衆議院

メインへスキップ



第9号 平成21年2月5日(木曜日)

会議録本文へ
平成二十一年二月五日(木曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 衛藤征士郎君

   理事 岩永 峯一君 理事 小島 敏男君

   理事 佐田玄一郎君 理事 鈴木 恒夫君

   理事 田野瀬良太郎君 理事 山本  拓君

   理事 枝野 幸男君 理事 菅  直人君

   理事 富田 茂之君

      井上 喜一君    伊藤 公介君

      石田 真敏君    猪口 邦子君

      上野賢一郎君    臼井日出男君

      小野 次郎君    小野寺五典君

      尾身 幸次君    大野 功統君

      鍵田忠兵衛君    亀井善太郎君

      亀岡 偉民君    鴨下 一郎君

      木村 隆秀君    岸田 文雄君

      斉藤斗志二君    清水清一朗君

      下村 博文君    菅原 一秀君

      杉浦 正健君    平  将明君

      中馬 弘毅君    土井  亨君

      土井 真樹君    仲村 正治君

      長島 忠美君    根本  匠君

      野田  毅君    葉梨 康弘君

      萩原 誠司君    原田 憲治君

      深谷 隆司君    福岡 資麿君

      三原 朝彦君   吉田六左エ門君

      若宮 健嗣君    渡辺 博道君

      小川 淳也君    大島  敦君

      逢坂 誠二君    川内 博史君

      菊田真紀子君    後藤  斎君

      田名部匡代君    田村 謙治君

      筒井 信隆君    中川 正春君

      福田 昭夫君    細野 豪志君

      馬淵 澄夫君    前原 誠司君

      松本 大輔君    三谷 光男君

      渡部 恒三君    池坊 保子君

      江田 康幸君    笠井  亮君

      吉井 英勝君    照屋 寛徳君

      鈴木 宗男君

    …………………………………

   内閣総理大臣       麻生 太郎君

   総務大臣

   国務大臣

   (地方分権改革担当)   鳩山 邦夫君

   法務大臣         森  英介君

   外務大臣         中曽根弘文君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       中川 昭一君

   文部科学大臣       塩谷  立君

   厚生労働大臣       舛添 要一君

   農林水産大臣       石破  茂君

   経済産業大臣       二階 俊博君

   国土交通大臣       金子 一義君

   環境大臣         斉藤 鉄夫君

   防衛大臣         浜田 靖一君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     河村 建夫君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (沖縄及び北方対策担当)

   (防災担当)       佐藤  勉君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   与謝野 馨君

   国務大臣

   (規制改革担当)

   (行政改革担当)     甘利  明君

   国務大臣

   (科学技術政策担当)

   (食品安全担当)     野田 聖子君

   国務大臣

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   小渕 優子君

   内閣官房副長官      松本  純君

   外務副大臣        橋本 聖子君

   財務副大臣        竹下  亘君

   文部科学副大臣      松野 博一君

   経済産業副大臣      吉川 貴盛君

   環境副大臣        吉野 正芳君

   内閣府大臣政務官     並木 正芳君

   総務大臣政務官      坂本 哲志君

   総務大臣政務官      中村 博彦君

   法務大臣政務官      早川 忠孝君

   文部科学大臣政務官    浮島とも子君

   厚生労働大臣政務官   戸井田とおる君

   経済産業大臣政務官    谷合 正明君

   国土交通大臣政務官    西銘恒三郎君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    宮崎 礼壹君

   政府参考人

   (内閣官房郵政民営化推進室長)          振角 秀行君

   政府参考人

   (総務省統計局長)    川崎  茂君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    大野恒太郎君

   政府参考人

   (財務省主計局長)    丹呉 泰健君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房長) 大谷 泰夫君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            太田 俊明君

   政府参考人

   (社会保険庁長官)    坂野 泰治君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            細野 哲弘君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      西山 英彦君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    長谷川榮一君

   参考人

   (日本郵政株式会社取締役兼代表執行役社長)    西川 善文君

   参考人

   (日本郵政株式会社専務執行役)          佐々木英治君

   参考人

   (日本銀行総裁)     白川 方明君

   予算委員会専門員     井上 茂男君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月五日

 辞任         補欠選任

  石田 真敏君     平  将明君

  臼井日出男君     清水清一朗君

  小池百合子君     小野 次郎君

  坂本 剛二君     土井  亨君

  下村 博文君     鴨下 一郎君

  菅原 一秀君     福岡 資麿君

  園田 博之君     土井 真樹君

  深谷 隆司君     原田 憲治君

  逢坂 誠二君     福田 昭夫君

  仙谷 由人君     松本 大輔君

  馬淵 澄夫君     小川 淳也君

  前原 誠司君     三谷 光男君

  笠井  亮君     吉井 英勝君

  阿部 知子君     照屋 寛徳君

  糸川 正晃君     鈴木 宗男君

同日

 辞任         補欠選任

  小野 次郎君     猪口 邦子君

  鴨下 一郎君     下村 博文君

  清水清一朗君     臼井日出男君

  平  将明君     亀井善太郎君

  土井  亨君     萩原 誠司君

  土井 真樹君     若宮 健嗣君

  原田 憲治君     鍵田忠兵衛君

  福岡 資麿君     上野賢一郎君

  小川 淳也君     菊田真紀子君

  福田 昭夫君     逢坂 誠二君

  松本 大輔君     田名部匡代君

  三谷 光男君     前原 誠司君

  吉井 英勝君     笠井  亮君

  照屋 寛徳君     阿部 知子君

  鈴木 宗男君     糸川 正晃君

同日

 辞任         補欠選任

  猪口 邦子君     小池百合子君

  上野賢一郎君     菅原 一秀君

  鍵田忠兵衛君     深谷 隆司君

  亀井善太郎君     石田 真敏君

  萩原 誠司君     長島 忠美君

  若宮 健嗣君     亀岡 偉民君

  菊田真紀子君     田村 謙治君

  田名部匡代君     仙谷 由人君

同日

 辞任         補欠選任

  亀岡 偉民君     園田 博之君

  長島 忠美君     坂本 剛二君

  田村 謙治君     後藤  斎君

同日

 辞任         補欠選任

  後藤  斎君     馬淵 澄夫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十一年度一般会計予算

 平成二十一年度特別会計予算

 平成二十一年度政府関係機関予算


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

衛藤委員長 これより会議を開きます。

 平成二十一年度一般会計予算、平成二十一年度特別会計予算、平成二十一年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、基本的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房郵政民営化推進室長振角秀行君、総務省統計局長川崎茂君、法務省刑事局長大野恒太郎君、財務省主計局長丹呉泰健君、厚生労働省大臣官房長大谷泰夫君、厚生労働省職業安定局長太田俊明君、社会保険庁長官坂野泰治君、経済産業省製造産業局長細野哲弘君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長西山英彦君、中小企業庁長官長谷川榮一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

衛藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

衛藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鴨下一郎君。

鴨下委員 おはようございます。

 きょうは、こういう発言の機会をいただきまして、委員長初め同僚の先生方、本当にありがとうございます。

 きょうはいろいろと環境の問題を中心に話を伺いたいというふうに思っておりますが、まずは総理にお話をいただきたいと思います。

 きのうの夕刊でありますけれども、ある新聞の夕刊のトップに、「GM新車販売四八%減」、こういう話がございました。「ビッグ3不振鮮明」、そして前年同月比三七%減の六十五万六千九百七十六台、こういうようなことで、第二次石油危機後に経済が低迷していた一九八一年十二月以降二十七年ぶりの低水準になっている、こういうような話でございます。私たちは、若いころといいますか、総理も多分そうだったと思いますが、アメリカにおいでになっているときに、あのビッグスリーの、でかい、いわば我々にとってみれば外車、こういうようなものがさん然と輝いていた、そういう時代でありましたけれども、それからもはや今このビッグスリーのこういうような凋落傾向、目を覆うばかりであります。

 ただ、我々は、そういうような世界不況の中で、これから、この不況を乗り切って、そして新たな新境地を我々日本が真っ先に築くんだ、こういうような趣旨のことを総理もおっしゃっているわけでありますが、まさに我々は今こうして歴史的なターニングポイントの中にいるんだろう、こういうふうに思っております。

 そういう中で、トンネルを抜けて不況の先に我々が目指す世界というのは、今のような、かつてのビッグスリーが栄えたような時代ではないんじゃないか、こういうふうに私は思っているわけでありまして、そういう中では、例えば、サミットが開かれますと、そのサミットの周辺でいわゆるアンチグローバリズムのようなもののデモ隊が会議場を取り囲んだり、こういうようなこともここ最近間々あるわけでありますし、加えまして、例えば、このビッグスリーに象徴されるような、いわゆる規格大量生産型の工業経済、こういうようなものもある意味で変容していくんじゃないか、こういうふうに思っているわけであります。

 さらには、きょうの私の主要テーマであります化石燃料に頼って繁栄してきたこの世界の経済、こういうようなものも変わりつつあるかな、こういうふうに思っているわけでありまして、さまざまな意味で、これからの目指す我々の経済社会あるいはライフスタイル、こういうものは、微妙にといいますか、全く違った形の世界が現出されるんだろう、こういうふうに思っているわけであります。

 そういう意味で、ぜひ総理に、今我々は大変つらい不況の中にこれから突入しようとしておりますが、その先に目指すべき世界というのを国民の皆さんにイメージできるように、総理の歴史認識あるいはその後の世界、こういうようなところについて、お考えがあればお示しをいただきたいと思います。

麻生内閣総理大臣 ビッグスリーという言葉がアメリカで余り使われなくて、今は、最近デトロイト・スリーという言葉に変わるほど、やはり物すごく大きな変化が起きていることは確かだと思っております。

 自動車産業というのはすそ野が非常に広いものですから、それによって、雇用、また下請を含めまして、経済に与える影響も極めて大きい。その象徴的な産業がだめになっていく。かつて繊維がだめになり鉄がだめになり、いろいろな形で今自動車産業がというのは、これは、アメリカという、世界にとっての最大輸入国、マーケットが失われるというのは、輸出する側にとりましても非常に大きな打撃を与えて、結果として、金融危機に端を発しましたけれども、実物経済にも世界じゅうに影響を与えている一番大きな理由の一つに多分この自動車が挙げられる、私もそう思っております。

 御存じのように、大型車というものから、燃費の極めていいものとなりますと小型車、小型車になりますと、つくっております自動車生産側にとりましては利幅が薄いことになりますので、その意味ではなかなか、これが戻ったにしても内容は大きく変わるであろう、私も、その予測に対しまして鴨下先生と同じ意見を持っております。

 ただ、その後どういう社会になっているかということを考えましたときには、これは、まだ今不況に突入している真っ最中で、いかにここから脱出するかに先に頭が行っておりますので、その後の世界は、新しいパラダイム、新しい枠組みとしてはこういった枠組みになっているというのを今の段階で申し上げるのはちょっと時期尚早ではないかと思っておりますが、少なくとも、自動車というものが化石燃料から、多分電気とか蓄電池とか、スーパーコンダクティビティー、超電導とか、いろいろなものに変わっているという確率は極めて高い。

 その低炭素と言われるものの電気をつくりますもとが、また石油とか石炭から原子力に変わっていたり、風力とかいろいろ言われますが、新しいものに変わっている可能性がある。もっと先には核融合というのも出てくるでしょうけれども、そういったところに行くまでの段階としても、いろいろなものは変わっているだろうなと思っております。

 いずれにしても、そういったものはできていくんですが、今の話は、すべからくそういったものが成長を制約するものであるという説が多いように思いますけれども、こういったものを開発するのに成功すれば、これは新たな飛躍になるのであって、私どもは、少なくとも日本というのは、こういう技術革新というものに関しては、アメリカと並んで新しい技術を開発し得る可能性は極めて高い国だと思いますので、ぜひ、その意味では、我々としてはきちんとそういったものに対応していくということだと思っております。

 目先、保護主義などに陥ることなく、少なくとも、貿易というものがさらに一層充実したものになって、世界のグローバライゼーションというものに対して妙にブロック化されることなく、地域経済からさらに世界貿易というものの体制、今よくドーハ・ラウンドと言われますが、そういったものをきちんと維持しつつ、我々としては今の不況をいかに脱出していくかというのが目先、最大の主眼を置くべきところかなと思っております。

鴨下委員 私も今総理がお話しになったこととほぼその考えを共有するわけでありますが、そういう中で、例えば総理がおっしゃったように、グローバリズムのアンチテーゼとして地域主義、保護主義、こういうようなものになっていくというようなことは我々は避けなければいけないわけであります。加えて、アメリカの車というのは六千cc、V8とかといって、もうボンネットだけでも生活できるくらいでかい車だったわけでありますけれども、そういう車がこれから小さい車になっていく、そういうときに、これから日本がどういうふうな態度でどこに集中的に資本を投下して、そして成長産業を育てていくか、こういうようなことをこのつらい不況の中で、言ってみれば逆張りというんですかね、そういう意味で、苦しいときこそ成長分野に思い切り投資していく、こういうようなことが重要なんだろうというふうに思っておりまして、ぜひそういう観点からきょうは話をさせていただきたいというふうに思います。

 そこで、きょうは、その一つとして、先ほど、化石燃料に頼らない社会をつくるんだ、こういうような話がありましたが、それは一言で言うと低炭素社会というふうに私たちは理解しています。低炭素社会というのは、石油、石炭のいわば炭素をエネルギーとして、あるいは炭素は最終的には二酸化炭素として排出していますが、その量をできるだけ減らしていこう、こういうような経済あるいはライフスタイルというものをつくっていかなければいけないんだろう、こういうようなことであります。

 ただ、今我々は人為的な排出量として年間七十二億炭素トン、炭素を世界に、空気中に放出しているわけでありますけれども、それを自然の吸収、例えば森林とか海の海藻類、こういうものが吸収してくれるのが三十一億炭素トンです。ですから、吸収の約倍の量を空気中に放出しているというようなことで、このままこれを続けていくとさまざまな気候変動が起こってくる、こういうような話が、昨年IPCCというところがノーベル賞をとったときの科学的な知見であります。

 ですから、必然的に、我々は何としてもこの低炭素社会を形成していかなければいけないというのは、これは科学的にも事実でありますし、加えて、石油、石炭のいわば資源の量あるいはこれからの世界経済、こういうようなことを考えると、私はこういう方向にもう行かざるを得ないんだろうというふうに思っております。

 そこで、きょうは、多分閣僚の皆さんもそれぞれ、低酸素は聞いたことがあるけれども低炭素はイメージが余りよくわからない、こういうような方もおいでかもわかりませんから、環境大臣と少しやりとりをしたいと思います。

 そこで、環境大臣にお話を伺いたいと思いますが、まず、この低炭素社会の中で社会はどういうふうに変わるのか。

 今総理は、この不況の後には、多分、自動車だって大型自動車から環境志向型の小型自動車に変わるだろうと。あらゆることが変わるんだろうと思います。そういう中で、低炭素社会に変わっていくというのは、経済あるいは国民生活、あらゆる点でさまざま変わるわけでありますけれども、まず、全体的に私たちの身の回りがどういうふうに変わっていくかということについて、一つ一つ伺いたいと思います。

 まず、例えば工業、経済、こういうような点でどういうふうに変わるかということについて、環境大臣からお話をいただきたいと思います。

斉藤国務大臣 低炭素社会でございますけれども、その中で産業や工業はどのように変わるのかということですが、まず、環境問題への取り組みが評価軸になるような、その会社を評価するような社会、それから、環境保全に熱心な企業への投資、環境保全に配慮した製品そしてサービスの消費が進んでくる、こういう会社が評価をされる社会、それから、寿命の長い、リサイクルが可能な製品をつくる、そういう製品が売れ、またそういう企業が評価される社会だと思います。

 また、その産業社会を支えるエネルギーですけれども、一言で言うと、太陽、水素社会。太陽光、またエネルギーの基本を化石燃料ではなく水素に置く、このような社会があるべき低炭素社会の工業、エネルギーの姿ではないかと思います。

鴨下委員 そういう経済の回り方が始まるんだろうと私も思っておりますけれども、そういう中で、まちづくりだとか交通インフラ、こういうようなことも多分変わってくるんだろうと思います。

 今まで我々は、自動車に乗って郊外の大きなショッピングモールに行って、一週間分の買い物をして大型冷蔵庫に入れて、そして働く、こういうようなことがかつてでいえばアメリカの標準であったし、我々もそういうものを望んで実現してきたわけでありますが、私は、斉藤大臣の前に環境大臣を務めさせていただいたときに、歩いて暮らせるまちづくりをするべきだと言ってまいりました。

 これは、高齢社会に対しての対応でもあるけれども、低炭素社会あるいは環境負荷の少ないまちづくり、こういうような意味でも重要だろうというふうに思っておりまして、このまちづくりだとかそれから住まい方、低炭素社会というのはどういうようなライフスタイルになるのか、こういうようなことについても大臣からお話をいただきたいと思います。

斉藤国務大臣 低炭素社会は、まさに暮らし方そのものが現在と大きく変わる、根幹的に変わる社会だと思っております。

 まちづくり、交通分野という意味では、先ほど鴨下委員おっしゃった、歩いて暮らせるコンパクトシティーというものが基本になると思います。そのほか、LRTなどの公共交通機関が整備された社会、それから自転車等。しかし、山間部では、地方ではなかなかコンパクトシティーということにならないかもしれません、分散しているかもしれません。そういう地域ではカーシェアリングなどが行われている、そんな社会を想像しております。

鴨下委員 引き続いて、衣食住でいうと食の話をさせていただきたいと思いますが、これは、石破大臣もいらっしゃるけれども、あえて環境大臣に聞きます。

 食生活の中で、私たちは外国からおいしいものを取り寄せて、それから、それぞれしゅんのもの以外のところに、例えば冬でもイチゴが食べたいといえばイチゴはあるし、夏でも冬の食べ物も自由になるし、こういうようなことで、今は自由自在に食生活を謳歌しているわけだけれども、これから少しずつ環境に対しての意識を考え始めると、例えばしゅんのものをしゅんに食べるとか、地産のものを地消するとか、こういうようなことが大変重要なことだろうというふうに思っていますが、これについては、環境大臣、どういうふうにお考えになっていますか。

斉藤国務大臣 石破大臣をおいて私が答えさせていただいて大変恐縮でございますが、一言で言うと、フードマイレージが国民の皆さんの意識に浸透した社会だと思います。

 食べ物をつくって消費地まで運ぶ、それまでにどれだけ二酸化炭素を出したのか、そういうものがはっきりわかる、これをフードマイレージと呼んでおりますけれども、それによって、消費者が二酸化炭素の排出量の少ない食品を選んでいただける、そういう社会になると思っております。

 そのためには、先ほど鴨下委員おっしゃった、露地でできたもの、つまり、おてんとうさまでつくった農産物が主流になる、そしてできるだけ近いところで消費するということが重要ではないでしょうか。

鴨下委員 石破大臣の顔を見ていたら、ちょっと石破大臣にも一言言ってもらいたくなったので。

 フードマイレージという概念は、外から、例えばオーストラリアのアスパラガスを買って、そうすると、アスパラガスが飛行機に乗ってくるわけですから、その分だけCO2を出しているということにもなります。それから、イチゴを冬に食べるということは、温室の中で、場合によるとボイラーをたくというようなことでCO2を出しているということにもつながる部分もあります。

 ただ、やはり我々はおいしいものを、クリスマスにショートケーキの上にイチゴが載っていないとちょっと寂しいわけでありますから、それはほどほどではあってもいいと思いますが、ただ、そういうフードマイレージという概念、それから食料自給率という概念から、農水大臣として、それは考えとしては賛同するよということを、もしお答えいただければ、ちょっと一言。

石破国務大臣 例えばパン一斤、国産の小麦で焼くパン一斤と、アメリカ産の小麦で焼くパン一斤を比べてみたときに、燃料をどれぐらい節約できますかねということを考えると、国産でパン一斤焼いた方が、アメリカのものよりも普通のおうちの冷房一週間分ぐらいのエネルギーが節約できる、私の記憶に間違いがなければですが、たしかそんなお話を聞いたことがございます。もちろん、国産小麦の方がコストが高いということは一たん横に置いての話ですが。ですから、農水省として、小麦であるとかあるいは大豆であるとか、自給率の低いものを上げていかなきゃいかぬというのは、委員おっしゃるフードマイレージの考え方に関連したものでもございます。

 これから先、これをどうやっていくか。これも聞いた話で恐縮ですが、例えば韓国なんかでは、そういう国産のものを食べた場合にポイントをためて、それで地下鉄に乗れるとか、そういうようなやり方も、試行的ですが、やっておるというお話もあって、やはりそういうことから考えていかなきゃいかぬのだと思います。

 ただ、委員おっしゃいますように、やはりクリスマスのショートケーキにイチゴが載っていないと悲しいねというところがありまして、そうすると、そこをどう考えるかというのは、今度はまた、バイオマスでどうやってエネルギーをつくるかという考え方にも連鎖していくんだろうと思いまして、そういうことを全部あわせて考えていくことが必要ではないか。

 もう一つはバーチャルウオーターの問題もございますので、農水省として、本当にこの地球がサステーナブルにやっていけるために、いろいろなことをまた委員の御教導をいただきながら考えてまいりたいと思っておるところでございます。

鴨下委員 農水大臣、通告していないのに的確な御答弁をいただきまして、感謝をいたします。

 それでは、総理に伺いたいと思いますが、総理は、温暖化対策の費用はコストとしてとらえるべきでなく将来への投資と考えるべき、こういうふうに発言をなさっているわけでありますが、これはまさに基本的に重要な認識だというふうに私も思います。

 改めて、この温暖化対策、こういうようなことに集中的に資本を投下していくということが、これから我々が先に見る社会、こういうようなことをつくっていく上でも重要でありますし、加えて、後ほど少しお話しさせていただきますが、例えば日本の国際競争力という意味において、環境技術だとか、それから新たな産業分野、こういうものを戦略的に考えていく上でも私は重要だと思っております。

 それで、COP13、気候変動枠組み条約の第十三回の締約国会議というのに私も出席しましたが、そのときつくづく思ったのは、世界はもう既に変わってきたなというふうに思ったんです。それは、みんな多少我慢しつつも持続可能な地球をつくっていこう、こういうような方向性というのは、これはトレンドとしてはもう変わらないというふうに確信をしました。

 そういう中で、日本は環境技術についてもある意味でのアドバンテージを持っているわけです、ポテンシャルを持っているわけですから、そういうものを一気に加速する、こういうようなことが総理の決断によってなされることが大変重要だというふうに考えておりますが、この温暖化対策は、費用はコストではなく投資だ、こういうような趣旨でお考えをいただきたいというふうに思います。

麻生内閣総理大臣 今言われましたように、これは間違いなく、短期的には確かに制約になってコストアップになりますけれども、中長期的に見ると、これは新たなビジネスチャンスが生まれるという意味においては、間違いなく好機到来というように考えて、千載一遇とは言いませんけれども、いいチャンスが日本にとっては回ってきたと考えるのが建設的ではないかと思っております。

 そういった意味で、そういったものは、今はある程度量が出ませんとコストが下がってきませんので、ある程度大量に出るために、よく言われております住宅の太陽光発電の話にいたしましても、そういったものに対しては、導入してもらったところには補助しますとかいうのも今回スタートさせていただいております。また、省エネとか新エネとかいうのに新しく工場をつくりかえるというようなところであれば、普通、償却五年とか七年とかいろいろありますけれども、そういったものに限っては初年度一発償却、即時償却、これはえらいいろいろありましたけれども、これを強引に押し切らせていただいております。

 また、電気自動車というのが、まあ、ゴルフ場のカートぐらいしか思いつかないんですけれども、現実問題は物すごいことになって既に進んでおります。そういったものはまだ一台のコストが高いんですけれども、これが大量に出てくることにより随分変わりますので、まずはハイブリッドで入ってきたりしております、そういったものが出てくることによって、これは間違いなくトータルコストが下がりますので、そういったものを含めて、いろいろなものに関しましては、自動車重量税を減税しますというようなことを言っております。

 いずれにしても、低炭素革命とか低炭素社会とか、いろいろな、まだなかなかイメージがわいてこない言葉が今少しずつ出てきていますけれども、こういったようなものを創出することによって新たな市場、新たな雇用というものを生み出せると思っておりますので、こういったものをまとめて大胆な政策をパッケージとして出していく必要が、一般の余りまだ関心のない方に対して、ビジュアル、目に見える形で出てくるようにしていくという努力は今後とも必要だろうと思っております。

鴨下委員 それに関して、環境大臣のイニシアチブで、日本版グリーン・ニューディール、こういうようなものを提案して、政府を挙げてというようなことを環境大臣が旗を振ってくださっているそうでありますが、今総理がおっしゃった認識と多分同じ発想だ、こういうふうに思っておりますので、ぜひそれを推進していただきたい、こういうふうに思います。

 きょうは、幾つか成長分野についての話をさせていただきますが、経済産業大臣に二、三、お伺いをしたいと思います。

 今総理がお話しになったように、自動車については、各国いろいろな自動車をつくっています。日本は、次世代自動車、こういうような意味においていろいろなパターンの自動車を世界に出しつつあるわけでありますが、これもやはりある種の選択と集中が必要なんだろうというふうに思っています。

 ビッグスリーも、オバマ大統領になって、環境志向型の自動車を早く開発しろと言いましたが、残念ながら、私が知る限りでは、彼らは十年も設備投資をしてこなかったので、環境分野の自動車の技術というものがかなり立ちおくれた。これを、我々がただ待っているんじゃなくて、もっと日本は加速をして、これから世界の最もメーンストリームになるような技術というものを、選択と集中、こういうようなことで決断していく必要があるんだろうというふうに思っています。

 今、自動車の種類の中には、電気自動車、あるいはプラグインハイブリッド、新型のプリウスはプラグインになっています。それから、いわゆるハイブリッド、マツダがやっている水素自動車、それから燃料電池車、さらにはクリーンディーゼル、これはヨーロッパが主流であります。それからあとは、CNG、天然ガスを使った自動車、さまざまあります。

 私は全部乗りましたけれども、そして、全部思い切り加速したり走り回ったりして、そしてどれがすぐれているかなというふうなことを感触としてはあります。今の過渡期は、多分プラグインハイブリッドなんかが非常に有効なんだろうというふうに思っていますが、最終的には、これをある程度何らかの形でどこかに集中していくという意味においては、私の結論は電気自動車であります。

 電気自動車が、今、トヨタなんかもリチウム電池だとか何かの新型の次世代の電池を開発して一気に電池の効率をよくしようと、それは充電の時間を短くする、あるいは重量を小さくする、こういうようなプロジェクトが大々的に動き始めたという話を聞いております。そういう趣旨でいいますと、経済産業大臣にお伺いしますが、我々は、日本の世界戦略品としての電気自動車、これに特化するべきだと私は思っているんですが、大臣のお考えをいただきたいと思います。

二階国務大臣 環境大臣としても大変御活躍をいただいた鴨下先生みずから各種の電気自動車にお乗りになっているということでございますが、今総理からもお答えがありましたとおり、電気自動車ということが、私たちこれからの世代でいよいよこれを具体的に対応していかなきゃいけない時代になっておると思います。そこで、我が国としても、電気自動車そのものが自動車産業の中でも最も先導的な役割を果たしていく分野だと思っております。

 そこで、先ほど鴨下委員からも御指摘がありましたが、アメリカ等では大型車が好まれておった時代がずっと続きました。しかし、今は消費者の低燃費車の志向が極めて高くなっておりますから、今、だんだん車も小型化し、性能のいい、しかも電気自動車の開発に注目されておるところであろうと思います。

 そこで、我々経済産業省としても、長距離走行を可能とする蓄電池、高性能な、しかも低価格の技術開発に努力をしておるところであります。鴨下委員御指摘のように、これの投資におきましても集中、特化して対応していく、それを急げ、こういうことであろうと思いますが、我々もそういうところに着目し、今しっかり取り組んでおるところであります。

 そして、いつかも申し上げたことがありますが、私ども経済産業省としては、三年ぐらい前からアメリカのロスアラモス研究所と提携をして、次世代のエネルギーの開発、とりわけ燃料電池、いわゆる蓄電のことに関して今NEDOと一体となって研究をしておるところでありますが、私は、近いうちに行われるであろう日米首脳会議等におきまして、総理から、そうしたことに対して新大統領との間で、さらに研究開発を日米共同によって加速していくということに対して、本腰を入れて対応していける。これは、日本とアメリカとのためだけではなくて、人類全体のためにもなるわけでありますから、そうしたことに総理にぜひリーダーシップを発揮していただきたい、今から期待しているところであります。

鴨下委員 今大臣お話しになったように、私は、電気をエネルギーとして、そしてモーターで走る電気自動車、これがこれから次世代の主流になるというふうに確信をしています。

 それは、いろいろな、例えば次世代自動車の燃料イニシアティブ、こういうようなことで、バッテリーそれから水素、燃料電池、クリーンディーゼル、バイオディーゼルなんかも含めてですが、それからあとはE3とかE10とかETBEとかという、ガソリンに少しアルコールをまぜる、こういうようなこと。こういうようなことの中で何が一番いいのかという話を今しているわけでありますが、そういう中では、私は、バッテリーを使って、そして深夜の電気で充電をして、そのバッテリーを使った自動車で走り回る。

 もう現実に、あるメーカーなんかは、百五十キロ以上の走行距離を実際に走れるような車ができているわけでありますし、それから先ほど言ったプラグインハイブリッドの中には、とりあえず夜中に充電しておけば十四、五キロは町乗りはできる、長距離を走るときにはガソリンに切りかえて走る、こういうようなことになっていて、極めて有効に今技術は進みつつあるわけであります。

 そういう中で、メーカーは、自動車単体の開発は一生懸命やります。ただ、やはり国を挙げてやらないと、例えばガソリンスタンドのかわりに今度は充電する場所だったり、それから逆に言うと、充電じゃなくて、電池をカセット化して車の中にすぽんと入れて、古いのはとんと抜いちゃうというふうに、そういうスタンドがあれば、瞬時に新しい電池を入れかえられる。

 こういうインフラをつくってしまえば、別に、電池は充電するのに一時間も二時間もかかるからなかなか電気自動車が進まないとかという、これは発想を変えて、インフラを変えればやれるわけでありますので、ぜひそういうふうな発想の転換を政府、特に経産省はやっていただきたいなというふうに思います。

 加えて申し上げると、今、深夜の電力で充電するという話ですけれども、深夜の電力というのは大体、そのベース電源は原子力が中心でありますから、CO2をほとんど出さない。そういうような電力を上手に使って、そして自動車に、徹底的にバッテリーに充電をしておいて、そして昼間走り回る、こういうようなことになれば、まさに斉藤大臣がおっしゃっている低炭素社会そのものなわけでありますから、ぜひそういうようなやり方をこれから推進していかないといけないんだろうというふうに思っています。

 加えて、そうなると、例えば、これはいろいろと野党の皆さんの中には議論もあるんですが、原子力を今、足元のエネルギーとして最も重要な一つに位置づける、こういうようなことも経済産業省としても決断をしていく必要があるんだろうというふうに思っています。

 炭素を出さない、そして、夜中の電力で自動車に充電をする、こういうようなことのみならず、原子力で、私は驚いたんですけれども、例えば今、ベトナムだとかアラブ首長国連邦と原子力発電所のプラントというようなものの交渉が進んでいるように聞いておりますけれども、あれは一基で五千億ぐらいの規模のプラントだそうですね。仮にUAEだとか何かで四基つくるというようなことになると、二兆円。そうすると、車だと百万台輸出するのと同じぐらいのマグニチュードがあるわけですよね。

 ですから、戦略商品としてどんどん新しい車をつくって、世界で日本の車を買ってもらうというのはこれからも重要なんですが、それとは別に、例えばそういう安全でしかも精度の高いというような原子力発電のプラント、こういうのも日本が世界に低炭素社会の中で貢献できる一つかな、こういうふうに思っておりますが、経済産業大臣はどういうふうにお考えになりますか。

二階国務大臣 近年、地球温暖化の対応等から、各国で原子力発電の拡大に対する競争が広まっておる、こういうふうに感じておるところでありますが、我が国に対する原子力協力への期待というものも大変高まっております。今お話しの中東の各国の閣僚や大使の皆さんからも、日本の原子力に対する協力についていろいろお話が参っております。

 我が国の原子力産業は、鴨下議員が一番御承知のとおり、大変高い技術力と豊かな経験を持っておること、そして、国際的にこの技術力を展開することによって、まさに世界トップレベルの実力を内外に示すことができるわけであります。

 国としては、我が国原子力産業による国際展開の取り組みを支援するために、政府間協力の枠組みの構築、さらに人材育成や制度整備への支援、公的金融の活用を円滑化するなどを行い、積極的に原子力の推進に力を注いでまいりたいと思っております。

鴨下委員 途上国は、まきを燃やして暖をとる、それから石油、石炭に移行する、さらにその後に原子力だとか何か、こういうふうに、ある意味で発展のプロセスというのがあるわけですけれども、日本が本当に精度の高い安全な原子力発電というようなものを提供することによって、一つか二つ、化石燃料に依存するプロセスをスキップすることができる、こういうようなこともあります。低炭素というのは世界のトレンドになりつつありますので、そういう観点からも、ぜひ、今大臣がおっしゃったような方向でさらに推進していただきたい、こういうふうに思っております。

 それから次に、国際交渉、これから十二月に向けて、COP15が行われるわけでありますけれども、コペンハーゲン、非常に重要な会議であります。そういう中で、我々は今、環境大臣もそれから総理もダボスにおいでになって、多分いろいろと環境の問題についての御議論があったと思いますが、日本の中期目標、こういうようなものを明確にするということはいろいろな意味で重要であります。

 それは、今申し上げてきた、例えば低炭素というような方向性を日本の中の産業、こういうようなところにメッセージとして出すということも重要ですし、加えて、国際交渉の中で、先進国としての日本がみずから努力をするということで、新興国、こういうような国の協力を得ていくという意味でも非常に重要なことでありますので、これは、環境大臣にその中期目標の意味、こういうものについて少しお伺いした後に、外務大臣に一問お伺いします。

 私も昨年国際交渉をやっていて一番苦労したのは、今、中国それからインド、ブラジル、南アフリカ連邦、こういうような新興国が協力をしてくれるかどうかというのは非常に重要で、これがコペンハーゲンのCOP15を成功させるある意味で肝なんですね。ですから、そこのところで外交的なお考え、こういうようなものは極めて重要な部分になってまいりますので、環境大臣そして外務大臣にお考えを伺いたいと思います。

斉藤国務大臣 中期目標についてですが、今回ダボス会議で麻生総理が、日本の中期目標は六月に発表する、決断する、このように表明されたことは非常に大きな反響を呼びました。国内の中でもいろいろな意見がある中、今回、総理がこのような決断をされたことは大変大きなステップだったのではないかと思っております。

 中期目標、一つは、科学界が我々に警告を発しております、地球を救うためにどうしなくてはいけないのか、この科学の要請をまず第一に考えることが必要だと思います。同時に、アメリカ、中国、インドという主要排出国、今の京都議定書には参加しておりません、そういう主要排出国が参加する枠組みをつくることが重要です。

 そういう意味でも、特に中国、インドという発展途上国の参加を促すためにも、先進国が野心的なものを出さなければ、中国、インドは動かない。こういうことも、今回、COP14、また今回のダボス会議を通じて強く感じてきたところでございます。

 もう一点、この野心的な目標ということが、先ほど来鴨下委員からお話しになっておりますエネルギーや自動車での技術革新、その技術革新を生むインセンティブになると思います。そういう意味で、中期目標というのは、これからの日本のあり方にとって非常に重要な目標になる、このように考えております。

