衆議院

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第24号 平成15年5月28日(水曜日)

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平成十五年五月二十八日(水曜日)
    午後一時開議
 出席委員
   委員長 藤井 孝男君
   理事 斉藤斗志二君 理事 自見庄三郎君
   理事 杉浦 正健君 理事 萩山 教嚴君
   理事 宮本 一三君 理事 末松 義規君
   理事 原口 一博君 理事 細川 律夫君
   理事 石井 啓一君
      荒巻 隆三君    伊吹 文明君
      石川 要三君    尾身 幸次君
      奥野 誠亮君    金子 一義君
      金子 恭之君    栗原 博久君
      高鳥  修君    竹本 直一君
      津島 雄二君    中山 正暉君
      丹羽 雄哉君    葉梨 信行君
      萩野 浩基君    原田 義昭君
      松岡 利勝君    三塚  博君
      持永 和見君    森岡 正宏君
      山口 泰明君    五十嵐文彦君
      池田 元久君    石井  一君
      上田 清司君    海江田万里君
      河村たかし君    菅  直人君
      中村 哲治君    永田 寿康君
      長妻  昭君    細野 豪志君
      三井 辨雄君    吉田 公一君
      米澤  隆君    上田  勇君
      斉藤 鉄夫君    達増 拓也君
      中塚 一宏君    樋高  剛君
      佐々木憲昭君    矢島 恒夫君
      山内 惠子君    横光 克彦君
      井上 喜一君    江崎洋一郎君
    …………………………………
   内閣総理大臣       小泉純一郎君
   総務大臣         片山虎之助君
   財務大臣         塩川正十郎君
   経済産業大臣       平沼 赳夫君
   国務大臣
   (産業再生機構担当大臣) 谷垣 禎一君
   国務大臣
   (金融担当大臣)
   (経済財政政策担当大臣) 竹中 平蔵君
   内閣官房副長官      安倍 晋三君
   内閣府副大臣       伊藤 達也君
   内閣府副大臣       根本  匠君
   防衛庁副長官       赤城 徳彦君
   外務副大臣        茂木 敏充君
   財務副大臣        谷口 隆義君
   厚生労働副大臣      木村 義雄君
   農林水産副大臣      北村 直人君
   国土交通副大臣      吉村剛太郎君
   外務大臣政務官      新藤 義孝君
   政府参考人
   (金融庁監督局長)    五味 廣文君
   政府参考人
   (外務省大臣官房参事官) 齋木 昭隆君
   予算委員会専門員     中谷 俊明君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月一日
 辞任         補欠選任
  亀井 善之君     原田 義昭君
五月二十八日
 辞任         補欠選任
  池田 行彦君     竹本 直一君
  衛藤征士郎君     森岡 正宏君
  大原 一三君     金子 一義君
  原田昇左右君     金子 恭之君
  河村たかし君     池田 元久君
  田中 慶秋君     五十嵐文彦君
  中村 哲治君     菅  直人君
  細野 豪志君     永田 寿康君
  赤羽 一嘉君     上田  勇君
  中西 績介君     山内 惠子君
  井上 喜一君     江崎洋一郎君
同日
 辞任         補欠選任
  金子 一義君     大原 一三君
  金子 恭之君     原田昇左右君
  竹本 直一君     荒巻 隆三君
  森岡 正宏君     衛藤征士郎君
  五十嵐文彦君     田中 慶秋君
  池田 元久君     河村たかし君
  菅  直人君     三井 辨雄君
  永田 寿康君     細野 豪志君
  上田  勇君     赤羽 一嘉君
  山内 惠子君     中西 績介君
  江崎洋一郎君     井上 喜一君
同日
 辞任         補欠選任
  荒巻 隆三君     池田 行彦君
  三井 辨雄君     中村 哲治君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 予算の実施状況に関する件(外交・経済等)


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     ――――◇―――――
藤井委員長 これより会議を開きます。
 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。
 本日は、外交・経済等についての集中審議を行います。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として金融庁監督局長五味廣文君、外務省大臣官房参事官齋木昭隆君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
藤井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
藤井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。斉藤斗志二君。
斉藤(斗)委員 自由民主党、斉藤斗志二でございます。トップバッターとして質問をさせていただきます。
 私は、わずか十五分、外交が担当ということで、外交に質問を絞らせていただきます。
 まずもって小泉総理には、大変お疲れさまでしたということを申し上げたいと思います。さきの訪米、訪中東、何と二泊五日という強行軍、その日程を精力的にこなされました。
 それで、ブッシュ大統領とは、テキサスのクロフォードという大牧場、これは大きいんだそうですね。千代田区の半分。そして、ジャンボが、専用機がおりていったあの飛行場というのは、大学のキャンパスの中にある飛行場なんだそうであります。それほど大きな大国アメリカのトップと堂々と互角に渡り合った、私は大変誇りに思っております。
 それで、かつてロン・ヤス時代がございました。その時代をつくった中曽根元総理大臣が、小泉・ブッシュ、この関係はかつてないほど信頼関係が高まっているという、大変高い評価を贈っているわけでございます。私は、今回の訪米は大変成果が大きいものだったというふうに思っておりますが、きょう、この委員会へ御出席をされました。NHK総合が全国ネットで国民に直接伝えているわけでございまして、総理には、国民への第一声として、一番伝えてほしい、また聞いてほしいことをまず最初にお聞きしたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。
小泉内閣総理大臣 日本にとりましては、アメリカは最大の友好国であり、日米同盟関係、日本の外交にとっても最も重要な国でございます。日米両国が重要であると当時に、首脳同士の友好、信頼関係を深めることができたと思いまして、有意義な会談だと思っております。
 この日米首脳会談におきましては、日本とアメリカの友好同盟関係を強化するだけでなくて、世界の中の日米同盟ということを考えなきゃいけない。日本とアメリカは、経済関係におきましても、両国合わせて約四〇%のGDPを占める、非常に経済においても世界に影響力の大きな国であります。安全保障、平和への定着のみならず、経済におきましても協力関係を発展させることは、日米両国のみならず、世界全体にとっても大事なことである、そういう共通の認識を持つことができ、さらに、そのための協力関係を強化していこう、そういう会談だったと総括できると思います。
 もちろんイラクの問題、北朝鮮の問題、経済の問題、その他いろいろ率直に、忌憚のない話し合いを行いました。タイミングも私はよかったと思います。というのは、会談の前に、国連安保理でイラク復興について決議が採択されました。そして、私自身初めてでありますが、エジプト、サウジ、ブッシュ大統領との会談も踏まえまして、これからイラクの復興のみならず中東和平の問題についても、アラブ諸国との対話の必要性、こういう問題についても、エジプトのムバラク大統領、サウジアラビアのアブドラ皇太子殿下とも会談いたし、両国関係の発展のみならず、日本とアラブ諸国が協力してイラクの復興支援にできることがあるのではないかということも話すことができましたし、ちょうど韓国の盧武鉉大統領がブッシュ大統領と、私が行く前に会談されました。私とブッシュ大統領と北朝鮮問題についても話し合い、そして六月には盧武鉉韓国大統領が日本を訪問されます。いわば、日本と韓国とアメリカ、日米韓協力のもとに、これから北朝鮮にも対応しなきゃならないということを考えますと、時期的にもよかったと思っております。
斉藤(斗)委員 大変成果があった会談だったというふうに思います。総理、ことしはペリー来航百五十年、久里浜へ上陸されてから百五十年となったわけであります。そういう点では非常に有意義な会談ではなかったかなというふうに思っております。
 そこで、時間の関係もありますので、国民が今一番関心のある事項、それは北朝鮮の問題だというふうに思います。ブッシュ会談でもこれは取り上げられたというふうに聞いておりますが、御案内のように――ちょっと各論に先に入っちゃいます。
 それは、御案内のように、今、国際社会において疑惑のデパートと、北朝鮮については言われているわけですね。麻薬、覚せい剤の製造、売買取引、偽ドル、通貨偽造、こういった問題もあるし、北からの核ミサイル、部品また本体の輸出等々もある。また、拉致事件もある。非常に恐ろしい、安心していられない、こういう状況の中で、来月早々には万景峰号が入ってくるわけでございますが、私は、これについては厳格に検査等々をしてしっかりと国民の安心を担保する必要があるんじゃないかというふうに思っておりますが、総理、各論になっちゃうんですが、お答えいただけますか。
小泉内閣総理大臣 北朝鮮の対応につきまして、万景峰の話が出ましたけれども、不正あるいは違法行為に対しましては日本としても厳正に対処していかなきゃならないと思っております。
斉藤(斗)委員 そこで、ブッシュさんとの間では、総理は対話と圧力というキーワードをお使いになられたわけでございますが、私は、これは内容をただしていく必要があるということで質問をさせていただきたいと思います。
 太陽政策、韓国がとりました。しかしながら、うまくいったというふうに私どもは理解をしていないので、そういう点では、対話よりもむしろ、イラクへ対したような、力を利用することによって、圧力をかけることによって、政策転換を迫っていくということの方が大事ではないかなというふうに思っているわけでございますが、総理、これはブッシュさんとの間での話し合いの中で、対話と圧力、この使い分けをどのように議論されたのか、お答えいただきたいと思います。
小泉内閣総理大臣 北朝鮮に対する対応はイラクへの対応と違うということについては、私からブッシュ大統領にも話しましたし、ブッシュ大統領もそれに同意をされました。当然、アメリカとしてはあらゆる選択肢を持っているということでありますが、平和的に解決していかなければならないという共通の認識を持つことができたと思います。
 同時に、対話と圧力という言葉でありますが、日本だけでは北朝鮮に対する対応というのは十分ではございませんし、また、効果も限られております。そういう面において、アメリカや韓国、あるいは中国、ロシア、そういう方面からの圧力といいますか働きかけ、国際社会からの圧力といいますか働きかけが必要だという認識を私は持っております。
斉藤(斗)委員 北朝鮮が事態をエスカレートした場合、こういうのが一つ前提になっているんですが、私は、今の状況でも、さっき疑惑という言葉を言いましたけれども、実際、犯罪を構成しているやつもたくさんあるわけでございますが、現状維持ではだめなんだというふうに思っています。ですから、現状の段階でもう既に強硬な措置をとるべきではないかなというふうに思っておりまして、これはまたサミットでも議論になるのではないかというふうに思いますが、国民の安心、また平和獲得のためにも、ぜひこの点は十分注意して対応していただきたいというふうに思っているわけでございます。
 また、拉致問題につきましても、大統領は最後の一人までというようなお言葉を使われたようでありますが、被害者の行方が完全に解明するまで日本と連携するということで、拉致被害者家族の立場に立った議論がされたというふうに聞いておりますが、拉致被害者家族の関係についてどのような議論になったか、お答えいただきたいと思います。
小泉内閣総理大臣 世界、アメリカもヨーロッパも、中国もあるいはロシアも、どちらかといいますと、北朝鮮に対する、核開発に対して大きな懸念を抱いております。しかし、日本としては、核開発プログラム、これを破棄させることと同様に拉致問題に重大な関心を抱いている、同時に解決しなきゃならない問題だという点につきまして、私も十分に説明いたしました。
 そして、駐日アメリカ大使のベーカー氏の配慮もありまして、拉致家族の方々もアメリカを訪問され、それぞれ要路の方々に会って拉致という問題についていろいろ話され、アメリカの国民もこれは重大な人権侵害であるというような認識を持つに至ったと思います。
 そういう点から、核の問題が解決されれば日本にとってはそれでいいという問題じゃないと。核の問題、拉致の問題、そしてミサイルの問題、包括的に解決されて初めて国交正常化はなされるんだということについてよく話しまして、ブッシュ大統領も、拉致問題に対しまして、日本の考え方を支持し協力するとはっきり言明されたわけでありますので、この問題については、今までの既定方針どおり日本としても進んでいかなきゃならないと思っております。
斉藤(斗)委員 この北朝鮮問題、まだまだ質問をさせてもいただきたいんですが、時間が迫ってまいりました。
 ポスト・イラク・ウオーという中でイラクの復興支援も議題になったというふうに聞いておりますし、私ども、イラクに関しましては、国連安保理決議が一四八三ということで、新たな局面を迎えたわけであります。日本も、世界と足並みをそろえて、人道支援、復旧復興援助ということに、力強く、歩調をそろえていくべきだというふうに思っております。
 もう既に個人の派遣につきましてはスタートをされておるわけでありますが、組織的派遣についてはまだという状況の中で今後これを議論していかなきゃならないというふうに思いますが、時間がないので、私は、ぜひ二段階方式というのを考えていただきたいというふうに思っています。
 一つは、テロ特措法が現在ございますが、これは間もなく時限立法で切れてまいりますが、これを準用したような格好で、イラク特措法、そして、さらに本格的な一般法といいますか基本法、こういったことの組み合わせの中で日本の国際貢献ということを御議論いただければというふうに思っておるわけでございますが、このイラクの復興問題につきまして、総理は、現在、日本がどのような格好で、特に組織的な派遣についてどのようなお立場でおられるのか、お考えをお聞きしたいというふうに思います。
小泉内閣総理大臣 イラクの復興支援については日本としてもできるだけのことをするということは、今までも申し上げておりましたとおり、日本が独自にできること、あるいはオファーを通じてできること、国際機関を通じてできること、また国連決議に沿ってやらなきゃならないこと、いろいろあると思います。これらの点につきまして十分検討して、日本の国力にふさわしいイラクの復興支援に向けて、これからも努力をしていきたいと思っております。
斉藤(斗)委員 時間でございます。終わります。
藤井委員長 この際、金子一義君から関連質疑の申し出があります。斉藤君の持ち時間の範囲内でこれを許します。金子一義君。
金子(一)委員 自由民主党の金子一義でございます。
 前置きなしで、りそなについて総理にお伺いさせていただきます。
 りそなについては、実質債務超過ではなかったのかという見方が根強くございます。総理談話では破綻ではないとおっしゃっておられますが、その根拠は何だったんでしょうか。
小泉内閣総理大臣 これは、金融危機を起こさない、預金者に対しましても、あるいは取引先企業に対しても混乱を起こさせない、そういう観点から、未然に金融危機を防止する必要があるという観点から、対応会議を開き、公的支援、注入を決定したわけでございます。
金子(一)委員 では、質問を少し変えさせていただきます。
 今回、公認会計士協会、監査法人の判断というのがかなり重要な引き金になったと思っております。監査法人の査定で、金融監督庁、金融庁とは違う査定が行われたんじゃないのか。DCFというような、新しい、なじみのない手法も入れられた。これは見通しに基づくものですから、監査法人と監督庁が違う判定を行われるということも十分あり得るのかな。
 そこで、私の質問でありますが、監査法人が、これだけ、二兆円前後の資金を投入されるとなりますと、どういう考え方で監査法人が判断をされたのか、あるいは前回とどういうふうに違ったのかということをやはり説明すべきではないか。総理として、どこかの過程で、資金注入が行われる過程で監査法人あるいは銀行からそこを説明すべきだというお考えはありませんか。
竹中国務大臣 お答え申し上げます。
 ちょっと、DCF等々、技術的な問題もございますけれども、今の会計のシステムというのは、まず基本的には、これは会社が決算を行うものでございます。その会社が行った決算に対して、監査法人が厳正に独立した立場で監査を行う。監督行政の立場、金融の監督行政というのは、その意味では、そうした決算の立場を受けて事後的なチェックを行うという立場でございます。我々としては、そういった事後的なチェックを行う。
 それで、御質問の点でございますけれども、これは当然のことながら、りそな銀行としては、こうしたことに関して、債務者、借り入れ企業、預金者等々に対してやはりしっかりと説明していくということは当然のことであろうかというふうに思います。
金子(一)委員 総理、住専の選挙を思い出したんですよ。平成八年でありましたけれども、住専の選挙を。六千八百五十億だったですか、投入するかどうか、何で大金を投入するかと大合唱のときに、我が岐阜県で補欠選挙がありました。四苦八苦している私を見かねて、小泉総理は飛騨高山まで応援に来てくれたんですよ。そのときに、住専でなぜ必要かということを説明された後、小泉純一郎と金子一義を信頼してくれとやったんですよ、聴衆の前で。これで投票できたんです。政権も倒れなかったんです。今日の小泉総理もあるんだと思っています。
 言い方を変えますと、なぜ必要かということは官僚でも評論家でも説明できるんですけれども、納得してもらった上で投票所に行ってもらうという行動は、やはり政治家きりできない。そういう意味で、りそなとはケースが違いますけれども、やはり国民に向かってそれなりの、わかりやすい、すとんと腹に入る理解というのを私たちもやっていかないと、これはなかなか立ち往生しちゃうテーマだと思っているんです。
 監査法人に対しては、私たち財金の委員会でも、二兆円のお金ですから、やぶの中に入ったまま、時限爆弾を抱えて歩くようなものでありますから、やはり委員会としても、参考人として来ていただいて、お話をきちんと承ろうと思っております。
 今回焦点になりました金融機関の質の問題なんですが、金融機関の資本の質、繰り延べ税金資産、これがかなり焦点になりましたが、いろいろな意見があります。もう繰り延べ税金資産、自己資本なんというのはやめちゃって、削減して、公的資金をどんどん投入すればいいではないか、経営者と株主の責任をとってというお考えと、いや、そうではなくて、やはり民間の活力をみずから活用して不良債権処理を加速してもらうためにも、税金資産の扱いを変えて、繰り延べ税金資産も入れて、銀行に体力をつけさせた方がいいではないか、私も後者の論者であります。政府の中でも意見が違います。
 ただ、この問題は、政治決断がなければできません。そして、その決断のそろそろ時期にかかっていると思っているんですが、総理の御認識はいかがなんでしょうか。
小泉内閣総理大臣 破綻ではなくて、危機を未然に防ぐための政治決断をしたわけでございます。
金子(一)委員 今回、やはり総理の、今御答弁いただいたのでありますけれども、私たちも、時限爆弾を抱えて歩くというのがなかなか本当に大変大きなテーマ。特にこれによって、総理がおっしゃられるように、金融危機は起こさない、そして株主、預金者は保護する、企業経営者もそれなりに安心してもらえる措置という意味では、もちろん評価はしたいと思っているんです。総理、いや、評価したいと思っているんです。
 ただ一方で、今そこにある危機というのは今回それで脱出できたかもしらぬ、しかしそれでおしまいというわけではない。むしろ政府がこれからこの銀行をどうするかという、ある意味で大変な重荷をしょったんだと思っているんです。そういう意味で、やはり国有銀行ではありません、決してそうではない、やはり民間の活力を生かした銀行として再生してもらって、そして金融機能をきちっと果たしてもらう、そのことをこれからの、政府としても最大の重荷をしょったわけでありますが、どういう方向でそこの絵姿を、総理として一番注視したい、一番重要だと思われる点は何か、お伺いします。
竹中国務大臣 金子委員御指摘のように、資本注入を決定するということにおいて、大変大きな政府も責務を負ったというふうに思っております。
 その際、何を一番重視すべきか。一言で言いましたら、これはやはり民間の企業としてしっかりと銀行活動を展開していただくという意味で、その銀行経営のガバナンスを発揮してもらう、これが、そのような仕組みをつくることが我々の今の一番重要な責務であろうと思っております。
 金子委員御指摘のように、これは国有化ではなくて、やはり民間の活力に基づいてしっかりと銀行業務を展開する。そのための具体策としましては、五月三十日に経営健全化計画、どういうふうにして経営を健全化していくかということが先方から出てまいります。それを我々としてはしっかりと見きわめて審査をしていきたい。あわせて、やはりこれは外部からの取締役の導入等を含めて、しっかりとしたガバナンスのシステムをつくる。これをぜひともしっかりとなし遂げて、注入した公的資金が委員御指摘のようにしっかりと生かされて、金融システムを健全化していくような形に持っていきたいというふうに思っております。
金子(一)委員 これからりそな銀行が申請をしてまいります。
 それでは、あえて竹中大臣にお伺いいたしますけれども、申請してくる前に注入会議で決定を、投入はするということを、必要があるという認定はされたわけですが、枠組みをつくるというお話は、もうお話をずっと伺いました。どの程度のタイムスパンで再生させるというお考えがそもそもあるのか。あるとき払いの催促なしですか、というわけにいきませんよね。どの程度の絵姿をお考えになっているのか、聞かせてください。
竹中国務大臣 まさにその出口をどのように見定めるかという、大変重要な御質問であろうかと思います。
 我々としては、言うまでもなく国民負担を最小化する観点から、できるだけ早くその出口に到達しなければいけないというふうに思っております。しかしながら、今の段階では、これからまさに新しい経営者、経営陣が決まって、その経営陣のもとで新たなビジネスモデル、新たな収益計画を立てている段階でございます。それをその経営健全化計画の中でしっかりと示していただきたいというふうに思っておりますが、経営健全化計画を審査する中で、そうした姿をできるだけはっきりと国民にも示していきたいというふうに思っております。
金子(一)委員 総理、自民党のデフレ対策事務局長としまして、緊急経済対策を取りまとめさせていただきました。政府にも提出をさせていただきました。そういう中で、それなりの部分というのを経済閣僚会議等々で取り上げていただいて、そして、これから議員立法で出していくものもある。準備も今進めております。
 ただ、その議論をしている過程で、やはり多くの方から、企業経営者も、全国、ほかの中小企業の皆様方からもだんだん当面の経済に対して悲観的な見方が出てきているということを、私、非常に心配をしているんです。企業も、我が国の潜在成長率というのがどうも向こう五年間くらいは一%程度におさまってしまうのではないか、これは余り悲観論というのが根づいてしまうというのは非常に怖いなと一方で思っておるんです。特に今の経済環境のまま、中期的な、もしくは中長期的な展望が明るさというものが出てきませんと、今度はメガバンクといえども公的資金注入が必要になるのではないかというような不安がなかなか払拭されてこないんだと思っております。
 そういう意味で、経済運営について、総理の今後の展望もしくは取り組みについて御意見を承りたいと思います。
小泉内閣総理大臣 楽観論、悲観論、さまざまだと思いますが、悲観論の方が強いんだと思いますけれども、現実、実体経済の面を考えますと、十四年度におきましても、ゼロ%の政府見通しを上回って一・六%の実質経済成長率を遂げております。名目成長率がマイナスではありますが、今後とも、余りの悲観論というのはいかがなものかと思っております。
 公的資本を危機が起こる前にもっと注入すべきだという議論もあります。あるいは、一方では公的資本注入反対論もあります。いずれにおいても、政治家の中でも、専門家の間でも賛否両論でございます。しかし、私としては、金融危機を起こさない、預金者に不安を与えない、取引先企業にも混乱を与えないという観点から、しかるべき措置を講じた。いずれにしても、今後も金融危機は起こさせない、その対応に万全を期したいと思います。
金子(一)委員 今のお考えは承っておるのでありますけれども、我々も、構造改革の中でできるデフレ対策というのは幾らでもあるんだと思っておるんです。具体的な中身はきょう御議論いただく時間がありませんけれども、どうぞこのような意見にも耳を傾けて、そして万事遺漏なきよう経済運営に取り組んでいただきますことを与党としてお願い申し上げ、質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
藤井委員長 これにて斉藤君、金子君の質疑は終了いたしました。
 次に、上田勇君。
上田(勇)委員 公明党の上田勇でございます。
 総理、日米首脳会談、また中東諸国歴訪、お疲れさまでございました。それぞれの外交の中で相当な成果が上がったものだというふうに思っておりますけれども、きょうは、特にブッシュ大統領との会談の内容を踏まえた上で、我が国にとって安全保障上の最大の懸案であります北朝鮮の問題と、それから経済関係に関する問題につきまして、何点か御質問させていただきたいというふうに思っております。
 日米首脳会談では、北朝鮮問題についていろいろな角度から論議をされて、幾つもの重要な点で意見が一致をしたというふうに承知をいたしております。平和的な解決が重要であるということ、そのためには対話と圧力が重要であるということ、そして日米韓が協調する、そしてマルチの協議の場には日本と韓国も参加をするということ、また拉致問題解決の重要性について問題意識を共有できたということも重要な意見の一致じゃないかというふうに思っております。
 さらに、総理からは北朝鮮の違法行為の規制、取り締まりを一層強化するということを提案されて、ブッシュ大統領からも、とりわけその中でも麻薬の拡散については容認しないというふうな発言があったというふうに伺っております。
 北朝鮮による麻薬の輸出というのは非常に世界的な問題になっておりまして、きょう、ちょっと皆さんにも配付もさせていただいているんですけれども、テレビのためにこれを用意させていただきましたが、これを見ていただくとわかるんですが、我が国に入ってくる覚せい剤、そのうちの過去五年間を見てみますと、ずっと三割から四割が北朝鮮ルートのものである。押収されたものだけでありますけれども、この過去五年間の平均をとってみますと、三五%が北朝鮮ルートであるということが、これは警察庁の資料からまとめたものでございますけれども、まさに我が国にとっても非常に深刻な問題になっているということでございます。
