁をお願いしたいと思います。
川口国務大臣 難民支援あるいは周辺国支援、そして戦争が終わりましたときの復興支援、それぞれ大事であると考えております。
 我が国として、とりあえず緊急的な人道支援として行いましたことは、まず、今おっしゃられた医療の関係でございますけれども、これはJICAベースの医療の協力ということで、既に出発をしております。それから、今後引き続き、国際平和協力法によって医療チームを派遣するということも考えております。
 また、物資の協力もする予定にいたしておりますし、それから、こういったことについてはNGOの方がきめ細かい支援をしていただくのに非常に適切でありますので、現在、日本のNGOが、クルド地域、イラクの北部ですが、そしてヨルダン、そしてイランに行っております。ヨルダンそれから北部のクルド地域に行っているNGOの人たちに対しては四億円の支出をするということを決定いたしました。イランについては今後検討をするということでございます。
 また、周辺国の支援ということで、ヨルダンに一億ドル、そしてパレスチナに対して五億円、四百二十万ドルほどですが、決定を、閣議等がございますが、実質的にはしております。
 こういったことをとりあえず行い、今後、事態の推移を見て、まず国連機関の救援ということが要望が出ると思いますので、それを見、あるいは事態の進展を見て考えたいと思っておりますし、引き続き復興支援についても、状態を見て、日本としてしかるべく責任を果たすべくやっていきたいと思います。
石破国務大臣 今外務大臣から答弁がございましたとおり、例えば難民に対してテントのようなもの、これを国際的な人道支援ということで自衛隊機で運ぶということは現在でも可能でございます。そういうようなニーズが発生をすれば、御指示に従ってそういうことになろうかと思います。
 あとはもう、また先生の御指導を賜りたいところでございますが、どういう形で終わるか、そして、復興が国連の手によってなされるのか、それによってまた変わってくる点があるだろうとは思っております。
 ただ、私どもが持っております補給でありますとかあるいは医療でありますとか復興でありますとか、そういうような能力というものは相当に活用ができるものだというふうに考えております。今の法律の枠組みでできるかどうか、そしてまた、現地に行きまして活動しますときの治安というものはどのようなものであるのか、そのような、私どもの能力あるいは法的な可能性というものを勘案しながら、可能な限り国際的な責務を果たしていく、そういうふうに考えておる次第でございます。
中山(太)委員 もう時間がございませんので、いろいろと質問をいたしたい多くのことがございますが、韓国は既に六百名の工兵部隊を派遣することを閣議で決定をした。こういうことも踏まえて、私どもは、憲法と自衛隊法の許す限り、できるだけの支援をやっていかなきゃならない。
 また、アジアには非常に不安定な要素がございます。三月二十八日は日本の国産の偵察衛星が打ち上げられるわけでありますが、これについて、朝鮮の労働新聞、朝鮮中央通信、これは大きな関心を持っていることを既に表明をしております。
 こういう中で、国内の治安の問題、その問題について、官房長官が中心に随分御苦労いただいているようですが、その点について国民に、簡単で結構ですから、心配がない、政府は責任を持ってやっているということをぜひひとつ御明言いただきたいと思います。
福田国務大臣 衛星の打ち上げについては先生も大変御熱心でございまして、もう五年ぐらい前でしょうか、そういう提案をされておられたわけで、ようやくそれが実りまして、今週の金曜日、二十八日に打ち上げの予定、こういうことになりました。まだ予定でございまして、何かあれば、天候とかそういうような問題があればまた延期もございますが、予定どおり上がることを私も期待いたしているところでございます。
 そこで、これは情報収集衛星。これは、情報と申しましてもいろいろな情報がございます。安全保障上のこともあるかもしれぬけれども、我が国の場合には防災という観点からも大いに活用できるのではないかというようなことでございまして、私もこの衛星の活用については大いに有効活用できるように考えてまいりたいというように考えております。
 そこで、これを打ち上げて心配する国があるのではないか、そういうことでございますけれども、これはほかの国でも上げている衛星でございますので、特別に何かをするということではない。そういうことよりも、そういう問題が生ずることのないようなことをその国には申し上げたいというふうに思うくらいでございまして、万一何かあるということがあるならば、それはそれで十分な警戒態勢というものはとらなければいけないということで、このことについては十分な警備をするようにという指示を現地にも出しておりますので、全く御心配ないと思っております。
 どうぞよろしく御理解を賜りたいと思います。
中山(太)委員 最後に、もう時間がありませんので、総理に御質問申し上げたい。
 世界は、宗教人口というものを見てみますと、大変大きな数で分かれているわけですね。日本のように、仏教、神道、キリスト教、いわゆる多神教の国家、インドもそうでありますが、イランのハタミ大統領が私に言われたことは、文明間の対話をしないとどちらもやがてお互いが戦争をするような悲惨な世界になっていくだろうと。こういうことで、私は総理にお願いをしたい。
 日本のような、クリスマスイブも楽しめる、あるいは仏教で大みそかの除夜の鐘も聞く、元旦は神道で初もうでをやる、こういう国家、あらゆる宗教を認めている国家というのはインドと日本がアジアでは特筆されていると思います。
 こういうことを考えると、ハタミ大統領の文明間の対話について、日本が積極的に同じような考えを持っているインドなんかとも協力されて、ハタミ大統領の考え方というものを、イスラムの世界の考えの中にもそういう考えを指導者として持っておられる、こういうことで、ぜひひとつ日本は文明間の対話について国際的に努力をされたい、このことを総理にお願いを申し上げたいと思うんですが、総理の御決意を聞いて、私の質問を終わらせていただきます。
小泉内閣総理大臣 かねてより私は、このイラク問題について話すときに、これはアメリカとアラブの対決でもないし、イスラムとの対決でもない。お互いの違いを尊重しながら、各国それぞれ宗教がある。イスラムとの対話、アラブ諸国との交流、これは、日本のみならず、あるいはアメリカ初め全世界が心がけるべき点ではないかという点から、今回も私は、戦後の復興支援につきましても、あるいは戦闘行為が継続している中でも、周辺国のアラブ諸国、イスラム諸国との幅広い交流については十分配慮すべきだ。
 また、日本としても、今後そのような諸国との友好のために何が必要かということを、今までも考えてまいりましたけれども、今後さらにアラブ、イスラム諸国との幅広い交流に意を用いるべきだということを外務大臣初め関係閣僚に指示しているところでありますので、今御指摘の点、これから全世界との交流を心がける意味においても、また対話の重要性を考える意味においても、ただいまの御指摘というものは大変重要だと、これからも、そのような点に気をつけて、アラブ諸国、イスラム諸国との幅広い交流を進めていきたいと思っております。
中山(太)委員 時間が参りましたので、これで私の質問を終わらせていただきますが、どうぞ、総理を中心に一致結束して、この日本の新しい時代への大きな扉をあけていただきたいということをお願い申し上げて、自由民主党を代表しての質問を終わらせていただきます。
藤井委員長 これにて中山君の質疑は終了いたしました。
 次に、田端正広君。
田端委員 公明党の田端正広でございます。
 総理及び関係大臣、大変に遅くまで御苦労さまでございます。
 総理、まず、今回のこの問題、総理は、国際協調と日米同盟、この二つが基本的なスタンスだ、ずうっとこうおっしゃってこられました。
 しかし、そういう意味では、国際協調と言われる大きなテーマである国連の合意というものが今回可能でなかった、そういう中でのこのアメリカの武力行使。悪いのはといいますか、問題なのは、大量破壊兵器、これを廃棄するということがイラクの側にあるわけでありますけれども、しかし、結果としてこういうことになったということについて、総理はどういうふうにお考えでしょうか。
小泉内閣総理大臣 平和的解決を望んでおりましたけれども、結果として戦闘状況に入ってしまったというのは残念なことでありますが、こういう事態に立ち至った以上は、できるだけ被害が少なく、速やかに戦争を終結させなければならない、これを強く希望しております。
 結局、戦争が早く終わるということは被害が少なく終わるということにもつながりますし、残念な結果に立ち至りましたけれども、私は、多くの戦争に関係のない人々が被害を受けないような配慮が必要ではないかと思っております。
田端委員 今お話のあったように、早く終わるということ、これはもう最大のテーマだと思いますが、大量破壊兵器がもし万一テロ組織のところに手渡ったらどうなるかという、ここのところがやはり私は今回の大きな問題だと思います。
 それで、九月十一日というあの衝撃的な同時多発テロ、この事件に遭遇したアメリカにすれば、これはそういう意味では大変な思い詰めたものがあったんであろうという感じはするわけであります。あの直後の九月二十日のブッシュ演説を見ても、テロリストを支援したりかくまったりする国家はテロ組織と同じだということで、イラクに対しての対決姿勢というものを明らかにしております。
 今回、この問題に対しては、過去十二年間ずうっと、国連においても、先ほどもお話があった国連決議六七八、六八七、そして一四四一に至るまでずうっと、十二年間に十七本国連決議があったわけでありますが、イラクはそういった問題を無視するといいますか、軽視するといいますか、そういうことをずうっと一貫してやってこられた。これは、そういう意味では、大量破壊兵器を廃棄するという意思がはっきりしていない。ここが一番大きな問題であり、この大量破壊兵器のマスタードガスとかVXガスとか炭疽菌とか、生物兵器、化学兵器、これはもう大変な脅威になっているわけでありまして、この脅威、これはつまり、テロと一緒になれば差し迫った脅威になる、そういう意味でなかなか、アメリカの立場というものもこれは大変なものがあったという感じがするわけです。
 それで、私は別に先制攻撃論を認めるわけでも何でもないんですが、しかし、アメリカからすれば、国連の決議がきちっとあり、踏まえている、そして国際協調という枠組みもわきまえている、そういう中で、世界的な脅威というものを、これを除かなきゃならない、未然に防ぐ、そういう発想を持ったんではないのかなという感じがします。
 例えば、病気になっても、病気がこじれてから治療するより、なる前に予防ということでやることが大事なんであって、そういう意味では、私は、予防自衛といいますか、予防的な自衛、こういう発想がこれからの国際社会にあっては必要ではないかな、こんな思いもするわけでありますけれども、総理は今回の問題、この点についてはどういうふうなお考えでしょうか。
小泉内閣総理大臣 今回のイラクに対する武力行使は一連の国連決議に基づくものでありまして、私は国連憲章に合致するものだと思っております。
 今までの、いわゆる脅威に対する考え方、戦争に対する考え方、これは確かに、委員御指摘のとおり、一昨年の九月十一日のニューヨークに対するテロ事件、あるいはアメリカの国防の本拠である国防省、ペンタゴンへのあのテロ等から変わってきたということは言えると思います。
 アメリカの本土に、国ということではありませんけれども、テロリストが攻撃をしかけて、あのような多数の死傷者を出した。日本が真珠湾を攻撃したときには、ハワイにおける軍事施設だけだったと伺っています。それで、軍人が死んだのが二千数百名。ところが、今回、テロリストの攻撃は、ニューヨーク、本土で、民間人だけで三千人を超している。この衝撃というのはアメリカ人以外にはわからないだろうとアメリカ人はよく言われますが、やはりそういう思いも寄らない、しかも武器を使っていない攻撃であのような被害を出したということに対して非常に脅威を感じているというのは私も理解できますが、今回のイラクに対する武力行使というのは、一連の国連決議に根拠をなすものだと思っております。
田端委員 私もそのとおりだと思いますが、しかし、少し時代は変わってきつつあるなという、これは感じるわけであります。だからといって、私は何もアメリカがいいと言っているわけじゃなくて、私は、アメリカに大変行き過ぎがあった、こう思っております。
 それは、特にこのブッシュ政権にかわってから、国益中心主義といいますか、非常にそういうところが目立っているのではないか。冷戦崩壊後、新しい秩序を構築する、そういう建前はあるんでしょうけれども、しかし、アメリカのみずからの国益を中心にした判断、例えば、私は、実際に、京都議定書の離脱とか、国際刑事裁判所、ICCの設立条約からの離脱とか、こういった問題、それから、CTBT、包括的核実験禁止条約、これに署名しておきながらまた反対とか、いろいろな変化はあると思いますが、しかし、そういう意味では大変後退してきている、つまり国際協調という中から少しずつアメリカが孤独なところに入っていっているんではないかなという感じがします。
 昨年九月、総理も出席されたヨハネスブルク環境サミットのときも、私は、総理のスピーチ、大変すばらしかったと思いますが、持続可能な発展のかぎを握っているのは人である、人間であると野口英世の話を通されてスピーチされた。これは大変な評価でありましたが、ブッシュ大統領は京都議定書離脱ということでこの会議には来られなかった。それでパウエル国務長官が来られた。ところが、そのパウエル国務長官の演説の中で、アメリカは今後も京都議定書にコミットするということを言った途端に、これはもう大変なブーイングで、演説が中断してしまった。中断すること三回あったわけでありまして、そういう意味では、このアメリカの対応というのは少し行き過ぎたところがある。
 きのう終わりました世界水フォーラム、私が残念だったのは、アメリカの政府関係者も国会議員も出席を見合わせたということは、こういう大きな国際会議にむしろ出てきて、今の現状に対してアメリカがしっかりと物を自分の口で発信すべきであった。これをやらなかった。
 こういったことを考えますと、私は大変残念な思いをしますが、こういうアメリカにはっきりと今度物を言えるのは、逆に言うと、日米同盟である、盟友である小泉総理、あなたがブッシュ大統領にしっかりと物を言う、こういうときに今あるのではないか。そうしないと、今の国際社会が、これ以上おかしくこじれてしまったら、もっともっと偏った方向に行くのではないかということを私は危惧するわけであります。
