衆議院

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第4号 平成19年10月11日(木曜日)

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平成十九年十月十一日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 逢沢 一郎君

   理事 伊藤 達也君 理事 遠藤 利明君

   理事 田野瀬良太郎君 理事 中山 成彬君

   理事 森  英介君 理事 山本 幸三君

   理事 岡田 克也君 理事 前原 誠司君

   理事 富田 茂之君

      安次富 修君    井上 喜一君

      伊藤 公介君    猪口 邦子君

      岩永 峯一君    臼井日出男君

      尾身 幸次君    大島 理森君

      大野 功統君    金子 一義君

      亀井善太郎君    河村 建夫君

      倉田 雅年君    小池百合子君

      小坂 憲次君    佐藤 剛男君

      斉藤斗志二君    坂井  学君

      坂本 剛二君    菅原 一秀君

      杉浦 正健君    園田 博之君

      中馬 弘毅君    冨岡  勉君

      野田  毅君    葉梨 康弘君

      深谷 隆司君    藤井 勇治君

      細田 博之君    増原 義剛君

      三ッ矢憲生君    三原 朝彦君

      石関 貴史君    小川 淳也君

      笹木 竜三君    武正 公一君

      中川 正春君    西村智奈美君

      原口 一博君    細野 豪志君

      馬淵 澄夫君    松本 剛明君

      山井 和則君    笠  浩史君

      鷲尾英一郎君    赤松 正雄君

      江田 康幸君    田端 正広君

      赤嶺 政賢君    笠井  亮君

      阿部 知子君    保坂 展人君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   内閣総理大臣       福田 康夫君

   総務大臣

   国務大臣

   (地方再生担当)     増田 寛也君

   法務大臣         鳩山 邦夫君

   外務大臣         高村 正彦君

   財務大臣         額賀福志郎君

   文部科学大臣       渡海紀三朗君

   厚生労働大臣       舛添 要一君

   農林水産大臣       若林 正俊君

   経済産業大臣       甘利  明君

   国土交通大臣       冬柴 鐵三君

   環境大臣         鴨下 一郎君

   防衛大臣         石破  茂君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     町村 信孝君

   国務大臣

   (金融担当)

   (行政改革担当)     渡辺 喜美君

   内閣官房副長官      大野 松茂君

   内閣府副大臣       木村  勉君

   外務副大臣        小野寺五典君

   財務副大臣        遠藤 乙彦君

   財務副大臣        森山  裕君

   文部科学副大臣      池坊 保子君

   文部科学副大臣      松浪健四郎君

   厚生労働副大臣      西川 京子君

   厚生労働副大臣      岸  宏一君

   環境副大臣        桜井 郁三君

   防衛副大臣        江渡 聡徳君

   内閣府大臣政務官    戸井田とおる君

   法務大臣政務官      古川 禎久君

   文部科学大臣政務官    保坂  武君

   厚生労働大臣政務官    伊藤  渉君

   厚生労働大臣政務官    松浪 健太君

   経済産業大臣政務官    荻原 健司君

   国土交通大臣政務官    谷  公一君

   防衛大臣政務官      寺田  稔君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      谷  公士君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           久元 喜造君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 梅本 和義君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   小松 一郎君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          金森 越哉君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  外口  崇君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  西山 正徳君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局長)            高橋 直人君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  水田 邦雄君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 小野  晃君

   政府参考人

   (社会保険庁長官)    坂野 泰治君

   政府参考人

   (社会保険庁社会保険業務センター所長)      中野  寛君

   政府参考人

   (防衛省防衛参事官)   小川 秀樹君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  高見澤將林君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  渡部  厚君

   予算委員会専門員     井上 茂男君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月十一日

 辞任         補欠選任

  岩永 峯一君     藤井 勇治君

  大野 功統君     亀井善太郎君

  斉藤斗志二君     安次富 修君

  菅原 一秀君     坂井  学君

  深谷 隆司君     猪口 邦子君

  増原 義剛君     葉梨 康弘君

  細野 豪志君     小川 淳也君

  馬淵 澄夫君     石関 貴史君

  笠  浩史君     鷲尾英一郎君

  渡部 恒三君     西村智奈美君

  江田 康幸君     田端 正広君

  笠井  亮君     赤嶺 政賢君

  阿部 知子君     保坂 展人君

同日

 辞任         補欠選任

  安次富 修君     斉藤斗志二君

  猪口 邦子君     深谷 隆司君

  亀井善太郎君     冨岡  勉君

  坂井  学君     菅原 一秀君

  葉梨 康弘君     増原 義剛君

  藤井 勇治君     岩永 峯一君

  石関 貴史君     馬淵 澄夫君

  小川 淳也君     細野 豪志君

  西村智奈美君     渡部 恒三君

  鷲尾英一郎君     笠  浩史君

  田端 正広君     江田 康幸君

  赤嶺 政賢君     笠井  亮君

  保坂 展人君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  冨岡  勉君     大野 功統君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 予算の実施状況に関する件


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     ――――◇―――――

逢沢委員長 これより会議を開きます。

 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局選挙部長久元喜造君、外務省大臣官房審議官梅本和義君、外務省国際法局長小松一郎君、文部科学省初等中等教育局長金森越哉君、厚生労働省医政局長外口崇君、厚生労働省健康局長西山正徳君、厚生労働省医薬食品局長高橋直人君、厚生労働省保険局長水田邦雄君、厚生労働省政策統括官小野晃君、社会保険庁長官坂野泰治君、社会保険庁社会保険業務センター所長中野寛君、防衛省防衛参事官小川秀樹君、防衛省運用企画局長高見澤將林君、防衛省人事教育局長渡部厚君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

逢沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

逢沢委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。葉梨康弘君。

葉梨委員 おはようございます。自民党の葉梨康弘でございます。

 私は、現在、国会対策の副委員長をしておりますが、その立場で御質問させていただきたいと思います。

 まず、冒頭でございますけれども、民主党の小沢代表の不動産の問題、いろいろと報道されているようでございますが、その説明の内容をよく精査いたしまして、違法の疑いがあれば、自民党としてもしっかり国会で取り上げていきたいと申し上げたいと思います。

 そして次に、もう一つ、昨日の馬淵議員のコメントについて申し上げたいと思います。

 昨日、百九十九条それから二百条の関係についての質疑が福田総理に対してございましたが、一つ指摘しておきたいのは、平成十五年の二月七日、この当予算委員会において、やはり同様の事案について小泉総理大臣等に対する質問が共産党の志位委員長から行われました。そのときは、小泉総理、政党の政治活動に使われた寄附であってこれは違法性はない、実際違法性はないんですけれども、そういうふうに突っぱねられた。

 ただ、私自身評価しておりますのは、福田総理は非常に国民の信頼ということを大事にされますから、疑念というのがちょっとでもわくということがあってはならないということで、昨日のあのような答弁になられたのかなというふうに思います。

 ただ、一つちょっと私の経験を申し上げますと、この委員会室の中で、百九十九条を使って捜索、事件の捜索ですね、これをしたのは多分私一人だと思うんです。

 ある県の捜査二課長を十七年前にやっていましたときに、選挙違反から百九十九条違反というのが出ました。そして、実際のところは、ある市会議員のあっせん収賄、それから、前の市長さんの収賄というのを立件するための支えの材料として捜索をさせていただいたんですけれども、これは本にもなっています、毎日新聞から。それで、そのときも検察庁ともいろいろ話したんですが、贈収賄と百九十九条、公選法とは立て方が違うんです。つまり、贈収賄は公務員犯罪であって、受けた側にまずきつい罰則をかけ、そして贈賄を禁止する。そして、この公選法の寄附の違反というのは、寄附をした側に注意義務を課して、受けた側をその後に規制するというような形なんです。

 ただ、このところというのは、このシステムは、だれが公共事業の発注者か、受けている者かどうかというのは、なかなか寄附を受ける側ではわからない面もあります。ですから、その意味では、どういうようなシステムが重要か、これをつくっていかなきゃいけないかということは、やはり与野党ともに考えていかなきゃいけない問題だというふうに思います。

 それからもう一点なんです。いわゆる領収書の修正という話、民主党さんは改ざんと言われますけれども、お話がございました。

 そこで、きのう、ちょっと夕方、ある面で見たんですが、そうしたところが、民主党の岩手県の第四区総支部というのがあるんです。ここで、ある方の名前を消して、領収書、それで判こを押しているんですね。民主党の第四区総支部、これです。それから、あとは、水沢を中心とする選挙区なんですが、その方の選挙の費用、これもやはり消して名前を変えている。それから、民主党の方でも、ほかの県でもありますね。こういう形で同じような経理がされている。

 これは、ちょっとしか見ていないんですが、民主党の方は改ざんと言われますけれども、私自身は、自民党、民主党問わず、良心はあるといいますか、会計担当者というのはたくさんいらっしゃるのかな、そんなような印象を持ちました。

 さて、では、本題に入らせていただきます。

 本日の質疑は、各種団体による政治活動のあり方ということで質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、選挙部長さん、お願いをいたします。

 資金管理団体が政治団体から寄附を受領した場合に、何万円以上の寄附についてどのような報告をしなければならないでしょうか。よろしくお願いします。

久元政府参考人 資金管理団体が同一の政治団体から年間五万円を超える寄附を受領した場合、この場合は、その寄附をした政治団体の名称、主たる事務所の所在地及び代表者の氏名、寄附の金額及び年月日といった明細を別途記載することとされているところでございます。

葉梨委員 これは、収支報告書に記載をして、これを公開するということです。

 労働組合、この組合さんがいろいろな政治団体をつくっている例があるんです。ある方から、ここら辺からちょっとそういうのも調べてみたらいいんじゃないかという示唆も受けまして、私も見てみたんです。

 そうしたら、これは、ある有力労組の政治団体ですね。この労組は、今回の参議院選挙でも、組織内候補というのですか、これを上位当選させています。平成十七年中ですが、これは、組合員を多分主体とすると思われます十万一千七十八人の会員から一億九千四百四十一万二千円の会費を集める、そして、ほかに、パーティー収入などから二億一千百二十八万円の収入があった団体なんです。これが、十七年の総選挙に関してですが、その八月下旬ぐらいに民主党の十九陣営の政治資金管理団体などに百万円から三百万円の献金をしたことが公表されている。

 ところが、これらの受け手の側なんですが、ある民主党の有力議員ですね、この政治資金管理団体の中には、その寄附を受けたという記載がないんです、報告書の中に。それで、念のためなんですが、その方の政党支部、さらには選挙費用報告、これも調査してみたんですけれども、やはり記述がない。

 これは、多分、私、勘違いだと思いますよ。多分、勘違いだと思いますし、横領だとは思いたくないんですが、こんなふうに違法な疑いがある、宙に浮いた献金、こういった問題もやはり出てくるわけなんです。

 いずれにせよ、百万円という相当高額なお金ですから、私は、過失と認定されない場合も多いんじゃないかと思いますけれども、この法律関係について、さきに質問いたしました資金管理団体、これが報告を怠った場合には、どのような罰則があるんでしょうか。

久元政府参考人 政治資金規正法では、故意または重大な過失により、収支報告書に記載すべき事項を記載しなかった者、または虚偽の記入をした者については、五年以下の禁錮または百万円以下の罰金に処するというふうにされているところでございます。さらに、この会計責任者が不記載ないし虚偽記入により処罰された場合に、政治団体の代表者がその選任及び監督について相当の注意を怠ったときは、五十万円以下の罰金に処するとされているところでございます。

葉梨委員 本日は、余り個人の名前は挙げたいと思いませんので、挙げません。

 次の問題に移りましょう。

 まず、選挙部長さんに法律関係をまとめてお伺いをしたいと思います。

 衆議院が解散されます、そして、公示になりますと総選挙の候補者が出ますね。そして、その総選挙の候補者に係るポスターとして法律で許されているものはどういう種類のものなのか、具体的に御教示願いたいということと、そして、それ以外のポスターを印刷して掲示した場合、どのような罰則があるのかということをお尋ね申し上げたいと思います。

久元政府参考人 衆議院議員総選挙におきましては、まず、小選挙区選挙の候補者について、ポスター掲示場ごとに選挙運動用ポスターの掲示が認められております。ほかに、候補者届け出政党、衆議院名簿届け出政党等についても、一定枚数の選挙運動用ポスターの掲示が認められているわけであります。これ以外のポスターの掲示は認められていないところでございます。

 そこで、公職選挙法の百四十三条また百四十六条にこういう規定があるわけですが、これらの規定に違反して文書図画を掲示した者は二年以下の禁錮または五十万円以下の罰金に処するとされているところでございます。

葉梨委員 今、法律関係については説明がございました。

 そうなんですね。そのとおり、総選挙の候補者のポスターというのは二種類です。候補者個人が印刷するものと、それから政党が印刷するもの、それ以外は認められていないわけなんです。

 ところが、これもやはり、ある有力労組の政治団体です。この業界の労連では、やはり今回の参議院選挙で、民主党公認の、組織内候補というらしいんですが、それを上位当選させておる団体がございます。

 この労組の政治団体は、これはちょっと多いですね、十三万三千九百三十五人の組合員主体の会員を持っているようでございます。会費はちょっとさっきのより安いんですが、八千九十八万六千八百四円、これは平成十七年でございますけれども、その会費を主体といたしまして八千百二万円の収入を計上して、それを政治活動に充てております。

 その政治活動費の、その他という欄があるんですね、その他の政治活動、このページを開きますと、まず、県連へのパーティーへの会費が六万円、パーティー券を購入というのが計上されております。それから、やはり民主党のこれも有力議員、さっきの議員さんとは違いますが、パーティー会費六万円、これについても、これを購入したという支出が計上されております。そして、すぐその下なんですが、平成十七年十月四日、総選挙の執行はたしか九月の十一日だったと思いますが、総選挙候補者ポスター印刷代という名目で支出が計上されております。

 さっきも言いましたとおり、総選挙の候補者のポスターというのは、候補者個人かあるいは政党しか印刷して掲示することはできないわけなんです。ですから、先ほどの答弁のような法律関係だといたしますと、この支出は一体何なんだということになってまいります。つまり、候補者への寄附を、肩がわりするということになれば寄附になるわけですから、寄附を意図的に記載しないというものなのか、あるいは違法なポスターを印刷したというものなのか、いずれにしてもいずれかということで、違法性の疑いというのが、そこら辺が出てくるわけなんです。

 そういったことをちょっと御紹介申し上げまして、次の題に移りたいと思います。

 それでも、私がこんな節穴みたいな目でぱっと見ただけで、これだけ出てくるんですね。それで、労組が政治団体を結成して、組合員が一応自由意思によって、十万人だ十三万人だといますが、その参加のために任意でボランタリーに会費を納入して、そして、さらにその使途についても一定の透明性を持つ形で公開をするというのは、私は、実際、評価はできるんです。実際のところ、今述べたように、政治資金規正法の網がかかって一定の透明性が確保されているから、こういう事実がわかるわけです。

 それで、これは厚生労働大臣にお伺いをいたしたいと思います。

 まず、労働組合が特定の政党を支援する活動、これ自体は私はできるだろうと思います。ただし、そのために、お金の面です、臨時の組合費を徴収するということについては、組合員はその納入を拒むことができる、そういうような判例、最高裁判例ですが、ございます。昭和五十年の十一月二十八日、国労の広島地本組合費請求事件。憲法の判例百選にもたしか載っていたかと思います。

 ですから、そこで、こういったような判例があるということに見られるわけですけれども、労働組合自体が政治活動を行う、こういうことは決して非難されるわけじゃないと思うんですけれども、臨時の組合費を強制できない、そういった判例もあるということを考えますと、やはり組合員の自由な政治的な意思、これは尊重していくべきじゃないかなというふうに思うんです。厚労大臣から御所見を承りたいと思います。

舛添国務大臣 お答えいたします。

 御指摘の最高裁判決、私も読み返してみましたけれども、労働組合が政治活動を行うこと、これは、自由で許されるべきことであると思います。

 ただ、多数決によってある政治的行動を行うという決定をした場合に、それに対して、その決定に従え、ないしは、そのために必要な費用を払いなさい、これは強制することは許されないというのがこの最高裁判決の趣旨であります。

 したがいまして、私は、この最高裁判決どおりに労働組合員の意思を尊重するということがしっかり担保されるべきである、そのように考えております。

葉梨委員 そのとおりだと思います。ですから、労働組合さんの方も、組合員さんの自由な意思を尊重するという意味から、たくさんの政治団体を結成されているという事実もあるわけです。

 ただ、結成されても、結成しただけで、実際上は本当の休眠という政治団体も実はございます。

 選挙部長さん、お願いいたします。労働組合でUIゼンセン同盟というのがございます。その同じ住所にゼンセン同盟政治連盟という団体があるそうなんですけれども、平成十六年、十七年、十八年におけるこの団体の当該年度の収入額及び支出額をお答え願いたいと思います。

久元政府参考人 通告をいただきましたゼンセン同盟政治連盟についての政治資金収支報告書を確認させていただきました。

 平成十六年分の収入額は六十六円、支出総額はゼロ。平成十七年分の収入額は六十六円、支出総額はゼロ。平成十八年分の収入額は千八十二円、支出総額はゼロというふうになっておりました。

葉梨委員 毎年の収入、これは多分利子だけなんですね。かといって、このUIゼンセン同盟さんが政治活動をやっていないかといったら、そんなことはないですね。今回の参議院選挙でも、組織内候補、準組織内候補三名の完勝をかち取ったという有力労組。国民のだれもが政治活動をやっていないなんて思ってないですよ。

 結局、政治資金規正法という一定の透明性を有する世界、ここから逃れて、労働組合会計、これは公表する必要がないですから、そのベールに包まれた世界で活動する、そういう道を選んだとしか私は思えないんですね。

 収支報告書も公表しない、そういったベールに包まれた労働組合の政治活動の何に金が使われているか、二つほど挙げてみたいなと思います。

 まず一つは、時間の関係もあるので、これは御紹介だけにしますが、本年八月の読売新聞の報道でございます。

 川崎市の交通労組というのがあるんですが、平成十六年の参議院選挙、その選挙である候補の選挙違反が起こった。これは買収です。それでこの組合の幹部が逮捕されたんです。懲戒免職になった。まだ定年が残っていたらしいんですが、何か犠牲者救援基金というのがありまして、その方が退職まで勤めたときの給料と、定年で退職したときの退職金も払っている。計で約一億円ほどを払っているんですね。

 ただ、先ほど厚生労働大臣からもお話ありました五十年の十一月二十八日の判決でも、この犠牲者救援基金という制度自体は、必ずしもそれによって組合費を徴収することは違法とされていない。なぜかというと、これは安保闘争について、多分公務執行妨害だと思いますけれども、そこで逮捕されて免職になった者に対して救援をするということで、臨時の組合費を徴収するのは共済活動の範囲内だというような判例があるんです。

 ただ、そのときの判例でも、例えば天野武一最高裁判事なんかは反対意見を出されていまして、余りに救援基金の政治活動性というのを軽視し過ぎているじゃないかと、ですから、この関係で組合費を強制的に徴収するのは問題であるというような天野武一最高裁判事の反対意見、あるいは高辻元法制局長官、当時最高裁判事の補足意見、そういったものもあったわけなんですけれども、本件の場合でいうと、まさに選挙違反。

 この関係で犠牲者救援基金についていろいろな規則を置いている労働組合の例も調べてみたんですが、組合の指示、通達による組合活動で、それでたまさか被害をこうむった者に対して救援をする。ですから、選挙違反の買収という行為が組合の指示とかあるいは組合の通達による活動だとは私自身は思えないんです、まあ、この川崎交通労組がどういう規定になっているかわかりませんけれども。ですから、そういうことになってしまうと、一億円も、選挙違反で捕まった人、それでやめさせられた人にお金を差し上げる、それは組合の指示、通達によるものだ、そんなことをやはりやっているのかという話にも、疑念にもなってくるわけなんですね。ここのところ、一つ御指摘を申し上げたいなというふうに思います。

 それで次に、では一体どれぐらいの金額が政治活動に投入されているかということをちょっと一例だけ申し上げたいと思います。

 選挙部長さん、平成十七年における総務相届け出、これの、その他の政治団体の総数並びにその内数として年度の収入が一億円以上の団体及び二億円以上の団体について、その数をそれぞれ教えていただきたいと思います。

久元政府参考人 総務大臣届け出のその他の政治団体について、平成十七年分の収支報告書の要旨の定期公表時における提出団体数は三千六百九十二団体、収入額が一億円以上の団体数は六十九、二億円以上の団体数二十三でありました。同じく、平成十八年分の提出団体数は三千六百四十四団体、収入額が一億円以上の団体数は五十五、二億円以上の団体数は十九となっております。

葉梨委員 今述べられたように、一億円以上の収入額、二億円以上の収入額というのは極めて大きな政治団体ということになります。企業でいったら東証一部上場、そこら辺に当たってくるのかなというふうに思います。

 なかなかこれは入手できないんですけれども、自治労という労働組合があります。その政治活動の特別会計の二〇〇五年の収入の予算額、当該年度が二億七千六百五十八万九百五十円、執行額が一億五百三十万一千六百五十円。これは一般会計から上半期分の計上ということで、まず、多分二億円以上はその年入ったんじゃないかというふうに想像されるわけなんです。ただ、これは我々は知ることはできません。たまたまこれは組合員の方からいただいた資料なんですが、去年の決算というのは私ども知る立場にないんです。国民にも全く公開をされていない、こういうことなんですよね。しかも、領収書なんというのはどこにも添付をされていない。

 昨日の質疑でも総理からお話ございました。総理、政治活動にかかる支出という形の言い方をされて、政治団体という言い方と微妙にちょっと違った言い方もされておりました。

 きょうの議論、ちょっと総括をいたしましょう。

 まず、今までの議論によって、労働組合、これの政治団体については違法の可能性がある記述が散見されるということが明らかになりました。

 そして次に、労働組合が組合員や国民に対して政治活動の透明性を確保するために政治団体を組織して組合費とは別に政治団体の会費を徴するのは、実は私は大変まじめだというふうに思っています。

 でも、政治資金規正法の世界で一定の透明性が要求されたため、今回のようなぼろが出てくる可能性もありますし、先ほどのゼンセン同盟政治連盟のように、みずからは、政治団体を結成してもこれを休眠状態にしてしまう、あるいは政治活動は組合に任せっきりであるというようなものも出てくるわけなんです。

 そして、では組合本体はといいますと、昭和五十年の最高裁判決、これを奇貨としてというか、相当拡大解釈をして、あたかも、買収による検挙、これも弾圧であるというようなとらえ方をする。そして、選挙違反を何か奨励しているかのような労働組合も見られるわけなんですよね。

 そして、その経理というのは公表されていません。そして、年間予算額で二億円を超えるそういう政治活動が、政治活動特別会計と称する隠れみのの中で、その実態が明らかになっていない、そういうような不透明な問題があるということも明らかになりました。

 ですから、この政治と金の問題、特に支出の問題を議論するに当たっては、このような労働組合などの各種団体、その政治活動についてもいかに透明性を確保するか、その視点というのは非常に重要になってくるんじゃないか、私は、そうじゃないと野放しという問題が出てくると思うんです。

 そこで、総理にぜひ最後にお伺いをしたいんですけれども、このような議論の中で、労働組合を初めとした各種の団体による政治活動の問題、そういった問題も出てまいりました。支出についてどういうような形や均衡を持って透明性を確保していけるか、そういうような問題もまたこれありだろうと思います。

 そして、この問題というのは、必ずしも与党だけじゃなくて、やはり野党の皆さんにもいろいろと考えていただくということ、私は非常に大事だろうと思います。バランス感覚を持って、国民に真に信頼される制度をどのように構築するか、そのためには、与野党がこの問題について腹を割って真摯に話し合いを行っていくということは、私はとても重要なことだというふうに思うんですけれども、総理から御見解をお願いしたいと思います。

福田内閣総理大臣 葉梨委員からいろいろな政治活動の実態を御紹介いただきまして、本日は大変勉強になりました。私も、今一番問題になっております政治と金という問題、この問題を解決するということは、やはり国民の皆さんによく理解してもらえるということは、一つ大きな目標なんではなかろうかと思います。

 そういう意味におきまして、これからどういうようなルールづくりをしていくのかということが一番大事になると思いますが、そのルールづくりに当たりましては、やはりそういう政治活動の実態を踏まえた検討がなされるべきだというように私は思っております。

 そういうふうな観点から、これは、与党だけでない、野党の皆様方にも御協力をいただいて、そして国会の議論等を通じましていいルールづくりに励んでいただきたいというように私は思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

葉梨委員 きょう、いろいろと事例を挙げながら質問させていただきましたけれども、特に個別の名前を私そんなに挙げるつもりもないので、やはりこれからどういう形の制度にするかという問題だと思うんです。

 先ほど、冒頭申し上げました百九十九条、二百条の話についても、総理の団体の行為というのは、小泉総理の答弁にもあるとおり、現行法では違法性はないんです。違法性はないけれども、これからどういう仕組みをつくるかという中でやはり評価される問題だろうと思うし、また、そういうような観点から総理もそのような答弁をずっとされてきているんだなというふうに私自身は考えています。

 ですから、きょうの質疑、たった三十分で全部を言い尽くせることはできませんでしたけれども、やはり、政治団体の問題あるいは政治家個人の問題、さらには労働組合を初めとした各種団体による政治活動の問題、そういったものを非常にバランスよく視野に入れて、我々が真に国民に信頼される、そういう制度を構築していくことが非常に大切であるということを私からもお訴えをさせていただきまして、私の質疑を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

逢沢委員長 これにて葉梨君の質疑は終了いたしました。

 次に、田野瀬良太郎君。

田野瀬委員 おはようございます。自民党の田野瀬でございます。

 まず、福田総理、御就任おめでとうございます。私からもお祝いを申し上げたいと思いますが、とはいえ、きのうも話に出ておりましたように、大変厳しい過酷な毎日が続くかと思います。どうぞお体に十分お気をつけられまして、日本国のために、国民のために頑張っていただきたいと思います。

 特に、福田総理は、アメリカとの同盟を基軸にしながら、アジア外交に大変力を入れられてまいりました。そこに私も大変期待を申し上げておるところでございます。日中、日朝問題、さらなる改善、進展を心から期待申し上げたいと思いますし、特に、私は恐らく日本一の過疎地帯を選挙区とする者である、そんなふうに任じております。福田総理は御就任のときに、都市と地方との格差の解消にしっかりと尽力していきたいということでございまして、この点につきましても御期待申し上げておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。

 そこで、きょうは、都市と地方の格差問題について四点ばかり御質問申し上げたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。

 まず、教育格差でございます。

 まず、文部科学大臣に御質問申し上げたいと思うんですが、実は私は、中、高等学校を経営、運営する経験を持っておる者でございます。その経験の中から申し上げるんですが、実は私も、当初、クラスにおける生徒数は少なければ少ないほど教育効果が上がる、それだけ十分に先生が生徒にアプローチできますので教育効果が上がるだろうと思いまして、今上限は四十名ですね、クラスの人数は四十名でございますけれども、私は三十名学級で実験してみたんです、試みました。

 ところが、結果は惨たんたるものでございましてね。授業はアットホームになりまして、教室はがらんと周囲があいていますから、先生はゆったりと授業をしますし、生徒もアットホームになって、家族的になったのはいいんですけれども、適度な競争原理が働かなかったんでしょうか、あるいは子供同士の切磋琢磨がなかったんでしょうか、すっかり成績が落ちてしまいまして、レベルが落ちてしまいまして、これはえらいことをしたなということでもとに戻した、そういう経験があるわけでございます。

 そんなことで、私は、教育というものは、先生と生徒とのかかわりの中で生徒の能力を開発するという部分も、なるほどそれは大きなものがあると思いますが、それにも増して、子供同士の交わり、遊びの中でいろいろな知恵を働かせて、人間を磨いたり、あるいは能力を開発したり、切磋琢磨の中で、成績が上がったり、よくできる子の勉強の仕方を見ておれもああいう勉強の仕方をやってみようとか、あるいはまたよくできる子はどんどん伸びてくる子に抜かれないように頑張ろう、そういう適度な競争原理。やはり私は、競争というのは教育現場でいかがかという方がおりますけれども、もっとほかの表現があるかもわかりません、切磋琢磨の中で能力が開発される、こういうものがある、こんなふうにつくづくとその経験で確信したんです。

 ところが、文部省では上限の人数は決められておるんです、四十名です。四十名あるいは四十五名というふうに決められておるんですが、教育効果を発揮するには最低何人の生徒が教室にはおることが望ましいというような基準がないんですね。

 文科大臣、最低限の人数はどの辺にあるか。これはなかなか、私も、そうしたら何人かということはデータに基づいてつくってはないんですが、大体どれぐらいだと思われますでしょうか。

渡海国務大臣 田野瀬先生が実際に教育の現場を経営といいますか、いろいろと運営されて、その経験からの今の御発言だというふうに思いますけれども、これは実は、何人ぐらいいなきゃというのはなかなか、例えば学術的ないろいろな研究というのも進んでおりません。また同時に、特に義務教育の場合というのは、さっき格差というお話がございましたが、やはりあまねく教育を受ける権利があるということに基づいて行っておるわけでありますから、地域の実情とかそういったことを考えながら、子供が教育を受ける機会というものを確保していかなきゃいけないということがあるわけでございます。

 確かに、私も人数が少なければいいとも必ずしも思っておりませんし、我々の世代、この中にも同じ世代の方がたくさんいらっしゃるわけでございます。たしか五十五人ぐらいだったと思うんですね。では、あの時代の教育はいいかげんだったのか、これは言えないと思うんですね。そのことも考えますと、何名と言われましても、何名以上とか何名ぐらいが適当と言われましても、一概には言えない。

 また、地域全体として、例えば、ある地域が過疎化が進み、その中にいる子供が少なくなったときに、集めようといったってなかなか難しい。ところが、じゃ、これは廃校にしてしまって隣ということになっても、非常に時間が長かったり、また通学上の安全の問題等もあります。一概に、ここは難しいと思いますが、できるだけそういったことをカバーするような仕組みにしていかなきゃいけないんだろう。

 先生の御質問は、何名、どれぐらいという御質問でございましたが、そこのところは実情に応じてやっていかなきゃいけないということであろうと思います。基本は、やはり教育を受ける機会というものがきっちりと確保される、このことを基本にしながら、しかも、今先生のような御提言も踏まえ、適正な編制を行っていくということではないかなというふうに思っております。

田野瀬委員 下限の人数はなかなか言えないとしても、クラスの生徒数が少なければ少ないほどいいということではないという文科大臣の御答弁でございました。そのとおりだと思いますね。

 よく世間で、三十人学級にしよう、しよう、こういう意見がございますが、私は、絶対それだけは避けていただきたいと思います。今の四十人学級でも、四十一人になりますと二十一人と二十人ですから、三十人学級にしますと十六人と十五人になりますから、私は、少なくともクラスには女子が十名、男子十名ぐらい要る、何ぼ少なくとも二十名ぐらいは要るのではないか、このように経験から感じておるところでございます。

 そういうところからいきますと、私、日本一の過疎地帯と言いましたが、過日、やはり過疎で悩んでいる五、六百名のある村の村長さん、村会議員さんが全員来まして、悲痛な叫びを実は聞いたんです。

 田野瀬さん、去年はとうとう一人も村で生まれませんでしたと。ゼロなんです、学年ゼロ。小学校も中学校も一学年一クラス。一学年、一人か二人なんです。家へ帰っても一人か二人、学校へ行っても一人か二人、まあ悲惨なものだ。とにかくこの子供たちに友達を大勢つくってあげたいし、いろいろな子供との交わりの中で教育をさせてあげたいのに、一人か二人なんです。せめて隣の町、スクールバスが発展していますので、スクールバスで通ったら二、三十分で行ける町に二十人、三十人、四十人おるクラスがあるので、そこへ私どもの村の一人、二人を入れたいんだと。

 ところが、今の制度でいきますと、ちょっと時間がございませんので詳しいことは言いませんけれども、その市町村にまたがります組合をつくってやりなさいとか、いろいろな規制がございまして、受け入れ側が簡単に受け入れようとしないんです、いろいろな煩わしい作業があって。

 そんなことで、文科大臣、その一人か二人、三人、五人というような悲惨なクラス運営の子供たちを、ちょっと二、三十分行けば十分生徒数を確保するクラスがありますので、そこへ要望があればすぐ市町村をまたがって行けるような制度をぜひつくっていただきたいと思うんですが、いかがでございましょうか。

渡海国務大臣 今、田野瀬先生がおっしゃったように、制度はあるんですね。ところが、なかなか実態上はうまく進んでいない。これは、やはり使い勝手が悪いということであろうと思いますから、概算要求の中でもそういったことに対する調査も今実は要求をしております。

 いずれにいたしましても、せっかくある制度でございますから、この制度がうまく生きるように、今後ともいろいろな観点から検討してまいりたい、そういうふうに思っております。

田野瀬委員 受け入れ側が煩わしいんですね。いろいろな煩わしい作業がございまして、それが非常にネックになっておりますので、できるだけ下限二十人ぐらいのクラスにだれしも教育できるように、ぜひひとつ早急にその対策を講じていただきたい、このように思います。

 さて、これは、委員会、もう数年前から何度となくいろいろなところで議論されてきたことでございますが、都市と地方の格差のやはり大きな一つは林業の不振にあると私は思いますね。外材が八割、内地材というか国産材が二割ですね。

 私、実は、余りにも外材が多いので、現場を見てきたいということで、ちょっと仲間と先般、ボルネオの東カリマンタン州というところへ行きまして、そして熱帯雨林、どうも不法伐採材が多いという地域へ行ったんです。そうしたら、河口に四、五百年生の熱帯雨林をどっさり集めまして、そして合板をつくっておるんです。ほとんどが日本の商社なんです。この工場は何とか商社です、これは何とか商社ですといって、不法伐採材をひょっとしたら日本の企業は促進してきたかもわかりません。

 そんなことで、どんどん外材が入るものですから、国産材が高くて売れない。そんなことで、木を出しても赤字が出るものですから、もうほったらかしで、間伐はしない、枝打ちはしない、下刈りはしない。ですから、枝が密集しますから、太陽が入らないものですから、地肌がむき出しになって、雨が降ったら瞬時に川へ赤い泥が流れ込む。そんなことで、山が荒れ放題。

 過日、またある村長に聞きますと、昔だったら大雨が降っても二日か三日で水がきれいに澄んだと言うんです。ところが、二カ月たっても赤茶けた川になって、濁りが取れない。そこまで実は山が荒れてきておるわけでございます。

 そんなことで、これからもますます、いよいよ戦後に植えた木が五十年、六十年生になってきて、大きな木になってきて、一層災害がふえるのではないかということで、私は非常に危機を募らせている。この思いは大勢の皆さん方がお持ちかと思うんです。

 そこで、都市と地方の格差解消には、国土の七割を占める山の活性化以外にない。山でお仕事をする人は、ほとんど山から去りました。これを再び取り戻すことこそが都市と地方との格差解消につながる一番の施策である、こう思うんですが、総理の決意のほどをぜひお聞かせいただきたいと思います。

福田内閣総理大臣 私の選挙区も山間地域がありまして、林業についてはそれに携わる方も結構多いんですけれども、そういう地域はだんだん村落としての状況が悪化してきている。高齢化するとか、そしてまた、そういう林業に携わるというシステムがどうもおかしくなってきているんじゃないかというようなことも感じておりまして、そういう観点から大変深刻な問題だというふうには感じております。

 ただ、最近、外材が少し値上がりし始めておりますので、そういう観点からいいますと、多少国内も値上がりしているということで、いい方向にあるのかな。

 いずれにしましても、林業をめぐる情勢というのは、長期的には価格が低迷し、そして今申しました担い手の問題もある、高齢化ですね、そういうふうなことがありますので、この分野における手当てをこれからしっかりしてやっていかなければいけないというふうに思っております。

