衆議院

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第10号 平成19年2月16日(金曜日)

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平成十九年二月十六日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 金子 一義君

   理事 斉藤斗志二君 理事 実川 幸夫君

   理事 杉浦 正健君 理事 園田 博之君

   理事 萩山 教嚴君 理事 森  英介君

   理事 枝野 幸男君 理事 中川 正春君

   理事 赤松 正雄君

      あかま二郎君    安次富 修君

      阿部 俊子君    井上 喜一君

      井脇ノブ子君    稲田 朋美君

      臼井日出男君    遠藤 武彦君

      小野寺五典君    越智 隆雄君

      大島 理森君    大塚  拓君

      大野 功統君    亀岡 偉民君

      河村 建夫君    木原 誠二君

      倉田 雅年君    近藤三津枝君

      佐藤 剛男君    坂井  学君

      笹川  堯君    清水清一朗君

      杉田 元司君    杉村 太蔵君

      鈴木 馨祐君    平  将明君

      中馬 弘毅君  とかしきなおみ君

      土井  亨君    土井 真樹君

      中野  清君    中森ふくよ君

      長島 忠美君    西本 勝子君

      野田  毅君    橋本  岳君

      馳   浩君    林   潤君

      平口  洋君    深谷 隆司君

      馬渡 龍治君    牧原 秀樹君

      増原 義剛君    三ッ林隆志君

      三ッ矢憲生君    三原 朝彦君

      宮下 一郎君    山本 公一君

      若宮 健嗣君    石関 貴史君

      岩國 哲人君    小川 淳也君

      大串 博志君    岡田 克也君

      川内 博史君    後藤  斎君

      末松 義規君    鈴木 克昌君

      寺田  学君    中井  洽君

      長島 昭久君    西村智奈美君

      原口 一博君    馬淵 澄夫君

      松木 謙公君    三谷 光男君

      伊藤  渉君    大口 善徳君

      丸谷 佳織君    穀田 恵二君

      佐々木憲昭君    阿部 知子君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   総務大臣         菅  義偉君

   法務大臣         長勢 甚遠君

   外務大臣         麻生 太郎君

   財務大臣         尾身 幸次君

   文部科学大臣       伊吹 文明君

   厚生労働大臣       柳澤 伯夫君

   農林水産大臣       松岡 利勝君

   経済産業大臣       甘利  明君

   国土交通大臣       冬柴 鐵三君

   環境大臣         若林 正俊君

   防衛大臣         久間 章生君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     塩崎 恭久君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 溝手 顕正君

   国務大臣

   (金融担当)       山本 有二君

   国務大臣         大田 弘子君

   国務大臣

   (国・地方行政改革担当) 渡辺 喜美君

   内閣官房副長官      下村 博文君

   内閣府副大臣       平沢 勝栄君

   法務副大臣        水野 賢一君

   外務副大臣        岩屋  毅君

   財務副大臣        田中 和徳君

   厚生労働副大臣      石田 祝稔君

   国土交通副大臣      望月 義夫君

   防衛副大臣        木村 隆秀君

   内閣府大臣政務官     岡下 信子君

   法務大臣政務官      奥野 信亮君

   文部科学大臣政務官    小渕 優子君

   経済産業大臣政務官    高木美智代君

   環境大臣政務官      北川 知克君

   防衛大臣政務官      大前 繁雄君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  原  雅彦君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  伊奈川秀和君

   政府参考人

   (内閣府民間資金等活用事業推進室長)       伊藤 國男君

   政府参考人

   (内閣府国民生活局長)  西  達男君

   政府参考人

   (警察庁長官官房長)   安藤 隆春君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    矢代 隆義君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  藤井 昭夫君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           久元 喜造君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  岡本  保君

   政府参考人

   (総務省情報通信政策局長)            鈴木 康雄君

   政府参考人

   (消防庁次長)      大石 利雄君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  稲見 敏夫君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房技術総括審議官)       西山 正徳君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           草野 隆彦君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  松谷有希雄君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  外口  崇君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       藤崎 清道君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            高橋  満君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  水田 邦雄君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)     広瀬 研吉君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 竹歳  誠君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 寺田 達志君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  南川 秀樹君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  増田 好平君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十六日

 辞任         補欠選任

  稲田 朋美君     亀岡 偉民君

  臼井日出男君     井脇ノブ子君

  遠藤 武彦君     安次富 修君

  河井 克行君     近藤三津枝君

  河村 建夫君     土井  亨君

  笹川  堯君     土井 真樹君

  中馬 弘毅君     あかま二郎君

  西村 康稔君     大塚  拓君

  深谷 隆司君     平  将明君

  細田 博之君     阿部 俊子君

  山本 公一君     とかしきなおみ君

  岩國 哲人君     西村智奈美君

  中井  洽君     長島 昭久君

  原口 一博君     末松 義規君

  前原 誠司君     三谷 光男君

  大口 善徳君     伊藤  渉君

  佐々木憲昭君     穀田 恵二君

同日

 辞任         補欠選任

  あかま二郎君     鈴木 馨祐君

  安次富 修君     坂井  学君

  阿部 俊子君     杉村 太蔵君

  井脇ノブ子君     西本 勝子君

  大塚  拓君     杉田 元司君

  亀岡 偉民君     木原 誠二君

  近藤三津枝君     若宮 健嗣君

  平  将明君     牧原 秀樹君

  とかしきなおみ君   長島 忠美君

  土井  亨君     清水清一朗君

  土井 真樹君     馬渡 龍治君

  末松 義規君     原口 一博君

  長島 昭久君     中井  洽君

  西村智奈美君     鈴木 克昌君

  三谷 光男君     後藤  斎君

  伊藤  渉君     大口 善徳君

  穀田 恵二君     佐々木憲昭君

同日

 辞任         補欠選任

  木原 誠二君     林   潤君

  坂井  学君     平口  洋君

  清水清一朗君     河村 建夫君

  杉田 元司君     中森ふくよ君

  杉村 太蔵君     越智 隆雄君

  鈴木 馨祐君     中馬 弘毅君

  長島 忠美君     山本 公一君

  西本 勝子君     臼井日出男君

  馬渡 龍治君     笹川  堯君

  牧原 秀樹君     深谷 隆司君

  若宮 健嗣君     橋本  岳君

  後藤  斎君     石関 貴史君

  鈴木 克昌君     岩國 哲人君

同日

 辞任         補欠選任

  越智 隆雄君     細田 博之君

  中森ふくよ君     西村 康稔君

  橋本  岳君     河井 克行君

  林   潤君     稲田 朋美君

  平口  洋君     遠藤 武彦君

  石関 貴史君     寺田  学君

同日

 辞任         補欠選任

  寺田  学君     前原 誠司君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成十九年度一般会計予算

 平成十九年度特別会計予算

 平成十九年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

金子委員長 これより会議を開きます。

 平成十九年度一般会計予算、平成十九年度特別会計予算、平成十九年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、お手元に配付のとおり政府参考人の出席を求めることとし、その手続につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

金子委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中川正春君。

中川(正)委員 おはようございます。民主党の中川正春です。

 きのうは柳澤大臣をずっとお待ちをしておったんですが、残念なことに、来ていただくことができなかった。流会をしたという委員長の判断も正しかったんだと思っておりますが、きょうは、その分しっかりやらせていただきたいというふうに思っております。

 最初に、雇用の関係、非正規労働者の問題、特にその中でも、派遣あるいは請負という制度についてまず入っていきたいというふうに思います。

 私の地元で、いわゆる亀山ブランドのシャープの液晶工場が誘致をされました。これを誘致したときには、それこそ、税の減免をしまして、市とそれから県で合わせて九十五億という補助金に当たるものを出して誘致をした。それで、我々も、非常に効果を期待して今日に至っておるんですが、たまたま二月十五日の東京新聞でこんな指摘がされています。

 今、この工場内で働く従業員が約三千八百人になってきているんですけれども、そのうち正社員が二千二百人、残りの千六百人が製造請負あるいは人材派遣なんですね。だから、地元の住民の反応としても、一つは、こんなはずじゃなかった、うちの孫は本当はシャープへ行ったはずだったんだけれども、現実にはそれと違った会社の名前になっている、あるいは期間工としてのものしかない。

 あるいは、この新聞で見ていると、例えば亀山工場で働く正社員の年収を平均でいくと、今、七百四十三万円、こういうふうに出ているんですね。ところが、この請負と言われる人たちの年収というのは三百万円前後でありまして、二倍近い差がある。しかも、これがそのまま固定されて、将来、生活設計が立っていくかというと、このまま派遣というその階層の中で埋没してしまうと、結婚自体もできないんだ、そんな内容の記事がここに出ています。この間から、東洋経済も含めてたびたびこのシャープは取り上げられるんです。

 実は、これはシャープの問題だけじゃないんですね。電機メーカーあるいは自動車メーカー、いわゆる物づくりの基本をなしているところというのは、大体、こうした問題意識の中で、地域住民が、本当にこれで豊かさあるいは大手の企業が利益を上げているというそのことに対する実感が得られていないというところの大きな原因の一つに、この問題があるということだと思うんです。

 そこで、改めてお聞きをしたいんですけれども、大臣として、何が問題、どこが基本的に間違っているのかということ、その認識をまず聞かせていただきたいと思います。

柳澤国務大臣 近年、企業、労働者双方のニーズによりまして働き方が多様化しているということがございます。そして、非正規雇用が増加をして、今、全雇用のほぼ三分の一にならんとしている。こういう状況にあることは、私も当然のことながらよく認識しているところでございます。

 私どもは、問題としては、派遣にしろ、フリーターにしろ、アルバイトにしろ、パートにしろ、こういう非正規労働、非正規雇用が若年者を中心として増加しておるということが将来の格差の固定化あるいは拡大というようなものにつながっていくおそれがある、そういうことには十分な注意が必要だというふうに考えておりまして、このような雇用の多様化は、それはそれとして両者のニーズの合致したところという一つの面もあるんでしょうけれども、その中をよく調べてみると、正規雇用に行きたい、けれども、やむを得ず非正規雇用にとどまっているというような若者がいる。これらについては、できるだけ施策を講じて、私どもとしては、正規雇用の方に誘導していくようなそういう施策をとっていかなければならない、こういう考え方をしているところでございます。

中川(正)委員 非正規雇用の固定化ということ、これを一つの問題としてとらえておられるということ、これは正しいことだし、一番大事なところの一つだと思うんです。

 もう一つあるんです。それは、同一労働に対して賃金格差があるということです。ここでも触れているように、年収にして倍からの開きがある。片方は三百万円、片方は七百万円、同じ仕事をしていてこれだけの開きが出てくるというこのことに対してももう一つ考えていかなきゃいけないということだと思うんですね。

 実は、それに対して、この間からここでも枝野議員の発言で取り上げられましたけれども、経団連は、特に御手洗さんは、全くこれは逆のことを言っているんですよ。もう一回、彼が第二十二回の経済財政諮問会議で特に取り上げて言った言葉の中身を反復したいと思うんですが、これは請負とそれから派遣と二つのことに関連した発言なんですけれども、一つは、派遣ということに対して、今の派遣法のように三年たったら正社員にしろと硬直的にすると、たちまち日本のコストは硬直的になってしまう、だから、ここのところについては市場に任せてもらいたいということと、派遣法を見直してもらいたい、こういう発言をしているんですよ。これは、さっきの柳澤大臣の、固定化していっては、将来、日本の社会全体に対して大きな禍根を残す、そこが一つのポイントだ、こう言われたことと完全にこれは矛盾しているんです。

 そこでもう一回お尋ねしますけれども、この御手洗さんの発言に対しては、これは間違いだと、大臣、はっきりこれは言えますね。

柳澤国務大臣 そもそもが、派遣労働法を制定したときに、最終的には、専門的な二十六業種、この人たちについては雇用の制限、期間の制限を設けませんでした。今日も設けておりません。これが製造業に広がったところでこの期間の制限を設けさせていただきました。この設けさせていただいたゆえんのものは、今まさに中川委員の指摘するように、また、私がさきに申したように、これが固定化してしまうということは決していいことではない、こういう考え方から私どもはそのような措置をとらせていただいておるということが言えようかと思います。

 したがいまして、私どもとしては、この今の御手洗さんの発言というものは、私、今ここで自分自身の方でそれを確かめるだけの資料を持ち合わせておりませんけれども、今お聞きする限りでは、私どものその期間制限をしたところの趣旨とは反している御発言だということになると思います。

中川(正)委員 もう一つ、同じ非正規の中でも、請負という形態とそれから派遣という形態がある。前回問題になったのは、偽装請負、請負という形態で契約をしておきながら、会社の中の工場の中に入ったその請負のチームに対して、親会社、いわゆる請負を発注している会社が直接の命令権というのを発動しながら、実質的には派遣と同じような扱い方をしているというようなこと、これが偽装請負というふうに言われているわけでありますが、この事象が方々で今起こっているわけなんですね。

 この偽装請負の今の実態と、それから、なぜ企業が偽装請負に走っていくのかということ、これの認識、そこのところを、大臣、どういうふうに受け取られておりますか。

柳澤国務大臣 請負というのは、これは、私どもの経済社会には非常に古くからあった労働形態というか、雇用の形態というか、あるいは事業の取引形態というか、そうしたものであったというふうに認識しております。

 私ども、日ごろ、いろいろ親しい地元の企業におきましても、例えば、ある部門、こん包の部門だとか輸送の部門というのを、いわば協力会社というような形でその当該の企業と取引関係にあって、それを同じ工場内で粛々と事業を進めているというようなこと、それが典型的な請負業ということであると思っております。

 ところが、最近においては、今、中川委員の指摘するように、生産ラインに本社の社員と混然一体となって作業をするというような、そういう労働形態というか取引形態のものが非常にふえつつあるということもお聞きするわけでございます。これはやはり、もしそうした形でラインに入ってこられても、整然としてその請負の形が守られていれば、それはそれで何ら問題ないというか、少なくとも法的な問題はないということですけれども、これに、本社筋というか、請負の事業主からの指揮監督ではなくて発注者が実質的に指揮命令を行うということになりますと、明らかに労働者派遣法に違反になる、こういうことでございます。

 私どもとしては、もしこのようなことが行われますと、安全衛生上の責任であるとか、あるいは労働時間管理の責任であるとかというところが非常に労働者にとって厳しい状況になりがちだというようなことがありまして、労働災害の発生につながるなど、非常に大きな問題があるというふうに認識いたしております。

 したがいまして、こうした事犯に対しては、しっかりした指導監督をしていっているというのが現状でございます。

中川(正)委員 ところどころ、地域の労働局の方では、アンケートをとったりあるいは現場に立ち入りをやったりして、実情把握に努めているようです。ヤフーニュースでちょっと検索しただけでも、相当の事象が出てきます。

 例えば、山形あたりでは七八%の企業で法律違反をやっているというふうな結果が出ていますし、関東の労働局の調査で六八%の偽装の疑いということですね。七〇%とか六五%とか、これはポイントポイントでとっている話ですけれども、これぐらい出てきたら、これはもう制度自体が破綻しているというふうに見ても間違いないんだと思うんですよ。これはポイントポイントで調べているだけですから、本当に氷山の一角で、実際のところは、通例的にといいますか、日常的にこうした状況になっているというふうに解釈していいと思うんですよ。

 それを、たださっきの話で、さらに監視を強めていきますという対策だけでは、これはおさまらないところまで来ているんじゃないかというふうに思うんですよね。

 前回も指摘がされましたけれども、経団連の御手洗さんのキヤノン自体も、幾つかこういう事象で指摘をされて是正の勧告を受けているというふうなこと、こんなことも含めて、基本的なところでこの制度自体を一つは見直していくということ。

 それからもう一つは、いわゆる請負の場合は、ずっとその請負会社にこれも固定化されるわけですよ。将来、請負からその一番もとの発注会社へ向いて正社員になっていく道もないんですよ。ということも含めて、この部分について見直していく考えはないかどうか、一つ聞いておきたいというふうに思います。

柳澤国務大臣 今、中川委員が御指摘になりますように、派遣社員あるいは請負の社員というものは、その派遣会社あるいは請負の事業主、これとはいわばしっかりした社員関係にあるわけです。しかし、実際に働いている現場の会社とは何にも雇用関係がない、こういう非常に難しい労働形態だと言ってよろしいかと思います。

 これらを一体どのようにこれから整序していくかということについては私どもも非常に強い問題意識を持っておりまして、現場においてどのような一つの秩序をつくっていくか等々について広く検討をしてみたい、このように思っておりまして、一つ、働き方のガイドラインを策定すべく、現在、この関係の研究会というか、これを立ち上げているところでございます。

中川(正)委員 はっきりしているのは、請負ということについて特別の法律がないんですよ。これは民法上の請負契約の中でやっているということですから、労働法制としては、ここの部分を整理するということだと思うんですよ。派遣法については、これはちゃんとした整理ができていて、しかも、正社員に行く行くはなっていきますよという道筋ができているということだと思うので、そういう意味合いからいって、請負というこの制度そのものについて廃止をする、あるいは完全に新しい労働法制をつくっていくという方向性、これを出していく必要があると思うんです。どうですか。

柳澤国務大臣 今私が申し上げたこともそうなんですけれども、偽装請負というのは派遣法違反なんですね、派遣法違反になる。そういう意味で、派遣法の運用と今の請負のいろいろな形とが関連があるということで、もう一回整理して申しますと、派遣法についてのあり方を研究し、あわせて、そのときに請負についても検討対象にそれは随伴的になるだろう、こういう形での検討をいたしたいということでございます。

 今、中川委員がおっしゃるように、請負契約そのものを検討するということになりますと、これは民法の問題につとに御指摘のようになるわけでございますので、ひとり私だけが今ここで何か申し上げるというわけにはまいりませんけれども、我々としては、派遣法との関係で一つの労働法制の問題として考える分野はあるだろう、このように考えている次第でございます。

中川(正)委員 外国人労働者の問題に進みたいと思うんです。

 これも、さっきの派遣とか請負とかということと密接に関連していまして、この外国人労働者の実態というのはその派遣あるいは請負労働の中に包括されていて、しかも、これが日本の中で一番深刻なというか、そこに一番しわ寄せが行っているという状況だと思うんですね。

 ちょっと改めてお聞きをしたいんです。外国人労働者というこの定義、この言葉というのは、厚生労働省の中では、法的にあるいは一つのカテゴリーとしてしっかり位置づけがあるのかどうかということ、これが私わからないんですよ。大臣、どうですか、ここは。

柳澤国務大臣 労働行政の中で外国人はいかなる位置づけになっているか、こういうことでございますけれども、三つほどあるということが言えようかと思います。

 一つは入管法の関係で、いろいろな総合的な勘案の結果、今、専門的、技術的分野の方にはこれは入って大いに活躍してもらおう、こういう考え方が一つありまして、そのグループの方々がいらっしゃるということでございます。

 それからもう一つは、日系人や日本人の配偶者等というような特別な身分関係に基づきまして我が国で在留が認められている、そして、在留中は活動に制限がないということから、製造現場等比較的単純な分野での就労も、望めば可能である、こういうような方々がいらっしゃる、こういうことでございます。

 このほか、資格外の活動の許可というようなことで、留学生でアルバイトを行う者とか、これは一つのカテゴリーと言っていいかもしれませんが、技能移転を通じた開発途上国への国際協力を目的とする技能実習生というものも御案内のようにいらっしゃるわけでございます。

 強いて言えば三つと言ってもいいし、留学生のアルバイトも入れると、これはちょっと労働行政の分野とも言えないかと思いますけれども、しかし、周辺の、アルバイトという労働をなさっている人としているということでございまして、大体三つないしは三つ半くらいの感じでとらえていただければよろしいのではないか、このように思います。

中川(正)委員 それは恐らく大臣の個人的な定義だと思うんですね。法律の中でとか、あるいは行政施策の中でこの分野を特定した定義なんて見たことないですよ、厚生労働省から。さっき例に出された特定活動とか定住者というのは、これは法務省の方の在留資格の定義を流用して使ったということなんです。

 法務省の方に改めて聞きたいんですが、この特定活動とかあるいは定住者ということ、これは、定住者の方は日系三世まで、いわゆる日系と言われる一つの身分にかかわる人たちですね。それから、特定活動というのは、実質的には技能実習、いわゆる研修生の制度で入ってきた人たちだと思うんですが、この二つは、労働者として、いわゆる労働力として日本が受け入れている在留資格なのか、それとも違った目的でこの資格を今定義されているのか、そこのところを、法務大臣、答えていただきたいというふうに思います。

長勢国務大臣 日本で就労しておられる外国人は、一般的には広くこれを外国人労働者と言っておると思います。今、厚生労働大臣からお答えがあったように、入管法上も外国人労働者というものの定義はございません。

 就労を目的としての入国、在留が認められている外国人というものは、今、厚生労働大臣からもお答えのあったように、いわゆる専門技術者としての就労資格の対象となる者、それと、いわゆる技能実習生は、就労を目的としての特別資格としての在留を認められておるという方々がおられるのと、もともと日本に永住、定住、これは何の活動の支障なく日本におることを認められておる方々ですから、この方々は当然就労されておる人もおられます。これらも全部ひっくるめて、一般的には外国人労働者と称しておるということになっておると思います。

中川(正)委員 だから、これは専門職としての受け入れの、今配付した資料の中にあるんですが、「在留資格一覧表」、この中に、各在留資格に定められた範囲での就労が可能な人たちというのは、外交官から、興行だとか、いわゆるダンサーなんかがその中、あるいは企業内転勤だとか、そこまで専門職というのが決められているだけで、単純ないわゆる労働につく人たちという分野については、今のところ、特定活動と定住者、こういうことになるんですね。

 そのように整理がされているということに対して、結局は、この特定活動と定住者というのが、労働を目的とした形の受け入れではなくて、違った定義の中で日本に受け入れられている。この人たちが、トータルで今八十万人に近い形で日本に受け入れられて、外国人労働者として工場の中に入って単純労働に従事をしている、こういうことが現状だということです。

 そのことに対してどんな問題が起きているかということでありますが、この配付させていただいた資料の三枚目、これを見ていただきたいと思うんですけれども、私のところの地元の四日市、鈴鹿などと密接に関連がありまして、それからあと、愛知県の豊田を中心にした地域、静岡で浜松周辺、茨城、それから栃木、群馬、そういういわゆる組み立て、物づくりを中心にした地域には外国人の定住者というのが、集まって住んでいるという意味なんですが、今集住をしているんです。そういう都市が集まった形で集住会議というのが今活動を開始しています。そんな中で、結局、各地方自治体に非常に大きな負担になってきている。

 例えば、前回も岡田議員から少し話が出ましたが、私たち四日市の笹川という地域なんですが、その地域で市営住宅がありまして、そこに、日系のブラジル人を中心にした外国人労働者というのが集住をしています。ですから、結果的には、来年あたりからは小学校の半分以上が外国人の子供たちで占められてくるというふうな問題であるとか、あるいは、ごみの収集日の日程や何かがなかなか伝わらなくて地域住民とのトラブルに発展をしていくケースがあるとか、さまざまな状況が今生まれてきている。あるいは、中には偏見や何かもありまして大変な状況になりつつあるということ、これが方々の、またマスコミからも報道されています。

 その結果、これを見ていただくと、私、四日市市と鈴鹿市と亀山市に、今どれぐらいのコストをこれにかけているかということを出させました。ここにある数字が、十四年度から十八年度にかけて、さまざまな対策、そのさまざまな対策の中身というのは、関連予算の実例として、集住地区の拠点施設をつくったり、児童のための適応教室を特別に開設して学校の中にそういう教育システムを入れたり、あるいは小中学校への適応指導の派遣の人材というのを雇用したり、そういうのを含めて、四日市市で十八年度で六千七百万、鈴鹿市で三千万。亀山市、これは小さな町ですけれども、ここでも千七百万というふうな形。これでも十分じゃないんです。この先どうしようかということで、非常に戸惑いの中で頑張っているということなんですね。

 それを、最終的にはこのコストというのはだれが負担すべきものなんですか。こうして地方自治体が一般財政の中でやりくりをしていくというたぐいのものなのかどうかということですね。ここについて、これは大臣は総務大臣なのかな。これは、地方自治体だけがこんな形でこのしわ寄せというのを負担していくということでいいんですか、総務大臣。

菅国務大臣 それは、過度な負担がかからないように、私ども、交付税等で措置していく必要があるというふうに考えます。

中川(正)委員 この構造というのは、基本的には、企業がそのコストを削減するために、企業の論理でいけば、海外に工場移転するかわりに日本の中でコスト削減を考えていく、そのときに、外国人労働者をこうした形で雇用していくということと派遣という制度の中でやりくりをしていきたい、これがもとになっているわけですね。それのしわ寄せ、それの周辺コストというのが地方自治体に全くかかってきている、こういう話だと思うんですよ。本来は、これは企業が負担すべきものなんじゃないですか。

 厚生労働大臣、どう思いますか。

柳澤国務大臣 これは多分、日系の方々が中心であろうかと思います。つまり、身分に基づいて入国をされ、その人たちの国内の活動については別段の制限が置かれておりませんので、労働にも従事をなさる、こういう形での雇用が行われていることだろうと思います。

 この場合に企業との関係ではどうかといえば、それはやはり企業は、雇用契約に基づいて賃金を支払い、あるいは福利厚生を一般同様に必要に応じて行い、さらに能力向上等についても必要に応じて行う、こういう形になろうと思って、それなりのコストを負担する。

 その余のことはどうか。地方公共団体におけるいろいろなかかり増し費用についてどうするかということについては、やはり一般論としては、その企業が立地することによって当該の地方公共団体から課せられる公租公課を支払うことによって、そして地方公共団体がそうした事業を行うということであろう、このように考えるところです。

中川(正)委員 その考え方はさっきの原点に戻っていくんですよ。その答えしか出てこないというのはなぜかといえば、外国人労働者としての定義ができていないからなんですね、この日系の人たちの受け入れについて。制度化していないんですよ。これは、違う明文の中で、いわゆる身分ということの中で働きに来るんじゃなくて、たまたま日系だから日本に来るんだ。ところが、彼らの目的は働きに来るんですよ。そこのところが、結局、来たところでやはり外国人なんですね。だから、社会全体として受け入れようと思ったら、それだけの体制をつくらなきゃいけない。その体制のためには、やはりお金が要るわけですよ。

 その仕組みをしっかりつくっておかないと、結局はすべてが中途半端な形になって、一番犠牲になっていくのが、海外から働きに来た人たちへ向いてしわ寄せが行っているということと、それから地域社会へ向いてそのしわ寄せが行っているというこの現実に、やはりしっかりと目を向けるべきだというふうに思うんです。

 それを、さっきの大臣の答弁は、いや、これは外国人じゃないんだよと、企業が雇った一般的な労働者と同じ条件で、企業も税金を払っているからそれは地域社会で還元できているでしょう、そういう答えなんですよ。ここに一つ矛盾があるんだ、問題があるんだということをしっかりと認識していただきたいというふうに思うんです。

 これと同じような構図というのが、この日系の外国人労働者だけじゃなくて、もう一つの、研修を目的とした研修制度の中にもあります。これは、中国人あるいは東南アジアを中心に、ベトナム、タイ、今、非常に大きな制度として発展をしてきております。これも目的は何かといったら、国際交流とそれから技術移転なんです。日本の受け入れの体制というのはそういう形で定義をされている。

 ところが、実際に来ている人たちというのは、働きに来るんですよ、出稼ぎに来るんですよ。そのつもりで来るから、基本的に、いろいろなメディアでこれも報道されているのをもう改めて個別には示しませんけれども、例えば、時間給でいえば三百円、その程度で研修の中で働かされて、結局手にするのは月々五万円ぐらいしかないよ、あるいは三万円ぐらいで生活しているんですよ、そういう事例が方々に出てくる。あるいは、人身売買的な行為で働かされているというような事例もあちこちで出てくる。さまざまな問題が今これでうっせきをしてきております。

 そういうことに関して、今、この技能研修の制度、これを基本的に見直していく必要があるんじゃないかというその機運が出てきているんですけれども、厚生大臣、これをどのように受けとめられておりますか。

柳澤国務大臣 外国人研修・技能実習制度というものがありまして、これは国際協力による技能移転を目的としている、今委員の御指摘のとおりでございます。この目的に沿った研修・技能実習が行われるよう、国際研修協力機構、JITCOを通じまして、技能実習移行時における研修成果の評価であるとか、受け入れ団体、企業に対する巡回指導等を行っているところでございます。

 しかし、今御指摘のように、一部の受け入れ企業にとっては、研修生を実質的に低賃金労働者として扱っているというようなことも存在するわけでありまして、このことは制度の趣旨として問題である、このように考えているところでございます。

 このため、今、厚生労働省として何をしているかといいますと、先ほどの、いわば最初の受け入れの枠組みをつくっているところの国際研修協力機構を通じた、全受け入れ機関に対する自主点検それから巡回指導の強化、こういうようなものを行い、また、労働基準監督機関において監督指導を強化する、それから、入管当局を初めとした関係行政機関と連携をして、それぞれこの制度が適正な運用を図られるよう取り組みを強化しているところでございます。

中川(正)委員 大臣、それは役所から出てきた答弁だと思うんです。読んでいて気がつかれているんだろうと思うんですが、むなしいでしょう。これは、取り締まりを強化する、強化するだけで解決できる問題とそうじゃない問題があると思うんです。そうじゃないというのは何が問題なのかといったら、制度的な矛盾があるんですよ。それで、その制度的な矛盾を何とか取り繕いながら現状を維持していこうとするから、そんなふうにむなしい答弁になる。

 だから、私が言っているのは、基本的に、この外国人労働者の受け入れということの中でちゃんとしたカテゴリーをつくって、それでもう一つ一番大事なところは、この単純労働を今認めていないからこういうことになるんですが、実質的には単純労働としてみんな入ってきているんです。これが現実なんですよね。それを日本の国家としてどれぐらいの割合で許容していくのか。その割合を許容できれば、それをちゃんとした制度で法制化して、行政の中にもそのカテゴリーをつくってしっかりとした体制を整備するということ、ここまで行かないとこんなものは解決しませんよ。

 そういう意味で、もう一回聞きますけれども、厚生労働省としては、単純労働で現実的に来ているこの外国人労働者というのをどれぐらいの枠組みで日本としては受け入れていこうとしているのか、この政策はちゃんと決まっていますか。

柳澤国務大臣 そう余り性急な御質問を畳み込まれると困るのでございますが、そこで、昨年末に、規制改革・民間開放推進会議というものがございますが、そこから第三次答申というものが出まして、そこでは、実務研修中のこれらの研修生の法的保護のあり方について、遅くとも平成二十一年通常国会に関係法案を提出するなど必要な措置を講じろ、こういうこととなっているところでございます。

 したがいまして、厚生労働省としては、研究会を設置して、制度の適正化やあり方に関する事項について、問題点の整理等それに基づく検討を行っているところでございまして、今後、関係省庁と連携しながら、できるだけ早期に結論を出して事態の整理をしていきたい、このように考えております。

中川(正)委員 相変わらず役人答弁で、苦笑いをしながら答弁していますが、ちょっとこれは真剣に取り組んでいくという体制をつくる必要があると思いますし、ここのところをしっかり解決しておかないと、例えば今ヨーロッパでは、外国人労働者をどのように社会に融和させていくかというのは最大の課題になっていますよ。これは、過去に整理をしていなかったから、そのツケが今ヨーロッパは回ってきているんですよ。日本はまだ間に合う。だから、そういう意味で、これはしっかりとした定義、まず認知をするというところから始めていただきたいというふうに思うんです。

 それから、こればかりやっていると、もう一時間たっちゃうので。まだ何か言いたいですか。自分の言葉で言ってください、役人の言葉じゃなくて。

柳澤国務大臣 今、中川先生から、私も実は個人的にも強い関心を持っておる分野での御質問がありました。

 ただ、私、逃げじゃありませんけれども、この問題というのは、国策全体の上で非常に重要な問題なんですね。したがって、一厚生労働省だけで解決できる問題ではないということも、もう当然中川委員御存じのところでございましょうけれども、ぜひ御承知おきいただいて、またいろいろ御指導をお願いできればと思います。

中川(正)委員 この問題は、総理も含めてまたやっていきましょう。

 次に、三位一体改革によって各地方自治体でいかに格差が生まれたかということを議論していきたいというふうに思います。

 ちょっと時間が足りなくなったので大枠で説明しますけれども、今回の三位一体で、国庫補助負担金というのが四・七兆円削減された。税源移譲で三兆円が地方に戻された。地方交付税、これが、結果的には交付税そのものは二・一兆円の減なんですが、もう一つ、臨時財政対策債、これは、地方債を発行したものを交付税で裏書き、いわゆる将来は負担をしていきますよという形でなされたもの、これが削減をされました。これは三兆円削減されて、これが交付税ショックと言われているんですが、三兆円と二・一兆円で五兆円の地方交付税、これが削減をされたという結果になっています。

 その結果何が起こっているか、こういうことなんですが、配付をさせていただいた資料の、さっきの外国人関連予算の次ですね、一覧表です。これは、予備的調査というのをかけまして、衆議院の調査局の方が調べたものなんですが、平成十六年をベースにしていて、十六、十七、十八とこうしたさっきの大枠の、マクロの改革がされた結果、市町村を中心にして、わかりやすく言えば、どれだけ得してどれだけ損したか、そういう一覧表なんです。それを、神奈川県の分と、我が三重県の分と、それから高知県、それぞれ類型的に代表的な県を並べました。

 一番右端の調整結果というところを見ていただくと、このパーセントの数字はどういうことかといったら、いわゆる補助金がカットされた分とそれから税源移譲された分、それの割合なんですよ。一〇〇%以上というのが、結局は税源移譲で得した分がこれだけですね、こういう話です。一〇〇%を切っているものは、結果的には財政的には削られたというところ、それの割合なんです。

 これを見ていただいてわかりますように、市町村の中には不交付団体と交付団体がありまして、不交付団体は黒いシャドーで塗ってあります。交付団体は真っ白です。これは一目瞭然なんですが、不交付団体は、結局は地方交付税で調整されませんから、交付された分、いわゆる税源移譲で自主財源として入ってきた分は一〇〇%ふえるんですよね。

 一般的には、いわゆる交付税が五兆円からのカットがされていますから、結局は過疎団体に対しては非常に厳しい状況になっていまして、私の三重県なんか見ていただくと、地理的に頭に入っている部分で説明できるんですけれども、結局は、過疎地域で、特に伊勢から紀州路、紀伊半島のずっと名古屋から離れれば離れていく、そういう過疎町村に行くほど厳しい状況になっていて、名古屋に近い不交付団体というのは一〇〇%以上。それから、神奈川あたりに行きますと、不交付団体がほとんどですから、結果的には三〇〇%とか一八〇%とかという形で偏りがある。

 結果的に、この調査の傾向というのを見ていると、都市部で豊かなところがさらに豊かになって、過疎地域はその結果非常に疲弊をしてきたということ、こういう結果が三位一体の税源移譲ということで出ていますよねというのがこの一覧表なんですね。

 これを見て総務大臣、どのように解釈されますか。

菅国務大臣 確かに、今委員が指摘した資料では地域間においてばらつきがある、そういうことになっておりますけれども、三位一体の改革というのは、財政力格差の拡大に懸念をし、対策も実は講じておりまして、例えば個人住民税については、一〇%の比例税率化を行って税収が特定の団体に偏ることのないようにしている。あるいは、税源帰属の適正化を目的とした法人事業税の分割基準の見直しを行った。こういう結果によって税源の偏在を緩和することに実はなっております。

 いずれにしろ、これ以外に、今の資料にはこの法人事業税分等が含まれておりませんので、結果的にはその分には交付税で措置をしている、そういうことで理解をいただきたいと思います。

中川(正)委員 大臣もやはり役人の書いた文書を読んでいて矛盾を感じていると思うんですが、そういうことをした結果がこれは出ているんですよ。特に、所得税を住民税に置きかえた、それもフラット化したということで説明していますけれども、結果が出ていない。

 なぜかといったら、交付税で調整されちゃって、結果的に、交付税をこれだけ下げたことによって不交付団体が非常にふえたんですよ。豊かなところ、大体いけるところは不交付団体になってきた。なってきたところへ向いて地方税に置きかえられたから、それは一〇〇%生きてくるわけです。カットされた分は過疎地域へ向いてもろにきいているということ。これを交付税で調整しようと思っても、交付税が五兆円からカットされているわけですから、調整機能が十分に果たされていないというところで、そこへ向いてしわ寄せが来ている、だからこれだけの格差が出ているんだということ、これを認識していただきたい。