 まず第一点は、戦争が早く終結するように、ぜひ総理の方から助言をしていただきたい、はっきりと物を言っていただきたい、こう思います。
 もう一点は、国連の安保理が、今そういう意味では機能がおかしくなりました。これを回復させる必要がありますが、イラクの復興決議というものを国連でやることを前提に、アメリカとしっかりとそこを詰めていただいて、そういう意味で、二つの点で、アメリカに対する明確なアドバイスをしっかりとやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
小泉内閣総理大臣 私は、国際協調と日米同盟、この重要性をよくわきまえて、これを両立させるように努力していくのが日本の基本的姿勢であるということをかねがね言っております。
 今回も、安保理の会議の中では残念ながら一致を見ませんでしたけれども、今後、イラクの戦後復興等の面につきましては、私は、国際協調が図られるような対応が必要だと思っておりますし、そういう観点から、私は、アメリカも十分国際協調体制を構築するように努力すべきだということをかねがね申しております。
 どういう形でこの戦闘行為が終結されるかまだ定かではございませんが、また、今後どのような復興支援というものを各国が考えているかまだ不透明な点も多々あると思いますが、日本としては、できるだけのことをやっていきたいと思っております。
田端委員 そもそも、このイラク問題に関しては、私は大変残念なことが一つあると思います。それは、日本の首脳、つまり総理あるいは川口外務大臣、こういった方々が国際舞台でしっかりとメッセージを発していない、これが私は大変残念だと思います。それは、具体的に言いますと、これは野党の皆さんにもお願いしなきゃなりませんが、国会開会中であった、だから思い切った行動がとれなかったということが大きな問題点だろうと思います。
 しかし、それはそれとして、もっともっとやり方があったのではないか。例えば、政府には専用機もあるんだし、副大臣もいるわけですから、幾らでもそれは、こういう大変な緊急非常事態に対してはもっと積極的な対応の仕方があったのではないか。情報化社会といえども、電話会談だけじゃいかにも寂しいんじゃないか、こんな感じがしております。これはまた国対レベルでぜひ各党とも話し合っていただいて、そういうことをお願いしたいと思います。
 実は、公明党は、大変そういう意味では、国連中心主義の政党として、この問題で苦慮しました。
 それで、国連が三つのグループに分かれて行き詰まった三月の三日、四日、五日、神崎代表が急遽ニューヨークに飛びました。そして、アナン国連事務総長に直接会って、そしてこの今行き詰まっている国連を、アナンさん、あなたが何とかここでもう一回きちっと整理して、そして国際合意というものをきちっと果たして、場合によってはバグダッドに飛んでフセイン大統領と直接談判してでも、平和的な解決へぎりぎりの努力をしてもらいたいということを神崎代表から直接申し上げたわけであります。そして、その足でアーミテージ国務副長官にも会って、アメリカも最後まで平和的努力をしてもらいたい、これも直接要請した、こういうことをさせていただいた。
 そしてまた、浜四津代表代行は急遽ジュネーブに行きまして、国連難民高等弁務官のルベルス高等弁務官にも直接お会いして人道支援のことについて話し合い、その足で今度はイランに飛び、イランで難民キャンプの予定地を視察し、イランとイラクの国境のところまで足を運んで、その現場に行ったわけであります。浜四津代表代行はちょうどその国境に立ったのが三月の十七、十八日ですから、三月二十日の、戦争が始まった二日前、そのぎりぎりまで現地に臨んで対応を協議したわけであります。
 そういう意味では、一つの政党でもそういうことができるわけですから、ぜひ総理、そういう意味では、今後とも国際舞台にどんどん出ていっていただきたい、こんな思いをしておりますが、総理の御所見と、それから、川口大臣は、先進国の中でも平和を愛する女性の外務大臣、紅一点だと思いますが、ぜひそういう意味で、川口大臣の働きの場もこれから多いと思いますので、その辺の決意のほどもお伺いしたいと思います。
小泉内閣総理大臣 日本が国際社会の中で経済力にふさわしい役割を果たさなきゃならないという御指摘だと思いますが、私は、昨年一年間見ましても、外務大臣よりも外国を訪問しているんじゃないでしょうか。また、各国大統領、首相、これも日本をよく訪れてくれます。そういう際にも、国会の日程の合間を縫って、できるだけ面会し、会談するようにしております。さらに、副大臣、政務官初め、総理大臣経験者、外務大臣経験者にもお願いしまして、特使として、あるいは必要な対話を心がける場合には派遣いたしまして、できるだけ日本の立場を理解し、各国との協力を得ようということで努力しているわけでございます。
 もちろん、国会で法案たくさん抱えていまして、それぞれ皆さんからの御協力を得ないと成立しないものですから、それについても十分配意しています。しかし、できるだけ国会の御理解を得て、必要な会議には出席するように心がけていきたい。
 昨年ですか、田端議員も南アフリカで、ヨハネスブルクでお会いしましたね。やはり目に見えないところで努力されているなと。公明党の皆さんが、神崎代表もアナン事務総長と会談する、あるいはアーミテージ国務次官とも会談される。先日、浜四津代表代行もジュネーブでいろいろな方々、要人と会談された。午前中は、参議院の予算委員会で遠山参議院議員が、浜四津代表代行と一緒にイランを訪問されて、実際にクルド人がイラン、イラクの国境を越えて、イランに難民として、あるいは戦争の被害から逃れてこられている、その現場の写真を提供して、じかに行っている写真も見せていただきました。そういう面で、議員外交も活発に展開されるということはよく承知しておりますし、お互いみずからのできないところを補い合っていく……
藤井委員長 総理、時間が来ていますので。
小泉内閣総理大臣 日本の立場というものをできるだけ理解されるような外交努力を心がけていきたいと思います。
藤井委員長 もう時間が来ていますから、じゃ、簡単に一言、川口外務大臣。
 時間をちゃんと守るようにしてくださいね。
川口国務大臣 私は、昨年外務大臣になりましてから、一年間で七十日強海外に出ておりますけれども、やはりまだ、国会も大事でございますので、必要な会議に出られないことがございます。田端委員から非常に温かい、会議に出ることについての御支援をいただきましたので、ぜひ必要な会議には出かけていって、そして自分で外交をしていきたいと思っております。よろしく御支援のほどお願い申し上げます。
田端委員 ありがとうございました。
藤井委員長 これにて田端君の質疑は終了いたしました。
 次に、松浪健四郎君。
松浪(健四郎)委員 保守新党の松浪健四郎でございます。
 まず冒頭、保守新党を代表して、重い決断をされました小泉総理に敬意を表したいと思います。そして、私たち保守新党は、総理の決断を支持し、これからもいろいろな形で支援をさせていただきたい、このように思います。
 古代ローマの風刺詩人ユウェナリスは、パンとサーカス、こう申しました。人間は、食べるものに不自由しなくなると、変わったものや野蛮なもの、残虐なものが見たくなる、こういう意味であります。
 英米は豊かであるから、そのような変わったもの、残虐なもの、これを見たくなったんだろうか。決してそうではありません。大量破壊兵器、特に化学兵器や生物兵器の拡散、これが国際的に広まればどのようなことになるか、このことを恐れた。そして、そのことに対して小泉総理も大変な脅威を持ち、米英を支持する、このように決断されたのではないのか、私はこう思っておりますが、総理の見解をお尋ねしたいと思います。
小泉内閣総理大臣 今回、まず、イラクがこの十二年間にわたって国連の決議を忠実に守ってこなかった。そして、大量破壊兵器という脅威にどう対応するのか。危険な大量破壊兵器を危険な独裁者が持った場合に、我々はどういう危険な状況に直面するかというのは、だれもがこれは人ごとでないと思っていると思います。
 そういう点と、さらに過去の経緯からしまして、私は、日本の安全を確保するという点から考えましても、日米同盟と国際協調を両立させるということを言ってまいりましたし、同盟国であるアメリカが、そのような一連の十二年間にわたる国連決議というものを根拠にしながら、危険な独裁者が大量破壊兵器を持った場合、この脅威をどう除去していこうかということで立ち上がったわけでありますので、私は、日本としてもこれを支持するのが日本の国益にかなうのではないか。そして、今後とも、日米信頼関係の上に立って、国際協調体制を図っていくということも大事ではないか。
 そういうさまざまな角度から、残念ながら、国連安保理で結束はできませんでしたけれども、今回の戦闘行為はやむを得ない苦渋の決断だったのではないか。同盟国としての日本もこれを支持するのが、今後の世界情勢を考え、日米関係を考え、日本国民の利益を考えて妥当なものではないかなと考えた次第でございます。
松浪(健四郎)委員 次に、外務大臣にお尋ねいたしますけれども、大量破壊兵器、とりわけ生物兵器、化学兵器、これらをイラクは保有しておるというふうに言われておりますけれども、その具体的な事例とその威力、これについてお尋ねしたいと思います。
川口国務大臣 いろいろございますけれども、例えばVXガスというのがございます。
 これは最も強力な化学兵器の一つというふうに言われておりますけれども、筋肉がけいれんしたり、呼吸障害があってそれで人が死ぬということですが、致死量はわずか〇・二滴程度、サリンの約三百倍の威力があると言われておりまして、二・四トンのVXガスは、計算を単純化していたしますと、約二億人の致死量分をイラクが持っている懸念があるというふうに言われておりまして、それについてイラクは何も、廃棄をした証拠も見せていないということでございます。
松浪(健四郎)委員 最後に、総理にお尋ねしますけれども、国論が大きく二分されております。事は安全保障の問題であります。私は、ここで総理は決断をして国民に信を問うべきではないか、こういうふうに思っておりますが、総理、いかがでしょうか。
小泉内閣総理大臣 国民に信を問うということは、解散しろということだと思いますが、まだ任期がありますので、その前にやるべきことはたくさんありますので、総合的に実績を積んで、その上で、いずれ時期が来れば信を問わなければならないと思っております。
松浪(健四郎)委員 時間が参りましたので、これで終わります。
 どうもありがとうございました。
藤井委員長 これにて松浪君の質疑は終了いたしました。
 次に、前原誠司君。
前原委員 民主党の前原誠司でございます。
 総理初め出席をいただいている各大臣に質問させていただきたいと思います。
 まず、今回のイラク攻撃につきまして、我が党の考え方というものをしっかり述べさせていただきたいと思います。
 湾岸戦争以降、十二年間にわたり十七の国連決議違反を繰り返してきたのは紛れもなくイラクであり、イラクが責められるべきである、また、イラクが自浄作用というものをしっかり発揮してこなかったということは、これは大前提として指弾されるべきであろうというふうに考えております。
 さはさりながら、国連、国際社会のルールというものの中で、国連による査察が行われておりまして、そして、その真摯な努力が、UNSCOMからUNMOVICに変わりましたけれども、行われてきたわけでありまして、イラクも、もちろん国連の努力とともに、総理が時々おっしゃっているように、アメリカのおどしというものも効果があったのは間違いないことだと私は思っております。
 実際問題、イラクが、化学兵器弾頭では、廃棄実績が四万発以上、しかしまだ九百発残っている、そして、VXなどの化学剤、廃棄したのは六百九十トン、しかし、今川口外務大臣が前の委員に答弁されたように二・四トン以上残っているということで、この残っているものについての査察というものが行われていたわけであります。
 したがって、我々の立場というのはあくまでも平和的な解決を求めるべきであり、どうしてもイラクが最終的に、おどしても、国際社会のルールの枠組みの中でも協力しないということであれば、新たな国連決議をもって、そして国際社会として正式なルールの上でイラクに対応するのが筋であろうというのが我が党の考えであるということを、まず明確に申し上げておきたいというふうに思います。
 その上で、総理に幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 今回のイラク攻撃の法的な根拠、正当性について、もう一度ポイントを絞ってお話をいただけますでしょうか。
小泉内閣総理大臣 これは、一連の決議と言っておりますが、昨年十一月の国連におきます一四四一、もちろん六七八、六八七を含んだ一連の決議に根拠をなしているものと私は考えております。
前原委員 総理はよく、危険な大量破壊兵器が危険な独裁者の手に渡ったらどんな危険な目に遭うかわからない、日本も他人事ではない、こういう答弁あるいは説明をされておりますけれども、では、これは、法的根拠とは関係なく実際の問題をおっしゃっているということで認識してよろしいんですか。
小泉内閣総理大臣 これは、実際の脅威をどう感じているかということで、危険な大量破壊兵器を危険な独裁者が握ったらどのような危険な状況になるかというのは、多くの国民が、また全世界の人々が認識していることだと思っております。
前原委員 それでは、その一四四一やら六七八、六八七という国連決議に基づいて、今回のアメリカ、イギリスなどによる武力攻撃というものは国際法上正当性がある、こういう御答弁ですね。
 ということは、裏返して言えば、国際法上正当性のない攻撃については、たとえ同盟国であるアメリカであっても日本としては認めるわけにはいかないということを意味されているのかどうか、そのことについて御答弁ください。
小泉内閣総理大臣 私は、正当性があるから支持しているわけであります。
前原委員 もう一度御答弁いただきたいと思います。国際法上正当性のない行動については、同盟国であっても支持しないということですね。
小泉内閣総理大臣 私は、どういう事態が正当性がないかということでありますが、正当性のないものは支持すべきではないと思っております。
前原委員 そこは、これ、ずっとこれから今の総理の答弁というのは有効性を持ち得るわけでありますので、ぜひそのことは肝に銘じて、これからの外交をやっていただきたいと思うわけであります。
