衆議院

メインへスキップ



第11号 平成22年2月15日(月曜日)

会議録本文へ
平成二十二年二月十五日(月曜日)

    午前九時三分開議

 出席委員

   委員長 鹿野 道彦君

   理事 池田 元久君 理事 岡島 一正君

   理事 海江田万里君 理事 伴野  豊君

   理事 松原  仁君 理事 山口  壯君

   理事 加藤 紘一君 理事 町村 信孝君

   理事 富田 茂之君

      糸川 正晃君    稲富 修二君

      打越あかし君    小野塚勝俊君

      緒方林太郎君    大西 孝典君

      大山 昌宏君    岡本 充功君

      奥野総一郎君    梶原 康弘君

      城井  崇君    沓掛 哲男君

      熊田 篤嗣君    黒田  雄君

      小泉 俊明君    小林 正枝君

      古賀 一成君    田中 康夫君

      津島 恭一君    豊田潤多郎君

      中林美恵子君    長島 一由君

      橋本 博明君    畑  浩治君

      初鹿 明博君    浜本  宏君

      早川久美子君    平岡 秀夫君

      三谷 光男君    森本 和義君

      山田 良司君    吉田 公一君

      若泉 征三君    渡部 恒三君

      小里 泰弘君    金子 一義君

      北村 茂男君    小池百合子君

      小泉進次郎君    下村 博文君

      菅  義偉君    田村 憲久君

      谷畑  孝君    永岡 桂子君

      野田  毅君    福井  照君

      山本 幸三君    大口 善徳君

      高木美智代君    笠井  亮君

      穀田 恵二君    服部 良一君

      柿澤 未途君    山内 康一君

      下地 幹郎君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   菅  直人君

   総務大臣         原口 一博君

   法務大臣         千葉 景子君

   外務大臣         岡田 克也君

   文部科学大臣       川端 達夫君

   厚生労働大臣       長妻  昭君

   農林水産大臣       赤松 広隆君

   経済産業大臣       直嶋 正行君

   国土交通大臣

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 前原 誠司君

   防衛大臣         北澤 俊美君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     平野 博文君

   国務大臣         亀井 静香君

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)            福島みずほ君

   国務大臣         仙谷 由人君

   内閣府副大臣       大塚 耕平君

   総務副大臣        渡辺  周君

   外務副大臣        武正 公一君

   財務副大臣        野田 佳彦君

   文部科学副大臣      鈴木  寛君

   農林水産副大臣      山田 正彦君

   経済産業副大臣      増子 輝彦君

   国土交通副大臣      馬淵 澄夫君

   防衛副大臣        榛葉賀津也君

   内閣府大臣政務官     津村 啓介君

   総務大臣政務官      小川 淳也君

   総務大臣政務官      階   猛君

   総務大臣政務官      長谷川憲正君

   財務大臣政務官      大串 博志君

   財務大臣政務官      古本伸一郎君

   厚生労働大臣政務官    山井 和則君

   厚生労働大臣政務官    足立 信也君

   国土交通大臣政務官    三日月大造君

   政府参考人

   (宮内庁次長)      風岡 典之君

   政府参考人

   (国税庁次長)      岡本 佳郎君

   予算委員会専門員     杉若 吉彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十五日

 辞任         補欠選任

  打越あかし君     稲富 修二君

  岡本 充功君     大山 昌宏君

  梶原 康弘君     大西 孝典君

  畑  浩治君     初鹿 明博君

  平岡 秀夫君     熊田 篤嗣君

  三谷 光男君     橋本 博明君

  小里 泰弘君     福井  照君

  谷川 弥一君     北村 茂男君

  大口 善徳君     高木美智代君

  笠井  亮君     穀田 恵二君

  阿部 知子君     服部 良一君

  山内 康一君     柿澤 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  稲富 修二君     打越あかし君

  大西 孝典君     梶原 康弘君

  大山 昌宏君     岡本 充功君

  熊田 篤嗣君     平岡 秀夫君

  橋本 博明君     三谷 光男君

  初鹿 明博君     小林 正枝君

  北村 茂男君     永岡 桂子君

  福井  照君     小泉進次郎君

  高木美智代君     大口 善徳君

  穀田 恵二君     笠井  亮君

  服部 良一君     阿部 知子君

  柿澤 未途君     山内 康一君

同日

 辞任         補欠選任

  小林 正枝君     早川久美子君

  小泉進次郎君     小里 泰弘君

  永岡 桂子君     谷川 弥一君

同日

 辞任         補欠選任

  早川久美子君     浜本  宏君

同日

 辞任         補欠選任

  浜本  宏君     畑  浩治君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十二年度一般会計予算

 平成二十二年度特別会計予算

 平成二十二年度政府関係機関予算


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

鹿野委員長 これより会議を開きます。

 平成二十二年度一般会計予算、平成二十二年度特別会計予算、平成二十二年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として宮内庁次長風岡典之君、国税庁次長岡本佳郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鹿野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鹿野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。津島恭一君。

津島委員 おはようございます。私は、民主党、そしてまた青森出身の津島恭一でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 私も、国政に戻って、今回それこそ四年ぶりに復帰をさせていただきました。昨年の夏の総選挙、この結果を見まして、国民の皆様が本当に政権交代しなければいけないんだという思いの中で、今まさに与野党逆転した、こういう国会の状況を見ますと非常に感慨の深いものがございます。

 そこで、四年前でありますけれども、当時、小泉総理でありました。郵政民営化法案の是非をめぐる、そういう国会の中の討論、そしてまた採決もございました。

 実は、この郵政民営化法案でありますけれども、衆議院ではこれは可決になりました。参議院で否決になったわけでありますが、当時の小泉総理は、参議院で否決したのはけしからぬと言って、衆議院を解散したわけであります。まあ、今考えてもこれはめちゃくちゃな話であります。

 その中で、当時の自民党の幹事長は武部幹事長でありました。この武部さんも、みずから、自分は偉大なるイエスマンだ、こういうことを公言しておられました。つまり、自民党のその当時の体質といいましょうか、党といたしまして、小泉さんの暴走というものに歯どめをかける、そういう体質が全くなかったということを私は感じております。最近、自民党さんの方で、民主党がどうだということを随分と言われておりますが、まさしく当時の自民党はそういう状況であったと思います。

 ところで、その当時の状況を見まして非常に考えなければいけない、そういうこともあるわけであります。

 私は、その当時から、自民党そして小泉政治の行き着くところは、地方の切り捨て、農業の切り捨て、そしてまた弱い人の切り捨て、これにつながっていくのが自民党の政治ということだと思っておりました。しかも、二年前に、地元の弘前の農家の方と話していましたら、いやいや、津島よ、全くおまえの言ったとおりの世の中になってしまったな、こういうふうにしみじみとおっしゃっておられました。今考えても、この状況というのは非常に大変だったな、こういうふうに思うわけであります。

 そして、常々小泉さんがおっしゃっておったのは、自民党をぶっ壊す、こういうことを言っておられました。四年たって見事にこのことが的中した、私は今そう思っております。ただ、非常に残念なのは、そのついでにこの日本の国も壊してしまった。今、私ども民主党は、国民の生活が第一、このことを掲げてやってまいりました。民主党、社民党さん、そして国民新党、三党で、何としてもこの国の形というものをもとのようにすばらしい国に変えていかなければいけない、そのことの責任というものも非常に感ずるわけであります。

 ところで、きょうは長谷川政務官にもおいでいただいておりますけれども、長谷川先生、当時、中におられて郵政民営化法案にも反対をされました、そして何よりも小泉政治に対して非常に反対をされた、そういう方でありますから、ぜひきょうは、まず長谷川政務官にその当時の状況もお伺いしながら、そしてさらには、これからの郵政改革のあり方、こういうことも、これは皆様に、そして長谷川先生のお話を、感想をお伺いしたいと私は思います。長谷川政務官、ぜひよろしくお願いいたします。

長谷川大臣政務官 津島先生には、今お話のありました四年前の理念なき郵政民営化反対の闘いのときに大変にお世話になりまして、懐かしく思い出すわけでございます。

 私たち、当時、民営化そのものに反対と言ったことは一度もないわけでございます。綿貫民輔先生がいつも言っておられましたように、一体理念は何なのか、理念のない民営化には反対をするということでございました。

 いろいろありましたけれども、結果、民営化になりまして、もう二年半がたっております。株式会社になって、今、実際に仕事が行われておりますが、全国を歩いて私が実際に目で見、耳で聞いておりますところは、何でこんなに郵便局は不便になったのか、何でこんなに冷たくなったのか、どうしてこんなに待たなければいけないのか、そういう話ばかりでございます。

 実際、当時、小泉元首相が、民営化によって郵便局はもっと便利になるんだ、働いている人たちももっと夢と希望が持てるようになるんだ、会社ももっと将来が開けるんだというふうにおっしゃいました。そのとおりになるのであれば何にも反対することはないわけでございまして、私は、やはり結果で評価していかなければいけないものだというふうに思っておりますけれども、残念ながら、結果は本当に惨たんたるありさまでありまして、今地方からどんどん郵便局はなくなり、そしてサービスは切り捨てられ、お客さんからも見捨てられるという状況がたくさん起きているわけでございまして、今、亀井大臣、そして原口大臣のもとで、何とか国民、利用者の皆様が喜んでいただける、地域にいらっしゃる皆さんが本当に郵便局は役に立つなと言っていただける状況を目指して、改善に努力しているところでございます。

津島委員 本当にありがとうございました。

 そこで今、郵政改革の法案の素案が実は発表されました。そこで私が感ずるところでありますけれども、一つは事業形態、これは三事業一体でなければいけないんだということがまず一つだと思います。それとともに、ユニバーサルサービス、これもやはり確実に実施をしていかなければいけない、こういう状況になるかと思っております。

 そこで、この問題を考えたときに、いわゆる郵政公社時代、この時代はどうであったのかな、このことももう一つ考えなければいけないと思うのであります。

 郵政公社時代は、郵便窓口事業、あるいは郵便事業というものは非常にまた厳しい経営、これも強いられていたと思います。特に、実は東京、大阪、名古屋といったような大都市、これは黒字を保っておりましたが、全体といたしまして、やはり郵貯、簡保、この事業で全体を支えていた、それが一つ私はあったと思うのであります。

 そこで、その結果、民営化が進んで、さらにはあるいは効率化という話になっていきますと、どんどんどんどん地方の郵便局が切り捨てになってしまう、そういうおそれがありますから、この辺も十分注意しながら考えていかなければいけない、そう思うわけであります。特に田舎の方、地方の方に行きますと、もうそこに郵便局しかないんだ、農協も、あるいは漁協も撤退している。もちろんそういうところには銀行がありませんから、公的金融を扱うのは郵便局だけ、その地域の人たちは郵便局が非常に頼りになる、こういう状況であります。

 この辺も十分踏まえて、そこで、これからのこの三事業一体、こういったものの会社のあり方、私は、やはり親会社として持ち株会社あるいは事業会社、郵便局会社、これを統合して、その下に郵貯、簡保、この金融二社を子会社化するといった、いわゆる実質的な三事業一体といった形が望ましいと思っておりますが、この点について、大塚副大臣にお尋ねをしたいと思います。

大塚副大臣 津島委員にお答えを申し上げます。

 ただいま津島委員からるる御指摘をいただきましたようなさまざまな問題点、ほぼ同じような認識を共有させていただいておりまして、それらを解決するような案を今検討している最中でございます。

 御承知のことと思いますが、二月の八日に政府としての素案を発表させていただきました。御下問のありました経営形態につきましては、今、津島委員がお話しになりましたような、持ち株会社、局会社、そして郵便事業会社を親会社といたしまして、そのもとに金融二社を子会社としてぶら下げる、こういう素案をお示ししておりますが、その中で一体的なサービスを提供できるような工夫をするべく、今、政府・与党内で御議論をいただいている最中でございます。

 よろしくお願い申し上げます。

津島委員 大変ありがとうございました。

 そこで、もう一つの問題でありますが、二月の二日の衆議院の本会議におきまして、これは社民党の重野先生だったと思いますが、鳩山総理がその中で、郵便、そしてまた郵便貯金、あるいは簡易保険、このサービスを全国あまねく郵便局で一体的に利用できるようにする、こういうふうな答弁をされております。つまり、これはやはり、ユニバーサルサービス、これが本当に必要だなということを総理も明言されている、私はそう思うのであります。

 ただ、ユニバーサルサービスを行うにおきまして非常にコストがかかる。ある調査といいますか、この間の発表によりますと、この年間のコストというのが一兆二千六百六十三億ですか、このぐらいかかる、そういうデータもあるようでございます。このコストというのは、当然のことでありますけれども、やはり日本郵政が負担するのが私は筋だと思います。

 ただ、その中で、そういったときに、私は、経営の自由度というものを拡大していく、これまた必要だと思っております。特に、貯金と保険の限度額、これについては撤廃することが望ましいと私は考えております。

 この法案につきましては、まだこれから各方面とのいろいろな調整そして議論の余地もあろうかと思いますが、現時点で、大塚副大臣、どうでしょうか、おっしゃれる範囲の中でぜひ御答弁をお願いしたいと思います。

大塚副大臣 津島委員にお答え申し上げます。

 まず、現在の政府の検討状況の中で、一つ明確に認識が共有されている考え方がございます。それは、私自身も、五年前の郵政国会、調査会のメンバーとして議論をさせていただきましたが、一体ユニバーサルサービスの義務とはだれがだれに対して負っている義務なのか、この点について、今回、政府内でも十分議論をした結果、金融や郵便に対する国民の皆様方のアクセス権を保障するのは政府が国民の皆様に対して負っている義務である、このような論理構成を共有しております。

 その上で、日本郵政グループがその政府の義務をかわりに果たしていただけるということであれば、そのコストは一体だれが負担するべきなのか、そういう観点で今議論を進めております。

 もちろん、今の論理構成からいえば、したがってユニバーサルサービス部分のコストは政府が持つべきだという考え方も成り立ちますし、あるいは、津島委員が御指摘になりましたように、そうであったとしても、これまでの経緯から日本郵政グループ自身がみずからそのコストを捻出して賄うという考え方、両方があると思います。

 しかし、日本郵政グループの経営は、五年前の竹中大臣がお示しになりました骨格経営試算、この見通しよりも急速に厳しい状況になっておりますために、果たして、今申し上げました後者の方、みずからコストを賄うということができるかどうか、これがやや疑わしい状況になっております。

 したがって、引き続きその考え方でいくのか、あるいはコストを賄い得るように政府が何らかの工夫をするのか、さらには、今限度額のお話がございましたが、限度額等の、業務の自由度を広げることによってコストを賄い得るようにするのか、それらがいわばトレードオフの関係になっておりまして、その検討をしている最中でございます。

 もっとも、この限度額を拡大するということは、中小の地域金融機関の皆さんや、あるいは農協の皆さん、こうした皆さんの経営とも密接な関連がありますことから、そうした要因も含めて、最終的にはできるだけ多くの利害関係者の皆さんに御納得をいただける結論に導く作業をしている最中でございます。

 よろしくお願い申し上げます。

津島委員 大塚副大臣、本当にありがとうございます。

 このできた会社も新しい会社も赤字というわけにいきませんので、その辺も考慮しながら、ぜひ十分な御検討をいただきたいと思います。

 大塚副大臣はこの辺で私は結構でございます。

 それと、最後に、もう一つ、ちょっと確認をしてお聞きをさせていただきたい問題があるわけであります。

 今、地方の郵便局の皆さん、局長さんの皆さんは、貯金と保険の業務の問題でありますが、この監査、検査の問題でありますが、非常に困っておられる。と申しますのも、いわゆる巨大なメガバンク、これと同じような検査そして監査という問題があります。私は、やはりこの辺もこの先いろいろ考えていかなければいけない、そういう重大な問題であると思います。

 そこで、これは長谷川政務官にお聞きしたいのでありますが、その辺のところはこれからどういうような扱いをされていくのか、お伺いしたいと思います。

長谷川大臣政務官 津島委員の御指摘、郵便局が手続、規則、検査といったもので非常に苦しんでいるという御認識については、私も全く同じ認識を持っておりまして、これはもう大変なことだなと。郵便局が、先ほど申し上げましたように、不便になった、冷たくなった、待たされる、これらの苦情の原因はすべてそこにあるように思っております。

 したがって、ここは、先ほども大塚副大臣から御答弁申し上げましたように、政府・与党の中で今議論している最中でございますので、どういう形でやるかというのはまだ決まっておりませんけれども、いずれにしても、そういった問題がきちんと解決できるような工夫をこれからさせていただきたいと思っているところでございます。

津島委員 どうもありがとうございました。それでは、郵政改革法の問題につきましては、これで終わらせていただきます。

 次に、赤松大臣に御質問させていただきたいと思いますが、まずもって、赤松大臣は、きのう、私どもの地元青森においでいただきました。本当にありがとうございました。そしてまた、その中で、大変地元の皆さんが勇気づけられるようなお話もいただいております。

 そしてまた、私は、選挙中のことでありますが、まさしく、今までの自民党の農政に対して多くの農家の方が失望を禁じ得なかった、その中で戸別所得補償制度に対する期待感が非常に大きかったと思うのであります。その中で、民主党のマニフェストの中で実は二〇一一年度から実施予定のこの米の戸別所得補償制度でありますが、まず米のことから一年前倒しで実施する、そういうふうに決めたまさしく大臣の御決断、これは本当にすばらしいものがあると感じております。

 その中で、御承知のように、私ども青森県は日本一のリンゴの産地であります。実は、この果樹の問題、これもぜひ大臣にはいろいろな意味で御検討いただきたいな、こう考えております。

 特に、リンゴ農家もなかなか、後継者の問題、あるいは高齢化している、そういったこと。そしてまた、二年続けてリンゴの価格が暴落しております。そしてまた、いろいろな諸経費、物価が高くなるとともに経費もかさんでいる。非常に大変な状況に置かれているのも事実であります。その中で、私は、果樹農家の経営をどう考えていくのか、この辺もぜひひとつ大臣にはいろいろな意味で御検討いただきたいと思うのであります。

 実は、先日、青森県のリンゴ農家の所得に関しての調査のデータが公表されました。これは平成二十年になりますけれども、農業所得が百七十三万円と、実は前年から見ますと百五万円下がっているのであります。割合でいきますと四割も下がっている、こういう状況なんですね。それから、リンゴの卸売価格でありますけれども、これもキログラム当たり二百六十三円から二百一円と下がっている。これも大変な状況なのであります。

 これは、青森県のリンゴ農家だけではありません。全国のいわゆる果樹農家に対しても、いろいろな意味で同じ状況というのは考えられるわけでありますから、ひとつ大臣には、いろいろな意味で対策というものを考えていただきたいと思います。

 そこで、現在は、果樹経営支援対策事業と果実の需給安定対策事業、これが大きな柱になっております。その中の一つでありますが、果樹の経営支援対策事業、これは、平成二十二年度で終了する、そういう事業であります。

 私は、これも来年度以降もぜひ継続してやっていただく、このことをぜひお願いしたいわけでありますが、まずこの点について大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

赤松国務大臣 津島委員にお答えを申し上げたいと思います。

 もうあと五分ぐらいしかないので、なるべく簡潔に申し上げますが、果樹、特に先生の地元の青森におきましては、リンゴの生産が農業の中心でございます。しかし、今、果樹全体でいえば、メロンについても、あるいはミカンについても、景気の低迷も相まって大変厳しい経営を続けられているというのが果樹園の実態でございます。

 そんな中で、今お話ありましたこの支援対策につきましては、一応、二十二年度までということになっておりまして、今年度については対前年度比三二%増の六十三億円を措置したところでございますけれども、この継続については、各産地から、ぜひ引き続いて二十三年度以降もやってほしい、そういう御意見をいただいております。

 私どもは、先生御存じのとおり、この支援事業というのは、優良品目・品種への改植、あるいは農道の整備というようなのが主でございますので、このままこの制度を延長することがいいのか、あるいはもっと新たに別の方法でもってこうした経営の皆さん方を支えていく支援方法を考えた方がいいのか、何もしないということは決してありませんが、よりどちらがいいのかということをしっかり検討しながら、二十三年度からのあり方について考えていきたい。

 一部には、果樹の皆さんも、ぜひお米と一緒に戸別所得補償制度みたいなことでやってくれというような意見もございますので、なかなか恒常的に、果樹の場合は常に赤字という品目ではありませんので、同じものをということにはなりませんけれども、何らかの形で、こうしたリンゴを初めとする果樹経営の皆さん方を、日本の農業の一角を担うものとしてしっかり支えていくという決意だけはお伝えをしておきたいと思います。

津島委員 大変ありがとうございます。

 時間が限られておりますので、あと二つほど端的にお伺いしたいのでありますが、かつて果樹経営安定対策事業というのがありました。これも、ある意味でいいますと、価格を補償する、補てんするということであります。これにかわるような、米の所得補償もそうでありますが、果樹の所得補償といったものも、あるいはこれに類するものをぜひお考えいただきたいということ。

 それと、やはり各地区、全国的にもそうでありましょうが、いわゆる水稲の生産、そしてまたこれの管理、私どもの地元の平川市のカントリーエレベーターというのがあるんですが、これはもう三十五年以上も前につくられたものでありまして、非常に老朽化している。こういったものの予算に対しても思い切った予算措置をする、私はそれも必要だと思っております。

 この二点について、ひとつ大臣から力強い答弁と簡潔な御答弁をぜひお願い申し上げたいと思います。

赤松国務大臣 お答えします。

 平成十三年から十八年まであの制度がありましたけれども、これは自民党政権時代に、要は基準価格を決めて、そこより下は補てんしますよ、そこより上は補てんしませんというと、非常に低価のものしか補てんができない、一生懸命頑張っているけれども値段が基準額より高ければ何の支援もないということで、平成十八年に終わった制度でございまして、私どもは、それよりも、きちっとすべての意欲のあるこうした果樹経営の皆さん方にしっかりと経営がやっていただけるような仕組みを考えた方がいいということで、二十三年度以降、そういう所得補償的なものを考えてみたいと思っています。

 それから、平川地区のあれにつきましては、私も、市長からも要望をいただきましたし、直接いろいろなことも調べさせていただきました。地域には大変頼りにしておるカントリーエレベーターであり、あるいはライスセンターでありますので、二十五年度以降、新たなものをしっかりつくって、さらにその地域の農業者のための機能を十分果たしていけるように前向きに検討させていただきたい、このように思います。

津島委員 大変ありがたい御答弁をいただきまして、ありがとうございます。大臣におきましては、私はこれで結構でございます。

 次に、食品の原料原産地表示、いわゆる食の安全について少しお尋ねをしたいと思うのであります。

 各地区のスーパー、あるいは道の駅、あるいはまたデパート、そういったところに行きますと、かつてであれば青森産のリンゴだとかあるいは長野産のリンゴといったような、県名でありました。ところが、最近はもう少し細かくなりまして、生産者の顔が見えるような、そういう表示の仕方が随分と見られるようになってまいりました。

 そこで、福島大臣にお尋ねを申し上げたいのでありますけれども、いわゆるリンゴの果汁の問題であります。これも、今、加工食品の中で二十品目は表示という義務づけがあるわけでありますが、リンゴジュースにつきましてはこの義務づけがないのであります。

 そこで、大臣に一つお示しを申し上げたいんですが、実は、昨年のリンゴジュースの消費量、これが全国で十五万一千三百四十二トンということなんですね。これは濃縮果汁を換算しております。その中で、輸入のリンゴ果汁というのが実は十二万七千六百三十七トン、国内産というのは二万三千七百五トンしかないんですね。

 今まで、ウナギだとかあるいはタケノコの産地偽装問題、こういうのがありました。あるいはまた、食の安全を脅かすような農薬野菜という問題もありました。こういったこともありますから、私は、このリンゴジュースにつきましても原料原産地、原産国表示、これをぜひ義務づけていただきたいと思いますが、福島大臣、ひとつ御答弁をよろしくお願いします。

福島国務大臣 昨年九月以降は、消費者庁が消費者委員会の意見を聞いて表示基準の企画立案を行うところになったところであり、原料原産地表示の義務づけについては、消費者委員会において議論していただけるよう、消費者庁として情報の収集、分析を行っているところです。

 対象品目の選定については、まず全体としての表示の方法等の考え方を整理した上で、具体的に検討を開始するということを考えており、リンゴ果汁飲料の原料原産地表示の義務づけについてはこの中で検討してまいります。今、リンゴジュースそれからミカンジュース、沖縄の黒糖やさまざまな点で表示を何とかしっかりしてほしいという声をたくさんいただいております。ですから、この点については前向きにきちっと表示ができるよう検討してまいりたいと考えております。

 今までは、約三年程度の期間を実は検討から始めて要していました。せっかく新政権になったので、もっとこの期間を短縮できないかというふうにも思っておりますし、将来、原産地表示について、もしかしたら包括的な立法が必要になるかもしれません。青森県リンゴジュースについては、きょう、しかと受けとめましたので、頑張ってまいります。

津島委員 大変ありがとうございます。

 そこで、最後に、時間も大分なくなりました、前原国交大臣に本当は詳しくお伺いするつもりでありましたけれども、時間の関係で簡潔に御質問させていただきたいのでありますが、まさしく今、日本航空、JALの再建問題で大臣も非常に御苦労されている、そういう状況だと思います。

 ところで、今、羽田発の地方、特に青森便なんかは、ボーディングブリッジが足りないために、搭乗するに当たりましてバスで移動する、こういうことがあるんですね。飛行機に乗りに行ったはずなんですがバスに乗ってしまう、こういうこともあるわけでありますが……(発言する者あり)これは空港の中の移動バスなんですね。

 それで、これは実は、私は、やはりバスで移動する方は全員座って移動する、そういうことをぜひお願いしたいと思います。その辺のことを、大臣、ひとつ簡潔によろしくお願いします。

前原国務大臣 今委員御指摘のように、空港内のバスサービス等の配慮は、公共交通機関にとっては大変重要なポイントだというふうに思います。

 ただ、これも、値段とか見ていますと、日本航空も全日空も、羽田空港でのいわゆるバスサービスについては民間委託をしておりまして、かなり値段が高いわけですね。そういう意味では、経営努力の中でどうそのサービスを向上させていくか。

 我々としては、日本航空の再生を着実に進めると同時に、公租公課の見直し等も含めたさまざまな観点からの航空業界へのてこ入れ、バックアップを図っていって、議員がおっしゃるような視点につながっていくように努力をしていきたいと考えております。

津島委員 どうもありがとうございました。

 私の時間は終わりました。ありがとうございます。

鹿野委員長 これにて津島君の質疑は終了いたしました。

 次に、服部良一君。

服部委員 おはようございます。社会民主党・市民連合の服部良一です。

 私は、沖縄基地問題検討委員会の一員として普天間基地の新たな移設先の検討作業を行っているわけですけれども、連立政権発足に当たり、沖縄の負担軽減、米軍再編や在日米軍基地のあり方を見直すということが合意されました。ぜひ、新政権におきましては、長年米軍基地に苦しんできた沖縄の方々の期待にこたえるリーダーシップを発揮していただきたいと切に要望し、また期待を申し上げる次第です。

 さて、普天間基地の移設の議論の中で、二言目には抑止力という言葉が使われるわけですけれども、私は、日本に駐留する米海兵隊の抑止力の議論について、かねがねもっと精査する必要があるというふうに思ってまいりました。

 防衛大臣にお聞きいたします。

 そもそも、海兵隊というのはどういう性格の軍隊でしょうか。また、抑止力との関係で、在日米海兵隊というものはどのような役割を持っているというふうにお考えでしょうか。

北澤国務大臣 お答え申し上げます。

 海兵隊は、既に御存じかと思いますけれども、大変高い機動力を有しておるということでありまして、沖縄における海兵隊の任務というのは、我が国の周辺諸国との間に一定の距離を置いているという地理上の利点を非常に重視されておるということと、先ほど申し上げた高い機動力と即応性によりまして、さまざまな緊急事態に一次的な対処を担当しておる、我が国の安全のみならず、アジア太平洋地域の平和と安定に大きく寄与しておるということであります。

 抑止力全般についても、今ここでお答えした方がよろしゅうございますか。

 沖縄に駐留している米軍の海兵隊の抑止力というのは、まず一つには、我が国が攻撃されたときの即応性、こういうことが重要でありまして、さらにまた、地理的条件から、アジア太平洋地域で事態が発生したときに極めて迅速に効果を上げることができる、そういう利点を持っておるということであります。

服部委員 お手元に、元防衛研究所所長の柳沢協二氏が、去る一月二十八日の朝日新聞「オピニオン」の欄に寄稿された記事を配付させていただきました。

 上の段のところに傍線を引っ張ってあるわけですけれども、「海兵隊はいつでも、世界のどこへでも出動する。特定地域の防衛に張り付くような軍種ではない。」というふうに記載されているわけですけれども、防衛大臣もこういう考えでよろしいでしょうか。

北澤国務大臣 海兵隊を全体で見ますとそういうことは言えるんですけれども、しかし、距離、それから対応に要する時間、そういうものを勘案しますとこの柳沢さんの発想は極めて大ざっぱな話でありまして、先ほど申し上げましたように、我が国の防衛、それからアジア太平洋の平和と安定、そういう意味からすると、沖縄という地政的な地位というものは極めて重いということでありまして、いずれにしても、海兵隊といえども、どこに存在するかということによってその地域の平和と安全に大変安心感を与える、それをもってその地域の抑止力、こういうふうに位置づけておるわけであります。

服部委員 海兵隊というのは、いわゆる防衛の部隊じゃなくて、むしろ攻撃の部隊だと。ですから、この間の在日海兵隊の動きを見ていましても、イラクに行ったりアフガニスタンに行ったりしているわけですね。そういう海兵隊の性格づけをもう少し精査していく必要があるんじゃないかなと私は思っているわけです。

 柳沢さんは、引き続いて、同じ箇所で、海兵隊のそういった性格からすれば、「「沖縄かグアムか」という問いに軍事的正解は存在しない。」と。要するに、海兵隊のそういう性格からすれば、沖縄であろうとグアムであろうと同じではないかという趣旨だろうと思うんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。

北澤国務大臣 私は柳沢さんという方はお聞きをしたこともないんですが、かなりの専門家であることは間違いないので、どういう意図でこういう論文を出されたのかちょっと疑問に思っておるわけであります。

 グアムと沖縄では圧倒的に優位性が違うのでありまして、例えば韓半島で何がしかの事態が起きたというときに、グアムから韓半島へ向けて、一つの事例とすれば、在留の邦人を救出するというようなときには圧倒的な差が出てくるということでありまして、グアムに存在するのと沖縄に存在するのとでは全く違うので。

 攻撃をするという意味でのプレゼンス、これはむしろ抑止力ということに力点を置いて、そこに米軍の強い、機動力の高い軍隊が存在することによって、攻撃をちゅうちょするというような抑止力を発揮するわけでありますが、一方で、既に、日本の領土以外で起きた事態に対して、邦人の救出というようなことについては圧倒的な違いが出てくるというふうに認識をいたしております。

服部委員 お手元に、QDR、アメリカ、米軍の四年ごとの国防計画の見直しに関する資料、これは裏表になっているわけですけれども、お配りしております。

 このQDRの中には、合衆国の西側最先端のグアムを地域における安全保障にかかわる活動のハブにするということが明記されているわけですけれども、防衛大臣としては、この米軍の動きはどのように理解されているでしょうか。

北澤国務大臣 QDRは、ただいまお話のありましたグアムの件については初めて記載をされておるわけでありますが、既にロードマップなどではこのグアムの再編については記載をされておるわけであります。

 グアムは、米国の領土とすれば最も西に位置しているところでありまして、そういう意味からいたしますと、ハワイからグアムへかなりの司令部を移したということは、米軍は主要なものを前線へ移動した。そういう意味からいきますと、沖縄の部隊をグアムへ後退させるということは、かなりな米軍の日米との関係での決断だというふうに思います。

 そういう意味において、残された海兵隊が沖縄に存在することに対する意味は極めて大きい、こういうふうに認識をいたしております。

服部委員 この件はちょっとまだ引き続き議論をさせていただきたいと思うんですが、次に、岡田外務大臣にお聞きいたします。

 昨年十一月の衆議院の予算委員会で、海兵隊が沖縄になくても抑止力が完全に失われることはないという趣旨の答弁をされております。二月二日の記者会見でも、米軍の抑止力に関して、それが沖縄である必要はないというふうにおっしゃっているわけです。さきに触れた柳沢氏も、この下の段にこういうことをおっしゃっています。「米当局者もアジアの多様な課題には海兵隊が必要だと言う。だがそれは沖縄でなければならない理由にはならないし、本来の意味の抑止力でもない。」というふうにおっしゃっているわけです。

 抑止力の解釈はひとまずおきまして、私も何で沖縄なのかという問題、これはもっと真剣に議論していく必要があるだろうと思うんですが、沖縄である必要はないという考えは今もお変わりないでしょうか。

岡田国務大臣 私が申し上げたのは、今まさしく委員もメンバーとして検討委員会を官房長官のもとでやっておられます。そのときに、私の考え方、例えば沖縄になければならないとか、そういうことを言ってしまいますと、これは検討委員会での議論に影響を及ぼすということで、私としては、そこは私の考え方は封印をして申し上げたわけで、私自身の意見ということはあえて申し上げていないということでございます。

 ぜひ、これは検討委員会の中でも御議論になることだと思いますけれども、先ほど北澤大臣も言われた、海兵隊が沖縄になければならないのか、あるいはその他の日本でもいいのか、どういう事態を想定してそういう議論がなされるのか、そういうことも含めて、普天間の代替基地ということについては議論がなされるべきだというふうに思っております。

服部委員 ちょっと微妙な発言でしたけれども、沖縄でなければならない理由というのが本当にいまだにあるのかどうか、これも引き続き議論をさせていただきたいというふうに思います。

 それから、QDRについて、きょうお手元にお配りしている配付資料の中で、ヨーロッパと東アジアの二つの大規模紛争への対処と言われた、いわゆる二正面作戦を見直すということが新聞のトップで大々的に発表されたわけです。これは米側としては、東アジアにおける大規模軍事衝突の可能性が低いという認識を今日的に示したものだというふうに考えるわけですが、防衛大臣の御見解はいかがでしょうか。

北澤国務大臣 この件につきましては、基本的に、中国やインドの台頭や大量破壊兵器の拡散等による安全保障環境が一層複雑化したということがまず大前提にありまして、そして、その中で現在のアフガニスタン等における作戦を最優先としつつ、同時に将来の複雑な事態等に備える、そういう観点から、多岐にわたる作戦を実施できるよう、米軍のいわゆる戦力のバランスを修正するというのがその大きな趣旨であるというふうに理解しております。

服部委員 報道によりますと、ゲーツ国防長官は、二正面作戦は時代おくれだというふうに言われているわけですけれども、防衛大臣は、そうだな、時代おくれだなというふうな認識でしょうか、それとも時代おくれじゃないという認識でしょうか。

北澤国務大臣 時代おくれという概念は、古い発想に基づく考え方ということでありますが、ゲーツさんたちが言っているのは非常に現実的でありまして、現在の安全保障環境が極めて複雑化してきている、したがって、米国が大きな主権国家との間の戦いに全精力を注ぎ切っていて、あと、不特定な事態が発生したときにそれに対応できないようではだめだ、こういうことで修正を加えると。

 したがって、時代おくれというよりは、新しい事態に対応する能力を持つべきである、こういうふうに認識していると理解しております。

服部委員 ありがとうございました。

 ちょっと時間もなくなってきました。グアム移転協定は下地議員も質問されるみたいなのでお譲りしまして、もう一言、防衛大臣にお聞きしておきます。

 辺野古の環境アセスの評価書を防衛省として出すのか出さないのかということを、先日、我が党の照屋議員の方に予算委員会で答弁されておりましたけれども、これは、移設先が結論が出るまでは出さないという意味で理解をしてもいいのでしょうか。

北澤国務大臣 お答え申し上げます。

 そういうふうに特定しているわけではございませんで、ただいま知事の意見等も精査をしながら整理をいたしておりますが、いずれにしても、先生も参加されております官房長官のもとでの検討委員会の経緯を見ながら、協議しつつ決定をさせていただきたいということであります。