 それからもう一つは、都道府県でいったら、これは東京のひとり勝ちなんです、そういう意味でいけば。東京は莫大な税収増になっているんですが、それを、さっきの話で、法人税のいわゆる分割基準で地方の工場へ向いてえり分けましたよ、こういう話なんです。これは都道府県の場合の調整なんですが、ところが、はっきり出ているように、工場がちゃんと立地していたところはそういう形でおりているけれども、もともとの過疎地域で工場も来ていないようなところにこの制度が働くはずがないんです。だから、こういう形ではっきりとした格差が出てきているということなんです。

 これは制度が破綻していますよ。三位一体というのは何てことをしたんだということなんです。これは、今夕張の話が出ていますけれども、夕張の問題だけじゃない、この改革は制度的に欠陥があるんですということを指摘しておきたいというふうに思います。

 さらに、時間がなくなってきたのでもう一つ行きますけれども、これは、行政あるいは財政的な制度の欠陥だけじゃなくて、政策的にもさまざまなところで民間の資金が地方から一たん東京へ向いて集まって、それから再配分されるという流れができてきている。その例を一つ挙げましょう。これはPFIなんですね。

 PFIという制度ができました。うちの地元でも小学校が三つぐらい建つことになって、同時にやらなきゃいけないからというので、PFIを勧められて、やったんです。ところが、普通なら、小学校一つ一つは地元の企業が全部受けてやっていた。ところが、PFIでやった途端に東京からゼネコンがやってきて、それで全部とっていっちゃった、こういう形なんです。

 これはもっと調べてみたらどんなことかといったら、PFIをやりますよ、これはノウハウが要りますよというので、東京にPFI協会という協会があるから、そこで話を聞きなさいというので、そこからコンサルタントが入ってきて、うちの市の中でそういう協議会というのができて、学者や地元の人たちも入った。その中でPFIの手法が組み立てられたんですが、何と、このPFI協会の方から地方へいわゆる指導にやってきた人というのは、学者で、もともといわゆるPFIのガイドラインをつくったときにその推進委員会の主力メンバーであって、この制度設計を自分でやった。自分でやったそれを地方へ広めるんだというので、地方へやってきた。ところが、その地方では、だれがこれを入札するのかということと、どういう資金の特に組み立てをするのかという指導も含めて、審査委員にもなっている。

 ところが、東京で何をしているかといったら、この人は、ゼネコンやその関係業者をいっぱい集めてPFI協会というのをつくって、二十万円の協賛金を取って、それで協会をなしているわけです。それで、四日市へ来て、こんな形でPFIでやりますよということをオープンにしたときに、だれが入札に参加してきたかといったら、その自分の協会にいるメンバーが全部おりてきて入札に参加しているわけですね。それで、結局のところは、地元抜きで、東京へ向いてこれは全部発注しなきゃいけませんよという話になって、金が、あるいは仕事自体が東京へ向いて吸い上げられるという構造がこれはできているんですよ。

 これは、たまたま四日市で、私の地元でこういうことが起こっていますが、これは今どれぐらいの範囲でこのPFIが広がっているか。これは内閣の方ですね、大臣。

大田国務大臣 PFIは次第に広がっておりまして、今、合計して全国で二百六十件実施されております。

中川(正)委員 恐らく、どこも似たり寄ったりの話をやっているんでしょう。

 新しい制度をつくったら、これは東京でつくるわけですね、東京でつくったら、地方でこれをやろうと思ったら、だれかに相談しなきゃいけないというので、いっぱい何とか協会とか何とかコンサルタントとかというのができているんですよ。それが地方へ行ってやっている間に、ちゃんとゼネコンで東京で集めて、それを引き連れて地方へ行っている。こういう構造、これはどうするんですか。

 それと同時に、こうしたPFIだけじゃなくて、新しい金融システム、特にREITなんかが象徴的ですけれども、こうした直接金融で物を組み立てていくその手法というのは、地方でなかなか成り立たないんですよね。だから、これも質問の中で徹底的にやるつもりでいたんですが、全体的に見ていて、地方のいわゆる金融機関が地方で貸し出す金額というのはぐっと縮んでいるんです。地方で回らない。地方でどちらかというと預金を吸収して、それを東京へ持っていって東京で再投資していくわけですから、東京にはこれだけ高層ビルが建ってくるという構造がある。

 こんなものも全部含めて構造的に考えていかないと、何が地方分権だ、こういう話になっていくわけでありまして、きょうは問題の指摘だけさせていただいて、もう時間が来たのでとめておきますが、そういうところまで掘り込んだ議論をしていかないと、この日本の状況というのはますますゆがんでくる、おかしくなってくる。

 これは、各地域で活動をしておられる国会議員というのはみんな感じていることなんですよ。そこへ向いて切り込むという議論をしっかりしていかないといけないということ、これを指摘させていただいて、きょうは、外務大臣、済みませんでした、ちょっと大事なところ、できなかったのでまたやりますから、終わりとします。

金子委員長 これにて中川君の質疑は終了いたしました。

 次に、末松義規君。

末松委員 民主党の末松義規でございます。

 きょうは、鳥インフルエンザからくる新型インフルエンザの対策及び地球環境問題の中で温暖化防止、この問題を取り上げたいと思います。大半は、鳥インフルエンザからくる新型インフルエンザの認識及び政府の危機対応とも言える対応についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 新型インフルエンザ、今ようやくテレビとか雑誌等で取り上げられてきた。そして、日本でも、宮崎、岡山、そういったところで鳥が感染をしてかなりの数が死亡する。お隣の韓国とか、これは数年間のレベルで見ると、世界、アジア及び中東も含めて、そしてアフリカと、さまざまなところで、ヨーロッパも含めて、この鳥インフルエンザが出てきたということです。

 昨年十一月に質問したように、通常は鳥から鳥という感染であった、それは鳥から人にはこないと言われていたのが、今度は鳥から人にうつってきて、今、二百七十名前後ですか感染して、そのうち百六十数名が死亡しているという状況になってまいりました。

 この新型インフルエンザの特徴を考える際には、数十年レベルで起こってきているというこの新型のインフルエンザの波、大きな歴史的な波があるわけですが、その最たるものが、一九一八年から二〇年ぐらいに起こったスペイン風邪と言われる弱毒性のインフルエンザでしたけれども、これが五千万人から一億人ぐらい死亡した。すさまじい数であります。

 特にアメリカがこれに対して非常に敏感になっておりますのは、そのときに、第一次大戦にアメリカ兵士が出兵した、そして、その中で、遺体で帰ってきた十人のうち大体八名ぐらいが、戦争で亡くなったのではなくてインフルエンザに感染してそこで死亡したという、ああいったアメリカの軍隊の悲惨な経験もあって、アメリカは本当に本気で取り組んでおります。

 ですから、二〇〇五年九月に、ブッシュ大統領がみずから、この鳥インフルエンザ封じ込め、撲滅ということで、七十一億ドルといいますから、八千三百億円の予算を投じ、そして二〇〇六年には約八千億円の予算を投じ、そして二〇〇七年には二千六百億円強の予算を今とりあえず投じて、この撲滅及び封じ込めに躍起になっているというのがよくわかるわけでございます。

 ただ、ここで非常に恐ろしいのは、この問題を考える上で一番恐ろしいのは、この鳥インフルエンザからくる新型インフルエンザが起こるか起こらないかではないと、日本でもですね、世界同時に発生すると言われていますけれども。WHOの大幹部の話によれば、起こるか起こらないかではなくて、近々に起こると。これは、この近年の趨勢を見ていると必ずそうだと言っているわけです。ただ、いつ起こるかが具体的に特定できないだけだと。これは厚生労働大臣も同じような認識をお持ちだと思います。

 そこで、この問題の本当に恐ろしいところは、患者がある日日本で出たら、多分途上国で出る可能性が、今出てるように、さらに出るんでしょうけれども、日本で患者が、旅行して帰ってきた方から出たら、それから一挙に広がっていくという、このパンデミックというか大流行に至るまでの期間が、数日間あるいは一、二週間で広まる危険性が非常に高いところであります。飛行機及びさまざまな交通機関によって一挙に進んでいくということでございます。

 さらに、このウイルスは、感染して数日間、血液を通じて全身に回っていくんですが、その間、自覚症状がない。そのときに人と話したりすると、飛沫感染及び空気感染によってどんどん広がっていくという恐ろしさがあります。SARSの場合は、発熱してから感染力が発生すると言われているので、発熱した人は病院に行ったりあるいは寝ていたりしてなかなか外出しないんですが、この新型インフルエンザの場合は、わからずにどんどん話して、一挙に広がっていくというのが非常に恐ろしいところでございます。

 そこで、アメリカの方では、この封じ込めに対して一番の大切な点は何かというと、トランスペアレンシー、情報の透明性といいますか、あるいは公開性が一番だと。どんな恐ろしさを持っているのか、国民に対して、医療のワクチンじゃなくて、知識のワクチンあるいは国民の理解のワクチンをまず打って、そして、大変なんだ、けれども政府はこれだけ対応しているから大丈夫だよというメッセージを同時に与えてきているところが私はうまいところだと思うわけです。

 そこで、日本の現状を見るんですが、その前に、今お配りした資料の三枚目からちょっとお話をさせていただきますが、これは一九一八年当時のスペイン風邪が流行したときのフィラデルフィアとセントルイスの、アメリカの都市の態様でございます。

 この図は、横軸が、一週間単位でどのくらいの死者が出たのかということなんですけれども、この縦軸の、これは医学的な専門家の間で使われている資料なものですから、例えば左がちょっととんがったのがありますけれども、これはフィラデルフィアでございまして、そして横に薄くなっているのがセントルイスの市の態様なんですけれども、とんがった、一万四千と書いてあるところ、これは年間で一万四千人死ぬであろうという推計でございまして、実は、一週間だったら一週間に例えば二百五十人ぐらいその場で死んだ、それを年間に直したらどのくらいいくんだ、こういう資料なものですから、この数字そのものは死者の数ではございません。これは十万人の単位で見ておりますので、これが例えば五十万人の都市であれば、この五倍になるわけでございます。

 ただ、フィラデルフィアの場合は、一挙に死者が上がったんですね。それからだんだん落ちていった。これは非常に悪いケースだったと言われております。一方、セントルイスの方は、これは徐々に広がっていって、ほとんど流行が封じ込められたというふうに言われているわけでございます。

 では、何でセントルイスの場合は流行を封じ込めることができたのかということでございますが、セントルイスの市長は非常に賢明な方でして、まず、死者が一人出た翌日に外出自粛令を出して、集会も禁止をし、そして店舗等を閉じたり、映画館等も閉鎖をしたり、そういった措置をとり、そして、国民に家から出るなということを呼びかけたわけでございます。それで、このセントルイスの方は、教会のミサも行くなということで、当時、政治的に非常に市長は窮地に陥ったわけです。みんなから不平不満がぶうぶう出て、何をやっているんだという話でやったんですが、市長の方は、市民の命を守るんだ、それが最優先だということで強硬措置をとってやった。そのために、大流行にならずに済んだ。

 一方、フィラデルフィアの方は、一週間ぐらい決断がおくれまして、人口の一割ぐらいが感染してから店舗の閉鎖とか集会の自粛要請とか外出の自粛要請とか、そういう形を出しまして、それで一挙に感染数がふえて、死者が膨大な数に上ったという苦い経験がございます。

 それがために、アメリカの方は、今非常に具体的な、国民に対して新型インフルエンザの理解を求める文書を発出しているわけであります。

 今掲げているこの資料は、米国保健福祉省の資料なんですけれども、新型インフルエンザと通常のインフルエンザがどう違うかということについて非常にはっきり述べておりまして、例えば、パンデミックという大流行、新型インフルエンザの場合には当分の間社会機能が麻痺しますよ、そして、特に社会秩序も崩壊する可能性がありますよ、だからそれに備えてくださいという言い方が米国の保健福祉省の国民に対する理解の求め方、呼びかけなんですね。

 例えば、具体的に、病院とか介護施設や看護施設、あるいは銀行、レストラン、自治体のサービス、また電話とか電力、郵便、こういったものも機能不全に陥る危険性が高いです、そして交通機関とかもかなり機能不全に陥っていくし、あと燃料不足ということもあり得ます、ですから、集会等、こういったものについてできなくなる可能性もありますと、こういったところから警告を発しているわけでございます。

 そこまでやらないと、このインフルエンザ、通常のインフルエンザというのは、何かちょっと寝ていれば治る、名前がインフルエンザなのでややこしいんですけれども、新型の場合は、現代のペストと言われるぐらいにすさまじいものだということを、ここで国民の皆さんに違いを知ってもらわないと、これは後で非常に困ることになる。

 翻って、では日本の場合どうなんだということで、この前、厚労大臣に十一月のときにこの話をさせていただきまして、そこで、国立感染研究所ですか、この情報センターのホームページが非常に古いし、いかにも何か問題ないんだよというような言い方をしているから、そんなのはだめだ、これじゃ役に立たぬということで、私の方で、これを変えてくれという話をしました。

 そこは厚労省の方でしっかりやっていただきまして、一カ月後ぐらいに全面的にそこは変えたわけでございますが、では、地方でどういうふうな状況になっているかといいますと、この資料の一枚目をごらんください。

 これは、大分県が最近使っている新型インフルエンザの紙でございます、これが実物なんですけれども。これは、やはり国立感染症研究所の感染症情報センター長の岡部信彦さんという方が監修しているということなんですけれども、ここで語られている内容が、説明はしているんですけれども、新型インフルエンザの特徴的なところが、どうもこれを見てもぴんとこない。そして、大分県の議会の関係の方に聞くと、こういうパンフレットだったらみんな危機感が持てないんだという苦情をいただいたわけでございます。

 例えば、これの一枚目の左側に「新型インフルエンザの予防方法は?」というのを書いてございますが、ちょっとだけ読みます。

  新型インフルエンザウイルスは突然空などからふってくることはありませんので、発生したとしても流行地に行かなければ感染の危険はありません。もし、身近な地域まで流行が広まった場合は、外出後の手洗いとうがい、マスクの着用、人混みに行かない、十分な休養とバランスのよい食事をとって体力や抵抗力を高めておくことが通常のインフルエンザと同様、個人個人にとって重要な予防策になります。

「通常のインフルエンザと同様、」と書いてあるんですよね。

 なぜかこれを見ると、体力的にしっかりしていて、そしてきちんと食事をとってやっていれば大丈夫だというようなイメージがわくんですね。でも、例えばプロレスラーの人でも、やはりウイルスが入ったらほとんど死んじゃうんですね。今で六〇%死亡ですよ。もし、人工肺なんか、そういった手当てがなされなかったら、ほぼ一〇〇%近いと言われるぐらいに死亡するんですね、やはりウイルス性ですから。

 だから、こういう書き方というのは非常におかしい。これだったら、やはり、ほとんどみんな、ああ何だ、通常のインフルエンザの延長線なんだねということしか感じないと思うんですが、こういった書き方、これはどういうふうに思われますか。厚労大臣あるいは総務大臣、地方でこういうことをやっているんですけれども、それをどう思われるか、質問したとおり、お願いします。

菅国務大臣 今委員からさまざまな、前段からのアメリカの例等の御説明もありました。そうしたことの指摘を受けて、私どももさらにしっかりやらなきゃならないという、今委員の質問の中で、私は思いを新たにしたわけであります。

 今どうなっているかと申し上げますと、地方公共団体が果たす役割というのは非常に多岐にわたっておりまして、厚生労働省や関係省庁と連携をして地方公共団体における対策の把握に今努めておるところでありますけれども、全都道府県において新型インフルエンザ行動計画というのは既に実はできております。

 しかし、今御指摘いただいた点も踏まえて、初期の、初動の大切さというんですか、そしてこの新型インフルエンザの恐ろしさというものを徹底するように努めていきたい、こう考えています。

末松委員 ぜひ、そこのところは各大臣にお願いしたいと思う。そういった意味で、きょうはいろいろな大臣にも御出席を賜っているわけです。

 例えば、アメリカの方は非常に具体的なんですね。資料の二枚目にございますように、新型インフルエンザ大流行時のチェックリストということで、これは出典がCDC、米国疾病予防管理センターと書いてありますが、米国の保健福祉省もこれを出しているわけですけれども、具体的に家庭の皆さんにわかりやすいように、こういうチェックリストが配られているんですね。

 厚生労働省の、今度、一月三十日に出ました新型インフルエンザのガイドラインがありますけれども、あれを見ても、一言、二週間分の食料あるいは日用品の備蓄があった方がよいでしょう、こういう感じで書いてある。何をどういうふうに、どんなものが必要なんだと、ここまできちんと国民の皆さんに言わないとわからないと思うんですね。

 ここでは、もう本当に個々具体的に、水、食料の備蓄とか、裏に書いていますように、缶詰とかクラッカーとかベビーフードとか、あるいは体温計とか、いろいろ書いてございます。

 そういったことを本当にしっかり踏まえて、国民が見て、ああ、わかりやすいよね、こういうことをすればいいんだということ、そこをぜひお願いしたいと思います。

 厚生労働大臣、特に国民への広報ということについて、一言お願いしたいと思います。

柳澤国務大臣 末松先生、大変新型インフルエンザのことを御研究いただいておりまして、いろいろな機会に私どもにこうした形でいろいろな問題点を指摘していただいて、私どもの準備に対して非常に参考になる情報をもたらしていただいていることに、まず感謝をいたしておきます。

 そういうようなことで、今も、この文脈から、アメリカの個人、家庭用のチェックリストはこれほど具体的ではないか、こういう御指摘をいただいたわけでございますけれども、私も国立感染症研究所の女性研究員の出した例の本を読んでおりまして、あの最後のところのチェックリストを見ておりまして、非常によく注意をすべきところを注意していただいているリストになっているということで、感心をして見ておるわけでございます。

 私ども、今いろいろな形で、国のやることなものですから、まず行動計画を決め、そしてフェーズ3までのガイドラインを決め、そして今フェーズ4以降のガイドラインをパブリックコメントに出している。その間に、それぞれのガイドラインに応じた実際の訓練を、机上訓練を過去もう二回、せんだっては地方団体まで含めての訓練を、二回行ったわけでございますけれども、これで最終的にガイドラインが固まった後、さらにまたどうしていくか。

 それから、特に国民の皆さんに対する啓発活動というものをどうしていくかということをやらなくてはいけないということであると思いますけれども、その節には、このぐらいの具体的なチェックリストというものを、これは地方自治体を通じてだろうと思いますので、地方自治体の皆さんにお願いをするということになると思いますけれども、やはり、ここまでいかないと本当の意味の準備というものにはならない。それで、先ほどのセントルイス型の対応というものが各自治体でとられるように私どもは持っていかなければいけない、このように考えております。

末松委員 厚生労働大臣はそれなりに危機意識をお持ちだと私も認識はしているところでございますが、ただ、では具体的に、先ほど机上訓練を二回ほどやられたという話でございましたけれども、二回目が二月の六日でしたか、今月の六日にやられたわけでございますが、その訓練の想定がどういうふうになっているか、大臣、御存じですか。

 今、具体的に問うことはせずに私が申し上げますけれども、実は徳島県で一人新型インフルエンザの患者が発生した、これは海外から帰ってきた方ということかと思いますけれども、それで、三月二日に発生したということから、三月六日、つまり四日間で発熱を訴えた方が二十名おられた、そしてインフルエンザにかかった方が、感染者が二名、たった二名、この想定で机上訓練をやっているわけですよ。世界から見たらこれは笑われますよ。

 私、ちょっと、それに対するに、なぜ笑われるかということについて説明をしたいんですけれども、これは二月二十六日号のプレイボーイという雑誌に載ったんですけれども、そこで、権威のある国立感染症研究所の研究員の方が学会で報告したシミュレーションがあるんですよ。

 これを見ると、海外で感染してから三日目で八王子で二人感染しましたという前提が置いてあって、それが、どんどんふえていって、十日目にどれだけ感染したかというシミュレーションでいくと、十二万六千九百五十一名感染したと。ここまで一挙に広がるぞという話のシミュレーションが堂々と載っているわけですよ。これは学会で発表したので、だから、いいかげんなものじゃないですよ。

 それで、政府の机上訓練の前提が、二人感染しましたと。これは余りにもお粗末じゃないですか。このプレイボーイでも、とんでもないじゃないかと言われているんですけれども、これについてコメントございますか。

外口政府参考人 二月五日に行われました新型インフルエンザ対応総合訓練でございますけれども、これの想定となった発症患者数につきましては、これは、この訓練が新型インフルエンザ発生初期における対応に重点を置いた訓練であったことから、専門家の御意見も踏まえて、限定した範囲での感染を想定したシナリオとしたものでございます。

 つまり、二十人発熱した方が出て、二人その中で確認された、そこで終息するという形ではなくて、もちろん、そこからまだ広がっていく可能性があるわけでございますけれども、一番最初の段階の初動態勢をチェックするということを重点にそういったシナリオとしたわけでございます。

 もちろん、さらに広がったときどうするか、そういった訓練も今後やっていくわけでございますけれども、やはり順番にやっていこうと考えておりますので、先日のような訓練となったわけでございます。

 発生時に適切な対応が迅速に講じられますよう、引き続き対策を推進していきたいと考えております。

末松委員 それは非現実的なんですよ。つまり、四日間だけの訓練ですというのはあり得ないんですよ。

 ちょっと外口局長、あなたもよくやっていらっしゃるから余りそこは私も批判したくはないんだけれども、十日間で十二万何人かかるというようなことまで、たった五日の違いで十数万人かかるという。ところが、あなたの想定では、今回、ぶつ切った、四日間だけで、あとはまた別途やりますと。では、それから例えば一万人とか二万人とかかかるのに、どのくらいの日数をあなたは見ているんですか。

外口政府参考人 どのぐらい広がるかは、これは感染力によるわけでございますけれども、例えば、さっき先生が御紹介されました研究のように、都心部で発生し、それが中央線とか山手線とか利用された方を通じて広がっていくということになると、先ほど想定のような数字の大変な数になると思います。

末松委員 だったら、そこまで、十日間ぐらいの想定でシナリオをつくるのが当たり前じゃないですか。

 都心部、都心部と言うけれども、徳島県というのはそんなに人がいないんですか。二人ですよ。ちょっと冗談じゃないですよ。しっかりとここは、何かやる気があるのか、要するに、全体像が見えるような形でやっているのかと。続いてどんどん起こるわけですから、そこのところをしっかりやってもらわないと困るんですよ。まさしく、本気でやっているとは思えない。

 だから、次にやるときは、本当にリアリティーがあるような形でやっていかないと、WHOで、日本がこんな訓練やりました、実は四日間で限定してやっているんですと言ったら、本当にこれは笑われますよ。そこは、ぜひお願いしたいと思います。

 このプレイボーイの記事で、もう一点ちょっと私気になったことがあったんです。それは何かというと、宮崎で、実際に消毒を行った職員の血液検査、これは通常やるという形で厚生労働省がお達しを出しているんですけれども、それが、もうやらなくてよくなったというようなことが報道されているんです。これは宮崎県の県の職員から言われているわけですよ。これは実際に事実なんですか。

外口政府参考人 鳥類でインフルエンザH5N1が発生した際の防疫作業従事者の血清中の抗体検査につきましては、これまで、作業に従事することによる感染の有無を確実に把握して防疫作業従事者の適切な健康管理につなげるために実施してきたものであります。

 しかしながら、二〇〇四年に京都府において実施した調査の結果、適切な個人感染防護具の着用の効果が確認されたことや、発症しなければ、防疫作業従事者の健康被害はなく、また周囲への感染拡大も起きないこと、さらには、抗体検査は、その人の過去の感染を示唆するものの、検査時点での感染の有無の確認ができないことなどから、昨年十二月に、防疫作業従事者に対しましては、研究目的での協力を求めるということは今後もありますけれども、一律に検査することはせずに、個人感染防護具の適切な装着及び本疾患の潜伏期間を考慮した十日間健康監視の徹底を要請することとし、血液検査は義務的には求めないというようにしたものでございます。

末松委員 それは、実際に消毒している人たちの人権もしっかり考えてくださいよ。要するに血液検査、まずその人たちも不安になるわけですし、それから実際に、ひょっとしたら幾ら防護服を着ていても何かでかかるかもしれない、そういうときに、前の例では、ありませんから、だから今回もない、これからはないという前提でやっていきますという話はないんじゃないですか。

 再度、本当にそこは徹底してやらないと、実際に菌があるところで作業しているわけですから、そこを守ってあげないと大変なことになると思いますよ。もう一度そこは再検討していただきたいと思います。これは要望しておきます。(発言する者あり)では、そこは再検討するということを言っていただきたいと思います。

外口政府参考人 新型インフルエンザ対策は、そのときそのときの科学的知見に応じて適宜適切なものとすべきだと考えております。

 また、研究目的での検査等も今後とも行うことと考えておりますので、そういったことも含めて、最もよい方法を今後とも検討していきたいと考えております。

末松委員 大臣、ちょっと今の答弁は、何か答えていない答弁なんですよ。大臣からも、ちょっとそこを指示してくれませんか。

柳澤国務大臣 外口局長としては、研究目的でというようなことをおっしゃって、結局はやるということを言っているようにも私には聞こえましたが、しかし、これは、本当に今、防護服の効用があるということが確認されたのでその必要はないというふうに思ったということが答弁だったんですが、やはり念には念を入れてということでやらせたい、このように思います。

末松委員 大臣、そういったきちんとした答弁、ぜひ下に下して、実現していくようにしてください。

 さっき、研究目的という話でしたけれども、これは研究じゃないんですよ。だって、人の命がかかっているわけだから。そこのところ、ちょっと勘違いしないようにしてくださいね。

 先ほど大臣から、国立感染症研究所の女性の研究員の方ということで、私もこの本を愛読させていただいています。岡田晴恵さんという研究員の方で、「強毒性新型インフルエンザの脅威」「パンデミック・フルー」という、これは非常に評価の高い本でございます。

 そこで、私、ちょっと気がかりなことを感じたんです。この岡田先生の著書に関することで私は彼女と連絡をとったりしていたんですけれども、最近になって、いや、それは国立感染症研究所の所長の許可がないと答えられません、許可がないと応じられませんというような、彼女自身もそういったことを、直接には言われませんけれども、どうも言葉の端々に出ているんですよね。

 どうも、そのままいくと、何か国立感染症研究所の規定で、外部の者は所長の許可がないと一切だめだ、そういうふうに言われているということで、それを犯すと人事上えらい大変な、不適切なというか、措置を食らうということで、そこは彼女は直接言っていませんけれども、私から見たら、そういうふうに受け取られるような、何か圧力を感じるんです。

 そういった著書に関すること、これがどんどん、結局は答えられません、許可がおりませんという話になったら、私ども議員とかあるいはマスコミを含めて、これはまずいと思うんですけれども、そこら辺はどうお感じになりますか。

西山政府参考人 結論から申し上げれば、私どもが研究員に対して、いろいろと情報の封じ込めだとか、そういうことに対して指導した事実はございません。

 現在、原則としては、さまざまなお問い合わせに対しまして、総務部が窓口になっております。しかも、研究者や職員に対しまして、直接、外部からの説明の御依頼があった場合でも、それを禁止したり、事前に許可をする、そのような事実といいますか、そのような制度はございませんので、御理解を賜りたいと思います。

末松委員 私はちょっとほかの方にも聞いたんですけれども、そういうふうな内規があるという話が、紙になっているという話があるんですけれども、それもうそだということですね。

西山政府参考人 内規も見させていただきましたけれども、今、私申し上げましたように、原則として、研究者や職員に対しましても、直接外部からの説明の依頼等があった場合でも、それを禁止したり、事前に許可をとるというようなことはないというふうに考えております。

末松委員 そこを本当にもう一度、私、ちょっとねちっこくて恐縮なんですけれども、例えば、そういった著書に関することとか情報公開のレベルで、私ちょっと思ったんですが、前も言ったし今も言っていますけれども、国立感染症情報センターの情報は非常に甘い記述が多いんですね、ほとんど問題ないよみたいな言い方をして。それが根本的におかしいというのが、多分、この岡田さんの著書から感じることなんですね。そういった場合に、何か、余り危機感をあおるなみたいな言い方をされているんじゃないかと私は懸念するわけなんですね。

 ですから、そこで、例えば人事上とか、岡田さんのだんなさんなんかも研究所にお勤めだというお話ですけれども、そういった意味を含めて、何か人事上のおかしなこととかいうことがないように、私は、ないはずだと思っているし、これから情報の制限、そういうことはないはずだと思っていますけれども、そう考えてよろしいですね。

西山政府参考人 先ほど申し上げましたように、研究者の方たちが外部に対してどう説明するかということに対して、事前に禁止をするとか、そういうことは規定としてございませんけれども、先生が言われたようなことがもしも仮に起こるとすれば、私どももチェックしていきたいと思います。

末松委員 しっかりとチェックしてくださいね、そこは。

 次に、このワクチンについてお伺いします。

 タミフルについては、二千五百万人分が備蓄をされるというのが来年の三月なんですね。実態上、もし違ったら言ってください。ワクチンは、プレパンデミックワクチンというんですか、要するに、流行前に飲む。それと同種の、例えばインドネシアとか中国とかベトナムではやった型のワクチンを飲めば、抵抗力がついて、二、三割生存率が上がるという状況というのを聞いておりますけれども、このプレパンデミックワクチンは、つくっていないとまずい。

 なぜかというと、例えば、日本で患者が出て、そのパンデミックのワクチンが必要だといったときには、そのウイルスから研究をしてやるのに、日本で手に入るまで一年間かかる、そういうふうに言われているわけなんです。ですから、一年後に言ったって遅いよと、当然、みんなそう思っているわけなんですね。だから、プロトタイプというか、プレパンデミックワクチンというのは、まずつくっておかなきゃいけない。

 アメリカは今それが四千万人分あるというふうに私は聞いております。日本の場合は今月末に一千万人分ができるという予定だと聞いているわけですけれども、ただ、ことし分というか、ことし、もうそれ以上つくらないのかというと、これは参議院予算委員会で澤議員が御指摘をしていまして、それに対して予算をとったのかと言ったら、厚生労働大臣は、それに対しておっしゃっていなかったですね。直接答えていなかったんですけれども、そこはしっかりととる気があるのかどうか、そこをお伺いします。

柳澤国務大臣 プレパンデミックワクチンのことにつきまして御質疑をいただいたわけでございますけれども、今日までのところでは、ベトナムではやったトリ・ヒトのワクチンを原株にしまして、それをもとにつくったワクチンが半分、五百万人分、それから、その後インドネシアで同じようにトリ・ヒトで感染したウイルスからつくったワクチンが五百万人分、これを二月末までに全部原液で製造できて備蓄をするということですので、合計一千万人分がこれで備蓄できる、こういう体制が整いました。

 問題は、その後をどうするかということでございますけれども、その後、やるとすれば、多分、今度の宮崎のウイルスも、中国の安徽省ではやった安徽型とでもいいましょうか、そういうものであったということですので、そちらの方がより後に出てきたウイルスですから進歩している。その進歩した形のものからワクチンを製造するというのがいいだろうということになるかと思います。

 これについての予算措置は現在どうしているかということでございますけれども、今現在のところは、予算措置を講じているということはございません。しかし、私どもとしては、いろいろ将来のことも考えまして、これらについても、どのように適切に対処していくかということについては、検討をしているところでございます。

末松委員 ぜひ、検討というか、厚生労働大臣としては、とるんだと決意を述べてほしいんですね。

 といいますのは、どうしてかというと、一千万人分というのは、これは、だれから配るかというと、大変な話になるわけですよ。今言われているのは、医療従事者はまあ当然だろうねと。なぜかというと、スペイン風邪のときに一番最初に死んでいったのはだれかというと、医者と看護婦ですよ。患者はどんどん押し寄せてくるわけでしょう。ゴホゴホ言いながら来るわけです。それで感染してまず倒れたんですね。だから、医療従事者の方は、まずはこの配給があるべきだ。

 次に、治安関係者とかいろいろ社会の、ベーシックなニーズといいますか、例えば電力とかそういった方なんかにもやはりこれは必要だろうと私は思うんですよ。しかし、よくよく調べてみたら、大体、この医療従事者、すそを広くとれば、日本でそういった治安関係とか全部含めて一千万人以上いるというんですよ。そうしたら、その人たちに配れば、では結局、一般の人にどういうふうに手に入るんだ、それで足りるのかという話になるんですけれども、それはどう思いますか。

柳澤国務大臣 今のこの一千万人分につきましては、今委員が御指摘になられたように、まず医療関係者、それから社会機能維持者というカテゴリーの方々を大体対象として備蓄量を考えているということでございます。

 したがいまして、これまた、これも専門家でないとなかなかわからないんですが、私は書物から得た程度の知識でございますけれども、それで申し上げますと、次々に新しいものができてくる、それから、プレパンデミックワクチンということで、本当のそのときはやっているウイルスのワクチンではありませんから、どの程度効くかもまだ定かでないというような状況もありまして、また、ワクチンの有効期限というものもあるというようなことも総合勘案しまして、次に対して備えていくということを私どもとしては考えていきたい、このように考えます。

末松委員 私の質問に直接答えていませんけれども、一千万人だったら足りないんじゃないですかと。だから、もっと、あれは一たんつくると数年間もつという話なんで、そこはきちんと、やはりしっかりと予算をとってプレパンデミックのワクチンを、何か卵で培養するというんだけれども、卵を確保できなかった、つくれないという話になるわけでしょう。だから、澤議員もそこはしっかり言われていましたけれども、そこのところをきちんとやっていくんだということを、ちょっと改めて決意を表明していただきたいと思います。

柳澤国務大臣 今私どもの間で話し合いましたこの問題点につきましては、きちっと検討して対応していきたい、このように思います。

末松委員 そこはよろしくお願いします。

 アメリカはどこまで覚悟があるかというと、財務省の報告で見ると、プレパンデミックワクチンというのは、アメリカは四千万人分今持っていると言われている。さらに、どんどん突然変異を繰り返すので、そこはなかなかつくりにくいのはそうなんですが、もしアメリカではやった場合には、そのはやったワクチンを半年以内にアメリカの全国民に供給するということが財務省のレポートを見ると書いてあるんです、二億八千万人すべてに半年以内にワクチンを供給するんだと。日本のこのガイドラインを見ると、一年かかると書いてあるんですよ、パンデミックワクチンをつくるのに。

 この半年の差というのは何なんですか。要は、日本というのは技術的に劣っているのか、何か手続的に面倒なのか、どうなんですか。アメリカは半年でやる、可能だと書いてあるんですけれども、そこはどうですか。

外口政府参考人 アメリカのワクチン対策と日本のワクチン対策の差についての御質問でございますけれども、まず、プレパンデミックワクチンにつきましては、これは、先ほど大臣から答弁申し上げましたように、本年二月末までに、目標量約一千万人分の確保を目指しております。

 米国の状況でございますけれども、これはワクチンを二回打って一人分になりますので、アメリカの場合四千万ドーズで二千万人分だと思いますけれども、その事前備蓄を目標としているものと承知しております。

 それから、パンデミックワクチンでございますけれども、これはアメリカの考え方でございますけれども、議員御指摘のように、六カ月間で、三億回接種分というと一人二回接種にすれば一億五千万人分、これの生産が可能となることを目標にして、現在、新たな製造方法、今、通常のつくり方は卵を使うんですけれども、新たな製造方法というのは組織培養の方法でございます。

 ただ、組織培養の方法というのは、タンクで培養してということでかなり速くできるという利点がございますけれども、安全性の確保という点でかなり詰めが必要でございまして、使った細胞の中の異種たんぱくがアレルギー反応を起こすかどうかという等、かなり詰めなきゃいけませんので、まだ開発中でございまして、実用化にはもうちょっとかかるようでございます。もちろん日本でも、そういった意味の研究は進めておるところでございます。

 他方、日本の方のワクチン対策でございますけれども、これは今の通常期のインフルエンザワクチンの生産は卵でやっておりますけれども、もしパンデミック、はやったときには、これはガイドラインでも規定してありますけれども、直ちに通常型の製造ラインを切りかえて、それでパンデミック型をつくり始めるということにしております。それで、感染の拡大状況に即して、追加的なワクチンの生産が必要かの検討なども含めて、できる限りの対応をすることとしているところでございます。

