衆議院

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第4号 平成16年1月28日(水曜日)

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平成十六年一月二十八日(水曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 笹川  堯君

   理事 大野 功統君 理事 北村 直人君

   理事 杉浦 正健君 理事 園田 博之君

   理事 松岡 利勝君 理事 玄葉光一郎君

   理事 筒井 信隆君 理事 細川 律夫君

   理事 谷口 隆義君

      伊吹 文明君    植竹 繁雄君

      尾身 幸次君    大島 理森君

      倉田 雅年君    小泉 龍司君

      小杉  隆君    佐藤  錬君

      鈴木 俊一君    田中 英夫君

      滝   実君    玉沢徳一郎君

      中馬 弘毅君    津島 恭一君

      津島 雄二君    中山 成彬君

      西川 京子君    西銘恒三郎君

      萩野 浩基君    蓮実  進君

      二田 孝治君    町村 信孝君

      井上 和雄君    池田 元久君

      石田 勝之君    生方 幸夫君

      海江田万里君    河村たかし君

      木下  厚君    吉良 州司君

      小泉 俊明君    鮫島 宗明君

      首藤 信彦君    達増 拓也君

      中津川博郷君    鉢呂 吉雄君

      平岡 秀夫君    藤井 裕久君

      遠藤 乙彦君    大口 善徳君

      高木 陽介君    佐々木憲昭君

      照屋 寛徳君

    …………………………………

   内閣総理大臣       小泉純一郎君

   総務大臣         麻生 太郎君

   法務大臣         野沢 太三君

   外務大臣         川口 順子君

   財務大臣         谷垣 禎一君

   文部科学大臣       河村 建夫君

   厚生労働大臣       坂口  力君

   農林水産大臣       亀井 善之君

   経済産業大臣       中川 昭一君

   国土交通大臣       石原 伸晃君

   環境大臣         小池百合子君

   国務大臣

   (内閣官房長官)

   (男女共同参画担当)   福田 康夫君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (青少年育成及び少子化対策担当)

   (食品安全担当)     小野 清子君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      石破  茂君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (個人情報保護担当)

   (科学技術政策担当)   茂木 敏充君

   国務大臣

   (金融担当)

   (経済財政政策担当)   竹中 平蔵君

   国務大臣

   (規制改革担当)

   (産業再生機構担当)   金子 一義君

   国務大臣

   (防災担当)       井上 喜一君

   内閣官房副長官      細田 博之君

   防衛庁副長官       浜田 靖一君

   外務副大臣        逢沢 一郎君

   財務副大臣        山本 有二君

   農林水産副大臣      金田 英行君

   防衛庁長官政務官     嘉数 知賢君

   法務大臣政務官      中野  清君

   外務大臣政務官      田中 和徳君

   経済産業大臣政務官    江田 康幸君

   国土交通大臣政務官    鶴保 庸介君

   環境大臣政務官      砂田 圭佑君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    秋山  收君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    山中 昭栄君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           中川  坦君

   参考人

   (日本銀行理事)     白川 方明君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

一月二十八日

 辞任         補欠選任

  大島 理森君     西銘恒三郎君

  津島 雄二君     津島 恭一君

  丹羽 雄哉君     田中 英夫君

  町村 信孝君     佐藤  錬君

  石田 祝稔君     大口 善徳君

同日

 辞任         補欠選任

  佐藤  錬君     町村 信孝君

  田中 英夫君     丹羽 雄哉君

  津島 恭一君     津島 雄二君

  西銘恒三郎君     大島 理森君

  大口 善徳君     石田 祝稔君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成十五年度一般会計補正予算(第1号)

 平成十五年度特別会計補正予算(特第1号)

 平成十五年度政府関係機関補正予算(機第1号)


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     ――――◇―――――

笹川委員長 これより会議を開きます。

 平成十五年度一般会計補正予算(第1号)、平成十五年度特別会計補正予算(特第1号)、平成十五年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題とします。

 この際、政府から発言を求められておりますので、順次これを許します。小泉内閣総理大臣。

小泉内閣総理大臣 昨日の本会議及び予算委員会の答弁において、私より、サマワ市評議会が現在存在しているとの発言をいたしましたが、これを撤回いたします。

笹川委員長 次に、石破防衛庁長官。

石破国務大臣 昨日の予算委員会において、私より、サマワ市評議会が現在存在し機能しているとの発言をいたしましたが、これを撤回いたします。

    ―――――――――――――

笹川委員長 お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として、防衛施設庁長官山中昭栄君及び農林水産省消費・安全局長中川坦君、両名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

笹川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

笹川委員長 昨日に引き続き締めくくり質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。達増拓也君。

達増委員 本日の予算委員会冒頭、総理と防衛庁長官から、サマワ市評議会が存在しているかのような発言をしたことをそれぞれ撤回する旨の発言がありました。

 このイラクへの陸上そして航空自衛隊の派遣、また、その自衛隊の派遣問題は、この補正予算の主要な柱の一つでもあります。そのような重要な問題、これについて、本会議あるいはこの予算委員会の場で、国民をミスリードするような、国民を誤解させるような、そのような発言がなされたこと、撤回しなければならないような虚偽の発言がなされたことを総理、防衛庁長官は冒頭認められたのだと思いますが、そうしますと、私が質問しなければならないのは、その責任をどうおとりになるかということであります。

