衆議院

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第8号 平成18年2月9日(木曜日)

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平成十八年二月九日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 大島 理森君

   理事 金子 一義君 理事 田中 和徳君

   理事 玉沢徳一郎君 理事 松岡 利勝君

   理事 茂木 敏充君 理事 森  英介君

   理事 細川 律夫君 理事 松野 頼久君

   理事 上田  勇君

      井上 喜一君    伊吹 文明君

      臼井日出男君    尾身 幸次君

      大野 功統君    奥野 信亮君

      河井 克行君    北村 茂男君

      斉藤斗志二君    清水清一朗君

      実川 幸夫君    菅原 一秀君

      園田 博之君    高市 早苗君

      土屋 正忠君    渡海紀三朗君

      中山 成彬君    西銘恒三郎君

      根本  匠君    広津 素子君

      福田 峰之君    藤井 勇治君

      二田 孝治君    松本 洋平君

      三原 朝彦君    山本 公一君

      山本 幸三君    山本 有二君

      小川 淳也君    大串 博志君

      岡田 克也君    近藤 洋介君

      笹木 竜三君    神風 英男君

      津村 啓介君    長島 昭久君

      原口 一博君    伴野  豊君

      古川 元久君    馬淵 澄夫君

      松木 謙公君    松本 大輔君

      坂口  力君    谷口 和史君

      谷口 隆義君    佐々木憲昭君

      阿部 知子君    糸川 正晃君

      徳田  毅君

    …………………………………

   総務大臣         竹中 平蔵君

   法務大臣         杉浦 正健君

   財務大臣         谷垣 禎一君

   文部科学大臣       小坂 憲次君

   厚生労働大臣       川崎 二郎君

   農林水産大臣       中川 昭一君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     安倍 晋三君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      額賀福志郎君

   国務大臣

   (金融担当)       与謝野 馨君

   防衛庁副長官       木村 太郎君

   法務副大臣        河野 太郎君

   財務副大臣        竹本 直一君

   経済産業副大臣      西野あきら君

   防衛庁長官政務官     高木  毅君

   法務大臣政務官      三ッ林隆志君

   財務大臣政務官      西田  猛君

   農林水産大臣政務官    金子 恭之君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    山崎信之郎君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    北原 巖男君

   政府参考人

   (金融庁証券取引等監視委員会事務局長)      長尾 和彦君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    寺田 逸郎君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    大林  宏君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月九日

 辞任         補欠選任

  亀井 善之君     福田 峰之君

  河井 克行君     西銘恒三郎君

  河村 建夫君     松本 洋平君

  斉藤斗志二君     広津 素子君

  笹川  堯君     藤井 勇治君

  野田  毅君     菅原 一秀君

  町村 信孝君     北村 茂男君

  山本 幸三君     土屋 正忠君

  加藤 公一君     近藤 洋介君

  高山 智司君     松本 大輔君

  原口 一博君     松木 謙公君

  馬淵 澄夫君     長島 昭久君

  坂口  力君     谷口 隆義君

  桝屋 敬悟君     谷口 和史君

同日

 辞任         補欠選任

  北村 茂男君     町村 信孝君

  菅原 一秀君     清水清一朗君

  土屋 正忠君     山本 幸三君

  西銘恒三郎君     河井 克行君

  広津 素子君     斉藤斗志二君

  福田 峰之君     亀井 善之君

  藤井 勇治君     笹川  堯君

  松本 洋平君     河村 建夫君

  近藤 洋介君     加藤 公一君

  長島 昭久君     馬淵 澄夫君

  松木 謙公君     原口 一博君

  松本 大輔君     神風 英男君

  谷口 和史君     桝屋 敬悟君

  谷口 隆義君     坂口  力君

同日

 辞任         補欠選任

  清水清一朗君     野田  毅君

  神風 英男君     津村 啓介君

同日

 辞任         補欠選任

  津村 啓介君     高山 智司君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 平成十八年度一般会計予算

 平成十八年度特別会計予算

 平成十八年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

大島委員長 これより会議を開きます。

 平成十八年度一般会計予算、平成十八年度特別会計予算、平成十八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般的質疑に入ります。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、参考人として食品安全委員会委員長寺田雅昭君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人として防衛庁防衛局長大古和雄君、防衛庁運用局長山崎信之郎君、防衛施設庁長官北原巖男君、金融庁総務企画局総括審議官中江公人君、金融庁証券取引等監視委員会事務局長長尾和彦君、法務省民事局長寺田逸郎君、法務省刑事局長大林宏君、外務省北米局長河相周夫君、厚生労働省医薬食品局食品安全部長松本義幸君、農林水産省消費・安全局長中川坦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

大島委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西銘恒三郎君。

西銘委員 おはようございます。自由民主党の西銘恒三郎でございます。

 本日は、安全保障をテーマに一般質疑を行いたいと思います。

 我が国の最西端に与那国島がございます。台湾から百十キロ、お隣の石垣島までは百二十キロ、東京からは約二千キロ離れた小さな島でございます。人口は一千七百名おりますけれども、そこの島の町長さんから、外務委員会で視察に行くたびに、我が与那国島の東側には防空識別圏がかかっている、我が国は祖国復帰をして独立をしたけれども、この島の上に防空識別圏があるということはおかしいではないかということを私たちは再三言われておりました。そこで、町長さんも一緒に、前の防衛庁長官、大野長官にも要請をしたわけでありますが、なかなか解決には至らない。

 そういう中で、さきの町長さんは病気で亡くなられてしまいました。私は、どうしてもこの思いが胸にひっかかりまして、新しく誕生した与那国の外間町長を伴いまして、去年の暮れに台湾の総統府を訪ねました。

 国家安全会議のメンバーと、隣の与那国島にはこういう問題がある、きょうはあなた方と協議をしに来たわけではない、こういう問題があるということだけの話に参ったということで話をしましたら、お手元に資料がありますけれども、資料の一枚目、この資料を示しまして、台湾側の認識といたしましては、この防空識別圏、ADIZがちょうど与那国島の十二海里のところから、領海十二海里、約二十二キロでしょうか、左側にカーブをして、島を避けるような形でADIZが引かれております。そして、南の方で十二海里戻ったところで直線になっている。二枚目の資料をごらんいただきますと、ちょうど右側に拡大された与那国島があります。この円は十二海里の領海の円でありますけれども、防空識別圏はこの島の東側を縦断しております。

 台湾に行って私は驚いたのでありますが、台湾側は、与那国島を避けるような形でADIZがあるという説明でございました。我が国の認識は、委員会等で答弁がされておりますが、与那国島の東側を縦断するような形で認識が示されております。

 そこで、防衛庁長官に伺いますが、この防空識別圏の台湾側と我が国の違いを含めまして、額賀防衛庁長官の御認識をお伺いしたいと思います。

額賀国務大臣 西銘先生には、沖縄で安全保障問題について御理解をいただいておりまして、心から御礼を申し上げる次第であります。

 今御指摘の与那国島の防空識別圏についてでございますけれども、台湾側の認識につきましては、現在、御指摘のあった点について外務省で確認をしてもらっているところであります。私も初めて聞いたものですから、今確認を急いでいるところであります。

 我が国の防空識別圏につきましては、委員が御指摘のとおり、与那国島を南北に縦断することになっていることは事実でございます。航空自衛隊においては、与那国島上空の領空において、防空識別圏外の空域も含めまして、対領空侵犯措置を適切に行っているのが実態でございまして、与那国島の皆さん方、周辺の皆さん方には安心してもらって結構であるというふうに思っております。

 今御指摘の与那国島及び周辺の地域の防空識別圏についての見直しに関しましては、台湾との関係もありますし、そういうことをよく考慮しながら検討をしていきたいというふうに思っております。

西銘委員 この総統府の場面には交流協会の職員もおられましたので、こういう台湾側と我が国の認識が違っているという点がはっきりいたしましたので、どうぞ、額賀防衛庁長官におかれましては、ぜひこれを検証され、また、防空識別圏が防衛庁長官の訓令で変更ができるやにも伺っております。外務委員会が同じ時期に南西諸島、石垣の方を訪問した折にも同じような問題点が出ておりますので、ぜひとも御検証されて、検討いただきたいと思います。

 それでは、台湾海峡の安全保障についてお伺いをしたいと思います。

 私は、台湾海峡の安全保障は我が国のエネルギーの生命線につながるものと認識をしております。米国のゼーリック国務副長官は、台湾のGDPは過去十年間成長し続けているけれども、国防予算は絶対値、相対値、減少している、その一方、中国は十七年連続で二けた台の軍事予算の伸びを示している、台湾はみずからの防衛を考えるべきであるというような見解、指摘をしております。

 中国の平和的台頭は著しいものがあります。いたずらに脅威をあおる気も毛頭ありません。冷静な気持ちで、この中国と台湾の軍事バランスについて、そのままの状態でいくと軍事バランスが崩れるということは、ある意味、安全保障環境が緊張関係に入ってまいります。額賀防衛庁長官の台湾と中国の軍事バランスについての御見解をお伺いします。

額賀国務大臣 西銘委員の状況認識については共有するところがあります。

 中台間の軍事力の比較についての一般的な特徴としては、いろいろな指摘がありますけれども、まず、陸上戦力については、中国が圧倒的な兵力を有しているというふうに思っておりますし、台湾本島への着上陸侵攻能力は、しかしながら、限定的ではないかというふうに考えます。また、海上、航空戦力については、中国が量的には圧倒的に強いと思っておりますが、質的にはどうかというと、台湾にもすぐれたものがあるというふうに思っております。また、ミサイル戦力については、中国は台湾を射程におさめる短距離弾道ミサイルを保有しているというふうに思っております。

 いずれにせよ、軍事能力の比較、兵力、装備の性能や量だけではなく、運用体制、要員の練度、後方支援体制など、さまざまな要素から軍事能力の比較というものは判断されるべきものと思っております。そういう観点から申し上げますと、中国の軍事力の近代化は急速に進んでおり、近い将来にも中台の軍事バランスにおける台湾の質的優位に大きな変化を生じさせる可能性はあるというふうに思っております。

 中台問題については、我々のスタンスというのは、もう御承知のとおり、平和的に解決されることを望んでいるということでございます。

西銘委員 2プラス2の共通戦略目標の中で、台湾問題の平和的な解決ということが明記をされました。その影響もあってか、台湾側の国会議員を含め外交部は、非常に好感を持ってといいますか、米国が有事の場合には行動を起こす、そうしますと、日米安保条約の中で我が国も判断を迫られる、こういう事態になるわけでありますが、台湾の国会議員と安全保障の話をしておりましても、中国大陸の側にミサイル配備が毎年百基ずつふえているということに非常な危機感を募らせております。毎年百基ずつ、私が話をしておったころは五百基ぐらい配備されているという話でありましたが、現状はどうなのか、防衛庁長官の認識を伺います。

 あわせまして、東シナ海から太平洋に至るこの海域で、東シナ海のガス油田の開発も我が国との間ではいささか問題が長引いておりますけれども、海洋調査船や原子力潜水艦、石垣島と多良間島の領海を原子力潜水艦が通過したのも現実に起こっておりますし、あるいは尖閣諸島の上陸問題等も起こっております。こういうような観点から、海洋調査船や原子力潜水艦の動向を踏まえて、東シナ海、太平洋海域、中国の総合的な軍事力の動向についての御見解もあわせてお伺いしたいと思います。

額賀国務大臣 今の御指摘につきましては、端的に説明をしている報告書があります。それは、米国国防総省において中国の軍事力に関する報告書というのが昨年の夏に行われたわけでありますが、その中に、中国の短距離弾道ミサイルの総数は六百五十基から七百三十基であり、毎年七十五基から百二十基のペースで増加をしているというふうに書かれております。

 そういうことから考えましても、中国は、米国本土を射程におさめる大陸間弾道弾ミサイル、ICBM、それから我が国を含むアジア諸国を射程におさめる中距離弾道弾ミサイル、それから台湾対岸に配備される短距離弾道ミサイル、潜水艦発射型弾道ミサイル、そういうものを保有しているものと思っております。最近においては、台湾対岸におけるミサイルの配備が増加しているとか、能力向上のために精力的に努力をしているというような情報もあるわけであります。

 一方、今、もう一つの東シナ海における中国の最近の諸活動について御指摘があったわけでございますけれども、最近、東シナ海を含め我が国の近海において、何らかの訓練と思われる活動あるいは情報収集活動、あるいは海洋調査活動と思われる行動が頻繁に見られるわけであります。一昨年、中国の原子力潜水艦が我が国の領海内を潜没航行したことは記憶に新しいことであります。そして、我が国は同潜水艦に対して海上警備行動を発令して対処したことは、もう国民の皆さん方もよく承知していることでございます。

 一般論として申し上げれば、そういう海洋調査によりまして情報収集あるいは蓄積された海洋データというものは、軍事目的を含めてさまざまな形で利用ができるものと私は考えております。

 防衛庁としては、今後どういう対応をしていくかということでございますけれども、防衛大綱においては、周辺海空域において、常続的に、常時監視体制を行っている、それから、「周辺海域における武装工作船、領海内で潜没航行する外国潜水艦等に適切に対処する。」ことを明記しているわけでございます。事態が発生した場合には、政府一体として取り組み、迅速に適切に対応していきたいというふうに思っております。

 今後とも、防衛庁だけではなく関係機関と緻密な連絡をとりながら、この地域の状況について関心を持っていきたいというふうに思っております。

西銘委員 このような北東アジアの安全保障環境の中で、世界的な規模で米軍再編が行われているわけでありますが、私は、額賀長官が就任以来、米軍再編に絡む全国各地域を防衛庁を挙げて手分けをしながら説明に回っている姿を高く評価いたします。

 地元は、なかなか県民感情、住民感情があって、すんなりといくものではないのでありますが、私は、米軍再編の象徴的な普天間の飛行場の問題、私たちは自民党員として、この普天間の市街地のど真ん中にある飛行場を何とか動かしたい、動かしたいという思いで、過去に、振り返ってみますと、県知事選挙二回、比嘉鉄也市長がやめられた後の岸本市長の選挙二回、そして今般の名護市長選挙三回と戦ってきております。なかなか前には進めない状況がありますけれども、地元沖縄側からしますと、平成十四年の七月に決定されたいわゆる現行案から、昨年十月の共同文書の中で沿岸案なるものが示されておりますが、なぜこれまでの現行案がだめなのか、長官、わかりやすく御説明をいただきたいと思います。

額賀国務大臣 もう西銘先生御存じのとおり、これは平成八年に、橋本・モンデール会談で普天間を全面返還するという日米間で約束をいたしました。さまざまな地域選定、それから、どういうやり方で代替地を、代替施設をつくるかという議論をしたわけでありますけれども、当初は、フロート、浮体的な施設をつくって撤去可能な施設をつくろうということでありましたけれども、沖縄県を中心とする地元の皆さん方の御要望を踏まえて、これを埋め立てにして軍民共用化をするということに相なったわけであります。それが平成十四年でございます。先生の御指摘のとおりであります。

