衆議院

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第5号 平成20年2月8日(金曜日)

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平成二十年二月八日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 逢沢 一郎君

   理事 伊藤 達也君 理事 遠藤 利明君

   理事 田野瀬良太郎君 理事 中山 成彬君

   理事 森  英介君 理事 山本 幸三君

   理事 岡田 克也君 理事 前原 誠司君

   理事 富田 茂之君

      安次富 修君    新井 悦二君

      井上 喜一君    井脇ノブ子君

      伊藤 公介君    猪口 邦子君

      岩永 峯一君    臼井日出男君

      尾身 幸次君    大島 理森君

      大塚 高司君    大野 功統君

      金子 一義君    亀井善太郎君

      河村 建夫君    木原  稔君

      倉田 雅年君    小池百合子君

      小坂 憲次君    佐藤 剛男君

      斉藤斗志二君    坂本 剛二君

      菅原 一秀君    杉浦 正健君

      園田 博之君    平  将明君

      中馬 弘毅君    土井  亨君

      長勢 甚遠君    橋本  岳君

      深谷 隆司君    牧原 秀樹君

      増原 義剛君    松本 洋平君

      三ッ矢憲生君    三原 朝彦君

      山本ともひろ君    笹木 竜三君

      田村 謙治君    武正 公一君

      寺田  学君    中川 正春君

      長妻  昭君    原口 一博君

      細野 豪志君    馬淵 澄夫君

      松本 剛明君    三谷 光男君

      山井 和則君    笠  浩史君

      渡部 恒三君    赤羽 一嘉君

      赤松 正雄君    江田 康幸君

      笠井  亮君    志位 和夫君

      阿部 知子君    糸川 正晃君

      亀井 久興君

    …………………………………

   内閣総理大臣       福田 康夫君

   総務大臣

   国務大臣

   (地方分権改革担当)   増田 寛也君

   法務大臣         鳩山 邦夫君

   外務大臣         高村 正彦君

   財務大臣         額賀福志郎君

   文部科学大臣       渡海紀三朗君

   厚生労働大臣       舛添 要一君

   農林水産大臣       若林 正俊君

   経済産業大臣       甘利  明君

   国土交通大臣       冬柴 鐵三君

   環境大臣         鴨下 一郎君

   防衛大臣         石破  茂君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     町村 信孝君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)

   (食品安全担当)     泉  信也君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (規制改革担当)

   (国民生活担当)

   (科学技術政策担当)

   (消費者行政推進担当)  岸田 文雄君

   国務大臣

   (金融担当)

   (行政改革担当)     渡辺 喜美君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   大田 弘子君

   国務大臣

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   上川 陽子君

   内閣府副大臣       木村  勉君

   総務副大臣        谷口 隆義君

   法務副大臣        河井 克行君

   外務副大臣        小野寺五典君

   財務副大臣        森山  裕君

   厚生労働副大臣      西川 京子君

   農林水産副大臣      今村 雅弘君

   経済産業副大臣      新藤 義孝君

   国土交通副大臣      平井たくや君

   環境副大臣        桜井 郁三君

   内閣府大臣政務官    戸井田とおる君

   総務大臣政務官      二之湯 智君

   文部科学大臣政務官    保坂  武君

   経済産業大臣政務官    山本 香苗君

   国土交通大臣政務官    金子善次郎君

   防衛大臣政務官      寺田  稔君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    宮崎 礼壹君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 竹島 一彦君

   会計検査院事務総局第一局長            諸澤 治郎君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 堀田  繁君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  片桐  裕君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       藤崎 清道君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            太田 俊明君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  水田 邦雄君

   政府参考人

   (社会保険庁社会保険業務センター所長)      中野  寛君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  宮田 年耕君

   参考人

   (日本銀行総裁)     福井 俊彦君

   参考人

   (日本郵政株式会社取締役兼代表執行役社長)    西川 善文君

   予算委員会専門員     井上 茂男君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月八日

 辞任         補欠選任

  臼井日出男君     松本 洋平君

  尾身 幸次君     土井  亨君

  大島 理森君     木原  稔君

  河村 建夫君     山本ともひろ君

  小坂 憲次君     大塚 高司君

  野田  毅君     安次富 修君

  三原 朝彦君     新井 悦二君

  笹木 竜三君     寺田  学君

  細野 豪志君     長妻  昭君

  渡部 恒三君     三谷 光男君

  赤松 正雄君     赤羽 一嘉君

  笠井  亮君     志位 和夫君

  糸川 正晃君     亀井 久興君

同日

 辞任         補欠選任

  安次富 修君     亀井善太郎君

  新井 悦二君     橋本  岳君

  大塚 高司君     小坂 憲次君

  木原  稔君     牧原 秀樹君

  土井  亨君     尾身 幸次君

  松本 洋平君     井脇ノブ子君

  山本ともひろ君    猪口 邦子君

  寺田  学君     笹木 竜三君

  長妻  昭君     田村 謙治君

  三谷 光男君     渡部 恒三君

  赤羽 一嘉君     赤松 正雄君

  志位 和夫君     笠井  亮君

  亀井 久興君     糸川 正晃君

同日

 辞任         補欠選任

  井脇ノブ子君     臼井日出男君

  猪口 邦子君     河村 建夫君

  亀井善太郎君     平  将明君

  橋本  岳君     三原 朝彦君

  牧原 秀樹君     大島 理森君

  田村 謙治君     細野 豪志君

同日

 辞任         補欠選任

  平  将明君     野田  毅君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十年度一般会計予算

 平成二十年度特別会計予算

 平成二十年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

逢沢委員長 これより会議を開きます。

 平成二十年度一般会計予算、平成二十年度特別会計予算、平成二十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、基本的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官堀田繁君、警察庁生活安全局長片桐裕君、厚生労働省医薬食品局食品安全部長藤崎清道君、厚生労働省職業安定局長太田俊明君、厚生労働省保険局長水田邦雄君、社会保険庁社会保険業務センター所長中野寛君、国土交通省道路局長宮田年耕君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第一局長諸澤治郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

逢沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

逢沢委員長 昨日の岡田克也君の質疑に関連し、渡部恒三君から質疑の申し出があります。岡田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。渡部恒三君。

渡部(恒)委員 福田総理閣下、大変御苦労さまです。

 きょう私が質問させていただくことになったのは、実は、一昨年、あの小泉君の任期が終わって、ポスト小泉が非常に大きな話題になったとき、幾つかのテレビに出演させられて、私は、次の参議院の選挙に民主党が勝つためには安倍君が一番いい、しかし、国のためには福田君の方がいいだろうという話をしました。

 第一の方は、昨年七月、民主党が圧倒的な勝利を得て、私の予言どおりになっている。やはり渡部恒三の言うことは間違いない、こう国民の皆さん。ところが、二番目のは、今となっては言わなかった方がよかったかなと思うように、何かあなたの総理になってからのいろいろな言動を見ていると、二番目の渡部恒三の言ったのは間違いだったな、こう言われそうなので、大丈夫だ、こう国民の皆さんから言ってもらいたいと思って質問に立ちました。

 自民党の大会で、総理は、何か三十六回、国民のため、国のため、国民の生活を守るためにと言うたということを聞いたんですが、本当ですか。ああ、本当。あのとき、私は、子供のころ母親に教えられたことを思い出したんです。恒三、お金を借りに来たとき、必ず返す、必ず返すと何遍も言う人は危ないから気をつけろよと。

 その後、あなたの発言を見ていると、野党の皆さんと話し合いをしましょう、話をしましょう、話をしましょうと。これは民主主義の社会ですから当然のことです。だから、当然のことをまた毎日毎日しゃべるからどうなるのかなと思ったら、あなたのやったことは、この国会で一番大きな問題になった一兆円を超す増税をまずどうするかということについて、これは、野党に一遍も相談するどころか、前の日までここでそういうことがあるのかないのかと聞かれても何かわけのわからないことを言いながら、ぽんとあの、つなぎ法案といったのか、ブリッジ法案、何か一兆円を超す国民、庶民に対する増税を一遍に……(発言する者あり)ああ、そんなようけだったか。おれもちょっとぼけていたな。二兆七千億も超す増税を一日でぱかっと国会の審議なしに決めるような法律を出した。あんなことをやったら国会はなくなります。国民の国会に対する民主主義は破壊してしまう。幸いに、河野洋平君のあっせんでようやくあの暴挙が食いとめられたことはいいけれども、その後を見ていると、みんなそうなんだな。

 安全、安心、これも随分あなたが言うておった。それで、去年の暮れ、あの中国のギョーザ、中毒が起こった。すぐに乗り出すかと思ったら、一カ月もほうっておいて、今度は、とにかく中国でつくられた製品が日本に輸入されて、日本の国民の皆さんが食の安全に対して大変な厳しいところに立っている。一番先にまず中国へ行って、どうなっているんだ、こう言うのかと思ったら、中国の皆さんが日本に来て、それからこっちが行く。これも、おれが頭悪いのかどうかわからないけれども、理解できない。

 また、年金。昨年、我が党の長妻君がこの消えた年金の質問をした。あれはすばらしかった。あれで助かった人がいっぱいいる。

 ところが、これがまた驚いちゃったな。去年の七月、自民党、来年三月までに未確認の年金記録は確実に名寄せを完了しちゃおうと。安倍前首相、私の内閣ですべて解決をしていくことをお約束します、最後のお一人に至るまですべて記録をチェックして、まじめに保険料を払ってこられた方々に正しく年金を払います、こう約束しておる。

 そして、この前の国会でその約束ができないということになったら、それに対する答えが、解決すると言ったかななんて、何か人ごとみたいな。一国の総理大臣です、自民党の総理大臣です。自民党の公約、自民党の前総理が言った発言は、やはりあなたも責任あると思う。これについて、あなたの政治姿勢をまずお伺いしたいと思います。

福田内閣総理大臣 渡部先生には日ごろ大変御指導をいただきまして、ありがとうございます。御叱正もきょうは賜りまして、心にしみ入るようなお言葉でございました。謙虚にお答え申し上げさせていただきます。

 まず、ギョーザの問題でございますけれども、これは、御指摘のとおり、政府の対応が悪かったところはあると思います。特に、そういう事件がありまして、その後の対応と申しますか、時間がかかりましたね。そして、本当に対応をしっかりやらなきゃいけない厚生労働省に連絡が来るのが遅かったといったようなこともございまして、被害の拡大を防ぐことができなかったというような部分がございました。本当にこれは国民に対して申しわけないというふうに思っておるわけでございます。

 しかし、この問題については、今原因の究明ということを一生懸命やっている最中でございまして、この究明作業がなかなか進まないところがございまして、いらいらさせておるという状況でございますけれども、だんだんと核心に迫ってきているというように思います。まだ、本当のところがわかるまでそういう事実関係というものを明らかにすることができないところもあると思うんですけれども、一生懸命、鋭意この究明について努力をさせていただき、そしてまた国民の皆さんに安心していただけるような体制に復旧したい、こういうふうに思っておりますので、もうしばらくお待ちをいただきたいと思っております。一生懸命努力をしてまいります。

 こういうような問題が起こりまして、政府の体制が本当に今のままでいいのかどうかということについて反省をいたしております。ですから、私のもとに消費者行政を一元化しようというようなことで、体制を整えるべく検討を始めたところでございますので、これは、実は私も以前からそういう必要性を感じていたのでありますけれども、そしてまたそういう予定を立てておりましたけれども、その予定を少し早めまして、なるべく早くこの体制を立ち上げよう、こういうふうな考え方をしております。御心配をかけたことを心からおわび申し上げたいと思います。

 それから、年金のことでございますけれども、年金は、これはまたむちゃくちゃに大きな問題なんです、正直申しまして。国家というか政府の威信にかかわる問題ですから、これはもう本当に大きな問題で、そして、このことに我々は全力を挙げて信頼回復に努めなければいけないということで、全力を挙げて取り組んでいるところでございます。

 何しろもう四十数年にわたっていろいろなことが重なってここまで来てしまった、そういうことがございますので、理由は、原因はいろいろあるんです。ありまして、それを放置したということが一番悪かったというように思いますけれども、いずれにしましても、こういうことは、明らかになったわけでございますので、これはもう本当に全力を挙げて、そして、これは国民一人一人の老後の安心の問題ですから、おろそかにできない、そういう気持ちで取り組んでおるところでございますので、ぜひ、この作業を続けている我々、まだまだ努力が足りないとおっしゃられればそういうところもたくさんございます、そういう我々に対して御忠告いただきたいというように、また時には御叱正も賜りたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 なお、昨年の七月五日に政府・与党として、この年金問題、記録が不正確であった、この問題を解決するべく方針を立てました。その方針に基づいて今作業をしている最中でございます。基本方針は変わっておりません。細かいところでは、これまたいろいろとおしかりを受けたりして訂正をするというようなこともさせていただいておりますけれども、基本方針は変わっておりません。その方針に基づいてこれからも粛々と国民の信頼回復のために努力をしてまいりたいというように思っておりますので、どうぞよろしく、また今後とも御指導を賜りたいと思っております。

渡部(恒)委員 御苦労さまです。

 やはり毎日食べるわけですからね。毎日食べるたびに、これは安心か心配ないかなとやっておったら、生きていられません。やはりこの国の人たちがみんな楽しく安心して食事できるように、しっかり頑張ってください。

 それから年金の話は、道路特定財源でもやはり一番今国民の不信を買っているのは、道路をつくるといって集めた金を変なことにいろいろ使う、こういうものが続いて、ああ、年金のときもそうだったな、年金、国民の皆さんから預かっているとうとい掛金で何か、小田原だったかな、あれは労働省の方か、いろいろあったよな。

 しかし、とにかく、変なことに使っているということが政治に対する国民の信頼を失った一番大きな原因で、道路の特定財源を使っているものがどうか、これから我が党の若い人が順次質問していくと思いますが、せめて年金は国民の皆さんに、皆さんからお預かりした金は一〇〇%皆さんの給付に使います、それ以外のことには一銭たりとも使いませんと。これはやはり国民の年金に対する信頼を取り戻す大きな原因になる。

 今、我が党が出しています、それに一切使わないという。今、宙ぶらりんになっている。せめて、あんたの……(発言する者あり)失礼しました、総理大臣閣下、党の方に命じて、あれはもう党派なんて考えないで、民主党が出している、年金の掛金を一切他に使わないという法律を通したらどうですか。

福田内閣総理大臣 いろいろ年金のあり方というものについて御意見がございます。各界で御意見がございますので、我々も、今後の年金のあり方ということは、これは社会保障の中で一番大きな、大事な部分でございますので、しっかりと考えていかなければいけないと思っております。

 私どもは、政府が今考えていることでもってあくまでもやるんだということ、一応今そういうふうに言っています。そういうふうに言わないと混乱しますからそういうふうに言いますけれども、しかし、よい案があれば、それにも増してよい案があれば、それを受け入れるという気持ちは十分にございます。

 そういうようなことも含めまして、今、社会保障に関する国民会議というものをつくりまして、議論を始めていただきました。これは、少子高齢化、特に高齢社会、高齢者がたくさんふえてくるというような時代に即した、そういう時代でも国民の皆さんが安心できるような社会保障制度とはどういうものか、そういう中で年金というものはどうあるべきか、こういったようなことを議論していただこう、こういうふうに考えておるところでございます。

 そのことによって、国民の皆さんが、将来自分の生活はどうなのかなといったようなことについて何か思い描けるような、自分の将来を思い描けるような議論をしていただこうかな、こういうふうに思って今始まったところでございますけれども、そういうような御意見も参考にしながら、よい案をつくるということで鋭意やっておりますので、こういうことにつきましても、民主党の皆様方にも、またほかの野党の方々にも御意見をいただきながら、よりよいものをつくりたいと思っておりますので、どうかよろしく御協力をお願いしたいと思っております。

渡部(恒)委員 国民の皆さんの一番関心のある年金、どんな少子高齢化がやってきても安心いただけるんだ、また、我々が苦しい生活の中から納めている掛金は絶対に給付以外のことに使われないんだということをまず明確にしていただきたいと思います。

 それから、きのう、私は我が党の岡田副代表と総理の質問を聞いていて、おれ、ちょっと二年前の記憶が間違っておったのかな、こう思ったのは、小泉内閣のときの、あの小泉総理の内政の柱は、道路公団を民営化して、道路特定財源を一般財源にする、それから郵政民営化をやる、これが柱で、ちゃんと与党の了解を受けて閣議で決定し、そしてそれを看板にして一昨々年、あの選挙は間違いでしたけれども、圧倒的に小泉自民党が勝利をしたと私は記憶しているんです。

 ところが、きのうの岡田副代表とあなたの話を聞いていると、何か総理は命がけで道路特定財源を守らなくちゃならないと。大蔵大臣、おれは頭古いな、何大臣だったかな、額賀大臣。(発言する者あり)ああ、財務。何か一生懸命、命がけで守るみたいな話だったので、どっちが本当だかと思っていたんですが、小泉元総理の政治の考え、間違っていたということですか。

福田内閣総理大臣 今、道路特定財源という制度がございまして、要するに、そのユーザー、自動車に乗る人、ガソリンを使う人、そういう方に負担をしていただくというようなことで税金をお願いしているということでありまして、小泉政権下ではそういう制度のもとでやっていたんですね。

 そしてまた、その中で、一般財源化を図ろうじゃないかというような話がありまして、一般財源化することにしましたけれども、しかしそれは、やはりあくまでも自動車に関連する、ユーザーに関連するようなことについて支出をする。でないと、やはりユーザーからいただいて、それを一般財源に回してしまうということではユーザーの理解を得られないだろうというふうなことで、それは自動車関連。安倍政権になりましても、やはりそういうような方針は貫いてきたわけであります。

 ただ、安倍政権で一般財源化しようということを決めたわけでありまして、私のときになりましてこれを法律化したわけです。この法律をお出ししているわけです。一般財源にできるということでございます。

 ただ、今でも、やはりユーザーというのは厳然としてありまして、そしてそういう方々がこの特定財源の財源を出しているわけですから、そういう方々が御納得いく範囲でなるべくやっていこうじゃないかということですから、例えば渋滞の対策とか、あかずの踏切対策とか、そういったようなことを優先的にやっていくというようなことをしているわけで、こういう分野もまだまだ手をつけなければいけないところはたくさんあるんですね。東京都内でも本当にたくさんあるというふうにも聞いておりますし、地方でも当然あるわけでございます。私の選挙区にもございます。

 そういうふうなことでございますので、それは一般財源化を図る、そういう中に、あかずの踏切対策とかいったようなものも入っているということで、今回の予算にもそういうものはのせさせていただいた、そして一般財源の金額も昨年よりはふやしている、こういうふうなことでありますから、決して後退をしているわけじゃないんです。前進をしている。

 そしてまた、今後は環境問題とかいったようなこともだんだん出てくると思います。今でも環境配慮の一般財源化ということもやっておりますけれども、今後は、そういう面についてさらに多くの一般財源化を図るということも視野に入ってくるんだろうというように思います。

 こういうことについてもユーザーの御理解を得ながらやらなければいけない、そういう状況でありますけれども、しかし、その自由度はだんだん、またその使用用途というのはふえてきているというふうに考えていいのではないかと思っております。

渡部(恒)委員 何かわかりにくい。恐らく、聞いている国民の皆さんは意味がわからなかったと思うんですが……(発言する者あり)静かに聞きなさい。

 委員長、小泉元総理がどういう考えだったのか聞きたいと思うので、ぜひ一度、この予算委員会で、小泉元総理がどういう考えだったかということをお聞きする機会をつくってください。

 今の総理の答弁には申しわけないけれども納得できないんだけれども、もっと大事なことを質問したいことがあるもので、次に移ります。

 まず、経済の問題。

 「取り残される日本」というので配ってありますが、何といったか、女性大臣、あのきれいな方、大田さん、この前、総理初め四人か五人で大臣が話した中であなたのだけ今記憶に残っている。まあ、あれで株を下げたのかもしれないけれども、何かOECDの中で日本の経済は十八番目だという。驚いた。私は一番だと思って、まあ一番でなくても、せめて二番か三番だと思っていた。

 それで、調べてみたら、一九九二年は三番だったんです。このとき私は宮沢内閣の通産大臣になって、通産省の人と一生懸命頑張って、一九九三年は二番になったんです。

 ところが、その後、私は、自民党も大事だけれども、自民党にかわって政権を担当できる政権政党をつくって、国民が常に主人公になる政治のためには二大政党だということで、自民党を飛び出して今頑張っているんですけれども、一つだけ残念なのは、私が自民党を飛び出しちゃったために、二〇〇六年には十八位になっちゃった。

 これはやはり、国民の皆さんとともに、資源もない、エネルギーもない、あの貧しいはずの日本がみんなで頑張ってここまで来れたんだから、一番だ、二番だ、三番だと言われておるところまで来て、それが国民の豊かな生活をも保障していかなくちゃならないんですから、これが十八番目になったら、これからのこの国の若い人、未来に希望を持てますか。あしたどうなりますか。

 どうぞ総理、国民の皆さんがわかるように明快な答弁を願います。

福田内閣総理大臣 私も最近、一人当たりのこれは名目所得でございますけれども、十八位にまでなってしまっているというのを見まして、実はびっくりいたした一人でございまして、いつの間にこうなってしまったのかな、こういう思いをいたしております。

 この十八年間、余り伸びてないんですね。いわゆるバブルが崩壊して、そして失われた十年というふうに言われていますけれども、そういうものをまだ引きずっているということでありまして、どうも元気がない、日本は元気がない、閉塞感が満ちあふれているんじゃないかみたいな、そういうふうなことも言われるような状況でございまして、こういう状況というのを、この数字を見て、ここで奮起しなければいけない、こう実は思っておるところでございます。

 そのためにどうしたらいいかということになりますけれども、これは、日本は何を持っているか、やはり人材なんだろうと思います。日本は今、世界一の長寿国でしょう。長寿国を、こうやって世界一を達成するというのは容易なことではないと思いますよ。ほかの国が幾ら頑張ってもなかなかなれないものを日本は達成しているわけですからね。

 やはり日本は、社会の仕組みとか教育とか、あらゆる部分をとってみてもすぐれていたんだと思います。いたんですよ。これは過去です。これからがどうなるかということが心配でございまして、そういうものを今までと同じように維持していく、そしてさらにそれを伸ばしていくということが必要なんだと思います。

 ですから、教育も、こういう数字を見るとちょっと何か下がっていて心配になるということがありますので、教育は教育でしっかりやらなければいけないけれども、その教育というのは、やはり社会がしっかりしていないと子供たちが育たないと思いますので、社会が立ち直ることをまず考えなければいけないのではないのかなと思います。

 ですから、社会の中でやはり指導的な立場にある我々がしっかりしなければいけないということは第一義的にあるんじゃないかと思いますけれども、それはさておいて、これからそういう人材が豊富にある日本がその人材の能力を駆使して伸びていくためには、やはり、日本は資源がございませんから、科学技術の力で伸びていくということではないかと思います。

 ですから、技術を伸ばしていく。特に今、環境の問題なんかも出てきております。今のようなエネルギーを使っている限りは環境はよくなりません。ですから、省エネも大事ですけれども、そういうような省エネどうこうでないような技術開発もしていかなければいけない。そのためには、そういうことを開発できるような人が必要だということでありますので、やはり、技術能力を高めるような人材を育成していくということは、一つ大きな将来的なかぎになるだろうというふうに思います。

 この人材さえ確保できれば、今までの蓄積がございますから、日本は、安定した国家として、今後とも安心して、世界、国際社会の中で胸を張ってやっていけるんだろうというふうに思いますので、このことに全力を挙げてまいりたいというように考えておるところでございます。

渡部(恒)委員 今の総理の発言は、私もうなずけることが多い。やはり人です、この国は。人で持っていくんです。ところが、今、総理からも若干話があったように、学力までも、科学的応用力、二番だったのが六番、数学的応用力、一番だったのが十番、読解力、八番だったのが十五番、これはやはり真剣に考えていかなければならない問題です。

 今、私と総理が共通した考えは人づくり。学校教育はもちろん一番大事だけれども、学校教育だけではない。やはり家庭教育、社会教育、これが三位一体になって人づくりができる、ここは同じ考えだ。

 ところが、これはあなたのせいにはしない、前の小泉元総理の一番大きな責任だけれども、この国を支える我々の先輩、あの戦後の貧しいとき一生懸命働いて、アメリカに競い合う日本にした教育、それが失われて、特に、その人づくりの根源にあったふるさとと家庭がこの国から今なくなろうとしているんです。特に、小泉元総理のときのあの地方切り捨て、これが日本の、今までやってきた、一番いいふるさとを、地方をなくそうとしているんです。

 総理、昨年の七月の参議院の選挙、自民党はなぜ負けたと思いますか。

福田内閣総理大臣 大いに反省すべきところはあったと思います。自民党も、この敗北の反省をして、厚い反省の分析をしたようでございます。

 いずれにしましても、国民の信頼をかち得なかったということでございまして、そのかち得なかった原因は何か、さまざまであると思いますので、大いに反省し、もう二度とこういうことがないようにというように心がけてまいりたいと思っております。

渡部(恒)委員 では教えてあげましょう。

 あの七月、私も、一名区、一人しか当選できない、二十九の、簡単に言えば地方の農山村だ、ほとんどを大いに歩きました。

 高知県の決起大会に立ったとき、これで民主党は勝ったなと思ったのは、何千人もの皆さんが集まって、怒りの一票。高知県は、吉田茂以来、長い長い自民党絶対の地盤だった。ところが、その集まった人たちが、みんな怒りの一票。もう真剣に、野外に集まってやっておって、これで勝ったなと私は思った。

 また、四国、九州、東北、この中心市街地を歩きますと、昔栄えた駅前の商店街とか中央通りの商店街とか歩くと、シャッターが全然昼間もあかないで、人も、歩いている人がいなくて、これで一体地方はどうなるのかなと。

 東京の皆さんも聞いていると思うけれども、東京があるから日本があるんじゃありません。地方があるから東京があるんです。東京で今活躍している人もみんな、地方で育った人が非常に多い。(発言する者あり)違うなんて君言っているけれども、福島県の原子力発電所で一生懸命我々が頑張ってつくった電気で、東京の皆さんはみんなエレベーターも動かして、テレビも見ているんですからね。福島県で原子力発電所できなくなったら、あの二百メーターのエレベーター、幾ら若い者だって歩いては三階ぐらいがいいところで、エレベーターがとまっちゃったら、三十階は歩けねえからみんな幽霊屋敷になるんですよ。やはり、地方があるから東京がある。そして、東京が栄えて日本があるのも一緒なんですよ。

 それが、残念ながら今、二十九の特に自民党が惨敗した地方の農山村、これは本当にひどい。そこの人たちは長い間自民党しか書かなかった。私が自民党におったころは、あの二十九の一名区は、自民党の公認になったら、もう選挙の前に当選だというほどだった。それが、申しわけないけれども、自民党が末期的現象になったということなんだろう、二十九のこの前までは無競争で当選できたところが五つしかとれなかった。それは、地方を余りにもいじめたから、農業をいじめたからなんです。どう思います。

福田内閣総理大臣 我が国は、バブルがつぶれて十年間眠っていたというような状況がありましたけれども、そこからいかにして立ち上がるかということでございました。ちょうど我が国の景気も余りよくないということでございましたけれども、そこから立ち直るためには、そしてもう一つ大きな問題は、日本の社会構造が変わってきたということですね。それは、三年前ですか、高齢社会という、人口減少へ逆転した、そういう転機を迎えたわけですね。大転換期なんです。

 ですから、そういう大転換期を迎えて、日本の社会がどうあるべきかということを模索して、いわゆる小泉構造改革というものを実施した。これは、私は避けては通れないことだったと思います。国際競争にも勝たなければいけない、そして日本の経済を立ち直らせなければいけない、そういう観点から改革を進めてきたということであります。

 そういう中で、改革でございますから、もちろんいいところもあるけれども、しかし、その影響を受けてしまうところも必ず出てくるということも予想されるわけでありますから、そういう部分について、例えば地方の再生というようなことについての手も打ってきたわけでありますけれども、十分でなかったというようなことについては、これは反省しなければいけないところかもしれませんけれども、方向性は、やらなければいけない政策の方向であったというふうに私も評価をいたしておるところでございます。

 そういう中で、昨年の選挙で負けたのはそれだけではなかったと思いますので、そのことにすべて原因があるというふうには思っておりませんけれども、そういう反省をもとに今後の政策は考えていかなければいけないということでございまして、今回提出させていただきました二十年度の予算におきましては、地方を活性化しようというための施策を盛り込んで、地方重視ということを考えさせていただいた。やはり、地方が元気にならなきゃ日本全体は元気になりませんよ。ですから、それを何とかして実現したい。そういう元気のある地方のために政府も全力を挙げていくということをしなければいけない。

 しかし、そのために、ばらまき予算はいけないと思います。筋の通ったお金の使い方をしていくということが大事なんでありますので、そのことを心がけながら、なおかつ、地方の道路もつくっていかなければ地方の活性化はないということで、道路の方もお願いを申し上げているところでございます。

渡部(恒)委員 ちょっと共通するところもあるし、違うところもある。

 私が中学生か高校生で初めて東京に来たときは、東京というと国会議事堂、これがぐっと、東京で一番高い建物で目立ったものだな。ところが、今見ると、何かどこにあるかわからない、小さくなっちゃって、まあ、国会の存在も小さくなったのかな。私が国会議員で三十九年前に来たときは、霞が関ビルが一番、国会議事堂より高い建物で、目立ったものです。

 ところが、小泉総理になってから、都市再開発法で、人口の密集地帯の高層建築を将来の安心も安全も考えないでばんばんやらせて、今、ビルの林だ、東京は。これは、東京の人も幸せじゃないよ。二百メーターのビルが一つ建って、マンション、八千人暮らせるそうですね。そうすると、地方出身の皆さん、自民党の皆さん、あのビル一つ建つたびに、あなたらの大事なふるさとの町が一つずつなくなっていくんだよ。これは自民党も民主党もないよ。このままでいくと地方がなくなっちゃう。

 ドイツなんか、ベルリンが政治の首都だけれども、フランクフルト、学問の町、デュッセルドルフ、商業の町。アメリカだって、ニューヨークがあり、ロサンゼルスがあり、決してワシントンにみんな集まっていない。大体、先進国は、学問の町とか文化の町とか、やはり国土の均衡ある発展の中に国が発展してきているので、これは、文化も経済も学問も何も全部東京に集まっているというのは、シンガポールと香港と東京かな。しかし、シンガポールと香港とは別だな、日本の東京は。やはり、一極集中がいいのか、国土の均衡ある発展がいいのか、考えてほしい。どうですか。

福田内閣総理大臣 私も、東京に集中している、また、東京中心の、近県に集中している状況というのは、決して好ましいことではないと思っております。

 東京は国際都市ですから、それなりの体制というのは必要かもしれませんけれども、過度に東京に集中したときに、例えば災害が起こったときはどうなのかといったこと一つ考えても、非常に心配があるわけですね。そして、そういうふうなことはかねてから心配がありまして、首都移転とかいったようなことが言われておった。また、今先生がおっしゃったように、国土の均衡ある発展という言葉がございました。今、なくなっちゃったんですね、そういうことが。非常に残念なことだと私は率直に思っておるところでございます。

 今のような状況が続きますと、地方と言ったら申しわけないかもしれぬけれども、みんな東京に集まってくる、東京近県に集まってくるというような状況で、人がいない県といる県とはっきり分かれてしまうというようなことが果たしていいのかどうかということは、これは日本全体で考えていかなければいけない問題だと思いますので、また先生にもひとつ大きな声を出していただいて、そういう方向で運動していただく、福島県に首都を移転したいというような御提案もしていただきたいなというふうに思っております。

渡部(恒)委員 だんだん近寄ってきたのかな。

 これは本当に、東京の人も聞いていると思うので、東京の人にも誤解がないように申し上げると、東京の人が一番これから困ると思うんですよ。ビルが林のようになって、関東大震災、百年たった、いつこの国に地震が、東京に来ないというのは神様だって断言できない。

 しかも、私が去年調べたら、東京にビルディングがじゃんじゃん建って幸せかというと、名前は言えませんが、この前ある区に行ったら、長い間一生懸命東京を守ってきた人たちの生活、かわいい子供の学校給食費も払えない、学用品も買ってあげられない、そういう人が四〇%もいる区が東京にあるんですよ。

 日本の一番よかったことは、みんなが大体同じような生活ができた、これがきょうの日本なんだ。ところが、あの小泉総理以後、一方では、六本木何たら、名前を言うと差しさわりがあるから言わないけれども、ここにはいないと思うけれども、あの一億円のマンションをぱかぱか買う者がいるかと思うと、東京でかわいい子供の給食費も払えない、学用品も買ってあげられない、そういう地域の格差、生活の格差、これを直すのが今の政治の最大の問題だと思う。どうだ。

福田内閣総理大臣 確かに、所得の格差というのはだんだん開いてきている部分があるんだろうというふうに思います。だものですから、そういうことはやはり是正すべきだというふうに私は思います。思いますが、一方で、能力のある人はそれなりの所得を得るというのは当然ではないかという考え方もあります。しかし、それは、そんな幅広い、数の多いところではないと思いますので、そういうことも許容する社会であってほしいというようには思います。

 しかし、日本全体で地域間格差が出てきているということは厳然たる事実で、これはさらに拡大をしているということも事実でございますから、そういうことで果たしていいのかどうか。

 そしてまた、やはり日本全体が活力を持つというのは、今までは、日本はみんなの所得が同じように上がってきて、同じような所得を地方でも東京でもという、もちろん格差はありましたけれども、そういうような傾向があったから活力があったんだろうと思います。しかし、一方で、沈滞する地域が出てくるということになりますと、日本全体として果たしてその活力の維持ということができるのかどうかということは私も心配をしているところでございますので、そういうようなことについてどうすべきか。

 今回私どもが考えておりますことは、雇用関係、労使関係をもう少し適正化すべきではないかというようなことも財界の方にもお願いするというふうなことを始めておるわけでございますので、そういう方向で努力をしてまいりたいと思っております。

渡部(恒)委員 地方の人たちの雇用を確保する、特に若い地方の人たちがふるさとに夢を持って生きていけるように、今総理がおっしゃった地方の雇用の確保のための企業誘致、これはしっかりお願いしますね。もっと大きく首を振ってよ。

 そこで、農業、今ちょっと総理から話があったが、何か間違っているんじゃないかと思うから言うんですが、民主党が今、戸別補償のための法律を出している。それにばらまきだとかなんとか批判しているのがいる。これは大変な間違いなんですよ。大変な間違いなんです。これは、教育から環境問題から今はやりの地球温暖化の問題すべてに関係するんです。

 今、北海道から沖縄まで、農村の皆さん、田んぼを守り、山を守り、畑を守って頑張っている、だからこの国があるんです。国破れて山河ありと私は戦後言った。あの太平洋戦争のときに若い人がみんな兵隊にとられていなくなっても、地方の人たちが、おじいちゃんやおばあちゃんが孫たちと一生懸命植林して山を守って、田んぼを守って、畑を守って、あの戦争が終わったとき、朝鮮半島は裸山だった、中国も裸山だった、日本だけは緑があったんです。北海道から九州、飛行機に乗って私が一番うれしいのは、日本はみんな緑がある。その緑を守ってきたのが農村の人たちなんです。

 北海道から九州まで、この国の緑と水と環境とすばらしい生活状況を守ってきた農業の一年間の所得、幾らだと思いますか。まあ、いい。十兆円、十兆円ですよ。他と比べましょう。トヨタ自動車の売り上げが十兆円ですよ。これは、国のために非常にいい、すばらしいことだけれども。

 前に、小泉内閣のときにいた学者の、あれはよくなかったね、竹中といったか。あれはアメリカ型市場中心で、もうかる人はやりなさい、損する人はやめなさいといったら、今、日本じゅうの山で働いている人、田んぼで働いている人、畑で働いている人、全部やめますよ。山に一本も木がなくなりますよ。田んぼも畑も全部荒れ果てて、耕す人が一人もいなくなりますよ。それでいいんですか。

福田内閣総理大臣 お答えするまでもなく、悪いに決まっています。

渡部(恒)委員 それなら、やはり長い間この国を守ってきたんだから、そろばん合わない中で、娘が看護婦で働いてくれたり、息子が役場で月給取ってくれたり、おじいちゃんの年金を当てにしたりしながら、そろばんの合わない田んぼで、畑で、山で働いて、緑を守って水を守ってエネルギーを守ってきているんですから、民主党が今出している兼業農家を安定させる戸別農業の法律は当然であるんだ。これを通すときょう約束しますか。