 今後とも、各国の状況等も見ながら、いろいろ頑張っていきたいと考えております。

末松委員 外口局長、あなたも一生懸命やっているから私も言いたくないんだけれども、記述を客観的に述べるのはいいんだけれども、とにかく、半年なら半年で、血眼になって国民のためにワクチンを開発するんだという意思でやっていますというのが欲しいんですよ。アメリカの何かあれは不確かでどうだこうだと言って、問題ないと、日本の場合はもうちょっときっちりやるから、でも一年かかるよねといったら、どっちが多く死ぬんだと。そこは、政治家たる大臣にもちょっと一言決意をお願いしますよ。

柳澤国務大臣 現在、アメリカのプレパンデミックの段階のワクチンというのは、人口のことを考えますと、日本とほぼ同水準の備蓄ということで理解してよろしいんではないかと思います。(末松委員「二倍じゃないの」と呼ぶ)いやいや、それでいい、こういうことです。

 問題は、パンデミックワクチン、本物のワクチンをどうやってつくるか、どうスピーディーにつくるかということについて、アメリカは、有精卵でつくるというようなこととは別の技術を今開発している、それで、目標としては、もっと短期間に大量のワクチンが製造できるような手法なんだ、こういうふうなことなんですけれども、我々の方として、それは研究はしているんだろうけれども、今は現実的な有精卵によるワクチンの製造ということを考えざるを得ないのではないかということを言っておるんです。

 いずれにしても、我々も、これは国際的な情報の交換をしょっちゅうしております。そういうようなことの中で、まさかアメリカも、そういうものが技術開発ができたときに、どこどこのところでまさにパンデミック状態になったときに、その技術を供与することはどう考えるべきだなんといってヘジタントになるようなことは私はないと思いますが、いずれにしても、両方とも競争するような形で、そうしたものをとにかく開発して間に合わせるような勢いでやっていかなきゃいけないということ、そういう委員の御主張はよくわかりますので、これからそういった意気込みで取り組んでまいります。

末松委員 ならば大臣、そこで満足しないでください。だったら、有精卵、それの確保はマストでやってくださいよ、日本は有精卵じゃないとだめだと言っているんだから。そこは、何か大臣から大きくうなずかれましたので、決意があると私は認めますが。

 ちょっと時間がなくなって恐縮ですけれども、一点、これまたバイタルなんですけれども、医療機関の協力が得られないんじゃないかということで、今非常に、この前、総務省の行政監察の報告書、これで問題だと指摘をされていたわけでございます。とにかく、保健所とか、拒否しているところがあるんですよ。それも監察結果でそう出ている。そして、あと、感染した患者の移送車両が県で一台から五台ぐらいしかないというので、正直言って、ほとんど移送もできない状況があるんですね。

 特に、お医者さんなんかは、本当に、自分の生死にかかわる問題です。確かに、患者がどんどん来て、これまた非常に致死的な患者が来るのに対して、聞くと、自分たちも協力したいんだけれども、マスクやゴーグルや、どうしても必要な備品が全く供与されていない、そこの約束もなくてどうやって自分たちが協力できるんだということを物すごく言われているんですね。

 そこのところは、しっかりした体制をつくっていないんですか。そうしないと、医者の協力が得られなかったら大変なことになるじゃないですか。医師会ともまだ協議が調っていないと思うんですけれども、それも含めて、大臣、いかがですか。

外口政府参考人 新型インフルエンザ対策の中で、御指摘の医療体制の整備、大変重要だと思います。

 それで、新型インフルエンザ発生時におきます医療機関の確保については、現在お示ししております医療体制に関するガイドラインの案におきまして、患者数の増加に応じた、結核病床を持つ医療機関等も活用する、それから発熱外来の設置における患者の振り分けを通じた感染拡大の防止等の対応をお示ししているところでありまして、引き続き、体制の確立に向けて準備を進めてまいりたいと考えております。

 それから次に、御指摘の、患者さんの移送についてでございますけれども、以前課題でございました消防機関等との連携の問題でございますが、これも、事前協議を通じた移送体制の確立につきまして、訓練を踏まえて、かなり話し合いが進んでおります。

 それから、ガイドラインの案の中におきましては、民間の患者等搬送事業者の活用等の普及啓発も示しておるところでございます。これは、実行上はまだまだ検討すべきところはありますけれども、鋭意努力していきたいと思います。

 それから、医療従事者の問題でございますけれども、これは、全国の医療従事者等を対象に、プレパンデミックワクチン、これを優先的に接種していただくことになると思います。それから、現在お示ししております医療施設等における感染対策のガイドライン案におきまして、マスクやゴーグルなどの着用等、適切な感染防止対策を示しているところでございます。

 これの具体策については……(末松委員「供与したのか、供与するのか、国が」と呼ぶ)この供与というか、実際にどう確保するかについては、具体案はまだ検討中でございます。ガイドラインを今いろいろ詰めておりますので、引き続き、そういったことの中で対策の強化に努めてまいりたいと考えております。

末松委員 確かに、ガイドラインを詰めるのは、一番先で、必要なんだけれども、それに対して、しっかりと関係者に交渉して、働きかけて、そこで合意を得るというところまでやることが重要なんですよね。ぜひそこは、何か、詰めればもう私たち仕事が終わったんだみたいな形はちょっと困るので、しっかりと働きかけて、必要な合意を得てほしいんですよ。

 だから、その意味できょうはたくさんの大臣を呼んでいて、もう五分前になっちゃったので、ちょっと関係省の方にまずもって簡単にお答えいただきたいと思いますが、経産大臣と、それから文部大臣もお願いを申し上げます。

 経産大臣の方は、各企業、まだほとんど緊急時計画、アメリカのように、全米五十州を関係の専門家が回って、各企業とか各役所とか各学校とか、それから宗教団体も含めて、いろいろな団体全部、説得というか広報をして回っているということなんですね。企業なんか、私の周りの企業に聞いてみたら、新型インフルエンザ、そんなもの関係ないよというか、ほとんど、そんなのあるのかという状況なんですよ。それは文部大臣、学校もそうですよ。それは私ども一部報道で知っておりますが、まさかと思っていますということなんですね。

 そこをしっかり把握していただいて、特に経産大臣は、石油関係とかエネルギー、それからあと電力ですよ。電力がもしとまったりしたら、それこそ、自宅に皆さんいなさいと言っていて、電力がとまったらほとんど生活できないという話ですから、電力会社の緊急時計画なんかはできる限り公表すべきだと思っているんです。

 そこはどうお思いですか。経産大臣と文部大臣に、その意識と決意をお伺いします。

甘利国務大臣 今、厚労省で事業者向けのガイドラインのパブコメ中であります。並行して私どもは事業団体とやっておりまして、恐らく三月一日の期限のパブコメを受けて、三月中には詳細が決まると思います。

 我が方もそれに即して対応してまいりますし、特に、電力、社会インフラを担当しておりますところには、例えば交代要員をどう確保するかとか、あるいは電力の融通、既に融通体制というのはできておりますが、事態を想定してシミュレーションをしっかりするということの連絡をとりつつありますが、具体的には、ガイドラインができて、それに沿って早急にやりたいというふうに考えております。

伊吹国務大臣 学校現場には、平成十八年の一月に、鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザが出た場合の対応計画を立てるようにという要請をしております。

 しかし、その要請の概要も、どういうものかというのを私ずっと読んでみました。先生がおっしゃっているように、これはもうペストのようなものだという危険性の記述がやはり非常に少ないと思います。

 それからもう一つは、その要請に従って、教育委員会が各学校に、つくれ、こういうことを言っているわけですが、現実は非常に少ないです、つくっているのが。それで、これは地教行法の改正のことにもかかわるわけですが、こちらがお願いしたことをやらなかった、国がお願いしたことをやらなかった場合のラストリゾートが、国には権限がないんですよ。これは非常に困ったことなんですが。

 きょう、たまたまなんですが、健康担当の各教育委員会の職員の会議が東京でございます。きょうのお話をよく伝えて、危機意識を持って各学校でもう一度しっかりと行動計画をつくってもらうように、私から担当の局長に指示をしておきたいと思います。

末松委員 最後になりましたけれども、官房長官に、こういった議論を聞いて、各大臣が所轄の範囲内で一生懸命やっていただかないと、もし、ぱっとパンデミック、いつだってあり得るわけですよ。ですから、そのときに慌てないように、このガイドラインを見ると、フェーズ4以降の、何か、後で新型インフルエンザの対策本部をつくるんだみたいなことを言っていますけれども、そうじゃなくて、今すぐに、安倍総理大臣も、これについては自分が先頭に立って頑張っていくという話をされていました。ぜひそこは、政府で、今、省庁の連絡会議とかそんな役人のレベルじゃなくて、大臣が知らなきゃだめなんですよ。役人さんが幾ら知っていても、大臣がそこでその意識を持っていないと、そういうふうに動こうとはしません。

 ですから、対策本部をしっかりとつくってもらって、閣僚レベルでそこは検討してもらって、こういくんだということをやっていただくべきだと思います。民主党も今、鳥インフルエンザ、新型インフルエンザの対策本部を持っていますけれども、そこを、決意をお伺いしたいと思います。

塩崎国務大臣 今先生御指摘のように、この新型インフルエンザの問題というのは、世界的にも、それぞれの国で真剣に対策を練っているところでありまして、先ほど申し上げたように、我が国も二回訓練をやりましたが、最初は官房副長官補がヘッドでやりましたが、今回から私がヘッドでやるということで、厚生労働大臣と一緒にやっているところであります。先ほど不十分だという話がありましたが、その点についてはよくわかっております。理解をいたしました。

 ということで、今お話あったとおり、関係省庁対策会議というのがございますが、このもとでやはり政府としては一体となってやらなきゃいけないということであります。

 本部の問題については、今お話がございましたけれども、今はこの鳥インフルエンザ等に対する関係省庁対策会議というところでやっているわけでありますが、新型インフルエンザということでありますので、政府一体として取り組みの中で考えていきたいというふうに思います。

末松委員 とにかく、今度の机上訓練は総理大臣みずから本部長になるような感じで、ぜひ頑張っていただきたい。

 そういうことで、とにかくこれは、その前にどれだけ準備できるかが勝負なので、そこはぜひ、死んでからでは遅いということを肝に銘じていただいて頑張っていただきたいと思うし、もしできなければ、民主党がかわってやるような意気込みはありますので、どうかぜひ頑張ってください。

 終わります。

金子委員長 これにて末松君の質疑は終了いたしました。

 次に、松木謙公君。

松木委員 民主党の松木謙公でございます。

 予算委員会は初めての質問になります。世の中このごろいじめが多いので、やじのいじめはやめていただいて、拍手は可ということで、よろしくお願いしたいと思います。

 そして、初めに北見のガスの問題をやろうと思ったんですけれども、松岡大臣がちょっと御不幸があられたということでございますので、松岡大臣は、いや、後でもいいですよということでございましたけれども、自分のことをかんがみると、何か不幸があったら、やはりそこに一分でも早く行ってあげたいというのが人情ということで、先に松岡大臣の質問からさせていただきたいというふうに思っております。

 それでは、平成十九年度予算に対する我が党の小沢代表の所信と総理への質疑は、今政治がなすべきことは憲法改正よりも生活維新であり、根本的な制度改革に手をつけない限りはなかなか格差の是正は困難であるということを基本にして、明快な各課題での民主党の政策を述べたわけでございます。我が党の小沢代表の政策こそが今国民のために必要であると確信して、我々は一生懸命日々努力をしているわけでございますけれども、弱者切り捨ての政治、しているつもりではないのかもしれないけれども、結果的にはそうなっている今の政治、これをなるべく早く終わらせたいというふうに思っておるわけであります。

 その立場から、地方振興の上でも最も大きな柱となる農業のことについて取り上げて論議をしていきたいというふうに思っております。

 先日、我が党の菅代表代行が取り上げられましたが、自民党の報道局長さん、そして広報局長さんの名前で、必ず本人がお読みをくださいということで政策批判のファクスニュースが配付され、そこには、何度も繰り返して、民主党案は財源から逃げるばらまき案とあり、そして、特に農業の戸別直接所得補償の提案に対して、安倍総理の所信にもありましたし、中川政調会長さんの代表質問にもあった。そしてまた、丹羽総務会長の質問にも同様の批判があったように覚えております。

 そこで、農水大臣にお伺いしたいんですけれども、これまでの農政によって、専業農家、兼業農家含めて、総農家数は本当に減る一方でしたですよね。釈迦に説法で大変恐縮なんですけれども、お配りしました資料一を見ていただきたいんですね。古いことは書いてありませんけれども、昭和三十五年、私は三十四年生まれなんですけれども、そのころには約六百万戸以上あった農家が、今では、見てのとおり非常に減っておりますね。半数以下になっている。平成二年から十七年だけ見てもかなりの数減っていますですね。

 特に、経営耕地面積が三十アール以上または農作物販売金額が五十万円以上の販売農家が平成の時代になってもどんどん減り続けているということですね。平成二年では、専業農家が四十七万三千戸、そして一種兼業農家が五十二万一千戸、二種兼業農家が百九十七万七千戸、つまり、農業所得を主とされる農家は、既にこの時点で百万戸を切っていたということだと思いますね。それが、平成十七年では、専業農家では四十四万三千戸、一種では三十万八千、そして第二種兼業農家では百二十一万二千戸、農業所得を主とされる農家は七十五万一千戸、平成になってからも大分減っているということですね。

 平成の時代に入って四十万戸以上の農家が減っており、簡単に言えば一億三千万人の人口をその減った農家の皆さんが支えている、食を支えているということになるわけですけれども、自給率が四〇%になってしまっているという現状、これも、耕作放棄地は三十八万ヘクタールにも及んでいるわけですからしようがないのかなというふうに思うわけでございますけれども、農林大臣、なぜこんなに農業人口が減ってきたと思われるでしょうか。

松岡国務大臣 松木先生にお答えいたします。

 その前に、いろいろ御高配、御配慮賜りましてありがとうございました。

 今、先生の御指摘でございますが、これは世界的に見まして、歴史的に見まして、どの国におきましても、経済の発展、特に工業化、都市化の進展という中で、農家人口それからまた農業者数は減ってきておるというのが趨勢でございます。ちなみに、我が国と大体同程度の国の規模というか国力といいますか、そういった面で見て、例えばイギリスを例にとりますと、昭和三十五年と比較いたしまして、これは一九六〇年なんですが、イギリスが大体五割強、約半分農家数も減ってきております。したがって、農業者等もそれに付随して減ってきておるわけでありますが、フランスに至りましては、これは農家数で、昭和三十五年に比較いたしまして、二〇〇〇年では三七%、四割弱にまで減ってきておる、こういう状況であります。

 我が国は、これは今大体五割弱ですね、昭和三十五年に比較いたしまして。したがって、世界の先進国の趨勢、こういったことからいたしますと、どこも大体同じような都市化、工業化、経済の発展の中で、農家数が減り、農業者数が減ってきておる。これは大体同じような傾向でございます。

 そこで、その中で、私どもとしては、昭和三十六年に農業基本法をつくったわけでありますが、そのときの一番の眼目は規模拡大、こういうことでございまして、それをずっと各国比較してみますと、EUは、これはEUという言葉で押しなべて申し上げますが、大体そうやって、先ほど言いましたように、農家の人が減っていく、農業者がリタイアしていく、都市に行く。その分が残った農家に集積をして規模拡大が進んだというのが実態だったと思っています。

 我が国の方はどうかというと、なかなかそれが進み切れなかった。もちろん、規模は拡大してきています。イギリスで二倍ちょっと、フランスでほぼ二・五倍、こういうことでございますが、日本は一・四倍。こういうことで進み切れなかった、進みはしましたが進み切れなかった。

 それは、やはり土地に対する所有観念といいますか、いろいろそういった違いもございまして、それからまた経済的な状況でも、四十年代から五十年代にかけましては、国土利用計画法ができたわけでありますが、それはやはりきちんとした利用目的を特定してそういう区域割りをしないと土地投機が起きて、一億総土地投機みたいなことも当時言われたんですが、そういったこともあって、これはいかぬということで国土利用計画法が制定されたわけでありますが、そういった経済的な背景もあって、農業はやめても土地は持っていた。だれかにつくってもらう、こんな形が、規模拡大というものが一気にヨーロッパと同じような形で進まなかった、こういう背景があったと思っております。

 第二問、第三問の中で、松木先生、御質疑があると思いますので、農業構造の方の変化、こういったことについてはまた第二問、第三問でお答えをさせていただきたいと思います。

松木委員 これも基本的なことなんですけれども、自給率というものを見ますと、ドイツが大体九九%、ほとんどオーケー。フランス一二一%。フランスといえば、どっちかといえば工業先進国というんですか、例えばエルメスだとかクリスチャン・ディオールだとか、名前を言っちゃいけないんでしょうか、そういうもので有名なんですけれども、実は先進農業国だ。そして、イギリスが、ちょっと低いかもしれないですけれども、それでも六、七〇%はある。そして、アメリカはもちろん一二二%と高い。ちなみに、今度EPA交渉と言っているオーストラリア、ここが二六〇%とか七〇%というふうに言われていますね。

 そして、日本は四〇%というふうに言われているわけですけれども、日本だけがこんなに数字が低いというのは、平気なんでしょうか。これはちょっと問題じゃないかなというふうに私は思っているわけですけれども。

 国の安全、安全保障ということがありますね。これは防衛だけじゃないと思うんですね。生きていく上で欠かすことのできない食料を安定的に供給できる体制をやはり国が責任を持つということは、私は最も大切なことだというふうに思っているわけです。

 そして、その中で、我が小沢代表が、一〇〇%の自給率を目指すということを目標に挙げること、これは随分、何となく今の政府にたたかれたような気がするんですけれども、どこが悪いのかなという気が実はしているんですね。

 では、農林省は、多年にわたって大規模農家の育成を目標に政策を行ってきましたね、総額でどれくらいの予算を使ってきたことになりますでしょうか。

松岡国務大臣 お答えいたします。

 今、松木先生の御指摘は、農家の育成ということは、言葉はそのときそのときによって違いますが、自立経営とか中核農家とか主たる経営とかそんな形で、そのことを指しておっしゃっているんだろうと思います。

 そういった意味で、では、その部分は幾らの予算がかかったかといいますと、トータルで、例えば土地改良、農業基盤といいましても、兼業農家の方もおられる、同じ兼業農家でも一種兼、二種兼がありますし、専業の方もおられる、一体となってのトータルの土地面積なものですから、農家育成という観点で幾らかというのは、なかなかちょっと区分けがしにくくて、きのうのきょうだったものですから、なかなかそこまでの整理ができなくて、ある一定の規模のものをずっとそこには重点的、集中的にやってきたことは間違いございませんが、今ぴたっとした数字でお答えするというのはちょっとありませんので、そこらでお許しいただきたいと存じます。

松木委員 そうですね、そう簡単に、これからこれまではそうだというのはちょっとくくりづらいというのはよくわかります。

 それでは、昭和三十五年から今までの農業予算というのは、全部で大体九十兆使ってきたんですね。これはかなりのお金だと思います。昭和三十五年の何千億というのも含めて、別に三十五年が今のお金に換算して何億だとか何兆だとかということも抜きに、総予算で九十兆、これだけ使ってきたんですね。

 でも、残念ながら、大規模化を目指したというのもあったのかもしれないんですけれども、しかし、自給率は落ちているわけでしょう。そうしたら、農家は一向にふえないし、むしろ逆の効果になってきたのではないかなというふうに私は思いますよ。

 いわゆる今までの農政、これが成功してきた、これは最高だったというふうに果たして言えるのかなというふうに思いますけれども、大臣、いかがですか。

松岡国務大臣 お答えいたします。

 先ほど自給率のことがございました、アメリカとかドイツとか、いろいろ。私はやはり、基本的には自給率というのは土地の大きさ、広さ、これが一番大きく影響したと思っています。といいますのは、終戦直後というのは、とにかく主食の確保ということで、米、麦、これをいかにどう多く生産するか、これがやはり眼目だったと思っております。

 そして、その中で農業基本法が目指しましたものは選択的拡大、やはり一番大事な作物を選択的に拡大していく、こういうことで、畜産、酪農、それから野菜、果樹、こういったものに大きくシフトしていく、こういうことでやったわけでありますが、昭和三十五年当時は米と麦で大体生産の半分以上を占めておりました。現在では逆に、畜産、酪農、それから果樹、野菜、これでもって実は六割以上、こういう形で国民のニーズ、需要にこたえてきた。そして米麦は二五%以下になっている、四分の一以下になっている、こういうことでございまして、何より畜産、酪農が伸びたということが、えさが必要なものですから、そうすると、えさがどうしても日本の国土面積では賄い切れない。自給率を高めよう、高めようと努力しておりますが、どうしても飼料というものは輸入、こういうことになりまして、その分が自給率に一番響いてきておると。あと油脂ですね。

 それと、アメリカなんかは、これは例えば日本が自動車を輸出するように、アメリカも輸出していると思いますが、貿易政策として農産物が一番の輸出商品、こんな形で、あの土地の広さを利用して実はそれをやっておるわけでありまして、これはまさに、貿易政策や国家の条件に応じてそういったことがなされておる、こういうことだと思います。

 そこで、効果があったのかということでございますけれども、先ほど言いましたように、選択的拡大としては、米麦が半分以上を占めておったのが今は四分の一、そして果樹、野菜、畜産、これで実に六割以上の生産をするようになってきた。

 端的に言いまして、では、規模の拡大は、ヨーロッパのイギリスほどは進まなかった、フランスほどは進まなかったけれども、日本は、先ほど私が一・四倍にはなっていると言いました。その中でも、特に北海道は四・六倍の規模拡大ですね。だから、行ってみられたらおわかりと思いますが、フランスやイギリスのイングランドというのは、もう本当に平地ですよ。そういう中のところよりも北海道が進んだということは、規模拡大政策としては、厳しい条件の中で十分それは私は進んだんじゃないかと。そして、なかなか中山間の多い北海道以外のところにおきましても一・二倍の規模拡大が進んだというのは、やはり規模拡大政策というのは大いに成果があったのではないかなと。

 さらに、これを経営部門別に見ますと、乳用牛につきましては実に二十九・九倍ですから。そして肉用牛も二十六倍、養豚に至っては四百五十六倍、採卵鶏に至りましては千二百倍、ブロイラーも四十五倍、こういうようなことになっております。

 そしてまた、もう一つ、労働力関係でいいますと、昭和三十五年に対して、米で実に六、七分の一に労働時間も短縮されておる。そして単収は一・四倍ということになっておる。これを二つ掛けると物すごい額になると思うんです。そしてまた、麦に至っては、やはり北海道が中心だからということもあると思いますが、二十分の一に労働時間は短縮されておる。そして収量は一・八倍。乳用牛に至っては、これはもう既に一頭当たりの搾乳量も二倍近い量になっておる。そして労働時間も五、六分の一になってきておる。

 そういったことで、私は、農業の生産性、そして構造改革、これは大きな成果が上がってきた。まだ、しかし社会的な、経済的な全体の中で、担い手が減少してきているとか高齢化が進んでいるという課題は抱えつつも、内容として見れば大きな成果が上がってきた、そのように評価をしていい、もちろん私は政府ですからそうでありますが、そのように思っております。

    〔委員長退席、実川委員長代理着席〕

松木委員 なるほど、いろいろな見方があるものだなというふうに思いますけれども、農業を取り巻く厳しい現実に思いをはせれば、軽々に農家が減少してきたことを語りにくいというところもありますけれども、国民のほとんどの方が、率直に、今までの農政は成功してきたとはやはり言いがたいんじゃないかというふうに感じている人も結構いると僕は思っております。

 民主党案のことをばらまき、ばらまきと随分言われました。しかし、いろいろな補助金を今までつぎ込みましたね。大臣から言わせるといろいろといいこともあった、もちろん全部が悪かったなんてそんなことは言いません。でも、農業あるいは農村が疲弊してしまった。今までの農政こそ、それを、効果がなかったとは言いませんけれども、しかし、かけた割にはどうだったんだろうかなと思ったときに、逆に言うとそっちの方がよっぽどばらまき農政だったという言葉をお返し申したいなという気持ちにもなってしまうわけですよね。

 少なくとも、世界の農政の方向性は、今は価格支持から所得支持、消費者負担から納税者負担へとシフトをしております。欧米の農家の収入の相当部分は、いわゆる直接支払いというんですか、補助金、こういうもので占められていることは、大臣、御存じですか。――はい。一番得意とするところですね、大臣の。

 それでは、農業所得に占める政府補助金、大臣よく御存じだと思いますけれども、しかし、予算、これはみんなが、全国の方が聞いていますのでね。これは、ドイツが約五九%、フランスが五四%、イギリス七九%、そしてアメリカ七八%。要するに、百万あったら七十八万はそういう補助金関係ということになりますね、農家の人たちの農業所得。それに対して、日本は実は一三%なんですね、十三万円ということじゃないですか。

 そして、農業所得に占める、我々は戸別所得補償、今一般に直接支払いというふうに言われていますけれども、この直接支払いというのはもともと我々が先に使ったんですけれども、小沢代表がもう自民党が使っているから使うなと言うものですから、今我々は戸別所得補償ということを言っているんですけれども、この割合は、ドイツで五〇%、フランスで五二%、そしてイギリスで七一%、アメリカで四六%。そして、日本はと申しますと、中山間地域等の直接支払いを入れても七%。そこで、もし民主党の案を実施されても、ともに三〇%ぐらいなんですね。仮に一兆円の直接支払いによって農家を援助したとしても、欧米よりもはるかに低い数字ということになるんですね。

 そうすると、やはり日本の農政のお考えとしては、欧米はみんな日本よりもばらまき農政をしているんだ、そういうお考えなんでしょうか。

松岡国務大臣 今、松木先生からいろいろ数字の御指摘がございました。これは、何をどういう仕分けでそういう数字が出てきたのか、ちょっと私も整理してみないとわからないので、そのことには直接お答えいたしません。

 まず、欧米のものはばらまきなのか、こういうお話でございますが、これはWTOの規律がございまして、WTOというのは、まず緑の政策。日本で緑というのは、実は民主党が一番これはやめろとおっしゃっている農業基盤整備は、あれは緑なんです。まさに環境保全、そういった観点から認められた、一〇〇%緑なんですね。緑を捨てて、ではどこに行くのかな、こう思うんですが、それはそういうことで。だから、いろいろなカウントの仕方があるんですね。農業基盤整備の補助金をもって、これは一つ、もうそれは所得につながっているんだ、農家の負担分がなくて済むんだから所得となる。OECDあたりがやっているやり方、WTOのある基準でやるやり方、さまざまいろいろあります。

 いずれにいたしましても、EUは最初は青から始めました。もうちょっと言いますと、緑があり、ブルーがあって、青ですけれども、そして黄色がある。赤はありません、赤ですから信号と一緒で、これはノーなのでありませんが、この三つの色分けのある補助金の中で、アメリカの所得政策というのは直接固定支払いといいまして、九六年農業法でこれは始まったわけでありますけれども、プラスブルーの組み合わせでやっております。EUはもう全く緑の直接支払いだけ。これだけが先生がおっしゃった数字になるかなと、私も今その数字を持っていませんが、ちょっと疑問に思っているんです。

 いずれにいたしましても、一定の規律があります。まず、過去に穀物等において直接支払いを受けておったこと。それを踏まえていろいろな規律があります。政府が決めたこれこれこれに従う、要件があります。したがって、これは先生の次の質問だと思うので、次の質問で私も答えたいと思うんですが、通告いただいていますから答えたいと思うんですが、規律なしで、販売農家だということだけで一律に支払うというのは、これはどこの国にもございません。ある一定の規律、要件を定めて、そしてそれに適合する人に一定のものを支払っていく、これが緑の直接支払い、こういうことになっておりまして、もちろん、ブルーであれ黄色であれ、所得につながるものはございます。

 後の質問で民主党のことを言われて、それに対する答えで私申し上げたいと思いますので、この質問ではここまでにしておきたいと思います。

松木委員 それでは、ちょっと大臣、民主党の言っている戸別所得補償制度というのがありますよね。これは政策的には緑ですよね。違いますか。多分僕は緑になると思うんだけれどもな。要するに、販売農家、ちゃんとそれで生計をある程度立てているところも含めた、そういうことで言っているはずなんですけれどもね。それは緑になると思いますよ。

松岡国務大臣 松木先生にお答えしますが、今私どもも、民主党さんの案というのは、小沢代表の演説、国会の本会議の質問とか、菅先生がおっしゃった、質問なのか演説なのかよくわからないですが、それとか、テレビ朝日の「サンデープロジェクト」でやられた、ああいう発言を我々ちょっとそれなりに確認いたしまして、今その限りということでしか実は言えないんですが、まだ詳細な具体的な内容を示していただいていないものですから。

 そこで、私どもが私どもの知り得る限りで申し上げますと、生産費と市場価格にかかわってその差を補てんするというのは、明確に黄色です。これは明確に黄色です、WTOの規定上は。

 そして、環境保全ということも言われておりますが、環境保全という概念だけでやるとなりますと、概念だけの規定はありません。これは政府が、例えば環境に優しくするために農薬を使うなとか肥料を使うなと言いますね。農薬を使わなかった分、肥料を使わなかった分、かかり増しの労賃とか、その分収量が少なくなったといって損失が出ますね。そういった規律に基づいて受けたかかり増しとか損失に対して一定額を支払うというのは、これは環境ということに立脚した、緑という要件には、それは規律ですから、精査しなきゃいけませんが、該当する面があると思います。

 経済学者のやはりWTOの交渉に詳しい専門家もいるんですよ。演説をお聞きして、それをきちっと文書にしてそれを確認した限りにおいては、これは専門家が見ても黄色以外の何物でもない、こう思っています。まして、販売農家すべてに対して一律におやりになると。市場価格と価格の差ですからね、それを補てんするということは、これは毎年毎年多分おやりになろうと思っておられると思うんですが、これはもう明確に黄色です。

 そしてもう一つ。黄色の政策として今一番もめていますのは、WTO交渉で決裂に至った一番の原因は、アメリカが一番むちゃくちゃ、これは本当に国内支持、いろいろな形でやっているわけです。さっき言った二通りやっている、EUは一通りなんですけれどもね。そうすると、ブラジルとか中南米とかアフリカの諸国からすると、自分たちは財政がないしお金がない、だから補助金を出せない、それを先進国、なかんずくアメリカはひどいじゃないか、そうやってどんどん生産させて、それがなければ生産できないのに生産させている、そうすれば自分たちの機会が失われている、自分たちの農産物の販売機会が失われている、だからけしからぬということがあって、それで、物すごい抗議があって、そこで、黄色をやめろと。アメリカは六割切るといって提案したんだ、それでも少な過ぎる、六割の提案では。もっと切れと言うので、いや、それはできないといって決裂になりました。

 今、日本の黄色は、二〇〇三年通報ベースで六千四百億円です。一兆円ということになると、六千四百に足して一兆円で一兆六千四百億にされるのか、六千四百億に足してトータルで一兆円にされるのか。いずれにしても、減らせといっているものをふやすというのは、WTO上は、これは交渉の流れからいっても不可能です。だから、WTOを脱退すれば別ですが、それはできないと思うので、そういうものだと思っています。

松木委員 まあ、いろいろなお考えもあるんでしょうけれども、大臣、お葬式が遅くなっちゃうといけないので。

 民主党の戸別所得補償制度というのは、私は緑の政策だというふうに思っております。

 そして、農業、農村全体の活性化を図るために、規模の大小にかかわらず、国民の食生活を維持するために貢献している農家を対象とするのであって、だれにでもかれにでも渡すというわけじゃないですね。そして、いわゆる経営のために農家を営む販売農家に限定しているわけですから、耕地放棄を防ぐためにも、小さな農家を差別しないで、面として農地全体を政策対象とすることが我々は合理的だというふうに考えているわけでして、品目も小麦、大豆、そして菜種、雑穀や飼料作物と米を中心に考えて、百七十五万戸ぐらいというふうに想定していますけれども、自民党さんというか政府の四ヘクタール以上の農家にすると、大体四十万戸ぐらいになりますよね。対象にならないところが多くなるわけですけれども、疲弊している農村地域の活性化にはならないというふうに僕は思っていますね。もちろん、集落営農ということも言っているようですけれども、なかなかそれも困難のようでございますね。そう簡単にうまくいっていないようですね。

 そして、平成十九年度予算では、小規模農家の地方切り捨て批判を気にしてかどうかはわかりませんけれども、農地・水・環境保全向上対策として三百億円つけましたね。そして、支援対象を限定する品目横断的経営安定対策は千七百億円と、あわせても農業予算の八%で、全くもって少ないんじゃないかなというふうに僕は思っております。結局、今までの農政、今これからやろうという農政も、何だかんだ言ったって、やはり小規模農家の切り捨てということになっていくんじゃないかなというふうに私は思っているわけでございます。

 政府の政策では、四ヘクタールに満たない農家を切り捨てることになる。私は、日本の農村の原風景も破壊していくということにつながるとやはり言わなくちゃならないと思いますし、そして農家同士の関係というんですか、そういうものもちょっと微妙なものができるんじゃないかなという気もしますし、この際、民主党の戸別の所得補償制度、これを取り入れられたらいいと私は思うんです。いいところはとった方がいいですよ。どういうふうに思いますか。

    〔実川委員長代理退席、委員長着席〕

松岡国務大臣 先生にお答えいたします、なるべく短くやりますが。

 先ほど申し上げましたように、これは価格と生産費に関連してやる以上は、どういったってこういったって、縦から見ても横から見ても斜めから見ても、これは黄色です。これはWTO上は黄色です。

 そこで、今先生言われました、自民党の今回の集落営農は小規模切り捨てではないか、こういう御指摘ですが、それは逆なんです。例えばこの前も、三反、四反といって、いや三反、四反という基準がどうかと言われるが、これは例えの話ですから、例えば三反の人、私も多少、それくらい実は所有はしているんですけれども、ところが、そういった規模の方というのは、認定農家とか法人経営というのは、どう考えても今の形では無理ですね。だから、その担い手たり得ない。だけれども、今度はその人たちも、例えば十人でも二十人でも何人でもまとまって、固まって一定の要件をクリアしていただければ、集落営農という形で担い手になり得る。

 まさにこれは切り上げ、底上げの政策でして、例えば今、七十歳の人がいる、八十歳の人がいる、そしてもうおれも自分は動けなくなった、もうできない、しかし三反歩だと、本当に動けなくなったらその農地はそのままになってしまうんですね。ところが、まとまって固まった形になっておれば、新規参入の人も、もっといえば企業の人も、じゃ、それだけの規模があるんならおれが行ってそこは自分が耕してやろうと、まさに担い手の受け皿たり得るんですね。

 だから、それはもう、史上一度か二度かあるかないかという大改革ですから、戸惑いも混乱もあると思います。しかし、明治維新と一緒で、それはやはり不安、戸惑い、困難を乗り越えて今日があるわけで、したがって、そういう意味では、私どももまだまだ努力すべきは努力して、そして説明もし、御理解、御納得もいただくようにやっていかなきゃいけないと思っています。秋まきでいいますと、もう既に北海道も九五%です。そして全国平均九〇%いっています。一〇〇%以上のところが十県あります。例えば秋田とか福島とか、北陸なんかも高いんですよ。残念ながら、高知が九%なので、これはちょっと何とかしなきゃいけない、そういった点は努力しようと思っておりますが。

 いずれにしても、そういうことでございまして、戸別所得補償政策、いいところは取り入れろとおっしゃっていますが、環境とかそういう理念はわかります、理念は一緒だと思いますが、じゃ、それをどういう規律、要件でWTOの協定に合うようにしていくか。今回の私どもの改革は、したがって、黄色から緑に移したんですよ、七割を。そして、残り三割はまだ黄色で残していますけれども、組み合わせですけれども、やはり緑にして、安定した一つの形にきちんと、WTO協定上、問題のないようにしておこう、そして交渉が進んでいったとしても、これはその結果、切られたりなんてしないようにしておこう、これが我々の政策なんです。したがって、小農切り捨てどころか、小農切り上げ、日本農業の総合力を最大限に発揮していく底上げ政策ですので、逆に民主党さんも御理解いただきたいと思います。

