衆議院

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第13号 平成22年2月17日(水曜日)

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平成二十二年二月十七日(水曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 鹿野 道彦君

   理事 池田 元久君 理事 岡島 一正君

   理事 海江田万里君 理事 伴野  豊君

   理事 松原  仁君 理事 山口  壯君

   理事 加藤 紘一君 理事 町村 信孝君

   理事 富田 茂之君

      石津 政雄君    糸川 正晃君

      打越あかし君    小野塚勝俊君

      緒方林太郎君    岡本 充功君

      奥野総一郎君    梶原 康弘君

      金森  正君    神山 洋介君

      城井  崇君    沓掛 哲男君

      黒田  雄君    小泉 俊明君

      古賀 一成君    田中 康夫君

      高橋 昭一君    津島 恭一君

      豊田潤多郎君    中林美恵子君

      長島 一由君    畑  浩治君

      平岡 秀夫君    三谷 光男君

      森本 和義君    山田 良司君

      湯原 俊二君    横粂 勝仁君

      吉田 公一君    和田 隆志君

      若泉 征三君    渡部 恒三君

      あべ 俊子君    赤澤 亮正君

      秋葉 賢也君    小里 泰弘君

      金子 一義君    北村 茂男君

      小泉進次郎君    近藤三津枝君

      齋藤  健君    下村 博文君

      菅  義偉君    田村 憲久君

      平  将明君    谷畑  孝君

      野田  毅君    山本 幸三君

      赤松 正雄君    大口 善徳君

      笠井  亮君    阿部 知子君

      照屋 寛徳君    吉泉 秀男君

      山内 康一君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   菅  直人君

   総務大臣

   国務大臣

   (地域主権推進担当)   原口 一博君

   外務大臣         岡田 克也君

   文部科学大臣       川端 達夫君

   厚生労働大臣       長妻  昭君

   国土交通大臣       前原 誠司君

   防衛大臣         北澤 俊美君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     平野 博文君

   国務大臣

   (少子化対策担当)    福島みずほ君

   国務大臣

   (国家戦略担当)     仙谷 由人君

   国務大臣

   (行政刷新担当)     枝野 幸男君

   内閣官房副長官      松井 孝治君

   外務副大臣        武正 公一君

   財務副大臣        野田 佳彦君

   国土交通副大臣      馬淵 澄夫君

   防衛副大臣        榛葉賀津也君

   総務大臣政務官      小川 淳也君

   総務大臣政務官      長谷川憲正君

   財務大臣政務官      大串 博志君

   財務大臣政務官      古本伸一郎君

   厚生労働大臣政務官    山井 和則君

   厚生労働大臣政務官    足立 信也君

   国土交通大臣政務官    三日月大造君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  外口  崇君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 北村 隆志君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  金井 道夫君

   予算委員会専門員     杉若 吉彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十七日

 辞任         補欠選任

  緒方林太郎君     神山 洋介君

  梶原 康弘君     石津 政雄君

  畑  浩治君     高橋 昭一君

  平岡 秀夫君     和田 隆志君

  森本 和義君     金森  正君

  小里 泰弘君     あべ 俊子君

  小池百合子君     北村 茂男君

  下村 博文君     近藤三津枝君

  谷川 弥一君     小泉進次郎君

  谷畑  孝君     赤澤 亮正君

  野田  毅君     平  将明君

  大口 善徳君     赤松 正雄君

  笠井  亮君     吉井 英勝君

  阿部 知子君     照屋 寛徳君

同日

 辞任         補欠選任

  石津 政雄君     梶原 康弘君

  金森  正君     森本 和義君

  神山 洋介君     緒方林太郎君

  高橋 昭一君     畑  浩治君

  和田 隆志君     横粂 勝仁君

  あべ 俊子君     小里 泰弘君

  赤澤 亮正君     谷畑  孝君

  北村 茂男君     小池百合子君

  小泉進次郎君     秋葉 賢也君

  近藤三津枝君     下村 博文君

  平  将明君     野田  毅君

  赤松 正雄君     大口 善徳君

  吉井 英勝君     笠井  亮君

  照屋 寛徳君     吉泉 秀男君

同日

 辞任         補欠選任

  横粂 勝仁君     湯原 俊二君

  秋葉 賢也君     齋藤  健君

  吉泉 秀男君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  湯原 俊二君     平岡 秀夫君

  齋藤  健君     谷川 弥一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 公聴会開会承認要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十二年度一般会計予算

 平成二十二年度特別会計予算

 平成二十二年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

鹿野委員長 これより会議を開きます。

 平成二十二年度一般会計予算、平成二十二年度特別会計予算、平成二十二年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省保険局長外口崇君、国土交通省大臣官房長北村隆志君、国土交通省道路局長金井道夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鹿野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鹿野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤澤亮正君。

赤澤委員 おはようございます。

 きょうは、箇所づけ漏えい問題から話を始めさせていただきたいというふうに思います。

 十五日月曜日、午前中の質疑で明らかになったとおり、十日の水曜日に国土交通省が本委員会に提出した資料はにせものであったということであります。政策決定の透明性や情報公開をずっとうたってきた民主党政権にあるまじき行為ではないかと思います。官房長官、いかがでしょうか。

平野国務大臣 にせものとか云々ということよりも、これは、私ども政府としましては、資料に対して、与党の理事の皆さんと御相談をし、提出したものでございます。

赤澤委員 そこに大きな問題があると思うんですね。

 というのは、金子委員から、二月十日の予算委員会で、ここから先の質問は、具体的に出された資料がどういうものなのか、あるいは、今報道で出されているようなものと言っているんです、それと同一のものなのかどうか、どういうものが出されるのかというのを見てから改めて質問をさせていただきたい、こう言っているんです。そして、金子委員は、同一のものが出されるのかという問題意識を明確にしながら資料提出を要求したんです。なお、にせものの資料でお茶を濁そうとした行為の悪質性は極めて高いです。(発言する者あり)やじっている先生方、静かにしてください。静かにしてください。委員長、静かにさせてください。民主党の議員諸君、静かにしてください。

 そして、今の……(発言する者あり)理事会の協議と言いますけれども、与党の理事と政務三役で決めたじゃないですか。どの資料が実際に県連に流れたのか知っているのは、あなたたちだけなんですよ。そうです。これは、野党が気づかなければ口をぬぐって終わりになるというだけの話じゃないですか。いいかげんにしてください、それは。知っている人たちだけがそれでいいと言う、そういうやり方じゃだめですよ。

 明らかに金子委員ははっきりと、具体的に出された資料がどういうものか、今報道で出されているようなものかどうか、これをきちっと確認して、それが欲しいということを委員会でもきっちりと質問の中で言っているわけですから……(発言する者あり)もちろん言っていますよ。そこをきちっと答えていないというのは、これはにせものの資料と言わざるを得ないですよ。とんでもないです。(発言する者あり)そう、与党筆頭理事がというのはおかしいですよ。ちょっと委員長、お願いしますよ。妨害しています。

 それでは、続けさせていただきます。

 私は、これは、国会にガセネタが提出されたという意味では、永田メール問題と全く本質は変わらないと思っています。国会を軽視して、実際に求められた資料と違うものを出すということについて、永田メールのときと何が違うのか、前原大臣にお伺いしたいと思います。

前原国務大臣 お出しをした資料は、にせではございません。最新版をお出しした。あくまでも与党の理事と御相談をして出させていただきました。

赤澤委員 前原大臣は巧みに議論をすりかえているんですよ。

 確かに、したがって、この資料はにせものでなくアップ・ツー・デートなものになっている、自治体に対して説明をしたそのままのものを出させていただいた、こういうことを言っています。そして、委員初め自民党の方々は、仮配分の中身について、県連要望とかあるいは知事の要望とか、そういうものについておっしゃるんだというふうに思いますと、わかっておられるじゃないですか。

 何で、我々が求めているものが県連に行ったものということについてわかっておられながら、違う資料を出すんですか。それをすりかえて、アップ・ツー・デートしておいたなんて恩に着せられたら、たまったものでないですよ。

 民主党が利益誘導政治をやるに当たってどういうものを県連に出したか、組織ぐるみでどういうやり方をしているか、そこを我々は問題にしているんですから。何が求められている資料かわかっているんだから、ちゃんと出さなかったら大問題じゃないですか。前原大臣、いかがですか。

前原国務大臣 与党の理事と御相談をして出させていただきました。

赤澤委員 そこがおかしいんですよ、与党の理事とって。要するに、与党はまさに組織ぐるみで県連に情報を流してやっているわけじゃないですか。その方たちと、一方の側だけと相談して、これを出しておけばいいと。それには、県連要望あり、なしといったような欄は除かれて、ないわけですよ。そういう資料を出して、野党が指摘しなければ口をぬぐって終わりなんというのは、それはもう本当に、利益誘導政治をやって開き直っているという典型ですよ。前原大臣、いかがですか。

前原国務大臣 御指摘の事実は当たらないと思います。

赤澤委員 組織ぐるみでないというようなことをおっしゃっていますけれども、では、昨年十二月に何をやったんですか、民主党は。(発言する者あり)

 委員長、静かにさせてください。いいですか。(発言する者あり)そうじゃないんです。やじるあなたたちが悪いんですよ。これはきちっと静かにさせてください、委員長。きちっとしてください。

