衆議院

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第2号 平成21年11月2日(月曜日)

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平成二十一年十一月二日(月曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 鹿野 道彦君

   理事 岡島 一正君 理事 海江田万里君

   理事 伴野  豊君 理事 平岡 秀夫君

   理事 松原  仁君 理事 山口  壯君

   理事 加藤 紘一君 理事 町村 信孝君

   理事 富田 茂之君

      相原 史乃君    糸川 正晃君

      打越あかし君    江端 貴子君

      小野塚勝俊君    緒方林太郎君

      大山 昌宏君    岡本 充功君

      奥野総一郎君    梶原 康弘君

      城井  崇君    沓掛 哲男君

      黒田  雄君    小泉 俊明君

      古賀 一成君    田中 康夫君

      竹田 光明君    津島 恭一君

      豊田潤多郎君    中林美恵子君

      長島 一由君    畑  浩治君

      細野 豪志君   松木けんこう君

      三谷 光男君    森本 和義君

      山田 良司君    横粂 勝仁君

      吉田 公一君    若泉 征三君

      小里 泰弘君    大島 理森君

      金子 一義君    小池百合子君

      後藤田正純君    齋藤  健君

      下村 博文君    菅  義偉君

      田村 憲久君    谷川 弥一君

      谷畑  孝君    野田  毅君

      山本 幸三君    大口 善徳君

      笠井  亮君    阿部 知子君

      柿澤 未途君    下地 幹郎君

    …………………………………

   内閣総理大臣       鳩山由紀夫君

   国務大臣

   (国家戦略担当)

   (経済財政政策担当)

   (科学技術政策担当)   菅  直人君

   総務大臣

   国務大臣

   (地域主権推進担当)   原口 一博君

   法務大臣         千葉 景子君

   外務大臣         岡田 克也君

   財務大臣         藤井 裕久君

   文部科学大臣       川端 達夫君

   厚生労働大臣       長妻  昭君

   農林水産大臣       赤松 広隆君

   経済産業大臣       直嶋 正行君

   国土交通大臣

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (防災担当)       前原 誠司君

   環境大臣         小沢 鋭仁君

   防衛大臣         北澤 俊美君

   国務大臣        

   (内閣官房長官)     平野 博文君

   国務大臣        

   (国家公安委員会委員長) 中井  洽君

   国務大臣        

   (金融担当)

   (郵政改革担当)     亀井 静香君

   国務大臣        

   (消費者及び食品安全担当)

   (少子化対策担当)        

   (男女共同参画担当)   福島みずほ君

   国務大臣        

   (行政刷新担当)     仙谷 由人君

   内閣官房副長官      松野 頼久君

   内閣官房副長官      松井 孝治君

   内閣府副大臣       大島  敦君

   総務副大臣        渡辺  周君

   法務副大臣        加藤 公一君

   外務副大臣        福山 哲郎君

   財務副大臣        野田 佳彦君

   財務副大臣        峰崎 直樹君

   文部科学副大臣      鈴木  寛君

   厚生労働副大臣      細川 律夫君

   厚生労働副大臣      長浜 博行君

   農林水産副大臣      山田 正彦君

   経済産業副大臣      松下 忠洋君

   国土交通副大臣      辻元 清美君

   国土交通副大臣      馬淵 澄夫君

   環境副大臣        田島 一成君

   防衛副大臣        榛葉賀津也君

   内閣府大臣政務官     津村 啓介君

   総務大臣政務官      階   猛君

   法務大臣政務官      中村 哲治君

   外務大臣政務官      吉良 州司君

   文部科学大臣政務官    後藤  斎君

   厚生労働大臣政務官    山井 和則君

   厚生労働大臣政務官    足立 信也君

   農林水産大臣政務官    佐々木隆博君

   国土交通大臣政務官    長安  豊君

   環境大臣政務官      大谷 信盛君

   防衛大臣政務官      楠田 大蔵君

   防衛大臣政務官      長島 昭久君

   政府特別補佐人     

   (内閣法制局長官)    宮崎 礼壹君

   予算委員会専門員     杉若 吉彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十九日

 辞任         補欠選任

  阿部 知子君     服部 良一君

同日

 辞任         補欠選任

  服部 良一君     阿部 知子君

十一月二日

 辞任         補欠選任

  岡本 充功君     大山 昌宏君

  細野 豪志君     竹田 光明君

  吉田 公一君     江端 貴子君

  若泉 征三君     松木けんこう君

  渡部 恒三君     相原 史乃君

  小里 泰弘君     大島 理森君

  谷畑  孝君     齋藤  健君

同日

 辞任         補欠選任

  相原 史乃君     横粂 勝仁君

  江端 貴子君     吉田 公一君

  大山 昌宏君     岡本 充功君

  竹田 光明君     細野 豪志君

  松木けんこう君    若泉 征三君

  大島 理森君     小里 泰弘君

  齋藤  健君     後藤田正純君

同日

 辞任         補欠選任

  横粂 勝仁君     渡部 恒三君

  後藤田正純君     谷畑  孝君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 予算の実施状況に関する件


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     ――――◇―――――

鹿野委員長 これより会議を開きます。

 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。

 基本的質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。海江田万里君。

海江田委員 おはようございます。

 まず、鳩山総理に、第九十三代の日本国の総理大臣に御就任、おめでとうございます。そして、菅副総理以下各大臣の皆様方も、それぞれの職責就任、おめでとうございます。

 ただ、同時に、そんなめでたい話ではない、今の日本が抱えるさまざまな諸問題に、これから、もちろん閣僚として、あるいは私どもも与党の一員として、みんなで頑張っていかなければいけないんだ、こういう声が返ってくるように私には感じられます。

 ただ、私は、特に鳩山総理には、今から十三年ぐらい前になりますかね、あの麻布十番の酒屋さんの上の三階の小さな事務所で、とにかく日本の政治を変えなければいけない、自民党の政治を一日も早く打倒しなければいけない、こういう思いで今の民主党の一番最初の形ができ上がって、そしていろいろな苦労をしてきた。その中で、八月の選挙が終わって九月の十六日、鳩山総理が誕生したとき、私はやはり胸に万感迫るものがありました。しかし、私たちは、先ほどもお話をしましたけれども、いつまでも感傷に浸っているわけにはいかないわけで、一つ一つの問題を解決しなければいけない。

 きょうでちょうどたしか四十六日目ですか、鳩山総理が言うように、今度の日本の改革というのは無血の平成維新でありますが、この平成維新、すべての物事を一から新しくする御一新、しかし、その変革というのはむしろ、黒船がいるわけではない、あるいは焼け野原があるわけでないという大変な難しさがあると思います。

 改めまして、この改革に立ち向かう鳩山総理の決意のほどを、きょうはテレビの中継もございますので、この予算委員会の最初の質問として、答弁を通じて国民のみんなに訴えていただきたいと思います。

鳩山内閣総理大臣 海江田議員が再びこの経済が大変厳しい状況の中で返り咲いて、この厳しい経済状況を、新しい日本をつくり出していくために大いに活躍をしていただいて解決に努力を願いたい、そんな思いで今お話を聞かせていただきました。

 私自身も、海江田議員のその御質問に対して万感胸に迫るものがございました。確かに、もう十三年前、私も海江田議員と一緒に、この国を再びもう一度変えていかなければならない、ぎりぎりの状況に来てしまっている、国民のための政治がどこへ行ってしまったんだ、そんな思いのもとで自民党を飛び出した私が、さらに再び新党さきがけを飛び出さなきゃならない。そして、むしろ野党になって、もっとしっかりと勉強し直して、この国の未来のために働くときを迎えようではないか、国民不在の政治から、本当の意味で政治家がリーダーシップをとれる、そういう政治を取り戻していきたい、その思いで海江田議員方と大いに日本の将来に向けて議論したことを懐かしく思い出しております。

 ただ、懐かしいというばかりではありません。さらにそれから十数年たって、日本の危機はまさに本物になってしまった。今日まで、やはり政治主導が必ずしも発揮してこられなかった。これは決してその当時の与党にのみ責任があるのではない、政治家すべての責任だ、その思いのもとで、だからこそ、ある意味で与党も野党もなく政治を変えるために協力をしていかなければならない、むしろその思いの中で今総理大臣として新たな仕事がスタートした、そのように感じているところでございます。

 特に、経済雇用情勢、大変厳しいものがございます。私は、今までのややもすると公共事業というものに頼り過ぎてきたこの国、公共事業は決して不必要だと申し上げるつもりもありません、しかし、ややもすると、そのことによって人の心というものが忘れ去られてきてしまった。その人の心を政治の中に取り戻すために、今こそ大掃除をさせていただきたい、ぜひ与党も野党もなく大きな気持ちで国民のために働かせていただきたい、その思いを申し上げさせていただきます。

海江田委員 ありがとうございます。

 与党も野党もなく、この国のためにみんなで頑張っていきたいという思い、私も受けとめました。その意味では、与党の質問ということではなしに、私も国民の立場に立って鳩山総理以下閣僚の皆様方に質問をさせていただきますので、お許しをいただきたいと思います。

 まず鳩山内閣が最初に仕事をやりましたのが、これまで自民党がつくりましたあの補正予算、この補正予算の見直しではなかったかと思います。そこで約三兆円の歳出のカットをいたしました。これは、ここにお並びの閣僚を初め、きょうは副大臣、政務官の皆様方も並んでおられますが、いわゆる政務三役と言われる人々が本当に心血を注いで三兆円にも上る歳出をカットしたわけでございます。

 しかし問題は、その……(発言する者あり)ちょっとやかましいから黙っていてください。まず、この歳出のカット、これは三兆円、何とか本当に皆さん方の努力によってなし遂げることができました。

 そうしますと、この補正予算というのは当然のことながら、歳出と、その反対側に歳入があるわけでございますね。歳入でも全体で十四兆の枠があって、この歳入の内訳というのは、もう御存じだろうと思いますけれども、やはり約半分ぐらいを国債を新規に発行している。それからもう一つは、約三・一兆円でございますけれども、いわゆる埋蔵金というものを、最初は自民党の方々は埋蔵金はない、ないと言っていたわけでございますが、そこは何とかひねり出しをしている。国債を約十兆円、それから埋蔵金、この三・一兆円、これで十四兆の歳出に見合う歳入の手当てをしているわけです。

 私どもは歳出をカットいたしましたから、当然、歳入の方が約三兆余裕ができるわけですね。この約三兆の余裕ができたときに、さあ、国債を発行する、およそ十兆発行する予定でおりましたけれども、それを大体三兆減らして七兆にするのか、あるいはもう一つ、埋蔵金がございます、三・一兆円、この埋蔵金を残すのかというところで一つの選択があるわけでございます。

 新聞報道なんかを見ますと、これはむしろ、国債はそのまま発行して埋蔵金の方を残そうじゃないだろうか、次へ、つまり民主党が考える、これからの補正になるのか、あるいは本予算になるのかわかりませんが、そっちに回そうという考えがあるやに聞いております。

 これは現在時点でどういうふうになっておるのか、鳩山さんでも、あるいはほかの、財務大臣でも構いません、どうぞ。

藤井国務大臣 今、海江田さん言われたようなことでして、この三兆円が出た、そしていろいろな選択があるんですよ。今、海江田さん言われたように、国債なりなんなりを減らす、歳入を減らすという考え方もあります。同時に、私たちがずっと主張してまいりました、国民生活が第一というものに振りかえていくという考え方があります。

 これはもう少し時間をいただかないと様子がはっきりしてきませんので、現時点では明確にはお答えできませんが、海江田さん言われるように、幾つかの選択肢があるということだけは事実でございます。

海江田委員 今、幾つかの選択肢があるというお話を承りましたので、私はぜひ……(発言する者あり)ちょっと野党、黙っていてください、ちゃんと質問していますから。

 いいですか、まずやはり国債を減らすということも考えていただきたいと思います。これは、やはり今、国債はマーケットがございます。それから、国債はマーケットだけで消化されるものではなくて、特に個人の方たちは窓口販売、これはマーケットを通しませんけれども、今個人の方たちが国債を買わなくなってその分マーケットに回さなければいけないということになりますと、マーケットはやはり、例えば、新しい鳩山内閣が、民主党の内閣が国債の発行に対して基本的にどういう考え方を持っているんだろうかということを非常に注目しているわけであります。

 そういうときに、とにかく国債を発行しておいて、このもとをただせば、これは言うまでもありませんが、自民党が無尽蔵に出した、むやみやたらに出した国債ではありますけれども、だけれどもそれを、まず国債をそのまま発行しようということになりますと、やはりマーケットが敏感に反応するわけですね。それによってこの十月の末には、いわゆる市場の長期の金利、これが一・四%台にはね上がったといいますか、こういうような状況もございますので、ここは今財務大臣から答弁をいただきました。

 私は、やはり日本の国全体のことを考えれば、確かにこの民主党のことを考えれば、民主党が約束をした、マニフェストの中で約束をしたことはたくさんございます。そのためにはお金が必要であります。そのお金を埋蔵金から持ってくるということも一つの考え方でありますが、今国債の市場の金利が非常に微妙なときを考えると、やはり国債の発行額をできるだけ早い段階から削るということも一つの選択ではないだろうかと思いますので、これは内閣全体あるいは副大臣や政務官全体としてぜひ御検討をいただきたい、そのように思うわけでございます。

 そして次に、〇九年度の第二次の補正予算でございます。第二次というのは、文字どおり私どもがつくる、民主党がつくる、鳩山内閣になって初めての補正予算ということになりますが、菅副総理は、これは先週の金曜日ですか、雇用、環境、景気対策でこの補正予算をつくらなければいけないというような発言があったようでございます。これは、内閣全体としてやはりそういう方向で補正予算を組む必要があるとお考えになっておられるのか、その場合タイミングはいつごろなのか、あるいは規模はどのくらいなのか。わかっておる範囲でよろしゅうございますので、お答えをいただきたいと思います。

鳩山内閣総理大臣 お答えいたします。

 第二次補正予算に関して、まだ最終的に決定をいたしている段階ではありません。今、海江田議員からお話がございましたように、経済が大変厳しい状況が続いている、そのような状況の中で、これから雇用問題も見きわめていかなければなりません。

 私どもは先般、菅大臣に中心になっていただいて、新しい緊急雇用対策というものを発表いたしたところでございます。これによってまずは十万人の新規の雇用というものを生み出してまいりたい、そのように考えております。

 ただ、これから年末に向けてかなり、中小企業の皆さん、一生懸命頑張っておられますけれども、この厳しさ、相当程度まだまだ続くのではないか、そのように思っております。そのような状況を見きわめる必要があります。今の雇用対策はどこまで効果があるのか、経済がやや持ち直しと言われているけれども、必ずしもそのように思えない、こういう状況の中で判断をしてまいりたい。

 一方では、これは、今年度の税収見積もりがかなりまたマイナスになるのではないか、計算が必ずしも合わないということで、ここのところも含めて第二次の補正予算というものをこれから考えていかなきゃならない可能性があろうかと思っておりますが、しかし、今の段階は、まずは年末の状況、これから年の暮れに向かってどのような状況になるかということを見きわめながら判断してまいりたい。

 そのときには、三兆円、皆様方の御努力によって大変、ある意味で、すべてが無駄だとは言いません、不要不急なものを凍結させていただいた、そういったものも含めて活用させていただくことも考えたいと思います。

海江田委員 ありがとうございました。

 いずれにしましても、菅大臣も手を挙げましたけれども、恐らく今の鳩山総理の言葉で代表されていると思いますが、これはぜひ機敏に、この補正予算につきまして判断をしていただきたいというふうに思っております。

 ところで、今総理からお話のありました税収、当初四十六兆円見込んでおりました、この平成二十一年度、二〇〇九年度の税収。はっきり申し上げまして、私は、この四十六兆という金額が出てきたときから、ちょっとこれはかなり無理があるなということを実は思っていたわけでございます。去年の暮れでございましたけれども、当然その四十六兆という数字を出すためには、経済見通し、プラス・マイナス・ゼロにして、すぐその直後に日銀が政府の見通し大甘だよというような異例の発表もありましたけれども、この四十六兆という金額自体がかなり膨らし粉で膨らませた政治的な数字であったと思います。

 それにしても、恐らく、どうでしょうか、いろいろ巷間言われておりますのは、三十兆台の後半ということが言われているわけでございますが、ただ、この三十兆の後半というのも、三十五兆から三十九兆までが後半でございます。私は、これははっきりなかなか言いづらい点はございますけれども、三十兆の後半といっても、三十八兆、三十九兆という数字ではなしに、むしろ、もう三十五兆に限りなく近づくような状況ではないだろうかというふうに思っております。法人税の問題などでもきょうの新聞でも発表されておりますが。

 そうしたことを考えますと、いよいよ二〇一〇年度、これは文字どおり民主党が新しい政権になってつくる予算でございますけれども、今のこの九十五兆円、概算要求で、これはやはり過大過ぎやしないだろうかという思いがございます。この九十五兆円、どのくらいまでのところへ持っていきたいというふうにお考えになっておるのか。私は、ある程度の数字を出しても構わないと思っておりますが、いかがでしょうか。あるいは、その進捗のぐあいなどについても教えていただけますとありがたいと思います。

鳩山内閣総理大臣 お答えいたします。

 九十五兆円という概算要求でございますが、御案内のように、今お話がありました税収が大変厳しい状況がさらにこれから募っていくということが予想されます。ただ一方で、経済状況というものもかなり厳しさが残っておるわけでありますから、今年度の予算が補正予算と合わせますと百二兆円という、大変大きな補正予算を組んだということもございます。その補正予算も、私ども、御案内のとおり、三兆円は凍結をするということになっておりますが、いずれにしても、このような今年度の予算が極めて経済を見ながら大きくなった、これをさらにどこまで下げられるかというのは、経済のことを考えれば非常に厳しい部分も一方ではございます。

 しかし、他方で、国債というものの発行を当然のことながら極力抑える努力をしなければならない。そのことで私どもは、まずは補正予算も歳出の削減をできる限り行うように、無駄を省くようにいたしましたし、これからも九十五兆円の概算要求、それをできるだけ切り詰めていく必要があると思います。

 したがいまして、必ずしも額を今申し上げることはできませんが、九十五兆からさらに極力切り詰めていかなければならないことは言うまでもありません。

 ただ同時に、私ども、一般会計と特別会計と合わせた二百七兆円、この中から相当額を、無駄があるのではないかということで、これから事業仕分けなどを行いながら切り詰めてまいりたい。その進捗状況を見きわめながら最終的に判断をいたしますが、相当程度、これは国民の皆さんにここまでやるのかというぐらいの思いを見ていただくような形で切り詰めてまいらなければいけない、そのように思っております。

海江田委員 鳩山総理の発言で、これは総理になる前、選挙前の発言で、二〇一〇年度の予算を、政権を交代して、政権をとってつくる場合は、国債の発行額を二〇〇九年度より抑えたいという発言があったと私も記憶をしております。

 ここで言う二〇〇九年度の国債発行というのは、自民党が当初予算でつくりました国債の発行額は三十三兆円でございますが、もちろん、この当初予算の三十三兆円ということではなしに、補正で十兆円組んでいますから、この四十四兆円について、それ以下に抑えたいというお気持ちは今でもありますか。

鳩山内閣総理大臣 おっしゃるとおり、国債を増発すれば、それは当然、私どもの子供たちあるいは孫たちにその負担がずっしりとかかるわけでありますから、私どもは極力国債の発行を抑えなければならない、その思いを変えるつもりはありません。

 したがいまして、四十四兆円を超えることには何ともしないように結論を出してまいりたい、最大の努力をいたします。

海江田委員 四十四兆円以下で何とか抑えるということ、これもぜひ私は実現をしていただきたい。

 先ほどもお話をしましたけれども、国債を出すということは、もうこれは言わずもがなの話でございますけれども、次の世代に負担を回すということでありまして、先ほど民主党の由来、いろいろお話もありました。いろいろなことも私も思っておりますけれども、民主党も一時期、未来への責任ということを言っていた時期もございます。未来への責任ということを考えたときに、国債に対する、自分自身を戒めるという態度というのはやはり絶対に必要だと思います。

 それから、先ほども少しお話をしましたけれども、今個人が国債を買わないような状況になってきた。窓口販売がずっと落ち込んでいる。それから、個人向けの国債、変動債、そういう個人向けが売れなくなる。そうすると、どうしても市場で売らなければいけない。実は、市場の買い手もだんだんだんだん変化してきていることは確かであります。アメリカもなかなか、日本の国債だけが買うものではないというような動きも出ておりまして、私はその点を考えますと、やはりこれは何とかしてまず個人に国債を買ってもらうようにしなければいけない。

 例えば、これはかなり前から言われていたことでありますけれども、無利子国債なんというのも一つの考え方ではないだろうかというふうに思うわけであります。この無利子国債というのは、もう言うまでもありませんけれども、利子がつかない。利子がつかないものをどうして、だれが買うんだということでありますけれども、そのかわり、相続の評価の際には、例えば百万円の国債があればそれを半分にするとか七割の評価にするとか、こういう形で、個人に、しかもお金がかなりある方に買っていただくというような形の考え方というのもあるのではないだろうかというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。

藤井国務大臣 さっきから、一〇年度予算の話ですね、なるたけ削減するというお話がありましたが、非常に一つ大事なことは、やはり国債市場の問題なんですね。国債市場の信頼を損なうようなことがあっては一番いけない、そういうことから根っこに置いて考えなきゃいけないと思っているんですよ。それから考えまして、当然のことながら、歳出を削減するのは当たり前のことであると思っております。

 そこで、今の具体的なお話ですが、これはいろいろずっと出てきますね。私はその考えというのを常に伺っておりますが、一つは、やはり公平感という意味からいいまして、相続税のときの公平感という意味からいきまして、やはり一つの抵抗があるのは事実なんですね。お話として常に出ていることは承知をいたしておりますが、これも税調で検討はいたします。いたしますが、やはり税の公平というのを余りに無視するような仕組みということについては、ある種の意見があるということだけ御理解賜りたいと思います。

菅国務大臣 国家戦略室としては、税財政の骨格について方向性を他の大臣と協力して出すようにということでありますので、そういう立場から少し答弁させていただきたいと思います。

 まず、今進行していることは、もう海江田議員もおわかりのように、財政の額の問題もありますけれども、中身を根本的に変える。まさに、従来の公共事業偏重で、九十幾つも飛行場をつくったりいろいろしてもハブ空港が一つもないという前原大臣の指摘も含めて、そういう長年の財政の構造の中身を根本から変える。これをやらないことには、私も過去の中期財政見通しを全部調べました、一度として、それがその後にできたと言われたものは、自民党政権時代を含めて、ありません。ですから、そういう意味で、今進行していることは、まず財政の中身を抜本的に変えていく、これがまさにスタートをしている、このように思っております。

 その上で言いますと、これも海江田議員おわかりのように、今、足元の景気、経済の状態と中期的な財政の健全化というもの、確かに非常に厳しいんです。先ほど御指摘がありましたように、麻生内閣において出された今年度予算は税収見通しが四十六兆円になっておりますけれども、これが四十兆を切ろうというデータがそろそろ出そうになっていますが、この場合に、この穴を埋めないでおくわけにはいかないわけでありまして、それがどちらの責任とまではあえて申し上げませんけれども、少なくとも今年度の予算を立てて執行してきたスタートは麻生内閣でありますから、その麻生内閣が見通しを誤ったものをこの内閣で何らかの措置をしなければならない、このことも念頭に置かなければなりません。

 そういうことを含めまして、足元の問題と中期的な財政見通しというものをどのようにしていくかということで、今、国家戦略室の方で幾つかの考え方を閣議決定していただいております。具体的に若干申し上げますと、二十二年度の予算については、もう余り長い時間がありませんので複数年度という予算編成はやや無理であろうと。二十三年度の予算からは、三年程度の複数年度を見通して、その中で中期財政フレームというものもきちんと立てていこう、こういうことを既に閣議決定として方向性を示しているところです。

 そういった意味で、いろいろ野党の方からも無責任なやじが飛んでおりますけれども、少なくとも私たちとしては、足元の景気というものをしっかりと見据えながら、そのことと中期的な財政の健全化というものを両立させる道をしっかりととっていきたい、このことを申し上げておきたいと思います。

海江田委員 今、菅副総理からも、まさに財政の、歳出の中身が大切なんだという指摘がありました。それから、先ほど鳩山総理からは、やはり特別会計の問題にも切り込んでいかなければいけないという指摘もありました。

 私も選挙のときに、実は一般会計の八十八兆と、国の歳出というのは、それから特別会計、合計して二百七兆の歳出があるんだ、この二百七兆の歳出をどういうふうに組みかえていくかということについて、やはり一生懸命頑張らなければいけないということを言ってきたわけでございますが、どうでしょうか、この特別会計の見直しということについては、今ちょうどやっておるところだろうと思いますけれども、なかなかやはりこれは抵抗が強いんじゃないだろうかというふうに私は見ております。

 実は、今度質問をするということでいろいろな資料を取り出してみましたら、これは財務省の主計局が、ことしの六月ですから、平成二十一年版の「特別会計のはなし」という冊子をつくっておるんです。昔はこんなもの絶対つくらなかったんですが、つくるようになったところまではいいんですが、ただこの中身が、まさに、藤井財務大臣が笑っておられますが、ちょっとこれは噴飯物ですね、はっきり申し上げまして、私は。これは何で特別会計が必要なんだということを強調している中身であります。

 その意味では、この特別会計というものに踏み込むということは、まさにこれからの民主党が、それこそ増税なしで、あるいは大量の赤字公債の発行なしで、今は赤字公債と言いましたけれども、ちょっとこれは一つだけ誤解のないように言っておきますけれども、何か、赤字公債、赤字国債という字が躍りますと、これはみんな悪者だと思っちゃうんですね。これは、建設国債は善玉で赤字国債が悪者だというような流れがあるので、私は、本当は国債は赤字も建設ももう区別をなくす方がいいというのがもともとの持論であります。

 いずれにしましても、赤字国債だけじゃなくて建設国債もそうですけれども、いわゆる国債の発行をできるだけ抑えて、未来の世代に対してしっかりと責任を持って、そして、どう国民本意の予算をつくっていくかということになったら、どうしてもこの特別会計にメスを入れざるを得ないということでありますので、この特別会計の見直しと申しますか、それこそ将来的には特別会計を私はなくしたっていいと思っておりますが、そういう特別会計の改革に向かって今どの程度進捗をしておられるのか、教えていただきたいと思います。

藤井国務大臣 財務省の話が出ましたから私から申し上げますが、特別会計はやはり伏魔殿なんですよ。これはもう間違いない。

 戦前から臨時軍事費特別会計というのがあったけれども、あれは国民負担を超えて戦費をどんどん出せる仕組みだったわけですね。

 まだありますよ。一九一八年の西原借款というのがあるじゃない、中国に進出していく、あれも預金部資金でやったんですよ。その後、浜口雄幸がそれを非常に怒ったわけですよ。それで、浜口雄幸が大蔵大臣になったときもそれをやろうとしたんだけれども、なかなか難しかった。

 最近でも塩川さんが言っているじゃないですか、あれですよね。全くそうなんですよ。例えば、道路特別会計で家を建てたり、健康チェアをつくったり、金貸しやったりしているわけですよ。ですからそれは、今の文書はともかくとして、徹底的に踏み込みますよ。

 そして、それは仙谷さんのところにもお願いしているんです。仙谷さんのところに、歳出を切るということと、これは歳入増なんですね、特別会計をつぶすことによって歳入増になりますので、両方お願いしますということを仙谷さんにお願いして、相当やってくださると私は信じております。

海江田委員 これは仙谷大臣にぜひお願いをいたしますけれども、私も幾つか特別会計を調べておりましたけれども、例えば、毎年歳入の方が多くて歳出が少ない、当然そこに剰余金が出るわけで、それを繰り越し、繰り越しをやっておるわけですよね。特許の特別会計がそうだし、それから登記の特別会計、あるいは自動車安全特会、これはみんなそうですね。特許なんか二千九百億円毎年の予算で歳入を入れておいて、歳出は千二百億円。それは特許の審査に時間がかかるのは、いろいろな理屈はあるけれども、いろいろな理屈は言っているけれども、そうじゃなくて、やはり毎年毎年歳入の方が歳出よりもその何倍もあって、そしてそれが繰り越し、繰り越し、これは積立金じゃないですかね。そういうものがたくさんありますので、ぜひここを刈り込んでいただきたいというふうに思っております。

 これは申しわけありませんが、あと五分しかありませんので答弁はよろしゅうございます。

 あともう一つ、これは鳩山総理にぜひお答えをいただきたいんですが、やはりマニフェストの問題がございます。

 きょうも、共同通信の世論調査ですか、ここで、マニフェストの中でこれは実は高速道路の無料化の問題であります。私も、選挙中に随分、このことでマニフェストに従って街頭でお訴えをしますと、高速道路の無料化はそんな無理しないでいいという声がやはり圧倒的ですね。きょうの世論調査でも、七割以上の人たちが無理をしないでいいと。

 ただ、もちろん、このマニフェストという問題につきましては、今までの与党が余りひどい、選挙公約が、本当にそれこそ弊履のように選挙が終われば打ち捨ててしまう。こういうことがありましたから、そういう点から、やはり政治の信頼をかち取るという意味でも、私たちはこのマニフェストを大切にしなければいけないわけでありますが、だけれども、その中にもやはり変えていいという国民の声があることは確かであります。

 今度のこの高速道路の無料化につきましては、もう無料化を一切やめろということではないわけでありますが、六千億円、まず第一段階として概算要求のところで計上をされておりますが、この六千億円を例えば半分ぐらいにするとか、あるいは三分の一にするとかいうことによって、やはり何千億かのお金が出てくるわけでございますから、そういうこともお考えいただいていいんではないだろうかと思いますが、いかがでしょうか。

鳩山内閣総理大臣 御案内のとおり、ようやく日本にもマニフェスト選挙がかなり定着をしてきた。今までは、公約を選挙の前にいろいろ掲げて、選挙の後、公約なんて別に守らなくても大したことがない、こんな話が横行していた。そうじゃない、やはり選挙は我々が何を国民の皆さんにお約束するかだ、そんな思いのもとでマニフェスト選挙というものを訴えてまいりました。

 したがって、私ども、マニフェストでうたったことは着実に一つ一つ実現をさせていく、それが国民の皆さんとの契約だと思っております。したがいまして、この契約は基本的に守らなければならない大切な心だ、そのように思っております。

 その国民の皆様方との契約の中で、国民の皆さんがこの契約を守っていただかなくても構わないよという話がもし出てくるとしたときに、そのときには、国民の皆様方と真摯に議論する必要があろうかと思いますが、例えばこの高速道路の無料化の問題にしても、旧政権においてこれは週末千円に安くする、そのことによって、便利になったなと思った方もおられたと思いますが、一方で、大変な渋滞に巻き込まれて、これは嫌だな、特に大都市圏の方々はそのような思いになられたかもしれない、このようなさまざまな状況があります。

 私どもは、まずはマニフェストでうたったことでございます。そして、それを国民の皆さんにどのくらい理解をしていただけるか。まだ理解をしていただくそのプロセスが足りないのかもしれない、そのようにも思うものですから、段階的に進めていくことが大事ではないか。本当に望まれている地域においては高速道路の無料化をスタートさせていく、そしてその中でいろいろと欠点があればその欠点を正していくという手法が正しいのではないかと思っております。

 今その六千億のお尋ねがありましたが、まずは概算要求に入れさせていただいております。これをどうするか、皆さん方とこれから、来年度がスタートする前までにしっかりと議論して解決をしてまいりたいと思いますが、まずは私どもは、これはそのままできる限り段階的に進めていくことが至当ではないか、そのように判断しています。

海江田委員 ぜひ、段階を少しゆっくりするとかいうようなことで、それから、国民との対話といいますか、国民の声をよく聞いていただきたいと私は思っております。

 鳩山総理、この間の代表質問のところで、君子豹変すということで、私は君子でないというようなことをおっしゃっていただいていましたけれども、あれは君子豹変というのは悪い意味じゃないですからね。前にもちょっとお話ししましたけれども、大いに私は、君子のヒョウの目が変わるように鮮やかにやはり変わっていただきたいというふうに思っておりますから。しかも、それがやはり国民のためになることであれば、これは国民は文句を言わない。マニフェストが生き延びて国民生活が、国民生活が第一でありますから、おかしくなってはおかしいわけでありますから、ぜひその辺は柔軟に、ころころ変わるのは朝令暮改でありますけれども、そうじゃなくて、朝令暮改でなしに、君子は大いに豹変をしていただいて結構だと私は思っております。

 まだまだお話ししたいことがありますが、お聞きしたいことがございますが、時間でございますので、平岡委員にかわります。どうもありがとうございました。

鹿野委員長 この際、平岡秀夫君から関連質疑の申し出があります。海江田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。平岡君。

平岡委員 民主党の平岡秀夫でございます。

 まずは、鳩山総理の総理就任、おめでとうございます。

 実は、ことしは初代内閣総理大臣伊藤博文公の没後百年という年でございます。伊藤公が生まれた山口県光市にあります伊藤公資料館では、あしたから二十九日まで、歴代総理大臣の書展示会というのが行われます。そこに、鳩山総理、おじい様の第五十二代内閣総理大臣の鳩山一郎氏の書とともに書を寄贈していただきました。ありがとうございます。

 百二十三年前に官僚内閣として誕生した内閣制度、その初代内閣総理大臣が亡くなってから百年たったこの年に、官僚依存から脱却することを目指した鳩山内閣が誕生したこと、私はある意味では歴史のめぐり合わせだというふうに思っております。ぜひ、新しい内閣制度、新しい内閣の活動ということをしっかりと行っていただきたい、このことをまずお願いしたいと思います。

 そして、先日、総理の所信表明演説を聞きました。私が非常に打たれた言葉が、戦後行政の大掃除、これをするんだということでありました。私も、今まさにそれをしなければならない時期に来ていると。そして、私も、きょうの質問の中でその大掃除を少しでもお手伝いできるような質問をしたいと思って、いろいろ考えました。たくさんたくさんあり過ぎて、どれだけ質問を絞ったらいいのかわからなかったんですけれども、ある程度絞りましたけれども、それでももしかしたら時間が足りなくて質問できないところがあるかもしれません。それは御容赦いただきたいというふうに思います。

 そして、戦後政治の大掃除をするに当たって、いろいろな政策分野で大掃除をしなければならないことがありますけれども、まずは、その大掃除をする組織体制をどう整えるかというのが私は一つの大きな課題ではないかというふうに思っているんです。

 国家戦略局あるいは行政刷新会議、さらには政治家を百人規模で内閣、政府の中に送り込んでいく、こういうことは、私は戦後行政の大掃除をするに当たっての体制づくりとして大変意義のあることだというふうに思っております。

 その中で、ちょっと国家戦略局のことについてお聞かせいただきたいんですけれども、マニフェストの中に、総理直属の組織としての国家戦略局、新しい時代の国家ビジョンを描くんだというふうに書かれてありました。総理は、この国家戦略局の、あるいは今は国家戦略室でありますけれども、役割というものについて、どのように考えておられるのか。

 特に、私は、総理の所信表明演説の中にもありました東アジア共同体構想、こうしたものは、まさに新しい時代の我が国のビジョンを描いていく中でも大変重要な話ではないかなというふうにも思うんですけれども、総理が考えておられる国家戦略局の役割のイメージというのはどんなものなのか、ここでお話しいただきたいと思います。

鳩山内閣総理大臣 平岡委員とともに戦後行政の大掃除、一緒に頑張れること、大変勇気づけられるところでございます。

 今お尋ねがございましたが、戦後行政の大掃除、一方では無駄遣いをとことんなくす、行政組織のあり方、国と地方のあり方をとことん見直していこうじゃないかということで、行政刷新会議というものをつくりました。仙谷大臣を中心に、今大車輪で頑張っていただいています。

 一方で、国家戦略局というものを将来的につくりたい。今はしかし、国家戦略室というところのもとで、菅大臣中心となって、これまた大車輪で頑張っていただいている。この国家戦略室、将来的には国家戦略局としたいと考えており、人員も補充をしてまいりたいと思っております。

 役目は、まさに国家戦略をしっかりとそこで練っていただくということでありますが、今は、まずは国家戦略室として税財政のあり方とかあるいは経済運営のあり方とか、あるいは予算の骨格をつくるとか、そういう仕事とともに、今、菅大臣には中心となって、このCOP15で私が大変大胆な発言をしたものですから、それに合わせて国際的な環境を日本がリードしていくというそのやり方、仕組みを菅大臣のもとでやっていただいていますし、緊急雇用対策も菅大臣のもとで実質はやっていただいているということであります。

 ただ、将来的には、私はやはり、国家戦略のビジョンをつくらなければいけませんから、内政だけではなく外交の基本的な考え方もそこで練っていただきたい、そのように考えております。

 東アジア共同体の構想、私は、友愛精神に基づいた、日本がアジアの中で果たすべき大きな役割を、世界の中で、特に東アジアの国々と協力して行っていくということを構想することは大変重要だと思っておりますので、このようなことも当然私は国家戦略局の中で将来的には頑張ってもらいたいと思っておりますが、まずは、今は喫緊の課題に対処してもらっている、そういう状況であります。

平岡委員 確かに喫緊の課題も大変多くありますので、まずはそれをやらなければいけないということの事情もよくわかります。いずれは新しい時代の国家ビジョンを示せる、そうした仕事もしてほしいというふうに思います。

 ところで、今お話がありましたように、現在は明示的な法的根拠がない国家戦略室というような状況にとどまっているようでありますけれども、私は、先ほど総理が言われたように大きな仕事をしていくためには、もっともっとその役割にふさわしい体制というものをつくっていかなければいけないんじゃないかというふうにも思うんです。

 そこで、これは国家戦略担当大臣にお伺いいたしますけれども、この国家戦略局、将来的な体制というものについてはどのような状況を考えておられるのか、この点について御披露いただきたいと思います。

菅国務大臣 今、総理の方から、国家戦略、将来は局、現在の室についての位置づけを明確にして説明していただきました。

 そういう中で、今、法的な根拠がないという表現がありましたけれども、九月の十八日に、内閣総理大臣決定という形で国家戦略室の設置に関する規則というものが決定されておりまして、これは、平岡さんはこの道の専門家でありますけれども、内閣法で、内部組織については政令で定めることができるとなっておりますし、また、内閣官房組織令の中で、必要な細目は総理大臣が定めることができるという位置づけになっておりますので、直接法律ではありませんが、法的な裏づけが一定程度はある形でスタートをした、このように理解をいたしております。