 イラクへの自衛隊の派遣の問題は、日本にとって歴史的な問題であるはずであります。それを、本会議あるいはこの予算委員会という国権の最高機関、全国民を代表するこの国会議員の、正式な国民に対する政府からの発言の場においてそのような発言をしたことについて、これはまず防衛庁長官に伺いたいと思いますが、特にこれは、防衛庁はそのような虚偽の内容を記載した資料を公表、流布したという問題もあります。これはもう進退にかかわる問題、防衛庁長官の進退も検討されるべき問題だと思いますが、防衛庁長官はどう責任をおとりになるつもりですか。

石破国務大臣 今、達増委員から、虚偽というようなお話がございました。

 私どもが書きました報告書、それは、二十一日現在で掌握をしておりました事項、すなわち、先遣隊は二十一日に現地を発したものであります。二十三日に帰国をいたしまして、私に対して報告がございました。その時点では、当然、サマワの評議会というものは存在をしておったわけでございます。そういたしますと、二十三日時点におきまして作成をいたしました報告書、それには全く虚偽はございません。そのとおりのものでございます。

 その後に、サマワの……(発言する者あり)

笹川委員長 静粛にお願いします。

石破国務大臣 評議会が総辞職をしたということがございました。その点が治安においてどのような影響を与えるかということ、それは、現地においてより民主的なプロセスが進むということ、そして、現地において治安の混乱状況が見られないということ、そういうことを判断いたしますと、虚偽あるいは私どもの分析として間違っておったというふうには考えておりません。治安の状況、自衛隊が行動いたします際に最も必要となります治安の状況について、間違った判断をしたということはございません。

 その点におきまして、今、発言を撤回するということにつきまして、その点、存在し機能しているような発言をしたということは撤回いたしました。そのことにつきましては、これは撤回しなければならなかったということの責任はございます。しかし、治安状況について、委員御指摘のような虚偽の申し立てをしたということはございません。

達増委員 この予算委員会、補正予算の審議の前提にもなるようなことが大きく崩れることについて虚偽の答弁がなされたということについての責任、陳謝は、謝罪は、これはもう最低限必要、それ以上どこまで責任をとるのかということを聞いたんですが、今はその質問に対する答弁は一切なされませんでした。

 責任をとるのかどうか、せめて陳謝はしないのか、そういうことを聞いているのに、全然そういうことに答えていない。政府側から適切な答弁があるまで質問続行できないことを委員長に申し上げます。(発言する者あり)

笹川委員長 達増君、質問を続けてください。何遍でも続けてください。――時間がもったいないから、達増君、質問を続けてください。もう一遍質問してください、同じことでも。(発言する者あり)

達増委員 では、もう一度質問をいたします。

 防衛庁長官に質問しますが、責任はどのようにおとりになるんですか。

石破国務大臣 治安の状況について虚偽の報告をしたということについて、私は、そのようには考えておりません。

 発言を撤回するというようなことで、撤回しなければならないというような発言をしたことにつきましては、それはおわびを申し上げます。

達増委員 同じ質問を総理に伺います。

 本会議であのような答弁をされたこと、また、予算委員会でも同様の答弁をされたこと、撤回するに至ったことについての責任をどのようにおとりになりますか。

小泉内閣総理大臣 私は、自衛隊の諸君が立派に任務を果たす、そのために万全の措置をということによって責任を果たしたいと思います。

達増委員 総理に質問しますが、防衛庁長官は謝罪されたんですが、なぜ総理は謝罪しないんですか。

小泉内閣総理大臣 これからは情報をより正確に国民にお知らせするように努力する、それが私どもの責任だと思っております。

達増委員 委員会での答弁は、それぞれの大臣が内閣を代表して答弁することになるわけですけれども、防衛庁長官は内閣を代表して謝罪したと受けとめてよろしいかどうかを総理に伺いたいと思います。

小泉内閣総理大臣 これから正しい情報を的確に収集するという点について、これからもより努力しなきゃいけないと思っております。(発言する者あり)

笹川委員長 達増拓也君、再度質問してください。――達増君、再度今のことを質問してください。

達増委員 総理に質問いたします。

 防衛庁長官は、内閣を代表して、小泉内閣として謝罪したと受けとめてよろしいですか。

小泉内閣総理大臣 それは、内閣としてというよりも、防衛庁長官自身としてあのような発言をされて、私も既に発言を撤回しているわけです。(発言する者あり)

笹川委員長 達増君、もう一遍。――達増拓也君、もう一度質問してください。達増君、時間の範囲内で何遍でも質問してください。

達増委員 内閣から異なる答弁がなされているので困っております。防衛庁長官は内閣を代表して謝罪したはずなのに、総理はそうでないとおっしゃる。

 総理に伺いますが、その矛盾をどう説明されるんですか。

小泉内閣総理大臣 それは、委員会の理事の皆さんが協議して、こういう答弁が適切だろうということで、私は、この委員会の御指示に従って答弁して、サマワ市評議会が現在存在しているとの発言を私はしましたが、これを撤回いたしますと。これで了承を受けているはずなんじゃないですか。それで、これからも正確な情報をお伝えするようにいたしますと。防衛庁長官は内閣の一員であり、内閣の代表として、撤回をするということはおわびそのものじゃないですか。

達増委員 総理に伺いますが、非常に回りくどい答弁だったのですけれども、要は、内閣として、政府としておわびしたということを認められたわけですね。

小泉内閣総理大臣 こういうことがないように、おわびして撤回したんですよ。できるだけ正確な情報をこれからもお伝えするように努めるということなんです。

達増委員 このような重大な問題について、謝って済ませるということでは済まない、この問題については今後も予算委員会の場で補正予算審議の一環として問題にしたい、そうすべきということを訴えて、私の質問を終わります。

笹川委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 今の達増議員の質問に関連して、まず最初にお聞きをしたいと思います。