中曽根国務大臣 今、環境大臣からもお答えがありましたけれども、地球温暖化問題への対応という意味では、委員もお話ありましたけれども、二酸化炭素の排出量の大変多い米国や中国やインド、こういう国を含むすべての主要経済国が責任ある形で参画をする、そして、公平で実効性ある国際的な枠組みをつくるということが不可欠であるのはもう言うまでもございません。そのためには、これも環境大臣からお話ありましたけれども、米国を含めた世界の先進国全体が率先して削減を約束すべきということはもう言うまでもないことでございます。

 一番大事なところは、委員もお話ありましたけれども、世界全体の排出量の半分を占める途上国、この途上国の削減行動についてもあわせて議論を行っていかなければならないと考えております。それから、我が国といたしましては、昨年のダボス会議で福田総理が提唱されましたクールアース・パートナーシップ、これを途上国に対して、こういう形で支援をしていくということも大事で、現在進行中でございます。

 なお、ことしの末の国連気候変動枠組み条約、いわゆるCOP15におきまして、今申し上げましたような枠組みに合意できるように、今後とも、我が国としては、あらゆる機会を通じて、主要経済国による最大限の努力を促していきたい、そういうふうに思っているところでございます。

鴨下委員 今、環境大臣そして外務大臣からるるお話がありました。

 総理にお伺いをしたいと思います。

 中期目標を掲げるということは、国際交渉の中で日本が存在感を示す、こういうような意味でも非常に重要でありますけれども、私は、先ほどからいろいろと申し上げてきたように、日本のこれからの経済をどういう方向に持っていくんだ、こういうような総理の強いお気持ち、このメッセージがこの中期目標にいわば込められるんだろうというふうに思っております。

 中期目標を掲げるということは、非常に、ある意味で抵抗勢力もあるわけであります。それはもう、足かせ手かせをはめられたら国際競争力を失うという、きょうはあえて言いませんけれども、いろいろなセクターがあります。そういうようなことも乗り越えて、かつての輝いていたビッグスリーがこういう状態になった、同じ轍を踏まない、こういうような意味においても、これからは我々は先行してこういうような方向で行くんだ、こういうような趣旨を込めて、私は、総理に強いリーダーシップのもとに中期目標を掲げていただきたいというふうに思っているわけでありますが、総理にその決意を伺いたいと思います。

麻生内閣総理大臣 この中期目標というのは、例の二〇五〇年までの間の話を主に中期目標と言っておりますが、これは、いろいろ数字を、余り裏づけがきちんとしていない数字で、みんな少しでも高く言った方がいいみたいな、競りみたいな話になるのは極めて無責任なことになりかねないという危惧があります。

 そこで、日本の将来のあるべき姿というものを考えて、少なくとも、これはこういうものをやって低炭素社会をやった場合は、社会生活の中においてこういったことも協力していただきますよとか、少々お金が高くなりますよとか、いろいろなものを含めてきちんとした選択肢を示すべきだと思っておりますので、オープンな場で、少なくとも、環境に限らず経済とかエネルギーとか効率とかいろいろなことを踏まえて、我々としては影響を総合的に考えないかぬということだと思っています。かつ、それが科学的に分析されていないといけませんので、それを全部あわせたものを検討を行っているところであります。

 その上で、裏打ちのない、言葉、宣言だけではなくて、経済面でもきちんとした実行可能なものじゃないと、何となくどんどん低くなって、高く言えばいいというものでもありませんと思っておりますので、地球全体の温暖化対策というものに貢献していく。

 かつ、それに関して日本が宣言なり自分たちの中期目標を出したときに、前回と同じように世界の三〇%の国しか参加しないというのじゃ意味がありません。すべての国が参加できるようなものにしていくというのが大事なところだと思っておりますので、そういった目標を見据えまして、ことし六月までにはということを申し上げております。

鴨下委員 これは、我々は国際交渉の中でのワン・オブ・ゼムではなく、いかに主体的にかかわるか、こういうようなことにもつながるわけでありまして、我が国としてそれなりに野心的な目標を掲げて、国内の合意形成も総理のリーダーシップのもとにまとめていただいて、そして国際交渉の中に打って出る、こういうようなことで、ぜひ総理には頑張っていただきたいというふうに思います。

 少し観点を変えますが、サハリンの天然ガス開発ということについてお伺いをいたしたいと思います。

 資源エネルギー庁の資料によりますと、ロシアのサハリン2プロジェクトによって二〇〇九年から年間五百万トンのLNG、液化天然ガスの供給が開始されるとしますと、このLNGが従来の中東から輸入している原油に置きかわる、こういうことを試算しますと、我が国の二酸化炭素の排出量は年間五百二十万トンの削減になる、こういうような計算があるわけでありまして、これは、例えば京都議定書の基準年の温室効果ガス排出量の約〇・四%の削減に寄与する、こういうようなことでもあります。

 そういう意味で、私はきょうは環境の観点からお話を伺いたいというふうに思っておりますが、日ロ関係について、特にロシアは、極東、東シベリアを開発して、アジア太平洋地域との関係強化に向けて積極的な姿勢を示している。そして、我が国とロシアの経済関係も目覚ましい発展を遂げて、貿易高でもここ五年で五倍、進出する日本企業も多くなってきているわけであります。

 そういう中で、今申し上げたように、サハリン2のプロジェクトで、LNGの施設の稼動式典に総理がメドベージェフ大統領から直接電話で招待を受けた、こういうようなことを報道で伺っているわけであります。私は、このプロジェクトは、日本とロシアの両国の経済というような意味においても重要ですし、加えて、先ほどから申し上げてきている環境、こういうような意味においても重要。それから、いろいろと日本とロシアとの間で懸案になっている両国間の問題、平和条約あるいは北方四島、こういうような問題にも絡んでくる重要な問題だろうというふうに思っておりまして、私は、先方はどういう意図で総理をお迎えしたいという話なのかわかりませんが、ぜひ、虎穴に入らずんばという思いで行っていただきたい、こういうふうに思っているわけでありますけれども、総理はどういうお考えでございましょうか。

麻生内閣総理大臣 おっしゃるとおり、一月の二十四日だったか五日だったか、メドベージェフ大統領の方から電話をいただいて、今の、二月の中ごろというお話をいただいております。例のサハリン2の話に対して、ユジノサハリンスクで例のプロジェクトができ上がるので、その竣工式というんですか、そういったものにというお話をいただいて、今検討いたしております。

 これの一番大きなところは、今、日本で輸入をいたしております数々のLNG、インドネシアが一番大きいんですが、このインドネシアは、数年を経ずして輸出量は今の半分、インドネシアの国内需要を賄うために、インドネシアから日本への輸出は半分に減らされることははっきりしておると思っております。したがって、それにかわる部分としてロシアから入ってくるというので、日本のLNGの年間使用量の約七%ぐらいから八%になるであろうと予想いたしております。

 そういった意味で、いわゆるエネルギーの多角化につながっていくということだと思っておりますが、いずれにしても、ロシアとしては、太平洋の方、いわゆる東の方に向かって出てくるに当たって、これは一つの大きなきっかけになり得ると思いますし、我々にとりましても、これはエネルギーの供給源が多角化するというのは安定化するということにもなるので、私どもとしては、こういったものを一つのきっかけとして、今後とも、今ロシアの間に懸案になっております問題を含めまして話し合ういいチャンスになる、私は基本的にそう思っております。

鴨下委員 極東・東シベリア地域における日露間協力強化に関するイニシアティブ、こういう中に、一番にエネルギーがあって、四番に環境があるわけでありますけれども、こういうような問題について、私は、解決する、こういうようなことで、日ロ間の問題というのはやはり、単純に言うと両方の首脳の腹、こういうようなことで決着する以外にないんだろうなというふうに思っております。そういう意味では、わざわざ大統領が総理にサハリンまで来いという話の中にはいろいろな深い意味があるんだろうと私は勝手に解釈をしておりますので、ぜひ総理、これはどんな困難があっても、国民が喝采するような方向の糸口でも見出していただきたいな、こういうふうにつくづく思うわけであります。

 きょうは環境の話で聞いておりますから、平和条約あるいは北方四島返還、こういうような問題については特に私はお伺いはしておりませんけれども、そういう大きな含みのある訪問になりますように心から願っておりますし、ぜひ国会の厳しい予定の中でおいでいただきたいな、こういうふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 それで、最後に国会改革について一問お伺いをいたします。

 総理は、衆院、参院を統合して国会を一院制の国会にする、こういうようなことについて、検討に値するという旨の御発言をされていらっしゃいますが、改めて、私は、今、日本の経済も含めてですけれども、世界は激動しているわけですから、国の意思決定のスピードアップというような意味においても、日本の国の意思決定プロセスというようなことについてはいろいろと考えるべき時期でもあるかなというふうに思っております。

 このことについて最後に伺って、私の質問を終えたいと思います。

麻生内閣総理大臣 国会改革、この中には議員の定数もありましょうし、いろいろな話がいっぱいあるんだと思いますし、選挙区の話を含めていろいろありますので、これは議員の一番基本にかかわる話ですので、ぜひ国会の中においていろいろ御議論をいただかねばならぬ、そう思っております。

 一院制の話というのはその中の一つだと思いますが、これは憲法に二院制と書いてありますので、憲法改正の話にもつながっていくところであります。今大事なことは、何となく、国会の運営の話はもちろんですけれども、人数の話、選挙区の話、経費の話、歳費の話、いろいろありますので、こういったものは多くの国民の関心の持たれているところでもあろうと思いますので、今、いろいろな意味で大きな改革をやっていかなきゃならぬ中にあって、国会議員もその例外ではないということだと思っております。

衛藤委員長 これにて鴨下一郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、池坊保子君。

池坊委員 公明党の池坊保子でございます。

 麻生総理は学校の先輩でいらっしゃいますので、自公連立の一翼を担っている以上に、いつも心からなる声援を送っております。娘も、わくわくどきどきと応援しているそうでございます。どうぞ、総理には、これからも毅然と堂々と政策をお示しいただきたいと思います。経済政策七十五兆円が国民一人一人にきめ細やかに浸透していくとともに、麻生総理の政策も浸透していくと信じております。

 私、初めて予算委員会の委員になりまして、政治家の品格というのは何だろうかと思いました。多くの国民は、まじめに、誠実に、努力を積み重ねながら日々生きております。政治家はその範でなければならないと思います。本来、政治というのは、今を生きている、そして未来に生きる一人一人の国民がいかに幸せに生きられるか、その命と暮らしを守るために政策を粛々と積み上げていくのが政治家のあるべき姿ではないかと思います。

 昨今、マスコミにも踊らされて、劇場型政治になっておりますことを私は深く憂えております。今、原点に立ち返って、私たちは政治家の矜持と自覚と品格を持つべきではないか。ノーブレスオブリージュ、その言葉こそ、私、自分も込めて、いま一度考える必要があるんじゃないか。予算委員会でも、私もやじを飛ばしますけれども、果てしなくやじが飛んでいる。本当に子供には見せられないという思いを今持っております。

 質問に入らせていただきます。

 私は、総理に、夢と希望の経済対策、指針をお示しいただきたいというふうに思っております。先日の施政方針演説において、麻生総理は、危機が混乱をもたらすのか、それとも新しい時代を開くのか、それは私たちの対応にかかっています、一九二九年の大恐慌の教訓を忘れてはなりません、世界各国は、自国の利益を優先し、保護主義に走りました、それは、世界経済を収縮させ、第二次世界大戦にもつながりましたと述べていられます。私も全く同感です。この経済の非常事態を日本社会の非常事態にしてはならないと思います。

 一九三三年、ルーズベルト大統領は、我々が恐れなくてはならない唯一のものは恐れるということそのものだという有名な一節を残しております。今本当に、夢や希望がなくなっていく、閉塞感に包まれている、それが私は大きな問題なのではないかと思います。

 このニューディール政策にいたしましても、テネシー渓谷の開発だけが有名ですが、そうではない、学校をつくった、人材を確保して、農業を整備して、社会整備をした、そういうプロセスもございます。ただ、これだけでは経済を立て直すことができなくて、フェデラル・ワン、文化芸術振興もやっております。

 ただ、ニューディール政策で必ずしも経済を復興することができなかったという検証もございます。私は、それは、公共工事だけでは、政府の支援だけでは、必ずしも経済の復興はあり得ないということの証明ではないかと思っております。

 参議院の本会議でも、麻生総理は、公助とともに共助が大切だというお話をなさいました。私は、国民一人一人の活力、いかに創意工夫を引き出していくか、それなくして経済の活性化はあり得ないというふうに考えております。

 私が住んでおります京都のお話をちょっと参考までにさせていただきたいんですけれども、一九二九年に、今、京都国際マンガミュージアムになっております龍池小学校をつくりました。一九三一年には、京都芸術センターになっております明倫小学校をつくったんですね。この明倫小学校というのは、当時のお金で五十八万円かかって、このうちの四十二万円は寄附なんです。今のお金でいいますと二十億とか三十億かかっております。デザインもすばらしいし、日本一豪華だったというふうに言われております。

 それからまた、人々が日本に来るようにと、その当時に、観光課をつくった。また、都市風致地区というのも、東山とか北山とかに定めたりしているんです。

 つまり、片方では労働争議が大変だった中にあっても、そういうことをしている。

 今度、京都市は、京都府と商工会議所と一緒になりまして、博覧会をしようと。京都の伝統文化、食のもてなし、あるいは、いろいろな産業を展示しようと。

 つまり、私が申し上げたいのは、一人一人の活力をどのようにこれから政府が引き出し、それを生かしていくのか、そういうことこそが経済の発展に大きく広がると思っておりますので、総理のお考えと、何か対策を伺いたいと存じます。

麻生内閣総理大臣 今おっしゃるように、TVA、テネシーバレーの話も出ましたけれども、あのときは壮大な無駄と言われたものが多分ネバダのダムだったとよく言われます。しかし、そのネバダのダムのおかげで、今日、ネバダ州というのは人口が唯一ふえ続けていると言われているものの一つになりました。したがって、超長期的に見ると、その当時無駄なものが結果として生きたという最たる例として、今よく言われるものの一つになりました。

 いずれにしても、こういったものというのは、物すごく大きな変化が起きておりますので、それに対して、やはり、目先どうするかという話と、それを終わった後どうなるかという話と、いろいろなことを組み合わせて考えねばならぬと思っております。

 そういった中にあって、自助、公助、共助、いろいろございますけれども、共助の部分というのでいきますと、やはり日本というのは、京都を例に引かなくても、いろいろなところで、長い歴史、伝統というのがございますので、そういったものが、今、世界の中では別の意味で評価がされている部分になりつつあるのではないかと思っております。

 クール・ジャパンという言葉、イッツ・クールなんという言葉がやたらはやるようになった。これは、日本人が意識していないところで、外国の人がクール・ジャパンとしてテレビの番組でずっとそれだけやって、多くの日本語のうまい外国人がそれに参加して、いろいろな例を引く。へえ、あれがクールなのか、あれが格好いいのかという意識を我々に与えますけれども。

 そういったものを含めて、可能性というのは、政府とか役人とか政治家がとかいう話ではなくて、むしろ普通にあるものの中にそういうのがいっぱい含まれている、可能性がそこに眠っているというところで、コンテンツとかいろいろなものがよく例に言われますけれども、そのあるコンテンツをきちんとして産業にするというのは確かに仕事なんだと思いますが、そのコンテンツ一つ一つは個人のものなんだと思いますので、ここをまとめて底力という表現を私はさせていただいております。

 いずれにしても、平均寿命も物すごく世界の中で長いわけですし、いろいろな意味で、その寿命が長くなった分だけ、今度はそこに介護の部分とかいろいろなものがもっと新たに出てくる。そこが新しいサービスの産業になり得るとか、いろいろなものが出てくると思いますが、加えて、先ほど鴨下議員からの御質問にもありましたように、やはり今、技術的にこういったようなものがきちんとできる可能性が最も高いのは、これはどう考えても日本とアメリカの持っている、低炭素社会に対して、もしくは環境技術に関しての可能性というのはこれは断然高いと思っておりますので、こういったものをきちんと総合的にやっていくと新たな社会が見えてくるのではないか。

 私は、そういったところは、新しい部分、昔からの部分、いろいろなものを複合的に生み出していくというところが一番大事なところなのではないかと思っております。

池坊委員 総理、ありがとうございます。

 次に、私が尊敬してやまない与謝野経済財政大臣に質問させていただきたいと思います。

 大臣がお書きになった「堂々たる政治」、読んですごく感激いたしまして、すぐお手紙をいたしましたが、多分お読みいただいていないのではないかと思っておりますけれども。

 先ほど申し上げたように、政治家というのは、奇をてらわず、誤りない判断のもとに、世事にこびることなく、毅然と誠実に政策を主張していくべきというふうに考えておりますので、大変すばらしい先輩政治家を持てたことを幸せに思いました。

 いつも、天知る、地知る、人知る、人は時々知ってくれないこともありますけれども、でも、正しいことはいずれは知ってくれるのではないかと私は思っております。

 与謝野大臣は、御本の中で、

 一人ひとりの国民が前を向いて働けるような状況を作り出していかねばならない。

  日本には、社会の信頼や環境・省エネ、先進ハイテクなどたくさんの強みがある。しかも、自らが気づかないうちに、その強みが経済全体の成長力にとってますます重要になってきている。理由は、世界経済の状況変化だ。

 世界人口が一〇〇億近くにまで増加していく今後のポスト工業化時代に稀少財となるのは、環境であり、資源であり、技術である。

 「環境生産性、資源生産性、技術生産性」を高めて成長していく時代へ。まさに、日本の強みが最大限活用できる時代となるのだ。

  その意味では、これまで以上の勤勉さ、創造力が求められる

と述べていられます。日本人の真っ当さ、行儀よさ、きちんとしていることも大きな特性ではないかというふうに述べていらっしゃいます。

 私は、今こそ、この日本のすぐれた物づくり、技術力を伸ばすことがこれからさらに必要となっていくのではないか、この不況下にあってこれから日本がどう生きていくかというときに、やはり私は技術力なのではないかと思いますけれども、その点において、述べていらっしゃるような理念をどのように具体化していらっしゃるかを伺いたいと存じます。

与謝野国務大臣 この十年間ぐらいを振り返ってみますと、日本の生き方というものは随分いろいろな方に議論をされた。また、日本の社会のあり方も議論をされまして、その中の典型的なものの一つは、金融で生きていこうという議論もありましたし、社会のあり方としては市場原理主義という考え方も出てきておりました。その間、我々は、日本が最も大事にしていたセーフティーネット、例えば終身雇用とか年功序列とか、非近代的と非難されながら守ってきたこういう自然のセーフティーネットというものを実は失ったと思っております。

 こういう不況が来てみますと、嘆き悲しみということよりは、やはり日本が持っている特性は何か、これをやはりちゃんと自分たちでわかって、自分たちの特性を生かして世界の中で生きていくということを考えていかなきゃいけないと思っております。

 もとより、日本は小さな国でございますし、資源的には全く恵まれていない、それ自体の制約はあります。世界的に見ますれば、鴨下議員の御質問があったように、やはり地球の環境の問題というのは我々人類がみんなで心配しなきゃいけない。それも我々の経済にとっては制約があるだろう。資源や環境の問題は、日本の経済にとっては制約要因であるけれども、実はよく考えると、資源やエネルギーに関してはすぐれた技術やノウハウを我々は持っている。それを生かしていこう、そういうことでやっていかなければならないと思っております。

 今は、経済危機、金融危機が来ていますから、世界じゅうの国々が経済対策を打っています。複雑そうに見えましても、この経済、どこの国の経済政策も二種類にしか分類できない。一つはクレジットフロー、いわゆる資金の流れをよくするという政策と、もう一つはディマンド、需要を喚起する、この二つの政策が、いろいろな名前で政策として出てくるわけですけれども、大別するとこの二つになってしまうということです。

 我々の政策も、分類すればそういうことになるということになりますけれども、お金を使うんだったら、やはり現在の経済危機にも役に立つ、また、将来の花開く分野も見つけて、そういうところにもお金を使っていくという、ケインズは、今は、有効需要は穴を掘って埋めれば有効需要だと言ったと言われていますけれども、ケインズは、実際に言った言葉は、お金は利口に使え、こう言っているわけですから、我々は利口に使う。または、日本が持っている技術というものを、あるいは日本が持っている特色を生かしてやっていくということが大事なことだと思っております。

池坊委員 丁寧に御答弁いただき、ありがとうございました。

 夢と希望の星である、宝である子供の環境について、斉藤環境大臣に伺いたいと思います。

 今、子供が危ないのです。ここ二、三十年間で、先天的な異常を持って生まれてくる子供、ぜんそくなどのアレルギー症状を訴える子供、肥満や糖尿など成人病になる子供の数が二、三倍に増加しております。また、すぐキレる、授業中座っていられない、他人とコミュニケーションがとれないなど、精神、神経の面で問題を持つ子供も増加しております。

 文部科学省の学校保健統計調査によりますと、これは千葉大学の森千里先生の「へその緒が語る体内汚染」によると、大変おもしろい本でございますが、ここ二十年の間に、ぜんそくにかかっている率は四倍、そして子供の肥満児は一・五倍に、言語障害は四倍に増加しております。また、国際先天異常監視研究機構のデータによると、男の子の尿道下裂はこの三十年で二倍に増加しております。

 これは世界共通の傾向であり、経済、社会、科学が最も発達した現代社会の子供たちが最も不健康な状態だというのも、極めて私は大きな問題ではないかと思います。

 すべてこれは環境に問題があるんです。未来を担う子供たちの健康を守るということは、先を歩んでいる私たちの第一になすべきことではないかと思っておりますけれども、斉藤環境大臣はこうした現状を把握していらっしゃいますでしょうか。また、今の私のデータに対してどのような認識をお持ちであり、そして、それは何が原因であると考えていらっしゃるかをお聞かせいただきたいと思います。

斉藤国務大臣 大変重要な問題を御指摘だと思います。

 環境省においても、近年、子供の異常が急激にふえているということを各種統計データから把握しております。これは我が国の将来を担う子供たちの問題で、大変我が国の将来にとっても深刻な問題ですし、また、子育て中のお母様方、お父様方にとっても、大変憂慮すべき問題だと思っております。

 子供の健康には、住環境、両親からの遺伝、生活習慣などのさまざまな要因が複合的に影響しておりますけれども、中でも、環境中の微量な化学物質が人間の体内に蓄積されて、発育、発達中の子供の体にさまざまな悪影響を与えている可能性が動物実験等から報告をされております。化学物質を初めとする環境要因の解明は大変重要であると考えております。

池坊委員 少子化対策の第一歩は、まず、子供を産みたいなと思う環境をつくる。安心して産める。そしてその後に、妊産婦、これから十四回になりました、それとか、あるいは出産一時金の四十二万円等々があるんだと思います。

 問題が生じると対症療法的に今まで対策をそれぞれ講じてまいりました。そして、その結果が今のような状況になってきていることに思いをはせるときに、私は子供の弱さに着眼した環境政策の枠組みというのが必要なのではないかと思っております。

 アメリカや北欧では、国の事業として、子供の健康と環境に関する全国的な調査を既に開始しているんです。我が国も、もはや手をこまねいている場合ではないと思います。関係省庁が連携協力して、環境と子供の健康の因果関係を明らかにするための疫学調査とか研究を早急にすべきというふうに思っておりますが、いかがでいらっしゃいますか。

斉藤国務大臣 環境ホルモンの影響もこれまで指摘されておりましたけれども、その影響が特に子供に顕著にあらわれているということが近年明らかになったわけでございます。子供は小さな大人ではないということを踏まえて、日本のこれからの環境政策を推し進めていく必要がございます。

 そのために必要となる科学的基盤を固めるため、環境省では、子供の健康と環境に関して数万人規模の大規模な疫学調査を実施する計画でございまして、今年度と来年度、その予備調査を行っているところでございます。また、この予備調査を基礎にして、できるだけ早く大規模な調査を行いたいと思っております。

 また、四月にイタリアで開催されるG8環境大臣会合においても、この問題の重要性を国際的に取り組んでいこうということで訴えてきたいと考えております。

 近年、少子化が進む中で、子供の脆弱性に着目した環境政策を推進することは、安心、安全な子育て環境の実現のためにもますます重要な問題になってくると思われますので、この子供の健康と環境の問題、きょう池坊委員から御指摘を受けましたので、しっかり取り組んでいきたいと思っております。

池坊委員 関係省庁によって連携をとりながらこの研究調査を進め、そして対策を講じてくださるということでございますので、もちろん文部科学省も中心になっていくと思いますし、少子化対策大臣の小渕大臣や、野田大臣にもどうぞお力添えをいただけたらというふうに思っております。

 塩谷大臣に、心の教育ということで、やはり子供のことでちょっと伺いたいと思います。

 二月三日に「「心を育む」ための五つの提案 日本の良さを見直そう!」というのをお出しになりました。私、それを拝見して、いいなと思いながら、当たり前のことなんですね。例えば読み書きそろばん。私は、人間形成の初期は読み書きそろばん、本を読まなかったら思考も浅くなるし、本を読みなさい読みなさい運動を私はいたしておりますけれども、あと、家庭で生活の基本ルールをつくる、先人の生き方や本物の文化、芸術を学ぶとか、校訓を見詰め直す、地域の力で教育を支える。すべていいことですけれども、これは、実際に具体的にやるとなると、なかなか当たり前過ぎてむしろ難しいのではないかというふうに思います。

 今社会に起きておりますさまざまな問題は、自分が信じられない、あるいは未来に夢が持てない、そういうことからいろいろな問題が生じているのだと思います。いじめも起こり、そしていじめによって自殺する子供も出てくる。

 私はフランクルの「夜と霧」という小説が大好きでございまして、その中の一節に、アウシュビッツの収容所から生き延びた人間は、自分を信じ、そして夢と希望を持ってその過酷な収容所の中を生き抜いた人間が生き延びることができたんだと。私、いろいろなことがありますたびにこの言葉を思い起こすんですね。自分を信じないから、夢や希望がないから、子供たちはやはりいろいろな問題を起こしていくんだと思います。

 塩谷大臣、せっかくいい提言をなさいましたので、それについて具体的にどういう政策、どういうことを実施していらっしゃるのか、ちょっと簡単にお願いいたします。

塩谷国務大臣 お答え申し上げます。

 「「心を育む」ための五つの提案」につきましては、教育基本法を改正して、教育三法等の改正、あるいは小中学校の学習指導要領も改訂しまして、ことしからその実行の年ということで、特に新しい日本の教育がことしから始まるんだという意味も含めて、改めて、生きる力、生きる基本をしっかりと御理解いただいて、国民全体で子供たちの教育に協力していただこうという思いで発表したわけでございます。

 特に、生きる力のもと、生きる基本ということについては、基礎学力、体力、さらには道徳、そして職業観というような、やはりもう一度原点に返ってしっかりと学んでいただこうという思いでございまして、そういった思いを五つの提案という形で国民に私なりに呼びかけていこうと思っております。

 今委員おっしゃったように、当たり前なことでありまして、実行にはなかなか難しい。これから具体的にどういう手法でこういった考え方を広めていくかというのは、さまざまな分野あるいは場で私も発言していきたいと思っておりますし、広報もしたいと思っております。またいい御提案があったら、ぜひ御指導いただきたいと思っております。

 子供たちが、今いろいろな厳しい環境の中で、またいろいろな事件が起こる中で、明るく、強く、たくましく、そして日本のよさをもう一度見直して、健全に育っていくことを願ってやっていきたいと思いますので、またよろしく御指導をお願い申し上げます。

池坊委員 最後になりますが、通達いたしておりませんけれども鳩山総務大臣に、これはちょっとお願いも込めて申し上げたいのですけれども、かんぽの宿ですが、白紙に戻すというふうにおっしゃいました。

 昨日、うちの同僚議員、赤羽議員が総務大臣に要望書を持っていったと思います。有馬温泉は御存じでいらっしゃいますか。その有馬温泉の温泉協会は、もしこれを売却するなら、地域の事情を聞いて、そしてから売却をしてほしいという意向でございました。

 私は、かんぽの宿、質問しようかと思って一生懸命調べまして感じましたことは、残念に思いましたのは、日本郵政の社長がもし中小企業の御自分の会社の社長でいらしたならば、もっときめ細やかに一つ一つの売却に心を配られたんじゃないか。一括してということではなくて、もしそれが一つ一つの地域で売れなかったならば、創意と工夫をして、次にまたいろいろな段階を踏んで、売れるようにと心配りをなさったんじゃないか。

 私は、これもノーブレスオブリージュではないか、責任がリーダーにはあるんだなということを強く思いましたけれども、地域地域の方々は、私たちがいつも見なれている建物なんだから、それを大切にしたいと思っていらっしゃる方もたくさんいらっしゃるんですね。そういう声にぜひこたえていただきたいというふうに思いますけれども、いかがでございますか。

鳩山国務大臣 昨日、赤羽先生が一緒に来られて、有馬温泉の旅館とかホテルとか経営しておられる方々あるいは観光協会の方々からのお話を陳情という形で受けまして、かんぽの宿については、ぜひ地元の観光発展という形で使えるように、我々がいろいろ相談をして引き受けていきたい意向だということをおっしゃられまして、私は、一括でバルクセールなんというばかなことをするのではなくて、それぞれ地域に根差したかんぽの宿が生まれ変わっていく形がいいだろうということとぴったり一致いたしておりまして、非常にうれしい思いがいたしましたし、そのような形でこれから進めていきたいと思います。

 なお、有馬温泉のかんぽの宿はもちろん大変立派な建物で、これはたしか黒字ではないかなと思っております。

池坊委員 大臣はきのう、政治家としての正義感と良心とおっしゃいました。私は、リーダーというのは正義感と良心と責任を持つべきであって、そういうのを持てないリーダーはリーダーをやめるべきだというふうに思っております。閣僚の方々にも、この国難、どうぞリーダーシップを発揮してすばらしい政治をしていただけるようエールを送り、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

衛藤委員長 これにて池坊保子君の質疑は終了いたしました。

 次に、川内博史君。

川内委員 総理、おはようございます。よろしくお願いいたします。

 まず最初に、ちょっと質問の御通告を申し上げてはおらないんですが、けさの新聞で、麻生総理が、自民党役員会の席上、定額給付金を自分は受け取らないと明言をされたというふうに報道されております。この件に関して、事実なのかどうか、教えていただきたいと思います。

麻生内閣総理大臣 いつものように誤報だと思いますと言うと皮肉過ぎるからいかがなものかとは思いますが、このようなことをまだ私は役員会で明言をしたことはございません。

川内委員 このようなことも発言していない、もらわないと言ったのではなくて、もらわないだろうみたいなことも発言されていないという趣旨でよろしいでしょうか。

麻生内閣総理大臣 何が問題なのかよくわかりませんけれども、その新聞のような事実はございません。

川内委員 いや、この件を長々とやるつもりはないですよ。私は、総理が受け取らないとおっしゃったのであれば、実に正しい判断であるということを申し上げたかったんです。

 なぜかならば、この前も議論させていただいたように、定額給付金を高額な所得をもらっていらっしゃる方が受け取って使ったとしても、それは景気対策にならないからである、もっと違う税金の使い方がありますよねということを申し上げているからでございまして、そういう意味では、甘利大臣に次いで正しい判断だなということをきょう申し上げたかったんですが、誤報であるというふうにおっしゃられるので、何でこんな各紙が一斉に誤報を流すのかちょっとよくわからないですけれども。これはこれで、また総理が発言をされたときに議論をさせていただこうというふうに思います。

 続いて、かんぽの宿について聞かせていただきたいと思います。

 きょうは、かんぽの宿、それから社会保険庁のコンピューターシステム、それから正社員をふやしていく雇用政策、あるいは中小企業の資金繰り対策、この四つのことについて議論をさせていただきます。

 まず、日本郵政のかんぽの宿等の売却問題でございますが、私は、この問題というのは非常に重大な問題で、国民の皆さんの貴重な財産を特定の企業グループの利益のために不当に安く売却しようとする、国民に対するある意味の背信行為ではないかというふうに思っております。

 鳩山総務大臣も、本件については、問題であるということで白紙に戻すということもおっしゃっていらっしゃるわけでございますが、私たちも全力を挙げて、何でこんなことになるのかということを解明していかなければならないというふうに思っております。

 そこで、まず、お手元の資料を見ていただきたいと思いますが、この問題の出発点というのは、資料一にございます、平成十六年九月十日に閣議決定をされた郵政民営化の基本方針でございます。二ページ目に、「関連施設等」として、アンダーラインを引いてございますけれども、「郵便貯金関連施設事業、簡易保険加入者福祉施設事業に係る施設、その他の関連施設については、分社化後のあり方を検討する。」と書いてございます。この郵政民営化の基本方針では、「分社化後のあり方を検討する。」というふうに書いてある。

 ところが、資料の四ページの日本郵政株式会社法の附則二条というところを見ていただきたいと思いますが、これは平成十七年の四月二十七日に閣議決定をされておりますが、ここで、「会社が承継した郵便貯金法第四条第一項の施設及び簡易生命保険法第百一条第一項の施設の譲渡又は廃止等の業務を行うものとする。」と、五年以内にというふうに書いてあるわけでございます。

 郵政民営化の基本方針では検討すると書いてあり、法案が閣議決定されると、五年以内に廃止、譲渡すると書いてあるわけですが、内閣として、検討すると閣議で決定されて、その後、どのような形で、だれがどの場で検討し、どのような経緯をたどってこの法律案に至ったのかということをまず御説明いただきたいと思います。

鳩山国務大臣 もちろん、当時のいきさつを私が生で、実体験で知っているわけではありません。

 いわゆるかんぽの宿やメルパルクもそうなんですが、こういう施設のあり方については、今、川内委員おっしゃるように、平成十六年九月十日の閣議決定で郵政民営化の基本方針というのが出されて、分社化後の形を検討するということでしょうか、そういう形になっておりまして、それから半年強たったときに、郵政民営化関連法案の閣議決定、これが平成十七年の四月二十七日となっていますね。

 その間は、要するに基本方針が決定されたわけでありますので、当時の郵政民営化担当大臣は竹中大臣であられまして、総理が麻生総務大臣の時代でございますが、郵政民営化の方はすべて竹中大臣がなさいまして、内閣官房郵政民営化準備室というところが検討を行い、法案化の作業を行ったと聞いております。

川内委員 郵政民営化準備室が検討を行った、私は、それはとても納得できる説明ではないと思います。なぜかならば、内閣として検討すると閣議決定をしたものが、どのように検討されたのかということが検証をされないと、民営化準備室で検討されたらしいということだけでは、閣僚として、内閣として十分な説明であるとはとても思えないわけでございます。

 実は、この資料の一枚前をめくっていただくと、三ページに郵政民営化関連法律案の概要、大体、法律案の概要というのをみんな見て、なるほどねというふうに、国会議員は説明されるわけでございますけれども、法案の説明を受けるときに。これにどういうふうに出ているかというと、「郵貯周知宣伝施設及び簡保加入者福祉施設は日本郵政株式会社が暫定的(五年間)に保有」、暫定的に保有と。廃止、譲渡と書けばいいのに、この概要には暫定的に保有と書いて、法案を見ると廃止、譲渡と。

 当時の小泉総理大臣もテレビで、いや、そんな法律なんか見るやつはいないよというようなことを言ったとか言わないとかいう話もありますけれども、大体この概要版を見て、ああそうか、日本郵政が保有するんだねということを思うわけでございます。しかし、法律の附則になぜか廃止、譲渡と書き込まれる。

