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第25号 平成15年6月23日(月曜日)

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平成十五年六月二十三日(月曜日)
    午前十時一分開議
 出席委員
   委員長 藤井 孝男君
   理事 斉藤斗志二君 理事 自見庄三郎君
   理事 萩山 教嚴君 理事 宮本 一三君
   理事 山本 幸三君 理事 末松 義規君
   理事 原口 一博君 理事 細川 律夫君
   理事 石井 啓一君
      石川 要三君    岩崎 忠夫君
      衛藤征士郎君    小此木八郎君
      大原 一三君    北村 誠吾君
      倉田 雅年君    栗原 博久君
      高鳥  修君    竹本 直一君
      中山 正暉君    丹羽 雄哉君
      西川 京子君    葉梨 信行君
      萩野 浩基君    馳   浩君
      原田 義昭君    松岡 利勝君
      松島みどり君    三ッ林隆志君
      水野 賢一君    宮澤 洋一君
      持永 和見君    山口 泰明君
      吉野 正芳君    渡辺 博道君
      石毛えい子君    上田 清司君
      海江田万里君    河村たかし君
      玄葉光一郎君    田中 慶秋君
      中村 哲治君    長妻  昭君
      細野 豪志君    吉田 公一君
      米澤  隆君    赤羽 一嘉君
      田端 正広君    西  博義君
      達増 拓也君    中塚 一宏君
      樋高  剛君    佐々木憲昭君
      矢島 恒夫君    中西 績介君
      横光 克彦君    江崎洋一郎君
    …………………………………
   内閣総理大臣       小泉純一郎君
   総務大臣         片山虎之助君
   財務大臣         塩川正十郎君
   文部科学大臣       遠山 敦子君
   厚生労働大臣       坂口  力君
   経済産業大臣       平沼 赳夫君
   国土交通大臣       扇  千景君
   環境大臣         鈴木 俊一君
   国務大臣
   (内閣官房長官)     福田 康夫君
   国務大臣
   (金融担当大臣)
   (経済財政政策担当大臣) 竹中 平蔵君
   国務大臣
   (規制改革担当大臣)   石原 伸晃君
   国務大臣
   (構造改革特区担当大臣) 鴻池 祥肇君
   内閣府副大臣       根本  匠君
   財務副大臣        谷口 隆義君
   文部科学副大臣      河村 建夫君
   政府参考人
   (内閣官房内閣審議官)  中城 吉郎君
   政府参考人
   (文部科学省初等中等教育
   局長)          矢野 重典君
   政府参考人
   (厚生労働省医薬局長)  小島比登志君
   政府参考人
   (厚生労働省雇用均等・児
   童家庭局長)       岩田喜美枝君
   参考人
   (日本道路公団総裁)   藤井 治芳君
   予算委員会専門員     中谷 俊明君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月二十日
 辞任         補欠選任
  杉浦 正健君     山本 幸三君
同月二十三日
 辞任         補欠選任
  伊吹 文明君     水野 賢一君
  池田 行彦君     宮澤 洋一君
  尾身 幸次君     馳   浩君
  奥野 誠亮君     竹本 直一君
  津島 雄二君     渡辺 博道君
  原田昇左右君     小此木八郎君
  三塚  博君     吉野 正芳君
  山口 泰明君     西川 京子君
  中村 哲治君     玄葉光一郎君
  細野 豪志君     石毛えい子君
  斉藤 鉄夫君     田端 正広君
  井上 喜一君     江崎洋一郎君
同日
 辞任         補欠選任
  小此木八郎君     倉田 雅年君
  竹本 直一君     岩崎 忠夫君
  西川 京子君     山口 泰明君
  馳   浩君     松島みどり君
  水野 賢一君     伊吹 文明君
  宮澤 洋一君     北村 誠吾君
  吉野 正芳君     三ッ林隆志君
  渡辺 博道君     津島 雄二君
  石毛えい子君     細野 豪志君
  玄葉光一郎君     中村 哲治君
  田端 正広君     西  博義君
  江崎洋一郎君     井上 喜一君
同日
 辞任         補欠選任
  岩崎 忠夫君     奥野 誠亮君
  北村 誠吾君     池田 行彦君
  倉田 雅年君     原田昇左右君
  松島みどり君     尾身 幸次君
  三ッ林隆志君     三塚  博君
  西  博義君     斉藤 鉄夫君
同日
 理事杉浦正健君同月二十日委員辞任につき、その補欠として山本幸三君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 予算の実施状況に関する件(構造改革問題等)


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     ――――◇―――――
藤井委員長 これより会議を開きます。
 理事補欠選任の件についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。この際、その補欠選任を行いたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
藤井委員長 御異議なしと認めます。
 それでは、理事に山本幸三君を指名いたします。
     ――――◇―――――
藤井委員長 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。
 本日は、構造改革問題等についての集中審議を行います。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、参考人として日本道路公団総裁藤井治芳君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人として内閣官房内閣審議官中城吉郎君、文部科学省初等中等教育局長矢野重典君、厚生労働省医薬局長小島比登志君、雇用均等・児童家庭局長岩田喜美枝君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
藤井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
藤井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小此木八郎君。
小此木委員 おはようございます。私は、自由民主党の小此木八郎でございます。
 小泉総理、総理と私は同じ神奈川県民でございまして、そうは申しましても、今までなかなか一緒に会話をさせていただく機会、議論をさせていただく機会がございませんでした。きょうは、どうぞよろしくお願いをいたします。
 構造改革についてのこの予算委員会でございますが、何点か質問させていただきます。
 総理・総裁に就任をされましてから、はや二年が過ぎました。二年前を思い起こしますと、我が自民党本部には異変が起こった。老若男女を問わずいろいろな方々が自民党本部を取り囲んだ。長蛇の列ができました。その方々が何を求めにいらしたか。小泉総理のポスター、携帯電話のストラップ、カレンダー、Tシャツなんというのもあったというふうに思います。とにかく大騒ぎでございました。その当時の支持率は、何と九〇%に及ぶものでありまして……(発言する者あり)七〇ですか、いや、そういうイメージもありました。
 そのイメージでありますけれども、多くの皆さんが、果たして、ではどのようなところに引かれたんだろうか。今までの自民党の総裁あるいは内閣総理大臣とは違ったイメージだな、何か本当にやってくれそうだな、あるいは、物事をこんなにはっきり言う人は今までいなかったなということがありました。構造改革あるいは三方一両損、今回の三位一体、いろいろな言葉はありました。これに期待を持ったというふうに思うんですね。
 しかしながら、その勢いがありながら、国民はその中身というものをどれだけ理解しているのかというふうに、私も選挙で選ばれている人間でありますから、いろいろな方々とお話をし、いろいろなことをお訴えをいたします。
 これからは、今より以上に説得力というものをぜひ使っていただいて、さらにその改革、政治のあり方というものをぜひ説明していただきたいというふうに思うんです。
 例えば、いろいろな税制の課題があります。相続税、贈与税というものの改正をいたしました。贈与税が、例えば今は二千五百万円まで非課税になった、住宅を取得するためであれば、さらに一千万円上乗せをして三千五百万円までが非課税となった。これは、あらゆる意味で経済に刺激を与える非常に良好策だと私は思い、自民党の税調でも議論をしてまいりました。予算が通ってこの制度が成立したわけで、一月一日までさかのぼって使えるようになった。
 先日、自分の娘を連れて、ある住宅展示場に行きました。数戸の家が建ち並ぶところで、一軒一軒販売員がいらっしゃるんだけれども、その営業にどういうふうに使うのかなといって販売員に聞いてみたら、そのことを販売員が知らないんですね。私は、政府は、こういう景気に刺激が及ぶいい施策というものはもっともっと宣伝をするべきだ、わかりやすく宣伝をすべきことに力を注いでいただきたいというふうに思うのです。
 そこで、構造改革なくして景気回復なし、こうおっしゃいます。その中に今回、三位一体改革。こういった言葉はどなたが最初お使いになったかわかりませんけれども、私は、キリスト教の学校に行っておりまして、三位一体というのはもともとは、父なる神、子なる神あるいは聖霊なる神、この神が一体となって、これは一体である、そしてこの神は唯一であるという教えをいただいた思いがあります。
 総理のおっしゃる三位一体改革というものをすると、これは一体、何と何と何が一体となるのか、そして改革が起こるのか、あるいは、この改革をすることによって国民生活がどのように変わるのか、向上していくのか、景気の回復がどのようになるのか。まさに構造改革なくして景気回復なしということではなくて、構造改革をこういうふうにすればこのように景気がよくなるんだよという意味合いで、ぜひ国民の皆さんに説明をしていただきたいと思います。総理、どうぞ。
小泉内閣総理大臣 説明すると時間がすぐたっちゃうので、簡略にしないといけないのですが。
 論語に「よらしむべし、知らしむべからず」という言葉があります。これは誤解して解釈される場合が多いんですね。余り知らせなくていいんだ、頼らせればいいんだという、徳川時代ですか、言われたけれども、真意は違うと言う学者もいますね。これは、信頼が大事なんだと。国民は一々細かいことを知らそうとしても理解しない、その根底には、信頼、これが大事なんだという解釈もある、なるほどなと。
 いろいろ細かい具体的なことを説明しても、人によって理解水準も違いますから、なかなか難しいだろうということもあります。今、税制改革一つとりましても、それぞれ人によって関心が違います、自分のやっている仕事も違います。そういう点において、いろいろ細かい説明をする場合においても、ある問題については関心があるけれども別の問題については関心がない、一々詳しく説明することによってもなかなか難しい点はあります。
 そういう点において、政府としてはいろいろ説明しておりますが、マスメディアの報じ方も、どれを焦点にするかによって取り上げ方も違います。そういうことから、すべてを具体的に詳細にすればするほど聞いてくれない場合もある。そういう点で、どれを重点的に取り上げるかということは、政治の場においても大変重要だと思います。
 今回、三位一体という、いわゆる地方にできることは地方に任せていこうという問題におきましても、本来の三位一体というのは、今小此木議員が言ったようにキリスト教の言葉から出たんだと思いますが、日本人は、どちらかというと、三という字が好きですね。三原則とか三位一体、三方一両得とか三方一両損とか、三というのはやはりわかりやすいんでしょう、五つや六つ並べるより。具体的な、重点的に三つの方がもうわかりやすい、そういう点もあると思います。
 今回の三位一体構造改革におきましては、私は、民間にできることは民間に、地方にできることは地方に、これが構造改革の主眼であります。今まで何でも役所にやってもらった方がいいということよりも、むしろ役所の仕事も民間にできることは民間に任せていった方がいいんじゃないか。あるいは、中央と地方の権限とかいう問題につきましても、本当に中央政府がやらなきゃならない仕事と地方政府でもできることがあるのではないか、あるいは、地方に創意工夫を発揮する余地を残した方がいいんじゃないか、裁量権を与えてやればいいんじゃないかという議論もありますから、今回のいわゆる地方分権に連なる議論におきまして大きな問題になっております補助金の問題、交付税の問題、税源移譲の問題、たまたま大きな問題が三つ重なったわけであります。
 どれ一つとっても、補助金の問題一つとっても、これはまた問題がある。交付税の問題一つでも問題がある。では、どういう税源を移譲するのか、これも問題がある。みんな難しかった。明治以来の制度ですから、これを変えるのは容易じゃない。そこで、どれ一つとっても難しいのであったら、いずれにしても、地方にできることは地方にというんだったら、この三者を一体的に打開策を講じた方がいいのではないか。それから、だれが三位一体と言ったのか、ちょっと私、思い出せませんが、この三者、難しい問題を三つ一緒に解決する打開策にしようということでこの問題に取り組んだわけであります。おかげさまで一つの方向を出すことができました。
 今後、予算編成の過程でより具体的に進めていきますが、そういうことをすることによって、地方がより創意工夫、裁量権が発揮できるような形でこの問題、できるだけ地方にできるところは地方にという方向で進めていきたいと思っております。
小此木委員 できるだけ地方でやれることは地方に任せた方がいい、この三位一体の中で、つまり、それが国民生活にどのような影響があるのかというのをもうちょっと説明していただきたかったのでありますけれども、例えば、こんな言い方をする先輩がいらっしゃる。補助金というのは結局人からもらうお金だと。人からもらうお金をあぶく銭と例えては余りよくないかもしれませんけれども、あぶく銭というのは、人はなかなか計画を立てて大事に大事に使わない。だけれども、自分から努力をして働いてためたお金、もうけたお金というのは、これは大事に計画を立てて、みずからのために、みずからの行政のために使うことができるんだということを教えてくれた先輩がいらっしゃいます。
 私は、きのうも国政報告があったわけでありますけれども、中でそういうわかりやすいような説明をしているということで、このわかりやすい説明を、自分で言うのもおかしゅうございますけれども、ぜひ総理にも、例えばテレビ演説、アメリカの大統領並みにそういうふうな形で発表することは大事じゃないか。これはぜひ検討していただきたいというふうに思います。
 そして、その中で、この三位一体の改革の中で、国庫補助負担金の改革というのがあります。その方針の中で、その対象を真に国が義務的に負担を行うべきと考えられる分野に限定していくということがありますけれども、文部科学大臣、この義務教育の国庫負担というのは、国が義務的に負担を行うべきと考えられるのでしょうか、あるいはまた、その見直しをしていくのであれば、この国庫負担金のあり方を、定額化ですとか交付金化、一般財源化、こういうふうに示されているわけでありますけれども、文部大臣のお考えはこの中のどういうお考えなのか、お聞きしたいと思います。
遠山国務大臣 資源のない日本にとりまして、人材育成というのは一番大事な国の責務ではないかと思います。
 その中でも、義務教育といいますものは教育の礎を培うものでございまして、これは憲法上の要請もございまして、質の確保、そして全国一定水準以上の教育を確保するということは国の大きな役割だと私は思っております。もちろん、地方の役割も重要でございますし、さまざまな、地方分権あるいは地方の自由な発想を促すために、いろいろ制度改革を行っているところでございます。
 しかし、日本の義務教育というのは、世界各国が目標にしているほどの中身を持っているわけでございます。その中におきまして、教育は人なりということでございますから、教員の給与費の二分の一は最低限国が保障する、こういうことが憲法の要請にも見合っていると思っております。
 ただ、教員につきましても、それぞれの努力に見合った給与を与える、あるいはもう少しいろいろと改善をしていく面もあるわけでございまして、今回の三位一体という大きな流れの中で、義務教育費国庫負担の根幹は維持しながらも、できる限りの地方分権というものをやっていかなくてはならないと思っております。
 その意味におきまして、しかしながら、教育というものは財源論の角度から論じるものではなく、教育改革という角度から、教育の場において、中央教育審議会の議論も経ましてしっかりと対応していきたい、そのように考えております。
小此木委員 いずれにいたしましても、このお金のほとんどが教職員の給与制度に使われるということですけれども、そうすると、おのずと教職員の資質向上ということに目が向けられると思うんですね、今大臣もおっしゃいました。
 この給与制度については、先ほどおっしゃったことは、まず一律の処遇から教職員の能力や実績に応じた処遇に転換をしていく、こういう考え方でよろしいですか。
遠山国務大臣 教育は人なり、そのかぎは教員にあるわけでございますが、とりわけ大事なのは、教員にその資質、能力を最大限に発揮してもらいますためには、一人一人の教員の能力や実績が適正に評価をされて、その結果に基づいた処遇を行うことが重要と考えております。
 そのような角度から、本年度から、すべての都道府県、それから指定都市の教育委員会に対し委嘱をいたしまして、すぐれた教員をどのように褒めていくかということも含めて、教員の評価システムの改善に向けた実践的な調査研究が行われ始めております。
 また、教員の給与制度につきましては、平成十八年度から実施予定の公務員制度改革と歩調を合わせながら、その一層の見直しを行いまして、一律処遇から、能力、実績等に応じた処遇が可能となる給与体系の構築に向けて積極的に検討してまいりたい、そのように考えております。
小此木委員 ぜひ、そういうことを進めていただきたいというふうに思います。
 私は、この教育改革という点につきまして、教職員の皆さんというのは、もう一生懸命勉強されて免許を取られるというわけでありますけれども、私の場合は、免許を取得される前に、例えば二年ですとか三年ですとか、いろいろな企業に赴いて、あるいは町の工場に赴いて、製品の製造過程を学んでそういうものに携わる、あるいは、そういう製品化されたものが商品として経済社会に出回るわけでありますけれども、今度はその商品を持って町を歩いて営業活動をしてくるような経験をされて、社会とは一体どういうものなのかという環境をつくることというのは大切だなというふうに思っているんです。
 仮に、総理、この補助金が、仮にですよ、削減されたとして、これは削減するだけでそれで終わりだということじゃなくて、そういう教職員の資質向上というか人材教育、人材育成のためにそのお金をさらに使うことができないかということも、実は私は考えているんです。
 総理としては、文部科学大臣と同じようなお考えなのか、この見直しをすることによって、教育のあり方、この義務教育費の負担のあり方について、どのような観点から見直すべきとお考えなんでしょうか。
小泉内閣総理大臣 教育の重要性については、もう論ずる必要はないぐらい、皆様、共通の認識を持っていると思います。
 ただ、地方によって実情がそれぞれ違います。そういう点につきまして、教員の数とか生徒の数とか、地方の実情に合った考え方も取り入れていいのではないかということから、教育の重要性を認識しながらも地方の実情を尊重する、意向を尊重するという観点から、財源の面からも、あるいは地方団体の役割の面からも見直せばいいのではないかという議論でありますから、今後、年度末の予算編成に向けていろいろな各論が出てまいります、その中で論点を詰めて、具体的な予算化に取り組めばいいのではないかと思っております。
小此木委員 ですから、そういうことについて、こういう改革をするとこのような世の中になりますよということをもうちょっと前面に打ち出して、政府として力を尽くしていただきたいと私は思っております。
 次に、失業者対策、雇用対策、いろいろございますが、経済産業大臣、今フリーターと言われる人たちが二百万人を超えているというふうに聞きます。若年層の失業者、無業者というのは百万人近くいらっしゃる。この若い人たちというのは、これからの国づくり、町づくりに対して相当に力を尽くしてもらわなきゃならないというふうに確信をしておりますけれども、もちろん、若者たちが、やる気がないというとこれはしようがないのかもしれないけれども、その中でも、正社員として働きたいんだという方々が本当に多いということを聞きます。
 人材育成という、先ほども申し上げましたが、そういう意味合いも大いに含めて、今、文部科学大臣、厚生労働大臣あるいは竹中大臣、四者で、あるいは小泉内閣として、そういったことも強力に対策を練るんだ、練っているんだというお話も聞きますが、しっかりとした予算の裏づけもしていかなきゃならないというふうに思いますが、その辺の意気込みをお伺いしたいと思います。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 確かに若年の失業問題というのは非常に深刻でございまして、若年失業者といいますと大体十五歳から二十四歳、この失業率が一〇%あります。特に四月は、これは一二%という深刻な数字になっておりまして、私どもはこれを踏まえて、今御指摘のように、四大臣で、六月十日、一つのプランをつくらせていただきました。四大臣というのは、私が入りまして、そして文部科学大臣、これは当然入っていただかなければいけない、それから労働を担当されている厚生労働大臣、さらには経済全体を見ておられる竹中大臣。
 そして、一つの方向としては、三年以内で、いわゆるこの若者の失業に歯どめをかけよう、こういう形で、私どもとしては連携をして、例えば小学校の教育の中でも、しっかり実習をして、いわゆる職業の実習をして勤労意欲を持っていただこう、あるいはまた若年を対象として、デュアルシステムというんですけれども、いわゆる三日間は企業で実習をして、三日間は教育実習をする、そんな形で、ドイツで非常に成功例がありますから、そういったことも日本で取り組んでいく、あるいは、高度の技術をつけていただくためにいわゆる専門職大学院、こういったところを活用して、専門職で力のある、そういう若年層を育てていく、こういったいろいろなことを踏まえて経済産業省としてもメニューを用意しておりますので、一生懸命、予算もしっかり裏づけをとりましてやらせていただきたい、こう思っております。
小此木委員 ぜひとも頑張ってください。
 終わります。ありがとうございました。
藤井委員長 これにて小此木君の質疑は終了いたしました。
 次に、田端正広君。
田端委員 公明党の田端でございます。
 きょうは構造改革ということでございますが、私は、さらにもう一歩改革を総理に進めていただきたい、そういう立場から、環境政策を中心に二、三提言させていただきたい、こう思います。
 やはり構造改革の目的といいますか大きなねらいというのは、持続発展可能な社会をどう築いていくかということ、それが大きなテーマだ、こう思っておりますが、そういう意味では、これからは自然再生ということとか循環型社会をどう構築していくとか、こういった要素をもっともっと政策の中に取り入れていくべきではないか、こう思っております。
 そういう意味で、まず環境関係の予算にもう少しめり張りをつけていただきたい、そして一歩改革を大きく進めていただきたい、こんな思いでございます。例えば、骨太の方針の中に、重点四項目の一つとして環境循環型予算について入っておりますが、しかし、実際問題、では環境予算がどういうふうになっていっているかということになりますと、そこのフォローアップといいますか、それができていないように思うわけであります。したがって、例えばそういう尺度といいますか数値目標といいますか、そういうものを本当は持ってもいいのではないか。例えばGDP比何%を目指すとか、こういうものがこれからはやはり必要ではないかというふうに感じます。
 かねがね総理は、日本は環境先進国であるとかあるいは環境立国としてこれからも頑張ろう、こういうお話をずっとされているわけでありますから、そういう意味で、環境保全予算というものを、これは予算編成の主要項目の中にきちっと位置づけてはどうなんだろうか、こういう思いをしております。そうすれば、例えばこれからの新しい環境ビジネスをもっともっと大きく誘導することができると思いますし、雇用も広がっていく、こういう思いがいたすわけであります。
 お手元にデータが行っているかと思いますが、環境保全経費が、平成十四年度、十五年度、総理が編成された全予算におけるその環境保全予算がどのぐらいあるかというのを省庁別に書き出してみましたら、こういうふうな数字が出てきました。つまり平成十四年で二兆九千億という環境関係予算になっておりますが、平成十五年度予算では二兆七千というふうに少しダウンしております。これは、千六百七十六億円ぐらい、五・八%ぐらい減っているわけでありますが、そういう意味ではいろいろな理由があると思うんですね。公共事業を減らしたとか、そういうような理由があってこういうふうな数字になっているんだろうと思いますが、しかし、平成十二年には、この環境関係の予算が三兆円を超えておりました。
 そういった意味で、こういうことは何で起こったんだろうということを考えてみますと、これは、骨太の方針で環境は重点四項目に入っているにもかかわらず、各省庁が個別にその環境予算を組んでいっている。それを後で、予算が編成されてから後でそれだけを拾い出してみて集計した結果がこういうことである。そういう意味では、国の政策的な意図というものよりも、結果としてこうなったという数字がこういうふうにあらわれているんだと感じるわけです。
 したがって、私は、この環境保全予算、環境関連予算というものを、そういう集計していくというんじゃなくて、例えばGDP比幾らということを目標に定めてこれからやっていったらどうか。例えば五年後、二〇〇八年を申し上げますと、GDP五百五十兆として……(発言する者あり)まあ仮にです、仮にして、その一・五%、つまり八兆円、八兆幾らの数値が出てくるわけでありますが、そういう目標を掲げてやる。これが、つまり今はやりの言葉で言えばマニフェスト、つまり政府としてのマニフェスト、そういうものをお示しになって、そして国民とこういう問題を議論していけば、もっともっと大きな盛り上がりを見せるのではないか、こう思いますが、この点について総理のお考えをお伺いしたいと思います。
小泉内閣総理大臣 環境保全につきましては、非常に小泉内閣としても重要視をしている課題でございますが、GDP比で決めるというよりも、これは政府だけでなく民間にも環境保全の意識をよく持ってもらおうということによって、私は、環境保護、自然保護、そして経済の再生、両立させていきたい、こう思っております。
 例えて言えば、政府関係だけの支出ではなくて、仙台は杜の都と言われますが、四車線を仙台市独自の考え方で、一車線は全部緑、車線を減らして緑を植えよう、百万本計画ですか、仙台はそういう計画をされている。あるいは、地域によっては河川も、河川の蛇行も生かしていこう、全部真っすぐじゃなくてもいいじゃないか、自然を生かしながら町づくりをしていこうと。
 あるいは、民間におきましても、今後低公害車開発に力を入れよう。これは、政府が公用車を全部低公害車にするという方針を示すと、民間は、高くても低公害車を買ってくれるんだったら低公害車をつくろうということで非常に進んでいる。燃料電池しかりですね。燃料電池は、自動車じゃなくて家庭用の燃料電池も今開発が進んでいる。
 こういうふうに、政府の方針に刺激されて、政府がお金を使わなくても民間がそのような努力をしてくれる。生ごみもそうです。政府関係だけじゃありません。今、政府の中央官庁は、生ごみを全部肥料に再資源化をやる、そうすると民間のホテルも同じようなことを今やって農家と直接契約を結んでいる。できるだけ捨てるのをやめていこうということで、私は、政府の金だけじゃない、民間の取り組みも大変大事だ。
 そういうことから、あえてGDP比でこの額を目標ということじゃなくて、まさに、今後は、日本だけじゃなくて世界的に環境保護というのは重要視されている時代でありますので、そういう点からも、私は、発想の転換といいますか、環境保護は経済再生にマイナスじゃないんだ、科学技術の振興とかそういうのを、いろいろな施策を組み合わせて環境保護と経済再生を両立させていこうという方向を進めていきたいと思いますので、あえてGDP比の枠をはめてそういうことをせずに、ほかの方法でも十分可能ではないかと思っております。