 事実を確認したいんですけれども、外務省に現地から、サマワの市評議会が二十四日の時点で事実上機能が停止している、崩壊している、こういう情報が入ったのは、どういう形で、いつの時点でその情報が入ったか、事実を答えてください。

川口国務大臣 お答えをいたします。

 二十四日、サマワ市評議会の総辞職があったわけでございますけれども、外務省としては、これにつきましては、翌二十五日の日曜日に、これは現地時間ですが、オランダ軍と定例の治安会議というのがございまして、その席上でオランダ側から報告があったということでございます。時差が六時間ございます、日本との間で。それで、現地時間の夜、外務省サマワ事務所から報告電が出されまして、それが、二十六日の、東京の時間で月曜日朝、外務省にその電報が着いております。ということが一番最初の情報でございます。

 それで、二十六日月曜日の午後、外務省の担当課から防衛庁に報告電を手渡しております。そして、二十六日月曜日夜の段階で、外務省の中東局長が報告電を読んで、この件について認知をいたしております。そして、二十七日の火曜日、昨日ですけれども、朝の段階で、他のメンバーがこの情報について知るということになったということでございます。

 なお、防衛庁につきましては、別途のルートでとりあえずの情報も入手をしていたということのようでございます。

 以上です。

佐々木(憲)委員 今、発言が、総理の発言の撤回と防衛庁長官の発言の撤回があったわけです。

 まず、防衛庁は外務省のこの情報についていつの時点で知ることになったのか、その点についてお答えください。

石破国務大臣 外務大臣からお答えがございましたように、とりあえずの報告が現地の部隊よりメールを通じまして私どもの方に到達いたしましたのが、日本時間で申しますと、日曜日の午前中に担当課が受領をいたしておるところです。これは、とりあえずの情報でございます。そういうことがあるということの情報であります。

 外務省の方から私どもの方にそれが発出をされましたのは、月曜日、二十六日の午後、外務省の担当課より私どものクーリエによりまして報告電を私どもの方が受け取り、逆に申し上げれば、外務省の担当課より防衛庁のクーリエに報告電が手渡されたのが月曜日の午後ということでございます。

佐々木(憲)委員 総理の答弁、昨日の、サマワの市評議会が事実上存在している、そういう答弁があったわけですが、その前にその情報というのは当然総理のところに届いていないとこれはおかしいわけでありまして、今の外務省と防衛庁の情報の入手の仕方を見ますと、当然それが前提となっていなければならない。にもかかわらず、あのように現地の評議会が存在しているという答弁をされたわけですから、発言をされたわけですから、一体、情報はどこでどのように滞っていたのか、そこを明確にしてください。――わかる人にかな。

笹川委員長 政府側、だれでもいいそうですよ。

 川口外務大臣。

川口国務大臣 外務省からは、情報を、二十六日の月曜日の時点で、これはもう紙ベースでいろいろ配付をしているようでございますけれども、実際に総理あるいは官房長官御自身がこれについてお知りになったのは、昨日の予算委員会のときの議論の際にこのことについては御認知なさったということでございます。

佐々木(憲)委員 官房長官、この情報はいつお知りになりましたか。

福田国務大臣 今、外務大臣から答弁したとおりです。

佐々木(憲)委員 ということは、きのうのこの予算委員会の始まる前ですか、後ですか。

福田国務大臣 予算委員会のこの場で知りました。

佐々木(憲)委員 そうしますと、外務省は、情報を、予算委員会が始まる前に、もう既に二十五日の時点で情報をキャッチし、二十六日には防衛庁あるいは内閣に、内閣はどういう形でこれを知ることになるのか、総理、官房長官は。

 要するに、この空白期間というのは一体これは何なんですか。つまり、知らされていなかったということですね。そういうことになりますね。

笹川委員長 佐々木憲昭君、どなたに質問しますか。

佐々木(憲)委員 官房長官です。

福田国務大臣 何度も答弁していますけれども、そのときに初めて知ったということですから、それが初めてなんですよ。それまでは情報は来てなかったんです。

佐々木(憲)委員 外務省は二十六日の時点で既に伝えていたということですね。

川口国務大臣 先ほど言いましたように、総理、官房長官がこのことについてきちんとその認識をなさったというのは、二十七日、昨日の予算委員会の議論の際ということでございます。

 二十六日に外務省にサマワの現地から公電で連絡があったというのは、まず担当課に入ったわけでございまして、この夜、中東局長自身がこれを読んで、これを認識したということでございます。

 それで、外務省のほかのメンバー、私も含め副大臣あるいは総政局長等々がこれを認識しましたのは、二十七日火曜日の朝、予算委員会の答弁の勉強会を朝いたしますので、その際知った、そういうことでございますし、そこに出ていなかったメンバーについては、その勉強会の後、それを知った、そういうことでございます。

石破国務大臣 外務省の流れは今大臣が御答弁になられたとおりですが、私どもの方といたしましては、私がこれを知りましたのが昨日の正午過ぎ、予算委員会の答弁勉強会の後に本件につきまして私がそれを認知したものでございます。

佐々木(憲)委員 防衛庁長官は昨日の正午過ぎと言いましたが、それ以前に情報は防衛庁に届いているんじゃありませんか。

石破国務大臣 先ほどお答えをいたしたかと思いますが、防衛庁の担当課が現地よりの、とりあえずそういうことがあるという、評価、分析を十分加えないままのとりあえずでございますが、とりあえずの報告を受け取りましたのは、二十五日、すなわち日曜日の午前でございます。