 その後、我々は、環境調査、工事を進捗させるためにいろいろと具体的な作業に入ったのでありますけれども、今日まで全くボーリング調査もできないという状況でありました。そういう中で、一昨年、あのヘリの墜落事故がありまして、しかもなおかつ、市街地のど真ん中で墜落事故が起こったものですから、場合によっては、市民を巻き込む大惨事になりかねないということでございました。当時、米国のラムズフェルド長官は、こんなところで訓練をしていたのかということの、あきれ返った印象を語っていたわけでございます。私も、この問題は放置できない、一日でも早く普天間の返還をし、代替施設をつくらなければならないという思いでございました。

 そして、実態的に、そこで今後も第一次SACO、SACOの当初案で建設していくと、これから三年余りの環境調査が要る、と同時に、建設工事に入っても九・五年かかる、つまり、完成させるまでに十数年間の年月を要するということでございました。十数年間もこのまま放置はできない、だから、一日でも早く問題を解消していくためにはどうしたらいいのかということを考えた結果、議論をして、今日、日米間で合意をした、キャンプ・シュワブの陸上を活用した、海を埋め立てる案と合わせたキャンプ・シュワブ案の沿岸案というものが、今、日米間で合意をし、地元の皆さん方に御理解を得ているものと思っております。

 これは、普天間の全面返還と一日も早い工事が数年でできるということで、SACO案の当初の考え方と合意をするものと思っておりますし、沖縄の県民の皆さん方の御理解を得て、一日も早く普天間の全面返還と代替施設の建設が完成することが、一番、国家のためにも沖縄県民のためにもプラスになるのではないかというふうに思っているところであります。

西銘委員 今般の中間報告の中に盛られました案の中には、海兵隊員の七千名の移転の計画等も出ております。その点は県知事も、評価に値するのではないかとコメントが出ておりますが、今現在、この中間報告の沿岸案につきましては、去る名護市長選挙、三名の候補者が出ておりますけれども、この三名ともすべて沿岸案には反対。その中で、当選をした島袋市長は、政府が修正も含めて何か話があれば聞く耳は持つというような形で選挙戦を戦い、当選をし、昨日就任をし、本日は上京しております。

 この沿岸案でございますけれども、まず具体的に、沿岸案の中で大浦湾側の埋立地があります。前の岸本市長は、そこに那覇の軍港が移されてくることがあるのかと大変心配をしておられました。非常に具体的な点ではありますが、額賀長官の見解を伺います。

額賀国務大臣 大浦湾の方の埋立地は、海兵隊の施設、それから航空の格納庫とか整備地域であるとか、そういう関連施設がつくられることになっております。それから、油の供給のための桟橋をつくる予定でもありますが、那覇軍港にかわるものをつくることは毛頭考えておりません。

西銘委員 去る二月の三日、四日で、地元の名護市の方で説明が持たれております。この説明につきまして、二月の四日付で岸本市長のコメントが出ております。岸本市長、選挙戦から体調不良の中で、本当に力を振り絞って選挙戦を戦い抜いた方であります。この岸本市長のコメントを読みますと、名護市としては今後、沿岸案を前提とした政府との個別協議に応じる考えはないと。この問題については、現行案を決定したプロセス同様に、いま一度原点に返って、話し合いの場といいますか何らかの協議会をつくって、急がば回れ方式の提案をしているのかなと、私はこの岸本市長のコメントを読み取っております。

 島袋市長にもそのままその姿勢が受け継がれていくものと考えておりますけれども、額賀防衛庁長官、国家の根幹にかかわる安全保障の問題ですから、あるいは米国と約束という重みはあるかもしれませんが、事をなし遂げるには、強い意思とどうしても地元の理解がなければ、私は物事はうまくいかないと思っております。

 そういう意味では、強固な意思とともに、耳を大きくして、地元との協議の場をつくる必要があるのではないか、私は、この岸本市長のコメントを見るにつけ、こういうことを力を振り絞って示唆しているのではないかと考えております。

 額賀長官、協議会のような場をつくるお考えはありませんか。

額賀国務大臣 岸本市長のコメントも見させていただいております。

 まずその前に、この前の名護市長選におきましては、岸本市長、前の比嘉市長、そしてまた議会の皆さん、国会の先生方、総力を振り絞って、我が党が推薦する市長さんが誕生したことは、まことにありがたいというふうに思っております。

 そういう中で、先般我々が名護市長さんを初め県の皆さん方に御説明申し上げましたのは、キャンプ・シュワブ沿岸案の中で米軍のヘリがどういう場周飛行ルートをたどるのかということについて、米国のパイロットと日本のパイロット、専門家同士で話し合った結果、一定の合意点ができたので、我々は、逐一地元の皆さん方に御報告するということが大事であるということで、その場周飛行ルートについて御説明を申し上げました。

 その場周飛行ルートは、ほとんど海側で飛行ルートになっておりまして、沿岸部には全くかかっておりません。したがって、騒音の問題も、米軍基地内にはいろいろと七十五以上のところがありますけれども、住民地域にはかかっていない、そういうことについて御説明を申し上げたところであります。今後とも、誠意を持って御説明を申し上げたいというふうに思っております。

 今後、既に新しい島袋市長さんが誕生しておりますけれども、私も、市長さんや議会の皆さん方、地元の住民の皆さん方とよく話し合って、そして理解を得るために最大限の努力をする、そういう中で結論を得たいというふうに思っております。

西銘委員 額賀長官、前回の現行案に至る過程を見ておりますと、代替施設協議会が設置をされております、それが今現在生きているのかどうかは定かではありませんけれども。米軍再編閣僚会議はできております。地元との協議会をぜひともつくるべきだと私は考えますが、額賀長官、いま一度この協議会についてのお考えをお聞かせください。

額賀国務大臣 この米軍再編問題に伴う日本の基地の問題について、今御指摘のように、関係閣僚会議を開かせていただいております。この問題については、基地のある各県の皆さん、市町村長さんの理解あるいはまた要望等々も得ていかなければなりません。一定の方向づけがなされた時点で、地元の県知事さんや市町村長さんが入るような形の協議会をつくって、そして全体的な推進を図っていかなければならないというふうに思っております。

西銘委員 長官、一日も早くこの協議会をつくることが、私は、物事が実現する遠回りのようで近道のような感じを強く持っております。いま一度、つくるという形での御答弁をお願いしたいと思います。

額賀国務大臣 これは総合的な形で推進をしていかなければなりませんから、協議会をつくって、地元の皆さん方の理解を得る形をつくります。それは西銘先生の御指摘のとおりやりますので、西銘先生の御協力もいただきたいというふうに思います。

西銘委員 ありがとうございます。

 私たちも、この原点は、どうしても市街地のど真ん中にある普天間を動かしたいという一念でここ数年来ずっと取り組んでまいりました。必ず、我が国の安全保障の根幹にかかわる米軍再編を成功に導きたいと考えております。

 最後に一点でありますけれども、エネルギーの安全保障の観点から、ことしの一月にブラジル訪問をいたしまして、外務大臣や国会議員と会談をする機会がありました。日本でエタノールを長期的に輸入をできれば安定供給ができるというお話がありましたが、我が国のエタノールの実証実験、あるいは将来への取り組み、そして世界のバイオエタノールの燃料の動向等について御説明をお願いしたいと思います。

西野副大臣 お答えをいたします。

 バイオエタノールにつきましては、世界の数カ国で既に利用されておるところであります。

 具体的に申し上げますと、米国におきましては一〇%バイオエタノールをガソリンに混入をいたしまして使用いたしておりますし、また一部の州、例えばハワイ州とかミネソタ州でありますけれども、こういうところではむしろこれを義務化しておる、こういう州もあります。中には、ある州ですが、バイオエタノールを八五%に耐える、そのような車を既に販売しているそういう州もあるわけであります。

 また、ブラジルでは、御案内だと思いますが、二五%エタノールを混入することをむしろ義務化しておるというのが実態でございます。さらに、中国とかスウェーデン等においてもそのような形で利用がされておるように聞いております。

 また、フランス、スペインにおきましては、いわゆるETBEでございますが、これは、エタノールを原料としまして、そこから非常に効率のいい形のガソリンに混入したものを、一種の添加剤でありますけれども、使用しておる、こういう状況にあります。

 それらに比べまして、我が国は、供給と需要の関係で、必ずしもそこまではいっておりません。しかし、今西銘先生がお示しのとおり、例えば北海道の十勝におきましてはトウモロコシから原料にし、さらには山形県の新庄市等におきましてはコウリャンを使い……

大島委員長 短目に。

西野副大臣 あるいは、大阪あるいは岡山におきましては廃材を利用してそういうものを混入している。さらには、先生の地元の地域におきましては、宮古島等でございますが、サトウキビを通じて混入をしたエタノールを実証事業として、今三%程度でございますが、展開をしておるところでございまして、さらに経産省といたしましても各省庁とも連携をしてこれの導入について積極的に推進をしていきたい、このように考えております。

 以上です。

西銘委員 ありがとうございました。

大島委員長 これにて西銘君の質疑は終了いたしました。

 次に、菅原一秀君。

菅原委員 自由民主党の菅原一秀でございます。

 連日、長時間にわたります御審議、まことに御苦労さまでございます。大島委員長のめり張りのきいた采配ぶりに、心からねぎらいの意を表したいと思います。当然、総理初め政府の皆様も同様でございます。

 まず初めに、党の幹事長室の一員として、ここで申し上げておかなければならないことがございます。それは、去る一月二十九日にNHKで放映されました「日曜討論」における民主党の鳩山幹事長の発言でございます。

 ライブドア問題の話題になった際に、鳩山幹事長は、投資事業組合が影の部分であり、ここを舞台にしていろいろなことが行われているのでは、そして、その中にどうも自民党の議員の影がちらほらしていると発言しております。さらには、見えないところで巨額の富を得て、そうなったらインサイダーの話でもありますと、具体的に不正行為があったかのような、それをまたほのめかすような発言をしております。

 私ども自由民主党は、公共放送において、公党の幹事長ともいうべき要職にある方から、世上を騒がしている事件に対して我が党議員の関与疑惑が指摘されたことを重大に受けとめておりまして、我が党としても、国民に対する公党としての責任を果たすべく、しっかりとした対応を行わなければならないという認識から、去る二月二日、逢沢一郎幹事長代理名で、民主党の鳩山幹事長に対し、そのNHKの番組における発言について、発言の根拠並びに具体的な情報について明らかにしていただきたいといった公開質問状を提出したところでございます。

 その後、二月三日、そして私どもが再質問状を出し二月七日と、鳩山幹事長からは二度の御回答がございましたが、それによりますと、私の発言は、党に種々の情報が寄せられており、その中には政治家の関与に関する情報もあって、党として調査、精査中であるという事実を申し上げたんだという旨の、二回とも全く同じ趣旨の回答でございました。

 さらに、週刊新潮の二月九日号に、鳩山幹事長に取材した記者によると、この件で裏はとれていないよと漏らしていたという記事も載っておりまして、もし、うわさのレベルで未確認の情報を公共の電波上で口にしたとすれば看過できない大変大きな問題でありまして、政治的風説の流布と言っても過言ではない、こう思っております。そこで、私どもは、昨日、三回目の公開質問状を鳩山幹事長あてに出したところでございます。

 中国の漢書の中で、綸言汗のごとしという言葉がございます。一たび体内から出た汗は二度と人間の体の中に戻らないという言葉でございますが、これは、その昔から、一たび発せられた指導者の言葉というものは非常に重いものがあって、そしてまた責任があるということでございます。この鳩山幹事長発言はまさに我が党の名誉にかかわることであり、一刻も早い、かつ明確な裏づけのある回答を要請していることをお伝え申し上げまして、質問に入りたいと思います。

 きょうは、政治家のコンプライアンスということについて質問をしてまいります。

 まず、今回のライブドア事件、これは、私ども国政に携わる者にとって大きく二つのテーマを投げかけたことだと考えております。

 一つには、昨今言われる虚業やITバブルといったものに政治がどう向き合っていくのかということであります。IT企業家や投資、株といったものが日本経済の新しい活力として台頭してきたことは、今の自由経済の流れや、民間活力に力点を置いてきた、いわば小泉政権の方針からすれば大変喜ばしいことであります。

 しかし、考えてみるに、法律の整備はどうであったのか、霞が関はどうかかわっていくべきか、政治家個人がどうかかわっていくのか、あるいは政策的にどうかかわっていくのか。そこの部分の政治的な研究が、経済や金融のスピードにやや追いついておらなかったというような分析もできると私は思っております。

 今回の事件では、徹底した捜査のメスによって問題点やうみを出し切ってもらって、虚業やITバブルといったものと政治がどう向き合っていくのか、そしてそれを糧として、真の実業とIT産業の基盤の整備を進めていくことが、我々政権与党に課せられた最も大きな責任だというふうに考えております。

 二番目は、民主党が盛んに言っておられる選挙応援についての自民党への批判のことでありますが、我々は、反省すべきは反省し、戒めながら、また新たなスタートをしてまいりたい、こう考えております。

 しかし、いろいろな分野の人を、政治を志す人たちに門戸を開くということは極めて大切であり、これからもこのことは進めていかなければならない。あわせて、ただし、実際にこうした候補を選んでいくときに、党自身が、その人の政治信条や理念など、これまで以上に真剣に徹底してあらゆる角度から検証し、かつ、例えばひらめきだとか大胆な発想だとか、こういったことも忘れずに吟味をしていく、こういう選び方が大事なんだな、こんなふうに考えております。

 そして、ここで私はあえて申し上げたいと思います。このところ盛んに自民党を責める民主党自身はどうなのか。

 このパネル、お手元に今から配付をいたします……(発言する者あり)今から質問いたしますので。お手元の資料、資料を配ってください。(発言する者あり)

大島委員長 質問者、どんどん質問してください。

菅原委員 はい。

 これは、先週の二月三日の新聞等をもとにつくった一覧であります。

 私は、平成十五年十一月に初当選し、二年三カ月がたちましたが、このたった二年間で、ごらんのとおり、民主党国会議員だけで何と十件の刑事事犯が発生し、逮捕、議員辞職が何と九件、書類送致一件となっております。(発言する者あり)

大島委員長 菅原君、早く質問をしなさい。

菅原委員 これは、いわば憲政史上例がなかったことでありまして、こうした候補者たちを民主党はどのような判断基準で選んだのか。自民党を責める前に、民主党もまた、政治の現場に送り出す候補をどうやって……(発言する者あり)

大島委員長 菅原君、早く質問に入ってください。

菅原委員 責任を持って選んでいくのか、その責任が同時に問われているのではないでしょうか。

 国会議員は、国会という国権の最高機関であり、国唯一の立法機関である場に身を置く者として、法令の遵守を極めて強く……

大島委員長 菅原君に申し上げます。

 早く質問に入りなさい。

菅原委員 間もなく入ります。

 また、選挙という国民の審判を受け、その信託を得て国会に議席を置く以上、極めて重い責任があることを常々自戒しなければならない職業であります。

 それにもかかわらず、国会議員である以前に、社会人としての資質、人間としての常識を根底から覆す犯罪が発生していることは大変ゆゆしきことであります。(発言する者あり)

大島委員長 質問に入りなさい。

菅原委員 はい。

 そこで、平成十七年九月十一日に第四十四回総選挙が行われました。五カ月たったわけでございますが、五カ月で民主党国会議員の刑事事犯が五件起きていることは、お手元の資料のとおりであります。

