衆議院

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第14号 平成18年2月17日(金曜日)

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平成十八年二月十七日(金曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 大島 理森君

   理事 金子 一義君 理事 田中 和徳君

   理事 玉沢徳一郎君 理事 松岡 利勝君

   理事 茂木 敏充君 理事 森  英介君

   理事 細川 律夫君 理事 松野 頼久君

   理事 上田  勇君

      阿部 俊子君    逢沢 一郎君

      新井 悦二君    井上 喜一君

      伊吹 文明君    浮島 敏男君

      臼井日出男君    小里 泰弘君

      尾身 幸次君    越智 隆雄君

      大野 功統君    奥野 信亮君

      河井 克行君    河村 建夫君

      木原 誠二君    斉藤斗志二君

      笹川  堯君    実川 幸夫君

      篠田 陽介君    鈴木 馨祐君

      薗浦健太郎君    園田 博之君

      平  将明君    高市 早苗君

      高鳥 修一君  とかしきなおみ君

      渡海紀三朗君    中山 成彬君

      長崎幸太郎君    丹羽 秀樹君

      根本  匠君    野田  毅君

      広津 素子君    二田 孝治君

      町村 信孝君    松本 洋平君

      三原 朝彦君    山本 公一君

      山本 幸三君    山本 有二君

      渡辺 喜美君    小川 淳也君

      大串 博志君    岡田 克也君

      加藤 公一君    笹木 竜三君

      田村 謙治君    高山 智司君

      永田 寿康君    原口 一博君

      伴野  豊君    古川 元久君

      馬淵 澄夫君    伊藤  渉君

      坂口  力君    谷口 隆義君

      桝屋 敬悟君    佐々木憲昭君

      阿部 知子君    糸川 正晃君

      徳田  毅君

    …………………………………

   内閣総理大臣       小泉純一郎君

   総務大臣         竹中 平蔵君

   法務大臣         杉浦 正健君

   財務大臣         谷垣 禎一君

   文部科学大臣       小坂 憲次君

   経済産業大臣       二階 俊博君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     安倍 晋三君

   国務大臣

   (金融担当)       与謝野 馨君

   内閣官房副長官      長勢 甚遠君

   内閣府副大臣       櫻田 義孝君

   法務副大臣        河野 太郎君

   財務副大臣        竹本 直一君

   経済産業副大臣      西野あきら君

   内閣府大臣政務官     後藤田正純君

   法務大臣政務官      三ッ林隆志君

   財務大臣政務官      西田  猛君

   文部科学大臣政務官    吉野 正芳君

   経済産業大臣政務官    片山さつき君

   政府参考人

   (警察庁刑事局組織犯罪対策部長)         米田  壯君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局長)  三國谷勝範君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局総括審議官)          中江 公人君

   政府参考人

   (金融庁検査局長)    西原 政雄君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    佐藤 隆文君

   政府参考人

   (金融庁証券取引等監視委員会事務局長)      長尾 和彦君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           久保 信保君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            須田 和博君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    大林  宏君

   政府参考人

   (国税庁次長)      石井 道遠君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  岩崎 貞二君

   参考人

   (企業会計基準委員会委員長)           斎藤 静樹君

   参考人

   (株式会社東京証券取引所代表取締役専務)     飛山 康雄君

   参考人

   (日本銀行総裁)     福井 俊彦君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十七日

 辞任         補欠選任

  臼井日出男君     丹羽 秀樹君

  尾身 幸次君     新井 悦二君

  亀井 善之君     浮島 敏男君

  河井 克行君     渡辺 喜美君

  斉藤斗志二君     高鳥 修一君

  笹川  堯君     木原 誠二君

  園田 博之君     小里 泰弘君

  高市 早苗君     篠田 陽介君

  渡海紀三朗君     松本 洋平君

  中山 成彬君     鈴木 馨祐君

  野田  毅君     広津 素子君

  町村 信孝君     越智 隆雄君

  山本 公一君     とかしきなおみ君

  山本 幸三君     逢沢 一郎君

  小川 淳也君     永田 寿康君

  馬淵 澄夫君     田村 謙治君

  坂口  力君     谷口 隆義君

同日

 辞任         補欠選任

  逢沢 一郎君     山本 幸三君

  新井 悦二君     尾身 幸次君

  浮島 敏男君     平  将明君

  小里 泰弘君     阿部 俊子君

  越智 隆雄君     町村 信孝君

  木原 誠二君     笹川  堯君

  篠田 陽介君     高市 早苗君

  鈴木 馨祐君     中山 成彬君

  高鳥 修一君     斉藤斗志二君

  とかしきなおみ君   山本 公一君

  丹羽 秀樹君     薗浦健太郎君

  広津 素子君     野田  毅君

  松本 洋平君     渡海紀三朗君

  渡辺 喜美君     河井 克行君

  田村 謙治君     馬淵 澄夫君

  永田 寿康君     小川 淳也君

  谷口 隆義君     伊藤  渉君

同日

 辞任         補欠選任

  阿部 俊子君     長崎幸太郎君

  薗浦健太郎君     臼井日出男君

  平  将明君     亀井 善之君

  伊藤  渉君     坂口  力君

同日

 辞任         補欠選任

  長崎幸太郎君     園田 博之君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 公聴会開会承認要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 平成十八年度一般会計予算

 平成十八年度特別会計予算

 平成十八年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

大島委員長 これより会議を開きます。

 平成十八年度一般会計予算、平成十八年度特別会計予算、平成十八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、参考人として企業会計基準委員会委員長斎藤静樹君、株式会社東京証券取引所代表取締役専務飛山康雄君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人として警察庁刑事局組織犯罪対策部長米田壯君、金融庁総務企画局長三國谷勝範君、金融庁総務企画局総括審議官中江公人君、金融庁検査局長西原政雄君、金融庁監督局長佐藤隆文君、金融庁証券取引等監視委員会事務局長長尾和彦君、総務省自治行政局選挙部長久保信保君、総務省総合通信基盤局長須田和博君、法務省刑事局長大林宏君、国税庁次長石井道遠君、国土交通省航空局長岩崎貞二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

大島委員長 本日は、金融ライブドア等諸問題についての集中審議を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木原誠二君。

木原(誠)委員 自由民主党の木原誠二でございます。

 本日は、予算委員会で質問させていただく機会をいただきまして、まことにありがとうございました。何分、新人議員ではございますけれども、諸先輩の御協力をいただきながら、しっかりと質問させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いをいたします。

 さて、質問に先立ちまして一言だけ申し上げたい、このように思っております。

 金融市場、とりわけ株式市場は、企業による資金調達あるいは投資家による資金運用、まさに資本主義経済におきまして最も重要なかなめの場でございます。そしてまた最も重要な公共財でもあるわけでございます。とりわけ、昨今、国際化というものはしっかりと進展しております。資金は国境を越えて自由に行き来する、この国際グローバルマネーというものをそれぞれの国にしっかりと引き込んでいくということが、一国の経済成長、競争力を左右する非常に大きな問題でございます。

 きょう、こうして、金融ライブドア等金融問題に関する集中審議が行われる非常に大切な場だと思います。この場が誹謗中傷の場になることなく、そしてまた政争の場になることがないようしっかりと政策論議をさせていただきたい、このように思いますので、どうぞ大臣によろしくお願いいたしたいと思います。

 さて、今回のライブドア事件、私は、粉飾を含めて、上場企業として本来果たすべき責任あるいは開示といったようなものがしっかり果たされなかった、まさに一つの新興企業の暴走であった、企業の経営の天才が悪事においても天才であった、極めてたぐいまれな個別異例な事態ではないかな、このように思っているわけでございます。また、その手法は、大胆な株式分割あるいは投資事業組合の匿名性の悪用。手法は確かに正しいというか新しいわけでございますけれども、実際は、極めて古典的な経済犯罪の一つだろうな、こんなふうに考えているわけでございます。

 しかし、他方で、今回の問題に関しまして、行き過ぎた規制緩和が原因なのではないか、あるいは、野放しにされてきたMアンドAといったようなものが問題なのではないか。さらに言えば、IT産業そのものに大きな問題があるのではないか、あるいはまた、小泉改革の実はこれは影の部分ではないのか、こういったさまざまな議論もあるわけでございます。

 私はこの議論を、きょうの質問をさせていただくその大前提としてまず与謝野大臣にお伺いしたいんですが、今回のライブドアの問題というものを大臣がどのように認識されているか。特に、これまでの規制緩和との関係、そしてまた、私は、これから、ライブドア問題を契機にいろいろな市場の不備あるいは法制度の不備というのを議論する中にあって、やはり過剰な反応になってはいけない、このように考えるわけでございます。

 今回の事件を契機にして、規制緩和と、そしてあるべき規制強化、バランスのとれた議論が必要だと思いますけれども、そのあたりのまず大臣の所見をお伺いしたい、このように思います。

与謝野国務大臣 金融市場、証券取引所、証券取引を通じまして経済にとって資金の最適配分がなされる、そういう機能を私は市場は担っていると思っております。

 そういう中で、委員御指摘のように、今回の事件をどうとらえるかということですが、私は、個別の企業の法律違反、そのようにとらえることが正しいのではないかと思っております。もちろん、今回の事件を通じて一般抽象化できるものは規則や法律にしていかなければならないと思っておりますが、今回は明白な証券取引法の違反事件でございますし、それはそれ自体として冷静に処理をしていくということが必要であると思っております。

 やはり、いろいろな取引形態がありますときにどこまで網をかぶせることができるかという問題もありますし、また、余り網をかぶせ過ぎますと、自由なる取引、経済活力という面からも、規制のし過ぎだという御批判も出てまいりますでしょうし、その辺のバランスというものは極めて難しいものでございますけれども、一定のルールを決めて、そのルールを市場参加者に守っていただく、国や政府というものは事後的なチェックをやっていく、この流れというものは、私は、世界の市場ルールに照らして適切な歩みであろう、そのように思っております。

木原(誠)委員 大臣、ありがとうございました。ぜひ、国際競争力の維持そしてまた経済活力の維持という観点から、バランスのとれた規制の緩和あるいは規制の強化といったことに取り組んでいただきたい、このように思うわけでございます。

 そこで、個別の問題について幾つかお伺いをしたい、このように思っております。

 先ほども申し上げましたように、今回の事件、多くの意味で新たな手法というものが幾つか活用されているわけでございます。株式分割あるいは投資事業組合、そしてまた監査の不備、いろいろな問題があろうかと思います。本当は、すべて一つ一つ取り上げていきたいわけでございますが、時間も限られておりますので、私からは二つ、特に、株式の分割そして投資事業組合の規制のあり方ということについて御議論をさせていただければと思っている次第でございます。

 さて、株式分割についてでございますけれども、私は、ライブドアの特異性そしてまた特殊性というのは投資単価が極めて低いというところにあるのかな、このように感じているわけでございます。まさに、こういう言い方はよくないかもしれませんが、宝くじや馬券のように買えてしまう、あるいは、中学生でも高校生でもお小遣いで買えてしまう、こういう株価の特色、銘柄の特色、それがライブドアの大変な特殊性である、このように思っているわけでございます。そのライブドア株式の特殊性を生んだのが、やはり株式分割だろう、このように認識しております。

 ライブドアは、わずか数年の間に四度もの株式分割を実行して三万分割を実施している。そしてまた、一株当たりの投資単価というのは数百円で買えてしまう、こういう企業なわけでございます。

 ちょっと事務方に確認したいんですが、三万もの分割をするような企業、あるいは、投資単価がこれほど低い、数百円で買えるような上場企業というのがあるのかどうか、事実関係だけ御確認をさせていただきたいと思います。

三國谷政府参考人 お答えいたします。

 まず、株式分割の方でございますけれども、一度の分割で一万分割したような例はございませんけれども、例えば、ライブドアのように、平成三年の三分割以降、四回の分割により、結果として、上場後三万分割されたという例はございます。

 それから、株式売買単価でございますけれども、五百円前後のところには数銘柄ございます。

木原(誠)委員 ありがとうございました。

 いずれにいたしましても、やはり株式分割というものについて一定のルールが必要だな、こういうふうに考えるわけでございます。もともとは、二〇〇一年施行された商法で株式分割がかなり自由化をされた。その一方で、それについて一定のルールがなかった、若干野放しになってしまったというところに問題の所在があるんだろう、このように思うわけでございます。

 昨年の三月、ようやく、私からするとちょっと遅きに失したかな、こういう感じもいたしますけれども、東証の方で、五分割超の株式分割については自粛を要請する、こういうことになっておるわけでございます。これについては東証の努力を多としたいわけでございますけれども、もう一歩踏み込んで、これを例えば法令で、あるいは政令、省令でもう少しルールを明確化するといったようなことが考えられないのか、御見解をお伺いできればと思います。

櫻田副大臣 お答えいたします。

 株式分割に関しましては、平成十三年の十月施行の改正商法におきまして、株式の流動性を高めるという点から見直しされていると承知しているところでございます。

 このような、会社法における考え方や、大幅な株式分割により価格変動が大きくなる問題に対処するための措置が講じられたことを踏まえれば、証券取引法によって株式分割を規制することについては慎重に検討すべき課題であると考えておりますが、引き続き市場の動向に注意してまいりたいと思っております。

木原(誠)委員 副大臣、どうもありがとうございました。

 今まさにおっしゃったことは、会社法でこれは原則自由になっている、それを証取法で規制するのはなかなか難しいよ、あるいはまた、従来、新株が発行されるまでに相当の期日が要されていたわけですけれども、その面の手当てもできた、こういうことを前提にされた御答弁かな、こう思うわけでございます。

 他方で、自粛要請というのはあくまでも自主ルールだと言わざるを得ないと思いますし、五分割超、これは一回当たりということでございますから、この五分割超を累次にわたって繰り返せば、どんどん今回と同じような事態が生ずるんだろう、こんなふうに思うわけでございます。

 いわゆる証取法の法体系の中で、これがふさわしくないあるいはなかなかフィットしない、これは理解するわけでございますけれども、やはり金融庁として、例えば一定のガイドラインを示すあるいは指針を示す、そういった形で、東証と同様に、この株式分割について何らかのメッセージを出していただくわけにはいかないのか。もう一度答弁いただければと思います。

櫻田副大臣 株式分割につきましては、平成十三年度の十月施行の改正商法において分割後の一株当たりの純資産額基準が撤廃されたことにより、流動性向上や株主数増加等を目的といたしまして、多数の上場会社が行ってきたものと承知しているところでございます。

 また、大幅な株式分割によりまして、分割の権利確定日以降新株発行日までの間、価格変動が大きくなる可能性があるなどの問題点も指摘されてきたところでございます。

 こうした指摘を踏まえ、委員御指摘のとおり、昨年三月、各証券取引所から上場会社に対しまして、株式数が株式分割前の五倍を超える株式分割等については自粛要請がなされており、その後、このような株式分割はなされていないところでございます。

 さらに、株式会社証券保管振替機構では、本年一月四日以降を権利確定日とする株式分割につきましては、その効力発効日を権利確定日の翌日まで前倒しすることを可能とする取り扱いを開始したものと承知しており、従来のように、大幅な株式分割による価格変動が大きくなる可能性は極めて低くなったと承知しております。

木原(誠)委員 どうもありがとうございました。引き続きぜひ御検討を続けていただければと思う次第でございます。

 もう一点、株式分割に関連して御質問をさせていただきたい、このように思います。

 ライブドアのように、投資単価を極端に引き下げる、結果として発行済み株式数が過度に大きくなる、こういう場合、大変取引の負荷というものが東証のシステムにかかるんだろう、このように思うわけでございます。

 発行済み株式総数で見ますと、必ずしもライブドアは多いわけではございません。新日鉄なんかの方が多い。ただ、株式の最低取引単位、単元数ということで申しますとライブドアの発行済み株式単元数というのは断トツに多いという状況でございまして、東京証券取引所の一日の出来高の中でも、日によっては七割を超える出来高がライブドアによって占められてしまう。

 こういう場合に、東証のシステム、これは東証の制度の問題かもしれませんけれども、例えば発行手数料を取るとか、過度に単元数が多い株式については超過の手数料を取る、こういったようなことを考えられないのかどうか、ちょっと御意見をいただければと存じます。

与謝野国務大臣 先生の御指摘はまさにそのとおりでございまして、ネット取引等が進みますと、今の売買単位でいいのかという問題が当然出てまいります。売買単位が小さいと、取引回数がふえるということのほかに、売買単位が七種類も八種類もありますと、繰り返し取引をしていますときに、顧客もそれを扱う業者も間違いを犯すという可能性もまたあるわけでございまして、今、売買単位をもう少し統一できないかという検討をしているところでございます。

 それからもう一つは、スライシングという技術が発達してまいりまして、機関投資家ですら、注文を一括して出さないで非常に薄く切って出す、しかもそれをコンピューターで管理させて出すということで、そのスライシング自体がまた取引回数をふやすということで、システムに対する負荷というのは、新たなこういう取引方法、取引手口によって負荷が上がってくる。こういう問題もありますので、委員御指摘のように、取引単位をどうするかというのは、せっかくの投資家の投資市場離れを起こさない範囲でどうするかというのはこれからの検討課題であると思っております。

木原(誠)委員 ありがとうございました。

 今、投資単位をどういうふうに統一していくか、あるいは引き上げていくか、こういう御回答だったかと思うわけですが、私が申し上げたかったことは、システムを運用していく、それから、システムから受益を受ける、上場会社そのものがまさに受益を受けるわけでございますから、費用負担というのをもう一度ゼロベースから考えた方がいいんじゃないか。そういう意味では、発行済み株式数あるいは単元数が非常に多い会社というものについては一定の負担をお願いするといったようなことも考えられるのかな。ぜひそんな点も含めて御議論をしていただければ、このように思う次第でございます。

 時間が限られておりますので少し先に進みたいと思いますけれども、投資事業組合につきまして一点だけ御質問をさせていただきたい、このように思っております。

 現在恐らく検討中のいわゆる投資サービス法、金融商品取引法の中で、投資事業組合につきましても届け出あるいは登録、こういったことで一定の規制をかけるということで議論が進められているのではないか、このように承知しているわけでございます。

 私自身も、全く野放しでいいというわけにはいかないと思いますので、届け出、登録制あるいは一定の検査ということについては、これはしかるべくやっていただきたい、このように思うわけでございますけれども、他方で、一つの議論として、投資事業組合の匿名性を少し下げようじゃないか、すなわち、投資事業組合にだれが出資しているのかということをしっかり開示させようという議論もあるわけでございます。こういった議論について、今どの程度金融庁として検討されているのか、回答をいただければと思います。

櫻田副大臣 お答えいたします。

 投資事業組合を含むファンドについては、現在、今国会の提出を予定しております証券取引法等の一部を改正する法律案において、必要な規制の整備に向けた検討を進めているところでございます。

 具体的には、主として利用者保護ルールの徹底を図る観点から、新たにファンドについての包括的な定義を設け規制範囲をファンド全般に拡大すること、ファンドの自己募集、ファンド設定者自身による販売や勧誘について新たに業者としての登録対象業務とすること、ファンド形態による有価証券に対する投資運用について業者としての登録対象業務であることを明確にすることを行う方向で検討を進めているところでございます。

 また、投資事業組合が連結対象となるかどうかにつきましては、会社が他の会社等の意思決定機関を支配していると認められる場合、当該他の会社は連結される、いわゆる実質支配力基準ということにされており、これは、他の会社等が組合である場合も同様でございます。

 投資事業組合が上場会社等の連結対象となれば、投資事業組合の財務内容が親会社の財務諸表に反映されるほか、親会社の有価証券報告書等の中で、原則として、組合名称、組合の主要な事業の内容等が開示されるものと承知しております。

木原(誠)委員 ありがとうございました。

 冒頭、規制の緩和そして規制の強化ということのバランスのことを申し上げましたけれども、投資事業組合につきましては、余り過度な規制にならないということにもぜひ御配慮いただきたい。

 今、連結対象になるかどうか、ここはまさに今回のライブドア事件の本質の部分だろうというふうに思います。一〇〇%出資していたライブドアがこれを連結対象にしていなくて、これをまた監査法人は見逃してきた、ここがまさに本質の部分だと思います。そこはしっかりやっていただきたいと思いますけれども、決して過度な規制にならないようにぜひ御留意いただきたい、このように思う次第でございます。

 そこで、少し視点を変えてまた質問させていただきたい、このように思っております。つまり、今回の事件が起こった土壌あるいは背景といったようなことにつきまして少しお伺いをしたい、このように思っております。

 堀江前社長と申し上げたらいいんでしょうか、要するに、勉強をしないとずる賢い人たちにみんなやられてしまうよ、あるいは、オオカミの集団の中に羊がいるようなものだ、こういうことをうそぶいていたわけでございます。まさにこの発言の背景にあるもの、その考え方というのは、法で禁止されていなければ何をやってもいいんだ、いわば違法でなければ脱法であっても何の問題もないんだ、そういう倫理観の欠如あるいは道徳観の欠如、こういったことなのかな、こんなふうに考えているわけでございます。

 そして、違法でなければ脱法であっても何でもいいんです、グレーゾーンは真正面から突っ込んでいっても問題ないんだ、こういう感覚を持った方、感覚というか、そういう倫理観の欠如した方に対して、やはり重要なことは、何らかの危険信号というかウオーニングをしっかり発していくということが金融監督行政に求められているのではないか、こんなふうに思うわけでございます。

 そこで、昨年の春、ライブドアがニッポン放送の支配権を獲得しようとしたときに、支配権を獲得する場合は、正々堂々と、公開買い付け、TOBを行うというのが一つの常識だろう、こう思うわけでございますけれども、時間外取引という極めてグレーなゾーンを一点ついてきた、こういうことがございました。このことについて金融庁の方から、これを適法だとまではおっしゃっていないと思いますけれども、必ずしも違法とは言えないんだ、こういう、私は正直申し上げて、やや先走った見解の表示だったのかな、こんなふうに思っているわけでございます。

 そのときの考え方というものを、大臣はそのときは担当ではございませんので、事務方からもし御説明いただければと思います。

三國谷政府参考人 お答えを申し上げます。

 金融庁が証券取引法令の解釈に関する質問を受けました場合に、一般論として法令の規定の解釈をお示しすることは、証券取引の実務の円滑性、予測可能性を確保する上で一つの責務であると認識しております。

 なお、昨年のライブドアによりますニッポン放送株の立ち会い外取引に関しましては、当該取引そのものについて金融庁から合法であるとお答えしたことはなく、個別取引に関してのコメントは差し控えてきているところでございます。

 一般論、制度論といたしましては、立ち会い外取引につきまして、取引所有価証券市場における取引に該当することから、平成十七年七月の改正以前の証券取引法のもとでは、基本的に公開買い付け規制の適用対象とはならないものと考えられまして、昨年来、金融庁としても、そのような考え方をお示ししてきたところでございます。

 しかし、時間外取引は、その使い方によりましては、会社支配を目的といたしました大口買い付けにも利用することが可能でございまして、これを放置しますと公開買い付け制度の形骸化を招きかねないことから、昨年の証券取引法等の一部改正におきまして、時間外取引による買い付け後の株券等所有割合、これが三分の一を超える場合には公開買い付け規制を適用することとしたところでございます。

木原(誠)委員 ありがとうございました。

 事務方の答弁としてはそういうことなのかな。これはあくまでも一般論を申し上げただけなんだと。そしてまた、事務方に限らず、TOB違反というのは刑事罰がかかるわけでございますから、構成要件該当性、いわば疑わしきは罰せずということもまた重要なことかな、こういうようには思うわけでございます。

 ただ、もう一度申し上げたいことは、少なくとも、そういうグレーゾーンをついてくるやからというか人たちに対して、これは余り好ましいものではないんじゃないか、あるいは、大臣のお言葉をおかりしますと、余り美しいものではないというような御答弁をいつかされていたように記憶しておりますが、そういったメッセージの出し方というのも非常に重要かな、このように思うわけでございます。やはり市場としっかり対話をしていただくということがぜひ必要だ。FRBのグリーンスパン議長も、まさに市場と対話をしながら成功したわけでございまして、金融庁の担当の大臣あるいは金融庁事務方としても、ぜひ市場としっかりと対話をしていただきたい。

 そして、この数日来、個別の事案で申し上げますと、オリジン株の買収に関連して、ドン・キホーテがTOBを一回失敗した後に市場内で買い付けをしている。このことについてどうなのかということをこの場は質問するような場ではないと思いますけれども、常に、どのように法を、規制を強化していってもグレーゾーンは残るわけでございまして、このグレーゾーンにどういうふうに政治家として対応されていくのか。非常に重要なことだろうと思いますので、一言御感想をいただければ、このように思います。

与謝野国務大臣 市場で取引に参加される方というのは、やはり、証券取引法を初めとしたいろいろなルールにきちんと従っていただかなければならないわけですし、またそれ以上に、それぞれの企業が持っております企業の行動の規範というものがあるはずでございまして、規則ではないけれども規範意識というものに基づいて行動していただくということは、これからも各企業に求められていくことだろうと思っております。

 こうして、取引形態が複雑になり、いろいろな予想もつかなかったようなことが起きていくわけでございますが、そういうものはやはり法令上規制する必要があるということについては、国会の御理解を得て、必要なものは必要なものとして法令をつくっていく、そういうこともまた我々としては必要なのではないかと思っております。

木原(誠)委員 ありがとうございました。ぜひ市場とよく対話しながら金融行政を進めていただければな、このように思う次第でございます。

 大分時間も限られてきましたので、次の論点に移りたいと思います。具体的には、証券取引等監視委員会を中心としたいわゆる証券取引行政のあり方ということについて何点か御質問させていただきたい、このように思います。

 まず初めに、これは事実関係の確認でございますけれども、監視委員会はいつごろからライブドアの問題に目をつけて、目をつけていたという言い方がいいかどうかわかりませんが、情報収集を開始されたのかということが一点。

 そしてまた、今回、監視委員会単独で強制調査に入るということではなくて、検察当局と同時の強制調査だったと思いますけれども、この経緯あるいは評価といったようなことについて確認をさせていただければと思います。

長尾政府参考人 まず、いつごろからライブドアを監視していたのかという話でございますけれども、御案内のとおり、監視委員会は、常日ごろから幅広く証券市場に関するさまざまな資料、情報を収集、分析しておりまして、そうした中で法令違反に該当する事実があると疑われる場合には必要に応じて調査を行っているということでございまして、ライブドア事件についても、そうした作業の中で取り組んでいるということでございます。

 大臣からは、ライブドアに関して監視委員会は大体三年ぐらい前から資料を収集していると御発言いただいておりまして、そのとおりでございますけれども、現になお調査継続中の個別の事案でございますので、それ以上の具体的なことは差し控えさせていただきたいと思います。

 それから、検察当局との連携の話でございますけれども、私ども監視委員会の機能の中の大きな機能に犯則調査というのがございます。これについては、やはり刑事罰に係るものなので、基本的に、いずれにしても検察当局と緊密な連携のもとにやる必要があるということ。そうした中で、歴史的にまだ私どもは今十四年目でございますが、どういうやり方がいいかというのを試行錯誤してくる中で、効率的、効果的にはどうやればいいか、当初、単独でやったことも幾つかあったんですけれども、やはり強制捜査を伴うときには合同でやった方がいいだろうというようなことがあって、それが定着してきているということでございます。今回についてもそういうやり方でやっているということでございます。

木原(誠)委員 ありがとうございました。まさに、本当に入念な準備をされて、そしてまた検察当局とも十分に連携しながら今回成果を上げられた、こういうことなのかなと今承ったわけでございます。

 私自身は、今申し上げましたように、今回の事件というのは、さまざま批判はございますけれども、監視委員会が、期待された効果をそれなりの形で成果を上げた、現状では十分な成果を上げたんだろう、こんなふうに認識しておるわけでございますけれども、大臣は、今回の監視委員会のこの動きについてどのような評価をされておるか、伺いたいと思います。

与謝野国務大臣 地道な捜査をしているところは、捜査をしている捜査をしていると言って自慢してはいけないわけでして、やはり捜査とか調査というのは、ある種の密行性を常に持っているというのは当然のことでございます。

 証券監視委員会も地道な調査を続けてきた、また、証券監視委員会が証券取引について持っている高い知識と経験というものも今回の捜査が始まってから非常に大きく役に立っているというふうに思っておりまして、高橋委員長がいろいろなインタビューで述べられておりますように、監視委員会は、独立性を保ちながら、証券監視委員会として課せられた職務を実にきちんとやってくだすったものと私は思っております。

木原(誠)委員 ありがとうございました。

 他方で、三年も本当にかかったのかねということについて疑念の、疑念というか、証券取引等監視委員会の力不足を指摘する意見もあるわけでございます。野党の方からも、日本版SEC、必要なんじゃないかという対案も、対案というか法案も出ているというふうに聞いておりますけれども、これは一般論というか見解で結構でございますけれども、日本版のSECというものをつくるべきではないかという議論について、大臣はどのような御見解をお持ちでしょうか。

与謝野国務大臣 まず、組織というのは図面をかいただけで組織ができるわけではなくて、やはりその組織にふさわしい人材を集結する、また、それだけではだめで、組織ができてから歴史を積み重ね、経験を積み重ねということも必要であります。

 アメリカのSECは、一九二九年にウォール街で株の大暴落があった、大不況に突入した後、一九三四年にできましたから、その歴史はもう七十年以上に及んでおります。また、日本に比べますとはるかにたくさんの数の専門家で構成されておりまして、そういう点では、アメリカのSECというのは、日本の証券監視委員会に比べまして、歴史も非常に長い、経験も積み重ねてきている、また人員においてもはるかにまさっている、こういうことでございますが、持っている権限だけをよく比べてみますと、例えば強制捜査ができるのかという観点から考えますと、日本の監視委員会は強制捜査はできる、向こうはできない。告発ができるかといえば、日本の監視委員会は告発ができる、向こうはできない。こういう差はあります。

 ありますが、私どもとしては、この一連の事件が落ちついた段階で、証券監視委員会に付加すべき機能あるいは権限とは何か、組織はどうあるべきか、これは、落ちつきを取り戻したところで冷静に議論すべきことだろう、私はそのように思っております。