 そして、組織ぐるみについて今何かおっしゃっていましたけれども、民主党は、十二月の十六日から十八日に、三日間かけて、国土交通省に県連を次々呼んで、すべての課長を集めて、そしてそこで政務三役立ち会いのもとに要望を聞かせているじゃないですか。関係するすべての課長が来ていますよ。(発言する者あり)うそじゃないですよ。そのことについて、組織ぐるみだと言われたことについて何か異論を言っておられるけれども、全くこれは組織ぐるみじゃないですか。地方組織も挙げてきちっと利益誘導をやっているということになるでしょう。そういう問題を我々は取り上げているんですよ。

 そのことについて、前原大臣、三日かけて、県連の代表を呼びかけて、そしてそれについて要望を聞き取らせた。それを、ワープロ打ちを国土交通省の職員にさせて資料をつくって、それが組織ぐるみの利益誘導でなくて何なんですか。答えてください。

前原国務大臣 昨年十二月十六、十七、十八の三日間、国土交通省におきまして、民主党の四十七都道府県連から要望を聞く機会を設けたことは事実でございます。これは、国土交通省として、民主党の各県連から所管公共事業等について御要望をお聞きしたものでございます。

赤澤委員 では、ほかの党からはそれを聞いているんですか。民主党だけから聞くというのはおかしいと私は思います。

 そこで、平野長官に伺います。(発言する者あり)

 委員長、やじについては本当にこれはとめてください。きちっと注意してください。委員長の責任ですよ。手を挙げているだけじゃとまらないと思いますよ。よろしくお願いします。

 そして、にせものの資料を提出した責任はだれにあるのか。平野長官か、あるいは前原大臣なのか。その辺、長官からお答えください。

平野国務大臣 議員にお答えいたします。

 にせものという言葉を前振りに置かれていますが、私どもは、ここの委員会での御質問にお答えすべく、当該の国土交通省の三役と、さらには理事会での御議論を踏まえて、一番ベストな資料として判断をし、提出したものだと思います。

赤澤委員 それは巧みな議論のすりかえがあるんです。

 要するに、予算審議のあり方について、新たなルールの議論というのはこれはあると思います。そのときに、議論の参考にするために最新の資料を出すみたいな話は、別の話なんですよ。我々が問題にしているのは、民主党県連に何を流したのか。それには県連要望あり、なしといったようなことが書いてあるんですよ。それの欄のないものをわざわざ出すというのは、あなたたちがそこについて削りたかったという意思があらわれているじゃないですか。その辺のことを聞いているんですよ。にせものについて、おかしくないですよ。

 官房長官、考えをもう一回言ってください。

平野国務大臣 お答えをいたします。

 私は、この資料を出すべきだ、これを出すべきでない、こういうことを指示した覚えはございません。適切に資料を出すように、こういうことを申し上げたところであります。

赤澤委員 それであれば、長官、はっきりおっしゃってください。だれの責任なんですか。だれなんですか。言ってください。

平野国務大臣 国土交通省の三役と現場の理事との協議の場に私はおりませんから、私は、要請したのは、きちっと資料を出すように、こういうことでしかございません。

赤澤委員 委員会のやりとりをしっかり聞かれて、県連にどういうものが出たのか、それと同じものが出たのか、きちっと見せてもらってから質問を続けたいと金子委員はそのときにおっしゃっているわけですよ。それを平野長官は聞いておられたわけですよ。にもかかわらず、今みたいに責任を逃げることはいけないですよ。国会質疑をきちっと充実したものにするために、求められている資料を出さなければだめです。

 そして私、これはもう一回前原大臣に伺いたいと思うんですけれども、永田さんは責任をとって議員を辞職されました。前原大臣も代表をやめられたはずだと思います。この事件について、責任のとり方をどうされるのか、お答えください。

前原国務大臣 提出を求められた資料については、理事会あるいは与党の理事と御相談をして出していく、これからもそういう姿勢を貫きたいと思います。

赤澤委員 全く問題を理解されていないと思います。求められていない資料を出した、その中身がガセであったということについては、本当に何も永田メール事件と違いありませんよ、これは。きちっと出すべきものを出さなかったということについて、責任を明らかにして謝罪してほしいと私は思うんですよ。これは本当に、国会の審議、野党を無視して、ばかにしているということですよ。国会を愚弄しているんです、これは。

 委員長、きちっと答えさせてくださいよ。だれが責任があって、どういう責任のとり方をするのか、きちっと答えてください。それは平野長官に答えてもらいます。(発言する者あり)

鹿野委員長 お静かにお願いします。

平野国務大臣 お答えをいたします。

 責任のとり方と先生おっしゃいますが、私どもは、理事会で求められたもの、このことについて出したところでありまして、私が冒頭申し上げましたように、委員会の中で、誤解を与えるような行為については、私は冒頭陳謝をいたしました。その後、精査をして、その対処の方法につきましては検討する、こういうことで対応しているところであります。

赤澤委員 今のお答えでは、私は、これはどうにもならないと思うんですよ。

 本当に、このにせの資料を出したということについては、これは与野党の信頼関係を大きく毀損していると私は思います。これについては、きちっと本当に事情を説明して、だれの判断でやったのかということを明らかにして、その方のきちっとした釈明を私は聞きたいと思うんですよ。一体だれがこれを決めたんですか。

平野国務大臣 お答えをいたします。

 先ほど来申し上げておりますが、私は、現場であります国交省の三役と、ここの委員会の与党の理事によって適切に資料を出すように、こういうことで申し上げました。(発言する者あり)

鹿野委員長 赤澤君、続けてください。赤澤君、続けてください。

赤澤委員 私がお尋ねしたとおり、これは責任者はだれなんですか。

 というのは、与党の理事とそれから政務三役、そして政府の中におられる平野長官を初め閣僚の皆さん以外、どの資料が実際に県連に出たのかは知りようがないんですよ。だから、野党の方はただひたすら、県連に出たものを出してくれと言って信頼して待っているんです。

 政務三役か与党の理事かのどなたかが、我々が求めたものと違うものを出すと決めたということなんですよ。それがだれか教えてくださいよ。その方からきちっと責任ある釈明があって、その方がきちっと謝罪をしていただいて、信頼関係を回復してもらわなきゃ質疑なんか続けられませんよ。

平野国務大臣 お答えをいたします。

 資料提出の判断は、政府の方と申し上げますと、一義的には国交省の三役の御判断と、ただし、協議をいたしておりますのは、与党の理事との間での協議の決定だと思います。

赤澤委員 それでは、前原大臣にもう一回伺いますよ。

 大体、おかしいことだらけでしょう。自分たちが相談してベストだと思うものを出したのに、何で出し直すんですか。マスコミ等からこれは出たものと違うと批判の声が上がったから出し直しているんじゃないですか。何で出し直したんですか。

前原国務大臣 繰り返しになりますが、にせものの資料ではありません。最新の資料を出したということであります。

 しかし、それでも、前の古い資料でも、県連を通じて出たことは遺憾でありましたけれども、その資料を出せということで、理事間で御相談をされ、与党の理事と相談をして出させていただいたということであります。

赤澤委員 それは、だから議論のすりかえなんですよ。

 予算審議の参考にするために仮配分の資料を出すなら、それは最新のものを出したという言いわけは通用しますよ。しかしながら、そういう議論を今しているんじゃないんですよ。この場でやっているのは、県連に出したもの、一月末に出したもの、タイミングも大事なんですよ。二月九日に自治体に説明を始める前に、あなたたち、一月末に出したんでしょう。その出したものが何かを見せろということを我々は言っているわけですよ。

 そういうことからしたら、最新のものを出すなんというのは何の意味もない。にせものですよ、それは。ちゃんと考えを言ってくださいよ。

前原国務大臣 何度伺われても、にせものではありません。

 そして、与党の理事と、また理事会で協議をされて、その古いものでもよければ出せということでしたから、我々は出させていただきました。それだけのことであります。

鹿野委員長 赤澤君。(発言する者あり)

 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鹿野委員長 では、速記を起こしてください。

 赤澤君、どうぞ。

赤澤委員 今の話を聞いていると、どうも官房長官は、理事会に任せたということでおっしゃるということですね。理事会と政務三役で相談をした、御自身はあずかり知らぬ、与党理事と政務三役、こういうことです。

 今、何か与党理事が一生懸命大臣のところへ行って相談されていたので、その相談の中身、一体どういう責任なのか、それについて前原大臣からお答えをお伺いしたいと思います。

前原国務大臣 初めにお出しをした資料はにせものではありません。最新のものを与党理事と相談して出させていただいただけであります。(発言する者あり)

鹿野委員長 もう一度、国土交通大臣。

前原国務大臣 予算委員会の審議に資すように、最新のものを与党理事と相談して出させていただきました。

赤澤委員 もうこうなると、一月末に何をやったかを隠ぺいしようとしていると断ぜざるを得ないですよ。明らかに議論のすりかえなんですよ。

 これは、ルールを変えて、予算委員会に仮配分の資料を全部出して、しかも、今回こそこそと民主党がやったように一党だけが見るんじゃなくて、きちっとやろうという話は別問題なんですよ。それであれば、その資料であれば、きちっと最新のものを出す、当たり前だと思いますよ。それは結構です。

