衆議院

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第14号 平成16年2月20日(金曜日)

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平成十六年二月二十日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 笹川  堯君

   理事 大野 功統君 理事 北村 直人君

   理事 杉浦 正健君 理事 園田 博之君

   理事 松岡 利勝君 理事 玄葉光一郎君

   理事 筒井 信隆君 理事 細川 律夫君

   理事 谷口 隆義君

      伊吹 文明君    植竹 繁雄君

      尾身 幸次君    大島 理森君

      大前 繁雄君    倉田 雅年君

      小泉 龍司君    鈴木 俊一君

      滝   実君    竹下  亘君

      谷  公一君    玉沢徳一郎君

      中馬 弘毅君    津島 恭一君

      津島 雄二君    中山 成彬君

      丹羽 雄哉君    西川 京子君

      萩野 浩基君    蓮実  進君

      二田 孝治君    古川 禎久君

      増原 義剛君    町村 信孝君

      宮下 一郎君    山際大志郎君

      吉野 正芳君    井上 和雄君

      池田 元久君    石田 勝之君

      泉  房穂君    生方 幸夫君

      大出  彰君    岡島 一正君

      海江田万里君    河村たかし君

      吉良 州司君    菊田まきこ君

      小泉 俊明君    小宮山泰子君

      鮫島 宗明君    首藤 信彦君

      田中 慶秋君    高井 美穂君

      達増 拓也君    樽井 良和君

      辻   惠君    中津川博郷君

      長島 昭久君    鉢呂 吉雄君

      平岡 秀夫君    松木 謙公君

      吉田  治君    若井 康彦君

      若泉 征三君    石田 祝稔君

      遠藤 乙彦君    高木 陽介君

      西  博義君    佐々木憲昭君

      吉井 英勝君    東門美津子君

    …………………………………

   総務大臣         麻生 太郎君

   法務大臣         野沢 太三君

   外務大臣         川口 順子君

   財務大臣         谷垣 禎一君

   厚生労働大臣       坂口  力君

   農林水産大臣       亀井 善之君

   経済産業大臣       中川 昭一君

   国土交通大臣       石原 伸晃君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     福田 康夫君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 小野 清子君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      石破  茂君

   国務大臣

   (金融担当)

   (経済財政政策担当)   竹中 平蔵君

   国務大臣

   (規制改革担当)     金子 一義君

   内閣府副大臣       伊藤 達也君

   防衛庁副長官       浜田 靖一君

   法務副大臣        実川 幸夫君

   財務副大臣        山本 有二君

   厚生労働副大臣      森  英介君

   農林水産副大臣      金田 英行君

   防衛庁長官政務官     嘉数 知賢君

   法務大臣政務官      中野  清君

   厚生労働大臣政務官    竹本 直一君

   経済産業大臣政務官    江田 康幸君

   経済産業大臣政務官    菅  義偉君

   国土交通大臣政務官    佐藤 茂樹君

   会計検査院長       森下 伸昭君

   会計検査院事務総局第二局長            増田 峯明君

   政府参考人

   (内閣府経済社会総合研究所次長)         牛嶋俊一郎君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    瀬川 勝久君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   安江 正宏君

   政府参考人

   (防衛庁長官官房長)   北原 巖男君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    飯原 一樹君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    山中 昭栄君

   政府参考人

   (防衛施設庁施設部長)  戸田 量弘君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  板倉 敏和君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    房村 精一君

   政府参考人

   (法務省矯正局長)    横田 尤孝君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    海老原 紳君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    牧野 治郎君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  吉武 民樹君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局長)         竹歳  誠君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  佐藤 信秋君

   政府参考人

   (国土交通省北海道局長) 藤本  保君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十日

 辞任         補欠選任

  小杉  隆君     大前 繁雄君

  滝   実君     谷  公一君

  津島 雄二君     津島 恭一君

  西川 京子君     吉野 正芳君

  蓮実  進君     竹下  亘君

  町村 信孝君     宮下 一郎君

  井上 和雄君     樽井 良和君

  池田 元久君     高井 美穂君

  生方 幸夫君     吉田  治君

  木下  厚君     若泉 征三君

  鉢呂 吉雄君     松木 謙公君

  平岡 秀夫君     田中 慶秋君

  藤井 裕久君     菊田まきこ君

  高木 陽介君     西  博義君

  佐々木憲昭君     吉井 英勝君

  照屋 寛徳君     東門美津子君

同日

 辞任         補欠選任

  大前 繁雄君     山際大志郎君

  竹下  亘君     蓮実  進君

  谷  公一君     滝   実君

  津島 恭一君     古川 禎久君

  宮下 一郎君     町村 信孝君

  吉野 正芳君     増原 義剛君

  菊田まきこ君     長島 昭久君

  田中 慶秋君     平岡 秀夫君

  高井 美穂君     岡島 一正君

  樽井 良和君     泉  房穂君

  松木 謙公君     鉢呂 吉雄君

  吉田  治君     大出  彰君

  若泉 征三君     小宮山泰子君

  西  博義君     高木 陽介君

  吉井 英勝君     佐々木憲昭君

  東門美津子君     照屋 寛徳君

同日

 辞任         補欠選任

  古川 禎久君     津島 雄二君

  増原 義剛君     西川 京子君

  山際大志郎君     小杉  隆君

  泉  房穂君     井上 和雄君

  大出  彰君     若井 康彦君

  岡島 一正君     池田 元久君

  小宮山泰子君     辻   惠君

  長島 昭久君     藤井 裕久君

同日

 辞任         補欠選任

  辻   惠君     木下  厚君

  若井 康彦君     生方 幸夫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成十六年度一般会計予算

 平成十六年度特別会計予算

 平成十六年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

笹川委員長 これより会議を開きます。

 平成十六年度一般会計予算、平成十六年度特別会計予算、平成十六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として、内閣府経済社会総合研究所次長牛嶋俊一郎君、警察庁警備局長瀬川勝久君、防衛庁防衛参事官安江正宏君、防衛庁防衛局長飯原一樹君、防衛施設庁長官山中昭栄君、防衛施設庁施設部長戸田量弘君、総務省自治税務局長板倉敏和君、法務省民事局長房村精一君、法務省矯正局長横田尤孝君、外務省北米局長海老原紳君、財務省理財局長牧野治郎君、厚生労働省年金局長吉武民樹君、国土交通省都市・地域整備局長竹歳誠君、国土交通省道路局長佐藤信秋君、国土交通省北海道局長藤本保君、以上の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第二局長増田峯明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

笹川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

笹川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹下亘君。

竹下委員 おはようございます。自民党の竹下亘でございます。

 景気の現状、そして財政運営などについて、二人の大臣に質問させていただきます。

 先日、十五年度の第三・四半期のGNPの発表がございまして、一・七%、年率で実質七%という、思ったよりいい数字、私自身も、おっ、ようやく来たなという、明るさというものを感じる数字でございました。

 しかし、中をいろいろ見てみますと、まだまだ手放しでいい状況にはない。特に業種間のいろいろなばらつきが極めて大きい、あるいは個人消費の力強さに本当に不安はないのかといったような問題、あるいは、特に地方と都市といいますか、都市といいましても大阪は決してよくない、東京、名古屋は比較的いいけれども、沖縄、大阪、北海道と非常に厳しい状況が続いておる。

 これから景気の現状を、数字の上ではオール日本ではかなりそこそこのいい数字になってきておる、しかし、やはり日本が本当の勢いを盛り返すのは、全部がよくなるということはないにしても、地方がしっかり力をつけることが大切ではないかなと思う次第でございます。

 そうした、どうしたら、これからどういう展開で地方にも、あるいは今は日の当たっていない業種にも、景気の状況、よさというものが波及していくのか、その見通し。私の希望的な観測では、もう少し早くよくなるのかな、あるいは景気は波だからもう少しいい状況が続くのかなという希望もございますが、どう見ていらっしゃるのか、あるいは、どうこれから展開していくと予測をしていらっしゃるのか、竹中大臣にお伺いをしたいと思います。

竹中国務大臣 竹下委員御指摘のように、マクロの数字、具体的にはGDPの成長率が、先般、十―十二月期について発表されておりますけれども、これは、我々も、実は予測した、予想していた以上の高い数字になりました。数字だけから見ますと、年率換算しますと、これは瞬間風速ですから年率換算することの是非というのはあるわけですが、年率七%、十三年ぶりという高い数字になっている。

 しかし、同時にまた、委員御指摘のように、これは非常にばらつきがある、業種別のばらつき、地域別のばらつきがある。我々としては、総理もよくおっしゃいますけれども、この出始めた芽を地域に浸透させる、中小企業の経営に浸透させる、これが我々の政策の今の最大の課題の一つであるというふうに認識をしております。

 御指摘は、これが今後どのようになっていくだろうか、そのために政策としてはどのようにしていくべきか、この二点であったかと思いますが、地域の構造、産業の構造が変わっていく中で、今後、全体としては世界経済も持ち直しの方向に向かっておりますので、マクロ的には少しよい動きを期待したいと思っているんですが、このばらつきがどのようになっていくかというのは、なかなか予測がしがたいところがございます。

 いずれにしましても、そうした問題意識も踏まえまして、去年の秋に内閣の中に地域再生本部という本部をつくって、本部長は内閣総理大臣でございます。その中で、内閣全体を挙げて、このマクロの動きを地域に浸透させるということに今全力を傾けているところでございます。

 担当は金子大臣でございますけれども、大きな方向としては三つございまして、今公的部門が行っている行政サービスをできるだけ民間に外部委託する、アウトソーシングすることによって民間を、特に地元の企業を活性化しようではないか、これが第一点。

 地域を中核的に支えてきたのは何といってもやはり農業と建設業でありますので、その農業と建設業を強くする、場合によっては事業転換を政府が助ける、そういうことについて、これは農水省、国土交通省を中心にいろいろのアイデアを出していこうではないか、これが第二点。

 それと、地域で新しい産業をつくっていかなければいけない。これは地域独自にいろいろなアイデアを出していただく必要があるわけで、そのためにも、特区の問題であるとか地域再生のプログラム作成に取り組んでいるわけですが、中の一つとして、共通、各地で期待できるものとしては観光産業があるだろう。そのための懇談会というのも内閣官房に設けております。

 アウトソーシング、それと基幹産業の強化、それと観光等を含む新産業、その三つを軸に、ぜひともこのチャンスを生かして、地域の活性化を実現したいというふうに思っております。

竹下委員 ありがとうございました。

 景気は波だとさっき少しお話をいたしましたが、かつて、もう今から四十年ぐらい前に、私は学生時代に、コンドラチェフの波だとかレオンチェフの波だとか、もう石器時代の学説のようなことを学んだことを今思い起こしながら、しかし、必ず景気は波でよくなる、その波でよくなった部分と、私は、小泉総理が時々手を振り上げて、小泉改革の成果の芽が出始めた、あるいは小泉改革の成果だ、こうおっしゃる、まだそこまではいっていないなと。

 正直言いまして、大企業がリストラをすることによって財務体質を強めることに成功した、そして、中国を初めとする輸出市場の好調によって、一部の品種、自動車ですとか鉄鋼ですとか、あるいはエレクトロニクス関連が好況の状況になってきておる、しかし、先ほど竹中大臣もおっしゃった、中小企業、農業、そういった地場産業が元気になっているか、なかなかそこの実感がない。確かに、観光という一つの方向、日本じゅうのあらゆるところで出てきておりますし、少しずつ、国内旅行、国内の観光も回復基調にあるという数字は出始めておるわけであります。

 私は、日本という国は、都会と田舎と両方がしっかりして初めて国際社会の中で一番力を発揮できる国家だと思っております。シンガポールのように都市だけの国家、これはまさに都市がしっかりすれば、そのことで国家がきっちり成り立っていく。しかし、日本という国は、都市と、都会と田舎というものが両方しっかりして初めて本当の総合力が発揮できる。

 高度成長のときに、確かに農村は、田舎は、例えば過疎化、いろいろな現象で悩みました。しかし、その当時田舎にあったのは、過疎化は確かに起きておりましたけれども、しっかりした日本人の心というものを持ち続けてきた、その強さが田舎にあったからこそ都市と田舎というバランスがとれていた。

 今考えてみると、なぜか、まず景気の側面からだけ見ましても、都市と田舎というものがばらついておる。そして、どちらかというと、田舎の方がより厳しい状況にある。

 そして、もう一つ困ったことは、少子高齢化が進む一方で、田舎を守ってきた心、あるいは日本のふるさとを守り続けてきた心というものが揺らいでいるんではないか。

 非常に私が最近象徴的に感じておりますのは、イラクへの自衛隊の派遣をめぐりましてさまざまな意見がある。それはそれでいい。しかし、その中で、イラクの戦後復興支援、人道復興支援はお手伝いをしなければいけない、しかし、今イラクは危険だから、もっと安定し、安全になったら日本ができることはたくさんあるんじゃないの、こういう意見を耳にするわけであります。というより、あたかも正論のごとくマスコミ紙上でも語られておる、私はこのことに大変危惧を覚えております。

 日本人というのは、やはり、自分ももちろんですが、人のことを思いやる民族であった。その思いやりという心。自分だけ安全ならばイラクはどうなってもいいのか、自分だけ安心ならばという物の考え方がこのまま広がっていきますと、まさに心の荒廃といいますか、どんなに経済的に豊かになっても、日本という国は溶けてなくなってしまう、そういう危惧を強く覚えておるわけであります。

 そういう風潮が日本国じゅうにある中で、私は、経済の格差がつけば、その支える強さというものがないんじゃないかなということを危惧する一人でございます。

 今、その意味で、田舎をどうしていくか、あるいは山をどう守っていくか。一つの例、お話をさせていただきますと、今、北朝鮮では、山が壊れました、緑が壊れました。その結果、まさに国家が崩壊しようという、私は、緑が壊れたら国が壊れると思っております。その意味で、緑を守っていかなければならない。環境基準といいますか、日本が提唱をいたしました京都プロトコルを含めました京都の議定書をきちっと守り、地球環境を持続可能な形にしていかなきゃならない。

 そうした山を守る熱意というのは、山にいる人にすべてを任せてできるものではない。都市の人が、自分たちにきれいな空気を供給してくれる山、きれいな水を供給してくれる山、そして食糧の供給基地となってくれる田舎、エネルギーも供給してくれる田舎、そういうものをしっかり都市の人が意識をして守らなければ、日本という国は、都会と田舎が両方しっかりするといういい国の形にはなっていかないと思うわけであります。

 そういう観点で今審議をしております予算案を見ておりますと、では、今一番厳しい地方に、あるいは厳しい業種にしっかりと政治の手が伸びているか、こう私も地元で聞かれますと、正直言って、内心じくじたる思いを隠し得ないという感じでございます。

 そこで、財務大臣にお伺いをさせていただきますが、今審議をしておるこの予算の中で、それは厳しい財政事情の中、全部カバーしろということは私も申し上げませんが、どういう思いを、弱いところに手を差し伸べようという政治の原点である思いをどこに込められたか、そして、どういう形でそれを支援しようとしていらっしゃるのか、お話をお願いいたします。

谷垣国務大臣 今、竹下委員から、恐らく竹下さんの政治に向ける基本的な思いをぶつけられたんではないか、そんな思いで伺っておりました。

 景気認識につきましては、先ほど委員がおっしゃったことに全く私共感しておりますし、まだ大変まだら模様である。トップランナーは相当なスピードで走ることができるようになったけれども、二周目、三周目を走っている者はなかなかスピードが乗らないという状況ではないかと思います。

 そういう中で、私の仕事は財政でございますから財政で一生懸命努めなければならないんですが、事は単に財政や経済だけの話ではないということをおっしゃったんだろうと思います。私の表現で言えば、やはり、家庭のきずなとか地域のきずなとか、あるいは国と国民の信頼のきずな、こういうようなものをもう少し、もう一回しっかりさせなければ、経済だけではなかなか足腰が強くならないんではないかという思いをいたしております。

 私、前の仕事は治安が仕事でございましたから、治安も、幾ら警察が頑張っても、地域のきずなというようなものがしっかりしなければなかなか進んでいかない。そういう意味で、今、竹下委員のお問いかけは、私は非常に大事なお問いかけであったのではないかと思います。

 そういう中で、景気を考えますと、トップランナーが相当なスピードで走れるようになってきた。それが地方に及んでいって、地方も、自分のよさ、特色、得手とするものは何か、こういうものをしっかり見出して、そこを伸ばしていくようにできれば、私は、いろいろなことが、今動いているトップランナーがある程度のスピードで走れるようになってきたということが、だんだんだんだん及んでいくのではないかというふうに思います。

 そこで、先ほど竹中大臣がおっしゃった構造改革特区とか地域再生本部というのは、今、小泉内閣で力を入れているものでございますけれども、十六年度予算においては、例えば、各地の中小企業を一層支援しなきゃいけないということで、中小企業再生支援協議会というのは随分実績を上げていただいておりますけれども、そういうものをさらに拡充していかなければならないというようなことに相当力を入れているつもりであります。

 それから、それぞれの地域で産官学というようなものが連携して、それぞれの地域のシーズを育てていくというようなことがもっともっと推し進められなければいけない。それが地域における新しいビジネスとか新しい産業の創出を図らなきゃいけない。こういうことで、知的クラスター創成事業というようなものも、相当これはこれからも頑張らなきゃいけないものじゃないかと思っております。

 それから、公共事業は、先ほども建設業等のお話が竹中大臣からございましたけれども、今の財政事情等々ではその水準を抑制せざるを得ないということが一方でございますけれども、その他方で、予算の使い道、これを、いろいろな制約をできるだけ取り払いまして自由にその地域の町づくりをやっていただくというようなことで、まちづくり交付金というようなものも創設をしていただきました。

 それから、やはり雇用ということを、地域における雇用をどう改善していくかというようなことも極めて大きなテーマではないかと思います。それぞれの地域や地元経済界で、人材育成とか、それからミスマッチをどう解消していくかということに取り組んでいただいておりますが、そういうことを支援していくというようなこともまた大きな柱なのではないかと思いまして、そういうようなことをこの十六年度の予算においては相当期待を込めて入れたつもりでございます。

竹下委員 一方で、日本の財政の状況、極めて厳しい、先進国の中でも異例な状況にまで来ておる。十六年度末では四百八十三兆円の公債残高になる、公債依存率も四四・六%という、多分日本以外のほかの国ならとっくに破産しておるというレベルの数字に残念ながらなっております。

 そういう状況の中で、二〇一〇年代初頭にはプライマリーバランスを黒字化する、そのことによって財政の立て直し、一気にやるんではなくて、一〇年代初頭にはまず黒字化する、そして、さらに財政の健全化に向かって動いていくということを示していらっしゃいますし、この持続可能な経済あるいは財政をつくっていくということは、まさに国民の安全、安心感といいますか、心の安心感というものにつながると私も思います。そのことが個人消費にいい形に影響を与えてくれればいいというふうに思うわけでございます。

 これはどうしてやっていけばできるのか。一兆円借りたら、六十年間で一兆七千億返さなきゃいかぬという、きょうも新聞にその試算が出ておりました。どうしたらできるのか、どのようなイメージを持っていらっしゃるのか、あるいは、どういう具体的な取り組みでプライマリーバランスを黒字化していこうと考えていらっしゃるのか、もう少し具体的にお話をいただければと思います。

谷垣国務大臣 今委員がおっしゃいましたように、二〇一〇年代初頭にプライマリーバランスを回復する。これは、そのときにいただいた税収でその年の施策はやっていこう、これだけではなかなか国債は返せるわけじゃありませんけれども、せめてその世代の負担でその世代のものはやろうということで、負担を先送りしないという、これは、これだけ国債を抱えている状況からしますと、ある意味では極めて当たり前の目標なんですが、しかし、極めて重い目標であることは事実でございます。

 そして、これを達成していくために、何か薬を、一遍につければ治るような薬があるならば、私は、自分の命にかえてもその薬を求めたいような気がいたしますが、なかなかそんなものはございません。

 そこで、平成十六年度予算では、引き続き政府の歳出改革を進めて、実質的には前年度以下におさめていく。そういうことをやはり数年努力を継続して、それを見た上でいろいろなまた全体の仕組みを整えながら進んでいくという、ある意味では極めてオーソドックスな、一歩一歩進むという手法をとらざるを得ないというふうに私は思っております。ことしは、そういう意味では若干プライマリーバランスを回復することができたわけでございまして、その努力は今後とも継続しなければならないんだろうと思っております。

 しかし、他方、そうやって、では、孫悟空の頭についているような輪をきゅうきゅう締めるだけでうまくいくかといえばそうではありませんで、やはり、そういう努力はしながらも、めり張りをつけて、伸ばすところに伸ばしていく、そして民間主導の持続的な成長につなげていく、こういうイメージで努力をしていく以外に私は道はないのではないかと思っております。

竹下委員 財政の健全化の回復というのは、非常に難しい仕事だなと改めて実感をいたしております。

 かつて消費税を導入するに至る際に、やはり十数年の時間がかかり、何を日本はもがいてきたか。一つは、徹底した行財政の改革をやって歳出を抑える、マイナスシーリングという手法をとった時代もありました。そして、あのときは一時的には赤字国債の発行はゼロにまでなったんです。そして、その上で国民の皆さん方に消費税をお願いをするという、十年ぐらいかけて、三段階ぐらいの厳しい手順を踏んで新たな負担を国民の皆さん方に求めたという歴史がございます。

 そして、今の財政事情あるいは健全化を考えるときに、やはりどうしても国民の皆さん方に負担を求めるということは視野に入れておかなければならない。しかし、そこに至る過程は決して安易であってはいけないと思うわけであります。

 先ほど財務大臣もお話しになりましたように、ただ一方で、ただ締めればいいというものでもない。厳しい財政の中、私たちはどうしてもやり続けなければならないことがございます。今はもちろん大事でありますが、今を生きる私たちにとってどうしてもやり続けなければならないことは、未来を背負ってくれる子供たちや孫たちのために未来への投資を、歯を食いしばってでも、し続けていかなければいけないわけであります。

 その未来への投資をこの苦しい中でどう続けていくか。私は、日本という国の未来への投資、一番大事なものは平和への投資だと思います。平和であるということが日本が豊かにやっていける一番のかぎだと考えておるわけであります。

 もちろん、科学技術の問題、あるいは教育の問題、あるいは光ファイバーのネットワークを世界で一番早く全家庭に引くといったような問題、あるいは地球環境の問題等々、未来への投資を具体的に言えといいますといろいろなものがある。しかし、その中で選択をしながら未来への投資をしていかなければならない。

 と同時に、冒頭のところでもお話をさせていただきましたが、そうした具体的なものの投資だけではなくて、憲法の前文に書いてありますように、国際社会の中において名誉ある地位を得たいと願う、この世界の人たちといい関係、尊敬を得るような日本をつくっていくことは大事な大事な未来への投資だと思っておる次第でございます。

 どうか、厳しい財政の中ではございますが、財務大臣も、どういう形で日本の未来へ向けて投資をしていこう、先ほどさまざまなめり張りのことをおっしゃいました。確かに、伸びている部分、あることは私も承知をいたしております。どういう考え方、あるいはどういう方向へ日本を持っていこう、まさに予算というのは、政府の考え方、意思を数字にあらわしたものが予算でありますので、その物の考え方、未来への投資、どこに重点を置いていこうと思っていらっしゃるのか、心意気をお聞かせいただければありがたいと思います。

谷垣国務大臣 今、竹下委員が、竹下総理のおそばにおられて、財政をどう立て直していくかとか、いろんな苦労を間近に見てこられた、そういう御経験も背後に持たれてのいろいろなお話であったと思います。

 私も、今後の日本、いろんな大切なことはございますけれども、突き詰めると、やはり人なんではないかなと思います。突き詰めるとやはり人で、それから、もう少しいろんな、今まで日本人は教育に力を入れてきたわけですが、その教育をどうそれぞれの創意工夫を生かしていけるようなそういう形にできるのか、そういう教育のあり方。それから、そういう教育をつけた人間がどうやって未来のいろいろな大きな発展を引っ張っていくかということになりますと、これは科学技術というような面で力を入れなければならないわけでございます。

 それからもう一つは、やはり、人ということを考えますときに、子供が非常に少なくなってきている、少子化をどうしていくかというようなこと。こういった点は、ことしの予算でもかなり力を入れたつもりでございます。

 それと同時に、また、今、竹下委員がおっしゃいました、国際社会の中でやはり日本が果たすべき役割を果たしていかなきゃいけない。これについても、相当予算やいろいろなことで配慮をいたしたつもりでございます。

 大変大きなお問いかけをいただきましたので、本当は、こういう制度をつくったとか、ああいう制度をつくったとか、何%伸ばしたとかいうことも言わなければいけないのかもしれませんが、方向性はこういうことでやはりやっていかなければならないという点では、今の竹下委員の御指摘はまことに大事な御指摘であると考えております。

竹下委員 ありがとうございました。

 ぜひこれからも、私たちは未来を見詰めて投資をしていかなければならない。

 海江田委員が次に控えていらっしゃいます。格調の高い質問をさらに、私よりも学問をしていらっしゃいますので、格調の高い質問を続けていただきますことを期待いたしまして、質問を終えさせていただきます。

 ありがとうございました。

笹川委員長 これにて竹下君の質疑は終了いたしました。

 次に、海江田万里君。

海江田委員 おはようございます。

 今、竹下委員のお話を聞いておりましたけれども、確かにこの予算委員会で議論するにふさわしいお話かと思いますが、私も幾つかお話をさせていただきたいと思います。やはり与党と野党それぞれの、同じものを見るにしても角度が違うという点もありますので、その点は、これは言わずもがなのことでございますが、御了解をいただきまして、幾つか質問させていただきます。

 まず、今外務大臣にお越しいただきましたけれども、私が前回この予算委員会で質問させていただきましたときは、ちょうど日本と北朝鮮の政府間交渉がスタートをする直前でありまして、ここへ向けてどのような立場であるいはどのような決意でこの会談に臨まれるのか、交渉に臨まれるのかということをお尋ねしたわけでございますが、結果が、決裂というような表現も新聞報道にはございましたけれども、大変難しいような状況になっている。

 そして、しかも、これからいよいよ二十五日には六カ国の協議が始まる。それから、その前に、我が国としましては、ソウルへ渡りまして、このソウルで日米韓の三カ国の協議を行うということでございますが、せんだっての北朝鮮との政府間の交渉の経過も踏まえて、これから、どのような基本的な立場あるいはどのような覚悟で一連の会談、協議に臨まれようとしているのか、お話を伺いたいと思います。

川口国務大臣 二十五日に六者会合がございまして、その前に、先生がおっしゃったように、韓国において三カ国の打ち合わせがあるわけでございます。

 それで、六者会合における基本的な考え方といたしまして、北朝鮮による核開発の完全、検証可能な、そして不可逆的な廃棄が必要であるという基本的な立場、これのもとで米韓を初めとします関係国と緊密に連携をとりながら、核問題を初めとする諸懸案、これの包括的な解決、これに向けまして、北朝鮮が責任のある態度をとるように、前向きな態度をとるように強く求めていくということでございます。

 六者会談において、核問題だけではなく、包括的な解決が必要であるということで考えておりますので、そういった基本的な立場から、拉致問題、これにつきましても、この解決の必要性について明確に指摘をしていくという考えでおります。

海江田委員 その六者協議に向けた基本的な方針といったものには私どもも賛成でございますが、その前段の日米韓の間で、まずはっきりとした意思一致が必要だろうと思います。

 核の問題はもちろんでございますが、やはりこの拉致の問題でも日米韓の足並みがそろうことが大切だと思います。この拉致の問題で日米韓の足並みがしっかりとそろうというような、まあこれまでのいろんな交渉もありますが、確信といいますか、自信はおありでしょうか、どうでしょうか。

川口国務大臣 確信はございます。

 これは、従来より、ずっとこの問題については密接に連携をとりながら話し合ってきているわけでございまして、日本の立場がどういうものであるかということについて両国ともきちんと明確に承知をしている、そして支持をしてくれているということでございます。

海江田委員 そうなりますと、いよいよ六者会談に臨むときには、そこに中国とロシアと北朝鮮が加わるわけですが、中国あるいはロシアとこの拉致の問題で、特に今度の二十五日からの六者協議の中で、日本ははっきりとこの問題を主張するんだというような意向をこれまでに中国あるいはロシアに伝えてあるのかどうなのか、その場合、中国、ロシアはどのような返事といいますか、感触を得ているのかということについてもお聞かせください。

川口国務大臣 我が国の拉致に対する立場につきましては、おっしゃった中国、ロシアだけではなく、世界じゅうのいろいろな国に対して伝えてきているわけです。きのうも、私はイギリスのストロー外務大臣と電話で話をしたときにまたその話をし、イギリスの外務大臣からも、よく理解をしている、支持しているというふうに言ってもらっております。ロシア、中国との関係では、当然に今まで何回も伝えてきておりますし、彼らは、両国は、我が国の立場についてきちんとそれを承知しているということです。

 それで、実際にその会合の席上でそれぞれの国がこれについてどういう発言をするかあるいは態度をとるか、これは、それぞれの国の立場を、我が国が、私の立場で、この場でこういうふうにしますということを申し上げるということは必ずしも適切ではないということで、申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、十分に説明をし、先方も承知をしているということを申し上げたいと思います。

海江田委員 ぜひこれは、この六者協議の中ではっきりと拉致の問題がテーマとして取り上げられるように、特に中国、ロシアに対して、中国もあるいはロシアも一般的な拉致の問題に対する、日本に対する共感といいますか、拉致の問題が重要であるということについての認識はあると思いますけれども、この六者協議の中でしっかりとその問題が話し合われるかどうかということについては、必ずしもこれまでのいろんなステートメントの中でもはっきりしておりませんので、これはぜひ六者協議の中で話し合われるようにというような形で、これからも働きかけをお願いしたいということでございます。

 それからもう一つは、前回の六者協議の中では、それぞれの、バイの、二国間の協議も同時並行的に行われましたけれども、今度の六者協議の中では、そうした二国間の話、とりわけ日本と北朝鮮との間の協議が行われるものなのかどうなのかということについて、今わかっている範囲で構いませんので、お聞かせいただきたいと思います。

川口国務大臣 今回の六者会合がどのような進め方で進んでいくかということについては、恐らく中国も、今それを考えているということだろうと思います。こういうやり方でやりますということについて、まだきちんと各国に伝わってきた、話があるということではございません。

 ただ、これは、繰り返し申し上げていますように、我が国としては、この問題について話をしていく、その解決の必要性を指摘していくということは変わらないわけでございまして、この前ピョンヤンで会合をしたときも、二国間で話をしていきましょうということは申し合わせがあるわけでございますので、ありとあらゆる機会をとらえてこれをやっていくという決意でおります。

海江田委員 やはり六者協議の場でもってしっかりとこの拉致の問題を話し合うということと、それからやはり二国間での協議というものも大変私は大事だろうと思いますので、ぜひこの二国間の協議、これは何も日本と北朝鮮だけでなくてもいい、日本と中国あるいは日本とロシアの二国間も当然考えられるわけですが、やはりこの二十五日から始まります三日間ですか、この会議を、ぜひ本当に実りのあるものにして、日本の主張がしっかりと通るような協議にしていただきたいということを重ねてお願いしまして、何か日程もおありなようでございますが、それから、じゃもう一つ。

 この制裁法案の問題でございますが、一つは、外為法の改正については既に両院を通過した点でございますが、この外為法の問題が、これが本当に、でき上がったということが効果があったのかどうなのかということについて、政府がどのような評価をしておられるかという点はお聞かせをいただきたいと思います。

川口国務大臣 外為法の効果ということでございますけれども、政府といたしましては、これは外交政策を進める上での一つのツールをいただいたというふうに思っております。

 それで、ある法律あるいはあるツールを、どのような効果があったという評価をするというのは、少し長い期間にわたってこれを見ていくべきであろうというふうに思っておりますけれども、外交という観点から、適時適切にこの使い方については考えていきたいというふうに思っております。

 今までも申し上げておりますように、今の時点でこの外為法について経済制裁を行うということは考えていない、対話を今やっているわけでございますから考えておりませんけれども、基本的な立場というのは対話と圧力ということで、これは変わっておりませんので、北朝鮮が事態を悪化させるようなことがあった場合には、関係国と緊密に連携をとりながら、我が国として適切な対応をしていきたいと考えております。

海江田委員 これは、国会としてはやはりそういった一つのツールをつくる、法案を法律にしてツールをつくるということで、それを本当に実際に使うかどうかは政府にかかっているわけですから、まさに効果あらしめるような外交をやっていただかなければいけないわけでございますから、ぜひそこは、これから長い目で見なきゃわからぬということでなしに、やはりこれを効果あらしめるような外交をやっていただきたいということでございます。

 時間も、用事がおありだということを承っておりますので、退席をして結構でございます。六カ国協議はしっかりとした主張をしてきていただきたいというふうに思います。

 それでは、続きまして、国民年金のことについてお尋ねを幾つかしたいと思います。

 実は、きょう、国民年金基金の連合会の理事長にお出ましをいただこうということであったんですが、これがなぜかお出ましいただけないということですので、そうした中身のことにつきましては、厚生大臣がしっかりとお答えをいただけるということでございますので、幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 私ら国会議員というのは、基本的には国民年金に入るということで、国民年金に入れば国民年金基金にも入れるわけでございまして、私は国民年金基金に入っておるんですが、坂口厚生大臣は国民年金基金に入っておられますか、どうですか。

坂口国務大臣 おはようございます。

 国民年金基金をつくりますときには、私も提案をした一人でございまして、ぜひつくってほしいということを言った一人でございますが、私自身はその中には入っておりません。

海江田委員 お入りかなと思ったんですけれども、入っておられないということです。

 それでは、通告してございますからおわかりだろうと思いますが、国民年金の保険料とは別に、毎月々、将来もらう年金が幾らかということを勘案しながら保険料を決めるということでございまして、私は、一万二、三千円だろうと思いますが、毎月積み立てをしておるわけでございます。

 それから、念のため、もちろんおわかりだろうと思いますけれども、年金基金の部分は、いわゆる生命保険会社なんかの個人年金と同じでございまして、その意味では積み立てで運用される。ただ、四〇一kプランと違う点は、あれは個人の口座ができるわけですが、個人勘定でその運用をしていくんじゃなくて、全体でくくってということですが、いわゆる生命保険の個人年金なんかと同じ。ただ、違うのは、その掛金に対する社会保険料控除ということで、大変大きな優遇があるということでございます。

 毎月そうやって掛けられました掛金が今現在どうなっておるのかということ、一番新しいデータでいきますと、平成十四年度までの数字が出ておるようでございますが、今どういうふうになっておられますか、その基金の運用につきまして。

森副大臣 事実関係に類することは私の方からお答えをさせていただきます。

 過去五年間の国民年金基金連合会の運用実績は、平成十年度、十一、十二、十三、十四の各年度につきまして、三・三%、一四・〇%、マイナス一〇・〇%、マイナス四・一%、マイナス一四・五%となっております。

 なお、平成十五年度は四月から十二月……(海江田委員「十四年度まででいいから」と呼ぶ)よろしゅうございますか。

海江田委員 なるべく厚生大臣にお答えをしたいわけでございますが、副大臣という制度もございますので、副大臣でもよろしゅうございますが、今、平成十四年度までお答えいただきましたけれども、平成十四年度あるいは平成十三年度、十二年度と大変マイナスが大きくなっているわけですが、この積立金の運用、資産の運用内容はどういうふうになっているのか。株式に何%ぐらい、債券に何%ぐらいというような形でお知らせいただきたいと思います。

森副大臣 配分実績についてお答えいたします。

 国内債券三〇・八%、国内株式三三・二%、外国債券九・六%、外国株式二五・七%、短期資金〇・七%となっております。

海江田委員 今の数字は、いつのデータですか。

森副大臣 平成十五年度、十二月末現在でございます。

海江田委員 ちょっと、もう一回おっしゃってください。

 私が持っておる数字と違いまして、国内債券三四・三、国内株式二九・五、外国債券一一・六、外国株式二三・六、短期資金一、これで一〇〇%ですか、森さん。

 ちょっと、時間とめてくださいよ。

森副大臣 ちょっと私の、東京都の資産配分実績かなと思いますけれども、それとも若干異なっておりますので、ちょっと腑に落ちないんでございますけれども。(海江田委員「だめだよ、こんなことじゃ。数字のチェックだから。ちょっととめてくださいよ」と呼ぶ)

笹川委員長 事前にもう質問事項は細かく言っているわけだから。(発言する者あり)

 では、ちょっと速記をとめて。

    〔速記中止〕

笹川委員長 速記を起こして。

 森副大臣。

森副大臣 海江田委員のおっしゃいました数字は、一口目に関しての給付確保事業の実績でございます。私が申し上げましたのは全体でございます。

海江田委員 いやいや、いいですか、国民年金基金連合会のものですよ、これは。だって、ここにいただいているので、こういうあほなことを言うとね、いいですか、もらっているデータから比べると、ちょっと待ってね。こんな話が違うんじゃ、しようがないもん。

 では、いいですか、もう一回今の数字言ってください。

森副大臣 確認いたしますと、先ほど海江田委員がおっしゃられましたのは一口目についての連合会の実績でございまして、私が申し上げたのは、二口目、三口目以降も入れた全体であります。

 それで、私が当初申し上げたのは、国内債券三〇・八%、国内株式三三・二%、外国債券九・六%、外国株式二五・七%、短期資金〇・七%。念のため、今委員の数字は、今のあれでもってそれぞれ三四・三、二九・五、一一・六、二三・六、一・〇でございますね。これは、一口目に関しての配分実績でございます。

海江田委員 それでしたら、いいですか、では、どちらでもいいというか、一口目は全体を国民年金基金連合会がやるわけですよ。二口目については、それはおわかりですか、一口目と二口目の違いは、森さん。

森副大臣 一口目は全部連合会でやりますけれども、二口目以降は、それぞれの基金でやる分もありますが、連合会でやる分もある、大宗は連合会でやっております。

海江田委員 今お答えいただいたのは、二口目がやる連合会のも含めてのお話ですね、これは。そうですね。はい。では、それだったら、株式は全体で何%になっておるんですか、合計すればいい話ですけれども。

森副大臣 株式は、国内、国外合わせまして五八・九であります。

海江田委員 これは厚生大臣にお尋ねをしたいと思いますけれども、先日来の当委員会で問題になっていますけれども、いわゆる年金資金の株のパーセンテージですけれども、これは大体何%ぐらいですか。

坂口国務大臣 これは厚生年金の方のお話でございますか。二四%台だったと思います。

海江田委員 ありがとうございます。

 参考までに、国家公務員共済の場合はどのぐらいでしたか。

坂口国務大臣 申しわけありません。調べてすぐ御答弁します。

谷垣国務大臣 国家公務員共済の株式運用の比率は六・五%です。これは十五年三月末。それで、国内株式が三・六、外国株式が二・九ということになっております。

海江田委員 今お聞きいただいてもおわかりだろうと思いますけれども、厚生年金の運用、これが二四%ぐらい、それから国家公務員共済が六・五%ということで、これらと比べると、国民年金基金の一口目、二口目も入れた合計が五八・九%、約六〇%ですね。六割を株式というのは大変大き過ぎると思うわけでございますけれども、その結果が、先ほどお話のあったような、株が下がればすぐ資産全体が大きく目減りをするということになるわけですが、この六〇%近くの、五八・九%などの資産の配分の割合はどういう仕組みによって決まっておるんですか。

森副大臣 国民年金基金連合会の資産配分は、年金コンサルタントの助言を受けまして、事務局にて原案を作成して、資産運用懇談会、現在の資産運用委員会でございますけれども、その外部の専門家により助言を受け、理事会において決定する仕組みとなっております。また、各国民年金基金においても同様の取り組みがなされていると承知しております。