 それから、国土の保全という観点からの問題もありますので、そういうことも含めまして、緑の社会資本というような呼称で言っておりますけれども、それを支えていかなければいけない。森林資源の活用、それから林業の振興、そのためにいろいろな施策を実施しているところでございます。

田野瀬委員 どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。

 さらに、都市と地方の格差の問題を一つ取り上げたいと思うんですが、実は、私の選挙区の村々、いまだに携帯電話、インターネットを使えない地域がいっぱいありまして、数年前から県あるいは総務省に、とにかく携帯電話がつながるようにしていただきたいということの要望をするんですが、遅々として進まないんです。遅々として進みません。

 これも、村の村長さん、村会議員の皆さんに聞くんですけれども、最近の若者は、携帯電話が使えるか使えないか、インターネット、ブロードバンドというんでしょうか、これが使えるか使えないか。おやじ、携帯電話もつながらないところでおれはもう住むのはいらんよと。これは、上下水道に匹敵する、あるいはそれ以上の必需品なんですね、最近の若者にとっては。メールも打てないところで、おれはもうこんなところで住めないというのが若者の認識なんですよ。

 ところが、調べてみると、何と日本の国土の四割、まだ携帯電話がつながらないんです。四割ですよ。国道を走っていてぷつぷつ切れますよ、私の選挙区も。こんなことでは先進国とは言えないのではないか。

 私、過日、文部科学委員会の海外視察でアンデスの山々をめぐったんです、ペルーの。三、四千メーター級の山の中、電車が走っておるんです。それに乗るんですけれども、とうとうマチュピチュといって、二千五百メーターの、もう人っ子一人いないところですよ、ちゃんと携帯電話が通ずるんです、どこにいても。

 出会う国会議員、ペルーの国会議員が言うのに、日本のODAでいろいろな協力をしていただいて、こんなありがたいことはない。十人出会ったら十人とも褒めていただきました。お礼を言われました。せんどお世話しておるその国より携帯電話がつながらないんだ、日本の国は。情けない気持ちがいたしました。

 そんなことで、どうぞひとつ、これはもうことしじゅうに全部終わり、どこへ行っても携帯電話が通ずるぐらいの国土にしないと、これはとてもとても、ヨーロッパへ行っても、そんな携帯電話がぷつぷつ切れるような国は一つもありませんから。

 どうぞ、総務大臣、ちょっとその点につきまして御意見を。

増田国務大臣 まだまだそうしたいわゆる携帯電話の不感地帯が多く存在しまして、大変御迷惑をおかけしておりまして、大変申しわけなく思っているところでございます。

 私も先般島根に行きまして、懸命に企業誘致をしたいという市町村長さんのお声をお聞きしましたが、そのときに、ブロードバンドが整備されないということでみんな企業が逃げていってしまう、あるいは話も聞いてくれない、こんな切実なお話もお聞きしました。

 この問題も即刻解消しなければいかぬということで、今、ブロードバンドについていいますと、ブロードバンド戦略二〇一〇というものを昨年八月に立てた。ことし、携帯電話の不感地帯、さらにこれを解消すべく重点計画というものを立てて、何とかこれを解消したいということで今全力を挙げて取り組んでいるところでございます。

 しかし、まだまだそうした地域があるということで、私も事務担当者に指示して、この間、そうしたものを解消するためのもう一つ戦略会議というものを立ち上げまして、これは三月までに戦略をまとめる。いずれにしても、これには通信事業者、それから公共団体、公共団体でも、今やり方を、両者を連携させて、そのところを埋めていくとか、いろいろな、技術革新のことも含めて、地域で一番いい解消方策は何かということで、知恵も出していただくことにしていまして、それも含めて、三月までに取りまとめて、そして必要なものは当然予算などで解消していかなければなりませんし、全力を挙げてこの問題に取り組んでいきたい、一刻も早く直していきたいというふうに考えております。

田野瀬委員 とにかく、ODAでいろいろと援助しておるアンデスの山々でも全部つながりますから、日本の山々がつながらないはずはございませんので、全力を挙げてひとつこれに取り組んでいただきますように。若者が全部去った後につながっても意味がございませんので、去る前にちゃんと完備をしていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 次の格差の一つは、やはり道路問題でございまして、実はことしの一月三十日、国道百六十九号線、上北山村におきまして大崩落がございまして、何と通行中の車がのみ込まれました。何と三人亡くなりました。これも悲惨な事故でございますけれども、以来、八十日間通行どめになったんです。その奥にある上北山村、下北山村が、何と八十日間外へ出れなかったんです。買い物はできない、学校へ行けない、塾へ行けない、悲惨な状況が八十日間続きまして、もう発狂寸前になりました、村民が全部。そんな状況の道がいっぱいあります。

 さらに、四百二十五号線でも、十津川村というところで、二十二歳の若者がいなくなって、貴重な若者一人が亡くなりました。やはり土砂に巻き込まれまして、夜帰ってこないので、朝お父さんが見に行ったら、川へ、土砂に流されて車の中で死んでいたというような悲惨な事故とか、何と、私の地元の百六十八号線、最近五年間で全面通行どめ二十回、一千時間通行どめになっておるんです。そんな劣悪な道路が田舎へ行きますとまだまだございます。

 調べてみますと、私の選挙区、補助国道の改良率、全国平均八四%のうち、まだ私のところは二七%、三分の一にも満たないんです。これは、地元の国会議員は何しておるんかと、こういうことになるんですが、これは県がついていけないんです。裏負担、三割ですか、県が負担しないと。だから、この二七はずっと二七でというか、順位がそのまま続いていくんですね。県がついていけないんです。

 そんなことで、道路特定財源が何やら国の方で余っているようなことを言いますけれども、田舎へ行けば、まだまだしてほしい道路がいっぱいあります。事故で死んでいるのがしばしば起こっておりますし、通行どめがしばしば起こっておるんです。余っておるのであれば、その金をどんどん地方に戻して、都市と同じような格差のないようにしていただきたいというのが私の強い思いでございますけれども、これは国交大臣、ひとつ、どうぞ決意のほどをよろしくお願いしたいと思います。

冬柴国務大臣 仰せのように、地方部では人の移動の九割が自動車交通に依存しておられまして、まさに生活の種々な場面で道路が重要な役割を果たしていることは、事実でございます。

 これまで国土交通省は、安全で安心な暮らしの確保、地域の活性化ということを図るために、直轄事業の実施あるいは補助事業あるいは地方道路整備臨時交付金による支援等によりまして、日常を支える市町村道まで、道路ネットワークの体系化、整備に努めてきたところでございます。

 また、昨年の十二月、私も関与させていただきましたけれども閣議決定をされました「道路特定財源の見直しに関する具体策」におきましても、地域間格差への対応や生活者重視の視点を踏まえつつ、地方の活性化や自立に必要な地域の幹線道路の整備や渋滞解消のためのバイパス整備、高速道路や高次医療施設への広域的アクセスの強化など、地域の自主性に配慮しながら、適切に措置するということを明記していたところでございます。地方の道路整備は全く重要であると認識をいたしております。

 そういうところから、今、具体策に基づきまして、国民の幅広い意見を伺いながら、今後の具体的な道路整備の姿を示したい、現在そのために中期計画の素案を作成しているところでございます。中期計画に即して地方の道路整備を強力に進めてまいる決意でございます。

田野瀬委員 昨日、総理は、閣議決定は何もそれは永遠のものじゃなくて、また変更しようと思えば幾らでもできるんだというお話がございました。この道路特定財源の一般化ですか、これは閣議決定されたようでございますけれども、田舎は、地方は本当に劣悪な道路で苦しんでおりますので、道路特定財源をしっかり確保して、そして、格差の大きい田舎の道路にどんどん整備を進めていただきますように、切にどうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。

 私は、学校の経験から、必ずしも、習熟度別学習は教育効果が上がるのかどうかということに疑問を持っておるものでございます。さらに、最近の超優秀な生徒たちが大体国公立の医学部に行くんです、国公立の医学部。超優秀なのはそこへ集中しています。日本は科学技術創造立国でしか生きていけないといいながら、優秀な理系の学生は全部そこへ集中しています。国公立の医学部へ入れない者が、いよいよ東大の理系とか京大の理系に行くというような、今そんな図式になっておりまして、ちょっと私は集中し過ぎておるのではないかな、もっと分散させることによって、将来ノーベル賞を持つ科学研究者がいっぱいできてくるのではないかなということをいろいろなデータに基づいてきょうは質問しようと思ったら、ちょっと時間がなくなってしまいましたので、これはまたいつかのときに回させていただくとして、最後に、総理と厚労大臣にちょっとお聞きしたいんです。

 きのう、おとついの議論、あるいは今国会始まってから、社保庁の解体の議論が一つも出てきていないんですね。我々はこの前の参議院選で、五千万口の突合作業、名寄せ作業の説明もいたしましたが、さらに加えて、我々は、国鉄をJRにしたように、あるいは郵便局を民営化したように、郵政民営化したに匹敵する大改革をしようとしておるんだ、このことを皆さん、評価してくださいということを盛んに訴えたものでございます。ところが、この大改革の話が一つも今国会出てきておりませんので、一体その話はどうなってしまったのか、ちゃんと取り組んでおるのか、舛添大臣の決意をひとつ一遍詳しく説明していただいて、決意をお述べいただきたいと思います。

舛添国務大臣 田野瀬先生がおっしゃったことは非常に大事で、簡単に申し上げますと、二分割民営化、非公務員型ですけれども、その言葉で、二分割民営化する。皆さん、今、社会保険庁といったら年金の話ばかりになっているけれども、二つ大きな仕事をしています。健康保険、こっちの問題と年金の問題、これを二つに分けます。

 健康保険の方は、これはもう来年の十月から、新しい日本年金機構という形で設立してこれをやります。

 それから、年金の方ですけれども、もうこれは保険も年金も、今私も取り組んでいますけれども、今まで何が悪かったのか。要するに、お上の悪いところが全部そこに集中している、民間だったらこういうことはやりませんよ、もっとお客さんの立場に立って物事を考えるでしょうと。こういうこともやります。

 それから、私が誠意がないのではなくて、コンピューターをいじくったって出ないんですから。さっき携帯電話の話をなさいましたね。私のパソコン、もっと言うと、私の携帯電話でできることができない古臭いレガシーシステムという、まあ極端に言うと、ぽんこつの、旧式のコンピューターしか入っていません。これを徹底的に改めます。

 それから、今、最後までうみを出すということで不正の追及を懸命にやっていますけれども、とにかく、働く意欲がない、人の金を、大事な国民の年金の掛金を奪い取る、こういう職員を絶対許さない、本当に意欲があって能力がある者しか採用しない、こういうことでやっておりまして、今、年金については、日本年金機構というのを二十二年の一月につくりますけれども、内閣官房のもとに年金業務・組織再生会議というのをつくって、最も厳しくこの社会保険庁を指摘しているジャーナリストもそこに入っています。それで、職員の採用について、組織について、これをきちんとやっていますので。

 全力を挙げてこの新しいシステムをつくる、二分割民営化、必ず皆さん方の信頼をかち得る、それが私の最大の仕事だと思って取り組みたいと思っています。

田野瀬委員 非常に舛添大臣に国民の期待が集まっておりますので、ひとつ精いっぱい頑張っていただきたいと思います。

 最後に、総理に一言御質問申し上げたいんですが、肝炎対策でございます。

 我が国の肝炎のウイルス感染者、B型、C型を合わせて三百万人おるようでございますが、この感染者の中には自覚症状がないんですね。感染しておることに気づかず、治療を受けておらない。ところが、そのうちに肝硬変や肝がんへ進行してしまう例が多いんですね。

 そんなことで、現在、与党の肝炎対策プロジェクトチームにおいて、肝炎対策の具体案について検討しておると聞いておるんですが、福田総理、いかがでございましょうか。六月二十五日に安倍前総理が、従来の延長線上でない新たな対策について検討するよう厚生労働大臣に指示しておるんですが、福田総理におかれても、新たな肝炎対策の実施について取り組む御所存でしょうか、あるいは、総理の御決意をお伺いしたいと思います。

福田内閣総理大臣 御指摘のとおりでございまして、引き続き、与党の議論を踏まえて、新たな肝炎対策についてできるだけ早期にその具体案を取りまとめていきたい、こう思っております。

 これは、将来の、延長線上でない新しい対策ということでありまして、与党のプロジェクトチームが本年六月から精力的に検討を進めて、そして、昨日は、C型肝炎のインターフェロン治療に対して医療費助成を行うという方針を再確認いたしました。そして、具体的なことは十月までに決定するということも確認をいたしております。

田野瀬委員 ありがとうございました。

 教育問題で二つ三つ、ちょっと文部科学大臣と議論したかったんですが、残念でございますけれども、時間が参りましたので、これで終了させていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

逢沢委員長 これにて田野瀬君の質疑は終了いたしました。

 次に、田端正広君。

田端委員 公明党の田端正広でございます。

 総理並びに関係各大臣には、大変御苦労さまでございます。

 まず、新しいテロ特措法のことについてお伺いしたいと思いますが、この問題、今国会の最大の焦点と言われております。しかし、今、国民からすると、どうなるのかということで大変御心配やらいろいろな御意見をいただいているわけであります。

 インド洋での給油活動、海上阻止活動というものは、これは日本にとっても大変大事であり、国際的な貢献も非常に大きいし、先般、ドイツの大使と会っていろいろなお話を伺いましたが、未然防止にはすごい大きな効果がある、こういうこともおっしゃっていただいておりましたし、ドイツの立場からして、イラクの戦争とはこれは全然質が違うということもはっきりと言われております。

 それで、私が総理にお願いしたいことは、ぜひ国民に丁寧に説明を繰り返しお願いしたい、こう思います。

 それともう一つは、この新法に対して民主党との間でどうするのか。協議をするということでお話しになっていますが、今どういうふうになっているのか、どういうふうに進んでいるのか。国民の中からは、民主党は、ISAFはいいけれどもOEF・MIOはだめだという、この理屈が国民にとってはよくわからない、こういう意見もあるわけでありまして、これはぜひこの国会の中で、議論を通して民主党との合意に持っていけるように御努力をお願いしたい。

 もう一点は、これは直接は外務大臣になるのかもわかりませんが、私、昨年でしたか、カルザイ大統領がお見えになったときにも意見交換させていただきましたが、給油活動、これはもうぜひお願いしたいということと同時に、日本がいろいろな形で応援していただく中で特にお願いしたいのは薬物対策である、かつて日本がタイに対して薬物対策で非常に成功をおさめたような形でアフガンに対してもぜひお願いできないか、こういう強いお話がありました。

 あそこには文化財が大変に大事な遺産としてもたくさんありますし、それからまた人道支援としては、いろいろな意味で、例えば医療とか農業支援とか、いろいろなことがあろうかと思います。そういう民生あるいは人道復興支援の、そちらのプログラムをしっかり同時に提供して、そして海上阻止活動、この二つ、両輪がこういうふうにあるんだということを日本としてははっきりと内外に示していき、そして国民の理解を得ていく、これが大事ではないかと思っておりますが、総理の御所見をお願いしたいと思います。

高村国務大臣 まさに人道復興支援とそれからテロ対策、これは車の両輪でありまして、日本は既に十二・四億ドル支払っている。これは、アメリカ、イギリスに次いで三番目のお金を出して、そして、人間もそれなりに行っていろいろなことをしているわけであります。

 ただ、今、アフガニスタン全土が退避勧告という、危険情報でいうと一番強い危険情報が出ているわけでありまして、これ以上文民をふやすということはなかなか難しい。一般の民間人には全部帰ってきてくださいと言っている中で、これ以上文民をふやすことがなかなか難しいという状況にあることも御理解をいただきたいと思います。

 今、日本の中で、専ら海上自衛隊の補給活動ばかりが話題になっていますから、こっちが大きくて人道復興支援が小さいように誤解される方もいますが、決してそういうことではなくて、この人道復興支援の方が大体世界第三位ぐらいでやっているわけでありまして、海上自衛隊の阻止活動というのは、これは世界で何番目ぐらいやっているかというのは難しいけれども、どんなにひいき目に見ても十番目には入らないことは間違いないぐらいで、むしろ人道復興支援の方を多くやっているというのが実態であるということは御理解いただきたいと思います。

田端委員 まさにその点が国民から見てわからないというところが大きいわけですので、ぜひこれは外務省ももっと積極的にPRをしていただいて、国会の場だけではなくていろいろな形でそういうことを言っていただかないと、国民からすれば、新テロ特措法だけに議論が集中しているのかという思いもいたしますから、ぜひその点は重ねてお願いしておきたいと思います。

 それで、さきの所信表明演説で総理は、地域再生について、体制を統合して一元的に実行する、そういう有機的、総合的な政策をやっていきたいというお話がありました。そしてそれを受けて、九日の日でしたか、地域再生本部、都市再生本部、構造改革特区本部、中心市街地活性化本部等々を、この地域活性化統合本部というのを立ち上げられて、全閣僚が出席して、きのうですかおとついですか、スタートされたということであります。

 そこで、これは仕組みはできました。十一月中をめどに一つの方向を出したいというお話ですが、今あるものを重ね合わせて、総理が中心的に、そしてまた増田大臣がサブ的にはされるんだと思いますが、それは体制としてはわかりましたが、どういうふうに、何をどういう形でここで目指してやっていくのかというのがもうひとつよくわかりません。ここが非常にこの地域活性化に大事なことだと思いますが、まず総論で、どういうことを目指されているのかについて御所見を伺いたいと思います。

福田内閣総理大臣 地方と都市という、その格差問題というのが大変クローズアップされておるわけであります。これは構造改革のひずみだというようなことも言われておりますけれども、一方、社会の変化、それから国際社会との関係とか、いろいろな要素があると思います。いずれにしても格差が生じておる。そして、そのことによって、地方は若者がいなくなってしまうというような構造的な問題に発展してきているということは、これはもう見ておれない状況でございますので、この問題については真剣に取り組まなければいけない、そういうように思っております。

 手始めに、今まで、地域問題についてやっておりますいろいろな本部がございました、都市再生本部とか、それから構造改革特区推進本部、また地域再生本部、また中心市街地活性化本部、こういう四本部ございまして、それぞれに議論をしておりましたけれども、これを有機的に活用して集中的に何かできないかというふうなことでもって、この四部を統合いたしました。そして、私が主宰しまして、地方問題、地域問題をどういうように立て直していくかという、その前向きの政策を打ち出すところと、本部といたしたわけでございます。

 ただ、この本部をつくっただけでそれで済むわけじゃないんですよ、実は。いろいろそれをサポートする政策手段も必要ですし、また税制の問題もあるし、交付税の問題とかいろいろなことをこれから考えていかなければいけない。そういうのを全部ひっくるめて地方問題の解決にぶつけていかなければいけない、そのように思っております。

 ただ、構造的な問題、若者がどうして都市に来てしまうか、これはいろいろ考えていかなきゃいかぬとても根深い問題だと思いますので、そういう問題は、またそれはそれとして考えていくべき問題もあろうかと思っております。

田端委員 先般、私、大阪の地元に岸和田というところがありまして、そこで岸和田のだんじり祭りというのがありまして、私も初めて参加いたしました。

 岸和田のこのだんじり祭りは非常に人気があるわけでありますが、やり回しといって、だんじりを九十度直角に回す、これが非常に迫力があるということで、お祭りとしては人気があるわけでありますが、行って感じたことは、一台のだんじりに五百人ぐらいが参加しています。その中には、小学校高学年ぐらいの子供もいますけれども、中学生、高校生の女子の方がたくさん参加している、髪をきれいに結い上げてといいますか編んで、そしてはっぴを着て足袋を履いて、本当にきれいに化粧をして、すごい生き生きとした表情で。もちろん、もともとは男の勇壮な祭りですから、男性ももう本当に顔色を変えてといいますか。そういう光景を見ていますと、これはもう、お祭りというのは地域にとってすごいんだなと。五百人が参加しているだんじりが三十台出ているわけですから、これだけで一万五千人ぐらいが参加しているわけです。二十万少々の都市にそういうことが起こっているわけで、二日間で六十万人の観光客が来る、こういうことであります。

 だから、私は、今総理がおっしゃった、若い人に魅力をどうつくっていくかということ。こういうのを見ていますと、若い人が本当に喜々として参加しているわけです。デザイナーのコシノ三姉妹というのは岸和田の方ですが、もう血が騒ぐと言っていますね、このだんじり祭りが来ると。というぐらい、そういうことであります。

 私は、そういう意味では、きょう皆さんのお手元にもこういうものが行っているかと思いますが、だんじり祭りは今申し上げましたが、例えば、京都は春、夏、秋はいろいろな祭りがありますけれども、冬は底冷えということで京都はシーズンオフでありましたが、ここ二年ほど前から、花灯路という形で、東山の八坂神社から三年坂を通って清水までざっと五、六キロあると思いますが、そして、町々、いろいろな伝統工芸品とかが店を開いて、夜遅くまで、十時ごろまで、ここにそぞろ歩きで散策する観光客が殺到している。これを見たときに、この京都の、底冷えの京都によくこれだけ人が来たなと。ホテルは満杯、タクシーは喜んでいる、すごい地域おこしになっていると思いますが、そういう意味ではそういうこともある。

 それから、この下のカーシェアリング、これは札幌の、大型マンションとか、そういう、地域で車を借りて、そしてそれをお互いに合理的にマイカーを減らして利用する。まあ、CO2削減にもなるわけでありまして、そういうこともある。

 増田大臣いらっしゃいますけれども、岩手県の遠野市のどぶろく特区というのは大変な特区で、今、全国で七十七地域でどぶろく特区が適用されていると思います。あるいは、小豆島のオリーブが、休耕田を株式会社が活用して、そして農業に会社が参入してきて、島おこしにこれが非常に生きている。

 これはほんの数例、ここに挙げました。下の三つは特区申請で上がったものでありまして、そういう意味では、いろいろな知恵、これを生かすことが大変大事ではないか。民間の知恵、もちろん行政も参入していただいて、そして盛り上げていく。

 そこで、このキーワードは、私は地域のきずなだと思っています。地域のきずなあるいは地域力、そこが強いところはやはり活性化ができるんだ、それら成功している、この盛り上がっているところを見ますと、そんな感じがいたしますので、この地域の力をどうつけていくかという意味において、特に増田大臣はいろいろな形で御苦労いただいていると思いますが、まず御所見をお伺いしたいと思います。

増田国務大臣 今、先生の方から岩手のどぶろく特区の御紹介もございましたけれども、冬場、観光客が少ないときに、地域の人たちが昔からの伝統文化に基づいてこうしたものをいろいろ、特区で申請、苦労したんですが、取りましたら、大変多くの観光客の皆さん方が来ていただけるようになった。

 従来、地方対策、政府の方でも随分行ってきたわけですが、ともすれば、リゾート法の枠組みを見ましても、それから地方拠点法の枠組みを見ましても、国が何か決まった方針を示して、それに県あるいは市町村が計画を書いて、それで地域で実施をしていく、そういうやり方が多かったように思います。ところが、そうしたものは、ともすれば全国同じように、中身を見ると、ゴルフ場の開発につながったりということで、地域の本当の力を生かし切っていないようなものにつながっていったのではないか。

 それで今回、四本部を統合して、そしてこれから十一月末を目途にプログラムをつくっていきたいと思っておりますけれども、今ここに例として出していただきましたように、やはり民間あるいは地域のそうした力、伝統文化であったり、さまざまな、大学と共同した研究であったり、そういう地域の力を生かしたものを自治体なり国が後押しをしていくような仕組みにして、そして本当の、地域の皆さん方が参画をした、そういう生きたものにしていきたい、今このように考えているところでございます。

田端委員 そういう流れの中で、実は私、ここ一年ほど前から鴨下大臣等とも一緒に勉強会をやってまいりまして、地域の安全・安心街づくり推進法という法律を固めました。それは、例えば二年ほど前に栃木県の、旧の今市市ですか、あそこで七歳の女の子が誘拐されて、そして翌日、茨城県の方で発見されたというような事件がありましたが、等々、ここ二年、三年、子供の治安に関する事件が大変多発していました。

 そして、このことから、各地域で例えば小学校単位とか中学校単位でボランティアがたくさんできまして、今全国で公立小学校二万四千と言われていますが、三万一千のボランティアが今立ち上がっています。この三万一千のボランティア組織、パトロール隊とか、お母さん方が、そういうパトロールの腕章を着けたり、ママチャリのところにパトロール中というようなものを張ったりしながら、地域を挙げて治安というものに取り組んでいるということは、非常に私は今までなかった大きな流れだということで、それをサポートする法律をつくって、地域を活性化するような、そして地域が明るくなるような、そういう流れができないかということでずっとやってきて、この七月に一応骨格といいますか原案、たたき台をまとめ上げたわけであります。

 これは、例えば、団塊の世代の方が退職されて、例えば警察官OBとか教職員のOBとかそういった方もこの地域のボランティア組織に入っていただいて、そしてそれらの方が軸になっていただいて、さらにまた充実した組織になる。これが立ち上がりますと、単に治安だけじゃなくて、例えば地震があった、風水害、災害があった、そうしたら、あそこにはひとり住まいのおばあちゃんがいるとかということが地域の人がわかるわけですから、そういうネットワークを通して地域の皆さんがお互いにこのおばあちゃんを助けに行くとか、じゃ、どうしようかとかということが、これはもう自然発生的にできるわけです。

 そのベースとなるものとして、子供の安心、安全というものを軸にしたボランティア組織、それがよりきちっと整理されていけば、そういう地震とか台風とかということにも、また福祉の問題でも大変役に立つのではないかという思いを込めて、そういうことを今我々としては地域おこしの大きな一つの具体例として考えているわけでありますが、鴨下大臣、直接いろいろやっていただきましたので、まず御感想なり御意見があればどうぞお願いします。

鴨下国務大臣 直接環境省とは結びつかない部分もございますけれども、田端議員とは一緒に精力的にやってまいりました。特に地域の安全、安心というようなことをはぐくんでいく上では、地域間のきずなといいますか、そういうものがきちんとあるところは、多分、お子さんたちも安心、安全で過ごせるんだろうというふうに思っておりまして、その中の切り口として、一つには、例えばごみの収集とか環境問題、こういうようなことも含めて地域の中で一緒に活動していく、こういうようなことが非常に重要だろうというふうに思っておりまして、ぜひ田端議員先頭に、この法案を含めて、地域のいわばきずなをもう一度つくっていく、こういうようなことで御活動をいただきたいというふうに思っております。

田端委員 総理は今、地域活性化統合本部の本部長という立場でもございますから、私が今申し上げた点について、御感想なり御所見があればお願いしたいと思います。

福田内閣総理大臣 地域住民のつながりを深めて、そして、防災とか福祉などの各分野における地域住民による自主的な取り組みの強化を図っていく、こういうことは大変有益なことでございまして、国の基盤である地域コミュニティー、これを再生していく、こういうことになろうかと思っております。

 私が申しております自立と共生というその言葉にぴったりなんですね、これは。みんな自立を図る中で助け合いをしていくという自立、共生、そういうことでありますので、ぜひこの方策を推進していただきたいと思っております。

田端委員 民主党も自立と共生とおっしゃっていますから、これは民主党も御賛同いただけるのではないかと思うわけでありますが、いずれにしても、地域が安心して明るい町になる、そしてそこから犯罪も減り、そしてまたいろいろな意味で災害対策とかそういうことも可能になってくるという意味では、ぜひこういう方向で議論をさせていただき、そしてまた法案の成立に向けて頑張っていきたい、こう思います。

 次に、環境政策について伺いますが、先般、環境省の調査で、首都大学東京と共同調査のようでありますが、皇居がこの夏、周辺と平均二度温度差があった。つまり、緑が多いということが、夏の平均気温、例えば周辺が三十七度、そしてそのときに皇居は三十五度であったと。あるいは、八月の気温が、猛暑日の日にちも皇居の中が二日であったけれども、周辺は猛暑日が八日あったとか、はっきりと緑の効果というもの、ヒートアイランド対策としては非常に効果があるということが出ておりました。

 新宿御苑とか神宮とかありますし、例えば大阪のような緑の少ないところでも、大阪城公園とか天王寺公園とか、やはりそこに行くとほっとするわけでありまして、随所で、そういう意味ではこの緑ということが大事だ、こういうことが実感としてありますし、また、我々、温暖化というのがもう本当に、ことしの残暑の厳しさを考えますと、生活の中にまで押し寄せているなという感じがいたします。

 私は、このヒートアイランド対策としては、森と水をうまく組み立てたまちづくり、そして風の道をつくるということが非常に大事だろうということを前々から主張してきたわけでありますが、それが今回、温度を下げる大変大きな効果があるということがはっきりしました。

 そこで、私は、温暖化問題というのはやはり国民一人一人がやらないと、これはもう来年から第一約束期間に入るわけでありますけれども、なかなか六%も難しいし、むしろ一四%やらなきゃならないという大変厳しい状況になっていると思います。

 環境省が今、例えば一人一日一キログラムというCO2削減の、こういう「私のチャレンジ宣言」という形でキャンペーンを張って、そしてこれを実践、実行している人には、例えばビックカメラが参入してきてこれには一〇%引きするとか、びわこ銀行が優遇金利を適用するとか、企業もそういう形で応援していただいていますが、私は、ここにいる国会議員もいろいろな形で、意識を持ってこういうことをしなきゃならない。例えば、朝、顔を洗うときに歯を磨きながら水を出しっ放しにしているとか、そんなことはもう我々の生活の中でいっぱいあるわけですから、ぜひ、例えば電源を、元栓から切るとか、そういったこと。一日一キログラムというのは大変なCO2削減ですけれども、やれることはどんどんやった方がいいのではないかという思いがします。

 例えば、おふろの水の回し使いといいますか、リサイクルですけれども、あるいはシャワーの使い方とか、水を減らすということ。あるいは、例えば交通機関も、マイカーをやめて交通機関を使うということも大変大事だと思いますし、それから、例えば太陽光発電の家、家を新築する場合とか改築する場合にそういったことをするとか、そういういろいろなことが知恵としてはあるかと思いますが、ぜひ我々国会議員がこういうことを率先してやって、そして国民の皆さんにも理解を得て応援していただいて、それがやはり六%削減につながるんだろう、こういう思いがいたします。

 そこで、二〇一三年以降、京都議定書以降のところが、これがまた物すごい難しい問題だろう。来年のサミットはまさにそのところの議論になるんだろうと思っておりますが、この二〇一三年以降のテーブルにまずアメリカに入ってもらわなければならない。しかし、アメリカは排出権取引と別の形で今やっていますから、入ってくるかもわかりませんが、入ってきていただいた方がいいわけでありまして、しかし、日本とはちょっと意見が違うかもわかりません。だから、そこをどういうふうにきちっと整理していくかということになると思います。

 それから、中国とインドという、非常にCO2を排出している途上国といいますか、そういう国々、ここが入ってこないと洞爺湖サミットのあり方というのが非常に大きな問題になるのではないか、こう思います。

 そこで、ぜひ、まず総理に、洞爺湖サミットにおける中国、インド等の国、そしてまた、もちろんアメリカ等が二〇一三年以降の枠組みに入ってくるようにリーダーシップを発揮していただきたいと思いますが、御所見を伺いたいと思います。

福田内閣総理大臣 御指摘のとおりでございまして、二〇一三年以降、米国、中国、インド、こういう大国、そういう国々が、また、それ以外の国もございますけれども、主要な排出国というものが参加する、参加しなければ実効性が上がらないという観点から、国際的な枠組みを構築するということは極めて重要であるというように承知いたしております。

 我が国といたしましては、本年十二月にインドネシアのバリ島でもって気候変動国際会議が開催されます。そして、来年の洞爺湖サミットもございます。そういう機会を通じまして、すべての主要排出国が参加する実効性のある国際的枠組み、それをつくるために引き続き国際的な議論を続けてまいりたいと思っております。

田端委員 特に中国ですが、今から十二、三年前に、竹下さんが提案されて、日中友好環境保全センターというものが北京に設置されています。このもとに中国の公害防止事業団が創設されていますが、今、中国は地球環境よりもむしろ公害なんですね、公害問題。この公害対策は日本の方が経験も技術もあるわけですから、ぜひこれを中国の公害防止事業団とセットして、そして公害対策に日本が乗り出す。そのために、日中で日中環境基金というものを創設していただいて、そして、それを原資として公害対策というものをやっていく。

 そして、公害対策をまず中国ができれば、この二〇一三年以降の地球問題にこれは入ってこられるんですが、ここが、足元がしっかりしていなければ、この地球問題には加われないということを私は痛切に感じておりまして、ぜひこれは、太田代表も何回か本会議等でもこれを提案させていただいておりますが、この中国の公害対策に日本が環境基金をつくって、そして両方がお金を出し合って対応する、こういう流れを、これは外務省にもなるかもわかりませんが、ぜひ御検討いただいて、そこからこの地球問題にかかわっていっていただければと、こうお願いしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

逢沢委員長 これにて田端君の質疑は終了いたしました。

 次に、中川正春君。

中川(正)委員 おはようございます。民主党の中川正春です。

 最初に、ちょっとこれは通告にはないんですけれども、この際、総理の感想を聞かせていただきたいというふうに思うんです。

 突然総理になられて、代表質問を終えて予算委員会という形で今流れております。私は、官房長官をされておられるころは、なかなかひょうひょうとして、自分を抑えながらうまくまとめられているなという感想を持っていました。ところが、総理大臣ということになると、また官房長官と違って、やはり意思を持ってそれを前に出していく、そういうことなんだろうと思って期待をしながら話を聞いているんですが、余り官房長官のときと変わってられないようなそういう印象も受けるんですけれども、どうですか、そこのところ、総理大臣としてここ二日余り、予算委員会あるいは代表質問を経られて、これからの抱負も含めて意思を出していく、そういう変貌、変身というのをみずからなし遂げていかれませんか。

福田内閣総理大臣 私の官房長官時代には、いろいろな面で御指導いただきまして大変ありがとうございました。総理大臣としてしっかりやれという御激励を賜ったものと思っておりますけれども、私の考え方は、私の所信表明の中にも明確に出ておると思います。

 国民の視点に立って誠実に政策実行をしていくということでありまして、そういうことをする上において自立と共生という考え方が非常に大事である、そして、その考え方のもとに、若い人に将来に対する希望を持ってもらえるように、そして、お年寄りまた働く人には安心を持っていただけるようなそういう社会を目指していきたい、こういうことでございまして、そのために具体的な提案もし、また、今その方向に向かって政策立案、実行を始めたところでございます。

中川(正)委員 それでは、テロ特、アフガニスタンの話から入っていきたいと思います。

 発言通告の後、新聞を見ていると、これもちょっと事前には通告していないんですけれども、補給が六十七万ガロン、これを三日間で消費、これは、例のキティーホークとイラク攻撃との関係で石破大臣もここで説明されたことが改めてアメリカの国防総省から発表があった、このタイミングで声明があった、こういうことなんですね。

 それで、このキティーホークというのは、車でいったらガソリンタンクですね、軽油タンクというのは、これは六十七万ガロンしかないんですか。これだけしか入っていないんですか、あのキティーホークのガソリンタンクというか軽油タンクの中には。

石破国務大臣 そんなことはございません。

 ただ、キティーホークの搭載燃料がマックスどれぐらいかということは、キティーホークは通常動力艦でございますので、これだけが満載ですよということは明らかになっておらない。つまり、それを明らかにしますと、原子力動力艦ではございませんので、どれぐらい動けるかとかそういうことが全部わかりますので。

 六十七万五千というのはもちろん全体量ではございません。それよりも極めて、極めてといいますか、相当多い量を搭載し得る船と承知をいたしております。

中川(正)委員 恐らく、何百万ガロンというそういう単位なんだろうと思うんです。一週間、二週間あるいは一月以上も補給なしで航行するぐらいの能力というのはあるんだろうということだと思うんですよ。