 なぜこういう話をするかといいますと、二月の末にアメリカに私も行かせていただきまして、いろいろな方々にお話を伺いましたけれども、正当性の問題について、やはり九・一一テロの後に、アメリカとしては戦争の概念が変わったんだと。つまりは、テロ支援国家に対しては先制攻撃も辞さないんだ、こういう考え方の中で今回のイラク攻撃を説明される方が非常に多かったんです。
 確かに、アメリカの政府高官、特に戦闘が始まって以降の説明は、先ほど総理が答弁されたような、国際法の根拠に基づいているということをおっしゃっていますけれども、しかし、アメリカの国内でいえば、例えば議会がイラク解放法という国内法をつくっている。そして、ブッシュ大統領に対して、戦争をしてもいいという権限を上院、下院が渡している。その流れの中で来ていて、国際法上の正当性、特に、国連決議の解釈というのは後からついてきているものだと実は私は解釈をしています。これは私なりの解釈でありますから、それが正当性を持つかどうかは別の話でありますが。
 ということは、イラクに対しては、うがった見方かもしれませんけれども、たまたま国連決議があったと。しかし、これからテロへの脅威という中で、アメリカが他の国を、例えば先制行動、後でまた質問しますけれども、先制行動というものを前提にした行動を起こした場合、これは、今総理が答弁されたことからすると、正当性がなければだめだと。もちろん、その先制攻撃については後でしっかり詰めたいと思いますけれども、そういうことをおっしゃっているということで、ぜひその御発言は、私は重きを置いていただきたいと思います。
 さて、国連決議の六七八の解釈なんですが、今総理が御答弁されたように、国連決議の六七八というものが武力行使の根拠になっていると。確かに、これを読ませていただきますと、つまりは、二番目の決議のところでありますけれども、国連決議の「六六〇及び全ての累次の関連諸決議を堅持かつ実施し、」これは要は、クウェートから撤退しろという話。それから、もう一つ書いてあるのは、「同地域における国際の平和と安全を回復するために、あらゆる必要な手段を取る権限を与える。」こう書いてあるわけです。
 それで、多分お答えになっているのは、後段の同地域における国際の平和と安全を回復するために、あらゆる必要な手段を取る権限を与えられている、だから武力行使の法的根拠はあるんだ、こういう話になっているんだと思いますが、総理、では、この解釈というものは、それぞれの国連加盟国が勝手に行っていいものなんですか。つまりは、この解釈というものを、ある国が、同地域における国際の平和と安全を回復しなきゃいけないというふうに考えたら、こういう決議があるから、どの加盟国もこの行動をとっていいんですか。御答弁ください。
川口国務大臣 六七八の解釈でございますけれども、例えば、一四四一を読んでいただきますと、ここに……(前原委員「いや、六七八の有権解釈権だけ」と呼ぶ)有権的解釈は、もちろん国連の安保理の決議については安保理でということでございますが、我が国としては、我が国の解釈もしております。
 それから、国連の安保理の決議の安保理における解釈という意味では、一四四一において、この六七八について、ちゃんとその前文に書いてあるということで、安保理もそのように解釈をしているということが明確に言えると思います。
前原委員 今御答弁されたことなんですけれども、要は、有権解釈権は国連安保理にあるとおっしゃったんですね、今。そのとおりなんですよ、国連安保理にある。
 しかし、アナン事務総長が、アメリカ、イギリスの行動は国連憲章違反である、こういうことを言っているわけですよ。事務総長が言っているんですよ。事務総長が言っていて、今おっしゃったように、安保理がその有権解釈権を持っているとすれば、アメリカ、イギリスが勝手に、いや、これは同地域における国際の平和と安全が回復されていないんだ、だから攻撃できるんだと言うことについては、おかしいんじゃないですか。
川口国務大臣 アナン事務総長は、何回かその発言をしていらっしゃいます。その最近の発言で、ちょっと引用させていただきますと、もう少し長くやったならば、査察をやったらば、世界は集団的な決定により、今よりも大きな正当性を持って、したがって、より広範な支援を得てこの問題を解決するための行動をとることができたかもしれないということでして、より大きな、今よりもより大きな正当性を持ってと言っているわけですから、アナン事務総長の前提は、今のことが正当性を持っているということでございます。
前原委員 都合のいいアナン事務総長の発言だけを取り上げてそういう説明をするのは、私はおかしいと思いますよ。国連憲章違反だと明確にアナン事務総長はおっしゃったじゃないですか。
 では、その一四四一のどこを指して一四四一が認めておるとおっしゃるんですか。だったら、なぜに他の安保理事国が、つまりはイギリス、フランス、スペインなど以外はすべて、そういう解釈によらずに、新たな国連決議が必要だ、そして一方的な武力攻撃には反対すると言ったんですか。
川口国務大臣 逆に伺わせていただきますと、アナン事務総長に安保理の決議を有権的に解釈をする権限がなぜあるのか。アナン事務総長は安保理の事務局長でございます。事務局長が、安保理の事務局長が安保理のメンバーの決めた決議を有権的に解釈をするという立場にはないということでございます。
 それから、決議六七八でございますけれども、一四四一で言っていることは……(発言する者あり)
藤井委員長 御静粛に願います。
川口国務大臣 「一九九〇年八月二日の決議六六〇及び決議六六〇に続くすべての関連する決議を支持及び履行するために、並びに同地域における国際の平和及び安全を回復するために、」ということで二つ言っているわけでございまして、これは、先ほど申し上げたように、六七八が目的として二つのことを持っている、クウェートの解放と、それから中東地域の平和と安全ということを、二つを言っているということでございます。
 これは、イラクが今後この地域の平和を脅かすということがないというように、という意味で、この地域の安全と、国際の安全と平和ということがつけられたということでございます。
前原委員 後段については、また質問いたします。
 総理、アナン事務総長が、有権解釈はない、単なる事務局のトップである、ですから安保理決議に対して有権解釈権はないんだ、こういう発言ですけれども、そのアナン事務総長の、権威を、一国の外務大臣がそういう発言をすることは妥当だと思われますか。それとも、今のことについては認められるんですか。国連中心主義――いや、総理に聞いているんですよ。外務大臣が言ったことに対して、総理に私はお伺いしているわけです。
小泉内閣総理大臣 安保理の理事会の参加国が解釈で違った、これが違えば決議ができないわけでありますので、そういう状況のもとで、正当性については若干疑義があるという発言は、私は十分理解できると思っております。
前原委員 正当性について疑義があるとはどういう意味ですか。正当性に疑義があるということになったら、米英の攻撃の正当性に疑義があるということになりますよ。
小泉内閣総理大臣 正当性に対する解釈が違ってもめたんです。しかし、私は、あの一連の決議から、武力行使の根拠にはなり得ると思っておるわけであります。
前原委員 アナン事務総長について川口外務大臣がおっしゃったことについては、今どう判断されているか。本当に国連の事務方のトップですよ。非常に権限のある人で、これは安保理、例えば前の事務総長は、アメリカの拒否権で更迭されたわけですよね、認められずに。それぐらい権限のある人を、そういう発言を認めていいんですか、外務大臣が。そのことを御答弁ください。
 いや、総理に聞いている、総理に聞いているんですよ。だって、外務大臣が言ったことについて総理はどう思いますかと聞いているのに、外務大臣に答えさせるというのはおかしいじゃないですか。外務大臣の言ったことについて総理御答弁くださいと言っているわけですよ。違う違う、総理に伺っているんですよ。
小泉内閣総理大臣 それは、有権解釈についての発言だと思います。事務総長のやはり権威というものは尊重すべきだと思いますけれども、有権解釈という言葉について外務大臣が発言したことですから、そういう質問については、外務大臣にまた答弁させます。
前原委員 つまりは、アナン事務総長が国連憲章違反だと言ったことについては、事務方のトップは口出すな、そういう話をしているわけでしょう、川口外務大臣は。有権解釈権がないと言ったんだから。それについては認める必要がないと言ったんでしょう。どうぞ。(発言する者あり)
藤井委員長 御静粛に願います。
川口国務大臣 まず、いずれにしても、アナン事務総長は、アメリカ、イギリスのとった行動が国連の安保理の決議に反しているということは一度も言っていないということでございます。それが一つ。
 それからもう一つは、この解釈、安保理決議の有権的な解釈は安保理が行う。先ほど申し上げた、有権的解釈は安保理が行うということは、これは全く間違いはございません。
 それから、もう一つあえて追加させていただきますと、六七八というのは、加盟国に対してあらゆる必要な措置をとることができるということを授権しているわけですね。メンバーが授権をされている。この授権というのが武力行使を含むということについては、これは確立された解釈でございます。
 それで、各加盟国は授権をされているわけですから、六七八によって。授権をされているわけですから、今の状況において武力行使をするということはできるということでございます。
前原委員 アナン事務総長に対する発言については、これは私は、重大な発言として抗議をします。そして、外務大臣の資質を疑うものとして、厳しく指摘をしておきたいと思います。
 それから、今の有権解釈権について、安保理の理事会にあるということですけれども、安保理の理事会は、決議六八七を含む関連の決議に基づく義務の重大な違反をこれまで犯し、また依然として犯していることを決定するということは、大量破壊兵器の問題であって、それが三段論法で、六七八の、いわゆる地域の国際の平和と安全を回復するためにという問題まで一四四一が認めているというのは、それは飛躍ですよ、三段論法ですよ。そんなことはおかしい。
 では、なぜ外務大臣も総理大臣も、新たな国連決議が望ましいと言い続けてきたんですか。それは、法的な解釈、根拠に乏しいからこそ、有権解釈権が安保理にあるんだから、安保理が新たな国連決議を認めなければ武力行使には根拠が希薄だ、だから、今のような苦しい答弁にならざるを得ないんでしょう。三段論法ですよ、今のは。
川口国務大臣 当然のことを申し上げているだけなんですけれども、もう一度説明をさせていただきますと、一四四一……(発言する者あり)
藤井委員長 答弁中です。
川口国務大臣 一四四一ということによって、イラクが六八七に重大な違反をしているということが決定されているわけですね。それで一四四一は、その後、イラクに対してそれを是正する機会、これを、最後の機会を与えたというわけですけれども、イラクはその機会を生かすことをしなかったということであるわけです。
 そして、その結果として、六八七の基礎が揺らいだ、要するに、それがなくなったということであるわけです。そして、これは停戦の決議で、終戦の決議ではありませんから、六七八という、侵略をしたイラクに対してあらゆる措置をとることを授権した、必要な措置をとることを授権した六七八、これを停戦させたのが六八七ということですけれども、六八七の基礎がなくなったということでして、したがって、六八七の基礎がなくなったので六七八に戻る。六七八によって武力を行使していいということは、先ほど委員も御指摘になられた、この地域の国際の平和及び安全を回復するということであるということです。
 それから、それならば、何で新しい決議を追求したかということですけれども、これは武力行使をする際に不可欠だ、武力行使の根拠として不可欠だという意味でこれをやったわけではない。これは、国際社会が一丸となってイラクに対応するということがイラクにメッセージを送る上で必要であるというふうに考えた。そして、イラクに迫るということでやったわけですけれども、これについては、うまく結果が実らなかったのは残念だということでございます。
前原委員 二点について外務大臣に対して質問させていただきたいんです。
 ちょっと私は知らなかったんですが、今、同僚議員の末松議員からアドバイスをいただきまして、国連憲章の第九十九条、「事務総長は、国際の平和及び安全の維持を脅威すると認める事項について、安全保障理事会の注意を促すことができる。」ということが書いてある。ということは、先ほどの答弁は、事務総長の権威、権限を無視した話になりますよ。それについて反省があればしっかり答弁してください。
 それから、二つ目は、今累々と説明されましたよ。説明されたのはいいですけれども、じゃ、我々は、今、国会の権限として、私は、一議員の権限、個人の権限として、フランス、中国それからロシアの外務大臣あるいは国に対して、今川口外務大臣が答弁されたことを認めているのか。つまりは、一四四一から波及をして、六八七、六七八に至るまでの有権解釈権を一四四一で与えたと認めるのかどうか。そのことについてノーと言った場合、あなた、どう責任とられますか。今、国会の場であなたは発言されたんですよ。
 そのことについて拒否権を持つ国が一国でも、それについては、そんなミス・カワグチの言うことはおかしい、そういうことを言ったときには、今の答弁は崩れるわけですよ、論理的に。有権解釈権は安保理事会にあるとおっしゃったんですから。拒否権を持つところがしっかりとそのことについてノーと言ったら、今の答弁は根底から崩れるんですよ。
川口国務大臣 最初の方の点でございますけれども、末松委員がおっしゃられた、注意をすることができるということは、そのとおりです。ただ、それと、私が申し上げたのは、安保理の決議の有権的解釈、これは安保理がやるということを申し上げたので、違う話をしているということでございます。
 それから二番目の、有権的解釈についてということですけれども、先ほどちょっと申しましたけれども、六七八において、加盟国はあらゆる必要な措置をとることができるということを授権しているわけですね。(前原委員「だれが」と呼ぶ)加盟国に対して授権をしている。それは、六七八にそう書いてあるわけですね。
 それで、その六七八に書いてある、授権をされたその中身として、あらゆる必要な措置の中身として武力行使を含むということは、これは既に確立された理解であります。それに従って、現に、九三年、九六年、九八年、武力行使が行われたということであるわけですね。それで、フランスもそれに加わっているということであります。