松木委員 大臣、そうは言うけれども、やはり集落営農というのはなかなかうまくいっていないということが随分ありますよね。そうすると、やはり切り捨てられちゃう。もちろん努力もしてもらいたいし、そして、思い切って民主党の案をちょっと入れるというのがいいんですよ。我々はこれからいろいろと論議していく、けんかをしているわけじゃない、論議をしていくんですよね。そこで、我々は、やはり今の農政の小規模農家切り捨てに断固反対していきたいというふうに思いますので、これからも農水委員会とかありますので、そこで大いに議論をしていきたいなというふうにも思っております。ぜひよろしくお願いします。

 そして、もう一つ最後に、EPAの例のオーストラリアとの交渉。これは、簡単に頑張るぞということを言っていただきたいんですけれども、何といってもやはり国益に反するような妥協をしちゃいけません。そして、こういうことをどんどんなし崩しにやっていったら、結局農業はだめになりますよ。そうならないようにやはり頑張ってもらわなきゃいけないですね。その気持ちを一言。

松岡国務大臣 お答えいたします。

 もともと日本農業は、総理の施政方針演説にもありますように、二十一世紀においては大きな発展の可能性を秘めた戦略産業だと我々は位置づけております。また、そういう認識でしっかり将来に向かっていこうと思って、その将来ビジョンが、他産業に負けない、せめて他産業並みの所得が確保できるような、そういう構造にしていこうというのが今回の担い手政策なんです。

 そこで、今それとあわせて、オーストラリアの問題でございますが、これは大変な農業国家ですから、そういうビジョンがしっかりと目指していくことに向かう前にやられてしまったのでは、これはどうしようもない。そんなわけで、今回、オーストラリアとの交渉に当たりましては、外務大臣とも私も会談しまして、協議しまして、今までのEPA、FTAのときはなかったいわゆる段階的削減なり、除外とか再協議とかそういう文言を、そういう枠取りをしっかり入れまして、あらゆる柔軟性ある選択肢が活用できる、これをしっかりと位置づけて、それで交渉に臨む。

 私どもがずっと申しておりますのは、日本にメリットがない、そういうメリットが、見合ったものがない、それ以上のものは受け入れない、こういうことですから、特に北海道、それから沖縄、皆さんやはり砂糖とか酪農とか畜産とか大変なあれですから、そういったことについてはきちっと私ども、必ず守り抜く。必ず守り抜いて、外に向かった日本農業の展開も、守り抜いた上でしっかり今度は展開もしていく。基本はまずしっかりと守り抜いて、北海道農業、沖縄農業も問題のないように、もちろん日本全体の農業もそうですが、しっかりと守り抜いて大きな展開ができるような、そういう腹構え、心構えでやりますので、先生の御指摘をしっかり受けて頑張りたいと思います。

松木委員 これは去年、農林水産委員会で与野党一致で文書も出したんですから、大臣、頑張って本当にやっていただきたいと思います。

 それでは、思ったより随分時間がたっちゃいまして、私の質問もほとんど時間がなくなってきましたけれども、御愁傷さまでございます。どうぞ、先に行っていただいて、大臣が御愁傷さまじゃないですよ。はい、どうぞ。

 それでは、続いて、北海道北見で発生しましたガス漏れ事故について質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 近年、北海道では、集中豪雨や火山の噴火、そして地震、大雪など、大きな災害がかなり多いんですね。そして、特に昨年十一月に発生した竜巻、随分とうとい命が奪われたこと、本当に記憶に新しいというふうに思います。竜巻といったら何か映画上の話だったり、どっちかといえば日本でそんな大きな竜巻という感じがなかったんですけれども、九名の方が亡くなるという痛ましい災害が起きたわけでございます。これが起きたのは佐呂間町といいまして、北見からほんの近いところなんですね。

 そして今度は一月十九日に、ことしの一月十九日ですね、皆さんも覚えていると思いますけれども、北見市の住宅街、本当に真ん中なんです、そこでガス漏れ事故によって三人が相次いで死亡、そして十一人が負傷。そして、この中で二人の方がいまだに意識が戻らないという状況でございます。まことに痛ましい事故なんですね。私も災害対策本部に足を運ばせていただきましたが、ガスの場合は、においだけはしますけれども目に見えないものですから、住民の不安や恐怖は今でもある意味で続いているというふうにも思われるわけでございます。

 そのことについて、経産大臣初め経産省の原子力安全・保安院は迅速な対応をしていただいたと私はお聞きしておりますけれども、結局、原因は何だったんでしょうか。

甘利国務大臣 この事故で三名の方が亡くなられ、十一名が負傷を負われました。亡くなられた方々の御冥福を心からお祈りし、負傷された方々が一刻も早く回復されるようお祈りをいたしております。北見は先生の御地元と承知しておりますし、心を痛めております。

 一報を受けたのは、私が公務で九州に出張中の車内でありました。直ちに保安院長に対して、詳細を把握せよ、それから被害の拡大を防止せよ、原状復旧に全力を挙げよという指示をいたしました。刻一刻連絡を入れるようにいたしましたが、そこでさらに、同様の一酸化炭素の入ったガスを使っている事業者は全国に幾つあるんだ、それからネズミ鋳鉄管を使っている事業者が幾つあるのかすぐ調べろという指示をしました。十六カ所という連絡が来まして、この点検を直ちにやれということを指示したわけであります。

 週明け、すぐ日本ガス協会を呼びまして、この事故は北海道ガスの事故だととらえるな、ガス業界全体の信頼が危ういぞ、ガス全体の事故ととらえて応援団を出せという指示をしまして、応援団を出して点検をかなり早くやったつもりでありますし、二万七千戸に警報器、きょう、あすじゅうにつけ終わると思います。

 そこで、その原因が何かということを今究明しているところでありますが、現状ではまだわかっておりません。

 ネズミ鋳鉄管というのは、先生も御承知のとおり、私は、これが腐食したのかと思いまして、同じ四十年の経年のものを取り寄せさせました。これは腐食には物すごく強い管で、腐食はしていません。ただ、衝撃が加わると、一挙に管ごとぽんと割れちゃうんですね。そんな大きな衝撃が一体どうやって加わったのかということが、現時点でもまだわかりません。

 早急な事故原因の解明中でございまして、わかり次第公表するということにいたしております。

松木委員 大臣、事故現場で一年半前に何か大きな水道工事、下水道工事ですか、があったという話もありますので、そこら辺も含めて考えていただきたいなというふうに思っております。

 ただ、ネズミ鋳鉄管がやはり問題だったということではありますよね、結局割れていたんですから。全国にどのぐらい残存しているんですかということを聞こうとしましたら、十六カ所ということでございましたけれども、これからまた北見と同じような事故が起こらないとも限らないですよね。非常にこれは怖いですよね。そこら辺は、もう一度ちょっと、端的にお話をいただきたいと思います。

甘利国務大臣 まず、一酸化炭素系のガスを使っているというところを天然ガスに切りかえなきゃならないと思います。御案内のとおり、天然ガスとかプロパンは、多少吸い込んでも体がどうこうするということはありません。ただ、一酸化炭素系のガスは、直ちに一酸化炭素中毒を起こして死に至る危険性があるわけですから、この燃料転換を早くしなければならないということで、これを前倒しでやれという指示を出しました。全国十六カ所が、二〇一〇年のたしか十二月に天然ガス転換が完了する予定を九カ月前倒しに、今のところ報告が来ております。

 それから、ネズミ鋳鉄管、腐食をしてちょろちょろ漏れるのと違って破断してしまいますから、大量に出る危険性があります。だから、これの管の取りかえもしなければならない。これは二〇二〇年を五年前倒しという報告が来ていますけれども、私はそのときに、これを了とするという言い方はしたくない、まだこれからも一カ月でも一週間でもいいから前倒してくれという話をしているところでございます。

 ほとんどのところは、新しい別な材質のパイプになっておりますから、一挙に破断するというようなことはありません。ただ、ネズミ鋳鉄管の経年管というのは、この種のことが、腐食には強いんだけれども、衝撃が加わると、一部分が破損するんじゃなくて、ぽんと管全体がずれちゃうぐらいの破損になりますから、こういう大きな衝撃がどういう原因で加わるのか、今先生の、下水管の工事ですか、それも含めて、どういう原因なのかということを解明中であります。

松木委員 ここに、北見市と北海道ガスとの、一昨年の十月に二億四千六百万円で売却された契約書の写しがあるんですけれども、老朽管がこれほど残っていて、当時、議会などからも、古い管を取りかえてから売却した方がいいんじゃないかというような意見も間々あったらしいんですね。

 こうした締結がなされることに対して、国の監督指導というもの、これはこう言ってもしようがないのかもしれませんけれども、国の監督責任といいましょうか、そういうものはなかったというふうにお考えでしょうかね。

甘利国務大臣 ネズミ鋳鉄管について、点検基準というのがあります。これは、四十カ月に一回、全部点検せよという指示が出されています。

 北見市から北海道ガスに移管するときに、一体全体いつ点検したんだということもすぐ調べさせました。これは、十八年の四月一日なんですね。十八年の四月一日に点検したと。それから一年もたたないうちの破断ですから……(松木委員「国の監督の方はどうでしょうかね。端的に言ってください。ないならないでいいんですよ」と呼ぶ)

 国は、基準に従ってチェックはしています。ただ、この基準が正しかったのかという思いがありましたから、もっと短くしろということにしまして、今は、一年に一回点検をせよということにいたしました。

 済みません。最終の点検は平成十六年の十一月ですから、四十カ月に一遍の点検で、かなり破断事故が起きたところに近いところでの点検になっているんですね。真ん中ぐらいか。十六年十一月ですから、二年ちょっとですね。それでもこういうことが起きたというので、一年に一回ということとさせたところであります。

松木委員 そういうことは怠りなくこれからもやっていただきたいと思いますけれども、今回の事故の責任というのは、どこが一番持っているというふうにお思いでしょうか。

甘利国務大臣 一義的にはガス事業者であります。

 それと、もちろん、点検の間隔がこれでよかったのかという点を問われれば、この期間中、ちゃんと点検をしていたのにもかかわらずこういう事故が発生をした。ただ、もちろん、原因を究明していかなければ何とも言えないのでありますが、こういう長いスパンで点検をさせていたことでよかったのかどうかという反省点はあります。

 それから、私、北見市に対しても、移管してたちまち事故が起きましたよ、移管が一年おくれたら、これは北見市の管理のもとでの事故ですよ、そういう、深刻にぜひ受けとめていただきたいということも申し上げたところであります。

松木委員 なるほど。いずれにしましても、こういうことが二度とあってはならないというふうに思いますので、徹底した指導とか対応を実践されますことを心からお願いしておきたいというふうに思っております。

 ところで、今回のことで防災について随分懸念を覚えましたね。それは、私の質問の内容なんかもそうなんですけれども、あっちだこっちだ、あっちだこっちだというので、随分振り回されたというのもありました。

 一般に、防災として想定されているのは自然災害だそうです。それで、ガス事故は人為災害ですから、経済産業大臣の所管だというんですね。そして、道路やあるいは上下水道の破損、こういうものは国交省や厚生労働省の所管となるということですね。

 防災担当大臣の担当でないということを私は伺っているんですけれども、そんなことでは、例えば地震とガス爆発が同時に起きた場合、これはやはりかなり縦割り行政の弊害が僕は出るというふうに思っているんです。できれば、こういうことも含めて、防災担当大臣が一応こういうものは仕切るという形がいいのではないかなというふうに思っておりますけれども、そこら辺はいかがでしょうか。

平沢副大臣 松木先生と私はかつて官房長官秘書官室で一緒に勤務させていただいたわけで、松木先生は十分御案内だと思いますけれども、昔は確かに役所の縦割りというのはあったわけでございますけれども、そういった反省にかんがみまして、平成十三年に、中央省庁再編に伴いまして内閣機能の抜本的な強化が図られまして、災害対策に関する司令塔の役割を内閣府が担う、これは自然災害でございますけれども、ということになったわけでございます。

 今先生が御指摘のところは、事故の場合はどうなのかということでございますけれども、そういう自然災害以外のものにつきましては、おのおのの所管大臣が中心となって対応することとなるわけでございますけれども、その場合にありましても、当該大臣を中心に政府一体となって取り組むこととしておりまして、自然災害の場合もあるいは事故の場合も、対応にそごが生じないよう万全を期しているところでございます。

松木委員 そうすると、総枠の取りまとめというのはやはり防災担当大臣さんということなんでしょうかね。

平沢副大臣 今申し上げましたように、自然災害はもちろん内閣府、そして、事故の場合は、一義的にはそれぞれの所管担当大臣ですけれども、トータルとしての、最終的な総合調整をやるのは内閣府、政府全体としてやる、こういうことでございます。

松木委員 わかりました。これは、変な話ですけれども、地震があればガス爆発とか考えられますので、官房長官、ぜひ余りそごのないように、これからも頑張っていただきたいというふうに思っています。

 時間もちょっと大分来ちゃいましたので、次に、北見市は様々な理由でガス事業を多分譲渡したんだと思うんですね。それは、やはり財政が厳しいために、古い管をそのままにして、瑕疵条項を契約書に入れて、北海道ガスに施設とともに譲渡したわけですね。

 そうすると、財力のある都市部では対応ができても、やはり地方では難しいところがあるんですね。防災対策に地域によって濃淡があるということになるわけですけれども、そうしたことへの、政府の安全あるいは安心のまちづくりの考え方、こういうことを最後にお聞かせいただきたいというふうに思います。

平沢副大臣 自然災害も事故も同じでございますけれども、いつ日本全国どこで起こるかわからないわけでございまして、そのために政府としては万全を期しているところでございます。委員が御指摘のように、地域によって事前の対策あるいは事後の対応に万が一差異といいますか、そごが生じることがあってはならないわけでございまして、その辺については政府としても今後とも万全を期していきたい、このように考えております。

松木委員 大分縦割り行政というのも排除されつつあるんだとは思いますけれども、結局、例えば北見市がなかなか新しいものに移管できなかったというのも、地方切り捨てとは言わないけれども、それにしても、やはり予算がなかったんですよね、それは財政難ですからね。今、国の助けも少ないですからね。そういうこともあったんだと思います。

 いずれにしましても、防災対策、これはしっかりと進めていただくように要望をさせていただきたいというふうに思います。要するに、地震でガス爆発があるとか、そういうことはいっぱいあるわけですね。複合的に来ると思いますね。私、今回の質問をつくるときに、随分いろいろなところに話を聞いたんですけれども、いや、ここは私の担当じゃありません、あそこは私の担当じゃありませんというのが随分ありましたので、そこら辺、ぜひこれからもしっかりとやっていただきたいというふうに思っております。

 そして、時間が来ましたね、残念です。まだいっぱい聞きたいことがあったんです。そして、わざわざ呼んでいる大臣がおったのに、済みません。松岡大臣がちょっと御答弁が長いものですから、私の聞きたいことが半分になってしまいましたが、またこういう機会もいただけるものというふうに思いまして、これで私の質疑を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

金子委員長 これにて松木君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

金子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。小川淳也君。

小川(淳)委員 民主党の小川淳也でございます。久々に緊張いたしておりまして、全力で参らせていただきたいと思います。

 まず冒頭でございますが、松岡大臣、今お答えになれる範囲で結構です。先ほど、十二時二十一分、共同通信の配信の記事を手にいたしております。本日、厚生労働省そして農林水産省、あわせまして、アメリカ産輸入牛肉の中に条件違反のものが見つかったという速報がございますが、まずは事実関係を御説明いただけますか。

松岡国務大臣 小川先生にお答えいたします。

 これは、第一義的には厚生労働省の所管の方が強いんだろうと思うんですが、御指名でありますので、私の方からお答えをさせていただきます。

 今先生が御指摘になられました件につきましては、実は、米国産牛肉の混載、こういったような形で、二月の五日に、倉庫業者から動物検疫所川崎分室に対しまして、横浜港に到着した貨物の中に、米国農務省発行の衛生証明書に記載されていない牛肉、ばら肉二箱が含まれていた旨、報告がございました。

 貨物の概要は、出荷施設はタイソン社レキシントン工場、ネブラスカ州だそうでありますが、品目は冷凍牛肉、総重量が四百七十三箱、約九トンのうちの一部、こういうことでございます。

 動物検疫所川崎分室におきまして、一たん当該貨物の輸入手続を保留し、輸入者に対して確認するよう指示した結果、当該牛肉は二十カ月齢以下と証明できる牛由来ではない可能性があるとの報告がありました。このため、同時に到着した他の貨物について、十四日までに全箱をあけまして現場検査を行ったところ、特定危険部位の混入等の問題は発見されなかった。

 厚生労働省及び農林水産省は、当該事例について米国側に調査を確認したところ、本日、誤って日本向け貨物とともに出荷されたものであり、詳細については現在調査中であるとの回答といいますか報告がございました。

 このため、米国側による詳細な調査結果の報告を受けるまで、当面、当該出荷施設からの輸入手続は保留することとした。

 これが事実関係でございます。まず、そこまででいいですね。

小川(淳)委員 ありがとうございました。

 当該施設からの輸入停止でよろしいんでしょうか。全面停止する必要はございませんか。

松岡国務大臣 この点につきましては、今後どう対応するかということにつきましては、先ほども申し上げましたように、要は、横浜港に到着した米国産牛肉、先ほど言いました四百七十三箱、約九トンでございますが、米国農務省の発行した衛生証明書に記載がない牛肉、ばら肉二箱、四十三キログラムが含まれていた件については、そういうことで、先ほど報告したとおりであります。

 本件につきましては、特定危険部位ではなく、米国からの一報では、誤って混載されたものであるとのことでありますが、私どもの方からは、厚生労働省と一体となりまして、米国政府に詳細な事実関係を確認するよう今求めているところでございます。

 また、日本の当該機関、私どもの厚生労働省それから農林水産省においては、柳澤大臣から厚生労働省に指示があったと思いますが、私の方も農林水産省の当局に、担当部局にそのような指示をいたしたところでございます。

 したがいまして、今後の対応につきましては、米国側の調査結果を待って、どのような基準に該当していくのか、その上での判断になろうかと思います。

小川(淳)委員 アメリカの調査の結果を待つのも結構なんですが、事はやはり日本人の健康にかかわる、生命、安全にかかわる問題でもございます。全面停止も含めて、速やかな善処をお願いしたいと思いますし、この件、まだ報道なされたばかりでございますので、引き続く同僚議員あるいは来週の審議を含めて、徹底的に論戦をお願い申し上げたいと思います。

 続きまして、私、どうしてもこれは一言申し上げたいことがございます。

 官房長官、ことし一月十九日夜八時前後、安倍総理大臣はホテルニューオータニの日本料理店におきまして、どなたと会合、会食をされましたか。その相手方及び会の趣旨、簡単で結構です、お答えください。

塩崎国務大臣 政治家同士が集まったというふうに理解をしております。したがって、政府としてお答えをする、コメントする立場にはないと思っております。

小川(淳)委員 官房長官、御存じか御存じでないか、お答えください。総理がどなたと会食されたか、御存じか御存じでないか、お答えください。

塩崎国務大臣 新聞に書いてある限りでは知っております。

小川(淳)委員 相手方はどなたですか、お答えください。

塩崎国務大臣 政治家同士の集まりでありますから、私が政府の立場として、官房長官として、一々コメントする必要はない問題だと思っております。

小川(淳)委員 私、ことしは少しキャラを変えまして、しつこく粘っこく政府の皆様に挑ませていただかなきゃいけないんですが、これはそれほどこだわるあれではありません。

 ただ、一言だけ申し上げさせていただきたいんです。相手方、申し上げます。金子一義予算委員長、そして与党理事と新聞報道にございます。これ、官房長官、せめて国民の目から見えないところでやっていただけませんか。

塩崎国務大臣 私が依頼を受ける問題ではないと思います。

小川(淳)委員 一月二十五日が通常国会の開会ですから、ペナントレースが始まる六日前に、伝統の巨人・阪神戦が始まるわけですね、ジャイアンツの監督、コーチ、キャプテン、エースとアンパイアが会食する。いいですよ、それは。しかし、わざわざ報道されるようなところでやることないじゃないですか。

 これは本当、できれば見えないところでやってください。新聞記事でこういうことを拝見すること自体が、ここはやはり政府と国会とが対峙をして論争する場ですから、政府としては、各党各会派に対して公平公正、公明正大なお立場で臨んでいただくということですから、ぜひこれはお願いを申し上げたいと思います。

 コメントがございましたらお願いします。

塩崎国務大臣 同じ四国出身の国会議員の同僚の一人からいただいた御意見ということで聞いておきたいと思います。

小川(淳)委員 ありがとうございました。

 それからもう一つ、これはせんだっての十三日火曜日の予算委員会で、私どもの馬淵委員の質疑に対しまして、事務所費問題について政府が関係大臣、これは関係大臣と言っていいのかどうかわかりませんが、に想定問答集を配付したのではないかという問いがございました。

 これに対して、「閣僚としての立場を離れて与党の政治家同士が政治活動のあり方について立ち話をしたことについて、この場においてお答えする必要はない」、これは下村副長官、そして塩崎官房長官ともにこうした御答弁をされていますが、これは本当にこれでいいんですか。

塩崎国務大臣 先般も申し上げましたけれども、閣議が終わり、閣僚懇談会が終わってばらけた後、与党の政治家が集まって立ち話をしたということでありますから、政府として、官房長官としてコメントする立場にはない、こういうことだと思います。

小川(淳)委員 これは私、馬淵委員がどう思われているか、よくこれは調整をしないといけないんですけれども、私は配付したらいいと思うんですよ、あるのなら。隠せとか偽装せよとかいうのなら別ですよ。しかし、事務所費制度というのはこうなっています、どこかから聞かれたらこうすべきだというのは、これは基本的な官邸としての閣僚の皆さんに対する危機管理ではありませんか。この私の認識、いかがですか。

塩崎国務大臣 内閣というのは、必ずしも政治家ではない大臣もいるわけであります。私は内閣官房長官を仰せつかっているわけでありますから、政治家同士の話し合いについて官房長官としてコメントするのはいかがかな、こういうことだと思います。

小川(淳)委員 閣僚同士の話でありますが、その閣僚の用務を離れてと言えるのかどうかわかりませんが、政治資金に関する問題について、内閣は、官邸として関心を持つべきだと私は思います。閣僚のですよ。閣僚についていかがですか。

塩崎国務大臣 申し上げたように、閣僚の立場を離れて、閣議が終わり、閣僚懇談会が終わって、与党の政治家が集まってお話をしていた、こういう話でありますから、官房長官として私がコメントすることではない。閣僚の中には非政治家もいるわけであります。

小川(淳)委員 佐田前大臣は、なぜおやめになられたんですか。

塩崎国務大臣 佐田大臣の件につきましては、本来、法にのっとって適切に行われなければならない収支報告に不適切な処理があったということから、佐田議員から、当時大臣でありますが、その責任をとって辞職したい旨のお申し出があって、総理としても、その判断を重く受けとめて了とされたものだというふうに承知しております。

小川(淳)委員 佐田大臣の政治団体における政治資金の処理は違法だったんですか。法にのっとって不適切とおっしゃいましたが、違法なんですか。

塩崎国務大臣 先ほど申し上げたように、佐田当時の大臣から、収支報告に不適切な処理があったということで、責任をとって辞職したいという話が総理に対してあったわけであります。今おっしゃった違法かどうかということについての判断は、私どもとして、する立場ではございません。

小川(淳)委員 官房長官、きちんと議論しましょうよ。やはり、こういう問題で閣僚が辞任されたわけですよね。これは、官房長官としてお答えする立場にないとか、こういうことに関して危機管理をすべきではないですかと私は申し上げているわけです。それに対して、お答えする立場にないとか言うのは私考えられませんが、官房長官。

 これは内閣にとって、今これは佐田大臣のことを申し上げました。私は、当然中身を把握された上で、違法なのか違法じゃないのか、あるいは、適法だけれども適当なのか適当ではないのか、そういうところをしっかり判断された上でこの佐田大臣の辞意を受けとめになられたんだと思いますが、そこは官房長官、やはり政府としての判断があったわけでしょう、官邸として、総理として。官房長官、いかがですか。

塩崎国務大臣 小川先生、御当選されてまだ時間が少し我々よりは少ないとは思いますが、やはり政治家の発言というのは重たいわけであります。

 辞職をしたいということを言ったこと、この言葉を重く受けとめて総理はそれを了としたわけでありますから、違法であるかどうかということ以上に、本人が、政治家としての生命をかけて、辞職をしたい、こう申し出たことを重く受けとめた、こういうことでありますので、御理解を賜りたいと思います。

小川(淳)委員 当然、佐田大臣の方から辞意が表明されたということでありまして、そうすると、例えば、これは仮定の話を申し上げるのは本当に心苦しい限りですが、伊吹大臣、松岡大臣がおやめになられない理由、佐田大臣がおやめになられた理由は、ひとえにこれは各大臣の御意思だという理解でよろしいですか。

塩崎国務大臣 先ほど申し上げたように、佐田大臣は、みずから、不適切な処理があった、したがって大臣を辞したい、こういうことをおっしゃって、その政治家としての言葉の重みを持ったものに、了としたという判断を下したわけですね、総理が。

 伊吹大臣、松岡大臣について、今おっしゃったようなことが問題になっているという話は、私はよく理解しておりません。

小川(淳)委員 問題にはなっているわけですが。

 伊吹大臣そして松岡大臣については、不適切な経理はないという主張をずっと展開されているんですが、私、この際、本当に両大臣にお願いしたいんですが、不適切であるかどうかという直接の問いではなくて、その中身をぜひお教えいただきたい、ぜひ御説明をいただきたいという気がいたしております。

 伊吹大臣、もう手を挙げられたくてたまらないような状況ですので、どうぞ。

伊吹国務大臣 この前、馬淵委員から御質問をいただいて、テレビも入っておりましたので、もう少し長くやりとりを私はしたかったんですが、残念ながら、そういう時間がございませんでした。

 率直に申しまして、小川委員、私は、なぜ疑惑とか不適切とかということが私の事務費について言われるんだろうということを今も疑念に思っているんです。ですから、きょう、小川さんが私に質問してくださる中で、厳しく、思っているとおりの質問をしてください。私は、それにお答えすることによって、実はこのことが、大変、各党の政治家の政治活動の内容を不公平に公表する結果になったり、あるいは選挙に大変な影響を与えたりしているということが広く国民の皆さんにわかっていただける。きょう、実はテレビが入っていればよかったと思うんです。

 それで、少し内容について率直に御説明しておいた方がいいと思いますが、少なくとも私の政治団体につきましては、五万円未満のものも、領収書の徴取義務はありませんけれども、私の政治団体に関しては、基本的にすべて領収書をとっております。領収書がない場合も、「領収書等」というのがありますね、「等」というのは何かというと、民間企業でいえば払い出し伝票のようなものですよ。ですから、だれに、いつ、どういうものを払い出したか。具体的に言うと、例えばお香典を三万円持っていって、領収書をよこせということは、日本社会の常識では言えませんね、これは。あるいは結婚式のお祝い。こういうものについても、うちは、だれが払い出しを、だれに払い出し、いつ払い出したかということをみんなとっております。

 ですから、その前提で申し上げますと、まず、こういう紙が先生のところへも来ているでしょう。十八年の収支報告をしなければなりません。それで、ここに、事務所費は、事務所の借料損料、租税公課、火災保険料、電話使用料、切手、修繕費その他これに類する経費で、事務所の、こう書いてありますね。

 人件費も、私の場合、事務所費に入っていますよ。それはなぜかというと、この分類基準表をごらんになるとすぐわかりますが、人件費は、政治団体の職員に支払われる給与、報酬、扶養手当、通勤手当その他諸手当の類及び健康保険料その他、こう書いてありますね。私のところは、例えば、私は土曜日、日曜日もほとんど帰れないです。そのときに、車を運転する人を私がいないとき休ませておくほど余裕のある事務所じゃないんですよ。逆に、外回りをして、会社でいえば必死に営業活動をしている秘書を私が帰ってきたときに運転させるほど選挙の余裕のある事務所でもないんですよ。

 そうすると、事務所の職員じゃない非常勤の職員を雇うということはいっぱいあります。例えば、選挙の前と後は特に多いです。選挙期間中は、公職選挙法によって政治活動はできません。しかし、その前後においては、選挙の準備活動と後始末活動として、きちっと政治活動をしなければならないんです。名簿を整え、入ってきた名簿について、十一万の名簿の中にあったかどうか、そしてそれをすべてチェックしていく、これの人件費はこの経常経費の人件費では読み取れませんよ。そういうものはどこへ入れるんだということを当時の自治省にずっと聞いて、この中へ入れているわけです。

 例えば、次に、それでは備品、消耗品は、ずっと書いてあります、「の購入費」と書いてあります。だけれども、このごろはコピーから何からリースですよ。購入費の中へ入れないです。もっとあえて言いますと、私のところは会食費も入っていますよ、事務所費に。そうしたら、何かそれが法律違反だというようなことを言っておられる党幹部もおられる。

 しかし、この政治活動費の渉外費などを見ると「他団体との交際などに要する経費」、こう書いてあって、団体内の、例えば地元の秘書が東京へ出てくる、これは通勤費じゃないですよ、私がどこかへ行くときに秘書がついてくる交通費がありますよ、こういうものもこの中へ入っているわけですね。そして、東京の秘書がこちらへ出てくれば、どんなところで後援会の方々と会っているのかということも経験させなければいかぬ。食事をしますよ。東京の秘書が地元へ行けば、どんな苦労をして集票活動をしているのか、地元の総会はどこのホテルでやっているのか、それはみんな、経費は、他団体との交渉じゃないから、みんなここへ入れないといけないんですよ。これもみんな、そのときそのとき自治省、総務省と問い合わせながらやっているんです。そして、それを問い合わせて積み上げた結果がこうなっていると。

 そこで、もうこれは公表してしまっていることですから、あえて数字を申し上げますが、東京と京都に明風会という、あるいは、明風会代表である私が契約当事者になって、二つの事務所を持っております。これだけで、京都の事務所は、率直に言えば東京の丸の内のようなところですね、そこに百八十何平米かなの事務所があります。これを、使っている面積の比率に合わせて、選挙区支部と私の明風会、ほとんど明風会で使っていますが、区分で賃料を払っています。そういうものを積み上げると、大体半分がそれなんですよ。残り半分は、文書作成費、印刷費、交通費、それから通信費。

 通信費だって、私、年に、十一万の後援会の人に対して二回新聞を出しているんですよ。これは郵便代だから、事務所費へ入れるのか、組織活動費に入れるのか、これも総務省、自治省に尋ねてあります。それは組織活動費に入れてくれというから組織活動費に入っています。毎月毎月、私は三万五千の人にはがきを出しています。そのはがきの代金も組織活動費に、郵便料だけれども入っています。

 ですから、そういうものをきちっと積み上げて私はこれは経理しているんです。小川委員が、自分も参考にしたいから伊吹の京都の経理、東京の経理の内容を見せてくれとおっしゃったら、私はいつでも喜んで後輩のためにお見せします。

 ただ、一つ申し上げておきたいのは、これが、どうしてこのことが始まったかというと、一月三日の日本共産党の赤旗に出たのは、議員会館に事務所を置いているからただじゃないかと。それなのに多額の事務所費を計上している議員の数というのでざあっと出たわけでしょう。(発言する者あり)いやいや、ざあっと出た。おたくの幹事長が言っておられることは正しいんですよ。そして、それに対してまた赤旗が大変攻撃をしました、鳩山さんを。しかし、名目上の事務所を置いているからといって、主たる事務所を置いているからといって、事務所を使っていないわけじゃないんですよ、外も中も。そうすると、このレトリックはまず崩れちゃっているわけですね。崩れると、今度は事務所費が多いから疑惑があるとか、不透明だったから公表しろとかおっしゃるわけでしょう。

 そうすると、私、先生に、見たいとおっしゃるのならいつでもお見せしますよ。ただし、もし、量が多いから公表しろとおっしゃるのなら、幾つもの政治団体を分けて、某党の大幹部は十幾つも政治団体を持っておられますね。そして、資金管理団体からそこへみんな事務所費を小分けに入れたとしますか。五百万ずつ入れたら、みんな足して五千万になるんじゃないですか、事務所費の合計は。だから、事務所費をすべて合計して、そして多い少ないを論じていただかないと困る。

 それからもう一つは、共産党がまさにこの資金管理団体のことを取り上げられたのは、共産党としては非常に御立派なんですよ。なぜかというと、ここに、自民党のあれはだれだったかな、おととい、小野さんが御質問になったように、共産党は資金管理団体を一つも持っておられないんですよ。そして政党支部も持っておられないんですよ。ただし、政党の本部と支部ですべての、私は京都ですからよくわかりますよ、共産党が強いところですから。選挙の前だけじゃなくて、もう日常活動、ずっと個人のサポートの活動をしておられますよ。そこの事務所費は一億三千万あるという話でしたよ、合計すると。だから、私は、志位議員がおっしゃったときに、注意深く本会議で答弁しているつもりなんですよ。一定額以上の事務所費を持っている政治家、政党が、政党がと申し上げているんですよ、すべてこれを公表するというのであれば、私はそれに喜んで従いますと。

 そうしませんと、この中を公表するということは、その人の選挙準備運動たる政治活動をだれかが疑惑があると言った途端に白日のもとにさらさなければいけないことになるんですよ。だから、疑惑を持たれた者は進んで身のあかしを立てなければならないと倫理綱領に書いてありますよ。だけれども、疑惑をだれが判定するのかというのは、国会で判定してもらわないといけないんです。ですから、馬淵議員がいみじくもおっしゃったように、理事会でといって委員長にお預けしておられるわけです。

 だから、私はすべて積み上げて、法に許されているけれども、法に以上の正確度を持ってきちっと積み上げておりますから、この内容をここで細かに、私が資金管理団体だけの事務所費が多いからといって公表しろとかいうことになると、政敵を陥れるとか特定政党の人間の選挙活動をみんな明らかにするためのトリックは幾らでもできてくるということなんですよ。だから、そこをよく考えて、政党間でどうぞ御議論をしていただきたいと私は願っております。

小川(淳)委員 じっくりお聞かせをいただきました。

 伊吹大臣、これ、最初からそういう形できちんと御説明されたらよかったですよね。本会議場で志位議員に対して「疑惑があるという誤った認識を前提にした議員の御示唆にお答えするのは、法律上やや私は問題があると思います。」という御答弁をされるから、私だって何かあるのかなと思うじゃないですか。なぜ最初からそうやってきちんと御説明されなかったのかなと思いますよ。(伊吹国務大臣「ちょっと待ってください」と呼ぶ)では、法律上問題があるというのは、これはどういう意味ですか。本会議ですよ。

伊吹国務大臣 それは、法律上は事務所費は公開しなくていいんです、事務所費の詳細を。先生も旧自治省の御出身で、行政局の選挙部の政治資金課というのは先生のおられた役所に属しているんですよ。ここの、政治資金規正法によると、事務所費は一括計上でいいんです。

 ところが、主たる事務所を置いているからただだという一事をもって疑惑があるというから、法律で許されている事務所費の非公表を、そういう誤った、ただであるという誤った認識のもとで出せと言われるのは政治資金規正法から見て無理があるということを私は申し上げているので、何もおかしなことを申し上げているとは思いませんよ。

小川(淳)委員 ですから、公表しないことは恐らく法律上問題ないんでしょうね。しないことは法律上問題ないんですよ。しかし、公表しても法律上問題ないんですよ、これ。してもね。(発言する者あり)いや、だからそこを、誤解を招くようなお答えのされ方をしなければよかったじゃないですか、大臣。

 いや、私は、大臣、伊吹大臣だから申し上げているんですよ、やっぱり。伊吹大臣ですから。こんな、だって、事務所費なんて、賃借料でしょう、税金、保険料、電話、切手、大体これが全部で四千万ちょっと、大体内訳はまあこんなところですかねぐらい言えばよかったじゃないですか、伊吹大臣、最初から。そうしていれば、なぜ……(発言する者あり)伊吹大臣だから申し上げているんですよ、伊吹大臣ですから。それが、予算委員会の中でも、政治活動の自由だとか平等だとかグレーゾーンだとか何だとか、たくさんおっしゃるものですからこじれていくんじゃないですか、これ。最初からおっしゃったらよかったじゃないですか、大臣。