    〔委員長退席、北村(直)委員長代理着席〕

海江田委員 最終的な決定機関は理事会だということですが、その理事会で、株が多過ぎやしないだろうか、株が多過ぎることによって、貴重な、いわば国民年金、その二階建てのところで入っている人たちからいただいたこの基金の、ファンドの運用について、大きな問題があるんじゃないだろうかというような意見が出ませんでしたか、どうですか。

坂口国務大臣 そこまで私も聞いておりませんが、しかし、これは全体の予定金利が非常に高い……(海江田委員「違います、違います。そういう意見が出なかったか出たかということを聞いているんですよ。わかるんですか」と呼ぶ)それはちょっとわからない。ちょっと、そこは調べます。

海江田委員 それを聞いているんだから。何をやっているんだよ。こんな、だって、時間もったいなくて。だめだよ。だから言ったじゃないか、ちゃんと呼んでおいてくれって。こんなの当たり前だよ。理事長に聞けばわかるんだよ、出たか出なかったかくらいは。だめだよ。とめてくださいよ、時間を。とめてくださいよ、こんなの。冗談じゃないよ。

森副大臣 理事会及び評議員会においては、運用の目的や資産配分などが規定されている運用の基本方針の変更、委託……(海江田委員「そんなのはわかっている。出たか出なかったか、そういう意見が」と呼ぶ)その詳細については承知しておりません。

海江田委員 じゃ、だめだよ、質問できないよ。大事なんですよ。そういうのが、理事会が決定機関だから、理事会でそういう意見が出たのか出なかったのかということを聞いているんですよ。何で答えられないんですか。それじゃ、とめてくださいよ、悪いけれども。当たり前だよ、こんなのは。

北村(直)委員長代理 森厚生労働副大臣。――副大臣、答弁できないですか。役所。(発言する者あり)

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

北村(直)委員長代理 速記を起こしてください。

 森厚生労働副大臣。

森副大臣 大変恐縮でございますけれども、通告を受けた内容にございませんので、調査して……(海江田委員「書いてあるよ。明瞭に書いてあるよ」と呼ぶ)後ほど、精査して御報告申し上げます。(海江田委員「書いてあるよ。冗談じゃないよ。なめているのもいいところだよ」と呼ぶ)

北村(直)委員長代理 厚生労働副大臣。――答弁できますか。答弁できますか。(海江田委員「とめてよ。ひどいじゃないの。何やっているんだよ」と呼ぶ)

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

北村(直)委員長代理 速記を起こしてください。

 森厚生労働副大臣。

森副大臣 資産運用委員会の議論の内容についてのお尋ねがございましたけれども……(海江田委員「違う、聞いてないじゃないか、質問を。理事会じゃないか」と呼ぶ)

 ごめんなさい。理事会、評議会、資産運用委員会の議論の内容ということでございますけれども、株が高いということについての意見があったかどうかということについては……(発言する者あり)割合ですね。株のウエートが高かったかどうかという御指摘があったかどうかについては承知しておりませんので、今調べさせておりますので、しばしお待ちください。

北村(直)委員長代理 海江田万里君、続けてください。(発言する者あり)海江田万里君、議事を続けてください、質疑を続けてください。

 今調べさせておりますので、その間じゅう次の質疑をしてくださいよ。――森厚生労働副大臣。

森副大臣 理事会の議事録を見る限りにおいて、株の割合が過大過ぎるという御指摘は特にございませんでした。

海江田委員 冗談言っちゃいけないよ。ここに理事会ありますよ、ちゃんと。こんなこともやっていないんだからな。いいですか、今、事実と違うことを言った、うそを言ったんだからね。いいですか、ちゃんと書いてありますよ、ここに。いいですか。

 連合会の理事会、第二十六回の理事会に、いいですか、「滋賀県基金の代議員会で、年金資産の運用について、高い利回りは結構だが、より安全性を重視してほしい」というあれがあったと。株が多過ぎるからという、るる説明があるわけですよ。少なくともここで理事から、滋賀県の理事から、「年金資産の運用について、高い利回りは結構だが、より安全性を重視してほしい」ということはちゃんと言ってありますよ、これは。書いてありますよ。そんなうそ言っちゃいけないよ。(発言する者あり)いや、違うよ。いや、これは理事会の資料ですよ。意見が出ているんじゃないの。

北村(直)委員長代理 何を聞きたいんですか。

海江田委員 いや、だから、さっき言ったことと違うじゃないですか。そんなこと一回も出たことないって言ったじゃないですか。(発言する者あり)いや、そうじゃないですか。そうですよ。「より安全性を重視してほしい」というのはそういうことですよ。だから、もう一回聞いてくださいよ。

坂口国務大臣 具体的な、そこでどういう細かな議論があったかは……(発言する者あり)いやいや、細かい議論ですよ。

 だから、その中でどう決定されたかということでありますから、だから、年二回ずつやっているわけでありまして、その中で、そのところでいろいろの議論をして、そして継続をされているということでありますから、その中で一人一人の方がどういう議論をされたかというところまでつまびらかにわからないということを申し上げているわけで、それが必要であれば取り寄せて御報告をするようにいたします。

海江田委員 副大臣にお尋ねをしたいんですが、そういう質問はなかった、そういう議論はなかったというふうにお答えになりましたけれども、今私がお話をした議論は、これは平成十二年ですから、ちょうどそのころから株のあれがどんどんふえていくわけですよ。ではそれについて、第二十六回の理事会でそういう議論はなかったんですか、もう一回お尋ねをしますが。

森副大臣 その議論の内容ということでございましたけれども、その個別の、一人一人の御意見まで読んでおりませんし、また、今、海江田委員から御指摘のあった株の割合の程度について、特にそういう指摘があったということは、ざっと見たところではない、こういうふうに申し上げたわけであります。

海江田委員 ざっとごらんになったの、議事録を。(森副大臣「今調べさせましてね」と呼ぶ)今ごらんになったの。だめだよ、そんなんじゃ。

北村(直)委員長代理 海江田万里君、もう一度、きちっと。

海江田委員 ですから、申しわけないけれども、何で理事長にお出ましをいただこうかと思ったのは、理事長はまさにその理事会の中にいるわけですよ、理事長だから。何人もいて、その中の一人じゃない。たった十人しかいないわけですよ、ここに出てくるのは。その中の一人なわけですから、これは大事なわけですから、だから、申しわけないけれども、やはり理事長が出てこなきゃ話にならないから、与党の人たちは断ったわけですから、理事長が出てくるのに対して。副大臣なり大臣の答弁でだめだったら理事長を呼べばいいと言うから、理事長を呼んでくださいよ、これは、だめだから。

森副大臣 お答え申し上げます。

 今、言及されているくだりは、これは平成十二年の二月二十四日に開催された理事会でございますけれども、議長は、原案を事務局に説明させ、これを議場に諮ったところ、これは品矢理事とお読みするのかな、滋賀県基金の代議員会で、年金資産の運用について、高い利回りは結構だが、より安全性を重視してほしいとの要望があったがどうお考えかとの質問が出された、事務局は、ごもっともな御意見で、第六号議案で御審議いただく長期的資産構成割合を今回作成したところで、今後とも効率的な運用とともに安全性にも十分配慮してまいりたいと考えておりますと回答、その後、満場一致をもって原案どおり可決決定したということでございます。

海江田委員 だから、初めからそれは少なくともあったでしょう、森さん。意見は出ているでしょう。その安全性を高めるということは、株の比率を低くということでしょう。だから、最初に言ったことを撤回してくださいよ。

森副大臣 先ほど申し上げましたとおり、株の割合が高いという御指摘はございません。

海江田委員 安全性の話ですよ、それは。だから、いいですか、いいかげんなことばかり言っているんですからね。(発言する者あり)いや、いいかげんじゃないですか、最初は。

 じゃ、ちょっと精査してくださいよ、どういう言い方をしたか。(発言する者あり)じゃ、ちょっと、速記、精査してくださいよ。

北村(直)委員長代理 海江田万里君、質疑を続けてください。(海江田委員「速記、精査してくださいよ、それは。いや、議論があったことぐらい認めなきゃ、話にならないでしょう」と呼ぶ)海江田万里君、質疑を続けてください。

海江田委員 いいですか、本論に戻しますけれども、六割も株式に投資をしているわけですよ、これは。じゃ厚生大臣、それについては、多いと思うんですか、どうなんですか、適切だと思うんですか。

坂口国務大臣 ここは、それこそ理事会でいろいろと御議論をいただいて決定されているわけであります。ここが、株式がなぜ多くなったかということは、これはやはり予定金利が五・一%と非常に高いということがあって、そしてそれに見合うように運用をするというところから高くなったんだろうと私は想像いたしております。

 しかし、金利の動向も最近は変わってまいりましたし、そしてまた、最近ここに加入をしていただく皆さん方の金利は低くなっております。最初の方は五%台で来ているということでございましたので、そうしたことも含めて、これは今日まで運用されてきたというふうに思っております。

海江田委員 では、続けてお尋ねをしますが、責任準備金というのがありますね。その責任準備金をどれくらい割り込んでいるかということを教えてください、この国民年金基金連合会の運用によって。

森副大臣 平成十四年度におきましては、三千二百九十九億円でございます。

海江田委員 いや、何がですか。何が三千二百九十九億円なの、何が。これはわかっていないで答えているんじゃないの。何がなんだよ。

森副大臣 資産額と責任準備金の差でございます。つまり、実質的な過不足の不足が三千二百九十九億円でございます。

海江田委員 申しわけありませんが、では責任準備金が幾らで資産額が幾らか、今のは平成十四年度でお答えいただいたけれども、平成十二年度、十三年度、十四年度という形でお答えください。それからあわせて、責任準備金を割り込んでいるということの、マイナスが出ているということの意味合いを教えてください。お願いします。

森副大臣 十二、十三、十四年度でございますか。十二年度が、それぞれ資産額、責任準備金が八千十八億、八千七百八十九億、差し引きマイナス七百七十億、十三年度が、八千四百七十八億、一兆五十三億で、千五百七十五億マイナス、十四年度が先ほど申し上げたとおりでございまして、確かに責任準備金の積み立て不足を解消することは必要でありますけれども、国民年金基金制度において年金給付が本格的なものとなるためには時間がかかることから、中長期的な資産運用の効率化、適切な予定利率の設定によって中長期的に解消していくべきものと考えております。

海江田委員 森さん、もう一回お尋ねしますけれども、いいですか、ちょっと聞いていてください、責任準備金を割り込むことというのは、私なんか国民年金基金の加入者なんですが、私どもにとってどういう意味合いがあるんですか。教えてください。

森副大臣 年金給付は長期間にわたって行われるものでありますから、責任準備金は将来の支払いに備えるものであります。現時点で積み立て不足があるからといっても、直ちに支払いに支障を来すことはありません。

 しかしながら、これを放置することは制度への信頼感を損ない、また将来の年金の支払いを不安定にするものでありますので、資産運用の効率化や適切な予定利率の設定などにより、積み立て不足の解消を図っていくことが制度の安定的な運営にとって必要なことであると考えております。

海江田委員 もう一度お尋ねします。

 私は本当に単なる一基金の加入者ですが、責任準備金を、資産の運用の失敗によって大きく、約三千三百億円も、十四年度については割り込んでいる。このことが、私が加入していることに対してどんなような影響を与えるんですか。どういうときにどういうふうになるんですか、こういう状況があるとということを教えてくださいよ。将来、年金もらえるんですか、もらえないんですか。いろいろな心配がありますよ。それについて教えてくださいよ、これは。

坂口国務大臣 これは責任を持って皆さん方にお支払いをするようにしなければなりません。最初は五・五%だったわけです。だから、あなたが加入されていることに対しては、海江田議員なら海江田議員にはちゃんとその分をお支払いするということにしなければいけないということを申し上げているわけです。

海江田委員 それは支払わなきゃいけないんだけれども、割り込んでいる状態になったらどうなるんですか。そこのところを聞いているんですよ。

坂口国務大臣 これから先、もう平成十五年度はかなり回復をいたしておりますし、これから悪いときばかりが続くわけじゃありません。よくなるところがあるわけでありますから、ここは回復をするように努力をしていくということが大事でございます。

北村(直)委員長代理 海江田委員に申しつけますが、きちっと質問してください。それ以外の、それ以外の発言については、ひとつお願いをいたします。(海江田委員「ちょっと失礼な言い方ですよ、あなた。あれおかしいよ。冗談じゃないよ」と呼び、その他発言する者あり)海江田万里君、どうぞ質疑を続けてください。海江田万里君、質疑を続けてください。質疑を続けてください。海江田君、質疑を続けなさい。質疑を続けてください。質疑を続けてください。質疑を続けてください。質疑を続けてください。(発言する者あり)

 委員長から申しつけます。質疑を続けてください。海江田万里君。海江田万里君、どうぞ。海江田万里君、どうぞ。海江田万里君、質疑を続けてください。質疑を続けてください。(発言する者あり)

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

北村(直)委員長代理 速記を起こしてください。

 答弁者もしっかりと答弁をしてください。質疑に対してきちっと答弁をしてください。ただ、質疑者は、委員長から指名を受けたときに、起立の上、きちっと質問をしていただきたい、このようにお願いを申し上げます。

 海江田万里君、質問をお続けください。海江田万里君、どうぞ御質問をお続けください。(発言する者あり)

 それでは、海江田万里君に申し上げます。

 委員長代理として、もし質疑者の海江田さんに対して不適切な発言があったとするならば、おわびを申し上げます。(発言する者あり)

 どうぞ、海江田万里君、質問を続けてください。海江田万里君、質問を続けてください。どうぞ、起立をして質問をしてください。(発言する者あり)

 海江田万里君に申し上げます。

 委員長代理から不適切な発言がございましたので、撤回をしておわびを申し上げます。

 質問を、海江田万里君、続けてください。

海江田委員 では、もう一度お尋ねをしますが、私が一国民年金基金の加入者として、今のこの状況、責任準備金を大きく下回るような運用の結果だという状況があると、一体どういうような不利益が私にあるんですかということを明確にお答えいただきたいということでございます。

坂口国務大臣 先ほど申し上げましたように、長期的な展望の中でこれは運営をしていくわけでございます。したがいまして、今加入をしていただいている皆さん方に、それに十分責任を持って対応できるようにしなければいけません。

 現在までの状況はマイナスのところがございますけれども、ここをプラスに転換するようにどうしたらいいかということを、あわせて今後検討をしていきたいというふうに思います。

海江田委員 だから、なるべく一日も早く責任準備金のところまで回復させたいという思いはわかります。思いはわかりますよ。だけれども、今ここで私に何か不利益はないんですか。こういう状況が今あるわけですが、この状況が続く、あるいは今この瞬間でもいいですよ、そういう状況にあるとしたら、それは何か不利益があるんですかということをお尋ねしたんです。将来よくしたいということはよくわかりますよ、それは。

坂口国務大臣 海江田議員がこの国民年金をお受けになるまでの間、それまで暇があるわけでありますから、それまでに、皆さん方にお答えできるようにするということでございましょう。

 中には、既にもうそれをお受けになる皆さんがおありかもしれません。そこまで私ちょっと調べておりませんけれども、そういう年齢の方もおありになるかもしれません。その皆さん方には、今までどおりそれはきちっとお支払いをしていくということだと思います。

海江田委員 そもそも、何で責任準備金というのを決めているんですか、その額を。いろいろな計算がありますけれども、生命保険会社だって責任準備金を決めていますよ。これは何で決めているんですか。

 それから、もう一回聞きますけれども、本当に不利益がないんですか。あるんでしょう、今のままで。将来の話じゃなくて、今ないんですか、全く不利益は。どうなんですか、そこは。本当にないんですか。全くないんですか。どんなケースでも平気なんですか、どうなんですか。

森副大臣 現時点においては、御迷惑をかけることは全くありません。

海江田委員 御迷惑をかける点は現時点ではと言ったけれども、ではお尋ねをしますけれども、いいですか、この基金が解散をするようなことになったらどうなりますか。はい、答えてください。

森副大臣 一般論としてですよ、このような法人が解散した場合の取り扱いについては、その解散時の残余財産を受給者等に分配して清算をすることとなるものと考えられます。

海江田委員 ちょっと聞いていてくださいよ。

 だから、その場合は一般論ですけれども、いいですか、割り込んでいるんです、責任準備金を。そうしたらどうなるんですか。約束したとおりもらえるんですか。そこの点ですよ。わかりやすい話じゃないの。(発言する者あり)

北村(直)委員長代理 静粛にしてください。

森副大臣 そうならないように、利率を工夫したり、また、現に、本年度は、もう四月から十二月まで年プラス一五・一%の運用実績であります。ですから、今の時点においては、全くそういう問題が起きるとは申し上げられません。

海江田委員 もう一回言いますよ。解散したときに、いいですか、私の約束をされたお金が返ってくるんですか、返ってこないんですか、解散になったときに。

坂口国務大臣 いや、海江田議員は、解散をしたらという前提のうちでお話しでございますけれども、それは解散はしないんですよ。

海江田委員 では、いいですか、何のために責任準備金を決めているんですか。解散をしたようなときに、これはきちっとその契約者に対して約束の年金ができるだけ払えるように決めてあるんじゃないですか。では、何のために決めたんですか。

 だから、しないしないと決意の話だけをしたんじゃだめなので、もう一回聞きますよ、森さんでいいですけれども、もし解散をするようなことになったらどういうふうになるんですか、これは。それを教えてくださいよ。

森副大臣 今大臣から御答弁したとおり、解散をしませんから、お答えできません。

海江田委員 では、お尋ねします。

 厚生年金基金は幾らも解散していますけれども、厚生年金基金の場合はどうなんですか、これは。責任準備金を割り込んでいるところありますよ。どうなるんですか。教えてくださいよ。

坂口国務大臣 これはもう言わずもがなでございますけれども、きちっと法律を決めてやっていることでございますから、これは継続をしてやっていく。そして、今マイナスになっておりますけれども、これを回復するためにどうしたらいいかということを考え、そしてそれが可能なようにするということでございます。

海江田委員 解散した場合は、責任準備金が割り込むと、今はもう一〇%以上割り込んでいるわけですよ。そうすると、これは生命保険の破綻なんかもそうですけれども、その分、特に年金なんかは減額されるわけですよ。

 だから、実はこの国民年金基金についても、ちゃんとこれは注意事項の中で書いてあるんじゃないですか、それは。これは、国民年金基金も金融商品販売法の対象になりますから、その中で、解散をしたときどういうふうになりますよということを書かなきゃいけないという決まりになっているんですよ。そうじゃないですか、それは。もし、もしと言ったら、もしはどうなんだという話じゃないんですよ。あり得るんですよ。そうでしょう。だから、ちゃんと書いてあるんです。どういうふうに書いてあるんですか。教えてください。

森副大臣 残余財産の処分につきましては、国民年金基金令第五十条、「解散した連合会の残余財産の処分については、別に政令で定める。」となっておりまして、政令は現段階においては未制定であります。

海江田委員 いいですか、もう一回お尋ねをしますよ。

 国民年金基金を販売するに当たって、さっきもお話をしましたけれども、生命保険会社がやっております個人年金と同じなんですよ。だから、金融商品販売法の対象に入るわけですよ。それは、これを進めるに当たっては、きちっと、それを入る人に対して説明義務があるわけですよ。その説明義務の中に、解散をした場合はどうなりますということは説明しなきゃいけないという通達があるんですよ、これは。それを御存じないんですか。どういう中身で説明をしなきゃいけないんですか。教えてください。

坂口国務大臣 先ほどの答弁に少しつけ加えさせていただきますと、法令上は、国民年金基金連合会が解散した場合の残余財産の取り扱いにつきましては、「別に政令で定める。」ということになっているわけでございます。

 現在のところその政令は制定されておりませんけれども、これは一般論でございますが、このような法人が解散した場合の取り扱いにつきましては、その解散時の残余財産を受給者等に配分して清算をすることとなる、一般的にはそういうことでございます。

海江田委員 これは、先ほどもお話をしましたけれども、金融商品販売法でフォローされるんですよ。だから、金融商品販売法に基づいて、加入をする人に対してきちっと幾つかの説明義務があるんですよ、説明しなきゃいけない点があるんですよ。その中に、解散をしたときの扱いについても説明をしなければいけないという決まりになっているんですよ。

 だから、それはどういうふうに説明をしているんですか。そこで説明しているんじゃなくて、こっち来てやってよ。

森副大臣 いや、今大臣からも、またその前に私からも御答弁申し上げましたように、「解散した連合会の残余財産の処分については、別に政令で定める。」で、政令は現段階において未制定であるということしか現時点では申し上げられません。

海江田委員 では、お尋ねをしますが、募集のときに、申し込みをするように、今言ったことと同じことを説明すればそれでいいんですか、これは。

森副大臣 国民年金基金のパンフレットで、そういう場合には全額補てんされない場合がありますということを、ただし書きをつけております。

海江田委員 最初から言えばいい話で、それでそれは、「国民年金基金加入にあたっての重要なお知らせ」の中に書いてあるんですよ、そこのところは、「基金が解散した場合のお取り扱いについて」と。

 それで、いいですか、それはまさに、責任準備金があればいいんですよ。だから、責任準備金がないから、そういうことをやはりきちっと説明しておかなきゃいけないんで、それはあり得る話なんですよ、はっきり申し上げまして。それに対して、やはりどういうふうに、株だから、それこそ上がるときもあれば下がるときもあると。今回は大きく下げたから、今度は、先ほど大臣も、ことしは恐らく大きく上がるだろうなんて言っていますけれども、基本的にやはり、株に六割頼っているというのは、これはおかしいんですよ。そう思いませんか。

坂口国務大臣 現在の時点においては、株に六〇%近くやっているというのは、それは少し私も多いと思います。

 しかし、先ほど申しましたように、最初は五・五でスタートをしているものですから……(海江田委員「それはわかっていますよ」と呼ぶ)わかっているという、いや、そうじゃなくて、高かったから、それに対応するために株式を多くしたということがあったんだろうというふうに思います。しかし、だんだんと金利も下げてきておりますから、またさらに下げるようにいたしておりますので、そこの運用につきまして、誤りのないように私たちも言いたいと思っております。

海江田委員 全然違うんですよ。予定利率五%で計算をしていたとき、私なんかの加入したときはそのころですけれども、そのときは金利も高かったわけですから、何も株に投資をしなくても、ちゃんと公定歩合で四・何%ぐらいあったわけですよ。だからちゃんと運用できるんですよ。五%を約束したから株に運用しなきゃいけないなんというのは大うそですよ、これは。

 そのときの金利水準全体が高かったわけですよ。今の予定利率は三%なんですよ。そしたら、株を減らせばいい話になるじゃないですか、三%の運用でいいんなら。それは、おっしゃっていることは間違いですよ。それでもそうだと言うんですか、五%だから株に運用しなきゃいけないと。当時は公定歩合が四・七ぐらいですよ。債券でやれば、五%から六%の国債、幾らでもあるんですよ、これは。五%だから株で運用しなきゃいけない、三%になったからこれからは運用しないでいいんですか。そうなんですか、そういうお考えですか。

坂口国務大臣 私は私の予測を言ったわけでありまして、五%台と最初のスタートのときに高かったから、それに合わせて運用をしようということでやったのではないかということを私は申し上げたわけでありまして、今後どういうふうになっていくかということについては、また別途考えなければならないということを申し上げているわけであります。

海江田委員 だから、その推測は、大臣として答弁をされるわけですから、そんな個人的な推測や思い込みは違うし、第一、その推測は間違っていますよ、違いますよ。

 それから、最初からそんなに株を大きくしていたわけじゃなくて、途中からやはりだんだんだんだん大きくしているわけですよ、これは。しかも、株が、よく株の損は株で取り戻さなきゃいけないみたいになって、昔、団体生命保険という会社があったわけです、団体生保というところがあって、そこがやはりそういう形でどんどんどんどん株に投資をして失敗をして、結果的に今破綻をしたわけですから、そういう轍を踏まないように、やはりしっかりと、厚生労働大臣は監督権限があるわけだから、監督権限でもって、これはもう少し安全性を高めるような運用にしなければいけないとか、そういうことを当然言ってしかるべきなんですよ、それは。

 そういうことを、今のような、実際に準備金を大きく、少なくとも決算の時点は十四年ですから、十五年はまだこれから三月までどうなるかわかりませんから、これは。今の時点で、あるいはその前、十年も十一年もずっと、十二、十三、十四と大きく割り込んでいる状況が続いているわけですから、これは看過できないよということをやはり監督官庁として言わなきゃいけないんですよ。そういうおつもりはないですか。

坂口国務大臣 そこは御指摘のとおりでございまして、我々も十分に見ていかなければいけないというふうに思っております。

海江田委員 最初からそう言っていただければ話はもっとスムーズに進んだんですけれども、なかなかそういうことをお認めにならないわけですから。

 あともう一つ、最近、国民年金の加入者の割合がずっと落ち込んでいる、納付率で六二%ぐらい。あるいは、調査をやりますと、四割ぐらいの人が未加入だとか未納だとかという状況があるということで、その意味からいうと、国民年金基金の加入者自体も少し頭打ちになっているということがあると思うんですね。

 最近は非常にこういうダイレクトメールが来るわけですよね、このダイレクトメールが。国民年金には入っているけれども、国民年金基金に未加入の人たちに対して、ダイレクトメールが来るわけですけれども、このダイレクトメールのあて名だとかなんだとかの情報は、実は社会保険庁が国民年金基金の連合会にデータを流すわけですよね。そういうことを流していいんですか、これは。

森副大臣 行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律では、原則として、個人情報の目的外利用、提供は禁止されておりますけれども、他の行政機関が、法律の定める事務等の遂行に必要な限度で、相当な理由があるときや、それ以外であっても特別の理由のあるときには、例外的に提供が認められているところでございます。

海江田委員 まず、この連合会は一応法律で定める組織ですから、そこではいいとして、この相当な理由ないしは特別な理由に当たるんですか、どうなんですか。どういう理由があって、どういう相当な理由があって、あるいはどういう特別な理由があって、つまり国民年金の社会保険庁のデータをこの連合会に渡すんですか。教えてください。

森副大臣 御指摘の国民年金基金連合会のダイレクトメールにつきましては、公的年金制度体系の一環である国民年金基金制度を国民年金の加入者に周知することを目的として、国と国民年金基金連合会が共同で実施しているものであります。

 また、国民年金基金連合会は、国民年金法の規定に基づいて設立が認められた公益性の高い法人であるとともに、データ提供するに当たり、社会保険庁と厚生労働省、また同省と国民年金基金連合会の間において、データ保護のための覚書を締結し、データの適切な管理に留意しているところであります。

 したがって、当該データの提供は、相当の理由があり、また目的にかなっているというふうに考えているところでございます。

海江田委員 相当な理由、特別な理由ということで、これはかなり限定をしているわけですよ、個人情報の保護で。だけれども、それが、じゃ、本当に今の話で、相当な理由というのは何ですか、特別な理由は何ですかということをお尋ねしましたけれども、なかなかしっかりとしたお答えが返ってこないということで、もし、もう少しわかりやすく特別な理由と、ほかのところでなしに、ここにやらなければいけない理由というのがあれば、それは教えてくださいよ。

森副大臣 今、明快に御答弁したつもりでございますけれども、それは国民年金の加入者に周知徹底するということで、極めて合目的的であるというふうに考えております。

海江田委員 では、このダイレクトメールは周知徹底することが目的ですか。それとも国民年金基金に勧誘することが目的ですか。どっちですか。

森副大臣 大変いい御指摘だと思いますけれども、まさに両方でございまして、そのために資料請求のはがきを入れて送っているわけでございます。

海江田委員 両方ということは、では、加入してくださいと加入を勧める目的もあるわけですね。

森副大臣 制度の普及という意味で、加入を勧めるという趣旨は持っております。

海江田委員 最初のお話では、いいですか、周知することを目的とするというふうにおっしゃったんですよね、これは。加入をすることを目的とすると言いませんでしたね、周知することを目的とおっしゃいましたね。だから、このダイレクトメールは、こういう制度がありますよということを広く、国民年金に入っていない人はだめですから、国民年金に入っている人に、こういう制度がありますよということを目的にするものなのか、それとも、もう一歩進んで、こういう制度がありますけれども入ってくださいという加入を目的とするものなのか、どちらなんですかということを聞いているんですよ。

森副大臣 当然、両方目的があるわけでございますけれども、周知徹底すると申し上げたのは、周知徹底するということは、とりもなおさず加入を勧めることでありますから、そういうことで申し上げました。

海江田委員 これに、お勧めします、お勧めしますと書いてあるから、要するに入れたいわけですよ。入れるためには知ってもらわなきゃいけないからということでもいいんですが。

 では、情報保護ですけれども、これは社会保険庁の国民年金のデータですよ。どういう形で国民年金基金に送られるのか。それから、国民年金でこういうダイレクトメールにするプロセスは、どういうプロセスでダイレクトメールにするんですか。つまり、社会保険庁からデータが行って、最後に家庭にこういうものが配られるまでのプロセスをわかりやすく説明してください。

森副大臣 それでは、説明を申し上げます。

 国民年金基金連合会が発送するDMに使用するデータは、厚生労働省の職員が社会保険業務センター三鷹庁舎で受け取り、施錠した搬送ケースで運び、国民年金基金連合会の事務室で直接手渡しております。このデータをもとに、国民年金基金連合会内の他と完全に仕切られた機械作業室であて名カードを印刷しており、磁気カードで入退室を厳重に管理しております。

 封入、封せん及び発送業務の委託業者は、国民年金基金連合会との契約上、守秘について契約を結んだ上、あて名カードを連合会から自社の作業場、これは埼玉県の朝霞市にありますけれども、そこに運んで、すべての作業を当地で行っております。また、委託業者の作業場は磁気カードで入退室を厳重に管理しており、部外者が入ることがないようになっておりまして、以上のように、個人データの管理については十分留意しているところであります。

海江田委員 それでは、そうやって社会保険庁がデータを国民年金基金連合会にお渡しをして、それをどのくらいのインターバルで回収をするんですか。

森副大臣 およそ半年ぐらいのインターバルであります。

海江田委員 封入までの作業としてかかるのは、社会保険庁にデータをとりに行って、そこの連合会に搬入をして、それから封入までの期間、インターバルというのはどのくらいかかるんですか、通常は。

森副大臣 約二カ月だそうです。

海江田委員 では、その間四カ月は、もう使い道がないのに、何の目的もないのに、何の使用理由もないのに、こっちの話聞いてなきゃだめですよ、質問するんだから。(森副大臣「委員長」と呼ぶ)まだ終わっていませんよ。何を答えるんですか。では、いいですよ。

森副大臣 大変ごもっともな御指摘でございますので、なるべく早く返すように改めるつもりでございます。

海江田委員 いや、私はまだ何にも言っていませんよ、そんな。

 委員長、ちゃんと答弁者は質問者の質問を聞いてから答えるようにしてくださいと言ってくださいよ。

北村(直)委員長代理 質問の後に答弁をしてください。

 質問者どうぞ。

海江田委員 では、いいですか、そのデータですけれども、そのデータが四カ月もほっておかれるということですけれども、それも、申しわけないけれども、最初に私が厚生労働省に聞いたときは、職員が立ち会っていて、ずっと社会保険庁のデータをプリントアウトするまで立ち会っているんだという話だったんですよ。だけれども、それが途中になって、いや、そうじゃありません、申しわけありませんとかいう話になっているので。だけど、あれでしょう、次の答弁は、これからはもうそういうことのないように早く返すようにしますという話でしょう、その意味では。そうでしょう。早く返すようにしたらどうですか。

森副大臣 ごもっともでございますので、仰せのとおりにいたします。

海江田委員 あともう一つ問題は、このラベルを印刷したのを、何という会社ですか、会社の名前は。言ってもいいんじゃないですか。その会社に、どうするんですか、届けに行くんですか、とりに来るんですか。それから、会社のどこの工場ですか、それは。

森副大臣 会社の名前は、株式会社イシカワコーポレーションでございます。その会社は、自分のところの車でとりに来るということであります。

海江田委員 それで、今、朝霞のところで搬入するというようなお話ありましたね、封入するというお話もありましたけれども、イシカワコーポレーションのこの資料を全部もらってきましたけれども、朝霞は実は子会社なんですよ、子会社。これは東京メールサービスという子会社なんですよ。子会社の場所を借りて、そして子会社の人手を借りて、そして子会社の機械を借りて封入をやっているんですよ。

 だから、契約はそのイシカワコーポレーションというところとやっていても、実はそれは、間に立ってマージン取るだけの会社じゃないですか。強いて言えば、今お話があったように、このデータをプリントアウトをしたものをとりに来て、これはバンでとりに来るわけですよ、それでその朝霞の工場に届けるだけの話じゃないですか。そうじゃないんですか。朝霞の工場が、朝霞のそういう封入をするような場所があるんですか、この会社に。

森副大臣 ちょっと恐縮ですけれども、そこまで確認しておりませんので、調べたいと思います。それで、何かプライバシーに問題があれば、さらにきちんとしたい、こういうふうに考えます。

海江田委員 それはやはりありますよ、申しわけないけれども。第一、契約を結んでいるのはこの会社となわけでしょう。では、その会社と、もう一つの会社と契約があるんですか、ないんですか。

 まあ、よくあるんですよ。このイシカワコーポレーションというのは、御案内のように、二年ぐらい前に国会でも問題になりましたけれども、社会保険庁からの印刷物を大変多くやっているわけですよ。関係の深い会社なわけですけれども、大阪にいわばペーパーカンパニーをつくって、そのペーパーカンパニーでもって厚生労働省の、厚生労働省のというより、年金族の天下りをそこで給料を払って養わさせていたというようなこともあって、今その大阪の事業所はもうクローズをしたわけですけれども、やはりこの会社のやり方といいますか、これについてはいろいろな問題のあるところでありますし、とりわけ、やはり個人のデータが、少なくともこれは年金に加入しているデータが全部流れていくわけですから、さっき冒頭にお話のあった、非常にやはり厳格なあれを決めているわけですよ、だれが年金に入っている、そういう情報が漏れては困るわけですから。

 それが本当に守られているんですかといったら、守られていませんよ、申しわけないけれども。それは大至急調べて、どういう形になっているんだか、本当にあるんですか、その朝霞の工場というのが。これはあれですけど、ないですよ、朝霞の工場というのは。朝霞は子会社なんですよ、子会社のメールサービスという会社なんですよ。

 私も会社に行って持ってきましたけれども、朝霞に工場があるんならいいですけれども、主な得意先一覧で、厚生労働省、社会保険庁、全部書いてますよ。厚生年金基金連合会、国民年金基金連合会。それで、本社があって、大阪営業所、臨海情報処理センター、葛西業務センターがあると書いてあるけれども、朝霞にセンターがあるなんということ書いていないですよ、これは。

 どうも、朝霞はどこかなと思って調べてみると、この中に、子会社は確かにあるんですよ、朝霞にある。朝霞の子会社は、東京メールサービス株式会社、埼玉県朝霞市膝折町四丁目二十二番六十号、これは別会社なんですよ。関連提携会社、別会社なんですよ。そこでやっているんじゃないですか。どうなんですか、もう一回聞きますけれども。

森副大臣 調査して、事実関係を十分把握したいと思います。

海江田委員 いずれにしましても、本当は竹中大臣にもお尋ねをしようと思っていたんですけれども、予想外のことでこんなに時間をとっちゃいましたけれども、それは申しわけありませんけれども、これは理事の方にお願いですが、やはりわかっている本人の方に来ていただいて、そしてやりとりをすればもっと早く進むわけですよ。だから、それはぜひ、今後理事会でちゃんと、しかもこの方は、もとの年金局長でもありますし、一番よくわかっているんですよ。だから、そういう方にぜひ来ていただいて、やはりお話を聞かせていただきたい、そのようなお取り計らいをよろしくお願い申し上げます。

北村(直)委員長代理 理事会で協議いたします。

 これにて海江田君の質疑は終了いたしました。

 次に、田中慶秋君。

田中(慶)委員 民主党の田中でございます。

 先般、日本の経済が上向きであるという意味でのGDPのデータが発表されました。実質、前期対比で一・七%、通年で七%、こういう数字が出ているわけでありますけれども、しかし、実態として、地域や町やそういうところで日本の経済がそんな上向きになっている、こういうことは感じられていない。特に、業種間の格差、あるいは製造業、非製造業という形の中で、非製造業の皆さん方は大変厳しい環境にある。

 さらに突っ込んで調べてみますと、大体、関連の中で景気がよくなっているというのは、例えばデジタル製品であるとか、液晶カメラであるとか、あるいは自動車関係とか、そういう限定された業種に限っている。すなわち、こういうところは、見てみますと、製造業の中で特にいろいろな政府の規制対象になっていない、なっていないところが景気の下支えになっている。ところが、政府のあらゆるところの規制に関係するところは全部今景気がおかしくなっている。

 これは、そういうことを竹中さんは調べたことがありますか。あなたは景気はよくなっていると、もう毎日テレビであなたの顔を見るとそういう話ばかり聞こえるわけですから。実体経済としてこういうことで、特に今の状態は、ある面では本当に規制というものに邪魔をされている。徹底的にその辺について、総理が言っている規制緩和と現実にやっていることと違っているじゃないですか、その辺をはっきりしてください。

竹中国務大臣 田中委員御指摘のように、マクロ経済全体ではよい方向には向かっているけれども、それぞれ跛行性がある、そういう認識は我々も大変強く持っております。であるからこそ、先ほどの答弁でも申し上げさせていただいたんですが、この全体としてはよい方に向かっている動きをぜひともこの機会に地域に浸透させたい、中小企業に浸透させたい、そうすることによって国民生活全体が引き上がるような状況に、これはぜひとも持っていかなければいけない大変重要な課題であると思っております。

 その意味では、我々、問題意識は大変強いものを持っておりまして、であるからこそ、地域再生本部もつくらせていただいて、金子大臣きょうお見えでございますが、金子大臣を中心にいろいろな施策を講じているところでございます。

 毎月、月例経済報告というのを行いますが、その中でも、最近の主たる話題は、まさに委員御指摘のとおりであって、全体としてはこういうよい傾向がある、しかし、そこの跛行性がこうなっている、それとあの地域の格差はこうなっている、こういうことを我々も真剣に議論しているところでございます。

 特に、直接お尋ねのありました規制部門について、これは従前から、特に雇用の関連で我々は大変強い問題意識を持っておりまして、規制緩和があるところで、実は特に生活に密着した我々の身近なところで潜在的な雇用機会がある。それを実現するための五百三十万人雇用創出のプログラム等々も、むしろ規制との関連で、非常に強く今我々誠実に進めているところでございます。

 やはり、今、全体としてよくなっているというのは一つのチャンスであるというふうに受けとめて、この機会にこそぜひともこれを地域に浸透させ、中小企業に浸透させる、そのような政策をぜひ内閣一丸となって進めたいというふうに思っているところでございます。

田中(慶)委員 これは経済産業大臣との関連もありますけれども、今あなたが言われているように、異業種間の格差、中小企業の問題、特に中小企業というのは仕事と金融と両方あるわけですね。ところが、あなたがやっていることは、例えば検査マニュアル一つとっても、BIS規定というものが、例えば都市銀行と地銀とそして信金、あなたは必ず、いやそれは別々にということを言っておりますけれども、現実に現場は、検査は同じようなスタイルでやっているじゃないですか。そして、最近は政府系金融機関までそういう方向を今しようという、こんな形でおられる。現実に、政府系金融機関の人たちはそのことを言って、そして金融庁からこんな話がある、結果的にそれが中小企業の貸し渋り、貸しはがしにつながっている、こういうことであります。

