衆議院

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第4号 平成22年1月25日(月曜日)

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平成二十二年一月二十五日(月曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 鹿野 道彦君

   理事 池田 元久君 理事 岡島 一正君

   理事 海江田万里君 理事 伴野  豊君

   理事 松原  仁君 理事 山口  壯君

   理事 加藤 紘一君 理事 町村 信孝君

   理事 富田 茂之君

      糸川 正晃君    打越あかし君

      小野塚勝俊君    緒方林太郎君

      奥野総一郎君    梶原 康弘君

      城井  崇君    沓掛 哲男君

      黒田  雄君    小泉 俊明君

      小林 正枝君    古賀 一成君

      杉本かずみ君    田中 康夫君

      津島 恭一君    豊田潤多郎君

      中林美恵子君    長島 一由君

      畑  浩治君    平岡 秀夫君

      平山 泰朗君    三谷 光男君

      森本 和義君    山田 良司君

      吉田 公一君    若泉 征三君

      渡部 恒三君    あべ 俊子君

      小里 泰弘君    金子 一義君

      下村 博文君    菅  義偉君

      田村 憲久君    谷川 弥一君

      谷畑  孝君    野田  毅君

      山本 幸三君    大口 善徳君

      笠井  亮君    高橋千鶴子君

      阿部 知子君    柿澤 未途君

      下地 幹郎君

    …………………………………

   内閣総理大臣       鳩山由紀夫君

   財務大臣

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   菅  直人君

   総務大臣

   国務大臣

   (地域主権推進担当)   原口 一博君

   法務大臣         千葉 景子君

   外務大臣         岡田 克也君

   文部科学大臣

   国務大臣

   (科学技術政策担当)   川端 達夫君

   厚生労働大臣       長妻  昭君

   農林水産大臣       赤松 広隆君

   経済産業大臣       直嶋 正行君

   国土交通大臣

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 前原 誠司君

   環境大臣         小沢 鋭仁君

   防衛大臣         北澤 俊美君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     平野 博文君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)       中井  洽君

   国務大臣

   (金融担当)

   (郵政改革担当)     亀井 静香君

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   福島みずほ君

   国務大臣

   (行政刷新担当)

   (国家戦略担当)     仙谷 由人君

   内閣官房副長官      松野 頼久君

   内閣官房副長官      松井 孝治君

   内閣府副大臣       大島  敦君

   総務副大臣        渡辺  周君

   総務副大臣        内藤 正光君

   財務副大臣        野田 佳彦君

   厚生労働副大臣      細川 律夫君

   環境副大臣        田島 一成君

   総務大臣政務官      階   猛君

   総務大臣政務官      長谷川憲正君

   外務大臣政務官      西村智奈美君

   財務大臣政務官      大串 博志君

   厚生労働大臣政務官    山井 和則君

   環境大臣政務官      大谷 信盛君

   予算委員会専門員     杉若 吉彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

一月二十五日

 辞任         補欠選任

  岡本 充功君     杉本かずみ君

  小泉 俊明君     小林 正枝君

  渡部 恒三君     平山 泰朗君

  小池百合子君     あべ 俊子君

  笠井  亮君     高橋千鶴子君

同日

 辞任         補欠選任

  小林 正枝君     小泉 俊明君

  杉本かずみ君     岡本 充功君

  平山 泰朗君     渡部 恒三君

  あべ 俊子君     小池百合子君

  高橋千鶴子君     笠井  亮君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十一年度一般会計補正予算(第2号)

 平成二十一年度特別会計補正予算(特第2号)


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     ――――◇―――――

鹿野委員長 これより会議を開きます。

 平成二十一年度一般会計補正予算(第2号)、平成二十一年度特別会計補正予算(特第2号)の両案を一括して議題といたします。

 両案に対する基本的質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

鹿野委員長 これより締めくくり質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿部知子君。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 本日は、三与党の皆さんのある中で私にお時間をいただきまして、大変にありがとうございます。

 与党の皆さんが新政権をしっかりと担っていき、国民の思いにこたえたいという熱い思いをお持ちなことを十分反映できるような質問をいたしたいと思いますし、また、鳩山総理以下、閣僚の皆様の御答弁に心より期待を寄せるものであります。

 冒頭まず、昨日行われました名護の市長選挙におきまして、名護に新基地建設は要らないということを掲げました稲嶺進候補が勝利をなさいました。獲得された一万七千九百五十票。また、もしかして反対の候補者に投票された方も、実は九八年以来四度目の問われた市長選挙、常に常にこの基地の存在と自分たちをどうしていくかということを問われ続けた、重い、しかしながら本当に考え抜いた決断の結果ではなかったか。一票の重みということを改めて感じさせられる昨日の投票、そして結果でありました。

 冒頭まず、鳩山総理は、既にメディア等々の報道ではいろいろな御発言がございますが、改めて国会という場で、昨日の名護市長選に寄せる思い、また結果をどうごらんになっているかをお願いいたします。

鳩山内閣総理大臣 阿部委員にお答えをいたします。

 まずは、稲嶺市長が誕生する、稲嶺さんが勝利をされたことをお祝い申し上げたい、祝意を申し上げたいと思います。

 言うまでもありません。名護の市長選挙の結果は、これは名護の市民の皆さんの民意の一つのあらわれだ、そのように認識をしております。

 いずれにしても、大事なことは、国の責任でしっかりと普天間の移設先の結論を出すということでございます。逃げてはいかぬということであります。民意は民意として受けとめさせていただく。

 一方で、当然のことながら、私ども、強い決意のもとで、昨年の末、平野官房長官を長とする沖縄の基地問題検討委員会をつくらせていただいた。そこで今、大変鋭意、非常に精力的に与党三党で勉強しながら移設先をどこにするかと議論をしている最中でございまして、五月までに当然政府として結論を出させていただく。その強い決意でございますので、また阿部委員にもいろいろな意味で御指導願えればと思います。

阿部委員 この名護の市民の皆さんの本当に厳しい選択であったと私は思います。基地が置かれた町は基地以外に頼る経済的なすべがないという中に置かれてきたこの十数年でありました。

 そこで、昨年、ただいま総理が御答弁でございますように、三党で沖縄の基地の移設検討委員会というものを立ち上げ、ここの大前提は辺野古以外の候補地を探すということでありました。

 この候補地の選定に当たって、私もこれまで三回の作業を続けてまいりましたが、いつもいつもブーメランのように沖縄に返っていく。これでは、私は、本当に新政権に寄せられた国民の期待、新政権への熱い思い、政権交代したんだ、もうこれからの沖縄と本土の関係は、あるいはアメリカとの関係はこれまでとは違うんだという熱い思いが脈々とそこにあるということも、鳩山総理であれば十分御理解であると思います。

 そして、私は、沖縄の民意がそのように昨日の選挙で示された結果を受けて、なお、検討委員会で候補地を探す以外に二つのことを政権はやらねばならないと思います。

 その一つは、やはり、基地を受け入れようと思うとき、沖縄の皆さんはそこの振興策というものに頼るわけです。私も、ちょうど名護の市長選挙が行われているさなか、名護市にも行かせていただきましたが、ここで振興策としてさまざまに繰り出され、つくられた施設や政策が、実は、ある施設はほとんど使う方がなく、そして、十数年たってみて経済はよくなったろうかと思ったら、かえって、基地経済というものが非常にいびつであり、そして振興策も、何の改善ももたらさないどころか、状況を厳しくしているという現状であります。私は、この名護市民の選択を受けて、国としてやらねばならないことの第一は、沖縄振興策にあると思います。

 予告していなくて恐縮ですが、前原沖縄担当大臣に伺います。

 これは、私どもが、やはり、民主党の沖縄ビジョンという中にもございましたが、自立型の経済に本当に一番向かっていかねばならないのが沖縄であり、そのことに向けて、今までであれば、基地を受け入れろ、であれば支援するぞ、振興策を出すぞと、カップリングされていたような沖縄へのお金の出し方を改めて、本当に沖縄が自立的に立っていける、美しい自然もありますし優しい人の心、平和の島でもあります、そうした沖縄の経済をどう振興させていくか、これまでの政権との違いは何か、ここについて前原国土交通大臣にお伺いいたします。

前原国務大臣 まず、自公政権で続けてきた北部振興策というのが基地の受け入れとカップリングされていたというのは、今おっしゃったとおりでございます。

 我々といたしましては、沖縄の負担軽減、そして日本の安全保障における日米同盟という抑止力、これを両立させながら、同時に、どうやって沖縄の経済の自立的な発展を後押ししていくかという、さまざまな観点からの取り組みを同時にしていかなくてはいけないと思っております。

 あと二年で今の沖振法に基づく計画が切れますので、今、沖縄県とその中身を詰める作業をしているわけでありますが、その方向性というのは、今おっしゃったように、基地を受け入れてくれるから、ではお金も出しますよというカップリングからは切り離した形で、基地はお願いをし、それに対する感謝はするけれども、沖縄振興を違う観点からしっかりとやっていくという観点で、ポスト沖振については取り組んでいきたいと考えております。

阿部委員 ぜひ、よろしくお願いしたいと思います。

 この稲嶺新市長は、もともと子供の教育に深くかかわってこられた方であります。先般、福島少子化担当大臣が、今一番待機児童の多い沖縄の待機児童の解消に向けて何ができるか、あるいはこの稲嶺新市長も選挙戦の中でも、子供たちの教育をもっとサポートしたいということをおっしゃっていました。やはり人材、人こそ、あの島のこれからを、そして日本のこれからを担ってくれるものと思います。

 きょうは時間の関係で、申しわけありません、御答弁を設けませんが、福島担当大臣には、ぜひよろしく御尽力をいただきたいと思います。

 そして、今、前原国土交通大臣の御答弁の中に出ました抑止力の問題についても、もっと明確に、抑止力とは何か、これからどのように考えていくべきかということをしっかりと国会でも真正面から論じねばならないと思います。

 ちょうど日米安保改定五十年であります。岡田外務大臣に伺います。

 日本には四万人の在日米軍兵士がおられます。このうち二万五千が沖縄におられて、定数で一万八千が海兵隊であります。日本における抑止力といった場合に、例えば、私は神奈川ですが、横須賀やあるいは佐世保などのそうしたところに置かれている基地、あるいは横田などの空軍基地、これらは専ら、防衛省の防衛研究所の出されたいろいろな調査、資料、検討でも抑止力として表現されてございますが、海兵隊というものを果たして抑止力と考えるのかどうかであります。

 これからグアムに八千人、グアム協定で移動が決まっております。この海兵隊の役割をどう考えていくのか、このことについて、きょうは一問しか伺えません、岡田大臣のお考えを伺います。

岡田国務大臣 まず、現在の日本の自衛隊の能力ということと、周辺の、例えば北朝鮮やあるいは中国と比べたときに、そこに大きな差がある。したがって、米軍が日本にいるということは、それを補う役割を果たしているということを申し上げなければならないと思います。そこに圧倒的な差があるということが、まず大前提であります。

 そして、その上で、では、米軍の中で海兵隊はどういう役割を果たしているかということでありますが、ほかの空軍やあるいは海軍と比べて、即応能力や緊急展開能力という意味では、海兵隊は他にないものを持っております。ですから、何か起きたときにまず海兵隊が対応するということが期待されるし、そういうものとして海兵隊が今、日本に必要とされているということであります。

 現時点は沖縄に海兵隊は主としているわけでありますが、そこはやはり場所的な優位性といいますか、さまざまな有事、何か起こる可能性のあるそういう地域との関係で見ると、例えばハワイやグアムと比べればかなり、少なくともグアムと比べても二日間ぐらい早くそういったところに到達できる、そういう優位性もあるというふうに考えております。

 そういう優位性がありますから、例えば、最近の災害時においても、海兵隊がフィリピンやあるいはその他災害地において活躍するということも実績としてある。そのことを見ても、かなり抑止力として機能しているということは言えるかというふうに思います。

阿部委員 今、岡田大臣が挙げられた例は緊急災害時の派遣等々で、確かにその海兵隊の役割は私は否定はいたしません。

 ただ、現在、先ほど申しました定員一万八千のうち八千がグアムに行く、これは、ラムズフェルドが政治的に大きな決断をしたことでございます。この一つとっても、結局、軍事的な必要性は、そのことを判断する政治のもとに行われるということで、大臣、いっぱいこれからおっしゃりたいでしょうが、申しわけありませんが、質問の時間の制約で……(岡田国務大臣「一言だけ」と呼ぶ)はい、では。

岡田国務大臣 今グアムに行く予定になっております八千名は、それはヘッドクオーター機能であって、実際に現場に行く、そういう機能は沖縄に残るというのが現在の計画であります。

阿部委員 それも存じています。緊急災害あるいは現場に行くという表現の部隊の数は果たしてどのくらいが想定されるのか、二千名規模ではないかという論議もございます。

 ぜひ、このあたりは、抑止力とばくっと言わないで、現実の論議を進め、よりよい着地点を設けたいと思います。

 ありがとうございます。

鹿野委員長 これにて阿部君の質疑は終了いたしました。

 次に、町村信孝君。

町村委員 自由民主党の町村でございます。

 一時間の時間を締めくくり総括でいただきましたので、これまでの同僚議員の発言等々も踏まえながら、幾つかの点を伺いたいと思っております。

 本来九時に始まるところが、一時まで延びました。これは、私どもは九時にやるつもりでおりましたが、すぐれて民主党の中の混乱からこういう遅い時間になったということだけはぜひ御理解をいただきたいと思います。

