衆議院

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第15号 平成21年2月18日(水曜日)

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平成二十一年二月十八日(水曜日)

    午後一時十六分開議

 出席委員

   委員長 衛藤征士郎君

   理事 小島 敏男君 理事 佐田玄一郎君

   理事 鈴木 恒夫君 理事 田野瀬良太郎君

   理事 根本  匠君 理事 山本  拓君

   理事 富田 茂之君

      井上 喜一君    伊藤 公介君

      石田 真敏君    岩永 峯一君

      臼井日出男君    小野寺五典君

      尾身 幸次君    大野 功統君

      亀岡 偉民君    木原 誠二君

      木村 隆秀君    岸田 文雄君

      北村 茂男君    小池百合子君

      斉藤斗志二君    篠田 陽介君

      下村 博文君    菅原 一秀君

      杉浦 正健君    園田 博之君

      田中 良生君    平  将明君

      中馬 弘毅君    仲村 正治君

      葉梨 康弘君    三ッ林隆志君

      三原 朝彦君   吉田六左エ門君

      渡辺 博道君    池坊 保子君

      江田 康幸君    大口 善徳君

      丸谷 佳織君

    …………………………………

   総務大臣         鳩山 邦夫君

   法務大臣         森  英介君

   外務大臣         中曽根弘文君

   財務大臣         与謝野 馨君

   文部科学大臣       塩谷  立君

   厚生労働大臣       舛添 要一君

   国土交通大臣       金子 一義君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     河村 建夫君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 佐藤  勉君

   国務大臣

   (消費者行政推進担当)  野田 聖子君

   外務副大臣        伊藤信太郎君

   財務副大臣        竹下  亘君

   外務大臣政務官      西村 康稔君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    宮崎 礼壹君

   政府参考人

   (内閣官房総合海洋政策本部事務局長)       大庭 靖雄君

   政府参考人

   (内閣官房消費者行政一元化準備室長)       松山 健士君

   政府参考人

   (内閣府国民生活局長)  田中 孝文君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  巽  高英君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            桜井  俊君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    大野恒太郎君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局長)            別所 浩郎君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  外口  崇君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  水田 邦雄君

   参考人

   (日本郵政株式会社取締役兼代表執行役副社長)   高木 祥吉君

   参考人

   (日本郵政株式会社専務執行役)          佐々木英治君

   予算委員会専門員     井上 茂男君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十八日

 辞任         補欠選任

  岩永 峯一君     平  将明君

  木村 隆秀君     木原 誠二君

  小池百合子君     篠田 陽介君

  坂本 剛二君     三ッ林隆志君

  中馬 弘毅君     北村 茂男君

  仲村 正治君     田中 良生君

  野田  毅君     亀岡 偉民君

  池坊 保子君     大口 善徳君

  江田 康幸君     丸谷 佳織君

同日

 辞任         補欠選任

  亀岡 偉民君     野田  毅君

  木原 誠二君     木村 隆秀君

  北村 茂男君     中馬 弘毅君

  篠田 陽介君     小池百合子君

  田中 良生君     仲村 正治君

  平  将明君     岩永 峯一君

  三ッ林隆志君     坂本 剛二君

  大口 善徳君     池坊 保子君

  丸谷 佳織君     江田 康幸君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十一年度一般会計予算

 平成二十一年度特別会計予算

 平成二十一年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

衛藤委員長 これより会議を開きます。

 民主党・無所属クラブ、日本共産党、社会民主党・市民連合、国民新党・大地・無所属の会所属委員の出席が得られません。

 理事をして出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

衛藤委員長 速記を起こしてください。

 野党諸君の出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 平成二十一年度一般会計予算、平成二十一年度特別会計予算、平成二十一年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 分科会審査を明十九日に引き続き二十日も行いたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

衛藤委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

衛藤委員長 この際、河村内閣官房長官及び与謝野財務大臣から発言を求められておりますので、順次これを許します。内閣官房長官河村建夫君。

河村国務大臣 麻生総理がロシアのメドベージェフ大統領の招きを受けましてサハリンに参っておりますので、臨時代理たる私から一言申し上げさせていただきます。

 このたび、中川前財務大臣が、自身の健康管理等が不十分であったこと、また、これにより国会審議に影響を与えかねないとの理由から、昨晩、麻生総理に辞表を提出し、辞任をいたしました。

 二十年度第二次補正予算の関連法案並びに二十一年度予算の審議中というこのときにおいて、担当大臣たる財務大臣の交代という事態に至ったことは、まことに申しわけなく存じます。

 同日直ちに、後任として、財政金融政策に明るく、麻生総理といわば二人三脚で諸般の政策課題に取り組んでまいりました与謝野経済財政担当大臣に兼務の発令をいたしたところであります。

 つきましては、現在、我が国が置かれている厳しい経済情勢のもとで、政府といたしましては、国民生活と日本経済のため、予算の早期成立と速やかな執行が極めて重要であると考えており、何とぞ速やかな御審議のほどをお願い申し上げる次第でございます。

 ありがとうございました。(拍手)

衛藤委員長 次に、財務大臣与謝野馨君。

与謝野国務大臣 今般、中川前財務・金融担当大臣の辞任に伴い、その後任を拝命いたしました与謝野馨でございます。

 これまで、経済財政政策担当大臣として、中川前大臣とともに経済財政運営に携わってまいりましたが、引き続き麻生内閣の一員として、我が国の景気回復に全力で取り組んでまいりたいと考えておりますので、引き続き、委員長を初め委員各位の御指導と御協力をお願い申し上げます。

 現下の経済情勢は、戦後最悪の経済危機と申しても過言ではありません。かかる深刻な状況のもとで、景気回復に向けて必要な施策を展開し、国民生活を守るためには、現在、本委員会で御審議をいただいている平成二十一年度予算の一日も早い成立が何にも増して重要であると考えております。

 予算の一日も早い成立を心よりお願い申し上げまして、就任のごあいさつとさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。(拍手)

    ―――――――――――――

衛藤委員長 これより一般的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房総合海洋政策本部事務局長大庭靖雄君、内閣官房消費者行政一元化準備室長松山健士君、内閣府国民生活局長田中孝文君、警察庁生活安全局長巽高英君、総務省総合通信基盤局長桜井俊君、法務省刑事局長大野恒太郎君、外務省総合外交政策局長別所浩郎君、厚生労働省医政局長外口崇君、厚生労働省保険局長水田邦雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

衛藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

衛藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三ッ林隆志君。

三ッ林委員 自由民主党の三ッ林でございます。

 このたびは、質問する機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 そして、冒頭に、現在の大変厳しい経済状況の中で、この重要な予算案が議題となっております予算委員会に欠席する野党の態度に対しまして、まず猛省を促したいと思っております。

 与謝野大臣には、御就任早々の委員会で御質問をさせていただきますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 そこで、一昨日、GDPの成長率が年率換算で大幅なマイナスになったことにつきまして、大臣は、戦後最大の危機だと御感想をお述べになっておられましたけれども、そしてまた、昨日には財務大臣を兼務されました。

 そこで、通告はしておりませんけれども、この危機に対する大臣の御決意を一言お願い申し上げます。

与謝野国務大臣 十六日に発表されましたいわゆるQEは、年率換算で一二%を超えるマイナスであって、我々の予想をはるかに超えているものでございます。これの主な原因は、やはり輸出が相当落ち込んだ、いわゆる外需の落ち込みがほとんどの部分を占めているわけでございます。しかし、このような状況がさらに続きますと、日本の経済はいわゆる底抜けすると言ってもいいような状況になります。国民生活が打撃を受ける、これは何としても避けなければならないと思っております。

 そのためには、平成二十年度の第一次補正、第二次補正、これを効率よく執行することもまた重要でございますし、現在御審議をいただいております平成二十一年度の当初予算についても、関連法案を含めて、なるべく早い段階で国会の御承認をいただける、このことを心から願っておりますし、私どもとしては、それに対しまして全面的な努力をしてまいりたいと思っております。

三ッ林委員 ありがとうございます。

 兼務されました財務、経済財政また金融も、この危機対応の中では大変重要度の高い分野でありますので、どうぞ大臣のお力を存分に発揮していただけますようにお願い申し上げます。

 それでは、医療制度についてお伺いします。

 日本の国民皆保険制度ですが、その成果につきましては、WHOが発表しているデータによりますと、日本の健康寿命は世界一、また健康達成度の総合評価も世界一となっております。そして、平均寿命は男女計では八十二・三歳、これも世界一でありますし、また乳幼児死亡率は出生千人当たり三・〇人と、これは世界でも二番目にいい値というふうになっております。

 次に、OECDの二〇〇八年版のヘルスデータによりますと、人口千人当たりの医師数は、OECD加盟三十カ国の平均の三・一、これを下回りまして、二・一人ということになっております。主要七カ国では、カナダと並んで最下位となっております。