 ということから考えていくと、何と子供っぽい情報操作をするんだろうということだと思うんですよ。六十七万ガロンを三日間で消費したから、日本から給油をされたこの油というのはイラクの直接攻撃には関係がないんだ。違うでしょう。みんな油はまじっちゃうんですよ、中で。こんなような情報操作をアメリカ自身もしてくるということ、このことが問題なんだろうと思うんですよ。だから私たちは、こういうことから見ると、やはりこのままではほっておけないなと。

 恐らく、キティーホーク以外にさまざまなというか、入れかわり立ちかわりで航空母艦というのはあの周辺に来ておるんであろうし、特に防衛省の方から提出された資料によると、最初の一、二年、これはもうイラクの攻撃期間とラップしている、そういうときにほとんどの給油活動というのがあって、全体の半分以上がそこに重なっていて、そのときはアメリカとイギリスの艦船だけということ、これに限定されていて、それが終わるともう年に二回から三回、年にですよ、年に二回から三回の補給活動だけであの地域に日本の補給船が活動をしているという実態。

 この実態から見たら、やはりOEF、海上活動であっても、臨検だとか、大体、空母が臨検するということ自体が常識では考えられない。やはり、空母というのは攻撃型ですから、イラクに集中した形であの全体の作戦が行われていたということ、客観情勢から見たらこういうことであるし、それに対して資料を出せ、情報を開示しろとアメリカに迫ったら、自分たちでねじ曲げた、こういう本当に子供っぽい情報操作をもって答えてくるということなんですよ。この実態というのが問題だということを私たちは指摘しているんです。

 だから、あの辺で活動をしていた空母、一遍、これの情報開示というのをやはり政府は責任を持ってしなければいけないと思いますし、それから、それがイラクにどういう形でかかわっていたか、そういう空母群に対してどういう形で、間接的にでもあろうと日本の補給船から出た油がかかわってきたか、これはやはり開示をする必要があるというふうに思うんです。その種をまいたのはこれですよ、これです。これは確実に情報操作ですよ。

石破国務大臣 それを操作というふうに御判断をなさるのは、それは委員の御見識に基づくものだと思いますが、私ども政府といたしまして、本当にいろいろな情報に接する立場にございます。これは断じて操作はいたしておりません。それは信じられないとおっしゃればそれまでで、おまえの不徳のいたすところだということになるのかもしれませんが、私自身、そのようないいかげんなつもりでこの仕事をやってはおりません。情報操作は一切いたしておらない。そのことをお信じいただけるかどうかはまた別の問題でございます。情報操作をして意味のあることでは全くございませんし、する意味もございません。

 私どもとして、この油が、私どもが補給しました油が、今でいえば六十七万五千ということでございますが、それがOEFに使われたということをお示しするためには、それがどれぐらいの期間で消費されたか、そのときにその船がどのような行動をしていたかということをお示しする以外にそれは手はないということでございます。つまり、全部空にして、そこに、委員がおっしゃいますように、全部空の状態、あるいは荒唐無稽なお話でございますが、これは日本からもらった油用のタンクですよというものを造設してやるとするならばあり得ることでしょうが、そのようなことこそまさしく子供じみたというか、あり得ないお話なのでございます。

 それをやったかどうか、つまり、六十七万五千というものが本当にOEFに使われたかどうか。それは、アメリカの航泊日誌も調べ、そして、普通考えられますそういうような行動に従事していったときにどれぐらいの燃料を消費するかということをきちんと確かめ、それはきょうの報道等にもいろいろ出ておりますが、そしてそういうものからすべて分析をして、アメリカの説明が合理的であるのかないのかということを私どもが責任を持って判断したということでありまして、アメリカの言っていることをうのみにしたことは一度もございません。

 私は、この議論をしますときに、日米同盟というのは、とにかくアメリカが言うからそのとおりという姿勢であってはならないと思っております。

 加えて申し上げますが、先ほど来、何だかイラクとアフガニスタンが、私の聞き方が悪いのかもしれませんが、どうも混在して議論がなされているように思いますが、委員御案内のとおり、この法律をつくりましたときに、アメリカ合衆国が憲章五十一条に基づきます個別的自衛権を発動しておる、そしてまた、それを後方支援するという形でそもそもこの法律ができているのは御案内のとおりでございます。そのようにしてこの法律は成立をいたしております。

 加えまして、私どもは、非戦闘地域、すなわち、現に戦闘が行われておらず、活動の期間を通じて戦闘が行われると認められることがない地域において活動しておるわけでありますし、そしてまた、補給自体は、そういう地域で武力行使とあくまで一体化しない枠のもとで行われているわけでございまして、そのことはきちんとこの法律が予定しておることでございます。そのことだけ申し上げておきます。

 以上であります。

中川(正)委員 意気込みはわかるんだけれども、その中身はやはり説得力ないですよ。六十七万ガロンを三日間で消費をしたから、作戦がその後イラク攻撃に切りかわっているんですよ。だから、イラク攻撃には関係ないというこの議論は、どう考えてみても、さっきの意気込みはわかりますけれども、これはチェックしたことになっていないということを指摘しておきたいというふうに思います。

 それから、ちょっとこれまでの整理をしていきたいというふうに思います。さっきお話が出ましたけれども、自衛隊の海外での活動の制約といいますか、そういう意味での整理をしていきたいと思うんですけれども、日本はこれまで、周辺事態法、それからPKO法と、こういう形で漸次といいますか、少しずつ自衛隊の活動の範囲を広げてきた。そのときの枠組みですね、何をもって抑制的に制限してきたかということがあったと思うんです。

 まず、周辺事態法というのは、これは領域を限られている、限られていないという議論がありましたけれども、そのことを前提にして、基本的には自衛権の行使ということが基本になっているんだろう。アメリカに対しての後方支援ということで限られて、武力行使はやらない、こういう枠組みなんだろうと思うんですよね。

 PKO法というのは、国連のマンデートでPKOという活動、これが提起をされて、それに対して日本がこたえていくという枠組み。これは、国連憲章でいけば第七章ですね。その中にあるPKOという活動の中で、四十三条から規定されている話だというふうに解釈ができると思うんです。その枠組みの中で、かつ武力行使というのは抑制的にやりましょうというので、その携帯する武力というものに対しても制限を加えながら活動に参加をしてきた、こういうことだと思うんです。

 今度は、特措法で枠組みをつくった今回のイラク、それからOEF・MIOですね。これは、さっきお話があったように、OEFもOIFも、国連のマンデートでやったことじゃなくて、自衛権ということを前提にしながらアメリカはこれを戦った。国連はこれに対して、いわゆる有志連合というこの活動に対して、五十一条の自衛権というのはそれで認めましょう、それに参加をしている国々に対してはそれでよしと感謝をしましょう、こういう形だと思うんです。

 ところが、ISAFだとかPRTだとかというのは、これは国連の安保理決議の一三八六ですね。これの方ではっきりとしたマンデートがあるんですよ。これを組織するということを、私もこの原本を見ているんですが、オーソライズという言葉と、それから、その国連のマンデートによって職務を執行しなさいという形で定義づけられた活動なんですね。

 そんな流れからいくと、この特措法でやった形というのは、これは何を基本に抑制的に日本の自衛隊を使おうとしていたのかということ、これをもう一回原点に戻って整理をしなきゃいけないんだろうというふうに思うんですね。

 総理、そこのところを総理はどのように整理をされて、認識をされて自衛隊の今の活動があるんだというふうに考えておられますか。

福田内閣総理大臣 テロ特措法につきましては、やはり国際協力活動だというように考えております。国際社会に対するテロ撲滅を目的とした活動である、こういうふうに考えております。

石破国務大臣 先ほど、委員が周辺事態法を自衛権というふうにおっしゃいましたが、そういうような組み立て方をいたしますと、これは集団的自衛権の行使になってしまいまして、我が政府が今までとってきた形とは違うわけでございます。その点は御留意をいただきたいと思います。

 このテロ特措法をつくりますときに、私、自民党の安全保障担当の政調副会長でございました。それで、ああいうような事態、そのときのことを想起していただければおわかりいただけると思いますが、周辺事態法でいこうという議論が一部にあったのは御案内のとおりでございます。

 しかしながら、周辺事態法を使うことというのは本当にいいのか。周辺事態法の目的の中に、日米安全保障条約の効果的な実行に資するためというようなニュアンスの条文があったと思いますが、やはりこれはそれには当たらないであろう。そしてまた、そのまま放置すれば日本の平和と安全に重大な影響を与える事態ということとしてとらえていいかということもございました。そうするとやはり、周辺事態法を使うのではなくて、新しい法律をつくる必要があるのではないか、そういう議論があったと思います。

 そこにおいて、日本国憲法の範囲内で、九条に抵触をしないということが大前提条件としてございました。その九条に反しないという枠組みの中で日本は何ができるか。集団的自衛権の行使にも当たらない、武力の行使にも当たらない、しかし、総理が今お話しになりましたように、日本として国際的な責任として何を果たすべきかということで、それが歯どめということになるのだろうと私は思います。

 あくまで、憲法九条の趣旨を守るということが歯どめでございます。

中川(正)委員 周辺事態法は、これは日本に直接の脅威があるという前提の中で、第一次的にはアメリカ軍が行動を開始するものに対しての後方支援をするということからいって、これは、本来の意味から私は自衛権だというふうに解釈しているんです。直接の脅威ということだと思うんですよ。

 そこのところも含めて、そんな中でこのISAFの設立過程とその目的なんですよ。これはOEFと全く違うんです。私、現場に入って、そのころ、一番最初に質問された中谷さんと一緒に行ってきたんですけれども、ISAFのNATO、ドイツの司令官に直接その話をしたことがあった。

 OEF、これはアメリカの有志軍が、先ほど総理がお答えをされましたけれども、直接テロと闘うんです。これは、武力をもってテロのせん滅をするという目的でもって闘う。だから、基本的には、内陸部では、パキスタンと境界を境にする山岳地帯に隠れているタリバンの残党あるいはアルカイダ、そういうテロと、空爆も含めて直接の闘いをやっているんだと。

 ISAFは、何を目的に設立されたかというと、カルザイ政権が成立をしていく過程の中で、首都を中心に治安維持を受け持ちながら、その政権が民主的に確立をされていくというプロセスをつくり上げていく。そのことを目的にしていく。だから、基本的には治安維持なんだ、攻撃型ではないんだ、こういう定義をその司令官は私に説明をしてくれました。後で文章を確認していくと、やはりそういうことなんですね、ISAFの機能そのものが。

 だから、直接的な治安維持だけじゃなくて、後々に首都圏から周辺へ向いてその活動が拡大をされたときに民間のNGOと一緒に活動していこうということで、軍隊と組み合わせて、そしてそれを地方にまで拡大をしていった。

 しかし、基本的には、テロと闘うんじゃないんですよ。ネーションビルディングの一環として国連に設置をされて、国連がマンデートをもって設置をして、その中でネーションビルディングをやっていこうというのがISAFの目的なんですよね。そのことは総理の頭の中で整理をされていますか、どうですか。

福田内閣総理大臣 治安維持というのは、これは、アフガニスタンが独立国として、安定した国家として発展していく、その基盤をつくるために、まずはテログループを抑圧する、そして次の発展につなげていこう、こういうふうなことでございますから、治安維持というのは、もちろん、それはそういう意味合いもあります。

中川(正)委員 いや、そういう意味合いもありますというんじゃなくて、そういうことを目的にISAFというのが設立をされているんだということなんですよ。

 私がここで言いたいのは、だから、インド洋に派遣されたこの空母が何を目的としてインド洋からペルシャ湾に派遣をされているかということなんですが、これはやはり攻撃型なんですよ。直接にテロと闘う、だから空爆をアフガニスタンに加えてきたということ、これは、外務大臣もきのうの答弁の中でそれがあったということを認められた。

 私は最初はそうじゃないと思っていた。日本がインド洋でやっているのは、ただその周辺で臨検をやって、その中にあるスマグラーや武器の問題をそこでとめていくんだという程度の話かと思っていた。しかし、空母と聞いた途端に、あるいは最初のその原点に戻った途端に、この役割が違ってくるんです。これは攻撃型の作戦なんですよ。それに後方支援という形で日本が参加をして、油を供給しているということなんです。それで、そこの性格を踏み違えてはだめだということをこれは指摘をしておきたい。

 これは、最初のこの法律ができたときに政府サイドからの説明はそういうイメージじゃなかった。そうじゃなかった。これはだんだんと中身がわかってきて、空母というのがここにいたということ、それでその空母が実際に作戦に参加をしているということ、こういうことがわかってきて初めて、いや、考えていたことと違うんだという話になってきたわけです。

 だから、ここで、総理、基本的にどのようにこの話をまとめていくかというときに、インド洋での油の補給ということにこだわる、あるいは自衛隊の艦船がそこにいなければならないということにこだわるんじゃなくて、もう少し大きな視野でこれをとらえて、日本がこれまで限定的に、制御的に自衛隊を派遣してきたその流れというのをどこで最終的には整理をして制御していくのかということにもちゃんと踏み込んだ議論というのは、もう一回原点に戻ってやる必要があるんだろうというふうに思うんです。このままそっちも我を通すという話になっていったら、これはこの国にとっても悲劇なんだろうというふうに私は思います。

 本来は、テロの撲滅ということになれば、アフガニスタンやイラクでのネーションビルディング、国の復興支援と、それから、そこにしっかりとした政府が成り立っていくということ、貧困問題を解決していくということ、このことに対して日本がしっかりとコミットしていくというのは、これは、与野党を問わず当然に思い描いていることであろうかと思うんです。

 そういうことを含めて、総理の頭の中、もう少しやわらかくなりませんか、どうですか。

福田内閣総理大臣 極めて柔軟に対応しているつもりなんですけれども。

 アフガニスタン全域がテロの暗躍から逃れて、そして平和な国家になってほしいというそういう願いを持っている、それは委員もそうだし、私も全くそういう思いで今までこの問題に取り組んできたというところでございまして、そういう観点から、一体我が国として何ができるかということをもう最初から模索してきたわけですよ。そういう中で我々ができることは、やはり今実施しております海上における給油活動である、こういう結論に達して、その仕事をしているということであります。

 今、陸上における人道支援とかそういったようなものをどうか、こういうようにおっしゃりますけれども、それが可能ならよろしいですよ。しかし、なかなか文民でお願いするというような状況でもないし、また、そこに自衛隊が入っていくということも、これはまさに、憲法で規定いたしております問題につながってくる可能性があるということを私どもは懸念をいたしておるわけで、あらゆる可能性を今も模索をいたしております。

 そういう中で、この海上給油活動というのは、これは非常に有効な、国際協力の一環としても有力な手段である、こう考えておるので、これを継続させていただきたいというのが我々の考え方でございます。

中川(正)委員 さっきの、憲法に違反する行為になるというのは、そこのところは私は理解ができないんです。

 陸上活動でも、例えば、私が現地に入って、これもいい方法だなと思ったのは、パレスチナでイスラエルサイドが工業団地の造成をしまして、そこへ軽工業の工業団地を幾つもつくっているんですよ。それでもって雇用創出して、民間の企業がそれにかかわりながらやっている。それを例えば自衛隊が造成事業として民間と組んでやっていくとか、いろいろな知恵というのは出てくるように私は思います。

 だから、かたくなというのはそこなんですよ、総理のかたくなというのは。そこのところを指摘しておきたいと思うんです。

 最後に、委員長にお願いをしたいんですが、情報というのは、さっき申し上げたように、ますますおかしくなってきている。アメリカから出てきたのもおかしくなってきた。だから、これは全貌をつかまなきゃいけない。だから、改めて、この補給船からどういう船に全部渡っているのかということと、補給船から補給船、アメリカのあるいはイギリスの補給船からさらにその後どこへ向いて渡っているのかということと、キティーホークの航海日誌、あるいはキティーホーク以外の空母、これが全部存在しているわけですから、それの航海日誌、それから、それがどういう活動をしているのかということ、この全貌をやはり説明する必要があるだろうというふうに思うんです。

 その資料を出すということを、政府とアメリカに委員会の意思としてこれは迫っていただきたいというふうに思うんです。いいですか。

逢沢委員長 同様の趣旨の要請が岡田理事から既に出されております。党内で整理をしていただいて、追加の資料請求、あるいはまた広範囲に及ぶということであるとすれば、御整理をいただき、理事会に理事を通じて要請をいただきたいと思います。

 質問を続行ください。

中川(正)委員 ちょっと時間をとり過ぎましたが、北朝鮮に移っていきたいというふうに思います。

 総理に一つ、その前に核問題をまず確認をしていきたいというふうに思うんです。寧辺の施設以外、寧辺についてはこれは無能力化をしていくということが六カ国協議で合意をされて、それが進んでいるということですね。それ以外の関連施設の廃棄ということ、これについては、いわゆる核計画の報告をする中に入っているという今答弁があったわけですが、その中には確実に他の関連施設についてすべて含まれているという見解を日本はとっているのか、それとも、それは確認できていない、ただ向こうが何を報告してくるかというのは向こう任せだということになっているのかということを一つ確認していきたい。そこについてどういう見解を持っているのか。

 それから、それ以外の施設と同時に、ウランの濃縮というこの施設について、あるいはプルトニウムの爆弾については、これはもう既に保有をしているという見解がこれまであった。それはどういう形でもう一回確認をして廃棄に持っていくのかというプロセスですね。これについては日本としてどういう認識をしているのか、これを確認していきたいと思います。

高村国務大臣 すべての核施設を廃棄する義務が北朝鮮にある。そして、十二月末日までに寧辺の三つの核施設を廃棄する義務がある。そして、すべての核計画について十二月末日までに報告する義務がある。それには、まさにすべての核計画でありますから、すべてのものをする、今委員がおっしゃった、すべてのものについて報告する義務がある、こういうことであります。

中川(正)委員 話し合いをした結果の記者会見の言葉をそのまま繰り返しているだけで、そこから日本の国あるいは大臣としての意思が伝わってこないんですが、大臣はどう考えているんですかということを聞いているんですよ。

高村国務大臣 これは私の意思の話ではなくて、六カ国協議でそういう義務を北朝鮮が負ったという客観的事実を申し上げているわけであります。

中川(正)委員 こんな押し問答をしていても仕方がないので言いますけれども、いや、それで終わっていちゃだめなんですよ。そこに対して、日本の意思をしっかり外に対して表明をするということが、外交交渉の中では次の段階に進んでくるプロセスになってくるんです。だから大事なんです。だから聞いているんですよ。それを、客観情勢だけこうですよという話で終わってしまったら、日本の存在がそこになくなってしまうんですよ。そこのことを言いたかったということです。

高村国務大臣 意思とすれば、約束した、義務を負ったことを北朝鮮が具体的に実行する、してほしい、させる、それが私の意思でございます。

中川(正)委員 ある意味では、当事者としての話じゃないような気がします。そこのところが恐らくこの六者協議の中で日本政府の立場ということを反映しているんだろうというふうに思います。それが私の感想です。

 拉致問題なんですが、これは、対話と圧力、それから、拉致問題の進展なくして日朝国交正常化というのはないよという、これは、歴代、小泉さんから安倍さんに総理大臣を受け継がれてくる中で一貫したスタンスだと思うんですが、改めて聞きますけれども、このスタンスをとり続けていくのか、あるいはまた、これに加えて福田カラーといいますか、総理のカラーがあるとすれば何をしていこうとしているのか、これを確認したいと思います。

福田内閣総理大臣 対話と圧力、これは、外交の進め方としてそういう言葉が適切かどうかは別として、そういう手法というのはいつの交渉にもあるんだろうというように思います。ですから、その交渉の仕方というのは、これは継続していかなければいけないというように思っております。

 そういう意味で私のカラーが出るかどうか知りませんけれども、それは私の交渉の行方を見てお決めいただきたいと思います。

中川(正)委員 拉致問題が解決しなければ日朝の国交正常化はあり得ないんだというところを抜かされましたけれども、これは抜かしていくということですか。

福田内閣総理大臣 核問題、拉致問題、そしてミサイル問題、みんな平壌宣言に書いてありますよ。その問題をいかに解決していくかということです。

 六者協議で核の問題は進展しておるようでございますから、それは着実に進めていただく。しかし、そういう状況の中で、拉致問題、ミサイル問題もうまく解決していかなければいけない。これは当然のことですね。

中川(正)委員 その上でちょっと確かめていきたいんですが、対話と圧力という言葉がよく出てくるんですけれども、現在の状況の中で、対話というのは具体的に何を意味するのか、圧力というのは具体的に何を意味するのか。どういうふうに認識されていますか。

福田内閣総理大臣 まあ、文字どおり対話と圧力なんですけれどもね。

 対話の中身もいろいろあります。やり方もいろいろあると思いますよ、表も裏もあるかもしれぬし。交渉事ですからね。それから、圧力についてもさまざまなやり方があると思います。全部ひっくるめてです。

 私は、これとこれというふうに申し上げたくないんです。

中川(正)委員 いや、そんな抽象論の話じゃなくて、もう少し戦略的にこの北朝鮮の問題をぜひ議論したいんですよ。さっきのような話をしちゃうと、この話は先に進まないんですよ。だから、しっかりそこのところは意思を出してください。

 対話というのは、六カ国協議の中でも今は二国間協議しかないんでしょう。六カ国協議の中のいわゆる作業部会しかないんでしょう。違うんですか。ほかにそのルートがあるんですか。

高村国務大臣 まさにおっしゃるように、主たる対話の場が六カ国協議の中の二国間の協議であります。そのほかどういうものがあるか、大変申しわけありませんが、一々申し上げることはいたしません。

中川(正)委員 逆に、圧力といったら、この間閣議決定されたようですけれども、経済制裁ということですね。そのほかに日本の圧力というのは何なんですか。

高村国務大臣 例えば、今継続している経済制裁、これがありますし、そのほか、北朝鮮側の行動いかんによってはいろいろあり得ることだと思います。

 ただ、そういうことを問わないで済むことを期待しております。

中川(正)委員 小泉さんが訪朝をして五人の拉致被害者が帰ってきたとき、あれはなぜ帰ってきたというふうに思われますか、総理。

福田内閣総理大臣 それは、小泉総理が帰ってくるように交渉したからです。

中川(正)委員 国会の中でまじめに議論をしていこうとしているんですよ。それをそうした茶化した話でやるというのは、私も私的に憲法の理事会や何かを通じておつき合いがあるんですが、時々それをやられるんですよ、総理は。そんな話にしてしまえば、せっかくの北朝鮮に対するメッセージも、この国会からはその程度かという話になっちゃいますよ。答え直してください。

福田内閣総理大臣 誠意を持ってお答えしているつもりなんですけれども。

 それは事実なんですよね。交渉の中身、一々申し上げなきゃいかぬのかな、こんなふうにも思いますけれども、事細かに申し上げるという必要があるのであれば、それはいたしますけれどもね。よろしいですか、それで。

逢沢委員長 高村外務大臣、簡潔にお願いします。

高村国務大臣 どうして拉致被害者が帰ってくることができたのかというお話でありますが、それは、日本政府が、拉致問題の解決なくして国交正常化なし、国交正常化なくして過去の清算としての大型経済協力はない、こういう方針が一貫していたことと、それから、当時、アメリカが悪の枢軸と言ったことでかなり北朝鮮が恐れていたこと、そして、外務省がさまざまやったルートが非常にうまくできたこと、そして小泉総理の決断、もろもろあったと思います。

中川(正)委員 さまざまに分析はあると思うんですが、私はその中でも特に注目したいのは、さっき、さすが外務大臣、指摘をされましたけれども、アメリカのポジションがあったんだろうというふうに思うんです。これは専門家の間でも言われることですよね。

 アメリカがいわゆる二国間交渉を拒否していた、悪の枢軸という形で敵対関係にあった、それを北朝鮮のサイドが、そのことを前提にして、日本との仲介役を、あるいは日本との国交正常化を先に進める、そういう判断がそこにあったということで、それを見越したその当時の政策担当者というのは私はそれなりの見識があったんだというふうに思いますが、そのときに合わせてあれが成り立ったということだと思うんです。

 それから以後どんな変化が来たかということになると、これはアメリカの政策が変わったんですよ。アメリカは、六カ国協議の枠組みと言っていますけれども、基本的には、あのベルリン合意でもわかるように、これは二国間交渉を始めちゃったわけです。その中で、米朝の国交正常化へ向けて今もう歩み出している状況があるということだと思うんです。

 韓国も、この間のあの南北の対話、これを見ていると、もう完全に経済交流を中心に具体的なプログラムも走り始めている。中国は、そんな中で、体制崩壊、これをどうしても防がなきゃいけないという形の中で、特に、民間レベルを通じた経済交流というのはすごい勢いで進めているという状況がある。これはもう完全に周辺の状況が変わっているということ。

 そんな中で、さっき、対話と圧力という中身の議論をしましたけれども、これは二つとも全然効き目がない。特に圧力というのは、経済制裁をやっていますけれども、これは日本が勝手にやっているだけで、周辺は今全然別な方向で進んでいるということがあるんです。要は、外交交渉のカードになっていないということ、ここに日本のジレンマがあるんだろうというふうに私は解釈をしております。

 そんな中で、ではこれをどうしていくんだ。これまでどおりの話でいっても、周辺がこれだけ変わってきたら違うでしょう、こういうことだと思うんですね。総理、どう思われますか。

福田内閣総理大臣 今までの経過はともかくといたしましても、今、外務大臣からもお話ししましたように、外部環境も変わってきているわけです。ですから、そういう状況なども踏まえまして、あらゆる要素を考慮しながら交渉をする、また交渉をするような雰囲気もつくっていかなければいけない、そういうふうに思っております。

 私は、ここしばらく、日朝交渉をすることによって拉致問題を解決したいという意思を表明しております。その表明は、北朝鮮に、そういう気持ちがあるから何らかのメッセージを送ってほしい、こういう意味合いも込めておるわけでございます。

中川(正)委員 二国間の作業部会でやっても圧力の方のいわゆるカードというのが効き目がないのであれば、北朝鮮の方がどんな形で乗ってくるかという展望は、これは開くことができないということだと思うんです。

 だから、いかにその交渉カードをつくっていくか、ここなんだろうというふうに思うんですよ。拉致を解決していくということについては、これはすべての力を傾注しなきゃいけないというのは共通認識です。それがためにも、このカードをいかにつくるかということに傾注をしていかなければならぬということだと思うんです。

 だから、いつまでもこの問題を二国間ベースでやるということじゃなくて、日本にカードがなければ、ほかの国のカードを使うということでしょう。今のところは、米朝でやっている交渉、あるいは中朝でやっている交渉、あるいは南北でやっている交渉に対して、拉致の問題もよろしくお願いします、こう言っているだけの話。そうじゃなくて、これはひとつ多国間ベースの交渉枠というのを六カ国協議の中に、あるいは別でもいい、とにかく、他国のカードも使えるような状況の中で拉致というのを交渉していくというこの枠組みが今一番大事なんじゃないかというふうに思うんです。

 日本が、さっき外務大臣は居丈高に、それ以外のカードがありますというような、それ以外のカードといったら、あと、経済制裁をやった次のカードといったら、武力ですよ。武力しかないんですよ、プロセスからいったら。そんなことを使うつもりは、あるいは、そういうことを使う国の枠組みでないということははっきりしているわけですから、だったらあとは、外交的にそういう枠組みをつくるということ、その意思をはっきり示す、見せるというそのことが大事なんだろうと思います。二国間の中に閉じこもってしまって、それで何とかしたいという話は、これは壁にぶち当たるだけなんだろうというふうに思うんです。

 ということを提案したいんですけれども、どうですか。

福田内閣総理大臣 御提案はそういうことであろうかと思いますが、そういう観点からG8サミットにおいてもそういう働きかけをし、また、ハイリゲンダム・サミットですか、あのときにも、議長声明としてそういう趣旨のことも盛っていただいた、拉致の問題にも触れていただいたというようなこともございました。そういうことは今までもやってきておりますけれどもね。

 そういう力もかりながら、しかし、やはり日朝関係で解決するんだというこの強い意思というのは必要だと思いますし、やはり日朝で本格的な交渉をする、それが一刻も早く、こういうふうに思っております。

中川(正)委員 やはりこれまでの方針を変えないということですか。そんなふうに理解できましたね。

 というのは、拉致というのは日朝だけの話じゃないんですよ。韓国と北朝鮮の間にも四百八十人以上の拉致の被害者がいるんですよ。戦争中の行方不明者あるいは離散家族等々を含めてこうした問題はいっぱいある。これは、日本の中でも、帰還運動で北朝鮮に渡った九万五千人の在日の人たち、あるいはそれの日本人妻、この人たちの人権という問題もある。このことを含めて、どうして水平線を広げて多国間で攻めていくという土俵をつくらないのかということ、これが、私はこれまでの政府の方針の中でわからないところなんですよ。

 そういう意味も含めて、取り組みをここで変えるのであれば、そうした多国間ベースにぜひ持っていくべきだというふうに思っております。

 もうあと五分しか残りがなくなってしまいました。せっかくいろいろ通告をしたので、一つだけ、国土交通省、大臣に来ていただいていますので。

 手元にお配りをした資料があるんです。公共事業費の補助金と負担金の統計なんです。これは大分刺激的なんですけれども、一人当たりに直すと各県取り分がこんなふうになっているんですね。左側は、東京を一〇〇とした地方税のパーセンテージです。これは1の方です。右側は、一人当たりに換算をした公共事業費の補助負担金、これは県のレベルです。

 これを見ていると、何でこの県が特別に多いのかとか、うちの県、全くこれでいいのか、これで選挙ができるのかと、特に与党の皆さん方は心のどこかで感じておられるんだろうというふうに思うんです。

 これを見ている限り、どういう秩序でこの配分が決められていくのか。この2の方は、これは絶対額の方です。トータル額の方で示してあります。この順番は、地方税の税額の多い順番、だから1の順番と2の順番は同じです。同じ形で来ているんです。やはり、総額でいったら北海道というのは断トツなんだということが改めてこれはわかるんですけれども、大臣、何でこんなふうになるんですか。

冬柴国務大臣 公共事業の採択に当たりましては、真に必要な分野に対して施策を重点化して、そしてまた、災害復旧への対応とか、あるいは地域の整備状況、ニーズ等に的確に対応していくために行っているわけでございます。

 今配付していただきました1の資料、なぜこんなに伸びているんだと。上の方から見ますと、福井県、それから真ん中ごろの新潟県、一番下の沖縄県、それぞれ理由があります。

 福井、新潟につきましては、福井については大水害がございました、その復旧復興でございます。それからまた新潟県におきましては、あの山古志村の中越地震があった年の復旧費でございます。それから沖縄につきましては、もう御案内のとおり、振興ということで常にこの部分については大きくなっているということがあるわけでございまして、このように、公共事業費の配分はその年によって大きく変わる、毎年ずっと並べていただいたらわかりますけれども、小さな人口とか県、そういうところは常に上位になっているということも事実でございます。

 例えば島根県等、失礼でございますが、島根県の方には申しわけないんですけれども、ここ数年にわたって一人当たりの補助事業費が全国では上位になっておりますが、人口規模が全国で二番目に低いということ、それから、地域の実情として、国道、県道の改良率が全国では四十二位でございます。それから、土砂災害危険箇所数が全国でこれも二位でございます。

 そういう意味で、社会資本の整備が非常におくれている、そういう点で、我々としては手厚くしなきゃならないということで、そのように人口の少ない県については常に上位一けたということになっているというのが近年の特徴でございまして、御理解をいただきたいというふうに思います。

中川(正)委員 その年によって特殊事情がある、ある程度はあるということは認めるんですけれども、ずっと私、通算これを見てみたんですよ。傾向としてはこれなんですよ。そんなに時々によってひっくり返るとかどうこうというような話じゃない。

 これは恐らく、私も地方議員をしていた経験から感じるんですが、公共事業の中で県単事業と補助事業を見ると、どうしても補助事業だと伸びる。同じ一千万の負担金を地方がしても、それが二倍にも三倍にも額が伸びるということもあって、同じ事業であれば、国補がつくんだったら国補でやりましょうというふうな流れをつくっておくんです。そういうことがうまくやれるところというのは、こんな形で伸びていく。

 もっと言えば、それを政治的に選挙のキャンペーンをするのに、おれがこの予算をつけたんだと言って選挙をしている人たちもたくさんいるわけですよ。というような構造になってきている。

 結局のところ、やらなくてもいい規模とそれから箇所づけ、これを国補がつくからといってどんどんつけてきた。私もそういう経験がありますから。だから、地方議員というのは、そういう思いの中で、県単でやったら済むところを、無駄な投資というのをどんどんこういう形で膨らませていく、そういう構造を一つは指摘させていただきたいというふうに思うんです。

 その上で、さっき大臣が言われた基準なんというのは、これは全くないと等しい。公共事業をこれからどんどん、というよりも、三%ずつ削るというのを与党のサイドも言っているわけですよ。だからこれは、配賦基準といいますか、我々は統括補助金というふうに言っていますが、もう地方に渡してしまって、渡した中で優先順位を決めていったら、そこからしっかりと税金の無駄遣いは浮き上がってくるし、優先順位は一番身近なところからついていくんだ、こういうプロセスが考えられるわけです。

 そういうところに国交省だけが踏み込まないんですよ。税源移譲に国交省だけが反対しているんです、建設国債だって。だから、そこのところは考えなきゃいけないということを指摘させていただきました。

冬柴国務大臣 都道府県別人口一人当たりの地方税と公共事業費の補助負担金の推移というものを数年にわたって比較していただければ、それは一目瞭然でございまして、国交省が勝手にやっているとかどうとか、あるいは、それを全部交付金にしてしまうとか県に渡してしまったときに、新潟中越沖地震が、中越地震に次いで中越沖地震が起こっておりますが、新潟県だけでこれができるものではございません。復旧復興が進むわけではございません。

 そういう意味で、我々はそういうことが必要であるということを申し上げているわけでございまして、我々だけが牢固として言っているわけではございませんので、よろしくお願いしたいと思います。

中川(正)委員 一言だけ言うとすれば、大臣は役所を守っていたらいいということではないんですよ。どんなふうに税金を使うかということにしっかり頭を使っていくということだと思うんです。

 そういう意味では、公明党というのは生活に密着した議論ができるんだろうというふうに私は期待をしておりまして、さっきのような答弁をせずに、もうちょっと前向きに、時代を変えていくんだという話をしていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

 以上です。

逢沢委員長 これにて中川君の質疑は終了いたしました。

 次に、原口一博君。

原口委員 民主党の原口でございます。

 福田総理、御就任おめでとうございます。通告に従って数点、質問申し上げます。

 まず、障害者の権利条約、これは私、第四回、第八回アドホック委員会、ニューヨークの国連の障害者の権利条約委員会でもお話をしました。日本政府は、九月の二十八日に国連総会においてこの障害者の権利条約に署名をしました。これからいよいよ条約の批准に向けて、条約に基づく国内法、関係法や制度の見直し、こういうところになるんです。

 しかし、総理、私、ちょっと懸念しているものがあります。それは、超党派で国連障害者の権利条約議連というのをつくって、会長が御党の中山太郎先生で、私は副会長をさせていただいているんですが、みんなで力を合わせてつくってきて、障害者の差別とどう闘うかという、この基礎となるものであります。

 国連での議論も、NGOの人たちが活発に参加して、やっと成案を得て、今回署名ということになったんですが、問題は、総理、この中の仮訳なんですよ。一番大事なところ、例えば教育だと、分離教育かインクルーシブな教育か。私たちは、みずから、生まれたところで、障害を持った人たち一人一人が教育を選ぶ権利がある、こういう形で議論をしてきたんですが、どうも仮訳上、大きな影響力を持つところが、一見して後退した表現になっている。まあ、まだ仮訳ですからね。

 ぜひここでお願いをしたいのは、この条約の第四条三項、「障害者」これは障害のある児童を含むんですが、「を代表する団体を通じ、障害者と緊密に協議し、及び障害者を積極的に関与させる。」ことを踏まえてというこの条項が入っているわけですから、当該団体と多くの障害を持った人たちと協議を、よく話し合いというお話をなさいますから、これはもう条約の中に入っていることですから、適切な見直しを行うべきだというふうに考えます。