 その中で、率直に申し上げて、これは、イギリスの官邸では、ポリシーユニットというのに、官僚が私が行ったときは十二名、それから、民間からのいわゆるポリティカルアポインティーのスペシャルアドバイザーと呼ばれる人が十二名、そういう組織があって、それが総理のいわばシンクタンク的な機能を果たしておりました。一つのモデルではないかと思っておりまして、今、民間の方からも、それにふさわしい方に何とか入ってもらいたいということで、いろいろと手当てをいたしております。

 きょう時点で、民間出身の方を五名採用といいましょうか参加をしていただきまして、また、省庁出身、いわゆる官僚の方も同じ五名参加が決まっております。そういった意味では、直接的には十名の体制が今日の時点ででき上がっているところです。

 今、総理からも、将来は外交の問題もという御示唆もありましたが、私たちとしては、あらゆる問題というとちょっと大げさですが、いろいろな問題が今我が国にかかわっているわけですから、どういった問題に対しても一定程度対応できるような、そんなに、百人とか二百人という構造ではなくて、民間の方あるいは官僚の方を含めて二十人とか、多くても三十人とか、そういうぐらいの規模で対応できる体制をつくりたい。もしその中でまたプロジェクトのようなことがあれば、それはまた改めて総理とも御相談をして補充することもあるかな、そんなイメージで考えております。

平岡委員 ぜひ、役割にふさわしいしっかりとした体制を一日も早く築いていただくことを私からも要請したいと思います。

 そこで今度は、戦後行政の大掃除の対象の問題なんですけれども、先ほど総理の方からも行政刷新会議のお話もありました。まさに、税金の無駄遣いというもの、これを徹底的に見直していくということは大きな仕事の一つだろうというふうに思います。

 総理は所信表明演説の中でも、税金の無駄遣いを徹底的に排除する、あるいは徹底的に税金の無駄遣いを洗い出すというふうに言っておられるわけでありますけれども、これまでの政権、特に最近の自公政権の時代に、総理として、こういうものは税金の無駄遣いかなというふうに思っておられるようなもの、どんなものがあるか、ここでちょっと御披露していただけますでしょうか。

鳩山内閣総理大臣 これは、かつて長妻議員が、今大臣でありますが、HAT―KZという言葉を使われました。それ一つ一つがかなりの無駄遣いだと私は思っておりますが、その中でも私どもは、コンクリートから人へ、今そんな思いで活動しなきゃならないと思いますが、すべて公共事業は悪いと申し上げるつもりはまるでありません。しかし、必ずしも時代に合わなくなった巨大な公共事業、これはかなりの程度無駄遣いの中に入れるべきではないか、大いに見直していかなければならないものだと思っております。

 また、箱物行政が大変蔓延をしておりました。その典型としてアニメの殿堂という話も申し上げ、ある意味では申し上げ過ぎた部分もあるかもしれませんが、その象徴の一つだと考えております。

 さらには、随意契約、これはすべてが競争入札であればもっと大きくコストが安くなるにもかかわらず、随契というものが多くの部分まかり通っているというところでありまして、この随意契約を通じて政府が高い値段で物を買うようなシステムが蔓延しているというのがあります。

 また、いわゆる天下りというもの、その天下りの中で、独立行政法人、公益法人、特殊法人、こういったところに天下りをする。そこに、必ずしも、国民の皆様から見てこれは何だと思われるものが、先ほど藤井大臣が幾つか例証されましたけれども、そういったものが含まれている。こういうものを徹底して私どもは見直していきたい、そのように思っておりまして、具体的な例を挙げればまだまだあろうかと思いますが、以上にとどめておきます。

 以上です。

平岡委員 これからしっかりと見直しをしていくという中でありますから、まだまだこれからいろいろなものがあるんだろうというふうに思います。

 そこで、今回の補正予算の執行停止の問題でありますけれども、総理の所信表明演説の中でも、約三兆円にも相当する不要不急の事業を停止させることができましたというふうに言っておられるわけであります。

 行政刷新担当大臣にお聞かせいただきたいと思うんですけれども、この不要不急の事業の中には、先ほど総理からお答えいただいたような税金の無駄遣いというふうに判断されるようなものというのはどの程度入っているんでしょうか。

仙谷国務大臣 お答えいたします。

 そもそも補正予算でございますから、特に経済、景気対策というふうに銘打たれているということですから、なぜこの時点になってこういう事業項目が出てきたのかという観点から相当精査しなければならないというふうに私どもは考えました。そして、それも選挙前であるということから、選挙対策用に出てきたものではないかという疑いを持って補正予算については見ておかなければいかぬなと思って見たわけであります。

 それと、私どもは、先ほど鳩山総理からもお話がございました、コンクリートから人へという、一つの時代の産業構造や経済構造転換に伴うコンセプトを持っておりましたから、旧来型の箱物行政のような、こういうやり方というのはよくない、したがって、政府関係施設の建てかえか新設かわかりませんが、多分これが四兆円ぐらい出ておりましたので、これについては相当程度本格的に、補正予算で緊急に整備する必要があるような構築物なのかどうなのかという観点からまずは見直し対象とする。

 それからもう一つは、基金であります。ここは不要不急の問題とも関係するわけでありますが、後年度支出というふうにされている、このものについては、特に地域、地方に大きな影響をもたらすであろう今年度分はともかくとして、来年度分以降の分については、やはり不要不急とはなかなか言えないのではないか。特に、基金事業とされておるものは、法律的な根拠なく、あるいは交付金要綱もなく、何にもない基金という、要するに選挙対策用の丸投げとしか思えないようなものが散見されるのではないか、そういうものは厳しく査定といいましょうか見直さなければならないという観点で今度取り組んで、今のところは総額三兆円近くになっている。

 もっと厳しく見直せばもっともっと出てくる可能性もあると思いましたけれども、時間の関係もあって、ここで矛をおさめようというのが私の気持ちでございました。

平岡委員 まさに限られた時間の中でやられた作業でありますし、それから、私もいろいろな人から聞きますけれども、地方自治体とかあるいは独立行政法人のようなところに既に渡されてしまって、今回執行停止になっていないようなものについても、かなりいいかげんなものが入っている。今まで要求してきたものは、当然必要だから要求したのかもしれませんけれども、それを超えて予算が配分されているというような事態もあるというふうにいろいろな方から聞きます。(発言する者あり)ちょっと静かにしてください。

 ということでありますから、来年度予算に向けてしっかりと、私は、税金の無駄遣いに、行政刷新会議あるいは財務省、そして国家戦略局も含めて取り組んでいただきたいというふうに思います。

 時間がないので、ちょっと次の話に行きます。

 戦後行政の大掃除の一つは医療行政だろうというふうにも思います。その医療行政の中で、医療崩壊という事態が言われている、そして後期高齢者医療制度の問題もあるということであります。

 実は、昨年四月に行われました全国統一国政補欠選挙で、私が補欠選挙に出たわけでありますけれども、そのときに最大の争点と言われたのがこの後期高齢者医療制度でありまして、当時、この後期高齢者医療制度の廃止ということを訴えました。そして、今回の総選挙でも廃止を訴えてきたわけでありますけれども、どうも最近、ちょっと動きを見ていますと、必ずしも国民が期待していたのとはちょっと違うんじゃないかな、そんな印象があるんです。

 そこで、長妻大臣にお聞かせいただきたいと思うんですけれども、長妻大臣はすぐに廃止することは難しいというような趣旨のことを言われておるわけでありますけれども、どのような手順でこの後期高齢者医療制度を廃止していこうというふうに考えておられるのか、この点を国民の皆さんにしっかりと説明していただきたいと思います。

長妻国務大臣 平岡議員にお答えをいたします。

 この後期高齢者医療制度は、御存じのように、七十五歳以上を、お医者さんにかかりやすい方を一グループにして、そして一つの保険にする、これは当然ですけれども、そういう保険にすれば、ほかのグループよりも保険料は急上昇する、こういう問題が指摘されているところでございます。

 私どもといたしましては、これを廃止するという方針でありますけれども、廃止をして直ちに前の老健制度に戻す、これだけでもコンピューターシステム等々の問題、広域連合の問題で二年かかる、こういうことがわかりまして、そういう意味では、我々は二段階を考えております。

 まず一つは、現行の後期高齢者医療制度の問題点を改善していく、改善をした上で廃止をして、一たん戻すんじゃなくて、新しい制度にそのまま変えていく、こういう二段階の形を考えております。(発言する者あり)

 まず、改善点といたしましては、一つは、七十五歳以上の方に保険証を取り上げる資格証明書、こういうような制度がございましたけれども、これを資格証明書ということは原則としてしないということ。そして、七十五以上の方に人間ドックに対する助成が打ち切られる、こういう問題もございましたけれども、これも改善をする。そして、健診、健康診断なんですけれども、七十五以上の方だけは健康診断は自治体は義務づけないでいい、こういうおかしなことが後期高齢者医療制度ではありましたので、これも改善をするということで、これについては既に通知を出しました。

 そしてもう一つは、診療報酬の中で七十五歳以上の方だけについて新たな診療報酬体系を設ける、例えば、入院を長くすると診療報酬が下がって病院から出される、そういう制度もございましたけれども、そういうものについても、来年度から中医協とも御相談をして廃止していく方針を持っております。

 そういう中で、新しい制度をその後つくっていく、こういう二段階の手順を考えておりますので、御理解をいただければと思います。

平岡委員 野党の方々にお願いですけれども、私、答弁を求めているのは、国民の皆さんにもしっかりと説明してほしいという意味でやっているので、答弁を邪魔しないようにしていただきたいというふうに思います。

 そこで、長妻大臣から、後期高齢者医療制度、廃止までの間ではあるけれども、いろいろと改善しなければならない点もたくさんあるんだ、それは、できるものはすぐにやっていくんだ、そういう御答弁で、私もそれを聞いて安心したわけでありますけれども、一つ、この後期高齢者医療制度とは直接関係ないんですけれども、いわゆる療養病床の問題ですね。

 この療養病床削減の問題についても、後期高齢者医療制度の導入と並行して進められてきているという話で、これに対する批判というのもかなり地方においては強いんですね。これをこのまま、削減計画のままに進めていったのでは大きな混乱が生じてくるというふうに思うんですけれども、後期高齢者医療制度の廃止という方向性の中で、この療養病床の削減の問題についてはどのようにお考えになるのか、この点についてお聞かせいただきたい。

長妻国務大臣 これも、前政権の、社会保障の伸びを自動的に毎年二千二百億円削減する、こういう、関係するような乱暴な削減の一環として出てきた話だと考えております。

 つまり、療養病床というのは、急性期ではなくて、ある程度、慢性期に入った長期的入院の方々に設けられた病床をそのまま削減する。ただ、削減した後は介護保険施設に移るということなんですが、その受け入れ側の介護保険施設のベッドが、余り、どういう状況なのか整備されていないまま削るということで、これは大変な社会問題になって、これを我々は凍結しようというふうに考えているところでございます。

 一人一人の患者さん、入院されておられる方、療養病床におられる方がスムーズに老健あるいは介護保険施設に移るのを見届けるまでこれは凍結をして、きちっと一人一人の方がそのレベルに応じた医療あるいは介護を受けられる、こういうことを考えております。

 そういう意味では、実態をよく検証して、今のところ、法律では、介護療養病床を二十三年度末に廃止というような法律になっておりますけれども、それについても猶予の問題等々も含めて検証していきたいというふうに考え、患者さんが本来受けるべき介護や医療が受けられる、そういう丁寧なやり方をしていきたいというふうに考えております。

平岡委員 長妻大臣には、ぜひ、現場の声、実態というものをしっかりと踏まえた医療行政を行っていただくように要請しておきたいというふうに思います。

 次の戦後行政の大掃除の一つは、私、核軍縮問題だというふうにも思っているのであります。

 実は私、民主党の核軍縮促進議員連盟の事務局長ということで、いろいろこの問題にも取り組んできたわけでありますけれども、外務大臣にまずお聞かせいただきたいと思います。

 これまでの政権のもとで行われてきた核軍縮問題、核不拡散問題の取り組み、日本が世界の核不拡散、軍縮に向けて十分な活動をしてきたというふうに思っておられますでしょうか。その辺を検証していただきたいと思います。

岡田国務大臣 お答えします。

 私の実感からすると、必ずしも十分なものではなかったというふうに思います。

 特に、ブッシュ大統領、アメリカはブッシュ政権の時代には、包括的核実験禁止条約に対して後ろ向きでありました。あるいは、ブッシュ大統領御自身が核の先制攻撃についてたびたび言及するということもありました。そういう中にあって、日本の核軍縮、不拡散政策も、私は十分なものではなかったというふうに考えております。

 オバマ大統領にかわりまして、オバマ大統領はプラハで、核なき世界を目指すという非常に理想の高い演説をされました。時の麻生総理大臣は非常に印象に残る演説であるというふうに言われましたけれども、私は、本来であれば、日本の総理こそ、オバマ大統領に先立ってそういった理想をしっかりと語ってもらいたかった、当時そういうふうに感じておりました。

 今、そのプラハ演説以降、世界は大きな核軍縮あるいは不拡散の機運の高まりがございます。鳩山総理も、さきの国連総会においてすばらしい演説もされました。今後、核兵器のない世界、その理想の実現を目指して、核軍縮、核不拡散を日本自身が主導していく、そういう外交をぜひ目指したいものだと考えております。

平岡委員 私も、これまでの日本政府がやってきた活動というのは、何か建前的なことしかやっていなくて、決議を提案したからそれでいいじゃないかというようなところにとどまっていたような、そんな気がするんですね。もっともっと唯一の被爆国であるこの日本が、核のない世界を目指すということについての明確なメッセージと、そして具体的な方策を講じていく、このことが必要だというふうに思います。

 そこで、総理にお伺いいたしたいと思います。

 ことしの九月、国連総会あるいは安保理閣僚会合でも総理は演説されまして、例の地球環境問題についても大変高い評価を受けました。核軍縮問題についても、オバマ大統領が唯一核兵器を使用した国としての道義的責任に言及したのにこたえて、鳩山総理も、唯一の被爆国としての道義的責任ということで、明確にその責任を認識された演説をされて、私は大変よかったというふうに思います。

 ただ、ちょっと残念だったのは、マニフェストの中に、北東アジアの非核化を目指すというふうに、小さい字ではありましたけれども書いてあったのでございますけれども、そのことについて全く触れられていなかった。今回の所信表明演説の中にも、そういう北東アジアの非核化の問題について具体的な言及がなかった。この点については、私、ちょっと残念に思っておるんです。

 なぜマニフェストにも書いてあるようなことがこの国連の演説の中で触れられなかったのか、その辺の事情についてお聞かせいただきたいと思います。

鳩山内閣総理大臣 お答えいたします。

 おっしゃるとおり、核のない世界というものを日本こそ唯一の被爆国としてもっともっと強く今日まで主張すべきだったと思いますし、これからもさらにはっきりと主張すべきだと思います。

 私は、今おっしゃるように、北東アジアの非核化を目指すというその文言は、当然のことながらこの連立政権の中でも生きているとぜひともお考えいただきたいと思いますし、私どもの心の中には常にそれを持っていると理解を願いたい。

 非核化、核のない世界を目指すという、そのまず出発点として、アジアの一国としての日本とすれば、北東アジアの非核化というものに対する主張を高めなければいけないと思います。決してその思いがないわけではありませんでしたが、この世界の中で、むしろ核のない世界をみんなで築こうではないかという思いの中に含まれていると御理解いただければと思いますし、そのためには、まずは北朝鮮の核の放棄というものを求めなければなりません。

 その北朝鮮の核の放棄を求めるという文言は入っておったと理解をいたしておりまして、そのために世界の皆さん方と協力をして、国連安保理の一八七四の履行に対して、やはり措置をしっかりと我々日本としても守っていくというようなことなども求めて、結果として北朝鮮が核を放棄する、結果としてそれで北東アジアの非核化というものが実現していく大きな一歩になるということになろうかと思っておりますので、具体的なところは申しましたし、また、核のない世界というものをつくろうというメッセージ、それを申し上げたということで御理解を願えればと思っております。

 くどいようですが、北東アジアの非核化を目指す思いは全く変わっておりませんので、どうぞよろしくお願いします。

平岡委員 その言葉を聞いて少しは安心したのでございますけれども、やはり大きな障害となっているというか、大きな課題になっているのが北朝鮮の核の問題だということでありますけれども、私は、北朝鮮との関係、これからどうして進めていくのかというのは大変大きな課題だというふうに思うんですね。

 八月の二十三日のたしか民放の番組で、総理は、対話と協調という形で進めていきたいんだということを言われたというふうに聞いているんですけれども、鳩山総理の北朝鮮に対する対応というのは、対話と協調という考え方ということでよろしいんでしょうか。私はぜひその方向であるべきだというふうに思っていますけれども、いかがでしょう。

鳩山内閣総理大臣 平岡委員にお答えいたします。

 北朝鮮がいかにして核を放棄するか、あるいはミサイルを放棄するか、さらには日本にとって大変重要な拉致問題の解決を行うか、大変大きなテーマであります。そのテーマに関して、私は所信の中でも、あらゆる手段を用いて解決を目指すということを申し上げました。したがいまして、基本的には、対話も大事だ、協調することも大事だというふうに思います。

 一方で、圧力という言葉は私は余り好きではありませんが、しかしながら、北朝鮮が、御案内のようにまだ具体的な行動は見せておりません。柔軟な、何となく雰囲気だけ伝わってきておりますし、米朝間あるいは朝中の間で会話が交わされていることは理解をしておりますが、必ずしも進んでいるという状況ではありません。六者協議はいまだ開かれている状況ではありません。

 そのような中で、もし、具体的なメッセージもない中で、彼らに対して甘い言動をとることは私は禁物だと思っておりまして、そこの部分は守りながら、しかし、対話というものも重視して、あらゆる手段を通じて解決を目指したい、そのように思っております。

平岡委員 ちょっと核の問題に移りますけれども、来年五月が、核不拡散条約、NPTの五年に一度行われる再検討会議というのがあるんですね。この会議、大変大事な会議だと思います。四年前といいますか前回の再検討会議では、合意文書すらできないようなひどい状況であった。そしてオバマ大統領が誕生して、そして日本の鳩山総理の国連の演説もあり、私は大変重要な会議だというふうに思っているんですけれども、この会議に向ける決意というものを総理からお聞かせいただきたいと思います。

鳩山内閣総理大臣 おっしゃるとおり、来年のNPT運用検討会議、大変重要な意味を持つ、すなわち、オバマ大統領があそこまで、核のない世界をつくりたい、最大の核兵器国があのようなメッセージを出した後のNPT運用検討会議であります。

 私は、核保有国と、日本のような核を持たない国との間のかけ橋の役割を果たしていきたい、核を持っている国には核を持たないようにと、あらゆる手段で核を減らせという努力を求めていきたい。一方で、核を持たない国々には、いろいろな誘惑があったとしても決してこれから核を持ってはならないぞというメッセージも出していかなきゃならないと思います。

 このNPTの思いというものは三本柱がありまして、核軍縮、核不拡散及び原子力の平和利用でありますが、こういった体制の維持強化に向けて積極的な役割を果たして合意を目指していきたい、そのある意味での先導役を果たしていければ、そのような決意であります。

 以上です。

平岡委員 その決意でしっかりとこれから、本当に限られた時間しかありませんので、国内的な世論の形成あるいは政府部内の調整、しっかりとやっていただくことをお願いしたいと思います。

 次に、やはり戦後行政の大掃除という意味も兼ねてなんですけれども、原子力発電の問題についてちょっとお聞かせいただきたいというふうに思います。

 まず、環境大臣にお尋ねいたします。

 環境大臣は、九月の二十八日に、CO2削減に関して原子力発電の活用を求める意見書を経済産業大臣に提出されたというふうに報道されていますけれども、この原子力発電について言いますと、放射性廃棄物の処理の問題であるとか、廃炉による解体の問題であるとか、あるいは生態系への影響というようなものを非常に心配している人たちが実は大勢いるんですね。そういう人たちがいるという状況の中で、環境大臣としては、今私が申し上げましたように、環境に対するさまざまな影響についてどのようにお考えになっているのか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。

小沢国務大臣 ただいまの委員の御質問は、川内原発の件でございました。

 これまでも環境行政としては、委員がおっしゃられましたとおり、いわゆる原発の安全性の確保が第一、こういう話と、それから二番目には、いわゆる生態系への配慮、土壌を含めた、そういった点で環境省としては意見を申し上げてまいりました。

 今回、川内原発に当たりましては、新たな視点として温室効果ガスの削減という話を加えさせていただきました。先ほど来お話が出ておりますように、総理の国連での一九九〇年比二〇二〇年二五%削減、こういった国際的な発言もあったことにかんがみ、私としては、新たな視点として温室効果ガスの削減という話を意見書に加えさせていただいたということでございます。

 しかし、委員が御指摘のさまざまな配慮は当然のことでありまして、この意見書においても、そういった温室効果ガスの削減が一つの柱、もう一点は今までと同様のいわゆる自然環境への保護の観点も申し上げておるところでございまして、これは同時並行的に両方とも必要だ、こういう思いでいるということでございます。御理解を賜りたいと思います。

平岡委員 ぜひ環境大臣には、この問題について言えば、幅広い視点からしっかりとした環境行政をやっていただきたいというふうに思います。

 そこで、ちょっと、経済産業大臣になるかと思いますけれどもお尋ねいたしますけれども、先ほど環境大臣の方からも、原子力発電について言えば安全性第一という話がございました。

 この安全性の問題については、これまでの政権下で行われてきた安全検査に関する体制とか運用についてはどのように評価しておられるのかということと、あわせて、民主党の政策インデックス二〇〇九の中にも「安全チェック機能の強化のため、国家行政組織法第三条による独立性の高い原子力安全規制委員会を創設する」というふうにしているわけでありますけれども、この委員会を設置するということについて鳩山内閣としてどのように取り組んでいかれるつもりなのか。この二点についてお聞かせいただきたいと思います。

直嶋国務大臣 平岡議員の御質問二点にお答えしたいと思います。

 まず、今の体制を簡単に言いますと、原子力保安院が一義的には規制をしておりますが、従来から少し改善をされていますのは、これまでは例えば予算、人事等についてもエネ庁の中にあったわけですが、数年前から予算、人事等は切り離して独立する形にして運用をいたしております。したがって、その効果をひとつ今後見てみたいというふうに思っております。それからもう一つは、保安院に加えて内閣府に原子力安全委員会がありまして、さらにそれをチェックするというダブルチェック体制です。

 一つは、平岡委員言われたように、では今後ともこの体制でいいのかどうかということがあります。これについては、さっき民主党の政策集の話もございましたが、そういう見解も含めて今後よく議論していきたいというふうに思っています。

 それからもう一点、この間のさまざまな出来事の中で明らかになってきたのは、今体制はそういうことなんですが、やはり運用面でいろいろな問題が出てきていまして、例えば原発の、柏崎で起きた火災の問題もありましたが、これは想定外のことでありましたし、それを広報する体制は、ではきちっとできたのかとか、運用面で幾つか課題が出てきています。したがって、当面、その運用面での課題もきちっと対応しながら、今後の安全のあり方というのは不断にチェックをしていきたい、このように考えております。

平岡委員 ありがとうございました。

 しっかりとした、国民の皆さんは安全性第一ということの民主党の考え方、できる限り具体的なものにしてほしいという気持ちを持っておりますので、ぜひその観点から進めていただきたいというふうに思います。

 時間が参りましたので、事前に通告した質問がすべてできなくて、大変御迷惑をおかけいたしまして済みません。また機会がありましたら、ぜひ質問させていただきたいというふうに思います。

 ありがとうございました。

鹿野委員長 この際、山口壯君から関連質疑の申し出があります。海江田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。山口君。

山口(壯)委員 民主党の山口壯です。

 きょうは、私は、外交問題を中心に質問させていただきますけれども、最初に、鳩山総理、総理は御自身の例の資金管理団体の献金問題についてあえて所信表明で触れられて、真摯かつ虚心坦懐に国民の皆様に謝罪をされました。現在、検察によって捜査中とされ、総理も捜査に全面的に協力されると表明されている、そのことはみずからの解明努力の一環として了としますが、所信表明につけ加えて総理の所見があれば、どうぞおっしゃってください。

鳩山内閣総理大臣 山口委員にお答えをいたします。

 まず、所信表明におきましても私の思いの一端は申し上げさせていただきましたけれども、私の資金管理団体の収支報告について、必ずしも事実と一致しない虚偽の報告があったということでありまして、このことに関して、国民の皆様方に大変御迷惑をおかけしたことを心から改めておわびを申し上げたいと思います。

 その原因についても、これまでもある程度は説明を申し上げさせていただいた、そんなつもりではございましたけれども、このようなことが現実に私どもの事務所において行われておりましたということにまるで気がついておらなかったということに対して、私自身を含めて、会計担当者を初めとして事務所の人たちとの十分なコミュニケーションというものを怠っていた、そんな結果としてこのようなことを起こしてしまったことに対して、まことに痛烈に反省をいたしているところでございます。

 国民の皆様方、また御迷惑をおかけいたしました皆様方に改めて心からおわびを申し上げたい、心からそう思っておりまして、その意味において、今後におきましても、検察の捜査に対して全面的に協力を申し上げたい。当然、必要と思われている資料、データは検察の方に差し上げて、そして正確にそこで捜査が進められていく、そのように期待をいたしているところでございます。

 同時に、このような過ちが二度と起きないようにしていかなければなりません。そのためにも、事務所の体制、当然、私自身含めてでございますが、改めなければならないところも積極的に改めてまいることもお誓いを申し上げたいと思います。

 この上は、国民の皆様方に大変御迷惑をおかけいたしましたが、総選挙におきまして大変お力をいただきました御支持に加えて、国民の皆様方のさまざまな御期待にも、だからこそ真剣におこたえをしていかなければならない、まさにその意を強く感じているところでございます。

 言葉ではまさにあらわすことができない思いでございますが、まずはおわびと、それから、だからこそ頑張りたいという決意にかえさせていただきます。

 以上です。

山口(壯)委員 お願いします。

 さて、それでは、温室効果ガスの二五%削減についてお聞かせいただきたいと思います。

 鳩山総理は、さきの国連気候変動サミットで、二〇二〇年までに一九九〇年比で二五%削減という、我が国の意欲的な中期目標を発表されました。これで国際的な取り組みに弾みがついたわけで、その意味では非常に高く評価するものです。

 ただ、どのように目標を達成していくのか、その筋道については必ずしも国民の皆さんにわかっていただいていないと思いますので、ぜひこの場で説明をいただきたいと思います。

 特に、この十二月にはコペンハーゲンでCOP15という会議が行われます。それに向けての総理の御決意、そしてまた、二〇二〇年までに目標を達成するための戦略をどういうふうに考えておられるか、お聞かせいただきたいと思います。

鳩山内閣総理大臣 もう御案内のとおりだと思いますが、私が国連で演説をする前、このコペンハーゲンでのCOP15、もうこれは失敗に終わるのだなと、大変な失望感というものが国際的に広がっておりました。これは事実でございます。

 その意味において、あの大胆な提案を申し上げたことによって、すなわち九〇年比二〇二〇年に温暖化ガス二五%削減、当然これは他の主要国がさまざまな思いのもとで協力をすることが前提でありますけれども、この前提のもとで高い決意を申し上げたことによって、国際的に、COP15を失敗させてはならない、これで何とかというモメンタムができ上がってきたことは、実態として事実でございます。それだからこそ、それなりに国際社会の中で日本の新政権に対する期待感というものをいただいた、そのように感じているところでございます。

 それが一つと、だからこそCOP15を失敗させてはなりません。デンマークのラスムセン首相などとも相談を申し上げながら、やはりこれはアメリカと中国が何らかの形で、彼らも、COP15を失敗させてはならない、その思いのもとで努力を傾注しているところでございまして、彼らの参加を得るようにしていく、そのための日本としての役割を今行っているところでございまして、十二月の中旬におきますCOP15を、ある意味で、国際社会でここまで決めたぞというところまで導いていけるように、日本として最善の努力をしてまいりたいと思っております。

 皆様方の御協力をお願い申し上げたいと思います。

山口(壯)委員 この二五%削減というのは非常に意欲的な目標ですから、ある意味で、個々の要素を改善するだけではなくて、社会システム全部を変えなければいけないかもしれません。

 そういう意味では、例えば、オバマ大統領が、スマートグリッドという、ITを使って電力の需給を把握しながら無駄のないように配電していく、そういう大きなインフラの整備もしているように聞きます。このスマートグリッドについて、これも、日本はこういうことも導入していくべきじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

直嶋国務大臣 今御質問ございましたスマートグリッドの導入について、私の方からお答えをさせていただきたいと思います。

 オバマ大統領の御紹介にもございましたが、スマートグリッドというのは、情報通信技術を活用した、エネルギーの導入拡大とか、電力需要を調整しながら安定供給を可能とする、いわゆる電力のネットワークであります。簡単に言いますと、供給サイドと需要サイドを見ながら、どこがどういう使い方をすれば一番効率的かということを自動的に調整しながらネットワークを運営する、そういう技術でございまして、これはおっしゃった、将来の温暖化対策を考えましても不可欠な技術だというふうに思っております。

 現在の状況を申し上げますと、一部離島などで太陽光や風力発電、蓄電池を導入して今部分的な実証事業をいたしておりまして、御指摘があったように、日本もこの導入に向けてさまざまな実証研究や、あるいはさらにその先の世代のものも含めて開発研究に全力を尽くしたいというふうに思っております。

山口(壯)委員 あと、全体の環境戦略ということで一言、環境大臣、いかがでしょうか。

小沢国務大臣 今、総理からも御答弁があり、またスマートグリッド等具体的な提案もあったところであります。

 この問題はなかなか容易な話ではない、こういうふうに思っておるわけでありまして、そういった意味では、鳩山内閣挙げてこの問題に精力的に取り組んでまいりたい、こう私どもも思っておるところであります。

 私、環境大臣の立場からいたしましては、現在、政府の中にあります地球温暖化問題に関する閣僚委員会、ここにさまざまな手法を提案してまいりまして、その下に、今度は副大臣クラスのワーキングチームというのをつくらせていただきました。そこで具体的な政策ももませていただきたい、こう思っておりますし、さらにはまた、いわゆるモデル分析という意味では専門家の皆さんによるタスクフォースのチームを発足させていただいて、今急ピッチでそういった作業も進めているところであります。

 いずれにしても、とにかくCOP15までにできるだけの案を取りまとめたいとも思っておりますのと同時に、やはり政策の中核になるのは予算と税、こういう話になるとなかなかCOP15まではすべてを決定し得ることはできないというところも事実でありますけれども、私としては、COP15を十分意識しながら、しっかりとそれなりの案を出させていただく中で、そして、来年度は基本法というものを念頭に置いて、既に税調の中では議論を始めさせていただきましたが、温暖化対策税あるいは排出量取引等々の新しい政策をとにかくすべて動員して、それと同時に、国民の皆さんにもお訴えを申し上げて、国民運動としてもそれをとらえて、政府一丸となって国民の皆さんとともにそうした二五%カットに向けて歩みを進めてまいりたい。その歩みを、二五%カットですから、チャレンジ25と名づけて頑張ってまいりたいという思いでございます。

山口(壯)委員 ぜひ、COP15に向けて、一層の道筋が国民の皆さんにわかるように詰めていただきたいと思います。

 また、これは国家戦略室でやっておられる大事な戦略の一つですから、菅大臣、よろしくお願いします。一言いいですか。

菅国務大臣 この問題は総理からも指示をいただいておりまして、小沢環境大臣に事務局長になっていただいて、取り組みを進めております。

 一言だけ補足的に申し上げますと、この問題が何か日本の経済にマイナスの影響を及ぼすのではないかとか、そういう主張も一方でありますけれども、私は全く逆に考えております。かつて石油ショックのときに、日本が最も省エネ技術を発展させることで世界をリードしたように、私は、この分野で積極的に取り組むことによって、経済的にも成長の大きな可能性を持っている、こう思っております。

 余り細かくは申し上げませんが、先日も小宮山前東大総長ともお話をいたしまして、これまでの産業分野に加えて、生活分野における省エネ、例えば建築基準法を変えてガラスを二重にするだけで、北海道などではもう既にやっておられると思いますが、冷房に対しても物すごく効果があるわけであります。また、森林整備などもしっかりすることによって、国産材の材木を使えば雇用もふえる、そしてCO2削減にもつながる、こういう大変大きな可能性を持った分野だ、そういう意味では、まさに戦略的な位置づけで鳩山総理のもとで取り組んでいきたいと思っております。

山口(壯)委員 ぜひよろしくお願いします。

 さて、次に在日米軍の再編についてお聞かせください。

 沖縄の普天間飛行場の移設問題についてお聞きしたいわけですけれども、まず、鳩山総理、日米関係とそれから東アジア共同体構想をめぐる議論を整理させてください。

 アメリカのオバマ大統領は、米中関係が二十一世紀を形づくると言っています。これまでの日本国内の議論は、アメリカか中国かどっちをとるのかという観点が専らでしたけれども、オバマ大統領自身が米中関係が二十一世紀をつくるというふうに言うのであれば、アメリカと中国、どっちをとるのかという議論はもはや的外れとなっているというふうに思うわけです。その意味で、新政権が東アジア共同体を提唱する一方で日米同盟を外交の基軸とするというのは矛盾じゃないかという批判は、私は当たっていないと思います。

 アメリカにしてみれば、中国のGDPがことしにも日本のGDPを抜くわけですね。今まで我々は世界第二位の経済大国と言っていたのが、実は中国が二位になって我々は三位に甘んずることになる。また、アメリカの国債の保有量についても、中国が断トツの一番で、日本はその後塵を拝している、こういう格好になっているわけですね。

 オバマ政権は、景気対策について大量の国債発行を見込んでいますから、その中国の資金に頼るという構図が出てきているわけです。アメリカは、中国がそのうちアメリカ国債を売っ払ってしまわないかということでびくびくしているということも聞きます。中国がアメリカ国債を買い続けてくれることによって今のドルの基軸通貨体制が何とか維持できているという構図も出てきているわけですね。

 そういう背景でオバマ大統領が、米中関係が二十一世紀をつくるというようなことも言われたんでしょう。

 さて、そこで、鳩山総理、総理はオバマ大統領との会談で、日米同盟を基軸にアジア諸国との信頼関係の強化と地域協力を促進すると述べられました。また、日中韓の首脳会談では、日米関係を重視しながらもアジア重視の政策を進めていくと語られました。さきの所信表明演説でも、基盤となるのは緊密かつ対等な日米同盟であると言われました。

 アメリカとの関係について、総理、基本的なスタンスについて、普天間飛行場の移設問題についても触れながら、国民の皆さんにはっきりお伝えいただきたいと思います。よろしいでしょうか。

鳩山内閣総理大臣 山口委員にお答えをいたします。

 まさに、今、山口委員からお話がありましたように、今中国も大変著しく成長を遂げている、その中で、アメリカとしても、これからは日本のみならず、むしろ中国とのいろいろな意味での関係を大事にしていこうではないか、その思いがあることも事実でありましょう。ただ、一方では、安全保障という意味においてはやはり日米だな、その思いはアメリカにも強くあることも事実でございます。

 その意味において、私は、やはり日米同盟というものを日本としても基軸にするべきだ、そして、アメリカにとってみても、アジアにおけるさまざまな戦略を考えていく中で、日本と安全保障の面でしっかりとタッグを組むことが大変意義のあることだ、そのように理解をしている、私はそのように考えております。

 したがいまして、日米同盟というものが、今後の日本にとっても、ある意味でのアメリカにとっても大変重要な同盟関係だ、そのように思っております。そして、その同盟関係があるからこそ、すなわち、東アジアの国々にとってもこういった、安定のための、あるいは平和のために日米がしっかりと組んでいるということが、東アジアの国々にとっても経済的な発展の基礎になる、そのように私は考えております。

 したがいまして、東アジアの協力体、私は将来的な共同体を構想しておりますけれども、これは長期的なビジョンでありますが、この東アジア共同体の構想と日米同盟というものは何ら矛盾するものではない、いや、むしろ、これが相まって、お互いに、このアジア太平洋全体の平和と、さらに経済の発展のために非常によい影響、環境をつくることができる、そのように考えているところでございます。

 その上で、したがいまして、私は、やはり日米同盟というものを基軸にしながら、さまざま、いわゆる普天間の移設の問題あるいは日米の地位協定の問題を初め、日米の間の安全保障にかかわる一つ一つの問題を、今、新しい政権になりましたから、その状況の中で、新政権としてどう対応するべきかということを真剣に考えて、そして、日米同盟を基軸としているというメッセージを当然のことながら発出していきながら、この問題の解決というものを図ってまいりたい、そのように基本的に考えているところであります。

 以上です。

山口(壯)委員 その基軸であるというメッセージを発出できるような、そういう決着を、総理、ぜひお願いします。

 そして、この普天間についてもさることながら、すべて、岩国とかいろいろあります、この問題の核心の一つというのが、これまでの政権のアメリカとのやりとりというのが地元の地方公共団体の意向をほとんど無視して決められた、しかも、決めた後に無理やり押しつけられたということにあると思います。

 例えば、アメリカの海兵隊の岩国基地への米空母艦載機の移転計画について、岩国市への補助金を凍結すると。容認しろ、補助金を凍結するぞということまでやった。したがって、その当時の市長が辞任せざるを得なくなったという事態までありました。

 こういう地元対応についてどういうふうに思われるか、これについて、外務大臣、防衛大臣、短くて結構です、お答えいただけますか。

岡田国務大臣 お答えしたいと思います。

 今の御質問は、岩国基地への米海兵隊の空母艦載機移転計画についての御質問であります。

 私も、当時、現場を見まして、岩国市役所が新築をするということで工事が進んでいた、その途中で突然補助金を打ち切られ、そして工事が中断している、これはやはり余りにもやり過ぎだ、国家権力としてやり過ぎているということを私は感じたところであります。

 そして、今後、米軍再編を進めるに当たっても、地元地方公共団体に対してその協議の状況を踏まえて適切なタイミングで説明を行い、そして御意見を伺う必要があるというふうに考えております。

北澤国務大臣 お答えいたします。

 ただいま外務大臣からもお話がありました、そういう事情については私も承知をいたしております。

 一般的に申しますと、在日米軍の再編を進める中で、日米間の協議の状況を当該自治体に説明するというのが基本的な姿勢であります。そういう中にあって、岩国の飛行場の問題は、岩国市の市長さんを、整備事業に絡んで、ただいま外務大臣も申し上げたような事態があったということは私も承知をいたしております。

 そういう中で、今後、再編で協力をいただく自治体に対して支援をしていくということの重要さは私も承知しておりますし、継続していくべきだというふうに思います。

 ただ、そこで、恣意的に強引な方法で事をなすというようなことで市民の間に混乱や迷惑をかけたり、あるいはまた行政に対する不信感を募らせる、そういうようなことは決してあってはならないということでございまして、私たちの立場とすれば、十分な協議を進める中で信頼感のある対応をしていきたい、このように考えておる次第です。よろしくお願いいたします。