田端委員 それはよくわかるんですが、しかし、私は、例えば五年後こうするとか、十年後はこういう社会を目指すんだという、国家の意思といいますか政府の意思といいますか、そういうことをやはりある程度出さないと、積み重ねだけではなかなか、今総理がおっしゃったようなことをどこまでできるかとなると問題があるんではないかということを問題提起しているわけであります。
 その中で、今総理からもお話ございましたが、緑化の問題ですけれども、都市の再生というのは私は大きな問題だと思います。都市をどう元気づかせるか、活気を持たせるか、これが大きな問題だと思いますが、その中で、自然との共生というものと都市というものをいかに結びつけるか、これをしっかりと今後考えていく必要がある、こう思います。
 その中で、緑化対策ということが大変大事になるわけでありますが、現在緑の基本計画を策定している市町村は、約二千市町村あるうちの七百余りでありまして、約三分の一ということになってきます。だから、緑の創出、拡大、そういうことをやっていくことが地球の温暖化とかヒートアイランド対策とか環境保全対策とかいろいろな意味で大きな要素を持ってきますから、都市の緑化政策、緑の政策大綱というものをしっかりつくっていただいて、そして緑の基本計画とあわせてこれからやっていく必要があるんではないかというふうに思っております。
 総理も御存じのように、運動論としては民間でも大変いろいろなところでされておりますが、弁護士の中坊公平さんとか建築家の安藤忠雄さんがオリーブ基金をつくられて、そして今、瀬戸内海に森をつくろう、木を植えようということで百万本を目指して頑張っておられる。これは神戸の震災が一つのきっかけになって安藤忠雄さんがやられたわけですけれども、大変すばらしいことだと思います。
 民間でもこういうことをやっておられますが、この緑の問題も、例えば二〇一〇年までの七年間で、誕生日祝い記念植樹とかあるいは成人式記念植樹とか、いろいろなきっかけをつくって、一人が一本私の木を植えていく、こういうふうにして一億二千万本そういう木をもし植えることができるとなれば、これは大変すばらしいことだろう。地球温暖化問題あるいは生態系保存ということから、こういうことを推進されたらどうか。そして、ヨーロッパ並みの都市を築いていく、すばらしい、美しい町をつくっていく。あるいは、これをすることによって、例えば一日一人が六十本植えても、それで雇用が二百万人日、雇用対策にもなるわけでありまして、そういった意味でも地域の活性化にこの緑化対策というのはつながると私は思いますが、この点、総理はどうお考えでしょうか。
小泉内閣総理大臣 緑というのは、環境保護、同時に、人の心を和らげる要素を持っていると思います。
 また、海をきれいにするためには森をきれいにしなきゃならない。伐採が進んで、これは、かつては山と海とは余り関係ないんじゃないかという見方が一部にありましたけれども、決してそうじゃない。まさに、海をきれいにするためには森をきれいにしなきゃならない、森を保護しなきゃならないという観念が今当然視されてきた。魚でも、川から海へ帰っていく、あるいは海からまた川に戻ってくる。その森の影響を受けて、海も大きな一つの自然社会の生態系を維持しているわけでありますので、地球全体がやはり密接な関係があるんだなという意識が強く持たれてきたのは、それだけ自然環境を保護しようという意識が強く芽生えてきた結果だと思います。
 最近、私は六本木ヒルズに行きましたら、屋上に田んぼをつくっているんですね。木だけじゃない。これはまさに民間の新しい発想じゃないか。
 そして、いろいろな調査をしてみますと、真夏の東京の暑い、市街地は三十度以上のときでも、杜の都明治神宮は二十五度だ。同じ東京でも、緑のあるところと緑のないところでは、これだけ温度が違う。
 こういうことを考えると、緑は大変重要だ。緑を維持するためには、これは単に環境保全じゃなくて、今、和歌山県で森林が荒れているということで、森林作業員、これは、都会の失業している方に地方に行って森林作業に従事してもらおうということで、これまた和歌山で始めたのがほかの地区でもやるという意欲が出てきた。これは雇用対策にも有効であり、環境保全にも有効であって、森を守るためにも有効だ。いろいろな分野が出てきているわけであります。
 そういう点において、私は、政府だけでなく、民間がそのような意欲を持って、あるいは地方が、森を大事にしよう、環境を大事にしよう、緑を大事にしよう。豊島のオリーブの件におきましても、安藤忠雄さんが積極的にこれを提唱されて、今全国に広がっている。
 先日、ギリシャの首相と会談したときにオリーブの話をしたら、ギリシャの首相は、では、ギリシャはオリーブだ、早速送るといって、わざわざギリシャから百本以上送ってくれましたよ。世界的にこれはいいことだと。
 こういうふうに、緑の保全、木を植えようという意識を私はどんどん国民自身も持っていただければありがたいなと思っております。
田端委員 大変、総理のおっしゃるとおりであります。だからこそ、国民一人一人が私の木を一本ずつ持ちましょうということを提案しているわけで、国土交通大臣もいらっしゃいますので、ぜひそういったことをお考えいただきたい、こう思います。
 それで、総理はよく、環境と経済を両立させるんだ、そして、日本は人で世界に貢献する、あるいは科学技術で貢献するんだと、昨年のヨハネスブルクの環境サミットの際にも、そしてまた先般のエビアン・サミットでもそういうお話をされております。そういう意味で、私は、これからの日本の科学技術はどういう視点でどういうふうに世界をリードしていくか、これは大きなテーマだと思います。
 その中で、先ほどお話しになった家庭用の燃料電池、これは今実用化の一歩寸前まで来ていると思います。二〇〇四年、五年に実用化したいとメーカーさんが今しのぎを削っておりますけれども、これは大変な国際的な影響力を持つ技術だと思いますし、この家庭用燃料電池が開発されれば、これはもう本当にすばらしい、新しいクリーンなエネルギーとして、今、東電の原発の問題で、東京がこの夏エネルギー危機になるんじゃないかということも言われておりますけれども、こういう意味でも、二十一世紀の日本の新しいエネルギーは、これは燃料電池というものが大変大きな要素を持ってくる、こう思います。もちろん、バイオマスとか太陽光とか風力とかたくさんありますけれども、しかし、一番技術的にも確実なのは、そういうふうに感じるわけであります。
 例えば、一台五、六十万で発売したいという意向のようですけれども、しかし、現実には百万ぐらいかかるだろうと言われております。実は私もつい先日見学させていただきましたが、実際に見て、総理じゃないですが、私も感動しました。本当に家庭用燃料電池というのはすばらしいなと。例えば太陽光発電とかみ合わせたりしたら、もっともっとすごいいい方向に行くなという感じがするわけであります。
 どうか、この燃料電池の開発及び実用化、そしてまた普及に、国策として、そして、国際競争にも勝てるようなそういうスタンスでこれはきちっとやっていただきたい。それが今一番大事ではないかというふうに感じておりますので、総理の御見解をお伺いしたいと思います。
平沼国務大臣 大変重要な御指摘でございまして、国としてもこれは非常に今意欲的にやっておりまして、予算も、八十七億前年度をふやしまして、三百七億投入して今やっております。
 そして、定置型の燃料電池についての御言及でございますけれども、二〇〇五年までは実証段階で、今非常に技術的にどんどん進めております。それで、二〇一〇年には電力で二百十万キロワットぐらいこれを確保しよう、そして、二〇二〇年には一千万キロワット、こういう形で総力を結集してやっていこう、こう思っておりまして、大変プライオリティーを置いてやらせていただきたいと思っております。
田端委員 時間が参りました。ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
藤井委員長 これにて田端君の質疑は終了いたしました。
 次に、江崎洋一郎君。
江崎委員 おはようございます。保守新党の江崎洋一郎でございます。
 本日は、三位一体の改革につきまして、集中して総理に質疑をさせていただきたいと思います。
 この三位一体の改革という言葉、先ほど総理から御説明もございましたが、一方で、国民の皆様にはやや縁遠いものとの印象を与えているかもしれません。しかし、我が国の経済社会の構造改革の柱の一つでありまして、国民生活に大きな影響を与えるものでございます。
 そこで、きょうはテレビ中継も入っておりますので、なぜ今三位一体の改革が必要なのか、総理から国民の皆さんへ、いま一度明確なメッセージをお願いしたく思います。
 まず、テレビの向こうの皆様に少し主張をさせていただきたいんですが、我が国では、戦後一貫して中央集権的な体制が貫かれ、その特徴は、一言で言えば、中央において税金を集めて、その使い方を決めてきたということでございます。これを、地方において税金を集めて、地方において使い道を決められるようなシステムをつくっていくということが、財政面から見た地方分権改革でございます。そのようなシステムに改めることによって、地域の多様な住民のニーズが、地域の特色ある取り組みというものが可能になるのではないかというふうに考えております。
 そこで、私たちの日常生活の中で深くかかわってくる二つの例を挙げたいと思うんですが、先般、地方分権改革推進会議が総理に提示しました中の一つにも取り上げられております保育所制度の問題がございます。
 現行制度では、五歳以下の幼児の育成に関する公共サービスというものは、教育なら幼稚園、保育なら保育所ということで、所管官庁によって二分されておりまして、一カ所でなかなかサービスは受けられないというシステムでございます。しかし、多くのお母さん方というのは、教育も保育も同じ場所で与えられることを希望されているというふうにも聞いております。これが、もし、国の規制の見直しとあわせて地方が自主的に使途を判断できる財源を与えることになれば、市町村も、幼稚園と保育所というものを一体化して施設の導入を図ることができ、お母さん方のニーズにもこたえられるのではないかというふうに考えている次第でございます。
 また、同じく重点項目の一つとしてあります義務教育の分野でも、先ほどと同様にこの改革が同じように進めば、学校運営は地域の親や子供に対してずっと開かれたものになって、先々はコミュニティースクールといったものも導入されるのではないかというふうに感じている次第でございます。
 このように、国の規制の改革と地域の財政基盤の確立というものは、これは非常に大事なものでございます。また、これらが実現すれば、今我が国を覆っている閉塞感を打ち破る原動力となり得るものと私自身は確信しております。
 そこでお伺いしたいわけでございますが、この三位一体の改革の中で、やはり地方の自主財源の拡充、つまり税源移譲はとりわけ重要じゃないかと思いますが、この税源移譲という言葉の中でまだまだはっきりしないポイントがございます。
 そこで総理にお伺いしたいんですが、総理は、四月の諮問会議で、税源移譲を突破口にと言われたようでございます。今回の案では、税源移譲を明記し、それを基幹税で行うとされております。地方の税を充実強化するというのは総理の強い意思のあらわれではないかと考えておりますが、具体的にどのような基幹税をお考えなのか、教えていただきたいと思います。
小泉内閣総理大臣 先ほどもお話ししましたように、補助金、交付税、税源、どれもこれも問題があるんです、変えようとしますと。そういうことから、地方に自主権、裁量権を与えるためには、どの分野が地方の権限で、どの分野が中央の権限かということもありますが、財源がないと、税源がないと地方の裁量権の発揮する余地が少ない。しかし、税源をおろすんだったら、権限がはっきりしないと税源移譲できないという意見もあります。この繰り返しだったんですよ。結局、難しいからだめだということで今までやってきた。
 そこで、私は、難しい問題を一緒にやろうと。一番難しいのは税源移譲だ、税源移譲を突破口にという話をしたこともあります。それじゃだめだ、一緒にやろうということで、結局一緒にやることになったわけです。
 それで、方針を出しましたから、税源は基幹税、これは今後の税制改革の中で議論されます、大枠を示すのが私の仕事ですから。いつの時代でも、具体化は予算編成のときです。それは、各国会の議員の意見もあります。党の意見も聞かなきゃなりません。そういうことで、どういう基幹税があるかというのは、今後の議論の進め方で進めていけばいいと。今から具体策を決めたら、その方がおかしいのであって、私は、総理大臣の仕事としては、大枠の方針、その枠に沿ってやってくれと、これは当然だと思っております。
 今話しました保育園も幼稚園も、これまた長年の懸案だったんです。これは、保育園の立場、幼稚園の立場、免許まで違う。保育士の免許、幼稚園の免許、もう絶対だめだとみんな言う。
 しかし、それだから、私は厚生大臣もしていましたから、いろいろと立場はわかりますよ。しかし、父兄の皆さんの立場から見れば、三歳まで区切る必要があるのか。子供を預かってもらう、これはもう幼稚園だろうが保育園だろうが、大事にしてもらいたいんです、保育も教育も。では親は、保育士の免許を持っているのか、教育士の免許を持っているのか。違うでしょう。親は、免許を持っていなくたって、ゼロ歳児から六歳児まで必死に育てなきゃならないんですよ。もっと保育園も幼稚園も柔軟に考えたらどうかと。そういう場合に、地方が保育園も幼稚園も一緒にやりたいんだったら、やらせたらどうか。そういう方向で今進んでいるんです。これをやっていきます。なかなかこれは進まないよ、役所に任せていたら。文科省の立場、厚労省の立場がある。保育園協会は大反対。大会までやっていろいろやっているけれども、もっと柔軟に考えなさいと。皆さん親でしょう、親の立場、子供の立場に立って柔軟に考えればいいじゃないかということで、そういう方向で今進めていますから、年末にはより具体化してまいります。
江崎委員 ただいま総理から、全国のお母さんに対して明確なメッセージが伝わったかと思います。どうか、実現を目指してまたさらに邁進していただきたいと思います。
 そこで総務大臣にお伺いしますが、三位一体の改革につきましては、地方の目線に立って進める必要があるわけでございますが、一方で、補助金、交付税、これは地方から削られる一方で、結局十分な税源移譲がなされないかという地方からの心配もございます。アンケートでこんな記事もございますが、このような税源移譲が確実に行われる中で進められるべきと思いますが、一言お願い申し上げます。
片山国務大臣 三位一体というのは、もう委員御承知のように、税源移譲は私どもはメーンだと思っておりますが、それにあわせて国の補助金を整理合理化して、交付税も見直していく、こういうことを一緒にやるということですね。
 だから、補助金を削る、交付税を抑制する、税源移譲しないというのなら、これは地方のトータルの財源は減るわけですから、地方を強くするためにやる、自立性を高めるためにやるということですから、そこは、必要のある仕事については国が責任を持って税源を移譲して、財源を保障する、こういうことだと思いますね。
 だから、総理裁定で最終的に決まりました案にも、義務的なものについてはその所要額の全額を見る、その他については八割を目安に精査する。もちろん、補助制度自身の効率化が前提でございますけれども、そういうことでございまして、私どもは心配がないようにいたしたい、こういうふうに思っております。
江崎委員 総理、申しわけございません、たびたび。
 先ほどの税源移譲の中身で、所得税あるいは消費税というものも含むと考えてよろしいでしょうか。また、いつまでに税源の具体的な内容というのをお詰めになる予定なのか、お答えいただきたいと思います。
塩川国務大臣 基幹税というのは、大体所得税と法人税を中心として、直接税の一番中心でございますので、これを考えております。
 いろいろな税源がございましょうけれども、間接税等に立って言いますならば、これは全国的に統一しなきゃならぬものでございますし、基幹税につきましては、国と地方とで、それぞれの自主財源として、課税の主体権を持っておりますところにおいて決定できる。そういう意味において、私たちが考えておりますのは、基幹税というものは法人税と所得税、これを中心に出したものと考えておりますが、あえてしかし、国と地方との財源の配分をするために何もそこにこだわった考えを持つ必要はないと思っておりますけれども、方針としてはそういうことでいきたいと思っております。
江崎委員 時間が参りました。
 これからも地方分権の推進、三位一体の改革の十分な推進をお願いしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
藤井委員長 これにて江崎君の質疑は終了いたしました。
 次に、原口一博君。
原口委員 おはようございます。民主党の原口一博です。
 きょうは総理、沖縄慰霊の日であります。日米地位協定の見直しでずっとやってきた、もうこれにも限界が来ている。私たちは地位協定の改定案を出して、真の意味で日米関係を強固なものにすべきだということを思っている。
 そして、きょう、拉致被害者家族の皆さんが韓国を訪れていらっしゃいます。北朝鮮の問題については、核保有、あるいは核弾頭の保有というような情報まで伝わってきますが、これを冷静に受けとめて、しっかりと我が国の主張、そして国益を極大化すべきだというふうに思っております。
 そこで、きょう構造改革についての議論、私のところでは、規制改革と金融改革。きょう総理はお見受けするところ絶好調のようでございますので、改革に向けたその強い意思を示していただきたい、このように思います。
 これまで、予算委員会で総理と何回も議論をしてまいりました。改革を実行に移しているんだとおっしゃる総理と、実態は丸投げで骨抜きであるという野党の私たちの主張と、必ずしも議論が一致していなかった、すれ違っていた。うそつき何とかと言った人がいましたけれども、私は、うそつき純一郎ではないと思う。本当に改革を進めようというお気持ちなんだと思います。
 ところが、総理は、自民党をぶっつぶすと言いながら、これまで古い勢力、それとどのように戦ってこられたのか、ちょっとパネルをもって。
 これは、抵抗勢力、このごろ総理は余り抵抗勢力という言葉を使われなくなりましたね、何か総裁選に向けた準備なのかわかりませんが。私は、自立と分配、依存、創造という形で分けてみました。私たちが抜けるべきは、補助金を分配し、あるいは規制をかけて、税制もかけて、行政指導という形の中で、そこから権力の源泉を得ている、公を私物化している、こういう人たちは私たちの敵なんですよ。私たちは、市民が主役、国民が主役、納税者が主役。依存と分配ではなくて、自立と創造の政治を目指していきたいと思っている。ここの部分は総理と一致できるんじゃないかと思いますが、いかがでございましょうか。
小泉内閣総理大臣 今の原口議員のお話を聞くと、一緒にやっていこうじゃないかという気が出てきますが、全く同じなんです。自立と創造、こういう観点から改革をしていかなきゃならない。
 改革を進めていくと必ず、今の状況を変えるの嫌だという勢力がありますから、これとの戦いが非常に熾烈なんです。具体化していけばしていくほど、この意見の違いは鮮明になってきますが、それをいかに調整していくか。
 私の手法は、敵も味方、抵抗勢力も協力勢力だというからわかりにくいと言いますけれども、これは政党では大事なことなんですよ。政党ではいろいろな議論があるんです。自分は反対だけれども、その党内で議論をして、やはりここら辺が皆さんの大勢か、反対だけれどもやはり従っていこうというのが政党人という意見があるでしょう、民主党も。そういう大きな意見の中で集約して結論が出れば、自分は意見が反対なんだけれどもやむなく従っていこうというのが各政党あると思います。
 そういう点において、敵は敵でも排除すればいいというものじゃない、抵抗勢力は抵抗勢力で知らないんだという状況でもいけない。最終的には、ちょうちょうはっしの、かんかんがくがくの議論が行われても、敵も味方してくれる、抵抗勢力も協力してくれる、こういう寛容と忍耐の姿勢もやはり政治では大事じゃないかというのが私の考え方なんです。
原口委員 寛容と忍耐の姿勢、それで改革が進んでいくことを私たちも望みます。
 もう一つ、今おっしゃった抵抗勢力と言われる人たちと小泉総理との、いわゆる構造改革をめぐる政策バトルの星取り図というのを出してみました。委員長、お許しをいただいて資料を、十枚ございますが、配らせていただきたいと思います。
 構造改革と景気、財政健全化、郵政事業民営化、道路公団民営化、不良債権処理、ペイオフ解禁、患者自己負担三割、企業献金規制、これはバツ・マルというのは、総理の方から見た、総理が勝っていると思われるものは丸、だけれども、私たちはこの患者負担三割、これはよくないと思っていますから黒丸にしています。あと大体勝っていないんですよ。
 なぜこんなことが起こるのか。総理はやる気がないのか、だめなんじゃないか。だめなんじゃないかということを私たちが言っているだけじゃこれは全く無責任ですから、そうではなくて、どこでどのようになっているかということをきょう少し深く検証してみたいと思います。
 特に、私は七年間国会に籍を置かせていただいていますが、総理、驚くことがこの予算委員会にいても起こります。資料を送ったと言って、ファクスで送ったと言って、電話に送ってきたりするんですよ、官僚機構が。幾らITが進んでも、片山大臣、電話でファクスは送れませんよね。あるいは、こういう隠ぺい体質だけじゃない、やったふりというのもたくさんあるんです。こういうやったふりの抵抗勢力に対して、こちらが武器を持たなければ、本当に改革はできない。
 もし本当にこういうものに戦ってきたんだったら、きょう、これは骨太の改革第三弾、これが出ていますけれども、こんなもの出たら、総理は怒らなきゃいけないと思いますよ。これをごらんになったら、平成十八年までに検討しますとか、こんなの山ですよ。平成十八年、つまり総理は余り人の言うことをお聞きにならないで、うるさいから、平成十八年だったらいなくなっているかもわからないので、そのころ検討しましょうと言わんばかりのものを挙げているんです。怒ってください。
 そこで、具体的に伺います。
 規制改革ですが、この規制改革・構造改革特区は、基本方針二〇〇三、いわゆる骨太の方針第三弾において、具体的な取り組みの一番目に挙がっているんです。マクロの経済政策において、金融政策やあるいは財政政策といったその政策の手段が非常に限られている中で、この規制改革というのはとても大事です。雇用という面でも、サービスを中心とした雇用をふやすためにも、ここが柱なんです。ここについてきょう私は議論をしていきます。
 しかし、この経済活性化の柱となっているものが、官僚主導、政策立案、調整によってほとんど骨抜きになっている。改革というのは形だけのものになっている。規制こそは、さっきお見せしましたこの旧来型の政治の――総理は歳出構造には踏み込んでいますよ、規制にはまだ踏み込めていない。鴻池さん、石原さん、一生懸命頑張っていらっしゃる、だけれども、こここそが古い抵抗勢力の権力の基盤なんです。ここに踏み込めるかどうかで我が国のまさに浮沈がかかっている。(発言する者あり)抵抗勢力と言っているので、自民党と言っているわけじゃありません、自見さん。
 そうしたら、これまで総理が実現したと思っていることがどのように官僚たちに骨抜きにされているかを検証してみたいと思います。
 改革を標榜する内閣のもとにいる官僚の得意わざは、やったふりと先延ばしです。やったふりというのは、新聞的には大きくやった、総理は決断したということになっても、できた制度の詳細を見てみると、実際は意味のないものであったり先延ばしであったりしています。
 小泉内閣がないころに、先ほど申し上げたように、結論を出したり、政治の目の届かないところに検討の場を移すことによってみずからの権限を保持する高度なわざのこと、これがまさにやったふりと先延ばしなんです。このやったふりと先延ばしは、小泉総理、総理がリーダーシップで排除しない限り、できないんですよ。そのことを申し上げ、各論に入りたいと思います。
 まず、「先延ばしの術」です。
 皆さんが出されている骨太の方針第三弾で、この四つ、きょう時間があればすべてを審議していきたいと思うんですが、まず、「医薬品販売体制の拡充」、これはホームページに議論の要点を書いておりますので、ごらんになっている方はそこをごらんいただきたいと思いますが、「医薬品販売体制の拡充」でございます。
 これ、医薬品の販売をコンビニでもできるという規制改革は、大きく国民の生活を変えます。利便性の向上というものができるでしょう。基本方針二〇〇三では、利用者の利便と安全性の確保については平成十五年中に検討を行い、安全上特に問題がないと結論に至ったものと、具体的に何を対象にするか結論を先送りにしているんです。
 坂口厚労大臣にお伺いします。
 一般小売店で販売できる医薬品は、だれが、どのようなプロセスで決定するんですか。また、販売できるものは、軽い風邪薬などを含めて医薬品、これは現行制度では薬局しか販売できないにするのか、湿布など医薬部外品、現行制度でもコンビニで販売できるにとどめるのか、お伺いをしたいと思います。いかがでしょうか。
坂口国務大臣 これはことしじゅうに、平成十五年の末までに決着をつけるということでやっておるわけですから、先延ばしと言われたら、今よりは先かもしれませんけれども、でも、ことしじゅうの話でございますから、これはそう先送りの話ではございません。
 そして、その中で、コンビニ等で売れるものにつきましては、現在既に七万二千種類あるんです、コンビニで売れるもの。それで、いわゆる医薬品、薬局でしか売れないものは一万四千種類なんですよ。だから、その中で、またコンビニ等でも売っていただいてもいいものを選び出そうということでございまして、それをやりますのは、これはやはり厚生労働省が検討会をつくりまして、外部の皆さん方、研究者の皆さん方にお入りをいただいて、これは大丈夫かどうかということでございます。
 そこを振り分ける今までの基準というのは何かといえば、それは副作用があるかどうかです。一点、副作用があるか。それから、効き目がなだらかな効き目であるかどうか。急激に効くのは、これはやはり怖いですよ。もうたくさんの、年約三万件副作用が厚生労働省に寄せられておりまして、これ、すごいんですよね。だから、それで患者になった皆さん方というのは大変な苦しみをしておみえになるわけで、安易な拡大はよしてくれというのがその皆さん方の御意見でございます。
 ただし、私たちはこれをしないということを言っているわけではなくて、総理の命令に従いまして、私たち、できる限りコンビニ等でも買っていただけるようにしたいというふうに思っております。
 ただ、現在でも、コンビニあたりでどれだけ売ってもらってもいいんですよ。ただ、それなりの人を置いてほしいということを申し上げているだけでございまして、売っていただくのはどこで売っていただいても結構でございます。
原口委員 厚生大臣は昔、私のお師匠さんですから、この分野で。なかなか突っ込みにくいんですけれどもね。
 現在、医薬品のものは、今おっしゃったとおり、副作用等の問題があるから医薬品になっているはずなんですね。これは間違いないですね。副作用があるか。安全上特に問題ないものは、だから医薬品ではあり得ないんじゃないですか。そうでないなら、とっくに医薬部外品にして、現行制度においてもコンビニ等で販売できる。つまり、初めからやる気がないのか、あるいは、行政が怠慢しているのか。基準を変えるというおつもりなんですか。
坂口国務大臣 今まで、先ほど申しましたように、コンビニで売れるものは七万二千種類もあるわけですから、今までもずっとやってきたわけであります。前回のときにも、十五製品群そして約三百品目やったわけです。今回もそのぐらいはやれというふうに言っております。
 やはり副作用があるかないかということの基準は、これは余り緩めるわけにはいかないと私は思うんです。ここの基準は明確にしながらも、しかし緩やかに効いていくといったようなものは、これは副作用も少ないわけでありますから、できるだけいわゆる薬局以外のところでも売れるようにしたいというふうに思いますが、そこはしかし、一つの限界があるというふうに思っております。
原口委員 総理にあらかじめ申し上げます。
 私、一カ月ぐらい前に、ある方を介して、総理にお会いしたい、規制改革をきっちり前に進めるためにお会いしたいと言ったんですが、結局お忙しくてできなかったんですが、検討の場を自分たちの手の届くところにして、そして後はやりたい放題という、これが官僚の常套手段、癒着官僚の常套手段。官僚の中にもいい方はいっぱいいます、だから癒着官僚と言います。癒着官僚の常套手段ですから、この官僚の手を切れるように、しっかりと指導力を示してください。
 石原大臣、石原大臣と今の厚労大臣の御認識は一致ですね。そして、仮に厚労省が対象の医薬品を少なくしたり、医薬品としてでなく医薬部外品としてきた場合には、勧告権を発動されますか。
石原国務大臣 今回の総理のリーダーシップのもとで御決断されたものは、安全上問題が特にないものは医薬品のまま、同じ医薬品の成分で薬局、薬店以外でも買えるようにするという踏み込んだものだと私は思っております。私も選挙区で薬屋さんに冷たくされたことがそれを物語っているんだと思っております。