 ただ、我々が問題にしているのは、特定の政党に、しかも、憲法違反の疑いもある、大臣規範違反の疑いもある、そういうものを出した。それには、二月九日以降に出したとされる県連要望の欄とか、そういうものはないわけですよ。十分の十事業も削っている。我々がいろいろな質疑で、マスコミで批判された部分を削ったものを出してきたんでしょう。何でもとのものを最初から出さないんですか。そのことを聞いているんですよ。

 問題になっているのは、一月末に出した資料なんです。もう一回、前原さん、答えてください。

前原国務大臣 予算委員会の質疑に資すように、最新のものを出させていただいた。

 そして、今お尋ねのことについて申し上げれば、再度そういう御要請があったので、与党理事と御相談をして、古いものというものを出させていただいたということでございます。(発言する者あり)

鹿野委員長 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鹿野委員長 速記を起こしてください。

 前原国土交通大臣。

前原国務大臣 繰り返しになって恐縮でございますが、予算委員会の質疑に資すように、整備局を通じて自治体にお話をした最新のものをお出ししたということでございます。(発言する者あり)

鹿野委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鹿野委員長 速記を起こしてください。

 前原国土交通大臣。

前原国務大臣 今まで提出した資料は、すべて与党理事と御相談をして出させていただきました。

赤澤委員 今伺ったことについてちょっと聞きたいなと思うのは、その認識を伺いたいんですよ。

 前原大臣は、一月末に党に出した資料を我々が求め続けてきたということは当然認識しておられるんでしょう。

前原国務大臣 この国会において、官房長官から、予算委員会の理事会で話がまとまれば出します、理事会の決定に従います、こういうことでございましたので、私もそれに歩調を合わせております。

赤澤委員 ということであれば、結局は、これは与党の理事が、ここの議論について我々がいかに真剣に党に出した資料を求め続けてきたかということをしんしゃくせずに、違う資料を出したということなんですよ。その辺については、これはやはり与党の理事に責任があると私は思いますよ。

 というのは、どういう資料が求められているか、そしてそれが何かは我々は知りようがないんですよ。これは本当に、与党の理事がどういう資料を出すかをまさに決められて、その中身は我々はわからないんだから、きちっと我々が求めているものを出すというのは誠実にやってもらわないと信頼関係が壊れますよ。その辺はきちっとやっていただきたいということを改めて強く申し入れておきます。

 これについては本当に謝罪があってしかるべきだと私は思いますけれども、しかしながら、これは今質問ができませんので、責任も問いようがない。この点についてはまた後で戻ってきますけれども、今とりあえず次に進ませていただきたいと思います。

 箇所づけ漏えい問題の責任ということなんですけれども、これは前原大臣にお伺いをします。

 民主党に行われた仮配分の説明は、なぜ秘密に該当しないんですか。何回もお答えになっていると思いますけれども、もう一度お答えください。

前原国務大臣 今回民主党に行われたいわゆる仮配分の説明は、昨年十一月の事業計画通知や二月一日の個別箇所の事業評価結果などで既に公表した情報、または公表済みの情報からおおむね類推できる情報で近日中に公表予定のものなどを内容としているため、実質的な秘匿の必要性は認められず、秘密に該当するための要件を満たすものではないと考えております。

赤澤委員 今のは、もう言っている横から破綻しているんですよ。

 どういうことかといったら、一番問題になるところは、十一月の事業計画はいいです、ただ、実際に一月末に配ったものはそれそのものではない。二月一日の事業評価の結果は入っています、そのとおりかもしれない。問題はそこから先ですよ。出ているものから類推できるような、近日中に公表される情報だから、これは実質的に秘匿する必要はないなんて、そんな乱暴な議論があるんですか。それは役人が書いたなら、私はその役人は役人の資格がないと思うよ、本当に。とんでもない議論ですよ。

 秘密というのは、例えば株のことを考えてくださいよ。情報が一日前に手に入ったら大もうけできるんですよ。そうでしょう。トウモロコシ相場は、豊作かどうかが一日前にわかったら大もうけできるんですよ。用地買収にかかわる部分も、一日前にわかったら、土地代が上がり始める前に買うことだってできるんですよ。

 何が近日中なんですか。近日中に明らかになるものを事前にやったら、そんなものは当然秘密を暴いたことになるんです。それで実質的に秘匿性がないなんという議論をよくこの場でできますね。もう一回ちゃんと答弁してください。

前原国務大臣 先ほど私が御説明をしたのは、すべて、かつではありません、またはという議論をしているわけであります。

 つまりは、仮配分の説明は、昨年の十一月の事業計画通知や二月一日の個別箇所の事業評価結果でおおむね公表した情報、それから、またはであります、公表済みの情報からおおむね類推できる情報、または近日中に公表予定のものということでありまして、仮に近日中に公表予定のものだけを御指摘されるのであれば、それを除いて、十一月の事業計画通知や二月一日の個別箇所の事業評価結果などで既に公表した情報、または公表済みの情報からおおむね類推できる情報でありますので、実質的な秘匿の必要性が認められず、秘密に該当するための要件を満たすものではないと思います。

赤澤委員 今のは答弁になっていないのを、委員長、認識してください。

 というのは、明らかに、近日中に公表されるものが入っているんですよ。それは今おっしゃったじゃないですか。議事録にも残っていますよ。そこを問題にされて、あっ、しまったと削って済む問題じゃないですよ。何を考えているかわかっているんですよ。二月の九日に自治体に出したものを、近日中かもしらぬ、十日以上前に、一月の末に出したんですよ。それは類推できるなんて限りませんよ。できないんですよ、前原さん。

 では、一つだけ具体例を挙げますよ。河川については、業務費ですか、一部削るべきものが入っちゃっていたから、実際に二月九日に出したものと全然違う膨らんだ数字が出ているんですよ。一月末のものを見た自治体は、二月九日に出たのを見て、えっ、減っているぞとびっくりしたはずですよ。近日中に公表する予定、類推できるであなたは読めると言ったけれども、読めないですよ。すぐ答えてください。役人と相談するのはいいから、すぐ答えてください。

 委員長、速記をとめてください。速記をとめてください。私の質問時間を役人との相談時間でつぶさないでください。委員長、お願いします。

鹿野委員長 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鹿野委員長 速記を起こしてください。

 前原国土交通大臣。

前原国務大臣 民主党に提示した資料は作業途中のものであり、今お話のありました河川の話も含めて、地方公共団体に負担を求めない業務取扱費、事務費が事業費から控除されておらず、仮配分の額が過剰に表記されているなどのことによって、我々としてはまだ精査できていないものであったということであります。

赤澤委員 今のことはまさに、事業費、除くべきものを除いていないものを県連を通じて自治体に出しちゃった、こういうことですよ。それのどこが、既に公表しているものから類推できる数字なんですか。間違えたものなんか類推できる自治体はいないですよ、そんなもの。

 もう一回ちゃんと答えてください。近日中に公表する資料が、何でそれが秘密に当たらないんですか。公表前は秘密なんですよ。言葉の定義からいって当たり前でしょう。前原さんの今の質疑は全く破綻していますよ。

前原国務大臣 私は質疑ではなくて答弁でございますが、今おっしゃったことを含めて申し上げると、要は、十一月にもう事業計画を我々は出しているわけであります。そして、その事業計画の中で、地方に対する直轄事業のいわゆる負担金、これを分権の中で廃止をしていくということの議論の中で、維持管理費の負担割合をどうするかという議論がございまして、そして、五百億以上のものになったわけでありますけれども、事業計画からは積み上げをするということになったわけでございまして、その中で作業をしているところで、今申し上げたような、繰り返しになりますけれども、その仮配分として出したものにつきましては、業務取扱費、事務費が事業費から控除されておらずに、仮配分の額が過剰に表記をされているということであります。

 それから、これも繰り返しになりますけれども、県連を通じて自治体に流すなんという意図は全くありませんでした。それについては極めて遺憾でございました。

赤澤委員 それは結構でありますけれども、そういう答弁をされるんだったら、少なくとも、流れる可能性について、きちっと言質をとって、確約をとって流れないようにするという責任が実際に流した人にあると思うんですよ。それは馬淵副大臣なんですか、それとも三日月政務官なんですか、どなたですか。

前原国務大臣 県連を通じて自治体に流れたというのは想定外であり、極めて遺憾でございます。

赤澤委員 だれが流したのかを聞いているのに、お答えにならない。前原大臣、私が国土交通委員会で質問したとき、あなたは本当に少なくとも誠実に答えていましたよ。何で立場が悪くなった途端に逃げ回るんですか。

 さっきの話に戻りますよ。秘密についてきちっと答えてください。近日中に公表されるもの、これについては秘密でしょう。近日中に公表されるものだから実質的に秘匿の必要性がないなんという議論がどうやって成り立つんですか。そこのところはきちっとはっきりしてください。間違いだったんだったら、自分が議事録に残した発言は違ったとちゃんと認めてくださいよ。よろしくお願いします。

前原国務大臣 繰り返しになりますけれども、事業計画でもう既に十一月末に公表しておりますし、また、いわゆる事業評価についても二月には公表しているものでございます。したがって、類推のできるということであります。