金子委員長 では、質問にしましょう。

伊吹国務大臣 これは、小川さん、法律では公表しなくていいんですよ。公表しなくていいものを、主たる事務所を議員会館に置いているからという一事をもって疑惑があるから公表しろとおっしゃることは、政治資金規正法から見てやや無理があるんじゃないかということを言っているわけですよ。

 グレーゾーンというのは、これは馬淵委員の御質問にお答えしたと思うんですけれども、グレーゾーンというのは、あなたも政治活動を重ねられればいっぱい出てきますよ。例えば地元の同窓会へ行くのは政治活動ですか、それとも先生の個人的な活動ですか。有権者もいるでしょう、しかし同時に、自分の支援してくれている人もいるでしょう。しかし、自分の同窓会というプライベートなことでもあるでしょう。

 どちらにつけるかということ、そういうものは、私の、それから政治家同士のつき合いでも、お互いに情報交換をしているという名目をつければ、それは政治資金で落とせるかもわかりませんよ。だけれども、いや、ほとんどゴルフばかりしておって、それが政治活動なのかというようなことを言われれば、私の性格からして、そういうものはすべてポケットマネーで処理しておりますということを言っているわけですよ。

 だから、グレーゾーンと言ったから何かおかしなことを言っているとか、そんなことは全くありませんよ。

小川(淳)委員 いや、ですから、私が申し上げていることはそんなに違わないような気がしますね。伊吹大臣がおっしゃっていることと私が申し上げていることは違わないような気がしますよ。

 法律上公表する必要は当然ありませんし、主たる事務所が違う、京都にあるからという一事をもってというのも、そのとおりでしょう。しかし、やはり本当に活動の拠点のところに主たる事務所を置いた方がいいのはいいですわね、これは当然。一事をもって疑うのはけしからぬとおっしゃる気持ちはわかりますよ。しかし、主たる事務所、主に活動しているところに事務所がある方がやはりいいんですよ、登録も。それは絶対にその方がいい。

 年間四千七百万の事務所費。この事務所費、だから、四千七百万、大体通信費お幾らぐらいですか、家賃お幾らですか、保険料幾らですか、税金幾らですか、大体こんなものですよ、ですから、そんなに疑惑の向けられるようなお話ではありませんよというぐらい堂々と伊吹大臣おっしゃったらよかったんですよ。ですから、私は、公表しろとかいうことじゃなくて、やはり伊吹大臣だからこそ、みずから公表されたらよかったんじゃないですかということを私は申し上げている。ですから、大臣がおっしゃっていることと私がここで申し上げていることは、逆の方向から言っていますが、ほとんど同じことだと思いますよ。

 伊吹大臣、本当にお願いしますよということですよ。どうぞ。

伊吹国務大臣 これは、見たいんならどうぞごらんになったらいいですよ、ぜひ後輩である小川さんには、こういう経理でこういうやり方を将来やった方がいいよということの参考になるために、幾らだって喜んでお見せしますよ。

 ただ、さっきから……(発言する者あり)自民党にも教えます。しかし、さっきから言っているように、このことを小川さんよく理解してもらいたい。もしも多いからと、最初はもう、率直に言って、おたくの鳩山幹事長が言っておられるように、赤旗のレトリックは崩れているんですよ。崩れた後、多いから出せということであれば、それに私が従って出しちゃったら、多い人はみんな自分の政治活動の手のうちを右へ倣えで公表させられちゃって、政党でやっているところは事務所費がどんなに多くても公表せずに、政治団体を幾つも分けている人は資金管理団体の事務所費が少ないというだけで公表しなくて済むというのは、政治活動を平等に国会で審議するという姿勢からすると極めて不適切だから、私は、公表したくても、そういう不公平の引き金を引くことはできませんと言っているんです。

小川(淳)委員 大臣、私はやはり、私が大臣のお立場だったら、やはり差し支えない範囲で、そこは極めて周到に見きわめるでしょうね。選挙に差しさわりがあるのかないのか、あるいはほかの政治家の方に影響を及ぼすのかどうか……(発言する者あり)

金子委員長 御静粛に願います。

小川(淳)委員 極めて周到に見きわめた上できちんと御説明される、私ならしますね、大臣。

伊吹国務大臣 小川先生、自分一人いい子になったり、パフォーマンスをしたり、格好いいことはやりたい場合もあるんですよ。しかし、それで大きな、例えばルールというんですか、が崩れていくときは、つらいけれども個人は我慢しなくちゃいけないときもあるんです、それは。ですから、私は、なぜこんなことを疑惑だとか不透明だとか言われるのかとずっと思っているんですよ。きょう質問してくださって、本当に私はうれしく思っております。

小川(淳)委員 ですから、やはり最初からそうすべきでしたよ、本当に。何度も申し上げますが。

 同じ問いですけれども、松岡大臣、何かございますか。

松岡国務大臣 今、小川先生と伊吹大臣とのやりとりを聞いておりまして、基本的な部分は全く私も一緒でございます。

 それで、正直にすべて法律に基づいて整理をし、これを計上し、報告をいたしておる、それに尽きるわけですよ。そして、私は、この国会議員の中で何人が自分で直接やっておられるか、それはやっておられる人も多分あるでしょう、一人か二人か何人かは。だけれども、私は会計責任者というのが事務所におって、そしてきちっと整理をいたしておる。うちもきちんとそのようなことですべて記帳をし、そして整理をし、報告いたしておる、そういうことであります。

 私がずっとこの前も申し上げておりますのは、大体伊吹大臣が言われたことと一緒だと思うんですけれども、各党各政治家は、主たる事務所が国会にあるとかないとかということにかかわりなく、すべてを、そしてまた額が小さいとか大きいとかということにかかわりなく、やはり中身を一定の基準で整理して、これはもう各党各会派で整理をして、こういう基準でやりましょうということであればいつでも喜んで率先してそれに従って公表いたします、そういうことを申し上げているわけです。閣僚だからとか、閣僚である以前にこれは議員活動の話ですから、議員活動の話ですから。少なくとも十七年ということでいえば、私は閣僚じゃなかったわけでして。

 そういった点からしても、きちんと各党各会派でやっていただければそれに従って公表する、全くやぶさかでないどころか率先して応じます、こう申し上げているわけであります。

 以上です。

小川(淳)委員 いや、両大臣とも、そういう取り決めがあったら率先して従いますとか、真っ先に公表しますとかおっしゃいますけれども、それは当たり前ですよ。そういう取り決めがあったらやるのは当たり前。だから、率先しておやりになるのか、従うのか。これは率先して従うという話じゃありませんよ、それは当たり前。

 伊吹大臣は今、あらかた、家賃こんな感じです、それから交際費ですか、いろいろ議論はあるんでしょうけれども、こんな感じですというふうに、やはりそう説明すべきだと思うんですよ、適切です適切です適切ですと言えば言うほど。

 ですから、松岡大臣もやはりおっしゃるべきじゃないですか。大体でいいですよ、大体、ざっくりと。そんな、私はこの場で政治活動の支障になることを望んでいませんし、選挙の障害になることも望んでいません。

 しかし、私は両大臣にぜひお考えをいただきたいんですが、これはやはり国民生活の中から出てくる相場感というのがあるわけでしょう。何千万というお金を聞いたときに、びっくりするような感覚があるわけですよ。政治活動ですから、国民の皆さんは一々政治活動の細かいことを知りませんよ、知らない。だから一々それに動揺する必要はありませんが、いや、大体こんな感じで使っていますよとそれを親切に説明すればいいじゃないですか。

 松岡大臣、大体賃借料がどうで、税金がどうで、修繕費がどうだから、あるいは保険料がこうだから、電話料、切手料が大体こんな感じだからこうなっていますよと、ここでおっしゃっていただくわけにいきませんか。(発言する者あり)

金子委員長 御静粛にお願いいたします。

松岡国務大臣 その前に、ちょっと先ほど前提としてきちっと申し上げておかなきゃいけなかったんですが、私どもは、法に触れたり、不適切なものは一切ございません。そのことをまずしっかりと申し上げておきますが、その上で先ほどの答弁をお聞きいただければと思います。

 そして、今、じゃ、これとこれとこれを幾つか挙げて、これこれこうだからと言えばいいじゃないか、こうおっしゃっておりますが、それは先ほどから何度も申し上げているとおり、小川先生も自治省にもおられ、もう総務省になっていましたかね、自治省にもおられ、そして、随分そういったことの論理はよく認識をされておるはずだと思うんですが、そういったことについての、例えば不動産なんという項目は私らにはありませんよ。ありませんよ、全く。だから、じゃ、そういった項目はどれとどれの項目にするのか。しかし、おたくのどなたかがお聞きになったら、菅総務大臣の答えは、不動産取得は違法ですか、いや、違法じゃありません、そういうことなんですから、じゃ、どういう項目でみんな公表するのか。不動産という項目は法律上は出ていませんよ。だけれども、それはしかし違法ではない。

 こういうことであるならば、何と何の項目ならそれをみんなで公表することにしようかということをお決めいただければ、それに従って我々は率先対応いたします、こう申し上げているわけです。

小川(淳)委員 法律論でいえばおっしゃるとおりなんでしょうね。でも、やはり政治家である、閣僚である以前の問題だとかおっしゃるわけですから、やはり私は、差し支えない範囲でですよ、差し支えあることまでとは言っていない、それは差し支えない範囲できちんとこれは最初から御説明すべきでしたよ。それがやはりこの問題をこじらせていると私は思います。

 そのことを強く申し上げて、次の話題に移りたいと思いますが……(発言する者あり)

金子委員長 静粛に願います。問題点がかわりますので、静粛に頼みます。

小川(淳)委員 尾身大臣にお尋ねを申し上げます。

 尾身大臣、STSフォーラムですか、大臣が科学技術あるいは沖縄に関連して非常に力を入れておられるということはこの間いろいろなところで拝見しますし、私、駆け出しのころ、実は沖縄にしばらくおりまして、すごくそういう意味ではありがたいんですよね、大臣が沖縄に力を入れてくださっているということが。

 内閣府にその前にお尋ねしますが、このSTSフォーラム、これはNPO法人ですか、これはどういう団体、どういうNPO法人なのか、概要だけ御説明いただけますか。

西政府参考人 御指摘の団体でございますけれども、内閣府が平成十七年十一月九日に設立認証の申請を受理しまして、翌平成十八年二月二十八日に認証を行い、同年の三月六日に設立登記された特定非営利活動法人でございます。申請時に提出された定款によりますれば、国際フォーラムの開催事業を中心として科学技術の振興を図る活動及び国際協力の活動を行うものとされております。

小川(淳)委員 このSTSフォーラムの役員、理事長はどなたですか。

西政府参考人 当該法人から提出されました最も新しい書類、これは昨年の九月に届け出を受けておりますが、代表者は尾身幸次氏となっております。

小川(淳)委員 官房長官にお尋ねをいたします。

 大臣、閣僚の皆さんがこういう外部の法人、団体の役員となることに関しては、何か取り決めなりがあろうかと思いますが、いかがですか。

塩崎国務大臣 国務大臣、副大臣及び大臣政務官の規範というのがございまして、そこにいろいろ書いてございます。

小川(淳)委員 どういう内容ですか。

塩崎国務大臣 今の尾身大臣のケースに即して申し上げれば、まず第一に無報酬であるということ、理事長を兼職する場合ですね。それから、大臣就任に伴って理事長の職務を休止する。さらに、大臣在任中は理事長職の代行者を置かなければならない。そしてもう一つは、団体の運営には一切関与しない旨の取り決めを当該団体との間で結んでいる。こういう条件が必要なわけでありまして、尾身大臣の場合には、この大臣等規範の趣旨を踏まえた対応が既にとられているというふうに考えております。

小川(淳)委員 そういう状況を確認されたのはいつですか。

塩崎国務大臣 これは一月の七日に理事長職務代行者が指名されておりますが、大臣になられたのは当然九月二十六日なわけですけれども、実は、このSTSフォーラムというのは、十九カ国に会員を有する世界的な組織であるわけなんですね。その理事会による代行の指名というのを行わなければいけないわけでありますけれども、それは世界から集まってきてもらわなければいけないということで、この一月七日に正式に職務代行者というのが選ばれて、こういう形になって条件を満たした、こういうことであります。

小川(淳)委員 その間の状況というのは、この規定に違反していた状態というふうに理解してよろしいんでしょうか。

塩崎国務大臣 今申し上げたような手続を一月の初めにとるということは、既に当初から私たちに通告があったところでございます。

小川(淳)委員 その当初というのはいつですか。

塩崎国務大臣 内閣発足直後でございます。

小川(淳)委員 昨年の十一月に、今官房長官がおっしゃったような趣旨の通知が財務大臣から内閣総理大臣あてに提出をされていると思いますが、それ以前に何かあったんですか。

塩崎国務大臣 正式なものは今おっしゃったとおりでありますけれども、口頭で聞いておりました。

小川(淳)委員 官房長官、それは口頭でいいんですか、この取り決めに関しては。

塩崎国務大臣 先ほど申し上げたように、世界から集まってこなきゃいけないということで、物理的に不可能だということであったものですから、そういう話を聞いておったわけでございます。

小川(淳)委員 口頭で聞いていればいいということですか、今のお答えは。

塩崎国務大臣 先ほど申し上げたこの大臣等規範、国務大臣、副大臣、大臣政務官規範には、特に書面で出せということは書いていないわけでありまして、先ほど申し上げたように、このフォーラムの理事会を早く開くといっても、世界から集まってくるのに時間がかかるということであったものですから、そういうふうなことで聞いておったわけであります。

 その後、正式に書面で十一月七日に出てきたというのは、多分このことをおっしゃっているんだろうと思いますけれども、その前に私どもは、そういう形で、なかなかこれは開くことができないので、一月になって正式にやることになっていますということを尾身大臣から私も聞いておりました。

小川(淳)委員 尾身大臣、いかがですか。これは十一月に、本来九月に、就任早々にやっていればよかったんでしょう、これは。

尾身国務大臣 このSTSフォーラムというのは、サイエンス・アンド・テクノロジー・イン・ソサエティー・フォーラムと英語で言いまして、科学技術と人類の未来に関するフォーラム、こういうことであります。これも、私が科学技術担当大臣のときに考えて提唱したフォーラムであります。

 そして、それは、科学技術が発展して経済の向上やあるいは生活水準の向上に非常にプラスになった反面、例えば公害問題とかあるいはバイオにおける倫理の問題とか、いろいろなマイナス要因がある。つまり、科学技術の光と影がある。影の部分を適切にコントロールしながら光の部分を伸ばしていく必要がある。そして、これは、科学技術関係のプロフェッショナルな人だけではなしに、政治家とかビジネスとかいろいろな方々が集まって相談をする必要がある、そして同時に、一国や二国で解決できないような問題があるから、世界じゅうの人が集まって相談をする必要があるということで、この会をつくったものであります。ですから、世界じゅうからいろいろな種類の方々が集まって、このSTSフォーラムを開催いたしました。

 それで、昨年の三月にNPO法人になりまして、私が理事長に就任をいたしました。九月二十六日に……(発言する者あり)今説明していますから。

金子委員長 これは本人の政治生命にかかわる、今、問題ですから。要領よくやってください。(発言する者あり)いや、そういう話として今取り上げているから、説明しているんですから、聞いてください。

 尾身大臣、簡略に願います。

尾身国務大臣 九月の二十六日に就任して、理事会といっても、半分以上は実は外国人なんです、理事が。

 日本は、経団連の御手洗会長とか、学術会議の当時会長の黒川先生とか、あるいはトヨタの張会長とかが入っておられます。ジェトロの理事長も理事になっております。

 しかし、アメリカの方では、アメリカの学術会議会長のシセローン、それから、ビジネス・ラウンドテーブルの会長の、ファイザーのCEOのマッキンネルさん、ノーベル賞学者のフリードマンさんなどが入っております。イギリスも、ロイヤルソサエティーの会長のマーティン・リースが理事でございます。それから、スウェーデンのカロリンスカ研究所の学長であります……

金子委員長 尾身大臣、質問のポイントに入ってください。

尾身国務大臣 いやいや、これはよく説明させてください。この会合の性格を説明しなければ。カロリンスカ研究所のヴァールベリ・ヘンリクソンさんも理事であります。

 そういうわけで、理事会というのは、開くときに、日本で開くわけにいかないんです。一月の初めの連休のときに私がアメリカに参りまして、アメリカのワシントンのアメリカ学術会議の会議室で理事会を開いたわけであります。

 それで、九月に就任をして、規範によりまして、私が理事長代行を決めて、そちらにお願いしなければならないということで、九月から十一月の間にいろいろ相談をいたしまして、前の……(発言する者あり)これね、答弁に対する妨害じゃないですか。私が説明しているんだから……(発言する者あり)今そのときのことを説明しているんだから。

 それで……(発言する者あり)

金子委員長 財務大臣は簡潔にお答えください。

尾身国務大臣 そして、十一月の七日までの間に理事長代行となるべき人を事実上内定しなければいけなかったので、いろいろお願いした結果、前の東大の総長で学術会議の会長であった吉川先生に理事長代行をお願いするということで内諾をいただきました。そして、内諾をいただいた段階で、これこれこういうわけで理事長代行をお願いいたしますので、正式の議事は一月の初めにワシントンで理事会を開いてそこで決定いたしますのでしばらく御猶予くださいという届け出を内閣総理大臣あてに出したのが、十一月七日であります。

 そして、一月七日にワシントンで世界各国から理事が集まったときに正式の理事会で今の手続をして、手続が終わった段階で、一月の末に、また、こういうことで正式に理事長代行を吉川先生にお願いをいたしました、こういう届けをしたわけでございまして、手続上何ら瑕疵がないと思っております。

小川(淳)委員 大臣、語気が強いのはいいんですけれども、九月に御就任されて、違反するわけでしょう。この閣議決定ですか、大臣政務官規範に違反した状態が直ちに起きるわけでしょう、九月に大臣に就任された時点で。

 その時点で直ちに理事長をおやめになるのか、あるいは、そうでないなら書面で内閣総理大臣に、これは許されるのならですよ、無報酬等々の条件で許されるのなら、きちんと報告、通知をするとか、そういう処置を就任早々にきちんとすべきではありませんでしたかとお尋ねしているんです。

尾身国務大臣 九月二十六日に就任をして、それからいろいろなことがございました。

 そういう中で、これは規範がこういうことであるということもその後いろいろ聞いて、そして検討をして、こういうことにしようということで関係者と相談をして、そして吉川先生にお願いすることが決まって、そしてそのことを、もちろん口頭では先ほど官房長官のお話のとおり申し上げておりましたが、そして手続を正式に文書で出したものでございまして、実態として、二十六日に就任したから二十六日にすぐ紙で出せ、そんなことができるはずがないのは、現実問題としてだれでも御理解いただけると思います。

小川(淳)委員 いや、それは実態論からいえばそうでしょう。しかし、そういう質問に対して、やはりそうすべきでしたね、そうすべきだったなとおっしゃるべきではありませんか。閣議決定でこういうルールがある以上、これはもう本当に共通しているんですよね。きちんとルールに従って、いや、それはやれればよかった、やるべきでしたねとおっしゃるべきではありませんか。

塩崎国務大臣 先生のお気持ちはよくわかりますが、まず第一に、先生、大臣になることを予定していた人は余りいない、総理大臣以外はいないわけですね。それで、この大臣規範というのがあるということは、尾身大臣も大臣経験者ですから当然御存じだったわけですし、我々ももちろん直ちにこれをその日のうちに聞いているわけでありますが、この中で、名誉職などで先ほど言ったような条件を満たすようにするためには少し時間がかかるわけです。何しろ、なるということを予定していないわけですから。

 急にこういうことになっても、国内のNPOであるならば比較的、理事会を開いていただくのは簡単かもわかりませんし、代行を立てるのも簡単かもわかりません。しかし、今、尾身大臣から御説明があったように、やはり、世界に理事が散らばっている中で、コンセンサスをいただきながら代行を立てて、そして正式な手続をとるために時間がかかったということで、可及的速やかにこの手続はしなきゃいけないのは先生おっしゃるとおりであります。

 したがって、尾身大臣に、先ほどおっしゃったようなことを考えろということも、感じろというのもよくわかるところでありますが、このケースの場合には、私どもも尾身大臣とも話をしましたけれども、何しろ早く大臣規範に合うようにするために努力をしないといけないということは尾身大臣もわかっていたし、私も官房長官として御指摘を申し上げてきたわけでありまして、それを一月にやっとその条件が整って代行が正式に立てられて、今のような状態になって、大臣規範にものっとった形になった、こういうことだろうと思うんですね。

 ですから、その点、少し時間がかかったことについては御理解を賜れればありがたいなというふうに思うところでございます。

小川(淳)委員 そうしたら、そうしてください。閣議決定に、速やかに報告するとかあるいは可及的速やかに措置を講じるとか、これは改正すべきじゃありませんか。

塩崎国務大臣 貴重な御意見としてお聞きしたいと思います。

小川(淳)委員 今のは、やっていただけるというふうに承りました、官房長官。

 とにかく、本当に……(発言する者あり)それは我々は野党ですよ。我々は野党ですよ、それは。しかし、我々を通して、我々の問いかけ、私たちの問いかけに対する答えを通して国民に答えている。この場をやり過ごせば終わりじゃないんですよ、大臣の皆さん。やはり、そういう誠意とか、そういう信頼感とか安定感というのが決定的に欠けている、この内閣は。私は、偉そうなことを申し上げてなんですけれども、本当に不満ですよ、この間の審議のやりとりを見ていても。

 久間大臣、イラク開戦判断、誤っていた。私も誤っていたと思います。本当にそう思う。あんな何万人も死ぬ必要はない、あんなもので。

 久間大臣、それはそれとして、あの開戦判断が誤っていたとお答えになったのは御自身の信条だと思いますが、本会議場で答弁されたときに、高らかに答弁されましたよね。松本政調会長、一月二十九日ですよ。私の発言は、当時、閣外にあって感じた感想として述べたものであり、総理がお答えしたとおり、政府としては米国による武力行使を支持しており、私も、大臣として、その立場を支持、踏襲しております。大臣、高らかに言うようなことですか、これは。

久間国務大臣 報道等を見られて言われるんでしょうけれども、私は、開戦が誤っていたという言い方じゃないんですよ。核兵器があるかのように言われたけれども、私はないと思っていたと。だから、それを言っているんであって、イラクに踏み切ったこと自体について、私は、アメリカのことですから、それが正しいとか正しくないとか、そういうような言い方はしていないんですけれども、報道等では、開戦そのものが、あるいはそれについて言ったように聞こえるんですけれども、そうじゃなくて、特に核兵器があるかのように言われておったけれども、私はそうじゃないんじゃないかと思っておった、そういう言い方だったんですよ。

 だから、私は反対していないんです、あれのときも。支持と言わずに、理解するぐらいがまあまああのときの心情じゃないかな、そういう感想を言ったんです。

 そして、この間は、大臣になっている以上はそういう感想も言うなと言われましたけれども、しかも、あれは私の講演で言ったんじゃなくて、質問があって、あのときあなたはどう思っていたのかというようなことを聞かれたので私はそういう感想を言ったので、だから、そこのところを正確に言っていただきたいというふうにマスコミの皆さんにも思うんですけれども。

 私は、だから、今、政府の一員として、政府は従来から言っていますように、挙証責任が結局フセインにあったのに彼はしなかった、そういうことでアメリカは踏み切った、それに対して、総合的に判断して、日本国政府は支持するというようなことを言ったというふうになっておりますから、その前提に立って、今の政府もそれを受けていますから、私は、その政府の一員として、その立場でこれから先もやっていきますということを言っているわけであります。

小川(淳)委員 内容ならそうお答えになればよかったし、本会議で大臣は、当時の私の感想として述べたと、エクスキューズというんですか何というんですかね、そのことでされようとしたんですから、私は申し上げたいんですけれども、閣僚の皆さん、本当に、当時の判断だとか当時の感想だとかなら何を言ってもいいんですか、これ。官房長官、いかがですか。

塩崎国務大臣 それは一人一人の政治家の判断だと思います。

小川(淳)委員 官房長官、何でですか。大先輩だからですか。困ると言わなきゃだめでしょう、奔放な発言をしてもらっちゃ困ると。言わなきゃだめでしょう。

 防衛大臣、どうぞ。

久間国務大臣 むしろ教えていただきたいんですけれども、先生が、過去こう思っていましたかと言われたときに、私はそれには答えませんという答えをするのか、そのときはそう思っていましたという答弁をされるのか。

 だから、それはやはり、聞かれればそれに答えるのはやむを得ない。ただ、今の立場でどうしますかというときには、政府の一員ですから、今の政府の中で違った行動をしておれば、それは批判されるかもしれませんけれども……(発言する者あり)それはまた別なんですよ。

 よくそういう議論になるんですけれども、閣僚としては、これをやらなきゃならない、例えば米軍再編をやってもらいたいと言われたから、わかりましたということで私は引き受けているわけですから、イラクの開戦のときの話とはまた別なわけでございまして、だから、どちらをとって、自分としては、よし、やりましょうということで決意した以上は、政府の一員として違った行動はとりませんけれども、あの当時どうだったのかと言われますと、それを違うような答弁はしにくいわけでありますから、そこのところはひとつ御理解していただきたい。

小川(淳)委員 しにくいお気持ちはわかりますよ、それは。しかし、当時の感想とはいえ、今は言えませんという機会がやはり多いと思いますね。

 初日に野田毅委員が、閣僚の皆さんは発言の自由はないんだよ、しっかりやってくれよということを御質問されていましたよね。私、院内のモニターで見ていましたよ。与党の中から大先輩がああいう質疑をする、そういう質疑をさせていること自体、やはり内閣としては本当に失格だと思いますよ、そういう意味では。

 麻生大臣、アメリカのイラク復興措置ですか、対応ですか、それは幼稚なんですか。

麻生国務大臣 前提条件を幾つかきちんとしておかないと、また誤解を生みますので。私の方は、小川先生、国会での発言ではありません。それはよく御理解いただきたい点だと思います。

 日本防衛協会だったかな、どこかの地方での講演のときに申し上げたんだと思う。京都だったっけな、このところあっちゃこっちゃ行かされまして、ちょっと場所がわからなくなって済みません。そのときに、御質問だったと思うんですが、そのときの議事録を読み返してみたんですが、その前後の文脈というのを、その一部だけ取り出すとああいう話になっちゃうんですが。

 私の申し上げているのは、武力行使というのを短期間の間に成功させたという点に関しては間違いないと思いますが、しかし、その後のイラクの復興とか治安の安定とかいうものを考えるということに関しては、順調にいっているとは言いがたい、極めて困難な状況になっているのではないかということを申し上げて、したがって、こういった問題は、中近東地域の安定というものは、石油の九割を輸入しております日本にとっては極めて重要、したがって、我々は、イラクの治安、経済復興等々に関しては、その責任というものは我々にも影響がかかってきますから、そういった意味では、我々としても一緒に取り組むべきではないかと。

 そして、その点に関しては、平和構築の分野に関しては、カンボジアの、今クメールルージュの裁判、これは裁判官は日本人の野口という人がやっているんですが、クメールルージュの話とかアフガニスタンの武装解除の話とか、こういったようなことに関しては、日本のやってきたこれまでの実績というのがありますので、ぜひこういった状況を踏まえてこれからも取り組んでいきたい、取り組んでいくべきだ、我々としては、そういったことにかけて知見がある、知見というか経験があるということを申し上げて、ぜひ大いに努力すべき話ではないかということを申し上げて、我々の方がうまくやっているんですよという話の一環の中にあの言葉が出てきたというように御理解いただければと思っております。

 ちなみに、このことに関して、アメリカ政府から正式に私のところに、よくわかっておると、正式にいわゆる反論が出てきて、とんでもないと言われたようなことはありません。

小川(淳)委員 いや、それはやはり、後から国会での御答弁とかも拝見しました。おっしゃっていることはそうだと思いますよ。しかし、やはりそういう言葉を使っちゃだめでしたよね、それは。アメリカから文句言われてないとかなんとかじゃなくて、ましてや今微妙な時期なわけでしょう、七月の前に。

 私は、これは本当に、きょうは冬柴大臣、柳澤大臣、菅大臣、本当に申しわけなかったんですが、ちょっと機会を改めさせていただきますが、やはり、こういうのがぽんぽんぽんぽん出てくるというのは、本当に不規則、不安定ですよ。もう何が飛び出してくるかわからぬから、こっちも怖くて聞けないじゃないですか。本当に頼みますよ、お願いしますよ、しっかり。

 これは、さっきの事務所費の話もそうですけれども、もっともっと閣僚の皆さん、国民とか有権者とか、我々を通してですよ、と対話をする、相手に対する心配り、そういう基本的なこと、閣僚とか政治家とかいうよりも、その基本的なことに対して、もっと忠実に忠誠心を持って職務に当たっていただきたいなと本当にすごく思いますよ。

 これは機会をまた改めさせていただきまして、同僚議員につながせていただきます。

 ありがとうございました。

金子委員長 これにて小川君の質疑は終了いたしました。

 次に、大串博志君。

大串委員 民主党の大串博志でございます。

 きょうは、まず冒頭に、先ほど小川委員からも質問がありましたけれども、アメリカから輸入された牛肉の混載されている事例があるときょう発表されたことに関して、二、三確認をさせていただきたいと思います。

 先ほど、事実関係に関しては話がありました。倉庫業者から動物検疫所川崎分室に対して、横浜港に到着した貨物の中に、米国農務省発行の衛生証明書に記載されていない牛肉、ばら肉二箱が含まれていた旨の報告があったということでございます。事実関係等々に関しては確認中だということでございましたけれども、幾つか確認させていただきたいと思います。

 この貨物を輸出してきた、出荷した施設は、このプレスリリースによりますと、タイソン社のレキシントン工場というふうになっております。

 この米国産牛肉の輸入の問題に関しては、一昨年の十二月に輸入が解禁されて、去年の一月に特定危険部位の混入した脊柱つきの牛肉が見つかって、そこで牛肉の全面輸入禁止という措置になり、去年の七月末に新たな措置をとった上で再開したわけでございます。

 新たな措置をとる段階で、いろいろな手続を強化しようということで、御案内のように、アメリカの施設の検査に日本側からも行く、アメリカの施設を日本側からも検査して、そういうふうにダブルチェックを重ねてきちんとチェックするから、より大丈夫な手続でやるのでという意味も含めて再開されていると思います。

 一つお尋ねしますけれども、今回問題になっております、衛生証明書に記載していない牛肉を出荷してきたタイソン社レキシントン工場、ここには、今回輸出を再開する前に日本として検査をしているんでしょうか。

藤崎政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年七月の輸入手続の再開に当たりまして、六月二十四日から七月二十三日までの間に、すべての対日輸出施設三十五カ所について、農林水産省及び厚生労働省の担当官が、施設のマニュアルの整備状況等について現地調査を行っております。

 先生御指摘の、当該工場の現地調査につきましても行っておりまして、その際には書類上の不備があったということが指摘され、その旨米国側に伝えてございます。その後、米国農務省が改善を確認した上で、対日輸出が可能となっております。

 なお、あわせまして、当該施設の調査におきましては、今回の対日輸出牛肉ではないことの確認の端緒となりました、製品のラベルの製品番号の最後のけたが日本向けはJにより識別されるという点も確認いたしております。

大串委員 今あった説明によりますと、去年の七月に輸出を再開するということに当たって、日本側からもアメリカの施設の検査に入れるということで、この施設には日本側からも検査に入り、幾つかの不備があったけれども、それが是正されたことを確認した上で許可が行われたにもかかわらず、今回、衛生証明書に記載されていない牛肉が入っていた。チェックを行って大丈夫だと確認していたにもかかわらず、今回こういう問題が起こったという事実関係でよろしいでしょうか。

藤崎政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、当該施設から輸出された二箱の牛肉につきまして、それが二十一月齢以上のものであるのかどうか、つまり輸入条件に合っていないものかどうかということの確認を米国側に依頼しているところでございます。したがいまして、その結果を見てということになろうかと思います。

大串委員 いやいや、よく質問を聞いてください。私の質問は、確認の意味を込めて、今回、衛生証明書の記載なしに輸入された牛肉は、タイソン社レキシントン工場という、去年の七月にかけて、日本としてもチェックをして大丈夫だと確認されたところ、まさにそこから輸入されたにもかかわらず、衛生証明書に記載されていないという問題があったということですかということを確認しているんです。

藤崎政府参考人 お答え申し上げます。

 その事実関係については、そのとおりでございます。

大串委員 まさに、今回、七月に輸入を再開するときの一つのポイントが、日本側からもアメリカの施設の検査に、日本も入れる、日本もチェックしますというところにあったわけです。

 今回、まさにそこのところが、去年の予算委員会でも日本側もチェックする、しないというところが非常に問題になって、国会の中でもるる議論があった上に、その結果、去年の七月に再開。再開するときに日本側もチェックします、そこが一つのかぎになって今回輸入が再開していたんですけれども、まさに日本側のチェックによって問題がないというふうに確認されたところからの問題事例が発覚しているという意味において、今回の問題は私は非常に深刻視せざるを得ない問題だと思うわけです。

 そして、どういうふうな今後の問題があり得るか。つまり、事実関係を確認するんですが、今回の発表内容には「特定危険部位の混入等の問題は発見されなかった。」というふうに書かれてはいますが、同時に、もう一つの問題である二十カ月齢以下かどうか。問題点は二つあるわけですよね、二十カ月齢以下かどうか、そしてもう一つは特定危険部位があるかどうか。これが日本に輸入する際のハードルなわけですけれども、特定危険部位はなかったけれども、二十カ月齢以下かどうかということに関しては証明できていないという点。

 したがって、事実関係が判明してくるに従って、二十カ月齢以下ということが証明できない、すなわち二十カ月齢以上であった、すなわち日本に輸入すべきでなかった牛であるということが事実関係として明らかになってくる可能性もあるんでしょうか。

藤崎政府参考人 お答え申し上げます。

 その点について米国からの調査結果を待っておるというところでございますので、どういう形になるか、その結果を待っておるということでございます。

大串委員 今お話がありましたように、すなわち日本に輸出すべきでない、つまり日本として輸入できない肉である、つまり二十カ月齢以上である肉である可能性があるということでございます。すなわち、本来入ってくるべきでない肉が入ってきた可能性もある。しかも、そこが、日本としてチェックしたところがそういうことを行っているという意味において、今回の問題は非常に問題が大きいと私は思うんですね。

 そして、この問題は、先ほど来お話ししましたように、去年の予算委員会のときから、日本の消費者の食卓に、食の安全、安心という観点から政府として万全を期さなきゃならないという意味において、るる議論してきたことでございます。

 その議論の中で、どういうふうな対応を日本としてこれから強化していくのか、どういうふうなときに、また輸入を禁じるような措置も含めて、全面的な輸入の禁止も含めてとっていくのか、そういうことも国会の中でいろいろ議論していただいて、その上で、去年の七月に、ここに川崎前厚生労働大臣の記者会見もありますけれども、再開をされて、そのときには川崎厚生労働大臣は、例えば、記者の方から、同じような違反があったら全面停止はあり得ますか、こう聞かれて、今回として、一〇〇%同じであればそうでしょうね、私の決断として。こういうふうに、事例によってはまた米国からの輸入を一〇〇%全面禁止することもあり得るんだということも、るるこうやって国民の前でお話をされてきているんです。

 厚生大臣にお尋ねしたいと思います。

 今回、日本がチェックしていた、そしてオーケーを出していた施設から輸入された牛肉が、衛生証明書に記載されていない、すなわち二十カ月齢以上の牛、つまり日本に入ってきてはいけない牛であるかもしれない。これから事実確認をされる、事実確認をされた結果、非常にこれが重大であるということであれば、今回、これまで国会の中でるる議論してきた輸入の停止、全面的な停止も含めて、これから、これまでの議論にたがうことなく、一字たがうことなく、断固とした処置をとられるというお考えかどうか、お聞かせください。

柳澤国務大臣 今回の混載品につきましては、そもそも衛生証明書に記載がなく、米国農務省が対日輸出を認めていない貨物であるということでございます。そういうことを考えますと、誤って混載されたものではないか、こういう報告も受けているところでございます。

 したがいまして、現在、米国農務省が詳細な調査を行っているわけですが、もちろんこれは我々の要請に沿って行っているわけですが、それらの結果を踏まえて、事案の性質に応じた対応をいたしたい、このように考えています。