 ここでお伺いいたします。

 まず、昨年の九月十八日、総選挙が終わって一週間、初登院を三日後に控えて、まさに国じゅうを震撼させたのが、民主党の小林憲司前衆議院議員が覚せい剤取締法違反で現行犯逮捕されたという事件でありました。これは、覚せい剤所持現行犯という、まさに人としてあってはならない反社会的犯罪で、今日、薬物乱用がこれだけ……

大島委員長 質問に入るように。

菅原委員 深刻な社会問題になっている中で、直前まで国会に議席を置いていた人物が逮捕されるという前代未聞の事件でありましたが、この内容と処分、判決について確認をしておきたいと思います。

大林政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの事件につきましては、平成十七年十二月十六日、名古屋地方裁判所において、同年九月ころ、愛知県日進市内の自宅において覚せい剤を加熱、気化させて吸引する方法で使用するとともに、覚せい剤を所持したという覚せい剤取締法違反の事実により、懲役二年、三年間執行猶予の有罪判決が言い渡され、同判決は確定したものと承知しております。

菅原委員 今御答弁ありましたように、懲役二年、執行猶予三年ということでありますが、報道によりますと、この小林前衆議院議員は、衆議院議員在職中の平成十三年ごろから覚せい剤に手を出し、時には議員会館の自室でも吸引していたというような報道もあって、全くもって国会を冒涜し、かつ、国民を愚弄するものでありました。

 ところが、この執行猶予三年という判決は、国権の最高機関であり、立法府の一員として犯した罪は通常よりも本来重いはずであるにもかかわらず、ややこの判決が甘いという国民の声も寄せられております。

 そもそも覚せい剤に係る犯罪は、覚せい剤の輸出入、譲渡などについては、シンガポール、マレーシアあるいは韓国の最高刑は死刑であります。初犯であっても懲役刑に罰せられるなど、極めて厳しい罰則規定になっております。日本の場合は初犯であってもやや軽目であるというような指摘もある中で、覚せい剤を初めとする薬物乱用による殺人、強盗、大事故につながるケースも多く、時には、町中で何の罪もない人も巻き添えにしてしまう。しかも、再犯率が極めて高く、ひそかに社会をむしばみ、連鎖的波及、すなわち周囲への悪影響が強い、悪性の犯罪であります。

 そこで、法務大臣にお伺いいたします。

 今後、覚せい剤犯罪について、より徹底した対応が必要だと考えますが、法務大臣の御所見をお伺いいたします。(発言する者あり)

杉浦国務大臣 お答えいたします。

 現在、覚せい剤等、薬物乱用問題が極めて重大な状況だということは委員御指摘のとおりでございます。

 現在、刑務所等に収容されている者は七万人おりますけれども、そのうち、薬物関係が二万人、三割ぐらいが薬物犯であります。過剰収容が問題になっておりますが、そういう意味でも大変重要な問題でございます。

 薬物乱用対策は、政府全体として取り組むべき重要な課題であると認識いたしております。この問題につきましては、政府としても全体で取り組んでおるところでございます。

 平成九年には、内閣に、総理を本部長といたします薬物乱用対策推進本部が設けられ、法務大臣は副本部長としてその前進に当たっておるわけであります。平成十五年七月には、薬物乱用防止新五カ年計画が策定されました。四つの目標を決め、薬物乱用の防止や薬物密売組織等の壊滅等、目標を定めまして、政府を挙げて取り組んでおるところでございます。

 今後とも一層努めてまいりたいと思っております。

大島委員長 菅原君、質問はできるだけ明確に、きちっとやりなさい。

菅原委員 力強くまた推進をいただきたい、このように思います。

 次に、昨年十一月に弁護士法違反容疑で、さらに十二月に組織犯罪処罰法違反容疑で逮捕、再逮捕された、当時民主党の衆議院議員の件であります。

 本件は、既に起訴、追起訴され、舞台は公判に移ったわけですが、民主党はこの衆議院議員を除籍処分にしただけで、公認を出した公党としてのけじめは、責任はいつの間にかうやむやになっていると言わざるを得ません。(発言する者あり)これは国民の声でありますから、私は質問させていただいております。

 そこで、改めて、この弁護士法違反と組織犯罪処罰法違反とはいかなる犯罪なのか。国会議員として、かつ弁護士という法の番人の一翼を担う職業を利用しての犯罪は極めて重く、青年時代から熱血弁護士として……(発言する者あり)

大島委員長 御静粛に。

菅原委員 地道に歩んでこられた杉浦法務大臣に、この件について御所見をお伺いしたいと思います。(発言する者あり)

大島委員長 御静粛にお願いします。

杉浦国務大臣 お答えを申し上げます。

 西村真悟議員につきましては、同僚議員として、拉致問題等の先生の政治活動については敬意の念を持っておった立場でございますので、感想を求められても非常に複雑な思いでございますが、中身につきましては……(発言する者あり)

大島委員長 御静粛に。

杉浦国務大臣 現在公判係属中の具体的事件にかかわることでございますのでコメントは差し控えたいと思いますが、法務大臣または弁護士としての感想をということでございますので、あくまで一般論として申し上げさせていただきたいと思います。

 弁護士は、この席にも弁護士の先生はいらっしゃいますが……(発言する者あり)

大島委員長 御静粛に。

杉浦国務大臣 弁護士法によりまして非常に高い規律が求められ、厳しい規制のもとに置かれております。

 西村先生が問擬されている非弁活動と申しますのは、弁護士法で、弁護士以外の者が業として法律事務を取り扱うことは禁止されておりまして、極めて重い刑罰が科せられることとなっております。これは、非弁活動が世間に対して非常に害悪を流してまいっておるということからそのように規定されておることでございます。

 一方、弁護士は弁護士会に登録が強制されておりまして、弁護士会は、自治組織であると同時に弁護士を監督する機能を持っておりまして、その監督に服しておるわけであります。

 弁護士に非行があった場合には、何人も弁護士会に懲戒の申し立てができる。私は弁護士を十五年ほどやっておりまして、弁護士会の会務にも携わっておりますが……(発言する者あり)

大島委員長 御静粛に。

杉浦国務大臣 懲戒申し立ては随分あるわけでございます。その中で、非弁に係る申し立てが結構多いわけであります。

 と申しますのは、弁護士は一人でやっているわけじゃありません。補助者を雇いまして、手伝わせるということをやっておるわけでありまして、私は十五年やっておりましたが、もちろん人も使っておりましたが、事務員を使うこと、仕事に携わることについては細心の注意を払いまして、非弁にならないように努めてまいっております。

 この点は弁護士としてはいわばイロハのイでございまして、西村先生の事件、内容はよくわかりませんが、そういう点が問題にされているとすれば、西村先生がその点について注意をもう少しお払いになるべきだったんじゃないかなという感想は持っております。

菅原委員 法をつくる側も、その番人である側も、それゆえ大変高い倫理性が求められるということでございます。

 視点を変えまして、ここでふと思いますのは、比例で復活当選した人が事件を起こし、逮捕されて起訴されて、国会で所属会派を除籍になっても国会議員としての身分が保たれているということの不思議さであります。本当に、この点、納得できないという国民の声が多い。

 ここで、平成十二年に議員立法によって国会法及び公職選挙法の改正が行われ……(発言する者あり)

大島委員長 御静粛に。

菅原委員 それまで許されていた政党間の移動が制限されましたが、この公職選挙法改正における改正の趣旨と、現行法がどのような内容になっているのか、総務大臣にお伺いいたします。

竹中国務大臣 平成十二年の法改正についてでございます。

 平成十二年の議員立法によります政党間移動の制限に係る公職選挙法等の改正は、提案理由説明におきまして次のように述べられております。「比例代表選出議員が当選後、当該選挙で争った他の政党等に移動することは、有権者の意思に明らかに背くものであることから、これを禁止すること」としたとされているもの、そのように承知しております。

 この公職選挙法の改正内容としましては、まず第一に、衆議院または参議院の比例代表選挙の当選人が、その選挙の期日以降において、登録されていた名簿届け出政党等以外の当該選挙における他の名簿届け出政党等に所属する者となったときは当選を失うこととされているところ、第二に、無所属になった場合、選挙時になかった新たな政党等に所属する場合等は禁止されていない、そのようにされているところでございます。

菅原委員 また、当時、国会法も同様の改正が行われておりますが、国会法第百九条の二の規定によって、比例代表選出議員が選挙で争ったほかの政党に移動した場合には議員の身分を失うこととなっておりますが、無所属の場合には実刑が確定するまではその身分を失わない、あるいは歳費も受け取れるということになっておりまして、このことは、本当に、汗水垂らして、額に汗をして働いている国民からすれば、自分の税金がそういったところに行っているとすれば大変納得できないことでありまして、同様のことが役所であれば懲戒免職になったり、民間企業では解雇されてしまうのが社会通念であります。

 今後、この問題、与野党問わず、国会のコンプライアンスの確立のためにぜひ広く議論していただきたい、このことを提言しておきたいと思います。

 最後に、政党助成金と政党のコンプライアンスについてお伺いいたします。

 昨年、平成十七年には、自民党に百五十七億七千九百五十一万四千円、民主党には百十七億六千五百二十九万八千円の政党助成金が支給されております。

 政党助成法第一条で、その目的として、政党助成金は、政党の政治活動の健全な発達の促進及び公明と公正の確保を図り、もって民主主義の健全な発達に寄与することとしております。そして、その総額は、赤ちゃんから大人まで、国民一人当たり毎年二百五十円という浄財でもっていわば政党を支えてもらっているわけでございまして、当然、この政党助成金を受けている政党は、納税者たる国民の目から見て納得が得られるように襟を正していくことが大切だと思います。そして、この政党助成法における趣旨からして、国会は、今後二度とこのような不祥事が起こらないように心して改革を進めていくことが大事だと思います。

 最後に、以上の議論を踏まえて、これまで、自民党の党改革実行本部長として党のコンプライアンス室を創設するなどリーダーシップを発揮してこられた安倍官房長官に、国民の政治に対する信頼のために何が必要で、どう改革を進めていくのか、お伺いしたいと思います。

安倍国務大臣 菅原委員も大変御苦労いただきました党改革におきまして、党改革のアクションプログラムを取りまとめたわけでありますが、これは、自由民主党を思い切って変えて、そして国民から信頼される政党にしていくという力強い意思を示したものであった、こう思います。その結果、昨年、我が党は多くの国民の皆様から御支持を得ることになったのではないか、このように思うわけでございます。

 政治家は国民から信託を受けるわけであります。常にその重みを自戒することが大切ではないか、一人一人が信頼を積み重ねていくことによって政治への信頼を私たちはつなぎとめていくことができる、このように考えている次第でございまして、我々もしっかりと、かつて菅原先生と一緒にやった党改革、あのときの初心に戻って頑張っていきたい、こう思っているところでございます。

菅原委員 あわせて、最後にもう一問お伺いをいたします。

 お正月の新聞のインタビューで、安倍官房長官が、今日の世情について、これまで日本が物質的な豊かさを追求してきた中で、価値の基準を損か得かに置く考え方が支配している。本来、日本人は、かつて、日本人としての所作が美しいかどうか、それに大変敏感な国民性であった。こういった中で、損得を超える価値の重要性について教えることができる親も教師も最近少なくなってしまっていることを大変憂慮されております。

 この点、教育基本法を含め、教育の改革にもしっかり取り組んでいただきたいと思うわけでございますが、まさに、これから国家百年の計に立って、安倍官房長官の基本的なお考え方をお示しいただきたいと思います。

安倍国務大臣 日本は、戦後六十年を迎え、本当に豊かな国になった、そう思います。

 しかし、その間、日本人は、ややもすれば価値の基準を損得に置いていたのではないか。この損得を超える価値、あるいは、例えば家族に対する愛、そしてまた、地域をしっかりと守ってよくしていこうという気持ち、そして、国をよくしていきたいという国をいとおしいと思う気持ち、そういう価値を、今まで、ともすれば非常に低く見ていた、あるいはそういうことを考えること自体がおかしいのではないかという風潮が蔓延していたのではないか、こう思うわけであります。その反省から、我々、しっかりと教育を立て直していきたい、こう考えています。

 大島委員長にも大変御苦労をしていただいている教育基本法の改正も含めて、しっかりとまた党内での議論も進めていただきたい、こう思っております。

菅原委員 ありがとうございました。

大島委員長 これにて菅原君の質疑は終了いたしました。

 次に、土屋正忠君。

土屋(正)委員 私は、子育て、教育、とりわけ義務教育を念頭に置きながら、質問をいたします。

 まず第一に、安倍官房長官に御質問申し上げます。

 子育て、教育は、文科省、厚労省を中心に、子供の遊び場や安全な道路づくりは国交省、また子供の安全については警察庁、また国際理解教育や環境教育、そして農業に対する理解教育、また物づくりなど、すべての省庁にわたっていると言っても過言ではないわけであります。

 そこで、内閣のかなめとして各省庁の連絡調整に当たり、内閣の統一的一体感を保って一定の方向を出すべきお立場にある安倍官房長官に、改めてお尋ねを申し上げる次第でございます。

 小泉内閣が発足して四年と十カ月近くがたったわけでありますが、この間、不良債権処理の問題やさまざまな規制緩和、景気回復あるいは北朝鮮拉致問題などなど、数々の実績を上げてきたわけであります。

 しかし同時に、この小泉内閣の冒頭に米百俵の故事を小泉総理は挙げ、教育を最大の課題とするという強いメッセージをスタートに当たって出されたわけであります。私は、当時は武蔵野市長でありましたが、現場で小中学校の設置者という立場でありましたが、深く感銘を受けた次第であります。

 今回の通常国会の総理の施政方針にも、「日本を支えていくのは人であります。物で栄えて心で滅ぶことのないよう、新しい時代を切り開く心豊かでたくましい人材を育てていかなければなりません。」こう述べ、教育の重視を打ち出しているわけでありますが、国家戦略として教育を重視するこういった小泉内閣の政府の方針は微動だにしないと思いますが、それらについての決意をお尋ねいたしたいと存じます。

    〔委員長退席、森(英)委員長代理着席〕

安倍国務大臣 小泉総理は、総理に就任して最初の国会での演説におきまして、米百俵の精神について述べられたわけであります。これは、明治維新期の長岡藩の故事を引いたものであり、国家資源をどう配分していくか、これは多少我慢しても子供の教育に使うべきだという故事を引いたわけでございます。

 私の地元山口県も、幕末期、長州藩として、苦しい財政の中から五人の若者の留学費用を出したわけでございまして、この五人の若者は、その後国の礎となった井上馨、そして伊藤博文、また井上勝、この人は初めて日本に鉄道をつくった人であります。また、山尾庸三というのは工業の父と言われた人物でありますし、遠藤謹助という人は造幣局をつくった人物であります。事務系二人、技術系三人の人たち、この人たちにそのときに投資したものは大きな国の資産となった、こう思うわけであります。

 そのことからも私たちは学んでいきたい。小泉さんが最初に述べた、しっかりと、子供たちはまさに国の宝である、国家資源を十分にこの宝に対して配分をしていくという考え方には全く変化はございません。

土屋(正)委員 ありがとうございました。大変安心をいたしました。

 具体の質問として、文部科学大臣にお尋ねを申し上げたいと存じます。

 まず、最近の地方分権論議をめぐって、教育は地方自治体に任せればいいという一部の考え方があるわけであります。私は、基本的には、地方分権は積極的に進めるべきである、こういう立場を維持しながらも、しかし、国家としてきちっとやらなければならないことがある、このような考え方に立っております。外交、防衛と並んで、教育こそ国家がきちっと責任を持つべきものである、このような考え方に立っております。