 そして、問題は、それでは一体どういうものが売れるのかということでございますが、坂口大臣が申しましたように、その薬を飲むことによって副作用が予想されるようなものを野方図に売るということは、私は反対であります。しかし、コンビニで買う方は一体どういう方だろうということを考えなきゃならないと思います。すなわち、利用者の利便性です。電車で夜遅く帰ってきた、薬局もあいていない、ちょっと熱がある、そんなときに解熱剤が欲しい、あるいは、ちょっと飲み過ぎてしまった、おなかが痛い、胃腸薬が欲しい、そういうものはやはり買えるようにしていただけるように、坂口大臣に十二月までの間に結論を出していただき、その品目が私どもの考える、また総合規制改革会議の考えるものと違うようなときがあれば、そのときはまたはっきりとした対応を示していかなければならないと思っております。
原口委員 石原さんも随分苦労されていますよね。だから、そういう古い政治勢力の中に、さっきのこれで申しますと、やはり権力の源泉をこっちから得ていたのでは本当に正しい改革はできないということです。石原さんにエールを送りますが、早く古い政治勢力から抜けて、私たちと一緒にやりましょう。
 幼保一元化、さっき総理は、江崎議員の質問に対して前向きの御答弁をされましたけれども、基本方針二〇〇三では、地域のニーズに応じて、就学前の教育と保育を一体としてとらえた一貫した総合施設の設置を可能とするように、これは平成十八年までに検討するとされています。十八年です。
 そこで、厚労大臣、文科大臣に伺いますが、この施設の所管、これはどこになるんですか。この施設では、施設基準、職員の資格、提供するサービスの内容は、現在の幼稚園と保育所で別々になっているものとは異なり、新しい一元的なものになるというふうに考えてよいんでしょうか。それぞれお伺いをいたします。
坂口国務大臣 今までのは、それは厚生労働省と文部科学省がそれぞれ持っていたわけでありますが、新しくできるものがどこの官庁が持つかは、私も定かにまだ聞いておりません。それは多分、厚生労働省でも文部科学省でもないところが持たれるのではないかというふうに私は思っております。
 十八年末ということでございますけれども、この幼保一元化の問題はかなり私も積極的に考えておりまして、これは文部科学省とも、またお話があると思いますが、よく御相談させていただいておりまして、それまでにもできるだけ前進ができるように、十八年、その新しい制度は制度、それまでの間に双方が行き来のできるように、一緒にやれるようにこれはやっていきたいというふうに思っておりまして、ことしじゅうにできることはことしじゅうにちゃんとやりたい、また、来年できることはちゃんとやりたいというふうに思っているわけであります。
遠山国務大臣 所管の問題につきましては、坂口厚生労働大臣お答えありましたように、これから検討だと思います。
 幼稚園と保育所といいますものは、これまでの歴史は異なる目的あるいは内容を持ってまいっておりますけれども、しかし、いずれも学齢前の子供たちを預かるという点におきまして同じような役割を持っている面もあるわけでございます。
 私は、これからの若いカップルがぜひとも子供を持ちたい、そういうのにきちっとこたえていくためには、幼児がどのような形で教育されればいいのか、あるいは保育されればいいのか、そしてその地域なり保護者のニーズというものにしっかりこたえていくにはどうしたらいいかという角度から考えていったらいいと思います。
 既に厚生労働省とも相談をして、幼稚園と保育所の施設を共用化する、あるいは幼稚園教諭あるいは保育士との共同の研修を行う、それから教育内容、保育内容の整合性を図るなどの努力をしてまいっておりますが、今後とも、これは総理の指示もございまして、私どもとしては、幼稚園教諭と保育士との資格をできるだけ共用しやすいようにする、あるいは幼稚園と保育所の一体的運営を促進していく、そのような形で進めたいと思っております。
 そして同時に、総合施設の問題につきましても積極的に検討を進めてまいりたい、そのように考えております。
原口委員 総理、お聞きになったとおりです。検討を進めていく、ことしできることはことしやる、来年できることは来年やる、何をやるかがよくわからない。
 「ここまで進んだ小泉改革」という本があります。これは政府が出されているものですけれども、これによって、「待機児童ゼロ作戦を進めています」こう書いてあるわけです。ゼロ作戦は進めているけれども、待機児童がふえたのか減ったのかというのはどこにも書かれていないんですよ。
 総理のリーダーシップで実際に、この間、菅代表とマニフェストについて議論をされました。マニフェストというのは、具体的な財源と期間とそれからさまざまな工程も含めたものを議論し、そして国民の皆さんがそれを評価できるようにする、これが大事なんですね。ゼロ作戦を進めていますと言うだけじゃ、これは約束にならない。
 では、待機児童は実際、これを進めた結果、減ったのかふえたのか。実際、ふえているんですよ。共稼ぎがまさにおっしゃるようにふえていて、ふえているとしたら、政策の効果はその実態に追いついていないというふうに言わなきゃいけないんです。私は、このすべて検討中という答えでは、やはり満足いかぬなというふうに思います。平成十八年度までというような先送りでやれるような問題ではない。
 公設民営の学校についてお話をします。
 これは「先延ばしの術」で、まさに「先延ばしの術」が使われているということを総理も幾らかお感じになったのじゃないかと思う。
 今度は「やったふりの術」、「公設民営の学校」です。忍者じゃないので、国民の皆さんにわかりやすく言うにはこれがいいかなと。「やったふりの術」について。
 公立学校の運営を、これは私たち民主党も出しています、チャータースクール、いわゆる公設民営方式ですね。お上主導ではなく地域主導の学校運営ができる、地域の要望が高まっています。この二〇〇三の中でもまさに書かれているわけですが、なぜか通信制、定時制等の高等学校の公設民営方式に限定されているんです。
 そこで、文科省に伺います。公設民営の学校の対象を通信制、定時制高等学校に限定した理由は何ですか。
遠山国務大臣 これは、限定いたしておりません。例示はいたしておりますけれども、高等学校についてすべて考えるということでございます。
 この骨太基本方針二〇〇三の案につきましては、公立学校の民間への包括的な管理、委託については早急に中央教育審議会で検討を開始するということにしているわけでございますが、これは、子供たちにとってどのような教育というものが望ましいのかという教育的な観点も非常に重要だと考えているからでございます。
 大変残念ながら、一部に誤解を招くような報道がございましたが、高等学校につきましても、定時制、通信のみならず、今年度中に高等学校の運営の公設民営につきましては検討をするということでございます。これは本当に報道が、私はどうしてか、意図的なのかどうかわかりませんけれども、誤った報道がされておりますということを申し添えたいと思います。
 そして、この点につきましては、石原大臣ともきちっとした形でお話し合いをし、合意を見ているところでございます。
原口委員 そうしたら、ここにそれだけ書かないことですよ。ここに書いたらそう思うじゃないですか。そんな石原大臣、それでいいかどうか、もうここではあれしませんけれども。
 では、構造改革特区推進室、これは政府参考人に伺いますが、これまで構造改革特区の提案では、公設民営の学校というのは、要望はどのようなものが出てきましたか。高等学校ばかりなのか、あるいは通信制、定時制の要望はあるのか。さっき、それぞれのニーズに沿ってということを文科大臣おっしゃいましたけれども、小中学校と高等学校でどちらが多いですか。
中城政府参考人 お答え申し上げます。
 公設民営の学校の要望につきましては、昨年八月の第一次提案で五件、ことし一月の第二次提案で十五件要望されておりますが、第二次提案では、民間企業やNPO法人等から要望が多く出されております。
 地方からの提案におきましては、民間団体の持つ弾力性や運営のノウハウ、優秀な人材を活用したい、半官半民の新しいタイプの学校を創設することにより地域に根差した教育を推進したいなどの観点から、公立の小中高校の学校経営をNPO法人や学校法人などの民間に任せたいというものでございます。
 一方、民間からの提案ではNPO法人からの提案が多く、NPO法人の特色と実績を活用して、通常の公立学校ではできない特色ある学校をだれでも通える公立学校としてつくり、市民のアイデアと熱意で運営していけるようにしたいということでございます。
 高校につきまして、明示的に書いているのは四件ぐらいございます。それにつきましては、特に通信制、定時制というような指定はございません。
原口委員 総理、お聞きになったとおりなんですよ。小中高の、まさに公設民営の要望が高いんです。
 それをわざわざこの中では、今、文科大臣、何とおっしゃいましたか。いわゆる高校、ほかも検討すると言っている。検討するんじゃなくて、そこを、一番ニーズの高いところをやるのが普通でしょう。要望の一番高いところ、そしてたくさん出ているところにやるのが普通じゃないですか。特区なんですよ、これは。
 特区でも、そういう先延ばし、あるいは実際にニーズのないことに――役所で言う検討というのは、十二月に検討するというのは、やったふりなんですよ。(小泉内閣総理大臣「違うんだよ、それは誤解」と呼ぶ)誤解。
藤井委員長 どうぞ、質問してください。
原口委員 委員長、この総理ほど席からやじを飛ばす方はいらっしゃいません。
 私は、実際のニーズのないところにのみ限定してやるのはまさにやったふりであって、こういったことを許すべきではない。誤解と言うんだったら、小中高についても入れると明言してくださいよ。
小泉内閣総理大臣 できるものからやって、今、文科大臣も言ったでしょう、それは誤解だ、全部やるんですと。そのとおり。しかし、急にはできませんよ。検討してやるんですよ。
 さっきの医薬品もそうです。私が、薬の専門家じゃないから、これが副作用が強いです、これが危険ですなんてわかるわけないでしょう。それを先送り、先送りと。とんでもない誤解ですよ。そういう一方的な決めつけ、やめてくださいよ。
 これももうひどいよ、言い方は。決めつけて。全部進んでいるじゃないか、今までの。全部バツをつけている、全部進んでいますよ。
 「構造改革と景気」、改革なくして景気回復なし、景気回復なくして構造改革――私は政策転換しないとはっきり言っているんです。
 「財政健全化」、これは民主党も同じでしょう。私は緊縮財政とっているつもりはない。三十兆円枠にはこだわらないけれども、三十六兆円、本年度で発行している。十分な対策を打っているけれども、野方図に国債増発していいものじゃない。そういう考えであります。
 「郵政事業民営化」、民営化の論議はさせない、十分させている。これはいずれはっきりしますけれども、民営化の方向、はっきり示します。公社化は民営化の第一歩です。(発言する者あり)これは、民営化にすれば当然なるんですから、当たり前です。
 「道路公団民営化」、もう民営化することは、はっきり決まっているじゃないですか。
 「不良債権処理」も進んでいる。
 「ペイオフ解禁」、これは、混乱を起こさないための処置である。
 全部進んでいるじゃないですか。
 だから、人の見方によって違うんです。日米安保条約は戦争に巻き込まれるという議論もある。日米安保条約は日本の安全にとって必要だとある。人の見方によっているんですよ。あなただけの見方で全部進んでいないというのは、全部誤解です。全部、私に言わせれば進んでいる。
原口委員 私の見方を書いているんじゃないんですよ。わざわざもとに戻って言われるから、これは自民党さんの、それぞれ閣僚も経験した、柱となる議員さんたちのお言葉じゃないですか。お言葉ですよ。お言葉どおりなっているじゃないですか。ペイオフの解禁は先送りしたでしょう。不良債権は逆に積み上がっているじゃないですか。不良債権は減っていますか。(発言する者あり)もういいです。全く、不良債権の処理、これは後でやります。だから後で出てきてください。
 こういうことを気をつけてくださいということを言っているんですよ。改革の方向は一緒なんだから、やらなきゃいけないところは一緒なんだから……(発言する者あり)
藤井委員長 冷静に、冷静に。
原口委員 そういったところで抵抗をして、困っている閣僚もいるじゃないか。小泉内閣の閣僚が私は全部だめだと言う気はないんですよ。あなたの後ろにいらっしゃる、規制改革をやっている、特区で頑張っている、鴻池さん頑張っているじゃないですか。しかし、その中で、どれだけ先送りやあるいはごまかしと戦っているかわからないから、総理も一緒に戦ってくださいということを言っているんだ。(小泉内閣総理大臣「わかった」と呼ぶ)わかった。わかったようですから、では、その鴻池さんのところに行きます。
 特区における医療への株式会社の参入です。
 私は、鴻池大臣、特区についても、きょう沖縄の話をしましたけれども、沖縄でも特区は随分つくっているんです。金融特区やあるいは貿易特区、いろいろなことをやりました。だけれども、塩川大臣御存じのとおり、税制上の優遇措置をしましたけれども、ほとんど活用されていないというのが現状なんですよ。だから、運用のところで随分苦労をされている。
 特区における医療への株式会社参入についても、厚生労働省はこういうふうにおっしゃっていると承知していますが、自由診療の分野に限定されている医療への株式会社参入の対象を高度先端医療に限定しようとし、まさにこれは、これを広げようとする立場からは、やったふりの、意味のない特区をつくろう、こういう勢力があった。そして、高度な医療を対象とするという言葉の言いかえでまとまったというふうに思っています。見方が違うのかもわからない。
 厚労大臣に伺います。坂口大臣は、高度な医療という文言を用いたとしても中身は高度先端医療だという認識を示しているというふうに伺っていますが、それでいいのか。対象となる中身を決めるのは、さっき総理がおっしゃったように、詳しい、わからないから専門家、厚労省であるというふうに考えてよろしいんでしょうか。
坂口国務大臣 高度な医療という言い方の方が非常にわかりやすい一般的な言葉だということでございますし、それはそのように決まったわけでございますが、中身の高度先端医療というのも、これは、何を高度先端医療というかということによって随分幅も広くなってくるわけです。それは、本当に先端的なものもございますし、それから技術的なものでも非常に高度な技術のものも中にはあるわけですね。そうした高度な技術のものも含まれてくるでしょう。株式会社として自由診療でおやりになるということが言われます以上、やはり特定した、何かここだけでないとできにくいというようなものをおやりをいただく方が、私は、またやりやすいのではないかというふうに思っております。
 そういう皆さん方の御要望にできるだけおこたえをしたい、地域において出していただきましたものにつきまして、できるだけ私たちもそれに寛大に対応をしていきたいというふうに思っておるところでございまして、どんどんどんどん狭めていこう、小さく小さくなあれというふうに考えているわけでは決してないということを申し上げておきたいと思います。
原口委員 坂口大臣は、総理と医師会の会長さんとの間の会合で、中身は、高度医療と今お話しになったけれども、高度先端医療ということで話がついたというふうに会見で語っていらっしゃると思いますが、医療行政というのは業界団体だけの陳情で決まってはならない。
 そこで、鴻池大臣に伺いますが、鴻池大臣は、参議院の内閣委員会で、我が党の松井委員の質問に答えて、高度先端医療に限定するのであれば腹を切るとの強い意思を表明されています。坂口大臣の認識では、実際に対象の範囲が限定されている、それを限定するのはやはり専門家、厚労省であるという御認識のようでございますが、本当はどっちなのか。
 坂口大臣がおっしゃっている高度先端医療ということであれば腹を切らざるを得ない。そのところ、国民にわかりやすく。御自身が腹を切れと言っているんじゃないですよ。ただ、そういう思いでやっていらっしゃるものが特区というところについても骨抜きにされているのでは、これはおかしいだろうという問題意識で申し上げているので、大臣の明確な答弁を伺います。
鴻池国務大臣 御存じのとおり、二月の二十七日に、株式会社で病院経営ができる、自由診療、この二つが決定をいたしました。そして、六月中には厚生労働省の方でこれが成案となるべく御努力をいただくということで相なってまいりました。そこで、その間の特区室とまた厚生労働省との調整によりまして、これはやはり高度先端医療でなければならないという厚生労働省側からの意見が出てまいりました。
 しかし、高度先端医療に限られてしまいますと、いわゆる民間から医療の方に進出をする、本来特区の意味、ニーズにこたえられないという状況が判明をいたしております。というのは、高度先端医療というのは、私も医については余り詳しくありませんが、極めて限られた、また研究途上のものであるということでありますから、それ以外はだめということになりましたら、だれが病院経営をするかということに相なります。
 そこで、厚生労働大臣と十分なお話し合いをさせていただきまして、そして、玉虫色と解釈はされるかもしれませんけれども、実はそうではありません。高度な医療ということも含めて、株式会社が病院経営できるという状況に御理解をいただいて決着をしたということでございます。
 結論とすれば、来年春には紛れもなく、株式会社で六十三番目、今六十二の株式会社の病院が経営されているわけでございますので、六十三、六十四の特区での株式会社の病院経営参加というものが誕生すると心から期待をいたしているところであります。
原口委員 鴻池大臣がこれだけ強い決意と期待を示していらっしゃいますけれども、やはりさっきのところ、この高度な医療の範囲ですね、高度な医療の範囲というのはだれが決めるんですか。高度な医療の範囲というのは、坂口大臣、厚労省がお決めになるんですか。それとも、鴻池大臣、どこが決めるのが望ましいと思われますか。
坂口国務大臣 一番最初は、それは特区でそういう病院をやりたいということを申し出られる、これは都道府県なのかあるいは病院なのか、そこがこういうことをやりたいということをお決めになる、それに対して厚生労働省としては大臣認可を出すかどうかということを決める、こういうことになるというふうに思っています。
 あらかじめ、どんなものでしょうかということについてはガイドラインみたいなものをお示しして、厚労省としてはこうしたものを基準にして考えています、幾つかの例を出しておりますけれども、それだけがそうではありませんで、こうしたものを私たちは考えております。しかし、それぞれの地域でいろいろお考えになったものを出されるんだと思いますけれども、それに対して厚労省が認める、こういう形になると思っております。
鴻池国務大臣 ただいま坂口厚生労働大臣の御答弁のとおりであります。
 これは、方向というか、声の大きさが違うかもしれませんけれども、一つは地方のニーズ、提案をされた部分がどれだけであるかというのは今わかりませんので、これが出てくれば、いつまで私がこの任に携わっているかわかりませんが、厚生労働大臣と十分話をして、先ほどの厚生労働大臣の答弁も、縮めるんじゃなし、広く広く考える、こういうお考えでございますので、これはまさに合致をしているというふうに解釈をいたしております。
原口委員 私は、厚労省がさらに、一義的には地方公共団体あるいはその申請者かもわからないけれども、後にガイドラインで決めるということになれば、これも新たな規制ではないかというふうに思うんですよ。これはテレビの入った予算委員会ですから内閣不一致なんということはなかなか言えないかもわからないけれども、私は、そのところ、鴻池大臣は注意深く見守っていらっしゃった方がいいと思いますが、いかがですか。
鴻池国務大臣 とにかく、株式会社で病院経営をやるということは、現状の段階では極めて難しい相談であったことは間違いありません。しかし、特区という制度ができて、それならば特区でやりたいという熱意を我々はこれを宝物のようにして受けとめて、それぞれの規制官庁と交渉、調整をしてきた次第であります。
 継続して、私もこの特区の構想というものをまさに突破口として頑張っていく所存でございますので、どうぞひとつ、今後の方向につきましても、野党の皆様方も御支援のほど心からお願いを申し上げたいと思います。
原口委員 私は、やはり、何でこの規制改革を言っているかというと、マクロ政策は物すごく限られているんですよ。そして、規制を改革することによって人を対象とするサービスをふやさないことには、日本全国の雇用、この吸収先がないんですよ。そして、日本の雇用はそのほとんどが社会保障もくっついていますから、雇用を失った瞬間に、物すごい痛みが国民にいくんです。だから、ここの部分は待ったなしなんですよ。ただ野方図にやればいいということを言っているんじゃありません。
 私たち民主党、私が座長でまとめさせていただいた規制改革の基本類型というのを書いています。いわゆる経済的規制と社会的規制。社会的規制のところは、これは強化なんです。環境や医療や教育やあるいは福祉、雇用、そういったところは強化。なぜならば、立場の弱い人たちを後から救済することはできないからです。経済的規制のところは、これは自由です。ただ、産業基盤の強化のところあるいは原子力の安全性、ここは規制の強化です。ですから、経済的規制と社会的規制について分けて考えなきゃいけない。
 しかし、今鴻池大臣が一生懸命頑張っていらっしゃるように、社会的規制の中にも、弱者の顔をした強者となって、意味のない規制がたくさんある、ここに切り込んでいかなきゃいけない、私はそのように思っているんです。ですから、ここに切り込むためには大変大きな力が必要なんです。
 ですから、総理に伺いますが、鴻池大臣や石原大臣などのように内閣府の大臣には、総理にかわって各省の大臣を調整する権限など、強力な権限を総理がみずから与えないといけない。そして、これらの大臣の方針に各省大臣が従う、あるいは組閣のときに改革の大臣を入れる、これが必要なんです。総理、いかがですか。
小泉内閣総理大臣 原口議員の質問を聞いていますと、激励と受けとめていいなとだんだんわかってきました。
 石原大臣、鴻池大臣のみならず、各大臣は、今までの現状を維持しようという方々の意見を聞きながらも、よく頑張ってくれているんです。私が権限を与えているから一生懸命頑張ってくれているのであって、この規制改革の問題につきましても、今言った社会的規制と経済的規制、あるいは規制を緩和することによって危険が増してはいけないという点もありますから、その点はよく注意しながら、時代に合ったような、また雇用の拡大につながるような、いろいろなチャンスを生かせるような、そういう規制改革をしていこうということであって、私は、むしろ原口議員の目指す方向とそんなに違いはないと思っています。
 これからも、規制改革を進めることによって自分の商売が脅かされる、あるいはほかの企業が参入することによって自分の仕事が減るんじゃないかといって反対する勢力が必ず出てきます。しかしながら、国民全体を見て、一部の団体でなくて国民全体を見て、この規制改革というのが国民全体にとってプラスということになるならば、断固としてこれを進めていこうというのが小泉内閣の趣旨でありますので、各閣僚もその意を体して十分な手腕を発揮していただきたいと思っております。
原口委員 言葉どおりのことが前に進むことを私も期待して、二年前に総裁選のときに総理が民主党カードを十分にお使いになりました。私たちも、小泉内閣が私たちの改革にとってこれを本当に実現できる改革なのかということをずっと検証しながら、どっちが国民のための改革ができるかということを選挙で問うて、協力できるところは協力をしなければいけないというふうに思っています。
 ただ、総裁選後の大幅改造をおっしゃっていますが、閣僚の中にはやはり、官僚を強力に指導することができる、そういう閣僚を選ぶべきだと思いますし、さまざまな族議員との調整に飛び回って後ろから鉄砲を撃つような官僚あるいは大臣、これは即刻首にすべきだということを申し上げておきます。
 さて、財務大臣に、予算の組み替えをさせていただいて、私たちはこの規制改革の安心の部分に強く、安心なくして改革なしという予算案を野党四党で出させていただきましたけれども、小泉総理のいわゆる税制の改革については、消費税は次の内閣でやれということをおっしゃっています。私たちは、次の内閣というのを持っています。民主党でやれとおっしゃっているのかなと思いますが、資料をごらんいただくと、一番最後……(発言する者あり)おもしろい発想。面倒くさいのは次の内閣でやれというのは、総理、やはりよくないですよ。総理の内閣でやってください。
 というのはなぜか。一番最後、これをごらんいただくと、長期金利の動向、市場金利の動向です。
 先週、長期金利が、一時的でしたけれども、〇・二%はね上がりました。二月のこの委員会で、日銀総裁と私は、仮に長期金利が一%上がると、日銀のバランスシート、どれぐらい傷みますかという話をしました。一%上がると一兆円、五兆円の自己資本が傷むというお話でした。つまり、今一番私たちが経済に対して恐るるべきは、経済に減速がかかってくること。これは、経済成長が鈍化している中で長期金利が上がるというのは最悪の事態なんです。
 ですから、歳入の構造改革、特に、私は消費税を無際限に上げればいいということを言っているんじゃない。しかし、このことを聖域にしたままで、本当に責任のある政治ができるのか。財政は逆に悪化していますよ。当初の予算で思いっ切り減らすけれども、後で補正をかけて、かえって財政赤字は積み上がっています。
 こういう状況の中で、財務大臣、総理は御自身の任期の間は消費税を全然、議論はするけれども、そこには手をつけないで、ほかのところをやるというふうにおっしゃっていますが、これが小泉改革が実現性やあるいは具体性を欠く一つの原因になっているんじゃないかと言う人さえいます。財務大臣はどのようにお考えなのか、基本的な認識を伺います。
塩川国務大臣 長期金利の御心配をいただいておりまして、申しわけない。
 しかし、これは私は、ちょっと一過性のものではなかったかと思って、慎重にその原因等を探求させて一応見ております。
 さて、財政の悪化について、消費税との関係をお問い合わせがございましたが、小泉総理の言っているのは、消費税は議論してもいい、そしてまた、改正するならばきちっとした改正をしなきゃならぬ、そのためには前提があるということを言っておりまして、それは何かといえば、現在の財政構造の中で、要するに、もっと効率化するもの、あるいはむだを排するもの、そういうものをしっかりとした上で、その上で、必要であるならば、それは考えてもいいけれども、今すぐにそれに着手する必要はない。
 民主党がどうせ消費税をお上げになるだろうと思いますけれども、私は、やはり、その前にやるべきものはちゃんとやらないかぬと。私たちは現在の段階を見ました場合に、財政の構造上、三位一体の問題もまさにそうでございまして、そういうものを改めた上で消費税の問題は改めて考えるべきだと思っておりますが、その前にやはり社会保障のあり方等、行政の仕組みというものもしっかりと見直さなきゃいかぬ、こう思っております。
原口委員 この長期金利の上昇は余り心配要らないということですし、それから、次の内閣は民主党だということをお認めになった、そろそろ政権を投げ出すときなのかなというふうに思います。
 りそな銀行について、金融の構造改革で触れておかなければいけません。
 これは、りそな銀行へ三度目の資本注入です。お手元にお配りをした「りそな問題に関する総理の見解ポイント」、五つの点を総理はおっしゃっています。破綻ではなく再生だ、危機ではなく危機の防止だ、国有化ではなく公的支援だ、一〇%を上回る十分な自己資本を確保しているんだ、そして、現状で金融システム全体の影響はないんだということです。
 これだけの資本を注入し、そしてさまざまな委員会で審議が行われてきましたが、竹中大臣に伺います。
 りそな銀行は、五月十日付面談メモを自行で作成したものということを認めています。ここで、金融庁の鈴木課長の発言は粉飾を指示しているように聞こえるし、そして中原参事官の発言は、破綻ではなく再生とかいう表向きの発言とは全く違うものであります。
 朝日監査法人の岩本理事長は、十三日の参議院財政金融委員会で、我が党の議員の質問に答えて、りそな銀行が債務超過であるということを認めました。朝日監査法人は、りそな銀行の決算直前に監査法人からおりています。とはいえ、株主総会で選任された正式な監査人です。朝日監査法人の判断の方が正しかったんではないか。
 そして、続けて伺いますが、りそなホールディングス次期会長の細谷氏は、竹中大臣があれほどこの委員会でもかたくなに拒まれた資産査定を実施すると述べていらっしゃいます。仮に、その結果、りそな銀行が債務超過であるということが立証された場合、資本注入は取り消して破綻処理に行くのか。
 そして、九月期中間決算で監査法人がより厳しい対応をした場合に、少なくとも、りそなと同様の影響が他の大手行にも及ぶと言う人もいますが、この見通し、過少資本に陥る見通しについてどう考えていらっしゃるのか。
 竹中大臣はこういう金融庁の、先ほどの総理にお話をした隠ぺいや先送りや、あるいはやったふり、これに戦うために大臣になられたと私は最後まで信じたいと思っている。しかし、このりそなへの資本注入、これはこれでよかったのか、いずれ明らかになる。それは平成十八年度というような長い時間ではなくて、まさにこのデューデリジェンスが行われれば明らかになるわけです。いかがでしょうか。