服部委員 ちょうど時間が参りました。

 いずれにしましても、この海兵隊の抑止力の中身、あるいは何で沖縄でなければならないのか、この辺はやはりもう一度改めて議論をする必要があるというふうに思っておりまして、それは何よりも沖縄の負担軽減をぜひとも新政権のもとで実現してほしい、そういう強い思いからこういう議論をさせていただきました。

 本日は、どうもありがとうございました。

鹿野委員長 これにて服部君の質疑は終了いたしました。

 次に、下地幹郎君。

下地委員 集中審議では、前原大臣には通告しましたけれどもお時間がなくて済みませんでした。おわびを申し上げたいと思います。

 今、沖縄は復帰して三十七年になるんですけれども、四次にわたる振興開発計画をやりました。一次のときも国が設定してもちろんやりましたし、二次もやりましたし、三次もやりました。今、四次がスタートしています。四次までやっていますけれども、あと三年しか残っていませんけれども、全部が目標数値に達しない。国が決めてこの目標までやりますよとやってきたものが、一つも目標数値に達しないというのが今の現実なんです。それぐらい今厳しい状況である。

 やはり、二十七年間もアメリカの施政権下に置かれていた、そういうふうな意味においては、いろいろなものでルールが違うから、新たに日本に復帰をしてもまだまだ追いつけないという環境がそこにあるというのが、目標数値が達成しないということの一点目になるのかなと。

 それと、二つ目には、沖縄が望んでいることがなかなかできていないのではないか。

 私は非常に厳しいお話をしますけれども、大学院大学というのが、今六百億ぐらいのお金を投下されて、毎年百億円かけてつくられるんですけれども、あの姿がどうなるのかというのはだれもわからない。あれが沖縄の人たちに、沖縄の経済にどういうふうな影響を及ぼすのかというのが、どの役所に聞いてもしっかりとした数字が出てこない。こういうふうなものが今の沖縄の現状かなというふうに思っております。

 そこで、きょうは沖縄担当大臣も、そして官房長官のもとに沖縄の窓口もでき上がりましたので、ちょっと御意見を聞かせていただきたいんですけれども、一つには、今、振興策というのがありますけれども、あと三年間ありますが、この三年間をそのまま過ごして結果が出るということにもならないと思うんですね。そういう意味では、三年はあるにしても、もう一度この振興策のあり方を見直して、本当の沖縄が自立できる姿というものをおつくりするような新たなプランを、チームをつくっておやりになるということが必要だと思いますけれども、その点に関して一点お聞きをしたい。

 そしてもう一つは、今非常に、観光客が一七%落ちています。前原大臣が全国も落ちていると言いましたけれども、全国も落ちていますけれども、沖縄は特に観光の依存度が高いものですから、その影響が大きいことだけは確かです。他に産業がないと言っても言い過ぎではないぐらいに厳しい環境なんです。

 そういう意味では、沖縄の観光が今厳しい状況になっていて、そして、四月以降に高速道路の無料化が起こると、また観光に大きな影響を及ぼすんじゃないかという心配をするようなこともあるわけでして、観光に対する具体的な対策をおつくりになる、今申し上げることは簡単じゃないと思うんですけれども、それと、今言った長期ビジョンはどうなのかということを、二人に、官房長官と担当大臣にお聞きをしたいというふうに思います。

前原国務大臣 下地委員が言われた二つの点というのは大事なことだと思うんですね。一つは、沖縄が望まれることをしっかりと国が協力してやっていくということと、あとは、今までの施策をちゃんと検証していく、この二つは非常に大事だと思います。

 そこで、下地委員はもうよく御存じだと思いますけれども、観光で申しますと、修学旅行は平成二十年から二十一年で、校数が二・五%ふえて、そして人数も四・二%ふえている。リゾートウエディングは二三・六%ふえている。MICE、つまりは国際会議は三〇%ふえている。それに対して、入域外国人観光客が八・五%落ちている。したがって、どこを伸ばして、また、どこが落ち込んでいるからそれに対応したらいいということが、今申し上げたところからもわかると思うんですね。

 それをしっかりと沖縄県とも話をさせていただきながら、どうフォローし、そして目標の達成にしていくのか、こういう観点が極めて大事だと思いますので、今委員おっしゃったように、私は沖縄の皆さん方とできるだけお話をして、望まれる振興策、観光誘致策、こういったものをしっかりと予算の中でやらせていただきたい、こう考えております。

平野国務大臣 下地議員には、さまざまなところで、また検討委員会の委員としても大変御協力をいただいていることに感謝を申し上げます。

 加えて、今の御質問ですが、前原大臣が今御答弁をいたしましたが、私も一月の冒頭に沖縄を訪問させていただきました。そういう中で、沖縄の歴史を少しひもといてみよう、戦後復興という大きな概念と、ある意味で沖縄の経済を含めた自立という概念と、それから、やはり今後はさらにどう自立発展をさせるか、こういうコンセプトで決めていかなければならないんだろう、こういうふうに基本的には考えています。

 そういう中で、常に基地の問題というのがついてくるわけでございまして、過日、知事さんを含め首長さんとお話しする中で、やはりそれぞれの役所の縦割り単位で基本的に物事が進められている。そういう意味では、もう少し沖縄全体の概念で官邸がしっかりとその情報を共有しなきゃならない、こういうことで、一月の二十九日に沖縄連絡室を設置させていただいたところでございます。

 既に、先週末で四十九件の御意見、御要望が私の手元に上がっておりまして、当然、前原大臣と十分に連携をしながら、今後、沖縄のために、県民のために、また自立発展をしていくために何が有効な施策なのかということを考えていきたい、このように考えているところであります。

下地委員 先ほど外国人の話がありましたが、今、九割が台湾からですね。これがなかなか、今、台湾のお客さんが、沖縄の熱い太陽よりも温泉の方がいいと言って、どんと温泉地へ行ったりしていますから、どこでまた魅力づくりをするかというのを本気で考えていかなければいけないと思っています。

 ただ、今、全体のパイが落ちていることだけは確かだし、緊急な手術が必要だと思いますから、また、私の声だけじゃなくて沖縄の人の率直な声を聞いた方がもっとわかりやすいと思うので、いっぱいの方々が東京に来てお話をするときには、ぜひみずからお会いをしていただいて聞いていただくということも新しいお二人の大臣の発想になるのかなと思いますから、そのこともお願いさせていただきたいと思います。

 それで、もう時間がないから最後ですけれども、きょうは外務大臣じゃなくて官房長官に御質問させていただきます。

 グアム協定ですけれども、このグアム協定を自民党がつくった背景には、万が一政権がかわっても、六千億ドルアメリカに出す、拠出をするというようなことはやらなければいけない、やるべきだということを協定にして、しっかりとある意味縛っておこうというようなことがあって、このグアム協定ができ上がったというふうに私は思うんです。

 そして、そのことから見ても、このグアム協定をやることの中に、普天間の移設の問題で、パッケージだとずっとアメリカも日本政府も言ってまいりましたけれども、中曽根外務大臣のときに、パッケージではありませんよ、パッケージじゃなくて、これはグアムにお金を落とすものなんですよとずっと国会答弁で言って、私たちが、いや、パッケージでしょうと言ったら、いや、パッケージじゃない、これはパッケージじゃなくてやるんですよというふうに言ってきた。

 しかし、私はパッケージだと思うんですね。普天間の問題が解決しないでグアムに行けるわけないから、パッケージのことは間違いないと言うけれども、あのとき外務大臣がパッケージじゃないと言ってきた背景には、万が一普天間の場所が変更しても、グアムに対する予算の拠出はやらなければいけないということが外務大臣の答弁になっているのではないかなと僕は思うんです。

 そして、そのとおりに、この前も御紹介しましたけれども、メアさんという総領事の、質問に対して、ロードマップで既に表明されてきた政治的意図を改めて表明する趣旨のものであり、普天間飛行場の代替施設の建設に係る法的な義務を日本国政府に課しているものではないと。「意図を有する。」となっていることからも明らかである、したがって、仮に日本政府が普天間飛行場の代替施設を建設しない場合であっても本協定に違反しない、念のために、六日、米国政府に改めて確認しており、米国政府も同様の見解であるというようなことが民主党の主意書の中に来ているわけですね。

 だから、私たちは今、普天間の移設問題のことをやっていますけれども、この自民党、麻生内閣がやったものからすると、建設しないといっても協定は生きていると麻生内閣は内閣で決議しているわけだから、建設しないというのは一番最悪のケースですよ、それが普天間の今の辺野古移設案から変更したからといっても協定を変える必要はないというのが私の考え方で、この前、石破委員の質問に、変えなければいけないかのような発言をしておりますけれども、私は、そうでなくて、これは、協定を変えなくて、ロードマップの見直しを米国と確認すれば、改めて協定を、解釈を見直す必要はないと。

 四月以降になって衆議院と参議院で承認をとってやるというスケジュールは、五月までに決めるというスケジュールの中では、私は余り無理やり協定の改定をする必要はないという思いがありますから、私は法的にもこれがないということをもう何度も申し上げていますけれども、もう一度官房長官のお話を聞かせていただきたいと思います。

平野国務大臣 この件については、総理の御答弁、外務大臣の御答弁がございます。

 まず、総理の御答弁の中には、協定の一方の当事者である米国と十分に協議する必要がある、こういう概念で総理が発言したものと私は理解をいたしております。

 加えて、先ほど下地先生からの御指摘でございますが、グアム協定という協議の中においては、先生の御指摘のとおりだと私は思っております。しかしながら、ロードマップとの関係等々を考えると、やはり、意図するものである、こういう概念でございますから、十分米国と協議をする、この気持ちが大事であって、具体的に、物すごい違うところに行けばそういう協議ということも当然出てくるでしょうし、今我々が想定している中においては、その範囲には入ってこないのではないか、こういう理解で、私自身はそう理解をいたしております。

下地委員 最後ですけれども、官房長官、アメリカ政府が協定をやり直ししようと言うまでは、こちらから言う必要はありませんよね。協定は一緒で、お互いでやるわけだから、こっちから破棄する必要もなければ、あそこが言ってこなければそれでよろしいんじゃないですか。

平野国務大臣 そこは日米、気持ちが通じてやれれば私はそれでよろしいかと、このように思っております。

下地委員 協定というのは一方的にできるものじゃありませんから、向こうから言ってこなければ、私たちは、今のとおりで、変更しても協定を国会の承認を得る必要はない、そういう考え方でぜひやってもらいたいと思います。

 ありがとうございました。

鹿野委員長 これにて下地君の質疑は終了いたしました。

 次に、福井照君。

福井委員 おはようございます。自由民主党の福井照でございます。

 二月十日の金子前国土交通大臣の質疑に引き続きまして、箇所づけ情報漏えい問題について議論させていただきたいと存じます。

 ちょっと御記憶を取り戻す意味で、まず官房長官から御答弁いただきたいんですけれども、二月十日の最後の方の二ページにわたる議事録の中からピックアップしますと、まず、前原国務大臣の方から、三日月政務官が国土交通担当の民主党の阿久津副幹事長に対して関係資料を適宜見繕って中間的な状況説明を行ったというふうに報告を受けているということで、事実経過を整理していただきました。その後を受けまして金子委員から、では、そのときの資料がないと議論できないんじゃないかということで押し問答していただいて、ここで理事会を開いていただいて、それで理事会で決定されたので、官房長官から、そのときの資料を提出しますということでおっしゃっていただきました。

 さすが大政治家、平野官房長官、すぐ、理事会で決定したから提出するというふうに即断をしていただきまして、本当にありがとうございました。

 その後、十日、提出をしていただいたわけですけれども、まず官房長官にお伺いしたいのは、理事会が、国会が要求したからそのまま何も考えずに提出したのかということはないと思うんですね。政府としてどのようにスクリーニングして、どういう物差しで何をチェックして提出していただいたのか。二月十日の夜、理事会に提出していただいた資料のチェックについて、官房長官の方から御紹介いただきたいと思います。

平野国務大臣 先生から褒め殺しをいただきまして、ありがとうございます。

 私は、この委員会でたびたび申し上げておりますが、その関連にある資料を、当然政府の中にあるわけでありますから、精査をいたしたところでございます。これはしかし、御判断は、委員会の理事の皆さんの御判断に基づいて資料は選択された、こういうことでございます。

福井委員 ということは、官房長官は、その二月十日の提出に至るまでの間、その資料はごらんになっていないというふうに解釈させていただいてよろしいでしょうか。

平野国務大臣 細かい中身までは見ませんが、資料は見させていただきました。

福井委員 ページ数が余りにも膨大で、何ページでしょうかね、三百ページぐらいでしょうか、北海道から沖縄まで、各事業ごとの、そして各県各箇所ごとの全体事業費、そしてBバイC、二十一年度の予算、二十二年度の予算、そしてその事業内容、用地買収はどこどこでやるか、工事はどういうものかということが詳しく記載されているものでございましたが、きょうは、緊急の要望をさせていただいたにもかかわりませず、理事会で資料提出を許していただきまして、本当にありがとうございました。心から感謝申し上げたいと思います。

 きょうお配りをさせていただきました資料をちょっとごらんいただきたいんです。

 たまたま我が方の高知新聞に載っておりまして、資料一をごらんいただけますでしょうか。「凍結候補 激減四十九区間」こういう表題はどうでもいいですけれども、カラーのところに書いております、「政府が野党の求めに応じ衆院予算委員会理事会に提出した公共事業の二〇一〇年度予算配分(個所付け)方針の全容が十日、明らかになった。」云々かんぬんとございます。そして、二段目に「民主党本部が各都道府県連に一月末に配布した資料では、一部事業に「知事・県連等要望あり」と記されていた。政府が提出した資料からはこうした記述は削除されているが、」云々かんぬんとございます。

 今、全文読み上げませんけれども、これは明らかに、この記者がゲットした、大臣の事実経過の報告からいうと一月下旬に三日月政務官から民主党本部に渡した資料が各県連に流れてその県連からいろいろなところに流れたという資料と、この十日の夜提出された、今お示しいたしましたこんな膨大な箇所ごとの資料とは異なるということが読み取れるわけでございます。

 加えて、資料二と資料三をごらんいただきますと、先ほどの高知新聞の資料の傍証といいましょうか、証拠書類がございます。余りにもおおらかにやっていただいたので、犯罪とは言いませんけれども、いろいろなところでこの情報漏えいがありまして、県連から知事にも、知事部局にも、そして各首長さんにも流れているし、そして一般市民にも流れているという証拠でございますね。

 我が高知県では、こういう資料が流れていたんです。部内限りとありまして、各ページ各ページ部内限りで、その一ページ目は海岸事業です。二ページ目は、河川事業ですね。ダムもあります。三ページ目が、これはつぶれそうな字ですけれども、直轄のバイパスと国道、道路事業ですね。四ページ目は、官庁営繕の事業。そして五ページ目には、海上保安庁の船舶建造、海上保安の官署施設整備事業ということで、いわば配分が内示されたという格好になっています。

 そして、資料三をごらんいただきますと、さらにもっと詳しいのが、コピーがきれいなもので、北海道ですね。北海道は箇所数も多いし、ですけれども結局一緒です。部内限りとしてありまして、公共事業関係費として、河川事業があって、道路事業があって、港湾があって、さっき高知県で港湾もありました、空港があって、海上保安庁の事業があって、官庁営繕があって、都市公園、これはイ号公園ですね、ロ号公園は十分の十ですから、書いてないんですけれども。明らかに違うんですね。

 全県出せと言われたらしようがないですけれども、北海道と少なくとも高知県ではこういう証拠書類がございます。

 そして、高知新聞の記者は、一月下旬の資料と今般の資料とが違うということを認識されているということでございまして、委員長、これは明らかに国会無視以上の問題でございまして、憲政史上例を見ない、もう本当に、にせメールもありましたけれども、にせ資料事件だと思います。

 金子委員は、一月末に三日月政務官から民主党本部そして各県に流れたその資料を出してくださいというふうに御要望申し上げました。そして、委員長を挟んで、理事会で、では出そうじゃないかということで官房長官から御答弁いただいて、そして出てきた資料が違うんです。にせなんです。虚偽なんです。一月末に流れた資料と今回この予算委員会の理事会に出された資料と、違うんです。

 これは、行政が国会を愚弄している、ひいては国民を愚弄しているというふうにもとれるわけで、重大問題なんです。これを軽い問題と考えているような人は、ほとんどこの中にはいらっしゃらないと思います。

 まあ、ミスなんですよ。ミスなんです。わかるんです。しまったなと思って、一月末に出してしまって、大臣もしまったなと思っている、これはわかるんです。そのミスをカバーするのに、またミスを重ねてしまったんです。一月末の資料、それを土台にして黒つぶしで来るのかなと思ったら、余計に詳しい資料が出てきて、しかもその証拠に、今回は、前原大臣の答弁をそのまま一貫性を保つために、直轄事業負担金の国交省と県庁との協議資料ですという形で出てきました。ですから、国費十分の十の事業がデリートされているんです。しかし、先ほど申し上げました資料二、資料三には、国費十分の十の事業が載っているんです。ですから、明らかに今回の資料は違うんだということが、ここで今わかっていただいたと思います。

 その事実を、事実と認めるのか、あるいは事実経過があって、あるいは事情があるのか、それぞれ、では官房長官と前原大臣から御説明していただきたいと思います。

平野国務大臣 私は、その資料については、今委員御指摘の資料、さらに今出ている資料を含めてありますが、これは、現場の国交省と、判断は理事会の決定でございますから、理事の判断で書類については出していただきたい、こういうことを申し上げたところでございます。

前原国務大臣 今、官房長官がお答えになったとおりであります。建設省におられた福井先生でありますのでよく御存じだと思いますが、今回提出をさせていただいたものの内容は、仮配分の内容よりもより詳しいものに、または正確なものに、アップ・ツー・デートなものになっておりますし、先ほど御自身もおっしゃったように、詳しいものになっております。

 したがって、この資料は、にせのものではなくて、よりアップ・ツー・デートなものになって、そして、自治体に対して説明をしたそのままのものを出させていただいたということで、最新版を出させていただいたということでございます。

 恐らく、委員初め自民党の方々は、仮配分の中身について、県連要望とかあるいは知事の要望とか、そういうものについておっしゃっているんだというふうに思います。したがって、理事会でのお取り計らいで決めていただければ、我々はいわゆる古い方も出させていただく用意はいたします。それは理事会の決定で決めていただければ結構だと思います。

 より正確なアップ・ツー・デートなものを出させていただいたというふうに御理解をいただければと思います。

福井委員 ありがとうございました。

 今、大臣も正直におっしゃっていただきました。今般の二月十日に提出していただいた資料は、一月下旬に民主党本部そして県連から一般に流布された情報とは違うんだということをおっしゃっていただきました。

 それでは、二月十日に戻って、二月十日、私たちは、あの一月下旬に民主党本部に出したこと自体が憲法違反だと言っているわけです。全体の奉仕者としての国家公務員たる大臣、副大臣、政務官が特定のパーティーにその情報を流した。なおかつ、民主党本部から各県連そして一般にも流れることがわかっていながら、その資料が流れることを傍観した。そして、その資料をつくるのを、多分後で副大臣と政務官から御紹介いただきますけれども、あの一月下旬の資料をお二人でワープロを打ったんですか。

 違います。これは大臣、副大臣、政務官の規律違反なんです。私に、特定のパーティーのため、特定の部分のために国家公務員を利用してはならない、業務命令してはならないとございます。一の(十)。秘密漏えいは一の(八)。しかも、県連要望ありとリマークにありましたね、道連要望がありますと、そこまで国交省の職員にワープロを打たせた。これはひどいです。

 ですから、それは利益誘導だ、余りにもひど過ぎるということで、金子前国土交通大臣からそのときの資料を提出していただきたいということでお願いをしたわけです。それを出さずに、アップ・ツー・デートの、しかも営繕を除いて、まあごまかしがきくようにということで。しかし、今、大臣は正直におっしゃっていただきました。

 ですから、今決めてくださいよ。二月十日に戻って、理事会で、今大臣がおっしゃったわけですから、今提出していただくように、理事会でぜひ御協議をお願いしたいと思います。

鹿野委員長 後刻、理事会で協議をいたします。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鹿野委員長 速記を起こしてください。

 福井君。

福井委員 では、もう一度、前原大臣に確認をさせていただきたいと思います。

 後で事実経過はまた副大臣、政務官から確認をさせていただきますけれども、一月下旬に流布された資料と二月十日に予算委員会の理事会に出した資料とがまず異なるということ、そして、二月十日の夜、予算委員会の理事会で提出する際に、これは一月下旬の資料とは違うというコメントはなく、何のコメントもなく、私たち受け取る方は一月下旬の資料だと思うように提出されたということで、御説明を再びしていただいて、なおかつ、後ほど理事会で御議論いただくわけですけれども……(発言する者あり)この委員会の中でもお願いしたいわけですけれども、一月下旬の資料を提出していただくということを、もう一度確認していただきたいと思います。

前原国務大臣 先ほど官房長官が御答弁をされましたように、地方に出して、最新のもの、この方が国会の議論に資するのではないかということの全体の判断の中で、そういう御判断をされたんだと思います。

 そして、今委員がおっしゃったように、民主党から漏れたことは私は非常に遺憾だというふうに思っておりますが、その提出もということであれば、これは理事会の御判断で、我々はその御判断があれば出すことは全く問題ではありません。

 それで、福井先生、一つ、ちょっとだけお時間いただいてお話ししていいですか、この経緯について。(福井委員「どうぞどうぞ。事実経過」と呼ぶ)はい、事実経過。

 これはもう建設省におられた委員に釈迦に説法ですが、十一月下旬に事業計画というものを発表しております。この仮配分とほぼ同じようなものでありますが、今回だけ、これは政権交代の後に、いわゆる直轄事業の負担金をなくしていこうということで、いわゆる補修とか維持管理費、こういったものを廃止しようという議論がございました。そして、財務省と総務省と国土交通省、農水省と話をして、そして、ことしに限っては維持管理費だけは残そうということになりました。

 その結果、維持管理費も、これは廃止をされるという前提で事業計画を出していたものが、維持費については残るということになりましたので、その金額が国土交通省で四百六十億円、そして、維持管理費の一割削減を合わせまして、五百億円以上が逆に事業計画からよりふえる形になったわけですね。何も我々は、何かのお金をプールしておいて、事業計画に県連や知事やいろいろな要望を受けて足そうなんということを考えていたお金ではないんです。

 この分権の議論の中で、修繕費というものもなくなるんだろうというふうに思っていたものが、これは来年度は残るということになって、そのお金をではどう割り振るかということの中で増額しているものが多くて、先生が先ほど配られた高知新聞でも、ふえているところが多いというのは、そういう背景があるということでございまして、何も我々が権勢を示すためにプールしておいて、そして要望があったところにそれをつけたということではないことだけは御理解をいただきたいと思います。

福井委員 前原さんは純粋な方で、これから本当に日本を背負っていく政治家なんですけれども、メール問題もそうでしたけれども、やはり部下に恵まれないんじゃないでしょうかね。幹事長室の要望に従って唯々諾々と資料を持っていったという部下がいたんですよね。しかも、許せないのは、今前原大臣がおっしゃっていただきました、道路は、その県その県でやっている事業費が幾ら幾らで、自動的に直轄事業負担金が決まるわけですね。ですから、今、前原大臣がおっしゃっていただいたのとぴったり合うわけです。

 しかし、河川は、八ツ場ダムもそうですけれども、八ツ場ダムだったら東京都まで負担していますからね、そういう県境を越えた負担金、利根川水系とか木曽川水系とか淀川水系とか、大阪でやっている淀川の工事だって京都府が負担していますからね、そういう資料ではなかったんですよ、一月下旬の資料は。慌てふためいて、どなたが命令されたか知りませんけれども、後で聞きますけれども、河川局が徹夜して、土日も出てきて、それで二月九日に政務三役室へ持っていったんですよ。それで、やれやれ資料があるということで、二月九日の夕方、政務三役はほっとしたわけです。

 その資料があるということを前提に、二月十日、金子前大臣との質疑をしたというのは、これは許せないんですよ、許せない。もうこんなことを言いたくない、本当はずっと黙っていようと思ったんですけれども。絶対に許せないです。その資料を出そうと思っていたんでしょう。だから、一月下旬に出た資料はもう永久に出さないで、やっと出てきた直轄事業負担金、河川事業も正確にした、そのものを、金子前大臣もしつこいし何回も言うから、そうしたら二月十日の夕方ぐらいに出してやろうかということで、九日から準備していたんですよね、これはもう絶対に許せない。まさに私たちを愚弄していることになるわけです。

 ですから、今、三回目で恐縮ですけれども、一月下旬に流れた、民主党本部に持っていった、そして県連に流れた資料は出しますと。だから、きょう、この場でやってくださいよ、お願いします。理事会で、この前もこの場で決めていただいたので、今出しますと、もう一回、申しわけないですけれども、おっしゃっていただいて、ちょっと理事会で、この場で決めていただきたいと思います。

前原国務大臣 理事会でお決めいただければ、我々は準備はしておきます。

福井委員 では、この場で理事を集めていただいて、決めていただくようにお願いいたします。

鹿野委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鹿野委員長 速記を起こしてください。

 ただいまの件につきましては、理事会において決めさせていただきたいと思います。

 福井君。

福井委員 今、町村先生から伺った話だと、お昼の理事会で、出すことを決めるというふうに委員長からおっしゃっていただくというふうに伺ったんですが。

鹿野委員長 申し上げます。

 今、両党の理事間におきまして協議をいたし、前原大臣の方から、資料を出す用意がございます、理事会で決めていただきますならば、こういうことでございますので、理事会において後刻決めさせていただきます。

福井委員 伝統ある予算委員会の、しかも政歴の長い、尊敬する委員長でございますので、言葉を信じて、このお昼に提出を決めていただくということを前提として、それでは質問を続けさせていただきたいと思います。

 それでは、お待たせいたしました。先ほどちょっと言葉が過ぎたのでお許しをいただきたいんですけれども、まず、副大臣の方から。

 馬淵副大臣の謝罪からこの予算委員会はスタートしておりました。この一月下旬の事実経過について、私たちが呼ぶ箇所づけ情報漏えい問題の事実経過、何月何日にどういう業務命令をして、各局か官房かわかりませんけれども、役所の方からどういう資料を持ってこいというふうに命令されて、その資料を取りまとめて、どなたに何月何日に持っていって、そして、その渡した人はどのように使うかというふうにおっしゃったのか。事実経過を、この際、前原大臣があそこまで正直におっしゃっているわけですから、正直にお伝えをいただきたいと思います。

 いやいや、副大臣の方から順番に。政務官も後でお伺いします。大臣は、政務官がお持ちになったというふうに伺いましたけれども、馬淵副大臣の謝罪からこの委員会は始まっているので。副大臣は何もしていないんだったら、何もしていないで結構ですので、副大臣の方から事実経過をお伺いしたい。

馬淵副大臣 福井委員にお答えさせていただきます。

 事実経過ということでございます。この仮配分と称するもの、これの途中経過を御説明するということで、党の要望をいただいた中で、適宜見繕って御提出するということに関しましては、私ども国交省として判断をしたものでございます。

福井委員 副大臣、済みません。副大臣が物理的に関与をした、副大臣が書類を持っていかれたのか、あるいは電話を受けただけなのか、副大臣が関与した事項についてのみ事実経過を教えてください。

馬淵副大臣 お答えさせていただきます。

 国交省政務三役として判断をさせていただきました。これにつきましては、今御指摘の部分、いつ、どこで、だれにということにつきましては、詳細は担当の者がお答えをさせていただきます。

福井委員 わかりました。副大臣は相談にあずかっただけ、政務三役室、大臣室か副大臣室か政務官室かわかりませんけれども、国交省のある部屋で相談にあずかっただけというふうに解釈をさせていただきたいと思います。(発言する者あり)では、また後ほど謝罪の理由を、どうして副大臣が謝罪されたのかということは後ほどお伺いすることとして。

 では、お待たせしました。大臣は、三日月政務官が民主党にというふうにおっしゃったので、政務官の方から事実経過をよろしくお願いいたします。

三日月大臣政務官 福井委員にお答えいたします。

 今回、国土交通省で直轄事業の円滑な実施をしようということで、先ほど大臣から答弁がありましたように、地方公共団体と意思疎通を密に図ろうと。とりわけ、全体事業費が削減され、かつ、直轄事業負担金の取り扱いについてもさまざま変わる可能性がありますので、予算成立後に決定される箇所づけに向けて、地方公共団体との調整を行うための途中段階の幅を持った数値を仮配分として示すべく、資料の準備を進めておりました。

 それで、私から、一月の下旬、具体的に申し上げれば一月の二十八日の夜、その時点での関係資料を見繕って、民主党阿久津副幹事長に中間的な状況の説明を行わせていただきました。

 事実関係は以上でございます。

福井委員 済みません、官房長官。ちょっと、記者会見で行かれるので、その前に、内閣としての感想というよりは、むしろスタンスといいましょうか、ポリシーに近いコメントをいただきたいんですけれども。

 先ほど、この議事で御指摘を申し上げなければ、二月十日に出された資料で、一月下旬からずっとそれで流していたんだというふうになっていたわけですね。それは、ですから、虚偽記載、虚偽資料ですね。にせメール、にせ資料なんです。これは明らかにインテンショナルなんですね。このまま何にもなければ、一月下旬に流した資料と思われて、そのままずっと何年も何年も経過するであろう、それをずっと首を、抑えて時が過ぎるのを待っているという状況になるわけです。

 これは本当に本質的な問題なんです。政府が国会を、つまり国民を愚弄しているというふうになるわけですね。もう大問題なんです。インテンショナルだから、わざと、前原大臣の答弁、そのまま一貫性があるように、にせの情報、にせの資料を出してきて、これが一月下旬の資料だというふうに言い張ったわけです。これは大問題なんです。(発言する者あり)不規則発言で、言い張っていないと。言っていないです。つまり、一月下旬の資料じゃないけれども、これで最新の資料だからというふうな解説なく出してきたということは、にせ資料なんです。これは大問題。

 大問題じゃないとおっしゃるでしょうけれども、きょう、この指摘を受けて内閣としてどういう対処をするか、官房長官の方からコメントをいただいて、どうぞ記者会見の方へお願いします。

平野国務大臣 委員にお答えをいたします。

 予算委員会の理事会の、いつの予算委員会の理事会かわかりませんが、冒頭のところで、この問題が一部報道によって、私はその情報に接しました。そのことで理事会でいろいろ御議論があり、我が党の理事の方から、随分野党の理事の皆さんに御迷惑をかけている、こういうことで、委員会を発足するに当たって官房長官としてきちっと釈明しろというのが私の冒頭の出番でございました。

 そのときに、一部報道の中に、馬淵副大臣というよりも奈良県連代表だったと思いますが、そういう新聞記事が私のところにありまして、それをもって私は一部報道という立場で発言をいたしました。

 誤解を与えたということで、私は御迷惑をかけましたということでおわびを申し上げて、どういう状態になっているかということは今後精査をし、処分を含めた対処の仕方をこれから私としては十分精査した上で考えさせてもらいたい、こういうことで私どもとしては引き取りをさせていただいて、今日に至ったわけであります。

 その間……(発言する者あり)少し、説明を私はいたしているところでございます。その間、理事会を断続的に開いていただきまして、資料を出すか出さないかということについて、これは私は、委員長の御発言もあり、理事会の協議の結果に従います、こういうことでございました。その間また御協議いただいて、今度は現場の、国土交通省と与党の理事の中で、資料はこういう資料でいいというのは国土交通省が判断しているわけでなくて、現場の理事会としてこれでいい、こういう御判断のもとに出したわけでございます。(発言する者あり)

鹿野委員長 平野内閣官房長官。

平野国務大臣 与党の理事と現場との協議の結果と、こういうふうに申し上げました。

福井委員 官房長官、大切な記者会見がありますので、もうこれで答弁は結構でございます。

 ですが、大問題ですので、また帰ってこられてから、あした以降、あるいは別の先生方からお願いしたいと思います。だから、だんだんしゃべればしゃべるほど馬脚があらわれるという状況でございます。

 ちょっとかえて、とにかく、憲法違反、国家公務員法違反、そして大臣規律違反という犯罪もそうですけれども、権力のある者が持つべき謙虚さとか慎み深さとか高潔さとか、あるいは情報をゲットした者はその情報をいかに出さないようにするかというのが普通、行政、そして政治家でも、要諦に、つかさつかさにある方は思うと思うんですけれども、実は今回、逆に振られているんですね。

 先ほど、三日月政務官の方から情報を渡したとさっきおっしゃった阿久津副幹事長さんは、一月三十日か三十一日か、その辺はちょっと不明ですけれども、つまり、情報をゲットされてすぐ地元で、八王子南バイパスの沿道の地権者に、おれは政治力があるから国交省の予算が幾らか調べてきたと。八王子南バイパスの地権者ですよ。来年度予算、四月以降の予算は幾ら幾らというふうに複数に御説明されているんです。考えられない。三日月政務官から情報をゲットしたその方が、地元でされている。

 そして、村井衆議院議員は、国道八号の立体化、そして庄川改修事業などの配分額をホームページで記載されているんですね。信じられない。そして、いついつ削除したということで、これは地元の読売新聞に載っている。多分、民主党の幹事長室がホームページなんか削除しておけという指令を出したんでしょう。問題になっていましたから。

 しかし、余りにもあっけらかんとしていますよね。余りにもあっけらかんとしている。一般市民が知らされるというんじゃないんです。特定に、特別に知らされた情報、自分しかわからないという情報を自分が流しているという、しかも自分の選挙区で。考えられないわけでございます。

 私たちは、ずっと金子前大臣を筆頭に追及をさせていただきました。答弁は後で前原大臣からあろうかと思いますけれども、これは法律的には、権力を濫用して、秘密であるべき情報を特定の者に漏えいしたんですね。特定の政党の政治力の保持とか増強とか、並びに、ことしの夏の参議院選挙を初めとして、その後の選挙活動に利用したということになりますね。ホームページとか選挙区ですからね。

 ですから、これは、公務員は全体の奉仕者であるという憲法違反なんです。公務員ですからね、政務三役も公務員だから。政務三役が、三日月さんが流した情報が、そうやって特定の政党の、そして特定の政治家の利益になっているという現実がもうあるわけですから、これは憲法違反ですね、全体の奉仕者違反。

 そして、国家公務員法に準拠して大臣規範がありますね。大臣、副大臣、政務官は秘密を保持しなければならないということに違反しています。

 そして、許せないのは、その資料を国家公務員につくらせた。しかも、リマークに県連要望と書かせた。許せない。政務三役はその権限を利用して、業務命令をして国家公務員を使って、そういう特定の政党に利するような資料をつくらせた。これは大臣規律違反です、一の(十)。大問題なんですよ。

 この大問題、並びに、余りにも明らかな、あっけらかんとした、それぞれの民主党を支えている人に流し切ってきたというこの現実、これは悲しいものがあると思います。

 ですから、これは……(発言する者あり)今の処分もそうです。そして、内閣として、もちろんこの昼休みの理事会で一月下旬に流した資料も提出していただかなければなりませんし、そして、その資料を提出したことは誤りだったということに謝罪もしていただかなければなりませんし、そして処分、辞任をするのかあるいはそれに相当するようなことをしていただくのか、みずから律していただかなければなりません。

 前原大臣は多分報告を受けていないと思います。今、副大臣、政務官から、政務三役室でというふうにおっしゃいましたけれども、大臣は多分報告を受けていなかったんじゃないかと推察されますけれども、報告を受けたとしても、受けていなかったとしても、責任は大臣にあるわけです。