 これをだれがやったのか、だれの指示でこういうことが起きたのかということはしっかり検証されなければならないわけでございますが、当時のことを鳩山総務大臣は、郵政民営化準備室がやったんだろう、検討されたんだろうということでございます。

 きょうは、郵政民営化準備室長に来ていただいていますので、どういう経緯をたどったのか、どういう文書が残っているのか、なぜこうなったのか、どういう検討をしたのか、ちょっと御説明をいただきたいと思います。

鳩山国務大臣 先ほど申し上げましたように、内閣官房の郵政民営化準備室が検討を行ったわけですが、先ほどお話し申し上げましたように、それは竹中郵政民営化担当大臣の指導というのか指揮というのかわかりませんが、もとでのものでございますから、責任者としては当時の竹中担当大臣ということになります。

川内委員 担当者としては竹中大臣であると。

 私は、「分社化後のあり方を検討する。」と閣議で決定されているものが、郵政民営化準備室の事務の人たちが、これはもう廃止、譲渡だ、五年以内だというふうに、国民の財産をそんな簡単に決められるはずがないと思うんですね。ということは、竹中大臣が郵政民営化準備室に、そういうふうにするぞと命じたということなのかということをまず民営化準備室長に御答弁をいただきたいと思います。

振角政府参考人 お答えいたしたいと思います。

 基本的には、今質問者が言われたように、竹中大臣の指揮のもとで我々は動いておったというふうに当時、私は今その後の推進室長になっておりますけれども、当時の準備室はそういうようなことだというふうに、当時の担当者等から聞いておるところでございます。

川内委員 いや、今、指揮のもとに動いておったというふうにおっしゃられたが、私が聞いたのは、指示があったのかということを聞いているんです。竹中大臣の指示で五年の間に廃止、譲渡するということにしたのだということを聞いているんです。竹中大臣が指示しなきゃそんなことできるわけないでしょう。

振角政府参考人 基本的には指示だと思っております。

川内委員 その竹中大臣が廃止、譲渡を五年以内にするんだということを指示したという文書を私は出してくださいということを前から申し上げているわけですが、それを出していただけますか。

振角政府参考人 当時の部内文書はきちっとしたものは残っておらないかと思いますけれども、そこは当時の担当者等のヒアリング等を踏まえまして、きちっと対応したいとは思います。

川内委員 本委員会の理事会に御提出をいただくように、委員長に求めます。

衛藤委員長 川内君の申し出につきましては、後刻理事会で協議をいたします。

川内委員 なぜかそういうふうになってしまった。日本郵政としては、その法律に基づいて五年以内にこれは売却を義務づけられたわけですから、何とかして売らなきゃいけない。

 一般的には、我々不動産の素人というか、一生のうちに一回家を買うかどうかみたいな素人は、物すごいお金をかけてつくったものは高いんだろう、例えば二百億かけてつくったものは、どんなに安く買っても、バブルが崩壊して安くなったとしても、十億や二十億はするんじゃないかというふうに想像するわけでございますが、そこに最近はやりの減損会計という考え方を持ち込んで、物すごい減価をさせて安い値段にして売却するという手法がとられてきたわけでございます。

 そこで、ちょっとお尋ねいたしますが、これらの簡保の施設、かんぽの宿等、施設、土地の取得、建物の建設価格、今回の対象の七十九施設が簿価で二千四百億円であったということについて、それは一部報道で出ているわけですが、この国会の場で、七十九施設、簿価は二千四百億円でありましたということを確認させていただきたいと思います。

佐々木参考人 ただいまの質問ですが、土地取得費、建設費、合計で二千四百二億円でございます。

川内委員 それで、この七十九施設二千四百億円の簿価は、公社承継時簿価、平成十五年四月に郵政公社が発足したわけですが、そのときの簿価は幾らですか。

佐々木参考人 平成十五年四月一日時点の簿価は、千七百二十六億四千七百万円でございます。

川内委員 その千七百二十六億円が平成十九年十月一日、日本郵政株式会社の発足、このときの承継時簿価は幾らになりますでしょうか。

佐々木参考人 済みません、今手元に十九年の九月三十日時点の簿価を用意しておりまして、これにつきましては百二十九億三千七百万円でございます。

川内委員 五年の間に、総務大臣、千七百二十六億から百二十九億引くと、千六百億ぐらい価値が減じるわけですね。五年間ですよ。これが減損会計らしいんですけれども、それは、私ども素人が聞いても、何でそんなふうになるのか、さっぱりわからぬという計算方法なわけでございます。

 ちょっとここで話題をかえて、実は郵政公社の時代に、私の地元の指宿のかんぽの宿が一万円で売られているわけですね。それは一万円だったら、私も定額給付金もらうつもりはないけれども、もらって買いたいですよ。そうするとGDPに物すごく貢献しますからね。だけれども、なぜか一万円で売られている。

 この指宿のかんぽの宿について、大臣、私はやはり地元のことですから非常に関心があって、これがどうなったのかということについて今調査をしているんですけれども、この一万円が幾らで転売をされたのか、総務大臣、御存じですか。

鳩山国務大臣 実は、私はそのことは知らないんですね。

 指宿といえば、私が都知事選挙で石原慎太郎さんに敗れてうらぶれているときに、あなたと一緒に指宿で随分飲んで食いましたね。懐かしい思い出がある、あの指宿ですよ。そこにいい温泉があるんですわね。それが一万円で売られたという話があって、これが同じレッドスロープであるということはわかるんですが、結局、それがその後どういう転売をされたかということは、私自身が直接知り得る状況にはなかったんです。

川内委員 指宿というのは、私は日本一の温泉場であると思っているし、この指宿のかんぽの宿についても、本当に地元の皆さんも大事に思っているというふうに思うんです。鳩山大臣も今、大事に思っている、思い出があるとおっしゃっていただいたので、思い入れを持って見ていただきたいというふうに思います。

 私、実は指宿市の市長さんに話を伺いました。この指宿市のかんぽの宿の用地について、昨年、NHKの大河ドラマ「篤姫」で、これは指宿の出身ですから、篤姫ロードというのを指宿市としては道路整備事業として整備する計画を三年ぐらい前に立てて、かんぽの宿の用地の一部、三百坪余りを用地買収しなければならなかった。実は、その用地買収の費用が千五百万である。その千五百万円は、実はこのかんぽの宿を一万円で買って転売してもうけたであろう不動産屋さんに行っているわけです。

 郵政公社は、この用地買収で、指宿市から用地買収の話があるということを日本郵政は知っていたでしょう。

佐々木参考人 当時の状況を聞きますと、平成十九年の八月に道路用地が買収されることは承知していなかったと聞いております。

 ただ、日本郵政公社では、先生今御指摘の指宿簡易保険センターを平成十九年三月末で廃止をいたしますので、平成十八年の八月に指宿市に対しまして文書で不動産の購入意思を確認したところ、平成二十年度から二十二年度の間に道路拡幅計画がある旨の回答があったと聞いております。したがいまして、道路用地の具体的な買収の時期というのは把握していなかったということでございます。

川内委員 日本郵政も、やはりもうちょっと考えを改めた方がいいと思いますよ。そういうふうに何か言い逃れを、拡幅計画があるのは知っていたが用地買収の話があるのは知らなかった、そんな話はないわけで、そういう用地買収で資金が入る当てもあるということをわかっていながら、一万円で売却しているわけですね。この一万円の土地は恐らく、鳥取が一万円が六千万ですから、大体似たような値段で売却、転売をされているだろうというふうに思いますよ。

 私は、日本郵政という会社は、法律で五年以内というのが決められているからというのもあるかもしれないですが、ちょっとおかしいんじゃないかなというふうに思うんですね。

 今、指宿に、買いませんかと声をかけたんだ、一回声をかけていると言いわけめいて言っていますが、では、実は減損会計をしていて、現時点でお譲りをするとすれば簿価はめちゃめちゃお買い得ですよ、めちゃめちゃ安いですよというふうに言いましたか。

佐々木参考人 買収につきましては、買収の意向をお聞きしただけでありまして、今先生御指摘のような値段等は示しておりません。

川内委員 そもそも郵政グループは地域に貢献をするということもその会社の設立の大きな目的の一つであったはずで、そういう意味では、自治体に譲るというのであれば、このくらいの安い値段で譲れるんですよ、だから有効に使ってくださいね、みんなに愛される施設にしてくださいねと言うのが、そのぐらいの話をするのは当然じゃないですか、あなた。民間会社みたいに、いや、値段については言いませんでした、それは民民のことですからと。そんな話は、もともと日本郵政あるいは郵政グループの成り立ちからすれば、今の言いわけはとても、はあ、そうですか、そうですねというふうに言うわけにはいかない言いわけなんですよ。

 総務大臣、ちょっと待っていてくださいね、後で御発言いただきますから。

 さらに、また話をもとに戻していきますが、日本郵政の七十九施設の売却を担当された方、執行役という方は、コーポレート・リアルエステート部長というんですかね、CREという役職についていらっしゃって、この所有不動産の売却をされる責任者であるということなわけですが、お手元にお配りをした資料の中に名簿がついておりますけれども、これは日本郵政からいただいた資料でございまして、執行役で印がつけてある方がこのCREの方でございます。

 この方は、実は私も話を聞いたんですが、三井住友銀行の関係者から誘われて日本郵政に入ったというふうに私に教えていただきました。まず、その事実関係について確認をさせてください。

西川参考人 お答え申し上げます。

 伊藤執行役は、申すまでもなく、日本郵政公社出身の社員ではございません。株式会社日本債券信用銀行、現あおぞら銀行に入行後、株式会社ザイマックス等を経まして、二〇〇七年七月に準備企画会社でございます日本郵政株式会社で採用されたものでございます。

 三井住友銀行の関係者と知り合いであったということから、その縁で入っていただいたということを聞いております。

川内委員 三井住友銀行の関係者という中に西川社長も入っていますね。

西川参考人 私は、直接関与いたしておりません。採用することにつきましては、当時私は社長でございましたから、最後、決定した者は私でございます。

川内委員 このザイマックスというのはリクルートから独立をされた方たちで組織されている、前身のザイマックスという会社はやはり不動産開発の会社らしいんですけれども、伊藤さん、執行役は、このザイマックスの経営者の一人でいらっしゃったわけですね。長谷工コーポレーションなどとの合弁会社の役員もされていらっしゃった。平成十九年二月には郵政公社の施設を買う側にいらっしゃった。実際に長谷工コーポレーションとかがバルク買いで、買っている側にいたわけですね。その方が今度は売る側に回ったということでございます。

 それでは、ちょっと聞かせていただきますが、ザイマックスというこの執行役が前いらっしゃった会社、不動産開発の会社は、株主としてオリックスさんが参加をされていらっしゃるのではないかという話を聞いたことがあるんですが、上場企業ではないので確かめようがないので、この場で確かめさせていただきます。株主としてオリックスさんがザイマックスの株主にいらっしゃいますか。

西川参考人 お答えを申し上げます。

 持ち株関係につきましてザイマックスに確認いたしましたところ、ザイマックスにオリックスは六百四十八株、発行済み株式総数は四万三千三百二十株だそうでございますが、そのうち約一・五%に相当する株式を保有しているということでございます。

川内委員 持ち株の比率としては、総務大臣、四万幾らのうち六百幾つだということですが、ザイマックスというのは非上場の会社ですから、その非上場の会社の株を持つということは、要するに、関係があるから持てるわけですね。そこはやはり、持ち株の比率が多いとか少ないとかではなくて、十分に留意すべき事柄であるというふうに思います。

 そういう意味で、今回のこの七十九施設あるいは日本郵政の保有資産の売却については、私は、日本郵政株式会社法の附則、五年以内に廃止または譲渡というのを見直しをしなければならぬと思うんですよ。だって、法律にそれが書いてあれば、とにかく日本郵政としては売らなきゃいけないわけですから、五年以内に。しかし、国民の財産をどう地域に有効に利用していくかという観点においては、まずその附則を外して、しっかり総務大臣なり内閣の指導のもとでその資産が有効に活用できるようにしていくという必要があると思いますが、この売却話をもとに戻すだけではなくて、そもそもの、なぜか竹中大臣の指示で潜り込まされたこの附則、どこでも検討されていなかったこの附則を廃止して、それこそ廃止して、もう一度じっくり資産について検討するよということを総務大臣に御表明いただきたいと思います。

鳩山国務大臣 郵政民営化の光と影ということはいつも申し上げて、郵政民営化委員会も三年ごとの見直しを徹底してやるということでございまして、その場合には、郵政民営化の見直しはどんなところにも、いわば聖域なくやってもいいんですねと、もちろん、国に戻す、郵政省に戻す、郵政事業庁に、公社にということはありませんけれども、いわば聖域なく見直すような方向でいいんですねということは総理からも御了解をいただいて、影の部分があるならば何でもやろう、こう思っておりますが、今、川内委員がおっしゃったところまで、五年以内の譲渡あるいは廃止、これを見直すかどうかというのは、もちろん郵政民営化委員会の意見も聞かなくちゃなりませんし、私が現在そう考えているわけではありません。

 ただ、それよりも、実は先ほどの、あなたと一緒に過ごした指宿の夜を思い出しますが、この指宿の件、一万円でしょう。ところが、もともと取得価格が六億四千八百十万となっていますね。私はそういうのだけは資料はもらいましたけれども。それが、とにかく十八年九月末の簿価、この簿価というのが、帳簿価額というものが非常に危険なんですね、減損処理して、一億八百四十七万となっている。直前の鑑定評価でも、土地が千八百三十万、建物二千六百七十万、合計四千五百万円となっていながら、なぜこれが一万円でたたき売られるのか。私はそこが怖い。

 だから、例えば、よく沖縄の方に言われる、これは、沖縄にメルパルクの用地として地域整備公団から郵政省が五十五億円で買った、これを五十五億円で買ったというのはいいんですが、メルパルクをつくるのをやめた。そのときに、郵政民営化に際して郵便局会社、これは日本郵政じゃなくて郵政局会社が承継するときに、減損処理か何かわからないけれども、承継で簿価を十七・七億円に変えちゃうんです。ひどく低くしちゃうんです。売ればもうかったような、利益が出たような形にうんと下げちゃって、そして二十八億でオリックス・アルファに売っているわけでしょう。

 ですから、私のところに苦情、おかしい、おかしいとさんざん言われるわけで、それがおかしいのかおかしくないのか、私はまだ判断できる立場にないけれども、どうもこの減損処理ということ、これは、私は総理大臣と違って会社経営とかそういうのはわかりませんから、経営とか会計というのは全く不得意ですけれども、減損処理して物すごく低くしておいて、それより上で売れば利益が出るような形にするというのは、ある程度の作為ができることじゃないかと非常に疑っているわけです。

川内委員 私も今総務大臣のおっしゃることに同意いたしますが、ただし、法律の附則に、五年以内に郵便貯金、簡易保険の施設については全部売却せよ、廃止、譲渡せよと書いちゃっているので、日本郵政としてはそれに縛られて動いている。そこをちょっと一たん遮断をして、これは大事な国民のさまざまな資産で、今回は、株式分割という形だったから大臣はとめられたわけですね。これを不動産の形でやるともうだれもチェックできないんですよ。あとは、国が一〇〇%株主だから、株主としての権限を行使して、株主総会を開いて、経営陣は解雇だというふうにするぐらいしかないわけですが、株主総会を開くまでの間に全部それをやられちゃったら、不動産の形で売却する分にはノーチェックですから。そこはやはり、一回、私どもは遮断をする必要がある。

 そこで、指宿の一晩を一緒に過ごした総務大臣との議論でこんなことを申し上げるのは恐縮でございますが、ことしじゅうに私どもが政権をお預かりさせていただくことになりますから、その場合は、法律をすぐ改正して、この国民の資産は、しっかりとゆっくりと、地域に役立つように、さっきの有馬温泉の話もありますし、地域に役立つようにじっくりと資産の使い道を考えていくということをさせていただこうというふうに思います。

 それでは、次の問題に移らせていただきますが、社会保険庁のコンピューターシステムの問題でございます。

 昨日の本委員会で、我が党の長妻議員が舛添大臣に対して、無年金の方々のサンプル調査、三千人をすべきだということを提案いたしましたが、舛添大臣は、人、物、金がない、人、物、金がかかるんだ、そんなこと簡単に言うなというふうにおっしゃられたわけでございます。しかし、私、社会保険庁の予算の中にも十分にそのサンプル調査をすることのできるお金があるのではないかというふうに考えます。

 総理は、自民党政調会長時代にe―Japan構想を与党の立場でおまとめになられて、システムにかかる経費がもっともっと節約できるのではないかという提言を委員長としておまとめになっていらっしゃるお立場で、このシステムについてもお詳しいというふうに思います。

 そこで、きょういろいろ議論をさせていただこうと思いますが、まず、社会保険庁のオンラインシステムの見直しが今行われているというふうに聞いておりますが、この全体像について、金額的なことを、大体幾らぐらいかけて、何年かけてやるんだよということを教えていただきたいと思います。

坂野政府参考人 社会保険オンラインシステムについては、政府全体で取り組んでおりますレガシーシステムの見直しの一環としてシステムの見直しに取り組んでいるところでございます。

 具体的には、被保険者記録等を管理する記録管理及び基礎年金番号管理システムについて、オープン化などによる再構築を行うこととしております。見直しに要する費用としては、現時点では全体で約一千百五十億円を見込んでいるところでございます。

 なお、新システムへの切りかえにより、運用経費が現行システムと比べて年間約三百億円削減される見込みと考えております。

川内委員 一千百五十億円かけて新しいシステムをつくりますよというふうにおっしゃられているわけでございますけれども、今、いわゆるレガシーシステムとおっしゃった古いシステムの残債を返す分まで新しいシステムにかかる費用として言わなければ、これは議論として不十分であろうというふうに思いますが、その部分もきちんと答えてください。

衛藤委員長 坂野君、大きな声で発言してください。

坂野政府参考人 今申し上げました金額は、オープンシステムの構築などにかかる金額でございます。これと別に、いわゆる残債の返済分というのは、約千五百億円見込まれておるところでございます。

川内委員 新しいシステムを構築するのに千百五十億、過去に行ったソフトウエアの開発で、もう使わなくなる分の残債の返済に千五百億、合計二千六百五十億かけて新しいシステムを立ち上げますと。

 この新しいシステム構築に当たって、民間会社からの業務支援というものを受けていらっしゃると思いますが、平成十七年度から今年度まで連続四年間、日本IBM社に発注をされていますね。これは事実確認です。

坂野政府参考人 御指摘のように、日本IBM社に対して、工程管理及び支援業務として、平成十七年度から委託契約を結んでおります。

川内委員 ずっとIBMの一社入札が続いている、その競争性のなさも問題なんですが、それよりも、やはり中身が私はちょっと問題だなというふうに思っておりまして、今回は、アドバイザリー契約というか業務支援契約を結んでいるIBM社との労務単価、一人一人に幾ら払っているのかということをちょっと議論させていただこうと思います。

 お手元の資料の九ページから十四ページまでごらんいただきたいんですけれども、これは厚生労働省からいただいた、社会保険庁からいただいた、平成二十年度、すなわち今年度の予算の資料であります。

 ちょっと時間もないのでわかりやすく申し上げますが、中身を見ていただきますと、私が九ページに丸をつけておりますけれども、一番上の丸、主席研究員という方が百三十時間掛ける二万九百九十円と書いてあります。主任研究員という方が二百六十時間掛ける一万五千九百九十円。あと、次のページの、研究員という方が千三百時間掛ける一万三千二百円。これは、わかりやすく言えば時給でございます。二万九百九十円、一万五千九百円、一万三千二百円。

 これは、いろいろ全部この要求書を計算すると、主席研究員は年間の労務費が約四千万円、主任研究員が労務費が三千二百万円、研究員が二千六百万円というふうに計算されるわけでございますね。恐らく、この永田町、霞が関かいわいで最も高い労務費を必要とする人々であるというふうに言えると思いますが、私のこの解釈でよろしいですか。

坂野政府参考人 委員御指摘のような予算上の積算単価にいたしておるわけでございますが、この単価は、技術支援等に必要な専門的な知識経験を有する民間スタッフの派遣に必要な人件費及びその他の諸経費も含めて評価した単価と作業時間に基づいて積算をしておるわけでございます。

 もとより、私どものこの社会保険オンラインシステムというのは非常に大規模かつ複雑なシステムでございます。その刷新に当たってはかなり高度な専門的な知識を必要とするということは、私どもの庁内の経験あるいは専門知識の不足を補う上で不可欠のことと考えておるわけでございます。

 また……(川内委員「言いわけはいい、後で言っていただきますから」と呼ぶ)はい。

 それで、御指摘の単価でございますけれども、先ほど申し上げた総合的に諸経費も入れた単価でございますけれども、これも他の民間企業等におきます専門性に応じた派遣の費用単価として必ずしも著しく高い水準ではないと私ども考えておりますし、また、先ほど委員御指摘のように、一人の人が計算をすれば年間四千万ということになるわけですが、必ずしも一人の研究員の人件費そのものが四千万ということではなくて、総体として契約上会社に支払う金額、その中で個々に会社の職員に対しては会社が必要な人件費を支払う、そういうことになるわけでございます。その点は御理解をいただきたいと思います。

川内委員 いや、御理解をいただきますと言うが、理解していないからきょうここで質問するわけですからね。言いわけをする場ではないので。

 私が聞いているのは、労務費と言っていますよ、人件費とは言っていませんからね、労務費の見積もりが、なべて計算すると、主席研究員は年間四千万円、主任研究員は三千二百万円、研究員で二千六百万円になりますねということを確認しているわけです。そうなのか違うのかを言ってください。

坂野政府参考人 この単価で年間千九百二十時間で計算をすれば、御指摘のように、最高の分類に属する積算単価でいけば確かに計算上は四千万になる、そういうことではございます。ただ、その内容についてどう評価するかは、ぜひとも十分御理解をいただきたい。

川内委員 この場で私、今まで何回か社会保険庁の方々と話をして、この主席研究員が社会保険庁に六人常駐しています、主任研究員は二十二名常駐しています、同じ人です、二十六人は研究員として常駐していますと確認してからこの場に臨んでいるわけですから、余りこの場で言いわけされてもちょっと意味のない議論になっちゃうんですよ。ここで私も説教する必要はないので、ちょっと次に行きます。

 それでは、これらの労務費をかけている契約が、果たして国の予算のあり方として適正なものなのか、適切なものなのかということになるわけですね。

 まず、厚生労働省官房長は、CIOという厚生労働省のチーフ・インフォメーション・オフィサー、情報化統括責任者というポストについていらっしゃいますが、この労務費のことについて、四千万、三千二百万、二千六百万ということについて御存じでしたか。

大谷政府参考人 お答え申し上げます。

 情報化統括責任者、いわゆるCIOでありますが、この仕事、情報システムに係る業務全般について総括調整する立場にございます。

 今御指摘の研究費に係る委託費の水準でありますが、計算上は今おっしゃったとおりになるということも承知しております。

 ただ、その積算の単価について……(川内委員「いや、知っていたかと」と呼ぶ)はい、承知しております。

川内委員 舛添大臣は、この労務費について、このような積算をしているということについて御存じでしたか。

舛添国務大臣 予算を立てるときに一通りの説明を受けております。

川内委員 そのときに何も言わなかったんですか。

舛添国務大臣 これは、委員よく御承知のように、私も若干ITはやりますけれども、ITの技術者の評価、時間単価どうだということについて、本当にこれはピンからキリまでいろいろあります。なかなか難しい。それで、いろいろな専門家の意見を聞いても、これは二万円でも安いよ、四万ぐらい取っていいよというような人がいれば、もっとそんなの安くできるはずだというのもあります。

 したがって、これは一般競争入札という形で担保するしかないので、それはきちんとやっております。

川内委員 いや、だから、さっきも言ったように、一般競争入札をとりながらIBMの一社入札が続いている。この労務費についても、全然節約努力は見られていないわけです。

 行政支出総点検会議、平成二十年十二月一日付の指摘事項、この報告書を内閣総理大臣はお受け取りになられ、内閣として受け取っているわけですね。

 この中に、年金特別会計について何と書いてあるかというと、「社会保険オンラインシステムに関する経費は一千億円超の多額に上り、また、特定の企業との随意契約が中心となっている。競争性の確保等により、支出を節減すべきである。」というふうに指摘されていますよ。

 これらを踏まえて平成二十一年度予算については予算案を組まなければならないというふうに私は思いますし、さらに、情報システムに係る政府調達の基本指針というものの中にも、業者の言いなりになっちゃだめだという趣旨が書いてあります。

 二万九百九十円というのは、去年もそうだし、ことしの二十一年度も二万九百九十円で計上しているわけですよ。

 では、二万九百九十円の時給の根拠は何ですか。

坂野政府参考人 先ほどもちょっと申し上げましたが、この単価については、民間のコンサルティング会社等からのヒアリング、あるいは民間会社に委託して実施した調査等の結果に基づきまして、私どもとして設定をしたものでございます。

川内委員 総理、聞きましたか。民間のコンサルティング会社からのヒアリングで決定しましたと。民間のコンサルティング会社というのは、この場合、日本IBMですよ。コンサルしているわけですから、業務支援しているわけですからね。業者さんの言いなりで決めましたと今言ったんですよ。

 それが果たして、財務大臣、財務大臣はこの予算案の説明をされるときに、歳出も歳入も最大限の努力をしたとこの場で御発言されていらっしゃいます。業者の言いなりに時間単価を積算することが最大限の努力なんですか。財務省は、これはどんな査定をしたんですか。

丹呉政府参考人 お答えいたします。

 二十一年度の社会保険オンラインシステムに係る予算の要求は、社会保険庁から千三百五十六億円ございました。私ども、こういったシステムの予算の査定に当たりましては、総務省などを通じまして外部の専門家の意見を伺いまして、その意見を査定に活用しているところでございますが、二十一年度の要求につきましては、外部の専門家の方から、優先順位の低いシステム開発がある、あるいはシステムの中で重複があるといったことで意見をいただきまして、要求から五十九億円を削減して、千二百九十七億円としております。

 それで、御指摘の単価につきましては、社会保険庁の方で民間の意見も聞かれたということで、予算の単価としては要求どおりとしているところでございます。

川内委員 民間の方の意見も聞いたから要求どおりと。民間の言いなりになっているものを財務省として査定して認めたと今言ったんですよ。それを恥ずかしいと思わないんですか。

 総理、二十一年度の予算案は、景気対策と、そして財政規律もしっかり守らなければならない、無駄をきちんと削らなければならないと総理みずからがおっしゃっているし、財務大臣もおっしゃっている。そういう中で、最大限の努力をして組んだ予算なのだと。

 しかし、社会保険庁や今の財務省の主計局長の御答弁は、この単価については、業者さんが言うのでそのようにしましたと。二万九百九十円を千円削るだけで、これは何億円で。要するに、各省に年間恐らく一兆円ぐらいのシステム開発経費がかかっているんですよ。そうすると、時間単価をちょっと削るだけで物すごい政策経費がまた出てくるわけですよ。そういう御努力を私はすべきではないかというふうに思います。

 そこで、せっかく本予算の審議をしているわけですから、この予算委員会に、総務大臣が政府全体の情報化システムについては責任を負っていらっしゃる担当大臣であるというふうに思いますので、平成二十一年度予算案について、システム経費について、ほとんどは労務費ですから、労務費の各省の積算の単価をお調べいただいて、資料として御提出をいただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

鳩山国務大臣 そういうものを用意できるかどうかまだわかりませんが、努力をしてみます。

 それで、川内委員お話しの件は、これは野田大臣が担当かなと思うんですけれども、それは、IT戦略本部という意味では。総務省は、そういう情報システムに関して省庁横断的に責任を持っておりまして、だから、それは、優秀、有能な人材をCIO補佐官として使っている今のやり方が悪いとは言いませんけれども、総理もユビキタスということをおっしゃった方でありますし、電子政府と言われているわけですから、やはり内部で人材を徹底して育てていくという努力をしなくちゃならないということで、その人材の育成のためには、これは行管局の方で努力を精いっぱいしていこう、こう考えております。

川内委員 今、総務大臣、CIO補佐官という言葉をおっしゃられましたけれども、そのCIO補佐官も民間から委託契約で来ている人たちばかりなんです、ほとんどが。

 だから、結局、やはり内部で情報の物すごい専門家を育成していくということは物すごく行政経費の節約につながるというふうに思いますので、まあ、野田大臣はそこでうなずいていらっしゃるので。

 私の持ち時間はもう切れてしまいましたが、きょうは総理に答弁がなくて、これから総理に答弁していただくところがいっぱいあったんですが、あと三分。

 では、まず雇用の問題をちょっと入り口だけいきますが、総理、ハローワークに行かれて、検索画面を実際に自分でお試しになっていらっしゃいましたけれども、あの検索画面を見て何かお感じになられなかったでしょうか。感じたことを。

麻生内閣総理大臣 求人の検索というところに私は行ったんだと思うんですが、求人の検索パネルのところで一番最初に感じたのは、間違いなく私も老眼なしで見えるように大きくしてあったというのはすごく印象に残りました。タッチパネルというのは通じる言葉だと思いますが、タッチパネルになっていましたので、そういう意味では非常に見やすくできているなという感じがしたので、昔に比べて、我々の学生のときに比べて、何となく暗い雰囲気も余りありませんでしたのと、タッチパネルがすごく明るくなっているなというのが最初見た印象です。

川内委員 実は、この資料の一番最後につけてある紙がハローワークの求人検索画面で、下の画面を見ていただくと、求人情報の検索というところをタッチして、そうするとこの二番目が出てくるんですね。フルタイムとパートしかないんですよ。正社員というのがないんですよ。今みんな、正社員で働きたいというふうに望まれる若い人たちが多いわけですが、この検索画面には正社員というパネルがない。(発言する者あり)

 いや、これはめちゃめちゃこだわる必要があることで、なぜかならば、この間、厚生労働省の行政は、私は余りにも経営側に労働行政が偏っていたのではないかと。その一つの証拠として、日本人材派遣協会という派遣会社の業界団体がありますが、この日本人材派遣協会に厚生労働省から国家公務員再就職者がいますかということを最後の質問にさせてください。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 日本人材派遣協会の役員及び職員への厚生労働省からの元職員の人数は二人でございます。(川内委員「内訳も言ってよ」と呼ぶ)役員が一人、職員が一人でございます。

川内委員 では、この後、続きを総理とまたいつかやらせていただきたいと思います。終わります。

衛藤委員長 これにて川内博史君の質疑は終了いたしました。

 次に、大島敦君。

大島(敦)委員 民主党の大島です。

 きょうは雇用の問題について午前と午後一時間質問させていただくんですけれども、その前に、最大の雇用対策というのは景気浮揚だと考えておりまして、今後の景気動向あるいは足元の景気がどうなっているかについて、総理初め各大臣にまず聞いていきたいと考えております。

 私が一番最初に今回の下降局面についてまずいなと思いましたのは、おととしの建築基準法の改正で、多くの建築が半年あるいは一年おくれてしまうタイミングに、これで相当の見込まれる受注が落ちるおそれがあるなということを、まず非常に深刻だなという印象を持ちました。

 もう一つは、おととしの十月、秋口に、宅建業、不動産業の方とお話ししているときに、大島さん、大分銀行の貸し渋りがあるんですよということを言われました。そのときに、日本の、我が国の景気動向については相当厳しい。

 なぜ厳しいかというと、皆さんもお気づきだと思うんですけれども、中小・小規模事業主の皆さんは、内部留保がないまま、ここ十年間走ってきたわけです。御承知のとおり、雇用されているサラリーマンの世帯も二割ぐらいが貯金がないまま走っていますので、ここで景気が後退すると、これまでですと、多分、今から十年前の景気後退期については、まだある程度の余力はあったわけです。中小・小規模企業の皆さんも内部留保がありましたし、あるいはサラリーマンの皆さんも蓄えがあったわけですし、家もありました。したがいまして、半年から一年以上はしのげる状態かなと考えていたんです。今回はしのげないまま景気後退期に入ると予感したものですから、相当厳しいなという思いがしました。

 昨年の一月以降なんですけれども、昨年の一月には、御承知のとおりの、国際的な金融情勢が非常に悪化をして、当時の賀詞交歓会では、ひょっとすると世界恐慌のおそれがあるかもしれないなというお話は経営者の皆さんとさせていただいておりました。

 それで、麻生総理に伺いたいんですけれども、総理がここ三年から五年ぐらい振り返ってみて、景気後退期を実感されたタイミングというのはいつごろかということをお答えいただければと思います。

麻生内閣総理大臣 大島先生の言われたように、私おととしの十月から無役になりましたものですから、それ以後、地方をよく回らせていただく機会が多く、おととしの十月から去年の七月いっぱいぐらいまでの間、百六十一カ所、北は稚内、南は先ほど川内先生と鳩山先生が語り合った指宿まで、百六十一カ所回る機会をいただきました。

 その間で、私が間違いなく景気が悪いなというのを感じたのは、地域によってすごく差があったと記憶しますが、北の方、北海道、青森、北陸、それから四国の南の方、そこらのところを回ったときには、十一月には景気悪いなと思いましたので、私が実感したのはおととしの十月か十一月ぐらいだったと思います。

大島(敦)委員 総理も、おととしの十月の秋口以降が我が国としては景気の後退局面に入ったという、体感値というのか、肌で景気後退を感じたということは、私もそのとおりだと思いまして、まだそのときは一般的な景気後退期かなと、これほどひどくなるとは思いませんでした、おととしの時点では。

 年初の、比較的専門家の皆さんにお話を伺って、国際金融含めて勉強させていただいた結果、相当悪いなという気持ちがしておりまして、今この局面、十二月から一月以降の局面は、相当悪くなっていると思っております。

 地元の私の知り合いの経営者の人に何人かヒアリングをさせていただくと、これは大手ではなくて、一次、二次、三次の下請の皆さんの、物づくり、製造業を中心とする受注量なんですけれども、これが相当落ち込んでおりまして、ある会社は、十月が四百万円、これが十一月になると三十八万円、十二月で十八万円。ある会社は、十一月が五百万だったんですけれども、十二月が二十万、一月が十万円。ほかの会社は、十一月は前月比でプラスマイナスがゼロだったんですけれども、十二月になるとマイナス五〇%、一月になるとマイナス七〇%ということで、相当厳しい落ち込みが今我が国の足元を襲っていると実感をしておりまして、これは緊急的に対策を打っていかないと、二月、三月には、この二十人、三十人、あるいは四人、五人の中小・小規模経営者の皆さんは、ない貯金をはたきながら我慢して、四月になればという気持ちで今多分金策に走っていらっしゃると思うんです。

 この間の景気後退期も、営業をされて、自分の会社の技術力も高められて営業成績を伸ばされた私と同い年ぐらいの若手の経営者の方とお話ししても、大島さん、どんなに営業をしても、今我が国の中で受注がないと言うんですよ。どんなに営業をしても、今我が国の中でもう発注してくれるところがないという悲鳴が聞こえてきているんです。ですから、このことについて、去年までの対策とことし一月以降の対策は相当異なってもいいのかな、あるいは見直す必要があるのかなという気持ちを考えております。

 ちょっとお手元の資料を見てほしいんですけれども、お手元の資料、鉱工業生産、出荷、在庫なんという、私も鉱工業生産の指数というのは余りこれまで見たことがなかった資料なんです、実は。