 そして、外務省から外務省が持っておられますそのような電報というものを防衛庁のクーリエに手交をされましたのが月曜日の午後ということでございます。

佐々木(憲)委員 そうしますと、防衛庁は、とりあえずの情報は二十五日に知っていた。外務省から、先ほど外務大臣は、午後、防衛庁に手渡した、こういう発言をされている。にもかかわらず、防衛庁長官は、次の日の二十七日の昼過ぎまで知らなかったと。これは、あるいは知らなかったか、あるいは知っていたけれども違う答弁をしたのか。

 防衛庁は、情報を二十五日に、まあその事実関係というものはこれは評価の問題ではなくて事実ですから、つまり、サマワ市評議会が存在しているのかいないのかという非常に単純な情報なわけであります。それを二十五日に既に防衛庁はキャッチしていた、防衛庁長官はそのことについて二日間全く知らなかった、こういうことになるわけですね。それが防衛庁の情報の伝達のあり方なんでしょうか。

石破国務大臣 事実は先生御指摘のとおりでございます。おまえは知ったのはいつかというような問いにもう一度お答えをするとすれば、昨日の正午過ぎということになります。事実としてはそのようなことでございます。

佐々木(憲)委員 昨日の防衛庁長官のこの場での答弁は、その情報を知った上で発言をされていたのか。つまり、昼過ぎには知っていたわけですよね。知っていながら、サマワ市評議会というのは有効に機能しているという答弁を夕方やっている。ということは、知っていながら虚偽の答弁をした、こういうことになるわけですね。その責任はどう感じているんですか。

石破国務大臣 答弁は、そのことを承知の上で答弁をいたしております。サマワの評議会はそのとき存在しない、存在しないというか総辞職をしておるということ、そのことを承知の上で答弁をいたしております。そして、それは、議事録をもう一度私も読み返してみましたけれども、そこの部分、それでも存在していたというような部分、これは撤回いたしました。現状ではそういうことになっております。

 そこへ戻って考えますに、その後私が申し上げておりますのは、治安の状況というものが、二十一日に、いいですか、二十一日に彼らが、つまり、先遣隊がサマワを出発いたしております。そして、現地の方々と、部族長やあるいは宗教指導者、そして評議会、その方々と会議をやり、いろいろな意見交換をした、それは二十日でございます。二十一日に立っております。日本へ到着し、私に報告したのは二十三日でございます。その時点でも、評議会はまだ辞職はしておりません。

 そこで、きのう答弁を申し上げましたときに、治安の状況というものについては同じ認識を持っているということでございます。その後に、今後どのように推移をしていくか、治安の状況というものが総辞職をしたことによって変化したとは認識をしていないが、今後これがどのようなことになるかは極めて注意深く見ていかなければ、治安というものが影響を与える要素はある、そのことには本当にこれから先も注意をしていかねばならない、その旨答弁を申し上げました。

佐々木(憲)委員 先ほどの答弁では、防衛庁長官は、その情報を知ったのは昼過ぎであると。知っていながら虚偽の答弁をしているんです。つまり、虚偽の答弁を、事実に反する答弁をしたからこそ先ほど撤回したんでしょう。謝罪をし、撤回したわけですね。昨日の昼過ぎにはもう既に知っていながら、それを隠してというのか、意識的にそれと違う答弁をした。虚偽の答弁をした。その責任はどう感じているんですか。虚偽の答弁をしたかどうかだけ答えてください。

石破国務大臣 撤回をしたという事実はそのとおりであり、おわびをしたということも先ほど申し上げたとおりでございます。

 しかし、それを知っていながら虚偽の発言をした、あるいは意図的に事実と異なる、すなわち、治安が悪化しているにもかかわらず悪化をしていないような、そのような評価、分析というものについて虚偽をしたということはございません。

 その発言を撤回し、おわびをしたということは、先ほど来申し上げておるとおりでございますし、今ここで冒頭申し上げたとおりでございます。

佐々木(憲)委員 この情報、昨日の昼過ぎに知ったということですね。昨日の昼過ぎに知っていたということは先ほど答弁した。それはもう撤回しませんね。

石破国務大臣 昨日の正午過ぎに、予算委員会答弁勉強会の後に、時刻的に申し上げれば正午過ぎでございますが、本件につき承知をした、認知をしたということは事実でございます。この答弁に間違いはございません。

佐々木(憲)委員 これは極めて重大でありまして、事実を正確に掌握していながら、その事実と全く違う答弁を委員会で行う。完全にこれは虚偽の答弁をしているわけです。しかも、それを撤回しているわけですね。

 つまり、防衛庁長官は、自分でみずから、事実と、自分の掌握している情報と違う答弁を意識的にやったということになるわけであって、そういう状況のもとで一体まともな審議ができるのかということになるわけですよ。私は、そういう点についての責任をはっきりとらない限りは、これ以上質問できません。(発言する者あり)

笹川委員長 速記をとめて。

    〔速記中止〕

笹川委員長 速記を起こして。

 暫時休憩します。

    午前九時四十分休憩

     ――――◇―――――

    午前十時四十六分開議

笹川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 先ほどの質問で、防衛庁長官が、昼の時点で情報をキャッチしていながら、夕方の予算委員会の答弁では違う答弁をされた。私は、これは虚偽の答弁をしたということになるのだと思うわけですが、一体これをどのように責任をとっていただけるのか、防衛庁長官にお聞きをしたいと思います。

石破国務大臣 サマワ市評議会に関しますとりあえずの情報等は、先ほど申し上げました時点、すなわち、委員も御指摘なさり、私も答弁を申し上げましたが、委員会開会前に受けました。私として、それを全体として正確に分析し評価をいたしましたのは、昨日の予算委員会終了後でございます。この点に関しまして御迷惑をおかけいたしましたことは申しわけなく、おわびを申し上げ、今後十分注意をしてまいりたいと思います。