大串委員 事案の性質に沿った対応をしたいということですが、その際にはぜひ、先ほど申しましたように、これまでるる国会の中でも議論してきて、そこで政府の方からもいろいろな答弁がございました。川崎前厚生労働大臣も、同じような事例があれば一〇〇%全面禁止ということになるでしょうねというようなことも国民の前でおっしゃっています。こういうことも踏まえて、これまでおっしゃってきたこととたがわない厳しい対応をぜひお願いしたいというふうに思う次第であります。

 さて、次に参りたいと思います。きょうは、いただいた時間を使いまして、格差の問題を、年金の問題そして地方の格差、こういう二つの問題から取り上げていきたいというふうに思います。年金と地方、この問題、格差という問題では、私は非常に大きな要素を占めていると思っておりまして、その点からの議論でございます。

 さて、まず年金でございますけれども、与野党とも、今、格差を是正するという点について議論をしております。安倍内閣においては、格差ということを認めていただくところからなかなか難航しておりますけれども、格差はあるという前提で私たちは議論をしておりまして、この格差の問題を是正していく、その際には、私は、年金というのは一番の格差是正策、非常に大きな要素なんだろうと思うんです。つまり、老後の生活の安定を確保するという意味において、格差是正という観点から非常に重要なコンポーネントだろうというふうに思っております。

 この年金に関しまして、昨年十二月に新しい人口推計が発表されました。新しい人口推計によりますと、これまで、前回の二〇〇四年年金改正のときに前提としていた人口推計に比べて、より速い少子高齢化の進展が見込まれるということが言われておりまして、五十年後には人口が九千万人を下るという推計がなされています。

 これが年金財政に与える影響は極めて大きいというふうに言わざるを得ないわけでございますけれども、それを踏まえて、今回、二月六日には、新しい「年金財政への影響」、これを発表されております。

 この「年金財政への影響(暫定試算)」ですけれども、私は、これは、非常に楽観的な見通し、前提に依拠した、そういう意味では年金の安心を確保するというにはとても及ばない内容になっているんじゃないかな。それは国民のためにはなっていない、つまり、年金の安心を確保してくれという国民の声にはこたえるものにはなっていないと私は思っているんです。

 例えば、足元の経済状況の変化として幾つかの前提例が変更されていますけれども、これは、今般、内閣府の方から出されました中期試算、新成長経済へ移行する、すなわち、二〇一一年には名目成長率で三・九%に至るという、これは、内閣府の方の文書においても、三・九%に至るということが視野に入ることが期待されている、そういう言葉で書かれています。この年金財政の試算においては、その前提を基本シナリオというふうに置いて、それがあたかも基本であるかのような書き方をした上でそれを前提に置き、かつ、それを足元の設定として置いた上で、長期のいろいろな設定もかなりいろいろな楽観的なものが入っているように思います。

 例えば、一つ申し上げるならば、長期の経済前提に関して、これまで、二〇〇四年の試算の際には、例えば賃金上昇率は二・一%、運用利回りは三・二%となっていました。この差は一・一%です。年金財政に与える影響を考えるときに、この運用利回りと賃金上昇率の差、これが非常に大きいわけです。運用利回りが賃金上昇率より高ければ高いほど、それだけ年金財政に余裕が大きく出てくる。この差が非常に重要。これを、今回大臣のところで計算されて、先ほど申し上げたように、新成長経済、そこが視野に入ると期待されているというふうに言われている、それを基本ケースと置いて、それをベースに賃金上昇率は二・五%、運用利回りは四・一%、すなわち、その差は一・六%。すなわち、前回よりも〇・五%だけ多く稼げる、そういうふうな前提でこれを組んでいらっしゃる。

 これは、大臣、どのくらい確からしいんでしょうか。

柳澤国務大臣 ただいま委員が仰せのとおり、今回私どもは、新たな人口推計に基づきまして、二十一年度の本格的な検証に向けて試算を行ったわけでございます。その試算におきまして、経済的な前提を幾つか当然とるわけでございますけれども、この前提におきましては、まず短期的には、内閣府の「日本経済の進路と戦略 参考試算」の新しい経済移行シナリオに準拠をいたしました。

 そういうことでございますが、ただいま御指摘になりました、一つの疑問点として挙げられました運用利回りについて申しますと、年金財政にとって、先ほど委員も御指摘になりました重要な賃金との対比の実質的な運用利回りで申しますと、今回の暫定試算は一・六%ポイント、これを上回るということになっております。しかし、これは十六年再計算に対して一・一%であったことでございますので、それに対しては過大ではないかというようなお話でございますけれども、十一年再計算を見ますと一・五%というようなこともありまして、私どもとしては、十一年再計算の際の値とほぼ同水準で、過去十年間の平均約三・五%というようなことと比べてもかなり控え目な設定になっているというふうに考えているところでございます。

大串委員 今、十一年再計算と比べてもというふうなことをおっしゃいましたけれども、この根拠をいろいろ議論してもいいんですが、この運用利回りの根拠のところ、この運用利回りが非常に高く出ている根拠のところは、大臣も数字に強うございますからよく御案内だと思いますけれども、足元のいわゆる資本分配率を物すごく高くとられているんですね。資本分配率が物すごく高くとられているということは、裏返して言うと、労働分配率が極めて低いということなんです。景気が急激にといいますか非常によくなっているときには、大臣よく御存じのように、労働分配率は低く出て、資本分配率は高く出る。これは、もう経済の常識。それをとらまえてこれだけ運用利回りが高く出ているというのが計算の実態でございます。

 ですから、この足元の状況が、長期、これは年金の計算ですから百年の計算です、百年の計算をこの足元の上昇をベースに計算されているという点で非常に心配がある、そういうことなんです。みんなが見ているのはそういうところなんです。これも一つの不安な点。

 もう一つは、労働市場への参加です。労働力率の見通しということで、労働市場にかなりの参加が進むということを前提とされております。

 前回の計算のときには、今の例えば女性の三十歳―三十四歳の方の労働力率、現在六二・七%の方が労働力として働いていらっしゃる、それが、今回の見通しでは、二〇三〇年には八〇%まで上がるというような見通し。これは、労働市場への参加を促進するいろいろな施策がフルにきいたことを前提として考えていらっしゃる。本当にこんなに、これから二十年の間に労働力率が上がるかというところも、非常に不確かだというふうに言わざるを得ない。

 その辺、大臣いかがですか。

柳澤国務大臣 今回の試算におきます労働力の計算におきましては、今御指摘のように、十七年七月の雇用政策研究会報告書で、目指すべき社会が実現した場合に見込まれる姿として示された見通しを用いていることは、御指摘のとおりでございます。

 私どもとしては、この報告書におけるすべての人が自律的に働くことができ、安心して生活できる社会の実現に向けて、雇用労働政策等を展開していく所存でございますので、そういうこととの関連で、暫定試算の前提として用いたという経緯でございます。

大串委員 今お話がありましたように、この労働力率の見通しも、先ほどお話がありましたように、これからやろうという施策がフルにその成果を発揮したときに、これだけのことが期待されるのではないかということを前提として置かれている。先ほど申しましたように、基礎的な経済のベースとされているいろいろな数値も、内閣府で今回示された二〇一一年度名目成長率三・九%が視野に入ると期待される、こういうふうに書かれているものを基本ケースとして書いて、あたかもそれが実現するかのごとく書かれているところに、国民の恐らく不安に思う、不満に思うところの前提があると思うんですね。

 ちなみに、大臣が書かれているケースで、基本ケース、つまり、期待も含めたこの基本ケースであれば、現在見通されている出生率を前提に、二〇二六年以降、いわゆる所得代替率は五一・六%ということで、所得代替率五〇%をすれすれ維持するということになっておりますけれども、二〇〇四年計算、前回の計算と同じ前提の数字を使う、ここをあえて参考ケースとして小さく書かれていますけれども、参考ケースを前提として見ると、今回、世の中にあらわれている出生率を前提とすると、二〇二七年、もう二十年弱のときには所得代替率が五割を切る、そのままずっと制度を変えなかったら、二〇三五年、二十数年後には所得代替率が四六・九%までいってしまう、こういう計算なんですよね。

 年金というのは、国民の皆さんの人生の不安を解消するためにあるんだろうというふうに私は思うんです。国民の皆さんの人生の不安を解消するということからすると、より非常に保守的な前提をベースに私は年金財政というのを議論していくべきだと思うんです。

 大臣にちょっとお尋ねしたいんですけれども、年金問題を議論するときに、私は、この不安をいかに取り除くかというのが非常に重要だと思うんです。大臣は今、国民の方々の心の中にある年金の不安、これは一体どういうところに由来しているんだというふうに思われますか。

柳澤国務大臣 年金に対する不安がどこに由来しているかということでございますけれども、やはり国民の中にある気持ちとしては、また目に触れることといたしましても、少子高齢化が急速に進んでいるということ、特に若い世代に、将来の年金給付に対する不安や給付と負担の関係について世代間の不公平感が広がっているということ、こういう制度的な面が一つ。それから、もう一つは、社会保険庁におきましてさまざま問題が露呈しまして、この年金の制度の運用についても不信に拍車がかかった、こういうようなことであろうかと思います。

 ただ、余り不安感不安感、こういうことを私ども言挙げするということについては、平成十六年の年金改正におきましてかなりの改革が実は行われたわけでございます。もうその詳細は申し上げませんけれども、とにかく保険料を少しずつ引き上げさせていただいて、上限はかくしてある、しかしその上限に向けて引き上げをさせていただいたこと、それからまた給付水準については、これを自動的に調整する仕組みを導入させていただいたこと、それからまた基礎年金につきましては、国庫負担を引き上げさせていただく、それからまた積立金についても活用させていただくというようなことで、長期的には安定をし、持続可能なものとするという取り組みをさせていただきました。

 なかんずく、若い人たちのこれからの年金に対する何となしの不満、不安というよりも不満について、年金は一体どういうふうにやっているんだというようなことに対して、ブラックボックスに入ったような感じがあった、長い間かかる年金においてそういう面があった。これについて、ねんきん定期便という形で、実際に納付された保険料が一体どのくらいになっているか、それからそれが将来受給開始年齢に達した場合には幾らぐらいの年金として給付が行われるかといったようなことについて、情報をもたらすという改革をいたしております。

 そういうようなことで、この年金に対する透明性というものが格段飛躍することによって、しっかりした年金に対する見方というものを若い人の間でも広めていただけるような状況がこれでもって期待できるのではないか、そういうようなことを通じて不安感もまたできるだけ払拭される、こういう事態が期待されると私は思っております。

大串委員 今、十六年度改正、二〇〇四年度改正についての話がありました。それが百年安心の年金をつくったんだということをおっしゃろうとされているんだと思います。百年安心の年金とおっしゃっているその意味は、百年間計算している、そういうことですよね。ところが、私は、その二〇〇四年改正、これ自身がやはり非常に大きな問題をはらんでいたんじゃないかと思っているわけです。

 国民の皆さんの年金の不安はどこにあるのかなと私なりに考えてみると、例えば二〇〇四年度改正の法律が通る直前に、出生率が一・三二というふうに前提されていたものが、実は一・二九でしたということがわかったときのあのショック。あるいは今回、十二月に新人口推計が出されたときに、五十年後には九千万人を切るという少子高齢化の進展がある。こういうことによって、年金が将来的には、少子高齢化の世界ですから年金財政が非常に厳しいのは当然なんですけれども、ここに非常に将来大丈夫なのだろうかという国民の皆さんの不安の源があるように思うんです。

 それで、二〇〇四年度改正のときに盛り込んだ施策、先ほどおっしゃいました年金の料率を自動的にといいますか段階的に上げていく、そしてマクロ経済スライドという形で年金の支給率を自動的に下方に調整する、この仕組み。

 これはこれとしておっしゃった意味を理解したとしても、私は非常に問題が大きいなと思っているのは、この自動調整を入れたがゆえに、それまでは、財政再計算ということで、五年に一度検証をして年金の財政をバランスさせなければならない、五年に一度、バランスしていなかったら必ずそこで料率の見直しや、もしくは支給額といいますか、支給時期の改正をしたりしていましたよね。そのたびに国会にさらされて、国民の皆さんの目にさらされて、必ず改正が行われていた。五年に一度は必ず調整の機会があったんです。

 ところが今回、二〇〇四年に改正されて行われたシステムの中では、それはもうありません。五年に一度財政再検証というものが、検証が行われるだけで、今回のプロセスも財政再検証の一つなんですけれども、五年に一度財政再検証をして検証しましょうねというだけなんです。その五年に一度財政再検証をした結果、ずっと問題を見続けて、来る五年のうちに所得代替率が五〇%を切る、そういうことがわかったときまで何もしなくていい、すなわち、現在の仕組みを維持していい、そういう仕組みなんです。

 この間いただきました、この「年金財政への影響(暫定試算)」ですね、新しい新人口推計を踏まえて今出されたこの年金の推計をもってすると、仮にこれまでと同じ経済前提を前提とするこの参考ケース、出生率が、今の非常に低くなった前提、これだと、二〇二七年、十八年後に五〇%に至るわけですけれども、この直前まで、すなわちこれから十数年間は、ずっと所得代替率が下がっていっているにもかかわらず何もしなくていい、十数年間何もしなくていい、そういう状況なんです。

 私は、年金を安定させる一番の方策は、できるだけシステムをきちっと構築して、より短いインターバルで、五年でもいいです、あるいは毎年でもいい、より短いインターバルで、年金として料率が支払われたもの、そして将来年金として払わなければならない債務、このバランスを見て、バランスが崩れたら自動的に料率もしくは支払いを調整するという仕組み。できればそこに政治を遮断して、もうオートマチックにそれが毎年できるようにするのが一番いいというふうに私は思うんです。

 例えばスウェーデンでは、年金として支払ったお金の現在価値と年金として将来もらうお金の現在価値、これをバランスさせることを毎年の目標として、毎年毎年計算式に従って計算をし直して、これが少しでもずれたら自動的に料率もしくは支給額が調整される、こういう仕組みになっているんです。これによって、どんなに少子高齢化が進もうが進むまいが、あるいは経済成長率が動こうが動くまいが、自動的に調整が行われる。本来、日本の賦課方式でやれば、そういうふうに毎年毎年調整されるのがしかるべきなんじゃないかと思うんです。

 大臣、御所見はいかがですか。

柳澤国務大臣 今、大串委員の言われたことは、昔は五年ごとに財政再計算というものをしておりました。そして、その再計算のもとで、給付と負担のバランスをとるためには、給付をどうするか、あるいは保険料負担をどうするかということを個別具体的に、その際に国会で御審議をいただく、こういうプロセスがあったわけでございます。

 しかし、十六年改正でもって、そういうやり方で、ある意味で非常に、国民の皆さんの前でこの議論が行われるという意味では透明度は高いわけですけれども、率直に言って、政治の情勢によっていろいろとそこに困難も伴うというようなことで、本当に国民の皆さんに長い期間をかけて社会保障する、そういう年金のあり方として、こういったことは一体どうかということを反省して、その改善策として、実は、年金の給付と負担のバランスを、先ほど来触れているような、そういう方式で行うことにしました。それに伴いまして、この五年後ごと、じゃ、それはもう自動的に調整されるはずだからほっておいていいかという問題に直面したときに、今度は再計算ではなくて検証という形で五年おきにやろう、こういうことになったわけであります。

 したがって、我々が十六年の改正を踏まえてこの検証をする時期というのは平成二十一年度であります。あくまでも平成二十一年度でありますので、今回の発表いたしましたのは、いわば試算という形でございますが、いずれにしましても、そういったことで、人口の少子高齢化が継続する中で、一体、じゃ、本当にこの五〇%を割るということが見込まれる五年前まで、趨勢的にそういう事態が予想されるにもかかわらずほっておくのだろうか、こういう御疑問を今呈されたわけであります。

 我々もその点は考えておりまして、十年後か十五年後にも五〇%を下回ることが仮にでも例えば見込まれるという場合には、年金の給付と負担のあり方について、法律上の義務ではなく、現実問題として前広に議論を始めることは当然あるだろう。そうやりながら、少子化対策や経済の成長力を高めるための政策など、年金制度の前提となる施策について、その特段の推進方策などを議論することがあわせて必要になるだろうというふうには考えているわけでございます。

 なお、このような場合、年金の給付と負担のあり方について議論を始めることとなりますけれども、何らかの措置を必ず講じなければならないとも言えない以上、年金法においては給付と負担のあり方に関する検討と措置については義務づけていないというふうな考え方は、依然として私どもとして持ち続けているということでございます。

大串委員 今の御発言、十年、十五年のうちに五割を下回ることが見えた場合には、法律には書かれていないけれども、法律自体はいつも変えられるわけですから、それも含めて検討していくというこの政治的な発言に関しては、国会での発言として銘記させていただきたいと思います。

 それを踏まえた上でも、国民の目からすると、例えば、十年から十五年間、現在の状況を放置しておくのと、ことしの段階でしかるべき調整をするのとを比べると、十年から十五年、必要な調整が先送りされるか先送りされないかという違いがあるんですね。つまり、十年から十五年間のうちに年金を受け取られる方々の、本当であれば給付も調整されていたはずかもしれないというところが調整されないという先送りがあるかもしれない。できるだけ幅広い世代間で、年金の負担、そして年金の給付を分かち合うというのが年金の基礎だと思うんです。

 ですから、私が非常に危惧しているのは、いろいろな問題が先送りされるというのが非常に危惧です。年金の問題もそうですし、消費税の問題もいつかまた議論させていただきたいと思いますけれども、ことしの秋以降という形で、私に言わせると先送りされているというふうに思います。こういう点も後ほど尾身大臣とも議論させていただきたいと思いますけれども、問題を先送りしない、財政にかかわる問題をできるだけ早く解決していくというのが筋だろうというふうに思います。

 ですから、これは我々の主張としてぜひお受け取りいただきたいんですけれども、年金に関して不安を解消するとすると、年金の不安はどこから来ているか、私は政治だと思います。政治がどういうふうになるかわからないというところが、年金の、国民の不安のリスク、そこにあるんだろうと思います。だから、それを回避するという意味において、できる限り短いインターバル、できれば毎年、できれば機械的に年金に関する財政調整が行われる仕組みというのが、私は最も最適だというふうに思っています。

 そこまで申し上げまして、次に参らせていただきたいと思います。

 次に、地方の問題に行かせていただきます。夕張市の問題を例にとって、地方の問題、地方と国の問題、これに入らせていただけたらと思います。

 夕張市の問題、去年、財政再建団体申請を夕張市は行いました。一時借入金というもので、法に違背した形で借り入れを膨らませて、それが大きな財政の重荷となって財政再建団体の申請となったわけでございます。これにつきまして、資料としても、委員長のお許しを得て配らせていただいておりますけれども、滝先生の方から質問主意書が出されて、それに対して答弁書が出されています。

 この夕張市の財政再建団体申請に対して国として責任があるのかどうかという点、この点に関して議論を進めさせていただきたいと思いますけれども、これに関して、資料一枚目、二枚目、線を引っ張っていますけれども、政府の答弁書では、「同市の財政破たんは国にも責任があるのではないかとの御指摘」に対しては、基本的には、「同市が多額の赤字を抱えるに至った要因については、一についてで述べたとおり」であり、市がしっかりチェックしなかったということを一で書かれているわけですけれども、「そうした御指摘は当たらないと理解している。」と書かれています。

 これの認識に関して、菅大臣、認識は変わられませんか。

菅国務大臣 私、昨年の暮れに夕張市を視察したときに、記者の方からそういう質問を受けました。胸を張って国は責任ないと私は言えないという話をさせていただいたんです。それは、産炭政策とかあるいはリゾート政策、しかし、最終的に決定をするのはこれは地方公共団体ですから、この答弁書にあるとおり、そういう意味においては、国はない、そう考えています。

大串委員 本当に国は責任はないのかという点について論を進めさせていただきたいというふうに思います。

 大きな問題をつくったのは一時借入金、一時借入金という制度はどういうものか、行政局長、ちょっと御説明いただけますか。

藤井政府参考人 一時借入金についてのお尋ねでございますが、御承知のように、この制度自体は地方自治法第二百三十五条の三に基づく制度でございますが、地方公共団体が一会計年度、一つの会計年度内において、歳計、すなわち歳出歳入にかかわる現金ですね、これが不足した場合に、その支払い資金の不足を補うために借り入れる金銭をいうものでございます。一時借入金というのは、歳出予算内の支出をするため、あらかじめ予算で定められる、そういう限度で借り入れることができるものでございます。当然、その会計年度の歳入をもって償還しなければならない、こういうことになってございます。

大串委員 今お話がありましたように、一時借入金という制度、これがございます。これは、年度内で資金繰りが足りないときに、ちょっとの間借りますよ、それは歳出歳入予算の中で基本的にやりくりするものですから、予算書には一時借入金の限度額というものだけ書いて、あとは年度内の資金繰りのやりくりの中でやっていく、そういう制度でございます。

 夕張市の場合には、この一時借入金という制度を、ある意味、法に背く形で乱用して、本来であれば赤字をずっときちんと計上していくべきであった、赤字を何がしかの方法でファイナンスしていくべきであったところを、一時借入金というもので見えなくして疑似ファイナンスをしていた、そういうことでございますね。

 こういうふうに、地方がお金を、すなわち赤字をずっと垂れ流している、つまり多額に抱えているわけですから、それを何がしかの方法でファイナンスしなければならない。これを地方債でファイナンスするのが通常のベースですね。もちろん、地方債を出せるものに関しては法律で定められていますので、限られてはいますが、基本的に赤字をファイナンスするものは地方債。本来であれば地方の財政全体のところで抱える赤字を、地方債等々、いろいろなもので抱えるべきだったところを、この夕張市の場合は、一時借入金という形で、法を乱用する形でファイナンスしてしまっていたということでございます。

 さて、このような状況に対して国として責任を負うのかということでございますけれども、この議論をする際には、地方がお金を借りる、つまり、お金を借りるやり方としては、一番大きいのはもちろん地方債でありますけれども、この地方債というものを通じて、地方に対して国がどのくらい責任を持つものかということがかいま見えてくるわけでございます。

 地方の借金である地方債、これをどの地方も、年間、多額のものを出しています、年間、多額のものが償還されているわけでございますけれども、この地方債に関して、国は最終的な返済責任を負うのか。この地方債というものが、いわゆるデフォルト、返済不能ということがあるのか。自治省の事務方の方で結構でございますので、お答えいただけますでしょうか。しかも、どういう理由で、それが返済不能になることはないというふうに言えるのか言えないのかも含めて、理由も含めて御説明いただけますでしょうか。

岡本政府参考人 お答えさせていただきます。

 地方債につきまして、現行の地方債制度におきましては、地方財政計画の策定、地方交付税の算定を通じまして、その元利償還に要する経費の財源を確保するということにいたしております。また、公債費負担等が一定限度を超えたものに対しましては、起債の許可制度という形で早期の是正を指導するというやり方をいたしております。また、結果として、今委員御指摘のように、それぞれ公債費等、経常的にふえてまいりますと、適正な財務処理をいたしておりますれば赤字が発生をする、そして、発生した赤字を翌年度の財源で繰り上げ的に充当していくというような形をしていくということが適正な財務処理でございますので、そういう財務処理をいたしますと赤字が必ず発生をするということになります。この一定限度を超えた団体に対しましては、財政再建制度というものを設けて未然にそれを防止するということにいたしますので、地方公共団体が返済不能になるということはないというふうに考えております。

 また、もう一点、最終的に国が責任を負うのかという御質問がございました。過去に発行された政府保証外債等を除きまして、政府の保証というものは付されておりませんので、法的に国が最終的な返済責任があるというふうには考えておりません。

大串委員 今お話がありました。幾つか理由を述べまして、地方財政計画の中で元利償還金をきちんと見込んだ上で地方財政計画をつくっています、そのほか、許可制度があります、あるいは財政再建制度がありますということを理由として、債務不払い、不履行ということはないと考えているということをおっしゃいました。

 ちょっと厳密に議論させていただきますけれども、債務不履行はないと考えるということなのか、債務不履行はないということなのか、どちらでしょうか。

岡本政府参考人 債務不履行になるということは考えておりませんし、また、これまで赤字再建団体としてやってきた団体におきましても、債務を返済しなかったということはございません。

大串委員 質問に答えていただきたいと思います。

 債務不履行が起こることはないと考える、これは評価なんですね。そういうふうになることはないと考えるというのは評価。私が尋ねているのは、債務不履行になることはないというふうに国として言い切れる制度になっているのかということなんです。すなわち、そういう制度になっているのであれば債務不履行にならないと言えるんでしょうけれども、どうですか。債務不履行にならないんですか、それともならないと考えるんですか、どちらですか。

岡本政府参考人 先ほどもお答えさせていただきましたような現在の地方財政制度等、それからその結果としての財政再建制度によって、債務の償還を基本的に行うという前提で再建計画等を作成してまいりますので、過去の例においてもそういう運用をいたしておりますので、制度的にも、それから今までも実態的にはないということを申し上げましたので、現段階で申し上げさせていただければ、債務不履行になることは現段階ではないというふうに考えております。

大串委員 現段階で債務不履行になることはないということは、将来は債務不履行になることはあるということですか。すなわち、これは重要なんです。これは金融……(発言する者あり)いやいや、細かくやらせていただきましょう。そこが非常に重要なんです。債務不履行になる、ならないということが制度的に担保されているのか、それともならないように努力しますという努力の問題なのかというところは非常に大きな問題なので、債務不履行にならないという制度になっているのか、債務不履行にならないように頑張るということになっているのか、どちらなのかなんです。

 だから、もう一度聞きます。債務不履行にならないと考えると。大臣、答えられますか。債務不履行にならないのか、債務不履行にならないと考えるのか、どうぞ。

菅国務大臣 今の仕組みでは私はない、そう断言できます。

大串委員 今のスキームでは債務不履行はないと断言するとおっしゃいました。

 大臣にお尋ねします。

 先ほど理由を幾つかおっしゃいました。地方財政計画とか許可制度、あるいは再建制度というものを引き合いに出して、債務不履行はないというふうにおっしゃいましたけれども、メカニズムを教えてください。その二つを用いてなぜ債務不履行がないと言えるのか。すなわち、年間には、各地方、もうたくさん地方債を出しておりますから、地方債の返済、償還というのは年間にたくさん全地方で行われています。その一つ一つ、一本一本どれも将来にわたって債務不履行がないということが、現在、先ほどおっしゃったスキームをもってしてなぜ言えるのか。

 なぜ私がこんなにここの点を、まあ不確かだと思っているから言っているわけですけれども、例えば、地方財政計画において元利償還金を確認していますから大丈夫ですと言われましたけれども、地方財政計画、ここに資料の中に入れていますけれども、十七ページに地方財政計画をつけています。地方財政計画の中に確かに公債費という歳出項目があって、ここに公債費が書かれています。しかし、この公債費、時間がないのであえてお尋ねしませんが、事務方の方にお尋ねしたところ、これは一本一本の来るべき償還額を積み上げて計算しているのでなくて、あくまでも見込みを積み上げているんですという計算なんです。

 御案内のように、地方財政計画は、毎年毎年大きなずれが決算との間ではあります。ですから、本当に、これから来る地方債の償還が一本一本、どれ一本もデフォルトはないというふうに言い切れる制度にはなっていないんです。にもかかわらず、ないと言い切るのは、私はマーケットを誤っているんじゃないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

菅国務大臣 先ほど財政局長から答弁したように、これは国でこの計画というものを決めたものでありますから、それはないと思います。

大串委員 今の質問をもう一回繰り返します。国で決めたものですからないと思いますと、また今度思いますに戻りました。委員長、先ほど来申し上げましたが、この点は非常に重要な点です。ないとおっしゃったり、ないと思うというふうに言われたり、この点、明らかにしていきたいと思います。よろしくお願いします。

菅国務大臣 それはありません。

大串委員 では、もう一度理由をお尋ねさせていただきます。細かく議論させていただくと最初から申し上げました。

 地方財政計画において、元利償還金、公債費がここに入れられていますけれども、これは一本一本積み上げられていないにもかかわらず、将来にわたってすべての地方債がデフォルトがないというふうに言える理由はどこにあるんでしょうか。お願いします。

金子委員長 わかりやすく答えてください。

岡本政府参考人 地方財政計画におきます公債費の御指摘がございましたので、まず、地方財政計画におきましては、各年度に発行されます地方債につきまして、これを政府資金、民間資金といった資金の種類ごとに分類をした上で、それぞれ標準的金利、償還期間を設定して償還台帳を作成することにより、その当該年度に想定される公債費を積み上げて計上いたしております。こういう計上をいたした公債費、それからその他の歳出とを含めまして、全体の歳出と、税、交付税等の歳入とがきちんと均衡するように地方財政計画を策定するということをいたします。

 また今度は、個々の地方団体の歳入の大きな要素を占めております地方交付税の算定におきましては、その元利償還金の一部を基準財政需要額に算入いたしまして、税と交付税により、その当該団体の標準的に想定される元利償還金を確保するという措置を講じております。

 その上で今度は、個々のミクロのレベルにおきまして、個々の地方団体の公債費等が大きくなってまいりました場合には、早期是正としての許可ということで、一本一本の地方団体の起債のチェックをするという仕組みを設けております。

 さらに、その結果として、先ほど申し上げましたように、適正な財務処理をいたしている場合には、公債費等が累増してまいりますれば赤字が発生するということが予算、決算上は必ず出てまいるわけでございます。その赤字が一定水準以上を超えた場合には、その地方団体には財政再建制度が適用されるということになっておりますので、再建制度の適用に当たっては、公債費の償還ということを大前提として、ほかの人件費あるいは投資的経費といったものを縮減することによって収支均衡し、その発生した赤字を一定期間で消すという計画をつくって、その団体を健全化させるという措置をいたしますので、これらの措置の全体的な機能によりまして、各地方団体の発行する地方債については債務不履行がないというふうに考えているわけでございます。

大串委員 今、説明がありました、地方財政計画の中でも事細かく説明していただきましたけれども、それでも明らかになったことは、一本一本の償還額を積み上げて地方財政計画の中で公債費に積み上げているわけじゃないという事実なんですよね。すなわち、ある一定のモデルといいますか、精緻につくっていらっしゃるとは思いますけれども、地方財政計画は、現実の償還額に対応するものを事前に一本一本当てはめてつくられているわけではないんです。

 それに加えて、かつ、先ほど来、許可制度あるいは再建団体制度というのをおっしゃいましたが、これも早期是正ではありますけれども、あくまでも、これから債務不履行が生じるかもしれないという段階になったときにいろいろ絞りましょうと。絞ることによって、将来払えないことがないようにしましょうという制度であって、絶対に払えるという状況が確保できる、すなわち将来的に絶対に償還ができるということを確約するためには、例えば自主財源である地方税という要素や交付税という要素が入ってきます。将来の地方税あるいは交付税というのを今から約束できる人というのはないわけです。それも踏まえて考えると、先ほど岡本さんは、今の政府委員の方はおっしゃいましたけれども、やはり語尾には債務不履行はないと考えるということがつくのが私は普通なんだろうというふうに思うんです。

 ところが、この点が非常にこれまで議論として不透明になっていたと思うんですね。今までの国会の議論を見ていても、償還は確実だと言われたり、確実だと言われなかったりする点があるものだから、私は非常にその点が問題だろうと思うんです。

 例えば、この資料の七ページを見ていただくと、「地方債の購入をご検討の方へ」ということで、総務省の方のパンフレットがあります。地方債の購入を御検討の方へということですから、地方債を考えている方へのパンフレットだと思います。ここのページ数でいうと九ページになりますけれども、「地方債の安全を守る仕組み」ということで、一番上に書かれていますけれども、「以下の仕組みのもと確実に償還され、BIS規制におけるリスクウェイトは〇%とされています。」あたかもデフォルトが絶対にないということを言っているような形になっているわけですね。

 さらに言うと、十五ページになりますけれども、十五ページにはこれまでの国会答弁も書かれていて、片山元総務大臣が「地方債そのものがデフォルトすることはありません。」と言い切っていらっしゃるのもここにも掲載されている。こういうふうなものが投資家向けに書かれているんですよ。

 一枚めくっていただいて十六ページを見ていただくと、このパンフレットの一番後ろには、民間銀行、つまり地方債の引き受けをやっている銀行が載っているんです。これが、いわゆるマーケットでこれを買っている方々に見られているんですね。

 金融商品において、デフォルトがない、債務不履行がないというふうに言って売るということは、実は非常に重要なことなんです。金融商品販売法というものがございまして、済みません、きょう、金融大臣にも御答弁いただこうと思っていたんですけれども、一言で申し上げると、元本欠損がある、ないということに関しては、極めて注意深く説明して売らなきゃいけませんよということが書かれた法律であって、その辺をきちんとやらなかったら、損害賠償責任の挙証責任が金融機関側に移転しますよと。それぐらい金融機関として、あるいは金融商品を売る側として、デフォルトがあるかどうかということを言う際には非常に慎重に言わなきゃならない話なんです。それを国はこういうふうに非常に乱暴に扱っているというところが私は非常に問題だというふうに思っているわけです。

 ちなみに、この二十六ページを開いていただきますと、これはある民間銀行が兵庫県民債を売り出したときに、投資家の皆さんに出したものです。この一番下の箱の留意事項を見ていただきますと、何と書かれているか。線を引っ張っていますけれども、「地方債等公共債には、発行体である地方公共団体等の財政難等により、利払いや償還が遅延したり、不能になるリスク(デフォルト・リスク)があります。」と民間金融機関は書いているんですよ。

 国は大丈夫だと言っている。大丈夫だと考えると言ったり、あるいは大丈夫だと口ごもりながら言ったりしている。このパンフレットには大丈夫だと書き切っている。国会答弁でも大丈夫だと言っている。しかし、民間金融機関は、マーケットの判断からデフォルトリスクはあると見ているんです。こういうところは国はやはり謙虚に考えて、国の責任というものを考えていかなきゃいけないと思うんですね。

 金融大臣にお尋ねします。

 国のいわゆるこういう債権のデフォルトリスクを考える際に、いわゆるBIS規制によるリスクウエートというものがございますね。地方公共団体向けの債権のリスクウエート、これは今ゼロ%になっています。これはどういう理由からゼロ%になっているんでしょうか。しかも、このゼロ%の持つ意味を教えてください。

山本国務大臣 まず、ゼロ%にしている理由であります。

 自己資本比率規制における地方債等のリスクウエートについて、現行規制バーゼルI及び本年三月末からの新規制バーゼルII、いずれにおきましても、国が発行する国債と同等の取り扱いが認められております。これを踏まえて、我が国の地方債につきましては、現行規制及び新規制のいずれにおきましても、自己資本比率規制上のリスクウエートをゼロに設定しております。

 その理由は、まず、協議制度において地方債の元利償還に要する財源が地方財政計画の策定及び地方交付税の算定を通じて確保されているとともに、二番目に、公債費負担等が一定限度を超えた地方公共団体に対する早期是正措置としての起債許可制度や、赤字が一定限度を超えた地方公共団体に対する財政再建制度等が設けられているということでございます。

 次に、リスクウエートゼロの意味でございます。

 ゼロであるということは、まず、自己資本比率の計算において、銀行が保有する資産の種類に応じどの程度の自己資本を最低限度持つべきかを計算するための係数でございます。例えば、リスクウエートが一〇〇%であれば、銀行が保有する一〇〇の資産に対して国際基準での自己資本が八。また、リスクウエートが五〇であれば四の自己資本がそれぞれ求められるわけでございまして、リスクウエートがゼロという場合は、規制上の自己資本がゼロとなり、当該資産に見合った自己資本の保有は求められないことになるという意味でございます。

大串委員 ありがとうございます。

 今、地方団体向け債権がリスクウエートがゼロである理由、そしてそれがゼロであることの意味を言われました。ゼロであることの意味に関しては、自己資本を積まなくていいと、それもリスクバッファーは積まなくていいということでございます。

 今回、夕張市の問題は、先ほど来申しましたように、一時借入金というものを多額に積み増して、その借り入れによって財政が破綻した例です。

 ちょっと図を見ていただくと、資料を見ていただくと、三ページにありますけれども、これが夕張市の一般的な財政状況というものです、決算の内容を整理したもの。こういうふうに整理されるんだそうです、総務省の方に言わせると。この中で、ぱっと見ていただくとすぐわかるんですが、地方税が例えば九億ぐらいしか上がらないぐらいの団体なんですけれども、諸収入、これが極めて大きい。貸付金、これが極めて大きい。こういうふうになっているんですね。諸収入が九十億、百億近くあるんです。貸付金が九十億、百億近くあるんですね。これがまさに一時借入金で膨らんだ赤の部分。これをため込んでいるのが、まさにここにあらわれている。非常にいびつな構造になっているわけです。