 ですから、授権をされたことについて、中身は、この解釈は確立をしているということでありますので、六七八に従って武力行使ができる、そういうことでございます。
前原委員 全然わかりません。
 後半の問題については、私がさっき申し上げたとおり、他の安全保障理事会常任理事国が、今川口外務大臣がおっしゃったことについてはそういう理解をしていないと言えば、すべて崩れるわけですよ、話は。それは、日本国の外務大臣としての見解じゃないですか、アメリカ、イギリスの攻撃に対して支持をした。そうでない解釈に立った場合、安保理に有権解釈権があるんだったら、その今の解説は全く成り立ちませんよ。
 そのことについて、もしほかの国が認めなかった場合には、本当に責任をとられるんですか、今の答弁に対して。そのイエスかノーかだけで結構ですから。
川口国務大臣 もちろん、安保理が今後そういうことではないということを決めればそれは別ですけれども、今まで決めていない。それから、一国がそういうことを言ったということではない。現に、先ほど言いましたように、九三年、九六年、九八年において、そういう先ほど私が申し上げたようなことで武力行使が行われているわけですね。イラクが六八七に違反をしたことが原因であって、九三年の当時にそういうふうに言われているということであるわけです。
 ということですから、これは先ほど私が申し上げた解釈、これについてはそういうことが成立をする。もし違うということであれば、今の時点でそうではないということを安保理が決めているかというと、決してそれは決めていないわけです。
前原委員 安保理が今決められていないということと、安保理が有権解釈権があって、今この地域における国際平和と安全を回復するための状況ではないということとは全く違う話なんですよ。全然違う話を今同じように答弁されているんですよ。違いますよ。しかも、デザートフォックスの話をされるのであれば、一四四一からコールバックすること自体の論理性がおかしくなるじゃないですか。その前の話をされるのであれば、一四四一から説明されること自体がおかしくなるじゃないですか。まともな答弁じゃないんですよ。
 つまりは、アナン事務総長のことについても、そしてまたこの有権解釈権の問題についても、このことについては、私は、政府としてアナン事務総長の問題については全く問題ないというふうなことをおっしゃるのか、あるいは有権解釈権の問題について、今私が説明をしたように全く問題ないという解釈なのか、政府の統一見解を出していただきたいと思います。
 委員長にお願いします。政府の統一見解を図るように促していただきたい。
藤井委員長 これは理事会で協議いたします。
前原委員 ほかの問題について質問をしたいと思います。
 私は、今回のアメリカ、イギリスの攻撃については幾つか腑に落ちないことがあります。一番初めに申し上げましたように、イラクに対して、私は、過去の十七の国連決議を履行していない、そして、非はイラクにあるということは改めて申し上げたいと思います。そして、新たな国連決議をやるんであれば、私は、武力行使もやむなしというふうに思うわけでありますけれども、しかし、今回の問題については、先ほど総理は、国際法的な根拠のないものについては、同盟国であるアメリカの行動にしても支持するわけにいかないとおっしゃいましたけれども、その法的根拠そのものが私はおかしいと思うところが幾つかあります。そのことについて、さらに詰めていきたいと思います。
 まずは、キティーホークがペルシャ湾で活動していますね。このペルシャ湾で活動しているキティーホーク、事前協議は日米間で行われましたか。
川口国務大臣 ございません。
前原委員 今まで事前協議というのは一個も行われていないし、答弁をされる時間を省くために申し上げましょう。ベトナム戦争のときも、つまりは、空母はその母港に、横須賀、そのころはエンタープライズ、今はキティーホークでありますけれども、解釈としては、政府の統一見解を言いますと、
 航空母艦から搭載した飛行機が飛び立ちまして敵地を爆撃するというのはまさに戦闘作戦行動でございますけれども、航空母艦それ自体が日本の港に入って補給を受けて、そして出港する場合には、航空母艦自体が日本の基地を作戦行動の基地として使用するという場合には該当しない。
つまりは、事前協議の対象にしないということをベトナム戦争当時からずっと言い続けているわけです。
 私があえてこのことについてもう一度、当然ながら事前協議なんか行われているわけないと思いましたよ、なぜこれを言うかというと、事前協議というのは、これは物すごく歴史的には重い話なんです、実は。私は、一九六〇年、旧安保条約から新安保条約に改定されるときの議事録、これも読ませてもらいまして、必死になって事前協議の議論がされている。なぜこの事前協議の議論がされているかということを幾つか説明をさせてもらいたいと思います。
 総理大臣は岸さんでありますけれども、「今度の改正の条約と国連憲章との関係を明らかにするとか、あるいは事前協議制を設けて、従来米軍の行動というものが野放図であったのに対して、国民の意思によりまして、政府が代表してこれに抑制を加える道を講じたというようなこと、」こういう答弁が繰り返しされているわけですよ。しかも、質問者は自民党、自由民主党の人たちがしているものに対してこう答えているわけです。
 旧安保から新安保への移行の一つの大きなポイントというものは、岸さんが言っているように、米軍の行動の野方図なものを国民の意思によって政府が抑制を加える、立派な答弁じゃないですか。つまりは、この事前協議というものが決められた背景というのは、いかに主体的に日本が米軍基地を制限して米軍の活動というものをコントロールするか、そういうものにあったわけでありますのに、野方図じゃないですか。事前協議、やられていない。出ていって、途中で命令が下ったんだから事前協議の対象にならないと。全く私は政府の意思というものを疑いたくなる。
 つまりは、政府の解釈というものは、向こうがなかったんだから、いかに事前協議がなかったかということを説明しようとするだけなんですよ。本来であれば、こういう問題に対して事前協議を要求するのが筋じゃないですか。キティーホークは、だって、武力攻撃が始まる前にペルシャ湾にもう展開していたんですから、訓練、ずっとしていたんですから、事前協議をこちらから求めるのが筋じゃないですか。総理大臣、御答弁いただきたいと思います。
    〔委員長退席、杉浦委員長代理着席〕
小泉内閣総理大臣 事前協議の主題となる戦闘作戦行動とは、直接戦闘に従事するための軍事行動であって、運用上の都合により米軍が我が国から他の地域に移動することは事前協議の対象とならないということになっております。
前原委員 きょうは赤城副大臣が来られていますけれども、お父さんが防衛庁長官のときに……(発言する者あり)おじいさん、失礼しました。おじいさんが防衛庁長官のときに、補給などについても、やはりロジスティックについてはちゃんと言及されているんですよ。補給をしていったものについては、それは作戦行動だ、作戦行動のいわゆる日本はバックアップをする基地になっているんだ、こういう話をされているわけです。
 今の総理の答弁というものは、まさに従来の政府の答弁、まさに日米安保条約を日本国の主体的な考え方の中でコントロールしようなんて意思のかけらもない。だって総理、そうでしょう。事前協議、これは岸さんの答弁、改めて読みますけれども、野方図な行動をいかに国民の総意として抑制するかというもので事前協議をつくったんだと。自民党の古井喜實さんという方に対しての答弁ですよ。もともと事前協議というものはそういう意思であったわけです。
 確かに、沖縄返還のときに秘密協定があったんじゃないかと言われています。しかし、これは私の知る限りでは、朝鮮半島に直接行くことについてはもう事前協議の対象にしない、こういう話だったと思いますが、遠く離れた中東に行くのに事前協議を求めない。まさに、補給をして、そして弾薬も積んで出発したわけじゃないですか。途中で命令が下るのは当たり前じゃないですか。事前協議を求めるのが筋だと思いますが、総理、もう一度御答弁ください。
川口国務大臣 先ほど総理が御答弁になったとおりでございまして、これは、戦闘作戦行動というのは、直接戦闘に従事することを目的とした軍事行動を指すものであり、米軍の運用上の都合により米軍の部隊等を我が国から他の地域に移動させることは事前協議の対象となるものではない、この解釈は、従来から一貫して政府として御説明を申し上げているわけでございます。
前原委員 それはアメリカの立場に立った説明なんです。アメリカがわざわざ、横須賀を出るときに、何週間もかかるわけですよ、ペルシャ湾まで行くのに。そのときに、作戦行動がもう決まっているとか、そういう話するわけないじゃないですか。そうであれば、横須賀を母港としている空母が出てペルシャ湾に展開をしている、事前協議の対象にすべきだというぐらい言うのが政治家の筋じゃないですか。なぜアメリカの立場に立ってそういう答弁を繰り返すんですか。総理、もう一度御答弁ください。
小泉内閣総理大臣 それは、今まで答弁しているとおりなんですよ。日米安保条約の信頼性、そして日米同盟によって日本の安全を確保している、それでアメリカの軍隊に基地を提供している、そういう運用上の問題、これは日本として、先ほど私が答弁したとおり、戦闘行為の問題については事前協議の対象にならない、今までの内閣の答弁、軍事上の……(発言する者あり)戦闘行為じゃなくて、正確に言いますと、事前協議の主題となる戦闘作戦行動とは、直接戦闘に従事するための軍事行動だ、この運用上の都合により米軍が我が国から他の地域に移動することは事前協議の対象とならないというこの文章から判断しているわけであって、私は、今回の問題についてもこれが当然当てはまるのではないかと。
前原委員 では、次の質問にちゃんと答えてください。
 第六条、日米安保条約、「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、」基地提供は、極東における国際の平和及び安全の維持のためということに使われているんですよ。
 ベトナム戦争はぎりぎりアジア。中東じゃないですか、今度は。極東じゃないじゃないですか。キティーホークは今ペルシャ湾で展開しているんでしょう。バグダッドに空爆しかけたりしているときょう言ったじゃないですか。極東の範囲の中に入っていないじゃないですか。これは中東を極東とおっしゃるんですか。
小泉内閣総理大臣 それは、キティーホークであれ、どこに移動しているか、極東地域から中東地域に移動する場合もあるじゃないですか。そこまで日本が一々、寄港した艦隊に対して、いや、極東に行きますよと。事態の変更があった場合に、それはもう極東からアメリカはどこの地域に行くかということは当然考えられる。これは何の不思議な答弁でもない、当たり前の解釈をしているだけだ。
前原委員 これはたまげたひどい答弁ですね。
 極東の地域からほかの地域に行ったら、極東の平和と安全のためでオーケーだ。これはもう、条約遵守を生命線に置く政府の一番トップの人としては、全くもって、答弁、おかしいですよ。これはおかしい。こんな答弁、おかしい。
    〔杉浦委員長代理退席、委員長着席〕
川口国務大臣 日本の基地を使用する……(発言する者あり)
藤井委員長 御静粛に。御静粛に。
 外務大臣、答弁ください。
川口国務大臣 日本の施設・区域を使用するということの目的としてそういうことを、今おっしゃったようなことが書いてあるわけですけれども、米軍というのは、日本の基地に来て、日本の安全あるいは極東の平和と安全に資するということをやるわけですけれども、その後、移動できないということはないわけですね。当然に移動をしなければいけない。
 これは、米軍部隊というのは常にローテーションをしている、これは、イラクに対して軍事行動をしている、していないにかかわらず、従来から、湾岸地域において活動している米軍部隊のローテーションのために、世界の他の地域から湾岸へ米軍航空機や要員が一時的に移動をするということは行われているということでございます。これは、米軍のローテーション、運用の一部でございますから、日本に来たら日本から全く離れないということではなくて、それは移動をするということであるわけです。
 ということでございまして、米軍の運用の一つ一つについて我が方として申し上げる立場にはないということでございます。(発言する者あり)
藤井委員長 御静粛に願います。
前原委員 これはびっくりしましたね。アメリカのために日本の政府が安保条約を拡大解釈し続ける。本当にアメリカの走狗と言われても仕方がない。
 大臣、もう一遍読みますよ、これ。
 安保条約の第六条、「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される」んですよ。ほかの極東の地域へ行っていて、それから別のところに行ったものについては知らないなんということは、この第六条に逸脱している、範囲を逸脱していることは明々白々じゃないですか。今までの統一見解でも、そんなひどい統一見解、答弁はなかったですよ。いや、これは本当におかしい。(発言する者あり)
 テロはどこから来るかわからないと言う斉藤斗志二さん、そうしたら、これは、安保条約は九月十一日以降改定しなきゃいけない、内容を変えなきゃいけない。あなたも防衛庁長官やったんでしょう。やった人がそんなやじを飛ばすというのはおかしい。全くもってひどい。これが防衛庁長官をやった人かと思うと、石破さん、これはおかしいですよ、この国は。
 政府の統一見解、言いましょう。もう一遍これ言いましょう。
 一般的な用語として使われる極東は、別に地理学上正確に画定されたものではない。しかし、日米両国が、条約に言うとおり共通の関心を持っているのは、極東における国際の平和及び安全の維持ということである。この意味で現実問題として両国共通の関心の的となる極東の区域は、この条約に関する限り、在日米軍が日本の施設及び区域を使用して武力攻撃に対する防衛に寄与し得る区域である。かかる区域は、大体において、フィリピン以北並びに日本及びその周辺の地域であって、韓国及び中華民国、今は台湾地域と読みかえる、の支配下にある地域もこれに含まれている。
 これが今までの政府の答弁ですよ。統一見解ですよ。(発言する者あり)いや、冷戦構造が変わったんだったら、これは条約を変えなきゃいけないですよ。第六条の意味を変えなきゃいけない。だって、今のお話でしたら、これは、六条の問題は極東じゃなくて全世界の平和と安全のためになりますよ。
 もう一度答弁してください。