赤澤委員 今の話は、私、聞いている方はみんなわかってくれるように思うんですね。

 要するに、近日中に公表する、そういうものだから秘密には当たらないんだと、議事録に残して発言されているんですよ。そこについておかしいだろうと私が聞いたらば、これはもう十一月に出したものとそれから二月一日に出したもので類推できると。どう類推できるんですか。無理に決まっているでしょう、そんなものは。

 前原さん、それは答えになっていないです。前のはおかしかったというんだったら、それは撤回してくださいよ。類推なんかできないと思いますよ。少なくとも間違った資料まで出していて、どうやって類推するんですか。

前原国務大臣 実質的な秘匿の必要性が認められるかどうかは、具体的な情報ごとに個別に判断が必要であり、既に公表済みの情報からおおむね類推できることと近日中に公表予定であることの二条件がそろえば、機械的に秘密でなくなると申し上げているわけではありません。

 民主党への提供資料にある仮配分の情報は、昨年十一月に公表済みの事業計画通知等の情報からおおむね類推でき、かつ、地方公共団体への説明開始により近々公表が予定されていた情報でございます。しかも、これを公開しない方が公開するよりも円滑に行政が進むという性質の情報まであることから、実質的な秘匿の必要性があるとまでは認めがたいものと考えております。

赤澤委員 全く答えになっていないですよ、それは。

 少なくとも、大幅にふえた県と、そして減った県もあるわけですね。それはどうやって類推するんですか。要するに、事業計画から、実際に出てきたものは、二月九日に自治体に説明する前の話ですよ、一月末に。どうやって類推できるんですか。自分の県が減らされる、ふえる、どうやって類推できるんですか。もう言っている横から無理がありますよ、それは。

前原国務大臣 赤澤委員は、運輸省でしたか建設省でしたか、もとは国土交通省におられたのでおわかりかもしれませんが、事業について、例えば十一月の時点の事業計画の段階において、用地が取得できるかどうかというものはまだ自治体がわかっていないところもありますけれども、逆に言えば、用地が取得できる、したがって工事が進むかどうかということは、逆に自治体から我々は判断をいただきながらプラスをするかどうかということを判定するわけでありますので、自治体が逆にそれはどういった状況であるかが一番よく御理解いただいていると思います。

赤澤委員 全く説明になっていないですよ、それは。なっていないですよ、前原さん。これは減額になったところも増額になったところもあって、それで本当にみんな一喜一憂しているんですよ。その意味があるから一月末に出しているんでしょう。本当に、今の答弁だと、これは全く誠意のある答弁とは言えないですよ。

 そして、秘密に当たるものであるから、それについて不注意に党に流した、それが党から一般に出ていかないことの担保をとっていない、そこについては、私は、実際それが馬淵副大臣なのか三日月政務官なのか、お答えにならないからわからないけれども、政治責任は極めて重いと思いますよ。その点についていかがですか。

前原国務大臣 県連から自治体に流れたということは想定外であり、極めて遺憾でございます。

赤澤委員 遺憾なことになった責任はだれにあるんですか。

前原国務大臣 想定外であり、極めて遺憾でございます。

赤澤委員 きょうの前原さんは本当に切れ味も何もあったものじゃないですよ。もう議論になっていないですよ。

 だれが出したんですか。それを答えてください。要するに、資料を一月末に党に渡したのはだれなんですか、政務三役の中で。

前原国務大臣 政務三役で決めたものでございます。(発言する者あり)

鹿野委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鹿野委員長 速記を起こしてください。

 前原国土交通大臣。

前原国務大臣 事実関係としては、これは以前御答弁をしておりますけれども、一月二十八日に三日月大臣政務官から阿久津副幹事長に見繕ってお見せをしているということであります。

赤澤委員 わかりました。

 それで、この予算委員会、二月四日だったと思いますが、冒頭に、官房長官の発言とあわせて、馬淵副大臣もそのときにお話をされたと思うんですよ。それ以後、何か馬淵さんが背景に退いているように思うんですけれども、馬淵副大臣はこの話は責任を共有されているんですか。

馬淵副大臣 お答えをさせていただきます。

 政務三役で決定をし、そして、今回のこの仮配分の説明をさせていただいたと承知しております。

赤澤委員 それでは、前原大臣にもう一度聞きますが、党に資料を出したことについては、政務三役、今の三人、前原さん、それから馬淵さん、三日月さん、全員御存じだったんですね。

前原国務大臣 存じております。

赤澤委員 ということであれば、これは全く同罪でありますので。これについては、本当に、秘密に当たるもの、どんなに強弁をしても、近日中に公表される資料は秘密に当たりますよ。実質的に秘匿の必要はある。これを全く不注意に、きちっと出ないという担保もとらず、確約もとらずに出したこと自体が問題。

 ここから先は、そこは全然確約どころか、出していいと言ったのか、私はそこは言いません。しかしながら、確約も担保もとらずに出して、実際それが流れて遺憾だと言ったら、どう責任をとるんですか。

前原国務大臣 議論の前提が違うと思います。株価の話とこの仮配分の話は全く別だと思っております。

赤澤委員 これは全くおかしな話だと思いますよ。一日違いで、それについては土地の価格だって大きく変わってくるんですよ。公表されれば、それについてはきちっと、一日違えば値段は変わってくるわけですよ。その辺のことは、幾ら強弁されたって、株やトウモロコシと本質的なことは何も変わりません。だから、それは秘匿の必要性があるんですよ。その点についても認識をきちっと持っていただかなければならないと思います。

 次に、直轄国道整備事業について、十一月時点と比べた場合の予算の増減の基準について伺います。

前原国務大臣 今回、仮配分において示した事業については、昨年末の予算編成の結果を踏まえ、開通時期が近いもの、事業年数が短いものを優先するという方針のもと、地元地方公共団体の意見、要望や、事業の進捗、地元調整の状況等を総合的に勘案して、引き続き幅を持って示したものでございます。

赤澤委員 そこで、では今度、馬淵副大臣に聞きましょう。

 明確な道路整備事業の採択基準の必要性を最も強固に主張されていたのは、野党時代の馬淵副大臣だと私は認識しています。まさにBバイCの権化という感じがいたしました。与党になって急にこのようなあいまいな総合判断をよしとされるんですか。

馬淵副大臣 お答えをさせていただきます。

 BバイCの権化かどうかわかりませんが、事業評価の重要性ということは、私はかねてより申し上げておりました。

 かつて自公政権、少なくともこの長きにわたって、事業評価というものは予算が成立の三月三十一日に公表されていた。それ以前に事業評価というものが示されるべきであるという主張を、私は予算委員会でもしておりました。そして、今回、政権交代後、この事業評価というものを、予算審議に資するようにということで、一月末を目途にすべて再評価を行い、公表させていただくということで改革を進めたわけでございます。

 この事業評価は、少なくとも事業評価の方法についてまでは、改めてこれを見直すということにしておりまして、従前の方法において事業評価をさせていただきました。引き続き、前原大臣のリーダーシップのもと、事業評価の方法も含めて検討を行ってまいる所存でございます。

 以上でございます。

赤澤委員 要するに、明確な基準がないということなんですよ。

 そして、BバイCではなくて、要望によって決まっているんじゃないか。これはマスコミ各紙も報道しています。要望路線の九二%が増額になっている。BバイCで高いものであっても増額になっていないものもある。

 私は、ここしばらくで急速に化けの皮がはがれた民主党の党を挙げての利益誘導、選挙対策の展開、そして政権交代前後の馬淵さんの豹変ぶりを目の当たりにすると、BバイC、費用対効果とおっしゃっていたけれども、実は聞き違えで、VバイC、すなわちボート・バイ・コスト、集票効果、これを基準にしておられるんじゃないか、その間違いだったんじゃないかと思いますが、前原大臣、いかがですか。

前原国務大臣 先ほど馬淵副大臣がお答えをしたとおりでございますが、昨年末の予算編成の結果を踏まえ、開通時期が近いもの、事業年数が短いものを優先するという方針のもと、地元地方公共団体の意見、要望や、事業の進捗、地元調整の状況等を総合的に勘案し、引き続き幅を持って示したものでございます。

赤澤委員 要するに、十一月の時点で、三年で供用開始はできないということで凍結、ゼロから一億となったようなものが、端的に言えば、要望が出ると復活しているんですよ。要は、決め手は要望だということなんですよ。

 そこが大問題であって、政権交代前に馬淵さんがほえまくっていた明確な基準、それを見ればどの道路整備の予算がつくのか客観的にわかるような明確な基準をこの場に出して議論してほしいんです。そうでなければ、言行不一致、豹変と言われても仕方がないと私は考えます。

 ところで、前原大臣に伺いたいんです。これも報道されています。私も、ここに資料がありますけれども、確認しています。

 なぜ、前原大臣の御地元の京都府や、ゆかりのある鳥取県の仮配分、これが増額でトップクラスになっているのか。これでは、平成のお手盛り王と言われても私はしようがないんじゃないかと思う。その点についてはどう説明されますか。

前原国務大臣 まず、先ほど凍結ということをおっしゃいましたけれども、凍結という言葉は当たりません。

 ゼロから一億円程度と示した事業は、昨年十一月に都道府県等に説明をした事業計画において、当該事業の進捗状況や地元の調整状況などを踏まえて最小限進捗させることを今後検討していくという事業として提示したものでありまして、いわゆる凍結した事業ではありません。

 それから、京都について言えば、私の選挙区には少なくともありません。そして、京都の縦貫道の沓掛について言えば、用地取得が調ったということで増額をさせていただいたということであります。