 これはぜひ総理に前向きの御答弁をいただきたい、このように思います。

福田内閣総理大臣 我が国は、九月二十八日に国連本部において、高村外務大臣によってこの条約に署名をいたしたところでございます。

 今御指摘の点もございます。これは、国内における批准に向けての手続がございますけれども、その際、障害者の人権及び基本的な自由の完全な実現を確保し促進するという上で重要な意義を有しているということを十分に踏まえた上で、今後とも、障害者団体等の意見も参考にしながら、この条約締結に向けて検討を進めてまいりたいと存じております。

原口委員 ありがとうございます。前向きの御答弁をいただきました。

 やはり、私たち、障害者基本法という法律を、そのとき、私が民主党の代表で、それで、もう議席にはおられませんが、八代英太先生が自民党さんの代表でつくらせていただいたときも、まずは障害者の持つ権利を明定しよう、その権利をどのように保障していくかという形に法律を変えていこうということでやっていきました。それぞれの皆さんがみずからの権利を学ぶことによって差別と闘う、こういう形になっていますので、ぜひ当事者の一番の意見を入れていただきたい、このことを重ねて申し上げます。

 二番目に、年金です。

 舛添大臣もお見えになっていますが、消えた年金問題、ここに、東京社会保険事務所、私たち視察をさせていただいて、五千万件の基礎年金番号への未統合の記録、これはどういうサンプル調査をしたのかということも開示をいただきました。しかし、このサンプル調査自体は、これはぜひ知恵を出し合って、一刻も早く国民の不安を解消しなきゃいかぬ。

 どんなサンプル調査をやっているかというと、十八情報の中の三情報だけなんです、総理。三情報だけで、これがだれのものかとりあえず名寄せをするということをやっています。しかし、残りの十五情報、つまり、簡単に言うと、財布がだれのものかということがわかっても、その中身が何かということがわからなければ、ここにこうやって財布はあったけれども、中身についてはどこへ行ったかわからぬという形になってしまいます。

 ぜひこれは、サンプル調査ということですから、まずは三情報でもいいでしょう、しかし、中身についての精査もお願いをしたいというのが第一点。

 それから、第二点。

 舛添大臣は、参議院選挙の日の夜、御一緒にテレビにも出ていましたね。私たちも、タンジェントポリといって、今までのうみを全部出して、そして不正なものはきっちり正すべきだ、本来、市町村やさまざまな着服の問題についても、社会保険庁と相談しながら、なぜ告発をしていないのか、告発を見送った経緯は何なのか、全部出してくれとやってきたんですよ。私は、これはもう大臣の答弁で結構ですから、やはり十二月中にこの問題の白黒をつけるべきだ、これはいつまでもやっている話じゃないと思います。

 それからもう一つは、これの聞き取り調査についても、聞き取り調査、大臣も役所から聞かれたと思いますけれども、どういうやり方でやっているかというと、幹部の方に聞いて、おたくのところでは何か問題ありませんでしたかという聞き方なんですよ。

 普通、不祥事を起こした組織は、こういうやり方はやりません。全部の人たちに投網をかけて、みんなが泥棒だなんて言っていませんよ、しかし、思い当たることがあったら全部出してください、その上で、申告をしてもらって、そのときに申告していないのが後で出てきたら、それはもっと責任は重いですよというやり方をやるんですね。こういうやり方をしないと、国民が国家を信じて年金を預けた、このことの解決はつかないんじゃないか、こう思うんです。

 二点。一点目は、財布の中身をちゃんと明示しましょう。二点目は、責任の追及をはっきりしましょう。この決意を、総理並びに厚生労働大臣に伺いたいと思います。

舛添国務大臣 原口先生にお答えいたします。

 とりあえず五千万件は、年金番号と結びつかない人、これをとにかく大急ぎで三月までにやりたい。いろいろなことをやりたいです。昔の、旧台帳との突き合わせもやりたい。だけれども、とにかくコンピューターの中に入っているものでできるだけ早くやるとすると、生年月日、氏名、性別ということになるので、これをまずやらせてください。

 それで、我々が例えば書き写すときでも、百件書き写して百件全部間違うということはないし、まあ一割ぐらいうっかりして写し間違いがあるかもしれませんけれども、八割、九割正しいとした場合に、まずそれをやりたいということでやらせていただいて、ほかの件についてもしっかりこれはやっていきたいと思いますので、またいろいろなアイデアがございましたら賜れればというように思います。

 それから、うみを出し切る、これはもう、私は大臣になる前もなった後も変わっておりません。引き続きやっています。

 調査については、社保庁の現役、OBすべてに調査票を送って、全部出しなさいということで、最終的に十月十八日までには、もう来週ですけれども、集計しようと思っています。

 これは、非常に聞き取りが難しいのは、本人にフェース・ツー・フェースで会って、あんた、やったことを覚えているかというのがいいのか、紙で、匿名でいいから、実は何月何日こういう件があったという方がいいのか、それは人間心理から見て、とりあえず紙でやろうということを思っています。

 それから、私は、時効にかからないものについては、社会保険庁それから市町村を問わず、これは国民の大事な年金を横領したわけですから犯罪です。犯罪があれば告発する。だれでも告発できますけれども、役人、公務員は告発する権利があるし、義務がある。この義務を履行していただきたい。

 そういうことで、幾つかの市町村で、みずから告発しないということをおっしゃっているところがございます。しかし、刑事告発をする義務があります。そして、そこから先、起訴にするかしないか、どういう罰を加えるかは司法の判断であり、社会的な制裁が加わっているかどうか、そういうことの判断も司法の判断であるというふうに思っていますので、私は、社会保険庁に命じて、市町村が告発しないならきちんとこれは告発する、後は司法の判断にゆだねる。

 とりあえず、宮城県の大崎市、今、あしたにでも告発する準備を整えておりまして、きちんとこれはけじめをつけたいので、市町村の皆さん方にも、これは襟を正そうということですから、ぜひ御協力を願いたい。

 そういううみを出して、現状をしっかり洗い流した上で新しいものをつくっていきたい、そういうふうに思っていますので、全力を挙げますので、またいいアイデアがありましたらちょうだいしたい、そう思います。

原口委員 やはり、当時、告発するかしないか、公表するかしないか、社会保険庁と相談して、あるいは厚生労働省と相談しながらやっているんですね。だから、これは、総務大臣が隣におられますが、市町村の責任、小人のざれごとなんという言葉をおっしゃるというのは、私も民主党の総務担当なので、そこのところは、地方自治の責任者として、行き過ぎだということを指摘しておきます。

 ただ、五百二十四万件の氏名等が収録されていない記録の補正作業の百五十件を見ますと、ちょっと危機的なんですよ。これは、仮名が空欄であり生年月日の情報が一致しなかったものが、百五十件のうちの三十九件もあるんですね。これはひょっとすると生年月日を丸めて入れているんじゃないか、こういう疑いまで出ます。

 きょうは、後で山井議員がしっかりやっていただきますが、まずは、いつまでに何をどうするかというプログラムを出して、そして、隠ぺいを許さない、このことが一番大事だということを指摘しておきたいというふうに思います。

 さて、総務大臣お見えですが、郵政について。

 私、この間、久々に竹中元大臣と、あるところで議論をしました。ここでさんざんやって、郵政を民営化すれば、税金は安くなる、サービスはよくなる、そして、国際ロジスティックにもコンビニにも行ける、こういう話をなさっていたんですね。

 二通りの紙芝居がありました。一つは、武部先生でしたかが幹事長でいらっしゃったので、御下命でおつくりになった紙芝居、まあ、夢の紙芝居でした。もう一方、私たちがここで出して、あれは安住さんがつくった紙芝居でしたけれども、農村からは、地方からは郵便局がなくなって、遠くまでお金の決済をしなきゃいけなくなる、郵便局に税金を入れなきゃいけなくなる、こういう紙芝居でした。

 民営化が始まったばかりとはいいながら、私は、三つのことを指摘しておきたいと思います。

 一つは、あのとき、国会で決議もし、法案の中にも入っていると思いますが、郵便局のネットワーク水準はこれを維持するということであったんじゃないですか。ネットワーク水準は維持されていますか。

増田国務大臣 ネットワークの御質問でございますけれども、今の現状をありていに申し上げますと、十月一日時点、全国で二万四千強の郵便局がございますが、そのうちの簡易局、四千二百九十九ございます。四千二百九十九のうち四百十七局が休止をしているという、約一割弱でございますが、そういう状況にございます。

 これは、調べてみますと幾つか理由がございますのですが、受託者が非常に高齢化をして、そして、この際もう業務を返還したいというお話があったり、それが半分ぐらいございます。それからもう一つは、JAの支所とやっているもの、岩手もそうでございますが、そういう形で、簡易局などはそこに委託しているものが多いんですが、それが、JAの方も支所統合を今進めていますので、それによってどうしても休止せざるを得ない、こういったものがございました。

 こういったことは、今議員がお話ございましたとおり、ネットワークの水準維持、これはもう法律で義務づけられていることでございますが、そこに支障を来すということで、委託の手数料をことしから上げて、そしてぜひ委託をしたいということをお願いしたり、あるいは自治体の方でも、自治体の方でサービス拠点として使っていただくなり、あるいはかわりの方を見つけていただくなりということを自治体としても協力しながら今やっている。

 これは、ネットワークの水準維持ということはもう絶対に必要なことであります。そのことは重々承知をしてございますので、今後、そうしたことが少しでも解消されるようにということで、全力を挙げていきたいと思っております。

逢沢委員長 原口一博(いっぱく)君。

原口委員 一博(いっぱく)じゃない、一博(かずひろ)です。

逢沢委員長 失礼しました。原口一博(かずひろ)君。

原口委員 まあ、委員長とは同室だったから、一博一博(いっぱくいっぱく)と、あれですが。

 本当に、私、これは深刻だと思いますよ。郵便局、千の集配局をなくしましたね。これは、分社化ありき、民営化ありきで、現場無視をやるからこうなるんでしょう。ネットワーク水準というのは、単に郵便局の局舎を残すということじゃないでしょう。郵便局のサービスの機能を残す、その水準を維持するということだったはずです。

 ここに、総務省の「日本郵政公社の第一期中期経営目標の業績評価」、これを持ってきました。これは増田大臣のところでおやりになったものです。郵政の三事業、これはすべて中期目標を、サービス水準で大幅に落ちているじゃないですか、落としているじゃないですか。

 私は、こういうことをやるべきじゃないと思います。分社化ありきの民営化、郵政を民営化して、肥大化した部分をスリムにする。私たちも法案をつくりました。お金をできるだけ有効にしたい。しかし、国民の郵政事業における権利が、これでは損なわれているんじゃないですか。

 今、私たちは現場の声をずっと、国民新党さんや社民党さん、共産党さん、多くの皆さんと一緒に聞いて回っています。悲鳴が上がっていますよ、東京でも、あるいは地域でも。この声。どうしてこんなことを現場に押しつけるんですか。三千ページのダイジェスト版、六万ページにも及ぶ毎回変わってくるダイジェスト版、それを徹夜でそのためにやって、そして結局システムはどうしたか。先週、システムもダウンしていますね。何をやっているんだと言いたいんです。

 私は、このネットワーク水準を維持するということは、機能を維持することだと。今まで午前中に集配が来たものが、もう地方では夕方にしか来ない。こんなことを皆さんおっしゃっていましたか。全然違うじゃないですか。

 もう一つ言えば、公社の理事は二十人だったと思います。今は百四人じゃないですか。これは、だれがどうやって選んだんですか。

 株主総会で選んだと。株主総会の議事録を出しなさいと言いました。株主とは、総理、今、この郵政のネットワークの株主はだれですか。国でしょう。あの百四人の名簿を見ると、まさにお友達内閣と言われたけれども、郵政を民営化して、そして、中には、過労死してもそれは自己責任だとおっしゃった方、あるいは、ここに郵政民営化こそバラ色だとおっしゃった方、そして、私がRCCを追及しているときに預金保険機構で私に答弁をされた方、そういう方々がいらっしゃいます。別にそういう方々がいらっしゃって悪いとは言いません。

 どういう基準で選んだんですか。教えてください。

増田国務大臣 今、民営化の御指摘の中で幾つか……(原口委員「質問にだけ答えてください」と呼ぶ)

 そうしますと、集配局の話がございました。これは、確かに今、民営化の影の部分ということで集配局の統合がございましたのですが、実は、大きく言いますと、過疎化それから交通体系の整備で、従来自転車だったものを車に集配の活動を切りかえたりということで、岩手の場合にも、実は集配局が、かつての公社時代からいろいろ統合がございました。

 そういった状況を見ますと、大きな社会構造の変化の中で、そうしたことはやはり今後進めていかなければ効率的な集配体制ができない、そういったことの影響もあるのではないか。すべてそれを民営化の影の部分と言うことについては、いささか違う見解を持っていることも事実でございます。

 もちろん、そのことが、午前中届いていた郵便物が夕方に届くといったような地域も現実にはございます。しかし、逆に、経路を集約化して逆の場合等があるのも事実でございますし、申し上げたいことは、そうしたいわゆる民営化のこの時期に生じてまいりました従来の利便性と異なる部分、低下している部分については、今後も経営努力をしてそうしたサービスが向上するように、一層会社の方に働きかけをしていきたいと思います。

 それから、役員の関係でございます。二十人というものが非常に多くなったということと、どういう基準で選んだのかということですが、委員会等設置会社も中にございまして、そうした意味では執行役員というものもございますので、全体の数は、会社が五つに分かれてございますので、ふえている部分も、確かに総数はございますが、それぞれについていいますと、類似の企業の数からいいますとかなりスリム化された体制ではないかというふうに考えております。

 それから、どういう基準で役員が選ばれたのかということでございますが、これは、郵政民営化の目的、会社の経営の合理性、そういったものを十分に発揮できる、そういう見識と実力を持っている人間を選んだものでございます。

原口委員 全く説得力ないですね。竹中さんと話しているみたいですよ。

 民営化をすればサービスはよくなると言いましたね。窓口の料金はほとんど上がっているじゃないですか。十月一日に現実に行きました。いすはありませんよ。立ったまま金融商品の説明を二十分も三十分も、あるいは一時間も二時間もやるんですか。仕切りをつくって、人を追いまくって、そして、役員の皆さんのお給料を出しなさいと。幾らそういう役員の人たちはもらうんだと聞いたら、いや、まだ決まっていませんと言うんですよ。もう民営化した後だったんじゃないですか。

 今、岩手のお話をされましたから。三位一体の改革だって、この五年間で財源が増加した地域は、三位一体の改革で五兆円の交付税を削った、そしてそれを三兆円分地方に渡した。三兆円の中身は、二兆円が大体都会でしょう。その結果がこれですよ。増加した地域は東京と愛知だけ。ほかは全部マイナスです。

 増田大臣が知事をなさっていた岩手県、この五年間で六百二十七億落ちていますよ、六百二十七億。物すごいですよ。筆頭は宮崎でいらっしゃいますね、三百九十九億落ちています。(発言する者あり)そうでしょう、三位一体、反対ですよね。筆頭がおっしゃるとおりだと思います。首相の群馬は四百十七億。五年間で四百十七億地方自治体の財源が落とされたら、これはサービスやれますか。これがどこが構造改革ですか。

 構造改革はもともと、内需主導で地方を豊かにして、消費者を豊かにして、働く人たちを豊かにして成長を実感してもらおうというのが構造改革じゃないですか。逆じゃないですか、都市部だけが豊かになって。いや、これも、都市部だけが豊かになってというのは、本当はからくりがあるので、このお金もどこへ行っているか、これも検証する必要があるんです。

 国民の皆さんがこの三位一体の改革で幸せになっていないんじゃないか。どうやってこの地域の格差を埋めるというのか。首相、どうぞお答えをください。

福田内閣総理大臣 ここしばらくの間に、地域間の財政力格差、これが今や早急に対応すべき課題になってきているというように認識をいたしております。

 そして、そのために、全国どのような地域であっても教育とか福祉などは一定の水準の行政サービスを確保するということができるように、地方交付税、それから必要な一般財源の総額を確保する、そしてまた地方間の税収の偏りの是正に取り組んでいくということが求められているというふうに考えておりますので、そういうことを総合的にこれから政策に盛り、対応してまいりたいと思っております。

原口委員 ということは、福田首相、三位一体改革はやはり失敗だったと、これはそこからスタートしないと。いや、これは改革だったんだ、いいことなんだということからスタートして、さっきの郵政のお答えのように、改革はよかったから影の部分を何とか手当てしますでは、地方はやっていけません。このことを御指摘をいたします。現実にどのように税財源を配分するのか、これはまた別の機会にやらせていただきますが。

 私は、やはりきっちりとしたことが開示をされる。午前中に一つだけ外交の問題で指摘をしておきますが。

 首相、私、驚くんですよ。石破大臣は、誠実に誠実に、それこそ情報開示すると言ってくださいました。私は八月にイラク対策特別委員会の筆頭理事でしたから、きのうもおとといもここで皆さんが、給油活動というのは国益だ、日米関係も大事だし国際貢献も大事なものだ、そうおっしゃいました。だとするんだったら、なぜ八月に。どうぞ出してくださいと。

 私たちが何を一番恐れているか、それは文民統制が崩れることなんです。首相もきのうの答弁のところを追及されておられましたけれども、じくじたる思いがされるんじゃないですか。私たちは首相が、あのとき官房長官でうそをついたとは思いませんよ。しかし、結果的に、首相にだれかが間違った情報を上げ、そして石破大臣に間違った情報を上げ、それで私たちは、ああそうなんだと思っていたわけです。結果、何があのとき起きていたかというと、文民統制がほころびかけていたんじゃないか、こういう危惧さえ感じるわけです。

 そこで、二点です。

 一点目。なぜこの八月に、そんなに大事なテロ特措法であれば、お出しにならなかったのか。

 これは、石破さんはそのとき筆頭理事で、この中にも理事がいらっしゃいますから、努力をされたというのはわかりました。しかし、そのときに、委員会に来て説明してくださいと言ったら、大臣はどこにいたと思いますか、国会中に。アメリカに行かれていましたよ。防衛省はどうでしたか。次官をどうするかという混乱でしたよ。まさか、このテロ特措法の延長が失敗したら、私たち民主党がごねたからなんて言わないでしょうね。そんなことは絶対言えませんよ。皆さん、まずは、この八月に出さなかった総括、これを聞かせていただきたい。

 そして、文民統制が一番大事だという決意を総理から聞かせていただきたい。

 二点です。

福田内閣総理大臣 文民統制とおっしゃいましたけれども、文民統制そのものは保たれております、間違いなく。

 そして、御質問の趣旨は、お話の趣旨は、要するに、情報開示がしっかりしていないじゃないかということじゃないかと思います。

 確かに、正確な情報に基づいて正確な判断をするというのは大事なことでございまして、これは民主主義の原点だと思いますよ。ですから、そういう意味で情報開示が今求められている、その度合いはますます強くなってきているという、これはむべなるかな、そういうことでございまして、これは、誤った情報で判断してくださいというわけにいかないわけですから、この辺は今後しっかりと対応させていただくようにしたいと思っております。

 八月に法案を提出して国会をというようなことでございますけれども、私も、当時はちょっとらち外におったものですから、その状況というのはよくわかりませんが、しかし、ああいった政治的な混乱もあったというような状況の中でそういうことをしっかりと議論するという、正直申しまして、余裕がなかったんだろうというふうに思っております。

原口委員 これで午前中の質疑は終わりますが、余裕がなかったでは済まない。この責任はだれにあるのかということをまた午後からお話しをし、情報開示とおっしゃいますが、私の手元に来たいわゆる「ときわ」の資料は、十月の十日に私がいただいた資料は、「ときわ」を含む航海日誌ですが、現在保有していないという文書を私はいただいたんです。このことから午後は始めさせていただきます。

 ありがとうございます。

逢沢委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

逢沢委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。原口一博君。

原口委員 午前中に引き続き、外交問題について議論させていただきます。

 まず、午前中の質疑で、やはり八月に出すべきだったと。石破大臣、御努力をされましたが、何か総括のお言葉はありますか。法律です。

石破国務大臣 なぜ八月、臨時国会は四日で閉じちゃったということでございます。それは、そのことについてはもう総理から先ほどお話があったとおりでございますが、私自身は、あのときにおいてきちんと議論をすべきだということは党内で随分と申し上げました。自民党の関係部会でもそのような議論をいたしました。これはそこまで大事なものなのだろうというお話を随分いたしました。

 ただ、そういう形にならなかったのは、私が党内における努力が足りなかったのだというふうに反省せざるを得ないところであります。

原口委員 議院内閣制ですから、やはり御自身方の、法案の提出権は政府にある、その責任をある意味で、留保というか、放棄という言葉は使いませんけれども、留保しながら、この法案はこんなに大事なんですよ、この活動はこんなに大事なんですよと会期も迫ったところで言われても説得力がないということをまず申し上げておきます。

 そして、この情報開示のあり方は、総理、これは本当にひどいです。ここに「十月二日民主党外務防衛部会における資料要求 防衛省担当分」、まさにきのう総理が訂正をされたその日についてのいわゆる自衛隊艦船の航海日誌を出すべきだと。

 私は、石破長官や当時の三原委員長と一緒にアラビア海へ行ってまいりました。物すごい活動です。大変な緊張の中で、本当に頭の下がる活動をなさっています。まさか現場の人たちが取り違うような、そんな活動ではありません。隣に大きな空母が来れば、それは空母だとわかります。しかも、長い時間一緒にいますから、それを取り違うことはない。

 何で取り違えたんだろう、現場の人たちは絶対に取り違えているはずない、その思いから航海日誌を要求したんですが、私に文書で、委員長、こうやって回答してきています。「該当する期間インド洋に派遣されていた自衛隊艦船の航海日誌は、既に保存期間を過ぎており、現在保有していない。」これが私たちの部門会議に出てきた回答ですよ、政府から。

 事務方で結構ですから、これはどなたの責任でおつくりになったんですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の民主党からの外務防衛部門会合におきます資料要求につきましては、当時、夜にございまして、私どもの方としても確認をいたしました。そして、文書保存規則上そういったものが過ぎているということでございまして、当時、かなり急いで作業をやっていたわけでございますけれども、その部分については文書保存期間を過ぎているというような認識がございまして、それでそういったお答えをしてしまいました。

 その後、過去、情報公開請求等もあった経緯もあり、本当に規則どおりになっているのか、実際には、コピーであれ原本であれ、きちっと保存されているのではないかということがございまして、省内でもいろいろ確認をした結果、ちゃんと残っている部分があるということで、それで、次の外務防衛部門会合でまたそういったことを指摘されましたので、それについてはその後捜して出てきたということを申し上げたというような経緯がございます。その点については大変おわびを申し上げたい。

 それで、その資料につきましては、私のところで、深夜にわたりましたので、作業をして、規則ということでお答えをしてしまった、その点は、そういった事実関係でございます。

原口委員 これは私の名前までわざわざ書いてあるんですよ、航海日誌要求、原口と。要するに、私のことに対して、それは私はどうでもいいですよ、だけれども、本当にこういうことばかりなんですよ。

 それで、どうだったかというと、後ろまで答えられましたが、委員長に配付の御許可をいただいた午前中の資料、この4です、「ときわ」。この四ページをごらんになってください。やっと出てきたわけです。ここには、USNSペコスと、それからUSS、もう一つの船があります。この二つを取り違えたというわけですね。

 何をどう取り違えたんですか、教えてください。事実関係ですから、事務方で結構です。

高見澤政府参考人 お答え申し上げます。

 ここの、先生お示しの資料がございますけれども、USNSペコスとそれからUSSポール・ハミルトンというのがございまして、これは、ごらんをいただきますと、同じ日に補給を実施しております。この補給をやったことにつきましては、それぞれ……

原口委員 一問一答でやりますので、限られた時間ですから。

 ちょっとパネルを。当時の状況、これですね。これは、きのう石破大臣も類似のものをお出しになりましたけれども、ちょうど「ときわ」がペコスに給油した推定海域はきのうの石破大臣の防衛省資料の中にありましたので、それをごらんください。これと大きく変わりません。「ときわ」がペコスに給油した推定海域、それから、その後ですから、もっとホルムズ海峡に近いところでハミルトンに供給をしているということですね。

 私が不思議なのは、これが単なる事務方のミスで起こり得るかということなんです。起こり得ないと思うんです。なぜかといえば、ここに、当該キティーホークについてはもう国会で何回も何回も議論しているんです。これは取り違えでしょう、間違いでしょう、確認してください、アメリカにも確認してくださいということを多くの議員が言っています。

 総理、自分のところだけであれば、自分のところだけの資料が間違っているから取り違えは起こります、皆さんがおっしゃっているように。しかし、アメリカにも確認しているんです。アメリカに、八十万ガロンはどこへ行ったかということを確認していて、相互照会しているはずなんです。なぜこんなことが起こるんですか、石破大臣。

石破国務大臣 これをどのような形でやっておるかというのは、きのうお答えをしたとおりでございます。現地から海上幕僚監部に資料が来る、それをさらに集計してエクセルという形に処理をするということになっておりますが、現場から上がってきた数字は、これは確かな数字が上がっておった。ところが、それを集計いたしますときに転記ミスをやった。これはもう信じられないというのは、正直言えば、委員の御指摘と同じ思いを私も持っております。こんなばかなことを本当にやるのかということなのでございます。

 ただ、そこで転記ミスが起こって、それがそのままずっと上に上がってきてしまったということになっておりまして、そもそも何でこんな転記ミスが起こったのか、途中で何でそれが、国会でも議論になっているにもかかわらず、もう一度見てみようということにならなかったか。転記ミスという非常に単純なミスなのですけれども、それをきちんと確認しなければいけなかったということだと思っております。

 転記ミスというのは、私は、人間は神様ではないから起こり得ることだと思います。ただし、それをきちんと確認しなかったという点につきましては、防衛庁長官であった私も含めてきちんと確認をせよということを徹底しなかったということは、これは私としてもおわびをしなければいかぬことだと思います。

原口委員 事務方に伺いますが、皆さんは、このペコスもキティーホークもカウペンスもアメリカに照合したっておっしゃっているんですよ。アメリカ側からデータをもらって我が方のデータと照合をしているはずなんです。だから、転記ミスがあれば、そこでミスだということがわかるはずなんです。

 ここの議事録の中に延々と書いてあるじゃないですか。アメリカはこう言いました、アメリカはこう確認しました、アメリカは八十万ガロン云々というようなのがいっぱい出てきますよ。おかしいんですよ。これ、どう説明しますか。アメリカに、何を、どう確認したんですか。

高見澤政府参考人 御説明いたします。

 まず、給油量の関係でございますけれども、個艦ごとにちゃんとしたやりとりをしておりますので、それぞれの船の給油量というものは正しかった、これはもう間違いがございません。

 それで、どこで間違えたかといいますと、そういった報告を海上幕僚監部でまとめております。そのときに、この補給が続けて行われたために、それぞれの数量をエクセルデータで整理をするときに取り違えたということでございます。

 そういったことで、そこのデータが海上幕僚監部の方で入れ違ったままいろいろな話が進められていったというのが発端でございます。

原口委員 ということは、補給量も間違ったままアメリカ側と照合して、間違った数字の上に、皆さん、アメリカはイラクに使っていないということを国会でさんざん言われていたということを言っているのと同じじゃないですか。そんな説明は通用しません。

 委員長、お許しをいただいて、ここに空母キティーホークの年次報告書を持ってまいりました。これ、全部読みました。どこにもOEFの文字はありません。

 当時、何が起きていたか。当時、まさにイラク戦争直前で、あの年の十月に武力行使容認法というものができました。皆さんのお手元の資料にも、ちょっと年表のように書かせていただいています。資料を開いていただければ、先ほどの資料の次のページ、英文と日本の文と。

 もともとアメリカは、このイラク戦争は対テロ戦争なんですよ。ここの二〇〇二年の十月十六日のところをごらんください。あるいは二〇〇二年の九月十二日、ブッシュ大統領の国連演説。あるいはその年の一月の一般教書演説。テロをイラクが支援しているんだ、アルカイダがイラクにいるんだ、だから、対テロ戦争としての武力行使、自衛権の行使をアメリカはやっているんです。

 日本の認識はどうか。この右側をごらんになってください。日本の政府は、アルカイダとの関係を直接に証拠づける、イラクにはそういうものはないということを言い続けた。

 つまり、アメリカがイラクで行う対テロ戦争と、そして日本の認識はここで決定的にずれているんです。

 私たちは、このアフガニスタンに対しての戦争、これも対テロ戦争ですね、だからテロ対策特措法で対応するということをやっている。しかし、アメリカにとっては、このテロ対策というのは、何もアフガニスタンに限った話じゃない、イラクにも適用されるんだということがここで明らかになるんじゃないかと思います。

 そこで、重要な答弁を石破大臣はなさっています。二〇〇二年の十一月二十一日です。

 では、私たち、このとき何を思ったか。このアラビア海とそれからこのペルシャ湾、どこでどう分けるんですかって、総理、私たちは、実際にテロ特措法の範囲を超えてはいけないから、どこでどう分けるんだということを聞いてきたわけです。その答えが、皆さんのお手元の当時の石破長官のイラク用、アフガニスタン用給油切り分け、二〇〇二年の十一月二十一日答弁なんです。ちょっと読ませていただきます。

 「しかし」以下、イラクに対する海上阻止行動は、ペルシャ湾の奥、つまり、ここですね、もうキティーホークが来たところですよ。ペルシャ湾の奥で行われているわけでありまして、全く地域が異なるものであるというふうに思っております、地理的にも隔絶された場所で実施されているわけでありまして、そのことが一つ担保になり得るのではないかと。つまり、地理的に、このペルシャ湾の中でやっているものとこのアラビア海でやっているものと、アラビア海でやっているものはOEFだ、ペルシャ湾の中でやっているのはOIFだ、こういうふうに分けられるから大丈夫だという答弁をされています。

 しかし、どうですか。キティーホークの航跡を見れば、もう給油されて三日後には、三十三ノットでアラビア海に入っているじゃないですか。

 委員長、私は、総理にこのキティーホークの年次報告書を差し上げたいと思います。お許しいただけますでしょうか。理事会でもお願いをしています。

 きのう、阿部知子議員が触れていただきましたけれども、これを見れば、もう一目瞭然です。OEFには参加をしていません。このキティーホークは、まさにイラク戦争直前のOIFの準備活動をやっている。そして、サザンウオッチといって、南方の飛行禁止区域の空爆をやっているんです。私も現実にイラクに入って、直接に米軍の空爆の二十キロのところにいましたから、それがどういうものかというのはよくわかります。それをやっているんです。今までの答弁は破綻しているんじゃありませんか。

石破国務大臣 二〇〇二年の十一月二十一日の私の答弁を御提示いただきました。

 確かに、当時、そのようにお答えをいたしております。ここで、「一つの担保になり得るのではないか」というふうに申し上げております。

 それで、実際にどういうふうな航跡をたどったかといえば、ペルシャ湾の中に入っておった。さすれば、まず一つ論証しなければいけないのは、そこに至るまでに日本が補給したに相当する量の油を使い切っておったということをまず御説明したところでございます。だとすれば、そこにおいて何をしておったのかということです。

 実際にイラクに対する戦争が始まりましたのは、委員御案内のとおり、三月二十日でございます。そうすると、その前のノーザンウオッチあるいはサザンウオッチというものが何であったのかということでございますが、これは、湾岸戦争以来のいろいろな決議に基づきまして、イラクが例えばレーダー波を照射した、そういうものに対して行われているものであって、それがすなわちイラク戦争の準備行動になり得るかといえば、それは国際法的に議論のあるところだろうと思っております。

 その前に、このキティーホークがそこで何をしておったか。いろいろな任務に従事をすることはあり得るわけでございますが、OEFの任務というものにペルシャ湾のその地点に入っていても従事をしておったということを米側から説明を受けておるところでございます。

 すなわち、それは、飛行機がどのように飛ぶか。きのう、陸上を通って飛行機が飛ぶのか、それとも海上を通って飛ぶのかという議論がございましたが、これは一般論として言えることでございますけれども、安全を図ろうとすれば、洋上を通って飛行した方が安全であるということは起こり得ます。旅客機ではございませんので、直線距離を飛べばいいというものではございません。陸上から攻撃を受ける確率と洋上から攻撃を受ける確率を考えましたときに、洋上から攻撃を受ける確率の方が低いわけでございまして、その地点からOEFに従事をしておったという説明を米側から受け、そのようなものを私どもは確認しておるところでございます。

 それとおまえの答弁は矛盾をするではないかということでございますが、一つの担保となり得るというふうに申し上げましたが、現在、確認をいたしましたところ、その地点においてOEFに従事をしたということを私どもは確認しておるところでございます。

原口委員 それはもう矛盾するでしょう。だって、キティーホークは三十三ノット、物すごい速さです。

 防衛大臣、大体、アメリカのGAOには十一万ガロンと書いてあるんですよ、キティーホークの一日に消費するものは。だから、八十万ガロンだったら一週間でしょうとやったら、さっきの高見澤さんだったかな、いや、物すごく速く走ったんですと言うわけです。三十三ノットで速く走ったから、その分燃料は消耗するんですと言うんです。速く走ったら、奥へ行くんじゃないですか。速く走ったら、どんどんアフガンから遠くなるじゃないですか。まさに、本当に子供でもわかるような……。では、イランの上を飛行機が飛びますか。だから、それがだめだから、わざわざこの国境線を通って、パキスタンからアフガニスタンに入ったというわけですか。そんな危険なことさせませんよ。

 もう一つ、限られた時間ですから。

 このときの行動が何かというのは、この武力行使容認法で明らかじゃないですか。テロ作戦で、ここでもうアメリカの議会は、ブッシュ大統領に対して、イラクに対して武力を行使していいということを言っているわけです。

 これは間接給油だから、私たちの自衛隊の艦船が入れたものがどれだけ使われたか、油に色はついていないからと言われます。

 もう一回さっきの「ときわ」の資料に戻ってください。取り違えた船は、USSポール・ハミルトンという船ですね。これはどんな船ですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 アーレイバーク級のイージス駆逐艦でございます。

原口委員 そうですね、イージス駆逐艦。ここに絵を持ってきました。物すごく戦闘力の強い、そしてイラク戦争においてはまさにその中核となった、トマホークを発射している艦ですよ。これは間接給油じゃないですよ。皆さんのお手元の資料、はっきりUSSポール・ハミルトンと書いてあります。

 USSポール・ハミルトンはどういうミッションにあったか、私が調べてみました。これこそオペレーション・イラク・フリーダムですよ。この時期にこのイージス艦がなぜここにいるか。こんなイージス艦を洋上の掃海作業に使いますか。違いますよ。現実にこの船は、六カ月の任務を受けて、その後ハワイへ戻っているけれども、まさにイラク戦争の中核となった船ですよ。大変立派な、最新鋭と言っていいような船。直接給油、イラクに使っているじゃないですか。違うんですか。

石破国務大臣 委員御指摘の問題意識、私も実は同じものを持っております。つまり、どの戦闘艦なのか、トマホークを搭載し得る船なのかどうなのか、まさしくおっしゃったことがポイントだと思っております。そのことにつきまして現在調査をいたしておりますが、そのことの回答、用意でき次第、この場で、この場といいますか、明らかにいたしたいと思います。そのことは、まさしく重要なポイントだと思っております。私自身、同様です。

 先ほど高速走航のお話がございましたが、これはなぜ高速で走るかといいますと、これも二つの考え方がございますが、私どもで確認しましたところ、ホルムズ海峡を通過いたしますときは、極めて狭隘でございます。狭隘でありますので、通常の空母の護衛陣形がとれません。とれませんので、委員もお乗りになったことがあるかと思いますが、航空母艦に乗りましたときに、随伴艦は水平線の中に見えないですよね。つまり、はるかに離れたところに置いておかないとミサイル攻撃に対して脆弱でございますので、相当広い陣形をとるわけでございますが、海峡通峡時はなかなかそういうのがとりにくいということがあるのだろうと思います。そうしますと、脆弱性を回避しますために相当高速で通峡しなければならない。そして、この海峡の深さ、あるいは広さといいますか幅を考えてみましたときに、一部そのような高速航行はできないという御指摘もいただきましたが、相当の高速航行は可能である、そしてまた、それが通常行われる形態であるというふうに聞いております。