 なお、虚偽の答弁をしたのではないかというお話でございます。すなわち、委員会の時点ではサマワ評議会メンバーが辞職している事実を知りながら虚偽の答弁をしたのではないかとの御指摘でございますが、議事録を御確認いただいてもおわかりいただけるかと思いますが、昨日の委員会におきましても、ルメイサ市及びサマワ市の市評議会議員が一月二十一日及び一月二十四日に辞職をしたということは承知をしておるところでございますとの答弁を私はいたしております。

 虚偽の答弁をしたという御指摘は、私は、二十一日、二十四日、ルメイサ、サマワ、辞職をしたということは申し上げており、虚偽の答弁をいたしたという認識はいたしておりません。

佐々木(憲)委員 外務大臣は、二十四日の時点で現地サマワ市評議会のメンバーが総辞職をしたということをその情報によって知った、そのことについて、その事実を防衛庁に文書で二十六日に手渡した、そういうふうにおっしゃいましたよね。それは確認できますね。

川口国務大臣 これは、先ほど申し上げましたとおりでございまして、二十六日の月曜日の午後、外務省の担当課から防衛庁クーリエに報告電を手渡しております。

佐々木(憲)委員 防衛庁長官は昼過ぎに知ったというわけですけれども、その昼過ぎに知った情報というのは、今外務大臣がおっしゃったように、評議会の総辞職を知った、こういうことですね。

石破国務大臣 総辞職をしたということを承知いたしました。

佐々木(憲)委員 総辞職をしたと。そうしますと、当然、その評議会は人がいないわけですから、存在もしておらず、機能もしていない。

 したがいまして、先ほどの謝罪の答弁というものは、全体を正確に分析し評価したのは予算委員会終了後だった、しかし、その前に総辞職をしていたということは知っていた、つまり、機能していないということを知っていたと。しかしながら、夕方の予算委員会では、機能しているという答弁をされておるわけですね。これは明らかに虚偽の答弁じゃないですか。

石破国務大臣 治安についてどのような評価をするかということについて、評価を申し上げました。その時点における私としての評価、分析を申し上げたところでございます。

 機能している、だから治安は大丈夫だというような論理を使って御説明をしたことはございません。

佐々木(憲)委員 私の質問に答えていないんです。

 総辞職を知ったのは昼過ぎであったと。総辞職しているんですから機能していないわけです。夕方の答弁は、存在し機能していると。これをきょうお認めになって、その答弁は撤回したわけです。

 ですから、その時点で虚偽の答弁をしていた、これははっきりしているんじゃありませんか。

石破国務大臣 私が答弁の中で機能の点について言及いたしておりますのは、達増委員からの御質問にお答えいたしまして、評議会というものがどうやって構成をされたのか。すなわち、二十日の時点で、私どもの先遣隊の隊員が二十一日に現地を出発しておるわけですから、二十日の時点において機能していたということですが、これは答弁では申し上げておりませんが、評議会というものがどうやって構成をされたのか、今までどういう形でそれが機能していたのかということについては、私も、どのような人選が行われるかということについて、事前にも、そしてまた現地に赴いた隊員にも、どういうような形で選ばれたのか、そしてその会談のときに、これは委員も映像でごらんになったことと思います、これは達増委員の御質問にお答えをしておるわけでございます。機能につきまして言及をしておりますのは、その点かと存じます。

佐々木(憲)委員 全然質問と違うんですよ。二十日の時点で機能していた、それは二十日の時点の話じゃないんです。二十四日の時点で機能していなかったということは、外務省も把握し、それは報告をされていた。そのことを、総辞職をしたということは、今答弁があったように、防衛庁長官は昨日の昼過ぎにはもう知っていたわけです。総辞職をしているわけですから、機能していないんです。機能していないということを知りながら、夕方の答弁では、機能していた、機能していると。

 つまり、二十一日の話じゃないんです。二十日の時点の話じゃないんです。二十四日の時点で機能していないというのを知っていながら、機能しておりますという答弁をした。だからきょう撤回したんでしょう。何の撤回なんですか、これは。虚偽の答弁をしたということは事実じゃないですか。

石破国務大臣 冒頭申し上げましたように、総辞職をしているということはお答えをいたしました。したがいまして、虚偽の答弁という点はどの点を指して言っておられるのか、どの点が虚偽なのかということでございます。総辞職をしておるということをきちんと申し上げた上で答弁をいたしておるわけでございます。

佐々木(憲)委員 全然答えになっていないですよ。どの点が虚偽だという点について私は言っているわけですね、明確に。

 あなたが昨日の昼過ぎに知ったのは、二十四日の時点で既に総辞職があり、事実上機能していないということを既に知っていたんですよ。それは事実ですね。そして、その夕方、夕方の答弁では、サマワ市評議会が現在存在し機能していると発言をした。

 けさのあなたが冒頭発言をした内容をもう一回言いますか。

 「昨日の予算委員会において、私より、サマワ市評議会が現在存在し機能しているとの発言をいたしましたが、これを撤回いたします。」存在し機能しているということを夕方はっきり言っている。だから、これは撤回したんですよ。つまり、虚偽の発言をしたから撤回したんでしょう。

 もうこれ以上進まないよ、これ。だめだよ、これは。

石破国務大臣 けさほどの撤回の答弁は、今委員が御指摘になったとおり私は申し上げました。それは議事録を精査してみまして、それはそのように委員が、そしてまた与党、野党、御議論いただき、認識を共有いただき、私としても、そこの部分は存在していたというふうな御認識を委員共有なさるようなそういう発言をしたということで、私は撤回をしたものでございます。