木原(誠)委員 ありがとうございました。今まさに、権限の観点からSECに必ずしも劣っていない、こういう御指摘だったか、このように思うわけでございます。

 私自身は、やはり今、金融と証券、銀行と証券、あるいは直接金融と間接金融、これほど垣根が低くなっている、代理店あるいは子会社を通じてまさに相互参入する、そしてまた、金融商品もこれだけ多様化してコングロマリット化している。こういう状況下で、まさに今、金融庁が中心となって金融サービス法、横断的そして包括的な法制を準備されているという状況でございますから、本当に証券行政だけを切り離して日本版SECというのが機能するのかな、そんなような疑念も持っているわけでございます。ぜひ、一段落したところで検討されるということでございますので、またいろいろ議論をしていただければ、このように思うわけでございます。

 ちょっと視点を変えてお聞きしたいと思います。

 と申しますのは、私は、今回の問題、今までは摘発ということに視点を置いて議論させていただきましたけれども、実は一番の問題は、摘発が迅速だったかどうかということではなくて、未然に防止をなぜできなかったのかということではないか、このように思っているわけでございます。

 つまり、刑事捜査に入ってしまう前の段階で何らかの形で対処ができなかったのか。先ほどの答弁の中で、三年ぐらい前から関心を持って見ていた、こういうことだろうと思いますけれども、ちょっと一つ確認をしたいんですが、これは実は昨日金融庁にも伺ったんですけれども、情報を証券取引等監視委員会が収集し出した、その後、これはまさに捜査情報にかかわるということで恐らく金融庁には流されていないんだろう、事実を知らされていないんだろうと思いますけれども、その点、事実関係だけ確認させてください。

長尾政府参考人 監視委員会は、御案内のとおり独立した機関でありまして、その業務について大臣に指揮権はなくて、そして、個別の具体的な犯則調査について、事前に大臣に説明したり判断を仰いだりすることはしておりません。

 したがいまして、一般論として、証券市場をめぐる状況の認識とか、あるいは一般的な問題意識といったものについて必要に応じて関係部署間で意見の交換ということを行うことはあっても、個別の具体的な犯則事件あるいは、かかる情報みたいなことについて、金融庁に対して事前に説明、情報提供を行うということはございません。

木原(誠)委員 もう一点確認をさせていただきたいと思います。

 東証も恐らく売買取引監視というのをやられていると思います。東証がこれを疑わしいなと思ったときの情報というのは、これもまた、やはり監視委員会にまず入って、その先はなかなか流れにくい、こういうふうに考えればよろしいでしょうか。

長尾政府参考人 日々の市場における取引の中で、特異な価格の動き等々、そういったものを東証の方の一番の現場で見ておりまして、それが、売買審査の担当から私たちの方に来る。また、それを私どもが生かしているということでございます。そういう形でルートがある。

 いずれにしても、私どもの方から、そこからどこにも、どこにもというか金融庁に流すことはしていない、こういうことでございます。

木原(誠)委員 私どもの方から流すことはない、そしてまた、実は東証からも金融庁に上がることは今回なかったということなんだというふうに認識しているわけでございます。

 今このことを確認しましたのは、証券取引等監視委員会という組織は極めて有効に機能したと私は思いますけれども、これはあくまでも捜査機関なんですね。したがって、捜査機関に情報が一たん入ってしまうと、実は、こういう言い方はよくないかもしれませんが、捜査機関というのは、ホシを挙げる、事件をしっかりつくっていくというのが最も重要な評価基準ですし、行動基準の原則になってしまう。その結果、なかなか情報が外に上がっていかない。未然に防止しようとしても、監視委員会が情報を抱え込んでしまった瞬間に、金融庁の方では防止をするすべを持っていない。ここに私は非常に大きな問題があるのかな、こんなふうに思っているわけでございます。

 そして、実はこの未然防止の一つの手段として課徴金制度というものも今回、今回というか既に入っているわけですが、課徴金調査についてすら証券取引等監視委員会にその調査権限があって、金融庁には何ら権限がない。私は、こういうことでは、金融庁が、何らか事件が起こった、何か怪しいなと思っているときに、未然に不正をあるいは不備を正していくということがなかなか難しいのかな、こんなふうに思っているところでございます。

 そこで、一つ大臣に御提案をしたいと思っておりますけれども、先ほど、日本版SECということについての御見解をお伺いしました。私は、個人的には、今必要なのは日本版FSAではないか。FSAという意味はイギリスの金融サービス機構、これではないのかな、こういうふうに思っています。

 と申しますのは、先ほど申し上げましたように、今まさに包括的、横断的な規制、監督が必要だ。そういう意味では、イギリスのFSAというのはまさにそういう組織でございます。そしてまた、FSAに刑事訴追権限があり、強制調査権限もFSAは持っている。

 これからいろいろ議論をされるということでございますから、監視委員会をどういうふうにその中で位置づけていくかというのはよく議論されたらいいと思いますけれども、少なくとも金融庁自身に何らかの形で調査の権限というものがないとこれは機能しないわけでございまして、ちょっと、その日本版FSAということについて大臣の、感想で結構でございます、いただければと思います。

与謝野国務大臣 大変傾聴すべき御意見であると思いますので、事が落ちつきましたら、イギリス型、アメリカ型を含めて、もう一度検討をさせていただきたいと思っております。

木原(誠)委員 もう時間もそろそろ来ていると思いますけれども、けさ、金融制度調査会の方におきまして、党として、今私が申し上げた点も含めて提言をまとめさせていただいております。大臣のところにもお届けさせていただくことになると思いますので、ぜひしっかりと受けとめて御検討いただければ、このように思っております。

 最後になりますけれども、本当にこの問題というのは我が国の経済の今後の発展にとって非常に重要な問題だろうな、こういうふうに思うわけでございます。冒頭も申し上げたとおり、金融の規制強化と規制緩和ということをしっかりとバランスをとりながら進めていっていただきたい。そしてまた、きょう一日、再度申し上げますけれども、しっかりと政策論議をさせていただいて議論を積み重ねていただければ、こんなふうに思う次第でございます。

 私の質問を終わりにさせていただきます。ありがとうございました。

大島委員長 これにて木原君の質疑は終了いたしました。

 次に、馬淵澄夫君。

馬淵委員 民主党の馬淵澄夫でございます。

 本日、この予算委員会におきまして、金融ライブドア諸問題につきましての集中審議、質疑の機会をいただきました。

 先般、去る二月十四日の私の質疑におかれましては、与謝野大臣の答弁をめぐって、大変この委員会でも理事の皆様方が御協議いただくような場面が多々ございましたが、理事の皆様におかれましては、また委員長におかれましては、再度の質疑の機会をいただくということのお取り計らい、詰めていただいていると伺っております。そのことに関しましては大変心から敬意を表するとともに、本日は、この集中審議の中で、金融問題ということでございますので、もちろんながらに全般の質疑も踏まえ、また、ライブドア等もございますので、私、この時間を使っての意義ある質疑をさせていただきたいというふうに思います。

 さて、まず冒頭でございますが、昨日、我が党の永田議員が、ライブドア問題に絡みまして、今容疑者となられています堀江社長のメールが入手されたとして、堀江社長からライブドア社員の方に、武部幹事長の御子息に三千万円のお金を振り込むようにという指示のメールの存在を明らかにされました。

 そして、それを受けて、理事会の中では、皆様方、今後について詰めていかれるということ、御協議いただいていると思いますが、早速、与党におかれましては、この永田議員の指摘に対してさまざまな反論が出ております。とりわけ総理は、この永田議員の指摘に対しまして、ガセネタをもとに委員会で取り上げるのはおかしい、このように批判をされておられます。不信を募らせるために事実無根の話を取り上げるのだろう、このように総理は、この当委員会での永田議員の、これは指摘であります、指摘に対して一国の総理がこのようなお答えをされているわけであります。

 今回、私、冒頭で、きょうは通告外でございますが、ぜひお三方にはお尋ねをさせていただきたいというふうに思うんですが、そもそも、このような形で、当委員会で、金融問題あるいはライブドア事件という形で、国民の多くの関心を集め、疑惑を寄せているこの問題に対してさらなる疑惑が深まる点についての指摘をされた永田議員、そしてその指摘に対しては、そもそも与党の幹事長がかかわっておられる、幹事長の御子息がかかわっておられるということであれば、それこそ挙証責任は政府・与党にあるべきであり、この挙証責任、説明責任に対しては、与党の皆さん方がしっかりと御説明をされるということが本来ではないかと私は思います。

 このことについて、きょう御出席いただいている大臣、政治家としての御所見をしっかりと語っていただきたいというふうに思いますが、まず、当予算委員会の中でこの予算をしっかり審議していただくために常に定席していただいています谷垣大臣、この挙証責任についての政治家としての御答弁を求めます。

谷垣国務大臣 やはり、こういう議論はどうあるべきか、それから主張、立証はどうあるべきか、長い間の人類の経験は、私は訴訟法の中に典型的に表現されていると思います。

 その場合、立証の材料は、書証である場合、あるいは証人である場合もありますが、まず、文書だったりなんかする場合は、だれが作成をしたのかということが必ず問題になります。そうでなければ、出所不明の文書だということになるわけですね。

 したがって、メールであろうと何であろうと、作成名義人が作成したのかどうかというのは、その資料を提供する方、出す方に立証責任があるのは当然のことだろうと私は思っております。そういうことができない場合は、単なる風説を根拠として議論をしているということになるのではないかと私はひそかに憂えているわけであります。

馬淵委員 与謝野大臣、恐れ入ります、金融担当として、この問題について政治家としての御答弁をお願いいたします。

与謝野国務大臣 一般的に、国会でのやりとりの問題で議員個人の名誉にかかわるようなことを追及される場合には、それなりのきちんとした根拠をお示しいただいた方がいいのではないかと私は思っておりますし、また、追及する方には示していただく責任はあると私は思っております。

 そうでありませんと、この世で一番難しい証明は、ないということを証明することでございますから、そのないということを証明することを求めるというのは、ちょっと無理なことかなと私は思っております。

馬淵委員 竹中大臣も御同席いただいております。恐れ入ります、竹中大臣にも政治家としての御答弁をいただきたいと思います。

竹中国務大臣 よく言われることでありますけれども、国会は国権の最高機関として、そして、まさに国民に大きな責任を果たさなければいけないと思っております。これは、答弁する側にも非常に大きな責任がありますが、質問する側にも同様に非常に大きな責任があるというふうに思っております。

 今回の立証する、挙証する責任については、私は法律の専門家ではございませんが、社会の常識として、まさに谷垣大臣が御指摘されたように、それを指摘する側にその挙証の責任があるというのは、私は、これは政治家として以前の、社会の一般的な常識ではないかというふうに思っております。

馬淵委員 冒頭において、政治家としての御答弁をいただきたいということでお尋ねをさせていただきました。

 作成名義人並びにそうしたものを明らかにして、そしてその挙証責任、これはむしろ指摘する側にあるんだということがお三方統一の見解として御指摘をいただきましたが、私が申し上げているのは、これに対して総理が、ガセネタであると即座に否定をされた。幹事長を指名されている総理が即座に否定をされている。永田議員はその証拠の存在を指摘しただけであります。そして、それに対しては、今後、永田議員がしっかりとこの場でもまた議論をしていただけることかと思いますが、ガセネタであるというその断定についての説明責任は、当然ながらに、そのことを明言された方におありではないかということを私は申し上げております。

 そしてさらに、この中で今与謝野大臣は、議員個人の名誉にかかわることについてはしっかりとした質疑をしていただきたいというお話がございました。当然でございます。しかし、これは議員個人の名誉ということだけではありません。この国会の中には、何人もの民間の方々にもお出ましいただいてその質疑をさせていただくという場面が多々ございます。議員だけが特別ではなく、すべての方々に対してその名誉を重んじながら質疑をしていくということは当然である。何やら与謝野大臣のお言葉を聞きますと、議員だけが特別扱いのような言葉に聞こえてなりませんが、国会の場はそうではなく、すべての方々に対して、しっかりとその個人の尊厳と名誉を守りながら、堂々と事実を明らかにしていく場であるということを私の方からは重ねてお伝えを申し上げて、早速、私の質疑の内容に入らせていただきたいというふうに思います。

 さて、二月の十四日、私は、日本振興銀行、これにまつわる、その設立経緯の問題あるいは設立後の問題につきましてお尋ねをさせていただきました。与謝野大臣からは、私が指摘をさせていただいたことについて、お答えをいただいたことが質問時間の最終局面によって変わられるという、翻されたという、そうしたことがございました。

 さて、もう一度、二月十四日の質疑の内容について簡単にお話をさせていただきます。

 私が御指摘をさせていただいた。まず、小泉構造改革のスタート、これは不良債権処理であったということは、竹中総務大臣にも当時の金融担当大臣として御答弁をいただきました。金融再生プログラムをつくっていく、金融再生プログラムをつくっていかれたのは、だれあろう竹中大臣であり、また、そのときにかかわってこられたのは木村剛氏でもありました。金融再生プログラムをつくってこられ、その後、後任の伊藤大臣、金融改革プログラムをつくっていかれる。透明性の高い、信頼される金融行政というものを確立していくんだという新たなステップに踏み出される。

 私は与謝野大臣にお尋ねをしました。こうした金融再生並びに金融改革のプログラム、これらを踏襲して、その理念をお守りいただけますかということをお尋ねしたところ、与謝野大臣からは、不良債権が三%という、こうした処理が前向きに進んだという実績を踏まえて、しっかりとこれを踏まえていくんだという趣旨の御答弁をいただいたと思っています。金融行政は透明性が高まらなければならないのは当然です。経済インフラとしてだれもが安心して信頼できるその金融機関をしっかり監督行政していく立場というのは、公平性、公正性が当然ながらに求められてまいります。

 さて、この金融行政の中でも、金融改革プログラムでは、新銀行の設立、中小企業向けの融資、新たな貸し手という立場の担い手をふやしていくということで、銀行免許の付与の迅速化ということがこれも一つの方針の中に掲げられました。そして、これらを受けて、複数の銀行免許申請というさまざまな計画が進められておりました。

 かつて、このような形の中で、銀行免許付与のプロセスというのはどういうものか、これも私はこの場において確認をさせていただいた。事前相談があり、そして仮免許申請がございます。仮免許の交付があった後に本免許申請、本免許交付という形がある。正式なプロセスとしては、予備免許申請、交付、本免許申請、交付という形でありますが、その事前の相談というのは、当然ながらに、予備免許を出す以前に、財産的基礎や、あるいは人的構成や、あるいは収支の見込みなどをきちっと相談ベースに乗せて進めていくということが一般的であるということは局長答弁の中にも私は明らかになったかと思います。

 その中で、事前相談のなかったものはありますかというお尋ねをさせていただいたところ、一件だけある、それが日本振興銀行でございました。予備免許申請がなされて、本免許交付がなされなかったものはございますかという質問に対しては、ゼロです、そのような案件はゼロだという御回答をいただきました。こうした状況の中で、日本振興銀行という銀行が、極めて異例な形で免許申請、交付が進んでいったということが明らかにされたかと思います。そして私は、その極めて異例な免許申請、交付がなされている根底にさらに大きな問題が潜んでいるのではないかということを御指摘させていただいたと思っています。

 それは、竹中大臣が、それこそ参議院選挙のときにもスクラムを組んでいたと言われる、伊藤大臣、木村さんというその三人のスクラムと呼ばれていた中のお一人である木村さん、この方が金融庁の顧問をなされていた。金融庁の顧問をなされていたそのときに、御自身が経営される会社、その会社と銀行免許を申請しようとする設立準備会社との間で、金融庁顧問の時代に一億円のコンサルティング契約を結んで、一億円を受け取って、金融庁の交渉戦略、交渉を担うというコンサルティングをなされていた。この木村剛氏が、平成十五年の八月二十日、免許申請、交付をなされるその同日に辞令が出ているわけでありますが、金融庁顧問をおやめになられている。

 顧問のお立場である、金融庁の職員である、非常勤といえども職員としての身分をお持ちであるこの顧問の方が、こうした透明性を高めなければならない、信頼されなければならないと言われている金融行政の中におられる方が、銀行免許付与にかかわっているかもしれないと思われるようなお立場にいることに対して、与謝野大臣、どのようにお考えですかと私は再三お尋ねをさせていただきました。しかし、それに対しては十分なお答えをいただけないままに、大臣は答弁でこのようにおっしゃいました。お手元にお配りをしております資料は、去る十四日の答弁でございます。

 与謝野大臣は、「金融庁顧問というのは、」中略しますが、「国家公務員法もかかりませんし、倫理規程もかからないという存在でございます。」このように私の質疑の中でお答えをされました。そして、「法的に私は問題を発見することはできないわけでございます。」このようにお答えをされた。法的に問題を発見することはできないというこの答弁の前提は、国家公務員法もかかりません、倫理規程もかからないという御答弁が前提になっています。

 これを受けて私はその後の質疑をさせていただきました。予算委員会の一般質疑という、透明性を高めなければならない、守っていくんだとおっしゃっているこの金融行政の、そのあり方を問う質疑の中でこのように御答弁をされていたんですが、次の二枚目をめくっていただきますと、最後の部分でございます。与謝野大臣は、「足りないところがございました」と言って補足のように説明をされましたが、「金融庁の顧問というのは」、中略「国家公務員法上の守秘義務及び倫理規程の対象となります。」と、全く前言を翻すような御答弁をされた。

 与謝野大臣、このような御答弁、私、これは大変な問題だと思っています。予算委員会、先ほど来、理事も含めてやじが飛んでまいりましたが、権威ある予算委員会という、品位ある予算委員会というその言葉を、そのまま私は理事、与謝野大臣にお返しをしたい。この予算委員会の中で、最後に答弁の前提となる答弁をひっくり返すようなお答えをされていたら、審議はできないんじゃないですか。

 まず、予算委員会の中で、このように法的にはかかわりないんだと明言された後に、最後につけ足しのように、いや、かかわっておりましたといって終わりにしようというその御自身の姿勢に対して、大臣、大きな問題があるとはお考えになられませんか。お答えいただけませんか。

与謝野国務大臣 私の説明不足、説明能力不足というのは率直に認めます。

 先生の御質問は、専ら兼業禁止というコンテクストで質問がなされておると私思っておりましたので、兼業禁止については国家公務員法はかかりませんということを申し上げたわけでございまして、論ずるまでもなく、顧問といえども非常勤の公務員でございますから、国家公務員、例えば守秘義務などは当然かかるということを前提に答弁していたつもりでございますけれども、説明不足は大変申しわけないと思っております。

 また、国家公務員の倫理法は顧問にはかからないということは事実でございますが、一般的な、品位ある行動をするとかその他万般の服務規定的なものは、顧問であっても当然守っていただかなければならないことであると思っております。

 私は、兼業禁止に関して国家公務員法はかからないということを申し上げたつもりでございますが、言葉足らずであったということは大変申しわけないことだと思っております。

馬淵委員 私は、この質疑の中で兼業禁止についてという言葉は発しておりませんよ。この中でお尋ねしたのは、私は、だからこういう状態が適切か不適切かということ、そして与謝野大臣に、では、このような形で顧問が免許申請を行う会社と一億円の金融庁交渉コンサルティング契約を結ぶことをお認めになられるんですかというお尋ねを繰り返しさせていただいていたんですよ。

 それにはお答えをされずに、明確に、国家公務員法もかかわりませんし、倫理規程もかかわらないという存在、法的には問題を発見することはできないと言って、これ、一刀両断されたんですよ。この答弁は、法的にはかかわりないという言葉は、私は今までに何度もいろいろな方々からもお聞きをしてきましたが、結局、御自身が適切か不適切かの御判断、なぜされないのかということに対してはお答えいただいていないんですよ。しかも、今回の問題は、これを最終局面で翻されているじゃないですか。説明が足りないという話じゃないじゃないですか。これ、どう読んだってどう聞いたって、正反対のことを言っておられるじゃないですか。

 しかもそれを、あの最終の場面で、逆に私はお尋ねしたいですよ、金融庁の職員の方々は大臣答弁をお聞きになられていないんですか。私は大臣の答弁の後三十分以上話をしていますよ。お聞きになられていないんですか。あの直前に金融庁の職員が、いや、大臣、これは違いますからと言ってメモでもお出しされたんですか。

 お答えください、大臣、なぜ最後にこうやってひっくり返されるんですか。

与謝野国務大臣 金融庁顧問の職にあった人間がコンサルタント契約を引き受けるということはどうなのかということを委員がずっとお尋ねになりましたので、それはまさしく、金融庁顧問ということとコンサルタント会社の経営者というその兼業の中でどう考えるかということでございましたので、その兼業に関しては、顧問については国家公務員法は禁止をしていない、そういうことを申し上げたわけでございます。

馬淵委員 整理してお尋ねしますよ。

 今私がお尋ねしたのは、お答えいただいた答弁が最後に翻された、そのことについての是非をまずお尋ねします。

 私の質疑の途中で、法的には問題を発見はできない、こうおっしゃった。その前提は、国家公務員法もかかりません、倫理規程もかからないと。ところが最後には、つけ加えるという表現のもとに、国家公務員法上の守秘義務及び倫理規程の適用対象となりますと最後につけ加えた。つけ加える内容じゃないじゃないですかとお尋ねしているんですよ。なぜ最後にこれを言ってこられるんですかと。

 金融庁の職員は、最後まで、大臣、これはもう最後に質問が切れるところで出してくださいと持ってこられたんですか。そうじゃないでしょう。大臣、しっかり、私がこの前提で質疑を進めていた中で最後に持ってこられたのはなぜですかとお尋ねしているんです、お答えください。

与謝野国務大臣 私の説明不足であったということは率直に認めます。

 私は、専ら、兼業をしていることの是非ということを委員が御質問になっていると思っておりまして、そういう意味では、兼業禁止というものは実はかかっていないと。ただ、論ずるまでもなく、非常勤といえども、例えば守秘義務等、一般の公務員にかかっている国家公務員法上の規程はかかるということを、最後に私の説明不足を補う意味で申し上げたので、答弁を翻すとか、そういう意図も意思も全くなかったということはぜひ御理解をいただきたいと思っております。

馬淵委員 お答えいただけていないです。私がお尋ねしているのは、予算委員会というのは、これは予算の成立時期があるわけでしょう。私は、この日程のことについて、理事でも何でもないわけですから詳しく申し上げる立場にもないと思いますが、極めて限られた時間の中での審議ということを、だから、詰めてやろうということを委員長は常におっしゃって裁定されているわけですよね。その中で、なぜこんな最後に翻すようなことをおっしゃるんですかと聞いているんですよ。説明不足だと今おっしゃいました。私の質問に対して説明不足であれば、即座にそれを補っていただいて、実りある議論にしていただきたいじゃないですか。なぜ、これ最後に出てくるんですかとお尋ねしているんですよ。

 それは、金融庁の職員の方が、最後に大臣お願いしますということだったのか、それとも大臣が、いや、これは最後でいいとお考えになったのか、いずれですか。では、それでお答えください。

与謝野国務大臣 当然のこととして、私の説明不足で誤解が発生しているということが可能性があるとすれば、それはやはり委員会の中で私はきちんと補って説明しておくという責任を感じたから、私の責任で補足をさせていただいたわけでございます。

馬淵委員 いや、もう直後に御説明いただかないと、その次の議論が実りあるものにならないじゃないですか。補うのをなぜ最後にされるんですかと聞いているんですよ、私は。

 そういう答弁の仕方をされると、結局、この予算委員会という審議が実りあるものにならないじゃないですか。私たちは、答弁をいただいて、それを前提に議論をさせていただくのに、最後に、いや、すべてもうあれは訂正いたしますで出されたらどうするんですか。予算委員会という審議はそういうものなんですか。

 大臣、もう一度お答えください、なぜ最後に出されるんですか。

与謝野国務大臣 委員の全体の御質問の流れ、趣旨というのは、顧問でありながらコンサルタント契約を結んだのがいかがなものかということを前提に質問が流れておりました。したがいまして、私の御答弁は、国家公務員法上は兼業禁止というものはかかっておりませんというつもりで御答弁申し上げました。しかし、正確を期すために、私の説明不足を補うために、最後に念のため申し上げたことでありまして、答弁の全体の趣旨自体は私は変えたつもりはございません。

馬淵委員 与謝野大臣は、私は、本当に真摯にお答えいただけるとそう信じてこの質疑をさせていただいているんですね。その御自身の言葉で言えば、いや、その中身は変えていない、そして加えただけなんだ、足りない部分を足しただけなんだと。ならば、では、ここは私ははっきりと申し上げますよ。足りない部分を足すのは即座に足してくださいよ。即座に説明いただけませんか。金融庁の方々にもちゃんとおっしゃってください。説明が最も重要な場面じゃないですか。質疑の中で答弁が足りないとお感じであれば、即座にそれを加えてくださいよ。

 今、大臣はそうやって強弁されるわけですから、ここについて違う観点でお話を伺いますけれども、この点だけ、後ほど質疑の最後に加えて補足するなどということではなく、議論のためには即座にそうした説明や補足や訂正も行っていただくことを約束していただけませんか。

与謝野国務大臣 途中で気がつけば、そのとおりいたします。

馬淵委員 法的には問題がない、これは、繰り返し伊藤大臣も昨年の三月十一日におっしゃっておられます。私もそのことを踏まえてお尋ねをしておりました。ならばお尋ねをしますということです。

 法的に問題がないことは重々承知をしています。しかし、この金融庁の顧問という職責にある方が、銀行免許申請を行うという段階で、自身が経営される会社と一億円ものコンサルティング契約を結ぶことに対して、与謝野大臣は適切だとお考えかということを再度お尋ねします。

与謝野国務大臣 当時の金融庁の事務方は、そのようなコンサルタント契約の存在は全く知っておらなかったわけでございまして、免許申請、それからまたその審査については、そういうことには全く影響されずに、法令に照らしてきちんと審査をしたというふうに私は報告を受けております。

馬淵委員 いや、前回もそこの繰り返しをやって、違うお答えをされたわけですよ。私の質問をよく聞いてください。

 委員長、もう一度しっかりと、私の質問が質疑力が足りない部分があれば補っていただけませんか。私がお尋ねしているのは、違法性がないということはもう重々承知していますよ。しかし、今あなたが担当大臣として、金融庁顧問の職にある者が銀行免許付与のその申請の金融庁への交渉コンサルティングを一億円で自分の会社で受けることは適切だとお考えですか、こうお尋ねをしているんです。お答えいただけませんか。

与謝野国務大臣 個々人の行動が倫理的に見てどうなのかということについては、各人がみずからの倫理観に基づいて判断されるべきものであり、特定の方の行動に関し、法律上の問題であればともかく、倫理的な観点からコメントすることは差し控えたいと考えております。

 いずれにいたしましても、金融行政に対する信頼を確保することが重要であり、顧問といえども、国民から誤解を受けることのないよう、李下に冠を正さずの姿勢を保持することが必要であると考えております。

馬淵委員 そのことを大臣が判断されないとなったら、いや、もうこれはお任せなんだ、とにかく違法性さえなければいいんだ、お任せなんだと言っていることとこれは等しいんですよ。透明性の高い、信頼される金融行政というのは、まさにそのリーダーたるトップが李下に冠を正さずということをみずからが示すと同時に、そのことに対してしっかりと規律を高めるということの指導が必要じゃないんですか。いや、任せるんだと言えば、これはもう一切私は知りませんと言っているのと同じじゃないですか。

 いいですか、国家公務員倫理法の倫理規程、この中には、倫理行動規準として第一条にこのように書いていますよ。「いやしくもその職務や地位を自らや自らの属する組織のための私的利益のために用いてはならない」、この頭には「職員は、」とつくんです。職員というのは、これは国家公務員のことです。大臣、これは個人の倫理規範の問題だとそうおっしゃるんであれば、それこそ、なぜこういう法律ができたんですか。

 この法律の立法趣旨は、当時、官官接待にまみれてしまった官僚組織に対して国民が大いなる不信を抱いて、立法府としてもこれは何とか正さねばならないとして、国家公務員倫理法というものを制定して、そして、その倫理規程には「職員は、」と書いてありますが、国家公務員は、「いやしくもその職務や地位を自らや自らの属する組織のための私的利益のために用いてはならない」、このように明確に書いてあるんですよ。

 恐らく、私がこれを持ち出すと、お答えすることは、想定問、大体浮かびますよ。禁止規定の中には入っていないというような話になるんでしょうね。禁止行為は、これはあくまで利害関係者のみの関係しかここには列挙されていませんから、私はだからそこは挙げていません。お尋ねをしているのは、この第一条にこのように書かれている。

 立法趣旨は、今申し上げたように、当時、官官接待等によって国家公務員のその信頼が損なわれるというところにおいて、立法府、行政の立場として、これは何とか正さねばならないということをみずから定めたものではないですか。大臣がおっしゃるように、それぞれ個人に任せるんだと言えば、こんな法律も要りません。リーダーたるものがどのような指示をし指導をしていくかということは、重要なんじゃないんですか。

 大臣、もう一度お尋ねしますが、この第一条の倫理行動規準に反するのではないかと私は指摘をさせていただいているわけであります。この木村剛氏が金融庁顧問であるときに、みずからの会社、これはこう読めるんですよ。いやしくも金融庁の顧問の地位をみずからの会社のための利益のために金融庁が用いてもよい、こう言っていることにならないですか。

 大臣、明確な御答弁をお答えいただきたいと思います。

与謝野国務大臣 先生は、専ら国家公務員の倫理法の観点からの御質問をされたわけでございますが、国家公務員倫理法の第二条は、「顧問若しくは参与の職にある者又は人事院の指定するこれらに準ずる職にある者で常勤を要しないものを除く。」と言って、国家公務員倫理法の適用対象外にしているということを前提に我々は物を考えているわけでございます。

馬淵委員 これは行動規準にあります。ですから、まさにこの倫理法に定められているのは、この行動規準の後に続く禁止行為、利害関係者にかかわるところとしての規準と定められています。しかし、国家公務員、こういう金融庁の顧問が国家公務員法にかかる職員であることは紛れもない事実です。