竹中国務大臣 原口委員にお答え申し上げます。
 メモしておりましたら五点質問がございましたので、少し答弁、長くなることもお許しいただきたいと思うんですが、まず、十日の面談メモについてお尋ねがありました。この面談メモ、五月十日付のメモというのは二つありまして、電話メモというのと面談メモというのがございます。
 電話メモにつきましては、これはだれが作成したかというのが記入されておりまして、それぞれの個々人に確認したところ、この電話メモは、これは実在しない、これはだれかによってつくられたものであるということが確認されている。
 もう一つの御指摘の面談メモは、これはりそなが作成したということをりそな自身も認めていらっしゃる。ただし、同時にその中で、それとの関連で、この委員会での証言だったというふうに思いますが、勝田さん御自身が、そういった脅迫めいたこととか恫喝のようなことは一切なかったということを作成者側がきちんと証言しておられるというふうに認識をしておられます。
 五番目の、まさにお尋ねの、隠ぺいの話ですね。そういうことがあってはならない、これは委員会でも私、御答弁させていただきましたけれども、この問題が私の耳に入ってきた段階から、何事も隠すな、何事も先送りするなと強い指示を私自身は出しております。それを受けて、金融庁はしっかり対応したというふうに私は思っております。
 しかし、委員会でのお尋ねがございましたので、固有名詞の挙がった一人一人について、私は一人一人面談をしまして、そういう事実がなかったかどうかを確認しております。それについてもこの国会で御報告をさせていただいておりますが、本人自身、そういうことは誓ってなかったと。繰り返し言いますが、先方の勝田前頭取も、そういうことはなかったというふうに言っておられますので、その点は、どうぞ御信頼をいただきたいというふうに思います。
 もう一つ、債務超過なのではないかという御指摘、それについて、これまた参考人の招致の中で、朝日監査法人のトップがおっしゃったという御指摘でございますが、私の理解では、まず、朝日監査法人は、これは正式に契約を結んだ監査法人ではございません。そういうことを自分たちは言う立場にないということも、参考人の証言の中できちっとお話をしていらっしゃると思います。
 もう一つの、きちっと契約を結んだ新日本監査法人は、これは債務超過ではないというふうに明言もこの国会でしていらっしゃる、やはりこの点をしっかりと御認識を賜りたいというふうに思います。
 もう一つ、三番目にお尋ねがありました、デューデリジェンスの話がございました。
 私が国会、記者会見で申し上げてきたのは、この預金保険法百二条というのは、まさに緊急事態に対応するための法律の枠組みだということです。緊急事態で、今度過少資本になる可能性がある、そのときに一カ月、二カ月かけて資産査定を行って、それで資本注入するかどうかを決めるというのは、これは法律の趣旨に反するであろう。
 加えて、私たちは、通年・専担検査という厳しい検査のシステムを持っている。特別検査も行って、その特別検査の結果は決算に反映されている。独立した監査法人が、それについて債務超過ではないと、しっかりとその監査の結果を証明している、その中で、我々の公的資本注入の決定に当たって、そういうことをやる必要はないということで申し上げた。
 しかし、同時に私が申し上げてきたのは、これは新しい経営陣になったときに、これは実際には、例えば日産を引き継いだときにゴーンさんは資産の査定を行いました。そういうことは当然に行うべきであるというふうに私は記者会見でも申し上げておりますし、さらに、金融再生プログラムにのっとっておりますが、この金融再生プログラムによって、これは新勘定と再生勘定に分けるということを我々もりそなに求めている。それで、分けるに当たっては、資産の査定は当然しなければいけない。そういう意味での資産の査定というのは、経営の責任においてしっかりと行っていかなければいけない。我々としては、監督当局としては、引き続き検査体制の中でしっかりと資産の査定はしていくということでございます。
 四番目に、過少資本云々、こういった繰り延べ税金資産等の問題で過少資本の銀行が出てくるのかどうかというお尋ねも四番目にあったかと思います。
 これについては、これは独立した監査法人がしっかりと会計実務指針にのっとって査定を行っていただくわけでありまして、この新年度が始まったばかりの段階で何が起こるだろうということを私は申し上げる立場にはないと思っております。
 最後に、繰り返しになりますが、隠ぺいをしてはならない、これはもう御指摘のとおりだと思います。この点については、私自身、総理の御指示を受けてしっかりと金融庁の諸君には申し上げているつもりでありますので、御理解を賜りたいと思います。
原口委員 これまでの国会答弁とまたずれた答弁をされている。
 総理、私は、本当に不良債権の処理をするためには大きな決意が必要なんです。その決意を、官僚の、今小泉内閣になって、官僚の高笑いが聞こえます。族議員の高笑いも聞こえるんですよ。その高笑いを私たちは、その口を閉ざしていかなきゃいけない。
 最後に、抗議をしておきます。
 私たちは審議拒否をしたことは一回もない。総理がお願いをされた法案や予算、審議拒否なんか一回もしていません。野党の審議拒否は支離滅裂だなんということをおっしゃいますが、総理は一つの国会で二回も議長から注意を受けているんです。あなたは行政の長であり、私たちは立法府の人間です。行政の長が立法府に対して、あらぬ、いわれもない、根拠もないことを言う、そして国会を混乱させる、これは慎むべきだということを強く抗議しておきます。
 反省の弁があったらおっしゃってください。
藤井委員長 小泉内閣総理大臣。簡潔にお願いします。
小泉内閣総理大臣 円満な議事運営を心がけなきゃならないと思っております。
藤井委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午前十一時五十二分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
藤井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
 この際、玄葉光一郎君から関連質疑の申し出があります。原口君の持ち時間の範囲内でこれを許します。玄葉光一郎君。
玄葉委員 民主党の玄葉光一郎です。
 国から地方へ、小泉政権が発足したときのいわばスローガンでもあります。しかし、発足後二年間、ほとんど何も手つかずの状態だったと思います。ただ、ここへ来てやっと動き出して、最近一応の決着が図られたのかな、こういうふうに見ています。
 有事法制の締めくくり総括のときの議論を総理は覚えておられるかわかりませんけれども、私はあのときに、修正された有事法案は率直な評価として八十点だ、こうこの場で言いました。今回の三位一体案、私の率直な評価は三十点です。
 中身については後で議論をいたしますけれども、冒頭、総理、分権改革、この三位一体改革の目的は何なのか、どんな社会をつくりたくて三位一体改革を行おうとしているのか、まずそのことをお尋ねしたいと思います。
小泉内閣総理大臣 地方にできることは地方に任せるように今までの制度や慣例等を見直していくべきではないかという中で、今までの中央集権的な考え方、例えて言えば、先ほども議論がありましたけれども、教育の面一つとっても、東京の学校とあるいは地方の学校とでは実情が違うだろう、子供の多い数、少ない数、地方によっても、都会によっても違うでしょう、あるいは教員を採用するに当たっても、給与の面によっても地域によっては違いがあるのではないか。
 そういうことから、地方の自主性なり創意工夫を生かしたような制度、仕組みを考えるべきではないか。幼稚園にしても、保育園にしてもそうであります。そういう地方の実情を生かした、地方の裁量権を拡大する方向でこの問題を考えていこう。
 あるいは、道路一つとっても、この道路は三車線でなきゃいかぬ、同じ費用だったら、地方によっては二車線で十分いけるという地域もあるんじゃないか、そういう点は地方の意向を尊重すればいいじゃないかという観点から、私は、地方の裁量権をもっと尊重する形で、今回の補助金の問題、交付税の問題、あるいは、地方がそれだけのことをやりたいのだったらば税源も与えていかなきゃならないだろうということで、これを、三者、三位一体で考えていこうと。
 いずれも、明治時代からの仕組みでありますから、補助金一つとっても問題がある、あるいは、交付税をとっても、税源移譲をとってもどの税源を移譲するのかわからないという点もあって、なかなか難しかった問題ですから、三つとも難しい問題なら、難しい問題を一緒に解決する糸口を見出したいということから、三位一体の改革に取り組んだわけであります。
 今後、地方の裁量権を拡大するような方向で、地方の意見も聞きながら私は進めていきたいと思います。
玄葉委員 私は、今の日本は潜在力があるんだけれども潜在力にふたをしている、そう思っています。潜在性を発揮できないでいる、そういう仕組みにしてしまっている。そのふたをあける、これが私は第一の改革の目的だと思っています。
 もう一つは、何から何まで中央省庁が、もっと言えば中央政府が抱え込み過ぎちゃって、本来の中央政府の果たすべき役割、例えば外交、安全保障、経済、金融、こういった問題でメルトダウンしているといいますか、十分本来の機能を発揮できないでいる。これを発揮しやすくしていく、こういうことも私は大眼目なんだろうというふうに思っています。
 最後に、もう一つ申し上げれば、今の仕組みはやはりむだをつくるシステムというものをどうしても内在してしまっている、これをなくしていくということじゃないかというふうに思います。
 少しわかりやすくするためにお手元に資料も配付をさせていただいておりますけれども、例えば、これは長野の田中さんがお示しをした表でありますけれども、あえて、わかりやすいので使わせていただきますが、小中学校の建てかえ、補修の財源構造がどうなっているか。
 建てかえのときは、国庫補助金三三・三%、交付税四〇%、市町村の負担は二六・七%で済むんですね。しかし、補修はといえば、三三・三%は国庫補助金出るけれども、あとは市町村の負担になる。とすれば、よく引き合いに出されますけれども、例えば豊郷小学校のような芸術品のような校舎があって、これは建てかえより、本来、補修だな、耐震構造の補修をしよう、こう考えたときにも、どうしても建てかえインセンティブが働いちゃうわけですね。こういうことが起きてしまう。
 もう一つ、例に出します。これは道路の例でありますけれども、新規あるいは大規模補修のときは六〇%。五〇%の補助金と一〇%の交付税措置、これで六〇%出るんですよ。県の負担、実質四〇%。しかし、一般の補修になると、全部県が負担しなきゃいけない。そうすると、どうしてもどうしても大規模な補修をしたがっちゃうわけですよ。こういう仕組みを内在しているんですよ、現実に。これはほんの一例ですよ。わかりやすいから例を挙げただけで、たくさんあるんです、こういうのが。
 こういう仕組みをなくしていくということが私はもう一つの眼目なんだろうというふうに思いますけれども、総理、どうですか。
小泉内閣総理大臣 私も賛成ですよ、その御意見に。今具体的な例を挙げましたけれども、地方には地方の実情がある、地方の裁量権、任すような方向で、中央の権限を地方に渡していく、こういう趣旨には賛成でありますし、この方向に沿って、より地方の裁量権を拡大するような方向で改革を進めていきたいと思います。
玄葉委員 今、潜在力のふたをあける、中央政府本来の機能を発揮させる、むだをつくるシステムをなくしていく、こういうことを申し上げましたけれども、さて、今回のはどういう案なんですか。四兆円の補助金を廃止、縮減等、そして、義務的経費については一〇〇%移譲するけれども、それ以外は八〇%の移譲だ、大体簡潔に言うとこういうことでしょう。果たして今回のこの案で潜在力のふたがあくんでしょうか。
 では、聞きますよ。例えば今のこういうむだをつくるシステム、これは今回の案でなくなるんですか。
片山国務大臣 四兆円は、地方分権改革推進会議が重点項目十一項目というのを出したんですよ。そのうちの公共事業を外したものについて改革の対象にしよう。不必要なものは、やめるものはやめる、縮小するものは縮小する、やり方を、自由化、裁量の範囲を広げるものはそうしよう、こういうことでございまして、特に、私どもは、人件費だとか施行事務費だとか補修費だとか、そういう細々としたものについては、この際ぜひやめてほしい、市町村の個別のものについてもできるだけ整理することを考えてほしい、こう言っておりますから、今まさに委員の言われた補修等、大規模なものと小規模なもので今の仕組みはちょっと差をつけていますよね。大規模なものは金がかかるし、これはいろいろなことで大変ですから、そういう意味で差をつけておりますけれども、これは、補助をやめたら、一般財源ですから、必要なものしかしない、こういうことになると思います。
玄葉委員 私、今申し上げたのは学校の話ですよ。要は、なくなるんですか、こういうシステム。はっきり言ってください。
片山国務大臣 個別の具体のものについては、大きな方向と道筋を示したわけでありますから、予算編成の段階で十分相談いたします。
玄葉委員 はっきり言えないんですね。つまり、民主党の案は、後で説明いたしますけれども、所得税から住民税に五・五兆円税源移譲する、その財源は補助金に求めますけれども、その残りの大半は、これは大変なことだということをわかってあえて申し上げるんですけれども、ひものつかない一括交付金にしようというのが基本的な考え方ですよ、教育だとか社会保障だとかそういった性格ごとに分類して。
 そう考えると、今のようなむだは、我々の案だったらすっきりなくなる。しかし、今の答弁を聞いてもおわかりのとおり、はっきり言ってどうなるかわからないんですよ、今回の案では。多分なくならないでしょう。そういう極めて中途半端な、私の言い方で言えば、三十点の答案用紙を書いてきた、こういうことじゃないかと思っています。
 小泉総理、総理のこれは看板ですよね、国から地方へというのは。看板ですね。今回、こういう形で中途半端な案を出してきた。しかも、この中途半端な案を二〇〇六年度までかけて実現する。総理は、もし自民党総裁選で再選されても任期はあと三年ですか。ということは、小泉さんの三位一体の改革の到達点というのは今回の案なんですか。そういうことですね。
小泉内閣総理大臣 私は中途半端だとは思っていません。改革に終わりはないんですから。明治以来できなかったことを進めていこうという突破口ができた。そして、四兆円にしても、補助金の問題にしても、交付税にしても、税源にしても、具体的に進めていくにはやはり法律改正が必要な部分もあるでしょう。そういう点については、国会の同意を得なきゃならない、法案もつくらなきゃならない、予算も組まなきゃいけない。そういう点がありますから、具体的な方向を示した。
 この方向に沿ってこれから予算編成が始まることでありまして、これ以上方針として具体化するというのはおこがましいし、今後、いろいろな意見が出てくる、それをまとめていくのが私の仕事だと思っておりますし、中途半端とかどうとか言いますけれども、まず突破口ができた、そして、この改革はもう後戻りできないでしょう、またさせるべきものではない。私は、今後、この方向に沿って進めていくべきものだと思っております。
玄葉委員 要は、具体性がないということもさることながら、先ほどから申し上げていますけれども、今回の改革の目的は、私、三つ申し上げましたね、総理もそのとおりだってはっきりおっしゃいましたね。しかし、例えば、本質的じゃないかもしれないけれども、こういう仕組みもなくならないということですね。ですから、まさに描いた見取り図、将来の見取り図というのがはっきり言って小さい、小さいんですよ、率直に申し上げて。私はそう思っていますよ。だって、今回の案がほぼ到達点なんでしょう、三年でやるということですから。そういうことでしょう。私は、それが先ほどの潜在力のふたをあける、こういうことにはなっていかないと思いますよ。
 きのうも、私は日曜日で地元に行っておりましたけれども、各自治体の関係者がこういうことを言っていました。三位一体というのは、先ほど質問の中でキリスト教では云々という話がありましたけれども、税源移譲と交付金と補助金だ、この三位だということでありますけれども、別の見方をすれば、国と都道府県と市町村、それぞれの改革だと。塩川大臣もそういう発言をされておられますね。都道府県と市町村は今回、補助金二割カットする、交付税も抑制する。金がないから合併しろ合併しろ。では国はどうなんだ、自治体に厳しさやそういうものを求めるんだったら、国はまず範を示すべきじゃないか、範を垂れよ。こういうことを言っていますよ。どうですか。
小泉内閣総理大臣 国も、税財源をどうやってうまく活用するかというのも厳しい改革であります。地方にゆだねる、今までの権限を、握っていたものをどのように地方に渡すか、それぞれ抵抗があるでしょう。これも厳しいものがあります。
 交付税一つとっても、地方も大変です。交付税をもらえるんだったら自分で財源を考えない方がいいよという市町村もあるのは、一部にあるでしょう。しかしこれも、三千三百ぐらいある地方公共団体のうちに百ぐらいしか交付税をもらっていない団体がない、ほとんど、三千以上が交付税をもらっているというんだったら、財政調整とは言えないじゃないか。富裕県、富裕地方団体と、どうやったって財源が見つからない市町村もあります。そういうところにとってみれば、現状がいいと言うのに決まっています。税源を見つけないで、補助金をもらって、交付税をもらってやった方がいい。
 そういうこともありますから、それは国にとっても、地方に税源を渡せば税収が減る、では国のところの仕事、地方の仕事をどう分けるかというのは、これからの問題もあるわけですから、一年や二年でできる問題じゃありません。この方向を進めていこうということでありますので、私はこういう方向で今後も進めていきたいと思います。
玄葉委員 結局、国は税源移譲をするというのが痛みだと、こういう話なんですね。それは、その分仕事が減るんだから当然なんですよ。本当だったら、歳入中立で税源移譲したって本当はいいはずですよ。総務大臣、そうでしょう、本当は。本当はそうなんですよ。だから、こんなの痛みじゃないんですよ。
 私は、分権改革の本当の本質は、結局、役人と国会議員、はっきり言えば族議員ですよ、権限を手放せるかどうかですよ。もっと言えば、補助金とか負担金、三千項目ぐらいあります。私は全部見ました。全部見たら、大体、都道府県とか市町村でできるものが大半ですね。やれるんですよ。しかし、その権限を手放さないのが役人、言っちゃ悪いが、その役人の手先となっている族議員ですよ、はっきり言って。この権限を手放せるかどうかでしょう。
 もっと言えば、そういう権限が手放されるとどういうことが起きるかというと、国交省の大臣がいますけれども、例えば補助金とか負担金に係るような業務というのはなくなるわけですよ。ということは、分権改革のもう一つの本質というのは中央政府のリストラなんですよ。今回、都道府県と市町村に厳しさを求める。だけれども、国はどれだけ中央政府のリストラをするんだ、こういうことじゃないですか。
 総理、総理ですよ。基本的な大方針だから。
片山国務大臣 国自身のリストラも、御承知のようにいろいろやっていますよ。組織の見直し、定数の削減、権限移譲、地方分権一括法というのはまさにそれなんですよ。
 そこで、今これから国の補助金、負担金を思い切って整理縮減すれば、補助金一つに一課あるようなという、うそか本当か知りませんが言われておりますけれども、そういうことでは、その要員や組織は要らなくなるんですから。補助金を出すのも一種の権限ですよ。この権限がなくなっていくんですから。地方がそれだけ自主的にやっていく、国もそれは相当な行政改革になる、地方はもちろんなる、こういうことで三位一体でございまして、地方分権を進めるとともに、国、地方の行財政のスリム化、効率化、簡素化をやる、これが今回の三位一体のねらいであります。
玄葉委員 例えば、具体的に聞くつもりはありませんけれども、特殊法人が独立行政法人になった、何と言われていると思いますか。フロアも変わらない、役職も変わらない、隣にいる人も変わらない、だけれども名前が変わった、こういうふうに言われているんですよ。これが現状じゃないですか。それで中央政府を、中央省庁をリストラしたって言えるんですか。
 私は、必ずしも一人一人の役人、志ある役人、官僚、これは霞が関に――仮にこの大改革によって半分になるんだったら、権限と財源を持った自治体に行ってもらったらいいと思うんですよ。あるいは、国会のスタッフになったらいいと思うんですよ、調査室だ、国会図書館だと。立法府の機能も強化されるでしょう。そういう見取り図というか絵をかいてこういう問題は進めないといけない。だから中途半端だと言っているんですよ。中央省庁のリストラ計画、何にもないじゃないですか。どうですか。
片山国務大臣 建物を建てるのでも、基本設計、実施設計、それから建設にかかるんですよ、何年間かかかって。それと、これだけ大きな改革をやろうというのに、まず基本設計が要るんですよ。今回、そういう戦後五十何年間できなかったことを今やっているんですから。今まで税源移譲だとかできませんよ。国の補助金の抜本的な見直しなんというのはできなかったんですよ。交付税も二十九年以来、できて、手直しはしてきましたよ。そういうことを三つあわせてやろうというんですから、そうばたばたばたばた、年末まで、一年だとかという議論に、私はなかなかならない。
 国の方は、中央省庁の再編計画、やりましたよ。独法になったということは、自主的な経営をやらせて、中期計画が終わったら、三年か四年でその法人のあり方を根っこから見直そう、こういうことなので、私は特殊法人よりはずっと進んでいると思いますよ。
 そういうことで、三位一体は全体の大きな改革の中の一環なんですよ、特に国と地方の関係に着目した。ぜひ御理解を賜りたいと思います。
小泉内閣総理大臣 一歩進むと中途半端だと言いますけれども、特殊法人、一年でなくなるわけないじゃないですか。今まで、財投から始まって、郵政から始まって、道路公団、特殊法人、住宅金融公庫、石油公団、大物はほとんど廃止縮小の方向でやっているんです。百以上ある特殊法人を一挙にゼロにするなんてとても無理ですよ。
 しかしながら、統合して、税金の投入も、一兆円以上も削減しているじゃないですか。私は、着実に進んでいると。今後も不断に見直しをしていくということで、一歩進むと中途半端、二歩進むとまだ十分でない、それは批判するのはだれでもできますけれども、これは着実に進んでいるんじゃないですか。私は、それは批判も結構ですけれども、これからも、この改革はこれで終わりじゃない、不断の見直しが当然必要だと思っております。
玄葉委員 多分、議論を聞いていると、私は時代認識が違うのかなというふうに思っています。私は、日本人は小さな波には極めてよく対応してきたと思いますけれども、大きな波には残念ながら、明治維新のときも戦後のときも、我々自身の手で十分なし遂げられたかどうかという問題があるわけです。私は、今来ているのは大きな波だと思っているんですね。その大きな波に対応するのに、一歩ずつ着実になんと言っているような状況なんですかということですよ。
 私は、潜在力は日本にあると思うんですよ。あるんだけれども、そのふたをあけられない、あけてない、それを今この時期にやらなきゃいけないということじゃないですか。私は、潜在力はあるんだけれども、今まさに日本は衰退が確定する可能性すらあると思っていますよ。だから、そんな、四兆円削減して、その一部を税源移譲する、これが大改革なんだ、すごいことなんだなんて、そういう認識では私は全然ないんですよ。四兆円以外の補助金、どうするんですか。どれだけ権限を手放すんですか。さっき申し上げましたように、ほとんどできるんですよ、都道府県と市町村で。だったら、権限を手放したらいいじゃないですか、潜在力のふたをあけてあげたらいいじゃないですか。
 私は、これはさっきも申し上げましたけれども、総理、確かにすごい既得権益ですよ。すごい既得権益です、すごい既得権益。確かに、今までやれなかったと言えばそれまでです。だけれども、今やらなきゃいけない。すごい既得権益、まさに、自民党を壊す覚悟とかつて総理は言いましたけれども、本当に壊さないとできないんじゃないかと思うぐらいですよ、率直に言って。壊す覚悟がないから踏み込まないんじゃないですか。
小泉内閣総理大臣 四兆円を三年で廃止縮小していこうということになれば、それで終わりじゃないんですよ。四兆円できるんだったら六兆円できる、八兆円できるということになっていくんだ、当然。しかし、一挙にそんなことできるわけないでしょう、今まで五十年間できなかったことが。まずできた、できるんだったらこれもできるというように、確実に進んでいきます。
 そして、私はまず言ったんですよ。自民党を変える、変わらなかったら壊すと言っているんですよ。(玄葉委員「変わってないじゃないですか」と呼ぶ)変わっているじゃないですか。
 まず、道路民営化、これなんか考えていなかったことですよ。今、ほとんど反対者はいない。郵政民営化論議もいかぬ。民間事業者を参入させて、公社になって、これから民営化に進む、これも着実になる。これも自民党は賛成します。
 明らかに、今まで住宅金融公庫なんか廃止できっこないと言っていたのが廃止じゃないですか、もう。これも一年でできるわけじゃありません。段階をかけて廃止というのが決まりました。石油公団もしかりであります。今回の医薬品のコンビニの発売も、これは今まで自民党の支持団体はみんな反対していたじゃないですか。できるようになってきたじゃないですか。幼保一元化、これも幼稚園と保育園の対立で、長年、自分たちの領域が侵されるということで、絶対ならぬ、相ならぬと言っていた。それをやろうというんじゃないですか。着実に進んでいるじゃないですか。
 これで、私が退陣した後も、この流れはとどめることはできないと思いますし、確実に進んでいきます。
玄葉委員 まさに牛の歩みなんだと思いますよ。牛の歩みなんだと思いますよ。まさに、こういう問題についてはスピードが大事、だから、私はやはり時代認識が違うのかなというふうに思わざるを得ないところがありますね。
 自民党変わったと言いますけれども、例えば選挙スタイルが本当にどの程度変わっているのかと思うときがありますね。正直、私の選挙区なんかでも、例えば最近だってありましたよ。建設会社に電話がかかってきて、自民党を応援しなきゃ予算つきませんよみたいなことを、だれがかけているのか私はわかりませんよ、ただ、そういうことがあるんですよ、現実に。だから、そういうことが、現実に分権が起きるとできなくなるんですよ。わかりますか、総理。できなくなるでしょう、だって権限がなくなるわけですから。だから私は、結果として、族議員がばっこするような政権だと分権改革というのはできないんじゃないか、こういうふうに思っているんですよ。
 少し各論を聞きます。
 竹中さん、四兆円補助金を削減するということをまとめられたのが竹中さんだというふうに思いますけれども、この根拠は何ですか、四兆円の。
竹中国務大臣 まず、四兆円の数字でありますが、これは総理からの御指示があったということでございます。
 総理からの指示に基づいて、今、いわゆる骨太第三弾でその取りまとめを行っている途中であるわけでございますけれども、これは、先ほどから出ている分権会議等々で重点十一項目八・六兆円という数字が示された。その中で、これはいろいろな議論がございます。そうした中で、より幅広くこの補助金の縮減、改革を検討して、これは現実にどのぐらいできるだろうか、どのぐらいのペースでやるべきだろうか、いろいろな御議論があります。経済財政諮問会議でもいろいろな御議論がありました。そうした観点から、まさに総合的に判断して、とにかく当面、「改革と展望」の期間内に、この四兆円を目標にしてしっかりと改革していこうということで総理から指示が出されたわけであります。
 我々としては、それを受けてしっかりとやっていきたいと思っております。
玄葉委員 例えば、これは片山さんだって同じかもしれませんけれども、国と地方の歳入を一対一にするために、例えば我々のように五・五兆円だ、こういう意味なら、私、まさに根拠があるなと思うんですが、総理、総理の御指示だということですから、四兆円の根拠は何ですか。
小泉内閣総理大臣 これは、いろいろ項目別に詰めていくと、今回、三年間でやる額として三兆数千億円、四兆円をめどに公共事業も含めてやった方がいいなということで、大ざっぱの、おおむねの数字であります。最初、数千億円という声が出たんだけれども、兆円単位でやるべきだということから、だんだん、できるだけ多い方がいいと。地方の要望、総務大臣のいろいろな考え方、財務大臣の考え方、いろいろ聞きまして、大方針として四兆円をめどにやろうということになったわけであります。
玄葉委員 よくわからないですね、正直。いやいや、根拠はよくわからないですね。
 もう一つ聞きますよ。
 塩川大臣、義務的経費について一〇〇%移譲、こういうことでありますが、前置きがあるんですね、前置きが。徹底的に効率化を図った上で一〇〇%移譲する、これはどういう意味ですか。