 今、我々が言う箇所づけ漏えい問題、秘密漏えい問題、憲法違反、国家公務員法違反、大臣規律違反についてどうこれから対処するか、ぜひ教えていただきたいと思います。

前原国務大臣 県連等を通じて自治体などに流れたことは極めて遺憾でございまして、それは本当に想定外でございました。

 それで、まず憲法違反ではないかということでございますが、これは、福井委員は恐らく憲法十五条をおっしゃっているんでしょうか。十五条の二項、「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」ということでありますが、国土交通省においては、直轄事業の円滑な実施を図るためには、事業費の一部を負担いただく地方公共団体との意思疎通を図っておくことが重要との考えから、予算成立後に決定される箇所づけに向けて地方公共団体と調整等を行うための途中段階の幅を持った数値を仮配分として示すべく、資料の準備を進めておりました。

 鳩山政権においては、党は国民の皆さん方の声を政府に伝える役割を担っておられ、これまでさまざまな要望を伝えていただいた党側から、検討作業の状況について教えてほしいとの要請があったため、その時点での中間的な状況を説明したものでございます。

 国土交通省として、党を通じて自治体に仮配分の情報を伝えようとした意図は全くございませんし、一政党の利益のために行動したつもりは全くありません。

 繰り返しになりますが、結果として党本部から県連を通じて自治体等に伝達されたことは、全くの想定外であり、極めて遺憾であると考えております。

 それから、いわゆる服務規範のことでございます。国家公務員法は一般職の国家公務員に対して適用され、政務三役には適用がありませんが、同様の定めは、国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範、これは平成十三年一月六日に閣議決定されておりますが、それで置かれております。

 この規範におきましては、「職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。」こと、または、「国家公務員法等の趣旨を踏まえ、国民全体の奉仕者として政治的中立性が求められている職員に対し、一部の利益のために、その影響力を行使してはならない。」旨の規定が置かれていることは承知しております。

 今回、民主党への説明に用いた資料は、昨年十一月の事業経過通知や、二月一日の個別箇所の事業評価結果などで既に公表し、または近日中に公表予定の情報などを内容としており、実質的な秘匿の必要性が認められず、秘密に当たるものではないと思っております。

 また、民主党に仮配分の検討状況を説明しましたが、これは、党を通じて自治体に仮配分の情報を伝えようとする意図で行われたものではありませんで、職員に対し、一部の利益のためにその影響力を行使したものだとは考えておりません。

 それから、守秘義務違反のことについてでございますが、国家公務員法は一般職の国家公務員に対して適用され、政務三役には適用がありませんが、同様の定めがいわゆる三役の規範に置かれております。

 国家公務員法第百条第一項において「漏らしてはならない。」とされている「職務上知ることのできた秘密」とは、一般に知られていない事実であって、他に知られないことについての相当の利益を有するもの、すなわち非公知性と秘匿の必要性の二つの要素を具備している事実をいうものと解されております。

 今回、民主党に行われたいわゆる仮配分の説明は、既に公表済みまたは近日中に公表予定の情報等を内容としていることから、実質的な秘匿の必要性が認められず、秘密に該当するための要件を満たすものではないと考えております。

福井委員 ですから、最初から最後まで、今まで役所の書いたとおり前原大臣が答弁されていたらそれでよかったんです。だけれども、時々本音をおっしゃるから、そこで破れてしまうんです。

 ですから、日付も、あと残り時間ちょっとで少ないですけれども、やらせていただきますけれども、今の答弁で、では大臣規範も国家公務員法違反も憲法違反もないという強弁は成り立たないというふうに思います。

 それと、ここがこれから政権交代後の国会でクリティカルイシューになると思います。つまり、議院内閣制度で、与党のだれそれまでが秘密漏えいに当たらないかというのはあると思います。民主党の国防部会長にだったらある程度秘密がしゃべれるのかということは、これから、それこそ規範が……(発言する者あり)そうなんです。決まっていないから、今からやるしかない。しかし、今回は余りにもあっけらかんと、しかも、県連とか地元に流すことが当然想定されているのに、三日月政務官は情報を持っていかれたわけですね。当然想定されたわけですね。

 そこで、ちょっと遅くなりましたけれども、政務官、国土交通委員会で仲間として頑張っていただきまして、本当にありがとうございました。何も責めるつもりは全くありませんので、事実経過を正直におっしゃっていただければいいのでございます。何月何日に阿久津副幹事長にお会いして、どの資料をどのように解説して阿久津さんに渡して、そして阿久津さんはどのように使うというふうにおっしゃったのか、もう一度そこから教えてください。

三日月大臣政務官 どうもお疲れさまです。事実経過を申し上げます。

 一月の二十八日夜、これは二十一時ごろだったと思いますが、大臣からも御答弁がありましたように、今回、政権交代後初めて行う予算審議なり政権運営でありますので、費用を負担いただく地方公共団体との意思疎通をやはりしっかりと綿密に図ることが必要だという観点から、予算成立後に決定される箇所づけに向けて、途中段階の幅を持った数値、これを仮配分として示すべく、資料の準備を進めておりました。

 その作業の途中段階のものを、各地域の要望の取りまとめを行っていただいておりました党側に対して、適宜見繕って中間的な状況の説明をさせていただきました。

福井委員 ですから、それが役所の、その範囲内で資料を持っていったんです。まさか政務三役が、つくらされた資料をそういうふうに使うとは思っていなかったと思うんですね。

 したがって、政務官、その持っていった資料は、だれにという特定の名前は要りませんけれども、どの部署に何をつくれというふうに命令されたか、業務命令の中身をちょっと教えてください。

三日月大臣政務官 私からお示ししたのは、民主党の阿久津副幹事長でございます。

 私から省内に指示をいたしましたのは、あくまでこれは予算の編成なり審議に係る作業の一環として、党に情報を出すためとかではなくて、あくまで、各地域ごとの要望を受けた形である党に対して関係資料を説明してほしい、中間的な説明をしてほしいということでしたので、私たちは、年度末に向けて、来年度に向けて作業を進めておりましたけれども、その中間的な状況の説明ということに資する準備を関係各局すべてに指示をさせていただきました。

福井委員 今私が申し上げました、大臣、副大臣、政務官が従うべき大臣規範一の(十)。先ほど申し上げました、国家公務員を特定の者に、全体の奉仕者じゃない特定の者に利益を与えるべき資料を作成するような、そういう業務命令を行ってはならないという条項を先ほど御説明させていただきました。

 政務官、今の業務命令、そして阿久津さんに持っていった行為、これは規範に違反していますね。

三日月大臣政務官 私は、一議員としても一政務官としても、日本国憲法を遵守しておるつもりですし、国家公務員法及び国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範というものも遵守しているつもりであります。

 あくまで、これは予算の編成及び審議に係る全体の作業の一環として省内でも指示をさせていただいたと認識しております。

福井委員 平成十三年一月六日閣議決定なんです、国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範。前文があって一があって、ずっとあって(十)、「公務員との関係」というチャプターがあるんですね。「国家公務員法等の趣旨を踏まえ、国民全体の奉仕者として政治的中立性が求められている職員に対し、」つまり国土交通省の職員に対し、「一部の利益のために、その影響力を行使してはならない。国務大臣は、職員の任命権を一部の政治的目的のために濫用してはならない。」と書いてあります。これは大変大事なところなんですね。

 ですから、政務三役室でどう資料をつくろうと、それは勝手ですよ、民主党に持っていく資料。しかし、そのまま出しているじゃないですか。各局に命令して、しかもリマーク欄に県連要望まで書かせて、そのまま持っていっているじゃないですか。部内限りという、先ほど高知県と北海道の例をお示ししました。役所の中で部内限りとある、そのまま出しているじゃないですか。しかも、十分の十の、営繕も海上保安庁の業務も、予算確定のまま、そのまま出しているじゃないですか。これが規範違反じゃなくて何なんでしょうか。

 もう強弁は結構です。まあ、三日月さんはそういう意識はなかったと。ですから、民主党の幹事長室に、もう強く要求されて、嫌々持っていったんでしょう、三日月さんはそんなに小沢さんが好きではないんですから。嫌々持っていったんでしょう。もうそれはしようがない。だから、嫌々やった仕事というのは、必ずこうやってミスするんです。必ずミスするんです。ですから、もう明らかに規律違反なんです。

 ですから、これは最後に前原大臣に答弁していただきます。

 みずからを律すること、そして、官房長官に御答弁いただきました、すべての事実経過を把握していただいて、内閣としてどういう処分をするのか、そのための、今、事実経過を整理させていただいているわけでございます。

 そして、もう一つ、(八)に秘密の漏えいとあります。これは、金子先生の方から、ずっとこの予算委員会で整理をさせていただきました。「秘密を守る義務」とあります。「職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。」はっきり書いてあるわけですね。当たり前のことです。

 この箇所づけ予算とは何か。事業名、道路とか河川とか、項の名前ですね。そして、箇所名があって、全体事業費、十億とか五億とか。それだけでもこれは秘密なんです。そして、今回出してきていただいた資料のように、その箇所別で、もっと詳しくブレークダウンして、愛知県豊田市の国道何とか号の何とか地区、何とか地区、何とか地区で用地買収を何平米、そして工事の内容は、この橋が何平米、そして用地買収がどこそこで何平米というふうに書いてあるわけですね。

 これは絶対に秘密なんです。そういうふうに、国家公務員は、役所は戦後少なくとも過ごしてきました。どうしてか。それは、だれかより一日も早く二日も早くこういう情報が手に入れば、先に営業する人がもし出てきたら、その建設業は、特定の建設業者さんが営業を一日も早くやって、そしてもうけることができるわけですね。いわば入札妨害罪に相当するわけです。そして、国道バイパス沿いの、先ほど言いました、阿久津先生が地権者におっしゃった。そして、沿道の方におっしゃった。沿道の方は土地が上がる。そのちょっと前に、だれも知らないときに情報をゲットして、小沢一郎事務所のだれかがゲットして、そしてその土地を買いに入れば、もうけることができるわけですね。(発言する者あり)ごめんなさい。では、その比喩は撤回しましょう。それは撤回しましょう。小沢一郎事務所というところは撤回します。

 しかし、一日も早く情報をゲットする、数時間でもそうです、情報をゲットすることによって、入札妨害罪、要するに国損になるわけです。そして、土地を特定の者が買ってもうけることができる、これも国損になるわけです。だから箇所づけ予算をだれも漏らしてこなかった。

 財政法三十四条で、大蔵大臣、菅大臣の承認を得て、そして予算ができたその日の夕方、内示をするというルールでやってきたわけです。金子大臣のときだって、内示の、予算ができたその日の本当に夕方、大臣室に各局が持っていったんですね。事前には全く知らされなかったというのが実態でございます。

 そこまで律しているわけです。役所も律し、そして、古いとは言われているけれども、自民党の政治家はそうやって自分を律してきたわけです。それはどうしてか。権力があるからです。大臣の座にあって、そして情報をゲットする、そういうつかさにいるからです。そのつかさつかさ、権力に相当して、それにふさわしい謙虚さがあったからなんですね。

 阿久津さんの例も、そして村井先生の例も申し上げました。今ないのは、そこなんですよ。憲法違反も国家公務員法も規律違反もそうだけれども、権力に今いるときに備えるべき心構え、これがないのが一番国民的には悲しい。こんな質問をするのも悲しいわけでございます。

 そこで、最後に、大臣、みずからも含めて、今回の箇所づけ情報漏えい問題について、後ほど、お昼休みに理事会で資料を出していただきます。その資料をまた見た上での判断もありますけれども、今、この現時点で、処分の方向も含めて御答弁いただきたいと思います。

前原国務大臣 確かに民主党に仮配分の検討状況は説明しましたが、これは、党を通じて実際に仮配分の情報を伝えようとする意図で行ったものではございませんので、先ほど委員がおっしゃった、職員に対して一部の利益のためにその影響力を行使したというような服務規範の違反には当たらないということを改めて申し上げます。

 もう一つ、それと、いわゆる仮配分の説明は既に公表済み、先ほど用地の話もされましたけれども、十一月の終わりに、もうその事業計画というもの、ほぼ同じようなものを発表しておりますし、また、二月一日においては、このいわゆる事業評価についても公表しているものでございまして、実質的な秘匿の必要性が認められず、秘密に該当するための要件を満たすものではないということで、守秘義務違反にも当たらない、こういうことでございます。

福井委員 いやもう、そのままだとおさまらないですよ。もう本当に、ずるずるいって、メール問題の再現になりますよ。本当に、にせ資料問題になります。

 さっき申し上げました。資料の中身が全然違うんですよ。もう本当に、ブレークダウンされて、地区地区で、ピンポイントで用地買収がどこそこという、先ほど言った国損に当たるようなことができる資料に今度はなっています。

 そこで、委員長、今、三日月政務官が情報を渡した、資料を渡したとおっしゃいましたこの阿久津民主党の副幹事長を、参考人として招致をこの委員会にお願いしたいということで、委員長、よろしくお願いいたします。

鹿野委員長 後刻、理事会で協議をいたします。

福井委員 ありがとうございました。

 この漏えい問題、私の質疑時間は終わりましたけれども、本当に大問題なんです。行政が国会を愚弄した、しかも国家公務員も巻き込んで愚弄した、これは許しがたい行為でございます。

 ぜひこれからも追及をさせていただくというふうに申し上げまして、時間が参りましたので、質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

鹿野委員長 これにて福井君の質疑は終了いたしました。

 次に、田村憲久君。

田村(憲)委員 おはようございます。自由民主党の田村憲久でございます。

 きょうは、各大臣、一時間半ということで、途中、間にお昼を挟みますので中途半端な日程になりますけれども、おつき合いいただきます。心から厚く御礼を申し上げます。

 今も箇所づけの問題で、民主党が、選挙のときからずっと言われてこられた情報公開、オープンにしていくということと全く別の方向に政権をとられてから動いているということが判明をしてきたわけでありますが、言われてきたことと違うことが本当に非常に多い。こういう今の民主党の現状を国民の皆様方はどう見ておるのかなと思うときに、我々も地元に帰りますと、民主党に対して非常に、思っていた期待がちょっと和らいだ、いや薄くなった、いやなくなった、いや失望した、こういう声がだんだん大きくなってきております。

 もちろん我々も、では自民党が期待が上がっているかというと上がっていませんから、まだ反省をし切っていないところはありますから、そういう反省も含めてきょうは質問をしていかなきゃならぬなと謙虚に思っております。

 菅大臣、テレビで、消費税の議論をそろそろ始めなきゃならない、こういう発言をされたときょう新聞各紙に載っております。

 消費税に関しては、民主党のマニフェストには書いてありませんけれども、三党の合意、また三党の政権公約等々で、四年間上げないというふうにお決めになっておられる。そしてまた、それぞれ選挙のときにも、たしか鳩山総理は議論もしないなどというようなことを言われた、そんな記憶もございますけれども、事実関係、どういうような御発言をされ、今どういう思いで消費税の議論を始めなきゃならないというふうに思われるのか、御答弁いただきたいと思います。

    〔委員長退席、海江田委員長代理着席〕

菅国務大臣 私の理解では、この鳩山内閣で消費税の議論そのものをやってはいけないということを決めた覚えはありませんし、総理の発言も、議論は一般的には従来から大いにやりましょうということだったと思っております。

 その中で、年がかわりまして私が税調の会長にも就任をいたしました。そういう中で、今、来年度予算を審議いただいているわけですが、できるだけ早く成立をさせていただきたいと思っていますけれども、衆議院を通過したあたりからいろいろな課題を次の段階に進めなければならないと思っておりまして、そういう意味では、税調についても、専門家の委員会もつくることになりましたので、そういう皆さんにも議論をいただこう。そのときには、昨年暮れの税調の……(発言する者あり)

海江田委員長代理 御静粛に願います。

菅国務大臣 昨年暮れの税調の決定の中でも、そうした税制全般の議論をしようということになっていましたので、所得税あるいは法人税、さらには消費税、場合によっては環境税等々の全体の議論をそろそろ本格的に始めていこうということを昨日申し上げたところです。

 別に消費税について特別言ったつもりではないんですけれども、所得税や法人税等を議論するときに消費税だけ外して議論ということは逆に不自然ですから、主な税制全部について本格的な議論をそろそろ始めたい、こういう趣旨で申し上げました。

田村(憲)委員 何かよくわからない話なんですけれども、鳩山総理は、もともとは消費税の議論もしないというところからスタートをたしかされたんだと思います。途中から議論が、選挙期間中、変わっていったんだと思うんですけれども、今の話だと、消費税を上げるという話ではない、そういう議論ではないと。全体の議論の中で消費税の議論も組み込まなければならないから、だから消費税とあえて言っただけで、消費税をその中で上げる議論をするつもりはない、そういう理解でいいんですか。

    〔海江田委員長代理退席、委員長着席〕

菅国務大臣 あえて、平成二十二年度税制改正大綱のその部分だけを読ませていただきますと、「消費税のあり方については、今後、社会保障制度の抜本改革の検討などと併せて、使途の明確化、逆進性対策、課税の一層の適正化も含め、検討していきます。」これが昨年決めた税調の大綱です。

 ですから、上げるとか下げるとかという方向性を持って議論していただこうということではなくて、今ここに申し上げたような観点からの検討を税調でやる。これは大綱で決めたことでもありますし、それをそろそろ本格的に始めてもらいたいということを申し上げたわけです。

田村(憲)委員 来年度予算を編成するに当たりまして、税収が八・七兆円ぐらい減った、これはあると思います。

 それから、民主党のマニフェストが、これはまた後で議論しますけれども、お金の入りと出をいろいろと出されていましたが、実際、お金が入ってくるというか財源の方、これが十分に確保できないという中で、やはり消費税に頼らざるを得ないというような思いが底流にある中でそういう発言になられたのかなというふうに世の中の方々は見ておられると思います。

 ただ、菅さん、ここで大臣がおっしゃったのは、無駄が逆さを向いても鼻血が出ないぐらいになるまで消費税を上げないんだ、こうやって何度もおっしゃられています。新しい事業をやりますと、無駄は必ず生まれるんです、どんな企業だって、どれだけ無駄を省いたって。無駄をなくす、そういう運動はするんですよ。だから、無駄が完全になくなるまで消費税を上げないなんという議論をしていたら、これは一生上げられませんからね。その認識をしっかり持っていただかないと、またうそつきだという話になります。

 今の私の発言に対して、何か御意見があれば。

菅国務大臣 幸いにして、枝野幸男議員が、行政刷新担当の大臣として改めて任命を総理から受けられました。

 いろいろな部門が、各省庁がやらなければいけない無駄の排除でありますが、特に、今の内閣ではこの行政刷新担当の部局が一番その中心的なところでありまして、そういう意味では、いよいよ本格的にそれはそれとして進んでいく、あるいは進めてもらえる、そういう思いもありましたので、そちらを緩めるという発想では全くなくて、そちらはそちらでこれまで以上に頑張ってもらう。そういう中で、同時に、税調としての議論は議論として進めていこう、こういう考えです。

田村(憲)委員 通告がなかった質問なので申しわけなかったんですが、最後に一点だけ、四年間は消費税を上げない、こういうふうに決められていますよね。ここだけは揺らいでいないのかどうか、これだけ端的にお答えください。

菅国務大臣 ちょっと表現の細かいところは忘れましたが、この政権をつくる三党合意の中では、さきの衆議院選挙で与えられた政権の任期の間は上げない、そういう表現になっております。つまりは、逆に言えば、本当に大きな税制改革をやる場合には、やはり国民の皆さんにちゃんと信を問う必要があるだろう、私はそういう意味だとその三党合意を理解いたしております。

田村(憲)委員 選挙をして、上げるときには信を問う、こういう話だったというふうに思います。これはもうここで終わらせていただきます。

 政治とお金の問題、余りやりたくないんですが、やはり政治の信用という問題がありますので、あえてやらせていただきます。

 小沢さんの問題、陸山会が、世田谷区の土地購入代金四億円、どこからこれを得たんだ、こういう話がずっと話題になってきまして、途中、小沢さんのいろいろな御発言が、それは政治資金であった、いや、借り受けた、いや、そうじゃないんだ、自分が持っていたお金をずっと金庫に入れていて使った、どんどんどんどん意見が変わっていく。こういうのに関しては、かなりここの議論の中で、その意見のぶれだとかいろいろな問題点が出てきていると思うんですが、一点、まだ余り議論されていない問題があります。

 それは、この四億円の原資は、一つは父からの相続、湯島の自宅を売却して深沢の自宅の土地を購入した残金二億円、そして九七年に家族名義の三億円、さらには二〇〇二年に家族名義の六千万円、これを引きおろして金庫に保管していた。

 なぜ家族名義なんだという話を小沢さんが記者会見でおっしゃっておられたと思うんですけれども、九一年ぐらいにちょっと体が悪くなって入院をした、万が一のために名義を移した、こういう話だったというふうに思います。

 これを聞いて、実は、私の地元で皆さんが言われるんです。もともとこの家族名義のお金は、小沢さんのお金であった、相続をしたお金であった、それを家族名義にかえた理由がよくわからない。しかも、言われるのが、九一年に心臓病で入院をして、万が一のために自分の名義から家族に移したというんですよ。これはちょっと不自然ですね。

 どういうことか。自分の命が、今お元気ですからそんなことはなかったんですが、まさかのことがあれば、家族名義にしておいた方が何か得なんですかという話なんですね。これは相続をごまかすつもりでおられたのかなと普通思っちゃいますね。

 きょうは国税庁が来ておると思いますけれども、一般論として、どなたかが、わしはもう体が悪いからもしかしたら何かあるかもわからぬ、そこで、自分の持っているお金を自分の嫁さんや娘や子供たちに名義を書きかえて口座をつくろう、つくってそこに入れた、もしくはある口座に入れた、こういうことが起こった場合に、実際問題、相続税は、発生した場合にはどういう取り扱いになりますか。

岡本政府参考人 お答えいたします。

 個別にわたる事柄については差し控えさせていただいて、一般論ということでお答え申し上げます。

 相続税は、被相続人に帰属する財産を、相続または遺贈により取得した場合に課される税でございます。その財産が被相続人に帰属するものであるか否かにつきましては、その取得資金をだれが負担しているか、その財産の維持管理はだれが行っているかなどを総合的に勘案して判断することにいたしております。

 いずれにいたしましても、国税当局として、個々の事実関係に基づき、法令に照らして適正に取り扱うこととなるということでございます。

田村(憲)委員 今の話はわかりづらいんですが、多分、御本人のお金だから、たとえ家族名義であっても、実態としては本人のお金として相続税を課す、こういう話だったんだろうと思います。

 でも、そうだとしたら、これはわからなかったらそのままいっちゃう可能性がある。例えば、大金持ちだと、それは何かあったときに税務署も入りますから、入って、このお金はどうもおかしいなという話になるでしょうけれども、そうじゃない家だったらそうはならない可能性もある。ましてや、移ってから何年も何十年もたったという話になると、わからないという話だって起こってくるわけですね。そもそも何のためにこんなことをやる必要があったのか。

 もう一度お聞きをいたします。

 一般論として、もし家族の名義に自分の持っておる資産をかえておいて課税を免れるようなそういう工作をやった場合、こういうのは脱税、その質の悪さといいますか質の度合いにもよりますけれども、脱税ということも考えられますか。

岡本政府参考人 お答えいたします。

 またあくまで一般論でございますが、特に家族名義に移した場合ということで、個人がみずからの資金を他人の名義に移したような場合には、単に名義人がだれであるかという形式的な事実のみならず、当事者の意思やその財産の管理運用の状況等を総合的に勘案して、その財産がだれに帰属するかを判断した上で、例えば相続税なり贈与税の有無を判定することになります。

 いずれにしましても、当局としては、個々の事実関係に基づき、法令に照らして適正に対応したいと考えております。

田村(憲)委員 悪質ならば、多分これは脱税という話になるんだと思います。

 私が言いたいのは、なぜこんなことをする必要があったんだと。多分、ここにおられる国会議員の先生方は家族名義で自分の資産を持っていますか、持っていないでしょう。そもそも資産がないという話もありましたけれども、小沢さんはその資産をお持ちなんですね。こういうことを何のためにやるのか私はわかりません。相続税をごまかすためにこういうような偽装をされたのか、もしくは、個人資産を要するに偽装するために家族名義にしたのか、そもそも出所不明なお金をごまかすためにこういうことをされたのか、よくわからない。

 だから、ぜひとも、この問題を解決するために、御本人にお聞きするしかありませんから、これは小沢一郎民主党幹事長並びにあとお三名の、このたび逮捕をされ起訴されました元秘書さんがおられます、石川さん、大久保さん、池田さん、この方々の証人喚問を要求いたしますけれども、委員長に改めてお願いいたします。

鹿野委員長 後刻、理事会において協議をいたします。

田村(憲)委員 こういうふうに、お金の問題でも民主党は今非常に国民から不信感を持たれている、鳩山総理の問題はもう今さら言いませんけれども。

 どうも鳩山総理のいろいろな言動を聞いておりますと、非常に理想家だと私は思うんですね。理想家というのは、理想はこうだ、だから、だれかの話を聞くと、ああ、わかりました、あなたの言うことを聞きます、それはいいことですね。こちらの話を聞いたら、それもいいですね、あなたの言うことももっともだ。でも、それをどう整合性を現実として合わせるかということができない。まあ、夢見る乙女のような方なんだろう。不思議の国の総理、そんな感じがいたします。

 白馬の王子がやってきて何とかしてくれる。お金は白馬に乗ったお母さんが何とかしてくれた。普天間の問題とかいろいろな政策の問題は、白馬に乗った小沢一郎幹事長が何とかしてくれるんじゃないか、こういう思いがあるのかもわからないんですが、最近、この白馬が黒くなっちゃったものでありますから大変なんでありますけれども。

 いろいろな問題が本当に今民主党の中で、当時言ってきた話と、また現状、政権をとってからやってきていることがかなり変わってきている。

 それで、きょうは私の友人でもあります原口総務大臣にお越しをいただいておりますが、総務省の顧問の問題がありますね。顧問の問題が、実は先般の予算委員会でも公明党の方の議員から質問がございました。

 非常に今顧問の数がふえたというふうにお聞きしていますけれども、前大臣が何名で、今回、大臣にかわられてから何名になられたんですか。

原口国務大臣 田村委員にお答えいたします。

 その前に、長年の同期としての友情に、党派を超えて本当に感謝を申し上げます。

 前大臣が何名かとおっしゃいますが、亀井久興先生、大臣でいらっしゃいました。それから……

田村(憲)委員 いえいえ、前政権のときですね、大臣の前の大臣のときに総務省の顧問が何名おられたか。今何名おられるか。

原口国務大臣 そういうことですか。前大臣の「前」を勘違いしていました。

 前についてはちょっと後で調べてあれさせていただきますが、今、総務省の顧問は二十一名でございます。

田村(憲)委員 大変ふえたということだけは間違いないと思います、前大臣のときには数名しかいなかったと思いますので。

 それで、この中身、前回も質問の中で議論があったと思いますけれども、非常に民主党に理解のある方々が多いなというのがイメージでございまして、きょう資料の中に入っておりますけれども、ぱっと見ていただきますと、上田清司埼玉県知事、この嘉田知事も非常に民主党に御造詣の深い方だというふうに思いますが、あと名古屋市長、河村たかしさん、これは民主党の議員、釘宮磐市長もそうですね。それから、達増拓也知事も我々同期でありました、国会議員から知事になられた。中田宏さん、私、友人であります、年が一緒でありますが、彼も市長です。それから、松沢さん、これも民主党。山田宏さん、山田宏さんは違うか、松下政経塾でしたかね。(発言する者あり)新進党でしたか。

 とにかく、非常に大臣のお友達が多いというのが率直な感想なんです。これは原口大臣らしくないなと。原口大臣ぐらい懐の深い人ならば、自分の意見と違う人たちをどんどん入れて、いろいろな意見をもらわれるというのが本来のスタンスじゃないのかなと思うのに、なぜこうなったのかというのが一点不思議なんです。

 それで、今この顧問の方々がどれぐらい出勤されて、どれぐらい手当をもらわれているのか、おわかりになりますか。

原口国務大臣 お答えいたします。

 現在、二つに分かれて仕事をしていただいています。

 一つは、今までの郵政の総括、それから、年末に行いました事業仕分けを受けてのさらなる総務省予算の事業仕分け、こういったものにお願いをしています。これが一つのミッションです。

 それからもう一つは、首長の皆さんは無給でございまして、この無給の方々については地域主権改革を先導していただいて、この中には私の友人も多いですが、田村委員の友人もたくさんいらっしゃる。民主党の元議員は五名でございまして、それ以外の方々は、むしろ元自民党、あるいは自公政権の枠組みで首長になられている。

 これで配慮をしたのは、地域の偏在が起こらないように、北海道から九州までそれぞれ各地域のお声をしっかりと上げていただく。そしてもう一つは、地域主権改革について、例えば中田宏前横浜市長は、この方は民主党に所属したことがないんですが、大変民主党についても厳しいことを指摘されておられる方です。あるいは、寺島北海道乙部町長、露木開成町長、それから古川佐賀県知事は自公政権を支えてこられた方々でございます。

 それぞれ給与は規則に基づいて支払いをしていますが、首長以外の方々については二万円ということになっております。

田村(憲)委員 知事さんの方は無給だ、地域代表ということで知事さんや首長さんに対しては無給だという話でありましたが、問題はそれ以外の方々でございまして、お名前を申し上げますと、配付資料に載っていますが、前衆議院議員亀井久興さん、前衆議院議員で保坂展人さん、元衆議院議員で水島広子さん、元衆議院議員で八代英太さん、この四名はそれぞれ前衆議院議員であった、元衆議院議員であったという方でありまして、中身を見ますと、今連立政権を組んでおられるそれぞれの政党の方々であります。

 私、問題があるなと思うのは、もしこの方々が、次もしくはその次の選挙に出るなんということになりますと、総務省顧問という肩書は大きいですね。普通の国会議員と比べてどうかとなかなか比較できないかもわかりませんが、総務省というのはやはり地方の自治の全体を見ておる省でございますから、名刺で、前衆議院議員という名刺を持っていくのに、そこに総務省顧問と入っていると、与えるインパクトが全然違いますよ。

 お聞きしたいのは、これは公平な原口大臣のことですから、この四名の方々は、少なくとも次は選挙に出ない、次の次は選挙に出ない、そういう確約をとられて任命をされたというふうに理解していいんでしょうか。

原口国務大臣 お答えいたします。

 この方々が選挙にお出になるか出ないかということを意識して選んだわけではありません。

 むしろ、八代英太先生におかれましては、元自民党の衆議院議員でいらっしゃいますが、今は新党大地ということですが、一緒に障害者基本法を、自民党の代表として起草をし、私が野党の代表でしたけれども、地域政策の中でこれから特に障害者の視点が必要だということでお願いをしました。

 それから、水島広子先生については、もう御勇退をされておられまして、特に今は、地域のさまざまな医療やあるいは地域の将来を考える上で、この方は精神科医でいらっしゃいますが、うつ基本法や引きこもり基本法に対する地域からの要望が高いということでお願いをしたわけでございます。

 亀井久興先生も、この方は元国務大臣で、前に郵政について一緒に、郵政のさまざまな、鳩山邦夫元総務大臣ができレースとおっしゃいましたが、そのことについて保坂展人先生と追及を一緒にしてきた方でございまして、総務大臣としたら、コンプライアンスという観点からお願いをしているところでございまして、政治的な意図はございません。

 仮に、自民党や公明党の方でも、党がお許しいただけるのであれば顧問にお願いをできたら、こう考えて、実際に、公明党の私の友人で、元代議士ですけれども、ぜひなっていただきたいという方はいらっしゃいますので、またいい方がいらしたら、推薦をお願いいたします。

田村(憲)委員 これは九人中四人なんですよ。水島さんはもう引退をされておられるということですから、選挙に出られないというふうに思っていいのかもわかりませんが、次出られるとなると、大臣はそうやっておっしゃられますけれども、やはりこれは選挙運動を、日々やるのは選挙運動じゃなくて後援会運動か何かわかりませんけれども、そういうのをやるという、要するに強い後ろ盾になるんですよ、総務省顧問というのは。

 だから、これは失業対策事業とは言いませんけれども、肩書をぼんとつけて選挙に有利に計らうというふうに受けとめられても仕方がない。私は、公平な行政がこんなことをやるべきじゃないと思いますよ。これは、対戦相手の方から見れば、こういうことをやられれば、何だ今の行政はという話になる。

 そう思われませんか。もしあなたの対戦相手の方がいきなり総務省の顧問だといって各地域を回られたら、これはおかしいと思われませんか。私は、これは大問題だと思うので、こういう点はしっかりと次出ないということの確約をとってからやるべきだと思いますし、ぜひとも、この方々が本当に出席をされておるのか、日当二万円という話でありますから、出勤の状況を教えていただければありがたいなというふうに思います。

原口国務大臣 田村委員にお答えいたします。

 政治的なスタンスはやはりそれぞれの方々の自由でありまして、次、これをもって選挙に利用しようというような思いを持って総務省顧問に就任された方はおられないと私は思います。

 むしろ、田村委員も御存じのとおりすばらしい方々なので、その知見を生かしていただく。この中の国会議員さんほとんどが随分大変な仕分けをしていただきましたが、それぞれ、十月、十一月、十二月、任命以来お仕事をしていただいております。ただ、その報酬は総務省の規定に沿っております。

 ただ、田村委員のそういう御懸念がないように、さらにもっと幅広いところからお願いをできたらというふうに考えています。

田村(憲)委員 どういうような状況で役所に出てきておられるかという状況を、また御報告いただければありがたいと思います。

 とにかく、九人中四人が前国会議員、元国会議員というのはやはりちょっと異常かなというふうに思いますし、今の与党を組まれておられる党の人たちがほとんど独占しておるということは、これはやはり何らかの意図が働いたと思われても仕方がないわけであります。

 ホームページに総務省顧問になったと書いている人もいるんです。だから、これから選挙運動を、後援会運動をするとなれば、それを見ている人たちもいますので、ちょっとそこら辺のところは自重していただかなきゃなりませんし、もしそれを選挙というか、後援会活動の中で選挙に向かって有利に使ったというような事実が判明したときには、これは大臣、責任問題になりますから、それぞれの方々にその点はよくお伝えをいただきたい。(発言する者あり)

 いや、それはそんなものですよ。私だってそうです。相手が何かそんな役職についたら嫌ですもの、それは。ましてや、御落選されている最中にそういう役職につかれたら、これは何なんだという話になりますから、この点は非常に微妙な問題ですよ。この点、私は、公平公正な原口大臣はよくおわかりだと思いますから、しっかり対処をしていただきたいと思います。もう御答弁は結構でございます。

 さて、次に、きょうは幾つか質問があって、一時間半いただいておるんですが、すべて質問ができなくなっちゃう可能性がありますので、ちょっと順番を入れかえてまいりますけれども、民主党のマニフェストの問題を実はお聞きいたしたいんです。

 それは、よく、来年度の財政を組むのに大変御苦労いただいたという話があります。八・七兆円、税収がこんなに減ったから、自民党のもくろみよりこんなに減ったから、だから組めないから四十四兆円なんだというようなお話がありました。三十三兆円から四十四兆円、十一兆円国債発行額がふえた。しかし、税収が減っているのは八・七兆円ですから、実のところ、税収が減った以上に国債を発行せざるを得なかったというのも現状であります。

 しかし、そもそも、民主党のマニフェスト、私の配付資料三ですか、見ていただくとわかりますように、私はわからないことが一つあるんです。これはぜひとも、本当を言うとマニフェストをつくられた方なのかもわかりませんが、今、担当は財務大臣になるのかなと思いますので菅大臣にお聞きをするんですが、十六・八兆円、これが、要するにこういう政策をやって、これだけのお金を使いますと書いてある。

 そして、四ページの方に、これは入りの方ですね、どうやって財源を示すかというところで十六・八兆円、「二十五年度に実現」と書いてあるんですが、この二のところ、「税金などをため込んだ「埋蔵金」や資産を国民のために活用する。」埋蔵金の活用なんということで四・三兆円、その下、政府資産の計画的な売却〇・七兆円、五兆円と書いてありますが、これは、普通で考えれば一回で終わっちゃうんですね、一回で。