 私が申し上げているのは、立法趣旨なんです。あるいは、昨年三月十一日に私がお尋ねした時点でも、伊藤大臣が、法的に問題がないということを繰り返し答弁されているのを私はよくわかっています。その上でお尋ねをしているんです。このような立法趣旨を考えれば、どう考えてもこうしたことが不適切ではないですかとお尋ねをしている。それに対して与謝野大臣は、お答えできないという答弁である。本当にそれでいいんですか。先ほどそうだったじゃないですか。いや、個人の問題なんだ、個人の倫理観に基づくことだ、差し控えたいと。本当にそういうお答えでよろしいんですか。

 竹中さん、竹中総務大臣御自身は、みずから三人でスクラムを組んできたとおっしゃってこられたわけです。三人でスクラムを組んでこられた仲のいいお仲間の中で、これが不適切だとはなかなかおっしゃることはできないかもしれません。でも、与謝野大臣、あなたがこの金融担当大臣となられて、今重大な局面を問われているんじゃないですか。御自身が金融担当大臣でいる間に、このような、今既にいらっしゃる顧問も含めて顧問の職にある方が、このような形で、免許付与などの権限にかかわるような、金融庁の権限にかかわるようなその領域の中で一億円のコンサルティング契約を結ぶことが適切か不適切かということについて、明確な意思表示をされなければならないところにいると私は思っていますよ。

 もう一度お尋ねします。大臣、不適切か適切か、あなたが今大臣として、そのようなことをされようとした顧問がいるならば、とめるのかとめないのか、あなたの自由だとするのか、明確にお答えください。

与謝野国務大臣 具体的な案件についてはお答えはできますけれども、仮定の条件のもとで私がどうするかということは、なかなかお答えしづらいということもぜひ御理解をしていただきたいと思います。

 先ほどの答弁の中にも、また先般の答弁の中にも、私は、やはり免許申請の廉潔性を疑われるような、仮にそれが周辺事実であったとしても、そういうものは避けなければならないということは申し上げたつもりでございまして、そういう面では、仮に周辺の事実であっても、免許申請審査の廉潔性ということは、やはり国民に対して我々は責任を持っていることだと思っております。

馬淵委員 権限がないことはわかっているんですよ。免許審査の廉潔性というか、免許を付与する権限は、これは顧問にはないのはわかっています。その中で、こうした立場にいらっしゃる方が契約を結んでいる、知らなかったんだと。いや、だからこういったことは、これは不適切じゃないですかと私は指摘させていただいているわけです。竹中さん、当時金融担当大臣でいらっしゃいました。こういうことは、やはり我々民主党同僚議員、常に問題ではないかと意識をしているんですね。

 平成十四年の十一月六日、我が党の議員、前衆議院議員ですが、小泉俊明議員が質問をしています。木村剛氏が金融庁の顧問、このメンバーの中に入っている、これについてこう質問されているんですね。木村剛氏は金融コンサルタントもしておられるということで、「これはいろいろな意味でインサイダーの危険もあると思うんですが、この辺に対する法的な防御、そういったネットというのはどうなっているんでしょうか、」まさにこの心配を指摘されているんです。竹中大臣、こうお答えになられていますね。これは法律に基づく顧問でございますということで、これは、先ほど言っているように、法律の中で守秘義務が課せられている、厳正に守られているというふうに思っております。しかし、竹中さんはそこで、しかし、当然ながらインサイダーの問題は出てくるんじゃないか、金融のコンサルタントやそういった方々が入っていく中で大丈夫なのかという質問に対しては、「さまざまな疑念を持たれることのないよう法令遵守の特段の配慮を行うべきでありまして、その趣旨を徹底しているつもりでありますし、皆さんそのように行動をしておられるというふうに認識しております。」このようにおっしゃっているんですね。竹中さんも、そのことはもう特段の配慮が必要で、趣旨を徹底している、こうおっしゃっているんですよ。竹中さん、当時の金融担当大臣としてこのようにおっしゃっている。

 そして、先ほど与謝野大臣のお話にもありましたように、金融庁の人間はだれも知らなかったんだ、全くその事実を知らなかった、だから竹中さんも、その例でいえば御存じなかった、前提で、なりますよね。竹中さん、やはりこれは不適切な問題だったなとお感じでしょうか。竹中さんはこのようにはっきりおっしゃっているわけですから、お答えいただけませんか。

竹中国務大臣 私は、金融庁の政策に関して今政府を代表してお答えする立場にはありません。これは、金融庁としては適切に常に対処してこられたと思います。

 当時どうだったのかという記憶の中での範囲でお答えさせていただくしかないわけでございますが、あの当時、そういうことについて私は承知をしておりませんでした。その意味で、それが個別にどういうものであったのか、その後の経緯も承知をしておりますので、私としては判断をする立場にはない、判断しかねるというふうに思っております。いずれにしましても、金融庁としては適切に対処してこられたというふうに思っております。

馬淵委員 当時も判断をする立場になかった、そういうことですか。もう一度お答えいただけますか。

竹中国務大臣 いや、当時はわからなかったから、その個別の問題についての適否が判断できないというふうに申し上げているわけでございます。

馬淵委員 では、もう一点お尋ねしますよ。

 では、そのことを知っていれば、これは特段の配慮を持ってその趣旨を徹底するんだ、こう竹中大臣は当時おっしゃっているわけですから、その当時これを知っていれば、どのように御判断されたですか。お答えいただけませんか。

竹中国務大臣 知っていればということでございますが、私は、それが、コンサルティングというものがどのようなものであって、どのような活動をしておられるんだということは、今でも私にはわかりません。したがって判断ができないというふうに申し上げているわけでございます。

馬淵委員 先回の十四日の質疑の中で私は、具体の資料もコンサルティング契約もお見せした。もうきょうは資料をお渡ししていませんけれども、明確に金融庁との交渉戦略という形で契約が結ばれているんですね。きょうは資料をお出ししていませんが、前回お出しした資料の中に契約書をそのまま載せました。契約の日付は五月の一日、金融庁の顧問でおられるときなんです。そして、この業務報酬というのが一億円、契約期間は、業務報酬の支払い日の翌日からですから、コンサルティング契約が結ばれて支払いがされたのが平成十五年の五月十四日、その日から免許の申請日、この日までが契約期間なんです。免許申請日まで契約期間、これは、免許申請日というのが本免許なのか予備免許なのかわかりませんが、いずれにせよ、その期間に役務があるという前提で契約を当時これは結ばれているんですよ。木村さんは、二十日に辞令が発令されて辞任をしたから、金融庁顧問をやめたから、免許が出たけれどももう法的に関係ないんだという話ではないんじゃないですか。

 これは、この契約の中身、竹中大臣は今わからないからとおっしゃいましたけれども、私は今、きょうはないですけれども、再度これは資料をお読みしていますが、この契約書を読めば、木村さんは、一億円の対価を受けて五月十四日から、少なくとも読み取れる日付でいえば八月二十日までの間、金融庁の交渉というコンサルティングをされているわけですから、役務を提供しているはずなんですね。この状況が不適切ではないですかとお尋ねをしているんです。現与謝野大臣も、それに対しては法的には問題ないんだという一点張りでした。

 竹中さん、中身を知らないからというふうにおっしゃいました。今、私は説明を申し上げました。この説明をもとにお答えをいただけませんか。お願いいたします。

竹中国務大臣 今お伺いした限りでは、やはり私にはわかりません。コンサルティングといっても非常に幅広い中身がありますから、それがどういうものであったのかということが私にはわかりかねますので、これは、先ほど申し上げましたように、判断できないということでございます。

馬淵委員 透明性、信頼される金融行政をつくるとおっしゃっているその竹中大臣、きょうはいらっしゃいませんが、当時伊藤大臣、そして今の与謝野大臣、お話を伺っていると、いかに無責任かということがこれは伝わってきますよ。

 資料をごらんください。三枚目です。東京JCメールマガジンというのがあります。二〇〇三年八月の二十二日、平成十五年八月の二十二日です。つまり、日本振興銀行の予備免許申請がなされ、金融庁顧問を二十日に辞されたその二日後であります。その二日後にこのメールが出されています。

 二月の例会、さて、この二月というのはいつのことか。この二月の例会というのは、平成十五年の二月十二日なんです。東京JCの平成十五年二月十二日、東京青年会議所の二月十二日午後六時三十分、第一ホテル東京で行われた例会に木村剛氏が講師として来られました。そしてそのときに、この二月十二日の時点で木村剛氏はこのようにおっしゃっています。

 「KFi代表・木村剛氏より最後にこのような発言がありました。」こちらに当時の議事録もありますが、傍線部、「金融再生プログラムに良いことが書いてあります。銀行を作りたかったらすぐにできると。東京JCメンバーが二十億円集めればすぐに作れます。」そして、その下の傍線部を見ていただければわかるように、「この例会に参加していた入会希望者の落合伸治君」中略「この発言に刺激され銀行を創るべく個人的に木村氏のもとを訪れました。 そして、木村氏の協力を仰ぎながら、」中略「銀行設立に向け準備を進め、八月二十日に予備免許申請が無事金融庁に受理されました。」働きかけているじゃないですか。

 木村剛氏は、金融庁顧問の身分で二月の十二日に、皆さん、二十億持ってくれば銀行つくれますよと言って講演されているんですよ。そして、その講演を聞いて、ああこれはと思った落合さんというのは、先般お配りした資料の中にありました、木村さんが経営する会社と一億円のコンサルティング契約を結んだ会社の社長さん、代表なんですよ。落合さんは、木村さんのところに相談に行って、その協力を仰ぎながら銀行の設立の準備を進めた、八月二十日に無事免許申請ができた。

 適切ですか。与謝野大臣、適切ですか。お答えください。

与謝野国務大臣 質問の御趣旨が私ちょっとわかりづらかったものですから。

馬淵委員 コンサルティングの中身がわからないということの御指摘が竹中さんからもありました。いろいろあるんだというお話であります。それはいろいろある。その言葉を言えば、もう何でも、世の中いろいろあるで終わっちゃいますよ。

 そうではなくて、私がお聞きをしているのは、竹中さんがいろいろあるからわからないとおっしゃったけれども、このように、このメールにあるように、東京JCのメルマガにあるように、二十億集めれば銀行つくれますよ、木村さんはこのように宣伝をされてきたんですよ。そして、その発言を受けて、落合さんという方は木村さんに協力を仰ぎに行ったんです。そして、一億円のコンサルティング契約を結んで、八月二十日に無事免許申請ができた、こうおっしゃっている。

 顧問として知らなかった、コンサルティングがいろいろあるからわからない。私たちもわかりませんよ。だから私はこの委員会で参考人招致を要求しているわけですが、今わかる中で、今知り得る事実の中で、この傍証の中で、私たちは問題があればたださねばならない役割を果たそうとしているんですよ。

 大臣、このようなこの傍証の中で、これは適切な状況だとそれでもお感じですか。与謝野大臣、お答えいただけませんか。

与謝野国務大臣 先生の御疑問に的確にお答えできるかどうか自信がないんでございますが、木村さんがここの場所でお話ししたことは、公知の事実を改めてお話しになったんで、特に秘密の話をこの勉強会でお話しになったというふうにはこの文章からは読み取れないわけでございます。

馬淵委員 これをごらんください。「金融再生プログラムに良いことが書いてあります。」そこは公知でしょう。「銀行を作りたかったらすぐにできると。」これを顧問の方がおっしゃっているんですよ。「二十億円集めればすぐに作れます。」だから、このことを顧問の職にある方が話すことは適切ですかとお尋ねしているんですよ。

与謝野国務大臣 この文章の中にありますけれども、これは、金融再生プログラムの中によいことが書いてありますということで、これは、もう既に発表された金融再生プログラムのことを指しておられるんじゃないかと思いますので、既にそれは新聞発表を通じて広く知られている事実を改めてここで強調されたんではないかと私は推定いたします。

馬淵委員 いや、この金融再生プログラム、まさに木村さんが顧問としてかかわってこられてきているわけじゃないですか。そして、これはすぐつくれますよ、二十億円集めてください、すぐつくれます、この言葉で言えば、それを受けて落合さんは、事実、木村さんのところに相談に行って協力を仰いでいるんですよ。

 この言葉どおりに、人が、ではわかりましたと言って一億円持っていきますか。これは普通に考えてくださいよ。一般の感覚でいえば、金融庁の顧問がこのようにおっしゃって、はい、わかりましたと言って一億円用意して持っていくんですか。ここでは、相当に木村さんがその立場をもってお話をされていると受けとめられるからこそ、こうした契約にまで進むんじゃないんですか。そして、それに対しては何ら法的に問題はないと繰り返しおっしゃっていることはわかっています。不適切じゃないかとお尋ねをしているわけですよ。それに対して、与謝野大臣、何一つお答えいただいていません。

 ならば、違う観点でお聞きしますよ。

 顧問というものがその公知の事実だけをお伝えしているんじゃないかというお話でありましたが、さて、具体の事実について知る場面というのはありませんでしょうか。これは竹中さん、当時、金融担当大臣としてのその御記憶で結構ですが、顧問というものが具体の事実ということをお知りになるというお立場ではなかったでしょうか。竹中さん、お答えいただけますか。

竹中国務大臣 具体の事実とおっしゃったんでしょうか。具体的な事実についてですか。(馬淵委員「はい、具体的事実について」と呼ぶ)

 金融庁顧問としての不良債権処理の御活動の中で、その具体の内容にもよると思いますが、事例のようなものが議論されたことはあったように思います。

馬淵委員 顧問というのは、広く重要な施策に参画するというその顧問の定めがございますが、具体的なところにまで踏み込んだ議論にも参加されるんですね。

 竹中大臣は、平成十五年の一月二十二日の記者会見で、顧問という権限についての記者の質問がありました。例えば金融庁の内部資料などでですね、彼らが見られる範囲のものというのはすべてなのですか、部分的なものなのか、こういうお尋ねがありました。これは、小泉俊明議員の質問と同質の質問だと思いますが、それに対して竹中大臣は、顧問ですので、当然のことながら守秘義務を負っております。これはいいですね、守秘義務は負っているんだと。しかし、知的なインプットをしていただくということが必要な範囲において、いろいろな資料も見ていただいて、このように答えておられます。つまり、顧問という立場、これは、重要な施策をオーバーオールで見るという話ではなくて、具体的なところまでもいろいろな資料を見る立場にいらっしゃるわけです。

 こういう立場にいらっしゃる方が、顧問としてさまざまな個別情報を知る立場にいらっしゃる方が、再生プログラムの中で銀行設立の迅速化というものが図られていく中で、二十億円集められれば銀行をすぐにつくれますよ、こういうお話をされていくという現実。顧問というお立場が、その一般の方々にいかなる信頼を持った言葉として発せられる立場にいるかということは、これらの傍証を並べ立てていくだけでも明らかじゃないですか。竹中さん御自身も、内部資料も見る立場にあるんですとはっきりおっしゃっている。きょういらっしゃいませんけれども、金融担当のお三方は、法的には問題がないと繰り返しおっしゃいますが、法的に問題がないということですべてを覆い隠すのか、あるいはすべてを終わらせてしまうのであれば、さまざまな問題は、法律でカバーし切れない問題は何一つただすことができないじゃないですか。だから私は、適切なのかどうなのかということを再三再四お尋ねしています。

 竹中大臣、当時このようにお答えをされていますが、このお答えに対して、そして、私が今再三再四指摘することに対して竹中大臣のお考えをお述べいただきたいと思います。

竹中国務大臣 ちょっと今、馬淵委員はいろいろな観点をおっしゃったように思いますが、まず、馬淵委員御自身が今引用してくださいましたように、個々の情報は、必要な範囲においてというふうに私も申し上げておりますし、その言葉を今馬淵委員は引用をしてくださったというふうに思います。いろいろ必要な範囲においてそういうものを見ていただくことは、これはございます。同時に、であるからこそ、守秘義務を負っていただいているわけでもございます。

 その意味で、あともう一つ言われたのは、これについて影響力のような意味でどのように思うかということだと思いますが、そうした問題に関しては、これは個々にどのような活動があったというのは私にはわかりかねますが、守秘義務を課して、これは適切に対応していただいているものであるというふうに思っております。

馬淵委員 内部の資料を、必要な範囲といっても、必要だとされれば、これは要は見られる立場にいらっしゃる。こうしたことがまかり通っているのが金融庁である。信頼される金融行政とはほど遠い金融庁であると私は申し上げざるを得ない。

 もう一つの観点、時間が余りありませんので、これもどうしてもお話をしておかねばなりません。

 資料の四枚目をごらんいただきたいと思います。これは個別の事案でありますが、お尋ねは一般事案としてお尋ねをしますので、そのことを先に付言します。

 木村剛氏が日本振興銀行の代表執行役になられています。木村剛氏は、当初役員でありましたが、その後代表執行役につかれました。木村剛氏が経営している会社、ここには三社載せております。フィナンシャル、当時KFiと呼んでいた会社です。これが、先ほど言ったように、一億円のコンサルティング契約、金融庁との交渉コンサルティング契約一億円で引き受けておられた。一億円を受けて免許申請までということですから、それでいえば、予備免許申請は八月二十日、八月二十日が予備免許申請日とすれば、その間に何らかの役務があったということで一億円受け取っているわけですから、こうなると、事前相談がなかったという話はおかしくなりますよね、これは御本人に聞かなきゃわからないわけですが。

 このKFiという会社は、木村氏が八〇%超、その他大半を取締役ということで株主としてなっておられる、つまり、実質経営支配権をお持ちの会社です。御自身は取締役としてつかれました。なぜか、日本振興銀行の代表執行役になったからです。銀行の兼業規制にひっかかる、このようなことからおりられているわけです。振興銀行の株は三千株、振興銀行に対する出資比率は三・六%です。

 ウッドビレッジ、これは、前回御提示した資料の中にありました、振興銀行からこれは問題ある不適切な融資じゃないでしょうかということで御提示をした会社です。ウッド、木、ビレッジ、村、御自身木村剛氏の御自宅が本店所在地となっている木村剛氏の個人会社、奥様が代表取締役であります。この会社は、版権管理、講演料、つまり、木村さん御自身が行っているさまざまな活動の収入をその主たる収入とする会社というふうに定款目的上読み取れます。この会社が日本振興銀行株二千四百二十株をお持ちである。

 そしてナレッジフォア、これは出版です。版権を管理して出版はナレッジフォア。これは、フィナンシャル、当時KFiの子会社であります。そこにも木村さんは取締役として入っておられます。このナレッジフォアは、日本振興銀行株三千百株をお持ちです。日本振興銀行の総株式数に占める割合は三・七五%。

 さて、木村さんは御自身も株を持っておられます。九千株、一〇・九%、平成十七年三月末現在です。昨年の三月末現在、これは、日本振興銀行ディスクロージャー誌から拾えるものですから、明らかとなっている数字です。

 この表の中を見て出資比率をごらんください。今申し上げたように、フィナンシャル、当時KFi、ウッドビレッジ、ナレッジフォア、木村剛、御自身がかかわっている会社の出資比率を全部足すと二一・二一%になります。ところが、前回の質疑の中で私は指摘をさせていただきました。これは情実融資ではないのかというその指摘でありました。

 日本振興銀行の商品とする振興ローンは、八%から一五%の金利なんです。それを三%の固定金利で、売り上げ千六百万円の会社に、債務超過である会社に一億七千八百万円もの融資を行っていた。そして、債務超過には貸し付けられないからということで、二千万の増資が、貸し付けの直前、一月二十五日になされているんです。二千万の増資の名義は木村氏の御両親です。この段階で、木村剛氏本人からは、株式数、三百万円だったんです。それまでは有限会社ですから、三百万円の資本金、一〇〇%木村氏がお持ちの会社だったのが、御両親の名義で二千万円増資されましたので、二千三百万円の資本金。木村さんは、御自身三百万円でしたから、二千三百万分の三百万で一三%に株式比率が減りました。そして、二千万というのは、先ほど、三%の固定金利という状況の中で、債務超過を解消するための二千万という説明が前回御提示した資料の中にもありましたが、それだけではなかったんです。

 ごらんいただくように、全部足すと二一・二一。木村氏が、一〇〇パー会社であれば、この二・九三%はそのまま生きてきますから二一・二一となって、二〇%を超える主要株主規制のその対象となってしまいます。そのために木村氏は、一月二十五日に御両親の名義で二千万の増資をして債務超過を消して、みずからの経営する銀行から融資をさせる、さらには、株式の比率を減らして主要株主規制から逃れるということをこの中でおやりになられた。

 さらには、大口信用供与規制というのがあります。これは、一般に大口信用供与、銀行が特定の企業や同一グループにがばっと貸すと、もし何か倒れたときには銀行の健全性が損なわれるかもしれないから、これについては厳しい規制がかかっているんですね、銀行法上。資本の二五%が特定のところに貸し付けされる、貸し込まれるのは、極めて重要な問題であるという銀行当局のこれはチェック項目なんです。それも、木村氏の御両親名義の株式が増資されることによって、ここにありますように、一八・一五、フィナンシャル、当時KFiとウッドビレッジ八・二八を足せば二六・四三%。大口信用供与規制違反になる部分を避けるためにこのような増資がなされて、一八・一五%、金融庁の監督の対象とならない数字に下げられています。

 こういう状況を見れば、いいですか、これは違法じゃないんですね、違法じゃないけれども、まさに、法の網の目をくぐって、このような形で銀行をみずからの財布にするようなことができるという証左じゃないですか。

 みずからの財布、なぜそう私が申し上げるか。五ページ目をごらんください。先ほど、KFi、フィナンシャルとウッドビレッジ、その二社に融資がされているという話をしました。前回御提示した資料はウッドビレッジだけでしたが、フィナンシャルも同様に、固定金利でフィナンシャル、KFiには三億九千万、ウッドビレッジには一億七千八百万、これだけのお金が、つまり、五億六千八百万円が木村氏関連企業に貸し出されています。この担保は振興銀行株なんです。振興銀行株を担保としてお金を貸し出している。そして、この貸し出す担保の株券は、額面は、四枚目、前のページを見ていただくとわかりますが、三千株と二千四百株を足しまして、二千四百二十株ですか、これら合わせて五千五百株ほどになるんですが、入れられた株というのは二千五百株となりますが、これらを足しますと八億七千六百万円。

 つまり、木村氏は、ウッドビレッジを両親名義で増資をして主要株主規制を逃れ、大口信用規制を逃れ、さらに、自行株を担保とすることで、担保掛け目は六五%に設定をして五億六千八百万円を融資する。融資した先からは、八億七千六百万円、資本金として、出資としてこの銀行にお金が入ってくるんです。

 この流れ、法律には違反をしない。しかし、あくまでこのような形をすれば、それこそみずからの財布のようにして、法の網をくぐって幾らでも貸し付けができるという証左じゃないでしょうか。

 そこで、もう時間がありませんがお尋ねをします。

 与謝野大臣、個別の事案ではありません。このように、商法で厳しく制限されているいわゆる預け合いに近いような形、偽装増資に近いような形、このような形で今の銀行法上は、網の目をくぐって、資本の充実の原則を大きく逸脱するような貸し出しが行われてしまうかもしれないという現実があるんですよ。

 この銀行法の問題を、これは大きな問題だと私は御指摘をしたいわけですが、大臣、今の法律のこの抜け道に対してどのようにお感じですか。早急にこれは正すべきなのか、それとも、いや、法律にのっとっているからいいんだといって、こういった状況を許してしまうんですか。個別の事案ではありません、一般論として、大臣、明確な御答弁をお願いします。

与謝野国務大臣 法律を守るということは、形式のみならず、その実質においても法律を守るということが大事でありまして、ただ形式が整っていればいいということだけではないと私は思っております。

大島委員長 馬淵君、時間です。

馬淵委員 実質を守るためにも、実質を守らせていくためにも、法律というものがしっかりと現実に適用される形に変えていかねばならないこと、金融行政を信頼あるものに取り戻すことを強く求めて、私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

大島委員長 これにて馬淵君の質疑は終了いたしました。

 次に、大串博志君。

大串委員 民主党の大串博志でございます。

 きょうは、ライブドア問題等金融問題の集中審議ということで、私の方は、このライブドア問題、ライブドア事件を通じて浮き彫りになってきている現在の資本市場をめぐる問題、直接金融市場、その制度をめぐる問題に関して議論をさせていただければというふうに思っています。

 今回の事件、社会的に非常にインパクトの大きい事件です。ライブドアの本体に投資をしていた人、株主の数でいうと二十二万人、極めて広がりの多い問題になっています。

 質問通告の順番とはちょっと異なりますが、大変恐縮ですが、証券等取引監視委員会の方に、まず、この間告発をされました事案の内容について御発言いただければというふうに思います。

長尾政府参考人 監視委員会は、二月十日、証券取引法違反の嫌疑で、犯則嫌疑者堀江貴文ら四名及び犯則嫌疑二法人ライブドア、ライブドアマーケティングを東京地検に告発したわけです。

 その嫌疑事実を申し上げますと、一つは、マネーライフ社の完全子会社化に関し、ライブドアマーケティングとマネーライフ社との株式交換、これが、真実は、マネーライフ社の企業価値を著しく超過する数量のライブドアマーケティング株式を発行させ、それを高値で売り抜けようとするための取引であるのに、あたかも正当な株式交換比率に基づく正常の取引行為であるかのような虚偽の内容を公表したこと。

 それからもう一つは、ライブドアマーケティングは、平成十六年十二月期、第三・四半期において、架空売り上げを計上する方法により、経常損失等が発生しているにもかかわらず、経常利益等が生じたかのように装った虚偽の事実を公表したこと。

 以上の二点でございますが、これが証取法第百五十八条で禁止している偽計及び風説の流布に該当するというものであります。

 なお、ライブドア事件につきましては、引き続きさまざまな観点から調査を継続中ということでございます。

大串委員 ありがとうございます。

 今御指摘がありましたように、この問題、いわゆる証取法百五十八条に定める偽計取引そして風説の流布という、証券市場全体に極めて大きな影響を与える問題というふうに指摘をされて、今その事件の解明が行われているところでございます。そして、今、証券等取引監視委員会の方からも発言がありましたように、その中には、決算期における決算の内容を粉飾して、有価証券報告書、この内容を改ざんした形で報告を行う、これが投資家を惑わせた、この点についての嫌疑、指摘もかけられているわけでございます。

 今、日本において、これまで金融問題というと銀行の問題、こういうふうな取り上げ方があったかと思います。いわゆる間接金融の問題。この間接金融の問題が今一段落したというふうに言われているわけです。一昨年の、約一年前の三月期をもって銀行の不良債権問題は解決した。

 そして、そのころと今思い返せば時を一つとして、いろいろな問題が直接金融の市場、資本市場、ここに発生してきました。コクドの問題、西武鉄道の問題とか、あるいは先ほど話もありましたテレビ局に関する時間外取引でのTOBの問題等々多数、証券市場、資本市場、この問題が生じてきて、今これが日本全体を非常に揺るがす。そして、資本市場に参加している個人投資家が今極めてふえてきています、この個人投資家の一人一人の生活に大きな影響を与えてきている。こういう問題になってきているわけであります。

 この中で、健全な資本市場をつくっていくというのが、これまで間接金融市場、銀行の問題が大きな問題、これも大きな問題であり続けるとは思いますが、それに増して加えて、今個人投資家もふえてきたこの中で、健全な資本市場をいかにつくっていくか、これが非常に重要になってきている、こういう状況だろうと思います。

 資本市場を健全につくっていく、この中で非常に重要なことは、私は三つあるんだろうと思っています。

 一つは、適切な法制度をつくっていく、これが一つ。もう一つは、この法制度に沿って適切な監督、監視の体制をつくっていく、これが二番目だろうと思っています。そして第三番目に、これが今までのいわゆる銀行行政、間接金融市場の行政にはなかったことだと思いますけれども、いわゆる市場インフラをしっかりつくっていく。これは、例えば東証だとか、あるいは会計士、監査法人、会計ルールの問題、そしてディスクロージャーの問題、こういうふうな問題があります。こういうふうに、市場がしっかり回っていくんだ、取引が公正に行われるんだ、こういう市場インフラをしっかりつくっていく。この三つの問題が大きくあるんだろうというふうに思います。

 そして、今まで金融庁、こういう問題から見てみると、やはり、先ほど申しましたように、どうしても銀行に関する問題に大きく時間をとられて、そういう中で業者行政というものに非常に重きが置かれていた。それはまあ仕方なかったんだと思いますけれども、これからは、より、市場をどうマネージしていくか、市場をどう監督していくか、ここが非常に重要になっていく。それが、間接金融主体の経済あるいは金融のあり方から、直接金融主体の金融のあり方への脱皮をうまく図れるかどうかにかかってくるんだろうと思います。

 その中で、まずきょうは、全部はしゃべれませんので、一つ、まずは監督監視体制、これがしっかりできているか、ここのところを中心に議論させていただければというふうに思います。

 そして、まず第一に、監督監視体制、先ほど申しましたように、業者行政じゃなくて、市場を守る、市場インフラを守るという観点からの監督監視行政、ここに私、非常な問題が今まで日本にはあったんじゃないかというふうな気がしています。

 資本市場の育成において最も大切なのは、私は、適切な開示、ディスクロージャーだろうというふうに思っています。この点、会計ルールがきちんと整理され、それを監査法人そして公認会計士が適切に業務執行を行って、その制度を確保していく、それが非常に重要なんだろうというふうに思っておりますけれども、これまで、金融庁として、この点どういうふうな取り組みをされてきているのか、まず与謝野大臣にお問いしたいと思います。

三國谷政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもも、厳正な会計監査あるいはディスクロージャーの充実等を通じまして国民の信頼を確保していくことは、大変重要な課題と考えております。

 こうした観点から、これまでも、平成十五年には公認会計士法を改正いたしまして、公認会計士・監査審査会の設置、あるいは公認会計士のローテーションルールの導入などの措置を講じるなど、この充実強化に努めてきているところでございます。

 また、昨年十月には、公認会計士監査をめぐります昨今の非違事例等を踏まえまして、関係機関とも連携しながら、適正なディスクロージャーと厳正な会計監査の確保のための対応策についてを取りまとめ、公表し、今実施に入っているところでございます。