福田内閣総理大臣 それは、お金があれば幾らでも補助できるわけでありますけれども、限られた予算の中でどういうふうに効率的に配分していくかということ、そしてまた、将来の農業をそれで維持できるような体制になるかどうかというような視点も必要だというように思っております。

 民主党でお出しになった戸別補償という案がございますけれども、これはちょっとその根拠が明確でないように思いまして、ちょっと心配がございますので、その辺を詳しく説明を一回していただいた方がいいのではないのかなというように思っております。そういうきちんとしたものをお出しになっていただければ、それは審議をして、その上でどうしたらいいかということを考えるべきだと思っております。

渡部(恒)委員 ただ、私も自由主義者だから、市場経済の理論でいえば、競争力を高める、これは大事なことだ。そろばんの合わない仕事はやめてもらう、そろばんの合う、もうかる仕事だけやる。しかし、第一次産業は別なんです。第二次産業にはそれはある。第一次産業は、やはり競争だけでは、この国もふるさとも、美しい自然もとうとい歴史も守れません。

 総理だって先祖をたどれば農家でなかったかな。あんたは田植えと稲刈りをやったことがあるか、ない。(福田内閣総理大臣「ありますよ」と呼ぶ)天皇陛下だってやっているんだからね、あるね。

 やはりこの機会に、与野党の皆さんはもとより国民の皆さん、特に都会にお住みの東京の皆さんにも御理解いただきたいのは、東京でこうしてみんなが活力を持って暮らせるためには、地方の人たちが山を守り、田んぼを守り、畑を守って、水を守り、東京ぐらい水を安心して飲める都市はないでしょう、外国と比べると。私たちが山を守ってきているから東京の人が安心して水を飲めるわけですからね。

 やはり地方を守るためには、その地方を支えてきた農業を守るためには、ただそろばん、農家だけ、いわゆる自民党の大型農業、反別で大きな農家はちゃんとやりなさい、ちっちゃな農家はやめなさいということになったら、これは私のふるさとでこの前調べてみたら、五十世帯ぐらいあるんですが、農業だけで暮らせる世帯は二世帯しかない。そうすると、あんたたちの政策でいえば、私のふるさとは二軒だけで、四十八軒なくなっちゃうんだ。皆さんだってそうですよ。皆さんの、今まで一生懸命養って、一生懸命頑張って努力した、選挙権を持っている人がみんな東京に行っちゃうんだよ。

 これはやはり、本気で地方を守り、農業を守る、この日本を守る、ふるさとを守る。そしてそれが、資源もない、エネルギーもない貧しいはずの日本をここまで来させた人間をつくってきた、その人づくりの基盤であったふるさとと家庭がなくならないように、もう一遍決意をお伺いしたい。

福田内閣総理大臣 今、与党の方も、例えば高齢者とかいうような方々、また、小規模の農家の方々、そういう方々も大事な大事な農業を守ってくださる方ですから、ですから、そういう方々に対する対応というものはしっかりやっていく、そういうような予算案をお出ししているわけでございます。そういう点においては民主党のお考えと同じだというふうに思っております。

 ふるさとを守るというのも私も同感でありますし、また、日本の古い伝統、古いというのは言葉が悪いかな、伝統、文化はそういう地方にあるわけですから、そういう地方の文化、伝統がなくなってしまったらば、日本は一体何だということになろうかと思います。ですから、そういう地域は守らなければいけない、私はそう思います。同じ御意見だと思っております。

 と同時に、国際社会と競争しなければいけないという部分も極めて大事であるということでございますので、こっちの方もしっかりとやらせていただきたいと思っております。

渡部(恒)委員 国際社会と競争して第二次産業を振興させなくちゃならないなんというのは当然のことで、だから私は通産大臣のとき三番から二番にした。それをあんたらは三番から十八番目にしちゃったんだから、私の方が真剣だ。

 しかし、そのためにもやはり農業、これは第一次産業という特別、特にギョーザの問題で議論になりました、やはり食料の安全保障。できればふるさとでつくった野菜を安心して食べたいな。

 だから、あの国土面積の狭いイギリスですら、何か七〇%近い食料の安全保障、自給率があるというんでしょう。アメリカもフランスもオーバー。日本が食料の自給率四〇%を切ってしまったということは、やはり安全保障、これはもう、自衛隊はもちろん大事だけれども、腹が減っては戦はできない。やはり安全保障の一番は食料の安全保障なんです。農政を見直して、国民の皆さんがふるさとの味を楽しみ、安心して食事ができる、これからどんなことがあってもこの国で安心して暮らせるというために、もう一遍、食料の安全保障のために食料の自給率を高める。

 それから年金。安心して、どんな少子高齢化がやってきても、いただけます。

 それから、この国の東京一極集中は東京の人の幸せにもならないので、東京の人の幸せのためにも、地方の人の幸せのためにも、北海道に生まれた人も九州に生まれた人も、ああ、おれは北海道に生まれてよかった、おれは北海道で嫁さんもらって、職について、幸せに一生を送れたと言えるような日本をつくるという首相の、はっきり国民が理解し私も理解できる答弁を最後にお願いして、その答弁によっては、私も今度、やはりおれの言ったとおり、安倍君よりは福田君が総理になってこの国は幸せだと言うことができるような、その答弁をお願いして、私の質問を終わります。

福田内閣総理大臣 渡部先生の憂国の情、よくわかりました。しっかりとした日本、希望の持てる日本をつくるように全力を挙げてまいります。

渡部(恒)委員 ありがとうございました。

逢沢委員長 この際、長妻昭君から関連質疑の申し出があります。岡田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。長妻昭君。

長妻委員 民主党の長妻昭でございます。

 本日は質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。総理中心に、端的にお答えをいただきたいとお願いを申し上げます。

 まず、こういうメールがございますけれども、今問題となっております中国製ギョーザ中毒事件で、行政が最も最初に通報を受けたのは何なのか、いつなのかということで、これが一番最初に通報を受けたメールでございまして、昨年の十二月二十九日の十一時十分に、ちばコープが「CO・OP手作り餃子四十個入り」ということで千葉市の保健所に出したメール。

 救急車を呼んだ、薬品臭い味がした、入院中だ、こういう重大案件ということでメールが来ていたんですけれども、残念ながらこの保健所は年末年始の休暇で、この保健所がこのメールを見たのが一月四日だったということで、六日間このメールが放置された。初期動作がおくれたということでございます。

 年末年始お休みになるというのは結構なことですが、普通は、ホットラインを日本は設けていないのかということでございまして、しかも、この母親御本人が一月四日に保健所を訪れて、「手作り餃子」を持参して、これを検査してほしいと直訴したんですね、三十分間粘って。ところが、保健所の職員は、いや、それはもうコープが検査しているから、うちは検査する必要ないんだ、こういうことで門前払いをした。そして、結果、一カ月近くこの問題が放置されたということがあるわけでございます。

 思い起こすと、食中毒事件で、雪印乳業が二〇〇〇年に食中毒事件を起こして、そのときに、大阪市が製品回収を指示した時点から一日公表を延期したんですね。製品回収を指示したのに、一日公表をしなかった。その一日の間に、三百十八人が知らないで牛乳を飲んで食中毒になった。たった一日でも被害がすごく出るのが食品でありまして、こういう問題というのをぜひ解決していただきたい。

 これまでも、思い起こすと、パロマのガス中毒事件、回転扉、エスカレーター、エレベーター、重大な被害が出て初めて大騒ぎになる。それまで小さい事故がいっぱい起こったのに、全部ほっかむりで隠されている、こういうことがあります。

 我々民主党は、危険情報公表法ということで、法律を何度も国会に出しております。こういうような事故が起こったときには公表を義務づける、公表しない企業、行政には罰則を科する、こういう法律でございますけれども、与党の反対で一度も審議をされないで廃案になっております。ぜひ総理、危険情報公表法、こういう法律を成立させていただきたいと思うんですが、いかがですか。

福田内閣総理大臣 今回の食中毒事件は、確かに行政上の不手際があったと思います。そういうようなことが、今委員おっしゃるようなことは過去にもあったんだろうというように私も思いますので、そういうことが今後起こらないような体制をつくる必要があるんだろうというふうに思います。

 いろいろな体制というものが考えられますけれども、私ども、行政が縦割りになってしまって、横の連携がうまくいっていないというところに大きな原因があるんだろうというふうに思いますので、そしてまたもう一つは、国民から見て、一体どこに連絡をしたらいいのかといったようなことがわからないような複雑な行政では、国民本位のというわけにいっていないんだろうというふうに思いますので、そういう点を改善すべく努力したいと思います。

 そういう中において、今、危険情報の法律のことがございましたけれども、検討をさせていただきたいと思います。

長妻委員 そして、年金の問題でございますけれども、この消えた年金問題、いまだに解決が頓挫しているということでございまして、社保庁に調査を依頼いたしますと、これまで御自身の消えていた記録が戻って一番お金を取り戻した人は幾らだと聞きましたら、二千八百万円年金を取り戻した九十六歳の男性の方がおられる、一千万円以上も年金を取り戻した方が八十一人おられるということがわかりました。

 しかし、これも氷山の一角で、まだ多くの国民の皆様は御自身の記録をチェックされておられないということで、今は本当に自己防衛をするしかないんです。冷たい政府なんです。我々民主党が政権をとれば、こんな冷たい対応はしません。ぜひ、もうちょっと温かい対応をしていただきたい。何も年金をふやせと言っているんじゃないんです。当然払ったものを、当然約束されたものをいただきたい、記録を消すな、こういうことでございます。

 そして、おとつい、また新たな社保庁の不祥事が発覚して、年金の記録が抜けていて、戻ってきた年金に対して税金を源泉徴収で多くずっと取り続けていた、こういう不祥事も発覚をして、もう底なしでありますので、ぜひ、政治の監督責任、これを厳重にしていただきたい。

 そして、一つ総理にお願いしたいのが、今、消えた年金問題で大きな解決、対策の一つが全く抜け落ちております。その対策といいますのは、年金の納付記録が記された紙台帳というのが地方自治体や社会保険事務所に、捨てられたものもありますけれども、残っているものもあります。延べで八億五千万件が残っているわけでございまして、これをコンピューターの中と照合して、コンピューターのデータを正しくする。入力ミスがたくさんあるし、入力されていない紙台帳もたくさんある、こういうことでございますので、それを何としてもしていただきたい、こういうことを申し上げているんですが、これを社会保険庁解体まで、解体は二年後でありますので、それまでに全件を照合するということをぜひしていただきたいと思うんですが、いかがですか。

舛添国務大臣 今、長妻委員がおっしゃったことの問題意識を、私は共有しております。

 今、優先順位として、とにかくコンピューター内で五千万件の名寄せをやっていく、そして、今、できたところから特別便でお知らせしているわけでありますけれども、紙台帳との突き合わせにつきまして、平成二十年度、まず、複雑で特殊な記録、これは通常の納付と異なる特例的な納付を行った方々のを、国民年金特殊台帳、これをまず突き合わせを行います。

 それから、その次の段階で、二十一年度以降の作業の具体的な実施方法の検討のために、次は国民年金被保険者名簿、これは市町村が保管するものであります、これの作業を進めます。

 そして三番目に、厚生年金の被保険者名簿につきまして、今年度、三月までに実施をやりますが、サンプル調査をいたしまして、そしてその結果、どういう作業をやるか、どれぐらいのマンパワーが要るか、これは関係閣僚会議もございますし、総理が率先してこの問題に取り組めという御指示でございますので、一つ一つそういう手順を踏んで、鋭意行っていきたいと考えております。

長妻委員 これはありていに言いますと、今どういう状況にあるかといいますと、仮に私がお店の店主だとして、お店の中の帳簿はぐちゃぐちゃのままだ、だれが払ったのか全然わからない。しかし、歩いているお客さんをつかまえて、あなたはうちの店で以前買い物をしたけれども、あなたはうちの店の領収書を持っていますか、持ってきてください、こういうふうに言っているのと同じなわけですね。

 まず、自分のところの帳簿をきちっとしろ、これがなされていない。そして、先ほど五千万件が忙しいからできない趣旨の答弁がありましたけれども、だから国家プロジェクトで取り組んでいただきたい。全省庁挙げて、民間にも守秘義務をかけて取り組んでいただきたい。

 そして、舛添大臣も、今非常にあいまいな答弁をされましたけれども、国会で二年以内に全紙台帳を照合するという公約答弁をしているんですね。予算委員会、参議院ですけれども、昨年の十月十五日に「それから、いろんな田舎の町なんかに置いてある紙台帳というのの突き合わせをやっていく、そういうことを全部やって、ですから、二十二年に新しい年金機構ができるときには、それと同時にデータの完璧性を期したいと思っているんです。」と。翌日の新聞も、二年以内に全紙台帳照合だと大きく報道されているわけで、この公約を守るということを言ってください。

 私、びっくりしたのは、社会保険庁の幹部に聞くと、いや、こんなのはできっこありません、舛添大臣がただ言っただけです、こういうふうに社保庁の幹部は言っているんですよ。ぜひ、舛添大臣、これは公約だから二年以内にやるとここで明言していただきたいんです。

舛添国務大臣 これは、その後の国会答弁で何度も申し上げましたように、二年後に社会保険庁を解体して新たな組織をつくります。そのときには、やはり、過去何十年間にわたって行ってきた不祥事、こういうものにきちっとけりをつけたい、そういう覚悟で完璧を期したいと思います。先ほど申し上げましたように、二年でやりたいと思います。

 ただ、そのときに、無限にマンパワーがあり、無限に予算を使ってよろしいということであればそれは可能でありますけれども、今、先ほど御説明しましたように、一つ一つ段階を踏んでいく、そして、優先順位からしますと、やはり一番可能性のあるところからやっていくということで、この千百万件、八百五十万ということを今探し出して、ねんきん特別便でお知らせしている。

 これは、私が優先順位をつけてやっているわけでありまして、そして、調査をしてみてどれぐらいのマンパワーが要り、どれだけのものが要るかということで、先ほどそのサンプル調査を含めての日程を申し上げたわけでありますけれども、これは、何度も御説明申し上げているように、新しい組織をつくるまでには四十年の過去の残渣を洗い取りたい、そういう決意を申し上げたわけであります。その決意を実現するためのプロセスを今検討している、こういうことでございます。

長妻委員 非常に先ほどの公約と現実の行動が違うのは、来年度、平成二十年度の予算の中身を拝見すると、社会保険庁は三千三百万枚の紙台帳は照合すると、来年一年間で。ということは、今、八・五億件がありますから、三千三百万件というのは八・五億件に比べて四%なんですね。このスピードでいくと二十五年かかるんですよ、紙台帳と全部照合するのは。そんなことで本当にいいんですか、これ。抜本的対策なんですよ、これは紙台帳の。(発言する者あり)いいんですというやじが与党から飛びましたけれども、本当にいいんですか。

 二年以内に八億五千万件の紙台帳を照合する、これは公約ですから、大臣、ここで明言してください。ぜひお願いします。

舛添国務大臣 今委員がおっしゃった本年度の予算の額は、それは先ほど私が説明したプロセスで行っているわけであります。ですから、この三月までに厚生年金被保険者名簿等についてサンプル調査を実施する。そして来年度は、二十一年度は厚生年金について実施をする。その上でデータを出す。

 それから、長妻委員、何度も申し上げていますけれども、コンピューターと紙台帳、それは、紙台帳からコンピューターに移すときに写し間違いがある可能性があります、おっしゃるように。あります。ただし、ある可能性がありますけれども、しかし、今、コンピューターの中で名寄せをやる、そうすると、確実に、この数カ月で八百五十万人、千百万件出たわけですから、優先順位の高いところからやっていく。

 そして最後は、これは、かくかくしかじかのデータがございます、サンプル調査して、これぐらいのお金とこれぐらいの人件費とこれぐらいの人がかかります、したがって、こういう予算を組みます、これでよろしいでしょうか。そして、国民の代表がこの場所できちんと決めていただければ、それはできるわけでございます。

長妻委員 国会で大臣の答弁というのはそんな軽いんですか。

 これを見ていただきますと、今、コンピューターの中に入っているものだけで、厚生年金、国民年金の納付記録、三億件入っています。その中で五千万件が持ち主がわからない、宙に浮いているということで、これは大問題になった。では、あとの二・五億件は、これは持ち主はわかっています。では安心かというと、そうではなくて、二・五億件の中にも、紙台帳からの入力ミスで、受給額が減る入力ミスが発見されました。政府も認めております。

 そういう意味で、抜本的対策というのは、やはり社保庁が保管している八・五億件の紙台帳を照合するというのは、これはだれが考えても避けられないんですよ。それで、二年以内にやると大臣みずから言われた。私、大臣がこの答弁をした後、覚えていますけれども、私、内心、よくやってくれた、よく答弁してくれたと思いましたよ、二年以内の紙台帳。

 何で翻すんですか、前言を。二年以内にやるというのを約束していただきたいんですよ。ぜひお願いします。

舛添国務大臣 今申し上げましたように、二年以内にきちんとする覚悟で取り組みます。しかし、責任を持って、こういうデータですから、これだけの人件費とこれだけかかりますということがなければそれはお示しできないし、そして、その上で、最終的に、この予算の案を来年度、再来年度組みますと。そして、それをお認めいただければそれでいいわけです。

 それで、何度も申し上げますけれども、ことしの十月までに一億人全員に年金のお知らせをいたします。そのときに、例えば気づいた方がおられる、私のコンピューターの中に入っていないけれども、ひょっとしたらほかにあるんじゃないか、それによってもまたこれは発見することもできます。

 ですから、一番効率がよく責任性のある予算の使い方をやってみたいということで、何度も申し上げています、財源が無制限にあれば、例えば八億、これは一万人でやればできますから、それを今、幾らかかるかの調査のために、今調査をする手順をお示ししたところでございます。

長妻委員 これは総理にぜひ決断していただきたいんですが、二年後に社保庁を解体する。我々民主党も、二年後に社保庁を解体させて国税に吸収合併する、選ばれた職員しか入れない、こういう案を出しています。二年以内に抜本的対策を打たなきゃいけないんです。

 私が懸念するのは、この社保庁が二年後解体をしてしまうと、社保庁が、またこれはくす玉が割れて、社保庁、新たな日本年金機構ですというイベントがあって、そしてその後、資料がまた雲散霧消してしまうおそれもあると私は思っておりまして、こういう大臣答弁もありますから、二年で全紙台帳をコンピューターデータと照合してコンピューターを正しくする、これは当たり前のことです。総理、決断してください。お願いします、総理。

福田内閣総理大臣 厚労大臣から答弁申し上げましたように、これは極めて現実的に考えて、今行っているスケジュール、これが一番いいというように考えているわけでございますので、これはこの順番でやらせていただきたいと思います。

 ただ、データがどこかになくなっちゃうんじゃないかというような御懸念、これは私どもも十分注意して、そういうことが起こらないようにしたいと思っています。

 そしてまた、同時に、この年金制度を国民が信頼してくださるような形にするためには、これは急いでやらなければいけないということがございますから、委員の御指摘の点も含めまして、一番いい方法をとらせていただきたいと思っております。

長妻委員 いや、総理、先ほど申し上げましたように、今の政府のペースだと、紙台帳全部の照合に二十五年かかるんですよ。これは国家プロジェクトでやっていただきたい。

 では、証拠がないものをチェックする総務省の第三者委員会でも、今のペースでいくと、皆様が終わるのが十年かかるんですよ。こういう何十年も、しかもお年を召した方が今一番被害を受けている受給者でありますから、なぜ、せっかく二年という答弁をしたのにそれをやらないのか。

 総理、では、前向きに検討する、こういう姿勢を示していただきたいと思うんですが。

福田内閣総理大臣 ただいま私申し上げましたように、国民の信頼回復というのは、いつまでも引き延ばしていて信頼回復できませんよ。完璧な制度にしなければいけない。そしてまた、順調に制度が運用されて、そして国民の皆さんが安心できるという確信を持っていただくために全力を挙げる、こういうふうに申し上げているわけでございますので、二年以内とかそういうふうに言われると私も答弁しにくいのでありますけれども、なるべく早く片づけるということが大事だと思っております。

長妻委員 いや、二年でも長いんですよ、国民の皆様にとっては。これは私は絶対あきらめません。あらゆる委員会で、必ず言質をとって、必ずやらせるようにやっていきたいと思います。

 そして、これはまだまだ、消えた年金問題で全く手つかずの問題というのが、五大リスト。本当は八十ぐらいあるんですよ、まだ手つかずの問題が。

 五つに集約すると、紙台帳との照合、今申し上げました。これは全く進んでおりません。

 あるいは、統合済みの記録。持ち主がわかっているものがどれだけ問題があるのか、サンプル調査。これも全く進んでおりません。

 脱退手当金の未返還問題。これは、かつて会社をやめるときに、その払った保険料を返還してもらう、こういう制度がありました。しかし、返還を受けるとその間の年金保険料の厚生年金記録はなくなります。しかし、返還を受けていないのに返還されたというような記録になってしまった被害者の方がたくさんおられて、今、第三者委員会にも千二百件も脱退手当金の問題で相談が寄せられ、一件も解決していません。これは社保庁が調査を全くしていないからであります。これまで六百四十三万人もの方が脱退手当金を受けられ、千五百六十五億円が払われたとされているんですけれども、私の事務所にも、こんなものはもらっていない、年金の記録がなぜ消えたんだというお便りがたくさん来ている。これも全く社保庁は取り組まない。

 そして、標準報酬月額が改ざんされた。まじめに厚生年金を払っていても、社会保険庁あるいは企業の問題で標準報酬月額が改ざんされて引き下げられてしまうと受給額が減ってしまう。これも実は、第三者委員会、改ざんを十五件認定したにもかかわらず、社保庁は、その十五件の調査結果をまだ出していない。サンプル調査でできるんですよね。例えば、標準報酬月額や、あるいは厚生年金加入期間、あるいは喪失、こういうものが、長期にさかのぼって変更されたものをサンプル調査して、本当に正しい変更なのか、そういうことを幾らでもできる。

 一部情報によると、社会保険庁が唆して、企業に標準報酬月額の改ざんを持ちかけたのではないかと疑われるケースもあるわけです。つまり、厚生年金の保険料を滞納させないように安くする、こういうような思惑で社会保険庁が唆すケースもあるのではないかと言われている。

 そして、二〇〇〇年以降、これは最近です。最近も五件、年金の記録が消えています。国民年金三件、厚生年金二件。ということは、きょう払った保険料もひょっとすると消える可能性がある、こういう事態です。今までは、平成九年一月以前の基礎年金番号統合前の記録が消えていたと言ったのだが、二〇〇〇年以降も消えているというのを第三者委員会は認定して、この調査も、たった五件にもかかわらず、今、調査結果が出ていない。

 こういう問題、全く手つかずですから、これはぜひ早急にやっていただきたいと思うのですが、総理、いかがですか。

舛添国務大臣 今、さまざまな問題を長妻委員が御指摘なさいました。すべての問題について今全力を挙げて取り組んでおりますが、本当にこれは、四十年に及ぶ無責任体制、それから国民に対する使命を持っていない、こういうことの結果がこういうことでございます。

 そこで、私は、体制といたしまして、私のもとに直属の作業委員会を設けました。経団連、連合、社会保険労務士の代表の方、そして民間の方、こういう方に厳しくチェックをしていただく。それから、近いうちに私のもとに直属の担当官を置きまして、そういうことで、全力を挙げてこういう問題について一つ一つ確実に答えを出していきます。そして、国民が、政府、年金、政治、こういうものに対して信頼が取り戻せるように、今後とも全力を挙げていくということをお誓い申し上げます。

長妻委員 これは、我々、具体的にどういうふうな手順でやればいいのか、無理のない案を提示しているんですよ。全然社保庁は聞かないわけで、ぜひ口だけではなくやっていただきたい。

 そして、この五大問題以外のもう一つ、最大と言ってもいい問題が残されています。責任追及です。だれも今回の問題、消えた年金問題、責任追及されずに数百億円の税金が解決に投入される、こういうことですよね。これは、本当に国民の皆様は御納得いただけるんでしょうか。だれも出てこない。責任者、だれもいない。

 これは、実際に紙台帳の廃棄命令を出した、国民年金の紙台帳をコンピューターに入力したら捨てていいですよ、こういう命令を出した三人の人物が特定されました。国家公務員の共済年金を見ますと、紙台帳は一枚も廃棄されていません。コンピューターに入力されても廃棄されてないで、念のためにとっておく。これは常識だということです。国家公務員の共済年金は守られて、何で国民の皆さんの国民年金、厚生年金はこんなずさんなのか。

 この紙台帳の廃棄命令を出した三人、正木元社会保険庁長官、長尾元年金保険部長、そして、直接の担当の当時の業務第一課長。この方の所在も全部わかっていて、私は、きょうここにお呼びしてお話を聞こうとしたんです、参考人で。そして、民主党の理事の皆様方も理事会で提案をしたら、自民党が反対したんですか、呼ぶのを。きょうここでお話を聞こうとして、どういう状況だったのかつぶさに解明したいと思ったんですけれども。

 委員長、これは自民党が反対しているんですか。

逢沢委員長 理事会で協議中でございます。

長妻委員 これは、自民党理事、反対しているんですか。

 呼んでくださいよ。なぜ反対するんですか。(発言する者あり)では、やってくれますか。やってくれますか。だから、やってくれますか。中山さん、やってくれますか。こういうことで、きょうここにお三人、来られる方をお呼びしてお話を聞こうと事前に理事会で言っているのに、なぜ自民党は反対するんですか。

 これは、舛添大臣、OBですけれども、来るようにアドバイスしていただけますか、呼ばれた場合。

舛添国務大臣 これは国会の委員会の運営でございますから、私の方から口を差し挟むことはお控えしたいと思います。

 ただ、私は、前回この件の御質問があったときにお答えして、私が調べた限りでは、磁気ファイル化したときに三回チェックをした、それで、もう磁気ファイルに保存してあったのでこの台帳を廃棄したという御報告を私は聞いております。それで、そういうことであれば、三回もチェックして磁気ファイルにきちんとおさまっているということになれば、これは法的な責任がとれるかどうかは不明である、そういう答弁をいたしました。

 しかし、冒頭申し上げましたように、委員会の運営については、委員会の方にお任せいたしたいと思います。

長妻委員 なぜそういう対応を自民党がされるのか。

 そしてもう一つ、同じ厚生労働の問題を話し合う厚生労働委員会で、昨年もこの紙台帳の質問をしましたら、今、これは私の議事録でございます。正式な議事録が棒線を引かれて強制削除を、自民党の厚生労働の委員長によって発言を強制削除されてしまいました。

 それは何の発言かというと、このような状態になって、紙台帳照合を私が執拗に迫ったら、与党からやじが飛んだので、私がこういう発言をしました。与党というのは一度でも不祥事を追及したことがあるんですか、政府のと。そうしたら、それはけしからぬということで、私の、発言者の了解も、理事の了解も、理事会の合意もなく、強制的に自民党の委員長が削除する。今は戦前ですか、戦中ですか。

 総理、こういうやり方というのをどう思われますか。

福田内閣総理大臣 委員会のやりとりの話でございますので、私から何か申し上げるというのは、これはちょっと立場が違うのではないかと思います。私は今、行政の長としてここに立たせていただいております。

長妻委員 いや、これは本当に、なぜ与党の問題を指摘すると削られる。こういうことが前例になると、本当に国会というのはいいんですか、協調、話し合いと言われておられるのに。それで、今のように、参考人は呼ばないと。

 こういう発言が出て私は当然だと思うんですけれども、ぜひこういうことはやめていただきたい、回復をしていただきたい、削除を。総理、どうですか。感想を教えてください。

福田内閣総理大臣 これはあくまでも、削ったとかそういうようなことも委員会で行われたわけですね。(長妻委員「違う、違う、委員長職権」と呼ぶ)そうじゃないんですか。いずれにしましても、国会の中のことでございますから、私から申し上げる立場にはないということでございます。

長妻委員 それでは、道路利権の問題に行きますけれども、これはぜひ総理、年金、医療、介護の現場をつぶさに見ていただきたいと思います。本当に悲鳴が上がっています、全国の社会保障の現場から。

 社会保障は削っても道路利権だけは守る、十年間五十九兆円は確保したと。こんな行政、財政の硬直化というのは、本当にいいのかということでありまして、この利権、三つ調べましたけれども、道路特別会計、これは問題ないというんですか、天下り。(発言する者あり)静かに聞いていただきたいと思うんですが、この道路特別会計というのは全額道路特定財源でございますけれども、ここに、天下り団体に平成十八年度実績で三千五百四十六億円のお金が流れている。しかも、競争入札はこの総額のたった三%ですよ。七十四団体に流れていますけれども、そこには天下りを最大千三百四十三人受け入れている。天下り団体を食べさせるために、必要性の低い仕事をでっち上げて金を流しているケースもあると思います。

 ここで「天下り最大千三百四十三人」と書いたのは、国土交通省が言ってきて、この数字を出しましたけれども、ダブっている人もいるので実数じゃありませんと言うんです。複数に同時に在籍している人もいるから、最大と書いてくださいと言うんです。複数に同時に在籍というのもいかがなものかと思いますけれども、この天下り、契約だけで見ても、八百十四億円の契約のうち競争性のない随意契約七百三億円、約八六%が競争性のない形で金が流れ込んでいる。

 どうですか、大臣。

冬柴国務大臣 そこに三千五百四十六億円と書かれているのは、私の方から長妻議員に提出をした書類に基づいていると思いますが、それをつぶさに見ますと、道路特別会計による支出、平成十八年度について、概要というふうになっております。総額は三千五百四十七億円でございますが、その内訳は、貸付金、交付金というものがございます、それが二千七百三十二億円でございまして、そこへ書かれている数字は、何が三%になるのか……(長妻委員「競争入札の総額ですよ」と呼ぶ)競争入札の。一般競争入札は四十九億円、指名競争が三十億円、企画競争入札は三十三億円、そして随意契約は七百三億円でございまして、これは貸付金、交付金でありまして、これをそういう三%というようなことには、どこから見てもこの回答からは出ません。

長妻委員 では、契約だけで見ると、八六%が随意契約で流れているんじゃないですか。それでいいんですかということです。

冬柴国務大臣 八六%はお説のとおり高いと思います。高い数字だと思います。したがいまして、我々は、昨年、総理の指示を踏まえまして、国土交通省としても契約の総点検を行いました。私も、私の判断で、随意契約の見直し、一切見直そうということを決断して、公表いたしております。

 また、再就職につきましては、今後は、官民人材交流センターのあっせん等、一元化の再就職に関する規制の導入を含んだ改正国家公務員法の趣旨を踏まえ、的確に対応していきたい、このように思っております。

 過去の点につきましては、お説のとおりだと思います。

長妻委員 前原議員も追及した随意契約でございますけれども、前から変える変えると言って、全然変わってないんですよ。

 そして、これは膨張です。これも道路特別会計ですけれども、事業費が当初計画から二倍以上膨張した事業、これが百三十九事業もある。トータルで三兆一千九百億円が当初計画だったのに、ふたをあけてみると八兆五千九百億円に膨れ上がっちゃう。道路財源というのは、じゃぶじゃぶじゃぶじゃぶいいかげんに膨れ上がるんですか。

 道路単独では、約六倍膨れ上がった白銀市川環状線、青森県です。初め総事業費が二十四億円だったのが、百四十二億円に膨れ上がった。十倍に膨れ上がったのもありますよ、道路で。東灘の山手地区土地区画整理事業、神戸市、道路部分です。初め三十五億円だったのが、三百七十億円に膨れ上がる。

 そして、追加支払いもかなり多い。初め競争入札など随意契約もありますけれども、一回契約する、しかし、その後、いろいろ問題があって、国からもう一回お金を追加で払うというのが千百八十三件。初めの契約は六千八百四十五億円だったのが、いろいろ問題があったということで、追加支払い一千二百十三億円、一七%も追加支払いでどんどん金が流れている。初めの見積もりが甘かったといういろいろ弁解はありましたけれども、非常にいいかげんといいますか、こういう形で、道路特会だからなんだと思いますけれども。

 そして、みちフェスタということで、八月十日が道の日だということで、こういうお祭りが全国で開かれる。これは横浜のパンフレットでございますけれども、ビデオを上映したり、道についての仕事の紹介とか「道路をまもる!ラジコン体験ゲーム」とかいろいろありますけれども、本当に潤沢にあり過ぎるというか、これも随意契約でありまして、本当にこういうところにお金が全国で使われて、例えば九州地方整備局では、道の日フェスタ二〇〇二、これは二千三百万円も道路財源が随意契約で使われています、イベントに。しかも、資料が出てきたのは一部です。

 日本全国、毎年こういうフェスタをやっておられるということで、これだけ余っているのであれば、一般財源化してください。

冬柴国務大臣 たくさんお尋ねでございましたので、ちょっとそのあれを上げておいていただきたいと思います。

 十数倍に膨張している事案があるということで、事業費が二倍以上だと。それで、下に書いてあるのは、平成五年からということでございます。

 これは、平成五年から平成十四年までについての質問主意書がありました。平成十六年五月二十八日です。一・五倍以上で百億円以上のものを挙げろということで、その資料を出しました。

 次は、十九年十月三十一日に……(発言する者あり)ちょっと待って。平成十九年十月三十一日に再び質問がありました。これは、平成十四年から十八年まで百億円以上で膨張したものを挙げろとおっしゃいました。したがいまして、物すごくある中から、膨張している部分について拾って報告した数字がそうなるわけです。

 したがいまして、母数が違うわけです、母数が。したがいまして、私どもはその間に、長妻さん、いいですか、確かに二倍より大きくなったものは八・三%ありますが、当初事業費より以下となっている事業が四割あります。もう少し詳しく言えば、四一・四%あるんです。したがって、ふえた分だけ挙げろと言われるから挙げて、そして、それがそうなるわけでございます。下がった分は四一・八%。

 もちろん、当初計画を正確に作成するために、十分な事前調査の実施や、現場条件に応じた計画の立案とか新規事業採択時評価実施等によって、事業費の適正さを確保するわけであります。ただ、事業を進めているときには、地元協議に伴う計画の見直しとか、あるいは用地補償費の増加とか、あるいは現地の地盤によるトンネル工事等の工法の変更などが行われまして増加する場合、こういう場合はあるわけです。しかし、我々としては、いろいろと見直しをして減少させているものも、先ほど言いましたように四一・四%あるわけでございます。したがって、上がった分だけ挙げられるというのはアンフェアだと思います。

 それから……(発言する者あり)いや、たくさん聞かれましたでしょう。事業費を……(発言する者あり)違います。事業費の追加支払いについて申し上げます。

 これにつきましても、これは長妻議員の平成十六年十一月十九日の質問主意書に対して回答していますが、お尋ねは、国発注の契約で、契約後に追加料金を支払った事例について回答せよと。ですから、追加しただけについてしているわけでありまして、総体を示していないわけでございます。したがって、その総体を抜きにしてパーセントを出されるというのは、一七%と書いてありますが、一七%にはならないわけです、総体を調べれば。減額する場合もあるわけですからね。そういうことです。

 まだお尋ねがありましたでしょう、たくさん。(長妻委員「委員長」と呼ぶ)いやいや、ちょっと待ってください、言いっ放しになる。(長妻委員「私は、一般財源化に踏み切ってくださいと言っているんです」と呼ぶ)

逢沢委員長 簡潔に答弁をお願いいたします。

冬柴国務大臣 ちょっと言ってくださいよ。たくさん聞かれたでしょう。

逢沢委員長 冬柴大臣、簡潔に御答弁をお願いいたします。

冬柴国務大臣 わかりました。

 例えば、言われました東灘の山手地区土地区画整理事業につきまして、これは事業期間は、昭和四十年です、そして平成二十年度の間の出来事でございますが、その中に……(発言する者あり)たくさん聞かれましたからお答えしている。その中には、その途中に震災もありました、土地区画整理も行われたんです。したがいまして、非常に土地の値段が上がったんです。したがって、ちゃんと平成十五年にはもう一度再査定をしまして、BバイCをとりましたら、二・六になっております。したがいまして、これについては……(長妻委員「委員長、時間が」と呼ぶ)もうフェスタのことはいいですか、フェスタ。

長妻委員 これ、総理、ぜひ一般財源化していただきたいと思うんですが、いかがですか。

福田内閣総理大臣 道路特定財源を一般財源化ということですね。

 今、国土交通大臣から一つ一つの事例について御説明いたしましたけれども、それはそれなりに理由があるんですよ。例えば、事業が急にふえたといっても、例えば買収案件が急に解決したとか、急いでしなければいけないとかというようなこともあるわけで、これは簡単に、相当な増額ということもあり得るわけですから、そういう一つ一つのことについては、やはり正確にお答えした方がいいんだろうというふうに私は思います。