 このデータというのは押収量でありますので、実際にはこの何倍もの数量が北朝鮮ルートから我が国に入ってくるわけでありまして、この覚せい剤の末端価格というのが何かグラム当たり三千円から五千円というようなことも言われていますので、この押収されている量だけでも四十億から五十億円に上るというものでございます。実際に出回っている数量がどのくらいなのか、あるいはそのうち何%が北朝鮮の取り分なのかということはわかりませんけれども、少なくとも相当な不正な資金が北朝鮮の金正日政権のところに回っているということはもう明らかなのではないかというふうに思います。
 こうした不正な資金を取り締まっていく、これは北朝鮮の必ずしも国民を苦しめるということではなくて、やはり政権の中枢にいるそうした金正日さん初め、その取り巻きが大変これで困るということでありますので、そういう意味でもこれは社会正義にかなうことであろうというふうに思っております。
 麻薬取引などのこうした不法行為に対して、関係国も協力して取り締まりを強化していこうということは、大変私はすばらしいことであるというふうに思いますし、我が国としてもこの点しっかりと対処していくべきだろうというふうに考えております。
 これは、警察庁や厚生労働省、海上保安庁など、いろいろな省庁にまたがる課題でございますけれども、総理に、この問題についてどういうふうに対処されていくのか、また、そういう関係省庁にどういうような御指示を出されるお考えか、御見解を伺いたいというふうに思います。
小泉内閣総理大臣 覚せい剤等麻薬の密輸等につきましては、北朝鮮当局が関与しているのではないかと見られる事案がかなり起こっております。こういう点に関して、非常に深刻な問題だと認識しておりますし、外国におきましても、現にいろいろな情報交換をしており、日本だけでなくて、日本以外の国にもそのような不正行為が行われるという情報も寄せられております。
 今後、日本独自として厳正に対処すると同時に、外国当局とも情報交換を密にしまして、国際的な協力のもとに、このような不正防止に日本としても厳正に対処していきたいと思っております。
上田(勇)委員 国内でもこの覚せい剤に絡む犯罪というのは非常に多いわけでありますし、これは、覚せい剤自体は日本で製造されているわけではなくて、北朝鮮ルートのものがこんなにあるというわけでありますから、ぜひ関係国一致協力をしていただいて、防ぐということにさらに力を尽くしていただきたいというふうに思います。
 もう一つ、北朝鮮の問題について、核兵器の保有のことにつきましてですが、いろいろと報道等によりますと、アメリカの政府部内でも、北朝鮮が他の国に核兵器を拡散、移転しないのであれば、既に保有しているというようなものについてはある程度容認してもいいのではないかというような論調があるというふうに承知をいたしております。
 私は、北朝鮮が核兵器を保有するということは日本にとっては重大な脅威になるわけでありますので、たとえそういう限定的なものだろうとしても、核の保有を認めるということ、そういうような考え方というのは受け入れがたいというふうに考えております。
 しかも、ちょうど、たまたまきょうタイムの雑誌を見たんですが、何かアメリカのCIAの高官は、ここ数年以内に数百に及ぶ核兵器が製造可能なのではないかというような見通しも、これは北朝鮮の核開発に直接携わったという科学者の言葉を引用しながら言っておりますので、ここでやはりほうっておくということは大変な脅威になることはもう間違いがないというふうに思っております。
 会談後の記者会見等でブッシュ大統領は、北朝鮮の核保有は認めないというスタンスを表明されたというふうに聞いておりますが、首脳会談において北朝鮮の核保有に対する考え方につきましてどういうような意見交換をされたのか、また、この北朝鮮の核保有についての総理の基本的なスタンスについてお伺いしたいというふうに思います。
小泉内閣総理大臣 核の問題につきましては、これはアメリカも非常に懸念しておりますし、核開発計画を速やかに破棄させるというこの方針に変わりはないと。核の保有も、また開発も移転も容認できない、こういうことについて、真剣に北朝鮮に対して日本と韓国と協力して働きかけていこうと。
 過日、中国と北朝鮮とアメリカ、関係者が会合いたしましたけれども、中国も同様だと。中国の役割をアメリカも評価しておりました。そういう点について、これについてはお互い連携していかなきゃならないが、平和的解決に向けてお互いが協力していこうということで私は一致できたと思います。
上田(勇)委員 今、総理の御答弁にもあったんですが、ブッシュ大統領も先般の三カ国三者協議に触れて、中国が責任ある行動をとり始めたことは重要だというふうに発言したというふうに伺っております。まさに中国の協力というのが不可欠な要素になっております。
 きのう、中国とロシアの首脳会談が行われまして、そこでもこの問題について両国首脳で議論が行われたということでありますけれども、報道等を見る限りにおきまして、日米間で話した内容と、中ロで意見の一致があったというところについては若干スタンスが違う部分もあるのではないのかなというような気がいたしております。
 総理は、この後また、サンクトペテルブルクの会議、それからエビアン・サミットという、これから外交日程が入っておりまして、その際には中国の胡錦濤主席とも会談の予定だというふうに伺っております。こういう機会でありますので、ぜひ、この北朝鮮問題の解決に向けての、どうしても必要なメンバーである中国としっかりと意見のすり合わせをしていただければというふうに思っておりますけれども、今、現状では若干スタンスに開きがある中で、総理として、胡錦濤主席と会談された折に、この問題についてどのような協議を行うお考えか、お伺いしたいというふうに思います。
小泉内閣総理大臣 現時点で、中国の胡錦濤主席とはサンクトペテルブルクで会う予定になっておりますが、どういう話し合いになるかという点につきましては、二国間の日中関係、この重要性、友好増進に協力していこうということは当然でございます。同時に、北朝鮮に対する対応問題につきましても、ブッシュ大統領との会談も踏まえまして、お互い協力すべき点も多いと思いますので、よく意見交換をして、今後とも協力しながら北朝鮮に対応していかなきゃならない。また、同時に、核開発等、これを速やかに北朝鮮が廃棄することが北朝鮮にとってもプラスになるということについても意見交換をしながら、平和的解決を求めるべく、お互い協力していきたい、そういう話をしていきたいと思っております。
上田(勇)委員 この北朝鮮、特に核保有の問題については、アメリカも、また中国も、当然のことながら韓国も日本もそうでありますけれども、大変な脅威と受けとめてこの問題を解決していかなければいけないという、今、そこでの意見は一致しているんだというふうに思っております。
 しかし、そこからどういうアプローチでこの問題に対処していくかということになりますと、当然のことでありますけれども、各国によって多少のニュアンスの違いがある、アプローチの違いがあるわけでありますが、やはりこれは、今協議を行っている三者に日本と韓国を加えたこの関係国がしっかりと連携をとって協調していく、意見の一致をさせていくということが北朝鮮に対してのメッセージにもなるというふうに思っておりますので、非常に過密な外交スケジュールの中でありますけれども、総理が、まずはアメリカとこの問題について協議したというのは非常に意義が大きい。
 さらに、今度は韓国の盧武鉉大統領ともお会いして、この問題について協議をされる。さらに、サミットにおきましても、各国、関係国の首脳とこの問題についてしっかりと話し合っていただくということでありますので、ここで総理が、この問題、我が国も最も関係のある当事国でございますので、ぜひリーダーシップを発揮していただいて、各国が協力してこの問題に当たっていくというような、中心的な役割を果たしていただければというふうに願っているものでございます。
 次に、この首脳会談では、経済につきましても、ブッシュ大統領から、小泉総理の経済政策への強い支持が述べられたというふうに伺っております。それ以外の経済問題についての論議というのは、残念ながら余り報道されていないので、若干、報道等に接する者としては物足りなさを感じるところなんですけれども、実際には相当の突っ込んだ内容のある話し合いが行われたのではないかというふうに思っております。
 経済についての論議がなぜ重要かというと、やはり、アメリカ経済の動向が日本経済のこれからの先行きに対して非常に重大な影響があるというふうに考えているからであります。
 ちょっと、今お手元に配ってあるもう一つの資料を見ていただきたいというふうに思うんですけれども、二枚目のGDPのところでございます。
 これは政府の資料でございますけれども、本年の一月―三月期の実質GDPの成長率というのは〇・〇%にとどまったわけでございます。なぜそういう水準になったかと、その寄与度で見てみますと、国内需要がプラス〇・二%なのに対して、純輸出がマイナス〇・二ということになっております。
 これは昨年のデータも並べておりますが、昨年のデータと比べてみますと、輸出の減少が成長率の低下の大きな原因になっているわけであります。これまで輸出が下支えしていた日本の景気を、アメリカを初めとする世界経済が減速したことによって、その影響が非常に強くあらわれて〇%成長みたいな結果になったというふうに思っております。
 もちろん、ブッシュ大統領との話の中で、何について合意をしたとか意見の一致があったというようなことではないので、なかなかおっしゃりにくい、公にしにくい部分もあるんだというふうに思いますけれども、やはりこれは、世界第一位の経済大国と第二位の経済大国の首脳が直接会って経済の問題について論議をしたわけでありますので、その内容というのは、国民だけじゃなくて世界じゅうが関心のものだろうというふうに思います。
 そこで、もう少し、どういうテーマについてどういうような意見交換を行ったのか、また、総理としてのその話し合いに対する所感も含めてお聞かせをいただければというふうに思います。
小泉内閣総理大臣 経済の問題については、日米両国でGDPの四〇%を世界の中で占めている、日米の経済が成長することによって、両国にとってのプラスだけでなくて世界にとって大事なことだ、お互い、世界経済の原動力になるように努力しなきゃいかぬ、そういう話し合いをいたしまして、ブッシュ大統領からは、ブッシュ政権が提案した減税法案が上下両院で通過して成立する見通しである、これについて、今後の成長に自信を持っているという話もございました。
 また、日本の構造改革についても、特区の問題あるいはりそなの問題に対して肯定的な評価をいただき、今後も小泉内閣の進める改革路線を支持するという表明もあり、お互い、経済問題についても日米関係は重要だ、そういう話し合いをいたし、なおかつ、通貨の問題の話し合いになりまして、これはブッシュ大統領の方から、自分は強いドルを望むというはっきりした話もありました。
 私としては、今、日本は改革を進めているが、過去、アメリカ経済、イギリス経済が停滞したとき、それは通貨の下落を伴っている。日本の経済が悪い悪いと言いながら、三十年前に比べて、アメリカ・ドルに比べて、日本は、三倍の価値を円は持っている。円は高い。そして、イギリス・ポンドに比べますと、五倍以上日本の通貨は上がっている。通貨の価値が高まった中での改革というのは今まで例がないだろう、そういう話も私はしました。そういう中で改革を進めていると。そういう話の中で、ブッシュ大統領も、自分も強いドルを望んでいるという話があったわけであります。
 私は、決して日本経済について悲観する必要はないと思います。自信を持ってこれからの改革を進めて、持続的な成長軌道に持っていく、そのことについてますます自信を深めました。
上田(勇)委員 今総理からも答弁があったんですが、ブッシュ大統領から強いドルを望んでいるという発言があった。これは、当面、先ほど御紹介したように、今輸出が非常に減速している中で、輸出の方に有利に働くということが期待されるわけでございます。
 そういう意味では、ここでそういうことで合意というか意見が一致を見たということは非常に重要なことであろうというふうには思いますけれども、要は、これからどういうふうに政策協調していくかということであろうかと思いますので、ぜひまたその点もよろしくお願い申し上げまして、時間になりましたので、終わらせていただきます。
藤井委員長 これにて上田君の質疑は終了いたしました。
 次に、江崎洋一郎君。
江崎委員 保守新党の江崎洋一郎でございます。
 総理、各国での首脳会談、大変お疲れさまでございました。
 さて、本日は、今まさしく国民の皆様が抱える幾つかの不安につきまして、払拭すべく、質問に立たせていただきました。何分、持ち時間が十分でございます。総理、竹中大臣、明快かつ簡潔な御答弁で、これらのいわゆる不安を払拭していただきたいと思っております。
 それでは最初に、SARSへの不安につきまして御質問申し上げます。
 SARSの感染は、今のところアジア地域の一部にとどまるものの、既に我が国の旅行業やあるいは航空業等に大きな影響を与えております。今後、国内感染に至らぬように、ぜひとも水際での予防措置の徹底をお願いしたい次第でございます。
 しかし、SARSの問題は、治療法の確立やワクチンの開発にはまだ時間を要するということで、長期化も懸念されておるわけでございます。この問題の長期化がある場合に、既に影響を受けた業界のみならず、我が国輸出入にも悪影響を与えて、景気に打撃を与えるということも考えられるわけでございます。国外での感染も懸念される中で、国内感染になれば被害甚大ということになります。政府として、経済への影響を配慮した迅速かつ的確な対応策が必要であると考えておりますが、総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
小泉内閣総理大臣 SARSの問題につきましては、これは単に医療のみならず、経済全般にも大きな影響を与えております。
 幸い、今、日本におきましては感染者は出ておりませんけれども、今後、起きないような防疫体制、水際で防止する体制、あるいは、万が一、仮に日本に感染者が発生した場合におきましては、全国四十七都道府県において適切な対応ができるような体制整備に努めておるところでございます。
 この問題につきましては、世界的にも、旅行等の面におきましては非常に打撃を受けておりますし、日本にとっては近隣諸国、最も交流の多い地域での発生でございます。そういう面についても、現在のところ発生していないといっても、可能性は十分あるわけでありますので、未然に防ぐような体制を今後とも怠りなくしていかなきゃならないと思っております。
江崎委員 ぜひ万難を排していただきたいと思います。
 二つ目の不安というのは、生保の予定利率の引き下げについてでございます。
 この件に関しましては、既に政府から法案も提出されてございます。破綻を予防するための措置ということでこの法案は提出されているわけでございますが、最近、いろいろ報道を見ますと、どうやら、何か一律に、すべて生保各社が予定利率を下げるというふうに誤解をした報道もあるやに思います。私の理解ではそのようには感じておりませんが、今法案、残念ながら、全面的には賛成しかねる部分もあるわけでございますが、契約者を守るという観点から考えますと、ぎりぎりやむを得ない措置なのかなとも感じております。
 総理から、今回の法案の重要性、また、予定利率が一律に引き下げられるわけではないということも含めた、国民の皆さんは非常に今不安に思っております、そういったメッセージをぜひ明確に打ち出していただきたいと思います。
竹中国務大臣 言うまでもございませんが、生命保険というのは、国民の生活の中に非常に深く根差したものでございます。その重要性は今さら申し上げるまでもないと思っております。しかし、いわゆる逆ざや問題という構造問題が存在している、その問題に対応するための方策を我々も一生懸命考えているところでございます。
 それに関しましては、やはりこれは、病気の予防と同じで、早目早目の対応というのが大変重要であるというふうに思います。そのために、予定利率の引き下げを可能にする。しかしそれは、あくまでも自主的な判断に基づいて、契約者の判断も、それを取り入れる形で行われるものである、まさに自治的、自主的な判断であるということ、さらには、下限を設ける等々、国民生活に大きな影響を与えないような配慮もして、法案の準備をしたつもりでございます。この趣旨を何とぞ御理解賜りたいと思います。
江崎委員 保険契約者保護の観点からこの法案は重要だと思いますが、しかしながら、保険会社そのもの、もとより考えますと、保険会社の健全性を確保することもあわせて重要だと思っております。
 保険会社につきましては、ソルベンシーマージン比率という客観的な基準を用いた早期是正制度が整備されているわけでございますが、こうした早期是正措置が発動される前段階からも、早目に経営対応を促していくことも必要ではないかと私は感じております。銀行については、そうした方策として早期警戒制度が導入されているわけでございますが、今後、保険会社についてはどのように運用されていくのか、竹中大臣にお伺いします。
竹中国務大臣 先ほども申し上げましたように、まさに早目早目に手を打っていくということが金融行政のやはり基本であると思っております。
 早期是正の視点として、銀行では自己資本比率の規制、それに対して、保険については、御指摘のように、ソルベンシーマージン比率によって是正を求めるという制度がございます。しかし、それに加えまして、さらにそれ以外の指標に基づきまして、我々、早期警戒というふうに呼んでいますけれども、アーリーウオーニングのシステムというのを現実に持っております。それに基づいて、さまざまなオフサイトのモニタリングを通して、いろいろな指標をチェックして、必要があれば報告徴求を行う、報告を求めます、その報告に基づいて業務改善の命令を出していく。そういう制度は我々としても整備しておりまして、それをぜひとも有効に活用して、まさしく、申し上げましたように、早い時点でその軌道を修正して、大きな問題が生じないように努力をしていきたいと思っております。
江崎委員 ぜひとも、生保予定利率引き下げに至らぬように、経営の監視の方、十分にお願いをしたい次第でございます。
 次に、りそな銀行への公的資本注入についてお話しさせていただきます。
 これも、これらの事象が金融危機につながるんではないかという懸念があるわけでございます。世間には、りそなは実質債務超過なのではないか、こういった疑いの記事も出てございます。そうでないことを確認するためにも、私は、金融庁が再度検査に入って、債務超過でないということを一日も早く精査すべきでないかと考えておる次第でございます。
 また、今回のりそなショックは、同行を監査した二つの監査法人の見解の相違に起因したものと言われておるわけでございます。私は、この問題について、監督官庁である金融庁は真相を究明し国民に説明する責任があると考えております。
 ある日突然に経営が不安定化して、そして数兆円にも上る公的資金を注入される、加えて、背後にこの問題の犠牲になった方もいらっしゃるというお話でございます。このような状況については明確にして、今回の問題が金融危機につながらないことを明示すべきであり、そして、二度とこのようなことが起こらぬような対策を講じることが必要だと思いますが、竹中大臣、今後の方針と責任について一言御発言いただきたいと思います。
竹中国務大臣 資産の内容をしっかりと見なさいということ、それと、繰り延べ税金資産を中心にしっかりと説明責任を果たしなさい。これに関しましては、我々としては、常駐の通年・専担の検査システムを持っておりまして、そうした検査も活用しながら、しっかりと、引き続き内容を見ていきたいと思っております。
 また、この説明については、先ほども申し上げましたように、まずは、やはり銀行の方でしっかりと説明をしていただくことが重要であろうかと思います。同時に、これは公認会計士、独立した判断をするという立場でございますので、そうした立場を尊重しながら、必要な説明を、これは行政当局としての説明もあろうかと思います、しっかりと行っていきたいというふうに思っております。
江崎委員 しっかりお願いいたしたいと思います。
 最後に、地方分権の推進について総理にお伺いいたします。
 今、地方経済は疲弊をきわめております。その中で、財源移譲を柱に据えた三位一体の改革を実現して、地方が元気が出るような地方分権を推進すべきと考えますが、総理、一言だけ、この件についてお願い申し上げます。
小泉内閣総理大臣 これは、補助金、交付税、そして税源移譲、これを一体で改革していくように今努力をしている最中でございます。
江崎委員 どうもありがとうございました。
藤井委員長 これにて江崎君の質疑は終了いたしました。
 次に、菅直人君。
菅(直)委員 小泉総理、地球を一周されて、またロシアあるいはエビアン・サミットでフランスに出かけられる、その合間のような時間のこの衆参の予算委員会であります。しかし、総理が外に出ておられる間も、残念ながら我が国では、経済危機あるいは地震など多くの課題が発生をいたしております。
 そういう中で、大変外遊が立て込んではおりますけれども、国内の課題についても、さらにはその外遊に関連した問題についても、きょうは、外交と経済について幾つかの点で質問をさせていただきたいと思います。
 まず第一に、先日の日米首脳会談であります。
 私は、一般的に言えば、日本の総理とアメリカの大統領が仲がいいというのは大変結構なことだ、このように思っております。しかし、もう一つ言えば、今、世界のほとんどの国が、すべての国がと言ってもいいでしょう、一国主義化したアメリカとの間でどのようなつき合い方をするのか、どのように向かい合うのかを大変苦慮している、そういう時代にあると思います。
 小泉総理は、イラクに関連して、大量破壊兵器が破棄されていないということを理由としてアメリカの武力行使を支持されました。具体的に何か手伝ったということは私が知る限り余りありませんが、まあ、支持をするということで、金魚のふんぐらいの役割は果たしたんではないか、このように思います。
 しかし、それでは、そういうアメリカの新しい外交方針に関して、日本外交、小泉外交がどういう筋道で対応しようとしているのか、ただただ引っ張っていかれるのか、それとも何らかの立場を持って臨んでいるのか、全く見えません。先日のテキサスにおける首脳会談を見ていても、テキサスの本物のカウボーイの後ろを日本製のカウボーイがついていっている、そんな姿にしか私には見えませんでした。
 そこで、きちっとした議論を少しさせてもらいたい。
 九月十一日のテロ以来、アフガニスタン、イラク戦争、確かにアメリカは戦争に勝ちました。しかし、テロを抑止する、あるいはテロの発生、テロの拡大を防ぐというそれらの地域の安定化については、例えばアフガニスタンにおいても、必ずしも安定化に成功していないわけであります。そういう中で、今のアメリカが進めようとしている、いわゆるネオコンと言われる人たちの考え方、一国主義的な考え方に対して、小泉総理自身、どういう考え方を持って臨まれようとしているのか、国民の皆さんにわかりやすく説明をしていただきたい。
小泉内閣総理大臣 まず、御指摘のように、日本が金魚のふんみたいにという自虐的な考えは、野党第一党の党首としてお持ちにならない方が私はいいと思っております。日本はしっかりとした独立国であり、アメリカとは違った役割を世界で持っております。そういう点から、日本は、アメリカとは違った役割を、安全保障の面においてもあるいは経済の面においても果たすことができる分野がたくさんあると思っております。
 アフガニスタンの問題におきましても、世界が協力してアフガンの問題に取り組み、今においては、まだアフガンにおきまして不安定な状況はありますが、テロの温床としてのアフガンではなくなったと思います。アルカイーダも存在しておりますけれども、かつてのように、今アフガンにはカルザイ政権が誕生している、世界が協力している。そういう点から考えて、私どもにおいては、アメリカとは違ったアフガンの国づくりに果たすことができる。
 さらに、イラクの問題につきましても、日本は戦闘行為には参加いたしませんが、今後、イラクの復興支援については、日本独自でできること、あるいは国際社会との協力の中でできること、いろいろあると思います。
 こういう点について、最も重要な日米同盟関係強化発展のために努力することによって、私は、アメリカとは違った日本の役割、そして日米が共同して世界の平和づくり、経済成長の発展に努力する分野はたくさんあると思いますので、今後、日米同盟関係というのは世界の中の日米同盟関係であるという視点でお互いの友好協力を増進していく必要があると思っております。
菅(直)委員 私の質問のポイントのところをまだお答えいただいていません。
 私が申し上げたのは、例えば一昨年の九月十一日のあのテロ以来、それに対する反撃として、アルカイーダが存在するアフガニスタンを攻撃し、そして、私も、かつてのカンボジアのように非常に不安定な状況の中では国内的にも国際的にもいろいろな問題が起きるので、かつてソ連軍が引き揚げた後の放置をしたこのアフガニスタンを安定した国に立て直していく、それには日本が役割を果たすことに賛成であります。しかし、先日も外務省から現状をお聞きしますと、残念ながら、カブール周辺だけは国際的な部隊が存在してある程度の治安が保たれているけれども、他の地域はそれぞれの軍閥が支配している、戦闘がそれほど激しく起きているわけではないけれども中央政府が機能していない。それではタリバン発生前のアフガニスタンに戻っただけではないか、一部にアルカイーダの残党がいるだけではなく新たなそうしたものもそこからはびこりかねない、そういう状況を見て物を言っているわけであります。
 ある意味では、テロを撲滅すると言いながら、テロの遺伝子をまき散らしているんではないか。このことが、今のいわゆるネオコンと言われる人たち、つまりは、先制攻撃によってそれを抑え込めるんだという人たちに対する最も大きな、ある意味ではその意見に対する対案といいましょうか疑問なんですね。
 ですから、私が総理に聞いているのは、そういうネオコンと一部に称されているような人たちの考え方、ブッシュ政権は相当部分それに引っ張られておりますけれども、その考え方に対してどういうふうに考えられるのか、これはアメリカとのこれからのつき合いの中で基本的に非常に重要な問題ですから国民の前でわかりやすくお答えをいただきたい、このことを質問したんです。はっきりお答えください。
小泉内閣総理大臣 それぞれの国にはそれぞれの考え方があります。日本におきましても一つの考え方ではございません。与党と野党、考え方も違います。いろいろな法案に対して賛否両論、与党内においても野党内においてもあります。アメリカにおいても私は同じだと思います。いろいろな考え方がある。
 しかし、ブッシュ大統領は、テロの撲滅に対して各国と協調して取り組んでいこうと。そして、アメリカにはネオコンと言われるような考え方もあると思いますが、そういう考えに対しても冷静に、慎重に対応している。決して引きずられているというものではないという点につきましては、民主主義の国でありますので、私は、その辺はよくブッシュ大統領も理解されていると思っております。
菅(直)委員 委員長も首をかしげられていましたが、果たして今のが答弁になったんでしょうか。
 いろいろな考え方がある、当たり前ですよ、いろいろな考え方があるのは。しかし、そのいろいろな考え方の中で、例えばですよ、きょうテレビを見ておりました、ラムズフェルド国防長官は、イラクの大量破壊兵器については、直前に破壊兵器そのものが壊されてどこかに放棄されたかもしれないから見つからないかもしれない、こういうことをちょうどニュースで言っておりました。つまり、いろいろな考え方があるということじゃ済まないんです。
 総理がこの場で国民に向かって、あるいはいろいろな場で国民に向かって、アメリカの武力攻撃を賛成だ、支持すると言われたのは、その大量破壊兵器が必ずしもなくなっていないという見通しの中で言われた。ネオコンの皆さんからすれば、極端に言えば、大量破壊兵器があろうがなかろうが、フセイン体制をつぶすためにやったというのが専らの見方であります。総理も「ブッシュの戦争」という本を読まれたかどうかは知りませんけれども、それを見ても、アフガンの戦争のころから、もう次はイラクだということにはっきりとねらいを定めていたわけです。