 同時に、そこに至りますまでに飛行機を飛ばそうと思いますと、これは相対速度を相当に上げなければいけません。そうしますと、高速走航をかなりの長い時間、ジグザグみたいな形で風に向かって走るという形で行うということも通常あり得ることだと認識をいたしております。

原口委員 だから、矛盾するんですよ。私もここに行ったからわかるんです。総理、物すごく込んだ海ですよ。アフガニスタンを攻撃するのにわざわざそんな狭いところに入りますか、しかも、そんな高速で。実際に洋上の給油に立ち会いました。物すごい御苦労な活動です。だからこそ、厳密にやらなきゃいけないんです。だからこそ、しっかりとコントロールしなきゃいけない。

 このポール・ハミルトンについては幾らでも情報は入るんですよ。なぜかといったら、アメリカでは、こういう船に乗っている人たちは誇らしいんです。自分がどういうことをやったのか、どうお国のためになったのかというのを、ホームページで家族も一緒に検証してあるんです。幾らでもありますよ。このポール・ハミルトンはイラク攻撃をしたんです。トマホークミサイルを発射したんです。それは内部の資料だけじゃ信用できないとおっしゃるんだったら、ここにCNNの当時のレポートもありますよ。もう逃げられないんですよ。

 私は、委員長、なぜ六十年前にああいう戦争をやめられなかったのか、三年八カ月もやめられなかったか。正しいことを国民が知らされずに、そして国会も文民統制を欠いて、そして、結果、とめられなくなったんじゃないですか。

 今起こっている事態はそんな甘い事態じゃない、僕はこう考えますが、首相、どうですか。私たちが納得のいく資料を出していただけませんか。ここにポール・ハミルトンの航海日誌があります。明らかじゃないですか。反論する材料を出してください。

高見澤政府参考人 お答え申し上げます。

 原口先生御指摘の点につきましては、OEFの活動というのは、当時、二月二十五日あるいはキティーホークの行動が問題になったころからいろいろ議論をされておりましたし、その行動とオペレーションサザンウオッチの関係がどうであるのかとか、あるいはその後三月二十日から行われましたOIFとの関係がどうであるのかというのは、すべて当然の前提となっていた話でございます。

 したがいまして、キティーホークの機動部隊が、その後のイラクに対する作戦の中でいろいろな行動をし、それなりの成果を上げたということと、この二月二十五日前後の時点において行われた活動がどういうものであるのかということとは、直接の関係はございません。私どもがこれまで御答弁しているのは、その時点におけるOEFのために我々の補給した燃料が使われたということでございます。

原口委員 だから、今のは作文でしょう、思っておりますでしょう。私はこういう作文を聞いているんじゃないんです、総理。

 私は、現実にこういう証拠を挙げて、実際の文書を挙げて、こうじゃないですかという疑問を呈しているわけです。政府の側は、そうじゃないということを、ああいう作文でなくて示していただきたい。これは総理の決断ですから。

 話し合うとおっしゃっている。私たちは話し合うとおっしゃる、十七回も強行採決した人たちがいきなり話し合うと。まあ話し合いは結構だと思います、協調路線は。だけれども、十七回強行採決した人たちがいきなり猫なで声で、おまえも一緒に法案を考えろよと。重要法案を一緒に出すということは、これは閣外協力と同じでしょう。違うんですか。それぐらい重い話ですよ。

 そういうことを呼びかけられるのであれば、私は誠実に情報を開示すべきだと思いますが、いかがですか。

石破国務大臣 別に猫はなでませんが、この活動が、先ほど来局長がお答えをしておりますように、OEFに従事をしておったということをきちんと御得心いただけるような資料というものを今整理してお出ししたつもりでございます。

 それと、では武力行使容認法、合衆国におきます武力行使容認法、あるいはノーザンウオッチ、サザンウオッチ、そしてイラク戦争が、実際にOIFが始まりましたそれよりもずっと後ということでございます。そのあたりをどのように整理をするかということは、政府部内におきまして早急に調整をいたします。

 しかしながら、私どもとして、イラクに使われていたのではない、OEFに使われておったのだということにつきましては、確信を持っておるところでございまして、政府部内で調整をいたしまして、早急にお示しをさせていただきます。

原口委員 私はここで確信の根拠を聞いているんです。

 ここの表の、アフガニスタン、イラク及びインド洋における軍事作戦の概要。総理、軍事行動で平和は達成できるか、これは難しいと思います。あくまで平和的なことでやらなきゃいけない。しかし、違法性が阻却されるたった二つの事由、自衛権の行使と集団安全保障、その中でも限られたものしかやっちゃいかぬ。限られたものしかやってはいけないものについての支援が、情報が不十分であるということは極めて遺憾だ。

 私たち民主党に、新法に対してどうするか、ああするか、そのことを聞く人もいますよ。一言で言えば、一国平和主義から抜けなきゃいけない。自分の国だけいいということではだめです。しかし、同盟国であるアメリカの中にも、一国平和維持主義を、もう限界だと。自分たちだけが警察だと思って、どこでもかんでも空爆をかける、これは、やはり国連というものの中で、みんなのルールの中でやらなきゃいけない。そのことを議論しているんです。

 総理、最後に、ぜひ誠実に情報を開示し、私たちの疑問にお答えをする、その決意を伺って、質問を終えたいと思います。

福田内閣総理大臣 正確な情報を伝えるということは極めて大事なことでございます。今後、改めて、正確なる情報提供に努力をするということについて関係省庁に指示をいたします。

原口委員 終わります。

逢沢委員長 これにて原口君の質疑は終了いたしました。

 次に、武正公一君。

武正委員 民主党・無所属クラブの武正公一です。お手元の質問要旨に従って順次質問をさせていただきたいと思っております。

 ただ、今ちょうど原口委員が、「ときわ」のペコスへの給油、ここをやっておりますので、ちょっと順番を入れかえさせていただきまして、四番の「補給艦燃料契約について」、これを先にさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 私の資料では、後から二枚配りました資料ですか、それから、最初に配った資料ではまず九ページをごらんいただきますと、これは、民主党の外務防衛部門会議では、この間七回にわたって今回のテロ特措法対応関連ということで資料要求をさせていただきまして、六回お答えをいただいております。しかし、何度も求めておりますが、例えば、給油したそれぞれの艦船、あるいはまたそれぞれの艦船の行動を含めて、正確なお答えをいただけないということがずっと続いております。

 その中でようやく出てきたのが給油の契約書でございます。民主党の政務調査会の方には、平成十四年度から十八年度までの五年間にわたっては全契約書を御提出いただきました。ただ、平成十三年度は、もうその保存期間を過ぎているということで破棄した、こういうお答えでありましたが、私は、やはり平成十三年度も、ニューヨークへのアタックといったこともありますので、これもやはりぜひ開示をしていただきたい。探していただきたい。先ほどと同じように、破棄したといっても見つかったということがあるわけですので、十三年度の契約書も改めて求めていきたいというふうに思っています。

 これは、民主党の理事を通じてという先ほど委員長のお話もございましたが、きょうは、予算委員会ではこの質疑については最終日となりますので、これを理事会でお取り計らいをお願いしたいと思います。

逢沢委員長 理事会で扱わさせていただきます。

武正委員 そこで、この契約書なんですけれども、墨塗りで提出をいただいているわけなんですね。それは、この契約をしている石油会社の名前は明かせない、あるいはどこで履行したのかは明かせない、こういったことで墨塗りになっているという説明なんですね。

 ただ、随意契約になっているわけでございまして、随意契約である場合には、その随意契約については、非常に限られた条件という中で、マラケシュ協定にもあるように、随意契約をしたことをやはりオープンにしていこうということ、これが既に決まっているわけでありますし、国でも、政令でそうした随意契約についてはオープンにしていこう、なぜ随意契約にしたのかということを説明していこうということで、それぞれの省庁もホームページでそれをオープンにしているわけでございます。

 私どもは、A社、B社ということで二社が受注をしているという油の契約、この社名をまずやはり開示していただきたい。これを再三求めているわけでございますが、それが果たせないといったことでございます。

 これについては、まず防衛大臣、なぜこの名前が出せないのか、御説明をいただけますでしょうか。

石破国務大臣 お答えを申し上げます。

 契約相手方の個別の名称について述べよということでございますが、これが公になることによりまして当該企業の正当な利益などを害するおそれがあり、というのはどういうことかといいますと、具体的には、公にすることにより、給油活動に反対の御意見を有される方によります当該法人を標的とした妨害活動、これが誘発されることがあるということでございます。それはおそれでございますが、おそれはございます。あるいは、イスラム、アラブ系のお客様に対する営業活動に支障を生ぜしめる可能性があるということでございます。そして、ひいては、私ども自衛隊によりますこのような活動の円滑な遂行を妨げるおそれがあることから、この社名についてのお答えは控えさせていただいておるところでございます。

 既に委員御案内のことかと思いますが、平成十五年九月十六日、東京地裁の判決がございます。行政文書一部不開示処分取り消し請求事件というものでございますが、そこにおきましてもこのような考え方が認められておるということは、既に御高承のとおりでございます。

武正委員 そこで、私どもは、今御答弁がありましたけれども、開示しても、それぞれの会社あるいはまた給油、こうしたものに対して不利益なりあるいは何か不祥事、問題があるということは阻却できるということで求めているという立場でございます。

 そこで、お手元には、続いて十二ページ、十三ページをごらんいただきたいんですが、先ほど原口委員がお配りをした「ときわ」の航海日誌、これは二月二十五日のものでございます。それで、部門会議でこの「ときわ」の航海日誌をあるというふうに言われたのは先週の金曜日でございまして、この週末を越えてその「ときわ」の航海日誌の提出を求めてまいりました。

 そうしますと、これはなかなか時間がかかる、提出できない、こういうやりとりが続いておりますが、当予算委員会の理事会でも、平成十四年度から十八年度、まずこの五年間の「ときわ」の航海日誌を理事会でも求めさせていただいております。私は、やはり全契約書も出していただいておりますので、この「ときわ」の航海日誌五年分を求めたいというふうに思っております。これはもう理事会で既に求めている件でございます。

 その中で昨日御提出をいただいたのが、二月八日から九日の二日間に限って提出をいただきましたのが十三ページでございます。これが十三ページで、二月八日分でございます。二月八日分で、〇六四五、入港準備作業にかかる、〇六五五、入港用意、そして〇八二八、主燃料搭載開始ということで、一二〇三、主燃料を三千四百六十五キロリットル搭載をしたという、これが航泊日誌でございます。

 その前のページに、御提出をいただいた全契約ということで、A社、B社と、会社名は書いていないんですが、十四年の末から十五年の三月までの契約、それから変更契約、これを一覧表にまとめました。残念ながら、変更契約の方には、金額は書いておりますが、その数量などが書いておりません。これは、一部仕様書には書いておりましたので、多分、この変更契約の数量なども、仕様書など別途資料があるんだというふうに思っておりますので、こうした契約も改めてすべて御提出をいただきたいというふうに思っております。

 これも理事会でお取り計らいをお願いしたいと思います。

逢沢委員長 理事会で協議いたします。

武正委員 そこで、二月の八日という日付がここの契約のところにはないわけなんですね。これは、そうすると、この三千四百五十六キロリットルのものを積んだ契約というものはいつの契約なのか。これは、では、契約の日時と実際に契約を履行した日というものは異なるということで理解をしていいのかどうか。この点、防衛大臣、いかがでしょうか。

石破国務大臣 これは、契約の通例といたしまして、契約締結日とその履行日というのが異なるということは、通常あり得ることだと承知をいたしております。

武正委員 通常あるということですが、このA社、B社の契約についてはどうなのか。随意契約でこの二社しかないということで御説明をいただきました。そして、この二社が全部の油を、交互というか、供給をしているわけなんですね。この契約に限ってそういう契約をしているんでしょうか。履行日と契約日が違うということがあるということでよろしいですか。

石破国務大臣 これは、突然のお尋ねでございますので手元に資料がございません。通例、商売の通例として申し上げました。履行日が違うことはあり得ると存じますが、調べましてお答えを申し上げます。

武正委員 二月八日の三千四百五十六キロリットルということでありますので、もしそれに該当するとすれば、上から六段目の二月十八日の変更契約でそれぞれ増額をしているわけなんですね。これがその増額分としてこの三千四百五十六キロリットルに当たるのか、こういうことなのかなというふうに推量するわけですが、今、防衛大臣の方も詳細を調べるというふうに言っておりますので、やはり具体的な数量などもわかりませんし、先ほど言ったように、契約書にも不備というか、すべてがそろっているわけでもありません。また、航泊日誌も、今言ったように、二月八日、九日分しか提出いただけませんでした。

 ぜひ私は、やはりA社、B社の名前も含めて、その航泊日誌、すべてもう御用意いただいているようですので、速やかに委員会に御提出をいただきたいということをお願いしたいと思います。

石破国務大臣 理事会の御決定に基づきまして、私どもとして出せるものは出させていただきたいと思います。

 ただ、先ほども地裁の判決を申し上げましたが、やはり出せないものは出せないというものがございまして、これは、裁判所でそのように決まりましたもの、私どもが被告となりましたものでございますが、やはりそういうものについては出せないものはあります。その点はどうか御了解をいただきたいと思います。

 また、委員会、理事会の御決定に従いまして私ども最大限努力をいたしますが、なろうことでありますならば、どのような問題意識をお持ちであるか、そういうことをお教えをいただきますと、それに合わせて私ども適切な資料というものを整えさせていただくことができますので、御高配賜れば幸いです。

武正委員 私どもは位置情報も含めてその開示を求めているわけですが、それは出していただけないということなので、まずは、提出いただいたその全契約書と航泊日誌の照会、照らし合わせをしたい、これが目的でありますので、よろしくお願いいたします。

 そこで、質問、もとに戻りますが、まず総理の方にお伺いをしたいと思いますが、昨日、前原委員の方からも、企画競争、公募についてということで質問がございました。

 お手元資料一ページ目をごらんいただきたいと思いますが、これは、平成十八年の公共調達の適正化に基づいて政府が今随意契約の見直しを十七年度ベースでこのようにできるんだと示して、それぞれ各省各庁に随契見直しを求めているもとになる表でございます。ここでいきますと、随契三兆九千億弱は合わせて一兆二千四百億、三分の一に縮まる、こういうような計画で、それぞれ各省各庁は随契見直しを進めておられます。ただ、昨日話が出た企画競争、公募、これも一兆三千三百億ございます。

 私、この後、独立行政法人について話を進めますが、独法でも随意契約の資料を予備的調査の中で出していただきました。農水省、最初出てきた資料では約四割という随契率でありましたが、よく見ると、公募とかあるいは補助金とかそういう記載がありましたので、もう一度出し直し、やり直しを求めまして、これが七割から八割という随契比率になってまた戻ってきました。

 そういった意味では、今これで各省各庁進めておりますが、私はやはり、この企画競争、公募、これももう一回見直すということを、来月にもまた財務省が中心になって関係各省連絡会議も行うようでありますので、やはりここは、昨日もお話が出ておりますが、企画競争、公募についても見直すということで、この随意契約の見直しについて特段の見直しをかけていただくということをお願いしたいと思いますが、総理、いかがでしょうか。

福田内閣総理大臣 随意契約につきましては、昨年の二月以来、各府省において作業を進めております。その見直しに当たっては、従来随意契約を行ってきたものについて一般競争入札または企画競争もしくは公募を行うということによりまして、競争性と透明性を担保するということにいたしております。

 各省庁におきまして、透明性を高め、そして適正化を図るという見直しの趣旨に沿って、随意契約の見直し、鋭意進めてまいります。

武正委員 これまで進めてきた計画では、この企画競争、公募というところが、これは競争性があるんだということで政府が進めてきました。昨日来のやりとりも含めて、もう随契の一種というようなことになってきましたので、やはりこれも随意契約の見直しの対象としてお取り組みをいただきたいということをお願いしたいと思います。

 そこで、独立行政法人の随意契約の見直しでありますが、これもお取り組みをいただいているようですが、十八年五月の公共調達のこのやり方で見直しをされているようですので、独立行政法人もあわせてこの企画競争、公募も見直すんだということで、総務大臣、よろしいでしょうか。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 独立行政法人でありますが、今お話にございましたとおり、この随意契約の見直しをするということで今その計画を策定しているところでございます。

 そして、やはり競争性と透明性を確保することが重要である、こういう考え方に立っておりますので、今お話しありました企画競争を行う場合にも、特定の者が有利になることがないように、その公募それから審査に当たって、今私が申し上げましたような、競争性、透明性を確保するということで考えていきたいと思っております。

武正委員 いや、企画競争、公募は随意契約の一種というようなことで、やはりこの企画競争、公募というのは中途半端なんですね。ですからここも、これまでの方針、公共調達の適正化では企画競争、公募は競争性があるんだということでくくっていましたけれども、これもやはり随契になるおそれがあるんだということで、見直しのそのポイント、基準を変えていただいたらどうかということなんですね。

 財務大臣、聞いておられますが、この所管をされていると思うんですね、全体の公共調達の適正化について。どうですか、この企画競争、公募も競争性があるとは必ずしも言えないので、随契の見直しでは、一般競争かそうじゃないかということで、指名競争があれば別ですけれども、くくっている一般競争か指名か随契かということで、この企画競争、公募についてのくくり方をはっきりさせるということで随契の見直しの観点で臨むことはできないでしょうか。いかがでしょうか。

額賀国務大臣 今おっしゃるように、公募は、特殊な技術とか設備等が不可欠であるとして発注者側の判断で特定の者と契約しているようなものについて、当該技術または設備等を有している者がほかにいる場合がないとは言い切れない、そういうときに、公正性、透明性を確保するために、必要な技術、設備等を明示した上で参加者を募るわけでありますけれども、きのう議論がありましたように、さまざまな条件を突きつけて実際に競争が行われていないということも明らかになっておったわけでありますから、さらに今後見直していく上で、透明性で競争が行われるような形を考えていかなければならない、そういうふうに思います。

武正委員 来月にもそうした関係省庁連絡会議を予定しているようですので、そうした点で見直しを進めていただきたいというふうにお願いしたいと思います。

 次に、独立行政法人制度に移らせていただきますが、お手元の資料の二ページ目をごらんいただきたいと思います。

 総理は、官房長官時代に独立行政法人化を進めてこられました。平成十三年四月、五十七法人、十四年、二法人、十五年、三十八法人、十六年、十四法人ですから、百法人、ほとんど総理の官房長官時代に独法化を果たしていきましたので、この独立行政法人化を進めてこられたというふうに拝察をいたします。

 ただ、私が見ますと、この二ページに書いてありますように、公務員の数は確かに、平成十三年一月、八十四万人が十五年の三月、六十万人、それから、これは新たな定数の数に入っている公務員でありますが、平成十七年三月、三十三万人ということで減ってきました。ただ、いわゆる独法についての公務員、そしてまた郵政公社の公務員、こういったものはその定数の枠外になっているわけでありますし、また、この後触れる運営費交付金ということで、非公務員型の独立行政法人もその給与は税金からあるいは特別会計から流れているということで、公務員の数は減ってきたものの、やはりその給与というものは、今度の年金機構の特殊法人と同じように、税金から出てくる。こういったことが見せかけの官から民ではないのか、こういうことを指摘してまいったわけでございます。

 三ページ目をごらんいただくように、国から独立行政法人へ交付される補助金はまた平成十九年度ではね上がって、三兆五千億ということでございます。

 独立行政法人化、官から民へだ、それから、公務員型は今や百一のうち八つだ、九十三は非公務員型だ、このように政府、内閣は胸を張るのかもしれませんけれども、やはり、この独立行政法人制度というものが当初予定していたものとかけ離れた存在、制度になっているのではないのかというふうに思うわけですが、まず、この独法化を進めてこられた、官房長官としてその先頭に立っておられました総理に、独立行政法人制度についての今の考え方、見方、これをお聞かせいただきたいと思います。

福田内閣総理大臣 独立行政法人の見直しにつきましては、これは、その原点に立ち返った徹底的な見直しを行うということで進めてまいりました。本年内を目途にして、独立行政法人整理合理化計画を策定するということになっております。

 その策定に当たりましては、国民の立場に立った成果を上げるよう、事務事業の必要性、組織のあり方、さらには運営の効率化、自律化ということを検討してまいりたいと思っております。

武正委員 独法化を進めてきた官房長官として、百の独法化を進めてこられたわけですが、今、それこそ平成十三年四月一日の第一次の独法、かなり研究所が中心でしたけれども、それ以来六年を経過して、今、この独立行政法人制度というものが当初予期した効果を上げているというふうにお考えなのか、あるいは、逆に効果を上げていない、あるいは、ちょっと当初の予定と違っていたなというところがあるとすればどういうところなのか、お聞かせをいただければと思います。

福田内閣総理大臣 それは、その趣旨に沿って相当程度の成果を上げつつあるというように思います。

 ですから、そういう方向性ということについては、これは今の方向性を維持していくということでいいのだというふうに思いますけれども、一方、例えば、先ほど御指摘がありました、何ですか、事業費的な、独法に対する政府からの資金……(武正委員「交付金です」と呼ぶ)交付金ですね、そういうものについて、これが、ただ削るということだけでいいかどうかという問題もあるので、それはやはり、独立行政法人のその趣旨、性格、目的等を考えて適切な対応をしていくということが必要なのではないかと思っております。

武正委員 運営費交付金については問題意識を持っておられるということが確認できました。

 独立行政法人、イギリスのエージェンシーを参考にした制度ということでありまして、本来政府でやらなければならないけれども、民間のさまざまな知恵やアイデアをうまく駆使しながら政府の若干枠外でできるのではないのかということでスタートをしているという制度でありますし、また、それゆえに、トップに民間人、これを活用するということでイギリスなどでもスタートをしてきて成果を上げているわけですが、残念ながら日本の独立行政法人のトップは、平成十八年四月一日現在、私のカウントでありますが、七七%がいわゆる中央省庁の天下りでございます。役員の八割、これは、中央省庁が五割、そして独法、公益法人三割、合計八割がやはりいわゆる天下りでございまして、これはどうも、官から民へとか、民間の知恵をとか、あるいは、民間のそうした知見を持った方のリーダーシップをということとおよそちょっと違うような歩みをしているのではないのかというふうに思うわけでございます。

 そこで次に、資産の運用、評価についてということで話を進めてみたいと思うんですが、厚労大臣、厚生労働省はたくさんの独立行政法人がございますが、その中で、ここに書いたような高齢・障害者雇用支援機構、雇用・能力開発機構について伺いたいと思います。

 高齢・障害者雇用支援機構では、障害者の方の雇用の率を上げるために、今、目標が一・八ですかね、それが今のところ一・五二ですか、ということで乖離があるので、何とかそれを上げるためにそうした事業を行っているというふうに聞いております。そして、目標を達成できない場合は納付金を企業には払ってもらうという制度を運営している独立行政法人ということであります。

 昨年の行革特でも指摘をしたんですが、それぞれの各県の雇用開発協会などとの随意契約、そしてまた、その雇用開発協会がそれぞれの企業から納付金を集める、そしてその納付金が独法の方に上がってくる。その納付金を、独立行政法人、これはやはり余裕金があったらちゃんと運用しなさい、あるいは、本来は国に返しなさい、こういったところの中で金銭信託二百億円をしているということなものですから、障害者の雇用の率を上げようという独立行政法人が、企業からある面ペナルティーで集めた未達成ゆえの納付金を金銭信託で運用しているというのは、本当にそれは高齢・障害者雇用支援機構のその趣旨に合うんだろうか、当時、こういうやりとりを川崎大臣ともさせていただきました。

 しかし、残念ながら、今もこの二百億円の金銭信託は、二十億の国債を、十年物ですか、十分割で三井アセットマネジメントで運用をお願いしている、年間八百万円ぐらいの運用のその手数料も報酬として払っているというふうに伺いまして、そうしたことが果たして先ほど言いました独立行政法人の趣旨からいっても合うのかなということを思うんですが、まずこの一点。

 それから、今お手元の四ページをごらんをいただきたいんですが、これは、雇用・能力開発機構の前身である雇用促進事業団時代に勤労者福祉施設の売却を進めました。この中には、中野サンプラザですか、あれが一番高く売れたそうですけれども、そうしたものも含めて、ここには譲渡価格が書いてあるんでしょうか、あるいは、どちらかの体育館が千五十円で売られたとか、そういったことも含めてなんです。これは独法になる前なんですけれども、今も、独法になってからも施設の売却を進めておりまして、一例ですけれども、除売却損がここは三千二百八十一億円出ているわけですね、雇用促進事業団時代でありますが、前身ですけれども。こうした資産の売却に伴って売却損が出てくる。これはやはり、国の資産、あるいは国の資産が独法化されて独法の資産にはなっておりますが、そうしたものに損害を与えているのではないのかというふうに思うんです。

 まず一つは、高齢・障害者雇用支援機構が金銭信託を続けているのは、果たしてこの機構の設立趣旨からいってどうなのか。それから、こういうような除売却損がまず前身の事業団で出たこと、あるいは今も、これからもそうですが、独法がたくさん資産売却をされようとしておりますが、そのときに売却損というものが発生するというのはいかがなものかと思うのですが、以上二点について大臣の御所見を伺いたいと思います。

舛添国務大臣 二つございました。

 最初の高齢・障害者雇用支援機構なんですけれども、これはもう先生御指摘のように、ペナルティー的に、きちんと障害者を雇わない企業からペナルティーをとって、そしてきちんとやっていられるところにむしろお渡ししたり、いろいろ高齢・障害者の雇用を促進するために使うというのが本来の目的であって、今、幸い、だんだんそのペナルティーを科さないでいい企業がふえている。つまり、みんな大きな企業は、なるべく障害者、高齢者を雇用しようということでやっております。

 そうするとこれ、趣旨から見ると変なことなんですけれども、だんだんペナルティーをとってこれなくなってきているということで、そういう意味で、目的からいうと、目的が達成していくとだんだん減ってくる、上納金というかお金が減ってくるわけです。そういうこともありまして、今、平成十八年度末現在で引当金の額が四百三十五億円となっていまして、先生御指摘のように、二百億円を金銭信託、残りを預金により運用している。ですから、こういうことがいいのかどうなのか。

 ただ、今趣旨から申し上げますと、これをプールして、だんだん、恐らくこの機構の目的が達成されればファンドが少なくなるだろう、そういう意味でとってあるというふうに御理解をいただければと思いますけれども、こういうものに使うか、それとも、さらにこれを活用して今言った雇用を促進するためにやるか、このバランスはやはりもう少し検討すべきだというふうに思います。

 それから、もう一つの施設の話ですけれども、これはもう国会挙げて、例えばスパウザ小田原なんていうのをみんなで視察に行って、いかに無駄であるかということを明らかにしてきたわけですけれども、基本的に、こういう施設の土地については、地方自治体が持っていらっしゃるところに上物を建てた。これは本当に売却損というのは、これだけ国民のお金を無駄にしていいのかなと、私ももうずっと前からそういうことは指摘申し上げておりました。

 ただ、いざ売ろうというときになりますと、その建物を維持しないといけないですから、買う方から見ると、光熱費はかかるわ人件費はかかるわ、そうすると、やはり安くたたいちゃうんですね。だから、買う方から見て非常に安い値段でしか売れないというのが今の状況であって、ただ、ありていに言えば、そういう施設をずっと持っていてそのランニングコストまでまた持つことになれば、さらに御負担をおかけするというようなこともございます。

 ただ、これは非常に私も心を痛めている問題でありまして、何とかいい改善の方向がないかということで問題意識は先生と共有しておりますので、努力して、いい方向を探りたいと思っています。

武正委員 高齢・障害者支援機構については、特に障害者の方の就職の率、就業の率を上げていくということがうまくいっているんだ、これは非常にいいことだというふうに思いますし、そうだとすると、ある面、もしかしたら高齢・障害者支援機構がそのことを担当する役割をそろそろ終えてきたのかな、あるいは、もしかしたら、これはもうそれこそ厚生労働省が直接やればいい障害者支援という事業なのかもしれないということだというふうに思います。

 そこで、もう既に独立行政法人を国に戻した総務省に伺いたいと思うんです。次、五ページ。総務大臣、この消防研究所の財務諸表、昨年三月三十一日現在のものをお配りさせていただきました。この日をもって独立行政法人消防研究所は、国に、総務省に戻ったということだと思います。

 ここで一例を挙げますと、建物が五十五億、土地が八十二億という帳簿での処理になっておりますが、実際、これが総務省の方に戻ったときには幾らになったのか、それから、土地建物でありますが、そのときにはきちっと不動産鑑定のやり直しをしたのかどうか、お答えいただけますでしょうか。

増田国務大臣 まず、これが、独法の消防研究所から国の方に戻りましたのが十八年の四月一日でございます。そのときの土地の金額でございますけれども、六十二億四百万ということで、独法時代の貸借対照表上は今お話がございました八十二億九千万でございましたが、それが六十二億、こういうことでございます。

 それから、鑑定評価をとったのかどうかというお尋ねでございますが、事実だけ申し上げますと、これについては、鑑定評価をとるということではなくて、国有財産法の方に規定がございまして、その施行令に基づきまして、いわゆる相続税評価方式、路線価でございますけれども、この評価方式に基づきまして資産を評価して、そして国有財産台帳の方に登録した、こういうことでございます。

武正委員 ここの建物の五十五億が実際は三十四億、それから、土地については八十二億が実際は六十二億ということで、その百三十七億引く九十六億で四十一億の減資ということで国に戻ったということでございます。戻るときは、もう今度は国有財産台帳については時価で書きなさい、これは財務省が指示をしておりますので、時価で台帳の方に載ったということでありますが、独法から今度また国に戻ったときに減資になっております。

 これは、過日、会計検査院が二十五の独法を調べました。今年度見直しを迎える独立行政法人、二十五は国の出資が二分の一以上のものでありまして、この中で、政府出資金が償却されたものが五兆四千七百五十億、独法化に伴うものが五兆四千六百七十九億円、独立行政法人化に伴って、あるいはその後、減資が続いているということでありまして、これは、国の資産が減資をしているというのはゆゆしいことでありまして、やはりなぜなのかといったところはきちっと解明をする必要があるというふうに思っております。

 この独法についても、もう国有財産ではありませんので財務省の手を離れております。独法の所有ということで、所管省庁の長に、その売却のときのさまざまな権限、こういったものがゆだねられているんですけれども、財務大臣、どうでしょうか、資産の運用、評価ということで、国有財産の管理について財務省が、普通財産、行政財産ですか、売却のときは普通財産ということで一回財務省の方に戻してもらって売却をするような仕組みなんですけれども、こうした独法なんかはその枠外になっているものですから、ここでの資産の売却、これについてやはりある面きちっとコントロールをかけていかないと、独法は非常に自由なんですね。さっき言ったように、資産の運用とかいろいろなお金の運用なんかもかなり自由にできるということなんですけれども、果たしてそれが本当に、当初の官から民へということでの、民間のさまざまな知恵や力を使って運営をすると言いながら、実はトップとか役員は天下りであって、そして、そうした資産やお金が食いつぶされているんではないのかというような疑いが出るわけなんです。

 この点について、財務省、国として、こうした資産、売却を進めているのはわかるんですが、安く売却されても、これは国民の共有の財産ですので不利益を国民に与えることになりますので、何かしらやはり見直しが必要なのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

額賀国務大臣 国有財産につきましては、国有財産法第三十三条及び第三十四条の規定によりまして、毎会計年度間の増減及び毎会計年度末現在額について、各省各庁の長から国有財産増減及び現在額報告書の提出を受けまして、これに基づいて、財務省において国有財産増減及び現在額総計算書というものを作成しているわけであります。

 この計算書は、閣議決定を経て内閣より会計検査院に送付をし、検査を受けた後、国会に報告しております。その内容はホームページ等にも公表しているわけでございます。これについての公表は国有財産に関するものでありますから、独立行政法人の保有に関する財産には適用されないわけであります。

 そこで、独立行政法人は、独立行政法人通則法の規定に基づいて貸借対照表等の財務諸表を作成して、主務大臣の了承を受けた上で公表をしているというふうに承知をしております。そういう中で国民の皆様方に明らかにしていくことが大事であるというふうに思います。

武正委員 先ほど総務大臣から、鑑定はしていないという話だったんですね。私は、独法が統合したときとか、このように独法がまた国に戻るときとか、節目節目ですから、やはり不動産鑑定をきちっとやるべきだというふうに思うんですが、その点はどうでしょうか、財務大臣。

額賀国務大臣 この点については、これまでのケースとか、それから、国民の理解をどういうふうに受けていくかということについて客観的なそういう基準があるのかどうか、そういうことも含めてちょっと研究をしてみたいと思います。

武正委員 総理、どうでしょうか。国の財産を今政府は、前内閣ですか、まず十二兆円売るんだ、こういう号令で官舎とか国有地とかその売却計画を一生懸命立てておられますが、この売却が、例えば随意契約だとかあるいは価格として安かったりとかということ、すなわちイコール、国民の財産、これに損害を与えることになりますので、私は、やはりこの国有財産の売却も含めて、あるいは、今のように独法のようになってきますと、今度は財務省の手を離れてしまって、それぞれの各省各庁の長、あるいは、中期計画があれば、それも各省各庁の長の手も離れるというようなことで、国有財産がどんどん手を離れていって、そこでどんどんまたもしかしたら安く売却をされるということもありますので、政府が進めておられる今のこの国有財産の売却ということで、独法も含めて、やはりきちっとした基準あるいは不動産の再鑑定の徹底とか、これが必要だと思うんですが、いかがでしょうか。

福田内閣総理大臣 独立行政法人の資産の運用また適正な評価、これはもう大事なことでございます。そしてまた、国有財産の売却等において適正に行われる、当然のことだと思っております。

額賀国務大臣 国有財産の処分については、財政法九条によって、「適正な対価なくしてこれを譲渡し若しくは貸し付けてはならない。」とされておりますから、国有財産を一般競争入札により売却する場合においては、国が定めた予定価格を上回る最高の価格をもって申し込みをした者を契約の相手方としている。また、公園とか学校施設、敷地などの公用、公共用等の用途に供するものとしては、地方公共団体等に対して随意契約するものについても、不動産鑑定士の鑑定評価等をもとに算定した評価によることを原則にしているということでございます。

 そこで、国有財産の売却ルールは国有財産に関するものであり、独立行政法人の保有する財産には適用されないわけであります。それで、独立行政法人通則法においては、独立行政法人は、保有財産の処分等会計に関する事項について、主務大臣のもと、みずからの規程を定めることとされておりますので、主務大臣が適切に処理をされるということを期待しております。

武正委員 期待じゃだめなんですよ。さっき言ったように、主務大臣であっても、消防研究所が主務大臣もかわられてきょうお聞きしているわけですが、今伺ったように、戻っているときには鑑定もせずに消防研究所は戻ってきておりますし、中期計画をつくっている分にはその主務大臣のチェックも働かない、事後報告というようなことで済まされてしまう。また、先ほどは、国有財産の売却については一般競争入札と言われましたが、大手町のあの合同庁舎の跡地ですか、あれはURに、これは随意契約ですよね、随意契約で販売されましたよね。

 ですから、そういったことで、国有財産の管理とか運営とか売却とか、これを本当にきちっとやってもらわないと、まだまだ現内閣も財政再建についての方向性は出せないようでありますが、この一千兆円を超える国の借金、これをどうやって返すかといったときに、いざ財政再建をやろうといったときに、国の資産がみんな手の届かないところに行かないようにしなきゃいけないという意味で私は先ほど来申しているわけでございます。