 そういう事情を聞いていただければ、何もそれがために今までの特定財源を一般財源化するという理屈にはならないのではなかろうかと私は思います。

長妻委員 この膨張は全部理由があって全く問題ない、追加支払いも問題ない、この天下りも問題ないと。これだったら、何にも改善がなされないじゃないですか。

 ハットカズシステムの問題に行きますけれども、同じ無駄遣いの問題。これは、道路財源もそうでありますけれども、我々はイニシャルをとってHAT―KZと言っていますけれども、ひもつき補助金システム、天下りあっせんシステム、特別会計システム、官製談合システム、随意契約システム。これが日本の税金の無駄遣いを自動的に生み出すシステム、仕組みが埋め込まれているから、これをなくさないとだめだ。道路もこの中に組み込まれているわけでありますけれども。ですから、天下りもずっと続いております。

 私が申し上げたいのは、年金を削る前に天下りを削れ、社会保障を削る前に税金の無駄を生み出す仕組みを削れということを申し上げているわけであります。

 そして、先進七カ国を国会図書館の御協力をいただいて調べてみました。このシステムが、日本型のようなひどいシステムがあるのか。やはりありません、ほかの国では。

 例えば、ひもつき補助金でございますけれども、先進七カ国を調べてみましたら、特定補助金、つまり使途が限定されているお金が地方にどれだけ流れているのかということで、日本は、一般会計、国予算の比率でいいますと二〇%ということであります。アメリカは一三パー、イギリスは一〇パー弱、ドイツは八パー、フランスは〇・七パー、イタリアは九パー、カナダは一三パー、こういうような状況になっております。

 確かに、予算のシステムが違いますから一概に比べられないというのはわかります。ですから、皆様のところに国会図書館の詳細な報告書をお配りしております。私のホームページにも今アップしていますから、視聴者の方はごらんになれると思いますけれども、こういう特定補助金の比率が非常に高い。

 そして、天下りに関しましては、この天下りも国会図書館に調べていただきました。詳細は、お配りした中に出典も含めて全部書いてございますよ。省庁による天下りのあっせんがあるのは日本だけ、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、カナダは見当たらないという、これは国会図書館の報告書ですよ。

 そして、公的な再就職あっせん機関があるのかないのか。日本は今総務省に細々と小さいのがあります。これは、今度は人材バンク、我々は天下りバンクと言っていますけれども、そういうものをつくる。日本はある。アメリカ、見当たらない。イギリス、なし。ドイツ、なし。フランス、イタリア、カナダ、見当たらない。これは国会図書館の調査であります。

 そして、この天下りも、私もびっくりしたのは、今二万八千人の国からの天下りが、四千五百団体に天下って、そこに半年間で六兆円の税金が流れ込んでいる。天下り団体を食べさせるために必要性の低い仕事をでっち上げる、こういうものがたくさんあるというふうに私は考えております。

 そういう意味で、私、これもびっくりしたのは、事務次官経験者に限って調べると、四回ともあっせんされて、四回の天下り先に天下った人が二人おられる。三回とも政府があっせんした人が十人おられる。二回のあっせんが三十七人おられるということで、四回とも国があっせんした小林実さん、総務省の方でございます。第一番目の天下り先、財団法人自治総合センター、国があっせんしてくれた。二番目の天下り先、財団法人自治体衛星通信機構、国があっせんしてくれた。三番目、財団法人地方財務協会、国があっせんしてくれた。四番目、財団法人地域活性化センター、これも国が天下りをあっせんしてくれた。望月薫雄さん、この方もそうです、四回です。

 総理、四回というのはもう言語道断だと思いますけれども、二回目のあっせんもおかしいですよね。もう国家公務員じゃない一回天下った民間人を、国が、人事課が正規の仕事として二回目の場所に職をあっせんするというのは、これは国家公務員法違反なんじゃないですか。正規の業務じゃないんじゃないですか。

 二回目以降のあっせんはもうきょうからやめる、総理、明言していただきたい。

福田内閣総理大臣 今いろいろ御指摘いただきましたけれども、それはごもっともという部分もございます。今までそういうことは実際にあったということも、これは事実ですよ。ですから、そういうことでもって、政府は、今こういうような財政が厳しいときにそういうことが許されるのかどうかというようなこと、これはもう当然のことだと思いますので、十分注意していかなければいけないと思います。

 ただ、私どももいろいろ努力をしております。そして、先ほど天下りの話と随契の話がございまして、これは確かに、私も率直に申し上げて多過ぎると思いますよ。ですから、これは厳しくチェックしていくという体制を今つくりまして、そして指示をしたところでございます。既にもう昨年指示をいたしておりますので、今後そういうことは起こらないんだろうというふうには思います。

 それから、天下りと随契の関係ですけれども、随契がなくなれば天下りももしかしたらなくなるかもしれない。しかし、なくならないかもしれませんね、それは。随契はなくなったけれども、天下りは残るということもないわけではないと思いますよ。ですから、それは、随契を厳しくすれば天下りも自然になくなるという方向であろうと思うけれども、しかし、天下りと随契というのはぴったりくっついているかどうか、これは私どもが確認しているわけじゃございませんので、その辺は回答できませんけれども。

 いずれにしても、そういうふうに他から見て疑念を持たせるようなことは避けなければいけないというように思います。ですから、ここら辺は厳しくチェックをしてまいらせていただきたいと思います。

長妻委員 これは、総理の御認識があるのかないのか、ちょっと今答弁であいまいだったんですが、今も、きょうもですよ、二回目のあっせん、三回目のあっせん、ひょっとしたら四回目のあっせんが、きょうも業務として霞が関でやられているんですよ、今も。だから、もうやめてくださいと。今、やっているんですよ。きょうもあしたもやるでしょう。与党の方も、どうなんですか、やめましょうよ、これは。

 そして、先進国を調べると、特別会計を調べますと、これも先進国と同じような基準で調べますと、日本の特別会計というのは、一般会計に比べて一・三四倍あったということであります。単純に言うと五倍あるんですけれども、先進国と同じように、年金を除いたり、借金を除いたりすると一・三四倍。しかし、ほかの国を調べますと、イタリア、カナダは不明でございましたけれども、わかったアメリカ、イギリス、ドイツ、フランスは、一般会計よりも特別会計の方が規模が小さいんですね。こういう非常に透明性があると推定される状況がわかりました。

 官製談合です。お役所が主導して談合するなんというばかなことをやっている国はあるのかということで、役人が談合に組織的、継続的に関与している国、これも国会図書館の調査ですよ、詳細な報告書は皆様にお配りしておりますけれども。日本はある。ほかの国はないんですけれども、イタリアはあるということで、これは、報告書にもあるように、マフィア絡みのものがあるということでございますけれども、日本は、恒常的に天下りという目的でこれがとまらない。異常です。

 こういう仕組みを放置したまま、消費税を上げようとか、道路利権を守るとか、社会保障を削るとか。先にやることがあるんじゃないか。先進国はこうなんですよ。ぜひ総理に御決意をいただきたい。

 そして、最後、報告書にも書きましたけれども、会計検査院でございますが、会計検査院はどれだけ仕事をしているのかということでございます。

 日本は、大体、人件費などかかる予算が一年間二百億円、そして無駄を指摘するのが四百億円。つまり、倍率でいうと、かかる費用の二・二倍指摘をしている。ドイツは三十五から六十倍も指摘している、イギリスは八・九倍指摘している、アメリカに至っては百五倍も指摘しているということで、会計検査機能も弱い、会計検査院も検査対象にどんどん天下っている、こういう癒着もございます。

 ぜひ総理、日本型の無駄遣いシステムを全面的に退治する、これがまず先決だ、道路利権も解体する、決意を最後にお聞かせいただきたいと思います。

福田内閣総理大臣 私も、率直に申し上げまして、委員の御指摘の点について同感するところ多くございますので、これはまさに国民のため何をすべきかということを中心に考えて、改善をしてまいりたいと思います。

長妻委員 ぜひ、社会保障は削っても道路利権だけは守るというのはやめてください。よろしくお願いします。

逢沢委員長 この際、原口一博君から関連質疑の申し出があります。岡田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。原口一博君。

原口委員 民主党の原口一博でございます。

 きょうは、主に総理と幾つかの観点について議論をさせていただきたいと思います。

 まず、大変残念なことが起こりました。我が国の国技という相撲の中で、大変有為な若者が暴力によって亡くなった。衷心からお悔やみ申し上げ、もう二度とこういうことがあってはならない。

 閉鎖的な体質が問題なのか。あるいは、当初は、暴力で亡くなったということは表に出ていませんでした。御両親初め、必死の訴えによってここに至ったわけでございます。あのままいけば隠されていた死であった、そういう可能性が大変大きゅうございます。

 まず冒頭、総理に、この元時津風親方らによって起こされた我が国の国技の、まさに揺るがすような不祥事について、どのような御認識を持っていらっしゃるのか、伺いたいと思います。

福田内閣総理大臣 私、けさ、ニュースを聞いて、本当に残念に思いました。将来のある若者が、こういうような形でもってとうとい命を失ってしまったということでございます。そして、そのことは、何と日本を代表する国技である相撲界において行われたということでございます。本当に深刻に考えたいと思います。

 しかし、こういうようなことが起こったということでございますから、このことに対して日本相撲協会がどういう対応をするかということも極めて大事だというふうに思っております。

 いずれにしましても、二度とこのような事件が起こることのないように十分気をつけてもらいたいと思いますし、また同時に、司直の手でもってこの事案が国民の理解できるような形で処理されることを願っております。

原口委員 私たちは、さまざまな暴力と闘ってきました。

 私の佐賀県でも、二十五歳の知的障害を持った若者が帰宅途中に、これは警察官五名による保護でございますが、亡くなりました。去年の九月二十五日のことでした。

 彼は、そういう障害と闘いながらも、大変明るい方で、日本を代表して、スペシャルオリンピックスという障害を持った仲間の世界大会にも出て、二位になる。ネズミ取りにかかった小さなネズミの子供も殺さないでくれと言うような若者でした。しかし、まだこれは原因はわかっていませんけれども、警察官の保護という中で亡くなったわけであります。高校生の、暴行の目撃証言等があり、大変地域の皆さんも不安がっています。

 警察が何をしたかということは、これから開示をされてくる。私は、警察がやったなんということをここで言うつもりはありません。

 しかし、総理に聞いていただきたいのは、同じお友達のアピール文がここにありますので、冒頭、お話をしたいと思います。

 わたしたちは、安永健太さんがなくなったことが、とても悲しいです。

 健太さんは、もう、みんなと一緒に仕事をしたり、

 みんなと一緒にごはんを食べたり、大好きな野球をしたり、

 釣りをしたりできません。

 大好きなおばあちゃんの誕生日を一緒にお祝いできません。

 健太さんは、何か悪いことをしたんでしょうか。

 とてもくやしいです。教えてください。

 仕事の帰りに自転車にのって走っていただけなのに、どうして命を奪われたんですか。

 わたしたちは、安永健太さんがなくなって、街に出ることが、とても怖くなりました。

 わたしたちは、地域の方々と安心して、仲良く暮らしていきたいです。

ということでありました。

 自立支援法という法律ができて、多くの皆さん、本当に自立できるんだということで、期待を持っていました。しかし、現実はとても厳しいです。この安永さんは、耳も御不自由で、警告が聞こえなくて、そしてこういうことになっています。

 私たちは何も、あれもこれもやるべきだ、国民の皆さんの税金をもって、お預かりをして、そしてさまざまな政策をやっていますから、だから、すべてのことができるなどということをここで言う気はありません。しかし、きょう私が申し上げたいのは、政策の優先順位であり、さっき道路財源についてユーザーの納得だとおっしゃいましたけれども、納税者の納得が本当に得られるのかということを、きょうの質疑の中で総理とお話をしていきたいというふうに思います。

 まず、今国民が一番不安に思っていらっしゃるのは、何といっても食の安全、中国製の冷凍ギョーザによる中毒事件だというふうに思います。

 先ほど長妻委員が指摘をしましたけれども、やはり、どう考えても初動が遅い。そして、本来であれば、その日に多くの人たちが知るところでなければいけない。原因がどうかというのは、これから究明ですから、私は、きょうはそこには触れません。しかし、なぜこんなに初動がおくれるのか。

 二十年前に私は中毒一一〇番というところへ行かせていただいて、例えば赤ちゃんとか、子育ての方々は、ボタンを飲み込んだら一刻を争うんですね。だから、その中毒一一〇番に電話をすれば、どうやってボタンを吐き出させることができるのか、初動の体制を整えていこうということをずっとやってきました。しかし、こんな、年末年始だったとはいえ、一カ月もたって中央政府が知るということはどういうことなんだろう。

 私は、総理が消費者を中心にすると言われたこと、それはもう本当に大事なことだと思っています。私も民主党の前の前の消費者担当ですから、ここにいらっしゃる岸田大臣と一緒に消費者基本法をつくり変えましたね。

 総理にまず伺いたいのは、それまで消費者保護法と言っていました、それを基本法に改めたのはなぜなのか。そして、その基本法の中で幾重にも国民の安心や消費の安全を守れるように、理念法としてはできているはずなんです。理念法としてできていることが現場でなぜ実地に移せなかったのか、その辺、総理の御見解を伺いたいと思います。

岸田国務大臣 消費者基本法を制定した、消費者保護基本法を消費者基本法に改正した、この意味は何かという部分、その前段の部分、私の方から申し上げさせていただきたいと存じます。

 内容につきましては、原口委員、ともに議員立法にかかわった仲でありますので、十分御案内かと思いますが、やはり、一番大きな考え方として、消費者という存在を、保護の対象ではなくして自立した存在というふうに位置づけた、これが一番大きな意味合いだったというふうに思っています。

 そして、安全が確保され、必要な情報が得られ、そして適切に選択ができる消費者の権利、これが明らかにされた、これがこの改正の一番重要な点だというふうに認識をしております。

原口委員 一緒に改正しましたから、起案者ですから、まさにそのとおりで、もう一つあるんです、総理。

 消費政策を言うときには、必ず消費者の意見が反映されるということと、それからさらに、今、国、地方、あるいは県、市町村のすみ分けということを言っています。しかし、消費者基本法はすみ分けではないんです。あるいは障害者基本法も、あるいは児童虐待防止法もすみ分けの形をとっていません。逆なんです。こういうふうに、県と市町村がオーバーラップする部分を、岸田大臣、ふやしましたね。

 なぜかというと、大事な危機管理のときにお互いがお見合いをしてしまったらだめだからです。これは県のことだ都のことだというんじゃなくて、これは区のことだ町のことだというんじゃなくて、お互いがお互いの危機をヘッジし合おうというのがこの基本法の大きな大きな中身なんです。しかし、なぜ今回それが機能していないのか。なぜですか。

岸田国務大臣 まず、今回、深刻な健康被害が生じてから国、厚生労働省に情報が達するまで一カ月かかったということ、これにつきましては、情報の伝達あるいは危機管理ということで、これは大変大きな反省点だというふうに認識をしております。

 この情報を得た後、国としては、被害の拡大防止にまず努めて、原因究明、そして再発防止、こうした論点で対策を進めたわけですが、その経緯を振り返りまして、最も考えなければいけない点はやはり情報の取り扱いだったというふうに思っています。情報をどのように集約するか、関係者間でどう共有するか、そしてそれをどう処理するか、こうした情報の取り扱いにつきましては大きな反省点があった、これがこういった結果につながったというふうに考えております。

原口委員 私は、それだけだとまた同じことが起こると思います。

 市民のための電子政府を実現するための議連というのをこの間立ち上げていろいろな議論をしていますけれども、システム上の問題だけじゃなくて、私たちは、いろいろな基本法をここでつくりますよ、あああるべきだ、こうあるべきだということをやります。しかし、現場に立ってみると、では、それだけのマンパワーやそれだけのパワーを現場に与えてきたのか。

 あるいは、さっき、保護の対象というお話でしたけれども、主権者は国民ですからね。それまで、消費者保護法と言っていたときは、保護される対象は国民であり、保護する主体は国だったんです。それはおかしいでしょう。国民主権であるからには主権者、権利をきっちり書き込んで国の責務をしっかり果たすべきだというのが、今回の消費者基本法の、今までの国の成り立ちを大幅に変えるような改正だったんです。しかし、その改正を現実にするためには、やはり、現場に予算を渡さなきゃいけない、パワーを現場につけなきゃいけない。

 ただ情報の伝達の違いだでは済まないですね。ファクスの四枚目が届かなくて有機燐系の農薬だということがわからなかったという自治体もあるんじゃないかと思います。そのことを指摘して。

 今、アメリカの状況、世界の状況、これからG7がスタートしますけれども、私たちは今、一番慎重にやらなきゃいけないときじゃないかと。

 国会の運営も、力で何かやった方が負けですよ。さっき長妻さんの消えた議事録の話がありましたけれども、私は、そういうことをやった方が負けだと思います。私たち民主党もそうです。政権与党もそうです。荒っぽいことをやって、強行採決をしたり、あるいは勝手に議事録を消したりということは国民に対して説明できないから、その人たちは恐らく選挙で淘汰されるというふうに思います。

 その上で、少し日銀総裁と総理と議論をしていきたいと思います。

 アメリカでは、FRBのバーナンキ議長が、前のグリーンスパン議長も行われないような政策金利の引き下げをされました。ブッシュ大統領は、日本円で十六兆円、千五百億ドルにも及ぶ経済対策をなさいました。では、日本は一体何なんだろう。

 今、ちょっとパネルを、皆さんのお手元の資料、一枚目を見ていただきたいんですが、消費者物価指数、これは地域ごとですけれども、赤が食料品、そしてオレンジがエネルギー、その他ということになっていますが、まさに、もうここでも何回も御指摘のとおり、燃費、そして食料品、徐々に徐々に物価が上がる、しかし、実質賃金は伸びない、可処分所得が落ちる。それだけじゃなくて、租税負担が、後で申しますけれども、後期高齢者医療制度あるいは介護保険、地方に行けば行くほど負担が重いんですよ。

 こういう中で、景気ウオッチャー調査を拝見すると、家計動向DIですから、北海道、東北、もうすべてマイナスですね。いわゆる産業の中心と言われてきた東海地方でさえ一一・五%です。

 私は、きょう、限られた時間ですから、日銀総裁に二つのことを伺いたい。

 一つは、現在の経済をどのように考えていらっしゃるのか。この動きをどのように考えて、どんな政策を打とうとされているのか、これが一つです。

 それから、私たちは、もうじき国会同意人事で、日銀の総裁人事についても今議論をしています。私は、日銀の総裁は、しっかりとした日銀の独立性を保ち、そして、世界のいわゆるインナー、世界の中でこの人はだれかなんて言われる人であっては、ルールにおけるこれからの競争、この大きな日本の国のかじ取りはできないというふうに思っているんですが、日銀総裁に二番目に伺いたいのは、あるべき日銀総裁像、これは総裁の御所見で結構ですから。

 二点伺いたいと思います。

福井参考人 まず、第一点目の御質問からお答えしたいと思います。

 日本経済の現状でございますけれども、足元、減速しているというふうに率直に認めております。

 その要因は、今委員が御指摘されましたとおり、国内で見ますと、住宅投資が今、多分一時的だと思いますが、急激に落ち込んでいる。この影響が大きいんですが、加えまして、原油価格、原材料価格の高騰等で、特に中小企業の収益を圧迫している。こういうことも少なからず作用しているというふうに思います。

 さらに加えて、海外の要因ですが、国際的に経済のスローダウンのリスクが高まっていること、そして、これは国際金融資本市場の不安定性と絡みながらリスク要因を拡大している、これが心理的にも、日本経済を担っている多くの経営者等に影響してきている、こういう背景があるというふうに思います。

 私どもは、こうした、物価について言えばアップサイドリスク、経済について言えばダウンサイドリスクというものは十分認識しなければいけないし、その度合いというものは、十分海外の人たちとも議論をして、できる限り共通の認識を持つ必要があるというふうに思います。

 しかし同時に、恐怖感だけでは金融政策の判断ができません。やはりこういうときは、現実の経済の動きというものをさらに綿密に分析して、経済の回転メカニズムがどうなっているかということをしっかり分析しなければならない。

 私ども、日々その努力をしておりますが、日本経済の前向きの循環メカニズムはこのところ多少弱っておりますけれども、引き続き、生産、所得、支出の循環メカニズムは基本的にはワークし続けている。それから、生産と出荷と在庫のバランスというものも比較的よくとれていて、急に在庫調整が起こるとかいうふうな懸念は持たなくて済む状況に今はなっているということでございます。

 したがいまして、こうしたファンダメンタルズが比較的しっかりしているということをきちんと保全しながら、内外からのショックに十分耐えていけるだけの金融条件を金融政策の面からは用意していくということでございます。

 現状、日本の金利水準は非常に低うございますし、サブプライムローン問題等で国際的な金融不安が高まる中にありましても、日本の国内における金融緩和感はほとんど害されることなく維持されているということでございます。こういうことを引き続きよく確認しながら、先行きについてさらに、こうしたさまざまなリスクが日本経済にどういう影響を及ぼすか、我々の、やや長期的な、先々の経済、物価の好ましいシナリオに対して本当に害があるかどうか、一層慎重に見きわめながら将来の金融政策を正確に判断していくべきだ、こういうふうに考えております。

 それから、二番目の問題は、日本銀行の総裁の任命は、一〇〇%、政府、国会の所掌事項でございます。私の方からとやかく申し上げる立場には全くないということでございます。

 そう申し上げた上で、国会のほかの委員会でも、今まで、そうしたことを承知した上で何か言え、こういう御要請がありまして、何回かお答えしたことはございます。恐縮ですが、そのことだけを繰り返し申し上げさせていただきます。

 一般論でございますけれども、やはり通貨の安定に対する強い信念、政策の実行力ということがナンバーワンだというふうに思いますし、それから、今の、こういうふうな時代でございますので、国際的な鋭い感覚、世界経済あるいは世界の金融市場の事柄について十分洞察力を持って議論ができ、判断できるということ。それから、市場を大切にする心というのが大事だと思います、市場の機能をよりよくしていくために信念を持って努力する。

 最後、日本銀行の政策委員会の運営でございますが、日本銀行の政策委員会は、それぞれの委員が、みずから勉強したところを持ち寄って、そして、その場においては一つの政策的結論を出すために真剣に議論をする、創造的な議論のプロセスでございます。そのプロセスをリードできる、議論の成果を十分上げるだけ、うまく政策委員会の議論をリードできるという資質も大事だというふうに私は考えております。

原口委員 今、日銀総裁がお話しになりましたが、私たちは、ここで議論すべきは、どのようにすればそういうリスクをヘッジできるか、リスクを言い立てて国民や経済をいたずらに不安に陥れるということはあってはならないというふうに思います。

 ただ、ぜひ総理に御理解いただきたいのは、やはり、もう悲鳴が上がっています。例えば農業でいったら、去年の三割減です。去年の所得の三割減で生活はできません。

 私のところには、有明海それから玄界灘、二つの海がありますけれども、燃費が上がって海に行けない。諫早湾干拓についてはきょうは言いませんけれども、片っ方ではコンクリートだらけの海をつくり、片っ方では命の海を壊す。本当に私はそれは理解できないというふうに思います。

 総理、私は総務担当でございますから、少し地方について触れたいと思います。

 皆さんのお手元の資料の二をごらんになってください。これは、きのう自民党さんの山口先生もお触れになりましたけれども、平成十一年から平成十七年まで、地方一般歳出がどうなったかという数字です。これは十一・五兆円です。今二・七兆円の道路特定財源がなくなればどうなるかという議論をしていますが、けたが違いますね。そして、ぜひごらんいただきたいのは、総理、都道府県と市町村、これで削減率が随分違う。

 この財政力指数〇・四五以上の団体、これでは削減率は一一・一%でした。しかし、ごらんになってください、財政力指数が〇・三以上〇・四五未満の団体では、実に二〇%です。そして、それ以下の団体では二四・三%です。これが何を生んでいるかということを、きょう私は議論をしに参りました。

 端的に、これは何に結びついているのか。これは、公共サービス格差に結びついています。

 次の資料をごらんになってください。パネルの三枚目です。これは介護です。都道府県別の第一号被保険者一人当たりの給付費。給付費の一番高いのは徳島県です。一番低いのは埼玉県です。給付費が低いから埼玉県が悪いというふうには言えません。なぜかといえば、これは、その県でどれだけ介護を要する人たちがいらっしゃるか、要介護度の高い人たちがいらっしゃるかによって違っているからです。総じて、やはり地方と言われているところが給付費が高い。これは、何もどこかからお金が降ってくるわけじゃありませんから、その地域の皆さんの介護保険料にオンしてくるわけであります。

 これだけではありません。さまざまな格差が広がっています。

 例えば給食費もそうですし、あるいは、この公共サービス格差の中で私たちが一番気をつけていかなきゃいけないのは、安心、安全に対する費用、医療の格差、教育の格差であります。これだけの削減をして地方が疲弊しないわけないんですね。三位一体改革、五・一兆円減らした。

 それだけじゃないです。これを総括しないと前に進まないんです。三位一体改革をどのように首相は総括されているのか。今までのように、いや、地方にも財源移譲したから、税源移譲したから画期的なことなんですと、もうそれをここで答弁いただく気はありません。画期的なことと言いながら、いわゆる地方が頑張っても頑張ってもどうしようもないようなところが財源移譲されている。その上でこの三位一体改革をどのように総括するのか、そのことを総理に伺いたいと思います。

増田国務大臣 今、委員の方から、三位一体改革で各地域間の財政力格差が拡大しているのではないか、こういう御指摘がございました。

 そうしたことを防ぐ意味で、あえて私は税源移譲のことは申し上げませんけれども、その税源移譲をするにしても、例えば法人事業税の分割基準を見直しするといったようなことを行って三位一体改革を進めてきた、こういうことでございます。例えば、東京都からそういったことによって一千億ほどのお金が地方に移るといったようなことをやってまいりました。それで税源の偏りを緩和してきたわけでございますが、しかし、それが不十分だった。そのことは、事実として数字が出ている。そのとおりかというふうに思います。

 ただ、一方で、こうした地方歳出の見直し自体については、昨日もここで地方の人件費の指摘もございましたけれども、やはり、やらなければいけない、地方歳出をいろいろな意味で見直しをしなければいけない、そういったところもあったわけでございまして、そういったことを含めて、地方歳出を見直しながら財政健全化に努めてきた。

 ただ、やはり問題は、五・一兆という額ということもあるかもしれませんが、平成十六年の単年度で二・九兆削減された、これは我々の方でも、総理からもお答え申し上げていますが、その削減が結果として急激であったということもございまして、今お話ございました、財政力の弱い市町村を中心に大変厳しい財政運営に迫られている、こういうことだと思います。

 したがいまして、今回、二十年度予算で、そうしたところを是正する予算そして税制を御提案してございますけれども、私どもも、そうした地方の実態を十分に見ながら地方のそうした格差に対応していく、こういう考えでいるところでございます。

原口委員 増田大臣とは、私は影の総務大臣なので、総務委員会でも議論ができます。総理とぜひ議論をさせていただきたい。お願いをしたいと思います。

 なぜこんなことを言うかというと、交付税について、もう限界に来ているんじゃないかと思うんです。交付税総額をふやしたとおっしゃっていますが、これは、後で交付税で見るということで臨時補てん債をふやしているんですよ。

 ここに、歳出合計に占める公債費の割合、地方別を持ってきました。もう二〇%を超えているところはいっぱいあります。いや、いっぱいという言い方はだめですね、一五%を超えているところがたくさんありますと訂正させていただきます。

 これは何かといったら、いわゆる景気対策で、後で交付税で見ますからどうぞやってくださいといって、赤字債をどんどん出して、そして積み上がっているんです。現実に地方が支払っているものの中では、この赤字に対する補てんの方が多くなっているんじゃないか。だから、交付税を計算するときも、足りない分を、最初から臨時特例債を足して、十五兆しか交付税はないんだけれども、四兆臨時特例債を足して十九兆渡していますと言っているんです。このやり方を変えないといけないんです。

 だから、総理に決断をいただきたいのは、やはり、交付税原資である国税五税。国税五税の三二%を交付税に充てるとやっているんです。でも、これはずっと変わっていないですよ。三二%のままずっと変わっていなくて、こうやって赤字が積み上がっていると何が起こるかというと、まさに公共サービス格差。さっき介護を言いましたけれども、保育料でも、東京・葛飾区の保育料、これは月額二万七千五百円です。しかし、破綻した夕張市は五万六千円です。もう暮らせないんですよ。

 どうですか。決断をお願いしたいんです。この何十年と変わらない、いわゆる国税五税の交付税の算定基準、これを上げる気はありませんか。(発言する者あり)そうですね、恐縮です、繰入率を上げる、繰入率を。増田大臣は結構です、増田大臣とはもう何回もやっていますから。大変恐縮ですが、限られた時間でやってございますので、総理の基本的な御認識を伺いたいと思います。

福田内閣総理大臣 今、地方の財政が大変だということでありますけれども、私もそういう認識は同じでございます。

 三位一体改革の結果だ、こういうふうなことを言われるわけでありますけれども、そのこともあったと思います。しかし、三位一体改革は、やはり地方の財政改革というようなこともあったわけでありまして、その趣旨はよかったと私は思います。ただ、それに対応できなかったということがあったか、もしくは厳し過ぎたということがあったのか、その辺はちょっとよくわからないところもございますけれども、いずれにしても、大変困難な状況があるということは考えております。

 今後、地方税財政のあり方、これは、地方分権改革推進委員会から今春以降順次勧告をいただく、こういう予定になっておりますので、地方分権改革における国と地方の役割分担に応じた自主的な税財源の確保というような観点から交付税率のあり方も含めて検討していく、こういう方向性になると思います。

原口委員 政治家同士で議論していますから、私は、ぜひ、もう限界に来ているということを総理の頭の中に、どこかに入れておいていただきたい、そして、各閣僚と調整して、算定率を上げるという御決断をお願いしたい。

 なぜかというと、皆さんのお手元の資料の四をごらんになってください。「後期高齢者医療保険料の設定状況」、これは各県ごとに後期高齢者医療の保険料を決めるんですよ。だれがこの名前をつけたんですか、後期高齢者医療って。本当にひどい名前ですね。しかも、年金から天引きして、そして、十二カ月払わなければ、その人はお医者さんに行って満額負担しろというんですか。こんな無残な制度をつくるべきじゃない。ごらんになってください、右の、地域ごとの保険料額。これは、もちろんその人の所得だとかなんとかで違いますから平均的なものですけれども、こんなお金を高齢者の方から取るんですか。

 さっき地方の財政改革とお話しになったんですけれども、財政改革が必要なのは国じゃないですか。

 総理、私は、総務の担当者として、民主党の全国会議員に今回の予算案を全部、局、部、課に至るまで精査を要請しました。よく埋蔵金などということを言う人がいますが、こんな言葉、私は非常に不謹慎な言葉だと思いますが、出るわ出るわ。これを一つ一つ、課ごとに調べていくと、例えば、たった二十五件のデータベースをつくるのに一千万円の予算が計上されていますよ。アメリカまで一人行くのに七十四万円の予算も計上されています。あの去年のタウンミーティングのときには、エレベーターのボタンを一つ押すので四万円日当を払っているというようなことも起こりました。精査しましょうよ、皆さん。与党の皆さん、精査しましょう。

 さっき、長妻さんの消えた議事録、あの部分はどこだったかというと、やわらかくして言いますが、今まで与党が税金の無駄遣いをただしたことがありますかという問いですよ。それを削っているんですよ。私は、とんでもないことだと思う。

 精査しましょう。皆さんが出してこられている課に至る予算はこれです。なぜ三倍もの人件費を計上しなきゃいけないんですか。なぜアメリカまで一人行くのに七十四万円もかかるんですか。

 総理、精査をお約束いただきたいと思います。

額賀国務大臣 これはもう原口委員がおっしゃるとおり、私どもも、無駄を省き、そして歳出を削減していくことは至上命題であります。

 先般、私どもも、財務省の主計局に、契約とか入札とか、そういうことを中心として特別班をつくりまして、きっちりと各省内の無駄を省く体制をつくって、これから真剣にきちっとさせていきたいというふうに思っております。

原口委員 ここは、総理から前向きの答弁をいただきたかった。財務大臣がそうやって前向きの答弁をされたのは評価します。しかし、現実は、皆さんがお口でおっしゃっていることと、皆さんがお出しになってきたこととの間に乖離があるから言っているんです。

 公共サービスに対する負担の格差。

 一人当たりの国民健康保険料。保険料が低い市町村、保険料が高い市町村。日本の中で保険料が一番低い市町村は沖縄にあります、二万三千円です。一番高いところは年額十一万六千円ですよ、北海道です。学校給食費、一番安いところは大阪にあります、月三千三百円です。一番高いところは四千五百円です。介護保険料はさっきお話をしました。公立幼稚園の保育料、一番安いところは年額五万円、一番高いところは年額十八万円です。これで少子化対策とか言われても、本当にやっているんですかということであります。

 さっき長妻委員が、年金のいわゆる記録の問題について言いました。二年後に社保庁はなくなるんでしょう、そして年金機構という形に変えるんでしょう。組織が変われば書類はなくなりますよ、さっき大事にすると言いましたけれども。あの郵政民営化のとき、私はここに立ちましたよ。このときの議論をちゃんと保持しておいてほしい、このときの資料を保持しておいてほしい、そのことを言いました。

 郵政民営化で、国民に知らせる前に十八回アメリカとやっていますね。資料五をごらんになってください。これです。これは黒塗りなので国民の皆さんには見にくいと思いますが、アメリカ大使館、ACCJ、これは商工会議所ですね、そういう方とお話しになる。USTR、アメリカの機関ですね。こういうのはわかりますよ。フェデラルエクスプレス、ユーピーエス・ジャパン、あるいはアリコジャパン、アフラック。これは何ですか。十八回やった、この中身を出してください。

 教えてください、今、郵政はどうなっているか。きょう、郵政持ち株会社の西川社長にもお見えいただきましたけれども、この三カ月で郵貯は幾ら落ちていますか。簡保は、去年の、前年比の何%ですか。西川社長、お答えください。

西川参考人 郵貯は十―十二月で約二兆円の落ち込み、それから簡保につきましては、前年比契約が、新規契約が約三〇%程度であったかと思います。

原口委員 お聞きになりましたか。私の手元にある数字は二五パーですよ。総理、マイナス二五パーじゃないんですよ、前年比の二五パーですよ。

 西川社長、伺いますけれども、郵便局会社というのは手数料によって成り立っていますね。郵貯の手数料あるいは簡保の手数料が落ち込めば、経営は成り立ちますか。第二期中期経営目標期間及び平成十九年度の業績評価の結果一覧をここに持ってきました。コンプライアンス、その他、お客様サービス、C、C、D、C、こういう評価です。

 このアメリカとやった書類、あるんでしょうね。出してください、総理。

増田国務大臣 お尋ねの、先ほど十八回の面談の記録が出てございましたけれども、その書類についてでございますが、これにつきましては、内容を記した文書は推進室の方に引き継がれておりません。

 そこで、私どもの民営化推進室の方で、これは当時の準備室で面談をした十八回でございますので、当時の準備室の担当者の方に聞きに行かせましたところ、メモを作成したケースはあったと思われるが、面談の内容が儀礼的なものや日米規制改革及び競争政策イニシアチブなどで主張されている要望と同様の陳情的なものなどであり、保存を要するほどのものではないことから破棄されたものと思われる、こういうことでございました。

 そこで、内容については、そのメモ等がございませんけれども、当時の担当者のところに行きまして、そして、そういうような役職、相手方、大使館の個人でございますので一応墨塗りしてございますが、そういう形でお出しをいたしたものでございます。

原口委員 内容じゃないじゃないですか。何月何日にだれとだれが会ったという、それだけじゃないですか。

 舛添大臣、よく聞いておいていただきたいんです。さっき、消えた年金のさまざまな資料については、保管をします、大切にしておきますと。これは、郵政のときだって同じことを言っているんですよ。検証できないじゃないですか。国政調査権を使って出させてほしいと言って、やっと出てきたのがこれですよ。

 舛添大臣、私は、年金倉庫についても視察させてくださいと、総務と厚労で一緒に行きましたよ。そして、もう時間がないのではしょって言いますけれども、八千万円の随意契約をしていました、倉庫会社と。どんなことをやっているんですかと聞いたら、それは見せない、私たち国会議員が行けば守秘義務あるいは安全にかかわるから見せないと言ったんですよ。それで、行ってみた。行ってみたら、別人台帳というのが出てきた。何ですか、この二十五万件の別人台帳というのは。