 十六・八兆円というのは、実はその前のページの平成二十五年の最終形が十六・八兆円でありますから、この五兆円というのは、使っちゃったら毎年どこかで同じものを見つけてこないと、このマニフェストが成り立たないんですよ。実態、もう既に使っちゃったんですね、まあ使っちゃったというのは変ですけれども、来年度予算に使っちゃうんですよ。

 これは、もう民主党のマニフェストというのは完全に破綻をしている、いや、そもそもこのマニフェスト自体が、一回しか使えないお金を継続的に使うというふうに偽装してつくられたとしか私は思えないんです。

 これは偽装じゃないと言うのならば、菅大臣、この五兆円は、毎年埋蔵金を五兆円ずつ、これから延々と、これはマニフェストで五年になっていますけれども、経常的に使われるものはこれからずっと続いていきますから、ずっと五兆円の埋蔵金を見つけ続けられるおつもりなのか。どういうお気持ちでこのマニフェストをつくられて、皆様方もこれで戦ったわけでありますから、この私のなぞを解いていただきたいんですけれども、御答弁お願いします。

菅国務大臣 まず、四十四兆円というのは、麻生内閣の一次補正後の国債発行額と来年度の予算の当初予算がほぼ同じという数字になっているということだけ、ちょっと事前に触れておきたいと思います。

 それから、今話をされた埋蔵金でありますが、埋蔵金にも私たちの分析では二種類ありまして、一回こっきりで、使えばそれだけ減ってくるものと、たしか外為特会のように、あるいはほかにもあったと思いますが、金利差等によって、毎年、確実であるかどうかは別として、ある程度剰余金等が生まれて、従来、それを一般会計に入れたりいろいろしていたわけですが、そういうフロー的な形で生まれてくるものもある。ですから、すべてが一回こっきりではないという認識の中でこういうものを組み立てたということです。

田村(憲)委員 なるほど。すると、毎年五兆円出てくるという前提だというふうに理解をしていいんですね。来年度も再来年度もその次も、五兆円ずつ埋蔵金をあなた方は見つける、こういう理解でいいかどうか、大臣、御答弁を。

菅国務大臣 ですから、今申し上げたように、確実であるなしはいろいろあります、金利差とかいろいろな問題が。ただ、これまでかなり長い期間、毎年出てきたという経緯がある種類のものもあるので、そういう中を含めて、このマニフェストの当初の考え方としてはそういう考え方が入っているということはそのとおりです。

田村(憲)委員 何か、あるかないかわからないけれども、つじつまを合わせなきゃいけないから書いたというようなふうにしか私は聞こえなかったんですが。

 では、お聞きします。

 来年度の税外収入として十・六兆円、この内訳が、特会積立金から余剰金、この積立金や余剰金で七・九兆円とありますね。財融特会の積立金四・八兆円、外為特会の積立金、この中から、積立金といいますか、これは余剰金ですね、二・五兆円ですか、これを取り崩す。さらには、今年度の予想されるものからさらに〇・三五兆円、三千五百億円を流用する。こういうような中でこの税外収入を確保したというふうに皆様方の資料を見るとなっております。

 財融特会の積立金は、これを取り崩した結果、どうなりますでしょうか。

菅国務大臣 外為ですね。(田村(憲)委員「財融、財政投融資」と呼ぶ)財政投融資ですね。

 財政投融資の方は、今回たしか全額を取り崩したわけで、一応、残高ゼロということになります。

田村(憲)委員 ゼロのものは使えないですね。これはあなた方が本当にとらの子で使ったんだと思うんですが、使えないのに、また五兆円をどこかから出してくるのか。

 それでは、外為特会の方をお聞きします。

 外為特会は、運用益を今回二・五兆円、そして来年度分も、今言いました三千五百億円、これをあえて流用する、来年のも先食いしちゃうという話なんですが、今、外為特会は、今の為替レートでいくと、資産債務状況はどういう状況ですか。

菅国務大臣 先ほど申し上げた財政投融資の方も、毎年ある程度は出てきます。ですから、今のところ、来年度については全部出しました。

 それから、今話をされた外為の方も、現在は御存じのように積立金がありますが、もちろん、逆に為替差損もありますけれども、積立金ということでいえば、まだ二十兆円余り存在しています。

田村(憲)委員 いや、そんなこと聞いていないんです。今、外為特会は、今の為替レート、きょうは九十円ぐらいだと思いますけれども、九十円の実績値を入れると、実際、資産と負債の状況はどういう状況になっていますかということをお聞きしているんです。

菅国務大臣 今申し上げましたように、為替損といいましょうか、その差が約五兆円マイナスになっております。

田村(憲)委員 私の資料に書いてあるんですね、これは。九十一円の場合というので入っていますから、見ていただければわかるんですが、外為特会は現状で債務超過なんですよ。本当を言うと、積み立ての方へ立てなきゃいけないんだ、運用益を。その運用益をあなた方は使っちゃうんですよ。これは大丈夫ですか。本当にむちゃくちゃやっていますね、大臣。債務超過だったら、普通は運用益はちゃんと積み立て不足なら回さなきゃいけない。それを、お金が足りないから、わからないだろうというので使っちゃったというところに、私はこの政権の危うさを感じているんですが、何か御答弁ありますか。そのとおりだという話ですか。

菅国務大臣 余り反論をしてもいけないんですが、私はこの埋蔵金の議論は少し前からずっと注意深く見ておりましたが、当初、当時の与党の中で、埋蔵金は一切ないという人たちと、それから埋蔵金はあるという話がありました。(発言する者あり)ですから、ちょっと申し上げていいかと聞いたじゃないですか。

 そして……(田村(憲)委員「だめ、そういうのはだめ」と呼ぶ)過去のことは一切言わないでほしいということですか。(田村(憲)委員「そんなこと言っていないですよ」と呼ぶ)いやいや、ですから、少し過去のことからさかのぼらないと、埋蔵金というのは別に一年前から生まれた問題じゃありませんので、少し話をさせてもらいたいと思って言っておるわけです。

 ですから、そういう中で、いろいろな経緯がありました。例えば年金の国庫負担を三分の一から二分の一に上げるものも、当時の与党の皆さんは埋蔵金でそれを埋められました。来年はもちろん私たちが責任を持たなきゃいけませんけれども、少なくとも、そういうやり方をとられたのは、決して前の政権は一切そういうことをやっておられなかったということではなくて、前の政権もそういうことをやっておられたよということをまず申し上げておきたいと思います。

 その上で、今、確かに、税収が非常に大きく下がっている。そして、この間のフラット税の導入によって、法人税ばかりでなくて所得税もかなり下がっております。そして、成長もこの約二十年間、余り大きく伸びておりません。ですから、私たちはこの六月に中期財政フレームをつくることを……(発言する者あり)

 ちょっと、筆頭理事がやじを飛ばしているんですが、委員長、何とか……(田村(憲)委員「委員長、もう結構です」と呼ぶ)ちゃんと答えますから、今答えていますから。

 そういう中で、きちんと将来に向かっての財政のフレームを国民の皆さんに示していこう、こういうことを考えております。

田村(憲)委員 大臣、癖ですね、わからない問題が出ると違うことを話しちゃうんですよ。ごまかすんですよ。長々時間をとって、私、時間なくなっちゃうんですよ。

 私が言っているのは、外為特会、今債務超過になっているんですね、今のレートでいくと。これはもう本来、取り崩せないんですよ。ましてや運用益は、それならば積立金の方に回さなければ、財務内容がアンバランスになっているんですね。債務超過なんですよ。これをまず取り崩しちゃうというか、運用益を来年度の予算に使っちゃうということ自体問題があるのではないかということをお聞きしていますし、もっとその前から言えば、埋蔵金、積立金から毎年五兆円、五兆円出すようなマニフェストになっていますよ。だけれども、もう財融特会は積立金ないんでしょう。あとは運用益だけですよ。外為特会は、今のレートでいけば積立金も運用益も使えない、いや、ためなきゃいけない。こういう状況で、どうやって再来年度から予算が組めるんですか、こういう話なんです。

菅国務大臣 再来年の予算を心配していただいて、大変ありがとうございます。

 それから、余り本当は言いたくないんですけれども、同じことをずっと前から前の政権もやっているんですよ。為替が、考えると、円高のころにかなりの差損が出ていましたが、そのときからずっとやっておられるということはわかって言われているんでしょうね、田村さんは。

 確かに、私も説明を聞いてみて、差損がありながらそれを使うことがいい悪い、いろいろ議論があります。しかし、いろいろなやりくりの中で、率直に申し上げて、今回まで、ぎりぎりのところで使うべきものは使いました。今、二十兆円余りのものをどうするか、これは、来年度ではなくて再来年度の予算の中で考えていきたいと思っています。

田村(憲)委員 最近はずっと使ってきていませんでしたが、以前は使ったことがあるのは私も知っておりますが……(菅国務大臣「いや、ずっと使っている。毎年ずっと」と呼ぶ)いや、毎年使っていませんよ。違いますよ。あなた方から資料はちゃんと出ているんだから、こちらに。

 そもそもこれは積立金じゃないでしょう、だから、埋蔵金じゃないでしょう。私はそういう議論をしているんですよ。厳しいから使うというのは、そのときいろいろやりくりはあるでしょう。だけれども、あなた方はそもそも、無駄なものがこんなにあるという中で、その象徴として埋蔵金という言葉の使い方をしてきたんです。そうやって国民をごまかして、こうやって今までできもしないマニフェストをつくってきたんですよ。私はそこを指摘しているんです。

 少なくとも今、あなた方が言っている埋蔵金なんというのはもう枯渇しているんです。埋蔵金じゃないんです。この中で、あなた方のマニフェスト自体はそもそも成り立っていないですよねということを私は質問しているんです。

 成り立っていると思っているんですか。その点をはっきりお答えください。ごまかさないでくださいよ。

菅国務大臣 何もごまかそうと思って言っているんじゃなくて、何回も言いますけれども、いいやり方か悪いやり方かは別として、前政権からこの問題では、外為についてはやっておられたということだけは、どのデータでも見てください、そのことだけははっきり申し上げておきます。

 その上で、確かに、私たちが政権をちょうど交代する直前にまさにリーマン・ショックが生まれて、税収も急激に下がりました。私たちは、そういう中では、麻生政権がつくられた一次補正についても、決して規模が大き過ぎるということで反対したことはありません。ある程度の財政出動が必要だということでやってきました。

 ですから、今、私たち鳩山政権が置かれた状況は、もともとの平常時であった〇八年当時の前の状況から、こういった世界的な恐慌にもなりかねないような状況を踏まえて、足元の問題と中長期の問題の両方の課題を抱えているわけです。

 その中で、マニフェストのまず一番大きな項目は、コンクリートから人へという財政配分の大きな変更ですから、それについてはかなり前進をしたと私は思っています。それに加えて、これから順次、マニフェストの残された課題についても全力を挙げて実現を目指していきたい、こう考えています。

田村(憲)委員 財務大臣、御答弁が長いものですから、一時間半いただいていましても、きょうは一時間と三十分に分かれていますので、質問の流れが難しいんですよ。ですから、なるべく簡単にしていただきたいんですが、指摘だけします。

 とにかく毎年五兆円ずつ埋蔵金を取り崩してやっていくということをマニフェストの中で書かれていましたが、実際問題、その五兆円という埋蔵金がもう枯渇をしてきているということだけは、事実として指摘をいたしておきます。

 続きまして、長妻大臣にお聞きをいたします。

 診療報酬改定で、医療の方は、胸を張って、よくなったんだ、久しぶりのプラス改定だなんと言われておられましたけれども、御自身は、今回の診療報酬改定、医療全体を含めまして、どのような御感想をこの予算にお持ちですか。

長妻国務大臣 診療報酬改定、中医協の皆様初め御尽力いただいて一定の結論が出たわけでございますけれども、まず何より御理解をいただいたところが、診療報酬のネットでプラスが十年ぶりに達成できたということ、そして、喫緊の課題である救急医療、小児科、産科、そして勤務医の皆様方、そういう方々に対する手当てというのが一定程度できたのではないかというふうに考えております。

 当然、これですべてバラ色になるということではありませんで、これから、この診療報酬改定をてこに、一つ一つ医療の立て直しということに取り組んでいきたいと考えています。

田村(憲)委員 胸を張って、医療はよくなったというお話なんですが。

 ただ、一月三十一日の毎日新聞でしたか、「診療報酬増を「偽装」」なんという記事が出まして、我々もこれを見て、やられたなと思ったんですね。

 これはどういうことかわかりづらいんですが、実は〇・一九プラスになったという話だったんですけれども、ところが、今、医療の方は、先発薬から後発薬の方に移させようというので、ジェネリックの方に移行させています。これをずっとやってきて、ジェネリックに移ればそれだけ医療費が削減できる。これは実は我々も反省しなきゃいけない。シーリングのときに使っていたんですね。二千二百億円、これにこれを使っていたんですよ。

 ところが、今回さらに、それでは十分に効果が発揮できないということで、薬価自体を下げちゃったんですね。薬価自体を下げたものは、実はマイナス〇・一六%の影響があるんです。結果的に、何と、プラスは〇・一九じゃなくて、総医療費全体で見ると〇・〇三だ、こういうことがわかってきた。これが毎日新聞の報道であります。

 ところが、さらに、実はそうじゃないんですね。今まで我々が社会保障の二千二百億円圧縮のシーリングに使ってきた、もとのジェネリックに移ったがために削減される医療費、これまで入ると、何とマイナスなんですよ。これは、ちょっとフリップを見ていただくとわかると思うんですが、資料がついていますので、資料を見てください。配付資料の八ページをごらんください。

 これは、総医療費三十六・六兆円と書いてありますけれども、下に二つありますね、八百二十五億円、六百億円。下が、実はジェネリックに置きかわった削減分というものが〇・二二%あるんですね。これは、我々がシーリングのときに差し出していた部分なんですよ。

 あなた方が、シーリングは何事だ、これがあるから社会保障が悪くなったんだ、こうやっておしかりをいただいた。我々も実は反省しているんです。先ほど反省しなきゃいけないという中にはこれも入っているんです。

 こうやって社会保障を、本来自然増、実は医療費はその間ももちろん伸びているんですよ、高齢者がふえたりなんかしまして自然増がありますから。でも、自然増を抜いた部分で、実質ベースで比べて、さあ、どうなんだというところから、シーリングで二千二百億円圧縮をかけていたんですね。これがとんでもないというのが皆様方の御意見。我々も反省してきた。これをやめるという話になった。いや、やめていただいて、これは我々もマニフェストでやめると入れていましたから、それは賛成なんです。ところが、そのシーリングにとられていた部分が、このジェネリックに置きかわった削減分〇・二二%。

 先ほど言ったのは、それだけでは十分に効果が発揮できていないので、さらに薬の薬価自体を引き下げようということを今回やった。これが〇・一六%。これが全部総医療費の中に入っているんですよ。だから、この二つを引くと、六百億円と八百二十五億円ですね、上がったのが七百億円ですから、さあ、差し引きどうなるということになりますと、これが差し引きマイナスになってくるということでありまして、その率は、何と、プラス〇・一九じゃなくて、マイナス〇・一九。うまく合ったものでありますけれども、こういう結果になってくるんですね。これでは実質上マイナスシーリングじゃないかと。マイナス〇・一九%、マイナスですよ、これは。

 私は、多分そんなおつもりじゃなかったんでしょうけれども、厚生労働省と財務省に皆さんがだまされたのかな、こう思いますが、政治主導といいながら、実は医療費は実質マイナスになっていた、この指摘に対して、何か御意見ありますか。

長妻国務大臣 これは、先ほどの埋蔵金の話にも似ているんですけれども、今言われたように、前の政権でもそういうカウントの仕方がずっと続いてきたんですね。

 例えば、今、田村委員が言われたような二千二百億の削減というのが自民党時代にありましたけれども、その中の二百二十億円、国費の部分は、ジェネリックの削減ということで、これは今後二年間削減するであろう一年分を先取りして、外出しという形で、今の診療報酬のカウントには入れずに出してきたという計算の歴史があって、それと今回は全く変わらない形で我々も計算しているということがまず一点。

 もう一点、これまでの精算という考え方も入れさせていただいたんですね。といいますのは、やはりジェネリックの使用頻度というか、使用が先進国に比べて日本は甘い、もっとジェネリックを使わなきゃいけない、こういう御指摘をいただいて、今度は初めてなんです、数値目標を挙げて、そして結果、そご率というのが一千百億円、未達額というのが出ました。

 これは、本来は、ジェネリックに目標どおり置きかえておけば、一千百億円医療費が節約できたものが節約できていないということで、我々は、この部分について、半額部分は申しわけないけれども医薬品メーカーに責任をとってもらおうということで、この六百億円については、医薬品メーカーの先発薬を、強制的にと言ったら言葉に語弊がありますけれども、下げさせてもらったんです、その金額については。それについても平仄を合わせる形で外に出させていただいたということでございまして、ある意味では、ジェネリック促進のかなり厳しい措置を実行したということも御理解いただきたいと思います。

田村(憲)委員 全く論点が違っているんですね。あなた、だまされたんでしょう、そうしたら、役所の方に。

 言うなれば、ジェネリックでそれだけ無駄がなくなるという言い方がいいかどうかわかりませんが、同じ効用で医療費が浮くわけですね。それをそのまま医療費に使えばいいじゃないですか。なぜそれをほかのものに回すんですか。その分があれば、これは、両方とも合わせたらどうなりますか。全体で、実は今回、マイナス〇・二二というのが出てきたわけですね。これを加味、逆に足し合わせると、〇・一九に〇・二二、さらに今言われた薬価自体を下げたという〇・一六、全部合わせればその分だけプラス改定、つまり診療報酬が引き上げられたという話ですね、これは。

 つまり、切られたお金をほかに回さずにそのまま医療に使っていれば、診療報酬を、プラス改定、さらに伸ばせて、このマイナス分だけ、あなた方が言われる救急医療にも小児医療にも、いろいろなものに予算がつけられたんじゃないですか。私はそれを言いたいんです。

 それは、ジェネリックで効率化するのはいいですよ。それで生まれた余力、お金は、医療に返してくださいよ。なぜほかに回すんですか。財務省にだまされたんじゃないですか、それでは。マイナスシーリングしちゃったんじゃないですか、事実上。何か答弁はありますか。

長妻国務大臣 これは、一定の考え方があって、自民党時代も、これは繰り返しになりますけれども、二百二十億円、そこに外出しをして医療の増加に使わずに、ネットでマイナスをずっと続けてきて、今回やっと十年ぶりのネットプラスを実現して、医療の立て直しの第一歩にしようということで我々は考えているところでありまして、自民党時代の考え方、今の時代の考え方、変わっておりません。

 なぜかというと、どういう考え方かというと、薬価差益そのものについては、これは本体部分に組み込むということで、従来どおり、我々も、薬価の市場価格とその差益部分は今回も全額医療に振り分けるという措置をいたしました。

 ただ、ジェネリックに関しては、ジェネリック部分の薬価差益もそこで見ているわけで、診療報酬のプラスマイナスというのは、基本的には本体の技術料、それのプラスマイナスのことでありますので、その中からは除外して、これまでと同じような考え方で整理をするのが適当だろうということで、我々はこういう措置をしたわけであります。

田村(憲)委員 薬価を引き下げること自体、中医協に何の提示もせずに無理やりやっちゃったということ自体、初めてらしいんですけれども、ただ、今の大臣の御発言で論理的に崩壊していることは、簡単なんです。

 我々がやってきた、使ったじゃないかと。だから、我々は反省していると、私、冒頭言ったでしょう、自民党もやはり反省しなきゃならないんだと。そして、あなた方は、その我々のやり方がだめだと言って政権をとられて、やり方を変えると。今二百二十億と言われましたけれども二千二百億ですけれどもね、二千二百億円というシーリングをかけてきたわけですよ。でも、それはだめだ、そんなものはやめてちゃんと医療にお金をつけろと言われることで、ずっと政権をとられて、実際、この予算でそれを実行しようとした。

 言われるとおりに、ネットで診療報酬改定はプラスです。しかし、医療費全体、実質的な医療費全体、これは自然増を除いた医療費全体、これではマイナスなんです。もっと言えば、それをマイナスにしなければ、今の〇・一九という診療報酬改定は〇・五七になったんです。余力があったのに医療費に使わず、ほかのものに使った結果が、〇・一九しか上げられなかった。

 あなた方は、一割医療費を上げなきゃならないと委員会でも言われてこられましたよ。世界並みの医師の数、人口当たりの医師の数をふやしていかなきゃならない、こんなこともおっしゃられた。今の大体何倍か医療費は必要ですよなどとむちゃなことを言われる方もおられますよ。そういうようなことを言われる中で、実際問題はマイナスになっていた。

 これだけは指摘をさせていただいて、午前の時間が終了いたしました。もう時間でございますから結構でございますので。ありがとうございました。

鹿野委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

鹿野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。田村憲久君。

田村(憲)委員 午前に引き続きまして、午後も三十分質問をさせていただきたいと思います。

 午後から子ども手当の質問をさせていただきたいと思うんですが、子ども手当というのは何のためにやるか。幾つか論点はあると思うんです。少子化対策、この側面もあると思いますし、子育て世帯への言うなれば景気対策、経済対策といいますか、そういう対策の意味もある。しかし、鳩山総理が、選挙が終わったころからだと思うんですが、これを日本の国全体の景気対策として打ち出すというような方向性の主張をされてこられています。アメリカのオバマさん、いろいろと会談の中でも、こういうことをやっているなんというような話もあったというふうに漏れ聞いております。

 これは、菅大臣、乗数効果でいろいろとございましたが、今、子ども手当、来年度におけるGDPへの寄与度というものを〇・二だというふうにおっしゃっておられたと思いますが、これの積算根拠というのは、どういうような数字を当てはめて〇・二という数字を出されておられるんですか。

菅国務大臣 子ども手当二兆三千億の中で、これまでの児童手当が一兆円ありますので、追加分が一・三兆。それに対して、せんだっても申し上げましたように、こういうものは、乗数効果ということではなくて、消費性向の〇・七を掛けまして、そうすると一・三兆掛ける〇・七で約一兆、それがGDPの翌年の引き上げ効果ということで、一兆円は〇・二%に当たる、こういう計算です。

田村(憲)委員 そうすると、乗数効果が多分〇・七と理論上はなるんですかね。消費性向がそのまま乗数効果という話に、多分、理屈上はなるんだと思うんです。マクロ経済学において、公式上の乗数効果の数式というのはよく御存じだと思います。無限等比級数の和を初項で割ったものですね。ですから、一引く消費性向分の一になりますから、限界貯蓄性向の逆数という話になるんだと思うんですが、これはあくまでも理論上の話であります。

 しかし、この〇・七は消費性向を使ったと言われるんですが、本来からいくと、これをベースに赤字国債を発行したかどうかというのは、お金に色目がついていませんからわかりませんが、赤字国債を発行すれば、当然、それに伴う金利の変動があったりですとか、物価の上昇であるとか、いろいろなものが合理的期待も含めて変動しますから、実際、その数字がそのまま当てはまるかどうかというのはよくわからない。

 この〇・七は何で使ったんですかという話をよく聞くんですけれども、そうすると、あなた方も例の定額給付金のときに、〇・六八でしたか、こういう数字を使ったじゃないかなんという答弁といいますか返事が返ってくるんです。ただ、結果は、これは〇・三幾つしかなかったというような答えが出てきているわけですね。すると、〇・七の消費性向をこの子ども手当に当てはめるというのは、私は余りにも高過ぎると思うんです。

 所得税減税の乗数効果、これは配付資料の中にございますけれども、これを見ると、初年度、大体〇・二三ぐらいの数字が出てきておると思います。これは、〇・二三ですと、GDPに対する寄与度というのはもっと下がっちゃうんですね。多分、〇・〇幾つという話になっちゃうんだと思うんですが、〇・七を使ったというのは、ちょっと偽装じゃありませんか。高いのを使い過ぎていませんか。

 つまり、何を言いたいかというと、子ども手当というのは、もともと景気対策じゃないんですよ。それを、景気が悪くなったといって、子ども手当を急遽、景気対策にして、余り効果がないけれども偽装をして〇・七という言うなれば乗数効果にしちゃったというのが私の分析なんですけれども、何かございますか。

菅国務大臣 少なくとも、私が政治的にこうしろと言ったということは全くありません。

 先ほど言われたように、乗数効果の計算もいろいろマクロ経済モデルが変わってきておりまして、現在、内閣府で使っているものでいえば、公共投資の場合が一程度、そして、先ほど言われたように、減税の場合に〇・三とか二とかということです。

 今、〇・七が高過ぎるのではないかという御指摘ですが、先ほどお話がありましたように、もともとは、地域振興券が調査をしたところ〇・三程度だった、定額給付金が〇・四程度かなということなんですが、それに比べると、二つ要素があります。

 一つは、恒久的な形で子ども手当が出るということで、そういう意味では、一回こっきりのことよりは継続するということがあることで支出につながる要素が大きいだろうということが一つ。

 もう一つは、例えば所得税ですと、どちらかというと、一般的な税金の減税の仕方だと高額所得者の方に厚目にきいて、極端に言えば所得税を払っていない人にはきかないわけですから、そうすると、高額所得者の方の消費性向はやや低いですから、低額所得者、そして子供のいる家庭ということに限定すると、やはりかなりそれよりは高いものになるだろう。

 こういう見通しの中で、一般の消費性向の〇・七を、これまでのいわゆる内閣府の考え方の延長上でこの数字を使った、このように説明を受けていますし、私もそれを意図的にもっと低くしろとか高くしろということは言いませんでした。

田村(憲)委員 しかし、実際問題、本当に〇・七出るかというのは、だれしもが疑問に思っていると思いますよ。これは、経済を勉強されている方はだれしもがそう思っていると思いますね。実際、所得の低い方々は消費性向が高いのではないかという話もありますが、逆に、今所得の低い方々の方が生活防衛に走るという傾向もあるんですね。

 ですから、そういう意味からすると、これはちゃんと検証をしていただきたいと思いますね。結果、この〇・七が極端に低かった場合には、政治主導だと言われている菅さん、もし〇・七という数字を役所が持ってくれば、これに対して、これは高過ぎるんじゃないか、もうちょっと、あの地域振興券やああいうので高く見過ぎで、我々も当時の与党をばんばんたたいたけれども、我々がこの数字を出したのでは、今度結果が低かったときに申し開きが立たないじゃないか、だからここは水増しのような偽装はせずに、やはり実際問題、実態に合わせたような数字を入れた方が国民に対しては真摯な対応じゃないか、こういうようなことを私は言われた方がいいと思うんですけれども、検証していただいて、もし低かったときにはどのような責任をおとりですか。

菅国務大臣 実は、私は乗数効果という考え方そのものにも疑問を持っております。つまり、もっと言えば、経済効果という言葉も、よほど気をつけて使わなきゃいけないと思うんです。

 つまり、子育て支援は、先ほど言われたように、今の〇・七とか乗数効果とかというのは翌年のGDPの引き上げ効果であって、それでいうと、ではこっちが大きかったからそれでいいかというと、子供の数が減り始めているのはもう二十年前からわかっているんです。そして、日本のGDPが下がってくる大きな原因が、労働人口が減ってくるということもわかっているんです。つまり、中長期の経済効果ということを考えれば、人口減というのがマイナスに響くことはわかっているわけです。それに手を打ってこなかったということで、この政権交代の中でまず子供さんに焦点を当てたということが一点です。

 それからもう一つは、私は、単年度の効果も、今言われたように、それが国債で持ってくるか税金で持ってくるかはともかくとして、どこかのお金を持ってきて使うんですから、使う方の効果があるあるということが乗数効果の考え方ですが、持ってきたときにはどこかが使えなくなるわけですから、それのことを考えていないというのがこの理論上の最大の欠点だと私は思っています。

 さらに言えば、今、フローの効果とストックの効果があります。例えば、私が高校時代の東京―大阪の新幹線は、乗数効果はその後と変わらなかったかもしれないけれども、長期のストックの効果は非常に大きかったんです。しかし、本州―四国の橋は、ストックの効果が非常に薄いんですね。つまり、社会資本の生産性に対する影響度は時代によってかなり違っています。

 そういう二重、三重の意味で、私自身、個人の見解を言えと言われれば、今申し上げたように、これまでのマクロ経済モデルそのものが、きょう、朝もちょっとそういう会をやったんですが、果たして本当に適切なのかなという疑問を私個人は持っております。しかし、これまでの考え方を一遍に変えるほどの知見がまだ私にはありませんので、少なくとも、従来の流れでいえば、〇・七という消費性向を現在のところ使っているのが、一応、過去と比較する意味ではいいのではないか。

 ですから、私は、責任云々と言われるよりは、もっと根本的なところからこの景気対策なり経済対策なりの問題は考えていきたい、マクロ経済モデルのあり方を含めて考えていきたいと思っています。

田村(憲)委員 間違っています。乗数効果というのはそういうところまで全部見ているんです。要するに、実体の経済で、実際、政府が国債を発行して市場からお金を吸い上げた場合に、それによって起こる投資の減退、こういうことまで全部見ているのが今の乗数効果なんです。

 だから、今、大臣は、見ていないから乗数効果に対して疑問を持っていると言いましたけれども、乗数効果というのはそこまで見ているからモデルがあるんですよ。今使われた〇・七という消費性向を乗数効果がわりに使われたのは見ていません。あなた方が今回使ったのは見ていません。しかし、乗数効果というのは、そこまで含めて、場合によってはクラウディングアウトが起こるかもわからない、そういうのも、実態として起こったものは起こったもので、マイナスに起因したものはちゃんとそれも数字に入れてモデルをつくってあるのが乗数効果ですから、よく勉強をされてからおっしゃっていただいた方がいいと思います。

 この議論は水かけ論になりますが、〇・七もないということだけはここで指摘しておきます。

 そこで、子ども手当ですが、きのう鳩山総理が、リアル鳩カフェですか、というところで、その来られた主婦の方々から、どうやら、こんな借金をしてまで子ども手当満額なんておかしいよなんというような発言に対して、いや、金がなかったら子ども手当を満額払うことも考えなきゃならぬねというような発言をされたというのが報道で、ネットのニュースか何かで出ておりました。

 拝見させていただきまして、むむっと思いまして、何か、財務副大臣が無理だと言われたり、いろいろな方々が言われているんです。しかし、長妻大臣は子ども手当は満額払うよ、ちゃんと出すよと言われている。総理もこの間までそうやって言っておられた。そうしたら、金がなかったらやはり払えないなみたいな話をされて、きょうはまた朝、記者会見で満額払うなんということを言ったとか言わないとかという話で、もうぶれにぶれているんですよ。

 これもそうですし、それから、例の高速道路、これをどう無料化していくんだという問題もそう、ほかにもいっぱいありますけれども、こういうもの、マニフェストで書いたものをやるかやらないかということをちゃんと統一見解を出してもらいませんと、これは今から中期財政計画をつくるんでしょう、これを全部入れなきゃできないんですよ。やるかやらないかわからないというもので中期財政フレームなんてつくれませんよ。

 少なくとも子ども手当はどっちなのか。これは官房長官にお聞きします。政府見解はどうなっているんですか、統一見解。

平野国務大臣 田村議員にお答えをいたします。

 政府見解というよりも、政府としては、三党連立の合意と、マニフェストに書かれたものを四年間で実行する、このもとに今いろいろな意味で知恵を絞っているわけであります。

 今、田村先生から言われた、総理が鳩カフェでお話しされたということでありますが、これは赤字国債を出してやるということじゃなくて、徹底的に財源を見出して子ども手当をつくっていくという決意のあらわれだと私は思っております。

田村(憲)委員 そういうふうにニュースでは伝わっていませんので、お言葉はお気をつけいただくように総理にお伝えください。

 リアル鳩カフェと言っていますけれども、このままでいったらリアルサギカフェになってしまいますからね、配る配ると言っておいて配らないなんという話になると。最近では、ハトからサギに変わっただとか、いや、ヌエだとか、コウモリだとか、いろいろな話を私も地元で言われます。ハトはハトであろうと思いますので、白いハトのままで、今、白じゃないかもわからないですが、言葉をちゃんと慎重に選んでいただきたい。

 それともう一つは、副大臣、政務官に至るまで、ちゃんと統一の見解を一致しておいてください。それぞれの立場の方々が違うことを言う。国民は不安で仕方がありません。(発言する者あり)統一見解を出してくださいということですね。ですから、その点は官房長官の方から、しっかりとそれぞれの内閣のメンバーに意思の徹底をお願いいたしたいと思います。また違うことを言ったら徹底的に追及しますからね、あなたのリーダーシップがないという話になりますから。お願いいたしたいと思います。

 子ども手当の話で、何か今、菅さんは、少子化対策、いろいろな意味もあるという話もありました。我々は、現金を配ったらそれで終わりだと思っていないんですよ。大体ヨーロッパでも、現金給付をぐっとふやして、そしてサービスをちゃんとやらなかったところというのは逆に失敗しているんですね。

 きょうのこの私の資料にも入っていますけれども、日本は、このまま満額給付になりますと非常にいびつな家族対策になります。本当に、現金給付ばかりになってしまって、申しわけ程度にサービスがある、現物給付がある、これでは子供は私はふえないんだと思うんですが、これで出生率はどれぐらい上がるというふうに読んでおられるんですか。これは長妻大臣。

長妻国務大臣 お答えをいたします。

 田村委員にも触れていただきましたけれども、子ども手当の目的というのは、今までは個人の家庭でお子さんの経費は見るという考え方でありましたけれども、その経費を社会全体で見ていく、これが一つ。そして、今おっしゃられたように、先進国で子供にかける予算、GDP比で見ますと、日本が最低の国のうちの一つだということ。そして、結果的に、子ども手当によって少子化の流れを変える、あるいはお子さんの教育の質も上げていく、こういうことを期待しているわけであります。

 少子化の流れを変えるためには、現金給付だけではなくて、おっしゃられたように、保育にも造詣が深いと聞いております、現物給付である保育所、あるいは、我々五カ年計画で学童クラブ等々のそういう措置プラス、ワーク・ライフ・バランスということで、この三つがバランスよくならなければならないということで、五カ年計画では、平日の保育サービスについては、三歳未満の全人口の今は四人に一人の定員があるんですが、それを五年後には三人に一人分用意していこう、あるいは、放課後児童クラブについても、今は小一から小三まで全人口の五人に一人の定員があるんですが、これを三人に一人の定員を用意しようということで大幅な増加を考えておりまして、現物給付もきちっとやっていきたいと考えています。

田村(憲)委員 全く答弁にはなっていなかったんです。どれぐらい出生率がこれによって上がるかという話でしたが。

 現物給付は大事だというのは当たり前ですよ。今我々は、政府が言われたこの子ども手当、合わせますと満額給付で五兆円を超えてまいりますが、これだけ使うのならば、子ども手当、現金給付だけじゃなくて現物給付、今大臣が言われたようなものにもしっかり予算を使っていこう、これだけ使えるならこんなこともできる、そういうプランをつくっております。でき上がり次第また国民の皆様方にお示ししたいと思いますが、お金がかかるんですよ、これは。要は、バランスよくしようと思えば、子ども手当にかかったぐらいこれをふやしていかないと、やはりヨーロッパ並みにはなっていかないんです。

 これもまた、中期財政フレームなんか大変ですよ。これも入れてくださいよ。一方で、積立金はないんですよ、埋蔵金はないんですよ。楽しみにしていますからね、菅さん。これがまた出てきた時点で徹底的にやらせていただきますから。多分できないと思いますけれども、非常にいいかげんな話だということがよくわかりました。財源の裏づけがないということだけは指摘をいたしておきたいと思います。

 もう時間がないので次に進みますが、一時間半、途中で切られちゃいますと途中の流れで質問が本当に少なくなっちゃって、答弁いただけない大臣には申しわけないというふうに思うんですが、雇用保険法の改正、今国会出てまいります、予算にも絡んでおります。今国会で、言うなれば雇用保険の失業給付勘定から二事業の方にお金を貸し出せるようにしようという話。ところが、これは四千四百億円ぐらいを貸し付けるという話なんですが、それを前提に、二次補正、先般審議いたしましたが、三千五百億円を、要するに失業給付の勘定の方に予算を入れましたね。大臣、そうですよね。