山口(壯)委員 新政権が将来、同様の交渉あるいは案件を扱う際には、私は、ドイツを参考に、受け入れ自治体と米軍との直接協議という仕組みを構築していかなければいけないんじゃないのかな、そういうふうに思う次第です。

 短くて結構です、総理、いかがでしょうか。

鳩山内閣総理大臣 山口委員のお考えも一理あると思います。

 すなわち、地方自治体の気持ちというものを無視するような結論の強引な出し方というものは、当然やめなきゃならぬと思います。一方で、しかし、外交、安全保障のような国の大変大きな事象の結論を出す場合には、やはり政府が当然のことながら前面に出ていかなければならない。政府と、例えばこの場合ではアメリカとの間の基本的な直接交渉というものがやはり中核にならなければいけない。

 その中で、地方の自治体の声というものをいかにして無視しないようにしながら、すなわち理解をいただけるように配慮をしていくか、その仕組みを考えることが極めて重要ではないか、そのように思います。

山口(壯)委員 そのように検討いただきたいと思います。

 そして、この東アジア共同体構想について、これは新しいコンセプトを提示されたわけで、そういう意味では、日本外交としては珍しいイニシアチブだと思います。

 先ほど私は、中国がどんどん伸びている、成長には強烈なものがあると申し上げました。そして、インドも頑張っています。成長戦略ということを考えた場合に、日本にとってはアジアの活力あるいはアジアの民需をいかに取り込むかが成長戦略のかぎです。その意味で、東アジア共同体なくしてはこれからの日本の成長戦略はあり得ません。この東アジア共同体構想に鳩山政権の成長戦略というものはかかっていると思います。東アジア共同体構想として成長戦略を練っていただきたいと思います。

 我々は、子ども手当とか高校無償化、あるいは年金記録問題への集中対応、あるいは医師不足解消、農業の戸別所得補償、こういうことによって消費を促して内需を拡大しよう、こういう腹は持っていますけれども、これは第一歩。その向こうに、成長戦略を考える場合に、私は、この東アジア共同体構想というのはとても大事だと思うんです。

 国際協力銀行が我が国の企業六百二十五社に対して行った最新の投資アンケート調査というものがあります。それによると、今後、国内市場をターゲットにした設備投資を考えている企業というのは一〇%しかないんですね。他方、中国とかアジア市場をターゲットにして投資拡大を行うと回答した企業は圧倒的に多い。中国が多くて、インドがそれに続きます。

 その理由というのが、安価な労働力じゃないんですね。今後の成長性というのが、安価な労働力と挙げた企業の倍以上もあるんです。数字でいうと、中国については、現地マーケットの今後の成長性という会社が二百九十五社、安価な労働力というのは百五十三社しかないんです。それから、インドについても、今後の成長性を挙げた会社が二百四十八社、そして安価な労働力というものを挙げた会社は百六社しかないんですね。そういう意味では、我が国企業が今後の成長の活路として東アジア市場に注目していることが一つの明白な事実としてうかがえるわけです。

 我々は、成長戦略というときに、よく何か、マクロ経済モデルを使って成長率が何%で云々なんということを議論する向きもあるんですけれども、しかし、マクロ経済モデルというのは、閉じた経済を想定して、その中でそれまでの経済的なデータを積み重ねてモデルをつくって分析する道具ですけれども、最近のように経済がグローバル化して、あるいは複雑化したら、そういうマクロ経済モデルの考え方自体がもう役に立たなくなってしまっている、こういうことも起こっているわけですね。それに基づいて成長率を何%に想定するとか、そういうことをやっても意味がないんじゃないかと。

 昔、「歴史の終わり」という本をフランシス・フクヤマさんという人が書きましたけれども、それに倣って、経済学の終わりということを言い出す識者まで出てきている。それが実態です。

 そういう意味では、成長戦略ですね。マクロ経済モデルが万能だったら、リーマン・ショックなんて簡単に回避されていたはずですよ。しかし、それが回避できなかったというところに経済の不可思議さが今起こっているわけです。だから、この東アジア共同体というものを成長戦略としてぜひ位置づけていただきたい。そして、位置づけるときに、一つ一つの具体的プロジェクト、例えば日中韓で何かどこかでやってみよう、CO2の削減についても、ショーケースとして示せるようなそういう具体的プロジェクトを積み上げていく、そのことによってウイン・ウインの関係ができていく、こういうことをやりたいわけですね。

 それに至っては、各省庁間の垣根を越えていく作業も必要ですし、例えばどんと観光客を呼ぶんだったら、国土交通省も関係あるし、法務省もビザの関係で関係あります。あるいは貿易・投資の関係であれば経済産業省。いろいろなところが関係ありますから、私は、国家戦略室でこういうものを、ダイナミックな戦略を立てる意味で、成長戦略を立てる意味で非常に大事だと思うんです。

 先ほど平岡議員も聞きましたけれども、将来的にはというのがお答えでした。喫緊としてはまだ体制がという答えでしたけれども、外交の専門家もいますから、もうすぐにでも東アジア共同体ということも加えて、国家戦略室で、あるいは局で対応する、そういうことを総理、ぜひお答えいただきたいと思います。

鳩山内閣総理大臣 大変いい御指摘をいただきました。できるだけ早い時期に国家戦略室改め局にして、その中で東アジア共同体の議論もしていきたい、そのように考えております。

 本当はいろいろ申し上げたいんですけれども、時間がないんでしょう。わかりました。以上にしておきます。

山口(壯)委員 この東アジア共同体については、成長戦略ですから、一つ一つの具体的プロジェクトを発掘して、そしてそれを積み上げていく、その中で、行く行くはアジア通貨基金とかあるいは場合によってはアジア諸国会議なりアジア・サミット、いろいろなことが考えられると思うんです。そういうことを戦略として考えていく、そういう発想を持つ、そのことによって成長戦略がどんと打ち出せるというふうに持っていっていただきたいと思います。

 さて、もう一つ大事なことはアフガン問題ですね。オバマ大統領が十二、十三と来られます。彼の最大の今のイシューというのが、アフガン問題と医療制度改革と言われています。

 アフガン問題については、私は過去、パキスタンの日本大使館に勤めて、当時はそこからアフガンも見ていたものですから、いかにアフガンの人たちが外国軍隊に対して物すごい反発を持っていて、命がけでそれと戦っていくかということもよくわかっているつもりです。

 古来、アフガニスタンに攻め込んだ人たちはことごとくひどい目に遭っているんですね。アレキサンダー大王というのは、どっと攻めてきて、アフガンをどっとカイバル峠まで行って、カイバル峠へ行った途端に、今度はアフガニスタンの住民の人たちがみんな今のタリバンのようになってしまって、孤立無援になった。結局、そこで死んでいるんですね、補給のままならないまま。当時の軍勢が十万人。後で言いますが、ソ連が崩壊したときも十万人だったんです。今アメリカはそれにだんだん近づいていっているんです。

 イギリスもひどい目に遭ったんですね。数万人の軍隊がいたのがもう命からがら、女性それから子供も一緒に逃げるんですけれども、捕まった人たちはひどい目に遭っているんです。何か頭の生皮をはがされたとか、すさまじいことをやっているんです。

 だから、そういうことも踏まえると、今現在のアメリカ及びNATO諸国等によるアフガン戦争、これはベトナム戦争以上の泥沼ですね、途中で戦略も間違えたということもありますけれども。そして、勝てない戦争だということがアメリカの中でもほぼ一致している。ありていに言えば、負け戦です。

 そういう中で、私は、実は九・一一の翌日だったんですけれども、ホワイトハウスに行って友達のマイケル・グリーンに会って言ったんですね。そうしたら、彼が、戦争だ、戦争だ、日本も協力しなきゃいけないと言うので、私がどこと戦争するんだと聞いたら、アフガニスタンだと。私、言ったんですよ。ソ連はアフガンに侵攻して崩壊したんだぞ、アメリカは大丈夫か、経済も物すごい負担になるぞと。当時、彼は、いや、アメリカは軍事力がソ連よりずっと大きいから大丈夫だと。

 しかし、今どうなったか。八年たっても片づかないどころか泥沼化。よくリーマン・ショックで経済がおかしくなったと言われますけれども、私は、アフガン、イラクの戦争というものは物すごい負担になっていると思うんです。投資銀行は全部アメリカは吹っ飛んでしまいました。フォード、クライスラー、GMという自動車産業も全部吹っ飛んでしまいました。そういう意味で、私の予感がついつい当たってしまった。非常に残念なんですけれども。逆に言えば、アメリカをこの泥沼から救い出すことによって、アメリカ経済は上向き、日本経済も上向き、世界経済は上向く、こういうこともあり得ると思うんです。

 したがって、アメリカをどういうふうに助けていくか。オバマ大統領は、アフガン戦争は自分が始めた戦争ではないわけですから、出口戦略というものを物すごく求めていると思うんです。このように見るときに、我々の、これまでの我が国のアフガン政策について総理はどう評価されているか、そして、特にこのアフガン問題についての出口戦略についてどういうふうにお考えになっておられるか、お聞かせいただけますか。

鳩山内閣総理大臣 大変大きな、ある意味で国際的に一番大きなテーマだと思います。

 そして、私はやはり、結果を申し上げれば、今のアフガニスタンの現状を見れば、国際的な協力の中で今日までアフガニスタン問題の解決に向けて努力をしてきたことは事実だと思いますが、それが必ずしも功を奏していないということは実態として認めなければならないことだと思います。

 私ども日本は、御案内のとおり、憲法の制約もあって、海外に自衛隊などを派遣するのには大きな制約がある。だから、むしろ、そのことによって、今までアフガニスタンには民生的な支援を中心に行動してきた。DDRなどは大変、アフガニスタンに非常に評価をされたことだと私は思っておりまして、カルザイ大統領に何度かお目にかかりましたが、そのときに必ず、そのような日本のアフガニスタン国内におけるさまざまな協力に対しては非常に高い評価をいただいていました。

 私は、むしろこのような方向、すなわち、武器と武器との戦いということは必ずさらに泥沼になっていくことはもう歴史が示している話であります。むしろ、そうではない、日本は日本にふさわしい、そういった、武力ではない形の民生の安定、経済の向上のための努力というものをいかに行っていくかということだと思っておりまして、そういったことしか、ある意味ではアフガニスタンの問題を最終的に解決できないよということを世界の国々に知らす役割というものも日本は持ち合わせているのではないか。

 今、山口議員が出口戦略という話をされたけれども、では、今すぐに軍事力を放棄したらどうなるかということも、当然厳しいところもあると思いますが、一方で、日本が今日まで果たしてきた役割がもっと国際的に評価をされ、協力をしていく道を探すべきではないか、私はそう思います。

山口(壯)委員 このインド洋上の給油というのは、実質的に意味を失っているんですね。マクリスタル司令官のレポートを読む限り、インド洋上の給油というのは彼の新たな戦略の中ではほとんど意味がないということがはっきりわかるんです。そういう意味では、解決すべき本当の戦場は、海ではない、山なんですね。

 私たち、何ができるかということに関しては、今非常に難しい、難しいというのは秘密で行わなきゃいけないことなんですけれども、日本として大事なのは、実はタリバン、といっても穏健なタリバンなんですけれども、そのタリバンとの接触を隠密裏に確立して、そして対話の窓口づくりに一役買う、こういうことなんです。

 実は、アメリカもついにタリバンとの接触を秘密裏に始めたんです。アメリカとしては、部隊の撤退、そしてもう一つはアルカイーダが西側諸国に報復しないということを保証してくれ、こういうことをタリバンにCIAが既に始めたんですね。

 こういうことをアメリカはやろうとしていますけれども、アメリカは爆撃によって、誤爆もやっている、それから誤射もやっているというので、肉親たちが自爆テロに走りますから、ある意味でアメリカには難しいと思うんです。だから、そういう意味では、今総理がおっしゃったように、日本にしかできない、そういう部分だと思うんですね。ただ、このタリバンとの接触というか対話の窓口づくりといっても、外務省にそれができる人はほとんどいませんから、そういう意味ではつらいんですけれども。

 これは総理、官僚に聞いたらできないと言うでしょう。官僚は、正確にできないことをできないと言うのが仕事です。しかし、我々は、道なきところに道を切り開き、不可能を可能にする、これが政治家ですから、ぜひこの道を政治家として探ってください。

 私を、総理、特命係長としてでも送っていただいて結構です。体を張ってこの秘密のオペレーションをやり遂げます。アメリカを救う道はこれしかありません。それは今、アメリカが最も必要としていることなんです。インド洋上の給油では決してありません。これを申し上げたいと思っています。

 さて、最後に、もう三十秒だけですけれども、防災対策について一言。

 現実に今、温暖化もあって、豪雨で被害が非常に多いです。先般の夏も、中国・九州北部豪雨あるいは台風九号の大雨がありました。

 そんな中で、激甚災害制度というものが、どうも被害額が大きくなければ指定されないという話があったり、あるいは、被災者の生活再建支援法の適用対象が住居だけで、お店が入らないということもあって、非常につらいわけですね。こういうことに対して、きちっと現状に合った見直しを考えていただけないかどうか、どうでしょうか。

前原国務大臣 お答えします。

 台風の被害で亡くなられた方、被害に遭われた方、改めてお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。

 今、二つ、簡単に申し上げたいと思いますが、激甚災害指定の基準の見直しというのは平成十二年に行われております。かなりの引き下げをしておりますけれども、今お話のあったように、社会情勢を踏まえて見きわめていくべきだと思いますので、検討させていただきたいと思います。

 また、被災者生活再建支援法の対象として、店舗等、これも含めるべきだということについてでありますが、十九年にこの改正時の附帯決議で、四年をめどとして総合的な検討を加えるとされておりますので、今御意見があったことも踏まえて検討していきたいと思います。

鹿野委員長 山口君、質疑時間が終わりました。

山口(壯)委員 はい、承知しました。

 総理、国民の生活が第一の民主党です。ぜひ、格別の御高配をよろしくお願いします。

 終わります。

鹿野委員長 これにて海江田君、平岡君、山口君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党の阿部知子です。

 去る八月三十日、有権者、国民の皆さんが政権交代を選択され、九月の十六日には三党連立のもとに新たな内閣が発足し、そして十月二十六日、鳩山総理が初めて本会議で、御自身の言葉で、そして御自身の思いを込めた所信表明をなさいました。

 私は、国会に来て九年たちますが、やはりこの鳩山総理というものをいただいて新たな政権がスタートできたということは本当に心強くもあり、また、大きな変革の時期にあって、みずからの言葉で国民に語ろうとする姿勢を高く評価いたします。

 きょうは、その総理のお考えの大もとを伺う質問を何点かさせていただきます。

 まず、障害者の問題でございます。

 総理は、所信表明の中で、私にとっては最も印象に残った二つ、一つは、子供たちに核のない世界を残そうと。この点については先ほど平岡委員も御質疑でありましたので、もう一つ、私にとって、チョーク工場で働く障害のある方たちのお話、これを総理はチャレンジドと表現されました。いろいろな困難や障害を持っても一生懸命取り組んでいく、そのことを一緒に支えて、一緒に生きていく仲間として決して排除はしないんだという思いで、これは、これからの我が国にとって物事の根本にある価値観だと私は思います。

 障害者は障害者の問題で、それだけで片づけておこう、隠しておこう、どこかにやっておこうという時代を私たちは生きてはならないし、また、これからはそのことも含めて本当に新しい政権が実行していける、その場に立ったんだと思います。

 あの障害者自立支援法、大変に評判が悪くて、そして当時、自民党、公明党の皆さんの連立政権で無理やりこれを成立させましたが、次々と見直しをせねばならなかった。力ずくで成立させたけれども、だれもが何の成果も見ていなかったものでございます。

 その直後、二〇〇六年の十二月十三日、国連では障害者の権利条約というのが採択されました。各国はこれを批准する動きに次々と出ておりますが、さて、総理、我が国では、この障害者の権利条約、障害を持っていても、当たり前に普通に人間なんだ、一緒なんだ、生きていける社会をつくろうという障害者の権利を打ち立てるための障害者の権利条約をいつ、どのような手順で批准なさろうとしておるのか。このことを、まず一点目、お聞きいたします。

鳩山内閣総理大臣 阿部議員の御質問にお答えをいたします。

 私も、所信表明の中で、あえてチョーク工場のお話を申し上げました。それは、まさに阿部議員がお話をされましたように、あのチョーク工場を私も視察させていただいて、よくわかりました。働いておられる方々が本当に笑顔で、必死に頑張っておられる。いや、むしろ障害のないはずの我々ではできない仕事を彼らが必死に頑張ってやっている。この姿を見て、大変なものだなと私は非常にうれしかった。そして、彼ら自身が働くことによって幸せというものを本当につかんでいることが、私は、この国がもしこの工場のような国であれば本当にいいなと感じたところであります。

 しかし、必ずしもまだそのような現実に日本がなっていない。そして、名前では自立支援という名のもとで、むしろ逆に自立が阻害されてしまう御家庭が、さらに、重い障害のおありの方がますます厳しいお暮らしになってしまうような現実の中で苦しんでおられる。そのことを考えたときに、私どもはまずはその問題をできるだけ早く解決していかなければならない、本気でそう思っております。

 その意味では、国連の中で、まさに今お話がありました障害者に対するこの思いというものを大切にする条約は、私ども、批准はまだできておりません。しかし、署名までは行っているというところでございまして、この署名から批准に向けて国内法を整備する必要があるということで、障害者基本法など、一部やはり変えなければならないところがあると伺っております。これをまずできるだけ早く整備をして、法整備を整えて、そして条約が一日も早く、まさに迅速に批准されるように、新政権としては最大限努力をしてまいりたい、そのように申し上げます。

阿部委員 障害があるゆえに差別されない、その意味では差別を禁止する法律も必要だ、これは強く障害者の皆さんもおっしゃるところですが、政府として、例えば国連の障害者権利条約を批准するためには、就労のみでなく、教育や住宅や移動、障害のある人にとって移動というのは、私たちにとってすぐ行けても、大変な、だれかに介助されなきゃならない問題、あるいは御家族が全部その負担を負っている問題などがあって、この障害者の問題にきちんと本当に国として取り組むためには、制度改革の推進本部と、そしてそれを担保するための法律が必要なんだと思います。

 教育の分野、住宅の分野、就労の分野、そして自治体の協力、これを、本部を立ち上げ、その本部を推進する立法ということも必ずや必要となると思います。実は民主党の皆さんは、既にさきの国会で、二〇〇九年の四月、参議院ではこの推進法を可決しておられます。

 これは長妻さんに伺った方がよいでしょうか。

 推進本部の本部長は当然ながら総理になると思いますが、この推進本部の立ち上げ並びにそれを担保するための立法ということはどのようにお考えでしょうか。お願いします。

長妻国務大臣 阿部委員にお答えをいたします。

 これは私どもの選挙のマニフェストにも、内閣に障がい者制度改革推進本部を設置する、これは「わが国の障がい者施策を総合的かつ集中的に改革し、「国連障害者権利条約」の批准に必要な国内法の整備を行うため」ということを明記しております。

 厚生労働省としても、内閣一体となってこういう本部を設置するように働きかけをしていきたいというふうに考えております。

阿部委員 総理もお聞きいただいたと思いますが、やはり迅速にやっていただきたい。

 というのは、障害者自立支援法の廃止は三党の政権合意の中にも明確にされておりますし、障害のある方が、せんだって十月三十日、一万人以上日比谷の野外音楽堂に集まられて、その中で、自分たちがきっちりと自分たちの意見も表明しながら制度改革を行ってほしいという訴えでありました。

 新政権が発足されて次々といろいろな課題をこなさねばならないと思う。そこも、忙しさもわかりますが、ぜひこれは、この問題と、この次伺います後期高齢者医療制度は、実は大きな政権交代になるところの原動力でもあったと私は思います。国民が、なぜ自民党政権、本当にある意味でかわってほしいと思ったのか。障害のある人や御高齢者を切り捨てていっては私たちの社会は安定して生きていけないんだという思いがあったればこそなんだと私は思います。だから、新たな政権もきちんと時間段取りを明示してやっていただきたい。

 そして、その間、例えば、障害者自立支援法は、応益負担という名で、移動、食事、排せつ、すなわち動くにも食べるにもうんこやしっこをするにも、利益なんだ、負担せよということを強いたわけです。

 長妻さんに一言お願いしたいですが、法案が廃止されるまでの間も、これはかつての自民党の与党であられた時代も、余りにひどいということで政省令等々でいろいろお金の補てんをしておられたと思いますが、新政権にあっても、廃止されるまでの間も障害者負担ということについてきちんと明確な補てんをしていくというお覚悟がおありかどうか。お願いいたします。

長妻国務大臣 お答えを申し上げます。

 今おっしゃられたとおり、障害者自立支援法は、応益負担ということで、本当に障害の重い方ほど大変な負担があるという問題がございました。

 そういう意味で、私どもとしては、応能負担、所得に応じた負担という原則を基本と考えておりますので、今回の平成二十二年度の概算要求におきましてもさらに軽減を実施するような予算を要求しておりますので、これからもその予算をつけて負担を軽減するように努力をしていきたいと考えております。

阿部委員 そこにお座りの藤井財務大臣にもぜひぜひぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 引き続いて、後期高齢者医療制度ですが、これも、先ほど平岡委員との御質疑の中でいろいろなことが長妻厚生労働大臣からも述べられましたが、一点、私として大変懸念いたす点がございます。

 あの後期高齢者医療制度とは何であったか、なぜ国民が怒ったのか。七十五歳という年齢で、御本人の意思とか思いとかとは全く関係なく、別の制度に行くことを強制、強要したわけであります。例えばお仕事をされていて組合健康保険や、当時は政府管掌保険、中小企業等々で働いておられても、七十五になったからあなたはもう違う保険なのだと。ここには本人の意思もなければ選択の余地もありませんでした。

 このちょうど同じ時期に始まったもみじマーク、これも義務化でありましたが、御高齢者が運転なさるときに必ずおつけなさいと。これはもう既に廃止されております。

 長妻大臣のお話だと二年間待てよということですが、例えば仕事をしておられて御自分が組合健康保険にいたいと思ったとき、なぜその人は後期高齢者医療制度にとりあえずでも行かねばならないのでしょうか。組合健康保険におられれば、御病気をすれば当然傷病手当金、その方は働いていて御病気になられたということであります。ここにも大きな差別。

 そして、百万人の方が現状でも働いておられる御高齢者です。我が国は幾つまでもエージレスに働ける国であろう、そういう理念があったはずでございます。この点についてはどのように御検討であるのか、長妻大臣にお願いいたします。

 先ほど、例えば評判の悪かったみとり料、こんなのなくなって当然だし、七十五歳以上だったら入院基本料が下がっていく、三文安、これもなくなって当然です。健康診断の差別もけしからぬ、これもなくなって当然です。それらは既に言明されました。

 二年間待てよと言うからには、もし自分が組合健康保険にいたければその方はいられるのでしょうか。ここは、年齢による差別ということがこれほどあからさまな制度はありませんでした。我が国は国民皆保険。だれであれ自分の望む医療というものを受けられる、それは年齢に差別がない、それが皆保険の精神です。

 今の一点、いかがでしょうか。

長妻国務大臣 お答えを申し上げます。

 本当に、おっしゃられるように、今回は有無を言わさず七十五以上は働いておられる方も含めて後期高齢者医療制度に入る、こういう大きな問題があるということは私も十分承知をしております。

 その中で、先ほど平岡委員の御質問にも答弁申し上げましたけれども、この制度を廃止して新しい制度に移行する、こういうことを私ども考えておりまして、その中で、今の問題も含めあらゆる問題が基本にございますので、取り組んでいきたいというふうに思います。

 ただし、その前段としては、もう一つ、この診療報酬でも、七十五以上の方に限定した診療報酬体系もございますので、そういうものについてはきちっと見直しをしていきたいというふうに考えております。

阿部委員 私は、やはり国民が私どもの新しい政権に期待を寄せてくれたというのは、逆にその背景に、例えば御夫婦でも、七十五になった夫は後期高齢者医療制度、残された妻は例えば国民健康保険、こうやって家族をばらばらにしていく、あるいは働いていても強制的に移らねばならない、ここを御本人の意思と全く関係なく分断していくということへの強い怒りがあったということだけはよもよも忘れていただきたくない。

 それが二年間待てよというのは、私は、本当に説明責任を果たしたことになるのか、この点については制度設計とそして迅速さが要求されるものだと思いますから、なお長妻大臣には本当に御尽力いただきたい。時間の都合でここでとめますが、今の点は述べられなかったことなので、ぜひお心にとめてしっかりとやっていただきたいと思います。

 引き続いて、沖縄の辺野古の基地を初めとする基地問題に移らせていただきます。

 辺野古の基地の問題あるいは沖縄の基地問題については、新たに内閣の閣僚となられたおのおのが、それぞれにそれぞれの思いを述べられており、ある意味では自由であろうけれども、それを受けた沖縄の皆さんにとっては、やはり心千々に乱れるというか、どうなってしまうのかという思いにもなられると私も思います。

 そこで、まず鳩山総理の基本認識をお伺いいたします。

 先ほど障害者の権利条約のお話をいたしましたが、実は昨年の十月、同じように国連で先住民勧告というものがなされまして、日本の中で、総理が所信表明でお取り上げになったアイヌの皆さんと沖縄の皆さんは、日本における先住民としておのおののその土地の所有や、あるいは諸権利をだれかによって略奪されることはないというふうにせよ、そういうふうな意識を持って臨めと、もっと詳しく言えばありますが、勧告がありました。

 私は、総理が所信表明演説でアイヌの皆さんのことをお取り上げだということはとても高く評価しますが、同じように沖縄の皆さんに課せられた歴史的なさまざまな負担、文化を奪われ、言葉を奪われ、そして琉球処分があり、その前には薩摩支配があったなどなど、沖縄という地は、戦前戦後のみならず、長い歴史の中でさまざまな負担を背負わされたところであります。

 そこで、三党の政策合意では、まず沖縄の皆さんの負担の軽減ということを、その視点から、今回の例えば日米の地位協定の見直し、あるいは基地問題などについても、この新たな政権は見直していくということを表明いたしました。

 さて、総理も御承知のように、既に二〇〇八年の七月、沖縄の県議会で、辺野古の基地の新設は反対であるという議決が上がりました。また、この間、各閣僚がいろいろな発言をなさる間にも、これは沖縄タイムスがやったアンケートですが、四十一市町村長アンケートで三十四の首長たちが県外や国外移設を望む、これはことしの十月三十日のデータであります。

 総理は、沖縄の皆さんのその思い、それは本当に根深いところまで受けとめてのこの間の御発言だと思いますが、まず第一点、沖縄の県民の負担軽減ということにおいては総理は譲ることがないのであろう、この一点についてお願いいたします。

鳩山内閣総理大臣 阿部議員から、普天間の移設あるいは日米地位協定、日米同盟の中で大変重要な課題となっておりますこの件につきまして、特に沖縄の県民の負担、さらにこれが過重にならないように配慮する。当たり前のことだ、私はそう思いながら、選挙のときにも訴え、またマニフェストの中にもそのように記述をし、そして連立政権の中でも、言うまでもありませんが、この日米の安全保障の問題に関して、沖縄の県民の負担がこれ以上さらに負担が重ならないように、負担軽減のために努力をする、この一点に基づいて私どもとして答えを出してまいらなければならない。

 御案内のとおり、政権を交代していまだ四十六日ですか、一カ月半という状況でございます。すべて選挙前に知り尽くしていたというわけではありません。新政権になって、私どもとして、日米の合意の重要性というものも当然一方では認めながら、しかしながら、沖縄の県民の負担軽減のためにどういう選択肢があるかというこの思いのもとで、今、担当大臣にも努力を願っているというところでございまして、阿部議員からお尋ねがありましたように、沖縄県民の負担軽減というものを何としても果たしてまいりたい。

 辺野古に私も何度か参りました。御案内のように、もし飛行場ができるということになるとすれば、あのきれいな海がという思い、皆さんそのように感じられることだと思います。そんな中での結論というものを、日米の政府がそれぞれ納得ができながら、しかし、沖縄の皆さんにとって負担がこれ以上大きくならない、軽減に結びつくような形で何とか結論を出していきたい、そのように感じているところであります。

阿部委員 今の総理の御答弁にもございましたように、特にこの辺野古の海という問題は、総理も所信表明演説の中で、日本が海洋国家で、実りの海を大事にしていきたいと述べておられますが、まさに豊穣の海、ウミガメがいたりジュゴンがいたりサンゴがいたりで、それは、これから環境の世紀を生きようとする日本、あるいは、来年には生物多様性の条約のための会議がこの日本で行われようとするやさきに、そこの海を埋め立てて辺野古の基地をつくる。まして、この間言われている五十メートルも先にであれば、ますます膨大な砂が要り、自然は破壊されていくと思います。

 ここで、岡田外務大臣に二点お伺いしたいと思います。

 アメリカでも、アメリカの国内における米文化財保護法に違反するということで、ジュゴンの生息地を埋め立てることについての裁判が起きていて、地方裁判所では、原告側、差しとめなさい、環境評価をちゃんとしなさいという側が勝訴し、今当局側は控訴しておられるそうですが、この間、米軍の関係者あるいは米国関係者がいろいろ御発言の中には、アメリカ側がこの環境問題を余り認識しておられないやに思います。

 ぜひ岡田外務大臣には、この辺野古の基地の持つ問題は、本当にこれからの世紀、環境の世紀にとって大きな、もしそこを埋め立てていくということは過ちを犯すことになりかねないと私は思うので、大臣からきちんとアメリカにもこの点、どのように協議をされているのか、まず一点伺いたい。

 それから、このごろアメリカは、例えばゲーツ国防長官は、辺野古がだめだったら、グアムへの移転もなしで、ついでに嘉手納に残ったままみたいに、本当におどしとしか思えないような発言をなさいます。しかし、ことしのたしか二月、ヒラリー国務長官と中曽根前外務大臣が、この沖縄の基地の移転問題とグアムへの移転問題の中で交わされた文書を見ますと、グアムの戦略的位置づけは米国にとっても極めて重要である、もともと米国にとって重要であるということから始まっていると思います。

 四年ごとの基地の、あるいは防衛の方針の見直し、QDR、アメリカがやっておりますが、それも、来年の一月、また見直されます。国際環境は大きく変わり、アメリカもブッシュからオバマにかわり、先ほどの山口さんのお話で、米中接近もあります。

 なぜ沖縄に、辺野古に基地があらねばならないのか、このことは実は本当の意味で話されていないと思います。もともと海兵隊は、一九五〇年代には山梨とか岐阜におられたはずです。それが、一挙に沖縄に来て、今、沖縄でなければびた一文というか寸分だに動かせないかの言い方も、私はやはりきちんとした論議ではないように思います。

 以上二点、一つは環境の面から、そして二点目は、アメリカの国防戦略の見直しの時期、それは同時に日本にとっても同じような、日本の安全保障の見直しの時期、それは早ければ来年の一月と承っておりますが、その中でどのような論議を展開されていくのか、岡田さんに伺います。

岡田国務大臣 まず、この問題、二つの視点で考えなければいけないと思います。

 一方は、日米間で既に、先ほども御指摘がありましたが、一定の合意に達しているという現実があります。そのことは我々が合意したものではありませんけれども、前政権の中で行われたものではありますけれども、そのことを無視しては議論できないということであります。先ほど御指摘にありましたけれども、確かにそれ全体が、例えば普天間移転が実現しなければグアムへの移転が直ちになくなるということではありませんが、しかし、そこはそれぞれ連関をしておりまして、そういうことにつながりかねない問題であるということは認識しておかなければいけないというふうに思っております。

 そしてもう一つは、この問題をそもそも何のために議論してきたかということです。これはやはり普天間基地における極めて危険な状況、それを早期に除去することが必要である、これが議論のスタートでありまして、その普天間の移転先をめぐってさまざまな議論が今まで行われてきたということでございます。

 私、外務大臣に就任をいたしまして、もちろん今まで野党ですから、そういった議論の経緯の詳細を承知しているわけではありません。恐らく、日米両国政府の一部の限られた人たちが本当のところは御存じ、そういう問題だと思っております。外務大臣として、そういった今までの議論をきちんとフォローして、そして、私自身がまずそういった議論についてしっかり納得をすることが、私、外務大臣としての責任である、そういうふうに考えて、今真剣にそういった過去の検証作業を行っているところでございます。これは、外務省の中だけではなくて、防衛省とも、そして米国側とも今までの議論について検証作業を行っているところであります。

 そして、直接の御質問は、環境の問題に対してきちんと対応しているのか、それからQDRはどうかということでありますが、そういう検証作業を行っていく中で、環境の問題についても、特に訴訟の問題、そういう問題は米側にも指摘をしておりますし、QDR、これはまだ出ておりませんけれども、ある意味ではそのことも、全面的にではありませんが、一部その考え方も先取りしたような、そういうことも含めて検証作業を行っている、こういうことであります。

阿部委員 沖縄の声は県外移設、国外移設です。しっかりと時間をかけてやっていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

鹿野委員長 これにて阿部君の質疑は終了いたしました。

 次に、下地幹郎君。

下地委員 国民新党の下地幹郎でございます。

 私ども国民新党は、今回の臨時国会を非常に重要な国会と位置づけております。それは二つの法案が提出をされているからであります。

 一つの法案は、私ども国民新党の立党の精神であります郵政見直しの法案、特に株式の処分の停止、そして、閣議決定の中に盛り込まれました郵政見直しの基本法案が法律の中に入っておりますから、これは私たちにとって非常に大事な法案なので、この国会で何とか通していかなければいけないというのが一つであります。

 二つ目は、亀井大臣が頑張られております、中小企業のサポートをする、貸し渋り、貸しはがしに対する法案。この法案が、私は、今の景気が厳しい中において、売り上げが伸びない、だからもう一回お金を借りて資金繰りをやりなさいというやり方よりも、今は売り上げが伸びない間、資金繰りのためにお金を借りるんじゃなくて、また負債がふえるのではなくて、今は少しの間この支払い猶予を行う、これはまさに的を得た政策だと思っておりますから、その法案がしっかりと通ることも国民生活にとって大事だというふうに思っております。

 この二つの法案は、鳩山政権における三党連立合意の中で盛り込まれた法案でありますけれども、総理に、郵政民営化、今度の法案はスタートでありますけれども、最終的には来年の通常国会で出る改革法案が、この郵政民営化見直しの、ある意味の形が整う法案になりますから、総理には、郵政民営化に対する総理の思いを国民の前ではっきりとお示しいただきたいというのが一点。

 亀井大臣は、郵政民営化は後戻りするのではない、もう一回郵政民営化をやることによって新たなサービスを国民に提供するんだと。一つに、私どもが検討しているのは、パスポートも、県庁所在地にとりに行くのではなくて郵便局でできないか、ワンストップサービスもやってみようね、また、介護がなかなか民間の活力でできないところも頑張ってみようねと、いろいろなことを郵便局にこれからやってもらおうというお考えを亀井大臣お持ちだと思いますけれども、そのことと、先ほど申し上げた貸し渋り、貸しはがしに対する大臣の思い、この二つを総理と亀井大臣にお聞かせいただきたいと思います。

鳩山内閣総理大臣 下地議員にお答えをいたします。

 まさに、国民新党さんが連立政権の中で一生懸命努力をしていただいているその二つが、今、下地議員からお尋ねがありました郵政民営化の見直し問題、そして、特に中小企業が大変苦しんでおられる、そういった方々に対する貸し渋り、貸しはがしに対する法案、この二つだと理解をしております。

 私は、特にいわゆる小泉旋風によってあの郵政民営化のあらしが吹き荒れた、その結果この国の地域社会がどうなったのか、国民の皆さんのお暮らしがどうなったのか、そのことを考えた中で今回選挙が行われて、私ども、国民新党さんと一緒に連立政権を築くことになった、そのように理解をしております。

 したがって、私どもとして、いわゆる国民の皆さん、特に地域で頑張っておられる方々にとって、この郵政の民営化というものが進められたことによって結果どうなったのか、地域自身どうなったのか、郵便そして郵貯、簡保、これはやはり一体的に運営していくようにしていかなきゃいけないんじゃないか、こういったサービスが、やはりこの四年間、徐々に徐々におかしくなってきてしまったのではないか、これを取り戻そうではないか、そんな思いが国民の皆様方の一票一票の積み重ねになった、そのように理解をしております。

 その意味で、私たちは、郵政の民営化に対して新たな形で改革をしていかなきゃならない、郵政改革の基本方針というものを先般定めさせていただいた。それに基づいて、次の通常国会では見直しの法案というものを出して成立を図っていきたい。

 そのためにも、言うまでもありませんが、今、いろいろと動いてはならないということで、株の凍結というものを行っていくということでございまして、それを一体として進めていきながら、一番大事なことは、国民の皆様方のお暮らしのサービスというものがもっともっと地域社会においてよくなっていけるように努力をしていきたい、そのように考えております。

 以上です。

亀井国務大臣 下地委員の御質問にお答えをいたします。

 このたび、郵政見直しの第一歩の法案を提出いたしました。また、貸し渋り、貸しはがし防止、通称でありますが、これも提案いたしました。これは、三党合意に基づくものでありますが、鳩山総理の友愛の精神を具体化していく第一歩だと私どもは自負をいたしながらこの法案に今取り組んでおるわけであります。

 郵政の見直しは、小泉総理が北海道から沖縄まで、もうネットをがたがたにしてしまって、そうして地域社会がおかしくなっていく、それのためのマイナスの役割を果たしていっている実態もあります。私どもは、三党合意に基づいて、小泉総理のおやりになった前の事業に戻す気は全然ございません。地域社会のため、また日本のため、また世界のために、生き生きとした事業を展開していきたい。

 齋藤次郎社長という剛腕のすばらしい社長も就任をいたしました。その中で、鳩山総理もいろいろと、こういうことをやったらどうだ、ああいうことをやったらどうだ、そうした御示唆もいただいております。今後、全力を挙げて頑張ってまいるつもりであります。

 また、残念ながら、今の金融は本来の姿を失っております。体に例えれば、毛細血管まで血が回らない。これについては金融界の責任ももちろんありますが、金融庁の責任が非常に大きい、このように私は考えておるわけでありまして、このたび、この法案の成立とともに、金融マニュアルも全面的に改定をいたします。金融機関が生き生きと企業に対して資金を提供していく、またサラリーマン等に対してもお金を提供していく、そういうことができていける一つのこれがてこになると私は思っております。

