衆議院

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第19号 平成16年3月4日(木曜日)

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平成十六年三月四日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 笹川  堯君

   理事 大野 功統君 理事 北村 直人君

   理事 杉浦 正健君 理事 園田 博之君

   理事 松岡 利勝君 理事 玄葉光一郎君

   理事 筒井 信隆君 理事 細川 律夫君

   理事 谷口 隆義君

      伊吹 文明君    植竹 繁雄君

      尾身 幸次君    大島 理森君

      倉田 雅年君    小泉 龍司君

      小杉  隆君    鈴木 俊一君

      田中 英夫君    滝   実君

      玉沢徳一郎君    中馬 弘毅君

      津島 恭一君    津島 雄二君

      中山 成彬君    永岡 洋治君

      丹羽 雄哉君    西川 京子君

      葉梨 康弘君    萩生田光一君

      萩野 浩基君    蓮実  進君

      二田 孝治君    町村 信孝君

      山下 貴史君    井上 和雄君

      池田 元久君    石田 勝之君

      市村浩一郎君    内山  晃君

      生方 幸夫君    海江田万里君

      河村たかし君    吉良 州司君

      小泉 俊明君    五島 正規君

      鮫島 宗明君    島田  久君

      首藤 信彦君    達増 拓也君

      中津川博郷君    永田 寿康君

      長島 昭久君    長妻  昭君

      鉢呂 吉雄君    平岡 秀夫君

      藤井 裕久君    前田 雄吉君

      山田 正彦君    石田 祝稔君

      遠藤 乙彦君    高木 陽介君

      山名 靖英君    佐々木憲昭君

      高橋千鶴子君    照屋 寛徳君

      山本喜代宏君

    …………………………………

   総務大臣         麻生 太郎君

   法務大臣         野沢 太三君

   外務大臣         川口 順子君

   財務大臣         谷垣 禎一君

   厚生労働大臣       坂口  力君

   農林水産大臣       亀井 善之君

   経済産業大臣       中川 昭一君

   国土交通大臣       石原 伸晃君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     福田 康夫君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (食品安全担当)     小野 清子君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      石破  茂君

   法務副大臣        実川 幸夫君

   外務副大臣        逢沢 一郎君

   財務副大臣        山本 有二君

   厚生労働副大臣      森  英介君

   農林水産副大臣      金田 英行君

   経済産業副大臣      坂本 剛二君

   内閣府大臣政務官     西川 公也君

   法務大臣政務官      中野  清君

   外務大臣政務官      田中 和徳君

   厚生労働大臣政務官    竹本 直一君

   農林水産大臣政務官    木村 太郎君

   経済産業大臣政務官    江田 康幸君

   経済産業大臣政務官    菅  義偉君

   国土交通大臣政務官    佐藤 茂樹君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 竹島 一彦君

   政府参考人

   (司法制度改革推進本部事務局長)         山崎  潮君

   政府参考人

   (内閣府食品安全委員会事務局長)         梅津 準士君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 関   一君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    山中 昭栄君

   政府参考人

   (防衛施設庁施設部長)  戸田 量弘君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           高部 正男君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  岩尾總一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  田中 慶司君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       遠藤  明君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    塩田 幸雄君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局長)            須賀田菊仁君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           中川  坦君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  白須 敏朗君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          豊田 正和君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局長)         竹歳  誠君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  佐藤 信秋君

   政府参考人

   (国土交通省北海道局長) 藤本  保君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  小野寺 浩君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月四日

 辞任         補欠選任

  小泉 龍司君     葉梨 康弘君

  津島 雄二君     津島 恭一君

  西川 京子君     山下 貴史君

  蓮実  進君     田中 英夫君

  町村 信孝君     永岡 洋治君

  池田 元久君     長島 昭久君

  河村たかし君     前田 雄吉君

  吉良 州司君     内山  晃君

  達増 拓也君     五島 正規君

  藤井 裕久君     長妻  昭君

  高木 陽介君     山名 靖英君

  佐々木憲昭君     高橋千鶴子君

  照屋 寛徳君     山本喜代宏君

同日

 辞任         補欠選任

  田中 英夫君     蓮実  進君

  津島 恭一君     津島 雄二君

  永岡 洋治君     萩生田光一君

  葉梨 康弘君     小泉 龍司君

  山下 貴史君     西川 京子君

  内山  晃君     吉良 州司君

  五島 正規君     達増 拓也君

  長島 昭久君     市村浩一郎君

  長妻  昭君     山田 正彦君

  前田 雄吉君     河村たかし君

  山名 靖英君     高木 陽介君

  高橋千鶴子君     佐々木憲昭君

  山本喜代宏君     照屋 寛徳君

同日

 辞任         補欠選任

  萩生田光一君     町村 信孝君

  市村浩一郎君     島田  久君

  山田 正彦君     藤井 裕久君

同日

 辞任         補欠選任

  島田  久君     池田 元久君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成十六年度一般会計予算

 平成十六年度特別会計予算

 平成十六年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

笹川委員長 これより会議を開きます。

 平成十六年度一般会計予算、平成十六年度特別会計予算、平成十六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として、司法制度改革推進本部事務局長山崎潮君、内閣府食品安全委員会事務局長梅津準士君、警察庁長官官房審議官関一君、防衛施設庁長官山中昭栄君、防衛施設庁施設部長戸田量弘君、総務省自治行政局選挙部長高部正男君、厚生労働省医政局長岩尾總一郎君、厚生労働省健康局長田中慶司君、厚生労働省医薬食品局食品安全部長遠藤明君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長塩田幸雄君、農林水産省総合食料局長須賀田菊仁君、農林水産省消費・安全局長中川坦君、農林水産省生産局長白須敏朗君、経済産業省商務情報政策局長豊田正和君、国土交通省都市・地域整備局長竹歳誠君、国土交通省道路局長佐藤信秋君、国土交通省北海道局長藤本保君及び環境省自然環境局長小野寺浩君、以上の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

笹川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

笹川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。首藤信彦君。

首藤委員 おはようございます。民主党の首藤信彦です。

 予算審議もいよいよ道半ばというところまでやってまいりましたけれども、今、この三月の、もうだんだんと残り少なくなってくる日の中で、補正予算も含め、イラクへの復興支援ということに関して、一体どのように日本は対応していくかということに関して集中的に質問させていただきたいと思っております。

 十五年度補正予算の日本独自の決定、無償枠ということで五百五十九億円、十六年度の部分として、先日、川口大臣から報告いただきました三百十九億円、この受け皿について、もうずっと、一体どういう執行体制になるのか、一体だれが現地側で責任を持つのか、そういうことを聞いてまいりました。

 今、時局が急速に展開しております。アナン事務総長初め国連の関係者の努力、そしてまた、イラクの現状の非常に移り変わりの早い政治情勢、そういうものから、イラクへの政権の移譲を早い時期に行っていこうというふうに動き出してきました。

 そして、六月末には、選挙は進められなくても、選挙は年内、年いっぱいということで年末まで延ばすことはあっても、ともかく六月末で主権は移譲させよう、そしてそのための基本法ということに関して関係者が合意したということになっております。

 それが、先日起こりました約二百七十名と言われる連続テロによる死者、これによってその合意した文書に署名がおくれていると言われておりますが、それでも、六月には新しいイラクでの暫定的な政権というものがいよいよ成立していくんだというふうに考えられます。

 そして、それは、実は連邦制をとるんではないかというふうに言われているんですね。そうなりますと、六月末にイラクに新しい暫定政権ができて、今までのCPA、アメリカの占領軍の統治機構からそこへ権限が移譲していく、しかも、それが連邦制を基調としたものとなっていく。

 そうすると、今までお話にございました、日本独自の無償枠の受け皿としての評議会とかあるいは地方での権威というものはどのような形になっていくのか。例えば、今まで何度も話にございました評議会のステータス、あるいは、日本が三月いっぱい何とか執行しなきゃいけないということで、契約し手渡したお金の執行体制、責任体制の継続、こういったものは本当に担保できるんでしょうか。その点を外務大臣にまずお答え願いたいと思います。

川口国務大臣 まず評議会でございますけれども、この補正予算を使いまして、評議会を相手に、直接支援の中におきまして、相手方が評議会であるということは今想定をされていない、評議会を相手に交渉あるいはその詰めをやっているという案件は一つもございません。

 それから、一般的に申しまして、六月の三十日におきまして、新しい、今までの統治評議会にかわる何かができるということになるわけですけれども、今五百五十九億円について詰めております案件、これにつきましては、中央省庁であったりあるいはバグダッド市でありますが、バグダッド市以外は中央省庁ということでございまして、政権を、主権をイラクが持った後これがなくなるということは想定をされないと思います。

首藤委員 いや、川口大臣、それは、朝一番で私もまだぼうっとしていますけれども、ちょっと聞き間違いなのかもしれませんが、評議会はこの日本の無償枠の受け皿でないというふうに今私ひょっとしたら聞いたと思うんですけれども、今までお聞きしていたのは、何度も何度も地方政府、地方政府、地方政府と言って、では地方政府は何だと言ったら、それは評議会でございます、例えばサマワ市の評議会はこうでございます、そしてサマワ市の評議会で、果たしてそういう評議会の委員長はどうなっているのかということで、けんけんがくがくと二カ月間にわたって討議していたというのは、もう皆さん御記憶のとおりです。

 今ちょっと私空耳かもしれませんけれども、受け皿として評議会でないということを聞いたので、これはもう時計の針を二カ月戻して、もう一回討議させていただかないといけないと思いますが、そのことに対して説明していただくと同時に、もう一つ、今度の新しい暫定政権の中では連邦制というのがうたわれているんですよ。これが目玉なんですね。

 ですから、連邦制というのは何かというと、今までは中央政府で、日本の分権とも同じですけれども、今までは中央で全部決めていた、しかし、分権というのは、連邦制も含めて、地方で決めさせていくというところに価値があるわけです。ですから、今までの、例えば電力に関してもあるいは交通に関しても、それぞれの連邦政府が決めていくという形になるのではないですか。

 そこの本当の、今討議されている連邦制のあり方を含めて、この二点について説明をお願いしたいと思います。

川口国務大臣 過去の議事録を見ていただければというふうに思いますけれども、私は、この席で何回も、地方評議会ということは考えていないということは申し上げております。今委員がそうおっしゃられたので、なるほど、その地方評議会について、今まで私がそう申し上げているにもかかわらず御質問があった理由がわかった気がいたしますけれども、地方評議会ということは相手に考えていないということであります。

 それから、連邦制になったときにどうなるかということで御質問ございますけれども、この基本法について、私どももいろいろな情報は持っておりますけれども、いろいろな事情があって署名をする段階にまだ至っていないわけでございます。政府として、署名をまだされていない基本法でございますので、それについてコメントをさせていただくということは、今の時点では控えさせていただきたいと思います。

 いずれにしても、その連邦制のあり方、これは仮に連邦制になるとして、いろいろな形というのはあり得ると思いますけれども、米国にしてもほかのところにしても、連邦政府、すなわち中央政府というのはあるというのが通例であると思います。

首藤委員 川口大臣、今おっしゃったことをもう一度あなたにお返ししたいと思いますけれども、議事録をもう一度読んでよく見てください。この援助の受け皿はどこですかということを聞いていて、果たして病院にそんな能力はありますかとか、いろいろなことを何度も何度も聞いたんですよ。そういうところから、いや、地方政府でございますというところはお答えになったんですよ。

 ですから、地方政府とは一体何ですか、それは県の評議会なんですか、市の評議会なんですか、あるいは、イラク全土でそうした評議会がきちっと開かれていて、途中でやめちゃうとかあるいは巡礼に行っちゃうんじゃなくて、ちゃんとした評議会として成立しているところはどれだけございますかというところで、大臣は、例えばサマワではこうでございますという話を何度もされていた。それを、もう一度議事録をよくお読みになっていただきたいと思うんですね。

 ですから、これは大変な問題なんですよ。今まで、評議会、評議会で、これを受け皿だと言われていたのが、実は、そんなものは受け皿ではありません、日本の援助の受け皿はそこでもないという。それはもう、全部時計の針を逆転して、論議を二カ月前、三カ月前に戻さなきゃいけないわけですね。

 それからもう一つ、連邦制のあり方、それはまだ決まっていない、コメントできない。コメントできない、連邦制のあり方はわからないんだったら、じゃ、この予算は執行できません。十六年度予算、十五年度補正予算、これはもうできませんよ。政体が変わろうとしている、政治のシステムが根本的に変わろうとしている、憲法も新しく起草されていく、こんなのはどうなるかわからないというコメントをされるなら、こんな予算を出さないでください。いかがですか。

川口国務大臣 主権の移転があった後、まさにイラク人の手による政府ができるということでございます。それが中央集権型の政府であれ連邦政府であれ、連邦制であろうということで報道等がございますけれども、我々は今、それについてきちんとコメントをする状況ではないわけでございます。

 ただ、はっきりしていることは、そういうような政府ができた後、これはしかるべき中央の、仮に連邦政府をとったとしても、それぞれ連邦を構成する、これは、連邦を構成するユニットと中央にある政府との関係がどうあるかということが連邦制であったりあるいは中央集権型であったりするということでございますから、イラクの主権を化体するきちんとした省庁を持つ政府ができるということについて、恐らく疑いを差し挟む人はいないであろうというふうに思います。

 それから、もう一度先ほどのところに戻りますけれども、冒頭、最初のころに一般論としてお話をしていたときに、援助の相手方、地方政府もあり得るということを申し上げたということは確かにございます。ただ、具体的な案件の議論をさせていただきました後で、評議会は想定をしていませんということは申し上げたと思います。

首藤委員 外務大臣、連邦制のあり方、おっしゃるとおり、御説明はそのとおりだと思いますね。ですから、私はそれでいいんだと思うんですよ。もしここの場が外務委員会だったら、私はそれで十分だと思います。ただし、ここは予算委員会なんですよ。私たちの政府が集めた国民の血税ですよ。これをどうやって、本当に国民の意図どおりに、国民の思いどおりにきちっと執行できるかということを討議する場なんですよ。

 ですから、新しい連邦制がどうなるかわからないんじゃ困るので、要するに、それはどういう形でも構わないんですが、それが今、この三月いっぱいで五百五十九億円を渡していく、あるいはその後に執行していく、このお金を渡したその権威、当局というものがどういう形で新しい連邦制に引き継がれますか、その担保を外務省はどのように押さえておられますか、この質問を最初からしているんです。この点だけお答えください。担保の問題です。

川口国務大臣 主権が移転をされて、移譲をされまして、そして新しいイラク人の政府ができる、イラクの政府側の体制がますます強化をされるというように思っております。

 私は、きのう、イラクの情報通信大臣と会談を持ちましたけれども、そういった方の御感触といたしましても、今ニーズとしてイラクの人たちが持っているもの、それに変わりはないということで、彼が、新しい政権になった後、自分の組織がなくなるとか、そういうふうには全く考えていないというように私も感じを持ちました。

首藤委員 ですから、外務大臣、外務委員会でしたらそれで結構ですよ。しかし、ここは予算委員会の場なんですよ。

 ですから、連邦制になるとどういうことが考えられるか。どこでもあるじゃないですか。一つの国の場合は、ユーゴを見てください、ほかの国を見てもわかるんですけれども、連邦制というのは、今まで中央集権的なのが連邦制になっていけば、そういう国は、そこの連邦を構成する諸民族の意思がより強く出てくるわけですよ。ですから、お金を渡してこういう発電所をつくるといっても、いや、むしろ山岳地帯、例えばクルド族が多いところに持っていけ、今までのあれは要らない、こういうことだってあるわけですよ。

 ですから、いかに、私たちが今執行しようとしているこの予算がどういう形で――聞いておられますか、外務大臣、聞いておられますか。どういう形で本当に担保されていくのか、これを明確に答えていただかないと、十六年度予算はともかく、十五年度の補正予算は、この三月以内には、執行したものが本当にどこへ行ってしまうかもわからない。これを押さえずして、私たちは、国民の負託を受けている政治家として責任を全うできますか。できませんよ。

 ですから、あなたにお聞きしているのは、担保はどうなるんだ、これが例えばどういう形で次の政権に、連邦政府にきっちりと受け継がれるのか、その担保をどういうふうにとっておられますかということをお聞きしています。

川口国務大臣 今正統に権限を持っている中央政府の省庁等と署名をすることになるわけでございます。そういった案件について、先ほど申しましたように、六月末以降、これが強化されこそすれ、主権がイラク人に移行するわけですから、強化されこそすれ、それがなくなってしまうとかそういうことにはならないというふうに、これはそのように思っていただいてよろしいかと思います。

 いずれにしても、この基本法につきましては、近日うちに、三月の、明日とかその数日後に署名をされるということになっていくわけでございます。

 それから、個別個別の案件の署名をしますときに、将来を見通してそういう可能性があれば、それについて、それが問題とならないような形で署名をしていくということは十分に可能であると思っております。

首藤委員 お聞きの皆さんもおわかりのように、全く不十分な回答ですよ。これで私たちの予算が執行できていくとしたら、私は本当に問題があると思います。この問題をやればこれだけでもう本当に審議が終わってしまうから次の問題に移りますけれども、こんな水かけ論をやっていて、私は、五百五十九億、国民からお預かりしているお金が本当に国民の意思を反映して使われるのか、本当に疑問を持つわけですね。

 そして、具体的な案件ということを、私はもう二カ月間ずうっと大臣に要求してきました。どんなものがありますか、どんな工場ですか、どこの地域ですか、どこの病院ですかということを詳しく詳しくお聞きしました。二カ月たって何も出てこないですよね。そして、前に出された、要するに一億円単位の漠然とした、病院案件とか、十三の病院を修復しとか、火力発電所を修復しみたいなのが一億円単位であって、これしかできませんということなんですね。そんなものかなと私もふと思ってしまいました。

 しかし、同じように、日本が独自で決めなきゃいけない無償枠以外に、日本は国際枠、マルチで出している部分もありますね。マルチで出している部分はどうかといって、UNDP、国連開発計画から資料を取り寄せました。そうしたら、第一パッケージとして五つのプロジェクトが挙がっています。

 最初はウンムカスルの港湾プロジェクトですけれども、これは二〇〇三年五月、ちょうどブッシュ大統領が要するに終戦宣言をしたときですね。そのときから、ともかく港に船を入れなきゃいけないということで、しゅんせつしたりいろいろした。これはしようがないかなと思いますね。ですから、非常に大きな、二百五十万ドルですか、そういう数字があって、これはゼロ、ゼロ、ゼロがだあっと並んで、ともかく、えいやでやろう、だれが当局かもわからないけれどもやってしまおう、そういうものがあったと思うんですね。

 それから、同じように六月、これも終戦直後の、終結宣言直後のバグダッドの混乱の中で、ともかく雇用を創造して争乱をとめなきゃいけないということで雇用計画をやった。これもゼロが幾つも並ぶのはよくわかる。

 しかし、七月のイラク中央配電所、私が読んでいるのはお配りしている資料一に書いてあることですけれども、それからカーズミーヤ教育病院緊急復旧計画、それからハルサ火力発電所緊急復旧計画。これを見ればわかるように、みんなすべて一ドル単位でちゃんと積算ができているんですよ。当たり前じゃないですか。予算案というのは、それは結果的に決算と五%違ったり、一〇%違ったり、あるいは政変が起これば大きく変わるかもしれない。しかし、これぐらいができなかったら予算案にならないじゃないですか。

 私は、また、このプロジェクトが一体どういうのかという、では、その金額と同時に受け皿はどうなっているのかということをお聞きしました。

 このウンムカスル港の修復に関しては、戦争直後なので、これはパートナーがだれかはわからない、ともかく自分たちでしゅんせつしたりして港を使えるようにしちゃったというのが現実のようですね。

 しかし、その次の雇用計画に至っては、UNDPのスタッフが入って、バグダッド市内におけるさまざまなグループと接触し、公式、非公式のさまざまなコミュニティーと接触して、そのそれぞれと公式、非公式のコンタクトを通して契約していたということがわかりました。

 それから、中央配電所の復旧に関しては、バグダッドのイラク中央配電所と直接交渉して、これは、いわゆる紛争地で行われるダイレクトエグゼキューションという形になるわけですが、ともかく、そこにいる人たち、そこで運営をやる人たちと直接交渉してこの復旧計画を実行していく。ただし、その実行に当たっては、実体的な運営組織と交渉、そして実行するわけですが、その経過をきちんと電力省の本省に報告している。

 四番目のカーズミーヤ教育病院に関しては、病院ではなく、これは保健省の本省と契約しているということがわかっている。

 それから、最後の、バスラのハルサ火力発電所では、これは、電力省の本省ではなくて、電力省のバスラ地方局と契約しているということがわかった。

 このように、紛争地の現状に合わせて、何が実体的な運営組織であるかを把握し、そこときちっと責任体制をつくり上げているのがUNDPのこの五つのパッケージじゃないですか。

 どうして日本は、同じ私たちの税金を使って、片方は一ドル単位で積算を出してくれる、同じ私たちの税金が、私たち日本国民の税金が、片方では一億円単位で、どこへ配られるか、受け皿もはっきりわからない、執行体制もわからない、新しい政権にどう受け継がれるかもわからない。こういう体制で執行されるというのはおかしいと思いませんか。

 外務大臣、いかがですか。どうしてこれが日本で今できないんですか。

川口国務大臣 今委員がおっしゃられた件、これは、国際機関経由で、そのように国際機関にはきっちりやっていただいているわけでございます。そして、我が国が行うイラクに対する直接支援、これにつきましても全く同様に、案件が正式に決定をされる場合には、そのように具体的に、かつ詳細に積算をつくって、それに基づいて供与額が決定されるということで、全く同じであるわけです。

 そして、その案件の実施後につきましては、これは、供与先から報告書を取りつけるということにつきましても全く同じでございます。そして、その報告書において、案件がどのように実施をされたか、そして、そういう情報、あるいはその実施を行った場合の正確な金額、そういうことがそれに対して記載をされるということになっておりまして、今細かくおっしゃっていただいた国際機関のやり方と直接支援のやり方、これが変わるということはないということでございます。

 それから、もし必要でしたらば、それぞれの案件について相手先がわからないとかおっしゃられましたので、細かく申し上げさせていただきたいと思いますが、必要ならお答えいたします。

首藤委員 それは、資料を後で出していただければ結構でございますが、それは何度も、二カ月にわたって要求しておりましたけれども、ともかく三月の末でございますから、もうあと三週間しかありませんから、しっかりしたものを出していただければと思っております。

 そして、私は、こんなにも国際社会と日本とが違う一つの理由は、それをやっていたのが実は奥さん、井ノ上さんではなかったかと思うんですね。一生懸命プロジェクトを探して、そして担当者を決めていた、その二人が失われたことによる悲劇というのは大きいと思う。

 ここで問題になるのは、では奥さん、井ノ上さんが持っていたデータというのはどこにあるかということですね。これが実は、この外交官二人が殺された車の中にあったパソコンの中に入っている、あるいはフロッピーディスクにあったなどと言われているけれども、それが戻ってこないということを質問主意書を含め何度も聞いておりますけれども、どうなっているかわからないんですね。

 だからこそ、外務省は一つもこの細かいデータが出ないんじゃないんですか。そうでなければ、奥さん、井ノ上さんがあんなにも何カ月も何カ月もイラクを隅々と回って、その具体的なプロジェクト名もその積算も出てこないというはずはないんですよ。だからこそ、これはまた後で質問につながってきますが、この二人の外交官の死というものを徹底的に原因究明をして、このお二人が亡くなる前の状態を、原状を復帰させなきゃいけないわけです。

 その前に一つ、今実行している中で、とりあえずは多少具体性を持っているというもので、この間も論議になりましたパトカーの入札というのがございました。

 六百台近いパトカーを入札する、これは内務省に配られるということでしたね。私は、これも、いや、内務省というのは、そんな省があるのかということで、その権威についても、オーソリティー、当局性についても私は疑問を投げかけたんですが、ともかく、六百二十台、オフロード車とかセダンとか、そうした警察用のパトカーを購入されるということは聞きました。高いなと思いました。質問しました。

 そうしたら、この間新聞を見てあっと驚いたのは、ここに、資料二にも書いてございますが、市場価格が高い、安くしなきゃいけない、そういう意図があったのかどうかわかりませんが、入札になりました。そうしたら、単純計算で約半額近い価格でその入札が決定しました。したがって、その約倍を各都市に配ることになった。問題は大きいですよね。

 では、そもそも六百二十台という積算の根拠は何なのか。六百二十台という要請が出てきたのに、安くなったからもっと上げますよという。だけれども、ニーズが六百二十台なのにもっとくれたら、その追加的にくれたのはいつの間にか、色を塗りかえてタクシーになったり、あるいは署長の自家用車になってしまうかもしれないですよね。これでは、国民の税金を使って援助をやっている意味がないじゃないですか。

 だから、六百二十台なら六百二十台というニーズがあるのなら、それに合わせて車を購入して、その分は援助金額から減額するのが筋じゃないですか。私は、それはもう全くおかしな論理だと思うんですよ。

 このことに関しては、私は、外務省の執行体制に対して大変疑問を持っています。しかし、もっと疑問を持っているのは、この価格決定の仕方なんですね。

 この資料二の下に、各社の入札と順位が書いてございます。まず、見ていただきたいんですが、これはロットが四つあります。ロット一がオフロード車百八十五台、ロット二がオフロード車百十五台、ロット三が百四十台、ロット四がセダンの百八十台となっております。小計で六百二十台。入札しました。いいことです。やはり入札でこういうことをしっかりやらなきゃいけない。公正明快に、やはり国民の税金を使っているわけですから、少しでも安い方、少しでも公正な方法でやらなければいけせん。そして、やったのは、ロット一、二、そして三、四と、こういうふうにつながります。

 そこで、この資料二を見ていただきたいわけですが、総合商社五社が応札しました。A、B、C、X、Yとあります。このうち、A、B、Cという会社、これは入札して、それぞれ五位になったり四位になったり三位になったりするんですよ。それは、ロットによって、納入時期によって単価が違ったりしますから、そういう上限があることこそが、公正な競争が行われている一つの証左でもあるわけですね。ですから、あるときには五位であったり、あるときには三位であったりする。当たり前なんです。

 ところが、この五社の中で二社が非常にユニークな応札行動をとっているんです。それはX社とY社ですね。

 それで、Y社は、これは非常にもうめちゃくちゃに安い。例えばこのロット一でいけば、A社が七億三千万円に対して、Y社は、四億九千九百万、五億円ぐらいの物すごい低いもので応札しているんですね。これは、こういう形は時々入札にあるんです。もうともかく実績をつくりたいために思い切って下げていく、価格構成が何だろうが利益が何だろうが、ともかく思い切ってやっていくという行動をとるのがある。その意味では、Y社の行動というものはある程度理解できるんですよ。その結果Y社がほとんど、ロット一、ロット二、ロット三を一位となりました。ロット四は、セダンですからY社は応札しなかった。

 そこでおかしいのは、X社というものは常に二位になっているんですよ。おかしいなと私思うんですね。なぜX社が二位になるのか。一位になるというのは思い切って下げればいい。しかし、二位を続けるというのは、これはすごく難しいんですよ。皆さんもわかるでしょう。応札して、それで二位になり続けるというのは難しいんですよ。マージャンやったって、昔、二位になって二抜けというのがあって、いろいろありましたけれども、二位になるというのは難しいんですよ。ブービー賞をとるのは難しいと言われるんですよ。ところが、X社は、何だか知らないけれども二位なんですよ。二位でどうしてこんなになっているのかなと私は非常におかしく思っているんですね。

 この間の関係というものは、思うと、ひょっとしたら、Y社というものが存在しなかったら、すべてX社がとったんじゃないかなという疑問も出てくるわけですね。しかし、まあそれは単なる疑問にすぎないわけですね。

 もう一つここで、では、そのX社の価格形成というものはどういう形成になっているかということで、この価格が、例えばX社よりもうちょっと高い、すなわち、このロット一でいえば、第三位の会社の一体何パーセントぐらいを価格として出しているかというのがあります。

 それを見ると、X社は、何と必ず三位となっている会社の約七三%で出しているということがわかるんですよ。ロット一は七四%となっていますけれども、これは、修理補材とかなんかいろいろあるわけですね。修理機材が入っている。ロット一、ロット二、ロット三において、X社は第二位。第三位となるのはA、B、C。必ずC社じゃないんですよ、AであったりBであったりCであったりするんですよ。三位になる会社はいろいろ違うのに、いつも二位になっているX社は、いつも三位になっている会社の七三%で価格をオファーしているんですよ。

 そして第四ロット。第四ロットは、Y社が、これは玉がないのかどうかわかりません、ともかくセダンに関しては応札しなかった。応札しなかった会社、当然Y社が応札しないということは知っていますよね、に関しては、X社は、次の順位の、この場合は二位ですけれども、二位の会社の八五%、すなわち、七三でなく八五で応札しているんですよ。利益率を上げているんですよ。大変戦略的にすぐれた応札だと私は思いますよ。

 しかし、こうした非常に特殊な応札パターンをとっていることに関しては、この結果を生み出した仮説は二つしかないですよ。

 一つは、A、B、C、Xの間で情報の共有があった。別な言葉で言えば、談合と言ってもいいかもしれません。もう一つは、この価格を知り得る組織、例えば外務省、例えば内閣官房、こういうところの人が、何らかの情報を意図せざるかもしれない形で外部に流した可能性もある。私は、そういうふうに仮説を立ててみたんです。

 私は入札に関しての専門家ではありませんから、公正取引委員会の委員長の、こうした入札形態に関して、公取の長年の経験からどのようにこの数字を見て判断されるか、御意見を伺いたいと思います。

竹島政府特別補佐人 公正取引委員会が入札談合について調査なりしますときには、まず前提として、関係業者の間で基本合意があるかどうかということが一番大事でございます。それが独禁法違反に当たるわけでございまして、その結果としてチャンピオンが選ばれまして、その者が大体落札率でもう一〇〇%に近い九十何%というところで落札していくというのが一般的な入札談合の姿でございます。

 今委員お示しのデータ、いろいろ今ここで拝見させていただきましたけれども、そのような低い価格でチャンピオンが決まるというのは、我々の経験からすると一般的ではない。

 したがって、談合が全くないということを私が申し上げる情報は持ち合わせておりませんけれども、大事なことは、基本合意があったかどうか、そういうことについての具体的情報、これがなければ、今申し上げたように、我々の審査対象にはならないということでございます。

首藤委員 そういう御答弁もあると思いますけれども、こうしたものに関して、公正取引委員会あるいは公正なる入札に関係する機関は、ぜひこの問題に関しても調査していただきたいと思います。

 今、私たちがこんなに言うのは、この援助はただの援助じゃないんです。本当に、イラクという問題があり、そしてそこでは、奥さん、井ノ上さん、痛ましい犠牲も生み出してしまった。そして、自衛隊がサマワに行って、自衛隊の方の若者の血が流れるかもしれないし、若者が手を血で染めることもあるかもしれない。こうした本当に厳しい状況の中において、私は、一瞬たりとも、一部たりとも、雑念が入ったりノイズが入ったり不透明な部分があったりしてはいけないと思うんですよ。

 ですから、このことに関しても、本当に一円に至るまできちっとやはり国民に説明ができる、こういう予算でなかったら私はこの予算を通すべきではない、そう思うんですよ。ですから私は、この問題に関して、外務省を含め、徹底的なこの問題に対する調査を行っていただき、国民にその正当性を示していただきたいと思うんです。

 さっきから問題にしていますけれども、自衛隊の問題だけでなく、これは本当にもっと日本がシステム的にきちっと取り組むべきだったテーマなんですよ。ですから、奥さん、井ノ上さんが失われたことによって、こんなに私たちの援助も非常にゆがんだ形になってきているというのが現状だと思うんですね。なぜ、こんなに特定の人たちにだけ、ほんの小さな力だけでこういうことをやろうとしたのかということです。

 例えば、援助に関しても、国連がやっているように、UNDPがやっているように、御存じのとおり、UNDPなんかは、デメロさんの国連が破壊されたときにも、本部の職員は全部引き揚げているわけですよ。それでも、ローカルスタッフを使ったりいろいろな苦労をしながら、少しずつ少しずつ積算資料を集めている。我が国でも、例えばJICAだって、今そうした経験を積んで、JICAの人だって紛争地でいろいろな情報を集めたり、そういうことができるようになってきているんです。いろいろな援助関係のコンサルタントもできている。いろいろな形で積算はできるんですよ。

 ですから、私は、この援助に関して、非常に、ほんの一握りの人間だけがこの問題をやっていて、そしてそれが事故に遭ったためにもうめちゃくちゃになっていったということを指摘しているわけなんですね。

 それで、今この問題をやったのは、ですからそれは、例えば、内閣総理大臣補佐官の岡本行夫さん、それから現地にいた奥さん、井ノ上さんですね。奥さん、井ノ上さんの情報がわからなくなったら、岡本行夫さんがどれだけ情報を出してくれるかというのが問題なわけですが、このことに関しては、果たして、国家公務員としての中立性がある、問題があるんじゃないかということで、私も質問主意書を出させていただきました。その答弁書、待ちに待った答弁書ですが、私はとても十分だとは言えないんですよね。そして、ここに、答弁書では、民間企業からの技術者の派遣が困難であるという状況の中で、岡本行夫さんが関係ある三菱マテリアルに連絡したとかいろいろ書いてあります。

 しかし、御存じのように、イラクにはもう既に、川崎重工業も含めいろいろな会社がこのセメント業界に関しては知識もノウハウも持っているし、もう喜んで技術者を送ってくれます。それから、川崎重工業や丸紅だけではなくて、例えばサウジアラビアとかそういうところに行けば、その隣国では、石川島播磨も含めもういろいろな会社がノウハウを持っているわけですよ。なぜこの会社に、それを三菱マテリアルにやらなきゃいけなかったのか、私は大変それに疑問を感じております。

 ですから、こうした問題に関して、また質問主意書を出すことになると思いますけれども、やはり国家公務員法百条の観点から見て、私はこの問題は大きな問題をはらんでいると思いますけれども、官房長官はいかがお考えですか。

福田国務大臣 私、前にも答弁したと思います。お答えしていると思います、その疑念について。

 三菱マテリアルは民間会社でありますが、当時のあの状況の中で、私は、要請に基づいて、善意で、好意でもってやってくれたことだというふうに思います。プラントメーカーでもありませんから、川崎重工のような。ですから、そういうビジネスには直結しない、セメント会社ですから、セメント製造会社ですから。そういうこともございますし、また、守秘義務云々とおっしゃいましたけれども、そういう守秘義務に当たるような案件でないということでございます。

首藤委員 知っておられておっしゃっておられるので、お立場から言われるならそういう答弁しかないんでしょうけれども、私は大変それに疑問を持っているんですよ。さっきも言ったように、これは私たちの、若者の血が流れるかもしれない、本当に国民の税金をしっかりと私たちも監視してやらなきゃいけないわけです。

 ですから、そういうことに関しても、企業の行動基準でどうなっているか知っていますか。例えば、昔から有名ですけれども、二十年ぐらい前のIBMの行動基準を見れば、親戚や友人から物を買っちゃいけない、そういう特殊な関係にあっちゃいけない。特殊な関係はどういうのかというと、ある日そのことが新聞に載って、朝刊でそれを見た人が、ああ、きっと特殊な関係があると思った、それはいけないんだ。ですから、そういう関係になってはいけないということを、企業ですらもう既に言われていることなんですよ。それを、税金の問題に関して、そういう漠とした形で進められるということには大変疑問を感じております。

 現実に、こうした質問主意書を含め、これが問題になるにつれて、世間では株価が上がっていったりするわけですよ。ですから、こうした問題に関しても私たちは慎重にならなければいけないと思っております。