 私どもといたしましても、こういった対応策の着実な推進を図りますとともに、会計監査の信頼性確保に向けて、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

大串委員 開示、ディスクロージャー、会計、そして、監査法人、公認会計士というこの問題分野においては、金融庁において、そして自主規制機関たる公認会計士協会等々も含めて、いわゆるルールセッティングの部分、ルールをつくるという要素の部分と、このルールを公認会計士、監査法人の方々がしっかり守る、これを監督、監視していくという監督の部分と、二つがあります。そして今、金融庁は、この二つの機能を、ルールメーキングと監督、監視するという二つの機能を両方とも持っているわけです。

 今、お尋ねしますけれども、金融庁の中で、監査法人、公認会計士、これを監督する機能を負っている人が何人ぐらいいらっしゃるのか、そして、ちなみに、日本には監査法人、公認会計士は何人ぐらいいらっしゃるのか、そこの点をお聞かせください。

中江政府参考人 お答えいたします。

 まず、公認会計士の数でございますが、本年一月末現在で一万六千二百五十二名でございます。また、監査法人の数は百六十一法人でございます。

 また、これらの監督に従事する金融庁の職員の数でございますが、当庁の総務企画局の企業開示課で三名、それから、公認会計士・監査審査会の二十九名の合計三十二名でございます。

大串委員 今お話しいただきました、日本の公認会計士一万六千二百五十二人、監査法人が百六十一社、これだけあります。今お話ありましたように、これだけを監督している人は何人いるか。総務企画局の企業開示課で三人の方が監督していらっしゃる。また、公認会計士審査会というのをつくられて、その審査会でしっかりとした事前レビューをされているわけですけれども、そこが二十数名いらっしゃる。その体制で十分かという問題を真摯に今問い直す必要が私はあるんだろうと思うんです。

 資料を今お配りしました。アメリカではどうなっているかということでございます。アメリカでは、エンロン事件をきっかけとして企業改革法がつくられて、その中で、米国PCAOB、パブリック・カンパニー・アカウンティング・オーバーサイト・ボードというのがつくられました。これは、ここにありますように、委員会以下、地方事務所を持ち、職員数四百二十七名、極めて大きなボディーでやっている。

 公認会計士の数を下に書いてありますから、見てください。日本では一万六千二百五十二人、米国では公認会計士三十三万四千六百三十五人、こんなに違いがあるわけです。この米国での数は、日本でいうところのいわゆる税理士という仕事を負う人も入っていますので、直接には比べられないところはありますけれども、それでも極めて大きな公認会計士数の違いはあるんだけれども。

 もう一つここでよく見ておいていただきたいのは、PCAOBの職員数四百二十七人、これです。一方、日本においては、先ほど申しましたように、総務企画局において三名、そして公認会計士審査会で二十数名、この体制で、この一万六千二百五十二人の公認会計士、そして百六十一社の監査法人、この監督をしている。そして、今、会計をめぐる問題のいかに多いことか。皆さんちょっと振り返られただけでも、粉飾決算等々の問題が今頻発、多発してきていることをすぐ想起できると思います。今回の場合もそうでした。コクドの問題もそう、そしてカネボウの粉飾決算、その他いろいろあります。いろいろ、特に最近ふえてきたというふうな印象すら覚える。こういう中で、この人数で、この体制で監督できるのかという、SECの問題も今出ていますし、証券等取引委員会の監視の話も出ていますけれども、この問題も考えなきゃならない。

 大臣にここをぜひお尋ねしたい。公認会計士、監査法人、この監督も含めた体制のあり方、これに関して、意気込み、しっかりやっていこうというそのお考えについてお聞かせいただきたいと思います。

与謝野国務大臣 公認会計士、監査法人につきましては、監査の公正性、信頼性を確保し、企業の財務情報に対する信頼性を向上させる観点から、従前よりその監視監督体制の充実強化を図ってまいったところでございます。最近では、平成十六年四月に、監査法人等の業務運営の適正性等の監視のため立入検査権を導入するとともに、公認会計士・監査審査会を設置し、所要の体制を整備したところであります。

 また、十八年度予算案においては、公認会計士等の監督業務を担当する開示業務担当参事官を新設するとともに、監査審査会の検査官を増員して、一層の体制強化を図ることとしております。取引所につきましても、市場の公正性、健全性の確保及び投資家保護の観点から、その的確な監督体制を確保することが重要と考えておりまして、十八年度予算案においては、証券取引所に対する監督やマーケット動向の把握分析等を担当する市場業務担当参事官を新設するとともに、取引所の監督を担当する市場課の増員を図ることとしております。

 金融庁としては、今後とも、企業財務情報に対する信頼性の向上を図るとともに、市場に対する国民の信頼を確保する観点から、引き続き、公認会計士や取引所の監督体制の充実強化に努めてまいりたいと考えております。

大串委員 御説明ありがとうございます。非常にその方向でやっていただくのは私いいと思うんですけれども、そのペースがどうかということなんです。

 今、この問題が大きく起こってきている。そして、先ほど申しましたように、この監査、公認会計士、開示、これをめぐる問題は日々極めてたくさん起こってきて、ふえているような印象すらある。その中で、今おっしゃったような立入検査権を付与する。これは、立入検査権を付与するのは非常によかったと思いますけれども、ではこの人数でそれができるのかという問題もこれある。そして、公認会計士審査会をつくられました。しかし、この公認会計士審査会をつくられてレビューをされていきますけれども、この頻度がどのくらいとれるのか、こういう問題もある。

 一万六千人という公認会計士、百六十一社という監査法人。最近においては大手の監査法人、ある一定の偏りを持って、一部の監査法人において特に多く、極めて重大な粉飾決算、これを容認していたというようなことも見られている。非常にこういうふうな状況になってきているわけです。だから、今の大臣の改善をしていこうというこのペースがいいのかという問題があると思うんです。

 大臣ぜひ、ここであえて答弁は求めませんけれども、今やられようとしているこの増強のペースがこれでいいのかと。私は本当にそれで十分だとは思えません。アメリカにおける四百二十七人という、しかもこれは独立機関です。これは確かに政府機関ではないんですけれども、準政府機関としての立場を与えられて、処分権限も持っている。こういうところが四百二十七名の大きなボディーでやられている。これをぜひ認識していただいて、よりしっかりやっていただく、これが絶対に必要だと思うんです。これが開示の問題。

 開示の問題に関してもう一つお尋ねしたいと思います。

 今、この開示の問題、証券等取引委員会でよく告発されるのは、有価証券報告書の虚偽記載でございます。有価証券報告書といいますと、年に一回、これに大きな虚偽があった場合には告発される、こういうふうになっている。しかし、公認会計士がしっかり仕事をするという最も根本のところでは、そもそも、日々つけているはずの会計帳簿をしっかり企業がつけていて、しかも、それを公認会計士、監査法人がしっかりつけていますよということを見ている。この継続的な確認体制、継続的に見ている、これが大切だと思うんです。有報のように年に一回出されるもの、これの虚偽があるかどうか、そこの一発で決まるのではなくて、常に会計帳簿がきれいにつけられている、これを確保する必要がある。そのためには、証券取引法のみならず、商法の問題もやはりあると思っています。

 商法において、会計帳簿をきちんとつけなさいという条項がございます。しかし、これをきちんとやらなかった場合の過料は百万円以下、極めて低い。これがあるから、会計帳簿をきっちりつけなくてもまあいいやという風潮が出ているんだという意見もあります。

 こういうふうに、金融にかかわる問題、資本市場にかかわる問題、これは証券取引法という金融庁所管の問題だけじゃなくて、商法、あるいは今回は会社法は関係ありませんけれども、そういう問題もある。こういう幅広い問題に向けて、大臣のイニシアチブがぜひ必要だと思うんです。

 この点について、大臣、ぜひ御所見をお聞かせください。

与謝野国務大臣 商法における会計監査人に対する罰則として、商法特例法第三十条の規定により、会計監査人が監査報告書に虚偽の記載または記録をしたときは百万円以下の過料に処すると書かれていることは、承知をしております。

 また、監査人が、故意に虚偽等のある財務書類を虚偽のないものとして証明した場合や、相当の注意を怠ったことにより重大な虚偽等のある財務書類を重大な虚偽等のないものとして証明した場合、登録抹消、二年以内の業務停止または戒告等の懲戒処分を行うことができることとされており、商法の計算書類を含め虚偽証明を行った監査人は、厳しい懲戒処分の対象となるとされております。

 会計監査人に対する新たな罰則を設けるということについては、虚偽証明等を行った場合に厳しい行政処分の対象となることとのバランスをどう考えるかを含めまして、慎重に検討をしていく必要があるものと考えております。

大串委員 今お話がありましたけれども、実際は、この商法の規定をもってして抑止力になっている公認会計士の方々がどのくらいいらっしゃるか、非常に疑問だというふうに言われています。この会計上の、商法上のルールは、そういう意味では非常にすっぽ抜けになっているというふうに言われています。今、この金融の問題が起きて、商法や会社法、そこまで手を伸ばして改正していかなきゃならない、考えていかなきゃならない、こういう問題が非常に多いと思います。

 この問題は、やはり、その問題が起こった地点、つまり金融の問題、金融問題を所掌されている金融庁の方から、より積極的にイニシアチブを発揮して、改正が必要なんじゃないかという問題提起をどんどんしていかないと事は動かない、そういう問題が多々出てきているわけです。

 そこで、大臣、今非常に慎重な答弁をされましたけれども、そこは所掌の法律だけじゃなくて、会社法や商法も含めて、現在の資本市場に照らして問題があるのであれば、それはぜひ積極的に政府内で事を動かしていっていただきたい、この点を申し上げておきたいと思います。

 そして、もう一つ、監督の問題があります。

 金融庁の中で、東京証券取引所、この東京証券取引所においても、最近いろいろな問題が生じました。システムの問題、システムの障害が起きて取引が停止するという問題が起こりました。そして、あるいは年末には、ある証券会社の誤発注がすぐにとめられなかった、これもシステムの問題でした。そして、今般、一月に入って、ライブドアの問題を通じてシステムのキャパの問題、これも生じている。この間、立ち会い外の取引の問題もございましたけれども、こういうふうにいろいろな問題が市場のインフラとしての東証をめぐる問題として出てきている。

 先ほど、大臣、先に東証の監督体制の問題もおっしゃいましたけれども、ちょっと事実関係だけ確認しておきたいと思うんですけれども、金融庁は証券取引法を通じて東証というものの監督を行う、証券取引法の中にそのように書かれていますから、ルールセッティングをこれは持っている。かつ、監督、これを金融庁は東証に対して行っている。この東京証券取引所及びその他の証券取引所に関する監督の体制、これがどうなっているか、これに関してお答えください。

中江政府参考人 お答えをいたします。

 証券取引所に対する監督体制でございますが、これらの監督に従事する職員は、金融庁の総務企画局市場課におきまして市場課長のほか四名、また財務局におきまして証券取引所監理官等八名となっております。

大串委員 これも、先ほどの公認会計士、監査法人をめぐる問題と同じです。東京証券取引所、日々問題が頻発してきている。それを総務企画局の中で四名の担当者が担当している。ほとんど追いついていないと思います。きちっと対応して、かつ戦力を組んで、そしてきちっと監督していくという体制になっているか、これは非常に疑問だと思います。

 先ほど大臣、この東証に対する監督のあり方についても、今、日々その増強に向けて鋭意努力されているというふうに御説明がありました。これもぜひ気にとめていただいて、証券等取引委員会の問題と同様に、この点の体制の強化も必要があるということをぜひ御認識いただければと思います。

 さて、一番今回で体制上問題になっている証券等取引委員会、この問題。日本においては、証券等取引委員会の人数、体制、五百名、そして米国においては三千名を超える、こういうふうな体制上の違いがあると言われている。この問題から、証券等取引委員会がしっかり働けているのか、より早くこの問題を追跡できなかったか、あるいは、そもそもこういう問題が起きないような抑止的な活動を事前に行えたんじゃないか、こういうふうな問題提起がなされています。

 これに対して、我々民主党としては、日本版SECという銘打ち方をしていますけれども、より独立性の高いSECを、証券等取引委員会をつくっていくべきではないかという問題提起をしております。法律案をつくって提案をしております。これに関して、与謝野大臣、より独立性の高い日本版SECをつくっていく必要はないか、これに関する御所見をお聞かせください。

与謝野国務大臣 証券監視の体制につきましては、日本版SECをつくれという御意見もありますし、イギリスの例を倣えと言う方もおられます。我々としては、今、与えられた組織、これをどう充実させていくのかということを考えていかなければならないと思っております。

 歴史の短さというのは、これは時間とともにしか解決できない問題ですが、地方の財務局の御協力もいただいておりますけれども、やはり三百名少々の体制で監視業務が国民の期待されるレベルのところまでいけるのかどうかという問題があります。人員の問題があります。

 それから、人員だけではなく、質の問題と申しますか専門分野の問題と申しますか、税の専門家、会計の専門家、弁護士あるいは検事、あるいはその他の分野の高度の知識と経験を持った方にやはり証券監視業務に一定の期間御参加いただくということが必要でございますが、現在、他の分野から御参加いただく方は、いずれも公務員法の壁で五年たたずにもとの職場に帰られるというケースが多いわけでございまして、そういう問題を含めて、監視委員会としては、解決しなければならない問題は当然のごとくあると私は思っております。

大串委員 これまでの大臣の答弁でも、独立性に関しては、日本の証券等取引監視委員会は独立性はあるんだというような発言がございました。我々は、ぜひ独立性を担保していただきたいというふうな思いを持っているわけです。それは、やはり独立性というものがこの職務においては非常に重要だと。

 金融、大きなお金が動きます。その大きなお金が動くところにいろいろな要素が入ってくると、とんでもないことが起こるかもしれない。問題が生じることもある。

 これまで金融をめぐるいろいろな非違行為、法律事件がございました。先日この国会の中でも、証券等取引委員会の、今回のライブドア問題に関して、政治家の方から、堀江さんに迷惑のかかるようなことがないようにというふうな圧力があったのかなかったのかという問いに対して、なかったんだという答弁がございました。そういうふうに、そういう政治家からの圧力がなかったのか、こういう問題が今問われる。それぐらいの巨額な金が動く、そういう大きな問題なわけです。

 そして今、証券等取引監視委員会の資料をお配りしましたけれども、ちょっと二枚目を見ていただければと思います。独立性はあるんだということですけれども、この証券等取引委員会は、どうしても私には腑に落ちない、非常に組織上の問題があるように思うんです。

 独立性があるとおっしゃる。この図にありますように、証券等取引監視委員会、委員長、委員二名いらっしゃいます。この方々は、内閣総理大臣から任命され、独立してその職権を行う。そして、その下に事務局というのがございます。きょう事務局長いらっしゃっていますけれども、事務局長以下の方々がつかさどっていらっしゃる。事務局長は委員長の命を受けて局務を掌理するというのがありますけれども、ところが、この事務局長以下の人事権は金融庁長官が持っているんです。

 すなわち、証券等取引委員会委員長あるいは委員が、この仕事したい、あの仕事したいと、もっといろいろな仕事をさせられると思います。しかし、その仕事をもって評価するのは金融庁長官なんです。いい仕事をしているかどうか、評価するのは金融庁長官なんです。これで本当に人が動くか、そういう問題があるんです。

 もう一つ言いますと、この事務局をどれだけふやしていくか、こういう問題がある。この予算権、だれがこの予算要求をしていくか。金融庁がまとめて予算要求していくんです。証券等取引委員会が独立して予算要求はできないんです。事務局が人をふやしたい、予算をふやしたいと思っても、金融庁予算の中でのめないか、金融庁の人の中でのめないか、こういう議論が初めに起こるんです。

 一番最初に申し上げたこの人事権の問題、これは深刻だと私は思います。いかに委員長、委員が笛吹けど、人事権を金融庁長官に握られていると、普通人間は、人事を持たれているところ、そこに動きます。これで大臣、独立性が本当に大丈夫と言えるのか、御所見のほどをよろしくお願いします。

与謝野国務大臣 予算のことでなく、人事のことだけについて御答弁申し上げます。

 監視委員会の事務局職員に対する人事権は、国家公務員法第五十五条の規定によりまして、金融庁の長である金融庁長官が有しておりますが、実際の人事採用に当たっては、金融庁の人事担当者と監視委員会の人事担当者が十分に連携、調整しているものと承知をしております。

 また、委員長、委員については、両議院の同意を得て内閣総理大臣が任命することとされており、さらに、独立してその職権を行使することとされております。

 また、申し上げるまでもなく、事務局長は、その委員長の命を受けて局務を掌理することとされております。

大島委員長 時間です、大串君。

大串委員 はい。いずれにしても、しっかりとした人事、独立が行われるように検討していただきたいということを申し上げて、私の質疑を終わります。

大島委員長 これにて大串君の質疑は終了いたしました。

 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 まず、与謝野大臣に基本的な認識をお聞きしたいと思います。

 ライブドア問題については、私は二つ問題があると思います。一つは、偽計を用い、風説を流布し、不当に株価をつり上げたこと、これは明確な法違反であり、法に基づいてきちっと処罰を行うという性格のものであります。もう一つは、法のすき間をついた、ある意味ではルール違反の行為を行ったこと、これはよくないことであって規制をする。

 このように、二つ分けて問題を整理すべきだと思いますが、与謝野大臣、どのようにお考えでしょうか。

与謝野国務大臣 風説の流布、偽計については、今、事件が進行中でございますので、証券取引法違反の事件としての処理がなされておりますので、コメントはできないわけでございますが、捜査・司法当局は、そう提起した以上、それだけの法的な根拠また証拠に基づいて行っているものと私は推察をしております。

 昨年のニッポン放送株をめぐりますToSTNeTを利用した取引でございますけれども、その当時、私は、党の方におりましてこの取引を眺めておりましたが、こういう取引というのは普通のことなのかな、どうなのかなということを実は疑問に思っておりました。しかし、その後、地裁、高裁と裁判所の判断が出まして、直ちに違法とは言えないという御判断だったと思いますが、まあそれはそれでしようがないと、それなりに私自身、納得をいたしましたが、党の政調会長をしておりましたので、やはり法改正が必要だという認識を強く持ちまして、党の担当の方々と御相談をしながら、自民党としても法改正の方向に進んだわけでございます。

佐々木(憲)委員 竹中大臣にお聞きします。

 確かに、解散・総選挙の時点では堀江氏が法律を犯していたということについてはわからなかった、それはそうだろうと思います。しかし、法のすき間をついてあのような行為を行う、つまり、時間外取引を悪用してニッポン放送株を大量に取得する、あるいは株式を百分割する、こういう堀江容疑者が行っていた一連の行為については、これはその時点では真っ当な行為だ、そういう認識でおられたんでしょうか。

竹中国務大臣 現実の問題としまして、市場が日進月歩の中で、いわゆるなかなか白黒つけがたいグレーゾーン的なものが大変広がっているという認識を持っております。

 そういう中で、今問われている堀江氏の行動がどうだったのかということにつきましては、これはいろいろな評価があると思います。私自身、それがどのようなものであったかというのは、にわかに判断をしかねているところでございます。そういう点も含めて、いろいろな部分を見抜けなかったということに関しては、その不明に関しては、反省すべきは反省するというふうに申し上げているところでございます。

佐々木(憲)委員 昨年の二月十八日、衆議院予算委員会で竹中大臣は、ライブドアによるニッポン放送株の大量取得に関連をして、こう言っているんですね。「ルールを無視してとか、ルールのすき間を縫ってとか、そういうことであってはいけない」、こういう答弁をされているんです。

 つまり、やってはいけない行為をする、そういう人物だという認識はあったと思うんですが、いかがですか。

竹中国務大臣 その答弁は、一般論として、法の趣旨にのっとってやる必要があるというようなことの御答弁をさせていただいたんだと思いますが、先ほども申し上げましたように、事実の問題として、ライブドアが行っていたことについて、私自身、それがどのようなものであったかということは、なかなか判定しがたいと思っていたということでございます。

佐々木(憲)委員 しかし、先ほど与謝野大臣がお答えになったように、このような、いわば法のすき間といいますか、違法すれすれのこういうやり方をすることを防がなければならない、そのために法律を改正しなければならないと、証券取引法の改正を昨年三月に政府が提案して行いましたね。この証取法改正は、竹中大臣は署名をされたんじゃないんですか。

竹中国務大臣 証取法はほとんど毎年のようにいろいろ改正されて、事実がどんどんどんどん変化していきますから、それに対して、行政が市場の変化に対して一生懸命後を追っかけているという状況ではないかと思います。そういったものに対して、三月のものということでございますから、当然私は署名をさせていただいております。

佐々木(憲)委員 つまり、法の不備がある、法の不備があるから、それを是正しなければならないと。

 何でこのようなことをやったか。確認をしておきますが、与謝野大臣、この証取法の三月の改正、その改正の理由、ここをはっきり言ってください。

与謝野国務大臣 TOBのルールというのは、ある種のゲームのルールと申しますか、きちんとした、TOBをやるのであればきちんとルールを守る、そういう厳格なものであるはずなわけです。

 それから一方、市場で取引をしてほしいという要請は、株主あるいは投資家だれしもが、売るチャンス、買うチャンスというものを平等に持てるようにしなければならないということがありまして、そういう意味では、あらかじめ示し合わせている、この件について言っているわけじゃないですよ、一般的に申し上げて、あらかじめ示し合わせていて、あたかも市場内取引のように装うということは、やはり法の精神には全くかなっていない、そう思います。

 したがいまして、確かにあの時点では、裁判所が言われるように、直ちに違法とは言えないという御判断がありましたけれども、やはり法によって補う必要があるという御判断をみんながされたというふうに私は理解しております。

佐々木(憲)委員 竹中大臣の先ほどの御答弁のように、法案を署名して国会に提出されているわけですから、何のために出したかというのは当然御承知のはずで、もちろんその分野の専門家でもありますから。つまり、法のすき間をついてこういうことをやるというのを防ぐという、そのために法案を出されて成立をされたわけであります。すき間をいわば埋めたわけですね。

 したがって、この堀江前社長はすき間を縫うような行為をしていた、これは法律を改正して防がなければならないような行為をしていたという認識は当然あったわけであります。

 そういうことを知りながら、無所属で出た堀江候補を応援した。しかも、これは異常な力の入れ方だったと私は思います。なぜかといいますと、現職の大臣ですから。現職の大臣が公示日に自民党の候補者の応援ではなくて無所属の候補者の応援に行く、これは常識では考えられないことであります。その上、私とホリエモンさんと小泉さんと三人で改革をやるんですと。まあ街頭演説とはいいながら、天まで持ち上げた。これは事実ですね。

竹中国務大臣 あの選挙は、郵政民営化に賛成か反対かという非常に大きな内閣の命運をかけた選挙でございました。私たちは郵政民営化を何としても実現したいというふうに思っておりまして、そのような意気込みで、郵政民営化賛成の候補を力いっぱい応援をさせていただきました。

 選挙の応援でございますから、その場では、候補者に対する期待を含めまして、そのような応援をしっかりとさせていただいたと思っております。

佐々木(憲)委員 これは認めたわけですが。

 二階大臣、あなたは八月十五日の夜、自民党総務局長として武部幹事長と一緒に東京・六本木ヒルズで堀江氏に会って出馬を要請したと言われていますが、事実ですか。

二階国務大臣 八月十五日であったかどうかは記憶にありませんが、武部幹事長とともに堀江氏の事務所で面接をしたということは事実でありますが、立候補を特に要請したという思いはありません。

佐々木(憲)委員 そのことが堀江容疑者の立候補の決意につながっていったことは事実であります。

 堀江容疑者は昨年三月、ある新聞でこう言っているんです。邪道かどうかは関係ない、ずるいと言われても合法だったら許される、こういうふうなことを言って、違法すれすれのことをやるのは当たり前という態度であります。

 竹中大臣が応援をしていたまさにその時期にライブドアの株価が急上昇をして、事実上、お墨つきを大臣が与えたようなものですからね。そして、違法事件が摘発された後、急落、暴落をした。多くの皆さんが、二十何万人と言われる株主が莫大な損害をこうむったわけであります。

 しかも、堀江氏は、こういうことを言っているんですね。下積みの苦労が人間を鍛えるなんてうそだ、将来格差が開いたってエリートに食べさせてもらえばいい、こういう庶民を見下すようなことを平然と言う人物であります。それを、立候補を促し、無所属で立候補したとはいいながら竹中大臣が応援した、自民党挙げて応援をする、こういうやり方をした責任というのは、極めて重大であったというふうに私は思います。

 この点を指摘して、この質問は終わります。

大島委員長 これにて佐々木君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 本日は、冒頭、与謝野金融大臣にお伺い申し上げます。

 一月二十三日、堀江元ライブドア社長の逮捕、そして二月十三日には起訴という事態に至っております。このことを見る国民の目も、当初の逮捕時よりは、逮捕から起訴というと連動したような現象と思われますが、やはり起訴というのは一段次のステップに進んでおるということだと認識いたしますが、そもそも証券取引法の第一条には、国民生活の適切な運営と投資者の保護に資するためというのが第一条でございます。

 与謝野金融担当大臣は、とりわけ紳士で、なおかつ政策通でもいらっしゃいますから、私は、本日ここで、大臣から国民へのしっかり、はっきりしたメッセージを送っていただきたいと思うのですが、その理由は、現在、いわゆる資本市場を中心に国の経済を運営する時代となり、これは先ほど大串さんがすごく詳しくお話しでした、そしてその市場の優劣で国民生活が左右される。やはりこの間の株の取引をめぐるライブドア問題というのは、先ほどみずから与謝野大臣おっしゃられたように、そもそもニッポン放送の株の取引のときからやはり国民は、何だこれは、何か変かな、どういうことが起こっているんだろうという、資本市場への一種の懐疑の目と、あるいは期待の目と相半ばしたと思うのです。

 与謝野大臣は、本日、先ほど来、起訴という事態になり、それは粛々と行われるものであるとおっしゃっていますが、今大臣として一番しなくてはならないことは、資本市場の揺らぎやひずみが生じているとすれば、そのことについて大臣は何を国民にまず訴えるべきか。ひずみは生じていないのか、揺らぎも生じていないのか、このような事件が生み出すもとが現在の我々の資本市場の中にないのか、このことについての御認識をまず一点、お願いします。

与謝野国務大臣 多数の国民が資本市場に参加をしてくださっております。そのときに、何を考えなければならないのか。

 投資には成功と失敗は当然あるにせよ、少なくとも、投資家が真実性の高い情報を持って投資活動を行うということが必要であります。そういう意味では、企業の情報開示、開示された情報の真実性、こういうものはやはり法律またその他の法令できちんと規定していかなければならないと思っております。

 例えば、企業の財務に関する情報開示をするときに、その作成に当たる会社側、また、その監査に当たる監査法人等の社会的責任というのはますます重大でありまして、今般の一連のことでも、非常に多数の国民が損失をこうむっているということからすれば、実は情報開示のところが非常に重大なことであって、その情報開示について虚偽があるとすれば、それはむしろ詐欺的であるというふうにすら私は思うわけでございます。

阿部(知)委員 国民の側からこの事件を見れば、そもそも、ライブドアという会社が何をやっているかよくわからない。そして、株式の総評価額を上げることでどんどん成長していく。おまけに、その中でもうかるのは自分の会社ばかりである。ほかの株主はほとんど逆に、もしかして、ライブドアの中の一部の職員でライブドアの株を持っていた人すら、その経営に関係していた人すら損失をこうむっているかもしれない。そして、そのために、自社株の評価を粉飾するためには会計操作、何をしてもいいというような、三大特色を持っていると思うのです。先ほども出ておりましたエンロンやワールドコムのアメリカでの市場経済に及ぼした影響とも、私は、まさるとも劣らない悪影響を及ぼしていると思うのです。

 その段に当たって、もちろん、証券取引監視委員会をどのようにさらに機能強化していくのか。先ほどの、金融庁からの独立、あるいは今後考えられるイギリス等々での監視のシステム等の改正も必要だけれども、まず大臣としては、国民にわかりやすく、そうした株式市場にはしないんだ、何か幽霊みたいで実体もなくて、株の取引のもうけのための株式市場にしたら、本当に我が国の経済の足腰そのもの、海外の評価も崩れるんだということで、この段は、与謝野大臣はすごく、本当に、さっきも言いました、ジェントルですから、紳士ですから優しい物言いですけれども、しっかりと明快に、こういうことはだめなんだよと。捜査の成り行きを見ますとかいっている個別の問題じゃなくて、そういう株の操作のあり方、これが問題なんだということをきっちり言っていただかないと、私は、やはり国民はわからないというか、どうなっちゃっていくのと思うと思っているんです。

 かてて加えて、これは先ほどの佐々木委員の御指摘にもありましたし、また大串委員が組織図を示されましたが、この証券取引監視委員会の事務局の人事は金融庁長官が握られ、おまけに証券取引監視委員会の委員は首相が任命するわけです。この間、政治家はこの金融市場に何をしたか。私は、ひずみを与えたと本当に断言できると思います。任命権者の首相と、あるいは金融庁の金融大臣は竹中さんとトリオの伊藤さんでありました。そういう方々がもてはやし、武部さんもそうです、弟や兄弟だと言って、もう本当に心から応援されたんだと思います。さっき、竹中大臣は選挙だから仕方がないと言いましたが、これこそ風説の流布であります。

 私は、政治がこういうことをすべきでないと思いますが、大臣はいかがですか。

与謝野国務大臣 冒頭申し上げましたように、資本市場というのは、日本経済にとって極めて重要なものでございます。ここに多くの善良な国民に御参加いただくためには、市場の信頼性というものをさらに確保していかなければならないと思っておりまして、今般、法改正として出します通称投資サービス法の中においては、例えば情報開示に虚偽があったような場合、これは罰則を相当強化する、こういうことも入れなければならないと考えております。そういう意味では、全体、罰則の強化あるいは東証の規則の強化等々を通じて、投資家、一般国民が正しい知識を持って投資活動を行える、そういう環境をさらに整備していかなければならない責任があると思っております。