 時間も限られておりますので、行革大臣、よろしいですか。独法の見直し、合理化計画、年内にということでございますが、どうも各省各庁からのゼロ回答、ゼロ回答という報道が並んでいるようであります。今たしか大臣も、各省各庁、ヒアリングもしているようでありますが、今の進捗状況、独法の見直し、これが年内にきちっと発表できるのかどうか、福田内閣としてのそうした担当大臣、まずお答えをいただけますでしょうか。

渡辺国務大臣 現在、鋭意進めておるところであります。

 御指摘のように、各省から出てまいりました案は、残念ながら、私どもにとっては極めて不十分と言わざるを得ません。そこで、二回ほどやりとりをいたしました。今現在は、個別の項目について、さらに紙ベースでのやりとり、それから、行政減量・効率化会議で個別のヒアリングを先月から開始いたしております。それに加えて、国民の皆さんから御提言をいただこうという試みもこのたび始めることにいたしました。

 ぜひ、民主党におかれましても、前向きの御提案をいただけると大変にありがたいと感じております。

武正委員 民主党は、今国会に法案も提出しようということで今準備をしているところでございます。

 政府の独立行政法人の見直し、今、新聞などでは、造幣局とか印刷局とか名前が個別に出てきたりはしておりますが、でも、報道ですけれども、何かそれを見ていると、国からのお金が、さっき言った運営費交付金がないから、あるいは一割、二割だからこれは民営化していいんじゃないかとか廃止していいんじゃないかとか、非常に何か安易な感じがするんですね。

 もともと、独立行政法人というのは何なのか。国でできないけれども、民間の知見を使ってやらなきゃいけないという制度だったのに、いつの間にか、公務員の数だけ、それも額面上だけ減らすために使われたり、今のように、何とか民営化、廃止しなきゃいけないという中で、では、国からの関与が少ないところは民営化できるんじゃないかみたいな、非常に何か本来の趣旨から外れた、隘路に入っているように見えてならないわけです。

 ですから私は、やはりこの独立行政法人制度、第一次、第二次と、ちょうど中期計画も終わっていますので、いま一度検証をする必要があるのではないかなというふうに思いますが、年内に独立行政法人の合理化計画をまとめるという中で、福田内閣としてはどのようにこの独立行政法人制度を改めて見直していくのか、総理の御所見を伺います。

福田内閣総理大臣 独立行政法人のしている業務が真に国民のため、国のために必要なものかどうか、それをよく吟味した上で、この独立行政法人化を進めることによって行政改革全般を進めてまいりたいと思います。

武正委員 私は、独立行政法人制度が本来の趣旨を果たし切れていない、やはりこの制度そのものの見直しを今行うべき時期であって、それが、国有財産の売却だ、あるいは民営化だ、政府、財務省、あるいは国会の手の届かないところに国有財産などがどんどん追いやられていって、そこで勝手に売却されたらたまったものじゃないという今タイミングだからこそお願いをしているのでございます。

 そこで次に移らせていただきますが、人事院総裁、おいでいただいておりますが、ありがとうございます。

 お手元に、懲戒の「事由別・種類別処分数」、七ページにお示しをさせていただきました。三千六百九十件、平成十八年度でありましょうか。ただ、先ほど来話を進めておりますのは、随意契約とか国有財産の売却とか、こうしたもので国あるいは公的セクターに損害を与えているおそれがある、こういった人たちが懲戒の事由として処分されているのかどうかということを伺いたいわけであります。

 随意契約とか談合とか、あるいはそうした財産の売却とか、こうしたもので本来はもっと得られる収入が得られない、あるいは競争が働かないことによって高い価格で契約をする。もちろん、談合というのは談合罪というのがありますが、その談合罪の対象にならないところもさまざまある。こういったところが懲戒事由として今処分をされているのかどうか、あるいは懲戒事由のこの中でいうとどこに当たるのか、御説明をいただけますでしょうか。

谷政府特別補佐人 ただいまお示しいただきました資料、これは、十八年度に執行されました処分を適宜分類いたしましたものでございますので、この中に談合の事案が入っておるかどうかは今ちょっとここで御答弁申し上げることはできませんが、基本的に申しますと、国家公務員法の八十二条一項におきましては、職員に対して懲戒処分を行うことができる事由といたしまして、国家公務員法、国家公務員倫理法あるいはこれらに基づく命令に違反した場合、それから、「職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合」、「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合」の三つを掲げております。

 御指摘の談合行為などは、入札制度の意義あるいは競争の意義を失わせるものでございますので、本来の任務を怠り、あるいはこれを妨害する行為とも言えるわけでございまして、そういう意味で、国家公務員法の八十二条、ただいま申し上げましたこの二号の「職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合」に該当するものと考えております。

 例としてはこれまでそれほど多くはないわけでございますが、ただいま私が把握いたしておりますものといたしましては、本年六月、官製談合に関与した職員に対し懲戒処分が、いわゆる水門設備工事にかかわる談合でございますが、そういう事例があることを承知いたしております。

武正委員 今、厚労大臣が盛んにテレビで地方公務員の告発を社保庁としてやるというふうに言っておられますが、懲戒あるいは告発というようなこと、消えた年金記録、着服について今取り上げられているわけですが、国に損害を与えたことについてやはり厳しく問うていくということが必要だと思います。

 お手元八ページにありますように、民主党はこれまで民主党提出の官製談合防止法の中で、予算執行職員等の責任に関する法律の一部改正、地方自治法の一部改正で、それぞれ国家公務員、地方公務員が、今は故意及び重大な過失でなければ損害賠償請求の対象にならないんですけれども、これはもう民間でいえば、やはり故意及び過失でちゃんと損害賠償請求の対象になると。民間の方によく言われますよ、なぜ懲戒が少ないんですか、あるいは、談合とか随意契約とか、それから資産の売却がちゃんと適正な額で売却していないのになぜだれも責任とらないんですかと。スパウザも含めて、ああいう事業団のあれでだれか責任をとったんでしょうか。とっていないですよね。

 こういうところをやはり変えていかなきゃいけないというので民主党はこういう法案を提出しているんですが、総理、こういう法案を提出されたら、今度はどうでしょうか、よしやろう、一緒にやろうということで言っていただけますでしょうか。公務員の責任をきちっと適正にやるという法律であります。

町村国務大臣 公務員の損害賠償責任の厳格化というお話でございます。

 これは、国家賠償法というのがもう既に存在をしておりまして、これで、国または公共団体が公務員に対して求償権を有するのは、公務員に故意または重過失、重大な過失がある場合と。この重大を取り除いて過失がある場合というふうにしてはどうかという御提案かとこう思っておりますが、私どもは、この国家賠償法との整合性というものをやはり考えなければならない。もとより談合というのは、官製談合防止法ということで新たな法律を、四、五年前ですか、つくりましてこれでやっているわけでございますから、当然、これについても故意または重過失ということになっているわけでございます。

 過失、平たく言うと、うっかりしたとか、こういうことになるわけでしょう。そうすると、うっかりしたものまで罰則がかかるということになりますと、これは、もちろんうっかりというのはいけないわけでありますけれども、しかし、いろいろな仕事をしている中でついうっかりしてしまう、こういう失敗をしてしまった、直ちにこれに刑罰がかかるというのは、やはり、公務員がミスなく仕事をするというのは重要なことですけれども、とにかくミスのないことばかりに心がけてしまって、本来公務員として果たすべき仕事が十分に行えなくなるのではないだろうか。そんな話を実はあの官製談合防止法のとき私も当事者の一人としてかかわっておりまして、随分そんな議論を当時もしたものでございました。

 そういう意味で、重過失を過失に変えるという提案は、率直に言っていかがなものかと私は思っております。

武正委員 うっかりというミスではないという意味での過失ということでありまして、これは、ほかにも故意及び過失という法案、条文がたくさんあるということを申し述べておきます。

 最後になりますが、今回、参議院選挙で投票入場券の発送がおくれたとか、それから一番最後にありますが、投票所の閉鎖時間の繰り上げとか問題点が多く起こったんですが、特に最後一問、伺わせていただきたいんです。

 公示の日に総務省は放送局の役員を総務省に呼びつけて、いわゆる当落の誤報がないように、これまで文書で送っていたものを公示の日に呼びつけた、こういったことをやったわけですが、その事実関係、前回の衆議院選挙、参議院選挙と比べて、今まではほとんどやっていなかったわけですが、その呼びつけた理由、何件呼びつけたのか、あるいは手渡ししたのか、それから、その結果、では、参議院選挙で当落の誤報は何件だったのか、これを総務大臣にお答えをいただきたいと思います。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 まず事実関係から申し上げますと、七月十二日の公示の日でございますが、放送事業者に対しまして、誤報のないようにというようなことで申し入れをしているわけでありますが、手交した事業者が百六十五社、それから郵送した事業者が三百六十七社、計、要請を行った相手先五百三十二社でございます。

 このことにつきましては、過去、衆議院の総選挙、参議院の通常選挙、九回にわたりまして放送事業者に対して同じような要請をしているという事実関係がございました。

 今回、従来との違いは、それまでは郵送がほとんどであったわけでございますが、今回は各地域の放送局の方に来てもらって、それで手交した、ここの部分が異なる部分でございます。

 それにつきましては、背景として、今回の前の国政選挙が平成十七年九月のいわゆる郵政選挙でございますけれども、そのときに誤報という件数が二十三件ございました。そして、さらに一年前の参議院選挙、さらにはそのもう一年前の十五年十一月の衆議院の総選挙、この際にはいずれも一件あるいは二件という、その前もそうでございますが、そのレベルで非常に正確性を期した報道であったのですが、十七年九月のいわゆる郵政選挙の際には、十倍以上、一挙に二十三件ということがございましたので、ことしの参議院の通常選挙では、相手方に確実に伝わるようにということで、特に放送局の皆さん方に通信局の方などに来ていただいて手交する、こういう方法を交えた。もちろん、郵送で従来どおり行ったものも多数ございますが、確実に伝わるということでそういう要請を行ったものでございます。

武正委員 結果、誤報は一件ということでありますが、放送の独立性、中立性、これをやはり担保するというのが放送法の趣旨でありますので、その許認可権を持つ総務省が、事もあろうに、参議院選挙の公示の日に全放送局の役員に対して招集をかける、こういったことは放送の独立性を阻害するおそれがあるということで、やはり通常どおり郵送で次回以降やっていただくことをお願いして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

逢沢委員長 これにて武正君の質疑は終了いたしました。

 次に、山井和則君。

山井委員 これから一時間にわたって質問をさせていただきます。消えた年金、障害者自立支援法、肝炎対策の三つについて主に質問をさせていただきます。

 まず最初に、何よりも参議院選挙というものを、消えた年金問題については総括せねばならないと思います。どういう約束、どういう公約を自民党が国民の方々にして票を集められたのか、この事実は確認をしておかねばならないと思っております。

 そこで、自民党のホームページ、そしてこのビラ、これをお手元にお配りさせていただきました。皆さんも、特に自民党の方々は、ああ、このチラシ、地元で配ったとかホームページにあったなと、懐かしい内容ではないかと思っております。

 「ご安心ください!! あなたの年金は大丈夫です!!」一つずつ言いませんので、特に私が気になるところを言います。

 「政府・与党は今後一年間で全ての統合を完了させます。」と、このグラフの上に書いてありますが、これは、質問主意書でも、このようなことは不可能ですということは内閣が答弁をしております。

 また、右下の「これで大丈夫! ポイント三」、第三者委員会では「国民の立場に立って積極的に年金受給権を認めます。」こう書いてございます。

 確かに、振り返ってみれば、選挙戦が始まったころに第三者委員会が華々しくスタートし、証拠がなくても救済しますといって、救済された方がテレビのニュースで流れ、涙を流して喜んでおられるというシーンも私はテレビで見ました。舛添大臣もうなずいておられますね。そして、第三者委員会に行けば今まで救済されなかった人もきっと救ってもらえるんだという期待が選挙期間高まって、多くの自民党候補者も、第三者委員会をつくりましたから、こうおっしゃったんではないかと思います。舛添大臣もうなずいておられます。

 ところが、例えば新聞報道一つ見ておりますと、「消えた年金 救済一% 二カ月半で百九十人」。つまり、一万九千人の方が申請をされて、答えが出ているのは一%余り。九九%、ほとんどの人は、結果も出ないどころか、民主党にも、第三者委員会に申請したけれども、社会保険事務所の人や第三者委員会の人に聞いても、いつ結果が出るんですかと言っても、わかりません、わかりません。それどころか、証拠を出してください、証拠を出してもらえないと判断ができませんと。どこかで聞いたせりふ、今までと一緒じゃないですか、証拠を出せと言っているんだったら。こういう現状がございます。

 また、二ページ目、これが私は最も問題ではないかと思いますが、福田総理も見てください。「政府・与党案 今後一年で問題解決・全額支払い」と書いてあるんですね。この消えた年金五千万件、「今後一年で問題解決・全額支払い」と書いてあります。本当にこんなことが約束できるんでしょうか。今、一%。この今の計算でいけば、十年はかかるんですね、第三者委員会。

 それと、もう一つ。お名前は申し上げませんが、配付資料の中で、選挙期間中に自民党のホームページで流れていた映像でございます。御存じのように、前幹事長。五百二十四万件の名前がわからない記録が五千万件の中にあるということが八月の二十日に明らかになって、これは今大きな問題になっております。

 少しこれを読ませていただきます。「宙に浮いた年金だとか 誰のものか分からない年金だとかという 野党は そのようなことを言っております しかし われわれが検証した結果では 昨日の党の検証委員会でも分かりましたが この五千万件には一件一件 氏名と つまり名前と姓名と生年月日と 一件一件 五千万件には全部 しっかりと記載されているのであります」このビデオをホームページで放映して、選挙をした。

 にもかかわらず、選挙が終わってみたら、一割以上の五百二十四万件には名前がなかった。これらは一例ですが、選挙とはいえ、あんまりじゃないか。なぜならば、私のところにも、民主党全体で五百件以上の消えた年金の被害者の方々から相談がありました。一年間で全額支払いというホームページ、チラシを見て、涙を流して喜んでおられた被害者もおられました。これは、ちゃんと約束は守ってもらわないとだめだと思います。福田総理もうなずいていただいております。

 そうしたら、今後一年でこの年金記録問題、全額支払いということを選挙で約束して、チラシまで数十万枚お配りになったそうでありますが、このことは、福田総理、お約束を実行していただけるんですね。いやいや、福田総理、これは自民党総裁に聞いているんですよ。自民党総裁に聞いております。これは自民党のホームページですから。

福田内閣総理大臣 この広報資料ですけれども、本年の六月に作成されたものと承知しております。当時、自民党として、年金記録問題への対応について国民にできるだけわかりやすく、そういう趣旨でもってこの資料を作成したというふうに伺っております。

 今の時点でこの資料を読みますと、わかりやすさに重点を置いたために、勢い正確性を欠くような記述も見られます。しかし、資料が言わんとしていることについては、そごがあるというようには思っておりません。

 いずれにしても、年金記録問題への対応については、本年七月五日に政府・与党として決定した方針に基づいて、計画的かつ着実に取り組みを進めて、国民の信頼を回復してまいりたいと思っておるところでございます。

山井委員 これは、正確性を欠くとかじゃなくて、一言で言えば、できもしないうそを書いて選挙をやったということなんですよね。とにかく、これは国民との約束ですから、また、今後一年間注意深く見守っておきますので、一年間で全額支払いというのはしていただきたいと思っております。

 それで、限られた時間ですので、この消えた年金の問題、さらにもっと大きな問題に入らせていただきます。

 といいますのが、この消えた年金、総額幾らなのかということ、そしてまた保険料が幾らなのかというサンプル調査、昨年の十二月から要求しておりますが、一切、政府・与党はしておりません。

 そこで、民主党の厚生労働部門会議が執拗に要求した結果、今週の火曜日、やっと百五十件の平均だけが出てまいりました。これも、五百二十四万件の名前のない資料の中の百五十件、東京の社会保険事務局で作業をしているということでしたから、蓮舫議員や長妻議員、私が行って、サンプル調査できないと言っているけれども、目の前にあるじゃないか、そしたらこの百五十枚だけでも納付月数を調べてくれと言ったら、調べてもらったわけです。舛添大臣も御存じだと思います。

 そこでわかったのは、何と、これは厚生年金ですが、欠けているこの五千万件が、一件当たり、平均三十七カ月、保険料にすると四万七千円、そして五千万件にすると、推計ですが、一件が三十七カ月、四万七千円ですから、単純に計算すると二兆三千五百億円となる。これはおとついの新聞にも出ておりました。

 それで、きょうは総額についてお伺いをしたいと思っております。めどとしては、二兆円ぐらいのめどになるのではないだろうかということですが、まず、ではこれは、平均三十七カ月、厚生年金だけじゃなくて国民年金もそうだったともし仮定したら、幾らぐらいの未払いになるんでしょうか。この全容解明は非常に重要な問題であります。

 そこで、粗いとは思いながらも計算をしてみております。まず、八ページにありますように、基礎年金額、国民年金額はどう出るかというと、平成十九年度の七十九万二千百円に月数、要は四十年満額ですから四百八十分の三十七を掛けると、一人当たり、三十七カ月でしたら六万円の年金給付が宙に浮いている、あるいは消えているということに基礎年金、国民年金ではなるというふうに思います。舛添大臣、うなずいておられますので、先に進ませていただきます。

 それで、厚生年金の二階部分に関しましては、これは五千万件の平均値は昭和十七年生まれの方ですから、その方の平均標準報酬月額というのは三十万四千三百円であります。これに乗数千分の七・九四を掛けて、これに三十七カ月を掛けると厚生年金の二階部分が九万円と出てきます。つまり、一人当たり、厚生年金で、もし三十七カ月とすれば、十五万円の年金給付が欠けているということになるのではないかと思います。

 これは社保庁の方々とも議論をしておりますが、念のため、舛添大臣、機械的な計算ということで、この計算で間違っていないか、いかがですか。

舛添国務大臣 お答えをいたします。

 今先生がお出しになったこの計算式、平均標準報酬月額に乗数を掛けたり月数を掛ける、それで三十万四千三百円、それから一千分の七・九四、これはもうその計算式のとおりでございます。

 ただ、問題は、例の五百二十四万件、これは私も作業を見てまいりました、皆さん方もごらんになったと思います。そこの東京の事務所の百五十件のサンプル調査ですから、一つのデータとして三十七カ月というのはあり得ると思います。ただ、だから、東京じゃないほかの地域と平均したらどうか、それから三十七カ月なのかどうなのか、それから国民年金というのは額がどうか、そういう細かい計算が必要だと思います。ですから、大体どれぐらいになるかなというのは私も知れれば知りたいと思いますし、そういうことで先生はこれをおやりになったんだと思いますので、一つのデータではあると思いますが、ひょっとしたらこれよりもっと多いかもしれない、あるいは少ないかもしれない。ですから、それを今一つ一つやっています。

 ただ、私の今の仕事としては、とりあえず基礎年金番号に結びつかない五千万件というのがあるわけですから、これをとにかく解明していきたい。その過程でもっと精緻な計算式が出せるようだったらまた努力をして、これは国民がどれぐらいか知りたいというその気持ちは私はよくわかりますので。ただ、今のような山井さんの計算式には、若干、幾つかの前提がありますよということだけは御指摘しておきたいと思います。

山井委員 まさに舛添大臣がおっしゃるように、幾つかの前提はあります。本当にこれは三十七カ月が平均なのか、国民年金はどうなのか、東京以外ではどうなのか、そういうことはございますが、基本的には計算ではこのとおりだろうということだと思います。うなずいておられます。

 そしてまた、舛添大臣も重要なことをおっしゃいました。もっと多いかもしれない。実は私、大げさなことを言っているんじゃないんですね。多いかもしれない。もしかしたら、ふたをあければ、平均は五十カ月かもしれないんですよ。それはわからないんです。もしかしたら二十カ月かもしれません。でも、今ある唯一のデータはこれしかないんですよ、三十七カ月しか。だから、そのことを言っているんです。

 問題は、ではこれを人数に掛けてみたらどうなるかというのが次の年金額の計算式であります。これが一番重要になってまいります。六十歳以上の方で掛けてみます。宙に浮いた年金、厚生年金の方が二千百八十一万件、これに今の標準の年金額十五万円を掛けると三兆二千億円という数字になります。そして国民年金、六十歳以上で、宙に浮いた年金は六百六十九万件となると、四千億円になります。つまり、これを合計すると、三兆六千億円、六十歳以上の受給者層では年金が宙に浮いている可能性があるということです。

 そして、もう一つつけ加えますと、これを六十五歳以上にするとどうなるかということですが、六十五歳以上にすると、厚生年金の宙に浮いている部分は千七百二十五万件、そして二兆五千億円。そして、国民年金は、これは五百九十万件ですから三千五百億円。これを足すと、六十五歳以上ですと二兆八千五百億円ということになります。そして、これは、五千万件で掛けますと六兆五千億円という数字になるわけです。

 舛添大臣、当たり前のことですが、申し上げておきますが、これは先ほど言った前提に基づいて単純計算、機械的な計算であります。一番重要な点は、しかし、幾ら五千万件あったといえども、二十五年に満たない記録の場合は年金給付に結びつきませんから、その部分はこの六十歳以上の三兆六千億円から引かれるということです。しかし、さらに重要なことは、ところが、五千万件のうち、一割が二十五年に満てないのか二割かはだれも知らないということなんです、調べていないわけですから。

 だから、私がここで言っているのは、多く見積もれば、すべて年金給付に見積もればこれだけの額になりますと。もっと言えば、この三十七カ月、三年間がくっついたせいで、今まで二十四年で一銭も年金をもらっていない、その方にこの三十七カ月が結びついたら、年金がゼロではなくてもらえるようになる。その方のことを考えたら、もっと上がるかもしれません。しかし、そういうことは、今あえてここでは横に置いておきます。

 単純計算して、全員が年金給付に結びつくとすれば、機械的、単純計算でこういう額になる、このことについて、舛添大臣、いかがでしょうか。

舛添国務大臣 一定の前提の上でということは先ほど来申し上げているとおりですが、受給資格期間を満たさないのも入っているというのは先生おっしゃった。それからもう一つ、一時金で既にもらった人のも入っていますから、そういうのはちょっと除かないといけない。ただ、先ほど来私が申し上げたように、この額より多いのか少ないのか、わからないんですね。

 それから、本当はそういうのがすぐコンピューターシステム上出てくるんならいいんですけれども、本当にこれをやってみて私もいらいらするのは、レガシーシステムというのはこういうものなのかと。新しいプログラムを一回一回組んでつけ加えないとそこは出ない。だから、いろいろな出したいものがありますから、そのたびにそういうことをやりながらやっていきます。

 そして、データが出次第、山井委員が計算なさった前提よりもっと詳細な前提があればさらに正確な数字が出ると思いますので。ただ、今、五千万件のこの名寄せというのを全力を挙げてやっているので、その過程で出ればやりたい、そういうふうに思います。

山井委員 もちろん、これは前提に前提を重ねた機械的な計算ですので、これが一〇〇%正しいというわけでは全くございません。しかし、目安の数字になるのではないかということで、私はきょう提示をさせていただきました。

 五千万件で六兆五千億円、六十歳以上の受給権者全員では三兆六千億。これ、年間ですよ。一年間で三兆六千億円もの年金が未払いになっている危険性があるということです。平均二十年間余もありますから、二十掛けたら、何と七十二兆円もの年金が、民主党が追及しなかったらそのまま、未払いのまま終わっていたかもしれない、そういう大きな話だということを指摘しておきたいと思います。

 そこで、舛添大臣が今おっしゃったように、もっと多いかもしれない、もっと少ないかもしれない。舛添大臣、ここでお願いがあります。これは百五十件です。百五十件、厚生年金だけ、東京だけ。ぜひともサンプル調査をやっていただきたいんです。先ほどもおっしゃったように、国民も関心を持っている、また、年金財政にも影響を与える、これは巨大な問題ですよ。このままいけば、来年の三月か来年の年末にならないと、あけてみないとさっぱりわからない。そんなことじゃだめでしょう、危機管理上も。

 そして、今回わかったのは、昨年十二月から要望していて、保険料は出せない、年金給付額は出せない、出せない、出せないと十カ月断られ続けましたよ。でも、百五十件はできるんじゃないですか。百五十件ができるということは、千件もできるんじゃないですか。人手をかけたらできるんですよ、サンプル調査は。そうでしょう。舛添大臣もうなずいておられますよね。

 舛添大臣、ぜひとも、本当にこの消えた年金の実態解明をする気が舛添大臣にあるんでしたら、サンプル調査、やってくださいよ。いかがですか。

舛添国務大臣 今、山井委員がいみじくもおっしゃいましたように、若干コストや人手はかかります。それで、今もう本当にフル回転でやっていますし、できるだけ国民の皆さんの負担を使わないでやれないかなと思っていますが、私はこれは、福田総理もおられますけれども、政府を挙げて、それから長妻議員がおっしゃったように、国家的プロジェクトでやれということでございますので、そういう思いで、これは国民の政治に対する、政府に対する、国家に対する信頼の回復というより根本的な問題にかかわっていますので、できるだけのことはやりたいというふうに思います。

 コストの面をはかり、それから、今のマンパワーというのは、正直申し上げて本当に足りません。とてもじゃないけれども、五千万件、それから五百二十四万件のこの作業を含めて大変なものがございますので、今後、そのサンプル調査というのは、どういう形でやれるか検討した上で、できるだけやりたい、今の段階でこういうふうにお答えをしておきたいと思います。

 つまり、今、東京の厚生年金で百五十件出しました。それで、今、先生がおっしゃったようなこういう試算が一つ前提としてありますね。だから、ただ、では、これをもっとやってもっと解明して、どれだけかと出す。力は限られているわけですから、力もコストもマンパワーも。それを優先してやった方がいいのか、それとも、できるところの五千万件をとにかく全力を挙げる、それで五百二十四万件のことをやった方がいいのか、そういうことをじっくり考えた上で、前向きに検討したいと思います。

山井委員 舛添大臣にしては官僚答弁じゃないですか、前向きに検討したいとか。

 改めて言います。サンプル調査をやって、平均納付月数と、そしてそれを台帳と突き合わせてどれぐらい入力ミスがあるのか。十カ月間要求し続けてきているんですよ、民主党は。それを、今までの厚生大臣、社保庁長官は、逃げ続け、隠ぺいを続けているんですよ。でも、繰り返しになりますが、百五十件でできるということは、人手とお金をかけたら早急にこれはできるんですよ。サンプル調査で、平均納付月数、そして入力ミス含めて、舛添大臣、やるということをこの場で言ってください。いかがですか。

舛添国務大臣 いやいや、やる、やらない、それよりも私は実はもっと大事なことがあるというふうに思っていますので……(発言する者あり)いや、それは、百五十件、さらに百五十件やり、さらに百五十件やる。いろいろ、それは例えば百五十件のうちの何件ミスがありますかと、こういうのが出てきますね。例えば二割ミスがありました、それから、今言ったように平均三十七カ月、こういうことをもう少しどんどんやっていった方がいいのか。マンパワーは限られておりますから、それよりも、ほかの作業をもっとやった方がいいのか、そういう選択肢を考えるということでありまして、私は、そういう観点から総合的に判断をしたいと。

 官僚的な答弁ではなくて、時間が限られています、それから、要するにマンパワーも限られています、コストも限られています。どういう戦略でいくのが一番国民の信頼を回復するのか。これを総合的に評価しながらやっているわけで、やりながら考え、立ちどまり考え、そしてやっていくということで、今からどうだどうだということを言うことは、私は、誠意を持って言っていないのではなくて、今、私の判断はそういうことだということを申し上げています。

山井委員 舛添大臣の答弁にはがっかりしました。

 この消えた年金問題がなぜ解明できないのか。そして、なぜ一%しか第三者委員会で救済されないのかというと、全容がわからないんですよ。入力ミスがどれだけあるかもわからないんですよ。ですから、民主党はこのことを十二月から要望しているんですよ。これをやるかやらないかが、消えた年金問題を解決できるかのスタートなんですよ。

 舛添大臣、今みたいな答弁をしていたら、今までどおりの隠ぺい大臣ですよ。隠すんですか。百五十件でできたことを、どうしてもう少し数字をふやしてできないんですか。

 福田総理が手を挙げておられますので。

福田内閣総理大臣 お話、よく伺っておりました。

 今回、この年金問題につきましては、これは厚生労働大臣の責任ということだけでなくて、政府全体の問題として取り上げることにいたしました。ですから、私が中心になりまして、関係閣僚による年金問題対策閣僚会議というような形でもって、鋭意全力を挙げて取り組んでまいりたいと思います。

 ただいまのお話につきましては、サンプル調査も含めて何が一番いいのか、そういうことについて、これからその閣僚会議において早急に検討し、結論を出してまいりたいと思います。(発言する者あり)

山井委員 今、長妻議員が後ろからおっしゃったように、十二月から何十回このサンプル調査を要求したと思っているんですか。サンプル調査をしないと全容がわからないんですよ。そのたびに今のような、検討します、検討します、精査します、検討します、それで十カ月逃げまくってきたんじゃないですか。

 繰り返しますよ。百五十件でやったサンプル調査をもうちょっと大きくすることが、どうしてそんな大変なんですか。できるじゃないですか。舛添大臣、サンプル調査をするのかどうか、逃げずにちゃんと答えてください。

舛添国務大臣 私は、逃げまくってはおりません。就任して以来一生懸命、全力を挙げて、解明するために努力をしています。私は……(発言する者あり)ちょっと待って、ちょっと待ってください。答弁から逃げてないですよ。今から答えますよ。

 ですから、さっきから言っているように、この五百二十四万件も私は現場に行ってチェックをしてきました。その内容についても知っていますよ。それで、今総理がおっしゃったように、いろいろなことをやります。基本的には、七月の五日に政府・与党で決定した工程スケジュールにのっとって一つ一つやっていく。五百二十四万件、なぜこういうのがないのかというのは、もう時間がないから説明しませんけれども、それは説明しろといったら、できます。

 したがって、サンプル調査についても、これの効果というのが私は、先ほどどれだけの効果があるか、それだけの、私の体も一つしかない、社保庁の人間も限られている、しかし、どうしてもこれをやった方がベターだと。今、これがなければ解明できないとおっしゃいましたね、私はそうは思わないんですよ。これをやらない限りは先に進まないというのかなと、そこを私は疑問を呈しているので、それは国会の場で、どうぞ、幾らコストがかかっても、幾ら人がかかっても、これをやらない限り前に進まないとおっしゃるから、そうじゃないよと。

 私の判断は、それをやらなくたって、ほかのことから詰めていった優先順位がありますよ、私はこれが最優先じゃない。どれだけの額がありますかと示すことと、一つ一つの年金の記録を一個一個チェックし、不正をチェックして積み上げていくことはどちらが先かというと、私はこちらだと思っています。

 しかし、どうしてもそういうことをやれと言うのであれば、検討いたします。

山井委員 この十カ月間、社保庁、厚生労働省は逃げて逃げて逃げまくり。入力ミスの割合もわからずにどうやって全容が解明できるんですか、トータルの額も、推測も全く立たなくて。そういう意味では、きょうの話を聞いて、やはり、総論はいいんですよ、抽象論はいいんですよ。もう結構です、舛添大臣。

 それで、総理にもう一つだけ聞きたいと思います。

 これは一年間で名寄せを完了する、来年三月までに名寄せを完了するということを今までから安倍総理も言っておられますが、このこともきっちり、安倍総理の公約を引き継いで、福田総理もされるんですね。このことだけ、来年三月までに名寄せを完了、このことは確認したいと思います。

福田内閣総理大臣 多分先ほど申し上げたと思いますけれども、七月五日に政府・与党で決定した方針、これは何度も申し上げておりますけれども、この着実な実現に全力を尽くしてまいります。

山井委員 当然、安倍総理の約束というものは引き継がれるものと、今の答弁で受け取りました。

 それでは、またこの年金問題は厚生労働委員会で引き続きやりたいと思いますが、もう一つ、福田総理の選挙公約でありました障害者自立支援法の抜本見直しについてお伺いをしたいと思います。

 これは、天下の悪法と言われている法律でありまして、恐らく、与野党超えて、この予算委員会室に座っておられる議員の方々、党派を超えて、地元から悲鳴を受けておられると思います。そして、このことを福田総裁候補は政権公約に入れられたわけですね。

 厚生労働省の調査によりますと、七百三人もの障害者がこの法律の影響でサービスを利用できなくなって、引きこもっておられる。そして、その方々が今どういう生活をしているのかということを質問主意書で聞いても、厚生労働省は把握をしていない、そういう状況であります。

 実は、私の親しい友達も、先日、過労が原因で亡くなってしまいました。ずっと障害者福祉に人生をかけていた私の尊敬する仲間でありまして、自立支援法の施行以来、施設の職員として、在宅への移行、いろいろなことについて走り回っておりました。しかし、単価は低い、施設経営は厳しくなる、自己負担はアップする、そういう中で葛藤をし、彼は先日、過労が原因で天国に行ってしまいました。

 そのときにも、お葬式で多くの障害者の方々がおっしゃっておられたのは、これは自立支援法によって殺されたんじゃないか、そんな声が聞かれました。また、奥様からも、私は直接、自立支援法を何とかしてほしいということを言われました。本当にこれは天下の悪法です。みんなが困っています。そして、かつ、特別対策が行われてからも、この悲鳴はやんではおりません。

 そこで、福田総理にお伺いしたいと思います。

 選挙公約に入れられました。ここに、手元にもございます。障害者自立支援法を抜本的に見直す、いつ、どのように見直されますか。

福田内閣総理大臣 障害者自立支援法の見直し、これは、法律の附則に、施行後三年を目途とした見直し規定があるということでありますので、このことを踏まえまして、本制度の全体にわたってよく検証した上で必要な見直しを検証する、こういうふうなことにしておるわけであります。

山井委員 ちょっと福田総理、今大変な答弁だと思いますよ。

 三年後の見直しというのは、そもそも法案の附則に入っている既成の事実ですよ。それはもう決まっている話なんですよ。総裁選挙の公約という次元の話じゃないんですよ。それは既に決まっていることなんです。

 福田総裁候補が選挙の公約、約束に入れたということは、この三年後の既に決まっている見直しとは別にやるということでしょう。というのが既に決まっていることだったら、公約にならないじゃないですか。福田総理、お願いします。

福田内閣総理大臣 この抜本的見直しについては、何をどのように見直すべきかということをしっかりとこれから見定めていく必要があると思います。ですから、そのために、本制度全体にわたる議論、これを行うということを申し上げているわけです。

山井委員 福田総理、この公約を発表されて、新聞、テレビで報道されたときに、多くの障害者から私のところに喜びの声が入ってきました。総裁候補もこの天下の悪法の悪さがわかっておられるんだ、これで抜本見直し、今の悪い制度が変わるといって、きょうも多くの方々が傍聴に来られていますが、全国の障害者現場、当然、三年後の既に決まっている見直しじゃなくて、抜本的見直しをしてくれるんだということを期待しています。既に決まっていることだったら、公約に入るはずないわけですから。それだけ確認させてください。三年後の見直しのことじゃないですね。三年後の見直しのことじゃないですね。それを確認しないと公約違反になりますよ、公約違反に。

 福田総理、福田総理の公約のことを聞いているんですから。舛添さんには聞いていません。福田総裁候補の公約の話です。公約の話です。

福田内閣総理大臣 抜本的な見直しに向けて、附則に明記された事項に限らず、制度全体にわたる議論を行ってまいりたい、こういうふうに申し上げます。

逢沢委員長 舛添厚生労働大臣。

山井委員 いや、ちょっと待ってください。短くやってくださいよ、短く。

舛添国務大臣 御指名を受けましたので、山井さん、済みません。

 天下の悪法とおっしゃいましたけれども、私は、理念自体は、要するに、タックスペイヤーになる、就労して自立するというこの理念は守っていきたい。

 ただ、私のところにもたくさん陳情や苦情が寄せられています。先生と同じです。これを何とかするということで、三年間、千二百億円の暫定措置を補正でやりました。それで大分よくはなりましたけれども、これは、抜本的にというのは、三年のことじゃなくて、今総理が御答弁申し上げましたように、あらゆる点について見直そうということで、今、与党のPTをつくってしっかりやっています。その与党の検討結果を踏まえまして、政府としても前向きに何とかできないかと。