 残念ながら、質疑時間が尽きてしまいましたが、私は、もう一度繰り返しますが、このように国民の税金が、不明瞭な形で、不透明な将来に対して使われるのは許すべきではない。私は、国民の負託を得た政治家として、その意味で、この予算案には反対しますし、そしてまた、十五年度の補正予算に関しては、そんな不透明な中で、駆け込みで三月以内にそれを行い、万が一それが不透明な形で、不明瞭な形で使われていってしまう、あるいはそれがだめになってCPAに渡してしまうというようなことが絶対にあってはならない、その意味において、補正予算の執行に関しても、私は凍結すべきだと考えております。

 以上で質問を終わります。

笹川委員長 これにて首藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、長妻昭君。

長妻委員 おはようございます。

 私は、民主党の衆議院議員、長妻でございます。本日はよろしくお願いを申し上げます。

 まず、当予算委員会におきまして、自民党の大野理事から、二月二十五日のこの予算委員会、テレビも中継されておりますけれども、こんな御発言がありました。「我々は、この年金の保険料、国民の皆様の大事な年金の保険料は、年金の給付以外には絶対使わない、こういう誓いに達したわけでございます。」こういうことを言われたわけでございますけれども、ちょっとこれは事実と違うのではないのか、いずれの機会に訂正をいただければというふうに考えております。

 といいますのも、まさに今予算関連法案として提出されております公債特例等法案、この法案は、平成十六年度も引き続いて保険料を、年金の掛金を、社会保険庁の職員の皆さんのマンションの建設費に充てる、あるいは黒塗りの車の購入費に充てる、外国旅費に充てる、健康診断の経費にも充てる、アルバイトのお給料にも充てる、これを平成十六年度一年間も可能にするという法案が今予算関連法案としてかかっているわけであります。

 ですから、その法案を、これは、自民党さんは多数ですから通されると思うわけでありまして、その意味では、これは、発言というのは事実と違うと思いますので、これを……(発言する者あり)ですから、今後の問題といたしまして、平成十六年度、今後です、今後、平成十六年度一年間も年金の掛金を流用する、私は年金掛金ピンはね継続法だと言っているんですが、まだ成立していないんですよ。そうしたら、成立させないでください、そういう大見えを切るんだったら。ということを訂正していただきたいと思います。そういう意味では、まだ法律は成立しておりません。

 そして、もう一つのテーマといたしまして、この六年間の掛金の流用というのは、財構法、財政構造改革特別措置法という法律の特例によって六年間の限定でなされたということで、それがことしの三月末に切れるわけでございますけれども、それを、今申し上げましたように、一年間延長するということであります。

 そもそもこの本体である財構法、財構法というのは、橋本内閣のときに、国の財政が大変だということでつくられた法律でありまして、税金を節約するということですけれども、何のことはない、節約した分、その分を、年金の掛金をそこに流用していく、こういうものでございますが、この財構法は、法律としてもう停止をされている。

 にもかかわらず、この年金の部分が生き残っているということでありまして、そういう意味では、財構法関連でいろんな法律が改正されましたけれども、平成十六年度も生き残るのは、共済なんかもありますけれども、年金のこの法案だけであると私は認識しておりますけれども、そういうような法案を通してくる、出してくるというのは、私はおかしいというふうに考えているわけであります。

 そして、この法案が通りますと、平成十六年度には一千七十九億円もの年金の掛金が、先ほど申し上げましたような年金事務費と称される職員用のマンションとか、黒塗りの車とか、外国旅費とか、健康診断の費用とか、そういうものにまた十六年度一年間で使われてしまう、こういうようなことになるわけでございます。

 そして、もう一つ、年金というのは二つの特別会計があって、税金で措置する分と、保険料を充当してもいい、こういう部分に分かれているわけでございますけれども、これは一つのルールとして、谷垣大臣も答弁をされておりますけれども、人件費は税金、国庫負担だ、人件費以外はこの年金の掛金を充当してもいい、税金でもいい、こういうような仕分けをされておられるということでございます。

 そこで、本当にそういう仕分けがきちっとなされているのかどうか。私はなされていないと思うんですね。例えば健康診断なんかは、これは今、年金の掛金ですけれども、社会保険庁の職員の皆様が健康診断をされるのは、これはいいことでありますので、これは掛金ではなくてほかの省庁と同じようにやはり税金で措置する。

 ですから、税金の部分と掛金を流用する部分というのが非常にいいかげんな形になっているのではないかというふうに思います。

 その一つの典型例を指摘申し上げますと、これも平成十六年度の予算でございますけれども、今お配りをした資料の二ページ目をごらんいただきますと、ここには、これも年金の事務費ということで計上されておりますが、国民年金事務取扱交付金、こういうようなものもあります。

 これは平成十六年度の予算では全体で三百七十九億円ございまして、これは、年金の事務を市町村にお願いしている、そのためにお金をお支払いする、こういうようなものが年金の掛金からも出ておりまして、三百七十九億円のうち、保険料財源が百五十八億円、国庫負担が二百二十一億円、こういうふうに分かれておりまして、百五十八億円は年金の掛金がここに使われるということであります。

 この切り分けでありますけれども、先ほど申し上げました原則によりますと、この二百二十一億円は人件費だ、人件費だからこれは税金で措置をするということでありまして、そういう要請が社会保険庁の方から財務省の方に行って、昨年、多分予算要求の段階だと思いますけれども、そして、一ページをごらんいただきますと、これは財務省の内部の資料でございますけれども、財務省の方としては、この二百二十一億円を、下の方にございます補助職員、補助職員という費目の中に入れた、こういうようなことを言っておりまして、そういう意味では、人件費だ、こういう認識を財務省もされておられるわけでございます。

 その意味で、人件費であると税金で措置するということでありますけれども、これは調べますと、本当にこの二百二十一億円が人件費なのか。市町村に交付金が配られて、市町村の職員の方の人件費に当たる、こういう説明が厚生労働省から財務省になされて、そしてこの一ページ目のように財務省も内部で補助職員ということでそのお金に計上している、こういうことでございますけれども、これは厚生労働省にお伺いするのでございますが、この二百二十一億円が、これが市町村の中で人件費として使われる、この根拠をお示しいただきたいと思います。

森副大臣 お答え申し上げます。

 繰り返し申し上げておりますように、予算費目上の人件費ではございません。しかしながら、職員の給与に充当されている分もございます。

長妻委員 いや、ですから、これは、財務金融委員会でも先週、この問題、議論をして、きちっと誠意を持って調べるということも言われているわけであります。ですから、この二百二十一億円が実際に市町村の人件費だ、こういうふうに言っておられて、財務省もそれを真に受けてといいますか、そういうふうに計上しているわけですから、どういう資料があるんですかと、人件費。ただ当てずっぽうで二百二十一と出したんですか。それをもう前から聞いているんです、先週の財務金融委員会から。

森副大臣 先週の二十七日金曜日の財務金融委員会で、委員から市町村交付金の内容についてのお尋ねがございまして、私どもで鋭意調査することをお約束いたしました。

 今調査中でございますけれども、何せ資料が膨大なものですから、金曜日から土日も、とにかく今データを集積しておりますので、またいずれ御報告をさせていただきたいと思います。

長妻委員 これはそもそも、そんな膨大な資料を調査して膨大な時間がかかるということ自身、おかしいんですよ。

 なぜかというと、そういう資料があって、二百二十一億円は人件費だということでもう財務省に去年の段階で言って、二百二十一という数字を出しているんですよ。だから、それはもう今なきゃいけないんですよね、資料が。今から調べるんじゃ、だって二百二十一、財務省をだましたんじゃないですか、ひょっとしたら。そう勘ぐられてもしようがないんですよ。

 それで、この資料は、先週の財務金融委員会で、私が、予算関連法案の採決の前提です、だから採決までにお出しくださいと言ったら、森副大臣は、誠意を持って努力いたします、こういうことを言っているんですよ。

 ですから、それは、今から調べるというよりは、もうなきゃいけないんですよ。だって、去年財務省に二百二十一が人件費だと言っているんですから。これはきちっと答えないと質問できませんよ。この時間内にちゃんと出してください。

森副大臣 市町村交付金の積算の根拠について申し上げますと、国民年金の事務を実施する上で必要な国民年金被保険者一人当たりの事務の処理に必要な費用をもとに交付単価を設定し、それに被保険者数を乗じて計算をしております。その単価には、国民年金事務の実施に要する市町村職員の給与相当分と、通信費、事務用品等など給与以外の経費も含まれております。それで、予算上の内訳としての市町村職員給与相当分の単価により算出されたものが、財務省資料で示された広義の人件費に含まれているものでございます。

 このように、市町村交付金の算定は、職員数による積み上げで算出しておらず、また、国民年金事務を遂行する上で何人の市町村職員を配置するかは市町村の裁量にゆだねられているため、職員数が何人ということにはなりません。

長妻委員 これは今の話でよくわかるように、結局、だから給料以外もあるわけですよ。ただ、あるんだけれども、今わからないというお話ですね。

 ただ、二百二十一億円はお給料ですよ、人件費ですよと去年の段階で財務省に出しているわけですよ。だから、わかっているんですよ。その資料を出してください、こういうことを言っているんです。

森副大臣 いや、ですから、職員一人頭何ぼという人件費ではございませんで、その単価に基づいて、単価に被保険者数を乗じて……(長妻委員「では、二百二十一と何でわかるんですか」と呼ぶ)ですから、単価に……(発言する者あり)そういうふうになるわけですよ。(長妻委員「質問できません。速記とめてください」と呼ぶ)

笹川委員長 森副大臣。

森副大臣 平成十六年度は、その単価について申し上げますと、基礎年金等事務費交付金の給与相当の単価は九百八十円、また、福祉年金事務費交付金の給与相当の単価は千二円、平成十五年度は、基礎年金等事務費交付金の給与相当の単価は千二円、また、福祉年金事務費交付金の給与相当の単価は千百九十八円、平成十四年度は、基礎年金等事務費交付金の給与相当の単価は千六十九円、福祉年金事務費交付金の給与相当の単価は千二百二十七円となっておりまして、これに被保険者数を乗じた数を、その……

長妻委員 だから、単価の根拠なんですよ。今の数字も十分説明受けていますよ。

 ですから、基礎年金等事務取扱交付金、これは被保険者一人当たり千七百二十五円を市町村に交付金を渡す、それはわかりますよ。ところが、そのうち、厚生労働省は、被保険者一人当たりの手数料みたいなもの、千七百二十五円だと算定しているうち九百八十円が人件費だ、市町村の職員の人件費に当たる金だと言っているわけですよ。説明を受けています、今の話どおり。

 だから、その九百八十円が人件費だという根拠は何ですかと。千七百二十五円のうち、五六%ですよね、九百八十円が人件費だ、こういうふうに計算しているわけですけれども、それはわかりますよ。だから、五六%の九百八十円が人件費だという積算根拠を出してほしいというんですよ。後から理屈つけたんじゃないですか。

森副大臣 国民年金の事務の一部は市町村が実施しており、その事務の処理に必要な費用については国が交付することといたしております。

 また、事務の処理に必要な費用の総額については、国民年金被保険者等の数に比例しているため、被保険者等一人当たりの費用の額に当該市町村の被保険者等の数を乗じて算定しております。

 被保険者等一人当たりの費用の額については、平成元年度に実施した国民年金事務費の実態調査結果を踏まえ、その後の国家公務員の給与改定、地方分権一括法による市町村の事務の見直し等を考慮して、政令で定めております。

笹川委員長 厚生労働省、事前に聞いて、資料を持って説明に行かなかったの。(長妻委員「いや、もう来ました、十分来ました。説明できないんですよ」と呼ぶ)

 厚生労働大臣、何か。厚生労働大臣、発言してください。

坂口国務大臣 かなり具体的な話になってまいっておりまして、算出の単価の話になってきておりますから、ここは一遍精査いたしまして、至急にお出しをするようにいたします。(長妻委員「先週の金曜日に言っているんですよ、財務金融委員会で。委員長、速記とめてください、先例に基づいて」と呼ぶ)

笹川委員長 厚生労働大臣、今、精査して報告するということですから、明日報告できるようにして、ここはひとつ進めてください。(発言する者あり)きょうじゅうに出ますか、夕方まで。

 どうぞ、労働大臣。

坂口国務大臣 精査いたしますが、先ほど副大臣からも申し上げましたとおり、これは平成元年に実施をしました市町村を対象にしました調査がございまして、そして各市町村におきます人件費というものを割り出して、それを根拠にしているわけであります。それを根拠にして、延長させて今日に及んでいるというのが粗筋でございますけれども、もう少し詳しいものを提出させていただきたいと思います。

長妻委員 では、きょうじゅうにそれを出してください、きょうじゅうに。

 いや、今の話も全くおかしいんですよ。人件費の比率が、先ほど私は五六%と言いましたけれども、そういうふうに積算しているんですが、それは毎年変わっているようなんですね。平成十三年度以降と十二年度以前と変わっているんですよ、パーセンテージが。ということは、平成元年一回だけ、もしそれを、調査したかどうか私知りませんよ、ちゃんとした調査、平成元年に一回だけしたとしてもだめなんですよ。年々に変えているわけですから、その人件費の比率を、いいかげんに。ですから、年々にそういう調査をしていないといけないんですよ、本当は。

 それで、その資料が出ないというのもおかしいのは、今、平成十六年度の予算審議をしていて、予算で二百二十一億円は人件費ですと去年の段階で財務省に言っているわけですよ、社会保険庁が。ということは、そこにもう添付資料なり自分の控えなりで持っていないといけないんですよ。すぐ、ぱっと出るんですよ、普通は。

 ですから、いずれにしても、では毎年の積算の資料を出してください、過去十年。平成元年と言ったんだったら、平成元年から毎年比率が変わったとすれば、変わったごとにその資料を出してください。

森副大臣 御要請の趣旨に沿うようにいたします。

笹川委員長 財務大臣、何か。財務大臣、何かありませんか、意見は。

谷垣国務大臣 私も、この間の財金委員会の御議論からずっと聞いておりますが、今、森副大臣が御答弁されましたように、誠意を持って今調査をされている最中であると思いますので、そのように思っております。

長妻委員 そうすると、きちっと話を整理しますけれども、今申し上げましたように、人件費比率が変わっている、毎年。その変わっているごとに、平成元年から、どういう根拠で変えたのか、その資料を出していただくということ。当然平成十六年度の人件費は見積もった資料を出していただくというのを、本日中に出していただくというのがこれはもう前提である、こういう確認でよろしいですか。それで、理事会に出してください。

坂口国務大臣 理事会に提出させていただくようにいたします。

長妻委員 非常に、すぐに出てこないというのは、どんぶり勘定だというそしりを否めなくなりますので、きちっとやっていただきたいというふうに思います。

 そして、坂口大臣に、この公債特例等の法案で、平成十六年度も一年間延長できるという法案でありますけれども、私はこれは反対しておりますが、仮に平成十六年度そういうようなことになった場合でも、予算を使わないということもできるんですね、使わないということも。年金の掛金を使わないと。

 私は、社会保険庁の職員用のマンションは一時凍結をして、そしてむしろ保険庁の方には民間のマンションに入っていただいて、それで家賃補助を出す、私はそういう転換の方が職員の方も喜ぶんじゃないかと思いますよ。隣が上司で、こっちが部下が住んでいて、宿舎の中に入っているよりも、民間のどこへ入ってもいいですよ、ただ、一定の家賃は補助しますよと。そうしたら民業圧迫にもならないし、民間のマンションの業者も喜びますよ、そんなの建てないで。

 役所が建物を建てると本当にむだなんですよ、コストは高いし、管理も高いし。そして、一カ所ですけれども、二〇〇二年度に談合の疑惑があるような宿舎の入札もあったわけですよ。予定価格と落札価格が全く同じだ、こういう社会保険庁の宿舎の入札もあったわけですよ。疑惑がある、持たれるようなのがあったわけですよ。

 ですから、そういう意味では、例えば宿舎については、予算がついていますけれども、これは不用ということで、例えば予算は、まだ通っていないですけれども、これは使わない、金があるけれども。坂口さん、そういう御決断はないですか。

坂口国務大臣 今ついております予算の中で、できる限りそれはむだ遣いがないように、余分なものは使わないようにしていかなきゃならないことは当然だというふうに思っております。

 宿舎のお話が出まして、確かに宿舎の建てかえの予算も含まれているようでございますが、先延ばしのできるものは先延ばしをする。そして、今民間のというお話がございましたが、それじゃ、その家賃をまた出すのをどうするかという話になってくるわけでございまして、新しいものを建てるよりも一時的に出すお金は少なくて済むということもございますから、いろいろのことを検討させていただいて、できるだけ宿舎につきましては節減のできるようにしたいというふうに思っております。

長妻委員 そして、いろいろ本当に年金のことを調べますと腹が立つことが多いんですが、こういう、昨年、年金のキャンペーンで、これは平成十五年、昨年の夏に社会保険庁が出したポスターでございますけれども、「将来、泣いてもいいわけ?」と、挑発的。掛金払え、泣いちゃうよ、将来、こういうポスターをつくっているわけですが、これは、泣かせているのはだれなんですか。

 それと、これは本当に腹立つんですよね。平成十四年の秋とか冬に出た社会保険庁のポスターというのは、「ひとりの勝手は、みんなの迷惑。」と。こういうのを見ると本当に、ちょっとこれ、腹が立ってくるんですよね。(発言する者あり)この迷惑、今、何で迷惑かというのは、自民党からやじが出ましたけれども、これはグリーンピアですよ、例えばグリーンピア。すさまじい金。それで、年金の運用でも三兆円評価損が出ている、九月期。そういうことがこれはあるわけですよ。

 谷垣大臣、ぜひこの特措法を、平成十六年度一年間のやつをもう撤回する、それが言えなければ、平成十七年度はもうそれはやらない、こういう御答弁できないですか。

谷垣国務大臣 この特例公債法に関しましては、平成十六年度、年金の運営に必要な費用はどうあるべきかということで、坂口大臣ともいろいろ相談をさせいただきまして、本則は、国民年金法等に書いてございますように国庫から支出するということでございますが、一年間、そういう特例をつくっていただくということで話をまとめたものでありまして、現時点ではこれが最善の策であるというふうに思っております。したがって、撤回をするという考えはございません。

 そこで、では来年どうするかというお話もあったと思いますが、これはまた、平成十七年度の予算編成において、そのときのいろいろな事情を見ながら厚生労働大臣とよく協議をさせていただきたいと思っておりますが、いずれにせよ、一般会計から支出する、国庫から支出するのであろうと、年金の中からお払いをいただくのであろうと、使うものが適正に使われなければならないのは当然のことだろうと思いますから、その意味で、きちっと予算をまたつくってまいりたいと思っております。

長妻委員 そして、十二ページを見ていただきますと、資料の十二ページでございますけれども、これは、例の特殊法人の年金資金運用基金、グリーンピアをやっちゃったり株で損をしちゃったり、この年金資金運用基金のお給料でございますけれども、一覧表でありますが、理事長が、平成十五年度、二千四十二万一千円。このお金も、全額が年金の掛金で出ていますからね。それで、投資専門委員という、一番下にお給料がありますが、この方々が実は株の運用などを指導するプロフェッショナルの三人なんです。三人、お一人の年収が一千五百万円ということでありますけれども、失敗しようが失敗しまいが、別に何のペナルティーもない。これも年金の掛金で支払われているということであります。

 そして、融資事業ですね。融資事業で毎年大きな赤字が今出ておりますけれども、この融資事業で出ている赤字、これはすさまじい赤字でございます。十六ページでございますけれども、平成十六年度で三百六十九億円が年金基金がやっている融資事業で赤字になっている。これも年金の掛金で充当される。

 それで、私、びっくりいたしましたのは、これだけ赤字が出ているのに、きのう、年金資金運用基金の方が私の事務所に来られたときに、名刺がございまして、その後ろに宣伝のことが書いてあるんですね。住宅融資、これだけ赤字のものをまだ今宣伝しているんですね、被保険者の皆様への住宅融資などを行いますということで、福祉事業もやっていますという。今も宣伝して、募集していいものなのかというふうに私は疑問に思うわけでございますけれども……(発言する者あり)昔じゃありません。きのうもらった名刺であります。

 そして、このグリーンピアで、八ページを見ていただきますと、三千七百億円ぐらいの年金の掛金がグリーンピアで投じられてしまったということですけれども、これは借金でございまして、まだ八百億円の借金が返し終わっていない。ということは、皆様方が払う厚生年金の掛金などが、払っても八百億円分は、失敗したリゾート施設のしりぬぐいのためにお金が使われちゃう、そしてだれもこれは責任とらない、こういうようなことがございます。

 そして、十三ページを見ていただきますと、これは、森理事長、前理事長の退職金が三千二百六十七万円支給された、六年間程度で。ただ、一〇%、二百八十万円はさすがに寄附をされた、返却で寄附されたということがございます。

 そこで私は、近藤理事長を、昨日もこちらへ来られましたけれども、本日もお呼びをしたところ、これはちゃんとした理由があってきょう欠席ということで、タイから要人が来られているということで欠席をされる。これは、当然というかやむを得ないというふうに私は判断しましたが。

 そして、文書で実は退職金のこともお伺いしました、十七ページにございますが、近藤理事長の。そうしましたら、非常に挑発的な回答が参りまして、十七ページに、「退職金について」、この四行目、これは近藤理事長の文章ですけれども、「しかし、個人的な権利について他人に公的立場の方がその放棄を問う場合には、自らの同等のものについてお考えを示していただければありがたいと存じます。」と。ですから、責任で退職金やめろと言ったときは、その人も退職金を返上してからちゃんと非難しろ、こういうようなことだと思うんですが。これは、国会議員というのは退職金はございません。

 いずれにいたしましても、非常にこういう発想があるわけでございまして……(発言する者あり)今、年金があるぞと大野理事からもありましたけれども、確かに議員年金がある。これは退職金見合いであるという解釈も一部聞いております。私どもは、この議員年金の問題、見直しをきちっとやるということでございますので、それは考えを今申し上げておりますけれども、この文章、どうですか、大臣。

坂口国務大臣 これは近藤理事長の御意見でございますから、これは個人の御意見でございますので、私がとやかくを、言わなければならない……。

長妻委員 そうすると、私が聞いておりますのは、何か坂口大臣が第三者委員会をつくられて、いろいろな問題、年金の施設の問題をチェックされる。そこに退職金を返上させるかどうかもテーマとして入っていると聞いていますけれども、それは事実でございますか。

坂口国務大臣 過去のさまざまな問題もございました。検証をしなきゃいけないというふうに思っております。だからその中には、すべての問題も含めて検証をするということだというふうに思っております。

長妻委員 退職金も含まれると思いますけれども、検討事項の中には。

 そうすると、その第三者委員会が退職金は例えば返上しなさいというような、あるいは一部返上しなさいというようなことを言ったときに、第三者委員会の人も退職金をまず返上してからじゃないと、この近藤さんはだめなわけですね、この趣旨でいいますと。

 それで、この近藤さんの御経歴なんですが、十八ページにございますけれども、年金局長も当然務めておられて、年金担当もずっとやられているわけです。平成四年の六月から年金担当の審議官、そして平成六年の九月からは年金局長もされておられるわけでありまして、そういう意味では年金問題に責任の一端というのがあると思いますので、坂口大臣、こういう近藤理事長の文章というのはどうお考えですか。

坂口国務大臣 近藤理事長の経緯は私も存じ上げております。昨年前理事長が急に御病気になられたものですから急に御登場いただいたということも知っております。私がそれはしたわけでございます。

 いずれにいたしましても、この団体、独立行政法人、独法化をするわけでございまして、それに向けての作業を現在進めているところでございます。新しい体制で進めるようにしたいというふうに思っております。

笹川委員長 長妻君、これは資料をいただきましたが、本来だとあなたが出した文書もこれにくっつけておくとよろしいですわな。(長妻委員「口頭でやっています」と呼ぶ)ああ、そうですか。

 文書をやると、その文書で、こういう返事が来たということで、みんながわかりやすいけれども、出した文書がないと……(長妻委員「口頭で言ったもので」と呼ぶ)ああ、それはやはりちゃんと出された方がいいですな。

 はい、どうぞ長妻さん。

長妻委員 口頭で向こうの職員の方に、きょう出席できないということでありましたので、その文書をお出しくださいというふうに言ったわけで、その口頭のメモというのは、これはありませんので、これは添付しなかったわけであります。

 そして、こういういろいろな問題があるわけでございますが、坂口大臣に御答弁いただきたいのは、グリーンピアとか福祉施設とかいろいろな、はっきり言って失敗だと思いますけれども、こういうことがあったときに、やはり責任というのはどういう形でだれがとるのかというのが非常に重要になると思います。

 今、官僚の皆様ばかりが非難されているようでありますけれども、私は、官僚の皆さんにもそれは責任の一端はあったと思いますが、やはりその上司がきちっと責任をとるなり、その時々の状況を見て中止するなり判断するなり――上司はだれか。大臣、総理大臣、与党、時の政権党だと思います。

 そういう意味では、政治も含めて、どういう責任をとられるのか、その基本方針を明らかにしないと、私は再発が怖いわけです、再発が。だれも責任とらない、何とか委員会つくられても結局だれも責任とらない。ああ、じゃあ、まあ責任とられないんだから、まあいいんだと、こういうことが怖いわけでございまして、その基本的な方針を、坂口大臣から、責任という基本的な方針、どういうふうにするのかというのをお示しいただきたいと思います。

坂口国務大臣 先日来御議論になっておりますように、最初ごろ、昭和三十四年とか四十七年とか、衆参の本会議における決議もあり、そしてまた、衆議院、参議院の附帯決議等もございまして、そうした中でいわゆるこの問題がスタートをしたということは紛れもない事実でございます。

 しかし、時代は変わった。そして、この時代が変わったその流れの変化というものをもう少し端的にそれを認めて、その流れの変化に応じてすべての問題を変えていかなければならない。私は、その潮目の変わりをいかにして政治やあるいはまた行政がそれに敏感に反応をしていくかということが大事なことだと。そこに対するやはり問題点があったことがこの問題の一つの問題点だと私は思っております。

 そうしたことを含めて、これからのあり方に対して参考にしていかなければならない。

長妻委員 そうしたら、過去をきちっとやっていただきたいと思いますけれども。

 ですから、私が冒頭にも申し上げましたのは、資料四ページにございますけれども、そういう過去をちゃんと反省しようということにもかかわらず、また平成十六年度一年間だけ、年金の掛金を、この四ページにあるように、健康診断の職員の費用とか、健康診断するのはいいことなんですよ、税金でやればいいんですよ。交際費とか、交際費が、平成十六年度も入れると累計で年金の掛金から五百三十万円も出ることになるんですよ。宿舎も五十億円出ることになるんですよ、平成十六年度もやれば。公用車も年金の掛金から六億七千万円出ることになるんですよ。外国旅費も一億三千万円出ることになるんですよ。

 ですから、過去はきちっと反省すると。でも、平成十六年度の今予算審議していますよ、予算審議でも年金の掛金ですよ、これは。平成十六年度も入っているんですよ、予算関連法案が成立するという前提で予算組んでいますから。ですから、何で舌の根の乾かないうちにといいますか、この平成十六年も一年延長するというのを、まだ成立していないんですよ、ですから、今皆様が決断すればこの法律はなくなるわけですよ。ここの四ページの表の平成十六年度というところが、これがなくなるわけですよ、掛金の流用が。

 ですから、過去をきちっと反省するという格好いいことは言われるけれども、じゃ、今何でまた十六年度そういうことをやられるのか、これがわからないわけですけれども、これはおかしいんですよね、どうですか。

谷垣国務大臣 今の長妻委員のお話になりますと、そもそも論にもう一回戻ることだろうと思うんですね。(長妻委員「解釈はわかるんですけれども、解釈として戻る。そもそも政治的な決断」と呼ぶ)いやいや、解釈ではなしに、そもそも論に戻るわけです。それは、ですから、原則は、今、国民年金法等で国庫から出すというのが基本なんですよね。それは、我々もう周知の出発点です。

 ただし、これは財政の厳しいときに年金にお助けをいただこうという議論になってきておりますのは、原則はそういう形で整理をしているけれども、一方、その事業運営の経費というのはその事業の収入により賄うという考え方も一方あるわけです。

 ですから、苦しいときにそういう考えもあるからお助けをいただこうということで今までやってまいりまして、またこの一年間も厚生労働大臣と御相談をしてお願いした、こういうそもそもの経緯に戻るわけでございまして、これも先ほどから繰り返し申し上げておりますが、中で出費するものが、これは税金で出そうと年金で出そうと、むだなものにおかしな使い方をしちゃいかぬのは、これはもう明らかでございます。

長妻委員 質問を終わります。

笹川委員長 これにて長妻君の質疑は終了いたしました。

 次に、永田寿康君。

永田委員 前回に引き続いて、日本歯科医師連盟及びイメラボ、吉田幸弘前議員等々に関するさまざまな疑わしい行動について議論をさせていただきたいというふうに思っております。

 まず、厚生労働大臣にお伺いをしたいんですが、前回の質問で、厚生労働大臣は、いわゆるNAISグループ、根本匠さん、安倍晋三さん、石原伸晃さん、そして塩崎恭久さんから成る政策集団と厚生労働省の今田元部長がいろいろ相談をしながら、そしゃく障害者に対する障害者手帳の交付に関する局長通知、これがどういうものを出すかという判断がなされた、そういう私からの指摘に対して、一とおり関係者に調査をしたけれども、話を聞いたけれども、議員と接触を図ったというような形跡は見られない、また、記録も残っていないというような答弁をされています。

 これはどのような方がこの調査の指揮をして、その調査の範囲はどのように定められたのか、御答弁をお願いします。

塩田政府参考人 厚生労働省の調査につきましては、担当部局であります障害保健福祉部長であります私の責任のもとで、当時の担当者からの事実関係の聴取、当該通知改正に関する書類の確認を行ったものでございます。

 この通知改正につきましては、前回の御審議でも御説明申し上げましたとおり、昭和五十九年度制度改正以来の懸案事項でありまして、歯科医師の意見をいかに医師の最終的な障害の認定に反映するかという課題であったわけでありまして、厚生労働省としても、行政的に必要な、適切な対応を行ったものと考えております。

永田委員 これは臼田会長の発言がもとになって私は指摘をしたわけですが、臼田会長にはお話を聞いていますか。

塩田政府参考人 この問題につきましては、厚生労働省として、歯科医師の意見をいかに医師の最終的な判断に適切に反映するかという観点から行ったものでございます。

 臼田氏がその経緯をどのように受けとめたかにつきましては、個人の受けとめ方の問題であると理解しておりまして、厚生労働省として、臼田会長からお話を聞く必要はないと考えております。

    〔委員長退席、松岡委員長代理着席〕

永田委員 いや、個人の受けとめ方じゃなくて、これはだって、臼田会長ほどの方が、その立場の方が、しかも臼田会長という会長であるということで出席をした会議、代議員会で発言をして、そこで、根本議員、安倍議員、そして今田部長の名前を挙げてくれというふうに厚生労働省から言われていたということもわざわざ言明をしながら言った話でありますから、事実関係を知っているのはまさに臼田会長ではないかというふうに考えるのは当然ではないでしょうか。

 それを、個人の受けとめ方だからといって聞く必要がないと判断したというのは、最初から調査をする必要がなかったんだ、あるいは、聞いたらどうやら厚生労働省に対して都合の悪い事実が出てきてしまうのではないかというふうに恐れてパンドラのふたをあけなかったのではないか、そういうふうに私は思っているんですけれども、なぜ臼田会長に話を聞かないでよいと判断をしたのか。これは個人の受けとめ方の問題ですからというのでは済まないと思いますよ。なぜなのか、もう一度合理的な説明をお願いします。

塩田政府参考人 何度も繰り返し御説明申し上げておりますように、この問題につきましては、厚生労働省として、歯科医師の意見をいかに医師の最終判断に的確に反映するかという観点から、省内で吟味した結果、正しい判断として行ったと考えております。

 臼田氏の話につきましては、本日も今田氏に私が再度確認いたしましたが、そういう経緯については全く記憶がないということでございますので、全く臼田氏に厚生労働省として確認する必要はないと考えております。

永田委員 どうも話がかみ合っていないようですね。

 私の議論の、前回質問をしたときは、これはあっせん利得罪を形成する一つの要件を満たすものではないかという観点から指摘をしたはずです。それを、歯科医師の意見をどのように適切に反映するか、つまり、障害者手帳の交付に当たって歯科医師の意見をどのように適切に反映するかという観点から調査をしたと。

 冗談じゃありません。それは調査の観点が全然違う。私の指摘を理解していない、やる気がない、そういう話でしょう。ですから、そのような人が、省内調査をどういう人に当たりました、どういう人に意見を聞きました、どういうような結果が出ました、記録は残っていませんと言われても、全く信用することはできないわけでありますね。

 やはり、ちゃんと調査をするという目的意識を持ってやっていただきたいと思いますが、大臣、これはぜひ臼田会長にも話を聞いていただきたいというふうに思うんですよ。そうじゃなければ調査は全然完結しないと思いますね。これはあっせん利得を形成するかどうか、その非常に大事な事実関係を知っている一人なんですよ。

 ですから、これは部長決裁の局長通知ですから、だから大臣が知らずに通知が出されたとしても、それはしようがないことといえばしようがないんですよ。だけれども、どうやら怪しげなことが行われたと言明している。しかも、そういう人が歯科医師会の会長なんですよ。やはりその人の話を聞くべきなんじゃないですかね。ちゃんと調査をするということを、大臣、明言してください。

坂口国務大臣 この問題はかなり古くから言われている問題でございますし、このそしゃくの問題につきましては、長い歴史の中でなったというふうに思っておりますが、先日挙げられました文書の中で、今田氏の名前や、あるいはまた歯科医師会の幹部の皆さん方がおっしゃったこともその中には書かれておりますので、私から一応それじゃお聞きをすることにいたします。

永田委員 ありがとうございます。これは本当に、名前が挙がっているわけですから、彼らが何かを知っているというふうに考えて、彼らに話を聞くのは当然だと思います。そういう範囲まで広げた上で調査をし、そして、報告をぜひしていただきたいというふうに思います。

 次に、先日、二月二十七日に行われた全国都道府県歯科医師会長会議、ここにおきまして、当該問題になっているイメラボに関する、イメラボから発注されたレセコンソフトの開発に関する事業の資金の流れが日本歯科医師連盟の方から説明されました。

 この紙、きのう、おとといぐらいですか、経済産業省の役所の方にも、職員の方にもお渡しをしたんですけれども、ここを見てみると、その職員の方からの私が受けた説明では、平成十五年一月十日に日本歯科医師会からモリタに対して一千五十万円払ってやってもらった事業及び平成十六年の日付未定で一千万円払ってモリタに対してやってもらう事業、両方とも、事業の摘要が「実証実験のための入力ソフト開発改善費」、平成十六年のものも同じく「実証実験のための入力ソフト開発改善費」ということになっていて、この二つについては、経済産業省が当初予定していたレセコンに関する実証実験とは違う、その計画の外にある事業であるというふうに認識しているというふうに説明されましたけれども、大臣、そういう認識で正しいのでしょうか。

中川国務大臣 今委員御指摘のとおりでございまして、経済産業省として、日本歯科医師会から説明を受けていないため、どのような趣旨、目的でこの資料が作成されたのか、承知をしておりません。

永田委員 承知をしておりませんというか、職員の方がお越しになったときには、この一千五十万円と一千万円のそれぞれの事業は、明確に、経済産業省が発注したプロジェクトにかかわるものの外にある仕事だというふうに言明なさったんですけれども、そういう認識でよろしいですか。

中川国務大臣 そういう趣旨でございまして、経済産業省が発注した金額とは別のものがそのリストに掲載されているわけでございますので、そういう意味で、我々としては一体どういうものなのかわからないという意味でございます。

永田委員 これは、本当にこの紙をそのまま見ると、非常にシンプルな紙ですが、平成十四年十月一日に七千九百万六千二百六十三円が財団法人イメージ情報科学研究所、いわゆるイメラボから入ってきて、十四年十一月六日に七千百十万六千円、モリタに払い、そして、十五年一月十日に一千五十万円払ったと。