塩川国務大臣 ちょっと先ほどの話に戻りますけれども、四兆円ということの根拠が何か非常に不明朗なことをおっしゃっていますけれども、これはきちっとしたことがあるんです。
 それは、国と地方との間で、補助金を支給しておりますのが総額二十兆円あるんです。そのうち、社会保障関係等が約十一兆円あるんです。そして、本当の一般行政的なもの、要するに社会保障を除きますほかの分が約十兆円近くありまして、そのうちの、地方分権推進会議で取り上げましたのが、約九兆円取り上げたんです。それは、先ほど言いました社会保障関係以外の分でございました。そのうちの約五兆円が実は公共事業なんですね。そうすると、公共事業というのを、財源は道路が多いものでございますから特定財源と結びついておりますね。そうすると、なかなか一般予算の問題として考慮しがたいから、これは、公共事業は一回外して、公共事業としてスリム化を考えていこう、それでまた地方への分権を考えていこうと。そうすると約四兆円、正確に言いますと三兆六千億円でございますけれども、それが対象になったということでございまして、でございますから、その十一項目の中から要するに公共事業部分を除いたものが三兆六千億円、これを約四兆円、こう言っておるわけでございまして、ちゃんとした根拠が実はあるのでございまして、おうちの方で示されております五兆五千億円というのはどういうことかちょっとわからないと私は思っております。
 そこで、質問の中でございますけれども、私たちが言っておりますのは、要するに、徹底的なスリム化ということの中に、先ほどいみじくも玄葉さんが示された、こんな矛盾があるじゃないかということをおっしゃっていますね。そういうことをやはり正していくということが一番大事なんです。今、あなた方自身おっしゃっているように、行政改革を進めなきゃならぬ。これは財源問題ばっかりに目をとられておりますから、肝心のそこを忘れてしまっておるんです。行政改革とあわせて、今までの予算の執行状況はこれでいいのかということを見直して改革していくということでございまして、我々は、地方の仕事を削ろうとか、あるいは財源を削って国と地方と合わそう、そんなけちな考えは持っておらぬのでございます。
 ですからして、私が申しておりますことは、約二〇%ぐらいは地方行政全体で経費を見直してほしいということは、一つは、物価が下がってきておるということがある、それから、先ほどおっしゃった、むだを節約するということがある、そういうことを考えましたならば、約二〇%ぐらい見直ししてもらったらいいじゃないかということが一つの根拠。それからもう一つは、国税の方だってこの五年間で一五%の減収があるんです。これは現実なる問題です。そうしますと、それに合わせて、やはり地方に交付する金もそれに相当したものはひとつ辛抱してもらえぬだろうかと。こういう意味から私は総合して二〇%と言っておるのでございまして、当てずっぽうで言っているのじゃ絶対ございません。
玄葉委員 いや、質問に答えていないんですよね。徹底的に効率化を図った上で一〇〇%移譲する、その意味はどういう意味なんですかと聞いたんですけれども、質問に答えていないんですよね。もう時間がありませんから、一言で。
塩川国務大臣 徹底的にというのは、今おっしゃったようなことを徹底的に見直さなきゃだめじゃないですか。それを我々はやろうということなんです。
玄葉委員 これは、本当は幾つか確認したいことがあるんですが、時間がありませんから、ただ、いずれにしても、私は、潜在力のふたをあけるのには不十分だ、中央政府のリストラも伴っていないというふうに評価せざるを得ないし、果たして、さっきお示しをしたような、むだを生む、つくるシステムがなくなるかどうかというのも定かじゃない。だから、私は三十点だというふうに申し上げたんです。
 民主党は、今までの質疑の中でも基本的な考え方は一部触れてきましたけれども、今まさにたたき台にしている考え方なんですが、税源移譲を所得税から住民税に五・五兆円行う。補助金の改革については、先ほど塩川大臣も触れておられましたが、二十兆円ぐらいあるんですね、原則一括交付金化したいと思っています。ただし、例えば生活保護の補助金であるとか、あるいは今の拉致被害者の生活相談等の事務委託費であるとか、原発の交付金だとか、ああいうのはなじまないだろうと。しかし、全部見ましたけれども、かなりできるということは、私、わかりましたね、みんなで研究者も入れて精査したんですけれども。これを性格ごとに五つぐらいにくくって、そして交付金化していこうではないか、その中から定率でこの税源移譲の財源を取り出していこうじゃないかと。交付税については、国の関与とか法令による義務づけ、縮小する分はある程度縮小せざるを得ないけれども、財政調整機能は維持といいますか、充実といいますか、適切に調整をしなきゃいけないだろうと。それで、我々のこの案だったら補助金とか負担金に係る役人は要らなくなりますから、かなりの中央省庁のリストラができる。
 こういう案ですよ。将来は道州制も視野に入れるということで、きょうは基本的な考え方の今のたたき台だけお示しをしましたけれども、こういう考え方で民主党は今、最終的な案をつくっているということを申し上げたいと思います。
 改めて、分権改革というのはある意味で政治改革でもあるんですよね。国会議員の口先介入とか利益配分とか、こういうものをなくしていくということでもありますから、思い切ってやってほしいということを改めて申し上げたいと思います。
 市町村合併についても議論したいんですが、一言だけ民主党の考え方を申し上げておきますけれども、今、政府は、強力に市町村合併を推進する、もし合併しない自治体があったら、基本的には事務を縮小して都道府県に代行してもらう、あるいは他の自治体に編入する、こういうことも考えていきますよと。私は事実上の強制合併じゃないかというふうに思いますけれども、我々は、我々も基本的な考え方は合併推進なんですが、ただし、プロセスを、合意形成過程を重視したいと思っていますし、分権改革とまさに一体となって、自治体の自由度を大幅に拡大する中で合併を推進したいというふうに思っているんです。
 プロセス重視という意味からいえば、民主党としては、財政措置ももう少し延長してもいいんじゃないかということも今検討し始めています。そういうことも申し上げておきたいと思っていますし、仮に合併しない、合併すべきじゃないと最終的に判断した自治体があったら、それはそれで認めていこうじゃないか、多様な自治のありようを、そういう制度設計をしていこうではないかというふうに考えているということだけ申し上げておきたいと思います。
 時間がなくなりましたけれども、一つだけ、経済対策について触れておきたいと思うんです。
 家計部門のバランスシートを、きょうパネルはありませんけれども、見てみます。そうすると、二〇〇一年に金融資産は約千四百兆円、土地九百二十四兆円、建物二百五十九兆円です。総資産二千五百八十兆円、家計部門はこれだけある。だけれども、家計部門の借入金は幾らかといったら、三百八十五兆円。
 何が申し上げたいかといいますと、個々の御家庭では、私は、やりくり大変だと思うんですね。だけれども、マクロで見ると、どうも政府は真っ赤っかだ、企業も真っ赤っかだ。だけれども、家計はマクロで見ると余力がある。そう考えると、きょうは構造改革がテーマですけれども、これから経済を引っ張るのは家計の消費であると。輸出も設備投資も大事です、大事だけれども、家計の消費が引っ張らなきゃいけない。経済にお金を回すために、家計の消費が頑張らなきゃいけない。
 特に、その中でも仕事を一番つくるのは住宅ですね、住宅だと思っているんですよ。一番仕事をつくる、経済波及効果があるのが住宅ですよ。しかも、消費関連の産業まで波及していく。しかも、私たちの国の住宅水準は、世界全体から見ても、同じ先進国レベルで見ても、必ずしも高くない。そう考えていったときに、住宅にどれだけポイントを置くかというのは、私は、経済対策の一つの大事な視点だというふうに思っています。しかし、預貯金を崩すというのは抵抗があるんですね。だから、やはりいかにローンを組みやすくするかということだと思うんですよ。
 国交省の大臣いらっしゃいますが、私は、今の税額控除方式でも不十分だと思っているんです。民主党は、住宅ローン利子所得控除制度を提案しています。住宅ローンを組んで利子が出る、その利子は所得控除できるようにしようではないかと、具体的に党として提案しています。
 私自身は、それはそれでいいけれども、思い切って、例えば住宅に関しては消費税ゼロにするぐらいのことを考えてもいいんじゃないかとすら思っているんですよ、かかる費用は一兆円ありますけれども。我々、財源を一兆円捻出して、そういう仕組みをつくってもいいと思うんですよ。イギリスは、付加価値税を取っていませんよ。アメリカは、住宅ローン利子控除制度で六兆円も年間払っているんですよ、所得税控除ですね。どうですか。
扇国務大臣 今、玄葉議員がおっしゃいますように、経済効果を発揮するのには、住宅をつくるというのは一番、夢がかない、なおかつ自分の、苦労してでも、ローンを組んででも夢をかなえようという、家族というものとそれから経済効果というもの、今おっしゃったとおりです。
 そして、少なくとも十万戸当たり大体二十六万人の雇用を創出します。そういう計算も出ておりますし、また、今おっしゃったように、冷蔵庫をかえたりあるいはカーテンをかえたり、そういうもののあらゆる波及効果というものも、少なくとも二十億円の消費がそこで浮いてくるということで、一番いいというのはわかっておりますし、また、今諸外国のことをおっしゃいましたけれども、日本の場合は、今おっしゃった千四百兆、半分以上はお年寄りが持っている。そして、今、玄葉議員もそうかもしれませんけれども、第二次ベビーブーマー、三十一歳までですからもう少し下かもしれませんけれども、第二次ベビーブーマーの二十七歳から三十一歳、少なくとも一千万人が今後住宅を増築したいとか、そういう思いを持っている年代です。
 ですから、その千四百兆とおっしゃった、老人が持っていると言われる、少なくとも六十五歳以上が半分持っています、それを相続税等々前倒しにして、みんなで一緒にしようと。
 そしてなおかつ、二世帯住宅あるいは三世帯住宅、一緒に住んで、そしておじいちゃん、おばあちゃんの面倒も、少子高齢化社会ですから、そして、それを使ってもらって割合を上げていこうということで、日本の場合は住宅ローンの減税額が六千十億円でございます。ところが、アメリカはそれの十三倍でございまして、七兆九千三百三十二億円。今玄葉議員がおっしゃったようなとおりでございますので、私は、そういう意味では、今までのローンというものの果たしてきた役割、今後民営化いたしますけれども、住宅ローンも、民間も住宅金融公庫に負けないようなローン会社がいっぱいできていますので、そういうものを個人が選択をして有効に使っていただいて、住宅の促進にすれば経済効果は上がるということは目に見えておりますので、そういうふうにしたいと思っております。
玄葉委員 もう時間ですから終わりますが、大胆に仕組んでくださいよ、大胆に。大胆に仕組んでください。これは、私は、一つの大きなポイントだし、より質の高い住宅をつくるために民主党として具体的に提案もしています。私の個人的な案も申し上げました。民主党中心の政権ならそうしますし、あるいは先ほどの分権改革も大胆にやります。そのことを重ねて申し上げて、質問を終わります。
 ありがとうございました。
藤井委員長 この際、長妻昭君から関連質疑の申し出があります。原口君の持ち時間の範囲内でこれを許します。長妻昭君。
長妻委員 民主党の長妻昭と申します。よろしくお願いいたします。
 本日は、道路公団の改革について質問をさせていただきたいと思います。
 本日は、日本道路公団総裁の藤井総裁も来られておりますので、質問を申し上げます。
 この日本道路公団あるいは公団、四公団ございますけれども、これは今まで魔法のつえだったんではないか。魔法のつえというのはどういうことかといいますと、国民の皆さんの税金を余りかけなくても、どんどん高速道路をつくって、その料金収入をプール制ということでプールに入れて、そして三十年、五十年かかって最終的には全部建設費用を返せる、借金をいっぱいしていても、それは道路の交通量で最終的には返せますよ、三十年、五十年かかるけれども返せる、だからどんどん高速道路をつくりましょう、税金は余りかかりません。こういう、私に言わせたらフィクションで、どんどん高速道路をつくって、借金が四十兆円にもなってしまった、返せる見込みが立たない、これが非常に大きい問題だと私は思っております。
 では、日本道路公団に限って言うと、これからも毎年一兆円以上かけてまたどんどん高速道路をつくっていくのか、返せる見込みのない借金をどんどん雪だるま式にふやしていって本当にいいのか、これが改革のまず動機だったと思います。
 日本道路公団の収支の見込みは、この前発表されましたけれども、三年連続で減収の見込み、しかし、それは新規路線をつくっているにもかかわらず、三年連続減収の見込み。これはまさに、今申し上げたプール制、償還主義というのが、もうこれは明らかに破綻しているというふうに思います。
 民営化推進委員の意見書でも、それはもう限界に来ているというのが書いてある。そして、そのプール、償還主義はもうやめて、ある意味では、公団を五つに分割して、もうちょっと地域に、きちっと採算を見るような、そういう形にしてはどうだろうか、こういう案が意見書で出た。日本道路公団に関しては三分割しようというような意見書、これはちゃんと法律に基づく委員会でありますけれども、意見書が出たということでございます。
 そこで、藤井総裁にお伺いしますけれども、今、日本道路公団の中には、民営化総合企画局というのができて、民営化に向けてきちんとこの意見書を尊重して進めていこう、こういう部署ができたというふうに聞いておりますけれども、この民営化局では、日本道路公団を民営化して三分割するということは、今積極的にもう進められているというふうに考えてよろしいですか。
藤井参考人 昨年の十二月に民営化委員会から意見書が提出されました。その意見書を踏まえて、党及び政府が、昨年の末に一つの方向の、協議会に基づいて御意思を出されました。私ども道路公団は政府機関の一部でございますから、あくまでも政府の方針に従って対応する、これが一つの生命でございます。結果的に、今、道路公団の姿をどういうふうにするか、具体的にどういうふうにするか、これは、政府及び国がどのようにお決めになるか、そこに尽きるわけでございます。
 そうすると、道路公団は一体何をやるんだということになるわけでございますが、私どもは、道路公団としては、少なくとも今までの四十年の間にいろいろな問題がたまってまいりました。まず、コストの問題あるいはファミリーの問題等々道路公団がみずから判断してできる問題と、それから構造全体についての問題と、二つに分けて、今先生がおっしゃった、分割であるとかいったような、高速道路を整備する大きな姿につきましては、国そのものがお決めになるのに従って我々は最大限の努力をしていく、こういう姿勢でございます。
長妻委員 いや、それはその意見書はもう決めているんですよ、分割ということで。
 これは扇大臣、分割ということに限って言うとお考えはどうですか、意見書はそうなっていますが。
扇国務大臣 細かいことは、長くなりますからよします。分割に関して申し上げます。
 分割をするには、まずこれは、公団の財務諸表がどれだけあるか。ぶった切ればいいというものじゃありません。五つに分けて、収支、お金が、財産が全然なくなるところもあるし、真ん中で、いっぱいもうかるところもあるし、五つに切るという御指示はありましたけれども、まず基本的に、私は、道路公団の財務諸表を見て、それによってお互いに公平に分けるということを考えようというので、十二月に意見書をいただいて、総理から御下命があり、これを尊重しなさいというので、まず尊重して、分割を考える前に、まずどれだけの財務諸表があるかを出しなさいと。ことしの九月とおっしゃいました。それを前倒しにしてこの間委員会に御報告したとおりでございますので、私は、道路公団の財務諸表が幾らかわからないで幾つに切るかなんて、それは言えません。
長妻委員 いや、これは皆さん、骨抜きの実態が本当に今はっきりしていると思うんですよ。これだけ法律で決まった委員会で意見書が出て、全然、尊重するもしないも、明確なお話がない。
 これは総理、ぜひリーダーシップを発揮していただきたいんですが、もちろん、五分割をする、日本道路公団に関しては三分割する、私も、ただ分割すればいいというものじゃない、これは同感ですけれども、その分割の思想の裏にあるのは、先ほど私が申し上げたプール制とか償還主義がもう破綻しているから、そうじゃない形できちっと採算を見きわめよう、これが背景にあるわけです。
 その意味でのこの分割に関して、総理……(扇国務大臣「委員長」と呼ぶ)いや、ちょっと待ってください。小泉総理、ぜひ公団と国土交通大臣に、分割をやるんだということをここで明言していただきたいんです。総理、お願いします。いや、総理、お願いします。
小泉内閣総理大臣 道路民営化推進委員会の中では意見がまとまらなかったということばかり喧伝されていますが、ほとんど、おおむね七、八割はまとまっているところが多いんです。
 例えば、コストの削減とか、民営化された後、その道路の会社ができない部分については、国、地方がどういう分担で必要な道路をつくっていく必要があるかとか、あるいはファミリー企業のあり方の見直し、こういう点については余り対立はなかったんです。そして、分割の問題につきましても、民営化委員会では幾つと出ていますが、今後は、分割するためには、まずその前の財務諸表等のいろいろな資料が必要だろう。分割しなきゃやっていけないという方向で今進めているわけですから、幾つに分割するかというのはこれからの問題であります。
 基本的に民営化推進委員会の意見を尊重してやるということについては大臣も異議はないわけでありますので、今後、国会でも審議もいただかなきゃならない。その意見を尊重しながら、国民にとって、民営化の会社がつくるべき道路と、そして民営化ができない場合に、残った道路は、中にはどうしても必要だという道路があるでしょう、そういう際には、やはりどういう方法でつくったらいいかということも考えていかなきゃならない。それは政治の場で議論しなきゃならない。
 私は、基本的に推進委員会の意見を尊重しながらこの民営化の問題を取り扱っていきたいと思います。
長妻委員 この意見書を基本的に尊重するという閣議決定が昨年末になされましたけれども、この五つに分割するというのが、そしてプール制、償還主義が限界に来ている、これが一番の根幹の意見書の哲学だと私は思いますから、それを、まだ分割はどのぐらいするかわからないというのは、これは総理、話が後退されているんじゃないでしょうか。
 先ほど総理、財務諸表の話をされましたけれども、この財務諸表が今月の九日に日本道路公団から発表をされましたけれども、いろいろ不明朗な点があるのではないかという指摘があります。
 これを見ますと、取得原価というのが日本道路公団の財務諸表では不明になっている。わからない。ところが、ほかの三公団は取得原価はきちんと出してきている。日本道路公団だけが出していない。いろいろな問題がありますけれども、それについて、まさにこの民営化推進委員の担当大臣である石原大臣に、この財務諸表についての御感想をお願いします。
石原国務大臣 ただいま委員御指摘された点は、私も奇異に感じた点でございます。
 というのは、取得原価が四公団ともなければ、そういう処理をしてきたんだなと、民間企業じゃ考えられないですけれども、そういうこともあるのかなと思えるのでございますが、道路公団だけなかった。バックデータも、私いろいろ探してみたんですけれども、例えば道路公団の古い区間ごとのバックデータなんですけれども、そうしますと、インターチェンジ三つで幾ら、橋五十メートルで幾らみたいなバックデータなんですね。これが、首都高、阪高なんかを見ますと、例えば橋といいましても、橋げた部分と、部分部分が違いますから、そこの値段が出ている。
 ですから、私も、ぜひ道路民営化委員会等々でもお願いして、バックデータを出していただきたいと。バックデータを見ないと、今委員の御懸念というものに対して、私も胸を張って、いや長妻委員、違うんです、これが正しいんですと言える段階に今ないというのが正直な感想でございます。
長妻委員 いや、私もそう思うのです。この財務諸表、日本道路公団が出した財務諸表だけ、ほかの三公団と違っておかしいんですね。取得原価がない、そういう書類はないというふうになっておりますけれども、これは藤井総裁、今担当大臣がそういうふうにおっしゃられているわけでありますから、ぜひ出し直していただきたいと思います、バックデータを。
藤井参考人 実は、本日十四時、あと数分後でございますけれども、記者クラブの方に、固定資産の路線別再調達原価一覧表とか固定資産区分表とか標準的単金表とか土地価格表とかいったようなバックデータを全部公表することといたしております。
長妻委員 これも公団の中でいろいろなせめぎ合いがあったというふうに聞いておりますけれども、六月九日に発表をして、その後、詳細なデータということでまた六月十四日に発表して、バックデータはない、そういう書類は公団の中、どこを探してももうないんだ、昔の話だからというふうに明言をされていたのに、きょう出てくる。それもまた見ないとわかりませんけれども、何か本当に不明朗な形で進められているという印象があるわけです。
 その延長線上でもう一点申し上げますと、ここに、「道路公団民営化関連について」という、公団の中でやられた会議の議事録がございますけれども、ここでは、ある意味で驚くべき発言、総裁の発言が載っているわけでございますが、これは総裁、ことしの四月十六日、道路公団の本社の二つぐらい隣のビルに尚友会館という会館がありますけれども、そこで四月十六日、会議をされたという御記憶ありますか。これは質問通告をしております。
藤井参考人 会議はいろいろなところでしょっちゅうやっております。(長妻委員「通告していますから」と呼び、その他発言する者あり)
藤井委員長 日本道路公団藤井総裁、もう一度答弁してください、今の質問に。(発言する者あり)ちょっと御静粛に。
 藤井総裁、今の質問に対してもっとはっきりとお答えください。
藤井参考人 今の四月十六日という先生の御質問でございますが、今すぐに記憶があるわけではございません。ただ、そういう会議もいろいろなところでやっておりますので、もしやっているとすれば、その中の一つだと思います。
長妻委員 いや、これ、私はきちんと質問通告をして、総裁、ちゃんと手帳を確認してください、いろいろな記録を確認してくださいというのを事前にちゃんと申し上げているわけであります。
 この会議の議事録が、これもう流出しているんですよ、総裁。総裁のこのやり方に対して、良識ある人は、反発を持って、こういう議事録を外に出しているんですよ。
 この議事録には、裏顧問を置く、二人の裏顧問を改革つぶしに置いておこう、簡単に言うと、そういう話がここで言われているわけでありますけれども、まずこのお二人というのは、高藪さん、新日鉄プロジェクト開発部長、現職です。もう一人が鶴田さん、三菱商事顧問。このお二人を裏の指南役として民営化局を指導していこう、こういう話がここでなされております。
 そして、その民営化局の上には経営顧問会議ということで、これは表の顧問ということで、マスコミ発表もありますけれども、諸井さん、太平洋セメント相談役、相原さん、三菱商事副社長、佐藤さん、イトーヨーカ堂副社長が、日本道路公団の経営顧問会議にこれは表で入っている。
 それで、総裁のこの発言を今申し上げますと、その顧問さんたちを、まずこれは裏顧問の役割ですね、裏顧問の役割は「その顧問さんたちをコントロールしながらやっていただくということで、言ってみれば、民営化局の上に鶴田さんと高藪さんが経営顧問会議を調整する総大将として」いていただく。それで、裏顧問である高藪さん、鶴田さんは、「非常に誤解を受けやすいし危ないので、あえて技術センター参与ということにしました。」日本道路公団の役職はなくして、技術センター参与ということにした。これは、調べますと、財団法人高速道路技術センター、ちょうど同じこの会議の日付で、このお二人、高藪さん、鶴田さんが非常勤参与になっているという事実もありました。
 そしてもう一つ、「お立場がありますので鶴田さんは」、この鶴田さんというのは裏顧問の方ですけれども、「お立場がありますので鶴田さんは表に対してそういう人がいるということを察知されないようにしながら、」今、全部総裁の発言ですよ、私のコメント以外は。そして、「スパイがたくさんいる今の公団の職員に対しては、残念ですが、紹介いたしません。」これ、総裁の発言ですよ。「今日は、本音ベースでのみ話を進めていますが、私は公団の理事を信用していません。」こういう発言もされておられるわけですけれども、御記憶よみがえりましたですか。
藤井参考人 今先生がおっしゃったようなことについては、私は全く記憶がございません。
長妻委員 今、全く記憶がないと言われましたね。(小泉内閣総理大臣「今のだれの発言だよ」と呼ぶ)総裁の発言です。全部今私が読み上げたのは、藤井総裁のこの議事録に載っている発言ですよ。
 今、全く記憶がないと言われましたけれども、これは、実はこの会議に高藪さんという方が出席されているんですよ、この会議に。先ほど言われた、総裁が裏顧問として仕事を頼もうというような形でお願いしたこの高藪さん、その本人、鶴田さん本人もこの会議に出席しているんですよ。
 私、高藪さんとお話ししましたよ、直接。そうしたら、この高藪さん、ここに出席して、裏顧問として仕事をお願いを総裁からされている高藪さんと私は話しましたら、今読み上げた総裁の発言を高藪さんにお話ししたら、いや、そういう発言はしていましたということをここに出席している高藪さんが、御本人が私に言ったと言っておられるわけでありまして、四月十六日にもここで会議をやったということもお認めになっているわけです。総裁もおられたということをお認めになっておられるわけです。
 これ、総理、どうしますか。
小泉内閣総理大臣 まず、これは事実関係をはっきりしなきゃいかぬ。今突然私もその話を聞いて、長妻さんと藤井総裁の言い分が違う、この場でどっちが本当か判断しろといったって、これは困っちゃうんだが、しかし、この状況、いろいろな話が私のところに来ています。これは、民営化賛成同士の間でも意見が違うんです。これは根が深いなと私はつくづく思っていますよ。一方だけの意見に偏るとまずいし、それだけこれは、どういう形で民営化することによって、今の、現在の道路公団の人たち、そして、新しく民営化になって、その中で一生懸命やる人たちの利害関係にも絡んでくる。
 これは実に難しい問題でありますが、私は基本的に道路民営化推進委員会の意見を尊重する。これに従わないような総裁だったら私は考えなきゃならないけれども、はっきり協力すると言っていますから、これは今後見る、よく見る。
長妻委員 そうしたら、総裁、高藪さんが、こういう会議があったと言っておりますけれども、思い出されましたですか。総裁、今、答弁を修正された方がいいですよ。
藤井参考人 いろいろな会議がございますから、今先生が御指摘のような会議の、またそういうような発言をしたかどうかについて、私、記憶はございません。
 ただ、問題は、そのような会議のいろいろな内容について、あれこれあれこれ憶測を持った表現がいろいろなところで飛び交っているという事実は、私は仄聞しております。ですから、私どもは、総理が今おっしゃいましたように、民営化の方向に向かって、今、総理が先頭に立って国土交通大臣に御指示になり、そしてそのもとで私どもが一生懸命汗をかいていく、このことについては一切、いささかも揺るぎがございません。
長妻委員 そうしましたら、この高藪さんという新日鉄プロジェクト開発部長を参考人で呼んでいただきたい。御検討を委員長、お願いします。
藤井委員長 理事会で協議いたします。
長妻委員 そして、もう一つ、この議事録に書いてございますのが、片桐さんという、先日左遷されたと言われている日本道路公団の方がおられますけれども、この片桐さんに関しても、総裁は、民営化委員会の手先となっていた片桐というような表現で、この議事録で言っていた。これは四月十六日の会議でありますけれども、その後、事実として、六月一日付で片桐さんが、降格人事、四国支社の副支社長に飛ばされている。これは、道路公団の中の方に聞いても、間違いなく降格人事だというような形を言っておられます。
 これはもう実際に、さらにこの意見書、民営化推進委員会の意見書でも、「直ちに取り組むべき措置」ということで意見書の中にも明確に書いてございますのは、「直ちに、道路関係四公団の現首脳陣に代わり企業経営について豊かな経験と知見を有する複数の民間人を登用する。」と。これは、去年十二月に出た意見書に明確に書いてあるんです。そして、かつ、この民営化推進委員会が扇大臣に五月二十三日付で、総裁、日本道路公団の藤井総裁はやめていただくことがいいという意見書を渡しているんです。
 今こういう状況になっていますので、これはぜひ、任命権者は扇大臣ですが、藤井総裁みずから進退を決断される。意見書にもめちゃくちゃ書かれていますよ。日本道路公団は不透明で非効率で、ファミリー企業が巣くっているということが書かれているんですよ。これだけ糾弾されて、まだ進退を決められないんでございますか。
扇国務大臣 これは、国交委員会でいろいろなことを御質問いただいております。残念ながら、長妻委員、まだ国交委員会で御質問いただいておりませんけれども、このことは、みんなが見て、前へ進んでいるか進んでいないかということが結果なんです。