 他方、大阪なんかはかなり低い率になっておりますけれども、第二京阪が完成をして、これは大阪府も納得をされた上でこういった数字になっているということでございまして、そういったしんしゃくは全くございません。

赤澤委員 なぜ、自民党が衆議院選挙で全勝したような県、福井県とかそういったところの予算の仮配分がまた全国でトップクラスなのかとか、気になることは多々あるんです。どれもこれも総合判断されたんでしょう。そのとおりです。要望も踏まえた。民主党が政権交代前に、明確な基準、BバイCと連呼していたにもかかわらず、政権交代した途端に、あいまいな総合判断で、やり方も、利益誘導と疑われても仕方がないやり方で物事を進めるから浴びてしまう当然の批判なんですよ。

 遺憾とおっしゃっていた党から資料が出たことも含めて、前原大臣、その辺についてはどう考えられますか。

前原国務大臣 繰り返しの答弁になりますけれども、地元地方公共団体の意見、要望や、事業の進捗、地元調整の状況等を総合的に勘案し、引き続き幅を持って示したものでございます。

 なお、BバイCについては、今回二月に公表させてもらったものは自民党・公明党連立政権時につくられたものでございまして、これは我々、見直していくということで、もっと明確なBバイCをもとにこれからは評価をしていきたいと考えております。

赤澤委員 国民の税金を配分する予算、国民が払っている税金というのは、当たり前のことですけれども、民主党員や民主党支持者だけが払っているものじゃありません。民主党が要請したから、あるいは民主党の選挙を応援した人には色をつけるとかつけないとか、もうそういう話になっているんです。国民の税金の利益誘導そのものなんです。

 四十七都道府県の県連を呼んで、政務三役がいるところで、国土交通省で要望を聞かせる、こういった過去に例を見ない利益誘導型の政治を称して、朝日新聞は「集団的口利き」と言っていますよ。毎日新聞は「新インサイダー」と言っているんです。

 平野長官に伺います。民主党のうたう政治主導とは利益誘導のことですか。

平野国務大臣 先生の御質問にお答えしますが、私どもが今進めております政治主導というのは、まさに国民本位の政治をする、このことが政治主導と私は認識をいたしております。

赤澤委員 民主党が政権交代前におっしゃっていたことは非常に意義の深いことですね。透明性とか情報公開とか、本当にそのとおりにやれば私はすばらしいことだと思います。

 本件についても、新しいルールをつくるという話を、これは後で時間があればやりたいと思って、本当に真摯に、今回の件がまずかったということで責任の所在も明らかにされてルールをつくろうというんだったら、我々、協力しないでもないんです。しかしながら、今の状態は、これは本当に、国民の間で支持率が落ちているのは政治と金だけじゃないですよ。要は、政治主導とは利益誘導なのか、こういう疑問がふつふつと国民の間に、頭にわいてきているから。国民は、政治と金だけで判断なんかしていませんよ。ここは私は極めて大きいものだと思っています。

 そこで、前原さんに伺いたいんですが、コンクリートから人へ、国土交通委員会で伺いました。名づけ親を自称されています。既に自公連立政権のもとでピーク時から半分以下に削減されている公共事業の全体額、これを一八・三%も削った。パイを極端に少なくしたことで、激しくとり合いが起きているんですよ、政治家の間で、民主党の先生方の間で。私は、コンクリートから人へではなくて、コンクリートから地元へなっていないかと思うんですが、その点の問題認識はどうですか。

前原国務大臣 おっしゃっている意味がよくわかりません。

赤澤委員 一八・三%も削ったことが、必要な公共事業を進められないような状態になっていませんかと聞いているんですよ。

前原国務大臣 二〇〇四年から人口減少になり、そして今二二%の六十五歳以上の高齢化になり、対GDPでいえば一・七倍もの借金をつくる中で、今の予算案を審議していただいておりますけれども、半分以上が社会保障費です。この全体のやりくりをどうやっていくかということの中で、我々は、コンクリートから人へという理念のもとで、公共事業費を削り、そして社会保障、教育あるいは子育て支援、こういったものをより充実させていくということで政府全体として予算の使い道を変えたものでございまして、これが私は政権交代の大きな成果だと思っています。

赤澤委員 そこは本当にまた時間をとって別に議論したいぐらいですけれども、消費税から逃げ回っている民主党が、だから社会保障財源を出せないんですよ。仙谷先生、そんなうれしそうな顔をしなくていいです。出番はないですよ、きょうは。聞きませんから。

 とにかく、消費税……(発言する者あり)いや、今のところですよ。この話題でですよ。消費税については……(発言する者あり)

 静かにさせてください。

鹿野委員長 御静粛に。

赤澤委員 今、仙谷先生の出番じゃないと言ったんです。(発言する者あり)

鹿野委員長 御静粛にしてください。

赤澤委員 枝野さん、やじれやじれみたいなのはおかしいですよ。まだ前原さんに聞いているところなんですよ。(発言する者あり)

鹿野委員長 御静粛にしてください。

 委員長として閣僚席に御注意を申し上げます。不規則発言は慎んでください。

赤澤委員 では、せっかくですから敬意を払って一問伺いましょう。国家戦略担当ですから今の話に直結するんです。

 消費税の議論を避けるから、社会保障財源、毎年一兆円ずつふえるものは賄いようがないんですよ。その状態で無理にほかの予算を切りまくってきたことというのは、これは小泉政権も失敗した部分が大いにあると私は思っています。そこのところをきちっと直していく上で、一兆円の増額には向き合わなきゃだめなんですよ。

 それは無駄撲滅とかいろいろなことをやっていたけれども、言っていたものが二十兆円ぐらい、二百七兆円の一割すぐ出る、出なかった。八兆円、九兆円すぐ出る、総理も言っていた、出なかった。そして、七・一兆用意しなきゃいけないけれども、事業仕分けは三兆円を目指して一・七兆、実際出てきたのは七千億に、土地改良やそういうものを足してようやく一兆円ですよ。

 消費税と向き合わなきゃ、社会保障財源の、今、コンクリートから人へといった人の部分は結局できないんですよ。毎年一兆円ずつ削らざるを得ないんだから、借金をふやさないために。

 では、その辺の認識を言ってください。

仙谷国務大臣 昨年の九月までの政権与党たる自民党の皆さん方が、二十年間、消費税とも、あるいはその他の財源手当てとも向き合わなかったことが、日本のこの財政の大問題になっていたんじゃないんでしょうか。私は、いつでもこの議論に真っ向から皆さん方と切り結ぶ議論をする用意があります。

 そして、なおかつ、予算の問題は、その時々の経済状況をよく見なければ総額が決められないことは当たり前じゃないでしょうか。

赤澤委員 では、仙谷大臣、もう一つお伺いをします。

 消費税と我々が向き合ってこなかったとおっしゃいました。二十一年度の税制改正法の附則の百四条に何が書いてありますか。

仙谷国務大臣 その程度のことではなくて、なぜちゃんと税制改正を、何%上げる、これを年金なら年金、医療なら医療に充てるということを掲げなかったんでしょうか。

赤澤委員 これはらちが明かぬので、仙谷さんが余りわかっていないのがわかったので、これ以上続けません。

 自民党は、二〇一一年から一%ずつ、七%上げてという議論もとっくにやっておりますし、それをどういうふうに使うかもきちっと話をしています。社会保障財源、医療、年金、そして介護、さらには子育てに使うということも言っています。今あなたがおっしゃったことは全部言っているんですよ。あなたの不勉強なんです。これについてはもう質問は続けなくても結構です。

 それ以上の話を、今また平野長官にお話を伺いたいと思うんですよ。

 二月四日、衆議院の予算委員会で提案理由説明の際に発言をされた。「予算の箇所づけが行われたとの一部報道がありますが、政府として、箇所づけを行ったという事実、認識はいたしておりません。しかしながら、馬淵国土交通副大臣らについて誤解を招く言動があったことについてはおわびを申し上げます。」こういうことですね。「今後、事実関係を十分精査の上、内閣においてしかるべく処分を含め対処させていただきたい」と。精査もするし、処分を含め対処だ、こういうことです。

 誤解を招く言動というのは何ですか。

平野国務大臣 一部報道で、そういうことが事実かどうかはわかりませんが、その報道をもって予算委員会の理事会でそのテーマに議論が行ったということで、予算委員会がスタートしない、こういうことでございましたので、まず、誤解を与えたのかな、こういうことから私はそういう話をいたしました。

赤澤委員 今のではさっぱりわかりません。一体だれが誤解したんですか。主語を教えてください。

平野国務大臣 そのときの私の発言したあれを正確に読みます。

  予算の箇所づけが行われたとの一部報道がありますが、政府として、箇所づけを行ったという事実、認識はいたしておりません。しかしながら、馬淵国土交通副大臣らについて誤解を招く言動があったことについてはおわびを申し上げます。

  今後、事実関係を十分精査の上、内閣においてしかるべく処分を含め対処させていただきたいと思います。

こういうことでございます。

赤澤委員 ちょっと整理させていただきますと、最初のお答えでは、何か、委員会でとまった、与党のやっておられることについて野党の方が誤解したような物の言い方でしたけれども、これを読むと、一部報道というのがあった、マスコミが趣旨を勘違いして、内示したと。そして国民がそのマスコミの報道で誤解を生じるかもしらぬ、そういう意味ですね。