 だから、多分、経済産業省の認識では、この七千九百万六千二百六十三円を受け取って、七千百十万円、モリタに払った時点で、モリタに対して、丸投げという言い方は失礼ですけれども外注をした、これで一応、経済産業省が予定していた仕事は日本歯科医師会としては過不足なくやったことになるはずだと。しかし、一千五十万円の部分については、少なくとも経済産業省が受けた説明の中では全く理解できない話であるから、だから、ここに支出されたお金がここに計上されているのはおかしいという立場にお立ちなんだと思うんですね。

 だとしたら、これは、イメラボからこの日歯に払われたお金とモリタに払ったお金の差額をもって日歯が別のことをやろうとした、つまり、経済産業省の委託の外にある仕事を自分たちで勝手にやろうとしたところにイメラボからもらったお金を流用したと。これは僕はお金の流用に当たるんじゃないかというふうに見ているんですけれども、どうなんでしょう。経済産業省としては、これは流用だという、流用かもしらぬな、少なくとも正規に支出されたお金じゃないなというような印象はお持ちなんじゃないでしょうか。

    〔松岡委員長代理退席、委員長着席〕

中川国務大臣 この文書そのものが、先ほど申し上げたように、我々としては、この文書に基づいて、正確なといいましょうか、きちっとしたお答えができないわけでございますけれども、経済産業省がイメラボに受託した金額は七千九百万余でございまして、それをイメラボがモリタに適正な金額で再受託をしたということでございまして、それと別に、委員御指摘のこの二件については、その受託の流れとは別のものではないかということで、流用という言葉が正確かどうかはわかりませんけれども、我々の委託をしたお金の資金の流れとは別のものではないかという認識を持っております。

永田委員 厚生労働大臣、どうですか、これ。所管しているんですよね、歯科医師会を。歯科医師会が仕事としてやったこと、受託をして再外注をしたということですけれども、その資金が、どうも一部、歯科医師会が勝手に経済産業省の思惑とは違うところに使ったのではないか、支出したのではないかということを、少なくとも経済産業省としては、自分たちがやろうとしたこととは違うことですと明言をしているわけですから、この歯科医師会の仕事のやり方、その体質について、厚生労働省はどのような見解をお持ちなのか、御説明いただきたいと思います。

中川国務大臣 ちょっと、誤解があったらいけないと思いますので、正確に申し上げますけれども、流用という前提で御答弁をしているつもりではないということは御理解いただきたいと思います。

岩尾政府参考人 お答えいたします。

 先生の御質問があるということで、日本歯科医師会に確認いたしました。

 先月の二月二十七日に都道府県歯科医師会会長会議というのがあって、そこで配られた資料ということでございますが、議員御指摘の事業については、いずれも経済産業省から受託した事業と関連性が強いということで、日本歯科医師会が独自の財源により業者に委託したものであるというふうに我々は伺っております。

永田委員 関連性が強いということですが、関連性が強いというのは、どういうふうな関連性だというふうに説明を受けていますか。

岩尾政府参考人 私も、きのういただいたこの資料だけで見ているわけですが、そこに書いてある限りでは、「実証実験のための入力ソフト開発改善費」とありますので、そういう意味での関連性が強いということではないかと思っております。

永田委員 いや、この紙に書いてあって、なおかつ何か関連性がありそうな摘要が書いてあるから関連性があるんじゃないかと判断をしたんだったら、それは本当におめでたいお話であって、一体だれに説明を受けたんですか。日本歯科医師会のだれに説明を受けたんですか。ちゃんとこの事業の中身について知り得る立場の人に説明を受けたんですか。

岩尾政府参考人 当局の担当から向こうの事務局に聞いたというふうに聞いております。

永田委員 歯科医師会の理事クラスの人じゃないと、この事業については中身を知らされていないんですよ。これは歯科医師会の中の人に聞くと、どえらい話なんですよ。

 まず、このイメラボに関する事業そのものが歯科医師会でどのように行われているのか、実はごくごくわずかの人しか知らないんです。その知っている立場の人に対して、知っているはずの人に対して説明を求めても、歯科医師会の人が説明を求めても、ろくな説明が返ってきていないんですよ。これは本当にやみの事業になっちゃっているんですね。

 しかも、そのやみの事業の中でも、特にこの一千五十万円については使途がおかしい、これから払われるかもしれない一千万円についても本当に疑わしいというような話が、これは歯科医師会の関係者の中からも出てきているんですよ。

 ですから、関連性が強いというふうに断言なさるならば、本当にその仕事の中身を知っている人から聞いているのかどうかということを私としては確認しないと、議論にならないわけですね。この紙を見て信頼できるんだというふうにおっしゃるのであれば、私だってこの紙を見ていますから、私はこの紙を見ておかしいと思っているんだし、経済産業省だって、少なくとも、流用かどうかはわからぬけれども、自分たちが関知している仕事とは違う世界の話であるというふうに説明を受けているという話をしているわけですよ。

 ですから、この紙を見ただけで信頼するという立場はどうもおかしいんじゃないかと僕は思うんですけれども、どうしてそういう確信をするに至ったのか、だれに説明を受けたのか、実名を出して教えてください。

岩尾政府参考人 確認の件については後日お知らせをしたいと思いますが、私ども、平成十三年から公益法人の監督が義務づけられておりまして、こういう法人に対しては定期的に立入検査をしろと言われております。

 それで、日本歯科医師会の会計書類上は受託事業の収入、支出は適正に経理されていると判断しておりますが、今年度につきましては、今年度中に定期の立入検査を実施いたします。その結果を踏まえて、適切に対処したいと思っております。

永田委員 時間がないのでてきぱきとやりますけれども、同じく二月二十七日の全国都道府県歯科医師会長会議で、日本歯科医師会レセプト電算処理検討委員会という、こういう紙が、平成十五年十二月付の紙が出てきています。これには、いわゆるイメラボを通して行われた事業、歯科医師会が受託をしながら一部それをやっているわけですが、その事業についての報告書が出てきています。

 そして、その中に、これは十七ページと書いてあるところですが、きのう経済産業省の職員の方には御説明をしていますけれども、「日本歯科医師会共通ソフトの開発について」という項目で、いろいろ書いてあって、「以上の点から、本委員会としては、レセコンソフトの取り扱いについては、経済産業省の実証実験で発生したソフトはあくまでも実証実験の成果物として扱い、現時点では日本歯科医師会の共通ソフトとは見なさない事を確認した。」

 みなさないことを確認したと言っているわけですね。つまり、ここでできたソフトウエア、三年間で二十億ぐらいかけてつくったソフトですよ、これは日本歯科医師会の共通のレセプト請求処理のソフトとはみなさないというふうに確認をしているわけですね。

 経済産業省は当初からこういうような予定で仕事をしていたんでしょうか。私としてはやはり、これは広く多くの歯科医師の方々に使っていただいて、それでその歯科医師の、経営というのはおかしいですけれども、クリニックの運営が効率的に、円滑になされるように、そういう成果を期待しながらやるのが筋だと思いますけれども、こんな、派生物、単なる副産物みたいですよみたいな扱いでいいんですか。経済産業大臣、御答弁お願いします。

中川国務大臣 これも永田委員からいただいた資料を拝見しますと、現時点では共通ソフトとはみなさない旨を確認した、こう書いてございますが、歯科医師会からこのような説明を私ども受けておりませんし、また、財団法人イメージ情報科学研究所からも、永田議員御指摘のような報告は受けておりません。

 いずれにしても、我々がe―Japan計画に基づいてこういう業務を委託したわけでございますので、この成果が積極的に普及、活用されることを我々としては期待しております。

永田委員 やはりそうだと思うんですよ。既にレセコンソフトを独自に導入している医療機関もあるわけですね。歯科医師のクリニックもあるし、病院もあるわけです、大病院も。そういうところに新しくつくったものを強制して使わせるというのは、それはやはりむちゃな気が僕もします。

 だけれども、やはりある程度、六万五千人もの会員を持つ歯科医師会に仕事を委託してやってもらっている背景には、それは開発する力もあるということは大事ですけれども、同時に、普及のために協力してくれるんじゃないか、普及させる力があるんじゃないかということに期待をしながら歯科医師会をかませてきたというようなことを私も経済産業省の方から説明を受けています。

 ですから、全員に強制するというのはおかしいかもしれないけれども、なるほど、二十億円かけてよかったなというふうに国民が感じるぐらいに広く普及することがやはり期待されるんじゃないかと思うんですけれども、そういう期待を私たちが持つことというのは見当違いなんでしょうか。それとも、経済産業省も気持ちは一緒だ、確かに二十億かけたんだったら広く多くのクリニックに使ってほしいと思うというふうにお考えなのか、そこをもう一度はっきり、できるだけはっきりお答えしてください。

中川国務大臣 これはあくまでも、公的なお金をe―Japan計画に基づいて、ちょっと平たい言い方で言えば、よかれと思って委託をして、そして実証実験を行っていただくわけでありますから、その成果がきちっと上がって普及、活用していただくことを我々としては期待しているわけでございます。

永田委員 経済産業省の職員の方の説明を受けたときには、とにかく選択肢にはしてほしい、つまり、歯科医師の方々が使えるような選択肢としては提供してほしい、そして、その上で本人が、歯科医師の方々が判断をするんだろうけれども、判断をした結果、例えば今あるソフトウエアよりもこっちの方が使いやすい、新しいソフトの方が使いやすいからこっちにしようかなという判断をそれぞれ個別にした結果、十分普及が期待できる、それぐらい機能が高いものができてこなきゃ困るんだというような発言もあったんですよ。

 やはり自由意思に従って選択をしたときにもちゃんと普及するぐらい機能の高い、そして使いやすいものがつくられることが期待されるんだと思うんですけれども、その点については、私たちもそういう期待をしていいんでしょうか、それとも、それはとんちんかんな、的外れな話だという話なんでしょうか。

中川国務大臣 ただいまも申し上げましたように、公的な大事なお金を使って大事なe―Japanの一つの成果としていいものが開発されて、そしてそれが使われるということは、歯科医師会の先生方のみならず、国民経済的に見てもいいことですから、そういう期待を持ってぜひ研究して、そして普及、活用していただきたいという気持ちでございます。

永田委員 ぜひ、歯科医師会が、これは単なる副産物だなんという扱いじゃなくて、ちゃんと皆さんに普及するために歯科医師会も努力をするように、経済産業省もあるいは厚生労働省もしっかり歯科医師会を指導していただきたいと思います。

 そして、最近、新聞なんかで報道されている日本歯科医師連盟と吉田幸弘前衆議院議員の間の資金のやりとりで、かなり問題になっている部分があります。一番問題なのは、平成十三年の八月三十一日に連盟から吉田幸弘さんの政治資金団体幸進会に対して寄附をされた三千万円、これが、連盟の方から三千万円支出されたということは記録があるけれども、幸進会の方では受け取ったという記録がないという、出入りのつじつまが合わないという問題があります。

 この三千万円について、日本歯科医師政治連盟が総務省に政治資金収支報告書を提出しています。その提出したときに添付した領収証のコピーがこれであります。「三千万円」「平成十三年八月三十一日」そして「上記正に領収いたしました」「〒四六八 名古屋市天白区植田南三丁目一一〇番 政治資金管理団体幸進会」、判こも押してあります。

 しかし、同じように連盟から幸進会に対して出された寄附の裏づけとなる領収証がほかに二枚あります。一千万円のものですが、片方は平成十三年六月十一日、片方は平成十四年三月十二日のものであります。これは幸進会の方でも入金の記録があるんです。

 比べてください。フォーマットが違うんですね。領収証の様式が違う。用紙が違うんです。真ん中の三千万円のものだけ飾りがついているんです。ほかの二枚は飾りがないんです。しかも、三千万円のものはあて名がない。日本歯科医師連盟様というあて名がないんです。そして、この三千万円のものだけ、住所が「植田南三丁目一一〇番」になっていますが、残りの二枚は、住所が「植田南三―八〇五 ユニーブル植田一F」となっております。

 これだけ違う。名前もない、用紙が違う、住所も違う、こんな領収証に効力があるんですか。総務省、お答えください。

高部政府参考人 お答えを申し上げます。

 政治資金規正法におきまして、政治団体の会計責任者は、政治資金収支報告書を提出するときは、支出の政治活動費のうち一件当たりの金額が五万円以上のものについて、領収書その他の支出を証すべき書面の写しをあわせて提出しなければならないとされているところでございます。なおまた、領収書等を徴しがたい事情があるときはその旨等を記載した書面という形になっておるところでございます。

 この領収書等の形式につきまして、法令で特別の定めがないところでございますので、支出を証するに足りるような書面をお出しいただければよいというふうに考えておるところでございまして、今、様式が違うというようなお尋ねがございましたけれども、個別の様式が違うこと等々について、私ども、それをコメントするような立場にはないものと思っておるところでございます。

永田委員 ただ、虚偽記載とか、領収証を添付しないとか、そういうことについては、一応、法律では、添付しなきゃいかぬと書いてあるわけですね。虚偽記載も、これは罰則があるわけですよ。かなり重い罰則ですよね。政治資金規正法にしては重い方の罰則だと僕は思っています。だから、記載の裏づけとなる領収証が正しいものであるかどうかということは、僕はすごく大事なことだと思うんですよ。

 様式は定められていないから何でもいいんだという姿勢でいると、では、本当に公開されている収支報告書というのは一体どれほどの価値があるものなのということになっちゃうんですよ。やはりこれは、正しいものかどうかということをチェックするということが必要だ。全部やれといったって、それは無理な話ですよ。だけれども、こうやって指摘を受けたら、僕は、正しいものかどうかをチェックをして、そして法令違反に当たらないかどうかを見ていくという必要があると思うんですけれども、総務省、御答弁はいかがですか。

高部政府参考人 委員御指摘ございましたように、政治資金の収支報告書が、正確なものが記載されているというのが必要であるということはもとよりのことでありまして、そういうこともございまして、これも委員御指摘ございましたけれども、政治資金規正法におきましては、虚偽の記載等につきまして、五年以下の禁錮または罰金というような形の罰則が定められているところでございます。

 ただ、政治資金規正法そのものの目的は、政治活動の収支の状況について国民の批判と監視のもとに置くということになっておりまして、そういう考え方のもとにできておりまして、私どもの権限につきましても、形式上の不備というようなことをチェックするということで、全体として国民の監視のもとに置くということになってございますので、領収書が正当なものであるのかどうか、それを受けて収支報告が正確なものであるかどうかということについて、私どもが個別に確認してその正当性をチェックするというような立場にはないものというふうに承知しております。

永田委員 厚生労働大臣、大変ですよ、これは。形式的な不備は、チェックはしない、それは自分たちが言う話じゃないと総務省は言っているわけですけれども、やはりこれは、社団である歯科医師会を所管している厚生省としては、僕はこれは放置できない問題だというふうに思うんですよ。

 実は、私が前回、二月二十五日に質問をしたときに、今田部長といろいろな議員とのかかわり合いについて指摘をしたところ、永田が言っておるのはうそっぱちだ、永田議員の考えを全面的に否定するという記事がこの「歯科通信」という紙に書かれているんですね。これは歯科医師会の会報なんですよ。

 この歯科医師会の会報に書いてあるのは、二月二十七日の全国都道府県歯科医師会長会議の席で、臼田会長が、「会員に迷惑かけた」と、大字になっているんですね。そこは、日歯連盟問題で迷惑をかけたと書いてあるんですよ。これはつまり、歯科医師会会長会議で臼田会長が日歯連盟の問題については迷惑をかけたと謝罪をするということは、これは連盟と社団が融合している、連立どころじゃないですよ、融合しているということを示しているんじゃないかと僕は思っているんですね。

 もう前からずっとお話をいただいているとおり、厚生労働省としては、社団法人歯科医師会の活動と連盟の活動は厳密に分けてくれというような立場をとっていたと思います。大臣もうなずいていらっしゃるからそうなんでしょう。しかし、厚生労働省がいかにそういうお願いをしても、一向に分ける気配がないんですね。今でも、連盟のことについては迷惑をかけたと社団の方で陳謝をしているわけですよ。

 あるいは、この三千万円の領収証だってそうなんですよ。こんな怪しげなものを受け取って、三千万円、どこに行ったかわからない。こういうような運営をしている連盟と一体融合関係にある歯科医師会の運営、体質というものについては、僕は、厚生労働省はそろそろ強権を発動しなきゃいけないと思っているんですよ。つまり、社団としての認可をどうするのか。

 本当に、社団法人というのは、僕はいい活動をするものだと思うんですよ。公益法人ですから、国民のためになることをやっている、福祉のためになることをやっている。確かにそれはそうでしょう。しかし、いいことをやるためにつくられた組織が悪いことをやっているから、私たちとしても歯科医師会をなくした方がいいとか言えないんですよ、いいことをやっている側面もあるから。

 だから、悪いことをやっているんだったら、その部分については厚生労働省が強い指導力を発揮して、そこはもうやめろ、連盟の活動はやめろ、あるいは連盟の活動を適正化しろ、もっともっとちゃんと分けろという強権を出さなきゃいけないじゃないですか。そうじゃなかったら社団の認可を取り消すよぐらいのことを言ったっていいと思うんですよ。厚生労働省、どうですか。

坂口国務大臣 前回にも少し御答弁を申し上げたところでございますが、平成十三年におきまして、このときには、医師会の問題で連盟と医師会との間の区分が明確でないという話がございました。

 そのときにも各都道府県に対しまして文書を出しまして、公益法人が政治団体の会費を特別会費の名目で同法人の会費と一緒に徴収するようなことはやめるべきだ、また、公益法人の事務所が政党の入党申込書の送付先となっている事例もある、これはやめるべきだ、それから、公益法人の会費と政治団体の会費が同一の預金口座で管理されているような例がある、これもやめるべきだ、こうしたことにつきまして通知を出して、そしてまた、各都道府県からも、それぞれの都道府県においてそこが適正に行われているかどうかの意見を求めているところでございます。

 その中の幾つかの県から、現状につきましての報告をし、そして、それが十分に行われていないところにつきましては、それがきちんと行われるようにまた指導をしているところでございます。

 この日歯のいわゆる本部に対しましても、同趣旨のことを申し上げているところでございます。

永田委員 そういう形式的な話では済まないんですよ。一年間に十数億の金がこの連盟を通って政治家に流れているんですよ。あるいは、国民政治協会にも莫大な金が流れている。

 吉田幸弘さんは、初当選のときに野党だった。そして、これが与党に行って、歯科医師と仲よくなったら莫大な金が手に入るということに着目して与党に行ったんだということを僕は聞いていますよ。ですから、本当に初当選のときはすごい貧乏だったそうですよ。

 そういうことを考えると、やはり連盟の体質というものをもう少しちゃんと考えた方がいいと思うし、そういう連盟の体質というものをもう少しちゃんと医師会と分けた方がいいというのは、形式的な話じゃなくて、実質的に分けた方がいいというふうに私は思いますよ。

 例えば、僕は正直言って共産党を弁護するつもりはまるっきりないけれども、共産党の職員であるところの国家公務員が休日に赤旗を配ったと逮捕されているんですよ。社団法人が、社団法人と友好関係にある連盟、連盟と友好関係にある社団法人が政治活動をしている、政治活動をしたときに、これを放置しておいていいのかというのは、僕はやはり理屈が立たないと思いますよ。公務員が政治活動をやっちゃいけないのは当たり前ですよ。社団法人が政治活動をやっちゃいけないのも当たり前でしょう。これを弁護する理屈が僕には全く見当たらない。

 ぜひ、この事件を契機として連盟と社団の関係をきれいに、クリーンなものにする、融合関係を分離していく、そういう分離手術をぜひ厚生労働省の方にやっていただきたいとお願いをしまして、私の持ち時間を終わりにいたしたいと思います。

 ありがとうございました。

笹川委員長 これにて永田君の質疑は終了いたしました。

 次に、平岡秀夫君。

平岡委員 民主党の平岡秀夫でございます。

 きょうは、まず最初に、せんだって国連のアナン事務総長が来日をされまして、二十四日に、国会で初めて演説をするということがあったわけであります。国連と日本との関係、当然、日本は国連中心主義の国際外交を考えているわけでありますけれども、非常に好ましいことだとは思いますけれども、そもそもこの時期に国連のアナン事務総長が日本に来られた経緯というのは、どういう経緯で日本に来たということなんでしょうか。

川口国務大臣 アナン事務総長は、このところずっと、ほぼ一年に一回ぐらいのペースで日本においでになっていらっしゃるわけです。今回の前というのが、実はちょっと時間があきまして、二〇〇二年の一月にアフガニスタンの復興支援の国際会議を東京で開きましたけれども、それに出席をするために日本にいらしてから二年ぐらい間があいていたということで、それまでのペースよりも少し間があいたということであります。したがいまして、我が国は、ぜひ日本に来ていただきたいということで要請をしたということでございます。

 これは、イラクの問題にせよ、国連改革の問題にせよ、いろいろな重要な問題が国連に関してあるわけでございまして、こういったことについて直接の意見の交換をするということが大事であったということです。

 私は、昨年の九月に国連に行きましたときに、直接、アナン事務総長と会談をしまして、そのときにも招請をいたしましたし、その後、電話で招請をし、あるいは中山特使がいらしたときにも招請をしています。その結果として、日程を両方都合がいいときということですり合わせて、特に、両方といいますか、アナン事務総長は大変にお忙しい方でございますので、二月のそのころだったらというお話がありまして今回の来日に結びついたということでございます。

平岡委員 今のお話では、日本政府の招聘によって、イラク問題あるいは国連改革の問題について話し合いをするために来ていただいたんだというお話でございました。

 そこで、アナン事務総長、日本に来られまして、今、川口外務大臣が言われたような議題について、いろいろと会談もされたようでございます。また、国会でも先ほど言いましたように演説がされているということですけれども、イラクへの自衛隊派遣に関する問題については、国会での演説というのはかなり苦心した表現になっているんじゃないかというふうに思います。

 日本語で訳されている部分あるいは新聞報道である部分については、「困難な議論を経て、貴国は人道復興支援を行うためにサマワに自衛隊を派遣されました。」ということで、そこは敬語的な表現になっているわけでありますけれども、原文の英文を見ますと、「ユー ハブ ディスパッチド ザ セルフディフェンス フォーシズ」ということで、ただ単に、日本は自衛隊を派遣したというふうに言っているだけで、敬語を使ってあれば何か評価したように受けとめられるかもしれませんけれども、英文で見れば、別に事実関係を淡々と述べただけというような形で、アナン事務総長、かなり国会での演説については苦心の表現をとられたのではないかというふうに私は思っているわけであります。

 それに対して、今度、アナン事務総長と外務大臣が会談されたということで新聞記事に出ているのを見ますと、これは外務省が、多分、事務方が記者ブリーフィングしたんだろうと思いますけれども、そこでは、いろいろな新聞、ほぼ同じように表現していますけれども、アナン事務総長は自衛隊の人道復興支援の役割に感謝しているというふうに述べたと出ているわけですね。

 そして、私が外務省に、この部分について正確な会談録をちょっと見せてほしいというふうにお願いしましたけれども、それは出せないのでと、かわりに持ってきた外務省の公表資料では、アナン事務総長は自衛隊の派遣を含む日本のイラクへの支援について感謝する旨述べたというふうに文書としては出されているということでございます。

 それで、私は、これじゃブリーフィングの中身と外務省が公表した資料とでは必ずしも一致していないじゃないか。そんな、外務省の公表資料である、自衛隊の派遣を含む日本のイラクの支援について感謝するというようなことは、どこにも記者のブリーフでは出ていない。そこで、外務省に、ちゃんとこの部分についてだけでもいいから会談録を示してくれというふうに言ったら、これはだめだ、こういうふうに言われました。

 これはなぜ出せないのか。外務大臣、ちょっと答えていただけますか。

川口国務大臣 アナン事務総長が私におっしゃったこと、それから記者ブリーフをしたこと、何ら間違い、違いはないわけでございます。

 記者ブリーフについて御説明を記者の方にしましたのは、アナン事務総長は自衛隊の派遣を含む日本のイラクへの支援について感謝している旨答えたというのがブリーファーの、ブリーフをした人間の表現でございます。それを新聞がどう書こうかというのは、新聞のいろいろな主観があると思います。

 それで、会談の記録というのは、これはお出ししないということになっていますのでお出しできませんが、実際に私と話をしたときに先方が何を言ったかといいますと、日本がこれまでに行ったイラクへの多大な支援、特に五十億ドルもの復興支援や、人道復興支援を行うために自衛隊を派遣したことについて感謝したい、これは、私が自分の耳でちゃんと聞いております。

 それから、国会での演説についてお触れになりましたけれども、これは英語のところを見ていただきますと、一番最初におっしゃっていらっしゃるのが、「ユー ハブ レスポンデッド ツー ジ アピールズ オブ ザ ユナイテッドネーションズ セキュリティー カウンシル」と言った後に「アンド ショーン コメンダブル ソリダリティー」ということをおっしゃっていらっしゃるんですね。コメンダブルというのは褒める言葉であります。そしてその後に、委員がおっしゃったような自衛隊の派遣あるいは資金協力、そういうようなことをその内容として述べられているということになっていまして、アナン事務総長が私に言われたこと、外務省として記者にブリーフをしたことということは全く相違がありませんし、国会での演説においてもそれが出ていると私は思います。

平岡委員 私は、アナン事務総長が具体的に何を言ったか、そこを問題にしているのではなくて、なぜ公表できないのか。その会談の部分、これはある意味では、国内政治の中でも、あるいは国際社会の中でも非常に注目をされる部分であるわけですね。これについて、正確なアナン事務総長の表現がどうなっているのかということを知りたいという要望に対して、なぜ外務省は公表できないというふうに言うのか、そこを聞いているんです。なぜできないんですか。

川口国務大臣 私は、例えばドビルパン外務大臣と、おとといの夜、会談をいたしましたけれども、こういった会談というのは、お互いの信頼関係の上に立って、そして、それぞれ思っていることを率直に話し合うということでございます。

 したがいまして、相手との信頼関係がございますので、こういう会談の記録というのは公表するということは適切ではない、公表しないことになっているわけでございます。

平岡委員 私は、何も全部公表せいと言っているわけじゃないですよ。外務大臣、ここでさっき答弁されたときには、アナン事務総長とこういうふうに話をしましたということを言われましたよね。その言っていることが正しいかどうかということをちゃんと紙で、記録で示してほしいということを言っているわけですよ。なぜそれができないんですか。

川口国務大臣 外務省としては、会談の内容についてはすべてブリーフを、その後、相当に細かくいたしております。そして、その概要という形の文書はつくっております。それを超えて、もちろん、今先生からお問い合わせがありましたから、実際にこう彼が言いましたということを、その部分だけ申し上げましたけれども、それを紙にして公表するということはしないことが相手国との信頼関係に基づくという観点から、しないということで今までやらせていただいております。

 今後も、その信頼関係ということは大事にしたいと思います。お互いに、外務大臣あるいはそれに類する人たちが率直に思うことを話し合っていくという状況、雰囲気、これは重要なものでございます。

平岡委員 相手との信頼関係と言うのなら、相手が了承すればいいんですか、外務大臣。この部分は、国内政治的にも国際的にも非常に注目されている部分だ。このところを、何か鬼の首でもとったように、ある与党議員とかいろいろな方々が、これでイラクへの自衛隊の派遣については国際的にも評価されて、全くこれを批判することさえ許されないんだというようなことを言っているような人たちがいるから、非常に大変な問題だから聞いているんです。

 この問題について、アナン事務総長に、あるいは国連に対して、国内的にいろいろ物議を醸しているからこの部分についてだけでも公表して差し支えないかということをどうして問い合わせないんですか。

川口国務大臣 これは非公開を前提とした会談でございます。外交慣例といたしまして、そういったものについて公表するということはないわけでございます。したがいまして、これについて、アナン事務総長にそれを公表していいかどうかいうことを聞くということは考えておりません。

平岡委員 私は、実は、先ほどの、外務大臣がそういうふうに多分言われるだろうと思いまして、国連の広報センター、この所長さんは会談に同席していたというふうに聞いています。こちらの方に、その部分について公表していただけませんかと聞いたら、それは外務省に聞いてくれというふうに言われました。つまり、外務省の方でオーケーをすれば出してもいいということを言っているんですよね。そういうふうにとれるわけですよ。

 だから、外務省もちゃんと、この部分については国内的にいろいろ問題になっているから公表してもいいか、その部分だけでもいいかということをどうして問い合わせないんですか。問い合わせてくださいよ。

川口国務大臣 外務省の考え方ということは、これを公表しないということでございます。国連が、広報の担当の方が何をおっしゃったかということについては、私は確認をできません。

平岡委員 かつて、外務省は、いろいろな、我々に対して不信感を与えるようなことをしているわけですよね。北朝鮮との問題でも、対話と圧力というような言葉が使われているにもかかわらず、意図的に対話という言葉だけにとどめるというようなことをしようとしたということも既に発覚しているわけですよね。

 そういう意味では、私たちは、外務省を信じろと言われても、川口外務大臣を信じろと言われても、信じられないところがあるわけですよ。だからこそ、その部分についてはちゃんと、アナン事務総長に対して、この部分について公表しても差し支えないかという問い合わせぐらいはしたらどうですか。いかがですか。

川口国務大臣 公表をしないということは外交慣例でございます。そういったことを変えてくださいというような問い合わせをするつもりはございません。外務省としても、公表するつもりはございません。

平岡委員 私、別途、国連に対して直接、その部分について公表してほしいということを今要請していますので、その回答が返った段階でまたこの話については聞いてみたいというふうに思っています。

 らちが明かないので、次の質問に入りたいと思います。(発言する者あり)ちょっと静かにしてください。

 道路行政のあり方について質問をしていきたいと思います。

 道路公団については、民営化のための法案がそろそろ国会にも提出されるというような時期になってきております。片や、皆さんも御承知のように、民主党としては、高速道路の無料化ということについての政策を打ち出しているところでありますけれども、ここで議論していると、言葉の端々に、民主党の高速道路の無料化政策というのは現実性がないんじゃないかといったような感じの御答弁もいろいろあったと思うんですけれども、ここで、ある程度整理していただいて、政府として、民主党の提唱している高速道路無料化の政策についてどのように評価しておられるかということについて、ここで整理してお答えいただきたいというふうに思います。

石原国務大臣 ただいまの平岡委員の御質問は、当委員会また関連委員会でも私も何度も答弁をさせていただいて、重複するところはお許しいただきたいと思いますが、民主党の予算案が表に出てまいりまして、私なりに検討を加えた現段階の印象につきましてお話をさせていただきたいと思っております。

 民主党の御提案と、もう間もなく提出をさせていただきます政府・与党案の根本的な同意点は、無料化するということだと思っております。

 しかし、無料化に至る手法でございますが、すなわち、今四十兆円に上る債務をどういうふうに返していくのか。私どもは、やはり利用した方々に御負担をしていただこう、利用者の皆様方の料金で返済しようと考えておりますが、民主党の皆様方の考えは、利用もしていないけれども車を持っている、免許を持っている方々に税金で御負担していただこう、ここが大きく違うんだと思っております。

 そして、民主党の皆様方の主張されている無料化は、今もお話をさせていただきましたように、料金を、三年後でございますか、無料化して六十年かかって税で返していこうというものでございますけれども、先ほど申しましたように、そうしますと、高速道路を使わない人や、高速道路がない地域というものは現にまだあるわけでございます、そういう人々にも負担を、広く薄くかもしれませんけれども、負担をお願いするということで、私は、ある意味での逆な不公平が生じるのではないかと考えております。

 そしてもう一点、これは再三再四、私も自分の住んでいるところの住環境からお話をさせていただいているわけですけれども、首都圏や阪神圏では有料を継続するとされております。

 そうしますと、例えば東名とか中央でお考えいただくとすぐわかると思うんですが、東京に入りますと、世田谷区や私どもの住んでおります杉並区というところが境界付近になりまして、境界付近で、有料が始まる前におりる車が出てくるということは容易に想像に値するわけでございます。

 そうしますと、もう既に、環状道路というものは東京の場合は大変不整備でございまして、これも委員御承知のことだと思いますが、環状八号、環状七号、こういう道路の渋滞が発生することによりましてさらに環境の悪化、そこで渋滞が発生することによる排気ガス等々の問題が懸念されるわけでございます。

 そして、大都市の利用者は、広く薄くではございますけれども、租税負担と、さらに首都高、阪高、新しい会社にはなりますけれども、そこの料金は二重に課せられるという新たな不公平も発生するのではないかと私は思っております。

 そして、委員もこの間、ずっと国交の分科会に御出席をされていてお感じになられたと思いますが、やはり公共事業に対する要望というものは与野党を問わず多岐にわたってあるということが、私も、十五時間ぐらいでございますが座っておりまして、非常に強くわかったわけでございます。それはやはり、社会資本の整備に対する期待というものが各地域でまだまだ高いということの裏返しではないかと思います。

 そんな中で、皆様方の予算案を見させていただきますと、国の公共事業、公団等々も含めての直轄事業をおよそ四兆円と試算して、この三割を削減すると言われております。しかし、その中で、道路関係予算の一兆七千億については維持するとしております。

 そこで、単純計算をいたしますと、四兆円で三割切りますから二兆八千億円、このうち道路をそのまま使いますと、残りますのは一兆円少々、そうしますと、その一兆円少々の予算で道路以外の公共事業、河川や空港や港湾といったものを整備していくということで、皆さん方からいただいたような要望はかなり、道路以外の公共事業の予算が半分以下になりますので、御要望にこたえるスピードというものはかなり遅くなるということが危惧されるわけでございます。

 そして、その無料化される既存高速道路の維持管理費と新直轄高速の建設費、最低限必要となる国道、一般国道でございますね、これの維持費を差し引きますと、残る予算が八千億ぐらいになってしまいまして、そんな中で、今、大都会が抱えている立体化の問題やあるいは電線の地中化といったようなバリアフリーの問題、こういうものにどういうところから予算を捻出していくのか、こういう問題が私はあると思っております。

 そういう意味で、委員が御指摘されましたように、公共事業予算についての実現性、要望に対する実現性というものが非常に低くなっていく。公共事業予算の削減分を含めて一般会計に広く求める民主党の案では、本当に、では一体何を、あれだけ御要望がある中で何を本当に切っていくのかということが具体化になってきますと、もう少し深い御議論がなされるのではないか。

 それと、もう一つ問題は、四十五年で返すということに対して長いじゃないかという御質問もよく出るんですが、民主党の案ですと、借りかえで六十年で返すと。不確実性という観点から考えますと、この不確実性は四十五よりも六十の方が余計高まるのではないかと考えております。

平岡委員 ありがとうございました。

 今指摘された問題点についていうと、ロードプライシングの考え方とか、あるいは地方に公共事業はゆだねていこうという民主党の基本的な考え方とか、そういうようなところが必ずしも十分な御理解をしていただいていないというふうに思いますけれども、この問題は、多分、道路公団の民営化の法案を審議する際にしっかりと議論されることになろうかと思いますので、あえて事前に、政府が考えている民主党の無料化案に対する評価というものを聞いておきました。これをもとに、またさらに関係委員会で議論を深めていきたいというふうに思っております。

 ただ、この無料化について、ちょっと私、個人的な感じがございまして申させていただくと、実は私、当選した直後のころに、私なりの政策の一つとして、一般国道が渋滞している、他方、それに並行して走っている高速道路がすいているというような状況が、よく地方にも見られるわけですね。私の地元にもそういうところがございます。そういう地域では、一般国道の周辺に住んでいる人たちは、渋滞、騒音、振動、排気ガス、こういった問題で悩まされている。

 そういうような地域については、やはり高速道路をもっともっと使いやすくしなきゃいけないんじゃないかというようなことを私としては痛切に感じておりました。

 さらに、ちょっと田舎の方に走っている高速道路を見ますと、せっかくすぐそこに高速道路があって、ここから乗れればこの高速道路に乗ってすぐに自分が行きたいところに行けるのに、この高速道路に乗るために数キロ先の、これは余り交通量のない高速道路ですから、たくさん料金所をつくれないわけですね。だから、料金所が遠いところにしかない。そういうところに、わざわざ数キロ戻っていって、山道を戻っていって、そこで乗らなきゃいけない。