 最近、地方自治体に任せればいいという考え方がありますけれども、全国には二千余の、間もなく千八百ぐらいになるわけでありますが、千八百近い市町村があり、都道府県があるわけでありますが、教育の目的とか仕組みとか、こういったことがそれぞれの自治体で違ってよいものかどうか、これは論をまたないわけであります。

 私は、ナショナルスタンダードがきちっと確保され、日本国民なら、どの地域に生まれようとも、どの地域に生活しようとも、一定の水準以上の教育が受けられる、こういう制度をきちっと国が保障していくということが大事であり、また憲法二十六条もそのことをきちっと明示している、このように考えているわけであります。

 もちろん、それぞれ都道府県の役割、市町村の役割があるわけでありまして、例えば義務教育の公立小中学校の設置義務は市町村にあるわけですから、それぞれ役割分担をしながらも、しかし、基本の、教育は国家の仕事、こういうことについてしっかりとした立場を堅持し、国の方針として臨んでいくべきではないか、このようなことを考えております。

 私も、武蔵野市長として二十二年務めました関係で、全国には大勢の友人と呼べるような市長がおります。しかし、それぞれ、なかなかユニークな市長も多いわけで、必ずしも教育だけに一本でいっている市長だけではありません。そういう意味において、未来を担う子供についての教育が政治家や首長の人気取りになってはいかぬ、このように考えているところであります。私は、二十二年、そのような自戒のもとに学校運営をしてきたわけでありますけれども、改めて文科相のお考えをお聞きいたしたいと存じます。

 さらにまた、諸外国の状況等、先進国における国の役割、こういったことも含めて、御答弁のほどお願いをいたします。

小坂国務大臣 土屋委員は、地方自治体における学校設置者として、独自のアイデアも生かされて取り組んでいらっしゃいましたから、御自身の御意見としては、むしろ、教育は地方に任せてもらった方がいい、そういうことを御発言されるかと思ったわけでございますが、しかし、やはり国がその責任を担うべきだと。おっしゃるとおりでございます。

 憲法二十六条が言う教育の保障は、日本人として生まれて、どこに住んでも、同じ水準の、そして機会が均等に与えられ、無償制が保障されるという意味において、国が大きな枠組みを設定して、そして学校設置者であるそれぞれの市町村の皆さんが創意工夫を生かしながら、その運用に当たってアイデアを生かして取り組んでいただく、そういうことがやはり理想なんだと思うのであります。

 やはり国民一人一人が国の形成者でありまして、その資質が確保されることは国の将来の繁栄に大きく結びついていく、そういうことから、国が義務教育というものをしっかりと枠組みをつくり、そしてその実行者としての地方の皆さんに、今、重ねて申し上げるようになりますが、そういった創意工夫をし、武蔵野市のような先進的な取り組みをしていただけるところが全国にあればいいわけですが、おっしゃるように、必ずしも教育だけに目を向ける自治体の長ばかりではございません。そういう意味で、その根幹は国がしっかりと保障する、これがやはり要諦だと考えております。

土屋(正)委員 基本的なお立場をお聞きいたしましたので、さらに今後、財政支援のあり方も含めて、ぜひ引き続き責任を果たしていくよう要請をしておきたいと存じます。(小坂国務大臣「諸外国」と呼ぶ)はい、諸外国の例などありましたら。

小坂国務大臣 失礼しました。外国の例も引いてというお話もございました。

 私は、就任いたしましてからイギリスに出張する機会がございまして、イギリスの教育・技能省のルース・ケリー大臣と会談をする機会も得て、また、教育・技能省の教育フェア等も見て、先進的なICTの活用事例等も見てまいりました。

 もう既に土屋委員は御存じだと思うわけでございますが、イギリスの教育改革というのは、サッチャーの教育改革以来、政権は保守党から労働党へと交代はいたしましたけれども、教育については、政策の最重要課題であるという認識のもとに、その流れを継承しているわけでございます。

 さらに、その改革の中で、従来になかった国の教育課程基準、全国共通カリキュラムというものを導入する、また、その定着度を見るための全国テストを実施して、そのテストの結果を学校ごとに公表し、そして学校評価というものを行う特別な機関を設け、学校監査という機関を設け、すべての学校を定期的に監査し、その結果を公表する。模範校や問題校の公表もし、また、二年間その基準が達成できない場合には閉校をする、閉じてしまうというような、経営者を入れかえるということまで行うような大変強力な権限も持ってやっているわけでございます。

 また、学校選択制を拡大し、そして、学校の裁量権の拡大、予算の運用及び人事、これを学校が決定する、このような大胆な改革を進めておりますし、大学評価につきましても、研究評価は補助金の配分に反映させるような具体的な対策もとっている。義務教育費は、全額を国庫負担にするということで、二〇〇六年度から義務教育の確実な財源保障ということを行っている。

 大変先進的な取り組みとともに、世界の中の大きな流れが幾つもの方向性を持っているということを示しております。ただ、私どもは、今日までイギリスの教育制度というのを根本に据えて勉強してまいりました。そういった意味では、大きな示唆を与えるものだと思っておるわけでございます。

土屋(正)委員 大変心強く思っております。

 一昨日の質問の中に、民主党の前代表の岡田先生が、皇室典範について政争の具にすべきではないという趣旨の御発言を、大変見識の高い御発言をされて、私も傍聴していて感銘いたしました。それと同じように、教育問題は、政争の具にするのではなくて、全国民が力を合わせて、全省庁が力を合わせてこれからも取り組んでいってほしい、このようにお願いをしておきたいと存じます。

 次に、具体の話として問題提起をいたしたいと存じますが、現在、ニート、引きこもりなど、極めて憂慮すべき問題があります。さらに、私たちにとって非常にショックを受けたのは、二〇〇四年六月に、長崎県佐世保の学校内において小学校六年生の女児がクラスメートをナイフで刺し殺すという事件でありました。全国の小中学校の設置者並びに校長先生は震え上がったわけであります。そして、この原因は一体何か。そう軽々に人の心の底に潜むやみというべきものを解明するわけにはいきませんけれども、これらに学んでさまざまな対策をとらなければならないだろうと思っております。

 私は、リアリティーのない生活、バーチャルな世界に没頭する、パソコン、携帯などの情報機器の発達、最近の統計によりますと、小学校高学年でテレビゲームをやっているのは一日に三時間、こういう統計もあるわけであります。そして、生まれながらにしてエアコンのきいた部屋、黙っていても親が三食出してくれる、飢えを知らない子供たち、こういう生まれながらにして豊かな社会に、物質的に豊かな社会に育ち、バーチャルな環境の中にいて、そうして学ぶことは、命を大切に。命を大切にといったって、この東京周辺にある命はゴキブリかカラスですよ。ゴキブリはつぶすもの、カラスは追い立てるもの。それで、学校に行っては、命を大切に。こういうことが実態であります。

 長い間、人類は飢えからの脱出ということを目標にして、私たちは前向きに取り組んでまいりました。私は六十歳代でありますが、私たちの子供時代には飢えに対する恐怖心があり、だからこそ、学ぶ意欲の前提が、学ぶ、勉強するということの前提が、頑張って学んでいい学歴をとって、あるいは実力をつけて社会へ出れば、貧しさから脱却できる、こういう思いがあって、これは当たり前のことだったんです。ところが、今はそれが当たり前でなくなってきている。そういうときにどうしたらいいのか、こういうことが非常に大事だと思っております。

 私は、貧しさ、貧しいということを前提とした教育から、生まれながらにして物質的に恵まれている、豊かである、そうなった場合に、これからの子供の教育はどうあるべきかという教育哲学や教育観を根本から問われているのが、今日のニート、フリーター、引きこもり、また、思いもかけない殺人事件、こういうところにつながっているのではないか、このように思っております。こういうことについての基本的な見解を、まずお尋ねしたいと思います。

 さらに、具体の話として、私たちは、リアリティーを持った自然体験教育を、武蔵野市においては十年前から実践をしてまいりました。

 お手元にこのような、「セカンドスクール」、こういうパンフレットを配りましたので御参照いただきたいわけでありますが、約一週間から、長いところは十日、これは林間学校のように課外教育ではありません。時間中に行う、正規の教育カリキュラムであります。そうして、全員行くわけであります。一言で言えば、志願兵ではなくて、徴兵であります。全員であります。そうすると非常にわかりやすい。

 つまり、林間学校のようなものは、あるいは民間でやっている長期留学体験のようなものは、親がエリートでないと行かせられないんです。お金があって、エリートで、理解がないと。だけれども、義務教育に学ぶ子供は親を選べません。だから、どんな貧しい環境にあっても、どんな親のもとにあっても、今必要な教育を与えるというのが義務教育の根本だと思います。

 そして、一週間から十日泊まって、自然の恵まれた農山漁村で過ごし、民泊をして共同生活をし、おやつなし、テレビゲームなし、田植えをしたり、あるいは森林の中に行って、そこのパンフレットにありますように、これは飯山市の天然林の中でブナが水を吸い上げる音を聞いている場面であります。そうして、またここにありますように、生きている実感、自然への新鮮な驚き・感動、農林漁業の生産の大切さを学ぶ、人と人とのつながりを再認識する、生活力の基礎をはぐくむ、こういう貴重な体験をして帰ってくるわけであります。子供の目つきが変わります。行ったときと帰るときでは全然違うんです。輝いています。

 こういう効果のある、しかし、かつてはこれは家庭教育や地域の教育だったかもわかりません。学校教育の中に入ってなかったかもしれない。しかし今、今の地域では、大都会では、都会部を中心とした地域ではこういう経験ができないわけですから、まず学ぶ前に、学ぶ意欲、生きる力、こういうものをはぐくむ、こういう教育を大々的に取り入れることができないのかどうか、これらについてお尋ねいたしたいと思います。

    〔森(英)委員長代理退席、委員長着席〕

小坂国務大臣 今御紹介をいただきましたセカンドスクール、武蔵野市の大変先進的な取り組みであり、また、我が国が農耕文化の中で、豊かな人間性、情緒ある人間性をはぐくんできた、その教育環境、失われてきたその教育環境を再生するような、そういった試みとして、私の郷土の飯山市鍋倉山のブナ原生林、御紹介をいただきましたけれども、長野県の学校と連携をする中で、教育の一環として、学校の活動の一環として長期宿泊型の体験学習をしている、私も本当にすばらしいことだと思います。

 特にすばらしいのは、それを修学旅行とかそういった形ではなくて、その負担も武蔵野市がその大半を負って、わずかな、実費的な負担で参加ができて、それが、徴兵制という言葉がいいかどうかはわかりませんが、全員参加ということで、分け隔てなく、みんなが一緒に体験をする。その集団生活の中から多くのことを学び、そしてテレビもないような環境の中で、本来の人間がはぐくむ人間関係と、そして情緒の涵養という、その教育姿勢というのは私は大変にすばらしいものであり、これを全国に広めることは、私としてもできるだけ取り組んでいきたい、一つの目標を与えていただいている、こう思うわけでございます。

 そんな意味におきまして、財源的な問題についても、これは土屋委員がそれぞれに具体的な御提案もお持ちではないかと思いますが、そういったものもお聞かせをいただきながら御指導賜ればと思うわけでございまして、機会を見て、またこの場でも結構でございます、どうぞそういったものを御披露いただきまして、示唆を与えていただければ幸いでございます。

土屋(正)委員 ありがとうございました。

 だんだん時間が残り少なくなって、恐縮でございますが、中川農林水産大臣並びに谷垣財務大臣にそれぞれお尋ね申し上げたいと存じます。

 今申し上げましたようなセカンドスクールというようなものは、自然に恵まれた農山漁村あるいは林業も含めて、そういう場面を中心に展開をされるわけであります。つまり、教育の営みが農山漁村を舞台にして行われるわけでありますが、そのほかにも、例えば家族単位でもって農山漁村に行く。武蔵野市は、鳥取県と協定を結んで四泊五日、遠野市と結んで四泊五日でやったりいたしております。

 このような、家族のきずな、生涯学習あるいは学校教育、こういう場面で農山漁村を活用して積極的に行うことは、結果として都市のエネルギーを農山漁村に還流する、こういうことにもなるわけであります。

 例えば、米作の場合にはせいぜい反当十俵、六百キロ、これはせいぜい生産者価格でいって十万台であります。ところが、ここに民泊で五千円で百人行ったら、五十万円であります。十泊すれば五百万円であります。もちろん百人は一人の家では泊まれませんから、当然のことながら十とか幾つかに分かれるわけでありますが。こういうことによって、私は、第一次産業の第五次産業化、教育・休養リフレッシュ産業を興すべきである、これは新しい農業振興の基本法にも沿った考え方ではないか、このように考えております。

 こういう立場から、直接都市の自治体に補助を出すということはなかなか難しいけれども、農山漁村の、こういった試みを受け入れる側の環境整備、そしてまた、ソフト面に対しても積極的に農林水産省としては御支援をする考え方はないかどうか、お尋ねをいたしたいと存じます。

 また、財務大臣に一言お尋ねいたしますが、実は、武蔵野市のこの試み、一人当たり、今お手元にお配りをしてありますが、七万六千円ぐらいかかっているわけであります。

 実は、この試み、十年続いていますので、さまざまなところから見学が来て、やりたい、私たちもやった方がいい、効果があるという方はいっぱいおります。ところが、残念ながら、二つの理由でなかなか実施ができない。二つの理由は、一つは、文科省がオーソライズしていないからであります。もう一つは、残念ながら、この七万六千円を出し切れない。

 せめて、こんなに効果のある救国の教育、国を救う教育だと思っておりますので、これを二分の一ぐらい国が補助する。仮に小学校五年生が全員行ったとしても、百十八万程度でありますから、おおむね八百億とか九百億のお金でできるわけです。その二分の一だって、四百億でできる。

 こういう思い切った、財政効果のある、総合的な、次の世代をとらえる、小泉内閣の目標にも合致する、この方向に対して、思い切って財政効果を認め予算をおつけになるお考えはないでしょうか。ゼロとは言わずに、せめて少しでも、ちょっとでもいいから、いい御答弁をお願いいたしたいと存じます。

中川国務大臣 土屋委員は武蔵野市長時代からもう二十年近くにわたってセカンドスクールに取り組んでおられますが、全く御趣旨、同感でございます。

 特に、農林水産省の立場から申し上げますと、農山漁業地域と都市とは、対立は決してしてはならない、むしろ共生、そしてお互いにメリットがあるウイン・ウインの関係が、日本の活力、そして日本の最大の資源である人材の発展のために大きく貢献をするわけでございます。そういう意味で、セカンドスクールを初めとするいわゆる滞在型、体験型の交流というもの、これは農林水産の地域から見ても大変ありがたいことでございます。

 したがいまして、ハード面、ソフト面を含めて、これだけ都市側が、武蔵野市側が、土屋先生側が御努力されているわけですから、さて、日本には多種多様な自然があります、生態系があります、農林漁業体系があります、さあいらっしゃいだけじゃだめなので、来ていただくという努力を農林水産側もしなければならないと思います。