 そして、私は、何でこういうふうにおくれるかというと、この委員会をスムーズに動かすために、去年の十一月の予算委員会の時点から、政治と金を初めとする集中審議あるいは参考人招致等々を要求してきましたが、十一月二日、四日、五日と審議をやった後、一度として、私どもが何度要求しても、理事会、理事懇談会すら与党が応じてこなかった。そのことがずっと尾を引いて、また先週来から集中審議等々をやろうということを要求し続けたのに、ちょっとずつ言葉のニュアンスを変えて、確たる御返事がなかったので、けさの混乱に実はなったという状況であります。

 そして、先ほど、本来であれば理事会でこれを決めるべきところを、国対委員長の手を煩わせた形で、二月中旬までを目途に集中審議を行うという回答が参りました。でありますから、私どもは、国対委員長を煩わせたんですから、これで審議は締めくくり総括でいいですねということになりましたが、私どもの理解は、二月十五日までに政治と金をテーマに、なぜならば、私どもはこの集中審議は政治と金のことでやろうということを言い続けてきたのですから、そのことを当然のごとく踏まえて与党理事がしっかりと対応していただけるもの、こう理解をし、このことは国民の皆さん方にもはっきりと申し上げておきたいと考えております。

 さて、私はまず総理に、この政治と金の話を幾つか確認の意味を込めて伺いたいのでありますけれども、本来これは政治に対する信頼の問題ですから、余り、やれ参考人を呼べとか集中審議をやれと野党が要求するまでもなく、私は、鳩山総理の疑惑もある、小沢幹事長の疑惑もある、みずから進んでこの予算委員会なり政治倫理審査会に出てくる、そのことをむしろ総理の方からみずから希望してこられるのが普通ではないかと思うんですよ。何かホテルで記者会見をやった、それでいいのかというふうに思うんですが、総理、何で国会の中でみずから説明をしようとなさらないんでしょうか。そのことをお伺いします。

鳩山内閣総理大臣 町村委員にお答えをいたします。

 まず、私のことに関して申し上げさせていただきますが、私のことに関して申し上げれば、国民の皆さんに確かにいろいろと御心配、御迷惑をおかけしたことは事実だと思っております。ただ、検察の捜査が行われて全容が十二月の暮れに解明をされて、処分が決定をされたところでございます。すなわち、捜査が終結をして問題がそれなりに決着をした、そのように理解をしております。

 したがって、その後、私としても、国民の皆さんにオープンな形で記者会見をいたしました。私の知る限りのところを申し上げたところでございますし、また、今もお尋ねをいただいておりますが、予算委員会でも、政治と金の問題は確かに大変重要な議論だと思っておりますので、私の知る限り正直に誠実にお答えを申し上げているところでもございます。

 したがいまして、政倫審みたいな議論もあろうかと思いますが、私は政倫審の必要性というものを感じてはおりません。ぜひ、こういうところで大いに議論していただければと思っているところでございます。

 また、小沢幹事長の事案に関してもお尋ねがございましたが、これは当然、小沢幹事長御自身がおれは潔白であるということを主張しておられて、やはりそのことを説明するために、公正な、まず捜査に協力をすることが一番だということで、先日、事情聴取というんでしょうか、そこに応じたわけでございまして、その後、記者会見も行って、御自身の思いを説明を申し上げたというところでございます。

 それはいろいろと新聞などで報道されていることも私も知っておりますが、現在、大事なことは、検察が捜査中であるということでありますので、捜査を冷静に見守ることが何より大事ではないか、そのように感じているところでございます。

町村委員 捜査を冷静に見守るのは当然のことであります。その割には総理は、余り冷静でなく、無実であることを望むとか、誘導的というか強圧的というか、随分そういう発言をしておられるのは、今、静かに見守るというのとは、現実にやっておられることは随分違うなとは思いますが。

 しかし、もちろん法律的な疑惑、現に何人もの逮捕者が出ているんです、あなたの秘書も、小沢さんの秘書だった人も。そのうち一人は石川さんという現職議員までが逮捕された。こんな大きな事件が起きているときに、私は、やはりみずから、記者会見もそれはいいですが、記者会見をやっちゃいかぬとは言いませんが、小沢さんこそまさに、政倫審なり予算委員会にみずから出てきて説明をしよう、そういうふうにお勧めになるのが本当の仲間を思う気持ちだとお思いになりませんか。

鳩山内閣総理大臣 同じ同志として、政権交代をともに実現をいたした、その同志であります。その同志としては、当然のことながら、無実であることを望むのは当然の思いじゃないでしょうか。

 ただ、私は、その中で、捜査は当然公平公正に行われなければならない、だからこそ冷静に推移を見守るのは当たり前のことだ、そのように申し上げているところでありまして、まずは、今、捜査が行われているわけであります。小沢幹事長としても、必要なところでぜひ話をしたいということで、記者会見もした、事情聴取にも応じたわけでございまして、何が問題であるかということをはっきりさせるためにも御本人が説明をされているという状況だと私は理解をしております。

町村委員 私が伺ったのは、それはいいです、どうぞおやりなさい。あるいは、検察に出頭するのは当たり前なんです。

 そうではなくて、この国会の場で、これはお互いに、日本の政治、政治家、民主主義というものに対するやはり責任を、小沢さん一人ではなくて、我々みんな国会議員が共有をしているんです。それを、少しでも政界浄化のために、国民から疑惑を持たれないようにする、これは国会の責務じゃありませんか。全部司法に任せるということではない。今までもいろいろな事件が起きて、その都度、参考人、証人、あるいは集中審議、国会でやってきたじゃありませんか。そういう経験をあなたもよく知っておられるわけです。

 だから、小沢さんがこの国会に出てきて、しかも、法律的な問題はそれは検察等々でいいでしょう。しかし、政治的な問題、例えば、何であんなに十億円も超える、十何件も不動産を、しかも、もし自分のお金を出すのなら自分の名義で登記すればいいのに、何でそれを、法律上はいいですよ、それは陸山会でも何でもいいのかもしれない、実際登記は受けられないと思いますが、何で陸山会を経由してそういう不動産を取得しなければならなかったのか。これは法律的に直接触れないかもしれないけれども、しかし、そういう問題、政治的、倫理的な問題というのは、やはり国会でしか議論できないんです。そういうテーマを国会で議論しようと。当たり前だとお思いになりませんか。

鳩山内閣総理大臣 まず、政倫審に出るか出ないかという話に関しては、小沢幹事長が判断をされることだ。必要に応じて、自分が申し出るということであれば行われるでありましょう。

 そして、国会に関しては、例えば参考人で呼びたいということであれば、ぜひ、これは国会の中の話でありますから、政府の、私が申し上げる話ではなくて、国会の中で議論してお決めをいただければ結構であります。

町村委員 国会で決めるのは最後の段階で、当然のことでありますが、総理御自身がそれが適切だとお思いになるかどうかということを伺っているんです。

鳩山内閣総理大臣 それは、小沢幹事長と、ある意味で意思というものを伺う必要もありますし、まずは国会の中で今どのように思っているかということも理解をしながら、私も党の代表として結論を出したいと思います。

町村委員 余り押し問答をしてもしようがないんですが、あなたは総理大臣であると同時に党の代表です。そして、党のナンバーツー、実質ナンバーワンかもしれませんが、小沢幹事長の問題なんです。いいですか。したがって、党の代表として幹事長に対して、こうやったらどうですか、やるべきですということを何で言われないのか。何で言われないんですか。それが代表としての務めだとお思いになりませんか。

鳩山内閣総理大臣 必要ならそのようなときをつくればいいと思いますが、私は、まだ今そのときではない。

 今大事なことは、捜査中であるわけですから、そして、そこに協力をするということで小沢幹事長自身が事情というものを説明されたわけです。どこに問題があるかということすら必ずしも、先ほど町村委員も、法に触れることはないかもしれませんがという話をされたわけでありまして、そのような話でありますので、まずは捜査の推移を冷静に見守ることが大事なんじゃないか、そう申し上げているのであります。

町村委員 私が、彼の行為が法に触れるとか触れないとか、そんな判断をする立場にはもとよりありません。そうではなくて、法律的な問題に加えて、政治的な責任、倫理的な責任があるんでしょうということを申し上げたんです。

 私は、正直言って、それは鳩山党首の責任感のなさだと思いますよ。民主党ぐるみの、民主党ナンバーワンであるあなたと、ナンバーツーである小沢さんのこれだけのスキャンダルが今起きているんですよ。民主党自身の、政界浄化あるいは政治不信を回復するためにどうしたらいいか、やるべきかという観点から、あなたはもっと積極的に、やはり総理御自身としてお取り組みになる必要がある。しかし、その必要がないという御判断をどうもしておられるようだから、これ以上は申し上げませんが、しかし、この問題はこれからまだまだ続くということだけは申し上げておきたいと思います。

 そして、これは多くの皆さんがそう言っておられます。脱税をしたわけではない、私腹を肥やしたわけではない、しかし事実上の脱税なんです。脱税をして納めるべき税金を納めないということは、すなわち私腹を肥やしたことになるんです。もしこれが表に出なければ、あなたはとうとう税金を納めないで済んでいたわけですから、すなわち、数億円の私腹を肥やしたことになるじゃありませんか。それをあなたは、私腹を肥やしていないと強弁されることはまずおかしいのですが、そのことについて御意見があればと思います。

 もう一つ、政治資金収支報告書はだれの名前で出されているか、当然御存じですね。

鳩山内閣総理大臣 今まさに、私の母からの贈与の話をされました。ここでも盛んに議論がございました。私も、この件に関しても、国民の皆さんになかなか御理解をいただけないこともあえて理解をしながら、しかし、事実は一つしかないという思いで申し上げております。

 すなわち、母からの贈与に関して全く私が知らなかったものでありますだけに、これはどう考えても……(発言する者あり)皆さんがあり得ない、あり得ないと盛んにおっしゃっても、現実にそれが真実であるものですから、あり得ているんです。ですから、私は、脱税をしているなどという意識が全く起こるはずもなかったわけです。しかし、現実に、これは捜査の中でそのような贈与があるということが判明をしたわけであります。したがいまして、その贈与というものに対しては、当然、贈与税、税が発生するわけでありますから、申告を申し上げ、それに対して納税を行ったわけでございます。

 私は、自分の知らなかった状況の中で、知ったという現実がありましただけに、そのことに基づいて正確に申告をし、納税を申し上げたわけでございまして、脱税ということは当たらない、そう御理解を願いたい。(町村委員「報告書の提出者」と呼ぶ)

 政治資金の収支報告書の、当然、私自身であろうかと思います。

町村委員 何度も何度も本当に知らなかったとおっしゃるが、その説明をだれも信用していないということも、民主党の人以外はだれも信用していないということを、総理、まず認識をいただきたい。

 いずれにしても、何らかの形でその発言がうそであったということがわかればバッジを外すとこの間おっしゃったからいいでしょう。それは、いずれ、おいおい明らかになってまいります。

 そして、政治資金収支報告書は鳩山総理の名前で選管等々に出ていきます。しかし、あなたは今まで、当選以来、二十年この方たっておられるんでしょうが、一度も政治資金収支報告書を見たことがないんですか、あなたの名前で出ていきながら。これが不思議でならないんです。一度もごらんになっていないんですね。

鳩山内閣総理大臣 あるいは最初のころあったかどうかということも必ずしも覚えてはおりませんが、少なくとも近年においては収支報告書を見ておりませんでした。そのことがずさんだと言われれば、そのとおりであります。

町村委員 近年というのはいつごろですか。

鳩山内閣総理大臣 近年という私が申し上げる意味は、十数年であります。(発言する者あり)

町村委員 委員長、再三申し上げているんですが、理事として、閣僚席からこれだけの不規則発言が出る、私は今まで見たことがない。どうぞ委員長、御注意をするようにお願いをいたします。

 さて……(発言する者あり)つまらないやじが飛んでおりまして、私が見ているかと。もちろん見ております。私は、少なくとも政治資金収支報告書を出すとき三回、一回はまず秘書が原案をつくるとき、途中の段階で、そして最終的にこれが仕上がりですと、少なくとも三回は見る。これは当たり前のことであって、一度も見ていない亀井大臣、盛んにさっきからやじっておられるが、見るはずがない、こういうことを公言してはばからない大臣がいるという。

 総理が見ていないんだから亀井大臣が見ていなくてもそれはしようがないのかもしれないけれども、しかし、十数年にわたって、御自分の名前で、これだけ政治と金の問題がいろいろな形で議論になっていたときに、一度も見たことがない総理大臣、このこと自体、総理大臣の資質というものを問われることなんだということを……。

 十数年にわたって本当に一度も見ていないですか。僕はもう一回聞きますよ。

鳩山内閣総理大臣 大変そのことは申しわけなく思っておりますが、少なくとも、私は、会計経理を担当しております秘書を全面的に信頼しておったものですから、安心をして任せてしまっていたというのが実態でございます。したがいまして、十数年私は見ておりませんでした。

町村委員 そうすると、これ以外にも資産報告書とか所得報告書というのを折に触れて出すようになっていますね。これも見ておられないんですか。

鳩山内閣総理大臣 はい、必ずしも十分に見ていなかったと思います。

町村委員 私は、これだけ政治とお金の問題、しかも、鳩山総理御自身が議員の原点として、政治とお金の問題というのを武村正義先生等々と取り上げ、ユートピア研究会というものをつくり、そしてそのことをライフワークにしてこられた。それが鳩山総理の一つの政治的な大きなスタンスといいましょうか、原点の一つであったとさえ、いろいろな場所で言っておられる。

 しかし、その人が、必要な国会に出す、選管等々に出す書類に、十数年全く目を通してこなかった。僕は、これもまた、十数億円のお金をお母様からもらった、それも知らなかったというのと同じぐらい、これも御自身で全く見てこなかった、信じがたいことでありまして、では、あなたが、総理大臣が今まで言ってこられた政治と金はクリーンでなければならない等々の発言というのは一体何だったんだろうかと、まことに不思議でなりません。