平野国務大臣 したがって、報道の中身を含めて精査をしなければならない、予算委員会を開催していただくに当たり理事会でそういう御議論があった、そのことを受けて私がそういう発言をいたしたところであります。

赤澤委員 それで、本当にこれは認識不足、驚くんですけれども、蒸し返しだと言っている、本当に考えられない発言をしている人たちがいるんですよ。処分を含め対処はまだ行われていないんですよ。行われていない段階で蒸し返しと言える理事の精神が私はわからない。本当におかしいですよ。きちっと……(発言する者あり)

 では、それをいつまでにやるんですか。処分を含めて対処、いつまでにやるんですか。これは基本質疑の間にやるような、そういう理解を我々はしていたんですよ。精査と、それから処分を含めて対処の状況、今どうなっているんですか。いつまでにやられるんですか。

平野国務大臣 私は、基本質疑の間にやるという約束はした覚えはございません。十分に精査の上で、内閣の責任において処分を含めた対処を検討いたします、こういうことであります。

赤澤委員 それをいつまでにやるのか、明確にお答えください。

平野国務大臣 今、精査中でございます。

赤澤委員 我々は今、信頼関係が壊れた上で議論しているんです。にせものの資料をつかまされた上に、約束した処分も逃げようとしているというのでは、一切看過できないんです。処分の時期が言えないんだったら、これ以上質疑は本当に続けられないですよ。時期ぐらい言わなきゃおかしいですよ。やらないということでしょう。

 速記をとめてください。お願いします。委員長、速記をとめてください。

鹿野委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鹿野委員長 速記を起こしてください。

 赤澤君。

赤澤委員 もう一度伺います。

 何を精査しているんですか。そして、それにあとどれぐらいかかるのか。我々は事実関係はもうわかったと思っているんですけれども、何を精査しているんですか。どれぐらい時間がかかるんですか。そして、その後、処分を含め対処はいつ出てくるんですか。その見通しは示してください。

 今、本当に信頼関係が壊れているんですよ。これで何もせずに逃げ切ろうとしているんじゃないかということに、ちゃんと誠意を持って答えてくださいよ。

平野国務大臣 処分の問題あるいは対処の問題、これは非常に重要なことであります。また、内閣としても、そこは十分にしっかりと精査をした上で、今委員の御指摘について誠意を持って対処したいと思います。

赤澤委員 しっかりとというのは何をやるのか、では教えてください。

平野国務大臣 委員会での各委員の御指摘をされたところ、あるいは事実関係等々を含めてしっかり精査をするということです。

赤澤委員 それに何日かかるんですか。

平野国務大臣 それはこちらの問題であり、誠意を持って対応したいと思います。

赤澤委員 答えに誠意がないから言っているんです。精査にどれだけ時間がかかるのか、そして、処分を含めて対処の時期を明言してもらえなければ、これは、私、本当に質疑が続けられません。誠実に答えてください。

平野国務大臣 私としては、こういう委員からの御指摘がありますから、十分に精査した上で対応したいと思います。

鹿野委員長 赤澤君。(発言する者あり)

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鹿野委員長 速記を起こしてください。

 赤澤君。

赤澤委員 もう一度お尋ねをします。

 精査、何をされているんですか。我々には想像できないですよ。もう精査は終わっているはずだ、どれだけ時間がたっているんだと。それにあと何日ぐらいかかるんですか。

平野国務大臣 例えば、冒頭、この委員会が始まるときに、一部の報道にそういうことがあったということが報道されましたが、その報道の事実が本当にあったのかどうかということも含めてやらなければいけない、こういうことを含めての精査であります。

赤澤委員 長官、処分を含め対処する、そこまでおっしゃったんですよ。精査で裏がとれないからといったら、それは結局、やらないという意味ですか。どういう意味で今おっしゃったんですか、言ってください。

平野国務大臣 事実を間違えると、その処分、対処の仕方がおかしくなる、こういうことであります。

 また、処分の問題については、これは私どもの政府の問題でございます。

赤澤委員 処分を含め対処するとおっしゃったんですけれども、精査の結果次第ではそれは変わるという意味ですか。精査の結果どういう事態が判明したらどうなるのか、具体的に説明してくださいよ。さっきから、しっかりとか、とにかく具体性がない話ばかりでのらりくらりですよ。それでは本当に納得できません。

 もう少し具体的に、精査の結果どういうことになったらどういうことが起きる、その辺のことを具体的に話してください。

平野国務大臣 先生もよくおわかりだと思いますが、そういう仮定の話に今答える問題ではありません。

赤澤委員 では、一週間たって、今どこのマスコミの情報がとれなくてやっているのか、それを教えてくださいよ。

平野国務大臣 マスコミを含めて、今日までの部分について、私は、政府の一員として誠意を持って対応します。

赤澤委員 では、情報がとれなかったらどうするつもりなんですか。情報がとれない理由で処分もなし、対処もなしということを考えているんですか。

 二月四日に長官がみずからの口でおっしゃったことなんですから。情報がとれない可能性が今あると認めたでしょう。その場合、どうされるんですか。

平野国務大臣 いろいろな情報がございますから、それはやはりしっかりと政府の立場でチェック、精査をいたします。

赤澤委員 とにかく本当に具体的でないんですよ、しっかりとか、いろいろな情報とか。

 我々は、正直な話、にせの資料も出てきたし、これについても処分を含め対処ということが行われずにどんどん時間が過ぎるんじゃないか、そういう疑念を持っているわけですよ。

 誠実にと言うんだったら、もし情報がなくてもこのあたりで精査を打ち切って結論を出すとか、その辺の見通しを言ってくださいよ。打ち切れないということであれば、これはもう処分を含め対処する気がないということじゃないですか。だったら、そう言ってください。

平野国務大臣 先生の御指摘は処分ありきという前提に入っておられますが、私は、本当に処分すべきかどうかということも含めてどういうふうに対処するか、こういうことであります。

鹿野委員長 赤澤君。(発言する者あり)

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鹿野委員長 では、速記を起こしてください。

 赤澤君。

赤澤委員 今のお答えを聞くと、私は率直に言って、野党はだまされたんじゃないかと思いますね。

 二月四日の時点で、処分を含め対処をすると。これは明らかに、きちっと処分を含めて考えるということを言っているわけでしょう。そういう認識を我々の理事はしたはずなんですよ。そこについて、今、処分はありませんなんという話、あり得ませんというような話をされたら、我々、委員会に入るに当たって、これは我々の認識と違うと思いますよ。

平野国務大臣 先生、私、大変失礼な物言いをしたらあれですが、私は、今後、事実関係を十分精査の上、内閣においてしかるべき処分を含めて対処する、こういうことであります。

 したがって、処分をするということを前提に考えているということでなく、本当に処分しなきゃならなかったら処分いたしますよ。(発言する者あり)

鹿野委員長 赤澤君。赤澤君、質疑を続けてください。

赤澤委員 これは、本当にどんどん後退していって、やはり我々、これは信頼関係が毀損するというか、とにかく二月四日に審議に入ったことは誤りだったと思いますよ。

 では、結論を本当にいつ出すのか言ってください。この点だけは誠実に見通しを言ってもらわないと、我々は、これは結論なしで精査をずっと続けておられるんじゃないかと心配するわけですよ。見通しを言ってください。

 これを答えてくれなかったら私は本当に質問を続けられませんから、誠実に言ってください。この予算委員会の審議にきちっと盛り込めるような時点で結論を出してくださいよ。我々、事実関係も知りたいし、その対処も見たいんです。心からお願いしております。よろしくお願いします。

平野国務大臣 先生の今の御意見は十分受けとめて対応したいと思います。

赤澤委員 申しわけないけれども、私、もうこれは続けられません。本当に申しわけないけれども、もう少し誠実に答えるよう委員長からも言ってください。よろしくお願いします。

平野国務大臣 先生、恐縮でございますが、何回も答弁をいたしておりますが、先生の御意見を十分踏まえて対応します。

鹿野委員長 赤澤君。(赤澤委員「委員長、できません、これは」と呼ぶ)赤澤君、質疑を続けてください。(赤澤委員「無理です。委員長、これは無体ですよ。もう一週間以上たっているんだから。精査が続くばかりですよ」と呼ぶ)赤澤君、質疑を続けてください。赤澤君、質疑を続けてください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鹿野委員長 速記を起こしてください。

 平野内閣官房長官、もう一度赤澤君の質疑にお答えください。

平野国務大臣 何回もお答えをいたしておりますが、委員の趣旨を十分踏まえて対処していきます。(発言する者あり)

鹿野委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鹿野委員長 速記を起こしてください。

 赤澤君の質疑に対して官房長官からもう一度お答えをいただきます。

 内閣官房長官。

平野国務大臣 委員の趣旨を十分踏まえて対処したい、対応したいと思います。

鹿野委員長 赤澤君。(赤澤委員「ちょっと無理でしょう。委員長、無理です」と呼ぶ)

 赤澤君に申し上げます。

 官房長官から、委員のその趣旨に沿ってやっていきたい、こういうような答えが出されたわけでありますから、どうぞ赤澤委員、質疑を続けてください。

 赤澤君、質疑を続けてください。赤澤君、意義ある質疑を続けて、そして、自分も納得いくというようなことについて、質疑を続けてください。(発言する者あり)