 その辺について、あなたの言っていることと現場との違い、どうなっているのかを教えてください。

竹中国務大臣 今委員も御紹介してくださいましたように、我々は、大手主要行と地域金融機関、中小金融機関とは違うプログラムで考えるべきであるというふうにはっきりと思っております。そのために検査マニュアル、これは検査はやはり両方きちっとしなければいけません。両方の、大手でも中小の金融機関でも、そこには善意の預金者がいらっしゃるわけですから、そのためには検査はきっちりしなければいけない。しかし、これは金融機関で差をつけるのではなくて、中小企業に対する融資については、中小企業に対する融資としての特殊性というのは考えなければいけないでしょう。その意味で、検査マニュアルというのを、中小企業編というのをちゃんと設けております。

 委員の御指摘は、そうは言うけれども現場ではなかなかそうはなっていないぞという御指摘かもしれません。これについては、我々も周知徹底をいろいろな機会に行っているわけでございますけれども、さらに加えて、こういった趣旨がよりはっきりするように、今、検査マニュアル別冊の中小企業融資編の改訂を行っております。その中で、よりきめ細かく、そういった判断、我々の考えが現場に浸透するような努力はぜひ積み重ねていきたいと思います。

 委員最後に御指摘のあった政府系金融機関でございますけれども、確かに、法律で、ことしから金融庁も信用リスクの検査に関して政府系金融機関を見るようになっております。しかし、これはまだ行っておりません。したがって、今の時点でそういうお話が出てくるというのは、これはちょっと、本当にそういうことなのかなというふうに思っております。ここはしっかりと、いずれにしても対応したいと思います。

田中(慶)委員 いずれにしても、大臣が言われていることと、現場で作業していることと、指導していることが一貫していない。これははっきりと信金の理事長さんがそういう話をされているわけです。そして、本当に中小企業の人たちの立場で融資をしようとすると、その分の積み立てをちゃんとしておかないと検査のとき完全にやられてしまう。こんなことですから、やはり中小企業というものが、今全体の国の六百万社からある企業の九九%は中小企業なんですから、そのことにもう少ししっかりと対応していかないといけない、私はそう思っておりますから、今後、そういう形でぜひ対応して、あなたが言っていることと現場でやっていることの違いが出ないようにしてください。それだけでいいです。

竹中国務大臣 先ほど政府系金融機関の検査はまだやっていないと申し上げましたけれども、これは、中小企業向けの政府系金融機関についてはまだやっていない、そういう趣旨で御理解をいただきたいと思います。

 委員御指摘のように、これは以前から我々も大変注意しているところでありますが、我々の基本的な方針が現場に行き届くように、そうしたことがしっかりと見れるように、モニターの制度もつくりました。地元の商工団体等を中心にモニターしていただいて、それに応じて我々が対応できるような制度もやっておりますので、委員の御懸念は我々も十分理解しているつもりでありますので、しっかりと対応したいというふうに思っております。

 それと、中小企業に対しては、リレーションシップバンキングのプログラムの中で、六百を超える日本の中小・地域金融機関のうちの八割が今、担保に依存しない融資というのに取り組み始めておりまして、そうしたことも我々はぜひ後押ししたいというふうに思っております。

田中(慶)委員 今大臣は、八割が担保の問題は当てにしないということを言っておりますが、しかし、現実には担保を請求されておりますからね。このことは、あなたが言っていること、今それだけまた違う。

 例えば、あなたはアメリカに非常に精通をされて、親米だということで、いろいろなことを言われておりますけれども、アメリカでは、極端なことを言えば、第三者保証というのはないんですよ。日本ではだれかの保証を必ず言われます。先般も相談がありました。第三者保証、結局、身内でなければだれかに保証人になってほしい、でなければ、今もう限度額いっぱいだからお金は出ないよ、こういうことが現実に行われているわけです。

 ですから、むしろ制度としてもう第三者保証はやめた方がいい。なぜならば、いいですか、よく聞いてくださいよ、後で財務大臣にも言いますけれども、例えば、去年一年で自己破産をした人はどれだけいますか。二十四万二千人いるんですよ。自殺した人が、少なくてもことし、去年もそうですから、大体六年連続三万人を超えているんです。その中の内訳は、健康という、要するに自分の健康不安でという人が三八%です。しかし、中小企業の人たちが三四%いるんですよ。

 このことを絶対重く受けとめてやらないと、あなたが言っていることと現実に違っている。だから、結果として、保険を含めて、自分が最終的な死を選んでいるんじゃないですか。それをあなたは幇助しているようなものですよ、これは。どう思いますか、その数字を見ながら。

竹中国務大臣 担保や第三者保証に安易に頼らないような融資、これが銀行の本来の役割だと思います。そのための目ききをする、リスクに対してきちっとリターンを受け取る、これこそが金融家、銀行家の本来の仕事であると思います。

 御承知のように、しかしながら、日本の銀行融資というのは、右肩上がりの中で担保への依存というのに非常に、過度に依存してきた。それをやはり変えなければいけないというのは、これは非常に難しい仕事ですけれども、ぜひともやっていただかなければいけない。

 したがって、先ほど申し上げました、リレーションシップバンキングという地域に根差した金融をやっていただきたいんだと。その中のプログラムの中には、目ききの能力を高めるためにしっかりとトレーニングもやってもらいたい、相手に対して説明もしてもらいたい、相手を助けることによって自分が強くなるような仕組みをとってもらいたい、そして、担保や第三者保証に安易に頼らないような融資をどんどんどんどんやっていってもらいたい。そのための計画を出させて、それをやっていく。

 これは、今までやってきたことを先方にも変えてもらわなきゃいけないわけですから、粘り強くやっていかなければいけない問題だと思いますが、そうした中で、先ほど申し上げましたように、まだまだ不十分でありますが、担保や第三者保証に安易に頼らないような融資をやろうということで、八割の銀行がそれに向かって今動いてきているという状況でありますので、これは委員の御指摘のようにまだまだでありますけれども、やはり我々としてもしっかりと要請もし、後押しもしていきたいと思います。

田中(慶)委員 例えば、それでは、あなたは銀行を指導しているんでしょうから、お互いに、お金の貸し借りですから契約書を結んで、その契約に基づいて、金利の問題からいろいろな問題を含めて、その契約書の交換はされていますか。されていませんよ。借り手側に必ず渡していないですから、金融側は持っているでしょうけれども。これが実態ですよ。

 ですから、私どもは、今度これらに対する法律を議員立法として出す予定でおりますけれども、こういうことを含めて、あなたが言っていることと現場との違いというのは出ているんですよ、はっきり言って。ですから、そういうことを含めて、今のような現状もあるんですから、あなたがいろいろなところで格好いい答弁をしているけれども、現場を知らな過ぎる。もう少し現場の意見を聞いて、学校でしゃべっているようなことじゃなく、経済は生きているんですから、現場の声を。今の問題だってそうですよ。はっきりと契約書を、それはいろいろな契約、一方に渡さないんですから、ほとんど。だから、自分たちがどういう形になっていくかわからない、これが実態ですよ、私は調べたんですから。そのことをどう思いますか。

竹中国務大臣 融資にはいろいろな形態があるんだと思います。例えば、日本では特に手形割引とかで、そういう形での手形を通じた融資がございました。証書貸し付けがもちろんあります。証書貸し付けで証書がないというのは、これはちょっといかにもおかしな話であります。

 とにかく、金融機関、地域、中小の金融機関だけで六百数十ございますし、地元ではなかなか大変なんだと。これは、委員の御指摘、我々いつも常に重く受けとめて、さらにいろいろな情報収集にも努めておりますし、また、金融のタウンミーティング等々で、そのことを銀行だけではなくて債務者の方にもきちっと御理解していただかなきゃいけない。決して格好いいことだけを言っているつもりではございませんで、実態をぜひそのような形に持っていくための努力は我々も忍耐強く続けているつもりでございます。

 その御指摘、いつも御指摘をいただいておりますけれども、しっかりと踏まえて、また担当、関係の大臣とも御相談をしながら、中小企業の金融については万全を期していきたいと思います。

田中(慶)委員 大臣、あなたは、景気がよくなっている、あるいはまた、これからもその見通しを立てている。どうでしょう。ことしの予算を見て、あなたは景気がよくなると思いますか。

 ということは、ことしは全部増税路線をあなたは歩んでいますよ、いろいろなところを分析しますと。あなたはアメリカ通の大臣でありますけれども、アメリカはどうしているんですか。大幅減税しているんじゃないですか。ことしの予算に大幅減税はありますか。

 それは財務大臣かもわからないけれども、ただ、あなたが景気がよくなるよくなると言っているから、そのことを含めてあなたに聞きたいんですよ。

竹中国務大臣 減税の部分は財務大臣だと思います。

 景気がよくなるよくなるというふうに言っているということではないというふうに思っております。ただ、現状では、瞬間風速ではありますけれども、高い数字が出ている。私たちの思いは、全体としてはよい数字が出ているんだから、このときこそ、先ほども言いましたように、これが地域と中小企業に浸透するように、このチャンスをぜひ生かしたい。幸いにして、アメリカもヨーロッパもアジアもことしに関してはよい方向に向かうというのを、さきのG7でもいろいろ御議論されたというふうに聞いておりますので、このチャンスを生かしたいという思いでございます。

 それと、家計に対する負担増が懸念されるという御指摘かと思いますが、若干の負担増はございますが、そういったことを含めても、実は、政府経済見通しを出すときには、当然のことながら、どれだけ負担増があるのか、そういうことも含めて総合的に判断をしております。その上で、現状、そういったものにも耐えながら、何とかしっかりと回復していけるのではないだろうか、そういうことを期待しているわけであります。

田中(慶)委員 財務大臣、いや、あなたに質問しますから、そんな慌てないでください。

 今の減税の問題もそうですけれども、要は、GDPの六〇%が消費だと。そして、今も竹中さんが、その消費を拡大するためにと言う。しかし、今の、ことしの予算を見て、消費の拡大につながりますか。年金は下がる、医療費は上がる。社会保険料は、さっき年金問題で、そうでしょう、厚生年金から今国民年金にみんな移行しつつあるんですよ、それは経営者が負担増になるから。そういう形のものが、地崩れが始まっているんですよ。そんなことを含めて、企業防衛のために一生懸命そういうことまでやっている。現実には、減税をやるどころか増税路線を歩んで、そして、経済担当大臣としてあなたはどう思いますか、減税を含めて。日本は今、大幅減税をしなきゃいけないときに、増税路線を歩んでいる、そのことをどう思いますか。

谷垣国務大臣 ベテランの田中委員をここで説得しないと私もなかなか立場がないなと思って、どう御説明をしたものかと思って立ち上がったわけですが、やや視野を長くとりますけれども、平成十一年に、小渕内閣のときですが、六兆円のいわゆる恒久的減税というのをやりました、定率減税が主たるものですが。それから累次の減税というものがありまして、やはり国際的に見た場合に、我が国の租税負担率といいますか、特に個人所得課税というのは非常に低い水準になっている、そういうベースがあるということをまず私としては申し上げたいわけであります。

 それから、ことしの税制自体は、余り大きくいじったわけではありませんけれども、昨年から、要するに、長期的に見て、多年度中立という考え方をとりまして、昨年度は一・八兆の先行減税、それからことしは、それに引き続きまして一・五兆円減税をしている。そういうまず大きな枠組みがあるということを私としては申し上げたいわけであります。

 それから、先ほど来、いろいろなことで結局大事な個人消費というものに水を浴びせているんではないかという御趣旨だったと思うんですが、平成十五年度におきましては、具体的に申しますと、相続税、贈与税の一体化、それから税率引き下げというのを一つやりました。これは、世代間の資産移転の円滑化を通じて消費や投資を刺激したいということでやったわけであります。それから、もう一つやりましたのは、金融・証券税制の簡素化、軽減化でありますけれども、これは、貯蓄から投資を後押しして、預貯金並みの手軽さで株式投資ができるようにしようとした。これは十五年度やったことです。

 それから、十六年度では、これは結局、大きく言えば、資産活用を促進して資産デフレに対して対応しようということになりますけれども、例を三つほど申し上げますと、一つは、住宅ローン減税を見直した上で延長することにしました。これは、計画的な持ち家取得を支援しようということであります。それから、土地譲渡益課税を引き下げた。これは、土地取引を活性化しなきゃならない、こういうことですね。それから、公募株式投資信託の譲渡益課税を上場株式並みに軽減した。これは、身近な投資商品をさらに利用しやすくしようということでやっている。

 そういうことで、十五年度のものはやはり確実に効果が出てきていると思います。

 それから、十五年では、研究開発・設備投資減税を初めとして、これは企業向けの減税でありますけれども、企業、産業の競争力強化に私はかなり効果が出てきていると思いますので、そういう企業面の復調が徐々に家計といいますか個人のところにも及びつつある状況ではないか。そういう形でやっておるということを申し上げたいと思います。

田中(慶)委員 財務大臣がそう述べられておりますけれども、しかし、いろいろなメニューはたくさんあるかもわからないけれども、私は、今あなたが言っていることで効果的なメニューというものはどこにあるんだろう。

 私は、はっきり言って、確かに今のGDPの問題の六〇%が消費である。しかし、現実には、今の企業の実態を見てください。リストラされている人たちがどれだけ失業されているか。もう既に三百万を超えているんですよ、リストラされている人たちが。ですから、企業はリストラした分を今度は機械に頼らざるを得ない。リストラして利益が上がっているにすぎないじゃないですか。それで機械に頼らざるを得ない。ですから設備投資が出ている、こういうことですよ。

 ですから、現実に、個人消費がどうのこうの言っても、その消費に回るお金がないんですよ、はっきり言って。大卒の就職率を見てください。あるいは、中高卒業のことしの就職率、まだ五〇%いっていないんですよ、はっきり言って。それだけ厳しいんですよ。

 もっと弱者いじめのことを言いましょうか。例えば、去年、知的障害者の人たちが、地域作業所で働いていた人たちが約三百人おりました。そして、この人たちが一カ月約一千万以上、トータルで一千万以上、いろいろな形で働いていたんですよ。ことしになってからですよ、この二カ月、百万足らずですよ、売り上げが。仕事が減っているんです、ほとんど。こういうところまでしわ寄せが来ているんですよ。三百人の人たちが今ほとんど仕事を待っている状態。ほとんど、五十人か百人足らずの仕事しかない。これが実態なんですよ。これは横浜の地域作業所の実態であります。

 こういう点で、景気がよくなったとか、あるいはそういうことを言われること自体が、あなたたちは現場を知らないで永田町にいるからそんな話が出てくるんですよ。

 では、特殊法人を見てくださいよ。あなた、ことしの予算、平年度と同じで、特殊法人の補助金をどれだけ出しているんですか、教えてください。

山本副大臣 平成十六年度予算におきまして、特殊法人向け財政支出につきましては、前年度に比べまして一兆七千五百三十八億円減の一兆四千百二十三億円となっております。しかし、十五年度中に特殊法人等から移行する独立行政法人等に対する財政支出は二兆六千九百五億円と、ややふえておるということでございます。

田中(慶)委員 独法と特殊法人を合わせたって四兆円ですよ、あなた。減っていないんですよ。片方はずんずん減っている。そればかりじゃない。行革の問題を見てくださいよ。あなたの方は、ここに、小泉総理が出しております、行政改革三カ年計画のプロジェクトを出していますよ。ペーパーでは出ておりますけれども、中身は全然進んでいないんじゃないですか。今のように、これだけ財政が厳しいと言っていながら、それは特殊法人は少ないけれども、みんなそこから分かれた独法に行ったら同じことですよ。ふえているんですよ。

 そして、予算の、極端なことを言えば、配分と言っちゃ大変失礼でしょうけれども、補助金の額の決め方はどうなっていますか。そこに天下っている人たちによって、その人数によって配分が違うんですよ。よく見てください、私は調べたんですから。それによって全部違っている。こんなばかなことを独法でもやっているんですよ。それで予算が厳しいとかいろいろなことを言ったって、むだ遣いですよ、これは。

 総理が幾ら笛を吹けどもあなたたちは踊っていないじゃないですか。こういうことが今の実態なんですよ。こんなことで景気がよくなるわけないじゃないですか。アメリカはどれだけの減税しているんですか。たった一兆五千億で減税したと。スズメの涙ですよ。本気でこの国の景気をよくしなきゃいけないときに、みんな足を引っ張るようなことばかりやっているんでしょう。

 もっとひどいことを言いましょうか。すべて、いろいろなところの規制なり、あるいは資格なり認可なり、全部そういう制度がふえているんですよ、今、安全という名のもとに。自己責任や社会責任というものをもっと強くすればいいものを、そうじゃない、安全という名のもとに全部ふえている。財団をつくったり、それで、そこで講習会を開く。その講習会は、一回の講習会で二万、三万。そして、それは、講習会を開いている人たち、全部天下っている人たちの財源ではないですか。国庫に入るんだったらまあ少しはあきらめますけれども、そうじゃないですよ。このようなことがぼんぼん今ふえているんですよ。そのことをどう思いますか。

山本副大臣 先生御指摘のように、いまだにOBの数に応じて特殊法人への補助金を決めるというようなやり方というものがあるとするならば、これは直ちに改めるという覚悟で取り組まなきゃならぬと思います。

 また、平成十三年十二月十九日閣議決定による特殊法人等整理合理化計画、この考え方に基づきまして独立行政法人というものを組織したところのそのゆえんは、組織形態を抜本的に見直して、経営責任の不明確性を改め、事業運営の非効率性を改め、組織・業務の自己増殖性を改め、さらに、経営の自律性の欠如、これを指摘するというようなことで独法をつくっているわけでございまして、やがて先生方の御指摘や御指導によって徐々にこの効果があらわれてくるというように考えるところでありまして、その意味では、先生の御趣旨と合致するというようにも思っておる次第でございます。

田中(慶)委員 いずれにしても、特殊法人をなくしたかわりに独法をつくって、受け皿をつくっているようなものなんですよ。

 小渕さんのときに、独法をつくるときにどう言ったんですか。あのときここでちゃんとやりとりしましたよ。スリムでわかりやすい、スピードのあった行政改革をする、できるだけ独法というものはつくらない、廃止する、民営化をする、どうしても必要なものは独法に、こういうことだったんですよ。今、廃止も民営化も、そうじゃない、全部名前を変えた形で独法が進んでいるんですよ。やっぱりこういうところをしっかりしないとだめですよね。

 官房長官、これが今の実態なんですよ。小泉さんが言っている例えばこの規制改革推進三カ年、このフォローアップ、その結果を見ても、全然進んでいない。そして、今の独法の問題を含めてもそういう状態になっている。この国の国家戦略というのはどうなっているんでしょう。

 例えば、話題をかえましょう。エネルギーの国家戦略、どうなっていますか。やっとあそこに基本法ができ、そしてこれからいろいろなことをやっていこうと。ところが、原子力、どうですか。原子力は、国家基本法として、原子力発電、エネルギー基本としてやったんじゃないんでしょうか。ところが、今回、去年、巻原子力発電所が建設を撤回されましたね。国のエネルギー政策、そして、地方自治体で、あるいは住民の皆さん方の賛同を得られなかった、そのことによって国家戦略がそんなに簡単に引き下がっていいんでしょうか。そのときに、では、大臣が、総理が現場でどういう話し合いをしたのか。何もしていないじゃないですか。

 こういうことを含めて、国家戦略としての考え方をきょうは官房長官に聞きたいと思います。

    〔北村(直)委員長代理退席、委員長着席〕

中川国務大臣 全体の国家戦略については官房長官の方からお答えするかもしれませんが、その中の重要な国家戦略の一つが、田中委員御指摘のエネルギー戦略でございます。

 巻町の件につきましては、これは、地元と東北電力との長年にわたる交渉の結果としてああいう形になったわけでありますけれども、エネルギー戦略そのものについては、基本的に変更はございません。エネルギーの少ない日本が、安定的にバランスのとれた、そして安全なエネルギーを長期的に確保するということは変わっておりませんし、先生御指摘の原子力発電については、基幹電源として今後も重要な位置づけを占めてまいります。

 我々といたしましては、ことしの六月をめどに、新しいエネルギー戦略、二〇三〇年ごろを見据えた長期的なエネルギー戦略を今策定中でございまして、我が国の最も大事な基本戦略の一つであるエネルギー戦略、その中での原子力の位置づけというものをきちっとまた我々で議論をし、また、先生初め国会の先生方に御議論をいただきたいと思っております。

福田国務大臣 いろいろ御意見をちょうだいいたしました。そういう御意見、私どももなおしっかりやらなきゃいけないというような部分もあると思います。

 しかし、今、経済産業大臣からもお話がございました。エネルギー戦略はしっかりやっておる、こういうことであり、小泉内閣としても今、小泉内閣として非常に大事な構造改革、この点につきましては、これは私どもはしっかりやっているというふうに思っております。ですから、構造改革の工程表なるものも一年半、二年近く前に出しまして、そして、五百項目にわたりましてこれは着実に進めておる、こういうようなこともございますし、またあの工程表も、それをリバイズして、三月めどにまた出し直して、新しい工程表で構造改革を進めていこう、こういうふうなことも考えておる、こういうことでございます。

 先ほど来お話がございます行政改革の問題、これについては、私どもも、これからもなお一層力を入れてやらなきゃいけない分野だというふうに思っております。

 きょうも、閣議でもって、縦割り行政を排す、こういうことでもって、省庁間の幹部級の異動、これを目標を持ってやろうということも総理からの指示をいただきました。また、官民交流も進めていこう、こうふうなことも今申し合わせをしているところでございます。

 いろいろありますけれども、一つ一つ努力をしてまいっておる、そういうようなところでございますので、ひとつどうか今後ともよろしく御指導を賜りたいというように思っております。

田中(慶)委員 これだけ今の日本の状態が厳しいことを、私は、今の小泉内閣は十分に把握されていないと思います。

 もう既に七百兆円からの赤字。はっきり言って、国、地方を合わせてそれだけの国債発行をされている。特殊法人を合わせますと一千百兆円と言われるぐらい、そのぐらい膨大な借金。今まで七百兆円というのは国、地方でよく言われましたけれども、特殊法人その他を合わせると一千兆を超える。こういう借金が、どちらかというと今まではそのことはオープンにされていなかった、これが実態だと思います。

 そういう中で、今のような規制改革の問題も現実にはやっている、こういう話でありますが、三カ年計画を全部いろいろと調べてみましたけれども、進んでおりませんね、はっきり言って。そういう点で、やはり今の日本の状態にしっかりと対応しながらこれをやっていかないと大変なことになってしまう、こういう可能性が出てきておりますから、今こそ総力を挙げて、今の景気対策を下支えできるような形で、勝ち組、負け組じゃなくして、全体的にそのことをやってほしい。でなければ、日本は、この経済はさらに悪化をしていくであろう、このことを明確に指摘しておきたいと思います。

 最後になりますけれども、時間の関係で、経済産業大臣、今、それぞれが経済産業にかかわられて皆さんが一生懸命やっていることもわかりますけれども、セクショナリズム、役人が自分たちの、はっきり申し上げて責任というものの追及を恐れてダイナミックな政策になっていない。例えばこの「中小企業金融対策のご案内」、ただ活字を並べているにすぎぬのであって、プロが見ても何をやっていいかわからないような案内がぼんぼん出ているんです、はっきり言って。専門家が見たってこれはわからないですよ。こういうことが、ただずらっと並べて、何かやっているんだと。後でよく見ておいてください、これは。

 こういうことにならないように、今あなたが言っているように、本気で先ほどの国家戦略としての経済のあり方を十分、中小企業を初め全部抱えているわけですから、ただただ言葉じりに終わらないように、その辺の決意を聞かせてください。

中川国務大臣 田中委員御指摘のように、私自身は日本経済がそんなに元気が加速しているという状況だとは思っておりません。

 まず、七%、七%というふうな数字がよく言われておりますけれども、まず名目成長率から入るべきだ、これは私は個人的にそう思っておるわけでございます。他方、名目であろうが実質であろうが、引っ張っているのは御承知のような企業であり、輸出中心、そしてそれに関連する設備投資ですけれども、それ以外の多くの業種、多くの企業、多くの地域は先生御指摘のとおりでありまして、私の北海道も全くそうであります。

 そういう中で、どうやって全体としてよくしていくか、日本を支える中小企業をよくしていくか、あるいはまた頑張っているところは頑張ることによって成果を出していただけるようにしていくか、これも大事な国家戦略でございまして、そういう中でさまざまな我が省関連の施策をとっております。

 私も、率直に申し上げて、そういうふうに細かい字で、セーフティーネットとか再生とか新創業とか、いろいろありますけれども、私も正直言って、それをじっくり読むだけの忍耐力がないぐらいにいろいろなメニューがあって、しかもその関連性がどうなっているのかというのは一般の人になかなかわかりにくいのが実感ではないかと思っております。

 したがって、そういうパンフレットとか新聞広告とかホームページとか、いろいろなやり方があるとは思いますけれども、それだけではどうもだめでしょう。したがって、各商工会議所、商工会あるいはまた地域の産業再生の協議会、いろいろなところがありますけれども、それだけではだめなので、対面で、個々に、個別に、知識を持った人が個別のケースとして相談に乗る。中小企業庁の人間あるいは全国の経済産業局の人間が外に出ていって、こうだと言って講義するんじゃなくて、一般的な講義は講義として、こういう場合にはどうなんだということの窓口を、今、一生懸命相談を頑張っておりますけれども、もっときめ細かいといいましょうか、お聞きをするんだ、それに対してどういうことができるんだ、役所として、そしてまた各省として。

 そして、民間との協力、さっきリレーションバンキングの話がありましたけれども、いろいろな経験のある個人の人、あるいはノウハウ等々、総合的にやっていかなければ、真の意味の地域の再生あるいはまた中小企業の活性のためのお役に立てないと思っておりますので、ぜひとも今後とも御指導いただきたいと思います。

田中(慶)委員 時間が参りましたので終わりますけれども、竹中さんあるいは皆さんが、タウンミーティングでそれぞれいろいろな話を聞いているという、先ほどありましたけれども、もう少し本当に、ただ形式だけじゃなく、本当の今の実態というものを調査されて、そしてそれが政策の中に、そしてよりわかりやすく、こんなことを書いたって、大臣みずから言っているんですから、はっきり。いや、本当ですよ。いろいろなものがたくさんある。政府の刊行物もいっぱいある。だれも見ないですよ、はっきり言って。(発言する者あり)見たくない、本当に。

 ですから、本当にわかりやすく、こういうものをしっかり予算使ってやるんですから、現実に見たくなるように、そしてそれが生かされるように、こうしないとだめだと思いますので、ぜひそのことを要望し、時間が参りましたので、終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

笹川委員長 これにて田中君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉田治君。

吉田(治)委員 民主党の吉田治でございます。

 きょうは、一般質疑ということでございますので、予算案をずっと概略見させていただいて、私なりに数点、それぞれ担当大臣にもおいでいただいて、御質問をさせていただきたい。広く浅くで、細かいことは今後の分科会等々でじっくりと質問、議論をさせていただければと思っております。

 まず最初の質問に関しましては、行刑改革会議。御承知のとおり、刑務所の問題、名古屋の刑務所の問題が起こって、予算案を見てまいりますと、刑務官の増員、また法務省の関連の予算が随分ふえてきている。私は、予算がふえればそれでいいとは思いません。もちろん、今回の行刑改革会議、昨年の四月から本当に御熱心に、報告書を読んでおりますと、この会議に参加されたメンバーの方々は大変だなと。結果として、報告書が昨年末に出てまいりました。

 私は、まず、このことについて法務大臣に、この報告書に基づいてさまざま施策をすることは大事ですけれども、一番大事なことは、監獄法という法律、受刑者の処遇をどう改善するかということ、そういうふうなこと、大きなポイントが四つあったと思いますけれども、とにかくこれは法改正を早急にすべきものである。また、法務省からの資料の中にも、その先には監獄法の改正ということが文言として盛り込まれております。

 大臣として、法改正に向けてのスケジュールであるとか、また状況とかの御説明をお願いしたいと思います。

野沢国務大臣 行刑改革会議の問題を取り上げていただき、ありがとうございます。

 昨年の十二月に、行刑改革会議から、まず、受刑者の人間性を尊重し、真の改善更生を図るとともに、刑務官の過重な負担を軽減し、同時に、国民に理解され、支持される行刑施設をつくる必要がある旨の提言を受けました。

 この提言の中には、先生御指摘のように、監獄法の改正を要するものや、さらにその前提となる条件整備を要するものも含まれておりますが、今後は、この提言が、国民の求める行刑のあるべき姿、方向を示したものとの認識に立ちまして、関係方面の協力を得ながら、着実にその実現を図るため、省を挙げて全力を尽くして取り組むつもりでございます。すぐできることは直ちに実行し、法改正を要することについては引き続き検討を進める、こういうことでございます。

吉田(治)委員 報告書の柱の中にもあります人的物的体制の整備というもの、余りこれは、私、刑務官の方の問題に矮小化すべきことではない。システムであるとか方法であるとか、やはり監獄法の改正というものを、過去数回の国会で廃案になっているという現実を踏まえた場合に、ぜひともしていただかなければならないということを申し上げると同時に、今回の法改正においては、よく、今、巷間言われておりますように、代用監獄、このこととはぜひとも分離をした形で監獄法の改正というものをしてもらわないと、外国のテレビとかを見ておりますと、日本の刑務所のあり方等について極めて違和感を覚えるというふうな感じがするんですけれども、その辺は、代用監獄とのかかわりという部分においては、どういうふうに立法化の過程で切り離して考えていかれるんでしょうか。

野沢国務大臣 私は、就任以来、現場を幾つも見てまいりました。そういたしますと、なかなかしっかり運営しているところもありますが、大変過剰収容等で苦労をしているところもございます。

 それで、御指摘のように、現行監獄法は、明治四十一年の制定後、ほとんど大きな改正をしておりません。その中で問題になりますのは、やはり、国と被収容者との権利義務関係が不明確であるとか、あるいは不服申し立て制度が十分に整備されていない等、こういった問題がございますので、昭和五十七年に改正案を出したわけですが、その後、改正に至らず今日まで来ております。

 今回、この行刑改革会議の提言におきましても速やかな改正を求められておりますことから、ただいま御指摘ありました代用監獄制度のあり方も含めまして、しっかりと議論を重ねまして、何とかまた、将来、五十年、百年も通用する法律の改正に努めたいと思っております。

吉田(治)委員 ぜひとも代用監獄というものとの切り離しの上での法改正というふうなものを、今のところ望んでおきたいと思います。

 そしてまた、今大臣のお話にございましたように、各地において刑務所の誘致というんですか、そういうのが随分なされているというふうなこと、中身のこと、外国人の犯罪の問題とかさまざまあるかと思いますけれども、ぜひとも法改正に向けてより一層の踏み込んだ議論というもの、作業方というものをお願い申し上げたいと思います。

 大臣、結構でございます。

 続きまして、きょうはまた国家公安委員長においでいただいておりまして、警察関係で申し上げますと、まず最初は、やはりテロの問題というもの、とりわけ国際テロは、アメリカの九・一一のあの衝撃的な事件以降、非常に感じるところもあると思いますし、多くの国民の皆さんも、アメリカ本土に行ったときに、靴を脱がされたとか、もうほとんど、日本人なのにという言い方はよくないかもしれませんが、こんなテロ対策までするのかというふうなことを感じられたと思います。

 テロの問題というものによって、非常に私は、警察内部もああ今度変わったなと思いましたのは、警視総監が、こんな言い方よくないかもしれません、久方ぶりに警備畑出身の方が出てこられた。いろいろな今までの状況を見ていますと、安定な日本というんですか、水と平和はただだ、安心はただだと思われていた時代には、割と公安警備の方というのは、言い方よくないですけれども、冷や飯食いが多かった。そして、バブルの以降になりますと、数年前の警察官の増員の中におきましても、経済関係の事犯というのが非常に強くなってきた。今回、イラクの事件もありますけれども、こういうふうな状況が私は純然に変化してきたのかなと。

 ですから、国民向けのテロ対策、これはイラクのことも大事ですけれども、国外だけではなく、これは国内の問題として、何かこう皆さん余りぴんとこられていないというんですか、しかし、それでも国内におけるテロ対策というもの、先ほど申し上げましたように、海外へ出て、アメリカへ行って初めて、いや、すごいんだな、これだけのことをするのかという実感を持つのですけれども、日ごろ使っているJRであるとか日本の国内航空という内部では、手荷物検査等の治安に関して何らかの処置というものはとられているようです。

 政府として、この国内のテロ対策について、今回、警察官の増員の問題もこの予算案の中で触れられておりますけれども、どのように今のところ軸として、先ほどの警視総監が警備出身になったということも含めて、考えていられるのか、まず御所見を賜りたいと思います。

瀬川政府参考人 お答えいたします。

 国内におけるテロ対策いかんというお尋ねでございますが、御質問にもありましたとおり、平成十三年の九月十一日の米国における同時多発テロ事件、これは非常に私どもも重視をしておりまして、国際テロの脅威が非常に高まっている、こういう認識でございます。

 これに対しましては、やはり国際テロリストを国内に入れないということが第一だと考えておりまして、入国管理局との連携等による水際対策を強化しているところであります。さらに、やはり情報収集が非常に重要だというふうに考えておりまして、海外の治安機関との連携による情報収集の強化、これによるテロリストの発見、こういう作業を進めております。また、重要施設に対する警戒警備、これが最後のとりででございます。大きくこの三つの対策を中心といたしまして、未然防止を図っております。

 また、最近、生物テロ、化学テロ、あるいは銃器を使用したテロ、こういったことも懸念されるところでございますので、警察として、こういった事案に対する対処能力の向上を図っております。

 さらに、昨年三月の、米国等によるイラクに対する武力行使がございました。警察庁におきましては、緊急テロ対策本部を設置しております。お尋ねにありました国際テロの問題もそうでございますが、極左暴力集団がこの米国等によるイラクに対する武力行使に対して相当過激な反対の主張をしております。

 こういった情勢を踏まえまして、国会、官邸、自衛隊施設、また、お尋ねにありました空港、さらに原発、それから、これもお尋ねにございましたが、新幹線等の公共交通機関、こういったものに対する警戒を強化する。さらに、米国関連施設に対する警戒も強化する必要がある。これらの、総計約六百五十カ所に及んでおりますが、恒常的な警戒警備を実施しております。

 さらに、今般、陸上自衛隊がイラク派遣されるという情勢を踏まえまして、全国警察で警備体制をさらに強化いたしまして、警戒強化を図っているところでございます。これらの中におきまして、お尋ねにありましたハイジャック防止対策でありますとかも強化をしておりますし、空港においては、機動隊のみならず警備犬を使った警戒というようなことも実施をしております。

 いずれにいたしましても、私どもといたしましては、昨年の十月ですか、オサマ・ビンラディンが日本というものを名指しして攻撃対象にするというような発言もあります。また、二月十七日には、極左暴力集団が防衛庁に対する飛しょう弾発射事件を引き起こすというような事件もございました。こういった情勢にかんがみまして、今後とも、水際の危機管理を担当する空港危機管理官等を初め、関係機関と緊密に連携をいたしまして、情勢の変化に的確に対応したテロの未然防止、これに努めてまいりたい、国民の皆さんが不安をいたずらに感ずることがないようにしっかりやってまいりたいと思っております。

吉田(治)委員 十年前初当選いたしましたときに、本当、当時は、こういう警備の問題、公安の問題というのは予算がどんどん削られていきまして、非常に当時の方々からいろいろな危険性というのをお聞かせいただいておりました。今の時期、大切なことになってきていると思います。また、アメリカも、御承知のとおり、ホームランドセキュリティーという形で、国土安全省というのもできているようでございます。

 やはり大事なことは、今御答弁にありましたように、情報収集、インテリジェンスというもの、私は、もっとここの部分には毅然と力を入れてやっていただかないとならないことではないかなと思っていると同時に、もう一点は、六百五十カ所と言われておりますが、例えば製鉄会社であるとかタイヤ工場であるとか、日本の基幹産業というもの、これがテロの対応方になった場合に、即座に、国民経済、そして関連産業に大きな影響を与えると思うんですけれども、その辺の民間の事業所というんですか、原発の話がございましたけれども、それとの対応方であるとか、またそれとの連携というのは今どういうふうな状況になっているでしょうか。

瀬川政府参考人 お答えいたします。

 警戒対象ということで考えますと、これは非常に膨大な数に上るわけでございますが、特に民間の関係では、いわゆるライフラインというものはまず非常に重要だろうというふうに思います。それから、御質問にありました重要基幹産業というものも、十分これは考えていかなければいけないと思います。

 そういった対象施設には、脅威度でありますとか、そこが攻撃されたときの影響度でありますとか、その濃淡はいろいろあろうと思いますし、警察力にも有限な部分がございます。したがいまして、こういった重要な民間の基幹産業の方には、必要なところは警察で守るということでございますが、何よりも基本的にそれぞれの関係の企業の方の御協力をお願いして、いわゆる自主警備というものをしっかりお願いをし、そしてまた、不審な動向なり不穏な動向があったとき、警察との緊密な連携を図り、即対応できる、こういう姿勢を基本として対処しているところでございます。

吉田(治)委員 そういう中で、テロだけでなく、この数年間というのは本当に安全神話というものが崩れた、犯罪がどんどんふえてきた。その理由は、外国人がふえたとか景気が悪いとかあると思うんですけれども、私は、いろんな数字を見ていまして、今回警察官の増員というのがなされました。

 しかしながら、一つあることに気づいたのは、ちょうど十年ほど前に勤務規定、要するに労働条件が変わって、一週四十八時間労働から、これは警察官といえども働く仲間ですから、四十八時間から四十時間に働く時間が減ってきた。警察官二十五万人、単純に言えば、労働時間が二割減るということは、二割ふやさなければならなかった。しかし、現実問題としてはそれができ得なかったということが十年前から起こってきて、それと軌を一にするように犯罪の件数がふえてきた、私はそういうふうに思わざるを得ないわけであります。

 そういう段階において、今回増員という形でされましたけれども、こういう形で実際働く時間が減ってきている、人の数は変わらない、少しの増員で終わっている。私は、ここの場合に、人をふやす、警察官の数をふやすということは大事だと思いますけれども、それと同時に何らかの対策を講じていく必要があるのではないか。例えば、民間の知恵、力を使う方法もあれば、OBの知恵、力を使っていく方法もあれば、さまざまな施策、方法もあるんじゃないかと思います。

 これは、反対に言えば、四十時間を四十八時間に戻せば済むことかもしれませんけれども、そういうものではないと私は思います。その辺について、大臣としてどういうふうに認識をされているのか、どう対応方をされていくのか、お答えをいただきたいと思います。

小野国務大臣 お答え申し上げたいと思います。

 委員御指摘のとおり、公務員全体の勤務時間の削減ということで、昭和期から平成にかけまして、週四十四時間から四十時間になりました。ということは、先生おっしゃいましたとおり、時間の削減の中で、人員が減ったと同じような状況が出てきたというわけでございます。

 一方で、昨年の治安情勢というものは、考えてみますと、昭和期は百四十万件でございました、それが二百七十九万件でございますから、約倍になっているというのが現状でもございます。一一〇番の数などは、十年前と比べますと、五百万件が九百三十万件になっている。こういう状況から見ましても、電話を受け取る者の数の問題やら、すべての面で大変な状況である。

 先生おっしゃいましたように、来日外国人の問題とか、あるいは街頭犯罪の問題が大変多くなってきまして、平成十三年度にいわゆる地方警察官一万人緊急増員三カ年計画を策定いたしまして、平成十四年には四千五百人、十五年には四千人、一万人の中、あと残り千五百人という数になるわけでございますけれども、深刻化いたします治安情勢にかんがみまして、またここから一万人以上の人員が不足しているというのが見えてまいりました。今回の場合には、千六百五十人をプラスさせていただきまして、三千百五十名という増員を予算案に盛り込ませていただいたところでございます。

 今後とも不足をいたします地方警察官のことを考えましたときに、退職をいたしました警察職員の方々に、再雇用という形をとらせていただきまして、交番相談員とかあるいは警察安全相談員とか、そういった非常勤職員、こういうものに再雇用させていただくということが一点でございます。