阿部(知)委員 大臣の立場でお答えにくいのかと思いますが、私の伺ったことはそうではなくて、小泉さんたちの応援が、膨らまし粉のように膨らませ、さらにこの問題の、本当に国民にとっての誤ったメッセージを送ったんじゃないかということでございます。

 また午後、質疑させていただきます。

大島委員長 これにて阿部君の質疑は終了いたしました。

 次に、糸川正晃君。

糸川委員 国民新党・日本・無所属の会の糸川正晃でございます。

 ライブドア事件につきましては、一月の強制捜査の後、二月十日に証券取引等監視委員会が告発を行った。これを受けて東京地検が起訴をし、今、事件は一つの山場と言われるのかなというふうに認識をしております。

 ライブドアマーケティングの株式にかかわる風説の流布事件というところで、証券等監視委員会の方が二月十日に告発したということを受けて、その事実関係はどのようになっているのかというところをお尋ねしたいと思います。

長尾政府参考人 私どもの監視委員会、証券取引等監視委員会は、二月十日に、風説の流布と証取法違反の嫌疑で、犯則嫌疑者堀江貴文ら四名及び犯則嫌疑法人ライブドア、ライブドアマーケティングを東京地検に告発しました。その後、あちらで起訴がされております。

 その嫌疑事実の概要でございますが、一つは、マネーライフ社の完全子会社化に関しまして、ライブドアマーケティングとマネーライフ社との株式交換が、真実は、マネーライフ社の企業価値を著しく超過する数量のライブドアマーケティング株式を発行させ、それを高値で売り抜けようとするための取引であるのに、あたかも正当な株式交換比率に基づく正常な取引行為であるかのような虚偽の内容を公表したこと、さらに、ライブドアマーケティングは、平成十六年十二月期、第三・四半期において、架空売り上げを計上する方法によりまして、経常損失等が発生しているにもかかわらず経常利益等が生じたかのように装った虚偽の事実を公表したこと、これが証取法百五十八条に禁止している偽計及び風説の流布に該当するというものであります。

 なお、現在、さまざまな観点から本件については捜査を継続中ということでございます。

糸川委員 そもそも、その風説の流布とか偽計の定義というのはいかなるものなんでしょうか。

三國谷政府参考人 お答え申し上げます。

 証券取引法は、第百五十八条におきまして、有価証券の取引等のため、または有価証券等の相場の変動を図る目的をもって、風説を流布し、偽計を用いること等を違法な行為として禁止しているところでございます。

 一般に、風説の流布とは、有価証券の相場の変動を図る等の目的をもって、うわさ、すなわち、行為者が直接経験または認識していない風評のたぐい、合理的な根拠のない事実を不特定または多数の者に伝達することをいうと解されているところでございます。

 次に、偽計でございますが、これは、有価証券の相場の変動を図る等の目的をもって、他人に錯誤を生じさせる詐欺的ないし不公正な策略、手段を用いることをいうと解されているところでございます。

糸川委員 では、証券取引法の第百五十七条を適用したのではなく、百五十八条を適用したその理由というのをお聞かせください。

長尾政府参考人 今回の、私ども告発しましたライブドア事件の事実関係、百五十八条を適用いたしましたのは、私どもが調査におきまして解明いたしました事実関係、これが先ほどの嫌疑事実になるわけですが、これが百五十八条で禁止している偽計及び風説の流布に該当する。その概要は、今、総務企画局長からありましたように、偽計というのは、もっと短く言うと、他人に誤解、錯誤を生じさせる詐欺的ないし不公正な策略、手段、あるいは風説はうわさのたぐい、これを広く流布するということで、それがぴったりくるということで適用した次第です。

 なお、百五十七条との関係ですと、今のような百五十八条、あるいはさらに相場操縦の百五十九条等がございますけれども、これらに加えて、包括的な不公正の禁止規定と言われておる百五十七条がございますが、今申しましたように、今回の嫌疑事実というものが百五十八条に該当する行為であるということで、あえて百五十七条を適用する必要はないと判断した次第でございます。

糸川委員 では、大臣、今回のライブドア事件に関しまして、強制捜査に当たっては、証券等監視委員会の本来の役割を果たしていないんじゃないかとか、そういうことも言われている。ただ、今回、強制調査が可能になったということは評価ができるのかなと。ただ、市場の公平性とか公正性とか、そういうものを確保していく上で、今後、市場の番人たる監視委員会に求められていく役割というのはどんどん大きくなっていくのかなというふうに思っています。

 そこで、こうした期待にこたえられるように、その方策というものを何か考えられているのか、それから、監視委員会の体質の強化というものに関してどのように取り組んでいらっしゃるのか、お答えいただけますか。

与謝野国務大臣 今回の案件につきましては、証券監視委員会は、相当長期間にわたってしっかりと調査をして、今は地検と協力をしながら事案の解明に努めている、それは役割を果たしていると思っております。

 しかし一方では、取引の手口、形態がますます複雑化していく中で、現在の陣容だけで健全な市場を守ることができるかどうかということも、この事件が落ちついた後でもう一度検討しなきゃいけないことだろうと思いますし、また、権限等々もどういうものがあるかということも、比較法制的に検討しなければならない問題もあるんだろうと思っておりますが、当面は、現在抱えております事案をきちんと解明していくということが証券取引監視委員会に与えられた使命であると思っております。

糸川委員 その使命をしっかりと果たしていただければと思います。

 ライブドア事件で、今回、投資事業組合が悪用されたわけですけれども、今後の規制についてのお考えをお聞かせいただけますか。

後藤田大臣政務官 現在、今国会への提出を予定しております証券取引法等の一部を改正する法律案におきまして、必要な整備に向けて検討を進めているところでございます。

 具体的には、利用者保護の徹底という観点から、新たにファンドにつきましての包括的な定義を設けまして、規制範囲をファンド全般に拡大すること、続きまして、ファンドの自己募集及びファンドの投資運用につきまして新たに業者としての登録対象業務とするという規制を検討しているところでございます。

糸川委員 この投資サービス法というのは、国内で営業や募集をされているものに関してでしょうか。

後藤田大臣政務官 ライブドア事件につきましては、個別の事案でございますので、お答えは差し控えたいと思いますけれども、一般的に、登録を業者として課すことによりまして、金融庁所管の業務として、立入検査を含む報告徴求、その他いろいろな監督をできるような形でやってまいりたいと思います。

糸川委員 ライブドア事件ということではなく、投資サービス法というもの自体が、国内で募集されたりするものに関して規制されるというものですから。

 ということは、ちょっと頭のいい人なんかでしたら、集めたお金を一たん海外の会社に持っていって、海外の会社が、例えば千ドルであっても、そこに一たん投資をする。その海外の会社が国内に持って帰ってきたら、その中身というのはわかるんでしょうか。

大島委員長 後藤田内閣府大臣政務官、ゆっくりと。

後藤田大臣政務官 失礼します。

 海外送金を経由した利益還元に言及する可能性というお話だと思いますが、いずれにしましても、一般論として、今後、問題があることが明らかとなった場合には、必要な対応を検討してまいりたいと思います。

糸川委員 では、最後に大臣、今の規制の問題点も踏まえて、再発防止策について御見解をお聞かせいただけますか。

与謝野国務大臣 今般、法律として国会にお願いする、いわば、通称では投資サービス法とかいろいろな呼び方があるんですが、証券取引法等の一部を改正する法律案というのを出しますが、そういう中で、やはり善良な投資家、こういうものが、俗な言い方をしますと、だまされないように、そういうためにいろいろ法律的な工夫を、証取法のみならず商品取引等を含めまして、きちんと用意したいと思っております。

糸川委員 午後もこの関連について質問させていただきます。

 ありがとうございました。

大島委員長 これにて糸川君の質疑は終了いたしました。

 午後二時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時開議

大島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 午前に引き続き、金融ライブドア等諸問題について集中審議を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。逢沢一郎君。

逢沢委員 自由民主党の逢沢一郎でございます。

 予定では、我が党の佐藤ゆかり議員が金融・証券問題のエキスパートの一人という立場から質問する予定でございましたが、関係者の御理解をいただき急遽差しかえに応じていただき、私が質問させていただくことになりました。どうぞよろしくお願いをいたします。

 さて、昨日の本委員会、予算委員会で、民主党の永田議員から、我が党の幹事長の御次男がライブドアから多額の金銭をもらったかのような指摘を受けたわけであります。その発言は大変無責任な発言であり、遺憾な発言であると言わざるを得ません。

 なぜそのように指摘をするかと申し上げますと、永田議員が指摘したいわゆるメールのやりとりの事実関係、金銭のやりとりの事実関係が、全く客観的に明らかにされないままの発言であるからであります。恐らく、ガセネタに基づくものなのか、あるいは憶測に基づくものなのか、場合によっては、政治的な意図を持った、あえて申し上げれば、悪質な発言と言わざるを得ないわけであります。

 疑惑がある、問題があると言うのならば……(発言する者あり)

大島委員長 御静粛にして。質疑を行いますので御静粛に。

逢沢委員 本当にその指摘が正しいのか、どこに真実があるのか、事実関係に間違いがないのか、そのことを証明する立証責任は、指摘する側、つまり、永田議員側、民主党側にその責任があると指摘をしておかなくてはなりません。

 予算委員会の理事会で厳しいやりとりをしていると伺っておりますけれども、何といっても、その指摘のメールというものは存在するのか、実際に存在をするのかということです。

 そのメールの中身がきのう委員会で紹介されたようでありますけれども、だれが出したのか、だれが受け取ったのか、ではメールアドレスはどうなのか、一切そういった事実は明らかにされていないわけであります。全く信憑性に欠ける。

 そして、そのメールの中に、武部幹事長の御次男のものとされるいわゆるギブンネーム、名前の方が記載されておりますが、なぜその姓が武部ということになるのか。調査の結果という発言を会見等でもなさっておられるようでありますけれども、全く信憑性を欠くものであると申し上げておかなくてはなりません。

 そして、肝心の三千万円の受け取りでありますが、どの口座からどの口座に、そういった口座番号も明らかにされていない事実を改めて指摘しておかなくてはならないわけでございます。

 我が党は、そういった永田議員からの指摘もあった、そして大きく報道もされたということもあって、党としての適切な対応をいたしたところでございます。御次男がみずから進んで提出いただいた資料に基づいてしっかりとした調査を行ったわけでございますけれども、御次男の預金口座及び次男が代表を務めていらっしゃる会社の預金……(発言する者あり)

大島委員長 出席者に申し上げます。

 きょうは国民の皆さんが見ております。したがって、質疑はしっかりとやりたいと思いますので、委員の皆様方も、あるいはまた委員外の皆様方もお静かにしていただきたい、このように思います。

 続行してください。

逢沢委員 我が党は、実は昨日来、適切な行動をとってきたわけであります。その結果、いわゆる指摘されている、御次男の預金口座及びその御次男が代表を務める会社の預金口座について調査いたしました結果、いずれの口座にも、永田議員が指摘をされた三千万円の入金履歴はありませんでした。また、堀江氏、ライブドア社からの振り込み入金も一切なかったわけでございます。

 そして、もう一つ事実関係をここで明らかにしておきたいわけでありますが、けさ、午前中、堀江被告と弁護士の方が接見をなさったわけでありますけれども、自由民主党幹事長の次男に現金送金を指示したとされるメールの指摘について堀江貴文被告と接見したが、金を送ったこともないし、メールも送っていないと確認をした。これは、堀江被告と接見された弁護人が、弁護人の立場にあって責任を持って発言されたわけでありまして、そのことも与野党の議員の皆様に改めて御報告を申し上げておきたいというふうに思います。

 さて、今般のライブドアに関する件で、捜査当局は関係各所に捜索をいたしました。さまざまなものを押収されたというふうに報道で承知いたしております。もちろんその中には、堀江氏がやりとりをしたメールの記録もすべて押収の対象になっているんでしょう。あるいは、金の動き、出入りについても恐らく当局は把握しているというふうに私どもは承知をいたしているわけであります。

 改めて法務大臣にお伺いをいたすわけでございますが、その押収したメールの記録あるいは金銭の出入り、動きの中に、昨日永田議員が指摘をしたメールは存在しているのか、また、そのメールの内容である金銭の授受という事実は把握をされているのか、端的に御質問申し上げます。

杉浦国務大臣 お答えいたします。

 検察当局におきましては、御指摘のメール及び指摘された事実関係について、全く把握していないと聞いております。

逢沢委員 全く把握していないということが……(発言する者あり)

大島委員長 御静粛に。

逢沢委員 法務大臣から答弁をされたわけであります。全く把握していないということは、押収した電子メールの記録の中に永田議員が指摘をしたメールはないということであろうかと思います。

 また、先ほど、接見をした弁護人が確認した事実、改めて指摘をしておかなくてはなりません。

 永田議員が指摘したところによりますと、堀江氏が送信した社内メールの受信時間は、きのう、正確なところを会見で述べられたようでありますけれども、平成十七年の八月二十六日十五時二十一分三十五秒、秒単位のところまで明らかにされたようでありますが、であるとのことでありますけれども、その時間帯は、実は堀江氏は、選挙告示直前ということで……(発言する者あり)

大島委員長 お静かにしてください。

逢沢委員 広島で街頭での活動を行っていたという事実関係があるようであります。そのことは、複数のテレビ局の映像記録、あるいは昨日以来の放映でも明らかになっているところであります。

 したがって、この時間帯に堀江氏自身がメールを打つということは、物理的にも、あるいは時間的にも無理だということは容易に確認ができるわけであります。

 また、きのうライブドア自身が会見を行われまして、三千万円の振り込みの事実はないということを発表されたわけであります。

 したがって、メールの送信事実がなかった、口座に入金の事実もない、そしてライブドア自身も振り込みの事実がないということを確認されている。加えて、接見をした弁護人が、そういったメールのやりとり、送金の事実はないということも明らかにされているわけであります。

 ということを見ますと、永田議員が昨日述べた三千万円の振り込みという事実はないと断定せざるを得ない。とすれば、昨日の永田議員の発言は、明らかに名誉毀損に該当すると言わざるを得ないわけです。

 永田議員は、メールの信憑性に疑いがあるのであれば、御次男の方が直接、あるいは我が党の幹事長自身がそのことを証明すべきだ、そういったたぐいのことをおっしゃっておられるようでありますが、その立証責任を負っているのは永田議員御自身だし、また民主党の大きな責任があるということを改めて申し上げておかなくてはなりません。

 改めて杉浦法務大臣に確認いたしたいと思うわけでございますが、この事実であるとの証明、立証責任を負っているのは、私どもは、永田議員であり民主党であるというふうに考えているわけでございますが、まさに名誉毀損をした永田議員が負わなくてはならないその責任について法務大臣はいかがお考えか、御所見を承りたいと思います。

杉浦国務大臣 お答えいたします。

 一般的に、裁判におきましては、民事、刑事双方におきまして、主張する側が立証責任を負うというのが、大ざっぱに言って大原則でございます。

 お尋ねの、真実の、真実性の立証責任ということは、恐らく、刑法の名誉毀損罪にございます真実であることの証明についての立証責任というふうに拝聴いたしたのですが、名誉毀損罪におきましては、刑法二百三十条第一項におきまして、「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。」と定められておりまして、その例外として、刑法二百三十条の二第一項は、その行為が「公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。」と規定し、また、同条第三項は、「前条第一項の行為」、先ほど言った行為が「公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。」こう規定いたしております。

 一般的に申しますと、犯罪の立証責任は刑事の場合は検察官にございますが、今申し上げた真実であることの証明につきましては、その証明がない限り被告人は処罰を免れないという意味におきまして、被告人に挙証責任がある。つまり、挙証責任が転換されておると解されておると承知いたしております。

逢沢委員 杉浦法務大臣から所見の開陳がございました。

 私ども、やはり、問題を提起した、問題を指摘した側にまず立証責任がある、その立場を改めて確認させていただいたところであります。

 昨日から今までの間に判明した事実、先ほどるる御紹介また発言の中で触れさせていただいたわけでありますが、永田議員が振りかざしたメールの信憑性をことごとく失わせるものであると申し上げなくてはなりません。

 名誉を毀損された幹事長の御次男、みずからの身の潔白を証明するために、金融機関の口座やメールの交信の記録を我々に積極的に開示してくれた。それに対して永田議員側は、メールの入手先や三千万円が振り込まれた口座についても開示を拒んでいらっしゃる。事実関係を一切明らかにしようとしないまま今日を迎えている。すべての口座に入金が確認されていないということが明らかになったわけでありますから、これを受ける形で、永田議員が、御自身が把握されていると発言されている送金先あるいはその口座を明らかにすべき責任があるわけであります。

 この問題は、やはり白黒はっきり決着をつけなくてはならない。事実は一つでありますから、白黒決着をつけることが大事だということをあえて指摘しておかなくてはなりません。

 予算委員会の理事会を通じて、永田議員側に対し、本日正午までに、先ほどにも触れましたけれども、メールの存在及びその信憑性、そして御次男とメールにある固有名詞をつなげた理由、送金の事実関係、有無について、確たる証拠、論拠、根拠を提出するように伝えているわけでありますけれども、いまだに明確な回答がないという報告を承っております。

 永田議員は、本当にメールの信憑性を検証した上で発言を、この権威ある予算委員会で発言されたのかどうか、それとも、何か政治的な意図を持って発言されたのか、しっかりとした説明責任を果たしてもらわなくてはならないと指摘いたしたいというふうに思います。

 名誉を毀損された幹事長の御次男は、いわゆる民間人でございます。事業を営んでいらっしゃる一日本人であり民間人であると承っておりますが、まさに昨日来の報道で随分そのビジネスにも支障を来している、そのようなことも耳にいたしているわけでありますが、もし永田議員が指摘された一連のことが事実でないとすれば、まさに、民間人を巻き込む悪質な風説の流布と言わなくてはならないわけであります。

 そういった立場と考え方に我が党自由民主党はあるということを、もう一度はっきりこの場で明らかにいたしておきたいと思います。

 ところで、国会議員、議員が院内における発言で人の名誉を毀損した場合でも、憲法五十一条によって国会議員には免責特権なるものが与えられております。刑事及び民事上の責任は受けないとされているわけであります。これだけ国会議員というものは特別な存在である。しかし、それだけに背負っている責任が重い立場なんだということを我々は認識しなくてはなりません。

 どんなに事実無根のことを言っても、あるいはどんなひどいことを言っても、民事上も刑事上も何ら処分されない。幾ら国会議員の特権であるといっても、本当にそういうことが許されていいのかどうか、国民の方は大いに疑問を呈される、首をかしげられるところではなかろうかというふうにも思うわけであります。民間人が築き上げてきた信頼が国会議員の一言で一瞬に失われてしまう、そのようなことがあっては決してならないということについても指摘しておかなくてはなりません。

 以上、自由民主党を代表して、我が党の基本的な立場、考え方等々について発言させていただきました。また、大切なことについては杉浦法務大臣との間で確認をさせていただいたわけでございますが、内閣のかなめとして、この国の政治に責任を負う立場であられる安倍官房長官の御所見をお伺いいたしてみたいと思います。

大島委員長 逢沢発言者に申し上げますが、理事間協議は公正に客観的にお伝えしなければなりません。

 与党からのそういう要求に対して答えないということはありましたが、野党からは百四条で要求してくれという答えがあったことも委員長として公正に申し上げておかなければなりません。(発言する者あり)静かにしなさい。

 安倍官房長官。

安倍国務大臣 政府といたしまして、先ほど杉浦法務大臣から、東京地検次席検事のコメントとして、メールの存在及び指摘された事実関係について当庁では全く把握していないとのコメントについて答弁があったとおりでございます。

 ただいま逢沢議員のお話を、御質問を伺っておりまして、あのような質問をされ、また疑いをかけられた武部幹事長に、もしあの立場になったらどういう身の潔白の証明の仕方があるか、そう考えたわけでありますが、それは余り幾つも方法があるわけではないわけでありまして、指摘された御次男の持っている口座のすべてを公開する、それをしっかりとやられたということであります。そして、それを送ったという会社側、ライブドアでありますが、ライブドア側が果たして出したかどうか、それは出していないと言っている。そして、堀江被告自体も出していないと言っている。

 では、それ以外にどんな方法があるんでしょうか。それ以外に方法があるというのであれば、民主党の皆さん、では、振り込んだ口座番号を言ってください。そうしたら、それに対して恐らく武部さんは反論するのではないだろうか、このように思います。そして、そのメール自体の存在を明確にしなければ、ただの怪文書と同じではないでしょうか。

 このようにいいかげんなことをこの予算委員会で質問されるということは、やはり、それ以上大きな責任が質問者にはかかってくるのではないだろうか、そんな感想を持った次第であります。

 最近、鳩山幹事長を初め、極めていいかげんなこうした指摘が多いというのは極めて不愉快であります。

逢沢委員 きょうは総理にも御出席をいただいております。小泉総理の御所見も承りたいと考えるわけでございますが、きょうの予算委員会、本来ならば、健全な証券市場をどのようにお互いの努力で発展させていくべきか、何が必要なのか、東証のあり方あるいはコンプライアンスをどう確保していくか、そういうことについて本来は議論しなくてはならない、そういう予算委員会だろうというふうに思います。

 しかし、大変残念ながら、昨日、民主党の永田議員からあのような指摘を受けた、それに対して、我が党自由民主党の考え方、また努力の結果、それはやはり国会を通じて国民の皆様方の前に明らかにしなくてはならない、そのような判断で、きょう私が発言に、質問に立たせていただいたわけでございます。

 私どもは、品位を持って、国会議員として、国民の期待にこたえる議論を国会で堂々と行っていかなくてはならない、発言には責任を持たなくてはならない、その論拠、根拠を問われれば明らかにする、そういう立場を貫くべきであろうかというふうに考えているところでございます。

 本日の今までのやりとり、総理も熱心にお聞きとめをいただいたところでありますけれども、自由民主党総裁として、また内閣総理大臣としての御所見を承りたいと存じます。

小泉内閣総理大臣 昨日から、永田議員の、武部幹事長の御次男に対するメールの問題、根拠のない情報をもとにして人を傷つける行為というものに対して、極めて遺憾に思っております。これは法律以前の問題ではないか。お互いの名誉を守る、礼節を重んずる。野党だから与党を批判するのは結構でありますけれども、批判の中にも、やはり礼というのがあると思いますね。

 そういうことを考えますと、これは、全く根拠のないことをもとにしてこうやって大々的に人を傷つける行為というのは、極めて遺憾だと思っております。

逢沢委員 きょういろいろ議論をさせていただいた結果、わずか一日で、永田議員が示したメールのいわゆる信憑性が極めて疑わしいということが確認できたように思います。

 十二分に事実関係を確認することなく、民間人の固有名詞を挙げて、今総理もおっしゃられたように名誉毀損を平然と行う永田議員の態度は、まさに院の権威を汚すものでありますし、また、残念ながら、残念ながらあえて申し上げれば、議員としての資格自体を疑うものであると私は指摘しておきたいと思います。

 あえて申し上げれば、これまでにも永田議員は、いわゆる十二分な裏づけ、事実確認をすることなく憶測で発言された経緯もあるというふうに承知をいたしております。

 今回の耐震強度偽装事件の件で、被害住民の皆さんの心を平然と踏みにじるような無神経きわまりない発言を永田議員がされた。そのことが国土交通委員会でも問題になった。その結果、永田議員自身が謝罪をされた。そのことは、お互いの記憶に新しいところであります。

 永田議員は、昨日の質疑の中で、私の責任においてメールの信憑性があると申し上げている、私の責任においてメールの信憑性があると申し上げている、このように発言をされたわけでございます。信憑性があると発言されるなら、その立証責任をしっかり果たしていただかなくてはなりません。

 我が党といたしましては、毅然たる態度で、永田議員の議員としての責任、また同時に民主党の責任をこれからも厳しく指摘し、必要に応じて追及していく、その立場であることを明らかにいたしておきたいと思います。

 また、先ほど官房長官からもあえて発言がございました。鳩山民主党幹事長は、このライブドア事件に関して、ライブドア関連の投資事業組合に自民党議員が関与した疑いが濃厚である、そういった趣旨の発言を繰り返しておられます。私どもとしては、その根拠、論拠を明らかにしてほしいということを再三再四お願い申し上げて、申し入れをさせていただいているわけでありますが、そのことに明快な回答はいまだいただいていない。

 そのことについても残念な気持ちを持ちながらあえて指摘を申し上げ、先ほど総理が申し上げた、お互い、与党、野党の立場の違いがある、野党の立場からすれば与党を攻撃、こういうこともあるかもしれない、しかし、国会議員としての見識、権威、品位を持ちながらということを総理が発言されました。

 お互いが、国民の負託を受けた国会議員として、そういったことを肝に銘じながら、本当の意味で国権の最高機関の議員としての責務を果たしていく立場でなくてはならない、お互いがそういう立場でなくてはならない、そのことを最後に申し上げさせていただきまして、私の発言、質問を終わります。

 ありがとうございました。

大島委員長 この際、渡辺喜美君から関連質疑の申し出があります。逢沢君の持ち時間の範囲内でこれを許します。渡辺喜美君。

渡辺(喜)委員 渡辺喜美でございます。

 我が自民党は、このような騒動の中にあっても、日々政策の立案に携わっております。

 本日は、自民党金融調査会企業会計に関する小委員会の委員長は私でございますが、小委員会の方の委員長を拝命しておりますけれども、けさほど、十項目にわたる提言をまとめたところでございます。これは与謝野金融大臣のお手元に先ほどお持ちしてございますので、後ほどゆっくりごらんになっていただきたいと思います。三月に提案をされます金融商品取引法、これの足らざる部分について我々がまとめた提言でございます。

 ところで、総理、ホリエモンの法則というのがあるのは御存じでしょうか。ホリエモンの法則というのは、まず第一に、ホリエモンの挑戦、異議申し立てというものが、旧体制をびくつかせるために世間のとんでもない注目を集める。第二に、ホリエモンがハードルを低くしてくれたために、後に続く者は比較的楽に成功を手にすることができる。第三に、ホリエモン自身は、計画が余りにも粗雑ででたらめであるため失敗をする、こういう法則でございます。ホリエモンが被疑者、被告人となった今、総理の御感想はいかがでございましょうか。

小泉内閣総理大臣 今言われたホリエモンの法則というのは初めて聞きましたけれども、それと、今の容疑で現在逮捕されているという関係については私はわかりませんが、やはり証券の問題につきましては堀江氏独自の考えがあったんでしょう。しかし、それについて、法律を守るということがだれであっても大前提でありますから、現在の法律でもって、投資しにくいとか仕事がしにくいというんだったらば、法改正して、どうあるべきだということを、国民の理解を得ながらやっていくのが私は筋だと思っております。

渡辺(喜)委員 まさに、法を逸脱するとか法の網をかいくぐるというような非常にひきょうな手段が今横行しているところでございます。

 私は、例の時間外取引によってニッポン放送の株を相当程度買い集めたときに、これはつじ切り強盗じゃないかと申し上げたんです。残念ながら、私の言い分はほとんどどこのメディアも取り上げませんでしたけれども、唯一「国会だより」というのが私の写真入りでこの問題を取り上げました。これは私の出している新聞なんでございますけれども。

 ライブドアの問題の本質、これはまさに、こういう法の抜け穴をかいくぐってマネーロンダリングをやっていた、株高を利用したとんでもない会社転がしをやっていたということなんですね。つまり、八〇年代バブルのときには土地転がしというものが行われました。今はバブルであるかどうかは別として、会社転がしという手法が横行していることに私は非常に深い危惧を覚えるのでございます。

 金融大臣、ライブドア問題の本質はどういうところにあるんでしょうか。

与謝野国務大臣 これは、全体の本質は何かと言われて一言で答えられるような問題ではありませんけれども、私どもの目から見たこの本質は、証券取引法違反事件ということでございます。

渡辺(喜)委員 我々も、けさほどの金融調査会企業会計小委員会の提言で出しております。株式分割、株式交換に係るルールが残念ながら非常に未整備であると。

 総理、馬券を買ったことはあるでしょうか。馬券というのは百円から買えるんですね。ホリエモン氏は、かつて、自分は競馬が好きなので、馬券感覚で株を買ってもらいたいんだ、こういうことを言っていたんです。そして、まさに百円ぐらいから買える、そういう単位の取引が株式分割という手法によって始まったんですね。

 ところで、百円単位で買える会社の株というのは何社ぐらいあるか御存じでしょうか、これはクイズでございますけれども。多分御存じないと思います。ライブドア一社です。つまり、それぐらいに徹底した株式分割をやってきたということなんですね。

 こういうルールは、やはり取引所のルールをもっと明確にすることによって、今、五分割以上はできないような自主規制が行われておりますけれども、ルールをもっと明確にしてもらうことが大事でございます。

 そして、この国会に政府提案としてお出しになる金融商品取引法の中で、あるいは現行法でも既に私はできると思いますが、株式交換に係る開示の充実。つまり、株式交換をやることによって会社転がしをやってきたんですね。こういうものは現行法でももっと厳しくチェックをすることが可能なはずでございますから、金融大臣、いかがですか。これはもう法改正を待たずして、株式交換の例えば内閣府令を出すことによって、もっと厳しくできるんじゃないでしょうか。

与謝野国務大臣 上場会社等が株式交換を通じた組織再編を行う際には、証券取引法上の開示制度や取引所におけるタイムリーディスクロージャーを通じて、契約の内容や相手会社の内容等についての情報の開示が義務づけられているところでございます。

 上場会社等の組織再編の局面においては、会社法上のルールと相まって、株主、投資者に十分な情報が提供されることが重要であると認識をしております。

 御指摘をも踏まえ、証券取引所とも連携を図りつつ、関係内閣府令の改正を念頭に、株式交換に係る開示の充実を図るための具体策について速やかに検討を進めてまいります。

渡辺(喜)委員 これは、法改正を待たずともすぐにでもできることでありますから、ぜひ可及的速やかにやっていただきたいと思います。

 我々は、規制だらけの社会をつくろうとしているわけではありません。きちんと市場がルールに従って動いていく。例えてみれば、サッカーの世界でちょっとお行儀の悪いプレーヤーがいた。いきなりレッドカードが出るわけじゃないんですね。まずイエローカードが出ます。二回出るとレッドカードになりますよ。しかし、イエローカードを出すときも、よく金子金融調査会長がおっしゃるんですけれども、レフェリーというのはいきなり出すんじゃないんですね。ぼそぼそっと言うんですよ、君、ちょっとお行儀悪くないか。

