衆議院

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第9号 平成19年2月15日(木曜日)

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平成十九年二月十五日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 金子 一義君

   理事 斉藤斗志二君 理事 実川 幸夫君

   理事 杉浦 正健君 理事 園田 博之君

   理事 萩山 教嚴君 理事 森  英介君

   理事 枝野 幸男君 理事 中川 正春君

   理事 赤松 正雄君

      井上 喜一君    井脇ノブ子君

      稲田 朋美君    浮島 敏男君

      臼井日出男君    遠藤 武彦君

      小川 友一君    小里 泰弘君

      小野寺五典君    大島 理森君

      大塚 高司君    大野 功統君

      河井 克行君    河村 建夫君

      倉田 雅年君    木挽  司君

      佐藤 剛男君    坂井  学君

      笹川  堯君    中馬 弘毅君

      中野  清君    西村 康稔君

      野田  毅君    馳   浩君

      原田 憲治君    増原 義剛君

      三ッ林隆志君    三ッ矢憲生君

      三原 朝彦君    宮下 一郎君

      山本 公一君    岩國 哲人君

      小川 淳也君    大串 博志君

      岡田 克也君    川内 博史君

      中井  洽君    原口 一博君

      馬淵 澄夫君    前原 誠司君

      松木 謙公君    伊藤  渉君

      丸谷 佳織君    佐々木憲昭君

      阿部 知子君    糸川 正晃君

    …………………………………

   総務大臣         菅  義偉君

   外務大臣         麻生 太郎君

   財務大臣         尾身 幸次君

   農林水産大臣       松岡 利勝君

   経済産業大臣       甘利  明君

   国土交通大臣       冬柴 鐵三君

   環境大臣         若林 正俊君

   国務大臣

   (地域活性化担当)    渡辺 喜美君

   外務副大臣        岩屋  毅君

   財務副大臣        田中 和徳君

   厚生労働副大臣      石田 祝稔君

   農林水産副大臣      山本  拓君

   国土交通副大臣      渡辺 具能君

   環境副大臣        土屋 品子君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  渡辺 芳樹君

   政府参考人

   (社会保険庁運営部長)  青柳 親房君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  門松  武君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  宮田 年耕君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  南川 秀樹君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十五日

 辞任         補欠選任

  河井 克行君     原田 憲治君

  河村 建夫君     大塚 高司君

  倉田 雅年君     小里 泰弘君

  笹川  堯君     小川 友一君

  西村 康稔君     坂井  学君

  野田  毅君     木挽  司君

  深谷 隆司君     浮島 敏男君

  細田 博之君     井脇ノブ子君

  大口 善徳君     伊藤  渉君

同日

 辞任         補欠選任

  井脇ノブ子君     細田 博之君

  浮島 敏男君     深谷 隆司君

  小川 友一君     笹川  堯君

  小里 泰弘君     倉田 雅年君

  大塚 高司君     河村 建夫君

  木挽  司君     野田  毅君

  坂井  学君     西村 康稔君

  原田 憲治君     河井 克行君

  伊藤  渉君     大口 善徳君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成十九年度一般会計予算

 平成十九年度特別会計予算

 平成十九年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

金子委員長 これより会議を開きます。

 平成十九年度一般会計予算、平成十九年度特別会計予算、平成十九年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般的質疑に入ります。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局選挙部長久元喜造君、厚生労働省年金局長渡辺芳樹君、社会保険庁運営部長青柳親房君、国土交通省河川局長門松武君、国土交通省道路局長宮田年耕君、環境省地球環境局長南川秀樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

金子委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮下一郎君。

宮下委員 自由民主党の宮下一郎でございます。本日は、質問の機会をお与えいただきまして、まことにありがとうございます。

 本日は、「美しい国、日本」を実現するための具体的方策として、環境と経済の調和、また地域の活性化という視点から質問させていただきたいと存じます。

 まず、環境と経済の調和についてお伺いいたします。

 安倍内閣は、イノベーションに基づきます新成長経済によって、活力とチャンスと優しさを備えた経済社会を目指すことを標榜しております。ここで重要なのは、単純な大量生産、大量消費、大量廃棄に陥ることなく、環境と調和した形で経済発展を目指すことであると考えます。

 ところが、温暖化対策についての日本の現状を見ますと、二〇一〇年の二酸化炭素排出量を一九九〇年対比六%削減するという京都議定書における目標値に対しまして、足元、二〇〇五年の速報値では八・一%の増加となっておりまして、さらなる努力が求められております。また、地球全体の姿を見ますと、年間のCO2排出量約六十三億トンに対しまして、自然吸収量はほぼ半分の三十一億トンにすぎません。

 先ごろ出されましたIPCCの第四次評価報告書によりますと、この百年間に平均気温が〇・七四度上昇しまして、このままでは二十一世紀中に二・四度から六・四度温度が上昇する、こういう予想が出ております。今、CO2削減に全世界が取り組みまして、この温度上昇を二度以内に抑えなければ、大規模な自然災害の発生、水、食料の不足、病害虫の蔓延など、危機的な状況に陥るとも言われております。

 一方、昨年十月に発表されましたスターン・レビューでは、今行動を起こせば、気候変動の最悪の影響は避けることができるという強力なメッセージが発せられました。

 先ほどの排出量と吸収量のバランスを考えますと、今後世界全体のCO2排出量を少なくとも半減しなければ、温暖化にストップをかけることはできないということになります。

 こうした状況を踏まえまして、一月には欧州委員会が、温室効果ガスの排出を二〇二〇年までに一九九〇年レベルの少なくとも二〇%削減し、もし満足な国際的合意があれば三〇%まで削減することを約束するということを提案いたしております。

 また、ブッシュ大統領も、さきの一般教書演説において十年で二〇%削減するという目標を明言いたしました。

 こうしたポスト京都議定書の議論が一層重要になってくるわけですけれども、そんな議論の中で、日本もしっかりとしたリーダーシップをとっていくことが重要であると考えますが、まず、若林環境大臣から御所見を伺いたいと存じます。

若林国務大臣 宮下委員は、お父上であります宮下創平先生がかつて環境庁大臣の時代に、秘書官としてこれを補佐しておられました。議員になられましてからも、この環境問題に積極的な取り組みをいただいておりまして、日ごろから環境行政への御理解をいただいておりますことに、まず敬意を表したいと思います。