 今回、皆さんはお台場のあるところで照合作業をなさっています。その照合作業の、これは恐らく募集の紙なんでしょうね。見る、写す、完成、約一カ月の短期です、こういう広告もどこかに出ている、これが本当のものかどうかわからないけれども。外国人を雇って、そして、記録の散逸や、あるいはまた同じことをやらなきゃいけない、だから、どんなことをやっているのか見せてくれと言ったんです、社会保険庁に。そうしたら、何と言ったと思いますか。なぜ私たちに見せられないか。一刻も早く国民の皆さんに安心していただきたいんです。この間、一億八千万円も、ねんきん特別便をもう一回出すと。これも全部年金保険料ですよ。なぜ私たちに開示しないんですか。私たち国会議員、皆さん、みんなそうです、守秘義務がかかっていますよ。では、働いている人たちの守秘義務はどうなっているかというと、実にずさんでしたよ。

 皆さん、私たち、長妻さんと山田さんと私が担当で、総理、毎週火曜日に社会保険庁に来てもらって、消えた年金をどういうふうに回復するかと議論しています。毎回毎回、言うことが変わりますよ。毎回毎回、隠すことばかりですよ。ぜひ総理の御決断をいただきたい。皆さんが私たちの部会に来ていただいても結構ですよ。一緒に追求しようじゃないですか、時間がないんだから。さっきの九十六歳、二千八百万円ですよ、消えた年金。三十年を超える月額がなくなっていたんです。

 ぜひ、積極的に開示をするということを、総理、お約束いただけませんか。私たち国会議員にこの消えた年金の問題についてもちゃんと説明をするということを御指示いただけませんか、総理。

福田内閣総理大臣 これだけいろいろ御迷惑をかけている案件でございますから、できる限りその内容について説明をしていかなければいけない、これは義務だと思っております。

原口委員 ぜひ指示をしてください。

 そして、お台場も私たちに視察させてください、どういうことでやっているかわからなければ、また記録も散逸してしまうし。だって、そうじゃないですか、あの薬害肝炎の問題でも、だれ一人、責任をとりましたか、だれか官僚が逮捕されましたか、消えた年金でもだれか責任をとりましたか。私は、そのことをきょう、強く申し上げたいと思います。

 さてそこで、もう一つ、年金について指摘をしておきます。年金のパネルをお願いいたします。

 私は、総理、どう考えてもこれまで不思議だったのは、私たちは年金を払い続けてきて、年金基金というものがあるはずです。それをちゃんと運用していたら、もう今、二百兆、三百兆、四百兆になっていいはずなんです。

 それがどういう運用をされてきたか。私は、平成十五年にこのことの指摘をこの予算委員会でしました。平成十五年に、平成十四年度までの運用上、これだけ巨額の年金資金を持っているんだから、基金を持っているんだから、どれぐらいふえたんですかと聞いたら、出てきたのが、この上から二つ目の、マイナスの、三角六〇五八四という数字です。これは六兆円ですよ。四百八十億円も毎年手数料を払って、累積で六兆円なくしていたんです。だから、あのとき運用の仕方を変えました。変えてくださいと言って、変えていただきました。アクティブを減らしてパッシブという形に変えた。

 しかし、どうでしょうか、運用上の累積。この下をごらんになってください。この第二・四半期でまた一兆六千三百二十八億円減らしているじゃないですか。これはだれが責めを負うんですか。(発言する者あり)今、株が落ちたら減るだろうと。それで本当にいいんですか。僕は、株を買うなと言っているんじゃないですよ。しかし、三百億円の手数料を今なお払いながら、こういう年金の運用をしていていいのかということを申し上げているんです。御答弁をお願いいたします。

舛添国務大臣 この国民の大事な年金をいかに運用して収益を上げるか。そのときに、例えば外国株式の比率をどうするか。いわゆるハイリスク・ハイリターン、ローリスク・ローリターンという、それでバランスをとらないといけない。

 それで、私は、例えばアクティブ運用、これは市場と連動しない形でやりますけれども、これをやると、リターンは大きいけれどもリスクが高いというので、手数料が高くなります。ですから、委員が御指摘のように、パッシブの比率を、昔はどうでしょうか、四分六だったのが、今、たしか七、三ぐらいでパッシブをふやしています。今の状況ですと、これが実はある意味でうまい政策であって、細かい数字は申しませんけれども、過去五年を見ると、大体ベンチマークという、市場の動向程度には、市場の予測程度には、いっています。

 ただ、私自身は、この年金運用のあり方、例えば年金運用委員会の構成を変えないといけないので、少しこういうところから見直していって、年金運用のあり方自体のシステムも含めて再検討するべき時期に来ているという問題意識は持っています。

 ただ、例えばアクティブ運用をふやして、攻めの姿勢で、リスク等は多くてもいい、しかし、うまくいけばリターンは多いよと。こうやって国民が御納得いただけるものなのか。しかし、やはり安心、安全ということも考えないといけない。

 それから、たしかカリフォルニア州の年金の運用委員会で、ノーアルファ・ノーリターンというようなのを今検討しています。これはまさに、運用会社にお願いする、しかし、ちゃんとその成果が上がらなきゃ、もう手数料は払わないよと。これをやってもいいんだけれども、そうすると、引き受けるときの手数料がぐんと高くなる。

 だから、そういうあらゆる要因を考えながら、運用益を上げ、しかし安心、この、ある意味で矛盾する要請にこたえるために、運用そのものについて再検討に入りたい、そういう問題意識を持っております。

原口委員 再検討をお約束いただきました。

 私は、何も難しい話をしているんじゃないんです。その人たちが市場で運用している、今ベンチマークとおっしゃいましたけれども、それよりマイナスのものが、同じ運用主体であるから言っているわけです。

 郵政がどうなったか。これは二年前に我が党の安住さんが出した紙芝居です。自民党さんもたしか紙芝居をおつくりになりましたね、郵政民営化をすれば、コンビニもできる、世界のロジスティックとも一緒になれると。小泉さんと竹中さんだと思いますけれども、安住さんは、郵便局は閉鎖され、そして地元の文房具屋さんやクリーニング屋さん、地域に根差した郵便局だったものがなくなって、遠くまで行かなきゃいけないという絵を示しました。このとおりになっているじゃないですか。日本郵政の発注、文房具、どこにやっていますか。二社にやっていて、そして、地域の人たちはより高いものを買わされているんじゃないですか、これは総務委員会でやりますけれども。この一年だけで、郵便局長さんだけで去年の三倍、例年の三倍やめておられます。もう悲鳴が上がっているんですよ。

 自分たちが決めたことをこのようにしてはならないんじゃないでしょうか。そのことを申し上げ、そして、最後、道路について触れたいと思います。

 総理、私は、きのう、ある駐車場へ行ってきました。道路特定財源はユーザーの納得を得てと。納得を得ていますか、九百九十五億円、道路を使い。これも先ほど長妻代議士がお話をした天下り団体ですよ、駐車場整備機構。そこが九百九十五億円。

 これは八日町にある夢街道パーキングというところで、そこにお働きの方はとても親切でした。ああ、こんな人たちが最新のパーキングで働いて頑張っておられる。その人たちには何のあれもありません。そのことをまず申し上げておきます。

 しかし、もう本当にびっくりするような、六十二億かけて、そして二百台のパーキングでした。周りのパーキングを見ました。周りにもパーキングは幾らでもあるんです。そして、一日に何台来ますか、朝の六時から夜中の十二時まであけて何台来ますかと聞いたら、百六十台と言うんです。これではさぞお苦しいでしょうね、では、何人で管理されているんですかと。三交代で十二人。百六十台を十二人で見ていたら、それはやれませんよ。

 この財団、何ですかこれは。この基金やいろいろなものを、収支を出してくださいと言ったら、収入はわかりますけれども支出はわかりません、全体でやっているんですと言うんですよ、総理。九百九十五億円、この地下駐車場、いろいろなところにつくっています。駐車場を研究する。

 Bレーンと書いてありますけれども、ここに車がぱっと入って、このレーンの横に入っていくんです。昔「サンダーバード」というようなあれがありましたけれども、本当に未来都市に来たような立派なものです。しかし、本当にこれをそういうお金でしなきゃいけないんですか。そのことが問われているんです。

 さて、これは政府委員で結構ですから、聞いたことだけあれしてください。財団の運営について伺います。

 一点目、この財団は、基金はどうやって積み上げましたか。二点目、この財団には役員がいらっしゃいますが、常勤役員は天下りの方ですね。三点目、この常勤役員の方々のお給料、月額のお給料を教えてください。

 政府委員で結構です。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 駐車場整備機構の出捐金は、民間企業、それから二つの公益法人から出捐されたというふうに思います。

 それから、駐車場整備機構の役員でございますが、常勤の役員は四名でございます。

 それから、個人の役員報酬というのは個人情報であるので控えたいと思いますが、役員給与規程におきましては、一人当たり役員報酬は、月額で専務理事百八万円、常務理事百三万円を超えない範囲内において理事長が当該理事の職務内容を考慮して定めることとしております。

 以上でございます。

原口委員 まさに天下りなんです。

 さっき、ごらんになりましたか。私たちはあれもこれもやろうというんじゃないんです、総理。同じ国民から御負担いただくのであれば、高い介護保険料、あるいは高い後期高齢者医療制度を厳しい方々に押しつけるんじゃなくて、そのお金は、もっともっと一生懸命働いて、頑張っている人たちで出そうと言っているんです。

 公正取引委員会の委員長にもきょうお見えいただいています。委員長とは、二年前、独禁法の改正で議論をさせていただきました。道路に関する談合、先ほど八四%、これが随意契約という長妻委員からの指摘もありました。過去、どういう談合があったのか。そして、その中で、今回独禁法の改正、これも視野に入って、私たちもまた準備をしなきゃいけないんですが、どのような独占禁止法をつくろうとされているのか、お尋ねを申し上げます。

竹島政府特別補佐人 お答えいたします。

 道路工事関係の入札談合事件についてお尋ねがございましたけれども、平成十年度から現在までのところ、全体の入札談合事件、百七十件やっておりますが、その中で道路関係は二十七件でございます。その内訳は、橋梁関係が五件、舗装工事関係が二十一件、それから道路の保全工事関係が一件ということでございます。

 それから、独禁法の改正でございますけれども、二〇〇五年に大幅な改正をさせていただきまして、課徴金減免制度の導入、課徴金算定率の引き上げ等から成ることをさせていただきました。実行してからもう既に二年たっておりますが、所期の目的は十分に効果を発揮している。端的には、課徴金減免制度は二年間で百五十件をはるかに上回る件数の申告が出てまいりまして、それに基づいて迅速かつ的確な審査も行われている。

 この国会に改めて法律改正をお願いしたいと思っておりますが、そのベースは、二〇〇五年の改正のときの附則十三条で、審判制度、審査制度についてさらなる見直しをしなさいということがございましたので、それを受けて、内閣府で基本問題懇談会をおつくりいただいて二年間議論していただきました。その成果を踏まえた改正をさせていただきたいと思っています。

 いずれにしましても、抑止力のきいたものにしていかなければいけない。それから、時代の変化に対応して、企業結合等のルールも変えていかなきゃいけない。審判制度の見直しについては今回の改正には間に合わないと思っておりますが、いずれにしても、具体的な姿をお示しして、これはもともとある議論でございますので、それについてどういう段取りで新しい体系に移っていくかということもお示ししなければいけないというふうに思っております。

原口委員 さっきの団体の天下りですね。理事長は建設事務次官ですよ。専務理事、国土交通省の国土地理院長さん、百四万円ですか六万円ですか、百八万でしたか、月にもらわれる。常務理事、国土交通省の大臣官房審議官さん。そして同じく常務理事、警察庁関東管区警察局長さん。そして同じく常務理事、建設省大臣官房付の方。これは、もうやめましょう。これで道路ユーザーの御理解を得てとか言っても、それは無理です。

 もう一つパネルを。最後に皆さんにごらんいただきたいのは、では、一体どれぐらい私たちは払っているんだ。

 鳩山大臣、隣ですから、久留米とか佐賀とか、まあ久留米は都会なのであれですけれども、公共交通機関がない地方はほとんど、ガソリンを使わなきゃ移動できないし、道路、車がなければ動けませんね。

 それを、皆さんのお手元、ぜひごらんになってください。資料の十です。わかりやすいように、東京と北海道、和歌山、宮崎だけ抜き出してきました。ガソリン税というのは、財務大臣、庫出税ですから、一定の試算を置いてつくったものです。予算の調査室につくっていただきました。それが皆さんのお手元の資料十です。

 皆さんのところの選挙区の県民の方、都民の方、都道府県民の方が幾らお払いになるか、ごらんになってください。

 東京都の方は、五千億円を超える道路特定財源をお支払いいただいています。直轄事業負担金も五百億を超えるものをお支払いいただいています。そして、暫定税率が廃止されれば、この緑の部分、五百億を超えるものがなくなります。払っている方がはるかに多いんです。当たり前ですね、中央でやりますからね。官房長官、北海道、税負担、三千億近く払っています。直轄事業負担金についても千五百億以上払っています。そして実際に、道路特定財源、暫定税率が廃止されれば五百億円、こういう状況なんです。

 私たちは、地方分権を進めたいと思うんです。地方の首長さんが本気で道路特定財源の暫定税率を欲しいとおっしゃるんだったら、例えば宮崎で、私の佐賀で、そのところで課税自主権を復活して、そして特定財源をお離ししてもいいかもわからない。

 世界では、今、景気が厳しくなって、そして十六兆円の減税をしようというときに、私たちはその延長をやろうとしているわけです。やはり、経済効果も考えなきゃいけない、分権ということも考えなきゃいけないということを問題提起しておきたいというふうに思います。

 だからこそ、総理、修正だ何だという話を私はきょうはする権限もなければ、つもりもないんですが、冷静に、経済効果と、そしてそのことが起きたときに何が起きるか。もともと、地方財源が不足をしたらそれは埋めなきゃいけない、そういう法律になっているんです。交付税法で、交付税やいろいろなもので埋めるんです。

 今、地域の人たちを不安がらせて、国民の税金でビラまで配って宣伝合戦するのはもうやめましょう。地道に働いている人たちが何を欲しているのか。私たちは、この道路特定財源の暫定税率分をなくして、国民にお返しして、そして、もっともっと風通しのいい、納税者の納得のいく、そういう国をつくっていきたいというふうに思っています。そのためには、きょう議論をさせていただいて、やはり政権交代しかないのかなということを強く感じた次第でございます。

 以上、質問を終わります。ありがとうございました。

逢沢委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

逢沢委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。

 この際、武正公一君から関連質疑の申し出がございます。岡田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。武正公一君。

武正委員 民主党の武正公一でございます。

 予算委員会で質疑の機会をいただき、感謝を申し上げます。

 まず、冒頭、午前中も中国製のギョーザについての指摘が、それぞれの民主党委員からありました。その初動にやはり問題があったという政府の認識も示されたわけでございますが、これについて一点触れさせていただきますと、近未來通信事件というのがありまして、近未來通信という案件が衆議院の総務委員会でも取り上げられました。私も平成十八年の十二月にこのことを総務委員会で質疑いたしました。近未來通信ですから総務省が担当なんだというようなことでありましたけれども、総務大臣は、利用者からの苦情はありませんということでありましたが、実は、この苦情というものは、国民生活センターに平成十年に既に入っていたわけでございます。

 今度、総理は、この消費者行政の一元化ということをうたっておりますけれども、実は、この一元化の前に乗り越えなければならない壁というのが、この縦割り行政にあるというふうに考えております。国民生活センターには、近未來通信という、通信というような方式をかたった、これはいわゆる詐欺的な事件でございますが、もう既に平成十年には、国民生活センター、全国には消費生活センターがあるわけでして、こうしたところで情報を政府は把握しながら、それに対しては八年、九年と適切な手が打てなかった、こういったことがあります。それをどうやって今回の一元化の組織で乗り越えられるのかということが、大変試されているというふうに思います。

 この後、累次質問をしてまいりますが、いろいろな角度で、やはり行政の縦割り、これの弊害を乗り越えられないということがその問題の根っこにあるというふうに考えておりまして、この各省庁の縦割りをいかになくすかというのが課題であって、これについては、やはり私ども民主党に政権をお任せいただくというのが、中央省庁の縦割りを何といっても乗り越える最善の策だというふうにまず冒頭申し上げたいというふうに思っております。

 そこで、道路中期計画に移らせていただきますが、まず、お手元の資料、一ページ目をごらんいただきますと、道路交通センサスの調査経緯が出ております。こうした調査をもとに中期計画はつくられておりますが、これを見ていただくと、大体五年ごとに整備計画がつくられる、その二年ほど前にセンサス、調査を行う、そしてそれをもとに推計作業を行って五カ年計画をつくる、こういう段取りをずっとやってまいりました。五カ年計画というものであります。

 ただ、今回の中期計画に当たっては、そのセンサスの実施年が一九九九年、平成十一年ということでありまして、もうほぼ十年ほど前の調査結果をもとに、そしてまた、なぜこれまで五カ年計画だったのを十年の計画にしなければならないのか、二つの疑問があるわけですが、これについて、大臣、お答えをいただきたいと思います。

冬柴国務大臣 御指摘のとおり、この中期計画の百二十五ページには、便益の算出に用いる交通量は、一九九九年に実施した道路交通センサス等をもとに推計している、こういうふうに書かれているとおりでございます。

 なぜそんな古いものをというのが趣旨だと思うんですけれども、実は、昨年、つくる時点におきまして、現在でもそうですけれども、最新の道路交通センサスはこれなんです。一九九九年のこの部分なのでございます。

 将来推計をまとめるに当たりましては、大体、道路交通センサスの実施から約三年を要しておりまして、ことしの夏過ぎといいますか、年末ぐらいまでには新しい推計値が出てくるというふうに思いますが、これを作成した時点では一九九九年のこれが最新のものであるということで御理解いただきたいというふうに思います。

武正委員 センサスの最新のものは平成十七年でございますよね。十七年のセンサスはもう既にホームページでも公開されております。全車の合計、車すべての交通量の合計は、増加傾向にありました前回、平成十一年と今回、平成十七年の比較で、ほぼ横ばいになっています。十一年までは全車両の交通量はふえていたけれども、十一年から十七年までは横ばいだ。また、高速道路は減少傾向が大きくなっています。全体として貨物量の割合は減少傾向です。これは、国交省のホームページで平成十七年の道路交通センサスについて公表をしているものでございます。

 これはなぜ、今やっていないと言いましたけれども、平成十七年でもう既にやっているわけですので、この中期計画はこれをもとにつくるべきではなかったんでしょうか。

冬柴国務大臣 このセンサスに基づいて、先ほどちょっと言葉足らずだったかもわかりませんけれども、将来交通需要推計をまとめるに当たりましては約三年を要するわけでございます。今提出いただいておりますその表を見ていただきましても、一九九九年のセンサスに基づいて二〇〇二年、平成十四年に交通推計というものがまとめられているわけでございます。

 そういうことで、最新の、今おっしゃった平成十七年センサスで推計が出てくるのはことし、二十年、三年目の二十年の秋ごろになるということでございます。これにつきましては、都心居住の傾向とか、あるいは軽自動車の保有率の増大とか、貨物の平均積載量の増大と、さまざまな社会経済動向につきまして、交通量への影響の分析や今後の予測について検討を進めなければならないわけでございまして、大変複雑な、学術的な検討が必要であります。

 そういうことで、今後、我々は中期計画を出しておりますが、その中でどれを選んで整備を始めるのかというときには、その時々の一番新しい道路交通需要推計というものを用いてやっていくわけでございます。そういう意味でございますので、御理解いただきたいと思います。

武正委員 御理解いただけません。

 平成十四年、例えば人口推計でいきますと、二〇五〇年、一億五十九万人と平成十四年時点で推計しておりましたが、平成十八年で推計を見直しまして九千五百十五万人、二〇五〇年の人口予測を、平成十四年と十八年で五百万人下げているわけです。

 今もう平成十七年の交通センサスが出て、平成十一年に比べて車の数が減少している、高速道路の減少傾向が大きくなっている、こういうことを国土交通省がホームページで公開をしながら、今お出しになっている中期計画は平成十一年のその調査をもとにしているというのは非常に不可解であり、不合理であるというふうに思うわけでございます。

 そこで、さらに、本来であれば五年ごとだったのに、なぜ平成十七年にセンサスをやっているんですか。このセンサスの実施年を見ていただくと、ずっと間が三年、まあ一時六年ありましたが、三年、五年、そして五年、四年、五年と来ております。平成十六年にできたのではないのかということと、それから、なぜ、これまで五年計画だったのに、まして、今のようにいろいろと人口とか交通量とか、今ちょうど激変の時期なのに、さらに十年計画というものを出す、この二点についてお伺いをしたいと思います。

冬柴国務大臣 道路交通量の推計値につきましては、道路交通センサスの調査ということを通じて推計が行われるわけでございますけれども、経済成長期、今言われたように短い時期にやっているではないかというときには、続けていた時代はまさに右肩上がりで、将来値はほとんど過去の推移をそのまま延ばして得られたもので、トレンドモデルはそういうふうになっていた。

 しかしながら、人口減少社会、人々の生活様式の多様化など、複雑な傾向を詳細に分析して、また将来動向を推測することには、高度な分析、膨大なデータが必要となり、近年はそのように長くなり、三年は必要になっているというのが現実でございます。

 ただ、この中期計画にのせられたら、それでそのままもう整備が始まるとかいうことではないことは先ほど申し上げたとおりでして、現実にアクションを起こすときに、その最新の科学的データに基づきまして判断がされるわけでございまして、国幹会議等の判断を仰ぐときも、そういうものでなければ受け付けてもらえません。そういうことでございます。

 ちなみに、経済財政諮問会議の委員からも武正さんと同じ指摘をいただきましたが、私から今のような説明をして、納得をいただきました。

武正委員 納得できません。

 なおかつ、なぜ十年なのか教えてください。これまで五年間でやっていたのに、なぜ十年ですか。これだけデータも古いデータを使って、十年でやるという理由を教えていただきたいと思います。

冬柴国務大臣 道路整備には、本当に十年というのは最小限かかるんですね。

 それで、今までは、あと十年というのは非常に大事な十年だと思うんです。例えば、国内外の状況を見ましても、人口減少社会が本当に現実のものになってきた、それから、近くのアジアでは大変な経済発展が行われている、そういうことを取り入れないと、日本の成長力というのはもう維持することができない。国際競争力もある。そういう中にあって、残り三分の一、ネットワークを、その姿を国民に見ていただく程度につくるためには、どうしても十年という期間が必要なんです。

 したがいまして、この十年があれば、これはそこに書かれたいろいろな国民からのニーズというものは、全部はもちろんできません、できませんけれども、おおむね、概成といいますか、そのような姿が見えるところまでできる、そういう覚悟のもとに十年ということをお願いしたわけでございます。

武正委員 五年での見直し規定も入れているわけですし、これまでずっと五年間でやっているんですから、五年でやっておかしいことはないというふうに思います。また、そもそもこのセンサス、これはどういうような統計でとっているのか。

 昨年、統計法の改正も国会で審議をし、可決をいたしました。私も担当が総務委員会でしたので審議にも当たりましたが、ようやくこの統計法で、実は今回これだけ大きく問題となっております中期計画、総額五十九兆円ですよ、一人当たり五十万円という負担をこの十年間いただくという計画ですよね。その五十九兆円のお金についての基本となるデータ、あるいは積算根拠、あるいは箇所数、この資料もようやく最近になって出てきています。

 それも後でまた指摘をしますが、非常に不備の多いそうしたデータ、積算根拠、箇所数となっておりますが、そうした大もとの調査が万が一いいかげんに行われていたり、あるいは改ざんが行われていたり、何か作為があったりしたら大変なことになるわけです。政策がゆがむわけです。国の政策がゆがむ、そして国の税金の使い方がゆがむ。

 こういったことがあってはならないというふうに考えて、昨年、統計法の改正の審議にも当たりましたが、昨年のその新統計法、この改正の意義について総務大臣、お答えいただけますでしょうか。

増田国務大臣 昨年五月に可決をいただきました統計法でございますけれども、これは、行政機関が統計調査を実施するとき必ず総務大臣の承認を得る必要がある、そして、その際には統計技術的観点からの厳正な審査を経る、こういうことでございます。また、その中で特に重要な基幹統計調査、これは現行法でいえば指定統計のようなものでございますが、この基幹統計調査の実施に際しては、総務大臣の承認に先立って、専門、中立的な第三者機関である統計委員会の意見を聞くことというふうにされております。

 このような手続を経ることによりまして、公的機関が作成する統計の中立性、公平性は十分に確保される仕組みとなっているということでございまして、来年の四月からの施行ということでございますが、この厳正な運用に努めていきたい、このように考えております。

武正委員 この統計委員会では、例えば期間を、五年とか四年とか六年とか恣意的に早めたり遅めたりしてはいけないというようなこともはっきりと統計委員会として決めていくべきだというふうに思います。そうでないと、今のように、国土交通大臣の言うように、この五十九兆円、国民一人に五十万円の負担を十年間お願いする、この政策を、見ていただくように、平成十一年の十年前の調査をもとにつくるということがまさにこのまま決まっていってしまう。こういうことを許してはいけないということなんです。十年間で五十九兆円であります。

 さて、このことも含めて、ここにやはり縦割り行政の問題があるんですね。きのう、きょうと総理は、いや、法案化したんですよ、一般財源化して法案も出しました、このように言いますが、参議院の予算委員会で審議があったように、一般財源に繰り入れた分は、翌年度以降財務省がそれを予算で配慮をする、あるいは十年間一般財源化していった分は、さらにその次の十年後以降の予算に配慮する、そういうような法案になってしまっているわけです。要は、こうした各省縦割りの予算のシェアが変わらないような縦割りの予算の分捕りというか、固定化、これが実は特別会計の一般財源化を阻んでいる背景であり、だからこそ民主党は、こうした予算の使い方を、やはり今の時代の変化に、あるいは人口減少とか国際社会とか日本の今の経済の現状に合わせた形で予算を組めるように、それを柔軟にすべきだということで、特別会計、特定財源から一般会計、一般財源化というふうに言っているわけなんですね。

 総理、どうですか。この五十九兆円の中期計画、この予算が十年前の調査に基づいて今策定をされている。平成十七年、本当は一年前にやるべきだった交通センサスで国土交通省は、高速道路網、交通量が減少している、全体的にも、前回、平成十一年のとき、その前に比べると横ばいだったけれども、減少しているということをもう既にはっきり言っている。この数字に基づかないで、これから十年間五十九兆円の支出を約束して決めていいんですか。総理、どうですか、お答えをいただきたいと思います。

福田内閣総理大臣 まず、古いデータに基づいてと、こういうお話がございましたけれども、これは、国土交通大臣からも説明申し上げましたように、確かに平成十七年の道路交通センサスに基づく、こういうふうなことで交通量の需要を推計しておりますけれども、最新のデータがもうじきできる、ことし年末ということでありますので、この年末のデータを使って改めて事業評価を行う、そして、その評価に基づいて計画はつくられるということでございます。

 十年間というのは長いというお話がございましたけれども、道路の事業プロセスというのは非常に長いものでございますので、道路関係者からいえば、十年といったってそんなに長い期間じゃない、こういうふうに思うかもしれないし、また同時に、そういう関係する方はそのぐらいの展望が持てないと事業の将来に対して不安を持つというようなことも当然あるんだろうというふうに思います。ですから、十年ということでもってこの計画をつくることに私はそれほどの問題はないように思います。問題は、それが今後どういうふうに扱われるかということじゃないんでしょうか。

 昨年の暮れの政府・与党の「道路特定財源の見直しについて」、その合意がなされました。そこでは、中期計画は、今後の社会経済情勢の変化や財政事情等を勘案しつつ、五年後をめどとして、必要に応じ、所要の見直しを行う、こういうふうなことを決めておりますし、また、税率水準の維持については、この中期計画の見直しを踏まえ、道路整備の状況等を勘案し、必要に応じ、所要の検討を加える、こういうふうにしているんですね。

 ですから、この十年間決めました、だから、それは何が何でもやります、よくこうおっしゃいますよね、御党の方は。そういうことはしないんですよ。そしてまた、毎年の予算編成の際に、そのときにその一年間の事業量、また予算額を決める、こういうふうにしておりますから、まあ柔軟に対応しているんではないか。また、そういう意味では、最新の十七年のセンサスに基づく需要予測といったようなものも加味しながら弾力的に計画をつくっていくということになります。

武正委員 道路はつくり出したらとまらない、また、つくり出すとさらにその先その先、延長延長ということをしてこられております。ですから、途中で見直しというふうに言われましたが、この十年間の計画がここで承認される、認められるということになりますと、一挙に全国で同時並行に走り出す。先行用地取得だ何だかんだということで同時に進みまして、もうとまらない。これが過去であるからこそ、今これだけ大きな社会的あるいは国際的な変化の渦中に日本がいるだけに、ここはやはり慎重であるべきであります。

 ましてや、国土交通省が認めている平成十七年の交通センサスがもう結果が出てきている。それに基づいた将来予測も、三年かかるといったって、十二月末まで待つ必要はありませんよ。早くやって、それで、中期計画、ちょっとおくれたっていいんじゃないですか。今、何が何でもこれでいかなきゃいけない、十年前のこの結果をもとにやらなきゃいけないというのは、どう見ても私は解せません。

 そこで、次の資料を見ていただきたいんですが、国土交通省が示された中期計画のうち、渋滞対策、あかずの踏切対策、交通事故対策、通学路歩道整備、橋梁等を抜き出しました。目標十年、それぞれ上からいきますと、三千カ所、千四百カ所、四万カ所、二万五千キロ、十万橋ということで、これは国交省の資料からつくらせていただきました。それを、国交省が出していただいた平成十五年から十八年の資料をもとに、年間の、これまでの十五年から十八年の完成数、それが年間というところに書いてあります。

 渋滞対策は、部分完成が九十カ所、完成が三十六カ所。ですから、足しても百二十六ですから、十倍しても千二百六十。あかずの踏切等除去対策は十一カ所ですから、十倍しても百十カ所。それから、交通事故対策は二百六十二区間ですから、十倍しても三千区間には届きません。通学路の歩道整備も同様で、十分の一でございます、十年たっても。橋梁等は言わずもがなということでありますが、これでどうやってこの十年間でこれまでの四年の整備状況を振り返って達成ができるのか、国交大臣、お答えいただけますか。

冬柴国務大臣 それにお答えする前に、重要なことが一つありますので、申させていただきますが、今後十年間に国民一人当たり五十万とおっしゃいましたけれども、これは受益者負担ということで、国民すべてが負担するものではない、したがって、そこは違っているんじゃないかと思いますので、御指摘をさせていただきます。

 それから、今のをお答えいたします。

 そこに出していただいたのは、国土交通省が武正委員のお求めによって提出をした書類でございますが、ここの年間というのは、九十カ所しか四年間にしなかったというわけではございません、そこの渋滞対策。

 これは、その単価を出すために、単価を出すということは、過去三年間にこの渋滞対策についてどれぐらいのお金がかかったか。これは、渋滞対策といいましても、バイパスをつくった場合、あるいは立体交差をやった場合、交差点を改良した場合、いろいろあるわけです。これは物すごく金額が違います。したがいまして、そういうものを、多くやった中からいわゆる九十ぐらい抜き出して、そして、それについて、バイパスでは過去にどれぐらいかかったか、一カ所に平均すれば百五十億円かかった、あるいは立体交差の場合は平均すれば六十億円かかった。これは長さもあります、全然違います。けれども、そういうものを、サンプルを抜き出したものでございますから、渋滞で年間九十カ所しかつくっていない、三十六カ所しかやっていないという趣旨ではないわけでございまして、今後十年間に三千カ所をやることは十分できます。

 そういうことは武正議員にもそのときに説明をしたと聞いておりますが、私どもの、その年間と書いてあるのは、それだけしかつくっていないという趣旨でないということを明確に申し上げておきたいと思います。

武正委員 まず第一点、ユーザーなんだ、ユーザーなんだといいますが、今これだけ多くの方が免許を持たれて、一家で二台、三台と車を持たれる、そしてまた、すべからく国民の皆さんは、車交通を利用したさまざまなサービス、それから流通の便益を受けておられます。当然、そのコストが上がれば、それを負担するのは国民の皆様であります。ということで、私は、国民の皆様すべからくこの五十九兆円、一人当たり五十万円の負担を担っていただく、そうした中期計画なんだという指摘をしたわけでございます。

 さて、今のお答えでありますが、お願いしたんですよ、では、これ以外に、やっているんだというふうに言うので資料を出してくださいと。そうしたら、出せないと言うんですよ、まとまっていませんと言うんですよ。では、これはすぐ出していただけますか、資料。これらについて、この四年間、平成十五年から四年間にやった全事業を、例の十六項目ですか、全部出していただくということでよろしいでしょうか。

 いつまでに出していただけるか。もう予算委員会の審議が始まっておりますし、この中期計画のテーマは最重要課題の一つでありますので、速やかにお出しをいただきたいと思います。

冬柴国務大臣 膨大な資料の整理になります。したがいまして、十六全部ということじゃなしに、指定をしていただければ、できるだけ速やかに提出したい。これは後ろがちゃんとあるわけですから。

 例えば、それでは渋滞対策、出してみろとか、あるいはあかずの踏切を除却する部分について出してみろとおっしゃるのであれば、それは本当に速やかに提出をするようにいたします。

武正委員 膨大な量といいますけれども、これは今、五十九兆円の、十年間、しかも、財務大臣、財務大臣にも後でいろいろ伺いますが、きょう、これは年間の予算を審議しているんですよね、本予算ですよね。この後、後年度負担の話にも移りますが、でも、これは十年後の歳出を縛る計画なんですよ。後年度負担がありますよ。後年度負担は少なくとも五年間は縛りますよ、延長も可能です。ということで、本予算の審議プラス十年後の、十年間の日本の歳出の審議をしているんです。中期計画というのはそういうものです、十年間で五十九兆円ですから。その審議の、五十九兆円の根拠となる数字が出せない。十六のうち一つだったら、二つだったら出しますよみたいな、こういうことで審議ができるんですか。

 速やかに出してください。いつまでに出せるか、はっきり言ってください。お願いします。

冬柴国務大臣 一週間時間をいただければ出します。十六はどうなのか、まあ、とにかく出せるだけ出します。

武正委員 一週間とか言わずに、もう来週火曜日も大事な予算委員会の審議があるわけですから、やはり、当然、五十九兆円の話というのが本予算なり通常国会の最大のテーマであることは、国土交通省はよくおわかりだと思うんですよ。しかも、先ほど言ったように、交通センサスは十年前ですよ、十年前。十年前で交通量がまだ上り坂だったころの数字をもとに五十九兆円の根拠としている。さらにまた、五十九兆円を十六項目に分けた、そのうち先ほど五つを示しましたが、その根拠となる平成十五年から十八年のデータも、全部のデータを出していただかなかったら、本当に積算根拠が正しいか、そして十年間でこれだけできるのか、それがわからないわけですよ。

 速やかに、来週火曜日、予算委員会もあるんですから、きょうとは言わなくても、火曜日には審議に供するようにお出しをいただきたい。いかがですか。

冬柴国務大臣 できる部分については出させていただきます。

武正委員 改めて理事会で御協議をお願いしたいと思いますが、火曜日の審議、これについても、この資料がやはり大事な前提となってくるわけでありますので、国土交通省として速やかなる提出、まず火曜日に向けてお願いをしたいというふうに思います。

 そこで、時間も経過をしておりますので、随意契約の話に移らせていただきます。

 お手元の資料、四ページをごらんいただきたいと思います。

 これは、本予算委員会、前原誠司委員の要求、提出資料から分析をさせていただきました。先ほど総理も、随意契約の見直し、午前中、しっかり命じてやっている、こういうふうに言明をされましたが、昨年の四月一日から七月三十一日までの特命随意契約、つまり、一社に限って随意契約をしている、これについての見直し状況を出してもらいました。

 お手元をごらんいただきますと、各省庁別、合計三千四百八十二のうち二千六百九十八、すなわち七七・四八%は、一社単独受注だったものがさらに見直しても結局一社単独受注だ、変わらなかったということでございます。

 随意契約の見直しを、これはもう平成十八年の二月から、官房副長官補のもとに全省庁の官房長が集まってそうした関係省庁連絡会議もやり、そして福田内閣にかわられて、その官房副長官補から官房副長官に担当も上げてやっておられるということであります。この特命随契の見直し結果、これは七七%、相変わらず一社ということではございますが、この結果についてはどのように、随意契約の見直し、取り組み方、お答えをいただきたいと思います。