 いろいろな考え方があるというのは結構です。その考え方の中で今のブッシュ政権が多くを動いているとしたら、それに対してどうするか、金魚のふんでないんだったら、ちゃんとした意思を示してください。そういう議論を避けてというよりは、ごまかしている。私は総理と何度かここの場で議論いたしましたが、総理に一つの言葉を提供したいと思います。総理ははぐらかしの名人です。はぐらかし総理です。そうでないんだったら、今の質問にもう一回答えてください。
小泉内閣総理大臣 私は、はぐらかすことなく誠実に答えているつもりであります。
 日本とアメリカとは国情も違いますし、軍事的にも経済的にもそれぞれ違いがあります。しかし、協力していく分野がたくさんある。今回のイラクの問題につきましても、アメリカを支持しましたけれども、アメリカと一緒に行動しているわけではない。日本独自の行動をしているんです。
 日米関係は重要であります。菅さんみたいに、ブッシュ政権は危険だ、そういう考えを私は持っておりません。いずれ政権をとるであろうと意欲を燃やしている野党第一党の党首が、日米、最も重要な国の最高指導者を危険な政権だとはっきり申し上げて、どうやって今後日米関係を強化、協力していくのか、私は非常に危うさを感じております。
 こういう点から、今回のイラクの問題におきましても、アメリカは国際協調体制をつくるように懸命に努力して、今回、安保理決議も採択されました。私はそういう状況を見まして、日本はアメリカと協力する、国連と協力する、各国と協力していく、この方針を堅持してまいりたいと思います。
菅(直)委員 また出ましたね。はぐらかしの次は今度はすりかえですか。
 ブッシュ政権について、前もこの場で言われましたけれども、それは一つの政権の考え方について賛成な部分もあります。しかし、こういう考え方で大丈夫なのかなと。例えば、あの武力行使について私は反対をいたしました。まさにそれが一つ一つ、反対をしたら政権がとれないから賛成しなきゃいけないと、今の総理の言葉はまるっきりそうじゃないですか。ノーと言える日本じゃなくて、イエスとしか言えない総理じゃないですか。そういうすりかえ、はぐらかしの名人の総理だからまともに答えていないわけです。(発言する者あり)
藤井委員長 御静粛に。
菅(直)委員 少し具体的な形でお聞きをいたします。
 首脳会談で総理は、C130を派遣して、そして人道的な輸送に当たらせたいということを言われております。一体どんなものをどこからどこに運ぶことを想定されているんですか。C130というのは航続距離が短いんです。あのアフガンのときに、パキスタン製のテントを日本が輸入して、それを日本からC130に積んで、三回か五回か途中とまって、たしかパキスタンかどこかに送ったことがありましたね。そんなことを考えようとしているんですか。これは、総理が首脳会談で発言された中身ですから、総理から説明してください。
小泉内閣総理大臣 私は、イラク周辺国に対して自衛隊の輸送機が必要であればその派遣も検討している、イラク自身に対しての復興策については日本が主体的に考えるということを述べただけであります。
菅(直)委員 ですから聞いているんですよ。かつてヨルダンかどこかに物を送ったことがありますが、日本から送ることを考えているんですか、この足の短い輸送機で。それとも、ヨルダンと例えばイランとか、どこかあの周辺国で何かお互いが物を動かすのに日本が輸送業務に当たるという意味なんですか。まさに総理が言われたことですから、聞いているんです。周辺国で輸送業務に当たらせたい、自衛隊のC130を派遣したいと言われているじゃないですか、ブッシュ大統領の前で。どういうものを想定されているんですか。多くの国は、今たくさんあのあたりで輸送機が飛んでいますよ、普通の民間機も含めて。どういう意味なんですか。
小泉内閣総理大臣 必要なことがあれば自衛隊機を派遣してもいい、周辺国に対して。それは今後具体的に、どの国が何を必要としているかよく協議し、検討すればいいことであります。
菅(直)委員 結局のところは、思いつきにしかすぎないということですよね。何が必要性があるのかこれから考えると言いながら、C130という具体的な自衛隊が持っている輸送機の名前まで挙げておいて、いざとなったら、いやこれから必要があればと。それはそうでしょう。これから必要があればいろいろ考えるんでしょう。それにはもしかしたら、C130なんか持っていくよりは、それに等しいお金を持っていった方がいいかもしれない。しかし、とにかく自衛隊を持っていきたいということなのかどうなのかわかりませんが、説明がないんだからわからない。思いつき外交と言われたって仕方ないじゃないですか。
 次には、もう少し話を進めたいと思います。
 総理は、北朝鮮について、対話と圧力という言葉を使われてアメリカ大統領に話をされたと聞いております。一般的に言えば、対話と圧力といえば、話し合いと同時に何らかの圧力をかける。
 私は、平壌宣言以降、北朝鮮の行動を見ていれば、それ以前とは対応が変わるのは当然だと私自身は思っています。ですから、何らかの形で、先ほどの議論もありました、北朝鮮からの船に対して厳しいチェックをする、あるいは亡命者からの話をきっちり聞く、そういったいろいろなことをやるべきだと思っております。しかし、例えば川口外務大臣は、いや何にも方針は変わっていません。総理もどこかで、いや別に変わったことを言ったんじゃありませんなんということをたしか言われたんじゃないでしょうか。
 総理はこの席でかつて、金大中大統領や盧武鉉大統領の太陽政策を支持すると言われ、そして、みずから署名された平壌宣言に基づいて取り組むということを言われてきました。そのことと今回の対話と圧力ということ、私は変わったからいけないと言っているんじゃないですよ。あらかじめ、はぐらかされないように言っておきますけれども。変わるのは、私からすれば当然だと思いますが、変わったんですか変わらないんですか、国民の前ではっきりお答えください。
小泉内閣総理大臣 変わっておりません。日朝平壌宣言、これを誠実に履行させるために対話といろいろな働きかけ、圧力と言ってもいいでしょう。日本だけでできませんから、各国と協力してまいります。
菅(直)委員 さすがに与党席も静かですね。
 平壌宣言によれば、「双方は、朝鮮半島の核問題の包括的な解決のため、関連するすべての国際的合意を遵守することを確認した。」これから変わっていないんですね、今も。この宣言どおりに考えて取り組んでいくということですね。
小泉内閣総理大臣 この宣言を基本に、これを誠実に履行させるように取り組んでまいります。
菅(直)委員 全く矛盾したことを平気で言って、本来ならこんな答弁、成り立たないですよ。対話と圧力と一方で言いながら、だれがこれが遵守されていると思うんですか。遵守されていないということを日米間で話しているんじゃないんですか。核兵器の開発について、少なくともアメリカの情報機関では、あるいはブッシュ大統領も、何発か持っているかもしれない、持っていそうだと。北朝鮮自身が、プルトニウムの取り出しをやっている。実際にやっているかどうかはわかりません。まさに遵守していないということを当事者が言っているのにもかかわらず、遵守しているというこれに基づいてやるんですか、自民党、それでいいんですか。
 こんな考え方でいいんですか。全くインチキじゃないですか。言っていること、やっていること、ばらばらじゃないですか。思いつき以外でもし成り立つ説明があるんだったら、この対話と圧力ということと、この平壌宣言に基づいて対応するということの、今私の申し上げた矛盾を国民の皆さんにわかるように説明してください。
小泉内閣総理大臣 全然矛盾していないんですよ。日朝平壌宣言は、アメリカも支持しています、韓国も支持しています、中国も支持しています、ロシアも支持しています、EUも支持しております。これを誠実に実行させるようにこれから努力していく。アメリカは核開発プログラムを容認していません。韓国もそうです。
菅(直)委員 私は、平壌宣言をアメリカが九月十七日以降認めたという話は聞いたことがありませんね。だって、全く矛盾しているじゃないですか。アメリカは、北朝鮮が遵守していないと言っているじゃないですか。何をそんなインチキを言っているんですか。
 いつ言ったんですか、アメリカの大統領が。九月十七日以降ですよ。北朝鮮が遵守しているんですか。ここに書いてあるんですよ、あなたの署名したものに。答えてください。
小泉内閣総理大臣 日朝平壌宣言が誠実に履行された暁に日朝国交正常化がなされるんです。そのための働きかけを各国と協力してやっていこうというんです。全く変わりありません。
菅(直)委員 またはぐらかしていますね。ちょっと、これね、場合によったら、こんな議論をしていて、日本の外交の議論になるんですか、これで。
 私が読み上げたところは、私が言っているんじゃないんですよ、総理がサインされているんですよ。「双方は、朝鮮半島の核問題の包括的な解決のため、関連するすべての国際的合意を遵守することを確認した。」確認したけれども、それができていないじゃないですか。こんなことをアメリカが支持しているんですか。
 九月十七日の時点でこれができたことは、それはもしかしたら大いに結構だと言ったかもしれません。しかし、九月十七日以降に、先日の三カ国三者会談においても直接、正式の会議の席であったかどうかは別として、北朝鮮の担当者が、アメリカのケリーさんにですか、言ったじゃないですか、うちは持っていますよと。まだそんなことのあれですか……(発言する者あり)総理がこの考え方に沿ってやると言っているから聞いているんです。まだ変わっていないと言われるんでしたら、わかるように説明してください。全く、それこそ黒を白と言っているようなものであり、白を黒と言っているようなものじゃないですか。北朝鮮が核に関する国際的な合意を遵守していると書いてあって、それでいいんだと言うんですか。
小泉内閣総理大臣 だからこそ、この宣言は重要なんですよ。「双方は、安全保障にかかわる問題について協議を行っていくこととした。」アメリカも、現在も日朝平壌宣言を支持しております。韓国も支持しています。これを実行させることが大事なんです。これからなんです。何ら変わることないんです。
菅(直)委員 これは、国会の皆さんは少なくとも少しはおわかりだし、多分、一般にごらんになっている皆さんもわかると思うんですよ。九月十七日ですからね。九月十七日から後に、あの核査察も追い出し、NPTですか、あれの脱退も宣言をし、アメリカに対して核保有もみずから言ったんですからね。
 それを、これを守らせることが目標なんだ、これをわざわざ破ったという事実をまず認めないでおいて、何が守らせるですか。これが守られていることを前提としたのがこの平壌宣言じゃないですか。
 もう一度だけお聞きしますが、この平壌宣言は破られたんじゃないですか。
小泉内閣総理大臣 これは、大事な政治宣言文書です。これを誠実に履行させることが大事なんです。外交交渉なんです。それを理解して、これを破棄したから、これはもう破られたから御破算だと言ってどうなるんですか。この宣言を誠実に履行させるために粘り強い努力が、日本だけでなく各国と協力し合っていくことが大事なんです。
菅(直)委員 私は、ほかの場面でも申し上げたことがあるんですが、小泉総理の論理というのは、自分に都合の悪いことは一切聞こえない、一切見えない、そういう前提ですね。よく、ダチョウが、怖いものが来たら砂の中に頭を突っ込んで一切見えない、聞こえない。こうやってちゃんと文書にまでなっているものを、明らかにだれが見ても遵守されていないものを、遵守されなかったとは言いたくない、自分がサインしたんだから言いたくない。こんなことを前提にして外交交渉をやって、思いつきどころじゃないじゃないですか。無原則外交という、無原則小泉外交という、そういう名前をきょうは提供して、国内の問題に移らせていただこうと思います。
 そこで、総理、りそなの三月期決算において、自己資本比率が四%を割った。そこで、いろいろな金融危機対応会議を招集されて、そして二兆円余りの公的資金、公的資金というのは最終的には国民の負担になりかねない、多くの場合にはなってしまうその資金の投入をその会議で決めた。諮問をしたのも総理、そして、その会議の座長というか議長も総理であります。
 私はまず総理に、こういうふうに立ち至ったことについて、二兆円以上のお金を一つの銀行に投じる、国民の皆さんに、こうなったことはやはりこれまでの対応を含めて十分なところがなかった、ぜひ理解をしてほしい、これまでのことについてはおわびをする、その一言を言ってもらいたいと思いますが、言っていただけますか。
小泉内閣総理大臣 このような事態に至ったことは金融機関が健全でないという一つのあらわれでございますので、これは残念なことだと思います。しかし、放置しておいて預金者に不安を与えたり、あるいは取引先企業に混乱を与えたり、そういうことにしない対応も政府として必要であります。
 そういうことから公的資金投入を決断したわけでありまして、私は金融危機を起こさないという判断に基づいて決断した結果でございますので、私は今後、金融健全化に向けて一層努力していきたいと思っております。
菅(直)委員 残念だという言葉はありました。残念だというのは、これは謝罪になるんでしょうか。日本の総理大臣として、またその座長なり議長として、二兆円余りの国民の税金を投入しようとしていて、原因は銀行にある、残念だ、これで成り立つんですか。国民に対しては謝罪されないんですか。はっきりしてください。
小泉内閣総理大臣 謝罪とかそういう問題ではなくて、健全化して、この公的資金注入が将来返ってくるような健全化に努力させていきたい、自主的な努力を促していきたい、また、金融庁も監督していきたい、そういうことによって、金融健全化に向けて努力を傾けていくのが責任だと思っております。
菅(直)委員 結局は、謝罪しないということですね。
 ということは、総理、この問題に関して総理は責任はあるんですか、それとも責任はないんですか。私は責任があると思いますが、いかがですか。
小泉内閣総理大臣 すべての責任は私にあります。小泉内閣にあります。
菅(直)委員 一般論を言っているんじゃありません。小泉政権二年間の経済政策の失敗がこの誘因になっているという意味での責任があるんではないですかと言っているんです。
小泉内閣総理大臣 改革に向けての努力の過程の出来事であり、これは残念なことではありますけれども、今後将来の持続的成長に向けての努力の一環である、そう私は思っております。
菅(直)委員 重ねて聞きますが、残念だけれども責任はないと言われるんですね。
小泉内閣総理大臣 これは、すべての問題について小泉内閣は責任を負っております。
菅(直)委員 またはぐらかしているでしょう。当たり前じゃないですか。私は、このりそなの破綻に対して二兆円余りを投入しなきゃいけないことに対して、この二年間、例えば株価が二年前と同じ水準であれば、このような自己資本比率に低下は多分していなかったでしょう、そういうことを含めて総理に責任があるんではないかと申し上げているんですが、一般的にすべての問題に総理大臣として責任がある、しかし、この金融が失敗したのは改革の過程だ、これが総理のお答えでしたね、今。――うんとうなずかれました、言葉は出ませんでしたけれども。
 それでは、お尋ねをしましょう。
 森前総理が、私も出ていたある席で、ここにいる菅さんが私がやめたら株が上がると言ったけれども、上がらなかったじゃないか、もっと下がったじゃないかと言われました。私は、それは後を任せた人が間違っていたんじゃないですか、このように申し上げました。
 ここにこういう表があります。手元にあるでしょう。これは、東証、先日私も視察に行ってまいりましたが、東証がスタートしてから今日まで二十二人の総理大臣がおられます。吉田さんのころは、まだ東証がなかったそうであります。そして、上がった率、下がった率、騰落率と言うんだそうですけれども、ランキングをつけてみました。
 第一位は、バブルの発生でありますけれども、中曽根内閣のとき、二二一%。つまりは三倍ということになるんでしょうか、上がった率ですから。第二位が佐藤栄作さんのときであります。上からずっと言ってもいいですが、一番下はどなたでしょうかね、これ。最下位、小泉純一郎、マイナス四〇%。マイナス四〇%ということは、一〇〇の価格が六〇に下がった、半分近くに下がったということであります。これが二年間の結果です。
 その前の森総理、一九・八%。下がった下がったと私も言いました。しかし、森総理からいったら、自分のときに下がったよりももっと倍以上下がっているじゃないか。その前の小渕さんのときは相当上がっていますね。これは三五%上がっています。
 こういう数字を見ていて、マーケットはどう言っているか。先日、総理は、これも日米首脳会談で、今株価は底にある、専門家はみんなそう言っていると言いましたけれども、私が東証に行って、その後、若手のディーラーの皆さんと話をしたときに、皆さんが口をそろえて言われたのは、将来が見えなければ株は上がりません、小泉総理は、その人たちが言ったんですよ、ちょっと喜ぶことを言うかもしれませんが、その人たちが言ったんですが、多分自民党の中では総裁に再選されるでしょう、小泉政権が続くでしょう、小泉政権が続いている限り株価の低迷は同じように続くでしょうというのが、私が話した二、三十人の若手のディーラーの考えでありました。
 この株価を見ても、総理は一切、自分の経済的な政策が何も効果を上げなかった、失敗であったということを認めないんですか。
    〔委員長退席、杉浦委員長代理着席〕
小泉内閣総理大臣 私は、株価が上がる、下がる、これは、一国の経済事情にもよると思いますが、世界経済の影響も多分にあると思います。
 しかし、現在、こういう株価の下落というのは好ましいことではありませんし、株は下がるより上がる方がいいに決まっております。しかし、改革なくして成長なし路線を続けていかなきゃならないのも事実でございます。
 そういう面において、私は、今の株価水準というのは二十年前の水準にあると。確かに下落率は多いんですが、菅さんも自分が首相になれば二倍になるとかいった話でございますけれども、株価が先を見越した現在の価格であるということになりますと、上がっているときはずっと上がらなきゃならない、下がっているときはずっと下がらなきゃならない。
 株の見方はさまざまであります。当たらないんです。当たれば、みんな安心して買う。当たりにくいから、買う人、買わない人、損する人、得する人がある。でありますので、私は、全体の経済をよくすることによって株価も上がっていくことにつなげていきたい。専門家の話というのはいろいろあると思います。底だと言う人もいます。二十年前の水準だから、底だと言う人もいます。あるいは、まだ下がると言う人もおります。それはさまざまな見方があると思いますが、改革なくして成長なし路線に変わりはございません。
菅(直)委員 今の話を聞いていて、そうだと思った人は、多分、総理以外一人もおられないんじゃないでしょうか。総理の辞書には責任という言葉は多分入っていないんでしょうね。
 つまり、歴代内閣、いろいろな事情がありました。もちろん、バブルで上がり過ぎたのもあります。別に、上がったのがすべていいとは言いません。下がった方が調整段階でよかった場合もあるかもしれません。
 しかし、一万四千円という森内閣の末期の価格が、私も、森さんがやめたら少し上がるんじゃないかと思って、たしかそういう発言をしました、森さんがやめたとき。しかし、その後、小泉さんになってまた半分まで来るとは、さすがに私の予想をはるかに超えていました。
 その原因はどこにあるか。一言で言えば、今言われた構造改革なくして景気回復なしということの言葉を決して否定はいたしません。しかし、この間、何度も議論いたしましたが、需要拡大や雇用拡大というものを一方に置きながら、やらなければいけない構造改革をやらなきゃいけないのに、構造改革もできない、需要拡大もできない、どちらも将来が見えない、まさに将来が見えないから株価が低迷しているんです。
 この問題は時間があれば後ほどもう少し詰めていきたいと思いますが、もう一度、りそなの本体の問題に戻ります。
 りそなについて、総理は諮問をされましたね、金融危機対応会議ですか。諮問をされた時点で、これは総理の名前になっていますが、四%割れということを認識されて諮問されたようですが、債務超過でなかったかと他の議員からもありました。総理は、債務超過になっていないという説明を受けられたからそういう内容の諮問を出されたんですか。総理が出された諮問ですから、総理からお答えください。
小泉内閣総理大臣 私は、竹中大臣から、りそなの状況において、いろいろ報告を受けておりました。
 そういう中、りそな銀行の十五年三月期決算において、同行の自己資本比率が健全行の国内基準である四%を下回るという、そういう状況だという報告を受けました。このような事態を放置いたしますと、我が国あるいはりそな銀行が業務を行っている地域の信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずるおそれがある、こうしたことを未然に防ぐ必要があるため、同行に対して資本増強を行う必要があるという報告を竹中大臣から私は受けました。
 そういう質問を受けまして、金融対応会議を開催して資本増強の必要性の認定に関して諮問を行うこととしたものであり、それに沿って公的資金注入を決断したわけでございます。
菅(直)委員 いつの時点ですか。竹中さんから、つまり四%は割っている、二%は超えている、債務超過ではない。つまり、債務超過であればこういう諮問が出ないはずです。この諮問は、預金保険法百二条一号ということがもう既に書いてあります。いつの時点で聞かれたんですか。
小泉内閣総理大臣 たしか、沖縄の太平洋・島サミットに行っていた最中だと思います。正確な時点は、私より竹中大臣の方が御存じだと思います。
竹中国務大臣 経緯について御報告を申し上げます。
 十七日に金融危機対応会議を開催しておりますが、その日の十一時に開かれましたりそなの取締役会でその決算が出てきたわけでございます。これを受けて、我々としましては、四%を割り込んで二%台になるという結果がその十一時の取締役会で出てきたわけでございますけれども、我々としてはそれに基づいて、銀行監督の手続であります、まず銀行法二十四条に基づく報告徴求というのを十四時に行っております。
 その時点で先方からは、確かに二%台になると。二十四条というのは、正確に行わないと罰則つきの報告でありますから、これは向こうは当然のことながら正確に行ってくる。それによって、二%台である、つまりこれはゼロを割り込んでいないという意味で、当然、債務超過ではない。それに対してさらに、それを自力で回復するのは困難である、そういうような報告を受けまして、二時ごろであったと思いますが、沖縄におられます総理に、私の方からその状況を報告いたしまして、これは預保法百二条第一項第一号に基づく措置をとるのが適切であろうというふうに私の方から申し上げました。それを受けて、総理の方で御決断をいただいたということでございます。
菅(直)委員 それでは、竹中さんにお聞きをいたします。
 三月期決算、私も拝見をいたしました。私は公認会計士ではありませんし、それほどの専門家ではありませんから、いろいろな皆さんの専門的な知識もお聞きをいたしました。
 単体でいうと、繰り延べ税金資産が三千九百十六億計上されています。資本の部の合計が千百八十一億円計上されています。
 この計算のやり方が正しいかどうかは別として、単純にこれを引きますとマイナスの二千七百三十五億になるわけです。つまりは、繰り延べ税金資産を入れたからプラスになっているけれども、繰り延べ税金資産を入れなかったらマイナスになる。この、引く千百八十一億がいいのか、専門的で私も半分しかわかりませんが、ティア1と言われる数字がいいのかわかりませんが、いずれにしても、そういうものを、繰り延べ税金資産を外せばマイナスになるという数字に、私が見たところなっておりました。
 聞くところによれば、朝日監査法人はそういう状況を把握した段階で、繰り延べ税金資産を資本に繰り入れることはできない、公認会計士協会から出ている指針の解釈からしてできない。そうすると、これは二%ではありません、破綻です。
 そこで、結果的には、やめろと言われたのかやめると言ったのか知りませんが、朝日監査法人は監査からおりて、新日本だけが残ったわけであります。その新日本との中でも、りそな担当者と金融庁の担当課長との間で、こう言ったらああ言っている、こういうやりとりがあったというメモが出ております。
 そこで、竹中さんにお聞きします。
 いずれにしても、あなたの、まあ、あなたは法律的には何か金融庁の責任大臣じゃないんだそうですね。正確には、法律的に言えば、責任大臣は内閣府の大臣だそうでありまして、内閣府の大臣はだれかと聞いたら小泉総理大臣だそうでありますが、しかし、担当されている以上は、実質的なことはやっておられるんでしょう。
 竹中さんにお聞きしますが、あなたはどの数字を見て、どういう報告、つまりは企業から出てきた報告は報告として、金融庁の皆さんは朝日監査法人がおりる経緯、担当者が自殺する経緯といいましょうか、自殺したことも御存じだったはずですが、そういうことがありながら、本来なら、朝日監査法人からすれば債務超過と見ていたのにかかわらず、そうではないものをそのまま受け入れた。これは竹中さん、あなたがそれでいいと判断されたんですね。間違いないと判断されたんですね。そのことをお聞かせいただきたいと思います。
竹中国務大臣 菅委員から、三点御質問がございました。
 一つは、繰り延べ税金資産なかりせばという表現を使われましたが、その実態をどのように見るのかというのが第一点。それと、朝日監査法人の名前が出てまいりまして、それはどのような経緯、どのように位置づけているのかという点。第三点が、新日本監査法人と金融庁の間に何らかのやりとりがあったのか。重要な三点でございますので、少しきっちりとお話をさせていただくつもりでございます。
 まず、繰り延べ税金資産なかりせばマイナスではないかと。しかし、これはどう考えても、なかりせばという仮定はおかしいわけでございます。これは繰り延べ税金資産という資産勘定を、監査法人、公認会計士が監査上も認定している。言うまでもありませんけれども、これは一種の税金の前払い金でありまして、これは資産でございます。資産であることは間違いありませんが、それが将来、税金を払ったときに回収されますので、その回収可能性がどうかということで、これが監査法人の重要な判断にもなるわけでございます。
 しかし、いずれにしても、これは資産でありますし、その資産性がある、回収可能性があるというふうに、独立した監査法人が監査してそれが計上されているわけでございますから、これがなかりせばというのは、そういう議論そのものが余り意味をなさないのではないかというふうに思っております。
 二番目の問題でございますが、朝日監査法人の名前が出ましたが、この監査法人は、正式にりそな銀行と契約を結んだ監査法人ではないというふうに認識をしております。我々は、正式に契約を結んだ新日本監査法人が時間をかけてしっかりと監査をして、そしてどのような結果を出したかという点が極めて大事な点であるということになります。
 第三番目、新日本監査法人に対して、金融庁が何かどうこう言ったのか……(菅(直)委員「新日本じゃないですよ、りそなです」と呼ぶ)りそなに対して何か言ったのか。新日本とりそな、要するに申し上げたいことは、これは第一番目の繰り延べ税金資産等々をどのように評価するか、会計に対する我々の評価そのものでございますけれども、今のシステムというのは、まず企業がしっかりとした決算を行うこと、それに対して独立した監査法人が、客観的な、公正妥当と認められる監査基準に基づいてそれを監査すること、我々はそれを事後的にチェックするという立場になっております。
 この百二条の意義というのは、システミックリスクを未然に防ぐために、その時々で利用可能な最善の情報に基づいて、まさにクイックアクション、素早い決断をするというところに非常に重要なポイントがございます。しからば、そのときに、その重要なクイックアクションをとる場合に、利用可能な情報はどのぐらい信頼性が高いかということでございますけれども、我々は、そういった問題が常に決算に反映されますように、いろいろな仕組みをつくってまいりました。
 まずは、これは特別検査をしっかりと行う。特別検査は、再検査を行いましたので、二度続けて行っている。今回、金融再生プログラムに基づいて、いわゆるディスカウント・キャッシュフローと言われるような新しい手法も用いて検査を行ったということでございます。かつ、監査法人がそれを適正に検査している。常に、検査の体制としては通年・専担検査の体制をとっている。