 そして、今の御質問でございますけれども、京都議定書は地球温暖化問題の解決に向けた重要な第一歩だというふうにとらえているわけでありまして、今後の中長期的な視点として言えば、お話にありましたように、全世界の排出量を半分以下にするということが必要になってまいります。そのためには、現在世界全体の排出量の約三割程度しか占めていないEUや我が国などの京都議定書批准先進国のみではなくて、京都議定書を批准していない米国や、削減義務のない中国、インドを含む主要排出国による最大限の削減努力を促す、実効ある枠組みを構築することが何よりも重要であります。

 現在、国連のもとで、米国を含むすべての国が参加する、長期的協力に関する対話の実施をいたしておりまして、将来の枠組みづくりに関する議論が本格的に始まったところでありますし、また、G8プロセスでも、主要排出国二十カ国による気候変動に関する対話が実施されております。

 我が国としては、二〇〇八年のG8サミット、これは日本が議長国として仕切るわけでありますが、これに向けまして、G8プロセスでの議論に有意義な貢献を行い、そこでの議論が米国、中国、インドなどの主要排出国を含むすべての国が参加する、実効ある次期枠組みの形成につながりますように、主導的な役割を果たしていきたいと思っております。

 安倍総理は、このような状況を踏まえまして、さきの施政方針演説の中で、国内外挙げて取り組むべき環境政策の方向を明示し、今後の世界の枠組みづくりへ我が国として貢献する上での指針として、二十一世紀環境立国戦略を六月までに策定する旨明らかにしているところでございます。

 また、環境省は、これらの動きと並行しまして、将来あるべき姿としての低炭素社会を実現するための研究をイギリスと共同で進めておりまして、このような研究をもとに、我が国における低炭素社会の実現に向けましてしっかりと対応してまいりたい、このように考えているところでございます。

宮下委員 世界的なこうした厳しい状況を乗り越えるためには、まさにイノベーションとしての環境技術開発、とりわけ地球温暖化対策技術の開発と普及を進めると同時に、産業構造やエネルギー構造も大改革をしていくことが必要なのではないかと考えております。また、こうしたノウハウを生かすことによりまして、世界的な新たなビジネスチャンスも広がるのではないかというふうにも考えます。

 これらの点について、甘利経済産業大臣にお伺いをしたいと存じます。

甘利国務大臣 先生の御指摘で大事なことは、経済成長と地球環境、これを両立させるという点なんですね。

 日本は、過去の三十年間にGDPが二倍になりました。しかし、エネルギーの使用量は四割だけしかふえていないんです。一番いいことは、経済が二倍になってもエネルギー使用量がふえないということが最高ですよ、理想ですよね。発展途上国も、これから経済成長していく、発展していく権利があります。権利がありますが、そのときに、エネルギーの使用量を極力少なく発展してもらうということが一番大事なんです。これが、おっしゃるように、イノベーション、技術開発です。

 日本は、省エネ法という世界に冠たる法律をつくりました。ここで二つのことをやっています。一つは、生産物に対するエネルギー使用制約、つまり、これはトップランナー方式。トップランナー方式というのは、今の時代の最高水準をその次の時代の最低水準にするという方式です。これによってエネルギーの使用効率は飛躍的に改善しています。九八年から二〇〇四年をとりましても、冷蔵庫は、五五%使用効率は改善をしている。自動車は、九五年から〇四年まで二三%。テレビは、九七年から二〇〇四年までで二五、六%ぐらいですか。こういうことが大事なんです。

 それから、省エネ法で言うもう一つは、ある一定規模の工場ごとに目標設定して、エネルギー原単位を向上させていくわけです。これによって毎年一%ぐらいエネルギー使用効率は改善をしています。

 エネルギー原単位は、世界で一番いいのは日本です。世界じゅうが日本ぐらいに効率をよくしてくれれば、きょうの時点でもう問題は解決するんです。

 だから、要はどこの国も発展をする権利があります。しかし、エネルギーをできるだけ少なく使って発展してあげるように、日本が技術的にも協力をしていく。仕組みも技術も、省エネ法、トップランナー方式、工場の基準設定、そういう制度上の仕組みをこれから発展しようとする国に協力していって、技術も移転していく。

 このことが大事なのでありまして、おっしゃるように全部の国を巻き込んで、今はCO2を出している国の三割しか入っていません。このままいくと、その三割はエネルギー使用効率の差で二割になっちゃうんです。世界の二割が頑張っても、八割が好き放題やっていたら何にも意味がありませんから、全部を巻き込んで、無理なく巻き込む。それは、日本がそういうノウハウを供与しながら、各国ごとに原単位をよくしていくということが一番大事だと思っています。

宮下委員 次に、経済的手法の導入についてお伺いをしたいと存じます。

 現在の市場経済では、必ずしも環境負荷のコストが取引価格に反映されていないために、安いものを買うことによって環境負荷が増大してしまうということがしばしば起こります。こうしたことを是正して、国民のライフスタイルを環境調和型に変えていくツールとして、小さなものでは、最近、レジ袋、ごみ収集の有料化ですとか、大きなものでは排出権取引、また環境ファンドの組成など、さまざまな経済的手法が使われてきております。

 さらにこれからは、家庭や事業所においてCO2排出がふえ続けているという現状に対応するために、税制の中に環境コストを織り込んで、環境負荷を与える活動に広く薄く負担を求め、環境によい活動では税負担が軽くなる、こういった仕組みをつくっていく、いわゆる税制のグリーン化を図ることが有効ではないかと考えますが、財務大臣のお考えをお聞かせいただきたいと存じます。

尾身国務大臣 地球温暖化の問題は、人類の生存基盤にかかわる最も重要な環境問題の一つでございまして、環境と経済の両立を図っていくという基本的な考え方に立って、温暖化対策を大胆に実行することが大変大事だと思っております。

 地球温暖化対策につきましては、今の御指摘の税制のみならず、さまざまな手段があるわけでございますが、京都議定書目標達成の計画におきましては、省エネ機器の開発とか普及、あるいはエネルギー利用効率の改善等が掲げられておりまして、これらの推進に取り組んでおりまして、その状況をしっかりと見きわめる必要があると考えております。

 その上で、いわゆる環境税を含みます税制のグリーン化につきましては、このような政策が温暖化対策全体の中で具体的にどのような位置づけになるのか、またどのような成果が見込まれるのか、あるいはその税の導入が国民経済や産業にどのような影響を与えるかなどを踏まえて、総合的に検討していく必要があると考えている次第でございます。