町村国務大臣 今お手元の資料でございますが、昨年の四月から七月末の間に締結した契約はこのようになっているわけでございます。

 確かに御指摘のとおり、非常に多いわけですね、一社だけというのが。こうした状況を踏まえて、去年の秋の予算委員会で武正委員からも御指摘をいただきました。また、そうしたことも踏まえながら、総理からの御指示もございまして、昨年の十一月に、改めてこの適正化に向けた取り組みを徹底しようということで、各府省が策定いたしました随意契約見直し計画を適切に点検して、より競争性の高い契約方式に移行するなど必要な措置を講じようということで、この計画の厳正な実施を徹底しようということが一点。

 それから二点目は、全府省にすべての契約の監視を行う第三者機関を設置して、応札者が一社しかないものなどは特に重点的に監視していこうということが二点目。

 それから、総務省で、第三者機関の活動状況を含めて、各府省の取り組みが見直しの趣旨に沿って進められているかどうか、一元的、横断的に厳しく監視をする。

 こういう体制もとったところでございまして、こうした方法を通じまして、今後行われます契約につきましては、より随契の適正化、透明化に努めていき、国民の皆さんの御納得がいただけるようなものにつくりかえていきたいと考えているところであります。

武正委員 財務大臣、やはり財政を預かり、予算、特に会計法を所管する大臣でもあるわけでありますが、この随意契約の見直し、財務省が、わかりやすく言うと金庫番みたいなことで、もっと厳しく各省庁に督励をして随契の見直しの旗を振っているんだと私はてっきり思っていたんですよ。でも、財務省、どうですか、財務省も六五・五二%ですね。先ほど冬柴大臣は国交省頑張っていますと言いましたけれども、八四・五%、さっきの八五%ですね。特に国交省が多いんですよ。三千四百件のうち二千二百件が全体の見直し件数で、二千六百件が一社単独受注引き続き、そのうち千九百五件は国交省ですからね。

 財務大臣、私は、財務大臣なり財務省がもっと横ぐしを入れてやっているのかと思ったら、やっていないんですね。だから、総務省と先ほど官房長官が言われているんですね。これは、財務大臣として、この随契の見直しはできるんだ、省庁横断で、財務省がしっかりと随意契約という、やはり一社単独受注だとどうしても受注単価が上がる、限られた財政で、限られた予算でそれを効率的にやる、それは財務省の仕事でしょう。それを徹底してやるんだということで、決意と、それから、財務省に実際それができるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。

額賀国務大臣 これは、今、町村官房長官がおっしゃったように、随意契約で一社だけの件数が結構多かったものですから、昨年の十一月に改めて各府省に命令すると同時に、総務委員会に第三者委員会をつくって徹底しようと。

 財務省も、予算編成だけではなくて、執行段階において契約とか入札を中心に体制をつくって、今三十数人で各府省全部点検をして、きちっと効率的に無駄のないようにしていくように全力を尽くしていきたいというふうに思っております。

武正委員 一年半前、行革特で、全省庁の中央省庁発注分、五百万円以上の全契約を出していただきまして随意契約の率を調べたら、平均七割以上が随意契約だった。そのとき、当時の財務大臣にも聞きましたら、相見積もりは一切とっていないと言うんですね。今のを一般社会の皆さんがお聞きになると、それぞれ企業の皆さんも、あるいは団体でも、その組織の中で五百万円以上の契約をするのに、それを稟議にかけるのに、相みつをとらないでここですと言ったら、まず通らないですよ。例えば、十万円以上はとるべしとか五万円以上はとるべしという内規が必ずある。でも、中央省庁の五百万円以上の全契約を出していただいて、七割以上が随意契約。前大臣にその一部でしたけれども聞きましたら、みんな相みつをとっていない、いや、随意契約だから相みつをとる必要はない、この一社だけでいいんだからということでありましたが、財務省も同じでした。

 今それは変わっていますか。五百万円以上の随意契約、その後、十七年、十八年も予算委員会の要求資料で出していただきましたが、相みつをとるように財務省は変わっていますか。いかがですか、財務大臣。

額賀国務大臣 とっているということです。

武正委員 十七年、十八年度の財務省の五百万円以上の契約も出していただきましたので、何件相みつをとっているのか、その資料もまず財務省としてぜひお出しをいただきたいと思いますが、いかがですか。

額賀国務大臣 私が点検をして出すように努力をします。

武正委員 そこで、官房長官は先ほど、結局、財務省でもこの随意契約の見直しはできないんだ、力不足なんだ、そういうことですよね。それで総務省に命じたわけですが、その総務省、これはどこが担当しているか。私の方から言いますと、行政評価局なんですね。行政評価局の各地方の支分部局です。

 これはもう既に皆さんおわかりだと思いますが、この行政評価局の各地方の支分部局は、今第三者委員会の担当としてもう大わらわの毎日でございます。そこに今度は随意契約の特命を政府として与えた。ちなみに、この第三者委員会の担当、行政評価局、全体で八百七十七人のうち、昨年まで二百人だったけれども、足りないから増員をして、はっきり言ってことしの一月から二百八十五人に増員をした、総務省は。それでも今第三者委員会での年金記録問題の訂正、毎日引きも切らないし、それに対する対応に追われている。この総務省の行政評価局に今度この随意契約の見直しをゆだねるんだと。

 果たしてこれはできるんでしょうか。現実的に可能なんでしょうか。いかがですか、これは官房長官、担当としてお答えをいただきたいと思います。

増田国務大臣 委員から御指摘いただきましたとおり、私どもの行政評価局でこの随契の見直しを、各省の第三者委員会の状況をさらに横ぐしできちんと監視をすることにしてございます。これは大変重要な仕事でございますので、ほかに確かに年金の第三者委員会等の仕事もございますが、この随契の見直しについて、そういう疑念を持たれないようにしっかりと各省の取り組み状況を監視していきたいと思います。

武正委員 総務大臣、今、いわゆる消えた年金対応で第三者委員会ということで評価局はもう大わらわで、この一月から二百人だったのを二百八十五人に増員をしているのに、その上全省庁の、相変わらず、見直ししてもなかなか一社単独の随意契約の状況、本当に各省の壁は厚いですよ。

 要は、なぜなのかといえば、契約の責任者はそれぞれの各省大臣だからです。各省の大臣が責任者だから、財務大臣だって横ぐし入れられないんですよ。チェックできないんですよ。それで今度は総務省だと。その担当の行政評価局は、今消えた年金記録の第三者委員会で大わらわなんですよ。その総務省ができるんですか、これは。どうですか、総務大臣。

増田国務大臣 この契約の関係でございますが、第三者委員会がことしになりまして各省でき上がりました。そのもとで契約事務をそれぞれきちんと行う、そうした各省の取り組み状況がまとまってきたものを私どもの方でまた監視をするわけでございますが、少しそれについては時間的にもまだ余裕がございます。体制のことも今御指摘をいただきましたけれども、それにつきましては、その契約状況の評価局での監視ということについて、支障のないように私の方できちんとした体制をとりたい。

 それから、あと、確かに契約の当事者は各大臣でございますが、実は行政評価局は、これまで行政評価につきまして、いろいろな状況を見た上で各大臣に総務大臣から勧告をきちんと行ってきている。いろいろ業務において不都合があった場合には、昨年も、それからことしももう既にその勧告を行っているという実績もございます。それは、閣議できちんと手続をとって、さらにその閣議の際に、こういう勧告をしましたということを全閣僚に対して私が責任を持って報告するような形で勧告をしてございますので、我々がそういう意味では閣内で一番各省に対してきちんと物を言ってきたという実績もございます。

 いずれにしても、御指摘のこの随意契約の関係について、いろいろと疑念を持たれることのないようにしっかりと対応していきたいと考えております。

武正委員 総理、随意契約、午前中も、しっかりと私は指示したんだと言っておりますけれども、第三者委員会、消えた年金記録でも大変な総務省にそのことを命じて、いや、総務省が一番にらみをきかせられるんですよ、閣議決定もしているんですよと言いますが、見直しをした結果、七七%が、またもう一回一社単独ですよ。

 それから、その次の資料を見てください、五ページから八ページまで。

 横棒を引いたもの、これは全部国土交通省の道路特定財源関連ですけれども、横棒を引いたところは全部同じところがまた受注しているんですね。一社単独受注を見直しましたと、別な一社が受注しているところもあります。それは、例えば六ページの上から四つ目、道路管理センターがエヌ・ティ・ティ・データにかわりました。でも、これについては二社ですから外していますけれども、一社の場合は、五、六、七、八を見ると、横棒を引いたところ、道路関係、全部同じところがまた受注をしています。

 こういったことが全省庁、これは全部データで見られるわけで、その中から抜粋をしたわけですけれども、こうしたことが去年の四月から七月末を見てもまだあるわけですよ、十八年からずっとやってきても。

 これは改めて、本当に本腰、今までも本腰を入れてやってきたんだと言われるでしょうけれども、改めてこの分析、七七%は見直しても相変わらず一社なんだ。しかも、このように同じ会社が、特に財団、社団といった公益法人が受注をしている。このことについて、どう思われますか。総理の御所見を伺いたいと思います。総理、お願いします。総理ですよ。総理、ちょっともう時間もないので、お願いいたします。総理、お願いします。

福田内閣総理大臣 随意契約は、数年前から取り組んでおるんですけれども、確かに、実績を見ますとまだまだ多いんですね。

 その多いという実績を見まして、格段にこれは強化して、厳しく対応していこうということを昨年の秋決めたわけでございますので、この実効が上がるように、今後厳しく監視してまいりたいと思っております。

武正委員 ぜひ、いま一たび、いま一段と督励をしていく。

 それから、これは私、法律的な、制度的な問題があるんではないかなというふうに思っています。平成十三年の一月六日に中央省庁の改革が行われて、より強い権限を内閣府あるいは内閣官房ということで置きましたけれども、やはり、法律的、制度的な問題点があるとすれば、そうしたものも改めなきゃいけないというふうに思うわけであります。

 そして、先を急ぎますが、道路開発振興センター、この今の五、六、七、八の資料の五ページの一番上が道路開発振興センターですね。この常勤理事四名の出身官庁をお答えいただきたいと思います。この中に国土交通省出身者が何名いるのか、また、非常勤理事を含めて二十一名のうち何名なのか、お答えをいただきたいと思います。

冬柴国務大臣 理事長は、最終官職は建設大学校長です。専務理事は、経済企画庁総合計画局審議官。常務理事、国土交通省大臣官房審議官、それからもう一人も国土交通省近畿地方整備局道路部長等々でございます。

武正委員 四人中三人が出身官庁は国交省、非常勤理事を含めると、二十一人のうち十一人ということであります。

 これは、公益法人の指導監督基準があって、三分の一以下にということなんですね。ですから、これは三分の一以上になっているんですけれども、何か国交大臣として指導はされていますか。

冬柴国務大臣 今、御指摘いただきましたので、早速きょうにでも改めさせます。

武正委員 担当はどちらになるんでしょうか、公益法人は。これは総務省ですか、官房長官ですか。この三分の一以下というのが守られていない公益法人がどのぐらいあるのか。これは、指導監督基準があるのに守らなくてもいいのかということなんですね。これはちょっと総務大臣にお聞きをしたいと思います。

 あわせて、今お手元の五、六、七、八をごらんいただきたいと思うんですが、今の道路開発振興センターに、やはり国土交通省の元事務次官の方が非常勤の理事でおります。その方は、順番でいきますと、国土技術研究センターにはおりませんが、その次の道路新産業開発機構の非常勤の理事長であります。その次に道路保全技術センターが出てきますが、ここの非常勤の理事であります。それから、道路空間高度化機構の非常勤の理事であります。ページをめくりまして、あと二つありますが、そちらはやっていません。ちなみに、財団法人道路環境研究所の、これも非常勤の理事長であり、社団法人関東建設弘済会の常勤の理事長であります。

 私も、非常勤の理事長というのは初めて聞いてびっくりしたんですね。理事長というのは少なくとも常勤だろうと思っていたら、理事長、非常勤と書いてあるんですね。ですから、この元建設省の事務次官の方は、少なくとも二つの財団の非常勤の理事長をされているわけなんですね。

 本当に、こうした公益法人、ことしの末に法改正を経て施行する大規模な見直しがあるんですけれども、その前にやっておくべきことというのは実は大変あるんじゃないかなというふうに思います。

 総務大臣、お答えいただけますか。所管省庁の理事を三分の一以下にすべきという指導監督基準、これを守らなかった場合の何か罰則があるのかどうか、お答えいただけますか。

 わからない、では、いいです。これは官房長官はわからないですかね。ちょっと済みません、時間がないので。では、総務大臣、担当ですよね。指導監督基準、守れなくていいのかどうか。

増田国務大臣 ちょっと通告がなかったので、私、今手元に資料がないんですが、罰則等はないということでございます。

武正委員 ぜひ、今の公益法人で所管省庁の出身者が役員の三分の一以上である団体、この団体名を資料としてお出しいただきたいというふうに思いますが、いかがですか。お願いできますか。

増田国務大臣 出せるものは用意して出します。

武正委員 速やかにお出しをいただきたいというふうに思います。

 もう時間が限られてまいりました。

 次をごらんいただきたいと思います。先ほど触れましたが、国庫債務負担行為ということがございます。これは財政法にその根拠がございますが、財務大臣、いわゆる単年度予算と言われるこの日本の予算、財政法、それが国庫債務負担行為ということで、最長五年間、その予算をある面縛る、こうした仕組みがあるんです。これは財政法からいうと私は例外というふうに把握をするんですが、国庫債務負担行為の財政法における位置づけをお答えいただきたいと思います。

額賀国務大臣 これは、武正委員が御存じのとおり、日本の予算は単年度主義でありますけれども、単年度主義でやっていると無駄が生じたり不経済になったり非効率的になったりした場合に五カ年以内で支出を認めていくという制度で、例外的な措置であるというふうに認識しております。

武正委員 例外的な措置でありますが、お手元をごらんいただくと、防衛省それから国土交通省、これは地方支分部局の平成十八年度の国庫債務負担行為、工事費を調べました。二年度にまたがるものですね。

 そうしますと、件数でいきますと、防衛省の場合が、十カ月未満の契約のものが四分の一以上、それから国交省は、三分の一以上が十カ月未満の契約であります。つまり、複数年度にまたがる必要が本当にあるのかどうかということなんですね。六カ月未満に至っては、それぞれ件数でいうと七%、五・七%あります。工事であります。

 防衛省は、調達を複数年度、国庫債務負担行為でやった方が効率的だとか安くて済むとか、いろいろ改革をされているようですけれども、少なくとも工事が半年以内のものをなぜ複数年度で契約しなければいけないのか。来年の予算を縛るわけですね、複数年度で、ことしの平成二十年度に二年度契約があれば。来年の予算の歳出を縛ってしまうわけです。

 ちなみに、平成二十年度の道路特定財源の歳出三兆六千億円のうち約九千億円、四分の一が国庫債務負担行為です。すなわち、平成十九年度以前の予算で決めた契約が、ことしの国交省の道路特別会計の歳出の四分の一をもう決めているんです。

 だからこそ、冒頭申し上げた十年間の中期計画をやって、いや、毎年予算を見直せばいいじゃないかと先ほどおっしゃられましたけれども、十年間の計画を決めたら、少なくともまたこれは五年間とか四年間とか、その先の予算を縛る国庫債務負担行為というのが始まっちゃうんですよ。だから、この中期計画、十年間で五十九兆円の積算根拠と、しかもそのデータが十年前の交通量をもとにしているからこそ、それを見直さなきゃいけない、このように言っているわけであります。

 そこで、これは資料としてごらんをいただきたいと思いますが、時間の関係で、次の独立行政法人に移らせていただきます。

 資料、十ページ目をごらんいただきたいと思います。独立行政法人についてです。

 いや、聞いていませんよ。

逢沢委員長 冬柴国土交通大臣、簡潔に御発言ください。

冬柴国務大臣 これは、一年未満の工事におきましてもそのような処置がとられるということにつきましては、地元調整や地理的条件による施工時期の限定、例えば今雪が降る、それで地元調整が難航して、契約が年を越えて一月、二月になる場合もあるわけです。決算を超えるわけです。そういうところがあります。また、特定期間に道路工事が集中することによる騒音の発生を緩和するために工事の平準化を図る必要があったりするために、そのように、単年度主義ではあるけれどもやむを得ず超えることがあるということでございますから、その点について答弁をさせてください。

武正委員 最後、独立行政法人、十ページ目をごらんいただきたいと思います。

 財務省から平成二十年度の予算案の説明を受けたときは、この真ん中の数字でございました。昨年までの独立行政法人への補助金は一番上でございます。つまり、平成十九年度は、昨年の予算の説明では三兆五千二百三十四億円でした。ことし、平成二十年度の予算の説明を財務省がつくったものには三兆七千百四十六億円と、ふえております。

 それで、平成二十年度は三兆五千五百七十七億円だから、千五百六十九億円、独法への政府からの歳出は減ったんだ、このように財務省は説明されましたが、実はこれは、JBICとJICAが平成二十年度の中期に統合するので、その分を足したら三兆七千百四十六億円になるということで、それを抜きますと、平成十九年度は三兆五千二百三十七億円、平成二十年度は三兆五千五百七十七億円ということで、独立行政法人整理合理化計画ということを言っておられますけれども、かえって予算はまたふえているんですね。

 このことについてどのように御認識か、行革担当大臣、お答えをいただきたいと思います。

渡辺国務大臣 額賀財務大臣にかわってお答えをいたします。

 御指摘の、十九年度予算額に、二十年度から他の形態の法人や国から独立行政法人に移管される業務がございます。十九年度予算額を加算しない場合、二十年度、独立行政法人向け財政支出は、確かに御指摘のように増加をしております。

 しかし、独立行政法人向けの財政支出の増減を比較する場合は、例えば特殊法人から独法へ業務を移管といった形式的な理由を除去するため、異なる法人形態であった前年度の財政支出を加算して増減を比較した方がより適切な比較ができるという場合があるからでございます。

武正委員 このような数字を予算の審議で出してこられるというのは、大変私は問題があるというふうに思います。

 昨年の説明の数字とことしの説明の数字が異なる。しかも、発生主義ですから、組織がまだ統合もしていないのにその数字を平成十九年度に加えて、平成二十年度の支出は減りました、こういうことを予算の資料として出される、こういうことではもはや政権担当にあらずということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

逢沢委員長 この際、笹木竜三君から関連質疑の申し出があります。岡田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。笹木竜三君。

笹木委員 民主党の笹木竜三です。

 質問を始めます。

 まず最初に取り上げる問題は、十分、民主党と自民党で同じような方向で解決策を考えることができる、そういうテーマについてです。児童であったり、青少年の環境にかかわる問題です。

 最初に総理にお聞きをしたいわけですが、携帯電話についてです。

 私も子供が二人いますが、携帯電話は子供が高校生になるまで一切持たせませんでした。高校一年生になって、男の子ですが、その子に携帯を持たせたわけですが、夜部屋を見に行ったら、まくら元にその携帯を置いて、抱きかかえるようにして寝ているんですね。今の子供にとっては、そのぐらい携帯というのは非常な魅力で、なくてはならないツールになっているんだな、そういうふうに思います。

 ただ、総理は、お孫さんがおられるのかどうか知りませんが、この携帯電話がいろいろな犯罪であったり、青少年とか児童の被害が後を絶たない、そのことについては御存じでおられるでしょうか。細かい数字はいいです。

福田内閣総理大臣 インターネット上の問題もありますけれども、携帯電話はもう非常に使用が簡便なものですから、多くの学童が使っているということも十分承知いたしておりまして、それがまたいろいろ問題を起こしているということも承知しております。

笹木委員 では、これを見ていただきたいんですが、資料一の一番上の表です。

 これは出会い系サイト。出会い系サイトというのは、男女間、異性間でそこで知り合うようなサイトですが、この出会い系サイトで知り合った方を通して起こった犯罪の被害者数ということです。

 一番上を見れば、どういう犯罪だったかということは書いてありませんが、具体的に言いますと、暴行に遭ったり傷害に遭ったり、脅迫あるいは殺人、強盗、強制わいせつであったり買春であったり、いろいろな犯罪が起こっています。

 それで、その被害に児童とか青少年がなっているということですが、これを見ていただければわかるんですが、この一番下のところですね。

 うち児童、平成十六年から十八年まで千人台とか千百人台が被害に遭ったと言われていますが、これは被害届があったとか実際に逮捕をされた場合であって、実態はまだまだ深刻だと思います。これを見てわかるように、インターネットのパソコンを介してそういう犯罪に遭った、被害に遭ったというのは三・六%とか三・四%、非常に低いわけですね。携帯電話が圧倒的に多い。平成十六年、十七年、十八年、三年間とも九六%を超えている。ほとんどが携帯による被害ということなわけですね。

 こういう問題があるわけですが、例えば、去年の九月はこういう事件が起きています。十五歳以下の少女ですが、携帯で知り合った、出会い系サイトで知り合った、そこで知り合った方に離島に連れていかれて強制わいせつの被害に遭ったというような事件も、これはもうしょっちゅう新聞に出ていますね。

 これは、出会い系サイトというサイトでこういう事件もいっぱい起こっていますが、この統計に入っていないような、例えば家出っ子サイトとかそういうのもあります。これは出会い系サイトの中には含まれません。あるいはモデル募集サイトとかいろいろなサイトがありますが、実態はそういう犯罪につながっているサイトがたくさんあるわけですね。

 それで、一番問題なのは、例えば出会い系サイトで、今、子供を離島に連れていって強制わいせつするという、これも違法ですが、違法な書き込みサイト、これが削除されないということなんです。一番典型的な例は、犯人が逮捕された、逮捕も終わった、しかし、そのサイトそのものは削除しないでいつまでも残っている、また同じ犯行が起こる可能性が十分あるのにということなわけです。

 総務大臣にお聞きしたいわけですが、どうしてこういうことが起こっているんですかね。

増田国務大臣 お答え申し上げますが、まず、携帯電話についてのいろいろな有害情報から青少年を守るというのは大変重要なことでございますので、これは昨年、私の方から携帯電話の事業者を全部呼びまして、フィルタリングサービスをさらに導入してほしい、こういうことで要請をいたしました。それで、事業者はフィルタリングを原則とする、そういうことで今やっているところでございます。

 それから、あと、今お話がございました、インターネットの中でいろいろなサイトがあるわけでございますが、こうしたことにつきましては、サイトの有害情報について、私どもの方でも有害情報についてのいろいろな取り締まりの議論をかつて行ったところでございます。そして、こうしたものについては、プロバイダー責任制限法というものをつくりまして、これによって当該サイトについて運営をしている者の責任を明確化するなどいたしまして、そのことによって適切な削除を促している、今こういう形になっているところでございます。

 あと、業界の方でも自主的なガイドラインを策定しているところでございますので、そうしたプロバイダー責任制限法、それから関係ガイドラインの運用を通じまして、今こうしたことについての対策をとっているところでございます。

笹木委員 今お答えいただいた後半の方ですが、要は法律がある、プロバイダー有限責任法というのがあると。しかし、これは結局、削除しないといけないということになっていないんですよ、簡単に言いますと。削除することができると。例えばサイトの運営者、その事業者が、書き込んだ方に断らずに消しても、削除しても、そのことについていろいろ文句を言われても、その責任は問われない、有限責任法。削除することができると言っているだけなんです。削除すべきだと義務になっていないわけですね。

 ですから、さっきお話ししましたように、違法情報で逮捕者まで出た、実際に事件も犯罪も起こったそのサイトでさえも、消されずそのまま残っているものはたくさんある。この問題について総務大臣に再度お聞きしたいんです。

 結局、これは努力義務とかじゃなくて、はっきりと削除を義務づける必要があるんじゃないか、そうしないと、こういうことがいつまでたってもなくならないんじゃないか。そのことがお聞きしたくて先ほど質問したわけです。このことについてもう一度返事をいただきたいと思います。

増田国務大臣 この関係については、青少年が今置かれている環境ということを考えますと、私ども真剣に考えなければいけない、こういう思いはございます。

 それから、これはもう御案内のとおり、今の委員の方から御指摘ございましたプロバイダー責任制限法が立法化される過程でも、この削除の義務づけがどこまで可能かどうか随分議論があって、常にこの問題については、表現の自由との関係がいつも問題にされております。

 それで、そういった表現の自由の保障も考えながら立法しなければいけないということがあって、今のような法律と、それから、そうした自主的な削除を支援するための相談窓口機能のようなこと、それから、業界に強力に、ガイドラインをつくって、まずあなたたちが自分たちできちんとそれをやりなさいよということを促している。これは、表現の自由とのぎりぎりの接点でやられた解決策でございます。

 それで、私どもも、今完全で、あとはもうそれに任せておけばいいと言うつもりは決してございません。常々、今委員からも御指摘ございましたとおり、社会のさまざまな状況が変わってきておりますし、それから青少年を守らなければいけないという思いは、これはまさに、今お話ございましたとおり、各党派超えて共通の問題でございましょうし、政府も同じ思いでございますので、ここがどこまで実社会の実情に合わせて我々が進んでいけるのか、そのことは中でもきちんと検討したいというふうに思っております。

笹木委員 いや、だから、なかなかそれでは変わっていくという実感が持てないんですね。

 この二つ目を見ていただきたいんですが、違法情報と有害情報というふうに書いてあります。今、表現の自由との関係で難しいということをしょっちゅう行政の方、役所の方は言われるんですが、ちょっとおかしいんじゃないですか。違法情報ですよ。法律違反をしている書き込み、しかもそれは個人的に自分の日記に書いたとかというんじゃないですよ。世界じゅうに見える形に、日本じゅうはもちろんですが、それで出回っている、そのサイトに書き込んで、これが違法だと。

 だから、例えばわいせつ物公然陳列、児童ポルノ公然陳列、これは世界じゅうに、それも写真なんかそのまま出回るわけですね。あるいは、売春防止法違反の広告、これも違法なんです、法律違反。これを書き込むことを削除することがどうして憲法違反になるのか。これは理解できないですよ、違法情報なんですから。それと、出会い系サイト規制法違反の誘引行為、これも違法情報なわけです。かなり厳しいんですね、この違法の境界が。だから、違法じゃなくて有害情報の中にどのぐらい深刻なのが逆にあるか。

 例えば薬物取引でも、ユキンコという、これは略語で隠語なんですが、薬物でユキンコとかということで携帯のインターネット機能でサーチをすると出てきます、そういうサイトが。薬物のことを、麻薬のことをユキンコという隠語を使ったりして、これはなかなか線引きが難しいんですね、違法に入るのかどうか。これはとりあえず有害の方に入っていく場合が多いです。あるいは銃器でも、特に明らかに違法な取り扱いあるいは売買、これらも、けん銃がレンコン、銃弾がマメ、いろいろな隠語があるわけです。隠語によっては違法とは断定できない、薬物取引は違法ですが、表現によっては違法にできないものもたくさんあるわけです。

 しかし、今、最初にお聞きしたのは、違法と明らかに言えるものについて削除することがどうして憲法違反なんだということなんです。これをいつまでも役所の方は言っているわけですね。これ、ちょっと悪く解釈すると、余りにも事業者を守り過ぎじゃないかとはっきり思うんですよ。何度もいろいろなヒアリングをしています。例えば、こういう規制が厳しくなるとこの業界の株が下がるとか、いろいろなことをおっしゃいます。しかし、これは親の責任ですね、あるいは大人の責任だと思います。

 総理も所信表明で、人材という得がたい資源、若者を育てる環境、これは大人が整備する責任がある、そんなことを言われていました。この違法情報すらも今削除できないという現状について、総理はどういうふうに実感、感想をお持ちになりますか。

福田内閣総理大臣 私も、この問題は小さな問題ではないと思います。ここに平成十八年で被害者数、うち児童千百五十三件とありますけれども、これは被害に遭った人は千百五十三件であって、これ以外に何十倍という、もしかして何百倍かもしれない、こういう違法情報でもって毒されている児童がいるということを重視すべきだと私は思いますよ。

 ですから、このことは、私は、表現の自由とかいろいろ問題があるのかもしれませんけれども、やはり与野党一緒になって取り組んでいただきたい、そして、一定の方向を出していただきたいと思います。

笹木委員 それでは、参考までに言いますと、これも役所の方がよく言われるんですが、そういう削除義務を課すのは非常に厳し過ぎるとかと言うんですが、イギリスがやっております。さっき総務大臣のお話に、業者の団体でというお話もありましたが、業者の団体が、これは削除すべきだとかということをどんどんどんどん連絡もし合いながら、そしてみずから削除していく、こういうことをやっているわけですね。これを義務化すればいいわけです。削除するのは政府がやるとかお役所がやるわけじゃありません。義務化して、削除はちゃんと事業者にやってもらう、あるいはその団体でやってもらう、そういう形をぜひとるべきだと思いますが、もう一度総務大臣、要はこれが、これだけ簡単なことがなかなか前に進まないので、もう一度確認させてください。そのぐらい当たり前ですよね。

増田国務大臣 総務省が関係の業界を、いろいろなことを守るとか、そういうつもりは全くありませんで、私どもは、やはり社会の公益を守っていかなければならない、青少年を守っていかなければならない、こういう思いでございますので、この問題をいろいろな角度から、諸外国の様子も含めて検討いたしたいと思います。

笹木委員 総理と官房長官にぜひ覚えておいていただきたいのは、努力義務じゃなくて必ず削除を義務化しないと、今の状態がなかなか変わらない、絶対に今の状態を突破できないということを覚えていただきたいと思うんです。

町村国務大臣 考える方向は、今総務大臣が明確におっしゃったので、その方向で政府としても検討したいと思います。

 ただ、私も十年ちょっと前に文部大臣をやりました。その当時もこうした問題が、実は、まだメールであるとか携帯はなかったんですけれども、例えば児童ポルノの出版物、これはあんまりじゃないかということで、新聞の方々、あるいはテレビ、あるいは関係する、特に出版関係の方々に随分言ったんですね。そのときの物すごいきつい反応、出版の自由を侵すのか、もうそれはすごい反応がありまして、私は本当にその出版社の方々からある種脅迫を受けたことさえありました。そういう雰囲気なんです。ですから、その当時、大変恐縮ですが、当時の野党の皆さん方も、文部大臣は出版の自由とかそういうものをいかに考えるのかといって大変にきつく牽制をされたこと、私は今でも覚えているんです。

 笹木先生のような方が当時の野党におられたらばまた違ったのになと、率直に言って私は思うんですが。私は、そういう意味で、民主党の皆さん方が大変健全な姿で今そうした問題を取り上げようというふうになられたことは、大変大きな変化であり、大変に私は力強く受けとめさせていただいております。

笹木委員 冒頭に言ったように、この問題は与党も野党もくそもないという話で、具体的に提案もさせていただいているんですね。何でそういう話になるのか。

 これは御存じか、お知りにならないのか知りませんが、出版物と携帯あるいはインターネット、全然違いますね。世界じゅう一気に駆けめぐる情報と店頭でだけ見る情報、その被害の広さと大きさは全然違います。

 いち早く取り組んでいるのは我々の方なんですよ。このフィルタリングサービスをちゃんと義務づけしよう、おととし、我々民主党の有志で法案を出しております。それに対して総務省は、これも努力義務ですね、フィルタリングも。結果的に、今フィルタリングも普及してないんじゃないですか。与党、野党の話をするからお話ししますが、こちらの方から先に出しています。まだこれが義務になってなくて努力にすぎないから、努めてくれと言っているだけだから、フィルタリングの普及も非常に低いんじゃないですか。

 ちょっと出してください。これを見てください。六割の方が全く知りません、フィルタリングというのがあるという。フィルタリングというのは、要は、買ったときとか、途中でもいいんですが、買ったところにセットをしてもらえれば有害情報とか違法情報が見られなくなる、そういう仕組みですが、そのことを知らない方が六〇%以上なんですよ。総務大臣、これは怠けているということじゃないですか、総務省が。

増田国務大臣 携帯電話のフィルタリングの関係でございますが、そういう実態があるということで、事業者を呼んでフィルタリングを原則にするようにと。これは、新規契約と既契約の分があって、新規契約はいいんですが、既契約が大変難しいわけですよね。そこも含めてフィルタリングを原則にして、よほど親の方からそれを使わないということであれば、それを解除する、こういうことで変えたわけですよね。各事業者とも全部、それを受けて、早速一月から順次そういう形に変えてきています。したがいまして、その数字はこれから急速に変わってくるというふうに思っておりますけれども。

 そういうことで、総務省が腰が引けているとか後ろ向きということではなくて、事態が変われば、当然その変わった事態を受けて私どもはやっていく、こういうことでございます。

泉国務大臣 先ほど来御指摘をいただきましたように、子供に対する状況が、十五年のときに法律をつくっていただきましてから、一時下がっておりましたけれども、また最近上昇傾向にありまして、私どもは、そういう実態を踏まえて、この国会に改正法を出させていただくということにいたしております。

 問題点は既に先生御承知のとおりでございますから、大きな建前としましては、出会い系サイト事業者に対する規制の強化、これはきちんと届け出制を導入するということで、我々の方から削除命令等がきちんと行き届くようにするということが一つでございますし、また、児童に対する誘引情報の削除措置を行う、さらに、児童による利用の防止措置の強化ということで、先ほど来御指摘いただいておりますフィルタリングの推進ということを掲げておりますし、民間団体からも御協力をいただくように警察庁としてはしっかり取り組んでおりますので、御紹介をさせていただきます。

笹木委員 今御紹介があったのは、いろいろなサイトがあって、犯罪の温床になっているサイトもいろいろあって、その中の出会い系サイトだけなんですね、対象は。これがまだたくさんあります。さっき言った薬物ですとか、実態はいろいろな被害が起こっているけれども、出会い系サイトじゃないサイトもたくさんあります。こういうことも含めて、今言った削除義務を課すことがどうしても必要だという点が一点です。

 もう一点、ぜひ覚えていただきたいのは、フィルタリングというお話がありましたが、では、もう既に持っている方はどうしますかというお話、これは後で答えてください。

 特に問題なのは、今、親が二台目、自分が二台目を買うという形で買って、使用者確認がちゃんとされていないんですね。十八歳未満だったらフィルタリングを義務づけと言っていますが、親が二台目に買う、そのまま買って、フィルタリングの説明も何もちゃんと受けない、それでそのままになっている、それで子供に渡している、これはどうやってやりますか。

 それも含めてやらないと意味がないということと、もう一つ、このフィルタリングの非常に深刻なのは、フィルタリングをかけても、その後外す方が今非常に多いんですね。それはなぜかというと、フィルタリングのレベルが非常にまだ低いというか、質が余りちゃんとしたものになっていないんです。

 例えば、私も三カ月前から、実際に見るために、ある携帯会社の一番厳しいフィルタリング、キッズ用のということで、それをかけています、三カ月間。そうすると、政党とか政治家のホームページは見られなくなります。まあ青少年にとって政治とか政党が余りよくないという判断なのか何かわかりませんが、非常にフィルタリングが粗過ぎるんですね。ホワイト形式、ブラック形式がありますが、ブラック形式は悪いものだけを見られないようにする、ホワイト形式はいいものだけを見られるようにする、いろいろあるんですが、いずれにしても、これは携帯の事業者四社、全部一つの同じ事業者にこのフィルタリングはお願いしているようです。

 質を高めるためには簡単で、参入を自由にしたらいいんですよ。親が選べるようにすればいいんです、どのフィルタリングを選ぶかを。よりきめの細かい、あるいは年齢が上がるのと同時にだんだん緩くしていくとか、いろいろな選択肢、もう既にあります。そういう技術を持っている事業者もあります。

 この自由参入をやることが、フィルタリングの普及も広げる。絶対に必要だと思いますが、総務大臣に、これをやらないとフィルタリングは今の状態をなかなか抜け切れないと思うので、最後に確認をさせてください。

増田国務大臣 今お話がございましたとおり、いろいろなサイトがあったりするものですから、それを、全部をなかなか確認し切れない、あるいは親の方でも全部追い切れない等のこともあって、この問題、非常に技術的にも難しい問題でございます。それから、あと有害、有害じゃないというところの線引きも大変難しゅうございます。ですから、実際にどういう形でこのフィルタリング内容あるいは広くサイトの問題を扱うというのは、大変課題が多いというふうに思っております。

 先ほど、既契約に対してのことは後ほどということでしたが、それについて言えば、新規だけじゃなくて既契約についてもこのフィルタリングサービスの利用の意思を確認するというようなことでその利用率を高めるということまで今事業者にやらせておりますので、そこのところはそれで追っていきたいというふうに思っております。