川口国務大臣 従来の政府の答弁としてずっと申し上げていることですけれども、第六条の「極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、」というのは、これはアメリカの陸軍、空軍、海軍等が日本で施設・区域を使用することができる目的であるわけですね。
 それで、今、先ほど委員が御質問になったことについて言えば、我が国の施設・区域を使用する在日米軍が、その抑止力をもって我が国及び極東の平和と安全の維持に寄与するとの役割を現実に果たしているとの実態がある以上、在日米軍を構成するある部隊、艦船等が、日米安保条約の目的達成のための役割に加え、それ以外の任務を有して移動することは日米安保条約上問題はない、これはずっと政府として申し上げている見解でございます。
前原委員 このイラク攻撃が日米安保条約上の目的だとは、驚きました。日米安保条約を達成するための目的ですか、これ。そうしたら、日本は自衛権を発動したらいいじゃないですか。もう支離滅裂ですよ、この答弁は。
 このままでは私は質問を続行できません。今の答弁でしたら、安保条約は全世界に適用できることになります。
藤井委員長 川口外務大臣。(発言する者あり)指名しています。
 川口外務大臣、指名していますよ。
川口国務大臣 私が申し上げた答弁は、もうずっといろいろなところで答弁が行われておりまして、例えば一九九〇年のときにも外務省の柳井政府委員が、「時として米軍が極東の外の地域に移動してほかの任務につくということがありましても、これがために我が国の安全及び極東の平和と安全に寄与しているという実態が損なわれるものではないというふうに考える次第でございます。」という答弁がございます。それと同じことを申し上げたわけでございます。
前原委員 同じことじゃないんですよ。川口大臣、私も国会に送ってもらって十年、安全保障をずっとやらせてもらってきて、余りなめた答弁をしてもらっては困ります。
 つまりは、日米ガイドラインのときでも、極東の問題というのは非常にイシューになったんですよ。だから周辺事態という名前に変えたんですよ、あれは。つまりは、極東の近接概念までは今まではオーケーだったけれども、ペルシャ湾で日本に基地を持っている戦闘機なりあるいは空母が行動したのは初めてですよ。何を言うんですか。いいかげんな答弁しないでくださいよ。
 初めてですよ、横須賀を母港にする空母が中東で行動したのは。今まではベトナムだったから、近接地域ということでクリアできてきたんだ。そんないいかげんな答弁はしないでください。だめです。こんなのじゃ質問できないですよ、まともに答弁できないんですから。
川口国務大臣 私が先ほど申し上げた答弁、そして先ほど申し上げた当時の柳井政府委員の答弁、いろいろな、ずっと過去において同じ答弁が行われているわけでございまして、米軍が極東の外の地域に移動してほかの任務につくということがあっても……(発言する者あり)
藤井委員長 御静粛に願います。
川口国務大臣 これがために我が国の安全及び極東の平和と安全に寄与しているという実態が損なわれるものではないということは、これはもうずっと申し上げている答弁でございます。
前原委員 その次の質問を、関連で統一見解を続けますよ。
 新安保条約の基本的な考え方は右のとおり。右のとおりというのは、私がさっき言ったとおりであるが、この地域に対して武力攻撃が行われ、あるいは、この区域の安全が周辺地域に起こった事情のため脅威とされるような場合、米国がこれに対処するためとることのある行動範囲は、その攻撃または脅威の性質いかんにかかるのであって、必ずしも前記の区域に局限されるわけではない。
 今の話でしょう、移動の話は。
 しかし、次にもちゃんとこう書いてあるんです。
 しかしながら米国の行動には、基本的な制約がある。すなわち米国の行動は常に国連憲章の認める個別的または集団的自衛権の行使として、侵略に抵抗するためにのみとられることになっているからである。
 今回の行動は国連憲章に基づくものでしょう。米国の行動は自衛権に基づくものではないでしょう。しかも、今までの答弁とは前提条件が全然違うじゃないですか。日本を母港にしている空母がペルシャ湾まで行って、そして今バグダッド市内を攻撃しているんですよ。戦車部隊の後方支援しているんですよ。そういう事態がありましたか。前提条件が変わったのに、今までした答弁と同じですって、全くもって意味をなさないじゃないですか。
川口国務大臣 委員が何を問題にしていらっしゃるのかということがよくわからないんですけれども、申し上げていることは、極東の外に移動をするということについては日米安保条約との関係では何も問題がないということを言っているんですね。
 これは米軍の運用ですから、実際に米軍が日本にいて、そして、安保条約の、その抑止力をもって我が国及び極東の平和と安全の維持に寄与するという役割を現実に果たしているという実態がある以上、在日米軍を構成するある部隊、艦船等が日米の安保条約の目的達成のための役割、これは極東とか日本の平和と安全ということですけれども、申し上げているのは、それ以外の任務を有して移動することは日米安保条約上問題がない。要するに、極東の外に移動するということを申し上げているわけですね。ですから、日米安保条約との関係では、そういう移動をするということについては全く問題がない。
 これは、今までもずっと政府がお話をしている統一的な見解でございまして、私が言っていることは何ら新しいことでもなければ、今まで言っていることと何ら違うことではないということでございます。
前原委員 移動について、では、日米安保条約のどの部分をもって日米安保条約で認められていると言うんですか。
 それともう一つ、今までの答弁と異ならないとおっしゃいましたけれども、行っている地域が違うんですよ、全く。今までは極東、では、全世界どこでも行けるんですか、第六条に基づいて。
川口国務大臣 移動という意味では、これは移動するのは軍の特性でございますから、日本で……(前原委員「どこに書いてあるのかと聞いているんです。日米安保条約上、どこに書いてありますかと聞いているんです」と呼び、その他発言する者あり)ですから、それは……
藤井委員長 御静粛に願います。
川口国務大臣 当然運用の一部である、米軍の一部であって、それは、ちょっと終わりまで話をさせていただきたいんですけれども……(前原委員「どこに書いてあるかと聞いているんです」と呼び、その他発言する者あり)
藤井委員長 答弁中です。答弁中です。御静粛に聞いてください。
川口国務大臣 日本で、安保条約に従って、その抑止力をもって我が国と極東の平和と安全の維持に寄与している、これは安保条約で書かれていることですけれども、それを果たしているという実態があるわけですね。実態がある以上、これは軍の性格として、在日米軍を構成するある部隊あるいは艦船が、日米安保条約の目的達成のための役割に加えて、それ以外の任務を持って移動する、これは軍は一度日本に来たら全くそこに、もうそこから動けないということではないわけですね。当然いろいろなことをやって、アメリカの軍隊として、ローテーションをするということであるわけですね。ですから、それは日米安保条約上問題がないというのは、これはもう政府の統一的な、ずっとある解釈でございます。
藤井委員長 前原君、質問を続けてください。
前原委員 私の質問に明確に答えてください。
 どこに移動を認めると書いてありますか、第六条。解釈を拡大し続けていることについての後乗りをするだけじゃないですか、今の答弁は。
川口国務大臣 今申し上げたのは解釈でございまして、安保条約の六条に移動と書いてあるわけではない。
 要するに、そういう解釈であるということを申し上げているわけで、もう一つ、今委員がおっしゃっていることと非常に似た答弁がございますので御紹介をしますと、これは五十四年の十一月三十日、金子満広委員の御質問でして、これはまさに同じようなことなんですが、「わが国の横須賀を母港とした米第七艦隊がいまインド洋、アラビア海に出動していることが広く報道されています。しかも、その出動が、カーター大統領がイランへの軍事介入を示唆しているもとで行われていることはきわめて重大」であるという、これは質問でございます。
 それについて、答えは、我が国の施設・区域に寄港することの……(発言する者あり)
藤井委員長 御静粛に願います。御静粛に願います。委員長が答弁、聞こえませんから、委員長も。
川口国務大臣 我が国の施設・区域に寄港することのある艦船が、我が国を出港後、どういう地域、どこをどう運航するかですか、航海するか、ちょっと読めませんが、ということは、安保条約の適用の拡大を意味するものとは考えておりませんと。これは大平内閣総理大臣が御答弁をなさっていらっしゃいます。
 要するに、安保条約の、ここで日本の施設・区域にいて、安保条約の目的を果たしているという実態がある以上、出てどこかに行くということはあり得るわけで、米国の軍隊が日本に来て、それで全くそこから出られないということではないわけですね。当然に、来て、運用、米軍の運用でどこかに行くということは、安保条約上問題はない。これはもうずっと、何も私が新しいことをここで発明をして申し上げているわけではなくて、もう代々そういうことで説明をさせていただいているということでございます。
前原委員 川口外務大臣、私は、外務大臣という仕事は、日本の国益をいかに代弁するかというのが外務大臣ですよね。少なくとも、もし私があなたの席に座っていればそんな答弁は絶対にしないですよ。
 先ほどの事前協議の問題、そして今のアメリカの地域の範囲の問題、まさに先ほど私が披瀝をした岸さん、これは旧安保条約から新安保条約に移行するに当たって、一九六〇年、どんな思いで先人たちが議論してきたか。つまりは、先ほど、もう一遍言いますよ、これ。(発言する者あり)世界情勢が変わったんだったら、条約変更しなきゃいけないでしょう。
 もう一遍読みますよ。これは、本当に先人たちのこの安保条約を結んだときの懸念とか、そして思いというものをもう一度新たにする必要があると私は思う。
 今度の改正の条約と国連憲章との関係を明らかにするとか、あるいは事前協議制を設けて、従来米軍の行動というものが野方図であったのに対して、国民の意思によりまして、政府が代表してこれを抑制する道を講じ得たということ、あるいは条約区域というものを、施政下にある領域内に限るというような限定をした。
 つまりは、旧安保から新安保に変えたものについては、いかに日本の主体性を保つかということにおいて、こういう文言がいろいろ書かれているんですよ。
 極東条項というのは幾つ書かれているか御存じですか、外務大臣。三カ所も書かれているんですよ。前文と第四条と第六条。この極東ということに限定する意味、これを、つまりはアメリカのなし崩し的なものに対して、いかに日本が追随をするかということについて拡大解釈をし、そしていかにアメリカをバックアップするかというわけのわからない答弁を繰り返してきたのが、今川口さんがおっしゃったことじゃないですか。私が申し上げているのは、この極東条項というものがやはりアメリカの野方図な行動をいかに抑制するかということで設けられているということなんですよ。そして、今まで適用された範囲というのは、あくまでも、少し隣のベトナムぐらい。これも明確に運用したらだめですよ。
 今、ペルシャ湾にキティーホークがある。日本を母港にしている、横須賀を母港にしているキティーホークが、まさにバグダッドに攻撃を加えているんですよ。だれが第六条を読んで、これがオーケーだと思いますか。「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。」では、キティーホークに母港を変えるように言うべきじゃないですか。私はそういうことを申し上げているんですよ。
川口国務大臣 恐らく、委員のおっしゃっていることと私が申し上げていることと食い違っていることがあると思うんですが、私が申し上げていることは、これは、極東条項とは関係がない話なんですね。極東条項というのは、我が国の施設・区域を米軍が使って、使うことの目的である極東の安全、平和と安全でございますね。
 私が申し上げているのは、先ほど来お話をしていますのは、そういう、もう一回読ませていただきますと、我が国の施設・区域を使用する在日米軍がその抑止力をもって我が国及び極東の平和と安全の維持に寄与するとの役割を現実に果たしているとの実態がある以上、在日米軍を構成するある部隊、艦船等が日米安保条約の目的達成のための役割に加え、それ以外の任務を有して移動することは日米安保条約上問題がない。要するに、私がずっと申し上げているのは、極東条項の話ではなくて、その移動をするということが安保条約に照らして問題がないということを申し上げている。これはずっと我が国の政府が申し上げている解釈である……(発言する者あり)
藤井委員長 御静粛に願います。
川口国務大臣 これはもう統一見解でございまして、歴代の御質問をなさった金子先生とかいろいろな委員の方がそれで了承なさって、政府がずっと申し上げているということでございます。
前原委員 ということは、今の論拠に立てば、その前提に基づいて日本の裏側で活動することも可能だということですね、ロジックとして。
川口国務大臣 おっしゃるとおり、キティーホークがアラビア湾で活動をしているということは、安保条約に基づく活動ではない、そういう認識をしているわけです。日本から移動をした、そういうことでございます。
前原委員 いや、しかし、これは、日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するために、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許されていると書いてあるじゃないですか。これがそもそものことじゃないですか。
 それは、今答弁されたのは、昔から言っていることだとおっしゃっているのは、いかに米軍に対してバックアップをするかという後追いの解釈を政府が続けてきただけじゃないですか。
 さっきの事前協議だってそうなんですよ。つまりは、日本の主体的な立場であなたは物をおっしゃっているんじゃないんです。つまりは、この六条というのは空文化されて、アメリカの全世界行動に対して移動するのは構わない、こういうことをおっしゃっているわけです。ということは、私は、六条は全く空文化していると。
 つまりは、そういう安保条約、つまりは、アメリカが行動したいことについてはどんどんどんどんオーケーですよということを認めているということは、私は、安保条約の根本から、時代が変わって大きく変化している、そう認めなきゃいけないですよ。認めるということですね、総理。