宮下委員 次に、植物由来のエネルギーを利用するバイオマスの活用、この点についてお伺いをしたいと思います。

 このバイオマスの活用は、石油燃料の消費量削減につながるという面から、私も大いに進めるべきだと考えますけれども、一方で、先般のアメリカによるバイオエタノール導入計画発表によりまして、トウモロコシや飼料の価格が高騰して、発展途上国での食料不足を招いていることなど、世界的な食料需給バランスに対する影響なども考えますと、むしろ、同じバイオマスでも、これからは木材とか雑草とか、こういった食料以外のものからエネルギーを取り出す技術の活用が特に重要になってくるのではないかと考えております。

 特に、これから二〇一二年までの間、間伐をしっかり行って森林管理をすることは、京都議定書におきます吸収源対策としても重要でございます。こうした間伐材を利用してエタノールをつくれば一石二鳥なのではないかと考えます。この点については、まだ製造コストが約二倍程度かかるというお話も伺っておりますが、ぜひこの面での技術開発をお願いしたいと思います。

 また、木材の活用という面では、間伐材からつくりましたチップによって発電とか熱供給を行う試みも始まっておりますけれども、さらにこれを一歩進めまして、農業との連携を図っていただきまして、例えばハウス栽培における重油ボイラーを木材チップを使うボイラーに置きかえてエネルギーの地域循環を図っていく、こういったことも望ましいのではないかと考えます。

 これら木質バイオマスの活用につきまして、農林水産大臣の御所見を伺いたいと存じます。

松岡国務大臣 宮下先生にお答えいたします。

 日ごろから先生は、環境問題に非常に熱心でございまして、緑のエネルギー促進議員連盟、さらにはまた違法伐採等々で大変御活躍をいただいておりますが、今、その視点からのバイオマス燃料の利活用ということで、またさらにその中でも木質系、これをしっかり使えという御指摘があったところでございます。

 ちょっとだけ申し上げますと、これは温暖化という問題が背景にやはり大きくあると思っております。このことによって、例えば穀物の成長期の適正温度が一度上がれば穀物の生産が一〇%減る、今はそういったようなことが現実に起きておると思っておりますので、そういった面からもバイオ燃料の活用を大きく進めていくということにつきましては、世界的な大きな流れだ、こう思っております。

 今、アメリカの農業法が示されつつありますが、アメリカの農業法においても、今度はそのことが今までにない形で大きく位置づけられる。私も先般行ってまいりましたときにそのようなことを強く受けとめたわけでございますが、私どもの日本におきましても、安倍総理の施政方針演説にもございますように、この方面を加速化させていく、こういうことでございます。

 そして、バイオの利用の工程表をつくるということも今回の施政方針で示されております。それを受けまして、今、甘利大臣がおられますが、エネルギー全体の総元締めでございます甘利大臣のバックアップ、御指導もいただきながら、私ども農林水産省といたしましても、緑の原料、これをもとにしたバイオマス燃料の大きな開発、それから生産拡大、これにしっかり取り組んでまいりたいと思っております。

 先生が御指摘の木質系の点につきましては、岐阜県の白川町において、木材チップを直接燃焼させて発電をしておる、こういった例もございますし、そういった意味からも、これをいずれはエタノールに変換して、輸送用燃料にも変えていく。そして、ちょっと、木材というと大量なものになりますから、これをどのようにして効率的に利用できるように技術も含めしっかりと体系をつくっていくか、非常に重要だと思っております。

 一方で、飼料が高騰する、こういったような問題も起きてきておりますので、先生が御指摘のようなことをしっかりと念頭に置きながら、私ども、積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

 ことしの三月を目途にこの工程表も作成をしよう、こういうことでございますので、関係府省の御協力をいただきながら、御指導をいただきながらしっかりと……(発言する者あり)もちろん、大島先生がおっしゃいましたように、与党、ひいては超党派でお願いをしたいと思っておりますし、よろしくお願いしたいと思っています。

宮下委員 先ほど甘利大臣からも御発言がございましたように、今後の未来の世界の姿を考えますと、先進国における温暖化ガス排出の取り組みでは不十分でございまして、やはり、中国やインドなど今後人口が増加する国々も含めて、さまざまな国の経済発展が環境と調和した形で行われることがどうしても必要でございます。

 今後、こうした国々への環境技術支援を行ったり、CDMの枠組みを活用したり、さらに、ハイブリッド車に代表されるような省エネの商品を世界に普及させるなど、日本の果たすべきはますます大きいと考えております。

 最近、欧米においては、ロハスというような言葉で、環境調和型、スローライフなどもはやってきているわけですが、こういった面では、日本人は古くからやおよろずの神を信仰し、また、環境共生型の文化、ライフスタイルを培ってきたところでございまして、むしろこちらが本家本元だと考えております。これはまさに世界に誇るべき点ではないでしょうか。

 来年は日本でサミットが開催されますけれども、こうした外交の場におきまして、環境技術や環境共生文化を持つ日本が今後世界に貢献していくのだ、そういう強い決意をアピールしていくことが日本の存在感を高めるためにもますます重要なのではないかと考えますが、この点につきまして、麻生外務大臣からお考えをお聞かせいただきたいと存じます。

麻生国務大臣 今おっしゃりますように、このところ、雪が一回も降らない間に春一番、季節外れの台風並みに巨大な寒冷前線が東北地方を襲って、突風で軒並みいろいろなハウスがいかれたりしておるというのは、何となく、地球の反抗とか地球の反逆とか、よくそういったタイトルで言われるように、明らかに地球全体の気候に何らかの異常があるんじゃないかなと、こういうことに余り関心がおありにならない方にも持たれるほど、いろいろ最近事が起きておりますのは、警告として考えれば、関心を持っていただくためには一つのいいこと、いい現象なのかなとも思っております。

 御指摘のありました点に関しましては、CDMとよく、CD―ROMじゃなくてCDMの話ですけれども、クリーン・ディベロップメント・メカニズムというのを略してCDM、クリーン開発メカニズムと称しておりますけれども、途上国と先進国が組んでその分をやろうという話なんですが、今、それにODAをかみ合わせてというのを実はいろいろやっております。中国で二十七件、それからブラジルで十七件、インドで十件ぐらい、そういったのを今既にやっております。なかなかこれも、技術はわかった、やってくれるんですけれども、それをやるためにまたコストがかかるわけです。