佐々木(憲)委員 これは全然、これ以上できないですよ、こんな答弁じゃ。これはだめだよ、こんな答弁じゃ。全然だめだよ、こんなの。虚偽の答弁をしているんだから。

石破国務大臣 繰り返して申し上げますが、私の発言、つまり撤回の発言は、申し上げたとおり、間違いはございません。そして、委員各位の間で御議論なさり、そしてまた、私もそれをお聞きし、そのような発言というようなことの認識で一致をいたしましたので、撤回をしたということでございます。

佐々木(憲)委員 最後にちょっと。私は今の答弁というのは納得できないんですよ。できないんです。資料要求をしたいと思うんですよ。

 何月何日何時の時点でどのような情報が、外務省、防衛庁、官邸、それぞれ入手をされ、どのように処理をされていたか。この問題に関連する時系列の資料を提出いただきたい。

 委員長、よく取り計らっていただきたい。

笹川委員長 理事会で協議します。

佐々木(憲)委員 約束をしていただきたいと思うんですが。

笹川委員長 理事会で協議します。

 これにて佐々木君の質疑は終了いたしました。

 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社会民主党の照屋寛徳でございます。

 私は、本予算委員会で、昨日から民主党の達増議員と防衛庁長官、そして外務大臣、総理との質疑のやりとり、さらには、きょうの共産党の佐々木議員とただいまの防衛庁長官、外務大臣の質疑のやりとりを聞いておりまして、大変強い怒りを覚えるものであります。同時に、自衛隊をイラクに派遣する、それに伴う予算審議という重要なときに、この政府の予算委員会における説明が実にいいかげんであるということを強く指摘せざるを得ないわけであります。

 防衛庁長官、関連してお伺いをいたしますが、一月の二十四日の時点で外務省からサマワ市評議会の総辞職の事実を伝えられたわけですね。防衛庁長官は、評議会の総辞職という事実をどういうふうに受けとめておられたんですか。総辞職することによって、評議会そのものは機能していると思ったんですか、機能していないと思ったんですか。

石破国務大臣 聞き間違いであったらお許しをいただきたいと思います。

 私が答弁を申し上げ、外務大臣も答弁をなさっておられますのは、二十六日月曜日の午後、外務省担当課より防衛庁クーリエに報告電を手交したということは何度も答弁を申し上げているとおりでございまして、委員御指摘の二十四日というのは、あるいは私の聞き間違いなのかもしれませんけれども、ここはもう一度正確に申し上げておきたいと思います。

 評議会が総辞職したということをどのように認識するかということは、それは私どもとして、治安の状況と、評議会が機能していない、存在していないということをどのように評価し、分析をするかという点が一番肝要でございます。

 今までの評議会というものは、ある意味で指名という形で選ばれてまいりました。CPAが、この人、この人、この人を評議会の議員にするということで、指名をするという形をとってきた。しかし、これから先は、コーカス方式というふうに申しておりますけれども、選挙人というものを指名し、その中から選ぶ、より民主主義的な選出に近いものにするという提案がなされ、そのことについて現在の評議会の方々が抗議をし、総辞職をしたというような情勢でございます。

 そのような、つまり、今の評議会の方々が必ずしも民主主義的とは言えないプロセスにおいて選ばれた、これを、完全に民主的に、直接というわけではないが、その中間のコーカス方式でやろう、それはおかしいじゃないかといって、今任命されている人たちが総辞職をしたということを治安という面からどのように評価をすべきなのか。そのことによって現地においては民主主義に近づいたというような期待はある。

 しかし、治安について、何ら変わった状況、評議会が辞職をされたということによって、治安について、特段のというよりも、全くそれによって変化が生じていない。それが政治的にどうであるかということと、治安がどうであるのか、そこの連関はよく詳細にウオッチをしていかなければなりません。しかし、現時点において、それが治安に何らの影響も与えていないという評価をしておるわけでございます。

照屋委員 防衛庁長官、先ほどの佐々木委員に対する答弁によると、あなたは、総辞職の情報を受けて、二十六日の予算委員会終了後までに正確に分析をし評価を終えた、こういうふうに言っているわけですよね。その分析をし評価を終えたその内容は、きのうの答弁になっているように、サマワ市評議会が存在をし機能している、こういう結論に至ったわけですか。

石破国務大臣 先ほど申し上げましたように、予算委員会が終了いたしました後、防衛庁に戻りまして、いろいろな情報、すなわち、予算委員会が始まる時点でとりあえずの情報等と申しました、それは、評議会が総辞職をした、治安に影響はないというものでございました。それがとりあえずというものでございます。

 しかしながら、なぜそのような判断をするに至ったのか。評議会が今総辞職をしていて存在をしていないということと、治安に影響がないということを、どのような分析を行い評価をするかということで、予算委員会終了後でございます。予算委員会の最中にその評価、分析を行っていながら言わなかったのはけしからぬではないかという御指摘であれば、それはその後だということを繰り返して申し上げておきます。

 そのことの分析、評価をどのように行うのか、それが、治安について判断をした、そのことについて最も重要なことであると私は考えております。そのことについて、詳細に分析、私なりの分析、評価を言ってみろということであれば、お許しをいただければ申し上げます。

照屋委員 防衛庁長官、佐々木委員が強く指摘をしておった、このサマワ市評議会が存在をし機能しているという発言、あなたは撤回されましたけれども、それは結果として虚偽の答弁になったんではないかという指摘について、どうしてあなたは率直に認めないんですか。