 ただ、今のこの局面を非常によくあらわしておりまして、ここの出荷と生産というのがあって、これは二〇〇五年を一〇〇としての指数なんです。例えば、出荷と生産は、〇八年あるいは〇七年、〇八年、去年の頭ぐらいには一〇五を超えていた。今、足元の、点線の丸で囲んであるところなんですけれども、一月、二月の予測の生産の指数としては、これは七五前後なわけです。ですから、この一年間で、十月以降のこの局面で、指数としては本当に四〇以上落ち込んでいるというのが今の状態だと思っておりまして、ですから、政府あるいは日銀としても、相当思い切った手だてを今されているのかなと思っております。

 きょうは日銀総裁にもお越しいただいていまして、日銀としてもこれまでになかったさまざまな手だてで今考えていらっしゃるかと思うんですけれども、その点について余り長くなく御説明していただければと思います。

白川参考人 お答えいたします。

 現在、世界経済もそれから日本経済も大変厳しい状況にあるというふうに認識しております。

 日本銀行は、こうした認識のもとに、去年の十二月にCPの買い入れを発表いたしまして、この一月から買い入れを行っております。それから、社債、これは残存期間一年以内の買い入れというものの検討を行っております。それから、今週の火曜日には、金融機関の保有している株式を日本銀行が買い入れるということの再開を発表いたしました。

 これら、中央銀行としては非常に異例の措置ではございますけれども、現在の非常に厳しい経済金融情勢に対応しまして、こうした措置が必要であるというように判断したものでございます。

大島(敦)委員 前回の景気後退の局面でも株式の買い入れということは行っていたかと思うんですけれども、今回CPの買い入れを行ったり、今後社債についても買い入れを行うというのは、日銀としては、中央銀行としてはある一線を越えたという理解もできるかどうかについて、もう一度その点についてお答えいただければと思います。

白川参考人 お答えいたします。

 日本銀行の使命は、これは物価の安定と金融システムの安定でございます。そうした政策目的を実現していく上で何が必要かということを考えての判断でございます。

 一線を越えたかということでございますけれども、一線を越えたということの定義ではございますけれども、日本銀行としては、先ほど申し上げました政策目的の遂行ということと、それから中央銀行の財務の健全性、これは最終的には円に対する信認を確保するベースになるものでございますけれども、その両者のぎりぎりの選択の中でこうした措置をとりました。

    〔委員長退席、鈴木(恒)委員長代理着席〕

大島(敦)委員 やはり今、日銀の総裁からの答弁の前提となっているのは、大企業を中心とする資金繰りが相当厳しくなっていて、今後も厳しくなるおそれが多分にあるということで思い切った政策を実行されていると考えております。

 経済産業大臣に伺いたいんですけれども、今、政府としては、今後一般の企業に対しても出資を行うということを考えていらっしゃると聞いているんですけれども、その点について、どういう理由でこのような政策を考えているのか、そのことについて伺わせてください。

二階国務大臣 今、日銀の総裁からも御答弁がございましたが、かつてない、よく百年に一度という表現がなされますが、かつて経験したことのない状況にあって、特に、中小企業を初め一般の企業の皆さんの大変な金融に対する不安感を持っておられるこの状態において、私どもは、この鉱工業生産指数等、先ほど議員がお述べになりましたような状況等を判断して、我々は何らかの手を打っていかなきゃいけないのではないか。

 世界的な金融危機に対して、金融機関による融資が難しい状況が日に日に大企業の方にも及んできておるという状態の中で、私どもは、産業活力再生特別措置法を改正して、民間金融機関による出資を円滑化する制度を創設したいと考えておるところであります。

 具体的には、金融危機の影響があると認められる間に限り、つまり二十二年三月を想定しております、雇用規模が大きいなどの要件を満たすものに限定して、民間金融機関が行う出資について生じる損失の一部を日本政策金融公庫が補てんする制度を検討しております。

 なお、詳細についてはただいまさらに詰めておるところでありますが、国が企業に直接公的資金を注入するものではなくて、民間の金融機関が行う出資を円滑化する制度にしたいと考えております。

    〔鈴木(恒)委員長代理退席、委員長着席〕

大島(敦)委員 白川日銀総裁、ありがとうございました。もうお帰りいただいて結構でございます。

 今、経済産業大臣がおっしゃったのは、恐らく六月に向けて、三月の資金繰りと六月の資金繰りがあって、六月の資金繰りも相当厳しいのかなという想定に基づいているかと思うんです。民間企業は、銀行からの借り入れにいろいろと条件がついていて、一定の資本規模を保たないと次の融資ができなくなるということで、そのことも踏まえてやむを得ざる措置を今考えていらっしゃるのかなとは推察をしているんですけれども。

 総理、今置かれている日本の経済状況というのは、本当にどこまでこの状況が続くかというのはたびたび答弁されていると思うんですよ。要は、ことしの暮れぐらいには底を打つのか、来年なのか、あるいは再来年なのかという議論がある中で、私としては、相当これは、三、四年は、あるいは五年ぐらいはしのがなければいけないなと思っているんです。社会の底が今抜けようとしていると思っているんです、ことしから来年にかけては。今のこの状態でも、来年の今ごろは、去年は景気がよかったなと感じるような景気の悪さを今後予想してくると思っているんです。社会保険労務士の皆さん、これは中小・小規模企業を見ていらっしゃる皆さんも、いや、中小企業からの離職票が物すごくふえているんですよ、統計資料にはあらわれていないぐらい今雇用が傷んでいるんですよ、大島さんという話が聞こえてくるんです。

 ですから、今の現状認識をしっかり持たないと次の政策が打てないと思っているんです。今の現状認識、要は、企業においてはこれは市場分析ですね。政治においては現状分析なんです。現状認識をしっかりそろえておかないと政策が当たらないと思っているんです。日銀は独自に、自分の御自身の判断で、企業のヒアリングに基づいて、ある一定の線を越えた政策をもう打っているわけですよ。経産省もひょっとしたら打ち始めているのかなとは思うんですけれども。

 今回の予算の中で、なかなか与党の皆さんが説明しても市場とかあるいはマスコミの皆さんが敏感に反応していないのは、ひょっとしたら需給ギャップが相当今開いているのかなと思うんですよ。需給のギャップが相当開いている状態なのかなと思っておりまして、与謝野大臣に伺いたいんですけれども、今の与謝野大臣の現状認識として、この需給ギャップを、自分は体感値としては大体二割から三割は小さくなっているかなと思っているんです。そのぐらいは下がっているのかなと。大臣としては、今の足元の景気感についてどういう御認識をお持ちなのか、伺わせてください。

与謝野国務大臣 先生が言われた中で、まず、いつごろ回復するかという、いろいろな話があるんですけれども、例えばIMFなんかの予想だと来年はプラス成長になるというような話が書いてあるわけですけれども、私は、そんな楽観はできないんじゃないか、楽観しないことを前提にいろいろな政策をやっていかないと失敗をするだろうと思っております。

 一九二九年のときもそうだったんですけれども、先生の御質問にも出てきましたように、一九二九年が懐かしい、みんな、三〇年の人も三一年のときも三二年のときも、むしろ一九二九年が懐かしいと思っていたぐらい危機感がなかった。ですから、ほとんどの国が危機感を持ってやっておりますし、政治も、我々も相当な危機感を持って日本の経済を底抜けしないようにしなければならない。それは、古典的な方法ですけれども、一つは日銀の金融政策を含めたお金の流れを政府もしっかりやっていくという面と、やはり古典的な政策ですけれども、総需要政策をどう考えていくかというのは忘れちゃいけない政策だろうと思っております。

 それで、お尋ねの需給ギャップですけれども、やや古い時期でございますけれども、二〇〇八年の七―九の数字しかまだありませんが、年率換算で五兆円の需給ギャップというのが内閣府の推計でございます。

大島(敦)委員 七―九で五兆円程度ですから、今足元は恐らく、私もわかりませんけれども、その二倍から三倍、多くて五倍ぐらいの需給ギャップはあるかなと。

 二〇〇〇年代になってこれまで起きたことは非常に単純だと僕は思っておりまして、今起きている状態というのは、二〇〇〇年のときの日本の輸出金額は五十二兆円だったわけですよ、二〇〇七年で八十四兆ぐらいですから大体三十兆強輸出が伸びただけの話なんです。

 これは、お手元にある、調査室がつくっていただいた国政関係統計ハンドブックを見ると、これの八十九ページには、実質の実効為替レートというのがあって、実質円安だったわけですよ、二〇〇〇年代は。ただ単に輸出が伸びただけなわけ。この三十兆円が、要は十二月から一月にすべて二〇〇〇年に戻ったと自分は思っているんです。瞬時に戻って今があると思っている。

 ですから、今回のこの景気は回復するのが相当難しいと思っているんです。相当危機感を持って国政に当たっていかないと、これは乗り切れないおそれがあるかなと思っているんです。

 今回、雇用のことについて伺いたいものですから、今回の予算の前提となった完全失業率の数字があるかと思うんです。これは、今回の予算委員会の冒頭に多分配られております、十二月十九日付の閣議了解済みの「平成二十一年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」という中で、ここには完全失業率を平成二十一年度の見通しとして四・七%とうたっているんですけれども、これについては間違いありませんか。

中川国務大臣 御指摘のように、二十一年度の失業率の見通しは四・七、こういうふうになっておりますが、既に直近で四・四まで今はね上がっているわけでございます。

 今与謝野大臣からもお話ありましたように、あるいはまた今先生からもお話ありましたように、我々としても、総理を初め、極めて強い緊張感を持って財政運営、あるいはまた私どもの場合は金融行政、日本銀行は金融政策、金融運営を、同じ認識でございますけれども、大変厳しい緊張感を持ってやっていかなければならない。

 必ずしもこの見通しどおりになるかどうかというのは、今御指摘のように急速な、いただいた資料でも本当に、たしか白川総裁のお言葉をかりると絶壁から落ちるような、こういう下落の角度でございますので、極めて厳しい状況に我々は今いるんだし、これからもその状況がさらに厳しくなるかもしれないという認識で我々も対応していく決意でございます。

大島(敦)委員 厚生労働大臣に伺いたいんですけれども、今回のさまざまな雇用の政策というのは完全失業率四・七%を前提として組み立てられているかどうかについて伺わせてください。

舛添国務大臣 基本的に極めて厳しい経済雇用情勢だという認識のもとに、今委員がおっしゃったように、例えば、緊急の雇用創出基金を過去最大規模の四千億円という形で組んでおりまして、全力を挙げて、今の暗い見通しに対応できる政策を予算の上で計上している次第でございます。

大島(敦)委員 これは午後の質問にと思っていたんですけれども、今厚生労働大臣から、今回四千億の基金を積み立てるというお話がございました。このような政策は過去にとったことはございますか。

舛添国務大臣 過去にもそういうことはやりましたが、これほどの規模のものはやっていないと記憶しております。

大島(敦)委員 役所の方からよく説明を受けられた方がいいと思います。

 私は、二〇〇〇年に当選させていただいて、前回の景気の後退局面で、ずっと労働委員会と厚生労働委員会で雇用について質疑をさせていただいております。前回も、四千億円で基金を積み立てています。それは全額一般会計です。今回は、一千五百億円が一般会計で、二千五百億円は雇用特会からの持ち出しになっています。

 ですから、今回、舛添大臣はこの場でたびたび、これまで戦後最大の雇用対策の四千億円と言っているんだけれども、これは前回と変わらないので、訂正してください。

舛添国務大臣 これは今正確な数字じゃありませんけれども、私が申し上げたのは、その当時の失業率に比較したときの規模で過去最大だということを申し上げたわけで、一般会計でないという今の御説明はそのとおりでございます。

大島(敦)委員 舛添大臣のこれまでの答弁ですと、四千億円はこれまでにないぐらい最大だと。

 中身は私は問いません。本来であれば、私は一般会計が適切だと思います。前回の景気後退局面だと、一般会計から国の意思として四千億円を出しています、平成十三年から十六年の三年間にかけて。今回も同じ額じゃないですか。では、今後これを積み増す予定があるということですか、四・七%よりも超えた場合には。

舛添国務大臣 ですから、今申し上げましたように、その当時の、今委員が引用なさった当時の失業率と比べて今回の失業率から見れば、今回の方が予測は、今後どうなるかはちょっとおきますよ、今策定したときの予測は低いですから、相対的に最大だということを申し上げているんです。

大島(敦)委員 私はよく理解できなくて、これまでの大臣の答弁は、私が受けた印象は、四千億円積み立てたから大丈夫だ、国としてはしっかり雇用対策は打っているから大丈夫だという答弁だと理解していたのです。それが、四・七%だったら大丈夫だという答弁に今変わったと思うんですけれども、それでよろしいですか。

舛添国務大臣 まず、二つ分けて考えないといけないのは、過去最大規模だということを申したことについての正確な答弁は、失業率との比較においてということを申し上げました。

 そして、これは、四千億円だけじゃなくてさまざまな雇用対策をとり、これで対応しようということでありますから、これが今後、経済の実態は予測どおりいくかどうか。我々は、今この予算で全力を挙げて景気の回復ということを国際社会とともにやります。そういう中で、景気がどこまで好転するのか、雇用情勢がどこまで悪くなるのか。その状況に応じて、政治の責任としては、臨機応変に、さらなる手が必要ならば打っていくということであるわけですから、そういう方向で努力をしたいと思っております。

衛藤委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

衛藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。大島敦君。

大島(敦)委員 午前中に引き続き、三十分間質問をさせていただきます。

 先ほどの厚労大臣の雇用の問題に入る前に、中小企業の金融について何点か質問をさせてください。

 先ほど述べましたとおり、今足元の、製造業を中心とする中小企業は、この二月、三月を乗り切るのに本当に精いっぱいな状況なんです。資金繰りがついていません、去年と違って。このままほっておくと、去年、経産省と金融庁さんが対策を打たれて、リスケジューリングあるいは融資の枠等々対策は打っていただいたんですけれども、それだけだと乗り切れない状況だと思っているんです。

 麻生首相に伺いたいんですけれども、今のこの対策を、この二月、三月を乗り切り、そして、今激変が起きていますから、先ほど述べましたとおり、二〇〇二年から二〇〇七年までの六年間の間に輸出が三十兆ふえて、瞬時になくなって、さらに落ちて今日本経済が走っている状態だと私は認識しているんです。ですから、製造業は、これから景気がある程度回復したとしても、中小零細の受注量というのは、これまでの半分ぐらいまでいけばまあいいレベルかなと思っているんです。そのくらい厳しい状況だと。

 ですから、そうすると、この半年間とか一年間、今の急激な変化に対応するために、政府として一つの対策を私はとるべきだと思っているんです。一つには、新しい貸し出しはありがたいんだけれども、もう設備投資するわけではないので必要ないんですよ、返済を猶予してほしい、半年間あるいは一年間返済を猶予してほしいというのが、今の二次、三次の下請の皆さん、あるいは物づくりの皆さんの悲鳴なんです。

 ですから、首相、もう一度、要は、中小・小規模企業に対する金融政策を私は見直した方が、もう一段と踏み込んだ方が。大企業の方は、先ほど日銀の総裁もおっしゃっていました、CPも買うし、社債も買うと。先ほど経産大臣からも御答弁がありました。上場企業あるいは比較的大きな会社については、資本注入じゃないですけれども、公的金融機関がお金を入れていくという話もございました。今、その下の二次、三次の皆さんが非常に大変な状態なんです。その点について、さらに踏み込んだ政策を打つ予定かどうかというところをお聞かせください。

中川国務大臣 総理の御答弁の前に、今、大島委員が御指摘になりました中小企業の返済猶予ということに関しましては、既にいわゆる貸し出し条件の緩和、貸出債権の条件を緩和することができるというものがございます。

 これは、いわゆる債権分類上の貸出条件緩和債権というのは不良債権になるわけでございますけれども、一般的な意味で、計画をきちっと出してそれが認められた場合には、今までは三年以内だったものを五年、場合によっては十年まで延ばすことができるということで、不良債権にならないまま延ばすことができるという意味では、委員御指摘の返済を先延ばしができるという一つの手法として大いに活用していただきたいというふうに思っております。

麻生内閣総理大臣 今、大島先生の言われたところで資金繰りの話というのは、これは基本的には雇用につながります、企業が倒れるイコール失業につながりますので。

 年末までのところが一番問題というのと年度末と二つございます。年末のところを見てみますと、貸し出し状況を見ましても、少なくとも十二月の二十二日を過ぎましてぐらいから、一挙に大台に乗って貸し出しがふえております。そういった意味では、二兆円の大台に乗っておりますが、これが、年を越しますと、数百億、五百億台に落ちている。また今、一月の二十六日からざっと大台に乗ってきて、けたが一つ大きくなってくるというような状態になって、二月に入ってまた落ちる。企業の資金繰りというのがおわかりになっておられるので、まあ、大体そういうことになっているんだと思っております。

 これが、三月、年度末になりますと大きくなってくるということを考えておりますので、私どもは、例の中小の、二階大臣が担当しておられる部分の枠を今度二十兆までふやす、三十兆までふやすと申し上げているのはこの部分であります。

 いずれにしても、これは資金繰りの話で、今言われたように、手形のジャンプみたいな話を含めていろいろ出ておりますが、問題は、それから先の、実物経済、実体経済に属します、仕事が出てくるかどうかというのはそれ以後のまた別の話であります。それまでの間、黒字にもかかわらず資金繰りがつかないからというのをきちんとして対応するというところが、今我々として対応している、緊急的に対応している段階であります。

大島(敦)委員 ただいまの財務大臣からの御答弁というのは、要は去年の対策なんですよ。

 去年の対策の中だと、金利、元本の返済猶予等、その計画をつくれば五年から十年というのは、去年のお話なんです。それは皆さん取り組んでいらっしゃるのは重々承知しておりまして、今緊急的にこの一月、二月、三月で起きていることは、お金はいいんだ、もうお金を貸していただかなくてもいいんだ、ただ返済を猶予してほしいというのが、今の中小・小規模企業の悲痛な叫びなんです。それに対して政治がこたえられるかどうかということが問われているのかなと思うんですよ。

 ですから、その支払いの猶予、さまざまな方法があるかとは思うんですけれども、金融庁を所管する立場からもう一段と踏み込んだ対策が必要かなと思っていまして、その点について、まず二階経済産業大臣から、足元の景気感と対応についてちょっと伺わせてください。

二階国務大臣 ただいま総理から、融資の問題あるいは資金繰りの問題について御説明がございましたが、資金繰りに大変御苦労されております特に中小企業に対して十分なる対応をしてまいらなくてはなりませんが、我々は常に中小企業や小規模企業の皆さんの立場に立って、信用保証協会や日本政策金融公庫に対し、緊急保証やセーフティーネット貸し付けなどを活用して、今先生御指摘の既往債務の借りかえや元本返済の据え置きなどに積極的に取り組むように求めてきておるところであります。

 また、金融庁が検査マニュアルを改定されたことを踏まえて、私からも民間金融機関に対し、既往債務への柔軟な対応を要請しております。これらの点について、商工会や商工会議所を通じ、中小・小規模企業に周知徹底するようにいたしております。

 明日も、実は、私どもの経済産業局、いわゆる出先の責任者を集めまして、現下の中小企業の金融問題に対して、どのような状況になっているかということをつぶさに報告を聴取するようにいたしておりますが、それらを受けて、今後の対策をさらに考えてまいりたいと思っております。

中川国務大臣 先ほど申し上げたのは確かに昨年やったものでございまして、もちろん今でもそれが生きているわけでございます。

 それから、やはり中小企業、率直に申し上げて、我々、年末の資金繰りというものを、中小企業あるいは大企業、先ほど大島委員もおっしゃいましたけれども、大変心配をして、日銀そして我々もあらゆる手を打ったところでございます。

 引き続き、経済の状況そのものがまだまだ悪くなっているという状況でございますので、特に中小企業等の資金繰り等々が大変厳しい状況になる可能性もあるということでございます。

 他方、日銀の政策金利あるいはまたマーケットの金利等も徐々に、一時に比べて下がっているという状況ではございます。

 引き続き、金融庁として何ができるかということを、経済産業省、中小企業庁とよく連携をとりながら、また大島委員初めいろいろな情報をいただきながら、これはやはり金融ですから機敏に対応していく必要があると思いますので、これから、先ほど申し上げたように、さらに緊張感を持ってやるべき対策を、通常であれば倒れなくていいような企業が万が一にも倒れるということがあってはならないわけでございますので、そういうことのないように万全の対策をとっていかなければいけないというふうに思っております。

大島(敦)委員 一月、二月、三月、もうあと二月、三月、二カ月しかありませんから、政治の主導でこの中小企業の金融についてスピーディーに早く行わないと、多分、四月を迎えると思うんですよ。ですから、その危機感については十分持っていただきたいなということをお願いさせていただいて、次のテーマに移りたいと思います。

 先ほどの、お手元にお配りしました私の資料なんですけれども、二ページ目を開いていただきますと、これは「鉱工業生産と雇用者数」というエコノミストの熊谷さんの資料で、要は、一九九四年以降これまでの鉱工業生産、半年の先行の指数と雇用者数というのはほぼ連動しているということなんです。

 いろいろとこれまでこの場で、今後失業者数がどのくらいふえるのかという議論はありましたけれども、明確な政府の見解はないと思うんです。先ほどの四・七%の来年度の失業率というのは出ているんですけれども、明確に今後どうなるかという数値について議論したことはないと思うんです。

 一応、ここの数字を見ると、要は、この鉱工業生産の落ち方見合いでこれまでと同じ雇用者数の推移だとすれば、〇八年の十二月以降の一年間で二百七十万人の雇用の喪失のおそれがあるという数字なんですよ。二百七十万人という数字は、二〇〇二年、一番景気が悪くて、一年間通しての完全失業率が高かったときの雇用保険の加入者数と、去年、直近の雇用保険の加入者数はどれだけふえているかというと、三百万人なんです。ですから、今回の景気がよくなってくる過程の中で三百万人雇用保険に入っていただいた方がいらっしゃるという、その数字で、舛添さん、間違いありませんでしょうか。ちょっと確認させてください。

舛添国務大臣 雇用の拡大局面で、今委員がおっしゃったような形の加入者数がふえてきたということでございます。

大島(敦)委員 そうしますと、二〇〇二年の値まで経済的な指標が瞬時に戻ったとすれば、最悪三百万人、職場、雇用保険の加入者は減るということだってあり得るかなと思うんですよ。今は、完全失業率の一%が多分六十五万人ぐらいだと思うんです。ですから、二%で百三十万人ぐらいの増が多分想定はされるのかな。ですから、ことし、これから、今激しく景気が後退する中で、与謝野大臣に伺いたいんです、四・七%という数字が正しいかどうか。

 今後さらに、これまでの最高値の五・五%を超えて、昨年のアメリカの一月から十二月までの完全失業率は、多分年初が四・九ぐらいだったかな、一番末が七%程度だったと思うんですけれども、結構上がっているわけですよ。我が国の失業率についても、今は足元四・四だとすれば、二ポイント上がれば六・五になって、五・五をことしは超えるおそれが、自分としては、経済の実態を、現場を見ているとあるのかなと思っているんです。

 繰り返し述べますけれども、輸出が三十兆減ったわけですから、仕事が今後あるかというと、なかなか失業した人の仕事が出てくる可能性というのは高くは予想されないなと思うんです、ことしは。来年もそうかもしれない。

 ですから、その点について、与謝野大臣から、その見通しについてもう一度御答弁いただければ助かります。

与謝野国務大臣 四・七という数字は、昨年の十二月に、そのときあった一番いい資料、最善の知識を駆使して出した数字でございますけれども、やはり、経済の動向あるいは鉱工業生産指数の落ち込みというのは前例のない急落の仕方をしておりまして、果たして四・七でとどまるかどうかというのは、先生の御懸念というのは私は当然であろうと思いますし、また、我々が超一流企業と考えていた企業が、世界規模でございますけれども、次々に雇用を減らすという発表をしております。

 我々としては、経済を活性化するためにあらゆることをやりますけれども、仮に失業が出たときに、必要以上な社会的な悲劇にならないようにあらゆる手だてを尽くすということのほかに、やはり、新しい雇用の場を創出して、全体としての失業率が高くならないように、これはことし懸命な努力をしていかなければならないと思っております。

 先生の御指摘になった失業率がもっと高くなるのではないかという御懸念は、多分、大変ごもっともな御懸念である、私はそのように御質問をお伺いしました。

大島(敦)委員 そうしますと、四・七%という数字は、十二月時点での、あるいはその前の十一月、十二月以前のいわば経済情勢をもとにしての数字ですから、今後、今の局面だと、この数字を見直していくということで理解してよろしいわけですね。

与謝野国務大臣 これは、予算編成に伴う経済見通し、それから、いろいろその他の施策を決めるときのある種の前提でございまして、それを見直すことを直接やるということではなくて、やはり、失業率等が増加した場合には当然いろいろな政策を考えていかなければならない。数字そのものは、十二月に予算編成をやるときの数字として使った数字でございます。

大島(敦)委員 厚労大臣に伺いたいんですけれども、先ほどの御答弁の中で、要は、四・七%を前提にして、これまでの最高の大規模な雇用対策を打たれたというお話だと思うんですけれども、そういう理解でよろしいんですか。

舛添国務大臣 ありがとうございました。

 先ほどちょっと不確かな記憶でお答えしましたので、正確なデータをちょっと申し上げさせていただきます。

 平成十三年度補正で三千五百億円、このときは完全失業率が五・二%でございました。今回、二十年度補正で四千億円、完全失業率が四・四%。そういう意味では、絶対額においても単年度の補正では最大になっておりますが、委員が御指摘の十三年度については、翌十四年度の補正で、これは正確には十五年の一月ですけれども、八百億円を計上しております。

 そういう意味で、先ほど申し上げましたように、また与謝野大臣がお答えいたしたように、今後の経済情勢、私も急速なスピードで悪化しているという懸念を持っていますので、その状況に応じて、さらに必要な施策を手を打っていきたいというふうに思っております。

大島(敦)委員 そうしますと、今まで大臣が答弁されていた四千億円、二千五百億円は雇用特会から、一千五百億円は一般財源からの四千億円というのは、四・七%前提であって、この間の対策は補正も含めて四千百八十八億円だと私記憶しているんですけれども、同規模なんだけれども、それは五・二%前提だから、今後、雇用の状況によっては積み増しもあり得るという理解でいいんでしょうか。

舛添国務大臣 委員御承知のように、厚生労働省の予算だけではなくて、例えば、生活防衛などの緊急対策で一・一兆円程度の雇用対策を講じておりますし、それから、地方交付税で五千億円の地方の事業のための枠を行っておりますが、ただ、今委員がおっしゃったように、必要に応じて今後機動的にこれは展開していかないといけないと思っております。

大島(敦)委員 厚生労働大臣も結構厳しいと思うんですよ。厚生労働大臣が持っているポケット、予算というのは、そんなにふえたりはしないんです。

 手短に言うと、一つの予算としては特別会計の雇用特会の中の五兆円しかないと思っているんです。プラス二事業で今一兆円ぐらい。そのうち二千五百億円はき出しましたから、残っているのは七千五百億円。それだけの話。これは、前回の景気後退局面でも同じだったわけです。要は、雇用特会の失業等給付に充てるものについては五兆円弱ぐらい。それで四千億円。残っている、多分、当時は三事業ですけれども、同程度、若干少ないぐらいの金額ということで。

 ですから、雇用対策といった場合には、政府として新たに雇用として何か予算をつけたかというと、確かに総務省さんのところの予算で、一兆円のうち半分は雇用に使いなさいよということなんですけれども、そこは何でもいい予算ですから、地方公共団体の皆さんの手に渡ったときに、本当に雇用に使ってほしいんですけれども、その使い方については基本的には自由だという理解をしておりまして、そんなに対策としては打てないと思っているんです。

 ですから、今、舛添大臣がこれから説明される、これまで説明してきた雇用対策についても、要は、五兆円の配り方の話なんですよ。五兆円をいかに配るか、五兆円の配り方をどう考えたかというのが雇用政策ですから、抜本的に我が国として雇用をどう維持していくのかということについてはなかなか出てきていないなと私は考えているんです。

 それで、前回、菅さんの方から、私たちとしては求職者の支援制度をつくって、新しい法案を今つくろうとしているのは、要は、もう一回バックアップするものが必要だということなんです、我が国にとっては。

 雇用保険の基本手当が過ぎてしまった。前回もそうでした。前回の景気後退局面だと、対象は五十歳代の団塊の世代なんです。前回は、十年前は五十歳代の団塊の世代の皆さんが、アンマッチ、ミスマッチがあって、皆さんリストラをされて、サラリーマンですから、私も先輩を見ていますとかわいそうなんです。経済新聞とか経済雑誌を読んで、そこにはリストラがいいことだと書いてあるわけですよ、他社もやっていると。それで、会社に行って上司から君やめてくれよと言われると何かやめなくちゃいけないみたいな、サラリーマンとしてのせつなさがあって、会社を去られた方が非常に多かったわけです。

 それに対して、まずは基本手当を受給されて、それで切れてしまうから、それに対するバックアップが必要だと考えたんですけれども、たまたま円安傾向に来たものですから、輸出に支えられて雇用が吸収されたというのが前回なわけです。

 今回の状況というのは、前回とは違うと思っているんです。前回は五十歳代の方だったから、一応、五十歳代の方は今は大体定年退職を迎えられて年金生活に入っているわけです。今回対象になっているのは、二十代、三十代、四十代の若い世代の人たちが雇用の場から離れているというのが今の状況なわけですよ。

 今までたびたび述べてきたように、今、職場を失ったとしても、物づくりの会社を含めて吸収するところがないわけです。雇用の受け皿がないんですよ。対策を打ったとしても、出てくるのに半年、一年かかるでしょう。今失業した、派遣労働者の方はすぐにホームレスになってしまうおそれがあるからバックアップをする。これからは正規労働者の皆さんがいろいろと職場が失われる、それで基本手当、失業給付を受けながら、長くても三百三十日ですよ。そこから先が、では生活保護に行くのかということになるわけです。

 そこをどうするか、政治としてそこまで考えて準備しておかないといけないなと。そういう姿勢を示すことが、私たち日本人の国民の皆さんに、あるいは日本に住まわれている皆さんに、安心できるというメッセージになるかと思うんですけれども、その点について厚労大臣の御答弁をお願いします。

舛添国務大臣 大島さんと全く同じ懸念を持っておりますので、例えば雇用調整助成金で、解雇をしないで従業員を訓練させてください、それで、介護、医療の分野で人が足りませんから、このミスマッチ解消で例えば二万六千の雇用をそこに生み出す。

 ただ、これは厚生労働省だけではなくて、片一方ではセーフティーネット、今おっしゃったようなことをきっちりやるとともに、では、いつまでも失業者であっていいのか。一日も早く新しい職を見つけて、その職は、おっしゃるように輸出主導だった、それがなくなった。そうすると、どういう形で内需を拡大していくか。そういうことは、これは経済産業大臣含め担当閣僚とよく相談をして、雇用を創出するということを同時にやりながら、雇用のセーフティーネット、委員から見ればまだまだ不十分だという御指摘ですが、今の段階でできるだけのことはやっておりますので、今後さらに強力にその施策を推進していきたいと思っております。

大島(敦)委員 麻生大臣に伺いたいんですけれども、今の予算、来年度の予算ですと、先ほど麻生総理が御答弁されたとおり、今後もっと厳しくなったときに本当に支え切れるのかどうかという疑問を自分は持っているんです。今回の当初予算で、本当にこれで十分なのかどうか。

 厚生労働省さんの予算はこれまでと余り変わらないんです。予算規模も変わりません、対策も余り変わりません。確かに、雇用として地方公共団体の皆さんに五千億は一応お渡しするんだけれども、それは使い方は自由になっている。ですから、本当の受け皿が必要ですから、私たちとしては御提案を国民の皆さんにさせていただいているところなんです。

 ですから、その点について麻生総理から、今回の、今までの雇用の、舛添大臣が予算委員会、参議院等々で述べてきたことで十分なのかどうかということをもう一度御答弁ください。

麻生内閣総理大臣 大島先生、これは経済の話なので、先行きに関しましては、確たることをわかっておられる方は多分世界じゅう一人もいらっしゃらないんだと思います。ただ、基本的に、そういったことも考えておかにゃいかぬのだという大島先生の御説は、全く私どもも同感であります。

 したがって、我々としては、これまでやったこともないような一兆円の緊急経済予備費なんというものを計上させていただいている。これはもしものときを考えておりますので、いろいろなものに使えるように。

 それで十分かと言われると、またそれはいろいろ、経済がそうなっていればどうではないかとか、いろいろ出てきますので、いろいろなものを私どもとしては考えておりまして、雇用に限らず、私は、非正規社員の話ばかりよく出ますけれども、これは正規社員の方にだんだん今話が行きつつあるほど結構世の中しんどくなっているんだという理解をしておりますので、いろいろな面を考えて、とにかく今、この対策というものを十分に考えた上で今回の予算を計上させていただいております。

大島(敦)委員 麻生総理、今回、雇用保険の保険料率を六千四百億円分下げるということになっているわけですよ。雇用保険というのは景気対策ではないわけです。保険制度ですから、困った方に、要はお互いに助け合おうという制度だと私は理解しているんです。

 これまで、雇用特会の財源が傷んでくる中で、雇用保険の保険料率を上げることはあったんですけれども、それを下げるということはなかったんです。先ほど与謝野大臣おっしゃったとおり、去年とは違う状況なんです、今。去年とは違う状況なので、舛添さんが今用意しているこの五兆円が急速に傷みつつあるわけですよ。

 ですから、この雇用保険の保険料率を六千四百億円景気対策に下げるというのは別の対策にしていただいて、この六千四百億円は今の千分の十二のままで維持するのが私は政治としてのメッセージだと思う。そこのところをもう一度考えてほしいんです、状況は変わりましたから。

 もう一度考えることをお願いさせていただいて、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。

衛藤委員長 これにて大島敦君の質疑は終了いたしました。

 次に、中川正春君。

中川(正)委員 中川正春です。

 さっきのポイントというのは大事な点だと思うんだけれども、そういう観点で、その答弁、寸どめしちゃったんで、答弁してください。さっきの論理というのは大事だと思うんですよ。保険料を下げない、下げないということが、逆に大事なメッセージなんだということだと思うんですよ。

舛添国務大臣 昨日菅さんに対してもお答えをいたしました。そして、今、部分的に大島委員にもお話をいたしましたけれども、もちろん、雇用に対してこのセーフティーネットをきっちりと張りめぐらす、これは大事である、それはそのとおりでありますけれども、片一方で、職を失われた方々が新たな職を見つける、そのためには、経済が活性化していき、新しい雇用を創出しないといけません。

 そしてその中で、とりわけ対外輸出に依存していた我が国経済、それは大島委員がるるお述べになったように、急速にそこがなくなってきているわけですから、今後は内需拡大という形でやっていかないといけない。我が国のGDPは五百兆円であります、そのうちの六割の三百兆円が個人消費であります。では、個人消費をいかにして刺激していくのかという観点から考えれば、やはり個人の可処分所得をふやすということは重要であって、そこで、減税であるとか、公租公課という意味では社会保険料の軽減ということになるわけでありますから、社会保険料を軽減する。〇・四%雇用保険料を下げるということは、四十歳代の平均的な家庭において年間二万円ぐらいの可処分所得をふやすことになりますから、片一方でこちらの政策をやる。

 そして、今の〇・四%の範囲で、しかもこれは単年度だけの政策であります。これがずっと続くなら問題です。単年度だけの景気刺激政策ということでございますので、いろいろなシミュレーションがございますけれども、このセーフティーネットに穴をあけないように、四兆八千八百億円、この中での、全体を考えての、政府全体の中でこれは何度も議論をし、決めた政策でございます。