 例えば、セメントのごみを全部、サスペンションプレヒーターという機械を使うんですが、電気代がかかるわけです。それで、これを集めて、電気掃除機みたいなもので集めて、またもとに戻す話なんですけれども、電気代がかかるから嫌だと。だから流しっ放し。つけたはいいけれども、後のオペレーションはとまっちゃうとか、その金もよこせと言われると、それぐらい自分で払えという話やら何やら。

 これはもう各国と交渉を幾つかやっておりますけれども、すべてそういうのがありますので、やはりそういったものに対して関心を持ってもらわないと、できたはいいけれども、日本がきちんとつくったはいいけれども、後のオペレーションは全然やらないというのでは、何のためにつくったか意味がないということになろうと思いますので、環境に関する関心を持ってもらうと同時に、事実、そういったものを動かしていくために、別のシステムやら何やら、いろいろ考えないかぬと思って苦労をいたしておりますが、御指摘の点を踏まえて対応してまいりたいと存じます。

宮下委員 続きまして、地域の活性化策について幾つか質問させていただきたいと存じます。

 今、麻生大臣もおっしゃられましたけれども、本当に異常気象に基づく大豪雪、大豪雨、竜巻など、昨年もさまざまな被害が発生しております。私も災害対策特別委員会の理事としまして、当時、斉藤筆頭理事のもとで現場を視察させていただきましたけれども、特に、水害、土石流被害につきましては、河川改修とか砂防ダムなど、これまで対策をしてきたかどうかで大きな被害の差となっていることがわかりました。

 地域の活性化の大前提は安心してそこに暮らせることでございまして、そうした点からも、今後ますます治山、治水、砂防の重要性が増していると考えますが、この点につきまして、国土交通大臣並びに農林水産大臣の両大臣から一言ずつ御所見を伺いたいと存じます。

冬柴国務大臣 気候変動の影響によりまして、近年、集中豪雨等は増加傾向にありまして、その傾向は今後も続くと言われております。

 去る二月十日、十一日、私、休みを利用しまして、鹿児島県の川内川流域を見せていただきました。ここでは、わずか五日の間に、一千ミリを超える、一メートルですよ、集中豪雨がありまして、大変な水害等を引き起こしたわけでございます。また、宮下先生の長野県の南部でも、同じ七月の梅雨前線豪雨によって大変な災害が発生いたしました。

 しかしながら、砂防堰堤等が整備されていた箇所では人命被害が発生していないんですね。堤防、ダム、砂防堰堤等のハード施設の重要性がやはり改めて認識された次第でございます。予防にまさる治療なしという言葉がございますけれども、災害対策の基本は、ハード施設の整備による予防対策ということが重要でございまして、着実にその整備を進めることが重要だ。

 さらに、はんらんした場合でも被害をできるだけ小さく抑えるために、はんらん域にある家屋を優先して守る輪中堤をつくるとか、家屋のかさ上げをするなどの、流域と一体となった対策も進めてまいりたいというふうに考えております。

 また、少子高齢化の進展を踏まえ、市町村長が避難勧告等の発令を的確に行えるように、水位情報や河川の洪水警報等の提供及び土砂災害警戒情報の提供、ハザードマップの整備等ソフト対策も推進いたします。

 国民の生命財産を守ることは国の最大の責任と認識しております。災害の増加と社会の変化を踏まえ、限られた予算で、徹底した投資の重点化や、減災の視点に立ったハード、ソフト両面からの災害対策を進めてまいりたい、このように考える次第でございます。

松岡国務大臣 それでは、時間もないと思いますので、端的にお答えさせていただきます。

 先生の御指摘のとおり、今、冬柴大臣からも御答弁がありましたが、その中でも触れられましたように、大変災害が頻発をしておる、こういうことであります。十七年におきましても山地災害が二千カ所、また昨年は、梅雨前線によるもの、それから台風十号、十三号によるもの、それからまた低気圧によるものということで、大変激甚な災害が頻発をしている、こういうことであります。

 そこで、治山、砂防、河川、こういうことで、三つの体系で今流域の保全がなされているわけでありますが、一番上流に位置しているのが治山事業であります。したがって、上が崩れれば下にまた全部及んでいく、こういうことでありますから、重要性はみんな同じでありますが、とりわけ治山の役割は災害対策の上で高いもの、そのように認識をいたしております。

 したがいまして、先生の御指摘を受けまして、私ども、治山事業のより効率的、効果的な推進を基本にしながら、しっかりとやってまいりたいと思っております。山地災害危険箇所が二十四万カ所ある、こういったことを踏まえまして、早急な整備、急務であると思っておりますので、しっかり取り組んでまいりたいと思っております。

 以上であります。

宮下委員 時間がなくなってまいりましたので、御用意いただいた大臣には失礼でございますけれども、私、コメントをさせていただく格好で、何点か述べさせていただきたいと思います。

 地域の活性化のためにはやはり道路整備も必要でございまして、きちんとした道路整備ができておりますと、それを生かして、企業誘致を図ったり、農産物をより広範囲に販売したり、また中山間地に暮らしながら仕事や学校に行くこともできますし、また観光ルート開発、こういった知恵も出てまいります。

 道路特定財源につきましては、昨年末の議論の結果、安倍総理のリーダーシップのもとで政府と与党の合意が図られまして、二十年の通常国会で法改正を行って、道路歳出を上回る税収を一般財源化するという方針が決定されましたけれども、同時に、十九年度中に今後の具体的な道路整備の姿を示した中長期的な計画を作成するとされております。この計画には、地域の皆さんの道路網整備に対する切実な思いをぜひとも盛り込んでいただきたいと思いますので、この点、国土交通大臣にぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。

 また、地域の活性化策につきまして、非常に各省庁、知恵を出していただきまして、いろいろなメニューを予算にも盛り込んでおりますけれども、一方で、余りに多岐でなかなかわかりにくいという話も聞きます。そうした面で、ぜひ渡辺担当大臣、大活躍していただきまして、地域の皆さんがどういう格好で地域活性化に取り組んでいったらいいのか、ぜひ御指導いただきたいと思います。

 また、今後は、何でも公でやるのではなくて、地域の活性化を地域のコミュニティーの皆さんの助け合いの力でやっていくということも大事かと思っております。総務省でも、コミュニティ研究会、こういったものを立ち上げて、さらにサポートもしていっていただこうということを聞いております。ぜひ、この点もお力添えをお願いしたいと思います。