 もう一点は、違法駐車取り締まり関係事務の大幅な民間委託というものを考えておりまして、制度改革を検討するなど、今後、業務の民間委託というものをぜひとも進めさせていただきたい、そのように考えております。

 警察力の強化ということを今後とも一生懸命図ってまいりたいと思いますので、警察庁を督励してまいりたいと考えております。

吉田(治)委員 大臣が今おっしゃられたようなことで、やはり現場の警察官にとったら大変重い負担がかかってきている。時間は短い、数はふえたと。

 大臣、現場の警察官というのは大体どういうシフトで働いているんですか。

小野国務大臣 平均いたしますと、一つの交番には大体二人勤務の三交代ということで六人、平均いたしますと六・七人になるわけでございますが、警視庁の場合には四交代ということでございまして、場所によって人数が違ってきますから、六人の四交代というと、一つの交番で大変な人数になって、それが一月にということになっていくと思います。

 とにかく、二十四時間の中をどのようにやっていくかというのは、それぞれの地域の持っております状況にもよってまいりますけれども、駐在員の方もいらっしゃれば、交番システムの方もいらっしゃれば、そして、治安がこんな状況でございますので、巡回をして歩いたり、地元の皆さん方との連携の中で、治安を何とかよくしていこうという努力をさせていただいているところでございます。

 よろしゅうございますでしょうか。

吉田(治)委員 年齢構成の話であるとか、女性警察官の方がふえられたお話であるとか、そういうことはまた後日させていただきたいと思います。どうぞ、行ってください。ありがとうございます。

 続きまして、今警察官の方も、募集をかけると、今までかつてないほどの倍率で来られて、なおかつ、こんなこと言うとよくないですけれども、格段に優秀な人が警察官に応募をされている。これはもうひとえに、若年者雇用というもの、若い方々に職場がない。あったとしても、パートタイム労働というんですか、いわゆるアルバイト。

 統計から、労働経済白書から推計しますと、二〇〇二年のフリーター数は二百九万人。この二十年間で四倍にふえて、バブルのころは、フリーターというのは一つの生き方かな、そんなのあるんだねという中で、非常に今は、そうじゃなくて、切実に、年金制度だとか医療保険制度がどうなるかわかりませんけれども、社会保険のあるところで常雇用させてほしいというふうな思いが大変強い。

 政府においては、今回の予算案の中で、日本版デュアルシステムというものを七十五億円計上し、四万人の訓練計画を挙げられています。毎年二十七万人ほどがたしか、大卒、高卒で職にありついていない。私も、小さな短大で教えておりますと、学生たちを見ているとかわいそうですよ、もう毎年毎年。そういう中で、四万人の訓練計画という部分でいうと、二十七万に比べたら本当にこの人数でいいのかな。連合の皆さんは、最低でも二十万人必要じゃないかという御意見もございます。四万人といったら、大臣、どういうふうにお考えになるのか。

 また、この政府案では、企業と教育機関をコーディネートして、企業実習と一体となった教育訓練を行うとともに、修了時に実践力の能力評価を行うことにより一人前の職業人を育成するというふうになっておりますが、この場合、具体的に、どのような実効性ある教育訓練をしていき、修了時の能力評価というのはだれが行って、企業にとって魅力ある人材というものを育てていくことができるのかという、数と具体的な部分。そして、そこまでしても、希望して職にありつけない場合の対象者に対して、生活支援を伴う教育訓練というものも必要ではないか、そういうふうに思うんですけれども、今回のこのデュアルシステムという新しいシステムの導入、このことについて、大臣の御所見と、今申し上げた問題点というんですか、お答えをいただきたいと思います。

坂口国務大臣 御指摘をいただきましたデュアルシステムでございますが、今お話にございましたとおり、全体の人数としましてはもっと多くの皆さん方が職につけない、御指摘のとおりでございます。その中で、こういう新しい方針を導入して、これによってその一部をまず賄っていくということではないかというふうに思います。

 スタートさせまして、このやり方についていろいろ試行錯誤もあると思いますけれども、定着をさせていかなければなりません。まず、システムをきちっと位置づけていかなければなりませんので、最初から多くの人員をとりましても、なかなか全体としてそこで賄っていくこともできない、皆さんに十分な訓練を受けていただくこともできないということがあってはいけませんので、まず、スタートは四万人ということにいたしました。しかし、今後は、この人数、質、量ともにふやしていきたいというふうに思っているところでございます。

 内容につきましては、もう御存じのとおりでございまして、働く、仕事をすることと、そして、そこで技術を身につけることを並行してやっていく。この並行してやっていくいき方につきましてもいろいろのやり方があると思います。一週間の間で半分ずつやるということもあるでしょうし、例えば二、三カ月とか半年間とかというのをまずどこかで技術を身につけておいて、それから実際に仕事をしていただくという方法もあるでしょうし、さまざまな方法があると思いますが、いろいろのケースを出しながら、その中で選択をしていただくようなことにしてはどうかというふうに今思っているところでございます。

 能力評価でございますけれども、いわゆる企業が求める即戦力の人材を確実に養成するということが今回行います前提でございますので、十六年度から配置を予定いたしております、コーディネーターというふうに呼んでおりますが、これは企業のOBの方、あるいはまた専門学校の方、そうした方をコーディネーターに指名いたしまして、この皆さんにフォローアップもしていただきますし、また、その評価もしていただきたいというふうに思っているところでございます。

 ただ、修了したらそれでいいというわけではございませんので、修了後におきましても、皆さん方が職場に定着できるまでの取り組みをこのコーディネーターの皆さんにもお願いをしたい。もちろん、ハローワークもそこに手を差し伸べていきたいというふうに思っている次第でございます。

 しかし、初めにも申しましたとおり、この人だけですべてではございませんので、並行して、今までのハローワーク等におきます若年者に対する対策を強化していく。一般に振り向けておきました人々を、そうした若年者用に五百人を振り向けるようにいたしております。専門の方も百名つくるといったようなことで、大阪でありますとか、北海道でありますとか、九州でありますとか、雇用の悪いところに対しまして重点的に行いたいというふうに思っているところでございます。

吉田(治)委員 コーディネーターによって当たり外れのないようにしていただきたいのと同時に、もしもだめな場合の生活支援というんですか、そういうのは何かちょっとお考えになられているんでしょうか。

坂口国務大臣 これは企業に半分勤めていただいてそうしていくというケースなものですから、そのときに企業からも応分の御負担をしていただくようにするのか、それとも、やり方によりますとそこはできないということもあるわけでございまして、具体的な問題はこれから詰めていきたいというふうに思っておりますが、できるだけ卒業されたら何とかやっていける体制をつくるということが大事だというふうに思っております。

吉田(治)委員 四万人の数、これから、とにかくとりあえずだということで理解できましたので、どうぞ、ありがとうございました。委員会がおありだそうでございます。

 それでは、続きまして、農水大臣においでいただいておりまして、今回、この予算案の中にも少し入っておりますし、また法改正をされるということで、卸売市場ということ。

 農業の問題というのは、とかく、こう言ったらよくないですけれども、ある意味で生産者の方が多うございまして、私どもの地元にも大阪の中央市場がございます。そういうふうな中央市場の機能というんですか、よく農業問題においては、農業の、食糧の安全保障ということがいっとき随分言われました。私は、かえって卸売市場にこそそういう力があるのかなと。

 例を挙げますと、大手の食品の商社さんは例えば一兆円企業がある、大阪の中央市場は大体三千六百億円が売り上げであったと思います。では、いざ食糧、万が一何かが起こったときに、一兆円の企業は大阪市民であるとか大阪府民を助けてくれるのかというと、そこは企業の論理だと思うんです。やはり最後は中央市場というふうなものが、卸売市場というものがある意味で安全機能として働いていくというふうな、私はその位置づけというものが確実にあると思います。

 それともう一点は、今の、産直産直とよく言うお話がございますが、このまま卸売機能がなくなってしまいますと、例えば大手の量販と生産の現場が直接に話し合いをするというと、今の時代はよく言われるようにつくり手よりも売り手の方が力を持っておりますから、例えば中国と同じ値段でないと生産現場から物は買わないよというふうなことがやはり各地の農作物の生産現場に起こってくる。これは、何も農作物だけでなくて、水産ももちろんですし、果物、それから野菜というのはもちろん卸売市場を通ってまいります。また、卸売市場の中には、仲卸というふうな非常に今経営的に大変苦しいところもございます。

 この辺なんかをちゃんとできる法案になっていただかなければならないと私は思うんですけれども、きょうは大臣に、この卸売市場、中央市場が持つ、果たしている食糧というふうなものの安全保障の感覚というんですか、どういうふうに農水大臣としてお考えになられているのか、その一点だけお聞かせいただきたいと思います。

亀井国務大臣 卸売市場の流通、これはまさに生鮮食料品の流通に欠かすことのできない基礎的な役割を果たしておるわけであります。

 しかし、近年におきまして、今のお話の、市場経由率が下がってきておるとか、あるいは取扱金額が減少している、また業者の経営悪化、こういう事態が発生をしておるわけでありまして、そういう面、また近年の国際化の進展、こういうこともあるわけでありまして、卸売市場におきます流通の効率化を推進する、これは大変必要なことでありますと同時に、食の安全、安心に対する要請の高まりも高いわけであります。消費者のニーズに合う多様化、これに沿っていかなければならないわけであります。

 そういう面で、やはり商物一致規則の規制等の緩和をしなければなりませんし、取り巻く状況の変化にも対応をいたさなければなりません。また、さらには品質管理、こういう面でも、先ほども申し上げましたが、食の安全、安心の徹底、さらには卸売市場の再編の問題等々含めて、市場の機能強化を図ってまいりたい。こういう面で、生産サイドと同時に消費サイドの問題を十分重視して、そして、安全、安心、そういう中で、国民の食糧安定供給、こういうことを図ってまいらなければならないわけであります。

 御指摘のとおり、市場におきます消費者のニーズ、そしてさらに生産者の対応、やはり一体となった形で、いろいろ規制の問題等々も少し変えて緩和をして、自由な中でいろいろなことができるような対応をしてまいりたい、このように考えております。

吉田(治)委員 農水大臣、一点だけ。

 要するに、消費者にとっての安定供給という部分での、安全保障というんですか、という部分で、中央市場であるとか卸売市場の果たすべき役割はしっかりとある、そういうふうに大臣はお考えだ、そう認識していいんですね。

亀井国務大臣 いろいろ多様化をし、また、なかなかきめ細かく対応できないところもございます。そういう面で、市場の側でも生産者の意向というものがしっかり反映できるような努力をいたさなければなりませんし、そういう面で、安定供給、そして安心、安全、この確保に努力をいたさなければならない、こう思っております。

吉田(治)委員 またぜひとも農水委員会で議論させていただきたいと思います。

 あと、北朝鮮の問題。きょう、あと防衛庁長官と外務大臣がおいででございます。ちょっと簡単にお聞かせいただきたいと思います。

 この間、北朝鮮へ行かはりましたよね、外務省の方がお二人。

 まず、防衛庁長官、この北朝鮮のミサイル、核の問題を含めて、どれぐらい日本に対する脅威だというふうに防衛庁長官としてお感じになられているのかということ。

 それから、それとは別個に、北朝鮮の問題だけではなくして、今、陸海空の統合運用というふうな問題も、これは世界的な防衛のあり方の中で起こっていると聞いております。日本は武器輸出三原則もございますから、その辺のことも含めての議論が今これからなされようとされているということは聞いておりますけれども、その辺について、北朝鮮の問題と統合運用の問題とは別個だとは言いながら、いざというときのためには、その辺の状況というのが出てくると思うんですけれども、防衛庁長官として、御所見、簡単にお聞かせいただければいいと思います。

 そして、外務大臣には、そのときにおいて、今回の二国間協議の中で、たしかこの核の、ミサイルの話は北朝鮮側から話があったと聞いております。そう巷間言われています。それは事実なのか。

 六カ国協議で、北朝鮮は、もうとにかくアメリカ、アメリカ、日本は拉致問題だけであとは知らないよというふうに受けとめておりますが、私たち、拉致の問題も大切ですけれども、国民として受ける脅威としては、やはり北朝鮮のミサイルというふうな問題が大変大きな脅威として存在している。そのことについて、外務省が今回、また、これから以降の二国間協議の中でどういうふうな対応方をされていくのか。その点、長官と、長官は別の質問、外務大臣は今の質問、お願いしたいと思います。

石破国務大臣 北朝鮮についての御質問であります。

 これは、だれも実際に見て数えたわけではないからわからない。そしてまた、北朝鮮のミサイルというのは地下化も進んでいる、こう言われておりまして、衛星等ではわからない部分もある。しかし、巷間言われておりますのは、射程千三百キロのノドン、これは日本をほとんどおさめます。それが千五百以上のテポドン1、三千以上になりますと、これはグアムよりももっと行っちゃうねと、こういうことがありまして、相当のミサイル開発を進めているという可能性は排除はできないと思っております。同時に、核の開発につきましても、これも進展している可能性は排除できません。

 私ども、ギャンブラーではございませんので、そういう可能性は排除できないという前提のもとに、いろいろなことは国の平和と独立のためにやっていかねばならないことだという認識を持っておるところでございます。

 それから、統合運用のお話がございました。例えば、これも今、今国会で御審議をいただくことでございますが、ミサイル防衛というものを考えました場合に、海上自衛隊のイージス艦から迎撃ミサイルを撃つ、あるいは陸においてパトリオットを撃つ、あるいはそれが落ちるような地域の方々にどのように御避難をいただくかということもある。そういうことを考えますと、陸海空ばらばらにやっておったのではどうにもなるまいてということがございましょう。工作船の場合にも、海上保安庁が出て、その後、海上警備行動が出て、護衛艦が出て、そして上空をF15が飛んだということもございました。

 要するに、今までのように、海は海、陸は陸、空は空でやっておってはいかぬのであって、この統合運用というものをきちんとやる。先生御指摘のように、これは各国の趨勢でもございます。我が国でもその統合運用のあり方というものをきちんと確立をする、そのことは喫緊の課題だと心得ております。

川口国務大臣 今回の二国間の会議では、むしろこちらからと申し上げた方がいいと思いますけれども、核の問題、これはミサイルも含む文脈においてお話をしているわけです。それから拉致を含む日朝間の懸案問題について話をいたしております。

 それで、今後、ミサイル等についてもどのようにやっていくのかということですが、日朝平壌宣言を読んでいただきますと、ここに「双方は、朝鮮半島の核問題の」云々ということを書いてございまして、「核問題及びミサイル問題を含む安全保障上の諸問題に関し、関係諸国間の対話を促進し、問題解決を図ることの必要性を確認」しているわけでございます。

 我が国としては、今後、包括的な解決、日朝間のさまざまな問題について包括的な解決ということを言っております。核も、拉致も、そういった問題を含んで諸問題を包括的に解決をして、日朝平壌宣言に従って国交正常化をし、そして経済協力をする、この基本的な考え方というのは全く変わらないということでございます。

吉田(治)委員 もう時間ですので終わらせてもらいますけれども、今の話を聞いていると、主体的に日本は、脅威にさらされているけれども、頑張らない、やらないように聞こえるんですね。それはちょっとおかしいんじゃないかということを最後に申し上げると同時に、大臣、一点だけ教えてください。

 日曜日、お二人帰ってこられてから、田中審議官は今どこにいてはるんですか。この一週間、何をされていたんですか。拉致の被害者の会から田中さんを外せとかいう声も出ていたし、また、あの後出てくるのは、薮中局長ばかりがテレビに出てきますけれども、審議官みずからどこへ行って、何をされているんですか。国民の税金使っているんですから、答える義務はあると思います。

川口国務大臣 私が先ほど申し上げたことがどうして主体的に問題を解決する意図がないように聞こえたのか、必ずしもよく理解できませんけれども、我々は、まさに日朝平壌宣言に従って問題を解決していくという基本的な考え方に立って対応しているということを申し上げたわけです。

 それから、田中外務審議官が何をしているかというお話でございますけれども、ただいまマレーシアに協議のため出張に行っております。

吉田(治)委員 またゆっくりと外務委員会かどこかでやりましょう。

 以上です。

笹川委員長 これにて吉田君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

笹川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 政府参考人として防衛庁長官官房長北原巖男君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

笹川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

笹川委員長 質疑を続行いたします。平岡秀夫君。

平岡委員 民主党の平岡秀夫でございます。

 きょうは、まず最初に、予算とも密接な関係のある税制の問題について、二、三お聞きしたいというふうにも思っております。

 最初に、これは新聞報道にも出た話でありまして、国民の皆さんにも大きく関係をする話、内容としてはそれほど大規模なものではないんですけれども、多くの国民の皆さんが関係する話であるということなのではっきりとさせておきたい、こういう意味で質問をさせていただきたいというふうに思います。

 中身は、非上場株式等の少額配当課税の問題でございます。

 これは、新聞報道でも既に多くの方が御存じかとは思いますけれども、実は、平成十五年度の税制改正の中で、非上場株式等の少額配当の所得割、これは住民税の所得割ですけれども、これについての非課税措置というものが廃止をされるということが行われました。

 ただ、これについては、いろいろな手続的な面からもおかしいのではないかというような指摘もされていますけれども、現在、その制度というのは既にできているということで、既に始まってしまった確定申告の中でかなり多くの方々が混乱をしてしまうのではないか、このような指摘がされているわけであります。

 そういう意味で、既にできてしまったものについての制度の運営については、混乱が生じないようにしっかりとした対応を総務省の方にお願いをしておきたいというふうには思うんですけれども、そもそもの話として、このように多くの人たちがある意味じゃよく知らないままにできてしまったというこの少額配当の所得割の非課税措置の廃止については、どういう経緯で、あるいはどういう理由でこれが決定されたのか、この点を明らかにしてほしいというふうに思います。

 ちなみに、新聞報道の中では、一昨年末の与党税制改正大綱で決まったけれども、その前の政府税制調査会とか、あるいは総務省からの提案にもなかった話だ、それが突然に決まったかのようにこれは報道をされているわけであります。

 そういう意味で、疑惑を持たれているということでありますので、しっかりと答弁をしていただきたいというふうに思います。

麻生国務大臣 元大蔵省法人税課長に答弁するのもいかがなものかと思わないでもないんですが、御存じのように、もと、これになりますまでは、ごじゃごじゃごじゃっとしておったこの税制、これは、頭のいい人、自治省と大蔵省と頭のいいのばかりがどんどんどんどんやっていると、話がどんどんどんどん込み入って、ついに自分たちでもわけがわからぬようになったような、こんな税制だったんだと思うんですね。私、これを見てもなかなかよくわからぬぐらい難しかったんですが、これをすっきりしたものにせいと。

 特に株の配当課税については、御存じのように、二重課税ではないかという御意見は昔からよくあるところでもありましたので、これを一律すっきりしたものにしろという御意見は、これは、与党税調ではなく政府税調の中にも前からあった御意見であります。

 その意味で、御存じのように、全部一〇%ということにしたというのは、ここからざっと一〇%、時限立法とはいえ、一応、平成十九年度、二十年三月までは一律一〇%ということを決めております。

 そのときに、上場株についてはそうしたんですが、御存じのように、これは、一回、国税で取っておいて、中の比率を分けて各県に配って、またそれから市町村の方に三割配るというあの細かい話をやっておりますので、これを、上場株は約三千社弱だと思いますが、非上場ときますとこれは二百八十万社ぐらい今あると思いますので、そういった意味では、これはとてもじゃないけれども物理的にもなかなか難しいということも、いろいろな理由もあったんだと思いますが、今言われましたように、この点につきましては、すっきりさせたという意味では非常によかったところだと思っておりますけれども、今言われたとおりに、これとこれとをもっと細かくやってこっちも非上場にとかいう御意見はいろいろそのときにも出たところでありますので、引き続き、政府税調の中でも、また与党税調の中でも、いろいろこの問題については審議を継続していきたいというところだと伺っておりますので、今言われましたように、現場で混乱を来して納税者に御迷惑がかからないようにきちんと対応させていただきたいと存じます。

平岡委員 総務大臣は、今、次の質問まで答えてしまわれましたので、それはそれで結構なことでございますけれども、実は、これは住民税の所得割だけの問題ではなくて、金融資産に対する課税との整合性といったような問題もあるわけです。これはどっちかというと国税の方の問題ということです。

 今年度の税制改正の中身を見てみますと、これまで上場株式の譲渡収益に対する課税について一定のものがあったわけでありますけれども、今回は、それを、非上場株式についても譲渡益課税については上場株式等と同じようにしようと。ただ、実際には一〇%の時限的な適用についてはないわけでありますけれども。ただ、資産性の所得については、ある意味では二元的所得税的な考え方の中で似たようなものにしよう、そういうことが行われているわけですね。

 そういう意味で見てみますと、上場株式等の配当についての課税のあり方と非上場株式等の配当に対する課税のあり方についても、ある意味では、資産性所得に対する課税の整合性といいますか、中立性といいますか、そういう観点からすると、やはり非上場株式等の配当所得についての取り扱いというものももう一度検討してみる必要があるんじゃないかというふうに思っているんです。

 その点についての、国税の方の、財務大臣としてのお考えをちょっとお示しいただきたいというふうに思います。

谷垣国務大臣 私も、元法人税課長に答弁するのは大変居心地の悪さを感じておりますが、ただ、配当課税と譲渡益課税の間にはやはり違いがあるんじゃないかというふうに思っております。

 要するに、配当というのは、法人事業への出資に対する成果の分配という事業所得的な面とそれから金融資産性所得という両面がございますので、ちょっとそこが、配当課税と譲渡益課税を全く同じにするわけにはいかない。

 そこで、これはしかし、政府税調の中に小委員会を、今、金融小委をつくっていただいて議論をしていただいておりますので、この中で、金融資産性所得に対する課税の一本化という議論をこれから詰めていただこう、こう思っております。

平岡委員 きょう言いたかったのは、やはり税金というのは納税者あっての税金ということでありますから、納税者の方々にとってみていかに納税がしやすいか、そういう視点を忘れないで税制改正に取り組んでほしい、このことをお願いしたいということでありました。

 次に、やはり税制改正の関連で、金融機関の債権等の償却に関する税制についての議論をちょっとさせていただきたいというふうに思っているわけであります。

 私も、去年は財務金融委員会に所属しまして、竹中大臣とも、りそな銀行とか足利銀行についても、ある意味では厳しいことも言わせていただいたように思います。そのときに言っていたことの中身は、金融行政というのが透明性、公平性に欠けるようであってはいかぬ、やはりしっかりと国民の皆さんにもわかるような、納得できるような行政でなければいけない、それを考えると、りそなとか足利銀行について言うと、検査のあり方についてもかなりちょっと恣意的なものがあったのではないか、こんなことも私は指摘させていただいたわけです。

 そういう問題を背景にして物事を見てみますと、今の破綻した、あるいは破綻するというようなことを言われている金融機関の問題について言うと、繰り延べ税金資産の扱いというものが何かいろいろ問題があるのかなというふうにも思われる。金融庁の方でも、繰り延べ税金資産の資産性についてはかなり脆弱なものではないかということで、これについてまずしっかりと対応策を考えていこうじゃないかというようなことで、実は、来年度税制改正に向けて金融庁からかなり大胆な発案もされていたというようなことも聞いております。

 そこで、ちょっとこの辺についてお聞きしてみたいと思うんですけれども、まず最初に、主要行についてだけで結構なんでありますけれども、繰り延べ税金資産の額というのは一体どのぐらいあるんでしょうか。そして、それは金融機関の自己資本比率という視点から見たときには大体何%ぐらいに相当するものがあるのか。この点について御紹介していただきたいというふうに思います。

伊藤副大臣 数字のことなので私の方からお答えをさせていただきたいと思います。

 先生から繰り延べ税金資産額及び自己資本に占める割合についてのお尋ねがございましたが、十五年九月期における主要行の繰り延べ税金資産は約六・四兆円でございます。その自己資本額に対する割合は二二・三%になります。

平岡委員 今、私が聞いたのは、自己資本のうちの何%ぐらいを占めているかというのではなくて、自己資本比率で計算をすると何%ぐらいに相当するか。つまり、自己資本比率というのは四%とか八%とか言われているわけですけれども、そういうレベルでの割合でいくとどういう数字になるのか、こういう意味です。

伊藤副大臣 今のお尋ねの点でありますが、単純に計算すると大体二%程度になると思います。

平岡委員 単純に計算すると二%ぐらい、そして、自己資本に占める割合としては二二%ぐらいある、こういうことで、かなりの規模になっているということであろうかと思います。

 そういう意味で、先ほど言いましたように、繰り延べ税金資産の脆弱性というものを克服するために金融庁の方でもいろいろ検討されているんだろうというふうに思うんですけれども、この点についてはどういう検討が進められてきているのか、これは大臣の方からお答えいただきたいと思います。

竹中国務大臣 透明な行政は本当に必要であると思っております。そうした意味で、財務内容の透明性に関する部分で、この繰り延べ税金資産というのは大変重要な問題だというふうに考えて位置づけております。

 この脆弱性というのは、言うまでもありませんけれども、財務会計と税務会計が違う、財務会計上はこれは費用として計上したいところなんだけれども、税務会計上ではこれは損金に算入されないということでの調整項目になるわけでございます。これをできるだけ、これは資産性がある、これは国際会計でも認められる、当然資産性があるわけでありますけれども、将来の回収可能性が将来の納税額に依存しているということで脆弱だというふうにどうしても見られがちである。

 それに対する我々の対応としては、やはりこれは、税務会計とある意味で財務会計を一致させてもらうというのが一番よいことである、その意味では損金算入も認めてもらいたい、それと繰り戻し還付も、それと欠損の繰り延べも認めていただきたい、そういう三点セットで税制上で解決していただくというのが一つの真っ当な方法だと思いますので、それに対しては、これは二年前からでありますけれども、我々としても税務当局に対して、そうした三点セットでの要求をしているところでございます。

 それに加えて、金融審の中にワーキンググループをつくりまして、自己資本の充実という観点からこの問題をどのように扱ったらよいか、これは専門家を集めて、これは法務、経営、税務、さまざまな専門家がいらっしゃいますけれども、その専門家に集まっていただいて、この問題を幅広い観点から議論をしていただいているというところでございます。

平岡委員 今検討しているというのは、これはどの時点のものをにらんでの検討なのかというのはよくわかりませんけれども、既に大きな問題を起こしているということでございますから、これは早急な対応をとっていただきたいというふうに思うわけであります。

 そこで、今ちょっとお話の中に出ましたけれども、債権の償却について、会計基準と税務基準との間に乖離があるというようなことでお話があったと思いますけれども、実は、よく問題になっているのが、繰り延べ税金資産の発生原因の一つに有税償却と無税償却との差が大き過ぎるといったような問題があるわけであります。

 議論の初めに、主要行についてで結構なんですけれども、有税償却額、つまり税金を払って償却している、つまり損金として認められないので税金を引き当てつつ償却しているという金額は一体どのぐらいあるのかということについて、まず教えていただきたいというふうに思います。

伊藤副大臣 お答えさせていただきます。

 先生のお尋ね部分、これは非公表でございましたけれども、主要行の方々に御了解をいただいて、先生の御質問に対してお答えをさせていただきたいと思うんですが、十五年三月期末における主要行の間接償却、いわゆる貸し倒れ引き当てに係る部分でございますが、ここの有税部分の総額は約十兆円でございます。

平岡委員 主要行で十兆円という規模になると、これはやはりかなりの金額だろうと思うんですね。だから、これをこのままほっておくと、金融機関にとってみると、会計基準と税務基準との間の乖離というものが自己資本比率に与える影響というのはかなり大きいんだろう、こういうふうに思うんです。

 先ほど、一部ちょっと税制改正の中で要望されたというようなことも御披露がありましたけれども、この差を、有税償却と無税償却の差を縮小していくための努力としては、金融庁は今何か考えているものがあるんでしょうか。それを御披露いただきたいというふうに思います。

竹中国務大臣 この問題の基本というのは、あくまでも財務会計と税務会計の差にあるわけでありますから、これをやはり一致させてもらう。

 ちょっとこれは誤解を招くといけませんけれども、基本的な考え方というのは、会計的には費用として計上したいんだけれども損金算入されない、だからその分は税金を払わなければいけません。したがって、税の前払いのような格好になるわけであります。しかし、繰り返しますが、それが本当に回収されるかどうかというのが非常に不確かである。

 金融庁においては、金融再生プログラムの中でこのことを明確に我々も位置づけておりまして、十六年度の税制改正におきましても、繰り延べ税金資産の発生を抑制するとともに繰り延べ税金資産の回収可能性を確保する、発生を抑制するということと回収可能性を確保する、もうこの二点に、したがって尽きるんだと思います。

 では、そのためには何かということになると、貸し倒れに係る無税償却、引き当ての範囲を拡大する、つまり、全額損金算入してもらいたい。欠損金の繰り戻し還付の凍結を解除していただきたい。期間でありますけれども、今一年から、これは回収を確実にするためには実は十六年繰り戻していただかなきゃいけないことになるわけですけれども、それのお願い。それと、欠損金の繰越控除期間を延長していただきたい、五年から十年。これはまさに先ほど申し上げました三点セットでありますけれども、この三点セットは重要であるということで要望したわけでございます。

 昨年十二月の与党の税制改正大綱においては、「金融機関の不良債権処理に係る税制上の対応については、金融機関の自己資本に関する金融行政上の対応や関連する企業会計制度の検討とあわせ、検討する。」というふうにされているところでございますけれども、我々としては、三点セットの重要性には変わりはないと認識しておりまして、引き続き十七年度税制改正要望に向けてさらに検討を進めてまいりたいというふうに思っているところでございます。

平岡委員 今、私、無税償却と有税償却のところだけに絞ってちょっと質問したんですけれども、トータルな話で繰り延べ税金資産の話としてお答えになりましたけれども、その中の一部としての有税償却、無税償却の乖離をどう縮めていくのかというその点について、しっかりと、検討することになっていると思いますけれども、今検討しておかないと、これから金融機関が比較的安定的な収益を上げることになってきたときにまた同じような問題を抱えてしまうということになりますので、ぜひお願いしたいというふうに思います。

 ここまでは少しこういう話をしてみましたけれども、これから先は少し別の次元の話をしてみたいと思うんです。

 実は、二月六日発行の夕刊紙に、石破防衛庁長官が、一月三十一日、地元の新年会に出席した後、地元の県内にある美保基地から千歳基地にC1輸送機を利用して移動したという事実関係が報道されておられますけれども、この事実関係は正しいんでしょうか、どうでしょうか。

石破国務大臣 委員御指摘の、日刊ゲンダイかと思いますが、それの記述はそのとおりでございます。

 お答えを申し上げれば、二月一日、旭川において実施されたイラク復興支援群等編成関連行事に参加をするため、一月三十一日、C1輸送機を使用し、美保から千歳まで移動したということであります。

平岡委員 この問題点については後からまたちょっとお聞きしようと思っていますけれども、どうしてそういうことになったのか、その経緯と理由、これを答弁していただきたいというふうに思います。

石破国務大臣 二月一日の行事の内容は、委員御案内のとおりであります。一月三十一日、私は、選挙区におりました。千歳の天候状況も日々変わり得るということは、御案内のとおりであります。

 したがいまして、確実に参加をするということから考えまして、種々検討いたしました結果、天候不良その他の状況により、当日、民航機が欠航あるいは遅延、そのような可能性等を総合的に勘案し、大事をとったものであります。

平岡委員 非常に抽象的にしか言われなかったのであれですけれども、地元に帰って新年会に出るというのは、これは俗に言う政務ですね。自分の政治の都合で行ったということで、これが終わってから二月一日の隊旗授与式に出るまでに、どういう形で帰ってくるか、どういう形で行くかということについては、いろいろな方法があろうかと思うんですけれども、本来のルートであるべきであろう民間飛行機を使って帰ることはできなかったということですか。

石破国務大臣 これは、委員も中国地方でいらっしゃいますから、飛行機のダイヤ等々、御案内かと思いますが、ぎりぎり東京に前夕に入りまして、当日の始発の民航機で行きまして、すべて順調に、遅延もなく、エンジンも故障せず、天候も良好であった場合には、これは可能であるということであります。

 ただ、先ほどお答えをいたしましたように、天候の状況あるいは不測の事態等々が発生をして大事をとったものだというのは申し上げたとおりであります。

平岡委員 では、前日に千歳あるいは旭川に入るためには、民航機を利用して入るためには、一体いつまで地元にいられるということになっていたんですか。そこは把握しての上での話でしょう。前日に入るということを前提としたときには民航機は使えない、そういうことで今お話しになっているんだろうと思うんですけれども、民航機はなかったんですか。

石破国務大臣 なかったというのがどういう御指摘かよくわかりませんが、私どもの方は、鳥取―東京の便あるいは鳥取―米子の便とございます。全日空三〇〇便を使いました場合には、前日の夜、二十一時五分に羽田空港着であったと思います。羽田発千歳行きの飛行機は二十一時〇〇分が最終であったというふうに承知をいたしております。

平岡委員 私がまず最初に質問したのは、当日、一月三十一日に旭川あるいは千歳に入るために民航機を利用するとしたらいつまで地元にいられたのか、その視点から考えてみて民航機は使えなかったのかということを聞いているんですね。

 私がちょっと事前に調べてきた話によりますと、四時十分の鳥取空港または米子空港であれば千歳空港に入れる、その日のうちに、一月三十一日に入れるということですけれども、どうしてこれが使えないのですか。

石破国務大臣 鳥取空港発、うちは一日四便しかございません。米子空港も一日四便もしくは季節によっては五便であったというふうに承知をいたしております。

 どうしてそれが使えないかというふうにおっしゃいますと、それは政務との都合ということに相なるかと思います。つまり、政務を地元で行いまして、そうしますと最終便にしかならないということでございます。それは政務との兼ね合いというお答えに相なります。

平岡委員 それほど大切な政務であったのかもしれませんけれども、このC1を使ったことによって、一体、経費的には幾らかかっているのですか。私、C1は定期便はないということで聞いていますから、これは特別に長官とその警護官のために運航されたということで、美保基地から千歳基地まで行って、そして、それは多分、空で帰ってきたんだろうと思いますけれども、一体幾らかかっているのですか。

北原政府参考人 平岡先生に御答弁させていただきます。

 今回、私どもの防衛庁長官がイラク復興支援群等の編成関連行事といういわゆる公務に確実に出席をするために、今御指摘のように、美保基地から千歳基地までC1輸送機、これを運航いたしております。

 これによりまして発生いたしました経費でございますが、燃料費が約四十七万円でございます。(平岡委員「それは往復ですか」と呼ぶ)往復でございます。それから人件費でございますが、これは航空作業手当と呼んでおりますが、これが一名、実はクルーが八名おりますが、そのうちの一名が本来の乗員として配置されている整備員ではなかったものですから、その一名の搭乗によりまして、彼のいわゆる航空作業手当が約五千円でございます。

 したがいまして、約四十七万五千円というのが、新たにといいますか、運航によりましてかかった経費でございます。

平岡委員 公務で全部利用するというのは全く問題がないと思うんですけれども、例えば政務先に自衛隊機を利用して行く、公務があるところから政務先に自衛隊機を利用して行くということは、多分、ここまでは許せないだろうと思うんですね。それから、政務先から今度公務先へ行くというケースも多分あるんだろうと思うんですけれども、会計検査院に聞きますけれども、過去の会計検査の結果の中で、政務先から公務先に自衛隊機を利用したという例は、把握しているのはあるんですか。

森下会計検査院長 お答え申し上げます。

 会計検査院は、防衛庁が管理する航空機の検査に当たりましては、これまで、航空機等の調達や運用維持が適切に行われているかどうか、したがいまして、価格、数量、規格などについて重点を置いて検査を行ってきております。

 したがいまして、今お尋ねがございましたような、航空機の個々の運用の実態、状況等については十分把握をしていないということでございます。

平岡委員 会計検査院、把握していないというのは私も事前に聞きましたから、これ以上追及はしませんけれども。

 それでは、防衛庁に聞きます。先ほど言いました、政務先から公務先へ自衛隊機を利用して移動したケースというのは、過去どのぐらいあるんでしょう。

北原政府参考人 歴代の防衛庁長官のいわゆる政務先への自衛隊機の利用実績、政務から公務、公務から政務ということがあるかと思いますが、これにつきまして私どもが今承知しておりますのは、直近の例で申しますと、虎島防衛庁長官のときに一度ございます。

平岡委員 今、官房長の答弁、ちょっと漏れていたんじゃないかと思うんですけれども、私が事前に教えていただいたときには、この石破防衛庁長官の今回の件一回、それからもう一つ、石破防衛庁長官が平成十四年の十一月三十日に一回、そしてもう一つ、今答弁があった虎島防衛庁長官ということであります。

 これをずっと見ますと、過去五年間ほど調べていただいたということなんですけれども、野呂田芳成、瓦力、虎島和夫、斉藤斗志二、中谷元、石破茂、これらの防衛庁長官のときにあったケースとしてはその三つだ。しかし、その中で、虎島和夫防衛庁長官は、公務で行って、そこで政務もあわせてやった、そこでまた公務に戻ったという形で、全くの政務というわけではなかったんですね。

 そういう意味では、防衛庁長官として、過去、もっとさかのぼればあるのかもしれませんけれども、防衛庁で調べられる五年間で調べてもらったところによると、政務先から公務に入るために自衛隊機を使った防衛庁長官としては、あなたただ一人しかいない、こういうことですよね。

 これは、自衛隊機を使うためにはいろいろ規定があるんですよね、こういう場合に使えるという。それはしかし、あくまでも公務でしかない、そういう取り扱いになっているというふうに聞いております。

 そういう意味では、私は、この政務先から公務先へ行くということについて自衛隊機を自由に使えるという立場に立っているということは、これはおかしいのだろうというふうに思うんですけれども、会計検査院、今回のケースについて、どういうふうに会計検査院として認識しているか、あるいは判断しているかという見解を示してください。

森下会計検査院長 今取り上げられているケースにつきまして、防衛庁長官が二月一日に旭川におけるイラク派遣部隊編成関連行事に出席した際のおよその行程につきましては、防衛庁から聞き取りをいたしました。防衛庁では、長官の前後のスケジュールからくる時間的制約、他の交通手段の利用可能性の程度その他を総合的に検討の上、自衛隊機使用を決断したという御説明でございます。

 本院といたしまして、今回の自衛隊機の使用が防衛庁の業務のためであり、使用に当たってこのように各種の条件を検討したということであれば、今の段階で、本件の事例を直ちに不適切であるというふうに言えるものではないというふうに考えております。

平岡委員 直ちに不適切であるとは言えないというふうに言われました。私は、私の地元にも自衛隊の基地がありますね。私が毎週毎週例えば政務で帰る。これは自費で帰る。そして、翌日に国会の審議がある。これはどうしても公務だということで、私は、その公務に間に合うために、最大限地元とのおつき合いもして公務に戻るために、岩国の自衛隊の基地から東京の基地に向けて自衛隊機に乗って帰ってくる。こういうことをしても問題がないということですか、会計検査院長。

森下会計検査院長 お答え申し上げます。

 いろいろな事情がありましょうから、個々のケースによってはまた判断があるかと思いますけれども、今回のようなケースにつきましては、先ほど申し上げたようなことになろうかというふうに考えているわけでございます。

平岡委員 会計検査院、これはちゃんと検査、調査をした上での結論ですか。それとも、とりあえず聞いて、とりあえずの判断を示したということですか。

森下会計検査院長 いろいろな事情、あるいは先ほどの二月一日に出席した際の状況などにつきましては、平岡委員から御質問の予定があるということで、あらかじめこちらで聞いたりしたというものでございます。