石破国務大臣 撤回をしなければならないような発言をしたということについては、おわびを申し上げたとおりでございます。

 そして、繰り返しになりますが、野党から御指摘をいただき、与党の理事の方々も、ここの点は、存在し機能している、そのようにストレートに申し上げているわけではございませんけれども、そこの部分は、存在し機能しているという発言だというふうな評価をなさり、認識をなさり、御指摘をいただいて、私もそうだということで撤回をいたした。

 いずれにいたしましても、撤回をしなければいけないような発言をしたということについてはおわびをしなければならないことと思い、おわびを申し上げておるところであります。

照屋委員 私は、防衛庁長官が酢のコンニャクのと言っていろいろ言いわけをしていますけれども、とても予算委員会に対する説明あるいは国民に対する説明として十分だとは思えません。本当に真剣さが足りない、そういうふうに強く指摘をしておきたいと思います。

 それで、通告に従って質問しますけれども、いよいよ自衛隊、陸上自衛隊本隊への派遣命令が出されました。あるいは航空自衛隊本隊も出発をしました。私は、自衛官も、それから自衛官の家族も大変心痛な思いをしておられるんだろうと思いますね。

 一月二十二日の東京新聞に自衛官の妻の手紙が掲載をされておりました。私は、読んで、涙がこぼれるぐらい、本当に胸がちぎれそうな思いをいたしました。この手紙、総理も防衛庁長官も読まれたと思います。また、質問取りのときにぜひ読んでほしいということも強く申し上げました。

 このようなことを自衛官の妻は言っているわけですね。「なぜ、テロの続く「今」でなければいけないのか。なぜ、復興人道支援に「装甲車」や「武器」を持たなければいけないのか。テレビに登場する立派な先生方のおっしゃる「国益」を、どれだけかみ砕いても、のどを通りません。」こう言っていますね。そして、「自衛官の「志」が「失望」に変わりませんように。「使命感」を国家が「悪用」しませんように。」こう結んでおるんです。

 総理、この東京新聞に掲載された自衛官の妻の手紙をお読みになって、どういうふうにお感じになりましたか。総理にまずお尋ねいたします。

小泉内閣総理大臣 私も、今のお手紙を拝見いたしまして、率直に自衛官としての妻の心情をあらわしたものだと思い、感銘を受けました。

 特に、「私は自衛官の妻です。自衛官は、その多くが「人の役に立ちたい」という思いをもって入隊しています。危険な場所であっても、覚悟はできています。今までもそうしてきたのだから。 自衛官本人は「戦争の大義」や「自衛隊のイラク派遣の大義」に疑問が残っているとしても、「困っている人がいたら助けたい」という思いにおそらく変わりはないと思うのです。それを「仕事」に選んだのだから。」と。

 そういう自衛官の仕事に理解を示しながらも、なおかつ、やはり夫に対する心配、安全に対して不安、こういう気持ちもよくあらわれたお手紙だと思っております。

 これからも、このような御家族の心配、十分理解できますし、同時に、御家族も、このような仕事に赴く自衛官に対しまして、心の中での激励とそして不安、交錯した複雑な思いでおられると思いますので、政府といたしましても、自衛官の皆さんが誇りを持って安全に任務を果たすことができるように、これからも万全の配慮をしていきたいと思っております。

石破国務大臣 このような手紙を出される方がおられるということは事実だと思います。そして、自衛官の御家族の方々が一人でも多くというよりも、すべての方が納得していただけるような、そういうような努力をしていかなければいけません。

 しかし、頭でどんな仮に納得することがあったとしても、心配であるということは当然のことでございます。心配でない人なんというのは一人も世の中にはいないだろうと思っています。そういう方々にどれだけケアができるか。心配するなと言っても、危険はゼロではないと申し上げているわけですから、心配しない方がそれはおかしいのだと思う。そういう人たちの気持ちにどうやってこたえることができるか、私どもとして、ケアということをよく考えていかなければいけない。

 この手紙の中で、最後のところでこの方が言っていらっしゃいますのは、「いよいよ出発です。そのときは、心から声援を送りたいと思っています。「イラクの人々に笑顔が戻りますように、そして、一人も欠けることなく自衛官が無事に帰国できますように」と祈りを込めて。心の霧は晴れないけれど、今はそれが自分のできる精いっぱいのことだから。それが、自衛官の家族としての任務だから。」というふうに言っておられる。

 志が失望に変わらないようにということは、私どもが最も心しなければいけないことだと思っています。その点、本当に、私として、日々全力を尽くしているのかどうか、みずからを律しながらやっていかなければいけないと思っておるところでございます。

照屋委員 防衛庁長官、この手紙の結びにあるように、自衛官の「「使命感」を国家が「悪用」しませんように。」このことについても、私は、十分肝に銘ずるべきだということを強く申し上げておきたいと思います。

 ところで、先遣隊の報告書によりますと、自衛隊の宿営地の建設について、地権者との調整を経て、順調に建設できる見通しである、こういうことが報告されておりますが、地権者との交渉、これはどういう段階になっておるんでしょうか、お聞きをいたします。

石破国務大臣 まず、宿営地の建設につきましては、ムサンナ県知事から、宿営地の建設に協力する旨の表明をいただきました。そして、委員御指摘のように、宿営地の候補地の地権者の方々との会合を持ちまして、土地の使用について全面的に協力する、そのような御回答をいただきました。今後、土地の使用に必要な手続を実施してまいることになる、そういう段階でございます。

照屋委員 フセイン政権が崩壊をした後、イラクでは、土地の所有権についてまだ特定をされていないんではないか、こういうことも言われておるんですが、宿営地建設の予定地の地権者、所有権というのは特定されておるんでしょうか。