 こんな状態になっているということを考えると、こういう高速道路が本当に無料で使えたら、あるいは低廉な料金で使えたらどんなにいいだろう、すぐにここから乗れたらどんなにいいだろうというふうに私は感じたわけであります。

 そして、私は、それなりのそういう政策を打ち出してみてはどうかというようなことも考えておったのでありますけれども、民主党としては全体的な高速道路無料化ということを打ち出しましたから、これによってそういった私が考えていたことも達成できるなというふうに感じているわけでありますけれども、こういう問題を地方が抱えているということについて、国土交通大臣はどのようにお考えですか、それらの問題についてどのように解決していこうというふうに考えておられるか、そこの所見をお伺いしたいと思います。

石原国務大臣 ただいまの平岡委員の御質問は二点あったんだと思います。

 一点目は、立派な公共事業にしても利用されていない部分があって非効率が発生しているのではないかという点、そしてもう一点は、これも波及する話ですけれども、日本の高速道路のインターチェンジの区間というものはおよそ十キロ、欧米が大体五キロ見当でございますから、後段で委員が御指摘されたような、インターチェンジへの距離というものがありまして利用を大変阻害している、この二点だと思っております。

 一点目の回答策として、民主党の皆様方は無料化ということを編み出したのでこの問題が解消されるというのが平岡委員の御指摘だと思っております。

 やはり道路以外でも、整備された道路が有効に活用されるようにという委員の御指摘は私もごもっともだと思いますし、東京の近くにある例をとらせていただきますと、アクアライン、これは大変高かったわけでございますけれども、ETCを使って、今、片道、ETC利用で二千円程度にしております。その結果、どういうことが起こっているかといいますと、インターチェンジでETCと一般車の割合を見ますと、ETC利用の割合が川崎側は四割を超えている。すなわち、値段を安くして、その安くするというツール、ETCを使うということが、その地域では、全国的に見ても、あるいは首都圏レベルで見ても、かなり、倍以上の形で利用がなされている。

 これがやはり、料金を無料にするという委員のお考えと、私どもの、料金をできる限り下げていく、こういうことによって、今委員がおっしゃられたいわゆる公共事業に関するデッドウエートロスというものの解決策になるということが明らかになっているのではないかと思っております。

 そこで、無料化とのお話なのでございますが、今後の高速道路、私どもは、今度は有料と無料とを区分した上で、これも何度も御答弁させていただいておりますが、費用対効果、いわゆるBバイCの問題、そして忘れてはならない採算性、さらに、これから整備するところはもう採算性は合わない道路がほとんどでございますので、しかしながら、災害が起こったときの代替道路あるいは基幹病院への到達距離等々の外部的効果、外部的要因というものを客観的に評価して、高速道路整備計画の七十路線、残っている二千キロについては成績をつけさせていただいたわけでございます。

 整備の必要性はありますけれども、有料道路として整備すれば料金への抵抗感で、委員が御指摘のとおり、そんな高いもの乗らないよ、一般国道で十分だよ、こういうものに対しましては新直轄、すなわち無料の高速道路により整備をするということにさせていただきました。

 また一方、整備の必要性はありますけれども料金収入で管理費が賄えるものについては、引き続いて有料方式で整備をするということにさせていただいたわけでございます。

 こういうことによりまして、委員の御指摘のデッドウエートロスに明確にこたえていく仕組みを、私どもは、無料化という案ではございませんけれども、つくらせていただいた。

 それで、後段の方の御質問でございますが、インターの距離、これは本当に大きな問題だと思います。

 私も、近畿のある県、高速道路の整備がおくれている県を視察してまいりまして、あるところまでは高速道路ができていて、そこから南進するわけなんですけれども、その一番南の方の町でいろいろお話を聞かせていただきますと、おりるインターはあるけれども乗るインターが隣町だ、やはり四、五キロ離れている、こんな不便なものは要らないからバイパスの方を早くつくってくれ、こういう意見がその地域では大変多かった。

 こういうことにどのようにこたえていくのかということで、サービスエリア、パーキングエリアには物販の搬入路がございますので、そこにコストのかからないETC専用のインターチェンジをつくることによりまして、これが三百カ所ぐらいございますので、もう既に御要望のある地域から来年度からつくっていくという方向で対処して、委員が御指摘の後段の問題について答えを出していきたいと考えているところでございます。

平岡委員 ちょっと時間が余りないので端的にお答えいただきたいと思うんですけれども、今の質問に対する答弁の中で直轄方式の話がちょっと出ておりましたけれども、どうもこの直轄方式というのも、一体どういうものなのかなと考えてみると、大変不思議な方式だなというふうに私としては思っているわけであります。

 実は私、昨年の二月の予算委員会でも、この直轄方式における財源負担というのは一体どういうふうになるのかというようなことを質問しておりまして、そのときは、自動車重量譲与税を地方に、市町村に九百三十億円ほどお渡しするというような形で地方財源を確保しますよというような説明もありました。

 今回、国土交通省から示されている新直轄方式導入に対応した地方財政措置というものでは、地方が負担するのは四分の一、その分については地方債を充当していく、あるいは起債未充当の部分についても、将来の償還に合わせては、それに対して交付税で充当していくといったようなことが説明されているわけでありますけれども、この直轄方式、財源というのは一体どのようになっているのか。この点について、地方も含めてお答えいただきたいというふうに思います。

佐藤政府参考人 事務的な部分がございますので、私の方から御説明申し上げたいと思います。

 基本的には、当該年度必要となる事業費の九割は地方債で手当てをする、そして一割は財源として当該年度分の地方の財源の中からお出しいただく。この九割につきましては、地方債を充当していただくわけでありますが、その後、事業費補正、こういう形で処理をしていただくことにいたしまして、元利償還金の五〇%は交付税で措置がされる。さらに、それ以外の部分については、自動車重量税の地方への譲与分を、全国で十五年度から、都道府県に対しましては、玉突きでございますが、四百五十億円ほど財源を移譲した、こういう形でございますので、実質的にその重量税の充当分という形のはね返り分としてまた手当てもしていただくということでございますので、トータル、一〇%の当該年度分の県の負担、それから、九割の後ほどの事業費補正、こういう形で、交付税とそれから重量税、まあ玉突きで地方道路譲与税分になるわけですが、という形で処理される、こういうふうに理解しております。

平岡委員 ちょっとこの議論、もう少し時間がないと進めないので、これはまた別途のところでしっかりと議論したいと思います。

 昨年、片山国務大臣は、この自動車重量税の譲与税については九百三十億円が平成十五年度予算で地方に渡される、その半分が直轄方式である高速道路の負担になるんだ、こういうことを説明しております。

 ただ、今説明された中には、新直轄方式については、地方財政措置として言われているのは都道府県負担分についての話だけで、都道府県負担と市町村負担が一体どういうような形になっているのかということもちょっと明確になっていなかったというふうに思います。これはまた別途の機会にやります。

 というようなことで、この地方の財政負担がどういうふうになるのかということがどうも明確になっていないということをちょっと指摘しておきたいというふうに思います。

 そこで、ちょっとこの新直轄方式について考えますと、与党と政府の合意の中で、民間会社が借入金方式で道路を建設するということについては拒否権が与えられているということで、これが今回の道路公団民営化の一つの大きな柱である、これによって、民間会社が、自分たちがつくりたくない、採算性が合わないというようなことでつくりたくないというものがあるときはつくらなくて済むんだというふうな説明がされているわけでありますけれども、しかしながら、今回政府から提案されるであろう法案の中では、政府が三分の一以上、株式を保有することというふうなことになっているわけであります。

 多分、三分の一になるまでにはかなりの時間があると思うんですね。それまでの間、この会社はほとんど政府によって株式を保有されている会社であり、かつ、代表取締役は国土交通大臣の認可がなければいけないという仕組みになっている中で、本当に民間会社はこの借入金方式による道路建設について拒否ができるのか、非常に疑問だと思うんですけれども、どうでしょうか、この点、ちゃんと拒否ができるということになるんでしょうか。

石原国務大臣 委員の御質問の趣旨は二カ所からきていると思うんですけれども、一つは、これからまだ仕掛かり品のうちに会社が拒否できるか、道路をつくれという計画があってそれをできるかという点と、もう一つは、政府の株式保有、当然、特殊会社でございますから一〇〇%の政府出資の子会社になる、これはJRの例を見ても、NTTを見ても、JTの例を見ても明らかである、そんな中で自主的な判断ができるのかできないのかという御質問だと思います。

 細かいところは時間の関係で省かせていただきますけれども、三分の一以上保有ということは、やはり基本的哲学として、国あるいは国民、道路というものは一体だれのものなのかということを考えたときに、これはやはり多く国民のものであろう、高い公共性を有している、その点から、国の関与というものをある程度持たせるべきであるという論点に立っているわけでございます。

 さらには、海外の例を見るまでもございませんけれども、営業譲渡などなど、会社の存立にかかわるような決議の阻止を行っていくという観点からもこういうふうにさせていただきましたが、この株式保有の問題は、十年後の見直し規定、法律に明記をさせていただきますが、これは私どもと民主党の案は無料化という点では一緒でございますが、民営化委員会の一部の委員の皆さん方には、プライベートで持っていいという考えがございます。それと、この政府保有の株式の割合というものもまた密接に関係してまいりますので、これは明確に、十年後の見直し規定の対象項目であるということを明らかにさせていただいているわけでございます。

 そこで、会社の自主性を尊重する立場からどのような仕組みを仕組ませていただいているかというお答えになるわけですけれども、三分の一以上ということは、大体、NTTと同じでございます。取締役は、NTTは大臣認可でございますが、今回は会社の社長さんだけを……(平岡委員「実質的に拒否ができるのか、そこを聞いているのです」と呼ぶ)もう少しお時間をちょうだいしたいと思います。

 取締役は大臣認可でありますけれども、今回の仕組みでは、代取すなわち社長だけしか大臣認可にしておりません。ですから、社長さんがすべての取締役を決められる。JRの場合は全部、取締役まで大臣認可であったということを考えても、一歩進めたわけでございます。

 今の考えは、この政府の関与をできる限り少なくしていこうという、これは委員の御質問の答えになってくると思うんですけれども、そういう立場に立っているということのあらわれだと御理解していただきたいと思います。

 そして、あるいは関連事業のところで、JRの場合は、駅で商売をやるとき、全部認可だったんですね。ですから、SA、PAもそうなると思っていらっしゃる方が多いかと思いますが、これはもう全部、自由に任せて、届け出制にさせていただきます。あるいは、ここが……(平岡委員「私はそんなこと聞いてないじゃないですか」と呼ぶ)いや、今お答えするんです。これから答えるんです。(平岡委員「前段が長過ぎる、それは審議拒否だよ」と呼ぶ)御丁寧に説明をさせていただいておるんですけれども。

 事業中区間の建設については、協議制とさせていただいておりますので、実質的な拒否権を認めているということでございます。これはもう再三再四御答弁をさせていただいてきたことでございまして、委員の御指摘のような懸念は当たらないと思っております。

平岡委員 私が聞いたことに対して率直に答えてくださいよ。そんな周りの話を聞いているんじゃないんですよ。サービスエリアの話なんか、私は聞いていませんよ。

 それで、株式保有について言うと、三分の一保有になるのは一体何年かかるんですか。その間に、この六百九十九キロと言われている直轄方式の建設あるいはそれ以外の建設、これについて拒否権が発動できる期間というのは一体どのぐらいなんですか。

石原国務大臣 経済状況によって変わってくるので、何年後ということは明確には言えないと思います。

平岡委員 この拒否権については、せっかく猪瀬さんが、これで民営化が実質的に確保されるんだということを言っておきながらこのような仕組みでは、拒否権が発動できることは全く考えられない、そういう状態になっているということを強く指摘して、この政府の民営化案というのは、本当にまやかしものでしかない、ただ単に形として株式会社何たらというのができるだけであって、実質的にはがんじがらめになっている、これまでの道路公団とほとんど、改善の余地はない、改善されていないということを強く指摘して、私の質問を終わりたいと思います。

笹川委員長 これにて平岡君の質疑は終了いたしました。

 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 まず、保健医療データビジュアライゼーション事業についてお聞きをします。

 これはこの委員会でも何度も議論になりましたが、イメージ情報科学研究所、イメラボに委託をされまして、そこから日本歯科医師会などに資金が流れる、こういう形で行われた事業であります。

 厚生労働省にお聞きしますけれども、この事業について最初に経済産業省から説明を受けたのはいつでしょうか。

岩尾政府参考人 お尋ねの保健医療データビジュアライゼーション事業については、当時の担当者や経済産業省に確認いたしたところ、平成十三年七月ごろ、当時の担当者などが事業全体の説明を受けたと聞いております。

佐々木(憲)委員 十三年七月ということですから、構想はもうずっとその先で決められていたわけですね。つまり、概算要求後に知らされた、こういうことだと思うんですが、開発は経済産業省、普及は厚生労働省、こういうふうに言われているわけです。

 そこで、お聞きしますけれども、厚生労働省は、この保健医療データビジュアライゼーション事業で上げた成果を普及するために、普及のための予算というものは確保しておられるんでしょうか。

岩尾政府参考人 医療の情報化ということで、経済産業省、厚生労働省、互いに連携いたしまして、基本的には、必要な技術開発、実証は経済産業省が行い、一定の評価が得られた情報技術の普及は厚生労働省が担うとしております。

 厚生労働省では、電子カルテ、レセプトの電算化普及のため、保健医療分野の情報化に向けてのグランドデザインに基づきまして、これまでも、電子カルテに使用する用語、コードの標準化、電子カルテを用いたネットワーク事業、レセプト電算処理システムの普及に取り組んでおります。

 この保健医療データビジュアライゼーション事業については、経済産業省から、現在、事業の途中過程であり、平成十五年度に最終的な成果が得られると聞いているところであります。その最終的な成果を踏まえて、厚生労働省において取り組んでいる事業での活用も含めて、必要な普及策を検討することとしております。

    〔委員長退席、北村(直)委員長代理着席〕

佐々木(憲)委員 結局、まだ予算化をして普及をするということにはなっていないということですね。

 そこで、そうしますと、経済産業省の先日の予算委員会での答弁は、「経済産業省がどちらかというとベンチャー的な形で実験的に進めて、その結果、ある程度固まった段階で、厚生労働省の方でそれを普及していただく形で、予算も確保していただき、実際に御支援もいただいているという関係でございます。」と答弁されているわけです。

 しかし、事実関係を見ますと、説明を受けたのは極めて後の方でありまして、しかも、普及すると言われていますが、普及のための予算は依然としてまだ組まれてはいない。しかも、先ほど永田議員が指摘したように、歯科医師会は共通ソフトとして採用しないということを言っているというんですね。

 そうしますと、厚生労働省とは関係なく、日歯という特定の団体あるいは特定の政治家によって持ち込まれたものを経済産業省が委託事業として予算化をした。厚生労働省から出た話ではもともとないわけであります。本当に必要な事業であったのかどうかさえ、大変これは疑わしいと思うんですね。その委託事業の金が二次、三次の下請にどのように流れていったかもまだ定かではない。

 経済産業大臣にお聞きしますけれども、これはやはり真相の徹底究明、どのような形でこれが構想され、どのように委託が行われ、お金がどう流れたかという、これは国民の税金の使い方の話ですから徹底調査が必要だと思うんですが、いかがでしょうか。

中川国務大臣 まず、佐々木議員の御質問の中で、採用しないと決定したとは私は承知をしておりません。先ほど答弁したとおりでございます。

 それから、この予算委員会での御審議を踏まえまして、私から、内部調査、そしてまた、外部有識者によるIT関連委託事業の執行のあり方調査検討委員会というものを設置することを決定いたしまして、座長には会計検査院の元の事務総長の深田烝冶さん、そしてメンバー全部で五人から成る委員会を構成いたしまして、このイメラボに委託された保険医療データビジュアライゼーション事業(歯科分野)に関する調査についても報告をし、助言をいただく。

 それからまた、これ以外にも、一般的に多段階請負構造が指摘されておりますIT関連委託事業について、その執行の適正性及び効率性を確保するための方策を検討していただき御報告をいただくということにして、三月中、三月の前半にも第一回のこの委員会を開いていただいて、早急に結果を得たいというふうに考えております。

佐々木(憲)委員 この事業の経過を検討してみますと、厚生労働省が主導して、あるいは要請をしてつくられていったということではなくて、経済産業省がリーダーシップをとって、開発だからそうだということなんですけれども、しかし、同時に、それが実際に普及するということになっていきますと、その普及の段階がまだ極めて不明確であります。

 採用しないと決定されたというふうには聞いてないというふうにおっしゃいましたけれども、私が言いたかったのは、歯科医師会やあるいは経済産業省がどういう形でこれにかんでいったか、非常に経過が不明確である、その中に特定の政治家が絡んでいる可能性があるということでありますので、その点を徹底究明するということ、それから、お金の流れ方がまだはっきりしていない、そこを徹底的に洗うということ、この点をぜひやっていただきたいと思うわけです。

 現在、調査の機関をつくって調査をするとおっしゃったわけですが、いつまでにそれをなさるおつもりなのか、ぜひお聞かせいただきたい。

中川国務大臣 先ほど、できるだけ早くというふうに申し上げましたが、前の委員会でも御答弁したと思いますけれども、イメラボに関するこの具体的な案件については、一カ月程度を一つの一応区切りにして早急に結論を出していただきたい。

 それから、一般的な委託の事業のあり方については、もう少し時間がかかるかもしれませんけれども、数カ月というか、半年よりもっと短い期間内に、専門家の方の調査の結果ですから、拙速も避けたいですけれども、できるだけ早くやっていきたいというふうに考えております。

佐々木(憲)委員 次に、日歯と日歯連の一体化問題について坂口大臣にお聞きしたいと思うんです。

 大臣は、医師会と政治団体の関係について、明確に峻別すべきだという答弁をされています。

 二〇〇一年六月十一日の当時の医政局長も、日医、日歯、看護協会など、特に大臣からの強い御指示もございまして、公益法人の活動と政治連盟の活動を峻別するように、特に最近強く指導している、こういうふうに答弁をされているわけです。

 坂口大臣、昨年六月十三日には、こういうふうに言っているんですね。例えば医師会と政治連盟が同じ場所で同じ電話番号で、そして同じ人が会長というのは好ましくない、そこは明確に区別をしていただく、こういうふうに答えておられます。

 ところが、この予算委員会の総括質疑で私が紹介しましたように、まずは本体の日歯と日歯連、この会長が同じなんですよ、依然として。それから、会計責任者も全く同じなんです。何も峻別されていない。都道府県を見ましても、四十五の都道府県で住所も同じ、三十三の都府県で会長が同じなんです。

 これはもう、事実からいいまして、峻別すると言っておられますけれども、実態は峻別されていないんじゃありませんか。

坂口国務大臣 きょう、さきの委員にもお答えを申し上げたとおりでございまして、これは平成十三年でございましたか、医師会の問題が起こりまして、そのときに各都道府県に対しまして文書を出した。また、医師会や歯科医師会、薬剤師会等に対しましても、その旨を、こういうふうにすべきだということを指導したということでございます。

 内容は主に三点でございまして、それは、公益法人が政治団体の会費を特別会費の名目で同法人の会費と一緒に徴収しない、それから、公益法人の事務所が政党の入党申込書の送付先となっていることは避けるべきだ、それから、公益法人の会費と政治団体の会費が同一の預金口座で管理されていることは避けなければいけない、主にこういう内容のものを出したということでございます。

 その後、各都道府県に対しましても、そういうことが行われないように各都道府県からもよく指導をしてほしい、各地方の場合には、ということで言っておりまして、各都道府県の中からも、そういうふうに指導して現在こうなったというふうな症例も寄せられております。

 しかし、全体としてまだどうなっているかということまでは私も把握をいたしておりませんので、そこはもう一度またしっかりと、そういうふうになっていないということであれば徹底したいというふうに思っております。

佐々木(憲)委員 二〇〇一年の八月には、おっしゃったように、都道府県に文書を出しているわけですね。それで調査をした。ところが、私、その調査結果を見せていただいたんですけれども、回答があったのは十三府県なんですよ、四十七都道府県に通達を出したにもかかわらずですよ。それから、歯科医師会の記述があったのが九府県、そのうち指導、改善したのはたった四県なんです。これ、厚生労働省がやった仕事であります。だから、実際にはほとんど直っていないということなんです。

 これは、福岡市の日歯連の昨年五月一日の機関紙「福市歯連盟」というのがあるんです。それを見ますと、「各支部については峻別は問われない状況でございます。」「支部から班に行きますと連盟と本会が」、本会というのは歯科医師会ですけれども、「一緒になって全然問題ないということになっています。」と。これは昨年五月の段階でもそういう形ではっきりと活字にされている。

 ことし一月の、愛知の「愛歯月報」によりますと、県の歯科医師会と日歯連の区別は、「規則上そうしたわけで、入退会が自由になったわけではない」と答えているわけです。これは峻別がまともに行われていない証拠でありまして、だから直らないんですよ。

 ですから、やはり大臣がおっしゃったんですから、人も区別する、場所も組織も区別する、はっきりそういう指導をするということをおっしゃっていただかないと全然直らないんじゃないですか。

坂口国務大臣 先ほど申しました三点につきましては、これは徹底をしなければいけないので、そういうふうにしたいというふうに思っております。各都道府県の中には既にされているところもあるわけでありますから……(佐々木(憲)委員「一つか二つですよ」と呼ぶ)全体から来なかったからそれは全部だめだというわけではないというふうに思っておりますが、今後も徹底をしたいというふうに思います。

佐々木(憲)委員 ところで、坂口大臣は、二〇〇一年十一月の答弁で、日歯、日医に関連して、「いわゆる政治連盟からの献金につきましては、少なくとも私は、この大臣に就任中はどんな形であれ受けない」と答弁されているわけですけれども、これは事実ですね。

坂口国務大臣 そういうふうに言いましたかどうか、記憶いたしておりませんが、何かの記録に残っておればそういうことだと思います。

佐々木(憲)委員 何かの記録ではなくて、議事録に残っているわけでございます。

 ことしの二月十六日の答弁でも、大臣は、歯科医師からの政治献金という形では今までいただいたことはないというふうにおっしゃっている。どんな形であれ献金は受け取らないとおっしゃっていたわけです。本当に全くないのかどうか、確認をしたいと思います。

坂口国務大臣 政治献金という形ではいただいておりませんけれども、パーティーを行いましたときに、パーティーには多くの歯科医師の方もお越しをいただきますしいたしますので、パーティーにおきましてはちょうだいしていると思います。

佐々木(憲)委員 パーティー券の購入も政治献金の一種であります。これはもう、法律上、そういうふうにみなされているわけでございます。

 この日歯連の政治資金収支報告書を見ますと、坂口大臣は百万円の献金を受けた、これはパーティー券の購入ですよ、というふうになっていますね。これは事実ですね。

坂口国務大臣 そういうふうになっているというふうに報道されているんですが、現実は違いまして、これは日歯だからという意味ではございませんで、どんな団体であれ、一カ所から多くの皆さん方にお願いをするということはいけませんので、二万円のパーティーであれば十枚分、二十万以上はちょうだいをしないということで制限いたしております。これは日歯だからという意味ではなくて、全団体に対してそうでございます。

 それは調べましたところ、日歯の方からパーティー券代として百万円振り込みをしていただいたようでございますが、私の方は、こういう趣旨でパーティーをやっておりますということでお返しを申し上げたということでございます。

佐々木(憲)委員 そうしますと、二回パーティーをやって合わせて百万円だったけれども、一回分は二十万以上はもらわないということで六十万円分返した、こういう説明ですね、今のは。そういうことですね。

坂口国務大臣 二回パーティー、地元とこちら東京とでございましたので、二十万ずつちょうだいをした、こういうことでございます。

佐々木(憲)委員 ということは、六十万円分返した。つまり、百万円出したというのは、日歯連の政治資金収支報告書に明確に書かれているわけでございます。今、六十万円返したと。六十万円というのは、この日歯連の報告書には記載されていないんです。返したという訂正がないんです。ですから、本当に返したかどうか。何の記録もないんですよ。一体これはどうなっているのか。

 二十万円以上はもらわないとおっしゃいましたが、私、坂口大臣の後援会の収支報告書を見せていただいたんですが、これによりますと、二〇〇二年には、三重の県歯連から三十万円、それから、三重の県医連から六十四万円、二〇〇一年には三重の県歯連から三十四万円もらっている。パーティー券は二十万円以上もらわないとおっしゃいましたが、二十万円以上ちゃんともらっているじゃありませんか。

 これは、どんな形であれもらわないと言ったことと違うし、パーティー券は二十万円までだと言ったのとまた違う。全然違うんじゃありませんか。

坂口国務大臣 私が先日申し上げたのは、日歯連の話を申し上げたわけでありまして、そして、それはお返しをしましたし、お返しをした証拠はきちっと、いつ幾日、どこどこの銀行からどこどこへ振り込んだということも明確にいたしておりますから、それはもう間違いのない事実でございます。

 向こうの日歯連の方にも、こういうふうにいたしておりますということを申し上げました。日歯連の方は、そうでしたね、しかし今、帳簿がございませんので、今ここで確認するわけにはいきませんけれども、よくわかりましたということでございました。これは明確にいたしておりますので、決して事実と反するところはございません。

 それから、あとは、地方のお話は、地方の医師会や歯科医師会の皆さん方がパーティーをやってくれることがあるわけでありまして、それは、地方の皆さん方がお出しいただくものと中央の日本歯科医師会とは、これはまた違うというふうに思っております。

佐々木(憲)委員 返したとおっしゃいましたが、六十万円の、返されたという記載は日歯連の報告書には記載されていないわけですから、これは、記載漏れか、あるいは返していないか、どちらかなんですね。

 それから、地方は違うとおっしゃいましたけれども、しかし、これは、厚生労働大臣として所管をする、そういう対象ですから、それは日本全体の日歯連だけであって各県連は違うんだ、こういうことになりますと、これはもう幾らでも抜け道ができるわけでありまして、「いわゆる政治連盟からの献金につきましては、少なくとも私は、この大臣に就任中はどんな形であれ受けない」、「どんな形であれ受けない」という答弁と全くこれは反している、実態は。そのことを事実上お認めになっているわけであります。これはとんでもない話であります。

 そういう点で、やっていることと言っていることが随分違うわけでありまして、峻別の問題についても、国会答弁をしていながら、実際にはなかなかそれが実行されていない。そういう点で、私は、本当にこれは厳密に今後ともやっていくように、徹底的に監視をし、また、追及をしていきたいということを申し上げて、時間が参りましたので、終わります。

北村(直)委員長代理 これにて佐々木君の質疑は終了いたしました。

 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社会民主党の照屋寛徳です。

 最初に、外務大臣にお尋ねをいたします。

 去る三月二日、アメリカ政府が、米軍の再編の一環として、西海岸ワシントン州フォートルイスの陸軍第一軍団司令部を神奈川県のキャンプ座間へ移転させる構想を日本政府に打診しているとの報道がございました。報道によりますと、アメリカ側からの打診は、昨年十一月下旬にハワイで開かれた外務・防衛当局の審議官級による日米安保事務レベル協議、いわゆるミニSSCの席上であったようであります。この報道を受けて、神奈川県相模原市、座間市民らに大きな驚きと衝撃を与えております。

 軍縮安全保障論が御専門の前田哲男東京国際大学教授は、この問題について、アジア太平洋全域を警護する第一軍団司令部を日本に置くことは、在日米軍の強化であることはもちろん、日本は在日米軍の行動にイエスとしか言わないという保証を与えることになる、事前協議の形骸化、実質的な消滅だ、在日米軍への歯どめはなくなり自由出撃を認めることになると指摘をしております。私も全く同感であります。

 この司令部移転については、私の住んでいる沖縄でもかなり大きく報道され、多くの県民に衝撃を与えております。

 そこで、お伺いいたしますが、米陸軍第一軍団司令部のキャンプ座間への移転をミニSSCでアメリカから打診されたことはあるんでしょうか。

    〔北村(直)委員長代理退席、委員長着席〕

川口国務大臣 御指摘のようなことにつきまして、米軍から打診をされたという事実はございません。

照屋委員 それでは、昨年十一月下旬、ハワイで開かれた外務・防衛当局の審議官級によるミニSSCに参加した日本代表はどなたなんでしょうか。

川口国務大臣 我が国と米国とは同盟関係にありますので、まさにいろいろな場でいろいろなことにつきましての意見の交換を行っております。行っておりますけれども、そういった協議につきまして具体的に一つ一つ申し上げるということは必ずしもしていないわけでございます。

照屋委員 だれが参加したかというのは、どうして答えられないんですか。

川口国務大臣 ちょっと私、今手元に、だれが行ったかということについては承知をしておりませんし、資料を持っておりませんので、調べたいと思います。

照屋委員 それでは、これまでも公表していることですから、お調べになって、ぜひ明らかにしていただきたいと思います。

 外務大臣、アメリカ陸軍の第一軍団司令部のキャンプ座間への移転は、結果として在日米軍基地の機能強化につながるという御認識は、外務省、持っておられるんでしょうか。

川口国務大臣 先ほど申しましたように、米側からそのような提案を受けたという事実はございません。したがいまして、その場合どうなるかということについてお答えを申し上げるのは難しいということでございます。

 米側としては、今、委員がおっしゃったようなグローバルな軍事体制の見直し、その作業を行っているわけでございまして、日本を初め同盟国、友好国と緊密に相談をしているということでございますけれども、今の時点で何かその見通しがついているということではないと承知をいたしております。

照屋委員 それでは、この問題は引き続いて追及をしていきたいと思っています。

 法務大臣おいででございますので、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律について、きょうは時間が少のうございますので、二、三点お聞かせください。

 まず、この法律では、裁判員等による秘密漏示罪というのが定められております。いわゆる裁判員の守秘義務というのはどうなっておるんでしょうか。

野沢国務大臣 裁判員はそのとき臨時に国家公務員に採用されたということをかんがみまして、それ相応の守秘義務をお願いしているということでございます。

照屋委員 それ相応じゃなくして、具体的に「一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金」と法案の七十九条で定めておるんでしょう。

野沢国務大臣 委員御指摘のとおりでございます。

照屋委員 それでは、裁判員でない、専門の裁判官の守秘義務違反の罰則はどうなっているんですか。

山崎政府参考人 ただいまの点につきましては、裁判官は、評議の秘密につきましては守秘義務を負っております。これは裁判所法で決められております。ただ、それに伴う罰則はございません。

照屋委員 裁判官には、守秘義務に反しても罰則はない。しかし、裁判員には、今申し上げた一年以下の懲役または五十万円以下の罰金、しかも、裁判員をやめた後も、任務を解かれた後も、ずっと一生涯、これは刑罰をもって縛られることになりますよ。そういうことが妥当だと思いますか、法務大臣。

山崎政府参考人 裁判官の場合は、現職の間は、もしこの守秘義務違反を犯せば、程度にもよりますけれども、弾劾裁判所で法曹の資格を失うということにもなります。あるいは、分限裁判がございますので、これで免職になるというペナルティーがあるわけでございまして、これで担保をされているということになります。

 それから、ただいまの御質問の中には、退職後のことも言われているのかと思いますけれども、裁判官につきまして、こういうような専門的なトレーニングをしておりますので、その後につきましてもそういう行動はきちっと守れるということから、現在の体制ができているということでございます。

照屋委員 私は、弾劾裁判、分限裁判があることは、それは承知していますが、しかし、同じ裁判体を構成する裁判官と裁判員で、一方は刑事罰をもって守秘義務が課せられる、一方はそうでないというのは、いかにも合理的な理由がないというふうに思います。

 そのことを指摘して、もっとたくさん用意してありましたが、時間でございますので、質問を終わります。

笹川委員長 これにて照屋君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

笹川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 本日の午後は、特に食の安全について質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松岡利勝君。

松岡委員 ただいま委員長からございましたように、きょうは、食の安全についての集中審議ということでございます。

 連日、鳥のインフルエンザが報道されておるわけでありますけれども、今や国民にとって最大の関心事と言っても過言ではないと思います。イラク問題、北朝鮮問題、それからまた年金改革、さらには経済問題とあるわけでありますけれども、この鳥インフルエンザの問題は、まさに国民の日常の今や最重要課題、このような事態になってきております。

 そこで、私ども自由民主党といたしましては、三月二日に、野呂田芳成先生を本部長として、この事態に対処するために、早速、鳥インフルエンザ対策本部を設置いたしたところでございます。そして、政府・与党一体となってこの問題に取り組んでいこう、そしてまた、国民の心配や不安を一日も早く取り除けるように自由民主党の総力を挙げてやっていこう、こういう一大方針を決定いたしたところでございます。

 私は、この対策本部の事務局長を仰せつかっておりまして、きょうは、自由民主党を代表いたしまして、この問題について質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、基本的なことでございますが、今、BSEの問題、さらにはこの鳥インフルエンザ、そしてまたSARSといったような形で、今日ほど、食の安全ということが問われる、そういう時代はなかったのではないか、このように思っております。

 そういう中で考えてみますと、我が国は、海外に六〇%の食料を実は依存いたしておるわけでございます。したがいまして、どの国よりも、やはり食の安全ということに関しては、厳正で、そしてしっかりした対応をしていかなきゃならない、このように私は思うところでございます。

 今から三年前に、平成十三年の九月にBSEが発生をいたしたわけでありますけれども、そのときに、私ども、発祥国でありますイギリスに自由民主党として調査団を派遣することになりまして、谷津先生と私と、きょうお見えの金田副大臣、三名でイギリスに参りました。

 そこで、いろいろと事情を調べてわかったことでありますが、国民の信頼、安心の回復というのはなかなか行政対応ではうまくいかなかった、そこで、食品安全委員会という、まさに科学者だけを集めた委員会を設置して、そして、科学的な根拠に基づいていろいろと整理をし、それによって国民の信頼も回復し消費も戻った、こういうことでございました。

 そのことを早速私どもは調査報告といたしまして持って帰り、官邸にも、小泉総理にみずからそのことを進言もいたしました。現在、食品安全委員会というのは、そういったことを契機として設置されておるわけでございます。

 そこで、まず第一に、食品安全委員会にお伺いをし、また、お願いをしたいわけでありますけれども、やはり何といっても、この食の安全という問題は、科学的な根拠に基づいてきっちりと整理され――今、混乱や不安や心配といったことが非常に大きくなってきております。したがって、その問題をきちっと整理して、科学的根拠に基づいて、国民の皆様、とりわけ消費者の方々に正確な情報をお伝えする、このことが一番求められていると思っております。そこで、食品安全委員会として、このことに対してひとつしっかりと取り組んでいただく決意と、そしてまた、その取り組まれる方針を端的に述べていただきたいと思います。

梅津政府参考人 鳥インフルエンザにつきましては、我が国を含めて世界各地で発生が報告されておりますけれども、現在まで、食品を介して鳥インフルエンザウイルスが人へ感染した例は報告されておりません。

 食品安全委員会では、鳥インフルエンザの発生後、直ちに、委員会の場で関係機関からの報告聴取を行うとともに、今申し上げたことを国民に対する正確な情報として発信しているところであります。

 きょう開催される食品安全委員会におきましても、国内における鳥インフルエンザの発生の状況やワクチンをした食品の安全性に関する説明を農水省から受けることにしておりますけれども、ただいま申し上げました科学的知見、すなわち、食品を介して鳥インフルエンザが人に感染した例は報告されていないといったことを正しく正確に伝えてまいりたいというふうに思っております。

松岡委員 ぜひ食品安全委員会として正式に整理をされまして、そして、食品安全委員会の名前で、私は、国民に対して、消費者に対して、どのような処理をしたものであれば絶対に大丈夫なんだといったことを、マスコミも使ってと思いますけれども、ぜひ食品安全委員会としてしっかり対処してもらいたいと思います。

 また、その点につきましては、厚生労働大臣からも、そしてまた農林水産大臣からも、政府として、食品安全委員会の方に強くこのことについてもお願いをしていただきたい、このようにここで要請をしておきたいと思います。