 中選挙区時代に、もう亡くなられましたけれども、同じ選挙区におられた高橋辰夫先生、あるいは渡辺省一先生がよく言っておられた、町村さん、鳩山さんと同じ選挙区にいるのはつらいんだと。何がですかと言うと、室蘭とか苫小牧とか、あちこちに鳩山ボトルというのが置いてあって、みんな飲み放題だ、鳩山さんのパーティーに行くと物すごいお土産が出てくる、秘書が三十人も四十人もいて、とてもではないけれども、あの金権、物量にはかなわないんだと、あのお二人が随分よく言っておられましたが、それでは、やはりみずからの足元を見ておられないから平気でユートピアみたいなものを言えたんだなということが、実はよくわかってきたわけでございます。

 そこで、これは法務大臣にお伺いしますけれども、十二・六億円の使途の資料要求を小里議員が総理にしました。そうしましたら、総理は、資料は今検察にあるから、公判が終わったらば、資料の返還を受けて再調査をする、そういう答弁をされましたね。

 これについてですけれども、鳩山、芳賀、勝場、この三氏の処分はもう済んでおるんです。ですから、書類は今すぐにでも、返還請求さえ総理がすればすぐ返還できる状態にある、こう思うんですけれども、法務大臣、どうでしょうか。これは通告してありますので、きちんとお答えください。

千葉国務大臣 返還の問題でございますけれども、まず一般論で申し上げますと、捜査機関が押収した証拠品の還付について、刑事訴訟法では、押収物で留置の必要がないものは、被告事件の終結を待たないでもこれを還付しなければならない、また、押収物は、関係者、所持者、保管者または差出人の請求により、これを仮に還付することができると定めております。

 できる規定ということになっているわけでございますが、今御指摘のあるような課題につきましては、十二月二十四日に、同会の会計責任者を東京簡易裁判所に略式請求をしている。それから、収支報告書の作成事務等を統括していた者を東京地方裁判所に公判請求がなされている。こういう公判中ということもございますので、必ずしも、還付請求ができるかどうかというのは、この個別の事件のかかわりをもって捜査当局が適切に判断するというものだというふうに承知をいたしております。

町村委員 企業の会計処理や何かで決算書類をつくったりする、必要なときは、コピーをとらせてくれと言うと、まだこれからその書類を見るという段階だと無理ですけれども、もう一定の処分が、起訴をする等々が決まった後で、書類のコピーをとらせてくれと言われれば、捜査当局はコピーは絶対認めるんですよね。

 だから、今回の事件について、鳩山総理が請求すれば、コピーはお渡しできますね。どうでしょうか。

千葉国務大臣 このコピーが請求されているか、あるいはされていないかというのは、今の公判の問題にかかわっておりますので、具体的にお答えは差し控えさせていただきたいと思います。

町村委員 もう一度申し上げますが、まだどういう処分を下すかわからないとき、それはなかなかコピーすら難しいということはわかります。しかし、もう一定の事実がわかった上で、起訴をするとかなんとか決まったわけですから、こういう状態でコピーは絶対にとれるんです。これは、僕は何人もの弁護士さん等々に確認しました。

 だから、今回のこの鳩山総理の事案についても、コピーは、請求があれば必ずコピーをとらせると私は理解をしているんですが、その点についてお答えください。

千葉国務大臣 今申し上げたとおりでございまして、今の公判にかかわっている、そういうことになりますので、私からはお答えは差し控えさせていただきます。

町村委員 公判の内容のことを言っているんじゃないんです。コピーをとるということは、公判と直接何の関係もないんです。だから、コピーはとれるはずだと申し上げているんです。

 どうぞ、そばにいる秘書官だか局長さんだか、もし答弁したいのなら、したそうな顔をしているけれども、どうぞちゃんと答えてください。絶対こういうのはコピーはとらせるんです。

千葉国務大臣 同じ答えになって大変恐縮ではございますけれども、公判の捜査手続にかかわる問題でございますので、お答えは差し控えさせていただきます。

町村委員 コピーをとるということは、捜査手続とは何の関係もないことであります。何の関係もないことであります。わざと理解をしておられないふりをするのはやめていただきたい。

 そして、鳩山総理、いずれ公判をするのならば、公判後に全部資料が返ってくるとおっしゃるなら、あなたの膨大なお母様からもらった子ども手当の使い道について今これだけの質問、疑問がわいているんですから、どうして、資料のコピーを要求して、それを大至急精査して、そして、こういう使途でありましたと、そういう作業にお入りにならないんですか。

鳩山内閣総理大臣 これは、以前も申し上げましたように、例の私のいわゆる虚偽記載問題に関して、検察にすべての書類が渡っております。そして、その書類のすべてがチェックをされて、基本的に収入の部分には確かにいろいろあった、虚偽の部分があった、そのことは国民の皆さんにおわびをしました。しかし、支出に関して疑われたということはなかったというふうに私は理解をしております。

 したがいまして、私の母からの分も含めたすべての、政治活動のみならず、個人、それにプライバシーの部分、そういった活動のすべてに関して、基本的に疑われる部分はなかったと理解をしておりますが、しかし、このように皆様方からいろいろとお話をいただいております。したがって、私としても、公判が終わった、すべてが解決をした直後にでも弁護士に調査をするようにというふうに申しております。

 そして、それをどのような形で公表するか、公にするか、その仕方はまた弁護士と相談をしなきゃいかぬとは思っておりますが、そのことを、別に私は、その部分に関して今検察に疑われたというわけではないわけでありますから、したがって、その部分に関して、公判が終わるまでお待ちいただいてもよろしいのではないか、そのように考えております。

町村委員 ここが、法律的にいろいろ問題がある、それは裁判のマターでいいんです、政治的に責任あるいは政治倫理というのはそういうところなんですよ、総理。

 入りもおかしなところがある。出についても、使い道も、先般、井上公明党議員の質問について、そういう要求があった。私も要求しております。あるいは、小里議員、柴山議員も要求しております。だから、早くこうした疑惑について解明をしたいという思いがあるならば、コピーの要求をすればいいじゃないですか。

 コピーの要求を今すぐしてください、そうしたら必ずコピーは出てきますから。そうすれば、公判が終わってから、公判なんていつ終わるかわからないじゃないですか。そうではなくて、何で今すぐやろうとしないんですか。そんなに疑惑解明をするのが嫌なんですか。嫌じゃないのならば、早くコピーの要求をしてください、必ず出てきますから。そして、早く国会に報告をし、それをベースに国会で議論しようじゃないですか。どうしてやらないんですか。

鳩山内閣総理大臣 先ほども申し上げましたように、いわゆる支出の部分で、私は、検察は基本的には疑いはなかったというふうに理解をしております。

 したがいまして、これは政治的にどうだということよりも、自分の、ある意味ではプライバシーの部分をどこまでオープンにするかという話でありますので、必ずしも今すぐに行うという必要はない。むしろ、公判がすべて終わって、すべての書類を返していただいたときに、正確に分析をして、そしてその中で、どのところを国民の皆様方に御理解いただけるか、どうすれば御理解いただけるかということを考えてまいりたいと思いますので、公判が済むまでぜひお待ちを願いたい、そのように思います。

町村委員 そうやって時間の経過を待って、うやむやになることを期待する、その姿勢が……。鳩山総理、その使途について疑問が出ているんですから、みずから疑問を晴らすように努力するのが、政治倫理の綱領にも書いてあるんです。それをまずやるべきです。

 だから、この問題は引き続き本予算あるいは集中審議で、だから集中審議を要求せざるを得なくなるんです、この話は引き続き出ますから、ちゃんと覚悟を決めておいてくださいよ。

 そしてもう一つは、友愛政経懇話会、これはたしか政治資金管理団体ですね。これに預けた、秘書が管理をしていた、この中で、プライベート、プライベートとおっしゃるが、政治資金管理団体にあなたのプライベートな資金を、そこから政治資金を出したり、あるいはあなたのプライベートな、洋服を買ったり、何かよくわかりませんが、そういうプライベートな部分が全部政治資金管理団体のお金で出されているんですか。一体どういう意味なんですか、プライベート、プライベートとおっしゃるけれども。

鳩山内閣総理大臣 私のまさに政治活動資金、資金管理団体の中で使っているものは、当然、その目的のために使わせてもらっています。

 ただ、そのほかに、例のやめました、もとの会計の実務担当者が、すべて、私からも、あるいは、後でわかった話でありますけれども母からももらっていたそのお金を、必要に応じて政治資金、資金管理団体に入れたり、あるいは、私の議員活動、さまざまな議員活動、例えば、十全に事務所を抱えておりますが、例えばそういったところの活動とか、あるいはプライベートな活動、そこに……(町村委員「そのプライベートがわからないんだ」と呼ぶ)プライベートなものを一切もとの会計の実務担当者が預かって、そこに使っていた、分けていたわけでありまして、それだけに、資金管理団体の部分に関しては、プライベートなものに使ったということではありません。それは区別をされているわけであります。

町村委員 友愛政経懇話会の入りというのは、母親の子ども手当以外は全部政治資金として入ってきたんじゃないんですか。政治資金として入ってきた、それは十二億数千万の子ども手当は別ですよ、それは別にして、一応、総理は、それは全部政治資金として受けた金、それを政治活動に使うのは当たり前、それをプライベートに使っていることがあるんですか。

鳩山内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、私の部分のお金も、さらに母から贈与を受けたものも一括して、これはまさに政治のために使う、本来必要なものに関しては資金管理団体に入れる、また、別のところに、例えばプライベートなものに使うためのお金としても使うということでありますから、そこは区別をされて使われている。当たり前のことだと思います。

町村委員 要するにどんぶり勘定でやっていたということを今言っておられるんだから、そこのところをはっきりさせるということが大切なんですよということを申し上げております。

 いずれにしても……(発言する者あり)ちょっと、隣の理事さん、黙っていてください。委員長。

 いずれにいたしましても、この問題はしっかりと、もう一度、どうぞ法務大臣に言ってください。早く資料を、コピーを入手して早く説明する政治的責任が総理大臣にあるんだということをまず認識して、そういう行動をとるのかとらないのか。そこはまたこの予算委員会等々で伺いますから、早く答えを総理みずからがお出しになっていただきたい。

 もう一つは、芳賀会計責任者、罰金三十万円、公民権停止三年、いまだに私設秘書として使っている。これは総理御自身が、政治倫理の面から見て、こうした有罪になった人を使い続ける、あるいはまた引き続き秘書として選任している、監督責任、選任責任がこれじゃ全くないに等しいじゃありませんか。公設はもとよりですが、私設秘書としてもやめさせるというのが当然の行為じゃありませんか。何でこんな者をいつまでも使っているんですか。

鳩山内閣総理大臣 秘書の芳賀君は大変有能な男でありまして、こんな者という言い方は大変失礼だなと私は感じました。

 元政策秘書は資金管理団体の会計責任者を務めておりました、御案内のとおりでありますが。この問題が報じられた際に、私は、会計責任者を解任して、また公設秘書というものもやめさせたところでございます。現在は、その元政策秘書を私設秘書として雇用しております。ただ、略式起訴によって罰金を科せられたということは大変遺憾に思っておりまして、本人も心から反省をしていることは言うまでもありません。

 しかし、法に照らして申し上げれば、いわゆる公民権の問題があると思います。これは選挙のときには使える男ではないということはよくわかっておりますが、公設秘書としての資格要件を欠くものでも現実にはありません。したがって、私は、大変有能な人材だ、そのように感じておりまして、私設秘書として現在でも雇用しているということに関して問題はない、そのように理解をしております。

町村委員 こんな者という表現は芳賀さんに対して失礼であったので、それは撤回をさせていただきます。

 芳賀私設秘書、やはりこういう人を、こういう芳賀さんのような人をいつまでも私設秘書として採用し続ける、私は、そこに鳩山総理御自身の政治倫理観というものが全く欠けているということをあえて指摘し、しっかりとした対応を総理が速やかになさることを要求します。

 同時に、芳賀大輔氏、そして先ほど申し上げましたけれども、小沢幹事長の参考人招致というものを改めて要求いたします、委員長。

鹿野委員長 後刻、理事会で協議をいたします。

町村委員 まだまだこの政治とお金にかかわる問題、いろいろな角度から議論しなければならない、こう思いますので、一刻も早く集中審議そして参考人質疑等々を行うべきであるということを申し上げます。

 一点だけ、先ほど同僚議員の阿部議員も、名護市長選挙の結果についての総理のコメントを求め、総理が発言をしておられました。

 大変鳩山内閣が迷走に迷走を重ねた結果、結局、名護市民やあるいは沖縄県民に安全保障という大きな国の問題の判断を押しつけた、ここに一番鳩山内閣の責任がある、私はそう思いますよ。非常に彼らにとっては苦渋の選択であった、こう思うのであります。そういう選択を強いる鳩山内閣の姿勢。先ほど総理も言われた、国の責任で移設先を決める。私どもだって、名護市民に国の安全保障のすべてを、賛否をゆだねたつもりはありません。(発言する者あり)

 大臣、黙っていなさい。こうやって、失礼ながら、鳩山内閣の大臣は、どんどんどんどん不規則発言をなさるのはまことによろしくありませんよ。どうぞお気をつけください。

 その上で、私はこの問題について岡田大臣に伺いますけれども、現行案、辺野古沖合、岡田大臣御自身も迷走され、嘉手納統合ということを言われて、結果、名護沖合しかないなという結論に達したというような話を私は耳にしたのでありますが、今回の選挙結果を踏まえて幅広く検討しという中には当然辺野古沖合も含まれる、岡田大臣はそうお考えですね。