平岡委員 会計検査院、この問題についてしっかりと、現地にも行ってしっかりと調査して、その結果をこの国会に、予算委員会に報告するということで対応していただきたいと思うんですが、どうですか、会計検査院。

森下会計検査院長 現在の時点では、直ちに不適切であると言えるような事態ではないというふうに考えております。したがいまして、現地に行きましてどういうことができるのか、これは今のところ何とも申し上げるようなことはできません。

平岡委員 できませんという答弁だったようですけれども、これだけいろいろ問題を指摘しているんですから、会計検査院としてしっかりとした見解を示してほしいということを私は言っているんです。

 会計検査院がみずから行かないのなら、委員長、国会法の百五条に基づく会計検査院に対する調査の依頼、これをこの院として出していただきたいというふうに思います。委員長、いかがですか。

笹川委員長 百五条の内容はわかりません。――理事会で協議をいたします。

平岡委員 ぜひ、これは会計検査院だけじゃないんですけれども、防衛庁の方にもしっかりと、これは基準をはっきりとさせてほしいと思うんですよね。

 例えば、さっき私が言ったような事例、私が防衛庁長官になって、毎週とは言いませんけれども、毎月地元に帰ってぎりぎりまで政務をこなして、翌日の予算委員会の審議のためにその日のうちに帰ってこないと危ない、もしかしたら天候が悪くて翌日帰ったのでは間に合わないかもしれない、そういうときに自衛隊機を使ってもいいのかと質問されたときに、それはいけませんとどうやって言えるのか。私は全く基準が示されていないというふうに思います。

 それは、いいと言われるならいいでいいですよ。ただ、その基準を防衛庁の方でもしっかりと示してほしいということでございます。それはお願いできますか、防衛庁長官。

石破国務大臣 それは、常に納税者に対して誠実なものであらねばならないと思います。同時に、今委員がおっしゃるようなことがよいというようなことには、どう考えてもそれはならないだろうということも、それは考えられる。

 ですから、そこをどのように考えるかということにつきましては、それは、防衛庁としてもございましょう、政治家としてもございましょう。委員の御指摘もよく踏まえて今後とも律していかねばならないことだと思っております。

平岡委員 石破防衛庁長官ができないとは申し上げませんけれども、こういう疑惑を持たれているケースも発生した。そして、これからの防衛庁長官もだれがなるかわからない。こういう中で、しっかりとした基準を示してほしいということを言っているんですよ。防衛庁、石破さんに、石破さんの見解だけに任せていいというものじゃなくて、そういう見解を示してほしいということを言っているんですよ。それに対して答えてください。

石破国務大臣 現職の防衛庁長官として申し上げます。

 あなたの答弁では気に入らないとおっしゃられても、私は、今現在、防衛庁長官でございますから、防衛庁長官として申し上げておるわけでございます。

 おまえの答弁では聞く気がないとおっしゃられれば、それはどうにもなりませんが、基準というものは、これはどのようにするか。それは、先生も訓令はよく御案内のことでございます。どういう場合に乗れるかということで訓令が出ておりますこと、その七条の内容も、先生御案内のとおりでございます。このことにのっとって防衛庁としては運用をしてまいりますが、どのような場合に使えるか、使えないかということは、それはやはり、それぞれの政治家の判断というものもございましょう、公務との兼ね合いもございましょう。しかしながら、どう考えましたとしても、先生が防衛庁長官になられたとして、毎週毎週、国会の答弁があるので乗るというようなことにはなりません。それはなりません。

 しかしながら、この場合はこう、この場合はこうというふうに決めますときに、では、その運用がどうなるかということでございます。

 私どもの危機管理官庁としての性格上、そしてまた瞬時に対応しなければならぬというときに、明確な基準をつくるということが、それと弾力的な運用との兼ね合いをどう考えるかということを申し上げますときに、今ここで基準をつくるというふうに明確に申し上げることが、本当にこれが正しいことかどうか、それはいろいろな議論があるところだろうと思います。

平岡委員 それは、個々のケースにすべて当てはまるような基準をつくるということは難しいかもしれませんけれども、ある程度の基準をつくって、そして、その最後のぎりぎりのところは、さらに政治的判断、あるいはその政治家としての判断というのがあろうかと思いますけれども、このケースについて言えば、石破防衛庁長官の判断が全く間違っていなかったと言い切るだけのものはない。

 これ、血税が五十万円近くかかっている、こういうことですよね。これ、飛行機で行ったら五万円ちょっとで行けるんですよ。これだけのケースじゃなくていろんなケースがあり得るでしょう。だから、そういう意味においては、やはりきちっと基準を示してほしいということを重ねて要求しておきたいというふうに思います。

 ところで、石破防衛庁長官は、この美保基地は地元の隣の地区にあるというふうに私は思っているんですけれども、自衛隊基地がある選挙区から選出されている国会議員がだれであるかということについては大体頭の中へ入っておられますか。

石破国務大臣 先生御指摘のとおり、この美保基地、所在をしておりますのは、私の選挙区鳥取県第一区の隣の鳥取県第二区でございます。全国に三百の小選挙区がございますが、衆議院が四百八十名、参議院が二百四十八名でしたか、それぞれの先生方のそれぞれの地元にどの選挙区があるかということを正確におまえは頭の中に入れているかと言われれば、それは正確にお答えできる自信はございません。

平岡委員 私が言っているのは、よく聞いてくださいよ、私が聞いているのは、自衛隊基地が存在している選挙区からどういう国会議員が選出されているかということについて大体わかっていますかと聞いているんです。

石破国務大臣 より正確にお答えをしたつもりですが、その委員の御趣旨がちょっとよくわかりかねますが、自衛隊がある選挙区からだれが出ているかですか。

 自衛隊は全国で、陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊を入れれば、数百に上ります基地を持っております。航空自衛隊がすべて基地と申しますのは先生御案内のとおりであります。そうしますと、どの選挙区からだれが出ているかということについて、概略は頭に入れておりますが、第何区のどなたがどこからということまで正確にお答えできる知識はないということです。

平岡委員 石破防衛庁長官は、去年をちょっと思い起こしてほしいんですけれども、昨年の十月二十三日に、私の選挙区の岩国市内に来られまして、時局講演会をやっておられます。そのときに、報道を見ますと、基地のある岩国に自民党議員がいないのは政府にとってはぐあいが悪いという発言をしたというふうに報道されています。

 政府にとってぐあいが悪い、どんなぐあいが悪いのかというのをここでちゃんと明確に示してください。

石破国務大臣 わかりました。何のお話か、わかりました。

 それは時局講演会でございます。それは、十一月という時期は選挙を間近に控えておる時期でございます。やはり政府として御理解をいただく、政府がいろいろ進めております基地行政あるいはいろいろな施策等について御理解をいただきたいという旨を申し上げておるわけでございます。

 しかしながら、それは先生、選挙の時期の発言というものを一々お取り上げになって、これはどうだ、あれはどうだということは、それはこちらも真摯に承らねばならないことでございますけれども、そういう場合に御理解をいただくということは、それは望ましいことは言うまでもございません。御理解をいただくべく、今後政府としても努力をしていくのは当然のことであります。

平岡委員 石破防衛庁長官とはイラク派遣についての見解は違っておりますけれども、自衛隊に対しては私も地元にある基地の問題として真剣に取り組んでおりますし、私も自衛隊に対する人一倍の思いを持っているということは自負しているところでありますけれども、政府としてぐあいが悪い、政府としてぐあいが悪い、これは一体どういうことですか。具体的に言ってください、具体的に。何がぐあいが悪いのか。

 これは、私だけじゃないですよ。自衛隊が所在している選挙区にいる国会議員、もし野党の国会議員がいたら、みんなぐあいが悪いということになるんですよ。どうですか。政府としてぐあいが悪いのは具体的に何なのか、それをちゃんと答えてください。

石破国務大臣 それは先生、先生も政府の一員でいらっしゃいましたから、議院内閣制におきます政府と与党との関係は、政府の財務省、大蔵省、あるいはいろいろなところにおられた先生として、よく御案内のことであろうというふうに思っております。

 それは、その場合に、いろいろな地域において、民主党でもいろいろな方がいらっしゃることはよく存じております。民主党にも、イラク特措法は全部反対でいらっしゃいますが、地域地域において御理解をいただいている先生、大勢いらっしゃることもよく存じております。政府の防衛行政、そしてまた政府が行っております基地行政につきまして、御理解を求めていくというのは当然のことであります。

 具体的にどのようにぐあいが悪いかというお尋ねでありますけれども、それは、その場におきます、選挙を直前に控えての時局講演会ということもございましょう。それは、すべてのことについてどのように思うか、選挙中の発言についていかがかということで言われましても、これはなかなかお答えしにくい面はございます。

平岡委員 具体的にぐあいが悪い中身が言えないんだったら、ここで発言を撤回して謝罪していただきたい。政府としてぐあいが悪いということは、これは選挙向けの発言であって、具体的なものはございませんでしたということをここではっきりと国民の皆さんに示してください。

石破国務大臣 それは先生、政府といたしまして、今いろいろな基地行政を行っております。アメリカ合衆国との交渉も行っております。政府として、やはり政府が進めております施策に御理解をいただくということは、それはありがたいことには違いありません。しかし、それをお選びになるのは、有権者が有権者として、どのような政党に政権を持たせるが正しいかということは、それは有権者としての御判断でございます。

平岡委員 全く納得のいく答弁じゃないですね。政府としてぐあいが悪い、その具体的中身は何ですかと聞いているんですよ。政府としてぐあいが悪い中身は何なのか、これを明確に答弁できない限りは、ちゃんと謝罪をしてください。発言を撤回して謝罪してください。

石破国務大臣 それは交渉事でございますから、かくかくしかじかのこういうこと、つまり、岩国においてもそうでしょう、どこでもそうです、日本国じゅう、いろいろな、基地をどうするか、地元の御負担をどのように軽減するか、そのことは合衆国とのいろいろな折衝事がございましょう。そのときに、政府と立場を同じゅうする、政府の施策というものに御理解をいただくということが、議院内閣制として、そしてそこにおいて構成されておる政府として、ありがたいことには違いがないということでございます。

 ですから、その発言について謝罪をせよとか撤回をせよとか、そのようなことには応じかねます。

平岡委員 これは、防衛庁長官、一人の政治家として言った発言じゃないんですよ。防衛庁長官として、政府としてぐあいが悪いと言ったんですよ、政府として。これは政府の閣僚としての発言ですよ。こんなことを言っていいんですか、本当に。私は強く抗議しておきたいというふうに思います。

 それで、この話は幾らやっても切りがないかもしれません。ただ、言っておきたいのは、先ほども申し上げましたけれども、私たちは、自衛隊の存在、そして自衛隊の果たしている役割、これに対しては敬意を表するとともに、自衛隊の人たちがしっかりと仕事ができるようにこれまでも支えてきたつもりであります。そういうことをやはり政府の方もしっかりと認識していただきたいというふうに思います。

 そういうことなしに、一方的に、政府としてぐあいが悪いといったような軽率な発言は、たとえ選挙の始まる前の応援という意味合いがあったとしても、私は非常に不適切だと思います。言うんだったらば、石破個人として、石破衆議院議員として、私は野党がこんなところから出てくるのはおかしい、そういう発言をしてほしいということを強く、防衛庁長官という政府の閣僚の一人としての発言の重みというものをしっかりと認識してほしい。

 このことは、先ほど私が取り上げました、C1輸送機を、石破防衛庁長官が自分の地元の新年会に三つ出るためにどうしてもC1を使わざるを得なかった、こういうようなことで、公私混同も甚だしいと言わざるを得ない。

 防衛庁長官、何か反省の弁はありますか。あるなら聞きます。ないなら聞きません。

笹川委員長 質問を続けてください。

平岡委員 反省の弁がないということのようでありますから、強く指摘をしておきたいというふうに思います。

 次に、道路行政の問題について入りたいというふうに思います。

 道路については、これまでも、高速道路の民営化あるいは無料化、こういった議論も通じて、かなり国民の皆さんに関心が高いというふうに私は思いますけれども、道路投資額というのは、これまで、最高でいくと年間十五兆円を超えるぐらいの投資が行われている。最近はちょっと下がってきていまして、十一兆円弱ぐらいの投資額になっているということでありますけれども、引き続きかなりの規模で道路の建設が行われているというのもまた実態であろうと思うんです。

 そこで、石原国土交通大臣にお聞かせいただきたいと思うんですけれども、道路についてはいつまで、言葉をかえると、どのような状況が生じるまではつくらなければいけないというふうに思っておられるかについて御披露いただきたいというふうに思います。

石原国務大臣 委員は、大蔵省にもおいででございますので、国の行政また財政についても御造詣が深いと存じますが、ただいま当委員会等々で御議論されております高速道路につきましては、やはり必要な道路は国民の負担を最小限でつくるということが基本だと思います。

 そのために、現在未供用の七十路線二千キロについては、総理もかねがね申しておりますように、大幅にコストを削減して、費用対効果分析を徹底的に行って、これまでないがしろにされがちでありました採算性や、あるいは基幹病院へどのぐらい時間がかかるのかといったような外部効果を評価基準にして順位をつくり、その順位の高いものから原則的につくっていくという客観的な指標を持ちました。

 委員の御指摘は、もう少し広い、国道等々も含めてのお話だったと思うんですけれども、十五兆円の投資が行われてきたというような御指摘もございましたけれども、足りない部分も実は大都会では私は多くあるような気がいたします。

 それはやはり環状道路。先日もタイの運輸大臣の方がいらっしゃいましてお話をさせていただきましたら、あの渋滞が激しかったと言われるバンコクでも整備率はおよそ八割。発展著しい北京、こちらにおきましては、昨年の夏は、お話しさせていただいたとき、五割ぐらいの環状道路の整備だ、そんなお話をされておりましたが、年末にお会いしましたら、ちょっと名前は忘れましたけれども何とかという環状道路ができて整備率は八二%まで飛躍した。その一方、私どもの暮らしておりますこの東京を眺めると二十数%である。

 こんなことを考えますと、まだまだ整備をしなければいけないものもございますし、昨今問題になっております中央線の問題につきましても、全国で見ましても、一時間のうちに四十分以上踏切が閉まっておりますところは千カ所に及ぶ。こういうところの立体化ということも広い意味では道の整備になりますので、そういうものは社会のニーズに対応してこれからもつくり、また、管理もしっかりとしていかなければならないと考えております。

平岡委員 今、石原大臣は、個別的な問題を挙げられて、そういう問題を解消するためにはいろいろ道路投資が必要であるといったような御答弁でありましたけれども、私が聞きたかったのは、そういう個別的な問題じゃなくて、一体、日本の国土の問題として、どういう状態が、できた道路というものについてのさらに建設投資が必要なくなるというふうに考えておられるのかといったような問題だったんです。

 そこは非常に答えづらい質問かもしれませんからとりあえずはいいとして、実は、今回の平成十六年度予算においては、道路予算について、道路行政のあり方について、道路種別予算という考え方から、成果主義というものを取り入れて、ある程度方針転換といいますか、政策転換というものを図られているわけであります。

 私も、これは、道路を考えたときには、つくろうと思えば切りがないわけですね。しかし、社会資本として大体これぐらいのものができ上がったら、例えば、あるところを移動するのに大体何分以内ぐらい、あるいは時速何キロぐらいで走れるような状態であればそれはもう一定の社会資本としては整備ができたというふうに判断してもいいんじゃないかというような視点を考えてみると、この成果主義を取り入れられたということについては、私は評価をしたいというふうには思っているんです。

 しかし、これ、よくよく考えてみると、評価というのも、やはりお役所なり、お役所が関与している審議会なり、そういったところで評価するということになっているわけですね。だけれども、実際に道路を利用している人たちというのは、地域でいえば地域の住民の人たちが道路を利用しているということで、本当は、その地域の住民の方々がどれだけその道路に対して満足をしているか、どれだけ評価しているかということが行き着くところ最終的な評価ということではないかというふうに私は思うんです。

 そういう意味で考えてみますと、やはり道路財源、道路投資のための財源というのはできる限り地域に持っていくということが必要ではないかというふうに思っているわけであります。

 例えば、平成十六年度予算を見ますと、道路関係の補助金というのが一・五兆円ぐらいあるというふうに聞いておりますけれども、それを含んで公共事業補助金というのは国土交通省所管部分で三兆五千とか数千億円あるんだろうと思いますけれども、私は、こういうものについても、できる限り地方が自由に使えるお金として税源移譲するということが必要ではないかというふうに思います。

 ちなみに、民主党予算案では、補助金等が二十・四兆円あるものについて、一部個別補助金として残さざるを得ないものを除いて、税源移譲五・五兆円で、補助金を廃止するもの、そして、一括交付金という形で地方にお渡しするもの、こういうものにして、地方はできる限り自由に財源が使えるようにしているわけであります。

 この結果として、公共事業関係費を国という単体で見た場合には四・四兆円の公共事業の削減になっているわけですけれども、実際には、地方に税源移譲しておりますから、地方が自由に公共事業を行える、また、道の建設についても地域の実情に応じた道の建設ができるというふうにしているわけであります。

 そういう意味で、こうした方向を国土交通省としても今後とっていくべきじゃないかというふうに思っているんですけれども、国土交通大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

石原国務大臣 前段は大変御評価をいただきました。

 委員もこの道路行政の業績評価を見られてお話しされているんだと思いますが、これは一応、地方の皆さん方も入っていただきまして、例えば指標の一つとしては、道路の渋滞による損失時間が一体どのぐらいになったらもういいのかといったような問題、あるいはETCの利用率はどういうことを目指すのかといったような成果を上げておりまして、これは地方の皆さん方の意見も反映させるような仕組みになっているということを申し述べさせていただきたいと思います。

 それと、二点目の指摘なんですが、これも大変大きな命題だと思うんですが、委員の所属されております民主党のマニフェスト等々を私も読ませていただきますと、道路に対する補助金は一律に廃止しよう、そして、財源移譲については国の所得税を減税して住民税のウエートを高めて地方の自主性を高めていこうということがその基本であると思うんです。

 そこで、私、それをいろいろ私なりに分析させていただいたんですけれども、地方公共団体の人口とか経済力とか、そういうことによって、仮に所得税の方から住民税に財源を移譲していきますと、どうしても、例えばこの東京圏の一都三県ですか、こういうもののボリュームは大きくなります。その一方、委員が御出身の山口県等々は小さくなる。ですから、一律に全部、補助金等々再配分の機能をやめてしまいますと、さっき言いました環状道路の整備みたいなものはより一層進めることは可能なんですけれども、さっき言いましたように、高速道路でも、採算性が合わなくても拠点病院への到達距離を縮めていくということが外部効果として非常に有用であるということは、地方の公共団体の市長さんや町長さんからも意見を賜っておりますので、そういう分に欠けてくるのではないか、そういう問題があるということも私はお考えいただきたいと思っております。

平岡委員 石原大臣、今、自分で民主党案を考えてみた、検討してみたというふうに言われましたけれども、多分役人の方も入って検討しておられたんだろうと思いますけれども、今の答弁は非常に官僚的発想ですよね。どうやって配分するかよくわからないから地方への財源移譲というのはやめておこうと。そうじゃないんですよ。地方への財源移譲というのをまずやる。やるときに、いかに石原大臣が今指摘されたような問題を克服するかという視点で考えていかなければ、本当の税源移譲というのはできないんですよね。

 だから、そういう技術論で答えて、それで、民主党案は問題がありで私たちはとることができません、これは官僚の発想。官僚出身の私が言うんですから間違いはありません。

 そういうことで、国土交通大臣、政治家としてしっかりと、本当にあるべき日本の姿とは一体何なのかということを検討していただきたいというふうに思っているわけであります。

 ちょっと時間があるので。実は、特定財源の問題も取り上げようと思っておったんでありますけれども、時間がなくなりました。

 ただ、今回の平成十六年度予算の中では、まちづくり交付金、みちづくり交付金という二つの種類の交付金ができておりますけれども、石原大臣、このまちづくり交付金とみちづくり交付金はどこがどういうふうに違うのか、おわかりでしょうか。――あなたはだめ、これはだめ。これは、大臣がどれだけ理解してこういうものをやっているかということを聞いているんですから。だから、役人答弁だめ、これはだめ。これは私との約束ですよ。指名したときだけいいということで来ているんですから。

石原国務大臣 平岡委員も大蔵省出身でございますから、当然、政務次官の方なり大蔵大臣がいたときに、一緒になって議論をして省としての考えを取りまとめるということは行われるわけでございますので、私が一人で全部物を考えて役所をすべて引っ張っていくということではないし、役人の側が今委員が御指摘になりました役人的発想と言われるものだけに凝り固まっているようなことがあれば、それを是正していくのが私は政治家の使命ではないかと考えております。

 私は、単純に考えまして、先ほど申しましたように、国と地方、言葉をかえますと大都会と地方との格差というものをどういうふうに是正するのか。私は大都会出身の議員でありますから、民主党案でやりますと環状道路が早く整備できる、予算がふえるからいいということを個人的には思っておりますけれども、それでは、対立軸が国対地方というような、あるいは言葉をかえますと大都会対田舎みたいなものになってしまうことは、私は避けていかなければならない。これは平岡委員も同じではないかと思っております。

 そこで、今御質問のありました点、簡単に申し述べさせていただきますけれども、まちづくり交付金というものは、今回の予算の中で、先ほど私どもの公共事業の補助金のカット率、少ないと申しますけれども、単年度で三千三百億円切らせていただいた。これは、大蔵省出身の平岡委員におかれましては、これまでにないということは十分に御理解いただけると思います。

 そして、このまちづくり交付金がそれにかわるものとして、これまで、委員もおわかりなことだと思いますけれども、例えば、道を整備しよう、あるいは都市公園を整備しよう、河川を整備しよう、国の補助金というのは一つの点でとらえてきたものでありますけれども、それですと、地域の本当のニーズというものに十分対応することができない。

 そこで、こういうものをパッケージで一括して支援でき、しかも、ああしろこうしろ、河川の改修にしてもあるいは道路の作成にしても、ここにはこれだけのベンチを置けとか、木を立てろとか、そういう細かいことは言わないで、全部地元にお任せする、しかし、その後の事後評価というものはさせていただく、そういう新しい助成制度がまちづくり交付金であると御理解をいただきたいと思います。

 では、その一方のみちづくり交付金というのは何か。これは、広域的な地域において、あるいは――細かく具体的に言わせていただきますと、都道府県とか市町村が行う都道府県道、市町村道、これも実はばらばらなんですね。東京で見ましても、都道、区道、まあ国道は大変少ないんですけれども、こういうものを一体となって支援できる制度。これまでは、道路が変わったらそこにそのお金を使っちゃいけない、もうこれもすごく細かく、ああしろこうしろと言っていた。こういうものを変えて制度を仕組ませていただいたものであります。

 結論から申しますと、制度や目的や仕組みは異なりますけれども、地域の皆様方がいろいろな工夫をしていただけるのであるならば、そういうものに応じていく制度ということでございます。ですから、この二つの補助金というものが相まって、地元の皆様方の創意工夫によりまして、新しい町づくり、道づくりというものに貢献していってくれることを私は望んでいる次第でございます。

平岡委員 ちょっと答弁が長かったので、私の質問の趣旨が消えてしまったかもしれませんけれども、私は、特定財源の一般財源化とかあるいは国の補助金という形じゃなくて地方が自由に使えるお金、こうしたものが必要だということの一環としてこの問題を取り上げたわけでありますけれども、実は、まちづくり交付金といったようなものを推し進めていくと、結果的には特定財源の一般財源化であり、そして、国の財源の地方への移譲であるということにつながっていくということを指摘させていただいて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

笹川委員長 これにて平岡君の質疑は終了いたしました。

 次に、小泉俊明君。

小泉(俊)委員 民主党の小泉俊明でございます。質問させていただきます。

 国会の論議というものは一見しますと非常に抽象的なんでありますが、実は、ここの議論というのは、国民生活そのものに直結する、人の生き死にを左右する重要なものであります。今、こうしているこのときにも、大体毎日九十人が自殺に追い込まれる。年間三万人以上が自殺に追い込まれているわけであります。特に明治以来の大変動期を迎え、のるか反るかというまさにぎりぎりの状態にあるというのが今の日本でありまして、今、大臣を担当される方々の職責は、これは極めて重いものがあると私は思うわけであります。ぜひとも、そのことを御理解の上、真剣に御答弁をいただくことをまずお願い申し上げます。

 いずれにしましても、組織を動かすのは人間でありますので、各大臣のポストに一体どういう方がおつきになられるかというのがやはり私は一番大切であると思います。そして、その際、大臣としての価値判断のベースになるものは、何といいましても個々の政治家の持っている政治信念とか政治信条ですね。特に国民の最も関心が高いのは、今、これは税制であると思います。

 そこで、財務大臣にお伺いしますが、まず、谷垣さん、大臣ではなく政治家としての政治信念とか政治信条というものをちょっとお聞かせいただけますでしょうか。

谷垣国務大臣 大変抽象的に問うていただきましたので、答えもなかなかあれですが、私は、政治家というものは、ちょっと古い言葉になりますが、やはり経世済民の志というものを持つということが一番大事じゃないかと。そのためにどうしていくかという手法はさまざまだと思いますが、経世済民の志を失ったらもう政治家はやめるべきだというようなことをいつも考えております。

小泉(俊)委員 実は、何年か前の新聞報道、たしか元旦だったと記憶しておりますが、官僚が選ぶ総理大臣候補ナンバーワンに、谷垣議員、今大臣が選ばれたわけでありますが、それに対する感想はいかがでございますか、お読みになられたと思いますけれども。

谷垣国務大臣 そういうことがありましたけれども、大分前のことでございますので。「男子離れて三日相見ざれば刮目してこれを見るべし」という言葉がございますが、私も日々変身を遂げているつもりでございますので、四、五年前のことはちょっとなかなか自分ではコメントしづろうございます。

小泉(俊)委員 実は、これをお聞きしたのは、本会議そして予算委員会における谷垣大臣の御答弁というのをずっと静かに聞いてまいりましたが、どうも、大臣の政治家としての顔とか大臣の見識がなかなか伝わりません。私は、ずっと財務金融委員会で塩川さん、宮沢大臣に何回も質問してきましたが、是々非々はあれ、それなりの見識が常にバックボーンに示されていたわけでありますね。その中で、さっき経世済民の志をお持ちだと言いましたね。ですから、ぜひともその立場から常に御答弁を政治家としてしていただくことをお願い申し上げます。

 そしてまた、国民が今感じていますのは、小泉総理もそうですが、大臣もそうなんです、長く政治家をやるとずれてくると思っているんですね。どうも国民の生活の実態をほとんどわかっていないんじゃないかというのが、国民だれもがいろいろな答弁を聞いていて思うところだと思います。

 そして、私は、現場に弱い政治家というのはこういう危機の時代では使い物にならないと思っているんですね。特に、これはすべての、経済政策も財政政策もそうですが、その出口、結果は雇用と失業ですよね。これは御案内のように、三百五十万人、いまだに高どまりでありまして、高校卒業生の就職内定率は過去下から二番目、大学生は過去最悪であります。

 そんな中で、ただ一点だけお聞きいたしますが、総理にも聞きましたが、ハローワークとか、今まで大臣は行ったことありますか。

谷垣国務大臣 ハローワークという名前になってからは行ったことがございません。公共職業安定所と言っていたころには行ったことがございます。

小泉(俊)委員 ぜひとも、今先生おやりになられている財政政策とか税制のすべての出口、結果がまさにそこにあらわれておりますので、ぜひともお時間をとっていただいて、新宿にありますよ、すぐそばに、ぜひとも現場を見てください。

 それでは、次の質問に移りますが、国債について質問をさせていただきます。

 新規国債発行額が三十六兆五千九百億と、過去最悪になりましたね。銀行は、貸し出しよりも、七十二カ月、貸し出しが減少いたしまして、九九年三十兆円から昨年までで九十三兆八千六百億、国債を買ったわけであります。そしてまた、今年度の国債発行総予定額というのは百六十兆円。そのうち百十五兆円を債券市場で出すということだと思いますけれども、これは、国債の大量償還がどんどん来ますので、これからも、今年度だけではなくて来年も再来年も大量の国債の発行が予定されているわけでありますが、この国債の消化については問題はありませんでしょうか。

谷垣国務大臣 結論からいいますと、現在、直ちに問題が発生しているわけではもちろんありません。

 ただ、これだけ国債を発行しておりますので、どうしたら国債を安定的に消化してということだけではなくて、国債を、価額といいますか、国債の価値というものを安定的にしていくかというのは常に念頭にございます。

 そういうこともありまして、昨年、役所や審議会でも随分議論していただきまして、一つの考え方をつくりまして、それをできるだけ具体的に適用していって、将来とも不安のないようにしたい。

 しかし、一番の根本は、政府が財政規律を、そこからはもう関心がないんだというようなことになってしまえば、それは国債の安定消化もへったくれもあったものではないということだろうと思いますので、その点は、私は、常に、声を大にして、国民にも、政府はそういう姿勢でやっているということを訴えてまいりたいと思っております。

小泉(俊)委員 昨年の三月、個人向けの十年物、変動金利の国債を発行されましたね。二月十日の報道によりますと、来年、二〇〇五年までに新しい個人向けの五、六年物の国債の発行を検討しているという報道がありましたが、これは事実ですか、財務大臣。

牧野政府参考人 お答えをいたします。

 今、先生がおっしゃられましたように、満期が五、六年であるとか固定金利であるとか、そういった報道がなされたことは事実でございますが、我々としてそういったことを決定したという事実はございません。

 ただ、国債の大量発行が続いてまいりますので、国債の安定消化を確保していくためには、国債の保有者層の多様化というのは非常に重要な課題でございまして、現状、非常に低い保有率にとどまっております個人層による国債の消化と保有ということを進めていくことは重要な課題でございますから、我々としても引き続き検討していきたいと考えております。

小泉(俊)委員 報道によりますと、固定金利、中途換金でも手数料だけで元本を全額返還するという、これは、民間の貸付信託などでは、当然、固定金利の商品の場合には、解約の場合、金利負担のリスクは解約者が負うというのは常識ですよね。

 今、検討を進めるというお話が政府委員からありましたが、もしこれをやるとすると、世界で初めて、リスクの全くない、民間には絶対にできないダンピング商品になるわけですね。こういったものを発行するということは、市場から国民のお金をまた国に吸い上げる。そして、一つ最大の問題は、これは国債の消化についてやはり危機的な状況なのではないかというメッセージを市場に与える危険が極めて大きいと私は思うんですね。世界でこんなことをやっている国はどこもありませんから。

 ですから、私は、こういったものを出すことは極めて危険性が大きいと思うんですが、谷垣大臣、いかがでしょうか。

谷垣国務大臣 それはまだ発行を決定したわけじゃありませんで、これからもよく市場のニーズとかいろいろなことを考えながら検討していかなきゃいけないと思っておりますが、我々としては、一つの方向として、やはり個人国債はこれから推し進めていかなきゃならないと思っております。

 ただ、今の点はこれからさらに検討を進めたいと思っております。

小泉(俊)委員 確かに、すそ野を広げるというのはいいんですが、絶対に民間のできないダンピング商品みたいなものというのは、やはり私はやるべきじゃないと思いますね。

 特に、戦中は、日銀にこれを引き受けさせたり、銀行に強制引き受けさせたり、国債消化のための国民貯蓄奨励策をやったわけですね。今、日銀に何をやらせているかといいますと、御案内のように、十三カ月で二十七兆円を超えるドル介入資金を、日銀に政府短期証券を引き受けさせて、そのお金で二十二兆円のアメリカの国債を買い、そして、その資金が枯渇したためにアメリカの米国債を十兆円もまた日銀に、まさに自転車操業のようなことをやっているわけですね。そしてまた、先ほど申し上げましたように、銀行が市中にお金を貸すのではなく、九十三兆八千六百億円もどんどん国債を買い上がっている。

 ここで国民にこういった固定金利、中途換金でも手数料だけで元本は全額返金するというような世界にまれな超ダンピング商品をつくるということは、やはり国債の消化に対して極めて危機的な状況があったというシグナルを市場に送ることになると私は思います。

 ですから、これは極めて、まだ検討している途中でありますから、非常識なものはつくらないように、ぜひとも検討をするときに注意をしていただきたいと思います。

 次に、景気に移らせていただきますが、まず、経済成長率から景気を見た場合のお話であります。

 十八日、QEが発表されまして、十月―十二月のQEが名目で〇・七%、そして実質で一・七%という数字が出ました。福田官房長官なども、小泉改革の効果が出たなんという話をテレビで堂々とおっしゃっているわけであります。

 しかし、実はおととい、この数字が出たときに、街角でテレビがインタビューをしました。ここで何と答えているか。一般の方ですよ。データが間違っているんじゃないの、数字の魔術でしょうということを、みんな端的にまず、実感がないために言うわけですよね。国民もこのGDPの数字を、やはり実感以上に数字が出て、かさ上げしているんじゃないかという疑念を持っていると私は思うんですよ。この辺について、竹中大臣、いかがですか。

竹中国務大臣 実感の議論は御指摘のように難しい議論だと思います。

 確かに、瞬間風速とはいえ七というのは高いというような印象を多くの方々は持っておられる。また一方で、これを年率で、この四半期だけではなくて年で換算すると二%強ぐらいの成長でありますから、これは、実感は皆さんいろいろでありますけれども、私自身は、二%強という実感はおかしくないと思います。ちなみに、奥田さん、奥田日本経団連会長は、実感どおりだというふうなコメントも出しておられた。したがって、とにかく実感が伴うような形にぜひとも地域に浸透させ、中小企業に浸透させなければいけない、もうこれに尽きると思います。

 あと、かさ上げという言葉を委員はお使いになられたんですが、かさ上げというのは決して何か政府が鉛筆をなめて高い数字を出しているという意味ではないと思いますが、これは国連のシステム・オブ・ナショナル・アカウント、SNAのいわゆる枠組みにのっとってきちっと統計をつくっているわけでございますので、これは統計上の、一つの出てきた統計上の数字である、この点は御理解をいただきたいと思います。

小泉(俊)委員 内閣府の河出事務次官が、昨年の十一月十日、GDPの算出方法を見直すということを記者会見で言われたと思うんですが、この内容について御説明いただけますか。

牛嶋政府参考人 お答えをいたします。

 GDPのデフレーターに関しましては、我が国は、従来より、基準年を固定いたしましたパーシェ型の指数を採用しておりまして、五年ごとに基準年の見直しを行っております。それに対して、デフレーターの作成に当たっては連続的に基準時点を変更する連鎖方式を採用すべきであるという考え方があることも承知をいたしております。こういう点を踏まえまして、平成十七年秋ごろを目途とする次回の基準改定に向けまして、連鎖方式の導入という課題も含めて推計方式全般にわたって検討しているところでございます。

 なお、連鎖方式につきましては、パーシェ型のみならずフィッシャー型、あるいは基準時点のとり方についてもいろいろございまして、さまざまな課題について検討が必要でございます。これらの取り扱いにつきましては、専門家の御意見も伺いながら鋭意検討していきたいと考えております。

小泉(俊)委員 これは、消費者物価と企業物価が下げどまりしているのに、総合的な物価変動の指数であるGDPデフレーターはマイナス二・六%、前期よりマイナス幅が拡大している。特に設備投資のデフレーターは六%マイナスですね。実は私は、当選以来ずっと、経済統計に関して財務金融委員会で質問させていただいております。これは極力、確かに算定の方法はいろいろあるんですが、統計の精度を高めなければ、ここのすべての議論が砂上の楼閣になるんですね。ですから、来年度から五年に一度変更しているのを毎年にすると言っているわけですから、統計の精度とともに速度も高めるようにぜひともお願いをいたします。

 また、QEの問題でありますが、QEというのは、御存じのように、欠点は速報性に欠けるということですね。何カ月も前のデータで、どうしてもこれは、統計の性格上、二次統計から積み上げますので、データにタイムラグがあるわけですね。

 そこで、大切なのは、「見をもって隠を占い、往をもって来を察す」ということですね。要するに、あらわれた事象から本質を探って過去から未来を予測する。この出た数字ではなくて、これからどうなるかというのがまさに一番大切なわけでありますので、この経済成長率の点から見た景気の先行きについて、竹中大臣、いかがでしょう。

竹中国務大臣 統計の精度を高めるという点に関しましては、本当に大変重要なことを御指摘いただいたと思っております。我々はそういうことのプロフェッショナルを集めている内閣府でありますから、まさに問題意識を反映してしっかりとやります。

 同時に、短期の統計というのはやはり振れますから、短期の変動に一喜一憂することなく、トレンドを見きわめながら、委員おっしゃったように、その先を見るということこそがまさに求められていることだと思います。

 お尋ねの、当面の景気をどのように見るかということでございますが、世界経済全体が、アメリカ、ヨーロッパ、アジア、総じてよい方向に向かっているということが多くの専門家によって確認されている。先般のG7でも、谷垣大臣御出席のG7でも、そのような議論がなされたと思っております。

 そういう中にあって、日本も、今は企業が引っ張っておりますが、ようやくではありますけれども、それが雇用者報酬に反映されつつある。これがやはり消費に向かっていけるかどうかというのが重大な局面であり、地域に浸透させ、中小企業に浸透させ、そして所得に反映されて消費が上向くような、そのような形に持っていけるかどうかというのは特にこの半年ぐらいが大変重要なポイントであるというふうに思っております。そういう方向には基本的には行きつつあると思っておりますので、しっかり見てまいります。

小泉(俊)委員 GDP、今回、非常に高目に出たわけでありますが、数字を見てみますと、内需が一・三%、純輸出が〇・四%、ただ、民間内需につきましても、家計は〇・八%で、設備投資が五・一%ですね。これ、内需も、よく言われるように、報道でもされていますけれども、結局は輸出に関連する設備投資なわけでありますね。ということは、輸出が極めて今この国を引っ張っている原動力になっているわけであります。そうなりますと、毎度申し上げておりますが、これは為替の影響を極めて受けてくるわけであります。

 一昨年から十三カ月間で二十七兆円のドル買い・円売りを財務省はしてきたわけでありますが、この巨額の二十七兆円ものドル買い介入というのは一体どの程度の効果があったんでしょうか、財務大臣。

    〔委員長退席、北村(直)委員長代理着席〕

谷垣国務大臣 確かに、介入は、発表しております数字から見ても、大変たくさんやっておることは事実でございます。

 ただ、この効果ということになりますと、効果をどう判定するかということは、同時に、為替の水準を私たちがどういうふうに見て、どういうふうに考えているかということと関連いたします。したがいまして、私は、この効果については判断は市場にお任せしたい、こう思っております。

小泉(俊)委員 輸出産業は一円高になりますと百億円利益が飛ぶと言われていますね。逆になると、百億円利益が出るわけですよね。通常、実務家に聞きますと、十兆円で大体二十円動くと言われています。当然、これは二十七兆円も買っているわけですから、計算すれば出てくるわけであります。ですから、今回の、輸出の増加とGDPが数字が出たというのは、このドル買い・円売りの二十七兆円というのが極めて大きく寄与したんだと私は思います。

 そこで、この輸出の先行きというのは、まさに為替がかなりまだまだ大きいウエートを占めるわけで、この巨額介入の持続性というのがどうしても焦点になってくるわけでありますが、私は、世界でこれほど巨額の介入というのがやられたケースはないと認識をしているわけでありますが、そして、その持続性について、前回、十三日の金曜日に私が聞きましたところ、谷垣大臣は、「為替市場の動向をよく注視して、過度の変動や行き過ぎがありました場合には断固たる措置を講じたい、」毎回同じことを繰り返されるわけですよ。

 ただし、こんな巨額の介入が未来永劫できますか、大臣。

谷垣国務大臣 私どもは、これは特定の水準を維持しようとか、そういうことでやっているわけではありませんので……(小泉(俊)委員「そうなの」と呼ぶ)いや、そうなんですよ。そういうことでありますから、それは、行き過ぎた動きがあったときは我々はしかるべき手段をとらなきゃいけない、それはやります、こういうことであります。