 また、GDPに占める総医療費では、米国が一五・三%と突出して高い値を示しております。その後にはフランスでありますとかEU諸国が入りますけれども、その中で、ここのところ、医療崩壊が叫ばれて、それに対する対応ということでブレア政権が医療費をふやしてきたというふうな経緯もありますが、イギリスが八・四%というふうな値で、その次に日本が八・二%となっておりまして、これはOECD三十カ国中の二十一番目ということでもありますし、主要国の中では最下位になりまして、とうとう英国に追い越されたなというふうな印象を持っております。

 このように、これらのデータから、日本は医師数が少なく医療費も低いということがありますが、一方、平均寿命や乳幼児の死亡率は世界一でありまして、外国との比較においても、世界からも、効率がよい医療を行っていると高く評価されております。

 しかし、財務省の資料では、日本の医療の現状で、外国と比べて、老人一人当たりの医療費が若者に比べて極めて高い、また、病床数が多く入院日数も長い、外来の受診回数が多い、高額医療機器が多いなどの外国との格差について記述がしてあります。

 ただ、せっかくの比較なのですから、その中に医療費が少ないということも入れてあればよいのですが、残念ながら、そこのところは抜けておりました。ここの資料に対GDPで低い医療費という言葉を加えますと、低い医療費で多くの病床を維持し、また、一日当たりの入院費用も安く、外来受診しやすく負担が軽い、さらに、高額な医療機器を用いた検査費用が安いというふうなことになって、海外からの評価とも一致するような形になるのではないかと思います。

 ただ、ほかの国ではなし得ないような成果の裏には、少ない医師が低いコストで長時間働いているという事実もあります。この問題については、後ほど質問いたします。

 ところで、昨年ですが、米国のマイケル・ムーア監督の映画「シッコ」というのを見ました。ここの中にも見た方もいらっしゃると思いますけれども、あの映画では、米国の中にいる約四千万人の無保険者を対象としているのではなくて、民間の医療保険に入っている方たちを対象として映画がつくられていたわけでありまして、高額な保険料を払える立場の人たちには世界最高の医療が受けられるというのがアメリカではありますけれども、ただ、そこまでいかない民間医療保険に入っている方たちの惨状といいますか、米国の民間医療保険のひどさというふうなものが、当時、かなり話題になっておりました。あれを見まして、私も、保険証一枚でどこでも診てもらえて、また治療を受けられる日本の国民皆保険制度というものは、やはりよい制度だなと改めて感じた次第であります。

 しかし、残念なことに、国内においては、日本の医療に対する評価というものは余りいいとは言えません。日本の不幸は、この医療制度を、先ほど申し上げましたように世界は認めてはいるのですが、国民は不満を募らせているという点だと思っております。例えば、外来で二時間待ちの三分診療でありますとか十分な説明の不足、また、近くの病院の産科や小児科の閉鎖によるアクセスの悪化、さらに医療ミスの問題など、さまざまな不満があります。

 これらの原因の多くは、医師の増加を抑制してきたために、少ない医師が多くの患者を診察することや医療関係者の勤務環境の悪化、また、医療費の削減によって不採算部門を閉鎖せざるを得なくなることなどが影響していると言われております。そして今、医療崩壊が叫ばれている状況になっておりますが、これまで政府は、ふやさなければならない医療費を減らし、増員しなければならない医師を抑制してきたとの指摘も言われております。

 ただ、ここに来て、やっと方向が変わってきたかなというふうにも感じているところでありまして、そこで、国民皆保険制度を維持し、医療崩壊をとめ、また改善していくためには、社会保障費の自然増分から二千二百億円削減することを撤廃するということと、社会保障関係予算の増額が必要だと思いますが、これらへの対応について、舛添大臣のお考えをお聞かせください。

舛添国務大臣 まず、三ッ林先生がおっしゃったように、いつでも、だれでも、どこでも、保険証一枚で病院にかかれる、これは、そういう制度がない国に生活してみると、いかにすばらしいかということがわかりますし、世界一の長寿国になったのもその成果だというふうに思います。

 片一方で、高齢化が進んでいく、そういう中でどうしても医療費が増大していく、やはり効率化、合理化の努力はやっていかないといけないと思います。ただ、私たちは、何としてでもこの国民皆保険制度は守り抜くんだ、そういう決意でやる必要があると思いますので、そこは政府・与党一丸となって、その方針でやり抜きたいと思っています。

 そこで、そういう中で、どうしても特に高齢者の比率が高まっていく中で、医療費の増大をどうするかという問題があります。社会保障全体について二千二百億円という抑制枠がはめられてきました。これは、私がずっと申し上げていますように、いろいろな意味で限界に来ている。もちろん、十一年ぶりに閣議決定を変えて、今まで医師は余っているというのをふやす方向に変えました。この四月一日からの新学年度では約七百名の定員増で、過去最大でございます。

 こういう長期的なものから短期的なものも含めて、さまざまな施策を行っておりますけれども、やはり先立つものはお金ということでありますので、今御審議いただいている予算では、さまざまな形でこの二千二百億円を埋めた。しかし、これは恒久的な財源とは言いがたいものでありますから、やはり恒久的な財源をきちんとして、維持可能な、英語で言うとサステーナブルな社会保障制度をつくらないといけないというふうに思っています。

 そういう意味では、合理化や効率化の努力はいたしますけれども、これは国民的合意のもとで、負担と給付の関係をしっかり考えて、そして、きちんとした形で安定財源を確保する。その上で、国民の納得のいく、安心できる社会保障制度の構築に今後とも努めてまいりたいと思っております。

三ッ林委員 ありがとうございます。

 この国民皆保険制度を何としても守り抜く、大変心強いお言葉ですし、その中で維持可能な恒久的な財源の確保、これはもう大変大きな課題だと思いますが、ぜひともしっかりと取り組んでいただければと思います。

 そして、今までのお話のように、大変大きな不況というのに見舞われている状況に今の日本があるわけでありますが、そして、先ほどのお話にもありましたけれども、これまでのような外需頼みではなくて、内需を拡大していかなければならないと言われております。その中で、自分の将来に不安があると、なかなか消費という方に向いてはいただけないのではないかと思っておりますし、内需拡大には、社会保障制度の充実、また医療制度の充実等を進めて、将来に向けて安心が持てるというふうな環境をつくらなければならないと思います。

 そのためには、先ほどの質問と同様ではありますが、二千二百億の削減の撤廃、それと予算の増額についてどのようにお考えか、与謝野大臣にお聞きいたします。

与謝野国務大臣 社会保障費の抑制については、平成二十一年度予算におきましては、概算要求基準に基づき一定の財源を確保した上で、後発医薬品の使用促進を行うことにより対応したところでございます。

 いずれにしても、我が国財政は極めて厳しい状況にあり、医師確保の対策等必要な対応を行いつつ、財政健全化に向けた基本的方向性を維持する必要性があると考えております。

 また、少子高齢化の進展に伴い、社会保障費の増大が確実に見込まれる中で、安定財源の確保と並行して社会保障の機能強化を図るとともに、コストの縮減、給付の重点化等の効率化を進めていく必要があると考えております。

 今後の社会保障費の取り扱いについては、こうした我が国の財政や社会保障制度を取り巻く環境なども踏まえながら検討してまいる必要があると考えております。

三ッ林委員 ありがとうございます。

 ことしは、いろいろほかのところから補充するような形で、二千二百億というふうな形ではなくなったのは確かでありますが、ぜひとも安定した財源の確保というのも必要だと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 そして、医師不足についてです。

 昨年、先ほどの舛添大臣のお話にもありますが、それまでは医師の数は足りていて偏在しているだけというふうな考えで、どちらかというと医師の数を抑制する方針から、医師が不足していることを認めて、医師を増加させる方針に転じました。これは素直に評価をしたいと思っております。

 ただ、医師の不足には、地域間での格差と、また、診療科等における格差というふうなものもあるわけでありまして、これらをこれからどのように改善していくのか、またこれからの重要な課題だと思っております。そして、このようにして医師を増加していっても、その効果があらわれるまでにはやはり十年近くかかりますので、現状に間に合うのか疑問もあり、即効性のある対策ということも必要ではないかと思っております。

 そして、診療科による違いもあるとは思いますけれども、この医師不足問題、これは、私の感じるところでは、今に始まった話ではなくて、かなり長い間続いている問題だと思います。私が小児科医になったのは今からもう三十年ほど前になりますが、小児科に入局するとそのとき言ったら、知り合いから、何でそんな忙しくて、また収入の悪いところに行くのかというふうに言われたことを今でも覚えております。

 確かに、小児科をやってみますと、少ない人数で多くの患者さんを診、また、休日であるとか夜間とか、やはりお子さんがたくさん受診しに来るというふうな大変忙しさというものを身をもって感じたわけでありますが、この間、小児科医がなかなかふえてくれないというふうな思いは年々強まっておりました。ただ、それに対しての有効な対策というものはなかなか出てこないなということも感じていたところであります。

 そして、最近の厚生労働省の資料では、小児科医が若干ふえてきているというものがありましたが、ふえているのは開業の先生の方で、病院に勤務している小児科医というのはやはりいまだに減ってきているというふうな結果だったと思います。これは、病院小児科の確保の問題や、病院にとって赤字部門であることなどが影響して小児科を閉鎖する病院がふえていたり、勤務の厳しい状況から続けられなくなって退職する者がふえたりしているためだとも思います。