岡田国務大臣 普天間の移転先については、今、官房長官のもとで検討委員会をつくって、そこで議論をしているところであります。議論はゼロベースであります。ゼロベースということは、あらゆる可能性が含まれるということであります。

町村委員 ゼロで終わらないようにしていただきたいし、総理には、五月末までに地元と、どこの地元かわかりませんよね、地元と、そして沖縄であれば沖縄県、あるいはよその県であれば知事と、米政府と日本政府、今までは、名護の市長と沖縄の知事と日本政府と米政府、この四者が同じ方向を向いて、解決一歩のところまで来ていたんです。そのためにアセスメントも進んでいた。今回、もう一度ゼロベースだというなら、五月末までに、地元の自治体、県であれ市町村であれ、それと政府と米政府が合意できる案を五月末までにつくるとおっしゃった。もしできなかった場合、それは当然内閣総辞職物だ、私はそう思いますが、総理のお考えはどうですか。

鳩山内閣総理大臣 普天間の移設問題に関してのお尋ねがありました。

 町村委員も御努力をされて、十三年間かかってあと一歩のところまで来られたとお話がありましたが、あと一歩のところで県民がどう判断をしたのか、沖縄の皆さんの総選挙の結果は何だったのか。必ずしも、皆様方の十三年間の御苦労、あと一歩のところまで来ていた、そのようには、あの選挙の結論を見ればそうは思えない、私はそう思っております。それだけに、今回の名護の市長選挙の結果も民意の一つのあらわれだ、そのように私たちは考えております。

 しかし一方で、当然のことながら、合意をされた過去の経緯もあります。したがって、ゼロベースで我々は検討をいま一度始めて、精力的に今行っているところでございまして、五月の末までに必ず、ある意味で、アメリカの政府も、そして日本の政府も理解ができるような形でまとめてまいりますから、その万一みたいな議論は私には不要だ、そのように御理解願いたい。

町村委員 必ずつくる、これは、これ以上総理大臣として重い御発言はないわけですから、できなかった場合の政治責任の大きさもまた極めて大きいということを今お認めいただいたんだろうと思います。

 しっかりと、もともと五月末ではなくて、早くなさったら、お決めなさいということを私は十一月二日の当委員会でも申し上げたつもりであります。いたずらに延ばし延ばし、いろいろな各方面からの期待をかき立てて、そしていよいよ収拾できなくなって、五月末。

 五月末だって、本当は遅いんです。しかし、いいでしょう。五月末とおっしゃるならば、どうぞそれでしっかりと政治生命をかけて、日本国の安全保障、日本国民の安全というものを第一に考えて、この問題にしっかりと取り組み、政治生命をかけて取り組んでいただきたいということを申し上げておきます。

 あと十五分ぐらいしかありませんから、次に、第二次補正予算について、私どもなりの意見を申し上げておきます。

 結論を申し上げると、自由民主党はこの第二次補正予算に反対をいたします。

 理由は、実は、お手元に皆さん方の二次補正予算の経済効果という一枚紙がございます。この中身につきましてはかなり詳しく茂木議員が質問をしたところでありますが、これをわかりやすい数字に置きかえてみました。出典は内閣府の数字であります。

 これをごらんいただきますと、二十一年度の実質GDPは、今回の二次補正でプラス〇・一、私どもが一生懸命つくった一次補正、これを削りましたので〇・二%の減、金額にすると、四千億円プラス、しかし一次補正で八千億円マイナス、差し引き五千億円の、二十一年度に与える影響はマイナス効果なんです。二十一年度GDP実質ベースでは、〇・一%のマイナス効果なんです。

 これは私どもがつくった数字ではない。この内訳的なものは、先般、茂木議員が御説明をし、資料も配っておりましたが、こういう内閣府の数字が出ております。

 これだけを見ても、今、この一―三月期、二番底と心配をされ、鳩山不況という言葉も飛び交い、こういう折に、一次補正を削減しなければまだしも、一次補正を八千億円前後削減したから、こうやって二十一年度にマイナス成長の効果しか生まない、こういう補正予算にどうして賛成ができるのかということになるわけであります。

 そして、何兆円も国費を投入しました、事業規模は何十兆円です、こう言っておられるけれども、実際のプラスマイナスの効果を見たときに、名目でわずか一兆四千億円の効果しか見えないものだから、本当に鳩山内閣というのは経済のことをわかっているんだろうか、心配だということをみんな今言うわけであります。これだけ即効性のない、マイナスの効果の大きい、こういう補正予算案に私どもとしてはとても賛成ができないわけであります。

 この数字自身の正しさは、総理、あるいはこれは担当、菅大臣、お認めになりますね。これは内閣府の数字です。

菅国務大臣 経済財政担当大臣として、このデータを出した責任者は私であります。

 町村議員はもしかしたら少し誤解があるのではないかと思います。一次補正の見直しは、昨年十月の閣議で既に決定して、提出する項目や自主返納の要請を行っておりますので、つまりは、一次補正の見直しはもう進んでいるというのが現状であります。

 そういった意味では、確かに〇・二%のGDPに対するマイナス効果がありますけれども、これは、現在審議をいただいているこの二次補正をたとえ否決されたとしてもこれが復活することはありません。トータルとしては、二十一年度分だけ見れば、確かにおっしゃるとおり、緊急経済対策として〇・一%のプラス効果と一次補正のマイナス〇・二%で、合わせてマイナス〇・一%でありますけれども、まさに町村さん御自身が出された数字のように、全体としては、〇・七%のプラス効果とマイナス〇・四%の効果で、合わせるとプラス〇・三%のGDP上昇効果があるわけであります。

 それに加えて、ここには書かれておりませんけれども、三兆円を超える地方支援の中身、これは、麻生内閣の見通しの税収見通しが大きく下回ったことに対する補てんでありまして、これも執行しないでおいたら地方に大きなマイナスの影響が出ることはよくおわかりだと思います。

 そういった意味で、二次補正を急いでいただくことこそ、今の日本の経済が二番底にならないための最も必要な政策だと私は自信を持って申し上げておきたいと思います。

町村委員 予算の仕組みがどこまでおわかりになっておられるのか。それは、閣議決定はされたかもしれませんが、国会でまだこの二次補正が通っていないんですから、この一次補正の執行停止を閣議決定で復活すれば、この〇・二%のマイナス、八千億円のマイナスは復活できるんです。復活できるんです。それをやらないで、経済に悪影響を与えるような一次補正の減額を決めた閣議決定、そしてまた、それを数字に置いた今回の二次補正予算に反対するというのはそういう意味なんです。それは、閣議で勝手にとめたからもうこれは死んでいるんだという説明は間違い。

 それから、地方自治体の財源難は、それは私どもも理解をしております。だから、私どもは、今回地方交付税の法案が出されるそうで、これには賛成をいたします。それは、自治体の資金繰り等々やっていけないわけですから、これには賛成をいたします。しかし、その補てん分の金額、三兆円前後でしたか、これについては実体経済に与える影響はなしなんです。ゼロなんです。これは、内閣府の説明どおり、この部分については地方交付税の減額補てんですから、地方自治体の言うならば人件費等々に充たるだけのことですから、これについては、何ら経済対策効果としてはプラスに計算をできませんというのが内閣府の説明であることをよく知っておいていただきたいと思います。

 それで総理、本当に地方の経済の厳しさ、どこまで認識しておられるか。なかなか、官邸におられるとおわかりになっておられないんだろうけれども、一月二十二日付の地元新聞でも、これは北海道の新聞ですよ、四―六、七―九と回復してきた、しかし、十―十二、再び悪化した、一―三もかなり悪化する見込みである、理由は、公共事業の大幅削減とデフレの進行等が理由であります、こういうことを北海道の二、三百の経営者が言っている。公共事業の削減というのは、私どもの一次補正の削減と二十二年度の削減見込みを前提にしております。あるいは、一月二十日に室蘭の百年余の歴史を誇る丸井今井デパートが閉店をいたしました。もちろん、それぞれいろいろな理由があったにせよ、こうした厳しい状態があります。

 私は、こうしたものを見たときに、とにかく公共事業をカットすればいいという政策では、本当に地方が困っているんです。二割の予算のカットをすると発注額は三割減るんですよ。鳩山総理、これは室蘭、苫小牧等々の地元の話もよく聞いていただきたいし、本来であれば去年の十二月末に北海道新幹線、札幌―長万部、これには着工の認可がおり、一月からちゃんと工事が始まる予定だったんです。福井もしかり、長崎もしかり。これを皆さん方がとめてしまった。こうしたことで先行きの明るさが何にも見えてこないんです。総理、もっと厳しい経済の現状認識を持っていただきたい。

 私は、亀井大臣、時としていいことを言われるなと。菅さんからは、何か恐竜時代の化石のような人だとかなんとか、正確にはよくわかりませんが、何かそういうことを言われて……(発言する者あり)いや、ちょっとこれは不正確かもしれませんから、私はよくわかりませんが。

 しかし、金融担当大臣は、金融担当大臣としてというか国務大臣として、この程度の補正予算で本当にいいんだろうかということを随分言っておられた。最後の局面になったら、まことに亀井さんらしい見事な変身でさっと賛成をされたが、本当にこれは閣議で賛成の署名をされたんですかね。不思議でしようがないんです。これは亀井大臣に伺います。

亀井国務大臣 菅副総理は、私にそんなことを言ったかどうか聞いてみたら、言っていないと言っていましたが。

 それはともあれ、私はやはり、無駄な公共事業はびた一文やってはならないと思いますし、一方、社会資本整備は景気、不景気に関係なしにやるべきものはやっていく必要があるし、特に景気が悪くなった場合の即効性ということを含めて、将来にわたって無駄でない公共事業は私はやるべきである、このように考えております。

 ちょっと待って、あなたが当てたんだから。

 二次補正についても、そういう立場で出したものは三党協議でいろいろと議論をいたしました。その結果、鳩山総理が私どもの考え方、意見もお酌み取りをいただき、地方に対して思い切った措置をする、また地方の零細な企業に対して仕事が出ていくような、そうした中身にするということで、例えば電線の地中化、立体交差、あるいは防災工事、都市の緑化等々、零細企業に仕事が出ていくような中身についても配慮をしていただいたということで、私どもとしては了としたわけであります。

 以上です。

町村委員 本心でなくても、やはり内閣の一員だからそう言わざるを得ない亀井大臣のお気持ちはよくわかりますが、しかし、極めて不十分なものだと。

 本当に地方経済、北海道ばかりじゃない、日本全国行ってみてください。本当に大変なんです。どうぞ総理、今あちこち地方をお回りになると言っておられるようだから、そういう現場をぜひ見ていただきたい。菅財務大臣・経済担当大臣も、東京でいらっしゃるが、どうぞひとつそういう地方の現場を見てください。そうでないと、本当に今のこの経済状態、公共事業がこれだけ減らされて大変だよということ。

 そして、私は最後に一言言っておきたいんですが、きょうの朝刊を見ると、これが沖縄の民意だ、名護市の民意だと。そこまで民意のことを言われるのであれば、何で民意に問うことなしに八ツ場ダムをやめたのか。こういう公共事業こそ地方の民意を問うべきなんですよ。安全保障の問題で、それは民意も大切だけれども、それよりははるかに公共事業というローカルな問題で民意を問うことなく、私もテレビを見ていましたら、深々と前原大臣が頭を下げておわびをしていた。

 ああやっておわびをするぐらいならば、幾らマニフェストに書いてあったって、マニフェストどおり今だってやらないことはいっぱいあるんだから、八ツ場ダム、おわびをするぐらいならば、もう一度ゼロベースに戻して、これから、やるかやらないか、地元の皆さんの御意見を聞きながらよく考えて決めようというふうに言わなければ、何度現地に足を運んだって同じことなんです。

 私は、地方の公共事業こそ民意を重視し、安全保障政策といったようなものについては、もちろん民意も大切だけれども、政府のイニシアチブ、政府の判断が極めて重要なんだというごく当たり前のことだけ申し上げて、持ち時間が参りましたので、私の質問を終わります。

 何かどうしてもおっしゃりたいことがあるんなら、どうぞ。しかし、発言されたら、私も言いますからね。

前原国務大臣 さっきから話を聞いていましたけれども、ここまで財政赤字を膨れ上がらせて、GDPの約二倍の借金を膨れ上がらせて、そしてばらまきの公共事業をやってきたのはどの政党ですか、どの政権ですか。ダムだって二千八百九十つくり、空港も九十七つくり、そしてコンテナの港も六十五つくり、維持管理だけでも大変ですよ。どうするんですか、これだけ借金をつくって、それで箱物をつくって。維持管理費だけでも出てこないですよ。

鹿野委員長 時間ですので、答弁は短くしてください。

前原国務大臣 こういうようなところの抜本的な見直しをやる中での八ツ場ダムの見直しなんですよ。自分たちのツケをほっておいて、今の政権に文句を言うのはやめていただきたい。

町村委員 今の閣僚の皆さん方の、何かあれば全部前政権のせいだということで、すべて前政権のせいだ、こういう論議はまことに拙劣なる議論なんですね。

 私どもはもっと、ちょっと座ってください。

 委員長。

 どうぞお座りになってください。

鹿野委員長 時間がもう終わっていますので、承知して、ひとつ早く終わるようにしてください。

町村委員 そうやって、全部前政権の責任だと言えば自分たちの責任が解消するという言い方はよろしくない。私どもも新生自民党でしっかりと反省すべきは反省をしております。