 こういう連携がとれておれば、監督当局と取引所と証券業協会と密接な連係プレーがとれておればこういうことが可能になるんです。暴走する社長を許さない、こういうことが可能になるんですよ。残念ながらこれができていないから、社長が暴走して、法の網の目をかいくぐって、あるいはとんでもない法律違反をやらかしてこんな大騒動を巻き起こしているのが日本の現実の姿です。

 建築士とか公認会計士とか、いわゆる士族と言われる人たち、日本は武士道の国じゃありませんか。その武士道の国の日本でひきょうなことが横行する、これはとんでもないことであります。士族の皆さんにはぜひ武士道精神を取り戻していただきたいと思うんですね。

 今、我々のこの日本では、企業の会計基準というのは国会がつくるものではありません。だれがつくっているのか。民間です、企業会計基準委員会。きょうは斎藤委員長に来ていただいております。

 なぜライブドアが、投資組合を実質的に支配しながら、ああいう投資組合を全く覆い隠しちゃって、連結対象にもしないでやってしまったのか。

 この間、国際会計基準委員会のパドア・スキオッパという議長さんにお会いをしました。私は聞いたんですよ、国際会計基準だったら、あれは連結対象になりませんか。議長さんは、そうですよ、そのとおりですよと。

 日本の会計基準だって国際会計基準にそんな引けをとるものじゃないんじゃないんですか。実質支配基準というのがあって、実質的にライブドアが支配している投資組合だったら、これは連結対象にするのが当たり前じゃありませんか。恐らく、本来の会計基準からいったらそうすべきだったんでしょうね。でも、それをしていなかった。

 やはり会計基準ももうちょっとわかりやすい基準に、ルールを明確化することも大事なんじゃないでしょうか。いかがですか。

斎藤参考人 御指摘のとおりでございまして、現在のルールでも、投資事業組合は連結の対象に含まれるということになっております。どこまでを含めるかということは、今のお話のとおり実質支配力基準で考えておりまして、この実質支配力基準というのは、会社であれ組合その他の事業体であれ、同じように適用されております。その意味で、これは本来連結すべき範囲に含まれていると理解しております。

 ただ、御指摘のとおり、ややわかりにくい点がある。なぜならば、それは、現在の実質支配力基準の組み立て方が株式会社を中心につくっておりますので、株式会社でない組合等については少しわかりにくいところがあるかもしれません。その意味で、それをわかりやすくするということは、御指摘のとおり、大切なことだと思っております。(発言する者あり)そのように考えております。

渡辺(喜)委員 とにかく、企業会計基準の世界は我々国会議員の手にないんです。まさに斎藤委員長がやっておられる民間の委員会がこれをつくる、そして、その基準に基づいて公認会計士協会が実務指針というのをつくり、それを企業の内部統制に役立たせていくというのが日本のルールなんです。

 したがって、これはしっかり頼みますよ。とにかく、国会に来るのは初めてでしょうけれども、我々はきちんとこれからフォローアップさせていただきますから、よろしくお願いをいたします。

 次に、法改正の問題でございますが、有価証券報告書、これがライブドアの場合には非常にでたらめであった、こういうことですよ。

 そこで、社長の暴走を許さないためには、社長に、この報告は正しいものですと確認をしてもらったらどうですか。キリスト教の国だったら、宣誓と言ってやるあれですね。日本だったら確認。この確認違反に対しては罰則がつく、そういう制度はいかがでございますか。

与謝野国務大臣 御承知のように、アメリカでも幾つかの不祥事がございまして、その後、経営者が宣誓するという制度が導入されました。

 日本の場合は、経営者による確認制度というのは、平成十六年三月期から任意の制度として導入されましたが、昨年の三月期においては、三千三百三十五社中二百社超が確認書を提出している。ただ、これは任意の制度でございまして、法によってこれを担保するということが必要になってきていると思っております。

渡辺(喜)委員 まさに大臣おっしゃるように、法によって担保していくことが我々も大事だと、けさ提言をさせていただきました。

 ところで、総理、こういう問題はイタチごっこみたいなところもあります。幾らルールを強化しても悪いことをする者は出てくる。しかし、悪いことをすると、自分のためにもならないし、もうけも全部召し上げられちゃう、それだけじゃなくて、もっとひどい目に遭う、こういう抑止効果が大事だと思うんですね。

 今、証券取引法は最高刑が五年です。窃盗罪とか詐欺罪とか、そういうものだったら、何と十年ですよ。風説の流布とか偽計とかとんでもないことをしでかして、窃盗罪とか詐欺罪の半分しかない。これは常識的に考えるとちょっとおかしいんじゃないかという気がするんですね。私たちは自民党の金融調査会で、これは十年に引き上げるべきじゃないかという提言をけさ出させていただきましたが、総理、いかがでございましょう。

与謝野国務大臣 従来の日本の刑法の考え方では、十年という刑は大体自然犯を中心に規定されている刑でございまして、いわゆる行政犯について十年という例はない。

 それとまた、刑罰を上げるというときに、法律関係者は刑罰の均衡ということを言いまして、なかなか重い刑というものは規定できないという現状でございますが、こういう件を見てみますと、被害者は多数に上るわけでございまして、そういう場合は、我々は従来の理論を超えて、やはり刑罰法規は上げる方向で検討しなければならない。

 ただ、この件については、法務省の御意見もよく伺った上で刑罰を上げるということを検討しなければならないと思っております。

渡辺(喜)委員 刑罰とともに、課徴金制度というのを昨年から導入しています。

 例えば、見せ玉というとんでもない手法が今横行しておって、実際に取引するつもりのない注文を出しておいて相場を動かして、これを取り消しちゃう、それでもうけちゃうという非常に悪質かつひきょうなやり方が横行している。アメリカ人に、見せ玉は英語で何と言うんですかと聞いたら、そんな英語あったかなというようなことなんですけれども、非常にこれは日本のマーケットの健全性のためによくないことなんですよ。

 ですから課徴金を、これは今回なかなか難しいかと思いますが、課徴金制度をもっと有効に機能させるには、不当利得の分だけじゃなくて、その三倍ぐらい召し上げちゃうぞ、こういうことが抑止効果につながるんじゃないでしょうか。大臣、いかがでございますか。

与謝野国務大臣 見せ玉は、特にネット取引が盛んになりましてから、一般の方もそういう行為をするというので大変嘆かわしい状況でございますが、昨年十一月には、証券取引等監視委員会から、いわゆる見せ玉を課徴金の対象にすべきとの建議を受けました。したがいまして、今国会に提出を予定しております証券取引法等の一部を改正する法律案において、所要の措置を講ずることができるよう検討を進めてまいりたいと思います。

 また、課徴金の水準についてはなかなか難しい議論がありまして、にわかにお答えできないのは残念でございますけれども、研究の対象としてまいります。

渡辺(喜)委員 我々は、さっきから何度も申し上げるように、規制でがんじがらめにすればいいんだという立場はとりません。やはり、きちんと民間がルールに従ってマーケットを動かしていただくということが大事なんです。そのためには、今の証券取引監視委員会をもうちょっと強化する必要があります。横断的な金融サービス法制をつくれば、なおさら今の監視委員会の体制は変えていかないといけないですね。そのためには、やはり人材なんですよ。

 今、例えばロースクールで、文部大臣来ていただいていますけれども、金融サービス法とか勉強させていますか。証券取引法とか金融理論とかやっていないじゃないですか。こういうことは、例えば、私が提案しているんですけれども、金融サービス検査士、こういう一つの資格をつくって、会計大学院とかロースクールとか、そういうところの人材をこういう分野にも来てもらう。そのための教育の充実、どうですか、大臣。

小坂国務大臣 委員御指摘のように、時代の要請に応じて専門の人材を養成することは極めて重要でありまして、証券取引の分野においての各大学での取り組みも充実させたいと思っておるところでございますが、平成十六年に創設されました法科大学院では、七十四校すべてにおいて、証券取引法、金融法等に関する授業科目を開講いたしております。

 また、ビジネス会計分野などの専門職大学院においても、企業法務、また金融取引法などの法律の体系や、あるいはファイナンス応用研究、金融システム論などのファイナンス理論に関する科目を開講しているところでございまして、なお一層の充実を図り、委員御指摘のような人材の養成に努めてまいりたいと存じます。

渡辺(喜)委員 与謝野大臣、事後チェックシステムの強化というのは、逆に行政コストがかかったりしますよ。したがって、重くなる行政コストをいかに重くさせないような仕掛けをつくるか。大きな政府をつくろうというのが我々の意図じゃないんですから、政府はできるだけ小さい方がいいんだ、そういう立場から考えれば、やはり民間とパブリック、官と行ったり来たりする人材が必要じゃないでしょうか。私の、こういう金融サービス検査士みたいなもの、いかがでしょうか。

 そして、こういう人を支えるには、やはりある程度財源が必要になります。その財源は、昔は、有価証券取引税なんて三千億円も集めていました。でも、こんなのはやめちゃえというので、もう何年も前にやめちゃったんですね。では、アメリカとかイギリスはどうなっているかというと、ちゃんと証券会社から、いろいろ手数料を取ったり場口銭を取ったりして運営しているんですよ。日本はどうですか。監視委員会なんか、人件費どれくらいですか。三十億円ぐらいじゃないんですか。余りにもみすぼらしいんじゃないでしょうか。

 とにかく、検察官は六人ぐらいしかいませんね。検察官はちょっと給料高いんですね。ところが、監視委員会へ来たりすると、一般行政職ですから、これが給料どかんと下がっちゃったりするんです。いかがでしょうか、改革案。

与謝野国務大臣 二点御質問がありまして、一つは人材の問題ですが、御指摘のように、頭を使ってくる犯罪を監視するわけですから、相当な専門的知識を有するということは必要でございます。しかしながら、国税専門官試験のようなもの、これを設けることが適当かどうかというのは、人事院などともよく相談しなければならないと思っております。

 それから二点目は、取引の参加者から多少お金を集めて行政コストの一部にしたらどうかというお話でございますが、これも一つの考え方でございますけれども、これにつきましては、証券取引に与える影響とか、あるいは特定財源になりはしないかとか、いろいろ考えなければならない今後の懸案の一つだと思っております。

渡辺(喜)委員 自民党は責任を持って政策立案に当たってまいりますので、政府もどうぞよろしくお願いいたします。

 以上です。

大島委員長 これにて逢沢君、渡辺君の質疑は終了いたしました。

 次に、谷口隆義君。

谷口(隆)委員 公明党の谷口隆義でございます。

 まず初めに、昨日の当委員会の民主党永田議員の発言でありますけれども、自民党の武部幹事長にかかわる、いわば政局絡みの発言をされたわけでありますけれども、当然のことながら、こういう発言をする場合には、しっかりとした証拠に基づいてやらなければならないということをまず冒頭に申し上げたいと思います。

 私の方は、今回のこの集中審議、ライブドアの事件でございます。これは、証券業界の大混乱、また、国民全体に大きな混乱を起こしておるわけでございまして、このようなことについて、約二十五分でございますが、質問をさせていただきたいと思います。

 今、自民党の渡辺議員の方から、自民党さんでは本日申し入れを行われたということでございますが、私どもの公明党におきましても、このライブドア事件にかかわる諸問題に関しまして幾たびかの部会を開きまして、取りまとめたものを昨日与謝野大臣のところに申し入れに行かせていただいたわけであります。与謝野大臣からは、自民党さんまた公明党さんのこの申し入れについては最大限配慮して、この法案策定の段階では考慮をさせていただきたいということをいただいたわけであります。

 昨日の私どもの党の申し入れをごく簡単に今申し上げますが、一つは、事業投資組合等の透明性の向上ということであります。また、証券取引等監視委員会の体制、機能の強化ということ、また、証券取引法違反の最長刑、先ほど渡辺議員の方からもありましたが、私どもの方も、これを五年から十年にしてもらいたい、またこのことについては後ほど申し上げたいと思います。また、売買単位のあり方、また、過度の株式分割、このようなことの抑制ということでございます。

 どうも聞いておりますと、ライブドアは三万分割を行って、東京証券取引所の一日の出来高の四〇%を超えたというようなこともある。これはもう極めて異常であります。このような過度の株式分割を抑制していかなければならないということと、あとは、東京証券取引所の例のシステム混乱における信頼性の回復ということを取りまとめまして、大臣に昨日申し上げたところでございます。

 このようなことを中心にしてお話をさせていただきたいと思いますが、まず初めに、やはり、このような証券取引法違反、堀江氏がこの違反で今逮捕され収監されておるわけでありますけれども、この証券取引法違反の罰則が果たして悪事を働くときにこれの抑制効果になり得るのかどうかというのは、極めて重要な問題であります。罰則はそういう意味合いで設けられておるわけでございますので、それで、これも先ほど、自民党さんでも議論されたようでありますけれども、課徴金は、昨年の議員立法で、私も提案者になりましてさせていただきました。

 大臣先ほどおっしゃったように、これは不当利得の返還ということですから、それ以上の返還はできない、課せられないというこの課徴金体系全体の検討をしなければならないわけで、これは二年の期間を置いて来年見直すということでございますから、これは独禁法等々もかかわることでございますので、全体の議論を、抑制的な意味合いでの課徴金のあり方ということも考えていきたいというように思っております。

 それと刑事罰でありますけれども、この刑事罰、先ほど自民党さんも十年とおっしゃっておられました。現行五年でございまして、五年ということになりますと、大体三年ぐらいのケースが多いようであります。三年ぐらいになりますと執行猶予になるわけですね。それで、この執行猶予ねらいでやっておられる方も中にはおられるというようなこともちらっと聞いたことがあるわけで、仮にこれが十年というようなこと、先ほど大臣のお話では、行政犯では十年というのはないんだというようなことをおっしゃっておられましたが、十年ということになりますと、この証券取引法違反は、これは実刑になります。このくらいの厳しいことをやはりやっていかなければならない。

 また、罰金も、今、個人五百万、法人五億ということでありますけれども、これは低くないのかということがございます。

 まず、このような課徴金、刑事罰、罰金体系について、総括的にもう一度与謝野大臣の御答弁をお願いいたしたいと思います。

与謝野国務大臣 課徴金は、利得相当額を返していただいて、それを違反行為の抑止に使おうという話でございます。

 しかし、昨年、法律改正をしましたときに、先生御指摘のように、二年後には課徴金制度全体のあり方についてもう一度考え直すということになっておりますので、これは、国会、また我々に課せられた宿題であると思っております。

 刑罰は、重くする方向で今法務省などとお話し合いをさせていただいております。これは、今回の証取法違反事件を見ましても、その他の証取法の違反事件を見ましても、被害が相当の数の方に及ぶということで、単純な行政犯かどうかというのは疑わしいと私は思っておりまして、そういう意味では、従来の法理論を乗り越えて刑罰規定を強化する方向に進まざるを得ないのではないかというのが現時点の私の考え方でございます。

谷口(隆)委員 次に、やはり一番何が上場企業について厳しいかといいますと、私も以前公認会計士をやっておりましたから現場をよく知っておりますが、上場している企業の最大の困ったこと、これは上場廃止なんですね。上場廃止といった段階で、これはいわば企業の死刑宣告に値するものであります。資金調達が一挙にできなくなってくる、なかなか企業として存続もできなくなってくる、こういうことであります。

 それで、今、この上場廃止基準は、取引所でこの基準をつくっておるわけですね。例えば年度の決算書または中間の決算書なんかは、虚偽記載をやった場合に、これが重要な影響がある場合は上場廃止だとか、また、担当の公認会計士が不適正意見を述べるとか、また、意見を差し控えるといったような場合が非常に重要な場合は、これは上場廃止だというようなことを言われておるわけでございます。

 そこで、これは東証に申し上げた方がいいわけでありますが、今大臣は、東証、大証、また証券業協会の会長も入れた私的懇談会をやっていらっしゃるわけでございます。そこで、ぜひ、現行の上場廃止基準をもう一度見直そうではないか、一度、現状に合ったような、厳しく対応しようじゃないかということをこのテーマにのせていただいて御検討いただきたいと思うわけでありますけれども、いかがでございましょうか。

与謝野国務大臣 御提案であれば、そのようにいたします。

谷口(隆)委員 きょうは、東京証券取引所から飛山専務が来ていただいております。今のことについて若干答弁をお願いいたします。短い時間で結構でございます。

飛山参考人 上場廃止につきましては、投資家がその会社についておりますことから、大きな影響があるということで、透明な運用とか客観的な運用を確保したいということで、そういう上場廃止の要件を基準に定めて、それに沿って運用しているということでございます。

 それで、この上場廃止基準を初めとします上場制度そのものにつきましても、これまで発生しました事案等を踏まえて必要な見直しを随時行ってきておりますので、今回の事件を踏まえて、見直すべきは見直し、改めるべきは改めるということで対応していきたいと思っております。

谷口(隆)委員 ぜひ、そういう見直しをしていただきたいと思います。

 次に、これも先ほど出ておりましたが、今回の法改正で、金融商品取引法、これは仮称でございますが、この中で、適正開示にかかわる経営者の宣誓、確認が義務づけられようとしておるようでございます。先ほど与謝野大臣がおっしゃっておられたように、今、任意になっているわけです、証取法においては。東証はすべてとっておられるようでありますけれども、任意の段階で、三千三百三十五社のうち二百二十六社しかそういう宣誓をしないというふうな状態は、やはり僕は問題だと思うんですね。

 これは、今回法的にやってもらわなきゃいかぬということのようでございますが、そのときに、適正だという確認の中に、今回のこの問題、連結の範囲を含めて適正だというような宣誓ぶりが私はいいのではないかというふうに考えております。

 またもう一つは、連結の範囲で申し上げますと、事業投資組合が、先ほど渡辺議員の方はこれは入っておらないと言ったんですが、斎藤委員長の方は、これは入るんだけれども、実質判断が難しいということをおっしゃっていた。実質判断が難しくて、なかなか監査の過程で見つけられない。ですから、先ほども申し上げましたような、連結の範囲も含めて間違いありませんよということをまず宣誓をさせるということが大事なんだろうと思うんですね。

 それで、SPCというのを今公認会計士協会でもやっておるようでございますが、エンロンという会社の経営破綻のときに大粉飾がありまして、三千社近いSPCをつくって、本体の利益を全部そっちへやって本体の利益状況を格好よく見せるということをやったわけであります。ですから、その連結の範囲というのは極めて重要なわけでありますね。これについては、今、会計士協会また会計基準委員会でも検討しておられると思います。

 あと、検討をしていかなければならないのは、LLPといいます有限責任組合、これは新しく法律でつくりました、また、LLCという合同会社、法人形態、これは両方とも基本的には同じなんですね。技術はあるけれども金がない、金はあるけれども技術がないという人たちが一緒になって、今までは、金がある人は出資を全部出して、全部その人が配当を受けておったわけです。そうではなくて、その技術も評価をして、技術を提供する人にも配当が入るというような会社形態を、また組合形態をつくろうということであります。これも、多分このような実質判断が難しいケースになるだろうと思います。

 このようなことも念頭に入れて、この連結の範囲について与謝野大臣の御答弁をお願いいたしたいと思います。

与謝野国務大臣 今国会提出予定の証取法の一部を改正する法律案の中で、上場会社に対し、有価証券報告書の記載内容の適正性について経営者に確認を義務づける制度を導入する方向で検討を進めております。

 有価証券報告書の記載内容の適正性については、適切な会計処理が行われている、このことも前提にしたものであり、御指摘のありました連結対象の範囲についても、当然に、経営者が確認を行う項目の一部を構成することになるものと考えております。

 なお、この際、適切な会計処理が行われているかどうかについては、連結の範囲に限らず、多岐にわたる事項を確認する必要があり、連結の範囲のみを取り上げて確認書に記載させることには困難な面があると考えられますが、確認書制度の詳細については、御指摘の点も踏まえて検討してまいるつもりでございます。

谷口(隆)委員 連結の範囲というのは、先ほど申し上げましたように極めて重要でありますので、一度また、そのことも含めて検討いただきたいと思います。

 あと、東京証券取引所関係で申し上げますと、一月の十八日にシステムがダウンをしまして、二時四十分でしたか、全面停止に二十分間なったんですね、これはかつてなかったことであります。その後も、本来は十二時半から後場をスタートするんですけれども、一時からスタートしておられまして、従来に比べて三十分間商いを短縮しているという状態が続いておられるわけでございます。これも極めて困った問題で、取引所は商いの根本のところで、これは国のいわばインフラに相当するところでございますから、商いをするところが混乱するということは大変問題なので、今、東京証券取引所もシステムのアップのことで、急いでと、きょうの報道にも出ておったようでありますけれども、頑張っておられるようでございます。

 それで、その処理の容量を拡大していくのに、東京証券取引所の方はメーンフレーム型、一つのコンピューターを中心で動くという、それに対しまして大阪の証券取引所は、分散系といって、いろいろな形で拡張しやすいシステムになっておるようでございます。ですから、そんなこともあって大証の方は、近々、現在の東証並みの約定取引数、今五百万ですね、五百万程度まで持っていけるような状態になっておるようでございます。

 一つは、私は、取引を行うということについては、東証のみではありませんから、大証との間の取引所間の協力体制というものをやはりつくっていって、どちらでも商いができるというようなこと、重複上場も含めまして、そのようなことを考えていくべきではないかと思っております。

 またもう一つは、どうも聞きますと、東京証券取引所のシステムの中心は東京都内にあって、仮に東京都内で予想を超えるような大震災があったときに、大手の金融機関は大体東京と大阪にツーセンターシステムで、一つがつぶれてももう一つが生き残っておるというようになっておるわけでありますが、こういうバックアップのシステムがまだ構築されておらない。ですから、予期しないようなことが起こるともう大変な事態になる。ですから、このようなバックアップ体制を整備してもらいたいということ。

 あとは売買単位です。先ほどもこれは出ておりました。東証では七種類の売買単位がある。全部入れますと、大証のも全部入れて九種類の売買単位がある。これを何らかのくくりでやるのか。一つの単位でやりますと、株の併合だとか分割だとかこういうことが必要になってくるわけですけれども、このようなことを全部含めて、非常に短い時間で申しわけありませんが、御答弁をお願いいたしたいと思います。

飛山参考人 まず、システムのことでございますけれども、大阪と連携をとりつつやっていきたいと思っております。

 基本的に、やはり取引所というのは証券市場を安定的に供給するというのが仕事でございますので、東証とか大証とかという話ではなくて、協力しながら進めていきたいというふうに考えております。

 それから、能力の増強につきましては、今鋭意やっているところでございますので、それはもう少しお時間をいただければと思っております。

 それから、バックアップの問題でございますけれども、これは、今バックアップの検討を進めているところでございますが、ちょっと大証と東証では取引のシステムが違っておったり、それから制度も違っているということもありますものですから、直ちに両者が補完する、バックアップをするというのは困難な状況になっておりますが、バックアップサイトとかそういった部分については協力がとれる部分もありますものですから、そういったことも含めて少し検討してまいりたいと思っております。

 それから、売買単位につきましては、やはりいろいろあることが投資家もわかりづらくなっておりますし、これが問題を起こしているというのは間違いないところでございますので、その集約化、統一化に向けて、関係者、発行会社とか投資者とか証券会社とか、そういったところと調整を図って、できるだけ早期に統一化、集約化を進めたいと思っております。

 その際に、やはり法律改正が必要だということになれば、また改めてお願いに参りたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

谷口(隆)委員 今申し上げた中でも、この売買単位のことはかなり法律にかかわることで、非常に難しいことでありますので、やられるならば、早いうちにそういうような御提案もしていただいたら結構かと思います。

 それで、時間も残り少なくなってまいりましたので、最後に、取りまとめという形で総理にお伺いをいたしたいわけであります。

 最近、やはり企業の不祥事が絶えないというか起こっておるわけでありますけれども、今回の場合は、企業の経営トップが暴走して、コーポレートガバナンスでこれをとめることができないということになっておるわけであります。各企業は、コンプライアンスまたコーポレートガバナンスということを非常に念頭に置いてやっておりますが、企業トップが悪意を持って行動を起こした場合にはなかなかとめることができない、こういう状況がございます。

 民間企業では、資金調達また投資運用、このようなことを通じて、法令遵守と言いますけれども、コンプライアンスを向上させるということが必要なのであります。そのために、経営者は企業の中で内部統制を強化する、お互いにチェックできるようなシステムをつくり上げる、そういうようなことをやるわけでありますけれども、財務報告の面では、今、与党間の協議がございまして、今度の法律に盛り込まれる可能性が高いわけであります。

 財務面はそういう方向でございますが、企業全体のコンプライアンスまたガバナンスという観点で、冒頭お話をしたように、企業トップがそういう法令を遵守しないというような行動をとった場合になかなかとめられない、これが大きく国民に混乱を起こさせるというようなことがあるわけでありますけれども、総理、このあたりの全体観に立った考え方を、所信をお伺いいたしたいと思います。

小泉内閣総理大臣 法律ですべてを縛るといいますか、不正をなくす、企業の面においても、あるいは人間個人の面においても全部法律で縛るというのは、これは無理があると思います。やはり法律以前に、当然人間として守るべきこと、これをよく自覚していただかなきゃならない。特に企業においては、企業の社会的責任、最近、民間の企業でも、公共的な分野の仕事をしている、また、できる企業なり個人なりがたくさんいるわけですから、この社会的責任という自覚を持って活動していかなきゃならないと思います。

 また、法律に違反した場合は、これは厳正な罰を受ける、これは当然であります。犯罪は損をする、犯罪はもうからない、そういうしっかりとした法整備も必要だと思います。

谷口(隆)委員 時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。

大島委員長 これにて谷口君の質疑は終了いたしました。

 次に、原口一博君。

原口委員 民主党の原口でございます。

 お許しをいただいて資料を二つ配らせていただきます。

 その前に、総理にまずお尋ねをいたします。きのう、永田議員の発言に対して総理は、ガセネタをもとに云々という、それは会見ではなくて、ぶら下がりというのですか、お話しになったと思いますが、真意をまずお尋ねをしたいと思います。

小泉内閣総理大臣 これは、ガセネタをもとに人を傷つけるということはいかがなものか。人間として、お互いの名誉を尊重しながら政策論争をするのは結構でありますし、与党、野党の立場の違いがありますから、意見の違いもあります。しかしながら、批判は批判としても、その批判する場合、ある個人に何か問題があるという場合においては、しっかりとした事実に基づいた、根拠に基づいた資料をもとに批判すべき点は批判すべきであって、事実が定かでない、根拠も定かでない、いわゆるガセネタをもとに人を非難中傷するのは好ましくない。

 特に、国会議員でありますから、また、公の国会における委員会において、これほどの国民の注視を浴びている問題、そして、これによって、事実でなかったらどれだけ多くの名誉を傷つけられるかわからない問題であります。そういう点については慎重にしていただきたい。

 ガセネタということを使いましたけれども、ガセネタというのを辞書で調べてみますと、ガセはにせもの、ネタは商品、インチキな商品をいう、転じて、警察や報道関係でインチキな情報をいうというのが辞書に出ております。ネタは材料の意の種の逆さ読みという辞書もあります。うそ、虚偽の申告、また、人騒がせ、お騒がせのガセを使ったものだ、そういう解説をしている辞書もあります。

 でありますから、ガセネタをもとにした情報で人の名誉を傷つけるようなことは厳に慎むべきではないかなと思っております。

原口委員 何をもってガセだと判断されたのか。私は、そこについては、今、当委員会で理事の皆さん御努力いただいて、先ほど、永田議員が拒否をしているというような間違った御質問がございましたが、違うんです。開示の仕方、究明の仕方については、今、理事の間で協議中なんです。いかがですか、委員長。

大島委員長 そのとおりでございます。協議中でございまして。

原口委員 委員長、ありがとうございます。

 そして、永田議員が持っている証拠をどのように出すのか、口座名あるいは支店名等々について今お話し合いになっている最中であります。

 そして、我が方からは、出したはいいけれども、そのままそれは何にも確かめるすべがなければ、ただ出して理事会でたなざらしになるなんということは困りますね、ですから、国会法の百四条で、院の議決でもって、これはそれぞれの銀行にしっかりと証拠を確認できますでしょうかという話し合いをしているわけですね。

 金子理事、私は、皆さんがたなざらしにすると言っているんじゃないんですよ。与野党で今協力して、真相究明をどのようにするかということを、今委員長がお話しになったように話し合っている最中だ、私はそう認識をしているんです。ですから、自分の所属する委員会ですから、理事のお話し合いを待っているというのが今なんですね。

 私は、総理、一般論としてガセネタでもって人を傷つけてはいけない、そのとおりだと思います。しかし、内閣の長である方が立法府の議論に対して、まだそれを、あなたが総裁を務められる自民党さんや、あるいは与党の一角を占めておられる公明党さんと、私たちが、あるいは共産党さん、社民党さん、ほかの皆さんと話し合っている最中に、永田が出したものはうそだ、でたらめだ、人騒がせだとおっしゃるのはちょっと行き過ぎじゃないでしょうか。総理、いかがですか。

小泉内閣総理大臣 でも、人を傷つける場合には、その根拠を出すべきじゃないですか。単なるうわさとか情報に基づいて、事実かどうかわからない情報をもとにして……(発言する者あり)

大島委員長 お静かに願います。

小泉内閣総理大臣 公の場で傷つけるというのはいかがなものかと。

 そうでしたら、まずこういう事実があるということをもとにして非難なり、責めるべきものがあるんだったら、こういうものですというものを出して言うのが筋だと私は思うんですが、全然それには答えてない。実際にないのかあるのかわからない。まさに根拠のないことじゃないでしょうか。