 また、地域の活性化、特に中山間地が問題でございます。貴重な農地を守っていくという面でも、中山間地をぜひ活性化していきたいと思います。

 頑張っているところもありまして、地元では、この前、学校給食甲子園というところで、私の本籍地であります伊那市長谷という学校給食調理場が優勝いたしまして、これは、地域の産物を毎日のように給食センターに運んでくださって、それが非常においしいものができている、学生さんたちも喜んでおられる、こういうこともあります。それから、地場産センターに手づくりの野菜を持ち込んで、かなり安定した収入を得ておられる方々もいらっしゃいます。こういった頑張っている皆さんをぜひ松岡農林大臣にはサポートしていっていただきたい、そのことをお伝えしたいと思います。

 また、医療制度の充実等々もありますけれども、この点もぜひお願いをしたいところでございます。

 こうしたさまざまな課題を克服して、地域が元気になってこそ、「美しい国、日本」をつくり上げることができるのではないかと思います。こうした視点に立ちまして、安倍内閣一丸となって改革に取り組んでいただきますことをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

金子委員長 これにて宮下君の質疑は終了いたしました。

 次に、伊藤渉君。

伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉です。

 本日は、この予算委員会で質問の時間を与えていただきまして、ありがとうございます。

 昨年の年末また年始とかけて地元でいろいろな方とお話をする中で、やはり、まだまだ庶民の間では、社会保障制度、特に年金に対する不安が大変高うございました。本日は、そういう意味で、この年金に対して、基本的なことでございますけれども、制度の状況等について確認をさせていただきたいと思います。

 社会保険庁の仕事のあり方等については、また徹底した見直し、そしてしっかりと国民の信頼にこたえる業務に取り組んでいただきたいことは当然でございますけれども、一方で、年金に対する不安が、若干誤解に基づいたものも多数あるように感じております。そういう意味で、基本的なことを何点か確認させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず初めに、この公的年金制度、加入率が七割を切っているというように、これは私、誤解だと思いますけれども、こういうような話がまことしやかに世間では話されたりしておりますが、そもそも、この七割を切っているという数字について、まず厚生労働省から御答弁をいただきたいと思います。

青柳政府参考人 ただいま、公的年金の加入率ということでお尋ねがございました。

 お尋ねの七〇%という数字につきましては、国民年金の第一号被保険者、すなわち自営業あるいは無業の方、この方々の保険料納付率のことを指しておられるのかというふうに存じます。この納付率につきましては、ある年度の保険料として納付すべき月数、そのうちに、その年度中に実際に納付された月数がどのくらいであるかという割合を示したものでございます。

 したがいまして、通常の場合、一年間身分に変更がなければ、一人の方は十二カ月という分母に対して何月分の保険料を払ったかということになるわけですが、個々の方については、年度の途中で身分の変更等がございますので、被保険者の頭数ではなく、このような月数でお示しをするというやり方をさせていただいております。

 平成十七年度におきますこの納付率は、六七・一%という数字になっております。対前年度比で三・五ポイントの増でございますので、上昇傾向があるものというふうに私どもは受けとめております。また、保険料は、二年のうちにお納めをいただければ時効にかからずに保険料が納付できるということでございますので、二年たった後の最終的な納付率がどうであるかということも非常に重要な数字でございます。

 近年の傾向を見ますと、この数字がおおむね数%になっておりますので、この十七年度の納付率、最終的には十九年度の末に確定するわけでございますが、おおむね七〇%に達するものというふうに見込んでおるわけでございます。

 なお、加入率というお言葉がございましたので、一点だけ付言させていただきたいと存じますが、基礎年金、公的年金制度全体におきましては、先ほど申し上げました第一号被保険者のほかに、サラリーマンである第二号被保険者、それからその方々の被扶養である第三号被保険者の方々がいらっしゃるわけでございます。

 この全体でただいまの数字を見させていただきますと、未納あるいは何らかの事情で未加入になっている方々は、十八年度の三月末時点では六%弱という数字でございますので、基礎年金、公的年金制度全体で、加入すべき方々の約九四%が加入をし、かつ保険料を納付していただいているというふうに御理解を賜りたいと存じます。

伊藤(渉)委員 平たく言えば、公的年金制度に加入すべき方々に対する率は九四%ということで、この数字が、そもそもいろいろな報道やコメントがある中で、七割を切っていると誤解をされていることがありますので確認をさせていただきました。

 次に、では、この未納者、先ほどの話で、未納、未加入で六%程度という話がありましたが、この状況において、国民年金制度、財政的に破綻をしているという御批判をされる方がいますけれども、また、そういう中で、自分だけ保険料を払っても将来もらえなくなるんじゃないか、特に若い世代にそういう不安があります。この点についても厚生労働省に確認をします。御答弁をお願いします。

渡辺政府参考人 お答え申し上げます。

 国民年金制度につきましても、去る平成十六年の制度改正を経まして、将来に向けて持続可能なものになったと私どもも承知しております。

 被用者、その被扶養者全体を含めた国民年金制度の加入者、先ほども答弁させていただきましたように約七千万人いらっしゃいます。未納、未加入者が約六%弱、こういうことでございますので、この問題が直ちに基礎年金制度の財政に影響し、まじめに保険料を払っている方が将来年金をいただけなくなるというような懸念をされる必要は全くないというふうに考えております。

 もちろん、世代間扶養で成り立つ公的年金制度でございますので、制度に対する国民の信頼の確保、負担の公平という観点から、負担能力がありながらお支払いいただけない、こういう方についていかに減らしていくか、これは非常に大事なことでございますので、そのための対策に全力を尽くしてまいりたいと考えております。

伊藤(渉)委員 また、よく年金の話で言われることが、いわゆる未納、未加入を合わせて六%程度、こういう方々がいることによって、保険料をまじめに納めている例えばサラリーマンまた自営業者の方、こういった方にしわ寄せが行っているということをおっしゃる方もいますけれども、この点についてもいかがでしょうか。御答弁をお願いします。

渡辺政府参考人 お答え申し上げます。

 保険料の水準について、まず一言申し上げたいと思います。

 現在、この水準は、今必要な給付費のみならず、将来の給付費も見込んだ上で財政計算をし、しかも、その料率、額を法律で確定しております。

 具体的には、厚生年金では、現在一四・六四二%となっている保険料率は、毎年九月分から〇・三五四%ずつ引き上げ、一八・三%で固定をするということが定められておりますし、御指摘の国民年金一号被保険者につきましては、現在一万三千八百六十円となっている保険料、毎年四月から二百八十円ずつ引き上げる、十六年度価格で上限一万六千九百円で固定するということが定められております。