 三千五百億円を入れたのはいいんですが、私の配っておりますペーパーを見ていただきますと、配っていなかったかな、もしかしたら配っていなかったかもわかりません、今、この雇用保険特会、特に失業給付勘定でありますけれども、積立金がたくさんたまっております。約四兆円、五兆円弱ぐらいあるというふうに思っておりますが、これはどう考えても、私は、これだけのお金があれば、もちろん今非常に厳しい状況ではあるのはわかりますが、一年で四兆も五兆もこれがなくなるとは思いません。どれだけ使ったって、それはいいところ一兆円、二兆円でしょう。

 そうすると、四兆円以上もあるのに、なぜ三千五百億円を失業給付勘定の方に入れて、本来は二事業ですね、これが雇用調整助成金が急激に伸びて財政的に厳しい、だからこの法律改正で失業給付勘定から二事業の勘定の方に入れるわけでしょう、貸し出すわけでしょう。そちらの方に本来は入れるんならわかるんですが、なぜ余裕のある失業給付勘定の方にこれを入れるのか。

 これは、問題はどういうところに問題点があるかといいますと、二事業の方は企業が保険料を払っております。これは税金が入っていないというのはよくわかっておりますけれども、ここが借りているという話になりますと、当然返さなきゃいけないという話になってまいりますから、企業は、今度の法律で料率も引き上げるというふうになっていますね、料率がなかなか引き下がらない状況が起こるわけですよ。当然、返し続ける限り。

 景気対策だといってお金を入れるわけでしょう。これは国が貸し付けるんじゃありませんね、失業給付勘定の方には税金として入れるわけですね。なのに、二事業の方は、余裕のある失業給付勘定の方から借りて全部返し続けなきゃいけないんですよ。これは景気対策ならば、本当は二事業の方に入れて、厳しい企業の状況ですから、立ち直ったときには保険料率もなるべく早く下げていこう、こういう方向に進めた方がいいんじゃないですか。なぜこんなことをされたのか。大臣、御答弁を。

長妻国務大臣 これは法案審議のときにもるる御答弁申し上げましたけれども、今おっしゃられるように、雇用保険特別会計、二つ勘定がありまして、失業保険給付の本体の部分については、これはルールとしては給付費の四分の一は国庫で見ますというルールがずっと続いてきたんですが、途中で多少状況がいいときにそのルールを変えて、その国庫の比率を下げるということがありましたので、それはまず戻す考え方に見合ったお金が必要だということと、あとは、確かに今は四兆円以上のそういう積立金がありますけれども、過去の例を見ますと、それが急速に減って年度の途中で保険料の料率を上げる、こういうような措置をしなきゃならないという不測の事態にもなったわけでありまして、そういうことが絶対あってはならないということが一つ。

 そしてもう一つ、今貸し出しの話がございました、雇用調整助成金をやる二事業の方ですけれども。これも実は相関関係が非常にありまして、つまり、雇用調整助成金がきちっと手当てできると、それだけ失業者の方が外に出ない、会社の中でとどまって、景気がよくなればまたきちっと仕事で働けるということで、休業という形で失業者の方が表に出ないということは、雇用保険もそこで支給しないで済むということでありまして、そういう意味での相関関係というのもあって、こういうような措置に踏み切ったということであります。

    〔委員長退席、海江田委員長代理着席〕

田村(憲)委員 全然答弁になっていないんですけれども、これほど積立金があるところに、なぜ三千五百億円入れなきゃいけなかったか。

 これは、民主党が野党のときにNC大臣というのがおられましたね、厚生労働大臣。二〇〇八年十一月十二日、厚生労働委員会、あなた方の厚生労働大臣であられた山田先生、山田委員がこうおっしゃっているんですね、この雇用保険特会の積立金に関して。

 その中で、積立金、これが平成十九年度に四兆八千億もあるんだ、一番失業が多かったとき、平成十四年、失業率が五・四%、そのときですら四千億円は、十分積立金があったんだと。そして、今現在、いいですか、これは僕は埋蔵金だと思っているんだけれども、積立金残高、この失業保険で一体幾らぐらいあるんだ、それをちょっと、今現在わかっている範囲で結構だから、明確に答えてもらいたい。

 そして、大臣から答弁があった。そうしたら、失業が一番高いときに備えたって、五千億円も積み増しておくか、あるいは一兆円も積み足しておけば十分過ぎるほど十分であるんだ、あとはいわゆる必要のない積み立て、これは霞が関の埋蔵金なんだと。あなた方のNC厚生労働大臣が、これはそのときの委員の方々がおられますから、当時の舛添大臣だったと思いますけれども、この積立金をもってして、埋蔵金だからこんなに積む必要がないんだというふうに質問をされている。

 当時の舛添大臣は、今の大臣のような答弁をしていましたよ。何か攻守が入れかわっちゃって、よくわかりませんが、こんなに変わっちゃうのかなと思いますけれども。でも、少なくとも一委員じゃないんですよ、あなた方の大臣ですよ。あなた方の、野党のときのNC大臣がこうやっておっしゃられているのに、これに対して、五兆円近く積み立てている積立金があっても、さらに三千五百億を入れているというのは、全く我々はわからない。政権がかわったら言うことが変わるんだという話なのかもわかりませんけれども、皆さんが今まで言ってきたことを、胸に手を当てながら、私の今のこの質問に対してどう御答弁されますか。

長妻国務大臣 この特別会計については、失業保険、手当が不測の事態になっては絶対にならないということで、ある意味では国家の危機管理的要素もある予算だというふうにも私は考えているところであります。

 あるいは、これについてもセーフティーネットということで、法案も提出、御審議いただく予定でございますけれども、今までは非正規雇用の方で六カ月以上の働く見込みがないと雇用保険には入れないということでございましたけれども、これで多くの方が雇用保険からはじかれていたということで、今度は三十一日以上の見込みがあれば雇用保険に入っていただこう、こういうような措置もして、将来的にそれはお金がふえる要因にもなるということ。

 あるいは、これもただお金をそこにとどめ置いているだけではなくて、当然運用をしているものでもございますし、あるいは、さっき御指摘いただいたように、埋蔵金といっても、何かがたまっていくというよりは、これは事業主負担、あるいは本体会計については従業員の負担という方々の、持ち主がいるお金であるということも御理解いただきたいと思います。

田村(憲)委員 今言われた理由だから積立金がこれだけ必要だという答弁は、あなた方が今まで言ってきた質問とは全くそごをしている、一致していないということを改めてここで指摘をいたしておきたいと思います。

 もう時間がありません。残すところあと三十秒でありますが、最後に一問だけ質問。

 七万円最低保障年金がもらえる、だれでももらえるんですというのがあなた方のマニフェストのうたい文句です。四年後にはだれでも最低七万円の年金がもらえるということでいいんですね。端的にこの一問だけお答えください、長妻大臣。ここに書いてあるんですよ。

長妻国務大臣 これも、我々もかねてより説明をして、マニフェストにもきちっと書いてございますけれども、平成二十五年度にこの新しい年金制度の法律を提出して通過させるということでございまして、二期目以降に新しい制度をスタートさせる、こういうことですので、我々としては四年間かけてきちっと制度設計に取り組んでいくということであります。

田村(憲)委員 答えておりませんので、続きはまた次の機会に、長妻大臣集中でさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

 ありがとうございます。

海江田委員長代理 これにて田村君の質疑は終了いたしました。

 次に、下村博文君。

下村委員 まず、千葉法務大臣にお聞きしたいと思います。

 今国会に提出を検討している選択的夫婦別姓制度について、その検討、準備状況について今どうなのか。法務省内部の話ですと、三月十日閣議決定を目指しているということであるというふうにちょっとお聞きしておりますが、進捗状況についてお聞きしたいと思います。

千葉国務大臣 御質問ありがとうございます。

 下村委員とは、国会の中では、親子の面接交流あるいは親権の問題等一緒に活動させていただいてまいりまして、御指導いただいてきたこと、心から感謝を申し上げたいと思っております。

 そして、今お尋ねの件でございますけれども、法務省といたしましては、そして、私のもとで、平成八年に諮問に対する法制審議会の答申が出されております。それを基本にさせていただきながら、どのような最終的な法案にまとめられるか、今、最終的な検討を、詰めをさせていただいているという状況でございます。

下村委員 具体的にはお答えできないということですね。

 平成十八年の内閣府の家族の法制に関する世論調査によりますと、夫婦別姓導入について、夫婦は同姓を名乗るべき、これについて三五%が賛成。また、夫婦同姓が原則だが婚姻前の姓を名乗ることができるよう法律を改めてもよいが二五・一%。そして、婚姻前の姓を名乗ることができるよう法律を改めても構わない、これが三六・六%で、その前の調査に比べますと、実際に両方合わせた、つまり夫婦同姓支持、通称としてなら認めてもよいも含めると六割で、これはふえているんですね。

 逆に、夫婦別姓を支持している人でも、実際に別姓を希望している人というのはわずか七・六%ということで、多くの国民は別姓を支持はしていない、実際に支持している率が前に比べると少なくなっている、こういう状況があるわけでございまして、そもそも、この夫婦別姓をすることによって、親子関係に悪い影響を及ぼすのではないか。子供に好ましくない影響を与える、世論調査で六六・二%、子供に影響はないというのは二六・八%しかないんですね。

 こういう状況にもかかわらず、夫婦別姓制度を今国会で提出を準備しているというのは、これは国民の理解を得られないんじゃないでしょうか。いかがですか。

千葉国務大臣 今、世論調査の数字などを挙げていただきました。

 今回の民法にかかわる改正の検討は、先生も御指摘をいただいておりますように、あくまでも選択的な夫婦別姓、こういうことを含めての検討をさせていただいているということでございます。そしてまた、この間、先ほどもお話を申し上げましたように、法制審議会でいろいろな角度から検討をいただいた、その結果、このような選択的な夫婦別姓の導入もよし、こういう答申をいただいております。

 また、世論調査におきましても、いろいろなそのときの状況がございますので、必ずしもその数字すべてとは言うことができないと思いますけれども、その傾向は私も承知をいたしております。ただ、世代別に見ますと、これもまた、若い世代等々は選択的夫婦別姓の導入等について肯定的な声が大変強まっているというのも事実でございます。

 いろいろな社会の状況、女性の社会への参加、こういうことも非常に強まっているという中でもございますし、それから、ある意味では、少子社会の中で、結婚した際に自分の家の名前が途絶えてしまう、そういう意味ではぜひそれを存続させてほしい、こういう声もあることも事実でございまして、その世論の動向も念頭には置きつつも、このような選択的に多様な生き方ができる、こういうことを導入していこうということで検討をさせていただいているという次第でございます。

下村委員 冒頭、千葉法務大臣から御紹介があったように、離婚後の子供たちが、親権を持っていない別れた親と会えない。これは特別な事情ではなくて、毎年約三分の一が離婚している、そのうち七割近くが子供がいる。ですから、トータルでいえば我が国において百万人とも言われますが、夫婦は別れたらただの他人ですけれども、親子は別れても血のつながりは永遠にあるわけですね。どうしても子供に会いたい、あるいは、子供も別れた親に会いたい。諸外国では八〇年代から、共同親権を認める、あるいは面会交流を法的にしているということの中で、残念ながら親子のきずなが失われてしまった、それを何らかの形で親子のきずなを復活あるいは強固にするために、少なくともまず面会交流、これはきちっとさせるべきではないか、こういうことで千葉法務大臣とも一緒に勉強会をさせていただいているわけです。

 ですから、千葉法務大臣も、少なくとも親子のきずなは大切にしたいと思っておられるからこそ、その勉強会に出られていると思うんですね。しかし、先ほど申し上げましたように、この夫婦別姓というのは子供に好ましくない影響を与える、これが六六・二%もある、これについてどう思いますか。

千葉国務大臣 ありがとうございます。

 親子の関係は、どのような形になろうとも、これは切れるものではありませんし、そして、親子のきずなが十分に深く結ばれるということは私も願うところでございます。

 この選択的夫婦別姓ということによって、私は、親子のきずなが切れる、あるいはそこにひびが入るということではないと思います。親子のきずなというのは、そういうことではなくして、やはり心をきちっとお互いに通わせているかどうか、こういうことにかかわるわけでございまして、必ずしも氏ということと親子のきずなというのが直結をするというふうには私は受けとめてはおりませんが、ただ、親子のきずなが大事だということについては、多分、下村先生と共通であろうというふうに私も思っております。

下村委員 先ほど、平成八年の法制審の答申においてというお話がありましたが、民主党の案というのは、またこれと違うんですね。民主党の選択的夫婦別姓については、千葉法務大臣が主導してこられたというふうにお聞きしております。

 法制審の場合には、夫婦で氏が、姓が違って、しかし、子供についてはどちらかに統一をするという案ですね。しかし、民主党の案では、子供はどちらでも選択できる、ですから、長男、次男あるいは三番目の子供、それぞれどちらでも選択できる、こういう案だというふうに思いますが、今、千葉法務大臣としては、このことについてはどのようにお考えですか。

千葉国務大臣 民主党の中で、今お話がございましたように、子供についてはそれぞれ別な、片方は母親の、片方は父親の氏でも構わないという案を検討し、あるいは提案をさせていただいてきたという経緯はそのとおりでございます。

 それも一つの考え方であろうというふうに思っておりますが、法制審が長年にわたって議論いただいて出した結論は、やはり子供の氏は統一をした方がよい、こういうことでございます。そういう意味では、その考え方を十分に私は重く受けとめてまとめをしていきたいというふうに思っております。

下村委員 千葉法務大臣のかつての発言の中で、戸籍を家族から個人単位に変えるべき、こういうのを主張されておられますね。こういう主張であれば、千葉法務大臣が民主党の法案として推進していたように、子供もみんなそれぞれ選択をさせる、どちらでもいいということの方が、これは千葉法務大臣の本来の考え方なんじゃないんですか。にもかかわらず、法制審の、子供の氏は統一するというのは、本来のお考えとは違うんじゃないですか。

千葉国務大臣 私も、一人一人の個人を単位にした登録制度、戸籍制度、こういうものも一つの、世界的にも存在をするものでございますし、こういう考え方があってもおかしくないというふうに思っていることは確かでございます。

 しかし、多くの皆さんの御議論あるいは御意見、それを私も十分に重く受けとめさせていただきますれば、やはり、子供の氏を一つに、そして一つの戸籍の単位の中で家族が存在をするという形が、今、皆さんに納得をいただけるものだというふうに思っております。

下村委員 そもそも、なぜ夫婦別姓が必要なのかということの中で、先ほどちょっとお話がありましたが、我々も何が何でも現状のままということではなくて、例えば結婚に伴って姓が変わる、その場合、職場で通称使用として仕事をした方がよりスムーズにいくというような形での通称使用、旧姓を使えるようにする、そういうようなことは考えてもいいのではないか、より社会における利便性というのは時代の変化に応じて対応してもいいのではないかと思いますが、夫婦別姓というのは、やはり日本の戸籍の中で、家族が単位ですから、この家族というのを結果的に破壊、崩壊させることにつながるということで、これは反対です。

 このことについて、亀井大臣が、家族の一体感が失われている今、何もばらばらの姓を名乗る必要はない、このように述べたというふうにお聞きしておりますが、事実でしょうか。

亀井国務大臣 私は今法務省で検討されている法律の内容を詳細に知りませんが、一般論としては、私は夫婦別姓は反対であります。私の属しております国民新党も反対であります。

 身も心も一緒になりたいというのが結婚をされるときの一般的な心情じゃないのか、このように私は思うわけでありますが、また、子供まで入れて名前が違ってくると、一家の表札がかかっているところはアパートみたいにいろいろな表札がかかるというようなこと。そういうことだけが家族の一体感になるとかならぬという問題じゃないかもしれませんが、委員御承知のように、去年から日本は殺人事件の半分以上が夫婦、兄弟、親子の殺しになっちゃいました。こんな国は世界じゅうありませんね。日本もそんな国じゃありませんでした。

 家族のきずなということ、これをやはり大事にしていくという中で、夫婦別姓ということをこの際取り上げなければならないのか、私はそういう意味では反対であります。

下村委員 亀井大臣おっしゃるとおりなんですね。私も、亀井大臣が殺人事件の約半分が親族関係と発言されたということをお聞きして調べてみましたら、まさにそのとおりで、また最近ふえているんですね、それが。

 ですから、まさにアパートの表札のように、さらに、三世代がもし同居するとしたらもうアパートそのもの、こういうふうな表札になってしまう。ということは、やはり家族という、日本の戸籍の中の一つの基本です、それがもうばらばらになるということになってしまうということで、全く同感です。

 これは、もし閣議決定するということになったら、明確に反対されますか。

亀井国務大臣 仮定のことにお答えするのは適当ではないと思いますけれども、万々々一提出されることがあれば、その前に政策基本委員会にかかってきますから、その場において国民新党が合意をしないと閣議にかけることはできません。

下村委員 平野官房長官、これは、国民新党が反対しても、例えば政権を割ってでも閣議にかける法案ですか。いかがでしょうか。

平野国務大臣 今、亀井大臣いみじくも言われましたが、法務省においてはいろいろ御議論いただいているところでございますが、いろいろな方のお声があるということでございますから慎重に対応しなければいけない、このように思います。

下村委員 千葉法務大臣の今の答弁のように、現状お困りの方もいらっしゃいます。しかし、それは、夫婦別姓を導入しなくても先ほどのことは解決できることだと我々は考えております。そういう意味で、これは慎重に省内でもよく議論をしていただきたいというふうに思います。

 ついでに、亀井大臣にもう一つお聞きしたいんですが、永住外国人への地方選挙権付与法案でございますけれども、これも、永住している方が参政権を行使したいのなら日本の国籍を取得すればいい、このように述べたというふうに報道で出ておりますが、事実でしょうか。

亀井国務大臣 私の属しております国民新党また私自身が、永住外国人に参政権を付与することは反対であります。参政権を得たいと思われる方は帰化という方法で解決をされるべきであって、それを阻害している合理的でない理由があるとすれば、そこらは解決していくということをすればいいだろうと私は思います。

 私が恐れておりますのは、一つは、選挙になると過熱しますね。過熱する選挙運動の中で、そうした参政権を持たれた方が選挙運動を過激にやっていかれるような事態が生まれた場合、民族感情が妙な、間違った形で刺激をされる危険性がないわけではない。民族感情というのは、ヨーロッパを初め世界じゅういろいろ大きな問題を場合によっては生んでいる問題でもあるし、私はそういうことを日本でやるべきではないだろう、このように思っております。

下村委員 全く同感でございまして、これは我々は憲法違反であるというふうに思っております。

 また、よく推進派の方々が、韓国においても外国人の地方参政権を認めているではないか、このような主張をされます。確かに、日本人三百人ぐらいが選挙権があるそうでありますが、しかし、今御指摘のように、選挙運動そのものは外国人はできないんですね。これはもう粛々と、地方参政権はあるということですが、日本人が韓国で韓国の地方選挙を含めた選挙運動はできないわけであります。

 我が国はそのような法律が規制されておりませんから、外国人がこれから積極的な選挙運動をしていく可能性が出てきたときに、まさに、例えば竹島の問題とかあるいは与那国島とか、そういう諸島あるいは隣接している地域の問題、これは民族間紛争に過熱をして大変なことになる可能性も御指摘のとおりであるというふうに思います。

 これがもし、小沢幹事長は閣法でぜひ出すべきだと主張されているそうですが、閣議に出た場合には亀井大臣はどういう対応をされますか。

亀井国務大臣 これも先ほどの夫婦別姓と同じように、三党間において政策基本委員会において合意をしない限りは閣議に提出することはできない、そういう建前で三党連立を組んでおります。

下村委員 平野官房長官、この外国人地方参政権の法案の取り扱いは、今、政府でどのような状況でしょうか。

平野国務大臣 下村先生、さすがに論理的に御質問されるのであれですが、政府としては、地方参政権について法律を出すべく検討中でございますが、今、先生御指摘のような点、また亀井大臣の連立の中の御発言を含めて、いろいろな要素がございます。したがって、いろいろ多面的に議論をした上で結論を出していきたい、こういうふうに思っております。

下村委員 外国人地方参政権それから夫婦別姓の問題、これはいろいろな問題が潜在しておりますので、慎重に対応していただきたいと思います。

 それでは、亀井大臣と千葉法務大臣は結構でございます。ありがとうございます。

 続きまして、天皇陛下の政治利用の問題について質問をしたいと思います。

 歴史は、そのときには小さなことのように思われても、後で振り返ってみればあれが分水嶺であった、こういうことがあると思うんですね。今回はまさに分水嶺になるかもしれない大変な問題だと我々は思っております。

 昨年十二月の十五日、天皇陛下と中国の習近平国家副主席の会見がありました。この特例会見問題は、象徴天皇制を超えた一線であり、鳩山内閣、民主党の憲法認識を欠いた政治判断でもあり、これを我々は厳しく追及したいと思います。

 今回の問題のポイントは、一カ月ルールの妥当性でも天皇陛下の健康状態や負担でもありません。天皇の公平性、中立性の観点から厳格に運用されてきたルールに従って宮内庁や外務省が会見なしと決め、官邸も一たん了承したのに、直前になって、首相、官房長官から宮内庁長官への職務命令で覆されたということです。官邸と宮内庁が対立し、首相からの指示によって天皇が動かされた、このことが表面化されたということはいまだかつてなかったことです。このことについては、一月二十一日の予算委員会で、我が党の谷垣総裁も取り上げております。

 まず、事実確認をしたいと思います。お手元に資料配付をしていると思いますので、この資料をごらんになっていただきたいと思います。

 まず、会見について政府が初めて正式に宮内庁に打診したのはいつでしょうか。

風岡政府参考人 お答え申し上げます。

 本件につきまして外務省から宮内庁の方に打診がありましたのは、十一月二十六日でございました。

下村委員 それに対して、どんなふうに宮内庁は答弁されましたか。

風岡政府参考人 その時点で一カ月を切っておりましたので、一カ月ルールについて、困難だというような趣旨の話をしております。

下村委員 それを受けて、十一月の三十日、ごらんになっていただきたいと思うんですが、政府として中国側に不可能と伝えたのは事実ですか。十一月三十日。

武正副大臣 下村委員にお答えをいたします。

 十一月三十日、外務省から、御引見の実現は不可能である旨を在京中国大使館に伝達いたしました。

    〔海江田委員長代理退席、委員長着席〕

下村委員 それを受けて、十二月七日、平野官房長官が再度宮内庁に打診したのは事実ですか。また、中国側に正式に不可能と伝えた、伝えたにもかかわらず、再度宮内庁に打診したのはなぜでしょうか。

平野国務大臣 十二月の七日に、私の方から宮内庁長官に電話で、天皇陛下の御健康が許す限り引見をお願いできないかということを申し入れたことは事実でございます。

下村委員 この十二月の七日に、宮内庁の羽毛田長官が再び断ったのは事実ですか、宮内庁。

風岡政府参考人 十二月七日の時点で、官房長官から宮内庁長官にお話がありました。私どもの長官の方からは、これまで一カ月ルールに基づいて運用してきておりますので、これをぜひ尊重していただきたい、その旨の話をさせていただきました。

下村委員 さらに、十二月の九日に、平野官房長官が崔天凱中国大使と官邸で会談し、陛下のお体のこともあり大変厳しい、首相と相談して結論を出したいと伝えたのは事実でしょうか。

平野国務大臣 十二月の九日に大使とお出会いをしたことも事実でございますし、そのときに私は大使に、陛下の健康のこともあるということで、総理と御相談をして御判断をさせてもらう、こういうことを伝えました。

下村委員 同日、その十二月の九日に崔大使は、国会内で小沢幹事長と会談し、何とかして習副主席が天皇陛下と会えるようにしてほしいと協力要請を同時にしているんですね。それを受けて、十二月の十日に、平野官房長官が羽毛田長官に対して三度目の会見要請を行ったのは事実でしょうか。

平野国務大臣 小沢幹事長とお会いになったということは、私は承知をいたしておりません。

 三度目もやっているということでございますが、それはございません。

下村委員 十二月の十日に、平野官房長官が羽毛田長官に対して三度目の会見要請を行った、これは新聞報道に出ていますけれども。

平野国務大臣 私は十日に二度目のお願いをしたことは事実でございます。

下村委員 十日に三度目の要請をしたんじゃないですか。三度目になりますよ、今度で。

平野国務大臣 私は、宮内庁長官にお願いしたのは電話でございますが、二回しかございません。

下村委員 官邸サイドからをトータルすると、そうすると三度目というふうに訂正します。長官自身は二回。

 十日の日に、羽毛田長官に対して再度要請をしたということでよろしいわけですね。

平野国務大臣 外務省からの要請も官邸サイドということであるならば三回かもわかりませんが、いわゆる官邸サイドで要請したのは二回だと私は承知いたしておりますが。

下村委員 そうしますと、会見が決まったのは十二月の十日だということになりますが、これは事実ですね。

平野国務大臣 決まったという話は、私は外務省からお聞きをいたしました。

下村委員 いや、外務省から聞いたにしても、会見が決まったというのは十二月の十日であるということは事実ですね。

平野国務大臣 私が長官にお願いをし、その結論は、あとは実務的なことでやるからということで外務省とのやりとりの結果、外務省から決まったということをお聞きいたしました。

下村委員 今の官房長官の答弁のように、最終的に決まったのは十二月の十日なんですよ。鳩山総理は、十一日の記者会見で、一カ月を数日間切ればしゃくし定規でだめだということで、果たしてそれが本当に諸外国との国際的な親善の意味で正しいのかという話をしている。実際は全然違うんですよ。今、認めましたね。

 つまり、会見が決定した、最終的には会見のわずか五日前なんですよ。一カ月ルールを数日間破ったどころの話ではなくて、会見そのものについて決まったのはそのわずか五日前。これはまさに、鳩山総理の言っていることは全然違うということじゃないですか。どうですか。

平野国務大臣 それは下村先生、論理の飛躍ではありませんか。私どもは、先ほど宮内庁次長も言いましたが、当初申し上げたのは十一月の二十六日。私が別のサイドから非公式に承っておりますのは、十一月の十九日に要請をしているというふうにも聞いておるわけであります。

 したがって、決定をもって、こういうことの今先生の論理展開をされる、こういうふうになりますと、いろいろなところでありますから、私は、今言われた四、五日前に決定したものを一カ月ルールを大幅に無視してやったというのは、飛躍した論理ではないでしょうか。

下村委員 それは、平野官房長官の今の論理そのものが飛躍していますよ。みずから、あなたが十二月の九日に崔大使と会談して、難しいと答えているじゃないですか。だから、決まっていないんですよ、全然。九日には決まっていなかったんですよ。決まったのは、実際は十日ですよ。私の論理の方がはるかに正しいでしょう、それは。

平野国務大臣 決まる決まらないよりも、要請という形が一カ月のルール、これを宮内庁と外務省でお決めになっていることじゃないでしょうか。

下村委員 では、一カ月ルールというのをもう一度説明してください。どういうことですか。

風岡政府参考人 天皇皇后両陛下への外国の賓客の接見につきましては、原則としまして、接見希望の日の一カ月前に外務省から私どもの方に接見願の提出をお願いするということで、一カ月ルールというものを運用させていただいているところであります。

下村委員 宮内庁に確認しますけれども、そうしますと、会見が決定するのが実際会見の行われる五日前、こういうことは今までありましたか。

風岡政府参考人 細かいところまで全部承知はしておりませんけれども、そのようなケースは承知しておりません。

 ただ、今回のケースにつきましては、先ほどお話がありましたように、十一月二十六日の時点で、事務的ではありますけれども私どものところへ話が来たというところから出発しているので、通常のケースとちょっと違うんじゃないかというように理解しております。

下村委員 では、宮内庁にもう一度お聞きしますけれども、十一月の二十六日に来た、しかし断ったんでしょう、受けたわけじゃないでしょう。違うじゃないですか。はっきり言ってください、それは。

風岡政府参考人 その時点では、先生御指摘のとおり、お断りをさせていただきました。

下村委員 では、もう一度確認しますが、宮内庁で、最終的に天皇陛下が習近平副主席との会談を了解したと返事したのはいつですか。

風岡政府参考人 平野官房長官から私どもの宮内庁長官に、十二月の十日の日に御連絡がまたありました。その時点で、総理からのお話だということで、私どもの宮内庁長官は、御引見をお願いするということで決めたところでございます。

下村委員 ですから、宮内庁は、十二月の十日以前まではこれは断っていたわけですよ。最終的には再三再四の要求で受けざるを得なかった、十二月の十日に。そういうことなわけですよ。

 なぜ十二月の十日に受けざるを得なかったのか。それはまさに、民主党小沢幹事長訪中団が十二月の十日に北京で胡錦濤国家主席と会談したわけです。国会議員百四十三人、一人一人ツーショットで写真を胡錦濤国家主席に撮ってもらった。このような、私から見たらまさに朝貢外交、この見返りとして中国に依頼され、強引にひっくり返して天皇陛下との会見を決めたということですよ、これは。

 これに対して鳩山総理が、実際は一カ月ルールを二十五日もオーバーしていたのにもかかわらず、十一日の記者会見で、一カ月を数日間切ればしゃくし定規でだめだということで、果たしてそれが本当に諸外国との国際的な親善の意味で正しいのかと。まさにこれこそ政治利用じゃないですか。いかがですか、官房長官。

平野国務大臣 下村先生ともあろう方が、これは言いがかりだ、私はこういうふうに思います。

 実際、小沢幹事長が中国へ行かれている、そういう話も、そのことをしんしゃくしてやっているわけでも何でもありません。本当に二国間の親善交流、こういうことで、陛下にお体の許す限りお願いできないかと、素直な純粋な気持ちでありまして、政治利用とは全く無関係でございます。

下村委員 いや、官房長官ともあろう人が、質問者に対して言いがかりという言い方こそ、まさに言いがかりでしょう。それは撤回して、もう一度きちっと説明してください。

平野国務大臣 言葉が過ぎたことをおわびします。

下村委員 まさにこれは小沢幹事長に対しての相当の萎縮といいますか、あるとしか考えられないですね。平野官房長官ともあろう人がそのような発言をするということ自体、これはまさに、小沢幹事長をそこまでしてあなたは守る必要があるんですか。それを申し上げたいと思います。

 さて、内閣法制局それから宮内庁は、天皇の行為を、一、国事行為、二、公的行為、三、その他の行為、こういうふうに分類しています。習副主席との会見は正確には外国首相、国会議長クラスと会う引見に該当し、外国元首、王族と会う会見と区別されますが、会見、引見ともに、公的行為に分類されることには違いはない。つまり、小沢幹事長の国事行為という言葉は間違いだったわけですね。

 憲法は、第四条で「天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。」とした上で、国事行為を具体的に列挙することで天皇の権限に強い制限を設けています。ですから、国事行為については、天皇の意思とかかわりなく、内閣の助言と承認によるとされています。

 一方、今回のような公的行為、これは、公的な立場の天皇の意思によるもので、国事行為とは違い、内閣の助言と承認は不要というのが内閣法制局の見解です。ただ、象徴たる地位にふさわしいものであり、政治的な意味や影響を持たないよう、行政として、第一義的に宮内庁、だから第一義的にはやはり宮内庁なんですよ、そして次に内閣府、最終的には内閣が責任を持つとしてきた、そういう解釈だと思います。

 天皇の公的行為について内閣が責任を負うということは、時の内閣あるいは党派の都合や政治判断で天皇を意のままに動かしていいということを意味するものではありません。その行為が象徴天皇にふさわしい、非政治性、中立性、公平性を損なわないよう責任を持つということが本来の趣旨であるはずです。

 我々は、明らかに今回のケースは政治利用だと考えています。政府が今のように、そうでないと言い張るのであれば、だれでもわかるようにルールを明らかにすべきだ。このことについては、一月の二十一日に我が党の谷垣総裁が質問しています。このことについて平野官房長官は、きちっと政府の統一見解を出す、統一したルールを定める、このように答弁していますね。いかがでしょうか、その後。

平野国務大臣 今、下村議員がおっしゃったことはごもっとも、まさにそのとおりだと私は理解をいたしております。

 また、加えて、この委員会で、御党の谷垣総裁から公的行為についての統一見解を求められていることも事実でございまして、公的行為、国事行為、その他私的行為、こういう三つの体系になるんだろうと思っておりますが、今、私、過去の法制局長官が御答弁されたところをずっと精査いたしておりまして、公的行為というのはかなりの幅のあることでございまして、具体的にいろいろな事象でもって公的行為ということになるわけでございます。

 したがいまして、統一見解、これを委員会の方に出せという委員長からの御指示でもございますので、お出しをしたい、このように思っております。

下村委員 今、長官から御指摘があったように、これは委員長が指示をしていただいたことでもあるわけです。いつまでに出しますか。いつごろがめどになりますか。時期について明確にお答えください。

平野国務大臣 私はお出しをいたしますので、理事会でいついつまでに出せということを言っていただければ出したい、こういうふうに思っております。あす出せということを言われると困りますが、いついつまでに出せということであれば、お出ししたいと思います。

下村委員 委員長、では早目に取り扱いについて対応をよろしくお願いいたします。

鹿野委員長 後刻、理事会におきまして協議をさせていただきます。

下村委員 今回の問題は、鳩山内閣の政治判断の決定的な誤りであると私は思います。

 今回の御引見は、鳩山政権の対中外交を円滑化するために、一カ月ルールの慣行を破り、しかも、宮内庁は慣行を理由に二度にわたり断り、一度は正式に中国政府までその回答を行っている。それにもかかわらず、鳩山総理の強い指示により、これは小沢幹事長の影響が相当あったということでありますが、強引な形で実現されたものです。

 これは、政治的な意味を持つ行為、政治的な影響を持つ行為に当たり、それを指示した総理の判断は天皇陛下の政治利用に当たる、まさにそのとおりだと思います。また、鳩山総理自身が、日中関係を未来的に発展させるために大きな意味がある、判断は間違っていない、このように発言したこと自体が、実は政治的な意味を持ったさらなる問題であるというふうにも思うんですね。

 今後の影響についても、宮内庁長官の会見を引くまでもなく、天皇陛下のお務めのあり方、天皇の役割といった基本的な事柄にもかかわるものである、そういう認識が鳩山内閣において欠如している。鳩山内閣の判断に対する責任は重大である。これだけでも私は、鳩山総理、そしてその間に入って対応した平野長官、これは辞職に値すると思います。どうですか。

平野国務大臣 先生にお答えをいたします。

 今回の公的行為、天皇陛下にお願いしたことは、決して天皇の政治的利用ではありません。ここははっきりしておかないと先生の論理が崩れると思いますから、私はここははっきり、政治的利用ではございません。

 少なくとも、天皇陛下の国際親善活動というのは、天皇の象徴としての地位に基づいて行われるものでございます。国政に関する権能を有しない天皇陛下による純然たる二国間の友好親善を目的としたものでございますので、そういうことでございます。

 したがって、いま少し補足をいたしますが、一カ月ルール、こういうことでございます。これは一義的には宮内庁と外務省との間に決められたルールでございますが、過去、私も随分御指摘をいただきましたから、一カ月ルールに合致しなかった例をひもといてみました。(下村委員「いや、いいですよ、それはもう」と呼ぶ)いや、これはぜひ言わせてください。(下村委員「では簡単に」と呼ぶ)ええ、簡単に申し上げます。

 平成十五年からでありますと、約六件ございます。平成十七年二月にも一件ございます。いま一つは、米国オバマ大統領の訪日の期日についても、期日が変更しております。これについても同じことが言えるのではないでしょうか。

下村委員 そもそも、第一義的責任を持つ宮内庁が二回も断っている、にもかかわらず会見の五日前に決まった、こんな事例はないと思いますよ。だからこそ、今お話しのようなことは全くこれは主観的な話ですから、きちっとした政府の統一見解を早く出してほしい、こういうことであります。