 その意味では、今の検査の体制というのは非常にしっかりしたもので、その特別検査の結果が適切に今回の決算の結果にも反映されているというふうに考えるわけでございます。そうした観点から、我々としては、今回の決算、我々の判断に基づいた数値が極めて正確性の高いものであるというふうに思っております。
 なお、そうした監査法人の独立性に対して、我々は一切そういったものに、独立した監査法人に影響を与えてはいけないということを、金融庁の中では再三再四、私の方から指示を出しておりまして、そうした方向で金融庁はきっちりと対応したというふうに認識をしております。
    〔杉浦委員長代理退席、委員長着席〕
菅(直)委員 今、三つのことを分けてちゃんと答えると言われましたが、三つ目については最後の一言があっただけです。しかし、そのことをもう一度お聞きします。
 竹中大臣が金融庁に、監査法人に対して圧力をかけるな、接触を余りするんじゃない、こういうふうに言われたという話は聞いております。しかし実際には、その竹中大臣の、これは命令になるのか、あなたの立場がはっきりしませんが、担当ですから、総理だったら命令ですが、その竹中大臣の指示が守られたのかどうかということを聞いているんです。自分が言ったからで済むんだったら、行政の責任者の責任をとったことになりません。私も厚生大臣をやりましたが、厚生省がまともに情報を上げてきたことはほとんどありませんから。
 名前も出ています。あえてここでは申しませんが、りそなの担当常務と金融庁の担当課長との間でいろいろなやりとりがあったということが報道で出ています。確かめられたんですか、本人に。そんなことはまさかやっていないだろうなと周辺に確かめたんですか。相手の常務に確かめたんですか。それで、そういうことはなかったと竹中さんの責任のもとで言えるんですか。その責任のもとで言えるのなら、はっきり言ってください。そのかわり、後に間違っていたときはきちっとした責任をとってください。
 私は、竹中さんが決してやれと言ったとは思っていません。しかし、総理大臣が何にも言わないで、担当大臣が言ったぐらいで金融庁のお役人が果たして言うことを聞いたのか、私の経験からいえば大変疑問なので、きっちり確かめさせてください。
竹中国務大臣 連休明けにこういうりそなと監査法人との間で幾つかのやりとりがあるようだというのが私のところに上がってきました段階で、今菅委員が御指摘くださいましたように、私の方としては、これは独立した監査法人にきっちりと監査してもらうというのが今の制度の趣旨であるから、それには間違っても介入してはならないし、またそれだけではなくて、誤解を与えるような行動を断じてとってはならないということを伝達いたしました。それから一週間の間に、数回私は同じような伝達をいたしました。それに関して担当部局に確認をいたしまして、そういうことは一切ない、きちっとやっているというような報告を私は受けております。非常に緊張感の高い一週間の仕事の中で、金融庁の皆さんはそれぞれの責務を非常に緊張感を持って果たしてくれたというふうに思っております。
 なお、雑誌等々でそういう報道があるということは承知をしておりますが、これに関しましては、金融庁の広報室の方からその雑誌社に対しましては弁護士を通じて正式に、根拠のない報道であるということに対して抗議の文を発出したところでございます。
菅(直)委員 ちょっとはっきり答えてくださいよ。私はあえてここでは固有名詞を言いませんでしたが、おわかりでしょう、固有名詞は。私も、薬害エイズのときに全部の固有名詞の中で調査をさせました。報道があってから、大臣自身がその固有名詞に該当する人、一つは金融庁の担当です、一つはりそなの常務です、ちゃんと直接話を聞かれた上で、そんなことは一切ない、また、竹中大臣の心証も含めてその証言なり発言は信用できる、そういう判断をされたんですか。それとも、一般的にそんなことはないと。十数年間、薬害エイズの資料は、歴代厚生大臣がないかないかと聞いても、見つからない見つからないで過ごされたわけでありまして、小泉総理が厚生大臣の時代も多分そうだったでしょう。ちゃんと固有名詞で聞いたのかどうか、はっきりお答えください。
竹中国務大臣 報道等々で名前が出ております直接の担当者に対しましても、またそれを監督する立場の上司に対しましても、直接確認をしております。
菅(直)委員 もう一回、確認をした上でそういうことはないということだったんですね。確認した上で、あなたが直接会った上で本人から、そういうことはありませんでした、相手のりそなの常務からもそういう話を聞かれたということですね、あなた本人が。自分で言われたんですか、本当に。
竹中国務大臣 金融庁の担当者には何度も直接会って確認をしております。
 それと、先方の話でありますけれども、これは、何らか非常に確証の高い疑惑とかそういうものが別にあるわけではございませんですから、私としては、金融庁の担当者に確認をして、厳密に職務を遂行したものというふうに認識をしております。
菅(直)委員 余り固有名詞を言うつもりはありませんでしたが、担当、担当と言われても担当者はたくさんおりますから。
 報道によれば、金融庁の銀行第一課長の鈴木と言われる方だそうでありますが、りそなの常務の大谷という方ですが、その二人に直接ただされて、そういう返事を聞かれて、そういう心証を持たれたんですね。抽象的なお答えでは、後でお互いに言った、言わないということになりますから。
竹中国務大臣 御指摘の課長には直接確認をしております。
 なお、先方の銀行に対して私から特に接触をする立場にはないというふうに思っております。
菅(直)委員 なぜですか。なぜそんなことを言えるんですか。なぜですか。金融庁は監督責任があるんじゃないですか。
 ということは、片方しか聞いていないということですね。相手の話は聞いていないということですね。
竹中国務大臣 繰り返し申し上げますけれども、私は、金融庁の職員を監督する立場にあります、その中でその担当の者には確認をしております。
 しかし、外部の人に対する確認というのは、これは、それを行うに足るよほどの客観的な証左、証拠がある場合にはそういうことをするということも考えられましょうが、これは、いわば出どころのわからないワープロ打ちの紙が出たからといって、それに基づいて一々外部に対して確認する、そういう性格のものではないと思っております。(発言する者あり)
菅(直)委員 ワープロ打ちであるかないかのことが重要なんじゃないんです、今も同僚が言っておりますが。二兆円を超える公的資金を導入するかどうかの判断が問題なんです。ワープロ紙が問題じゃないんです。印鑑が百個ついてあろうがなかろうが、二兆円のお金があなたのポケットマネーから出るわけでも、総理のポケットマネーから出るわけでもないんですから。しかも、それが破綻処理なのか資本注入なのかを判断する最も重要な判断のところで行われたということが言われているんです。
 担当者に聞いてまともに答えることは、私が知る限り、簡単じゃありません。大臣なんてそのうち、二、三年したらかわるんだと思っていますからね、みんな。片方でちゃんと相手側にも聞くのは当然じゃないですか。私は、この問題はこれから予算委員会でしっかりと、両方の担当者、りそなの人も参考人なり、場合によったら証人によって聞いてはっきりしなければ、二兆円ものお金をつぎ込むかどうかという重大な問題ですよ。
 先ほど与党の議員からもありました、もう一回きちんと検査したらいいんじゃないですか。もう一回きちんと、先ほど来一、二、三と言われましたけれども、一番目の問題もそうです。なかりせばなんということを考えることはできないなんて言われましたが、私が公認会計士協会からお聞かせいただいた公認会計士のいわゆる五項の基準の読み方によっては、債務超過の場合には繰り延べ税金資産は回収可能とはみなされないというふうにもちゃんと読めるわけでありまして、ぎりぎりのところ、それは監査法人の判断が入ったのかもしれません。いろいろあるんだそうですね、キャッシュフローがどうとか、タックスプランニングがどうとか、いろいろ難しい言葉を私も聞きました。
 少なくともそういう微妙な問題がある中で、専門家集団の金融庁が、なぜ監査法人がやったことが正しかったのかどうかを再チェックできないんですか。なぜそれが適切であったかどうかを再チェックできないんですか。朝日監査法人が法律的に契約していたかどうかは別として、少なくとも、どちらでしたか、あさひ銀行か大和銀行のもともと監査法人としてやっていたわけですから。別に評論家的に朝日監査法人がかかわっていたわけじゃないんですから。
 私は総理に、私の時間は終わりますので、最後に申し上げておきます。
 あなたは法律的には内閣府の大臣なんです。金融庁は内閣府の外局です。外局の長官は官僚です。つまりは、あなたは金融庁の責任大臣なんですから、もう一度きちんと再調査、再検査をされて、それを明らかにした上でなければ二兆円の公費投入はできない、このことを国民の前ではっきり約束していただきたいと思いますが、いかがですか。
竹中国務大臣 先ほども申し上げましたように、我々は、整備された検査のシステムを持っております。通年・専担検査、これは当然のことながらやっていきます。さらには、これは昨年の十月の金融再生プログラムの中に、新たに繰り延べ税金資産については、繰り延べ税金資産検査も行うということを決めております。その決められたシステムの中で、しっかりと引き続き検査を続けていきたいというふうに思っております。
菅(直)委員 総理にもう一度聞きます。
 いいですか。技術的なことを聞いているんじゃないですよ、今。それは、結果として同じだったら同じだったでいいんですよ。結果として同じだったら同じだったでいいんですよ。少なくとも、監査法人によって認識が違っていたということは事実なんですから。
 そういうことを踏まえて、果たして、そうした扱い方が、公認会計士協会から出している指針や、あるいは今の社会情勢、経済情勢から見て適切であるかどうかをもう一度、金融庁の責任で検査し直したらどうですか。企業と監査法人任せで、その結果で我が国の大事な税金二兆円を自動的に出すなんということは、私は国会が認めるわけにはいかないと思いますが、総理、いかがですか。
小泉内閣総理大臣 金融健全化に向かってしっかりした対応をしていきたいと思います。
菅(直)委員 終わります。
藤井委員長 この際、海江田万里君から関連質疑の申し出があります。菅君の持ち時間の範囲内でこれを許します。海江田万里君。
海江田委員 民主党の海江田です。
 私の時間も限られておりますので、なるべく質問に正確にお答えをいただきたいと思いますが、まず、総理にお尋ねをします。
 りそなの問題ですが、今し方の菅委員の質問に対しまして、竹中金融大臣は、りそなの問題を総理に報告したのは十六日土曜日、総理が沖縄に行っておられて、午前十一時にりそなが取締役会をやって、公的資金注入を政府に申請するということを決めたので、それを受けて、二時ごろ沖縄の総理に報告をしたということでございますが、これはそのとおりですね。その前にこの問題で竹中大臣から報告を受けたことはありませんね。
小泉内閣総理大臣 金融情勢については随時大臣から報告を受けておりますので、具体的な、りそなという問題も含めまして、大手銀行の状況については報告を受けております。
海江田委員 ちょっと待ってください。今のちょっと違いますよ。先ほど竹中大臣は、菅委員が総理に聞いたら、それは竹中さんに聞いてくれということを言って、竹中さんは、今まさに私が言ったとおり、十六日土曜日の十一時からりそなの取締役会があって、そこでりそなが公的資金注入を政府に申請するということを決めたので、それを受けて、金融庁は銀行法二十四条で報告徴求をして、同時に、午後二時に沖縄の総理に報告をした、こういうことを言ったわけですよ。それは違うんですか、総理は。
小泉内閣総理大臣 竹中大臣の言うとおりでありまして、私が言っているのは金融情勢です。
海江田委員 私が聞いておりますのは、りそなのこの問題。資本が四%、自己資本が四%を割り込む可能性がありますよという話はいつ聞いたんですか。
小泉内閣総理大臣 この点については、先ほどもお答えしましたように、沖縄で行われております、太平洋・島サミットが沖縄で行われていましたので、電話で竹中大臣から報告を受けました。時間というのは、私は今正確に覚えていませんが、竹中大臣の方が詳しいと思います。
海江田委員 午後二時ごろだという、午後二時というお話でございましたけれども、あのときはいろいろな日程が立て込んでおりますけれども、どういう状況でお尋ねになったんですか。だれかと会っているときに電話がかかってきたんですか。どうなんですか。
 それから、あともう一つ確認をしておくのは、いいですか、もう一回聞きますけれども、りそなが、決算を控えて、決算をやっておる最中で、自己資本がどうも足りなそうだよというお話を聞いたのは、後にも先にも、この報告を受けたのは十六日ですね、これはもう一回念を押しますが。それと二つ。どういう状況でその報告を聞いたか。これは総理に聞いているんですよ。かけたんじゃなくて、総理の方ですから。
藤井委員長 まずもって、竹中金融・経済財政担当大臣から答弁を願います。
竹中国務大臣 ちょっと済みません、私、先ほど正確に、りそなの取締役会は十七日の十一時だと申し上げたつもりで、今、海江田委員、十六日とおっしゃいましたが、十七日でございます。
 これまでの経緯を正確にぜひ御報告させていただきたいですが、まず、りそなと監査法人の間でいろいろな意見のやりとりがあるということを私が初めて聞いたのは五月の七日で、私が聞いたのは五月の七日でございます。その前の日の、五月の六日の日に、りそなの方から金融庁の担当に対してそのような報告があった。そこで、私の方は、これはいろいろな議論があるんだから、当事者同士でありますから、これは議論をしっかり続けてもらえ、しかし、金融庁は一切今は介入するなということを言ったわけであります。
 その後、約一週間を経まして、五月の十四日の日に、これは、その一週間のやりとり等この問題、論点の整理というのをまとめて事務方から私報告を受けております。その段階で、私自身は、これはまだ議論が続くからわからないけれども、五〇%という言い方が正確かどうかはともかくとして、百二条というようなことも視野に入れなきゃいけないのではないだろうかというふうに判断をしまして、すぐ、十四日に総理に御報告をいたしました。その時点で、総理からは、とにかくさまざまな可能性を視野に入れて万全の対応をとるようにという強い指示を十四日の時点でいただいたということであります。
 それで、十七日の前日、深夜に、どうも、これは二%台になる確率が高いという連絡を私自身は受けた。その時点で、さらに沖縄の、十六日の深夜でございますけれども、随時総理に御連絡を入れたというところでございます。
海江田委員 言うことがころころ変わるじゃないですか。
 さっきは十六日だと言ったんですよ、はっきり。午後二時だと言ったんですよ、沖縄の総理に。言ったでしょう、それは。いや、十六日二時とは言っているよ。言っていますよ、それは。(発言する者あり)
藤井委員長 もう一回立たせますか。
海江田委員 では、もう一回、最初に言ったことをちょっと言ってよ。もしあれだったら速記を見て、これは。十四日だなんて少なくとも言っていないんですからね、最初のところでは。全然言っていないじゃないの。
竹中国務大臣 七日に報告を受けた、十四日に私が再度報告を受けて、総理に上げた。これは実は財務金融委員会等々で正確に御報告をしております。
 先ほどの御質問は、最終的にそれを決めたのはいつだったか、それは十七日でございますと。十七日に決算が確定、向こうから来るわけでありますが、それを受けて、今度は、しかし、最終確定ということになりますと、決算が二%になる。しかし、これは仮にですよ、仮に二%をすぐに復元できるのであるならば公的資金の注入は必要ないわけで、したがって、報告徴求等々の正式の手続を踏んで決断に至った。
 その意味では、時点は、御説明が相前後いたしましたが、まさに今申し上げたとおりでございます。
海江田委員 十四日ということは今初めてこの委員会では言いましたけれども、やはり最初に聞いたとき、菅委員が聞いたときは、最初、総理に聞いたら総理はお答えにならなかったわけでしょう、これは。そして、竹中大臣に振って、竹中大臣が十六日だということを、話をして。だけれども、どう考えたって日程的に言うとおかしいんですよ。
 もうこれは、総理は動向が全部わかっていて、十四日の十時二十一分から中国の武大偉大使が最初に入って、これは短い話で、それで、続いて竹中財務金融大臣、伊藤内閣府副大臣、高木金融庁長官が入って、もちろん、その問題だけじゃないけれども、例えばさっき話に出た生保の予定利率の引き下げなんかもあったけれども、やはりりそなの問題で、りそながそういう意味では過少資本の問題がありますよということは、この十四日のところで聞いたわけですね、総理。
小泉内閣総理大臣 りそなだけじゃありませんが、りそなの問題についてもこういう状況があるという報告は受けております。
海江田委員 総理、私も、だから、りそなの問題だけじゃないということを言っているわけですから、そういう余計なことを言わずに、聞いていることをぜひ答えてくださいね。
 りそなの問題がここであったということは確かで、では、そのとき総理はどういうふうにお答えになったんですか。どういう指示を出されたんですか。
小泉内閣総理大臣 いかなる事態に陥ろうとも適切な対処をするように指示しました。
海江田委員 では、そこで想定をしたいかなる事態というのはどういう事態なんですか。
小泉内閣総理大臣 金融危機を起こさせない対応であります。
海江田委員 金融危機を起こさせない対応ですね。では、その時点では金融危機じゃないというような認識だったわけですね、総理は。
小泉内閣総理大臣 金融危機対応会議を開く状況にはないと。
海江田委員 金融危機対応会議を開く状況にないということは、それでは、十四日の十時の段階でそういうお考えだったわけですね。十七日には金融危機対応会議を夕方開いていますね、これは。
 では、その間、どういう報告を受けて、あるいはどういう情勢の変化があって金融危機対応会議を開かなければいけないというふうに思ったんですか。
小泉内閣総理大臣 竹中担当大臣に、適切に対処するように指示いたしました。
海江田委員 では、竹中担当大臣からどういう報告があって、それで総理が、判断するのは総理ですから、総理が金融危機対応会議を招集しようというふうにお思いになったんですか。
小泉内閣総理大臣 沖縄におりましたので、私が東京に帰国する時間、それを見計らって、適切な対応ができるように対処しなさいと指示を出しました。
海江田委員 金融危機対応会議を招集しようということは、では、総理がお決めになったんじゃなくて、これは、竹中さんが金融危機対応会議が必要ですよと言われたから、ではそのとおりにしようと、沖縄だったし、いろいろな人と会わなきゃいけないしということで、言うことをそのまま、では、よし、わかった、そうしようというふうに言ったわけですね。
小泉内閣総理大臣 竹中大臣の判断に基づいて、私は会議を招集しようと指示いたしました。
海江田委員 その時点では、本当はこれは、招集するのはまさに総理大臣なわけですから、総理がそういう判断をしなければいけないんです。だけれども、それはいつもの習い、習性ですから、これを丸投げというわけですけれども、そういうことが恐らくあったんだろうと思いますが、やはりそれは、総理としてこの金融危機対応会議を開くということは、これはやはり金融危機なんですよ、幾ら危機じゃない危機じゃないと言っても。
 少なくとも十四日の段階では、まだその対応会議を開く段階ではないということだから、その意味では、この段階ではまだ危機じゃないと思っていたのかもしれないけれども、この金融危機対応会議を開くという、とりわけ総理にとっては、最初は開かないでいいと思っていたけれども、竹中さんに任せたら、竹中さんが開くと言ったからそれを受け入れたということであれば、やはりその時点で危機なんですよ、これは。
 どうして危機ということをお認めにならないんですか。危機でもないのにこの金融危機対応会議を開いたら、これはとんでもないことになるんですよ、むしろ。
小泉内閣総理大臣 危機を回避するための危機対応会議なんです。
海江田委員 総理、これは預金保険法の第百二条で、私も当時、当時は大蔵委員会でしたけれども、大蔵委員会の委員としてずっとこの百二条の問題には議論に参加をしてきたわけですけれども、そんな危機を起こさないための、それからよく総理が言うのは、再生のためのこれは措置だと。それも考えているんでしょう、再生のための措置だと。ちょっと言ってください、再生のためだと、何かメモがあるんだろうから。
小泉内閣総理大臣 再生のための措置です。
海江田委員 申しわけないけれども、預金保険法の百二条とかあるいは預金保険法に、再生のための、例外的措置というんですけれども、普通はペイオフの範囲内でもって資金援助をするというコスト最小の原則というのがありますから、だけれども、例外として、幾つかのケースについては、それを上回った資金を注入しなければいけないという例外規定なんですけれども、その規定の中には、やはり危機じゃなければ、会議を招集して、そして第一項でもって、資本注入なんかをしてはいけないということがはっきりうたっているんですよ。それをずっと議論してきた経緯なんですよ、これは。
 だから、そこのところを全く無視して、あるいは再生のためって、私も、どこかこの預金保険法に再生なんという言葉があっちゃいけないと思って、私は全部見てみましたよ、読んでみましたよ。再生なんて言葉は法律に一言もないんですよ、書いていないんですよ、これは。だから、超法規的な行為じゃないですか。
 いいですか、やはりここは、本当に危機なんだ、だけれども、その危機をさらに深化させないためにやはりこういう会議を開かなければいけない、これなら理屈が通じるんですよ。そうじゃないですか、これは、総理。
小泉内閣総理大臣 これは預金保険法百二条における措置の概要ということがありまして、要件に、次の措置が講ぜられなければ、我が国または当該金融機関が業務を行っている地域の信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずるおそれがあると認められることとなっているんですよ。
海江田委員 そうですよ。それはまさに危機なんですよ。総理、だから、具体的に、では、例えば金融危機対応会議の中で、このりそなをつぶすと、日本の国全体に対して、金融の問題、金融のシステミックリスクというわけですけれども、金融が大変になるよと、あるいは、ある地域だから、例えば、りそなというのは大和とあさひが一緒になったんだから、大阪が大変になるよとか、そういう話はあったんですか、これは。そういう認識の上でこの判断をやったんですか。これは総理に聞いているんですよ。
小泉内閣総理大臣 専門的なことは担当大臣に任せますが、要するに、危機を未然に防ぐための措置が必要だと私は判断したわけであります。
海江田委員 いや、だから、それを言えば、もう既に危機なんですよ、それは。そこのところで、さっきの景気の話もそうですけれども、楽観的だ楽観的だとかいって、やはり目の前に起こっていることをしっかりと危機と認めて、だけれども、その危機をさらに広げちゃいけないとか、さらに深化させちゃいけないから、急遽こういう会議を、まさに名前どおり金融危機対応会議ですから、それを開いたという、やはりそういう認識があってこそ初めて、やはり法律にのっとって、一〇二条にのっとって、そして措置ができるんですよ。そうじゃなきゃやれないですよ、一〇二条適用できないですよ、これは。そうじゃないんですか、それは。
小泉内閣総理大臣 法律にのっとってやったんですよ。危機を未然に防ぐためにやったんですよ。
海江田委員 だから、危機を認めなければ、申しわけありませんけれども、法律、預金保険法の百二条というのは適用できないんですよ、これは。もし危機じゃないんなら、いや、総理、総理は御存じないから、では、一度でも預金保険法の百二条だけじゃなくて、預金保険法の法律読みましたか、これをずっと、昭和四十六年からずっと来て、どういう流れになっているのか。
 いいですか、最初のときは、ちょっと聞いていてくださいよ。最初のときは、このときは宮澤大蔵大臣だったんだけれども、宮澤大蔵大臣はどういうふうに言っているかというと、この百二条の例外的措置なんですよ、いいですか、よく聞いていてください。例外的措置というのは七十年か八十年に一度あるかないかの話なんですよと参議院で言っている。例えて言えば、戦前でいえば、戦前の金融危機のときは緊急勅令が出たような状況なんだと。だけれども、今は、それは緊急勅令というものを出すわけにはいかないから、これは総理がわざわざ金融危機対応会議というものを招集して、そしてそこには、大蔵大臣でありますとか日銀総裁だとか、そういう方にお出ましを願って、そこでやるんですよと。まさに危機があるから、そしてその危機をそれ以上深化させちゃいけないから、総理がみずから出ていって対応するという話なんですよ、これは。
 それから、柳澤さんだって言っているんですよ、これは。個別の金融機関を救うためのものではないですよと。そして、これは金融システムの危機に結びつくかどうかが重要なポイントで、まさにシステムですから、ここが倒れるとその次にこの銀行が倒れて預金の払い戻しが起きてとか、そういうことがあるから、大変ですから、まさに総理が、その名前のとおり金融危機対応会議を招集してそしてやらなきゃいけないという、そこの一番の立法の趣旨をわかっていなくて、それでどうして百二条ですなんということが最初から言えるんですか。わかっているんですか、そこのところは。
竹中国務大臣 これはもう海江田委員、今何度もおっしゃいましたけれども、総理も、御答弁にもありましたように、信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずるおそれがあると内閣総理大臣が認めるときにそれをやったわけですよ。(海江田委員「認めていないじゃないの」と呼ぶ)いやいや、これを生じるおそれがある。そのりそなという銀行は、総資産規模が四十兆円を超える、メガバンクに続く規模の銀行でございます。大阪の中では、融資比率の中では二〇%を占める非常に大きな存在感を持っているところでございます。その四十兆を超える金融機関が自己資本比率二%のままでマーケットの中でそのままさらされるというのは、これはまさに信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずるおそれがあるというふうに認められるのだと思っております。
 まさしくこの預金保険法の趣旨にのっとって内閣総理大臣がそのような認定を行って金融危機対応会議を招集したということでございます。
海江田委員 では、竹中さんに聞きますが、そういう状態も含めて、今言ったような、りそな銀行が占めている、地方にある、地方における重要性だとか考えて危機だと思うんでしょう、少なくとも危機だと思うんでしょう。思わないんですか、まだこれでも。
竹中国務大臣 私は、金融担当大臣の兼務を命ぜられたときから、最初の記者会見から、日本の金融機関は、例えば資金調達が、流動性の確保が今すぐ困難になる、預金の払い戻しが困難になる、そういうような意味での危機ではないというふうに申し上げてまいりました。しかし、決して健康体ではないということは十分に認識をしている。その意味では、危機ではないけれども健康体ではない。そうした意味で、やはりこれを改善していくのが金融再生プログラムの役割であるというふうに考えたわけでございます。
 したがって、まさにこれは破綻ではないわけでありますけれども、金融再生プログラムにあるような再生のプロセスに乗せていくことが、まさに政策金融当局としての重要な仕事であるというふうに判断をしたわけでございます。
海江田委員 何でそんなに危機だということを認めちゃいけないんですか、これは。いいじゃないですか。だけれども、この危機を深化させないためにこういう手だてを打ったんだでいいじゃないですか、それは。そう思わないですか。
 何かあるんですか。危機じゃないと言えば、何かそれでいいことがあるんですか、はっきり言って。教えてくださいよ。
 再生だ再生だ、法律百二条、預金保険法にのっとりながらと言って、預金保険法にないワードの、言葉の、再生だとかなんだとかという言葉を使って、何で言えないんですか。ただ、危機だけれども、これを本当にこれ以上広げないためにこういう手を打ったでいいじゃないですか。