 例えば今、トイレの問題でありますとか、あるいはまた宿泊施設、ハード、ソフト含めて、あるいは自然はきれいだからといってもお花がないとか、そういう地域もあるわけでありますから、受け入れる側の努力も、ハード、ソフト面含めて努力をしていかなければ、来ていただいても、いや行ったけれども何かもう懲り懲りだということじゃなくて、もう一度行ってみたい、家族で行ってみたい、おじいちゃんおばあちゃんと行ってみたい、友達と行ってみたい、あるいは新婚旅行に行ってみたいという、インセンティブを与えるということを我々の側も努力をしていかなければならないと思います。

 最近は、お米はどうやってできるか、あるいは米は知っているけれども、御飯は知っているけれども稲は知らないとか、サケの切り身は知っているけれどもサケの本物は知らないとかいう子供たちもいるという話も聞いておりますので、ぜひ、都市の人々と農山漁村の地域に住む人々が協力してやっていく、そのために我々も一層努力をしていかなければいけないと思います。

 ちなみに、長野県や岩手県だけじゃなくて北海道もすばらしい自然がございますので、ぜひとも北海道で体験をしていただくことも心から御歓迎を申し上げますので、よろしくお願いいたします。

谷垣国務大臣 先ほどから土屋先生のお話を聞いておりまして、私、大変共感をしながら伺っておりました。

 一つは、やはり今大切なことは、貧しさに対応する、どうして貧しさに耐えて対応していこうかというのは、今までも随分私たちも教育を受けてきた、豊かな社会でその豊かさの中にどう対応していくかというのは、まだ人類が十分経験したことのない世界に我々は入っているわけでございますので、そこでの教育はどうなのかという問いかけは極めて大事だと思います。

 バブルのころはそういう議論もありまして、その後しばらくそういった議論が忘れられたところがございますので、もう一回私たちはそういうことを考える必要がある。これは、一政治家として、あるいは一国民としてもそういうふうに思っているわけでございます。

 それと同時に、セカンドスクール、さっきいろいろお話がございましたけれども、人間が本来生まれ育ってきた自然というものを都会の子供たちが体験し、都会にはない地域社会のきずなというようなものを体験していくというのは、生きる力をつくっていく上でも極めて大きな取り組みだろうと思います。

 もっと財政支援をせよということですが、今政府としても何にもしていないわけではございません。文部科学省、これは小坂大臣に御答弁いただいていることでもございますが、豊かな体験活動推進事業、これはモデル事業として平成十四年度からやっておりまして、平成十八年度もその予算額を増額いたしましたけれども、これは土屋先生のおっしゃっていることと極めて共通したあれだと思います。それで、全国にこれを広げていくモデル事業としてやっている。私どもは、これはやはり必要な事業だというふうに考えているところでございます。

土屋(正)委員 どうもありがとうございました。

大島委員長 これにて土屋君の質疑は終了いたしました。

 次に、谷口隆義君。

谷口(隆)委員 おはようございます。公明党の谷口隆義でございます。

 本日は、例のあのライブドアの証券取引法違反の事件についてお尋ねをいたしたいと思います。

 言うまでもなく、証券取引の安定を確保するというのは、国の大変重要な責務だと思います。今回のこの事件、ルールを逸脱し、また一方で取引所の安定が大変乱れたわけでありますけれども、このような観点で、本日、与謝野金融担当大臣また法務大臣においでいただいておりますけれども、法務大臣に主にお尋ねをいたしたいと思います。

 それで、本件に入るわけでありますけれども、本年一月二十三日に、ライブドアの代表取締役である堀江貴文氏が、またこのほか三名、証券取引法違反で逮捕されたわけであります。逮捕事実の要旨を見ておりますと、ライブドアマーケティングは、平成十六年十二月一日を期日とする株式交換により株式会社マネーライフ社を完全子会社とする旨を公表する際に、当事会社の間で資本関係及び人的関係の該当事項がないと虚偽の事実を公表し、これは、もう既に実質支配しているファンドを通じて購入しておったわけであります。

 さらにライブドアマーケティングは、平成十六年第三・四半期において、経常損失、当期純損失が発生したにもかかわらず、架空売り上げを計上する方法で利益が出たように装い、有価証券の相場の変動を図る目的を持って偽計を用いるとともに風説の流布をしたという、偽計取引と風説の流布ということで逮捕されたわけであります。

 この一連の事件の中で何点かお尋ねをいたしたいわけでありますが、まず初めに、マスコミ等でも最近よく出てきておりますが、投資事業組合でございます。

 この投資事業組合は、民法上の任意組合だとか匿名組合だとか、あとは投資事業有限責任組合だとか、こういうのがあるようでございまして、今回この投資事業組合が、一つはライブドアグループの連結の対象になっておらなかったということと、ここで、先ほど申し上げました、実質的に支配関係があるこの投資事業組合で既にマネーライフ社の株を取得しておったというようなことであったわけでありますけれども、どうもその内容がはっきりわからない、ディスクロージャーされておらなかったということでございます。

 しかし、一方で、現在のいわゆるファンドといいますか投資事業組合、複数の組合員から出資を募って、それでベンチャー企業に投資をし、そのベンチャー企業がどんどん大きくなっていけば株価も上がってくるわけでありますから、その株式売却で投資家に利益を配分するというようなことをやっておるわけです。

 一つは、先ほど申し上げましたディスクロージャーという問題があります。しかし、このディスクロージャーも、一方で、余り明々白々となってまいりますと出資者がまた減ってくるというようなことも考えられるわけでございますが、まず初めに与謝野大臣に、この投資事業組合のディスクロージャーについてどのようにお考えなのか、お伺いをいたしたいと思います。

与謝野国務大臣 いわゆるファンドと言われるものについて今後どう考えていくかということですが、例えば、委員と私、二人でつくったファンドがあったとしたら、それは届け出が必要なのか、認可が必要なのか、ディスクロージャーが必要なのか、また、委員と私、二人でつくったファンドが広く社会に向かって参加を呼びかけるというような場合とか、ファンドも形態によっていろいろあると思います。

 今、この国会で、いわゆる投資サービス法という通称でございますけれども、証取法の改正という形をとりますけれども、その中でファンドというものをどう規定していくかというのは、非常に重要な問題であります。

 一つは、一般の投資家をきちんと守る。守るというのは、ディスクロージャーを初めとした、先生の御指摘のあった点、こういうものをきちんとさせることによって、一般投資家が参加する際のきちんとした情報開示、こういうものを確保しなければなりません。

 一方では、ファンドというのは、いろいろな形態をとっていることのほかに、やはり経済的な効能もあるわけでございまして、そういう自由な経済活動をも阻害するような規制の仕方はいかがかという問題もありまして、目下、その辺、どのようなあんばいで物事を決めていったらいいかということを最終段階のところまで今は検討している最中でございまして、いずれこの国会で提出する予定の法案の中できちんとした考え方をお示しできると思っております。

谷口(隆)委員 もう少し一歩を踏み入れた答弁をいただければありがたかったんですが。

 それで、大臣、連結の範囲のことを先ほどは申し上げましたが、今回は、この連結の範囲に入っておらなかったという一つの問題があるわけでございます。この連結の範囲に、当然ながら、実質支配をしておる組合であれば入れなければなりません。こういうことについて、この実質支配会社を入れるのかどうかという判断になりますと、入れるのが当たり前だ、こうなるわけです。

 これ以外に、私は大変危惧をいたしておりますのは、これは会計士協会でも既に検討いたしておりますし、報告書も出ておるようでございますが、SPCというのがあります、特別目的会社。エンロンという会社が大きな粉飾をして、大変世界全体に激震を与えた事件がありましたが、エンロンは、三千社近いSPCに利益調整をするために配分をしてまいりまして、それが連結の範囲に入っていなかったということで大きな問題になったわけであります。

 このようなSPCだとか、もっと言いますと、LLPというのが、これは経済産業省所管の法案でも出てまいりましたが、リミテッド・ライアビリティー・パートナーシップというものですね。これは、出資とは関係なく、技術は持っているが金のない人、金はあるけれども技術がない人、これが一緒になってそういう組合をつくろうというようなことなんですね。ですから、出資割合で形式的に実質的に支配しているかどうかということを判断できない、だから実質的に判断していかなければならないというようなことがあるんですが、これは大変難しいことなんだろうと思うんです。同じように、法務省所管のところで、合同会社、LLCというのができました。

 このようなところの、実質的に連結の範囲に含む基準なんというのは、大臣、一体どのようにお考えなのか、御所見をお聞きいたしたいと思います。

与謝野国務大臣 相手が連結の対象になるかどうかというのは、相手が会社であろうと組合であろうと、また任意の組合であろうと、今先生がおっしゃったように、相手の意思決定機関を支配しているかどうか、実質支配基準という考え方で物が考えられております。すなわち、相手の意思決定機関を支配しているという場合は、相手の法人格がどうであれ、連結の対象になるというのが現行の会計基準であると思っております。

 そこで、本件を顧みまして、まだまだこれから事実が明らかになってまいりますと、それだけの考え方でいいのかどうかということを含めまして、いろいろな考え方が出てくると思っております。これにつきましては、今の会計基準は企業会計基準委員会といういわば民間の組織がつくっておりますが、そういうところを含めまして、幅広く検討をしていただかなければならないと思っております。先生の御指摘のLLCとかLLPとかというものも、現段階での会計基準では、実質的に支配をしていれば、当然のこととして連結の対象になっております。

 そこで、今先生が言われた重要な問題点は、それは資本だけ見ていくんですか、それとも、提供した技術の評価、それによって支配しているということを見ていくんですかということ、これは非常に難しい問題、これから考えていかなければならない問題ですが、いわば形式的に考えれば、会計基準でございますから、出資の割合とかそういうことで考えていく方が、現時点では自然な解釈ではないかと私は思っております。

谷口(隆)委員 次に、証券取引法を改正して、今金融庁では、包括的な法律、何か仮称では金融商品取引法というんですか、一般的には投資サービス法だとか投資サービス市場法だとかいろいろなことが言われておりますけれども、従来のような業法をずっとやっているんじゃなくて、そのはざまでいろいろな問題が起こりましたから、包括的に、横断的に法律をつくり直すというのは大変私はいいことで、これはぜひ進めて、今国会には出される予定で今やっていらっしゃるようでございますが、やっていただきたいと思うわけでございますが、ここに来て、このライブドア問題で、この法案にやはり吸収していかなきゃいかぬというか、盛り込んでいかなきゃいかぬことも出てまいったわけでございます。

 いろいろあるようでございますが、一つは、四半期報告書というのがあって、クオータリーレポートというものですね。これは今まで法定されておりませんでしたので、今回でもいわば風説の流布、これを虚偽記載しても風説の流布ということになったわけでありますが、これをやはり法定していくという方向で持っていく必要があるんだろうと思います。

 また、見せ玉というのがありまして、見せ玉というのは、商いをだあっと入れておいて直前になったら取り消すというものですね。これは、いろいろな目的があってそういうことを行うようであります。

 この見せ玉につきましては、証券取引等監視委員会が金融庁に対して建議を出しておられるようであります。何点か項目がございますが、まず第一点は、見せ玉等売買の申し込み行為による相場操縦を課徴金の対象にしてもらいたい、相場操縦の見せ玉ですね、もう一点は、証券会社の自己売買における見せ玉等を刑事罰及び課徴金の対象にしてもらいたい、こういうようなことを監視委員会は金融庁に言っておるようでございます。

 これに関しまして、金融担当大臣と、刑事罰ということを言っておるわけでありますが、法務大臣と、御答弁をお願いいたしたいと思います。

与謝野国務大臣 第一点は四半期の報告書の件でございますけれども、これは、今般出します新しい法案の中できちんと位置づけ、それから、それに虚偽のことが開示されないような法律上の担保をつける予定でございます。

 それから、見せ玉についての建議があったけれども、金融庁は一体その後何をしたのかという多分御質問だろうと思うんですが、見せ玉につきましては、これはいろいろな犯則事件を調査した結果がやはり大事な経験として生きまして、これは相場操縦であるということから、具体的には、一つは、顧客による見せ玉等売買の申し込み行為による相場操縦については現在刑事罰の対象になっていない、一体どうするんだというお話。これはいろいろ考えさせられるところがありましたが、建議は、昨年十一月、証券取引監視委員会から御指摘があった点につきましては、これはもう端的に申し上げまして、見せ玉のような不公正取引には厳正に対処することが、証券市場の公正性、透明性の確保の観点から重要であるというふうに考えておりまして、今通常国会に提出予定の証券取引法等の一部を改正する法律案において所要の措置を講ずる、いわば罰則等を考えるという意味ですが、きちんとそれを入れ込んだ法律を出す予定でございます。

杉浦国務大臣 お答えいたします。

 経済法制についての罰則の件でございますが、公正な競争はルールに基づかなきゃならない、ルールについて罰則を設ける、罰則は公正な競争を担保しておるものだと思うのでございます。法務省は経済法制に対する刑事罰については消極的だという御批判もございますが、決してそんなことはございませんで、経済情勢の変動、社会の実情、国民世論等を踏まえまして、積極的に対応していく方針でございます。

 お尋ねの件につきましても、金融庁、そのほか関係省庁とよく御相談して、適切に対処してまいる所存でございます。

大島委員長 与謝野大臣、もう一回。

与謝野国務大臣 ちょっと答弁に不正確なところがございました。

 顧客による相場操縦は現在も刑事罰の対象になっていますが、課徴金の対象になっていないということなので、そこは補わなければならないと思っております。

谷口(隆)委員 今、金融担当大臣からは、やはりこの相場操縦の見せ玉は課徴金の対象にやるべきだというような、そういう方向でいきたいという御答弁だったと思います。また、法務大臣の方からは、やはり、証券会社の自己売買の見せ玉、これは刑事罰も考えなきゃいかぬというようなお話だったと思います。ぜひそのように、ルールはしっかりと守っていただかなければなりませんので、よろしくお願いいたしたいと思います。

 それで、その次にお伺いいたしたいのは、株式分割のことでございます。

 ライブドアの株式分割が、三年間で四回分割いたしまして、一株が三万株になったわけでありますね。三回、百回、百回とやったようでありまして、それで、十億株を超えるような発行済み株式数になっておって、一社の出来高が東証全体の四〇%にも上るというのは、これは極めて異常な状況であります。

 それで、この状況を見ておりますと、今回、株券の発行期間が大体五十日ぐらいかかるので、株券ができるまでなかなか売りができないということで買い一方になる、これで株価を引き上げるというようなことをやったようでありますが、今、証券決済は保振で行われるようになりますし、あと、ペーパーレス化がこれから進みますから、こんなことはないだろう、ライブドアがやったような株式分割を利用する相場操縦はないだろうというような見解もあるんです。

 しかし、東京証券取引所は、そんな状況でも五分割までに控えていただきたいという自主規制ルールを今つくっておりまして、今後もそれはやっていただきたい、こういうように言っておるようでございます。現に、この株式分割をいたしますと、大体二〇%程度株価が上がるというのが一般的のようでありまして、このようなことを言っておるようでございます。

 この株式分割はそもそも商法で規定されておるわけでございますが、平成十三年のときの法改正の折に、それまでは純資産五万円を割るような株式分割はできないということになっておったのを、それを取り除きまして、自由に株式分割いいですよということになったわけでありますが、市場ではこんな問題が起こったわけであります。