 いずれにしても、このフィルタリングサービス、先ほどホワイトとブラックの話がありましたけれども、そういうことも含めてこのフィルタリングサービスの問題についてよく私どもも検討しようということで、この検討会を、今、関係者みんな入れて検討させています。さまざまな課題について検討させています。これは余りぐずぐずはできませんので、四月中を目途にこの検討結果を取りまとめる。みんな思いは、やはり有害情報から守りたいということで、その思いで関係者に集まってもらって、そういうことで今とり得る最善の策を出してくださいということできちんとその検討会のミッションを明示しておりますので、それが四月中に中間取りまとめということで出てまいりますので、それを受けて総務省としても対策をとりたい、このように考えます。

笹木委員 最後に総理大臣と官房長官にもう一度確認をしたいんですが、いろいろやりとりしていますと、通信の自由とかいろいろな理由で、このフィルタリングを原則化する、販売のときにフィルタリングがかかっている状態にして売る、それを外すのは十八歳以上という認証があって親が初めて外せる、これはほかの国でもやっているわけですが、こうすることが絶対必要だと思います。それに対して、通信の自由をとか、この分野での市場をとか、いろいろな反論があるわけですが、消費者、生活者が主役なんですよね。

 もっと言うと、携帯でインターネットにつなげられる技術は、日本が世界で最先端だと思います。便利なことは最先端なんですが、危なさも最先端だと思います。世界で一番危ない、子供にとって。ですから、それを、ちゃんとしたものをフィルタリングも含めてやれば、日本モデルがつくれるんですよね。ぜひそのことを確認したいと思いますので、よろしくお願いします。

 二点目で、乳幼児とか児童医療のことについてやりたいわけですが、舛添大臣、御存じですよね。舛添大臣はお子さんもたくさんおられると聞くんですが、各自治体で乳幼児、児童の医療費の負担を軽減する、無料にする、あるいは一割負担にする、二割にする。この表を見ていただければわかるんですが、平成九年から見ても、平成九年、平成十五年、平成十八年、これは県ごとの統計ですが、例えば一歳未満、二歳未満までだけの対象だったのが三歳未満、四歳未満、五歳未満までになるとか、就学前までになるとか、東京なんというのは中学卒までというふうになっているわけですが、各自治体はほとんど何らかの軽減策をとっています。

 これについて、例えば内閣府の調査でいいますと、少子化対策として一番何が望まれるかというアンケートをしますと、一位が保育料とか幼稚園費の軽減、二位がこの児童、乳幼児の医療費の軽減。二番目に望まれる政策だと言われています。

 大臣、御存じですよね。出生率、OECDの〇四年での平均は一・六二。それを上回る国、ほとんどの国がやっていますよね、子供の医療費を窓口で無料というのを。ニュージーランド、ノルウェー、フィンランド、デンマーク、オーストラリア、英国、スウェーデン、オランダ、すべてやっています。

 この自治体がやっている試みについて、舛添大臣の認識をお伺いしたいと思います。

舛添国務大臣 今委員おっしゃったように、少子化対策として医療費の補助をする、無料化をやるというのは、そこにありますように、非常に効果があるわけであります。ですから、国もいろいろな施策をやっていますけれども、各自治体もこういうことをやっていただくというのは大変ありがたいというふうに思っているんです。

 私は今、東京の世田谷に住んでおりますけれども、世田谷の区長さんが頑張ってくださって、この医療費の無料化を進めてくださっているので大変助かっております。

笹木委員 それではお聞きをしたいわけですが、自治体から再三要望書も出ていて、厚生労働省に対してやめてくれと言っていることがあります、今のことじゃなくて。それは、御存じでしょうが、自治体が乳幼児とか児童の医療費を窓口で軽減した場合には、その分、国からの国庫負担が減らされる。言ってみれば、自治体の方は意地悪と言いますが、意地悪をされるんだと言います。このことは御存じですよね。

 これは、国民健康保険制度等に対する要望とかで、全国市長会とかいろいろな自治体の要望で、各種医療費助成制度等実施に対する療養給付費負担金及び普通調整交付金の減額算定措置を廃止してほしいと再三出ています。どうしてやめないんですか。

舛添国務大臣 ちょっと仕組みを御説明させていただきますと、長瀬効果という、長瀬さんという人の名前ですが、こういう長瀬効果と言われる効果があります。

 それはどういうことかというと、例えば、医療費を安くする、無料にする、そうすると、医療、つまりお医者さんにかかる数がふえる、受診率がふえる。これまでずっと統計をとりまして、ですから、医療費を高くすると結局行く頻度が減る。そうしますと、医療費無料化ということで、一般的なこの長瀬効果という理論を使いますと、一般に病院に行く人がふえますから、それだけ医療費全体がふえる。それで、その二割負担という窓口負担を、例えば市町村とか地方自治体が持つわけです。

 ただ、今、日本の医療費の仕組みが、国庫負担分がついているものですから、そうすると、医療費全体がふえれば国庫負担分がふえちゃうわけですね。それをどう調整するか。そうすると、無料化しなかったところはそういうことがないので、この調整をやるということで、先ほど委員、国庫負担額とおっしゃいました、国庫補助額ですね、市町村に対する補助額を調整して減額する、こういう仕組みになっているわけであります。

 これは、国民に対する医療保険制度の仕組みがそうなっているものですから、そういう御要望がたくさん参っているのはわかっていますけれども、ちょっと説明いたしますと、そういう仕組みで、これは市町村間ないし都道府県間、自治体間の公平という形から調整をさせていただいているということでありますけれども、御要望もよくわかっておりますし、今の委員の意見もよく理解をしていますが、仕組みはそういうことだということを御理解賜ればと思います。

笹木委員 そういう仕組みについては役所の方からとか資料でも知っておりますが、何かおかしいんですよね。窓口で無料であったり窓口で一割負担になった方に対しては、今言った減額がされる。これは、そうじゃなくて、窓口じゃなくて、一たん窓口では通常どおり払って還付の流れをすれば減額されないんですよね。どうしてですか、それは。

舛添国務大臣 これも長瀬効果と同じで、私は、保険制度全体を考えるときに、ちょっとそういう人間の心理的側面も考えないといけないなと。

 私、若いころヨーロッパにおりましたけれども、フランスなんかですと、償還払いでまず立てかえるんですね、窓口で。そして、後で社会保険庁にこれだけかかったということを請求して戻ってくる。そうすると、例えば、医療費が膨大に伸びていくときの一つのやり方として、償還払いということにして、まず自分で払う、これだけかかっているんですよと。それが若干心理的効果がある、もちろん、それは収入に応じてきめの細かいことをやらないといけないですけれども。

 だから、今おっしゃった、窓口無料化じゃなくて、窓口で一たん払った後で償還する方式についてやらないのは、ふえないんです、長瀬効果がきかないんです。

 ということなので、ここは非常に人間の心理的な効果もあって、本当に、実は大変大事な問題を委員が指摘、提起されたので、私は、国民の命を守るという側面はしっかり守っていきますが、しかし、無限に財源があるわけではありませんから、やはり、医療費の財源ということも考えたときに、どういう施策がいいんだろうか。それは、窓口の負担が、昔はサラリーマンはゼロだった、一割、二割、三割までふえました。こういうことと、現実に医者にかかる頻度、こういうこととの絡みがあるので、今言ったことは非常に心理的な要因ですけれども、そういうことでこういう制度をとらせていただいております。

 しかし、国全体としては、例えば医療費の無料化を就学前までに延ばすとか、それから分娩の手当にしても三十万から三十五万にするというようなことで、乳幼児に対する医療、そして少子化に対する対策はやっておりますし、それから、国から地方に対するいろいろな意味での補助、支援、これもやっておりますので、そういうことをトータルにお考えいただいて、今後ともまたこの少子化対策、特に乳幼児に対する手厚い医療、そのサポート体制、国は地方を見捨てているわけじゃなくて地方の一生懸命やっていることをさらに支えていく、そういうサポート体制もきちんと予算化して、約三百億から四百億のオーダーの予算を来年度は計上しておりますので、今後とも引き続き努力してまいりたいと思います。

笹木委員 かなり長く答えていただいたんですが、やはりサポートしているように思えないんですよ。やはりおかしいんですよね。還付にするとそうふえないと。ふえないのは当たり前ですよ、面倒だからそれを使わないんですから。御存じですよね。

 その負担が減った分、しかし、それは市町村の役所とか役場まで行って、その領収書を持っていってお金を返してもらう。これは、交通費とかそういうことを含めて面倒であったり、あるいは、郵送でもいいと言いますが、月ごとにいろいろ区分けして送る。これが面倒だから使われていないわけでしょう。県によっては、三割、四割、ざらですよ、面倒だから使わないという。結局、せっかく少子化対策で、人気もあるし、自治体が工夫をして知恵を出してやっていることを、結果的にはサポートになっていないんですよ。

 今の大臣の理屈でいいますと、じゃ、医療費が大変だ、保険制度はあるけれども、窓口でたくさん払えばそれで医療費の大幅な増大を防げるからというのなら、一たんは全額払えば医療費を抑えられる、そういうへ理屈も成り立つじゃないですか。

 いや、お話ししたいのは、自治体が知恵を出してやっていること、結果的にはその目的を達していないんだと。負担軽減という目的を達さない、三割、四割の方が使わなくなってしまっている、このことが一番問題でしょう。

 さらに加えて、この四月からは、国が二割にするわけでしょう、窓口での負担を。自治体のやることは、今まで一割、二割の自治体もあるわけですが、それはそういうペナルティーがあって、国がやったときには何もない、これはおかしいじゃないですか。

 結局、こういうことはもっと自治体の裁量に任せよう、あるいはもっと自治体の知恵比べ、これが生きるようにしようということがお話ししたいんですよ。

 御存じですよね。今、道路特別会計、これの一般財源に反対だと言って、都道府県の方、市町村の方、首長の方々が、頑張ろう頑張ろうとやっていますよ。しかし同時に、地方六団体の平成十九年の要望なんか見ても、確かに道路財源の維持とかそういうことを書いてありますよ、一番後ろの方に。でも、その前の方に、一番最初に出ているのは何ですか。ひもつきとか注文が多い補助金は減らしてもらって、みずから決定できる権限と財源をふやしてくれ、そういうことでしょう。やっていることが全くそういう要望に逆行しているということをお話ししたいんです。

 少子化対策なんて、恐らく国よりも自治体が、現場を見て、一番何が必要か感じていると思います。あるいは、医者の不足、これもそうだと思います。自治体でいろいろな知恵比べが始まっていますよね。医科大、地元で出てもらった人、地元にそのままとどまってもらった人には奨学金の返還を免除するとか、いろいろな知恵比べが始まっていますよ。こういう知恵比べをどんどん活性化させていくことが国の役割でしょう。やっていることが逆なんですよ。

 だから、道路の特定財源も一般財源にして、そして、自治体が裁量で、みずからの財源で好きなところに使う。少子化対策で、この地域では道路も大事だけれども、今言ったような医療費の軽減とかあるいは医者の確保、財源の中で決定していけばいいじゃないですか。

 恐らく本音は賛成だと思います、六団体の最初の項目に常に出ているわけですから。自由に使える財源をふやしてほしい。一番最後のところです、道路についての特定財源を維持してくれというのは。

 これは医師不足だってそうですよね。何かわけのわからない、十万人当たり百五十人でしたか、それを満たせばいいんだと目標を挙げて、八三年には達成したと国がみずから宣言して、OECDの中では三十カ国の中で二十七番目だと。そして、新しい研修医制度で、ますます勤務医が大学病院に残らなくなっている。現場がわかっていないから、国が失敗しているわけでしょう。自治体にもっと任せましょうよ。

 ぜひ、これから地域の知恵比べがどんどん競ってどんどん出てくる体制に。交付税を減らして、そして市町村合併でも権限もそれほど移譲しない、規制緩和もしない。知恵の出しようがないんですよ。知恵の出し比べができるような体制にぜひしていくべきだと思うんです。今の乳幼児、児童の医療費の軽減問題もそうだと思います。最後に、総理大臣に御感想をお聞きしたいと思います。

福田内閣総理大臣 子供の健康の確保ということは極めて重要なことでございます。ですから、平成十八年には出産育児一時金の支給額の引き上げを図りましたけれども、本年四月からは、自己負担割合を二割とする児童の範囲を義務教育就学前まで拡大するというようなことも措置をとっておるところでございます。

 以上のような措置を考えておりますけれども、乳幼児医療に対する助成については、こうした措置を前提に、地域の実情を踏まえて自治体において適切に判断されるものと考えております。

笹木委員 ここでちょっと、きのう国交省の事務次官が何か記者会見をされて、今非常に評判が悪い宿舎については必要最低限のものだけにとどめる、今後抑制するというふうに発言をされているんですが、冬柴大臣に確認をしたいんですね。

 レクリエーション関係のああした出費についても、そして宿舎問題についても、大臣が発言する前に、例えば、やめるべきものをやめるという発言を大臣がされる前に、あるいは決断前に事務次官がちょろちょろといつも発言されるわけですが、こういう当たり前のことは冬柴大臣みずから決めることはできないんですか。

冬柴国務大臣 私が決めて、幹部を集めてそのように申しました。そして、早い方がいいからということで、私はその日に出張がありましたので、事務次官に会見をしていただいたということでございます。

笹木委員 では、大臣、ここではっきりとわかりやすく答えてください。

 必要最低限のもの、どういうものですか。抽象的ではわからないので、どういう場合が必要最低限なのかということをここではっきり国民に向かっても説明してください。

冬柴国務大臣 今まで福利厚生費の中の小さな項目としてレクリエーション費用というものがずっと出されておりましたけれども、私は、これはいわゆる道路特会、会計からは一切今後出さない、将来とも出さない、そういうことで整理をいたしました。それから、今言われましたけれども、宿舎についても自粛する、そして、今、造成も終わって、二カ所、十戸、十四戸というのがありますけれども、これも着工はしないというふうにいたしました。

 ただ、一万人の職員がおります。二万二千キロの国道の管理をずっとやっておりまして、それに対して、これは多いか悪いか。私はちょっと多いのかなと思っていますが、八千戸、八千九十五戸あります。これについても、八千戸といいますと、要するにこれは、耐用年数を八十年と見た場合、百戸ずつ更新していかなきゃいけないですよ、八十年たって老朽化したらそれを建てかえるということを前提にしますと。

 ですから、未来永劫、私はこれをしないとは言えません。私はいつまでやるかわかりません。将来まで縛るわけにはいきませんけれども。しかし……(発言する者あり)家賃のことを言っているのではない。私は、その八千戸についても、これは縮減するようにしようとしております。事実、地方も含めて一千戸以上廃止することも決めております。

 したがいまして、着実にやっていきますけれども、当面、この二宿舎、もう宅地造成も終わって、しているけれども、これは、私は凍結、着工しないというふうに決めた次第でございます。

笹木委員 何かよくわからないんですよね。やはり、当面ということなんですよね。

 簡単に言ってしまうと、今は批判が激しいから、今はしばらくおとなしくしている、ほとぼりが冷めたらまたやるということなんでしょう。(発言する者あり)いやいや、ちょっと待ってください。

 そこで、お聞きしたいんですが、必要最低限というのはどういうことなんでしょう。やはり一番ひっかかるのは、どうしてこれを道路の特別会計でやらないといけないのかということなんです。福田総理は何度もお話しになっていますよね、自動車のユーザーに納得がいくように、そのガソリン、必ず税金を道路を使うことに主に使っていくんだ、これは福田総理の理屈ですが、そこからいってもおかしいですよ。この宿舎、何の関係もないじゃないですか。私も調べました、土地カンがあるところを何カ所か。便利なところですよ。賃貸マンションで借りることもできれば、賃貸物件も普通に幾らでもあるところですよ。

 これが例えば民間の、そういう道路にかかわるような方が作業場としてやる、プレハブを建てる、全くへんぴなところで、泊まるところがない、行くのに二時間かかるとか、そういう場合なら、道路特別会計でこの宿舎をつくるという意味がわかります。道路をつくるために、メンテナンスのために。何の関係もないでしょう。道路をつくらなくても、その方々は住まいは必要なんですから。普通に住んでいられるんですから。何で道路特別会計でやるんだ。

 一番ひっかかるのは、資料の出も非常に悪いということです。隠すべきじゃないものもなかなか出てこない。だから、この特別会計でやってほしくないし、筋論としてもやめるべきだから、一切、今言ったように、非常にへんぴで、工事にあるいはメンテナンスにどうしても必要というときに限って道路特別会計でやる、こうさせたらいいじゃないですか。それを約束してください。

冬柴国務大臣 道路整備特別会計法という法律がありまして、その中に、こういうものも道路整備の必要費用として道路特別会計に仕分けをするということが決められているわけでありまして、そのような法秩序のもとにやっているわけでございます。

 したがいまして、我々としては、今このような状況の中で、それが一般の国民から見てどうかということになれば、それはやはり自粛しなきゃならないというふうに思っているわけでございます。

 借り上げ宿舎も百四十五戸あります。そういう意味で、いろいろな面を利用しながら、我々としては、これも国家公務員宿舎法という法律に基づいて、その人たちにも宿舎をきちっと用意しなきゃならない。それは、もちろん借り上げでもいいんですよ。そういう規定に基づいて手当てをしているわけでございまして、これは御理解いただけるのではないかというふうに思います。

笹木委員 理解できません。

 何度も言うように、道路特別会計で宿舎をつくる必要は全然ない。ちゃんと透明性が確保できるような国土交通省の普通の予算でやればいいじゃないですか。しかも、国民が納得できるようなレベルで、家賃も含めてやるべきだと思うんですね。

 それと、総理にここで確認したいんですが、特別会計での無駄、これを役所の方々にやめろと言う、与党の政治家がやめろと言う、そういう場合に、もしやめろと言う場合ですよ、我々が与党になったら必ず言いますが、その場合に、最低限必要なことは何だろうか。政治家自身が、総理が所信表明で言っているように、信頼、国民からの信頼を得ているかどうかということだと思います。役所がやっている無駄食いとか、お金のおかしい流れをつくっていないかな、これがやはり一番大事なことだと思います。

 これを見ていただきたいんですが、総理は御存じですよね、総理じゃなくても、自民党の総裁じゃなくても、自由企画社という会社の名前は御存じだと思います。それで、自由企画社だけじゃないんですが、自由新報、私もそんなによく読んでいるわけじゃないですが、自由新報の新年号の中を見ると、大体百二十ぐらいの広告、百二十団体からのいろいろな広告があります。

 広告がだめだと言っているんじゃないんですが、しかし、新聞でもよく話題になりますね。この広告費が余りにも高いんじゃないか、この記事下の広告としては余りにも高いんじゃないかということがよく話題になったりしますが、今お話ししたいのは、この自由企画社、政党交付金からこれだけお金が出ているということなんです。〇一年が四億五千五百万円、〇二年が三億九千五百万円、〇三年二十四億三千二百万円、〇四年二十四億、十六億、莫大なお金ですよね。自由企画社というのはどういう会社ですか。

 あわせて、自由企画社のほかに二社似たような、政党交付金からたくさん支出が出ているところがありますが、システム収納センター、日本情報調査、この三社があります。この三社とも平河町にあるビルの中に部屋を持っている。そんな大きい会社じゃありませんね。自民党の職員の方が役員をやっている。システム収納センターについては、あるいは情報調査についても現職の自民党の国会議員が役員をやっておられます。総理もこのシステム収納センターの役員をかつてやっておられました。ここで経産大臣もやっておられる時期があります。そして、岸田大臣もやっておられる時期があります。

 この三社でどのぐらいの政党交付金が流れているか。自由企画社、システム収納センター、日本情報調査、一九九五年から二〇〇六年までで九十五億円の政党交付金が入っています、支出をされています。これも時々報道されますが、会社がこれだけの額を請け負うような、そんなに大きい会社じゃないし、ほとんど丸投げしているだろう、これも報道されていますね。

 実態について、総理大臣、システム収納センターの役員をやったときもあるし、総裁ですから三社ともよく御存じだと思います。どれだけの、収入あるいは支払いに見合った活動をされているのか、ここで明瞭にお答えください。

    〔委員長退席、田野瀬委員長代理着席〕

福田内閣総理大臣 私も自民党経理局長をやっているときに、まあ充て職なんです、これは。ですから、経理局長、財務委員長が充て職として、社外の取締役的な立場で、非常勤かつ無報酬の取締役に就任するというのが慣例になっているんです。

 政党の業務を委託するために緊密な関係を有する会社があるということは、おかしくないでしょう。与野党問わず行われているというふうに思います。

 いずれも、今関係会社の名前をおっしゃられましたけれども、自民党の政治活動に関する業務を数多く委託している会社でありまして、自民党との信頼関係が重視されるということから、充て職で私どもが行っておったことはあったということでございます。

 なお、現在事項証明書をごらんいただければおわかりになると思いますけれども、この充て職のほかにプロパーの代表取締、これがおります。この者が日常の業務を行っております。

 そして、自民党との間に資本関係はありません。それから、これらの会社は、自民党以外からの仕事も多く取り扱っております。したがって、これらの会社が自民党の一部であるとか経営が一体であるとかいう理解は、理論的にも実態的にも成立はいたしません。

笹木委員 これは平成十八年九月に、新聞社の取材に役員の方が答えておられるんですよね。CM企画会社というけれどもどうなんだ、どういう実際的な活動をしているんだ、そういうやりとりの中で、CM制作能力はなく、大手広告会社と協力しなければ業務は成り立たない。

 今、会社の概要のほんの一部を総理大臣がお話しになりましたが、職員は何人ですか。お答えいただけますか。

福田内閣総理大臣 私は充て職で、この会社に行ったこともありませんし、業務内容も承知しておりません。

笹木委員 この表を見ていただきたいんですが、民主党と自民党の宣伝事業費に係る「支出の目的」の項目です。これはここまでしか書いてありませんが、民主党は二十六項目にわたって詳細に書いておりますが、自民党はこの四項目だけです。宣伝広報費、印刷製本費、通信運搬費、筆耕翻訳料。自由企画社のあの事業全部、あれだけの額が、筆耕翻訳料一つだけの名目で一年間にあれだけの額が払われているんですね。

 もっと問題なのは、今やりとりでお答えがあったように、企業の秘密だからそれについては答えられないというお話なんですよ。だから、結局全くのブラックボックスで、ほかの使途に流用されているんじゃないか。これも報道で何度も何度も書かれているわけですね。だから、それをちゃんとみずから、政党交付金ですから、国民の税金がそのまま入っているお金ですから、これをもっとチェックを厳しくするべきじゃないかという提案をしたいわけです。

 一つは、費目を、民主党は二十六項目と言いましたが、もっと細かくしていく。もう一つは、これだけ実態がわからないものについては、ちゃんと法律もあります、会計検査院の方にお答えいただきたいんですが、総務省は残念ながら、後で確認もしますが、形式審査しかできないんですね。ですから、会計検査院、これは説明できますか。こういうものについてはちゃんと検査をする権限があるし、法律でも裏づけられています。会計検査院の認識をお聞きしたいと思います。

諸澤会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 政党助成法によりますと、政党は、政党交付金が国民から徴収された税金その他の貴重な財源で賄われているものであることに特に留意し、政党交付金を適切に使用しなければならないとされております。また、政党の会計責任者は、政党交付金による支出につきましては、その総額及び総務省令で定める項目別の金額などを記載した報告書などを総務大臣に提出しなければならないとされておりますが、国は、政党交付金の交付に当たっては、条件を付し、またはその使途について制限してはならないとされていると承知しております。

 したがって、会計検査院といたしましては、一般論としての御説明となりますけれども、所定の報告書が適切に提出されている支出につきましては、個々の使途の是非を問うことまでは難しいのではないかと考えているところでございます。

笹木委員 ドイツの場合ですが、二〇〇二年の改正で、こういう政党交付金については、社会的に説明する必要も非常に重いし、ほかの政治献金よりも重大性も高いということで、ちゃんと説明ができない場合には一部を国庫に返納する罰則まで設けられました。

 政党交付金は国民の税金が直接入っているわけですから、費目をもっと詳細に明らかにする、そして、説明がつくように、会計検査院の検査も含めて、罰則も含めて今後検討すべきだと思いますが、最後に総理の見解を伺いたいと思います。

町村国務大臣 委員、これは政府の話ではございません、政党間でしっかりと御議論をいただき、よりよい制度というのはどういう姿か、会計処理や、やはり国民にできるだけわかった方がいいというのならばどういうふうにしたらいいか、お互いそれぞれ工夫し、努力をすることが大切なのではないでしょうか。

 そして、何かあたかも自民党が非常にいいかげんなことをやっているようなお話をされたが、自民党はきちんと内規を持ってやっておるんです。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

笹木委員 もう時間なので、ここで終わります。

 また別の機会にやりたいと思います。

田野瀬委員長代理 これにて岡田君、渡部君、長妻君、原口君、武正君、笹木君の質疑は終了いたしました。

 次に、志位和夫君。

志位委員 日本共産党を代表して、福田総理に質問いたします。

 派遣労働の問題を中心に総理の見解をただしたいと思います。

 この間、構造改革の名で進められた政策のもとで国民の中に深刻な貧困と格差が広がり、多くの国民が、暮らしの底が抜けてしまったような不安と危機のもとに置かれております。

 貧困と格差が拡大した原因はさまざまですが、その根源には人間らしい雇用の破壊があります。中でも、派遣労働を合法化し相次ぐ規制緩和を繰り返してきたことは、雇用の不安定化、労働条件の劣悪化の中核をなす大問題だと考えます。

 派遣労働者は三百二十一万人に急増し、うち登録型派遣、派遣会社に登録して仕事があるときのみ雇用されるという、極めて不安定な状態に置かれている労働者が二百三十四万人に達しています。派遣最大手のグッドウィル、フルキャストが違法行為を繰り返し、事業停止処分に追い込まれるという事態も起こりました。

 余りに劣悪な現状を打開するために、今、幅広い労働運動、市民運動、立場の違いを超えて連帯を強め、労働者派遣法の改正を強く求めております。

 ところが、政府は今国会での派遣法改正を見送るという姿勢ですが、そんな先送りの姿勢でいいんでしょうか。私は、派遣法改正は緊急の大問題だと考えておりますが、まず総理の見解を端的にお述べください。総理、総理の見解です。

舛添国務大臣 今委員がおっしゃったように、派遣労働をめぐるさまざまな問題が起きてきているということについては十分に認識をしております。ただ、一方で、働き方の、価値観の多様化というか、フリーターとかいうようなそういう働き方もやりたいという方もおられることも、これまた確かです。

 しかし、今大事なのは、この派遣法を初め基本的な労働法令をきちんと遵守してもらわないと困るということであります。それから、やはり正規労働者になってもらうということで、三十五万人の常用雇用化、フリーター常用雇用化プラン等を推進しておりますし、それから、やはり若者が職業能力を開発する、若者だけじゃなくて年長フリーターにもこれをやっていただくということで、ジョブカード制度などを入れまして、鋭意この問題に取り組んでおります。

志位委員 私は派遣法改正が喫緊の課題だということの認識をただしたんですが、お答えがありませんでした。

 具体的に聞いていきたいと思います。

 まず、不安定雇用である派遣労働の中でも最も不安定、無権利のもとに置かれ、ワーキングプア、働く貧困層が拡大する要因ともなっている日雇い派遣の問題について、総理の基本認識を伺います。

 この間、私は、全労連、首都圏青年ユニオン、派遣ユニオンなど、派遣労働者の労働条件の改善のために闘っている団体、個人から実態をお聞きしました。日雇い派遣について、次のような実態にあることが訴えられました。

 まず、究極とも言える不安定性です。派遣会社に登録しますと、携帯電話にメールで集合時間と仕事先が送られてくる。日雇い派遣の契約期間は一日だけです。次の日に仕事が得られるかどうかはわからない。あすの仕事だけを心配する日々が続いています、半年後、一年後などは見通しはつきません、人生をどうするか、結婚をどうするかなど、およそ考えられません、これが多くの若者から今寄せられている声であります。

 また、異常な低賃金も問題です。労働時間は八時間でも、集合から解散までの拘束時間が長い。十二時間拘束というケースも少なくありません。多くは重労働にもかかわらず、一日の手取り額は六千円から七千円前後。政府の調査では、専ら日雇い派遣のみで生活している場合、一カ月で働けるのは平均十八日、月収は十三万円から十五万円です。仕事がとれなかったり体調を崩して仕事を休めば、たちまち収入が途絶えて、アパート代すら払えず、いわゆるネットカフェ難民に落ち込むというぎりぎりの生活を強いられている。

 それともう一点、危険が伴うということも訴えられました。何の経験もない労働を何の教育も受けずに日がわりでさせられるもとで、労働災害が多発しております。倉庫の荷さばきの仕事中、一トンもの荷崩れに巻き込まれて大けがを負ったケースもあります。派遣が禁止されている建設の解体作業現場で働かされ、前が見えなくなるほどの粉じん、アスベストが舞う中で作業をしました、正社員は防じん用のマスクをしていたが、派遣労働者はコンビニで簡単なマスクを買うことを勧められただけでした、中にはタオルを巻いただけで作業をしている人もいました、ぞっとするような事態が告発されています。

 総理に伺います。この日雇い派遣にこういう問題点があるという認識はあるでしょうか。端的にお答えください。今度は総理。

    〔田野瀬委員長代理退席、委員長着席〕

福田内閣総理大臣 日雇い派遣も、それから大きく労働者派遣制度というものには、それがいいという意見もあるし、それはまずいという意見、両方あるんですね。いろいろなニーズにこたえて、こういう制度が存在したということでございます。労働者の側から考えましても一定のニーズがあるという反面、不安定な働き方である、そういう見方がありまして、これを見直すべきであるという意見もあるのは承知しております。

 そのために、まずは、日雇い派遣の適正化などのためのガイドラインを早急に策定するとともに、登録型派遣のあり方など制度の根幹にかかわる問題について、今月の十四日に厚生労働省に設置される研究会で、働く人を大切にする視点に立って検討を進める、こういう考え方をしておりますので、いずれにしても、問題があるという認識は持っておるわけであります。

志位委員 不安定な働かせ方で問題があるということを言われましたけれども、労働者のニーズもあるということを言われました。

 しかし、専ら日雇い派遣で生活せざるを得ない人々は、ほとんどが望んでその仕事についているわけじゃありません。正社員の就職ができない、リストラに遭った、当座の生活費すらない、そういうさまざまな理由から日雇い派遣を選ばざるを得ないんですよ。生きるすべが他になく、やむなくこの仕事についている人々を、ニーズがあるというふうには呼べないんです。研究会ということも言われましたけれども、政治がどういう責任を果たすかが私は問われていると思います。

 私は、この問題はさらに重大な問題があると思います。日雇い派遣の問題をずっとお聞きしていて最も深刻なのは、これが人間を文字どおり消耗品として使い捨てる、究極の非人間的な労働だということであります。

 次のような訴えが寄せられました。直接雇用の場合は、たとえアルバイトでも、あす来てもらうからある程度長もちするように使うが、日雇い派遣は、あす来なくていいから目いっぱいへとへとになるまで使う。人間として気遣われることもない。

 また、こういう訴えもありました。倉庫作業と言われて行ったら、冷凍倉庫だった。軍手しか持っていかなかったので、半日で両手とも凍傷になった。それでも、日がわりで翌日には別の人が来るから、改善がされない。

 さらに、こういう訴えもありました。どんな簡単な労働でも、同じ仕事が続けられれば、スキルアップ、技術が向上する喜びがあるのに、それが全く得られない。幾ら働いても手に何もつかない。こんな非人間的な労働はない。

 これは、もちろん違法行為をなくすことは大事です。しかし、日雇いという働かせ方自体が、日雇い派遣という働かせ方自体が、人間を物のように使い捨てにし、使い切りにし、人間性を否定する労働だ、こういう認識を持って対応すべきだと思うんですが、総理、いかがでしょうか。これは総理の見解を伺いたい。

舛添国務大臣 今委員が御指摘のように、使い捨てというような形で労働者を扱ってはいけないと思います。労働者派遣制度につきましても、その二十五条で「労働者の職業生活の全期間にわたるその能力の有効な発揮及びその雇用の安定に資すると認められる雇用慣行を考慮する」というようなことで、さまざまな制限を課し、例えば派遣の記録を、だれを、何人、どういうふうに仕事をさせたか、これの提出義務を課したり、さまざまな指導を行っているところでありますし、先ほど申し上げましたように、二月十四日に厚生労働省に検討会を立ち上げますけれども、そこでこの制度の根幹にかかわる問題をやはりきちんと議論しないといけない。そういう思いで取り組んでまいりたいと思います。

志位委員 研究会をつくるというんですけれども、根幹にかかわる問題を議論するというんだけれども、全く白紙で丸投げじゃないですか。規制を強化するのか、それとも緩和するのか、その方向性すら出されていない。そこをきちんと出すのが政治の責任だと私は思います。

 先ほど、総理が、日雇い派遣の雇用の安定のためのガイドラインをつくったとおっしゃいましたね。このことだと思いますけれども、「日雇派遣労働者の雇用の安定を図る」とあるんですけれども、厚生労働省がつくったものですね。私はこれを読んで驚きました。安定した日雇い派遣というのはあり得ないんですよ。日雇い派遣というのは、どんな形であれ究極の不安定労働なんですよ。ですから、こういうものを法律で認められていること自体が私は問題だと思います。

 この指針を読みますと、例えば、労働条件を書面で示すことがあたかも雇用の安定につながるようなことも書いてあります。

 私はここに持ってまいりましたけれども、これは契約書の束です。これは、派遣会社フルキャストから派遣されて沖電気関係の会社で二年間にわたって日雇い派遣として働かされていた二十六歳の女性に、毎日毎日一枚ずつ、一日単位で渡されていた書面での労働契約書です。この契約書の一番下にはこう書いてある、契約更新可能性ありと。

 これは、更新の可能性ということは、更新されない可能性もあるということですよ。すなわち、あすの保証がないということです。毎日毎日、あしたの仕事はわかりませんよというこの紙を渡されている。こういうものを渡しなさいよということがこの指針に書かれているわけですけれども、こんな紙をもらってだれが安心しますか。現にこの女性は、二年間働いたあげく、最後に、もう来なくていいの一言で解雇されております。およそ現実を見ない机上の空論をやっているのが、私は厚生労働省だと思う。

 もう一点言いたいと思います。今度は総理の認識を聞きます。

 日雇い派遣労働者が現実に行っている仕事は、そのほとんどがその日限りの業務ではないんですよ。例えば、物流倉庫での荷さばき、宅急便の荷物の仕分け、ファミリーレストランのウエートレス、製造現場でのライン作業など、そのほとんどが恒常的に行われている業務なんです。

 それまでは正社員などの直接雇用によって担われていた仕事が、相次ぐ派遣労働法の規制緩和によって日雇い派遣によって担われることになりました。特に、一九九九年に派遣労働を原則自由化したことが、登録型派遣と結びついて日雇い派遣という働かせ方をつくり出し、それが今どんどん広がっているわけであります。

 これは総理の認識を伺いたい。今度は、総理、答えてください。日雇い派遣という働かせ方があらゆる職種に際限なく広がっていく、そんな社会にしてしまっていいんでしょうか。ここは歯どめをかけるべきではありませんか。総理の見解を伺いたいと思います。今度は、総理、答えてください。歯どめをかけるべきではないか、日雇い派遣に。

舛添国務大臣 その前に、誤解があるといけませんので、はっきり申し上げます。我が厚生労働省は、労働者を守るために、労働法令に基づいてきちんとしたことをやっております。

 今、日雇い派遣指針の概要ということで引用されましたけれども、例えば、できる限り長期間の派遣を行ってくれ、派遣労働者の知識、技能を向上させる訓練をやれ、就業条件をきちんと明示し、約束どおりに働かせろ、それから、今、安全でなくて指が凍傷になったとかいろいろなことをおっしゃいましたけれども、それについては、雇い入れ時の安全衛生教育、危険有害就業時の安全衛生教育を確実に行う、情報公開を積極的にみずから行う、労働者派遣法、労働基準法等の違反をしない、こういうことを厳しく指導しておりますので、そのことを申し伝えておきます。

福田内閣総理大臣 私も、日雇いという形というのは決して好ましいものではないと思っております。

志位委員 好ましいものではないということが答弁されました。これは非常に重要な答弁であります。

 私は、それならば、研究会に丸投げということにしないで、好ましくないという方向での法改正に踏み切るべきだ。労働者派遣法を改正して日雇い派遣は禁止をする、そして安定した雇用に転換を図っていくことを私たちは強く要求したいと思います。そのイニシアチブをぜひ総理が果たしていただきたい。

 次に進みたいと思います。

 この間、グッドウィルという派遣最大手の企業に対する事業停止処分が行われました。建設や港湾などへの違法派遣、二重派遣、偽装請負、実態は派遣であるにもかかわらず請負を偽装した無法など、派遣業界に無法が蔓延しているということが示されました。