竹中国務大臣 例えば本当に大きな金融機関が、かつて一九九七年の十一月ごろにそうしたことがあったように、インターバンクの市場でファンドレイズができないとか、預金者が窓口に列をなすとか、これはまさにその危機、カオスの、危機の状況だと思います。
 しかし、これは今りそなにおいても、大阪を中心に、皆さん方は非常に冷静に対応されて、そういうことは全く生じなかったわけであります。
 その意味で、私は、危機というのは、人間の体でいえば危篤の状況でありますから、そういう状況ではない、しかし同時に、これは健康体でないということは私たちは強く認識しておりますので、これを健康体に戻したいというふうに思っているわけであります。
 その意味では、私は、先ほど申し上げたような意味で危機とは認識しておりませんし、健康体に戻すように、今の病んだ部分、改めなければいけない部分はしっかりと改めていきたいと思っております。
海江田委員 総理、今のあの調子で竹中さんが本当にぺらぺらぺらぺら、本当に曲学阿世の徒といいますか、お話ししましたけれども、三十分間のこの金融危機対応会議で、何か総理が御自分のリーダーシップで、御自分の判断でもって、ここはこうしようとおっしゃったことはあるんですか。それとも、竹中さんが今みたいにずっと話をするのを、ああそうかそうかと黙って聞いていて、じゃそれなら百二条の第一項でいこう、こういう話だったんですか。どうなんですか。
小泉内閣総理大臣 危機を未然に防止することが大事だ、適切な対処をしなければいけない、これがやはり総理大臣として大事な責任だと思っております。
海江田委員 私は、この百二条の第一項というのは、これは少なくとも、さっきも菅委員から指摘がありましたけれども、これは実は、債務超過になっている銀行には、この第一項を利用した資本注入というのはできないんですね。その債務超過の心配はないんだなというようなことぐらいは、総理から竹中大臣にお尋ねをしましたか。どうですか。
小泉内閣総理大臣 危機を未然に防ぐように、適切な対処をするようにという指示をいたしました。
海江田委員 では、確認していなかったんですね、そういうことは一切。そうですね。この第一項というのはどういう項目なんだ、第二項はどういう項目なんだ、第三項目はどういうものなんだ、百二条というのはどういうものなんだと。
 そうしたら、それについて、第一項は、じゃ、これはいわゆる債務超過の銀行には当てはまらない、債務超過の場合は二項か三になるわけですから、じゃ一でもって債務超過でないんだなということはお尋ねにならなかったんですね。
小泉内閣総理大臣 金融問題については、私は浅学非才でありますので、そういう具体的な専門的なことについては竹中大臣を信用しておりますので、危機を起こさないように適切な対処をとるようにということを言ったわけでありまして、そういう具体的な一々個別の問題については、総理大臣として発言は差し控えました。
海江田委員 いやいや、驚きましたね、これは。やはり国民は不幸ですよ、本当のことを言って。
 今、金額は、まだ二兆何千億という、これは新聞で躍っているんですけれども、一〇%からの自己資本の比率ということになれば、やはり二兆何千億という話ですよ。
 二兆というお金は、塩川財務大臣もよくおわかりでしょうけれども、今本当に税収が少なくなっていて、そして、日本全国から入ってくる消費税の大体一%ぐらいに相当する額なんですよ。
 しかも、これは、じゃ総理、その二兆三千億、まだ数字は確定していませんが、これまでの資本注入と違って、これまでの資本注入は建前が健全ですから、実際には健全じゃなくて、日債銀だとか長銀だとか、その後倒れた、これは一にまさにそのときの金融行政が間違っていたからにほかならないわけですが、だけれども、そのときは健全行に入れるわけですから、返してもらうとか配当が来るとか、そういうことが前提なんですが、今度は必ずしもそうじゃないでしょう、今度の目的は。二兆三千億のうち幾らということは言えないけれども、場合によっては、この二兆三千億が全部消えて紙くずになってしまうかもしれないし、かなりの部分が戻ってこない可能性もあるわけですから、これは。それから、前の大和とあさひに入れた一兆一千億、これもまだなんですよね。
 だから、そういうことを考えて、こういう返済についてはどうなるんだ、今度入れます二兆三千億ぐらいの金額が戻ってくるのかどうなのかというようなことについては、関心はお持ちでなかったですか。そういうことについては議論をしなかったですか。どうですか。
小泉内閣総理大臣 幾ら公的資金を注入するか、まだ具体的な数字は決まっておりませんが、いずれにしても、これが、可能性といえば、全額戻ってくるような、健全な経営ができるような体制にしていくように私は努力すべきだと思っております。
海江田委員 それは、今言われて、私に聞かれてそういうふうに思ったので、当日、金融危機対応会議でもってそんなような、このあさひや大和については、前にも注入をしたけれども全然戻ってきていないじゃないか、だから今度これだけの金額を、二兆三千億というのは、その日の朝の新聞に大きく出ているんですから、二兆円ぐらいという規模は。だから、これだけの二兆も、さっきも言いましたけれども、全国民から集めた消費税の一%分がそこのお金なんですよ。
 だから、これは返ってこないことがあるんじゃないの、どうなのとか、そういうことをその会議でもって、そういう関心を持って質問なんかしなかったんですか。どうなんですか。
小泉内閣総理大臣 会議は議事録を見ていただければわかると思いますが、私は、適切な対処をしなきゃいかぬ、答申のとおりに決めるように指示したと思います。
海江田委員 そうですよ。答申を決めるのはあなたですよ。だから、それが、答申のとおりにやるようにというのはどういうことですか。
 それから、今、議事録、じゃ、見せてくれるんですね。議事録はぜひ見せてください、総理。総理ですよ。見てくださいと言ったんだから、見せてくださいよ。
竹中国務大臣 議事録につきましては、できるだけ速やかに公表をすべきであるというふうに思っておりますので、その点でしっかりとごらんをいただきたいと思っております。
海江田委員 では、総理、もう一回聞きますけれども、少なくともそういうお金が、どうなんだということをほとんど心配されていなかったんですね。それで、今にして思えば、それは……(発言する者あり)いや、入っているんですかね。じゃ、発言したという記憶はあるんですか、この二兆何千億というお金が。
 それで、あともう一つ、今の話ですが、今度のお金は、私が一番聞きたいのは、そこでのやりとりが、もしそういう質問があれば、いや、ちゃんとこれは返ってきますよという答えが出てきたのか。あるいは、今度の場合、やはり不良債権の処理も一生懸命やらなきゃいけないわけですよ。そうすると、どうしても準備金を取り崩しをしたりして、そしてまた資本がぐっと落ちる可能性があるわけですよ。だから、私は恐らく一〇%ぐらいにしたんだろうというふうに思うわけです。
 それから、もう一つの役割として、やはりこれは融資をしっかりやらなければいけない。だけれども、融資をやると、また不良債権がふえるというようなこともあって、ある程度の今度の資本注入については、もう欠損になってしまう、これは取り戻しができないというようなことを覚悟でおやりになったのか、そういうことを全然考えないでおやりになったのかということは、実は大きなポイントなんですよ、これは。
 だから、そういうことを、どうなんですか、そういう関心、今、後ろからメモをもらって読んでいるんじゃしようがないので、つい何日か前のことですから、思い出していただければ一番いいんですよ。どうですか。
小泉内閣総理大臣 これは、将来、健全になれば回収されるものですから、それはやはり適切な措置をするようにという指示であります。
海江田委員 総理、もう少し本当にこの金融の問題にも大いに興味、関心を……(小泉内閣総理大臣「竹中大臣がいる」と呼ぶ)だめですって、竹中さんは途中でいなくなっちゃうんだから。総理はまだ総理なんだから。竹中さん……(小泉内閣総理大臣「竹中大臣、ずっといるよ」と呼ぶ)いやいや、だめなんですよ、それじゃ。
 少なくとも、総理は国民から選ばれた国会議員であって、そして、私は一票は入れなかったけれども、衆議院の全体で選ばれた総理大臣なんですから、そして、国民の税金を預かっているわけですから、使い道については。ですから、そこはやはりある程度のことはわかっていていただかなければ、それは本当に困りますよ。まさに丸投げというより投げやり、さっきも言いましたけれども、もう投げやりですよ。自分の頭で考えようとしない、思考停止に陥ってしまっている。本当に困ったことです、これは。
 それから、金融危機に対応するための措置の必要性の認定に関する国会報告。これも本当にお粗末なものですね。もうちょっと中身を、それこそさっきの議事録の要旨、あれは金融庁なんかの戦略会議をやったらすぐその後で議事録が出てきますけれども、要旨でも構わないわけですから、そういうことをやはり盛り込んでおかないと。
 私、びっくりしました。本当にこれは、全部で何ページですか、五ページか六ページで、しかもこういう表紙ばかり、やたら。十ページあって、表紙が四ページか五ページ。こんなの見たことないですよ。活字がなくて、こうやってぱっぱと振ると、あと真っ白になっちゃう。こんな報告で国会報告が終わったなんて思ったら、これは大変なことなんで、こういう報告を、もっともっと中身をこれから情報公開するようにということをぜひ約束してください。
竹中国務大臣 我々としましても、限られた時間内で、まさに急いだ対応をさせていただいた中で、情報の、これからより大きな説明責任はしっかりと果たしていかなければいけないというふうに思っております。
 なお、これは本当に非常に緊急事態の中でいろいろやりとりがございましたけれども、我々、重ねて、電話のやりとり、訪問したときのやりとりの中で、総理からは、とにかく法的な手続はしっかりしろ、国民の負担は最小化しろ、さらには、いい結果をもたらすためにはその後の経営の問題が大事だ、責任問題が大事だ、そういうことは順次非常に強い指示を受けておりまして、その方向にのっとって、我々としてはその準備をしたつもりでございます。
 金融危機対応会議そのものは、これはやはり粛々と行う性格のものでございますけれども、そういうやりとりの中で、全体としての政策をしっかりと遂行していきたいというふうに思っております。
海江田委員 あと、今回の措置はまさに竹中さんが去年の十月三十日にまとめた金融再生プログラムにのっとっているわけですが、この中で、十月三十日の時点で、「自己資本の充実」ということで、自己資本を強化するための税制改革という項目があるわけですよ、はっきり。その中で、「引当金に関する新たな無税償却制度の導入」でありますとか、それから「繰戻還付金制度の凍結措置解除」でありますとか「欠損金の繰越控除期間の延長検討」でありますとか、繰り延べ税金資産を、これはもう厳正に査定するわけですから、当然のことながらやはり税制の方からの後押しが必要だということを去年の十月の段階で書いているわけです。
 塩川大臣、どうなっているんですか、この動きは。きのうも税調の会議があったやに聞いているんですが、そこでも、どうも議論が全く煮詰まらなかったということがあるようですが、これはやはり大変大切なポイントだろうと思いますので、どういうお考えですか。
塩川国務大臣 これは昨年来検討の項目ということで、税制調査会ではいずれ検討するということにいたしておりますが、目下、いろいろな資料等、またいろいろなケース等を検討いたしまして、勉強しておるところでございます。
 しかしながら、私から先日、衆議院の財金委員会で申しましたように、長期の繰り延べをするということは不可能であるということも言いましたし、また、税法上全般から見まして、書類の保存期間等がいろいろございますので、そういう問題とあわせて考えなきゃならぬということが一つ。
 それから、企業会計と金融会計との間において若干の利害の対立もございますから、そういう問題等も踏んまえまして繰り戻し問題等を考えてみたいということで、今、政府税制調査会では検討しておりますので、その成り行きを十分に慎重に見守っていきたいと思っております。
海江田委員 これはいつまでに結論を出すんですか。はっきり言いまして、税金の繰り延べ資産の問題は、それこそ本当にこれから半期ごとの決算もあるわけですね。
 実は、先ほども議論になりましたけれども、きょうはもう時間がなかったのでお話しできませんけれども、厳密に、これは公認会計士さん、監査法人の方がやることですけれども、別に金融庁がやることじゃありませんけれども、例えば朝日監査法人とそれから新日本の監査法人の中では、新日本の監査が厳しい厳しいと言っているけれども、朝日については、そういう税金繰り延べ資産はゼロですよということを言っているわけですから、その意味でいうと、三年カウントした朝日というのもまだまだ大甘なのかもしれない。
 それから、せんだって発表になりましたけれども、大手の都市銀行、この税資産の効果の部分を落とせば、大手の四大グループというのは全部八%以上で国際的な活動をやっているわけですけれども、実はもう計算上八%以下になるというところも幾つかあるわけですよ。
 そういうことを考えると、これはそんなに悠長なことを言っていて、年明けになるのか、いつになるのか、そんなことは言えないわけですから、例えばいつ幾日までにとかいうことは、それは大臣のリーダーシップでお決めにならなきゃいけないんじゃないですか。どうですか、その点は。
塩川国務大臣 いろいろ項目がございますけれども、まず、税制調査会で一番の焦点を絞っておりますのは、要するに有税償却でございますね。有税償却のものについて早急に結論を出したいということでございまして、その部分については六月ごろをめどに一応報告はしたいということでございます。
 繰り戻しの件につきましては、これは先ほど申しましたが、一般企業との関係、あるいは税法上の執行の問題もございますので、若干は時間がかかるであろう、そういう見通しであります。
海江田委員 あと総理、もう時間がなくなりましたので、これはぜひ総理に、こういう観点を持っていただきたいということです。
 先ほども、実体経済はいいんだ実体経済はいいんだ、昨年度の成長率がプラスになったじゃないかというお話ですが、最後の方になって名目の成長率はマイナスですよということをちらっと言われましたけれども、インフレの時代は、確かに物価の上昇分を考えなければいけないから、まさに物価の上昇分を差っ引いた実質の成長率でいいわけですけれども、デフレの時代は、実質の成長率を見ているんじゃなくて名目の成長率を見ていないと、経済の実態はわかりませんよということ。これは、もう竹中さんなんかつとに知っておるんですよ。知っておるけれども、恐らく言わないんだろうと私は思いますけれども、これは与党の方々だってそうですけれども、実質だけを見て……(発言する者あり)いきたいかどうかわかりませんけれども、実質だけを見ては、もうこれからはだめですよと。
 しかも、名目成長率が、さっきそちらで同僚委員と話をしていたのですが、実は五百兆円を割れてしまったわけですよ。我が国の場合、五百兆円、五百兆円ということでずっと言ってきたわけですけれども、九七年で五百二十一兆円になって、それが四%ですけれども、もう減って、名目の成長率が四百九十九兆四千億円という、これは二〇〇二年ですけれども。
 これはやはり大変なデフレの状況にあって、どんどん日本の経済の規模というのはシュリンクしていっているわけですから、それに対する危機意識とそれに対する危機感というのは、私はぜひこれから持っていただきたい。
 きょういろいろお話ししましたけれども、どうも全部竹中さんに任せきりで、余りお考えになりたくないようですが、ここの点だけはぜひそういう認識を持っていただきたいんですが、いかがですか。
小泉内閣総理大臣 余り悲観論ばかり横行しているものですから、名目成長率も実質成長率も、両方見ていかなきゃならないと思うという面で言っているんです。
 そして、政府の見通しは甘い甘いとよく言われておりますけれども、実質成長率においてはゼロ%の見通しがプラス一・六%になっているのですから、余り悲観論ばかり見ないで、そんなに自信を失わないで、自信過剰もいけないけれども、自信喪失もいけない。やはり日本の経済状況、よくないということは、厳しい状況はわかっておりますが、実質経済成長率も名目経済成長率もよく見て、できるだけ早く民間主導の持続可能な成長軌道に乗せていきたいと思っております。
海江田委員 私は別に悲観論を言っているんじゃなくて、本当にデータとしてやはりそういう数字がありますよという、五百兆を割ったということは、日本のこの経済の現状は大変厳しいので、やはりそういう認識をぜひ、これは別に悲観論じゃなくて、すぐレッテルを張られるけれども、レッテルじゃないんですよ。悲観論じゃなくて、現実にそういう動きがありますよということを、ぜひそういう国民の声に耳をかしてください。もう名目が大事で実質は大事じゃないんですから、実質が成長している、成長しているということを言っていただいても困りますので、それはぜひそういうことでやっていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
藤井委員長 この際、上田清司君から関連質疑の申し出があります。菅君の持ち時間の範囲内でこれを許します。上田清司君。
上田(清)委員 御苦労さまです。
 時間がありませんので、少し急いで質問したいと思います。
 まず、北朝鮮をめぐる政府の外交において、二元的な動きになっているのではないかという疑念を私は持っております。北朝鮮の核開発問題で、日米間の首脳会議で、対話と圧力で臨むということで一致された。これは大変立派なことだというふうに私も思いますが、外務省の説明資料から圧力の文字が削除された。こういうことが政府内部で行われている。
 総理が渡米し、そしてアメリカの大統領と意見が一致したポイントになる部分が、勝手に外務省の高官によって削除されるようなことが行われていいのかという、こういう思いが私はありますが、これは事実でしょうか。
小泉内閣総理大臣 議論の過程ではいろいろな意見があります、意見交換はあります。それで、内容を全部公表するわけじゃありませんから、これはよくあることであって、二元外交の非難は当たりません。全く御心配なく。
上田(清)委員 この後にずっとまだ二元外交の問題点を申し上げます、一連の流れの中でお話をしておりますので。安心しておりません、大変懸念をしております。
 安倍副長官にお伺いいたします。
 記者団へのブリーフィングの直前になって、安倍副長官に届けられた説明資料で圧力という文字が抜けておったので、独自の判断で復活させたというような報道がございますけれども、これは事実でしょうか。
安倍内閣官房副長官 ただいま総理がお答えになったように、政策を決めていく過程ではいろいろな議論があるわけでございますが、最後は総理が判断をされるわけでございまして、総理がそう判断をされて首脳会談で述べられたわけでありまして、その中身を私がブリーフしたということでございます。
 中での議論につきましては、私の方からの説明は控えさせていただきたいというふうに思います。
上田(清)委員 真相はやぶの中だ、こういうふうな理解をせざるを得ません、今の時点では。
 それでは、拉致問題に関連する北朝鮮とのさまざまな交渉がございました。総理の、ある意味では勇気のあるピョンヤンへの訪朝の部分もございました。その部分も、やはり何らかの形で秘密交渉的な下交渉があってこそそういうことも可能になったというふうに思いますし、私は、外交の部分で必ずしも国会や国民にすべてを明らかにする必要はない、こんなふうな考え方も持っております。
 ただ、外務省のそれぞれの課や、部局や、あるいは省としてのさまざまなそうした交渉の記録は、財産にされなければ私はだめだというふうに思っております。ところが、私が聞くところによりますと、薮中担当局長は、前任者からこの北朝鮮の秘密交渉の部分について、何らいわば記録を受け取らない、受け取れない、あるいは渡されない、こういう状態になっていると私は承っておりますけれども、安倍副長官、このようなお話は聞いておりませんか。
安倍内閣官房副長官 それは外務省の内部のことでございまして、内部においては十分に調整をしておられるんだろうというふうに思っております。
上田(清)委員 名前が薮中ということですから、やぶの中みたいな話ですが。
 齋木参事官、きょうは局長が他の委員会に出ているということですので、おいでいただいていると思いますが、事実関係はいかがですか。
齋木政府参考人 前任者と後任者の間で適切な引き継ぎが行われるというふうに私は理解しております。
上田(清)委員 これが公式的な見解ですが、必ずしもそうじゃないということを、安倍副長官も笑っておられましたし、心当たりのある方が多いというふうに私は理解しておりますので、ぜひ総理、国益の問題につながる話ですので、こうしたことについても確認する機会があればぜひ確認していただきたいというふうに思っております。
 そこで、資料の1ということで、先日、決算行政監視委員会で我が党の松原仁議員が、いわゆる国連人権委員会強制的失踪作業部会における日本の関連の部分について、外務省から出された報告がペラ一枚の十二行とは余りにもひどいじゃないかというような質疑をしておられました。私もそのように思っております。
 茂木副大臣、おいでだと思いますが、一応答弁の部分を囲みで……。1は届いておりますか。――はい。この部分、このような御認識は変わりありませんか。
茂木副大臣 結論から申し上げれば、対応に至らない点があった、このように私は今でも考えております。
 ただ、国連の人権委員会の強制的失踪作業部会に、昨年の十一月に外務省としましては、この日朝平壌宣言、そしてまた拉致問題に関する事実関係の調査団、この調査結果も踏まえまして、また御家族からの御要請によりまして、その代理人として作業部会に外務省の方として出席をさせていただきまして、安否が未確認の被害者に関する詳細な情報、これが五十ページにわたるわけでありますが、それを提出するとともに確認依頼を要請した、こういう経過がございます。
 それによりまして、ことしに入りましてから、作業部会でこの日本人の拉致問題を審議の対象とする、こういう形になりまして、関係国に対しまして関連情報の提出、こういうことを求めたわけでありまして、その関連国の中には、北朝鮮、イギリス、スペイン、それから日本が含まれていた。
 さて、その時点で日本がどうしたかということでありますけれども、結局それ以降、問題に対する進展がないということであります……(上田(清)委員「いや、もういいです。質問していないことまでいいです。確認だけですから」と呼ぶ)はい。
上田(清)委員 今少し内容がよくなりましたけれども、ただ、決算行政委員会では政府が五十ページ出したというような言い方をされましたけれども、これは政府が五十ページ出したんですか。
茂木副大臣 先ほど申し上げましたように、被害者の方の代理として、代表として、外務省として出席をさせていただいた。そして、その形で五十ページの資料を提供させていただきました。
上田(清)委員 したがって、松原仁さんに答えた答弁は間違いだったわけですよ。ここではちゃんと議事録に残っているんですけれども、政府として事前に五十ページ出して、この十二行の部分は補足的にあなたは出したと言うんだけれども、そうじゃないんですね。仕組みは、個人が失踪者に関する情報を国連人権委員会の作業部会の方に出して、そしてこの作業部会が政府に問い合わせをするわけですよ。こういうものが出てきているけれども、それに関連するもっと重要な情報がないかとか、あるいはもっと調べてくれというような依頼が来るわけですよ。そして、政府が捜査結果をこの作業部会に伝達するんですよ。その上で出したものがこれなんですよ。これだけなんですよ、たった十二行。大した有用な情報はないと。冗談じゃない。むちゃくちゃあったじゃないか、この間に。
 なぜそういうふうな、情報も何もないというような紙切れ一枚を出したんだというところで問題になっているわけで、いや済まなかった、反省しています、しかし事前に五十ページ出しましたと。その五十ページ出したというのは政府が出したんじゃないんです。あくまで個人が、救う会や家族会の皆さんが取りまとめて、もちろん政府の齋木団長が務められた調査団の資料も添えましたけれども、基本的には個人が出したんであって、政府が出したんじゃないんです。
 だから、補足的にこれを出したんじゃなくて、この3の部分を政府としてきちっと出さなくちゃいけないというのがもともとの話なんですが、この部分について政府はごまかしている、このことを私はまず申し上げたい。
 そして、資料の2と3を出してください、これは大体だれの責任で送ったんですか。ちゃんと書いてありますね、「ジュネーヴ国際機関日本政府代表部」。だれが出したんですか、これは。
茂木副大臣 上田委員の方から、政府として提出をした、そういう答弁を私がしたということでありますけれども、議事録を見ていただきますと、「日本として」と、こういう形で御答弁を申し上げているかと思います。ただ、それにつきまして不足している点があればということで、短くしろという話でありましたけれども、あえて先ほどは、代理人としてと、こういう御答弁を申し上げました。
 その上で、結論から言えば、対応について至らない点があった、このように考えておりますし、関係部局に対しましては、やはり御家族であったりとか被害者の立場に立ってもっと物を考えるようにと厳しく指導いたしております。
上田(清)委員 質問に答えておりません。だれが出したんですか。最終的な決裁はだれがしたんですか。
茂木副大臣 担当部局におきまして作成をしまして、それを提出いたしております。
上田(清)委員 また抽象的な言葉で言われましたが、担当部局というのはだれのことですか。何のことですか。そんないいかげんな答弁じゃだめですよ。
茂木副大臣 北朝鮮の問題に関しましては、アジア大洋州局が担当しております。アジア大洋州局として出したと。
 ただ、先日の委員会でも御答弁申し上げておりますように、これは細かい問題についてすべて大臣、副大臣にまで報告が来る、こういうことではありませんが、しかし、こういう重要な問題については、きちんと事前に大臣、副大臣にも情報を上げ、決裁をとった上で出すべきである、このような指導をいたしております。
上田(清)委員 要するに、大臣や副大臣は知らなかったということですか。
茂木副大臣 北朝鮮問題全体につきましてはしっかりと掌握をしていきたい、このように考えておりますが、今回の作業部会に対します資料の提出につきましては、事前の報告は受けておりません。
上田(清)委員 それはおかしいと思います。
 私も多少、国会に十年在職させていただいていますので、いろいろ資料のやりとりをしております。全く新しい資料のやりとりとなると、前例がないことで、各部署でいろいろな確認をするために相当時間がかかります。これはまさに、全く新しい事象じゃないですか。
 日本人が拉致された、そして北朝鮮の責任者が認めた。それを受けて、ちょうど前後する部分もありますけれども、国連人権委員会の方に申し入れをし、そして国連人権委員会の作業部会から日本政府の方に照会があった。その照会をどんな形できちっと出すかというのは、日本の外交上の問題としても、また人権上の問題としても、そして二十五年間という耐えがたい苦しみを感じておられる御本人やまた家族の皆さんの心情を思えば、これはたった一枚しか日本国政府の分はありません。そして、北朝鮮からこの作業部会に出された報告は五枚あります。そして、イギリスでさえも、有本さんのことについて三枚詳しく書いてあります。なぜ日本政府だけが大した有用な情報はありませんという一枚こっきりの話になるのか。
 それも、局レベルで決裁が終わっている。大臣も副大臣も知らなかった。これは、先ほどから私が懸念しています、北朝鮮問題をめぐる、外務省の中で、とにかくはれものにさわりたくない、さわらないようにというグループとそうじゃないグループと、そういう確執がこういうアンバランスな動きになっているんじゃないかというふうに私は思っておりますが、総理、今お話を聞いてどんなふうに思われますか。
小泉内閣総理大臣 茂木副大臣が答弁しておりますように、手抜かりの面もあったのではないかと反省しているようであります。
 御指摘の点も踏まえまして、今後、そのような手抜かりのないような対応をしていかなきゃならないと思っております。
上田(清)委員 私は、これは手抜かりで済む話じゃなくて、きちんと上げるべきものが上がっていない話だということを副大臣が申された以上、その責任者についての何らかの形の処分というのはあったんですか、なかったんですか。