 今回、東証が、ペーパーレス化になっても、また証券決済が保振でやられても、まだやはり自主ルールは続けたい、このように言っておるようでございますが、このようなことを踏まえて、法務大臣として、商法上、この株式分割に何らかの規制を加えるという方向は考えていらっしゃるんでしょうか。

杉浦国務大臣 先生御指摘のライブドアの株の問題については、現象としては御指摘のとおりでございます。ライブドア事件そのものについては、現在、捜査は続行中でございまして、まだ全貌が明らかになっておりません。

 したがいまして、私どもは、会社法制、商法等経済法制については、時代の変化、経済の状況等を踏まえて適時適切に対応していくということで、随分、基本法からさまざまな改正に取り組んでまいっておるわけでございまして、ライブドア事件を契機にいたしまして、あの実態が解明された暁に、商法その他で法改正が必要な部分が出てくる場合もあり得ないことはないと思うんですね。と思っておりますが、現状では、具体的にまだ全貌が明らかになっておりませんので、まだ検討しておらないというのが実情でございます。

 株式分割につきましては、もう先生御指摘のとおり、平成十三年、これは議員立法でございましたが、商法の一部改正法律案で、御案内のとおり規制を撤廃したわけであります。このときの立法者の御意思としては、ベンチャー企業、たくさん出ております、ライブドアだけではありませんが、資産の乏しいベンチャー企業は分割できないという状況だったわけです。ですから、ベンチャー企業の株価が高騰する、株価が上がるために取引が困難だという実情がございまして、規制を撤廃したわけでございます。その結果、株式の分割が可能になって、一株当たりの金額が下がる、取引もしやすくなるということで、株式の流動性を高め、我が国の経済に多くの便益をもたらしたことは間違いないと思います。

 そもそも株式の分割というのは、会社の経営者がその実情に応じて、資産が変わるわけじゃありませんから、株式の単位を変えるということだけですから、自由に行ってもいい事柄だと思うんです。そのこと自体、規制を緩和したことには合理性があると思います。

 ただ、ライブドア事件で先生御指摘のような事態が現実に起きました。そして東証が、予定している能力を超える株が動くわけですから、機能停止というようなことになったということも一面では起こっております。ですから、東証の機能の面であるいは法制の面で検討すべきことが絶対にないかといったら、もう少し実情がわかってからでないと言えないということだと思います。

 また、先生御指摘のとおり、この事件発覚はことしの一月十七日ですが、昨年三月、先生御指摘のとおり、東証の方で、五倍を超える分割については何回かに分けてやってほしいということを決めまして、各企業、協力しておるようですね。ずっと守っておるようでございます。

 それから、先生御指摘の保振は、ことしの一月から、株券が発行されなくてもみなし規定で取引できるようになりましたから、保振には七割保管しておるようですから、そういう株薄で株が上がるということはなくなってきている。

 それから、ペーパーレス化は二十一年六月までに実施する、一昨年、法律を通した。ペーパーレス化になれば、これはもう株券は関係なしということですから、現在、そういうふうに手当てされていることで先生のおっしゃられた点はカバーできるのかなと。株式分割制度自体について見直しが必要だというふうに現在のところは考えておりません。

谷口(隆)委員 考えておられないということでございますが、しかし、先ほど申し上げましたように、東証では自主ルールで五分割以内にというように言っておるんですが、証券取引法で現行の分割を規制するというようなお考えは、与謝野大臣、持っていらっしゃるでしょうか。

与謝野国務大臣 問題になったのは、株式分割によって株価が大きく変動する、このことが問題になりましたが、東証の自粛ルールによって五分割までしかできない、また、権利確定日翌日から取引ができるということになりましたので、その点は、事態は今見る限りにおいては回避できていると思っております。

 したがいまして、証取法の改正自体は慎重に取り組んでまいりたいと思っております。

谷口(隆)委員 やはり、株価操縦といいますか、相場操縦を目的とした株式分割が行われるというような事態が見られた場合には、これはもう注意してぜひ見ていただきたいというふうに思っております。

 あとは東京証券取引所の問題でありますが、この問題がきっかけになりまして売りが出まして、それで大変な状況になりまして、一月十八日でしたか、二時四十分で全面停止ということになったんですね。取引所がそういうように停止をするというのは、これは大変緊急事態で、重要なことで、そんなことはあってはならないわけでございます。

 その状況は、どうも商いのシステム上の処理能力の問題、キャパの問題があったというようなことで、それで東証の方は、そんなこともあるので、今そのキャパの拡大を図っておるようでございます。これはもう報道等でも言われておりますが、ニューヨークの証券取引所では、一日の取引実績に比べてキャパが四倍超ということのようであります。ロンドンでは三十八倍超。東証では二・六倍という大変すれすれのところで行っていると。ちなみに大証では、今現在三倍強のようでございまして、この二月から稼働する新システムでは六倍強になるというように、かなりのハイピッチでこの処理能力を拡大いたしておるわけであります。

 それで、一つは、東証で今能力を拡大しろといってもこれはすぐにできるものではありませんから、この取引所間の協力体制といいますか、重複上場が今九百銘柄ぐらいあるようでございますが、大証で処理できるものは大証にしていただいたらいいと思うんですね。そういうような、東証と大証、またその他取引所ありますけれども、主に東証、大証との間の協力体制を何らかの方法でやはり私はしくべきなんだろうと思うんですが、大臣はどのようにお考えなのか、お伺いいたしたいと思います。

与謝野国務大臣 東証も、過去、能力を拡大してきたことは事実でございますが、実際、ネット取引等の増加に対応できないという状況になりました。それでも、想定される取引の一・五倍とか二倍とかという安全係数を掛けて物事を考えてきた、これもまた事実でございますが、十一月に入りましてから、十一月一日にシステムが動かなくなった。また、あのライブドア事件の後、大量の取引をこなせないという予想が出てきたので、二時四十分で立ち会いを停止した。二度のこのことを受けまして、東証では、システム自体の能力を飛躍的に増大させよう、それから、今のシステムそのものを使っていていいのかどうか、また、別のシステムがあるのではないかということも検討を開始いたしました。

 そこで、先生の御提案の、大阪と東京で相互に助け合えないかという問題ですが、これは東証と大証の専門家に聞いてみます。システムも違いますし、互いに助け合う場合には一体どういうことをすれば可能かということを含めまして、少し技術的な側面から様子を聞いてみたいと思っております。

谷口(隆)委員 それでは、時間が参りましたので終わらせていただきます。

大島委員長 これにて谷口君の質疑は終了いたしました。

 次に、伴野豊君。

伴野委員 民主党の伴野豊でございます。

 きょうは、一般質問の機会をいただきましてありがとうございます。質問に入らせていただく前に、一言申し上げておきたいと思います。

 私が申し上げるまでもなく、国会において、委員会において、何人も議員の質問権を縛ることはできないと思います。しかしながら、質問をするわけでもなく、みずから進んで反論できないような状態の人を一方的に責め、あげつらう。格闘技でいえば、手足を縛られている人、場合によってはもうノックアウトされている人を一方的に殴りつける。決して上品、品格があるとは言えないと思います。少しきつい言葉を使わせていただければ、ひきょうな、下品なやり方ではないかなと思います。

 どなたかとは申し上げるまでもなく、本来委員ではない方が、わざわざ差しかえをされて、そういうメッセージをこの場に出されるということは、そういうことをやり合おうというメッセージにとられても仕方がないかと思いますが、本来、予算委員会というのは、とりわけ品格のある大島委員長のもとの予算委員会であるわけでございますから、品格のある予算委員会にしていただければと、かようにお願いするわけでございます。

 では、質問に入らせていただきたいと思います。

 きょうお越しいただきました大臣、大臣の重い責任に対して厳しい質問をさせていただきますが、間違っても品格を傷つけさせていただいたり、あげつらうようなことがないように心がけていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 では、まず、もう本当に、米国牛肉輸入問題について、中川大臣も厚生労働大臣もいろいろ、ずっとこの質疑が続いていて、個人的には大変だなと思う一方で、先ほど申し上げましたように、やはり大臣という重い職責を果たしていただくための質問を、再発防止の観点からもじっくり検証させていただきたいと思いますので、何度も聞かれていることかもしれませんが、どうか冷静にお答えいただけますよう、よろしくお願いいたします。

 きょう、お手元に幾つか資料を御用意しました。

 まず一枚目は、平成十五年の五月二十一日にカナダからの牛肉等の輸入を禁止してからの一連の流れ、先般の一月二十日、残念ながら成田で特定危険部位の混入が見つかった経緯までをずっと記述させた表がございます。字が少し小さくてお許しいただきたいわけでございますが、時間的経過を正確にはかる意味で、ぜひ一緒にごらんいただければと思います。

 そうした中で、大臣、私は、一月三十日のやりとり、ずっとこの委員会で聞かせていただきましたし、その後も、何度も何度も速記録を読み返させていただきました。正直言いまして、一月三十日の私どもの松野委員からの質問に対して、いろいろな意味を込めていたのかもしれませんが、中川大臣が、「私も、みずからどういう責任にしたらいいのか、これから考えたいと思います。」この言葉には少々私もびっくりいたしました。言われた御本人が一番びっくりされたかもしれませんが、正直言って、質問した松野さんもそのような気持ちもあったかもしれません。しかしながら、残念ながらここから委員会は混乱をいたしました。

 いろいろな理由があろうかと思います。ずっと読ませていただいて、これをロジックとして、論理として読ませていただくと、この答弁をあの短時間でおつくりになった、まあどなたかは知りませんが、役人の方だとすれば本当に頭のいい方だなと、少しばかり皮肉も込めて感想を述べさせていただきます。

 今回、その混乱の、まず、質問の中で出てきたことは、御案内のように、私どもの議員でございます川内議員の質問主意書の答弁書からでございますけれども、この答弁書をごらんになられたのは、一月三十日の松野委員が質問されるそのときであったはずはないと思いますが、以前にも確認はされておられますよね、大臣。いかがでしょうか。

中川国務大臣 松野委員からいただいた資料でございますか。(伴野委員「はい、川内さんの答弁書の。内容と言ってもいいです」と呼ぶ)松野委員がお出しになった資料は、一月三十日の九時からの委員会の前の、理事会に提出されたというふうに報告を受けております。

伴野委員 御報告を受けているということは、ごらんになった、それは詳細にじっくり読んだかどうかは別として、そのときに、こういうものが出てくるという御認識はあったのではないかと思います。そのときに初めて見たわけではないと思いますし、その書かれた内容に対して答弁書を返していいですねという閣議決定に対して署名をされていると思いますので、内容をずっと認識していなかったということはないと思うんですね。その前提の上でずっと質問させていただきます。

 そうした中で、いろいろなやりとりがありました。正直言いまして、休憩も挟んで午後一時から会議が再開されたときに、中川農水大臣は、こういうことをおっしゃっています。

 この後の段階で、日本向け牛肉の輸出プログラムについての最終的な日米の協議の中で、米国が責任を持って施設認定を行い、また、日本側も必要に応じてその認定作業を調査できることが確認できる等、その実効性が担保されるということを判断いたしました。

これがいつかということをその後で追っていきますと、答弁の中にも、どうも十一月二十二日の日米協議で多分そういうことが確認なり御提案をされたんじゃないかと思います。その日米事務レベルというのは、農水省、厚労省のいわゆる対策室長クラスと、アメリカの在日大使館の農務官の間で室長レベル間協議として確認をされたと推測されます。それで、その後、御案内のように、十二月九日までの、いわゆる宮腰副大臣を本部長とされます輸入条件案を米国に提示する云々のセットがなされております。

 ですから、十一月二十二日に、事務レベルではある程度、もう再開以前に査察が難しいということがわかったわけで、それから十二月九日までの間に、必ずどなたかは農水大臣にそのことを、もっと言うなら厚労大臣にも御報告をされているものと推察されますが、農水大臣は、この十一月二十二日の結果をいつどういう形で御報告をお受けになられたでしょうか。お答えください。

中川国務大臣 答弁書は、言うまでもなく閣議決定ですから、私も署名をしております。一月三十日の政府統一見解でも、あの答弁書は、十一月十八日時点での考え方、認識を内閣として是とするという趣旨のものでございます。

 最終的に、再開時に、再開決定のときに、輸出再開をするときには、輸出再開以前に現地に行くという考え方をとらないということを決定したのは、輸出再開を決定した十二月十二日でございます。

伴野委員 ですから、御報告を受けたのは十二日という解釈でいいんですか。確認させてください。

中川国務大臣 最終的な判断をする上で、いろいろな情報が私のところに入ってくるわけでありますけれども、最終判断をする上での情報として、一々いつ入ってきたかはわかりませんけれども、局長会合があったことは承知をしております。

伴野委員 いろいろな情報をお受けになっていらっしゃるから、何時何分とまでは申し上げませんが、十二日までには少なくとも、再開前の査察が日本側の立場からいえばできないということを認識されているはずですね。これはそうだと思います。

 少し観点を変えて考えますと、川内議員への答弁書を出すということを閣議決定しサインをしたのは、決定したのは十一月十八日です。そのときは、閣議に出られた大臣の方も当然、総理大臣初め、川内さんが出してきた質問書に対してこの答弁をするということの認識は、行為の決定まではしないといっても、認識は共有していたはずです。ですから、大臣のところに十二月十二日まで上がらなかったということは、当然のことながら、総理大臣初め閣議のメンバーの方は、十二月十二日の再開を決定するまで、再開を決定する前には査察を事前に行うという認識をずっと持っていたはずです。そうじゃないとロジックが崩れます。

 違うんなら後で御答弁いただきますが、じゃ、どこで御報告をされたんでしょうか。総理大臣、あるいは、行為の決定をなす閣議をしていないというんだったら、わざわざ閣議を開いてまでとは申し上げませんが、少なくとも何度かその間に閣議がされているわけだから、仮にこういうオプションもある、こういうこともある、いろいろなオプションがある、最終的にはそれは十二日に私の一任で決めさせてくれというようなことを、よく一任をとるというやり方を政治家はしますが、そういうことをやられてもよかったんじゃないですか。いかがですか。

中川国務大臣 まず、伴野委員の今のお話の中で、再開をすることにした場合には、再開時にすることができないという御質問がありましたが、できないじゃなくて、再開後にやった方がいいという判断を決定したのが十二月十二日であります。できるできないの問題ではございません。

 それから、十一月十八日に考え方を是とするという閣議決定をしたわけでございまして、それはあくまでも十一月十八日時点での考え方でございます。その後、十二月十二日の最終的な輸入再開決定に至るまでに、いろいろな状況の中で考え方が変更がなったということでございます。

 いずれにいたしましても、十二月十二日に輸出再開決定をし、そしてまたできるだけ早く査察に行くという判断を私と厚労大臣とでしたわけでありますけれども、その考え方の変更については、この十一月十八日時点での閣議決定には反していないというのが私どもの統一見解でございますので、閣議なりなんなりに、その考え方が変更になったということについては内閣には報告する必要はないというふうに認識をしております。これは私と厚労大臣との共通の決定事項についての判断でございます。

伴野委員 する必要がないとか、する必要があるとかということを聞いているわけではありません。

 結果的に、牛肉の輸入再開前に査察が、できるできないは言葉のこととしましょう、輸入前に査察ということが行為として、するしない、あるいは可能かどうかは別として、査察が行われないということを当然どこかで聞いているはずですが、それが先ほど申し上げたように十二日だとおっしゃるわけでしょう。