 しかし、地元の意見を無視して……

鹿野委員長 時間でございますので。質疑者に申し上げます。時間をちゃんと守ってください。

町村委員 はい。

 自分の意見を言わないで、人の政権、前政権のことばかり批判する、そういうやり方というのはまことによろしくない。

 以上申し上げて、終わります。

鹿野委員長 これにて町村君の質疑は終了いたしました。

 次に、富田茂之君。

富田委員 公明党の富田茂之でございます。締めくくり質疑をさせていただきます。

 菅副総理、一月二十日の参議院の本会議で、我が党の松あきら議員の代表質問に対して、菅さんはこういうふうにお答えになっています。

 松さんが、「菅副総理が政治の世界に飛び込まれたときに真っ先に師事をされ、終生清潔な政治の実現に尽力をされた、かの市川房枝さんは、政治家の金銭関係を清潔にするということが何よりも大事と主張されておられました。鳩山総理や小沢幹事長にまつわる不可解な政治と金の問題について、菅副総理の御見解をお聞きしたいと思います。」こういうふうに尋ねられたんですが、菅大臣はこれに対して、「亡くなられて三十年になりますけれども、私は、当時のことを思い出してみますと、少しずつは政治と金の問題、良くなってきていると、このように感じております。」こういうふうに答弁されたんですが、松議員は、鳩山総理や小沢幹事長にまつわる不可解な政治と金の問題について副総理の御見解を伺いたいと。答えていないんです。

 意図的にここを答弁漏れされたのか、そうではないと思いますけれども、小沢幹事長が先週土曜日、事情聴取を受けたというような新たな事態もありましたので、そういうことも踏まえて、この松さんの問いかけにきちんと答弁してもらえませんか。

菅国務大臣 松あきら議員の方から、三十年前に亡くなられた市川房枝先生の名前を挙げてそうした質問をいただいたものですから、私としては、三十年前あるいはその少し前からのおつき合いでしたけれども、当時はまだ今ほど政治資金規正法もしっかりしておりませんでしたし、あるいは資産公開もルールがありませんでした。さらには政党助成金もなくて、多くの資金は、自民党の場合は財界等から調達をされておりました。そういう意味では、いろいろ議論はありますけれども、私は、政党助成金などが導入されたことで、少なくとも、そうした三十年前よりは透明性が、少しずつではありますが、高くなったと思っております。

 そういった意味で答弁申し上げたわけですが、この国会で鳩山総理のいろいろな問題あるいは小沢幹事長のいろいろな問題が指摘をいただいていることは、よく私も承知をいたしております。そういう一つ一つのことについて私はあえてコメント申し上げませんでしたけれども、この長い政治の浄化の道筋の中で、各党それぞれ、いろいろな時期にいろいろな問題を抱えております。ですから、私は、何とか、このことがよりよい、よりクリーンな政治を実現していく上での一つの、それぞれの問題が今後に向かってプラスの効果を発揮するような形になってほしい、このように感じております。

富田委員 菅大臣、ちょっと残念です、そういう答弁というのは。政治資金の問題については非常にクリーンにやられてきて、やはり市川房枝さんの精神を引き継がれているのは菅さんしかいないというふうに国民は思っているんだと思うんですね。

 菅さんのホームページを見たんですけれども、後援会の規約のところにこんなふうに書いてありましたよ。真の改革を実現するには、利権構造とは無縁で、なおかつ市民の目線で政治に取り組むことのできる菅直人さんに総理大臣になってもらわねばなりません。そういう思いで後援会の皆さんが言っているのに、今の答弁、私はちょっと残念でした。

 これ以上言ってもまた同じような答弁になると思いますので、この件はこれで終わりますが、そういう菅副総理に関して、昨年の十一月二十七日、産経新聞が後援会費の問題を取り上げていました。もうお読みになられたと思うんですが、「菅副総理の資金管理団体 後援会費を不正処理 「寄付金偽装」指摘も」というふうな記事がありましたけれども、これに対して菅副総理の事務所はきちんと回答されて、これはしっかりしていていいと思うんですが、草志会では寄附としていただいている、発行する領収書にも政治資金規正法に基づく寄附というただし書きをつけて渡しているから何も問題ありませんというふうに、きちんとこの産経新聞の質問に答えていらっしゃいました。

 なかなか政治家はこういう問題が起きると答えないので、ここは本当にきっちりされているなと思うんですが、大臣もこの事務所の回答のとおりというふうに考えていると理解してよろしいですか。(菅国務大臣「何ですか」と呼ぶ)この事務所が回答したとおりと考えていると理解していいですか。

菅国務大臣 草志会という後援会について、一口年間二万円という形で寄附をいただいている、そういう理解です。

富田委員 ちょっとその答弁も残念だなと思うんですが。

 大臣のホームページを見ましたら、草志会設立趣意書というのがどんと出てきて、草志会の規約がずらっと並んでいます。草志会は一九九四年に菅直人さんの全国規模の後援会として発足しましたということで、その草志会の委員とかがずっと書いてあって、先ほど私が紹介した、菅大臣を総理大臣にするんだというのを書いた後に、活動内容として、会報をお届けします、また、パーティー、講演会等に御案内しますと、後援会の規約で、どういう活動をしているかというのをきちんと書かれています。

 その後に、入会の御案内というのがある。ここに年会費一口二万円、一口以上と書いてあって、入会手続方法として、下記のお申し込み欄に記入し、確認ボタンを押してください、受け付け次第、こちらから年会費納入の用紙を送りますと書いてあります。

 その次にどんどん進んでいきますと、ここでちょっと仕掛けがあるんですね。入会手続方法という欄に進みますと、下記のお申し込み欄に記入し、確認ボタンを押してください、受け付け次第、こちらから定額寄附金納入の用紙を送りますと。前のページには後援会費と書いてあったのが、ここで突然、定額寄附金納入という、寄附金という言葉が出てくるんですね。

 政治資金規正法の第四条では、会費と寄附金というのは違う扱いになっています。会費に対して寄附金控除をすることはできません。そういうふうな決まりになっているのに、なぜかこのホームページは、会費だと言っていながら、申込用紙の途中から寄附だというふうに変わっているんですよね。これはちょっと違うんじゃないかな。

 今、寄附として受け取ったんだというふうに大臣言われましたけれども、実は、このホームページのその次のページに、これは菅さんの年来の主張だと思うんですが、政治資金は個人から広く薄くというふうに書かれて、そういうふうにしたいんだという御自分の気持ちが書かれた後、インターネット献金をやったけれどもなかなか難しいということを言われた後に、個人カンパをお願いできる方は下記の口座にお願いしますということで、こちらにはきちんと、寄附をしてくださいということが書いてある、五万円を超える寄附は公開されますと。

 だから、会費と寄附、別のことをちゃんとわかっているのに、会費として二万円納入した人に一万円の寄附金控除の書類を送るというのは、これはちょっとおかしいんじゃないですか、どうですか。

菅国務大臣 産経新聞が一面トップでそれを書かれたときに、その直後の記者会見でも、顧問弁護士の方にしっかり検討していただいて、全く問題はありませんということの確認もいただいた上で、先ほど富田さんも言われたように、その場でも報告をし、その後、誤解を招くような表現を変えるということで、今、私のそれに関する書類やインターネットの表現を変えております。全部が変え切れているかどうかわかりませんが、最近も変えています。

 それで一つだけ。せっかくの機会ですから、富田さんも弁護士だからおわかりでしょうけれども、確かに、会費と寄附ということについて、私も、いろいろな使い方をしていたので、最終的にはこれは寄附として受け取りましたということで申し上げましたが、なぜ会費が控除にならないかという解釈を私も聞いてみました。

 例えばゴルフ場の会員権ですね。会員であるかないかでゴルフのフィーが、費用が違うから、それはあくまで会費という形で、あるサービスを受けるために会費という形をとっているのは、これはいわゆる非課税扱いにする対象から外す。しかし、皆さん方、後援会で、私もかなりこの問題に詳しい方ですが、会費は寄附と同様の扱いを、私のところは、率直に言って領収書は全部寄附で出しておりました、金額は小さいですけれども。ですから、そういう形で出しておりました。

 ですから、そのことをちゃんと、先ほど申し上げたとおりですよ。それは隠していたんじゃないですよ。私は弁護士さんにちゃんと聞きましたら、それで大丈夫ですと言われました。ですから、つまりは、政治家の場合に、何か便宜を提供するためのいわゆるゴルフの会員権のような会費とは、私は性格が違うと思いますよ。

 そういった意味で、私のところはちゃんと寄附という形で領収書を出して、そして、寄附控除を受けられますかという確認も全部の人にいただいて、寄附控除の手続をとってくださいと言われた方についてだけ寄附控除の手続をさせていただいています。

 私は、恥じるところは一切ありません。

富田委員 菅大臣、おっしゃっていることは、御自分の考え方はよくわかるんですけれども、一口二万円の後援会費をいただいて一万円分の寄附金控除をする。(菅国務大臣「今一万五千円くらいかな」と呼ぶ)今一万五千円とか言われていますが。財務大臣に就任されましたよね。それだったら、後援会費は後援会費、寄附金は寄附金、後援会費をいただいて、それに寄附金控除の書類は要りますかというんじゃなくて、きちんと一線を画すべきじゃないですか。私は、菅さんならぜひそういうことをしてもらいたいと思ってこの質問をしているんです。

 それはもう答弁は求めません、今のように長くなりますから。ぜひそういうことを検討していただきたいということをお願いして、次の質問に移ります。

 もう一つ、公設秘書の兼職問題について、総理を初め、ちょっと関係の皆さんのお考えを聞きたいんですが、二〇〇三年に衆議院に、国会議員の秘書に関する調査会というのが設置されまして、議論が進んで、二〇〇四年に秘書給与法の改正がされました。この中で、二十一条の二第一項で「議員秘書は、他の職務に従事し、又は事業を営んではならない。」と、兼業の禁止を原則としました。

 これは、その前年また前々年に、秘書給与を不正に議員さんの方が取得している、あるいは秘書給与を目的外に使用した、いろいろな問題が起きて、これはやはりきちんと秘書制度をもう一度考え直すべきじゃないかということで衆議院が自律的に始めたわけですね。

 その中で秘書の原則兼職禁止というのが決まったのに、残念ながら、先週末、ちょっと私の事務所で衆議院の事務局へ行って調べてみましたら、九十五名の衆議院議員さんの秘書さんが兼職の届け出を出されていました。民主党七十八名。自民党もあるんですよ、十一人。みんなの党二名。改革クラブ、社民党、国民新党、新党日本、それぞれ一名で九十五名。我が公明党と共産党さんはだれもいません。

 これを見て、原則禁止なのに、所属の衆議院議員の四分の一以上が兼職の届け出を出して、例外で認められているんだからいいんだというような姿勢でいいのかな。(発言する者あり)例外だからいいんだなんてやじが飛んでいますが、届け出が出ている書類を見させてもらいましたら、記載ミスだと思うんですけれども、二億四千万の収入がある方がいた。けたを間違えたんじゃないかなと思うんだけれども、御自分で書かれているから。あとは四千万とか。

 ただ、このとき例外を設けたのは、お父さんとかお母さんから相続で不動産収入があって賃貸せざるを得ない、そういった方たちもいるし、また、議員というのはいつ選挙があって落ちるかもわからないんだから、その担保で何らかの保障が秘書さんにも必要だということで、例外を設けようという議論だったと思うんですが、余りにも人数も多いし、公設秘書というのはそんなにほかの仕事をやりながらやれる仕事なのかな。

 これは、十二月十八日、朝日新聞が報道したときに、私の事務所にも地元から、まさかあなたの秘書は兼職していないだろうなと電話がありました。税金を使ってお給料を払っているんだから、議員と一緒にちゃんと秘書さんも一生懸命国民のために働いているんだろう、それが原則なのに、何でこんな報道がされるんだと。

 報道がありましたので、全部、うちの事務所の方で事務局へ行って一枚一枚見てみましたけれども、ある民主党の二期生の議員さんの秘書さんですが、弁護士さんなんだと思うんですが、大学の教授で年収一千八百万、弁護士の収入で八百万。大学教授で一千八百万の収入をいただいていたら、そっちがフルじゃないんですか。公設秘書をやれるのかな。また、民主党の一期生の議員さんの秘書さんで、七つも兼職されている方がいる。これは一千二十万、七つ合わせると。まあ、無給の部分もありました。本当に議員と一緒になって秘書として働いているのと。こういうのはやはりちょっと各党考えなきゃいけないし、議運で議論することなのかもしれないが、余りにも民主党の議員さんは多過ぎますよ。

 総理、この点どうですか、民主党の代表として。

鳩山内閣総理大臣 富田委員がお話しされましたように、確かに、議員の秘書の兼職問題、原則として禁止をされた。しかし、議員が許可をすれば例外的に認められるというただし規定が設けられているために、そのことを利用して、特に民主党の議員の公設秘書にかなり多いという実態があります。

 ぜひ、今、富田議員がせっかく御指摘をいただきましたから、このことに関して、これは行政の長として今申し上げるのは控えた方がいいと思っておりますが、民主党の代表として申し上げれば、やはりこの原則禁止という部分がやや骨抜きにされてしまっているなという嫌いがあると思います。したがいまして、これは国会でぜひ、これは政党の問題でありますから、各党各会派で議員の皆さんが議論をいただいて、検討をいただきたいと思っておりまして、改善する点があれば、そのことをぜひとも、これは各党でまさに議論をされるべきことではないか、そのように感じたところであります。

富田委員 ぜひ、民主党の皆さんにも協力していただいて、ここは改善していきたいと思います。

 直嶋大臣、ちょっと秘書の件で。

 直嶋大臣の秘書さんは、兼職の許可の届け出を出されて、労働組合の方から相当の金額の給与を受けています。その点、報道でも指摘されていましたが、報道の方では、公設の第一秘書さんが大臣秘書官に就任して兼職をやめているというふうにされていました。私の方でちょっと参議院の方へ行って見ましたら、その後にまた、その労働組合からお給料を受ける方が第一秘書にしっかりおさまっている。