小泉(俊)委員 非常にわけのわからない御答弁でありますが。ですから、経国済民の志から、ぜひとも政治家の見識としてお答えくださいね。

 輸出は、私は、アメリカの双子の赤字もありますし、どうしても円高の方向に進みつつありますので、輸出の先行きというのは全く楽観できない状況にあると思うわけでありますね。

 簡単に数字を言いますと、日銀の二月の金融経済月報によりましても、輸出の見通しは、一月から三月は減速する可能性が高い、また、設備投資の先行きも、同じく慎重な投資が続く可能性が高い。日本政策投資銀行、二月の設備投資調査によりますと、今年度は、大企業一六・一%減、中堅企業で一四・二%減でありますね。

 そして、竹中大臣がこの前お答えいただきました、設備投資の先行指標であります機械受注統計、平成十五年十月から十二月というのは、確かに除船電民需で前期比一一・三%上がりました。しかし、同じこの機械受注統計で一月―三月期の見通しは前期比〇・二%減でありますし、また、さっき竹中大臣がお答えいただいた、一番大切なのは雇用所得ですよ、勤労者所得が実質六年連続減少しているんですね、今。そして、今回の発表でも、雇用者報酬というのは名目で〇・二%減でありますね。

 そして、日銀金融経済月報二月によりますと、企業収益の改善は続くが人件費の抑制に企業は引き続き取り組んでいく可能性が高い、雇用者所得には当面目立った改善を期待しにくいと。そしてまた、何よりも一番、GDPの六割を占めます個人消費、これは雇用者所得が伸びないんですから当然横ばいだという読みなんですね。

 要するに、おとといのテレビなどでは、GDPが高目に出たということで、何か非常にいい、夢のようなお話をいろいろなテレビで大臣がおっしゃっていましたが、実際はそんな甘くはない、全く楽観はできないのであります。

 そして、よくある、私は前回も言いましたが、常に政府は現状の認識、景気の判断を間違えるわけであります。やっちゃいけないときに、せっかく芽が出てきたのに、もう景気がよくなるという判断をして、いつも増税するわけですね。ですから、先ほど申し上げましたが、これは経済統計の精度を早く高めて、極力、政策のタイムラグをなくして、ぜひとも景気判断を正確にやっていただきたい。

 いずれにしましても、私は、この先行きというのはかなり楽観視できず、まだまだしっかりとした政策運営をしていかなければならないと思います。

 次に、景気をちょっと税収から見させていただきますけれども、新規国債、さっき言いましたように、三十六兆五千九百億円と過去最悪ですね。ということは、裏返し、この理由は税収不足ですよね。ことしは、税収四十一兆七千四百七十億円と、何と全一般会計の五〇・八%しかないわけでありますが、谷垣大臣、これは何年前の税収と大体一緒ですか。

    〔北村(直)委員長代理退席、委員長着席〕

谷垣国務大臣 これは昭和六十一年度、これはちょっと私、記憶でございますから違うかもしれませんが、昭和六十一年度と大体同じだったと思います。

小泉(俊)委員 まさに、これは十八年前の昭和六十一年、一九八六年なんですよね。ただ、当時は一般会計が五十三兆六千四百億円ですね。実はそのときと一緒なんです。

 税収で見ますと、平成十二年五十兆七千億から、十三年、十四年、十五年そして十六年と、一貫して税収が、財務大臣、減ってきているわけでありますよ。これは、昔の大蔵大臣だったら即刻首だと私は思うんですが、この税収を客観的に見ると、自民党政権の財政運営と経済政策が明らかに失敗なんじゃないかと私は思うんですが、財務大臣、いかがですか。

谷垣国務大臣 さっき申しましたように、大体六十一年度と同じ税収。それで、一番多かったのは平成二年度で、これは六十・一兆、ピークでございますが、それからだんだん減っている。

 その大きな原因は、私は、累次の減税、特に小渕内閣のときの六兆円減税を初めとして、累次の減税をやってきたことが多い。それからもう一つは、平成二年度当時の税収というのは、やはりバブルの影響というのは相当ありましたから、そういう一時的な増収というのもあったと思います。

 その後、いわば構造改革に取り組んでまいりまして、今、現時点でございますが、十六年度の一般会計税収については、これはさっきおっしゃった額ですが、これは三位一体改革の一環としての所得譲与税の創設に伴う減収、これは約〇・四兆円ですが、これを除きますと、十五年度税収に比して〇・四兆円の増収と、ややいろいろな効果が少し出てきたのかな、こう思っております。

小泉(俊)委員 時間がないので先に進ませていただきますが、この税収、半分しかない税収で予算を組むというのは明らかに失敗ですよ。そして、ここの、ずっとバブル崩壊以来、何でこれほど景気が落ち込んでいるのか。私は、大きな自民党政権の失敗、二つの理由があると思います。

 まず一つは、明らかに、国民の資産、特に土地と株の価値を下落させてしまった、失わせたこと、これがまず第一点であります。

 第二点が、先ほども申し上げましたように、積極財政、歳出の増加により少し景気がよくなってくると、すぐ、財政再建優先という観点から国民負担をふやし、増税をし、また景気が失速する、この繰り返しなんですよね、過去ずっと見てみますと。この二点にあると思います。

 そこで、この二点についてお尋ねいたしますが、まず、日本経済の長期的低迷の原因は、私が先ほど申し上げた、ただ一つであります。戦後、国民が営々と築き上げてきた資産、特に土地ですけれども、この価値がほとんど失われてしまったことにあると思います。

 バブル崩壊後、平成二年、九〇年から土地と株で一体幾らの国民資産が失われたんでしょうか。これは竹中大臣でしょうか。

牛嶋政府参考人 国民経済計算に基づきます推計によりますと、九〇年以降二〇〇二年までに、日本経済全体では、土地のキャピタルロスが九百十三兆円程度、株式のキャピタルロスが四百七十七兆円程度、合計して千三百九十兆円程度のロスが生じたものと推計されます。

小泉(俊)委員 今聞いたとおりでありますが、実は個人の土地所有者がどのくらいいるか。これは三千六百万人です。何と全人口の、赤ちゃんまで入れて、三・五人に一人なんですよ。

 土地の価値が、あるところによっては三割、一割になっちゃったところもあるんですが、大体平均で半分ぐらいだと思うんですけれども、例えば五千万の住宅を四千万の借金で買った人が、今、資産価値というのは大体二千万とか一千五百万なんですね。もしローン破産等によって競売したら、一千万ぐらいになっちゃうんですよね。借金だけは三千五百万ぐらい残っているんですよ。こういう状況で個人消費がふえるはずというのはまず絶対にないんですね。

 また、土地を保有する法人の数、御存じですか。百四十五万社あるんですよ。これが、土地の下落によって、担保価値が減少し、増し担保を要求され、なおかつ、新規借り入れというのは全くできないわけですよ。一昨年の新規不良債権二十七兆円というのも、これはほとんどが土地の下落によるものですね。ここに実は、いつまでたっても中小企業に金融が回らない理由があるわけであります。

 また、一昨年、銀行の大手七グループ、決算で四兆六千億の赤字が出たわけでありますよね。この中身を見ますと、土地の下落で五兆六千億、株式の下落で三兆一千億の特別損失が出たんです。これによって、銀行は、業務純益四兆一千億もあったんですよ、それが全部ぶっ飛んで、赤字四兆六千億になったわけですね。

 私は、明らかに、この地価の継続的な下落こそが現下の不景気を招き、いまだに回復できない最大の要因だと思うんですが、竹中大臣、いかがでございますか。

竹中国務大臣 さまざまな経済のメカニズムの中で、資産価値が下落したということのマイナスインパクトは極めて大きいと思っております。しかし、これは原因であると同時に結果であるという面も当然のことながらございます。

 資産の下落を食いとめるためにはどうしたらよいか。資産下落の原因は何であるのかということをこれまた考えなければいけないわけでありまして、そのためには、土地に関して言うならば、これは、非常に極端な右肩上がりの想定のもとで、神話と言われるようなちょっと異常に高い期待上昇率があって、それで、みんなが買いに向かって資産価値を本来が持っている収益力以上に高めてしまった。残念だけれども、それは是正せざるを得ないプロセスにずっと入ってきている。そのためには、土地に関してはやはり利用価値を高めることである。都市再生等々はそのために大変重要なものであるというふうに思っております。

 同様に、株というのも、株式の資産というのも、これは、企業という資産、企業の将来収益力を高めるということによって初めて株価も上がるわけでありますから、そのための規制緩和、まさに構造改革が必要なんであるというふうに思っております。

 もちろん、税制等々もございますけれども、基本的には申し上げたような点であると考えております。

小泉(俊)委員 実は、百三十年前のイギリスで同じことが起きまして、地価が下落して経済が破綻しちゃったんですね。それ以来、イギリスもアメリカもヨーロッパ諸国も、大体、資本主義諸国というのは年間三%ぐらいの地価を上昇させる政策をとっているというのを、私はいろいろな文献によりまして勉強させていただきました。

 大切なのは、私は、今はもう建前ではなくて、やはり本音で議論をすることだと思います。

 先ほど、一番最初のGDPの景気の見通しのときに竹中大臣もおっしゃいましたように、今せっかく芽が出てきたんだから、ここで一押ししないと、本当の本格的、特に、要するにお金を使わないわけですよ、内需が絶対にそうしないと拡大しないわけですね。

 ですから、大切なのは、土地の価格をまず下げどめながら、適正な、三%ぐらいの、諸外国と同じように上昇させる政策に大きく転換を図ることが、個人も企業も活発化し、日本経済を再生させるその最善の方法でありまして、私はここに政策を集中させるべきだと思うのであります。

 そして、こう言うと、やはりなかなか土地神話という話がありますが、いろいろちょっと計算してみました。日本の面積というのはアメリカの形式上二十六分の一と言われています。しかし、実際、日本の国土というのは八割が山でありますので、有効利用面積は二割であります。計算しますと、日本の有効面積というものはアメリカの百三十分の一しかありません。ここに、アメリカの人口の半分の一億二千五百万人が暮らし、アメリカのGDPのちょうど半分をたたき出し、そして、最近、アメリカに抜かれましたけれども、アメリカとほぼ一人当たり同じぐらいのGDPをたたき出しているわけですね。ということは、日本の土地というのは極めて世界の中でも生産性が高いんだと私は思うわけであります。

 ですから、小泉内閣が特に何でこれほど、私は、ここにいると気がつきませんが、前回、三年間を総括させていただきましたところ、本当、戦後最低の、最低最悪の総理ですよ、この数字を見ますと、自殺、倒産からすべて見ますと。その原因というのは、地価の継続的下落をとめる政策をとらないで不良債権処理を強制的に推し進めた点にあると私は思うんですね。

 ですから、今、もう一度本当に景気の回復を図っていくのであれば、今こそ、私は、この地価の下げどめに政策をもっと、内需の根本中の根本はそこにあって、それに政策を一本化すべきだと思うんですが、竹中大臣、いかがですか。

竹中国務大臣 地価が三%ずつ年々上がっていけば、これは大変よいことだというふうにもちろん思いますが、そういう方法はあるかということに尽きるんだと思っております。

 これは、基本的には、先ほど申し上げましたように、資産というのは、非常に極端な期待収益、売買による含みの期待収益が見込めない限りは、やはりその利用価値に依存するわけでありますから、利用価値を高めるしかない。その利用価値を高めるための施策、これは、繰り返しますが、都市再生であり規制緩和であり、これは大変厳しい道でありますけれども、長年、土地神話の中に暮らしていた日本がいきなりこういう状況に入ったわけですから厳しい状況ではありますけれども、そういうまさに構造改革を地道に進めていくということ以外に道はないのだというふうに思っております。

小泉(俊)委員 具体的に言いますと、私はやはり、まず一番大切であるのは、この地価の下落がいかに大きいインパクトを日本経済のマイナスの方に与えているかということを、もう建前ではなくて本音で正直に見ることだと思います。そこに向けて、何もしないでどうやっているかというんじゃなくて、私は、具体的にかなりやり方というのはあると思うんですね。そのために、今回の税制改革でも、流動化に関しての税制改正をしたわけでしょう。

 しかし、基本は、現金で持っているよりも土地とか株に移した方が有利にしなければ、絶対に個人はお金を使わないわけですね。ですから、私は、特に税制がすごく大きいと思っています。特に取得と保有に関する、登録免許税、不動産取得税、固定資産税、また今度の流通課税ですね。

 ただし、もっと大きいのは、私は、土地と株の相続税の評価額を、現金で持っているより、思い切って下げることだと思います。要するに、今最大の問題は、一千四百兆あるといいながらも、お金を持っているのは高齢層なんですね。この高齢化した動かない資金をどうやって若返らせるかということですね。そのためには、現金でもってそのまま相続をするよりは、かなり思い切って相続税の評価額を土地と株については下げることによって、私は、かなり大きな資金移動を起こすことができて、需要を喚起できるんじゃないかと思います。

 また、住宅ですね。やはり何といいましても、GDPの五%近い、すそ野が四十兆円と言われているんですね、実は。GDPの出てくる数字以上に、住宅というのは大変すそ野が広い。ですから、民主党は、アメリカと同じように、住宅ローンの利子所得控除制度をぜひとも導入すべきだということをマニフェストで言っているわけであります。

 それも、特に、私は、つけ加えるのであれば、新規の住宅ローンだけではなくて、バブルのときに買って大変悩んでいる、苦しんでいる既存の住宅ローンにも利子所得控除を思い切って認める、それが私はとるべき、今おっしゃっている、これからもっとよくしたいというのであれば、やるべきことというのは、実はいろいろな有識者に聞きましても一つなんですね。ですから、あとは先ほどの経国済民の、政治的決断だけだと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 時間がありませんので次に移りますが、先ほどの財政再建――日本経済がだめになった原因というのは、資産デフレともう一個、さっき言いました、歳出を増加しておきながら、すぐ、景気がよくなったと思って増税をして消費を冷やして景気を失速させる、いつもこの繰り返しですよね。

 ちょっと具体的に言うと、九四年細川内閣、羽田内閣、九五年の村山内閣でGDPが大体四%台に回復してきたにもかかわらず、橋本内閣による九兆円の国民負担増でマイナス成長に戻り、また小渕内閣により、先ほど財務大臣おっしゃいましたが、六兆円の減税等をして三%ぐらいに回復してきました。それが、さっき申し上げた、小泉内閣によりまして、地価の継続的下落をとめる政策をとらずに不良債権処理を進めたためにかなり落ち込んできた。そして、ことし、ようやくGDPが明るい兆しが見えてきた。

 しかし、ここに至る道のりというのは大変な道のりであります。何人死んだかというのは、この前言いましたけれども、膨大な国民の死屍累々のしかばねの上を実は歩いているんですよ。そして、なおかつ政府も、公的資金、預保によります金融機関に対する資金援助は何と総額三十七兆四千二百十八億円でしょう。為替介入が二十七兆円もしている。そして、政府だけじゃないです。民間が猛烈なリストラによって合理化の、もう搾ることができないほどのリストラをしてきたわけですね。実は十七兆円もリストラによって給与所得が減ったと言われているデータもあるぐらいなんですね。先行減税も、おっしゃるように昨年一兆八千億やった。

 しかし、せっかく芽が出てきたとさっき竹中さん言いましたが、何で、さっき言いましたよね、芽が出てきて、これをいかに所得に結びつけ、個人消費に結びつけるべきだというのをさっきおっしゃったんですが、これから政府がやろうとしていることは、今年度から毎年一兆円規模の家計負担増ですよね。何と、再来年までに五兆円近い負担増が計画されているわけでありますね。せっかく無理やり、前回からさんざん言っています、無理に無理を重ねてようやくここまで持ってきて、これでまた個人消費が間違いなく冷え込むと私は思っているんですが、同じ失敗の繰り返しをしていく。

 また例を言いますけれども、具体的に言いますと、一月から配偶者特別控除の上乗せ部分の廃止、四月から年金物価スライド制適用で年金支給額の減額、六月は住民税のアップ、十月には厚生年金保険料の引き上げ、来年には年金世代への課税強化、そして、小渕内閣の主な減税のテーマでありました、平成十八年には定率減税の廃止が今検討をされているというわけでありますね。

 私は、多年度税制中立ということを昨年から言われていますが、何で、先行減税をたった一年やっただけで、それも無理に無理を重ね、為替介入をし、いろいろな資金を突っ込み、膨大な資金を突っ込み、芽が出てきたにもかかわらず、たった一年で、もうことしから増税、全体じゃないですよ、家計に何で負担をかけるのかということを言っているんです。これは、私は必ず景気が失速すると思っているんですが、どうですか、財務大臣。

谷垣国務大臣 今の御議論の前に、先ほど申しましたけれども、小渕内閣のときの六兆円の減税、それから、先ほどおっしゃった、昨年度、今年度、一・八兆、一・五兆の先行減税をやっているわけですね。その結果、日本は、租税負担率は世界でも一番低い国ですし、特に個人所得課税というのは非常に低い国になっております。(小泉(俊)委員「潜在的負担率ですか、何を言っているんですか。財務省の資料にはそんなこと書いてないよ。赤字国債を入れれば五〇%を超えているだろう」と呼ぶ)いやいや、赤字国債入れればと、それがすぐに家計に響いてくるというわけではありません。むしろ、減税をせよということをおっしゃるのならば、それはまた国債ということになりますから、ちょっとその議論をすると話があちこちに行ってしまいますのでね。だから、増税先行というのは当たらないと思います。

小泉(俊)委員 これは世界の有史以来の歴史といってもいいんですが、為政者というのは、取る前に与えよというのは当たり前なんですよね。それを、やはり長期的な視野で、確かにアメリカの大統領みたいに四年とか八年の任期はないわけですよ。二年に一人しか総理が出ない。今、非常に不安定な状況でありますので、これがころころ変わるところに長期的な経済政策とかがとれない本当の理由があるんだと私は思うのでありますが、しかし、その中でも、家計の問題だけで言っているんですよ、全体でなく。それで、先行減税、たった一兆八千億と言いながら、さっき私が言ったように、ことしから再来年にかけて五兆円を超える家計に負担を与える計画があるわけでありますよ。この短期的思考がやはり私はまずいんだと思うんですね。

 あと、竹中大臣も、では、家計にこういうことをやっても影響はないという、この前、マクロで、竹中大臣も、今、前の橋本内閣とは違ってきちっとそういう家計消費にも影響は余りないということを、前回の十三日の金曜日の質問のときに答えられていますが、お二人ともそれでいいんですか。

竹中国務大臣 ちょっと、今御指摘の点で、二点ぜひ明らかにさせておきたいことがあると思います。

 景気がよくなるとすぐ緩める、景気が悪くなると財政を出す、こういういわゆるストップ・アンド・ゴーの政策、これは場合によっては必要な場合がございます。しかし、小泉内閣では、骨太の方針でも明示しているように、そういうストップ・アンド・ゴーの政策はとらないようにしようと。現実問題として、多くのOECDの国でこういう政策をとっていないわけです。

 では、どういうことかというと、景気が悪くなれば、ある意味で自動的に税収が減る、それで赤字幅が広がる、こういう自動安定化装置、ビルトインスタビライザーを活用してやっていこうではないかと。そうでないと、どうしてもその判断のタイミングがおくれたり恣意的になったりして、やはり財政をゆがめる。そういうストップ・アンド・ゴーではない、これがまず第一です。

 一方で、財政そのものは、御指摘のように危機的な状況ですから、これはやはり十年でプライマリーバランスを解消していかなければいけない。これは中長期の目標としてやっていかなければいけませんから、これを避けてやると、これは一方で御指摘のように不安定な問題になるわけですよね。

 さあ、そこで、具体的な負担がどれだけかということは、極めて重要であります。これについては、少なくとも十六年度については、これはどういう積み上げをするか。プラスもあればマイナスもありますから、それはちゃんとネットアウトして考えていかなければならない。そういう作業を、経済財政諮問会議の「改革と展望」の中ではきちっとマクロと財政を整合的に見ようという形になっているわけです。

 したがって、今ちょっと五兆円とおっしゃったのが、今すぐには確認できませんが、九七年には、家計に対して約九兆円の負担をかけた、GDP比で二%ぐらいの負担をかけた。そういうものに比べますと、これはけたが一けた違います。今のは、これは、ある程度負担していただいて、プライマリーバランスの解消に向かわなければいけませんが、その負担というのは、当然のことながら、プライマリーバランスを解消していくわけですから、その分は、それは国民は負担といえば負担ですよ、しかしながら、九七年と比べるような水準ではない、けたが違う、そのように判断して政府経済見通しを立てております。

小泉(俊)委員 時間がちょっと限られているものですから、明確に質問にお答えいただきたいんです。

 今の大臣のお話、前回の十三日金曜日のお答えを今見ますと、マクロとミクロというのは非常にちゃんと今やっていると。ですから、私が言うような個人消費の冷え込みによる景気失速はないという御判断だと思うんですが、それでは、もしことしから、さっき私が言いましたように、一月から配偶者特別控除の上乗せ部分の廃止、四月から年金物価スライド制適用で年金支給額の減額、六月には住民税のアップ、十月には厚生年金保険料の引き上げ、そして、来年には年金世代への課税強化、平成十八年には定率減税の廃止が検討の段階とされている。もし、これをやって個人消費が冷え込み、景気が失速したら、これは責任をおとりになるんですか、竹中大臣。

竹中国務大臣 これは経済の、整合的な財政とマクロ経済の運営をしていく段階で我々はチェックをしているわけですから、それでその責任とか、そういうことではないと思っております。

 私はむしろお願いしたいのは、民主党はどのような経済見通しをお持ちなんでしょうか。そういうことを、それは政権があってもなくても出せばいいじゃないですか。それを示した上で、ではどこが違うね、それだったら、これはもっと議論が進むのではないかと思います。

 いずれにしましても、そういうことを我々は積み上げて、算出して、それを政府経済見通しに反映しておりますので、ぜひ、委員のお見通しなり民主党の見通しを示していただいて、一体どこが違うのか、これは大変いい議論になるのではないでしょうか。

小泉(俊)委員 個人消費が冷え込み、景気が失速しという影響はないということを言われているわけですよね。私は、大臣としては責任があると思います。これは、私たち議員とは、大臣、極めて重い責任がありまして、ぜひとも、その見込みが違った場合には、私は、責任とらないとやはりまずいと思うんですよね。それをはっきりまず申し上げておきたいと思います。

 あと、ちょっと時間がなくなってきましたので、厚生年金保険料の引き上げに関する問題に移りたいと思います。

 厚生労働大臣、平成十六年度の平年度ベースで、この保険料の引き上げによって、労使、一体幾らの総額増収になるのかということと、また、平均的男子被用者、月収三十六万円、ボーナス年二回、三・六カ月分ということですが、この場合、毎年幾らぐらいの負担増になり、最終的に年額幾らの負担をするようになるのかということをお答えいただけますか。

吉武政府参考人 厚生年金の保険料率の引き上げは平成十六年十月からでございまして、平成十六年度自身は〇・二兆円というふうに考えております。そのうちの半分が被保険者御本人でございます。それから、十六年度ベースで満年度化いたしますと、〇・五兆円という形でございます。(小泉(俊)委員「あと、平均的男子の被用者の場合は。数字だけでいい」と呼ぶ)

 平均的な厚生年金の被保険者、毎月の給与が三十六万円でございます。この方が、ボーナスが〇・三倍という形で計算をいたしますと、大体年額一万円でございます。

小泉(俊)委員 大体年額一万百円ずつ増加し、現行と十三年後というと大体十三万二千五百円増加するということだと思うんですね。

 私は、前回申し上げましたが、どうしてもお聞きしたいのが、実質給与が六年連続減少している。年収に占める割合というのは、教育費の割合は今もう三〇%を普通超えているんですね。住宅ローンの返済額も所得の二〇%を超える。家計がこれほど非常な段階、状態にあるわけですよ。なおかつ、この不景気で、大臣、これはこんなに急に上げて、家計がこの負担に本当に耐えられるという御認識なんですか。

坂口国務大臣 一七年にかけて上げていくわけでございます。したがいまして、人口統計というのはほかのものと比べますと比較的とりやすい。今までも違ったりもいたしますけれども、しかし、ほかのものと比べるととりやすい。そうした中で計算をいたしまして、一七年にかけて徐々に上げていくということでございますから、これは皆さん方に御計画をしていただく以外にないというふうに思っております。

小泉(俊)委員 今、大臣、余りテレビをごらんにならないと思うんですが、お昼のワイドショーは全部、年金ですよ。それで、いろいろな家計、五百万の世帯、七百万、一千万の世帯、実はこの年金の上昇によってほとんどみんな白旗が上がるというのを、よく家計の実態をもう少しきちっと認識をしていただきたいと私は思いますね。

 中川大臣においでいただいていますので、前回も質問をさせていただいたんですが、私はやはり、中川大臣、中小企業は、特に雇用の八割を支え、九九・七%を占める中小企業にとりましては、この保険料の値上げ、労使折半で半分ですけれども、これは本当に厳しいと思うんですね。実は、地元で、この社会保険のあれが払えずに泣きついてくる方たちが結構後を絶たないんですよ。それで、中小企業の立場に立ってこれを守れるのは中川大臣しかいないんですね、今政府で。

 この点につきまして、現実に中小企業というのは、この前も答えていただいたと思いますが、本当にこの負担に耐えられるんでしょうか。

中川国務大臣 政府で決定する前には随分と、もちろん政府部内で議論をいたしまして、私の立場からは、支える側、企業と働いている負担者の皆さん方がこうやって将来にわたって安定的にこの制度が維持できるかということに重点を置いて発言をしたわけであります。

 特に今の経済状況、冒頭からの、今の景気はどうだと。困っている地域、困っている企業、その中心が中小企業であり、その位置づけは今先生御指摘のとおりでありまして、特にそこに対する負担というかダメージが現時点において非常に大きいという認識は私も持っております。

 ただ、今後とも、そういう議論の中でそれぞれの立場でメンバーが結論に向かっていったわけでありますけれども、決してできないということでもありませんし、いろいろな要素がこれから中長期的にあるわけでございますから、十分に中小企業対策、活性化対策、再生対策をとりながら注意深く見守っていきたいというふうに思っております。

 決して中小企業を、この制度がスタートすることによって、この年金によって中小企業がおかしくなる、決定的におかしくなるということだけは絶対に避けたいというふうに思っております。

小泉(俊)委員 私は現実の企業経営者から国会に上がりましたので、実はこの負担はかなり重いです。これはやはり経営をされていないとなかなかわからないと思いますが、悲鳴に近い状況です。やったらわかりますから。

 それで、私は、将来の年金も確かに大切だが、今これを負担する世代自体が極めて、家計も企業も耐えられなく、立ち行かなくなる危険性があることを厚生労働大臣に指摘しておきたいと思います。

 そして、一つ問題でありますのが、これだけ負担を国民にかけると言っておきながら、今、地元で街頭演説等をやっていると、必ず寄ってきて言われることがグリーンピアの問題ですね。もうむちゃくちゃじゃないか、私たちの年金資金どうなっているんだと。損失三千五百億円ですよね。そして、言われているのが、だれ一人責任をとらないじゃないかと。こんな状態で、ここを解決しないでこういう負担を上げていくというのは間違っていると私は思うわけであります。

 ですから、これは厚生労働大臣にちょっとお聞きします。グリーンピアの建設計画から今まで、一体、何人の厚生省の官僚が旧年金福祉事業団に、現年金資金運用基金に天下って、総額幾らの役員としての給与と退職金を得たんでしょうか、厚生労働大臣。合計だけでいいですからね。

坂口国務大臣 これは、厚生省の企画官相当職以上で退職した者は二十一名でございます。それから、理事長の俸給は月額百九万二千円でございます。理事の報酬は月額八十九万。

 ちょっと合計してございませんけれども、そういうことでございます。(小泉(俊)委員「退職金は幾らですか、退職金総額。二十一名というのはどこ、年金福祉事業団の分だけじゃないの」と呼ぶ)グリーンピアの話でございますか。

 平成九年二月一日から平成十四年十二月九日まで約五年十一カ月在職した前理事長でございますと、三千三百万円でございます。

小泉(俊)委員 質問通告を全部してありますので。総額は幾らでしょうか、合計で。きちっと質問通告してあります。

吉武政府参考人 四十七年から二十二年間ということでございまして、今、古い時代のものもございまして、総額をお示しすることはできない状態でございます。

小泉(俊)委員 それは資料の提供を要求いたします。ちゃんと質問通告を全部細かくしてあります。しかし、出てこないんですね。数字があるはずですので、ぜひとも、この数字、資料を提出いただけますことを……。

笹川委員長 吉武年金局長、数字が出ないの。――もう一度。

吉武政府参考人 役員の給与につきましては、平成七年以降の給与の支払い額につきまして、支払いの帳簿が残っております。それから、退職金につきましては、三十年間、決裁を確認いたしまして、集計をいたしまして、お出しできると思います。平成七年以前の役員の給与につきましては、当時の役員の給与規程に基づきまして推計をいたしまして、計算をして、提出を申し上げたいというふうに思います。

 そういうことで、きょう御提出できないという状況でございます。

小泉(俊)委員 では、後で文書で出してくださいね。

 それで、坂口大臣、民間企業でもしグリーンピアみたいなこれほどの放漫経営をした場合には、まず、役員は全員、会社に対して商法上の責任を負います。そして、当然、株主代表訴訟の対象になります。そしてまた、会社債権者からも損害賠償の商法上の責任を負います。そして、場合によっては、商法上の特別背任の可能性も十分あるわけでありますよ。これだけのことをやって、これほど国民に年金の保険料を上げたりいろいろやるわけですね、課税強化とか。その中で、一体だれがどのような責任をとるようなお考えなんでしょうか、大臣。

坂口国務大臣 これは私も責任を感じておるわけであります。

 責任を感じておる理由は二つございまして、一つは、我々、私が当選をいたしました直後ぐらいのときには、ぜひそういう施設をつくれということを私も言った一人でございまして、そのころはそういう声がたくさんだったわけです、与野党を問わず。そうした中ででき上がってきたというふうに私は思っております。そういう意味で、私は一つ責任があるというふうに思っております。

 それからもう一つは、そういうふうにしてやりましたけれども、その中で、多くの皆さん方にそれは利益を与えた。確かに、年金に入っていただいている皆さん方に利益を与えましたが、そこに、経営を十分にできなかったということに対する責任は私はあると思っております。

 したがって、そこを、十七年でもうこれは処理をするということにいたしまして、その処理に現在入っているところでございます。

小泉(俊)委員 それは全然責任をとったことにならないんですよ。国民はそんなことを求めているんじゃないですよ。

 やはり、先ほど申し上げました、民間企業であれば、今まで、ここ五、六年でもありますよね、全員、役員をやった方は莫大な損害賠償請求を受けているわけですよ。何で国だけ、やりたい放題、退職金ももらい、給与ももらい、だれも責任、一人もとらないんですか。大臣、それで国民に負担を押しつけるというのは、私は、これは国民が納得しないと思いますね。もう一度お答えください。だれがどのような責任をとるつもりなんですか、大臣。(発言する者あり)そうだよ、退職金の返還とか給与の返還できるはずだ。

坂口国務大臣 これは過去の長い歴史のある話でございますから、どこから責任があって、どこから責任がない、なかなか明確に決めにくい話でございます。

 これは多くの皆さん方のそうした御意見を反映して今日を迎えているわけでございますので、この今後の処理について、国民の皆さん方の御意見に従って処理をするということが一つの責任のとり方だと私は思っております。

小泉(俊)委員 私は、まだこの点、追及を引き続きさせていただきますので、大臣、よろしくお願いいたします。

 最後に、時間がちょっとないんですが、包括根保証の問題につきまして、今、大変大きな問題になっています。

 同じ保証でも、全く限度額と期間の定めのない包括根保証によりまして、例えば、二百万円ぐらいしか保証をしていないのに二千万ぐらいの請求を受けられる保証人が今います。これが実は個人破産とか、非常に連鎖で数珠つなぎになる可能性が極めて高いわけであります。

 この点につきまして、法務大臣、御認識を少しお伺いいたします。

野沢国務大臣 委員御指摘のとおり、期間や金額に制限のない包括根保証につきましては、保証人が保証契約を締結する時点で将来負担することとなる責任額についての予測可能性がなく、過大な責任を負いがちであるとの指摘があることは承知しております。

 そこで、私は、先日、保証制度、特に包括根保証のあり方の見直しについて検討するため、法制審議会に対し新たな諮問をしたところでございます。今後は、同審議会において検討を進めていただき、本年中には結論を得て、必要な措置を講じたいと考えております。

小泉(俊)委員 時間を終わりましたが、何しろ、現実を直視して対策をとる、妄想であっては私はいけないと思います。現実をちゃんと直視してすべて経済政策をやっていただくことをお願い申し上げて、質問を終わります。

笹川委員長 これにて小泉君の質疑は終了いたしました。

 次に、長島昭久君。

長島委員 民主党の長島昭久です。民主党の安全保障部会を代表して質問をさせていただきます。

 さて、きょうは台湾の総統選挙公示日でございます。この台湾の総統選挙、余り報道されておりませんけれども、我が国の安全保障にとっては大変重要な出来事であるということは、もう御案内のとおりであります。

 きょう、ちょうど産経新聞に、中嶋嶺雄さんが一稿を投じておられます。「今回の選挙は、台湾の命運を左右する大きな意味を持っている。日本の国益にも関わる岐路になるかもしれない。」「台湾人の政党である民進党が勝つのか、中国人の政党である国民党が」政権を「奪回するのかという選択だ」「仮に民進党が敗北し、中国が期待する国民党・親民党政権が誕生すれば、李登輝前総統が十二年間にわたって蓄積してきた台湾民主化と台湾人としてのアイデンティティー深化の路線が大きく揺らぐことになろう。そうなれば、近年ますます強大化しつつある中国が台湾を呑み込むことにもなりかねない。」こういう大変示唆に富む御指摘をされておられます。

 せんじ詰めれば、今回の台湾の総統選挙というのは、アジアにおける民主主義の真価というものを問う大変重要な試金石であると同時に、この事態を、中国という、これから伸びていく、伸び盛りのこの大国がどう扱っていくのか、そういう事態にどう対応していくのか、中国の対外姿勢の成熟度も示す試金石になると思います。

 中国大陸から来た人たちではなくて、今、台湾の人口を占めている八割の台湾人による台湾人のための政権、台湾人の自由な意思に基づく政権づくりをしていこうという、この今回の大変意義深い――九六年に初めて李登輝政権が民主選挙を行いました。そして、二〇〇〇年には、日本も余りやったことのない政権交代をしっかり実現をしたこの台湾。今回、台湾人の民進党政権がどうなるかということは大変重要な、私ども日本にとっても重要だと思うんですね。そして、この台湾の民主主義については、私ども日本人の多くが心ひそかに応援をし、そして、その成熟ぶりに拍手を送ってきたと思います。

 一九七二年に、日中の国交正常化のときに台湾と断交をいたしまして以来、非公式な関係にとどまっておりましたけれども、非公式ながら、文化やあるいは経済の分野で日本と台湾は大きな交流を続けてまいりました。今や、人の交流だけとっても年間二百万という大変な交流がありますし、経済、貿易の総量で見ても、アメリカ、中国、韓国に次ぐ、日本の貿易相手国としては第四番目の相手国になっております。

 こういう台湾で行われる今回の総統選挙、今回、陳水扁政権は、総統選挙に合わせて、公民投票、我が国でいえば国民投票でありますね、公民投票をやろう、こういう発表をいたしました。ところが、この国民投票は中国から大変評判が悪い。アメリカもたしなめた経緯があります。

 再選を目指す陳総統がとった手段というのは、中国のミサイルの脅威、今中国は台湾に向けて四百九十六基のミサイルを射程におさめている。この脅威はもう尋常な脅威ではありませんね。私どもも明治の時代に、あのロシアの南下政策で相当な脅威をこうむった歴史的経緯がありますので、こういう強大な国がまさに両岸を挟んでいるということ。そして、そういう中で、ぎりぎりの立場で選挙をやる。そういう中で、このミサイルの脅威に対して台湾はどうしたらいいでしょうかという公民投票を陳水扁政権がやろうということ。

 これに対して、日本の外務省は待ったをかけましたね。なぜでしょうか。

川口国務大臣 台湾についてのことでございますけれども、まず、そもそも台湾に対する我が国の立場ですけれども、これは日中共同声明にあるとおりでございまして、二つの中国とか一中一台と言われる立場はとっていないわけでございます。台湾の独立も支持をいたしておりません。我が国としては、台湾をめぐる問題が当事者間の話し合いを通じて平和的に解決をされること、そのための対話が早期に再開をされるということを望んでいるわけでございます。

 それで、今先生が、待ったをかけたというふうにおっしゃられましたけれども、我が国としては、この公民投票の実施を含む台湾の動向につきまして、台湾海峡及び地域の平和と安定の観点から、我が国としてはこれを関心を持って注視しているところでございまして、昨年の末に、慎重な対処を希望するということを台湾側に申し入れたということでございます。

長島委員 それは、外務省が申し入れたということですか、日本国の外務省が申し入れたということでしょうか。

川口国務大臣 これは、日本政府として、相談をした上で、具体的に申し入れた人間というのは、交流協会の所長が申し入れたということでございます。

長島委員 申し入れの内容について、もう少し詳しく説明していただけませんか。

川口国務大臣 これはまず、大きく言って二点ございますけれども、最初に、台湾に関する我が国政府の立場は、日中共同声明にあるとおりであり、我が国としては、台湾をめぐる問題が当事者間の話し合いを通じて平和的に解決されること、そのための対話が早期に再開されることを強く期待しているということです。これが一点目です。

 それから二点目ですけれども、しかし、最近の陳水扁総統による公民投票の実施や新憲法制定等の発言は、中台関係をいたずらに緊張させる結果となっており、我が国としては、台湾海峡及びこの地域の平和と安定の観点から憂慮している。我が国としては、現在の状況が今後さらに悪化することは回避する必要があると考えており、陳総統が就任演説で行った「四つのノー、一つのない」を遵守され、この地域の平和と安定のため慎重に対処をしていただくことを希望する、そういうことでございます。

長島委員 重大な問題が二つありますね。

 正式な国交のない日本と台湾であります。これは大変不幸な歴史がありました。にもかかわらず、日本政府が外交チャンネルを通じて台湾に向かってああだこうだと言うということは、これは公式なチャンネルじゃないんでしょうか。

川口国務大臣 交流協会の所長、台北事務所長から申し入れたというふうに先ほど申しましたけれども、交流協会というのは、日台間の交流を円滑に進めていくための民間ベースの実務処理機構ということで、台湾の各方面との間で協議、交渉を行っているということでございまして、このこと自体、これは日中共同声明に反するものでもなければ、こういうことを行うということについては問題はないと思います。

長島委員 本当に問題ないですか。台湾のどなたに交流協会の所長から、私、手元に持っていますよ、我が国政府の立場を伝達したと。文化交流や経済交流なら問題ないんです。極めて政治的な、高度な政治性のある問題について、外務省は我が国政府の立場を交流協会の所長を通じて台湾のどなたに伝えましたか。

川口国務大臣 この相手方でございますけれども、邱義仁総統府秘書長であります。

長島委員 台湾の場合はちょっと名称がわかりにくいんですが、総統府秘書長というのは官房長官であります、日本の国に例えてみれば。これは立派な公式チャンネルじゃないでしょうか。公式チャンネルの行使をしたということをお認めになりますか。

 もう一言申し上げましょう。交流協会のカウンターパートは本来、亜東協会じゃないですか、台湾の。本来のルートだったら、カウンターパートである亜東協会に一言言えば済む話じゃないですか。それを飛び越して、わざわざ相手様の官房長官に当たるような方に申し入れをした。これは全然問題ありませんか。