茂木副大臣 外務省として、この北朝鮮の問題、特に拉致の問題に全省挙げて取り組めるように、大臣からも私からも担当に厳しく注意をしておりまして、二度とこういうことが起きないような体制をとってまいりたいと考えております。
上田(清)委員 注意という話ですが、また関連して申し上げますが、私も家族会の皆さんと一緒にアメリカを訪問し、議会関係者、政府関係者にお目にかかってまいりました。そして、川口大臣に報告する機会もいただきました。それが三月十二日であります。
 いろいろ議論もありました。しかし、今茂木副大臣が言われましたように、全力を挙げて頑張りましょうということで、終わりましたのが三月十二日。そして、五日後に日本政府が送ったのがこれだということなんですよ。この五日間というのは何なんだということを、私は満身の怒りをもって、私じゃなくて、家族や関係者の皆さんが多分思っているだろう。こんなことが日本の政府、外交なのか、あるいは人権意識なのかというふうに思わざるを得ないんですね。
 それが、今後こういうことがないようにと厳重に注意をしましたで本当に済むんですか。これは処分物じゃないですか。外交のシステムとして問題があるんじゃないですか。ちゃんと印鑑が押してあるじゃないですか。だれが押すんですか、これは外交文書というのは。私はそんな簡単なものじゃないと思いますよ。だれが押したんですか、これは。まず、それだけ教えてください、だれが押したのか。
茂木副大臣 その書につきましては、在ジュネーブ代表部の方から提出をしております。したがいまして、そのシールにつきましても、在ジュネーブ代表部のシールとなっております。
上田(清)委員 代表部の責任者にどのような伝達をなされたんですか、これをそのまま押すようにと言っただけですか、だれの指示でどういうふうになったんですか、教えてください。
茂木副大臣 公電によりまして、そのような文書を提出するようにと、そういう指示のもとで行われたことであります。
上田(清)委員 だれが指示したんですか。
茂木副大臣 担当部局によりまして進めたことであります。
 私は、冒頭で申し上げましたように、今回の対応については至らない点があった、そして、やはり御家族の皆さん、被害者の皆さんの心を心としてしっかり取り組むように、こういった反省も踏まえながらしっかりやっていきたいと思っております。
上田(清)委員 茂木副大臣が熱心にやっておられることも、私もよく承知しております。高く評価いたします。
 それはそれですけれども、外交文書という形で遺漏はなかったのかということを私は確認しているんです。
茂木副大臣 そういった訓令を出すに至りましても、例えば、大臣、副大臣の方にしっかりした十分な相談がないままに行われていた、こういうことにつきましては反省もしなきゃなりませんし、十分注意をしているところであります。
上田(清)委員 私は、ぜひ、きょうは外務大臣おられませんが、副大臣に申し上げたいと思いますが、この問題は丁寧に調査して、我が国の外交システム、とりわけ決裁システムでどんなふうになっているのか、もう一回チェックをしていただきたいということを強く要望しておきます。
 もう一つ、総理からもぜひそういう御指示をお願いしたいということを強くお願いしたいと思います。答弁、よろしくお願いします。
小泉内閣総理大臣 しっかりした対応をするように指示しております。
上田(清)委員 一部議論も出ましたけれども、万景峰号の入港が近くあるというふうに聞いております。過去にも、税関の中で関税法違反とかいろいろありました。ココム関連輸出物が出ていたり、そういう問題がありましたし、既にアメリカの上院の委員会で、元技師による証言の中で、北朝鮮のミサイルは、九〇%その部品が日本製であるというような証言が出ております。これもよく言われていたことでありますけれども、かなり確度の高い情報であれば、今後もこういうことが行われるということで、いろいろな法律があって難しい部分もあるかもしれませんが、私は、何らかの形でこの入港問題については政府としてきちんと取り組む必要があると思っておりますが、こういう点について政府では検討されているかどうか、お伺いしたいと思います。
茂木副大臣 港湾管理者であります新潟県に対しまして朝鮮総連の方から提出されました入港計画によりますと、来月にも万景峰号が入港する予定である、このような形であります。
 この入港に際しましては、税関、入国管理等の厳格な検査というのはもちろんでありますが、関係省庁とも十分な連携をとりながら、例えば、立ち入りの検査であったりとか手荷物の厳しいチェックであったり、さらには船員の上陸規制等々、現行法でやり得ることはあらゆることをやる、こういう姿勢で臨んでいきたいと思いますし、そのために関係省庁とも緊密な連携をとってまいりたいと考えております。
上田(清)委員 しっかりした対応を望みます。
 それでは、どうぞ安倍副長官、御退室結構でございます。
 りそなの問題を中心にまた戻りたいと思います。
 総理、御承知のとおり、先ほどから海江田万里議員が言われましたように、金融問題に関しては、最高責任者を総理大臣が兼ねておられるということになっております。
 今までに公的資金が何兆円つぎ込まれたか、ざくっとした数字でも結構だし、想像でも結構でございますし、いや、よくわからないといえば、それでも構いません。何兆円つぎ込まれたか御存じでしょうか。
竹中国務大臣 上田委員の資料をお配りいただいておりますけれども、三十兆円を超える金額でございます。
 ただし、これはいろいろな性格のものが入っておりますので、その点は御承知のとおりだと存じます。
上田(清)委員 公的資金の投入も、専門家の方々には恐縮ですけれども、いろいろな見方があります。ともかく、何らかの形で政府並びに政府関係機関から出されたお金が三十六兆一千三十一億円、二〇〇二年九月現在ですけれども、こういうお金であります。
 もちろん、御承知のとおり、この中でもう返らないお金が約十兆円ぐらいあります。長銀、日債銀の破綻を初め、戻らない金がもうこの中で十兆円ぐらいあるということでありますし、まかり間違えば、このりそなの過去二度にわたって資本注入をしております、大和とあさひの分でございますが、この二つに一兆一千八十億投入しておりますが、破綻ということになると、これもまたなしということになりますから、破綻を恐れて今回のスキームづくりがなされたのではないかなというふうに思います。
 端的に聞きますけれども、これも金融担当大臣、その前に、これほど投入されて、とりわけ佐々波委員会で出されたときも、それから最初に九九年の三月に出されたときも、実は、猛烈な中小企業の貸しはがしを防止するという、資金繰りをきちっとやるということを前提に出されたんですが、実は、その結果、逆のことが起こっているということを私は申し上げなくちゃいけないと思います。
 資料の5と6を出していただきたいんですが、これは、例えばみずほの二〇〇三年三月の計画と、そして二〇〇二年の九月の実績、こうしたことを全部合計していくと、実は、みずほも、UFJも、りそなも、三井トラストも、三井住友も、住友信託も、全部計画割れ、マイナスの実績なんですよ。みずほなどは五兆円も実は貸し出しを抑えているという形になっておりまして、我々が大蔵委員会、予算委員会等で議論したことと逆の現象が全部起きておりまして、昔は、追いはぎというのは人のいない山の中で追いはぎをしていたんですけれども、最近は、駅前の人のいるところで、しかも交番の隣とかで追いはぎまがいのことをやっているんですと後ろの方で吉田公一さんが言っておりまして、追いはぎまがいのことを公然と駅前でやっておる。
 これだけ実は中小企業向けの貸し出しが全然なされていなくて、見やすく言えば、総理、計画がこのくらいで、その逆をたくさんやっておるというんですよ、全部の金融機関の合計を合わせると。全然計画をやらないで、逆に引っぱがしを山ほどやっているというのが今の状態なんです。
 もちろん、金融機関には金融機関の判断があります。むしろこの責任がどこで問われるかという、日本経済全体が悪いという状況の中で、そして竹中さんの金融再生プランで、より厳格により厳格にという姿勢の中で、それは大事なことだと私も思います。一方では経済がどんどん落ちていく中で、先ほどそんなに悪くないというような総理のお話もありましたけれども、ではどうして金融機関はこんなに貸しはがしをするんだ、こういう問いかけもせざるを得ないんです。
 決して、金融機関だって長年のおつき合いの中で貸しはがしをしているわけでもないと思うんですね。自分たちが生存するために、存続するためにそういうこともやっているので、私は、今回のりそな銀行も、そうした側面からもやはりとらえていかなくちゃいけない。
 とりわけ、特別検査を一月二十七日に着手されて、四月二十四日にりそなについては通知をされている。この特別検査の結果、自己資本はどんな状態になっていたんですか。それを担当大臣にお聞かせいただきたいと思います。
竹中国務大臣 検査と一般的に申しますけれども、実はなかなか制度は複雑でありまして、今お尋ねの特別検査に関しましては、基本的には決算を行うに当たって資産区分を見る、そういう資産の査定を正確に行えるようなシステムとしての特別検査を、これは委員御承知だと思いますが、行っているわけでございます。それについては、その結果が適切に今回の決算にも反映されているというふうに思っているわけであります。
 それと、今回の公的資金注入に至るプロセスでございますけれども、三月の時点でりそなが業績の見込みを出しております段階では、自己資本の比率は六%台というふうに言われていた。それが最終的には二%台になる。四%ポイントの低下ということが明らかになったわけでございますが、実はこの四%ポイントの低下のうちの二・六%分、実に三分の二が、実は先ほどから議論になっています繰り延べ税金資産に関する評価が変わったという点に基づくものでございます。
 繰り返しになりますが、特別検査に関しては、資産の区分をしっかりと見るということで、これが決算に反映をされている。自己資本比率の低下に関しましては、直接的な、決定的なといいますか、原因は、繰り延べ税金資産の問題として生じている点について、この点を御理解いただきたいと思います。
上田(清)委員 三月の時点では極めて健全であった、こういう理解でよろしいんですか。
竹中国務大臣 その健全の意味でございますけれども、予想される自己資本比率が四%を上回っているという意味では健全行の基準は満たしていたということになります。
 繰り返し申し上げますけれども、特別検査というのは貸付資産の資産区分を見るために行っているものでございます。今回は自己資本の算定の中での繰り延べ税金資産の問題で監査法人の見方が示されたということでありますので、特別検査は厳しくしっかりと行っておりました。しかし、決算の段階で、むしろ別の要因で今回のような問題が出てきたということでございます。
上田(清)委員 貸付債権ばかりじゃなくて、自己資本がどうなっているかということを見るのも検査の中の一つじゃないんですか。
竹中国務大臣 先ほど申し上げましたように、検査の制度というのはやや複雑だと申し上げましたが、特別検査というのは自己資本の内容を見るものではございません。これは貸付資産の区分を見るためのものであります。
 自己資本等々を含めて、総合的なものはいわゆる通常検査で見るわけでありますが、今どういう状況にあるかといいますと、昨年の九月期、これは事後チェックでありますから、昨年の九月期の決算に基づく検査の結果を最終的に今取りまとめている段階だということでございます。これは事後的なチェックのシステムだという点を御理解賜りたいと思います。(発言する者あり)
藤井委員長 長妻君、そこでは発言しないでください。自席に戻ってください、そこで不規則発言をするんでしたら。
 上田君。
上田(清)委員 それではもう一つ、ちょっと視点を変えて、なぜ一〇%を上回る自己資本にするというんでしょうか。いわゆる国内決済銀行ですから、四%でいいわけですね、基本的には。なぜ突然一〇%にするんですか。
竹中国務大臣 先般の金融危機対応会議、この金融危機対応会議は、資本注入の必要性を認定するための会議でございます。ただし、その認定を行うと同時に、申し添えられた意見として、自己資本比率が一〇%を十分上回るような結果にすることを申し添えるという形で答申がなされております。
 どうして一〇%を上回るかということでありますけれども、これは、一度過少資本ということで四%を下回った、その市場の評価も含めて、そういった評価を受けたところに関してはやはり十分な余裕のある自己資本を持っていただく必要があるというのが第一のポイントでございます。
 さらに、今回、外部からも経営者を招き入れて思い切った経営改革をやっていただきたい。その経営改革を、思い切ったビジネスモデル構築も含めてやっていただくに当たって、やはりしっかりとした余裕を持っていただくということが望まれるのではないかというふうに思うわけであります。
 最後に、一つの参考指標としまして、地方銀行等々で優良な銀行と言われているところは自己資本比率が一一%とか一二%とかある、そういうところを総合的に勘案しまして、一〇%を今回は十分上回るような自己資本比率を確保したいというふうに思っているわけでございます。
上田(清)委員 ちょっと必ずしもそれに賛同したくありません。なぜりそなが他のメガバンクと同じように、あるいは超えるように二兆円という、一〇%以上ということですから多分二兆円を超すでしょう。先ほどもちょっとお話が出ていましたけれども、佐賀県の一つの県の予算は五千億だ、熊本県は八千億だ、こういう金額がぽんぽんと出ていく。こういう発想がどうしてもわからない。しかも、ほとんど説明もなされない。
 そして、この金融危機に対応するための措置の必要性の認定に関する報告、これは中身が三ページで外側が七ページという、もう上げ底もいいところで、表紙だとか目次のところばかりで七ページで、中身はたった三ページしかない。こういう報告しか出ないようなところで、なぜ国民が二兆円というお金を、私は許さないというふうに基本的に思っております。きちんとまた時間をとっていただいて、予算委員会なり、あるいは財務金融委員会なりで監査法人も参考人として呼んでいただくことをこの機会に委員長にもお願いしたいと思います。
藤井委員長 理事会において協議いたします。
上田(清)委員 先ほどから、債務超過ではなかったかということで議論がありましたけれども、朝日監査法人では、繰り延べ税金資産を算入しなければ債務超過になる場合、そもそも繰り延べ税金資産の計上をしないということでゼロ回答をしているわけなんですね。つまり、繰り延べ資産を抜いたときに債務超過になるような金融機関であれば、そもそも算入すること自体ができないんじゃないか、こういうルールが公認会計士の世界では、監査法人の世界ではあるんですけれども、この点について金融担当大臣はどう思われますか。
竹中国務大臣 御指摘のは、公認会計士協会が発行している、平成十一年に出した実務指針でございます。この実務指針は、公認会計士協会の責任においてつくられておりますので、これは専門家に監査してもらうためのもので、我々として特にそれについて評価を下すべき立場には基本的にはございません。
 ただ、今委員言われた中で、朝日監査法人の話がやはり出てまいりましたが、朝日監査法人は、もとの大和とあさひが合併する前のあさひの方の監査をこの二月まで担当していた監査法人で、りそなとは契約をしていない監査法人でございます。そこの御意見、どのような、正式なものかはともかくとして、それについて特にコメントする立場にはないと思っております。
 最後に言われました、これがなかりせばということでありますが、これもやはり先ほどから申し上げておりますように、実務指針に基づいて、独立した監査法人がどのように判断をするか、まさにそのジャッジを行うのが監査法人の仕事でございまして、そこに関しては、金融当局としてその先見的なものを与えることなく、やはりしっかりと独立した立場で監査をしていただきたいというふうに思っております。
上田(清)委員 時間が参りましたので終わりますが、とにかく、監査法人の査定よりも金融庁自身の査定が大事だというふうに私は思いますので、どうぞその辺を確認していただきたいと思います。
 ありがとうございました。
藤井委員長 これにて菅君、海江田君、上田君の質疑は終了いたしました。
 次に、達増拓也君。
達増委員 まず、質問の冒頭、二十六日夕刻の東北地方における地震におきまして被害を受けた方々にお見舞いを申し上げたいと思いますし、復旧のために必要な措置を政府としても全力でとるべきことを申し上げたいと思います。
 さて、小泉総理の座右の銘、これは首相官邸ホームページにも出ているんですけれども、信なくば立たずであるということで、この信なくば立たずというのは論語の言葉でありますが、今の日本にとりまして非常にこれは意味を持つ言葉だと思います。
 この言葉は、論語で、孔子の弟子の子貢が政治とは何かということを孔子に質問した際に、孔子が、食が足りるようにすること、兵が足りるようにすること、そして、民の間に信があるようにすることと。つまり、経済政策と安全保障政策をきちんとやって、そして民の間に信が、信義が、信頼があるようにしなければならない。そして、子貢が孔子に、その中のどれかを犠牲にしなきゃならないとしたら、まずどれから犠牲にしていくかと質問したら、まず、兵、安全保障である。その次はと聞かれて、食、経済である。そういう安全保障政策、経済政策というものを犠牲にしてでも、国民の間に信があるということを確保しなければ、民、信なくば立たずというのがこの言葉の意味であると思います。
 今、日本は、経済の調子が悪い、また、安全保障についても新しい脅威に直面し、食を足りるようにする、兵を足りるようにするという課題に直面しているわけですけれども、ここに当たって民の間の信、信義というものが失われるようなやり方をすれば、それは本末転倒であり、かつ、結局のところは、経済政策も安全保障政策も信なくば立たずということなんだと思います。
 この言葉を念頭に置きながら質問をしていきたいと思いますけれども、私も、りそなに自己資本比率が一〇%を上回るほどの公的資金を注入することについては疑問を持っております。
 これは、金融危機対応会議の議長として、小泉純一郎総理が金融危機対応会議の議長でもあるんですが、その答申の中に、そもそも、読み上げますと、「株式会社りそな銀行については、」略「自己資本比率が健全行の国内基準である四%を下回る二%程度に低下することとなった。」このような事態を受けて資本注入ということになるわけですが、なぜかそこで、「同行への資本増強の規模等については、預金者、取引先、市場の不安を払拭する観点から、一〇%を十分上回る自己資本比率の確保が必要との意見を申し添える。」この答申を受け、内閣総理大臣としても、総理は五月十七日付談話の中で、「経営の安定を図り、預金者等の不安を招かぬよう一〇%を十分上回る自己資本比率を確保したいと考えております。」とおっしゃっています。
 もともと、四%を下回ったということがこの金融危機対応会議を招集する理由になったわけでありますし、要はその四%を下回るという事態を克服できればいいのではないかと、普通に考えれば思うと思います。
 まして、りそなは、かつて九八年から九九年にかけて、健全行対象の公的資金投入で既に一兆一千億円の公的資金の注入。これは、経営がうまくいけば国に返ってくるお金ですが、うまくいかなければ返ってこない。それがまだあるうちに一〇%以上の自己資本比率に達しようとすれば、二兆円とか二兆三千億円とかいう非常に巨額な公的資金注入が必要になってしまう。これはもう金融危機対応というのを超えて、りそな一行に対する支援、大盤振る舞いじゃないか、そういう素朴な疑問がわくわけでありますが、いかがでしょうか。
小泉内閣総理大臣 答申に基づいて決定したわけでございますが、預金者、取引先、市場に不安を与えないよう、また、新たな経営展開ができるように、そのような答申がなされたんだと思います。
 四%に比べれば一〇%というのはかなり高い、十分過ぎるんじゃないかという御指摘だと思うんですが、余裕を持って基準を満たすということが、今後の再生のためにも、そして混乱や不安を起こさせないためにも必要ではないか、そういう答申だと私は受けとめております。
達増委員 その答申自身、答申は小泉純一郎金融危機対応会議議長の名前で出されているわけでありまして、総理の責任で決められた答申だと思いますけれども、その答申の中にも、「現時点で、」りそなに関して「預金の流出や市場性資金の調達困難といった事実は認められないが、」と書いてあるんですね。これは、先ほどから繰り返された、危機か危機じゃないかという議論で、まだ危機じゃないということだと思います。であれば、公的資金の注入というのもそれなりの規模に抑えてもいいんじゃないかと思うわけであります。
 ただし、「このような事態を放置すれば、預金保険法第百二条第一項に規定する「信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずるおそれがある」と認められる。」ということで公的資金の注入になるわけでありますけれども、預金保険法の百二条を改めて読みますと、こういう措置が必要あるという認定が行われる場合には、そういう措置が、「当該各号に定める措置が講ぜられなければ、」「信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずるおそれがある」ということなんですね。
 したがって、一〇%以上になるような、そういう二兆円とか二兆三千億円とかいう公的資金注入がなければ信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずるおそれがあるだなどという例をつくってしまいますと、実はほかのメガバンクは、その一〇%行くか行かないかのあたりで、ぎりぎりのところの自己資本比率なわけですね。であれば、それも危ないということになってしまうのか。四%を割り込むというところじゃなくて、そういう一〇%以上の自己資本比率を持っていない状態が「信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずるおそれ」に、法律からいくとそう読めてしまうんですけれども、この点はいかがでしょうか。
竹中国務大臣 我々として、なぜ一〇%を上回ることを確保したいと思ったか、余裕を持って等々を含めて先ほど三点申し上げさせていただきましたが、これは、例えば六%を目指して、七%を目指してということでありましたら、恐らく市場からは、やはり戦力の逐次投入というのはむしろマイナスなのではないか、やはり思い切ってしっかりとした、今回の措置で大丈夫だというような、そういった措置をとるべきではなかったか、そのような批判が私はやはりなされたのではないかと思っております。
 先ほど貸しはがし、貸し渋り等の問題もございましたけれども、やはり十分な自己資本を確保することが十分な貸し出し余力を持つということでもある。さらには、今回やはり責任の問題も含めまして、しっかりとしたガバナンスの制度を社内につくりたい。具体的には、商法が変わりまして可能になりました委員会等設置会社方式を念頭に置きまして、外部から積極的に外部の取締役、社外取締役を多用したい。そのような移行の期間を考えると、その移行の期間に例えばガバナンスの空白のような形で問題が生じるということもぜひとも避けたい。
 今回のこの資本注入をぜひとも国民にとって利益のあるものにするために、やはり我々としてはその余裕のあるような、そういう形でもって、それが結局百二条の趣旨である危機を回避することに結果的にはつながるというふうに考えたわけでございます。
達増委員 この預金保険法百二条、「第七章 金融危機への対応」というところに入っているわけでありますけれども、ここの趣旨はもっと厳しい話なんだと思いますよ。
 金融秩序、信用秩序、そういう金融システム全体に支障が起きないように、そこは最低限の手当てをする。国民の税金を危険にさらしてする手当てでありますから、そこはそういうシステム全体の維持、最低限の公的資金投入にとどめ、それでもそれは一種の救済措置なわけでありますから、当該銀行に対してはより大胆な経営の刷新、そして、自力で資本を集めることができる、自力で経営を伸ばしていくことができる、そのくらいの思い切った改革が当該銀行にできるようでなければ、ほうっておけば、国が面倒を見なければ破綻してしまうような銀行をあえて国が税金を投入して助けてしまうということになってしまうんじゃないでしょうか。したがいまして、この百二条の趣旨からいって、一〇%以上という自己資本比率を、一〇%以上まで公的資金を注入するということについては、まだまだ説明が足りないと思いますよ。
 したがって、今いろいろ雑誌でも取りざたされておりまして、りそな、旧大和銀行が自民党に何億円もお金を貸し付けていて、それがまだ返ってきていないからあえて救済するんじゃないかとか、あるいは、りそなが持っている生保の株、りそなが破綻した場合それは生保危機につながり、そしてその生保の株を他のメガバンクも持っている、そういった連鎖を防ぐための一種護送船団的な行政ではないかというふうに問われると思うんですけれども、総理、この辺いかがでしょうか。
    〔委員長退席、萩山委員長代理着席〕
小泉内閣総理大臣 そういうことは全く関係ありません。いかに金融危機を未然に防ぐか、新しい事態にりそなが経営展開できるか、余裕を持って基準を満たす必要があるという観点から出された答申であると私は思っております。
達増委員 公的資金を大規模に投入して他のメガバンクよりも自己資本比率が上回るくらいにまで支援すれば、それは非常に余裕も生まれるでありましょうし、これはりそなに限らず、銀行に限らず、およそあらゆる経済主体というのはそうやって税金やそういった基金で助けてもらえば助かるのでありましょうが、果たしてそれが小泉内閣の方針、経済政策の理念だったのかというところには疑いを持ちます。
 関連で、生保の予定利率引き下げを認める法案が閣議決定されましたけれども、これも、今のゼロ金利という異常な事態をそのまま前提としまして、ゼロ金利、これは銀行を助ける効果を持つものであります。その中で、さらに生保も助けようということで、これまた護送船団的な大盤振る舞いの法案なのではないかなと思うんですけれども、これについてはいかがでしょうか。
竹中国務大臣 予定利率の引き下げを可能にする法律に関しては、これは護送といいますか、銀行や保険会社のためにやるのではなく、まさしく保険契約者、国民の利益のためにやるということを前提に我々は考えているわけでございます。
 繰り返し申し上げますが、そういうことが保険契約者の賛同がある場合には可能になるということでありまして、その選択肢を広げるためのものでございますので、特定のどこどこを守るというものでは断じてございません。例えば、逆ざやによって将来仮にその保険会社が破綻したような場合には、一体その保険契約者の利益はどうなるのか。そうしたことを考えた場合に、予定利率を引き下げるということを自治的な合意としてなすということは、これは選択肢の中に入ってもよいのではないか、あくまでもそのような観点からつくられた法律案でございます。
達増委員 ゼロ金利のもとで生保が前代未聞の困難に直面しているということの本質は、やはりゼロ金利が続かなければならない異常な経済情勢、デフレであり、不景気であると思うんですね。
 そういう中で、ゼロ金利を続ける危険性その他、今の経済情勢をそのままにして、今後もまたりそなのようなことが起きれば金融危機対応会議を開いてまた同じようなことをする、そういうリスクを冒していくことと、財政政策を転換して、減税でありますとか規制改革等を組み合わせた、そういう思い切った減税等の財政政策で、景気回復、デフレ克服に向けて大きな政策を踏み出していくリスク、そのどちらを選ぶかといった場合に、やはりデフレが進んだままでは、幾ら今回のりそなに対する大盤振る舞いのようなことをやっても、これはいつまでたっても次なるりそなが出てくるだけで、同じことだと思うんですね。
 やはり景気を回復させる、デフレを克服するというところに経済政策の重点を置いていかなければならないと思うんですが、総理はこの点、いかがでしょうか。