 私は、総理から意見書をいただいたときに、すぐできること、中間でできること、最終の法案にすること、その三つを国土交通省の中で分けて、そして一歩ずつでも民営化に進もうということで、先ほども分割をおっしゃいました。そのことも、私たちは、今九人しかいない役員が、五つに分けたらふえるというのも事実だから、それを一つずつ検証しているというので、藤井総裁が民営化に前向きでないというのなら、私の権限ですからいつでもできます。
 民間人を入れてということは意見書にも書いてあります。民間人を入れて会議したらどうしていけないんですか。私にはまだわかりません。
長妻委員 平成十三年に閣議決定で、道路公団は民営化する、こういうふうに書いてありますから、藤井総裁といえども民営化には逆らえないんです。民営化はもうせざるを得ないんですが、その民営化の中身なんです、どういうふうにするか。日本道路公団の利権をそのままにして民営化にするという民営化もあるんですよ。
 総裁、先ほどの進退、どうですか。総裁です、総裁に聞いているんです。
扇国務大臣 まず、今民営化のことをおっしゃいましたから、私は責任ですから、民営化が進まなかったら、それを実行しなかったら、私は首を切るという責任権者ですから私は責任をしますけれども、今は、一歩ずつでも民営化にやっているということですから、御本人に聞いてください。私は、今動かす必要はありません。
藤井参考人 私は、民営化に関して、特に、道路公団が四十年間たまったあかをどのように吐き出しながらこれからの高速道路をどうしていくのかということに対しては、だれよりも一番情熱を持っているつもりでございます。したがって、政府の方針に従って、そして一生懸命汗をかいていきたいと思っております。
長妻委員 ファミリー企業の問題、もう皆さん御存じだと思うんですけれども、公団のファミリー企業、四公団OBが、これは意見書に書いてあることですよ、千八百五十八人、四公団のOBが三百七十六社に天下る。そして、この天下った三百七十六社の九六%が四公団及び関連企業から受注がある。そして、日本道路公団の、これは公式文書に出ていますけれども、子会社、関連会社が、八十四社中、OBの社長が七十四社もおられる。そして、このファミリー企業、これは、四公団等からの発注割合が五〇%を超える企業との社員数を合計すると五万人近くなる。五万人近い。そして、四公団の職員が一万人。この六万人の帝国が、ある意味では、中で、身内で仕事を回して、非効率なこれだけの道路行政をやってきたんだ。総裁、本当に反省してください。
 ぜひ、本当にこれは、総理、決断を。リーダーシップとして、ここで決意表明して、総裁を更迭するなりなんなり。
小泉内閣総理大臣 いかにこの道路関係四公団の改革が難しいかという一端をお話しされたんだと思いますが、それをやろうといって既に民営化を決めているわけであります。民営化の中でどのようにやるかというのがこれからの問題でありまして、今言ったように、藤井総裁もここまではっきりやると言っている。これは私も、今後、民営化のやり方につきましては、道路推進委員会の意見を基本的に尊重してやる。そして、今ようやく、十月から十一月には法案化しなきゃならない、この作業がもう目前に迫っております。
 今、微妙な段階にあるのは、ちょうど九月に私の総裁選がありますから、これを様子見しているのもあるようですから、こういう点もよく私は注意して、本当に民営化、基本的にあの委員会の意見を尊重してやっているのかどうか、今の意見も踏まえて、注意深く各方面の意見を聞いて、今の答弁のとおり藤井総裁がしっかりやるのか、見きわめていきたい。そして、その趣旨に沿わないで陰で変なことをやるんだったら、私も考えなきゃいかぬ。
長妻委員 時間も来ましたので、次のテーマに移りますけれども、次のテーマも、本当に腹が立つ、国民の皆さんも腹が立つテーマでありますけれども、これは、前から問題になっております雇用・能力開発機構のリゾート施設の投げ売りの問題であります。
 私、この衆議院の予算委員会で二月に質問いたしました。川越の体育館が千円で投げ売り、二億円の建物が一万円で投げ売り、どんどん処理しちゃっている、めちゃくちゃだ、これはおかしいと言いましたら、坂口厚生労働大臣は、「具体的にどういうふうになっておるかは私もちょっと調査いたします」「全体として見直さなければならないことだけは間違いありません。これはもう見直しいたします。」と明言をされている。二月十二日のこの予算委員会であります。
 これは驚くべきことに、その後、三月、四月に、三月に、一万五百円で投げ売りした施設が、認可した施設が百九十四件ある。国会で二月に質問して、これだけ大臣も答弁があったのに、四月には二十三件ある、一万五百円。さすがに千五十円というのはなくなっていました、これはまずいと思ったのかどうかわかりませんが。
 そして、例えば青森県の、これは三月に認可されたものは、青森県十和田勤労者体育施設、平成五年六月にできたもの。約二億円で建物を建てました。このお金は、勤労者の皆さん、雇用主の皆さんが毎月支払っている雇用保険料、失業保険を給付するために毎月毎月払っている雇用保険料で、そのものの金でつくっちゃった。この建物を二億円でつくって、それで失敗したといって一万五百円で売った。あるいは、福岡県のサンスポーツランド黒木というのは、平成元年六月に二億円の雇用保険料で建設されて、一万五百円で、これも三月認可で売ってしまった。
 そして、これはトータルの数字でいいますと、私が質問しました二月の時点では、こういうふうに売却した施設は六百二十九施設でした。六百二十九施設、六百三億円でつくった施設を四億三千万円で売った。つまり、〇・七%回収していた、これはとんでもない話ですけれども、二月の時点では。
 ところが、最新のデータを見ますと、売却がふえて千五百七施設。建設費用は一千七百五十億円、みんな雇用保険の保険料です。そして回収率が〇・四%。まあこれは目くそ鼻くその世界だと思いますが、二月に私が指摘したときの回収率が〇・七%、これも九九・三%引きですよね。ところが、今度、最新の回収率は〇・四%ということで、またさらに下がっている。
 そして、この雇用保険料、国民の皆さんは御存じでしょうけれども、昨年十月に雇用保険の保険料が値上がりした。全体で年間三千億円の値上げです。そして今年度、平成十五年度、失業者に対する給付が三千億円カットされた。
 これは、一生懸命政府がきちっとお金を預かっているんならいいですよ。そして本当にないんならいい。こんなめちゃくちゃなことをしているんじゃないですか。そして、大臣は約束したんですよ、二月の時点で。まだこんなことをやっているんですか。
 これはほかの委員の方もぜひ御同意いただきたいと思うんですが、売却を一たんストップしてください。ストップして、きちっと第三者委員でも何でもやって見直して、もうここはストップする。役人は何にも言っていなかったらどんどん売っ払っちゃいますよ。それで最後はなくなっちゃいますよ、急げ急げということで。
 大臣、一たんストップするということをここでぜひ明言していただきたいと思います。
坂口国務大臣 前回にもここで委員から御指摘をいただいたのをよく存じております。その後、ほかの委員会でも御指摘もございましたし、皆さん方の御意見を踏まえて、そして売買の方法について再検討することを命じたところでございます。
 ただ、きょうも少し聞いたところでございますが、その時点で既に決定をしていたものもございますから……(長妻委員「いやいや、三月認可です」と呼ぶ)ですから、その二月の時点で売買契約はできていなかったんですけれども……(長妻委員「いやいや、認可の後、売買契約をしますから、認可の後ですから」と呼ぶ)だから、既に売買がそこで成り立っていたものも中にはありますから、一応やむを得ないものもあるというふうに思っております。
 ただ、御指摘になりますことは私たちも十分にわかりますので、しかし、これは十七年までに売らなければならないということに一応なっておりますから、今後の問題につきましては、今の御指摘のように、一応考えるようにしたいというふうに、そうしております。
 それで、この……(長妻委員「二月の答弁と違うじゃないですか、大臣」と呼ぶ)いやいや、それはもうやるようにいたしております。
 ただ、そのやり方としましては、これは国の方から地方自治体にお渡しをするわけでありますから、国の方がこれ以上持っておりますと、国の方はさらにまた多くの負担をしなければならないということもあるわけであります。だから、そのことをひとつ御理解いただきたい。地方自治体の方は、非常に安く受けましても、今後多くのまた出資をしていただかなきゃならないということもあって、ここはどうしても、皆さん方が今までと同じようにそれをお使いいただけるということを一番中心に考えてやっていかなければならない。
 ただ、今おっしゃったように、今後の問題の売り方については、一応切りをつけてやります、一応区切りをつけてやります。(長妻委員「ちょっと最後、聞き取れなかったです。ストップしますか、売却を一たん」と呼ぶ)
藤井委員長 長妻君、座ったまま質問しないでください。ちゃんと指名を受けてから、起立してから御質問してください。
長妻委員 最後のところ、ちょっと聞き取れなかったですけれども、そうしますと、売却を一たんストップするということでよろしいですね、一たん。
坂口国務大臣 今売却の進んでいるものもあるわけでございます、進行中のものもある。(長妻委員「未契約のものについて」と呼ぶ)だから、未契約のものにつきましては、一応ストップをしてでもそれは整理をいたしますけれども、だけれども、これは、今進んでいるものもあるわけでありますから、だから、未契約のものはもう一度ここで考え直してやる。
長妻委員 民間には、不動産会社というのも民間の会社であって、売却のプロというのはもういっぱいいるんですよ。ぜひ、役人に売却させないで売却のプロに一たん任せる。今、ストップするということを、この議事録に残っておりますから、ぜひ大臣守っていただきたいと思います。
 最後の質問を申し上げますと、前回、総理と議論をさせていただいたのは、政治改革、これも構造改革の一つだと思いますけれども、政治資金の改革。我が民主党は野党共同で公共事業の受注企業からの献金は禁止しようという法律も出しております。総理も以前は前向きでありましたけれども、今はすっかり後ろ向きになっている。
 ところが、驚くことに、月二万円、年二十四万円までの定期的献金、これは非公開にしよう。現行は、五万円までは非公開だけれども、それ以上は公開。しかし、その非公開枠を広げて、年二十四万円までは非公開、献金を非公開、だれがしたかわからない。こういう、これはまさに逆行したことが法律として出てくるやに聞いておりますけれども、これは本当に、逆行だ、透明性に。ますます、うさん臭い、政治資金、政治献金はうさん臭い、こういうイメージが広がるだけではないかという懸念を持っているのですが、総理、考え直すおつもりはないですか。
小泉内閣総理大臣 これは逆行でもうさん臭いものでも何でもないんです。それは、民主党も、企業献金、労働組合の団体献金、全部禁止しろという意見じゃないと思います。(発言する者あり)党としてはそうじゃない。
 そういう中で、どの程度が必要かということで、上限は制限します。同時に、税金だけで全部政治活動を賄えということに対しては国民も非常に反発もある。そこで、やはり献金しやすいような環境もつくらなければいかぬということがあります。果たして、献金する側の立場も考えなければならない、受ける立場も考えなければなりません。それはきちんとしながら、それでは、五万円というのは、一年間に五万円やれば名前は出るが、しかし、毎月毎月会費として二万円以内集めている人は、名前は出したくないという方もかなりいるわけです。そういう点の人も配慮して、毎月定期的にやっている人に対して、どのように政治家を育てる、あるいは政党を育てるための献金はちっとも悪いことじゃないと、むしろ奨励すべきものだという環境を助成することも、政党を育てる、政治家を育てるということから、大事じゃないでしょうか。何でも制限すればいいというものじゃないんです。
藤井委員長 時間です。
長妻委員 これは本当に、まさに逆行です。政権交代の必要性を訴えて、質問を終わります。
 ありがとうございました。
藤井委員長 これにて、原口君、玄葉君、長妻君の質疑は終了いたしました。
 次に、達増拓也君。
達増委員 三位一体改革について伺います。
 新聞等によりますと「三位一体改革 補助金四兆削減明記」と書いてあります。補助金というものは約二十兆円でありますので、四兆円というのはいかにも少ないと思いまして、なぜ全廃しないで四兆円なのかということを総理に伺おうと思っていたんですが、先ほど来のやりとりの中で政府側からこういう説明がありました。補助金というのは約二十兆円あるけれども、そのうち十一兆円が社会保障関係、そして公共事業が約五兆円、残りの約四兆円を廃止するんだということでありますから、なるほど、全廃は全廃なんだ、社会保障と公共事業以外のあらゆる補助金は全廃する、これが小泉内閣で決めたことという理解で、総理、よろしいでしょうか。
小泉内閣総理大臣 補助金もいろいろあります。今後、今言ったような社会保障とか公共事業を除くと大体四兆円程度になるだろう、その点については、できるだけ地方の裁量権をふやしていくような形でやっていこうというのが趣旨でございます。
達増委員 いや、今のはすごい大事な問題で、四兆円減らすというけれども中身がはっきりしないじゃないかという批判があちこちから出ているんですね。でも、中身がはっきりしているのであれば、それはそうおっしゃった方がいいので、もう一度確認しますけれども、社会保障以外、公共事業以外、そのあらゆる補助金というものは、それが大体四兆円だから、それを削減すると。では、もし例外的にこういうのは残したいというのがあれば、ほかにもこういうのは残すとおっしゃってくれればわかりやすいんですけれども、その点、いかがでしょうか。
塩川国務大臣 この件につきましては、先ほども申しましたように、まず国と地方とのあり方を変えていこうという根本の精神を実行していくわけでございますが、その第一弾としてというか、第一期的な考え方と、まずこれだけの十一項目の行政科目を書いてあったということでございまして、そのほかに、いわば対象にならない補助対象事業も多少ございますが、そういうものについては、この際にでき得れば一緒にやりたいと思っております。
 そのほかの大きい問題、社会保障に関する問題につきましては、これはそれぞれの政府の中あるいは民間を入れましての審議会とかいろいろございますので、そういうところの審議を待たなければならないということが法律的に裏づけされておりますので、そういうところに対しましては、より一層働きをかけて、今後の問題として改正していきたいと思っておりまして、要するに、国から地方へ移していくという権限と財源、そして行政のスリム化という大きい方針にのっとっての第一弾であるということの認識をしていただきたいと思います。
達増委員 はっきり四兆円という数字が出ていますので、四兆円は到達するんだろうなと思うわけですよ。ところが、確認したように、社会保障と公共事業以外が大体四兆円ということですから、それ以外のすべての補助金を全廃しないと四兆円に届かないんですね。だから、それ以外は全廃するのでしょうねと。どうも、そうはっきり全廃するとおっしゃらないので、もし全廃しないと四兆円にも届かないから、公約違反のようになってしまうんですけれども、そこは非常に大事で、では、社会保障と公共事業以外の補助金を全廃するとは限らないという理解でよろしいんでしょうか。
塩川国務大臣 まず、その対象となっております現在の四兆円というのは、正確にいいまして三兆六千億円でございますけれども、これは分権推進委員会から勧められた十一項目、これだけまずやりなさいという宿題でございますから、これをいたします。それから、しかしながら、これにまつわってくる周辺の事業がございます。それは若干ございますけれども、それはこの際に同時に見直しもしていきたい、こういうことでございまして、それをまず定着させまして、その後につきまして、事後の問題、公共事業等あるいは社会保障等を制度的に変えてやっていかざるを得ない。今、公共事業の問題につきましては予算上の措置としてやっておりますけれども、制度上変えられるものは変えていきたい、こういう順序で第二弾、第三弾をやっていくということであります。
達増委員 どうも、決め方については説明が詳しいんですけれども、その結果どう決まったのか、どう決まっていくかというのについてはなかなかわかりません。本当に四兆円いくのか、社会保障と公共事業以外は全廃になるのか、わからないままであります。
 この点については、地方分権、三位一体改革というのは、単に経費を節約するというだけではなく、中央から地方へという構造改革でありますから、自由党は既に国会に法案を提出しております。地方自治確立基本法案という法案を提出しておりまして、その第七条では、「国は、地方公共団体に対する個別の補助金等を廃止するとともに、」「地方公共団体に対してその裁量により使用することができる財源としての一括交付金を平成十六年度以降の各年度において交付するため、必要な措置を講ずるものとする。」もう来年から補助金は原則全廃して、その分は交付金の形にシフト。これは、その後、交付金から税源ですね。交付金というのは国が集めて地方に渡すものですから、やはり国の裁量が入ってしまいます。地方が直接集めることができる税源にシフトしていって、三位一体の改革が完成するわけであります。
 この点については、先ほど民主党の考え方というのも補助金、負担金等は原則一括交付金化ということで、やはり、昔一緒に政権に入っていたり同じ党だったりした人たちだから同じようなことを考える、将来同じ政権につくかもしれないわけでありまして、そういう意味では同じような結論になるのかなと思います。
 ここで一つ気になることがありまして、一括交付金というのを活用するわけです。つまり、交付金改革というのもこの補助金削減と税源移譲に絡めてまさに三位一体となるんですが、今回の政府の考え方では、補助金を減らした分、税源移譲するのだということですね。ただ、税源移譲、それが一〇〇%なのか八〇%なのかはよくわからないんですが、いずれ補助金削減分を税源移譲でカバーするということになっているんですが、これは実は論理的に不可能なんです。
 なぜ不可能かといいますと、税源移譲で、基幹税ということで所得税、住民税や法人税、事業税、そういった税が念頭に置かれている。それが当然だと思います。ところが、例えばこういう数字がございます。法人二税について、人口一人当たりの法人二税、東京都を一〇〇としますと、沖縄県は二一しか税収が上がらないんですね。同じ法人税率でも、一人当たりの税収が、東京を一〇〇とした場合、大阪ですら五五、岡山は三三、沖縄は二一というような数字があります。つまり、税源移譲で、基幹税を国税から例えば五%地方税の方に渡すということをやって、大都会はそれで地方税の税収がどっと上がりますが、地方の法人税収が少ないところ、これは個人の所得税や住民税もそうだと思いますが、同じ税率で移譲をしても、それは補助金を削減した分をカバーできないはずなんですね。
 だから、これは民主党さんもそう考えているようですが、まずは交付金というのを挟んで、交付金であれば補助金が減った分を、全額カバーしなくてもいいと思いますよ、何割か削減しつつカバーして、最終的には自治体が増税、減税、自由にできる。大都会で、結構財源があって、さらに景気をよくしようと思えば減税する選択もあるでしょう。地方であれば、福祉を充実させるためにはある程度の地方税の増税もやむを得ないが、その分、快適な環境、快適な福祉が得られるということで、そういうことを地方地方、自由自在にやるということが構造改革の趣旨なはずであります。
 ですから、交付税改革を挟まないで、補助金削減から税源移譲でカバーというのはあり得ないと思うんですけれども、この点、いかがでしょうか。
片山国務大臣 だから、国の補助金、負担金を整理合理化したときに税源移譲はしてもらうんですが、その税源は、できるだけ地域に偏在性がない、安定的なものがいいというのが我々の主張なんですよ。
 それは、一番安定的なのは所得税と消費税なんです。法人税はかなり差があるんですよ。しかし、それでも、税源移譲をしますと、経済力のあるところは税収がどっと伸びて、ないところは余り伸びないんです。格差が開くんですよ。だから、その格差を埋めるために地方交付税があるんですよ。だから、交付団体については地方交付税で調整するんですよ。不交付団体をどうするのか。これは、残る国庫負担金や補助金の補助割合を調整するとか、御承知のように、地方譲与税がありますね、譲与割合を変えるとか、それは全体で調整をしていく、こういうことであります。
達増委員 そうしますと、消費税についても地方に税源移譲をして、アメリカの州というのは州ごとに消費税が違いますよね。何かニューヨーク州などは、クリスマスシーズンにはまた消費税を上げ下げするとか、地方ごとに、そうやって消費税も自由に動かして、地域の実情に合わせて税収を確保していますけれども、そういう、消費税についても地方で自由に動かせるようにしていくということを目指しているんでしょうか。
片山国務大臣 今、消費税は五%ですね。御承知のように、これは、四パー国が取りまして、一パーは地方消費税になっているんです。だから、この割合を変えるということは可能ですが、基幹税ということだけ総理の裁定で決まりましたので、どの基幹税をどういうふうに移譲するかは今後十分相談してもらいたい。税制については、政府の税調もありますし、与党や自民党の税調もありますし、そういう関係のところと十分調整する、協議する必要があるのではないかと思っております。
達増委員 そういう、税源をどう調整するかというのは確かに即断するのは難しいかもしれませんが、だから、我が党が出している法案では、まずは一括交付金という形にすればもう来年度予算からできちゃうんですね、税制についていじらなくても。そうやって、まず、補助金というものは、それによって小学校の体育館を直すにしても、ああしろ、こうしろと国が言う、どこにどういう道路をどういう基準でつくるかについても国が縛る、そういうことをなくす構造改革として、補助金削減、補助金を地方の財源に移していくということがあるので、そこはすぐやらなきゃならないことだと思うんですね。
 きょう午前中の審議の中で、総理が、論語の「民はよらしむべし、知らしむべからず」ということをおっしゃいました。「知らしむべからず」というのは知らせちゃいけないという意味ではなくて、あの「べき」というのは可能不可能の助動詞の「べし」であって、知らせることができないという意味で、だから、情報を伝えることよりも信頼を獲得することを優先させるという。これは、二千五百年前の中国の教訓としてはそのとおりだと思うんですけれども、今は高度情報通信社会の日本でありますから、本質は、中央官庁よりも、暮らしの現場や仕事の現場にいる人たちの方が正しい情報、高度な情報を獲得し、そしてその現場のところで物を決めていく方が、一々中央で情報を集めて物を決めるよりもうまくいく、効率がいい。情報化が進めば進むほどそうなっていくからこその地方分権のはずだと思うんですね。
 ですから、税制の議論を待ってというのでは遅いと思うので、この点、総理に確認したいんですけれども、やはりリーダーシップで、そういう補助金行政はやめる、補助金行政という構造を改革するために補助金を全廃していく、それをやるんだということを確認したいんですけれども、いかがでしょうか。
小泉内閣総理大臣 自由党の案でも、趣旨としては、地方に裁量権をゆだねていこうという、補助金を一括地方にゆだねていこうという考えについては大して違いはないと思うんです。ただ、自由党の案でも義務的経費は除くということになっていますから、義務的経費、まあ義務教育費なんというのは義務的経費ですね、これを除くとなりますと、もっと補助金の額は少なくなりますね。
 そういう点も考えて、これはすぐ、今決める問題じゃないんです。消費税にしても、今、五%の中で一部地方に行っていますが、場合によっては、どのような税目においても地方の県議会がある程度裁量権を持って上げたり下げたりすることができてもいいじゃないかというのも、今後の課題です。そういう点も含めて、これから税制改革の中でも議論してもらおうと。
 今、私は、ようやく大枠を示したんですから、この大枠の方針に沿って具体的な手続を進めていく。この大枠がなければ具体的に進めようがないんです。そういう意味において、今回は、三位一体、この突破口ができた。これに沿って具体的な改革を今後進めてもらおうと。年内には、まず初年度の来年度予算編成が十二月には組まれますから、そのときに、地方でどれだけできるんだろうか、また税源はどういうものだろうかというのが具体的な姿になってあらわれると思います。
達増委員 補助金を原則全廃というふうになかなか決まらない過程を見ていますと、やはり補助金を握っている省庁の抵抗が強いということが見受けられます。
 それで、竹中大臣に伺いたいんですけれども、経済財政諮問会議というのは、そういう省庁の抵抗などを排して、内閣として一体となって統合的に、かつ民間の知恵も活用して、大きな国の構造改革をびしっびしっと決めていくものなわけですから、そこでより強いリーダーシップをとっていくべきだと考えるんですけれども、この点いかがでしょうか。
竹中国務大臣 総理主導の政策を支えるという非常に重要な役割を担って、経済財政諮問会議の責任は大きいというふうに思っております。その運営を担当している大臣としても責任は大きいと考えております。
 御承知のように、今回の三位一体の改革に関しましては、六月十八日の諮問会議において、総理御自身から、まさに先ほど総理がおっしゃった枠組みをしっかりと決めるということで御指示がございました。この指示があって初めて具体的な制度設計をどうするかということが動き出すわけでありますから、まさに長年にわたってできなかった改革に非常に大きな一歩が踏み出せたと思っております。
 その意味では、諮問会議の場で総理がそのような御指示をくださって、それに向けて、非常に重要な役割を果たされる財務大臣、総務大臣もこの会議のメンバーでいらっしゃって、今後、総理の枠組みに従ってしっかりと制度設計をしていきたいというふうに思っております。
達増委員 少しずつ減らしていくという話ではなく、補助金行政という中央が地方を支配する仕事の仕方を改める、そういう方向性をきちっと出して、すぐに実行しなければならないということを指摘して、続きは同僚議員に引き継ぎます。
 終わります。
藤井委員長 この際、中塚一宏君から関連質疑の申し出があります。達増君の持ち時間の範囲内でこれを許します。中塚一宏君。
中塚委員 本日は構造改革の集中ということで、午前中よりずっと議論を聞いておりました。私どもは改革は進んでいないというふうに言いますし、また総理は、いや、進んでいるんだというふうにおっしゃる。あるいは、その進まない理由ということについてお話をされているというふうに伺います。
 ただし、景気、経済ということについては、もう私は待ったなしの状況にあるんだろうというふうに考えておりますが、まず冒頭、これは総理自身のお考えですが、景気、経済の御認識についてお伺いをしたいというふうに思います。
小泉内閣総理大臣 景気は厳しい状況が続いております。こういう中におきましても不良債権処理を進めていかなきゃなりませんし、財政状況も考えながら、税制改革等におきましては減税先行で進めております。さらに、規制改革におきましても構造改革特区等進めてきておりますし、これから、歳出の分野におきましても、これだけデフレの状況でありますから、同じ費用でももっと費用の削減ができるんじゃないか。同じ額でも事業は減らさないで、やりようによってはふやすことも可能ではないか。そして、同じ財源の中では、ふやすべきところがあったらば、減らすべきところも考えなきゃいかぬということで進めてきておりますし、私は、就任以来しょっちゅう、危機が起こる、混乱が起こると言われておりましたけれども、これだけ厳しい状況の中でも、今成長分野の企業も出ております。不良債権処理も進んでおりますし、金融機関は、混乱が起こるんじゃないか、危機じゃないかと言われながらも、危機を防止している。
 そういう中にあって、世界情勢とも関連がありますが、私は、現下の中で、苦しいながらも、あすの民間主導の持続的な成長軌道に乗せるべく、今まで進めてきた改革を今後も続けていかなきゃならぬ。政策転換せよという声がよく出ますけれども、景気対策せよということを中身をよく調べれば、もっと国債発行しろということです。それで本当に景気が回復するのか、私は必ずしもそうは思わない。今でも十分に国債発行については弾力的に考えているわけでありますので、限られた予算の中で、将来を考えながら、改革を進めることなくしては成長はおぼつかないという考えに変わりはありませんし、今後もこの路線を進めてまいります。
中塚委員 景気、経済の認識ということを伺ったんですが、総理からお答えがあったのは財政の改革、特に歳出面での改革というのは、確かにいろいろなことをやっていらっしゃる、いいか悪いかは別ですけれども。