 そこで、あと、具体的なことに入ってまいりたいと思いますけれども、まず、今回の京都の事態を見ておりますと、一言で言いまして、家畜伝染病予防法、この仕組みによって対処してまいりましたその結果が、実は今回、このような事態になっておるわけでありまして、私は、通報体制の問題、そして報告させる、そういった義務を含めた仕組みの問題、まだ不十分な点がやはりこれはあるのではないかと思います。

 何よりも、この家畜伝染病予防法の趣旨というのは、予防をし、そしてまた、仮に発生したとしても、感染を蔓延させない、感染を防止するということが第一の趣旨でございます。そういった観点からしても、今の仕組みではまだまだ不十分な点があるのではないか、このように思います。

 そしてまた、今、移動制限というものが課せられるわけでございますけれども、そのことによって影響を受ける農家への支援措置の問題、こういったこともまだ法的に根拠がございません。したがって、こういった面も、これは恒久的なものとしてしっかり整理をしておく必要があるのではないか、このように思っております。

 したがって、そういったような補償措置の問題、そういったことも含めまして、家畜伝染病予防法、これを改正して今後に臨む必要があるのではないかと思いますが、この点につきまして、農林水産大臣の御所見を伺いたいと思います。

亀井国務大臣 お答えいたします。

 先ほど委員からも御発言ございましたが、今回の鳥インフルエンザの問題につきまして、党におきまして対策本部を設置していただき、また、委員には事務局長としていろいろとお世話になりますが、どうぞひとつよろしくお願いいたします。

 また、今御指摘の件、何といっても、やはり早期にいろいろな対応をしなければならないわけでありまして、そういう面で、後ほど家畜伝染病予防法の関連につきまして、その辺のことにつきましては事務局から説明をさせますが、この問題、何といっても、インフルエンザの発生農家に対しましては、患畜の殺処分や汚染物品の焼却等については、国が手当てをいたします。

 また、移動制限に伴う経済的損失につきましては、一時的な制限でありまして、廃棄や処分、これを求めているわけではないわけでありますが、今、その損失を補助する仕組みはないわけであります。

 しかし、今日、早期にいろいろのことを対応しなければならないわけでありますので、その面、山口県での例もあるわけでありまして、それらを基本にいたしまして、この補償の問題、心配のないような制度の問題につきましては十分検討してまいりたい、このように考えております。

松岡委員 今、大臣から、大変積極的な、前向きなお答えをいただきまして、ぜひそのようにお願いを申し上げたいと思っております。

 そこで、実は、いろいろな被害というものが起きておるわけでありますけれども、直接の被害だけではなくて、間接的なといいますか関連した被害も相当大きなものが予想されます。

 といいますのは、鳥を使った外食産業、さらにはまた、地域自体がいろいろなサービス業を営んでいるわけでありますけれども、例えば旅館にいたしましても、観光地にいたしましても、そういったような関連した影響というのが相当考えられるわけであります。

 そういった意味からも、関連した影響、被害に対しての支援措置、これもやはりしっかりしておく必要があると思います。そのことが、直接的な被害、関連した被害に対しての支援措置というものをしっかりしておくことが、今後の早期通報、そしてまた感染防止という観点からも極めて大事な問題ではないかと思います。あわせまして、この点につきましても、ひとつ大臣としてのお取り組みをお聞きしたいと思います。

亀井国務大臣 先ほど委員、最初に御質問がございました食品安全基本法、食品安全委員会、それに伴う私どもいわゆる消費者行政、食の安全、安心、こういう面、昨年の七月一日以降、組織改正をし、その組織、そしてまたその施策を進めておるわけでありまして、十分この問題に対応いたしまして、風評被害の防止の観点から、地方農政局消費・安全部、本省と緊密な連携をとりまして、その対応を今いたしておるところでございます。

 そういう中で、いわゆるリスク評価に基づくリスク管理、そしてリスクコミュニケーション、このことが大変重要な役割を果たすわけでありまして、そういう面で、今、その関連、外食を含めて食品産業の問題等々につきましては、地方農政局消費・安全部が巡回指導、さらには、いろいろの、鶏肉、鶏卵に関する不適切な説明だとか告示だとか、取引拒否の問題だとか、不当な取り扱いが行われる、これらの問題につきましては、今、巡回指導をいたしまして、徹底的にまず指導をしておるところでございます。

 あわせて、その支援策のことでございますが、養鶏生産者に深刻な経済的な損害が発生した場合におきましては、農林漁業金融公庫の低利の資金措置がされているところでもあります。

 さらには、全国的に、これらの取引関係におきましていろいろの問題が出てくるわけでありまして、この資金繰りの問題、支障のないような形で今いろいろやっております。

 経済産業省に働きかけまして、政府系の中小企業金融機関におけるセーフティーネットの貸し付け等の措置を講ずること、これは昨日付でいたしたわけであります。また、中小事業者の運転資金の貸し付けの円滑化を図るためのセーフティーネット保証の発動に向けて、必要な影響調査の準備を今進めておるわけでありまして、関係省庁とも十分連携してその対応をしてまいりたい、このように考えております。

松岡委員 これもまた、大変積極的なお取り組みをいただく、そういうお答えをいただきまして、ぜひともよろしくお願い申し上げる次第であります。

 それと、これは付随してお願いをしておくわけでありますけれども、例えば融資にいたしましても、保証にいたしましても、保証枠、融資枠というのが設けられております。既存の状況の中で保証枠も融資枠ももういっぱいだ、したがって、新しくは借りられない、こういうような事態もあるやに聞いております。

 したがいまして、こういった特別な場合でありますから、それは特例的に枠を別枠でひとつ認めていただくような、こういった取り組みもぜひお願いをしておきたいと思います。これはもうお願いとして受けとめていただければ結構でありますので、お答えは結構であります。

 それから、何といっても、やはり一番恐ろしいのは、ベトナムとかそういったところの例にもございますように、人に感染する、こういったことが一番恐ろしいし、また、心配なわけでございます。

 したがって、私は、そういった観点から、厚生労働省として、もっとといいますか、しっかりといいますか、前面に立っていただいて、間違っても鳥から人にはうつらないような、そういう予防策といいますか、対処策といいますか、そういったことをぜひやっていただきたい。このことにつきまして、厚生労働大臣のお取り組みの方針といいますか、対処をお伺いしたいと思うのであります。

坂口国務大臣 御指摘いただきましたように、鳥インフルエンザにつきましては、それをたくさん飼っている人たち、あるいはまた、もちろん鳥インフルエンザにかかった、病気が出たところはもうそれは特にそうでございますが、病気の出ない地域におきましても、鳥を扱う人たちに対しましては、マスクその他厳重な体制を整えて、そして臨んでほしいということを申し上げているわけでございます。

 特に鳥インフルエンザが発生しましたところにつきましては、その取り扱いにつきまして、さらに厳重に、ただマスクや眼鏡や手袋といっただけではなくて、予防的措置といたしまして、タミフルというお薬を予防的に飲んでいただく、そうしたことも含めて対応をしているところでございます。

 とりわけ、鳥インフルエンザとそして人のインフルエンザが共存をします場合に、そのときに体内において新しいインフルエンザが発生するということがあってはいけませんので、これは現在の人間の間ではやっておりますインフルエンザのワクチンでございますけれども、ワクチンの投与等を受けていただくようにお勧めをしているといったようなことでございまして、発生予防に万全の措置を講じたいと思っているところでございます。

松岡委員 本当に恐ろしいのはこの問題であります。今、大臣もおっしゃっておられましたように、新型ウイルスに変異するというようなことがあって、そのことから死に至るようなことがあるということになれば本当にこれはもう大問題でありますので、日本にありましては、外国ではそういう例があるわけでありますけれども、ひとつそういった例を十分に精査していただきまして、そして、日本にあっては間違ってもそんなことが起きないような万全の対策を重ねて厚生労働大臣にお願いする次第でございます。

 そこで、次に移りますが、一つ、ワクチンの問題がございます。

 実は、私どもも素人的に聞いておりますと、どちらも一理があるような感じでありまして、ワクチンで抑えなきゃとても抑え切れないという、現場の悲痛なといいますか、切実な声もございます。一方で、それはしかし、逆に病原体は持っているが発症を抑えるということで、病気がわからないままに実は病原体をまき散らす、そういう結果にもなりかねないということで、このワクチンを使うことは果たして是か非か、こういう議論が今あるわけであります。

 私は、この問題も極めて科学的に整理されるべき問題であると思っております。これが行政判断とか政治判断で間違った形で判断されてはならない、このように思うわけであります。

 したがって、私ども自由民主党の鳥インフルエンザ対策本部の野呂田本部長からは、食品安全委員会の寺田委員長に対しまして、もう既に、本部を設置する前にお願いもいたしておるところでございまして、この点について、大臣として、政府としてもどう取り組まれるのか、この点についてお考えをお聞きしたいと思っております。

亀井国務大臣 鳥インフルエンザワクチンの接種につきましては、委員、今御指摘もございましたが、ウイルスが鳥に侵入した際に発症は抑えられる、こういうことはあるわけでありますが、感染を防止するということができないわけでありまして、その鳥自身が新たな感染源になる、この可能性を持っておるわけでありまして、鳥からウイルス抗体が検出されても、それが接種したワクチンによるものか、あるいは本当のウイルスの感染によるものか、この判断が難しいわけであります。そこに問題があります。

 しかし、いろいろな対応で備蓄をし、さらに専門的な方々あるいはまた食品安全委員会にも、今、いろいろの検討をしていただくべく、その手続に入っておるところでございまして、科学的に十分検討していかなければならない課題、このように思っております。

松岡委員 私、この点はあえて申しますが、やはり科学的な整理によって判断されるべきものであると思っております。どちらにも一理あるというようなことで、あとは力関係で決まるようなことではかえって将来に禍根を残す、こう思いますから、ぜひこの点については、政府としても、食品安全委員会と十分なる連携のもとにきちんとした整理を私はお願いしたい。これは重ねてお願いをしておきます。

 それから、消費者、国民に対する正しい正確な情報の伝達、そしてまた今度は、生産者や関連の被害に対するきちんとした対策、そして通報、予防体制の新たな仕組みの構築ということをきょうは今議論をしてお願いをしてまいったところでございますが、また、何といっても、やはり一番重要な問題は、この原因の究明であります。

 この原因の究明についてどのように取り組んでおられるのか。環境省、きょうは来ていただいておると思いますが、これはどこが中心になっておられるのかも含めて、ひとつ環境省はどういう取り組みをされておられるのか、お聞きをしたいと思います。

小野寺政府参考人 環境省では、現在、感染ルート解明のために、野鳥とりわけ渡り鳥の飛来実態の解析を行っているところであります。

 具体的には、問題が起きた三カ所について、周辺でどういう野鳥、渡り鳥が飛来しているかということ、また、その渡り鳥がどういうルートでそこに来たかということをやっているところでございますし、また、委員から御指摘ありました、政府全体四府省で感染ルートの解明の調査というものを今やっておりますが、その一部で、鳥取大が野鳥の鳥インフルエンザウイルスの解析調査を今しているところであります。それも、環境省として鳥取大に協力して調査をしているところでございます。

松岡委員 それで、問題は、それがいつごろはっきりするかということでありますが、そう簡単にまたはっきりしないということも予測できますけれども、その辺、やはりこれは国民に安心を与えるという意味からも、そういった調査結果がいつなのかというのは一番大きな問題でもあります。早急にやっていただきたい、このことをお願いしておきたいと思います。

 あと、最後になりますけれども、今回、このような事態になりましたのは、やはり何といっても、京都の船井農場、ここがきちんとした対応をどうもしていなかった、また、していないことがだんだんはっきりしてきた、こういったことにあると思っております。

 そこで、今回のこの農場の対応というのは、国民に安心で安全な食料を供給する、そういう立場の人として、私は、余りにもこれはちょっと非常識ではないか、このように思うわけであります。告発も含めて厳しい措置をとることが必要だと思いますが、もちろん法的な事実関係というものがあってのことだとは思いますけれども、現時点において、大臣はこの問題に対してどのように臨もうとされておられるのか、この点もやはり明らかにしておく必要があると思いますので、その点についてお伺いいたします。

亀井国務大臣 高病原性鳥インフルエンザにつきましては、アジアで発生をする、そういうようなことから、昨年九月に防疫マニュアルを作成して、そして配付をし、また、七十九年ぶりの発生を受けまして、本年一月二十四日になりますか、早期通報を要請する、韓国での発生、こういうことも踏まえて行い、また山口県、こういうことで、再三、通報等々の体制につきまして指導してきたわけでありまして、全国的な警戒態勢の中であったわけでありまして、今度の京都の問題につきましては、こういうケースの中で養鶏業者からの通報がおくれた、なかった、こういうことは防疫マニュアルに明らかに違反している、このように私は思います。

 そういう中で、家畜伝染病予防法におきましては、患畜の疑いがある家畜を診断した獣医師に対し、または獣医師による診断を受けていない場合にはその家畜の所有者に対しまして、都道府県知事への届け出義務を課しているわけでありまして、まず今回の問題につきましては、そういう面で届け出に対します問題があるわけでありますので、京都府とも十分、この経緯を正確に聴取いたしまして、告発を視野に入れて判断してまいりたい、このように考えております。

松岡委員 まず、ぜひこの点については、きちんとした対処でもって、二度とこんなことが起きないようにしていただきたいと思います。

 そこで、食の安全ということについて、全般的な立場から申し上げさせていただきたいと思います。

 実はきのう、私は、カナダの国会議員の方がお見えになりまして、カナダ産の牛を早く日本も輸入再開をしてくれ、こういう話があったわけでありますが、端的に申し上げまして、食の安全の基準というのは、国民の生命、健康の一番基本であります。したがって、万が一にも間違いがあってはいけません。そのような観点から、我が国は全頭検査ということをBSEの場合はやっておるわけでありまして、そして、これはいろいろ国際的な議論もあります。確かに、日本だけじゃないかと。しかし、まだBSEというのは、発生、発見以来、二十年たっていません。

 したがって、まだ科学的に未解明な部分が非常に多いわけでありまして、私どもが調査に行きましたときは、イギリスは三十カ月齢未満であれば絶対大丈夫、こう言っておりましたが、その後の全頭検査によりまして、二十四カ月、二十一カ月という、若くてもやはりちゃんと病気になるものはあるんだ、こういうことがはっきりしてきたわけでありまして、そういった点からしましても、国民の食の安全というものを政治としてもしっかりと守っていきますためには、こういった科学的な根拠、その基準というものは万全を期していく、こういったことが絶対必要だろうと思っております。

 そのような意味からも、きのうは、したがって、日本は、国民の健康、生命を守るためにこの全頭検査ということは譲れない、このことを申し上げたわけでありますけれども、政府全体におかれまして、やはり人の命を預かる、生命、健康をお預かりになる立場でありますから、ぜひとも、そのような絶対に必要な基準といいますか、基本というものはお守りいただきたい、このことを重ねてお願いし、もしこのことに対しまして大臣の御所見があれば、最後にお伺いして、終わりたいと思います。

亀井国務大臣 実は、私もカナダのバンクリフ大臣と、五回要請を受けましたが、私はやはり、委員御指摘のとおり、BSEの全頭検査、そして特定危険部位の除去、まず国民の健康保護、食の安全、安心、このことを基本に考えていかなければならないわけでありますので、アメリカにおきましてもそのことを何回か説明し、それを基本に対応してまいりたい、このように考えております。

松岡委員 時間でありますから、終わります。

笹川委員長 これにて松岡君の質疑は終了いたしました。

 次に、田中英夫君。

田中(英)委員 田中英夫でございます。

 今回事案となっています鳥インフルエンザ事件、京都府丹波町、私の選挙区、地元でございまして、それぞれの皆さんに大変御努力をいただき、御迷惑をおかけしておるところでありますが、ありがたく存じております。

 事件発生以来、京都府やら地元の町、一体となってこの事案に対して対策にともにかかわってきた者として、要望とまた御質問をさせていただきたい、このように思っております。

 昨夜、また新たなる農場にもこの感染の疑いが発生をしたところであります。本件はまだまだ困難な課題をたくさん有しているわけでありますけれども、府や地元町においては、住民の皆さんも関係者も一体となって、これについては確実に鎮圧すべく、皆さんが努力をいただいております。かなり連日連夜にわたるハードな状況になっておりますので、少しふらふらになりつつあるというところも正直ありますけれども、そんな思いでやっておられることをお伝え申し上げておきたい、このように思います。

 今はまた、松岡委員の質問と、そしてそれに対する、我々地元で考えておりますいろいろなことについて前向きな御答弁を賜っておりますので、その辺にも感謝を申し上げながら、少し地元事情も含めて質問をさせていただきたい、このように考えております。

 まず一番最初に、亀井大臣には、一昨日、昨日と京都の方にお越しをいただきまして、ありがとうございました。夜遅くでありましたけれども、知事や府関係者と会議をしていただき、また、翌朝は早朝から現場に入っていただいて直接に目で見ていただき、また、地元の住民に対しましても生の声を聞いていただいたところでございまして、地元みんな、大変力強く、ありがたく感じたところでありまして、お礼を申し上げておきたいと存じます。

 何万羽という鳥が、生きているのも死んでいるのも含めて混在して放置されている、そんな状況の中で、大変な劣悪な状況の中を御視察いただいたわけでありますけれども、そこで、その感想を、まず、その鶏舎、現場に対してどのような印象を持たれたか、また、地元、府や町がそれぞれ対応をいたしておるところでありますが、それに対してどんな御印象を持っていただいたか、それからまた、今の地元の住民の意見、あの辺についてもどうであったか、また、今後どのようにやっていこうと、御決意があるか、少しお聞かせいただきたいと思います。

亀井国務大臣 委員、お地元でいろいろ御努力いただいておりますことに感謝申し上げます。

 まず、一昨日参りまして、知事からいろいろお話を承り、また、現場で町長さんにもいろいろお話を伺いました。そういう中で、本当に京都府が挙げて大変な御努力をいただいておりますことに、心から感謝とお礼を申し上げる次第でございます。

 現場に参りますと、あの劣悪な臭気と、そして鳥が、まだ生きているのもおりますし、大半は横たわって硬直しているような状況、さらには、鶏ふんが山積みになっております。そういう状況の中で、町におきましては、これは我が国にとりましては七十九年ぶり、そして、この対応というのは全く初めてのケースでありますが、そういう中で、町の職員の皆さん方がなれない仕事にあの劣悪な厳しい環境の中で真剣にお取り組みをいただいておりますことに、ただただ頭の下がる思いでございます。

 そして、あのような劣悪なところでございますから、防疫と消毒をして入るわけでありますから、二時間あそこで仕事をするというのは、もうこれ以上できないような状況であります。それを、職員の皆さん方が交代で、四班編成、五班編成、こういう中でおやりいただく。

 そして、殺処分等、撲滅のための対応につきましても、なれない仕事を、大変いろいろ効率を上げるべく工夫をしていただきまして、当初は一日二千羽ぐらいの処理であったが、次に八千羽、きょうは多分二万羽くらい対応できるのではなかろうか。本当に努力をしていただいております。

 また、地元におきまして、その埋却の処分の場所につきましても、農村地域、下流の水田、こういうことで、地元の養鶏経営者の土地の問題がございましたが、地元の皆さん方、大変そのことでは御意見をちょうだいしたわけでありますが、森林組合の山林を、隣接の場所を御提供いただく、そういう中であの作業が進められている。

 地元の皆さん方の御協力と、町長さん初め議長さんや農業委員会あるいは住民の方々の本当に悲痛なお話、今日までの厳しい環境、こういう中で大変御苦労されてきたお話、もう涙を流しての御発言も感銘を覚えたわけでありまして、私どもといたしましては、十分それを、京都府の皆さん方が、そして地元の皆さん方がこの御支援をいただく体制というものをしっかり忘れることなく、国としてできる限りの対応をしていかなければならない、このように思っております。

田中(英)委員 ありがとうございます。

 今お話をいただいたようなお気持ちでもって、先ほども、それぞれのこれから起こり得るであろう対応について前向きに検討をいただいておるというふうに思っております。さきに出しておりました質問要旨の二番目については、そんなことで、先ほどもいただきましたので、これは省略させていただきたいと思うわけであります。

 実は、先ほども申しましたように、昨夜、新たな農場に新しいまた疑いが出てまいりました。二万羽いる農場であります。全くもうたまらないような気持ちでございまして、しかし、昨夜もそれぞれ関係者と、改めて気を取り直して頑張ろう、こういうようなことを言っておったわけでありまして、大きなお力添えをいただきたい、このように思っておりますし、感染ルートについて、ぜひ早急にその解明に進んでいただきたい、これはお願いを申し上げておきたいと思います。

 今、大臣も状況をお話しいただいたのでありますけれども、現場においてこれを完全に鎮圧してしまうということに対する、どんなものかというイメージでありますけれども、少しお話をさせていただきますと、この浅田農場、二十万羽から二十五万羽いるというふうに言われておるのでありますが、これの殺処理をせい、早くしなければほかへ伝染するから早うせい、こういうことであります。

 言うはやすしでありますけれども、イメージとしては、ここの農場は、実は広さが四万平米か何かあるわけでありますけれども、そこに畜舎が建っておりまして、ほかの処理場が建っておりまして、間の通路がありましたらもうほとんどほかのスペースがないというような、そういうところであります。

 そこにこの二十万羽を処理するというのはどういうことかというと、府や町や、今は近隣の市町からも応援に行っておるのでありますが、そういう職員が、なれない者がビニール袋に五羽とか六羽とか突っ込んで、それをずっとつくっていく。それをガスで殺していって、そして、聞くところによると、十メーターと二十メーターの穴を深さ五メーターに掘って、上に二メーター、土を置くそうでありますが、こういうものをつくると、ここにいっぱい入れても一万しか入らぬそうであります。二十万というとそれを二十個掘らなならぬということであります。もちろん、穴ばかり掘れませんので、その間にすき間が要る。計算しますと八千平米ぐらい要るのではないか、こういうふうに思うわけです。

 しかも、これは農場からは出してはならない、こういうことでありますから、当然その中で処理をせいということでありますが、物理的にその処理ができないわけですね。

 そうすると、当然、その横のあたりの農地とか山林とかをまた新たに買収なり借りにいかなきゃならぬ。地元の人たちにとっては、当然、そこに埋められるだけでもどうだろうという思いがありますところへ、あなたの土地を貸してください、こういうふうに行くわけでありますから、処理はしなきゃならぬという思いが半分ありながら、半分は、そんなにすぐに、ああそうかというふうになかなかならないと。

 これはたまたまのこの京都の例でありますけれども、どこで起こってもそういう問題がこれから起こってくる、こういうことになると思うわけであります。

 しかも、人間は、先ほどおっしゃっていただきましたように、だんだん効率よくなっておりますけれども、しかし、それなら千人入れたらよいかというと、そんなにそこへ入るものでもありません。自衛隊等々にもお世話になりかけておるわけでありますけれども。

 そういう物理的なものを考えてみるともう茫然としてしまうような、そんな状況があるわけでありますけれども、一方では、一日でも一時間でも早くこれをしなければほかへうつってしまう、こんな状況でありますから、今の当面の問題は一生懸命やるという以外にないわけであります。

 要は、そういうことを、この京都を一つのモデルとして、あってはならないですけれども、どこに飛ぶか、全然別ルートで入るかわからないことでありますから、そういう意味では、そういうものに対応するための新しいマニュアルのようなものをしっかりつくっておかなきゃならぬ。

 それと、この鳥インフルエンザの初期始動のマニュアル、こういうことについてどのようにお考えか、お聞かせをいただきたい、このようにひとつ思います。

亀井国務大臣 昨日、帰りまして、総理に報告をいたしまして、そして総理からも、この関係、農林水産省だけでなしに、まず人の健康、そして食の安全、安心にかかわることでありますので、関係府省が十分連携をして、そして政府一丸となって対応するように、このような指示をいただいたわけでありますし、実は、きょう三時からは、各都道府県の部長を招集いたしまして、この防疫マニュアルの問題等々、京都並びに山口県、大分県、このようなケースにつきまして十分周知徹底をし、そして対応をするような努力と、また、マニュアルの問題等につきましても、今までのケース等を踏まえまして十分それを確立して対応してまいりたい、このように考えております。

田中(英)委員 ひとつ、今後のこともございますので、そういうことについてぜひしっかりとした、これを事例としていただけたらというふうに思うわけであります。

 もっと大きく申しますと、食の安心、安全、食品の安全保障というような意味合いで言いますと、例えば、災害ですと災害救助法のようなものがあり、また、国防上の問題では当然安全保障のようなものがあるのでありますけれども、こういうことについても、食の安心、安全とか、このことに対応する、当面の対応をするということも、何か国家的なそういうシステムというものを考えていかなきゃならぬのではないかと思っておりますが、ひとつそれについても大臣としてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

 もう一点、実は新たなそうした疑いが出てきておるということになりまして、これは何とか頑張ってやらなければならないということでありますけれども、正直申しまして、京都府も地元も、大変困惑しておるというか、物理的に大変オーバーしておるというようなこともございます。周辺市町への要請ももちろんいたしておりますが、近隣府県に対して少しその辺の応援を頼みたいというのが実の気持ちのようであります。

 どんなルートでどのようにするかということは、府は府なりにまた考え、お願いをしていくであろうと思いますけれども、一方において、やはり国において、それも、他の災害法のようなそんな指揮権までは至らずとも、何らかの形で国としてそういう応援体制のようなものについてひとつリードをしていただくといいますか、そんなこともお願いができないものか、要請を含めて御質問させていただきたいと思います。

亀井国務大臣 今御指摘の問題、私ども、近畿地方農政局から人も派遣をしておりますが、まだ十分でない面もございます。よく京都府と連携をして、そして他の県の応援の体制、こういうものは十分してまいりたい。

 また、きょう行います都道府県の会議におきましても、それぞれ情報を一元化する、こういう面で全国的に同じレベルで、発生する、発生していない、いろいろの県がありまして、また、防疫マニュアルの問題あるいはこの体制につきましても非常に温度差が現実にあるわけでありますので、それらを徹底して、そして、私は現地を見まして、まさに災害、こういうような認識を持ってきたわけでありまして、そのような意味合いにおきまして、しっかり体制を整えてやってまいりたい、こう思っております。

    〔委員長退席、北村(直)委員長代理着席〕

田中(英)委員 時間が参りましたので終了させていただきますが、なかなか困難な課題でありますけれども、私自身もぜひ京都府の方へも督励をしながら、みんなで一体となってやっていきたい、こう思っておりますが、ぜひ今後ともに大きなお力添えを賜りたいと思います。

 質問をさせていただくことを御了承いただきました自民党先輩、同僚の皆さんにお礼を申し上げまして、終わります。ありがとうございました。

北村(直)委員長代理 これにて田中君の質疑は終了いたしました。

 次に、谷口隆義君。

谷口委員 公明党の谷口隆義でございます。

 先ほどお話を聞いておりますと、亀井農水大臣、一昨日、昨日と現場に行っていただきまして、大変生々しいお話を今お聞かせいただいたわけでございますけれども、私は、今、選挙区は大阪でございますので、生産者側というよりむしろ消費者側のところに選挙区があるわけでございます。

 今回のこの鳥インフルエンザ、これは高病原性鳥インフルエンザ、こういうように言うようでございますけれども、十六年の一月の十一日に山口県で、どうも疑わしいというような報告があり、この鳥インフルエンザ騒動がずっと広がっていったということでございますけれども、よく考えますと、まだ二カ月たっていないわけでございます。

 この状況の中で、山口、また大分、大分は業としていらっしゃらないところの、いわばペットのところで感染した。また、今度は、京都は、これはもう大きな騒動に今なっておりますけれども、どうも、その症状を知り報告するまでに一週間ほどかかった。これが大きく流通のところで、二十三府県というようなところまで広がっておるようでございますけれども、国民一般、大変心配をして不安になっておるわけでございます。

 私は、そういう観点で、国民一般のこの不安という観点で、食の安心という観点でお伺いをさせていただきたいと思うんです。後ほど、山名議員が京都の視察も行ったようでございますので、そのことで山名議員からまた質問があると思いますけれども。

 それで、今回のこの鳥インフルエンザで、先ほども同僚議員が質問をしておられたわけでございますけれども、どこまで安全なのかというようなことですね。例えば、先ほどもございましたけれども、感染ルートがはっきり解明されておるのかどうかということであるとか、人に感染するのかどうか、先ほども答弁しておられたわけでございますが、若干違う角度でお伺いもさせていただきたいというように思っております。

 まず初めに、その感染ルートでございますけれども、私もほとんどこういうところについては素人で、わからないんですけれども、昨日もたまたま焼き鳥屋に参りましたら、非常にお客さんが少ないというような状況になっております。市中ではやはりこの影響も出てきておるんじゃないかなと思うわけでありますけれども、この感染力について、鳥取大学農学部の教授の大槻先生がおっしゃっておられるのは、この強い病原性の鳥インフルエンザに感染した鶏がせきをしたり、ふんをすると、一回当たり百万から一千万のウイルスが排出される、このウイルスは、わずか数個のごく微量でも他の鶏に感染する力があって、一羽が感染すると、たちまち拡大すると言われていると。このぐらい感染力が強いということをこの先生はおっしゃっているんだろうと思います。

 それで、先日もその国際会議があったようでありますけれども、どうも、感染ルート、中国、韓国といった、もう既に感染している地域から来ておるのではないか、人から感染したのか、また渡り鳥から感染したのか、このような考え方があるようでございます。

 動物衛生研究所の検査では、山口、大分のH5N1型ウイルスは遺伝子の塩基配列が九九%以上も一致しているということで、山口、大分は、同じ時期に同じ地域からウイルスが侵入した可能性が高い、このようなことを言われておるわけでございますが、この感染ルートについて、今わかっている状況を御報告いただければというように思います。

亀井国務大臣 お答えいたします。

 一昨日も、京都府知事さんから御要請を受けた中で、この感染ルートの解明、これは、大阪府並びに兵庫県との共同での、三府県の要請を受けたわけであります。まさに、この努力を懸命に今やっておるところでありますが、今、委員御指摘のウイルスの遺伝子解析につきましては、大分、山口につきましてはウイルスが近縁である、また、山口のウイルスにつきましては、香港やベトナムで本病に感染した人から分離されたウイルス株とは異なっているということが明らかになっておるわけであります。

 これまでの山口と大分のケースに関する疫学調査におきましては、発生経路を疑わせる人、車両等の出入りは確認されていない、京都のウイルスに関しましては、一例目、二例目と同様の血清亜型H5N1であることが確認されておるわけであります。

 渡り鳥からの感染の可能性については、いずれも、発生現場の周辺でも渡り鳥が飛来していることが明らかになっております。渡り鳥からのウイルス分離等、さらなる検討が必要となってきておるわけでありまして、三例のケースにつきまして、必要な疫学調査を進めるとともに、関係機関の協力を得まして、海外で分離されたウイルスとの比較を行っていくこととし、感染原因、感染経路を検証してまいりたい、このように考えております。

谷口委員 万全の体制で今大臣のところはやっていただいていると思うわけでありますけれども、山口、大分、京都の周辺の環境に共通点があると言われておるようでございます。距離は離れておりますので、共通点はあるけれども、どうも関係性は薄いというようなことを言われているということを聞いております、私も専門家ではありませんので。

 それで、先ほど、その鳥取大学の大槻教授がおっしゃっていること、ちょっと私、これは非常に怖いなと思っておるわけでございますが、この先生は、三つの地点を結ぶ線がないのは、既に日本国じゅうにH5N1型ウイルスが蔓延し、その結果、感染が別々に起こったことになるのではないか、特に、西日本ではどこでも発生し得る、山間部で野鳥と鶏が接触するような養鶏場は細心の注意が必要だ、このようなことをおっしゃっておられます。この先生の言うとおりとしますと、もう既に蔓延している、何かのきっかけでこの鳥インフルエンザが起こり得るというような状況のようでございます。

 先ほど、同僚議員の方から、この京都の丹波町の農場から五キロ近くのところで二次感染が疑われるというようなこともあるわけでございますけれども、かなり飛散もすることも言われておるわけでございますけれども、今私が申し上げた、もう既に蔓延しているというようなことについて、農水大臣の御見解をお願いします。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 大槻先生のお話が出ましたけれども、大槻先生は、実は私どもの家きん疾病小委員会の委員もしておられる方でございます。先生の個人的な御見解としてそういうことはおっしゃったのかもしれませんけれども、実は、昨日もこの家きん疾病小委員会を開きましたけれども、そういった現時点のいろいろな知見あるいは情報からしまして、全国に高病原性鳥インフルエンザが蔓延しているというふうな見解が家きん疾病小委員会として示されたわけではございません。

 いずれにしましても、万全の注意をもって防疫対応に当たるというのはもとより大事なことでございますから、私ども、そういった視点から、一生懸命頑張っていきたいというふうに思います。

谷口委員 今度は、先ほどもこれは出たわけでありますけれども、人に対する感染についてお伺いいたしたいわけです。

 ベトナム、タイ等々でお亡くなりになった方がいらっしゃる。このベトナムで亡くなられた方の状況について御説明をいただきたいというように思います。

田中政府参考人 ベトナムで亡くなられた方は十五人ほどおられるというふうに聞いております。

谷口委員 これは、濃厚接触者というのですか、どういう状況で亡くなられたのか。先ほど御答弁を聞いておりますと、食品を介在してなかなか感染はしないんだという御答弁がありました。このベトナムでお亡くなりになった十五名の方、その原因がわかっておるのであれば、教えていただければというように思います。

田中政府参考人 十五名全部について私承知しておりませんけれども、十名ほどのデータをWHOがたしかまとめたものを拝見したことがございます。いずれも鳥との濃厚な接触があったというふうに伺っております。つまり、鶏を自分のうちで飼っていたとか、そういう非常に濃厚な接触があって、鳥の羽毛とかあるいは体液を直接暴露していたというようなことが確認されているということでございます。

谷口委員 どうもこのウイルスは熱に弱いということで、七十五度以上で一分間以上加熱をすると死滅する、鶏肉を食べて感染をした例はなく、感染の不安がない、こういうように国立感染症研究所の医師が言っておられるようでございます。

 それで、警戒すべきは人間同士で感染する致死性の高い新型インフルエンザが生まれることである。鳥の間で感染がどんどん広がってまいりますと、新型ウイルスが発生する可能性があるというようなことが言われています。

 こうなりますと、今起こっておらない、人から人の感染というようなことも起こり得る可能性があるわけでございますけれども、こういう観点でいきますと、初動が非常に重要なわけで、このような考え方について御見解がございましたら、お願いをいたしたいと思います。

坂口国務大臣 御指摘のとおり、この鳥インフルエンザが、人へあるいはまた豚へというふうに他の種への伝染が起こりましたときに、その中で、今までありました人間の方で流行いたしておりますインフルエンザと、そこに両方が共存をして新しいものができるということが非常に恐れられているわけでございます。

 そうしたことを考えますと、鳥インフルエンザが発生をしましたときに、できる限り初期の段階でそこをつぶすと申しますか、抑えるということが一番大事でございますので、初期の段階で鳥インフルエンザを滅亡させるということが大事かというふうに思っております。

 鳥を扱う皆さん方に対しましては、ワクチン、これは現在人間にはやっております方のインフルエンザのワクチンでありますとか、あるいはまたその取り扱いをされる皆さん方の防具、マスクあるいは手袋、めがね、そうしたことを徹底的に行って、そして対応をしていただくといったようなことを今お願いしているところでございます。

 鳥インフルエンザが発生しましたときには、もう予防的に抗ウイルス剤をお飲みいただくといったようなこともあわせて行っているところでございまして、新しいものが発生しないようにするためにどこで断ち切るかということだと思いますが、まず最初は鳥の段階のところで、初期にそこで断ち切るということが大事だというふうに思っております。