 それから、中小零細企業、商店等の皆さん方の今の窮状は返済を猶予することだけで解決することではありません。仕事が将来出ていくかどうかということであります。さらに、その仕事が、今のように下請、孫請にもうからないような形で、ある意味では公正取引法違反まで犯しながら、そういう仕事の出し方をしている企業が多くあるわけでありますが、これをきっちりとやはり是正していただいて、そして、そうしたちゃんともうかる形で仕事が出ていく、マージャンに例えれば一気通貫のような形でいかなければ今の窮状を脱されることはない、このように考えております。

 以上でございます。

下地委員 今の総理と亀井大臣の答弁を聞いて、国民視線の考えで政策を進められていると思っておりますから、しっかりと頑張ってやっていただきたいと思います。

 それで、普天間の問題について質問をさせていただきたいんですけれども、岡田大臣は、普天間について、なぜ辺野古に決まったのか、なぜ嘉手納統合がだめだったのかを検証なされたいというふうにおっしゃっていますけれども、私は、その前に、何で十三年間やって、日米は合意しても政府と沖縄が合意できなかったのか、その検証をしっかりとおやりになってからこの二つのことをやっていかないと、後先になるのではないかと思うんです。

 あのカート・キャンベルが、ツー・メニー・エッグス・イン・ア・バスケット、多くの卵が一つのかごの中に入っている、そして、このかごの中の卵を一つ動かすとバランスを失って壊れてしまうということをおっしゃっていました。これは、間違いなく、嘉手納統合とか辺野古移設だとか、とにかく県内移設の難しさを物語っているのではないかなというふうに思うのであります。

 今までに、一九九六年の四月の十二日に当時の橋本総理が記者会見を行ってから、きょうまでで十三年たっていますよ。鳩山総理を添えて総理大臣は八人、防衛大臣は十六人、沖縄県知事は三人、名護市長は三人かわってまいりました。これだけ多くの政治家が沖縄の基地の負担軽減をやりたいと言ってもなぜできなかったのか、そのことをしっかりと見据えていかなければいけないと思うのであります。

 私は、この間の政治状況を見ますと、もちろん政権は自民党、県知事も自民党系の知事、県議会も自民党系が過半数をとる、そして名護市長も自民党系、名護市議会も自民党が会派をとる、こういうふうに政治状況はパーフェクトなんですよ。パーフェクトな政治状況で十三年間できなかったわけですから、どこかに問題があることだけは確かなんです。その問題はどこにあるのかを考えると、これは、国と沖縄県との間にミスマッチが起こっているんです。

 最初のミスマッチは、これはさっき申し上げた一九九六年の四月の十二日の記者会見の後、橋本総理が大田知事にお電話をなされる。大田知事、全面返還が決まりましたよ、しかしアメリカは代替地を要求していますからねということを自分は申し上げたと言っているんです。しかし、大田知事は、代替地の話は私は聞いていないと申し上げて、その後、一九九八年の二月の六日に、橋本総理が提案をなされた撤去可能なヘリポートに関して拒否することになりました。これがミスマッチの一つです。

 二つ目には、その後、稲嶺県政が誕生なされた。稲嶺県政が誕生なされて、三年間この稲嶺県政が検討をなされて、二千メートルの軍民共用、十五年使用期限問題というのを提案したのであります。稲嶺県政は、十五年の使用期限を決めたのは、永久に沖縄県が米軍基地を背負うわけにはいかない、これは、制限、時限立法、時限を持ってこれを受け入れることにしようと言って、彼は決めたんです。しかし、当時の政府は、一兆円規模の予算を投下して二千メートルの滑走路をつくって、十五年の使用期限では全くこれは道理が通らないと言って、稲嶺さんと決裂したんです。そして、日米と沖縄県は合意できない。そして、その後、L字案を政府が提案したら、稲嶺さんはそれには合意をしない。

 そして、その後、二〇〇六年の四月に突然L字案から今のV字形に変わって、もう一回稲嶺さんに提案をしたら、ここは沖縄にとって最悪でしたけれども、名護市長は合意をするけれども沖縄県知事は合意をしないというねじれ現象が地元に起こってしまって、稲嶺知事は八年間の満期を終わって、この合意をすることなくこの問題は終わってしまいました。

 今度は仲井眞知事が参りました。仲井眞知事が来て、V字形でそのまま進むのかなと思われたら、今度は、百メートルずらしてくれ、百メートルずらしてやらないと私は受けないというようなことをおっしゃる。そうすると、日米両政府は、この百メートル動かす修正案をのむとパンドラの箱があく、アメリカの海兵隊はこの辺野古の千五百メートルには納得していないんだ、納得していないから、これをもう一回修正すると新たな要求が出てきて日米の合意そのものもだめになるから、仲井眞さんの修正案は受け入れられないといって、今、三年間が経過しようとしているんです。

 総理、これは、沖縄県とのミスマッチがずっとあって今こういう状態が続いていることだけは確かなんです。そういうことを全部考えて検証してみますと、大事なことは、幾ら日米で合意をしても、沖縄県との合意がなければこの問題は前に進まないとおっしゃる。それと、日米の合意が、やったことが、この普天間の辺野古移設がうまくいくなんというものにはなっていないということを十二分に総理は認識してもらいたい。そして、日米が合意しても、沖縄県と政府の間で合意がなければ進まないということを総理がしっかりと心の中に刻んでもらって、最後は私が決めると言ったことの結論を出すべきだと思うんです。

 今、私がこの十三年間を少し短い間で検証しましたけれども、それに対する総理の感想をお聞かせいただきたいと思います。

鳩山内閣総理大臣 今、十三年間の検証のお話を伺わせていただきました。

 まさにそこに最大の問題があったということでございます。先ほどの山口議員の御質問にもございました、地域の皆様方の思いというものを無視して政府とアメリカの間だけで結論を出すことは決してできない、だからこそ、沖縄の県民の皆さんの負担をいかに軽減をする、そのことを政府がアメリカにも理解をさせて、納得をさせて答えを出すというやり方をしない限り、この問題の結論は永久に出すことができない、そのぐらい大変難しい状況になってしまっている、私どもはそのように思っています。

 ただ、一方で、御案内のとおり、日米の合意というものが現実に旧政権の間でなされているのも実態、事実でございます。その重みも全く無視するというわけにはとてもいかないことも御理解をいただかなければならない。

 その中で、したがいまして、今検証を始めているところでありますが、大事なことは、沖縄県民の皆さん、特にその代表である知事と私ども新しい政権との間でお互いに納得をできるような合意を行わない限り、幾ら強引に日米の間で進めようとしても結論を出すことができない、そのように思っておりますので、そこは心してこれから臨んでまいりたい、そのように思います。

下地委員 政治の状況が大きく変わったんですね。先ほど申し上げた、パーフェクトだと言いましたけれども、沖縄県議会も逆転していますよ。今度の選挙でも、四選挙区とも辺野古反対の候補者が勝ちました。そして、今度一月に行われる名護市長選挙も、保革の、ある意味乱れた戦いになって、前のような状況ではもうありませんね。(発言する者あり)これは保革なんです、いろいろあって。

 そういうふうな状況の中で、前よりも政治状況が悪い中で総理が辺野古を決断なされても、辺野古を決断なされて仲井眞知事が埋立承認をしても、来年の十一月に選挙がある、選挙は水ものでありますけれども、辺野古反対の方が勝ったら、間違いなく埋立承認の取り消しを行政決断するでしょうね。そういうふうなことになると、裁判になって泥沼になる。そういうふうな状況が続くと、また同じような、今までの十三年間と同じことになる。そのことをじっくりとお考えになって、どの決断をするかということを考えなければいけないと思います。

 そして、岡田外務大臣にお伺いしますけれども、嘉手納統合はというお話をしていただいておりますが、私も嘉手納統合とよく申し上げています。私の嘉手納統合は、一プラス一が二になるのでもだめ、一プラス一が一でもだめ、一プラス一が〇・五になりますかというのが私の嘉手納統合なんです。だから、嘉手納に統合する、七万回嘉手納が乗りおりがある、普天間が三万回ある、足して十万回で、それはだれも納得しませんよ。それが七万回になっても納得しませんよ。それは、F15の戦闘機を岩国やそして三沢に移したり、外来機の訓練を伊江島の滑走路を修正してやったり、今よく言われるような、関西空港のB滑走路が全く稼働率ゼロですから、安全保障上は、音も出ないし、あの地域を航空母艦が通るわけですから、あそこを活用して外来機の訓練をやるというと、私は、嘉手納の騒音は半分になる、そういうことを提案しておる。

 しかも、沖縄県民のこの思いの中で、基地をつくっていいですかということは聞かない、もう許可、認可も沖縄県の許可を受けずに、基地内基地ですから新たな基地をつくらずにできる、こういうふうなことでどうですかということを一回提案したことがあるわけでありますけれども、外務大臣のおっしゃっている嘉手納統合の定義というのはどんなものなのか、そのことをお聞かせいただきたいと思います。(発言する者あり)

岡田国務大臣 今委員いろいろお話しになりましたように、この普天間の移転の問題は極めて厳しい狭い道を通っていかなければいけない、こういう問題であります。

 ただ、先ほども申し上げましたように、普天間基地の周辺の住民の安全の確保ということが議論のスタートでありますから、私は、結論を先延ばししていい話ではない、一定の範囲の中で結論を出していく必要がある、そういう思いで今過去の検証作業を行っているところであります。

 その検証作業を行っていく中で、普天間の統合という過去にも何度も議論された問題が浮かび上がってまいりました。何度も議論された、もう結論は出ているという意見もありますが、しかし、何度も日米双方から提案をされたということは、それなりのやはり可能性もあるということで提案をされてきたわけだというふうに思います。私なりに、これが果たして案になるのかどうかということを今さまざま検証作業を行っているところであります。

 その際に、私が、先般も沖縄の地元の市長さん、町長さんがお見えになりましたが、申し上げたことは、仮に嘉手納統合という案をとったときに、それはやはり現在の嘉手納の負荷、つまり騒音その他が今以下になるという前提でないと、これは案にならないということを申し上げたところであります。ますます自分で自分の通る道を狭くしている感がなきにしもあらずですけれども、しかし、実現するためにはそういうことだろう、そういうふうに思っているところでございます。

下地委員 今、町村先生が、私が関西でこの外来機の米軍機の訓練をやるというお話をテレビの前で言わせていただいたら、関西の人はどう思うんだろうかというやじがありましたけれども、では沖縄にずっと負担させていていいんですか。日米安保は重要だと言いながら、米軍基地の負担は、ここにいる国会議員の皆さん、自分たちはやらなくていいと思っているんですか。それはみんなで分け合わなければ、この米軍基地の問題は解決しないんです。こういうやじは言ってはいけないですね。私はそう思いますね。そういうことをやっているから、この十三年間やっても決着をつけられなかったんですよ。

 もう一回決断をして、しっかりと、関西の空港であっても静岡の空港であっても、沖縄の米軍基地の負担軽減をやるというんだったら、みんなで協力してやりましょうよ。そういう思いに国民がならなかったら、日米安保は大事だけれども米軍基地は受け入れないという、こんな矛盾ばかりやっていたらだめなんですよ。そのことをしっかりともう一回申し上げさせていただきたいというふうに思っています。

 それで、もう一個。前原大臣、先ほどから沖縄の論議をしていますけれども、沖縄の論議をしていて、この基地問題が大変だ、総理の所信表明演説でも、沖縄は非常に厳しい歴史環境から来ている、歴史から来ているというような話がありましたけれども、そういうふうな地域にもかかわらず、この十年間、沖縄の振興費は激減してきました。四千億台あった予算が今もう二千三百億円ですよ。この十年間で沖縄の予算は減ってきた。何でこんなに沖縄に基地を負担させながら、何で沖縄が必要だと言いながら予算を削るのか、私には理解ができないんです。

 しかし、前原大臣も今度四百億切られている。これは、予算の削減をしなければいけないというのはあるかもしれませんけれども、日本全国、行政は一つになって、金太郎あめみたいに予算を全部切ればいいというものじゃないと思うんですよ。沖縄に負担があるというならば、私の政権になって、私が大臣になったら、今までの自民党政権がこれだけ予算を切ってきても、沖縄の負担のことを考えたら、私は予算を上積みしますよと。プラスにするかと思ったら、大臣も予算を切られていますけれども、大臣、それを切らない方がいいんじゃないですか。

 だから、今度本予算を決めるときには、仙谷先生がお怒りになっても、沖縄の苦しみをわかって予算をつける、いろいろなことをもう一回考えてやるというのが大事だと思いますけれども、大臣のお考えをお聞かせください。

前原国務大臣 下地議員にお答えします。

 四百億予算を削ったというのは、それは認識違いであります。それは、自民党政権下でつくられた平成二十二年度の概算要求と比べると、我々新政権になってからの概算要求額は四百億円減らしていますけれども、我々の概算要求額は平成二十一年度の当初予算と変えていません。全く沖縄の予算は削らない、これは、そこに座っておられる大島副大臣、泉政務官と意見を合わせて、私は、国土交通省では公共事業費は一〇%以上削っていますけれども、沖縄の予算は削らないという方針で概算要求を出させてもらっています。

 ちなみに、これは下地議員もよくわかっておられることでありますけれども、二つ申し上げたいんです。

 一つは、四十七都道府県で沖縄が最も平均所得が低い、そして失業率が最も高いというところであって、そして基地の負担というものがそういった背景にあるのも事実であり、やはりこれは、ほかの予算は削っている状況の中でも沖縄の予算は削らないという思いで私どもは概算要求を出させていただいたということがまず一つ。

 もう一つは、この沖縄の予算、今まで自民党政権は、例えば北部振興なんかは典型的なものですけれども、基地を受け入れなければいけないという、リンクさせていましたよね。我々の政権では、それはリンクさせない。つまりは、真に沖縄の経済振興に対する予算をつけるということで、しっかりとその対応をしていきたいと思っています。

下地委員 概算要求にやった予算から、普通は概算要求は二五%アップして予算をつくるものですから、それから大体切って数字を出すということになってきますから、大体今の金額だと沖縄の予算は下になるねというのが一般的な考え方なんです。一般的な考え方をしていた私がばかだったのかなと。

 だから、今回は、では概算要求に出したお金は満額つくということですね。下には行かないということなんですね。

前原国務大臣 私は満額もらいたいと思っています。あとは財務大臣としっかりと相談したいと思います。

下地委員 財務大臣、御答弁をお願いします。

藤井国務大臣 先ほどからお話のありましたように、今一番大事なのは、総体を切るということの裏に何があるかというと、国債なんですよ。国債市場が安定していない限りは、日本の社会が非常な意味で世界から批判されるんです。

 ですから、これはやります。やりますが、今の沖縄の問題等々は、これは個別の問題でございますから、よく前原さんと相談をいたします。

下地委員 もう一方、仙谷大臣、どうですか。

仙谷国務大臣 私は最終的な査定権者でございませんので、結果としてどうなるかわかりませんが、ただ、基本的には前原さんがおっしゃったとおりなんでしょう。ただ、そこに、使い方にモラルハザードが発生していないかどうかというふうな点は、これは私の立場からすればしっかりと見させていただきたい、こう思っております。

下地委員 私たちは、今度新しい三党連立政権ができましたので、いろいろな切り口でその政策を進めていかなければならないわけですけれども、しかし、国民の視点でやるという三党連立の合意からすると、弱い者を大事にする、おくれている地域を大事にする、そういうふうな気持ちで政策の一つ一つを進めていかなければいけないと思いますから、この沖縄の基地問題を初めとして、そして郵便局の問題を初めとして、私たちは、強い者も頑張りなさい、弱い人たちももっと元気が出るような、そんな日本をつくるために頑張っていきましょう。

 質問を終わります。ありがとうございました。

鹿野委員長 これにて下地君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

鹿野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。大島理森君。

大島(理)委員 鳩山政権ができてから一カ月十日ぐらいになります。この政権運営を見ていますと、政治主導という名のもとに、おごりあるいは無礼、あるいは強権的な政治運営が目につきます。その代表的な例を申し上げます。

 十一月一日に、鳩山内閣の副総理が、霞が関は大ばかだと、これも公衆の面前でお話しされました。鳩山総理は友愛という政治を標榜し、内外に訴えていますね。私は、総理、友愛を内閣で勉強された方がいいと思う。

 鳩山一郎先生が何をおっしゃったか。友愛の精神は基本的に修身斉家治国平天下だと、これは礼記ですね。最後は個人の徳を積むことだ、こうおっしゃっておられる。

 総理は内外に友愛という言葉を発したわけですから、内外に発するならば、霞が関が大ばかだ、こういうふうな発言はその友愛の精神に反していると思うんです。ですから、まずは内閣で友愛の勉強をされた方がいいと私は思う。

 それと同時に、政治主導。この政治主導は、英国議会を菅副総理も勉強に行かれましたし、小沢幹事長もよく英国の話をされます。

 自自連立のときに、当時の自由党の小沢代表と我が党の連立の中で、私は実務責任者としてやりました。

 英国議会と日本議会の基本的な違い、これは憲法なんです。英国議会は、憲法はそれぞれの積み重ねでできているものです。国権の最高機関は立法府にあり、憲法にこう書いてありますが、当然、総理もそれはおわかりだと思いますね。そのことを、ちょっと総理の認識をお伺いしたい。

鳩山内閣総理大臣 大島議員にお答えをいたします。

 まず、友愛の精神が必ずしも内閣の中にないとすれば問題ではないか、そのように言われました。

 私は、この国を新たな形で統治していくに当たって、祖父から譲り受けたという意味ではありません、新しい意味での友愛精神が極めて必要だと思っております。それは当然、内閣の中においても、その精神が統一されて、理解をされる必要がある、そのように思っております。

 新しい政権でありますだけに、すべてがすべて百点満点だとは思っておりません。時には、あるいは言葉が過ぎることもあろうかと思います。ぜひ、試行錯誤の中で、しかし、友愛精神に満ちた新しい日本の政治というか、社会をつくり上げていきたい、その思いは当然、私のみならず、内閣の中にも共通していることだ、そう御理解をいただきたいと思います。

 学ぶところは大いに学ばせていただきたい。そして、さらに申し上げれば、当然、国権の最高機関としての国会のありよう、よく存じているところでございますし、また、イギリスと日本との間では、日本にはしっかりとした憲法というものがあるという、そこの違いも理解をいたしているところであります。

 私どもは、一方で、しかし、この国が今までどういう政治であったのか、ややもすると、長期政権のおごりの中で、官僚に任せておれば大体この国は安泰なんだ、大丈夫なんだ、そういう思いが強過ぎたのではないか、その中で、政治主導でなければならないときに、必ずしも政治が責任を負わずに回避をして、役人の皆さん、優秀だと思います、決してばかだとは思っておりません、そういった役人の皆様方にある意味で頼り過ぎてしまったのではないか、そのように思っておりまして、そこから私たちは、できる限り解放された、新しい政治主導の仕組みをつくり上げていかなきゃならない、その試行錯誤の中でのスタートを切らせていただいた。

 イギリスとの違い、確かにあります。しかし、イギリスの中のさまざまなよき部分を私どもは勉強させていただいて、例えば閣僚委員会というもの、官僚を排して政治家のみで議論をしながらその意思決定を閣議にかけて決定していくという仕組みなどをつくらせていただいたところであって、まだ完璧とは確かに言えないと思いますが、できる限り友愛精神に満ちた、脱官僚依存の政治主導の政治というものを、新政権としては臨んでいくつもりでありますので、どうか御理解を願いたい、そのように思います。

大島(理)委員 一つだけ私どもも反省する点は、事前審査の行き過ぎたやり方だったんです。したがって、そこは私どもも本当にこれから新しいプロセスとして考えていかなきゃならぬところだと思います。

 友愛というのは、違う意見を尊重するということだと思うのです。大ばかだなんということは、野党の時代は許されても、政権を担ったらそんなことを言っちゃいけません。ぜひ友愛の勉強をしてください。

 それで、マニフェストという問題と同時に、この国会が始まりまして鳩山総理は二つの責任を問われました。一つは、マニフェスト実現に対する責任です。もう一つは、鳩山総理自身のいわば偽装資金報告書、この責任ですね。この問題は最後に問います。

 そこで、伺います。マニフェストが実現できない場合は、総理は責任をとると言いました。これは谷垣総裁の質問でもお答えになりましたね。御自身が会見でも言われました。どういう責任をとりますか。饒舌ではなくて簡明にお答えください。

鳩山内閣総理大臣 言うまでもありません。政治家としての責任をとるということでございます。

 私は、マニフェストは必ず実現をする、すなわち、マニフェスト、国民の皆さん方への契約であります。その契約に基づいて私たちは選挙を戦って勝利をした。したがいまして、国民の皆様方が民主党に、あるいは連立政権に期待するものは、早くマニフェストの一つ一つを実現してもらいたい、そこにあろうかと思います。

 しかし、結果としてそのマニフェストを、国民の皆さんから見て、四年間の間で必ずやり終えるぞ、そのように私どもはお約束をしましたが、どう見ても十分にできていないね、国民の皆さんがそのことを我々に対して、連立政権に対して、全然やっていないじゃないかという指弾を我々に浴びせていただいたときには、当然、政治家としての責任、すなわち、私、総理としての責任をとる。言うまでもありません。

大島(理)委員 総理としての責任というのはどういうことですか。

鳩山内閣総理大臣 一番は、私は、国民の皆さんに、マニフェストで選挙を戦って、マニフェストを四年間、決して実現できなかったという話になれば、そのことを問う選挙を行うということが一番だと思います。

大島(理)委員 それは責任をとることではないと思います。信を問うことだと思うんです。つまり、総辞職をまずすることだと思うんですが、信を問うということと責任をとるということは違うと思うんですが、解散をすることが総理の責任をとることですか。もう一度確認しましょう。

鳩山内閣総理大臣 私は、責任のとり方はいろいろあると思います。その一つとして、国民の皆さんにお約束したことが果たせなかった、そのことに対して反省をしながら、ならば、国民の皆さんはそれをどう判断するかと信を問うのも、当然、責任のとり方の一つだと思います。

大島(理)委員 そうしますと、鳩山内閣では四年間選挙をしない、その四年間で全部マニフェストを実現するかどうかということを見てくださいということですか。

鳩山内閣総理大臣 マニフェストは、四年間の間の私たちの国民との間の契約であります。したがいまして、常識的に考えれば、マニフェストが果たされたか果たされなかったかを判断するのは四年後であります。その四年間の間の業績を見て判断を願いたい、それが基本的な認識です。

大島(理)委員 四年間の途中で、基本的に、皆さんが国民に契約した、ここにございますが、そのことがもうできないとなったらどうなりますか。

鳩山内閣総理大臣 仮定の話にどこまでまじめにお答えをする必要があるかということでありますが、私は、もし、例えば、三年たって、この一年間ではマニフェストをとてもこれでは果たせないなという判断を時の内閣がした場合に、当然、そのときに解散・総選挙ということで信を問うことはあり得るとは思いますが、基本的に申し上げれば、私たちは、マニフェストを四年間の間で必ず実現するという意気込みで新政権をつくったわけでありますから、それに向けて邁進させてもらいます。

大島(理)委員 それでは、もう一度整理しますが、総理にとって、責任をとるということはさまざまなことがあると言われました。その一つとして、解散がそうであると言われました。その他さまざまなことの中にはいろいろあるんでしょう。これ以上問いません。

 マニフェストに沿って質問します。外交です。

 まず、基本的なことを伺いましょう。総理は、憲法九条の集団的自衛権、個別的自衛権の今までの政府の見解を継続しますか、それとも政治主導ということで判断を変えますか。

鳩山内閣総理大臣 大島議員のその新しい御質問にお答えをする前に、先ほど私があたかも霞が関は大ばかだというふうに発言をしたかのように聞こえましたけれども、私はそのような発言は一切しておりませんから、そのことはどうか御理解を願いたいと存じます。

 それから、個別的また集団的自衛権の解釈であります。

 私どもは、当面、新政権になったばかりでございます、したがいまして、個別的また集団的自衛権の解釈を今までの解釈と変えるつもりはありません。

大島(理)委員 非常に大事な見解だと思います。また、当然だと思います。

 御党の小沢幹事長は、長い間このことについては違う持論をずっと述べてこられました。自衛隊の派遣問題で必ずそこが、御党とのさまざまな議論をしていく中でネックになってきたんです。あの福田総理と当時の小沢代表の連立政権構想がありましたね、このときもそれなんです。

 つまり、今、鳩山総理がおっしゃったことは、まさに小沢幹事長の解釈とは違う。民主党も、これは同じ考え方だと言ってよろしいですね。

鳩山内閣総理大臣 民主党ということではありません。鳩山内閣としての統一的な考え方でございます。

大島(理)委員 政府・与党一体というのはどこに行ったんでしょうか。

鳩山内閣総理大臣 当然、民主党、社民党、国民新党、その三党の連立内閣で構成されております。民主党にも、そして社民党にも国民新党にも、それぞれ独自の考え方があります。政策を国民の皆様方に政権として運営していくときには、内閣として一致した一つの考え方で歩ませていただくということでございます。

大島(理)委員 そういたしますと、これから鳩山内閣は、考え方、政策、それによって政府と民主党が違うこともあり得るということですか。

鳩山内閣総理大臣 それは、一つ一つの政策に関して、当然、三党連立であります、それぞれの党の政策というものをお持ちであります。それを……(大島(理)委員「三党じゃない、民主党のこと」と呼ぶ)民主党もその中の一つであります。その民主党あるいは三党の考え方を議論しながら一つの政策にまとめ上げていく。その政策としてまとめ上げていくときに、政府としての責任をとる。政府が一つの考え方に、特に、いわゆる政策を我々として考えていくときに、閣議をもって一つの考え方として歩ませていただくということでございます。

大島(理)委員 私は、三党連立のことを聞いているのではございません。

 そういたしますと、三党連立政権では今までの九条の解釈は継続するけれども、民主党としてはその解釈の変更をすることはあり得るということをおっしゃっているんですか。

鳩山内閣総理大臣 党としては党の判断があると思いますから、党に聞いていただければと思いますが、内閣としての考え方を変えるつもりはありません。

大島(理)委員 総理、これをなぜ私はしつこく聞くかといいますと、皆さんがアフガニスタンの貢献でいろいろなことをこれから考える、まさにISAFに対する日本の貢献のときに必ずこの問題が起こる、だから聞いているんです。

 それを党は党でどう考えるかわかりませんというのは、今までマニフェスト、政治主導、政府・与党一体、こう言ってきたことと違うじゃありませんか。

鳩山内閣総理大臣 例えば外交政策を一つ決めるときには、外務の政策の会議を私どもは行わせてもらいます。それを政府主導で、その中で行わせていただきますが、その中に当然民主党のメンバーも入って議論をして、そして一つの政策にまとめ上げてまいりますから、例えばアフガニスタンの議論をする場合に、アフガニスタンにどういう支援を我々が国としてするべきか、政府としての考え方を当然提示いたしますが、あわせて、それに対して党の、これは三党連立ですから、三党の皆さん方が協議をして、そして理解を求めて、一つの考え方としてアフガニスタン政策というものをつくり上げてまいりますから、そこに何ら矛盾は生じません。

大島(理)委員 総理、それはだめなんですよ。もし集団的自衛権と個別的自衛権以外に、小沢さんが言うように、国連決議があれば自衛隊はどこにでも出せる、そういう形で民主党が持ってきて、総理が今、個別的自衛権と集団的自衛権で内閣としてやるんだといって、それがぶつかったらどうしますか。憲法の基本の問題なんです、これは。だから、それを私は聞いているんです。

 もう一度伺います。民主党として、憲法の解釈は政府と違ってもよろしいということをおっしゃっているんですか。そこを明確に言ってください。

鳩山内閣総理大臣 私どもとして、今、あたかも一人の政治家の判断で民主党の例えば外交政策が決まり、そしてそれが政府の考え方と違うことがあり得るのではないか、そのような仮定のお話をされましたが、そのようなことは私どもは起こらないという確信のもとで、だからこそ基本的に政府の中で大きな意思を持って、例えば外交政策を政府で決めることで構わないぞという話になってスタートをした内閣でございます。

 いずれにしても、この内閣においては、内閣を構成する政治家たる閣僚が、一人一人が責任を持って行政の政策の立案、さらには調整、さらには決定を担うということにしているわけでありますから、政府による憲法解釈についても内閣が責任を持って行うということでございます。

大島(理)委員 これから、アフガニスタンの国際貢献その他のことについても、それを基本にしておやりになるということを確認しました。そして、民主党はまた全体として違う判断もあり得るかもしれないということもわかりました。

 そこで、伺いましょう。

 八年のマニフェストと称するようなものの中で、「四分野における具体策」、二〇〇八年の七月八日に「在沖縄米軍基地の大幅な縮小を目指して」ということを民主党が出しましたね。その中に、「在沖海兵隊基地の県外への機能分散をまず模索し、」と書いてありますが、これはもうなくなった民主党の案ですか、そうじゃありませんか。

 これは、鳩山幹事長、御存じですね……(発言する者あり)失礼しました。総理が幹事長のときか何かじゃないでしょうか。

鳩山内閣総理大臣 二〇〇八年のことに関しては、当然、幹事長としてその責めを負っています。当然、存じ上げております。

大島(理)委員 いや、存じ上げているのではなくて、今もこの考え方は継続していますか。

鳩山内閣総理大臣 私どもは、今、新しい政権を担って発足したばかりでございます。当然、私どもは選挙のときにも、今大島議員が申された思い、沖縄県民の今日まで担ってきた大変大きな負担というものを何とかして少しでも軽減させなければならない、そのためには、でき得れば、当然、基地の問題、さらに過重負担というものを与えるわけにはいかぬという思いのもとで、県外あるいは海外に移設をするのが当然最も望ましい結論だという思いを持って臨んでまいりました。そして、選挙に勝たせていただいた。当然、その思いは、大変重い責任を負っていると思っております。

 一方で、新政権としての責務もございます。新しい政権は、旧政権が日米の間で合意したことも、当然、政権がかわったから無視すればいいんだ、そんなむちゃなことをなかなか言える立場でもないということも理解をしています。だからこそ、私たちは今いろいろとさまざまな選択肢というものを考えていきながら、沖縄県民の負担を最小限に食いとめるような形の結論が見出せないかということで、選択肢を模索しているという状況でございます。

大島(理)委員 民主党の議員の皆様方は若い議員の皆さんがおられますが、二〇〇八年の七月の八日に「民主党・沖縄ビジョン」というのがあるんですね。それを総理は、自分でそのことを、まだその認識はある、この思いはまだ持っているとお答えになりましたね。イエスかノーかでちょっとお答えください。(発言する者あり)

鳩山内閣総理大臣 当然認識は持っています。ただ、今、亀井大臣がお話しされたように、これは連立内閣であるということも御理解願いたい。

大島(理)委員 連立内閣だから云々ということを聞いているんじゃないんですよ。

 連立政権に当たっての政策合意を読みます。

 この中で、日米同盟関係をつくる、これはいいですね。そして、沖縄県民の負担軽減の観点から、日米の地位協定の改定を提起する、こう書いてありますね。

 さあ、そこで具体的に聞きます。

 総理、この沖縄の基地の問題は、アメリカももちろんですが、県民が本当にどうするんだろうかとかたずをのんでいると思うんです。ポイントは三点あると思う、総理が決断できるポイントは。つまり、国外にやるか、この沖縄ビジョンのように。県外にやるか。県内でおさめるか。どれですか。

鳩山内閣総理大臣 今、それで我々は、幾つかの選択肢の中で結論を出すために努力をしているという状況であります。

大島(理)委員 いつまでに結論を出すつもりですか。

鳩山内閣総理大臣 私どもは、今日まで、この問題がスタートをして十三年がたちました。下地議員から先ほどの午前中の議論の中でお話がありました。日米の間のみならず、むしろ沖縄県民と日本政府との間の意見のそごが今日をもたらしたんだというお話もありました。そのとおりだと思います。なぜこんな状況になってしまったのか。

 だから、私たちは、政権をとって、時間的に引き延ばせばいいなどという勝手な解釈をするつもりはありません。しかし、新政権になって、ある意味で今まで必ずしも、政権の中におりませんでしたから、見えていなかった部分もあることも事実です。だからこそ、さまざまな選択肢というものを用意してその調査を始めた段階であります。今すぐに、これはいつまでに答えを出せるという話ではない。しかしながら、余り引き延ばしていいというものでもないということも十分に理解をしていく中で、私たちとしては、特に国民の中でも沖縄県民の皆様方に御理解をいただける、そんな結論を出さなければならない、そう思っているところであります。

大島(理)委員 その割には各大臣はそれぞれの思いを言っておられますね。

 北澤大臣は、私は今までの政府が考えた結論でいいではないかということを基本に言いました。私は、これは鳩山政権を、幅を広げるために一つのアドバルーンを上げたんだろうと思うんです。岡田さんは今の場所に統合したらいいと言う。嘉手納に統合すればいいと言っている。そんなに総理が検討して、それで、なぜそれぞれの大臣がばらばらにお話しされるんですか。それは急がなければならないという思いからそういうことをおっしゃっているんでしょう。

 そこで、もう一つ聞きます。総理の思いとしては、いろいろなことを検討していると言いますが、検討している大筋の場所、あるいはそういうものは何かないんですか。

鳩山内閣総理大臣 またそのような話をすると、さらに拡散したという話になるだけではありませんか。

 私どもとしても、例えば嘉手納統合案というものがかつてあった、かつてあったのがなぜだめになったのか、その本当の真意はどこにあるのかというようなところも、必ずしも見えていなかったところをこれからしっかりと調査をして見ていきたい、そう判断をしているだけに、今、時間をかけて調査をしているわけであります。

 決して今、どこもある、あそこもあるなどというような話を無責任に申し上げて、またその地域の方々に対する大変大きな不満や不平というものをもたらすわけにはまいらないと思っておりますので、私としてこれ以上申し上げるつもりもありませんが、しかし、いろいろな意味で選択肢を、国民の皆さん、特に沖縄県民の皆様方の側に立って考えながら、一番よい結論をできるだけ早く出してまいりたい。その努力を今行っていると御理解を願いたい。

大島(理)委員 早くとおっしゃいましたが、もう一度聞きます。

 時期というのは、これはやはり大事だと思うんです。来年度の予算編成にもかかわりがあります。総理はかつて、来年の名護の選挙や知事選にも触れられました。

 そういうことも踏まえて、オバマ大統領が来日をされるという予定になっています。岡田外務大臣がワシントンへ行くだ行かないだというお話もニュースで流れています。早くと総理がおっしゃったその早くは、何を基準に、どの辺を目安にしてということぐらいはおっしゃるのが、総理としても、今、外交、安全保障、日米関係、沖縄県民の心、こういうことを考えたときに、それを明示するのがまさにあなたの責任じゃないでしょうか。

 一体、いつごろ、早くというのはどの辺を目安におっしゃっているんですか。

鳩山内閣総理大臣 私どもとすれば、当然のことながら、今日まで十三年かかったから、またさらに何年も引き延ばせばいい、そんなふうに無責任に思っているわけではない、そのことをまず申し上げたい。

 ただしかし、今調査をしている中で、いつまでに結論を出せなどというようなことを申し上げる段階でもないし、ましてまた、オバマ大統領が来るときまでに決めなければならないとは思っておりません。

 すなわち、オバマ大統領、さまざま内外の問題を抱えておられますが、私どもとすれば、アフガニスタンの問題に対して我々の考え方というものをしっかりと打ち出すということの方が、オバマ大統領と日本との間の関係というものを理解させていただくためには私はよろしいと思っています。

 したがって、私どもは、この問題をオバマ大統領が来るまでにどこにしましたなどというように焦ることによって、結果として最終的に、冗談じゃないと沖縄県民の気持ちを逆なでするようなことになってはならない、むしろそう思っています。

 名護の市長選挙あるいは沖縄の県知事の選挙があるということも申し上げました。これは、下地議員が先ほどもお話をされたように、もし決めたとして、この沖縄の知事の許可が得られないような話で事を強引に進めようとしたとしたら、これは、まさにせいては事をし損じる話になってしまう。そうなってはいけないので、だからこそ、ある程度の時間というものの必要性というものを私たちは考えながら、しかし、できるだけ早く結論を出すことは日米関係にとっても重要だね、その思いのもとで努力を申し上げているという状況であります。

大島(理)委員 今、総理は大変重要なことをおっしゃいました。アメリカ大統領の思いはアフガン支援の方が重要であって、沖縄のこの問題についてはその次のような御答弁をされました。私は、それはそれ、これはこれというふうな考え方ではなくて、今総理は、後で議事録をもう一度見ますけれども、それをリンクさせて、そちらがあるからそちらを判断すれば、この問題はある程度時間をかけてもいいようなニュアンスでもしここで聞かれたら大変なことになると私は思うんです。だから、外務大臣も、なぜこんなにワシントンへ行く、行くという報道がなされるんでしょうか。

 もう一度伺います。もう一度伺いますよ。

 総理、県外に移すんですか、県内に残すんですか。そして、あなたの言う早くというのはいつまでなんですか。(発言する者あり)そういうことを答えていないから同じことを聞くんです。明確にされた方がよろしいと思います。どうぞ、もう一度お答えください。

鳩山内閣総理大臣 私は、大島議員に私の思いを正直に、そして時期に関しても申し上げております。いつまでにということは、それは例えばあと一カ月とか二カ月ということは申し上げられないと。それは今調査している最中ではないか。さまざまな選択肢というものを考慮して、そして内閣として判断するにはやはりそれなりの時間がかかるし、沖縄県民の皆様方に、当然のことながら御理解をいただかなければならない。市長選挙もある、知事選挙もある、こういう中で、結論を早く出すことによって、本当にそのことで沖縄県民が理解して、そして、ああよかったねという発想になるのかどうか。私はそれは大変、むしろ危惧をしている話であります。

 アフガニスタンの話というものを申し上げたのは、私は、今オバマ大統領が国際的な状況の中で一番頭を悩ませておられるのはアフガンに対する問題だということを申し上げて、それに対する日本の役割というものをしっかりと訴えることは大変重要なメッセージだと思っておりますから、それをまずやらせていただきたい。重要性の問題で申し上げているわけではありません。

 時間的な問題の中で申し上げれば、まずアフガンの形をきちっと理解するということ、そしてその後、普天間の問題に対しても、日米と、そして沖縄の県民の皆さんのすべてがわかったと理解できるような形をつくり上げたい、そう申し上げているのであります。

大島(理)委員 よくわからないんです。

 これは、さまざまな報道、それから沖縄県民の今さまざまな苦しみ、日米の、基軸と言われながらも、それがある意味では私どもは大変不安になるような状況。総理がおっしゃるアジアの構想も、日米がしっかりして、その安全保障体制がしっかりすることによって東アジアの安全保障が与件として存在しているんですね。だから大事なんです。