小泉内閣総理大臣 小泉内閣としても、景気に配慮しながら改革を進めていくということでやっているわけです。それでは、今四十二兆円程度の税収しかないところに三十六兆円の国債発行を容認しているんですよね。そして、道路公団、あるいは郵政民営化、規制改革、金融改革、歳出改革、税制改革を進めていく。そして、経済は生き物ですから、危機を未然に防ぐためには大胆かつ柔軟に対応する、この方針しか私はないと思っています、どの政党が政権をとろうとも。野党も組み替え案を出しましたけれども、三十六兆円の国債発行を認めているでしょう。これは、組み替えてどの程度成長率が上がるのか、もっと財政出動論者みたいに、税収以上に国債発行をしろというんでしょうか、そこで果たして本当に景気回復するのか。こういうことを考えると、狭い道だけれども、私は今の道を進むことが正しい判断だと思っております。
達増委員 自由党は、税収が落ち込んでしまうような経済政策、予算案をよしとは全然していないのでありまして、三十兆円の枠を守ると言いつつ五兆円の補正を立てざるを得なくなるような予算には反対であります。
 そもそもそういう財政的なリスクもまたふえているのが今の政策でありますが、いろいろ思い切った現状打開の手はあると思いますよ。例えば予算を使うことを、今中央官庁で、地方の国土交通政策、産業政策、さまざまなことを中央で計画を決め地方に予算を分配しているわけですけれども、全部財源を地方に移してしまって、それで地方がちゃんと現場のニーズ、そして現場の労働情勢等に基づいて使い道を決められるようにする。
 実は、これを三位一体の改革として小泉内閣は進めるというようなことを言っていたと思うんですけれども、最近の関係の審議会や関係省庁の議論を聞いておりますと、どうも税源移譲というのはできない、まだ無理だ、税収がアップするとか日本経済が回復するとか、それまでは地方には税財源は移譲できないという議論が台頭してきているようでありますけれども、総理は、三位一体にとって税財源を地方に移譲するということはむしろ入り口、それなくして三位一体というのはあり得ないと思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。
小泉内閣総理大臣 三位一体というと、これは税源移譲も交付税も補助金も一体ということなんです。どれが先だという問題じゃないんです。全部一緒にやる、これが三位一体なんです。
達増委員 税源移譲を後にという議論が出てきているので、念のため伺った次第でございます。
 ちなみに自由党は、地方自治確立基本法案という名前で、その三位一体を先取りしまして、既にこの国会に法律案の格好で出しております。地方公共団体に対しまして税財源を移譲、その経過措置としては、今ある個別の補助金やそういった予算について、それを一括交付金として地方に交付するといったような法案を出しておりますので、ぜひそういう議論を国会の方でも活発にしてほしいと思います。
 さて、ブッシュ大統領と日米首脳会談をしてこられて、そこでいろいろ重要なやりとりをされた中で、経済関係について一つ伺いますが、総理は、株価は底であり、日本経済の実態は言われているほど悪くないとブッシュ大統領に述べたそうでありますけれども、かなりこれは大胆な発言だと思うんですが、その判断の根拠はどういったことなんでしょう。
小泉内閣総理大臣 経済問題について、ブッシュ大統領とも意見交換をしたわけですが、その中で、日本の経済については、日本国自身の問題だけれども、同時に、アメリカも大きな関心を持っている、そして、日米経済が健全になれば世界全体もプラスになるんだ、そういう中で出てきた一つの話であります。
 今の改革はどうかという話があったものですから、私としては、就任以来の方針に変わりない、この改革路線を着実に進めている。その中で、今までアメリカ経済もイギリス経済も危機に瀕したことがある。そういう中で改革を進めていったけれども、今回日本は、財政状況が非常に悪いと言われながら、また経済も停滞していると言われながら、アメリカ経済と過去のイギリス経済、経済停滞に陥って改革に取り組んだ点について、一つ大きな違いがあるんだ。
 その違いは何かというときに、私は、それは、これだけ日本の経済が悪い悪いと言われながら、日本の通貨はドルに対して高いんだ、三十年前の三倍に上がっているじゃないか。イギリスに比べてみれば、ポンド、これはもう五倍以上、日本は上がっているわけです。過去三百六十円の時代に比べれば、今百二十円前後でしょう、そうすればこれは約三倍日本の通貨の価値は上がっているわけです。イギリスも、たしか一ポンド千円ぐらいのとき、今二百円を割っているんじゃないですか。
 だから、日本国民は、アメリカの一ドルの商品を買うときに、三十年前は三百六十円出さないと買えなかった、イギリスの商品を買うときに、一ポンドの商品を買うのに千円出さないと買えなかった。今、百二十円出せばアメリカの一ドルを買えるんだ、二百円出せばイギリスの一ポンドの品物を買えるんだ、こういうときはないだろう。これだけ悪い悪いと言われれば、もう円売りが起こっておかしくないはずなのに、むしろドルに対しては円高傾向が続いている。
 こういう中での、今までの、過去のアメリカやイギリスにない経済停滞の中での改革をしているんだという話をして、株価も確かに下がっている。しかし、普通十年前の株価に比べて落ちるのはおかしいと言うけれども、二十年前の株価の水準になっているんだ、こういう非常によくない状況なんだけれども、考えてみれば、これは専門家の中でも今が底だと見ている向きもある。やはり株の中でもうける人を考えてみると、だめだだめだというときに買っていた人が一番利益を得ている、いいんだいいんだというときに買った人は損している。
 そういうことを考えれば、私は、底だと見ている人もいるんだから、アメリカ経済、アメリカ企業もどんどん日本に投資してくれればいい。日本は五年で外国資本を倍増するように私は施政方針演説で言ったんだと。外国企業にとっても日本を魅力ある市場にしたいんだ、そういうことによって、外資警戒論から外資歓迎論、こういう気持ちを持って、私は、外国企業にとっても日本を魅力ある市場にしたいと思いながら改革を進めているということで、今回のりそなの問題にもブッシュ大統領は言及しましたよ。これは改革に向かって進んでいるな、支持するということをブッシュ大統領は言った。
 ドルの問題が今出ました。ドルの問題につきましても、アメリカはドル安は望んでいない、強いドルを望んでいるとブッシュ大統領ははっきり言いました。それは日本にとっても好ましいということを申し上げた、その中で出てきた話であります。
    〔萩山委員長代理退席、委員長着席〕
達増委員 大体どういう根拠で言われたかということはわかりました。
 さて、同じブッシュ大統領との会談で、ブッシュ大統領が非常に心強い発言をされ、総理から謝意を表明したというところがあるんですが、これは北朝鮮との拉致問題に関してであります。ブッシュ大統領が、拉致された日本国民の行方が一人残らずわかるまで日本を完全に支持する、北朝鮮の拉致に対して強く抗議をしたいと発言した。
 ここで確認しておきたいのは、この拉致された日本の国民の行方が一人残らずわかるということは、これは当然日本政府としても目標なのですねということであります。実は、今までの政府の公式発言の中で、拉致された日本国民の行方が一人残らずわかるまでやるんだということが明確に言われたことがあったか、ちょっと思い出せませんので、確認したいと思います。
小泉内閣総理大臣 その表現はともかく、拉致問題解決なくして日朝国交正常化はない、核だけじゃないということを発言しております。ブッシュ大統領と一言一句同じということはありません。
達増委員 では、一言一句同じではなくても、意味として、趣旨として、拉致された日本国民の行方が一人残らずわかるということを日本政府としても目標としていくということでよろしいですね。
小泉内閣総理大臣 拉致問題解明のために全力を尽くす、当然のことであります。
達増委員 日朝平壌宣言のときには、国交正常化交渉の議題として、国交正常化交渉において何々を協議する、何々を協議するというふうに書かれた中に、経済協力については明記されていたんですが、拉致問題あるいは核やミサイルの問題については、国交正常化交渉において協議するというような形では明記されていませんでした。
 しかし、ブッシュ大統領との会談の中でも、この拉致問題や核やミサイルの問題の重要性を相互に確認したようでありますけれども、そうしますと、日朝間でこの拉致問題や核やミサイルの問題が解決しなければ経済協力に関する交渉には入らないという理解でよろしいでしょうか。
小泉内閣総理大臣 交渉はいつでもしたいと思っています。しかし、拉致の問題、核の問題、ミサイルの問題を総合的、包括的に解決しなければ日朝国交正常化はない。交渉はいつでもする用意がある。
達増委員 この問題、去年の秋からしつこく取り上げるようで恐縮ではあるんですけれども、日朝平壌宣言には、去年の十月中、二〇〇二年十月中に国交正常化交渉を再開し、その国交正常化交渉において経済協力の具体的な規模と内容を誠実に協議すると書いてありますので、拉致問題や核やミサイルの問題が解決しないうちにこういう経済協力について協議されたらまずいなと思って、何度も確認しているんです。
 交渉はするとおっしゃいましたが、その交渉というのは、拉致問題や核やミサイルの問題に関する交渉であって、経済協力については交渉の議題にはしないという理解でよろしいでしょうか。
小泉内閣総理大臣 交渉の過程においてはいろいろ意見交換があると思います。北側の立場に立ってみれば、日本からの経済協力を欲しているでしょう。しかし、日本の立場を考えますと、拉致の問題、核の問題等、これの解決なしに国交正常化はないんですから、国交正常化の暁に経済協力というものを考えていいという立場が日本の立場であります。
 交渉の中身の話は、その中で、鶏が先か卵が先か、いろいろあると思いますよ、いろいろな話し合いがされて私はいいと思いますが、正常化がない限り日本は経済協力はしない、そういう方針で臨んでおります。
達増委員 ゴールの問題はいいんですけれども、そのゴールに至るプロセスが曲がってしまうとゴールもおかしくなってしまうので、そのプロセスについてはこれからもチェックさせていただきたいと思います。
 さて、イラク問題であります。
 イラク復興支援云々という話が出ているわけでありますけれども、日本が何ができるか、何をするかという議論があるわけでありますが、そもそもアメリカ等がイラクで行った戦争は、あれは何だったのかということがいまだによくわからないんですね。というのも、停戦交渉とか、まして講和会議とかいうものもございませんし、何が目的で行われたのか、これから占領行政が何を目的にして行うのかよくわからない。
 アメリカの中には、今度はシリアだとか、今度はイランだとか、イラクに置かれたアメリカの基地をベースにして中東全体を平定していこうというような議論もあるわけで、そういう占領行政に日本が協力してしまうことは、さらなる戦争の準備を支援することにもなってしまうと思うんですけれども、この辺、ブッシュ大統領と懇ろに話をされ、アメリカは、そして日本は、これからイラクで一体どういうことをやっていこうというふうに話されたんですか。
小泉内閣総理大臣 ブッシュ大統領は、イラクの問題を中東和平につなげたいと強く考えております。シリアとかイランの話が出ましたけれども、これについては、イラクとは対応が違う。当然北朝鮮に対しても違う。いわば、イラク人のイラク人によるイラク人のための政府を早くつくりたい。そして、中東和平、これについてアメリカも積極的に努力しなきゃいかぬという話をしておりました。
 私は、そのためにも国際協調体制が必要だし、今までも粘り強く努力してきて、幸いにして、会談直前に、フランスもドイツもロシアも米英提案の国連決議に賛成をしたという状況でありますので、今後、日本としても、国際社会への責任を果たすべく、イラク復興支援のために何ができるか。そして、開戦前から私が申し上げましたとおり、これはアメリカとイラクの問題じゃない、国際社会全体の問題であり、アメリカとアラブ、アメリカとイスラム、これは協力していく問題だし、日本としても、日本独自にアラブ諸国との交流、対話を深めたいと思っている、だからこそエジプト、サウジにこれから訪問するんだというような話をしたわけでございます。
達増委員 中東和平というのはイスラエルとパレスチナの和平ということだと思いますが、実は、二十二日の国連決議は、注意深くイラク復興と中東和平を切り離しておりまして、イラク国民の福祉の向上と治安と安定、国民が未来の政治体制を自由に決定できる条件を整えるということがこの復興の目的であって、実は、中東和平、イスラエルとパレスチナの関係にまでイラク復興を役立てるというのは極めてアメリカ的な発想だと思いますよ。そうしますと、ちょっと、国連中心よりも、アメリカに軸足を置いた対応をされているのかなと思うんですが、いかがでしょう。
小泉内閣総理大臣 これはアラブ諸国の人たちが強く考えていることなんです。イラク問題だけじゃない、中東和平が根本的な問題なんだと。このイラクの問題を中東和平につなげなきゃいかぬというのは、アメリカ自身よりも、アラブ諸国、これが非常に強いです。
 当然、フランスのシラク大統領も、中東和平についてはアメリカの関与が欠かせないということをはっきり言っているわけでありますので、私は、これはアメリカだけの考えじゃない、世界共通した考え方ではないかと思います。
達増委員 終わります。
藤井委員長 これにて達増君の質疑は終了いたしました。
 次に、佐々木憲昭君。
佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 りそな銀行への公的資金の投入問題についてお聞きをしたいと思います。
 金額は二兆円を超えると言われておりまして、大変な額でございます。まず、事実を確認したいんですけれども、りそな銀行になる前の大和銀行、あさひ銀行のときにも公的資金が入っていると思いますが、これまでに何回、幾らの公的資金が入ったか、お答えをいただきたい。
五味政府参考人 りそなホールディングスへのこれまでの公的資金の注入状況でございますが、まず、旧安定化法時代に、旧大和銀行、旧あさひ銀行それぞれに、劣後ローンで各一千億円。それから、早期健全化法に基づくものといたしまして、平成十一年三月に、旧大和銀行、旧あさひ銀行それぞれに資本注入が行われましたが、旧大和銀行が優先株式四千八十億円、旧あさひ銀行は優先株式四千億円と劣後ローン一千億円、合計で五千億円。さらに、十三年四月に、グループの近畿大阪銀行に優先株式で六百億円。合計で一兆一千六百八十億円が資本増強されております。
佐々木(憲)委員 今の話にありましたように、総理、今まで二回あるいは三回投入されまして、一兆一千六百八十億円、これが投入されたわけです。しかし、全くこれはむだになった。
 今回、新たに投入をする、こういう結果を招いたわけですけれども、この責任、一体だれがどのようにとるのか、お答えをいただきたい。
竹中国務大臣 過去に一・二兆円の公的資金を注入した銀行が再び公的資金を必要とする状況になった、これは大変遺憾なことであるというふうに思っております。
 これまでの公的資金というのは、その時々において金融を安定化させる重要な役割を果たしたわけでございますけれども、最終的に銀行が健康体に戻ったというふうにはとても言えない状況になっている。こうした点も踏まえて、これまでの改めるべき点は改めるということで、昨年に金融再生プログラムをつくって、改めて申し上げますけれども、資産査定をより厳格に、自己資本を充実させ、さらにコーポレートガバナンス、経営をしっかりさせる、そういう枠組みを強化したわけでございます。
 我々としましては、こうした銀行が今回の公的資金注入によって今度こそしっかりとした基盤を築いて日本の経済の中でしっかりとした根を張って貢献できるように、そういった仕組みをつくって実行していくことがまさに我々の責任であるというふうに思っております。
佐々木(憲)委員 責任をだれが一体どうとるのかというのを私は質問したわけであります。銀行側、政府の両方あると思うんですが、一体どういう責任をとったことになっているんですか。
竹中国務大臣 今回の資金の注入に関しましては、御承知のように、りそなのホールディングスと銀行を含めて、代表取締役の肩書を持つ五人の経営者全員には退任をしていただく、さらには、退職金の支給は一切行わない、また、行内に関しましても、人件費を総額で三〇%削減をする等々の、そういう意味での厳しい責任を含む体制をつくってもらうということにしております。
 しかし、繰り返し申し上げていますように、一度公的資金を注入した銀行が再びそういうことを要している、大変遺憾なことである。我々としては、過去のその点も踏まえて、しっかりとした金融の行政、監督検査の行政を行っていくことが我々にとっての重要な責任であるというふうに思っております。
佐々木(憲)委員 今の答弁で、銀行の責任には触れましたけれども、小泉内閣としての責任、これは全く触れなかったし、またとろうとしていない。
 大体、りそな問題というのは、小泉内閣が進めてきた経済政策がもたらしたものでありまして、りそなホールディングスが発表した文書がここにありますけれども、こういうふうに書いているんですね。三〇%以上下落した株の含み損を計上した、政府の金融再生プログラムの趣旨を踏まえて繰り延べ税金資産を厳格に見た、これが今回の事態に至った引き金になった。
 問題は、それを一体だれがつくったのかということであります。
 小泉内閣が、期限を切って不良債権の最終処理を強引に進めて倒産と失業をふやした、デフレを加速した、デフレ要因だというのは総理もお認めになっておりますが、しかも、ことしから来年にかけて四兆円の国民負担増を押しつける、そのために消費が低迷し、経済の先行きがますます不透明になるというのは、これはもう明確であります。だから株が落ちて銀行の体力が落ちるわけですね。
 その一方で、いわゆる竹中プランでこれまで以上に査定を厳しくして、繰り延べ税金資産は従来どおり認めない、こうして内部から締め上げるという形をとるわけでありまして、こうなれば、大体どんな銀行だって経営が厳しくなるというのは当たり前であります。追い込んだのは小泉内閣ではないのか。
 小泉総理、責任は全く感じませんか。
小泉内閣総理大臣 これが政治の難しいところで、野党の中にも、不良債権を早く処理しろという政党もいる。今、共産党のように、早く処理し過ぎるんじゃないか、もっとゆっくりやれという野党もいる。竹中プランを出したときには、これは金融界も大反発した。こんな厳しいのはいかぬ、もっと甘くしてくれという意見も出たぐらい。それに対して、いや、厳しいのは当然だという意見もある。そこが政治の難しいところなんですよ。
 私は、竹中プランのとおり、既定方針どおり進めて、予定どおり不良債権処理を四%台に二〇〇五年の三月末には進めていくべきだ、その方針に迷うことなく対処してほしいと竹中大臣に指示しております。今回、厳し過ぎるという声もありますが、私は、改革の路線に沿って、従っている。
 責任はどうか。いずれ選挙が来ます。選挙で国民に信を問いたいと思います。
佐々木(憲)委員 今までの経済政策についての責任感は全く感じられない。自分の責任じゃないと人ごとのような答弁であります。一昨日発表されました銀行の決算を見ますと、小泉内閣の政策で大手銀行は軒並み赤字でありまして、金融機能を逆に低下させているわけです。しかも、その失政の穴埋めに公的資金を二兆円も投入する、こんなやり方は根本的に私は間違っているというふうに思います。
 一言で二兆円といいますけれども、これが一体どんなに大きいかということを考えますと、例えば政府は医療費を二割から三割に上げました。それを含めまして、医療費負担だけで一兆五千億円、国民の負担をふやしたわけです。だから、二兆円といいますと、この負担増をゼロにするぐらいの大きな金額なんですよ。
 今、国民の中には、なぜ銀行だけに公的資金なのか、不公平じゃないか、こういう声が広がっておりまして、きょうの朝日新聞に載った世論調査によりますと、公的資金の注入に対して、評価しないというのが六一%に上っているわけであります。
 大体、今まで三十兆円の公的資金を投入して、これで銀行がよくなったのかといいますと、銀行は、全くよくならないばかりか、悪くなる一方であります。
 では、二兆円投入したら中小企業に資金が回るようになるのか、その保証はどこにあるのかという点であります。
 まず、実態を確認しておきたいんですけれども、りそな銀行の貸出先のうち中小企業の金額と件数、その構成比を示していただきたいと思います。
五味政府参考人 平成十五年三月期のりそな銀行におきます国内の貸出残高が約二十一兆円でございます。このうち、個人向けを含む中小企業向け貸し出しの残高が約十六兆円。したがいまして、そのシェアは七七%程度ということになります。
 それから、貸し出しの件数で申し上げますと、総与信のベースで、同じく十五年三月期、国内総与信件数が、りそな銀行は約六十七万九千件ございます。このうち、個人向けを含む中小企業向け与信の件数は約六十七万七千件でございますので、シェアで申しますと九九%程度ということになります。
佐々木(憲)委員 このりそな銀行というのは、地域に非常に密着したと言われている銀行でありまして、中小企業の比率が非常に高いわけであります。つまり、中小企業等でありますが、今貸出金額の七七%、件数でいいますと九九%と圧倒的に中小企業が対象なんです。この中小企業がこれから一体どういう扱いになるのかというのが大変不安を広げておりまして、りそな銀行というのは竹中プランにある特別支援銀行、こういうもので最初のケースになるわけですね。
 金融庁が四月四日に公表した方針によりますと、この特別支援銀行の場合には、再生勘定と新勘定、この二つに分けまして、再生勘定には要注意先以下の債権を入れる、新勘定にはそれ以外の正常債権などを入れて管理する、こういう仕掛けになっていると思いますが、事実かどうかだけ、お答えをいただきたい。
五味政府参考人 四月四日に特別支援金融機関における管理会計上の勘定分離ということで、金融再生プログラムのいわゆる特別支援を受けることになった金融機関の新勘定、再生勘定の管理会計上の区分を明らかにする方針を出しております。
 この中では、特別支援を受ける原因になった不良債権などの資産に対応する部分、これを再生勘定、その他の部分を新勘定というように、管理会計上分離をするということになっております。
 再生勘定の方に回りますのは、要注意先ではなくて要管理先以下、いわゆる不良債権として開示をされる債権、これが中心になるということでございます。
佐々木(憲)委員 今説明がありましたように、ここに、それを図に示したものでありますが、これはりそな銀行の債務者の区分でございます。(パネルを示す)正常先、要注意先、要管理先、破綻懸念先、破綻先など、こういうふうになっておりまして、今までは破綻懸念先以下が不良債権とされて処理の対象、従来の処理対象がこうなっていた。今度は、再生勘定という勘定を設けまして、今言われたように、要管理先、要注意先のうちの一部でありますが、要管理先以下、これが不良債権早期処理の観点から管理を行う、こういうふうになっているわけであります。
 そうしますと、要管理先である債務者というのは一体何なのかということになってくるわけですね。金融庁の金融検査マニュアルによりますと、「全部又は一部が要管理債権である債務者」とされているわけですね。簡単に言いますと、ある企業が三つの銀行からお金を借りる、そのうちの一つの銀行に対する返済が三カ月以上滞る、あるいは返済条件を変えてもらう。二つの銀行に対しては計画どおり返済している、しかし一つの銀行に対してそういう状態が起こったら、その企業は全体として要管理先になるわけです。
 しかし、こういう債務者というのは世間に幾らでもあるわけでありまして、金融庁の方針に何が書いてあるかといいますと、この再生勘定に入る要管理先以下は不良債権の早期処理等の観点から管理すると。こうなっていきますと、こういう中小企業も不良債権処理の対象として扱われて、つぶされてしまうんじゃないか、こういう不安が出されるわけですけれども、これは一体どうなるんでしょうか。竹中大臣にお答えをいただきたい。
五味政府参考人 平成十三年の四月に緊急経済対策が出ておりますが、この中で、いわゆる不良債権につきまして、こちらで今お示しの表の従来の処理対象、破綻懸念先以下、これは再生も含めまして一定期間内に早期のオフバランス化をする、それから要管理先につきましては、同じ緊急経済対策におきまして、やはり不良債権ではあるわけですが、これは正常債権化をするような体制を整える、こういう位置づけになっておるわけでございまして、この勘定分離というのは、行われましても管理会計上の話でございますので、緊急経済対策の基本的な考え方に変更があるわけではございません。
佐々木(憲)委員 変更がある、変更がないという話じゃないんです。ここに入れられたら、方針に書いてあるとおり、不良債権の早期処理等の観点から管理すると書かれているわけですから、不良債権を加速するということになるわけですね。つまり、要管理先、つまり三カ月以上も支払いが滞った、この程度の企業はここに入るわけです。そうしますと、不良債権処理の対象として管理するんだ、こうなるわけですから、これはつぶされるんじゃないかというのは当たり前じゃありませんか。
竹中国務大臣 新勘定と再生勘定の問題は、恐らく債務者の皆さんでも大変心配しておられる方がいらっしゃると思いますので、ぜひきちっと申し上げたいというふうに思います。
 まず、我々、今度、新勘定と再生勘定というふうに、なぜこういうことを考えるかといいますと、まさに、今まで公的資金を入れたけれどもなかなか結果が出せなかった。我々、新しい経営者に結果を出してほしいわけです。結果を出していただくためには、ちゃんと収益が上がる正常ないしはその他要注意の、ここからは収益をちゃんと上げてくださいね、それがあなたの責任ですよという勘定と、ここは今すぐ収益を上げることはできないけれども、きっちりと再生に向けて管理してくださいね、そこをしっかりと分けて、まさにそれが局長が言われた管理会計ということの意味です。
 一般に、雑誌等々では、これは、グッドバンクとバッドバンクに分けて、バッドバンクは外に出すんだ、スウェーデンがやったようなそういうイメージで話される方がいらっしゃいますけれども、これは間違いです。そんなことは全く考えておりません。新しい経営者はすべてに対して責任を負います。しかし、ここからはきちっとした収益を上げてくださいという責任、これはしっかりと再生してくださいという責任、それが管理会計の意味です。
 それで一方で、今局長が答弁しましたように、しっかりとオフバランス化をしていかなければいけない。これは、りそなだけではなくて、すべての銀行に対して、平成十三年四月に、これは私の就任前でありますけれども、つくられたルールがあります。そのルールはどこに適用されるかというと、これは今までどおり破綻懸念先以下に適用されるわけで、今回、新たに要注意先にそれを適用しようということは全くございません。
 その意味では、そういう意味での今佐々木委員が御指摘のような御心配をここで債務者の方に持っていただく必要は、私は、もう全くないというふうに申し上げたいと思いますし、しかし、新しい経営者には、再生勘定は再生に向けて、収益の上がる新勘定は収益を上げて、まさに公的資金を注入した結果を出していただく、そのようなしっかりとした管理をしていただきたいと思っております。
佐々木(憲)委員 今説明がありましたが、この要管理先以下の部分が入って、これで再生なんだと、盛んに再生、再生ということをおっしゃいますけれども、再生のためには銀行はきちっと融資をしなきゃならぬのですよ、これは取り上げたらつぶれるんですから。
 再生と言うからには、では不良債権処理の対象から外すんですか、融資を継続するんですか、借金は免除するんですか。はっきりこれは答えてください。ここに入れたら全部が再生されるんですか。
竹中国務大臣 それはまさに銀行の経営判断になります。これは、再生できるものは再生させる、そのために結果的には産業再生機構もつくったわけでありますけれども、産業再生機構には、この要管理先から、まさに出口の見えるもの、再生可能なものはぜひ積極的に産業再生機構を活用するような方向に全体として私たちもぜひ持っていきたいと思います。
 これは、再生させるものは再生をさせる、さらにスリム化していくものはスリム化をしていく。これは、繰り返し申し上げますが、今までの債権の管理と同じやり方で要管理先については対応をしていただくということになります。しかし、繰り返し言いますが、その場合に、通常、正常に収益がある部分とそうでない部分、経営者の責任の区分を明らかにするためにそういう勘定の分離をまさに管理会計上行ってもらうということです。