 政府はこれまで小児の入院などに診療報酬を追加するなどの対策をしてきておりますけれども、余り効果があったとは聞いておりません。また、小児の救急医療について、複数の二次医療圏に小児救急体制や中核病院を整備してきているはずですが、実際はどうなのでしょうか。余り周りで、充実しているという話よりは、また病院の小児科が減ったという声を耳にすることの方が多いような気がしてなりません。

 そして、地域の範囲を広げて人的な資源を集中させるというふうな案も出てきておりますが、ただ、十分な医師を集めることができない限り、そこにまた患者が集中し、そこで働いている医師は疲弊し、やめるなり、そしてまた開業するなりというふうなことになってしまうのではないかという懸念があります。

 小児科も産科も、最近では外科や麻酔科もですが、マンパワーをふやす方策というものがぜひ必要ですし、少子化の中で赤字体質にならないような対策というのも必要だと思っております。

 小児科に関して言えば、子供が減っているので小児科医はふやさなくても足りるのではというふうなことをおっしゃる方もいますが、子供が少なくなっているからこそ、家族の専門医に対する要望というものは大変大きくなってきておりますし、また、医療の進歩によりまして超未熟児も正常に発育、発達できるようになってきております。

 そのためには、各医師の知識や技術、さらにはコメディカルのスタッフの充実などが必要になってきているわけでありまして、これら小児科、産科などの医師不足に対する現状についてと、その予算における対策というものをお聞かせください。

外口政府参考人 御指摘のように、我が国の医療が直面しております産科、小児科医等を初めとする病院勤務医の過酷な勤務環境の改善は喫緊の課題でございます。

 その場合、勤務環境の改善のためには、さらに必要な医師の確保が課題となっておりまして、このため、医師養成数については、先ほど御指摘のように、従来の閣議決定を見直し、来年度の医師養成数を過去最大の八千四百八十六名にふやしますほか、来年度予算案においては、産科や小児科に多い女性医師の離職防止や復職支援のための事業や、産科、救急、僻地などの現場で働く医師に対する支援、事務作業を行う医師事務作業補助者を設置、養成する際に必要な経費の助成事業等を盛り込んでいるところでございます。

 こうした短期や中長期の対策を総合的に実施し、産科、小児科を初めとする病院勤務医の勤務環境の改善や、地域に必要な医師が確保されるよう努めてまいりたいと考えております。

三ッ林委員 ぜひとも医療クラーク等の充実というのをお願いしたいんです。

 私が病院に勤務しているときに、病棟の中で、一人でずっといる子供たちの相手をしてくれる保母さんがいたんですが、その保母さんは、病院が独自に配置するだけで保険の報酬等には全然入っていないということで、その子供たちの面倒を見るために一人じゃなくて二人とかにふやしたいというふうなことがあっても、病院の経営の方からなかなか難しいと言われたことがありました。やはりそこに入院している子供たちに対するケアということからも、医師また看護師も忙しくてじっくりと相手できないというふうなこともありますので、そういうスタッフに対する支援というものもぜひお願いしたいと思います。

 そして、今までお話ししたように、医師の不足というのは大変深刻な状況になっておりまして、このたび、医師の増員が図られることになりました。そして、医学部の入学定員をふやすことになりましたけれども、これは大変必要なことだと思っております。

 ただ、文部科学省としては、今後、毎年どれくらいの速さで、どれくらいの人数ずつふやしていく予定なのか。そして、そのように学生をふやしていくということでしたらば、そのためにはやはり教員の確保、これがぜひとも必要になります。そのためには、当然、大学への十分な予算も増額していただかなければならないわけでありまして、教員や予算の確保についてのお考えと、その対応についてのお答えをお願いいたします。

塩谷国務大臣 お答え申し上げます。

 医学部の定員につきましては、今年度が七千七百九十三名、それを来年度、八千四百八十六名にふやしていく方針でございまして、今後、このペースでふやしていくわけでございます。将来的にはまだ決まっておりませんが、いずれにしても、増員をこれから実施するわけでございます。

 この増員を踏まえまして、学生の実習設備や指導教員の確保が必要でありますので、この点についても、実習設備の整備あるいは臨床研修体制の充実の観点から、第一次補正、第二次補正、それぞれ四十億円、四十億円等を措置してこの対応に当たっているところでございます。

 特に教員につきましては、国立大学は特に、ピーク時の定員に対して講座を組んでいる状況が現在も続いておりますので、そういう点では対応可能だと思っておりますし、また、少人数教育を充実する観点から、平成二十一年度予算案においても、非常勤講師の配置のために必要な経費を計上しております。

 また、臨床研修の質の向上に必要な非常勤講師についても一定額を計上しているところでございまして、同時に、私立大学に対しても、入学定員増に伴って、教員に関して措置すべき補助金が全体で三億円増になりますので、これについては私学助成において確保しているところでございます。

 いずれにしても、大学医学部における教育指導体制や臨床研修体制の充実を図ってまいる所存でございます。

三ッ林委員 ぜひお願いいたします。

 そして、冒頭にも話しましたが、OECDの平均の医師数が三・一、それに少しでも近づいていくような増員というものも目指していただければと思います。

 そして、もう一つ塩谷大臣にお聞きしたいんですが、文部科学省は、国立大学病院でNICUの設置されていない大学に新たにNICUを設置する計画というふうに聞いております。NICUを担当する医師が余っているならともかくですが、各地域で足りないというふうに言われている中でふやすとなりますと、既にどこかのNICUに勤務しているスタッフ、それも一人では当然できないので、複数のスタッフを連れてくるということになると思いますが、なかなか、聞いている限りでは、そのような人を送り出せるような余裕があるとは思えません。その点、大変危惧しているところであります。

 そこで、どのような規模で、どのくらいのスタッフを必要とするのか、計画の概要と、NICUの医師確保が他のNICUの施設に影響を与えないでできるかどうか、どのようにお考えか、お願いいたします。

塩谷国務大臣 NICUについて、先生、専門のことで、なかなか細かい御指摘をいただきましてありがとうございます。

 これにつきましては、現在、NICU、特に国立大学病院が私立に比べて低い設置率になっておりますので、来年度、これをしっかりと充実させていくということで現在予算を計上しているところでございますが、やはりこれから、人員の確保につきましても、そういった新しく育成をしていく観点から、何としてもNICUの整備が必要となってくるわけでございまして、既存のNICU等を活用して専門医の人員の養成を推進するために、一応、二十一年度予算においては、周産期医療環境整備事業について予算を計上しております。

 今御質問の、NICU整備のために一時的に他の関係医療機関の医師等を引き抜いたりして、当該医療機関の診療機能の低下にならないようにとの御指摘でございますが、具体的に、NICUの整備に当たっては、できるだけそういったことのないように関係機関と十分に話し合いをしながら進めてまいりたいと思います。

 現状、大変厳しい状況の中で新しい整備をしていかなきゃならぬ、そういう状況でございますので、そこら辺は関係機関同士でしっかりと話し合う中で進めてまいりたいと思っているところでございます。

三ッ林委員 NICUの施設また設備がつくられても、その中で働くスタッフというのがやはりしっかりと確保できなければ絵にかいたもちになってしまうわけでありますので、そこのところを十分注意して進めていただければと思います。

 そして、今話題になっております新臨床研修医制度についてお聞きいたします。

 私のころは、卒業後すぐにどこかの医局に入局するというふうなことだったので、過酷な現実を知る前に入局先をもう決めてしまいますので、そのような中で、人手が余りないながらも、どうにか地域の病院などへ医師を送るということもできておりました。

 ところが、新臨床研修医制度、これによりまして、指導する医師が必要となり、派遣先からの医師の撤収につながったり、また私は、基本的には、今でも医学生時代には産科や小児科を希望している学生は多いというふうには思っておりますが、そのような学生も、研修医となって、研修医期間中にそれぞれの科を回ってそこの過酷な勤務状況等の現実を見てしまいますと、勤務がきついことにより忌避されてしまうというふうなことが、また現在の産科、小児科医不足の原因の一つにもなっているというふうに感じております。

 また、標準的なカリキュラムによりますと、二年目に小児科や産婦人科を研修することになっておりますが、期間がそれぞれ大体一カ月ずつということで、これでは短過ぎてなかなか十分な経験を積むというふうなことにはならないと思っております。

 小児科になりますと、赤ちゃんから大きな子までの採血でありますとか、点滴でありますとか検査というのをまず最初にやらされるんですが、泣き叫ぶ子供を数人で押さえながらもそのような処置をするというふうなことをやっていくうちにうまくなっていくんですが、そこがうまくなる前に一カ月が過ぎてしまえば余りいい印象を持たずに、また、中には、当直等につき合えば、その勤務の厳しさみたいなものを目の当たりにするわけでありますから、なかなか後で、小児科をもう一度やろうというふうに思ってもらえないという点もあるのではないかと思っております。