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鹿野委員長 速記を起こしてください。

 赤澤君、質疑を続けてください。

 赤澤君に申し上げます。質疑を続けてください。(発言する者あり)

 赤澤君に申し上げます。

 赤澤君の質疑に対して平野内閣官房長官は、委員の趣旨を踏まえてやっていきたい、こういうようなことを答弁として申しているところでありますから、どうぞ質疑を続けてください。(赤澤委員「私の趣旨は時期を言えが趣旨なんですよ」と呼ぶ)

 質疑者に申し上げます。

 やりとりがあって初めて、その具体的なことも含めてお互いの考え方が引き出されるということになりますから、どうぞ質問を続けてください。(発言する者あり)

 赤澤君に申し上げます。

 質疑をどうぞ続けてください。疑問点がありますならば、どうぞ質疑によって、自分のやりとりによって、その質疑を続けることによって、いろいろな考え方が出てくるんじゃないでしょうか。どうぞひとつ質疑を続けてください。(発言する者あり)

 これにて赤澤君の質疑は終了いたしました。

 次に、あべ俊子君。(発言する者あり)

 あべ俊子君、質疑時間が参りますので、始まりますので、あべ俊子君、どうぞ質疑を始めてください。(発言する者あり)

 あべ俊子君に申し上げます。

 あべ俊子君の質疑の時間がこれから始まる、こういうことでございます。十一時八分から質疑の時間ということになりますので、どうぞひとつ、十一時八分過ぎましたから、質疑をやってください。

    〔委員長退席、海江田委員長代理着席〕

    〔海江田委員長代理退席、委員長着席〕

鹿野委員長 これにてあべ君の質疑は終了いたしました。

 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時十五分開議

鹿野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内康一です。

 午前中の質疑は大変もめておりましたが、平和協力について御質問をさせていただきます。

 自衛隊では給水や道路の補修といったような民生支援も行うことがありますが、そういった自衛隊による民生支援の費用対効果について、まず最初、防衛大臣にお尋ねします。副大臣で結構です。

榛葉副大臣 山内委員にお答え申し上げます。

 委員御承知のとおり、自衛隊というのは大変特殊なかつ極めて困難な状況のときに自己完結的に活動するものでございまして、一言で費用対効果というものに関しましてはお答えしにくいわけでございますが、過去の活動実績と経費について事実関係を申し上げたいと思います。

 まず、PKO活動について、東ティモール国際平和協力業務でございますが、平成十四年二月から平成十六年六月まで行われましたこの事業で、派遣の規模が延べ二千三百名、活動実績が、国連東ティモール暫定政府機構の活動に必要な道路、橋等の維持補修として百二十件の工事を実施いたしました。このほか、地域住民の生活に必要な道路、橋、かんがい用水路の建設、小学校のグラウンドの造成等を実施し、執行額が百七十四億円かかっております。

 また、国緊活動でございますが、平成十八年のマグニチュード六・三、死者五千七百三十二名を出しましたインドネシア・ジャワ島の地震のときでございますが、このとき、平成十八年六月の三週間、国緊活動を実施いたしました。派遣規模が、医療部隊約百五十名及び空輸部隊約九十名で実施をいたしました。活動実績でございますが、診療が三千七百五十九名、予防接種が千六百八十三名、防疫は約四千三百平方メートルを行いました。執行額が約四億円でございます。

 次に、イラク人道復興支援活動についてでございますが、これは陸自の分だけを御紹介申し上げますと、平成十六年一月から平成十八年九月までの間で、派遣規模が、陸自の派遣部隊要員延べ五千六百名でございます。活動実績が、医療・給水活動、公共施設の復旧整備等を実施し、医療活動につきましては、計二百七十七回の医療技術指導を実施しました。給水活動も、延べ約千百八十九万人分の給水を実施し、三十六校分の学校、三十一カ所約八十キロメートルの道路、六十六カ所その他の施設の整備を実施いたしました。執行額が約七百三十七億円でございます。これは陸自のみでございます。

 以上でございます。

山内委員 大変細かいデータを長く説明していただきましたが、例えば東ティモールで百七十四億円を使って、大体どれぐらいの人たちにどれぐらいの裨益効果というか、そういった分析というのはなされたことはありますでしょうか。なければ、ないとお答えください。

榛葉副大臣 分析はそれぞれ行っておりますが、もし御指摘がございましたら、後ほど資料を提出したいと思います。

山内委員 では、後日でも結構ですので、いただければと思います。

 岡田外務大臣におかれましては、議員活動の一環としてNGOのプロジェクトをいろいろ視察なさっているというふうに伺っておりますが、そういった現場を見られた感覚からいって、民間のNGOなりあるいはJICAなり、そういう援助機関がやる援助と自衛隊がやる民生支援、この二つを比べて、どちらがコスト的にパフォーマンスがいいのか、御所見をお伺いできればと思います。

岡田国務大臣 自衛隊がやる場合とNGOの皆さんにお願いする場合というのは大分状況が違うと一般的には思うわけですね。非常に自己完結性が求められ、あるいはいろいろな意味でのリスクの高いときには自衛隊にお願いをするということが多いと思います。もう少し平穏な状態であればNGOにお願いする。そちらの方が、より地域とのコミュニケーションもとれていますし、地域の実態に合った支援ができることも多いと思います。一概にどちらがいいというよりは、やはり状況に応じてということではないかというふうに思っております。

 ただ、今、実はアフガニスタンについて、日本のNGOの皆さんの中にも、ぜひやりたいという人たちがいるわけです。それについて、危険だから邦人の退去勧告をしているようなときにどうなのかという声も一方であれば、いや、それはもうプロなんだから、自分で判断してやるので、そういうことを足どめすべきでない、国はむしろ後押しすべきであるという議論もあると思います。そういうことについても、これからさらに議論を深めていきたいというふうに考えております。

山内委員 今、ティモールの例をお話しになったので、ティモールの状況を御説明します。

 私は、紛争直後に、NGOのスタッフとして東ティモールで人道援助の活動に携わりました。自衛隊は、NGOが入って治安が安定した後になってやってこられました。それも、相当、数カ月どころか、何年かたってから来たんじゃないかなと思います。そういった意味では、今の御説明には必ずしも当たらないケースが実は多いんですね、これまで日本の自衛隊が出ているケースでは。

 そして、例えばインドのグジャラートで地震があったとき、二〇〇一年だったと思います、そのときも私はNGOのスタッフとして地震の被災地に行きました。そこでテントの配給とかそういう仕事をやっていたんですが、やはり治安も全然問題なくて、かつ、自衛隊がそのときはJICAの緊急援助隊という名目で来ていたんですけれども、どっちかというとNGOよりも後から入ってくるパターンが実は多くて、必ずしも、危険だから自衛隊ということには全くなっておりません。

 そういった意味では、給水支援あるいは医療援助は、日本赤十字でもJICAでもNGOでもやれるわけです。そういうときに、自己完結型の組織で必ずしもやる必要のないケースというのが非常に多いように、私は現場を見ていて思いました。自己完結というのは、裏を返すと、現地で調達をしない、食べ物も水も、すべての資材を日本から持ち込む、非常に高コストの体質になります。

 それから、日本の自衛隊に限らず、ほかの国の、ポルトガルとかパキスタンとか米軍とか、いろいろな国のPKOのオペレーションを間近で観察しておりましたが、非常に高コストになりがちです。

 軍隊組織というのは、現地の労働者を雇ってやるというケースは実はそんなになくて、イラクの場合は現地の方を雇ったケースもあるようですけれども、どっちかというと、その国の兵隊がマンパワーとしてやります。そうすると、例えば自衛隊員を一日派遣しておけば、その危険手当だけで結構な金額になってしまう。ところが、現地の労働者を雇えば、一月百ドル、二百ドルで現地の人たちを雇える、雇用も生まれる。それから、現地の適正なレベルに合った雇用の創出という意味で、援助の持続性という意味でも、必ずしも自衛隊がやる必要のないところで自衛隊がやると、コストが高い割には後でフォローアップも大変だ、そういう事例をたくさん見てまいりました。

 インドの例などでは、例えば自衛隊のC130がたしかインドのとき飛んできたと思うんですが、足が短い、それから搭載量、ペイロードが非常に小さいので、何度も途中で立ちどまって、それから、一機の飛行機が持ってこられるテントの量もかなり限りがあります。そのとき私が勤めていたNGOは、ロシア製の民間の輸送機をチャーターしました。それに対して、自衛隊の輸送機を使うと、整備士まで含めると百人単位の人たちが現地に飛んでいかなくちゃいけない。非常にコストが高い。

 そういった意味では、実は軍事組織がやる人道援助というのはかなり高コストであって、かなり限定的な場面以外は使わない方がいいんじゃないかというふうに私などは感じております。特に、軍事組織の人というのは援助プロジェクトのトレーニングを受けている人はおりません。普通、援助機関で働く人間は、箱物をつくったらその後の維持管理をどうするか、例えば、学校をつくるときは住民参加で地域のコミュニティーと一緒につくりましょう、そういうプロジェクトを施行するわけですけれども、恐らく自衛隊ではそういうトレーニングを受けていらっしゃる方はいないか、いてもごく少数だと思います。