佐々木(憲)委員 再生させるものは再生させると口では言いますけれども、実際に今まで、不良債権処理で圧倒的多数の中小企業がつぶされてきているんですよ。
 政府は、来年の三月までに不良債権を半分に減らす、これが新しい方針でしょう。つまり、不良債権とされた中小企業の半分をつぶすという方針なんです、政府は。再生させる方針なんかないじゃないですか、まともに。この大方針が変わらない限り、再生と言っても、それは言葉だけなんです。
 結局、再生勘定に入れられた中小企業の多くがつぶされるという危険性が非常に強くなる。これは再生勘定じゃなくて中小企業破壊勘定じゃないのかと言わざるを得ないですよ。
 大体、竹中プランで中小企業は生き返って大変喜んだという話、聞いたことありませんよ。竹中さんありがとうという声なんか聞こえないですよ。どんどんつぶされて、怨嗟の声が満ち満ちているんですよ、今。何人自殺したと思っているんですか、不良債権処理で。
 こんなことをやったら、経済全体でも、デフレはますます深刻化して日本経済は破綻する。直ちに竹中プランは撤回して、中小企業つぶしはやめて、末端に資金が供給されるようにすべきだ、このことを申し上げたいと思うのです。
 政策の破綻による国民へのツケ回しという点では、生保の問題だって、総理、これは同じようなものなんですよ。つまり、予定利率を引き下げていく。
 新聞の投書で、こういう訴えがあるんです。予定利率を高く設定するリスクを考えずに商売しておいて、そのリスクに耐えられなくなったら相手に負担してほしいでは詐欺だと。これは愛知県、六十歳の男性。これは中日新聞、東京新聞に出ているんですね。
 保険というのは、もともと契約が命であります。契約違反を政府が決めて国民に押しつけるというのは、こういうやり方は保険事業そのものに対する不信感を広げることになるわけであります。
 総理はこういう国民の声に対して一体どうこたえるのか、お答えをいただきたい。
小泉内閣総理大臣 金融機関への公的資金注入も、今回の生保の予定利率の引き下げの問題も、それでは、すべて批判されますが、りそなに対して公的資金を注入しない場合どうなるのかということをやはり考えなきゃいかぬと思うのです。預金者、取引先企業、そのままほっておいていいのか、取りつけ騒ぎなんか起こった場合どうするのか、この破綻がほかの金融機関に波及していいのか、やはりこういうことを未然に防がなきゃならない。そのバランスを考えなければいかぬ。
 生保予定利率の問題についても、これは選択できるんですが、これは会社ごとそれぞれによって判断が違うと思います。予定どおり利率の、保険契約者が予定どおり望んでいることは事実だと思います。これが破綻した場合と、破綻させないで、ある程度予定利率を下げていい場合と、それぞれ会社が自主的に判断し、保険契約者との信頼関係に基づいてやられるわけでありますので、これも私は、会社と契約者の間で十分な信頼関係のもとでなされるべき一つの選択肢を提供したということを御理解いただきたいと思います。
佐々木(憲)委員 選択肢と言いますけれども、あるいはつぶれるよりも負担が軽くなると言いましたが、必ずしもそうならないというのが実態で、東京生命の場合は、破綻したけれども責任準備金はカットされませんでした。新しい予定利率も二・六%、政府の試算一・五より高いのです。
 ですから、何か、つぶれる前にこういうことをやるんだと言いますけれども、そういう状況、つぶれるような経済環境を政府がつくって、デフレを加速して、国民負担をどんどんふやして、成り立たないようにしているその政策をまず転換しなきゃならぬ。国民の消費、需要、これを拡大するという方向に転換する、これが一つと、それから、政府がこういう金融機関に対して、末端に、中小企業に仕事が行くように、あるいは国民の信頼を取り戻す、契約者の信頼を取り戻す、こういう方向に転換するということが先決じゃないんでしょうか。
 私は、もう一つ問題を提起したいのは、この生命保険会社各社の、国民政治協会、つまり自民党に対する献金ですよ。
 私はこれを調べてみましてびっくりしましたけれども、自民党は、一方でこのようにして保険金、年金をカットしていくということを決めておきながら、ずっとこの間、献金を受け続けている。自民党の資金管理団体の国民政治協会へ献金をしている生保会社、二十一社、これは破綻した生命保険会社も含んでおります。十年間の献金総額は十三億八千五百五万円。赤字続きで破綻した七社すべてが、破綻の直前まで献金しているんですよ。あなた方は、経営危機にある保険会社から十四億円も吸い上げておきながら、その一方で、国民には、保険金カット、年金カット、こういうツケ回しをしている。
 総理にお伺いしますけれども、こういう状況の生命保険会社から毎年毎年このような献金を受け取る、これはこれからも続けるというつもりでしょうか。
小泉内閣総理大臣 これは、吸い上げているというのは語弊があると思うんですよ。献金、寄附、これは、どの政党も国民の献金によって政治活動をしている。その一環でありますから、私は、今回の政治資金の問題につきましても、今国会中に少しでも前進できるような対応をとっている。今協議中でありますので、どのように政治活動のための資金を国民からいただくことができるか、また、その資金のあるべき姿というのはどのようなものが望ましいかということを今議論の最中でありますので、この点に向けては、今国会中に一歩でも二歩でも前進できるような対応をとろうということで今与党でも真剣に協議中でございます。
佐々木(憲)委員 大体、今、政治資金規正法の問題おっしゃいましたけれども、私は、去年ここで、鈴木宗男議員の問題にも関連して、政治資金、公共事業、国民の税金を使って仕事をするような会社からの献金はやめなさいと言ったわけですよ。検討すると言って、一年半たってもまだ結論が出ない。しかも、生命保険会社からこれだけ献金を受け続けても、やめるという決意さえ出てこない。まさに、これだって国民の税金を注ぎ込むような仕掛けをつくっているんですよ。しかも、国民の年金やこういうものまで削る、これを続けていくという小泉内閣というのは、本当にあきれて物が言えない。もうこういうやり方は即刻やめてもらいたいということを申し上げて、終わります。
藤井委員長 これにて佐々木君の質疑は終了いたしました。
 次に、横光克彦君。
横光委員 社民党の横光克彦でございます。
 質問をさせていただきます。
 りそな銀行に対して最大二兆三千億円とも言われております膨大な公的資金が投入されることになり、実質国有化されることになりました。確かに金融危機を深化させてはなりませんし、また預金者の保護も必要でございます。取引先融資企業への配慮もしなければなりません。いわゆる金融システムを守るためにやむを得ない措置であるということは理解できます。
 しかし、その一方で、やはり一民間企業を救済するために公的資金で救済することに国民の多くが、とりわけ倒産した中小企業経営者の皆様方からは激しい不平や不満がわき起こっております。
 私も、先週地元で、倒産した中小企業経営者、そして債権者に追いまくられて返済に四苦八苦している方から激しい抗議を受けたんですね。何で大企業ならいいのか、なぜ銀行なら救ってくれるのか、国は銀行に対して特別扱いしているのではないか、余りにも不公平だ、そういったごく素朴な、まともな疑問やあるいは批判、そういったものを聞かされたんです。
 こういった怨嗟の声がわき起こっているわけでございます。ですから、そういった声にも、方々にもしっかりと理解してもらう、あるいは納得してもらうためにも、なぜこのような事態に至ったのか、りそな銀行の責任は当然でございますが、なぜそのような事態に陥ってしまったのか、政府としては公的資金を投入しなければならなくなったのか、このことの原因そしてまた責任をはっきりと国民に示していただかなければならないと思っております。
 小泉総理は、政権発足以来、不良債権問題の抜本的処理を最重点課題として掲げてまいりました。しかし、実際には、みずから外交に精力を注ぐ一方で、経済金融政策については竹中大臣や日銀に丸投げをしてきたんではないか。今回のりそなへの公的資金の注入の最大の原因は、そういった小泉首相の経済失政にあるのではないかという思いがいたしておりますが、いかが認識しておられるでしょうか。
小泉内閣総理大臣 経済失政とは思っておりません。やるべき改革をやる過程での副作用である。この副作用をいかに緩和するかという措置も必要でありますが、それでは、不良債権処理をしなくていいと言うんですか。そうじゃないでしょう。進めろという声の方が圧倒的に多いでしょう。不良債権処理を進めないで成長分野への健全な融資が行われない。
 では今、気持ちはわかります、大銀行だけに何で公的資金を注入するのかと。しなかったら、破綻したらどうなんですか。りそなというのは、ほとんど中小企業関係の融資……(横光委員「いや、それはやむを得ないと言ったじゃないですか。ですから、説明をしてくださいと、国民に」と呼ぶ)やむを得ないと言っているんでしょう。
 だから、こういう点について、バランスの問題です。公的資金を注入しない場合の被害と、した場合の損失、副作用とどうか。これまたどの程度公的資金が注入されるか、これからの問題でありますが、俗に二兆円程度と言われておりますが、これも健全化すれば後で戻ってくるんですから、税金をどぶに捨てるというような批判は当たらない。
 健全化するように、再生するために努力していくということが大事だと思いますし、私はやはり物事は両面見ないといかぬと思う。片っ方だけで、立場がはっきりしている、では、公的資金を投入するなという立場ならわかりますよ、破綻させろという意見だったらわかります。そうじゃない。では、そうじゃないと言ったらどうするのか、こういう意見が必要だと私は思います。
横光委員 私が先ほど言ったじゃないですか。そういった金融システムを守るためにはやむを得ない措置である、しかし、一方ではそういった声がわき起こっておるんで、そこに対しては説明をしろということを言っている。
 それを総理は、失政ではないと言う。失政でなくて、何でこういった金融、銀行の危機が起きるんですか。実際、銀行の危機が起きるということは、よほどのことなんですよ。現に、実際、それは確かに今度のりそなの問題は、いわゆる繰り延べ税金資産を厳格化した、適正化した、これが直接的な原因でしょう。しかし、そこに至るまでにはやはり日本の経済のあり方というのが大きく影響しているということを言っているわけですよ。それをきょう、各委員がずっと言ってきたわけでしょう。
 そのことに対して、政府は何も責任を感じていない、失政していないと。失政していなければ、こんなことが起きるはずがないじゃありませんか。やはりそこのところを国民に、十分ではなかったというぐらいのことを言わない限り、国民は、それはなかなか納得できません、公的資産ですから。そこのところを言っているわけでございます。
 ですから、ある意味では、小泉経済政策の中で、株価が一万四千円から八千円台に落ちたわけでしょう。これは、小泉経済政策の中で落ちておるんですよ。あるいは、不良債権処理も一生懸命処理をしている。しかし、土地が下落する、株価が先ほどのように下落する、資産価値が落ちてしまう。結局、倒産してしまって、また新たな不良債権が発生する。処理をしても発生する。モグラたたきのような現状が起きているんですよ。それは小泉経済政策の中で起きておるんですよ。ですから、そのことに対しては、失政でなかったと言ったって、国民はなかなか理解できないじゃないかと私は申し上げているんです。
 ですから、こういった現実をしっかりと認識してくれなければ、りそなの再建とか再生と言っておりますが、りそなの再建どころか、私は、二兆三千億円とも言われるこの膨大な公的資金をどぶに捨てるようなことになりかねない、そういう危惧があるものですから、やはり政府としてははっきりと、十分ではなかったぐらいの責任は国民の前に示していただきたいと思いますが、いかがですか。
小泉内閣総理大臣 しかし、不良債権処理を進めなかったらどうなるかということも考えていただきたい。逆になりますよ。今のままでいいのかと。私は不良債権処理を進めていく。全然進んでいないと言っていますけれども、進んでいます。そして、二〇〇五年三月末に四%台にするという、今の計算では、そのとおりになる予定が進行しております。
 それでは、しないでいいと、今までの不良債権処理を進めないで財政出動させて、どう日本の経済体質が強くなっていくのかということもやはり考えていただきたい。ですから、何事も、あれをやればいい、これをやればいいという意見が出てきますけれども、両面を見なきゃいかぬ。私は、財政政策におきましても金融政策においても、非常に狭い道だ。そういう中で、今の不良債権処理を進めることなくしてこれからの将来の発展はないであろうということで進めているわけであります。その点もやはり御理解いただきたい。
 今回の公的資金も、国民の理解が得られないと言っていますけれども、公的資金を投入しなかった場合に、預金者保護ができなかった場合、中小企業の取引先企業に混乱が起こった場合、それも考えなきゃいかぬ。ほっておいていいのか。公的資金投入反対だという声がありますけれども、それでは、はっきり言っていただきたい。するなという前提で私を批判するのか……(横光委員「私はやむを得ないと言っておるでしょう」と呼ぶ)そうでしょう。そういうことを、立場をはっきりしてやると、もっとはっきりする。
横光委員 ですから、先ほどから水かけ論のようになっておりますが、本当にやむを得ない措置ですよ。ですから、そのことはわかるんです。でも、これは銀行経営の失敗責任だけでなく、日本の経済全体の責任もあるだろう。その責任者のトップリーダーはあなたである。そのことに対して、国民に対して何らかの、やはり今の経済政策が十分ではなかったためにこういうことが起きたぐらいのことを示さないと、失政ではなかった中でこんなことが起きたと言ったら、国民は何にも理解できませんよね。正しかったということになったら、正しい中で何で金融危機が起きるのかということになりますので。
 先ほどから危機の話がずっと出ております。これについてもちょっとお聞きしておきたいと思うんですが、総理はこれまで再三、金融危機は起こさせないと明言してきております。りそなへの公的資金注入の決定は、これは経済有事の発生であるぐらいに私は思っておるわけですよ、政府の方は危機ではなく再生だと言っておりますが。しかし、金融危機対応会議を招集せざるを得なくなり、公的資金注入に踏み切った。この最大の判断基準はどこにあったんですか。危機だからでしょう。
竹中国務大臣 先ほどからも答弁させていただきましたように、りそなという銀行は、資産規模が四十数兆円、四メガに続く規模の銀行でございます。特に、埼玉、関西を中心に中小企業の融資ネットワーク、非常に深く根差したものを持っている。そうした規模と存在感のある銀行が、自己資本比率二%台でそのままマーケットの中にさらされたら一体どういうことになるか。これはやはり信用秩序に重大な支障があるというふうに我々は判断をしたわけです。そこがまさしく判断の基準でございます。
横光委員 つまり、その判断は、金融危機であるという判断だと思うわけです。二%で、要するに、自力ではもう回復が困難であると、そして国に申請を求めてきたわけでしょう、このままほっとけばもう完全に破綻するわけですから。
 要するに、この資産規模四十数兆円という、四大メガバンクに次ぐりそなホールディングスという大きな銀行が国に結局助けを求めたわけですから、申請をしたわけですから、公的資金の投入をしてくださいと。この事実は、この我が国がまさに深刻な金融危機の真っただ中にあるということを見事に証明したようなもので、金融危機以外の何物でもないじゃないですか。これを、金融危機じゃないんだ、再生なんだとか、そういったごまかさないで、しっかりと受けとめた上で対応しなければメガバンクへの連鎖的な波及につながる可能性がある。ですから私はお聞きしているんです。
 総理は、国民の声には真摯に耳を傾けるとよくおっしゃっておられます。
 先週の読売新聞、そしてまた今週の朝日新聞の直近の世論調査の国民の声。読売新聞では、構造改革経済から景気対策重視への政策転換を求める人が何と七〇%。これは国民の声。朝日新聞のアンケートでは、構造改革と景気・雇用対策のどちらを優先するかという問いでも、景気・雇用対策を優先してほしい、これが六七%。やはりほぼ同じですね。これが国民の直近の声です、先週と今週の。
 この国民の声だけではないんですね。一週間前の東京新聞での、全国の主要企業、日本の中枢になっている主要企業二百七社、これを対象にした景気アンケートの結果、景気の現状について、横ばい状態である、後退している、これを合わせますと、何と総理、九八%を超えたという結果が出ているんです。これが日本の経済の中枢を担っている企業の答えなんです。小泉内閣の経済失政に対しても、主要企業二百七社の過半数が評価しないという結果も出ております。
 総理、総理はよく国民の声に耳を傾けるとおっしゃっている。これほどの国民の声、そして主要企業の声、こういった声にやはり真摯に耳を傾けるべきだと思いますが、いかがですか。
小泉内閣総理大臣 国民の声もさまざまなんですよ。改革も進めてほしい、景気も回復してほしい、その両立をしていかなきゃならない。世論調査どおりにやるわけにもいかぬ。実際の政権運営をする場合には、一つの政策だけじゃないんです。全体、外交政策もあれば内政政策もあれば、いろいろな政策もあります。一様じゃないんです。意見もさまざま。野党でもさまざまでしょう。そういう中で責任をとっていかなきゃならない。
横光委員 確かに国民の意見はさまざまです。しかし、今私が示した二つの大新聞の世論調査は、ほぼ同じ数字なんです。さまざまじゃないんです。七〇%の人たちが構造改革から景気対策に転換してほしいと。これはさまざまですか。どこから見てもさまざまじゃないじゃないですか。主要企業のほとんどが、今後退をしているという答えを出している。これをさまざまと言ってしまえば何にも対応できませんよ、総理。やはり、これは七〇%の声としてまじめに受けとめてくれなければ。
 ですから、国民の声に真摯に耳を傾けるとおっしゃっておりますが、今のお答えでは、全然国民の声に真摯に耳を傾けておられない。国民の声を右から聞いて左に聞き流すような答弁でございます。もっと言えば、国民の声に耳をふさいで何か国民の声を聞いているような、そんな答弁じゃないですか。(発言する者あり)いやいや、そうですよ。
 総理、こういった国民の声あるいは日本の主要企業の声、こういった声がはっきりと経済数値になってあらわれてきているんです、現実に。
 二〇〇二年度の名目国内総生産、GDP、四百九十九兆四千億円。五百兆の大台を割っているんですよ。二年連続のマイナス成長なんです。はっきり数字にあらわれているんです、そういった声が。八年ぶりに五百兆の大台を割ってしまった。まさに深刻な事態と言わざるを得ないわけでございます。この事態は小泉政権になってからなんです。
 ですから、総理、私が再三申し上げたいのは、国民の声、主要企業の声に耳を傾けて、そして抜本的なデフレ脱却策を打ち出さない限り、あるいは、つまり構造改革から景気対策へ、国民の要望のように、そういった対策へと大胆な政策転換に踏み切らない限り、いつまでたってもこの日本経済は縮小傾向から抜け出せないのではないかという気がいたしておりますが、いかがですか。
小泉内閣総理大臣 景気対策を進めてくれ、した方がいいのかしない方がいいのかという場合、みんな景気対策は進めてくれと言うと私は思いますよ。
 では、お聞きしたいんですが、どうやって景気対策を進めるんですか、構造改革をやめて。構造改革も進めなきゃならない。景気対策も進めなきゃならない。両方しなきゃいけないんですよ。それをやっているのが小泉内閣なんです。
 景気対策をしろしろと民主党は言っていますけれども……(発言する者あり)社民党か。いずれにしても、では、何が景気対策なんですか。
横光委員 要するに、総理は、景気対策か構造改革かどちらかといったら、景気対策の方が多いと答えるに決まっているじゃないかと今おっしゃった。そうじゃなかった。最初に総理が就任されたころは、構造改革の方が多かったんですよ。ところが、構造改革の実態を見て、二年たったときに、こういったアンケート結果が出ているんです。最初は、構造改革をやってほしいという声が多かったんですよ、国民の中では。それが、二年たって、今、こういった経済状況の中で、今度は景気対策の方にシフトしている。これ以上総理の言うようなことをやられてしまったのではもう疲弊してしまうという国民の声が、数値にあらわれているわけですよ。それを言っているわけです。
 ですから、そういった意味から、今度の公的資金の注入、これは、やむを得ないと私も申しましたが、やむを得ない以上、りそなの再建に対して大変な責任が伴ってくるということです。物すごい責任が伴ってくるんですよ。
 その再建についてちょっとお尋ねいたしますが、そもそも今回のりそなの問題は、りそな銀行の自己資本が繰り延べ税金資産によってかさ上げされていた、これが発端でございます。こういった事態からしても、政府は、大手行の不良債権の的確な査定をして、情報開示をまず徹底すべきである、これが一つでございます。
 そして、その上で、りそな銀行に対する再注入分、二兆円とも言えるこの再注入分が、国民の血税によって賄う以外にないといった最悪のてんまつを招かないように、そういうふうに政府が最後まで責任を負う必要があるということでございます。
 これまでのように、経営不振企業向けの不良債権は国民負担で処理をして、そして優良債権は外資に安く提供するがごとくの安直な処理、これは絶対に許されないと思いますが、その覚悟はおありでしょうか。
 この二つのことについてお尋ねいたします。
竹中国務大臣 横光委員、情報をしっかり開示しろということと、その再建に向けてしっかりとした体制をとれ、その二点であろうかと思います。
 情報に関しましては、これは我々既に情報開示の仕組みを持っておりますけれども、特にりそな銀行においては、今回のような事態を踏まえて、新しい経営陣のもとで、まさに説明責任をしっかりと果たしていく、その十分な体制をとってほしいというふうに私も思っておりますし、ぜひそのような方向に持っていきたいと思っております。
 結果として、やはり今回の資本注入が生かされて、銀行がよくなって、地元の経済がよくなって、国民負担も結局ない形でお金が返ってくる、そのようにするためには、新しい経営者にやはりしっかりと目標を立てていただいて、その目標を実現していくためのガバナンスの仕組みをつくるということに尽きると思います。
 先ほど申し上げましたように、新しい商法の仕組みで、委員会等設置会社というやり方がある。これは今年度から一部の大企業で採用される、非常に外部からのガバナンスをきかせる仕組みですが、私としては、りそなに早速この制度を採用してもらいたい。その上で、外部の、社外取締役を多用して、しっかりと結果を出してもらいたいというふうに思っております。
 具体的には、経営健全化計画が正式な申請とともに出されます。我々は、それをしっかりと審査して、今申し上げたような結果が出るように、ガバナンスを強化していきたいと思います。
横光委員 先ほどから再生、再生とおっしゃっておられるわけですから、これだけ膨大な公的資金を投入する以上、先ほどから言いますように、血税ということにつながらないように、本当に大きな責任が政府に加わったと私は思っております。
 その次に、りそなグループは、地域密着型の、小口融資重視の経営方針をとってこられております。その姿勢自体は、私は評価できるものと思っております。
 ですから、政府としては、今度、三十日、あさってまでに新経営健全化計画が出される予定になっておりますが、これに対しても、政府も実質的な支配権を行使できる立場になったわけですから、そういった立場である以上、地域経済への影響を回避するとともに、善良な中小企業への融資が滞ることのないように万全を期すことも、これまた政府が負うべき最低の責任であると思っておりますが、その点はいかがでしょうか。
竹中国務大臣 りそな銀行は、一つのみずからのビジネスモデルとしまして、スーパーリージョナルバンクという言葉を使ってまいりました。ことし二月には、そのための戦略というものも発表をしております。
 りそなとしては、先ほども言いましたように、特に埼玉、大阪等々に非常に深く根差した貸し付け、預金者のネットワークを持っている。新しい経営健全化計画そのものは新しい経営陣によってつくられるべきものではありますけれども、当然のことながら、そうした地域に密着した基盤を生かした一つのモデルを展開していくというのが、これはやはり自然な姿であろうかというふうに思っております。
 そうした視点からの経営健全化計画が出てくるというふうに思っておりますし、ぜひとも、そうした観点からまた我々も審査をしていきたいというふうに思っております。
横光委員 では、今度、きょうは外交も一応ちょっと触れさせていただきたいと思います。
 のど元過ぎれば熱さを忘れるということになっては困りますので、ちょっとお聞きいたしますが、さきの米軍のイラク攻撃、これは、攻撃の最大の理由、大義は、イラクの大量破壊兵器開発疑惑でございました。しかし、いまだに大量破壊兵器は発見されておりません。このことに対して、アメリカも、また攻撃を支持した我が国も、この正当な理由が実際成り立っていない状況について、何も説明がないんですね。終わってしまえば理由なんかどうでもいいと言っているような感じで、やはり非常におかしな問題でございます。
 大量破壊兵器自体か、あるいは少なくともその明白な証拠が見つかるという保証はできるんでしょうか、総理にお聞きいたします。
小泉内閣総理大臣 保証はと言われれば、日本が探しているわけじゃありませんから、そこまでは断言はできませんが、いずれ見つけることができる、自信があるというふうにアメリカははっきり言っておりますし、現に、かなり化学兵器等の研究所も見つかっているようであります。
 時間がかかると思いますが、いずれ私は見つけるんじゃないかと思っておりますし、フセイン大統領もいまだに生死がわかりません。こういう状況において、私は、時間がかかると思いますが、いずれ、そのような大量破壊兵器、化学兵器、生物兵器、疑惑が持たれたものが見つかるものと思っております。
横光委員 いずれそれはわかるだろうというお言葉でございますが、もし仮に、破壊兵器が結局発見できなかったということになったら、日本は攻撃を支持したわけですが、日本の支持の理由としてやはり破壊兵器の疑念があったわけですね、それが発見できなかった場合、総理は発見できるだろうというお言葉ですが、もしできなかった場合、それでも支持ということになるんですかね。まあ、仮定の話。
 ちょっと時間がなくなったので、もう一つ、大事なことをお聞きします。
 海上自衛隊の補給艦によるアメリカ空母キティーホークに対する燃料の提供問題、これは総理、本当にテロ特措法を完全に逸脱した行為となっていると思います。総理は、はっきりとこのことは認識されておられるでしょうね。
小泉内閣総理大臣 給油、補給、これはテロ特措法に基づいた対応であります。
横光委員 テロ特措法を逸脱したところで間接給油をしているということを統幕議長も認めたんですよ、総理、聞いていないんですか。
 これは、海上自衛艦「ときわ」がアメリカの補給艦に給油をした。その数時間後に今度は、この補給艦が空母キティーホークへ給油したんです。この空母キティーホークの任務は、いわゆるイラク南部の飛行禁止区域のサザンウオッチ作戦であり、アフガンでの不朽の自由作戦ではなかったんですよ。その後、イラク戦争にすぐこのキティーホークは参戦しておるんですよ。ですから、アフガン作戦に従事していた、テロ特措法にかなった給油ということは、これは政府説明は明らかに誤りなんです。そのことは、石川統幕議長も認めておる。
 テロ特措法では、イラク戦争に参加する艦船への補給は認められておりません。ですから、テロ特措法の目的から完全に逸脱した行為である。こういったことが現場で行われていることは、非常に私は遺憾でありますし、こういうことは、国民にもっともっと情報を開示していかなければならない問題であろうと思っております。
 終わります。
藤井委員長 これにて横光君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして、本日の集中審議は終了いたしました。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後五時五十分散会


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