 それに、もう既にある程度自分の専門を考えている研修医の人によりますと、もう今さらほかの自分の専門と全然関係ないところに回ったところで、余りそこを一生懸命勉強しようという気も起きないというふうな人もいますし、自分のところに研修に来たい人を教える方としても、ここで一生懸命教えても後でうちには全然来ないんだなというのがあると、忙しい診療をしている中で指導をしながらも、なかなか疲れが大きいということで、双方にとって余り歓迎すべき状態ではないのではないかというふうに思っております。

 小児科でしたらば、二年目には関係する皮膚科でありますとか耳鼻科なんかを回るということになれば、やはり直接自分の専門に関係することですから、じっくりもしくは十分に研修しようというふうな意欲のもとで研修制度ができるのではないかと思いますので、より有効な研修制度に変えていくということは必要だと思っております。

 そして、現在、新臨床研修医制度の改正について検討しているところだと聞いておりますが、ぜひとも、現場の声をよく聞いていただくとともに、新臨床研修医制度を考える会が先週大臣に提言した内容もよく検討していただくことをお願いいたします。また、これに対しての大臣のお考えをお聞かせください。

舛添国務大臣 今委員から御指摘のように、先般、与党の皆さん方の御意見をいただきました。

 大きな問題意識としては、新しい研修制度、二年間やります。そのために地域へのお医者さんの派遣機能が減ったのではないかということがありましたので、極論すれば、二年という研修医期間を一年に、もとに戻せば、一年間、つまり八千人のお医者さんがばっと地域にふえる、これは特効薬じゃないかという問題意識がさまざまな方から出されました。

 そういうことも踏まえて今検討中でございますが、やはりこの二年間きっちり、いろいろな科類について、診療科について研修することは総合的ないいお医者さんを育てることだという意見もまだ根強くあります。

 そして、塩谷文部科学大臣と私とで検討会を設けまして、きょう、この夕方、最終まとめについての検討会を開きますので、与党の皆さん方の御意見もそこに十分入れた上でやりたい。その大きな方向づけは、研修のプログラムを弾力化していくというのが一つ。それから、例えば地域枠を設けるようなことで、地域でのお医者さんの確保に資するような研修医制度にする。

 小児科につきまして今申し上げられるのは、例えば、もう自分は小児科医になるよという方は研修の早い段階から小児科をやっていただくというような形で、今まさに委員がおっしゃったようなことが実現できるようなことも考えておりますし、それから研修病院では、小児科医になりたい、産科医になりたい、そういう先生方のために、きっちり研修医に合わせたプログラムを組むというようなことで、皆さんからさまざまな意見を言っていただいていて、大きなところで大体コンセンサスがまとまりつつありますので、塩谷文部科学大臣と私、双方、両大臣が出席して、今夕取りまとめを行いたいと思います。

 しかし、それはあくまで方向性でございますから、今後さらに具体化をしていきたいと思いますので、節目節目で、三ッ林委員含め与党のプロジェクトチームの先生方の御意見も賜れればと思います。

三ッ林委員 ありがとうございました。終わります。

衛藤委員長 次に、大口善徳君。

大口委員 公明党の大口善徳でございます。

 与謝野大臣、通告しておりませんが、ちょっとお伺いしたいと思います。

 財務大臣、金融担当大臣、そして経済財政担当大臣、三つのポストを本当に一身に背負われて、これからの難局を乗り越えていただくことになるわけでございます。体力はもちろんありますが、能力も十分あると私は思っておるわけであります。

 そういう中で、アメリカは金融危機の震源地でした。それがQEでは、前期比三・八であったわけですね。そしてまた日本は、それに対して一二・七マイナス、G7中最悪、こういうことでございます。これはやはり、大臣が金融の円滑化と総需要の喚起が大事だと、そのとおりだと思うわけでありますが、日本のこの構造を改革しないと、本当にこの突出したマイナスということを解消できないと思いますが、この点についてお伺いをしたいと思います。

与謝野国務大臣 十六日に発表されましたQEの年率換算一二・七というのは大変衝撃的な数字であったわけでございますけれども、数字自体に余りとらわれてはいけない。これは実質で比べているわけでございまして、それでは名目で比べたらどうかといいますと、例えば一つの試算、これは御参考までに申し上げますけれども、名目ですと、日本が年率マイナス三・九、アメリカがマイナス七・五、英国がマイナス三・六ということで、ある意味では、実質で計算しますと、こういう時期ですから、やや驚くような数字が出てまいります。

 しかしながら、やはり日本経済は困難に直面しているということは間違いないことでありまして、国民生活を守るという意味からも、この経済危機を一日も早く克服するというために政府も国会も努力を傾注しなければならないと思っておりますし、日本の経済が回復するということは、日本国民のためばかりではなく、世界全体の経済のためにも日本経済の回復ということは必要なことである。

 我々は、全力を挙げてこの経済危機に立ち向かう、そういう気持ちで職責を果たしていきたいと思っております。

大口委員 力強い御答弁、ありがとうございました。

 それでは、通告してあります質問に参ります。

 我が国は貿易立国でございます。そして、海上輸送の安全確保は我が国の死活問題、ソマリア海賊はこれへの脅威であって、この問題に関して与党でプロジェクトチームを立ち上げています。私もそのメンバーであるわけでありますが、自衛隊による海警行動や新法について議論をし、そして、海上輸送を支えている船長協会や全日本海員組合の方々からも現場の声を聞いているわけであります。

 ヒアリングの中で、例えば一月の二十八日、アデン湾で日本関係船の船長が、海賊にシージャックされた船舶からの無線を傍受した内容、それが、すべての船舶へ、海賊は、私の頭に銃口を押しつけ、もしだれかが近づけば乗組員の一人ずつを殺すと言っている、頼むから私たちに近づかないでくださいといったことが紹介されているわけであります。

 ソマリアの海賊は、元漁師で、身の代金が目的で、原則、船員を殺傷しない、マラッカ海賊ほど凶暴でない、こういう主張をする方もいらっしゃるわけでございますけれども、私は、違う、こう思っております。

 ソマリア沖のアデン湾における海賊の被害船舶及び乗組員に対する暴力行為の態様、危険性、凶悪性、組織性、常習性、無差別性、海賊の素性について、外務大臣からお伺いしたいと思います。

中曽根国務大臣 ソマリア沖それからアデン湾、あの海域の海賊の事案は年々増加しているわけで、また、特にこのところ急増しております。

 委員御承知と思いますが、昨年は、一昨年の二・五倍の事案が発生しておりますし、また、日本人の乗組員が被害に遭った事案もあるわけで、また今後こういう事案がいつ発生してもおかしくない状況でございます。我が国としては、国民の生命と財産を保護する、そういう観点から、できるだけ早く、早急な対策を講じることが必要、そういうふうに考えております。

 御質問にありました海賊の実態、手口等につきましては、私ども、必ずしも詳細を把握しているわけではございませんけれども、例えば、母船と高速の小型ボートを使用する、あるいは船舶の無線を傍受してその動きをGPS等で把握して標的を決定する、また武装海賊が小型ボートで船に接近する、また、武器といたしましては、自動小銃、ロケットランチャーを保有し、標的となる船に対し発砲、発射する、また、はしごやロープを使用して船に乗り込むというようなことがあると承知をいたしております。

 海賊は、一般的に、今お話ありましたけれども、身の代金目当てで船舶を乗っ取っておりまして、乗組員に危害を加える、殺害する、そういうこと自体を目的にしたものではないと承知しておりますけれども、乗組員の逃走を防止するためにかなり長い期間乗組員の自由を拘束することが多い、そういうふうに聞いておるところでございます。

大口委員 そして、今新法の議論をやっておるわけでありますけれども、平成十九年、海洋基本法が成立し、私もこの立案作業に参画させていただきました。同法の第三条で、海洋の安全確保のための取り組みの積極的推進、同法二十一条で、「必要な措置を講ずる」と規定されています。

 また、同法案の国会審議において、衆議院国交委員会では平成十九年四月三日、全会一致で、そしてまた参議院国交委員会では同年四月十九日、賛成多数で、附帯決議がなされました。その両委員会の決議事項の中に、「海洋法に関する国際連合条約その他の国際約束に規定する諸制度に関する我が国の国内法制を早急に整備すること。」が入っているわけであります。

 平成二十年三月十八日閣議決定の海洋基本計画の中にも、国際法に則し、公海上での海賊行為を抑止し取り締まるための体制の整備を検討し、適切な措置を講ずるとなっており、内閣官房総合海洋政策本部法制チームがこの海賊に対する取り締まりの法制面を検討していたわけであります。

 今回、与党海賊対策に関するプロジェクトチームが発足し、海賊法制の立案に加わり、そして、政府として三月上旬の法案の提出を目指しているわけであります。新法案には、海賊行為を行った者の処罰に関する規定や、海上保安庁、自衛隊が海賊行為に対処するために必要となる措置を定めることになっているわけでありますが、与党PTでもこの基本事項についての申し入れを行っております。

 このことにつきまして、金子総合海洋政策担当大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

金子国務大臣 この問題について、大口委員が与党PTの重要なメンバーとして御議論をしていただいていることを承っております。

 海賊に対すること、我が国にとって重要な課題であることは言うまでもありません。私たちも、日本の海運関係、日本船主協会等からも、法制度の整備を含む海賊事件への対応の強化について要望をいただいております。