谷口委員 ぜひそういう初動の段階で、坂口大臣、一生懸命今やっていただいておるわけでありますけれども、お願いをいたしたいと思います。

 このH5N1型ウイルスの呼吸器感染が確認をされた場合に、さっきおっしゃっておられた抗インフルエンザ剤、タミフルというんですか、このタミフルがどうも効果があるということのようでございますが、その供給体制はもう十分万全な体制で行われておるのか、御答弁をお願いいたしたいと思います。

坂口国務大臣 現在のところ、千二百万人分ぐらい用意ができておりまして、そして、これは現在のインフルエンザにも使用されるものでございますから、医療機関にその半分、六百万人分ぐらいは既に医療機関の方に出ております。これが全部使われているというわけではありませんけれども、出ているというものがございます。

 もう少しこれをふやすためにどうするかといったことを今やっているところでございます。

谷口委員 先ほどおっしゃっておられた濃厚接触者、これは、例えば大量殺処分、今京都でやっていらっしゃるわけでございますけれども、その大量殺処分を行った方だとか、飼育農場の職員の方だとか、これにかかわっていらっしゃる獣医師の方だとか、こういう方がこの濃厚接触者に当たるようでありますけれども、全国、今いろいろな観点で調査をしていただいておると思いますけれども、この濃厚接触者というのは極めてやはりそういう感染の度合いが高いというようなことで、これをある程度リストアップしたような形の体制を講じられておられるのかどうか、お伺いいたしたいと思います。

田中政府参考人 濃厚接触者についての現状把握というのは、現在の段階では行われておりません。

 ただ、高病原性鳥インフルエンザウイルスは、感染した鳥との接触によりまして、まれにではありますけれども、人に感染することが報告されているところでございます。飼っています鶏が大量に死ぬなど、高病原性鳥インフルエンザを疑う異常が生じた場合には、まず第一に当該養鶏場の従業員の健康状態を確認するとともに、高病原性鳥インフルエンザの感染を疑う症状がある場合には、抗インフルエンザウイルス薬による治療が可能な体制の確立、こういうものを自治体に指導しまして、これらの方々に健康被害が生じないように努めているところでございます。

谷口委員 今度は、感染防止という観点でお聞きしたいわけでございますが、鶏は結構学校で飼育されているケースが多いんです。それで、文科省の方から、そういう状況の変化があれば報告するように言っておられるようでございますけれども、例えば、学校で飼育されている鶏、また、最近はペットで飼っている鳥を、もう飼いたくないということで放置する、捨て鳥と言うようですけれども、捨て鳥がかなり出てきているというようなことですね。仮にこれが感染をしておりますと、これはまた非常に面倒なことになりますので、このような、所有者の定まっておらないといいますか、捨て鳥を受け入れるような体制が今できておるのかどうか、お伺いをいたしたいと思います。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 一つ、学校の話が出ましたけれども、これは、厚生労働省、文部科学省と三省合同で通知を出しまして、いろいろ御心配の点があれば最寄りの獣医師さんあるいは家畜保健衛生所等に御相談をいただきたいということで、冷静な対応、それから学童に対しましては、そういった家畜をさわったような場合にはよく手洗いを励行するようにといった注意事項等について御通知をしたところでございます。

 それから、捨て鳥の話でございますけれども、あるいはペットの鳥類の扱いでございますが、正直言いまして、こういったもの、それを集めて収容するということは、なかなか現実問題として難しゅうございます。ですから、そこの対応は組織立って行っておりません。

 私どもとして大事なのは、そういったところで仮に感染をしておったとしても、そういった野鳥やペットが、実際、養鶏家の方々の、経営者のところに侵入をして感染が起こるということをまず防ぐ方が、大量の大きな影響を防ぐという意味では実効性のあるものかというふうに思いまして、事業者の方々には十分、野鳥などが入ってこないようにということで、注意をお願いし、実行をお願いしているところでございます。

谷口委員 今度は、国だとか自治体の対策の方をお伺いいたしたいわけでありますけれども、亀井大臣が、この鳥インフルエンザの発生で移動制限を受ける飼育者に恒久的な経営支援対策を指示したというようにマスコミで報道をされておったわけでございます。

 現行では、どうも、発生農場の鶏を殺処分した場合にその評価額の八割を国が補償する、また移動制限区域内の養鶏農家や業者に対する低利の融資をするというようなことのようでございますけれども、これはなかなか、まだこれでは不十分だと大臣がおっしゃっていると聞いておりますが、それで、山口県では国が二分の一、鶏卵価格、採卵農場で鶏卵の滞留というのがあって、この鶏卵の滞留で、これは保管料もかかるわけでございますけれども、山口県では鶏卵価格が下がった半額を国が負担した、あと半額を県が負担したというようなことのようでございますけれども、これがまだ恒久的な補償制度にはなっておらない。

 これはこのまま放置しておりますと、また京都のように早期に報告をしないというようなことになりはしないかということもございます。ですから、まさに亀井大臣がおっしゃっているような全額補償といいますか、恒久的な補償をやっていく必要があると思いますけれども、大臣の御見解をお願いいたします。

亀井国務大臣 現在どういう制度化、これはいろいろ検討しなければならない課題がありますけれども、鶏卵、鶏肉、あるいは殺処分の問題、あるいは鶏ふんの問題といろいろございまして、それらを含めて十分検討してまいりたい、このように考えております。

谷口委員 あと何点かございまして、もう時間がないので、個別箇条的にちょっと申し上げますが、この移動制限期間の鶏卵がどんどん滞留してきますので、スペースが大変だというようなことのようでございます。このスペースの確保だとか、移動制限期間が解除された後の貯蔵鶏卵の処理だとか、また移動禁止期間の鶏ふん滞留スペース、飛んでいくわけでございますので、これも大変大きな問題でございます。この確保だとか、蔓延防止のための防鳥ネット、渡り鳥が来て感染するといったようなことがありますから、このような資材の補助だとか、あと風評被害、この風評被害というのは非常に大きいわけですけれども、信頼を回復するということで消費拡大のために、風評被害対策というのは非常に重要でございます。

 このようなことに対しまして御見解をお伺いいたしたいと思います。

中川政府参考人 私の方から幾つかの点についてお答え申し上げたいと思います。

 一つは、鶏卵や鶏ふんの保管スペースの確保をどうするんだというお尋ねでございますけれども、移動制限区域の養鶏事業者の方々につきまして、そこの地域がまずは清浄化されるまでは、やはりこれは感染を防いでいくというために、その地域の中で、こういった鶏卵なり鶏ふんをその場でとめておいていただくというのがまず基本的に大事なことでございます。ただ、そうはいいましても日々たまってくるということで、これをどうするんだというのは現地で大変お困りだということも私どもも伺っているところでございます。

 そこで、家きん疾病小委員会でもこういった問題、きのう御検討いただきまして、それで、同じ制限区域の中で、例えばきちっとした保管場所を指定して、そして、そこに個々の事業者の方から移動するまでの間、飛散をしないようにあるいはリスクが高まらないようにというようなことを家畜保健衛生所の職員などが指示をして、そういう一定の担保がとられた場合には、個々の事業者の方からどこかの場所に、きちっと指定されたところに移動するというようなこともできるように、これは都道府県の方にもよく連絡をして、問題がより少なくなるように現場での対応に協力をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。

 それから、移動制限区域の解除にも絡むわけでありますけれども、できるだけ早くその現場が清浄かどうかということをチェックして、それが確認されれば、段階的に移動制限から搬出制限というふうにレベルを下げていくということもやっていきたいというふうに思っております。

谷口委員 本当に大変重要な問題で、国民は大変不安に陥っておりますので、政府も対策本部が九省庁で立ち上げられたと聞いております。我が公明党も、昨日、鳥インフルエンザ対策本部を立ち上げたところでございますけれども、初動が大事だということでもございますので、ぜひまた大臣も頑張っていただきますようお願いを申し上げまして、これで終わらせていただきます。

北村(直)委員長代理 これにて谷口君の質疑は終了いたしました。

 次に、山名靖英君。

山名委員 公明党の山名靖英でございます。

 先ほど谷口委員から御紹介いただきましたように、私も京都出身でございまして、谷垣財務大臣も京都でございますが、このたびの京都における鳥インフルエンザの発生につきまして、大変全国の皆様に御心配、御迷惑をおかけいたしておりまして、まことに残念な、遺憾な事態だと思っている次第でございます。一日も早くこの今の事態が修復され、そしてより一層国民のための食の安全が確保できるように、これは国を挙げて取り組んでいかなければならない大きなテーマだと思っております。

 せんだって、私は地元に行ってまいりました。そして、町役場でいろいろな実態をお聞きし、要望をお聞きし、そしてその足で現地に赴いて、その大変な実情というのも聞いて、またこの目で見てきたところでございます。

 まことに静かな丹波町という田園地域が、今、白装束の、そしてゴーグルとマスク、長靴、こういう人たちの姿が多くなり、そして加えて、マスコミのカメラ、あるいは報道者といいますか、こういう人たちがふえ、空にはヘリコプターが舞うという、大変静かな田園地帯が今はもう騒然となっているわけでございまして、ともかく、今一生懸命、二十五万羽と言われる鳥の処分のための袋詰め作業が、近辺の市町村からの応援、そして警察機動隊、加えて陸上自衛隊の消毒班といいますか、こういう皆さんの手によって着々と進められてはおりますけれども、何しろ二十五万羽というこの前代未聞の数字は大変な事態でもございまして、相当のやはり処分のための人手が、作業のための人手が必要ではないか。現地は一生懸命汗かいて頑張っておりますので、ぜひとも国の対策本部としても、まずこの問題、地元のそういった対応に全力投球で応援する、この体制をぜひしいていただきたいと念願をするところでございます。

 ところで、今回の問題から派生いたしまして、いろいろな問題点が浮き彫りにされているわけでありまして、きょうは時間の関係で多くを質問することはできませんが、この中から若干の提案も、提言も含めて質問をさせていただきたいと思います。

 最初に、これは農水大臣にお聞きしたいと思います。

 今回、この事態に至った背景というものを考えるとき、先ほどもお話がありましたように、やはり早期発見、そして二つ目には、それに対する蔓延防止策、これをいかに的確に打つかということが極めて大事なことであるわけであります。

 ところが、今回、聞いてみますと、この従業員は、もうおよそ一週間ぐらい前から様子がおかしいことは把握しておったそうであります、二月の十九日ぐらいから鶏がばたばた死に始めたわけで。ところが、会社の幹部からは、獣医に調べてもらったけれども、どうもない、腸炎らしい、安心しろ、こう言ってなだめられたというわけですね。ところが、獣医師に診せて腸炎と診断されたという業者の責任者、この発言もうそであった、獣医には診せていなかったということも判明をしたわけであります。

 家畜伝染病予防法では、家畜が伝染しているか、その疑いを発見した場合、遅滞なく知事に届け出る、こういうふうに義務づけているわけでございまして、第十三条。こういう即刻届け出する義務というものをいわば逸脱しておりまして、現実は、匿名の電話によって京都府が立入検査をし、簡易検査した結果、陽性反応ということで、一週間後にそういった事態が明らかになったわけでございます。その間、もう毎日のように、一千羽単位、あるいは時には七千羽単位で死んでおるわけでございます。

 さらに私が許せないのは、毎日毎日何千羽と死んでいる二十五、二十六日、この時点で、兵庫県の八千代町やあるいは愛知の豊橋市に出荷をしているわけですね、生の鶏を。そういう処理場への出荷、こういった事態、大変これはもう許せない事態であり、このことが大きく感染の拡大につながっている。したがって、香川でも陽性反応が出ておりますし、兵庫でも出たわけでございます。

 そこで、まさにこれは予防法第十三条の届け出義務違反に該当し、告発の対象である、こういうふうに私は認定せざるを得ないと思いますが、まず、農水大臣にお聞きしたいと思います。

亀井国務大臣 委員御指摘のとおり、もう一週間、十八、十九日というような時点で、十八日の日に、マニュアルに基づきますいろいろの立入検査、こういうことで関係者が出向いてはおるわけでありますが、そのときにはまだ羽数が少なかったというようなことの話、そういうことから、今御指摘のとおり、死亡鶏が増加をしている、また、その間、二十五、二十六に出荷をしている。本当に、特に養鶏協会の役員をされております会社といたしますときに、やはり社会的責任というのが非常に欠けている現状ではなかろうか。そういう面で、十分京都府と連携をいたしまして、事実を確認し、先ほども御答弁を申し上げましたが、告発をする前提で対応してまいりたい、このように考えております。

山名委員 警察庁にお聞きしますが、これはまさに十三条違反じゃないかと思いますが、警察庁として、捜査なりあるいは立ち入り、事情聴取、こういったものをやられる予定はありませんか。

関政府参考人 お尋ねの件につきましては、京都府警察におきまして、家畜伝染病予防法第十三条に規定されております患畜等の届け出義務に違反するかどうかにつきまして、今後、刑事告発があることも十分に視野に入れ、府、関係部局と連携をとりながら、事実関係の調査、確認を行っているところでございます。

山名委員 ぜひしっかり、その辺、取り組んでいただきたいと思います。

 そこで、初動の、まさに早期発見、そして蔓延防止、こういうことが大事なわけでありますが、そのための、いわゆる家畜伝染病予防法なりあるいは防疫マニュアル、こういったものが存在をするわけでありますが、今回の事態の中で、その辺の、法の甘さといいますか、こういったものも若干出てきているようでございます。

 現在、鳥インフルエンザのニュースが大きく報道されている、こういうさなかに、鳥の死亡報告によって個別に検査が入りますと、特にうわさに弱い農村地帯というのは、もうそれだけでもびびってしまう。行政の検査が入るということだけで、いわゆる風評被害を恐れるこういう業者が連絡、報告をすることにためらいを持つ、こういうことにもなるわけでございます。

 防疫員なりあるいは保健所の職員というのは、小さな村ですから、ふだんから業者とのつき合いもある。そういった意味で、お互いには、信頼関係で成り立つといいますか、こういったなれ合い的なものも現実にあるようでございます。

 大量死が始まったとされる十九日、家畜保健衛生所の職員が現場に行っているわけですね。現地に行って、鶏舎には入らないで、事務所で様子を聞いた。そして、異常なし、こういうことで引き揚げておるわけです。通常、電話とかあるいは訪問による実態調査を行ってはいるけれども、予防法に基づく立入検査まではなかなか至らない。

 要するに、さっき言ったように、検査に入った、立ち入られたということだけで風評被害の広がりというのを地元は恐れるわけでありますから、結局は、鶏舎内を調べる強制力というか、こういったものが現実にはないわけであります。そういう意味では、業者の自主的な協力を得なければなかなか立ち入れないというのが現実であるという、この認識をまず持たなきゃいけない。そのためにも、やはりそういった弊害というものをなくしていかなきゃならないし、何よりも、消費者の安全がそのことによって後退をしてしまう。そういう結果になってしまうことは、これは避けなきゃならないわけであります。

 そこで、これはちょっと大げさかもわかりませんが、今回、二次感染の疑いのあるところがまた丹波町にもふえた。全国にもいろいろな不安もある。この際、やはり全国一斉点検というか、一斉検査という形のものがとれないかということを私は思うわけでございます。そのためには、当然人手が要ります。ですから、防疫員という資格を持つ獣医さん、こういう人の数、全国に二千人ぐらいいらっしゃるそうですけれども、手分けをする、あるいは、改めて、それぞれの行政マンの中にも、獣医さんもいれば、研修によって資格を取ってもらう、こういうことも必要であろうかと思いますし、こういった広がりをなくするためにも、一斉検査というものを私は提案したいと思います。

 加えて、いわゆる予防法そのものの強化、罰則の強化、これも含めてどのようにお考えになっているのか。

 あわせて、防疫マニュアルについても、今は、最終検査が終わらないと三十キロ圏内のいわゆる移動といいますか、これができないわけであります。ですから、これは、簡易キット、簡易検査の段階で陽性と出ればもうその辺の移動制限もかけられるというぐらいの厳しいマニュアルにやはり見直した方がいいのじゃないかという思いを持っておりますが、御見解をお聞きしたいと思います。

亀井国務大臣 お答えいたします。

 その前に、先ほど、私、最初に十八日に立入検査、こう言いましたけれども、十九日で、これは訂正させていただきたいと思います。

 それから、御指摘のとおり、早期発見ということが、また早期通報、これがもう何よりも一番大切なことであるわけであります。そういう面で、昨日開催しました家きん疾病小委員会におきましても、都道府県、関係団体に対しまして、発生防止対策と監視強化につきましての再度徹底をすることにしたわけであります。

 これを受けまして、家禽飼養者に対しまして、異常があった場合の報告とあわせまして、一週間に一回、家畜伝染病予防法に基づく死亡羽数等の報告を求めるとともに、本病発生の疑いが認められる場合には立入検査を行うよう、本日、都道府県あてに通知をいたしました。

 そしてさらに、昨日の家きん小委員会におきましても、移動制限の範囲の問題、これを五キロから三十キロの範囲で定めることといたしまして、移動制限の期間についても、最終発生に係る防疫措置が完了後二十一日以上の期間とする、このように、移動制限区域及び搬出制限区域の清浄性を確認するための具体的な方法、マニュアルを規定し、いろいろ、この家きん小委員会の専門家の皆さん方の御意見等も踏まえて対応をし、そして、さらにマニュアルの徹底を一層進めてまいりたい、このように考えております。

山名委員 次に、やはり今回、特に今の状況からいいますと、風評被害、こういった事態が当然広がっておりまして、かつて山口でも、山口産の何々はもう全部拒否されたという事態もありますが、現実、京都においても、私、スーパー等で調べてみたんですが、京都全体で、鶏肉の売り上げはもう五〇%も落ち込んでいます。鶏卵も七、八割売り上げが落ち込んでいる、卵の値段も大体三割近く落ち込んでいる、こういう実態。

 それから、風評被害によって、丹波産のいろいろな農産物、これが全部拒否されている。例えば、朝市をやっても何も売れないわけですね。だから、丹波産の農産物まで影響を受けている。

 また、聞いた話ですが、ハトを飼って業としている、趣味で飼っているんじゃなくて、伝書バトとかそんなのじゃなくて、いわゆる慶弔用のハトを飼っている、そういう業者がいるんですよ。それは、今回の事態で、いわゆる協会というところから自粛の指示があって、今何にも仕事できない。

 ですから、こういうところまでの影響、いわゆる川下というか、加工業、それから鶏肉等の、鶏卵の卸業、小売業あるいは飲食業、こういったところの被害というものが、当然、風評被害という形で大きく今広がっている。これらに対して十分な支援策というものを講じていかなければ、まさに経営の上で極めて深刻な事態になるわけでありまして、これはひいては日本の経済にも大きく影響する。

 先ほど同僚議員からお話がありまして、大臣も十分な支援策を講じるということでありますから、これについては答弁は要りませんが、セーフティーネット保証、これも含めて、もっと、対象範囲というか、あるいはこの要件、こういったものを緩和していただいて、かなりの広がりの風評被害のところについては救済措置をとる、こういう方向をぜひとっていただきたい、このことを要望しておきます。

 最後に、もう時間がありませんので、厚生労働大臣にちょっとお伺いしたいと思います。

 先ほども若干出ておりましたが、この鳥インフルエンザは人には感染しないとされておりますが、直接さわった事例で、若干、諸外国で感染の例が出ておるようでございます。

 一方、豚というのは、鳥インフルエンザあるいは人間の、人インフルエンザ、この両方を介することができる。だから、豚の中に鳥インフルエンザが入れば、そこで、いわゆる遺伝子組み換えというのか、そういうものが起きて、新たな新型インフルエンザというものを発生する可能性があるということが学術的にも言われておるわけです。

 したがって、これはまさに、鳥から人へはなくても、豚を介して人、また人から人、こういうところへの広がり。かつて、あれはスペイン風邪でしたか、五千万人死んじゃった、こういう事態もあるわけです。したがって、こういう、豚を介した云々、新型インフルエンザですね、こういったものに対する研究、そしてさらにはワクチンの開発、これは、いざというときのためにも今後の大きなテーマとして、私は、今研究は進められていると聞いておりますけれども、特に今後力を入れて、これはもう感染源、もとから断たなきゃだめ、こういう意味からも、いざというときのための対応として、こういった研究開発にぜひ力をこれからも入れていただきたい。

 進捗状況等について最後にお伺いして、終わらせていただきたいと思います。

坂口国務大臣 豚のお話が出ましたけれども、豚が鳥インフルエンザ等に罹患をしていないかどうかというようなことの検討もいたしております。今までやっておりました頭数が少し少ないものでございますから、もう少し全国で頭数をふやして、そして検査体制を強化するように言っているところでございます。

 それから、ワクチンの問題でございますが、これはもうWHOの中で、ベトナムでかかりましたインフルエンザの菌を用いまして、そして基礎的な研究に入っておりまして、日本の感染研究所もその中の一つに加わっているところでございます。

 ぜひ早くそれが実用化の方向に向かっていくようにしたいというふうに思っておりますが、もし新しいものができてくるということになれば、それはまた違ったタイプのものになる可能性もありますので、基礎段階としては早くここを進めておきたい。そして、そうした新しいものが生まれましたものにつきまして、それが違ったタイプであれば、すぐそれに対応できるような状況をつくっておくことが今重要であると思っております。

山名委員 時間が参りましたが、最後に、総務大臣お見えになっていて、申しわけございません。総務大臣、都道府県等に対する、今回のいろいろな経費に対しての財政支援策、これをぜひ十分お願いをしたいと思います。要望だけしておきます。

 ありがとうございました。

北村(直)委員長代理 これにて山名君の質疑は終了いたしました。

 次に、鮫島宗明君。

鮫島委員 民主党の鮫島です。

 農林水産大臣も大変大変だと思いますが、今や農林水産大臣の職責の中心が、農林水産業の振興というよりも、食品事故に対する対応というのが農林水産大臣の本務のようになっているのは大変悲劇だと思いますが、要するに、WTO体制になってから、O157から始まって、九十年ぶりに日本に侵入した口蹄疫とか、BSE、今度の鳥インフルエンザ、あるいはアメリカのトウモロコシのスターリンクとか、食品事故が頻発していて、これは私は日本の今の食品安全行政の構造的な欠陥が露呈されているというふうに思います。

 そういう視点も含めながら質問したいと思いますが、今度の京都の浅田農産船井農場の事件は、その前の山口とか大分が天災、事故という種類のものに対して、かなり中身が違っていて、しかも、二次被害につながりかねないという意味では、大変私は深刻な内容を持っていると思います。特に、魔の一週間と呼ばれている、二月二十日に鶏がばたばた死に始めた、感染が確認されたのが二月二十八日、この一週間の間に、実はかなり、生きた鶏は出され、あるいは化製場で処理された鶏の残渣も各地に出され、そして卵もかなり広範囲に出されたと聞いていますが、例えば卵はどのぐらいの数がどのぐらいの府県に配布されたんでしょうか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 鶏卵につきましては、三月二日現在での数字でございますけれども、約九十八万七千個が出荷をされたということが確認をされておりまして、府県で申しますと、十五の府県にわたっているということを承知しております。主なところは、兵庫県の約六十六万個、あるいは神奈川県では約十万五千個といったようなところでございます。

鮫島委員 今、全部で九十八万六千五百個の卵がこの発生農場から出荷された、約十五府県にそれが分散しているということですが、どのぐらい人間の口に入ってしまったかというのはわかりますでしょうか、この約百万個のうち。

中川政府参考人 情報収集に努めておりますが、現時点で、どこまでというところは、具体的な数字を得るには至っておりません。

鮫島委員 これは、前も京都で、半年以上貯蔵していた古卵事件というのがあって、そのときも、十万個ぐらいが分散されて、六割ぐらい回収したけれども、四割ぐらいは食べられたというような話もありましたが、こういう事故に類することが起こった場合、どのぐらいがマーケットにどういう状態であるかというのは、やはり私はもっと迅速、正確に把握できないとまずいんじゃないかと。今、肉だけは今度トレーサビリティーシステムをやるようですが、こういう事故があると、卵はなかなか難しいと思いますが、少なくともロット管理ぐらいはできるような体制をとる必要があるなというふうな状況だと思います。

 この浅田農産船井農場が、いわゆる魔の一週間の間にいろいろな形で出しちゃった。これはある種の意図も感じるわけでして、こういうプロセスの中で、家畜伝染病予防法あるいは食品衛生法に違反しているという行為があるのではないかと思いますが、農林水産大臣としてはどんなふうに評価されていますか。

亀井国務大臣 まず、届け出の問題、こういう問題もあるわけでありますし、私は、今、京都府におきましていろいろ状況を調査していただいておりますが、違反がなされておる、こういう前提の中で調査をしていただくべきことではなかろうか、このように思います。

鮫島委員 警察の方はあれでしょうか、独自に家畜伝染病予防法違反の疑いでの取り調べ等は始めているんでしょうか。

小野国務大臣 お尋ねの件につきましては、刑事告発があれば所要の捜査を厳正に行いますとともに、京都府警察におきまして、関係部局と連絡を密にいたしまして、連携をいたしまして、事実関係をまず調査、そして確認をしているという報告を受けております。

鮫島委員 既に府警の方では事実関係の調査には入っているということだと思いますが、何かテレビでは亀井農水大臣も、家伝法に違反した疑いが濃いというような御発言をされていたと思いますが、これは、初め、鶏が確かにばたばた死んだけれども、インフルエンザとは思わなかった、鶏の腸炎だろうというコメントが出ていましたが、私も知りませんけれども、腸炎の場合とインフルエンザの場合、そんなに症状が似ているんでしょうか。

中川政府参考人 高病原性鳥インフルエンザの症状につきましては、防疫マニュアルの中にも例示をされておりますけれども、例えば突然死亡する、あるいは呼吸器症状を出すというふうなことのほかに、産卵率の低下あるいは下痢のような症状も示すというふうに言われております。一方、腸炎は、これはウイルスだけではなくてさまざまな細菌によっても腸の炎症が起こる、そういうことからやはり下痢を起こすというふうなことは知られているわけでありまして、したがって、インフルエンザウイルスの感染によっても腸炎と同じような症状が出ることはあるというふうに承知をいたしております。

鮫島委員 何かインフルエンザの場合、とさかの色が急に赤く変化するというふうな話もあるようですが、いずれにせよ、これは非常に初動に失敗したわけで、そのことが、今度近くで発生した高田養鶏場の発生とどういう因果関係にあるかまだわかりませんが、初期の封じ込めに失敗したことは確かでして、その意味ではやや恐ろしい感じがいたします。

 もし、この浅田農産が家畜伝染病予防法に違反しているという可能性が強くなった場合に、従来の補償は、八割補償というのは、そういう場合はどうなるんでしょうか。

亀井国務大臣 十分、法的な関係を精査して、その対応をいたさなければならない、このように考えております。

鮫島委員 そこはぜひ、厳正な調査をお願いしたいと思います。

 それで、先ほど、卵が随分出て、どれだけ人間の口に入ったかわからないということですが、厚生労働省の方は、この鳥インフルエンザにかかった鳥に由来する肉や卵の安全性について、どういうような広報というか、国民に対してどんなふうなアナウンスを行っておられるんでしょうか。

森副大臣 お答え申し上げます。

 高病原性鳥インフルエンザにつきましては、これまでに生きた鳥からの人への感染事例は確認されておりますけれども、鶏肉や鶏卵を食べることによって人が感染した事例の報告はございません。したがいまして、これらの食品からの感染は生じないものと考えております。

 ただし、食肉の生食については、これは鳥インフルエンザということよりも、むしろ一般論として、食中毒菌の汚染防止について、従来より、屠畜場等の関係施設における衛生対策に注力をしてきているところでございます。

 また、生食用食肉の食中毒菌汚染をゼロとすることは困難でございますので、高齢者、子供など抵抗力が弱い者については、これはなるべく生食は避けて加熱をして食べるということで、それをお勧めしております。

 また、鳥インフルエンザと食品の安全性に関する情報につきましては、山口県における事例の発生当初から、厚生労働省のホームページの鳥インフルエンザに関するQ&Aを利用して、国民に対し正確な情報の提供に努めているところでございます。

鮫島委員 厚生労働省は、厚生労働省から出ている一番はっきりしたメッセージは、食を通じて、つまり鳥肉や卵を食することによって鳥インフルエンザが感染する事例は世界的に知られておりませんというメッセージを繰り返し出していると思います。腐敗の話は別に一般論だから、今、インフルエンザの話です。

 それで、厚生労働省のホームページ、鳥インフルエンザに関するQ&A、まず出だしに何て書いてあるかというと、感染した鳥の肉や卵が食品として市場に出回ることはありませんというふうに書いてあるわけですが、実際、違うじゃないですか。だから、こういうふうに、出だしから、非常に楽観的というか、思い込みで書いているので、これはなぜこんな書き方をしたんですか。

坂口国務大臣 山口県の場合でございますとか、大分県の場合でございますとか、初期の段階から早くその処理ができた場合にはそうしたことはないというふうに思いますけれども、今回の京都のような例が起こりますと、これは出回る可能性があるわけでございまして、そこは少し訂正しなければいけないというふうに思います。

鮫島委員 出回る可能性があるわけじゃなくて、先ほども言ったように、十五府県に百万個出回っちゃったわけです。

 それで、二行目に何て書いてあるかというと、まず、出回ることはありませんと書いてあって、次に、感染したものでも、食を通じて、要するに鳥肉や卵を食することによってインフルエンザが人に感染することはありませんと書いてあるわけですね。次に、三行目に何て書いてあるかというと、しかし、念のため、七十五度、一分以上の処理をした方が安全ですと書いてあって、これを読んだ消費者は、まず、出回ることはありません、こう言っておきながら、食べても大丈夫です、しかし、念のために七十五度で処理してください、こう書いてあって、これは、むしろ不安を与えることには有効かもしれませんが、安心を与えるためのメッセージとはとても思えない。

 厚生労働省の、もうちょっと安心に対する感覚を磨いていただきたいというふうに思います。早速、このホームページを、もっと正確でわかりやすい、安心感を与えるような表現にしていただかないと、そういうことが風評被害につながったり、不必要な鳥の消費の落ち込みにつながっていくんじゃないかということを大変私は心配しています。

 それから、人への感染というのが実は一番心配なわけですけれども、それも割合厚生労働省の方は楽観視していると思いますが、今、日本で見つかっている型、要するにH5N1、これが人に感染することはまずないというふうにお考えなんでしょうか。

坂口国務大臣 諸外国でも見られますように、やはりこのH5N1というタイプの鳥に濃厚な接触をするということになれば、感染する可能性は存在し得ると思います。

鮫島委員 オランダで、形は違いますけれども、別の型のウイルスが大変蔓延して、患畜の採血をしていた獣医さんが感染してお亡くなりになった。これも、絶対、結膜炎以上の症状が出ることはないと言われていたものがそういうふうに、たまたまその方の体質と関係したのかもしれませんが、そんな事件も起こっている以上、私は十分な備えをしておくべきだと思います。

 先ほどの自民党の方、あるいは公明党の方からの質問の中にもありましたが、濃厚接触者についてはそれなりの注意を払っているというお話でしたが、例えば食鳥処理場の従業員について、その労働環境について、厚生労働省から特別の注意を喚起しているような内容がおありでしたら。

遠藤政府参考人 先般、通知を出しまして、食鳥処理に当たる方々につきましても、ゴーグル等を着用するようにというふうな勧告をしているところでございます。

鮫島委員 食鳥処理場の従業員については、作業場ではゴーグルをするように、これは目の粘膜への付着を防ぐという意味でしょうが、一番の濃厚接触者は養鶏業者だと私思いますが、養鶏業者の方々にも、厚生労働省から何かそういう注意喚起をしているんでしょうか。

田中政府参考人 特に養鶏業者の方々に対して、健康上の何か防護措置をとるようにというような御指導はしていないところでございます。

鮫島委員 濃厚接触者で一番確度の高いのは養鶏業者だと私は思いますが、では、農林水産省の方は、養鶏業者に対して、何か健康被害防止のための注意喚起をしているんでしょうか。

中川政府参考人 高病原性鳥インフルエンザの防疫マニュアルの中で、そういった発生が疑われる、あるいは発生してしまったというふうな場合には、その処理に当たって、ゴーグルや手袋をしたり、あるいは防御服を着たり、そういうことを十分注意するようにというふうなことは、マニュアルでもって周知をしているところでございます。

鮫島委員 今の農林水産省の答弁は、発生した場合には、その処理に当たっては、ゴーグル、手袋等の防護をするようにということで、ここはちょうど今典型的に縦割り行政のはざまが見えたわけです。厚生労働省の方は、濃厚接触者といった場合に、獣医さんとか食鳥処理場の従業員まで、一番生産の現場にかかわっている農家、養鶏業者そのものの健康に関しては、農林水産省は人の健康に直接タッチする権限持っていませんから、まさにそこが見落とされていて、私は、一番、もし不幸にして患者が発生するとしたらこの世界だと思いますよ。それについて厚生労働省も余り視野に入れていない。農林水産省も視野に入れていない。これが日本の食品安全行政の縦割りの特徴なんですね。

 厚生労働省は、先ほど抗ウイルス剤は千二百万人分あると言っていましたが、今度のこの型のウイルスに特化した形でのワクチンの生産というのを始めているんでしょうか。今言ったように、ないことが望ましいわけですけれども、もしかしたら養鶏業者に患者が不幸にして発生する場合、この型のウイルスに合わせたワクチンを早くつくっておかないといけないと思いますが、そういう準備はしているんでしょうか。

坂口国務大臣 これは、ワクチンの場合には、いわゆるH5N1型の、ベトナムで起こりました患者さんからとったものを中心にいたしまして、これはWHO中心でございますけれども、その準備にかかっている、その中には日本の感染研究所も加わっているということでございます。

 ただし、新しくできるものがどういうタイプになるかということは、これはちょっとわかりませんので、そこは、基礎的なレベルのところはつくり上げておいて、いざというときにすぐその上乗せができるような体制をしかなければいけないということで今やっているところでございます。

鮫島委員 そういう意味では、ぜひ十分な備えをしておいていただきたいというふうに思います。

 ちょっと話が前後しますけれども、先ほど、結局生のものは食べても安心というのは、再度繰り返しちゃんとしたメッセージとして厚生大臣から出していただけるんですか。今の段階で、鳥肉、卵は安全ですというのは、再度、国民に対してもう一度宣言していただけるんでしょうか。

坂口国務大臣 世界のさまざまなデータから、食べるものによりまして、肉によりまして、あるいは卵によりまして感染したというケースは、今のところ報告されておりません。

 したがいまして、我々は、卵、肉、それを食べるということについては大丈夫というふうに思っておりますが、ただし、先ほどお話がございましたとおり、生のものについては、これはインフルエンザだけではなくて、ほかのものの関連もございますので、それはあわせて御注意を申し上げている、こういうことでございます。

鮫島委員 一番普通の日常生活と関係する話でいえば、生卵ですよ。生卵は心配ないと。腐っているものを一般に注意しなくちゃいけないのは、そんなものインフルエンザと関係なく当たり前の話で、要するに、ちゃんとしたメッセージを私は出していただきたい、風評被害につながらないように。そういう意味では、生卵は大丈夫というのをちゃんと言っていただかないと、国民は不安になるわけです。

 食品安全委員会というのが鳴り物入りで登場いたしましたが、この食品安全委員会は、今の鳥インフルエンザとの関係で、鳥肉や卵の安全性についてどういうふうに評価しているんでしょうか。

北村(直)委員長代理 内閣府食品安全委員会事務局長梅津準士君。(鮫島委員「いや、せっかくだから、長官」と呼ぶ)事務的なことですので先に、それから担当大臣にお願いいたします。

梅津政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの鳥インフルエンザの件でございますけれども、人が高病原性鳥インフルエンザウイルスに感染するのは、これまでのところ、香港、東南アジアのように、生きた鳥がマーケットで広く売られているような地域において発生した場合や、あるいは、先ほど御指摘のように、防疫業務に携わった方の感染事例など、近距離で濃密に病鶏と接触した場合が多く、食品を介して人に感染することは考えられないというのが専門家の見解でございます。