 ちょっと私、書類を見ていて変だなと思ったのは、この秘書の兼職の届け出というのは年収を原則として書くようになっている、有給だった場合、年収幾らと。ところが、年収を書けない場合は、ほかに、日給で幾らとか訂正していいですとなっているんですが、直嶋大臣の秘書の方はみんな月収になっている。月収でも、例えば今公設第一秘書の方は、全トヨタ労働組合連合会から月十七万、トヨタ自動車労働組合から十七万、氏名の明らかでない政治団体から八万、八万。毎月の収入を合わせると六百万になる。第二秘書の方は、合わせると六百三十六万。

 これは、第一秘書の方が多分大臣秘書官になられたと思うんですが、その後にまた別の方が第一秘書に入られて、同じように、これで六百万、月収の合計で六百万ですよ。ボーナスがもしほかにあるとしたら、八百とか九百になる。公設秘書の給料と丸々同じ分ぐらい、二人分の給料をいただいてやっていらっしゃるんですね、年収にすると。(発言する者あり)違う、違う。月収を合わせるとと言っているの。月収を合わせるとこれだけの金額になると。

 大臣の公設第一秘書が大臣秘書官になってやめられた後にまた入った方が、同じ団体からお給料をもらっている。これはちょっと原則と例外が完全に逆転していて、逆の意味では、労働組合の職員の皆さんの天下り先に公設秘書のポストがなっているんじゃないんですか。そう指摘されてもやむを得ないような状況だと思うんですね。

 これは、大臣が許可をしなければ兼職できないんですし、兼職の終了届なりを出せばこういうふうに二重にお給料を受けるということはないので、私は、せめて大臣就任中は公設秘書の皆さんの兼職はやめてくれ、おれは本当にこの国のために働いているんだから秘書も一緒になってやるんだということでやるべきだと思うんですが、どうですか。

直嶋国務大臣 秘書の兼職については、今、鳩山総理からも御見解がございました。これから議論されるとは思いますが。

 私の秘書に関して申し上げますと、今お話がありましたが、それぞれの組合で、特に政策の問題でありますとかさまざまな制度について、組合の活動として、例えば研修会をやったり政策提言を取りまとめたりということをしております。それに関して私の秘書が情報を提供したりとか相談に乗ったりという形で具体的に業務をしているということでございまして、もちろんこれは、今、富田議員がおっしゃった秘書給与に関する法律の二十一条に照らしまして、私の方が秘書業務に影響はないという判断をした上で許可したものでございまして、そういう意味では、さっき例に挙げられたような極端なケースとは異なるというふうに思っております。

富田委員 これは極端なケースですよ。極端なケースとは異なると言うけれども、年収で六百万以上収入のある兼職というのはおかしいですよ。

 秘書給与は、五百五十二万から千八十八万ぐらいまで、その年齢と経験によって、政策秘書さん、第一秘書さん、第二秘書さん、いろいろありますけれども、五百万から一千万ぐらいのお給料をいただいているのに、また別途それと同じような給料を取るということ自体がおかしいので、それがおかしくないという感覚がやはりちょっと私はずれているんじゃないかなと思います。

 もう一つ質問通告していた子ども手当と子育て支援について、実は、私は千葉県ですので、千葉県の野田市の根本市長が新年の市政報告会で、この地方手当て分について、自分は、保育所を一個つくって、学童保育所を十一カ所、野田市は三億円の児童手当の負担金になりました、この分でやりたかったんだけれども今回できなかったということで御報告をいただいたので、それをちょっと総理に御紹介したかったんですが、ちょっともう質問の時間が迫っていますので、この点は本予算のときにきっちりまたお話をさせていただきたいと思います。

 最後に、一つだけ総理に御紹介したい文章があります。

 前国会で、加藤紘一議員と総理の間で友愛について議論があったときに、クーデンホーフ・カレルギー伯のお話が出てきました。昭和四十五年十月に来日されたクーデンホーフ・カレルギー伯の講演を、私、当時高校二年生でしたけれども伺う機会がありまして、そのときの伯の結論は、二十一世紀は太平洋文明の時代だ、西洋から太平洋へ全部移るんだ、そのときに、私たち高校生、中学生に対して講演してくださったんですが、君たちが二十一世紀のこの太平洋文明を担っていくんだというのが結論だったものですから、すごい鮮明に今でもそのときのお話は覚えているんです。

 そのクーデンホーフ・カレルギー伯が、四十五年に来日された後、四十七年に対談集を日本で出版されました。その中に、もう四十年前に伯はこういうことを言われているんです。

  民主主義は、今日二つの大きな危機に直面しています。

  一つは金権政治です。民主主義のもとでは、民衆は平等の権利をもっていますが、しかし権力も平等なわけではありません。たとえば、今の世の中では、富める者のほうが貧しい者よりも権力をもっていることは否定できない事実です。

  だから、どうしても民主主義は金権政治へと移行する傾向があります。

こういうふうに、まず第一点、警鐘を鳴らしております。

  もう一つの危険は、扇動主義です。これはテレビ、ラジオの発達によってますます危険なものとなってきていると思います。というのは、現行の選挙制度のもとでは、とうてい実現不可能な計画であっても、あえて公約してはばからない政治家のほうが、それを言わない良識派の政治家よりも、当選できるチャンスが、多分にあるわけです。

 この二つの指摘を四十年前にクーデンホーフ・カレルギー伯がされたということは物すごいことだと思いますし、この警鐘を我々国会議員は与野党を問わずしっかり受けとめていかなければいけないというふうに思います。

 そういった意味でも、この警鐘にこたえ得るように、政治と金、きちんと国民の信頼を取り戻せるような、そういう議論を今後もこの予算委員会で行っていきたいと思いますので、委員長、最後に、ぜひ政治と金の問題についての集中をこの委員会で行えるようお取り計らいをお願いいたします。

鹿野委員長 承りました。後刻、理事会で協議をいたします。

富田委員 終わります。ありがとうございました。

鹿野委員長 これにて富田君の質疑は終了いたしました。

 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 新政権の目玉政策の一つが労働者派遣法の抜本改正だったと思います。

 昨年十二月二十八日、労政審から派遣制度のあり方について答申があり、二月の早々にも法案要綱が諮問をされる、そういう大事な場面を迎えております。

 先日、都内で派遣法改正を求めるシンポジウムがございました。日産を相手に闘っているある女性は、テンプスタッフから専門業務として派遣され、六年間、三カ月から二十五回の更新を繰り返した上に雇いどめに遭いました。仕事はデザイナーで、学生時代のデッサンも持ってくるようにと言われ、派遣なのに、本来禁止されている面接で選ばれたそうです。昨年の二月、会社から、痛みを分かち合いましょう、経済危機だから仕方がない、私の責任ではありませんと通告されたそうです。しかし、その半年後に会社は黒字転換だ。派遣法の問題点が本当に凝縮していると驚いてしまいました。

 総理に最初に伺いたいのですが、多くの労働者や、あるいは派遣を繰り返した末に首を切られ失業状態が続いている方たちも、今度こそ派遣法の改正に注目をしています。紙切れ一枚で首切り自由、間接雇用だから派遣先は責任を問われない、物のように扱われる働き方を変えてほしいのです。それが多くの声だと思いますが、今国会に提出される改正案はこの声にこたえてくれるでしょうか。何のための法改正か、お答えください。

鳩山内閣総理大臣 高橋委員にお答えいたします。

 私ども、この通常国会に、労働者派遣法、ぜひしっかりした法案を提出したい、そのように思っております。

 今お話の中に出てきたような方が起きないようにしていかなきゃいけない、行き過ぎた規制緩和というものを雇用において適正化をするということが非常に重要だ、そのように思っておりまして、働いておられる方々のお暮らしをそのような形でいかにして安定を図るかということが極めて重要だと思っております。

 経済が大変厳しい状況になった中で、今お話があったようないわゆる派遣切りというものが盛んに行われてしまったということでございまして、特に製造業の中においてこういった派遣切りが行われて雇用が極めて不安定になった、そのように私も理解をしております。

 したがいまして、今、高橋委員からお話ありましたような状況に十分に対処できるような労働者派遣法をつくり上げていきたいと思っておりまして、また委員の御関心をぜひいただいて御協力を願えれば、そのように思います。

高橋(千)委員 今総理が、今のような方が起きないようにとおっしゃってくださいました。残念ながら、今出されている答申案ではこれが繰り返されることになるわけです。そのことをしっかりと指摘したいし、見直しをしていただきたいと思います。

 世界に名立たる自動車産業や経団連代表のキヤノン、新会長になりますが、などが派遣切りの先頭に立ったこと、九九年、製造業を含め原則解禁以来、労災がふえたことなど、製造業派遣の禁止は最大の論点の一つでありました。

 資料の一に、連立三党の合意文書、そして労政審に出された十の論点をつけました。これが答申の土台になるわけですけれども、見ておわかりのように、例外のオンパレードなんですね。原則禁止すべきか、だけれども、では例外はどうする、あれもこれもと書いてあります。これがこのまま例外だらけになってしまったら意味がないわけです。

 年末に出された労政審答申では、製造業派遣などは常用型を除き禁止すべきとなりました。

 大臣に伺います。

 常用型とは、期間の定めのない労働ということですか。

長妻国務大臣 今総理からも御答弁がありましたけれども、やはり自民党政権のもとで、やってはならない雇用の規制緩和というのが数々なされてしまったという問題意識のもと、派遣に関して基本的には一定の二十六専門業種を除いて禁止していこう、なぜならば、派遣というのは直接雇用していないので、いろいろな労務管理あるいは労災の問題等々がこれまでも言われております。あるいは、派遣切りはもとより、そういう問題もございますので、我々は今回答申をいただいたわけであります。

 その中で、基本的に労働者の製造業の派遣は禁止ということでございますけれども、常用雇用以外は禁止ということであります。

 その意味で、常用雇用の定義といたしましては、一年を超える雇用、こういうふうにさせていただいたところであります。

高橋(千)委員 一年を超える雇用と今おっしゃいましたけれども、厳密に言うと有期雇用なわけですね。反復雇用も認めていらっしゃるわけです。常用と言えば大変聞こえがいいんですけれども、短期の契約を繰り返している人も入っています。

 昨年十二月の労働者派遣事業の二十年度事業報告で見ても、三百九十九万人のうち常用雇用が三割いらっしゃいますが、この方たちは、答申にあるように「雇用の安定性が比較的高い」という根拠は何ですか。

長妻国務大臣 委員も御存じのとおり、これまで本当に、短期、何カ月で派遣切りというのが、リーマン・ショック以降、景気の低迷とはいえ、それが繰り返されて社会問題になったというような事情もあるわけであります。

 その意味で、今回は、ILO、国際機関も、労使の慣行あるいは労働規制の場合は、労働側、使用者側、これがきちっと合意をする、こういうルールが各国に課せられているわけでありまして、そのルールの中で、いろいろな意見はありましたけれども、合意がぎりぎりなされるということで、今回、常用型は可能とするということになったわけでございます。その意味では、従来の、数カ月でどんどんどんどん切られてしまう、こういうようなことがなくなるというふうに考えて、この答申を受けたわけであります。

高橋(千)委員 全く答えになっていないんですね。雇用が安定していますかと言ったら、それは労政審の皆さんが決めたからだ、ILOのせいだと。こういう都合のいいときだけILOを持ち出さないでください、いつもはちっとも遵守をしていないのにもかかわらず。

 資料の三に、この実態を書いておきました。

 この間、五月ですけれども、厚労省が労働者派遣契約の中途解除の様子を調べたデータがありますけれども、状況がわかった三万五千八百八十六人のうち、常用型が何と二万五千二百八十五人です。六割以上が、常用型が既に中途解約ということをやられております。そして、下の方を見ていただければわかるように、離職、そのうち八七・二%、そのうち解雇が八七・九%。常用型だからといって雇用が安定しているということは一切言えない。これが厚労省のデータで明らかではありませんか。

 常用型を例外とするなら、期間の定めのないと明記すべきです。もう一度。

長妻国務大臣 これは繰り返しになりますけれども、労使のぎりぎりの合意をいただいたその中身でございまして、前回は、非常に経済危機が起こって常用型についても雇用が切られるということもございましたけれども、基本的に、我々は、平時においては、今回、常用型以外は禁止をするという措置で、このような数字には、繰り返すことはならないというふうにも考えております。

 この一点だけで今御議論いただいておりますけれども、それ以外でも、いわゆるマージン率の公表とか、あるいはみなし雇用の規定を置くとか、そういう労働者の保護、これまで派遣の法律というのは、派遣をある意味では解禁する、促進するような、そういう趣旨でありましたけれども、派遣労働者の雇用を保護する、権利を保護する、こういう形にも変えているわけでありますので、これ以外の数々の項目もございますので、御理解をいただきたいと思います。

高橋(千)委員 この期間の定めのないという問題については、労政審の答申よりもさらに細かく要綱を皆さんが決めることになるわけです。そのときにやはり政治主導でやるべきだ、このことを重ねて指摘しておきたいと思います。

 ついでに言えば、みなし雇用の問題ですとか保護規定については、名前を保護法にする予定らしいけれども、それにふさわしいものにはなっていないということを言っておきたいと思います。

 それからもう一つ、先ほど大臣がお話をされました専門業務の問題ですけれども、仕事のあるときだけ雇用される、派遣の最も多い形態が登録型派遣です。これについても同じように、原則禁止ではあるけれども、さまざま例外が設けられました。

 とりわけ、そのうち、雇用の安定などの観点から問題が少ないとして、専門二十六業務を例外として、審議会ではこの二十六業務の中身についてほとんど検討が加えられませんでした。