 御指摘のとおり、海賊行為への的確な対処を図るための海賊行為を行った者の処罰に関する規定の整備、それとともに、海上保安庁及び自衛隊が海賊行為に対処するために必要となる措置を定めるなどの所要の法整備について今検討をしております。

 私も、海洋政策担当大臣として、関係各省と連携いたしまして、また、先ほど申し上げました大口委員含めた与党のPTの御意見を踏まえつつ、今国会への法案提出を目指して積極的に推進してまいります。

大口委員 この立法作業の過程の中で、やはり各国の主要な海賊法制、これについて、海賊行為の処罰をする規定の有無、海賊行為の定義の仕方、主体別の海外派遣における国会の関与の程度について、イギリス、アメリカ、フランス、オランダ、ロシア、ドイツ、韓国などの法制について簡潔に御説明いただきたいと思います。

別所政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、必ずしもすべての国の国内法について網羅的に承知しているわけではございませんけれども、今御指定いただきましたような国を中心に簡潔に申し述べたいと思います。

 まず、海賊行為を処罰する規定があるかどうか、あるいは海賊行為の定義という話でございますけれども、英国あるいは米国といった国々につきましては、海賊行為を処罰する規定というのはございます。ただ、その海賊行為を定義する規定というのは国内法には必ずしもなくて、国際法上の定義をそのまま適用するというような形で対応しているようでございます。

 それから、オランダ、ロシアあたりは、海賊行為を処罰する規定がございまして、またその定義も、しっかりとそれぞれの規定をしております。

 ドイツ、フランス、韓国につきましては、刑法上、海賊という言葉は見られないわけでございますが、したがって、関連の刑罰規定、強盗、殺人、器物損壊などを使っているというふうに承知しております。

 また、先生の第二の質問でございます、軍艦等の派遣に際しての国会の関与でございますが、これも国によってさまざまでございます。

 例えば、イギリスやフランスなどにつきましては、これは通常の海軍の業務の範囲内であるということで、特に国会への報告あるいは承認ということは求めておりません。オランダにつきましては、事前に国会に報告するということで対応しているようでございまして、韓国及びドイツにつきましては、議会の承認を事前に得る。そういうふうに各国のさまざまな規定がございます。

大口委員 我が国は我が国の法制のもとでしっかりやっていかなきゃいけないと思いますが、特に国際海洋法条約と罪刑法定主義の整合性、こういうことが大事ではないかなと思います。

 次に、内閣法制局長官にお伺いしたいんですが、海上保安庁法第二十条一項が準用する警職法七条の武器の使用と、自衛隊法八十二条の海上警備行動における同法第九十三条一項が準用する警職法七条の武器の使用について、これは海上保安庁と自衛隊における権限の相違はどうか。それから、警察比例の原則というのがございますね、これにつきまして、海上保安庁の海上警察活動や自衛隊の海上警備行動にも妥当するのか、お伺いしたいと思います。

宮崎政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 お尋ねの、海上保安庁法の第二十条第一項も、また自衛隊法の九十三条第一項も、それぞれ、その職務遂行に際しての武器の使用につきまして警察官職務執行法第七条を準用しております。

 警察官職務執行法第七条は、「犯人の逮捕若しくは逃走の防止、自己若しくは他人に対する防護又は公務執行に対する抵抗の抑止のため必要であると認める相当な理由のある場合においては、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度において、武器を使用することができる。」と規定しております。

 海上保安官につきましては、海上保安庁法の三十一条におきまして司法警察職員の地位が与えられておりますので、これがそのまま準用されることになります。

 一方、海上警備行動に従事する自衛官につきましては、海上保安官とは異なって、司法警察職員としての職務を行うものとはされておりませんため、同条の、つまり警職法七条の規定のうち、「犯人の逮捕若しくは逃走の防止」のための武器使用に係る部分は準用されないものと解されておると承知しております。

 二つ目の御質問でございますが、自衛官の海上警備行動は、警察権の行使というふうにされておりますものですので、したがいまして、お尋ねのいわゆる警察比例の原則は、海上保安官が行う海上における警察活動及び自衛官の海上警備行動にひとしく妥当するものであると解しております。

大口委員 この問題については、これからいよいよ立案に向けて議論を深めていきたい、こう思っておる次第であります。

 次に、かんぽの宿の物品調達についてお伺いをいたします。

 平成二十年十月三十一日、日本郵政株式会社は、液晶テレビ二十から四十六インチ、三千四百四十七個ほか三点を、三億三千八百三十八万二千百五十六円、税込みで入札購入し、これは六十三カ所に平成二十一年一月二十九日に納入されています。

 さらに、平成二十年十二月十九日、超低温冷凍庫三十五個を、金一千四十七万三千七百五十円、税込みで入札し、三十五カ所に平成二十一年一月三十日に納入されているわけであります。これが平成二十年十二月二十六日にオリックス不動産に譲渡ということでありまして、これは、三億数千万というものを、まさしく何とかに追い銭じゃないですけれども、そういうことじゃないか。私は、民間じゃこういうことは考えられないのではないかな、こう思うわけでございます。

 これが事実かどうかということと、それから、この物品調達について、譲り受け希望の参加者にどのように説明し、そしてオリックス不動産への譲渡価格百九億円にどのように反映されたのか、お伺いしたいと思います。

高木参考人 お答え申し上げます。

 今先生から御指摘がございましたことは事実でございます。いずれにいたしましても、かんぽの宿の譲渡につきましては、今週の月曜日に公表いたしておりますが、撤回するということにいたしております。今後は、鳩山総務大臣の御指摘を重く受けとめまして、専門家による第三者検討委員会を設置いたしまして、資産処分の考え方等についてよく整理をしたいと考えております。また、今先生から御指摘がございました点につきましても、その検討の一環の中でよく点検、検証しながら検討を進めていきたいと思います。そして、その検討委員会でございますが、やはり早く検討に着手する必要があるということで、週内にも立ち上げたいと思っております。

 最後に申し上げますが、かんぽの宿に関しましては、鳩山大臣からも、まずは経営改善だという御指摘をいただいております。当面は、検討委員会での検討と並行しながら、かんぽの宿の経営改善にしっかり取り組んでいきたいと思います。その中で、今御指摘のテレビ等につきましても、収益力の向上に結びつくようにしっかり取り組んでいきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

大口委員 とにかく、小学校で十年とか二十年古いテレビを使っているところがあるんですよ。それが、オリックス不動産にこういう形で、新品同然にして、新品を提供する。私は、なかなか理解できないと思うんです。鳩山総務大臣、お願いします。

鳩山国務大臣 大口先生から初めて伺った事実で、私は知りませんでしたから、いろいろまだ調べる時間がありませんので確たることをお答えするわけにはまいりませんが、先生が御懸念されるようなことは恐らく国民も懸念するのではないだろうかと正直に思います。

 ただ、地デジ対応ということでやっているというのであるならば、それは一つの私の電波の方の仕事としては悪くないこととは思いますが、すべての点が不透明でございますから、とにかく解明しなければならないということで、十六日に日本郵政から私の報告徴求に対する答えが参りましたが、段ボール十七箱ありまして、それにまたいろいろございますので、精査に時間がかかるのは仕方がないかと思っております。

 確かにこの三億三千八百三十八万円というのは、これは入札ではないということになってきておりますが、入札価格に大きな影響を与える金額でございますから。何といったって、一万円持ってかんぽの宿にお客さんが来たら、フロントの人が、この一万円で御宿泊ですか、それともこれを全部買うんですかと聞いたという話が新聞に冗談話として出るような、そういう御時世でございます。

 例えば、オリックス不動産をとってみても、一次入札のときに二百四十五億円という金額を提示しながら、それが二次入札では百九億円というふうに減る、そういうわけのわからないことが起きておるものですから、この三億三千八百三十八万円あるいは低温冷蔵庫等の件もはっきり説明をしてもらえるように私も努力したいと思っております。

大口委員 地デジ化、二年あるんですよ。二年あるのに今新しくしてつけてやるというのが、どうも私は理解できません。

 次に、消費者庁についてお伺いします。

 輸入食品に係る偽装、有害物質混入事件等、それから事故米、汚染米の流通問題、食品表示の偽装問題、食の安全を初め国民の生活を脅かす事件が多発しているわけです。

 コンニャクゼリーあるいはガス湯沸かし器事故について、消費者庁を創設すればどのように被害が防止できるのか、これを野田大臣にお伺いしたいと思います。

野田国務大臣 今御指摘がありましたコンニャク入りゼリーによる窒息事故、そしてガス湯沸かし器事故、それぞれ多くの人命が失われました。本当にまことに痛ましい事案であります。

 消費者庁は、これまでの縦割り行政の役所とは違い、国民、消費者の側に立つパートナーとして、利益を守る、すなわち国民の利益というのはやはり生命が一番大切だ、そういうものをしっかり守る役所として、行政組織として設立させていただきたいと願っています。