 なお、来年度、つまり来るべき四月一日からの国民年金の保険料につきましては、平成十七年の消費者物価指数の変動率を加味いたしますと、その分に見合う形で引き上げ幅は二百八十円から二百四十円に圧縮されて、月額一万四千百円ということが決められております。

 このように、保険料率、保険料額は法律で将来に向けて既に定められておりますので、免除者や未納者が仮に予想を上回って増加したという場合によりましても、これによって、サラリーマンやほかの自営業者の方々、独身のフリーターの方々、母子家庭の方々、こういう方々の保険料を割り増しで負担していただくというような、いわゆるツケ回しというようなことは発生しないものと見ておるところでございます。

 長期的に見ますと、納めていただけなかった方につきましては将来の給付費が少なくなるという関係にあるのが年金制度でございますので、財政影響というものもほとんど限定的なものであるというふうに見ております。

 したがいまして、未納者というものがサラリーマンやその他の自営業者等にしわ寄せになっているのではないかというのは、現在の確立した制度によってはこれは存在しないというふうに考えております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 この公的年金制度、二〇〇四年に我が党が中心になって、百年安心プランと銘打って改正をさせていただきました。

 この年金制度の改革には大きく四本の柱があります。今の御答弁の中にもありましたけれども、将来にわたって国民の負担が上昇し続けないように上限を定めたこと、また、国民の負担が上限が決まりますので、その分の負担軽減を補うために、一つは、基礎年金の国庫負担を三分の一から二分の一に引き上げをしたこと、また、約百五十兆円程度ございます年金積立金を時間をかけて取り崩すこととしたこと、また、給付と負担のバランスをとるために、マクロ経済スライド、いわゆる物価の影響を若干緩和して年金給付額を算定する、こういった手法を取り込んだと理解をしております。この四本柱によって、おおむね百年間は安定した年金制度を維持できる、こういう改革をさせていただいたと私は考えております。

 さまざまなパラメーターが時代の変化によって変化していると思いますけれども、この点について、現時点においてこの財政状況、また現時点における将来の見通しについて、ここのところ新聞報道等もされておりますけれども、改めて御説明をいただきたいと思います。

渡辺政府参考人 お答え申し上げます。

 年金制度につきましては、先ほども申し上げました平成十六年の制度改正において、長期的な給付と負担の均衡を確保し、持続可能な制度とするための見直しが、先生今御指摘の四本柱をフルに駆使して行われたというふうに理解しております。

 その時点での財政再計算、財政見通しでございますが、当時は、平成十三年から十四年という異例の厳しい経済状況を前提に置きまして、厳しい経済前提のもとに、基準ケースにおける最終的な所得代替率五〇・二%を維持するということで改革を御審議賜ったわけでございます。

 年金財政にとりましては、先生御承知のとおり、人口要素だけではなく、第一に経済の長期的な動向をどう見るか、第二に足元の経済の動向についてどういうふうに織り込んで考えるか、こういう点が重要でございますが、とりわけ足元の経済動向につきましては、近年の景気の回復によりまして、積立金の運用利回りは実質約五%程度と、財政再計算で見込んでいたよりも四ポイント程度上回っておるところでございます。その結果、収支差が平成十五年以降の三年間だけでも十兆円以上のプラスになっている、こういう状況が現出しております。

 また、厚生年金の被保険者数、当時は減少傾向を見せていたというところでございますが、そこで、その後の変化によりまして、平成十七年で見込みを八十万人程度上回っているという厚生年金の被保険者数の増加傾向が年金財政のプラスに働く、こういった足元の変化が出てきております。

 また、今回、新しい人口推計、それから今申し上げましたような近年の経済動向を踏まえまして、長期的な経済の動向につきましては、例えば、実質運用利回りを一・六%、先ほど四ポイントが最近の状況と申し上げましたが、一・六%程度ということで、控え目の前提を置きつつ暫定試算を行いましたところ、最終的な所得代替率は、基準ケースで五一・六%という見通しとなりました。

 なお、内閣府による制約シナリオに足元を置きかえましたときにも、それはマイナス〇・二%程度ということで、五一・四%ぐらいということでございますので、現在のところ、財政フレームは維持できるという可能性が高いのではないかというふうに見ております。

 ただし、法律の規定に基づきまして、平成二十一年までに、今回の暫定試算も参考としながら、年金財政検証という正式の手続がございますので、これをしっかり実施してまいりたいと考えております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございました。

 最後に、政治家である石田厚生労働副大臣にすべて総括して御答弁を求めますけれども、この年金制度、端的に言えば、庶民の皆さんは、本当に大丈夫かということを心配いただいておりますけれども、今までの議論を踏まえて、改めて厚生労働副大臣に御答弁をお願いいたします。

石田副大臣 伊藤委員にお答えしたいと思います。

 今までの社会保険庁の運営部長やまた年金局長の御答弁で、御疑念も随分と明確になったというふうに思います。

 なお、年金制度につきましては、平成十六年の制度改正において、長期的な給付と負担の均衡を確保し、制度を持続可能なものにする、こういう見直しが行われました。また、年金財政につきましては、人口だけではなくて経済の長期的な動向もこれは重要である。そして、今回の暫定試算では、昨年末に公表された新人口推計の中位推計や近年の経済動向を織り込むと、全体としては年金財政は好転をしており、最終的な所得代替率は、先ほど年金局長も申し上げましたけれども、五一・六%、このように見通しをされております。しかし、引き続き、少子化対策等に取り組んでいかなければなりませんし、法律の規定に基づいて平成二十一年までに、今回の暫定試算も参考としつつ財政検証をしっかりと実施していかなければいけないと思っております。

 しかし、ここで大事なのは、制度に対する国民の十分な理解と信頼、これがやはり根本にならなければならないと思いますので、総理の御指示に基づいて、保険料の納付実績や将来の給付に関する情報などをわかりやすく通知するねんきん定期便、これは現在、五十八歳の方に行っておりますけれども、それを前倒しいたしまして、三十五歳の方、また四十五歳の方、こういう方々にもねんきん定期便を実施していきたいと思っております。