中川(正)委員 単年度だけというのは定額給付と同じことで、今の国民の心理状態では、これで景気の刺激策にはならないんですよ。何が不安かといったら、将来を見通していけるような安心感と、それから、生活設計ができる、そういう経済基盤がどこで達成されるかということによって、例えば車のローンも組めるという段階に達していくわけであります。

 考えていったら定額給付も同じ議論なんですけれども、それだけの支出をする、税を減免するということが、それによっていわゆる経済への刺激効果がある、その効果と、それからもう一つは、逆に安心感。将来の雇用というのが崩れてくる、これに対してしっかりとした政策を打ち込んでいかなきゃいけない、それの財源を確保していくという安心感と、それから構造的な部分と、どっちが効果としてあるかというその比較なんだと思うんです。

 だから、そういう意味では、単年度でやるというのは効果がないということを、改めて政策立案の過程で我々はしっかり意識していかなきゃいけない。単年度でやってもだめなんですよ、これは。構造的に変えていくという気力が政府にあって、それが国民に伝わらないとだめなんですよ。そこのところを指摘しておきたいというふうに思います。

 その上で……(発言する者あり)いや、そんなに熱心に来るというような顔をしていないですから。

 まだあるんです。私は、本論に入る前に、これまでの、きのうからきょうにかけての議論の中で、ちょっと二つぐらい改めて確認をしておきたいことがあります。

 一つは、総務大臣に対して聞いておきたいんですが、きょう、午前中のかんぽの宿は、非常にいい答弁をされたと思うんですよ。いや、自分でやっていくよ、それだけ問題があるんだよ、それだけ認識しているよというメッセージがしっかり伝わってきたと私は思う。それだけに、では具体的に何をしていくのかということをやはりはっきりとしていくべきときが来ているんだろうというふうに思うんです。

 どんな体制で調査の入れ方をして、何を対象に調べて、あと、どういう着地点でこの問題を解決しようとしているのか、具体的に説明してください。

鳩山国務大臣 着地点から申しますと、私は、しかるべき、正しい、国民が納得できるような金額で、それぞれの地域で観光振興等に役立てていただければありがたい。

 ただ、国有地の払い下げ等でも見られますように、自治体がお使いになりたいということであるならば、まず最初に自治体の希望を聞く。この場合は、若干廉価であっても、これはもと国のものですから、国から地方自治体に移るわけですから、国民も納得できるだろう、そういうふうに考えております。

 昨日、有馬温泉の方々がお見えになって、これだけ立派な施設、設備を持ったホテルであるから、地元の観光振興に役立てたいし、自分たちで引き受けられるように頑張っていきたいというふうな御意見があった。これが一番望ましいと思います。

 昨日、日本郵政株式会社法第十五条に基づく報告徴求というのをいたしました。それは主に、入札なのか、あるいは提案の何かコンペみたいなものなのか、実にはっきりしない。実際、二十七社あったものが相次いで辞退をしているのは一体どういう理由なのか、また、一次入札、二次入札をやったというならば、その実際の入れた札の金額を書いたものを見せてほしいというようなことで、彼らが入札というふうに表現をしております全いきさつについて詳細に報告を求める報告徴求をいたしまして、これを十六日までに全部明らかにしろというふうに命じてありますから、その結果を待ちたいと思っております。

 ですから、問題点を洗い出すことも大事ですが、最終的には私は、いわゆるばかみたいに安い値段、一万円だとか千円だとか、そういうようなことが相次いでいる、これは公社時代のものも多いと思いますけれども、しかし、今回のリストでも、ラフレさいたまのようなものは、上田知事が百五十億あるいはどんなに少なくとも百億ぐらいの価値があるだろうと言うのも、もうほんのわずかな値段になっている、そういうからくりについてもきちんとただしながら、しかるべき値段で売却できるように考えていきたい、こう思っております。

中川(正)委員 だれが聞いても常識から外れているわなということだと思うんですね。

 それだけに、ただ会計上の処理がそうなっているからということをうのみにして、それだけの説明で納得していくということではなくて、もっと深いやみがある。構造的に、バルクで一社に対してトータルで売ってしまうということも含めて、その後ろにもっと深いやみがあるというふうに国民は見ているんです。我々も見ているんですよ。それを調査するのに、ただ役人の話を聞いて、ああ、そうかそうかという話にはならないだろうというふうに思うんです。

 例えば第三者的な人材を入れて、専門家を入れて調査委員会をつくって、その中から、皆が納得するプロセスでそれが、調査、こんな形でできました、いきさつはこうでありましたというふうな話が出てこないと、さっきの着地点を言ったところで、これはなかなか、国民の納得のできる、もちろん我々の納得のできる結論にはなっていかないだろうというふうに思うんです。

 そうした意味で、どういうプロセスでこれをチェックしていくのか、まず調べていくのかということを確認させてもらったんですけれども、そこはどうですか。

鳩山国務大臣 日本郵政は、その内部に不動産鑑定士だとかいろいろな方々を入れて、内部で検討委員会をつくりたい、こういうふうにおっしゃっていますね。もちろんそれも、どういうような結果を出してくるかは見ものでありますが、私ども総務省としては報告徴求をいたしました。それでも納得できなければ同じ条文によって立入検査をすることもできますが、また同時に、独自に価格の調査というものをやってみたいと考えておりまして、独自に我々がやる価格の調査というものは、日本郵政株式会社から見れば非常に第三者的な色彩を帯びますから、正直言って、今日本郵政株式会社と私どもはかなり意見が違っておりますから、そういう形で調査をしようと。改めて全くどこかに第三者委員会をつくって調べさせるというふうな構想は持っておりません。

 いずれにいたしましても、私は、減損処理というのがなぜ行われたということを明らかにすることが大変重要だと思っております。

中川(正)委員 私も、その減損処理に至ったプロセス、それから、だれがそれを判断したかということ、それからもう一つは、なぜバルクで、これまで密接にかかわりのあった企業へ向いてトータルで売るというような経緯になっていったかということ、そういうようなものが明らかになるという前提ですから、さっきのような話ではなかなかそこには到達しない。きょうの答弁を見ていたら、それは明らかじゃないですか。

 だから、そこのところは、もし今のような答弁でこの問題を解決していこうとされておるんだとすれば、ここで大臣が先頭に立って、そうだそうだと言っていたあの元気から比べると、全く逆に後ろを向いているような印象を受けました。だから、そこのところはもう一回整理をして、こういう体制でこの問題についてはチェックをしていくんだということをやはり示さなきゃいけないというふうに思うんです。さっきの答弁だけでは満足できないというふうに思うんです。やってもらえますか。

鳩山国務大臣 だから、別に新たに第三者委員会をつくるという考えはなくても、我々が徹底的にこれを解明して、国民が納得できる方向に持っていこうという私どもの決意はかたいですから、それはその決意を信じていただくしかないですね。

中川(正)委員 きょうの答弁を議事録に残して、あと、しっかり私たちもフォローをさせてもらうということになっていきます。

 それからもう一つ、きのうの道路一般財源化、このことについて、私はどうも総理の答弁が理解できなかったものですから、改めて聞かせていただきたいんですが、ここの部分ですね、「重ねてお断りをしておきますが、一般財源化というものは、歳入を一般財源化できるようにした、これが答えですから、まずここだけははっきりしておきましょうね。」こういうことなんです。

 ところが、きのうの議論の中でも出てきましたが、これも国民の感覚からいえば、福田さんが一般財源化と言ったときには、地方に対して丸い金で渡しますよ、どうにでも使える、そういう形になりますよ、具体的にいろいろな項目も例示をして、そんな中で、それぞれの自治体に応じた、いわゆるニーズに応じた形で一般財源化をしますよと。これも当然、みんながそういうふうに受け取っていましたし、それは賛成だ、そこの部分は大事なところだと国民もそういう意思表示をしておった。だから、福田さんもそれに踏み切ったという経緯があったじゃないですか。それを何でここに来て、こういう、やるやる何とかときのうも話が出ましたけれども、何でこんなごまかしをしなきゃいけないのか。もっとリーダーシップを発揮して、正々堂々と党内でもやったらいいじゃないですか、総理。

 これは党内のいわゆる族議員と言われている人たちだと思うんですが、だんだん押し流されちゃって、またこんなところへ戻っちゃった、こんなわけのわからない答弁をしなきゃいけないということになってきたということ、こんなのはみんな見透かされていますよ。だから、そういうことに対してもう一回、一般財源化というものは歳入を一般財源化できるようにした、これだけなんだ、歳出は関係ないんだというような、そこのところをどう理屈づけるのか。こんなものは歳入と歳出と一体化されて初めて一般財源化という定義ができるんですよ。そういうふうに福田さんは説明していたんですよ。説明していたじゃないですか。だから、変わったんだったら変わった、一般財源化しなかったんだ、できなかったんだ、こう言わなきゃいけないんですよ。

与謝野国務大臣 一般財源化というのは、歳出と直接結びつかない歳入であるようにするということであって、歳出の方を考えた一般財源化というのは理論上あり得ない話なんです。

中川(正)委員 そんなこじつけをしてどうなる。これは、きのうの議論でも福田前総理のコメントがこうやって出ているんですね。一般財源化しますということをおっしゃって、その中身として、CO2を排出しない新エネルギー開発、地球温暖化対策、救急医療対策の整備、少子化対策、こういうことにみんなが手をたたいたんです、そのとおりだ、必要なところへこれは持っていくんだと。これは、歳出の一般財源化をあのときにはっきり提起をしたから、我々も、それは正しいだろうということだったんですよ。それを、さっきのような、霞が関とか我々の間だけで議論したって、これは国民に通じない。さっきの説明は全然国民に通じないということを指摘しておきたいというふうに思います。

衛藤委員長 経済財政政策担当大臣与謝野馨君。(中川(正)委員「これは、いいんですよ。与謝野さんの話は聞いた。総理なんですよ。もう与謝野さんの話は聞いたんです。総理なんです」と呼ぶ)

 中川君に申し上げますが、関連の質問ですから、まず、委員長は与謝野大臣を指名します。

与謝野国務大臣 国会議員がレベルが高くて国民の方がレベルが低いようなことはない。国会議員がわかることは、国民もみんなわかると私は思っています。ですから、ここで通用している議論は、国民もまた理解されていると思います。

 そこで、一般財源化というのは何かということは、特定財源を外すということなんです。特定財源を外すというのはどういう意味かというと、特定財源として入ってきた額を、物も考えずにみんな道路にほうり込む、これはやめようという議論なんですよ。ですから、道路をつくるときには必要な道路はつくりますというふうになる。それは、予算の中で財源を工面するという話で、今まで特定財源としていただいていた財源は、もう色つきではなくただの歳入として国庫に入ってくるというだけの話で、歳出にリンクされた一般財源というのは、それは特定財源の話をされているので、そんなことはあり得るはずがない。

中川(正)委員 だったら、何でこんなごまかし方をするんですか、地域活力基盤創造交付金。最初から道路と言ったらいいじゃないですか、これ。何でこれをごまかさなきゃいけないかといったら、これは一般財源として使うから、だから我々に支持をしてくれと、福田さんは国民に対してメッセージを出したんじゃないですか。こんなごまかし方をしなければならないような歳出の絵をかくということ自体も、これは本当に混乱をしているというか、もう政治が信じられないと言われるゆえんのところですよ。ごまかして、ごまかして。だから、やるやる、こんなふうになっちゃうんです。

 その上で、もう一つ言えば、この交付金の配付基準、これは何に基づいていますか。

鳩山国務大臣 今まで臨交金というのがありましたね。要するに揮発油税の四分の一が直入されてきて地方の道路に使われたわけですが、そういう制度もなくなる。あるいは、道路目的財源として入ってきて、補助金が五千五百八十一億円出ていたかと思いますが、こういう仕組みもなくなる。そうしたものが全部なくなった中で、新しい基盤創造交付金というものになったわけでございます。これは、もちろんソフトとかいろいろなことにも使われるわけですが、地方の希望とマッチングさせて出す、こういうお金でございます。今まだ財源法案が決まっておりませんので、成立しておりませんので支出できませんが、二次補正の中に、六千億円の地域活性化・生活対策臨時交付金というお金がございます。これも、もちろん雇用でも何でも使えるんですが、地方の希望にマッチする、これならよしというところに出すという形になっております。

中川(正)委員 ごまかさないでよ。私が聞いたのは、これは交付金ですよ、交付金は配付基準があるんです。どういう配付基準でこれを交付するんですかということです。

金子国務大臣 繰り返しますけれども、少し、中川先生、あえて言い間違えられている部分は、この交付金は、今までは、何が変わったかといったら、大きなのは、地方臨時交付金という、道路に使われていた部分、これは完全に特定財源だったんです。だけれども、シーリングの外でした。今度は、全部、この交付金も含めてすべて、交付金の範囲の中に入るんです。(中川(正)委員「ちゃんと答えてくださいよ、私の問いに。出てくるんだったら」と呼ぶ)いやいや、シーリングの中に入るんですよ。そこを何か特定のものというふうに位置づけられているから、あえて今のものも全部道路の、今度はシーリングの中に入って、したがって対象経費は道路財源じゃないんです。国債発行して、これを毎年毎年予算をつくっていくんです。その予算をつくっていく配分基準の中で、この交付金も考えていくんです。(発言する者あり)

 交付基準については、当然、今話がありましたように、地方の自治体からの要請に基づいてそれを配分していく。地方自治体がこういうものを要請やらしてきますから、直轄、補助、そしてこういう交付金と。

 それから、交付金は道路だけじゃありませんから、道路に関連した地方自治体のバスですとか、道路の延長線としての離島航路の船とか、そういうものも含めて幅広く地方自治体が使い勝手がいいようにしようと。

 福田総理は、道路以外に使う……(発言する者あり)いやいや、せっかくだから答弁させてくださいよ。

 福田総理は、教育だ福祉だとさもおっしゃられたけれども、必要な道路はやはりつくろうということはちゃんとあそこで書かれていたじゃないですか。必要な道路はつくるんです。その上で、総理がかわられて、麻生さんがかわられて、そして地方に一兆円持っていこうというのを合わせわざで考えたわけです。しかし、そういう中で必要な道路はどうやってつくるかという工夫をしたのがこの判断なんです。

 福田さんを非難しているわけじゃないですよ。福田さんもいれば麻生総理もいるということですよ。

中川(正)委員 道路を一切つくるなと言っているんじゃないですよ。道路をつくるか、こういう福祉関連の金に回していくか、あるいは病院に回していくか。これは交付金、丸い形で地方に渡して、地方の判断の中で使っていったらいい、道路が必要なところは道路をつくったらいい、そういう判断で一般財源化なんですよ。

 ところが、もう一回確認しますけれども、この交付基準は、道路の延長、その距離によって交付基準をつくっていくんじゃないんですね、さっきの答弁でいくと。これは私は事前に調べたんですよ。役人に調べたんですよ、どういう基準でやるのか。返事は、道路の延長線をもって交付基準とする、こういうことです。

 大臣は、それを否定して新しい交付基準をつくるということですね。そういうことでしょう。

金子国務大臣 総務省の御担当に聞かれたのか、国交省の役人に聞かれたのかによって、随分違う話ですから。同じ交付金でも。

 それで、一つは、何にでも使えるように地方に全部交付金で渡したらというのは確かにありました。しかし、むしろ、地方自治体の皆様、知事も首長さんたちも、道路というのはやはり長年かけて安定してつくれるようにしてほしい、安定した財源が欲しいと。交付税ということになると、どうしてもそのときそのときによって地方自治体に安定して財源が入ってこない。あるいは退職金に使われちゃう。退職金、前倒し勧奨もありますから。そうすると、どうしても、今、地方自治体、先生も御存じのように、退職前倒し、前倒し退職に債券を発行しているところもあるんですよ、そういうところは金がないですから、交付税が来ると、先にそっちへ行っちゃう。だから、道路がつくれなくなる可能性もあるので、安定した道路財源をつくらせてほしいということがあって、今の交付金方式をつくったのであります。

 したがって、ある意味、道路と、それから道路以外にもその延長線上のものを対象にできるということをしているわけです。

中川(正)委員 さっきの大臣の答弁だと、だからこれは特定財源なんじゃないですか。特定財源。国の方から使い道をこんなふうに決める、それも、道路として決めてほしいと言うから道路として決めたんだ、そういう話でしょう。だから、これは特定財源なんじゃないですか。

 それで、さっきの話、もとに戻って、これはどこで配付基準を決めるんですか。国交省で決めるんですか、それとも総務省で決めるんですか。

中川国務大臣 まず、歳入と歳出という言葉をもう一度整理させていただきたいのでありますけれども、一般財源というのは歳入の話であります。今、国交大臣が安定した財源としてという答弁をしたのは、自治体の側にとっての安定した財源なんです。つまり、国から見れば歳出なんです。

 ですから、歳出と歳入というのがともすればごちゃごちゃの議論になりますけれども、特定財源というのは、国が財源としていただくものは揮発油税等で、この財源は必ず道路に使いなさいというのが今までの制度であったわけであります。一般財源化したというのは、先ほど与謝野大臣がお答えになりましたように、揮発油税等々の財源をいただいても、それは一般財源という大きなどんぶりの中に法人税や相続税や何かと一緒になってどんと入ります、これが一般財源化でございます。

 その上で、今度の交付金というのは、では、交付金の定義は何だ、補助金とは違うのかと。違います。あるいはまた、交付税交付金と違うのかといえば、違います。交付税交付金は、丸々地方に差し上げて、どうぞ何でも御自由にお使いくださいということであります。補助金というのは、特定のことの一つ一つについて、こういうものについてこれだけ国が補助しますよというのが補助金であります。

 交付金というのは何かというと、趣旨があります。その趣旨に合うものについては、全国、どうぞ手を挙げてください。まちづくり交付金を思い浮かべていただきたいのでありますけれども、まちづくり交付金というものをこういう趣旨でこれだけの予算をつくらせていただきました、全国から、中川先生のところの御地元からも、私のところからも、みんなから、その交付金でお金をもらって、その趣旨に合うようにひとつ事業を進めようというのが交付金でございます。

 今回は、地方において道路もしくは道路に関するもの、あるいはまた環境対策等々に資するためにこれだけのお金を用意させていただきましたから、その趣旨に合うようなものについては、全国、三重県も北海道も九州からも、どうぞ自治体から手を挙げてくださいというものを、国交省の方でそのお金を持っていて、その趣旨に合うかどうかを判断して予算の範囲内で配るというのが今回のこの交付金の趣旨でございます。

衛藤委員長 委員長から中川君に申し上げますが、中川君の言われておる交付金のフルネームをぴしっと言って、この交付金のいわゆる交付基準はどうなっているかと聞いてくれませんか。ちょっと混乱していますので。

中川(正)委員 委員長、何をこだわっているんですか。よくわかっていますよ、我々の間では。我々の間ではよくわかっています。うなずいているので、よくわかっているんですよ。何をこだわっているんですか。私がこれから言わなきゃいけないことを忘れちゃったじゃないですか。

 だから、交付金の交付基準、それは、全国にそういうふうにプロジェクトを持ってきてくださいよと言ったら、ばっと出てきますよ。出てくる中で、この県にはこれだけの金額、この県にはこれだけの金額という、その交付基準は何で決めるんですか、トータルで。ということは、これは道路の延長距離によって決めますよというのが返事だったんですよ。だから、これは道路なんです、もともと。それは、基準がそういうふうに決まったら道路でしょう。

金子国務大臣 今のは、距離、面積によって違うのではなくて、地方が作成した、具体的に計画をつくってきます、それについて対象にしていきます。

 ですから、今おっしゃっているのは、道路の面積に応じて一律に配るのかということだと思いますけれども、そうじゃないんです。地方が絵をかいて計画をつくって、道路をつくりますと。道路の延長、さらに先ほど言ったような部分もありますけれども、そういった部分ですけれども、それが配分基準です。

中川(正)委員 意味不明です。

金子国務大臣 新交付金をちょっと概要から申し上げますと、地方からの要望を踏まえまして、廃止される地方道路臨時交付金にかわるものとしてつくったものです。これはいいですよね。そして、道路整備を中心としつつ、道路以外の関連するインフラ、ソフト事業にも使えるような方針にしてある。そして、交付率を原則五五%、財政力に応じて最大七〇%。交付対象というのは、都道府県、市町村であります。そして、交付金の使途は、地方が作成をした計画に基づき交付していくということであります。そして、今度の九千六百のうち約八千を道路の整備に充てていくという計画であります。

中川(正)委員 いずれにしても、もともと一般財源化すると言っておいて、道路そのものと道路を中心にしたちょっとしたプロジェクトしか使うことはできませんよといって交付金化して出していくということ。これは本当に、約束したことを全くほごにして、結局、また道路道路にこだわっていくという体質そのものですよ。

 そのことを指摘しておくと同時に、さっきの基準から、それこそさらに、配付をすることによって、地方の活力といっているけれども、いかにその活力に結びつかない事業になっていくかということについては、さっきメモが入って、あす同僚が質問をしていくということでありますので、引き続き議論をしっかりやっていきますから、そのつもりでしっかり基準を説明してください。

 それでは、だんだん時間がなくなってきましたけれども、本来やりたかったことをやっていきたいというふうに思います。

 最初、オバマ政権が発足をして、新たな日米関係を規定していかなきゃいけないということだと思います。ヒラリー・クリントン国務長官も近々日本に来られるということ、そんな中で、総理としてはまずその新しいアメリカに何を求めていくかということと、それからもう一つ、アメリカは今の日本に何を期待しておるのかということ、この二つをひとつ総理の口から話をしていただきたいと思います。

麻生内閣総理大臣 御存じのように、大統領候補だったときからずっと、日本との関係というものに関しては重視するという立場を、選挙のキャンペーンのときからも極めて鮮明にしておられたと記憶をいたします。二回ほど電話で話をさせていただきましたけれども、これを一層強化するということに関しましても、何ら異議のなかったというところであります。

 少なくとも、今我々としては、一緒にやらなければならないものは、やはり何といっても、今の金融、経済というものに関して、少なくとも世界第一と第二の経済大国、これが手を組んでやっていくというのは極めて大事なメッセージだと思っております。

 テロ等の話におきましても、中東問題を含めて、いろいろやらなければならないことはいっぱいあります。また、北朝鮮の問題に関しましても、核、ミサイルだけに限らず、我々は拉致という問題も抱えておりますので、この問題に関しての話も二度ともさせていただいております。

 そのほか、もっと全体の話としては、気候変動、また、いわゆるエネルギー、加えてアフリカの問題というのは最近経済危機の間に忘れられておりますけれども、こういった問題に関して、両方でやっていかねばならぬのではないか、双方で一緒にやるという姿勢が大切なんだと思っております。

 向こうも、アメリカとしては今月に外務大臣の最初の訪問地として日本ということもいろいろ言ってきます。日にち等々まだきちんと詰めができているわけではありませんけれども、そういった意向であるということでもありますし、これまでを見ましても、なかなか日本に対する姿勢とかいうのはよく言われたところではありますけれども、今私どもで話している間、極めてそこらのところは明確な感じが正直しております。まあ大統領になってすぐ、それから長い間時間をかけて日本の重要性に気がつく、これはいろんな例があるんだと思いますけれども、今回の場合は、いろいろ十分に勉強しておられることもあるんだと思いますが、少なくとも日本とかアジアとかいうことに関しては、極めて知識が最初から豊富かなというのが正直な実感です。

中川(正)委員 日本の重要性ということ、これに我々もしっかりこたえていく、あるいは期待をしていく。日米関係というのは基軸ではあるけれども、新しい世界秩序といいますか、この経済危機がひとつ落ちついてきて次の段階に入ったときにどのような世界の秩序をつくり上げていくか、そういう意思を日本にも持てよと。私たちも持ち、それからアメリカとしても、自分のこれまでに立っていた立ち位置とは違った形での恐らく再出発であろうと思うので、そこのイメージをしっかり合わせていくということ、そんなことが課題になっていくんだろうと思うのです。

 そんな中で、実は、一月二十六日付のアメリカのウォールストリート・ジャーナルに、アメリカ自身の経済対策の中で、一兆ドルからの歳出、いわゆる財政出動をやるということを今法案化しながら議論していますね、これに対するコメントとして、際限のないアメリカの債務を世界は本当に引き受けるのだろうかというタイトルで出しているんですよ。

 その中の要旨というのは、大統領の演説自身は、そうした未曾有の金融危機に対して、国民が団結をしてその中で耐えること、それから、いわゆる自己犠牲やボランティアの精神という表現かな、そういうことで国民に求めて、一緒にやっていこう、そういうメッセージを出したということなんですが、このウォールストリート・ジャーナルではそれをちょっとひねる形で、実は国民にとっては、具体的に大統領が国民に対して描いた政策というのは、減税であり、雇用支援の資金によってつくられた仕事であり、民間企業の資金投入による救済と消費者への直接資金給付、こういうたぐいのもの、これは、逆に言えば国民に対してのサービスというか刺激策なんですよ。

 この中で言っているのは、しかし、本当に犠牲とボランティアの精神で立ち上がってもらわなきゃいけないのは、日本と中国とそれからアラブの産油国、この国々が本当の意味でアメリカの財政を支えるということの中で犠牲を払ってもらえるかどうかということが決まってくるんだということ、こういう表現をこのウォールストリート・ジャーナルは提起をしています。

 総理はどう思われますか。

中川国務大臣 私もその記事を読みましたけれども、だれか、コラムニストか何か、エコノミストか何かがたしか書いている記事ではなかったかと思いますが、そういう趣旨の記憶、かすかにございます。

 いずれにいたしましても、アメリカも今、特にアメリカの金融という問題は大変な状況でございますし、経済はアメリカも日本も世界じゅう厳しいわけでございます。そういう中で、アメリカはアメリカでいろいろな対策をとる、その中には、財政出動も必要だ、財源が必要だ。そうすると、場合によっては国債を発行してというのがあるのかもしれません。これはアメリカの政策判断でございます。どのぐらい出すのかというのも、今アメリカの上院等で議論をしているようであります。

 いずれにいたしましても、日本がそれの助けをするとかしないとかというのは日本の判断でございますし、アメリカがどうするかもアメリカの判断であると思います。

麻生内閣総理大臣 これは、増発されるであろう米国の国債というものを引き受けるということの今お話なんだと思います。これは今後のアメリカの経常収支とかいろいろなものを見なきゃいかぬところなんだと思いますが、必ずしも、今言われましたように、中国とか、そのコラムニストが言いましたように、アラブ諸国とか日本だけが買うというようなものには限らないのではないかと思っております。

 今、金利とかなんとか等、そこそこ安定して推移して、アメリカの場合は、ドルの交換レートは、対ユーロその他の為替に関してはドル高になっております。日本だけが逆にやっておりますので、その意味では、日本は最も貢献しているということにもなっております。

 その意味では、今の段階で特段の要請があっているわけではありませんので、したがって、仮定の質問にはなかなかお答えできないところだと思いますが、中国も日本もアラブ諸国も、多くの国々が米国債を中心として外貨準備を運用しているということが今現状なんですけれども、それが今直ちにどうというような状況にはないという感じがいたしますので、今後の推移を見た上でお答えをさせていただきたいと存じます。

中川(正)委員 なぜこのコラムニストがこうしたことを書いたかというと、これは今から始まることじゃなくて、これまで既に、そうした構造の中でアメリカがドルを垂れ流して、私たち日本と中国とアラブ産油国がそれを受けとめてきたという構造があるから、もうこれから増発される米国債もそうした構造の中でしか消化ができないんだという、その構造を言っているわけですよ。

 それはどうしてかというと、この資料の中の五番の中に出ているように、これは内閣府の資料ですが、いわゆる貯蓄・投資のバランスで、アメリカ、この斜線の部分が、貯蓄がこれだけ足りない、いわゆる投資超過という形になっている。これは、大体アメリカのGDPの一〇%に近い形でこうした投資超過になっていますね。それをどこが賄ってきているかというと、日本と中東、それから新興アジア、これは政府だけじゃなくて民間も含めたということですが、こうした形でバランスをとって逆流をしていますよ。

 これは、言いかえれば、アメリカがドルを垂れ流して、貿易国がそれをいわゆる債券の購入という形で資金を還流させて、アメリカはこれをどういうふうに回収していくか。これはどこかで、借金ですから返していかなきゃいけないということなんですが、これはどういうメカニズムになっているかというと、そうしている間に金利が上がっていく、そしてドル安という流れをつくっていく。そのドル安という流れの中で、我々、円高ですから、円高ということになると、為替差損でひっくり返してチャラにするという形を周期的に繰り返しながら今までやってきておる構図、これが今の世界の資金の流れじゃないか。これは多くの人が指摘をしているところですね。

 なぜそれが可能になるのかというと、アメリカが基軸通貨を持っているから、ドルが世界の基軸通貨だから、ドルでやっている限りはドルはリスクがないんだということと、それからもう一つは、アメリカの、債権の方は海外の資金で持っていて、債務の方はドルでしっかりと提供していける、それは基軸通貨の強みであります。だから、ドルを下げていったときにはそれでつじつまが合って、物事が清算されていく、こういう説明をしているエコノミストがおりますというより、エコノミストは、大体そんな形でバランスがとられてきたんだ、こういうことなんです。

 この秩序をそれでいいんだと言っている限り、せっかく汗水垂らして私たちがしっかり稼いだものが、こうした形で、あるときどおんどおんと崩れていく。あるいは、じわじわとドルが下落をしてきて、昔は三百六十円だったわけですが、これが今九十円ですね。この九十円がしっかりとこのまま定着していったら、それはその分、我々がしっかり汗水垂らして頑張ったものがアメリカに吸収をされていってしまう。こういう構図をずっとこれからも続けていくんですかということが、今この場において問いかけられているんだろうと思うんですよ。

 そのことに対して、ユーロも、では我々で頑張ってみるかというので、地域マネーからだんだんと力をつけてきて、世界の基軸通貨の仲間入りをしようという意思を持ちながら、いわゆる新しい秩序というのをつくり始めてきているということだと思う。そのことに対して、私たちはどうしていくのかということだと思うんです。

 これまでの麻生総理の、それこそ国際会議、この間のG20ですかでの発言なんかを新聞紙上で見ていると、いや、日本はやはりドルについていきますよ、とことんドルの子分でいいんですよ、こう言い続けているわけなんですよ。私は、そうじゃないだろうと。ここは、ドルをこの直近のところでは安定させていくことも必要だけれども、最終的にはどういう国際秩序をつくっていくかということを、日本もそろそろアジアを中心にして気持ちを固めなきゃいけないときなんじゃないかということ、このことを問いかけていきたいというふうに思うんです。

 総理、いまだに、ドルがすべてで、アメリカがすべてですか。

麻生内閣総理大臣 五番というんですか、この表をちょうだいしましたが、これが一番問題なんです。それは中川先生おわかりの上で出しておられるんだと思いますが、これが一番問題な構図なわけです。

 そこで、問題の根底というのは、これは貿易の不均衡、よく英語で言われるグローバルインバランスというのが、これこそ一番の問題です。基軸通貨として、御存じのように、アメリカ・ドルというのは世界のマーケットに供給され続けなければならぬ。これは基軸通貨ですから。そういう意味では、アメリカの経常赤字というものが増加していくことでドルの信認が低下するリスクが今指摘されておるわけです。これは間違いないと思います。そういったリスクを是正するために、グローバルインバランスの是正が今話題になっておるということだろうと思います。

 その基軸通貨であるアメリカが、この赤字の幅をなるべく少なくする。また、こちら側の、中東に限らず、それから中国もそうでしょうが、こういったところの黒字というものは、経常黒字、貿易収支の黒字というものが多過ぎるためにインバランスということになっておりますので、日本の場合は、その点は急激に、騒ぎの後は間違いなく減ってきております。そういった意味では、貿易の赤、黒ということでいけば、我々はインバランスというものの是正に最も貢献しておりますし、ドルに対して円高になっておりますので、そういうこともやっておる。こういったものでドルの安定というものをよくするのに貢献しておるというのは確かです。

 それは、ドルについていきますよと言うと、何となくみすぼらしく聞こえますけれども、中川先生、一番ドルの通貨を持っているのはこっちだから、中国と日本と。そういった国が持っているんだから、自分の持っている債権がばんと減るなんというのは、それはどう考えても愚かな選択でして、少なくともソフトランディングを目指していくのが当然なんだ、私どもはそう思っておりますので、中国にも申し上げました。

 また、EUさん、おたくも基軸通貨を目指すなら二十九カ国まとめてきちんと対応してくださいね、ばらばらに言ってきちゃだめですよという話も既に申し上げているところではあります。

中川(正)委員 その結果、何が起こっているかというのが、その次のページなんですよ。

 これは、今、外国為替資金特別会計の剰余金の中身なんです。それぞれのいわゆる金利収入、あるいは、国債あるいは債券自体の評価額、これが上がることによってその都度の収入が入ってくる会計と、そうじゃなくて、為替差損でどんと下がってくる会計と、別会計になっているんですね。だから、減債はやっていないんです。ある意味では、時価会計で、トータルで、これを一つの銀行に見立てれば、株が下がってきたから、即、銀行も危ないよという話じゃないんですよね。これは別会計になっている。別会計だから、毎年、一般会計の繰り入れを、一・六とか一・八とか二・四兆円、これは剰余金として入れているんです。

 ところが、実際の積立金、評価損の推移という形で見てみると、積立金と評価損の中で一体何が起こっているかというと、二十年十二月末、去年の末、円高によって二十六・五兆円の為替損失が起きているんですよ。二十六・五兆円ですよ。

 積み立てとやりくりしてやっとマイナスの六・九兆円、こういう話になっていまして、これは毎回毎回、円高が伸びてくるたびに、こうした形の私たちの損失が重なってくる。これによって、これまでの貸し借りが清算をされていくプロセスがまだ続いていくんだろうというふうに思うんです。

 こういう結果なんですね。このことをどう考えていくかということだと思うんですよ。二十六・五兆円ですよ。

 もう一つ言えば、今どれだけのドル資金を中心にした為替の資金を持っているかといったら、大体百兆円、一兆ドル、日本の為替のトータルで動かしているだろう、積み上げているだろう。これは、貿易額、いわゆる輸入額を中心にしてどれぐらいのこういう資金を持ち続けることが正しいのかとよく言われるんですが、大体言われているのは、OECD関連の、普通の国で二カ月、よくいって二カ月かその周辺ですねと言われている。日本は十八・五カ月、その分を積み上げているんです、ドルで。何でこれだけドルを積み上げなきゃいけないんだと。その積み上げた結果が、ここに言う二十六・五兆円の為替差損なんですよ。これはどういうことかといったら、ドルにしっかりおつき合いしているからですよ。違いますか、総理。

中川国務大臣 まず、外為特会というのは、もう中川委員も御承知のとおり、日本の為替が急激に変動するというのは経済あるいはマーケットそのものにも決してよくないということで、仮に急激な変動ということになったときに、それを安定化させるため、あるいは対抗させるために使うための資金でございます。これはいろいろな通貨あるいはまたいろいろな種類のもの、キャッシュもございますし、証券もございますし、預金もございますし、短期証券、いろいろとあるわけでございます。

 今おっしゃいましたように、約百兆円、大ざっぱに百兆といいましても、一ドル百円のままであればこれは百億ドル、仮に完全にドルに投資をしているとして、ある時点でぱっと切って、百億ドルと一ドル百円でもともとの百兆円と合うわけですけれども、一たん九十円になれば、これは、百億ドルは、円高になりますから、これは円換算というか円がベースになってきますから、百億ドルは、これは目減りした形で円としてあらわれるわけでございます。逆の場合には逆になるということでございます。他方、運用益もあるわけであります。