 今のままだと、例えばコンニャク入りゼリーの話になりますと、窒息事故が起きた原因は、そのコンニャク入りゼリーの弾力性であったりカップの形が窒息しやすいというふうに言われているんですが、今のところそういうことに行政が対応できる規定された法律がないということで、実は、経済産業省でどうだ、その物性とか形、食べ物だから農林水産省ではどうだ、これは表示になってしまう、それで厚生労働省はどうだというと、これは衛生になってしまうということで、どれもこれもが規定の中に入らずということで、いわゆるすき間事案として今日まで取り扱われてしまっているところであります。

 これで、では、消費者庁ができるとどうなるかといいますと、新法ができます、消費者安全法というのができますので、まずは、事故が起きたらすぐに情報が一元化されることになりますので、集約して迅速にその事故を公表し、そして、多くの消費者にこういう事故があったという注意喚起を速やかにさせていただくことができます。

 そして、今のように、どこが取り扱っていいかわからない、いわゆるすき間事案というものに対しても、消費者安全法によりまして、その要件を満たす場合には、製造者に対して勧告や譲渡、引き渡しの禁止等の必要な措置を命じる等の対応ができ、被害の防止を図ることができるわけであります。

 また、ガス湯沸かし器の方はまた少し違いまして、これは一酸化炭素中毒事故であるわけですけれども、実は、調べてみますと、事業者からの報告徴収が十分に行われていなかったこと、また、所管省内、扱っている役所は昔の通産省、今の経済産業省になるわけですが、事故情報の十分な共有がなされていない、そして、残念ながら、長期にわたって適切な対応が一つの役所の中でとれていなかったことで、その間、多くの死亡事故が発生してしまったわけであります。

 これが、消費者庁ができることによって、まず、例えば消費生活センターからそういう情報が上がってくる、そして、消費生活用製品安全法における重大事故情報の報告、公表制度を消費者庁が持ちますので、それによって事業者から事故情報が報告されることになるわけです。そういう情報を消費者庁が一元的に集約して分析することによって、速やかに早期に問題を発見し、対応が可能になります。

 そして、消費生活用製品安全法や、また今申し上げた消費者安全法に基づいて消費者に速やかに注意喚起を促すとともに、必要な場合は、所管の経済産業大臣に対して、消費生活用製品安全法に基づいて危害防止命令の発出などにつき措置要求を行うことができます。そういうことによって、被害防止のための迅速な有効な手段を講じることが可能になるわけであります。

大口委員 それから、マルチ商法の実態については、今、内閣府の国民生活局に検討チームが設けられて、昨年十二月、この実態調査の経過報告がなされた、こういうことでございますので、それにつきまして、消費者庁によりどのように対応が可能かということをお伺いしたいと思います。

 それにしましても、民主党の議員の中に、非常に要職にある方が、マスコミの指摘によれば、マルチ関係者から献金等の疑惑を受けていると。みずから明らかにしなきゃいけないのに、明らかにしない。国民の疑念、不信を晴らすことが不可能な状況になっています。こういうことも問題であると思います。

 私は、このマルチ商法の実態を解明して、厳しく規制するべきであると思いますが、大臣にお伺いしたいと思います。

野田国務大臣 マルチ取引の実態につきましては、昨年の末に調査の経過報告をさせていただきました。

 最近、特に若い人の被害が多発しています。ですから、若い人向けに啓発用のリーフレットというのを作成させていただきまして、今年度中には全国の高校に配付する等、積極的に進めているところです。

 また、経過報告、委員も御存じだと思いますけれども、実は、マルチ取引については、昨今新たな商品とか新たな勧誘方法が登場していることから、もうちょっと深掘りしてさらなる実態把握に努めたいということで、二月の十四日と十五日にはマルチ商法一一〇番を設置いたしまして、約九十件の相談が寄せられているところです。

 これからは、相談内容の分析、マルチといっても幅広いものですから、それを詳細に分析を進めることによって、被害者側に立った実態把握をしっかりとつかんで、一人でも減らせるようにしっかり取り組んでいきたいと思います。

 消費者庁ができればどうなるかということですけれども、やはり全国の地方消費生活センターからそういう被害の情報が一件でも上がれば、これまではそこでとどまっていたかもしれないことが、たった一件であっても、全国的にネットワークでつながれて一元的に情報集約できますので、全国的にこういう事案があったということを消費者庁は責任を持ってお知らせすることができるわけでありまして、そういう被害の拡大を防ぐことに役立つのではないか。

 また、新しい法律、消費者安全法というのは、そのやり方、商法の内容とか典型的な契約、勧誘方法、そういうものについて消費者に迅速に公表することとともに、都道府県や市町村にその情報を提供することによって、より効果的な注意喚起を促すことが可能になってまいります。

 加えて、消費者庁は特定商取引法を所管します。これによりまして、連鎖販売取引に該当する場合には、必要に応じて消費者庁がみずから同法に基づく立入検査とか業務停止命令等の措置を行うことが可能になります。

大口委員 命にかかわること、またマルチの問題、こういうものを一日も早く解決するためにも、この消費者庁関連三法案、これは早く成立させなきゃいけない。なぜ民主党等が審議に応じないのか、本当に私は不思議で仕方がない。民主党の国対でとめられている、こういう話もあります。民主党の案も九月の二日にNCで了承されていた、こういうこともあるわけであります。政府の法案は昨年九月二十九日に提出しているわけでありますから、一日も早くこれはやっていただきたい、こう思うわけでございます。

 そして、やはり最後に地方の消費生活センターの充実を図らなきゃいけないわけでありますが、やはり消費生活相談員、これは人が大事であります。ところが、例えば月十七日以上の勤務者の場合、百五十万から二百五十万未満が七〇・八%、こういうことで非常に、非常勤の一年更新で、中には三年から五年の雇いどめ、給与水準が低くて、退職金、ボーナスもない、そういう中で本当に求められていることは高度な専門的な知識であるわけであります。

 そこで、いろいろ今回予算でも提案されているわけでありますが、消費者行政の基金は、これは三年の中でしっかりやっていくということでありますが、ただ人件費はここからは出ない、こういうことであるわけです。これは、消費者行政に係る基準財政需要を倍増したということで、地方交付税のところは一般財源なんですね。だから、実際の自治体の消費者行政予算の増加には必ずしも直結するわけじゃない。だから、地方公共団体の首長さんの消費者行政に対する意識を変えていただかなきゃいけない。

 この点につきまして、野田大臣は一生懸命訴えておられるわけでございますし、鳩山大臣もこの倍増した地方交付税が実際の消費者行政や相談員の処遇改善に使われるよう、地方公共団体にどう対応していくのかをお伺いしたいと思います。

鳩山国務大臣 もう答弁は要らないと思います、先生のおっしゃるとおりですから。

 ただ問題は、地方交付税というのは地方が自由に使えるお金ですね。先生が三年間で百五十億と言ったのは、これは交付金ですから、それは消費者行政に確実に使われる。しかし、消費生活相談員の単価というんでしょうか、何か余り単価という言い方は人件費だから言いたくはないですが、百五十万だったものを一応三百万ということで単価アップしましたから、基準財政需要に積んだお金は九十億から百八十億になりました。ですが、これがほかへ回っちゃったら話にならないわけですから、もちろん地方自治というのはありますが、きちんと消費生活相談員の充実に回るように、これは地方自治体に要請をしていきたいと思っております。

大口委員 どうもありがとうございました。

 時間が終わりましたので、終了いたします。

衛藤委員長 これにて大口善徳君の質疑は終了いたしました。

 次に、丸谷佳織君。

丸谷委員 公明党の丸谷佳織でございます。

 本日、当予算委員会におきまして貴重な質問時間をちょうだいいたしましたことに、委員長初め理事の皆様に心から感謝を申し上げる次第でございます。

 私ごとでございますけれども、今回で引退をさせていただきますので、当予算委員会では最後の質問になるのかなと思うと、余計に、大変に貴重な質問をいただけたと思い、感謝の思いとともに、また、野党席を見ると、当予算委員会で質問できる時間があるのにどなたも座っていらっしゃらないところを見ると、大変もったいないなという思いがするというのが正直なところでございますが、精いっぱい質問させていただきますので、答弁の方もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 本日は、児童ポルノの案件に関しまして質問をさせていただきます。

 昨日も二件ほど、この児童ポルノ案件で逮捕者が出たとの報道がございました。児童ポルノの問題につきましては、一九九九年にこの法規制をする議員立法ができたところでありますけれども、それ以来、逮捕者が相次いでいるという現状がございます。

 この問題に対処していくためには、議員立法ということがございますので、まずは国会の中で議会がこの法をどう改正していくのかという点が一点と、また、インターネットプロバイダー等の民間の皆さんにどう協力していただくのかという観点、また、政府としても一丸となってどのように児童ポルノを防ぐための環境整備を行っていくか、この三点、三位一体となって問題解決に当たっていかなければいけないということから、きょうは、政府に対して、その取り組み方の認識、また今後について質問をさせていただく次第でございます。