 いずれにいたしましても、公的年金制度は、社会連帯の精神、こういうものに基づいて、一人一人が保険料を納めていただくことによって成り立っているということは事実でありますので、国民がこれを将来にわたって維持していこう、こういう確固たる意思を持ち続けていただかなければならないわけであります。

 そういう意味で、今御答弁を累次させていただきましたけれども、将来にわたって役割を果たしていける、このように思っております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 社会保険庁の取り組みを初め、正すべきところはきちっと正す、これは当然のことでございますけれども、必要以上に国民の不安をあおった発言、そういった行動については私はいかがなものかと思いますので、きょう改めて基本的なこと、制度の現状について確認をさせていただきました。

 最後に、年金に関連して、ちょっと参考までにお伺いをいたしますけれども、現行制度における基礎年金部分、これに必要な額がどれぐらいで、これをすべて税で賄おうとした場合に、現行制度でいく消費税でいけば何%程度になるのか、参考までに数値を教えていただきたいと思います。

渡辺政府参考人 お答え申し上げます。

 現行制度における基礎年金給付費は、平成十九年度予算案ベースで約十九兆円、こういうふうに計上しております。現在の消費税は、地方消費税を含め、税率五%でございますので、その税収は約十三兆円と言われております。地方消費税及び地方交付税として地方へ回る分を除くと、国分は約八兆円、こういうふうに見ております。

 あくまで仮定の計算をということでございますので、現行制度どおりともいかない中での現行制度の数字でございますが、これらをもとに基礎年金給付費を単純計算で消費税率に換算いたしますと、十九兆円を八兆円で割って五%を掛けるということで、結果として一二%の消費税率に相当するというふうに見ております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございました。参考までにお聞きをしたまでなので、ありがとうございます。

 こういった社会保障制度、内政においてここをしっかりセーフティーネットを張ることは、国民の安心、安全という観点から非常に重要だと思います。

 一方で、グローバルな経済活動の負の側面、先ほど来、宮下委員も御質問されておりましたけれども、地球温暖化などの環境問題、これについても京都議定書の議長国として我が国はしっかりと取り組んでいかなければならないと思います。アメリカにおきましても、民主党、共和党のバランスの変化によって、こうした環境問題に対する取り組みが大きく変化をする兆しも見え隠れしております。

 昨年の予算委員会においても関連の質問をさせていただきましたけれども、一年たちましてその経過と取り組み、どのようになっているか、何点か確認をさせていただきたいと思います。

 まず初めに、環境大臣に御質問をいたします。

 この京都議定書の目標に対する温室効果ガスの削減量、これがどのように変化しているのか、また、今後の京都議定書目標達成に対する御決意を御答弁いただきたいと思います。

若林国務大臣 伊藤委員には、昨年の予算委員会で非常に厳しい御指摘もいただいております。

 その後の経過でございますが、二〇〇五年度速報値の温室効果ガスの総排出量は十三億六千四百万CO2トン、前年に比べると〇・六%増加いたしまして、基準年の総排出量と比べますと、実は八・一%の増加となったところでございます。

 環境省としても、このような厳しい状況を受けとめ、京都議定書目標達成計画で示されました対策、施策の一層の加速化を図る必要がある、このように考えまして、来年度末、二〇〇七年度末でありますが、それまでに新たな目標達成計画の策定を行うために、現在、定量的な評価、見直しをいたしているところでございます。

 その中で、排出量の見通しと対策、施策の進みぐあいを厳格に評価し、必要に応じて新たな対策、施策を追加することによって、六%削減約束の確実な達成を何としても図ってまいりたい。この六%を達成いたしませんと、お話がありました来年のG8サミットは日本が議長国になっているわけでございまして、そのG8サミットの主要な課題であります第一約束期間以後の削減をどう図っていくかということについて大枠の枠組みを示して各国の協力を求めなければならない、そういう状況が生まれてきているわけでございますので、その議長国日本がこれを達成していないということであれば、達成する見込みがないということでありますと、非常に世界に対して説得力もありませんし、イニシアチブもとれないということになるのでございます。何としてもこのマイナス六%の削減約束を確実に達成しなければならぬ、こう思っております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 今のような状況下で、特にこの取り組みを牽引する環境省においては、例えば、お勤めの方は二十時消灯とか暖房を使わないとか非常に涙ぐましい地道な努力もしていただいていまして、その結果として、政府全体としてのCO2の排出量は微減の傾向にあると聞いております。しかし、削減すべきCO2の量は、実に十二億六千百万トンという数字でございますので、この全体から見ると、こうした政府の取り組みも率からいくと非常に小さいものでございます。

 時間の関係で若干質疑の通告を早めながら質問していきますが、そういう中で、エネルギーの問題にどう取り組んでいくかということが非常に大きなウエートを占めてくると思っております。中でも新エネルギーに対する取り組み、これが重要になってくると思います。

 そこで、続けて環境大臣にお伺いをしますけれども、太陽光発電の普及促進ということで、この太陽光発電については、現状の取り組みのままでは、京都議定書の目標達成計画に挙げる二〇一〇年の太陽光発電の導入目標四百八十二万キロワット、この達成が大変難しいということをお聞きしておりますが、今後どのようにこの太陽光発電の国内での普及、再加速をしていくのか、御答弁をいただきたいと思います。

若林国務大臣 太陽光発電は温暖化対策として極めて重要でございます。我が国の技術が世界をリードしているという分野でございますので、本年度の出荷実績を見ますと、導入が頭打ちの傾向にあることを強く懸念しているところでございます。京都議定書目標達成計画における二〇一〇年度の目標を達成するためには、毎年着実に導入量を増加させていかなければならないわけでありまして、住宅用途の着実な導入に加えて、取り組みのおくれている事業用途の導入を強化していくという考えでございます。

 そのため、環境省では、平成十八年度からソーラー大作戦として、太陽光発電を地域ぐるみで面的に導入するために、メガワットソーラー共同利用モデル事業でありますとか、あるいは街区まるごとCO2二〇%削減事業といったような事業を実施いたしておりまして、平成十九年度においてもさらにこれを強化して実施すべく、予算に盛り込んでいるところでございます。

 これらの事業の着実な推進を図り、京都議定書目標達成計画の太陽光発電の導入目標達成のために、関係省庁とともに引き続き全力で取り組んでまいりたいと思います。

伊藤(渉)委員 引き続き、エネルギー関係で経済産業大臣にお伺いします。

 バイオ燃料のことについてお伺いをいたします。

 近年、石油の高騰や地球温暖化対策の緊急性を背景に、世界的にバイオ燃料に関する取り組みが急速に拡大をしております。アメリカなどではバイオエタノールを一〇%混合したガソリン、ブラジルではエタノール一〇〇%の燃料も導入をされていると聞いております。