川口国務大臣 交流協会は、日台間の交流を円滑に進めていくというための組織でございまして、この交流協会が今回行ったようなルートでこういう種類の話をするということは、問題があるとは考えておりません。

長島委員 これは問題大ありですよ。中国だって戸惑っているんですよ。中国は、申し入れをした次の日に、よくやったというような外務省のコメントを出しているんですね。しかし、その後、待てよと。これは公式のチャンネルを使ってやっていることじゃないだろうかということで、かなり中国も戸惑っているそうなんですが、全く問題ないと本当にお考えですか。

 それから、ほかにこういった政治的な問題に、七二年に断交してから、政治的な問題に日本国政府の意思をこういう形で伝達した前例はありますか。

川口国務大臣 中国の反応でございますけれども、これについては、トウカセン国務委員、王毅外交部副部長を初め、中国政府からは、日本政府の態度表明を評価するという反応が出ております。そして、交流協会から申し入れたということ自体は、日中共同声明との関係で、これに反するものではないと考えております。

 それから、こういうような問題について申し入れたことが今まであるかということでございますけれども、何をもって政治的な問題かということにもよりますが、例えば、これまでも交流協会を通じまして、漁業の問題、排他的経済水域の問題ですね、そういうことについては台湾側に対して我が国の立場を申し入れているということでございます。

 ただ、他方で、地域の平和と安定に関する問題、地域の平和と安定という観点から日本の立場について台湾側に申し入れたということは、今回、初めてであります。

長島委員 そうなんですよ。本当にこれは政治的には大変高度な問題なんですよ。しかも、この公民投票というのは総統選挙と一緒にやるんですよ。これはあからさまな選挙干渉じゃないですか。内政干渉であると同時に、選挙干渉に当たるんですよ。そういう効果について、どれだけ政府の中で議論があったんでしょうか。

川口国務大臣 まず、これにつきましては、台湾海峡及び地域の平和と安定という観点から、我が国の主体的な判断に基づいて申し入れたわけですけれども、これにつきましては、政府としての意思決定を行った上で行っております。(発言する者あり)

長島委員 今、いい質問が後ろから飛んでいますけれども、どういう形の政府の意思決定がなされたのか、御説明ください。閣議ですか。決定の責任者がだれか、あわせてお答えください。

川口国務大臣 これはきちんと、官邸も含めて、決裁をいただいております。

長島委員 これはぎりぎり突っ込んでいってもいいんですけれども、もう一つの問題に行きましょう。

 中台関係をいたずらに緊張させる結果となったというんですね、この公民投票の実施や新憲法制定などの発言というのが。中台関係をいたずらに緊張させるとはどういうことですか。具体的に説明してください。

川口国務大臣 九六年の選挙のときのことを思い起こしていただきますと、このときは、米国が空母を派遣し、そして中国がさまざまな行動をとった、そういうような事態があったわけでございます。

 こういったその地域の平和、台湾海峡及び地域の平和と安定に関しての、その観点からこのことを注視しているという国は我が国だけではございませんで、例えば米国につきましてもそれからフランスにつきましても、それぞれこういうような趣旨の意見の表明ということをやっております。

長島委員 今、アメリカとフランスもやっているから日本もやるんだ、こういうお話がありましたけれども、フランスは、ほとんどこの地域に対して関心はありませんから問題外だと思いますけれども、アメリカは、外務大臣も御存じのように、もし一たん緩急あれば、中国が武力行使に出てくるような事態になれば最後まで責任をとるという台湾関係法があるんですよ。独立は許さないとは言いながら、もし中国側が武力行使をしてきた場合にはアメリカが飛んでいって助けると。

 あのブッシュ大統領も、温家宝首相が行かれたときに、例の、今回は現状を変更するようなことになりかねないから慎んだ方がいい、そういう発言をした。その同じ文脈で、もし中国が武力行使に出るようだったらウイ・ウイル・ビー・ゼアと言ったんですよ。我々はそこに駆けつけるだろう、そういう言い方をしているんですよ。アメリカは最後まで責任をとる覚悟と能力があって介入しているんですよ。日本は空手じゃないですか。

 しかも、九六年の話を今前例として引かれましたけれども、九六年のときだって、我が国は耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍び、沈黙を破らなかったんですよ。

 今回沈黙を破った緊急性、どういう理由で九六年の当時あるいは二〇〇〇年の当時と違うのか、今回どこに緊急性があったか、説明してください。

川口国務大臣 九六年の時点でも同じようなことがあったわけでして、公民投票ですとかそれから新憲法制定の動きとか、同じような動きがあったということでございます。

 それから、先ほど、アメリカのケース、アメリカは最後に責任をとるつもりだからというふうに言われましたけれども、アメリカが何を言っているかといいますと、これは、中台いずれの側であろうと、現状を変更するいかなる一方的動きについても反対である、台湾指導者による最近の言動は現状の変更を一方的に決定しようとしている可能性を示すものであり、米国はこれに反対である。最後は、おっしゃったような形で、最終的に、いろいろなことができるアメリカですら、こういうことを言っているわけでございます。

 我が国としては、台湾というのは我が国のすぐ近くに存在をする地域であって、ここが、台湾海峡が平和、安定であるということは我が国の平和と安定に密接な関係を持っている、非常に強い影響を持っているわけでございます、という観点で我が国としては申し入れたということでございます。

長島委員 おっしゃることを伺っていると、アメリカが、現状変更は許さない、だから慎んでほしいと言うその理由づけを外務大臣も正しいと思っておられるようなんですが、公民投票をやることがなぜ現状を変更することにつながるんでしょうか。御説明ください。

川口国務大臣 九六年の例を申し上げましたけれども、台湾海峡あるいはその地域の平和と安定と言っていますのは、今回起こったようなさまざまな動き、あるいは前回起こったようなさまざまな動きということの観点からしますと、まさに、公民投票あるいは新憲法制定の動きということがもたらし得る結果、これを懸念しているということであります。

長島委員 どういう結果ですか、はっきり言ってください。皆さん、国民もこれはインターネットを通じて見ているんですから。どういう結果がもたらされるのか、明確にお答えください。

川口国務大臣 まさに、先ほど申し上げましたように、九六年のときに起こった台湾海峡をめぐる緊張、そういうことを見れば、そういうことが再来をするということは望ましくないということであると思います。

長島委員 私たちも民主主義の国に住んでいるわけですね。民主主義の要求というのはブレーキがきかないんですよ。公民投票をやるというのは民進党結党以来の党是なんですよ。その民進党を台湾の人たちが選んだんですよ。したがって、党是に基づいて公民投票をやろう。

 今回、公民投票の問題で外務省は茶々を入れました。これから永久に、こういう問題になったら積極的に介入していくようになるんですか。それも一つの手ですよ。それも一つの道ですよ。今回、大きな方向変換をしたんでしょうか、お答えください。

川口国務大臣 どういう状況で他国に物を申し入れていくか。これは、そのときそのときの状況によって総合的に判断をしていく話であるというふうに考えております。

長島委員 もうこれは、ぬえのように逃げ回るだけなんで。でも、この部屋におられる皆さん、あるいはインターネットを通じてこのやりとりをごらんになっている皆さんは、恐らく、相当重要な問題が起こっているなということを感じていただいたと思うんですね。

 はっきり申し上げて、現状を変更しようとしているのは中国ですよ。四百九十六基のミサイルを、毎年五十基から七十基ずつふやしてきているのは中国ですよ。台湾の人たちがやっていることは、民主主義をそのまま深化させていこう、公民投票もやろう、自分たちの憲法をつくってみよう、これは自然な発露じゃないですか。日本は、実力も能力も意思もないのに、今回のような火遊びはやったらいけないんですよ。沈黙するというのも、あるときには必要な外交手段だと私は思います。

 私たちにとって、中国にとってもアメリカにとっても日本にとっても一番重要なことは、現状を維持することです。だからアメリカはあいまい政策をとっているんですね、どういうときに介入するかわからない、でも、最後の一線を越えたら我々は踏み込むかもしれないという。

 この現状維持というのは、今の中国と台湾との関係、先ほど私が申し上げました、中国がどんどんどんどん国際社会で大きくなっていく、経済も大きくなっていく、両岸の交流もある、このまま何もしていかなかったら、どんどんどんどんのみ込まれるトレンドなんですよ。海の上に小さな小舟を浮かべて、こがなかったら、どんどんどんどん潮の流れに任されて移動していくじゃないですか。台湾が今やろうとしていることは、そういう現状を何とか維持し続けるために、彼らなりの努力をしている。

 それを今回の、まさに浅はかな、川口大臣が恐らく責任者だと思いますけれども、こういうことでそれを逆の方向へ振らそうとしてしまったということを、ぜひ責任を痛感していただきたいと思います。

 時間がないので、次の質問に行きたいと思います。

 次は、防衛庁長官、BMDの問題について質問をしたいと思います。

 民主党は、ミサイル防衛システムについては賛成をしております。これは専守防衛にかなうということで、昨年十二月十九日の閣議決定後の民主党の談話、松本ネクストキャビネット防衛庁長官も、これを評価する、こういうふうに記者会見で申し上げております。

 ただ、この十二月十九日の閣議決定で整備が決まったBMDは、九〇年代の半ばぐらいからでしょうか、私たちが聞かされてきた日米共同のBMDという、ずっとそういうことで日本は、日米が共同でやってこよう、そして調査研究から入って、やがては開発、生産、一緒にやっていこう、こういうことで、もう既にこの五年間で百五十億以上、調査研究費につぎ込んできましたね。

 ところが、今回、私もちょっと唐突感が否めなかった。マスコミの報道を見ても、大分混乱しておられるようだ。その日の閣議決定の書面を見ると、これはアメリカとの共同研究とは関係ないんだ、日本独自のBMDなんだということを言っております。この辺は、ちょっと私も、賛成する立場ではあるんですが、多少透明性の観点からいって問題はないだろうかと思うんですが、防衛庁長官、いかがでしょうか。

石破国務大臣 先生が御指摘の報道を私ちょっとよく存じませんが、日本独自のバリスティック・ミサイル・ディフェンスであるということを政府として申し上げたことはないだろうと思っております。もしあれば御提示をいただければありがたいのですが。

 先生に御指摘いただきましたように、日米共同研究というものは、今三つやっております。ノーズコーン、キネティック弾頭、あとはロケットモーター、こういうものをやっております。この三つの研究というものと今回のBMDというものは、直接連関をするものではございません。

 この三つの研究成果がやがて結実をするということがある。それはそれとして研究から開発に移っていくということも、それは将来的にあることかもしれません。これまた慎重な配慮を要することではございますけれども。しかしながら、それは今研究段階であるわけです。政府として、開発に移行するとかなんとか、そういうようなことを決めておるわけでも何でもございません。それで、今回導入をしようとしておりますのは、その研究の結実の進捗とこれはかかわり合いなく導入をするものでございます。

 しかしながら、このBMDシステムというものに日米共同研究の成果というものが反映をするわけではございませんが、委員が唐突の感を受けたとおっしゃるように、あれとこの話との関係はどうなるんだということをお尋ねいただくとするならば、それはやはり、今回BMDを予算に計上するに当たりましても、相当に慎重な検討というものを行い、安全保障会議において決したという種類のものでございます。そこにおいて、いずれにいたしましても、この新しいような配備をいたしますときには、政府部内において慎重な検討の上に決定を行ったものでございます。そして、今予算において御審議をいただいておるというものであります。

長島委員 確かに慎重な御議論があったんでしょう。そのことの是非についてはまたおいおい伺っていこうと思っています。

 私が独自BMDと申し上げたのは、二つのタイプの、PAC3と言われている地上発射型の今のペトリオット2をもう少し進化させた形のものをアメリカ側から購入してくる、それから、今あるイージス艦というプラットフォームを使って、これもスタンダードミサイルのもう一つ進化したものを改修工事を通して購入しよう、こういうことでありますね。それで、私が独自と言ったのはどういうことかというと、これは官房長官談話、きょう官房長官いらっしゃっていればよかったんですが、集団的自衛権との関係について触れているくだりで、今回のこの閣議決定したシステムというのは「我が国自身の主体的判断に基づいて運用し、第三国の防衛のために用いられることはないことから、集団的自衛権の問題は生じません。」これが独自と私が言ったゆえんの一つであります。もう一つは、ここもまた後々議論しなきゃいけないんですが、「なお、システム上も、迎撃の実施に当たっては、我が国自身のセンサでとらえた目標情報に基づき我が国自らが主体的に判断するものとなっています。」

 これは、もうちょっとかみ砕いて言うと、今までは、日米共同のBMDは、さすがに、日本も偵察衛星を上げますけれども、相手のミサイルが発射するときをとらえる早期警戒情報というのは、これは今持っているのはアメリカとロシアだけですから、ここはアメリカに頼りましょうという意味で、どんなに日本で頑張っても、早期警戒情報をアメリカに頼るわけですから、ここは独自のBMDはあり得ないんですね。

 ですが、今回のこの官房長官談話には、独自のセンサー、我が国自身のセンサーでとらえた目標に向かって、目標情報に基づき我が国みずからの主体的判断でというと、これはもう自己完結するんですよ。これを独自と呼んで誤解を招きますか。

石破国務大臣 失礼しました。そういう意味で言えば、独自です。

 今の、私が委員の質問を誤解して申しわけなかったのですが、御指摘のように、パトリオットにいたしましても、イージスのVLSから発射しますスタンダードミサイルにいたしましても、これが独自の技術だというわけではございません。しかし、自己完結という意味で申し上げれば、それは独自という言い方を使えば、そういう意味で使えばそういうことになるんだと思います。

 委員がまさしく御指摘になりましたとおり、これは私の知識でも十年ぐらい前の議論になりますが、いわゆる周回衛星で監視をし、そして静止衛星の赤外線探知システムによってそれがどこへ飛んでいるかというのを行い、そしてまたキューイング等々を行いということで、日本だけではできないのではないかという議論がございました。静止衛星を持たなければ、周回衛星だけでは意味がないので、自己完結しないのではないかという議論は、当庁内でも随分といたしてまいりました。

 これが、私どもの独自のセンサーに基づいて、少なくとも、最低限という言い方は適当ではないですね、我々の独自のシステム、センサーを含みますが、それによって、かぎ括弧つきで申し上げれば、独自の運用ができる、そういう態勢にあるということを申し上げておるわけでございます。

長島委員 独自でやられるというのは、それはそれで一つの方法でありますから、私はそこをとやかく言うつもりはないんですが、日米共同、日米共同と言ってきて、今回こういう形でちょっと唐突に出されて面食らった方がたくさんいらっしゃると思ったんで、その辺は確認をしておかなければならないと思ったんです。

 そこで、一つ懸念があるんです。

 日米共同、日米共同と言ってきて、だれの言葉かちょっと引用は忘れましたけれども、このBMDというのは日米同盟の共同行動において象徴的なものである、こういう言葉を言った方がおります。実は、マイケル・グリーン、大臣もよく御存じだと思いますが、私、昔一緒にワシントンで仕事をしたことがありますけれども、彼が本に書いているんですね。日本は、BMDのオプションは幾つかあるよ。全く何もしないこと、これも一つのオプションである。それからもう一つは、米国の配備だけでは不足する分を埋めるような配備の仕方があるだろう。それからもう一つは、米軍基地の防衛システムと重複して日本全土を防衛するようなシステム、つまりアメリカ側のやってくるMDと重複はいとわないんだ、日本は日本で勝手にやるんだ。こういう三つの方法がある、こう彼は書いたことがあるんです。

 そういうことからすると、三番目の道を選択しようとされているのか。それとも、さっきちょっと長官おっしゃいましたけれども、行く行くは、今、もうこれまで百五十億つぎ込んできた調査研究をやっているあの四分野、これについての成果を何らかの形で取り込んでいくような、あるいはその成果物として最終的にフュージョンするようなそういう方向、つまり、今回発表された独自BMDが日米が離れていくような契機になりはしないかということを私は少し、いや、それはそれで、もしそうであれば、それは国の判断としてはあり得ると思いますよ。だけれども、そういう契機になるのか、それとも、いやいや、将来構想はこうなっていて、こういう形でフュージョンするんだということを、もしマスタープランがあれば、ここで御説明いただければありがたいと思います。

石破国務大臣 そのマイケル・グリーンの論文は、私も何度か読みました。グリーンともそういう議論はいたしたことはございます。

 これは、どんどん離れていくという方向にはもちろんなりません。そのことは委員もよく御案内のとおりであります。ただ、アメリカからの情報がなければ全く運用できないシステムなのかといえば、それはそうではないということでございます。

 もちろん、日米同盟関係において全幅の信頼を置いているわけではございますけれども、それじゃ、もう情報衛星も要らないではないか、そういう議論も一時期ありました。何で日本が情報衛星を上げなきゃいけないんだ、そんなものはみんなアメリカが教えてくれるよということも議論としてはないわけではなかったのです。しかし、やはりきちんと情報は自分で持とう、そして、ミサイル防衛システムというのも自分の国で完結できるようにしよう、そういう努力をいたしてまいりました。しかし、そのことはアメリカ合衆国との距離を置くということを意味するものでは全くございません。

 そして、今委員も御案内のとおり、やっております研究というのは、これは次の段階、さらにミサイル防衛システムを確実なものにしていくために、それぞれの内容について個々に申し上げることはいたしませんが、スパイラルアプローチの中でさらにシステムとして完成度を高めていく、その中でやっておることでございます。

 したがいまして、お互いの、日米同盟においてこのミサイル防衛システムがさらにその信頼性を高めるべく両国とも努力をしておる、これはさらに継続していくべきものと私は考えております。

長島委員 その心意気やよしなんですが、この独自BMD、相当コストがかかりますね。諸説入り乱れているんで、現段階の正確な予測値をお伺いしたいんですけれども、ある報道によれば、七年から十年で一兆円を超える、あるいは五年で八千億から一兆円。これはもう膨大なコストですけれども、正確な見通しをお聞かせください。

石破国務大臣 まさしくおっしゃるとおり、諸説ございます。今の時点で、さてさてこれから先、一通りのシステムを導入するのに正確なお金を出してごらんと言われると、これは極めて難しいものでございます。

 委員御指摘のように、八千億から一兆円と巷間、巷間という言葉を使えば八千億から一兆円というふうに言われておるわけでございますけれども、昨年末の閣議決定「弾道ミサイル防衛システムの整備等について」を踏まえ、平成十六年度からその整備に着手する、自衛隊の既存の組織の抜本的な改革、効率化を行いつつ防衛力整備を行ってまいりたいというふうに考えておるわけでございまして、今の時点で大体幾らぐらいかかるのかなということについて、正確なお答えをすることは難しいものと思います。

長島委員 でも、防衛庁が記者に発表した数字でしょう、この五年で八千億から一兆円というのは。先日もたしか、民主党で説明をしていただいたときも、そのような数字だったというふうに記憶しておりますが、お認めにならないんだったら大体その辺だろうということだと思うんです。

 さっき私が不透明と申し上げたのは、本来の順序からいったら、今少し長官おっしゃいましたけれども、これだけ大きなコストをかけて新しい兵器体系を導入する、そしてそれにつれて別の部分を削減しなきゃいけない、これは物すごい思い切った荒療治でありますね。それなら、ことしの末に予定されている大綱の見直し、これを先にやって、そしてそれを受けてMD、日本独自のBMDをある意味で整備することを決定するのが筋だと思うんですけれども、何か特別の緊急性、もちろん北朝鮮の脅威、ミサイル脅威、これは緊急性の一つだと思いますけれども、そういう筋道をひっくり返してまでやる、その理由をお聞かせください。

石破国務大臣 これは、今の大綱と論理的に矛盾をするかといえば、そういうものではございません。今の大綱の中でも当然読み切れるものと考えております。

 それで、何が変わったのかというふうなお尋ねにお答えするとするならば、一つは、ミサイル防衛の精度というものが格段に上がったということが言えるだろうと思います。十年ぐらい前にこのミサイル防衛を議論しておったときは、まず、そんなもの当たるのかねという話がございました。本当にそんなもの当たるのかという技術的な検証の問題です。そういう議論がございました。

 これは、おととしの十二月に私がラムズフェルド長官と会談をいたしましたときに、これから大統領とともに例のスパイラルアプローチの発表を行うということがございました。これは、ハワイにおいてレークエリー等々使いまして本当にずっと実証してきて、本当に当たるんだということでございます。当たるも当たらないもわからないということではなくて、相当の高い確率をもって当てることができる、そして、それはシステムを複合することによってさらにその確実性が高まる。

 何が変わったかと言われれば、それが一番の大きな変化だというふうに私は思っています。

長島委員 技術的な問題についてはまた追ってやりたいと思いますし、また法制度も変えていかなきゃならないところがたくさんあると思うので。

 今、その一兆円から成る財源をどうするんだ、どうやってやるんだ、こういう疑問が次にわいてくるんです。

 確かに、ちょっとさっき長官がお触れになったように、閣議決定では、「新たな安全保障環境やBMDシステムの導入を踏まえれば、防衛力全般について見直しが必要な状況が生じている。」これは、言ってみれば抜本的な装備体系の見直し、こういうことが伴われるわけですね。正面装備を相当削らなかったらできない。あるいは、自衛隊の陸海空、これを人員も含めて相当ドラスチックに変えていかなきゃいけない。

 これはアメリカで言うトランスフォーメーションになると思うんですけれども、あのラムズフェルドの剛腕をもってしても、このトランスフォーメーションはかなり四軍の反発を招いてにっちもさっちもいかなかった、そういう経緯がありますね。九・一一があったからどんと予算がつきましたけれども、あの二〇〇一年の夏ぐらいまでは、軍とラムズフェルドを中心とする文民とのせめぎ合いが相当あって、せっかくいろいろなマスタープランが出ましたけれども、思うように進まなかった。

 長官はこれを今度やろうというんですよ。石破長官が、今回のBMDの開発に伴って、物すごい勢いで自衛隊の三軍を絞っていって、そこから費用を捻出していくわけですけれども、時間がありませんので、陸海空全部のビジョンじゃないですけれども、ビジョンめいたものがあったらお聞かせいただきたい。それから決意のほどを、トランスフォーメーションをやられるという、軽量化していく、柔軟な軍隊をつくっていく、こういうところの見通しをぜひ御説明いただきたいと思います。

石破国務大臣 これまた委員と時間をいただいてきちんと議論をさせていただきたいと思います。

 考え方は幾つかありまして、一つは、こういうBMDを導入するのだから別枠にしたらどうだという議論がありました。そのようなことはできません。それを別枠にすることによって、それでは本当に中の改革ができるのかといえば、それは違うでしょう。しかし、BMDの導入をするだけの金をそれぞれが削りなさい、愛の共同募金みたいな方式でみんながそれぞれ出しなさいみたいなことも、これは全然理屈の通らない話になるわけです。それはそれ、これはこれということだと私は思っています。結果としてどうなるかということが大事なのだと思っています。

 一言で申し上げれば、きのうの安保委員会でも申し上げたことですが、これは失笑を買う部分もあるのですけれども、あえて申し上げれば、存在することに意義がある自衛隊から機能することに意義がある自衛隊にということになるんだろうと私は思っています。陸海空ともそのようなことで見直していかねばならないのだろう。

 そして、それは、防衛白書にも書いてございますけれども、いかなる懸念が我が国の周辺にあるのかといえば、ポスト冷戦で随分変わった、ポスト九・一一で随分変わったというふうに考えております。それが陸海空ともそれに対応したものになるのかどうか。しかし同時に、私どもは、防衛力を整備しますのに、構想段階から実際に配備をいたしますまでに、急いでも十年かかります。これは要らないというものが仮に仮にあったとしても、それは耐用年数が残っている限り捨ててしまうわけにはまいりません。

 そういうような非常に難しい中にあって、何が納税者に対して一番誠実であるのかということは、きちんきちんと陸海空、検証していかねばならぬであろう。そこに戦車があり、そこに護衛艦があり、そこに戦闘機があればそれでよしというものではなくて、それぞれが何を機能として果たすのかということについて、きちんと検証していかねばならない。それは、議会においてもそういうような御議論をぜひ賜りたいと思っておるところであります。

長島委員 政策の中身についてはまた安保委員会でぜひやりたいと思いますが、せっかく中川大臣お見えですので、武器輸出三原則についてちょっとお聞きしたいと思うんです。

 先ほどスパイラルアプローチという耳なれない言葉が石破長官のお口から出てこられました。これは、私が解釈するに、研究開発、量産、配備という、この間をただ単線的にいくんじゃなくて、いい技術があったらすぐ開発に回し、開発から量産に回す、こういうスパイラル運動でやりとりをしていこう、こういうことだと思うんですが、アメリカと共同研究をやっているうちはいいんですけれども、開発から生産に入ってくると、当然のことながら武器輸出、今まではアメリカに対しては技術だけはいいよということだったんですけれども、部品そのものがアメリカ側に移転するという可能性が出てきているわけです。

 例えば、これは石破長官もよく御案内のとおりだと思いますが、アメリカがヨーロッパと一緒につくったジョイント・ストライク・ファイターというのは、もうデザインの段階から各企業の人たちがヘッドクオーターに入って、そして生産までずっと研究、検討、開発を続けていく。そういう手法で、何と、日本が今保有しているF2の約半分のコストでジョイント・ストライク・ファイターをつくっているんですね。

 今、石破長官から、納税者に対する責任、こういうお話がありましたけれども、今までのようなやり方、つまり少量生産、これも石破長官の委員会での発言の中にあるんですけれども、一時期は、日本の戦車一台でアメリカの戦車六台買えるよというような、こういう嘆きにもつかないようなお話がありましたけれども、産業界の立場から、つまり、技術革新を維持していかなきゃならない、あるいは、本当に最善の技術をいろんな国々から持ち寄っていかなきゃならない。

 今、中国の脅威が叫ばれていますけれども、日本の先端技術、付加価値の高い技術を取得していくためには、この武器輸出三原則の問題というのは避けては通れない問題だと思うんですけれども、その辺、産業界を相手にしておられる経産大臣の方から御所見を伺いたいと思いますが、よろしくお願いいたします。

中川国務大臣 私は、貿易管理という立場から武器輸出三原則についての御質問があったものと思っております。

 長島委員御承知のように、昭和四十二年ですか、佐藤内閣のときに、平和国家として、紛争等を助長するようなことのないようにという目的で三原則というものはできたわけであります。その後、昭和五十一年とか五十八年の、当時の内閣で若干その内容が少しずつ変わってきておるわけであります。

 今、BMDに関して防衛庁長官といろいろやりとりがあったことを拝聴しておりましたけれども、やはり時とともに、国会の御議論等をいろいろと踏まえながら、最終的には国会と内閣とでその時点での最良の選択というものがあるんだろうと思いますけれども、現時点におきましては、この昭和五十一年の武器輸出三原則の原則に基づきまして、日米間においては、共同研究、技術供与という段階であるということが現時点での状況でございます。

 産業振興とかそういうこともございますけれども、輸出管理という立場からは、そういう考えで現時点ではおります。

長島委員 これは大変難しい問題だと思います。兵器の輸出国にならないという、これは一つの大きな私たちの決意でもあります。しかし、そうであるがゆえにコストの高いものを国民の税金で買わざるを得ない今の状況というのもまた悩ましいものがあるし、それが日本の産業の技術力の前進を、もし足を引っ張っているとすれば、これもまた一つ大きな問題だろうというふうに思います。

 この論点の最後として、石破長官の本音の御所見を伺いたい。

 というのは、佐藤内閣のときに決められたときは、さっき中川大臣がおっしゃったように、紛争当事国に兵器を売らないという原則だったはずなんですね。それを三木さんが、三木首相が出てこられたときに、まあ、これも多分与野党のいろんなやりとりの中で決まってしまったんだろうと思いますが、あらゆることを禁止したというような、「慎む」という表現ですけれども、ということになっておりますが、官房長官談話の中でも、これから整理する問題があるというような発言もありますけれども、ちょっと方向性について一言お伺いしたいと思います。

石破国務大臣 政府としての立場は、今経産大臣から御答弁があったとおりでございます。

 これは、そもそも憲法の精神にまでさかのぼってという非常に重いものでございます。そしてまた、委員が御指摘になったように、我が国が世界じゅうに武器を売りまくって、いわゆる死の商人になって紛争を助長するとか、そのようなことは絶対にしてはならないのだという極めて重いものであります以上は、やはりこれは国会の場において、納税者の代表たる先生方の間でいろいろな御議論があるべきものではないかと私は個人的に考えております。

 ただ、申し上げれば、自由民主党として、私は、大臣になります前に、国防部会でいろいろな議論をいたしておりました。そのときに、当然、憲法に基づくそういうものは重視をしながら、今御指摘のようないろいろな歴史的な経緯も踏まえてどうすべきなのかという党としての議論はありました。

 そして、昨年のことであったと思いますが、参議院において、御党の議員から、例えば、東南アジアの海軍能力が非常に弱い国々が、海賊退治についてそういうような日本の古い船が欲しいというものについて、それも出せなくていいのかという御提起がございました。

 要は、どうやって平和を構築するかということであります。どうして納税者にこたえるかということであります。委員が御指摘のように、日本の科学技術力もございましょう、納税者の御負担の面もございましょう。したがいまして、外国のものを買ってくればそのまま安いということにはなりません。どの国も、自分の国の納税者の血税を使って開発したものを安く外国に売るなんてお人よしの国はありません。そのこともよく理解をしながら、やはり政府としてはこのことには極めて慎重であります。

 しかしながら、納税者の代表たる議会において、本当にどうなのだろうという議論はこれから先なされるのかな、それがあったときに、価値観を交えずにインフォメーションを御提供する責任は当然政府としてはあると考えております。

長島委員 またこれも引き続き議論をさせていただきたいと思います。

 もう残りも少なくなってしまったんですが、三番目の論点に行きたいと思います。沖縄の在日米軍基地の問題であります。

 きょうの毎日新聞にも出ておりましたが、数日前の毎日新聞にも出ておりました、沖縄タイムスにも出ておりました、これは、代替なしで普天間返還。

 つまり、九六年の日米安保新宣言を橋本首相とクリントン大統領の間で交わしたときに、普天間基地を代替施設に移設する、そして普天間の返還をする。この写真にもありますように、もう本当に住宅と隣接をした大変危険な基地であったわけです。今回、ラムズフェルド長官が日本に来られたときに、恐らく上空から見たんでしょう、これはひどいという恐らく印象を持たれたんだと思います。私の選挙区の横にも横田基地というのがありますけれども、あそこも住宅街の上をいろいろな飛行機が飛んでいくわけです。

 この毎日新聞がいわばスクープをした、普天間の移設なしに返還をするというアイデア、これは大臣としては信憑性も含めてお答えいただきたいと思います。

川口国務大臣 まず、米国からそのような申し入れを受けたということはないということでございます。

 それで、政府の考え方といたしまして、これは何回も御説明を申し上げていますけれども、普天間の移設、返還という方針、これは平成十一年の末に閣議決定をして、キャンプ・シュワブ水域内名護市辺野古沿岸域、そこを移設候補地とするということを閣議決定しているわけでございまして、この閣議決定に基づいて、今、地元の公共団体の方々ともお話をしながら、代替施設建設協議会で議論をさせていただいているわけでございまして、今後とも、この閣議決定の方針に基づいて、普天間飛行場の移設、返還の問題に全力で取り組んでいくという方針に変わりはないわけでございます。

長島委員 この毎日新聞はいいことを書いているんですよ。「代替施設の計画見直しに」つまり、アメリカ側からそういう話があったにもかかわらず「政府の腰が重いのは、「条件なし返還」が在日米軍削減のきっかけとなり北朝鮮問題などを抱える東アジアの不安定化につながる、との懸念が強いためだ。」これは正しい報道でしょうか。

川口国務大臣 我々といたしましては、これは、日米安保条約に基づいて米軍がこの地域、日本及び極東の平和と安全ということに対して役割を果たすということは重要であるというふうに考えているわけでございます。この方針について、米国からも、きちんとそういうことをするということを、話は聞いているということであります。

長島委員 しかし、普天間の移設は見通しが本当にあるんですか。建設には政府試算で三千三百億という巨額な費用がかかる。使用期限十五年の問題もネックでずっとある。地元もなかなか言うことを聞かない。沖縄県もいろいろな条件をつけてくる。SACOのときは華々しく言いましたけれども、しかし、七年たってたった二百ヘクタールしか減っていない。

 こういう状況の中で、アメリカ側から、仮に非公式であれ、そういうアイデアがもしもたらされたら、真剣に検討するのが日本政府の立場じゃないんですか。

 だって、皆さん、日本の面積の〇・六%の沖縄に七五%の米軍基地が集中しているんですよ。こういう状況を放置しておいて、アメリカもしびれを切らして、今回、トランスフォーメーションで海外の駐留アメリカ軍を再編しよう、そういう流れの中で考えてもいいという、しかも、嘉手納吸収案というところまで出てきているじゃないですか。

 そういうのを、木で鼻をくくったように答弁して、それで済ませようというのは、無責任、ふまじめきわまりないと思うんですけれども、いかがでしょうか。

川口国務大臣 普天間飛行場は、委員もおっしゃったように、私も見ましたけれども、密集した市街地の真ん中に、そこだけぽかりと空き地がある、そこが飛行場であるということでございまして、我が国としても、SACOの最終報告に従ってこれをきちんと実行していくということが重要であるというふうに考えているわけです。

 それで、沖縄につきましてですけれども、これは御案内のように、米国は今、米軍のグローバルな軍事態勢の見直しを行っているということであって、沖縄米軍を含む在日米軍もこの例外ではないというふうに承知をしています。

 それで、政府としまして、この在日米軍の態勢の見直しが行われる場合には二つのことが重要であるというふうに考えています。一つは、これは、日米安保条約に基づいて駐留をしている在日米軍、この在日米軍が持っている抑止力、これが効率的に維持をされるということであります。それから二つ目は、沖縄を含む米軍施設・区域の所在地である地元の自治体の負担、これを十分に念頭に置いて検討作業をするべきであるということでございまして、こういった観点から、今後、米側との協議を進めていくという考えでおります。

 それで、移設、返還につきましては、先ほど申しましたように、委員も御案内のように、これは本当にさまざまな経緯があって平成十一年の閣議決定が行われたということでございます。政府として、この平成十一年の閣議決定に従って、地元公共団体とも御相談をしながら今取り組みを進めているわけでございまして、その取り組みを進めていくということが重要であると考えているわけです。

長島委員 これも後々安保委員会でじっくりやりたいと思いますけれども、抑止力とおっしゃいましたね。今のアメリカの海兵隊、普天間は海兵隊の基地です、アメリカの海兵隊の抑止力とは一体何でしょう。

 この記事、ごらんいただきたい、琉球新報。今度、三千人のアメリカの海兵隊が、沖縄駐留の海兵隊のうちの三千人がイラクに七カ月間行って帰ってこないんですよ。沖縄の海兵隊というのは、いろいろな複雑な仕組みがあって、半年間のローテーションで来たりする部隊があるんですけれども、突き詰めて言うと、たった一個大隊しか残らない計算になるんですよ、この七カ月間。

 抑止力というのは何ですか。

川口国務大臣 抑止力とは何かと。抑止力というのは、多分皆さんおわかりでいらっしゃって、委員があえてお聞きでいらっしゃるかなと思いますけれども、これはまさに、日米安保条約があって、我が国としては、その日米安保条約に従って米軍が日本及び極東の平和と安全のために日本にいるということによってもたらされる、日本の安全と平和を保っていくための力というふうに申し上げてもいいかもしれません。

長島委員 別に一般的な定義を聞いたわけじゃないんですが、一個大隊が持つ抑止力を外務大臣がどう思っているかというふうに聞いたんです。

 何が言いたいかというと、沖縄にいる海兵隊は削減できるんですよ。七カ月いなくたって今大臣がおっしゃったような抑止力が保てるというアメリカ側の判断があるんですよ。そういう建設的な意見を日本側から何で提起できないのか、そういう話を私は申し上げたいんです。

 もう時間がないですから、お答えいただく必要はありませんが、これが日本政府の大変重要な役割だと私は思いますよ。つまり、危機に即応できる能力を低下させないで、どうやって日米同盟関係の長期的な関係を、安定的な関係を保っていくか。これを、沖縄の犠牲の上にだけ日米同盟の安定化というものを保たせる、そんな生易しい話ではないということを最後に申し上げて、質問を終わりたいと思います。

笹川委員長 これにて長島君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 私は、まず最初に、総務大臣に端的にお伺いしたいと思うんですが、二月九日の全国知事会の緊急コメントで、政府の三位一体の改革の結果、これでは〇四年度、平成十六年度の地方公共団体の予算編成にも著しい支障を来している、財政運営に致命的な打撃を与えるものであり、極めて遺憾だというふうにしておりますが、今全国で怒りやあるいは悲鳴に近い声が上がっています。こういう事態は事前に想定できなかったのかということを大臣に最初に端的に伺っておきたいと思うんです。

麻生国務大臣 今予算編成が難しいという点につきましては、もう議員御存じのとおりに、これは、国家だけではなくて、地方自治体もほぼ同様と思っております。三千二百ございますので、そのそれぞれにつきましてはいろいろ、その県、市町村によって差が、必ずしも一つではないところが難しいところでありまして、極端にできないと言われるところと何とかやれたというところと、これは、差はもう非常にまちまちでございますので、私どもとしては、一律に対応はなかなか難しいところだと思っております。

 ただ、この点につきましては、一昨年から既にこの種の話は出ていて、昨年はそこそこ対応ができた、しかし、今年度はということは、もう昨年の概算要求の段階から何回も地方自治体の方には連絡も、連絡というか通達も行っているところでもありますし、それに合わせて対応を早目にとられた自治体と全然そうではなかった自治体、これまた差がいろいろありますので、一概に申し上げられないところではあります。

 いろいろな意味で、昨年、一昨年同様、そこそこ最後は何とかしてもらえるのじゃないかという期待には沿ってはおりませんので、それは、ある程度地方としても、それに合わせて対応をしていただく、事業をスリム化していただく、削減していただく等々のことをやっていただかないと、これは国、地方ともに財政としてはもたないということが前提になっておりますので、わかっていたかと言えばわかっていた、わかっておられないところはわかっておられなかったということにしかならないんですけれども、私どもとしては、何度となく、大体そういうところはもう首長さんでわかりますので、おたく、こういうことになりゃしませんかということは申し上げてきたところであります。

吉井委員 端的に重ねて伺っておきますが、要するに、今回悲鳴が上がっているような事態は、これは想定はしていた、こういう声が出てくるということは。こういうことでいいですね。

麻生国務大臣 ある程度予想のつくところでもありましたので、あらかじめ別に、御存じの八千億等々いろいろ財源の手当てを、再生債等々いろいろ考えておったということから見ましても、一応の予想がある程度つくところではありましたので、それに対する対策として、再生債等々いろいろ準備させていただいておるという状況であります。

吉井委員 国庫補助負担金の削減額が一兆三百億円ですね。地方交付税総額の圧縮が、交付税総額と交付税見合いの赤字地方債の分で二兆八千億、だから合計三兆八千億円ですから、約四兆円近い国から地方への財政支出の削減ということになってきますから、そこで四兆円もの削減をしても、いろいろ努力してもらったら地方への影響はない、そういうふうに考えていたのかどうか。四兆円削減したら、私は地方に影響ないとは言えないと思うんですが、地方団体に影響はないと思っていたのかどうか、ここのところを伺います。