 ですから、それとのやりくり、場合によっては介入等のやりくりの結果がこういう形になって、たまたま二十年十二月、つまり九十円になってしまったから、その時点で評価をすればこういう数字になるというのはある意味では当然のことでございます。

中川(正)委員 資料の六の一、その中にとじてありますから、これを最後に見ていただいて閉じます。

 これは平成九年度から平成十九年度までの、これの延長線、同じようなことをやっているんですが、外貨準備と為替の介入額なんですよ。これは、平成九年度では百四十七円、このときの為替のレートが。今は九十円。それがずっと円が上がり続けてきているんです、ドルが下がり続けてきているんです。その中でも介入というのが、特に平成十五年、ちょうど百円のときだったんですが、こうした形で介入している。これが相当部分、三〇%ぐらい全体の中にあって、この分が今回も大きく為替差損に影響している、こういうふうに言われているわけですが、この間、売ろうと思ったら、調整しようと思ったらできるんですよね。百兆円も積み上げなくても、日本の意思の中でちゃんとそれを下げることはできるんですよ。それをせずにこのまま積み上げてきた。これはだれが責任をとるんですか。

 これからも、世間で言われているように、日本が円安の局面になっていくかどうか。結局、一時的に円安の局面になったのは、金利差があって、円キャリーで円が運ばれたから、だから円安の局面があっただけで、この九十円のレートというのは恐らく続くでしょう。そういう中での判断をしていかなきゃいけないということになる。これは政策の失敗ですよ、この二十六・五兆円というのは。

 そのことを指摘して、次、まだこの議論は続けたいと思うんですが、きょうのところはここでおさめておきたいというふうに思います。

衛藤委員長 簡潔に答弁をしてください。

中川国務大臣 たまった外貨をどう運用するのかということと、こんなに損したんだから、マーケットに国がどんと売ってしまえと言うと、世界的な大影響を与えます。(中川(正)委員「そんなことは言っていない」と呼ぶ)いやいや、なぜ売らなかった、なぜこのままほうっておいたと……(中川(正)委員「調整できると言ったんだ」と呼ぶ)調整はできません。やるのは介入をするときだけであります。問題は、どうやって安定的に運用し、迅速に対応できる準備をしていくかというのが外為特会の趣旨であります。

衛藤委員長 これにて中川正春君の質疑は終了いたしました。

 次に、筒井信隆君。

筒井委員 民主党の筒井信隆です。

 先日の本会議場における総理の施政方針演説の中で、ただ一つだけ評価し、賛成した部分があります。小泉・竹中路線との決別を宣言した部分です。

 あのアメリカの新大統領オバマさんも、大統領になる前からブッシュ大統領の路線、新自由主義に基づく市場万能主義との決別を宣言して登場をいたしました。あのサブプライムローン、何でもかんでもごちゃまぜにして、破綻することが確実なローンであっても、市場の自由だといって証券化をして、それを広範囲に広げていった、あれがついに破綻をして、まさに総理がいつも強調する百年に一度の世界的な経済危機に陥ったわけです。日本においても、小泉・竹中路線の結果、まさに、地方と都会の格差、国民の中での格差、これらが物すごく広がって、日本の状況は非常に厳しくなってしまった。

 そういう中で、小泉・竹中さんの新自由主義に基づく市場原理主義、市場万能主義、これとの決別を宣言した。それに注目したわけでございます。

 その施政方針演説で、総理はこう言っています。「官から民へといったスローガンや、大きな政府か小さな政府かといった発想だけではあるべき姿は見えない」「市場にゆだねればすべてがよくなるというものではありません。」「国民の安心を考えた場合、政府は小さければよいというわけではありません。」まさにこう言ったわけでございまして、これを総理に確認したいですが、小泉・竹中路線との決別を宣言した部分ですね。

麻生内閣総理大臣 何をもって別れたか別れないかというのがなかなか難しい話はよくあるんですが、これまで取り組んできた改革というものが、今言われた小泉・竹中路線という筒井先生の表現なんだと思うんですが、この日本の経済と社会というものも、あの西暦二〇〇一年早々のころは、かなり重苦しい時代だった。御記憶のとおりだと思っております。それに対して、ある程度、一定の活性化をさせたという点は、僕はこれは認めないかぬところだと思っております。

 しかし、結果として、いわゆる格差の拡大とか社会のひずみとかよく言われますように、改革によるひずみが指摘をされている部分がある、私は、これは認めないかぬところなんだと思っております。

 また、予想外に、中川先生が予想しておられたと言う方もいらっしゃいますし、多くの経済学者も、予想した方もいらっしゃいますが、少なくとも、金融危機というものが、ファニーメイだ、フレディ・マックに始まって、そしてリーマンが一番多分大きなショックだったと思いますが、その前もいろいろありましたので、そういったのがどんと来たということによって新しい課題も生まれた。

 こういった状態が今あるんだと思いますが、私は、こういったような状況になってきたのであれば、少なくとも弱者というものは新たに別な形で生まれてきておりますので、そういったひずみへの対応とか、改革による新しい課題に向けて、私は改革を一切やらないなんというつもりは全くありませんよ。今後とも改革していかなければならないところは幾らでもあるんだと思っておりますので、そういった意味では、官から民とか、国から地方へとかいう話がえらく、グローバライゼーションとか何か、いろいろな言葉でいろいろ言われていましたけれども、それだけでいいのかという話でいくと、ある程度きめ細かな対応が要るのではないか。

 小さくてもいい政府をということを申し上げているのであって、したがって、私が申し上げたいのは、改革を一切しないということを言っているわけでもありませんが、少なくとも、ひずみに対するためには改革をさらに進化させる必要があるというのが正しく理解していただけることになるのではないかと思っております。

筒井委員 麻生総理に対する大きな批判の一つは、最後、玉虫色になるんですよ。消費税に関してだって、三年後に上げると言いながら、自民党の中でああいう議論になると、いつの間にか、何が何だかわからないような、そういう決着をつける。玉虫色なんですよ。今の答え方も、先ほど私が読み上げた部分を玉虫色にしているんですよ。だから国民にわかりにくいんです。

 オバマ大統領は、明確に決別宣言をして、大転換をして、具体的な政策も、新しく今度全然違うものを出す。あのグリーン・ニューディール構想なんてまさにそうですよ。だから国民にわかりやすいんです。

 だけれども、今の麻生総理の答弁は、いや、そういう改革もいいところはあったけれども、それだけじゃだめなんだと。要するに両方の面で、そうすると、決別、小泉・竹中という固有名詞を挙げると言いにくいのかもしれませんが、新自由主義に基づく市場万能主義と言われていた路線、こういう路線との決別宣言ではないんですか。

麻生内閣総理大臣 市場経済原理主義との決別なら、そのとおりです。

筒井委員 そうすると、その市場原理主義……(麻生内閣総理大臣「市場経済」と呼ぶ)市場経済原理主義と市場原理主義とは違うんだという認識だと思うんですが、まあ、そこはいいでしょう。

 その市場経済原理主義に基づいてなされたいろいろな具体的な政策、これは総検証して大幅に見直さなければいけないですね。

麻生内閣総理大臣 よく皆さんいろいろなところをやっておられますので、先生のようにお詳しい方ばかりじゃないと思いますが、例えば、わかりやすい例で、今、郵政の話が出ました。

 郵便局、国有化を民営化、これは今、目下進行中であります。民営化されました。民営化されましたけれども、今、その中でいろいろ問題が指摘されているというのは御存じのとおりでありますので、そういった意味では、全部やっちゃえばいいんじゃないかというのは間違いだったんじゃないの、もうちょっとここはというので、改善が、いろいろ案が出てきているというのは、私は、進化させるという表現を使わせていただいているということであります。

筒井委員 今、郵政民営化、郵政の分割・民営化のことについて言われましたが、これがまさに小泉・竹中路線の典型的な、象徴的な政策ですが、今の答弁ですと、この分割・民営化は見直すという答弁ですか。

麻生内閣総理大臣 もう一回国有化すべきというようなことを聞いているわけじゃないでしょう。

 今の中で、私は、民営化された以上、もうからないシステムはだめだと思います。どうも、商売からこの世界に来たのでそう思うんですが、私は、このシステムがきちんと、今のシステムでもうかりますか、三年後、五年後と。きちんと運営して黒字になってもらわなければいかぬ。私はすごく大事なところだと思いますよ。だって民営化したんだから。きちんと……(発言する者あり)いえいえ、ちょっと待ってくださいよ。その程度のレベルじゃ困っちゃうんだな、本当。この程度に行ってもらわなければいかぬ。だから、そこのところで見直すといえば、私は改善するというのが正しいと思っております。

筒井委員 今、分割・民営化で弊害が言われているのは、窓口会社と郵便事業会社と分離して、局長が郵便事業の仕事について関与できないとか、あるいは、地方の事業はいずれも赤字だから、集配局が物すごくいっぱい廃止になったり、あるいは簡易郵便局が休業状態に陥ったり、そういうことをしている。だから、やはりこの窓口会社と郵便事業会社との一体化をもう一度やらなきゃいかぬ、あるいは、三事業の連携をもっと強化しなければいけない、こういう方向で議論がなされているんですが、そういう方向での見直しはするということですか。

麻生内閣総理大臣 これは、私の担当ではなくて、むしろ……(筒井委員「いやいや、総理の考え」と呼ぶ)いえいえ、担当じゃないという話ぐらいさせてくださいよ、担当じゃないんだから。(発言する者あり)ちょっと待ってくださいよ。担当じゃないということぐらい事実ですから言わせてください。(筒井委員「総理の考えは」と呼ぶ)私の考え、担当じゃないから、私はこれを言うには、総務大臣がきちんとやってもらわないかぬ、これは所管ですから。これがまず大事なところです。

 ちょっと、いつも混線されて、何でもかんでも総理……(筒井委員「逃げないでくださいよ」と呼ぶ)逃げるような話をしているんじゃないでしょうが。(筒井委員「総理の考えを聞いているんです」と呼ぶ)だから、聞いてください。前段の話ぐらいさせてくださいよ、筒井さん。それぐらい、時間があるんだから、一時間持っておられるんだから。基本として、まずそういったものをきちんとしておかないと話が込み入りますので、所管の話はまずきちんとさせていただきます。

 その上で、私とすれば、どういった形にすれば一番いいのかというのは、私は今その中にいませんので、正直、今の段階で、それを詳しく今の現場を知りません。ただし、特定郵便局はどんどん閉鎖されてどんどん減っているじゃないかというのは、最近は違いますね、またふえてきていますから。そういった事情は幾つかありますでしょうが……(発言する者あり)いやいや、減ってまたふえてきていますから。最近の数字を見てください、そういった数字になっているはずです。

 だから、いろいろな意味で、あちらこちらで今修正がなされたりいろいろされているんだと思いますが、私は、基本的に、今四つに分断した形が本当に効率としていいのかどうかというのはもう一回見直すべきときに来ているのではないか。三年で見直すとか五年で見直すとか言っているから、そういったものは十分に見直しておかしくないんじゃないかということを申し上げております。

筒井委員 今の最後の答弁の方向を聞きたかったんです。四つに分割したのを、やはり見直しを検討しなきゃいかぬというふうに総理自身が考えておられる。その方向でやっていかなきゃいかぬと思います。

 ただ、そのときに、総理自身の責任もはっきりしておいてほしいと思うのは、この分割・民営化の際の総務大臣は総理ではなかったですか。自分自身が担当としてやったことを、それをすぐ、まだ民営化が始まったばかりで見直さなきゃいかぬ。四つに分割したことというのは物すごい柱ですよ、その柱を見直さなきゃいかぬ。こういう状況のものをつくった責任について、やはり総理も反省してもらわなきゃいかぬと思いますが、どうですか。

麻生内閣総理大臣 ごもっともな意見だと思いますよ。郵政民営化というのは、筒井さん、そのころどういう御関係だったか、内容にどれくらい詳しいか知りませんけれども、小泉総理のもとに賛成じゃありませんでしたので、私の場合は。解散の詔書にもサインしないとかいってえらい騒ぎになった立場にありましたので、そういった意味では、私も自分なりの意見は申し上げてきました。しかし、私は内閣の一員ですから、内閣の一員として、郵政民営化ということになったので、最終的には賛成しましたが。

 お断りしておきますが、たった一つだけ言わせてください。みんな勘違いしておりますが、郵政民営化担当大臣ではなかったんです。忘れないでくださいよ、これだけは。みんな一緒にしたがっている、意図的にかどうか知りませんよ。総務大臣だったんだけれども、郵政民営化担当から、私は反対だとわかっていたので、私だけ外されていましたから。郵政民営化担当大臣は竹中さんだったということだけは、筒井先生、これだけはぜひ記憶をして、妙にぬれぎぬをかぶせられると、おれも甚だおもしろくないから。

 ただ、国会の中においていろいろ議論はありましたよ。国会の中でいろいろ議論はあった。賛成もいろいろあった。だけれども、民営化は決定をされたんだ、民営化は決定されていましたから。したがって、今後は……(発言する者あり)

衛藤委員長 諸君、静粛にお願いします。

麻生内閣総理大臣 では、もう一回言わせてください。聞こえていないかもしれないと思いますので。聞こえたくない方も含めて。

 国会においては、議論の末、最終的に民営化は決定されたんですから。したがって、今後は国民へのサービスの向上とかそういったものを考えていった場合、やはり健全な企業になるというようにさせていくのが当然でしょう。そういった意味が重要なのであって、民営化後、今後改善すべきところはあると、筒井さんの御意見もいろいろあるんだと思いますので、そういった意味でぜひやっていただくというのが大事なことだと思います。

筒井委員 今明確に、総務大臣の時代に総務大臣としても反対だったということを述べられました。これは……(麻生内閣総理大臣「事実ですよ」と呼ぶ)事実ですね。それで、それは閣議の際に、もちろんその法案が案件が提出されて、賛成の人は花押のサインをしますね。もし本当に信念のある政治家ならば、あれだけの大問題になった郵政分割・民営化について、これは反対だと明確に自分の意思を通すべきであって、花押のサインなんかするべきじゃないと思いますが、サインはしたんですか。

麻生内閣総理大臣 細目この内容を詳しく申し上げるのはいかがなものかと思いますが、最後までサインをしなかったためにもめました。私だけサインしなかったから。えらいもめましたけれども、内閣の一員としてという話が出ましたので、私としては最終的にサインをした、花押を書いたのは最後です。(発言する者あり)事実を申し上げているだけだから。

筒井委員 麻生総理が反対であることがはっきりしているのに、最後は、説得されてやったのかどうか知らぬけれども、賛成を表明した。このこと自体はやはり、もうきょうはほかのことを聞きたいものですからこれで終わりにしますが、明確に自分自身で反省をしていただきたい、このことを申し上げて、そして、これ以外にも、小泉・竹中路線でいろいろなことがされたんですよ。

 郵政だけではなくて、労働者派遣法についての規制緩和、タクシー業務についての規制緩和、それから社会保障関連では、医療、年金、介護、それから障害者自立支援、これらについての国民の負担を上げて、保険料や窓口負担を上げて、それで国民に対するサービスを切り捨てていく、こういう改革もした。三位一体改革をして、地方自治体への金も削減をした。それで、私の担当の農林漁業に関しても、大規模効率化路線で、品目横断的経営安定対策をやった。四町歩以下は農家ではない、二十町歩以下の集落営農は、こんなのは支援の対象じゃないという原則を打ち立てた。

 この市場経済原理に基づくこれらの路線は、総点検して総見直しをしなくちゃいかぬ。それは今、そのつもりですか、決意ですか。

麻生内閣総理大臣 いろいろな意味で、先ほどから申し上げておりますように、いろいろなところで市場経済原理主義ではなかなか問題があるとはっきりしたところについては、いろいろな形で改善がなされていくのは当然なのであって、私どもとしては、よりよい方向に改善をされていくべきだと思っております。

筒井委員 口ではそう言っておられるけれども、全然進んでいない。

 例えば、先ほどの郵政分割・民営化に関して、具体的に何が進んでいるんですか。検討はどこで進んでいるんですか。

鳩山国務大臣 法律から三年ごとの見直しということで、郵政民営化委員会がこの三月の末までに意見をまとめることになっておりまして、まずそれを見て、我々で郵政民営化というものの改革の全面的な見直しというものはまた聖域なくやっていこうと。

 私は総理から御指示をいただいております郵政民営化の担当大臣でございまして、要するに、国に戻す、郵政省がやるとか郵政事業庁がやるというのでなければ、聖域なく、光と影の影の部分を除去するためにはどんな見直しをやってもいい、こういうことで私は対処しようと思っております。

筒井委員 それに、先ほどの決別の宣言、これはオバマ大統領もしたということは申し上げました。

 そして、オバマ大統領の場合には、単なる抽象的に宣言しただけではなくて、例えば先ほど申し上げたグリーン・ニューディール構想、ここでは、自然エネルギーとか次世代のバイオ燃料、これらの事業に十年間で日本円にして十五兆円の投資をして五百万人の雇用を創出する、こういう極めて具体的な数値目標も掲げた大規模な構想を出しておられる。

 そして、それについて麻生総理も環境省の方に指示をしたらしいですが、その環境省が出してきたものに対してこういうふうに言って差し戻したというふうに報道されているんですが、それは事実かどうかもまず確認をしていただいて、それでその意味も説明をいただきたいと思います。環境省の日本版グリーン・ニューディール構想に対して、日本社会のあり方を根底から変えるような提案をすべきだと構想を広げるよう指示した。日本社会のあり方を根底から変えるような、そういう構想を示すべきだ、こういう指示を出したことは間違いないですか。

麻生内閣総理大臣 これは、あれを受けた斉藤大臣に聞かれるのが一番正しいんだと思います。(筒井委員「総理の言葉」と呼ぶ)聞いた本人と言った本人は、またあなたが何かごまかしているとか言うから、聞いている本人から、そのためだけに聞いているんだから。だから、聞いた本人の話の方がより正確じゃないかと私はそう思ったんだけれども。また、言った話に、すぐ話をつくりかえられるとかなわないからそう言っているだけで。

 私が申し上げたのは、環境省が出している話は、少なくとももっと大きなものにすべき、環境省だけのレベルで考えているのはおかしいんじゃないか、もう少し大きな話にした方がいい、したがって、通産省がいろいろ考えているアイデアを含めて、もう少し大きなものにした方がいいのではないか、そう言ったと思います。

 斉藤大臣から補足をさせて……(筒井委員「いや、それはいいですよ」と呼ぶ)いや、ちょっと待ってくださいよ。私は罪がかぶせられているんだから、あちらの話もさせてくださいよ。

筒井委員 いや、総理にお聞きしたいのは、日本社会のあり方を根底から変える、こう指示をしたというから、日本社会のあり方を根底から変える、どう変えるのか、もう当然頭の中にあると思うんですよ。なきゃ、そんなことを言うはずがないから。どういう方向に変えるということを考えておられるのか、それを総理から聞きたいんです。

麻生内閣総理大臣 今答えたと思うんですが、根底から変えろなんて言っていないから今の答えを出しているんだから。だから本人から聞いてくださいと言っている。そう言ったじゃないですか。もう一回、本人から聞いてください。

斉藤国務大臣 私は、総理から指示を受けまして、日本版ニューディールの案を考えろということで、その原案を持ってまいりました。その原案を総理にお示ししたところ、先ほど総理からあったように、環境省という枠の中で考えているからこういうシャビーなものになるんだ、もっと根底的に、他省庁との、産業政策等も含めて、根底的なアイデアを考えて実行しなさいという御指示をいただきました。

 その趣旨を私は官邸を出たときにマスコミに言ったわけですけれども、そのとき、その私の趣旨を、その新聞記事、どこの新聞記事か知りませんけれども、そのような表現になったのではないかと思われます。

 私が総理に御報告を申し上げ、総理からいただいた言葉は以上のとおりでございます。

筒井委員 自民党席が拍手するのはおかしいので、私はこれを評価して言ったんですよ。日本社会を根底から変えるという構想を持っておられるのか、見ている限りそんな感じしないけれども、持っていたら、それを国民の前にはっきりしてほしいなと思って、評価して私今聞いたら、そんな言葉全然言っていないというんだから、やはり評価はもとへ戻る。

 そして、ただ、はっきり私の口からも、聞いたのは、この前の本会議で、与謝野大臣がこういう演説をいたしました。(発言する者あり)いないの。では後にします。だけれども、全然話題がかわるので。

 では、時計をとめてくれますか。すぐ帰ってくるの。ちょっととめてくださいよ。

衛藤委員長 賢明なる筒井君に申し上げますが、順番を変えてでも、ちょっと進めてください。

筒井委員 全然あれが違うんですよ。

 さっきの時間はちょっと延ばしてくださいね。

 与謝野大臣に質問をいたします。

 この前お会いしたときも直接この質問をするというふうにお話しいたしましたが、与謝野大臣が本会議における先日の演説でこういうことを言われました。文明史から見ても大きな潮流の変化、かつてない事態である。これもまさに文明史的転換を言っている、非常にこれからの方向性を示しているんじゃないかなという期待をさせる言葉なんですよ。

 これはどういう意味なのか、文明史がどういうものからどういうものに変わるのか、これを与謝野大臣、説明してくれますか。

与謝野国務大臣 三分で説明するのは大変なんですが……(筒井委員「一分だよ」と呼ぶ)一分で説明しますと、いわゆる今までの世界の歴史というのはやはり欧米中心だったわけですけれども、文明の拠点というのは、あるいは経済の拠点というのは多極化した。そういう意味では今までと枠組みが変わってきた。それから、経済のあり方として、資源多消費型の経済はそう長くは続かない。やはり省資源、省エネあるいは環境問題という全くここ三十年ほどの新しい枠組みというものができて、全体としてパラダイムが変化したというような表現をみんな使っていますけれども、要するに、経済や人間の生き方の枠組みが少しずつ変わってきているという認識を持って経済にも政治にも当たらなければならないということを申し上げたわけでございます。

 もとより不完全な表現だったと思いますけれども、私なりに感じたことを申し上げたわけでございます。

筒井委員 それ自体は評価していますが、こういう趣旨は含まれていないんですか、その文明史的転換には。

 産業革命以降、石炭とか石油とか地下の資源を大量に使い捨てた。今多消費型と言われましたが、それはそういうものを指しているんだと思うんですが、それがまさに地球温暖化という地球自体の危機まで招いてしまった。そういう石油文明から、太陽光とか風力とかバイオマスとかそういう地上の資源を活用する。循環しながら活用する、使い捨てない。そして、石炭とか石油とか地下の資源は、地球からの与えられた恵みとして大切に使う。こういう方向、これを太陽文明というかバイオマス文明というか呼び方はわかりませんが、石油文明から太陽文明の方に変わっていく、まさに今転換期なんだ。

 そしてそれは、石油を中心とした時代は、まさに大規模集中型だった。だけれども、風力、自然エネルギーあるいはバイオマス、これらを活用する社会は小規模分散型になる。こういう方向性にまさに日本を初めとして世界が変わりつつある、その大転換期に入っているんだ。こういう趣旨は入っておりますか。

与謝野国務大臣 私は、その点では先生と全く意見は一緒でございます。

 大体、石油、石炭、天然ガスを地球が営々とためましたのは、十億年はかかっていると思います。十億年かけてためたものを人間がここ二、三百年で使ってしまうというような文明が長続きするはずはない。やはりそういう意味では、物事の考え方を変えて、再生可能なエネルギーというものを常に考えながら経済も政治も行っていかないと、地球の人類の運命というのはやがて有限であるということが明らかになってしまう、そういうことも考えております。

筒井委員 それも麻生総理にも確かめたかったんですが、トイレですか、やはり。

 今言われたことは、この前の施政方針演説では、その方向性は総理も言っているんだろうなと思うんですが、しかし、与党の今の再生可能エネルギーとかあるいは地球温暖化対策に対する具体的な施策、これはまさにシャビーですよ。

 ヨーロッパ、アメリカと比べても、数値目標も全然低い、中期目標なんというのはまだ全然出してもいない。先進国では日本とロシアだけなのに、先ほど、環境大臣ですか、ことしの六月までに出すということが物すごく世界じゅうで評価されているなんて、よく言えるなと思いましたよ。日本だけです、先進国で中期目標をいまだに出していないのは。そんな状態に対する意識が全くない。それは、お聞きしていると時間がなくなるので。

 ちょうど総理が戻られましたので、質問をさせていただきたいと思います。

 先ほど言いましたように、小泉・竹中路線との決別、これは評価するんですが、しかし、では小泉・竹中、小泉内閣よりも麻生内閣がいいかというと、そうでもないんですよ。官僚政治ですから、官僚内閣ですから。官僚の、政官業癒着構造に戻ってしまった。だから、あのわたりの問題もそうだし、人事局の問題もそうだし、これが全然改革が進まないんですよ。道路財源もそうですね。本当に族議員としての行動なんですよ。この官僚内閣としての麻生内閣と、新自由主義に基づく小泉内閣とどっちがいいかといったら、究極の選択ですよ。両方ともだめなんです。だから、ここで政権交代しなきゃいかぬと言っている。

 そして、官僚内閣、ずっと官僚政治が続いてきているんです。その典型的なものが、私は事務次官会議と閣議の関係だと思うんです。

 閣議、憲法によりますと、内閣総理大臣は行政各部を指揮監督する、こう規定されているのは御存じだと思いますが、官僚を指揮監督するのが内閣なんですよ。そして、内閣は閣議によって職権を行う、これは内閣法に規定されています。

 まさに閣議が重要なのに、そこで決めるべきで、そのもとに官僚は執行機関として指揮監督を受けながら指示されるんですよ。だけれども今、逆でしょう。閣議の前日に必ず事務次官会議が開かれて、そこで全部決まる。専ら政務に属するものとか天皇の認証行為に関するものは別にして、全部前日の事務次官会議で決まって、閣議はそれをなぞらうだけでしょう。さっきの花押のサインをするだけでしょう。

 私は、麻生内閣になってからの閣議を調べてみました。今まで閣議は全部で四十回あったようですね、持ち回り閣議は別にして。その平均時間を調べてみました。一回の閣議は十八分、平均時間が。そして案件は、平均すると一回の閣議で二十二件ですよ。二十二件の案件を十八分でみんな処理している。だから、大臣の経験者にも聞いてみましたけれども、大臣になって閣議に行くと、時間がないから早くみんなと言って、書類がぐるっと回って、花押のサインを置く、サイン会に終わっている。お習字の会とも呼ばれている。この閣議が日本の行政の最高の政策決定機関とか指揮監督機関などと到底言えないでしょう。

 こういう閣議の実態であることはもちろん総理もわかっていると思いますが、お聞きしたいのは、事務次官会議で決まらなかったものは、一切閣議にはかけられませんね。それともう一点、事務次官会議で決まったことが閣議でひっくり返ったことは一度もありませんね。この二点。もちろん、専ら政務に属するものと天皇の認証行為に関するものは別にしてです。

 もう一度言いますが、事務次官会議で決まったことだけが閣議に渡って、事務次官会議で決まらなかったことは閣議に回ってこない。それで、事務次官会議で決まったことは閣議でひっくり返ったことはない。麻生内閣、四十回のうち、どうですか。

麻生内閣総理大臣 まず最初に、官僚主導になっているんじゃないかというお話が最初だったと思いますので、順番に答えをさせていただければ。

 問われるべきは、私は、政治主導か官僚主導かだけなんだ、基本的にそう思っております。官僚は使うべきものだと思っておりますので。そういった意味で、基本的に、いろいろな話をさせていただきましたけれども、従来型のいわゆる公共事業型の話を最初に……(筒井委員「いや、今、閣議」と呼ぶ)いや、閣議の話は後で、最初の方では別の話をしていたんじゃないですか。二つされていましたから、最初の部分の話の答えをしております。(筒井委員「していない、していない。事務次官の会議の関係だけ聞いている」と呼ぶ)

 その前に、私の話をいろいろ、麻生内閣になってからだめになった理由として、官僚主導になったではないかという御批判をなさったから、それに対する答弁をさせていただく権利は私にあってよろしいんじゃないですか。そう申し上げている。だから、私は、政治主導か官僚主導かが問われているということを申し上げております。

 そういった意味で、今までの中で、公共事業中心でやってきた補正予算というものも全然別な形に変えて、交付税の一兆円追加とか、こういったような話も、いろいろな話をさせていただきましたし、そういった意味では、とても官僚の中では出てきませんでしたし、IMFに対する十兆円という話も官僚が考えたわけではありませんし、私は、官僚には官僚の役割がある、政治家には政治家の役割があるんだと思っておりますので、そういった意味では、基本的には私の考えというものと筒井先生の分析とはかなり隔たりがあるのではないか、自分なりにそう思っております。

 事務次官会議の御質問があっておったと思いますが、これは法的根拠、規定というものはない、私はそう理解をいたしております、事務次官会議というものに関して。これは、基本的には、閣議にかかる案件というものについて事務的に調整されたことを確認する場になっておりますので、各省の横の連絡というものをきちんとするということであって、決定権を持っているわけではないということははっきりしておると思っております。

 加えて、閣議で決定する案件の多くは、早く、たった十八分で何十何件と言われますが、その前にほとんどすべて各閣僚の間で調整がされておられますから、ほとんど。会う前に、個別に全部会っておられますから。何も、せえので会って、はい、会議というんじゃなくて、その前に各大臣が官房長官なり、横で全部やっておられますから、その段階で改めてそれを確認するという段階であって、官房長官と法務大臣が会う、官房長官と総務大臣が会っておるというのが、それが仕事だと思っております。それで、事前確認という場が事務次官会議なんだと理解をいたしております。(筒井委員「事前確認」と呼ぶ)事前確認、確認。事前確認の場が事務次官会議なんだ、そう理解をしております。したがって、いわば大臣の代理みたいなものですから、次官というのは。だから、そういうものなんだと思っております。

 もう一点、質問がありました。いわゆる、私の代になってひっくり返したことがあるか。私はその前の次官会議は知りませんけれども、私の代になってからはございません。

筒井委員 私の代になってからはないというのは、要するに、事務次官会議で決まったことが閣議でひっくり返されたことはない、それから、事務次官会議で決まったことのみが閣議の議題になった、この二点はそうですね。

河村国務大臣 事務次官会議を通さなければ閣議にかけられないということはありません。これは、事務次官の方には事後連絡ということはたくさんあります。

 例えば、総理の演説も閣議にかけますが、事務次官会議にかけなきゃ総理の演説が通らないということもございません。あるいは、今後の経済財政運営とか経済社会の構造改革の基本方針、いわゆる骨太の方針、これもそうであります。それから経済見通し、あるいは公務員給与改定の取り扱い、それから公務員制度改革大綱、あるいは特殊法人等整理合理化計画等、こうしたものは、事務次官会議は事後報告、閣議決定後、事後報告、こういうことになっております。

    〔委員長退席、佐田委員長代理着席〕

筒井委員 だから、私は先ほど限定して、専ら政務に属するものと天皇の認証行為に関するもの、これは別にしてというふうにはっきり確認したんです。それ以外は全部閣議にかけられるでしょう。

 それで、今何か事務次官会議にかけなくてもいいんだと言ったけれども、「次官会議の運営について」という通知、これは内閣官房がつくりましたね。それを出したことがあるでしょう。それによれば、「各省庁より閣議」、閣議ですよ、「閣議に提案する案件については、原則として次官会議に附するものとする」。(発言する者あり)原則としてですよ。そう書いてあるんだ。

 それで、今まで麻生内閣においては次官会議に付さないで閣議に付したことはないというふうにはっきりさっき麻生総理大臣、確認したでしょう。(発言する者あり)

河村国務大臣 政務でない、一般的な、各省庁が調整を必要とし、また省庁から積み上げて出てくる、こういうものは、やはりそれがきちっとしているかどうか、政令がどうか、これは事務次官会議が全部、一応チェックする機関でありますからやってもらいますが、今申し上げたように、総理の基本的な方針であるという重要な項目、これは骨太方針もしかりでありますが、こういうものは事務次官会議に事後報告、こういうことになっております。

筒井委員 私が何を言いたいのかというやじも飛んだから言いますが、各省庁、行政各部は内閣の指揮監督を受けて執行する機関ですよ。執行する機関の方が先に会議して、そこで決まっていないと原則として閣議の案件にかけられないというのは、逆ですよ。まず閣議で政治家が決めて、そして、その決まったことを、閣僚が決めたことを各行政機関に指示する、そういう逆転したことが必要なんですよ。

 そして、法案をつくったり何かするのは、これは官僚に全部頼り切っているんです、歴代の今までの自民党内閣が。官僚に頼るんじゃなくて……(発言する者あり)民主党はまさに自分たちでやっているんですから、官僚に頼れないから。自分たちでつくって閣議で決めて、それを官僚に指揮監督する、こう逆転をすべきなんですよ。そういう逆転をして、初めて官僚政治からの具体的な脱却ができる。こういうふうに麻生総理、思いませんか。

河村国務大臣 筒井先生、ある程度承知の上でおっしゃっているように聞こえるんですが、事務次官会議は決定機関じゃございません。事務次官というのは、国家行政組織法からいっても、職務というのは、大臣を助けて、省務を整理して、各部局及び機関の事務を監督する、こうなっておるわけでありますから、決定機関では、事務次官が集まって何も決定するところじゃございませんので、ここのところははっきりしておいていただきませんと、何か、事務次官が決定しなければ閣議が動かないような話というのは、これはまるでしっぽが犬を振る話になってしまいますから、そういうことは決してないんだ、そこははっきりしておきたいです。

筒井委員 私は今、法律制度上、決定機関であるかどうかなんて聞いていないんです。実質的な意思、最高の決定機関になっているのが事務次官会議だ、こう言っているんです。しかも、全く法令の根拠も何もなくて。実質的なものを、事務次官会議で全部決まってから閣議に行くから、だから閣議は、平均して一回二十二件も案件を取り扱うんだけれども、十八分ぐらいで終わるんですよ。

 閣議がまさに憲法上も法律上も一番重要な会議として位置づけられているんですから、ここできちんと議論をしなきゃいかぬ。(発言する者あり)議論なんか、二十二件の法案について十八分の平均時間で、議論しているんですか。議論しているなんて、少なくとも、さっき何か前段階でいろいろなことをやっているというふうに麻生総理言われましたが、閣議で議論なんかできるような時間帯ではないでしょう、これは。議論していないでしょう。

河村国務大臣 閣議とそれから閣僚懇談会というのがあっておりまして、実際の議論は閣僚懇談会でやることが多いわけですが、しかし、閣議、閣僚懇談会の議論は外に漏らすなと私が各閣僚に命じて、私が統一して発表するから、こういうことになっております。

 さっき総理も答弁されましたけれども、もう最後の決定機関が閣議でありますから、そこまでに積み上げるためのいろいろな議論をしっかりした上で、最終的な結論を、決裁をするというところが閣議でありますから、そこでまた初めて一から始めるというわけにいきませんので、そこでも疑義があれば、もちろん指摘等ありますから、そのために閣議が長引くということもございます。ございますけれども、積み上げて積み上げてきておるということ、それで最後の決定機関ということになっている、こういうことを御理解いただきたいと思います。

筒井委員 諸外国においても閣議というのは極めて重要ですし、それを、今、全然中身を外に漏らすことはできないと言われましたが、諸外国全部調べてみました。議事録をつくっているんですよ。(発言する者あり)いや、そんな、言葉で発表だけじゃなくて、議事録をきちんとつくっているんです、各国の閣議は。日本の閣議は議事録も何にもつくっていないんでしょう。