 今回の鳥インフルエンザの一連の発生につきましては、私ども、発生直後から、関係省から報告を受けまして、専門家の知見に基づいて対応しているところでございます。

 以上でございます。

鮫島委員 今そういう報告がありましたが、要するに、食品安全委員会が安全だと結論づける根拠というのは何なんでしょうか、それも含めて大臣の方から。

梅津政府参考人 技術的な問題ですので、私からお答えさせていただきます。

 このことは、国内外とも、そうした鶏肉、鶏卵を食べることにより人に感染した例が報告されていないということが基本でございますけれども、さらに、ウイルスにつきましては、御承知のように、気道感染でございまして、消化器系からの感染は、人はレセプターがないとか、あるいは人と鳥とではウイルスを増殖するメカニズムがないとか、そういったことで、私どもの委員あるいは専門委員に鳥の専門家がおりますけれども、内外のさまざまなデータ、文献等によりまして、食品を経由しての人の感染はまず考えられないというのが専門家の知見でございます。

鮫島委員 多分、WHOがそういう報告をしているから大丈夫なんだというのが、一言で言ったら結論なんだと思いますが、私は、本当は食品安全委員会がもうちょっと独自の、今度の日本のこの型を前提とした場合の、もうちょっと突っ込んだ調査とか、あるいは、ほかへの動物実験の依頼とか、そういうことをやるのが本当は食品安全委員会の役割だと思いますが、まあそれはいいです。

 もう一度ちょっと農林水産省に聞きたいんですが、なぜ今度のような、浅田農産のような事件が起こったのか。つまり、魔の一週間というようなことが出て、場合によったらこれはオランダ流の二次感染にもつながりかねない。ちなみに、オランダの場合は、初期の封じ込めに失敗して、被害がどのぐらい広がって、オランダ全体の鳥のうち、最終的に何割ぐらいを処理せざるを得なくなったのか。オランダの事例をちょっと紹介してもらえますか。

    〔北村(直)委員長代理退席、委員長着席〕

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年の二月の末であったと承知しておりますけれども、オランダ中部で高病原性鳥インフルエンザ、血清の型は日本と違いましてH7N7ということでございますけれども、その発生を受けまして、オランダ政府の方は、国内における家禽や卵の移動制限をし、また、発生農場やその周辺の家禽の殺処分をしたということでございます。ただ、そういったことをいたしましたけれども、南部に感染が拡大をし、さらには隣の国にもうつっていったということでございます。

 具体的な、最終的な殺処分の数字は三千万羽ということでございます。全体の数字についてはちょっと今手元にございませんが、半分程度、あるいは半分を超える程度の規模であったというふうに思います。

鮫島委員 私が聞いている話では、約一億のうちの三千万羽を処理せざるを得なかった。日本は、ブロイラーと鶏卵、両方合わせて二億五千万羽ぐらいいると思いますが、この封じ込めに失敗するといかに被害が多くなるか。今二十万とか二十五万でこれだけ大騒ぎしているのが、三千万とか四千万とかという話になったら、それこそ大パニックになると思いますので、私は、この浅田農産の最初の動き方に失敗したことは、かなりよく検証しておかなくちゃいけないんじゃないかと思います。

 農林水産省は、食糧庁を廃止して、消費・安全局というのをつくった。そのとき食糧庁には八千人近い食糧検査官がいたと思うんですが、今度、消費・安全局にその方たちが全部移るのか、その扱いがどうなったかわかりませんが、いわゆるこの食の安全性、健全性を支える末端の部隊としての農産物検査官の体制が今どんなふうになっているのか。この機構改革を含めて、どういうシフトをしたのかをわかりやすく説明してほしいのです。

須賀田政府参考人 昨年、機構改革をいたしました際に、食糧事務所職員八千八百四十三人おりました。八千八百四十三人のうち六百七十一人が、食品安全委員会とか動物検疫所とか植物防疫所とか等々、よその機関に移籍をいたしました。残りの八千百七十二人のうち、新たにできました農政事務所あるいは地方農政局の消費・安全部に半数以上の四千百三十人が属しておりまして、リスク管理等の業務に携わっております。残りの四千四十二人が引き続き食糧業務をやっておるということでございます。

 なお、検査業務はそのうちのごく一部でございます。

鮫島委員 そうすると、四千百人ぐらいが直接のリスク管理、いわゆる安全にかかわる部分に配置されているということですが、日本に十万羽規模以上の養鶏場というのは何カ所ぐらいあるか、おわかりでしょうか。

中川政府参考人 十万羽をきちっとした統計で出したものは手元に持ってございませんが、トータルが二億四千万から二億五千万羽ということで、十万羽ということで単純に割りますと、二千四、五百ということになるのではないかというふうに思います。

鮫島委員 いやいや、そんな計算を聞いたんじゃなくて、二億五千を十万で割ると幾つかと聞いたんじゃなくて、十万羽規模以上の養鶏場は日本に幾つぐらいあるんでしょうかという質問です。算数の質問じゃないものですから、間違えないように。

中川政府参考人 採卵鶏だけの数字しか申し上げられませんが、約三百五十経営体、事業者の数で三百五十ということでございます。

鮫島委員 私は、農水省が、やはりBSEの発生という大変重いトラウマをしょっているわけでして、そのときの最大の失敗は何だったかといったら、通達の不徹底という失敗をしているわけです。

 今度の浅田農産の場合も、結局、二十日に大量死していて、確定するのが二十八日。この魔の一週間の間に分散しちゃいました、拡散しちゃいましたと。これはもしかしたら今後の二次被害につながっていくかもしれないので、この通達の不徹底ということについて、農水省は大変深く反省しなくちゃいけない。

 今、経営体が採卵で三百五十ということでしたが、ブロイラーを入れても多分千カ所ぐらいでしょう。それに対して、先ほど、四千百人の安全管理の要員が配置されていると。一人が一カ所へ行ったって、四千百人と相手が千カ所ですから、一片の通達で都道府県四十七カ所に通達するんじゃなくて、こういう鳥インフルエンザという大変甚大な被害を及ぼす危険性のあるものについては、一軒一軒の十万羽以上の規模のところに、一人一人が通達書を持って周知徹底させるということぐらい十分できたんじゃないかと思いますよ。

 だから、そういう意味では、この通達というのをどんなふうに行ったのか。

中川政府参考人 家畜防疫に関します業務というのは、国から都道府県の方に関係としては流れていくものでございまして、都道府県の業務というふうに位置づけられているわけでございます。

 確かに、養鶏の農家数は採卵鶏で四千戸程度、あるいはブロイラーで三千戸程度といったような数字がございますけれども、具体的な内容を的確に現場に通知をする、お知らせをするということでありますと、県の中には約百八十ぐらいの家畜保健衛生所というところがございます。ふだんはこういったところが養鶏事業者の方とおつき合いのある、あるいは指導なりする関係にあるわけでありまして、そういったルートを通じて、巡回をしたり指導をしていったりするのが一番的確ではないかというふうに思っているところでございます。

鮫島委員 これは、前のBSEの肉骨粉のときも同じことを言っていたんですよ。それは皆さんの方がよく御存じでしょうけれども、なかなか畜産の世界は難しい構造もあって、都道府県に一片の通達を出したから必ずそれが末端まで行くかどうかということについては保証されないというのは、もう経験済みだと思います。

 今度、鳥インフルエンザで、まさにまた同じように、十分注意するようにという指示は出しておいたけれども、末端まで行っていなくて、この浅田農産のような事件が起きた。これは大臣もたまらないと思いますよね。次々、大臣の首が幾つあっても足りないみたいな話になりますのでね。

 これは、やはり通達というのは通りやすい通達となかなか通りにくい通達とあるわけですから、そこのところはちょっとまじめに反省してやってもらわないと、消費に軸足を置いたとか安全性を重視しますとか言いながら、形だけ、もしかしたら食糧庁の職員の救済措置でそういう格好をとったんじゃないかというような疑いも抱きかねない。ぜひそこは、通達の徹底ということについて、このBSEの発生、今度の浅田農産の事件、これを深く受けとめていただきたいと思います。

亀井国務大臣 今御指摘いただいた件、私どもも十分その対応をしっかりやらなきゃいかぬと。

 特に、私、先週末、この京都の問題が発生いたしまして、すぐ都道府県の担当部長を招集するようにいたしまして、きょう三時、今から始まっておりますけれども、やはりそういう体制が今日までなかったところにそういう問題がある、私はそのように考えておりまして、そのような指示をいたしました。さらに、京都に参りまして、知事さんともいろいろお話しする中に、やはり一元的に情報の集中、こういう点につきましても反省をしなければならない点がありましたので、それらを徹底的にやってまいりたい、このように考えております。

鮫島委員 鳥についてはこういう風評被害もあって、先ほど、どなたかも焼き鳥屋さんも大変だという話がありましたが、そういう中では、タイ、中国の加工製品については輸入解禁の動きがあるというふうに聞いています。

 先ほどの坂口大臣のお話もそうですが、少なくとも七十五度で処理をすればウイルスだから大丈夫だというのは科学的にも言えると思いますが、その意味では、タイや中国の輸入を解禁するに際して、七十五度の処理がちゃんと行われているかどうか、これのチェックはどういう体制でやるんでしょうか。

中川政府参考人 今、先生おっしゃいましたように、鶏肉の加熱処理に当たりましては、一定の温度で措置をされますと安全だということになるわけでございます。これは家畜防疫上の観点からも問題ないということで、その条件を輸入の再開の条件として、今おっしゃいましたタイなり中国なりと家畜衛生条件の交渉をいたしまして、タイとの間では、この条件につきまして合意を得られたところでございます。

 先般、農林水産省の担当官をタイの方に派遣をいたしまして、現実にそれぞれの施設、この施設はタイ側の方から希望のあったところでございますが、そういったところを全部一つ一つ回りまして、一定の加熱条件が現実に達成されているかどうかということをチェックをして、合格であればそこについて輸出の許可をしているところでございます。

鮫島委員 農林水産省の担当官が直接その工場に行って確認するというのは、私は半歩前進でいいことだと思いますが、こういうふうに事件が起こったときに、そのたびごとに一回限りで行くのではなくて、本当は、日本に大量の輸出をしている国については定点監視の体制をとるべきだというふうに私は思います。

 初めに、今の日本の行政体制が世界の食の動きについていけていないんじゃないか、したがって、毎年食の安全性をめぐる大事件が頻発するというふうに私は言いましたが、福田官房長官もお見えですが、BSEが起こって、それぞれの先進国は食品安全行政を徹底的に見直して、少なくとも三つのことをやったんですね。

 一つは、ピュアアセスというか、純粋に科学的にリスクを評価するための、日本でいえば、食品安全委員会のようなものを独立した機関としてつくる。これは日本も何とかそれができた。

 それからもう一つは、縦割り行政の弊害を打破する。厚生労働省と農林水産省にまたがっている食品安全行政を一体化するというのは、これは諸外国はみんなやったことです。

 ところが、日本は相変わらず、先ほど、養鶏業者の健康の管理についてはちょうど縦割り行政のはざまで抜けているという問題も指摘しましたが、人畜共通病がますますふえていく中で、農林水産省と厚生労働省が縦割りになっていて、厚生労働省は、少なくとも今の体制もそうだと思いますが、鳥インフルエンザに感染した人、患者、これが出ないと本腰を上げないんですよね。まだ日本においては人畜共通病害かどうかは確認されていない。今の段階ではあくまでも家畜の病気、鳥の病気という意味で、非常に私は、厚生労働省はまだ一歩下がって横から見ているという姿勢だと思いますが、これがまずいんです。それで、患者が発生すると大慌てする。目に見えている。これはまだ開発途上国段階だということだと思いますが、ぜひ私は先進国段階に食品安全行政を早く引き上げていただきたい。

 本当は総理がいれば聞きたいところですが、全体の省庁を眺めて調整するお立場で、福田官房長官にぜひ、日本の食品安全行政を開発途上国段階から先進国段階にする。だから、これは行政改革もありますし、もう一つは、今言った国際食料検査官という制度をつくって、日本に大量に食材を供給している場所についてはちゃんとずっとウオッチするという、これはバイヤーとしての当然のシステムなんですが、アメリカもミートインスペクターを持っていますし、EUでもそういう検査官を持って、平気で海外に行ってチェックするようになっているんですが、日本はこれだけ、六割食材を輸入していながら、八千人近い、先ほど、機構改革をやって四千百人の消費・安全行政の係官は国内には配置していますが、海外には全然配置していない。

 余り自民党にポイントを上げるのも残念な気がしますが、福田官房長官、ぜひ今のような、日本人の、日本の食品安全行政のレベルを上げるという意味で、こういうこともお考えいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

福田国務大臣 二点お尋ねがございました。

 御意見を伺いましたけれども、まず、安全の問題ということでありますけれども、今委員もお述べになっていらっしゃる安全委員会というものがBSEの経験から生まれたわけでございまして、これは、農林水産省それから厚生労働省から独立して、両省の食品安全行政にかかわることを調整していく、そしてまた責任も持ってやるという体制ができたわけでございまして、今回のような事案ができたときにはそこが中心になってやるということでありますけれども、それと同時に、各省庁連携して問題処理に当たらなければいけないということもございますので、これは内閣の調整機能を使いましてフルに対応していかなければいけない。常時やれるということでない、今、何か問題があったときというようなことでやっておりますけれども、このことについて、どういうことが常時やれるのかといったようなことも含めて、今後、体制を考えてみたいというふうに思います。

 それから、国際的な、例えば相手、供給国に行って検査をする、こういうことにつきまして、これは、何か問題がありますればそういうことはいたしますけれども、米国とかEUなんかも、今、相手国に常時検査官がいる、こういうふうなことはないようでございます。何かあるとき、もしくは時々行くとかいったようなことで対応しているというようなことでございます。

 日本の場合には、何か問題があれば行くということがありますけれども、通常は、陸揚げのときに十分なる検査をする、検疫をする、その他の検査をするということでもって対応しているということでございます。これは、産地でもって、出荷地で検査をしましても、それから後の輸送、これも長うございますからね、船なんかで参りますと。そういうことを考えれば、やはり陸揚げ地で十分なる検査をするというのも、これも一理あることだと思いますので、それはそれでやっております。

 しかし、委員のおっしゃることもわかりますので、今後は、情報収集体制、海外における情報、この収集体制をどういうふうに考えていくかということだと思いますので、この辺については検討させていただきたいと思います。

鮫島委員 済みません、もう時間が来ているのですが、ここで、谷垣さんがちょうど担当大臣のときに食品安全基本法ができている。そのときに、国の内外における食品の供給行程の各段階における安全性の確保をするのが政府の義務と責任であるということがうたわれているので、ぜひそれは、そういう形を実効あるようにしてもらいたいと思います。

 きょう、済みません、あといろいろな、セーフティーネットの話とか、吉野家さんなんかお気の毒で、牛どんでだめで焼き鳥どんに変えた途端に鳥でまたダブルパンチで、これが三百八十万人外食産業でパートさんが働いていて、もう早くもパートの雇いどめというのが出ていますので、そういう意味では、雇用問題のセーフティーネット、それから中小零細企業、フードサービス、食の関係の、中川大臣に関係あると思いますが、ぜひ手厚いセーフティーネット、これは一時的なものだと思いますので、BSEも鳥インフルエンザも、日本の食品安全行政がしっかり立ち直れば、半年、一年で克服できる話だと思いますので、ぜひ、そういう意味では手厚いセーフティーネットをお願いしたいと思います。

 どうもありがとうございました。

笹川委員長 これにて鮫島君の質疑は終了いたしました。

 次に、山田正彦君。

山田委員 民主党の山田正彦です。

 鳥インフルエンザについてお聞きしたいと思いますが、今またさらに、浅田農場の次に隣の農場が感染するという大変厳しい事態になりつつあるようですが、ちょうど、私は調べてみましたら、昨年の五月十五日、農水委員会で、アメリカの鳥インフルエンザについて質問いたしておりました。

 当時、アメリカで猛威を振るっておって、日本ではほとんど報道されませんでしたが、ところが、私はちょっと妙なことに気づいたんですが、家畜伝染予防法三十七条ですと、輸出国に対してですから、いわゆるアメリカ全土に対して、もし鳥インフルエンザが発生したら輸入できないはずなのに、アメリカからは、鳥インフルエンザが発生しても食鳥を輸入しておった。どういう事情だったか、大臣、おわかりでしょうか。

亀井国務大臣 アメリカの件、州単位の問題として、たしかあの時点、いわゆる弱毒性の問題、こういうことで、アメリカと協議をしてそのことを決定した、このように承知をいたしております。

山田委員 アメリカとの間には、州ごとに、例えばペンシルベニア州で発生したらペンシルベニア州で三カ月、そして三カ月新たな発生がなかったら輸入を再開する、ペンシルベニア、バージニアと、次々に輸出をとめていってはまた解禁するということの繰り返し、これをアメリカだけは特別扱いにしておった。

 弱毒性ということでしたが、私が獣医さんに確認したところ、鳥インフルエンザに、同じものであって、弱毒性、猛毒性というのはあり得ないというお話でしたが、どうでしょうか。

亀井国務大臣 高病原性と低病原性、この区別がある中でのこと、このように思います。

山田委員 米国からは、やはり同じようにいわゆる高病原性というふうに私は理解しておりますが、なぜ低病原性だったら各州ごとで、アメリカだけを特別扱いする、これがわからないんですが、なぜでしょう。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 こういった諸外国との衛生条件の取り決めにおきまして、多くは国単位で取り決めをいたしておりますけれども、物によりましては、その国の中の一部を限って、清浄なところとそうでないところに分けて取り扱いをしている例はございます。

 今、鳥インフルエンザにつきましては、アメリカについて州単位で弱毒性あるいは低病原性の場合はやっておりますけれども、ほかの、例えば豚コレラですとフランスでもやっておりますし、そういうふうに、いろいろ病気のタイプによりまして、病気の種類によりまして、国ごとで取り決めをしているというのが実態でございます。

山田委員 この三十七条では、輸出国となっておって、鳥の場合に、私が調べたら、ドイツとかよその国においては全部、今回、東南アジアでも国ごとに禁止している。

 それはそれで、次の質問に入りたいと思います。

 ワクチン、いわゆる鳥インフルエンザに対してワクチンを、例えば今度の浅田農場の周りの養鶏農家というのはかなりの数、そして三十キロ範囲内に相当な数の養鶏農家がいるわけですが、そこに対して鳥ワクチンを使うということは考えられないですか。

亀井国務大臣 先ほども質問がございましたが、ウイルスが鳥に侵入した際に、発症は抑えられるわけでありますが、感染を防止することができないわけでありまして、その鳥自身が新たな感染源になる可能性があるわけでありますので、また、鳥からウイルスの抗体が検出されても、それが接種されたものによるものかあるいは本当のウイルスの感染か、これが判断できないわけでありまして、家きん小委員会等におきましても、また、諸外国におきまして、一部ワクチンを接種されているところもありますが、大半、まず今、日本でやっておりますようなマニュアルで対応しております。

 そういう関係から、ワクチンの接種、このことは、現在実施をするということは考えておりません。

山田委員 発症をとめることはできる、ところが感染をとめることはできない、それはどうしてですか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 ワクチンには二つの種類がありまして、感染も防ぐし、それから発症も防ぐというものと、感染は防げない、発症だけを防ぐというものがございます。

 鳥インフルエンザのワクチンは、今申し上げました後者の方でございますが、これは、ワクチンを打っても、その鳥に十分な抗体ができないということが理由だというふうに承知をしております。

山田委員 抗体ができないということは、いわゆる家畜のというか、鶏のふん、そういったものにそのままウイルスが出てくる、それがまた感染源になっていく、そういうことに理解していいんですか。

中川政府参考人 ワクチンを打ちますと、打たない場合に比べて、体外にウイルスを排出する量は減るというのは承知いたしておりますけれども、確かに、おっしゃったように、ふんですとか、あるいはそれだけではなくて、例えば尿ですとか、あるいは、呼吸をするそのつばなどにも付着をして体外に放出をされるということでございます。

山田委員 体外に出る部分も、かなりワクチンを打つと抑制される、いわゆる減少する、これは事実だと。そうしたら、一番強いのは、ふんがやはり残ると可能性があるんじゃないかと言うんですが、ふんの処理は、私も畜産をやっていたのでわかるんですが、ほとんどが今発酵させる。発酵して、あるいは乾燥させる。そうすれば、例えばふんの中でも、調べてみると、土中でも、二十度Cで七日間、あるいは四度Cであっても三十日間生きることができるけれども、それ以上では死んでしまうということであるならば、いわゆるワクチンをその周り全部使用して、そして、かなりそのふんから出るものの、それについてのふん処理、そういったものさえ万全を措置すれば、何とか発生を、いわゆる伝染をとめることができるのではないのか。

 大臣、どう思われますか。

亀井国務大臣 現実になかなか難しい課題だと思います。

 私は、感染源になると、またこれが人に感染するとか、いろいろな問題もあるわけでありますし、ふんの問題も、現実的に、私、現場に行って、浅田農場も昨日見てまいりまして、なかなかこれは難しい問題でありますし、あの鶏舎に少しすき間があると、そこからネズミだとかカラスだとか、そういうものが入ることが考えられるわけでありまして、やはりそういう面では非常に難しい問題があると思います。

山田委員 大臣、各国で、ワクチンでもっていわゆる抑制している国、そういう国にはどのような国がありますか。

亀井国務大臣 現在、私ども農水省として把握しておりますところは、メキシコ、中国、香港、米国、イタリアに使用実績があるようでございますけれども、このうち、メキシコ、中国、香港においては現在使用中、このように承知をしております。最近インドネシアが使用を開始した、こういうようでございますけれども、メキシコ、中国、香港に最近のインドネシア、このような状況であります。

山田委員 中国も東南アジアもワクチンの使用を始めた。そして、何とかこれらの、いわゆるオランダで大量にどんどんどんどん発生したような、オランダはワクチンを使用せずに殺処分にしていった。そういう意味では、ワクチンを日本も考える必要があるのではないのか、そう思います。

 例えばアメリカ。アメリカの使用の場合には、リングワクチンと称して、例えば日本の場合の浅田農場、浅田農場の周り三十キロの範囲だけを、すべての鳥にワクチンを打ってしまう。例えば、けさ、隣の農場が、五キロ先の農場が発生したわけですが、あるいは、きょう、あしたにもすぐ近くの農場に、いわゆるこの汚染というか、感染が広がっているかもしれない。そうであったら、農水省としては、あるいは厚生省もそうなるかもしれませんが、一刻も早くその周りにリングワクチン、いわゆる周りを全部、ワクチンを鶏に打ってしまう、そして発症をとめる、これは喫緊の課題だと思いますが、少なくとも、アメリカもし、中国も東南アジアもそれを進めている、メキシコもイタリアも。日本もやるべきではないんですか。

亀井国務大臣 アメリカのワクチンの接種につきましては、在米日本大使館からの聞き取りでありますけれども、ワクチンの接種を行わない、これが基本と。これまで、コネチカット州でワクチンの接種をした、接種した鳥はすべて殺処分をし、食に供さない、発生したあとの四州では、ワクチンを接種していないと。

 あるいはまた、在日米国大使館農務官からの聞き取りでありますけれども、高病原性の場合、殺処分を基本とし、ワクチン接種は行わない、そして、州の決定により、ワクチン接種が低病原性の場合は可能、このように承知はしておりますが、これまで、コネチカット州でワクチンを接種、発生養鶏場が大規模であり、殺処分での迅速な蔓延防止が困難なことから飼養鶏にワクチンを接種した、今般の発生においてワクチン接種は行っていない、こういうことでありますし、防火的にワクチンを使用する、こういうことで封じ込めということはあり得る、このようにも思いますけれども、やはり現状では、私は、いろいろの問題、まず殺処分、このことで今日、山口県でもあのような状況で終息をしたわけでありますし、そのような体制で進むことが必要と。現状ではワクチンは使用する段階にない、このように思います。

山田委員 大臣はそう言い切りますが、確かにアメリカで、リングワクチン、周りでワクチンを使用した後、ワクチン接種した鳥はその後に全部殺処分にしたと、そういう話は聞いております。

 そういう形であれ、いずれにしても、京都の周囲、そこの鶏には全部ワクチン接種する、大臣はやらないとはっきり今言いましたが、それをやらないでおってそのまま仮に蔓延が続いたとしたら、私は、この場で、本当に今ワクチンを使用してでもその発生をできるだけ抑制することが一番喫緊の課題であると。そうはっきりとおっしゃったことを、大臣、もしこれでどんどん蔓延したら、その責任の一端は大臣にあるかもしれませんので、そのことはそうして話しておきたいと思っておりますが、厚生大臣、今のお話を聞いて……

笹川委員長 では、もう一度農水大臣に答弁させてください。

亀井国務大臣 まず蔓延防止に総力を挙げてやることが一番大切なことでありますし、また、このワクチンの使用につきましては、家きん小委員会あるいは食品安全委員会、関係専門機関のやはりいろいろの科学的な問題もあるわけでありますので、科学的にこの問題につきましての対応をしなければならない、このように思います。

山田委員 鳥のワクチン、これは現在日本で準備してあるのかどうか、準備してあるとしたら、どれくらいの鳥に対しての準備が、今用意してあるのかどうか、それをお聞きしたいと思います。

中川政府参考人 家きん小委員会での議論を踏まえまして、緊急に備蓄のために輸入をいたしました。二月に届いておりますけれども、その数量は三百二十万ドースでございます。

山田委員 それでは、今でも三百二十万羽に対しては使用可能だ、そういうお話ですが、厚生大臣、今ワクチンの話を聞いておられたと思います。これはまさに、もしかして、突然変異性で人間に出てくる可能性もある。一刻も早く、できるだけ封じ込める、いわゆる抑制するということが必要だと思うので、大臣個人として、ワクチンの使用はどう考えられますか。

坂口国務大臣 鳥の場合と人間の場合と違うと思いますけれども、人間のワクチンの場合には、これは感染も予防いたしますので、私は効果があるというふうに思っております。

 したがいまして、できるだけ早く、もしも、万が一のときのために準備はしなきゃいけないというふうで、今進めているところでございます。

山田委員 鳥のワクチンの使用については、どう考えられますか。

坂口国務大臣 いや、鳥のワクチンまで厚生労働省の大臣の範囲ではございませんので、これはもう、それを行うか行わないかは農林水産大臣にお任せする以外に私はないと思っております。

山田委員 いわゆる牛がBSE、鳥がインフルエンザなんですが、豚、これが豚コレラで、韓国は今ずっと蔓延しているわけですね。

 私は、この問題、随分心配いたしまして、やはり昨年農水委員会で取り上げたことがあるんですが、平成十二年の十月から日本は豚コレラのワクチン接種をやめた。韓国も続けてすぐワクチン接種をやめたんですが、その後、豚コレラが頻発して、韓国はそのままワクチン接種を再び始めた。ところが、私の住んでいる長崎県というのは、韓国とすぐ隣り合わせておりまして、人の出入りも物の出入りもしょっちゅう頻繁になされているわけです。私の周りの養豚業者は、既に一年半前からそのことをえらく心配いたしまして、いつ豚コレラが韓国から日本に入ってくるかもしれない。

 そういう意味で、ワクチンの接種再開、これを早目に、今ちまたでは牛どんのかわりに豚どんが随分大はやりのようですが、もし豚コレラが発生したとしたら、それこそまた大変なことになる。これについてのワクチンの再開は、大臣、どう考えられますか。

亀井国務大臣 ワクチンは、接種しますと清浄国にならないわけでありますので、今日、平成十二年度から接種を原則として中止しておるわけであります。

 そういうことでありますので、やはり清浄国、こういうことが必要なことでありますし、現実に、養豚関係者も、本当に今、私もこの間養豚場にも行きましたけれども、衛生の面で、鳥インフルエンザと同じように、私ども、中に入るのも非常に、昨日養鶏場に入りましたけれども、それと同じように厳しい衛生チェックをして見学をするわけでありまして、業界の関係者も大変努力をされておるわけであります。

 ワクチンを接種せずに、そして清浄国として養豚業界がいろいろ活躍をしていただくことが大切なことではなかろうかと思います。

金田副大臣 大臣の御答弁に尽きるわけでございますけれども、鳥インフルエンザのワクチンと豚コレラのワクチンというのはワクチンの機能が違いまして、鳥インフルエンザワクチンは感染はするけれども発症はしないということなんですが、豚コレラのワクチンにつきましては感染もしないということでございます。

 そういったワクチンの内容が違うということと、先ほどから先生、ワクチンを打たなかったことで蔓延した責任はどうなのかということの御指摘がありますけれども、我々、やはりこういうのは専門家が判断するわけでございまして、技術的な専門家の皆さん方の御意見を聞いて、蔓延防止をもう措置できないという状態になったときにはワクチンの使用ということは考えられるんですけれども、今の段階では早期発見、早期撲滅ということで、それを基本としてやらさせていただいているところであります。

山田委員 どうも金田副大臣、おかしな話をいたしますが、いわゆる技術者の検討、技術者の判断、そうじゃなくて、判断をするのは政治家であって、判断の資料を提供するのが技術屋。だから、技術屋のいろいろな判断の中で、政治家が、これは、この場合には中国も東南アジアもインドネシアもどんどんワクチンを使用して抑え込みにかかっているんだから、日本もやろうじゃないかということでやるのは大臣とかいわゆる政治家の判断でありまして、これはやればかなりのところを抑えられる、私はそう確信しております。

 そして、もう一つ豚コレラ。豚コレラの場合に私が言っているのは、もしこれで豚コレラが日本に発生したら大変だということを言っているんです。だから、豚コレラのワクチン接種は早く再開したらいいんじゃないかと話しているんです。大臣は清浄国になりたいがためにワクチン接種は再開しないというお話のようですが、清浄国といっても、日本は、豚の場合、五割はもう輸入しているわけです、外国から。清浄国になるということに何のメリットがあるんですか。日本が輸出するということは、まず豚はあり得ない。

亀井国務大臣 やはり国民の健康保護、このことを第一に、食の安全、安心、こういう視点に立ちまして、国民の皆さん方からも、やはりワクチンを接種せずに養豚経営ができる、今その着実な努力をされておるわけでありますので、そういう面で、やはり養豚経営が、ワクチンを接種しなくともそれができるような、そういう経営、そういうことが望ましいことでありますし、また、食の安全、安心、こういう面からも私は必要なことじゃなかろうか、こう思います。

山田委員 大臣はまたおかしなことをおっしゃる。食の安全と安心の立場を、国民の立場を、養豚業者の立場を考えるならば、養豚業者が不安でしようがないからワクチンの接種を再開してほしいと。しかも、金田副大臣が言っているように、豚の場合には感染まで抑えることができる。そうであったら、直ちにここは、もう鶏もだめ、牛もだめ、もう今豚しかないという中、豚で豚コレラが発生したら、大臣、責任とらなきゃならなくなりますよ。大臣やめなきゃいけなくなる。どうですか。

中川政府参考人 まず、清浄な状態であれば、豚コレラのウイルスが入ってきて感染があるとすぐに見つかるわけでございます。したがって、こういった防疫への対応の基本は、やはりふだんから監視をしていて、早期に見つけて早期に淘汰をするということがもう大原則だということでございます。それが農水省で今努めているところでございます。

 それからもう一つは、ワクチンを打ちますと、確かに鳥インフルエンザのワクチンと豚コレラのワクチンはさっき申し上げましたようにタイプは違いますけれども、ワクチンを打っているということ自体が、その国が汚染国というふうに位置づけられるわけでございまして、そうしますと、ほかのワクチンを打っているあるいは豚コレラが発生をしている国から例えば輸入をしろというふうな話になったときにも、清浄国ということで、そこのところが断れないといいますか、そういうデメリットもございます。

山田委員 よくわからないんですが、清浄国でないということならば、なぜ輸入をしなければいけないということなんですか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 家畜衛生条件というのを結びます際に、相手国がそういう一定の疾病が発生をしているということであれば、そのことをもってその国からの輸入をとめることが可能でございます。ですけれども、自分のところも汚染をしている、そういうふうに区分をされますと、自分のところも汚染をしているということですから、相手国が汚染をしているということをもって輸入をとめる、輸入を拒否するということはできないということでございます。

山田委員 そういう趣旨ならわかりますが、今五割からの豚肉を輸入している、そういう現況下において、これで国産の牛肉等の自給率を考えていっても、国産の農家を守ることが、相手国が清浄国で輸入を断れなくなるから何とかという理由よりもはるかに大事だということ、それはまさに官僚の判断ではなく政治家の判断であるということ、そこをひとつ大臣よく認識いただいて、ワクチン接種の問題というのは考えていただきたい、そう思います。

 次に質問いたしますが、今回、十九日に立入検査したわけですが、立入検査を浅田農場にした。ところが、この家伝法の五十一条でいくと、立入検査した場合には、いわゆる家畜の伝染性疾病の病原体により汚染し、もしくは汚染したおそれがあるその他の場所に立ち入って動物その他の物を検査し、関係者に質問し、または検査のために必要な限度において動物の血液その他を採取しというふうになっているんです。

 立入検査のマニュアルも調べてみましたが、これは、高病原性鳥インフルエンザ防疫マニュアルですが、この中の、症状では、突然の死亡というのがある。突然の死亡というのがあって、しかも、異常家禽発見時の措置として、飼養者らは直ちにその旨を家畜保健衛生所に報告するよう周知する、報告しなければならないというようなマニュアルになっているようです。

 ということは、この法律とマニュアルから見て、今回の立入検査その他において、いわゆる浅田農場の経営者が、空白の一週間と言われましたが、その間、これは鳥インフルエンザじゃないんじゃないか、そういう気持ちから報告しなかったということは、明らかにこの家伝法の十三条に違反し、六十三条ですか、いわゆる三年以下の懲役、百万円以下の罰金、これに処せられることになる。

 大臣、今回、やはりあの浅田農場の経営者がこの家伝法十三条に違反して報告義務を怠ったことが、隣のまた蔓延を図り、これだけの、自衛隊まで駆り出さなければならないほどの甚大な被害を生じせしめてきている。これを考えれば、当然のことながら、農水省として、あるいは自民党さんとしては、新しい法律とか新しいマニュアルをつくって、こういった、蔓延防止法と言っておりますが、この法律そのもの、マニュアルそのものにきちんとでき上がっている。これでもって一刻も早く農水省としては、大臣としては告発をしなければならないんではないんですか。いかがですか。

亀井国務大臣 やはり事実関係をよく精査しなければならない点、これは京都府とも十分連携をして、今御指摘のような問題、私も承知をしております。そういう面で、やはりそういう視点に立ちまして、法律またはマニュアルに抵触している、こういうことを踏まえて、十分連携をし対応してまいりたい、このように思っております。

山田委員 だれが考えても、いわゆる事実関係で、立入検査も来て、異常はないよとそう伝え、その後、千羽、二千羽、何千羽と死んでいってもその報告をしなかった。先ほどの質問の中で、獣医さんに相談したと言ったけれども、獣医さんにも相談していなかった。そういう事実が明らかになれば、その事実だけで十分じゃないんですか。大臣、これ以上調べる必要があるんですか。

亀井国務大臣 十分に精査しなければならない点があると思います。先般の、獣医に相談したとか、その後していないとか、そういうようなことにもかかわってきておるところもありますし、やはり十分、京都府と連携をして調査し、そして対応する、こういうことを考えております。

山田委員 行政の怠慢、政治の怠慢、そしておくれをとって次々に蔓延していく。BSEでも明らかなんです。それと同じように、今回、やはり行政、農水省なり農水大臣がはっきりと素早く、告発なら告発、そういった形をとらなければ、今さらどういう事情を精査しなければいけないのかどうか、大変理解に苦しむわけですが、ひとつ大臣として、この処理は、まず刑事罰に値すれば当然のことながら刑事罰に処し、そしてそれなりの対応をとるということをしかと命じていただきたい、そう思います。