 苦情がたくさんあることはわかっています。それで、地域からそういう声が沸き上がっている。ただ、何度も申し上げますけれども、就労して自立できるという方向は間違えたくない。ただ、そうはできない困っている方がたくさんおられますから、そういう方に温かい手を差し伸べる、そういう意味で総理はこの公約で抜本的な見直しをやる、そういう意味であります。

山井委員 舛添大臣も、もうちょっと現場を回って、きょうも傍聴に来られていますが、当事者の人の話を聞いた方がいいですよ。当事者の話を聞いたら、今みたいな答弁はできませんよ。

 福田総裁、改めてお聞きします。三年後の見直しの前に抜本見直しをやるということですね、ここが一番大事なことですから。三年後の見直しだったら全国の障害者をだましたことになりますからね。そこはどうなんですか。公約ですから、福田総裁候補に聞いています。

福田内閣総理大臣 附則に書いてありますことに限らず、制度全体についてこれから鋭意見直しをしていきたい、こういうことでございます。

山井委員 相変わらずののらりくらりの答弁ですが、この種の問題というのは当事者の方がおられるわけですよ。これで、こういう自己負担が一つの原因となって親子心中も障害者の家庭で起こったりしているんですよ。待ったなしなんです。

 そこで、私たち民主党は既に法案を出しております、参議院に。障害者自立支援法応益負担廃止法案。自己負担の軽減、百五十億円。そして、事業者の支援、二百億円。福祉事業所に自立支援法以前の収入を一〇〇%保障する。そして、自己負担に関しては、原則一割負担を負担能力に応じた負担に戻していく。これは、国費ベースで三百五十億円、地方を含めたら七百億円、これだけをつぎ込む。これは、施行は一月一日であります。

 例えば、私の知り合いの施設でも、このままいけば来年三月までにつぶれてしまうという事業所が幾つもあります。緊急避難措置として必要です。そして、先ほども言ったように、七百三人、厚生省が認めておられるだけでも七百三人も閉じこもっておられるわけです。

 福田総理、方向性としては、私は党派を超えて一緒だと思うんです。自己負担はやはりちょっと重過ぎますね。事業所も経営危機になっていますね。福田総理もうなずいてくださっていますが、まさにこういう危機感を持たれたから公約に入れられたんだと思うんですよね。やはりこういう趣旨、この民主党の法案の趣旨には、福田総理も同感していただけるんじゃないかと思います。福田総理の見解をお伺いします。いえいえ、これは選挙の公約ですから、福田総理からお答えください。選挙の公約ですから。福田総理、選挙の公約としてお聞きしているんですから。

逢沢委員長 舛添厚生労働大臣。

山井委員 いや、ちょっと、選挙のことを聞いているんですから。

逢沢委員長 ちゃんと答えさせます。

舛添国務大臣 福田総理の選挙公約を私は一生懸命書きましたので、考え方はよくわかっていると思います。

 それで、今、民主党のお出しになった法案、これは傾聴すべき点がたくさんあると思います。

 それで、まず参議院でしっかり議論をしていただきたいんですが、負担について今おっしゃっている、これは条文を読んだだけですから、細かいことはまた参議院で議論をしていただきたいと思いますけれども、今の負担額と現行のものの軽い方というのを整合性を持って理論的にどう考えるか。それから、これは現場は市町村でございます。ですから、市町村、これが、一月施行ということで準備が間に合うかどうか、こういうこともございます。そのようなことを含めてしっかり議論をした上で、何とか今困っている方々は助ける。

 私は、現場を見ないでやっていませんよ、全部現場を歩いています。当事者といっても、百人おれば百人の方々の苦情もあれば賛同もあるし、いろいろなことがございます。それはしっかり踏まえた上でやっているつもりでございます。

山井委員 いろいろ答弁されましたが、民主党は案をつくって法案を出しているんです、既に。検討中、検討中と言って逃げないでください、与党は。反論があるならば、案をつくってから言ってください。そして、一月一日施行は自治体が大変だということをおっしゃいましたが、自治体よりも当事者や現場はもっと困っていますから、そのことを忘れないでください。総理、お願いします、この法案について。

福田内閣総理大臣 一方的におっしゃりますけれども、私どもも、与党もプロジェクトチームをつくってやっている。そして、内閣の方も今これを取り上げてやっているところでございますから、それは私どもを信頼していただきたいと思います。

 その場合に、私どもは障害者の視点というものをよく心得てやってまいりたいと思います。

山井委員 やはり私は、これだけ切実な問題になっているにもかかわらず、検討、検討と言って、いつまでも案が出てこない。少なくとも、これ、参議院の法案審議の際には具体案を出してくださいよ。まさか、具体案もないのに反対とか、そんなことは絶対しないでくださいよ。こういう具体案がないのを政権担当能力がないというんじゃないのですか。

 では次、肝炎の問題に移ります、時間に限りがありますので。

 同じく参議院で、肝炎の医療費助成法案というものを提出させていただきました。

 こちらも非常に深刻で、三百五十万人も肝炎の患者の方が今おられます。一日に百二十人も、肝硬変、肝臓がんになって亡くなっておられます。そして、一番特効薬と言われるインターフェロン治療、多くの方が受けたがっておられる。これを受けると六割の方が一年以内に完治するということが明らかになっています。にもかかわらず、平均八万円かかるからという理由で受けることができない。

 そして、このことについて、私たち民主党は、このたび一万円に自己負担を軽減するという法案を参議院に出させていただきました。二百八十億円、年間予算はかかります。しかし、今五万人しか高いからという理由で受けておられない方々が、一万円になったら十万人ぐらいが受けられるのではないか。そうすると、新たに五万人がインターフェロン治療を受けられて、そのうち六割ですから、これは単純計算で三万人ぐらいの方々の命が一年以内に救われる、そういう非常に命のかかった重い法案であります。舛添大臣もうなずいてくださっております。

 そこで、舛添大臣、なかなか原告にも会ってくださいません。昨日、与党PTは会ってくださったというふうに聞いております、患者の方、原告の方に。

 そこで私、きょう、一枚だけ、お手紙をいただきましたので、一言、その患者の方の声を申し上げます。

  私は、現在五十六歳です。

  十九年前、次男出産の際に出血し、その時フィブリノゲン製剤を投与され、C型肝炎に感染させられました。闘病生活はすでに十九年間に及びます。体の重さ、だるさの為に思うように仕事や家事もできず、そのことが一因となって、大好きな夫とも離婚する事になってしまいました。

  現在、私は、肝機能が低下し、医師から、「この状態が続くと肝硬変、肝ガンに進行して命を落とす。」と言われ、インターフェロン治療を強く勧められています。しかし、スーパーでレジ係のパートをしている私の月七〜八万円の収入では、インターフェロン治療を受けることはできません。

  一刻も早く、安心して治療を受けられるようにしてください。

 この方は実名を公表しておられますので、本人の御意思ですので、名前も読み上げさせていただきます。浅倉美津子さん。きょう、傍聴席にお見えになっているのではないかと思います。

 きょうのこの傍聴席の中には、薬害肝炎訴訟の中で、判決を待つことなく、既にがんが悪化して亡くなられた御遺族も、そういう方々もお見えになったり、あるいは、今インターネットでこの中継を見ておられます。

 一日百二十人がどんどんどんどん亡くなっているんです。このことについて、政府・与党の考えをお伺いします。

舛添国務大臣 まず、お答えする前に、私は、自分の方針として、冷たいからではなくて、患者さんたちに会わない。なぜ会わないかというと、いろいろな病気の方で、本当に難病、奇病で困られている方がたくさんあります。例えば、大臣に会ったからこういう政策をやってもらった、では大臣に会えば何かやってもらえる、そういうふうに誤解されるのは、私は、患者さんにとってもよくないと。

 私が何もやってないかといったら、大臣就任以来、不眠不休でこの問題に取り組んでいます。御承知のとおりです。患者の皆さん方の声を聞かなくても、その苦しみ、手紙もいただいていますし、いろいろなこともわかっております。わかっておりますし、今言ったことは十分把握をしております。

 それで、今、与党のPTにおいて検討を重ねていただいておりまして、そして、必ずこれは近いうちに解を出すということでありまして、政府も、これは安倍内閣総理大臣のときから、従来の延長線ではない肝炎対策ということでありますし、目の前で困っている、目の前で亡くなっている、一日も早くこれは手を打たないといけない。しかも、全体で三百万人にも上る。C型だけではありません。B型についてもそうです。これは全力を挙げて支援する体制をつくりたいです。

 そこで、今、与党が懸命になって、九月五日からそういうことをやっている。そして、今早急にまとめていただいています。私は、できれば年内にでもこの支援策を与党の皆さんでおまとめいただいて、政府も、全面的に、その検討の上にしかるべき政策を打ち立てたいというふうに思っています。

 もちろん、これには財源の問題もございます。ですから、どうか、困った方々を一日も早く救うという意味で、全会派の皆さん方にもその財源の確保については御支援賜りたいと思います。

山井委員 舛添大臣、先ほどの自立支援法の答弁と一緒なんですよ。いろいろ美辞麗句は並んでいるが、何をするのかが一言も入っていないじゃないですか。

 それに、法案審議、民主党は既に法案を出しているんですよ。早ければ十月末に法案審議するんですよ。それに、三月末に患者や原告の方々が首相官邸に行って、そこで早急に対応するということを下村官房副長官も答弁して、あれから半年間、あのときも検討すると言って、半年間何をやっていたんですか。半年間で二万人亡くなっているじゃないですか、患者さんが。何でそんなに時間がかかっているんですか。

 五月十六日には、小沢党首が安倍総理に党首討論で言って、早急に対応しますと安倍首相が答弁をしたから、早急だけじゃなくて、命のかかった問題だから急いでくださいと、そこまで五カ月前に言っているじゃないですか。にもかかわらず進んでいないじゃないですか。

 舛添大臣、これは法案を出しているわけですから、法案審議のときには、少なくとも政府・与党案を出してくださいよ。そうしないと議論にならないじゃないですか。

舛添国務大臣 何もやっていないというのは、私は甚だ心外ですね。(山井委員「具体案が出ていないじゃないですか」と呼ぶ)具体案を今検討しているわけじゃないですか。だから、C型肝炎のインターフェロン治療について医療費助成を行うということで、今、与党のPTでまとまっているんです。それを受けてちゃんと年内にもやるというのが、何で具体策をやっていないんですか。

山井委員 舛添大臣、そこまでおっしゃるんだったら、民主党は一万円に下げると言っているんですよ、政府・与党は幾らに下げるんですか。

舛添国務大臣 これは議員立法で出された案ですから、参議院でよく議論をして、それが出された段階で、では政府はどうするか対応をきちんと考えますよ。議員立法ですから、まず参議院でしっかりみんなで議論をしてくださいよ。その上で、やれることはやる。何もやらないんじゃなくて、今そこまで進んだじゃないですか。

 だから、与党のPTに検討を急いでくれと言って、既に何回かやって、支援策を、助成をするというところまで与党はまとまっているわけですから、そして年内にまとめてくれということを言っているわけでありますから、そういう思いでやっております。

山井委員 福田総理も舛添大臣も、こういう命のかかっている肝炎の問題や障害者の暮らしのかかっている自立支援法の問題、この種の問題、余り検討、検討と連発しない方がいいですよ。一日一日失われている命、失われている生活があるんですから。

 それで、訴訟についてもお伺いしたいと思います。

 九月十四日に大阪高裁から、この薬害C型肝炎、和解による解決が望ましいという意見が出されました。それに対して、十月十五日、来週月曜日をめどに和解のテーブルに着いたらどうかということで、原告も国も意見を求められております。

 御存じのように、原告の方々はどんどん亡くなっていっているんですよ。引き延ばしている間に、この八月にも熊本の原告一人お亡くなりになられましたよ。先ほど読んだ浅倉さんも、八八年にフィブリノゲンを投与されて、でも、七八年にはアメリカでは既に禁止された薬剤なんですよ、これは。五年、十年、十五年、最高裁まで行って救われたって、原告、患者さんが亡くなっていたら意味ないじゃないですか。

 ぜひとも和解のテーブルに着いてほしい。そのことで、舛添大臣、いかがですか。

舛添国務大臣 先般、仙台でまた判決がございまして、私も、五つの裁判、判決文を取り寄せまして、一生懸命読んでみました。それぞれやはり判決の趣旨が違う。それから、国それから製薬会社の責任についても異なっている。

 それで、今おっしゃったように、大阪で和解という提案が裁判所からありました。今、これをどうするかということで、関係省庁に早急に検討しろと。あと数日しかございません、十五日までに。十五日の午前中までに何とか省庁とも、これは私一人で決められる問題じゃございません、たくさん利害関係者もございますから。

 そういう形で、支援は支援としてきちんと先ほど言ったようにやります、何もやらないんじゃなくて。そして、訴訟は訴訟で、私も個人的には、こういう訴訟に力と時間を注がれるよりも、一日も早く御支援を申し上げたいという思いで、そういう気持ちで今全力を挙げて、この和解案に対してどういう対応をとるかということを検討しておりますので、十五日までには必ず結論を出したいと思います。

山井委員 これはもう本当に一日に百二十人ずつ肝硬変、肝がんで人が亡くなっていかれている問題ですので、本当に早急に解決が望まれると思いますが、福田総理にも今同じ質問をさせていただきたいと思います。

 まさに、舛添大臣も自分一人では決められないということをおっしゃっていまして、高裁、最高裁まで行っても、完全に国が勝訴して、全く国は責任なかったとなる可能性は、はっきり言って〇%ですよ、これは。やはり一日も早く救済して、例えば、先ほどの浅倉さんも、早く裁判が終わらないと治療も受けられないわけです。言っちゃなんですが、ずるずるずるずるやっているうちに、原告の方一人一人、どんどんどんどんがんで亡くなっていかれるんですよね。もし訴訟に任せ続けるんだったら、国会なんか私は要らないと思うんですよ。

 ハンセン病も薬害エイズも、全部政治決断があったんです。ぜひ、そのような政治決断で和解のテーブルに着いていただきたいと思いますが、福田総理、いかがでしょうか。

福田内閣総理大臣 本件は、厚生労働大臣とよく相談して、また、ただいまの議員のお話なども参考にしながら決めさせていただきたいと思います。

山井委員 時間が来ましたので終わらせていただきますが、この消えた年金の問題は、民主党にも被害者から五百数通の手紙が相談に来ていますが、その中で救われた人はまだ一人しかおられません、一人しか。ほとんど未解明です。選挙が終わってからこそが本番です。先ほどのサンプル調査の件、舛添大臣、ぜひお願いします。

 そして、今の肝炎と障害者自立支援法、これは、ある意味で党派を超えて、人の命を救う、弱い立場の人たちの暮らしを守るのが国会の責務ですから、ぜひとも民主案に賛同していただきたいと思います。

 これで終わります。ありがとうございました。

逢沢委員長 これにて山井君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 きょうは、沖縄戦に係る教科書検定問題、そして、時間が許せばテロ特措法の問題、質問をしていきたいと思います。

 九月二十九日に、沖縄で教科書検定意見撤回の県民大会が開かれました。総理もごらんになっていると思いますが、十一万人余が集まった、この熱気が地元の報道でも伝えられております。一面トップどころか両面ぶち抜きで、十一万余、そして、会場に集まっただけでなく、会場の外には、会場行きのバスに乗れなくて行列をなして、町じゅう人があふれていた、そういう一日でありました。

 参加者の中には、戦争で犠牲になった自分の身内にきょうは手を合わせてから来たよという人もおられましたし、それから、四十一市町村長、すべての市町村長が参加をいたしました。宮古島、八重山でも集会が開かれまして、県民の十人に一人が大会に結集したということになっています。戦争体験者、そして子供連れの家族、高校生の姿が目立ちました。

 文字どおり、県民の総意として、教科書検定意見の撤回、それから記述の回復、これが確認されたわけですが、その後、総理のコメントが報道でも流れておりました。随分たくさんの人が集まった、沖縄県民の気持ちは私もわかると述べておられるわけですが、なぜこれだけの人々が集まったと総理は考えられますか。

福田内閣総理大臣 やはり、沖縄県民の方々が、六十数年前に受けたあの悲惨な出来事、このことを思い起こし、そしてまた、そのことを次の世代にもつなげていこう、こういう気持ちがあの大会になったのではないのかな、こう思っています。

 私ども、大勢の方がお集まりになって、そして、今言われたように、仲井眞知事さんも、そしてまた市町村長さんを初めとして、いろいろな方が来られたということでありまして、私どもの知っている沖縄のあのときのことを私が決して忘れることはございませんし、皆さん方の思いをこれからも重く受けとめてまいりたいと思っております。

赤嶺委員 集会に集まった方々の思いを重く受けとめるということでありましたけれども、県民の思いは、ここで出された総意は、教科書検定意見の撤回、それと記述の回復であります。この点はいかがですか。

渡海国務大臣 ただいま総理がおっしゃいましたように、県民の皆さん、私は、仲井眞知事以下、代表の皆さんともお会いをしたわけでありますが、そのことを重く受けとめなきゃいけないというふうに思っております。

 そして、そういった中で、教科書の検定制度というのは、これは委員もよく御存じなわけでございますけれども、厳正また中立公平な立場で専門家に意見をお聞きするという制度でございまして、時の政治的な思惑の介入があってはならないという原則があります。そういうことを考えながら、この件にどういうふうに対応していったらいいのかということを検討しているということでございます。

赤嶺委員 ですから、文科大臣、厳正、中立公平に検討して、沖縄県民の検定意見の撤回、それから記述の回復、この点はどうなさるんですか。

渡海国務大臣 ただいまもお答えを申し上げました。この検定制度について、例えば、意見を撤回せよというふうに私が申し上げるということは、これはまさに政治的介入であります。そしてまた、この制度そのものはそういうことを許さないという制度になっているわけでありますから、そのことを御理解いただきたいというふうに思います。

赤嶺委員 文科大臣は、教科書会社からの訂正申請を受けて、教科書検定調査審議会を開いてとおっしゃっているわけですけれども、その場合に、三月に既に教科書検定意見がつけられているわけですよね。沖縄戦の実態について誤解するおそれがある、こういう意見がつけられたわけですから、訂正申請が出されてもそういう三月の教科書検定意見がそのまま、あるいは、それは変えられるんですか。

渡海国務大臣 今、赤嶺委員がお話しになりましたように、この三月にそういう検定が付されて、その結果、修正が行われたということであります。

 今お尋ねの件は、今回、教科書会社から申請訂正がなされた場合ということでございますが、これは、ルールにのっとって、私が再度そのことを承認するということが可能であろうと思います。ただし、これは何回も実はいろいろなところで申し上げておることでございますけれども、その際に、やはり、これは政治的介入を許さないという意味においても、私がどうのこうの判断するというよりも、再度審議会で御審議をいただくということになろうと思います。

 その場合に、検定意見、三月になされた検定意見がということでございますが、これは、あくまでその上に立って、その延長線上でなされた訂正申請でございますから、検定意見そのものを撤回するということにはならないのではないかというふうに考えておるところでございます。

赤嶺委員 三月の意見は撤回しないというわけですね。公正中立、専門的、学術的に検討をした、そういうお話を繰り返しているわけですが、それでは、今回の検定意見に至る経過について聞いていきたいと思います。

 これまで二十年間、沖縄戦というのは、集団自決について、軍の強制的関与は教科書に記載されてきたんです。最高裁の判決も出ております。二十年間意見がつかなかったんですね。去年初めてついたわけですよ。そういう場合に、沖縄戦の実態について誤解を与えるおそれがある、二十年つけられなかったのに何で突然という気持ちをみんな抱いたわけですよね。これは、軍の強制が削除されたという言い方は一体だれが言い出したんだと、みんなそう思っているんですよ、だれが言い出したんだと。それは、文部科学省の常勤職員である教科書検定調査官がまとめた調査意見書、これが発端だったんじゃないですか。

金森政府参考人 お答えを申し上げます。

 教科書検定は、検定の時点における客観的な学問的成果に照らして、教科書検定審議会の専門的な審議に基づき検定意見を付しているところでございます。

 沖縄戦における集団自決につきましては、従来、日本軍の隊長が住民に対し集団自決命令を出したとされ、これが通説として扱われてまいりましたが、この点について、現在、さまざまな議論があると承知をいたしております。この通説につきましては、近年、当時の関係者等から命令を否定する証言などが出てきていること、また、沖縄戦に関する研究者の近年の著作等では、軍の命令の有無は明確ではないとされているところでございます。

 これらを契機といたしまして、教科書検定調査審議会における専門的な調査審議の結果、不幸にも集団自決された沖縄の住民のすべてに対して自決の軍命令が下されたか否かを断定できないという考えに基づき、教科書の記述としては、軍の命令の有無について断定的な記述を避けることが適当であり、申請図書における日本軍に集団自決を強制された等の記述について、「沖縄戦の実態について誤解するおそれのある表現である。」との検定意見を付したものであると理解をいたしております。

赤嶺委員 それでは、局長、聞きますが、申請本の中に、隊長の命令によって集団自決に追い込まれた、このように記述しているものがありますか。一カ所でもありますか。

金森政府参考人 お答えを申し上げます。

 平成十八年度の日本史教科書の検定意見は、沖縄における集団自決について、旧日本軍の関与を否定するものではございません。不幸にも集団自決された沖縄の住民のすべてに対して自決の軍命令が下されたか否かを断定できないという考えに基づいて付されたものでございます。

赤嶺委員 局長、県民をごまかすのもいいかげんにしなさいよ。私は、教科書の中に、隊長命令によって集団自決に追い込まれたという記述があるかと聞いたんですよ。ないんですよ、一カ所も。ないけれども、あなた方は勝手に意見をつけたんですよ。

 私、ここに、これは私の事務所あてに、文部科学省初等中等教育局教科書課から、御依頼のあった資料について別添のとおりお送りいたしますということで、文部科学省原議書というのがあります。この原議書には、主任教科書調査官照沼さん、高橋さん、村瀬さん、三谷さん、この四人の印鑑が押されまして、起案者の印があり、そして係長、専門官、企画官、課長、それから総合調整課長、審議官、局長。当時の局長は現在の事務次官ですね、銭谷さん。合計七名の印鑑が押されて、その中に調査意見書として、「日本軍によって……あるいは集団自決に追い込まれた住民もあった」という部分ですね。これは、日本軍によってというところであって、隊長命令によってではないですよ。それで、「沖縄戦の実態について誤解するおそれのある表現である。」こう書かれているわけですね。

 ということは、この調査意見書というのは、調査官初め文部科学省ぐるみでこういう意見をつくったということになるんですか、文部科学大臣。

金森政府参考人 お答えを申し上げます。

 ただいま御指摘になりましたのは、教科用図書検定調査審議会に調査審議の参考となる資料として提出される調査意見書でございます。これは、教科書調査官が審議会の委員と各教科、科目ごとの専門委員、また教科書調査官の調査結果を取りまとめ、作成するものでございまして、今回の件につきましても、同様の手順で、教科書調査官が委員や専門委員、教科書調査官の調査の結果を取りまとめ、審議会に提出をいたしたものでございます。

赤嶺委員 それは、文部科学省が全体として承認したわけですね。文部科学省ぐるみでこういう調査意見書をつくった、教科書の書きかえを行う意見書をつくったという認識でいいわけですね。

金森政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘の調査意見書は、教科用図書検定調査審議会における調査審議の参考となる資料として、先ほど申しましたように、審議会の委員と各教科、科目ごとの専門委員及び教科書調査官の調査結果を取りまとめ、作成し、審議会に提出するものでございますが、教科書調査官が行う調査などは、専門的、学術的観点から中立公平に行われるものでございまして、政治的、行政的意図が入り込む余地がないものと考えております。

赤嶺委員 教科書調査官が中立公平、学問的に厳正にということでありました。

 私の事務所に送られた文書も、この調査意見書というのは、審議会に審議のために提出をされる、それで審議に基づいて検定意見書になる、今の局長と同じような答弁が出ておりますが、今度の場合は二十年ぶりに書きかえられたんですよ。それを、中身もきちんとしないで調査官がやったことだからといって判こを押しているという、このこと自身に大変な驚きを私は持つんです。

 では、いずれにしても調査官は審議会にかけるんだ、このように学問的、専門的な検討を経るというわけですが、この調査意見について、審議会の中でどんな専門的、学術的議論があったんですか。

金森政府参考人 お答えをいたします。

 教科書調査官が作成する調査意見書は、教科用図書検定調査審議会の審議のための参考資料として作成されるものであり、今回の検定に関する、集団自決に関する記述につきましては、「沖縄戦の実態について誤解するおそれのある表現である。」との資料を審議会に示したところでございます。

 教科用図書検定調査審議会におきましては、各委員が、検定の時点における客観的な学問的成果に照らして、それぞれの知見により審議した結果、最終的に審議会として調査意見書における指摘と同じ内容の検定意見を付すことが適当と判断したものと承知をいたしております。

赤嶺委員 大臣、専門的、学術的議論があったのかどうか確認しておられないんですか、大臣は。

渡海国務大臣 今も局長から説明がありました。事実関係でございますから、事務方から説明をさせたわけでありますけれども、基本的には、そのような検定調査書を、専門官が出したものについて審議会で諮って最終的に決めた。その段階でいわゆる意見があったかなかったかといいますと、それほど多くなかったというふうには聞いております。聞いておりますが、それは意見がなかったから審議をしなかったということでは正直ないと思っております。

 ただ、そういったことについて、やはり、今先生がお話しになっているようないろいろな意味での意見といいますか、疑義が出ますから、先日、私は、もう少しこの審議会のあり方についても検討する必要があるのではないかなというふうな私の所感を記者会見で述べさせていただいたところでございます。

赤嶺委員 大臣も審議会の議論に疑義を持っておられるわけですね。学術的、専門的な議論はなかったんですよ。なかったんですよ、これは。ただ審議会に検定意見書を諮った、諮ったけれども何の意見も出なかったんです。

 審議会というのは大きな組織ですからね。ただし、社会科、日本史については部会や小委員会があります。ここで専門的な議論が行われるなら、行われているはずであります。そういう部会も含めて、議論はあったんですかなかったんですか。

渡海国務大臣 赤嶺先生の先ほどの御質問ですけれども、議論があったというのが、何か、これこれこういうふうなやりとりがあったのかという意味なのか、ちゃんと議論をする場を設けて意見を説明して、最終的に審議会でこういうことで行こうということを決める手続をちゃんととったのかということによって随分意味が違うと思うんです。

 私は、実は、そういった手続はちゃんととられたというふうに認識をいたしております。ただ、例えば、そのことについていろいろな意見が出たのかということについて言えば、余り大きな異議がなかったというふうな報告をいただいております。だから、それは、議論をしていないというふうに言われますと、ちょっと違うんじゃないかな。

 そこは、私は疑義があると言ったのは、そういったことで疑義があるからという意味でありまして、私が疑義を持っているというふうに誤解をされると困りますので、あえてそのことは申し述べさせていただきたいというふうに思います。

赤嶺委員 意見の中身がもしあるというなら、おっしゃってください。調査意見書を審議にかけただけというなら、そうおっしゃってください。意見が出た、小委員会や部会でもちゃんと専門的、学術的な沖縄戦に関する意見が出たんですね。どんな意見が出たんですか。

渡海国務大臣 審議会の意見のいわゆる公開という問題が実はあります。これは、委員の皆さんが非常に静かな環境の中で中立公平にやっていただくために、いわゆる意見についてその議事録を作成したり公表したりということについては、やらないというのがこれまでの原則でございます。

 しかしながら、それで果たしていいのか。やはり、いろいろなことがあったときに、ある程度説明ができるような公表の仕方というものがあるのではないかなということで、私は、もう少し透明性を上げることはどうだということを申し上げたわけでございます。

 先生の質問に直接お答えにはなっていないかもしれませんが、そういうことで御理解をいただきたいというふうに思います。

赤嶺委員 質問に答えていらっしゃらないんです。

 私が聞いているのは、検定調査官が意見書をつくりました。その意見書は、審議会に諮られると局長が答弁いたしました、学術的、専門的検討を経ると言われました。では、学術的、専門的検討を経る審議会やあるいは部会や日本史小委員会で、沖縄戦に関してどんな意見が出たんですか。教科書検定調査官の、誤解を受けるおそれがないような記述に変更するという意見について、沖縄戦についてどんな意見が出たか、これを聞きたいんです。

金森政府参考人 お答えを申し上げます。

 検定意見のいわば原案でございます調査意見書は、教科書調査官が教科用図書検定調査審議会の審議のための資料として取りまとめ、審議会に提出をいたしました。

 調査官からそれぞれの申請図書につきまして調査意見書の指摘箇所について個々に説明をし、委員に審議を求めるという方法で調査審議を行ったところでございますが、沖縄戦の集団自決に係る指摘箇所につきましては、委員から特段の異論はなかったところでございます。

 各分野の専門家である委員で構成される教科用図書検定調査審議会は、学術的、専門的な立場から、調査意見書を参考に、申請図書の記述について検定意見を付すかどうかの判定を行うものでございまして、調査意見書のとおりに意見が付される場合もございますし、そうでない場合もございます。

 今回の検定におきましては、集団自決に係る記述に対する検定意見は、教科書調査官の作成した調査意見書と同じ内容になってございますが、これは、先ほど申しましたように、審議会の各委員の専門的、学術的な知見に基づき調査審議した結果、調査意見書と同じ内容の検定意見を付すことが適当であると判断されたものと承知をいたしております。

赤嶺委員 検定調査官というのは文部省の職員ですよね。職員がつくった原案に、学術研究者の集まりである審議会や部会でも何も意見が出なかったというのが、私、これは信じられないですね。二十年間同じような記述を経てきたけれども、ことし急に変わった、学術研究者を集めても意見が出ない。

 この学術研究者、審議会の中に、小委員会や部会の中に、沖縄戦の専門家はいたんですか。いかがですか。

金森政府参考人 お答えを申し上げます。

 教科書検定は、教科書検定審議会の専門的、学術的な調査審議に基づいて行っているものでございます。

 日本史の教科書検定を行う審議会委員につきましては、古代から現代の分野にわたってバランスよく構成されておりまして、沖縄戦を専門に研究している方はいなかったと承知しておりますが、審議会におきましては、専門的、学術的な調査審議が行われたものと承知をいたしております。

赤嶺委員 大臣、いなかったんですよね。沖縄戦の専門家はいなかったけれども、局長は、意見も出なかったけれども、学術的、専門的審議が行われた、こういう認識を持っていると言うんですよ。おかしいんじゃないですか。おかしいですよ、これは。

 きょうの沖縄地元の新聞に、教科書検定調査審議会の日本史小委員会の委員をしている筑波大学の波多野先生がインタビューに答えています。

 意見は出なかったというような答弁を繰り返して、「沖縄戦の専門家がいない。調査官の方がよく調べており、委員より知っている。説明を聞いて、納得してしまう部分がある。沖縄戦の専門家が入っていれば(結果は)だいぶ違っただろう」自分たちは知見がなかった、専門家として集められたけれども、調査官の知見以上のものは持ち得なかったと。

 しかし、この方は、こう言っているんですよ。県民大会にあれだけの人が集まって、「驚いた。あらためてこの問題の重要性を知った。そういう意味ではもう少し慎重にすべきだった」だろうと。

 審議委員の中からもう少し慎重にすべきだった、県民感情について、県民感情だけじゃない、沖縄戦について研究し、実績を積み重ねてきた、そういう人が全く入らない場所で、沖縄戦について誤解を受けるおそれがあるという意見書を出して、これがひとり歩きしているんですよ。これが今ひとり歩きして、県民がああいう県民大会を開くようになっている。

 それでは、調査官は文部省の職員ですが、調査官が自分の意見をまとめるときに、そのときにも専門家の意見を聞くことになっています。それは、専門委員やあるいは審議委員やそして臨時委員、こういうところに申請本を配付して、意見があれば寄せてくださいということになっています。

 今回、沖縄戦について、審議会の委員や臨時委員、専門委員から意見は寄せられたんですか。

金森政府参考人 お答えを申し上げます。

 平成十八年度検定の沖縄戦集団自決に関して専門委員等から意見は出されておりませんが、教科書検定審議会では、各委員が検定の時点における客観的な学問的成果などに照らしてそれぞれの知見により審議した結果、最終的に、審議会として、調査意見書における沖縄戦集団自決に関する指摘と同じ内容の検定意見を付すことが適当と判断したものと承知をいたしております。

赤嶺委員 専門委員からの事前の意見も寄せられなかったんですよ。

 今回の教科書検定意見というのは、文部省の一職員が自分の考えで意見をつくって、手続はとったといいながら、学術的にも専門的にも、肝心の沖縄戦を体験した沖縄県民の検証に全くたえられない意見なんですよ。検証にたえられないのが何で学問ですか。

 そして、そういうような、検証にたえられないような意見が、一回教科書検定意見として手続をしたんだから、これは撤回できないといったら、間違っても、未来永劫、日本政府はそういう意見の撤回はしないということじゃないですか、間違ったまま進めていこうということになるじゃないですか。こんなのは民主主義じゃないですよ。大臣、いかがですか。

渡海国務大臣 教科書の検定制度というのは、時の政府が介入できない仕組みというのをきっちりとつくったわけですよね。ですから、そのことについてしっかり守っていくということも、これはやはり大事なことであろうと私は思います。

 その中で、今回これだけいろいろな皆さんの声がある中で、先ほど総理も重く受けとめているというお話をされたわけでありますし、私も知事を初め代表の皆さんとお会いをいたしました。やれることがあるのかどうか考えてみたいということも正直申し上げました。

 今、そういった中で、この検定制度を、しっかりやはり政治の介入を許さないということを守ることも一つの大きな仕事なんだということを、赤嶺委員、ぜひ御理解をいただきたいというふうに思っております。

赤嶺委員 総理、きょうは私はテロ特措法もやる予定でありました。外務大臣やそれから防衛大臣には大変失礼なことをしております。

 これは「沖縄戦と民衆」という本です。実は、文部科学省の調査官が、この本こそ誤解を受けるおそれがある証拠だといって根拠に挙げた本なんですよ。著者は怒っていますよ、文科省は何てひどいことをするんだ、自分の意見をねじ曲げていると。

 この中には、戦時中、沖縄の知事は沖縄から逃げていくんですよ、軍部の横暴で。軍部の横暴で民政を放棄する。そのときに、日本政府から一人の役人が派遣されるんですが、それが高村外務大臣のお父様ですよ。高村さんですよ。そして、沖縄で何が起きたか、余りにも軍部がひどいことをしているというような報告書をつくっているんですよ。

 客観的に、軍の強制なしには、集団自決、当時集団自決と言わないんですよ、玉砕と言うんですよ、玉砕を命ぜられたんですよ、沖縄県民は。だのに、軍の強制的関与によって自決に追い込められたというような表現が何で学問的検証もなされないで文部科学省の一役人の起案で削除され、いつまでも残るというようなことが許されるんですか。大臣の所見をお聞かせください。(発言する者あり)総理、総理の所見。

福田内閣総理大臣 先ほど私申し上げました沖縄に対する思いというのはそういうことでございまして、この問題につきましては、文部科学大臣にしっかりと対応させてまいります。

赤嶺委員 もう時間がないですから終わりますけれども、文科大臣、教科書検定意見の撤回を求める、記述の回復を求めるのは政治の介入ではありません。真実を回復してくれという、やむにやまれない県民の要求です。そういう要求を聞き入れない、文部科学省が勝手につくったそういう検定意見に固執することこそ政治的な介入です、教科書に対する。

 政治的介入は文科省こそやっている、そういうことを申し上げて、改めて、教科書検定意見の撤回、そして記述の回復を求めるまで私たちは何回でも頑張るということを申し上げまして、質問を終わります。