 資料がつけてありますけれども、そのうち、専門業務といいますけれども、約百万人いらっしゃるんですね。四人に一人が専門業務なんです。

 資料の五を見ていただきたいと思います。その百万人の半分くらいは、五号、事務用機器操作という方です。いわゆる女性に非常に多い分野でありますけれども、これがニーズだとかさまざまなことを言われながら、今、抜け穴になってきたわけです。今ならだれでもパソコンを打つはずです。それが五号になる。経理をやったら十号になる。

 高度な専門的業務は正社員代替を防ぐのが目的だったはずなんです。それが、多くの女性労働者が、専門業務という名のもとに、賃金も一般派遣とほとんど変わらず、短期の契約を繰り返し、あげく、平気で雇いどめに遭っています。答申のとおりでは、これらの専門業務は派遣期間制限を超えても雇用申し込み義務さえなくなります。まさに、企業にとって都合のいい抜け穴になっています。これでは名ばかり専門職ではありませんか。

 今やるべきは、こうした抜け穴づくりを許さない法改正ではありませんか、大臣。

長妻国務大臣 この専門二十六業務というのは以前から議論されているものでございまして、例えば通訳、翻訳、速記関係とか、ソフトウエア開発関係とか、機械設計関係とか、放送機器操作関係とか、ある意味では、専門的な能力を必要とするということで、単純な製造業派遣とは一線を画して、労使ともにこれは必要である、こういうような例外規定を設けて、二十六専門業種というのを例外にしたわけでございます。

 いずれにしても、これまで、数カ月あるいは一カ月あるいは日雇い派遣というようなことで繰り返し問題になってきた部分については、常用型と一つの定義をつくってそれ以外は派遣は禁止をする、こういう哲学のもと、この法案を今作成しているところでございます。

高橋(千)委員 その一線を画したことが口実になって、やっていることはお茶くみとコピーだ、何の変わりもないけれども、契約上は専門職だと、名ばかり専門職がやっているんですよ。

 そういうことで、今、裁判もいっぱい闘われているんです。郡山地裁でも、十八年間、本当は松下電工に正社員で雇用されたのに二カ月後に派遣社員とされて、専門業務と偽装されて、ことし職場復帰を果たした佐藤昌子さんという方がいらっしゃいます。こういうことが繰り返されるんだということを指摘したいんです。

 月刊人材ビジネスの編集主幹の三浦和夫氏は、インターネットで年頭のあいさつにこんなことを言っています。登録型派遣の原則禁止が暫定措置を含めて五年後になっている、そうすると五年後の環境変化によっては原則復活の可能性を否定していません、こう言っているんですよ。つまり、業界に、三年から五年を置いたうちに、もとに戻るんじゃないかと見透かされているではありませんか。

 最後に、総理に伺います。

 年末の答申では、結局、旧与党案がベースになりました。多くの皆さんの期待を、最初に言った期待を裏切ることになるんです。少なくとも、三党案からスタートをして、よりよいものにする議論を始めるべきだと思いますが、いかがですか。

鹿野委員長 長妻厚生労働大臣。(高橋(千)委員「総理に聞いています。通告しています。総理に通告しています」と呼ぶ)はい。

 それでは、時間も参りましたので、簡潔にやってください。

長妻国務大臣 基本的に、三党の野党で、私どもが野党時代に出した案、この理念に沿って今回法律をつくらせていただいているわけでありまして、これは繰り返しになりますけれども、二十六専門業務以外は常用型以外の派遣は禁止する、こういうことを我々は踏み出したわけです。

 これまでの、一日とか日雇い派遣あるいは一カ月、二カ月、労働者を何だと思っている、そういうような切り方で今まで進んでいた労働を変える、この第一歩だということを御理解いただきたいんです。

鹿野委員長 簡潔にお願いします。

鳩山内閣総理大臣 今、長妻大臣からもお話がありましたけれども、私から申し上げれば、公労使三者による精力的な御議論をいただいた観点からまとめた審議会の答申でありますけれども、これをベースにするというよりも、もともと今の与党三党が提出した案がかなりその中に盛り込まれておりますから、それを相当我々とすれば大事にしながら最終的に、共産党さんとは合わないところが、議論が細部においては必ずしも同じではないかと思っておりますが、我々としては、公労使が一致した結論を出したということでありますので、そのところを御理解いただいて、この通常国会において法案を提出して通過を申し上げたい、そのようにいたしたいと考えております。

高橋(千)委員 政権がかわったということが本当に実感できるような法案を出して、それからよい議論をしたいと思います。

 終わります。

鹿野委員長 これにて高橋君の質疑は終了いたしました。

 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 私がラストバッターということで、あと十分だけおつき合いをいただければというふうに思っております。

 きょうは、菅財務大臣を中心にお伺いをいたしたいと思います。

 私は、菅大臣を非常に尊敬いたしております。菅さんとは、かつてさまざまな議論をさせていただいたことがございます。民主党が、政権交代というだけでなくて、自民党とどう違う、どのような社会、そしてどのような国の形を目指していくのかということについて、菅さんは非常に深く考えてこられた方だというふうに思っています。その菅大臣と、私の初当選早々、この予算委員会で議論ができるということを大変うれしく思っております。

 まず、いわゆる埋蔵金についてお伺いをいたしたいと思います。

 菅大臣は、渡辺喜美代表の金曜日の質問に対して、埋蔵金としてたまっているもののどの部分を取り崩すことが適切かどうか、特別会計など、制度、組織の改廃を含めて取り組んでいきたいというふうに答弁をされました。埋蔵金はまだまだある、まだまだ発掘するんだという認識であるというふうに理解をいたしております。

 具体的に一つお伺いをしたいと思います。外貨準備についてです。

 財務省が八日に発表した十二月末の外貨準備高は一兆四百九十三億九千七百万ドル、準備高が過去最高となった十一月と比べては減少していますが、百兆円弱の巨大な外貨準備を保有していることに変わりはありません。

 この外貨準備については、かつて、野党時代のおととし十月、菅大臣みずからが大塚耕平現金融副大臣とともに財務省を視察したことがあったと思います。財務省国際局為替市場課資金管理室を訪れた菅大臣は、諸外国に比べてドルの保有がGDPに比べて著しく大きくなっている、それだけ大きな資金をドルという形で常に持っておかなければならないのかということを発言されました。また、同行をされた大塚現副大臣、当時は民主党の金融対策チームの座長をお務めになられていましたが、この大塚さんも、現状、GDP比約二〇%に達する外貨準備の規模を約十年間で一〇%程度まで半減を目指すべきだ、こういう考え方を示したということであります。

 これについて現時点の考えはいかがでしょうか、菅大臣の御見解を聞きたいと思います。

菅国務大臣 柿澤未途議員の方から、こういう場で初めての質疑ということで、私も感慨の深いものがあります。

 外為特会について、私も、外貨準備が一兆ドル、日本円で百兆円を超える額というものが本当にこれだけ必要なのかということは、今でも適正規模というものについて必ずしも確たる考え方がまだ、今調査をしているところです。

 実は、たしかことしの一月の十二日だったと思いますが、閣議後の閣僚懇談会で、それぞれの省庁が自分の管轄する特別会計等を全部見直すことに本格的に着手しようということで、財務省もみずから、まずは隗より始めよということで始めているところです。

 ただ、もう一つ、為替介入は最近は余り行われておりませんけれども、この百兆円を超える外為特会のお金が例えば何割か減したとして、それがいわゆる埋蔵金のような形で使えるのかどうか。つまりは、これは外貨準備に相当する分だけを起債のような形でどこかから円を借りているわけですから、そうしますと、単純にこれを少なくしたらその分だけ使えるという仕組みには必ずしもなっていないと理解しています。今は、どちらかといえば、外貨準備でためているものを外国で運用し、国内の資金に比べて金利が高いわけですから、そのフローの部分でのプラスをいわゆるフローの積立金というか埋蔵金としては使っておりますが、ストック部分まで減らしたからといってストレートに使えるという仕組みにはなっていない、このように理解しています。

柿澤委員 菅大臣の御答弁で質疑の時間が終わってしまいそうです。本当に申しわけありません。

 今の御答弁ですと、まず、特会というか外貨準備高の規模が百兆円というのが適正かどうかということについてはまだまだ考えていく余地がある、しかし、それを取り崩して埋蔵金として使えるかどうかについてはちょっと疑問があるというような認識でおられるということでありました。かつては、先ほどの引用した発言からすると、また違った考え方をお持ちであったのかなというふうに思いますので、そこのところは考え方をお変えになられたのかというふうにも感じられるわけであります。

 この外貨準備高を減らしていくという方向でやっていくとすれば、これはドル建ての債券の売却ということになるわけで、これは円高・ドル安要因になる。一方で、菅大臣は就任後の記者会見で、望ましい円水準として九十円台半ばということを発言されたということでございます。それに対していろいろと議論が起きたわけでありますけれども、菅大臣の発言を受けて、一時、円は九十三円台まで下落をいたしましたが、このところ、また九十円台前後まで円高になってきております。

 藤井前財務大臣が円高論者だということを言われ、また実際に円相場は円高に振れておりましたが、その藤井財務大臣の就任当初の水準に近づきつつある。この九十円割れという円相場の水準についてどのように認識しておられるかということをお伺いいたします。

菅国務大臣 今、外貨のこの準備を売却する場合は、ドル安・円高の方に振れますので、必ずしも円高になることを許容していいのかという意味でも、若干これを、大きく売却するしないは、そういう面からも見ておかなければならないと思っております。

 それから、為替相場については、基本的にはマーケットというものによって決まるものだと思っております。ただ、最近、オバマ大統領がアメリカの金融について一つの発言なり方向を出される中で、ややいろいろな影響が出ておりますので、それが日本経済にマイナスな影響につながらないように注意深く対応していく必要がある、このように考えています。

柿澤委員 もう一つ、新成長戦略についてお伺いをいたします。

 十二月三十日に発表をされた政府の新成長戦略は、国家戦略相としてまとめられた菅大臣の労作だと思いますが、公共事業偏重の第一の道でも、市場原理の第二の道でもない、第三の道を目指すということをうたっておられます。

 中身は、環境、健康、観光などの個別産業に補助金を投入するという、ある種のターゲティング政策が並んでいるというふうに専門家から指摘をされているような部分もあり、こういう政府主導による産業政策が機能してこなかったということこそがこれまでの景気対策の失敗の原因であるわけで、官僚統制による産業政策よりも、規制緩和、減税に重点を置くべきだというふうに考えております。

 その観点で見ると、今回の新成長戦略には、規制緩和、減税系のメニューが余り盛り込まれておりません。例えばシンガポールは、法人税率を一八%に下げて企業誘致を行って、経済成長につなげようとしております。つい最近も、P&Gがアジアのマーケティング拠点を日本からシンガポールに移すとか、アマゾンがアジア拠点としてつくる巨大データセンターをシンガポールに立地させるということが言われております。逆に、日本は、法人の実効税率が四〇%と高くて、円高、CO2削減、労働規制の強化などさまざまな要因もあり、国内製造業の海外移転の動きがどんどん加速をしていると言われております。

 成長戦略の主役は民間企業でなければならず、民間企業が稼げる環境づくりが経済成長の上で最重要であることは言うまでもありません。そういう意味で、法人税の減税というような選択を一つの考え方としてこれから打ち出していく必要があると思いますが、減税や規制改革こそ経済成長戦略の大項目として掲げられなければならないと考えますけれども、政府の考え方はいかがでしょうか。

菅国務大臣 規制緩和という表現が適切かどうかは別として、例えば、観光を拡大するために休日を分散化しよう、これは場合によったら、子供の休日であれば文部省も絡みますし、休日法も絡みます。こういった意味では、規制の緩和というのか、ルールの変更だと思っています。あるいは、二重窓でなければ建築許可がおりないというような方たちにとれば、ある意味で、規制という意味では強化かもしれませんが、それが新しいエコハウスの需要を生み出す。そういう意味では、私たちは、この成長戦略の中でルールを変えることによって新しい需要を生み出していこうということを大きな柱にしておりまして、単純に財政出動でのみ考えていることでないことだけは申し上げておきたいと思います。

 税制についてはいろいろ議論があることはわかっておりますし、法人税が幾つかの国に比べて高いこともわかっております。

 ただ、御承知のように、ことしの法人税は五兆円程度にまで大変小さくなっておりまして、そういう意味では、法人税制の税制を考える前に、いかにして、少なくとも税収が戻ってくるような経済政策が必要かということを考えなきゃいけないのと同時に、法人税制を考える場合には他の税制なども含めて全体として考えなければいけないので、今現在、平成二十二年度の税制大綱においては、租税特別措置の抜本的な見直しなどを含め、これにより課税ベースが拡大した際には、成長戦略との整合性や企業の国際的な競争力の維持向上、国際的な協調などを勘案しつつ、法人税を見直していくということもこの大綱に盛り込んでいるところです。

柿澤委員 残念ながら、今の法人税減税についてはなかなか明確なお話をいただけませんでしたけれども、しかし、グローバルな競争が今激化をしている中で、まさにその企業がどこに立地をするかということがグローバルな視野で選択をされつつある、そういう中で法人税の課税水準というのも一つの材料になっていることは事実だと思います。

 そうした状況の中で、日本がアジアの中あるいは世界の中で立ちおくれるようなことがないように、私は、ぜひともこれから、企業が立地をし、また成長して金を稼がなければ経済成長もあり得ないわけですから、そういう面での御検討をぜひお願いしたいというふうに思っております。

 これにて質疑を終わります。

鹿野委員長 これにて柿澤君の質疑は終了いたしました。

 これをもちまして締めくくり質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして平成二十一年度補正予算両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

鹿野委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。三谷光男君。

三谷委員 民主党の三谷光男です。

 民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました平成二十一年度第二次補正予算二案に賛成の立場から討論を行います。