小泉内閣総理大臣 今まで何回も答弁しているとおり、外務大臣の答弁のとおりなんです。
前原委員 では、そのとおりを答えてください。そのとおりを答えてください、総理。(発言する者あり)
藤井委員長 御静粛に願います。
 前原君、続けて。
前原委員 いやいや、もういい。子供のけんかみたいなことはやめますよ。
 つまりは、総理、いい、もういい。読むんだったら、そんな、わかって、頭で理解しているような答弁の仕方をしないでくださいということを私は言いたかったんだ。
 では、総理……(発言する者あり)
藤井委員長 御静粛に。
前原委員 これについて、委員長、もう一度、つまりは、ペルシャ湾に展開しているキティーホークが今まさにバグダッドを攻撃している、そして、これについては、第六条の解釈については全く問題ないということをおっしゃいましたけれども、それの統一見解という形でもう一度出すように、委員長にお取り計らいをいただきたいと思います。
藤井委員長 理事会で協議いたします。
前原委員 では、さらに質問いたしたいと思います。まあしかし、少し今のは私はあきれました。
 日本がアメリカのイラク攻撃を支持しなかった場合、どういうデメリットがあるかについて、総理と議論させていただきたいと思います。
 先ほどの法的解釈については、国連安保理の決議に基づいてだということをおっしゃいました。これについてはまだ詰める必要があるので、それは政府の統一見解を待ちたいと思うわけでありますが。
 同盟関係があるんだから、あるいは北朝鮮の問題があるんだからということを総理初めいろいろな首脳の方々がお話をされますけれども、では、イラク攻撃を日本が支持しなかった場合、アメリカは第五条に基づいて日本有事というものを守らないんでしょうか。そういうふうに判断されたから、この場合についてはアメリカを支持しなきゃいけないという話になっているんですか。総理、御答弁ください。
小泉内閣総理大臣 これは、私は、アメリカの方針に正当性があるから支持したのであって、前から言っているように、なぜか、それは一連の国連決議、これに根拠をなしている。さらに、危険な大量破壊兵器を危険な独裁者が持った場合に、どのような危険な状況に直面するか。大量破壊兵器廃棄、これはもう国際社会が一致結束してイラクに求めていることであります。
 同時に、日米同盟、この日本の防衛力だけでいかなる攻撃にも対処できるものではない。日本が攻撃された場合、アメリカは、アメリカへの攻撃とみなすといって、今、日米安保条約を締結している。だから、いかなる目的であろうとも、日本を攻撃しようとする意図を持つ国は、アメリカと戦うという覚悟がなしに攻撃はできない。それが大きな抑止力になっている。
 これを総合的に考えて、アメリカを支持することは日本の国家利益にかなう。どういうデメリットということではない、支持することが国家利益にかなうから支持しているんですよ。それが私の答弁です。
前原委員 今の質問は、イラク攻撃を日本が支持しなかった場合、アメリカは五条事態の不履行ということを辞さない可能性がありますかという質問をしたんです。
小泉内閣総理大臣 私は、アメリカは日本の信頼に足る同盟国だと思っております。日本の信頼に足る同盟国だと思っております。そういう面において、私は、これまで平和を維持してきた、そういう中で、日米同盟を重視しているし、アメリカの主張に正当性があると思っているから支持している。
 私は、今後もアメリカは、日本の同盟国として、日本の防衛のためにも責任を持って対処してくれるものだと思っております。
前原委員 日米安保条約というのは非対称性がありますけれども、私は双務性があると思っているんです。
 つまりは、五条については、日本有事のときにアメリカが支援をする、その期待をするということ。ただ、そのかわりとして、先ほどから話になっている六条、これが全世界で適用されるなんという答弁は私はたまげますけれども。
 日本の基地を提供し、そしてホスト・ネーション・サポート費用、これはかなり出していますよね。六千億以上ですよ、一年間。今までの累積だと物すごい額になる。つまりは、日本の安全保障を考えたときには、日米安保体制というのは一つの保険なんですよ。保険を担保するために第六条というものは設けてある。日本が基地を提供する、そしてホスト・ネーション・サポート費用を払う。
 私は、自民党の方々が、あるいは与党の方々あるいは政府高官、福田官房長官もそうだけれども、北朝鮮の問題があるんだから言うことを聞かないといけないだろう、言うことを聞かざるを得ないだろうと。これは一番国民にわかりやすいんですけれども、そこまで卑下する必要があるのか、卑屈になる必要があるのか、私は声を大きくして申し上げたいと思う。
 つまりは、日本は第六条の責務をしっかり果たしてきたんです、今まで。したがって、イラクの問題があろうがなかろうが、この五条の問題については、我々は責任を果たしているんだから、イラク問題、支持するしないは関係ない、そういうことでアメリカが同盟国としての責務を果たすのが当たり前だと私は思いますよ。
 そのことについて、川口大臣、御答弁いただきたいと思います。
川口国務大臣 我が国が米国を支持したということの理由は、何も安保条約のバーターということではなくて、大量破壊兵器、これが大きな問題であって、我が国にとっても大きな問題であって、これに対して国際社会として毅然とした態度を示す必要があるから、そして米国がこの問題について国際社会として毅然とした態度を示すためのリーダーシップをとっているので、我が国もその考え方を同一にいたしますから、これを支持する、そういう考え方であるわけですね。
 ある特定の事情を意識して、そこで米軍に助けてもらうために我が国は米軍のイラクの進攻を支持している、そういう関係では全くないということでございます。
前原委員 そういう答弁をする、あるいはそういう答え方をする人がいるから私はあえて申し上げたわけです。
 最後に一つだけ。今大量破壊兵器の問題、おっしゃいましたね。イラクへの攻撃は、もともとアメリカはフセイン政権の転覆じゃないですか。大量破壊兵器の破棄というものが本来の目的であったはずであります。国連憲章違反になるんじゃないですか、これは。
 つまりは、国連憲章の第七章には国連加盟国についての内政不干渉が明確に記述してある。それについて、はなから体制転覆というものを目的にする行動というものは、アメリカの国内法にはかなうかもしれないけれども、国連憲章については違反するんじゃないですか。
 ですから、政府の考え方に立脚するとしても、大量破壊兵器の破棄までが武力行使の正当性が認められることじゃないんですか。今のアメリカだと政権転覆が目的になっていると思いますが、答弁ください。
川口国務大臣 まず、法的な根拠としては武装解除である、これはネグロポンテ大使も言っているとおりです。実際に、サダム・フセインがそれを認めない以上、サダム・フセインが武装解除をするときの最大の障害であるということは言えると思います。
 六七八がありとあらゆる権利、必要な行動をとるということを授権しているわけですから、武力行使をした、そして、そのこととサダム・フセイン政権がかわるということはほぼ重なる意味を持ってくる、そういうことであると思います。
前原委員 時間が来たのでこれで終わりますけれども、アメリカは国内法を持って、イラク解放法というのを持っているんですよ。要は、政権の転覆そのものがまずありきなんですよ。
 そんな答弁は全く事実と反しているということを指摘して、私の質問を終わります。
藤井委員長 これにて前原君の質疑は終了いたしました。
 次に、一川保夫君。
一川委員 自由党の一川保夫でございます。
 小泉総理にまずお伺いするわけですけれども、連日、プロ野球の生中継を見るがごとく、今イラクの戦争が報道されています。こういうのを見ている国民にとっても大変つらいものがあると思いますけれども、私は、これからの新しい国際的な安全保障ということを考えてみた場合に、我が国が今回とったこの判断というのは本当に正しかったのかなというふうに思います。
 我々自由党の基本的な考え方の中に、二十世紀の我々人類の悲劇を繰り返してはいけないという基本的な気持ちの中で、日本の憲法の理念を生かしながら、新しい概念のもとで国際的な安全保障体制というものをしっかりと構築しなければならないという問題意識を持っております。そういうことからした場合に、我々はやはり国際社会と真の協調を図っていく必要がある。そのためには、やはり唯一の国際機関である国連というものをしっかりと中心に据えて、それを生かしていく必要があるのではないかなという考え方を基本に持っておるわけです。
 私は、今回のこのイラク問題、我が国が以前からいろいろなかかわり方をしてまいりましたけれども、日本が本当に世界平和のためにすばらしい貢献をしておるということを世界各国に知らしめる絶好のチャンスではないかというふうに思ってまいりました。しかし、残念ながらといいますか、日本政府は本当に国際的な世論を形成するために先頭に立って努力したというような印象は全然残っていないわけです。
 私は、そういう意味においては、本来の今日の日本が果たすべき役割といいますか、その責務を日本政府は果たせなかったのではないかという思いを持っているわけですけれども、総理はどのようにお考えでしょうか。
小泉内閣総理大臣 日本は今まで、国連の中におきましても、あるいはアジア地域におきましても、さらには日米関係におきましても、それぞれの国際社会の中で日本としての役割を果たしてきたと思います。
 外国を回っていろいろな要人と会談してみれば、日本の役割にいかに大きな期待を示し、今までの日本の戦後の実績に対していかに高い評価を下しているか。私は、総理になってからも改めて認識しておりますし、今後とも、日本の役割として、国際社会の中での活躍の余地はたくさんある、また、日本の経済力にふさわしい活動をしていかなきゃならないと感じておりまして、そんなに日本の外交面において卑下する必要はないと思っております。
一川委員 国民の皆さん方とも、この休みの間、いろいろなお話をやってまいりましたけれども、やはり、何かちょっと、アメリカ、イギリスを中心として、急いでいるなという素朴な印象も国民の方々はみんな持っていると思うんです。それは、やはり日本という国がもう少し冷静に考えて、国際社会の中で、本当に世界の平和をかち取るためにはどうするかということを、もっと世界をリードするような考え方のもとで立ち回ってほしかったという気持ちが多分にあるのではないかなという思いを私は持っております。
 そこで、今回、アメリカ、イギリスを中心としたイラクに対する戦争が開始されたわけでございますけれども、私は、アメリカという国に対する反米感情的なものが、この戦争を契機にして何となく世界に広がっているのではないかということを非常に心配しております。
 そういうことをいろいろと考えてみますと、本当に、今回こういったことを日本政府が判断したことは、これから、開戦した後どういうふうに始末されるかわかりませんけれども、例えばテロの抑制とか大量破壊兵器をいろいろな面で監視していくということからすると、ますますやりづらくなるのではないか。世界各国でそういう反米的なデモ行進が起こったり、いろいろなことが起こってくればくるほど、そういうものを国際的に監視するというやり方がだんだん心配になってくるわけです。
 そういう面で、私は、今回の国連の決議なしに開戦したということは、非常に、今後のことを考えますと、むしろアメリカを孤独に追い込んでしまう危険性があるのではないかというふうに思いますけれども、総理はどう思いますか。
小泉内閣総理大臣 私は、イラクの問題がさらにテロ活動を活発にするんじゃないかというふうには見ておりません。また、そういう対応をしないように、アラブ諸国、イスラム諸国との対話とかあるいは協力を促進していかなきゃならないと思いますが、テロ活動は、イラクの問題になる前から、ニューヨークにおいても行われたわけでしょう。あるいはまた、全く関係ないインドネシアのバリ島でもテロ活動は起こっているわけでしょう。イラクの問題が起きたからもっとテロ活動が活発になるか。その以前からテロ活動は活発だったんですよ。
 私は、そういうことを考えると、イラク問題が起こったからテロの心配ということもしなきゃなりませんが、同時に、イラク問題が起こる前からテロの心配はあったんです。こういうことに対しては、国際協調の中でテロ防止のために全力を挙げていかなきゃならないと思っております。
一川委員 いや、私はそういうことを言っているんじゃなくて、今回のイラクの問題に対する、アメリカを中心としたそういう国々の戦争を行ったということが、要するに、国際的ないろいろな合意形成というのが十分なされないままに開戦したということであったわけですけれども、それが、これからの新しい時代に向けての、いろいろなテロの抑制とか大量破壊兵器を監視するという観点から見た場合に、果たしてそれで十分だったのかなということなんです。もっといろいろと熟知しながら、粘り強く説得する必要があったのではないか。そこを指摘しておるわけですよ。
川口国務大臣 いろいろな考え方はあると思いますけれども、世界が今後、大量破壊兵器あるいはテロの問題に対処をしていくために重要なことは、国際社会が毅然として、敢然と大量破壊兵器あるいはテロに立ち向かうということであるわけですね。
 その点からいきますと、国連が一四四一で最後の機会を与えて、それっきり国連が何もしないという状況は、これは国連の権威にかかわることであり、国際社会が敢然と対応するということにつながっていない話であるわけですね。まさにその抑止ということの観点からいうと、国連としてあることをやりますと言った以上は、最後の機会を与えた以上は、その次にきちんと行動をとるということがなければ、テロリストに甘く見られ、大量破壊兵器を開発する国々に甘く見られるということになるわけだと考えます。
 ですから、そういう意味で、米国あるいは英国がやったことというのは、まさに国連の権威を維持するということのためにやったということであるというふうに私は理解をいたします。
一川委員 そうすると、ちょっと念押しにお聞きするわけですけれども、では、外務大臣でも結構ですけれども、今このタイミングで、国連の手続がああいう状態でアメリカなりイギリスが武力行使をした、それを日本が支持したということは、今でもやはり正しいと思いますか。
川口国務大臣 正しいと思います。