 いつまでと言ってもはっきりできない。県内か、これもはっきりできない。八年につくった沖縄ビジョンにある、外に出す、つまり国外に出すこともまだ完全に捨てていない。皆さんがこのマニフェストをつくったときには、既にそういう議論があってこれをつくられたと思うんです。

 この問題については、またいずれ我が同僚から質問がありましょう。ただ、総理、これは本当に危機的な状況にあると私は思うんです。そろそろ御決断をされて、一生懸命努力されたらいいんです。我々も努力する、協力するところはしますよ。ぜひ、その危機的状況の状態だけはしっかり認識してほしい、このように思います。

 一つ伺います。アフガンのことをお話しされましたから。

 インド洋の補給艦は廃止するんですね。そして二度とやらないんですね。

鳩山内閣総理大臣 インド洋に対する補給活動、私どもは、前から申し上げておりますように、この臨時国会に法案を提出いたしません。

 したがいまして、これは、インド洋の補給活動というものは少なくとも単純延長することはない、そのような結論を出しました。

大島(理)委員 総理はいつも、単純延長はしないとおっしゃるんです。

 単純じゃない延長もあるんですか、そうすると。

鳩山内閣総理大臣 私は、この問題はアフガン支援全体のパッケージの中で考えるべきだ、そのように思っております。

 したがって、本会議場でも申し上げましたように、インド洋の補給活動単体でとらまえるのではないと。むしろ、本当にアフガニスタンの方々にとって望まれる支援は何なのかということを真剣に議論して、そして、まず、例えば農業支援あるいは元兵士に対する職業訓練、昔から、これは自民党旧政権のときからなさっておられたさまざまな、アフガニスタンの方々に喜ばれた、そんな支援もあります。

 そういった支援のパッケージをつくっていく、その中でインド洋の補給活動というものをとらえていけば、私どもとして、今日この臨時国会に法案を出す必要がない、すなわち、インド洋の補給活動というものは延長しないということにいたしたわけであります。

大島(理)委員 そうすると、アフガニスタン全体の貢献の結果として自衛隊の補給艦を派遣することもあり得るというふうにとりましたが、それでいいんですか。

鳩山内閣総理大臣 私は延長しないということを申し上げただけでありまして、その前後、どこにも何の意味もありません。

大島(理)委員 誤解されないように答弁された方がいいですよ。

 つまり、アフガニスタン全体の貢献のあり方を考えつつその問題に結論を出したいというのであれば、全体のアフガニスタンの貢献を考えて、結論として補給艦の使い方がある。つまり、北澤防衛大臣が構想としてお話ししたようなこともあり得るのか、ないのかということを聞いたので、もうこれ以上はつきません。

 要するに、いかなることがあっても、自衛隊の補給艦をアフガニスタン関係の中で使うことはないというふうに理解しました。

 時間がなくなりましたので、マニフェストで伺います。

 一丁目一番地、国の総予算二百七兆円を全面組み替えします、こうありますね、総理。全面組み替え、総理御自身がつくられたこの紙があります。まさにこれこそ政権公約、これが一番ですね。

 全面組み替え、このスタートは概算要求から出ました。しかし、概算要求の中身を見ますと、わずか削ったのが、私どもがつくった概算要求の二%なんです。つまり、私どもがつくった概算要求を二%ぐらいしか削らないで、皆さんのマニフェストを乗せただけなんですね。全面組み替えというのは、いわば白紙に戻して、そしてつくり直すということでしょう。「二百七兆円を全面組み替え。」、こう書いてありますね。その概算要求をするときに、既に前政権が概算要求したものをほとんど使いながら、その上に皆さんのマニフェストをちょんと乗せただけですね。

 これを全面組み替えというんですか、総理。

鳩山内閣総理大臣 私どもは、当然のことながら、マニフェストでうたっていることはこれから政権をとって毎年、四年間の間でやるべき仕事だと考えております。

 もう既に皆さん方が、旧政権が概算で要求を出されました。それを一〇〇%今回無視するわけにはまいらなかった、時間的な関係もありました。したがって、それを見ながら、見直しながら、しかしながら、私どもとしてやはり自分たちのマニフェストにうたった政策を一つ一つ丹念に入れるという作業も行わせていただく必要があったということで、今回の予算に関してはこのような体裁になったということであります。

 私どもとして、これからさらに年末にかけて、この一つ一つの事業に対して事業仕分けというものを行って徹底的に見直してまいりますから、まさにその心がその中に入るようにこれから仕組んでまいります。

 以上です。

大島(理)委員 総理、全面組み替えと。つまり、私どもが与党で皆さんが野党のときに、ペイ・アズ・ゴー、これで我々はやるんだということを発言した方もあったと思います。私はその精神だと思っていた。したがって、二百七兆円というのは、民主党のシーリングだと私は思っていたんです。シーリングですよ。

 今、マーケット、経済評論家、経済界、私どもも、一番疑問に思い、心配しているのは、まず、長期金利のじわじわした値上がり、それから需給ギャップ四十兆円、そして、先進国の株価は少し元気を取り戻してまいりましたが、依然として日本の株価は元気がない。これらは何を見ているかというと、一つは、鳩山政権に経済政策、マクロ政策がないということ、デフレという現状に対する認識がないということ、そして、そういうことの中で財政規律に対する明確なメッセージがないということなんです。したがいまして、私たちは、シーリングというものを設けながら、ぎりぎりの財政需要の中で予算を組んでまいりました。

 総理に伺います。この二百七兆円というのは、あくまでもこれが上限としてこれから鳩山政権の財政政策を行うということですか。だとすれば、それの赤字国債の出発点は三十三兆円だったはずです。当初予算がそうなんですから、私どもは。ですから、二百七兆円というのは、あくまでもこれから四年間、鳩山政権の全体としての上限ですか、シーリングですか。それとも、この二百七兆円はどんどんふえていくんですか。その基本的な考え方だけ総理に聞きたい。

菅国務大臣 経済財政担当大臣として、今の御質問にあらかじめお答えいたします。

 金利の上昇ということをいろいろ御心配のようでありますが、金利の上昇には二つ一般的に言われておりまして、景気がよくなることを見通しての上昇と、それから国債の発行がふえることによるマーケットの窮屈さを見通しての上昇。今の状況はまだどちらとも言えない。数カ月前の水準よりはまだ低い水準でありますので、ここは注意深く見ているところであります。

 そこで、大島議員の方から財政規律について言われましたけれども、これは国家戦略室の方で、この間、予算の編成のあり方という検討を行いまして、閣議決定を行っております。簡単に言えば、単年度の、つまりは来年度の予算については、これは、時間的な経緯もありますし、まさに足元の景気というものの動向も見なきゃいけませんので、それを配慮しながら、まさに単年度として決めていくけれども、二十三年度からは複数年度予算ということを想定して、三年間の展望の中で中期財政フレームというものをつくりまして、その中で中期的な財政規律をきちっとしていこうということを閣議で決定いたしております。

 また、今収支ギャップということを言われましたけれども、私が理解している麻生内閣の収支ギャップは、一次補正を含む百二兆円の予算を組まれたのは麻生内閣でありますし、それに対して四十六兆円の税収を見込まれましたが、実際には四十兆を切りそうな情勢でありますので、その差額がもしギャップという、これは収支のギャップですが、需給とは若干違いますけれども、この図面が私には理解できないのでそのことを言っているんですが、それを考えますと、六十兆ぐらいの収支ギャップが麻生内閣の予算においてはあったのではないか、これが私の認識です。

大島(理)委員 私は、もちろん、今までの事例をいろいろお話しするのが答弁としてはあっちゃいけないということを言っているわけではありません。ただ、これからどうするかということで政権をとったわけですね。今聞きたかったのは、皆さんがマニフェストで書いている二百七兆でしたか、二百七兆というものが皆さんのシーリングですねということを確かめたくて総理に聞いたんです。これは後でまた聞くでしょう。

 そこで、私の時間がありませんので、二点、他の問題に移って終わりたいと思います。

 まず第一点、これもマニフェストです。天下りで簡潔に伺います。

 大蔵省の次官を経験した人が、研究情報基金理事長、そして国際金融情報センター顧問、そして東京金融先物取引所理事長、その後、東京金融取引所代表取締役社長、これはわたりあるいは天下りでないのかどうか、このことを簡明に、このマニフェストで書いていることとどこが違うのかも含めて、簡単に総理の御意見を聞きたい。

鳩山内閣総理大臣 私は、今お尋ねがありましたけれども、最終的に、齋藤社長のことを申されているのではないかと思っておりますが、齋藤社長が途中から民間の企業に入られ、そして、その民間の企業から今回日本郵政株式会社の社長になったということ自体をとらえれば、ここは、私ども、天下りのあっせんをしたという認識ではありません。

大島(理)委員 昨年あるいはことしの、総理が幹事長時代に、さまざまな同意人事で、私は国対委員長で総理とも交渉した覚えがあります。それらを、菅さんの言うように、昔はこうだったああだったと言ったら、それは私は言うべきじゃないと思っている。

 ただ、マニフェストで明確に、天下りはいけません、やりません、そして、わたりもだめですと言ってきたものが、今の齋藤さんの案件だけはその対象外だということは、早くもマニフェストが崩れたものと私どもは思っております。

 最後の質問をいたします。これはまた後ほど質問するでしょう。

 総理の資金問題でございます。

 これは、総理、総理自身のスキャンダルだとかそういう問題ではなくて、根底的に三つの基本的な問題があるんです。第一に、それは個人献金の信頼の損壊、政治資金の公開制度の否定、そして税金の問題があるんです。

 ですから、総理は、あの六月の記者会見で、私のような人間だから必ず説明します、こう言われました。なぜ今まで説明しないんですか。私は、いま一度、総理のためにも、いいですか、友愛を掲げ、信頼が大事だと言った総理のためにも、国会で説明した方がいい。

 そして、委員長にお願いしたいんですが、その場をきちっと設けられたらいいと思うんです。これは何も、総理のためです。説明する、あなたにそういうふうな思いはありますか、ありませんか。

 それから、第二点。小沢今の幹事長の秘書さんが逮捕されたとき、国策捜査という言葉を吐かれました。この国策捜査という認識は、あの小沢幹事長の秘書さんが逮捕されたときの認識は今も持っていますか。そして、総理自身の捜査も国策捜査だと思いますか。

 以上、お伺いします。

鳩山内閣総理大臣 まず、後半の二つを申し上げておきます。

 私は、小沢幹事長のあの西松問題が出たときに、国策捜査だという批判をいたしました。私は、その直後、やはりその言葉自身の重みに対して反省をいたしたところでございます。私は、その意味において、検察がそれなりの思いで判断をしたことだ、そのように感じておりますし、また私自身のことに関しても、そのような国策捜査だという認識はありません。

 また、私自身の政治資金のこの収支報告が偽装であったということに関しては、今お尋ねがありましたように、こういった透明性の問題、また、せっかく個人献金を重視する方向に変えるべきだと我々が主張していたことに対して大変泥を塗ったようなことを起こしてしまったことを、特に国民の皆様方に申しわけない、心からおわびを申し上げたいと思います。

 そして、私は、六月三十日に、そのときに知り得る限りのことを国民の皆様方に向かって記者会見の場でお話を申し上げました。できる限り丁寧に、私なりに知っているすべてを説明してまいったつもりでございます。

 そして、その後、いろいろと動きがある中で、御案内のとおり、選挙になり、また東京地検が動いているという状況の中で、私自身もその立場の中に入る人間として、これは捜査に影響のある話はなかなか私自身の思いを申すこともできない状況になっているな、そのように感じているところでございます。

 委員会のことに関しては委員会にすべておゆだねをさせていただきたいと思いますが、私の思いは以上であります。

大島(理)委員 今、総理が、御自身の説明する場を委員会にゆだねたい、こう言っておりますから、委員長におかれては、理事の皆様方と御相談していただいて、ぜひ、そういう集中審議でも結構です、あるいは参考人でも結構だと思います、総理の御説明の場をつくっていただくようお取り計らいいただきたいと思いますが、どうでしょうか。

鹿野委員長 後刻、理事会で協議をいたします。

大島(理)委員 友愛政治というのは、まず、他人を尊重することだと思います。そして、鳩山一郎先生がおっしゃったように、自分を修め、そのことが国家、国を治めることだ、こう言っておられます。どうぞ、今日までの、一カ月とちょっとでございますが、まだまだ私自身、聞き及びたいことがございました。

 いずれにしても、私ども自由民主党は、立法府の最高機関であるこの国会の場で、ぜひ、税制、福祉、そういうあり方の協議会をつくる、そして、党派を、中で議論しながら、国民のためにいい方向性をつくる。外交においても、もし必要であれば、私どもも協力することがあれば大いに協力します。国会という場こそ、政治責任を果たす場なんです、立法府ですから。そういう姿勢で政治運営をしていただきたい。

 あとの質問は同僚がまたさらにいたしますので、以上をもって私の質問を終わります。ありがとうございました。

鹿野委員長 この際、町村信孝君から関連質疑の申し出があります。大島君の持ち時間の範囲内でこれを許します。町村君。

町村委員 自由民主党の町村でございます。

 きょうは、予算委員会の、大島幹事長の後にこういう機会をいただきまして、大変光栄に存じております。

 また、鳩山総理には、同じ北海道出身として、初めて北海道の生んだ総理大臣でございますから、御就任を心からお祝い申し上げたいと思っております。

 また、きょうは、外交、安全保障の関係を中心に私から伺わせていただきたい、こう思っております。

 実はこれはもう既に決定して、こうやって動いているのでありますが、総理は本会議の御答弁等々でも、大いにこの議会で議論をしようじゃありませんかという呼びかけをされました。まことにそのとおりだと思います。今も、大島幹事長からもそういうお話でした。

 しかし、現実には、当初、民主党の理事さんたちは審議一日でいいと言ったんです。これだけ大きな変化が起きた、政権交代があったのに、予算委員会一日でいいと。この主張は、多分鳩山総理の思いが理事の皆さん方に伝わっていなかったんだろうな、こう思いまして、大変残念な思いがいたしました。

 私どもは、少なくとも三日、四日、五日、こう言って、結果、三日間行われることになりましたけれども、今後の予算委員会のこともありますので、こういう主張をしておられるという実態はまことに議会のあり方として問題があった、こう思っております。別に答弁しなくてもいいです、これは議会で決めていることですから。

 それからもう一つ、鳩山総理の友愛の精神にもとる行為、行動が、閣僚の皆さんあるいは民主党の皆さん方から随分最近見られるんですね。

 例えば、自民党から推された、あるいは自公で推された知事さん、市町村長さんたちが行くと、なかなか会わせない。党を通せ、党を通さなければ絶対会わせないぞとか、すさまじいいじめをやっているんですよ。これが私は、友愛の党、民主党のやることかと。大変その点は、自公政権というのはまことにフェアでオープンで、そんな意地悪は絶対にしなかった。すごいですよ。こういうことがないように、ひとつリーダーシップを発揮していただきたいと思っております。

 国民の鳩山政権に対する期待の大きさ、大変大きいと思います。しかし同時に、不安もまた相当大きいものがあります。鳩山不況という言葉が最近どんどん活字で躍るようになってまいりました。鳩山不況、ぜひそういうことがないように、後ほど加藤紘一理事初め皆さんが経済問題をお聞きしますけれども、鳩山不況という言葉が現実にならないように心がけていただきたい。

 もう一つ、外交面でいいますと、非常に国民が、本当にこれでいいのかな、こう思い始めていることがあるんですよ。

 対外関係、大変立派な理念を述べられる、それはいいと思います。しかし、外交というのは、釈迦に説法でありますけれども、激しい、国益と国益がぶつかり合う場なんです。悪いけれども、鳩山総理のそのソフトな、ソフトクリームのように溶けてしまわないような、ぜひしっかりとした国益を踏まえた戦略を持ち、やってもらわないと、例えば、あの環境はあたかもすばらしいような御提言だったでしょう。しかし、現実はどうですか。これも再度同僚議員が伺いますけれども、結局、日本ひとりで単騎出撃になっちゃったじゃありませんか。合意できそうもないということがはっきりしてきたじゃないですか。これは、悪いけれども、鳩山総理と岡田外相と副大臣、このお三方で国連演説をつくってしまった弊害というのが現に出始めているな、私はそう思います。

 そして、日米関係。日米関係は大変な状態になりかかりつつあると、私は本当に心配しているんです。普天間の問題しかり、あるいはインド洋の補給もやめてしまう、日米関係の総合的なレビューをやる。そして、東アジア共同体、岡田外務大臣はアメリカを外すとまで言った。こういう形で日米関係にいろいろと不協和音を、鳩山さんみずからが、あるいは鳩山内閣みずからがつくっているんです。

 日米基軸だと盛んにおっしゃいますけれども、日米同盟の最も根幹的な基軸は安全保障条約である、こう私は考えておりますけれども、どうお考えでしょうか。

鳩山内閣総理大臣 町村議員の方から、北海道最初の総理だから頑張れと御支援をいただいて、ありがたく思います。

 また、首長さん方が上京されてもなかなか会えない、もしそういう環境がありましたら、そのような状況がないように極力努力をいたしますし、私どもとすれば、そんな思いは一切持っておりません。もとより国民の皆さんの意思というものが一番大事だ、国民あってのまさに日本の政治の夜明けをつくらなきゃならない、そう思っておりまして、官主導から国民主導の政権をつくり上げていく、その過程でありますだけに、今お話があったような御懸念がないように、最善の努力を申し上げてまいりたいと思います。

 町村議員の方から、外交の基軸は日米同盟にありと、まさに私もそのように思っておりますし、その日米同盟の中でも一番重要なことは安全保障だ、まさにそのとおりだと思っております。

 以上でよろしいでしょうか。

町村委員 安保条約の重要性というものをしっかりと御認識いただいている。そして、実際には、中国の軍拡、核の話とか、北朝鮮の核の話とか、あるいはロシアの再軍拡とか、日本の状況を取り巻く安全保障環境は一段と厳しくなっているということをまず踏まえた上で、しかし、日本はそんなに大軍事国家にはなりませんよというのは国民のコンセンサスですから、そういう意味で日米安保は重要です。

 それからもう一つ、アジアの発展と繁栄にとっても、この日米安保、日米関係がいいということは、これは非常に重要なんですね。私の親友のシンガポールの外務大臣ジョージ・ヨーさんと話をすると、日米関係がいいということがこのアジアの繁栄にとって不可欠であるという認識をいつも彼は言います。私もそのとおりだと思うんです。日本の安全にとって、またアジアの繁栄にとって、良好な日米関係、そして日米安全保障条約というものが円滑に運用されているということが大切である、これも御同意いただけますでしょうか。

鳩山内閣総理大臣 まさにそのとおりでございまして、私は、町村議員がおっしゃるように、日米同盟と、私が友愛の思いの中で長期的なビジョンとして掲げております東アジア共同体という構想は決して矛盾するものではない。だからこそ、アメリカの皆様方に東アジアの共同体構想が懸念を持って迎えられるということはあり得ないことだと思っています。

 日米同盟というものがあればこそ、すなわち日米の安全保障という状況がしっかりとしていればいるほど東アジアの、アジアの国々にとっては平和というものが保障される、そのことの意味というものは非常に大きいと思っておりますので、私としては、だからこそ日米安保、日米同盟の重要性というものをまず申し上げながら、私の友愛外交のある意味での趣旨であります東アジア共同体構想を申し上げているところでございます。

町村委員 大変立派な御答弁をいただいてありがとうございます。

 もう一つ、普天間の話に入る前に、日米関係を、対等という言葉を総理は盛んに使われます。対等な日米関係、もとよりそうあるべきだと思っております。日米間は、確かに占領下には、それは占領されているということで、対等ではなかった。その後、先人がさまざまな努力をして、今やまさに日米は対等な関係であると私は思っているんですが、ここで改めて総理が対等な日米関係とおっしゃるのは、では、逆にどの部分が対等、平等でないということをおっしゃるのでありましょうか。

 日米は、対等でお互いに言いたいことを言う、そういう関係が既にでき上がっております。あるいは、対等のまた別の表現で、これをアメリカの大統領に向かって言うのならともかく、中国、韓国の首脳に向かって、日本はアメリカに依存し過ぎていたと。こういう表現を、アメリカの大統領に直接言うのならいいですよ、これを中国や韓国の首脳に向かって総理が言うということは、それを聞いたアメリカはどう思うでしょうか。中国にしてみれば、よしよし、これで日米離反が起きてこっちに向かってきていいな、いや、すばらしいアイデアだときっと褒めるでしょう。

 しかし、その言葉の持つ危険性、一体どこが対等でなく、どこがアメリカ依存であったか、具体的に例を挙げておっしゃってください。

鳩山内閣総理大臣 私は、今、町村議員と若干考え方が違うものは、アメリカと中国もそんな、離反すればそれを喜ぶような関係ではなくて、日米中が、もっとよりお互いの信頼関係の中で、お互いに三者ともウイン・ウイン・ウインになる関係をどうやってつくるかという方向に大きく動いているところだと思っております。

 そこで申し上げたいのは、私は別に中国のところだけで申し上げているわけではなくて、国内でもいろいろなところで、日本の外交が今まで対米追従になっていたのではないか、従属的になっていたのではないかということを申し上げてまいりました。それから、対等のパートナーになろうではないかということも申し上げてまいりました。対等のパートナーというのは、お互いに問題が起きたときに、まずはアメリカさんどうですかという話ではなくて、日本としての思いというものを、たとえアメリカと違っていてもしっかりと訴えていく、そしてその中で結論というものを見出していけるような関係になりたい。

 イラクに対する自衛隊の派遣の問題もそうです。例えば、ブーツ・オン・ザ・グラウンドだと言われれば、イラクに自衛隊を派遣する。私は、イラクに対して戦争を始めること自体が誤っていた、今はもうそれが世界の常識になっておりますけれども、民主党としてはそのことを最初から申し上げて、なぜそのことをアメリカにもっと強く言わないんだ、戦争はやってはいかぬのだというようなことも申し上げてきたつもりでありますが、そのようなことにならずに、イラクに対して自衛隊の派遣をした。また、ショー・ザ・フラッグだと言われれば、アフガニスタンに補給艦の支援ということで行っていった。

 こういう、何か、アメリカから強く言われると、その方向に向けて日本の外交姿勢というものが大きく変わらざるを得なかった、このことがやはり対米追従ではないかと思っておるものですから、そう申し上げております。

町村委員 もう少しいろいろな事実をよく、それこそお好きな言葉で、検証をしていただきたい。

 私たちは、湾岸戦争以来、あそこで百億ドル以上、一兆円以上出した。税金まで集めて一兆円以上出した。しかし、評価ゼロ。これではいけないということで、私たちは、やはり具体的に何ができるかということをさまざまこの国会の中でも、まだ皆さん方が当選する前、PKO法をつくり、そしてカンボジアに警察も出し、自衛隊も出し、東ティモールへも出し、さまざまな努力をやって、やはり国際社会の責任ある一員として、普通の国がやるようなことはみんなやろうじゃないかという判断の中から、イラクあり、インド洋の給油をやってきたんです。いいですか。

 もちろんそれは、国際社会の一員としてアメリカからのお話もありました。しかし、主としてこれは国際連合の中でそういう話が出てきているんです。それに応じて我々はみずからの判断で決めたので、今の鳩山総理の答弁を聞いていると、日本は全部アメリカの言うことだけ聞いてきた、これはまことに間違った認識であるということで、よく検証をしていただきたいし、今までの私どもの努力というもの、あるいは長い長い先人たちの努力というものを全く理解をしておられないなということが実はよくわかったわけでございます。

 そして、本当に対等な関係と言いたいのであれば、今詳しくはやりませんけれども、お手元の配付資料七というのがありまして、実はことしの八月に、勝俣委員長のもとで、「安全保障と防衛力に関する懇談会」報告書というのがあります。特に重要な部分は黒いアンダーラインを、これは私の判断で引かせていただきましたけれども、非常に重要な指摘があるんですね。

 集団的自衛権の解釈を変えるか、あるいは、アメリカに向けたミサイルを日本の方で撃墜したり、あるいは、共同行動をしているアメリカの艦隊を守ったり、武器輸出三原則の緩和をしたり、敵基地攻撃能力を保持できるようにしたり、PKO参加五原則を緩和したりなどなどの提言が出ておりますから、よく鳩山総理、これを勉強してください。

 私は、岡田さんがPKOのお話をしておられる、一つの見識だと私も思って評価をしておりますけれども、こういうことをみずからしっかり、対等性を維持しようと思って、本当に対等だという意識でやるのならば、例えばこういうようなものを参考にしながら新しい政策を積極的にやっていくことによって初めて……。アメリカに何でもかんでも甘えてアメリカに負担を、アメリカから見ると非常に対等でないと思っているんですよ。我々はここまで大変な負担をし、場合によったら日本を守るためにアメリカ人の青年の血まで流す、そういう約束をしていながら、日本は、何とか負担をしないようにしよう、負担をしないようにしようとしている。この姿勢に対して非常にアメリカが不満を持っているんだということは、ぜひ皆さん方にも認識をしていただきたい。

 そこで、この答弁を求めていると時間がいたずらに過ぎますから、普天間の話に移ります。

 先ほど、大島幹事長からもかなり突っ込んだ御意見がありましたけれども、この中で、ちょっとパネルの二というのを見ていただけますでしょうか。

 これは普天間移設問題にかかわる経緯を書いてあります。先ほど、このある部分だけをとらえて下地委員が言っておられましたけれども、少なくとも、鳩山総理、この資料をごらんいただければ、十三年間時間を浪費したとか、十三年全く何も動いていなかったとか、あるいは、十年以上結論を出さなかったのはどの政権か、このような発言を総理は衆参の本会議でしておられますが、その御発言が、まことに挑発的ではあったけれども事実と反するということがおわかりをいただけるかと思います。

 現に、現在も、今着々とV字形の案で環境アセスメントが進んでおり、十月には環境影響評価準備書に対する沖縄県知事の意見書が出されているんです。ここまで今進んできているんですよ。その歴史を今全部話すと大変長くなります。

 しかし、私どもは、常に知事さんとか地元の市長さんとしっかりと議論をし、対話をし、時としてそれは日米が先行したところはあります。しかし、途中で海上での妨害活動があったりなどなどいろいろなこともあるんですが、少なくとも私どもは、例えば、失礼ですけれども、前原国交大臣のように、政権がかわったんだから八ツ場ダムはばあっとやめてしまう、こんな、公共事業といった極めてローカルな問題でさえ、私たちはそんな切り捨て方はしてこなかったんです。きちんきちんと議論を踏まえてやってきた。

 まして、国防、安全保障という問題は、これは沖縄の問題であると同時に、日本全国の問題であり、日米の問題であり、場合によっては全世界の問題なんです。ですから、この問題の判断を沖縄だけにゆだねるわけにはいかない。日本全体で判断をしなければいけない。そういう意味で、いろいろなことをやり、私もこの間、平成十七年、十八年にかけて外務大臣という職にありまして、また、平成十九年、二十年にかけては官房長官という立場で、沖縄の皆さん方といろいろな場面で話し合いをしてきたんです。

 私どもは、一方的にこれが結論ですというようなことをやってこなかったから、ある意味ではこれだけの時間がかかったんです。何とか地元の合意を得たい。そして、今ようやく、V字形ということで、2プラス2、当時は額賀防衛大臣とアメリカの国防長官との間でこれがまとまって、そして今、粛々と手順が踏まれているんですよ。

 こういう実態を踏まえた上で、なおかつ総理は、無駄な十三年、時間を浪費したとか、あるいは十年以上結論を出さなかったのはどの政党だと、また同じことをおっしゃいますか。私は、撤回をされた方がいいのではないかと思いますから、あえて申し上げておきます。(発言する者あり)事実は、ここに表にして書いてあるとおりであります。

鳩山内閣総理大臣 今、町村議員からのこのペーパーを拝見させていただいて、私も、平成八年、橋本総理とモンデール大使の会談の中で、普天間飛行場の全面返還を表明されたこの日のことをよく覚えております。大変な、すばらしい、画期的なことが起きたなと、その当時、心から喜んだものでもございましたし、その先の道のりを考えたときにも、ある意味での気が遠くなる思いもいたしたところでもございます。

 ただ、現実に、それから十三年の月日がたっていったことも事実であります。私は、だから、この後、時間を幾らかけてもいいではないかなどという論理に陥りたくはないと申し上げておりますし、日米の合意がなされたことも、当然のことながら、旧政権がなされたことではあれ、そのことを無視して結論を出すつもりもないということでございまして、ただ、十三年の月日が流れたことは事実であり、その間の普天間周辺の皆様方、また沖縄の県民の皆様方のお気持ちを察すれば余りあるものがある、そのように考えております。

町村委員 したがって、さまざまな方がいろいろなレベルで努力をしているんです。汗を流しているんです。それを全部、あなたは浪費という言葉で決めつけるんですか。

鳩山内閣総理大臣 それでは、私は、十三年の月日が経過をしたというふうに申し上げておきます。

町村委員 鳩山さんが余り挑発的な言辞を言わない方がいいと思いますよ、あなたには余り向かないと私は思いますから。

 パネルの四というのをごらんいただけますでしょうか。これは国民の皆さんにちょっと知っていただきたいので。こういうパッケージで普天間の問題が位置づけられているということなんです。もう釈迦に説法ですから、閣僚の皆さん方にはあえて詳しい説明はいたしません。要するに、地元負担という言葉が先ほど来から出ております、それも一つの目的ですが、地元負担の軽減と同時に、やはり抑止力の維持ということは日本の安全保障にとって重要なことなんですね。この観点もまたあるわけであります。

 そして、この再編案というのはパッケージなんです、ここに書いてありますように。パッケージで成り立っている。一つだけ、単体では成り立たない、そういう関係になっております。そして、これは日米双方にかかわることですから、費用は双方が負担をする。ここに書いてありますが、まず普天間をキャンプ・シュワブ沖合に移設をする。それに伴って、グアムの海兵隊移転、これをやります。そして、嘉手納以南の基地を返還いたします。二番目、三番目というのは、まさに沖縄県民の負担をこれによって軽減をしようということになるわけです。

 さらに、普天間飛行場から訓練の移転もやります。この真ん中に書いてありますBという部分ですね。これを築城であるとか小松、三沢、千歳等々に訓練移転を現に始めておりますし、また、在日米軍再編の中で、これは本土の中での話でありますけれども、空母艦載機の厚木から岩国への移転、あるいは横田の空域の一部を返してもらって日本の管制の自由度を増す、こういう姿になっているわけでありまして、こういう形でワンパッケージの姿になっているということを国民の皆さんにも知っていただきたいわけでございます。

 そして、ちょっとパネルの一というのをごらんいただけますでしょうか。本件にかかわるいろいろな主張あるいはいろいろな方々の発言というものがこの中に載っております。

 たまたま、いろいろな議事録を見ておりましたら、大変立派な議事録がありまして、これは、北澤俊美参議院議員、対橋本総理代表質問なんですね。平成十年二月二十日であります。

 ポイントだけ読み上げますと、「沖縄の地政学的な特性や米軍の抑止力維持など安全保障の観点を考慮することは無論のことであります。普天間返還などを盛り込み、基地の段階的な整理、縮小を目指すSACOの最終報告は、その意味では極めて現実的なプランであります。SACOの最終報告は、橋本総理、クリントン大統領も関与した日米間の合意であり、実現がおくれれば米国に不信感が生じ、日米関係に影を落とし、日米安保の土台が揺らぐ可能性があります。」「日米安保の土台が揺らぐ可能性があります。」と、北澤先生らしい立派な御見識であります。

 今でもこういうお考えであるというふうに理解をしてよろしゅうございましょうか。

北澤国務大臣 町村議員にお答えいたします。

 私も改めて今読んでいただきましてびっくりいたしましたが、この当時は、橋本総理、それからまたちょっと今思い出しながら言っていますが、私が学生時代に沖縄へ初めてパスポートを持って行ったときのことを今思い出しているんです。当時、小渕総理も学生時代に頻繁に沖縄へ行かれて沖縄に対する思いを非常に強くして、大変に意気投合したことを今思い出しておるわけでありまして、私はこのとき大田知事に羽田孜先生と一緒にお行き合いしに行って会談もさせていただきました。

 その当時、大田知事からはなかなか厳しいお話もありましたけれども、沖縄の基地が減少する、返還される、そして危険性が除去される、そういう大きな観点で申し上げたことを今思い出しておる次第でありまして、個々の処理について、今と同じか、こういうふうに言われますと、なかなか複雑なところがあるというふうに申し上げたいと思います。

町村委員 何かよくわからないお話でありましたけれども。

 先ほども、大島幹事長が、県外、国外、これは鳩山総理は国外という話までしておられますね、五年前ですけれども。つい三、四カ月前、選挙の前でしょうか、岡田外務大臣も鳩山首相も県外ということを言っておられますね。どこですか。室蘭ですか。四日市ですか。さっき関空という、あれは普天間ではない、F15の話でしたけれども。

 ここまで何度も何度も県外とおっしゃる。しかも、二〇〇八年、民主党・沖縄ビジョンには、県外移転、こう書いてありますね。何のイメージもなしに、何の具体的なイメージもなしにこれだけ何度も県外とおっしゃいますか。どうですか、総理。

鳩山内閣総理大臣 私は五年前、グアムへの、あるいはグアムやハワイ等への移設の問題というものがクローズアップされた時期がございました。その折、海外が最も望ましいという話も申し上げたと思います。そして、現実に、これはすべてではありませんが、グアムへの移設という方向になってきたのも御案内のとおりでございます。

 国内に関して、沖縄の県民の今日までの大変な苦しみに思いをいたせば、当然、またこの移設先も沖縄県内かという思いは、これはなかなか持ち得ない話だ、そのように感じておりまして、沖縄の県民の皆様方の思いを察すれば、やはりこれは国のどこかで負担をするべきではないかと。先ほど町村委員の図が載っておりましたが、その中で、さまざまに部分的な分担で地域の方々に御負担をお願いしているということも現実の姿になってきているところでございます。

 これは、当然のことながら、全く何も描いていないで、ただ国内、県外ということを申し上げているつもりではありません。しかしながら、このことを表に出せば、当然、それなりの大きな影響力もあるということでありまして、いろいろな選択肢の中で、当然沖縄の県内も県外もある、その選択肢を幅広く考えていきながら、結論をできるだけ、余り時間をかけずに、しかしながら調査を進めるために時間も必要だということの中で今いろいろと検討している、そういう状況でございます。

町村委員 多分、岡田さんに聞いても同じ答弁なんだろうから、同じことは聞きません。

 しかし、もし県外ということで本当にお考えの場所が、僕は多分ないで言っておられるのだろうとあえて思わざるを得ないのでありますけれども、もしあるのならば、それは大変すばらしいお考えだと私も思います。なぜならば、沖縄の皆さんの御負担は確かに大きいからです。しかし、残念ながら、さっき北澤先生の代表質問にもあった、地政学的観点等々から見て、やはり沖縄というのは欠かすことができない場所だというのも、これもまた事実なんですね、日本の抑止力ということを考えたときに。

 そこで、私どもは、沖縄の皆さん方の負担をできるだけ、どうやったら解消できるかということで、先ほど図に示したようなさまざまな訓練移転あるいはグアムに移転をする等々の対策を、私は外務大臣として、ライス国務長官、ラムズフェルド国防長官とこういう議論に到達をしたということだけは申し上げておかなければいけないと思います。

 そして、私はひどいと思いますよ、本件について、ぶれが。総理のぶれもすごいですね。それは新聞の報道だから、いや、そのニュアンスが違うといえばそれまでですけれどもね。日米合意を容認するようなことを十月七日に示唆したり、翌日、そんなことは一言も言っていない、十六日は、名護と沖縄の選挙、その中間ぐらいかと言うと、今度は二十三日に、名護市長選挙の後と言ったつもりはないとか。

 私は、やはりこういう一言一言が、総理、まことに軽いんですよ。もう少ししっかりと物を考えてから言っていただかないと。これによって沖縄の方々がどれだけ不安に陥り、心配になり、そして日米関係に大きな影響を与えるということを、あなたはもう少し考えないといかぬと私は思いますよ。

 そして、もっと驚くべきは、北澤大臣が、さっきの絵で示したように、確かに国内に訓練も移転し海外に海兵隊も行く、これは公約、マニフェストとまあまあ合っているんじゃないのという解釈をされた。なるほど、こういう解釈もあるなと思ってびっくりしましたが、たちどころに岡田外務大臣と総理がそれを否定する。

 そして、とうとう、とどのつまりは、一番下に書いてありますけれども、十月二十八日衆議院本会議、政治主導だから各閣僚が考えを開陳することは構わない、これは政治主導だから構わない。私は、これにはもうあいた口がふさがりませんでしたね。政治主導だから閣内一致はないんだ、なくてもいいんだと。プロセスにおいて、幾ら何を言ってもいいと。

 一昔前なら、こんなのはもう即内閣総辞職ものですよ。(発言する者あり)いやいや、私は、このばらばらが、今は支持率が高いから何となく許されているような雰囲気になっているけれども、これによって、さっき言った沖縄にしろアメリカにしろ国内にしろ、この各閣僚の思いつき、ばらばらな意見がどれだけ悪影響を与えているか。そして、それは本来、官房長官なり総理大臣なりがしっかりと集約しなきゃいけないんです。それを何にもやらないでおいて、このようにばらばらした意見を言わせている。

 閣内一致ということを、総理、考えたことはありませんか。(発言する者あり)いやいや、総理に聞いているんです、閣内一致の話は。

鳩山内閣総理大臣 私の後で、ぜひ岡田外務大臣にも答弁をお願いしたいと思います。

 私は、最終的に結論を出して、その結論に従って閣内は当然統一して行動する、それまでに、今調査をしている段階で、選択肢がいろいろある、そしてそれなりに時間もやはりかかる、そのことを申し上げているわけでありまして、私は決して、自分自身の言葉にも大きなぶれがあると必ずしも思ってはおりません。

 ただ、閣内で確かにいろいろな意見が出ていることで、国民、特に沖縄の県民の皆様方に動揺が走り過ぎてはいかぬ、そのようにも確かに思うところでございまして、これからぜひ、いろいろと調査をしてまいる段階で、大きな選択肢の結論を出すまで、余り国民の皆様方に向かってその選択肢の一つ一つを申し上げることはいたさない方がよろしいかと思っておりますが、国民の皆さん方との間で意見交換をしていく、できるだけオープンな姿でこの政策の意思決定をしたいという思いも持っておるものですから、その思いが時々、国民の皆様方にもし御不安をお与えしておるとすれば、注意をしてまいりたいと思います。

 言いたいことは、合意のプロセスを今つくり出していく段階だということであります。合意を得られたときに、当然一つにまとめて行動してまいること、閣内の不一致ではありません。御理解ください。(発言する者あり)