 まず警察庁にお伺いしますけれども、最近の児童ポルノの検挙状況、また、この検挙について年齢別がわかれば、この点についてお伺いいたします。

佐藤国務大臣 お答え申し上げたいと思います。

 児童ポルノ事件の検挙件数及び検挙人数は、平成十一年の児童買春、児童ポルノ禁止法施行後、おおむね増加傾向にございます。

 平成二十年上半期の検挙件数は三百七件、そして検挙人数は百九十一人で、これまで最多となっております。

 また、検挙いたしました児童ポルノ事件で保護をした被害児童につきましても同様に増加傾向にございまして、昨年上半期では百六十五人でありました。

 被害児の学職別でございますが、小学生が二十八人、一七%、中学生が六十九人、四一・八%、高校生五十二人、三一・五%、有職少年四人、二・四%、無職少年十二人、七・三%となっております。このうち、小学生につきましては前年同期より二十一人増加しておりまして、被害児童の低年齢化が危惧されているところでございます。

 以上でございます。

丸谷委員 公明党としましても、議員立法の改正に当たりまして、二〇〇七年、もうおととしになりますが、プロジェクトチームをつくったところでございます。実際にこの児童ポルノの案件が、逮捕される、検挙数がふえているということと同時に、どのような傾向性にあるのかを調査してまいりました。

 この児童ポルノそのものが多く売られています秋葉原へ行って視察をしてまいりました。目抜き通りのところに本当に大きな複合ビルが建っておりまして、その中には、一階から四階まで、まさしく児童ポルノのDVD、それから写真集、漫画、コミック本と、普通に平積みに、山積みになっております。どういったものか手にとったときに、本当にこれが合法なのかどうか、我が目を疑うようなものも多くございました。

 児童ポルノは販売してはいけないという法律はありますけれども、例えば、今売られているものは、児童の童を取って児○ポルノとしてDVDが売られていますが、これは法律では検挙できないとか、そういった、本当に法律ぎりぎりのところ、これは合法なのか違法なのかというところが現場では判断できかねるようなもの、それから、見た感じでは、見た目には小学生、中学生ぐらいだけれども、実際に演じているのは十八歳以上のポルノグラフィーが売られていたり、非常に複雑な内容になっております。

 最近の児童ポルノの傾向性というものに関してアメリカの方で発表されたものでは、七〇年、八〇年代にはアメリカでは水着姿、裸での立ち姿が主だったけれども、九〇年代以降は性的暴行シーンですとか低年齢化、またオンライン化になってきている。また、最近の傾向性としては、オンラインで性行為を子供たちにさせて生中継をしている。

 そういった傾向性が出てきているようでございますけれども、日本での検挙状況から見る最近の児童ポルノの傾向性に関してはいかがでしょうか。

佐藤国務大臣 先生のおっしゃられる趣旨はよくわかっておりますが、答弁ということで御勘弁をいただきたいと思います。

 児童買春、児童ポルノ禁止法に定める児童ポルノの定義ということになりますと、児童、すなわち十八歳に満たない者の姿態であることが要件となっております。先生おっしゃられるとおりでございます。

 そのため、警察が児童ポルノの取り締まりを行う場合には、描写された児童本人を特定いたしますか、医師の鑑定を得て十八歳未満の児童であることを証明する必要がございます。医師による鑑定については、描写された児童の容貌、体格、発育状況等に個人差があることから困難を伴うものもございまして、特に当該児童が十八歳に近ければ近いほど、十八歳未満であるとの年齢鑑定を下すことが極めて困難になると伺っております。

 また、平成二十年二月に警視庁において児童ポルノと題したDVDについて捜査をした結果、十八歳以上の者が描写されておりまして、取り締まりの対象とならなかったという例がございますという報告を伺っているところでございます。

丸谷委員 そうしますと、これはちょっと通告していないので参考人の方でも結構なんですけれども、昨日逮捕された例では、十六歳の少女の水着姿、この児童ポルノ案件として逮捕された件がございました。これは裸体ではなく、糸よりもちょっと太いような水着といいますか、非常に露出度の高い水着をつけている、これは業界用語なんですが、いわゆる着エロという、着たままで非常にわいせつ性が高い着エロのDVDを販売したということで逮捕されています。

 この件に関してはどのような見解で逮捕されたか、お伺いします。

巽政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の事件につきましては、警視庁が、当時十六歳の児童のわいせつな姿態を撮影し児童ポルノを製造したといたしまして、本年二月五日までにプロダクション経営者三名を検挙したと聞いております。この事件につきましては、児童ポルノ法の第二条の第三号の「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの」、こういう条項に該当すると考えて一斉検挙したというものでございました。

 事件の詳細については、現在捜査中でございますので、差し控えさせていただきます。

丸谷委員 恐らく、議員立法を改正していく中で児童ポルノの定義というものをしっかりと定義づけていかなければ、国際スタンダードにおける児童ポルノという範疇から日本は非常におくれたところで判断をしなければいけない、また、捜査の現場でも捜査自体に困難をきわめるという状況になっていると思いますので、この点に関しましては、議会の方で、法務委員会の方で、自民党、公明党で改正案を出しておりますので、この審議をしっかりとしていかなければいけないと考えております。

 次に、法務大臣にお伺いさせていただきます。

 日本は、九六年の第一回のCSEC、子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議で、児童ポルノの発信国として大きな非難をされて、九九年に議員立法をしました。二〇〇一年には第二回のCSECで日本が議長国となり、そのリーダーシップをとり、また二〇〇四年には議会で法を改正し、二〇〇八年、昨年でございますけれども、サミット司法・内務大臣会合で児童ポルノへの取り組みの強化を合意する、また昨年では第三回のCSECがある等、積極的にかかわってきているところでございますけれども、また国際スタンダードからおくれている面もあるのも事実でございます。

 法務大臣、この児童ポルノに対する取り組みの基本姿勢というのを改めてお伺いさせていただきます。

森国務大臣 児童ポルノに対する国の基本姿勢についてお尋ねがございました。

 児童ポルノは、申すまでもなく、被害児童の心身に将来にわたって深い傷を負わせるものであって、それを放置しておくことは決して許されることではないと考えております。

 法務省といたしましては、自由民主党、公明党の連名により提出され、現在衆議院で継続審議中となっております児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案の審議にも積極的に協力をしてまいりたいと考えております。

 児童ポルノの問題は、国際的にも、今委員のお話にありましたとおり、重大な関心を持たれておりまして、この問題についてはしっかりと対応すべきと考えているところでございます。

丸谷委員 この児童ポルノに対処する際のキーワードといいますか基本姿勢、国際社会の中では、ゼロトレランス、日本語で言いますと許容性なしというところで対処をしていくという合意ができていますけれども、この点に関しまして、日本政府としてもそれは合意しているという認識でよろしいでしょうか。

鳩山国務大臣 森法務大臣がお答えになることでございますが、昨年のG8の司法大臣・内務大臣サミット、私が議長を務めまして、その中で児童ポルノの問題は主要議題の一つでございました。結局、その場にいた雰囲気では、単純所持を罰していないのは日本とロシアぐらいなものだということで、これはもう単純所持は罰すべきだというような方向で私も意見を申し上げたわけで、そういう形で今度、今、あれは議員立法でしょうか、出していただいているわけですから、国はそういう方向に向かっているとは言えると思うんです。

丸谷委員 では、重ねまして法務大臣にお伺いさせていただきたいと思うんですけれども、御答弁の中で、被害児童の権利を守るというのが国の取り組みの基本姿勢であるという御答弁をいただきました。

 この被害児童の権利を守るということに加えまして、集団として子供の権利をしっかり守っていく、集団としての子供の人権を守るという発想があるという理解でよろしいでしょうか。政務官でも結構です。参考人でも結構です。

大野政府参考人 ただいま先生から、守られるべき児童は、個別の児童ではなしに、それを超えた、集団としてといいましょうか、児童全体ではないかというお尋ねでありました。

 現在の児童買春法、児童ポルノ法の立て方は、実在の児童を前提としているわけであります。つまり、具体的な被害者がいることを前提にして組み立てられているわけでございます。

丸谷委員 子供を個人として守っていく、プラス、社会として子供という集団をどう守っていくのかという視点も、この法改正の際には議論をしていかなければいけないということだと思います。

 今、総務大臣の方から、昨年のサミットの際に議長を務めていただいた司法・内務大臣会議の際でも議論となった一つのテーマでございます、単純所持について、G8諸国、先進国の中では日本とロシアが、この単純所持、持っていることだけは許しますよという、児童ポルノに対して許容性のある行動をしていますねということが議論になったという御答弁もいただきましたので、次の質問に移らせていただきます。

 議員立法でやりました児童ポルノに関しまして、いつも、改正する際に、この単純所持をどうするのかという点と、アニメ等の実在しない子供を描いたものをどうするのか、この二本について非常に同じ議論が十年間繰り返されている状況でございます。

 これは、議論する際に、各議員が倫理観とか自分の価値観の中で議論をしていては、十年たっても二十年たっても同じ議論から域を出ないというふうに考えております。

 例えば欧米では、調査されている結果でございますけれども、性犯罪者の七割は子供の写真やアニメを所持していた等の調査結果が出ていますけれども、日本では、こういった調査結果というのは法務省あるいは警察庁で持っているのかどうか、この点をお伺いします。