 同時に、この事件が明らかにした重大な問題は、現行派遣法が悪質な派遣元企業、派遣先企業を事実上保護する法律になっていることであります。

 このパネルは、グッドウィル問題での処分と告発についての図でありますが、ごらんになっていただけばわかりますように、派遣元であるグッドウィルなど三社は、違法行為をしても行政処分にしかなっていません。グッドウィルが事業停止命令、グローバルサポートが改善命令、佐川グローバルロジスティクスが改善命令、どれも行政処分であります。派遣業の許可をとっていない東和リースだけが職安法違反で刑事告発されております。同じ違法行為をしていても、派遣業の許可をとっている会社は刑事告発を免れ、行政処分で済む。つまり、派遣法が派遣元保護法になっているのであります。

 さらに見ていただきたい。一番下の派遣先企業、つまり派遣労働者を受け入れている企業は、何の処分もされず、企業名の公表すらされていません。

 派遣先企業は違法行為の共犯者だと私は思いますよ。一緒になって違法行為をやったわけです。ところが、ここには何のおとがめもない。派遣先企業はさらに厳重に保護されております。

 これは数字を今度は厚労大臣に伺いたいんですが、派遣法違反ではこの間、偽装請負も大問題になってきました。トヨタ自動車、キヤノン、松下電器、東芝、NTTといった大企業のグループ会社がこれを行ったと報じられておりますが、偽装請負が摘発された派遣先企業、すなわち受け入れ企業のうち、勧告処分、公表処分という行政処分を受けたのは何社ですか。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 偽装請負等の労働者派遣法違反によりまして派遣先が勧告及び公表の対象となった事案はこれまでのところございませんが、これは、前段階の措置であります是正指導によって違法状態の改善が行われているということでございます。

志位委員 一社もないんですよ。勧告処分もなし、公表処分もなし。偽装請負では、一番大もうけしているのは派遣先企業、受け入れ大企業です。それなのに、一社も公表されず、事実上のおとがめなしです。

 今いろいろ偽装が問題になっておりまして、そのたびに会社の社長、会長が謝罪会見というのを必ずやりますね。ところが、偽装請負に限っては、ただの一社も謝罪会見をやった会社はありません。公表すらされない。これは、私は全く異常と言うほかないと思います。

 それでは、労働者の側はどうなのか。

 私は、派遣法が労働者を無法行為から守るために一体機能しているのかどうか、これを見る必要があると思います。グッドウィルの無法一つとっても、事業停止処分は当然ですが、それによって一番の被害者となったのは、この企業に登録して働いていた労働者です。是正指導しているとさっきおっしゃいました。しかし、偽装請負が摘発されて是正指導がなされた場合、偽装請負で働かされていた労働者がどうなったか。

 厚生労働大臣に伺いたい。厚生労働省は、二〇〇七年三月末に後追い調査をやっているはずです。調査した労働者が何人か、摘発後、雇用期間の定めのない直接雇用、すなわち正社員となった労働者が何人か、報告してください。二つの数字でいいですよ、時間がないですから。

太田政府参考人 今御指摘の調査でございますけれども、十八年十二月に是正指導の対象になった事案の十九年三月末の状況について確認したものでございます。

 このうち、偽装請負を理由に是正指導を行った事案二百十九件において、請負で働いていた労働者で確認の対象になった者は八千四百四人でございます。このうち、発注者におきまして直接雇用された者が四百六十七名、期間の定めのない直接雇用となった労働者が十八名ということでございます。

志位委員 今答弁がありました。これは、偽装請負が摘発された結果、労働者がどうなったかについて、厚生労働省に提出を求めた数字であります。

 今答弁でも確認されましたが、偽装請負で働かされていた八千四百四人のうち、摘発によって期間の定めのない直接雇用、すなわち正社員となったのは十八人です。わずか〇・二%ですよ。離職を余儀なくされた人は三百六十一人もいる。約九割の人たちは、派遣、請負という不安定雇用のままであります。不安定雇用の改善には全く役立っていない。

 これは総理に伺いたい。つまり、違法行為が摘発された場合、現行派遣法というのは、派遣元、派遣先の企業は保護するけれども、労働者は保護していないんですよ。これが現行の法律ですけれども、このシステムはおかしいと思いませんか。今度は総理に伺いたい。これは基本の問題ですから、総理、答えてくださいよ。総理、おかしいと思わないかということです。

舛添国務大臣 今委員が指摘になったような現実の数字が出ております。

 こういう状況に対して、今厚生労働省としては、ハローワークなどを含めてこの方々の雇用を促進する、そして常用労働者の方に変わってもらう、そういう施策を全面的に行っているところでございます。

志位委員 企業を保護して労働者を保護しないのはおかしいと思わないかと聞いているわけです。それに対する答えがない。総理、答えてください。

福田内閣総理大臣 厚労省も努力はしていると思います。

 偽装請負等の労働者派遣法違反の是正指導に際しては、労働者の雇用が失われないように、そういう観点から、派遣元、派遣先、双方の企業に対して、適正な方法で改善するように指導をいたしておるところでございます。

志位委員 おかしいじゃないかという質問に対するお答えがなかった。

 雇用が失われないようにと言いますけれども、見てくださいよ、正社員になったのは十八人、離職されたのは三百六十一人ですよ。雇用を失った人の方が多いんですよ。これが実態なんです。

 次に、私は、根本的な問題をさらに聞いていきたいと思います。

 そもそも、労働者派遣制度について政府は何と言ってきたか。労働基準法、職業安定法では、人貸し業というのは厳しく禁止されております。ですから、政府は、派遣労働を導入するときに、これはあくまでも例外だ、臨時的、一時的場合に限る、常用雇用の代替、正社員を派遣に置きかえることをしてはならないという条件をつけてきたと思います。

 政府は、これまでの国会答弁で、派遣労働は一時的、臨時的場合に限定し、常用労働を代替する、リストラの手段として使われることは絶対にあってはならない、企業のリストラにこたえて不安定な低賃金労働力がこれによって拡大するようなことはないようにしなければならないなどと繰り返し言明してきました。

 総理に確認しておきたいと思います。

 常用雇用の代替、すなわち、正社員の代替として派遣労働を導入することはあってはならない、この原則は今においても変わりませんね。確認するだけです。これは大事な原則の確認です。

福田内閣総理大臣 現在でも、この労働者派遣制度を臨時的そして一時的な労働力の需給調整制度として位置づけているということに変わりはございません。

志位委員 変わりはないということでした。

 もう一つ、総理に確認しておきたい。

 派遣労働は、今言われたように、一時的、臨時的な場合に限定し、常用労働を代替するものであってはならないという原則を担保しているのが派遣受け入れの期間制限だというのが、政府の立場だと思います。すなわち、派遣期間は原則一年、過半数の労働者の意見を聴取した場合、三年までという制限があって、派遣制限期間を超えて同一業務をさせることは違法行為になる。派遣期間を超えた労働者には派遣先は直接雇用の申し込みを行う義務が課せられている。つまり、期間制限を設けていることが常用雇用の代替の禁止を担保している、これが政府のこれまでの立場だと思いますが、これも変わりありませんね。これを確認したい。確認です。

舛添国務大臣 派遣受け入れ期間制限が今おっしゃった常用雇用の代替にしないことを担保している、これが政府の立場でございます。

志位委員 二つの大事な点を確認しました。常用雇用、すなわち正社員の代替として、派遣に置きかえるようなことはあってはならないこと、そして、そのために期間制限が設けられているということが、説明でありました。

 しかし、現実がどうなっているかが問題であります。登録型派遣の中には、短期の雇用契約を繰り返し更新させられ、同じ派遣先で三年以上という長期間働き続けるという派遣労働者が多数存在しております。

 日立のグループ企業で、機械部品のワックス組み立て、鋳型をつくるためにろうでつくった部品を組み立てる仕事をしている若い女性の派遣労働者から、私たちにこういう告発が寄せられました。

 派遣は五年目になります。ずっとワックス組み立てという同じ仕事をやってきましたが、同じ班にいると法律に抵触するということで、班だけ変えられてきました。正社員と派遣は、制服も一緒、仕事も一緒です。しかし、時給は五年間変わらず、千円にもならず、年収は二百万円ほどです。ボーナスは一円もありません。交通費もわずかしか出ません。子供が欲しいけれども、産休をとろうとすれば、派遣で働けなくなります。とても産めません。正社員になりたい。

 こういう告発ですが、派遣法制では、どんなに長くても、派遣期間というのは三年までとなっているはずであります。ところが、この女性は、五年間にわたって同じ工場でワックス組み立てという同じ業務を行っていながら、派遣先企業から直接雇用の申し出を受けておりません。企業側は、班だけ変えて、これは同一業務ではないとして直接雇用の申し出をしてこなかった。

 私が知る限り、こういうやり方は全国に横行しております。こういうやり方で、長期にわたって登録型派遣という劣悪で不安定な状態のまま働かせ続けることが一体許されるんでしょうか。

舛添国務大臣 もし、今委員が御指摘したような事例が本当のことであれば、これは企業の責任を十分果たしていない、そして法律に違反しているわけでありますから、きちんとこれに対しては、法令違反に対して、法の第四十八条第一項の助言または指導を行います。そして、それで是正されないときには、勧告に従わないということで企業の名前も公表いたしますし、派遣受け入れを許可しないという形で、法律に基づいて厳格に対処してまいりたいと思います。

志位委員 違反行為については厳正に対処するというふうに言われました。

 ただ、ここに私持ってきましたけれども、これは厚生労働省が出している労働者派遣事業関係業務取扱要領という文書でありますが、それを見ますと、「「同一の業務」に係る具体例」という項目の中で、こう書いてあります。「脱法を避けるという点に留意しながら解釈する必要があるが、基本的には「係」、「班」等場所が変われば「同一の業務」を行うとは解釈できず、違った派遣が受けられる。」こういう指導をやっているんですよ。

 だから、班とか係を変えれば、もう幾らでも長期間の、期間制限を超えた派遣労働をやってもいいとお墨つきを与える、脱法の勧めをやっている、これが現実なんですね。私は、本当に労働者の立場に立つというんだったら、こんなことはやるべきじゃない、このことを言いたいと思います。

 私は、この問題、事実の問題を確かめて、聞きたいと思います。派遣期間の制限を超えて派遣労働者を働かせることは、今確認してきたように、違法行為です。それが摘発された場合、労働者がどうなっているかという問題であります。

 厚生労働省は、二〇〇七年三月末にこの問題でも後追い調査をやっているはずであります。調査の対象になった労働者が何人か、摘発後、雇用期間の定めのない直接雇用、正社員とされた労働者が何人か、報告してください。この二つの数字だけで結構です。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 十八年十二月に是正指導の対象となった事案につきまして、十九年三月末の状況について確認したものでございます。

 このうち、労働者派遣のうち、派遣可能期間の制限に抵触したことを理由に是正指導を行った事案八件において、制限を超えて派遣されていた労働者として確認の対象となった者が七十四名でございます。このうち、派遣先において直接雇用された者が四十二人、そのうち雇用期間の定めのない直接雇用というのはございません。

志位委員 正社員になった方はゼロなんですよ。

 それで、今、これは、期間制限を超えた派遣労働が摘発された場合、労働者がどうなったかについて厚生労働省に提出を求めた数字であります。期間制限を超えていた七十四人のうち、摘発によって期間の定めのない直接雇用、すなわち正社員になれたのは、驚くことにゼロなんです。直接雇用になった方が四十二人いますが、どれも短期雇用です。離職を余儀なくされた方も十三人います。

 つまり、派遣期間を制限することで常用雇用の代替を禁止する、正社員から派遣への置きかえを禁止するという原則は担保されているというけれども、そのための実効ある措置は何一つとられていないではないか、これが現実ではないかということを私は言いたいと思います。だから、派遣労働への際限ない置きかえが広がっていくわけですよ。

 一九九九年に派遣法を原則自由化して以降、正社員は三百四十八万人減少しました。派遣労働者は、この間二百十五万人ふえている。常用雇用すなわち正社員から派遣への大規模な置きかえがされていることは、マクロの数字でも一目瞭然であります。

 正社員から派遣への置きかえを大規模にやっている企業の具体的実態を私は示して、さらにただしたいと思います。

 ここに、私たちが独自に入手したキヤノンの内部資料、「外部要員適正管理の手引き」という文書がございます。二〇〇六年二月に作成されたものです。この冒頭にはこう書いてあります。

 「現在キヤノンで働く総要員の約三分の一が派遣労働者と請負労働者となっています。外部要員の活用は、」「労働コスト面からも非常に有益であり、」「派遣労働者・請負労働者の活用の機会は今後さらに増してくると思われます。」

 つまり、労働コストの削減のための派遣の導入、政府が絶対あってはならないとした、リストラのための派遣の導入をどんどん進めていくんだということを堂々と宣言しているわけですよ。

 キヤノンの実態はどうなっているか、幾つか具体的に私たちは調べてみました。製造現場での派遣、請負労働者の比率は三分の一などという生易しいものではありません。

 キヤノンの御手洗会長の出身県の大分県に、キヤノンマテリアルという企業があります。これは、パソコンに接続して使われるレーザープリンターのカートリッジを生産している企業でありますが、キヤノンが大分県に提出した資料によると、この企業で働く労働者は、二〇〇七年十一月現在で二千八百八十人です。うち、直接雇用は、パートも含めて千百六十人にすぎません。派遣は千四百人、請負は三百二十人となっています。労働者の半分は派遣なんです。キヤノンマテリアルが本格的に操業を開始したのは一九九九年ですよ。既に八年も操業を続けている企業です。

 派遣労働は一時的、臨時的場合に限定し、常用労働を代替するものであってはならない、先ほど総理も確認したこの原則が守られているならば、八年も操業を続けている企業でありながら、その労働者の半数が派遣労働者というのはあり得ない話じゃありませんか。総理、これは、あり得ない、おかしな話だと思いませんか。

舛添国務大臣 企業、ビジネスというのは利益を最大化するということが目的でありますけれども、しかし、企業の社会的責任、モラルというものはきちんと問われなければならないと思います。

 最低限、この国会で決められた法律、労働基準法であれ派遣法であれ、きちんと法令を遵守する。そして、私たちは、国の政策として常用雇用化三十五万人という対策を立て、そしてまた雇用、その能力の開発ということをやっているわけですから、我々も全力を挙げます。しかし、企業の皆さん方も、きちんと働く人を守って、法律を守って、そして社会に対して、私たちはこういう形で正当に利潤を上げています、社会的責任を果たしています、こういうことが胸を張って言えるような企業になっていただきたいと思います。

志位委員 企業が社会的責任を果たす、そして法律を遵守する、そういうことを求めるという答弁でした。これは当然であります。ですから、こういう疑惑がある以上、私は、中に入って調査すべきだということを要求しておきたいと思います。

 もう一つ例を挙げましょう。

 全国に展開するキヤノンの工場を調べますと、大分工場と同様の事態が見られます。これは滋賀県長浜キヤノンの工場ですが、約三千人の労働者のうち、直接雇用は千百三十八人にすぎず、半数以上は派遣労働者と言われています。

 私たちは、トナーカートリッジの製造ラインで働く二人の派遣労働者から実態を直接お聞きしました。この製造ラインでは十九人が働いている。五人が交代要員として配置されている。何と二十四人の全員が派遣労働者だというんですね。登録型派遣で二カ月から三カ月という短期の雇用契約を繰り返して働いている派遣労働者で一つのラインが丸ごとつくられている。それ以外に二人の正社員がこのラインに配置されていますが、その仕事はトラブル処理と不良品の集計で、ラインの組み立て作業には全く入っていない。工場内のラインはクリーンルームになっていて、派遣社員も正社員も制服の上に同じ色の無じん服、つまり、ちりを出さないための服を着ているので見分けがつかないけれども、実態はまさに派遣労働者だけで製造ラインが動いているんですよ。

 これを禁止されているはずの常用雇用の代替、正社員の派遣への置きかえと言わずして何と言うのか。工場丸ごとの派遣への置きかえがなされているのではないか。派遣工場というのがこの工場の実態じゃないか。これは調査に入ってください。

舛添国務大臣 我々は、法律に基づいて、いささかでも違法状態があればそこに調査に立ち入り、労働基準局を初めとして調査をし、そして厳しい是正指導を行います。

志位委員 はっきりキヤノンに調査に入ると言えないところが情けないですね。きちんと言えばいい。調査に入ることを求めておきたいと思います。

 総理に今度は認識を伺います。

 この工場の労働は非常に過酷です。神経を集中して、一日じゅう立ちっ放し。外観チェックやシール張り、ビス打ちをする、一工程を十一秒七でやれ。もっと短くと言われ、八時間で二千二百台の部品を仕上げているということでした。まるで物扱い、自動機械のように働かされる。給料は、寮費などを引かれ、手元に残るのは十万円以下。健康保険にも年金にも入れない。一つのラインで毎月二人、三人がやめていくとのことでした。派遣労働者がやめてもかわりが来るからキヤノンは何ら困らない、これが現状とのことでありました。

 総理、キヤノンでは、あなたも認めた常用雇用の代替禁止、正社員を派遣に置きかえてはならないという原則を踏み破って大規模な派遣への置きかえを行い、人間を物のように使い捨てにする働かせ方をしているわけです。秒単位で仕事に追われ、一生懸命に働いて、世界のキヤノンと言われる製品をつくっている労働者がこういう状況に置かれているわけです。世界のキヤノンと言われる企業で働く労働者が、健康保険にも年金にも入れない状態に置かれているわけであります。

 総理に伺いたい。政府が進めた製造業への派遣拡大という規制緩和が、こうしてあってはならない現実を生み出している。そのことに胸に痛みを感じませんか。日本の物づくりを支えている労働者にこんな働かせ方をしていて、日本の将来があると思いますか。今度は総理がお答えください。

福田内閣総理大臣 実態がどうなっているか、これは厚生労働省に確認をさせたいと思います。

 いずれにしましても、そういうところで日雇いで働いている人たち、請負で働いている人たちは、若者が中心だと思います。そういう人たちが低所得の非正規雇用という形と思います。これが増加をして固定化するということは、これはもう十分な注意をしなければいけないというように思っています。そういう意味で、日雇い派遣の適正化を初めとする労働者の派遣制度の見直しというものに政府としても取り組んでまいりたいと考えております。

志位委員 現場について確認することを厚生労働省に指示すると言ったので、きちんと調査をしてください。

 それから、私は胸に痛みを感じないかと言ったのですが、どうも胸の痛みが伝わってこない答弁でした。ですから、この点では、私は、キヤノンに対して、きちんとキヤノンの会長にこの国会に出てきてもらう必要があると思っております。

 キヤノンとそのグループは、偽装請負でも八回の違法行為が指摘されております。にもかかわらず、会長の御手洗氏は、経済財政諮問会議の場で、派遣請負法制には無理があり過ぎる、三年たったら正社員にという派遣法を見直してもらいたいなどと、違法行為を合法化するという一かけらも反省のない発言を行っております。

 キヤノンは、九九年の派遣法の原則自由化以後、八年連続で増収増益、史上最高の利益を上げております。二〇〇七年の純利益は、九九年の何と七倍にもなっております。違法を繰り返し、労働者の犠牲の上に巨額の利益を上げてきた。

 委員長、この偽装請負あるいは常用代替などの違法行為、逸脱行為の実態を明らかにするために、私は、キヤノンの会長、日本経団連会長の御手洗氏の参考人招致を要求します。委員会でお取り計らいください。

逢沢委員長 理事会で適切に協議を行います。

志位委員 ずっときょうやってきましたけれども、労働者派遣法、労働者を保護していない労働者派遣法は、派遣労働者保護法に抜本的な改正が必要だと思います。違法があった企業には、これは事実上雇用しているものとみなして正社員にする責任を負わせる、そういう法改正が必要だと思います。

 それから、常用代替をしてはならないということをおっしゃったわけですから、それを法律に明記し、労働者派遣は臨時的、一時的業務に制限する、そして、登録型派遣を厳しく制限して正社員化を進める、均等待遇のルールをつくるなど、常用代替禁止を保障する実効ある措置をとることを我が党は強く求めるものであります。

 最後に、総理に認識を伺いたい。

 ずっときょうこの問題について議論してきましたけれども、日本の経済と社会の前途を考えても、人間らしい雇用のルールの確立は急務だと私は考えます。

 ここに、二〇〇七年十一月、ILO本部雇用総局が日本の非正規雇用の拡大についてのレポートを公表したものを持ってまいりました。次のように述べられております。「現状見られる低賃金・低保障の非正規雇用拡大は短期的に日本に競争優位をもたらすが、明らかに長期的に持続可能ではない。国内消費の低迷は国内総生産の伸びを抑制する上に、非正規雇用では経済成長の源泉となる人的資本の形成がなされにくい」。

 つまり、非正規雇用をふやすことは、短期的には日本の競争力を強めるかもしれない、しかし、長期的には持続可能な発展は望めない、経済とか社会を担う人的資本の形成を損なう、若者がその可能性を存分に伸ばして社会の担い手として成長する条件を奪ってしまう、こういう警告ですが、このILOの警告を総理はどう受けとめますか。

福田内閣総理大臣 私も、中長期的に見た場合に、そういう雇用の形というものは決して好ましくない。特に、若い人がそういう形でもって不安定な雇用関係を続けて、そしてそれが将来も続くということになった場合に、その人の将来の問題だと私は思いますよ。単に労働とかいうことでなくて、生活自身の問題にもつながってくる可能性がある。そういうことがないようにということで、政府も気配りしていかなければいけないと思っております。

志位委員 中長期的には好ましくないことだという発言がありました。この発言をしっかり重く胸に刻んでやっていただきたいと思います。

 今、多くの若者が、そして女性が、また中高年の方々が、派遣、請負、パートなど使い捨て労働のもとで、異常な低賃金と無権利に苦しみ、知識や技能を身につけることができず、医療保険にも年金にも入れず、結婚も子育てもままならず、将来に希望が持てない状況にあります。この状況をこのまま放置したらどうなるか。日本社会に未来がないことは余りにも明らかであります。

 私たちは、今こそ労働法制の規制緩和から規制強化の方向にかじを切りかえるべきだと強く求めたいと思います。時給千円以上を目指し、全国一律の最低賃金制を打ち立てることを強く求めます。大企業から家計、国民に経済政策の軸足を転換する、このことを強く求めて、質問を終わります。

逢沢委員長 これにて志位君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 私は、本日は、冒頭、一問目、環境問題について福田総理にお伺いをしたいと思います。

 七月の洞爺湖サミットにおいては、三つの大きな課題があるというふうに言われております。一つは、今私が申し述べました環境の問題。そして、これはある意味では世界の貧困問題と密接不可分である、貧困なところが、食料においても、あるいは居住、水の問題においても最も被害を受けるだろうという問題。そして三つ目は、金融危機の問題。この三つを我が国が世界の中にどのようなメッセージを送って解決していくべきかということで、福田総理のお考え、あるいはリーダーシップが問われるところかと思います。

 きょう、総理のお手元そして皆様に、一枚目、これは日本とドイツの太陽光発電の比較でございます。恐縮ですが、総理には、カラーではないので、もしよろしかったらこれを。皆さんは、ごめんなさい、カラーじゃないです。済みません。

 ここには、我が国は実は太陽光発電においては世界に冠たる日本でありましたが、お示しいたしましたように、グリーンと赤でわかりやすく書かせていただきましたが、二〇〇四年を境にしてドイツの方が太陽光発電、年度年度の発電量も日本を追い抜き、もちろん累積量も三千五百メガワットという形で、我が国が十数年営々と取り組んできたこの太陽光発電の首位の座を追われたというか、抜かれたわけです。

 せんだって大田大臣が、GDPが十八位というお話で、皆さんショックであったということでありますが、私は、逆に、これからのエネルギー政策という意味で、実は、食料とかエネルギーは国家の、あえて言えば国民の基本でありますので、この太陽光発電がドイツと逆転したということ、果たして総理はどのように、これは印象でも結構であります、さっき十八位には驚いたというふうにおっしゃいましたが、太陽光発電、この実態についてはいかがでしょうか。

福田内閣総理大臣 太陽光発電の普及は、我が国としては、コスト低下のための技術開発、設備導入の支援などを行うことによってその導入促進を図ってまいりました。その結果、我が国の太陽光発電の累積導入量、これは最近十年間で約三十倍に達しました。ところが、二〇〇五年にはドイツにその数字が抜かれてしまったのでございます。この表にあるとおりでございます。

 ただ、太陽光発電の生産シェアという観点から見ますと、我が国企業は世界の約四割を占めております。ところが、ドイツは二割なんですね。ということでございまして、ドイツを大きく今のところ引き離している、今のところ。日本の技術が世界の太陽光発電の普及に大きく貢献しているというのは、これは紛れもない事実だというふうに思います。

 今後、我が国のこうしたすぐれた技術が我が国におけるさらなる太陽光発電の普及につながるように努力していく必要があると思います。このため、これまで以上に高効率で低コストな太陽光発電の技術開発や設備導入支援などを行いまして、ドイツ、米国など各国の導入策も参考にしながら、太陽光発電の普及を加速するための対策を抜本的に行ってまいりたいと思います。

阿部(知)委員 私が今、太陽光発電のことを特に例に出しましたのは、再生可能エネルギー、自然エネルギーの中でも、我が国はもちろん風力分野においてもバイオマスという分野においても高い技術力は誇っておりますが、特に今、総理が御答弁いただきましたように、太陽光発電においては、世界のトップ五社のうちの三社が我が国の会社でございます。どこと言っては個人でいけませんでしょうから。そうしたすぐれた技術力を持ちながら、私は、あえて言えば、政治の政策的なある種の怠慢と言うと失礼ですが、ある意味で、きちんとこれを本当に有意義に取り入れられないことが、我が国のトップの座を奪わしめたのではないかと思うわけです。

 例えば、ドイツでは、ある固定価格で十年間、太陽光発電の発電を買い取るという制度を二〇〇四年にしきました。それは、設置する側にも安定が十年続くということで、非常にいい誘導策になる。我が国も、思い起こせば、平成六年あたりからでしょうか、各家庭に太陽光のソーラーパネルをつけて、それに補助を出すという形で、国民に広く理解していただく形で太陽光発電は進んできた。それがまた底力にもなっていたと思います。

 甘利大臣、洞爺湖サミットを控えて、政治は、我が国のすぐれた技術力、そして世界に対するメッセージ、日本はやはりまず京都議定書をしっかり実行しなきゃいけないし、そして、自然エネルギーというのは、実は地球温暖化対策の中で、たい焼きの中のあんこ、心髄部分にもなるような、非常に私は意味のあるエネルギーの政策だと思いますが、そういうものを伸ばしていくためにどういう政策パッケージをお持ちであるか、御答弁をお願いします。

甘利国務大臣 御指摘のように、ドイツに抜かれました。抜かれるだけの理由があります、お話ちょっとありましたけれども。

 要するに、電力会社が高く買い取る仕組みですね。どのくらい高いかというと、キロワットアワー当たり七十五円です。発電事業者から七十五円で引き取ってくれるんです。恐らくペイラインは四十五円ですから、二十年ずっと保証されていますから、もうかりますから、雨後のタケノコのごとくどんどんIPPという卸電力事業者がいっぱい生まれたんです。では、電気事業者、電力会社は困るかというと、全く困らないんです。そっくりそのまま消費者に乗っけて、電気料金に乗っけて引き取らせていますから。

 そうすると、どういうことが起きているかというと、日本の太陽光発電によるコスト増というのは、平均的な一家庭当たり三十円乗っかっているんです。ドイツは今五百円乗っかっています。これが際限なく上がっていきます。そろそろ消費者から悲鳴が上がっています、全部乗っけてツケ回しで来ていますから。そういう事情です。

 さはさりながら、御指摘のように、日本は太陽光、設備、生産は世界一ですから、この現実を見て最大の努力をしなければいけない。

 そこで、公共や産業用側の導入は低いんですね。家庭用は途中まで支援をしていました、ペイラインに乗ったというのでやめましたけれども。今、家庭用からは二十二円から二十六円で引き取っていますけれども、事業者用は十円ぐらいですから、伸びません。これを、抜本的支援策は拡大しようと思っています。

 それから、RPS法で、一定割合、電力会社が新エネを導入するという義務がかかりますけれども、この新フェーズに入るときには、太陽光を他の新エネの二倍にカウントするから伸ばせということをやっていこうと思います。総理からの抜本的な技術開発もそのとおりです。

 それから、先般の記者会見で私も表明しましたけれども、日本に大規模な太陽光発電所をつくりたいと思っております。この要請をしていこうと思っています。世界最大規模。今まで世界最大は、太陽光では恐らく三万から四万キロぐらいだと思いますが、それをはるかに上回るものをつくっていきたいというふうに思っていまして、技術開発とそういう具体的な要請、それから公共、産業用の支援策と含めて、太陽光発電が浸透していくようなロードマップをつくっていきたいと思っております。

阿部(知)委員 いろいろパッケージをお述べいただきましたが、本当にやはり今、日本が世界に向けたメッセージになりますので、しっかり取り組んでいただきたいということと、もう一つ、なぜ自然エネルギーなのか、なぜ太陽光発電なのかというと、これは非常に分権型のエネルギーでございます。

 例えば、さっき大臣おっしゃった、何百カ所も買い取りができたんだ、これは、主に、配電をつかさどるある会社が、そこには個人がNPOのような団体をつくって加わるということで、地域のエネルギーを地域で回していこうと。この委員会の場でも、過疎の問題、限界集落の問題、いろいろ言われますけれども、やはり本当にその地域でエネルギーを賄える、もともと日本というのはそういう国だったと思います。非常に地方分権が進み、エネルギーとかいろいろな生産の問題が、地域で顔が見えて、そして、生産者、つくる人がまた同時に消費者になっていくというような意味では、分権化ということとこの自然エネルギーというのは密接不可分です。

 ドイツが我が国に先んじたところのもう一つの理由は、その分権型社会が進んでいたということでありましょうから、今大臣は世界一の太陽光発電の基地をつくるんだとおっしゃいましたが、そういうセンターと同時に、地方で、送電されて配電、各家庭に電気が行き渡るようなシステムの本当の制度改革をしていただきたいと思います。

 きょうは時間の関係でこれだけ言わせていただいて、もう一つ鴨下環境大臣に私は大きなエールを送りたいので、ぜひ前向きな答弁をお願いしたいのですが、この地球温暖化問題では、やはり三つのポイントがあると思います。

 排出権取引。二酸化炭素を排出して、その炭素に価格をつけるということ。

 それから、今申しました自然エネルギーということ。今は過度に石油に頼ったエネルギーの社会に私どもは暮らしています。原発も、実は、後負荷、後の負荷が大変でございます。廃棄物、その出てきたものをどうするか。ある人によっては、トイレのないマンションだと原発のことを言います。そういう意味でいえば、私どもは、今ある原発施設はこれ以上ふやさず、その間に自然エネルギーによる発電をふやしていきたい、これが二番目です。

 三つ目は、やはり環境税という税のあり方であります。せんだってのバリの会議でも、アメリカとカナダと日本が、ポスターを岡田さんが見せましたけれども、温暖化にいろいろな邪魔をしている的な言い方をされましたが、この三国は環境税というものをつくってはいない。しかし環境省は、これまで何らかの形で環境税と言って、炭素に課税し、そして、しかしそれは単なる増税じゃない、課税をしてそれを減税にも向けられる、例えばそういうことに一生懸命努力したところは減税するとか。いわば環境税は税制中立なものであるし、もっと大胆に切り込める、我が日本の社会に絶対に、本当に定着する税だと思います。

 そこで、鴨下大臣の決意のほどを伺います。

鴨下国務大臣 阿部先生の友情に大変感謝を申し上げる次第でございます。

 今それぞれお話がありましたように、エネルギーそのものは、やはりおっしゃるように、地産地消のような概念というのはこれから入れるべきだろうと思います。そして、再生可能エネルギーといいますか、そういうような意味でも、バイオマス、それから風力、さらに太陽光、こういったものを入れていく上でも、ある意味で環境にもっと資源をつぎ込んでいかなければいけない、こういうようなことが一つ。

 それから、今先生がおっしゃったように、もう一つは、例えば、炭酸ガスを排出する、これにもコストがかかるんだ、こういうような概念がいわば社会の中に共有されないといけないわけで、そういう意味でいうと、炭素に価格をつける、いわゆるカーボンプライシングと言われていますが、こういうようなことも、私たちは目的として環境税というものをずっと言い続けているわけでございます。

 そういう意味で、いよいよこれから京都議定書の第一約束期間にも入ります、また、ことしはG8のサミットがあります、こういう中で日本がしっかりと環境というようなものを打ち出していく上でも、環境税について国民の方々に理解を求めるためにしっかりと頑張らせていただきます。ありがとうございます。

阿部(知)委員 本当に頑張っていただきたい。

 というのは、環境税というのは、国民は今、アンケートをとっても六割が導入はいいとお考えである。しかし、それはどういうふうに私たちの社会に還元されるか。例えば、森林の整備であるとか、先ほど言った自然エネルギーの活性化であるとか、あるいは、ドイツなどは社会保障にもその財源を使って、特に日本で、先ほど志位委員が御指摘になりました、非正規雇用で、みんな若い人が社会保険料の負担をされないで、自分で、もう本当にぎりぎりになっている、企業も社会保険料負担が重いというところを、それを補てんしながら、若い人には安心を、地球にはやはり本当に美しい星であることを保障できるような税制であると思います。

 本当は額賀さんにも、それはいいと言っていただきたいですが、済みません、時間の関係で次の議題に移らせていただきます。

 次に、舛添厚生労働大臣にお願いいたします。

 きょうも長妻委員が御指摘になりました年金の問題。どうも、これまでは、あと二年したら五千万件、とにかく社会保険庁の形態が民間といいますか違う公法人になるときまでは、きちんと皆さんにお一人残らずお返しするんだと言っていらしたけれども、それは一つ一つ確実にやっていくんだからということで、二年という期限は、実は先がちょっと見えないんだというふうな御答弁と私は承りました。

 そうならそうで、実は、私がこの前のこの委員会で問題にさせていただきました後期高齢者の医療制度の保険料や国民健康保険の保険料を、今、政府は二〇〇八年四月の改正で、年金から天引きになさろうとしています。年金は確実に受給者に保障されない、浮いたまま、でも、天引きだけはいたしますよというのは、いかに何でも、大臣、これはちょっと国民的な感情から見てもいかがなものかと。

 舛添大臣、一体どれくらいの方がことしの四月から、年金から国民健康保険の保険料あるいは後期高齢者医療制度の保険料を天引きされるのか、その人数は御存じでありますか。

水田政府参考人 まず、後期高齢者の医療制度でございますけれども、約一千万でしたかでございます。あと、六十五歳以上から七十四歳までの国保の加入者の方でございます。

阿部(知)委員 下向いてもごもご言われても、テレビを見ている国民にもわからないし、私は本当は大臣に知ってほしいんですね。一体この天引きがどのくらいの人に影響するのか。二千万人です。

 今、五千万件の年金の持ち主がわからないものが宙に浮いて、みんな自分の年金が確定できない、もらえない人だっているんですよ。そこでなぜ、保険料の天引きだけ先にさっさと決めて、有無を言わせずやるんですか。おかしい、幾ら何でも。

 総理、二千万人ですよ、今度天引きの対象は。例えば障害者自立支援法でもそうです。きちんと所得保障をして、その中から天引きするというならまだあり得ます。でも、年金も確定されない、戻ってこない。消えたか、浮いたか、どこへ行っちゃったかわからない年金問題を抱えて、二年たっても、その先も正直言ってわからないかもしれない。

 そういうときに、なぜ年金の額から保険料の天引き、自動的に二千万人、こういう過酷なというか、過酷以上に理が立たないですよ、国民に対して。余りにも申しわけない。国民をばかにしている。入る方は確定しない、取る方、持っていく方、あなたの負担ですよという方だけ先に進める。これは改めるべきではないですか。

 これは、ごめんなさい、舛添さんじゃなくて福田総理に。国民が一番期待する、もちろん大臣にも期待しています、でも、最大の、私たち国民のリーダーシップをとるべき福田総理です。きょう私が申し上げて初めてこの数値とかを御存じになったのかもしれません。ちょっと考え直していただきたいが、いかがでしょうか。お時間は差し上げます。

逢沢委員長 それでは、最初に舛添厚生労働大臣、簡潔にお願いします。その後、総理から答弁いただきます。

舛添国務大臣 まず、後期医療制度、これはいろいろな観点からこれを入れました。既に御説明いたしました。

 そして、やはり、保険料を払わないといけない人の立場から見ると、天引きをするというのは非常に便利がいい、それは市町村の事務効率も上がるということです。ただし、これは年額十八万円以上の年金額を受給している方を対象としますし、介護保険料との保険料額が年金額の二分の一を超える場合には年金からの徴収対象としない、それから、非常に低所得の方に対しては軽減措置を設けているし、それから、本当にお困りの方には窓口相談を含めてきめ細やかな相談が行われるというような体制はとっておりますので、どうか御理解を賜りたいと思います。