 さらに申し上げれば、内閣の一員でもない民主党の小沢幹事長は、今回の件も含む天皇陛下の公的行為について数々の発言を繰り返しています。例えば、天皇陛下のお体がすぐれないと、体調がすぐれないというのであれば、それよりも優位性の低い行事をお休みになればいいことじゃないですかとか、天皇陛下御自身に聞いてみたら、手違いでおくれたかもしれないけれども会いましょう、必ずそうおっしゃると思うよとか、あるいは、十二月の十二日に韓国の大統領との懇談で、天皇陛下の訪韓は、韓国の皆さんが受け入れてくださるのなら結構なことだ、こういう発言をしているんですね。

 このような天皇陛下のお考えをそんたくするような発言、これはまさに、公党の幹事長として、また一国会議員としても極めて不適切であると思います。このような小沢幹事長の不見識並びに憲法認識の欠如について厳しく指摘をしておきたいと思いますし、まさにこれ自体だけでも国会議員辞職に値すると考えます。

 それでは、次の話題に移ります。

 川端文科大臣にお聞きしたいと思いますが、平野長官はちょっと関連でお聞きしますので、済みません、ちょっとお残りください。

 今、冬季オリンピックが始まっていますね。きのうのスポーツ新聞。国母和宏選手、スノーボード男子ハーフパイプのメダル候補であるそうですけれども、全日本スキー連盟からの指示で日本選手団の入村式への出席を取りやめた、日本からバンクーバーへの移動の際、公式服装のシャツを腰から出すなど服装の乱れがあったことが理由である、萩原監督らコーチ陣は日本オリンピック委員会から注意を受けた、国母は反省の言葉を口にしたが、動揺はなし、十七日の競技に向けておれ流の姿勢を貫いたということで、スポーツ新聞が大きく取り上げています。

 朝青龍の問題もそうですけれども、文科大臣として、このような記事についてどんな御感想をお持ちですか。

川端国務大臣 お答えいたします。

 詳細な事実関係はまだ私の手元に入っておりませんから、報道を見聞きした範囲内での感想でしかございませんが、国民注視のもとにオリンピックが開かれ、まさに日本の選手団が日の丸を胸に参加したときに、ファッションという意味ではそういう服装もあるのかもしれませんが、日本選手団の代表としての服装としては、やはり全く適切ではない服装をしたことは極めて遺憾なことであると基本的には認識をしております。

 同時に、選手団一行として行動するに際してそういう服装をしたときに、コーチも一緒にいたということでいうと、きっちりとそういう部分の指導もしていなかった。

 加えて、会見、私もテレビで見ましたけれども、会見が本当に反省をしているという態度でなかったことも、本当にみんなの期待を受けて、国を代表して参加しているという自覚は著しく欠けていたというふうに思います。

 そういう中で、団長がしっかりお話をされて、新たなこういう、ハーフパイプ、スノボーですか、を含めて、スポーツを目指している子供たちのためにもしっかりと希望を与える活躍をしなさいという団長の御判断と説得で、臨むという事態になったことと私は承知しておりますが、基本的には、やはりスポーツは、オリンピックだけではなくてスポーツも含めて、健全な精神を養うためのものでもあるという意味で、いかに自由な行動が一方で担保されているとはいえ、こういうことは二度とあってはいけないことだというふうに思っております。

 以上です。

下村委員 今、大臣が御指摘のように、我が党の参議院議員でもあります橋本聖子団長が厳しく指導したということでございます。

 これは公的な行事で、なおかつ、この服も支給されている公式の服装ですね。さらに、日本選手団ハンドブックに、公人としてあなたの行動は、すべての人が常にどこかで見ていることを忘れてはなりませんと書かれているそうであります。

 ファッションとしてはあり得る話かもしれませんが、しかし、こういう場で自己流のファッションで一緒に入ってくるということは、諸外国の選手でもほとんどあり得ないことだと思うんですね。これはまさに教育の問題だと思います。

 これは監督官庁として、文科省として、しっかりとJOCに対しても、選手の指導、さらに徹底をこういう場ではしていただきたいと思います。いかがでしょう。

川端国務大臣 御指摘の部分、私も同感でありますので、しっかりと対応してまいりたいと思います。

下村委員 それでは、これから高校無償化法案に入りますので、宮内庁、外務省の方は退席していただいて結構でございます。

 高校無償化法案について、先日も質問をいたしました。これは、川端文科大臣、先日も御指摘をしましたが、新たに四千億近い税金を投入する中で、そこになぜそれだけのことをするかという明確な目的、成果、効果、国民の血税を使うわけですから、無償化はするけれども高校教育は今までのままでいい、そんなふうに思っている国民はだれもいないと思うんですね。

 ですから、当然、これについては、新たな高校教育における目的、成果を文部科学省として、文科大臣としてきちっと考えていただきたいと思うんですね。しかし、前回の答弁は、私からすると全く、目的、成果、効果、これは述べていません。その後変わったのか、変わっていなければ結構ですけれども、変わったのであれば、お答えいただきたいと思います。

川端国務大臣 お答えいたします。

 前回、少し言葉足らずであった部分で、改めてお話をさせていただきます。考え方が変わったわけではありませんが、前回、しっかりと説明できていなかったのかなという反省はしております。

 九八%以上の子供たちが現実に高校に通っている、そういう意味では、日本の後期中等教育をしっかり支えているという意味では、ここを経て子供たちが育っていっているわけですから、その部分で、その教育効果が社会に還元されているということ自身は事実だと思います、その中身はいろいろな議論があるのはおいておきまして。そういう意味で、高校教育が社会に大きな貢献をもたらし、効果をもたらしているという意味で、社会がその全体を支える制度にしたいというのが基本的な私たちの考えです。

 同時に、その勉強する環境において、経済的な諸要因がいろいろ学業に影響を及ぼしている現状もたくさん、学費の問題とかありますので、そういう部分で、経済的負担を基本的には大きく考えないで勉強できる環境をつくるということで、勉強に打ち込めるという環境をつくることも一つの効果であろうというふうに思っています。

 そういう意味では、具体的な部分では、年間に二千数百人から三千人の中退者が現に今出ています。経済的理由による中退者が出ています。そういうところへの効果は間違いなく波及されると思うんですが、私が一番大事に思うことは、高校の教育でいろいろな課題が指摘をされて、中教審でもたくさんの議論で、今までもいろいろなことがされてきましたけれども、その中で私は、学力と公共性、この二つだと思っています。

 一つは、やはり学力が、高大接続の問題でも、大学で、もっと勉強してもらわないと、大学の教育で高校をさかのぼってやらなければならないという問題が出ているのは御案内のとおりです。そういう中で、社会が子供たちの高校に莫大な税金を使って授業料を無償化あるいは援助をするということで、子供たちに、こんなにあなたたちが勉強をして育っていくことを期待していますよという強い強い税金を伴ったメッセージだと私は思います。期待をしているという以上、子供たちは期待にこたえて勉強してくださいということが一つ。

 もう一つは、子供たちがややもすると、小学校、中学校、高校と行くにつれて、社会性、公共性というものが薄れるという傾向がよく指摘をされます。そういう意味で、みんな、大人たちが税金を使ってあなたたちの勉強を支えている状況というのは、あなたたちが社会というものをいま一度しっかり認識してほしい、そして、勉強の環境をつくってもらったことでしっかり勉強すると同時に、保護者も含めてですが、社会、公共というものをいま一度しっかりと自覚をして、立派な大人になるということの自覚を促すという効果を私は強く期待しております。

 以上です。

下村委員 今、経済的な理由で高校中退をする生徒が二、三千人とおっしゃいましたか。全部で、毎年どれぐらいの高校生が中退されているか御存じですか。

川端国務大臣 お答えいたします。

 合計で、全部でいいますと、六万六千二百四十三名です。そして、中退の状況調査という部分で、主として何が理由でありましたか、一番初めの理由は何ですかということで、経済的理由と答えた人が二千数百人いるということでございます。

下村委員 川端文科大臣がみずからお答えになったように、実際、経済的な理由で中退する生徒は二、三千人なんです。中退そのものは七万人いるんです。つまり、経済的な理由というのはメーンじゃないんですね。

 今回の高校無償化法案というのは、そういう意味では、学力と公共性とおっしゃっていましたけれども、それだけの税金を投入するわけですから、例えば高校中退に対しても、二、三千人については何らかのインセンティブはあるでしょう。でも、それ以外の六万七千人の高校生にとっては、これによって解決する話ではないんです。

 つまり、それをさっきから申し上げているんですね。それだけの税金を投入するのであれば、先ほど学力と公共性とおっしゃっていましたが、では学力をどうするのか、今全くお答えになっていません。そういうことを一つ一つ積み重ねながら、あるべき高校教育というのをきちっと同時に理念として、教育目標を成果として打ち出さなければ、これは全く意味がなくなってしまう、こういうことを指摘しておきたいと思いますが、時間の関係で、これは改めてまた議論をさせていただきたいと思います。

 私は、次の部分として、無償化の対象、どこまで対象にするのかということについて、特に、今マスコミ等で報道されている、つまり国民の皆さんに関心がある分野について幾つか御質問をしていきたいと思います。

 まず、各種学校の対象、生徒をどこまでするかという問題です。

 二月十一日の産経新聞によると、北朝鮮が過去半世紀以上にわたり、在日朝鮮人に民族教育を行う各種学校、朝鮮学校に対して総計約四百六十億円の資金提供を実施し、昨年も約二億円の教育援助金を送金していたことが明らかになり、資金提供を通じて北朝鮮が朝鮮学校に対する政治的支配力を確保している実態が改めて浮き彫りになったと報道されています。

 まず、政府は朝鮮学校に対する北朝鮮からの送金について事実を確認しているかどうか、お聞きいたします。

川端国務大臣 お答えいたします。

 過日報道が載ったことは、記事としては私も読ませていただき、承知をしております。

 ただ、文部科学省としてこの事実を確認したことはございません。

下村委員 いわゆる学校法人ではないからですね。文部科学省としての直接の監督権を持っていないということだと思います。

 朝鮮学校で行われている教育というのは、北朝鮮を祖国と呼ぶ、北朝鮮の公民化教育、民族教育が行われております。この朝鮮学校への公金の支出というのは、ですから、憲法八十九条の、公の支配に属しない慈善、教育もしくは博愛の事業に対し、これを支出してはならない、こういう点からも問題が生じるのではないかと思いますが、この各種学校の中に朝鮮学校は入る可能性があるのかどうか、確認いたします。

川端国務大臣 お答えをいたします。

 このたび、高校無償化法案を提出するということを、この予算の審議の後、予定をいたしております。閣議決定をしたところでありますが、その中では、専修学校及び各種学校について、高等学校の課程に類する課程として文部科学省令で定めるものという基準で対象を決めようという法の仕組みをとる予定にしております。そういう意味で、専修学校と各種学校をどういう基準でその対象とするのかしないのかは、これからの国会の議論も踏まえて、最終的に省令で決めてまいりたいというふうに思います。

 御指摘の、朝鮮人学校のことについてお問いでありますが、朝鮮人学校を入れるか入れないかということではなくて、各種学校をどういう基準で判断するかということをしっかりと議論して決めてまいりたいというのが現状でございます。

    〔委員長退席、海江田委員長代理着席〕

下村委員 各種学校であれば一律に対象とするということではなくて、一つ一つどれが対象になるかならないか、これを省令で決めていくということなわけですね。

 しかし、これは四月一日からですよね。きょうはもう二月の十五日、あと一カ月半。いつ決めるんですか。なおかつ、省令ということであれば、これは国会審議は要らないということになるんじゃないですか。文部科学委員会等で審議されないんじゃないか。今のお話ですと、国会審議できちっと、この各種学校、どんな学校が入るか入らないか、これを議論を踏まえてというふうにおっしゃっていましたけれども、これはきちっと国会の場での議論を担保して、それで省令で決めるということでよろしいわけですね。

川端国務大臣 お答えいたします。

 法律の仕組みとしましては、法律が決まった後省令を決める、法律に基づいて省令を決めるという手順であることは御案内のとおりだというふうに思います。そういう意味では、最終的に法律が通った後、省令は最終責任者は私でありますので、私の責任で決めるという手順を踏むことになります。

 ただ、その省令をどう決めるかのことに関して、いろいろ、きょうのそういう先生の御議論もあります。いろいろな議論、そして基準をどうするかということを今鋭意省内も検討しておりますので、そういうことで、最終的には法律が通った後決めていきたいというふうに思っております。

下村委員 法律が通った後決める。これは当然国会でですよね。参議院も含めてですよね。参議院で法律が通った後、決める時間があるんですか、省令。四月一日からスタートできるんですか。

川端国務大臣 法律の審議はまたそれぞれの担当の委員会でされると思うんですが、そこの議論もいろいろ出てくると私は予想をしております。

 そういう意味で、今、実は、高校に準じるという「高校」は、中学校という義務教育を卒業したといういわゆる受験資格があり、授業時間数にも決まりが一定時間以上あり、修業年限もあります。専修学校、各種学校においては実に幅広にいろいろな状況の学校がありますので、そういう部分を、先生おっしゃいましたように、公金を支出するという憲法上の問題もあります。

 そのことを踏まえて、国会でもいろいろな御意見も出るということを踏まえて、最終的にはその議論の過程も踏まえて省令で決めさせていただきますが、国会においても充実した議論ができるように、法案審議のときにはまたその現場の理事会協議もあると思いますが、我々としては誠意を持って対応してまいりたいと思っております。

下村委員 基本的には法律が通ってそれから省令を決める、しかし国会審議の中で議論もしていきたいということですね。そういうことであれば、あえて質問したいと思うんですけれども、大臣の文部科学省はこれと相矛盾することを今やっているんですよ。

 それは、本年の一月十四日と十五日、各都道府県の事務担当者を集めて、公立高校の授業料無償化及び高等学校等就学支援金説明会を開催して、鈴木文科副大臣も出席して、かなり詳細に制度概要や実施に係る事務について解説している。さらに、既に各地の高等学校などが文部科学省の当該ホームページにリンクを行っており、制度の成立、開始が前提であるかのような状況になっているんです。

 実務を担う都道府県に、制度について丁寧に説明を行うのは当然です。四月一日の施行を目指して急ぎたい気持ちもよく理解できます。しかし、今慎重な言い方をおっしゃったとおりであって、平成二十二年度予算案も審議しておらず、今、法案が国会に提出される前の段階で、制度の成立を前提に行政が地方自治体に対する説明会を開催するがごとき行為、これは、予算案や法律案が国会で修正される可能性だってあるわけです、成立しない可能性だってあるわけです。これは憲法第四十一条及び憲法第八十六条に抵触する可能性がある。これはまさに国会軽視じゃないですか。

 この説明会についてどう思いますか。

川端国務大臣 お答えいたします。

 委員、いみじくも言っていただきました。私たちとしては、新年度が始まる四月一日から円滑に実施をしたいという願いを持っております。

 しかし、御案内のとおり、予算案と法律は国会の審議を経ないと成立できません。そういう意味で、私たちは、今お触れいただきました地方に対しては、一方、地方の自治体、首長さんからは、できるだけしっかり説明してほしい、混乱が起こらないようにという要望も正式にいただいております。したがいまして、今御指摘の説明会は、今私たちが国会に出している予算案の中身と、それから提出を予定している法案とはこういうものですということを説明しているのでありまして、成立が前提としてということでやっているものではありません。

 趣旨としては、成立させていただきたいということで、成立した状況の中で円滑にスタートできるようにという思いだけでございまして、もう通ったのを前提にしているということではないことだけはぜひともに御理解をいただきたいと思います。

 以上です。

下村委員 先ほど大臣がみずから言われたように、例えば各種学校をどこで線引きするかどうか、これからの議論だ、わからないわけですよ。そういう中で説明するということは、まさにその整合性、論理性、自治体からしたら相当困る話になってくると思うんですね。これは国会の議論も踏まえてということもおっしゃっているわけですから、その辺の線引きについては、きちっと文部科学省が考えていただきたいと思います。

 各種学校と同様に専修学校、これも線引きの問題がありますね。この一条校化、この検討はどうなりますか。

川端国務大臣 今回の無償化法案の、線引き、説明のこと、今御指摘の部分は、まさに今、政府の予算の原案と法律の予定している案、そして、私も答弁いたしましたけれども、決まっていない部分は決まっていないということも含めて、地方自治体に誤解のないようにしっかりと説明はしてまいりたいと思います。

 それと、専修学校におきましても、実は、修業年数が非常に短いものもあれば、入学資格が義務教育卒業の資格でないもの等々を含めて、まさに千差万別でございます。そういう部分の一定基準はこれから整理をしてまいりますが、それとは別に、長年、一条校化問題というのはそれぞれの学校から強く要望を受けているところであります。国として、どういう形で学校として認める条件を整えるかは、これはもう長年の議論でもございます。これは、引き続き、実態を踏まえながらしっかりと議論をしてまいりたいと思っております。

    〔海江田委員長代理退席、委員長着席〕

下村委員 先ほどの各種学校の省令の線引きを含め、これは文科大臣の方で、国会審議に供するように、基本的なたたき台についてはぜひ早目に提示をしていただきたいと思うんですね。それが一番、国会の中の論戦で結果的にスムーズに省令を決めることにつながってくるというふうに思います。

 同じように、このような非常に重大な制度変更を行うわけでありますから、やはり早目早目に、基本的なたたき台、案というのは文科省がきちっとつくるべきだというふうに思います。そうでなければ、いざというときに周知期間がとれなくなってしまう、こんなふうに思うんですね。

 例えば、公立高校については何もしなくても高校生は授業料は取られない、私立高校生は十一万八千八百円分の授業料を払わなくてもいい、これは国民にはまだ周知されていません。ですから、どんなふうにするのかというのが文科省として具体的に出ていないんですね。

 それから、同じように、公立高校の授業料相当額、十一万八千八百円ですけれども、これは全国一律ではありません。例えば、東京都でしたら十二万二千四百円なんですね。大阪府でしたら十四万四千円です。これをどうするかというのも、いまだに明らかになっていない。こういう部分は早目に明らかにする必要があるんじゃないでしょうか。

川端国務大臣 お答えいたします。

 国会の審議に資する部分でできるだけ早目早目に考え方をということ自体は、国会審議を充実するためには非常に大事なことだというふうに私も承知をしております。そういう意味では、この無償化法案の審議のときまでに、基本的にいろいろな形が可能な限り整理できるようには努力をしたいというのは、先ほど申し上げたとおりであります。

 そして、御指摘のように、全国一律にすればいい、東京、大阪の部分を含めて。基本的な考え方、制度上の部分まで詰め切れていないことは事実ですが、今回の制度は、地方が公立高校における授業料減免を既にしていただいている分と、それから地方が授業料を生徒さんから、親御さんからでしょうが、集めている分でいうと、この集めている分を事実上国庫で補てんしましょうということで一人当たり十一万八千円という計算なんですが、授業料の減免分ということが、どれだけやっているかが都道府県によって違います。そして、授業料もおっしゃるように違います。そういう意味で、十一万八千円掛ける在校生徒数という一律の計算をしますと、都道府県によって、極端に言えば、非常に足りないところと非常に多く出るところが出ることは事実である。特に東京、大阪においてそういう状況が起こるということになりますので、このことは、制度導入の部分で知事会からも御要望もいただいていることを踏まえて、当該都道府県の実情もしっかり今お聞きしている途中でありますので、何とか、大きな乖離で混乱や負担が非常に厳しくなるということのない激変緩和策を含めて、今検討しておるところでございます。

 そういう意味では、いろいろな制度に関して、期限が迫っておりますが、だんだん詰まってきている部分もありますので、そういう部分は議論に供していきたいという、御指摘は重く受けとめさせていただきたいというふうに思います。と同時に、一方で、先ほど言われたように、まだ決まっていない、法律もないのにという非常に難しい部分も正直言ってありますので、議論に供するということの整理をする中では、対応を最大限努力させてください。

 以上です。

下村委員 私が申し上げているのは、議論に供するたたき台を文科省が早目に出していただかなければ、結果的に一番困るのは地方自治体であり、あるいは私立学校であるということを申し上げているわけであります。

 同じようなことを前回も公私間格差で御質問を申し上げましたが、私は、率直に言って、やはり答弁になっていないと思いますよ。

 授業料を無償化するということであれば、義務教育と同様に、希望する者にはひとしく無償化の恩恵が受けられるようになって初めて無償化だというふうに思うんですね。私立高校というのは、高校教育において既に重要な役割を担っているんです。公立高校だけが高校じゃないわけです。

 ですから、当然、今回は公立高校の無償化ですから、私立高校については相当額については無償化になるけれども、それ以外については無償化じゃないわけですから、前回も申し上げましたけれども、授業料比較でいえば、一対四がゼロ対三ぐらいになっちゃうんですね。つまり、心理的にいうと、さらに公私間格差が広がるんですよ、やはり。

 これをどうしていくかということで、前回申し上げたように、地元からは、子供を持っている親からすれば、それは公立高校の定員をさらにふやしてほしいと。つまり、無償の高校をふやしてほしい、親としてはそういう思いがあるでしょう。しかし、一方で、前回指摘申し上げたように、既に七割の私立高校は赤字経営ですから、無償化が導入されることによって、倒産してしまう可能性はやはり高くなってくると私は思いますよ。

 この公私間の格差を完全に是正していくということこそ、ある意味では目指すべき高校無償化であるというふうに思いますが、いかがですか。

川端国務大臣 前回も同じお問いがありまして、少子化の時代がずっと最近続いていますので、充足率が約七十数%ということで、私学の高校は経営の環境が極めて厳しいことは御案内のとおりであり、先生もそれを御心配されているし、私学関係者からもそういう声がある。

 そして、基本的に、十一万八千円分プラス二百五十万円以下、三百五十万円以下に上乗せをするとはいえ、差額は変わらないといっても、ゼロと二十四万円という部分は心理的に大きな影響を与えるということも、御心配の向きは間違いなくあるというのは私も認識をしております。

 前回私が申し上げたのは、今回の高校無償化に伴って、これが引き金となって一気に経営が悪化するという事態は避けられるという認識を示させていただきました。要するに、私学の経営の助成という意味では、いわゆる経費助成としての国庫補助、それから地方財政措置、これは地方の自主性に任されているとはいえ、地方財政措置を含めては一定量を確保させていただきました。

 同時に、公私間格差においては、前回、国としては、基本的に十一万八千円全部に乗せると同時に、二百五十万円以下、三百五十万円という人に上乗せするということだけれども、既に今まで行われている、私学において二百九十億円相当が私学助成をしていただいている部分が、今回、それを我々が、国が下支えすることで上乗せされることを期待していると申し上げました。現に、四十七都道府県のうちで、既に、二百五十万円以下に関して言えば、全額助成をしている、もうこれ以上助成のしようがないという十二地方自治体を除いた三十五自治体においては、二百五十万円以下はすべて今より上乗せをするという方策をとっていただいております。

 そういう部分で、地方を含めて公私間格差が縮小するようにといういろいろな手だてをとる中で、このことが、今回の無償化をすることが直接の引き金になって非常に厳しくなるという状況は起こらないとは思っていますが、非常に厳しい環境にあるということの心理的な状況というのは、先生御指摘の部分は、私はそういう認識も間違いなくしっかりあることはわかっておりますので、引き続き、私学が健全に特色を生かしながらやっていけるようにはいろいろな施策を講じてまいりたいと思います。

 以上です。

下村委員 年収二百五十万あるいは三百五十万の私学の生徒の親の年収に応じたかさ上げというのは、対象がわずか一二%なんですね。ですから、事実上は、公私間格差というのはやはり拡大する、そういうふうに指摘を申し上げたいと思うんです。

 そもそも、川端大臣、最初、民主党のマニフェストでは四千五百億になっていたはずです。それが今回三千九百三十三億になったというのは、これは、六百億分は私学相当に親の所得に応じたかさ上げを考えていたのではないかと私は思うんですね。それによって、できるだけ公私間格差をなくしていこうと。しかし、財源がない。結果的には、公私間格差をなくすことはできない。

 このように、今の政府案というのは、お手元に配付されてありますけれども、我々は所得制限を設けています、所得制限も設けずに無償化するという過度の平等主義や均一主義によって、私立学校に通う生徒については学費負担を課す、こういうことにおいて不平等を拡大するという相矛盾する制度になっていると思うんですね。制度として合理性を欠き、政府案というのは、まさにマニフェストを無理やり実現するための矛盾や欠陥、この制度があるにもかかわらず実現をさせようという、子供たちのことを第一に考えて作成されたものとは思えません。

 これは私学の立場とかじゃなくて、子供の立場に立てば、授業料は無償化するのであれば、公立、私立の区別なく無償化するというのが本来はフェアであり、それができないのであれば、これは八日に示した自民党案のように、所得制限を設けて、それにより得られた財源を真に支援が必要な世帯に手厚く給付したり、公私間格差の解消のために使うなど、実質的な平等を確保するために使うことの方がより国民にとって公平公正ではないかと思いますが、いかがですか。

川端国務大臣 自民党案も先回お示しをいただき、きょうもお配りをいただきました。非常にきめ細かく、今、先生の思いを込めてつくられた案だというふうには思います。

 理念といいますか考え方の部分で、私たちは、高校というものが、特に国公立に関しては、社会全体で支えるという仕組みの国を求めたいと思っております。自民党案は、所得の一定以下の人に関しては、高校に関しての授業料あるいは就学に関する費用を応援するという制度でありまして、これは考え方がそこの部分で違うのかなという感想であります。どちらがいい悪いではなくて、そういう、親の所得のあるなしにかかわらず、高校が基本的に、可能な限り授業料がかからない方向で手当てをされていくという国を私たちは目指している。

 そのときに、先生おっしゃったように、それなら私学まで全部やるのが筋ではないかというのも一つの考え方だと思いますが、私学は一方で、私学の建学の精神というものがあり、これまで全部を国が管理するということは、先ほどの憲法上の問題だけではなくて、国が私学の独立性にどこまでかかわるのかということに関しても慎重であるべきだということで、マニフェスト的には、国公立は無償化を目指し、私学に関しては支援をするということを我々の基本理念としたところであります。

 以上でございます。

下村委員 時間になりましたから終わりにしますが、先ほど官房長官からも、夫婦別姓あるいは外国人地方参政権、慎重に対応していくというお話がありました。

 私は、この高校無償化法案も、地方自治体から見たら、四月一日スタートの中で、いまだにその全容が明らかでない、どこまでが範囲なのか範囲でないのかわからない、あるいは、地方自治体そのものも、どこまで相当額が上乗せされるのかどうかわからないということの中で、拙速な議論は避けて、十分な検討と慎重な審議が必要であるということをお訴えしまして、私の質問を終わります。

鹿野委員長 これにて下村君の質疑は終了いたしました。

 次に、高木美智代君。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 私は、子育て支援、また障害者福祉につきまして質問をさせていただきます。

 まず、その質問に入ります前に、最近、土木工学を研究していらっしゃる学会の方たちからこんな話を聞きました。コンクリートから人へという標語があるけれども、コンクリートを勉強している学生の未来を傷つけるようなことを言わないでいただきたい、人間社会にとって必要不可欠な材料であるコンクリートに不適切なイメージを形成する、これは緊急提言も日本学術会議等から出されております。

 たしか鳩山総理の息子さんも、東大、専門は社会基盤学、いわゆる土木工学専攻と伺っておりますけれども、一体これはどういうことなのか、官房長官に答弁を求めます。

平野国務大臣 高木先生にお答えをいたします。

 私の息子も建築工学でございまして、大変一生懸命やっておると思っております。

 今御指摘のコンクリートから人へ、こういう考え方でございますが、特に今の時代、人口減少社会あるいは少子高齢社会あるいは膨大な財政赤字、こういう日本の今置かれている状況を踏まえますと、今までの公共事業のあり方を見直して、人の経済に転換をしていくべきだ。象徴的な言葉としてコンクリートから人へ、いわゆるハードからソフトへ、こういうふうに構造転換をしていかなきゃならない。

 こういうことが一つの象徴的な言葉として、セメント業界、コンクリートに働いておられる方々には大変失礼な、不快感を与えたかもわかりませんが、そういう趣旨ではなくて、我々も必要な公共事業は必要である、こういうことでありますが、今申し上げたように、ハードからソフトへという構造改革をしていきましょう、人の経済に変えていきましょう、こういう概念で申し上げているところでございます。

 したがいまして、公共投資が地域経済の下支えや雇用の創出に関し一定の役割を果たしている、このことについては否定はしておりませんし、認識をいたしているところでございます。

 今後、私ども鳩山内閣としては、観光、農業、林業、介護などの分野に、しっかりとした産業を育てることによって、新しい雇用と需要を創造したい、こういうことでございます。御理解いただきたいと思います。

高木(美)委員 これは緊急提言が出されております。日本学術会議の土木工学・建築学委員会、社団法人土木学会、同じく社団法人地盤工学会、社団法人日本コンクリート工学協会、こうした研究をしている方たちは、今長官がおっしゃったようなことは十分御存じです。当然、緊急提言の中でも、地球温暖化で、災害の多発や激甚化が危惧されている中で、国際競争力に対応することも必要じゃないか、社会基盤整備が必要だ、しかし、この標語の趣旨というのは人間重視の社会基盤整備ということなのだろうと、十分御存じなんです。

 ただ、この言葉だけがひとり歩きをする、こういうことに対しておっしゃっていらっしゃるわけで、今の答弁ではちょっと足りないのではないでしょうか。やはり、こうした正しい認識を普及啓発していきますとおっしゃるのが官房長官のお立場ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

平野国務大臣 委員の、再度のことでありますが、これは決して建設業にかかわっておられる関係者の方々のなりわいと誇りを傷つけるものではございませんので、ぜひ深い御理解をいただきたいと思います。

高木(美)委員 それでは、こうした学会の緊急提言につきましても適正な、適切な対応をお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。では、官房長官、もう一度。

平野国務大臣 十分に趣旨を御理解いただけるように努めたいと思います。

高木(美)委員 それでは、続きまして、子育て支援について質問をさせていただきます。

 まず、Hibワクチン、また小児用肺炎球菌ワクチンの公費助成についてでございます。

 細菌性髄膜炎は、もう皆様御承知のとおり、年間一千人が発症し、約五%が亡くなり、約二五%が脳の後遺症に苦しんでおります。WHOからは既に十二年前に勧告が出されまして、Hibワクチンは世界九十カ国で定期接種が行われております。また、肺炎球菌ワクチンにつきましても三十八カ国以上で実施をされている。こういう数字を伺いますと、私どもが推進してまいりました子宮頸がんのワクチンも百カ国が使われているのに、日本と北朝鮮ぐらいが使われていなかった、こういうことを連想するわけでございます。

 小児のときに接種すれば、この肺炎球菌ワクチン、高齢期まで肺炎を防ぐ効果があるとも言われております。これまで我が党の地方議員が、自治体で署名を行ったり、それをもとに要請活動を行いまして、国会でもたび重なる質問をさせていただいております。

 そこで、長妻大臣に、公費助成について、いつまでにどのように対応するのか、明確に示していただきたいと思います。

長妻国務大臣 今御指摘のように、インフルエンザ、Hibによる髄膜炎、これは年間五百から六百名ほどの方が発生し、大部分が五歳未満のお子さんだということで、約一五%の方が亡くなったり重い後遺症で苦しんでおられる。もう一つの髄膜炎は肺炎球菌による、細菌でありますけれども、これについてもワクチンの必要性が言われ、肺炎球菌のワクチンについては、承認が昨年の十月十六日ということで、非常に日が浅いということもあり、我々としては、今後情報収集をして、今おっしゃられたような点についても検討を進めたい、この予防接種部会の先生方の御意見も聞きながら、二種類については検討を進めていきたいというふうに考えています。

高木(美)委員 恐れ入りますが、既に、例えば東京であればHibワクチンはもう昨年四月から、区市町村が行う場合は半額を助成しております。肺炎球菌も既にこの要請をさせていただいております。当然これは、任意のために家庭の経済的な理由で接種できなくなる、こういうことを防ぐためです。兵庫でも同様の申請が出ております。また名古屋市では、既に五種類のワクチンの半額助成、また非課税世帯には全額補助の方向で今検討がなされている。これは北海道のある町でもそうです。ここはもう既に助成をしておりまして、生後二カ月から五歳未満の乳幼児に、一回三千五百円助成、最大四回まで、こういう措置をとった町もあります。大阪の寝屋川市でも今同様の検討をしている。

 こういう自治体が検討している中で、めどが立てば、では、ことしやろうか、またその先検討していこうか、こうしたことができるのですが、もう一度スケジュールをお示しいただきたいと思います。

長妻国務大臣 我々も今御指摘の現状をよく承知しております。今、九種類ほどが定期接種ということで実施されておりますけれども、これについて、今、Hibワクチンは一回八千円程度、自己負担で四回打たなければならないということで、非常に自己負担が高いという現状もよく認識しております。

 ただ、いつこれが実施できるかというのは今確定的に申し上げる材料がございませんけれども、先ほど申し上げました有識者の御意見も聞きながら我々は検討を進めていくということが今申し上げられることであります。

高木(美)委員 今現実に、お子さんを抱えている御家庭では、家庭的な事情のためにどこまで我が子に接種をしていくか、こういう話になっているわけです。当然、接種が始められておりますので、そのさなかにもしこうした細菌性髄膜炎になるようなことがあればと、御両親にとってみたらそこは大変不安の中で生活をしていらっしゃる。こういう、現場の、今まさに生活に密着した話になっております。

 これから協議をされるというその大枠の、どこまで言えるかということは責任は伴われるかもしれませんが、やはりそこは大臣の御決意として、いつから、ほぼいつごろまでにめどを立てたいという、そのお気持ちをぜひ示していただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

長妻国務大臣 これについては、そのワクチンについて、まあ、このワクチンだけではなくてほかのワクチンについてもそういう御要望があるという現状もございますので、この中身も見ながら、予防接種部会の有識者の先生方の御意見も聞いて、速やかに結論を出してほしいということをお願いしているところでありまして、確定的にいつまでにというようなことは今の段階で申し上げる状況ではございません。

高木(美)委員 私は、それは余りにスピード感のない処理ではないかと思います。ぜひともスピード感を持っていただき、きっちりと、では、いつから協議を始めるのか、その始点等を示していただければと思っております。

 これ以上質問しましても時間がもったいない流れですので、再度、私は出産育児一時金につきまして質問をいたします。

 この出産育児一時金を医療機関に直接支払う新制度が昨年十月から導入されました。妊産婦の方たちは、窓口で高額な入院費を用意して、後で支払って戻ってくるなら最初からその差額分だけ払わせてもらいたい、長い間、強いお声がありました。我が党にも多くの方のお声が寄せられました。そこで、導入されまして、当然医療機関も未払いがなくなる、こうしたお声をいただいているわけでございます。

 ところが、日本産婦人科医会の調査では、分娩を扱う約二千八百の全医療機関にアンケートを実施したところ、新制度に移行した施設は、病院で九五%、診療所で八〇%。しかし、六九%が経営へのマイナス影響を指摘しております。申請から入金までに二カ月程度かかるということから、その間の運転資金がもたないという指摘でございます。診療所では二割が新たに借金が必要と回答しておりますし、約半数が制度の改善や廃止を求めている、こうしたお声を聞いております。

 こうした課題も地方議員の方たちから上がってきておりまして、私どももチーム三〇〇〇として公明党は進めております。

 妊産婦の負担は軽減されても、分娩施設が存続できなければ、特に地方、診療所に頼っているところ等には有効な少子化対策とは言えないと思います。厚生労働大臣に、具体的にどのように対応するのか、伺います。

    〔委員長退席、海江田委員長代理着席〕

長妻国務大臣 これについては、妊婦さんが多くの現金がなくても出産が安心してできる、こういう趣旨からこの政策を考えたわけでございますけれども、当初は昨年の十月から完全実施という流れがございました。

 ただ、政権が交代して、我々がもう一回検証してみますと、今のような御不安の声が産婦人科の病院から上がったということで、昨年十月の全面実施を半年ずらして、昨年の十月からの実施は猶予期間ということで、一応できるところにやっていただこうということで。