森国務大臣 今お尋ねのありました、児童ポルノあるいはアニメを持っていることと性犯罪者との相関については、あいにく法務省としてはそのようなデータを持ち合わせておりません。

佐藤国務大臣 警察庁におきましても、今お尋ねのございましたデータは把握をしておりません。

丸谷委員 日本ではそういった調査研究は一切データとして持っていないということを考えますと、常に、議論をしていく際に、先ほども申し上げましたけれども、発言者の感覚あるいは倫理観、そういったところでしか議論を重ねていけないということで、一歩も二歩も前進した議論をするためには、一つでも数字としてのデータというのを国として保有する必要があると思います。

 公平さを保つために言わせていただきますけれども、私のもとに、法改正に反対するメールが非常に多く来ています。そういった方たちの意見というのは、こういったアニメがあるので自分の欲望、性欲を昇華させることができるので犯罪に至っていないからアニメは規制してほしくないとか、あるいは、犠牲者が実在しないので規制する必要がないといった意見もございますし、また、社会全体としてそういったものを規制していく必要があるというような意見も当然出てきているわけでございます。

 非常に感覚的、道徳的なもの、個人的な意見の中でしか議論が進まないという状況を一つでも発展させるために、先ほど申しました調査研究というのを国としてもやっていく必要があると思いますが、法務省、警察庁の見解をお伺いします。

森国務大臣 つい私も個人的な意見を述べたくなっちゃうわけでございますけれども、それは差し控えまして、法務省としては、今後も国会における同改正法案の御議論に積極的に協力いたしますとともに、御指摘のあった調査研究については、その必要性や方法などを含めまして、関係省庁と連携して検討してまいりたいと存じます。

佐藤国務大臣 御指摘の児童ポルノの所持等と性犯罪との関連に関する研究につきましては、諸外国の研究を参考としつつ、その必要性や方法について、関係省庁と連携して検討してまいりたいというふうに思います。

丸谷委員 関係省庁と検討していただくという御答弁でございましたけれども、関係省庁と連携しながら前向きにぜひ検討をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 総務大臣にお伺いいたします。

 総務大臣は、この児童ポルノの問題に対して非常に深く理解をしていただいておりまして、大変評価させていただくところでございます。

 総務省におきましても、安心で安全なインターネット環境整備のためのプログラムの中で、「児童ポルノの効果的な閲覧防止策の検討」というものを既に出されておりますし、また、本年度予算の中でも、こういった環境整備のために、昨年の六・五億円から増額いたしまして九億円の予算をつけていただいているところでございます。

 報告書を読ませていただきますと、まず、インターネット上に児童ポルノをアップロードさせないことが大事であるという認識は持っていただいているんですが、それをアップロードさせないのは一義的にまず民間がやるべきだと読み取れるような報告書になっているような気もしておりまして、まずは産学連携主導で、その上で政府が協力する、若干消極的な印象も受けておりますが、総務省としてはどのように取り組んでいかれるのか、この点についてお伺いします。

鳩山国務大臣 おっしゃるとおりでして、つまり、総務省が電波あるいは通信というものを所管するという観点で物を考えますと、インターネット上の児童ポルノの問題をきちんとすることは大変重要な問題なんですけれども、結局、迅速な削除が必要であるというまず概念がある。

 しかし、本当は削除の前に載せさせない方がはるかに大事であることはよくわかっているんですが、現在のところ、プロバイダーなどの通信事業者に児童ポルノの違法情報への対応等に関するガイドラインを策定させる、あるいは、インターネット・ホットラインセンターというのがありますが、そこと通信事業者の連携というものをとらせるというようなことで、結局、そういうような方向での取り組みになってしまっております。

 したがって、児童ポルノの閲覧を防止するためには通信事業者等の民間の取り組みが一層推進されなければならない、そういう方向性を示しておりますので、今丸谷先生からおっしゃられたような懸念を持たれてしまうわけでございまして、できる限り前向きに、先手を打ってこの問題を解決できるように、どこまでできるか、これからも研究したいと思っております。

 ですが、その前提として言えることは、それは断固として単純所持を禁止するべきなんです。それは、すぐ表現の自由、アニメの場合はという表現がすぐ出てきますが、表現の自由で守られる法益と児童ポルノによって失われる人権というものとの比較をすれば、それは表現の自由という部分が大幅に削られて構わない、そういう比較考量はできるはずでございますから、私は森法務大臣と違って常に個人の意見を言う人間でございますので、断固として、単純所持に刑法罰、こう思っております。

丸谷委員 ありがとうございます。議員立法の趣旨と全く同趣旨の御答弁をいただきました。総務省としましても、アップロードさせないやり方、仕組みについて、しっかりと御検討をしていただきたいと思います。

 そこまで御理解を深めていただいている大臣にちょっとするべき意見ではないかもしれないんですけれども、総務省の、先ほど申し上げました安心で安全なインターネット環境整備のためのプログラムの報告書の中で、ちょっと重箱の隅をつつくようで申しわけないんですが、九十四ページに、児童ポルノがネット上に流通すると、「広範囲に拡散し、被害の回復も困難であることが多く、被害児童の心身に大きな打撃を与えかねないことから、」という表現がありまして、ちょっと気になりました。与えかねないのではなくて、与えるというゼロトレランスでぜひ書き直していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、国際スタンダードということで、最後に外務省にお伺いさせていただきたいと思います。

 昨年の十一月に、第三回の商業的子供の搾取に反対する世界会議がありました。この中では、閲覧自体も禁止するべきだ、あるいはアニメも禁止するべきだということで、日本で議論しているときよりも一歩も二歩も先に行っている議論がなされました。政務官はそこの会議に出られて発表もされていますので、そこの会議の評価、御自分の認識とあわせて。

 国際社会の取り組みとしましては、現在、欧州評議会が採択をしました子供の権利を守るための条約の中で、非常に、今回の第三回CSECで合意しましたリオ宣言の土台ともなる条約が採択をされています。この欧州評議会の条約には、日本も成文化に協力をしております。この条約自体は加盟国以外にもオープンになっていると思いますが、この条約、日本としてはどのような形でこれから受けとめ、署名するのかしないかも含めてお伺いさせていただきます。

西村大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 丸谷委員御案内のとおりと思いますけれども、児童の性的搾取に反対する世界会議が過去三回開かれておりまして、一回目がスウェーデン、二回目が二〇〇一年日本で、三回目、今回ブラジルでということで開かれたわけであります。ブラジル自身、児童の商業的な搾取を含めさまざまな社会的困難を抱えている。そんな中で、ルーラ大統領がリーダーシップを発揮して開催をされたということで、世界百四十カ国から三千人以上の人が集まりまして、大変熱気のあるいい会議だったというふうに認識、私自身は思っております。

 そんな中で、私も政府を代表しまして開会式に出席をいたしまして、日本の取り組みをお話しさせていただきました。特に、第一回のストックホルムでの会議で日本はかなり問題を指摘されたわけでありまして、その後の取り組み、そして二回目の会議を横浜で主催させていただいたこと、先ほど来議論になっております、委員御指摘のとおり、児童ポルノ所持についても犯罪化するという、今提出されている法案についても紹介をいたしまして等々、我が国の前向きな取り組みをアピールできたというふうに考えております。

 他方、議論の中であったのは、インターネットの普及とかIT技術の発展、これが、本来は我々の生活を豊かにすべきものであるにもかかわらず、皮肉にも犯罪にも使われるという危機感を、その場の会議に参加された方々も私自身も共有いたしまして、改めてこの問題の深刻さを認識した次第であります。

 私としても、今国会の雰囲気、この熱い気持ちをぜひ実際に取り組みに移していくべく、政府内でもさまざまなレベルで取り組みを一層強化していきたいと思っておりますし、国会におかれましても、きょうは残念ながら野党の皆さんは出席しておりませんけれども、各党熱心に取り組んでおられる先生方はおられますので、ぜひ与野党を超えて協力をしながら取り組んでいただければありがたい、こんなふうに思っております。

 欧州議会の方の、子供の権利に関する欧州条約でありますけれども、御案内のとおり三十三カ国が署名をいたしておりますけれども、まだ発効には至っていないわけでございまして、御存じのとおりだと思います。

 この条約につきましては、さまざまな過程での性的虐待あるいは児童ポルノへのアクセス等、これまでの条約では犯罪化は義務づけていない行為についても犯罪化をするように義務づけておりまして、実は、与党案の改正法案でまだ足らない部分がございます。したがいまして、国内法をさらに改正する必要の検討もありますので、そのことも含めて政府内でも十分な調整をしつつ、同条約につきましては今後の対応を検討してまいりたい、こんなふうに考えております。

丸谷委員 どうもありがとうございました。

 一義的には、法務委員会の方で提出をしております自民党、公明党案の議員立法の改正、これを野党の皆さんもぜひ協力をしていただいて、一日も早く審議入りをしていただくようにお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 本日はありがとうございました。

衛藤委員長 これにて丸谷佳織君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明十九日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時五十九分散会


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