 自民党・麻生内閣のもとで経済対策として策定された平成二十一年度第一次補正予算には、官公庁の施設整備費やアニメの殿堂の建設費、農地集積加速化事業など、経済対策として効果が疑問視される事業や基金の造成が多数含まれておりました。

 政権交代後、鳩山内閣が直ちに取り組んだ仕事は、この第一次補正予算の見直しでした。経済対策として効果が疑問視される事業や国民の納得が得られない事業につき、約三兆円分にわたって執行を停止し、国庫に返納させました。

 一方で、鳩山内閣は、現下の厳しい経済状況にかんがみ、景気回復のために明日の安心と成長のための緊急経済対策を策定し、本第二次補正予算案を編成しました。

 本補正予算案は、第一次補正予算の見直しで得られた財源をもとに、雇用調整助成金の拡充など雇用維持対策に、エコ消費三本柱の推進など環境を軸にした需要の拡大に、景気対応緊急保証の創設など中小企業者への金融対策に、新型インフルエンザ対策の強化など生活の安心確保等に振り向けたものであります。また、地方の税収不足への対応も含まれています。税収減に伴う地方交付税交付金減少額分の補てんは、苦しむ地方を支えるために必要な措置であります。

 本第二次補正予算案は、景気回復をより確かなものにするために、また国民生活の向上のために、効果的かつ必要不可欠な予算であることは明らかです。速やかな成立と力強い執行が望まれます。

 良識ある委員の皆様におかれましては、景気回復をより確かなものとする本第二次補正予算案にぜひとも御賛同をいただきますよう強くお願い申し上げ、私の賛成討論とさせていただきます。

 以上です。(拍手)

鹿野委員長 次に、谷畑孝君。

谷畑委員 自由民主党の谷畑孝でございます。

 私は、自由民主党・改革クラブを代表して、ただいま議題となりました平成二十一年度第二次補正予算二案に対し、反対の立場から討論をいたします。

 まず、我が国経済が依然として厳しい状況にある中、本二次補正予算では景気を好転させる経済効果が乏しい。なお、プラスに働くどころか、昨年五月に成立した一次補正予算を約三兆円も一部執行停止し、削減したマイナスの影響の方が大きいのであります。それについては、政府みずからも、一―三月期の経済はマイナス〇・一%、約五千億円もの実質GDPが減少する見込みを試算されています。

 そうした意味で、本第二次補正予算は、経済対策として極めて不十分であり、何ら経済対策の名に値しません。施策の効果のほとんどが四月以降に出てくるものばかりで、即効性に乏しく、緊急と銘打っていても緊急性が伝わってこないのは私だけではないはずです。

 そもそも、経済対策は、本予算成立後、力強い経済成長や雇用情勢の好転をさらに加速させるべく、別途、本予算と関連させつつ切れ目なく実施することこそ政策の妙というものであります。そのためには、来年度予算を経済成長や財政健全化に資する内容に組み直すべきであり、あわせて付言をいたします。

 さて、中身に目を転じても、雇調金の要件緩和やエコポイント、エコカー購入補助の延長等、大部分が一次補正の焼き直しであり、まさに、一次補正を凍結し、また解凍しただけであります。また、特に公共事業の削減等で地方経済は一段と深刻化の度合いを強めており、この面への予算上の配慮が見られない等、工夫にも欠けております。

 我々の対案は、言うまでもなく一次補正予算を着実に実行することであり、約三兆円もの削減及び政策実行の空白を生んだ鳩山政権の責任は極めて重いものであります。ただし、税収減を補てんするため、地方自治体の歳入対策としての地方交付税法の改正は反対するものではありません。

 最後に、補正予算そのものもさることながら、政権の信頼性の問題がございます。第二次補正予算の作成責任者である鳩山首相及び与党民主党の小沢幹事長の政治資金のスキャンダルの深刻さを、残念ながら首相御本人が全く自覚されておりません。民主党の二人のリーダーに対する国民の不信感は日々増幅しており、それでもなお、民主党は実態解明する努力を怠っています。予算委員会での政治と金に関する集中審議、参考人招致を野党が要求しても、与党三党は極めて後ろ向きで、これまでの間、実現に至っておりません。政権の信頼性の欠如は到底容認できません。

 以上、強く申し上げ、私の反対討論を終わります。(拍手)

鹿野委員長 次に、大口善徳君。

大口委員 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました平成二十一年度第二次補正予算二案に対し、賛成の立場から討論をいたします。

 本補正予算案に賛成する理由は、ただ一つ、国民生活を守るという観点でございます。

 補正予算案に盛り込まれた施策については、エコポイントやエコカー補助金の継続、さらには中小企業の資金繰り対策など、私たちの政権下で実施してきた対策の継続が並んでおります。また、地方支援として三・五兆円弱が計上されていますが、税収減に伴う交付税減少額の補てんがその大半であるものの、この補てんがおくれればおくれるほど、地域経済に与える影響は深刻なものとなってしまいます。

 国民の皆様の最大の関心は、景気二番底の懸念がある中で、景気対策であり雇用対策であります。特に雇用問題は深刻であり、雇用保険制度の機能強化は必至です。まずは、私たちの政権下でも強力に実施してきた雇用調整助成金の拡充を行う。そして、今回の補正では十分でないものの、この内容も計上されており、深刻な雇用情勢の中で、まずはセーフティーネットを着実に拡充しなければなりません。

 今般の第二次補正予算二案は、その内容として必ずしも十分とは言えませんが、しかし、やらないよりはベターである。そして、実行するのであれば少しでも早い方がよいということでございます。公明党としては、国民生活を少しでもプラスにすることが大事だと、具体的な予算の内容に即して一定の判断を下しました。

 一方、国民からは、補正予算も大事だが政治と金の疑惑の解明もしっかりやるべきだとの声が上がっています。鳩山総理と与党の小沢幹事長という政府・与党トップにまつわる政治と金の問題で、総理の元政策秘書と元公設第一秘書が起訴され、小沢幹事長の元秘書である現職の衆議院議員ら三名の側近が逮捕され、国民の信頼を大きく失墜させたという責任は極めて重いと言わざるを得ません。

 鳩山総理と民主党の小沢幹事長のこれまでの対応を考えると、すべて説明責任が尽くされたとは到底思えません。また、民主党が政党として自浄能力を発揮すべく調査することも大事です。そして、国会としても、政治と金の問題について早急に集中審議を行い、国民に対し、自浄能力を発揮し、責任を果たさなければなりません。

 また、政治と金の問題への再発防止として、企業・団体献金の禁止、そして、秘書などの会計責任者が虚偽記載などの違法行為を行った場合、その監督責任のある政治家も公民権を停止させるなど、政治資金規正法の見直しについてもこの国会で結論が得られることを強く求め、私の討論を終わります。

 以上です。(拍手)

鹿野委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 私は、日本共産党を代表して、二〇〇九年度第二次補正予算二案に反対の討論を行います。

 初めに、政治と金をめぐって、一昨日の小沢民主党幹事長の説明でも疑惑は深まるばかりです。総理や政権与党幹事長の政治的道義的責任を明らかにするために、小沢一郎氏を招致し、集中審議を速やかに行うよう強く要求するものです。

 今、国民の政治を変えたいとの願いにこたえ、自民・公明政権が編成した予算を抜本的に見直し、国民生活に振り向けることこそが求められています。ところが、本補正予算案は一次補正しか見直しの対象とせず、当初予算に切り込む姿勢が見られません。

 一次補正の執行停止によって削減された経費には、一回限りの子育て応援特別手当やアニメの殿堂などの事業費が含まれている一方、公共事業費は、高速道路、港湾など大型事業を大幅に削減しているものの、中途半端に事業継続の余地を残すなど、問題点と不十分さを指摘せざるを得ません。

 実施する緊急対策には、雇用調整助成金の要件緩和、雇用保険への国庫負担の三千五百億円の追加、中小企業に対する緊急保証制度の全業種への拡大と保証枠の追加など、国民の要求が一定は反映されています。しかし、全体としては、自公政権が講じてきた対策の延長にとどまり、一次補正で拡充した大企業の資金繰り支援策や出資制度も延長、継続しようとしています。

 しかも、看過できないことは、新たにアフガニスタン支援経費の中にNATOのアフガニスタン国軍信託基金への約十二億円の拠出金を盛り込んでいることです。医療分野を名目に、同基金への拠出を通じてアフガン国軍を支援するとしていますが、特定の国の軍隊への財政支援は、憲法九条を持つ日本として許されません。

 後期高齢者医療制度への対応も重大です。民主党が公約していたこの制度の廃止を先送りするだけではなく、ことし四月から全国平均で約一四%引き上げられる保険料に対し、国の責任でその負担増を軽減すると約束していたのに、本補正予算案、来年度予算案には何の予算措置もありません。

 最後に、鳩山内閣は、昨日の名護市長選挙の結果を受け、普天間基地の即時閉鎖、無条件撤去を決断すべきことを強く主張し、私の反対討論を終わります。(拍手)

鹿野委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党の阿部知子です。

 私は、社会民主党・市民連合を代表して、二〇〇九年度補正予算二案に対し、賛成の討論を行います。

 雇用情勢の一層の悪化や長引くデフレ、急速な円高、海外景気の下振れ懸念などを踏まえ、暮らしの再建、地方の活力の回復、環境を中心とした未来に向けた政策の実現に取り組むことが求められています。

 明日の安心と成長のための経済対策を実施するための今回の補正予算は、直面する経済雇用情勢に対応するだけでなく、小泉改革で疲弊した社会を再生させる第一歩になると確信しています。

 以下、賛成の理由を申し上げます。

 第一は、雇用対策の充実です。雇用調整助成金の要件緩和やハローワークにおけるワンストップサービスの実施、新卒予定者の就職支援等を強化します。また、介護、医療、農林、環境・エネルギー、情報通信、観光、地域社会雇用等の分野における新たな雇用機会を創出させます。

 第二は、生活の安心確保です。高齢者医療制度の負担軽減措置等の継続を図り、さらに災害復旧などの実施も織り込んでおります。

 第三は、激増する待機児童の受け皿としての保育サービス等の緊急拡充です。地域の余裕スペースの活用等による認可保育園の分園等の設置の促進、保育ママ制度の拡充を図ります。

 第四は、新技術の開発、新産業の育成、地域に根差した新たな雇用の創出にもつながる環境対策の強化です。

 第五は、不況や円高に苦しむ中小企業等への支援の強化です。景気対応や緊急保証の創設や、セーフティーネット貸し付けの延長、拡充、下請建設企業支援、デフレ・円高対策のために必要な経費が盛り込まれています。

 第六は、地方支援の充実です。自治体において、危険な橋梁の補修などきめ細かなインフラ整備等を実施できるよう、地域活性化臨時交付金を創設いたします。また、国税五税の減額補正に伴う地方交付税総額の減少については、国の一般会計からの加算により全額補てんするものといたします。

 以上、補正予算二案に賛成する主な理由を申し述べました。

 鳩山連立政権は生活再建内閣であり、国民の生活を支援するとともに、景気が二番底に陥ることを防ぐためにも、今回の二〇〇九年度補正予算の早期成立を強く求め、私の賛成討論を終わります。(拍手)

鹿野委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党を代表し、鳩山内閣の提出した平成二十一年度第二次補正予算案について、賛成の立場から討論を行います。

 冒頭、一言申し上げます。

 このたびの予算委員会は、残念ながら、政治と金の問題一色となってしまいました。本来、補正予算を審議する予算委員会ですから、補正の中身と経済立て直しに向けた具体的な議論を行うべきであるにもかかわらず、スキャンダル追及に審議の大半を費やすことになり、極めて残念なことと言わざるを得ません。野党側は理事会で政治と金の集中審議を求め続けましたが、与党は開催の確約をきょうまでしてきませんでした。国会の場における説明責任を果たさず、逃げていると言われても仕方がない対応だと思います。

 本日の与野党間協議で集中審議の合意が図られたと聞き及んでおりますけれども、本来の議論を十二分に行える環境をつくるため、早期に実現するよう求めるものであります。

 さて、今回の緊急経済対策にはある種の欠陥があると言わざるを得ません。

 日本経済が現在直面しているのは、四十兆円のデフレギャップです。これを埋めるため、財政政策に加えて、日銀と連携をして適切な金融政策を講じていくことが不可欠であります。

 しかるに、今回の緊急経済対策では、こうした金融政策を講ずるための方策は何らとられておりません。これまでの日銀によるデフレ誘導施策を黙認している限り、経済の回復は見込めないと思います。

 また、脱官僚、地域主権といった新たなパラダイムのもとで政策を全面転換することもできてはおりません。これは、昨年末に取りまとめられた鳩山内閣の成長戦略においても同様のことが言えると思います。

 埋蔵金を掘り起こし、財源を確保する試みも中途半端に終わっております。外為特別会計、国債整理基金など、取り崩すことのできる埋蔵金はまだまだ残されたままです。公務員の人件費、独立行政法人などにも切り込むことができておりません。

 以上のように、今回の緊急経済対策は不十分であり、満足のいく内容ではありませんが、我が国経済の厳しい状況を考えたとき、不十分な内容ではあっても少しでも手を打つことは不可欠であると、同時に考えます。

 このため、極めて不十分であることを申し上げつつ、今回の補正予算案に賛成をいたします。

 以上です。(拍手)

鹿野委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

鹿野委員長 これより採決に入ります。

 平成二十一年度一般会計補正予算(第2号)、平成二十一年度特別会計補正予算(特第2号)の両案を一括して採決いたします。

 両案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鹿野委員長 起立多数。よって、平成二十一年度補正予算両案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました平成二十一年度補正予算両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鹿野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

鹿野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三十三分散会


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