 ただ、ありがたいことに、我々の調査では、今、八五%の診療所等々が実施をいただいているということでございますけれども、今のような御指摘の問題があって、診療する立場のお医者様がお困りになるということは、結果的に妊婦さんにも御迷惑をおかけするということにもなりますので、今、実は検討しておりますのは、ことしの四月から全面実施を、さらに一定期間、猶予期間を設ける必要があるのではないか。あるいは、資金繰りの問題については、現在は月一回となっている請求、支払い回数を複数回にすることができるのかどうか、こういうことも今検討を進めているところであります。

高木(美)委員 私は、独法の福祉医療機構、ここが貸出業務を行っていると聞いております。そこでさまざま、参議院におきまして我が党の荒木議員も質問に立ち、そしてまた、今、融資利率が一・一%という状況です。産婦人科医の方たちにしてみると、三千万あったとしても、利息が一・一%、この三十万円というのが恐らく相当きついという状況ではないかと思います。

 これはもう思い切って、ここの一・一%のところを無料にできないか。中には、東京の施設ですけれども、中小の産婦人科医の団体では四月に裁判を起こすというような構えもあると、これはあくまでも報道ですけれども、聞いております。

 私は、やはりこれは命を守るとおっしゃる民主党にはよくないのではないか。ミスター年金からミスター子育て支援と、私はイメージをぜひ塗りかえていただきたいということから、この一・一%を思い切って無料化にするとか、また、地方自治体がここにお金を入れられるとか、もう一段の拡充を求めて、答弁をお願いしたいと思います。

長妻国務大臣 これについては、今おっしゃられた利率についても、前の政権の時点では一・六%で始めたわけでございますが、私どもとしては、何とか金利を下げられないかということで、それで一・一%にぎりぎり下げさせていただいたということと、あとは、前政権のときには一千万円までは無担保融資だった枠を三千万円まで拡大するというようなぎりぎりの措置を、これは昨年の十月八日から実施をしましたので、この実施状況も見ながら、先ほど申し上げましたような、さらに猶予期間を延ばすのか、あるいは支払い回数を複数回にするのか等々含めて、全体の中でこれについても我々は実態把握をしていきたいと考えています。

高木(美)委員 実は、これは院長が高齢だったり、また債務がある施設は貸し渋りに遭っているという報告もあります。傷んでいる産科医療を考えますと、思い切って無利子にするなどのさらなる対応策をとるべきではないかと思います。ここは大臣が御英断をするところではないかと思います。

 前政権との比較をよくされますけれども、今のこの現実の事態をどう超えていくか、すべてを受けとめて前に進むという、その政権の決意が必要ではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

長妻国務大臣 産婦人科のお医者様に影響が出たら、本当に妊婦さんの方もお困りになるということで、我々はこれについては注意を払っていかなければならないということでございまして、借入した金融機関について一定の分析をいたしますと、福祉医療機構から借りておられる方は全体の一八%ということで、やはり一番借りておられるのは民間金融機関が多いというような実は実態もございます。

 こういうものもよく見ながら、お医者様の意見も聞きながら、四月の全面実施というのをどうするのか判断をしていきたいと考えております。

高木(美)委員 例えば、中小企業庁で緊急保証制度というのをつくりました。当然、その中には焦げつきも予測されるわけです。デフォルト率も算定に入れた上かと思っておりますけれども、例えばここに貸し出しをして、そこでどれほど焦げつくのかと考えたときに、それほどの大きな金額ではない。むしろそれよりも、産科医療が壊れていくということの方が危惧をされるわけで、さらなる改善を大臣に求めて、障害者施策の質問に移らせていただきたいと思います。

 この障害者施策でございますが、今回、まず長妻大臣に答弁を求めます。

 障害福祉について、新政権は、マニフェストに基づきまして、障害者自立支援法を廃案にいたしました。天下の悪法と、いらっしゃる山井政務官から私も何度も聞きました。

 では、今後の法制度はどうするのかということでございます。訴訟原告団との基本合意では、遅くとも二十五年の八月までにと書いてございます。それまでの間、この天下の悪法の自立支援法を放置するというおつもりなのでしょうか。

長妻国務大臣 まず、ことしの四月から変えます。何を変えるかといいますと、これまで自立支援ということで負担というのがございましたけれども、それについては、福祉サービスについては、低所得の方について無料にするという措置を、これは予算措置でことしの四月から実行するということでございまして、基本的には応能負担に戻していく流れをつくっていくということと、あとは、制度の谷間がないということを申し上げておりまして、これは、難病の方も含め、その制度の中に包含をしていくということで、これは、今内閣府に設置をしております推進会議というものの下に、今度、委員会、部会をつくりまして、その中で具体的な対応策というのを検討していこうというふうに考えております。

高木(美)委員 ただいま大臣からお話ありましたこの制度改革推進会議、また推進本部につきまして、福島大臣に質問いたします。

 内閣府に置かれた障がい者制度改革推進本部、これは総理を中心に全閣僚が入っていると聞いております。また、障害を持つ当事者を中心に、きょうもこの時間、開催されておりますが、第三回目の障がい者制度改革推進会議、この法的な位置づけはどのようになっているのか、根拠法をこれから提出されるおつもりがあるのかどうか、位置づけを問います。

福島国務大臣 おっしゃっていただいたとおり、内閣のもとに障がい者制度改革推進本部を設置し、そのもとに推進会議があり、きょう第三回目の推進会議を行っております。

 障害者の当事者の皆さんや家族の皆さん入れて十四名、有識者の皆さん十一名、合計二十五名で積極的に審議をしております。

 これについては、推進会議は、閣議決定により新たに設置された本部のもとで、障害当事者の参画を得て機動的に開催され、当面五年間の障害者制度の集中的な改革推進のため、法制面を中心とした検討をさせていただいています。障害者差別禁止法、障害者基本法の抜本改正、障害者総合福祉法をぜひつくって、そして障害者権利条約の批准をする、そのための工程表を夏ごろまでにつくりたいというふうに考えております。

高木(美)委員 ただいまの大臣の答弁は、工程表をつくりたい、また、閣議決定に基づいてというお話でございました。そうしますと、この法的な根拠、内閣府設置法等にそのような根拠を置くというお考えはないということでよろしいんでしょうか。

福島国務大臣 推進会議は、閣議決定により新たに設定された本部のもとにあります。ですから、設置法をどうするかその他については、鋭意前向きに検討していきたいと考えております。

高木(美)委員 今回、内閣府設置法等、法改正で提出をされます。本来はその中にきちんと位置づけて盛り込むべきと考えております。

 例えば、中央障害者施策推進協議会というのは、これはまさに内閣府設置法にきちんと位置づけられた会議でございまして、第三十七条に基づきます。その根拠は障害者基本法第二十四条に置く、こういうことになっておりまして、一方で、中障協と略させていただきますが、昨年、委員の改選も行って、十二月十一日に開催もされて、この会議と、それから今お話があった制度改革推進会議と、この関係性というのは今後どのように整理をされるんでしょうか。

福島国務大臣 中障協、中央障害者施策推進協議会は、障害者基本法に基づき設置された審議会で、障害者基本計画の案の作成に際し内閣総理大臣に意見を述べることとされており、各般にわたる障害者施策の推進状況等についても御審議いただいております。

 今、内閣のもとに置かれた障がい者制度改革推進本部のもとにある推進会議は、当事者の人を多く入れて、まさにエンジン部隊として立法に向けてやっていこうとする部隊であります。ですから、中障協もそしてこの推進会議も両方、役割が少し違いますが、障害者施策について大きく前進させていく部隊としてやっていきたいと考えております。

高木(美)委員 当事者を中心に会議を組むということは、私も、それはそのまま推進をするものと思います。

 ただ、余りに今熱意を込めて皆様審議をしていらっしゃいます。例えば一時から五時まで四時間にわたって、重度の障害を持つ方たちもこの長い会議に耐えながら、まさに皆様の発言というのは命がけの発言なわけです。それをどのように位置づけていくのか。例えば、今は皆様意見をずっと述べていらっしゃるからいい段階ですけれども、これをやがてどういうふうにまとめていくか。まとめの段階ではいろいろなことが、そこで論議が出てくると思います。

 例えばこの中障協と言われるところと意見の違いがあったときにどのように整理をしていくのか、ここのところは大臣はどのようにお考えなんでしょうか。

福島国務大臣 おっしゃるとおり、大変精力的な議論をしていただいております。また、この推進会議はインターネットでも見られるようにしておりますし、手話通訳や要約筆記も入れて、外出できない方や遠くにいらっしゃる方もこの推進会議が見られるように、あるいはさまざまな方がこの会議を見たりできるように、また傍聴者もふやしてやっております。確かに四時間なんですが、もちろん休憩を挟んで、みんなが余り疲れないようにということも工夫をしているところです。

 私自身は、日本でなかなかやはり障害者施策が進んでこなかった、障害者権利条約を批准するには余りに世界のさまざまな取り組みにおくれている現状を、この日本の社会で大きく変えていきたいと思っております。当事者の人もさることながら、有識者の皆さんもたくさん入っていただいておりまして、ここで精力的に議論し、法案もつくっていきたいと考えております。

 今まだ議論の最中で、これから部会もつくってしっかりやってまいります。中障協の力もしっかりかりていきたいと考えております。

高木(美)委員 私も、この障害者施策、日本で余りにおくれている政策です。それを何とか前に進めたいという思いで、公明党の障がい者福祉委員会委員長として、毎日のように関係団体の方たち、当事者の方たちから意見を聞きながら、今日まで自立支援法の改正案等もまとめ、多くの法案も用意をしております。

 しかし、障害者団体の方たち、当事者の方たちの意見をきちっとまとめていく、そしてそれを制度にしていく、そこには、省庁を考えても、さまざまな省庁がそこにかかわるわけです。例えば、それは内閣府だけでは終わりません。柱の厚生労働省、福祉、就労がそうです。また、外務省は権利条約がかかわる。特別支援教育は文科省、インフラにおけるバリアフリーは国交省、情報バリアフリーは総務省、経産省等、さまざまな省庁の壁を越えなければいけない。さらに、地域で普通に暮らす観点からは、地方自治体の知事会とか市町村会とか、そういうところの了解もまた求めなければいけない。

 こうした各省連携を考えたときに、当事者の皆様の発言がそのままきちっと各省庁に影響を持つ、こういう位置づけをつくるのが法律であり、それをまた束ねる大臣の役割ではないかと私は思いますが、大臣、いかがでしょう。

福島国務大臣 だからこそ、内閣のもとに総理大臣、鳩山総理を本部長にした障がい者制度改革推進本部をつくり、官房長官と私が副本部長。それから、この障がい者制度改革推進本部のもとに推進会議を持ちました。これは、障がい者制度改革推進本部が内閣のもとに置かれていますので、すべての大臣に出席していただいて本部を開きました。

 そしてまた、実際、障害当事者で車いすの弁護士、東さんに参与として入っていただき、事務局も充実させた上で、そして高木先生おっしゃるとおり横断的に、これは内閣府の立場を本当に大いに利用し、おっしゃったとおりすべての役所に実は関係する部門です、ですから内閣に置き、内閣府のもとで推進会議をやっております。

 それから、各関係諸省庁ともこれからしっかり連携を組み、各省庁がこれからつくる法律についても大いに意見を言って、私たち推進会議でつくる法律と、それから各役所が、例えば、おっしゃったとおり、交通ですと交通基本法にも反映しますし、厚生労働省の雇用政策、文科省の教育政策、すべてに実は関係しますので、そこに対しても、実はきょうの推進会議でも議論が出たんですが、各役所の方たちも出席していただいておりますので、それをどう反映させるかについては、きっちりそれぞれの役所と連携を組んでやってまいります。

 また、自治体については、自治体の首長の方や首長経験者の方にもこの推進会議に出席していただいておりまして、なかなかこれは総合的な本当にすごい政策になるのですが、みんなで力を合わせてやっていこうと思っておりますし、各省庁の皆さんにも全面的な協力、そしてこれは鳩山内閣挙げて、すべての大臣が入ってやっております。また、これは超党派でやれることでもあると思いますので、これを成功させて、日本でやはりすごく障害者施策は変わったよねということを実現してまいりたいと思っております。

高木(美)委員 そこまで御決意をお述べになるのであれば、総理を中心にした推進本部であれば、当然それは法的にきちっと根拠を私は求めてまいりたいと思います。それが私はむしろ、障害者の方たちがここまで論議をしてくださっている、その方たちにきちっとこたえていくことではないかと思います。現実にもう皆様から、果たして法的な根拠はどうなるのか、ほかとの兼ね合いはどうなっていくのか、こうした疑問の声が既に会議で出されているではありませんか。そこにきちっと対応をしていただくことを私は重ねて述べさせていただきます。

 また、大臣が省庁横断でとおっしゃいますけれども、でも、その細かい制度のところ、どこがどうなっているのか、その折り合いをどうつけていくのか、ここがわかっているのは、あくまでも事務方の、現場の課長とかそういう方たちであり、そこの方たちをやはり事務局としてきちっとその後に位置づけて、そしてバックアップする体制をとらなければ、最終的ないい結論にはなかなか至らないのではないか、むしろ、当事者の方たちがここまで頑張っていらっしゃるからこそ、これは失敗をさせられない、私はそういう思いで今述べているところでございます。そのところをしっかりとお酌みいただきまして、私は、これはきちんとした法的な根拠を求めてまいりたいと思います。

 さらに、もう一つこのことでお伺いしたいのですが、発達障害、高次脳機能障害、先ほども、谷間の障害をなくす、難病も含めてというお話がありました。こういう方たちがなぜ推進会議のメンバーに入らないのか、手短に答弁をいただければと思います。

福島国務大臣 今回の推進会議の委員の人選に当たっては、障害者権利条約をめぐるこれまでの活動の経緯等も踏まえつつ、また、機動的に検討を進めていくための人数規模も考慮して選定をいたしました。

 御指摘のとおり、今回の推進会議の委員には発達障害の当事者は含まれておりませんが、先日、大臣室にも来ていただきましたが、発達障害のある方の御意見をよく聞きながら検討を行っていくことは極めて重要だ、重要な課題だというふうに思っております。今後、関係団体からのヒアリングの実施なども含め、部会できちっと反映させるとか、推進会議での検討に当たり十二分に配慮していきたいと考えております。

 おっしゃるとおり、脳機能障害、難病、発達障害、でも、障害の別で全部選んでいますと、物すごくたくさんの方たちの会議体というふうになりますので、自分たちが何かを代表していると同時に、多くの障害の問題も反映している、そういう意味でぜひ御発言をしてくださいということも頼んでおります。

 それで、おっしゃるとおり、きょうも総合福祉法の議論だったんですが、どこまでを障害というのか、どこまでを総合福祉法の対象とするのか、確かに、非常に外縁が広がっていくという問題はあります。その意味で、部会も含めてヒアリングやさまざまなときに、発達障害の当事者も含め、きちっと意見を吸い上げて反映をさせてまいります。

高木(美)委員 これは長妻大臣に質問いたします。

 来年度予算を見ますと、発達障害は今年度の八・八億円から七・六億円に減額されております。また、高次脳機能障害は千三百万円から千二百万円に減額となっております。予算だけ見ますと、新政権はこの二つの障害に冷たいととらえられてしまうと思います。

 発達障害、高次脳機能障害につきまして、新政権の支援策をパッケージで明確に示すべきではないかと思いますが、大臣の見解を求めます。

長妻国務大臣 今御指摘の、発達障害と高次脳機能障害にかかわる予算の件でありますけれども、トータルで見ると、これは就労支援なども入れると、十二億六千八百万円から平成二十二年度は十二億六千九百万円ということで、若干でありますけれどもふえております。

 ただ、御指摘のところで、モデル事業につきましては、一定の役割を終えたものやあるいは成人期に集中をしていこうというような発達障害の絞り込み等々、ただ、親の会等の御指導をいただくペアレントメンター育成事業など新規の事業も我々は打ち立てております。

 私も、昨年十二月に国立障害者リハビリセンターにお邪魔をして、特に高次脳機能障害、事故で長く記憶が保てない方と直接お話をして、その現場を拝見いたしまして、私どもとしても、この部分については、全国でも発達障害者支援センターが今六十四カ所となりましたし、あるいは高次脳機能障害の普及の拠点機関というのが五十六カ所になりましたので、これについては推進をしていくという立場には変わりございません。

 ただ、全体のパッケージといたしましては、こういう皆様方に対してもことしの四月から福祉サービスは無料にする、こういう措置を申し上げた上で、先ほど福島大臣が申し上げたような部会の中で、当事者の意見もよく聞いて、新しい制度をつくる中で位置づけていきたいというふうに考えております。

高木(美)委員 恐らく、発達障害につきましては、支援手法の開発など、日本ではさらに取り組まなければならない課題も多くあるかと思います。

 福島大臣がどこまで認識されているか、時間がないのでそこまでは求めませんが、実は、児童数も大変ふえております。二〇〇二年の調査で、約六・三%が発達障害です。自閉症だけ取り上げてみましても、アメリカでは定点観測をずっとやっております。どういうふうにふえているのか、今はもう百十人に一人までふえている、こういう結果も報告されているんです。こうした特別支援教育について、幼稚園とか高校とかにさらに支援をしていかなければいけない、総合的なパッケージが今求められている、こういう中で当事者の意見を聞くべきだと先ほど来申し上げているところでございます。

 高次脳機能障害も、拠点機関は五十六カ所になりましたが、国レベルでの総合支援センターを設置してもらいたい、こういう強いお声もあります。

 制度改革推進会議の議論を見守りつつも、進めるべきものは行政としてしっかり進めていく、これを私は重ねて述べておきたいと思います。

 さて、自立支援法の改正案でございますが、これは私も本当に真剣に取り組みました。その上で、この総合福祉法等のところに行き着くまでに、まず改正案を通してくれれば、今の制度よりも少しはよくなる、六、七割方は制度的に完成をする、その上で次に進むということもある、多くの団体からそういうお声もいただいております。

 この自立支援法につきまして、山井政務官は、第六回中央障害者施策推進協議会で、「すべてが問題があったというわけではございませんが、応益負担を中心とする大きな問題もあったというふうに考えておりまして、自立支援法のよい部分は引き続き残していき、また問題がある部分を修正していきたいというふうに考えております。」このようにお述べになっていらっしゃいましたね。うなずいていらっしゃいます。

 このいい部分、問題点をどのように認識されているのか。私は、天下の悪法とおっしゃっていた方たちが大変大きな変化を遂げていらっしゃる、こういう思いで見ております。

 このポイントにつきまして、簡潔に認識を大臣にお示しいただきたいと思います。

長妻国務大臣 この改正案でございますけれども、結局、最大のポイントが、改正案にも応能負担を原則にというような言葉はございましたけれども、実態がなかなか伴わないというところが当時大きな問題だということで、私どもは、ことしの四月から、まずは福祉サービスについては無料にする、予算措置でまずそれに踏み切るということにいたしました。

 ただ、この改正案についても、その根幹についてはそういう問題がございましたけれども、この中で言われている部分で、我々も制度の谷間がないということを申し上げておりまして、改正案の中でも、発達障害が対象となることを明確化するというような点も書いてございますし、相談支援体制の強化、特に市町村に総合的な相談支援センターを設置するとか、これは今予算措置でもやっておりますが、あるいは放課後型のデイサービス等の充実などなど、これも今予算措置でやっておりますけれども、そういう中身も盛り込まれておりまして、必要なものは今の段階で予算措置できちっと推進をしていく。

 そして、全体のトータルな法案化については、先ほど福島大臣も申し上げた部会というようなものの中で、内閣、厚生労働省一体となって検討して、位置づけを明確にしていきたいというふうに考えております。

高木(美)委員 どうも若干大臣と私と認識が違うようで、予算措置等でできるものは既にやっているんです。ただ、法的にきちんと位置づけがなければ予算がつかない、また、法的な位置づけがなければ進められない、そういう事業について、この改正案を盛り込んだわけでございます。

 また、応能負担というお話がありましたけれども、応能負担に戻して逆に負担が大変にふえると言う方も中にはいらっしゃいます。そこも勘案していただきたいと思いますが、例えば相談支援。私は先日、肢体不自由児、知的障害児が通う特別支援学校の保護者の方たちからお話を伺いまして、大変強い要望がありました。

 あるお母様は、子供に医療的ケアが必要だ、一時預かりの受け入れ場所がどこにもない、御自分は病気になって、手術も必要と言われたけれども入院もできなかった、結局点滴に通って何とか乗り越えました、倒れるわけにはいかないと涙ぐんでお話をされ、またある方は、医療ケアが必要なショートステイは二カ月前に予約が必要です、もうその予約日に満員になってしまうんです、ほかの兄弟たちの学校行事に参加できない。またある方は、出産を控えても預かってくれるところがない、不安です。また、どこにこういうことを相談に行っていいかわからない。

 いろいろインフラがあったとしても、この相談支援事業、これをきちっと前に進めなければいけない。障害者の方たちが地域で暮らすためには、こうした要望に対して、どこでどのようにサービスを使えるのか、事業者があるのか、この情報提供をしていただくことが、これは緊急の課題なんです。これを法的に位置づけなければいけない。

 また、重度視覚障害者の方たちのガイドヘルパーの派遣事業もそうです、自立支援給付の枠の中に入れてもらいたい。また、地域の自立支援協議会も、地域にこのインフラが足りないからこれをつくろう、この協議する機関も法的に位置づけをして進めなければ、いつまでたっても、障害者が地域で暮らすといっても、このインフラ整備ができません。

 先ほども、障害者の放課後のデイサービスも予算をつけているとおっしゃるけれども、それはとても足りない予算であって、正式に位置づけて、小学校三年、文科、厚労の事業が終わっても、その先も中学、高校まで使える、こういう放課後のサービスを進めていかなければいけない。精神も、ピアサポート、憩いの場づくり等が必要です。

 こういう緊急を要する課題について、大臣はどのようにこの課題に対応されるのかということを私は再度伺いたいと思います。

長妻国務大臣 主要なポイントを申し上げますと、まず、障害児の皆様の放課後等のデイサービスについて、これも私も拡充する必要があると認識をしておりまして、御存じのように、放課後児童クラブでも、障害児を受け入れる児童クラブも今八千三百三十カ所となりまして、こういう既存の施設も含めたものを拡充するということで、ただ、言われたように予算措置だということでございますので、こういう施設につきましても、法的にどう位置づけるのかというのは、今後、先ほどの部会の中で、これももうおしりが決まっていますので、その中で我々としては結論を出す。

 そして、今言われた相談支援の充実、これも御存じのように予算措置で今やっておりまして、私どもとしては、さらにその指導者を養成するということを国と都道府県両方で取り組んでおりますけれども、これについても強化をしていくということ。

 そして、移動支援と言われる視覚障害の方も含めた支援についても、これもかなり要望が強く、私も直接要望を何度か受けておりまして、今は予算措置で支援をしておりまして、実施の市町村数が八六%ということで、かなり御理解をいただいて、ふえております。

 あるいは、もう一点言われた地域自立支援協議会の点でございますけれども、これについても今七九%の市町村が実施をしていただいているということでございます。

 以上の点について、これは法律の中でできる限り位置づける取り組みをしていきたいと私自身考えておりますので、その検討を進める。

 そして、最後に言われたピアサポートとか憩いの場づくりにつきましては、これは法律上の措置というよりは、やはり具体的な設置を進めていくということで、今も、徐々にでございますけれども、ピアサポートについては三九%の市町村で実施をして、憩いの場は二千二百六十七カ所というふうに聞いておりますので、これについても推進をしていくということで、総合的に取り組んでいきたいと考えています。

高木(美)委員 重ねて、大臣、これは大変緊急な課題でございますが、伺いたいと思います。

 その中で、新体系への移行の問題があります。今、これもやっと五〇%が移行したと聞いております。法律では二十四年の三月までに移行するということが定められております。しかし、先ほど申し上げた三年半、遅くとも三年半ということですが、そうなりますと、これは二十五年の八月。その間、事業者の方たちは、自立支援法改正のあり方など先が見えてこない、戸惑っている、どうしたらいいのかと。これはまさに悲鳴です。今後どういうふうにしていくのか、移行するのかしないのか、はっきり方針を示していただきたい。これは多くの事業者のお声でございます。

 明快な答弁を求めます。

長妻国務大臣 今おっしゃられた点は、障害者の皆様方への施策というのは、かつて、昔は措置ということでございまして、その後、契約、支援費ということになりましたけれども、ただ、その時代の障害者施設が細かく分かれているという、この考え方を統合しようということで、三障害一元化とか昼夜分離とか、いろいろな考え方がその後生まれ、それに徐々に移行しているというところで、今おっしゃられるように、まだ移行率は半分ということでございます。これについて、我々はもちろん推進をする立場でございます。

 ただ、これも拙速というか、きちっと議論をしなければならないのは、私どもは野党時代も申し上げたんですが、障害者自立支援法の当事者、障害者の、まさにその当事者の方の議論がなかなか反映されなかったのではないか、こういう深い反省に立っておりまして、今後、推進会議あるいは部会等でも障害者の皆様方の当事者のお考えを十二分に聞いた上で、法律等の中でもこの推進を反映できるように取り組んでまいりたいというふうに考えています。

高木(美)委員 事業者は、新体系への移行をどうするのか、まさにこれは生活がかかっている問題であり、また、障害者の方たちにとってみたら、自分たちの働いているところが存続できるのかどうか、今その瀬戸際なわけです。

 それが、この年限があるわけですので、確かに今ちょっと、大臣がおっしゃった三障害一元化とか、ちょっと違うことをお考えなのかなと一瞬思ってしまいましたが、いずれにしても、移行することが法律上決められている。二十四年の三月までに移行しなければ今度は政府からのさまざまな支援を受けられないという状況が今あります。これに対してどのように対応をされますか、こういう質問ですが、大臣、趣旨はおわかりでしょうか。

 このまま放置しておいていいということですか。事業者の方たちに、当事者の意見を聞くからこのまま待ってくれという今の大臣の答弁でよろしいんでしょうか。

長妻国務大臣 いや、先ほども申し上げましたように、今の点については、移行を我々も後押しして進めていくということであります。

 そして、もう一つの論点としては、そういう施設のあり方全体についても新しい法律体系の中で見直すべきところは見直すし、障害者の皆さんの御意見を十分に反映して、それも法案の中で位置づけられるものは位置づけていきたい、こういうことであります。

高木(美)委員 それでは、所得保障の質問に移らせていただきます。

 障害者が地域での自立した生活を可能にするためには経済的基盤の強化が急務でございます。障害者の所得保障をどのようにお考えなのか、また今後どのように対応されるのか、答弁を求めます。

長妻国務大臣 障害者の皆様方の所得保障というときには、一つは障害基礎年金ということもあろうかと思っております。

 これについては私も野党時代から問題意識を持っておりまして、本当に、申請すれば受けられるのに、申請できない、受けられないと思って、その申請をされていない障害者の方が多くおられるのではないか。こういうことで、早速、政権交代後、今サンプル調査を実施しておりまして、これについて、今月、地方自治体にデータ提供を依頼いたしました。そしてアンケート調査を五月から六月に実施する、六月から八月まで戸別訪問等によって確認をするということで、ことしの夏には最終報告を出したいと考えています。

 例えば、視覚障害者の方の障害手帳と、障害年金の認定基準というのは当然その障害手帳とは違いますけれども、視覚障害の方は比較的同一なわけであります。そういう意味では、障害手帳をお持ちの視覚障害の方で受けられると推定される方が現実にそれを受給されているのかどうか、これを確認して、どれだけ申請忘れ、あるいは申請漏れがあるのかということにも十分注意を払っていく。

 それと、なかなか今までPRが不足をしていたという反省に立ちまして、各市町村に対しても、障害者の皆様は一定の要件があれば障害年金が受給できるんです、こういうことを啓発するような、宣伝するような説明用のパンフレットや、説明を十分にとるというようなこともきちっと実施して、障害年金をもらえる方はもらっていただくということにまず取り組みたいと考えています。

高木(美)委員 ただ、いかんせん、年金を受給できたとしても、一級で八万三千円、二級で六万六千円、とてもそれで生活できる給付には当たらないわけです。私は、そこで、この年金の加算をすべきではないか、またあわせて住宅手当、これをもう一つ、地域で暮らすために入れていくべきではないか、このように考えております。

 当然、その中には、無年金障害者に対して、二〇〇二年、うちの坂口副代表が大臣当時に示した四つの類型の中で、二番と三番の、学生と主婦層しか救済できておりません。残る一番と四番の、在日外国人、またそれから年金を受ける資格に当たらない方たち、三分の二納付であるとか一年間の要件とか、保険制度でございますので、実にきめ細かな要件があります。これを考えていきましても、本当にわずかな人しか受けられない、こういう実態を考えたときに、大臣は今後どのようにお考えになりますか、どのような絵を描いていらっしゃいますかということを重ねて伺いたいと思います。

長妻国務大臣 所得保障といったときに、これも先ほど来申し上げておりますように、一つは、ことしの四月から自己負担がゼロになる、こういう措置を私ども予算で実施をしたというのが一点と、あと、今言われたのは、本当に皆様方の御尽力で特別障害給付金という制度をつくっていただいて、一定の要件の任意加入の時代の方についてはその給付金をお支払いするというような制度ができましたけれども、おっしゃるように、三分の二要件とか、あるいは直近一年要件というのが今ございます。ただ、これについては、保険制度で措置をされておりますので、この要件に満たっていない方について直ちに認めていくと、では、きちっとそれは払っておられて要件を満たしておられる方々との不公平感あるいは差がつくというような、いろいろな論点もございます。

 いずれにしましても、私どもとしては、一期四年、この政権の四年の平成二十五年に新しい年金制度の法案を通したいというふうに考えておりますので、その中で、今言われた御趣旨も反映できるような、そういう制度にしていきたいというふうに考えています。

高木(美)委員 今大臣がおっしゃった、百億を、自己負担軽減を入れましたとおっしゃるのは、それは、あくまでも千五百円の利用者負担をゼロにしたという話でありまして、どのような通所等を利用するにも、食費の五千六十円とか、かかるわけです。また、一人で暮らしていくには生活保護に行かざるを得ない、でも、そうしないできちっと自分で生きていきたい、こういう障害者の方も多くいらっしゃいます。

 私は、今、実は、自民党さんにも、旧与党PTの報告書の中にも、こうした障害基礎年金の引き上げ、住宅手当の創設を書かせていただきました。加えまして、今回、この無年金の救済範囲を拡大してまいりたいと思っております。

 そこで、坂口試案の残った課題の解決に向けて、議員立法でまとめてまいりたいと思っておりまして、これを近々に提出させていただく準備をしておりますので、ぜひそこのところは、政府としても御協力をいただきまして、また、ともに進めていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 最後に、時間が迫ってまいりましたが、長妻大臣に一点お伺いしたいのは、先ほど、制度改革推進会議の中で虐待防止法も検討するというお話がありました。これは、まさに緊急性を要する課題です。昨年七月九日、当時の自公案、そしてまた民主、社民、国民新党の野党案、両方提出をして、廃案となり、こちらの方は、みんなの党も入りまして、再提出をいたしました。

 実は、ここまでの間も、既に虐待事例が発生しております。十一月、十二月、またことしの一月、さまざまなこうした事例が発生していることを考えますと、私は、この虐待防止法、一日も早く、やはり、虐待を受けても我慢するような貧困な社会ではなくて、障害を理由として何人も虐待してはならないという、これを議員立法で進めていきたいと思っております。議員立法で出せない党内事情がおありであれば、閣法で一日も早く対処をすべきと思います。大臣はどのような御見解なのか、答弁を求めます。

長妻国務大臣 今、議員の皆様方の間でいろいろ御議論しておられるというのは聞いております。

 政府、内閣といたしましても、福島大臣が担当でございますけれども、例の障がい者制度改革推進会議の議題に虐待防止法についても上っておりますので、これについても内閣の中でも統一見解をまとめていく作業をしていくと同時に、議員各位の皆様方の御議論も我々は見守っていきたいというふうに考えています。

高木(美)委員 障害者の問題につきましては、私は、これは党利党略を超えて、与野党を問わず、こんな貧困な日本の政策から脱却をすべきだ、そのような方向で進むべきであると思っております。

 したがいまして、当然足元の権利を守る虐待防止法の提出を私どもは既にさせていただきましたので、一刻も早く審議をお願いしたいと思いますし、またあわせて、これがすぐにできないのであれば、当面の法律としてこれを通させていただき、その後に閣法としてさらに意見が盛り込まれたものを入れる、このような段階を踏んでいただくことも、私は道理としてあるのではないかと思います。

 しかし、何もしない、無策、待つだけというのは、私は、障害者の方たちに、本当にこれは権利を擁護することにならない、政治の過失ではないか、こういう自責の念に駆られながら、この虐待防止法、頑張ってまいりたいと思っております。先ほどの大臣の答弁にもございましたけれども、これは党利党略を超えて、力を合わせて推進をしてまいりたいと思いますので、どうぞ福島大臣もよろしくお願いをいたします。

 それでは、時間となりましたので、さらなる日本の障害者福祉、さらに当事者の意見を盛り込みながら、また、ちぐはぐの制度ではなくて、今ある制度からきちっとすっきりと移っていけますように、私も尽力をさせていただきたいと思いますし、そのような政府の取り組み、また法的な位置づけを求めまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

海江田委員長代理 これにて高木君の質疑は終了いたしました。

 次に、穀田恵二君。

穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。

 いわゆる箇所づけの内示問題について最初に質問します。

 今回のいわゆる箇所づけ問題は、箇所づけ、すなわち最終確定額に至る経過の資料を国会に提出せず、つまり国民にはオープンにしないで、民主党だけに当初渡した、利益誘導してくださいということかと疑問視せざるを得なかったやり方でありました。馬淵副大臣、そして前原大臣のこのやり方は、これまでの主張とは違う、まさに不透明化を助長するような行為だった、ここが核心だと思うんですね。

 そこで、道路などの公共事業のいわゆる箇所づけ問題に関して、政府の見解を確認したい。馬淵国土交通副大臣と前原大臣に聞きます。

 馬淵副大臣は、一〇年度予算編成作業を進めていた昨年末、数回にわたって、国会の審議に資する形で一定程度予算をつける箇所を表示したいという趣旨の発言をしております。今国会の審議で民主党に資料を渡したことが問題になった後も、八日の記者会見で、予算審議前までに仮配分のような形ででも御提示できれば私は理想的だと個人的には考えている、私どもが少なくとも目指そうとしていることは何か政治的なもので動かされることのないようなわかりやすい仕組みだ、そういう仕組みを決意を持って取り組んでおりますと述べています。

 前原大臣も、不透明さとか、あるいは何らかの恣意的なものが入るんではないかと思われないような、透明度を上げた、最終的には箇所づけというものをプロセスとしていきたいと述べています。

 この考え方の基本は何か、このことについてお二人からまず明らかにしていただきたいと思います。

馬淵副大臣 穀田委員にお答えをさせていただきます。

 いわゆる箇所づけと今お話をされましたが、御案内のように、私も昨年まで予算委員会の委員として、透明性を高めること、これは常に私も主張してまいりました。とりわけ、昨年の予算委員会におきましては、個別箇所の事業評価、この結果が新年度の予算に反映されるようにすべきである、このことは強く主張してまいったつもりであります。

 そのため、新政権になりまして、国会審議、予算審議に特別に資するようにということで、直轄事業の事業評価につきましては、この評価結果を、時期を大幅に前倒ししまして、この一月の末、二月一日に、継続事業も含む対象事業すべてを、個別箇所を一覧表という形で作成、公表するなど、前原大臣のリーダーシップのもと、透明化に資する取り組みを行ってまいりました。

 しかし、一方で、この予算の審議に当たる中で、いわゆる箇所づけというものについては、当然ながら、この国会の審議で議論しようとしても、決定していないわけですから難しいことであるという認識は私も昨年の予算委員会の質疑の中で述べております。

 今般、新政権となりまして前原大臣の御指示のもと取り組んでいく中で、何とか地方自治体の皆さん方の、その事業を負担していただく、お声を聞くという中のその説明過程の中でわかりやすい形で提示することはできないか、このことに真摯に取り組んでまいりました。昨年の十一月には実施計画、事業計画という形で公表もさせていただいた。