河村国務大臣 閣議の議事録、そういうものはつくっておりません。

筒井委員 憲法上も法律上も行政部門としての最高の意思決定機関の閣議ですから、内閣は全国民に対しても国会に対しても責任を負っているんですから、その閣議の議事録をつくるべきではありませんか。

河村国務大臣 閣議においては、閣議の議題、そういうものはきちっと整理をされておるわけでございます。そして、私の方で、主ないろいろな意見については、それはきちっと整理をしてとっておりますけれども、いわゆる議事録のような形で残っていないということであります。

筒井委員 私は、実態は、議論なんか何もなくて、サイン会ですから、お習字の会ですから、議事録なんか物理的にできないんだと思いますよ。だから、その前日にやる事務次官会議が実質上一番重要な機関になっているから、日本は官僚政治だと言っているんですよ。だから、事務次官会議の性格は、閣議の事前審査機関としての性格を持っているのではないですか。

河村国務大臣 これは、そういう疑いでごらんになるとそういうことになるかもしれませんが、少なくとも、私は官房長官としてここまで来て、事前の審査機関である事務次官会議がこういうことを言ったからこうしろとか、一切そういうことはありません。我々は、事務次官会議というのを意識したことはございません、全く。(筒井委員「事前審査機関なんですか」と呼ぶ)いやいや、それは違いますよ。(発言する者あり)

佐田委員長代理 答弁中ですから、お静かに願います。

河村国務大臣 これは、事務次官会議には副長官が出ておるわけであります。そこで、事務次官会議でこういうことになったから、そこのもし審査機関であれば、事務次官会議にかけたらこういう点が問題だからこの閣議は延ばしてくれとか、こういうことはあるかもしれませんが、我々、そういうことは聞いたことがありません。審査機関と思っておりません。現実に審査機関ではございませんから。

筒井委員 今も、当初は事前の審査機関であるということを認められましたが、後で否定されました。

 しかし、「内閣百年の歩み」という本が出版をされました。この編集委員会の委員長は、高辻元内閣法制局長官です。この「内閣百年の歩み」の中に、私が見ただけで二カ所で、「閣議の事前審査機関としての事務次官等会議」、こういうふうにはっきり規定されているんですよ。元法制局長官が委員長の編集委員会で、それが事務次官会議についてそういうふうに規定している。出版の責任者は内閣制度百年史編纂委員会、発行、内閣官房。

 これはまさに、少なくとも、先ほどからそんなことはないといって私が言ったことを嘲笑するような態度をとった閣僚もいたけれども、法制局長官、内閣官房が出した規定で、そこでそういう規定をはっきりしている。しかも、この編集委員の中には、その高辻元内閣法制局長官も入っていますが、現職の菅野国立公文書館長、これも入ってつくっているんです。そこでそういうふうに規定されているんですよ。

 少なくとも、内閣法制局長官は事務次官会議に出席していますし、閣議にも出席しているでしょう。この官僚たちは、法的に事前審査機関だというふうにはっきり規定しているじゃないですか。

河村国務大臣 閣議に出されるものが技術的にあるいは法令的に問題がないかとか、そういうことを見ていただくことは私は必要だと思いますけれども、しかし、このことはきちっと間違いないかと最終的に法制局の意見を聞いたりして積み上げたものがございますから、憲法上問題がないかとか、そういうことはあると思います。そういう専門的、技術的なものはあると思います。

 しかし、国の重要な政策にかかわるようなもの、これを事務次官会議がそこでそれをチェックして、これは違うとかそういうことにはなりませんから。そういう技術的な、専門的なことを審査いただくというのは結構だと思いますが、いわゆる国の最終政策を決める、職権で決める、このことを事務次官会議が、ここで意見を述べるとか、これを変えるとかチェックするとか、そういうことはあり得ないし、少なくとも、今お話を聞きましたら、相当前のお話だと思いますが、麻生内閣においては全くそういうことはございません。

筒井委員 専門的、技術的なことに限って事務次官会議で何とかみたいなことを言いましたが、これは昭和三十二年ですが、内閣官房長官が通知を出しました。「事務次官等会議の運営の改善について」という通知を出しました。この中に、こういう通知規定があります。「重要事項について大所高所から積極的な意見を開陳し、閣議における案件の審議が円滑に行われるようにすること。」大所高所からの議論をこの事務次官会議でやる、そして、閣議が円滑に、閣議が早く終わるようにということでしょう、内閣官房長官がこういう指示を文書で出しているんですよ。

 だから、日本の官僚政治は昔からなんです。先進国中、日本だけなんですよ、こんな官僚政治は。だから、日本の政治の最大の課題は、官僚政治をぶち壊すことですよ。そして、官僚の無駄遣いや天下り、これをぶち壊すことなんですよ。物すごい長い歴史を持っているんですよ。それに自民党の皆さんはなれているから当然だと思って、あるいは、その中でもって自分も利益を得ているからそれでいいんだと思っているんですよ。今、先進国の中にこういう官僚政治はないんですよ。日本だけなんです。だから、この事務次官会議の方が先で、そこで大所高所の議論をやって、それで、閣議は一回当たり十八分ぐらいの、そういう平均時間でもって済まして、何の不自然さも感じていないんですよ。

 最後に、だから、今言った事前審査機関、これは内閣官房が出した本でそう言っているんですから、そして、大所高所から事務次官会議等で議論する、内閣官房がそういう指示を出しているんですから、こういう姿勢を、麻生総理、完全に直さなきゃだめなんじゃないですか。

佐田委員長代理 時間を過ぎていますから、手短にお願いします。

麻生内閣総理大臣 五十年、もっと前の資料か、五十何年前の資料をもとにしてのお話でしたが、その当時のことをよく知りません、正直なことを申し上げますが。

 しかし、今の現状は、先ほど官房長官からお答えしたとおりです。

筒井委員 時間が終わりましたので、終わります。

佐田委員長代理 これにて筒井信隆君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 私は、きょうは経済について見ていきたいと思うんですが、まず最初に総理に、九〇年代以降のトヨタ、パナソニック、キヤノンなど輸出大企業の大きな利益がどのようにして生まれてきたものだとお考えなのかどうか、資料の方はまた後から議論しますが、総理のお考えを伺っておきたいと思います。

    〔佐田委員長代理退席、委員長着席〕

麻生内閣総理大臣 吉井先生、自由主義経済というのを我々はやっておりますので、その中においては、個々の企業というものは自己利益の最大化を図ろうというのは、これは当然であって、それが義務です。自己利益の最大化を図る。

 ただ、その自己利益の定義というものをよくよく考えにゃいかぬところなんではないか、私も基本的にそう思います。金だけ、配当だけじゃなくて、企業全体のことを考えたら、その企業を構成している人、また、企業における将来のことを考えての内部留保、そして、設備投資をきちんと更新する、そして、利益はしかるべき株主に配当するなどなど、いろいろなことをやらなければならないというので、企業の中長期的な発展というものを常に考えて、企業の存続、持続的な発展というものを考えるために、いろいろなことを考えて経営というのはされるべきものだと考えております。

吉井委員 企業がどういう経営をやっているかの質問をしたわけじゃないんです。輸出大企業の大きな利益が出ておりますけれども、どういうふうにして出てきたのかということをまず冒頭に伺ったわけです。

 次に、資料一をごらんいただきたいというふうに思います。

 何度も経済危機というのはこれまでにもありました。日本の輸出ラッシュで黒字が急増したときには、これは例えば八五年のプラザ合意で円高と低金利がアメリカから押しつけられてまいりました。そうすると、今度は円高でも輸出ができるように、過密労働あるいは下請単価の切り下げ、こういうことが行われ、それで、こうしてまた輸出を伸ばすと円高に振れ、円高でも輸出できるコストダウンへ走る。

 この状況を、資料一の一九九四年のところに書いておきましたが、野村総研のトヨタ自動車の研究という報告書では、悪魔のサイクル、こういう指摘が行われました。当時私は、橋本通産大臣と、このやり方を続けておったら、働く人の賃金を抑えたり下請単価をどんどん抑えるようなやり方では、結局、内需そのものを冷やしてしまって景気にとってはマイナスだ、こういう議論を行いました。

 九五年の日米自動車合意の後、北米、アジア市場などに工場を進出して、今度、国内では、アジア並みの価格でやれという下請単価の押しつけが行われました、例えば韓国価格でやれとかですね。九九年の産業活力再生法や労働者派遣法、原則自由化を強行して以降、今度は正社員のリストラと請負や派遣労働への切りかえが進んで、非正規労働者の賃金が正社員の半分以下という状況がつくられました。これでまた輸出競争力をつけて、ですから、斜線にありますように、海外売り上げはぐんぐん、危機のたびに落ち込むことはなく、一時期、アジア通貨危機のときは落ちていますけれども、ぐんぐんぐんぐん上がっていっているというのがこのグラフにもあらわれております。あわせて、大企業は輸出をどんと伸ばし、そして内部留保も配当も役員報酬もぐんと伸ばしてきたというのが現実の姿です。

 この間の一月九日ですが、予算委員会で麻生総理は、我が党の笠井委員の質問に答えて、今日の不況について、合成の誤謬ということを指摘されました。私が十年前に、ちょうど九九年の国会で質問したときに、当時通産大臣を務められた与謝野さんは、やはり合成の誤謬というのを指摘しておられました。あのころ、九九年版の経済白書でも合成の誤謬というのを問題にしておりましたが、しかし、この十年間、結局、合成の誤謬というのは是正されないまま、輸出大企業は内部留保を大きく蓄えたけれども、派遣労働者や下請中小企業は大変な事態に陥ってきて、これでは消費購買力は落ち込むわけですから、内需が冷え込んでくる。

 そこで、総理に伺っておきたいんですが、この合成の誤謬を正さずに来たことが、内需で景気を支えて、そして経済を安定的に持っていくという点で、この合成の誤謬をそのままにしてきたことが非常に問題になっていると思いますが、総理のお考えを伺っておきたいと思います。

衛藤委員長 経済財政政策担当大臣与謝野馨君がまず答弁してください。

与謝野国務大臣 その当時、三つの過剰ということが言われておりまして、それは、一つは雇用の過剰、設備の過剰、債務の過剰、こういうものをやはり整理しないと供給側としての経済の体質が強くならない、そういうことを多く言われて、しかし、それを各社が全部やったらどういうことになるかといえば、いわば大不況運動をやっているのと同じようなことになるという指摘を多分したんだろうと思います。

 ただ、それ以降の十年間、やはり考え方として間違っていたことがあって、例えば、会社は株主のものというような考え方は、社会の中で言われてきた考え方の中で、私はその当時、言われた当時から間違っていると。やはり会社というのは従業員のものであり、また従業員の家族のものであり、下請企業のものであり、納入業者のものであり、広く言えば消費者のものではないか。そういう、会社は株主のものである、配当だけどんどんふやせばいいんだというような粗っぽい考え方が一時期はやったというのは嘆かわしいことであったと思っております。

麻生内閣総理大臣 私がこの間申し上げた合成の誤謬というのは、基本的には、今回の、世界経済の中において起きているいろいろな事象を見たときに、吉井先生、金利がゼロでも企業が金を借りて設備投資をしないという前提で経済学の本というのは書かれたことはありません。必ず、金利が安くなれば企業が金を借りて設備投資をするという前提で経済学というのはでき上がっておりますので、そういったものがないということが今実は日本で起きておる。

 企業は全部一斉に、債務が超過したために、地価が暴落したために、株価が暴落したために、いわゆる利益の最大化ではなくて債務の最小化を図っていくというのを企業は全部選んだ。借金を減らすというのは悪いことではありません。しかし、全員だれも金を借りない、みんな金を返すという方向に走ったときには、金融業というのは成り立たない。合成の誤謬の例としてそれを海外で引いて、その例を話をさせていただいたのが私のときに使った合成の誤謬のケースです。

 今回も、言われましたように、配当をすりゃいいんだという話は、株価を上げるためにという、グローバルスタンダードとかいろいろな当時の表現が使われていましたけれども、それには多くの意見がなされた。先ほど、小泉・竹中路線に対するというお話がどなたからかあっていましたけれども、こういう意見というものは、私らから見ますと、株主配当をすりゃいいというので会社が成り立つなんということは、少なくとも、まじめに長いこと、雇われ経営者じゃなくオーナー経営者でもやって二十年、三十年経営をやっていれば、そんなものは成り立つはずがないですよというのは、長く経営をやればだれでもわかります。

 私は、そういったようなものが、少なくともこのところ、目先の利益というところでかなりのものは偏っているのではないかという反省というのが今出されている反省であって、この数字もそれを一部裏づけているのではないかという感じがいたします。

吉井委員 負債がたまっての話じゃなくて、利益準備金としてこれだけぐんと上がってきている。経営は、そのときそのときによって利益の出方は前後するにしても、大きな成長をしてきた。その背景には、下請には単価をどんどん切り下げる、それから、正社員をリストラして、賃金半分とか三分の一の請負や派遣労働に切りかえてきた、そうして利益を上げてきた結果として、結局、消費購買力を落とし込んで内需を冷やすことになってきたという、これが合成の誤謬ということでありますから。

 この中で、とりわけ中小企業の問題は深刻ですから、きょうは資料二をごらんいただきたいと思いますが、資料二の下の方を見ればわかるように、中小企業への低単価の押しつけと、その中で、資本金一千万以下、従業員数だと大体数十人ぐらいから十人以下のところもありますが、中小企業で、内部留保などないどころか、従業員の給料、ボーナスも、社長の給与、ボーナスもマイナスになっていることがこのグラフを見れば一目瞭然です。

 一方、自動車関連でいえば、トヨタ、日産からその一次下請ぐらいの資本金十億円以上の企業では、内部留保をぐんと上げ、配当金もどんと出す、役員報酬も大きくふえております。しかし、従業員の賃金の方は、次の資料三に載せてありますように、実は最近は下がってきている。下請中小企業では、利益が減っている中でも従業員の賃金支払いに必死になって頑張っているんですね。

 この事実を総理はどう受けとめられるか、伺います。

麻生内閣総理大臣 ちょっとこの数字を今見ただけの感想でありますので、こういうのはもう少しきちんと数字を入れた上での分析をしないと、うかつなことは申し上げられないんですが、少なくとも、配当金をふやしている部分が十億円以上の企業に多い。これは多分、間違いなく、上場企業の場合は株価対策をやらねばならぬというのが、私は、与えられている責任の一つというのが非常に強い、株価を上げておかないと金も借りられない、キャッシュフローが動かなくなるという背景なんだと思います。

 一千万円以下のところは、大体、おやじが株を持っておる、自分で株を持っているという人が多いんだと思いますので、いわゆる上場していない企業が多いので、配当に対する配慮は余りしなくてもそこそこやれる。自分さえ持てばとか、そういった意識というのは、上場企業に比べて私は高いと思います。したがって、そういうことになる。

 従業員の給与につきましては、大企業の方も役員賞与というのは二〇〇五年以降どんと下がってきているような感じがしますが、少なくとも従業員の給与というものを、これに比べて一〇〇ベースで見ましたときに、かなりな部分、従業員のあれを努力している。特に西暦二〇〇〇年以後、一千万円以上のところは努力をしておるというところは、吉井さん、これは間違いなく、従業員の確保をしないとならないという立場が猛烈これをさせている背景だと思っております。

 優良な企業は、今、人がというので、逆に採ろうとしている企業というのも実は幾つもありますけれども、こういったようなところは経営者の姿勢の問題なんだと思いますが、いずれにいたしましても、こういった状況というのは、十億円という資本金というところでいえば、私はかなり上場企業と非上場企業の差は大きいんじゃないかなと、瞬間見ただけの感じですけれども、そんな感じがいたします。

吉井委員 株価対策でというお話ですが、これは、トヨタが北米へ進出してから株式配当一〇%を目指すということでぐんと引き上げていくという、これは外資との関係で出てきたのが背景にありますけれども、しかし、次の資料三をごらんいただきたいんですね。

 自動車関係の事業所規模別賃金格差ですけれども、結局、大企業の場合の賃金はぐんと高い、平均で見ればですよ。この金額自身が高い、安いの話をしているわけじゃありませんが、これに対して、自動車産業を支えている下請などの方、一人当たり平均賃金は大体今だったら二百九十六万円。これは下請単価がどんどんたたかれているんですよ。だから、働く人の賃金が物すごく低いんです。

 そういうふうになっていることはもうこのことを見れば明白にわかるので、ですから、最初言いましたように、輸出大企業のこの間の大きな利益というのは、やはり下請いじめによって、下請業者の経営が苦しい状態になっても、それでもどんどん単価を切り縮めるということをやってきて利益を上げているんです。

 実は、単価が低くても、かつてのように発注量があったときはまだ何とかやっていけたんです。しかし、昨年十月以降の急激な発注量の切り下げで、これまでの低過ぎる単価では、これは掛け算したらすぐ出るわけですが、もう注文をこなせばこなすほど赤字になる、これが現実です。今、賃金が安いだけでなくて、大企業の派遣切りとともに下請切り、仕事切りが進んで、働いている人の七割を占めるのが中小企業ですね。ここの労働者の所得の落ち込みと下請企業の解雇がふえていることによって、内需の冷え込みなど、問題を一層深刻にしているというのが今日の日本経済の現状です。

 そこで、総理に伺っておきたいんですが、こういう中小企業の経営と雇用が今憂慮すべき事態になっている、このことをちゃんとつかんでおられるのかどうか、伺います。

麻生内閣総理大臣 これは主に二階経産大臣のところで昨年よりずっと一緒にいろいろやらせてきていただいたところでもありますが、今この中に言われておりますように、下請の選択も激しくなってきているような感じがいたします。一律平均にやるのではなくて、下請の中の選択をまた大会社の方でしている、そういったような感じもありますけれども、少なくとも、景気の悪化の影響が出てくるというのは、この下請の部分が非常に大きいという意識がありますので、下請業者にいわゆるしわ寄せが偏ることがないように指導すべきという話やら何やらをさせていただいて、たしか昨年の秋からだったと思いますが、全国でこの種の話を、一方的なことがないようにするために、弁護士の無料相談所を開くとか、違反行為の取り締まりを下請代金法に基づいてやらせるとかいうようなことを今主にやらせていただいているところでもあります。

 この種の話がこういった形になったときに一番きつく出るというのは景気の後退期、特に急激に後退したときによくある現象で、今回もそれが非常に顕著だと思っております。

吉井委員 実は私は、東京、愛知、大阪の基盤的技術の集積地に実際に行って、現場を見て話も聞いてきました。総理、トヨタなど自動車大企業の一次、二次、ずっとあって、孫請、ひ孫請というふうに重層的に下請部品生産構造がつくられております。それぞれに高い品質で物をつくる技術で、輸出大企業というのは利益を大きく伸ばしてきたわけです。

 資料四をごらんいただきたいと思うんですが、このピラミッド構造の最下層で、高い技術で物づくりを支えているのが中小企業なんですが、富士山でいうたらちょうどこの三億ぐらいのところに雲海があって、総理は上の方から下を見てはるから、このすそ野の広いところとか樹海が見えないんですよ。しかし、この樹海の部分が実は日本の生産を支えているところなんです。株価の話で余り気楽なことを言ってもらったら困るんですよ。実際にどれぐらい厳しいか。

 そこで、私、この資料四に示しました、トヨタの一番上の自動車から樹海の部分に当たるようなピラミッド構造について、きちんと中小企業の実態調査というものをやっておられるのかどうか、これは経産大臣の方に伺っておきたいと思います。

二階国務大臣 ただいまお尋ねの下請、孫請等の、いわゆる下請取引の実態ですが、下請代金法に基づく書面調査の数を、昨年は十三万件、今年度は二十万件にふやすなど、実態の捕捉に懸命に取り組んでおります。自動車部品、金型、鋳物、鍛造など、いわゆる関連の産業界に対するヒアリングの実施などを行い、下請取引の実態把握に努めております。

 先ほど総理からもお答えになられましたが、昨年四月から、全国四十八カ所に下請駆け込み寺というものを設置し、下請、孫請等の皆さんのいろいろな苦情や相談にお答えできるような体制をしいております。昨年の十一月から、弁護士による無料相談も行っております。

 今後とも、実態の把握にきめ細かく取り組んでまいりたいと思いますし、あすは、全国から出先の局長を集めまして、下請等の実態についてさらに調査をする予定になっております。

吉井委員 先にちょっと申し上げておきますと、その実態調査の内容ですけれども、それから駆け込み寺とおっしゃったけれども、例年どおりトヨタの方から、この経営危機の中で一%のコストダウンをやれと言われたと。それで、駆け込み寺と称するところに電話したら、赤字でもセーフティーネット保証がついたならそれでいいじゃないですかと言われたので、余りにもわかっていない、もうこれは話にならぬというので電話をがちゃんと切ったという状態ですよ。

 それから、財務局、経産局、東京都の合同事情聴取に行ったら、前に話したことを、次に来た人は全然前の話を聞いておらぬから同じ話をさせられた、非常に温厚な経営者の方だったけれども、頭にきてしまって怒りが爆発した、これが調査と言っておられるものの現実の姿です。

 昨年の十二月の全国拡大経産局長会議で、東海地方の方からは、自動車メーカーとなっておりますからトヨタのことですね、トヨタが、下請にも生産ラインの一部停止や減速、二直から一直への変更などで対応する、サプライヤーにも、つまり供給する側ですね、下請にも同様の指令を出すと。つまり、さっきのピラミッドで、トヨタが上から指令を出すんですよ、樹海のところまで。これが下請の実態だということをきちんとつかまないことには、全く私は調査というものになっていないと言わざるを得ないと思います。

 それで、どういう状況かといいますと、現場の状況を見ると、一次の大手下請の方から例えばA社ならA社に、契約書とそれに基づく確定内示というのが、最初、三カ月前に内示が来て、一カ月前に確定内示が来る。それによる日々の生産量の指示ということを示すものが来るわけですが、それを見ていると、孫、ひ孫請のA社では、部品を一万個つくるから百円の単価でつくれと言われた。三カ月前の発注内示は一万個、一カ月前の確定内示でも一万個だったから、それに合わせて設備投資もやった。人も雇って教育訓練もやった。しかし、一週間前になったら五千個でいい、三日前になったら七百個だと。

 これは掛け算したらわかりますね。百万円の取引が七万円になったら、どうして借金返しができますか。働いている人の賃金も払うことができない。準備した材料費は支払わなきゃいけない。だから、経営者の給料はゼロだ。これが現実に生まれている実態の一端ですよ。自動車の場合、車種にもよりますけれども、会社全体が二割減産であるというふうに言われたとしても、孫請まで二割減産というんじゃないんですよ。孫請、ひ孫請では九割減産、九十数%減産という厳しさですよ。

 政府として、輸出大企業の一次、二次だけじゃなくて、やはり孫請、ひ孫請までの実態調査をやって、今言ったような話というのは、あれは本来違法な契約なんですよ。違法な契約の取り消しとか変更は是正させる、そういうことが必要だと思うんですが、やっておられますか。

二階国務大臣 下請代金支払遅延防止法でありますが、その運用の状況は、近ごろのこのような経済事情において相当数の問題が発生しておるわけでありますから、我々としては、それらの親事業に対しても、四百三十三社に対して立入検査を行う、あるいはまた九百五十六件にわたって改善指導を行うなど、積極的に対応しております。

 今までは、どちらかというと下請代金支払遅延防止法というのはなかなか関係者の協力が得られにくかったわけでありますが、近ごろは、それぞれやむにやまれぬ事情といいますか、大変困窮した事情の中からどんどんと情報が伝えられておりますので、それらに従って我々としては全力を挙げて取り組んでおるところであります。

 同時に、調達担当者への下請代金の講習会などをやっております。既に九十三回、経営者を対象としたいわゆるトップセミナーを九十六カ所で実施するなど、下請代金法の周知徹底を行っているところでありますが、今後においても、こうしたことに対して、下請の皆さんを守るという立場から懸命の取り組みを行ってまいりたいと思います。

吉井委員 数字はいろいろ出てくるんですけれども、私、ある企業で上期の価格改定合意書というのをコピーをもらいましたけれども、三カ月前に内示、一カ月前に確定内示、これで下請は生産計画を立てるわけですね。設備投資、従業員を雇って教育訓練、それが急に大幅削減や発注ストップになると大きな損失が生まれますが、この内示取り消しや急激な契約変更というのは、これは大臣、違法ということになるんじゃないですか。

二階国務大臣 ケース・バイ・ケースでありますが、これは好ましいことではなくて、違法に近いものもたくさんあると思いますから、我々は、これらに対しては公取とも連携をとって対応するようにしております。

吉井委員 契約の取り消しとか変更による損失が生まれていますが、発注元企業や建設業法に言う元請責任の発想で、下請中小企業を特別に救済する必要があるんじゃないかと思うんです。そういう取り組みはされますか。

二階国務大臣 それぞれの個別の契約、個別の商慣習によって取り組んでおられるわけでありますから、よく現場の状況等を把握した上で判断をしてまいりたいと思います。

吉井委員 判断している間に転んでしまっちゃ大変ですから、これは本当に救済するという立場で臨んでいただきたいと思います。

 さっきのピラミッド構造の上の一次、二次の話はつかんではっても、本当の実態をつかんでおられないんじゃないかというふうに思うわけです。

 二年前、二〇〇七年のアメリカにおける自動車ローンの行き詰まり、その後の夏のサブプライムローン破綻以降、既に昨年春から、二〇〇九年問題とあわせて、派遣の扱いを含む経営計画の縮小指示が指令されておりました。昨年十月以降は、金融危機を二〇〇九年問題解決の奇貨として、普通でいったら正社員にしなきゃいけない、それを金融危機だからということで、これを奇貨として派遣切りが始まっています。下請整理も始まっております。

 あれから四カ月たつわけですが、孫、ひ孫請までの下請企業の実態調査を行っていない、十分やられていない、これは私はやはり政治が責任を果たしていないということになると思うんですが、総理、どうですか。

麻生内閣総理大臣 実態の調査に関しては、それぞれ厚生労働省また経産省の所管なんだと思いますが、いずれにいたしましても、その実態の把握というものは、いわゆる今回の融資、またいろいろな意味での保証などの段階をやらせていただいたときに、かなりの数、現場の話を聞かせていただいたと理解しておりますが、全体としての数値をきちんと捕捉しているかというと、なかなかそれは現実問題としては難しいんじゃないかなという感じはいたします。

吉井委員 私は、やはり、まず下請の企業の経営をきちんと支えていくという立場に立っての実態調査というものを政府として本格的に取り組んでもらうことが必要だというふうに思います。

 それで、次に、下請中小企業については、私は、中小企業家の方にお会いして非常に感動した言葉がありますが、人は宝です、技術を覚えてもらうまでに十年はかかる、やめられたら困るし、正社員にして雇用を維持していきたい、しかし仕事が急減で本当に大変だ、見通しがつくまで中小企業雇用調整助成金を一年でなく延長してもらいたいというお話なども伺っております。

 総理は全治三年と言ったんですから、少なくとも三年間は、中小企業で仕事がなくなって一時休業、一時休職してもらう人には雇調金で給与保障ができるようにするのは、これは当然のことだというふうに思うんです。

 それから、申請から支給決定まで時間がかかり、決定しても支給が六カ月先とか大幅なおくれになってしまっては大変ですから、中小企業はその間の給与の一部支払いなど資金繰りが大変な中で頑張っているわけですから、迅速な事務ができる体制充実と期間延長のために、そういうところへは予算を投じて基金を積み増しするなど、私はこれは当然の取り組みだと思うんですが、伺っておきます。

舛添国務大臣 まず、雇用調整助成金につきましては、委員御承知のように、これまで、一年間制度利用後は一年経過するまでの間は再利用ができませんでした。今回、これを撤廃して連続利用可能なようにいたしました。

 そして、支給日数につきましても、これまで、一年間で百日まで、三年間で百五十日まで、中小企業は二百日までですけれども、この制限も緩和いたしまして、一年間で二百日、三年間で三百日まで支給対象とすることといたしております。

 さらに、今急速に雇用調整助成金の申し込みが来ておりますので、そのため、労働局やハローワークの体制整備、それから支給申請様式の簡素化、こういうことをしっかりとやって、御希望にこたえてまいりたいと思っております。

吉井委員 資料五をごらんいただきたいと思うんですが、今、中小企業や雇用を守っていく体力というのは輸出大企業にはある。最初の一の表でもぐんぐん利益を上げているのを見ていただきましたけれども、この利益剰余金ランキング上位の企業が、派遣切りをやりながら、キヤノンのように国にセーフティーネットを考えてくれと言っておりますが、まず、大企業は自己責任を果たすべきだと思うんです。配当減、役員報酬を減らすこと、内部留保を取り崩し。国にセーフティーネットを求めるというのは、もっと先の話なんですね。

 かつて、一九九九年十一月九日の国会で深谷通産大臣は、日産の大規模リストラのときに、日産に、雇用について最善を尽くせ、下請企業をお守りするように全力を挙げて対応せよときつく申し上げたという答弁を国会でもしておられますが、総理、今、派遣切りと中小下請切りについて、私は、このピラミッドの最上部におる人たちに、財界にきちんと総理として物を言うべきときだと思います。どうですか。

麻生内閣総理大臣 企業において、今吉井先生言われるまでもなく、その企業が持続的に繁栄していくため、こういった状況においてもいろいろな努力をする、これは当然のことだと思いますが、その上で、長期的に見たら、やはり人を大切にするというのは日本的経営の最も大事なところなんだ、私はそう思っております。

 しかし、これまでは何となく、終身雇用は古いとかいうような話がずっと横行していた時代があったんだと思っております。そういったものが何となく風潮だったんだと思いますが、やはり企業として、こういったような世界的な流れとかいうものに乗っかって走られた時期もありましたけれども、改めて今、そういったものの大事さというのが理解されつつあるのかな。私は、それは今回のあれを奇貨とされなきゃいかぬところの一つだと思っています。

 あわせて、今度これは景気がよくなったときにはどうなるかということを考えたときには、今度は人が足らない、しかもそれは全然従業員を養成していない、技術屋を育てていないというのがまた大きく響いてくるということになるんだと思いますので、私は、こういった点を踏まえて、企業経営者として自分の企業を経営していくときの姿勢については、今言われたようなことは大事な点だと思って、個別には何回か申し上げたこともありますし、国会でもそのようなことを申し上げてきたところであります。

吉井委員 先ほど資料四に示しましたように、ピラミッドの最上部のところですね。派遣労働、下請の単価たたき、これで物すごい利益を上げ、役員報酬も株式配当もみんなどんどん上げているわけですよ。しかし、この人たちの犠牲のおかげなんですよ。今、金融危機を奇貨としてそこをばんばん切るようなことは、断じて許すことはできない。

 私は、政治の責任において、総理として、かつて深谷さんがされた例も御紹介しましたけれども、やはり財界に対してきちんと物を言っていく、こうしたことはやめさせるというようにされることを求めて、質問を終わります。

衛藤委員長 これにて吉井英勝君の質疑は終了いたしました。

 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社会民主党の照屋寛徳です。

 最初に、麻生総理と佐藤沖縄担当大臣にお尋ねをいたします。

 悲惨な沖縄戦の実相の一つを語る言葉に、鉄の暴風という言葉があります。麻生総理と佐藤大臣は、鉄の暴風という言葉から何をイメージされるんでしょうか。

佐藤国務大臣 お答えを申し上げたいと思います。

 第二次世界大戦において、我が国で最も激しく悲惨な地上戦が行われた沖縄戦につきまして、まずもって重く受けとめさせていただいております。

 その上で、激しく悲惨な沖縄戦の経緯等々、そして砲弾が昼夜なく激しく降り注ぐ様子というふうに私は理解をさせていただいております。

麻生内閣総理大臣 照屋先生、私の場合はあなたより年が大分上ですので、その意味で、この言葉の時代というのはもう生まれておりますので、この意味が何を意味するかというのは、本も出たぐらいで、悲惨な話だったと記憶しますし、意味するところはよくわかっております。

照屋委員 麻生総理、去る沖縄戦で日米双方によってあの小さな島に投下された爆弾は約二十万トン、そのうち約五%の一万トンが不発弾になったと言われております。復帰前琉球政府、復帰後日本政府によって処理された不発弾を除いて、今なお二千三百トンから二千五百トンの不発弾が沖縄には埋没、放置をされている、こう言われております。沖縄県も、この不発弾を処理するのにあと七十年ないし八十年かかる、こう発表しております。

 麻生総理は、この沖縄の現実をどう思っていらっしゃるんでしょうか。

麻生内閣総理大臣 これは照屋先生、さきの大戦において、終戦間際、最も激しい戦闘が行われたのは沖縄の南部、よく理解をしているところでありますので、この歴史というのは、今の不発弾もほぼ南部の方に集中しているというのも、もう御存じのとおりであります。

 したがって、今、本土に比べましても、この不発弾というのは時々内地というか本土の方でも出るんですが、その発見数の度合いが全然違いますので、今回のように負傷も重傷というような方、昔は四人全員死亡という例もありましたし、そういった意味で、二百五十トンとかいうようなあれになってきますとかなり大きな爆発ということで、今回も、山の上のガラスも全部吹っ飛んでいるというような話になっているところまで、震源地からかなり遠いところまでという話になっておりますので、事はかなり深刻なんだと思います。

 なぜこんなにパーセントが多いのかというのは、もう御存じのとおりで、このころはやたら雨が多かった月で、結果としてこれが不発弾になっていったというのが歴史ということもよく知っているところであります。

 いずれにしても、この種の話というのは基本的に事を急いでいかなきゃいかぬので、今、佐藤大臣と話をしておりますが、不発弾対策というものは、特に沖縄の南部において非常に大きな問題だということで、この点を探査装置というので、かなり平地のところは随分進んだと私ども理解しておりますが、何となく発見しにくい山合い、そういったところでむしろ最近出てきているのが、さらに回収速度をおくらせているのが最近の実情だと思いますので、経費の話もありますし、技術屋の話もありますので、ちょっときちんと検討しなきゃいかぬところだと思っております。

照屋委員 麻生総理、私の質問主意書に対する二月三日の政府の答弁書によると、沖縄では復帰後から昨年末までに十六件の不発弾爆発事故による人身事故が発生して、六人が死亡、五十六人が負傷しております。

 去る一月十四日、糸満市の工事現場で米国製二百五十キロ爆弾が爆発するという大事故が起きました。その結果、二名が負傷し、近くの老人ホームの窓ガラス百枚以上が破損する等の被害がありました。

 知事を初め県議会及び多くの市町村が糸満市の爆発事故の人身、物損被害に対する国の補償を求めておりますが、麻生総理の見解を伺います。

麻生内閣総理大臣 今回の爆発事故で負傷、重傷を負われたという方に対して、まず心よりお見舞いを申し上げるところです。

 不発弾の事故に対する国家補償というものにつきましては、これは、他の戦争被害、例えば焼夷弾によります戦争被害等々いろいろありますので、そういった補償問題との均衡、バランスというようなことから、事実関係とか責任の所在が必ずしも明らかじゃないものですから、そういった意味でさまざまな問題があるというのは、もう照屋先生よく御理解いただいているところだと思います。

 いずれにいたしましても、これは、平地はともかく、だんだん山合いの難しいというかなかなか探査しにくいところに移ってきておりますので、いろいろ地元から要請を寄せられてみたり、子供が見つけてきたり拾ってきたり、そういったことを含めまして、事故の未然防止というためには、磁気探査の話、探査する、あの話はさらにきちんともっとやっていかなければいかぬ、数をふやさねばならぬということなんだと理解しております。