 他方、もう一つおっしゃったのが不良債権の処理ということですね。骨太の方針第三弾ですか、これを拝見いたしましても、「デフレの克服」ということが大書きにして書いてあります。ただ、ではどうやってデフレを克服するかということについては、ほとんど記述がないわけですね。「重要な課題である。」というふうには書いてありますが、デフレをどうして克服するのかということはありませんし、唯一具体的に書いてあるのは、デフレと不良債権問題との間には相互関係があるということで、不良債権処理をするんだということは書いてあります。
 ただ、構造改革を通じて実質成長をプラスにしなければだめ、そしてそれをすれば名目がプラスになるということなんですが、不良債権を処理すればどうして名目成長がプラスになるのか。不良債権処理というのはもちろんやらなきゃいけない課題ではあります。でも、短期的にはデフレ圧力を伴うはずなんですが、どうして不良債権の処理ということしか書いてないんでしょうか。そこはいかがでしょう。
小泉内閣総理大臣 これはもう何回も議論された問題でありますが、不良債権を先送りして本当にデフレを阻止できるんですか。不良債権処理を進めない限りは、金融機関も成長分野に資金を回せないじゃないですか。
 これは野党でも意見が分かれている。野党の中では、政権批判は一致していますけれども、不良債権を進めると倒産が起こるし失業があるしするからやるなというのと、まだ遅いからもっと速くやれ、両方、意見が分裂している。いかに今政府が進めているのが正しいかというのはわかっているんだ。この道しかないだろうと。
 不良債権を進めるともっと倒産が起こるからやめろと言ったら、果たして金融機関が健全になるのか。ならないんです。金融機関が健全にならなかったら、成長分野に資金が回らないんです。これは、私は進めていかなきゃならない。
 同時に、雇用対策はしている、中小企業対策もしっかりしている。あわせてやっていくことによって、これからの企業の意欲も出てくるし、民間がやる気を出してくれればこれは成長にも結びつく。同時に、デフレ克服というのは財政だけじゃありません。日銀、金融政策あわせて、デフレ克服に向けてお互いが協力していく必要がある。
 どの改革をやったって、必ず反対は出るんです。野党が反対は一致しても方向は違うのと同じです。そこがなかなか難しい、責任ある与党として。その批判を覚悟して、やるべき改革を進めていく。
中塚委員 私が申し上げているのは、不良債権を処理するなと言っているのではなくて、不良債権処理のために不良債権を処理してもその問題の解決にはならないんじゃないですかということを申し上げているんですね。
 それが証拠に、政府だって、不良債権を処理することにより失業者がこれぐらい出るというシミュレーションだってされているじゃないですか。だから、それは、政府自身が不良債権処理がデフレ懸念を持つということをお認めになっている以外の何物でもない、私はそういうふうに思いますよ。
 だから、りそな銀行の件にいたしましても、株価の低迷、もちろん銀行自体の問題もあります、銀行自体も変わっていってもらわなきゃいけないということもありますが、不良債権処理のためだけの不良債権処理の加速ということで公的資金を投入するということになってしまったんじゃないんでしょうか。そこはどうでしょう。
小泉内閣総理大臣 これも言葉の遊びみたいなもので、不良債権を進めなくていいと言っているんじゃないと議員も言っておられるでしょう。だから不良債権処理を進めているんですよ。不良債権処理のための不良債権処理なんかやっていませんよ。経済を活性化させるための、金融機関を健全化させるための不良債権処理なんです。それについては否定しない。不良債権処理のためにする、そんなことやっていませんよ。いかに経済を健全化させるかのためには、不良債権処理が必要だということは中塚議員もお認めでしょう。それを進めると、不良債権処理のための不良債権処理だと。これは言いがかりじゃないですか。
    〔委員長退席、斉藤(斗)委員長代理着席〕
中塚委員 それは総理の方が言いがかりで、不良債権を処理するということで、倒産、失業がふえる。その倒産した企業なり失業した人というのは、新しい需要を担うということにはなりませんよね。デフレなわけですから、供給面の問題、あと需要面の問題、あともう一つ、金融面の問題もある。金融面の問題は、確かに、日本銀行はげてものまで買うというふうなことになっていて、一生懸命頑張っているというふうに思いますよ。でも、不良債権処理で供給面の改革は確かに進んでいるかもしれません、不効率部門、不採算部門というものがどんどんなくなっていくということならば、確かに供給面はそうかもしれませんが、需要面について余りにも配慮がないんじゃないのか。だからデフレというのが克服をできないのではないのか。
 この骨太の方針を見ますと、民需が盛り上がってくるというふうに書いてありますが、その民需の盛り上がり方ですね。その民需の盛り上がり方、どういうふうなルートを通り、どういうふうなパスをたどっていくのかということが全然明確ではないということなわけですよ。
 例えば、「大胆な規制改革」という言葉は出ています。他方、やっていることは構造改革特区。風穴をあけたというふうにおっしゃいますけれども、風穴である以上、そんなにでかい穴ではないですよね。日本で新しい何か産業を起こせるような、そういうふうなインパクトのあるものにはなっていかないということだと思います。そこはいかがですか。
小泉内閣総理大臣 それは、経済活性化策として、今、金融政策だけじゃだめだと言っていますけれども、財政政策だって、十分に国債を発行しているじゃないですか。三十兆円枠にこだわらないで、今年度も三十六兆円発行していますよ。財政政策が足らないといったら、では、各政党はどうするんですか。案を出してくれますか。もっと国債を発行しろと言うんですか。それを言わないでしょう。そこを私は問題視しているんですよ。
 批判はできる。具体策は何か。では、規制改革しなさい、今まで医薬品をコンビニで売れるようにとどの政党が発表したか。だれもいない。政府がやって初めて言ったんじゃないか。構造改革特区、株式会社。民間の病院に株式会社を参入させろとはっきり言ったのか、ほかの野党が。言っていない。政府がやると、不十分だと言う。(発言する者あり)いや、いいかげんじゃない、何も。本当のことを言ったんです。
 では、これから言ってもらいたい。規制改革、どういうふうに具体的にやるか。学校に株式会社を参入させろと言うのか。野党は株式会社を病院に参加させろと言うのか。はっきり言ってもらいたい。どの程度まで医薬品をコンビニで販売させるのか、はっきり言ってもらいたい。言わないじゃないか。政府がはっきり言うと、不十分だと言うだけじゃないか。
 私は、はっきりと政党として案を出してくれば、十分検討します。
中塚委員 医薬品をコンビニで売る売らないということは、さっき総理は、方針を出すことが総理の仕事だというふうにおっしゃいましたが、医薬品をコンビニで売る売らないということを総理が指示するのが構造改革なんですか。ちゃんとフレームを提示して、それがちゃんとできているかフォローアップしていくというのが構造改革なんじゃないですか。丸投げということについて批判はあるけれども、丸投げしたんだったら、その結果をちゃんとチェックしていけばいいということ。そうじゃないですか。
 それともう一つ、三十六兆国債を……(発言する者あり)官房長官もやじを飛ばさないように。三十六兆国債を発行しているというふうにおっしゃいますが、半分は借金を返すために発行しているわけですよね。その財政構造の改革が進んでこなかったのは、今までの政権の責任じゃないですか。いかがですか。
小泉内閣総理大臣 今までの政権のやっているのを含めて、現政権の小泉内閣としてやるべきことをやっているんです。
 わかっていますよ。三十六兆円のうちで十七兆円は今までの借金の返済ですよ。三十六兆円丸々新規の政策事業に使えたら、景気ももっとよくなっているでしょう。そういう中でもっと国債を発行しろと言うんですか。だからこそ、国債を野方図に発行すればいいというものじゃない。このまま、今、景気対策論者、政策転換論者はもっと国債を発行しろと言っています。そうしたら、目に見えていますよ。借金返済のために国債を発行するんなら、もうじき若い世代がどれだけ苦しむか。そういうことがあるから、国債発行を野方図にやってもいいというものじゃない。
 今、だから具体的に、それでは景気対策にどれほど国債を発行すればいいというのか。私は、だから三十兆円枠にはこだわらないと言っている。経済は生き物だ、大胆かつ柔軟に国債額も発表しようと。それで三十六兆円発行したら、非難の合唱じゃないですか。公約破った、何だかんだと。私は柔軟に対応したまでですよ、経済に。だから、そういうふうに具体的に言えば、考えますよ、私は。
中塚委員 総理と議論すると、何かすべて言いがかりになってしまうんですが、総理の御答弁こそ今は言いがかりだと思いますよ。
 経済財政の運営の問題といたしまして、補正予算を組まなければいけないような経済状況にしてしまったという経済運営の責任だってあるわけじゃないですか。確かに、歳出構造を見直すということでいろいろなことをされています、いいか悪いかは別ですけれども。でも、当初の予算で削っておいて、公共事業なんかシーリングをかけて、それで景気を落としておいて、後、補正を編成してちょっと支える、そういうふうなやり方で、景気がよくならなければ財政も健全化をしないでしょうということを言っているんですよ。
 税収だってどんどんおっこちているわけです。財政健全化をしようと思えば、ちゃんと税収が伸びてくるような経済運営をしなければいけないんじゃないですか。
 だからこそ、冒頭に経済の認識というものをお伺いしているんですよ。いかがですか。
小泉内閣総理大臣 経済の状況が厳しいからこそ、これだけ財政状況が厳しい中でも、国債を三十六兆円今年度で発行しているんですよ。税収が四十二兆円しかない、そういう中で、財政出動が十分でないという議論には私はくみすることはできないんです。十分な国債発行をしている、財政出動もしている、金融政策もゼロ金利、日銀も協力している。
 そういう中で、これだけ厳しい中で二兆円の減税先行。酒、たばこは二千億円増税しましたから、増税、増税ばかり言っていますけれども、二兆円の減税と二千億円の増税、減税の方が多いじゃないですか。一兆八千億円の減税じゃないですか。それを、たばこと酒の二千億円ばかり挙げて、増税、増税だと。どこを見ているのかと言いたい、これだけ減税しているのに。私は、バランスをとって見ていただきたい、そこを言っているんですよ。
 だから、全体の構造の中で、私は、デフレ克服に向けて財政金融政策、そして、今言った、税制、金融、規制改革、こういう問題について総合的に取り組まなきゃならない。
 今までの責任をどうするか、責任をどうするか。今までの責任を背負ってやっているのが小泉内閣なんですよ。こういう状況の中で、あのときにやらなければよかったと。もうやっちゃったんですよ。やっちゃった後、この後始末をどうしようか、この現状の打開をどうしようかというのが小泉内閣ですよ。あのときいけなかった、あのときいけなかったなんて、今起こっている危機をどうやって改革するというのが小泉内閣じゃないですか。
    〔斉藤(斗)委員長代理退席、委員長着席〕
中塚委員 減税先行というふうにおっしゃいますが、減税になっている部分は全部時限措置ですよね。それで、税制改革で行われた発泡酒、たばこ、そしてまた、加えて配偶者特別控除の廃止というのは、これは恒久措置なわけですね。長期的に見れば増税しか残らないじゃないですか。しかも、今回のこの政府税調の答申ですが、全部増税基調になっている。
 財政が状況が悪いから増税をしなきゃいけないというふうにお考えだけれども、では、今まで税収がぼんぼん入っていたとき、保険料でも同じです、どんどんと政府に対して歳入があったときに、その入ってきた歳入を、財政健全化のために、将来のために積み立てておけばよかったものを、そんなことは一切していないわけですよね。入ってきたら入ってきた分だけ使うというふうな財政構造になっているわけでしょう。だからこそ、さっきのお話のスパウザ小田原とかいろいろな問題が起こっているわけじゃないですか。そこの仕組みを変えない限り、増税をしたって何の問題解決にもならない。
 そして、最後にお伺いをいたしますが、総理は、消費税はお上げにならない、在任中は上げないというふうにおっしゃっています。でも、この政府税調の答申を見れば増税基調になっているし、また加えて、ことしの四月から健康保険の本人負担も二割から三割に上がりました。年金のカットも始まっています。国民負担は着実に進んでいるわけなんですけれども、消費税は上げないけれども、その他の負担は上げてもいいというのは、一体どういう根拠なんですか。
小泉内閣総理大臣 消費税議論は私は妨げません。しかし、私の在任中は消費税率は上げません、これははっきりしているのです。
 政府税調では、消費税を上げた方がいい、あるいは、いろいろな方面から消費税を上げるべしという議論が出ていますが、私は、どんなに長くやっても、ことしの総裁選挙で仮に再選されたとしても三年しかありませんから。三年間は、私は、歳出の徹底的な見直し、行政改革に徹底的に取り組まなければならない。今三年間の間に消費税を上げたらそれが緩む。だから、私の在任中、少なくともこれから、仮に再任されても三年間しかありませんから、三年間は徹底的な民営化路線、行財政改革、歳出見直しに取り組む、だから上げないと言っているんです。
 それで、これは決して先送りじゃありません。先送り先送りと非難する人たちは、消費税を増税しろという議論でしょう。私は消費税率を上げないと言っているんですから。そのために道路公団民営化もやるし、郵政民営化もこれからやろうとしている、特殊法人の廃止、民営化、統合を今やろうとしている。こういう行財政改革、徹底的な見直しを進めるのが私の内閣の責任だと思っています。
中塚委員 最後までお答えいただけなくて残念です。
藤井委員長 これにて達増君、中塚君の質疑は終了いたしました。
 次に、佐々木憲昭君。
佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 政官業癒着の構造をどう改革するか、これも重要な改革の課題でございます。私は、昨年二月にムネオハウスを取り上げました。あれから一年半近く経過をいたしました。鈴木宗男議員が逮捕されて、六月十九日でちょうど一年であります。しかし、政治と金をめぐる事件というのは後を絶ちません。昨年は、公共事業の口きき疑惑に関連して加藤紘一元自民党幹事長、井上裕前参議院議長が議員を辞職しました。ことしに入っても、自民党の坂井隆憲議員の巨額やみ献金事件、自民党長崎県連の違法献金事件、松浪健四郎議員の暴力団系企業からの秘書給与肩がわり問題などが相次いでおります。
 小泉総理にお伺いしますけれども、与党自民党の金権体質というのは全く変わっていないんじゃないでしょうか。その責任についてどのようにお感じなのか、まずお伺いしたいと思います。
小泉内閣総理大臣 これから、選挙もいずれ一年以内に行われる段階に入ってまいりました。それぞれ、政党にしても候補者にしても、資金づくりに苦労しているのはわかりますが、これは、選挙に金がかかり過ぎるんじゃないか、政党活動に金がかかり過ぎるんじゃないか、これに対して、どのような規制と、同時に、どのように浄財を国民からいただくかということを、両面から考えなきゃならないと思っています。
 そういう面において、今までの不祥事、こういうことが起きないように、今、各党で政治資金の使い方、集め方、両方考えなきゃならないということで、各政党それぞれなされていると思いますが、私は、今国会中に政治資金のあり方についても、一歩でも二歩でも前進するような措置を講じたいということでやっておりますし、現在でも、与党で法案を詰めて、既に提案、今提案の準備を進めていると思います。そこで御議論をいただきまして、資金の規制のあり方と、それから国民から資金の拠出をいただく方法について、どういうあり方がいいかということについて議論を進めていきたい、また必要な措置を講じていきたいと思っております。
佐々木(憲)委員 昨年の通常国会で、私は、公共事業受注企業からの与党への政治献金というのは税金の還流であり、税金の横流しだというふうに指摘をしまして、総理に、せめて公共事業受注企業からの政治献金を禁止すべきではないかというふうに提案をいたしました。それに対して総理は、そういう問題も含めて検討したいと述べられました。
 ことしの本会議で、これは二月四日の本会議ですけれども、総理はこういうふうに答弁をされておられます。「公共事業受注企業等からの献金については、野党四党から改正法案が既に国会に提出されている一方、現在、自民党においても検討を進めているところであり、一歩でも前進するような措置を講じたいと考えております。」このように答弁をされているわけですが、この公共事業受注企業からの献金の規制、これはどうなったんでしょうか。
小泉内閣総理大臣 今、政治資金の法案につきましては提出されております。その中でまた議論が始まると思いますが、私がこの公共工事の規制に対しまして言ったのは、規制の対象となる公共工事の定義、あるいは受注事業者の範囲についていろいろあいまいな点が残るということで、今回、特定の事業者に限定することなく、一律に規制をかけることがいいだろうということで、規制を設けたわけであります。
 私は、こういう点について、やはり多くの献金する側、受ける側、この規制がはめられましたけれども、規制の趣旨にのっとって、この範囲内で資金を提供していただく。また、受ける側もこの趣旨をよく理解して受け取り、そして法律違反のないように、この趣旨に沿った形で政治活動が行われるように今後一層理解と協力を得なきゃならぬと思っております。
佐々木(憲)委員 小泉総理は当初、国民の税金を使って仕事をする会社からの献金を規制する何らかの方策を打ち出そうとしていたかに見えました。自民党内に有識者懇談会を設置しまして、議論が行われたと聞いております。政官業癒着をどう断ち切るか、あれだけ大問題になったわけでありますが、しかも国民の多くは、税金を使って仕事をする会社からの献金はやめるのは当たり前じゃないか、こういうふうに言っているわけであります。にもかかわらず、公共事業受注企業からの献金規制という肝心かなめの問題については、どうも具体的な方策が出てこない。
 一律というふうに言いますけれども、それ自体も、後で具体的に検討しますけれども、全く大きな穴があいたままで、ほとんど規制がないんですよ。結局、総理が公共事業受注企業からの献金を何とかしようという話をされたんだけれども、結果としては出てこなかった、具体策が出てこないというのが現状でございます。
 与党が提案している、政治資金規正法の改正案が提案されていると言いましたが、どんな内容が盛り込まれているかというのを次に問題にしたいと思うんですが、一つは、政党支部への献金の公開基準、これを引き上げたという問題であります。
 これまでは公開基準は五万円以上になっておりました、五万円以上ですね。今度の提案では、政党支部への献金の公開基準を五万円から二十四万円に引き上げる、こういうふうにされているわけであります。こうなると、今まで見えていたものが逆に見えなくなってしまう、隠れてしまうということになるわけです。
 具体的に、ではどういう影響が出てくるのかということでありますけれども、例えば松浪健四郎議員の場合、阪南市の暴力団関連会社から二〇〇〇年に十八万円受け取った、二〇〇一年に六万円受け取っております。こういうことを知ることができるというのは、公開基準が五万円以上だからであります。これを与党案のように二十四万円以上ということにしますと、毎月二万円以下の会費のような形で振り込むようにすれば、全く見えなくなってしまうんです。
 松浪議員は議員をやめておりません。まことに私は問題だと思いますけれども、この法案の、法案がここにありますけれども、この賛成者の中に松浪健四郎という形で、この法案の賛成者になっている。自分を守るための法案なのかと言わざるを得ないですよ。このような問題献金まで、公開基準を二十四万に引き上げるとそういう結果をもたらす、これはそういうふうになるんじゃないでしょうか。
小泉内閣総理大臣 これは見解の相違でして、一年間に五万円一挙に献金しようということになると、五万円以上は名前を出さなきゃいけない。しかし、こつこつこつこつ一月、毎月、会費制で、定期的に会員になっている、この政党を応援したい、この政治家を応援したいという人もいるわけです。
 そういう人に対して、月二万円程度だったらば、別に特別の利益を期待して、見返りを期待してやっているんじゃないだろうと。やはり自分の応援している人、あの人に応援している、この政党に応援しているのがわかると、いろいろまた個人の問題で、あの人に献金してどうしておれに献金しないのかとか、あの政党に献金してどうしてこっちの政党に献金しないのかということがわかるのが嫌だという人は結構いるんです。そうして、それだったらば、一挙に五万円以上だったら名前を出してもらいますよ、一年間ですよ、しかし、毎月二万円、これはむしろ献金を奨励しているという形でならばいいのではないかと。何でも制限すればいいというものじゃないですから、私はそう思いますよ。
 やはり献金する側、奇特な方ですよ、企業にしても、地元の、お金何にも要らないというお金持ちならいいですよ、そうじゃないんだから。みんな票をお願いしながら、頭を下げながら、またお金を出してください、足りませんと、みんな努力しているじゃないですか。そういう人に対して、果たして月二万円が過大なのかどうか。月二万円出してくれる人はありがたいですよ。しかし、中には、一人のだけに応援するんじゃなくて複数の人に応援したい人もいる、そういう立場の人も考えてあげるというのが、私は、政党政治を育てるのは国民しかいませんから、税金で全部やれといったらこれは大変ですよ。そういうことも、政党の努力、政治家の努力、そういうことをやはり奨励するようなことも考えていいんじゃないでしょうか。
佐々木(憲)委員 まあ、とんでもない答弁をしたものだと思いますね。
 細川内閣のときに、一九九四年ですが、それまでの百万円から五万円に企業献金の公開基準を引き下げたんです。なぜそういうことをやったかといいますと、企業・団体献金の透明度を高めるということでやったわけですね。全体として企業・団体献金の規制を強化して個人献金中心に変えていこう、これが五万円にした趣旨だったわけであります。それをまた見えなくして企業献金をどんどんふやしていく、献金しやすいようにしよう、これは全く流れに逆行する態度だと言わざるを得ないと思います。
 もう一つ、この五万円にした効果というのは、違法な献金を防ぐという役割があるわけですね。現行の政治資金規正法では、国からの補助金等の交付の決定を受けた会社等は、一年間、政治活動に関する寄附をしてはならないとされております。これに違反していた事例がこの国会でも何度となく指摘をされて、現実に是正をされてまいりました。それができるのは、五万円以上の公開基準があるからなんです。
 例えば、森前総理は、三年前に、補助金の決定を受けている複数の医療法人から政治献金を受け取っていたことが国会で指摘されました。法に触れるということになるということで、本人も認めまして、これは返却したわけです。その金額は、毎月五千円ずつ年間六万円とか、あるいは一万ずつ十二万円。五万円以上の公開基準があるから、法に触れるような問題もこのように明らかになって是正されていくわけであります。これが二十四万円以上になると見えなくなってしまう、つまり違法献金が見えなくなってしまうというのが、これが実際の効果なんですよ。
 例えば、ここにパネルを持ってまいりましたし、同じ資料を配っていただきたいんですけれども、昨年、鈴木宗男議員に対する北方四島あるいはアフリカ支援事業の公的な受注企業、これがどういう献金の仕方をしていたか。例えば犬飼工務店、九六年、九七年、九八年、九九年、全部十二万円です。あるいは、その下に書いてある会社は二十四万円、これは会費制でこういう形になっているというのは十分想定されるわけです。しかも、アフリカ向けのこの関係会社から、経済援助関係会社から鈴木議員に対して献金が行われる、これは全部十二万円、二十四万円ですよ。会費制という形はとって、こういう形で鈴木議員にお金が入っている。これが、二十四万円以下が全部見えなくなる、全部隠れてしまう。これは改革ではなくて、完全に逆行している。しかも、奨励するためだ、企業献金はどんどん奨励するんだと。これは、幾ら何でも、総理大臣の今までの規制の方向ということと全く逆行して、これは逆流をつくるものだと言わざるを得ません。
 そこで、坂口大臣にちょっとお聞きしたいんですけれども、あなたは公明党から出ている大臣ですけれども、公明党は、公開基準を五万円から二十四万円に引き上げるということに反対していたんじゃないんでしょうか。
坂口国務大臣 百五十万というふうに上限ができたということは、私は、一つの今までよりもこれは成長したことだというふうに思いますし、それから、月々二万円ずつという、これは振り込み制度にするわけでありますから、ちゃんとそれだけの足跡を残すということになるわけでありますので、それはそれなりに私は意味のあることだというふうに思っている次第であります。
佐々木(憲)委員 いや、私が聞いたのは、今までは反対してきたのではないかと聞いているんですよ。
 例えば、ここに公明新聞のコピーがありますが、「政治献金 公開基準引上げ反対」、はっきりこれは述べているわけであります。「政治資金の透明性を高めるというのも、政治資金規正法改革の柱の一つだから、公開基準を引き上げることは反対だ」、はっきりこういうふうに書かれているわけであります。しかも、今紹介したのは五月二十九日でありますが、例えば五月二十八日では「企業献金公開基準 引き上げに反対 公明が主張 政治資金改革に逆行」、それから、ほかの日付の新聞を見ますと、公明新聞ですけれども、「企業献金 公明、公開基準の緩和反対」と、ずうっと今まで反対論を展開してきているわけです。そのことを、事実を聞いているわけです。
坂口国務大臣 共産党と違いまして公明党にもいろいろ意見がありまして、それはさまざまな意見がありますから、そうした反対意見もあったことも事実でありますから、そういう意見がそこに出されたんだというふうに思います。しかし、最終的な結論としては、与党三党で合意をするということになったわけであります。
佐々木(憲)委員 いろいろな意見ではないんです。公明党が公式に、代表である神崎代表がはっきりと記者会見をして、「公開基準引上げ反対 記者会見で神崎代表」と、これははっきりとした、個人の意見じゃありませんよ、党としての正式の見解じゃありませんか。しかも、冬柴幹事長も、公開基準の緩和反対とはっきりと記者会見でもこのように述べているわけであります。
 つまり、公明党の例えば「主張」を見ますと、四月五日ですけれども、「非公開基準の引き上げは時代に逆行する。」と。時代に逆行するということをどうして認めるんですか。
坂口国務大臣 それは党の方に聞いてもらいたいと思いますけれども、先ほど申しましたとおり、いろいろの意見があることは事実でございますが、総合的に判断をして百五十万という上限ができたことは一つの進歩、そして、そうしたことと一つセットにして、月二万円までの振り込みということを条件にして二十四万という数字が出てきたわけでありますから、そうしたことを全体として見れば、これは一つの進歩ではないかという結論であったというふうに私は聞いております。
佐々木(憲)委員 まあ、本当に支離滅裂な答弁で、振り込み制にしたら、どうしてそれがオーケーになるんですか。振り込み制にすることによって公表しなくていいわけですから、不透明にするという制度をつくったということに賛成をしたということになるわけで、本当におかしいと思いますね。
 坂口さんにお聞きしますが、大体、この五万円以上という公開基準は細川内閣のときにつくったんですよ。坂口さんと神崎代表は、二人が閣僚に入っていたんですよ。自分で決めたわけです。今度は、自民党とくっついたから、それを平気でひっくり返す。これはおかしいじゃないか。
 だから、朝日新聞はこういうふうに書いているんです。「理由はどうあれ、今回の妥協はあの頃の公明党の姿とは結びつかない。考えたくないことだが、自民党と一緒に長く与党暮らしを続けるうちに、自民党のあしき文化に染まってしまったのだろうか。」こういうふうに皮肉られておるわけです。
 だから、私は、企業献金をいわばやみに隠すような法案を公明党が推進するという、これはまことに異常な事態だというふうに言わざるを得ないと思います。このやり方をしますと、ますます企業献金が国民の目から隠されてしまうということになるわけであります。
 先ほどから、大体、これをやると透明度がどのくらい隠れてしまうのかというので、ちょっと試算をしてみたんですが、例えば小泉内閣の閣僚の皆さんが、これを実際に適用すると、例えば二十四万以下を月別会費として振り込むというようになったと想定をすれば、二〇〇一年の企業献金というものが、このように赤い部分が隠れてしまうわけです。五割から大体九割以上隠れる形になるわけです。このようにして、ほとんど国民の目から隠してしまうという形になる。
 先ほどから、百五十万円で規制があると言いましたけれども、この百五十万という規制は、確認をしますけれども、党の本部に対する献金というものは百五十万の対象になるんでしょうか。
片山国務大臣 それはならないと思います。
佐々木(憲)委員 つまり、本部に対する献金は今までどおりで、資本規模に応じて、七百五十万から一億、それはそのままなんですよ。何の規制もないんですよ。百五十万というから、党本部に対する規制まであるかのような印象を受けますけれども、実際は、完全にこれは抜け穴なんですよ。幾らでもできる。しかも、百五十万に実際になった場合にどういう効果があるか。ほとんど規制がないんです。