 そうしたら、閣議で皆さん方に報告する義務があるかとかなくではなく、一般論といいますか、例えば民間会社で、役員会で社長がいるところで、ある程度、こういう方針でやりましょうと。株主からいろいろな質問を受けて、おたくのこの製品を輸入するときには、こういうことを念頭に置いて事前にチェックをしてやった方がいいじゃないですかという株主の問い合わせがあった。では、役員会としてこの株主にどういう報告をするか。

 輸入をする前に、事前に査察をしてから、チェックをしてからやりましょうということを取締役会で認識をした。そうしたら、それと違うことが行われそうな状態が予見された場合には、その取締役会を構成している一人二人の行動でやってもいいかもしれませんが、やったんだったら、こういうことをやります社長とか、こういうことをやります専務とか、こういうことをやります副社長と言うのは、普通の、一般の感覚じゃありませんか。やらなくてもいいとかいうことを聞いているわけじゃないんですよ。やることの方が望ましかったんじゃないですかということをいった場合、どうですか。

中川国務大臣 十一月十八日の閣議決定は、私と厚労大臣が、再開するときには、再開前に行くという考え方もある、その後にさらに行くという考え方もあるというその認識について、是としたわけでございます。したがいまして、十二月十二日の私と厚労大臣との間での輸入再開決定をしたときに、輸入再開が行われた後に査察に行くという方がベターである、逆に言うと、輸入再開時には再開前に行かないという判断をしたということと、閣議決定とは矛盾をしておりません。

 なお、官房長官に、そのことを、輸入再開をします、輸入再開の後にできるだけ早く査察に行きますという報告をしたのは十二月十二日でございます。

伴野委員 十二日とか何日ということを今問うているわけでもございません。

 要するに、大臣が認識をされた、つまりは十一月十八日の川内さんへの答弁書をつくったとき、それから十二月十二日まで、再開するまでは、少なくとも、総理大臣も、要するに、お二人以外の人の認識は十一月十八日の認識でとまったままじゃないですか、御報告をされていない限りは。そういうことを言っているんですよ。それはどうですか。

中川国務大臣 もう一度、答弁書及び政府統一見解をお読みいただきたいんですけれども、十一月十八日の閣議決定以前は、私も、多分厚労大臣も含めて、食の安全のためにいろいろな方策がありますねということで、再開前にという考え方もあったわけであります。

 十二月十二日の、答申が、これは食品安全委員会に諮問をしたことに対しての食品安全委員会からいただいた答申の中にも、リスク評価の一つの判断材料としてそのことも指摘されておりませんでしたし、何回も答弁しておりますように、認定をした後にきちっと日本向けの輸出プログラムルールどおりにやっていることを確認することができる、その方が実効性がより高まるという状況もあり、十二月十二日の決定時点では、再開前に査察に行くという考え方が変わったわけでございまして、特定の、やるとかやらないとかいうことを決めた閣議決定であれば、それは閣議決定違反になるわけでございますけれども、認識が総合的な判断の上で変わったということでございます。

伴野委員 私、先ほど、少し嫌みを込めて、その答弁書をおつくりになった方、頭がいいと言いましたけれども、わざわざ認識と実質に行う行為というものを分けて、これを整理して回答書を最終的に政府見解としてつくられた。

 なぜ、そういうふうにつくらなきゃいけなかったかということなんですけれども、じゃ、そこまでおっしゃるなら、わかりました、十二月九日以降でもいいです。いつ、要するに、輸入前に日本から査察が行われないということを総理大臣もしくは官房長官に、まあ耳打ちでもいいですし、あるいは連絡でもいいですよ、わざわざ閣議を開いてやってもらう必要はない。そういうことに結果としてなりました。先ほど、オプションは幾つかあると。その答弁書の趣旨も、認識もわかりましたよ。それも是としましょう、この際。

 だけれども、結果として再開前に日本から査察が行っていない、この事実はいつ御報告をされましたか。

中川国務大臣 行為についての決断をしたのが十二月十二日、これは厚労大臣にも御確認いただきたいと思いますけれども、決断をしなければ、官邸なり、官房長官を通じてほかの閣僚なり総理大臣に行くかどうかわかりませんけれども、代表して官房長官に御報告をしたのは、私と厚労大臣が、こういう行為をします、つまり、十三日以降に米国に行って査察をすることにいたしますということも含めて輸出再開決定をという決断をして、決断をしないと官邸に報告できませんから、十二月十二日に官邸に御報告をしたわけであります。

伴野委員 その官邸に行かれたときに、まあ記憶にないと言われるとつらいんですが、査察がいつ、十二日に決定したということだから、当然、そのときに、その前にやれるというようなことは物理的にあり得ないわけですから、結果的に再開後に査察になるというようなことの観点で御説明はされていますか、されてないですか。

中川国務大臣 ここは確認しておいた方がいいと思いますけれども、私が官邸に行ってはおりません。十二月十二日は香港閣僚会合に行っておりましたので、日本におりません。

 農林水産省として決定をしたこと、BSE対策本部を十二月九日に開いて、そして十二月十二日に米国側からの返事もいただいた上で決定をしたわけでございまして、農林水産省、それから厚生労働省としての結論を官邸にお示ししたわけであります。

伴野委員 御本人が御出張中で行かれていないということであれば、多分、事務方か副大臣クラスの方が行っていらっしゃるんだと思いますが、そのときの経過というのは御報告をされたでしょうか。もしされているとすれば、されている中でその査察のことが報告の中にあったかないか、今の記憶の中で。ないと言われちゃうとつらいですが。

中川国務大臣 当然、決定はBSE対策本部、本部長は宮腰副大臣、したがって、私が宮腰副大臣に対して最終的に輸入再開決定をするという決断をしたわけであります。これは、BSE対策本部の決定を受けて最終的に決定をしたわけであります。これは厚生労働省も同じだと思います。

 十二月十二日に官房長官のところに農林水産省として御報告をしたのは、十二月十二日に再開を決定いたします、それから、十三日以降に査察に行くことにいたしますということを御報告いたしました。

伴野委員 いずれにしましても、十二日にそういうことがあって、それ以降でいいです。中川大臣もこの院でも、川内さんというよりも院に対して説明責任が足りなかったということは反省していらっしゃるというお言葉もいただきました。説明責任に対してはそうおっしゃった。

 だから、ここでいま一度聞きますけれども、十二日以降、川内さんの答弁書をどういうふうに答弁したかというような内容までは覚えていらっしゃらないかもしれませんが、だったら、事務方ぐらいが、こういう答弁書があって、多少ここは説明をしておかないと、いろいろ食い違いという疑義をかけられても困るから、院にも、結果として輸入前に査察はできないというか、しませんでしたというのか、査察という行為がなかったということを御報告しようとは思わなかったですか。

中川国務大臣 十一月十八日時点の認識が、いろいろな状況によって、再開するときは再開前に査察をするという認識が変わった。したがって、今、伴野委員がおっしゃるように、再開時には再開前に査察に行かなかったということになったわけでございますけれども、その答弁書、院に対してお出しした答弁書の認識が変わったということについて、院、そしてまた院を通じてお出しになった川内議員に対してきちっとした説明をしなかったということについては、この答弁書の重み、閣議決定ということの考え方、認識が十一月十八日時点と変更になったということについてきちっと説明をしておくべきであったという認識でございますので、今御指摘のように、私としては、大変遺憾である、そして、なぜそういうふうになったのかということについてよく考えておかなければいけないというふうに思っております。

伴野委員 院までのお話は承りました。

 では、そこまでする必要がないとおっしゃるかもしれませんが、再開を決定したときに、国民に対してプロセスをきちっと説明した記者会見、御報告というのはされたでしょうか。

    〔委員長退席、森(英)委員長代理着席〕

中川国務大臣 先ほど申し上げましたように、私は、たしか日曜日からだったと思いますけれども、香港閣僚会議に出張しておりましたので、輸出再開決定、そしてできるだけ早急に、全部を含めて、とりあえず第一陣が査察に出発をする、アメリカ、カナダに出発するということ等については、宮腰副大臣が記者会見でマスコミを通じて国民の皆さんに説明をしております。

伴野委員 続いて、少し観点を変えてお話を承りたいと思います。

 現在、ストップする以前に、七百三十トンもの米国牛肉がもう通過しちゃっていますよね。自主的に回収とかをお願いされているようでございますが、今これはどうなっていると認識されていますか。それと同時に、一部は消費されているんじゃないかと推察されますが、その点はいかがですか。

川崎国務大臣 国内に輸入された米国産牛肉、そのうち、今、自主点検、調査対象として五百七十五トンについて調査を自主的にお願いいたしております。今現在において、危険部位の混入等御報告はございません。

 一方で、私どもは検疫体制を強化してやってまいりました。したがって、それでしっかりとした検疫が行われているという認識をいたしております。ただ、官房長官の御指示で、念のためにもう一度自主的調査をせいという段階でやらせていただいております。

 今の状況、それから私どもの検疫というものを判断いたしましたときに、御質問のように消費されたものがあります、ありますけれども消費された牛肉の安全性に問題があるとは考えておりません。

    〔森(英)委員長代理退席、委員長着席〕

伴野委員 問題がないとおっしゃられる根拠を教えていただけますか。

川崎国務大臣 今申し上げましたように、私どもは、最終的には検疫という体制の中で農林省と私どものダブルチェック、そして今回は、危険部位の混入問題については農林省の第一段階で見つかったということでございます。その後、私どもが検査する。したがって、今回の危険部位については我々はチェックしていないわけですね、第一段階でとまったわけですから。二回にわたる両省の検疫というもので安全性は基本的に担保されているという認識をしております。

 その上で自主的検査を今している、そして、今日の段階においては問題があるという報告はない。したがって、今、現状の認識においては安全性に問題はないと考えております。

伴野委員 生物学的にといいますか科学的には百歩譲ってそうかもしれません。しかし、これだけ混乱があって、かなりやばいという言われ方もされ、それが流布かどうかは別として、多分、今、口にされた方は精神的には嫌ですよ、大臣。嫌ですよ、これは。それは科学的にはそうかとおっしゃるかもしれない。まあ、この辺は慰謝料の話になっちゃいますので、どう気分を持たれたかということになれば。心地よくはないですよ、少なくとも。

 では、その中で、キロ幾らというのがあるんでしょうけれども、ざっと八百円から一千円だとすると、大体七億、宙に浮いちゃっている肉があるわけですよね。この負債というんでしょうか何というんでしょうか、どうしようもないものと言っちゃったら言い過ぎでしょうか、この被害というのは、だれが補てんするんでしょうか。

 どちらでも結構です。御意見があればお伺いします。

川崎国務大臣 食品の安全性という立場に立てば、私どもは問題ないと認識をいたしております。それから、今お話がございましたように、既に消費されたものもございます。したがって、基本的には輸入業者というものが第一義的な話になるであろう。

 しかし、今後のアメリカの対応というものがどういう形で出てくるか。アメリカというものが、はっきり言って我々に対しては約束違反、それに対してどういう検証を行い、どういうところに問題がありということを今待っているところでありますから、結論的なことはもう少しお待ちをいただきたいと思います。

伴野委員 何度も出てきていただいて恐縮ですが、確認だけ。今、輸入業者とおっしゃったのは、日本のでいいですよね。だから、日本がこうむるということですね。

 総理は、アメリカの責任だとおっしゃっています。そうしたら、アメリカに要求してもいいのかなというようなことも考えないわけではないですし、それは少し待ってくれというお話もございます。これはちょっと国対国が絡んでいますから純粋ではありません。

 しかしながら、民間の取引といいますか、産業界あるいは普通の流通業界で受注者側と発注者側があるとすれば、やはりこれ、それなりのブランドを持ったメーカーさんだったら、なかなか、受注者だけの責任だ、一義的にそうかもしれません。一義的にそうかもしれませんが、結果的にそのやりとりの取引の中で起こってしまったもの、言葉は余り好きではありませんが、ある下請さんから取り入れた部品を使って完成品をもう流通させちゃった。何とか株式会社というブランド名をつけていたら、そこの社長さんは、下請さんがいい部品をつくらなかったんだと強弁しても多分余り通用しない。

 これが単に本当に純粋に米国産の牛肉というならいいんですが、いやが応でも日本の設計図で、日本のシステムで、こういう製品をとってくださいねということを言った一連の流れが連続的に行われている以上、このお肉というのは、日本政府が保証したというとまたいろいろあるのかもしれませんが、日本政府が認めて入れたお肉であることは間違いないわけで、消費者である国民というのはそういう見方をされますので、私は、結果責任というものが出てくるのではないか。

 両大臣を個人的に追い込みたいなんということはさらさら思っておりませんが、大臣という非常に重責なお立場、国民はやはり信頼しているんですよね。日本政府というのを信頼したい。そういうことに対して、図らずもこういうことが……(発言する者あり)いや、再発、確認のために必要なんですよ、勉強してから言ってください。そういうことのために、再発防止のために本当に確認をしているんですよ。

 ですから、もし、まだ検証もできていないうちから野党が言っていてはいけないのかもしれませんが、今の頭の中で考えられる次の再開のプロセスというのは、どういう手順を踏んでいけば、落ちた信頼を回復して、安心で安全なアメリカ産のお肉を食べていただけると。

 農水大臣、どう思われますか。

中川国務大臣 まず、これは伴野委員も今御指摘になられたように、工業製品と食べ物というのは、違うと言っては失礼ですけれども、やはり食べ物は食べ物でありますから、幾らきちっとしていますといっても、消費者が、食べたい、あるいはまた、ちょっといろいろと考えなきゃいけないという御判断が当然あるわけであります。

 ですから、私は前からずっと言っていますし、一月二十日以降、特にアメリカ側、ジョハンズ農務長官初め言っているんですけれども、仮に、アメリカ側がきちっとした再発防止策、あるいはまた今回の問題に対してのきちっとした原因究明がなされて、そして日本側も、このEVプログラムに基づいてきちっとした再発防止策である、原因究明策であると判断したとしても、消費者が買わなければこれは売れない。したがって、アメリカ側の輸出も結果的には実質的にできなくなってしまうでしょう、ですから拙速は避けた方がいいですね、急がば回れですねということをずっとアメリカ側に言い続けているわけであります。

 御指摘のとおり、これは仮に最終的に再発防止それから原因究明できちっとしているということを政府が判断したとしても、消費者の御判断によって、これは食べない、買わない、したがって輸出できないということになりますから、そういうことも含めて、アメリカ側の今回の責任というものをきちっと果たさなければ次へのステップには行きませんよということを強く申し上げているところであります。

伴野委員 決意はお聞きしました。

 それと、例え話で水かけ論になってもいけませんが、大臣が私に産業製品とは違うとおっしゃったのは、多分、品質管理の点で、工場内で生産していたり、設計図に基づいてきちっと加工できるようなものは、当然クオリティーコントロールできますね、かなり均質性というのは保たれる。食べ物は、おっしゃるように、もう本当に、同じリンゴでも同じ牛肉でも、二度と同じものというのは多分ないと思います。同じようなものというのはあるんですよ、品質管理のやり方で。