町村委員 岡田さん、ちょっと黙ってください。私はあなたに聞いていないんだから。

 総理、今、御自分でもお認めになったように、閣僚の発言というのはもっと重いんです。まして総理の発言は重いんです。それによってみんながどれだけのことを考えるのか。名護市の市民、沖縄県民、また、訓練を移転しているいろいろな先の人たち含めて。いやいや、結論が出る途中は閣僚は何を言ってもいいんだというのは、それはだめですよ。

 だって、北澤大臣は結局、日米合意でいい、ほとんどそう言っておられる。岡田さんは、嘉手納統合が私の案というか、大臣に私の案というのはないと思うんですが、私案だと言っている。こういうばらばらした姿というのは日米関係にも悪い影響を与えているんだということを認識してください。閣内の中で仲よく議論している分には、それはいいです。しかし、そのプロセスが幾ら公開だ、透明だからといって、対外関係を悪くしてまでそういうことをやることがいいという議論には絶対にならないんだということは十二分に御注意をいただきたいと思います。

 その上で、せっかく手を挙げて御希望しておられるようですから、嘉手納統合案について岡田大臣にお伺いをいたします。

 十一月の七日土曜日に、嘉手納統合に関しての町民大会が開かれる予定になっております。そして十一月八日の日曜日には県外移設を求める県民大会が開かれる、こういうことになっているようでございます。

 嘉手納の案はSACOのときも確かに議論になり、私どもも2プラス2のときに議論をいたしました。その資料は外務省にも防衛省にもあるだろうし、それは岡田さんはもう検証、検証と言われて随分長いと思いますけれども、もう検証されて、十分検証されておられるんじゃないでしょうか。

 その上で、嘉手納の宮城町長にしろ、北谷の町長にしろ、東門沖縄市長にしろ、みんな反対だと言っているんですよ。少なくとも名護の市長は、いろいろ条件はつくけれども受け入れ可能であると言っているんです。どうしてそんなに、地元が絶対反対だと、多分福島大臣も同じお考えなんだろうけれども、絶対反対だと言っているところをあえて対象にしますか。

 アメリカ軍は、ジェットとヘリが同じ飛行場、近くの飛行場にいるのは運用上危険だということもあるでしょう。確かに、新しい飛行場をつくるよりは安い。しかしこれは、安い方がそれはいいに決まっていますけれども、そんなにコストの問題を表から言ったらば、それこそ沖縄県民の感情を害するじゃありませんか。

 何ゆえに岡田外務大臣がそんなに嘉手納統合案に執着されるのか、理由を教えてください。

岡田国務大臣 まず、今の御質問にお答えする前に……(町村委員「前はもういい」と呼ぶ)いやいや、先ほどおっしゃったこの最初の表ですけれども、私の外務省における記者会見はすべて公開されておりまして、アクセス可能ですから、しっかりそれを見ていただきたいと思います。自分の都合のいいところだけつまみ出して書かれるというのは、私は非常に不本意であります。

 例えば、私が申し上げておりますのは、今検証中である、なぜ今の案になったのかを検証している、その検証している中で、嘉手納統合というのは有力な案として、何度も何度も、これは日本政府も含めて、取り上げてきたわけです。ですから、それがどういう理由でだめになったのかということをきちんと私なりに納得したい。そのことが一つ。

 そしてもう一つは、今、安いとおっしゃったが、安いのは確かに、今でも三千五百億、あるいはそれ以上に費用のかかる現在の案と比べれば、安くつくことは間違いないでしょう。しかし、それ以上に、早いということが私にとっては大きな魅力であります。

 つまり、このまま現在の普天間の危機的状況を放置しておくわけにはいかない。現在のプランも、順調にいけばそれは四、五年でできるかもしれません。しかし、場合によっては、それが順調にいかない可能性もある。そういう意味では、嘉手納統合というのは早い、そういうメリットもあります。したがって、それはどういう理由でだめだったのかということをしっかり検証する必要がある。そういう意味で私は申し上げているわけでございます。

 政府の案ではない、途中の案だ、そしてそれは外務大臣としての私の案だということは必ず断っております。

町村委員 それは、私の案でも何でもいいんですけれども、個人というのはありませんからね、あなたは外務大臣なんですから。

 そして、もっと難しいのは、何といってもやはり、今あなたの言われた理由はそれでいいですよ、しかし、これだけ嘉手納及びその周辺が絶対反対だと言っていることを、あなたは無視して、いや、早く進むとかコストが安いとか言うのは、何を重要と考えるのかということなんじゃないかと私は思うんですね。あの周辺に二十万人以上の住民がいるんです。そして、国は騒音訴訟でずっと負けているんですよ。しかも、ジェットよりはヘリの方がはるかにうるさい、騒音という面からすると。そうでしょう、低いところを走るんですから。ジェットは、それはある一瞬ビュッと音はするけれども、時間は短いし高いところだ。

 そういう意味で、嘉手納統合案というのは、いろいろ検討をしたけれども、しかし今までついえてきたというのは、そういうことがあるので。

 しかし、それにしても、岡田外務大臣、二カ月たって、いつ検証を始められたかわからない、これだけの重要な問題だから着任早々検証を始められたんだろうけれども、もうそろそろ、どうですか、結論が出るんじゃないでしょうか。もう、あなたの明敏なる頭脳をもってすれば、二カ月も勉強をすれば大体答えが出るんじゃないでしょうか。一体何をさらに一生懸命考えておられるんですか。僕には理解できないんです。何をそんなに考えているんですか。

岡田国務大臣 まず、騒音の問題ですけれども、先ほど私が申し上げましたように、もし、統合した場合にも、騒音レベルが今より上がるようならだめだ、したがって現在の嘉手納の機能をさらにどこかに持っていくということが前提になってくるだろう、そういうふうに思います。そういうパッケージが何とか考えられないか、こういうことであります。

 それから、私は、今この嘉手納統合ということを言っておりますのは、これはもちろん一つの案として言っているわけですけれども、例えば、アメリカ側から三つぐらい案があって、最初のSACOのときに三つの案がありましたよね、そして、辺野古の湾内に設置をするという案を決めたときも、この嘉手納の案というのは直前まで残ったわけです。もし、今言われるように、いろいろな運用上の難しさがあることはわかりますけれども、それが本当に決定的なものであるのかどうか、本当に決定的であればもっと早く消えるはずだ、そういう思いもあるわけです。

 ですから、そこのところも含めてしっかり自分なりに納得できるように見きわめたい、現在こういうことで検証しているところです。

町村委員 それでは、岡田大臣、その検証作業は一体いつごろ終わりそうですか。これは、延々と受験勉強をされても困るんですね。やはりいついつ試験があるというのがあるんだから、みんなそれで勉強するんだから、一体いつごろあれでしょうか、その勉強に時間がかかるんですか。岡田外務大臣は、今までの御発言は、むしろ早く答えを出した方がいいと。その早くというのはいつごろですか。それをまた総理に渡して、また総理も延々と考えられちゃ困るので、大体いつごろを考えておられるんですか。

岡田国務大臣 午前中にも申し上げましたように、防衛省からも、もちろん外務省からも、そして米国からも、さまざまな意見交換を行いながら検証作業を行っているところです。

 もう少し時間が要ると思いますが、同時に、今委員言われたように、私は普天間の今の危険な状況をいつまでもおいておくわけにはいかないと考えますので、そう時間をかけるべき問題ではない、どこかで結論を出さなきゃいけない。その結論の時期というのは、私自身の思いはありますけれども、また言うとばらばらだと言われますから、そこは総理とよく御相談をしながら、私なりの思いを伝えながら、内閣としていつごろまでに結論を出すかということについて結論を得ていきたい、そう思っております。

町村委員 大至急総理と相談をしていただきたいわけであります。

 そうして、今まさに岡田外務大臣が言われたように、先送りは許されないんですよ。それは何も、危険な状態を放置できない、もちろんそれも大きな理由です。しかし、私は、日米関係が、さっき言ったように、悪化するおそれが強まっているという認識も総理に持ってもらいたい、外務大臣にも持ってもらいたいんです。ここは余り安心したらだめですよ。場合によったら、オバマ大統領訪日中止になるかもしれませんよ。

 こういったこともやはり考えていただかなきゃならないし、同時に、海兵隊のグアム移転の予算を既にアメリカも議会に提出しておりましょう。あるいは成立したんだったかな、僕ちょっとそこは定かで……。そういうようなことも既に進行しております。そして、さっき言った南部の方、嘉手納以南の話というのもこれでとまっちゃうわけですよね、これがはっきりしないと。

 特に困るのは、沖縄県は、さっき申し上げたように、環境アセスの意見書を出したんです。これは、防衛大臣、今度、日本政府がそんな遠くないうちに答えをまた沖縄に返さなきゃいけない、そういう立場に立っておられることを認識しておられますね。球は今政府が持っているんです。いつまでもこれは返事しないというわけにいかないんですよ、沖縄に対して。総理、御承知でしょうね、こういうことも。そして、七日、八日にさっき言った県民大会や町民大会も開かれる。

 こういう状況を見たときに、一刻も早くなんです。何もこの場でとは、私もさすがにそんなばかなことは言いません。しかし、いつまでにこの答えを出すか。今、外務大臣は、総理に御相談をすると言った。少なくともいつまでに答えを出すかなんということは、透明性を重んじておられる皆さん方ですから、この委員会の場で、では、いついつに答えを出しますということを言ってください。それは最低限の義務だと私は思いますよ。このテレビを通じて国民の皆さん方に、最低限それはいついつまでに答えを出しますと。そのくらいの相談はしてくださいよ、幾らばらばらでも。

岡田国務大臣 先ほどの答えに一つつけ加えさせていただきたいと思うんですけれども、答えを出すというのは、政府が勝手に出す問題ではありません。先ほど来の話にありますように、そのことについて沖縄の皆さんがきちんとある程度納得をしていただかなくては、これは答えになりません。変に、今の政府で勝手に決めて、日米合意だからこれだ、こう言って、そして沖縄の皆さんがそれに対してかえって反発されて、そして結果的に悪くなる可能性もあるわけです。そういったことも含めてトータルとして考えて、そしていつまでにということだけは申し上げておきたいと思います。

町村委員 もう一度申し上げますよ。

 環境アセスメントに従って、そんなに遠くないうちに政府は、あるいは防衛大臣は、沖縄に意見書に対する答えを出さなきゃいけないんですよ。だから、何カ月も何年もというわけにいかないんです。そして、沖縄の知事さんも関係者の皆さん方も、いつまでも政府が勉強中、検討中というのを繰り返して何も答えが出てこない、だからとうとう県民大会とかそういう話になってくるんですよ。

 したがって、皆さん方が沖縄県民のことを考えるのであれば、早く答えを出す義務があると私は思うんですよ。だから早く、お二人で今ちょっとこの場で相談して、では外務大臣、いついつごろまでに。だって、地元を含めて合意なんというのは、皆さん方がまず政府の案をまとめて、そして地元に提示するんでしょう。我々だってそうやってきましたよ。地元の合意以前に、まず政府がいつまでに案を決めるのか、それをはっきり示してくださいと言っているんです。その後、沖縄に御提示されるんでしょう。それをちょっとお答えください。総理。

鳩山内閣総理大臣 今、町村委員のお話でありますが、やはり政府としての結論を出す前に、沖縄の皆様方の理解だけは最低限得られていなければ話になりません。したがいまして、政府のみで結論を出すということではありません。むしろ、慎重に沖縄の皆様方のお気持ちも理解をさせていただきながら最終的な結論を出したい。ただ、それにはまだ時間が若干かかるということは御理解を願いたいということを申し上げております。

町村委員 沖縄の皆さん方との合意で、そして、日本全体の合意ができるのはそれは時間がかかるかもしれない。しかし、少なくとも政府は、沖縄県の皆さん方にその案を示す、つくる責任があるわけですよ。当たり前でしょう。そして、それをいつ沖縄の皆さん方にお示しになるんですか、それはいつなんですかということを聞いているんですよ。当たり前じゃないですか。(発言する者あり)ちっとも答えていないから聞いているんです。

鳩山内閣総理大臣 前原大臣も後で答弁をされると思いますが、その案を決めるためにも、私は、やはり沖縄の仲井眞知事を初めとした意見を伺いながら最終的に政府としての案を決めて、そしてそれを沖縄の皆さん、また日本の最終的な結論として交渉していきたい、そのように考えています。

町村委員 沖縄側の意見というのはもう出されているんですよ。何を言っているんですか。沖縄側の意見は、今のキャンプ・シュワブ沖合でいいと言っているんですよ。(発言する者あり)それはあなた方は事実を知らないからそういうことを言うんですね。

 沖縄の皆さん方は少なくとも、だから、もし知事がだめだと言うのならば、何で政府に意見照会しますか。沖縄はこれでいいと思っているから政府に意見照会しているんですよ。その答えをあなた方は出さなきゃいけないんですよ。それは、できることならば県外がいいと思っているでしょう。しかし、そこは全部彼らはのみ込んで理解をした上で、県内移設でここだと。しかし、政府から案が出てきて環境アセスやったらこういう意見が出てきたので、それをまた加味して答えを下さいなと言っているんですよ。

 だから、沖縄の意見を聞く聞くと言うけれども、沖縄の意見は、環境アセス意見書という形で政府に対してもう出されているんですよ。総理、失礼ですけれども、あなた見ましたか。アセスに対する意見書というものを、総理、ごらんになりましたか。本当ですか。

鳩山内閣総理大臣 すべてを精査して読んだわけではありませんが、概略は伺いました。

町村委員 そうした沖縄の意見を踏まえた上で、まず、では今、日本政府は一つの案をつくりたいわけですね。キャンプ・シュワブ沖かどこかわからないけれども、つくりたいわけですね。だから、その案をいつまでにつくって沖縄にお示しするんですかと。沖縄の皆さんがそこから先どう合意するかというのはまた別の話であります。一体政府はいつまでに、だって、それがなければ意見書に対する答えが沖縄に出せないじゃないですか。前原さんになんか聞いていません。私は総理に聞いております。

岡田国務大臣 今の町村委員のお話を聞いておりまして、確かに、知事が今の案でいいというふうに言っていただいていることは、私はありがたいことだと思います。それはいろいろな意見がある中で、本来であれば思いは県外、しかし、今の限定された条件の中で、今の案でいいというかやむを得ないというか、そういうことを言っておられるということは、私はありがたいことだと率直に思っております。ただ、知事の意見は御意見として、沖縄全体の意見がどうかということが今問われていると思います。

 特に、この前の総選挙で、沖縄の四つの小選挙区で、候補者はすべて、現在の案は反対であると言って当選をしてきているわけです。ですから、私たちとしては、そのことも重く受けとめて、そして沖縄の民意に沿った形の答えを何とかつくっていこう、こういうことで、現在さまざまな検証作業を行っているところであります。

町村委員 わかりました。

 県内移設はだめだという結論しかないということですよね、だって、県内移設に四人の人はみんな反対だと言うんだから。それで、県外移設があるんなら、では県外移設はどこにするんですか、それは言えませんと。

 皆さん方は平素からやたら透明性、透明性と言うじゃないですか。どうぞ室蘭でも、どうぞおっしゃってくださいな。こういうのもあるんですよ、四日市の沖合でもいいですよと、どうぞ岡田さん、言ったらいいじゃないですか。まず地元でやってみてください。どういう反応があるか、目に見えていますよ。

 だから、いつまでに政府の案をまとめるのか、その答えの内容まで今言えないというのは、それは僕は理解しました。しかし、いつまでに政府の意見を集約するのか、そして沖縄に示すのか、そのタイムリミットをぜひこの場で示してもらわない限り、私はこれ以上質問できませんね。

 総理、お答えください。いつまでに政府の意見をおまとめになるんですか。

鳩山内閣総理大臣 私どもが政権を担当させていただいて四十六日目でしょうか。そのような中で、我々も必死にこの問題に対して解決をしたい、そのように思っているんです。うそじゃありません。だから、引き延ばしをするつもりでこのような議論をしている思いは全くありません。それだけに、逆に言えば、いろいろな大臣の意見が表に出てきたことも実態だと思います。

 それはそれなりに、みんなそれぞれが真剣に議論を進めているからでありまして、だからこそ私は、それぞれ、さまざまな選択肢の中で調査を進めていただいて、そしてそのもとで政府としての考え方を、沖縄の県民の皆様方の思いをしっかりと受けとめながらつくり出していきたい。それほど時間延ばしをするつもりはない中で、必ず答えを出すと。ただ、それをいつまでにやれみたいな、そんな話に今私どもとして答えられるわけはないということを申し上げたい。

町村委員 四十五日しかないとおっしゃったが、四十五日もあったんです。そして、これは待ったなしの話なんです。沖縄の皆さん方はそうやって大会をやらなきゃならないまで追い込まれた気持ちになっているということを考えれば、早く答えを……(発言する者あり)ちょっと委員長、ちょっとうるさいと思いませんか、この理事さん方は、特に。

 私は、岡田大臣ができるだけ早く出したいと、鳩山さんもそういう思いだと。そうしたらば、名護市長選挙の後でいいとかその中間だとか、そういう不用意なことを言うからこういう問題が起きてくるんです。そういう発言さえなければ、常識的な範囲でやるんだろうと僕らも思いますよ。しかし、名護市長選挙の後、沖縄知事選挙とか、こういうことを不用意に総理自身がおっしゃるから、こういういたずらな問題が起き、日米関係にまで悪影響を及ぼすんですよ。

 ですから、私は本当に、皆さん方のためじゃないんです、日本の国のために、早く皆さん方、相当勉強家の岡田さんも毎晩毎晩遅くまで勉強しておられると聞いていますから、早く勉強をして答えを出してくださいよ。それが大体いつごろかという、そんなめどもなしにいつまでもいつまでも検討されちゃ困るんです。それなら、大体いつごろですか、岡田さん。あなた、相当いろいろ勉強しておられるらしいが、大体いつごろですか。

岡田国務大臣 先ほど町村委員に、各閣僚がばらばらなことを言っているといって叱責されたばかりでありますので、今ここで私の意見を申し上げることは控えたいと思います。

町村委員 もちろん、あなた一人の答えを聞いているの。

 だから、総理と相談をして、一刻も早く、じゃ、大体いつごろをめどに作業をすると、そのくらいのことをあなた方やらなかったら、それは怠慢ですよ、閣僚として。官房長官、何となくうなずいておられるから、そう思っておられるのかなと思いますけれども。いや、別に質問じゃないからいいんです。

 少なくとも、鳩山総理、いつまでもだらだらと、いや、一生懸命なんだろうけれども、結果的にはだらだらとになるんです。早く、大体いつごろにするんだということを、じゃ、きょうお二人で、戻った後で結構ですから、この委員会が終わった後、あさって伺いますから、次の委員会のときに伺いますから、それまでに答えを持ってきてくださいね。よろしいですか。

鳩山内閣総理大臣 いつまでもだらだらするつもりはありません。今、積極的に選択肢を調査している段階で、それが済んで結論が出れば、当然のことながら御報告を申し上げます。しかしながら、あした、あさっての段階で、じゃ、いつまでにという話になって、そして確約できるという話にはまだならないのは、言うまでもないことじゃないでしょうか。

町村委員 こうやって、いろいろな問題を先送り先送り、私はまことに問題だと思いますよ。問題、検討中検討中と、答弁に具体性がない、これが今、鳩山総理の大きな問題になっているということでありますから、またいずれこのことは、私は、ほかにもいろいろな案件がありますから、外交関係集中審議をこの予算でやっていただく必要があるということを委員長に申し上げて、後刻、理事会で御協議をさせていただきたいが、委員長、よろしゅうございましょうか。

 まだ私の質問は終わっていないんですけれども、とりあえずそのことだけを申し上げておきます。

 時間も限られておりますが、インド洋の給油の話をさせていただきたいと思います。

 北澤大臣、大変立派な防衛大臣だと尊敬をしておりますけれども、一つだけ、着任したときにあなたは、九月十七日ですか、防衛省の最初の記者会見で、インド洋での自衛隊の活動の評価が低いんだということをおっしゃった。イギリス等々での評価は高いかもしらぬけれども、とにかく国際的な評価は低いということをおっしゃったんですね。

 私は、実はこの後、制服の人と、本件でじゃないんですけれども、会ったときには物すごく怒っていました。現地で汗をかいて一生懸命仕事をしている、その現場の人たちの気持ちも察しないで、評価は低いんですと、三軍のトップがそんなことを言ったらば、それは現場の人は怒りますよ。

 あれはまずかったので、別に私は撤回をさせる趣味があって言っているんじゃないんだけれども、防衛大臣、あれは本当に撤回しておいた方がいいですよ。非常に制服の人たちの、一生懸命やっている人たちの心を傷つけていますからね。何かコメントありますか。

北澤国務大臣 お答えいたします。

 私の記者会見の話で、まあ、立場もあるんでしょうけれども、私は柄に似合わず結構たくさんの隊員とも話をしておりますが、今のところ、ただいまお話のあったような評価は私のところには届いてはおりません。

 そこで申し上げますが、私が参議院の外交防衛委員長でこの論議を仕切らせていただいた時期がありますが、そのときに、政策の決定を正当化するために、現地で働いている、任務についている隊員の苦労さを、それをもって政策の評価につなげようとする議論が余りにも多過ぎた、そのことだけは申し上げておきたいと思います。

町村委員 別にここで、記者会見で政策の決定をしておるわけでも何でもないんです。最初の記者会見で、汗をかいている人たちへの思いやりがない発言で、非常に皆さん方ががっかりしたということなんですよ。

 それはあなた、どこの世界に、三軍の長に向かって制服の人が、あなたの発言は、あなたが悪かったですねと言う人がおりますか。そんなこともわからない北澤さんではないと思います。

 きょうは、長島防衛大臣政務官、お願いをしております。ほかの副大臣の人たちはいなくていいんですよ。お忙しいのはわかっていますし、ぜひ省に帰って仕事してください。私がお願いしたのは長島政務官と、あと大臣だけですから、そこに座っている副大臣さん方はどうぞお帰りなさい。

 私は、十月五日の日にテレビでちょっと見ました。長島防衛大臣政務官が、国会の事前承認の法改正をして給油活動を継続したらどうかという主張をされたということなんですね。まことに私は防衛問題に見識のある長島大臣政務官らしい御発言だなと。それがだんだん政府の意見になっていくんだろうなと思ったら、平素余り御注意をしておられない官房長官がたちどころに呼びつけて、こらと厳重注意をした、何かそういうことのようでありますけれども。自由に政策に物を言っていいとさっき鳩山総理は盛んに言っておられたけれども、何か、これだけはだめだと長島さんは怒られたんですか。かわいそうね。

 私は政治家長島として今でも本当にそう思っているんじゃないかと思うんですけれども、現在のお考えはどうでしょうか。

長島大臣政務官 お答え申し上げます。

 私が十月五日に講演の中で述べたのは、私ども政府がインド洋の給油活動については単純延長はしない、こういうことを繰り返し述べてきたところでありまして、しからば単純でない延長とは何ぞや、こういうふうに問われましたので、私ども民主党は、これまで実力部隊を海外に派遣する場合には最低限国会の承認が事前に必要ではないか、こういうことをずっと訴え続けてまいりましたし、テロ特措法についてもこの補給支援活動特措法についてもそういった国会承認の条文が全く見当たらない、こういう理由もあってこれまで反対をしてきた、そういう経緯を説明する中で、単純でない延長の中にはそういうことも考えられるのではないか、こういう発言をさせていただきました。

 政府全体としては、この補給支援活動だけを単体で考えるのではなくて、これだけがあたかも唯一の我が国としての貢献の仕方ではないかというような意見が自民党政権下でははびこっておりましたが、しかし私たちは、アフガニスタン支援全体の文脈から、日本としてふさわしいアフガニスタン支援の方法について、これは防衛大臣を中心として、副大臣、政務官、そして政府全体としてこれから検討していく、そういう中で考えていかなければならない、私はそう思っております。

町村委員 ということは、長島さん、あなたは依然として、これはワン・オブ・ゼムの対策として必要だ、そういうお考えなんですね。

長島大臣政務官 この場は私の個人的な見解を述べる場ではございませんので、政府としては、アフガン支援全体の文脈でこの問題を考えていく、こういう答弁で御理解いただきたいと思います。

町村委員 余りこういうところは拍手すべき場所じゃないんですよ。まあ、いいでしょう。

 今までの自民党、公明党の内閣が、この海上阻止、給水、給油活動だけがあたかも対策であるということを今長島さんが言われたけれども、そんなことはないんです。

 このパネルの六というのをごらんいただきたいと思います。さまざまな活動をこれまでやってまいりました。アフガン支援会合、私も出たことがありますが、五回、そしてこの海上阻止活動の給油、それから人的貢献、そして二十億ドルの支援。そして、その中には、ここに書いてある政治プロセス、治安、インフラ整備、農業・農村開発、文化。こういうことをやっているんです。この一環としてあるという位置づけを僕らは随分申し上げてきました。

 ただ、法律でやらなきゃならないのは、これはこの給油活動だから法律ということで国会にお諮りをしていた。しかし、私も外務大臣の経験として、こういうことをいろいろやってきているんです。だから、これだけが私ども唯一の方法だとは思っていない。

 そこで、アフガンの文脈でとおっしゃった。先ほども、総理、日本の得意な農業分野であるとか職業訓練とか警察支援、こういうお話があった。これを見てください。全部やっているんですよ、我々は既に。既にやっているんです。それにもかかわらず、何か新しいパッケージをつくって、そして今度オバマさんが来たらば、それが主たる議題であると。だけれども、鳩山総理、あれは間違いですよ。アフガンが重要で普天間は重要でないかのごとき印象を与えるような発言は大変まずいですよ。

 いずれにしても、ちょっとまた戻らないことにしますけれども、このアフガン支援、既にいろいろやっている上に、何をさらにやろうというんでしょうか。結局お金だけになるなら、また湾岸戦争のところに逆戻りするんですよ。これは岡田外務大臣か総理か、一体何をやろうとしているんですか。もうやっているということを御認識ください。

岡田国務大臣 アフガニスタンの復興支援について、今までいろいろやっているという御指摘はそのとおりであります。

 現在まで、ほぼ二十億ドルの支援ということをやってまいりました。その内訳は、町村委員おまとめになったところであります。重なりますので申し上げませんが、このほかにも、例えば医療の中でのこの四千万人、多分もう少しふえていると思いますけれども、私自身もアフガニスタンに行ったときにその式典に参加をさせていただきました。それから、病院とか学校とか農業支援とか、さまざまなことを日本はやっているということは事実であります。そういったこと。

 ただし、二十億ドルのこの約束が、もうほぼ枠が尽きてまいりましたので、次なる、さらにそれを充実させたものをやっていかなければならないというふうに考えておりまして、現在、今あるメニューに加えて、プラスアルファできるものは何があるかということを検討しているところであります。

 例えば、タリバンに参加をしている人たち、もちろん思想信条としてタリバンの動きに共鳴している人は別として、食うためにタリバンに参加をせざるを得ない、そういう人たちもいるわけで、そういう人たちに対して、研修、それも単なる研修ではなくて、ある程度の生活費を支払いながら研修をして、そして職につきやすくする、そういった新しいアプローチということも一つ考えられるのではないかというふうに思います。

 それから、警察に対する協力についても、現在、日本に少人数来ていただいて、そして研修しているところでありますが、違う形での警察官に対する支援というものがほかにないか、こういうことも今さまざま検討をしているところであります。

町村委員 確かに、もう二十億ドルのうち相当部分は使っていますから、また新しいパッケージを出すこと、それは私も必要なことだと思います。

 ただ、何か今までと全く違うことがあってもいいし、これまでのを拡充する、それでもいいんですけれども、それはそれでおやりになるべきだし、それは必要なことだと思います。しかし、だからこの給油活動をやめてもいいという話にはならないんですね。

 私は、次の、パネルの五に戻っていただきますと、この補給支援活動を中止するとどれだけ悪影響が出るかということを皆さん方考えてほしいんですよ。国際的な信頼度が低下をいたします。日本だってテロとの闘いをやっているんですよ、今だって。(発言する者あり)そして、中断をしたときの私は官房長官で、非常に海外からも、政府からも厳しい批判を受けました。イギリス、フランス、カナダ、パキスタンと継続要望があります。

 先ほど来から、何かカルザイが発言をしなかったと鬼の首をとったように、本会議でも言っておられますけれども、当たり前じゃないですか。だって、岡田外務大臣が、もしかしたらたくさん国内の警察官の給与を持ってくれるかもしれないし、いろいろなことでお金をくれるかもしれない。この人はどうも給油活動継続が嫌なんだという主張だとわかったらば、相手が嫌なことをわざわざ言わない。こんなのは当たり前なんですよ。それを、カルザイさんが言わなかったから、カルザイが主張しなかったからと。そんな、まことに相手の立場に立って物を考えればそんなことを言うはずがないということぐらいよくわかってもらいたい。

 また、あそこに膨大な、日本の九割以上のタンカーが走って、これは日本の利益でもあるんです、インド洋が平和だ、ペルシャ湾が平和だというのは。そういう日本の国益にも合致するし、アメリカからのまた不信感を呼ぶ等々、これだけのデメリットがありながら、皆さん方は、なぜやめるのかという積極的な主張がないまま、マニフェストに書いたからと。それだけでしょう。

 なぜこれをやめるんでしょう、なぜやめなきゃいけないんですか。そういう説明が何にもないんですよ。ニーズが落ちているとかなんとか。それは確かに一時よりは給油回数が減っているかもしれないけれども、しかし、それは、きちんとそういうことをやっているから。言うならば、麻薬を見つけたり武器を見つけたりする度合いが減っているだけで、安全だということは非常に重要なことなんです。これを何で日本が給油活動から撤退をしなきゃいけないんでしょうか。積極的な理由をおっしゃってください。

岡田国務大臣 この問題はなかなか難しい問題があることも事実であります。

 特に気をつけなければならないのは、今、アフガニスタンに対して増派の話がアメリカではあります。そして、いろいろな国で、むしろアフガニスタンに対してこれ以上コミットするのはやめた方がいいんじゃないか、減らすべきではないかという意見もそれぞれの国内である。そういう中で、いわばシンボルとして、この我々が今現在行っておりますインド洋への給油支援活動をやめるということが、いわばシンボル的に扱われないようにきちんと説明を尽くさなければいけない、こういうふうには思っております。

 そのことも申し上げた上で、しかし、現実にどのぐらいの実績があるかということは、やはり大事なことだと思います。例えば、ことしに入りまして、大体月間五件から七件ぐらい。ですから、一カ月のうちそのぐらいしか実績はない。しかも、その大多数はパキスタンの船舶に対する給油の支援である。そういう現実があって、実績として、実際にどれだけ求められているかというと、かなり疑問があるということだと思います。

 もう一つだけ申し上げさせていただくと、加藤紘一先生、ここにおられますけれども、加藤先生も、昨年のこの法案、延長すべきかどうかという議論があったときに、そういった延長については慎重な見方も示されたこともあったと思います。

 つまり、これは、町村委員はいろいろおっしゃいますけれども、恐らく自民党の中にも、継続すべきかどうかということについていろいろ議論があるところだろうと私は想像いたします。

町村委員 私は、積極的になぜやめなきゃならないかという理由を聞いたらば、要するに実績が落ちているというだけのことなんです。しかし、実績はあるんです。ニーズはあるんです。でなければ、ほかの国々から何でリクエストが来ますか。

 岡田さんがそういう意見ではないのはわかった上でミリバンド外相等々が言ってきているということもまず踏まえなきゃならないし、それからもう一つ、確かにアフガンの危険な情勢は危険度を増している。それでなおかつ、国内、アフガニスタン、地上の民生支援をやるといったって、人は出せないんですよ。ことし初めにJICAでは七十名ぐらいいたんです。今は四十名まで減ってきているんです。それだけ危険度が増しているときに、より多くのアフガン支援を国内でやるというと、それは、ただ単にお金を出す小切手外交になっちゃう、だからだめなんですよと。それでもなおかつ、これをやめなきゃならないのか。

 ここは、私どもが議員立法で法案を出しますので、どうぞひとつ、民主党の皆さん方も、マニフェスト、マニフェストとマニフェスト至上主義に陥らずに率直に考えていただいて、これほど、ある意味では安全で、かつコストパフォーマンスがよくて、かつ国際的評価の高い活動はないんだから、私はぜひ、この活動を続ける議員立法を出しますから、賛成をしていただきたいと思います。

 時間がちょっと過ぎてまいりましたから、これで終わります。

 ただ、いろいろ、核の先制使用であるとか、対中国、北朝鮮等々の外交やら、防衛計画の大綱、日米FTA、さまざまな問題がありますから、外交集中審議の要求をさせていただきますので、委員長、よろしくお取り計らいください。

鹿野委員長 後刻、理事会で協議をします。

町村委員 では、終わります。

鹿野委員長 この際、加藤紘一君から関連質疑の申し出があります。大島君の持ち時間の範囲内でこれを許します。加藤紘一君。

加藤(紘)委員 鳩山総理、何年か前は自社さ政権で一緒に仕事をした仲でございますので、鳩山政権の成立にはいろいろな思いがあります。八月三十日、選挙の結果が出て、それから、十六日、指名されて、それから組閣され、最初の一週間、二週間、私の感想を申します。

 だんだんいい顔になってきたなと最初思いました。何といいますか、あなたは、時々、言葉が軽いとかソフトクリームとか言われるけれども、総理になることが決まった途端に口数が少なくなっていました。私は、いいことだと思ったんです。

 鈴木善幸さんが突然総理になった。そのときには、大平さんの急死を受けて予定されていない方が総理の重責を担う、そうなったときに、瞬間、鈴木さんは絶句し、それから総理になるまで三週間ぐらいあのときあったんですけれども、じいっと口数少なくなっていかれました。

 竹下総理が、中曽根裁定によって、竹下君にお願いする、その裁定書を読み上げられたとき、外れた宮沢さん、安倍さん、お二人それぞれつき人がいたわけですが、私は宮沢さんのつき人でした。竹下さんを見ていました。竹下君にお願いしたいという最後の一行が読み上げられたときに、竹下さんは真っ青になって、泣き出しそうな顔になりました。「十年たったら竹下さん」といって明るく歌っていたあの人が、現に総理になると、重圧感で、そして多分、もしかして暗殺されるかもしれない、そういう場面を首相になられた方は感じるんだと思います。

 その無口さ、そういうものがだんだんある種のにおいになって、カリスマがだんだん出て、風格が出て、人がそれについていく、歴代の総理大臣はそういうものでした。久方ぶりに本格的な総理というものがここで生まれるのかなとあなたをじっと見ていましたけれども、それが今少しついえています。少し心の中で引けています。

 それは何かというと、あなたたちに言われたくないよ、総理の言うせりふでは僕はないと思います。言うなれば、巨大な自民党にまだ立ち向かっている野党の党首みたいな感じで、まだ野党ぼけじゃないでしょうか。我々も与党ぼけしています。しかし、総理の場にいる人が野党ぼけでは困ります。あなたは今、一億二千万人の指導者です。生命財産、すべての責任を負うんです。あちらで風邪が蔓延すればあなたの責任。何だってあなたの責任なんです。そういうときに、やはり国会の同僚にも、自分たちの仲間だという気持ちでの答弁がなければいけないと思います。

 説教するつもりではありません。あなたに言われたくないとうちの谷垣総裁に答弁したあの答弁は、スタッフが考えたものですか、あなた御自身の言葉ですか。

鳩山内閣総理大臣 加藤委員から、歴史的な総理大臣のさまざまな逸話をお話しいただいたことを感謝申し上げます。また、口数の少なくなったことに対する御評価も一時的にいただいたことを感謝申し上げたいと思っております。

 私の所信表明演説から、さらにさまざまな代表質問に対する答弁の責任は、当然私自身にあります。言うまでもありませんが、あの言葉は私自身の思いで発したものであります。皆さん方に御迷惑をおかけしたことを遺憾に思っております。

 私が申し上げたかったのは、まさに私は、あの所信表明では、自分なりのビジョンというものを掲げて演説を申し上げたつもりでございました。それが、ビジョンというものがむしろ見えない、経済財政における今回の演説は何だ、全くビジョンが見えないではないかというおしかりをいただいたものですから、つい反射的に私から出た言葉でございまして、そのことに対して、皆様方、特に谷垣総裁に大変御不信感をお与えしたことを遺憾に思っております。

加藤(紘)委員 そういう一種の、新聞は翌日、開き直りと各社書きましたけれども、巧みな答弁、開き直り、それは決して褒め言葉ではない。新しい、新鮮な政権、新鮮な政党の代表の第一回目の答弁。そして、それに後ろで、きょうもありますが、機関銃のような拍手。あれ以来、私、民主党の議員の方々の顔が見えなくなりました。みんな同じに見えるんです。これはよくないことです。

 ですから、やはりテレビで見ている国民は、政治家一人一人の思い、出してくるにおい、それをみんな見ておりますので、どうぞ人間らしい、友愛精神らしい、個の確立になるような、そういう政治をぜひお願いしたい。

 そこで、友愛なんですが、よくわからないんですね。私、かなり丁寧に、あなたの新しい憲法論という五年ほど前の本も読みました。それから、ホームページの友愛についてという文章、かなり長い、しっかりとした文章だなと思って、忙しいのによく書けるなと思って見ながら、あれ、これをこのままホームページにアップしておいたら、アメリカは怒るぞ、中国は未熟だなと笑うぞと思いました。

 あれで、みんなアメリカが怒ったといいますね。私は、本意が理解されていないと鳩山さんはおっしゃったけれども、まだ一回も会っていない人たちとの前に総理になる方があれを書くと、アメリカは厳しくなっていると思いますよ。カート・キャンベル国務省アジア局長、彼が一生懸命なだめているように思います。非常にあの友愛の文章というのは、かなり外交的には後始末しておかなければならないものだと思っております。

 ところで、この友愛というのは、僕はよくわからない。今、鳩山首相にどうですかと言ったら、五十二分施政方針をやられるといけませんので、最も側近、鋭仁さん、環境大臣、友愛というのをあなたなりに十秒で説明してください。

小沢国務大臣 自由、平等、博愛、こういう言葉がありまして、私は、鳩山総理の友愛は博愛精神かな、こう思っております。

 それに加えて言えば、個の自立があって、さらにお互いを尊敬し合う気持ち、そんなものかな、こういうふうに理解をしております。

加藤(紘)委員 この博愛というのは、一人一人の人間が居場所を求めるときには博愛の精神でやれば解決する、いや、アジアでそれぞれの国が歴史的、宗教的なバックグラウンドが違ったからどうするかというと、博愛でいけばいい、何でも博愛だと解決がつくんですね。でも、これほどあいまいな概念が一国の総理の口からしょっちゅう出てくるということは、我が国として余りよくないことだと思います。