 逆に、もし査察をずっと続けていたとして、大量破壊兵器の問題にきちんと対応できただろうかということが問題になるわけでございまして、イラクが積極的にいろいろな証拠を開示してということをやっていない、それから、米国が圧力をかけているということがあって、この査察というのが、イラクが小出しにするという形で続いていたわけでございまして、イラクは圧力がなくなればこの問題について対応してこないと思われる、そして、その結果として、大量破壊兵器の問題は解決をしない。大量破壊兵器の問題について対応をするということのために、必要やむを得ない措置であったと私は考えております。
一川委員 では、もう一度お聞きしますけれども、このイラク問題、具体的に、イラクという国はけしからぬ、だから国連の先ほど政府が答弁しておられる決議に基づいていつ武力行使するかもしれない、その場合はよろしくというような旨の相談事というのは、日本政府にいつあったんですか。
川口国務大臣 質問の意味をちょっと誤解しているかもしれませんが、米国が武力行使をするということをいつ日本に伝えてきたかということをおっしゃっているのでございましたらば、その当日の、二十日の十一時半ごろであったかと思います。質問の意味をもし誤解していましたら、失礼いたしますが。
一川委員 そういうことじゃなくて、要するに、このイラク問題、武力行使も含めてどう対応するかということについて、いつごろから日本政府にそういう相談事があったかということをお聞きしているわけです。
川口国務大臣 米国から、これについて武力行使をするということについて、具体的に相談があったということではございません。我が国として、米国と、このイラクの問題の対応についてはいろいろなことを密接に話し合ってきてはおりますけれども、我が国として、国際社会が協調して平和的に解決をしていくことが重要であるということは言っておりますけれども、米国から我が国に武力行使をすることはどうだろうかという相談があったかということが御質問でしたら、そういうことではございません。
一川委員 では、アメリカのブッシュ大統領から、トップの権力者ですけれども、日本の小泉総理に直接事前に何か通知があったんですか。
小泉内閣総理大臣 これは、アーミテージ国務副長官から、私と竹内外務次官が協議している最中に連絡があったということであります。
一川委員 日米は同盟国だということを総理が強調する割には、ちょっと扱いが軽いんではないかなという感じを率直に受けます。
 そこで、もう一回小泉さんにお聞きするわけですけれども、要するに、米国、アメリカの抑止力というものを非常に期待しているという言い方がございます。それは北朝鮮との問題でもそういう言い方をされますけれども、昨年総理自身が北朝鮮と交わした平壌宣言、あれは国交を正常化するというような趣旨だというふうに読めるわけですけれども、そういう観点からすると、今総理がおっしゃっている、北朝鮮の問題は米国の抑止力を期待するんだということとその考え方は整合性がとれているんですか、そのあたりは。
小泉内閣総理大臣 整合性、よくとれていると思います。
一川委員 いや、そこをちょっと国民にわかりやすく説明していただけませんか。
小泉内閣総理大臣 日米安保条約というのは、あらゆる国に対して、日本を攻撃すれば、それはアメリカへの攻撃と同じなんだ、日本への攻撃というのは、アメリカと戦う覚悟なしに攻撃できないという点において、すべての国に抑止力としてきいている、日本にとっての戦争を防ぐための、安全を確保するための大事な抑止力だと私は思っております。
一川委員 そこで、せっかく文部科学大臣にも来ていただきましたので。
 私は、一昨年の米国における同時多発テロ、大変悲しい現象だったわけですけれども、しかし、ああいう場所でああいうことがなぜ発生したのかということの分析なり、そういうことが余りなされていないような気もするわけですけれども、文部科学大臣としては、これから日本を担う子供さんたちに対して、ニューヨーク等においてああいうテロがなぜ発生したのか、また、今回国連の決議なしにアメリカなりイギリスが中心となってイラクに戦争を開始したというようなことは、これからの子供さんたちにどういう教え方が望ましいと思いますか。
遠山国務大臣 学校教育におきまして、今起きているような問題、あるいは九・一一のような問題、これは社会的事象というだけではなくて、国際的な大きな複雑な問題にも絡んでいるわけでございますが、そういったことについて学ぶ機会を持つということは、子供たちが将来日本を担うというときにしっかりした考えを持つために大変大事だと思います。
 ただ、どういう社会的事象をどういうふうに取り扱うかということは、私は、これは各学校におきまして十分に適切な指導方法というのを考えてもらいたいと思っております。これはまず、非常に客観的な角度から取り上げるべきだと思いますし、また、児童生徒が公正な全体的な知識を得た上で判断できるようにすることが必要だと思います。歴史的な事象を含み、あるいは国際機関が絡み、幾つかの国々が絡んでいるようなこのような問題については、学校において取り扱う場合には、私は、十分注意した上で取り扱ってもらいたいものだと思っております。
一川委員 最後に、総理に決意というか今後の取り組みをお聞きするわけですけれども、こうなった以上は、一日も早く戦争を終結して、国連中心的なそういった世界平和をしっかりとこれから構築し直す必要があると思うんですけれども、それについて私は、アメリカの後につくんじゃなくて、日本が先頭に立って、これこそ本当に真剣に汗を流す必要があるんではないかというふうに思いますけれども、総理の決意のほどを。いかがでしょうか。
小泉内閣総理大臣 日本は、戦後六十年近く戦争を経験しないで安全を確保してきた。これは大変恵まれていると思います。これからも、日米同盟、国際協調、この重要性をわきまえて、戦争を決して起こさせないという決意のもとに外交努力を重ねていきたいと思います。
一川委員 終わります。
藤井委員長 これにて一川君の質疑は終了いたしました。
 次に、木島日出夫君。
木島委員 日本共産党の木島日出夫です。
 総理にお聞きをいたします。
 三月二十日、アメリカは、世界の多くの人々や国々の反対の中、イラクに対する武力攻撃を開始いたしました。日本政府、小泉総理は、これに間髪を入れず支持を与えました。総理は、二十日深夜の衆議院本会議での報告で、武力行使に至ったことはやむを得ないことだと考える、その根拠に、こう述べました。「問題の解決をいつまでも先延ばしにすることは許されないのです。イラクの対応を根本的に変えるための方策も見通しも全く見出せない以上、武力行使に至ったことはやむを得ないことだと考えます。」
 そこで、総理にお聞きします。イラクの対応を根本的に変えるための方策も見通しも全く見出せないとの認識は、一体だれの認識なんですか。総理個人の認識ですか、それとも、国連安保理がこういう認識に立っているという報告なんですか。
小泉内閣総理大臣 私は、私自身の認識を申し上げたわけであります。
木島委員 では、国連安保理はそんな認識に立ってないということと聞いていいですか。
 いや、総理です。
小泉内閣総理大臣 国連安保理の中では意見が分かれているということは承知しております。
木島委員 単に分かれているだけじゃない、安保理を構成する多数の国々の認識は全く逆ではなかったでしょうか。
 三月十七日に、UNMOVICのブリクス委員長は、イラクの大量破壊兵器廃棄のための具体的、詳細な計画を安保理に提出いたしました。これを受けて開かれた三月十九日の国連安保理外相級会議で、例えば、例を挙げます、フランスのドビルパン外相は、次のように述べています。
 ブリクスやエルバラダイの、彼らの計画は、イラク軍備解体を平和的に行う明確で信頼に足る展望がいまだ存在することを示している。この計画は、この査察の優先課題を提案し、その実行のための現実的な日程表を提示している。また、この報告は、査察が明確な成果を上げていることや、査察が平和的で引き締められた期間内で真の軍備解体を行う展望を示している。我々が決議一四四一の枠内で共同で歩んできた道はいまだに存在する。
 同じく、その日、ドイツのフィッシャー外相の発言。
 未解決の軍備解体問題のリアルな記述をした作業プログラムが、今、我々の目の前にある。これは、イラクをどのように平和的に短期間で軍備解体するのかの明確で説得力あるガイドラインを与えている。私は、特に、きょう、その事実を強調したい。厳格な期限を持ったこれらの要求を支持することで、イラクを平和的に軍備解体することは可能だ。したがって、平和的な手段は尽くされていない。
 中国も同様であります。
 国連安保理は、十五カ国のうち、米、英、スペイン、ブルガリアの四カ国を除く九カ国、多数が、査察継続で平和的な解決は可能だという認識だったんじゃないですか。
 総理、これは認めますか。
小泉内閣総理大臣 それはフランスやドイツの見方であるということは承知しております。
 しかしながら、過去の行動を見ると、昨年の十一月の一四四一、これについて、最後の機会を与える。ブリクス委員長は、十分な協力をしてないということを言っているんですよ。これはもう全社会一致している。なおかつ、一九九〇年、イラクがクウェートを侵略したときに、クウェートを解放するために、国連は武力行使容認決議をした。そして、そういう圧力をかけたとしても、イラクは、平和的解決、クウェートから撤退しなかったんです。幾ら圧力をかけてもイラクは……(木島委員「昔話を聞いているんじゃないんだよ」と呼ぶ)聞いてないって、私は一連のことを言っているんだ。一連のことを言っているんです。(木島委員「ことしの三月時点のことを聞いているんだよ。だめだよ」と呼ぶ)質問に答えているんです。質問に答えているんです。(木島委員「三月の時点のことをどうかと聞いているんだよ。三月十九日にどうだったかと聞いているんだよ。時間のむだだよ、こんなの」と呼ぶ)だから、今、順を追って言っているんです。過去のことを言っているんです。
 それは、クウェートに侵略したときにも、国連が一致して武力行使容認決議をしても、イラクは言うことを聞かなかった。それでやむなく、湾岸戦争、イラクを解放するために戦闘行為に出た。
藤井委員長 答弁は簡潔にお願いします。
小泉内閣総理大臣 そして、撤退されて、停戦決議、これも、大量破壊兵器を廃棄しなさいというのが十二年間続いているんですよ。十二年間、イラクは守ってこなかったんです。そして、昨年の十一月に最後の機会を与えるといって、これは三月まで議論してきたんじゃないですか。昔話から、関連あるんですよ、今まで。
 単に三月時点だけの議論じゃないんです。ずっと関連している。昔の約束はほごにしていいということじゃないでしょう。十二年間の約束をどう考えるか。そして、過去の、平和的解決を望んでいるけれども言うことを聞かない。そうして、やむを得ない決断だったと私は言っているんです。
木島委員 そんな昔話を聞いているんじゃないよ、私の質問は。三月十七日と十九日の国連安保理の状況を聞いているんじゃないですか。
 次の質問に移ります。
 総理は、武力行使の法的根拠について、二十日、二十一日の衆参両本会議で、イラクが決議一四四一で履行を求められている武装解除の義務を履行していないことから、さらなる重大な違反が生じていると言わざるを得ずと答弁をして、決議六八七、六七八違反につなげようとしております。
 そこで聞きます。イラクが安保理決議一四四一の義務に対しさらなる重大な違反をしているという認定権限を持っているのは、国連安保理だけであります。国連安保理はそんな認定をしていますか、総理。
小泉内閣総理大臣 それは、安保理で一致結束した認定はしていない。しかしながら、一四四一で、過去の六七八、六八七を含めて、最後の機会を与える。そこのときにイラクが即時、無条件、無制限に協力していれば、戦争は起こっていないんです。そういう四カ月の期間の中で、ブリクス委員長も、十分な協力をしていないと言っているんです。
 そして、過去の経緯も、武力行使容認決議をしても、一九九〇年は、イラクは言うことを聞かないでクウェートから撤退しなかった。幾ら平和的圧力をかけても言うことを聞かない。これは、もうやむを得ない私は決断だったと思います。
木島委員 総理は、重大なことを認めました。国連安保理は、イラクが一四四一決議に違反をして、さらなる重大な違反をしていると認定していないということを明確に答弁をいたしました。これは重大なことであります。
 ここに国連安保理一四四一を持っております。国連安保理一四四一の本文第四項、イラクがそういう重大な違反をしているかどうかの評価をするのは安保理だ。それから十一項、イラクが妨害をしているかどうか、軍備解体義務の遵守に対するイラクの不履行があるかどうか、それは安保理事に報告して、安保理が十二項でその状況並びにすべての安保理決議の全面遵守の必要性について検討する。
 すべて安保理が認識し、認定し、決定する権限があるんです。それがないということは、いまだ国連安保理は、イラクはこの決議一四四一に違反していないという状況に国連安保理があるということを総理が認めたということを意味するんです。いいですね、総理、これは。これは、法的権限に係る……
小泉内閣総理大臣 違います。言っているでしょう。一四四一、六七八、六八七含めて、安保理決議なんです。根拠はそこなんです。十分な協力をしていないと、もう認定しているんです。しかし、三月の時点において、この問題について安保理が一致した決議は出せなかったということを言っているんですから。根拠は十分にある。安保理が最後の機会を与える、十分な協力をしていないということは、国際社会が一致結束して認定しているところであります。
木島委員 総理は、全然一四四一を読んでいないんですよ。一四四一の第一項を読んでください。イラクが決議六七八を含む関連決議に基づく義務の重大な違反をしてきたと決定している。昔そういう違反をしていると一四四一は認めているんですよ。二項、そう認めながらも、最後の機会をまだ与えるんだということを一四四一は言っているんですよ。そして、まだ機会を与えている最中なんですよ。そして、報告を受け、それに基づいて、さらなる重大な違反をしているかどうかを国連安保理が認定するかしないか決定するんですよ。それがいまだにしていないということなんですよ。
 ですから、そういう段階に国連安保理があったということは、総理が言っているように、単純に、国連安保理違反だから決議六七八、六八七に戻れるなんという理屈は成り立つはずがないんですよ。
 だから、アメリカ、イギリス、スペインの三カ国が三月七日に安保理に提出した決議案、これには、イラクは決議一四四一によって与えられた最後の機会を生かすことができなかったこととなると決定すると書いてあります。今総理が考えているようなことと同じことが書いてあります。しかし、この決議案を提案した米、英、スペインは、安保理決議とすることを断念したんですよ。撤回せざるを得なかったんでしょう。