 御案内のように、夕張市というのは、結局、一時借入金で膨らした借金が二百億から三百億近くあって、九億ぐらいしか地方税の収入がないところで、地方交付税が四十五億しか入らないところで、毎年毎年二百億から三百億の一時借入金を出していたんですね。この一時借入金、金融大臣、リスクウエートゼロですね。しかし、リスクウエートがゼロである理由を先ほど述べられました、地方財政計画の中で返済金が見られているとか、あるいは早期是正措置等々。地方債のときと全く同じ理由を言われましたが、一時借入金は地方債ではありません。ですから、地方財政計画の中で返済財源が、償還が見られるとか、そういう理由はないんですが、それでもなぜゼロにしているんですか。

山本国務大臣 一時借入金も公債費負担の中にありまして、一定限度を超えた地方公共団体に対する早期是正措置としての起債許可制度、また、先ほど申し上げましたとおりのいわば財政再建制度というものが設けられている以上、これをゼロということでございます。

大串委員 そこで、この夕張市の問題に関する国の責任に入っていきたいと思うんです。

 すなわち、地方債や一時借入金に対する国の責任、まあ、これがデフォルトがあるかどうか、ないと思われる、ないと考えると、その理由は許可制度やあるいは財政再建制度によってしっかり引き締めていますということなんですが、この夕張市も御案内に漏れず非常に地方債の発行の多いところでした。ですから、起債制限比率というものにひっかかっておって、自治省において起債制限比率にかかったところとして、その財務内容を確認していたはずなんですね。地方債を夕張市が起債するときには必ず、十八年より前は許可制度、十八年以降は同意制度ですけれども、基本的には早期是正措置としての許可制度があった。

 その中で、先ほど来申しましたように、この三ページにあります夕張市の一般的な財政状況、これは先ほど申しましたように決算ベースの数字なんですけれども、見ていただくとわかるように、先ほど申しました諸収入、貸付金、これが異様に大きい形になっている。だれが見ても、普通に財務諸表だけチェックしてもらえば、何だこれはと普通に思えるわけです。国が地方債を許可するときに、こういうのを連年連年見落としていて、あるいは見落とす制度をつくっていて、何で国が責任がないと言えるのか、総務大臣、お願いします。

菅国務大臣 一時借入金は、いわゆる一時的に借り入れた支出であって、いわば資金繰りのための借入金であり、同一年度内に全額償還させる。これまでの調査の中で、これも私どもは発見することができなかったというふうに、これは北海道からも聞いております。

大串委員 まさにその点なんです。地方債の許可方針、地方債の同意基準、こういうのもいただきました、分厚い紙です。この中に何が書いてあるか。極めて画一的なチェックしかされないようになっているんです。すなわち、地方債許可方針、十八年度より前ですね、地方債許可を行ったときには起債制限比率というものにひっかかるかどうか、そこはチェックしなさいよと書いています。しかし、それ以外に、例えば地方の財政事情が本当にどうなのかをチェックしなさいという文言は一つも入っていません。

 ちょっと一つお尋ねしますけれども、地方債許可方針、これがありましたね、十八年より前に。起債制限比率を数値的にチェックする以外に、一般的に、地方の財政状況をちょっとでも見るような方針で起債の許可は行われていたんでしょうか。お答えください。

岡本政府参考人 お答えさせていただきます。

 地方団体の財政事情を聞くということにつきまして、市町村につきましては、まず都道府県がそれぞれ財政状況を、年、定期的に二回ないし三回、それは各県によって違うと思いますが、財政事情をお聞きするということをいたしておりますし、また、都道府県の担当部局におきまして、幾つかの市町村に出向いていって実態的な財務調査等をするということをやっております。

 また、それぞれの都道府県、政令市、それからその都道府県の調査等を、全体事情を含めまして、問題のある市町村につきましては、私どもが各都道府県から財政事情等をお聞きするという調査をいたしております。

大串委員 今おっしゃったような調査を行っているということでありました。そうであればなおさらのこと、先ほど申しましたように、夕張市の一般的な財政状況と書いてあるこの図、私は予算書なんかも見せていただきました。それなんかを見ても、予算書の歳出歳入を見ていますと、明らかに、何だろうこれはという突出したアイテムがやはり額としてあるわけです。先ほどおっしゃった財政状況を、出向いてあるいは見てチェックするという中で、なぜこんなに異常なものがチェックされなかったのか。普通の民間金融機関ならあっという間にチェックする。私だって、これを最初にレクのときに見せていただいたときに、言われる前に、何ですかこれはというふうに言いました。それぐらい明らかなものなんですが、なぜそれがチェックできなかったのか。それすらチェックできなかった、しかも連年。それでここまで赤字がたまってしまった。このことに関する国の責任はないんでしょうか。大臣、お答えください。

菅国務大臣 先ほど局長が答弁しましたように、第一義的には北海道で今調査をしている。例えば、平成十四年に夕張市が、スキー場及びホテルを民間企業から取得したい、そうした地方債を財源とすることを北海道に相談をしてきましたけれども、北海道は私どもにそこで相談があって、そのことは、起債の許可は困難である、こうしたものを私どもは実は伝えました。しかし、それがどういう形で資金調達するかというと、夕張市が債務負担行為を行っていた、そういうことでありますし、先ほど申し上げましたように、一時借入金という形の中でこれだけの赤字を拡大させてきた。そういうことでありますので、私どもとすれば、掌握する立場にないですし、最終決定が地方自治体にあるのは、これは当然のことでありますから、それは御理解をいただきたい。

大串委員 今の大臣の言葉をもう一回確認させていただきたいと思います。

 今、地方債を許可する際に地方の財政状況を掌握する立場にないとおっしゃいましたけれども、その言葉は取り消されませんか。

菅国務大臣 私が申し上げたのは、一時借入金のことについて私たちは掌握できなかったということです。

大串委員 立場にないという言葉は事実上取り下げられたということですね。つまり、一時借入金を把握できなかった。

 しかし、先ほど来繰り返し申し上げておりますけれども、簡単なことなんです。地方税は九億しか入ってこない、地方交付税は四十五億しか入ってこない、地方債が十億、実力ベースでいうと六十億ぐらいの財政の大きさのところなんです。ところが、諸収入で九十億を毎年毎年計上している。それが膨れ上がってきている。普通に見れば簡単にわかることなんです。

 これすらわからないような仕組みをつくっていた、あるいは、これすらわからないようなチェックを行っていたことに対する責任という観点から、政府の答弁書にある、政府に責任はないということを覆されるつもりはありませんかということをお尋ねしているんです。

菅国務大臣 先ほど申し上げましたように、不適切な財務処理を行ってきたわけですから、それを、一時借り入れを私どもは確かに見過ごしたというんですか、そこを私どもは掌握し切れていなかった。そこだけ、言われるとおり、そこは確かに責任があるのかと思いますけれども、最終的に決定するのはあくまでもこれは地方自治体でありますから、議会もありますし、それは監査もありますから、そういう中で、こうした不適切な財務処理によって夕張市は財政破綻につながった、こう思っています。

大串委員 今まさにお話がありました、一時借入金を見逃したということに対しての責任はあるだろうというふうにおっしゃいました。その認識をぜひ持ち続けていただきたいというふうに思います。

 地方債に関して返済不能はあり得ない、それはなぜかというと、先ほど来るる申し上げられたようなことからあり得ないということで、地方債の最終的な返済じりは国に最終的に来るわけです。そういうことからすると、地方が破綻することがないような仕組みをつくるというのは、国として絶対責任であり、それは総務省、総務大臣もそうですし、財務大臣にもぜひ心に置いておいていただきたい。

 その上で、問題が生じるような場合が起きた場合には、やはり国には責任があるというふうに言わざるを得ないと思います。そこのところは、地方財政制度のあり方を今後見直されるということになっていますけれども、きっちり、国にどこまで責任があって、地方にどこまで責任があるのか、明らかにしていただきたいと思いますし、今後のBIS規制の検討におきましても、その検討の流れにおいてしっかり確認をしていただきたいと思いますということを申し上げて、私の質問を終わります。

金子委員長 これにて大串君の質疑は終了いたしました。

 次に、穀田恵二君。

穀田委員 政治と金の問題について質問します。

 まず、佐田前行政改革担当大臣の辞任について官房長官に聞きます。佐田氏は端的に言ってなぜやめたのか、お答えください。

塩崎国務大臣 先ほど御答弁申し上げましたけれども、佐田当時の大臣は、本来、法にのっとって、政治資金規正法にのっとって適切に行わなければならなかった収支報告に不適切な処理があったということから、御本人がその責任をとって大臣を辞したい、こういう申し出があって、総理としてもその判断を重く受けとめて了としたということでございます。

穀田委員 今の説明だと、なぜ辞任したのかというのがさっぱりよくわからない。大臣を辞任するということは、重大な問題があって、その疑惑なり問題の本質を解明する必要があると思うんです。

 ところが、佐田氏は、記者会見を行っていて、たった十二分ほどで、中身について一切語らずに、つけかえの額はという質問に対しても、かなりの額だが今はわからない、また御報告させてもらうと答えて会見を打ち切っています。

 官房長官は、十二月二十七日の午前の記者会見で、佐田氏に説明責任を果たしてほしいと述べています。その会見を含めて、その後の対応は責任を果たしたと思いますか。

塩崎国務大臣 繰り返し申し上げますけれども、辞任をしたいということを受けて、政治家としての発言で、判断を重く受けとめて了としたということでございますが、説明責任ということにおいては、これは佐田大臣、やめた後は佐田議員でありますけれども、代議士が政治家個人としての政治活動に関することであって、国民に対していかなる説明をされるかは、佐田議員御自身が判断されるべきことではないかというふうに思います。

穀田委員 いや、それでは内閣としての責任は果たせませんよ。佐田氏の政治資金収支報告書の虚偽記載の疑惑、これについては何の解明もされていないわけですよ。ですから、それ自身の解明を内閣が責任を持っているということなんですよ。内閣の一員をやめたからといって済まない。

 第一、公設秘書は、政治活動費約二億一千三百万円の支出を収支報告書に記載しているが、活動実態はなかったと証言しているんです。一方、佐田氏は、政治団体には実体があり、架空の支出はないと会見している。どっちが事実なのか。

 また、第二に、架空の事務所に七千八百万円もの経費を支出し、先ほど述べたように、つけかえたことは認めているが、なぜつけかえたのかなど未解明の問題は多々あります。

 私は、佐田氏の証人喚問を要求したいと思います。

金子委員長 理事会にて協議をいたします。

穀田委員 政治と金の問題でいうならば、一つの転機となったのがリクルート問題でありました。国民の金権腐敗への批判は高まって、いわゆる政治改革が叫ばれ、法改正が行われました。基本方向は第八次選挙制度審議会に提言されています。

 その内容は、政治活動、選挙活動も政党を中心にすべきこと、さらには、これを受けて政治資金についても、一つは、政党中心の調達、もう一つは、企業献金の廃止を目指して個人献金を中心にすべきである、こういう方向であったことは、官房長官、大筋間違いないですね。

塩崎国務大臣 おおむねそういうことだったと思います。

穀田委員 これは当時も細川総理大臣もおっしゃったことで、企業献金というのは、近年続発する政治腐敗事件の多くがこれに起因している、だから廃止の方向にすべきだと言ったわけですね。

 そこで、総務省に聞きたいと思うんです。いわゆる政治改革のもととなった、先ほど述べました第八次選挙制度審議会において政治資金の調達についてどのように述べているか、そこの部分を読み上げてほしい。

久元政府参考人 平成二年四月の第八次選挙制度審議会のこの答申は、選挙制度また政治資金制度の改革について両方にわたるものでありますけれども、その中に「政治資金制度の改革」、そういう項目が設けられております。その中で、「基本的な考え方」といたしまして、「政治資金の調達は政党中心にするとともに、さらに政治資金の公開性を高め、政治資金についての規制の実効性を確保するなど所要の措置をとるべきである。」このように記述されているところでございます。

穀田委員 その第八次選挙制度審議会の答申にあるように、政治資金の調達は政党を中心にするという理念をきちんと掲げた点は、とても大事なことです。

 一昨日、自民党の議員が私の名前を挙げて、資金管理団体も持っていない、政治家ごとの支出が見えないなどと、問題があるかのように発言しました。総務省が今答弁しましたけれども、いわゆる政治改革の論議で示された政党中心という政治のあり方、それに伴う政治資金のあり方の基本を理解していない発言であると言わねばなりません。

 我が党は、政党中心の政治活動を基本とし、政治資金の面でも、政治家個人ではなくて、政党を中心に行っています。本部、都道府県委員会など地方党組織が責任を持って取り扱い、それぞれごとに政治資金収支報告書を提出しています。これは政党政治の本来のあり方です。

 ちなみに一つ例を挙げておきますと、自民党が九三年、政治資金規正法改正案でこのように述べて提案趣旨説明をしている。政治資金の調達を政党中心にする制度を確立するということで提案を行っているということもつけ加えておきたい。御存じないようだから一言しておきたいと思います。

 次に、事務所費問題について聞きたいと思うんです。

 今問題になっているのは事務所費一般ではないんです。昨年の九月、政治資金収支報告書が出されて以来、事務所費とは何ぞやという話がずっと持ち上がったわけですやんか。そこで、事務所費というのは普通家賃が主なものだと。ところが、家賃がただの議員会館を主たる事務所に置きながら何千万円もの事務所費を計上しているのが国民には理解できないということなんです。したがって、メディアもこの問題を次々と取り上げた。私ども共産党の赤旗新聞も当然取り上げたということであります。だから、この国民の疑問に政治家たるものは答える必要があるということなんですね。

 それで、一昨日の質問に松岡農林水産大臣は、松岡利勝新世紀政経懇話会の事務所は一つと答えているけれども、間違いありませんね。

松岡国務大臣 お答えをいたしたとおりでございます。

穀田委員 そうすると、一つだと。では、その事務所の住所はどこで、家賃は幾らか、改めて聞きたいと思います。

松岡国務大臣 住所は国会の私の会館の所在地だ、このように思っておりますが、議員会館ですね、そうだと思っております。

 それと、家賃はもう御存じのとおりであります。

穀田委員 国民一般が知っているように、ゼロだと。衆議院議員会館で、号室は言われなかったが、二〇四だと。

 事務所費として、さっきも言ったように、一般に支出項目と一番考えられるのは家賃だというのが常識なんですね。その常識からすれば、家賃がゼロなわけだから、〇五年に大臣が事務所費として計上した三千三百五十九万円はどう使っているのかという疑問がわくのは当然だと私は思うんです。国民もみんなそう思っているんです。だから、それを明らかにすべきと違うかと言っているんですけれども、どうですか。

松岡国務大臣 明確に申し上げたいと思うのでありますが、私の方の事務所費は、これは、正直にすべてかかったものを整理をし、整理をするというのは、どのように整理をするかということもちゃんと相談をまたしながら、所管の部局と相談もしながら整理をし、そして、それを計上したものを、法律に基づいて、その規定に従って報告をし、それが公表されている、こういうことでございます。

 家賃がゼロだからという話が今ございましたけれども、私は、主たる事務所を国会に置かれない方でも、相当な事務所費を計上されている方々はほかにもおありになると思います。

 したがって、そういった意味では、それは多くかかり過ぎたということはあるかもしれませんが、多くかかり過ぎたという御指摘かもしれませんが、しかしそれは、事実に基づいて、架空のものとかそういったものは一切ないわけでありまして、まことに法に反したものも一つもなく、すべて適切なものを計上し、そしてそれを規定に従って御報告申し上げ、公開されている、法に照らしてすべて適正に行われている、このように認識をいたしております。

穀田委員 そういう態度ですから、国民はわからぬと言っているんですよ。

 だって、一月の初めに世論調査を出されて、わざわざその質問を出されているんですよ。松岡農林水産大臣に政治資金の処理をめぐる問題が明らかとなった、この問題について実態が解明されたと思うかということに対して、解明されていないと答えた方が八五%に上っているんですよ。

 ましてや、報道によると、金の使い方というのは随分多額だなということから始まって、支出の帳じりが合わないと事務所費に計上するといって証言する秘書もいる、こう報道されている。さらに、一連のこういう問題について、国民に知られたくない支出を処理する抜け道に利用しているのではないかとまで報道されている。

 したがって、大臣のところはそうじゃないんだな、そうなのか、どっちなんだ、違うのか、立証できるんですかと聞いているんですね。

松岡国務大臣 穀田先生は今報道を取り上げられまして、幾つか、二つぐらい例を挙げられましたですね。それこそ失礼な話でありまして、私の事務所は、そういった帳じり合わせだとか、どうしようも処理のしようがないものはそこで処理をしているとか、一切そういうことはございません。すべて正直にかかったものを報告申し上げておる、こういうことでございます。

 そして、法に従ったとおりやっておることが、何で、それは法が不備だとか、まだその法全体がいろいろ問題があるとかとおっしゃるのはわかるけれども、その一人とか二人とか特定の何人かをとらえてそういうことを言われること自体は、私はちょっと納得いかないな。先ほど党のこともおっしゃいましたけれども、それも含めて、やはりそれはそうじゃないですか。

穀田委員 だから、最初に私は、一般論ではないんだ、国民が疑問に思っているのはここの点だということを言ったわけですやんか。

 大体、大臣は、口を開けば、法にのっとって処理している、だから違法はない、公表はしなくて済むんだ、こういうことですわな、簡単な論理は。ただ、だとしたら、そういう一般論は通用しないんですよ。

 例えば、あの耐震偽装疑惑にかかわったヒューザーから献金をもらったある自民党議員は、確かに法律上は何の問題もないんですよ。しかし、献金を返金したじゃありませんか。だって、今の制度上何の問題もないとか、今もお話しあったように、一律に全部一定の基準を決めて公表すればと一般化して逃げてはいけないですよ。それは、疑問の解明がまず第一なんですよ。

 政治倫理綱領は、「政治倫理に反する事実があるとの疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもつて疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない。」としています。しかも、政治資金規正法は「国民の不断の監視と批判の下に」としているわけですよ。新聞も、「納得できる根拠を示せ」と社説まで書いているわけです。政治資金規正法施行規則では、領収書や帳簿は保存を義務づけている。あるわけですから、やましくないと言うんだったら、事実を公表すれば済むことなんです。どうなんですか。

松岡国務大臣 まず、穀田先生、社会的問題になって、そういう国民といいますか皆様から問題とされたところと、私らが法に従って法で求められたことをそのとおりやっているのを一緒に並べて、さも何か同列のごとく言われることだけは、同じこの議会の中の話として、それはちょっと見識を持ってやってもらいたいと思っています。それは一つ御指摘させていただきたいと思う。

 あわせて、今、公表すべきではないか。私ども、公表することにやぶさかでないと申し上げているんです。

 先ほどの質疑もございましたが、私の同僚の大臣からもありましたが、それは法として、今いろいろな、例えば不動産の項目なら不動産の項目なんてこれはないけれども、違法ではない。こういうのが一方にあった場合に、では、どういう項目で整理するのかといったことも含めてこれはきちんと整理をいただいて、そして、ある一定の基準で、みんな、多いとか少ないとかじゃなく、まさに事務所が、他の事務所にあっても、これは多い人はうんと多い人がいっぱいいるわけですから、それも一律に、公平に、平等で、議員活動という平等性において基準を決めていただければ、私どもは率先それに対応いたします、こう言っているわけですから。

穀田委員 だから、私は最初に言ったんですよ、今問題になっているのは何かと。家賃がただのところで高額の事務所費を計上しているという問題について疑問が国民から出ている、この問題については、出された疑問について政治家は解明する必要がある、私が言っているのはこの一点なんですよ。だから、そういう点を私は指摘しているわけです。

 私、この質問に当たって、大臣の政治資金収支報告を見ました。事務所費は、〇五年度で資金管理団体は三千三百五十九万円、それから自民党熊本県第三選挙区支部は五百七十一万円、松岡利勝後援会は四千二十四万円、いずれも多額に上っているわけです。

 この問題について、とりわけ、地元の後援会の支出の問題について地元事務所関係者が、事務所費の支出を不自然だとの証言をしている。疑問は増幅するばかりだから、明らかにする必要があるんじゃないのかと言っているわけですね。だから、極めて限定的な話なんです。一般化してはだめだということを言っておきたいと思うんです。

 そこで、次に、政治資金について言えば、入りという問題についても首をかしげる問題があります。

 農林水産省所管の公益法人東京林業土木協会から〇五年に百万円の政治献金をもらっているのは事実ですね。

松岡国務大臣 先ほどの、家賃がただなのに高額だ、そこが一点問題だ、そこを説明すべきだとおっしゃいましたが、では、家賃を払っていてもなおそれ以上に高い事務所費の人は、それはいいんですか。そういった問題も含めて、我々は、一つの一定の基準を、それこそ各党会派で、政党も含めておつくりいただければ、それはそれに対して率先対応いたしますと言っているんです。

 それと、どこかの報道で言われましたが、地元関係者が云々という今話がありましたが、私ども、あの内容を見ても、それはどの地元関係者か、あの内容に照らして、もう全く今と全然違うことをおっしゃっている人がいる。

 したがって、そういったことを含めて、すべて適法、適切にやっております。このことは明確に申し上げておきたいと思います。

 それから、今の東京林業土木協会ですか、これは、私は〇五年に百万円という献金はお受けいたしております。それは、政治資金規正法に基づいて、政治資金規正法上、献金しちゃいけない団体とか受けてはいけない団体ということではなくて、政治資金規正法上、きちんと献金もしていい、また私も受けてもいい、そういう団体から、政治資金規正法上、まさにそれに基づいてやっておる。それをここで問題にされる意図がわかりません。

穀田委員 では、問題にする意図はこれから言いましょう。

 一般化しちゃならぬという話は何回も言っているわけで、国民が疑問を持っている、それに答えるのが政治家の務めだと言っているわけです。

 そこで、農林水産大臣が指導監督する公益法人から献金をもらうのは不適切と思わないかという点なんですね。もちろん、そう言えば、その当時農林水産大臣ではない、こう言うんでしょうけれども、今後それではどうするつもりかということについて聞いておきたいと思うんです。

松岡国務大臣 何か、私の答弁を先に言ってしまわれたんですが、まさにその当時、私は農林水産大臣じゃありませんでしたが、それはどうするかということにつきましては、政治資金規正法に基づき私どもは適切に判断をしてまいりたい、こう思っております。

穀田委員 この国会は、適切、不適切ということで話をごまかすというのがどうもあれですけれども、私が言っているのは、どうするつもりか、受け取るのか受け取らないのかということを聞いているんですよ。

 そこで、なぜこんなことを言っているかというと、一九九六年九月の閣議で、公益法人の設立許可及び指導監督基準を決定していますね。その中で、「積極的に不特定多数の者の利益の実現を目的とするものでなければならず、」ということでわざわざ記載されている。この閣議決定の趣旨から、公益法人が献金するというのは全体としてまずいというのが一般的な理解なんですね。だからわざわざそれを聞いていて、それを所管する大臣が受け取って適切というのは、受け取るのか受け取らないのかということを言ってくれと言っているんですよ。

松岡国務大臣 公益法人、社団法人ですけれども、公益法人でしょう。しかし、政治資金規正法上は、献金もしていいし、また受け取ってもいい。法律上だめだというところからもらっているならこれは問題ですけれども、法律上はきちんとしておる。

 したがって、法律に基づいてやはりすべていろいろな活動、行動というのはなされるわけですから、私どもはそれを判断基準にしていきたいと思っていますが、今の先生の、〇五年のその次はどうするんだということにつきましては、これは収支報告できちんと明らかにする話でありますから、今この時点で私があえて先生にお答えしていかなければならないということじゃないのじゃないかと思います。

 そういう意味も含めて、適切に対処すると言っているんです。

穀田委員 要するに、公益法人からもらっちゃだめだという政治姿勢を聞いているんですよ。そういう問題について当たり前に聞いている話を、そんなことまで言えないようでは本当に情けないなと私は思いますよ。そういうことだと。だから、指摘だけしておきたいと思うんです。

 あわせて、大臣は、民有林整備懇話会だとか林業経営者林政会、全国木材産業政治連盟、民有林振興会、林土連懇話会など政治団体から、〇三年から〇五年で三千百二十万の献金を受けています。これも実は、これらの政治団体というのは、大臣が所管する公益法人と代表者も所在地も同じという実態で、これは、いわゆる、新しくそういう政治連盟をつくってそこから献金するという仕掛けをつくっている。

 これは、今までの国会で随分問題になってきました。そういう抜け道的やり方は間違っているということで、厚生労働省なんかは厳密に区別したいということを言った、いわくつきのやり方です。こういった点も私は、在任中は受け取るべきでないと考えております。そういう点だけ指摘しておきたいと思うんです。

 だから、政治姿勢というものが問われているんだと。そこはいかがですか。

松岡国務大臣 先生の御指摘の点も含めまして、しっかりとそこは判断をして対処してまいりたい、こう思っております。いずれきちんとした収支報告で明らかになると思いますから。そういったことでございます。

 それと、いずれにいたしましても、政治資金規正法という法律があるわけでありますから、それに基づいて我々は対応していく、それが基本だ、こう思っております。

穀田委員 何度も言うように、今のこのやり方というのは、政治姿勢の根本にかかわる問題なんです。それは、例えば今言いました政治資金の入りの話でいえば、確かに法律上は重ならないという問題はある。それはそういう側面を言う人もいるでしょう。でも、政治姿勢として、こういう問題については、それこそ総理大臣が言うように、李下に冠を正さずという内容がこれだということを、今まで歴代の人々、大臣の方々、総理も含めて言ってきたということなんですよ。それを明言しないというところにあなたの政治姿勢の根本があらわれているということだけは言っておきたいと思うんです。

 最後に、私は、こういう問題で政治と金という場合、やはりこのより根本的な問題というのは、三百億円を超える、そこで最初に私が言った政党のあり方、政党資金のあり方という問題に帰るわけですね。だから、政党助成金と莫大な企業献金にメスを入れ、いよいよ禁止すべきだということを主張しておきたいと思うんです。

 国から支給される政党助成金というのは、原資は国民の血税ですよ。先ほど触れた政治改革の際に、政党中心の個人献金にしよう、それから、企業献金は禁止しようという方向を出したわけですね。やめようと言っていた企業献金はもらいたい放題、そして、企業献金や政党助成金で支えられているから、実際は政治資金の使い道でもモラルハザードが起きる。ここをきっぱり断ち切ることが、一連のそういう問題を議論する際の根本のところをしっかり直そうじゃないかということを提起し主張して、終わりたいと思います。

金子委員長 これにて穀田君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 私は、先日の基本的質疑の折の第一番目に環境問題を取り上げさせていただきました。現在、私ども人類あるいはあらゆる生きとし生けるものとこの地球環境との共存ということは、海も、山も、水も、空気も、土も、そしてその中で私たちが日々いただきます食べ物というものも、すべて含めて大変に大きな課題であろうと思います。

 そして、私が先日質疑いたしました築地の市場の豊洲移転問題に関しまして、松岡農水大臣と若林環境大臣に御答弁をいただきましたが、私があのときも思いまして、時間の配分の悪さで十分詰め切れませんでしたところを、きょうは特に若林大臣を中心に、幾つかの質疑を重ねさせていただきたいと思います。

 まず、若林大臣にお伺いいたしますが、二〇〇三年に施行されました土壌汚染対策法、この精神は何であるとお考えでしょうか。お願いいたします。

    〔委員長退席、杉浦委員長代理着席〕

若林国務大臣 土壌汚染というのは、なかなか見えにくい性質のものでありますし、一般的に、地下水やその他のように、その他の地域からも汚染があるということを把握しにくい性格のものであります。

 その上にいろいろな社会活動、生活活動が行われるということを考えますと、汚染の原因となる事業が行われている間は承知でその事業者が使っているわけですけれども、これを廃止いたしました場合にそれが他の用途に利用されるということが想定されるわけですから、そういう意味では、廃止をしたら、その土壌について汚染があったかなかったか、それをきちっと検査していく、そして安心を確保していくというのが趣旨だと理解しております。

阿部(知)委員 今の大臣の御答弁は、それまでの土地の履歴が、工場等々で使用されていた場合に、その土壌の汚染がいろいろな影響を及ぼすことを考慮しながらの法律であると。

 もっと突き詰めて申しませば、もともとの対策法を読ませていただきますと、土壌の汚染による人の健康に係る被害の防止に関する措置を定めるというふうにございます。ここもぜひ、当然過ぎるほど当然で大臣が言及されなかったものと思いますが、私は、何度も申しますが、人の健康ということにとりまして、この前の大臣の御答弁が、私は、一部御理解がいただけていない部分があるのではないかと思います。

 先日の御答弁は、築地を豊洲に移しますときに、約四・五メートルの、二・五メートルの盛り土とそれから現状で汚染されたところの二メートル、ここをきれいにしておるので四・五メートル安全域があって、場合によってはそれでいろいろな健康被害も、安全宣言までは出ないけれども、担保され得るかもしれないくらいの御答弁と承りました。

 きょう、大臣には恐縮ですが、一枚目はせんだってと同じでありますが、ここで出ておりますものは、砒素、シアン、ベンゼン等々が、この前お示ししましたのでおわかりでしょうが、そもそもシアンというのはあってはならない、出てはいけないものであります。非常に猛毒であります。ベンゼン、砒素等々も皆さんもうお聞き及びでありましょう。

 一枚めくっていただきます。これは、大変に細かな図で、何が何やらわからないと思われますでしょうが、築地がこれから向かう豊洲の地域で砒素がどの程度検出されておるか、これを深さ別にかいたものでございます。その次がベンゼン、そして最後にシアンとなっております。三枚続きでございます。元図は、次のベンゼンというのを見ていただきました方が点々の数が少ないのでわかりやすいことと思いますが、このような土壌に、今までの検査ですと、この前も申しましたように、三十メートル、三十メートルの四角をつくって検査したのがこの図であります。

 この図をよくごらんになりますと、どのくらいの深さで何が出ているか。マイナス〇・五、マイナス一、マイナス二、マイナス三、マイナス四、五、六、七と調べられておるのでありますが、ここで顕著なことは、今回処理されたのは二メートルまでですので、三、四、五、六、七、この黒ポチの部分はまだ残っておる、あるいは星印の部分は二メートルの下に残っておるわけです。

 大臣は、四・五メートル積んであるから大丈夫とおっしゃいましたが、築地から豊洲に移りますときに、もともと豊洲という地域は、どんなものが来ようと二・五メートルは積まねばいけない地域です。なぜなら、この前も申しました、海と土地が全く同じ高さで、潮の満ち干で二メートル上下いたしますので、二メートルは積んでいただかないと、海より深く潜るような地に行くわけです。

 それで、その分の二メートルと二・五メートル積んだといたしましても、ここで皆さんによく見ていただきたいのは、三、四、五、六、七、このあたりはそのまま土壌の中に残されておるわけです。深さ、このもとの地域からマイナス三、マイナス四、マイナス五、そしてこの三、四、五、次のページでベンゼンもございます。ベンゼンが黒いところ。これを現在の土壌汚染法の基準である十メートル四方にしたら、実はもっと点はふえてまいります。旧来の基準でもそうです。三枚目のシアンもそうです。何度も申しますが、シアンは猛毒です。これは出ていただいては困るものであります。これが、三、四、五、六あたりには現状でもいっぱいあるんですね。

 大臣は、大阪のアメニティパークというところ、これも同じように土壌汚染で、実は一九九六年の段階で五メートルの土をかえて、上に三十センチから一メートルの盛り土をした。しかし、二〇〇三年段階で、地下から浸透した地下水、あるいは土壌をもう一度調べてみたら、土壌汚染がわかってしまったということで、ただいま係争中なのであります。

 私が申したいのは、地下から上がってくる分、毛細管現象で少なくとも二メートルは上がると言われています。現状で、五メートル積んでも上がってきているんです。土壌汚染法が制定されるときに、附帯決議の中で、まだまだこれから明らかにしなきゃいけない、例えば大気への放出あるいは生態系への影響など、今後の課題だということが述べられております。

 大臣としてやっていただきたいのは、やはり、食の安全をめぐるところで、ベンゼン、シアン、そして砒素も鉛もあるんですが、これの影響というのは、まだ、どのくらい上がってくるか、どのくらいどう動くかわかっていないんです。私は、ぜひここは大臣に、そうした知見も踏まえて、現状、起こった大阪アメニティパークのことも含めて、より精査することを国の施設である環境省としてもお考えいただきたいんです。それで、安全宣言が出せるなら出していただきたい。これが一点。

 でも、私は思います。こうした食の安全の極めて重要な時期に、今地球は温暖化しております。地熱で温まれば、こういう重金属の動きも、ましてベンゼン等々の揮発性のものの動きも、予測を上回るスピードで上昇してまいりますでしょう。

 地球温暖化による影響、それからアメニティパークの事例、そして安全宣言が出せるのか、この三つについて大臣にお願いいたします。

若林国務大臣 委員が御指摘になられましたように、現在の土壌汚染防止法、これは、なおなおいろいろさらに検討を深めなければいけない事項が残っているということについては認識いたしておりまして、土壌汚染の対策をさらに万全を期するために検討をしていかなきゃならないというふうに考えておりますので、現行の土壌汚染法上の基準を一応満たしているからということで完全に安全だと言い切れるというものではない、まだまだ対策を検討しなきゃいけない問題は残っているというふうに思い、環境省としても、土壌汚染防止法について引き続きの検討をしているところでございます。

 それから、御質問にお答えするに当たりまして、環境省としての今のこの問題についてのかかわりぐあいですけれども、実は、阿部委員もお話しになりましたように、土壌汚染法が施行される前に東京ガスがここにおける事業を廃止いたしておりますために、法律上の権限をもって土壌汚染について環境省、国が直接これを指揮し、あるいは検査をしというような立場にはなっておりません。

 そこで、環境省は、この豊洲の地区に築地市場を移転させようとしております東京都に対しまして、この豊洲地区の土壌汚染状況はどうなっているんだというようなことを聴取いたしまして、東京都から情報を得て、土壌汚染上の措置が、今進行されているようなことで大丈夫なのかという判断をしているところでございます。

 それで、東京都は、そういう一般的な環境影響評価とか土壌汚染対策ということをする行政上の責任を持っている地方自治体としての東京都以外に、ここに中央卸売市場を移転させたい、こういう意図があるわけでございます。中央卸売市場は、東京都が開設者になり、そして東京都がその市場の運営管理をする責任を負っているという意味では、豊洲地区の土壌汚染が今講じられている施策、措置によって十分であるかどうかということは、二重の意味で東京都がしっかりとこれをチェックしていく立場にあるもの、こう考えております。

 お話しのように、ここに築地の市場を移転させるとすれば、生鮮食品、とりわけ魚類について多くの不安、疑義が指摘されているわけでありますから、具体的に、そこで中央卸売市場を開設、運営するということの視点から、特段の、安全の上にも安全を期する、万全を期するという意味で、これを東京都の開設者たる立場における責任においてもきちっとしていかなきゃいけないと考えておりまして、当然、そういう措置は、今後東京都で卸売市場を設置するという立場からしっかりとした対策を講ずるということを前提として、先般、余り時間がございませんでしたので、そのような、ほぼ土壌汚染対策としては、おっしゃられましたような、それだけの状況であれば土壌汚染対策としては満足されているのではないかと。

 しかし、安全かと問われますと、そこは、その上で行われる生鮮魚類の取引という点から、万全の上にも万全を期するという意味で、これで安全だというふうに私どもとして言い切れる状況にはないというふうに考えております。

    〔杉浦委員長代理退席、委員長着席〕

阿部(知)委員 大臣は誠実な方ですから、言葉も選ばれての御答弁でありましたが、私としてなお求めたいのは、東京都、地方自治体のやれることとやれないことがあると思うんです。それが地球温暖化で、現在も、だれもが感じています、暑くなって。