石破国務大臣 幾つもある部族のうちの、十幾つ部族があると承知をしておりますが、一つの部族に所属をする数名の方の所有に係るものであるというふうに承知をいたしております。

照屋委員 報道によりますと、年間一億八千万円という法外な借地料を要求されておる、こういうことも言われておるんですが、当然、借地料の交渉、これは妥結の見通しはついているんですか。それとも、妥結しないままに建設は始められるんでしょうか。

石破国務大臣 地権者の方々からは、土地の使用について全面的に協力するという前向きな御回答をいただきました。

 今、借地料というお話を委員がなさいまして、それは賃貸借契約という形をとるのか、それともどういうような形をとっていくのかということにつきましても、現地の習慣あるいは法律、いろいろな問題がございます。

 いずれにいたしましても、その土地の方々が、土地は貸すよというふうに言っていただいております。どういう形で私どもとして適正なお支払いをするかということもあわせまして、これをやっていくことになります。土地は使用していいということについては、前向きな、全面的な協力をいただくということになっておりまして、しかし、ここで同時に考えなければいけませんのは、本当に公平にそれが行われるということでございます。一部の人たちだけに対して、法外なということの評価は難しゅうございますが、そういう形をやった、あるいはほかの国とバランスがとれない形にした、そういう形になって不公平感を醸成したり混乱を生ぜしめるようなことは避けなければいけないと思っております。

照屋委員 それでは、防衛施設庁長官、せっかくおいででございますので、沖縄県金武町のキャンプ・ハンセン、レンジ4に在沖米陸軍が都市型戦闘訓練施設の建設を計画していることについてお伺いをいたします。

 沖縄県、それから金武町、そしてレンジ4に近接をする伊芸区民らが建設反対を強く訴えております。私は、政府としても米軍に対して建設反対を申し入れるべきだと考えますが、どうでしょうか。お聞かせください。

山中政府参考人 今委員御指摘のように、米軍がいわゆる都市型戦闘訓練施設の建設計画を持っておりまして、それに対して反対の意向を表明いたしております。

 ただ、米側は、これは基本的には既存施設の損耗による建てかえでございます。また、その機会に、これまで分散実施をしている訓練を効率的に行うために集約をするということでございます。

 施設の建設に際しましては、これまで、流弾あるいは弾が跳びはねる跳弾、こういった懸念があったわけでございますが、そういったものの防止のための安全対策をきちんと講ずる。さらに、工事に際して赤土の流出のおそれもございます。そういった環境面への配慮もきちんとする。

 さらに、これまでキャンプ・ハンセンにおきましては山火事が何度も起きております。これは主として曳光弾を着弾地に向けて発射するというところに原因があったわけでございますが、そういった山火事の原因の一つである曳光弾の発射は今後行わない。さらに、迫撃砲、非常に大きな音の出る砲を訓練に使っていたわけでございますが、施設の完成後は小銃あるいはけん銃等の小火器を用いた訓練を行うというようなことで、これまでに比べますと、騒音の問題でも改善が見られるということでございます。

 こういった事情を、私ども、地元の方によく御説明をし、御理解をいただきたいということで取り組んでまいっているところでございます。

照屋委員 では、外務大臣、この件について金武町が、米軍に対して、現地確認のためにレンジ4の立ち入りを申し入れるという方針を決めたようでございます。これはもう、住民の生命、身体の安全を守る責任を負っている自治体として私は当然の要求だと思いますが、今、なかなか地位協定で自治体から立ち入り要求をやっても認めないということですが、私は、外務省としても、金武町からそのような要求があった場合には実現できるように助力をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

 それから、加えて、米軍から政府に対して、都市型戦闘訓練施設の工事、建設の着工時期について具体的な連絡があったかどうか、この二点についてお伺いいたします。

川口国務大臣 おっしゃった件の最初の点でございますけれども、まず、米軍施設・区域への立ち入りにつきましては、一九九六年の十二月の施設・区域への立ち入り許可手続に関する日米合同委員会合意に基づく所要の手続によって、米側に対して申請が行われるということになっております。それで、この合同委員会の合意によれば、米軍施設・区域が所在をする地方公共団体の職員による立ち入り申請の場合は、現地米軍に対して申請を行うこととされております。

 今回報道されていますように、金武町が立ち入りを希望される場合には、直接に米軍に対して立ち入り申請を行うということになっているわけでございます。それで、政府といたしまして、この合意に基づく手続による処理を見守る考えでおります。

 それからもう一点、建設の開始の時期について米側から何か連絡があったかどうかということでございますけれども、政府に対しまして、米側から、例えば、報道にございますような、いつに着工するというような情報提供は、それは受けておりません。

照屋委員 この施設もイラクと決して無関係じゃないんですね。実は、テロ訓練のための施設であるんです。ところが、住民地域からわずか三百メートルしか離れていなくて、これまでも流れ弾や跳弾による被害、あわやもう人命を損ねるような事件、事故が多発をしております。だから、付近住民はもう体を張ってでも阻止をしたい。テロ訓練というけれども、住民がテロの標的にされかねない、こういう非常に不安を抱いているんです。

 私は、政府としてもぜひしかるべき人が現地に臨んで住民の不安が解消できるように、そのような施設がつくられて基地の負担が過重に沖縄県民に強いられるようなことがないように強く求めて、質問を終わりたいと思います。

笹川委員長 これにて照屋君の質疑は終了いたしました。

 これをもちまして締めくくり質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして平成十五年度補正予算三案に対する質疑は終局いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時二十八分散会


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