原口委員 私は、冷静に議論をしたいと思っているんです。ここでけんか腰に何かやろうという気はないんですよ。

 ライブドア事件というのは、後で伺いますけれども、日本の直接金融市場を揺るがすような大きな問題で、これが与謝野大臣がおっしゃったような、一社の、一部の人たちの問題で起こされたのか、それとも、今現在、元社長は否認をされているようですけれども、もっとすそ野の広いあるいは根の深い問題なのか、それをここで究明したい。

 そして、今委員長がお話しになりましたように、その出し方については協議中なんですよ。協議中だというのは総理もお認めになりますよね。

小泉内閣総理大臣 協議中だということは聞いておりますが、協議によって事実が確かめられたら、非難すべきがあったら非難してもいいんです。それが、まだわからないという段階で、その事実かわからないという風説に基づいた資料によって非難するというのはいかがなものかと思うのであります。

原口委員 実際に証言があって、そして証拠があって、それを、ただ総理、私もいろいろな方の内部告発を受けて国会で取り上げました。その出し方は非常に難しいんです。なぜか。本人が特定をされてみたり、あらぬ被害を受けてみたり。だから話し合っているんです。

 法務大臣、私は、先ほどの質疑の中で随分驚きました。今捜査中の事案についてお話がありましたけれども、まず第一点、伺います。今までに、捜査中の個別の事案のその中で押収した証拠について、個体の何かがあるかないか、答えたことがありますか。

杉浦国務大臣 突然の御質問でございますが、私が知っている限り、そういうことはなかったのではないかと思います。

原口委員 法務大臣、私は、法務大臣ではなくて事務方の方に最初来てくださいと言っていましたから、今御確認なさらないでお答えになっているかもわからないので、公正を期すために、刑事局長、今までに捜査中の案件について、個別個体の証拠の、大変機微に触れる、そういう情報について、きのうどなたかが談話で出されたようなことを、今法務大臣がおっしゃいましたけれども、触れた事実がありますか。

大林政府参考人 お答え申し上げます。

 捜査機関の具体的活動内容を明らかにすることは、通常、他の、他人の名誉やプライバシーの保護の観点から問題があるのみならず、罪証隠滅活動を招いたり、裁判所に予断を与えたり、また関係者の協力を得ることが困難になるなど、捜査、公判に支障が生じることから、一般的には差し控えるべきだというふうに考えております。

 しかしながら、今御指摘になっている事項につきましては、報道機関等の関心が高く、また、御指摘の事項を把握していないとの事実を明らかにすることにより、捜査への支障がもたらされるおそれも特段ないと認められたことから、報道機関に対し本件事実を公表したものと承知しております。(発言する者あり)

大島委員長 お静かに。

原口委員 法務大臣、そうすると、捜査中のさまざまな皆さんがお持ちのものについて、私が国会で聞けば、あるいは、今おっしゃったように関心が高ければ、その存否についてもこれから教えていただけますね。

杉浦国務大臣 今刑事局長が申しましたように、今回につきましては、報道機関等の関心が高いということもありますが、今まで御指摘になったようなメールの問題、事項を把握していないという事実を明らかにしたわけでありますけれども、そのことによって、先ほど刑事局長が言ったような、捜査への支障がもたらされるおそれも特段ないと認められたことから公表したものと承知しております。

原口委員 お答えになっていません、法務大臣。

 国民の関心が高ければ、今までも国民の関心の高い事案をここで何回も質問してきました。そのたびに、皆さんのお答えは一つだったんです。捜査中でありますから個別の案件についてはお答えできません、その存否についてもお答えできません、それが今までの法務省の正義を守る良識だったと思います。巨大な与党ができて、そこにおもねったというふうには私は思わない。しかし、今の答弁は納得がいきません。

 どうしてそういった発言をされるのか、もう一回、理由を教えてください。

杉浦国務大臣 先ほど刑事局長が申し上げましたとおり、捜査機関の具体的な活動内容を明らかにすることは、通常は、他人の名誉やプライバシーにも保護の観点から問題がございますし、発表することによって罪証隠滅活動を招いたり、裁判所に予断を与えたり、また関係者の協力を得ることが困難になるなど、捜査、公判に支障が生じることから差し控えるべきものと考え、原則そのように対応してまいったわけでございます。

 ただし、今回の場合は、御指摘の事項につきましては、御指摘の事項を把握していないという事実を明らかにすることによっても、今申し上げたような捜査への支障がもたらされるおそれも特段ないと認められたことから、報道機関に対し本件事実を公表したものと承知しております。

原口委員 国民の皆さん、ごらんいただきたいんです。今、永田委員が示したその証拠がいかなるものか。そして、実際にお金が渡ったのか、渡っていないのか。実は私は、正直に申し上げますが、きのうお名前の出たお兄さんと親友です。立派な方です。だから、党派を超えて期待をしている。

 だけれども、今回、私たちは、中野正剛さんがこんな話を、総理、亡くなる直前にされています。当時の総理大臣の名前をおっしゃって、何々はいかぬ、日本をめちゃくちゃにしてしまう、国民の権利はどこに行ったのだ、日本の巨船は怒濤の中に漂っている、便乗主義者を満載していては危険である、諸君、自己に目覚めよ、天下一人をもって興れと言って、みずからのやいばで亡くなったわけですね。

 永田議員も、皆さんをおとしめるために質問したのではありません。何かを騒がせようと思ってやったのではありません。彼がどれほど悩んでいたのか、そしてどれほど真摯に対応していたのか、私はそのことを知っています。

 総理は今回、ガセネタと即座に判断されましたけれども、ガセネタでなかったら総理の責任も重いということを申し上げておきます。総理大臣にそのことを、また後でるる事実について、きょうライブドアの問題について少し金融担当大臣にも伺いたいので、その後にまた総理からお答えいただきたいと思います。

 前回私は、この委員会理事会に、去年の四月において、インサイダー取引があったのではないか、そういう内部告発文が証券取引等監視委員会へ届いていた、その文書を提示させていただきました。

 そして、現金融担当大臣でございます与謝野金融担当大臣はこうおっしゃっています。ライブドアの買収に関してでございますが、今回の買収には不健全なものを感じる、一つは、外国人の保有株式が二〇%超であることを知りながら放送株を買いまくったこと、もう一つは、TOB、株式公開買い付けですね、宣言をして取得すべき大量の株を時間外の取引でやったこと、法の網をくぐり抜ける行為を事前の相談に基づいて行った疑いが極めて高い。

 事前の相談、こういう御発言をされましたか。いろいろなところで私もお聞きして、ああ卓見だなと思っていました。事前の相談、この発言をされたのか、一つ。相談をだれとされたと与謝野大臣は思っていらしたのか、二つ目。

与謝野国務大臣 ニッポン放送の株をToSTNeTという夜間の時間外取引でネット上で行った、あんな大量の売り注文があんな大量の買い注文とうまく出合うのかなという疑問は当然持ちます。したがいまして、余りにもうまく取引ができ過ぎているというふうに思っておりまして、TOBの規則に反しているのではないかなという感想を実は持っておりました。そういうことを思っておりましたら、東京地裁、東京高裁で判断が出まして、多分にわかには違法とは言いがたいということがその判決の趣旨で、裁判所もあの取引自体の違法性というものは認めなかったわけでございます。

 そういうことで、そういうことなのかなと思っていましたけれども、やはり法に抜け穴があるのではないかと思いまして、党内で御相談をさせていただいて、証券取引法の改正を行ったわけでございます。

原口委員 その証取法の改正には私もかかわっておりました。有価証券報告書の継続開示義務違反、金融庁から出てきたものはそれがついていませんでした。課徴金という従来の不当利得の簒奪ということにこだわって、法制局を突破できなくて、結果としては、そういう不当な開示義務違反についても適切な対応ができないということでございましたが。

 ということは、今の与謝野大臣の御発言を伺っておると、その相談というのは、ライブドアが金融庁に、あるいは証券等監視委員会に相談をしたのか。そうではなくて、与謝野大臣の御発言は、いわゆる相対、そんな簡単に二人が出合うのかね、そんな簡単に売りと買いが合うのかね、その間で何かしらの同意があったんではないか。この二つの意味のうちのどちらですか。

与謝野国務大臣 これは、売り方と買い方が何らかの意思を通じていたのではないかと思ってしまうほど上手に売りと買いがさばけているわけでして、そう思っても不自然ではないと思っていますが、その後の裁判所の判断は別でございましたから、それはそれでしようがないと思っておりました。

原口委員 まさに大変な不透明な印象を私たちも持ちましたし、もっと不透明だったのは、さっきの個別案件、都合のいいときだけ個別案件を答える法務省と同じで、当時の伊藤金融担当大臣は、「ライブドアの公表された資料によりますと、」と、違法ではないということを二月十五日に言っているんです。裁判はこのずっと後ですよ、大臣。

 このことについて、大臣、どう思われますか。私は、事前の相談が金融庁、その責任者やあるいはしかるべき地位の人たちにあったんではないかと思わせる、そういう事実ではないでしょうか。いかがですか。

与謝野国務大臣 伊藤大臣は何か個別案件に触れようという意識を強く持って御発言になったのではないと私は確信をしております。伊藤大臣は形式的合法性ということについてお話しになったとは思いますけれども、伊藤大臣とて、やはり裁判所の御判断は尊重され、行動されたんだろうと思っております。

原口委員 いや、そうじゃないんですよ、大臣。逆です。まず発言しているんですよ。それは御存じでしょう。早いんですよ。「ライブドアの公表された資料によりますと、」と、ライブドアの直接公表された資料に基づいて、それに判断をされているわけです。これが個別の判断でなくて何ですか。

与謝野国務大臣 伊藤大臣は、閣議後の記者会見それから財務金融委員会と、二度この件について発言をされております。今委員御質問の件は記者会見のお話を引用されていると思うんですけれども、このときでも、「ライブドアの公表された資料によりますと、」ということは、その限りにおいてという意味に使っておりますので、それだけの資料から判断するという意味であって、一般的にこの個別案件について御判断を断定的にされたというふうには私は解釈しておりません。

原口委員 いや、大臣ともあろう方が、ちょっと意味がよくわかりません。

 公表された資料によるというのは当たり前じゃないですか。市場というのは、開示されたものを正しいと思って、それについての判断をいろいろな人たちがして、そして市場が成り立っています。今は、その開示された資料さえ疑わしいということで、私たちの直接金融市場あるいは間接金融市場にもう大きな影響が来ているわけですけれども、まさに個別のことを言っているんです。

 私は当時財務金融委員会でしたから、個別の案件についても、例えば安倍官房長官、北朝鮮への送金事案、朝銀に一兆四千億お金を入れて、その中からどういうものが出てしまっているんだろうか、マネロンや不正送金というのはどういうものがあるんだろうか、こういう国家の大事の問題についても特定の金融機関について質問をしました。しかし、ことごとく固有の問題についてお答えできませんということだったんですよ。

 私は、そこに違法性があるということを言っているんじゃないですよ。皆さんが恣意的に行政を使っている。この間、ライブドアの機関誌を皆さんにお示ししました。「絡み合う政治とIT」ということで、前回、いつでもどこでもライブドアという無線LANの話をしました。あそこで取り上げたYOZANという会社は、まじめに誠実に頑張っておられる会社でした。主語を取り違えて話してしまうといけないので、ライブドアの無線LANについては、私は今でも本当にこれでよかったのかなと思っています。

 さっき、永田議員が提示をした資料について、法務省が私から言うと恣意的なコメントをしたのと同じように、金融庁も恣意的なコメントをしているんじゃないですか。違うんですか。

与謝野国務大臣 伊藤大臣は、別に恣意的な答弁をしてその場その場をしのいでいたわけではございませんで、平成十七年二月二十八日の財務金融委員会の答弁の冒頭だけ御紹介申し上げますと、

  私が記者会見等でお話をさせていただいているのは、個別の取引ではなくて、一般論として、制度論として、今回の立ち会い外取引、時間外取引というものが今御指摘になられたTOB規制の対象となるかどうか、この点について議論のあるところでございますし、そのことについてお答えをさせていただいたということでございます。

ということで、伊藤大臣はあくまで一般論として物を言っておられたと私は確信をしております。

原口委員 それは、平成十七年の二月十五日から実に十三日を経過した、二月二十八日の議事録を今お読みになっているんです。その間に市場も動き、そしていろいろな判断も多くの人たちがなさっている。その後でおっしゃったことを今言われても、なかなか理屈にならないということを指摘しておきます。

 現に大臣は、そのとき全く逆の、私と同じ、法の網をくぐり抜ける、あるいは、こんなことがあっていいのかという問題意識をお持ちだったと。それを、そのまま本当にそうだと金融庁の責任者が言ってしまえば、実質的なお墨つきを与えたことになるんじゃないですか。いかがですか。

与謝野国務大臣 伊藤大臣及び金融庁の方々は、物事を慎重に判断し、極めて公平な立場から物を判断し、発言されていたと私は確信をしております。

原口委員 それこそ何の根拠もない。慎重に言っていればこんなことは言わないんです。個別の案件については、金融庁がお墨つきを与えるようなことも、先ほど法務大臣がおっしゃったようなこともやらないんです。まさに、六十年前に中野正剛さんが御指摘をなさっているように、便乗主義者ばっかりで今までの原則や原理を外していたら、日本はむちゃくちゃになってしまうということを申し上げたいと思います。

 さて、官房長官、ことしの二月二日に皆さんは、新しいITのセキュリティー、第一次情報セキュリティ基本計画、「「セキュア・ジャパン」の実現に向けて」ということでペーパーを、情報セキュリティ政策会議、これは内閣官房の方から出ていますが、出していらっしゃいます。

 委員長のお許しをいただいた資料二の四をごらんください。線を引っ張っているところでございます。私の立場を明らかにしてフェアに議論をしたいと思いますが、私は、IT、電波行政をもっと開放して、そして、しっかりと世界に冠たるIT国家をつくるべきだ、そういうふうに考えています。そして、古いところに居座っている既得権を、できるだけ多くの皆さんが公平に公正にチャンスを生かせるようにすることが大事だと思っています。

 しかし、四ページをごらんになってください。無線LANについてですが、1「実際使用するにあたり、「無線」という利便性に重きを置くあまり、「電波」という特性が忘れ去られ、かつ適切な暗号化及び電波の範囲設定等の対策への認識が不十分であることから、」2「第三者による盗聴あるいはネットワークへの侵入を許容してしまうケースが散見される。」これは何を意味していますか、官房長官。

安倍国務大臣 それは、ただいま委員が御指摘になったように、無線LANについては、無線を使用するため、第三者による盗聴あるいはネットワークへの不正侵入のおそれがあり、適切な暗号化を施すなど利用者による対策が不可欠であるということではないか、こう思っております。

原口委員 利用者による対策だけで本当にいいのかなと思うんです。

 私が不思議に思ったのは、「盗聴あるいはネットワークへの侵入を許容してしまうケース」と書いてあることです。盗聴だったら、これは事件ですよね。自分たちの情報を勝手にとられてしまえば、これは事件じゃないですか。

 しかし、通信と放送との融合といいながら、実は私も調べてみました、これを取り締まる法律はどこかにあるのか。ないんですよ。つまり、無線LANから情報を取り出しても、それを罰する法律は日本のどこにもない。後で確認しますが、あるのかないのか。

 資料の二をごらんになってください。

 これは、北陸の富山の方が電波のセキュリティーということで、航空自衛隊の小松基地、ここは、ドラゴンという飛行部隊、F16の展開している飛行基地でございますが、「基地内で使用されている無線LAN機器について」。それこそ大変国防の大事なものでございますが、三ページ目、右に塗りつぶしておりますこの三つの地点で、まさに電波が、ここはLANなんですけれども、このLANから平文、つまり何の暗号もかかっていない電波として外に出ているという状況なんですね。

 一ページ目をごらんになってください。ライブドアが昨年の七月末に、インターネットによる高速接続網、公衆無線LAN接続サービス、これに乗り出して、そして、それこそ放送と通信の融合で、山手線の地域に一万以上のものを敷設しようとしていたわけです。

 二つ、官房長官に伺います。先ほど申し上げた、こういう盗聴を取り締まる法律があるのか、二つ目、狭い地域に一万件も無線LANを置けば何が起こるのか、そのことについて伺います。

竹中国務大臣 技術的な問題で私でお答えできないことがございましたら局長から答弁をさせますが、今委員から、山手線内に一万カ所展開するような無線LAN、ネットワーク上、個人情報の問題は大丈夫なのか、そういうことの御疑問であったかと思います。

 委員はこの問題に関して大変御理解が深いと思いますけれども、経済社会の情報化の進展、まさにICTの時代において、個人情報の取り扱いがますます重要になっているという話が一方である、そういうことに対してはしっかりとセキュリティーを確保しなければいけないという問題がある、一方で、無線を利用した高速のインターネットへのアクセス、まさにエリアを限ったアクセス、無線LANに対するニーズが非常にあるということだと思います。

 個人情報の保護に関しては、個人情報保護法が制定されているところでございますけれども、その中にあって、特に電気通信事業については、通信の秘密等を取り扱うということでございますから、個人情報の特に適正な取り扱いを確保することが必要な分野だというふうに思っております。

 このために、電気通信事業者に対しましては、個人情報保護法の遵守に加えまして、実はこの法律ができる前からですけれども、電気通信事業者の役割を踏まえたガイドラインを作成しておりまして、その遵守を求めているところでございます。そういう枠組み、アンブレラとしての個人情報の保護、特にこの通信に関しては特別のガイドラインがある、そういう体系になっております。

原口委員 いや、ガイドラインなんですよ。つまり、事業者が、そういう情報を盗まれるか。実際に暗号がかかっているLANというものは、私は無線LANを否定しているんじゃないんですよ、無線LANはどんどん進めて頑張ってやってほしいし、ただ、そこに至る政策過程が、随分いろいろなところを追っかけていきましたけれども、国土交通省との合い議がされたのか、あるいは厚生労働省との合い議がされたのか、まずは前に進めることが先に来ていて、そして、実際にそのところのセキュリティーや消費者の権利といったことは後ろに行っているんじゃないかということを前回指摘をしたかったわけです。

 さてそこで、国税庁にお話を振りたいと思いますが、今回、ライブドアの案件では、国税当局について数点伺いますが、粉飾決算、この問題も出てきています。

 ちょっとパネルを。これは、野口さん、この間、エイチ・エス証券の、そのお宅から押収されたチャートということでございますが、毎日新聞に載っていまして、正確なものだというふうに思っています。

 私もいろいろな投資事業組合をこの間調べてみました。予算委員会では、総理、投資事業組合というのは全部匿名だから、何かしらそこにいろいろな非社会的組織やあるいは不当なインサイダーや、そういう人たちがやっている、そういう組織じゃないかというようなことが喧伝をされた嫌いもありますけれども、実は、ちゃんとした投資事業組合というのもいっぱいあるんですね。金融担当大臣もそういう御認識じゃないかと思います。むしろ、こうやって匿名、匿名、匿名でやっているところが、なかなかその中身がわからない。

 これをごらんいただくと、投資事業組合が幾つございますか。六つございます。その間に、いわゆる分配金。これが事実であれば、いろいろなお金の移動というものがここに記されている。

 そこで、私は国税当局に伺いたい。

 国税当局は、ライブドア本社、この間、鳩山幹事長の発言、ライブドアの投資事業組合の中に云々という話がありました。私は、関係者から聞き取った話では、不思議だったのは、何で国内の、そうやってわかるような投資事業組合を彼らはつくったんだろうか、なぜ海外にそれを持たなかったんだろうかということを聞きました。そうすると、二つの理由があったんではないかとその関係の方はおっしゃっていました。

 これは具体名は言いませんが、一つは、さまざまなお互いに信用を置けない人たちがいるから、投資事業組合、その中では信用を置けない人たちがいるから、だから外に置いてしまうと監視できない。二つ目は、外に出すときには、為替のリスクや、あるいは、その間の外為のリスク、つまり、そこで見つかってしまうリスクがあるから、だから外に置けないという話を、実際に、その問題にかかわったとは言いませんが、関係の方から伺いました。

 もう一つのチャート。これは、ライブドア全体の株の動きです。総理、ごらんになれますか。ずっと低迷しているんです、ライブドア自身は、この二〇〇二年ぐらいまでは。で、例の、さっき私が金融担当大臣と議論しました、株の分割あたりからこのような投機的な動きとも言えるような株価を示しているんです。ここも、私、調べてみました。

 金融担当大臣、ぜひここを明らかにしていただきたいのは、それまで非常に苦しんでいた人たちに指南をした人がいるんではないか。あるいは、多くのベンチャー企業は一生懸命頑張っている、多くの人たちは一生懸命頑張っているけれども、IPOからあるいは税理操作からすべてに至るまで指南をした人がいるんではないか。実際に指南をされたという社長から、総理、私はお話を伺いました。

 今回の粉飾決算の疑惑が持たれていますけれども、粉飾決算、飛ばし、そして風説の流布、第三者割り当てをして、第三者割り当てといっても国民の皆さんはわかりにくいと思いますが、おまんじゅうを例えば四つに分けて、総理と谷垣大臣とそれと与謝野大臣と私で四つに分けたら、四分の一になりますね。その四分の一になった、その価値が減じたものでも、いつの間にかおまじないをかけて、またもとのまんじゅう、一人一人が一個のまんじゅうを持つというようなことを何回も繰り返しているんです。それを、いろいろな事業を打ち上げてみたり、やっている。

 国税当局に伺います。

 ライブドアの粉飾決算の実態を国税当局は把握しているのか、一点。海外ファンド等を利用して得た所得についてどのように把握しているのか。そして三番目、個人がインサイダー取引やあるいは横領等により得た違法な所得に対する課税はどのようになっているのか。三点。

石井政府参考人 三点についてお答え申し上げます。

 まず第一点の、粉飾決算の実態を把握しているかどうかという点についてでございます。

 これは個別にわたる事柄でございます。したがいまして、お答えすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、一般論として申し上げますと、国税当局はあらゆる機会を通じまして資料情報の収集に努めております。その際、必要に応じて関係機関とも連絡をとっているところでございます。

 その上で、これらの情報と納税者から提出されました申告書等の内容を検討いたしまして、課税上問題がある場合には税務調査を行い、適正な課税の実現に努めております。今後とも、このような基本的考え方で対応していきたいと考えております。

 それから、二点目の、海外ファンド等を利用して得た所得に対する把握の仕方という点でございますが、私どもとしても、海外ファンド等を利用して得た所得についても、これを的確に把握をして課税をすべきものであるというふうに考えます。

 ただ、このような所得、海外取引が含まれますので、確かに把握が困難な面はあることも事実ではございますけれども、これらの所得を把握する手だてといたしまして、特に、平成十年四月に施行されました、いわゆる国外送金等調書提出法、これは平成十年の改正外為法施行とあわせて実施された法律でございますが、この法律に基づきまして、国税当局による国際的な取引あるいは国外資産の把握を目的として、一回当たり二百万円を超える海外の送受金に対しまして、金融機関による国税当局への調書の提出義務というのをかけております。これを活用して対応しているところでございます。

 なお、平成十七年度の税制改正では、組合契約等に基づいて、非居住者、海外の人たちに支払われる利益の支払い調書の提出という仕組みもでき上がったところでございますので、これらの仕組みを活用しながら、有効な、適切な課税を行いたいというふうに考えております。

 それから、三点目の違法、不法な所得に対する課税、これは、違法な行為に基づく所得でございましても、その行為により現実にその利得を支配、管理、あるいは自己のためにそれを享受している限り、所得税法上の課税対象として課税をしておるところでございます。

原口委員 いや、せめて先ほどの法務大臣と同じように、ライブドアの粉飾決算の実態を把握しているのかしていないのか、それぐらい答えるべきじゃないですか。どうぞ。

石井政府参考人 これは個別に関する事柄でございますので、控えさせていただきます。

原口委員 いや、大変これは大きな問題なんですよ。先ほどの、口座の有無どうのこうのということも大事なことだと思います。しかし、今実際にライブドアの株は生きているわけです。そして、その有価証券報告書あるいはさまざまな諸表が正しいものか正しいものでないかというのは、マーケットに直接影響するんです。いかがですか。法務省と財務省で、あるいは国税で態度が違うんですか。

石井政府参考人 私ども税務当局に対しましては、一般の公務員法に基づく守秘義務に加えて、税法上の重い守秘義務が課されております。したがいまして、個別にわたる事柄についてはお答えを差し控えたいと思います。

原口委員 それでは、検察庁にはそれはかかってないんですか。検察庁にかかっているでしょう、守秘義務が。法務大臣、どうぞ。

大林政府参考人 個別の問題でございます。今の守秘義務がかかるかといえば、かかっている、私どもはそういう認識でおります、守秘義務の問題につきましては。それは、私どもの基本的な姿勢が変わっているわけではございません。今回の件において東京地検が発表した事情については、先ほど申し上げたとおりです。

 地検において、特に、これは一般論で申し上げて申しわけないんですけれども、例えば何々の事実について捜査しているかしていないかという問題について、それは微妙な点について、一般論として申し上げれば、捜査のことですから申し上げられないと言います。

 ただ、またこれは一般論で申し上げますと、例えば、あの人が捜査の対象になっていますか、これは非常に、こんな例を出していいかどうかということは、例えばある方が亡くなられたという例があります。その場合に、例えば、よくあることですけれども、その方が捜査の対象にあったのかなかったのかというふうなことで報道機関から尋ねられることもあります。それに対して、捜査機関においてそれは対象としていませんでした、いわゆるなかったということについては、それはそのときの状況、御本人の状況等に応じてこれまでお答えしている、こういうことでございます。

原口委員 大臣の答弁とも違うんじゃないですか。自民党様が御質問なさったらちゃんと答えて、その中身の証拠についても答えて、私が今聞いているライブドアの粉飾決算、これは大きいんですよ。私は、ライブドアの社長、代表取締役ですね、この間のこの質疑で伺いましたけれども、五人いる方のうち四人が逮捕される、ここではまだこのことについては議論されていませんが、これは物すごく大きなことです。そして、東京市場がストップをする、世界に対して、日本の市場というのは一体どうなんだろうか。

 これを総理、ごらんいただきたいんですが、よくコンプライアンスという言葉があります。皆さん、コンプライアンスを法令遵守と狭く解釈し過ぎているんです。コンプライアンスという言葉は適応するということです。コンプライアンスを経営者にとって法令遵守とだけとってしまえば何が起こるかというと、言いわけコンプライアンスといって、はい、法律にこれは則していますからあとはどうぞ。あるいは、今回の事件のように、法すれすれのことでもやっても、もうかれば何とかなるんだというようなことになってしまう。これは従業員にとってもいいことじゃありません。

 今、運輸機関での安全も随分脅かされています。彼らは、何か問題が起こるたびに規則を細かくつくっていきます。しかし、規則を細かくつくってみても、それを運用するのは従業員であり、人でありますから、従業員に何が起こるかというと、何事も法令、規則に縛られる、法令リスクが増大する。その結果、新たな試みを敬遠して事なかれ主義が蔓延をしてしまうんです。

 我が市場について言えば、直接金融と間接金融の比較です。総理のお手元にもこれをお示しさせていただいていますが、直接金融、これは間接金融から直接金融にと、九八年の当時、私たちは金融再生法をつくりました。そして、日本版SECをつくるべきだと。そっちの方がまだやっていないんですよ。直接金融のメリットは、多数の投資家の意思に基づく民主的資金調達、新規事業への投資が促進されることです。しかし、デメリットもあるんです。それは、証券市場の公正さを欠くと、今回のような事件、投資家が不測の損害を得る、そして資金使途に対するチェックが働きにくい。その結果、竹中大臣とも何回も議論しました、金融の仕事はやみとの闘いなんですよ。

 私は今回、あの選挙のときに、なぜ彼らが真っ黒いTシャツを着ているんだろうか、そんなことを……(発言する者あり)いや、選挙をやった人間だったら思いますよ。黒いTシャツなんかなかなか着ない、選挙のときですよ。真夏の選挙でね。そのときに、私は今回、随分思った。

 間接金融についても、メリットは資金使途に関して金融機関によるチェックが可能である、あるいはデメリットは、融資対象が固定化してしまって新規事業への投資が抑制的になるんです。こういうメリットとデメリットがある。

 その中で、金融市場をどのように健全化するかということが今回の事件で問われているんだと思います。

 いろいろなペーパーを私は見ました。この資料一の六をごらんになってください。先ほど申し上げたLANにかかわる、株券等の大量保有の状況の開示に関する内閣府令に基づくいわゆる大量保有報告書であります。大量保有しているのは、英領西インド諸島のケイマン諸島の会社でございました。これはファンドでございます。

 七ページをごらんになってください。その同じファンドが、どこかで聞いた名前の株式会社、これはテレビに出ていますからその具体的な名前は言いませんが、総理、ごらんになれば真ん中に何とかという名前が書いてあると思います。これはまさに今回の耐震偽装で問題になっている、そういう会社であります。

 その次のページをごらんになってください。これはそのケイマン諸島から、債権の取り立てが、これも皆さんは具体的な名前をごらんになれますが、これも生きている会社ですから実名は言葉では言いません。住専の問題になったその会社に対してライブドアのサービサーが、この資料を見ると、二百六十億もの取り立てをやっているんです。つまり、巨額のお金がライブドアに関連して回っているということをきょうお示しさせていただきたいと思って、その冒頭だけですけれども資料をつけさせていただきました。

 私は総理にぜひ決意を伺いたい。マネーロンダリングをされてしまうと、やみの世界が大きくなります。なぜ私たちが意を決してこのライブドアの問題を追及しているかというと、やはり反社会的な勢力、反社会的な勢力につけ込まれるような市場であっては絶対ならないと思うからであります。総理に決意をお伺いしたい。財務大臣やさまざまな人たちに命じて、そして今、証券等監視委員会はスイスに調査に行っていらっしゃるというニュースが流れていましたけれども、徹底的にこの問題を解明する、そして、我が金融市場をそういう反社会的な勢力からの資金源やそういうものにしないという御決意を総理から伺いたいと思います。

小泉内閣総理大臣 犯罪行為に対して厳正な処罰なり対応をするということは、これは当然であります。しかし、法律ですべてを縛ることはできない。投資活動をいかに活発にするかということも重要だと思います。