 地熱で温まれば、先ほど申しましたベンゼンなどの行動様式も変わってきます。有機化合物あるいは重金属の拡散ぐあいも、スピードが違ってまいります。ですから、国としては、そういう今の気象変動に伴うこうした土壌汚染物質の行動動態、あるいは地下水の、毛細管現象といって、上がってくる度合いも違うのですが、そこまで東京都に証明せよというのは、ある種無理があると思います。逆に言うと、いつまでも安全宣言は私は出せないであろうと。

 しかし、これは、もともとそんな土地に行く必要があるんだろうかという問題がございます。汚染状況が本当にどのような動態をとるかわからないところに市場を移転させるということ自身が、最初のスタートが間違っているんではないか。例えば、子供の遊ぶ公園をつくるのも間違っていますし、食料品を扱うようなものをつくるのも間違っていると思います。

 でも、なお大臣には、本当に、今、そういう地下水がどう動くか、さっき言った、温暖化すればベンゼンや砒素やその他のシアンはどう行動するか、ぜひこれは国の研究の中でさらにきわめていただきたいと思います。

 今後、幾つも大阪アメニティパークのような例も出てまいりますでしょう。その都度、住民とその汚染処理のための企業が争っているのでは、どちらにとっても不幸だと思います。本当に、日本が高度経済成長の中で進んできた不良債権のようなものです、こういうものは。しかし、それをどうやって私たちがよりよく処理して、特に地下水の三分の一は飲料水に回ってきますから、未来にわたる安全にもかかわります。ぜひ、大臣の御尽力で、そのあたりは国が、私は、もっともっと見識と知見を高めていただきたい。それが衆参両院の附帯決議であったと思いますので、よろしくお願いいたします。

 あと、松岡大臣に付随してお願いいたしますが、築地の卸売市場で、食の安全については、それでは大変問題なんじゃないかという力強い御指摘もいただきました。あともう一つ、この卸売市場の移転や新たな開設には環境負荷を軽減するということが明言されております。

 もしもこのまま豊洲に行った場合、アスファルトで覆われた土の下からベンゼンが出てきたり砒素が出てきたりして、そこを車が通ったら、それこそ環境負荷、環境汚染が増強してまいります。農水省の方でも、そうしたことも加味して、本当に卸売市場として適切な地かどうか、大体多くの車がそこに出入りいたしますから、そういう点も考えて、排気ガス汚染プラスこうした有機溶剤やあるいは重金属汚染が広がりますので、検討していただきたいのが一点。

 もう一つ、既に、実は築地については、現在の場所で新たに改装するということで十八億の補助金がこれまで出ておりました。それが、ある日突然、豊洲に行くぞとなって、今度また補助金が出るというのでは、何だか補助金二重取りになってまいるような気もいたします。このあたりは、国の大事な財政、税金でございますから、そうした二重取りのような事態が生じないために何かお考えがあるか。二点お伺いします。

松岡国務大臣 お答え申し上げます。

 この問題につきましては、前回も阿部先生から御指摘をいただいたところでございます。これはもう本当に、先生御指摘のとおり、国民の食の安全、安心という大命題でございます。したがいまして、中央卸売市場は、築地市場はもちろんでありますが、全国にありますこういった市場、これは国民の健康と生命に直結する問題である、そのような認識を重々持って対処していかなければならない、このように思っております。

 そこで、先生おっしゃいましたように、中央卸売市場整備計画というのがございます。そこでは、環境の負荷を軽減していく、こういう大きな方向で取り組んでいるところでございます。

 そして、御指摘の豊洲への移転の問題でございますが、これは、この前も申し上げましたように、いろいろな事情があって、条件があって、やむを得ずそちらに行く。

 問題は、豊洲に行ったときに、豊洲が本当に、今先生御指摘のようなことがすべてクリアされるかどうか、こういうことでございますので、私ども、卸売市場の所管部局といたしまして、環境省とも十分な連携をとりながら、また開設者であります東京都とはしっかりと連携をとりながら、環境影響評価が今行われておりますので、これもしっかり確認してまいりたいと思っておりますし、それから環境基準、これも万全を期していただく。そしてまた、科学的見地に立って、問題ないということをしっかりと説明もしていただく。その上で、消費者の、国民の皆様方の理解と納得が得られるような、そういったことがしっかりとなされていくということを、私どもはしっかり見守り、かつ対応してまいりたい、こう思っております。

 二点目でございますが、これにつきましては、いろいろ決まりがございまして、例えば農業の基盤整備とかの補助金ですと、八年たたないうちに転用したりすれば補助金返還、こういった規定がございますが、この場合もございまして、構築物の場合は、五十年たたないと、それ以前にやってしまえば補助金を返さなきゃいけない。

 したがって、当然、そういったこととの兼ね合わせで、二重ということにはならないように、これは開設者の問題ということにもなりますが、しかるべき法の決まりがございますから、それに従って私どもは対処してまいりたい、このように思っております。

 いずれにしても、先生の御指摘をしっかり受けとめまして対処してまいりたいと思っております。

阿部(知)委員 国民の安全という、食の安全は、本当に松岡大臣おっしゃられたように、非常に国民的関心事ですので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 時間が足りなくて恐縮ですが、柳澤大臣にお願いいたします。

 私は、せんだっての質疑の中でも安倍総理に、産婦人科医療について、診療報酬上で何か手だてしてくださるとおっしゃいましたが、産婦人科というのは保険診療じゃない、診療報酬じゃないというお話をしました。

 ここで、恐縮ですが大臣に伺いますが、大臣はお子さんがおられますので、また、お孫さんもおられるやもしれません。大体、子供を出産するのに幾らぐらい費用がかかるものか御存じであるか。

 それから、現状で、私は、きょう、これだけはどうしても大臣にお伺いしたいのですが、今、妊産婦さんたちの不安の声は、赤ちゃんが脳性麻痺で生まれるということもありますが、この前の奈良の病院の十八カ所のたらい回しも、あるいは福島の事案も、お母さんが死亡しておられます。大臣は、女は産む機械とおっしゃいましたが、そうではなくて、命がけでみんな産んでおるわけです。

 こういう構想が厚生省であると伺っておりますが、こうしたことを医師や専門家集団だけで、あるいは損保会社の皆さんとだけで話し合う前に、実は、一九九二年から陣痛促進剤によって亡くなったお母さんあるいは障害を受けた赤ちゃんの事案を二百二十六例集めている、いわゆるお母さんたちの団体がございます。お産の現状について、大臣は、せめて、前回の発言をやはり本当に取り戻していただくためにも、そうした産む側のお母さんたちと会っていただけまいか。

 この二点、きょうはお願いいたします。

柳澤国務大臣 いろいろな観点からのお話がございましたけれども、私が先般の発言で女性の方を傷つけたということで、自後、私は妻がおりますので、妻からしかられたのでございますが、いろいろな点でしかられましたけれども、一番しかられたのは、女性が子供を産むのは命がけという、今先生がまさにおっしゃった点で私は大変しかられたのでございます。それで、それは、本当に私が皆さんにおわびをし、また深く反省していることの中心にある考えであるということでございます。

 先ほどの総理の御答弁についてのお話もいただきましたけれども、総理は、通常の正常なお産が、そうした診療報酬ではなくて、出産育児一時金の支給によって対応されているということも、昔の社会部会長でもいらっしゃるものですから十分承知をしているわけですけれども、あのときの念頭にあった話では、お産に伴っていろいろ難しい状態が生まれたときのお産のことをひっくるめておっしゃられたということでございますので、その点は、ぜひ御理解を賜りたいと思います。

 なお、お産に伴う無過失の補償の問題であるとか、あるいは、非常に難しい病気というものを伴って出生するようなお子さんがおられるというようなことをどう考えていくかということについて、いろいろ検討が進んでいるわけですけれども、いずれにせよ、最後に先生がおっしゃられた、お産をする女性に会うべきだということにつきましては、私は、本当におわびの気持ちも込めまして、もしお許しいただければ、会わせていただいて、直接おわびを申し上げたい、このように思います。

阿部(知)委員 ありがとうございます。ぜひ、大臣に産む側の声も聞いていただいて、諸制度は考えていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

金子委員長 これにて阿部君の質疑は終了いたしました。

 次に、糸川正晃君。

糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。

 本日は、総務大臣にまず質問をさせていただきたいと思います。

 私は、昨年の六月五日にも分科会の方で質問をさせていただいたんですが、その当時はまだ竹中大臣でございました。もう今は、テレビのない世の中というのは想像ができなくなってきていると思うんですが、二〇一一年の七月二十四日でアナログ放送が停波するということでございまして……(発言する者あり)これ、今まさに、本当に大丈夫かなということでの、きょう、質問なんです。

 まず、大臣、完全移行というのは可能なのかなと。後ろからも、本当に大丈夫かなという声が少し聞こえてくるわけです。薄型の液晶テレビの人気もあって、今、デジタルテレビの出荷台数、これも堅調であるということも認識しております。また、だんだん価格も低廉化されてきて、買いやすくなってきたなというふうには感じるわけですが、依然としてアナログテレビの方が安い、大型のインチのものでも非常に安いということがあるわけでございます。また、複数のテレビを所有されている家庭というのも非常に多いというふうに聞いております。学校、病院、こういうところにおいても対応が必要になるわけでございます。

 受信機普及にはまだまだ相当な時間がかかるのではないかというふうに思いますが、総務省としては、現在の普及状況をどのように評価されているのか。また、あと五年足らずでございます、約四年半でしょうか、一億台以上のテレビをデジタルテレビに置きかえることが可能なのかどうか。御見解をお聞かせいただけますでしょうか。

菅国務大臣 昨年の十二月一日で、二〇〇三年に三大広域圏で始まりました地上デジタル放送は、全国で実は開始されました。この結果として、全国の三千九百五十万世帯がデジタル放送によりカバーされたということになります。

 また、放送事業者の計画では、二〇一〇年にはアナログ放送受信世帯の九九%にデジタル放送の受信を可能とするため、NHKと民放合わせて約九千局の中継局を整備していく、こういう予定であるというふうになっております。

 また一方、地上デジタル放送対応の受信機の出荷台数でありますけれども、昨年十二月末の時点で約千八百万台に達しており、ほぼ予定どおり普及が進んでいる、このように考えております。

 そして、二〇一一年に向けての視聴者全世帯に対する受信機の普及をしていくためには、中継局整備の着実な推進、CATV等の補完的伝送路の利活用、受信機価格の低廉化、これに取り組んでいきたいと思っています。

 放送事業者初め、メーカー、地方自治体、あらゆる関係者と協力をして、二〇一一年の七月のデジタル化に向けて全力で取り組んでまいる覚悟であります。

糸川委員 大臣、確かに、今のアナログ放送を見られる地域の九九%は受信が可能になるということですけれども、そうすると、現行のアナログ放送エリアについては放送事業者の自助努力によってカバー率が九八%を超えるんじゃないか、そういう見込みだ、九九%になるんじゃないか。

 最後に残った一%、特に山間部ですとか、それから離島、過疎地、こういうところで非常に整備が困難な残りの一%、条件不利地域について、例えば公的支援、私が竹中大臣に聞いたときには、こういうものは基本的には自助努力を促していきたいんだということですけれども、では、一%を切り捨ててしまうわけにはいかないわけですね。ここに対してはどのような検討をされているのか、お答えいただけますでしょうか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘の九八%という数字は、昨年の四月に放送事業者が作成しましたロードマップに出てくる数字でございまして、昨年十二月にこれを改訂いたしておりまして、その数字では九九%と、後に御指摘になったとおりの数字でございます。

 総務省としましては、これまで、中継局整備に対する放送事業者の設備投資が円滑に進みますように、金融あるいは税制上の支援を行ってきたところでございます。

 また、これに加えまして、現在御審議いただいております平成十九年度予算の政府原案におきまして、放送事業者の経営努力だけでは実施できない条件不利地域につきましてデジタル中継設備を整備するために、ICT交付金、正式の名称で言いますと地域情報通信基盤整備推進交付金の活用が盛り込まれております。約五十七億円でございますが、これを平成十九年度予算成立後適切に活用することによりまして、二〇一一年の地上デジタル放送完全移行に万全を期してまいりたいと考えております。

糸川委員 これは局長、五十七億円ですべてのその一%のところが対応できるということなんでしょうか。それとも、二〇一一年度まで徐々に徐々に予算を組んでやっていくということなんでしょうか。

鈴木政府参考人 先ほど申し上げました五十七億円は十九年度予算でお願いをしているものでございまして、この後さらに必要と考えておりますが、それはまた改めて、政府内で調整の上、お願いを申し上げる次第でございます。

糸川委員 では、そこはしっかりと予算をとっていただいて、その残り一%、これも受信可能になるようにしていただきたいなと。

 ただ、受信可能になっても、今度、受信する側がデジタル対応のものを買わなければテレビが見られないというような状態なわけです。私も実はよくわかっていなかったものですから、いろいろ調べまして、これはもし間違っていたら教えてください。どうも、アナログテレビを持っていても、デジタル対応のビデオデッキを買えば、その接続によってアナログテレビでデジタルテレビが見られるというような、これはチューナーが内蔵されているからということだったんでしょうね、そういう理解だと思うんです。ここは、いいです、それは間違っていたらということです。

 そこまではいいんですけれども、例えば、今ほとんどの車なんかにもついているカーナビ、これはカーナビに、ほとんどの車の場合は、ナビゲーションシステムだけではなくて、テレビも見られるわけです。これはアナログテレビなんですよね。大体、このカーナビの内蔵のテレビチューナー、これは現在九〇%程度というものがアナログテレビ対応だと。そうすると、これをデジタル対応へ変更するとなると、これは、例えば車載アンテナなども含めてどのような改修が必要になるのか。これ、すべて個人負担になると、かなりの負担が出てくるんじゃないのか、かなり高額なもの。

 これは、今まで使えていたものが、車は走るけれども、今度は突然テレビが見られなくなるというような事態が起きるんではないのかな。こういうものに対してどのような取り組みをされているのか、お答えいただけますでしょうか。

鈴木政府参考人 今御指摘のとおり、カーナビの内蔵のテレビにつきましては、デジタル対応にするためには、車載専用の地上デジタルチューナーとアンテナを設置することが必要になります。

 現在までのところ、残念ながら、カーナビについております部分のテレビ受信チューナーはほとんどアナログ、九割近くがアナログでございまして、その意味ではこれをかえなければなりません。その追加費用は、メーカーあるいは機種によって多少異なりますが、現在、数万円から十万円近くかかります。

 しかしながら、カーナビのテレビ画面というのは、普通の、二十何インチ、三十何インチのテレビと違いまして、数インチのものでございますので、カーナビのテレビ画面で主流となっているのは、いわばワンセグ放送が見られればいいということになります。このワンセグのみに対応したチューナーとアンテナでございますと、大体三万円程度となっております。

 なお、アナログテレビ対応のカーナビの新規購入に際しましては、必要な注意喚起を行いたいということで、関係団体の協力を得ながら、アナログテレビ対応のカーナビは、アナログは二〇一一年に終了になりますという告知シールを張りつけて今販売するようにお願いをいたしております。

糸川委員 確かに、アナログが二〇一一年に終わりますというのは、今から買う人にはよくわかるわけです。ところが、もうもともと買ってしまった人はよくわからないわけですね。車載専用で追加費用が三万から四万かと。ただ、工賃もかかったり、どういうふうにしたらいいのか、この辺はまだまだ課題があると思いますよ。

 ですから、まだ二〇一一年まであと四年ぐらいあるわけですから、これ、全力で取り組んでいただかないと、法律をつくってしまったんですから、これは消費者の方たちに余り迷惑をかけないように取り組んでいただきたいなと。

 少しずつ、今、このデジタルテレビの低廉化というものが進んでいるわけですけれども、ただ、では、年金生活者とか高齢者であったり単身世帯、こういう方たちに、幾ら低廉化だと、カーナビのことはいいとしても、例えば家庭内にあるテレビ、こういうものに関しては相当な負担が必要になるわけです。先ほど、カーナビは小さいから負担は小さいですとおっしゃられましたけれども、家庭に置いてあるのが三インチ、四インチというわけにはいかないわけですね。当然、十五インチ、二十インチ、三十インチぐらい、こういうものが主流なわけですから。

 そうなりますと、諸外国で見られるような、低所得者と言われるような、そういう層の方へのチューナーの配付ですとか貸与等の計画があるのかどうか、実施する場合、その時期についてどのようにお考えなのか、お聞かせいただけますでしょうか。

菅国務大臣 デジタル放送を視聴するための受信機というのは、原則として視聴者の負担で購入をしていただきたい。しかし、受信機も、委員御承知のとおり、非常に多様化、低廉化をいたしておりまして、着実にそうした方向には来ているだろうというふうに思っています。引き続き、視聴者ニーズに合った、そうした受信機が購入しやすい低廉な価格になるように、私どももメーカー等に働きかけてまいりたいというふうに思います。

 ただ、その中で、今御指摘がありましたけれども、社会的弱者と言われる方に対しての配慮でありますけれども、アメリカでは、一定の額以下の所得の世帯に対して、デジタル放送を受信するためのアダプターの購入に補助をする政策をとっております。こうした外国の例も参考にしながら、社会的弱者と考えられる世帯の方々に対しては、私どもも検討しなきゃならないだろう、このように考えています。

糸川委員 これは本当に早く検討していただいて整備していかないと、恐らく、二〇一一年間近になったときにはもう間に合わなくなっていますよ。大臣、本当にこれは早くに取り組んでいただきたいなと思います。

 それから、経済的弱者の方もいらっしゃる、そしてまた今度、観光業界とか、一部例を挙げますと、全国の温泉施設の、例えば宿泊施設を持っていらっしゃる方々、もちろんホテルも含めてですが、テレビの設置が当たり前になっているわけですね。テレビのない旅館ですとかホテルというのはもう想像できない。どんどん観光客離れになっている中で、経営もぎりぎりで一生懸命努力している。建物を直したり、少しずつ少しずつ取り組んでいるところもあるわけです。

 日本の文化とも言える温泉街が、だんだんにぎわいがなくなってくるということも非常に残念だなというふうに思っていますけれども、そうすると今度、テレビを買いかえることもままならないところもある。一たん買いかえるとなりますと、一部屋というわけにいきませんから、何十室、大きなものでしたら五十室とか百室とか、そういうものもあるでしょう。

 この政府主導のデジタル化によって、小さな宿泊施設の経営者の首というものを絞めることはどうなのかなと。ここに関しても、何か救済する方法というものがあるのか、もしくは今総務省として考えられているのか、お答えいただけますでしょうか。

鈴木政府参考人 ただいま大臣が御答弁申し上げましたとおり、デジタル放送を視聴するための受信機は、各家庭の個別受信の方々も、原則として御自身の負担で購入していただきたいと考えております。

 こうした個別の受信者の皆さんと同様に、宿泊施設で利用されております受信機につきましても、それぞれの宿泊施設を経営される中でデジタル放送に対応いただきたいというふうに考えております。

糸川委員 何かすごく冷たい感じのするあれですよ、非常に。(発言する者あり)ええ、それはよくわかりますけれども、やはり何となく切り捨てられていってしまう感じがします。こんなところに、先ほども、経済的弱者の方、そして一生懸命取り組もうとしていらっしゃる事業者の方々へ、今回はデジタル化ということを法律で決めたわけですから、その中で救済をどういうふうにしていくのかというところに関しては、やはり誠心誠意やっていただきたいなと。

 また、地デジに対する認知度というものはどんどん上がってきているわけですね、八五・七%でしょうか。ただ、アナログの放送の終期に関しますと、これは三二・一%と、依然として低い数値でございます。これは平成十八年の三月に総務省が調べた。もう今はこれはもしかしたらデータが変わっているかもしれません。

 ここに関して、今後の、ただシールを張っているだけでは、このシールというのは、チューナーをつけないと見られませんよということが書いてあるだけのシールを張ってあるわけですね。二〇一一年にアナログ放送が終了しますというシールが張ってあるわけです。それだけで本当にその周知というものが徹底されていくんだろうか。電器店に通われていらっしゃる方はよろしいかと思いますが、通っていらっしゃらない方、こういう方たちに対して、もちろん、今、草なぎ剛さんでしょうか、コマーシャルでしきりに宣伝されているのかもしれませんが、それだけでどこまで目標の数値に達することができるのか。相談の体制ですとか店頭での対応というのはどうなのか、十分なのか、お答えいただけますでしょうか。

鈴木政府参考人 委員御指摘のとおり、昨年の三月の調査では、アナログ放送がいつ終わるかということを御存じの方は三二%強でございまして、まだ非常に低い状況でございました。

 このアナログ放送が終了するということを周知広報していく重要性というのは十分私どもも認識しておりまして、放送会社、メーカーあるいは販売店、それと地方自治体とも一緒になって取り組んでまいりました。

 具体例としましては、先ほど委員御指摘の、草なぎさんによるテレビコマーシャルでございますとか、それ以外にも、シールを、チューナーをつけなければ見えないというのではなくて、アナログテレビ放送が二〇一一年には終了しますということを書いたシールを張るとか、あるいはお客様のお尋ねに答えられるコールセンターを設置するとか、また販売店での対応が十分できますように研修をいたしております。例えば、今年度、まだ十八年度でございますが、百三十カ所で約七千人の販売店の従業員の方に参加していただいておりますが、こういった周知活動を行ってきております。

 まだこれで十分だとは当然私どもも考えておりませんし、これから一層終了に向けて周知活動が重要だと考えておりますので、一〇〇%御認識いただけるべく努力をしてまいりたいと考えております。

糸川委員 今そういうお話を聞いてあれなんですが、周知の仕方として、私の認識、この質問をするに当たって勉強する前は、例えば、テレビがデジタル対応のものになればビデオもそのまま使えるんじゃないかとか、いろいろ思っていたわけです。もちろん、ビデオはそのまま使えるわけですね。ただ、アナログのものに変わってしまうわけですから、デジタルの情報は見られなくなる。ビデオ、録画するものもデジタル対応のものにしないといかぬ。

 ただ、デジタル対応のビデオデッキを買って、先ほどお話ししたようにアナログのテレビで見る場合には、これは両方使えるわけですよね。違うんですか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の二番目のケース、デジタルのデッキについているチューナーで今あるアナログのテレビでごらんになる場合には、デジタル信号がアナログ信号に変わりますので、簡単に言いますと、ハイビジョンはハイビジョンでなく普通の画質で見えるという格好になります。もちろん、見えることは見えるわけです。(糸川委員「見られるのは見られますね」と呼ぶ)もちろん、見ることは見えるわけですが、その画質が本来のハイビジョン画質ではなくなるということでございます。

糸川委員 そうだと思うんです。

 ただ、録画はちゃんとデジタルの録画ができているわけで、いずれデジタルのテレビを買うことができれば、そのときはデジタルのものが見られるということですよね。ということは、今しきりに宣伝しているのは、テレビを買ってくださいよと。ただ、それよりも、ビデオを買って、デジタル対応のビデオを買っておけばそれなりに対応できるんじゃないか。

 こういうものも、消費者のニーズに合わせて、店頭でデジタルテレビの、例えばテレビを買ってください、買ってくださいじゃなくて、ビデオもこういう形で買われた方が得ですよとか、いろいろな形でアドバイスをどんどんしていただけるように、今はこれを言っても、非常に、まだまだ難しいんです。

 例えば、私もデジタルテレビを買ってみましたけれども、ボタンの数が異常に多くて、あれは多分、お年寄りの方なんかは、テレビ、本当に操作できるかなと。

 それから、チャンネルの並び方も違うんですよね。例えば東京で受信する場合、一、二、三と、普通のNHK、それから教育、ハイビジョン、こう並んでくる。通常の、アナログのテレビであれば、一チャンネル、三チャンネル、四。五チャンネルはないわけです。ところが、五チャンネルはテレビ朝日さんでしょうか、デジタルテレビの場合はテレビ朝日だというものがあるわけです。こういうものも非常に難しいんですね。

 だから、どんどん変わってきている。今までなれ親しんできたものと全然変わったリモコン体系をしていて、すごいものになると二段になっている。こういうものに関しては、では、お年寄りに本当に対応できるんだろうか。

 これは大臣、先ほどからメーカーと交渉して低廉化に努めるとおっしゃられているわけです。だったら、今携帯電話でもボタン三つしかないようなものもあるようにつくっているわけですよね。であれば、ぜひ、そういう簡易なものもメーカーと取り組んでいただけるように、少し、これは通告していないんですけれども、御答弁いただけませんでしょうか。

菅国務大臣 実は私、昨年、副大臣のときに、やはり認知度が余りにも低過ぎるということを、糸川委員と同じように、役所に指示をした記憶があります。

 そして、今の利用形態でありますけれども、大変重要な御指摘である、こう真摯に受けとめまして、しっかりと対応させていただきたいと思います。

糸川委員 ありがとうございます。

 こればかりやっているとちょっと時間がなくなってくるんですが、アナログ放送の終了時期というものを、万が一ですよ、万が一、買いかえが進まなかったから、では、二〇一一年にアナログの放送を停波することを延長しよう、これはあと三年ぐらい延長したらどうだろうか、そういうふうにならないようにしていただかなきゃいけないわけで、それは竹中大臣のときにも、私、確認したんです。これは大臣に、見直しの可能性はないということを明言していただいて、強い決意をいただかないといかぬなと。

 なぜそういうことを言うかといいますと、もしアナログのものを併用すると、テレビ局が、地方のテレビ局もたないですよ。

 今アナログのものというのはもうだんだん販売されてこなくなってきているわけで、今使われている、あそこに並んでいるのは多分デジタルのものだと思うんです。ただ、もしアナログのものをまだまだ出してください、アナログも併用してくださいよという形になりますと、それをまた修理して使うことなのか、買いかえてやらなきゃいけないのかとなりますと、二倍コストがかかってくるわけです。アンテナのこともしかり。

 どんどんコストがかさみますと、地方のテレビ局のコマーシャル、私の今いる福井県ではほとんどパチンコとかサラ金のコマーシャルです。こういうコマーシャルばかりになりますと、それだけでは収入はやはり得られないわけです。そうなりますと、キー局からの援助が必要になってくるわけですね。キー局からの援助が必要になれば、当然ローカルの放送というものもだんだん制約が出てくる可能性もあるわけです。

 だから、その辺も含めて、大臣、絶対ないんだということをおっしゃっていただきたいなと思います。

菅国務大臣 終了時期の見直しは全く考えておりませんし、二〇一一年のデジタル放送への完全移行、これを確実なものにするために私ども全力で取り組んでまいります。

糸川委員 ありがとうございました。

 ぜひこれは大臣に今後取り組んでいただいて、まだまだ情報を皆さんに伝えるところの環境整備ができていないと思うんです。今回その部分に関しては予算がほとんど入っていないんじゃないかなと思います。アンテナの整備の予算は入っていると思いますが、皆さんへお伝えしていく、どういうふうな形で勉強を、例えば販売店の方々を呼んで勉強会をされるとか、どういうような形でやるんだということを総務省の主導でやるような、そういう予算は入っていないというふうに思いますが、入っていますか。であるなら、ちょっとそれも説明していただけますでしょうか。

鈴木政府参考人 今年度予算で約七億五千万円、来年度予算でも五億六千万円余が広報予算として入っておりまして、先ほど申し上げました販売店職員の研修もこの経費で行っているものでございますし、また、各種ポスターその他もそういう経費で作成いたしております。

糸川委員 済みません、そうですね、ポスターとかそういうものに予算がついていましたね。

 では、今後もその進捗というのは、随時、この委員会、他の委員会も通じていろいろとまた進めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、おとといですか、一昨日、私も警察官の宮本警部のことで質問したわけですが、警察というものは精強であって、そして国民から信頼される存在であるべきだというふうに思います。多くの警察官が大変厳しい勤務環境の中で今頑張って働いておるわけです。しかし、たった一人の警官であってもなんですが、不祥事が起きてしまうと警察全体の不信を招くことになるわけです。逆に、宮本警部のように誇りある行動をとれば、またそれが警察全体の信頼の回復というんでしょうか、イメージアップにもつながるわけでございます。

 その第一線で働く警察官が誇りを持って執務ができる職場環境を整備する必要があるというふうに思いますが、今後、一万二千人に上ります警察官が退職される大量の退職時代、これに突入していくわけですが、これに対して警察庁の対応をお聞きしたいなと思います。

 まず、警察の幹部が大量退職することによって、昇任の基準というものでしょうか、昇進の基準というんでしょうか、こういうものが甘くなって、幹部警察官としてふさわしくない方が昇任する、こういうような懸念があるわけですけれども、このことに対しての対応策についてお聞きしたいなと思います。

溝手国務大臣 おっしゃるように、警察官の退職者数は年々増加する予想をしております。平成十七年度には九千人が退職しておりますが、今後数年間にわたって一万人前後が退職するという本格的な大量退職時代を迎えるというように予測をいたしております。

 委員御指摘のとおり、大量退職時には幹部への昇任も相当程度増加することは事実でございまして、昇任者の決定に当たりまして、漫然とこれを昇格させるというようなことがあってはならないと考えております。実務能力、管理能力等、幹部としてふさわしい資質あるいは能力を持っているかどうかということをしっかり見きわめていく必要があると思っております。

 真に幹部としてふさわしい能力を有し、責任を担うことのできる職員を昇任させることは、御指摘の精強な第一線警察を構築するために極めて重要であると考えておりますので、昇任管理につきましては、引き続き適正に行われるよう、警察を督励してまいりたいと考えております。

糸川委員 ぜひ、例えば警部補であったり、巡査部長さんなり巡査長さん、こういう方たちが大量にやめられるわけですから、今の巡査を、人数が足りないからといって、どんどん階級を上げていくということをしないように、しっかりとその資質を見ていただきたいなと思います。

 また、もう一つ、その大量退職への対応としまして、多くの新人警察官、これが採用して生まれることになるわけです。そこで十分な教育訓練を行わずに第一線の現場へと送り出す、こういうことになりますと、その新人警察官自身も自信を持った職務執行ができない。本人にとってもそれは不幸なことでありまして、また、国民に対しても警察への信頼を損ねる。それこそ、本当に、宮本警部のような方を育てていただくんだということにならなければならないわけです。

 そこで、大量採用に向けて、新人警察官に対してどのような教育訓練を行うのか、お聞かせいただけますでしょうか。

溝手国務大臣 現行の新規採用警察官の教育制度では、大卒者については十五カ月、それ以外の者については二十一カ月にわたり、警察官として必要な実務能力を習得させている状況でございます。

 大量退職、大量採用の時代を迎えまして、経験の少ない若手の警察官が急激に増加するということでいろいろ懸念がされておりますが、警察学校や警察署等の職場において若手警察官の早期戦力化を重点とした実践的な教育を行っていく必要があると思いますし、特に、最近、この数年間というのは、大変就職難の時代が続いておりまして、非常に優秀な職員が入っていることは事実でございます。

 これらに対しまして、さまざまなトレーニングをすることによって、実地の経験をつけさせて、体力、気力を充実させていくということは極めて重要だと思います。疑似体験をさせるロールプレーイング方式の訓練とか、警察官に求められる知識、技能を体得するのに効果的な実践的訓練の充実を図ってまいりたいと考えております。

 今後とも、若手警察官が自信を持って対応できるような諸策を講じて、国民の期待と信頼にこたえるように頑張ってまいりたいと考えております。

糸川委員 そのロールプレーイング方式による実践的訓練についてということで今一生懸命やられているようですけれども、昨年、警察官に対する公務執行妨害による公務災害認定件数、これをいただきまして、十三年度、十四年度、十五年度、十六年度、十七年度、ここで合わせまして、人数でいいますと、三千九百二十三名の方が公務災害、ですから、公務執行妨害で殴られたとか、刺されたとか、そういうことがあるんだと思うんですね。平成十七年度では、死亡者が一名、負傷者が七百六十一名。大体、ずっとここのところ、八百三十六件、八百五十三件、七百七十四件、非常に大勢の方が負傷されているというようなこともありますので、ぜひ、負傷されないように、しっかりと取り組んでいただきたいなというふうに思います。

 また、もう一つ、ちょっと余り時間がなくなってきたんですが、警察官の配置基準についてお伺いをしたいなと思うんです。

 今、どんどん地方というのは人口の過疎化が進んでいるわけですが、人の目が少ないから犯罪も犯しやすい、こういうような場合もあるわけですから、人口に対して、警察官一人当たりの負担人口について、例えばほかの先進国と比べても、日本というのは非常に大きな負担になっているわけです。

 また、面積が広くなっても、面積の分での警察官の配置というものも今後考えていかないと、人口がどんどんどんどん少なくなってきた、では、そこを人口の配置から考えればここに要らなくなったんじゃないか、一週間に一回の警備でいいんじゃないか、そういうことでは、犯罪がまたふえる可能性もあるわけですから、ぜひ管轄区域の面積の広さというものを考慮に入れるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

安藤政府参考人 お答えいたします。

 警察におきましては、御案内のとおり、平成十三年度以降、継続して地方警察官増員を行っているところであります。平成十九年度でありますと、現下の喫緊の課題でございます重要凶悪事件とか来日外国人組織犯罪、街頭犯罪等への対応やテロ対策のために三千人の増員をお願いしているところでございます。

 その際、都道府県ごとの増員数を決定するに当たりましては、まずは今申し上げましたような諸情勢が重要な要素となるわけでございますが、そのほか、警察官一人当たりの負担人口とか委員御指摘の管轄区域の面積や、犯罪や交通事故の発生状況、あるいは各都道府県における特殊事情など、各種負担の状況を総合的に勘案して決めているところであります。

 今後とも、各県の定員の基準を定めるに当たりましては、お尋ねの、管轄区域の広さが警察活動に与える影響についても考慮してまいりたいと思っております。

糸川委員 ぜひ、ここはしっかりとした取り組みをしていただきたいなと思います。

 最後に、これまたちょっと話題が違うんですが、自転車に対する交通の取り締まりというのを強化していただきたいなと。

 これは、特に最近都心部では見かけるようになったんですが、ロードレーサーを利用した自転車の運送業者、こういうものをよく見かけるようになったわけでございます。このロードレーサータイプの自転車というのは、ほかの自転車と比べると相当スピードが出る、例えば五十キロ、六十キロぐらいで走行するわけです。特に、街角で車道の右車線を走行したりとか、右折は、本当は二段階右折しなきゃいけないのに、右折レーンから普通に右折をしていく、また夜間無灯火でいる自転車もいるわけです。

 これは業者ということに限ったことではなくて、やはりこれからは自転車に乗っていらっしゃる方のモラルというものも向上させなきゃいけないなと。例えば、通行人にぶつかってもそのまま通り過ぎてしまったりということもあるわけです。こういう傍若無人な自転車に対する指導取り締まりというものをどのように対処していくのか。また、今国会で道路交通法を改正する、こういうこともお聞きしております。法改正を含めて今後どのように対応されるのかお聞かせいただいて、質問を終わりたいと思います。

溝手国務大臣 局長が一生懸命勉強しておりましたのでと思ったんですが、私の方からお答えさせていただきます。

 近年、歩道を無秩序に通行するなど交通ルールを守らない自転車利用者に対する社会的批判が高まっておりまして、自転車に対する交通秩序の回復は、交通安全対策上、重要な課題だと認識をいたしております。

 このため、警察では、自転車利用者の交通違反に対する指導取り締まりを強化しており、昨年の四月には、全国警察に対し、特に悪質、危険な違反に対し交通切符を適用した積極的な検挙措置をとるように指示したところ、その結果、昨年中、自転車の交通違反に対して全国で約百四十五万件、前年比約三十万件の指導警告を行い、交通切符の適用も二百六十八件行ったところであり、この件数は前年に比べ大幅に増加いたしているところでございます。

 警察庁では、自転車の交通秩序を回復するために、関係機関と連携しながら、自転車利用者に対する安全教育の充実や、指導取り締まりの一層の強化、自転車の通行環境の整備等を内容とする自転車の安全利用促進のための総合的な対策を推進しているところであります。

 また、こうした自転車総合対策を推進するに当たり、自転車の歩道通行要件の見直し、あるいはボランティアと提携した街頭活動の強化のための規定整備等を内容とする道路交通法の改正について現在検討を進めているところでございます。

 国家公安委員会といたしましても、警察におけるこうした自転車の安全利用促進のための総合的な施策が適切に推進されるよう督励をしてまいりたいと考えております。

糸川委員 ありがとうございました。

 ぜひ、交通ルールの教育の方もしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 ありがとうございました。終わります。

金子委員長 これにて糸川君の質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時六分散会


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