 小泉総理に聞きますけれども、総理は、政党支部に対する、神奈川県第十一支部ですが、この一年間で百五十万を超えた献金はありますか。
小泉内閣総理大臣 私、一々調べたことがないからわからないです。
佐々木(憲)委員 私が調べましたら、ありません。百五十万以上はありません。
 それから、福田官房長官はいかがでしょうか。百五十万以上、ありますか。
福田国務大臣 それほどたくさん集めていないと思いますので、ないと思います。
佐々木(憲)委員 福田官房長官も、これ以上のものは政党支部としてはないと。
 それから、石原行革担当大臣は、二〇〇一年、これ、いかがでしょうか。
石原国務大臣 詳細なデータを持ち合わせておりませんので、わかりません。
佐々木(憲)委員 石原大臣はありません。
 鴻池大臣、構造改革担当大臣、鴻池さん、それから片山総務大臣、いかがでしょう。
鴻池国務大臣 共産党の資料のとおりではないかと、私、詳しいことはわかりません。
片山国務大臣 何か私には通告があったようでございますので、平成十三年ですか、二〇〇一年、私は、四社、千百三十六万円であります。
佐々木(憲)委員 今このように、政党支部、各大臣が代表を務めておられる政党支部について調べてみましても、この黄色い部分は全然ひっかからないわけであります。大臣でひっかかるのは、片山総務大臣が四件、坂口大臣が一件、鴻池構造改革担当大臣が三件、たった三人です。大臣でさえほとんどひっかからないわけですから、これは痛くもかゆくもない。総理もひっかからない。こういう状態であります。
 これは、百五十万にしたからといってほとんど効果がないんじゃありませんか、総理。
小泉内閣総理大臣 七百五十万円から一億の資本金によって選別するよりもわかりやすく、どんな資本金があっても百五十万に制限しようということで、むしろ手続も簡単にしよう、わかりやすくしようということでいいんだと思います。
 百五十万円あったから、その額に動かされて、左右されるような政治家、政党じゃないと思います。
佐々木(憲)委員 七百五十万から一億は政党本部に対しては何の規制もないんですから、これは規制はかからないんですよ。しかも、政治家の政党支部の規制百五十万にしても、ほとんどかからないんです。
 ですから、自民党の中からも、これは参議院議員の世耕弘成議員ですけれども、こう言っているんですね。今や百五十万もの多額の献金をしてくれる企業はめったにないので、上限は余り意味がないという趣旨のことをおっしゃっている。今回の与党案については、こういうふうに自民党の中からも効果がないと言っている。
 東京新聞の社説を見ますと、「自民党の場合は事実上、政治家一人ごとに政党支部がつくられている状態だ。政党支部をさらに増やすことも可能で、これに公開基準の緩和が加われば、特定の企業と政治家の癒着が進む恐れがある。」こういうふうにはっきり書いているわけであります。
 私は、これは非常に重大だと思うんですね。改革が進まないだけではなくて、逆に、国民の目から企業献金が見えなくなる。
 これに対して、今、野党四党共同してこの国会に、公共事業受注企業の政治献金禁止法案を出しております。ところが、与党はまともに審議しないで、全然審議の対象にしない。これは本当に私は問題だと思う。直ちに、これは真っ先に、野党が先に出したんですから、野党案から審議すべきだと思うわけであります。
 野党案の内容は、現在選挙では禁止されている公共事業受注企業からの寄附を常時禁止する、それから、企業・団体献金を受けられる政党支部を制限し、届け出制にする、こういうことをはっきり盛り込んでいるわけであります。ですから、改革と言うなら、こういう内容にすべきものだと私は思うわけであります。
 本来ならば、こういう方向で改革を進めなければならないんだけれども、どうも今の総理の御発言をお聞きしておりますと、昨年来、新しい方向に規制を強化する、国民から見て、鈴木宗男議員のような事件が二度と起こらないようにしたい、だから制度的に改善したいということは、口ではおっしゃっているんだけれども、しかし、丸投げをして、実際に出てきた案というのはどんどん後退をしていく、これが今の実態だと言わざるを得ないんです。
 今回のやり方というのは非常に異常でありまして、本来、六月十八日で通常国会は終了するはずでありました。ところが、これを四十日間延長する。イラクの占領米軍に自衛隊を派遣するという憲法違反の法律を通すためだ。本当にひどいものであります。どさくさに紛れて企業・団体献金の規制を骨抜きにする、こういうとんでもない法案を出して、これをやるんだということですから、私は、こういうやり方は絶対に容認できないということを申し上げておきたいと思います。
 総理は、こういう点について真摯に耳を傾けて、やはり、これが今の限界だとすれば、もう小泉総理にもおやめになっていただかなければならないということを最後に申し上げまして、質問を終わります。
藤井委員長 これにて佐々木君の質疑は終了いたしました。
 次に、横光克彦君。
横光委員 社民党の横光克彦でございます。
 きょうは、沖縄決戦が終結した日でございます。沖縄慰霊の日でございます。亡くなられた方々すべての御冥福を心からお祈り申し上げたいと思います。
 まず、質問に入る前に、総理の三権分立を無視したあの不規則発言、あのことに対しまして強く抗議をしておきたいと思います。
 総理は、野党の審議拒否戦術は通用しないと記者団に語ったそうでございますが、これは、野党のどのような対応をもって審議を拒否したと言われたのか、全く不愉快としか言いようがありません。あのような発言は、きょうここにおる立法府の議員すべて同じ思いだと思っております。
 衆議院の綿貫議長が、野党は審議拒否はしていない、国会が努力しているのに評論家みたいに口を挟むのは慎んでほしいと総理にくぎを刺されたわけでございますが、全くそのとおりでございます。なぜ、行政府の長である総理が立法府に対して余計な口を挟むのか。福田官房長官も、このことに対しましては、そのような発言は好ましくないと頭を下げたそうですが、頭を下げたのは福田官房長官でございまして、総理ではございません。行政府が立法府を侵すこのような発言は絶対に許されないということを、まず冒頭、強く申し上げておきます。皆さん、同じ思いですよね。同じ立法府の人間ですから。
 それでは、この国会、会期延長されまして、また、会期延長された中で、小泉内閣は、自衛隊派遣を柱としたイラク特別支援法案、これを提出し、そしてまた、この成立をもくろんでいるようでございます。しかも、あすの本会議でこの法案が提案されるということで、迅速というか、余りの手回しのよさに驚き入るばかりでございますが、私、迅速どころか、余りにも拙速きわまりないと思うんですね。
 確かに、復興を支援するというのであるのならば、やはり普通はだれが考えても、イラクの現地の状況、これを十分に把握する、そして、イラクの国民が今何を支援として求めているのか、イラクの国民の意に沿うにはどうしたらいいのか、そういった現地の状況を、意向を十分に踏まえたものでなければならないと思うんです。そうじゃなかったら、これは日本の行う復興支援が余計なおせっかいになるかもしれませんし、もっと言えば、迷惑になることさえあるかもしれないわけです。
 現地のこのような状況が十分把握されていない中で、法案をつくって、しかも審議させるということになりますと、自衛隊の皆さん方ももう不安きわまりないわけでございまして、余りにも乱暴な、私は乱暴過ぎるのではないかと思いますが、総理、いかがお考えでしょうか。
小泉内閣総理大臣 あすの本会議で趣旨説明をする予定になっておりますので、その後に審議がなされると思いますが、今御質問ですから、考え方、簡単に述べさせていただきますが、私は、イラクの戦争が始まる前から、日本は武力行使はしないが、戦後、イラクの国民のための人道支援、復興支援等については日本としてできることをやっていきますというふうに表明してまいりました。
 今回、戦争、主要な戦闘も終結して、イラクの国民が国づくりに励むように今努力している最中であります。そういう際には日本としてできるだけのことをやっていく、そういう趣旨の法案でございますし、日本の支援が有効に使われるように、そしてまた、日本人がイラクに赴いて支援活動をする際に足手まといにならないように、迷惑だと言われないように法整備をして、日本の国力にふさわしい支援をしていきたいと思っているから、あす、イラク復興支援関係の法案を提出する次第でございます。
横光委員 イラクの復興を支援することを否定するものではありません。しかし、今回の法案は、先ほど言いましたように、現地の状況が果たして十分把握できた上での法案なのか。いろいろな意味から、私は、かなりずさんな法案じゃないかと思うんですね。
 そもそも、この提出の過程において、大量破壊兵器処理というものが支援の活動の内容に入っておりました。しかし、大量破壊兵器が発見されていないのに何で大量破壊兵器の処理の支援活動をするのかという、与党のごく当たり前の疑問に、閣議決定直前にこれを削除して修正する。これまた現地の状況を十分に把握していないから、こういった法案の内容になるわけでしょう。
 そしていま一つ、政府は確かにイラクに調査団を派遣しております。そして、その報告を受けて、自衛隊の必要性を強く示唆しております。しかしその後で、今度は与党の皆さん方が独自で、今、イラクに調査団を派遣しているんでしょう。これはどういう意味かといえば、やはりもっと現地の状況を知らなければならない、もっと現地を見る必要がある、もっと言えば、政府の調査では十分ではない、あるいは信用できない、そういった意味から出ていったんじゃないですか。今、調査に行っているんでしょう。
 ですから、そもそも、与党と政府のこの法案に対する未調整ぶりをあらわにしたもの以外の何物でもないわけですよ。しかも、この法案は、最初、やはり与党の皆さん方からも、果たして自衛隊を派遣する必要があるのかという慎重意見もある。それで、先ほど申し上げましたように、閣議決定直前に削除される、修正される。そして、法案が提出されてから与党の皆さん方が改めてイラクに調査団を派遣する。非常にずさんなんですね。そういった中でこのような法案をあしたから審議するわけですから、私は非常に心配なわけでございます。
 それと、総理、イラク攻撃の大義は、御案内のように大量破壊兵器の廃棄、これでございました。しかし、これがなかなかいまだかつて発見されていないわけですね。いわゆる大義が揺らいでいる現状なんですよ、現実は。総理は、必ずいずれ発見されるだろうとおっしゃっておりますが、そんないいかげんなことが果たして許されるのか。
 いいですか、総理、総理が言われたことは、確かな証拠はなかったけれども刑は執行した、証拠はいずれ必ず見つかると信じています、このように言っているようなものですよ、総理。このようなことが果たして許されるんでしょうか。ですから、もし発見されなければ、これは大冤罪事件という可能性も出てくるわけですね。このような事実解明が進んでいない中であるにもかかわらず、イラク攻撃是認を前提としたこのような新法、果たして許されるのかという気がしてならないわけでございます。
 現段階において、いわゆる大量破壊兵器が発見されていないという現段階において、自衛隊を派遣するということは、いわゆる米英占領当局のもとで活動するわけですよね。大義のない戦争をした米英占領軍のもとで自衛隊が働くということになるわけです。こういうことは私は絶対に認められないことであろうと思っております。
 もっともっと我が国は我が国独自の、本当にエネルギー政策の観点からも、これまで長い間中東とは信頼関係を築いてきたわけでございますので、そういった信頼関係を崩さないためにも我が国独自の支援体制でやるべきではないか。ODAを活用したりいろいろな形で支援することは、十分国際的な評価を得られるものだと私は思っております。
 何が何でも自衛隊をまず派遣ありきという、そういった印象の非常に強い法案であるということをまず申し上げておきます。これから委員会で、これはいろいろ厳しい審査になろうかと思っております。
 次に、政府税調の中間答申についてお聞きしたいんですが、この最大の問題は、やはり少子高齢化に対する備えとして、増税という方法でしか答えを出していないということでございます。しかも、みずからの経済失政、これによる税収不足を補う、穴埋めするために、増税項目がさらに積み上げられているわけでございます。国民の懐だけを当てにして、みずからの失政を省みないというのであるならば、これは封建時代の悪代官政治と何ら変わらないと言われても仕方ありませんよ。だから、今回の答申では、まじめに働く勤労者あるいは納税者、こういう人たちは全く報われていないと私は思うわけでございます。
 特に、戦後日本の復興に心血を注ぎ、そしてようやく引退をされたお年寄りの方々、この方々に対し、金があるならば税金を払えという姿勢は、私はこれは人の道に反していると思いますし、まじめな国民の意欲をそぐという点で、今回の答申は日本の活力を非常に減退させることになるのではないか、そんな気がいたしております。
 マクロ経済の現状を見据えた、緩急をわきまえた手綱さばき、つまり国民生活のいたわりが前提、これがなければ、今回の中間答申は劇薬としての副作用を増すばかりである、デフレを深化させるばかりである、そう思わざるを得ません。このことにつきまして、総理、いかがお考えでしょうか。
小泉内閣総理大臣 全般の状況を考えて、政府税制調査会の報告、答申というものは、今のような財政状況で日本の財政が続くわけないだろうという観点から、率直な意見具申が行われたんだと思います。
 もとより、税調の答申というものをこれからどれを採用すべきかというのは、政治の場であります。政治が具体化すれば国会で審議されるわけであります。そういう中で、日本としては、いろいろな施策を推進していく上においても、税の裏づけがなければできません。そういう観点から専門家の皆さんが議論して出していただいたわけでありますので、この問題についてはよく議論が必要だと思っております。
 そういう中で、日本としても、今の財政状況の中でできるだけの配慮をしているんです。減税がいいに決まっています。しかし、減税しても借金をしても、果たしてどの程度の効果が上がるかということをよく考えなきゃいけない。特に、減税にはみんな賛成しますけれども、では減税した後にどのような財源の裏づけがあるかという場合、増税が嫌だという場合には、では全部国債発行ですよね。国債を発行して、本当にこれから税収が好転するんだろうか、減税分だけ、国債発行分だけ景気がよくなって国債の返済に回せる税収は上がってくるんだろうかというと、これまた疑問でしょう。そういうことをやはりバランスをとって考えなきゃいけない。
 今の一般会計の中におきましても、四十二兆円しか税収がないのに三十六兆円国債を発行しているんですよ。財政面を配慮しているんです。こんな国ありませんよ。そういうできるだけ今負担を和らげるための措置も講じながら、かといって、今だけで考えればいいんじゃない。将来も考えなきゃいかぬということで、今の景気情勢を見ながら、いろいろ配慮しながら、現在はこの程度の国債発行もやむを得ない、減税先行でもやむを得ないということで税制改革もしているわけでありますので、これは経済全体を考えて、財政健全化だけやればいいというものじゃない、かといって財政を無視してやればいいかという問題でもない。そこはやはり政治の難しさだと思うんです。
 そういうのをバランスをよく見ながら、税制改革におきましても、これからの税調の議論におきましても、よく考えて、どういう具体的な税制改革が必要かということは、国会の場でもよく議論しなきゃならないし、政府としても、各方面の意見をよく考えながら、具体的な税制改革案について、年末にかけて真剣に具体案を詰めるために議論を進めていきたいと思っております。
横光委員 確かにバランスというものは必要ですし、そのバランスをとるということが非常に難しいことはよく承知しております。骨太の方針第三弾で、最初は公的年金給付の抑制という文言がございました。このことに対しまして、非常に与党の中で反発の声が上がり、結局、抑制という言葉が調整という言葉に変えられたんですかね。言葉を変えたというだけで、中身はほとんど抑制という形で恐らくいくんでしょう。
 その証拠に、財務省は、平成十六年度予算編成において公的年金給付を引き下げる方向である、厚生労働省と調整にある、こういう報道がございました。この中では、概算要求の段階でまず二%の引き下げ、これは物価スライドの完全実施ですね、その上に、平成十六年度の次期年金制度改正で引き下げをさらに行う、二段階で抑制するという考えも示されているわけです。このようないわゆる経済状況の中で給付の抑制というものが示された。そしてまた、厚労省側の社会保障審議会の意見書の中でも、「「高齢」関係給付の伸びをある程度抑制」と明記されております。
 確かに、現役世代の負担増ということも考えなければなりません。しかし、私が今申し上げたのは、このような経済状況の中、しかも、これまで高齢者の方は、ここのところ負担増、負担増と非常に激しくなっているわけですね。医療費の負担増、自己負担の実質引き上げが始まっております。また、介護保険料の値上げも行われております。さらにここで年金の課税強化や給付の削減となると、本当に生活そのものまで脅かしかねないという気さえ私はするわけでございます。年金の受給者、特に低年金受給者の生活には多大な影響を与えるという気がしてならないわけです。このことは、即経済にももろに影響すると思うわけですが、この点はいかがお考えでしょうか。
塩川国務大臣 財務省が、年金の抑制を調整と言っておりますことは、私はその必要は現在あると思っております。
 と申しますのは、年金は、やはり持続的にこれを継続していくということが最大の使命でございますので、そうならば、その精神は、お互いが助け合う、扶助の精神がなければ、私は維持できないと思っております。
 現在も、年金受給者で高額の方々はある程度遠慮していただいておるような制度が導入をされてきておりますので、このこと自体は、私は非常に理解を得ておると思っております。
 ついては、これからの高齢化社会で受給者がどんどんふえていきますこと、これを当然増と見ました場合に、私たちは、まず、大ざっぱな試算でございますが、年金の当然増だけで年間九千億円から一兆円ぐらいふえるのではないかなという試算をいたしております。そういうことを年金会計だけで処理するのか、あるいは、そうではなくして経済制度全体の中で、予算全体の中で処理していくかということについては大問題でございまして、私たちは現在のところ、予算の中でできれば処理したいと思っております。
 それはなぜかといいまして、十六年以降におきまして年金の根本的な改正をやるということが現在政治課題になっておりますので、その方向を見て、年金の改正は年金の改正とするが、予算の改正の中ででき得ることは十六年度の中でいたしたいと思っておりまして、そのためには多少は年金の高額所得者等について遠慮していただく方法を講じたい。それはどんな方法で、いわば給付額でやるのか、あるいは税でやるのか、あるいは掛金の額でやるのかということはまだ決まっておりませんので、これを真剣に議論していきたいと思っております。
横光委員 確かに、所得の多い高齢者もいらっしゃいますし、現役世代のことを考えますと、そういった方の場合はやはりそれ相応の負担はやむを得ないと思っております。
 ただ、給付の面ではなくて、今どちらでやるか決められていないというお話ですが、これはやはり税の形でやっていくべきであろう。要するに、所得の確実な捕捉、このことが今やはり大きな問題だと思うんです。これがなくて、やれ、国庫負担二分の一の約束は実行できない上に、給付の方に影響を与えるというのでは、これは高齢者はたまったものじゃない。そういった所得の確実な把握ということにぜひとも政府は力を入れて、いろいろな形の策を練っていただきたい、このことをお願いいたしたいと思っております。でなければ、私は、今回のこの答申は、まさに高齢者いじめそのものであると言わざるを得ません。
 次に、義務教育費国庫負担制度についてちょっと遠山文科大臣にお尋ねをいたしたいと思うんですが、この件に関しては、昨年の十二月に、総務、財務、文科、この三大臣で合意がされております。しかし、それ以降の論議を聞いておりますと、これが、国が責任を持つべき義務教育に関して、地方の自由度を高めるとか、そういったことを理由に地方に丸投げするというような姿勢が目立っているんですね。
 もちろん、教育について地方自治体も一定の役割を果たしていることは否定はいたしませんが、最近のこの議論は、教育に対する国の責任が余りにもないがしろにされつつあるんではないか、そんな気がいたしてならないわけですが、国の教育を所管する、責任ある文科大臣としてはどのようにお考えでしょうか。
遠山国務大臣 私は、義務教育は国家、社会の礎であるというふうに考えております。すべての国民に対して無償で一定水準の教育を確保するというのは、憲法上も最終的には国の責務となっております。
 委員も御存じのように、日本の義務教育は、国際的にも高い水準にございまして、各国の目標になっているわけでございますが、それを財政面で担保するのが義務教育費国庫負担制度であるというふうに考えております。
 同時に、私は、地方分権も大切であると考えておりまして、政府全体の方針を踏まえて、昨年、今委員が御指摘くださいましたように、三大臣合意に基づいて、義務教育費国庫負担の一部の負担対象経費を削るということで、先般、義務教育費国庫負担法を改正させていただきました。同時に、各地方での創意工夫を促すために、学級編制のあり方でありますとか教員定数の配置のあり方について弾力化する、これこそが、私は、義務教育についての地方分権の本命であるというふうに考えております。
 今後とも、負担金の制度のあり方につきましては、三大臣合意の線に沿って検討するということになってございますけれども、その際、義務教育費国庫負担制度の重要性にかんがみまして、その根幹は堅持するという姿勢でやってまいりたいというふうに考えております。
横光委員 今、文科大臣がお話しされましたが、まさに教育というのは国と社会の礎である、このことに対しては異論を挟む人はいないと思います。そして、大臣のお話にございましたように、世界から本当にこの制度は高い評価を得ているわけで、とりわけ敗戦後、短期間で日本の経済がこのように驚異的に成長したその根源、もとは、やはりこの義務教育国庫負担制度であるということは、世界がこれはもう認めているわけですからね。こういったことは、まさに憲法でも二十六条にしっかり書かれているわけでございますので、総理、国の財政が逼迫しているからといって、こういった制度をいろいろな形で地方に丸投げするというようなことがあっては、私は将来に禍根を残すのではないかという気がしてならないわけでございます。
 今、文科大臣は、私は、義務教育に対するお考えを非常にしっかり述べていただいたと思っております。まさにこれは、私は、人を教育し、成長させるセーフティーネットがこの義務教育制度だ、セーフティーネットである、このように思っているわけですので、ぜひこの制度を堅持していただきたい、根幹だけは堅持していただきたい、このことを強く申し上げておきたいと思います。
 次に、先ほどから激しい批判の声が出ておりました政治と金の問題について、ちょっとお尋ねをいたします。お尋ねというより、何でこんな法案が出てきたのかという、もう不思議でならない気がするわけでございます。
 私、おかげで国会で十年仕事をさせてもらっておりますが、最初に出たときに、政治改革一色の選挙だったんですね。そして、何の政治の経験のない私を送ってくれた人たちの思いは、政治改革というのがいかに大事かという思いがやはり一票一票に込められていると私は受けとめてきた。ですから、この間一生懸命その問題に取り組んできたんですが、残念ながら、あの十年前と今日、どちらが悪いかといったら、私、今の方が悪いんじゃないかという気がします。いろいろ改正はしますよ。すべて抜け道をつくって、改正はします。そして、その都度いろいろな疑惑が起きる、腐敗が起きる、襟を正します、もう二度とこのようなこと起こしません、この繰り返しを十年間私はもろに見てきた。国民も見てきた。
 さらにこれを厳しくしなければならないときに出てきた法案は、何ですか、これは。先ほどからお話がございますように、総理、先ほどいろいろ総理はお答えになっておりますが、透明度を高めるというのが私たちの仕事でしょう。今度の法案でどこが透明度が高まるんですか。国民だって、これは、あの法案の審議が始まりますとびっくりしますよ。この十年間みんなが努力してきたことがすべて、私は水の泡になるんじゃないかという気がしてならないんですね。本当に余りにも厚顔無恥というか、あいた口がふさがらないというか、そういった形容しか言いようがない。
 総理、総理は自民党の総裁でございます。このような法案を本当にお認めになられたんですか、お聞かせください。
小泉内閣総理大臣 私は前進だと見ていますよ。なぜこれが逆行するんですか。七百五十万から一億円のを百五十万に制限する。しかも、透明度がないないと言いながら、五万円以上は発表されるんですよ、透明度は確保されているんですよ、年間。ただし、毎月毎月二万円以内の場合は、銀行振り込みに限りそれは公表しないでいい。しかし、二十四万円以上だったら公表しなきゃいけないんですよ。
 ただ制限すればいいというだけじゃないでしょう。これは、立場が違いますが、政治献金を、どうやって浄財を国民から提供してもらうかということと同時に、その法の枠内で政治家がきちんと管理しようか、両方が必要なんです。全部政治献金は悪だという考えに立てばまた考えは違うと思いますが、我々は一定の制限を設けて、企業献金も団体献金も認めようという立場です。全部税金でやろうといったら、政治家は国会議員だけじゃないんです。県会議員もいる、市長もいる、県知事もいる、市会議員もいる、町村会議員もいる、どうやって税金で面倒見るんですか。
 政党の議員によってもそれは活動分野が違います、活動範囲も違います。秘書が一人でもいいという議員もいるでしょう、秘書が十人いても足りないという議員もいるでしょう。だから、議員によっても、政党によっても、全部企業献金は要らないという政党もあるでしょう。しかし、企業献金なり団体献金、労働組合からの献金にも頼る政党もあるでしょう。そういうのをわきまえながら、これは、上限は百五十万円に制限します、そして一どきに一年間五万円以上献金したら名前は公表します、ただし、一年一回だけじゃなくて、毎月毎月こつこつ五千円なり一万円なり献金している人に対しては、やはり名前が出るのが嫌だという立場も考えて、月二万円以内の献金者は、銀行振り込みに限りそれは制限しましょうという形なんですから、何で逆行するんですか。
 むしろ、受ける方はきちんと法律を守ってもらいたい。提供する側にも、本当にみずからの収入の中で、収益の中で提供する、こういう方々をやはり奨励するのも、政治活動は国民が支えることしかできないんですから、社会主義政権じゃないんですから、全部税金で見ろということじゃないんですから、その努力に応じて、そういう提供しやすい環境もつくろうということでありますので、私はこれは一歩前進の改革法案であり、なおかつ、今までいろいろ不祥事を起こしているのは法律を守らない人なんです。法律をしっかり守ってもらわなきゃいけない。法律を守るように、議員は率先してこの法律を守るように努力していただきたいと私は思います。
横光委員 もう総理の今お話を聞いていると、むなしくなるばかりです。百万を五万に、公開するために下げたんですよ、公開基準を。そして、みんなそのことに従って努力してきたんですよ、今日まで。それをさらに透明化しようというのに、今度二十四万まで不透明にしようとするんですから、何が前進ですか。(小泉内閣総理大臣「不透明じゃないよ」と呼ぶ)不透明になるんですよ。先ほど説明があったように、二十四万までの振り込みによっては公開できない、だれが献金したかわからないんですよ。
 ですから、こういった政治家の腐敗が起きなければいいですよ。起きるから、こういった規制が必要だということでみんな努力しようとしているんでしょう。(小泉内閣総理大臣「法律を守れば起きない」と呼ぶ)それを、守らない人は、守ればいいと言うけれども、守らない人はどこの政党の人ですか。ほとんどが自民党の方でしょう。
藤井委員長 時間が来ております。時間が来ておりますから。
横光委員 ですから、そこのところを、私は、前進するとか改善するとか配慮するとか、今まで答弁されていました。そういった言葉がむなしくなるばかりです。言葉ばかりが躍っている。このような、国民は決して今回の法案は――甘く見ちゃいけませんよ、国民はとうとい権利を持っておるんですから。
藤井委員長 横光君、時間です。
横光委員 この一年以内で選挙があるわけです。しっかりと国民はこのことについて審判すると思っております。
 終わります。
藤井委員長 これにて横光君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして、本日の集中審議は終了いたしました。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時一分散会


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