 次に、いわゆる補償なんですが、半径三十キロ以内の養鶏農家というのは、それこそ鶏、卵、鶏肉その他の移動禁止、そのままになるわけです。私、ちょっとお話を聞いたところでは、周りの養鶏農家は、卵の保管の冷蔵庫もない、冷凍庫もないとか、いろいろな形で大変今困っておられる、そう聞いておりますが、そういった場合の大変な損害が今生じていっているわけですが、それの損失補償、これは大臣、どう考えられていますか。

亀井国務大臣 基本的には、山口県でのいろいろの補助、補償等もいたしました。これを基本に、御指摘の鶏卵の保管場所の問題あるいは鶏ふんの問題等、いろいろあるわけでありまして、それらは十分検討して、支援をしてまいりたい、このように考えております。

山田委員 具体的にどれだけの補償を国としては出せるんでしょうか。

 例えば、卵がそれだけ出荷できなくて損害をこうむった分、あるいは冷凍保管料、そういったものについての損害について、政府が、国が移動を禁止するわけですから、移動を禁止した人たちに対しての補償は、一体その損害額の何%を補償するというんでしょうか。

亀井国務大臣 制限、移動禁止、これらにつきましては県の知事でありますけれども、現実に、山口県におきましては、鶏卵価値の減少に対する補てん、減少額の二分の一、あるいは輸送及び保管に対する補助、要した経費の二分の一、こういうことで山口県は行いました。それにあわせて、県からも補助をいたしておりまして、農家側から見ればほぼ全額の助成が成っている、このように考えられると思います。

山田委員 アメリカとかEUとか諸外国は、移動を禁止する、そういった場合の補償は、国はどれくらいやっているんでしょうか。

中川政府参考人 在日のオランダ大使館に照会をいたしましたところ、オランダでは、家畜の疾病対策に伴う損失を補償することを目的としまして、オランダ家畜衛生基金というものが設置をされているということでございました。

 その具体的な基金の補てんのやり方でありますけれども、疾病にかかっているものについては評価額の五〇%、それから健康なものについては評価額の一〇〇%が、実際に殺処分をしたような場合には補てんをされるということでございます。

山田委員 卵に対してはどうですか。

中川政府参考人 昨日、取り急ぎ情報収集ということで、今申し上げたことがわかっている範囲でございまして、お尋ねの卵についての扱い、申しわけありませんが、今お答えできません。

山田委員 私が質問通告の中で、諸外国、アメリカ、EUについて、どういう補償を国がどれだけするかということをお答えいただきたいと言って、早速取り急ぎ調べたのでそれほど詳細なことはわからないということですが、私が大体聞いている範囲では、アメリカにおいても一〇〇%、移動を禁止させたものについては補償するやに聞いておりますが、定かではありません。

 しかしながら、そういった諸外国の補償の例ということは、亀井大臣、当然参考にすべきだと思うんですが、日本は損失の五〇%しか補償しない、国がですよ。ということは、それは、財政力のない小さな村とか町においてはそれ以上の負担は現在無理なわけですから、そういう養鶏農家というのはやはり大変に深刻な負担になってくるんじゃないのか。そうなってくれば、私は、当然国も、もう少しというか、毅然として、一〇〇%なら一〇〇%、諸外国並みに補償しますよということをとれば、例えばその浅田農場の養鶏農家にしても、わあ、困ったな困ったなと言っているうちに、どんどん早く逃げちゃえとかという気持ちとか、迷うこともなく、すぐに届け出して、そして蔓延防止、この鳥インフルエンザの抑え込みに寄与するんじゃないか。そういう意味では、政府の施策そのものが逆に今回の浅田農場の蔓延を促したことになりはしないか。

 大臣、どう考えられますか。

亀井国務大臣 オランダの例におきましても、この補償の問題につきまして、EUあるいはオランダ政府また生産者との何か拠出した基金、こういうような制度もあるようでございます。

 今回のケース、いわゆる防疫マニュアル、そして指導と、いろいろの角度から、農水省、都道府県に連絡をとり、やってきたわけでありますが、残念ながら、今回、浅田のケースは、そのおくれ、こういうことが今日の問題になっておるわけであります。

 これを契機に、この制度の問題をいろいろ検討し、補償の問題等につきましても十分考えてまいりたい、こう思っております。

山田委員 輸入牛肉とか輸入畜産物の差益、そういった関税差益といったものは、交付金として入るところの、いわゆるかつての畜産振興事業団、今の独立行政法人農畜産業振興機構というんですか、ここの昨年十月十五日付の決算書をちょっと調べてみました。これによると、幾つかの会計に分かれておりますが、預貯金等々を含めての資産の合計が三千六百六十三億八千七百九十二万八千円ある。これはかなりあるわけです。そうであれば、当然のことながら、国としては、そういった資金等をもとに迅速な補償を農家にやろうと思えば、できないわけではない。

 どうか大臣、その辺はよく真剣に取り組んで、ひとつ蔓延防止と生産者の補償等々を考えていただきたいと思いますが、いかがですか。畜産振興機構ですか、それのお金を使う気持ちはありませんか。

亀井国務大臣 委員御指摘の、昨年十月末、その金額、三千億という数字は、私どもの数字では、昨年十月末百九億というような数字で、ちょっとその数字の件につきましては承知をしないことでございますが、この事業団等々を通じましてその対応をしっかりやってまいりたい、こう思っております。

山田委員 最後に厚生大臣にお聞きしたいんですが、ある日突然、変異性の鳥インフルエンザが人間にうつるといった場合に、スペイン風邪の場合二千万人が亡くなったということですが、それに対するワクチンの用意、それはもう既に用意しているかとは思いますが、きょう発生したとしたら、そのワクチンはいつごろ間に合いますか、変異型が発生したとした場合。

坂口国務大臣 ワクチンにつきましては、現在、新型のどういうものができるかということはわかっていないわけでありまして、それがわからないうちにそれに匹敵したワクチンというのはできないのが現実でございますけれども、ベトナム等で起こっておりますので、ベトナムで起こりました、起こりましたと申しますか、鳥から人にうつりました株を用いまして、そして今研究を重ねている。これは先ほど申し上げたように、WHOを中心にしまして、日本も参加をして今行っている。これはかなり進んできているというふうに聞いておりますが、例えばの話ですが、きょう起こってあすからというわけにはちょっとまいりません。もうしばらくかかるんだろうというふうに思っております。しかし、そうしたものができるだけ早くできるように、我々も感染研究所等にお願いをしているところでございます。

山田委員 きょう変異性が発生して人間に大流行するおそれが生じたというときに、ではいつごろできるか。できるだけ早くやりたいと思うというのではちょっと国民にとって大変不安なんですが、ひとつ、いつごろまでにはできると思うから安心するようにというメッセージは送れませんか。私が聞いている範囲ではかなり後になりそうですが、どうなんですか。

坂口国務大臣 御承知のとおり、ワクチンをつくりますためには一定の期間がやっぱり必要でございまして、急激にはできにくい。一定のいろいろの段階を踏まなきゃならないわけでございますので、急にというわけにはまいりませんけれども、そういうことがありましたら、一刻でも早くそれに対応できるように今お願いをしているということでございます。

山田委員 終わります。

笹川委員長 これにて山田君の質疑は終了いたしました。

 次に、五島正規君。

五島委員 先ほどからお話を聞いていまして、何か根本的なこの問題に対する対策の一貫性がないということを非常に感じました。

 この鳥インフルエンザというのも感染症です。感染症である以上、その病原体の特性、そして感染の経路、それから病原体対策、そして感受性対策、この三つの面から検討されていかなければならないというのは常識でございます。

 その中におきまして、現在、ウイルスの特性の問題についても、実は私もマスコミで読む程度ですが、非常にあやふやなところがある。例えば、山口で発生したインフルエンザのウイルス、同じウイルスのH5N1であるけれども、いわゆる東南アジアではやっているウイルスとは型が違うという報道をされている。その後、大分のウイルスもまた山口のウイルスと同じ型であるというふうに言われている、京都の分はまだ恐らく確定していないんだと思いますが。

 そうすると、現在わかっているだけで、東南アジアで発生しているウイルスと、それから日本の中にあるウイルスとは別の種類のウイルスである。すなわち、感染源は別のものだということになってしまう。そうであれば、おのずから、この感染経路を調べていくルーツというものは決まってくる、プロトコールは決まってくるはずですが、京都の事件が発生してからも、感染経路について早急に調査をするということをおっしゃってきているわけですが、一体、現状、それはどうなっているのか。

 例えば、緊急の課題として、一月の末に、科学技術振興調整費、いわゆる科研の予算を七千数百万つけて、それで何か一つのプロトコールをこれから考えましょうという計画が立てられている。そのときに挙げられた名前が、それから後、発生するたびに同じようなことが載ってくる。

 現実においては、本当に、この感染経路の調査というものを実効を持ってやっておられるのかどうか、どういう状況にあるのか、そのプロトコールはどうなのか、農水大臣にお伺いします。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、最初に我が国で発生をいたしました山口、それからその次の大分のケースについてでありますけれども、確かに、その感染経路の究明ということでは、一つは疫学的な調査をしていくということと、もう一つはウイルスの遺伝子解析を行うという、この二つでもって現在やってございます。

 その中で、山口と大分のウイルスが近縁であることは明らかになっておりますが、山口のウイルスについては、先生がおっしゃいましたように、アジアで起こった、香港なりベトナムで人に感染をしたものから分離がされたウイルスの株とはかなり違っているということで、今現在、このウイルスの遺伝子解析というのは、どこと近いか、どことかなり離れているかということで研究をしているところでございます。

 それから、今回の京都のウイルスでありますけれども、確かにH5N1という型、亜型ではありますが、これについてのまだ遺伝子解析のところまで結果がわかっておりません。これも、わかりますと第三例目のデータがそろうということになりますし、さらに、諸外国の遺伝子のデータも入手に今努力をいたしているところでございます。こういったものをできるだけ早く研究機関において研究していただいて、感染経路の究明の一つにしたいというふうに思っております。

 それから、科研費を使います特別調査でありますけれども、今申し上げたような遺伝子なりの分析とあわせまして、渡り鳥からの感染の可能性についても現在調査をいたしております。まだ渡り鳥からのウイルスの分離というものが、その結果が出ておりませんので、こういったものの結果も待ちまして、専門家の方々に検討していただきまして、感染経路の究明に努めてまいりたいというふうに思います。

五島委員 インフルエンザすべてが、鳥によって感染されたものが人にうつるようになったものですから、基本的には近縁関係にあるわけですが、この鳥インフルエンザ、特に高病原性鳥インフルエンザと言われているものが人類社会の中に脅威を与え出してまだ七、八年ぐらいしかたっていません。その中において、今農水省が言われたように、そういう、非常に亜種のような型でいろいろな高病原性のウイルスが発生してきているということになりますと、一番恐ろしいのは、後ほど申し上げますが、人に感染するインフルエンザウイルスとこの鳥インフルエンザとが同じ動物の中に交雑して、そのことによって遺伝子変性、遺伝子の組み換えが起こって感染することなんですが、それではなくて、いわゆる本来の遺伝子そのものの変性のスピードが非常に早いということも意味しているように思うわけですね。

 そうだとすると、これに対する対策というのは大急ぎでとらないと、既に人に感染したこのウイルス、ベトナムの例で言えば、十四名中たしか十二名ですか、亡くなっています。

 そういうふうなことから考えると、人類にとって極めて危険な、しかも、あらゆるウイルスにとって、その種族の繁栄の上で一番今日の地球上有利なものは、人から人に感染できるウイルスである、これは常識です。

 そうだとすると、極めて緊急を要する状況へ来ているんですが、この問題について、本当に、どういうふうな立場で厚労省と農水省は協力し合って、この感染経路の解明、そしてあわせて、遺伝子の変性によるところの人類への直接的な影響へのスピード、予測しておられるのか、お伺いしたいと思います。

坂口国務大臣 これは農林水産省とよく協調しなければいけないというふうに思っておりますが、とりわけ鳥におきまして高病原性のインフルエンザが発生をするといったようなときになりましたときに、その人たちに、濃厚に接触をする人たちというのは鳥からうつる可能性があり、鳥からうつる可能性がありますと、先ほど御指摘をいただきましたように、人間のインフルエンザとの間の遺伝子の組み換えが起こる可能性があるということでございますから、鳥の段階のところでどうここを抑えるかということでございまして、その第一段階のところでは、これは農林水産省としっかり連携をしていかなければならない。

 万が一組み換えが起こったというようなことになってくれば、そういうことが起これば、これは指定感染症に指定をいたしまして、そして直ちにその人たちを隔離して、その方がかかっているウイルスの解析を行うということだろうと思うんです。

 前もってどういう遺伝子ができるかということがわかっておれば、これは前もってワクチンをつくっておくことができるわけでございますが、鳥インフルエンザの持っておりますその遺伝子そのままで人間にうつってくるということはないはずであります。これは変わるはずでございますから、そこのところをどうするか。ですから、そこへ行く一歩手前のところまでのワクチンの研究開発というのが大事ではないかというふうに思っている次第でございます。

五島委員 坂口厚生大臣のおっしゃる点については、おっしゃった範囲においてそのとおりだろうと私は思っています。

 ただ、問題は、人のインフルエンザと鳥のインフルエンザが両方とも感染し、そして、それぞれがそれほど顕性ではない動物もあるわけですね。例えば、先ほどから出ておりました豚なんかはその典型です。日本の国内において豚の調査をすることが効率性があるかどうか知りませんが、今回のように、中国南方部から香港、ベトナム、あのあたりについてかなり広範囲にこの鳥インフルエンザが発生した。あの地域は豚の養殖も盛んにやられている。

 ということになりますと、この問題は、日本政府は、WHOに提案してでも、やはりそれぞれの地元の政府と協力して、この組み換えが起こり得る可能性を持っている動物の中におけるこの鳥インフルエンザの感染あるいは人インフルエンザの感染の状況はどうなっているのか。

 なまじっか不顕性であるために見ていてもわからないというのはあるわけですが、これは調査するつもりがあれば調査できるわけで、そういう研究は、今のところ科研の中にもないわけですね。だけれども、人類の将来から考えると、これは極めて大きな仕事だろうと思うわけで、これは日本一国だけで対応すべき問題ではないだろうと思っています。その点について、ちょっと大臣のお話をお聞きしたいと思っています。

 それからもう一点は、鳥インフルエンザの中で、マスコミ報道でございますのでどこまでが本当に正確だったのかわからないんだけれども、中国において、アヒルが大量に鳥インフルエンザで死んだという情報があります。本来、この鳥インフルエンザというのは、主としてカモによって、渡りによって広がっていく。ただし、カモ類に対しては不顕性であるというふうに言われている。アヒルは、もちろんカモの家畜化されたようなものですから、カモに対して不顕性であれば、本来の遺伝子からいえば、アヒルに対してそういうふうになるはずがない。しかし、ひょっとして何らかの遺伝子変性が起こってアヒルに対しても起こっているということなのか。そうであれば、カモそのものにも起こっている可能性がある。

 そうなると、このウイルスの生存範囲が極めて厳しい状況に置かれるとすれば、いわゆる種族存続の理屈からいって、他の生物の中で生き長らえよう、そういう状況に働いてくるのはこれは当然のことなので、その辺のところの情報が一体どこまで整理されているのか。これは農水省なのか、ひょっとしたら環境省だったのかもわかりませんが、わかっているところをお伺いしたいと思います。

田中政府参考人 東南アジア等におきます豚のモニタリングについての御質問でございますけれども、一つの細胞に二種類のウイルスが同時に感染しますと、遺伝子の組み換えが起こるというふうに言われております。この変異によりまして新型インフルエンザウイルスが起きてくるということが危惧されているわけでございます。

 このウイルスの再集合というのは豚などの体内で起こる可能性があるということで、厚生労働省におきましては、平成十一年度から、豚での調査を、モニタリング調査を進めてきております。これまで、豚におきまして、鳥インフルエンザウイルスの感染は確認されていないところでございます。

 御指摘のアジア地域等におきますこのような豚の調査というのは、現在のところ実施されておらないと私ども認識しておりますけれども、今後、WHO等とも協力しまして情報収集に努めてまいりたいと思っております。

坂口国務大臣 今お聞きのとおりでございますが、アジア地域のWHOを中心にいたしまして、御指摘のようにどこの国で起こりましてもこれは大変なことでございます。それはもう数日のうちに広がってしまう可能性があるわけでございますから、これはどの国におきましても厳重な注意をして、そして情報を集め、それに対する対応をしなければならないというので、アジア会議が何度か開かれておりまして、鳥インフルエンザが中心でございますけれども、しかし、それが人への感染の方に拡大をしてはいけないので、それに対する対応をどうするかというので、専門家の間での話し合いが続けられております。

 スペイン風邪のときには、日本も二千五百万人の人が罹患して三十八万人亡くなったということが記録で残っておりますから、一たんそういうことになりますと大変になりますので、それは日本の国内だけではなく、御指摘いただきましたように諸外国の中でも起こってはいけないことでございますから、あわせてここはさらに連携を密にしていかなければならないというふうに思っております。

五島委員 その方向でぜひやっていただきたいんですが、それについては、これに対する科研の予算だけしか予算がないとすると、科研の予算はたしか七千五百万ですか。七千五百万で世界の億単位の感染者を救えるというふうに考えているとしたら、かなり甘いというか、やはりこれは本当に、恐らくSARSや何かと比べてもはるかに脅威性の高い問題ですから、これに対してやはりきちっとした研究を国際的に組めるように努力をしていただきたいというふうに思います。

 ついでに申し上げておきたいんですが、先ほど感染経路の問題を言いましたが、このインフルエンザのウイルスの感染というもの、蔓延というものを防止しなければいけない。確かに京都の例が、鳥そのものの移動によって、兵庫であったり香川であったりで問題になっています。先ほど、卵は大丈夫か、肉は大丈夫かという話がありましたが、卵を食うてインフルエンザにかかった人がいない以上は、この問題も大丈夫なはずです。

 しかし、問題は、この間からテレビを見ていますと、どこかでそういう問題が出ると膨大な報道陣が行っていますよね。ほこりでインフルエンザウイルスが伝播されるのは常識じゃないですか。逆に言えば、そういうふうなものを伝播させて周辺の養鶏場は大丈夫ですかと行かれると、非常に感染の危険性がある。これは、マスコミの報道規制をせいと言っているわけではありません。しかし、感染防止という意味からは、何か初動のところから必要な措置がとられていないという気がしてなりません。その点についてもぜひ御検討いただきたいと思います。

 与えられた時間が非常に短いので、最後の問題に参りますが、先ほどワクチンの開発の問題が議論になってまいりました。

 ワクチン開発について、厚労省は、H5N1のベトナムで起こったウイルス、これに濃厚接触をして感染した人からこのウイルスを採取して、それの弱毒化という形でこれからそのワクチンの株種をつくろうとしておられる。これはWHOの協力のもとでやろうとしておられる。一方、農水省は、既にこの不活性化という技術。これは、インフルエンザのワクチンなんかには二種類あるわけです。不活性化によってこの鳥インフルエンザのワクチンをつくっておられる。これは、鳥のものと人のものと一緒になるかいとお考えの方があるかもわかりませんが、どういう株種を使ってやるかということが決まるということは、ワクチンをつくる上においては極めて効果的。

 私は、先ほどの農水省の御答弁はそれなりに納得するわけですが、不活性化をして症状を消してしまった場合は、かえって蔓延させるかもしれないと思います。しかし、このワクチン種がなぜ人のワクチンとして、その株種として使えないのか。なぜ新たに別の株種をつくってこれから検討しなければいけないか。どうもこのあたりが、農水省と厚生省、あるいはWHOとの関係も含めまして、こういう緊急のときに非常にむだなことをしているように思えて仕方がない。

 やはり大事なことは、現在の鳥インフルエンザのワクチンを人に対して使う。私は、限定的な使用だろうと思うんです。人に感染させない。あるいは豚に感染させない。すなわち、ほかのインフルエンザとの間においていわゆる組み換えが起こらないように使っていくということは必要なことだろう。その意味においては、この別々の株種でもってワクチン開発を競い合うようなむだなことをする時間的余裕はないんじゃないかと思うわけですが、その点についてはいかがでしょうか。

坂口国務大臣 それほど専門的な知見を持っておるわけではございませんけれども、やはり今あります鶏の方のワクチンとは抗原性が異なるということだと思います。だから、同じものであれば、鶏と人間と同じようにしてやればいいじゃないかという話になりますが、多分そうはいかないんだというふうに思います。(五島委員「現在の濃厚接触に対しては効果があるはずですよ」と呼ぶ)鶏に対して、人間の話。(五島委員「同じウイルスですから」と呼ぶ)そこは我々も検討しなきゃいけませんけれども、人間にうつってくるということになれば、そこはひとつ遺伝子型が違ってくるんだろうというふうに思っております。しかし、ベース、基礎になりますところは利用できるというふうに思っております。

五島委員 時間が参りましたので、残りは厚生労働委員会でやらせていただきますので、よろしく。どうも。

笹川委員長 これにて五島君の質疑は終了いたしました。

 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 二月二十六日深夜、京都府丹波町の浅田農産船井農場で発生が判明した鳥インフルエンザが、一週間も通報しなかったことや、その間、鶏や卵をそのまま出荷し続けたことで、搬出先の兵庫での発生、羽毛からのウイルス検出など、二十三府県に影響を及ぼし、全国的な課題となっております。しかも、昨夜の京都府での二例目の発生は、船井農場からわずか五キロ、町中心部に近く、役場や中学校が近くにあるということで、大変な動揺を広げています。次は自分のところかもしれないという不安に駆られる養鶏業者の皆さん、周辺住民の皆さんの不安はいかばかりかと思われます。

 日本共産党の国会議員団は、これまでも山口、大分と現地調査を行い、対策を国に求めてきましたが、改めて、京都府を初め、兵庫、愛知、大阪を初めとする各地域の国会議員団が現場に飛び、関係者の要望も聞き、きのう農水大臣に申し入れも行ったところであります。

 そこで、まず、今回の事件の最大の問題は、封じ込めに失敗したということであります。獣医に診せたら腸炎を疑ったという発言、これが虚偽だったということが判明しましたが、まさに今回は極めて悪質なケースだと言わなければなりません。

 浅田農産は、一社で百七十五万羽を扱っているそうです。これは、九七年の香港で発生した鳥インフルエンザの発生時に殺処分した数が百二十万羽といいますから、たった一社でこの香港の殺処分の数を上回る大変な規模であり、同時に、浅田農産の会長は日本養鶏協会の副会長として指導的立場にもあった人物であります。当然、鳥インフルエンザの感染を警戒すること、通報義務など、全く知らないはずがありません。しかも、昨夜の京都二例目の発生は、初動の防疫措置が決定的におくれたものと言えるのではないでしょうか。

 そこで、農水省は、この間、昨年九月に高病原性鳥インフルエンザ防疫マニュアルをつくって対応してきたと言っておりますが、このマニュアルはあくまでも行政指導であり、業者が法的に従う義務がないものであります。通報義務が業者に課されていなかったことなど、非常に不備が指摘されております。そもそも最悪の事態を想定するという危機管理の考え方が甘かったと思われますが、見解を伺います。

亀井国務大臣 マニュアルを九月につくり、そして、いろいろ都道府県にも指導をし、韓国での発生、そういう時点でも指導もしてきたわけであります。

 しかし、今回のケース、養鶏業者が通報をせずに、鶏が大量に死亡した後も生きた鶏等の出荷をする。先ほど御指摘の、養鶏協会の役員もしております。そしてさらに、大型な経営をしております。そういう面での社会的責任、これはもう本当に大きなものがある、こう思っております。

 農水省としても、今回の問題を契機に、私も昨日現地に参りまして、そしてさらに、本日は、今もやっていると思いますが、都道府県の部長を招集いたしまして、マニュアルの徹底、さらにはマニュアルにおきますいろいろの補足の点等々も十分周知をさせまして、しっかりした対応をするため引き続きさらに努力してまいりたい、こう思っております。

高橋委員 今お話があったマニュアルの改定などの検討が始まっていると。やはりそれは、これまでも指摘したことでありますが、今までの不備を、国としても責任があったということを認めたということではないかと思います。

 業者の方が社会的責任がある、これは明確にして、刑事告訴も検討されているということでありますから、これはきちんとやっていただきたい。しかし、同時に国の責任も問われると思うんです。

 BSEが国内で発生したことを受けて設置されたBSE問題に関する調査検討委員会は、WHOが九六年の四月に肉骨粉禁止勧告をしていたのに行政指導に日本がとどめていたことを「重大な失政」と断じ、あるいは、二〇〇一年のEUのステータス評価を途中で、中断を要請したことも「政策判断の間違い」だったと指摘をして、日本は行政の危機意識が欠如し、最悪のケースを想定して防疫体制を強化しておく危機管理の考え方が欠落していたと厳しい指摘をしています。

 こうした教訓を学んでいたとは言えません。大分でいえば、チャボ一羽、これを本当に、農家ではない個人の方が通報してくれた、まさに善意の通報によって初動の対応が封じ込めに成功したわけですよ。そのことを考えれば、改めて、今までは幸運だったと言わざるを得ないんです。重ねて、国の責任、認識を伺います。

亀井国務大臣 今いろいろ御指摘がございましたけれども、私ども、精いっぱい努力を積み重ねてきておりまして、山口県のケースにつきましても、大変な努力をしていただきましてあの地域での終息を迎えることができたわけでありますし、大分につきましても、通報と。これは、今日、鳥インフルエンザがアジアを中心として発生をしている、そういう中で、国民の皆さん方のそれに対する御理解、こういうところとあわせて、やはり私ども行政におきましてもきめ細かく努力をしておるわけであります。

 しかし、残念ながら、京都のケースにつきましては、早期の通報、こういうことが、またさらには、そういう大量死が発生しておるにもかかわらず出荷等々の問題、本当にそういう点、まことに残念でならないわけでありまして、これをまた一つの、京都の例をさらに私ども肝に銘じて努力をしてまいりたい、こう思っております。

高橋委員 国の責任についてはちょっと言及されなかったのかなと思います。

 改めて伺いたいんですが、そういう現地の精いっぱいの努力にこたえて、一つは、今の不十分だった通報義務について家伝法の改正を検討しているのかどうか、確認をいたします。

 それから、損失補償の問題です。感染拡大を食いとめる上で、どうしても防疫によって被害を受ける業者に対して損失補てんは重要であります。移動制限の規定によらない搬出制限を、家伝法に基づく制限の規定によらない搬出制限を余儀なくされて損害があった鶏卵業者、ブロイラー業者に対する補償について、法改正を検討しているのか、明確にお答えをお願いします。

中川政府参考人 私の方から、まず冒頭の、通報をきちっと担保するための措置について、今考えていることをお話し申し上げたいというふうに思います。

 今回、きょう付で各都道府県に通知を発出いたしますけれども、現行の家畜伝染病予防法の第五十二条におきまして、報告を徴求することができることになっております。具体的には、毎週一回、各養鶏業者の方々から県の方に、自分のところでは何羽飼っていて、そのうち、この一週間で何羽死んだということをきちっと報告をしていただく。そういうことによりまして、変化があればすぐ察知もできますし、また、そういった報告をきちっと義務としてやっていただくということによりまして、それぞれの養鶏業者の方々も自分のところの鶏の健康状態等について注意を払い、しかもまた、虚偽の報告をしたり、あるいは報告をしなかった場合には一定の罰則もつくという形で、きちっとした報告を担保したいというふうに思っているところでございます。

亀井国務大臣 補償の問題等々につきましては、やはりこの京都の三例目、養鶏場から京都府への通報がなかったこと、これが重大な問題になっておるわけであります。そういう面で、蔓延防止、これに万全を期すためには、養鶏業者が迅速に通報することが極めて重要である。そのためには、通報しても当該地域の関係業者が大きな損失をこうむらない、こういうふうにすることが必要であるわけであります。

 この点からも、蔓延防止の徹底を図る観点から、補償の問題等々につきましては制度化する、こういう面で十分検討してまいりたい、このように思っています。

高橋委員 関連して、総務大臣に伺います。

 党として、山口県の発生以来、申し入れあるいは質疑などで繰り返し求めてきたことでありますが、自治体が独自に取り組む補償などに対し特別交付税などの財政措置をするべきと思いますが、見解を伺いたいと思います。

麻生国務大臣 基本的には、この鳥インフルエンザというものは、これは家畜の法定伝染病ということになろうと思いますので、農林水産省において総合的に対策されるべきというのがまず第一だと思うんですね。そこのところは、いきなり最初に交付税だなんて言われると、その前にやるべきことをしておいていただかないといかぬところなので、それをした上での話ですから。

 その上で、例えば、今こういった事態になって、防護服やら何やらには補正がつかなかったり、いろいろ予算がつかなかったりしているのも事実なので、こういった事態に合わせていろいろ対策をされるんだと思いますが、そういったところで、どうしても足りないというようなところが出てくるということになった場合は、その段階において考えるべきものは出てくるであろうと思いますが、まだ何もしていない段階から、今のうちから、保証いたしますと簡単にはちょっとなかなか言えないところだと思いますけれども、迷惑をこうむっているという事実は間違いないと思っておりますので、こういった分には、財政運営に支障が生じないように対応はきちんといたしたいと思っております。

高橋委員 この特別交付税の問題については、新聞各紙がかなり詳しく、額まで含めて報道しているんですね。そうすると、現地は、もう来るものかなと期待をしておる。しかし、今の答弁では、まだまだはっきりしないということでありますね。

 ただ、大臣が今お話ししたように、防護服やら何やら、自治体は、足らないと、かかるものが大変だと、本当にそうなんですね。二十四時間態勢でやっているから人件費も何とかしてくれよという声さえ上がっている。やはり最先端の現場はそれほど大変だし、しかし、だれの責任かということをいったら、間違いなく自治体のせいではないし、今回の確信犯的なのとは別に、周辺農家の人たちは何の罪もないわけですね。ですから、やはりそこに対して自治体が基本的に最低限補償しようというのに対しては積極的にこたえていくというお答えを、もう一度お願いしたいと思います。

麻生国務大臣 積極的におこたえするというほどのことはないんですが、余り積極的にこたえたくないというぐらいなところなんですが。

 ただ、現実問題としては、この種の話というのは、今まで余り想定をされていなかった前提での話になっておりますので、期待してたとか予想していたという範疇を超えている部分でもあろうと思いますので、その意味では、地方自治体というのが、いきなり、なぜおれのところにとか、おれの町でとかいうことになっておられるというのは事実ですし、事実、その点が行政運営上支障を来すということに、三十キロ範囲というのは結構広いことになりますので、そういった点において支障が出るということは、これは断固避けにゃいかぬところだと思いますので、そういったところにつきましては対処をいたしたいと思っております。

 それが直ちに特別交付税を意味するというぐあいに、余り早とちりだけはなさらぬようにお願い申し上げます。

高橋委員 強く要望して、お願いをしておきたいと思います。

 次に、風評被害の問題なんですけれども、これは実は、大分で具体的に業者の方から出された問題なんです。

 大手のスーパーが、卵は毎週幾ら幾らという最初から契約をしているものだから、その契約どおりの卵の数を出せない業者に対しては、いわゆる対価補償、その分のお金を補償するということを求められて、自粛はさせられるわスーパーからは補償を求められるで、踏んだりけったりだというお話がありました。あるいは、九重町でしたけれども、その九重町から出荷するものは何でもだめだと言わんばかりに、トルコキキョウ、お花ですね、お花でさえも拒否する、そういう極端な被害が出ておりました。

 大手のスーパーが、こうした弱みにつけ込んで業者に不当な要求をすることはあってはならないと思います。調査と指導をするべきだと思いますが、この点での見解を伺います。

白須政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、風評被害、あってはならないというふうに私どもも考えております。

 そこで、山口県での発生以来、地方農政局あるいは農政事務所を通じまして、鶏肉あるいは鶏卵の取扱店舗、これを巡回いたしまして、まず一つには、不適切な表示を行わないように個別指導、これを実施しているわけでございます。例えば、大分県での発生に対しましては、九州農政局管内で約三千の店舗を巡回いたしまして、個別指導を実施したところでございます。

 また、今委員御指摘のとおり、これまでの大手の量販店、これを巡回しておりました際に、当該発生した県産の鶏肉あるいは鶏卵というものを取り扱わないというふうな、そういう事例がございまして、それを他県産に切りかえるとか、そういうふうないわば取引拒否でありますとか、そういった不当な取り扱いといったようなことも散見がされたわけでございます。

 したがいまして、私どもとしましても、インフルエンザが発生をした県産であるということを理由といたしまして、鶏肉あるいは鶏卵の取引拒否といったような、そういう不当な取り扱いを行わないように関係団体に対しまして文書で要請もしておりますし、あるいはまた、農政局に対しましては、こういった事業者に対して不当な取引拒否を行わないように、そういうふうな形で協力要請をするように指示をいたしておるところでございます。

高橋委員 大手のスーパーに指導すると同時に、業者からのそういう生の声なども聞いて、厳しい対応をしてくださるよう要望して、終わります。

笹川委員長 これにて高橋君の質疑は終了いたしました。

 次に、山本喜代宏君。

山本(喜)委員 社民党・市民連合の山本でございます。

 京都の件でございますけれども、養鶏業者の悪質な対応ということで、食肉や卵が全国に流通してしまっているわけでございます。感染も次々に拡大して、広域化している。そして、肉の流通経路の伝達ということについても、各自治体間の対応の不十分さ、連携の不十分さということが明らかになってきているわけでございます。

 こうした事態を踏まえて、社民党は三月二日に鳥インフルエンザ対策本部を設置いたしました。社民党の地方組織に対して、自治体と連携をとりながら防御対策をきちんととっていく、あるいはマニュアルを確認して初動態勢を確立していくということ、さらには養鶏業者や消費者への正しい知識の周知ということについて、今、党としても全国的に取り組んでいるところでございます。

 私は、二月の二十六日の農林水産委員会で、京都の問題が報道される前の日でございますけれども、山口、大分の事例を検討した結果、感染経路が渡り鳥だとすると、全国どこでも発生する可能性があるのではないか、そのための監視体制あるいは初動の防疫体制が果たして十分なのかどうかということで、山口、大分の例ではマニュアルが徹底されているとは思えないということと、それから自治体間の連携についても国の指導や援助が必要なのではないかということを質問してきたわけでございます。

 それに対する答弁は、マニュアルは周知徹底を図っている、県と県との協力関係についてもマニュアルに従って行っているという答弁だったわけでございます。

 ところが、その後の事態は心配していたとおりの展開になっているのではないか、あのときの政府の答弁は一体何だったのかということであります。

 したがいまして、ここまで被害が拡大をしてきているということに対する国の責任についてどう考えておられるのか、お伺いします。

亀井国務大臣 お答えいたします。

 我が省としては、近年、いわゆる香港等アジアにおきます周辺諸国で高病原性鳥インフルエンザの発生が見られる中で、昨年九月に防疫マニュアルを策定し、そして、国内七十九年ぶりの発生ということで、山口、大分につきましては、防疫マニュアルに従いまして、養鶏業者やあるいは関係県と的確に対応した態勢をとってきたわけでありまして、あの二県につきましては終息をすることができたわけでありますが、今回の場合、京都府におきますあの業者が、通報がおくれた、こういうことで今日のような結果になっておるわけでありまして、精いっぱいいろいろの連携、都道府県との連携もしてきたつもりでございます。

 しかし、あのような初動態勢のおくれ、こういうことがこういう現状になっておるわけでありまして、さらに、早期発見、早期通報、そして通報義務の明確化、あるいは立入検査の積極的な活用であるとか、行政の連携、一元的に情報を整理する、あるいは地方農政局の活用、移動制限命令に伴う問題の対処等、蔓延防止にこれを契機にさらに努力をしてまいりたい、こう思っております。

山本(喜)委員 ここまで来たならば、やはり、これ以上感染をさせないというための政府の徹底した蔓延防止のための対策、あるいは感染の経路の解明ということが極めて重要になっていると思います。そうした政府の対応の徹底ということを求めて、私の質問を終わります。

笹川委員長 これにて山本君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして一般的質疑は終了いたしました。

 次回は、明五日午前九時から委員会を開会し、締めくくり質疑を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十二分散会


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