 こういう意思のもとで進めてきたことではありますが、今回、当然、自治体の御事情もある、進捗状況やあるいは用地買収あるいは事業の困難度、こういったこともあることから、自治体への丁寧な説明が必要であるという判断のもとに、私どもとしては、仮配分という形で、国会に資するという形よりも以前に自治体への御説明をさせていただく、こうさせていただいたわけであります。そしてその直前に、党からの求めに応じて、途中経過でございますが取りまとめているものについて、これは御説明を申し上げたという経過でございます。

 したがいまして、昨年来より主張しておりました透明化を高めるというこの思いについては、何ら変わるものではないということだけは申し上げたいというふうに思います。

前原国務大臣 馬淵副大臣と重複しないようにお話をしますが、我々はできるだけ透明性、客観性を維持した予算審議をしていただきたいと思っておりました。そういう意味で十一月に事業計画を公表し、そして二月一日に事業評価、こういったものも出させていただいたわけであります。

 その中で党にお見せをしたものが自治体に流れるということは想定外でありまして、これは極めて遺憾なことでありまして、私は深く反省しなくてはいけないというふうに思っております。

 先ほど福井委員にもお答えしました、また、ちょっとそのワーディングが間違っているところがあったので修正をする形でお答えしますと、ことしに限っては維持管理費の一部について負担金を残そうということになりました。その結果、維持管理費分が廃止されるという前提で事業計画を出していたものが、一部についてはこれが残るということになりましたので、その金額は国土交通省の道路分で四百六十億円、そして、維持管理費の削減を合わせまして五百億円以上が逆に事業計画からふえる形となりました。それが仮配分の中で何かふえたとかそういうふうに言われているわけであります。

 これはまさにことしのみの特別な事情でありまして、事業計画をお示しし、そして事業評価をお示しする中で、きっちりとした透明性や客観性を確保した予算審議をしていただけるのではないか、このように思っております。

穀田委員 簡単に言えば、透明性を高めるためだということについては変わらないということですね。

 私どもの見解についても若干述べておきたいと思うんです。

 私どもは、透明化とは何かと。公共事業のいわゆる箇所づけ、この場合は最終確定額の配分ということになるわけですが、その過程について政権政党なりが利益誘導はしてはならない、そして、あわせて、そのためには国民のチェックに供することが必要だ、これが私どもの考え方であります。その点は自民党とは明らかに違う。

 したがって、これまでのように予算が通った後に最終確定額を発表するやり方では、その過程で政治家や官僚、政権党が関与しても国民にはわからないわけですよ。ここに利益誘導があるのではないかという疑念が生まれる、不透明ではないかということになるわけです。したがって、国会でも、道路予算案などの大枠はわかるけれども、個別の事業、箇所の予算についてはどうするのかの審議もできない、国民のチェックもできない。したがって、この公共事業の箇所づけに至る仮配分、今回提出された途中経過をオープンにして、予算審議の対象にすべきものだと考えるわけであります。

 公共事業では、特にダム事業などについては、予算案と同時に事業ごとの予算案を示しています。先ほど馬淵さんからもありましたように、事業評価に出していることについては知っていますし、また、馬淵さんは昨年の二月四日の質問の際に、このこととあわせて、いわゆる箇所づけの問題についても質問されているんですね。

 ですから、私どもは、道路でも河川でも港湾でも、同じように示せばいいんじゃないかというふうに考えているわけです。そして、既に、二〇一〇年度の道路などの公共事業の予算の途中経過を仮配分として発表されたわけであります。

 したがって、今後、形のあれこれはあっても、審議に供することをルール化すべきじゃないかと思っているんですが、前原さんの見解をお聞きしたい。

前原国務大臣 基本的には考え方は同じでございます。今の委員の御意見も踏まえて、我々は、しっかりとした客観性、透明性、そして、予算を国会で御議論いただくというのが国権の最高機関の役目だと私は思いますので、それに資するような形で、今回の反省も含めて整理をさせていただきたいと考えております。

穀田委員 しっかりこれは検討していただいて、ルール化したいと私も考えています。

 そこで、菅さんに少し、言っておかなかったんですが、一つだけ質問したいんです。

 今述べたのは、公共事業というのは道路事業だけではありません。公共事業全体の問題でもあります。私は、この際すべてオープンにすべきだと。例えば、今、ダムのように案として提示しているものもあります。今回のように途中経過を提出するという場合もある。要は、最終確定額の決定に至るまでの過程をオープンにせよということなんですね。そういうことはできるんじゃないかと思うんです。

 つまり、同じ公共事業というのはいっぱいあるわけですから、それらを含めて全体として、最終は財務大臣の承認が要る要件があるというのは知っていますが、そういうことがあればこそ、全部オープンにするということについて意見をお伺いしたい。

菅国務大臣 まず、一般的に、予算編成においても、場合によっては予算の執行過程においても、できるだけ国民の皆さんがわかりやすいように透明化していく、公開していくという基本的な考え方は、そういう方向でこの予算が成立した後も進めていきたいと思っております。

 御承知のように、箇所づけに関しては、これまでのルールは、いわゆる財政法上の実施計画ということで、あくまで予算成立後に事業所管大臣が実施計画を策定して、財務大臣の承認を経て決定するということですので、この基本ルールはやはり守らなければならないと思います。

 ただ、先ほど来、国交大臣あるいは副大臣が言われているように、そういう基本ルールの中でどこまでどういう形なら公開できるのかは、それぞれこの基本ルールの範囲内で各所管大臣なり所管省庁で工夫をしていただくということがいいのではないか、そのように感じております。

穀田委員 単なるそれぞれの省庁の工夫だけではなくて、やはりこの機会に、そういうものは、透明化とは何かという根本理念をしっかり具現化していく上でルール化すべきだということを、私は改めて主張しておきたいと思います。

 次に、トヨタのプリウスの問題についてお聞きします。

 トヨタ自動車のヨーロッパやアメリカにおけるアクセルペダルなど欠陥対応をめぐって、アメリカの新聞ウォールストリート・ジャーナルが、隠ぺい体質で道を誤ったと厳しく批判する記事を掲載しました。それによると、ことし一月、アクセルペダルのふぐあいについてリコールを実施したトヨタが、アメリカ運輸当局に対し、一年以上前からふぐあいを知っていたという点を明かして、担当者の怒りを買っているということが報じられています。

 アメリカではトヨタへの批判が高まっています。この報道やこの事態に対しての認識を経産大臣と国交大臣に問いたいと思います。まず、経産大臣の方からお願いします。

直嶋国務大臣 私の方からまずお答えいたします。

 アメリカの話は、ちょっと私の方からコメントするという立場にないので、今さまざまな報道がなされておりますが、報道等を通して、それから、以前にトヨタからこういうリコールをするという報告を受けています。その範囲でしか存じません。

 それから、そういうことも含めて申し上げますと、まず、自動車産業というのは、やはり安全第一なんですね。品質の高い車をつくるということが一番の生命線でありまして、トヨタを初め日本の自動車メーカーはこれまで、そういう面で評価の高い車をつくってきたというふうに思っております。

 今回のプリウスの国内のリコールの件で申し上げますと、トヨタはユーザーからの苦情を一つ一つ精査、判断してリコールの届け出を行ったものというふうに認識をしておりまして、いずれにしても、同社、トヨタは、品質管理にしっかり取り組むことを表明されております。

 私の立場で申し上げれば、今後、トヨタが迅速かつ真摯に対応していただき、ユーザーの安心と信頼を回復していただく、このことが最も重要なことだというふうに思っております。

    〔海江田委員長代理退席、委員長着席〕

前原国務大臣 先般、御同僚の吉井委員にもお答えをしましたけれども、リコールそのものは悪いことではなくて、むしろ責任を果たすという意味では、リコールを積極的にやっていただくことは、私は好ましいことだと思っています。悪いのは、リコール隠しあるいはクレーム隠しをして、ユーザーを不安に陥らせるようなことをすることはいけない。

 今回、トヨタの佐々木副社長から聞いたときには、フィーリングの問題だとかあるいは設定の問題だという話がありましたが、ただ、使っている人間がブレーキが抜けた感じがするとか制動が遅くなるとか、これは極めて重要な指摘がされていたのに、私は、ユーザー視点が欠けていて機敏な対応ができなかったということで、大変その点が大きな問題なんだろうと思っておりますし、アメリカにおいても、そういった視点での対応がおくれて、そして今のような状況に至っているのではないかというふうに思っております。

穀田委員 なぜ私がプリウスのリコール問題について質問している最初に隠ぺい体質についてただしたかといいますと、トヨタのヨーロッパとアメリカにおけるリコール対応が極めて問題だ、そして、そのことは日本での対応の不十分と同根ではないかと思っているからであります。

 今述べたアメリカの新聞の二〇一〇年二月八日付では、欧州では、半年近く前に既にアクセルペダルがもとの位置に戻りにくくなる問題に対する対応策を発表していたにもかかわらず、同じ部品を使うアメリカですぐに同様の措置をとらなかったという指摘があります。そして、記事の後半で佐々木副社長の言を引き、「世間に対して問題を隠ぺいしようとしているのではとの印象を抱かせてしまったかもしれないが、「決して隠してきたわけではない」と述べた。」と報道しています。

 ですから、世論の批判の前に、結果は欧州やアメリカで数百万台というものを超えるリコールを行ったわけで、先ほどありましたように、自動車の安全にとって一番大事ともいうべきアクセルに関しての対応がいずれにしても遅かったことは否めない、この事実ははっきりしていることですね。今、前原大臣も、リコールそのものは悪くないと。しかし、リコールが多いのは問題だと私は思うんですけれどもね。

 翻って、日本におけるトヨタ車、プリウスのリコールに至る事実経過を確認したいと思います。皆さんに資料をお配りしているので、見ていただければ幸いです。

 これを見ますと、七月十九日に松戸の追突事故があった後、八月十三日にこのような形で県警から連絡があり、ポイントは、八月二十四日、国土交通本省に警察からの事故通報の入報、事故発生原因に係る調査、報告を指示したと。そして、九月二十四日、トヨタ自動車から国土交通省に調査報告書が提出された。こういう点での大筋は間違いありませんね。

三日月大臣政務官 お答えいたします。

 今、穀田委員の方から資料に基づいて説明された事実経過は相違ございません。

穀田委員 では、次に、私がお出しした資料の三ページ目を見てください。

 「車両不具合調査報告書」となっていまして、十四の「不具合の発生原因又は推定原因」という欄があります。ここには、「お客様より「ブレーキを踏んだが、ブレーキペダルが床までついてしまいブレーキが効かなかった」との申し出があり、ブレーキブースタ作動や制動力等を確認したところ、事故による損傷以外、車両側に異常は認められなかった。」というふうに記してあります。

 ひどい話やと思うんですね、私は。大体、ちゃんとプリウスの制動がきかないというふぐあいの状況が出ているじゃありませんか。しかも、中身が、先ほど大臣からお話あったように感覚の違いとかじゃなくて、車を運転できる人はだれでもわかるように、ブレーキペダルを踏んでずだっと最後まで行ったりする、それは感覚の違いなんというようなことになるはずがないんですよ。

 だから、国交省はトヨタの報告書に何の問題もないというふうに判断をしたのですか。お答えいただきたい。

三日月大臣政務官 今、穀田委員の方からありましたように、九月の二十四日にトヨタ自動車から国土交通省に対して、別紙二にありますような「車両不具合調査報告書」が提出されました。十四番、十八番で、「車両側に異常は認められなかった。」「車両側に要因はないものと判断する。」ということの見解が示されましたが、大変重要な問題だと。特に、安全にとって最も大切なブレーキのふぐあいに関する事故並びに情報でありましたので、国土交通省として、穀田委員提出の資料の平成二十一年九月二十五日にありますように、国土交通省から独立行政法人交通安全環境研究所リコール技術検証部に対して技術検証を依頼しています。

 その技術検証は、九月の二十五日からことしの二月にかけて行ってまいりましたが、例えば車両に保存されております衝突直前のデータをトヨタ自動車から提出を求めて、例えば車速がどのように変化したとか、ブレーキペダルをどのように操作されたとか、そのような詳細の情報を入手した上で調査をしてまいりました。

 現在のところ、ブレーキの、こういう構造上の欠陥、ふぐあいということよりも、ブレーキ操作おくれによる事故であるというトヨタ自動車の見解は、現時点において妥当なものであるというふうに我々は認識しております。

穀田委員 現時点においては妥当なものであるというのは困るんですよ、そうでないことが起こっているわけだから。

 ただ、いずれにしても、今あったように、これはおかしいなと思って検証部に検証を頼んだということですね。それで、九月二十五日に検証部に依頼をして、四カ月余り経過しているんですね。自動車のふぐあい情報というのは、国土交通省にも寄せられてホームページ上で公開しています。当然、トヨタにもユーザーからの苦情が寄せられているはずです。

 そこで、新型プリウスの制動装置に関する苦情の状況について、トヨタから国交省に報告がありましたか。

三日月大臣政務官 トヨタ自動車から国交省に対してもありました。

 かつ、引き続き、今回のリコールの報告を受けてさらにそのふぐあい情報等が寄せられておりますので、その件についても引き続き調査をしております。

穀田委員 いつ報告がありましたか。

三日月大臣政務官 昨年の十二月以降、このブレーキがきかなくなるというユーザーの情報が相次いでトヨタにも寄せられ、あわせて国交省にも寄せられているという状況です。

穀田委員 もう簡単に言ってえな。トヨタからいつ報告が国交省に、八十四件という報告があったでしょう、いつ報告がありましたか。

三日月大臣政務官 済みません。二月の三日に朝刊に掲載され、その夕方、国土交通省に対して報告を受けました。

穀田委員 だから、二月の三日の夜に報告を受けたということなんですね。それが実はこれなんですね。「不具合発生一覧」という資料で、八十四件の数字が載っています。だから、二月三日まではずっと報告がなかった、簡単に言えばそういうことなんですね。

 それで、八十四件、これを見ますと、言い方は、間違っていたらあれですから、空で走っている感じ、空走感というものと、制動おくれということと、ブレーキきき不良ということで、八十四件のうち、不明と言っているもの三十一件以外は全部これなんです。だから、これは大変なことであるわけですね。

 国交省がプリウスのブレーキの検証を継続している最中に、一方、トヨタはこの期間にどのような対応をしていたかということで、私は確認をトヨタにしました。それを国交省からいただいて、この資料の一ページ目の下欄に載せました。これも二月三日以降に初めて提出されたものであります。

 資料を見ていただきたいんです。「新型プリウスの制動装置に関連するコンピュータの設定変更について」。平成二十一年十二月十日、設計変更指示、一月七日、部品完成、二十二年一月二十八日、同設定変更を製造ラインにおいて開始ということであります。

 この報告書の提出は二月三日以降であるということと、内容も間違いありませんね、今私が述べたものは。

三日月大臣政務官 事実関係として相違ございません。

穀田委員 今お話しあったように、苦情の累計の八十四件の内容も、それから、こんなふうに実は直している、まあ、直しているというのはあっちの言葉で言うとバージョンアップらしいですけれども、そういう報告があったのが二月三日だということなんですね。そうすると、プリウスのブレーキ問題で独立法人の機関の検証部が検証している最中で、ブレーキに対する苦情を聞きながら、今日リコールせざるを得なかったコンピューターの設定変更をこっそり行っている。しかも、その車は大体新しい生産からは問題ありとして制動装置のコンピュータープログラムを手直しする、その前に生産した車両は知らんぷり、今ならリコールに該当する車両は販売しっ放し、サービスキャンペーンにも該当しないやり方をこっそりやっている。

 全く、単にユーザーの目線が感じられないというんじゃなくて、先ほども経産大臣もありましたが、自動車にとっては安全が第一だ、ブレーキの問題だ、そういう点でいうならば、顧客の安全問題についての責任がはっきり言って感じられない。

 この一連の経過を見てみると、要は、リコールにつながりかねない欠陥を自動車会社の判断によってバージョンアップと称して勝手に手直しが行われる、世論の批判を浴びればリコールすると。

 リコールの判断を会社の自主性任せにしていることが最大の問題だと私は思うんですが、この間のトヨタの対応を見て、大臣はそう思いませんか。

前原国務大臣 結果としてそういうふうに多くの方々が感じられて、そして、先ほど答弁をしましたように、ユーザー目線ではない形での対応がとられてきたということは、私はそういうふうに見られても仕方のないことだというふうに思います。

穀田委員 それは先ほども聞いたんです。ただ、私が言っているのは、事命の安全にかかわる問題が、目線が違うというような話じゃなくて、どこに質的に問題があるかということをこの際きちっとやらぬとあかんのと違うかという問題意識を持っているわけですよ。

 だから、いわばリコールという問題を、会社は、今あったように、苦情はしばらく黙っておく、ちょっとこれは調子悪いなと思って勝手に直す、それも報告しない。結局、今考えてみるとリコールに匹敵する、リコールすべきものだったことがわかるということは、当時の判断が間違っていたということに結果なるわけですね。そうなると、そういう自主性に任せていたらだめだということがはっきりしたんじゃないかと私は思うんです。特に、これはやはりブレーキという問題で、命にかかわる直接的な問題なんですね。

 したがって、私は、勝手な判断による形を変えたリコール隠しと言わざるを得ない、ここに本質があるということを、自主性に任せているとこういうことが起きるという点を言っているわけです。

 そこで、では、受ける側は問題なかったのかということについて少しただしたいと思うんです。

 国交省は検証機関に、トヨタに対してふぐあい情報の開示を要求したか、そして検証のための情報交換を行ったかという点について、三日月さん。

三日月大臣政務官 九月の二十五日に独立行政法人交通安全環境研究所リコール技術検証部に技術検証を依頼して以降、トヨタ自動車とも資料、情報をやりとりしながら、この間、このプリウスの安全問題、構造問題について調査を継続しております。引き続きずっとやってまいりました。

穀田委員 先ほど言っているように、ただ、その報告の一番肝心なところは二月三日以降に知ったということなんですよ。だから、それは、やりとりを全くしていないなんということはこっちも言っていないんですよ。肝心な問題は、苦情があって、しかも制動に関するものだ、しかも、制動に関するものだとわかっていて検証を受けていながら、その内容を知らせずに肝心かなめのところのプログラムを変えるなんということがあっていいのかということなんですね。だから、ここが、目線があるとかないとかという話じゃなくて、えらい問題だと私は思っているわけです。

 そこで、私どもは、三菱のリコール隠しの際も三菱の側からの情報提供がないということが問題になって、重大事故にかかわる事案については逐次情報を求めるべきだ、肝心なところを、靴の上から足をかいているようなのじゃなくて、ちゃんとやれよということを当時言ったわけです。

 さらに、リコールに当たる欠陥があるかどうか、この点を企業の自主性に任せていたのでは、いわゆる、トヨタが言っているように、欠陥ではない、フィット感の問題だというようなことになる。そこで、私は、外部の第三者機関できちんと検証する必要があるということを当時も主張しました。それで、欠陥の疑いのある自動車を持ち込めば検査してくれる部署を国交省として、今お話のあった独立行政法人交通安全環境研究所の中にリコール技術検証部をつくったわけですよ。

 そこで、その部署の体制はどうなっているか。リコール技術検証部は一体全体何人いるのかということについても聞いておきたいと思います。

三日月大臣政務官 独立行政法人のリコール技術検証部については、十六名という体制でやらせていただいております。

穀田委員 十六名なんです。ただ、職員は一名で、技術検証官は六名なんです。その他の非常勤職員がいるんですね。そして、トヨタの調査には、一人と補佐人が一人、要するに二人で対応しているということは、頭で言ってくれたらいいし、この点は間違いありませんね。今のは間違いないと。間違いないんです。

 それで、要するに、今言おうとしているのは、技術検証部十六名と言っているんだけれども、その肝心かなめの技術検証官というのは六名だ。そして、あとは非常勤の、補佐を務める事務を含めた人間なんだということなんですよ。そして、この今回のトヨタの事故に対応しているのは、技術検証官が一名と補佐人が一名、二人だということなんですよ。たった二人でこれをやっているということなんですよ。こんな大事な問題を、この程度の人間しか、人間というのは、この方を批判しているのと違いますよ、たった二人でしかやれないということは大問題だというんですよ。

 大体、アメリカでは、当局が判断してリコールを指導したなどと報道されていますし、聞くところによると、五十人ほどの体制でリコールへ当たっていると聞く。

 したがって、私どもは、この体制がつくられたのは結構だけれども、やはりこれほどの大問題になっているときに一名と一名では無理だ、ほんまにこれは強化をせなあかんと思うんだけれども、どうでっしゃろか。

前原国務大臣 大変建設的な御意見だと思います。

 それで、リコールというのは、会社が届けるときと、そして、会社から情報を得て、会社がどうしても起きないというか、そういったときに国土交通省として勧告ができるということがございますけれども、その情報をどのように得るかという今の仕組みと同時に、その事故の調査をどういうふうにしていくのかということを、今の御趣旨も踏まえて、改善すべきところは改善すべきだと思いますので、少し検討させていただきたいと思います。

穀田委員 非常に大事なことだと思うんです。私は、この問題は人の命にかかわることだから、こういった問題について、つくったことはよかったと思っていますし、ただ、今の事態への対応では、これはやはり、なかなか無理がある。先ほど言ったように、その法整備も含めてこれは検討する必要があるということを改めて言っておきたいと思うんです。

 最後に、トヨタは欠陥でないと言うし、国民は、今述べたように、ブレーキがきかない、不安、欠陥だという認識になるわけですよ。最終的にはリコールとして対応せざるを得なかった。これは、先ほど大臣が述べたような認識論の違いということでは済まないと思うんですね。

 問題は、制動装置に関するコンピューターを隠れて設定変更を行って、それをバージョンアップとして実行した。だから、これは、こんなことを任せておいたら、やはり大変なことになるということの結論だと私は思っています。

 先ほども大臣が吉井議員のことを言いましたけれども、私どもは、このプリウスの問題を初めとして、企業の基盤としての、そういう中小企業の物づくりという問題が一つあるんですね。もう一つは、やはり安全が第一という点での物づくりの精神、これをやはり踏まえないとあかんというところを徹底しないと日本の物づくりの根幹が揺らぐというふうに考えているからであります。

 私は、トヨタだけじゃなくて、それからホンダもヨーロッパやアメリカでリコールをしています。大臣の発言があったからかどうかは知りませんけれども、新たに他の会社も、他の車もリコールを始めています。アメリカでは公聴会も行われる。

 ですから、この機会に、国会での車両の安全問題の審議を行うよう私は提案したいと思います。そして、トヨタ、ホンダなどの参考人を招致しての審議を要求するものであります。

 委員長、お取り計らいをお願いしたいと思います。

鹿野委員長 後刻、理事会において協議をいたします。

穀田委員 では、以上で終わります。

鹿野委員長 これにて穀田君の質疑は終了いたしました。

 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 お疲れさまでございます。みんなの党の柿澤未途でございます。

 まず、国家公務員法の改正案についてお尋ねを申し上げます。

 国家公務員法の改正案につきましては、二月九日の内閣府の政策会議にかかり、十二日に閣議決定が予定されていましたけれども、見送られたという報道がありました。事務次官、局長級から部長級への降格を可能にする規定が不明確という指摘が一部の閣僚から出たというふうに言われております。

 現行案では、報道によると、次官、局長級から部長級への降格は、ほかの幹部職員に比べて勤務実績が劣っているとか、他の幹部職員がすぐれた業績を上げることが見込まれる、転任させる適当なポストがないの条件に該当する場合ということになっているようです。これに対して原口大臣が、これは本当に降格人事ができる条文なのかという異論を唱えたというふうに報道されております。

 事務次官から局長、また局長から部長への降格を可能にするという考え方は、我が党の渡辺喜美代表が、今月二日の本会議の代表質問でも政府に強く迫ったものでもございます。

 みんなの党がまとめた議員立法、霞が関改革推進関連法案、今書類を皆様方にお配りさせていただいておりますが、こちらでも、幹部公務員の身分保障を緩和した上で、課長級への降格が可能になるなど、弾力的な人事を実現するとしております。

 先ほどの報道では、きょうの昼に首相官邸で鳩山総理と仙谷大臣、原口大臣がこの問題について話し合われたということでもありますけれども、この点、どのようにしていく方針なのか、仙谷大臣にお伺いをしたいと思います。

仙谷国務大臣 国家公務員法の改正といいましょうか改革問題でありますが、今回の改正、改革におきましては、幹部人事、幹部役員とでもいいましょうか幹部職員という範疇をつくって、この範囲の中では抜てきあるいは登用ということが柔軟に行えるようにする。当然のことながら、現時点で例えば次官とか何とか局長さんとか何とか審議官というふうな地位についていらっしゃる方に、これはどこか横へ動いてもらうか、まあ、現在の職制上は下になるのかわかりませんが、そういうことをしなければ新しい登用人事というものができない。そのことによってパイプが目詰まりを起こして、公務員の全体が閉塞してくるということが十二分にあるのではないか。

 そんなことから、現在の言い方でありますと昇格昇任人事ということになるわけでありますが、この幹部職員を、適性審査を通して、ワングループに幹部職員として名簿登載をするか、あるいはこれを二つの名簿にするか、こういうことを考えてまいったわけでありますが、鳩山総理の御意向とこの段階での指示によりまして、私どもの中でもそういう有力意見はあったわけですが、これをワンバスケットの幹部職員という範疇を設けて、その中で相当程度自由に、次官が局長に、あるいは次官が審議官に、部長にということもでき得るような、そういう体系にしたい、こういうふうに考えております。

 これを第一段階の改革、つまり、二〇〇八年の公務員制度改革基本法に基づいた第一段階の改革として、今回のこの国会に提出をしたいというふうに考えているところであります。

柿澤委員 この点、閣僚間の議論の中で原口大臣もいろいろと御意見をおっしゃられてきたというふうに伺っておりますので、原口大臣の特段のお考えがあれば。

原口国務大臣 お答えいたします。

 この公務員制度改革、御党の代表でいらっしゃいます渡辺当時大臣と私たちは党を超えて協力してきました。

 公務員制度改革がなぜ大事かといえば、これは国民主権、政治主導、政治の責任を明確にする上でとても大事なんです。ですから、柿澤委員の総務委員会での御質問にも私はお答えをしましたが、私たちの理想の形、この形にしたいと思っていまして、今、仙谷大臣がお答えをされましたけれども、ワンバスケットにして、そして実際の政治任用というものが絵にかいたもちにならないように、そういう公務員制度改革にしていきたいと思いますので、御協力をよろしくお願いします。

柿澤委員 事務次官の廃止について伺います。

 仙谷大臣は、昨年の末に朝日新聞のインタビューに答えて、事務次官の廃止というのを検討することを打ち出されておりました。いわく、民間の会社ならトップは社長に一本化されて、事務方のトップなどというポストはないということをおっしゃっておりました。

 事務次官の廃止については、渡辺喜美代表が、やはり去年の十一月、この予算委員会で提起をさせていただいた考え方であります。みんなの党の霞が関改革推進関連法案にも盛り込まれております。しかし、あのときの予算委員会では、鳩山総理も、また平野官房長官も、事務次官が果たす役割があって、今事務次官というポストは必要なんだ、こういうお答えだったというふうに思いますし、どちらかといえば、渡辺代表の提案は荒唐無稽、こういうふうな受けとめ方だったような印象がございます。

 ところが、昨年末、仙谷大臣が廃止ということをおっしゃられたので、我々としては非常に快哉を叫んだというような気持ちがございました。ところが、今回、この事務次官の廃止というのは、残念ながら、法案に盛り込まれない方向だというふうに聞いておりますし、骨子にもそこは見当たらないわけであります。

 原口大臣も先ほど、総務委員会で私に対する答弁をされたということをおっしゃられていましたが、その中で、まさに、事務次官会議をなくしたんだったら、もしかして事務次官もなくしてもいいんじゃないか、そのときにどのような給与体系になるかということを精査しなさいということを指示した、こういう答弁をされております。

 公務員制度を所管する仙谷大臣、そして原口大臣というツートップが事務次官廃止と言っているのだから、今回の法案に盛り込まれるのではないかというふうに期待をしていたんですが、残念ながらそうなりませんでした。この主張は撤回をされたんでしょうか。伺います。

仙谷国務大臣 これは私、ずっとこの間、政府全体それから各省を拝見しておりまして、やはり日本の行政府、行政庁、それから内閣、政府全体も、基本的にガバナンスがどこにあるんだろうかという問題意識を持ってまいりました。

 それは、ある意味で、人事院に人事問題、労務問題を丸投げすることによって成り立つ仕組み、三者三すくみの事態というか、私に言わせれば、三者、ある種、連携をとりながら、つまり政と官の関係を、政治を雲の上に押し上げておいて、この三位一体の中でガバナンスらしきことをやっているんだなと。だから、どうしても国民の意識あるいは議会の議論、そして政治家の意思とちょっと違うというか、相当違う部分が公務員の世界に出てきておるのではないか、こういうふうに思っておりました。

 反対に申し上げれば、この人事院問題というのは、私に言わせれば、国家公務員の労働基本権をなくする、その代償措置としての人事院という、これが建前上も現実の機能としても大きいわけでありますから、もし、国家公務員に労働基本権を付与するといいましょうか、限度つきであっても付与するとか、そういうことになるとすれば、人事院そのものの役割、機能も改めて問われなければならない。ということは、今度は、各省あるいは政府全体のマネジメントといいましょうかガバナンス、労務管理、人事管理ということがもろに問題になってくる。

 そういう場合に、今各省に置かれている、私の推測ですと、事務次官あるいは官房長という仕事の中身は、当然のことながら、役割、機能は変わってこざるを得ないだろう。そういう役割を、イギリスの事務次官は、対労働組合といいましょうか、人事管理、労務管理の最終責任者になっているということでありますので、そういう観点からの議論も必要だ。

 そこで、自律的労使関係の制度化といいましょうか、そういうことをマニフェストにも書き、あるいはこの間数度となくそういうことを申し上げておりますので、国家公務員の労働基本権付与あるいは回復と称されるものとの絡みで、改めて、事務次官制度といいましょうか、事務次官の存在意義というものを問い直す、そこがやはり本格的な話だろうと私は考えております。

 現時点で、国家行政組織法の十八条だったかと思いますけれども、この中で事務次官という名称を外すといいましょうか、事務次官をなくしたところで、さあ、一体全体今の各省のガバナンス、マネジメントをどこでどのようにとるのか、この議論の方が先行するといいましょうか、同時並行的に行われていなければ、余り快哉を叫んでいただいたところで意味がないのではないか、こんなふうに考えているところであります。

原口国務大臣 お答えいたします。

 結論から言うと、撤回する気もなければ、今後あきらめる気もありません。逆に言うと、今、仙谷大臣が答弁をしましたように、国家行政組織法それから内閣法、この内閣法を見てみても、今の政務三役を想定したものではありません。そういったものを総合的に判断して変革をやっていきたい。

 特に、柿澤委員にお答えをしたように、この間委員にお約束したピラミッド形の今の状況と台形形でどれぐらいコストが違うか、この試算もできましたので、お求めであればお届けをしたい、このように考えています。

柿澤委員 ぜひその資料は拝見させていただきたいと思いますし、また、仙谷大臣から大変注目すべき御発言もありました。

 今、公務員制度の改革全般の中で、身分保障そして基本権の問題を処理する中で人事院の役割等も見直していかなければいけない、場合によっては、恐らくこれは人事院という組織そのもののスクラップにもつながっていくようなお話だというふうに思います。

 今、快哉を叫んでもというお話がありましたが、私たちは、スピード感を持ってこれをぜひ行っていただきたいというふうに考えておりまして、ぜひこれからも期待をしてまいりたいと思っております。

 最後に、JALの問題について。(パネルを示す)

 今回の支援計画の決定に当たって、政策投資銀行や再生機構の出資で九千億円、一兆円近い公的資金を得て短期の黒字化を目指すというシナリオが描かれているわけでありますが、今、このリストラ案、皆様の手元にも資料としてお配りをさせていただいておりますけれども、これを見ると、ちょっと信じられないようなV字回復のシナリオになっております。

 フィスカルイヤー〇九の二千六百億円の営業損失が、三年後には九百四億円、下の年金存置時営業利益概算というところになりますが、九百四億円の黒字になる計画になっている。これ一つをとってみても、このような急角度でJALの収益が回復をすることが本当に可能なのかどうかということが疑問に思える部分がございます。

 しかも、そもそも、これから本当に徹底的なリストラを行うということであると思いますけれども、リストラをするにもかかわらず、一一年からは売り上げが伸びていくという計画になっております。JALグループの三分の一に当たる一万五千七百人を削減して、子会社を清算そして売却をして、不採算であるにしても、国際線、国内線合わせて三十路線余りから撤退をする計画になっている。それなのに、この棒グラフを見ると、売上高はだんだん上がっていく計画になっているわけです。

 報道されている資料では、国際線でローコストキャリア的な新しい展開を目指すとしながら、客単価は二割も上がる、そんな計画になっているとも聞いております。整合性がないのではないかというふうにも思いますけれども、このような形の今回示されている支援計画というものを本当に達成ができるのか。

 今回、稲盛CEOは、再生支援機構と日航でつくった事業再生計画を確実に実行できれば再建は十分に可能だというふうに会社更生法の段階でおっしゃられておりますけれども、前原大臣も同じ認識ということでよろしいでしょうか。

前原国務大臣 日本航空の事業再生計画というものは、企業再生支援機構法に基づく企業再生委員会というところが、果たして三年以内で再生可能なのかどうかという議論を徹底的にしていただいて、そして、できるという御判断をいただいたのが今回の事業再生計画だと思っております。

 中身につきましては、路線、機材、人員の大幅なダウンサイジング、それからアライアンス効果、結局は今のワンワールドに残るという決断をされたようでありますけれども、こういったネットワークの再構築、コア事業への集中、バランスシートの健全化というところがメーンになっているわけでございます。

 我々としては、今までの自民党政権下の航空行政を抜本的に見直す。例えば、空港整備特別会計、整備勘定の見直し、あるいはその公租公課の見直し、そしてオープンスカイ、そしてさらなる競争力強化、そういった外的な要因もしっかり下支えしながら、再生計画というものが着実に実行されるように後押しをしていきたい、このように考えております。

柿澤委員 一月十九日の支援機構の支援決定においても、実のところ何も決まっていなくて、機構も説明できない事柄が大変多くありました。社債の扱いとか、あるいは年金基金が解散しないことになったため生じた当初の債権放棄額との差額の二千百億円の取り扱い、そういうところを見ると、GMのようなプレパッケージと言えるような計画になっていないという指摘もあります。

 これから、裁判所の更生計画の決定まで、あと半年かかるというふうに言われております。現在、国内線、国際線を飛ばすと、一カ月に約千百億円の資金が流出していくと言われています。一カ月で千百億円ずつ使っていくと、下手をすれば、計画ができ上がるころには再び資金ショートを起こすということにもなりかねません。

 今設定している枠でお金が足りなくなったときには一体どうするのか。これは可能性がないこととは私には思えませんので、支援機構や公的金融機関がまた出すようなことになるのではないかと思いますが、この点について御見解をお求めしたいと思います。

前原国務大臣 月々一千百億円のお金が流出していくという、まずその算定根拠を示していただいて、議論をさせていただきたいと思います。

柿澤委員 そのような報道上の指摘があるということでございます。

 いずれにしても、今お配りをさせていただいた資料をごらんいただければわかるとおり、この事業計画の見通しというのは、私たちから見ると非常にリアリティーに欠けるのではないかというふうに思えます。そういう意味では、これからの成り行きというものを大変懸念せざるを得ない状況になってまいっております。そのような意味で、これからも引き続き注視をし、また御議論をさせていただきたいと思っております。

 残念ながら時間がなくなってまいりましたので、これにて終わりとさせていただきますが、これからも国土交通委員会等で議論をさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

鹿野委員長 これにて柿澤君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明十六日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時一分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.