 どこまで規制をすべきか、また自由な活動を促進させるか、この兼ね合いといいますか、これはどの分野においても極めて大事だと思っております。

原口委員 今、重要性だけをお答えになりました。

 重要性を担保するためにも、そういうマネーロンダリングや実態についてちゃんと解明しましょうと。これは総理だけにお願いをしているわけではありません。この国会で事実についてはきっちり解明しなきゃいけない。私たちも立法府としての責任を果たしたいと思うから、総理についても、私たちが要請をし、そして皆さんがつかさつかさでできることは全力を挙げてやります、そういうお答えをいただきたいんです。

小泉内閣総理大臣 これは、多くの国民、すべての国民が公正な活動をできるために、きっちりとした不正に対する対策というのは必要であります。

原口委員 証券等監視委員会に伺います。

 証券等監視委員会自体が、先ほども同僚委員がお話をしていましたように、あるいは金融担当大臣がお話しになるように、アメリカのSECよりも歴史は浅いけれども、権限はそれなりのものを持っている、私もそのとおりだと思います。

 しかし、それだけではこの経済司法の改革というのはやはりできないと思うんです。実際に機能させるためには、証券等監視委員会の独立性だけではなくて、しっかりとした人材育成、ここにビジョンを持たないと、同種の事件は相次いでいるんじゃないかと思いますが、金融担当大臣のお答えを。

与謝野国務大臣 私は委員おっしゃるとおりだと思います。

 一つは、やはり金融市場の国際的な広がりということはもう急速に進んでしまっているわけですから、国際的なこともわかる人もいなければならない、法律の専門家もいなければならない、税の専門家もいなければならない、あるいは捜査、調査の専門家もいなければならない。証券監視委員会にはさまざまな人材が必要であると思っておりますし、皆様方にお願いをして、証券監視委員会が人員、人材ともに今後とも充実していくように、私どもも最大限の努力をいたしたいと思っております。

 なお、証券取引法だけではなく、やはり組織犯罪対策の法律もあるわけでございますから、そういうものも全面的に駆使をしなければならない、そのように思っております。

原口委員 今、組織犯罪対策法のお話がございましたので、警察庁に伺います。

 証券・金融をめぐる組織犯罪に対して、警察のあり方、これを問いたいと思います。

 特に、経済事犯、今回のような事犯が頻発している実態を踏まえて、警察庁として、人材育成、そして予算措置も含めて、私は、経済警察といったものをつくっていかないと、私たち自身も市場法制を変えないといけない。法務省は寝ている場合じゃないんです。法務大臣が寝ていると言っているんじゃないですよ、法務省こそ経済司法の中心を果敢に提言すべき、そういう役所がやはり寝てきたんではないか。ライブドア事件には、私たちが今調査している間だけでも、マネーロンダリングや海外の不正送金、こういった疑いもやはりぬぐえません。

 警察庁、経済警察、あるいは法務大臣、経済司法についてのお考えを伺いたい。

米田政府参考人 警察といたしましては、暴力団等の犯罪組織が証券取引あるいは金融取引等に介入をいたしまして、違法、不当に資金を獲得しようとする危険性については、これはもう十分に警戒が必要である。また、その防圧は極めて重要であると認識をしております。

 したがいまして、暴力団などが絡むこの種事案に対しましては、事件検挙、過去には、指定暴力団稲川会の二代目会長の株取引に端を発しまして、多額の不正融資事件が行われたものを検挙いたしましたり、あるいは、東日本の山口組有力直系組長の株取引、これに関しまして、これを仲介した金融会社を証券取引法あるいは詐欺で検挙するなどしております。あるいは最近では、架空増資事件などもいろいろ立件しているところでございます。

 それとともに、事件検挙はもとよりでありますが、日本証券業協会あるいは証券取引所等と緊密に連携をしておりまして、証券取引に係る暴力団排除活動、これを行っているところでございます。今後とも、関係各方面と緊密に連携しながら、各種対策の推進に努めてまいりたいと思っております。

 それから、人材、組織等でございますが、警察におきましては、平成十六年四月、警察庁に組織犯罪対策部を設置するなど、組織犯罪対策に関するさまざまな情報を関係各部門にわたって集約、分析し、そして徹底した取り締まりにつなげるという体制を整備したところでございます。これは、都道府県警察におきましても同様の趣旨の体制整備が今進められているところであります。

 財務解析用のコンピューター等を、機材を備えました財務解析センター……(発言する者あり)

大島委員長 短くお答えしなさい。

米田政府参考人 はい、失礼しました。

 財務解析センターというものをつくっておりまして、必要な予算措置等もいろいろ講じておるところであります。

 それから、人材につきましては、内部ではそういう専門的な教育訓練をやっておりますし、外部から公認会計士等の方々を中途採用するなど必要な人材の育成、確保に努めているということで、組織、人材、機材等の整備をしているところでございます。

原口委員 私ごとで恐縮ですが、総理、私の友人も警察庁で四十三歳で亡くなりました。暴力団と闘って、身を粉にして、三年前に亡くなりました。

 私は、やみの世界が表の政治を差配するようなことがあっては絶対にならないと思っています。そして、ろくでもない操作を使って不正な手を、そういう資金を得るようなことがあっては絶対にならないということを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。

 日銀総裁、お待たせをいたしました。

 前回、この間バーナンキFRB議長が議会で証言をされて、現在のアメリカの状況から見て、金利の引き上げを示唆するともとれるような御発言、これまでおっしゃっていたことと私が読んでみると同じなんですけれども、御発言をされたというふうに思います。

 日本の金融、特に金利情勢をどのようにお考えになっているのか。そして、景気が回復していけば、当然金利も上昇していきます。私たちは、これまで民の不振の時代が長く続きましたけれども、これからは公的セクターの大きな赤字における不振の時代をしっかりと解決していかなきゃいけない、そういう考えを持っていますが、日銀総裁の基本的な金融認識を伺っておきたいと思います。

福井参考人 簡単にお答え申し上げます。

 日本経済の今後の大きな方向性につきましては、ただいま原口委員が御指摘のとおり、これまで十年以上に及ぶ大変長い苦しい過程を通じて、民間部門のリストラは相当に進展し、民間部門の経済を見る限り、今後ダイナミックな展開を遂げ得る条件というものが非常に整ってきたというふうに思います。しかし、経済全体として本当にそういう姿を実現していくためには、今後は公的部門のリストラに非常なウエートがかかってきている、御指摘のとおりだというふうに思います。

 そして、経済全体の現在の状況は、過去長く続きました、ともすれば経済が強い停滞局面に陥りがち、物価が下がりがちというふうな経済から、より安定的な物価状況のもとで持続的な経済成長を遂げていく、そういう大きな転換点に今差しかかってきているというのが私どもの認識でございます。

 日本銀行といたしましては、今後とも、物価安定のもとに持続的な経済の発展ということを確実に実現していくために、金融面から十分なサポートをしていきたいということでございます。

 経済は次第に好ましい状況に移ってきておりますけれども、私どもは、かねてより国民の皆様方にお約束をしておりますとおり、消費者物価指数、生鮮食品を除く消費者物価指数が安定的にゼロ%以上になるまで、粘り強く今の量的緩和政策を続ける。ただし、この条件が満たされましたならば、量的緩和政策の枠組みは修正し、その後も、物価安定のもとに持続的な経済成長を確実に実現していくために、できる限り緩和的な金融環境というものを用意し続けていきたい。

 大要は、そんなところでございます。

原口委員 総理、私は、小さな政府を言う人がなぜこんなに増税するのか、よくわからないんです。サービスは減らす、税金はふやす。特別会計を中心に無駄がたくさんあるという認識を示す方もいらっしゃいます。だとするんだったら、無駄をなくして予算を出し直してほしい。よく少子高齢化で財政の赤字が出ているというようなことを言う人がいますが、違いますね。柳澤先生がペーパーとしてまとめられたように、百兆円は、あの苦しい時代の公共事業、こういったものでなくなっている。あとはまさに、私たちが、失政によって生まれたという財政赤字じゃないですか。税金の無駄遣いと財政赤字で、この今の国家の危機的な状況がある。

 私たち民主党は、皆さん、自民党さんも公明党さんも社民党さんも共産党さんもみんなそうでしょうけれども、一円たりとも税金の無駄遣いをするわけにはいかないんです。特別会計に無駄があると言っている政府は、ぜひ予算を出し直してほしい。

 そして、もともと、私が総理に伺いたいのは、皆さんの政府に税金を使う能力があるのかということが問われていると思います。税金を使う能力があるんであれば皆さんは増税をする必要はない、ないのならば税金に触ってはならないと思うんですが、総理、お答えください。

小泉内閣総理大臣 国民の信任にこたえられるような予算編成をしていきたいと思っております。

原口委員 いや、全くお答えになっていません。当たり前の話じゃないですか。

 もともと、自分の財布の中身を気にしながら通院する国民の皆さんの心細さ、親が経済的に厳しくて学校に行けなくなった子供たちの悔しさ、そういったことを……(発言する者あり)いつの時代もあると、だれか変なことを言いましたけれども、そんな認識で政治をやっているんでしょうか。

 きょう、永田議員のきのうの発言について……(発言する者あり)

大島委員長 お静かに。

原口委員 お話がありました。皆さんは、今勾留されているライブドアの堀江社長の接見までされるというんであったら、ぜひ委員長にお願いをしたい。ぜひこの場で、私たちもそこまで行きますから。堀江さんは全部否認しているんですよ。その人が永田委員がお話しになったことだけ否定したからといって、何の証拠にもならないじゃないですか。(発言する者あり)

 ぜひ、熊谷さん、それから堀江さん、しっかりとお話を伺って、そして総理も、もしこのことがガセネタでなければ責任を強くとるということを最後にお誓いいただきたいというふうに思います。いかがですか。

小泉内閣総理大臣 常に責任をとる気持ちで政治運営を行っております。

原口委員 終わります。

大島委員長 委員外で傍聴の議員の皆様方にお願いします。

 実りのある質疑をしたいと思いますので、お静かにお願いします。

 この際、永田寿康君から関連質疑の申し出があります。原口君の持ち時間の範囲内でこれを許します。永田寿康君。

永田委員 昨日に引き続きまして、割れんばかりの同僚議員の拍手を背に質問をさせていただきたいと思います。

 昨日、私が紹介をさせていただきましたメールにつきまして、その後、総理、官房長官その他の方からもお話が出ています。本日、既にそのことにつきまして先ほどの原口先輩からも質問がありましたけれども、何といっても私は当事者であります。こういう機会があれば、多少繰り返しになるかもしれませんが、お伺いしないわけにはまいりません。テレビをごらんの方々には、本当に退屈なシーンになるかもしれません、繰り返しになれば退屈を感じるかもしれませんが、どうか、当事者である私の気持ちに免じて、お許しをいただきたいと思います。

 総理、テレビで、カメラの前で、ガセネタを国会で取り上げるのはいかがなものかとおっしゃいましたが、これは、この発言があったということは事実でありましょうか。もう一度確認します。

小泉内閣総理大臣 事実であります。

永田委員 ガセという言葉の意味は、総理はどのように御理解されていらっしゃいますか。(発言する者あり)

大島委員長 お静かに。

小泉内閣総理大臣 先ほど原口議員の質問に対して答弁いたしましたけれども、改めて、再度の御質問でありますので、答弁いたします。

 ガセというのはにせもの、ネタは商品、インチキな商品をいう、転じて、警察や報道関係でインチキな情報をいう、ネタは材料の意の種の逆さ読みということもある、うそ、虚偽の申告という意味もあるし、人騒がせというそのガセ、これを省略したものという意味もあるというのが、辞書においてガセネタの定義だと聞いております。

永田委員 それでは、私が昨日紹介したメールが、まさにガセ、うそ、でたらめであると信じた総理の、総理なりの根拠はどこにあるのか、改めて説明をしてください。(発言する者あり)

大島委員長 静かにしなさい。(発言する者あり)いや、両方。

小泉内閣総理大臣 まず、武部幹事長から報告を聞きまして、永田議員の言っていること、全く事実無根でありますという報告をじかに受けました。そして、現に、ある、あると言って永田議員が出しているメール等、具体的な証拠とはなり得ないものであります。

 出していない、いろいろ質問に答えていない、今の与党の理事からの、協議中だと聞いておりますけれども、はっきりと、そのメールはどこから出たのか、その額を振り込んだ口座とか、それを提示すべきだと私は思っております、そういうことで人を傷つけよう、非難しようとするんだったらば。それが依然として現在においても出されてない。

 でありますので、私は、それほど具体的な名前を出すんだったらば、事実に基づいた根拠を示して出すべき、質問すべきじゃないかなと思っております。

永田委員 ガセと信じた根拠について、もう少し突っ込んでお話をお伺いしたいと思います。

 武部幹事長から報告を受けたとおっしゃいますが、いつ、どこで、何時ぐらいに、その中身はどのような報告だったのか、簡潔に御説明をお願い申し上げます。

小泉内閣総理大臣 日にちは昨日だったと思います。時間は忘れました。

 まあ、私は被告人じゃありませんから。永田議員も検事じゃないでしょう、議員でしょう。こういうところで具体的な質問をする、具体名を出すというんだったら、その人にかかわる具体的な証拠を出して、これはどうだと材料を出して非難なり質問すべきじゃないでしょうか。それをいまだに、どういう情報かわからない。武部氏本人は、全く事実無根と言っている。そういう状況において、いまだにはっきりとした、事実に基づいた証拠を出してない段階では、これはガセネタと信じてもおかしくないんじゃないでしょうか。

永田委員 法務大臣がお越しになっていると思いますが、裁判で、司法の現場で、嫌疑をかけられている人がその嫌疑の事実を事実無根と否認すると、それは事実無根であると裁判所では認定されるのでしょうか。過去にそのような例があるでしょうか。御答弁をお願いします。

杉浦国務大臣 お答え申し上げます。

 一般論でございますが、その場合には、事実無根と主張される被告人の方が主張を立証されるべき事柄と理解しております。(発言する者あり)

大島委員長 もう一度杉浦大臣、しっかりとお答えしてください。

杉浦国務大臣 はい。

 犯罪については、検察官が立証すべき責任を負っております。しかし、それに対して被告人の方が事実無根だと御主張するのであれば、検察官の立証に対して反対の証拠を提示するなりなんなり、立証される責任がございます。

永田委員 私の質問とややすれ違った答弁だったと思いますが……(発言する者あり)

大島委員長 お静かに。お静かに。質問も答弁も聞こえませんよ。

永田委員 嫌疑をかけられた人が事実無根だと主張しただけで事実がなくなるのであれば、嫌疑の事実がなくなるのであれば、この世から犯罪はなくなってしまいます。当事者の事実否認というものは、そこから先、議論が進むことは当然期待されますが、しかし、これは、それだけでは犯罪がなかったということを証明したことにはならないということを申し上げているのです。これは……(発言する者あり)

大島委員長 お静かに。

永田委員 これは世の中の常識だと私は思っております。

 そしてもう一つ、総理、総理は日本国の代表であります。そして、やはり公平でなくてもならないし、ひとつ総理にお知恵を拝借したいと思っています。

 それは、最近、きのう以来、電子メール、これ自体の存在が疑わしいと、あるいは、そんなものはでっち上げることも捏造することもできるということを、与党の議員初め、多くの方がおっしゃっておられます。

 しかし、考えてみてください。紙で出したものが、それはタイプを使えば何でもつくることができる。あるいは、電子的な記録で提出をした場合、今のコンピューターはすべてデジタル情報ですから、それはだれでもつくることができる。一つサーバーを買ってきて、ライブドアの中のサーバーと同じ名称を使ってメールのやりとりをすれば、全く同じものができ上がる。そういう可能性があるわけです。そういうことを言われる可能性があるわけです。

 そういう環境の中で、はなからうそだ、偽造だ、捏造だと言われている環境で、どのようにしてその先入観を上回る議論をしていったらいいのか、その先入観を打ち破る……(発言する者あり)

大島委員長 お静かに。

永田委員 ことを示したらいいのか、本当に悩ましいんです。

 そしてもう一つ、私も、これは何も、私が逃げたいとか、事実がないとか、そういうことで現物の提示を現在においてもためらっているのではないのです。やはり、このネタ元になっている方が、本当におびえて、苦しい思いをして、そして身の危険を感じながら今もおびえている。そのことを考えると、私としては、最大限守ってあげたい、そう思っているわけであります。

 しかし、委員長、見てください、この一方的な攻撃。この風景をネタ元の方が見たら、こんなところに引っ張り出されるのはかなわないと感じるのは当然ではないでしょうか。

 私も議員です。私は、好んでこの職業を選び、そして苦しい選挙を戦い、そしてこの場に立っております。ですから、少々のことには私は耐える、そういう覚悟ができております。しかし、このネタ元の人の気持ちをおもんぱかって、どうでしょうか、この激しいやじ、激しい攻撃、一方的な先入観、総理までもが当事者の意見を一言聞いただけでガセだと決めつける、このような環境で冷静な議論ができるでしょうか。

 私は、このような激しい攻撃をする人たちに申し上げたい。これは、一種の言論封殺なんです。冷静な議論をして、正しい議論をしようとする、そういう努力を無にする、まさに言論の府にあっては最も恥ずべき行為だと思っております。

 総理、そのことを踏まえた上で、どのような条件をクリアするようなものを出したら、クリアしたら真正のものと認めることができるのか、知恵をかしてください。

小泉内閣総理大臣 永田さん、冷静に、ちょっとなってくださいね。(発言する者あり)

大島委員長 お静かにしてください。

小泉内閣総理大臣 永田さん自身が、根拠のないと言われている情報をもとに、武部さんを一方的に攻撃しているんですよ。我々は、そういう根拠があるんだったら見せてくださいと言っているんです。

 まず、大事な委員会の場で、我々は、事実無根である、根拠はないと武部幹事長も言っている、そういう状況にもかかわらず、まず一方的に攻撃を始めたのは永田さんなんですよ。だから、根拠があるというんだったら、根拠のあるものを見せてくださいと、それだけなんです。

大島委員長 永田議員、今、その資料の問題については確かに理事会で協議しておりますから、どうぞその決定にお従いをいただきたいと思います。

永田委員 官房長官もこのメールについて根拠のない批判をしているとおっしゃいましたが、根拠がないということは、どのようなことを指しているのか。全くのでたらめだと官房長官もお考えになっているのか、ぜひ御説明をお願いしたいと思います。

安倍国務大臣 根拠というのは、その証拠を見せるべきだと私は申し上げているわけであります。

 永田委員が、昨日、一方的に幹事長、そして幹事長の御次男を名指しで非難されたわけであります。幹事長の御次男は民間人です。なりわいがある。あの非難によって大変な損害をこうむっているんです。家族もいる。そのことをよく考えて質問をするべきなんです。

 ですから、その上に立って、ちゃんとした証拠を固めて、だれもが、ああ、これだったら永田さんが言っていることが正しいと思える証拠を出して初めて、これは議論がちゃんと進んでいくわけであって、それを何一つ出されていないから、私はそのように、根拠がない、こう申し上げたわけであります。

永田委員 最後にもう一つ、法務大臣に僕はどうしても問うていきたい質問がありますので、時間、最後ですが申し上げたいと思います。

 電子メールは捏造が簡単で、偽造も簡単であるということで、私は今大変な批判にさらされておるわけでございます。しかし、今回のライブドアの事件においては、地検特捜部は膨大な量のメールを押収し、そして膨大な人を使って解析をし……

大島委員長 永田君、お時間が来ておりますからね。

永田委員 はい、もう終わります。

 そういう解析をしているはずです。

 電子メールの証拠能力について、最後、簡潔に御答弁をお願いします。

大島委員長 法務大臣、簡単に。時間がありません。他の政党のこともありますので、もう、一言。

杉浦国務大臣 はい。

 証拠能力は、裁判所が個々の事件に基づいて、個々の証拠について判断すべきものでございますので、一概に、証拠能力がある、有無については申し上げるわけにはまいりません。

永田委員 終わります。

大島委員長 これにて原口君、永田君の質疑は終了いたしました。

 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 まず、二階大臣にお伺いをいたします。

 八月の十五日の夜、自民党総務局長として、武部幹事長と一緒に東京・六本木ヒルズのライブドア事務所に出向き、堀江氏にお会いをしていると思います。このとき二階さんは、自分自身の判断で会いに行かれたんでしょうか。それとも、武部幹事長から言われて同行をされたんでしょうか。

二階国務大臣 ちょうど八月十五日、私たち自由民主党は、選挙区におきまして七十四名の公認候補を決定した日でございました。(発言する者あり)いや、状況を説明しなきゃわからぬですね。

 ちょうど時間は、夕刻をはるかに回っておったころだと思います。どこで武部幹事長と顔合わせをしたかというのは今はっきり記憶にありませんが、いずれにしても、これから新しい候補者と思われる人に会う、一緒に立ち会ってくれないか、こういうお話を伺いまして、私は同行をした、こういうことであります。

佐々木(憲)委員 八月十五日に堀江氏に初めてお会いしたときは、武部幹事長が行こうということで、誘われて同行されたということでありました。

 次の日、八月十六日の夜ですが、官邸サイドで、夜の十一時から朝の三時ぐらいまで四時間にわたって話し合いが行われた。ライブドアから堀江、宮内など四人、官邸サイドからは総理秘書官が参加をした。その結果、堀江氏は無所属で立候補をし、その堀江氏を応援するということになったわけです。

 総理は、その時点では法律違反を犯していたかどうかはわからなかったと言われています。それはそうだと思います。

 しかし、堀江氏は、それまでに時間外取引を悪用してニッポン放送株を大量に取得してフジテレビと敵対関係になったり、株式百分割というようなことをやって、法違反すれすれの行為をする人物だった、こういうことは総理は十分に御承知だったのではないでしょうか。

小泉内閣総理大臣 いや、そういうことは知りませんでした。

佐々木(憲)委員 あれだけ問題になっていながら知らないというのは、私はどうかと思いますね。

 堀江氏は、法のすき間をつくルール無視のやり方を繰り返しておりまして、金さえあれば何でも買えると豪語していた人であります。これはだれでも知っていることであります。

 しかも、こう言っているんですね。下積みの苦労が人間を鍛えるなんてうそだ、あるいは、将来、格差が開いたってエリートに食べさせてもらえばいいなど、本当に、額に汗してまじめに努力している庶民を見下すようなことを平然と言う人物であります。

 こういう堀江氏と、小泉総理は八月十九日の昼、党本部で会って、君のような若者が政治に入ってくるのはすばらしい、エールを送ろう、こう言った、これは事実ですか。

小泉内閣総理大臣 なかなか、政治に関心を持ちそうもない堀江氏が選挙に出るというので、新鮮な感じがしましたね。それは事実です。

佐々木(憲)委員 バブル崩壊から十五年がたちました。いまだに、多くの国民がその後遺症に苦しんでおります。銀行の貸し渋りや貸しはがし、仕事を奪われた方々は、今度の自民党とライブドアの関係をどう思うでしょうか。

 小泉内閣は、規制緩和でマネーゲームをいわば助長してまいりました。金さえあれば何でも買えると豪語するような堀江氏を持ち上げてきた。

 ここにライブドアの機関誌があります。これは昨年の冬の号でありますけれども、この中で、堀江氏と武部幹事長のこういう親密な対談が載っているわけでございます。堀江氏が、規制緩和でうちはその恩恵にあずかった企業です、非常に商売がやりやすくなったと。

 小泉総理は、こういうマネーゲームの代表的人物を衆議院に送り込もうとした。その責任は大変重いと私は思います。今、大事なことは、額に汗してまじめに働く国民に光が当たる政治に切りかえることではないかと思いますが、総理はどのようにお感じでしょうか。

小泉内閣総理大臣 規制を緩和してさまざまな人が活発に活動できるような環境を整えるということは、政治におきましても大変重要だと思っております。

 今の御指摘の、堀江氏が法律に違反する、そういうことを見抜けなかったということについて問題があるという御指摘については、その御批判につきましては甘んじて受けなければいけないと思っております。

佐々木(憲)委員 甘んじて受けると言いながら、実際に余り反省していないような感じでありますが、今大事なことは、規制緩和で弱肉強食、どんなに弱い者が大変な目に遭っているか、そういうことを本当に感じて、そういう方々のために政治をどのように変えていくか、このことが一番大事だ、私はその点を最後に述べまして、質問を終わらせていただきます。

大島委員長 これにて佐々木君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 杉浦法務大臣には、予告外のことで恐縮ですが、確認をいただきたい答弁でございますので、よろしくお願い申し上げます。

 先ほど来、原口委員も御質疑の中で取り上げておられましたが、東京地検の次席検事が異例のコメントとして、このメールの存在及び指摘された事実関係については、当庁では全く把握していないということを発表になられたということが新聞報道でもございます。

 まず、法務大臣が、これまで長い政治人生の中で、こうしたことを地検がみずから発表なさった前例は一件たりともあったでしょうか。お願いいたします。

杉浦国務大臣 お答えします。

 先ほどの答弁では、私の記憶ではあったとは思わないと申し上げましたが、その後確認しましたところ、何件かあるようでございます。

阿部(知)委員 私も内容をつまびらかに存じませんので調べさせていただきますが、もう一点、私は、きょうの委員会に出席しておって、非常に、逆に、逢沢委員の御質疑などを聞いておりながら、堀江容疑者が、今、起訴されまして、身柄は不自由な立場にあります。そこに接見された弁護士と自民党の皆さんがこんなに早くコンタクトをとって、そしてそのことをこうした審議の場でおっしゃるということにも、正直言って奇異な思いをいたしました。

 法務大臣、お伺いいたします。

 これは、もちろん、その弁護士の方は堀江容疑者に、得た情報について、こういう場で出すということを当然承認をとっておられる、そうでなければ守秘義務にも関係いたしますが、そこは御存じでありましょうか。

杉浦国務大臣 そのことを私に聞かれても困るわけですが、一般論として、弁護士には国家公務員よりももっと厳重な守秘義務が課せられております。それを踏まえて申されたのではなかろうかと推測をいたしております。

阿部(知)委員 そのあたりは厳密にしていただきたい。

 今お教えいただきましたが、共同通信の記者からであったということですが、もちろん、堀江容疑者のその行ったことについては、私は、これから、それが彼個人の問題なのか、株式市場の問題なのか、もっと規模が大きくて、そして次に同じような事件が起こらないような手だてが必要だという観点から、けさも御質疑をさせていただきました。

 最後に、総理にお伺いいたします。

 先ほどの杉浦法務大臣への御質疑と同じでございますが、総理御自身がこうした地検のコメント等々で御記憶にある事件というのはございますか。私は日が浅いので存じませんが、総理御自身の政治家人生の中でどのような事例がそうしたことに、まだこれは本当に全貌も解明されていない段階でみずから地検の次席検事がコメントをなさったわけですが、あったらお教えいただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 私はわかりません。

阿部(知)委員 さまざまなことが実は今やぶの中状態ですので、この委員会の審議を通じて解明されることをお願い申し上げて、私の質疑といたします。

大島委員長 これにて阿部君の質疑は終了いたしました。

 次に、糸川正晃君。

糸川委員 国民新党・日本・無所属の会の糸川正晃でございます。午前に引き続きまして、質問させていただきます。

 昨年のニッポン放送株の立ち会い外取引で、ライブドアが取得されたということで、当時の金融大臣である伊藤金融大臣がこれは合法であると判断されたことは正しかったのか、金融担当大臣の御見解をお聞かせください。

与謝野国務大臣 伊藤大臣は誠実に物事を見ながら冷静に御判断をされていたんだと私は確信をしております。また、個別取引について断定的な判断をされたというふうには思っておりませんで、あくまでも一般的な法の枠組み、制度を話されていたというふうに理解をしております。

糸川委員 ニッポン放送株の話をされていれば、通常はその個別具体的な話も含まれるのかな、これは通常の認識の上では普通なのかなと思いますが。

 では、昨年、時間外取引や株式分割に対して、法改正等のそういう措置が今現在とられているわけですけれども、そこに対して、もう少し早くそういう措置が行われていればよかったのかなというふうに思います。また、もう少し早く起きていれば、今回のライブドアの問題は起きなかったのではないかなと思います。その辺について御見解をお聞かせいただけますか。

与謝野国務大臣 どこに何があらわれるかというのは、全部予測することは不可能でございまして、穴があいているところがわかればそれをふさいでいくというのは、いわば行政府、立法府の共同の私は責任であると思っておりまして、昨年の取引を通じて、やはりTOBの規則を厳格にするためには、その部分にあいている穴をきっちり防ごうとしたことは当然のことだと思っております。

糸川委員 このライブドア事件では、投資事業組合というのを実質自分の支配下に置いて使われた。このような場合に、その当該組合の活動について透明化を図るということはできないのか、この辺について担当大臣の御見解をお聞かせください。

与謝野国務大臣 今でもライブドアにとって連結の対象となるのは、株式会社であれ任意の組合であれ、相手の意思決定機関を支配しているということであれば、それはファンドであれ何であれ、ライブドアは本来連結の対象として取り扱わなければならなかった。この点については、今後の法改正の中できちんと取り扱いたいと思っております。

糸川委員 午前中も投資サービス法という改正についていろいろな指摘をいたしましたけれども、では最後に、総理、今回のライブドア事件を受けまして、この再発防止策について、総理としての御見解をお聞かせください。

小泉内閣総理大臣 資本市場、証券市場、これは経済活性化におきましても、健全な発展化を図るために極めて重要な分野であります。

 この金融関係、資本関係の取引におきましても、多くの国民が公正な法のもとに経済活動を活発化するためには、どのような法整備が必要か、現時点のままでいいのか、どのような改善が必要かという点につきまして、今さまざまな議論が出ているところであります。そのような議論を踏まえて、しかるべき法改正に取り組んでいきたいと思っております。

糸川委員 終わります。

大島委員長 これにて糸川君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

大島委員長 この際、公聴会の件についてお諮りいたします。

 平成十八年度総予算について、議長に対し、公聴会開会の承認要求をいたしたいと存じます。

 公聴会は、来る二月二十四日、二十七日の両日とし、公述人の選定等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

大島委員長 起立多数。よって、そのように決しました。

 次回は、来る二十日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十八分散会


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