 そういった意味に立ちまして、佐藤担当大臣のもとで、国としてさらに何ができるかということについて検討するように指示をしたところであります。

照屋委員 麻生総理、二月三日の政府答弁書に沖縄じゅうが落胆をしております。私は、麻生総理のリーダーシップで、政治の責任で、沖縄であと七十年もかかる不発弾は、政府が引き起こした、国が引き起こした戦争によるものなんだ、当然政府が補償すべきであると私は考えます。今こそ、県民全員が、麻生総理のリーダーシップ、決断、決意を期待しているんです。

 例えば、不発弾事故が起きた場合、被害者救済のための基金をつくるとか、やはり麻生総理らしい具体策を示さないと、今度は不発弾でしたが、県民の怒りが今度は爆発しますよ。総理、どうでしょうか。

麻生内閣総理大臣 これは照屋先生もよく御存じのとおりで、この不発弾の対策というものにつきましては、戦後処理の一環として国が責任を持つとともに、住民の安全確保の観点から、地方公共団体においても責任を持つということにされております。

 このように国と地方の役割分担ということをさせていただいてこれまで来たんですが、大量の不発弾が一番集中しておるのは沖縄であります。もうこれははっきりいたしております。したがって、磁気探査についての補助率は、ほかの県におきましてはたしか二分の一だったと記憶しますが、沖縄の場合は十分の九、残り十分の一につきましても交付税等々できちんとやらせていただいているんだというように、一応手厚い対策というものを設けているところであります。

 いずれにいたしましても、平成二十一年度からは、不発弾処理に要します費用に対しまして交付金を交付することといたしておりますので、市町村の負担軽減というものを一層目指していかねばならぬと思っております。

照屋委員 総理、私が聞きたいのは、県民が関心を持っているのは、今度の糸満のような爆発事故があった場合の人身、物損被害をどのように政府がやるのか、そのことを注目しているんです。お答えください。

麻生内閣総理大臣 これは、基本的には佐藤担当大臣の方に聞いていただかぬと、今の段階でお答えする段階にはございません。

佐藤国務大臣 先生の御趣旨はよく理解をさせていただいております。

 したがいまして、若干お時間をいただいて、今検討中でございます。いかなることがいいのかということを、県そして市町村とお話し合いをさせていただきながら、いい方向に向かうように、総理の御指示もいただいておりますので、そんな方向に進めたいというふうに思っております。若干お時間をいただきたいというふうに思います。

照屋委員 米軍再編問題について総理に尋ねます。

 総理の施政方針演説で、「在日米軍再編については、沖縄など地元の声に耳を傾け、地域の振興に全力を挙げて取り組みながら、引き続き着実に進めてまいります。」と述べております。安倍あるいはその前の小泉、福田総理が述べていた沖縄の基地負担の軽減を図るという方針は、なぜ消えてしまったんでしょうか。

麻生内閣総理大臣 単語の話を聞いておられるんだと思いますが、そもそもこれは、照屋先生御存じのように、米軍再編というものに対しましては、抑止力の維持と地元負担の軽減というものを両立させる、これが基本的な考えになっております。もう御存じのとおりであります。

 米軍再編を着実に進めるということは、これは沖縄県また地元の負担軽減を図るということを意味しておる、私どもは基本的にそう理解をしておりますので、そのように言わせていただいたということでありまして、別に意図はございません。

照屋委員 麻生総理、沖縄の負担軽減を図る、ところが、現下の在日米軍による基地運用の実態は、負担軽減ではなく、むしろ基地機能は強化をされております。爆音が激化をし、そして外来機の飛来や軍事訓練が増加をし、住民は苦しんでいるんです。そのことを総理はどのように思われますか。

麻生内閣総理大臣 照屋先生よく御存じのように、沖縄県におきましては、いわゆる米軍基地というものの専用地域とか区域というものが、日本じゅうの約七四%ぐらいが集中をいたしておる地域というのは御存じのとおりでありまして、騒音に限らず、その他いろいろ県民に負担がかかっているということはよく理解をしているところであります。

 そうした中で、沖縄県民の負担を軽減させるということは、これは米軍の再編というものが大事。少なくとも、これを再編いたしますと米軍軍人だけで約一万人というようなことになりますので、そういった意味では、再編というもの自体はぜひとも実現させなければならないものだ、私はそう思っております。

 したがって、今後とも、そういったいろいろな現実、今大変騒音がふえたりしているのは確かなんだと存じますが、長い目で見て、そんな先の話ではありませんけれども、私どもとしては、日米合意に従いまして、この基地抑止力を維持しつつ在沖縄米軍人の絶対量を減らしていくということになろうと思いますが、そういった方向で今後とも努力して、もって沖縄県民の昔からの御要請にこたえていかなければならないと考えております。

照屋委員 中曽根外務大臣にも尋ねますが、先週、沖縄基地を視察されました。大臣には、基地機能の強化に苦しむ基地周辺市町村長の声は届いたでしょうか。どう受けとめられましたか。

中曽根国務大臣 今委員がお話しされましたように、先週、私は沖縄を訪問いたしまして、知事さん、副知事さん、あるいは市町村長さんの皆さん方と懇談を行い、いろいろな意見交換を行ってまいりました。また、普天間基地、嘉手納基地、そして移転予定地のキャンプ・シュワブ等も訪問をしてきたところでございます。

 まず、実感としては、沖縄の県民の皆さんに大変大きな負担をおかけしているということが実感でございました。

 御質問にはありませんでしたけれども、騒音問題とか、あるいは事故、事件、これが絶えないということでありまして、あの機会に私自身はジルマー在沖縄四軍調整官にもお会いをいたしまして、騒音問題、あるいは事故、事件の再発防止ということを強く要請をしてきたところでございます。

照屋委員 総理、お願いですが、本当に基地機能は強化をされておる。爆音なんというのは殺人的ですよ。深夜、早朝、未明にかけてうるささ指数が百二十デシベルぐらいというのはもう日常的に起こっている、こんな状態。爆音も大変、軍用機の墜落の恐怖にもさいなまれる。このことをぜひ麻生総理にはわかってもらいたいと思います。

 次に、舛添大臣にお伺いをいたします。

 厚労省が発表したホームレスの実態に関する全国調査によると、平成二十年一月の時点で、ホームレスの数は全国的に減少傾向にあるのに、沖縄は増加数が全国一となっております。その原因、要因はどこにあると大臣は考えておるんでしょう。

舛添国務大臣 ホームレスの数の増減についてはさまざまな要因があると思いますので、今正確に分析しているところではございませんけれども、一般的に申し上げますと、地域におけるホームレス対策の実施状況、それから経済環境の違いなどがあるというふうに思っていますが、いずれにしましても、今、二十年四月から那覇市が巡回相談事業を開始しておりますので、国の方も、本事業の実施を通じてホームレスの方々の自立支援を行うことが大切だというふうに考えております。

照屋委員 舛添大臣には、あらかじめ、NPO法人プロミスキーパーズのホームレス自立支援の新聞記事をお渡ししましたが、読んだ上での感想をお聞かせください。

舛添国務大臣 さまざまなNPOの方々がこういうホームレスの方々の支援をやっていただくというのは非常に高く評価をしておりますので、国や自治体も、こういうNPOに事業を委託できるわけですから、ぜひこういう方々とも協力しながら、沖縄におけるホームレス問題の解決に努力をしたいと思っております。

照屋委員 舛添大臣、沖縄県の西原町に、このホームレス自立支援のNPO法人プロミスキーパーズはあるんです。そこには現在、ホームレスの方百八名が入所し、就労支援が行われております。百八名の入所者のうち、約四割が沖縄以外の他の都道府県の方であります。

 総理、暖かい沖縄にホームレスが移ってきておるんです。私は、近々に沖縄はホームレスのメッカになるのではないかと思っております。

 大臣、このプロミスキーパーズでは、病気の者を除き、原則として生活保護を受けない、こういう方針なんです。それで、就労による自立支援を行っております。

 舛添大臣、政府として、このようなNPO法人にどのような支援策を講ずるおつもりか。また、私は、大臣が直接に、あるいは担当職員を派遣して、ぜひこの施設におけるホームレス自立支援の実態を見ていただきたい、こうお願い申し上げます。

舛添国務大臣 委員、ホームレス対策につきましては、ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法というのがございます。この法律を援用し、それから、先ほど申し上げましたように、プロミスキーパーズなどに国や自治体が業務を委託するという形でやりたいと思います。

 それから、プロミスキーパーズの活動を報じた記事も見ましたけれども、麻生総理や私の出身の福岡県からの方もそこにおられて、今一生懸命ちんすこうをつくってやっているということでありますので、機会があったら、ぜひ現場を見てみたいというふうに思っております。

照屋委員 大臣、私はたびたび足を運ばせてもらっておりますが、本当に、農業をしながら自立を目指したり、あるいは建築業、運転代行、今言う菓子製造業、いろいろなところに働きながら自立を目指しているんですね。もう涙が出ますよ、あの必死さには。

 さっきも言ったように、生活保護は一切受けない、そういう主義でやっている。しかも、沖縄のユイマール精神で、外国の籍の人も助けている。ウチナーンチュだけではなく、福岡の人も東京の人もみんな助けている。寮長さんは、十三年間も公園生活をしていたホームレス。

 舛添大臣、ぜひごらんになってください。あるいは、すぐにでも職員を派遣して、国として何が支援できるか対策を講じてもらいたいと私は思います。

 さて、舛添大臣に尋ねますが、派遣切りや期間工の雇いどめなどが大きな社会問題になっております。このような状況で、厚労省は、沖縄県から他の都道府県への派遣社員、期間工などの就労実態をどのように把握しておりますか。

舛添国務大臣 平成十九年度の数字でございますけれども、沖縄県から県外へ就職している件数が七千七百七十三件。そのうちの五千百十九件ですから、実に約三分の二が愛知県、つまり自動車産業のメッカである愛知県への就職となっております。

照屋委員 今大臣がおっしゃったように、沖縄出身者で派遣切りや雇いどめ、解雇、採用内定取り消しになっている労働者は、トヨタ関連企業による愛知県が約六〇%を占めております。派遣切りになって職も宿も失い、沖縄へ帰る飛行機賃もない、こういう状態で大変深刻な社会問題になっております。

 ただでさえ沖縄は、失業率全国一、しかも若年労働者の失業者が多い、こういう実態にかんがみて、大臣として政府の対応と支援策をどう講じられるおつもりか、最後に尋ねます。

舛添国務大臣 現地の沖縄労働局からの報告によりますと、このところ求職者が急増している、それは、今委員おっしゃったように、県外製造業での雇いどめなどにより帰郷した者の増加が要因であるということで、十二月の新規求職者数は前月比で八・二%の増加でございます。

 全国に対して、こういう状況に対してさまざまな雇用対策を行っています。例えば、雇用助成金制度、雇用保険制度の条件緩和、それから、ずっと議論しています四千億円程度の基金、これも沖縄でも使えます。さらに、二十一道県で緊急地域共同就職支援事業というのを道県と国とが共同して行っておりますので、こういう対策を沖縄県と共同してやりながら、今言った大変厳しい状況に対応してまいりたいと思います。全力を挙げて頑張ります。

照屋委員 終わります。

衛藤委員長 これにて照屋寛徳君の質疑は終了いたしました。

 次に、鈴木宗男君。

鈴木(宗)委員 麻生総理、閣僚の皆さん、私が最後ですから、若干の時間おつき合いをいただきたい、こう思います。

 麻生総理、今、照屋先生のお話を聞きながらも、やはり沖縄の痛みは我々ひとしく考えなければいけないし、それなりの任は負うべきだ、こう思っております。

 今、予算委員長をやっている衛藤先生が防衛庁長官のとき、時の村山総理は、アメリカのクリントン大統領と会談して、沖縄三事案といいまして、例の県道一〇四号越えの実射訓練の本土移転を目玉として受け入れてきたんですよ。しかし、当時、大分でも受け入れの声が出なかったんです、総理がいても、防衛庁長官がいても。最終的には受け入れてもらえましたけれども、北海道の矢臼別、私の選挙区で、私が先陣を切ってこれは受け入れたのであります。これはアメリカにも感謝されたし、沖縄の皆さんも非常に喜んでくれたんです。

 あわせて、さきの大戦で沖縄では二十万の人が亡くなっていますけれども、万のつく犠牲者は、沖縄県の民間人、沖縄軍人の約十六万と、次は北海道人なんです。約一万二千人が亡くなっているんです。ですから、私は、先人の思いを受けて、少しでも平和の重みというものを感じてやったものですから、ぜひとも、麻生総理も、佐藤大臣も、あるいは浜田防衛大臣も、沖縄のために尽力をいただきたいな、こう思っております。

 さて、時間がありませんから端的に聞きますが、総理、定額給付金は総理は受けられますか。あわせて、甘利大臣は、一月九日の記者会見では受け取らぬと答えられていますが、それに変わりがないか。さらに、中川大臣、与謝野大臣、当時、二階大臣、森大臣がまだ受け取るかどうか決めかねているという記者会見でのお話だったと思いますので、今どういうお考えか、お知らせいただきたいと思います。

麻生内閣総理大臣 これは前々から申し上げているとおりです、受け取るか受け取らないかは人それぞれで決めていただかねばならぬところだと。これは個人の話ですから、受け取れという話でもないと思っております。

 ただ、消費刺激という話が、今、個人消費が落ちておりますので、そういった意味では消費刺激のために、持っておられる方でもぜひ使っていただきたいということを申し上げてきております。

 私のことにつきましては、私で判断させていただきます。

中川国務大臣 今、総理と同じで、この定額給付金は、去年、これを決めたときは大変な石油高とか物価高があったということで、少しでもお役に立ちたいという生活支援でございました。経済が非常に落ち込んでいるということでございました。

 そういう中で、第二次補正予算、おかげさまで通らせていただきましたが、関連法案、四兆八千億の財源がまだ法案が今参議院で審議中でございます。私は提案者の立場で、一刻も早くこの法案が成立するという責任を負っております。

 自分がもらうかもらわないかについては、余りそんなに自分として重大な問題ではないと思います。ただ、いずれにしても消費の拡大には寄与したいということで、通った後、さっと考えてみたいと思っております。

鈴木(宗)委員 もらうかもらわないかだけ、時間がないものですから。

衛藤委員長 各大臣は、もらうかもらわないかだけ簡潔にお答えください。

与謝野国務大臣 関連法案が通ってから考えたいと思います。

二階国務大臣 この件に関しては、私は、あのときは家族と相談するということを言っておいたんですが、まだ家族とは相談しておりません。おりませんが、経済産業大臣として今景気対策に尽力をしなければならない立場ですから、おのずから私の結論はもう出ておると思っております。

森国務大臣 趣旨を踏まえて適切に対処したいと思います。

甘利国務大臣 辞退をいたしますが、家族にはポケットマネーで定額給付いたします。

鈴木(宗)委員 それぞれの認識はわかりました。

 私は、やはり国民の理解を得るには、閣議で署名をしている、しかも予算にも計上の話です、国民の税金、すべからく閣議で署名した以上はみんな喜んでもらって使おうじゃないかという意識があって当然ではないか、こう思うんですね。

 あわせて、二兆円のお金があるならば、私ならば、後期高齢医療制度をやめます、あるいは障害者自立支援法をやめますとか、年金は間違いなくもらえますという担保をしてから、さらに有効な、二兆円あるならば一兆七千億ぐらいまだ使えるわけですから、頭の体操からしても、もっともっとお金は有効に使えたんじゃないかなという感じを持っております。

 さて、時間がありませんから、次に移らせてもらいます。

 総理、メドベージェフ大統領とお話をされて、二月の十八日、サハリンでの液化天然ガスの生産開始の記念式典に招待を受けたというふうに聞いておりますが、この式典には行かれますか。

麻生内閣総理大臣 本人から電話がかかってきて、招待を受けたことは事実です。日にちは二月の何日だったかという話だったので、こっちは国会の審議中という返事だけしておりますので、国会との兼ね合いを受けた上で判断をさせていただかねばいかぬところだと思っております。本人にはそのように答えております。

鈴木(宗)委員 総理、ロシアとの間には北方領土問題があります。私は、やはりこれはトップ同士で信頼関係をつくって解決していくのが一番だと思うんですね。

 そういった意味では、国会の理解も得て、せっかく招待されたわけですから、私は行くべきだと思っておりますので、ぜひともここは、官房長官がきちっと根回しをすれば済むんですから、ここはあなたの仕事なんですから、総理を行かせるように努力していただきたい、こう思いますし、総理自身は国会の許しを得れば行くということでよろしいですか。

麻生内閣総理大臣 基本的には、北京で一回、リマで二回、これまで個別にメドベージェフ大統領と会う機会がありました。

 これは、昔から鈴木議員はこれを担当して、担当というかどっぷりつかっておられた。決してどっぷりというのは嫌な意味にとらないでね、まじめに言っているんだから、こういうところでは。

 僕は、そういった長い長い歴史がありますので、御本人には、少なくとも、今、西の方に向かっていってうまくいっていないでしょうが、ロシアになってから、しかし出ていくべきは、東の方に顔を向けてしかるべきではないのですかと。そこには、少なくとも太平洋に来れば、韓国もある、日本もある、台湾もある、いろいろなものがそこにあるのであって、そういった国は、いずれも経済成長率また経済力というのは悪いけれどもおたくの一人頭よりはるかに高いんですよ、そういった国ともっと手を組むことを考えるのであって、西側を向くのはそろそろという話をして、初めて、向こうがどういう意味だと言うから、そういう意味だ、これを正しく理解されたらいいんじゃないかと。ただ、うちとおたくの間には、のどに骨がひっかかったところが、北方四島という問題を抱えているんだから、この問題を解決するということをしない限りは前に進まない、これはどう考えても双方にとって不幸なことなんだから、決断をする世代に、あの人は四十幾つだというんだから、決断をすべき世代に来ているのではないかと言って、役人に任せるつもりはないという話を自分でしていましたので、そういったところで本人の意欲は感じられたところです。

 あそこは、もう御存じのように、お役所が出てくると、日本の役所の方がよっぽど民間に見えるぐらい役所ですから。かなりひどいのは御存じのとおりです。わあわあというのは毎回外務大臣のときにやらされていましたので、その意味で、今回はさらに出てきて、次の世代にこの問題を送るつもりはないという話だけしていましたので、では、話をしようかという話からスタートをさせていただきました。

鈴木(宗)委員 総理、ぜひとも、次世代にゆだねないという両首脳の認識ならば私は進むと思うし、首脳会談を当然されますね。そのとき、やはり過去の宣言、過去の声明、首脳会談における合意、五六年宣言から始まって、東京宣言もある、イルクーツク声明もある、そういったものの上に乗っかって解決するということは共通認識なんですから、私は、交渉の中身は要りませんけれども、麻生総理の方から、私は現実的な解決をしたい、空想的な解決じゃない、現実的な解決をおれは考えているというカードを切るべきだと思いますが、どうでしょうか。中身は結構です。

麻生内閣総理大臣 今言われておりますサハリン・プロジェクトもそのうちの一つではあったんですね。これは御存じのように1、2ありまして、がばっと途中からという事件が、長い歴史がございましょう。これは、互恵的な協力という意味では結構大きなものになる。我々としても、あそこから入ってくるキュービックトン数からいきましたら日本のLPGの一割ぐらいになりますので、これは結構エネルギーのバランスとしては大きいんだと思っていますので、ぜひそういった意味でこういうものを考えて、こちらにも決してメリットがないわけじゃないじゃないかと思っております。

 いずれにしても、これまでの歴史というのは、外務省にいたときいろいろ何回も何回もラブロフとやらされてきましたので、十分踏まえて対応していきたいと思っております。

鈴木(宗)委員 とにかく、総理、私は、日本側からカードを切って動かす、これが大事だと思っていますね。また、向こうも総理ならば話ができるという認識を持って電話が来たというふうに思っておりますので、その点は頑張っていただきたいと思います。

 そこで、最近不幸なことが起きました、日ロ間で。それは、例の人道支援の品物が行かなかったことですね。

 私は、ロシアが一方的に出入国カードを出せと言ってきたと外務省は説明していますけれども、これは外務省は正しく国民に説明していないと思っているんです。なぜか。

 昨年の十月二十日に、既にもうロシア外務省のノソフというサハリン代表は、来年からはビザなし支援でもカードが必要ですよということは記者会見で言っているんですよ、根室における記者会見で。それを、私は質問主意書を外務省に出しました。そういう要請はないから答える立場にないという、全くけんもほろろ。十二月にも私は出しました。私は、今回の事件は外務省の不作為だと思うんですよ。

 中曽根大臣、この点、質問主意書で私は既に言っている。全く動かなかったのは外務省なんですけれども、なぜ動かなかったのか。事前にユジノサハリンスクの総領事館なりモスクワ大使館なりに動く時間はあったんですから。なぜそれをしなかったのかをはっきりさせていただきたいと思います。

中曽根国務大臣 お話しのように、昨年の十月でございましたか、ユジノサハリンスク外交代表が、根室で開かれた記者会見において、来年度以降、四島交流で日本側訪問団が訪問する際には出入国カードが必要となる旨の発言をされたという報道がありました。ただ、我が国には何ら通知はございませんでした。

 この北方四島への人道物資支援の事業というものは、これは毎年行っているわけでありますが、委員もちろん十分御承知のことでございますが、二〇〇六年に既に出入国カードの記入が義務づけられていながらも、七年、八年はそういうようなカードに記入することなく物資を届けることができたわけであります。私どもとしては、報道では知っておりましたけれども、あちら側からは何の通告もなかったということがまず一点。

 そして、今回訪問するに当たりまして、四島側からも、人道物資支援の受領の準備が整った、そういう通知がありまして、我が方といたしましては、一月の十三日から十六日に行きたいということを今度はロシア側に通知したわけでございます。そして、さらに、十二月の末に、従来どおり身分証明書と挿入紙をもって行われることの確認を求めました。ところが、回答がなかったということでございます。

 そして、年が明けて、外務省からまた在京のロシア大使館に対して、回答が来ない、しかしもう流氷が下がってくる、ですからもう早く行かなきゃならないぎりぎりになりましたということで、口上書を出しまして、一月末に日程を変更したいということで、そういうような変更の口上書を発出いたしました。

 そして、さらに、ロシアにある我が方の大使館から外務省に対して、回答がないけれどもどういうことになっているんですかということを聞きましたら、今、行きたいということに対して調整中でありますということで、ノーとは言っていなかったんです。

 過去、七年それから八年が行けたものですから、これは善意で行くわけですから、我が方としてはぜひ行きたいということで、そういう趣旨で接触をしていたわけでございますが、一月二十三日に、在京のロシア大使館が外務省に対して、本件事業のための北方四島訪問についてはロシア側として異存はない、そういう旨の口上書が来たんです。同時に、おかしなことに、モスクワの方のロシア外務省は日本の大使館に対して、今度は出入国カードが必要であるという旨を、同じ日に違う回答が来たわけですね。

 こちらとしては、同じ二十三日にそういう通報が来たものですから、このカードの提出要求の撤回を求めるということで、強く我が方からはロシア側に申し入れをしたわけでございます。

 そうこうしているうちに、二十七日、出発時が迫ってまいりまして、日本側訪問団は根室を出発いたしました。そして、国後島の沖合に到着したわけでありますけれども、出入国カードの提出を求められた。そこで、我が方は、これを記入、提出を拒否して、残念ながらこの物資を持って帰ったということでございます。

鈴木(宗)委員 中曽根大臣、経緯は知っておるからいいんですけれども、ただ、私が言いたいのは、去年の十月の二十一日に、サハリンの外務省代表はロシア外務省の方なんですから、その方が記者会見したということはやはり重いんですね、このノソフさんが言ったのは。そのときに、ユジノサハリンスクの総領事館やモスクワ大使館が去年のうちにきちっとやっておけば、こういう無駄なことはなかったわけですよ。

 そこで、ビザなし渡航というのは、もう大臣知っているとおり、平成三年にゴルバチョフ・海部会談で決まった話です。そこで、十月に、当時の中山大臣が行って調印した話。お互いの立場を害さないということになっているんですよ。

 私は、出入国カードを出す出さないの議論も大した話じゃないと思っているんです。なぜかというと、皆さん税関申告書は出すんですよ。ビザとパスポートは持っていかないけれども、それにかわる身分証明書はちゃんと出しているんですから。これはお互い知恵を出したんです。お互いの立場を害さぬということでスタートしているんですから、出入国カードを出したからロシアの主権だと、北方四島を認める話にもならないんですよ。私は弾力的に、流氷も来る、もう船も行けなくなる、そんなことよりももっと、では今回限りの措置だとか、いろいろやり方はあったんじゃないか、こう思うんですね。

 そこで、大臣、時間がありませんから、私が質問ですから。ビザなし交流でこういったことがありました。私は、ビザなし交流は相当島の皆さん方の理解も得たし、ロシアと日本の関係も近くなったと思うんですが、たまたまこういう不祥事があったにもかかわらず、一部にはもうビザなし交流はやめた方がいいんじゃないかという声があるけれども、私は続けた方がいいと思っているんですけれども、外務省としてはどう考えていますか。

中曽根国務大臣 この四島交流事業というのは、北方領土問題の解決を含む我が国とロシアの間の平和条約締結問題が解決されるまでの間の相互理解の増進を図るということ、そういうことが主な目的として行われているわけでありまして、九二年にこれが始まって以来、相互理解の増進に着実に貢献している、そういうふうに思っております。まだ領土問題が未解決の現状におきましては重要な意義を有している、そういうふうに思っているところでございます。

 また、こういう意義を有する四島の交流事業を継続するためにはロシア側の協力が必要不可欠でありまして、今年度の人道支援事業の中止のような事態は大変残念でありますけれども、再発しないように今協議を行っておりまして、もう委員十分御承知のことと思いますが、協議を行い、またロシア側にも強く申し入れをしておりまして、引き続いて実施していきたい、そういうふうに思っています。

鈴木(宗)委員 大臣、ぜひともこれは生かしていただきたいな、こう思っています。

 総理、北方領土問題解決のときの日本政府の基本的認識として、変わってはいないと思いますけれども、四島の帰属の問題が認められれば、島の返還の時期、態様については柔軟に考えるという九二年一月からの認識は変わっていないですね。

麻生内閣総理大臣 そのとおりです。

鈴木(宗)委員 なぜ私が今この話をしたかというと、よく国会議員の中でも、四島一括が日本の政府の方針だと言う人がいるんですね。共産主義、ソ連時代は四島一括と言っていたんですよ。なぜかというと、領土問題がないからですね。だから、こっちは強く即時一括返還と言ってきたんですね。このことをぜひとも委員の皆さん方も共通認識を持ってください。政府後援の会合なんかで、今でもよく内閣府主催の会合なんかでも四島一括返還という垂れ幕がかかっているときがある。これは間違ったメッセージを与えると思いますからね。この点もぜひとも、官房長官、また二月七日、北方領土の日もありますから、よくよく今の総理の答弁どおりやっていただきたいと思います。

 時間がありませんから、次に、総務大臣にお願いします。

麻生内閣総理大臣 一点だけ。これは主権は譲れないということははっきりしていますからね。

鈴木(宗)委員 もちろんそれは。ありがとうございます、総理。それはもう当然ですから。

 総務大臣、衆議院の解散・総選挙のときに最高裁判官の審査がありますね、バッテンをつけるの。恐らく、大臣でも、ここにいる……(発言する者あり)マルですか。マルをつけるんですか。信任する人はマルですね。(発言する者あり)マル・バツどっちでもいいんですけれども、私が言いたいのは……(発言する者あり)あれはバツですね。信任しない人はバツをつけるんですが、総務大臣、あれは、国民は、国会議員の皆さん方も、裁判官の経歴はわからぬものですから、印をつけなかったり無視する人が多いんですよ。

 少なくとも私は、最高裁判所の裁判官というのは司法の最高権限者ですね、その人たちをきちっと認めるか認めないか国民審査する場合、経歴放送はすべきだと思っているんですよ。政見放送のとき、我々はやりますね、あわせてそのとき、投票所で国民審査をするわけですから、経歴放送ぐらいは出すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

鳩山国務大臣 確かに、国民審査の場合、これはマルをつける必要はない、何もつけないのが信任になるわけでありましょう。

 国民審査は、最高裁判所の裁判官がその職責にふさわしい者であるか否かを国民が審査する制度でございまして、新聞折り込みで審査公報というのが、審査ごと、つまり投票日は一緒ですから総選挙ごとですね、発行されておりますから、それを見ていただこうというふうに考えているわけです。

 経歴放送等については、我々、衆議院選挙、参議院選挙に出る人間が経歴放送をするわけですけれども、当選を得るために候補者が選挙運動を行うそういう選挙と、裁判官として適しているかどうか適否の審査ということで、どんな経歴放送のやり方があるかとか考えてみますと、今のところはまだ念頭にないんですね、経歴放送をやるということは。

鈴木(宗)委員 ことしから裁判員制度も始まりますから、総務大臣、これはぜひとも私は検討に値すると思うんですよ。

 最高裁判官というのは認証官ですよ。大臣と同じ立場ですよ。しかし、国民がわからないでそれをただ無視するなんというのは、三権分立の一つとしても、また三審制度という意味からも、最高裁判所の権威という意味からも、私はもっときちっと国民に親切にやった方がいいと思うんですが、もう一度、総務大臣。

鳩山国務大臣 今のところまだ考えておりませんけれども、鈴木先生の御意見が貴重なものであることはきちんと受けとめて、今後の議論に生かしていきたいとは思います。

鈴木(宗)委員 技術的には問題ないと思いますので、くれぐれもよろしくお願いしたい、こう思います。

 あと、森大臣、可視化の問題を、私、去年の十月の予算委員会でもさせていただきました。その前の鳩山大臣のときも、被疑者以外の参考人だとか証人の可視化については、初めての御意見だから検討しますという話がありましたね。その後、どういうふうに進んでいますでしょうか。

森国務大臣 今お話にありましたとおり、前回もほぼ同じ趣旨のお尋ねがありまして、私は、法務省としては、被疑者以外の者の取り調べにおいて録音、録画を義務づけることについては、刑事手続全般における取り調べの機能を維持する上で、参考人の協力が得られなくなるなどの問題、また身柄が拘束されていないという条件下であるということもあって、いずれにしても慎重な配慮が必要であると考えていると申し上げました。

 しかしながら、鈴木委員の、その前の年には鳩山元大臣にも同じ質問があって、真剣な御提案であるというふうに受けとめておりまして、そのときは今後さまざまな御意見を拝聴したいと思いますと申し上げましたが、さまざまな御意見を伺いまして自分なりに考えてまいりましたけれども、現時点においては先ほど申し上げた結論の域を出るものではございません。

鈴木(宗)委員 法務大臣、これも、参考人だとか証人なんというのは全く関係ないものですから、事件と関係ないというものは罰を受けないわけですから、どうしても検察に誘導されちゃうんです。これはもう私自身が経験しているんですから。結果的に、本当に国策捜査というのは怖いですよ、皆さん。ねらわれたら終わりですから。そういった意味でも、私は、証人や参考人の可視化を図るのはだれも反対しないと思いますよ。どうですか、与党の皆さん方も。森大臣、これはぜひとも検討をいただきたいと思いますね。

 あと、官房長官、官房長官のもとに今アイヌ問題の有識者懇をやっていますね。ことし取りまとめだと思うんですけれども、ここも、アイヌ民族の、先住民族という理念のもとで、やはり立法措置をとるのが一つと、ぜひとも内閣府にその窓口を置いて私はアイヌ施策の展開をしてもらいたい。

 よく皆さん、今、環境問題が出ますけれども、自然との共生を一番してきた民族はアイヌ民族なんです。大地に返り大地に学ぶという、まさに自然との共生を実践してきている、環境と向き合ってきているんですよ。そういった意味でも、私はアイヌ民族を大事にしているんです。

 もう一つ、総理にもお話ししましたけれども、北方四島はアイヌ民族が先住民族なんです。ロシアのメドベージェフ大統領に、文化の面でも価値観を共有しますよ、日本は初めて先住民族として去年の六月六日に認めました、そういった意味でも、北方四島は日本のものですからどうぞお返しをいただきたいという、文化の面でのアプローチもできる。

 そういった意味でも、どうぞ官房長官、このアイヌ民族の重み、歴史、文化というものを尊重して、立法措置だとか窓口をつくってもらいたいと思いますが、いかがでしょう。

河村国務大臣 昨年六月六日の国会決議、アイヌの方々が先住民族であるという認識のもとで有識者懇談会が官房長官のもとに置かれて、既に四回会合が行われてまいりまして、私も二回ほど参加をさせていただいています。

 大変具体的な審議をいただいておるところでございまして、御指摘のように、この政策の検討に当たっての議論あるいは基本的な論点整理を行いまして、夏ごろまでにまとめたい、こういうことで進んでおります。

 政府としても、有識者懇談会の審議を踏まえて、今の御指摘のような点も踏まえながら、アイヌ政策の確立に取り組んでいく所存でございます。

鈴木(宗)委員 官房長官、くれぐれも、せっかくこの有識者懇にはウタリ協会の加藤理事長も入っておりますから、生の声を聞いて、いいものにまとめていただきたいと思います。

 最後に、文部大臣、せっかくですからちょっとお尋ねしますけれども、財団法人日本相撲協会は文部科学省の指揮下にありますね。今回も、若麒麟関でしたか、大麻問題等出ましたけれども、大臣の記者会見では甘いという判断で、大臣の見解は正しいと思っていますよ。

 しからば、文部科学省として、今まで法人を預かる者としてどんな指導を相撲協会にしてきたのか、これからまた日本相撲協会にどんな指導をしていくのか。やはり国技という冠がある以上、私は重く受けとめた方がいいと思っています。

 先般の千秋楽には麻生総理みずから総理大臣杯も渡すぐらい、やはりこれは厳粛な重いものなんですよ、日本の相撲道というのは。その所管の文部科学省の大臣として、どんな指導をしてきて、これからどんなことをやっていくかをお知らせいただきたいと思います。

塩谷国務大臣 今の鈴木委員の御意見を重く受けとめて、私どもとしましても、今まで相撲協会に対して指導監督を行う立場に立っておりますので、今回の不祥事等、昨年来いろいろありまして、再発防止のためにしっかりと指導をしているところでございますが、今回、引き続きこういうことが起こったということはまことに残念でございます。

 昨年は外部役員の登用などをして相撲協会運営の適正化を進めてまいったときでありますので、特にそういう観点から、今回の処分もちょっと軽過ぎだろう、また、いろいろとそういうことも含めて、今後国民の期待にこたえるよう、国技としての相撲協会として指導をしてまいりたいと思っております。

鈴木(宗)委員 最後に、総理、もう一つだけ。

 やはり、総理にお願いしたいのは北方領土問題。やはり麻生総理の手で、外務大臣も経験されている、外交に精通している、外交と経済の麻生と言われているうちに、私は、即、目に見える、わかりやすいのは日ロ外交だと思っているんです。北朝鮮とも関係が深いのはロシアですよ。拉致問題も、ロシアを使うという手もありますね。そういった意味でも、ぜひとも領土問題解決にかける総理のかたい決意をお尋ねしたいと思います。

衛藤委員長 総理、時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。

麻生内閣総理大臣 外交というのは相手のあることですから、外交を政局の具にするつもりもありませんし、政争の具にするつもりもありません。外交は常に国益を考えてやるものだと思いますので、しっかり受けとめてやらせていただきます。

衛藤委員長 これにて鈴木宗男君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして基本的質疑は終了いたしました。

 次回は、明六日午前九時から委員会を開会し、一般的質疑を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時九分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.