 一方、我が国では、原料となるバイオマス資源が限定されている、こういった事情はあるにせよ、いまだにバイオ燃料の導入が本格化はしておりません。京都議定書の目標達成計画、二〇一〇年度、五十万キロリットル、この導入目標は輸送用燃料の〇・六%にすぎないにもかかわらず、なかなか達成の見通しが立たないというふうに聞いております。

 このバイオエタノールは、現行の法律下でも、三%までならすべてのガソリン車で安全に使用できますし、新車については、日本で市販されているものでもエタノール一〇%混合ガソリンへの対応が急速に進んできております。このように、バイオエタノールについては技術的なハードルはなくなっております。少なくとも、三%混合ガソリンについては直ちに本格的な導入拡大、これを進めていくべきではないかと思います。

 またさらに、我が国でもできるだけ早期に、より高い導入目標は混合率の引き上げといった中長期的な方向性を政府が示すことにより、官民を挙げてバイオエタノール等の導入促進に腰を据えて取り組むべきではないかと考えますが、大臣の御答弁をお願いいたします。

甘利国務大臣 二〇一〇年、五十万キロというのは必ず達成します。今、農水省と我が省と連携をとりまして、バイオ燃料の推進に向けて、技術開発も含めていろいろ取り組んでおります。

 ただ、先ほどの質問でも御指摘があったと思うんですが、食料系と木質系でうまくバランスをとった方がいいと思います。食料系を推進していくことによって本来の食料価格が上がっていく。一説には、穀物メジャーが仕掛けをして、穀物価格を一挙に引き上げるための仕掛けとして穀物系でバイオ燃料の拡大キャンペーンを張っているという話すらあります。

 食料生産国が食料を輸入しなければならないなんという事態になってしまっては世界の食料需要に問題を起こすということで、木質系で技術とコスト、課題がありますけれども、これを克服するために取り組んでいくということで、木質系、食料系、バランスよく進めていくことが大事だと思っております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 時間の関係で、最後にさせていただきます。

 温室効果ガスの削減の中で、森林吸収源というものの占める比率が大変大きゅうございます。達成目標の実に三・八%、この要素が森林の吸収源となっているわけでございます。これも昨年の予算委員会でも確認をさせていただきましたけれども、この森林の吸収量を確保するためには適切な森林の整備、とりわけ間伐が必要になると聞いております。現状程度の森林整備の水準では目標の達成が難しい、追加的な森林整備、このための安定的な財源が必要との回答を昨年いただきました。また、適切な森林の管理は防災の観点からも重要である、こういうふうに私も認識をしております。幸いなことに、平成十九年度当初予算に関しては、平成十八年度の補正予算も合わせて約八百億弱、こういった予算が計上されていると承知をしております。

 そこで、農林水産大臣にお伺いをいたします。

 森林は、地球温暖化のみならず、国土の保全、水源の涵養など多様な機能を持っておりまして、美しい国づくりを進めていく上でも重要な部分を占めていると考えております。今後、この森林吸収源の対策の加速化を初め、森林の整備にどのように取り組んでいく御所存か、御答弁をいただきたいと思います。

松岡国務大臣 伊藤先生にお答えいたします。

 先生御指摘の点につきましては、昨日も民主党の岩國先生から御指摘をいただいたことでございますが、全くそのとおりでございまして、森林で六%のうちの三・八%を担う、こういうことになっております。これをまた別の数字に置きかえますと、一千三百万炭素トン、こういうことでございまして、これまでの通常の予算による森林整備では、二〇一〇年、二〇一二年という目標に向かってこれは足りません。そこで、百十万炭素トン分ぐらいが足りない。これを森林の整備に置きかえますと約百二十万ヘクタール、六年間で。したがって、今後、年間二十万ヘクタール分のさらなる追加整備をしていかないといけない、こういう状況でございます。

 したがいまして、今先生御指摘の十八年度の補正予算、十九年度の当初予算、これにおきまして二十三万ヘクタール分の追加整備の予算措置をいただいたところでございます。これに対しましては、財務省の特段の御配慮もいただきましたし、また関係省庁の大変な御協力もいただきましたし、それから自民党のこのプロジェクトチームの、また政府・与党一体としての、公明党も含めた後押しもいただいて実現したわけでございます。

 こういったことをもとにして、残りの六年間でしっかりとした予算措置をお願いしながら森林整備を進めてまいりたい、こう思っております。そして、美しい森づくり、これも政府一体となって取り組めという総理の御指示でございます。そういった観点からも、関係省庁と連携強化を図りながら、美しい森づくり、そしてまた森林整備に向かって全力を尽くしてまいりたい、こういうことでございますので、今後ともよろしくお願いいたします。

伊藤(渉)委員 ありがとうございました。

 この地球温暖化、非常に多岐にわたるさまざまな取り組みが必要でございますけれども、私も政治家の一人として、非常に重要な問題でもございます、しっかりと後押しさせていただくことをお約束申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

金子委員長 これにて伊藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、馬淵澄夫君。

馬淵委員 民主党の馬淵でございます。

 本日から一般的質疑ということで、予算委員会では各論に入って質疑を行っていく、その場面でございます。今国会、格差是正並びに柳澤大臣の発言をもとにした国民の大きな不信を招いている。私は、この予算委員会一般的質疑の中で柳澤厚生労働大臣にぜひただしたい、この思いを持って昨晩も質疑の通告をさせていただきました。

 一般的質疑は、財務大臣と要求大臣の出席がこの予算委員会では通例となっております。本日、私は、柳澤厚生労働大臣のみがお答えできる、その大臣の真意をお尋ねする、そのことで通告をさせていただいたにもかかわらず、この予算委員会の大臣席には柳澤大臣がお見えになっておりません。

 予算委員会の中で厚生労働大臣がお答えいただく、このことが求められているということを私ははっきりと申し上げ、これでは質疑ができないということ、これをはっきりと皆様にお伝えをさせていただきます。大臣をお呼びください。質疑ができません。

金子委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

金子委員長 速記を起こしてください。

 これより休憩とさせていただき、直ちに理事会を開会させていただきます。休憩いたします。

    午前十時五分休憩

     ――――◇―――――

    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕


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