 例えば建築構造物、土木構造物、これは一品製品です。全部現場で合わせていかなきゃいけないんですね。同じ設計図でやっていても、はっきり言って、地盤はもう全部構造物によって違います。だから、場所で合わせていくというようなことをやるんですね。そのためには、やはり時間もかけているし、試作品というものをつくったりなんかするんですね。御存じのように、建築パーツなんというのをごらんになったことがあると思いますが、そういうものをいろいろつくって。

 だから今回も、次のことの検証のために申し上げますが、やはり事前にもっといろいろやっておかれるべきだった。確かに、それなりの、ある一定のロットで、工場を三十カ月用から二十カ月用に切りかえて、検査員もその目で見させてというと、動かさなきゃいけないというその理屈もそうですけれども、それは、受注者が発注者に、発注してから見せるから、まず発注してくれ、契約してくれ、製品を出させてくれというのに、ちょっと大胆な例えかもしれませんが、類似している点がございます。

 ですから、今回でも、確かに査察するために人がたくさん要るかもしれません。では、ある二十カ月以下の牛を今から屠殺するというんだったら、四十カ所じゃなくて最初の一カ所、そこに全部同時に配置をして、それで一カ所目でオーケーが出た、では二カ所目から三カ所目、こういうのをパイロット調査をしながらやっていくという言い方をするんですが、そういう五月雨的に、一気に全面開放しなくてもできたはずじゃないのかなと思います。参考にしてください。

 それと、大臣は、上積みのこともしなきゃいけないと記者会見だったかあるいは新聞記事で、きのうでしたか、おっしゃっているし、読ませていただきました。そのとおりなんです。そのためにも、査察が強くなる、いわゆるチェックが強くなる方向の仕組みをもう一つ考えていただけないか。

 まあ多分、工業製品だってミスが出ます、不良品が入ってきます。だから、今後も起こり得るか起こり得ないかといったら、一〇〇%であると言う方がうそつきなんだと思うんですね。あり得ちゃうかもしれない。残念ながら、とんでもない人がチェックをして入ってきちゃうかもしれない。

 そのためにも、私は、どちらの業者でおやりになるかは別として、先ほど、七億円という損害がいずれにしても出ている、どこかで払わなきゃいけないんだったら、日本でもいいしアメリカでもいいし、私は、望ましいのはアメリカでその保険を掛けてもらう。保険として成り立つかどうかという検討は必要だと思いますよ。でも、保険会社はそういうことを起こさせない方が損害費を払わなくていいですから、保険会社も査察をさせてくれということを言うかもしれません。だから、これはプラスアルファのインセンティブが働く査察強化になる。これは一つのアイデアフラッシュだと思って聞いてください。やはり何かプラスアルファをしていかないと、この仕組みを維持するということは、あるいは一度失った信頼というのはなかなか回復しないんじゃないかと思いますので、ぜひ検討をしていただきたい。

 それと、先ほど、ずっと責任責任と失礼なことを申し上げてきたかもしれませんが、ある程度許容させていただいて、中川大臣は説明責任は果たされたんだろうと思いたい。しかしながら、結果責任はこれからどう果たされるのか。そういう聞き方をすると、ある事故を起こされた社長さんのように、この事故が二度と起こらないようにするのが私の職務ですと、多分同じようなことをおっしゃるんだと思うんですね。

 しかしながら、国会も一日、二日混乱しました。流通も混乱しました。七億円の被害も出ています。そして、科学的には大丈夫だとお墨つきをつけていらっしゃるかもしれませんが、精神的には、非常に不安の中で、今口にしちゃったじゃないかと思っている人が、これは調査してみないとわかりませんが、何人かいらっしゃる。この結果責任に対しては、きちっとした牛肉輸入システムを確立した、そういって確信を持った時点で、格好よく、潔く辞表を出していただけないかと私は思いますが、いかがでしょうか。

中川国務大臣 一月二十三日の時点で、先ほど厚生労働大臣からお話があったような自主的な検査等を要請したところでございます。その後、一月三十日に、当予算委員会でのやりとり、そして最終的な政府統一見解を出したわけでございます。あのときも申し上げましたように、私がやるべきことは、与えられている農林水産大臣としての仕事、とりわけ食の安全に対する仕事を厚生労働大臣とともに全うするというのが私の責務であり責任だということでございまして、今はその責務を全うするために全力を傾けてやっているということでございます。

伴野委員 そのとおりなんですね。真っ当にやっていただく、それはそのとおりなんです。

 ただ、私が言いたいのは、重みといいますか信頼度を上げるために、やはり、今の世の中、いや、そこまでしなくてもいいのになというところまでやらないと、なかなか世間というのは許してくれないんじゃないかなということを申し上げているんですね。それは見解の相違になるかもしれません。ですから、ここでやめておきますが、ぜひ、確立していただいて、そしてその後に、結果責任というのがどうであったかお考えいただければと思います。

 では、随分この案件で時間をとらせていただきました。次の案件に行かせていただきたいと思います。

 十八年度予算、まさに予算案についてやるのが当委員会でございますので、幾つか聞きたかったことは少し後ろに先送りさせていただくことをお許しいただきたいと思いますが、今回、大臣、十八年度予算、これを組まれたときの大臣の思い、この点はおれの思いが入っているという点を一点と、それから、いろいろ予算執行実績見直しをされましたよね。私は、これは一つは勇気ある行動であったと評価させていただいているんですよ。

 お手元へ行っております資料の二ページ目をごらんください。

 正直言って、これは多分皆さん方もレクを受けられて目にしていらっしゃると思いますが、この真ん中あたりに、執行実績がなかった事務事業、反映額、件数、八十五億円、三百七十四件、まあいろいろあるんだろうなとここまでは見ていました。その例のところに、ポケットベル使用料、厚生労働省、十六年度において執行実績ない。ないのは当たり前ですよね。これは、常識的に今の通信等々の状況を考えたら、十年前ぐらいからずっと計上されてあったんじゃないか。確かに、執行されていなかったからまだ罪は軽いかもしれませんけれども、予算の信頼性ということでは、ちょっとこれはびっくりですよ。

 さらに、名目と異なる執行が行われた事務事業、これも堂々と書いていらっしゃるけれども、流用を弾力的にすることも一つの考え方だけれども、基本的にはこれもまずいとされる案件ですよね。さらには、執行実績に比して過大な予算措置となっていた事務事業、ここだと、ちょっと三角ぐらいにしてあげたいなと。

 だから、考え方によっては、よく先輩のやられたことにメスを入れて、勇気を持ってやられましたねということも申し上げたいけれども、一方で、こんなことが十年ぐらい、帳簿上だといえども、執行していなかったからいいと言えないんじゃないかなと思うんですね。

 私の事務所でそんなことが起こったら、私はそれはやはり経理を担当している者に一言言いますよ、いいかげんにしろと。十年もこんな、幾ら予算といえども。うちも支部で予算計上して支部できちっと承認いただきますからね、支部の方にうそをついていたことになります。

 こういうことを含んだことを、予算委員会で今までチェックをしていなかった私も含めて、議院も責任があるかもしれません。しかし、そういうものを含んでしまった、計上された予算案が国会を通過して十年以上執行されていたということは、執行をこの部分はしなかったかもしれませんが、そういう予算を執行してきたということに対してはかなり驚きです。

 では、思いと、今の予算執行実績の見直しの感想をお聞かせいただけますか。端的に、もう時間がなくなってきているので、済みません。

谷垣国務大臣 思いというと、いささか情緒的でお答えしにくいんですが、十八年度予算を組むに当たりまして考えましたことは、小泉内閣として今までいろいろな改革をやってきました、医療改革であるとか三位一体とかやってまいりました。それをできるだけ生かそうということと、今おっしゃった、やはり執行実績等をちゃんと調べて、できるだけ実態を反映したきちっとしたものにしたいという気持ちがございまして、ここから思いでございますが、思いは、そういうことを通じて、少しでも子供たちや孫たちの世代にツケを先送りしない体質をつくる、その一歩でも進めたものにしたいというのが私の思いでございます。

 したがいまして、その結果が、プライマリーバランスを三年連続で回復したとか、あるいは一般歳出を二年連続で抑えたとか、あるいは三十兆以下に国債発行額を抑えたというところにあらわれていると思います。

 それから、今ポケベルとかいろいろ御指摘がございました。これは、率直に申し上げまして、私ども、予算をつくるとき、新規予算の査定というのは相当厳格に今までやってきたと思います。ところが、一度平年化したものについては、ややその査定が甘いところもあったのが事実だろうというふうに私は思っております。余り一般論で言ってはいけませんが、そういうこともあったろうと思います。

 国会の方でも決算等のお取り組み、特に参議院中心に進めておられます。私どもも、そういったことを十分踏まえて、過去の予算といいますか、もう既定化したものもきちっと見直していく努力を今後とも続けたいと思っております。

伴野委員 確かに、業務量的に、どこまで大臣がお一人でチェックできるかというのは物理的にあると思います。ですから、この間もちょっと申し上げましたように、私どもが党内でやっているときは、やはり一億円というのを一つの基準でいろいろチェックをさせていただいております。業務量とあわせて大臣がおやりになる額というのはあるんだと思いますが、ぜひ、どこかで線を引くなり一つの目安も設けて、この際ですから徹底的に見ていただくことをお願いしておきたいと思います。

 では、ちょっと時間がなくなってきましたので、ぜひ手を打ってほしいという案件を先に質問させていただいて、予算の中身につきましては、まだこの後も多分、一般質問をやらせていただける機会があろうかと思いますので、お招きして質問できない大臣がいらっしゃったら失礼で、まことに恐縮でございますけれども、ちょっと早く手を打ってあげてほしいという案件につきまして質問させていただきたいと思います。

 それは、在日外国人の不就学問題なんですね。これがどれだけの数がいらっしゃるかというのが、確かにまだ調査できていないと思われます。いわゆる在日外国人のお子さんで教鞭に参加できないお子さんが、ある推計では十六万人ぐらいいらっしゃるんじゃないかという調査もあったり、あるいは、外国人の登録者数からずっと割っていきますとこの程度だという試算も考えられるようでございますが、浜松なんかでは調査したようでございますので、浜松市で五十人という結果も出てきているようでございます。

 ここ二年間で政府がお調べになるということでございますが、やはり子供は、どの親に生まれたい、あるいはどの国に生まれたいという選択ができるものではありません。最近、格差社会とか光と影というような言い方をされていますが、余りこういう言葉は使いたくないんですが、残念ながら、法と法の間といいますか、ある程度親の責任のもとで残念な境遇にいる人は、早く手を差し伸べないと、これも確率論で申しわけありません、確率的に、やはり言葉もしゃべれない、就職もできない、友達とも交流ができない、コミュニケーション能力がある一定以上保てないということになりますと、多くの場合は、やってはいけないことをしがちでございます。

 だから、私自身は、早く手を打っていただけないかな、何か一緒に仕組みを考えられないかなと思うわけでございますが、このあたりのお考えについて、今の時点で結構です、文科大臣と、それから、所管が違うんだとおっしゃるかもしれませんが、やはりこれは省庁連携して、法務大臣にも、何かできることはないか、今の時点で御協力できること、ぜひ御答弁いただけませんか。

小坂国務大臣 伴野委員御指摘の外国人児童の就学の問題でございますけれども、法務大臣おいででございますが、法務省の外国人登録者数、これで見ますと、五歳から十四歳までの登録者の数が十二万余ということです。それからまた、五歳から十九歳でとりますと二十万人。いずれも、どちらの統計でやっても、この約半数が就学をしている。また、残りの半数は、いわゆる公立学校あるいは正規学校以外のところに通っていらっしゃる。自国の、それぞれの語学の、そういったような教育的な機関に通っていらっしゃる方もあるかもしれませんが、残りの半数は不就学であると見られるわけでございます。そういった皆さんに対して、やはり就学していただくように、戸別訪問をしながら就学状況の調査を行っております。

 保護者の意識、また就学状況などは、大変多様な要因によるものでございまして、そういった意味から、一概にこのような対策ですぐに解決するという策があるわけではございませんけれども、それぞれ戸別訪問をしながら、ぜひともお子さんを通わせていただきたい、こういうことを、それぞれの地域の、東京でいえば区役所の人たち、あるいは民生委員の方々、あるいは学校の先生方、いろいろなチャネルを通じて働きかけを行っているところでございまして、できるだけ機会を多く持っていただけるように、いろいろなチャネルを通じて就学を勧めているところでございます。

杉浦国務大臣 お答え申し上げます。

 主管官庁は文部省でございますが、未就学児童の実態把握、まだ十分じゃございません。そういうことを目的として文部省が御調査なさる場合には、国の機関、または、外人登録は地方公共団体がやっておるわけですが、市町村の外国人登録担当部署に対しまして御照会があった場合にはこれに対応することはできるようになっておりますし、また、文科省の方で例えば就学案内のパンフレットを置いてほしいということでございますれば地方の入管局に置くなど、できる限りの御協力を行ってまいりたいと考えております。

伴野委員 図らずもといいますか、御本人の意思、行動でなく残念な環境にあるお子さん、ぜひお子さんの立場から、難しいということはもう重々承知しています、難しいから、やはり私は政治家がきっちりと光を当ててあげないといけないんじゃないかと思いますので、両大臣にぜひこの点はお願いしておきたいと思います。

 もう本当にあと一問ぐらいしか時間が残っておりませんので、もう一つ喫緊に頑張っていただきたいというのが、これはくどく文科大臣にお願いしておりますが、予算委員会のときにも一緒に頑張りましょうということを言わせていただいたと思いますが、公立の小中学校の耐震。もう、ずばり教えてください。あと何年で、どれぐらいお金が要るんですか、ぜひ教えてください。

大島委員長 小坂文部科学大臣、短く、ずばり。

小坂国務大臣 短く、ずばり申し上げますと、現在、耐震化の調査が十分にできておりません。約半分済んでおるわけですが、半分が残っている。

 国土交通省と連携をしながら、国土交通省の予算も使わせていただいて、住宅建物の耐震化診断の予算等も活用する中で、本年の十二月末までに全校の耐震化診断を終える。その上で、その把握したものの中の危険度、そして緊急性、また設計等の準備の段階、それを踏まえて順次着手をしてやってまいりたいと存じますので、今、ずばり何年といっても、そういった数字がないものですから、明確には申し上げられない。

 しかしながら、当面緊急に対策をする必要がある、危険度が高いと思われるもの、今後五年間で特に必要があるものは、今把握されている数の約三分の一程度の建物。すなわち、その建物のトータルの予算というのは、昨年の三月に有識者によってこの研究をしていただきました。その中で提示をされているものは、事業費でおおむね三兆円程度必要となるだろう、このように概算をされているところでございます。

 今申し上げたような形で、検証がまだまだ必要なことでございますが、ずばり数字を、概算的でいいからということであれば、こういった形でございます。

伴野委員 今、大体三兆円、一千億円ずつ出すと三十年ということになっちゃうわけで、調査がまだこれからだということでございます。早くやっていただいて、これだけかかると言っていただいて、それに対してノーという人は私は少ないと思います。ぜひ情報を前広にしていただいて、あのパキスタンのときに校舎で押しつぶされた子供さんの悲惨な状態ということに対して、多分皆さん方、思いは共有してくださると思いますので、ぜひ一刻も早くここに、お金で済むならばお金を投入していただいて、早く手を打っていただきますよう、よろしくお願いいたします。

 以上で終わらせていただきます。

大島委員長 これにて伴野君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三分休憩

     ――――◇―――――

    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕


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