麻生国務大臣 スリム化をしていただきます以上、今、御存じのように、もう既に政府として五十兆からの地方財政赤字でありますので、その意味では、今言われましたように、ある程度地方も努力をしていただく、政府としても削減をというのは、これはそこそこ両方でやっていかにゃいかぬところで、国だけでスリム化します、地方は何もせぬというわけにはいきませんので、地方でも人員を削減していただくとか、公共事業で急を要しないものについては繰り延べしていただく等々、いろいろ努力をしていただくところではありますけれども、国としても、どうしてもやらねばならぬと言われているものにつきましてはきちんと税源移譲等々をさせていただいているところでもありますので、その他、いろいろなことで基金を取り崩していただくところもありましょうし、いろいろな形で、今、各地方団体御努力をいただいているところで、そこそこ予算が組み上がりつつあるとは思っておりますけれども、それでもなおできないというようなところも決してないわけではないと思っておりますので、その点につきましては、いわゆる再生債等々をやらせていただきます。

 また、公共事業を減らした中でも、町づくり等々の支援金につきましては、一千三百行っている部分は、ああ、これは来るのかとか、いろいろ内容をよく御理解されていない首長さんもいらっしゃるのも事実でもありますので、この数週間、いろいろ御連絡いただいたり、電話いただいたり、御質問いただいたりするのに丁寧に答えさせてはおりますので、少しずつそこらのところの御理解は得つつあるところではありますけれども、なおかつそれでも足りないというところにつきましては、これはいろいろまた地方によって内容が違いますので、それに合わせて再生債等々、いろいろ柔軟に、かつ拡充させて使わせていただきたいと思っております、交付税を含めまして。

吉井委員 まず、こういうときは現実がどうかということが大事だと思うんですが、岡山県でいいますと、財政調整交付金、五百六十九億円取り崩して計上しているとか、今おっしゃった、いろいろ取り崩す方も皆やっているわけですね、来年度もことしと同じ三位一体改革をやられたら基金はなくなると。もう身を削れ、スリム化せいと言われても、削るところがないというところまでいっているということですね。

 高知県では、地方交付税、臨時財政対策債で総額約二百億円の削減。もともとこういう自主財源の少ない県ではその影響は大きいということで、高知新聞の社説を見ていますと、三位一体の改革は地方自治を破壊しては元も子もないじゃないか、こういう指摘がされております。

 毎日新聞のアンケートでは知事の六割が不満を表明しておられて、地方六団体は、予算編成に致命的な大きな影響、打撃を与えている、こういうふうにしております。

 これは、県段階はもとより、市段階、大変ですね。沖縄県平良市、ここは財政調整交付金すべてを取り崩しても約六億七千万の赤字予算と発表して、いろいろ指導があって、形式的には赤字予算にならないように、大臣おっしゃったようにいろいろ工夫しているわけですよ。しかし、固定資産税の税収を水増しして一応の収支を合わせただけで、収支は合っているんだが、初めから見込みのない数字を計上する、実態としては赤字予算となっている。

 この間、北海道の小樽市も、私も行ってまいりました、市長ともお会いしましたが、ここでは、ちょうど先週の十三日、来年度の一般会計予算で十九億も歳入不足が生じることを発表しています。

 いろいろお話を聞いていると、小樽市の試算では、三位一体改革の影響は、国庫補助負担金の改革の影響額は三億六千七百二十一万の減額、交付税圧縮の影響は十一億二千六百六十八万の減額。これに対して、所得譲与税の配分が二億五千二百万円あると試算しているんですね。つまり、差し引き十二億四千百八十九万円のマイナスになる。三位一体改革で大きなマイナスなんですね。これが要因となって、来年度当初予算では二十二億六千万の財源不足が生じるというふうに見込まざるを得ないところへ追い込まれています。それをどうして補てんするかというのは、地方は、大臣おっしゃったようにみんな頭を痛めているんです。

 減債基金を、この小樽の場合は、既に昨年取り崩して、ないんですね、底をついて。他の会計からの借入金しかないんですが、それも最大三億五千万。ですから、結果として十九億一千万の赤字が生じる。だから、額も大きいものですから、なかなかあれこれやるのは大変で、それでやむを得ず諸収入に計上するという形。

 この小樽市は昨年度も財源不足が生じています。この十一億六千万のこれを、減債基金の取り崩しや他会計からの借入金で昨年は何とかやったんですが、今回平良市がやるのと全く同じ、増収を見込むことのできない固定資産税の繰り越し滞納分を、昨年は三億五千万ほどですが、歳入に意図的に組み込んで、税収が入ってこないのはわかっているんですよ。わかっているんだけれども、それを意図的に見込んで何とかやるということを昨年やったんですが、平良市のやり方をもう既に昨年やっていますからね、ことしはもっと額が大きいので、同じやり方はできないので諸収入に組んでいる、こういう事態なんです。

 大臣も、地元福岡の大牟田市のことはよく御存じと思いますが、あなたは飯塚だから大牟田とは離れているにしても、歳出を圧縮し基金を取り崩して充当する方針だが、来年度も歳入見込みのない空財源を組まざるを得ないというのが大牟田ですね。

 ですから、三位一体改革の結果、歳入不足を見る見込みのない財源を積み増しして、これで収支とんとんにする、法律上収支とんとんで出さなきゃいけませんから。こういう空財源といいますか、諸収入という、こういう事態を大臣としてはどうお考えになられるか、伺います。

    〔委員長退席、北村(直)委員長代理着席〕

麻生国務大臣 今、小樽それから大牟田等々、ちょっと個別の市町村の内容を詳しく把握しているわけではございませんが、少なくとも、今言うように、ありそうもないような空財源、今風の言葉で言えば空財源ということになるんでしょうが、そういったことで充足、充当しようとするのは好ましくない、これははっきりしております。

 そういったところをどうやってきちんとさせていくかというところは、これはいろいろ考えられるんだと思いますけれども、これは大牟田と、福岡と北海道、状況は同じ、ないというのは同じかもしれませんけれども、その背景は大分、大牟田の場合は石炭の閉山等々特別な事情もあそこはありますので、別な事情があるんだと想像はつくところです。

 そういった形で、予算編成が困難ということになってきて、起こりそうもないような固定資産税の増を見込むなどというのは、これは極めて無責任なことになりますので、空財源という言葉を申し上げましたけれども、こういったのは好ましくないことははっきりしておりますので、そういったところがありましたら、これはきめ細かく地域財政課の方で対応をさせることになりますけれども、基本的には、いわゆる使うべき、その種のことを想定してつくっております地方財政再生債とか、財政健全化債等々のものを、これは柔軟に充てて対応させていただくとして、また思い込んでおられるところでも、実は、ほかの市へ行ったらこういったやり方がありましたとか、ああいったやり方がありますとか、いろいろなことは、これは御相談いただければ、私どもとして、こういう場合はこれをされたらいかがですかというようなことも御相談には応じられると思っておりますので、ぜひ、そういったところは率直に話をしていただいて、妙に数字をごまかしてそこを乗り切ろうというのは好ましくないと私も思っております。

吉井委員 今、大臣も言われたスリム化とか自治体の財政健全化努力というのはみんなやっているんですね。

 平良市も、三回にわたって財政健全化計画を立て、その計画を進めている最中で、努力しているときに、三位一体改革で本当にもう大変だと。

 小樽市も、何とか財政再建団体に転落するのを逃れようと、年四十億の効果を上げようと財政健全化を進めているところです。来年度十兆二千億の事業費の増も、人件費や事務事業の削減など、財政健全化の取り組みによって補てんできるようにと見込んでいたんですね。ところが、今回の三位一体改革で、補助金三億七千万円、地方交付税五億三千万円の減収が見込まれることになり、加えて、これは今不況の中で、市税など自主財源の減収で財政状況は大変大きく悪化してきている。

 総務省は、これまでから、財政運営に支障が生じないようにする、生じないようにしているんだということを言っておられましたが、今回、明確に地方団体の財政運営に支障が生じていると私は思うんですが、総務大臣の方は、支障が生じているというふうに見ておられるのか、支障が生じていないと見ておられるのか、伺います。

麻生国務大臣 吉井先生のおっしゃるとおり、支障のその定義が難しいところだと思っておりますけれども、予算編成が全く組めなくなって、予算が全然できないと言って投げ出しているということには至らず、それぞれ皆さん努力をしていただいておるとは思っております。したがいまして、そこのところにどう対応させていくか、また、していくかというところなんだと思います。

 例えば、よく話題に公立保育園の話が出てきますが、ああいった形で、今まで補助金で来ていたものがいわゆる地方財源に充てられた。しかし、あれは人口比で均等割にしますので、前の補助金の方が大きかった、自主財源になったら減ったという地域はございます。そういったのは、そのまま計算して言ってきておられるところもいっぱいありますが、それは違うので、その減った分につきましては交付税をふやしますから、そこのところは。

 したがいまして、実質、今までもらっていた保育園等々の義務的なものをきちんとやります、教育費等々を含めまして。この分が、前、補助金で来ていたより減った分に関しましては、交付税をふやします。逆に、今までもらっていた補助金より今度の自主財源になったらその財源の方がふえたという人口のやたら多いところは、交付税を減らします。

 そういった形で対応をさせていただきたいと思っておりますので、そこらのところも、今ちょっと二つの市、よくわかりませんけれども、通達の内容をよく見ていただくと随分といろいろ変わってまいりますし、また、公立保育園等々につきましては、運用はかなり、前にも他の委員からも御指摘をいただいておりましたが、そういったものをさせても、結果としては、今までのルールが、中央からのルール、すなわち厚生省のルール、文部省のルール、またルールがきちんとはめられていてどうにもならぬじゃないかという御指摘もあっておりましたが、これも通達はもう既に出ております。

 この間、市長さんからもお電話をいただきましたが、例えば公立保育園を公設民営にする等々のことが可能となるように、運用方法は自由に採用できるという形になっております。その点につきましても、運用をうまくしておられるところは既に結構、目端のきくなんという表現はいかがなものかと思いますけれども、その種のことにお詳しい市長さん方はさっと対応しておられて、昨年末から既に対応しておられているところもあります。

 そういったこともあるんですよという、ほかの市のやっておられることを、私どもとして、こういうやり方はしておられますかというようなことも御相談させていただければというので、余り自分一人で悩まれると、いろいろそこらのところは、えらく自由度がここのところ、地方自治法も改正になっておりますので、随分とそこらのところは自由になりましたので、アウトソーシング、従来できなかったものも、今ではできるような形になっております分だけコストは大幅に下げておられるという市もございます。

 ぜひともそこらのところも参考にさせていただいて、私ども中央がえらく大変で、従来と違って、地域主権、地方分権ということは、やはり地方の首長さんがそれぞれ自分の町を経営するという感覚になっていただかぬとどうにもなりませんので、これは、百三十年間やってきたのを、大きく今変わろうとしておりますので、そこらのところは各首長さんの経営、経営という言葉が自治体に当たるかどうか知りませんけれども、その資質を問われる、その才能を問われる、やり方を問われるということになりつつある今過渡期であろうと思います。

 私どもといたしましても、そこらのところは、ぜひそういった、妙に真剣に従来どおりと思っておられるところも随分あるやにお見受けしますので、そこらのところには積極的に対応させていただきたいと思っております。

吉井委員 首長の方たちは、みんな予算編成でもう投げ出せない状態に追い込まれているんです。首長の方もそうですし、それぞれの自治体の財政担当の方にしても、計算上の話は、もうみんな必死になってやっているんですよ。昨年の秋ごろから、シナリオ一だったらこうなる、シナリオ二であればこうなると、みんなやっているんです。やっているんだけれども、こういう事態に今なっているんです。しかも、当初思っておったよりも、もう一月に入ってびっくり仰天ということで、今、大変な事態になっています。

 こういう事態の要因は、やはり三位一体改革の手法について、本来三位一体と言うからには、削減もあればそれは増加分もあって、それで結果として地方自治体にとっては、地方団体にとっては収支とんとん、これで均衡がとれると考えていたところが、国庫補助負担金削減一兆円、地方交付税総額圧縮二兆八千億の合計三兆八千億ですから、政府の言う税源移譲と言われているものは約四千五百億円ですから、削減される額に対して税源移譲の方は、比率は約一二%ですね。つり合いがとれていないわけですよ。だから、びっくりもすれば、悲鳴も上げれば、怒りを持つ、何でこうなるのかと。

 これは、財務大臣と総務大臣に伺っておきたいと思うんです。

谷垣国務大臣 まず、補助金ですけれども、補助金は一兆強スリム化をしたわけでありますが、それは結局、二つの観点から進めていく必要がある。

 補助金を廃止するに当たりまして、対象となる事業がもう不必要である、あるいは縮減する必要がある、こういうことで地方でももうやらないというようなものは、そもそも税源移譲の対象とはならないということでございます。一方で、地方に事業が残るものについては税源移譲の検討対象となる。これは、そういった形で事務事業の性格に応じて検討した結果、先ほど委員がおっしゃるような数字になったということでございます。地方に事業を残す必要はないのに税源を移譲するという必要は、これはない、こういうことであろうと思います。

 それから、交付税でありますけれども、交付税については、もともと交付税のいわゆる財源調整機能というものは、それぞれ財政力の差がございますから、どうしても残していかなければならないことだと思っておりますけれども、同時に、それぞれの財源を保障する機能、いろいろ赤を出したときに全部それを裏打ちする機能というものを持っておりまして、これが非常に大きく膨らんできてモラルハザードの原因にもなっているということでありますから、そこをどうしても圧縮をしていくということが、これは国と地方のスリム化という意味においても必要ではないかというようなことで、いろいろ検討させていただいて今度のような形になったということであります。

麻生国務大臣 基本は、基本というか、背景は今財務大臣が答弁をさせていただいたとおりだと存じますけれども、地方を預かる総務省の立場といたしましては、いわゆる交付税等々というものは、これは御存じのように、税源を仮に移譲されても、人口が少ないとか税を取る対象の法人が存在しない等々、いろいろ地域によって差がありますために、結果として地域において著しい差が出たときに、それを埋めるために交付税というものの持っております性格というのを有効に利用せないかぬというのは、これは当然の措置として今後とも維持せざるを得ない、また維持されていくべきものだ、私どもは基本的にそう思っております。

 ただ、交付税の部分も、これまでの赤字が随分大きなものになっておりますので、これはちょっとこのまま放置するわけにはいかぬということで、交付税につきましても、ある程度スリム化していただく、減らしていただくということで、どうしてもちょっと、地方単独でやっておられる事業につきましても、その事業で道路等々は、どうしても必要というようなものでないんであればこれは五年でやっていただけますか、今、二年でやれるところをちょっと四年にしていただけませんかとかいう形で、いろいろ努力をしていただいて対応していただくということは必要なんだと思います。

 それにいたしましても、なおかつ対応ができないであろうということが予想できておりましたので、平成十六年度地方債の計画の概要、これは各市町村に全部通達しているものがございますけれども、これの内容を見ましても、その中で、地方再生事業への推進の補助みたいな形で八千億というのをここに計上させていただいておるという経緯もありますので、それなりに私どもとして、地方の状態が厳しいというのは、全然知らぬ存ぜぬ、ないそでは振れぬと言っているわけではございませんので、その点に関しましては、地方におきましてそれぞれ御努力をいただいたところはそれなりに報われないかぬところでもあろうと思いますので、私どもとしては、個別にいろいろございますんで、対応させていただくということだけは申し上げておきたいと存じます。

吉井委員 財務大臣の言われた地方交付税の議論は、これは戦前の地方財政調整制度の問題から戦後の憲法上の扱い、シャウプ勧告による地方財政平衡交付金からさらに今日の制度へと、全体を通じて、これは財源保障機能、それから調整機能についていろいろ議論、これはまた別な機会にやろうと思いまして、きょうはここではやりませんが、問題は、三位一体と言うからには、削減もあれば増加分もあっても、地方からすれば収支とんとんでないと三位一体にならないわけですね。実際には、約四兆円の削減があり、これに対して税源移譲が四千五百億円で約一二%、ここにそもそも無理があるんだということを、やはり今のお話では説明にならないということを申し上げておきまして、次に、このことを聞いておきたいんです。

 国庫補助負担金の削減一兆三百億円、これに対する税源移譲、今言いましたこれは四千五百億円ですね。これに関連した質問で、この前からずっと財務大臣、今おっしゃったように、要するに、廃止すべきもの、これは地方に税源をお譲りする必要もない、いろいろやらせていただいたあの結果でございますということで、結果としてこうなっているんだという、途中を切り縮めればそういうお話をずっとしておられるんですが、基本方針二〇〇三によれば、四兆円の削減でしょう。そうすると、今回一兆円なんですが、あと三兆円の国庫補助負担金の削減をすることになってきますね。

 そうすると、財務大臣、削減額と税源移譲の割合がことしのような割合でこれからもいくのか、どうなるのかということは、これは、〇五年度、〇六年度、大変大事な問題ですから、お考えをちょっと伺っておきたいと思います。

谷垣国務大臣 もちろん、補助事業の内容によりますので、これから四兆円総額目指してやっていくときに、何かということを個別に見なければ今のお答えはできないんですが、ただ、個別補助事業の性格などを勘案して、大体八割程度を目安として移譲する、それから義務的な事業については、効率化を図った上でその所要の全額を移譲する、こういう方針でやってまいります。

吉井委員 基本方針の二〇〇三では、ここでは、国庫補助負担金の対象には公共事業も含まれるとされた。ところが、今回削減された公共事業の補助金については、税源移譲の全く対象外になっています。これは基本方針二〇〇三に反しないのか、結果としてそうなっているのか、この点は、財務大臣、どうなんですか。

谷垣国務大臣 公共事業の国庫補助負担金については、これは国も地方も相当厳しい量的な縮減を求められているというふうに思います。ですから、事務事業の廃止、縮減によるスリム化を図ることが見直しの基本だということで作業をしてきたわけであります。

 仮に、地方がみずからの判断で国が廃止した事業を実施する場合、こういうこともあるかと思うんですが、公共事業というのは建設公債発行対象経費でありますから、今の財政事情のもとで、補助金廃止によって地方に持っていける財源というのが生じる余地がないわけであります。

 それからもう一つは、最近、地方の投資単独事業の実際の執行額といいますのは、地財計画において既に財源の手当てがなされている計画額の規模を相当大きく下回っているのが現状で、地方が自主的な判断によって単独事業として執行する余地は地財計画上残されているわけでありますので、こういう観点からも、税源移譲によって新たに財源を付与する必要はないと考えております。

吉井委員 要するに、公共事業関係の補助負担金、税源移譲の対象にしないということなんですが、そこで、総務大臣に伺っておきますが、地方財政法第十条あるいは第十条の二のような負担金もあるわけですね。そういう負担金まで税源移譲の対象にしないということですね。

麻生国務大臣 お答えいたします。

 今いろいろ財務大臣の方からお話があっておりましたけれども、御存じのように、今回、いろいろ大きな数字が飛び交っておりますので整理のしにくいところですけれども、アバウト一兆、正確には一兆三百億の補助金の削減ということになったんですが、そのうち、どうしても必要なもの、例えば保育園とか、例えば義務教育等々は、これは確実にそのまま、間違いなく補助がそのまま続きます。地方に税源移譲が行われます。足りない分につきましては交付税でやります。それは確実。

 それで、残り……(吉井委員「地財法十条関係」と呼ぶ)そうです。はい。それはもうきちんといたします。(吉井委員「いえいえ、十条関係をどうするのか」と呼ぶ)いわゆる財政のところはいたします。

 残りの分につきましては、例えば今、アバウト五千五百億円ぐらい、一兆円から四千五百億引いた残りの五千五百億が足りないということになってくるんですが、その分につきましては、例えば町づくりの交付金の一千三百三十億は、これはそのままきちんと対応いたします。

 それから、いわゆる奨励的補助金と言われる公共事業を除きます奨励的補助金につきましても、それなりの対応をさせていただくということになっております。

 問題になりますのは、残りました約三千億の公共事業ということが一番の問題になってくるんだと思いますが、この点につきましては、先ほど財務大臣からも御答弁があっておりましたように、きちんと対応をさせていただく、約八割をめどに対応させていただくというお話でしたけれども、私どもといたしましては、その中でやはり各地方もこれは努力をしていただかないかぬところなんであって、その努力もある程度、仕掛かり品、もう既に工事に着工している部分につきましては、そこの部分につきまして、どうしても来年中というんだったら、ちょっと一年延ばしていただいて、半分にしていただけませんかとか、いろいろな努力をちょっとお願いせないかぬところなんでして、私どもとして、一方的に全部やめちゃうとかいうようなことを申しているわけではございません。

吉井委員 地方財政法十条では、円滑な運営を期するためには、国が進んで経費を負担するとなっていますね。その中には、義務教育諸学校の建物の建築に要する経費など、また、十条の二の方にもあります。

 そこで、財務大臣、私、三つの例だけ、公共事業で事業が残る部分について、公立学校施設整備費負担金六十九億、公営住宅建設費等負担金二百五十九億、下水道事業費負担金四百六十一億、合計すると七百九十億九千万、約八百億ですね。この八百億という大きな、地方自治体にとっては大きな額なんですが、これが削減されるだけで、公共事業だからということで、税源移譲なしなんです。

 この公共事業は、これはむだな大型開発だなんだと言われるようなものとは違って、教育や暮らしに密着して、地元中小業者に仕事の回る公共事業なんですね。しかも、補助事業がなくなったわけではなく、これは地方が引き続き進める事業なんですね。これはやはり財源措置をしなければならないと思うんですよ。

 こういうものまで、これは地財法では十条できちんと、全部または一部ですが、国が負担となっているのに、これを負担を削減して、それで税源移譲はなし、財源移譲なしと。このやり方じゃ、どう考えても、これは地方が悲鳴を上げるのは当たり前なんですね。私はこの点について、財務大臣は一体どう考えてはるのか、そのことを伺っておきたいと思います。

麻生国務大臣 財務大臣も御意見がおありかと思いますが、私の方から。

 今申し上げた具体的な例で申し上げさせていただければ、既に仕掛かっておる、仕掛かり品というのはちょっと民間用語ですかね、役所の言葉で言えば、今建設途中にありますものにつきましては、それはある程度、今言われた財政法十条の関係もこれありでございますので、既にスタートしておりますから、その分につきましては、それはもう、どうしても予定どおり全部三月までにやれと言われたって、ちょっとそれは待ってください、ちょっと一年延ばしていただけるわけにはいかぬかというような形で、それをばっさり全部とめちゃうというようなことをしようとしているわけではございませんので、今、財政法十条等々の意味からは、それほど、破綻するとかそういったような形で仕事自体がなくなるというような形では対応をしないように、きちんと対応をさせていただきたいと思っております。

北村(直)委員長代理 財務大臣、答弁ございますか。時間が過ぎておりますので、簡潔に。

谷垣国務大臣 ですから、これは、今総務大臣からも御答弁がありましたけれども、要するに、実際に事業をやるということになればこの十条が適用される、こういうことだろうと思います。

吉井委員 今お話ししましたように、公共事業で残る部分について、公立学校施設整備費負担金など合わせて八百億、これが今度削減されるだけで、公共事業だからということで、税源移譲はないんですね。だから、こういうことじゃ、これは地方も悲鳴を上げる。しかも、時間が参りましたから終わりますけれども、これは、後年度においてきちんと削られるだけで、めどが立たないままでは、これはいよいよ深刻になる、そういう内容なんだということを申し上げまして、私は、三位一体改革のこの矛盾をとりあえずきょうは指摘して、質問を終わります。

北村(直)委員長代理 これにて吉井君の質疑は終了いたしました。

 次に、東門美津子君。

東門委員 通告の順序とは少し変わりますけれども、同じように外務大臣の出席も要望していましたので、まず、外務大臣にお伺いしたいと思います。

 二月十三日付の毎日新聞が、代替施設の建設を普天間飛行場の返還条件にしない意向を米側が政府に打診していたと報じた問題につきまして、私は、この予算委員会で、二月十六日に、その報道の真偽をただしました。そのときの御答弁は、その事実はないということでした。

 先ほど、やはりこの委員会で、民主党の委員から同じ質問がございました。というのは、けさも毎日新聞にその報道があったからですが、その質問に対して、大臣は、米国からそのような申し出を受けたことはないとおっしゃっておりましたけれども、それは間違いありませんね。

川口国務大臣 間違いございません。

東門委員 毎日新聞だけの報道ではなくて、実は、けさ六時、六時半、そして十二時のNHKニュースでも、三度にわたって報道しているのを私は聞きました、見ました。朝の六時のニュースでは、ラムズフェルド国防長官が、普天間飛行場を視察した際の映像を流しながら、そのようなことをはっきり指示したというお話がありまして、外務省に、政府に働きかけているということがあったんですが、それでも、やはりこれは、NHKと毎日新聞、どちらも正しくないという御見解でしょうか。

川口国務大臣 先日、東門委員の御質問だったか、ラムズフェルド長官のそのコメントについて御質問がありましたときに、そういった発言、ラムズフェルド長官のとされる発言については確認できないということを申し上げたわけでございますけれども、先ほど申し上げた、米国の政府からそういう申し入れを受けたことはないということについては、これは同じでございます。

東門委員 それでは、先日、私が質問した際、海老原北米局長は、毎日新聞に抗議をした、そのような事実はないということで抗議をしたという御答弁でしたけれども、NHKにもやはり抗議をなさいますか。

海老原政府参考人 先日、東門委員の御質問にお答えいたしまして、毎日新聞に抗議をしたということを申し上げましたけれども、あれは一つには、中で私の実名が二回使われていまして、しかも、片っ方は、私の言った言葉として引用があったものですから、そういうようなことは一切ないというようなことも含めて毎日新聞の方に申し入れをしたという経緯でございます。

東門委員 答弁していません。NHKにも抗議なさいますか。

海老原政府参考人 今も大臣から御答弁がありましたけれども、そのような、報道されているような事実はないということではっきり政府がもう否定をしておりますので、改めて、また報道のたびに一々するというようなことは私は考えておりません。

東門委員 毎日新聞には抗議をしてNHKにはしないというのは、本当におかしいですね。政府は、相手を選んで、ここには抗議をしよう、ここにはしないでおこうというような態度で臨むんでしょうか。

 もう時間がありませんからそれはいいとしまして、けさの毎日新聞は、ちゃんと名前を挙げて、個人名を挙げて、アメリカ側のどなたとどなたが日本側の、お読みになっていると思いますから一々読みませんけれども、名前を挙げてちゃんと打診をしたとあるんですよ。それも事実ではないとおっしゃるのでしょうか。

海老原政府参考人 きょうの毎日新聞に、十七日に、アメリカ側からは、ローレス国防省の次官補代理それからラフルーア特使、こちら側からは、長嶺北米局の参事官それから山内防衛局の次長ということで、名前が出ているものですからちょっと申し上げさせていただきましたけれども、が協議を行ったということで、これはもういつも申し上げておりますけれども、日米間では、いろいろな機会に、安全保障のいろいろな課題について密接な協議は、意見交換を行ってきているというその一環で行ったものでございまして、これは事実でございます。

 ただ、先ほども大臣が御答弁になりましたように、米側から、普天間の移設、返還について、代替施設なしの返還を申し入れられたとか、検討を要請されたというような事実は一切ないということでございます。

    〔北村(直)委員長代理退席、委員長着席〕

東門委員 それでしたら、もし米側からそういう申し出があれば、積極的に、前向きに御検討なさいますか、大臣。

川口国務大臣 これは委員も非常に詳しくていらっしゃると思いますけれども、普天間飛行場の移設、返還の問題につきましては、これは平成十一年の十二月に閣議決定がございまして、普天間飛行場の移設に係る政府方針に基づきまして設置された代替施設協議会で、約二年間にわたって協議が積み重ねられたわけでございます。そして、その結果、基本計画の決定を見るということになったわけで、政府といたしましては、この方針に基づいて、地元の公共団体の方々、自治体の方々とお話し合いをしながら取り組んでいくという方針に変更はないということでございます。

東門委員 大臣の今の答弁は、私の質問に対する答弁にはなっていません。これまでのそのまま繰り返しなんですが、私がお尋ねしていますのは、もしアメリカ側からあれば政府として検討なさいますかとお伺いしている。するかしないかだけお答えください。

川口国務大臣 今まで申し上げていますように、そういう申し入れがあったという事実というのはないわけでございます。

 それで、もしあったらという前提に基づいて、現在ないわけですから、そういう仮定に基づいてお話をするということは難しいわけでございますけれども、政府の方針としては、先ほど申し上げた平成十一年の閣議決定に従って、地元公共団体の方々と御相談をしながら取り組んでいくという方針には変わりはないということを申し上げたわけでございます。

東門委員 本当に、今の答弁をお聞きしていますと、アメリカに行ってアメリカの皆さんといろいろお話をしてきましたけれども、彼らが言った、すべてじゃないんですけれども、多くの皆さんがおっしゃったのは、かたい厚い壁は日本政府だ、トーキョー・ダズント・ケアとおっしゃっていました。そのとおりだなと思います。本当にケアするのならば、本当に外務省がおっしゃっているように、大臣がおっしゃっているように、沖縄県民の負担の軽減ということを真剣に考えられるのならば、もし申し出があれば検討していきたいというお返事が返ってくると思っておりました。とても残念です。

 やはり大臣には、外務省サイドには、あるいは小泉内閣には、沖縄県民の負担の軽減は、言っていればいいんだ、口に出していればいいんだと……(発言する者あり)そうなんです、それでしか受け取れません。とても残念ですよ。何でこういう、大臣が本気でアメリカに対して物が言えないのでしょうか。ちゃんとそのポストにある方なんですよ。一応私の怒りを、思いをお伝えしておきたいと思います。

 次に、PCB処理施設建設問題についてお伺いいたします。

 一九九六年に恩納通信所跡地から発見されたPCBを含む汚泥は、現在、航空自衛隊恩納分屯地に、千八百本のドラム缶に保管されています。これらの汚泥に関して、地元では村外撤去を繰り返し求めていますが、最近、PCB処理施設を地元恩納村に建設して、PCBを含む汚泥を処理しようとする計画が進行しています。

 既に那覇防衛施設局が恩納村長に計画の概要を説明したようですが、まず、建設の場所、建設のスケジュール、汚泥の処分に要する期間、施設建設及びPCB処理に要する経費について御説明をお願いしたいと思います。

山中政府参考人 今、委員が御指摘になりましたように、平成八年に旧恩納通信所から発見されましたPCBの汚泥分と平成十四年に航空自衛隊の恩納分屯基地内から発見された分、合わせまして、ドラム缶で約千八百本、重量にして約三百トンでございますが、これを現在まで保管してきております。

 その過程におきまして、PCB等を含有する汚泥の処理技術がこれまで確立をしておりませんでした。私ども、数年かけまして、その処理のための実証試験あるいは処理施設の基本設計、こういったものを実施してまいりまして、現段階におきましては、このPCB等の含有汚泥を保管しております航空自衛隊の恩納分屯基地内にその処理施設を設置して、早期に処理をいたしたいと考えております。

 その処理施設の規模でございますが、建て面積で約三百平方メートル、それから、この建物の高さが八・五メートル、その建物の中に処理プラントを設置したいということでございます。

 期間等につきましては、今後、生活環境影響調査を実施し、施設の建設をし、処理プラントを設置し、実際に処理を行っていくということで、大体三年程度の期間を要するのではないかと考えております。

 それから、経費については、まだ実施設計を行う段階に至っておりませんので、具体的な金額は申し上げられない状況でございます。

東門委員 恩納分屯地の中に建設をする。場所はもう決まっている。そうすると、建物、その処理施設、それの大体の予算というのは出てこないんですか。それは後でもう一度お答えいただきたいと思います。

 そして、伺いますが、この処理施設で採用される予定のPCBの処理方法というのは超臨界水酸化分解法と呼ばれるそうですが、一九九九年度から二〇〇二年度にかけて那覇防衛施設局が調査、実証試験を実施し、安全かつ適切に処理が可能との結論に達したとのことでございます。

 施設局がどのような調査、実証試験を行って、安全かつ適切に処理が可能との結論に達したのでしょうか。その安全かつ適切に処理できるということを、本当に国民あるいは県民にわかりやすく、納得できるように御説明いただきたいと思います。

 また、国内におきまして、現時点でこの処理をしていく技術、それを持っている企業は何社ぐらいあるのでしょうか。

山中政府参考人 これはいろいろな試験を行ってきておりまして、例えば、平成十一年度は、いわゆる微生物分解法、これによるサンプル試験を行いましたり、翌年は、汚泥処理方法の資料収集とか比較検討、それから十三年度に至りまして、先ほど御指摘ございました超臨界水酸化分解法、これによるサンプル試験を行い、翌十四年度に、実証試験と処理施設の基本設計を約二千万円の経費をかけてやったということでございます。

 そういう中で、この超臨界水酸化分解法、これは、液体と気体の両方の特徴を持った超臨界水、これを使っていわゆる高温、高圧でPCBの分解処理をするという技術でございますが、その実証実験におきまして、この処理水、この生成された処理水を分析いたしました結果、有機物につきましては完全に分解ができている、処理水にPCBは含まれていない、さらに、ダイオキシン類等も含まれていないというようなことを確認いたしました。

 他方で、その処理水には、水銀、亜鉛、カドミウムあるいはクロム類、こういったものが排出基準値を超える濃度で検出をされたということでございまして、この処理水を放流する際には、当然、こういった重金属類の処理が必要であるというふうな知見を得たところでございます。

 この超臨界水酸化分解法に基づくPCBの含有物質を処理する能力あるいは技術を持っている企業等は数社あるというふうに承知をしておりますが、PCBを含有した汚泥を処理する技術を持った会社は、私どもが把握しているところでは一社であるというふうに承知をいたしております。

東門委員 その一社というのはどこですか。

山中政府参考人 これはちょっと当該企業との関係がございまして、もしこの場でお答えをするということになりますと、その了解をとる必要があるのかという気もいたしておりまして、いずれにしても、私どもが把握しているのはその一社でございます。

東門委員 その技術を持っている会社をここで言えないんですか。理解できませんね。その技術を持っていれば、むしろ出していった方がいいんじゃないでしょうか。ちょっと理解できません。

 もう一度お答えいただきたいのと、それと関連して、昨年の十二月上旬に、恩納村は、村長以下二十何人かの皆さんで室蘭市に何か施設を視察に行ったというふうな報道が新聞でありましたけれども、そこになるのでしょうか、その一社というのは。それとも別の会社のことですか。あわせて、その両方お答えください。

山中政府参考人 申しわけございません。先ほどのお尋ねの一社でございますが、これは私の独自の判断で申し上げますが、オルガノという会社でございます。

 なお、昨年に北海道の方に恩納村長ほかの方々が視察に行かれておりますが、これは、北海道の室蘭市にございます株式会社日本製鋼所のPCB処理施設を見学されております。

 ただ、これは、先ほども申し上げましたが、超臨界水酸化分解装置によってPCBの処理を行っているということで日本製鋼所を見学したということでございまして、これはPCBを含む汚泥の処理ということではございません。その方法によって別の形態のPCB含有物を処理しているということで、その日本製鋼所を見学した。

 汚泥という形態で存在をするPCB含有物、これの処理技術を超臨界水酸化分解装置で持っているのは、さっき申し上げた一社ということでございます。

東門委員 そうすると、恩納村の皆さんがごらんになったのは、汚泥に含まれているPCBの分解装置ではなくて、全然違う、PCBの分解はするけれども汚泥とは関係ないと。では、それを見て、恩納村の皆さんに、安全だから心配しないでと言うのはどうなんですか、施設庁。

 それは、恩納村の皆さんは、村長さんもおっしゃっているんですね。PCB処理の安全性については理解を示すが、地元としては、安全を確認した上でという、その放流される水がむしろ本当にそうなのかという心配もしていると。安全であるというのは見てきた思いはあるんですよ。しかし、今おっしゃるのは、決して汚泥の中のPCBではない。となると、恩納村の皆さんは、私たちは何を見たのだろうか、何を視察してきたのだろうかというふうに思うと思うんですね。どうなんでしょう。

 漁協の皆さんは反対なんです、施設建設について。というのは、それは恩納村の漁協の皆さんからすればイメージダウンにつながる。恩納村はリゾート地です。大学院大学の設置も決まっています。そういう中で、PCBを含む汚泥が処理されたということで、それが海に、水が流されていく、放流されていくということにすごく不安感を持っている。そういう中で、今の施設庁の答弁だととても気になりますが、御答弁、もう一度お願いいたします。

山中政府参考人 これは確かに、PCBを含んでおりますその物質の形態が、実際に昨年の暮れに見学をした施設というのは汚泥ではございません。

 ただ、これは、その当該日本製鋼所におきまして、その方法、超臨界水酸化分解装置によるPCBの処理、これが年内に終了して、処理後は施設が解体をされてしまうという事情もございまして、この超臨界水酸化分解法そのものが、ごく我々一般人にとってはなじみの薄いものでございます。現実に存在するものを実際に見学するということによって一定の知見を得るということは、私は意義のあることだと思っております。

 その上で、では、その形態が汚泥とそうでないものと違うのではないかという御懸念が当然生ずるわけでございまして、これは平成十三年、十四年度にかけまして実証実験をし、その結果、さっき申し上げましたけれども、有機物が完全分解をされている。PCBは検証値以下、つまり検証できない、つまり含まれていない。ダイオキシン類等も含まれていない。そういう中で、重金属はある。この重金属の処理につきましても、これは鉄粉法という方法によりまして排出基準量以下にまで処理をいたします。さらに、安全性を考慮いたしまして、基準値以下のものを、吸着処理設備というものを設けましてきちんと処理をする。

 こういった知見が得られておりますので、こういったものに基づいてプラント建設をし、適正に処理をし、御懸念が生じないような形にしていきたい。また、そのためのきちんとした御説明を地元に対してさせていただきたいというふうに考えているところでございます。

東門委員 済みません。私、ちょっと聞き逃したかもしれません。もう一度伺います。

 では、先ほどの、ちゃんとその技術を確立した会社があるのに、なぜわざわざ北海道まで行かれたのか。ちゃんとその技術を持っている会社、その一社に視察にお連れするということはできなかったんでしょうか。なぜその一社ではなかったんですか。

山中政府参考人 先ほど来申し上げております技術を持っている一社というのは、プラントは保有をしております。ただ、現実に処理をしていないということで見学はいたさなかったということでございます。

東門委員 何かよくわけのわからない話なんですが、技術は持っているけれども、プラントはあるけれども実際にやっていない、だから北海道まで行ったと。

 しかし、実際にこれが恩納村に建設されるときには、その会社が、オルガノとおっしゃったかな、そこが入るということになると、どうなんでしょうか、恩納村の皆さんは、御自分たちが見てこられたのと……。本当に今、村内はかなり私は意見はまとまっていないと思います。防衛施設庁の方でもそういうふうに把握していると思うんですが、いかがですか、そういう形でしっかりと説得をして納得させられるというふうにお思いですか。

 そしてもう一つ、時間ですからもう一点だけお伺いしますけれども、その汚泥からPCBを分離した後、水は放流する、海に流していく、川を通して海へ流していくというんですが、泥の方はどうなるんでしょうか。済みません。簡単な質問です。わからないものですから。

山中政府参考人 これは、一義的には、三百トンの汚泥を処理して大体五百トンぐらい、これは超臨界水を用いて分解しますので五百トンぐらいの水が出るということでございますが、水以外にはガスそれから灰等が、若干ではございますが、出ます。これはきちんと処理をいたしたいというふうに考えております。

 それから、前段の御質問でございますが、これは、今の時点でその方法を用いて処理する技術を持っている会社は一社でございます。ただ、これは、先ほど三年程度かかると申し上げましたが、現実に仮にそういうところに委託をするといたしまして、その過程でほかに技術を持った会社が出てくるかもしれません。それはその時点で適切に対応したい。

 さらに、地元に対するいろいろな御説明は、そういった御懸念が払拭されますように努力をしていきたいというふうに考えております。

東門委員 時間ですので終わりますが、この件につきましては、また引き続き質問をしていきたいと思います。ありがとうございました。

笹川委員長 これにて東門君の質疑は終了いたしました。

 次回は、来る二十三日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十分散会


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