 このことは、もう明らかに、安保理がいまだにイラクの一四四一違反の認定をしていないこと、むしろ、安保理の多数国の認識は、査察による平和的解決が有効とするものであることの立派な証明じゃないですか。
 ですから、総理が言うように、国連安保理がイラクの決議一四四一違反を認定していないんだから、六八七、六七八に戻るなんという理屈は成り立たないということは明らかじゃないですか。
小泉内閣総理大臣 それは見解の相違ですよ。もう一四四一において、十分な協力、即時、無条件、無制限、その最後の機会を与えるということに、イラクは生かさなかったんですよ。そして大量破壊兵器、これに対して、一連の行動に対して、ブリクス委員長も十分な協力をしていないということをはっきりして言っているじゃないですか。
木島委員 だから、イラクが最後の機会を生かしたか生かさなかったか、その認定権限、判断権限者は国連安保理にのみある。総理、さっき認めたじゃないですか。まだ認めていないんですよ。ですから、法的権限がないということをもう逆証明しているんじゃないでしょうか。私は、米英両国のイラクに対する武力行使が全く国際法上の根拠を欠くことが、これできょう明らかになったと思います。これは、言葉をかえれば、米英両国の武力攻撃が違法、無法で野蛮なことだということであります。
 最後に、安保理事国のチリの上院議員リカルド・ヌニェスさんはこう言っていることを紹介します。
 チリ政府が国連安保理で米国を支持しなかった態度は、千五百万人のチリ国民の平和の願いを代表した、極めて尊厳のある行動だった。私たちはラゴス大統領の行動を誇りに感じている。今回の戦争開始を阻めなかったのは、日本など一部先進国の責任が大きいと思う。残念なことは、経済大国の日本が、米国にすんなり同調して不当な戦争を進める米国を野放しにしてしまったことだ。
 日本政府、小泉内閣の、無法なアメリカの戦争を支持した態度を私は厳しく糾弾したいと思うんです。そして、政府は、国連決議違反、法律違反、この態度をきっぱりと改めて、米英両国政府に対して、直ちにですよ、武力攻撃を中止するように行動を起こすことを求めて、私の質問を終わります。
藤井委員長 小泉内閣総理大臣、答弁を求めます。
小泉内閣総理大臣 イラクが、大量破壊兵器、十分協力すれば戦争は起こらなかったんです。一にかかって、戦争か平和かの選択はイラクにあったんです。
木島委員 もうそんな理屈は通用しないということは明らかになったと思います。
 質問を終わります。
藤井委員長 これにて木島君の質疑は終了いたしました。
 次に、今川正美君。
今川委員 社会民主党・市民連合の今川正美です。
 私は、きょうこの席に非常に沈痛な気持ちで立っております。今この時間にもイラクで、何の罪もない子供たちを初め、既に百人を超える多くの人々がとうとい命をなくしていっている。そのことに思いをはせたいと思うんであります。
 さて、具体的な質問に入る前に、小泉総理、まず冒頭に一つお尋ねをしたいんです。
 ことしに入ってからイラク戦争に踏み込むまでの間、世界各地で多くの、戦争だけは回避をしてほしい、こういう声が上がりました。デモや集会が起こりました。特に二月中旬には、全世界で一千万人を恐らく超えると言われる戦争反対のデモや集会がありましたが、我が国内でもそうであります。これに対して小泉総理は、イラクに誤ったメッセージを送りかねない、あるいは、過去の歴史の中で世論に左右されて政治が間違ったこともあるという趣旨のコメントを出されておりますけれども、本当に驚きました。
 世界各地の、戦争だけはやめてほしい、人だけは殺さないでほしいという声は、私は非常に健全な声だと思うんだけれども、総理はどのようにこれをお考えなんですか。
小泉内閣総理大臣 これは、世論というものは重視しなきゃならないというのは、民主主義の時代では当然のことだと思います。しかしながら、過去の歴史の事実を見ますと、世論に従って政策を推進した場合に、正しい場合も当然たくさんあります。そして、時には、世論に抗してやった場合においても、後で評価される場合もある。これは歴史の事実が証明しているということを言ったわけであります。
 例えて言えば、古い話で言えば、日露講和条約。日露戦争の後、講和条約を結んできた小村外務大臣、講和はけしからぬとして多くの批判を浴びました。しかしながら、結果的に、あのとき戦争を進めたら、もう日本も疲弊していた。さらに、日米開戦のときも、真珠湾を日本が攻撃した場合に、もう日本は沸き立ちました。戦後、日米安保条約の改定時、もう連日、日米安保条約改定反対のデモが国会を取り巻きました。そして消費税導入のとき、所得税減税のためには消費税導入が必要だろうと。これも、圧倒的多くの国民は消費税導入反対でした。
 しかし、日を追って、今どうでしょう。たしか、今になってみれば、やはり日米安保条約が必要だなという意見の方が多いんじゃないでしょうか。消費税導入、これも、やはり今は、消費税やむなしといいますか、消費税に対しても大方の国民の理解は得られているんじゃないでしょうか。
 そういうことを考えますと、時に世論に従わない場合があっても、進めた政策も、時間がたつにつれて大方の理解が得られる場合もあるんじゃないかということを私は申し上げたんであって、それは歴史の事実が証明しているということを申し上げたわけでありますから、その点は御理解をいただきたいと思います。
今川委員 実は、新聞等の報道によりましても、全国の各地方自治体、県議会、市議会、町議会ですね、今月の十八日の段階で五百十六の地方自治体から、イラクの戦争に反対だという意見書とか決議書が採択をされております。
 ですから、今総理がおっしゃった過去のことも大切なんだけれども、今私が問いかけたかったのは、我が国はもちろん、世界各地で、戦争だけは回避してほしいという声は正しくないんですか。もう一度。
小泉内閣総理大臣 戦争を回避してほしいというのは世界の国民の願いだと思います。日本もそうであります。しかしながら、残念ながらそれができなかった。こういうことについては、残念でありましたけれども、やむを得ない決断だったのではないかと。
 大量破壊兵器を廃棄する、そういうことを考えますと、今回、平和的解決によらず、このような事態に至ったことは残念でありますが、こういう事態に至ったからには、一日も早く、犠牲を少ない形で戦争を終結させなければならないと思っております。
今川委員 そこで、少し具体的な御質問を総理にしたいと思うんですが、まず、私の簡単なこのイラク戦争に関する考えを述べてから質問をいたしたいと思います。
 このイラク戦争に関しては、昨年一月のブッシュ一般教書演説あるいは昨年九月のブッシュ・ドクトリンが非常に大事だと思っているんです。そこでは、特定の国を悪の枢軸と指定して、先制攻撃も辞さないとしています。イラク問題もそもそもは、ブッシュ政権にとっては、フセイン政権を打倒するということが真のねらいであった、私はそう思う。当初その理由づけをブッシュ大統領などはテロ組織との結びつきに求めたけれども、立証できなかった。それでその次に大量破壊兵器問題にすりかえたんだ、私はそう思っています。
 この問題は、湾岸戦争以前の歴史的背景を踏まえることが私は大切だと思うんです。八〇年代のイラク・イラン戦争のときにアメリカはフセイン政権を支援し、武器を与え、財政支援をし、その過程で生物化学兵器をアメリカが提供したんじゃないですか。そこのところをきちっと踏まえた上でこのイラクの問題を語る必要があると思います。
 そこで、まずお尋ねしたいんでありますが、いわゆるブッシュ・ドクトリンの先制的自衛という考え方に対して総理の御見解をお聞きしたいと思うんですが、ブッシュ・ドクトリンでは、大量破壊兵器がテロ組織に渡ってからでは手おくれなので、先制攻撃も辞さないという論理の組み立てをしているんですね。こういう考えに関して、小泉総理はどうお考えですか。
小泉内閣総理大臣 アメリカはアメリカとしての考えがあると思います。アメリカはあらゆる選択肢を排除しないということを言っておりますし、私は、しかしながら、戦争というのは、自衛権の行使あるいはまた国連安保理の決議、これが必要だということでありますので、こういう点につきましては、今回のアメリカ、イギリス等の武力行使というのは、国連憲章に合致したものであり、一連の国連決議を、根拠になっているということを繰り返し繰り返し述べているわけでありまして、アメリカのいわゆる先制攻撃論ということとは違う、国連憲章に合致したものである、私はそのような根拠を示しているわけであります。
今川委員 いや、私は、今回のイラクに対する武力攻撃の問題をこれから御質問しますが、一般論として、これまでの国連憲章なり国際法上、このブッシュ大統領が出された昨年九月のブッシュ・ドクトリンの中にある、先ほど申し上げました先制的自衛あるいは先制攻撃というものが国際法上許されるんであろうかどうか、私は許されないと思うんですが、その点に関して小泉総理の御見解を伺いたいんです。この今回の武力行使が正当かどうかということを直接お尋ねしているんじゃないんです。
 簡潔にお願いします。
川口国務大臣 ブッシュ・ドクトリンというのは、先制的な行動と言っているわけですけれども、具体的にそのブッシュ・ドクトリンに基づいて米国が何か行動をとるとしたら、米国は当然に国際法に合致をした行動をとるというふうに考えております。
今川委員 いや、答えをはぐらかしてもらったら困るんですよ。
 では、次に移ります。
 次に、先ほども議論がありましたが、国連決議の六七八、六八七、あるいは一番新しい一四四一、これは私は、例えば一四四一の場合に、一番最後に、たび重なる義務違反を受けて深刻な結果を招くと繰り返し警告してきたことを確認するとは書いてあります。これイコール武力行使をしてよろしいというふうに私は理解しません。多くの国際社会はそのように理解をしていると思います。
 そこで、今申し上げた三本の一連の国連決議が、総理、武力行使をしてよろしいというふうな根拠になるんであれば、なぜアメリカやイギリスなどは武力攻撃をするための新たな決議を求めたんでしょうか。いろいろな工作、働きかけをし、最終的に、新しい決議の採択がどうもできそうにないという判断をしてから、もとに戻ってこの一連の国連決議で十分なんだというのは、余りにもいいかげんじゃありませんか。どうですか、総理。
小泉内閣総理大臣 これは、武力行使なしに平和的解決を国際社会は望んだんですよ。日本も望んだんです。だからこそ、アメリカは一四四一の決議なしでも武力行使も辞さないと言ってきたんです。それを、私は、国際協調が望ましいということで、一四四一決議に持っていくために、アメリカは国際協調体制をとるようにさまざまな努力を積み重ねてきて、昨年十一月、一四四一の決議がなされた。
 それで、あのときに、一四四一の決議というのは大量破壊兵器の廃棄をイラクに求めているわけです。この点については、アメリカもフランスも一致しているわけです。そういう中で、即時、無条件、無制限にイラクが協力していれば、平和的解決が望ましい、できたんです、戦争なしに。しかしながら、さらに平和的解決を望むがために、国際社会が一致結束してもう一段の決議をすればこれはイラクも協力するのではないかという状況にあったから、私は平和的解決を求めるために望ましいと言ったんです。だから、既に根拠は、一四四一、六八七、六七八に根拠はあるんですよ。
今川委員 いや、委員長、答弁が食い違っているんですよ。私の質問にまともにお答えになっていない。
 私、もう一度言いますよ。
 例えば一四四一、これは、先ほど申し上げたように、だれが読んでも即武力行使をしてよろしいというふうには書いていないじゃないですか。だから、今おっしゃったように、ブッシュ政権の中でも、例えばラムズフェルド国防長官とかウォルフォウィッツ国防副長官などは、暗にパウエル国務長官を指して、国連などに新たな決議などを求めるという、迂回するからこんな時間がずれてしまった、時間のむだだったとはっきり言っています。しかし、パウエル国務長官は、より明確な武力行使を求めるための決議を求めたわけでしょう、国連に。結果としてはだめだった。
 つまり、これははっきりしているじゃないですか、一四四一号では国際社会のコンセンサスが得られないと思ったから新たな決議を求めたんじゃないですか。そして、その新たな決議がとれなかった以上は武力行使に入ってよろしいということにはならないということを私は言っているんです。どうですか、いま一度。
小泉内閣総理大臣 一四四一の決議は国際社会が一致して決議したんです。これはもう最後の機会を与える。そしてその後、四カ月たってもさらなる重大なる違反があるということを認めているんじゃないですか。これをどう思うんですか。
今川委員 しかしそれは、国連安保理に対してもブリクス委員長は、いまだイラク政府の協力は十分とは言えないまでも、もっと時間が欲しいと言っています。実際に査察に入った査察団のブリクス委員長が言っているんです。それから、フランスにしてもドイツにしてもロシアにしても、あと三、四カ月の時間を与えれば、武力を使わずとも平和的に解決は可能であるとはっきり言っているじゃないですか。そのことを私は申し上げているんです。どうですか、総理。
小泉内閣総理大臣 そういう見方があるのは承知しています。しかしながら、見解は各国で分かれたから、安保理で決議が採択されなかった。
 しかしながら、その前の一四四一、六七八、六八七を通じて、さらに、一四四一の決議がなされた後の四カ月間、ブリクス委員長も、十分な協力をしていないと言っているんです。そういう一連の決議、過去、根拠は、今回の武力行使が正当化される、私は日本政府としてそういう立場をとっているわけであります。
今川委員 もう時間が参りましたので、最後に一言だけ。
 今回、国連を中心にした国際社会の全体的な、武力行使をやってもよろしいというコンセンサス、合意はありません。こういう国際法に反するような武力行使は一日も早くやめるように日本政府として働きかけるべきだということを申し上げて、私の質問を終わります。
藤井委員長 これにて今川君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして、本日の集中審議は終了いたしました。
 次回は、来る四月一日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後九時三十分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.