逢沢委員長 これにて赤嶺君の質疑は終了いたしました。

 次に、保坂展人君。

    〔委員長退席、田野瀬委員長代理着席〕

保坂(展)委員 社民党の保坂展人です。

 年金記録について、まず厚労大臣中心に伺っていきたいと思いますが、五千万件の名寄せ作業が行われているということですね。

 日立製作所に五億六千九百七万円余り、NTTデータに、これは二つ契約があるようですが、三億五百七十八万円と三億五千三百五十四万円。昨日契約書を持ってきていただいたんですが、この日立の方は五億円以上ですから当然二十万円の印紙が張ってあるんですね、契約書に。印紙が見えますね。ところが、NTTデータの六億五千万、ちょっと見えにくいかもしれませんが、印紙がないんですよ。

 これはどういうことなんだというふうに聞いたら、日立はプログラム開発で請負契約だと。NTTデータ、これもソフトウエアを開発しているんですよ、だけれども、データ通信契約以降の日常の契約があるので、本来は契約書も要らないんだ、だから印紙も要らないんだと。こういう扱いですか。

中野政府参考人 お答え申し上げます。

 社会保険庁がNTTデータと交わしております契約は、ソフトウエア、ハードウエア、あるいは回線の利用に関する契約でございまして、請負に関する契約ではございませんので、印紙税法に定める課税物件には該当しない、こういうことで印紙を貼付していない、こういうことでございます。

保坂(展)委員 舛添大臣、NTTデータが引き受けた契約の中には、千四百三十万件のいわばコンピューター入力されていないものを検証してこれを突き合わせていく、これも入っていますよね。

 我々は、見積もりの金額をはっきりNTTデータから出せ、こう言っていますけれども、企業秘密だということで出してくれない。これは、もうちょっと透明化してもらえませんか。

坂野政府参考人 今のせっかくのお尋ねでございますけれども、今先生がお話しのようなことでございまして、金額については、私どもとしては公表を差し控えさせていただきたいと思います。

保坂(展)委員 NTTデータに本当に払う必要があるのかと思いますよ、これは。こんなにでたらめな社会保険オンラインシステム、一兆円以上のみ込んで、日立もそうですけれども。ですから、見積書も出せないという状態で進んでいるんですが、いま一つこれを検証してみたいと思います。

 舛添大臣、大きな問題がまだ残っているんですよ。これは地方から中央に集められた厚生年金の旧台帳と呼ばれるものですね、昭和十七年から三十二年までの。皆さんのところにお配りしておりますけれども、三千二百二十九万八千百五十一件あったんですね。ところが、我々、国会では三千百十九万件という説明を受けていた。御存じですね。これは参議院の厚生労働委員会の年金関係法案の審議の最終段階でわかって、百十万件はどうなったんですかと。これに対して、農林共済は二十七万件ですね、これは移行したようだと。残っているのは八十三万件じゃないですか。

 これは、第三者委員会で一人一人検証するのもいいけれども、いつどこでこれを廃棄したのか。廃棄と書いてあるんですよ、これは。廃棄という文字が社会保険業務センターの被保険者事務のマニュアルに出ているんですね、この数字が。

 大臣、これについてちゃんと解明するという意思はおありですか。

舛添国務大臣 保坂先生お尋ねの、今おっしゃった被保険者記録等事務処理要項に載っていることは、磁気テープがマイクロフィルム化されていないものが百十万件ということですね。その厚生年金被保険者台帳のうちの裁定済みが二十万件、廃棄が約五十一万件、その他約十二万件、八十三万件の保管状況について今確認を行っているところですけれども、その台帳の記録につきましては、お尋ねは、廃棄五十一万件の中身を探れということが一番のポイントですね。

 それについては、保管をしていない、つまり、保管、どこかにあるよというので捜してみたけれども、ありません。まず、保管されていることが確認できていないし、まあ、今後とも見つかる可能性は極めて少ないだろうというふうに思います。

 ただ、現在残されている内部資料によりますと、これらの記録は、昭和三十二年十月一日現在において七十歳を超える者で、同年十月一日までに資格喪失し、その後取得していない者云々ということで、簡単に申し上げますと、年金受給に直接結びつく方はほとんどないだろうという想定です。

保坂(展)委員 それは、舛添大臣、おかしいですよ。受給に結びつくかどうかはこの記録が出てこないとわからないわけで。

 これはセンター長に聞きますけれども、今の大臣の答弁で、五十一万件廃棄というふうに確かに社保庁のマニュアルにはあるけれども、これはどこにどうなったのかさっぱりわからないという話ですね。

 ならば、要するに、五十一万件廃棄とこのマニュアルに書いた人がいるじゃないですか、社会保険業務センターの中に。だれが書いたんですか。つまり、書いた人は、五十一万件廃棄していたということを知っていたがゆえに書いたんでしょう。そういう調査をしているんですか。

坂野政府参考人 今のお尋ねの処理要領をだれがいつ書いたかということでございますけれども、結論から申し上げますと、私ども十分判明をいたしておりません。

 当時、この関係の部署に在籍された方々にもお尋ねをしてみましたけれども、かなりの部分、記憶にないとかあるいは事情を詳しく承知をしていない、そういうお答えのもとで、私ども、なおそういう方で御存じの方があればお尋ねをしたいと思っておりますけれども、ほぼ大体、今所在がわかっておられる方にはお尋ねをした、そういう状況でございます。

保坂(展)委員 福田総理に伺います。

 年金記録、非常に長い、継続的な事務ですよね。ですから大勢の方がかかわってこられた。恐らく、責任者だけが知っているという話ではなくて、マニュアルにあるわけですから、申し送りされてきた数字だと思います。五十一万件というのは決して少なくない。全体でいえば八十三万件も、二十七万件を除いては行方がわからないわけですけれども、こういうことについて内部でもっと糸口を探し出せということを閣僚全体でやるというふうにおっしゃいましたから、そこをしっかり意識していただきたいんですが、いかがですか。

福田内閣総理大臣 おっしゃるように、閣僚会議でもっていろいろな疑問点を洗い出してみたいと思っております。

保坂(展)委員 では次に、もう一つ、ちょっと数字を見ていただきたいと思います。

 年金の問題は、五千万件の浮いた年金に加えて、よく千四百三十万件のマイクロフィルムというふうに言われていますけれども、昭和五十二年の段階でマイクロフィルム化された枚数は、実は千七百五十四万件なんですね。そして、そのマイクロフィルムはそのまま廃棄されずに残っている。そして、では、なぜその千四百三十万件に減ったのかというと、これは、社会保険庁の説明では、長年の間、裁定などで磁気テープ化していきましたということになります。

 となると、舛添大臣に質問ですが、千三百六十五万件に加えて三百二十四万件という数字、つまりは、合算すると千六百八十九万件が磁気テープ化されてオンラインに入ったはずだと理解してよろしいですか。

舛添国務大臣 今の御質問ですが、旧台帳から社会保険オンラインシステムに収録された記録としては、今申し上げました、この先生の記録の千三百六十五万件のほか、マイクロフィルム化後に磁気テープ化された三百二十四万件、これを合わせて千六百八十九万件、これはオンラインシステムに収録されております。

保坂(展)委員 このオンラインシステムに収録されたものの中で、マイクロフィルムをとっていない千三百六十五万件については紙の台帳で全部保存してあるというふうに厚生労働省、社会保険庁は我々に答えてきました。しかし、私が質問主意書を出したところ、紙台帳で保存しているかどうかは確認中である、つまり、ちょっと一歩後退して、全部あるかどうかは確認中であると。

 それで、参議院の審議中に、参議院の厚生労働委員会の野党メンバーと一緒に私も行きましたけれども、倉庫に行きました。民間倉庫ですね、セキュリティー倉庫と言われている倉庫です。ところが、見せてくれないという事態が起こったわけです。

 このお配りしている資料がございますけれども、旧台帳引抜き依頼票というものがございます。ここに、社会保険業務センターから紙台帳をピックアップしたいときに書くわけですね。ここの「引抜き結果」というところを見てください。「索出不能」とあるじゃないですか。つまり、照会したけれどもなかったよというものが一体幾らあるんですかというのをずっと聞いているんですよ。おわかりでしょうか。

 つまり、旧台帳を照会したけれども、全部完璧にそろっているんであれば大体は出るはずだけれども、出ないものが相当あるのであれば、千三百六十五万件、磁気テープ化されたオンラインに入っているはずの紙台帳は完璧な形じゃないのかもしれない。だから、そこをしっかり数字を出して検証してほしい。

 実は、この旧台帳引抜き依頼票は社会保険業務センターにあるそうです。ですから、これを見れば、索出不能、つまり、倉庫になかったよという返事がどのぐらい来たのかというのはわかるわけです。これがわかれば倉庫にどのぐらいの紙台帳があるのかということもわかってきます。そうですね。こういう調査について、もっとしっかりやってほしい。

 その下にいろいろついていますけれども、大体〇六年度でこの引き抜き依頼票を出したのは千回なんですね。それで、配送したのが九十八回。余り活発な動きではありません。

 こういうことを踏まえて、この旧台帳の保管状況をもうそろそろ国会議員全体にきちっと見せてほしい。もう隠し立てなく、こうなっていますということを出してくださいよ。大臣、どうですか、これは政治判断ですよ。

坂野政府参考人 まず、旧台帳がセキュリティー倉庫に保管されております状況について、なお調査中であるということについて申し上げます。

 御指摘の千三百六十五万件のデータは、基本的にはセキュリティー倉庫に保管しております台帳等に収録されているものと考えてはおるわけでございますけれども、しかし、本当にすべてそろっているかどうかということを改めて今まだ確認をしておる最中でございまして、そういう意味で、確認中、作業中というふうに申し上げたわけでございます。

 それから次に、引き抜き依頼を出している、それについて、索出不能、そういうものがどれぐらいあるかというお尋ねでございました。

 まず、引き抜き件数、これは、十八年度の実績では千九十件でございました。ただし、そのうち索出不能になった件数というものは、現在集計する仕組みにしておりませんので、直ちにデータはお出しできない、そういう状況でございます。

保坂(展)委員 つまり、舛添大臣、この旧台帳の紙台帳は、三カ月かかって枚数もわからないわけですよ、四千何百箱あるらしいですけれども。今言ったように、台帳が一体どのぐらいあるのかも把握していないんですよ。これ、ちゃんと取り組んでもらえますか。

舛添国務大臣 誠心誠意、一生懸命今これは確認作業中ですので、こういうことを全部、全容を明らかに、政府を挙げてやるということでございます。

保坂(展)委員 私、この問題については、社会保険庁、まだまだ業務センターも含めてデータが出てこない、これは非常によくないことだと。もう、一つなんですから、事実は。旧台帳がどうなっているかということが確定できれば、これはいろいろな不安も消えるかもしれない。あるいは、新たに懸念はここだというところが絞り込めるんですよ。ぜひお願いします。

 沖縄戦の問題について私もちょっと触れたいと思います。

 お配りした「沖縄戦における集団自決に関する主な著作物等」、これは端的に伺いますが、この配付物については、前伊吹文科大臣が、文部科学省の職員が、記者会見というよりはレクですね、レク用に何かないのかと言われてつくった、慌ててつくったので、一番右に「沖縄集団自決冤罪訴訟」という表記をうかつにも書いてしまった、これは非常に慎重を期すべきだったというお話なんですが、これは、文科省の職員がみずからの判断でこの名称を使用したのか、あるいは、その著作物等、一体だれが、どの部署の職員が作成したのか、文科大臣、把握していますか。

 これは、客観的、公正中立に文科省がやっているかどうかの問題なので、把握しているかどうか、まず大臣、答えてください。

金森政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘の資料は、文部科学省の記者クラブから、検定結果の発表の際に、原告がどのような内容の訴えを起こしたのか知りたいという要望を受けまして、担当課、教科書課において、原告側支援団体のホームページや訴訟提起時の新聞報道、雑誌の記事などを参照して作成し提出したものでございます。

 「沖縄集団自決冤罪訴訟」というのは、原告の方がそのように使用している文言でございまして、こういう名称で資料を提供したということについては、やはり慎重であるべきであったと考えております。

保坂(展)委員 大臣、今お答えがあったように、原告側のホームページをコピーペーストか何かでとったのかどうかわかりませんけれども、冤罪訴訟という名前がそのまま入っちゃったんですね。

 これは言うまでもありませんが、裁判は双方の主張があるわけですね。しかも、口頭審理も始まっていない段階で、文科省の職員が今回の検定にかかわる資料としてこういう裁判の呼称を使ってしまったということと、私たちは、先ほどの赤嶺委員とのやりとり、検定の意見が本当に公平に提出されたのかということについて非常に疑いを持っておる、はっきり言って。この点についてきちっと調べていただきたい。いかがですか。

渡海国務大臣 先ほどの、裁判のことを引用したということについては、これは前伊吹文科大臣も、不適切であったということをお答えになっているようでございます。

 なお、今委員申し入れでございますから、私も大体のことは、大体と言っては失礼ですね、一応報告は受けておりますけれども、再度、ちゃんともう一度ヒアリングをしたいというふうに思います。

保坂(展)委員 私、沖縄の県民大会に参加をしてまいりました。大変多くの方が集まったその集会の翌日、渡嘉敷島という島に行ってまいりました。総理にもちょっと御意見を伺いたいんですけれども、中で、小嶺正雄さんという当時十五歳だった方の証言を一時間以上にわたって聞きました。

 防衛隊のおじいさん、防衛隊というのは島の方ですね、島の方が軍の所属になった。この防衛隊員の方が雑のうにいっぱい手りゅう弾を持っているのを見た。自分も欲しいということで手を出したけれども、年がいかなかったのでもらえなかった。島の人たちがその手りゅう弾を受け取って、そして、彼は草むらの中にその防衛隊員が忘れていった手りゅう弾二つを握り締めてというようなくだりを聞きました。

 防衛隊員が手りゅう弾を手渡したという証言は、今紹介した、私が会った方以外にも数多いんですね。一発は敵を撃破せよ、そして、捕虜になるぐらいなら自決せよということを繰り返し以前から教育の中で、あるいは軍からも聞いていた。いろいろな論争はありますけれども、手りゅう弾を渡されたということについては証言が幾つもあって、教科書の中でもこれは書かれています。

 手りゅう弾を渡されたということは一体どういうことなのか、渡された側にとって。総理はどう考えますか。

福田内閣総理大臣 沖縄のことにつきましては、いろいろな話を私も伺っております。また、書いてあるものを読んだということもございます。

 そういうようないろいろなことがあったんだろうというように思っておりまして、いずれにしましても、大変悲惨な出来事だったというように思っております。

保坂(展)委員 この小嶺さんのお話を一時間伺った一番最後の方で、奥様がいらっしゃったんですね。その奥さんのお父さんは、実は日本軍が投降してしまってから、投降したのを見て、山に隠れていた渡嘉敷の住民がおりてくるわけですね、山を。ところが、年老いた家族がいるのでもう一回山に戻る。そのときに、アメリカ軍から、投降勧告のビラですかね、これを渡された。ところが、戻っていくときに友軍である日本軍に会って、投降ビラを持っていたということで首をはねられてしまう。三年後に白骨遺体の傷跡もあって見つかったという話を聞いて、私、それも非常に衝撃的だったんです。もちろん、本では何回も読んだことはありますけれども。

 法務大臣に伺いますけれども、戦時国際法だとか、これは自国の軍隊と自国民の話ですから、いろいろ議論もあることだろうと思いますし、陸軍刑法とか軍紀に関する法律等もあったようですけれども、いきなり殺してしまうということは、当時、軍人であっても許されることではなかったろう。刑事責任の問題というのは沖縄からは問われたことはなかったんじゃないかなと。

 どうでしょうか、戦後、国内外で、沖縄県民が、友軍による、日本軍による殺傷ということを法廷の場に訴えたという事実はございましたか。

鳩山国務大臣 先生御指摘のとおり、軍刑法というのは陸軍刑法も海軍刑法も両方あったと思いますけれども、そうした法律が一般の刑法の適用を除外しているわけではありませんね。特殊なケースにおいては刑法が適用されないという記述があるということは、一般的には本来の刑法も適用されるということなんですが、実は先生御指摘の件をいろいろ調べたんですが、例えば、調査した範囲内で、いわゆる戦後補償関係で、沖縄戦等について国を被告とするものについては見当たらないんですよ。それから、軍人対個人という形で、殺したりした方の軍人を被告とする訴訟がないか調べたんですが、今のところ、まだ把握できていないんです。

保坂(展)委員 私、集団自決が行われたというところに案内を受けて行ってまいりました。親戚一族、円陣を組んで、そして手りゅう弾をこうやったというので、想像の中でですけれども、もうちょっと平らな草原のようなところとか、森の中、林の中ということを想像したんですが、行ったところは、大変急峻な山の中腹というか、山の傾斜地でありまして、その下には川が流れているんですね。証言を聞くと、帯で互いをつなぎながら、川に転落をしないように。

 お二人の方からお話を聞きました。そして、今法務大臣に答えていただいた、友軍による殺傷というような、もう筆舌に尽くしがたいことを歴史が刻んでいる。正直言って、そういうことに直面するのは非常につらかったんですけれども、しかし、歴史の事実をしっかり見て、それを次世代に伝えるという意味で、教科書というのは大事だろうというふうに思います。

 文科大臣並びに総理大臣に小嶺さんが、メッセージというか、託された言葉があります。

 沖縄の悩みを、今までの悲惨な状況を覆さないように、なかったことにならないように、よろしくお願いします、将来、子や孫に平和な時代を恵んでください、昔のような徴兵にならないように、こういうことが二度と起こらないように、戦前みたいにならないようにということが今の私の悩みですと。沖縄の集会に来られたので、集会で大勢の方が集まったということで非常にうれしかった、これまでの事実が検定で覆されないような願いを感じた、これを日本政府、中央の政府、大臣に伝えてほしいと言われました。

 渡海大臣と福田総理からお答えをいただきたい。

    〔田野瀬委員長代理退席、委員長着席〕

渡海国務大臣 これまでも何度もお答えをしてまいりましたが、やはり、先ほど総理がお述べになったように、さきの大戦において、住民を巻き込んだ唯一の地上戦ということで、いろいろなことがありました。そして、その歴史を風化させることなく、きっちりと伝えていく、これはやはり平和を守っていくためにも大変大事なことであるというふうに認識をしております。

 そういった思いで、今、この問題にどうやって取り組んでいったらいいのかということを私なりに検討させていただいておるというふうにお答えをさせていただきたいと思います。

福田内閣総理大臣 きちんと受けとめてまいりたいと思います。

保坂(展)委員 沖縄戦について、大変重くつらい経験があるだけに、このことをしっかりした形で、これだけの大きな問題になったんですから、今後、後に引かない形で、できれば私も、本当に、福田総理談話なり見解、沖縄戦についての内閣の基本姿勢、こういうものを出していただきたいというふうに思います。

 総務大臣には、年金問題でお越しいただいて、先ほど駆け足で行ってしまって抜けてしまったので一問だけお答えいただきたいんですが、先ほどるる舛添大臣に答えていただいた旧台帳問題ですね。記録がどうなっているのかということについて、総務大臣の下に検証委員会あるいは監視委員会がございますが、しっかり見ていただきたいと思います。いかがでしょうか。

増田国務大臣 この年金問題でございますが、これは、国民の信頼確保という上で最優先で取り組むべき課題でございます。

 私どもは、今お話がございました監視委員会、それから検証委員会、第三者委員会、社会保険庁あるいは厚生労働省とは別の立場でこういったものをしっかりとやっていかなければいけない、こういう役割を担っておりますので、今、国民の信頼回復のために全力を挙げて取り組んでいきたいと思っております。

保坂(展)委員 時間になりましたので終わります。ありがとうございました。

逢沢委員長 これにて保坂君の質疑は終了いたしました。

 次に、糸川正晃君。

糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。

 まずは、福田総理、総理御就任おめでとうございます。

 総理になられるまでの総裁選の過程の中からずっとテレビで拝見をしておりまして、総理がテレビにお出にならない日はない、今もお出にならない日はないわけでございますが。

 これは別に通告しているわけじゃございませんけれども、総理、一日に大体テレビは何時間程度ごらんになられますでしょうか。お忙しいとは思いますけれども、もし、見ている時間があるならば、どのくらいなのかということをお聞きしたいと思います。

福田内閣総理大臣 つけっ放しにして見ていない時間も多いんですけれども、実際に見ているのは一時間ぐらいでしょうかね、毎日。

糸川委員 ありがとうございます。

 何でこういう質問をするかといいますと、きょうは、地デジのことについてちょっとお尋ねをしたいと思っております。

 これは、私もことしの二月十六日の予算委員会で質問をさせていただいて、またどうなっているのかな、内閣もかわったしということを含めて本日質問をさせていただきたいというふうに思っているからお尋ねをさせていただきました。

 といいますのは、山間部ですとか、それから高齢者世帯ですとか、社会的弱者ですとか、そういう方々の世帯は、場合によっては、二〇一一年の七月二十四日、アナログ放送が終了するということで、今まで見られていたテレビが突然見られなくなる。総理は今一時間程度見られているということでしたが、当然総理は見られると思いますが、そういう社会的弱者の方々は見られなくなる場合がある。

 先月の十三日ですか、地上デジタルテレビジョン放送の市町村別ロードマップというのが公表されました。総務省から公表されたわけでございます。二〇一〇年末現在で最大六十万世帯が地上デジタル放送の視聴が不可能である、もしくは難視聴である、非常に難しいというようなことが公表されておりますが、では、二〇一一年の七月の完全デジタル化移行時、どの程度の世帯が地上デジタル放送を見ることが難しいのか、現時点において推計がもし不可能ということであるならば、どの時点までにこの集計を出されるのか、お答えいただきたいと思います。

増田国務大臣 この地デジの問題、大変深刻な問題でございまして、私も岩手県知事時代に、岩手県も大変不利地域でございますので、相当総務省にこの問題について文句、警告を発した覚えがございます。

 今お話しの二〇一一年の七月二十四日、このときにもうこれはゼロになっている、こういうのが本来の姿であるんですが、今のところ、残念ながら六十万世帯が、二〇一〇年末の時点ですが、それからなおまだ数カ月ありますので、その後、少しでもそれを減らすということは当然行っていくべき話であります。

 IP再送信とか、いろいろ技術的な問題もございますので、今現在でそれが幾ら最後につぶせるか数字が明らかにできませんので、私は、毎年毎年、いずれにしても節目節目ごとにそうした数字を必ず明らかにするようにと、こういうふうに申し上げております。それは事務当局に命じてあります。これは、必ず毎年毎年、節目節目ごとに、どのようにこれが減っていくのか、あるいは変わっていくのかというのを申し上げるというふうにしていきたいと思っております。

糸川委員 今、大臣、難視聴世帯数ですか、岩手県では八千百五十世帯もデジタル化以降残っているというような推計が出ているわけでございます。

 では、そういう世帯をどうするのかということで、どうも、地上デジタル放送が送り届けられないという場合には、パラボラアンテナを設置していただいて、衛星放送を通じて受信できるようにしようということでございますけれども、では、この費用は一体だれが負担するのか、お答えいただけますでしょうか。

増田国務大臣 これはまだ、衛星を利用した場合の詳細については、今現在の段階では決まっておりません。

 それで、これを、どの衛星を利用してどういう番組を流すのかという具体的なものについて、ことしの暮れまでに明らかにしていきたい。そして、その上で、今お話ございました、今度は、衛星を見るのに必要なチューナーですとか、それからパラボラ、これが必要になります。これもかなりの額になりますので、これについての費用負担、それから、行政の方でそれをどういうふうに支援するのかといったようなもろもろの問題が出てきますので、そのことについて検討を進めていきたい、このように考えております。

糸川委員 大臣、費用負担の問題ですけれども、当然、山間部で提供できないという場合には、パラボラアンテナをつけていただいたり、それから、デジタルチューナーをこちらの行政側から提供されるということも検討されるのかもしれません。

 菅大臣が、私が質問した中で、これは原則として視聴者の方々にそういう一式を買っていただきたいというようなことを言われているわけで、そういう中で社会的弱者の方々をどうしますかという質問をさせていただいたことがあるんです。そのときに、大臣は、チューナー、二万円程度ですね、高いです、だから五千円以下のもの、このぐらいのものをぜひメーカーにお願いをしてつくっていただきたいと思っているというようなことをお答えになられていると思います。

 実際問題、この五千円以下のチューナーというのが、どの程度メーカーサイドが協力してくださるのか。それは、テレビは何万もするものですから、それを五千円程度で見られるようにするということにメーカーがどのくらい協力するのかということと、それから、社会的弱者というふうに菅大臣はおっしゃられているんですが、この社会的弱者というのは、総務省として考えられている社会的弱者というのは具体的にどのような方を想定されていらっしゃるのか、また、こういう方々に対してのデジタルチューナーの購入支援についても、どのようにお考えなのか、お答えいただきたいと思います。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 チューナーですけれども、今私どもは、受信者の方でこれは御負担いただきたいということで考えておりますが、今お話ございましたとおり、これをぜひ五千円以下にしていきたいということでメーカーの方に要請をしました。先般要請をして、それに対してメーカーの方からも、何とか技術開発を進めて、そして多くの方がお買いいただければどんどん価格も下がるだろうということで、前向きにやりたいという考えを示したメーカーもございました。

 これをさらに進めていくためには、仕様書を我々の方できちんとつくって、それをさらにあちこちのメーカーの方にお出しをしますともっとその点の作業が進むであろう、こういうことでございますので、私どもの方でいわゆる五千円あるいはそれよりもっと低い価格の簡易なチューナーの仕様書を策定して、公表して、それでメーカーの参入、競争を促していきたい。

 それから、弱者の皆様方への対応でございますが、これは、ことしの八月に情報通信審議会の方から答申をもらって、そこでこの問題も向こうの方のお考えをいただいております。そこでは、経済的に困窮度が高いというふうに認定をされた人たちということですが、そこの対象を厳密に限定しながら、支援対象についてもどこまでするのかということを、基本的な考え方をその中でお聞きしました。

 これは予算的な問題にもかかわってくるかというふうに思いますので、この点については、来年の夏までにおしりを切って、そこまでに我々の考え方を明らかにして、その上で次に向けて進んでいきたいというふうに考えております。

糸川委員 まず、五千円以下のチューナーのこと、それからデジタル対応のテレビの問題とかいろいろございますが、出荷台数というのを見ていますと、今の日本の国内にあるテレビが全部切りかえられるだけの出荷台数に、これは今のままいったら及ぶんだろうかという懸念もあるわけです。この出荷台数を見ていますと、すべて切りかえ切れるのかと。七百二十三万台とかその程度でしょうか、一年間で出てくる出荷台数というのは。そういうことを考えていますと、本当に、今一億台を超えていると言われているテレビ、全部切りかえることが可能なのかなということも思っております。

 きょう、ここは予算委員会の場ですから、ぜひ大臣、予算の方もしっかりとつけていただいて、この問題にしっかり閣内でも取り組んでいただきたい。

 テレビの問題、冒頭お話ししましたように、ある日突然映らなくなって、では、映らない方々はもう情報をとらなくても結構ですよという話にはならない御時世ですから、情報の社会ですから、必ず国民一人一人がテレビが現状と同じように見られる環境を、ぜひ福田総理、先頭に立ってつくっていただきたいというふうに思います。

 これは前回やらせていただいたんですけれども、実はテレビだけじゃないですね、大臣。ビデオも、地デジ対応のビデオデッキにかえなければデジタルの録画はできない。ということは、またそこにも国民の皆様に負担をかけるわけです。

 また、買いかえるときに、家電のリサイクル法のために幾らかのお金を取られるということもあるわけです。この辺の環境問題にもしっかり配慮していただかないと、どこかで不法投棄が多くなる可能性もあります。

 また、これは前回言えなかったんですけれども、今回言わせていただこうと思っているんですが、アンテナ、今までVHF帯のアンテナを立てていらっしゃった方々はUHFのアンテナを立てないと、幾らテレビが地上デジタル対応のテレビであっても、アンテナもかえなきゃいけない。ということは、アンテナの設置も、費用もまたかかるわけですね。これは非常に国民の皆様の負担は大きいものなのかなというふうに思っております。

 そこで、総理に、この地デジの問題については最後にしたいと思いますが、現在のアナログ放送が受信可能な世帯、こういうすべての世帯において完全デジタル化に移行する以降、テレビが見られるように万全な対策をしっかりと講じられるんだということ、それから、二〇一一年七月二十四日をもってアナログ放送を総理主導のもとしっかりと終了していただいて完全デジタルに切りかえるのかどうか、そういう決意もぜひお聞かせいただきたいと思います。

福田内閣総理大臣 テレビは今や娯楽とかそれだけでなくて、情報伝達機関なんですよね。特に災害の連絡とか通知、そういうものに積極的に活用されているわけでありますから、これはもう日本国民全部に伝わらなければいけない、そういう現代的な情報武器になっているんですね。

 そのことを考えますと、やはりデジタルに切りかえるということによってその恩恵に浴せない人が出てくるというのは避けなければいけませんね、そういうことは。ですから、そのことはどうしても我々としては一番頭の中心に置いておかなければいけない、こう思います。

 そして、今、二〇一一年ということでやっておりますので、それについて、それを実現できるような体制をつくっていかなければいけないというように思います。これは、今、総務省を中心にして検討しておりますけれども、我々としては、今のところはそういう計画を持っているわけですから、そのことを実現するべく全力を挙げていきたいと思います。

糸川委員 ぜひこれは、総理、社会的弱者、それから地方の、もちろん増田大臣のお地元の岩手県にも、ホテルであったり旅館であったりということもあるでしょう、そういう方々は大量にデジタルテレビにかえないといけない、そういう負担が多くなるということはぜひ念頭に置いていただいて、そういう上でどうやってこれを完全移行していくのかということをぜひ御協議いただきたいと思います。

 舛添大臣、お待たせいたしました。もう一つきょうやりたいことがございまして、医療問題。これも、昨日も阿部先生も取り組まれておりましたけれども、今、医師不足問題というのが非常に深刻になってきているわけでございますが、医師の総数、これは増加しているわけでございますね。ところが、産科ですとか特定の診療科ですとか、それから特定の地域においては医師が不足しているというような状況が生じておるわけでございます。これが深刻な状況になっているわけです。

 政府は、例えば年金記録問題、こういう非常に大きな問題が起きれば、関係閣僚会議を設けて取り組まれるというふうに思います。この医師不足問題も、これはもう非常に国民の皆様の命にかかわる問題ですから、そう考えますと、この深刻な問題は同様に、もちろんこれは財務大臣も含めて、また総務大臣も含めて、関係閣僚会議、これをつくって政府全体で取り組まれるべきだろうというふうに思いますが、これは、まず総理、いかがでしょうか、御認識をお伺いしたいと思います。

福田内閣総理大臣 いわゆる医師不足というのは、これは今、社会問題化いたしております。特に地方でそういう傾向が顕著であるということもあります。そういう地方のことは地方対策という中で考えていきたいと思いますけれども、いずれにしましても、全体的にそういう不足傾向があるというのであれば、関係省庁、横の連絡をよくとりながら、強力な政策を、対策を講じていきたいと思います。

糸川委員 ぜひ総理、関係閣僚皆で、予算もつけていただいて、そして自治体の病院、この後総務大臣に御質問いたしますけれども、自治体の病院、こういうところで経営状態が非常に苦しいところもありますから、これは総務大臣を筆頭にしてしっかりと協議をしていただきたいと思います。

 そういう中で、例えば、地方の医師不足がどんどん広がっていく中で、地域医療、これを整備していくために、自治体病院、これの役割が非常に重要になってきているわけでございます。また、地域の医師の集約化、こういうものを行って経営を何とか立て直していこうじゃないかというようなこともあるわけですけれども、自治体の病院の果たすべき役割というんでしょうか、それから位置づけについて、厚生労働大臣とそして総務大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

増田国務大臣 全国で千近く自治体病院があって、私もこの間までそこの会長をやっておりました。

 自治体病院というのは地域になくてはならない機能なんですが、過疎地域の医療を担っているということが一つ。それから二つ目は、高度先進医療をやはり自治体病院でセンター病院としてやっている。三つ目は、こうした中で、特に不採算部門、これは小児であったり、それから救急医療であったりがそういった部門ですけれども、こうしたものもいわゆる政策医療として自治体病院が役割を果たしているということで、これはもう、なくてはならない機能を果たしている。

 したがいまして、この経営問題、診療報酬が今下がっているということも影響しておりますが、この問題に対しての取り組みというのは大変重要だ、このように認識しております。

舛添国務大臣 今、自治大臣がお答えになったことに余りつけ加えることはございませんけれども、やはり地域において非常に重要な役割を果たしている。したがいまして、特に緊急医療について、各都道府県にこの公立病院の重要性について認識を促したところであります。

糸川委員 今、これは平成十九年四月八日の朝日新聞の朝刊ですけれども、医師確保のために、例えば北海道であれば、年間の給与総額は約二千三百万、お医者さんに払っているわけです。ところが、奈良県の場合は一千百三十万円と、自治体でやはり格差があるわけですね。苦しい中でも医師確保のために高給を払わなきゃいけない自治体もあれば、欲しいけれども払えないところもあるわけですから、そういうところをぜひまた御協議いただきたいと思います。

 もう時間もほとんどないので、ちょっと先を急がせていただきますが、大臣に、不妊治療について御質問させていただきます。

 今、少子高齢化、少子高齢化という中で、子供を何とかつくっていただきたい、こういうことがあると思うんですけれども、そういう中で、不妊に悩む夫婦もふえてきているわけでございます。

 その支援体制については、今必ずしも十分であるとは言えないのではないか。不妊治療には五百万だとかという非常に高額な数字が出てくる場合もあるわけですね。一回の体外受精の場合、平均三十万円程度かかるというようなこともございます。これは、保険適用が認められているのは本当に一部のみでして、体外受精というのは治療ではないということから保険適用を認められていないわけですね。それで、特定不妊治療費助成事業、こういうものがあって、これでは体外受精の治療費は助成しておりますけれども、所得制限があるということで、こういう不妊治療を望まれるすべての方々に何か治療費を受けさせるということではないというふうに考えております。

 真に妊娠、出産を望む不妊夫婦を支えるためには、これまでの考え方にとらわれないで、不妊治療における体外受精等の保険適用、これをもっと広く、例えば新薬に関しても認めていくべきではないかなというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

舛添国務大臣 お答えします。

 一般的に、我が国の医療保険制度では、保険適用できるための要件は何かといったら、病気に対する安全性が確保されていること、それから有効であること。こういう観点から見ますと、先生がおっしゃったように、特定の、例えば排卵誘発剤などによる薬物治療とか、そのほか、保険適用となっているものもございます。

 ただ、今おっしゃられたように、助成をするという形で、体外受精、胚移植、それから顕微授精、こういうところへ一定の所得制限のもとに支援が行われていますけれども、あとはなかなか、保険制度全体から見たときに、そこでこれだけ例外だということをどう説得的に国民に説明することができるか。

 もちろん、少子化対策、これはもう不妊治療をしっかりやっていただいて、子供さんをたくさん産んでもらうというのは大変有効な手段だと思いますけれども、そういう保健医療制度全体との議論の中で、これまたぜひ国会でこういう議論を詰めていただいて、最終的に、政治的な、この国会が国権の最高機関ですから、ここでお決めになることも十分考えられると思います。

糸川委員 ありがとうございました。

 きょうはちょっと駆け足でございましたけれども、総理、今の不妊治療の問題もそうですけれども、今、医療にも非常に格差が広がってきている。そしてテレビも、生活に密着した部分でも非常に格差が広がってきている。こういうところに、所信でも手を差し伸べるとおっしゃられたんですから、ぜひ、すべてのそういう世帯に対しても、それから医療の世帯に対しても手をしっかりと差し伸べていただきたい、このように思っております。

 ありがとうございました。終わります。

逢沢委員長 これにて糸川君の質疑は終了いたしました。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後五時散会


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