阿部(知)委員 大臣は賢いから、わかっていて言っているんだと思いますよ。私が言っているのはそんなことじゃないんです。年金が自分に幾ら来るか確定しない、だけれども、取る方だけはお先に失礼、これでは余りに国民に失礼だと私は言っているんですよ。

 十八万以下、すなわちそれは、この前高橋さんがやりましたよ、一万五千円の方からも七千円までは年金天引きで持っていくという制度ですよ。それだってとても威張れた制度じゃない。だけれども、対象は後期高齢者だけじゃないんです。六十五歳以上の、年金受給の二千万人にかかわる天引き問題なんです。

 天引きが、本当にその方が、自分が便利と思っていたら、銀行預金から引き落とすことだって今だってやっているんです。これを、年金という国が責任を持たなきゃいけない制度から、その責任を果たさずに、先に天引くことの問題を私は指摘したいんです。

 総理、いかがですか。これは、ごめんなさい、総理にお願いします。

福田内閣総理大臣 今、年金でもって全く不信を買ってしまっているという状況の中でこういう新しい仕組みを導入するということについて、違和感がある、納得いかないというそのお考え、お気持ちもわからないではないです。

 この四月から、後期高齢者医療制度それから国民健康保険について、年金から保険料を徴収する仕組みを導入した、こういうことなんですけれども、これは被保険者の方々の立場から考えても、保険料納付の利便性を考えたということ、そしてもう一つは、市町村における保険料納付の利便を図る、こういうふうなことがありまして、その方が、それぞれの利便性ということを考えても一歩前進、そういう気持ちで導入したということもあるんです。

 これは、高齢者の方々の負担増を図るとかそういったような趣旨ではないんだということ、これははっきり申し上げておかなければいけないのでございまして、むしろ保険料については、低所得の方に対し軽減措置を講じるといったような、過大な負担とならないような配慮を行う、こういうふうにしておるんです。

 そして、今厚労大臣からもお話ししましたように、年金から保険料を天引きするということでございますから、高齢者の方々に丁寧に御説明する、そしてまた、きめ細やかな相談にも応ずるということを各市町村に徹底してまいりたい、こう思っております。

阿部(知)委員 年金から天引きしたら安くしてくれるんだったら利便というんですよね。でも、さっきから何度も言うように、年金額は、みんな、国民のどなたに聞いてもそうです、この五千万件の宙に浮いた年金問題は、きょう午前中でしたか、長妻さんもやられたように、その及ぶ範囲は膨大なものです。今、国がしっかり年金問題で国民に信頼を取り返さないと、私は、年金制度が瓦解すると。だって、二〇〇〇年以降も保険料を納めていても記録にない人が出てきているんですから、だれが信じますか。そこまで追い込まれているんです。

 総理、認識はもっとシビアに持っていただきたい。そこから天引きする、さっき言った、銀行に自分が預けているお金から天引きじゃないんです、これはあくまで年金から天引きなんです。だから、私は、順序が違うでしょうと。

 それから、総理にはお願いがあります。お地元に帰られたら、六十五歳の方に聞いてみてください。年金で今これだけ問題が起きているときに、天引き、あなたはその方が便利ですかねと。やはりどなたも承服いたしません。まず知りません。六十五歳以上の方は、これから、今は介護保険料が天引きされていますよね、それにプラス、医療保険の保険料があわせて天引きされるということは知りません。それは、後期高齢者の場合なんかはもっと、どんな額になるかも、市役所に問い合わせたって、広域連合に問い合わせたって、みんなわからないと言われるんです。生活設計が立ちません。天引きされたら、残りしか手元に来ません。四月からの生活の設計が立ちません、そういう段階にあります。

 総理には、きょう私は、そうしたことをきっちりと、本当に国民に聞いていただきたい。それでないと、年金制度が本当に壊れてしまいますから、よろしくお願いしたいと思います。

 舛添大臣にもう一つ伺います。

 私は、政治の根幹は、やはり国民との約束、あるいは国民の納得にある。これは、日ごろ大臣がおっしゃるところであります。今、医療費の問題は、特に我が国が、後期だけでなく、高齢社会に立ち至っているということで、みんなが何とか削減しなきゃいけない、何とか縮こめなきゃいけないというふうに、上からふたをしよう、キャップをしようとしています。

 私は、本当に無駄を省くには、逆に、医療に幾ら、この処置には幾ら、このお薬には幾ら、締めて、この説明には強いて言えば幾らということを、本当に国民が理解し、納得し、それがリーズナブルか、いや、高過ぎるかということを判断するところまで、いわば国民、我が国の国民は賢いんです、どう言っても我が国の国民は賢いと思います、その賢い国民にわかっていただいて医療費の無駄を省くという政策が一番なんだと思います。上から小手先で、あそこ削って、ここ削って、後期高齢者に至っては医療保障すらなくしちゃう。こんなことをやるよりは、きちんといわゆる明細書、医療の窓口で、幾らかかっているかという明細書を、実は全員に発行したっていいんだと思います。

 きょう、お手元に、これは原寸大ですから、わざと拡大いたしませんでしたが、これは国立病院の壁に張られているちいちゃなちいちゃなアナウンスメントで、国立病院では今、その日にかかった医療の明細を、レセプトという保険請求に書かれたものと同等の内容でお示しするものを希望者には無料でお出ししますよという掲示であります。二年前に川崎厚生労働大臣が御答弁くださって、これは無料で国立大学がやり出しました。今は希望者がこれを言っていかなければなりません。

 でも、舛添大臣、大臣のリーダーシップで、ここは、本来は、実は全員の患者さんに、これは領収書のかわりです、細かな領収書です、内容がよくわかる領収書です、フィブリノゲンが使われていたらフィブリノゲンと書いてある領収書ですというふうな詳細な領収書を今の領収書にかえて全員に発行するような方向を、特に国立病院でやっていただきたい。大臣のリーダーシップでできるんだと思います。いかがでしょうか。

舛添国務大臣 二月五日の国会での答弁でお答えしましたように、最終的なゴールは、それを目指すべきだというふうに私は考えています。

 実は、医療制度全体を見直さないといけないと思って取り組んでおりますけれども、阿部さんは小児科のお医者さんである。それで私は、例えば産科の救急医療体制をやるために聞き取りをやっていると、非常に訴訟リスクに対するおそれがある、したがって産科が医療にならない、したがって訴訟リスクをゼロにするような政策をとる。ノーフォールトにしろ何にしろ、やったら、今度は国民の側から、大臣は医者の味方ばかりするのかと。我々は医者に対して不信感を持っている、検査は何をやられたかわからない、薬の中身だってわからない、こういうことがあります。

 だから、医療メディエーターというのを入れて調停者の役割をやろうとすると、大臣は医者を逃がすのか、医者と患者との対話をやめさせるのか、こういうこともある。こういうことの一つの解決策として、このレセプト並みの明細書というものを発行するというのは、極めて大事であります。

 そして、これは、例えば、昔は、今でもお医者さんというのは偉いんです。阿部さんの前で私は、患者だったら文句が言えないですよ。だから、薬を山ほどもらったけれども、中身が全くわからないでもらっていた。今はちゃんと副作用がどうだと書いてある。これだけでも安心する。医者に言えますか、先生、これを書いてくれ。同じことなんですよ。ですから、きちんとやはりそういうことについて明細を示す。そして、これは基本的に無料であるべきであると思います。

 そして、今、レセプトのオンライン化が進むにつれてそれはやっていくという方針を既に述べてありますし、そして、義務化ということも、まだ中小の病院なんかはあります、しかし、例えば国立病院においては、一括の評価方式であるDPCについても、中身をきちんと示すということは私はあっていいと。それで、それに対して患者が、何だこれは、先生、変な検査をしたんじゃないかと言ったら、ちゃんと対話をして、それで両者の信頼関係を築かないと、両者の不信感がある、そしてこういう問題がある、この悪循環を断ち切るべきだと思いますので、私は、そういう方向をゴールとして目指したいと思います。

阿部(知)委員 実は、いわゆる患者さんがレセプトという保険請求の中身がわかるような明細書を入手できるようになったのは十年前。しかし、その十年前には、健康保険組合や国保組合にわざわざ行かないと、それは手に入りませんでした。だって、普通にスーパーで買い物をしたって、その場で、レジでレシートがじゃじゃじゃじゃっと出るじゃない。それと同じように、その日にかかった医療機関で、自分の検査は幾ら、お薬は幾らというふうなものが出て、その方がいいよねということを求めて、十年間やってまいりました。

 今、舛添大臣がお答えくださったように、舛添大臣はこのことにも尽力をしていただいた。そして、国立病院では、それは明細書という名の領収書なんだから、ただで皆さんのお手元に、だって、領収書を出すのにわざわざお金を取るところはほかではないから、無料で手に渡るようにしましょうというところまでやってきました。あと一歩なんだと思います。

 私が今お願いしたのは、それを、要求した人だけにしないで、大体、だって、わからないです、こんなちっちゃいものが壁に張ってあっても、お年を召していれば、申しわけないけれども、字も細かいし、それは何だと。領収書とは別に、診療内容のわかる明細書を無料で発行すると書いてあるけれども、それは何だということになります。でも、どんなお薬がどのくらいの価格であるか、やはり、本当にこれからはそれを知っていただかねば我が国の医療の無駄は省けないということから、大臣には、希望者だけじゃなくて、基本的に、モデルとして、大学病院、国立病院ではこれを全員に出すということをやってみるだけのリーダーシップをとっていただきたい。

 それともう一つ。ごめんなさい。

 同時に、心配してくださるように、今、医師と、まあ、私も小児科医師ですが、患者さんとの間の不信感というのは、もう極限にまで達している部分が私もあると思います。医師の方は忙しく、日々の処置に追われ、今、医療現場は、非常に少ない人数で、朝昼晩、夜中まで働いています。患者さんたちは、その中で多発するミスあるいは説明不足によっていら立ち、最終的には訴訟が起こる。この悲しい対立を変えていかなきゃいけない。だから、医師側が保身的になるというか、身を守らなきゃいけないという気持ちになるのも、私自身もよくわかります。

 でも、そのために、大臣は、例えばメディカルクラークさんとかを置いて、間にそういう説明をきちんとできるような人を、この薬は何ですか、これはどうしてですかと聞かれたときに、医療スタッフにそういう人を備えていただいてサポートするというふうなお気持ちもおありなんだと思います。

 恐縮ですが、その二点、踏み込んで御答弁をお願いします。

舛添国務大臣 後者の方から申し上げますと、メディカルクラークは、これは既に予算化しております。そして、メディエーターのようなものを入れてきちんと対話を、これはお医者さんが逃げるということじゃなくて、対話を促進する、説明することをやりたいと思います。

 そして、例えば領収書の発行とともにレセプト的な明細書の発行について言うと、だれに出してだれに出さないというようなシステムの開発をするより、ぱっとみんなに出す方がはるかに簡単です。お店の買い物となぜ医療が違うかといったら、我々は患者の立場からお医者さんに要求できません、欲しくても。したがって、少なくとも国立病院においては試行的にこれをやってみる。ほとんど義務的にやってみる。そして、それで弊害がある、お医者さんがこれじゃやっていけない、そういうことがあれば見直せばいいので、私は試行的にやることを指導していきたいと思います。

阿部(知)委員 非常に前向きな答弁をありがとうございます。

 最後に一枚だけ。救急医療のことを一言だけやらせていただきたいと思います。

 実は、私は、約三十年前、自分の母親を、救急車のたらい回し、都内七カ所を回りまして、母は心筋梗塞で死亡いたしました。ちょうどその前後に、今ここにございますような医療の一次、二次、三次という仕組みができて、母のようにいろいろな病院をたらい回しされて、ある病院に行けばあなたは重過ぎる、ある病院に行くとあなたは軽過ぎると言って、結局死ぬまで治療されないような体制に何とかこたえねばならないという制度設計が一、二、三次ででき上がったものと思っておりました。

 ところが、三十年たった今日、この前も示しましたように、この一、二年、救急車のたらい回しで、三次病院で、最後の拠点の三番目の、二十四時間診療で、いつでもだれでも絶対にお受けするという三次救急で断られる患者さんが後を絶ちません。

 総理、このことについて、もちろん総理は、これはいいと思っているわけもないと思いますが、まず総理の御所見、そして総理なりに今何を一番しなきゃいけないと思っているか、その二点、お願いします。

福田内閣総理大臣 救急時に搬送先が見つからないというような救急医療をめぐる昨今の状況、これは私も深刻に受けとめております。国民が安心できる体制をしっかりと構築すべきであると思います。

 そのために、それぞれの地域の実情に応じた救急医療体制の確保をまず図るということでありまして、救急医療を支える医師の確保、そして医師の確保についてより実効性のある対策を行うことで、救急患者を確実に受け入れる体制の整備にまずは努めてまいりたいと思っております。

阿部(知)委員 医師の確保と一言で言われましたが、これが本当に大変であります。

 今、総務省の方でこうした搬送たらい回しの実態を調査をかけておられますが、これは舛添大臣にお願いです。その中には、その病院の医師たちの労働実態、例えば、ほかの患者さんの処理に追われていたとか、手術をかけるための麻酔医がいないとか、そういう項目が詳細には私は見られていない。むしろ、総務省は一生懸命調査しておられると思います。医者側の、厚生労働省側の医療の内容にかかわる分野の調査が極めて不十分であり、そこからは対策が浮かんでまいりません。

 また次回、この件を私は質疑したいと思いますが、ぜひ、今の総務省の調査だけでなく、厚労省が医療現場を調査していただきたいということをお願い申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございます。

逢沢委員長 これにて阿部君の質疑は終了いたしました。

 次に、亀井久興君。

亀井(久)委員 国民新党・そうぞう・無所属の会の亀井久興でございます。

 総理初め閣僚の皆様、お疲れだと思いますけれども、最後の質問でございますので、もうしばらく御辛抱いただきたいと思います。

 時間がありませんので、早速質問に入りたいと思います。

 まず、郵政事業に関連してお尋ねをいたします。

 ちょうど総理に御就任いただいた直後、昨年の十月でございましたが、同じ予算委員会において、郵政事業をめぐるさまざまな問題を指摘しながら、私の考え方を述べさせていただきました。

 それから四カ月たっております。御就任直後の所信表明演説では、利用者に不便をおかけしないよう着実に推進する、そういう文言が入っておりました。今度の施政方針演説でどういう表現をされるかなと思っておりましたら、郵政に関しては一言もお触れになっていなかったわけであります。

 総理にすれば、もう終わったことだと考えておられるのかもしれませんけれども、私は、この問題は決して終わったわけではない、国民生活の混乱というのはむしろこれから始まってくるのではないか、そのように受けとめております。

 私ども国民新党、野党の皆様方に御提案をいたしまして、野党の共同提案で、いわゆる株式売却凍結法案、貯金銀行と保険会社並びに本体の親会社の日本郵政株式会社の市場における株式の売却を当分の間停止をさせる、そういう法案を提出いたしまして、御承知のとおり、参議院では可決をされて、衆議院に送られたわけでございます。

 先般の国会で、衆議院では継続審議になりました。いずれまた、これを衆議院でどう扱っていくかということを与野党で協議をしていかなくてはならないと思いますけれども、私は、覆水盆に返らずという言葉がありますけれども、まだぎりぎりのところで、国民の利便性というものを、そしてまた国家としての一つの利益というものを守ることができるのではないかというように思っております。

 御承知のとおり、この法案は見直し条項も入っておりますし、国会の附帯決議においても、経営形態を含めてしっかり見直すんだということになっているわけでございます。この見直しについてはいろいろな考え方があろうと思いますけれども、与党の皆様方の中にも、今の地域の現状、郵便局の姿、利用者の利便性がどんどん後退をしているという現状から、相当な危機感を持っておられる方はあると思っております。

 与党、野党が十分に相談をしながら郵政の見直しをやっていくべきだと私は思っておりまして、そのためにもこの株式売却をとめておかないと、これが進んでしまいますとまさに覆水盆に返らずということになると思いますので、そのことを私ども何とか実現をしたいと思っているわけでございますが、これは主として、これからの国会のことだということになるかもしれません。

 しかし、与党の総裁として、福田総理がこの問題について今どういう認識を持っておられるのか、そのことを伺いたいと思います。

福田内閣総理大臣 民営化しまして四カ月たちました。日本郵政グループにおいて新しいサービスを提供する、そういう取り組みが始まったわけでございますけれども、今、御懸念のと申しますか御指摘されたように、問題もあるわけでありまして、簡易郵便局の一時閉鎖が目立っているということも事実でございます。

 そういう問題について日本郵政株式会社において対応を考えておりまして、簡易郵便局に対する委託手数料の見直しとか、また移動郵便局の試行などという抜本改革に着手をするというように伺っておりますし、昨年末に緊急対策を打ち出したというようにも聞いております。政府として、その成果を見守っていきたいというように思っております。

 日本郵政グループにおきましては、国民の利便に支障が生じないように最大限努力するということが必要でございます。そして政府も、今後とも、国会の附帯決議もございます、それを尊重しながら、政府の答弁、また関連法令というものがございますので、そういうものを遵守しながら、国民の利便性に配慮しながら郵政民営化を着実に現在実行しておるところでございますので、私ども、十分注意をしながら見守っていきたいと思っております。

亀井(久)委員 きょうは西川社長にもおいでいただこうかとも思ったんですけれども、今、西川社長の立場は、与えられた仕組みの中で最善を尽くすという立場ですから、余り思い切った話もできない。

 また、増田総務大臣、担当大臣でございますけれども、地域の実情というものはよく御承知だと思っております。そうした中で、余り具体的にがりがりやっても増田大臣は十分なお答えができかねる面もあると思いますので、その点、私、きょうは控えておきたいと思います。

 いずれにしても、この間も申し上げましたけれども、郵政事業というのは、収益性と公益性、その二本の柱を両立させるということを国民は期待しているんだと思います。それを分割・民営化するということでは、そのことが絶対に実現できないというように私は思っておりまして、制度設計が間違っているわけですから、その制度設計そのものを変えなくてはいけない。政治が間違った判断をした、国会が間違った判断をしたのであれば、やはり国会が、政治がそれを正していかなくてはいけない、そういう考えでございますので、私どもも、これからまたしっかり勉強しながら頑張ってまいりたい、そのように思います。

 先ほど原口委員からもお話ございましたけれども、総理もよく御承知だと思うんですけれども、竹中担当大臣があの当時いろいろなことを言われました。竹中五原則というようなことを言われました。

 郵便局のサービスはよくしますよ、今までのサービスを維持するばかりではなくて、今まで以上にいろいろなサービスができるようになるんですということも言われました。それから、郵便局のネットワークは守ります、特に過疎地や離島の郵便局は絶対になくしませんということも言われた。また、職員の人たちがよりやりがいのある職場をしっかりつくりますということも言われた。しかし、今、一つ一つ現場の姿を見ておりますと、全くそれとは反する姿になってきているというのが現状でございます。

 したがいまして、郵政事業をこれから国民のためにどうやってしっかりした安定したものにしていくかということは、私は、大きな政治課題としてこれからも取り組んでいかなくてはいけない、そのように思っているところでございます。

 さて、少し視点を変えますけれども、G7が明日からいよいよ始まるということでございます。

 今、サブプライムローンの問題から始まりまして、アメリカの経済が後退局面に入ってきているのではないか、そうしたことを大変心配しておりますけれども、アメリカは、自分のところの問題ですから、ブッシュ大統領を中心に、いち早く日本円で十六兆円を上回る緊急経済対策を打ち出された。その中心は、御承知のとおり、所得税の減税、戻し減税が中心になっております。やはり、個人消費というものに期待をしている、そういうことだと思います。

 私どもの日本は、直ちにサブプライムローンの問題を国内問題として今抱えているわけではありませんけれども、しかし、今、全世界にこの問題が波及し始めている、そういうときでございますから、明日から始まるG7も非常に大切な場面だというように私は思っております。

 そのことについて、まず額賀財務大臣の御見解を伺いたいと思います。

額賀国務大臣 お答えをいたします。

 いよいよあした、G7の会議が始まるわけであります。亀井先生の御懸念のように、サブプライム問題の金融不安が、アメリカ経済を中心に景気後退の心配があるということでございます。

 私どもは、このアメリカの不安が今後どういうふうに展開をしていくか、実体経済にどういうふうに影響を及ぼしていくか、そういうことについてしっかりと議論をしていきたいというふうに思っております。これは欧米だけではなくて、中国とかインドとか新興国経済にもどういう影響を与えるのかということも議論をしなければならないというふうに思っております。

 また、こういう金融不安が起こらないように、どうしたらいいのかということについても議論をしていかなければならないというふうに思っております。その際には、我々は金融危機を経験しておりますから、その経験を踏まえて、きちっと言うべきことは言っておかなければならないという思いでおります。

 と同時に、アメリカとかヨーロッパにおいても、景気を回復するために、景気を今後も拡大していく方向で、あるいは金融を安定させていくためにどうしたらいいのか、自国でそれぞれきちっとやってもらわなければならないということも考えなければならない。その上で、お互いに連携をとりながら、金融と世界経済の安定に資するようにメッセージを発信しなければならないというふうに思っているところでございます。

 亀井先生に大変申しわけないんですが、亀井先生のお許しをいただきまして、一分ぐらい、三十秒、時間をおかりいたしまして、先ほど民主党の武正委員の答弁に際しまして正確性を欠いていたことがありましたので、ちょっと説明をさせていただきたいと思っておるんです。

 それは随意契約に関係することでございますけれども、五百万円以上の契約について、十八年四月の委員会の答弁において、財務大臣は相見積もりをとっていないと答えていましたが、今はとっていますかとの委員からの質問に対して、私から、とっているということですとお答えをしたわけでありますが、これは、正確に申し上げると、当時、相見積もりをとらない随意契約で行っていたものについて契約見直しを行い、順次競争入札等へ移行しているという意味で申し上げたわけでありますけれども、いわゆる相見積もりというのは、基本的には会計法二十九条の三、五項に基づき、競争入札をするまでもない少額、物品百六十万円以下、役務百万円以下等の契約について、競争性を確保するために複数の者から見積もりをとるものであり、五百万円以上の契約においては、相見積もりをとるということは基本的には考えられておられませんでした。私は、競争入札を行うことと同じような趣旨と思ってそういう答弁をしましたので、御理解をいただければありがたいと思っております。

 亀井先生、大変ありがとうございました。

亀井(久)委員 ちょっと話の腰を折られました。

 先般、政府演説の中で、大田経済担当大臣の演説の冒頭に、かつて日本は世界の総所得の二割近いものを占める大国であった、それが二十四年ぶりに一〇%を切ってしまった、それで一人当たりGDPもどんどん下がって、今やOECD参加国の中で十八位に低下した、そのことで、もはや日本の経済は一流とは言える状況ではない、そういうことを言われたわけですが、私は、余りそういうことを評論家のように言われては困るんでありまして、どうしてそうなったのかという、その反省からやはり始めていただきたいと思うんです。日本は決してそういう国ではなかったわけですから。

 なぜそうなったのか。為替レートが変わったとか、そういう程度の話ではないわけで、やはり日本の総合的な国力がどんどん落ちているということだと私は思うんです。それでは、その総合的な国力をどうやってこれから身につけていくか、再生をされていくか、そこの思い切った経済政策というものがまさに求められているんだと思います。

 今、御承知のとおり、この間の予算委員会で私申し上げましたけれども、二〇〇〇年から可処分所得がずっと減ってきておりますね。それで、負担はふえておりますね。定率減税を廃止して実質的な増税になってしまった。医療費の個人負担もふえている。介護の負担もふえている。あるいは住民税も上がった。負担はどんどんふえているけれども可処分所得はふえていかない。そういう状況ですから、個人消費が伸びないのは当たり前ですね。

 ですから、小泉元総理が安倍総理に対して鈍感力ということが大事だということを言われたけれども、私は、国民生活を守るために政府は敏感でなくてはいけないと思うんですね。そのことに対して鈍感であってはならない。

 アメリカが緊急経済対策を打ち出して、与野党がぱっと合意をして、それできょう、法案が上下両院を通りましたね。あのぐらいの機敏な対応をしていかなければ日本の国民の生活というのは守れないんだ、そういう状況に立ち至っているんだということをよく御認識いただきたいと思うんです。

 今、国民はお金を使いたいんです。使いたいけれども、ないんですよね。一部にはあるでしょう。だから、GDPを見ても、小泉政権発足のときからGDPはがくんと一度下がって、それが少しずつもとに戻り始めているという状況ですけれども、OECDの加盟国が軒並みGDPを着実に大きくしている中で、日本だけは停滞をしている。まだあの二〇〇〇年の段階まで戻っておりませんね。

 今GDPが、昨年五百十六兆ぐらいですか、そのぐらいまでしか戻っていない。かつて、一九九七年には五百二十一兆あった。それがまだそこまで戻っていない。少しずつ少しずつもとに戻り始めているという状況。GDPが大きくなっていない中で、どんどん富が偏在をしていっているわけです。そこに大きな問題があると私は思います。

 ですから、先ほど来いろいろな皆さん方の議論を聞いておりまして、例えば非正規雇用の問題が出ておりました。非正規雇用、どうしてふえたかといえば、これは、政府が景気を回復させるという、デフレを解消するために積極的な経済政策をとるんだというそのメッセージを出さないままずっと進んでこられた。

 緊縮財政、確かに財政再建は必要ですよ、財政再建は必要だけれども、やはり、財政というのは何のためにあるかといえば、国民生活のためにあるわけですから、その財政を、ただプライマリーバランスを黒字化するという、言ってみれば数字合わせのようなことにとらわれて、ただ緊縮財政、緊縮財政でいけばいいんだという、そういう考え方では絶対にGDPは大きくならないと私は思うんです。

 私は、大田大臣が政策統括官をしておられたときに、毎月、月例経済報告をめぐって議論をしたことをよく覚えておりますけれども、デフレを解消するためには需要政策をとらないとだめですよ。官民、力を合わせた需要政策をとらなければ、縮小均衡に向かわざるを得ない。政府が最初から、もう景気回復はやりませんというメッセージを出してしまえば、それは企業の経営者だって、当然、売り上げが伸びない中で収益を確保しなくてはいけないという後ろ向きのマインドになりますから、そうなるとコストを下げるよりしようがないでしょう。コストを下げて、結局最後はリストラと言われる人減らしをやった。社会保険料の負担や何かしたくないから、正規雇用をできるだけ減らして非正規雇用にしてきた。今、大企業においては、二・五人に一人は非正規雇用ですね。

 それで、しかも、今大企業はどういう状況かというと、確かに空前の収益を上げている企業はあるでしょう。しかし、それでは、そういう企業の所得、役員の所得、従業員の所得を見ますと、この六年間で、大手企業三十社の平均をとってみますと、役員の所得は何と平均で九〇%ふえているんですよ、約倍になっている。では、そういう大企業の従業員、社員の所得はどうかというと、平均で五・六%減っているんです。

 そういう大会社がどんどん外資に株を買収されていっている。外資の場合には、リターンを求めるわけですから、当然、うんと企業にもうけてもらって、それを株主に還元しろ還元しろと、それを第一に求めるのは当たり前なんです。それは、先ほど来名前が出ておりましたキヤノンにしても、もう半分近くは外資でしょう。ソニーは半分以上外資でしょう。そういうところは、必ず株主に還元しろということが第一、その上で、それだけの収益を上げた経営者がとってもいいですよ、従業員、社員は道具のように、いつでもかわりはあるんだ、そういう考え方になってしまう。ですから、そこにも大きな問題がある。

 中小企業は頑張っているんですよ。資本金一億円以下の中小企業をとりますと、六・六%、社員、従業員の給料はふえております、所得はふえております。それで、役員の所得が九%減っているんですよ。それだけの努力を中小企業はやっている。しかし、大企業がそういう経営のやり方になってきた。私は、そこにも中間層の所得が落ちてくる大きな原因というものがあると思うんです。

 ですから、今、そういう苦しい中で地域格差も広がっておりますね。この間の発表でも、東京都の平均の個人所得、これは、一人当たり個人所得が四百八十万近いですね。ところが、一番低い沖縄は二百万そこそこでしょう。私どもの島根だって二百四十万ちょっとですよね。それだけ地域格差も開いている。地域で一生懸命働いても、さっぱり将来展望が開けない。

 そういう中で、まだ世界で第二番目の経済大国ではあるんですけれども、その経済大国である日本で年間三万人を超える人が自殺に追い込まれている。それが、自殺者が全然減っておりません。交通事故で亡くなる方は、今、年間六千人ぐらいですね。それの五倍の人が自殺に追い込まれているという、その状況をもっと政府は真剣に考えていただきたい。

 私どもは、国民新党、小さな政党ですから財政力はありませんけれども、そういうことに対して何かやらなくちゃいけない、そういう思いから、近々、自殺に追い込まれた方々の子弟で高校に進めないとか、高校の勉強が続けられないとか、そういう方々のために、議員が拠出した金をもとにして少しでもお手伝いをするような奨学金を出そう、そんなことも考え始めているところでございます。本来は、政府がもっと敏感にこうした問題についても対応していただくべきだというように思うんです。

 以上、申し上げたことに対して、大田大臣の御見解を承りたいと思います。

大田国務大臣 まず、日本は一流と呼ばれる状態にないというのは、決して評論家として申し上げたのではなく、閣僚として国会という場で申し上げました。なぜなら、人口減少の中で成長を続けるということは並大抵のことではありません。そして、今ならまた一流に戻れるからです。間に合うから申し上げました。

 今先生がおっしゃったようないろいろな問題を日本は抱えております。そして、まだデフレから完全に脱却したとは言えず、賃金も上昇しておりません。しかし、そのために一時的に政府が需要を供給するのではなくて、私は、やはり本格的に取り組んでいかなきゃいけないと思っています。強みを伸ばすこと、弱みを克服すること、そして世界の成長エネルギーを取り込むこと、この三つの点に包括的に取り組んでいかなくてはならないと思っております。その観点から、今、福田内閣でも成長戦略を策定しまして、実行に移そうとしているところです。

 その一方で、先生がおっしゃったような構造改革を進めるときのひずみというものはもちろんございます。そこに対しては、例えば地方をどう立て直していくのか、あるいは非正規に対して、例えば職業訓練、それから最低賃金、こういうところをどうするのか、ここは十分に敏感に目配りをして政策をつくっていかなきゃいけないと考えております。

亀井(久)委員 額賀大臣も、財政を担当されているわけですから、財政を健全化したいということは当然お考えになっていると思います。

 しかし、国の財政だけよければそれでいいということではなくて、総務大臣おられますけれども、やはり地方財政が非常に苦しいという状況で、私なりにちょっと計算をしてみましたら、この七年余りの間に地方交付税の削減分と国庫補助負担金の削減分、それに公共事業関係費の削減分、これを累計でずっと積み上げてみますと、実に四十七兆円になるんです。四十七兆円のお金が地方に行かなくなっているんですよね。だから、地方が苦しいのは当たり前なんです。

 そういう状況にあるから、道路特定財源の暫定税率だって、今やめられたら大変だ、さらに大きな穴があく、そういう危機感を持つのは当然だと思うんですね。私は、道路特定財源については維持すべきだ、そういう立場に立っております。

 しかし、政党間でも議論をいたしますと、よく、必要な道路、不必要な道路、すぐそういう議論になるんです。大都市の人たちにとっては不必要な道路であっても、地方の人たちにとっては大切な道路ですよね。何か猿やタヌキしか通らない、そんなところへ道路をつくって何だと、これは、私は、地域でしっかりその地域を守り、自然を守っている人たちに対する大変な侮辱だと思いますよ。

 必要な道路、不必要な道路というのは、やはり、総理がどういう国をつくるかという明確なビジョンを打ち出していただいて、そのための国土計画というものがきっちりあって、そこに国民の合意があって、そこで位置づけられた情報通信のネットワークとか、交通のネットワークとか、そういうものは必要なんですよね。それがまだ終わっていないということであれば、これは、それを国の強いリーダーシップで進めていくというのが基本だと思うんです。

 ギリシャ、ローマの時代から、公共投資をやらないで発展をした国なんというのはありませんよね。公共投資というのは、国民の経済を豊かにし、国力を豊かにしていくためにあるわけですから。

 例えば、今、空港、港湾を取り上げてみましても、日本の空港、港湾は全くお粗末な状況ですね、これは冬柴国交大臣の御担当だけれども。結局、戦略的な空港整備、港湾整備が行われていないから、日本は今、アジアにおける物流の拠点国じゃなくなっていますでしょう。みんな東アジアにどんどん移っていってしまう。

 そういう中で、日本の経済が空洞化していく中で外資を呼び込もう呼び込もうと思ったって、無理なんですよ。外資というのは、それを投入したらそれだけのリターンが得られるという経済力がそこにあって初めて入ってくるわけでしょう。ですから、私は、今空港に関連して外資規制の問題なんか出ておりますけれども、基本的に、日本の国力をどうやって大きくしていくか、そこに政策の中心がなくてはいけない、そのように思うわけでございます。

 どういう国をつくるかということに対して、総理、どうお考えですか。

 今、国土政策から見ましても、東京圏、東京、千葉、埼玉、神奈川、一都三県、そこに物もお金も情報もすべて集中しておりますね。人も、二五%以上の人がそこへ集まってしまっている。しかし、全国土面積の中で東京圏というのは四%にもならないんですよ。四%弱のところに四分の一以上の人が集まっている。過疎法の適用を受けている市町村の面積を集めると、国土面積の五四%です。半分以上でしょう。そこにどれだけ人が住んでいるかというと、七%いないんですよ。一割もそういうところにいない。

 だから、均衡ある国づくりというのは、何も全国同じにしちゃえという意味で言っているのではなくて、せっかく広い国土があるんだから、そして、もともとは、そこに人がちゃんと定住して、自然と共生して、独自の伝統文化をそこにつくっていたわけですから、その広い国土をもう一度バランスよく使おうじゃないですか、そのための国土計画というものが必要じゃないですかということを申し上げているわけでございます。

 総理にその点、ちょっとお考えを伺いたいと思います。

福田内閣総理大臣 国土の均衡ある発展という言葉が昔ございました。最近余り言わないんですね。どこにでも同じようにということを私はとりません。とりませんが、程度問題というのはあるんだろうと思いますね。今はそれが、ちょっと偏在が進んでおるという状況だと思います。ほっておけばさらに偏在化は進むだろうと思います。これは、ある程度やむを得ない。効率性とか国際競争とかいったような観点から、どうしてもそういう部分は出てくるだろうと思いますけれども、そういうときだからこそ、国土の均衡ある発展ということは考えていかなければいけないというように思います。

 ですから、私どもも、今回の予算でもお願いいたしておりますけれども、地方に対する配慮ということをいたしました。そして、地方の隅々まで、例えばIT化が進むとかいったような基盤整備も必要だと思いますし、また、拠点づくりということも始めまして、全国で二百なり三百カ所つくろうと思っておりますけれども、これは、そこを中心としていろいろな事業展開がしやすいようなサービスを提供していこうというようなことなんでありますけれども、そういうことで努力してまいりますので、御理解賜りたいと思っております。

亀井(久)委員 最後に、総理に一つメッセージを送りたいと思うんです。

 総理、中東外交にもとから大変御熱心で、湾岸のアラブ首長国連邦の友好議連の会長もお務めで、私もそのお手伝いをしておりますけれども。

 先般、ブッシュさんがドバイへ行きました。そのときに、ドバイのムハンマド首長がウォールストリート・ジャーナルに寄稿しているんです。それを読みますと、どういうことを言っているかというと、我々は欧州や日本やシンガポールのような発展を目指してきた、賢明な資本主義と強い意思の力と前向きのエネルギーがあれば人々の暮らしは確実によくなるということに尽きる、それをドバイは証明をしている、この旅を続けたい、そういうことを言っているんです。それと同時に、需要というものは待っていてできるものじゃない、つくり出すものだ、その需要をつくり出すためには戦略的、重点的な投資が必要だということも言っているわけです。

 ドバイは政治形態も違うし国の形、大きさも違いますから同じようにはいかないと思いますけれども、今、やはり政治のリーダーシップというものが人々に夢を与え、それが国を変えていくんだ、その強いメッセージを総理からもぜひ出していただきたいということを最後に申し上げまして、質問を終わります。

逢沢委員長 これにて亀井君の質疑は終了いたしました。

 次回は、来る十二日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時散会


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