 民主党の委員長選挙のときにもこれで戦ったと言っていましたから、民主党の人たちも、これは党として認める精神であり、言葉ですか。どなたにお聞きしましょう。菅さんに聞くとこれはまた十五分話されますので、遠慮します。官房長官かな、どうぞ。

平野国務大臣 突然の御指名ありがとうございます。

 党として、党代表として総理の思いを語ってきたものですから、少なくともそのもとにあるマニフェスト等々含めて、我が党の議員は認識をしておる、このように理解をいたしております。

加藤(紘)委員 つまり、党全体としてこれは認めているということですね。

 岡田さん、外交で友愛に基づき演説されましたね、総理が。それで、岡田さんは一国の外務大臣として、この友愛精神をどう扱いますか。

岡田国務大臣 鳩山総理が言われたのは、その具体的なあらわれとしてのかけ橋ということであります。かけ橋というのは、例えばアジアの中でのかけ橋、あるいはアジアと西欧あるいはアメリカとのかけ橋、そういったことの象徴的な言葉として、友愛という言葉を使われたと思います。

加藤(紘)委員 こう見ますと、友愛はいろいろなところでいろいろ解釈されていきまして……。三十秒以内で終えますか。はい、それでは亀井さん。

亀井国務大臣 五秒で申し上げます。思いやりということだと思います。

加藤(紘)委員 そういう解釈もある。

 しかし、翌日の新聞の論評を見ますと、友愛の中身を論じた新聞社はどこもないんです。それで、ただほわほわっとした理念で、美しい言葉だと言う人もいるけれども、それはともかく、現実にどういう政策に結びつけるか、まずそれをやってほしい、これは、民主党政権に一番親身になっている朝日新聞の論調でもそうです。それから読売新聞では、「「理念」だけでは物足りない」というテーマです。それから日経新聞は、「意欲見えても中身あいまいな首相演説」。それから産経は、「見えない政策の優先順位」。友愛の中身がいいとか悪いとか、かけ橋がいいとかというのは一つもないんです。

 それで、私は思うんですけれども、今これがぴんとこないのはなぜか。一つは、概念のあいまいさ。もう一つは、みんなが思っているんだけれども、鳩山家のある種の家族のフィロソフィーであって、そういう意味で個人の家のものであって、そしてなおかつ、ある外人さん、だれでしたっけ、カレルギーさんという、日本の女性と結婚されたけれども……(鳩山内閣総理大臣「違う、違う。その子供」と呼ぶ)その子供なんだけれども、何となく、その後のEUの同盟をちゃんとつくり上げた人の精神だというので、何か、どっちかというと外国物なんですね。

 今、日本の、かつての保守でも革新でも、若い世代でも年寄りでも、求めているのはナショナルアイデンティティーなんですよ。この国の原点は何だろう。明治維新、第一回の開国では、当然のことながら、外国の強さと豊かさ、第二が、外国から来た民主主義、第三、これは大きな転換だけれども、日本的な本当のところは何なんだろうということをみんな求め始めているというのが本当のところで、この明快さと日本独自のもの、この二つの点で欠けるところがあるから、新聞も、多分恐らく民主党の皆さんも、うちの親分はこう言っているけれども、それはそれでいいんじゃないかという程度で終わっているんじゃないかと思うんですが、仙谷さん、どう思いますか。(発言する者あり)

仙谷国務大臣 三十秒では終わらないと思いますが。

 私は、総理の所信表明も含めて拝読を、拝読といいましょうか、お聞きしておりまして感じましたのは、やはり総理が言いたかったことは、国も人も、さっき加藤先生がおっしゃられた、居場所をちゃんと確認して、そして、他人からあるいは他国の人々から認められて、評価をされて、そして褒められて、ありがとうと言われるような人になりたい、なろうね、あるいはそういう国になろうね、そのための環境整備といいましょうか、条件整備をするのが国家の政策、そういうものが必要だと。

 したがって、個々人について考えますと、現時点ですと、所得階層別に教育格差や健康格差というふうなものが相当出てきつつありますから、そういうところを最低限の条件整備をきちっとする。

 つまり、二十一世紀のポスト工業化社会における人づくり、そのための環境整備をするのが国家であり、我々自身も、あるいは組織の人間としても、あるいは政府の一員としても、そのミッションをちゃんと腹に置いて、信念を貫くところは貫き、妥協するところは妥協する、そういうことがこの内閣の役目だ、こういうことを言いたかったのではないか、こういうふうに思っています。それが友愛の具体的な中身だと私は思っています。

加藤(紘)委員 今こちらで、何ぐだらぐだらしゃべっているんだとやじがありました。これがおたくの党の今の思想状況ですか。

 私、今本当にみんな、この国はどこを求めて歩くのかということが最大のテーマだと思っています。ビジョン物なんかを国会で議論すると、いろいろなことを言われるんです。でも、覚悟して聞いています。それが今必要だと思うからです。

 原口さん、何かありますか。

原口国務大臣 加藤先生にお答えいたします。

 ありがたい問題提起をしてくださっていると思います。友愛の精神の中身、先ほどナショナルアイデンティティーと加藤先生はお話しになりましたが、かつて加藤先生から生み出していただいたときに、ちょうど民族や宗教や国家を超えた意識をつくれないかということを、私、先生とお話をさせていただきました。この友愛精神というのは、まさに、どこか一つの国家に集約してくる、あるいは一つのアイデンティティーに集約してくるというものと逆のベクトルを持っているというふうに思います。

 アマルティア・セン博士が「人間の安全保障」の中でお書きになったように、すべての人権、人間の尊厳を保障し、そして共同していく。加藤先生は市民公益という言葉を生み出されました。官だけが公益を担うものではないと。新しいパラダイムを新しいこの友愛という考え方の中で総理はお示しをされたいのだ、私はそう理解しています。

 ありがとうございます。

加藤(紘)委員 そこで、次のテーマにたまたま移ります。

 総理の所信の中で、「新しい公共の概念」という言葉を言われました。私はいいと思います。賛成です。

 今、お互いに、あなたが新自由主義で先に走った、いや、おたくが改革と言った、あなたたちだって改革と言ったじゃないかといって、いわゆる新自由主義、グローバライゼーションの功罪についてまた責任のぶつかり合い、ぶつけ合いなんかをしておりますけれども、やはり根底は、一九八〇年、サッチャー政権がこの世界に生まれたときだと思います。

 そのときに、イギリス病を治そうと、サッチャーとその同僚のキース・ジョセフという男と、そして二人のまだ若いエコノミスト、それがロンドンの研究所で一緒に四人になって研究したと物の本に書いてあります。その一人がハイエク、もう一人がフリードマンです。そして、でき上がったあるものが今日まで世界を動かしてきたし、レーガンに行き、中曽根さんに来て、最後の残り物について竹中、小泉さんに来て、まだ国会でもめていますけれども。

 そのときにサッチャーはこう言いました。世の中に国家と人とマーケットがあればいいんだと。これはすごい言葉です。社会なんてないんだ、社会があなたに家をつくってくれるなんということを考えちゃいけない、社会があなたに食事を与えてくれるということがあっちゃいけない、でも、世の中に助け合いってあるんじゃないんですか、そう、それはあるかもしれぬ、それはリシプロケートするんだと。英語で言うと、おまえ、昔助けてくれたから、それにお返しする。貸し借り勘定の世界を論ずるんですね。

 しかし、我々日本の、そしてここで反論はあるでしょうけれども、我々の本来の保守の概念というのは、地域コミュニティーにおける無償の公共奉仕なんですね。これがなければ日本社会が成り立っていかなかったんですね。それが、過去三十年、お互いに壊し合いをしました。どでかいスーパーマーケットをつくって、そしていろいろ商店街を壊しました。お祭りに一生懸命働きたいと思っても、会社の仕事が忙しいから時間を割かないようになった。総務大臣がやはりその辺をお考え始めたんだと思います。やはり我々の世界というのは、大変大変助け合いの世界であったと思います。

 我々、大阪で昔どうやって橋がつくられたか。多分国交大臣は御存じだと思いますが、今のつくり方と違うんですね。京都ですから、何か感想ありますか。はい、通知していませんから。

 調べたところによると、東京の橋は、江戸時代になって、御公儀橋というんだそうです。つまり、公共でつくる、お上がつくる。だから、皆さんの嫌いな公共事業ですよね。ところが、大阪の橋は、自分たちでかけるから、町橋といったんだそうです。淀屋というとんでもないお金持ちがいて、その前には淀屋橋、これはお上がつくっているんじゃないんですね。淀屋がどこかに蔵を持っていた。何とか橋というのは、これは全部町方がつくったというんですね。

 ですから、我々の時代は、実は大変大変、一九五五年以降、反共自由民主党、容共左派社会党、共産党みたいなイデオロギーの対立になっているけれども、本来は、もっともっとコミュニティーというものを大切にしたグループ同士の闘いだったように思います。その中から、戦後、鳩山一郎という人が党をつくったんですね。ですから、どうぞ、五五年体制の前の日本というのを考えて、ナショナルアイデンティティー探しも必要なんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

鳩山内閣総理大臣 加藤委員からさまざま御高説をいただきました。

 私は、新しい公共という、それはある意味でもう決して新しい概念ではありませんが、それをもう一度今の日本のコミュニティーの中にしっかりとつくり上げていかなければならない考え方だと思って、あえて所信で申し上げたのであります。

 今お話を伺いながら思い出したのは、京都のある町で、子供たちが登校、下校する。その町では、商店街、お母さん、おばあちゃんたちが必ず朝晩水やり、掃除をするんだそうでありますが、それをあえて子供たちが登校、下校する時間に合わせる。そのことによって、本来ならば、子供たちの安全が奪われがちな昨今の状況の中で、決して警察官をふやそうという、官をふやすという発想ではなくて、町ぐるみの中で防犯を自分たちでつくり上げていく。例えばこういう発想などは、お金がかからなくて、しかし公共的な役割をコミュニティー全体で果たすことができる、大変な好例だと思います。

 こういうものを私たちがむしろ、だから、あえて所信でも、政治というものの役割は必ずしもそんなに大きいものではないのかもしれないなどということを、本来ならば、時の政治家、総理などが言うはずもない発想をあえて申し上げたのでありまして、本来ならば官が行ってきた、例えば防犯の話、教育もそうかもしれません、介護、医療もそうだと思います。こういったものに対して、これからはもっとコミュニティー全体で解決をする。

 コミュニティーソリューションという言葉がありますが、加藤委員が大変力を入れておられるボランティア経済とか、あるいはNPOとか、こういったものがもっと、大手を振るってという言い方は違うかもしれませんが、彼らがもっと仕事をしやすい、そして幸せを彼ら自身が得られるような状況を、政府としてうまく、それとなく支援を申し上げる。こういったコミュニティーの温かさが伝わる日本というものを築き上げたい、それを私は、ある意味での友愛という思いの中で申し上げたつもりでございます。

 以上です。

加藤(紘)委員 この議論は、つまり、日本のアイデンティティーは何なんだろう、いろいろ考えると、世界に類例を見ないほど自然に対する敬愛の念が強くて、石も山も川も全部神、多神教のもとで、自然と和し、その前に人間が和するというあたりがポイントじゃないかなと思うときも時々あります、違うかもしれない。

 次の通常国会で、与野党で、国のアイデンティティーって何だろう、日本の新しいターゲットって何だろうと。我々もまだ提示し得ていません。今、伊吹さんのもとで大変深い議論をしています。そちらもまだ提示し得ていません。ですから、友愛は、申しわけないけれども、まだそのレベルには達していないんだろうと思います。

 そこで、ちょっと具体的な質問で、コミュニティーを大事にする、NPOで一生懸命地域のことをやろうとする、そういうのはいっぱいあるんです。だけれども、資金がない。そうしたときに、ハンガリー条項というアイデアがあって、一人一人の人間が自分の市民税を納めるときに、この一%は何とかNPOに出してくれと、NPOのリストが五十ぐらいそれぞれの市にあったりすると、そこに丸をつけるんですね。市川市、各務原市、岐阜市、そういうところが今テストをしていますけれども、これがなかなか進まないところがある。何か。地方公務員です。それは我々の仕事ですと言って、うんと言わないんです。

 地方税法の改正で、一%以内なら、〇・五%でもいいんです、これをやり得るという法改正か通達改正を、原口総務大臣、検討してみる気はありませんか。

原口国務大臣 お答えいたします。

 さきの通常国会で成立しました公共サービス基本法、この中に、今先生がお話しの、その原案にはございました。公益を担うのは何も官だけではない、公務員だけではない、市民公益というものがしっかりとその中に、公益の中に位置づけられるべきだという考え方でございます。最終の調整の中でこの文言は落ちました。

 しかし、もう一度、その公共サービス基本法、これを改正し、また、地方税法の中で、今お話しのハンガリー条項、まさにNPO税制の中でも私たちはこれを議論してきたものでございまして、税調の会長代行という形でも提案をさせていただきたい、こう考えております。

加藤(紘)委員 ぜひ、原口大臣にはそこをフォローしていただきたいと思います。

 さて、次の、マニフェストと政治ということに移ります。

 私は、今度の、これだけの激しい結果の総選挙、それは我々が負けたんだと思います。マニフェストで民主党が勝ったのではないと思います。我々が、いろいろな日本を取り巻く閉塞感、現状を的確に感ずる感度が鈍く、そして魅力ある政策提言をできずに、そして我々の古い体質に対する拒否感、国民の拒否反応というものを十分に酌み上げることができなかったということで敗れたんだと思っています。

 また加藤が格好いいことを党内の意見も聞かないでしゃべっているなと思われるかもしれませんが、これは、選挙が終わって九月の十七日に、我が党の中堅、若手でまとめ上げた我が党再生への提言における、敗北の原因はどこにあるかという文章から抜粋したものでございます。我々のオウンゴールです。我々が負けたのです。

 ところが、それを民主党の皆さんが、マニフェストで勝ったと思い、この国民との契約を実行しなければならないと思ったとしたら、そこはどこかちぐはぐなことになります。

 選挙の中日ですけれども、朝日新聞にすごい世論調査が出ました。でも、だれも気づかない。一面に出たけれども、べた見出しもなく、単に文章の中に数字が埋もれていました。いわく、おたくのナンバーワン公約の高速道路の無料化、賛成二三、反対六七。子ども手当、賛成三三、反対五五という結果でした。でも、これは、一面横見出し、縦見出しになることもなく、選挙は進んでいきました。

 だから、国民の意識の中では、ナンバーワンマニフェスト、ナンバーツーマニフェストは拒否されているんです。

 道路についてはますます反対が強くなっています。ところが、子ども手当については、その後、賛成五〇、反対四〇ぐらいまで逆転しています。定額給付金のときも、みんな当初は、そこまでやって財政のことを考えているのと、国民は政治家にかわって心配するんだけれども、現実にもらえる話となるとだんだん賛成が強くなる。私は、我々政治家は考えなきゃならぬポイントだと思います、せっかくそう思ってくれているのにと思います。まあ、これは議論のあるところ。

 つまり、マニフェストで勝ったのではないんじゃないんですか。だから、今、マニフェスト原理主義者と言われる前原さん、非常に新聞紙上で人気があるんだけれども、前原さんは八ツ場で有名なのであって、羽田の二十四時間で有名なのであって、そう、第一マニフェスト、高速の無料化の前原さんじゃないんですね。前原さん、高速の無料化についてほとんど派手な活躍はしていません。まだ必要だと思いますか。

前原国務大臣 マニフェスト至上主義ということを先生はおっしゃいましたけれども、マニフェストというのは、我々が野党の間にずっと積み重ねてきたものなんですね。つまりは、自民党政治に対しての行き詰まりというものを、我々は政権交代で受け皿にしていかなくてはいけない。

 私はよく言うんですけれども、では、何で自民党は、さっきオウンゴールだと加藤先生おっしゃった、私もそのとおりだと思います。民主党が政局に勝ったとは思っていません。例えば、だんだん人口減少になってきている、そして少子長寿化が進んでいる、そして今までの政権で莫大な借金が積み重なってきた。これは、国民みんながこの三つの日本の難題に対して不安を持っているんですよ。しかし、自民党の政治が続く限りは、恐らく、この難題には取り組んでくれないどころか、どんどん先送りをして、より閉塞感が強まっていくんじゃないかと。

 その代替案として我々が練り上げたものをまとめたものがマニフェストなんですね。私は、その意味においては、マニフェストというものはできる限り守らなければならないものだというふうに思っています。

 そこで、幾つかの観点で申し上げたいわけでありますけれども、では、高速道路の無料化というものがどこで出てきたのかということでありますけれども、それは、一つは日本の物流コストが高過ぎる、物流コストが高いがために日本の競争力がついえてしまっている。もちろんそれだけじゃありませんよ。私が取り組んでいる、港や空港、たくさんつくり過ぎて核がない、そのために海外に競争力がとられている、そういうものもありますけれども。しかし、物流コストが高い、そのために、ではどうするかということの中で一つの考え方として出てきたわけであります。

 ただ、マニフェストをしっかり見ていただくとおわかりのように、原則無料化を段階的にやっていく、そして社会実験などもやっていくと。これは、ありがたいことに、自民党が週末千円ということをやっていただいて、そのことに対するマイナスの影響というのもたくさん出てきています。これも、我々は社会実験としてとらえていかなくてはいけないと思っています。他の交通機関への影響、そして、より渋滞になるかもしれないところの精査、そして経済への悪影響と好影響、そういったものをつぶさに社会実験にインプットしながら、段階的にやっていく。そのことによって、私は、徐々に国民の理解がふえてきて、我々に対する安心感というものがふえていく、そう確信をしております。

加藤(紘)委員 今のは、一つは、自民党時代は役人がすべて考えて、そして業界が政治家とつるんでやっていたということなんですが、そういうふうに言っちゃうんでしょう、そういうふうにあなたは言っていたけれども、今は、マニフェスト政治のちょっと気になるところは、ある種の民間の専門家が極端に重宝されるんですよ。

 例えば山崎養世さん。この人のアイデアで、これをゼロにしたらどうかとスタートしたわけでしょう。論理が破綻しているんですよ、あの山崎さんも。それで、朝日新聞にいろいろ言われていろいろ強弁なさっていたけれども、やはり現実を見ておられない。

 例えば、野菜農家が喜ぶはずだと。今大臣がおっしゃった、コストが農家にとって安くなるからいいんだと。ところが今、JA野菜グループは、あれによってスピードが遅くなって、一時間市場に納めるのが遅くなったらこれだけで野菜は価値ゼロです、やめてくださいと。

 これはしがらみでしょうか、既得権益でしょうか、それとも正当な主張でしょうか。

前原国務大臣 全体の整合性を持って議論をしなくてはいけないと思っています。

 例えば、我々は原則無料化ということを言っています、段階的に。では、原則というのは、何が例外なのか。それは、首都高と阪神高速は我々は料金を取り続けると言っているわけです。では、なぜ首都高であり、なぜ阪神高速なのかというと、そこは交通量が多くて、無料化するとより混雑をするということで、初めからそこは外しているわけです。

 ということになれば、物流の多いところ、あるいは人口の多いところ、そういうところを我々は、今先生がまさにおっしゃったようなことを加味しながら社会実験をやっていく。しかし他方で、普通の道路は込んでいて、そして高速道路はすいているという地域もいっぱいあると思うんですよ。そういったところについては無料化をしていくというようなこと。つまり、すべてそういった状況状況を組み合わせていく中で、極めてきめ細かな社会実験をやっていく、こういうことでございます。

加藤(紘)委員 過疎地の、高速道路をびんびん飛ばせるようなところも含めたバス協会の陳情というのが前原さんにあったのを新聞で見ました。そこで、はあ、そういうことがあるのかなと思ったんだけれども、過疎地のバス会社は、本当に僻地の生活バス路線維持は当然ながら赤字になる、高速道路をぼんぼん飛ばして、これで稼いでいるんだ、だから変なことをされると生活道路まで切らなきゃならなくなりますと。そういうことがあるんだねと思いましたが、これはそのバス協会の既得権益擁護でしょうか、それとも正当に聞かなきゃならぬ話でしょうか。

前原国務大臣 私は、そこは既得権益では必ずしもないというふうに思っています。

 バスそれから鉄道、あるいはフェリーなどの内航汽船、こういったものの影響も含めて社会実験をしていくということでございます。

加藤(紘)委員 我々が政策を立案しているときも、そういう問題も業界からも聞いたし、一般有権者からも聞いたし、そうすると、なかなかすぐ簡単にぼんぼんときれいさっぱり判断できないのがある。そうすると、それを見て、自民党は既得権益、既存団体、農協の言いなりだということを演説された方が多かったと思うんですが、これからはそれぞれ、もうあなたたちが政権側なんですから、どうぞ地方の声と、いろいろ聞いて御判断いただきたいと思います。

 皆さんは大変恵まれていると思いますよ。

 政権ができたら報道各社は、八月三十一日、朝日新聞は、政策を具体化するに当たって、間違った点や足りない点が見つかったら君子豹変の勇気を持つことだということを新聞社説で書いてくれるんですよ。自民党なんかにこんなに書いてくれませんよ。温かくありませんよ。そういう中で我々は生きてきたんですよ。

 それから読売新聞は、政権公約のうち、直ちに実施すべき政策と、時間をかけて練り直すべき政策の整理をすべきだと。

 それからきわめつきは日経新聞。対米政策で君子豹変せよ、給油活動、再編見直し、日米地位協定の見直し公約は実施に移すなと主張していますね。

 だから、本当に次から次へと、難しいことだったら無理しなさんなよという、何か母親が子供を見ているような、そんな感じなんですね。毎日新聞だけ、国民との約束は重いと鳩山論調的に書いていますけれども。

 だから、フランスのミッテラン政権が予想に反して政権をとったときに、最大の問題は、公約、マニフェストからいかに豹変するかだったんです。それに半年、一年かかって、そして非常にしっかりとした政権になっていったんですが、九月一日前後に新聞各社がそう言い、今日、十一月二日、我々がマニフェストなんてやめなさいよということを、町村さんもこれはいろいろ沖縄問題ですけれども、私はいろいろな経済問題でここまで言ってあげているんだから、どうです、国民との契約ですからなんてもう五十回聞いたようなことを言わないで、ここですよ、考えます、世論に従ってやっていきますということを言えばいいんですよ。こんな温かい野党ないですよ。どうですか。

鳩山内閣総理大臣 大変そのお誘いに乗りたくなるような御指摘をいただきましたが、大事なことは、今まで政治家の言葉というものが軽くて、選挙のときにさまざま申し上げたことが守れなくても大したことがないで済まされてきてしまった、それに対する国民の皆さんの怒りというものもやはりある。

 だからこそ、私たちは、まだ不十分かもしれません、なれていないかもしれませんが、マニフェストで約束したことは、やはりそれは重いと考えるべきで、まだ国民の皆さんが、例えば高速の無料化など反対が多いものも確かにあるでしょう。それに対して、では、本当に我々の考え方の方が正しいのか、あるいは国民の皆様方が反対されているのが正しいのか、それをもっと議論していく中で溝を埋めていく必要があると思います。

 だから、後生大事に何でもかんでもと言って突っ走るつもりはありません。当然、国民との契約といっても、国民の皆様方が嫌だ嫌だと言うのを強引にということが必ずしも正しい結論ではない、そのようにも考えております。しかし、やはり我々が訴えたことの言葉の重さというものをここで軽々しく変えるということはなるべくやらないようにしていかなければならない、そのように考えております。

加藤(紘)委員 民主党の政権がいい政策を国民の前に実行していくということが、結果的には我々には厳しいが、より再起へのハードルは高く、鍛えられるものだというふうに思うから、わなじゃないのなんてあの辺で言っていましたけれども、そう思うのは百戦錬磨の亀井さんみたいな人だけにとどめておいて、やはり、あるとき考えなきゃならぬと思います。

 だったら、ちょっと厳しい質問をします。

 このマニフェストをつくったのが、最終決定に重要な意味を持ったのが、おたくの常任幹事会、トップ会議、七月七日です。そうですね。そうなんです。その会合は常任幹事会ですから、民主党の上の方の四十人ぐらいが出た。もちろん平野さん、もういないけれども、出た。ここにおられる方の十数人は出ています。

 そこで財源論が議論になったんです。そのときに、新聞報道によれば、藤井最高顧問は、財源のことは余り心配するな、どうしようもないときにはごめんねと言えばいいんだと言ったという報道、正確じゃないようなんだけれども、そういうことがあったんですけれども、前原さん、どうですか。その会議に出ていましたね、あなたは。はい、どうぞ。

前原国務大臣 私は、その常任幹事会に欠席していたそうです。

藤井国務大臣 ごめんねというのはうそですよ、あれは。こう言ったんです。これは必ずできるんだし、これは総理の言われた言葉と同じことを言ったんですよ。できなかったら四年後に責任をとろうよ、こう言ったんですよ。そうしたらだれかが、要するに、彼はごめんねと言えばいいと言ったように話がすりかわったんです。決してごめんねと言うのがいいと言ったのではありません。

加藤(紘)委員 もっときつい言葉なんですね。下野すればいい。ところが、四年後に下野すればいいと本会議で鳩山さんは言ったけれども、それは何も言っていないことなんです。四年間の間に選挙があるんですから、責任とろうといったって、とるまいといったって、下野させますよ、国民は。だから、それは詭弁です。

 それで、どこかの新聞に、四年後にというのを、責任とると明言と書いてあるけれども、そんなものは当たり前ですよね。当たり前の話です。そのときに問題になるのは、四年までの間に何か責任をとらされるようなことが起きます。それは多分、藤井さんがお考えになっていることだと思います。やはり藤井さんは、財源の問題についてかなり厳しくずっと昔から考えていた人ですね。

 赤字公債というのがあります。これを初めて出したのは戦後だれかというと、昭和四十年に福田蔵相のときにちょっとあるんだけれども、これは一年だけの話で、その次は大平さんなんです。昭和五十年の財政で、大平さんは四十九年から蔵相をやっていまして、そして赤字公債を初めて出した。

 私は、大平さんのもとで官房副長官をしていました、総理のときに。責任を本当に感じていました。それで、自分が総理をあと三、四年やらなきゃいけないかもしれぬと思って、無理を押して一般消費税というのを選挙で出して負けて、そして四十日抗争になったんです。

 この、どうしても赤字公債を出さなきゃならぬという状況だった福田さん、大平さんの前の蔵相なんだけれども、この人と四十日闘って、福田さんは、やめろ、大平さんは、やめろということは死ねということですか、死んでもらおうという大論争をして、中日、二十日目ぐらいのときに首相官邸に戻ってきました。午後一時です。二人でまずいそばを食っていました。そのときに、大平さんがずっと私を見て、福田さんはおれにやめろと言ったと。しかし、後をだれにやらせるか考えると、おれにはやめる自由がない。しかし、万が一おれが今ここで死んだら、だれが日本の総理になるんだ、すべきか、加藤言ってみろと。私は、まだ当選二回ちょっとですから、言えるわけがない。下を向いたら、突然、加藤言ってみろと。目を上げたら狂気の目ですよ。そして、また黙った。いいか、ここで日本のために総理をさせなきゃならぬのは福田赳夫だと言ったんですよ。

 驚きました。ほんのさっきまで激しい闘いをして、我々子分も福田さん打倒とやっていたときに、親分は、国のためには福田だと。しかし、当人も感情があったんでしょうね、言いたくなかった。それを僕にぶつけて、どなり返して、福田だと言ったんですね。それほど当時の首相たちは、蔵相たちは、赤字公債を出して借金がふえていくことに、後代の世代に責任を感じたんですね。

 それからバブルがあって、出さなくてもよくなった。ところが、また収入が入ってこなくなって、また赤字公債を出さなきゃならぬときの、そのときの大蔵大臣はだれか。だれですか。

    〔委員長退席、海江田委員長代理着席〕

藤井国務大臣 これは竹下さんの時代から始まっていると思います。それは、おっしゃるように、昭和四十年のときは、オリンピック景気の後で、本格的な戦後初めての構造不況が来たわけですね。それが福田さんですね。それから次が、第一次石油ショックの後の大平さんだったと思いますね。それから、やはりその後は、昭和六十年代の初めですから、竹下さんであると。いろいろな方がずっと赤字国債を出してこられましたけれども、私は、代表的な方は竹下さんだというふうに認識しています。

加藤(紘)委員 藤井さんなんです。あなたなんです。(藤井国務大臣「そうかな」と呼ぶ)はい。調べました。そして、そのときに藤井さんは、赤字公債は出しちゃいけないと頑張る。そうすると、事務次官の齋藤次郎という人が小沢さんと組んで、細川内閣なんだけれども、国民福祉税七%を打ち上げて、それでだめになっちゃうんですね。今、小沢さん、藤井さん、齋藤次郎社長、因果は回る。

 やはり藤井さんはそれほど頑張る人だったんです。だから、赤字公債は出したくないと大臣が頑張ったから、齋藤次郎氏は一般消費税に走って失敗したんです。それほどの確信を持っているしっかりとした藤井さんを、どうでもいいから、まあ、四年後下野すりゃいいという雰囲気にさせた民主党って何ですか。

 私は思うんだけれども、やはり権威者の言葉というのは大きいんです。財源のことを考えなきゃならぬなと非常に強く考えているあの当時の岡田政調会長、報道によればですよ。それから、まあいいじゃないか、選挙だ、やっちゃえというのと。そういう中で、やはり権威のある人のひとり言、吐息一つ、それだけで崩れてしまうんですよ。ですから、そんなふうになってしまった七月七日の会議で決まったものでしょう。

 時間がなくなりました。そのときに、七月七日のその会議に出ていたと思う人はいますか。農林大臣も出ていたようですけれども、覚えていませんか。

赤松国務大臣 何カ月か前のことですのであれですが、先ほど財務大臣が言われたように、両方合わせれば二百兆円の予算規模なので、努力をしてきちっと削るべきところを削ればそれぐらいの財源は出てくるよ、しっかりそれでやろうというような話だったと記憶をしております。

 以上です。

菅国務大臣 ちょっと私は、加藤先生の言われているのは根本から間違っていると思っているんですね。

 今、赤字国債を再度発行したのは確かに藤井先生のときかもしれませんが、その前のバブル時代にも建設国債を発行し続けております。しかも、当時は税収が抜群にふえた時代であります。なぜ、税収がふえ、NTT株の五兆円があっても建設国債を発行したのか。当時は、日米の貿易インバランスの縮小のためと言いました。

 私は、今になってみるとそれは間違っていたと。つまりは、ありとあらゆるときに、景気のいいときも景気の悪いときも、いろいろな理由をつけて公共事業偏重の予算を組んできたのが、私も一時期与党におりましたので責任の一端は当時もありますけれども、それを今抜本的に中身を変えているのが今の鳩山政権の改革の本質であって、ただ赤字国債をいつから再開したかしないかじゃなくて、これだけの国債を景気がいいときも悪いときも出し続けたその構造の硬直化、これを政治的に変えられるかどうかがまさにマニフェストでやらなければならないことだ、こう考えています。

    〔海江田委員長代理退席、委員長着席〕

加藤(紘)委員 そういう中で、建設公債、赤字公債という話があったけれども、我々は、建設公債は、仮にコンクリートであったにしろ、それは後々に財産が残るから、赤字公債というのは、言うなれば人件費とかいろいろな社会保障手当に消えていくからということで整理しているんですね。この議論は、また永遠にやりましょう。

 ところで、ちょっとお聞きしますけれども、今度三兆円の無駄を排除しましたね。無駄という三兆円。皆さん、政務三役で決められたから、僕がこうやって質問してもお答えになれると思います。私は質問主意書を出していません。なぜかというと、小沢さんがやらないでやろうじゃないかと言ったから、小沢流に従って一切の質問を出していないんだけれども、それぞれの役所が、この間、役人を抜きにして、政治家五人で、我が省のこれは無駄だよねと言って、仙谷さんのところに差し上げたわけでしょう。だから、私のところではこれが無駄でしたというのをだれか言ってください。

 理事会で、我々は無駄リストを出してくれと言ったら、出せないんですよ。無駄の基準を紙に一枚書いてくれと言っても、出せない。平岡理事が、役所から聞き取ったものはこんなことなんですと言って、これはどこの役所ですか、では役所の名前を出してくれと言っても、平岡さんは出せない。

 あまつさえ、各省が凍結したリストは、そのリストはもらいましたけれども、それは全部とじて、とじた資料の責任の役所が書いてない。書いてないのはおかしいじゃないか、仙谷さんのところか、藤井さんのところかと言ったら、それも言えませんと。そして、各省の名前が全部ずらっと並んでいるんですよ。各省の名前、資料を出した名前を全部一面に書いてある。こんな資料は見たことがない。つまり、どこがこのことをやっているかということがわからぬ仕組みなんですね。

 だから、しようがない、ここで聞きます。我が省ではこれが無駄でしたということを言ってください。覚えているはずです、それは。(発言する者あり)不要不急でも何でもいい。私が聞くのは無駄。あなたたちがカットした、とりあえず使っていないものを集めただけで不要不急の概念じゃないし、無駄の概念でもない。

 それでは、経産省からいきましょうか。不要不急、無駄を二兆九千億と総理大臣は本会議で言ったでしょう。では経産省、何が無駄でしたか。

直嶋国務大臣 経産省として議論しましたのは、不要不急ということなんですが、要するに、補正予算で本当にお金を使わなきゃいけないかどうかということを最大の判断基準にして、経産省として削減幅を出させていただきました。

 トータルは、たしか六百億強だったというふうに記憶をいたしております。

加藤(紘)委員 具体的な案件を言ってください。具体的な無駄。経産大臣、具体的なテーマで、もうちょっと。

直嶋国務大臣 済みません。突然の指名なのでちょっと資料を。

 鳩山内閣の方針に基づきまして、先ほど申し上げた経済産業省予算一兆三千三百九十億円のうち約四・五%、六百二億円の執行を停止いたしました。具体的には、基金事業の中で、二十一年度中に支出が行われない部分八十九億円、それから独立行政法人の産業技術総合研究所等の施設整備費のうち未内示分百五十八億円、その他でございます。

加藤(紘)委員 今、私たちは、どれが無駄かと聞いているんです。

 総務大臣。

原口国務大臣 加藤先生にお答えします。

 三つの班に分けて、政治主導でやりました。

 その中には、例えば、一体本来であれば百万円するものが実質随意契約とおぼしきもので百五十万する救急救命のセット、こういうものも含まれていました。これは大幅に削減をしました。あるいは、研究開発と称して今年度箱物をつくってもせんがないようなものについても、これを削減しました。また、地方自治体の皆さんにもお願いをしまして、基金事業が幾つかございました、自公政権でおつくりになった。この基金……(発言する者あり)無駄だったんです。基金事業の中で、基準が強過ぎて実質使えないもの、これについても削減をさせていただきました。

 以上です。

加藤(紘)委員 小学校に入る前の子供たちにとりあえず三万六千円の子育て応援事業をやろうと、この補正予算で決まったんですね。それが千二百五十億円ぐらいあって、そのうち千百億円が返上になりました。最後の最後の駆け込み返上です。この判断は厚労大臣がしましたか。無駄ですか。

長妻国務大臣 加藤委員にお答えをいたします。

 私どもは、無駄な事業プラス不要不急、こういうことを申し上げております。

 これは非常に苦渋の決断でございましたけれども、我々は、一回限りではなくて、来年の四月分から恒久的に子ども手当というのを出す、こういうことを決めております。その意味では、これは限られた財源です。先ほど赤字国債のお話もございましたけれども、限られた財源の中で、一回だけの支給ではなくて恒久的な子ども手当の財源に使おう、こういう苦渋の決断をしたわけでございまして、ぜひ限られた財源の中、御理解をいただきますよう、よろしくお願いいたします。

加藤(紘)委員 来年の六月から子ども手当を出すと。

 同じ性格のものを、ある限定されたところに、この不景気の中、子供たちに出す。子供たちも親も期待した。それがなぜ不要不急なんですか。

 あなたは苦渋の判断だと言ったけれども、黙っていれば、あなたは出したくないんだよね、出したくなかった。おわびの中に書いてある。それを無理やりにはぎ取ったのは、仙谷さん、あなたじゃないですか。

仙谷国務大臣 無理やりはぎ取ったわけではございませんけれども、加藤先生の今の論理だと、大が小を吸収するから、内金として出しておけばいいじゃないかというような程度のお話でありますが、先ほど長妻大臣が申し上げたとおり、こういう中途半端な一回限りのものをやって、少子化対策とか男女共同参画とかになるだろうかという疑問。

 我々は、子ども手当を核として、これからの女性と男の働き方も含めて、やはり大きく変えていく。それから、子育てというところを重点的に強化しなければならない。そのためには、こういう中途半端な、クリスマスプレゼントみたいな、年末に渡すとかなんとかというこの種のものは、一たん停止をして本格的なものをやろう、こういうふうに考えて厚生労働大臣と合意をした、こういうことでございます。

加藤(紘)委員 恐らくそれは、生活が苦しい、厳しい、こういう状況判断が余りできていない、冷たい判断だと僕は思います。恐らく、だからこそ長妻さんは抵抗の限りを尽くし、そして、最後になったらどなり返す仙谷大臣という記事が出て、よろしいんですか、これで。まあいいです、もっとあなたに聞きたいことがある。

 さあそこで、こうやって三兆近いものが出て、これは一時金として景気対策として出したものなんですよね。ですから、これを、来年度以降の七兆一千億の、子ども手当にしても、ずっと継続的に出すものの財源に使ってはおかしいんです。

 我々だって、補正で一回限りだから、あと十・五兆ほどしようがないと思って景気対策で出しているわけですね。それは、赤字公債やその他の公債を出すということを我々は一生懸命しないようにしながら、でも、この状況で十兆の新規財源を出すことは、マーケットもその必要性を見てくれるだろう。

 アメリカは三年間で七十兆円ぐらいの対策を打った、三年間。我々と経済三倍のところだから、ある意味でとんとんかなと。中国だって四、五十兆の景気対策を打った。といっても、あれはたしか三年か五年だから、そんな大きなものではない。我々が打ったのと大体似た景気対策なんですよ。

 それを倹約したからといって恒久財源にするということは、これまで三十三兆、二十五兆、三十一兆、新規国債の発行はこのレベルでずっと抑えていたのを、あたかも四十四兆がスタートかのごとく今言っているでしょう。藤井さんもそうだ、仙谷さんもそうだ。どうですか。

藤井国務大臣 これは、現実の問題として四十四兆になっているんですよ。それがもう社会なり経済の前提になっているんです。さらに言えば、国債市場は四十四兆を前提としてやっているんですよ。それが、三十三兆なんて話を戻すのはおかしい。これだけ申し上げておきます。

加藤(紘)委員 それでは藤井さんにお伺いする。

 国債の市場の個人の引き受け、売れなくなりましたね。窓販も売れなくなった。心配でしょう。心配じゃないんですか。

 時間がないから、ついでに聞きます。

 宮沢総理のとき、あるときに十年物の利回りがぐんと一・九まで上がりました。それで、宮沢さんは慌てて軽井沢の休養から里におりてきました。今は一・二〇、一・二五のものが一・四五までいっていますね。あの当時と違うんだと思うんです。あの当時は金利があった時代で、今はゼロ。そういう中で、十年物の利回りがどの程度までいったら危険信号だと認識しますか。

藤井国務大臣 私は国債市場というのは非常に注意深く見守っておりますが、今、きょう現在、一・四よりもっと下がっています。一・三台に落ちております。

 もちろん、そのことは非常に大事な問題ですから常に注意深く見ておりますが、これは、はっきり言えば、四十四兆を前提にしてそうなっている。それはもう当たり前のことですよ。(発言する者あり)違うと言う人のおっしゃっている意味がわかりません。

加藤(紘)委員 金曜日の夜で一・四〇ですね。きょう、一・三八五。〇・〇一五下がっただけで、きょうは下がっていますと言えるほどの幅ではありません。今さっきチェックしましたから。ですから、金融市場は危ないんです。私は、四年後に責任をとればいいというんじゃなくて、金融市場の利回りで責任をとらされるときが来ると思います。ですから、用心された方がいいと思います。

 さて、最後の質問に移ります。

 JALですけれども、あれは今、年金で、こういうときになると、昔の公務員、地方公務員、それから国鉄、全部過去の年金債務を国費に移したんです。それが今、一兆円とか二兆円つぎ込んでいるんです。追加費用といいます。そういうことは一切ないように考えながらやりますね。長妻さん、どうぞ。

長妻国務大臣 JALの年金のお尋ねだと思いますけれども、これにつきましては、先日、前原国土交通大臣が厚生労働省をお訪ねになられ、中間報告として、支援機構に行くことになった、そして内閣として対策本部をつくる、この二点と経過報告をいただきました。

 ただ、具体的に、私、厚生労働省として判断をする、そういうような具体的な御提案はございませんでしたので、今のところ、経過をお伺いするという段階です。仮にそういう御相談、あるいは私が判断しなければならない案件が来るか来ないかわかりませんけれども、仮に来た場合は、どう判断するかは別にして、速やかな判断が必要ではないかと考えている状況です。

加藤(紘)委員 これは、当選二回のころから僕は自分の政治活動のテーマとしてやっていることで、非常に社会的な不合理があると思います。

 今、国民が一番関心があるのは年金です。地方では、公務員を終えた御夫妻というのはゴールデンカップルなんです。もらっている人がそんなに多く、そんなに高額なのにつぶれない、保険料は厚生年金より低い、これはなぜかということをずっと、民主党の人もお考えください。というのは、四、五十年前に、当時総評が強かったころ、年金を何にもわからない自民党の我々の先輩がある一行を書かされた。これまでの年金の支払い義務は国家で払うとする。一行です。それでこんなことになりました。どうぞ御注意ください。構図が今と似ていますからね、連合が大変影響力があるという意味で。

 最後に一言、農業について。

 赤松さん、ほとんど農林省が考えているのと同じような案になりましたね、最近の案は。それで、あえて言えば、自民党だって一万円の給付は考えていた。その前に申し上げます。戸別所得と言った。すると、農家は、自分の家のコストと収入と、一軒一軒丁寧に小沢一郎さんが見てくれるんだろう、こう思った。違いますよね、今の案は。全国一律の収入と一律のコストを見て、それで平均をとって農家に配る。それでどうして戸別と言えるんでしょう。

赤松国務大臣 今私どもで、概算要求の中でお願いをしている分につきましてはあくまでも二十二年度分ということで、マニフェストの中では本格実施は二十三年度からということになっております。二十三年度からしっかりしたもの、いいものをきちっとやっていくためには、二十二年度にモデル事業としてその一部を、そしてまた、統計等のないものもございますので、それもしっかり資料をとってやっていくということが必要だということでございます。

 時間の関係もありますから、簡単にポイントだけ言いますと……(加藤(紘)委員「いやいや」と呼ぶ)いいですか。

 そういうことで、ぜひ、とりあえずは米を中心に、あるいは水田作を中心にしたもので二十二年度は始めますが、それ以降また、よりしっかりした、二十三年度から本格実施ができるように間違いなく進めていきたいと思います。

 以上です。

加藤(紘)委員 これは大問題になると思いますよ、農村では。

 それで、パイロットというけれども、モデル事業というけれども、どこかの地域でモデルでやるというなら別ですよ。米については全国でしょう。有利なところ、大規模なところ、不利な小さなところ、それを全部一律に扱うというんですから。これほどマニフェストとやっていることの違いの大きいものはない。

 それで、もしこれで米だけがモデルでやりました、そうすると大豆との関係で、大豆の人がみんな米に入ってくるんですよ。それでまた変えるとなると、そうすると猫の目行政になるんです。じっくりデザインして出すべきだったと思うんですが、答弁を求めていると次の人に食い込みますから、次の通常国会で、ないし今国会でも農政でしっかり議論したいと思います。

 どうもありがとうございました。

鹿野委員長 この際、後藤田正純君から関連質疑の申し出があります。大島君の持ち時間の範囲内でこれを許します。後藤田君。

後藤田委員 後藤田でございます。

 鳩山総理には、夏の総選挙には我が徳島県に二回ほどお越しいただきまして、また菅さんにもお越しをいただきました。前原さんにもお越しをいただきました。赤松さんにもお越しをいただきました。岡田大臣におかれましてはヘリコプターでお越しをいただきました。原口さんも来ていただきましたか。(発言する者あり)そうですか。地元の仙谷大臣は、数日前、我が市町村長にお回りになって、交代だぞと言って回られたそうでございます。選挙には友愛はございません。戦いでございます。ですから、それはいいとしても、全国でまれに見る、本当にありがたい戦いをさせていただいたと思っております。

 ゆえに、徳島県、地方については、相当閣僚の方は現場を見ていただいたなというふうに思っております。にもかかわらず民主党さんの政策は、道路、農政、また過疎、過疎法にしましても、延長をしようという我々の考え方、また市町村の代表の考え方に対して、まだ中身が練れていない。道路にいたしましても、我が県、五十人の過疎集落、限界集落、そういうところには道路が必要でございます。また、治水のダムも必要でございます。そういう現状が、皆様、徳島に来られてわかっていただいたと思いきや、コンクリートから人へと、このワンフレーズで地方の多くの方々が不安を感じているというところでございます。

 ただ、このたびの選挙は、私個人的にはやはり自民党の慢心、私自身の慢心、これによって逆風を受けたもの、私はそう思っておりますので、それゆえに、しっかりとまた地元の声を聞いて、皆様方に建設的な議論をお願いしていきたい、そのように思っているところでございます。

 きょうは、鳩山総理がいつも金色のネクタイですばらしい、我々は比較第二党ですから、銀メダルの銀色にしてまいりました。どうですか、似合っていますか。お答えください。

鳩山内閣総理大臣 後藤田議員はいつもダンディーでありますから、その銀色、大変映えております。

後藤田委員 ありがとうございます。早くゴールドのネクタイをできるように頑張ってまいりたい、そのように思っております。

 そこで、過去の政権、過去の自民党、また自社さ政権、新進党、さまざまな政権が今までいろいろなことをやられてきました。閣僚の皆様方も、その政権において主要なお立場を務められた方もたくさんおります。そしてまた、自由民主党に所属された方もたくさんいらっしゃいます。鳩山総理におかれましては自民党田中派、岡田大臣においても自民党の田中派、亀井大臣におかれましても自民党政調会長、藤井大臣におかれましても自民党で御活躍になったわけでございます。

 そういう意味で、先ほどもお話出ましたけれども、素直に総理は謝罪をされましたね。谷垣総裁に対しての答弁、あなたに言われたくないと。あの発言は鳩山総理らしくないなと私は正直思いました。それは我々若い世代が言うならわかりますが、しかし我々は、これから近い将来政権をとったとしても皆様方の失政を甘んじて背負いながらしっかりとやってまいりたい、そのように思っております。

 その中で、お互いにそういうことをやっていかなくてはいけないんですけれども、前原さん、本当によく頑張っていらっしゃると思います。いろいろな問題をしっかりと受けとめて、口を真一文字に閉じて、本当だったら今までの政策だとか今までの問題について、またJALの組合に対しても、労働組合に対しても、いろいろ言いたいことはたくさんあろうかと思います。前原さんは代表のときに組合との距離をとろうとされた。僕はそれは正しいと思いますよ。

 この日本において、やはり我が自民党は、これから政権をとる際に、国家としての国力、持続可能性、そして自立的であること、そして現実的であること、こういうことをしっかりと掲げながら皆様方と議論していきたいと思っています。

 しかし、今見ていますと、いわゆる依存的という言葉がぴったりなような、そういう世の中になってきてしまっているんじゃないか、非現実的になってしまっているんではないかなと。

 つまり、我々は、自立的である日本であるためには、自助と公助と共助という、さまざまな力をかりながら、自分で、自力で頑張ってください、お互い助けましょう、そして国が助けましょうとやって、その限られた財源の中で国力を高めてきたんですね。

 しかしながら、今見ていますと、国家というものが何か国民の皆さんに迎合して、お金を配る、農業にしましても……(発言する者あり)ちょっと聞いてください。やじをとめてください。

 定額給付金につきましては、まさに我々は一万数千円のお金を一時的にやったわけでございます。さんざんテレビ、マスコミではたたかれました。しかし、一時的に補正、経済対策をやらせていただいた。

 しかし、皆様方の例えば子育て支援を見ましても、二万六千円、これを年間三十万円、そして半永久的に、恒久財源のしっかりとした確保もなく五兆円の金をこれから使っていく、こういうばらまきは、一時的ではなくて、大変この国にとって自分の足腰を鍛える意味では私は大きな問題だと思っているんですよ。

 その中で、皆様方に申し上げたいのは、長妻さん、後で御質問しますから待ってください。こういう議論を、これは農政にいたしましても、先ほどもお話あったとおり、戸別所得補償にしましても、頑張っている農家の人たちが報われずに、全部一律お金をばらまきますよ。これも農家を、赤松大臣、本当にばかにしていますよ。米と麦と大豆だけ。我が徳島県においては野菜も果樹も芋類もあるんですよ。こういう問題もしっかりと、先ほど前原大臣も答弁で言っていましたね、マニフェストをつくるときは総合的に調整してやられているとおっしゃったけれども、本当に総合的な対策になっていないんじゃないですかね。

 これは、農業にいたしましても、今の子育て支援にいたしましても、今度、後で聞きますが、金融モラトリアムにいたしましても、まさにモラトリアム社会ですよ。猶予社会、大人になりたくない、皆さん足腰を鍛えながら頑張ろうという姿勢がない、そういう国家になってはいけない。ここから将来、この日本という国が自立的で持続的であるために、本当にやってはいけないマニフェストが今回書かれていると私は思っております。

 それを阻止するためには、私は、参議院の今度の来年の選挙で、本当に子ども手当をしていいのか、本当に農業所得の戸別補償をしていいのか、そして本当に高速道路を無料化にしていいのか、こういうことを我々はしっかりと国民の皆様に問いたいと思います。

 先ほど来、マニフェストの議論がございます。もう一度申し上げます。

 きょう午前中、いろいろ聞いていますと、マニフェストは契約だとおっしゃりながら、与党の皆様の質問にちょうど促されるように、いやいや、マニフェストというのは、これはもし問題があれば、国民との会話において変えてもいいんだ、契約を変更していいんだのごとき御発言がありますが、その点について総理から明確に教えてほしいのです。

鳩山内閣総理大臣 まず、後藤田委員から、さまざま私どもの新しい政権の政策がばらまきだと御批判されましたが、私どもはそのように全く思っておりません。むしろ、子ども手当、この国を覆う最大の問題、これは私は少子化問題だと思っています。このままいくと、この国は二十一世紀中に人口が半分以下になってしまう。このような状況を何としても私どもとすれば国益にのっとって変えていかなければならない。その思いのもとで子ども手当というものを創設するということにいたしたわけであります。

 したがいまして、私どもは、マニフェストというものは大変重要なものだという判断をしているわけであって、マニフェストは、くどいようですけれども、国民の皆様方とお約束をいたしたものです。今まで、余りにも国民の皆さんとのお約束、公約が守られなかった、これが国民の皆さんの政治に対する大変大きな不信感を招いた。自民党の政治のみを申し上げるわけじゃありません。公約というものはやはり守られなければならないものだ、それを基本的に置かなければならない。それが国民とのお約束のマニフェストである、基本的にそう申し上げる。

 ただ、先ほどからいろいろと御意見がありました。それでももし、国民の皆さんがこんな契約はもう要りませんよという判断をされるようなことがあれば、その溝を埋めていくような努力をしようじゃないですか。そして、国民の皆さんと議論をしていきながら落着点というものを見出すことができれば、それこそ国民本位の政治ではないか、民主党が求める、あるいは連立政権が求める政策の遂行だ、そのように考えております。

後藤田委員 今、国民の皆様がこれは要りませんよと判断されたらということですけれども、それはどういう機会、国民の皆さんにとって。これは選挙ですか、解散ですか。

鳩山内閣総理大臣 それは当然、選挙の前にさまざま国民の皆さんの意思を問うことができると思います。皆さん方が盛んにおっしゃっているのは、世論調査でいろいろとデータがあるじゃないですかとおっしゃった、それも一つでありましょう。あるいは、我々が、当然、地域において国民の皆さんの意見を伺いながら政治というものは歩むべきだと思っております。そういうものを総合的に判断してまいりたいと思います。

後藤田委員 朝令暮改とか君子豹変というのは、私はいいことだと思いますよ。それは国家国民にとってはいいことだと思います。

 その中で、今、マニフェストに皆さんの意見を聞くとおっしゃっていましたけれども、その聞き方として、今、世論調査というお話がありましたけれども、では、今度の郵政人事について、この郵政人事については国民の皆さんから大変な反対があるんですね。

 まさに、齋藤次官、先ほど来もお話ありました、十四年間渡って、ちょっと民間にいたからいいんだ、また一人は官房副長官補の方がいる、郵便事業庁ですか、その長官がいるというようなことに対して、国民の皆様は、今総理おっしゃった世論調査等々で相当な反対があるんですよ。

 この点について、皆様方は国民の理解が得られているかということについてどう思われますか。総理、どうぞ。総理。

鳩山内閣総理大臣 当然いろいろな意見があるでしょう。そして、私どもは私どもの思いを申し上げた。これは亀井大臣が真剣に、この人ならばという思いで選ばれた人事であります。そして、我々はそれも、それでいこうじゃないかと思った人事であります。

 一番大事なことは、国民の皆さんの理解をこれから得られる努力も当然していく必要があろうかと思いますし、その得られる最大のことは、実際に新しい体制のもとで、日本、このまさに郵便事業、郵政の事業が新しく変わってきたなという実感を国民の皆さんが得たときには、ああわかった、やはりあの人事はそういう意味だったんだ、その理解が得られることになると思います。

後藤田委員 日本がなかなか政治も官僚も民間も世代交代しないというのは、そういうところなんですよ。なぜ元次官じゃなきゃいけないんですか、それも前の前の前の前の。なぜ元長官じゃなきゃいけないんですか。それと、郵便事業の会社にいる民間企業の、三菱重工だ何だ、そうそうたる、名立たる会社の会長さんとか、いますよ。そういう方々をお使いになりたいという気持ちはわかりますよ、それは皆様世代が否定されるから。もっと若い、いい経営者だっていっぱいいるじゃないですか。何で、民間の一丁上がり、また役人の一丁上がりの人たちをあんなにいっぱい入れて、ああいうことをやろうとするんですか。

 亀井大臣、どうぞ。

亀井国務大臣 後藤田先生の御質問とはどうも私は思えない。あなたは若手の中では非常にすばらしいと私は思っておったんだけれども。

 役人をやったら、もう後は社会貢献できないんですか。そうした方は……(発言する者あり)民主党のだれかは関係ない。

 いいですか、後藤田先生。あなたのお父さんも、長官をやられた後、政治家になられて、立派なことをおやりになりました。それは、齋藤社長が、私は郵政事業を過去のものに戻す気はない。新しい事業を地域のために、国家のために展開するためにはどなたがいいかということを私なりに一生懸命考えた上での人事なんだから。いいですか。若ければいいというわけじゃないですよ。あなたはそう思っていないでしょう。若ければすべていいというわけじゃない。

 そういう観点から、私は自信を持ってお願いしたわけですから、齋藤新社長がそういう国民の期待にもこたえられない、また私の期待にもこたえられないのであれば、おやめいただくしかない。しかし、あの人は今必死になってこの事業に取り組もうとしておられますから。

 いいですか。民主党のマニフェストと言いますけれども、すべてを排除するという趣旨ではないと私は思いますよ。役人であれば今後の社会的な活動等を含めてできないなんということを民主党がお決めになるはずはないと私は思っています。

後藤田委員 亀井先生におかれましては、私の大おじが警察庁のときに先輩後輩でお世話になっているので、温かいお言葉をいただけたと思っています。

 ただ、今のお話では、民主党なんか関係ないと今ちょっと答弁の間でおっしゃっていたようですけれども、これは鳩山総理、我々は別に、我々も日銀の人事とかでいろいろな方を、役人出身で有能と思われる方を推薦したけれども、皆様方は、本当に役人出身はだめだとか、そういうのはだめだ、そういうことをおっしゃってきたんですよ。それに対して国民の皆さんも我々も、あの話はどうなってしまったんですかというふうに申し上げていますし、十何年ももう退いている方で、まだ五年、十年で立派な方というのはまだまだいっぱいいるんじゃないですか、そういうことを申し上げています。

 それとまた同時に、今もいろいろな次官経験者の方、各省庁の方々がどんどん天下りしていますよ。その齋藤さんが本当にすばらしいという根拠は何ですか、教えてください。総理、総理、総理がわかっていらっしゃる。

鳩山内閣総理大臣 私は、やはり齋藤さんは大変有能な方だと思います。それは、これはある意味で世間も認められた方ではないかと思います。

 私どもが民主党として天下りのあっせんを禁止しなきゃならない、そう言っているのは何か。それは、そのあっせんによって、もといた役所の影響力を新しいところに行使をする、これが大変な癒着、無駄遣いを生む温床になる、だから反対なんだと申し上げております。今回の人事はそういうものではありません。決して、いわゆる天下りというものをあっせんしたということではありません。

後藤田委員 もと役所の力を利用する者はだめだと言いますけれども、やはり国債というものを扱う立場として、いわゆる財務省との関係、金融庁との関係というのは、当然利害関係としてあるんですけれども、その点についてはどうですか、総理。

鳩山内閣総理大臣 私は、先ほど申し上げたように、天下りあっせんというものを禁止する、もといた役所の影響力というものがあってはならない。私は、いろいろ財務省にも調べました。もう既に影響力というものはない方であるという状況の中で、私どもとして冷静な判断を申し上げた。より詳しくは、どうぞ亀井大臣にお聞きください。

後藤田委員 この話は、また総務委員会でしっかり議論していただけると思います。

 そこで総理に、国会の運営についてちょっと一回、皆様方、よろしいですか、国会の運営についてでございます。

 先般も、松野副長官、わざわざ会館までお訪ねいただきましてありがとうございます。私も、先ほど来、もちろん過去のいろいろな不始末、失政について先輩方がののしり合う姿というのは、これは本当に醜いと思っていますよ。そして同時に、まさにこの国会の運営も、前はあなた方、強制的にまさに採決したじゃないかとか、おくらせたじゃないかとか、そういう議論を今すること自体、国民が一番、これはもうあほらしい、おまえら政治家は何をやっているんだというふうに私は思っていると思うんですね。

 そういう意味で、松野さんがいらっしゃって質問取りといって、誠意がすごく感じられましたけれども、やはりここで、総理、国会の運営について、質問をとる手順だとか、また強行採決の問題だとか、また安易に議事をおくらせるやり方だとか、そういうことを一回与野党でちゃんと国会改革をしっかりやろうじゃないですか。

 それで一つ、小沢幹事長さんが、役人の答弁がだめだとか、そんなことをいろいろおっしゃっているけれども、よく政治主導、政治主導と皆さん言うんですけれども、主導というのは主に導くなんですよ。皆様方は主に動いているんですよ、主動。導くということは、役人をどういい方向に導くかなんですよ。それを皆様方が、鬼の首をとったように、包丁を磨いてまないたをきれいにして、さあショータイムだと二カ月間やっていましたけれども、こういうものをしっかり皆様方と我々で国会改革しようじゃないですか。総理、どう思いますか。

鳩山内閣総理大臣 国会の運営のことに関しては、どうぞ与野党でお決めいただいて大いに議論していただきたいと思いますので、基本的に議運でやっていただきたい。私はそれは大いに結構だと思います。

後藤田委員 今総理から、今の国会のちゃんとした仕組みについて、改めて与野党でやろうということで、御賛同いただきましてありがとうございます。総理の意見を聞かせていただきました。

 そこで、今申し上げました二カ月にわたる皆様方のショータイムを見させていただきました。包丁を研いで本当にまないたを磨いて、お疲れさまでございます。国民の皆様にさあ皆様の料理を味わってもらいましょう、もうそういう時期ですよね。ただ、二カ月間皆さんのショータイムを拝見したけれども、今国会の会期は一カ月で、速く食えと。これは国会軽視並びに国民軽視じゃないですか。(発言する者あり)合意云々じゃなくて、これについて総理はどう考えますか。

 この大変な経済危機のときに、私はもっと言いますと、今までの皆さんの話を聞いていると、この七―九が終わって十―十二、一―三、年末と来年度まで、大変な経済問題、景気対策というのをやらなきゃいけないときに、来年度のシーリングの話がぼんと出るわ、三兆円補正はがしをした話だけ。結局、大山鳴動して亀井さん法案一匹ですよ。こんなことで、皆様方はこれからこれからと言うんだけれども、この現下の十―十二、一―三の経済認識というものはどうなんですか。

 我々は、昨年来、補正予算をやってきました。そして、おかげさまで四―六はプラス成長です。七―九もそうであります。それで、今まさに連続的にやらなければ、この経済、この国の景気は大変なことになりますよ、十―十二と一―三で。それがモラトリアム法案一つというのは、これは余りにも、皆様方、政治主導と言いつつ、この現下の経済情勢をわかっていらっしゃらない。それについて、総理、どう思いますか。

菅国務大臣 経済財政担当ということで、少しお答えをいたします。

 先ほど加藤先生の答弁でも申し上げたんですが、今最大に行われていることは財政の中身を根本的に変えていくという作業。それが、ちょうど私たちが政権を担当した時点では、十五兆の第一次補正が出されたものがまだ未執行のものがあったので、まずその見直しから始まった。これは、まさにその時点でやらなければならないことだったからであります。

 そして加えて、今後の中期的な財政のあり方についても、先ほども答弁申し上げましたが、初年度、つまり来年度の予算では、足元の景気の状況、そういうものを見ながら決めていきますけれども、次の年度からは、複数年度を見通した中期財政見通しというものも立てていきたいと思っています。

 それに加えて、今回、この緊急雇用対策というのを十月の二十三日に、本部長鳩山総理のもとで発表させていただきました。これは、予算は一円も入っていないと思われているかもしれませんが、実はその十五兆の一次補正の中、あるいはいろいろな資金を自治体に積んでいるものを、前倒しやいろいろな形でかなりの金額を使う内容になっています。そして、介護や森林などに十万人の新たな雇用を生み出す計画になっております。

 こういったこともまさに雇用と同時に景気浮揚にもつながるわけでありまして、私たちは、この計画と、さらには来年度といいましょうか、一月に入った通常国会に向けて、もちろん亀井先生の所管されている法案も含めて、引き続き、景気と雇用とを両立させる、そういうものを順次打ち出していくことになっておりますので、御心配は無用です。

後藤田委員 今の答弁を聞いて、全く現在の景気認識がないですね。それはいつになるんですか、執行されるのは。来年度以降でしょう。(菅国務大臣「そんなことはないよ、もうやっているよ」と呼ぶ)我々がやった補正予算が、今まさに雇用調整助成金も、菅さん、我々自公政権がやったものなんです。それを御存じですね。前年、雇用調整助成金、当初七百億だったのを我々は、これはまずいと十倍の七千億に拡大したんですよ。

 そして、エコポイント、エコカー。菅さんが我々のやったことをまた上塗りして味つけしているようだけれども、エコカー、エコポイントもまさに環境対応の経済対策なんですよ。そしてまた、医療、介護についても補正でやっています。そして、介護についても、まさに給与を引き上げることもやっています。施設の増床もやっております。こういうのはどんどんやっています。

 その中で、子育て応援手当は、皆さん、はがしてしまう。農地の集積の予算もはがしてしまう。あなた方はもうやっていることがめちゃくちゃですよ。

 こういう中で、我々は、民主党政権によって、この十―十二、一―三、本当に大変なことになると思います。こうなったときこそが鳩山不況で、これは来年の通常国会が始まったときに本当に現実的なものになるということを私は確信しておりますので、早目にしっかりとした経済対策をおやりになるべきだし、この臨時国会も、小沢幹事長が昔おっしゃっていたように通年国会にすべきですよ。ちゃんと議論しましょうよ。

 補正の問題も各委員会で、先ほどの質問で、無駄が何だ、何だと言って何も答えられない状況で、鬼の首をとったように三兆円だとおっしゃっているけれども、ちゃんとこれを国民の皆様の前で、なぜ三兆円がこれは問題だったのか、そういうのをしっかり国会を開いていただきたいと思いますが、総理、再度総理の考え、菅さんに言っていない。あなたは長いからだめなんですよ。総理、どうぞ。総理にお願いします。

鹿野委員長 菅経済財政担当大臣。(後藤田委員「菅さんには言っておりません。予算委員長、それは職権濫用ですよ」と呼ぶ)

菅国務大臣 私たちは、一次補正を全額凍結したわけではもちろんありません。ですから、私たちが昨年、トランポリン法として出して皆さんが否決したけれども、一次補正には盛り込まれた人材育成の七千億のうちの相当部分は残っておりますから。それから、雇調金の問題ももちろん理解しております。そういうものを組み合わせて、場合によったら前倒し執行も含めてやる。そして、現場からワンストップサービスの問題あるいは新卒者に対する雇用の問題、そういうものを組み合わせたものをきちっとやっているわけでありまして、決して私たちは一次補正を一〇〇%否定したわけじゃありません。

 そして、雇調金の問題は、底をついた場合にどうするかということもあわせて次の段階では考えなければいけないことは当然知っております。また、エコポイント云々の問題も、これからの課題としてどのようにつないでいくのか。

 つまりは、皆さんがやったことが、いいことはちゃんと引き継ぎ、おかしなことを切ったのがあの三兆円だと理解してください。

鳩山内閣総理大臣 国会の会期のことのお尋ねが再度ありましたから。

 国会の会期の問題に関しては、当然、国会の中で、議運で議論してお決めをいただいたものであるし、これからもそのようにしていただきたい、そのように思います。

後藤田委員 議運、議運とお逃げになりますが、これは皆さん、国民の皆さん見ていますからね。総理が、民主党政権が、連立政権が、本当にこれほど大事なときに国会を閉じて、そして地方に今度の補正はがしであれだけの混乱を生じさせながら、地方は十二月議会ですよ、十二月議会で地方にやらせながら国会は閉めて、皆さん、先ほど来の沖縄米軍だ何だとまだ定まらないことでアメリカに大臣が行くなんて、こんなばかげたことはあり得ませんよ。ぜひ、これは総理、しっかりと、十二月、通年国会としてやるように、国民の皆さん見ていますから、そのことを私は期待しております。

 最後、時間を使ってマニフェストについて個々に聞いていきたいと思います。

 私は、思いつき政治、これが今の皆様方のマニフェストに本当にぴったりな言葉だと思います。

 先ほどの子育て、子ども手当にしても、これは私、地元へ行くと、皆さん言うんですよ。将来の増税につながる、また、そうなったときにお金が必要だからためておこうかなと。本来の消費喚起、雇用喚起には全然つながらないという感覚を国民の皆さんはみんな持っていますよ。

 もっと言うと、本来、弱者救済であるべきお金ですよ。所得制限も本当はあるべきですよ。そして、本来、育児施設だとか託児施設だとか、仕事場の近くにつくるとか、また、お母さんが病気になって病院に行ったときに子供をそこでまさに見ていただく施設とかをつくるべきなのに、何で五兆円がどんとまさにばらまきに使われているかと、これは本当に国民の皆さんは注意して見ています。

 それで、福島大臣、これについては所得制限について何か発言がおありになったようですけれども、これはすべきだと思いますか。今でもそう思っていますか。

福島国務大臣 御質問、どうもありがとうございました。

 貴重な財源をどう使うかということで、所得制限に固執するのではなく、私も、後藤田さん、ほかの人も思っているように、少子化担当としては、子ども手当は、経済的支援としてこれは本当に必要、子供たちを本当に応援しようという政策です。

 そして同時に、保育所や学童クラブ、不妊治療に対する支援の拡充や妊婦健診、これは三年だけではなくて将来もやるべきだ、こういうさまざまな子育て支援を総合的なパッケージとしてきちっとやっていく、そのために財源をきちっと確保して、子育て支援を総合的にやっていこうというふうに考えています。

後藤田委員 閣僚になりますと、答弁が非常に巧みに、慎重であられると思います。

 今もおっしゃった総合的なパッケージというのは、既に我々、自公政権のときに四兆円ものお金を使ってやっているんですね。それはきめ細かくやっていますよ、大臣も御承知のとおり。役人の方から説明を受けたと思います。こんなにやっているのかと多分思われたと思います。

 それにさらに経済対策で五兆円というのは、これは国民の皆さん、まさにこの日本国家を築いてきた先輩方は、生まれたときに子供に出産一時金なんかなかった世代の人たち、日本を本当に戦後の焼け野原から立て直した人たち、この人たちからすると、何をやっているんだ、今の日本の政治はと。こういうことを……(発言する者あり)あの当時はまさに少子化じゃないんですよ。そのことを改めて申し上げておきたいと思います。

 それと、もう一つ申し上げます。

 先ほど、地方への配慮、地方の政策が全くないというふうに申し上げました。今まさに、NHKの連続ドラマ、「ウェルかめ」というドラマをやっているんです。これはどこの県だか御存じですか、総理。御存じない。これは徳島県の美波町というところがロケ地になっております。まさに鳩山総理が考え、関心を持たれている環境、ウミガメが産卵する、非常にすばらしいところですよ。

 しかし、そういう環境がすばらしいところには、まさに不便さもあるんですね。その地域に、四国の中でも8の字ネットワークが必要だという中で、まさに空白地域となっております。ゆえに、そこから、本当にお産で大変なことになっても、道路がないから病院に行けない。そして、まさに産婦人科医も含めてお医者さんの不足の問題、そして先ほど来お話があるとおり、農林水産物を早く消費地に運んでいく、そしてまた会社も、そこで利水の問題も道路の問題も、あればそこで企業を拡大しようと思いますが、それがない場合に、企業も大きくしないんです。

 以前、自民党のときに、東国原さんがいらっしゃって、やはり道路というのは必要で、道路財源というのは必要だとおっしゃいました。その思いは、各地方を最低同じ条件にしてくれ、同じ条件にしたときにまさに公平な競争が行われて、そこでみんな頑張るんだ、ただばらまきでお金が欲しいんじゃないんだ、地方をばかにするな、こういう思いを持たれているんですよ。

 それで、このたび皆様が、コンクリートから人へ、そして暫定税率廃止、高速道路無料化。これから道路の財源はどうなってしまうんですかね。

 これは前原大臣、道路財源の問題について、本当にこれから日本の道路がちゃんとつくられるのかということを地方は本当に心配しております。このことを改めて国民の皆さんの前で、その心配はないんだと。しかし、暫定税率の廃止によって、また高速の料金のただによって、その財源は相当失われますね。このフォローをどうするんですか。

前原国務大臣 お言葉を返すようですけれども、三十七年余り暫定税率をずっとつくって、続いて、道路の予算を確保してきたのは自民党政権じゃないんですか。そういうようなところに道路をつくっておくんだったら、何で今までつくっておかなかったんですか。

 それで、今までせんど借金をふやして、今国のGDPの約一・八倍ですよ、財投債を入れたら。そして、少子長寿化が進んでいく中で、医師も足りない、看護師も足りない、介護のマンパワーも足りない。そういう中で今の税金の使い道をどう変えるかということを我々は国民に訴えて、政権交代を実現したわけじゃないですか。だから、コンクリートから人へというお金の使い方をします。

 そして、その上で、道路の予算が全くなくなるわけではありません。必要な公共事業はやっていきます。

後藤田委員 その言葉をしっかり受けとめて、地方の道路網整備をしっかりやっていただくことを今お約束いただいたので、各地方の声をしっかり受けとめていただきたいと思います。

 そこで、最近、これは鳩山内閣のまさに典型でございますが、いろいろな大臣がいろいろな発言をされます。その中で、環境税発言というのが、非常にこそくな増税というものがぽこんと出てきた、あたかも昔の細川政権のときの国民福祉税のように。これについて環境大臣、この税金を大臣はおやりになりたいという御意思はあるんですか。

小沢国務大臣 今回の税調に地球温暖化対策税を出させていただいております。現段階では定性的なものを出させていただいておりまして、十一月の冒頭に審議会の専門家委員会が行われますので、そこで最終的な形を詰めて、具体的な税率、さらにはまた具体的な構成を税調の中で議論する予定になっております。

 こそくだ、こういうお話がありましたが、堂々と議論をして、選挙の前から私どもはマニフェストに出させていただいて、そして今回も、税調のスケジュールにのっとって出させていただいて国民の前で議論をさせていただくわけでありますので、こそくという言葉は当たらないのではないかなと思っております。

 それと、やはり、税というのはもちろん強制的な徴収ですからそういうものがないにこしたことはないと思いますけれども、これからの地球環境のことを考えたときに、本当に真剣になってこの地球を守っていくということを考えたときに、税の効果、それは抑制効果と、それから税収という意味でそれを使っていく、そういった二重の効果というのは私は不可欠だ、こう判断させていただいております。

後藤田委員 今私がこそくと申し上げましたのは、これは本当にマニフェストに二兆円規模ということは書かれていますか、書いていないでしょう。それを今皆様の、国民の前でそういう間違ったことを言ってはいけませんよ。どうなんですか、二兆円規模と書かれていますか。

 そしてもう一つは、税調、税調と言うけれども、何兆円規模の税を決めるときに、これはやはり政治主導でしょう、皆様。何でそうなるとまた税調、税調になるんですか。そういうことを、二兆円、三兆円規模のお金をやるときは、総理大臣そして閣僚がしっかり自信を持って言わなきゃいけない。総理、どうですか。(発言する者あり)

小沢国務大臣 もう既にやじでお答えが出ているようでありますが、二点申し上げたいと思います。

 税の規模に関しては、先ほど申し上げましたように、今専門家委員会で議論をさせていただいておりまして、今後出させていただきたいと思っております。

 ただ、私は、記者会見、記者発表でどうかと聞かれたときに、幾つかのパターンで議論をしているのを承知しておりますので、大体二兆円を中心に議論が進むと思います、そういう私としての発言をさせていただきました。

 それから、税調、税調と逃げるな、こういうお話でありますが、この税調は政治家が議論をしている会でありますので、まさに政治主導だと思っております。

後藤田委員 それでは最後に、時間もあれなので、雇用対策についての派遣禁止、派遣禁止を皆様方はうたわれているようでございますが……(発言する者あり)禁止じゃないですね、抜本改正ですね、はい、わかりました。

 その中で労働者というのは、全労働者の中で、組合に所属しているのはたった一二%ぐらいなんですよ。皆様方は組合の強力なバックアップのもとに選挙を戦われましたが、八八%の人は労働組合に入っていないんです。労働組合の人たちの平均時給というのは三千円、四千円あるでしょう。そして、皆様方は最低賃金を上げるとおっしゃり、派遣の問題について再度見直しをするとおっしゃっています。これは地方の中小企業からすると、中小企業経営は大変な問題になってきますよ。

 本当に皆様方が連合を初めとする大企業の雇用を守りながら、そして派遣労働者の方々を守ろうと思うのであれば、労働組合の賃金を下げてでもちゃんとワークシェアをして、労働分配をして給与を分配する、そういう覚悟はございますか。直嶋大臣、労働組合出身でございますね、そういう思いを持っていますか。

直嶋国務大臣 私も労働組合の出身ですが、今、後藤田先生おっしゃったように、勤労者の一二%しか組合は組織されていません。したがいまして、先般の選挙も、これだけ民主党が三百を上回る議席をとれたということは、別に労働組合だけではなくて、広く国民の支持をいただいたその結果だというふうに思っております。

 それから、今の御提案なんですが、それは私は一つの見識だと思います。ですから、もしそういうワークシェアリングをやるということであれば、具体的に自民党としてきちっと政策をまとめて御提案されたら、大変おもしろい政策になるのではないかというふうに思っております。

後藤田委員 ありがとうございます。

 そういう提案をしっかりとさせていただきたいと思いますが、あなた方はもう与党でございますので、その自覚を改めてしていただきたいと思います。

 最後に、今回の予算委員会で、あさって以降、いろいろ御質問が出ると思いますが、政治と金の問題を最後に申し上げます。

 いろいろ口ききだとか請託だとか利権というものを皆様方、閣僚の皆さんは身体検査を当然されて通られた方がやっていらっしゃると信じております。

 総理、もし、この国会、また来年国会の中で、総理御本人、また幹事長、また今いろいろ係争中であるでしょうが、常任委員長、その他閣僚にその手の話があったときに、総理として任命責任をとられますか。(発言する者あり)

鳩山内閣総理大臣 常任委員長その他という話にはならないと思いますが、閣僚人事は私が一人で決めたものでありますから、その責めは負うのは当然のことだと思います。

後藤田委員 それともう一つ、秘書給与問題というのが、前の国会でも前々の国会でも、まさに秘書給与をピンはねするということで、それをちゃんと認めておやめになった議員さん、今まさに皆様方の政府においでになりますね。今度の選挙でも民主党さんの中で何人かそういう方がいらっしゃるようでございますが、それについては、総理として、民主党の代表としてどういう対応をとられますか。どうぞ。この質問の答えで最後です。

鳩山内閣総理大臣 秘書給与の問題でいろいろと過去にもございました。私どもとしては、当然こういうことがないようにしなきゃならない、そのようにみずから努めていかなければならぬと思います。

後藤田委員 では、終わります。

鹿野委員長 次回は、来る四日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三十一分散会


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