 そういった意味では、国際貢献イコール自衛隊、そういう発想は改めて、コストパフォーマンス、持続性、そういった無駄の削減という意味でも、もうちょっと援助機関と自衛隊のすみ分けを、きちんとした線引きあるいは客観指標みたいなものをつくる必要があるんじゃないかと思います。

 それについて、もう一度岡田外務大臣の御所見を伺います。

岡田国務大臣 大変いい御指摘をいただいたと思います。

 我々野党のときには、例えばイラクにおける自衛隊の給水事業について、これはコストが高過ぎるのではないか、もっと既存の施設を使って安くできるのではないかという議論も国会でした記憶がございます。

 しかし、自衛隊にしかできないこともある。今、ハイチで瓦れきを取り除く作業、これはやはり、ブルドーザーとかその他の重機がかなり要ります。これはなかなか、日本の今のNGOではそれに対応するものは持っていない。そうすると、やはり、期間を限って自衛隊が出ていってやるということは非常に意味のあることではないかと思います。

 将来的に、私は日本のNGOが、今いろいろな税制とかさまざまな制約がある中で活動が制限されておりますが、国際的に著名なNGOのような大きな組織になって、さまざまな設備も持って専門家もそろえてできるようになれば、さらにその線引きというのは変わってくるんだろう、そういうふうに思っております。

 そういう中で、先ほど申し上げましたアフガニスタンにおいて、よりNGO等の活動というものを援助の中に生かしていけないかということを、今外務省としてはさまざま検討しているところでございます。

山内委員 確かに、ハイチの地震の後のような大規模な災害の直後というのは、自衛隊の重機とかそういったものが大変役に立つので、それは自衛隊の比較優位のある分野だと思います。あるいは、インド洋の給油をNGOにできるかというとできませんし、あるいはゴラン高原の停戦監視、ネパールの武器の管理、そういった軍事組織にしかできない援助は自衛隊がきっちりやっていく。それに対して、民間でもNGOでもJICAでもできる、そういう部分は民間でやる。そのきちんとしたすみ分けを考えていく必要があるのかなと思います。

 私もアフガニスタンのマザルシャリフというところで半年ほど働いておりました。アフガニスタンの人道支援、ぜひ力を入れていただきたいと思います。

 それと、続きまして、防衛大臣か、あるいは副大臣にお尋ねします。

 鳩山総理が友愛ボートということをおっしゃっていますが、これは一体何でしょうか。

北澤国務大臣 お答えいたします。

 鳩山総理は、かねてから、単なる援助とかそういうことだけではなくて、その中で文化交流とか、そういうものも含めて一つのパッケージとして船を仕立ててやっていきたいという思いがあって、防衛省にも御指示がございまして、今回、パシフィック・パートナーシップで参加を検討して、準備をいたしておるわけであります。

 先生はいろいろ御体験を、体験の上からいろいろ理論を構築されております。普通は、民主導で官支援、こういう形が一番ふさわしいんだろうというふうに思いますが、鳩山政権として新しい試みとしてこれをやる。これは、ただ単に未経験の日本が船を出してやるということよりは、今は米国がやっている作戦に参加をして経験を積んで、やがて日本が独自でできるようにしたい、こういう思いだというふうに思っております。

山内委員 海上自衛隊の船が共同訓練とか友好親善の目的で海外に行くということには私も理解はできますが、ただ文化交流だったら国際交流基金という専門組織がありますし、援助であれば赤十字とかJICAとか、いろいろな専門組織があります。

 やはり、もちはもち屋ということで、日本の自衛隊はそんなに輸送艦をたくさん持っているわけじゃないので、貴重な輸送艦を本来の目的以外のことで余り使わない方がいいんじゃないかなというふうに思います。

 続きまして、事業仕分けについてお尋ねしたいと思います。

 ちょっとお配りした資料がございますので、お手元にとっていただきたいと思いますが、私は事業仕分けは大変意義があることだと肯定的にとらえております。私自身も、前は自民党という党の無駄遣い撲滅プロジェクトということで、河野太郎さんと一緒に自民党で事業仕分けをやっておりました。ただ、残念ながら、民主党政権の事業仕分けほどはマスコミの注目もなかったので、余り知られていなかったんですが、ただ、同じような作業をやって、我々がやったときと比べて今の民主党のやり方、私は別に批判するつもりはありません、ただ、こうやった方がいいんじゃないかな、こういう改善があるべきではないか、そういう意味で、ちょっと御質問というか提案をさせていただきたいと思います。

 見ていただくと、右の自民党の事業仕分けチームと、左の民主党の事業仕分けのメンバーを見ると、二つ大きな特徴があるかな。一つは、国会議員の数が自民党の方が多い。民主党の方は、いろいろな経緯があって、お二人だけになられる。それは仕方ないにしても、その他、民間の仕分け人の人たちというのが非常に偏っているなという印象を、民主党の方の事業仕分けでは受けるんですね。

 やはり人が大事で、仕分け人の選定というのは大変重要だと思うんですけれども、民主党の行政刷新会議の仕分け人、ほとんどが税理士さんとか証券会社のストラテジストさんとか財政学とか、どちらかというとお金の専門家の人がほとんどであって、ODAの事業仕分けをやる割には、途上国のことをよくわかっている人というのはほとんどいないと言っても間違いないと思います。それに対して、自民党の事業仕分けのときのメンバーを見ていただくと、民間は、市役所の職員さんが四人ほどいらっしゃいます。それと、学者の方もいらっしゃいます。ただ、半分ぐらいは民間のNGOの人たちに来ていただきました。

 やはりNGOの人たちが来る意味は二つあって、一つは、市民の代表という意味があると思います。もう一つは、官僚の意見に頼らない、官僚の知恵だけに頼らないというときに、民間のプロの目を入れていく必要があるんじゃないかな。そのときに、外務省なりJICAなり、そういう政府以外のプロがどこにいるかというと、やはり大学であったりNPOであったりだと思うんですね。そういう意味では、もうちょっと途上国の農村の実情とか途上国の学校の実情のわかる人を仕分け人に入れた方が、もっといい結果につながるんじゃないかなと思います。

 例えば、日本の学校について語るとき、日本国民であればほとんど日本の小学校へ行っていますから、自分で行っているから想像もつきます。あるいは、子供が小学校に行っていれば、大体どんなものか予想はつくと思います。ところが、ネパールの小学校がどうなっているかとか、東ティモールの小学校が紛争後どんな状況にあるか、そういうことは恐らく現場に行ってみないと想像もできないと思うんですね。

 事業仕分けが非常に効果的な道具であるのは、住民の身近な問題について議論するときには極めてすぐれた効果があると思います。ただ、カンボジアとかアフガニスタンとか、遠く離れた国で事業をやるときには、なかなか市民の声だけでは、あるいは税理士とか財政学とか、そういうプロの人たち、お金のプロの人たちだけの判断に任すのは危ないんじゃないかなという気がいたします。

 そういった意味では、この事業仕分けの仕分け人のバランス、次にやられるときはこの点を重視された方がいいのではないかなと思います。それについて、枝野大臣の御所見をお伺いします。

枝野国務大臣 御指摘をいただきまして、大変ありがとうございます。

 ODAに限らず、民間の仕分け人の皆さん、御自分の専門分野に限らず、関係する皆さん、その外の皆さんに、事前に相当ヒアリング、勉強していただいて、その上でそれぞれの事業の問題点等について御議論をいただいたというふうに認識をいたしておりますが、御指摘のとおり、特にODA関係の場合ですと、事前にいろいろなところを現地視察にも伺いましたが、国外にある現場というところまではさすがに我々も行きにくいという事情もございますので、今いただきました御提案というものを十分に考慮に入れて、今後の事業仕分けに生かしていきたいというふうに思っておりますし、ぜひまた、その折には、山内議員には、貴重な御経験をお持ちだと存じておりますので、お知恵等をおかしいただければ幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

山内委員 この事業仕分けの結果が恐らく相当反映されたと思うんですけれども、ODAが七・九%削減になっております。

 ちょっと、一応通告してありますが、岡田外務大臣に、恐らくこの事業仕分けの結果を踏まえた上で大幅に削減がなされている、これについての御意見。特に、私はコンクリートから人へというのは国内では妥当だと思うんですけれども、まだ途上国ではインフラ整備がおくれている、あるいは、戦争と地震の後というのは大体建物の復興が中心になりますから、コンクリートというのは結構、やはり必要なんですね。途上国だと、コンクリートも人もではないかなと思うんですけれども、それについて、大臣の御所見をお願いします。

岡田国務大臣 まず、予算の面ですけれども、確かに一般会計ベースでは減っていることは否めませんが、事業費ベースで見ると、つまり円借款などを含めますと、五・一%の増ということではあります。

 事業仕分けで御指摘いただいたのは、特に無償について、箱物を減らすべきである、むしろ人に対して投資をすべきであると。私は、その指摘はかなり当たっているだろうというふうには思います。有償の場合には、これは例えばインフラ整備とか、今、例えば東南アジアで東西回廊とか、そういった形で道路をつくったりいろいろしておりまして、そういうものは私は意味のあるものだというふうに思いますが、やはり無償の場合には、箱物をつくるというよりは人に対して投資をするということの方がいいのではないかというふうに思い、今回、その部分については削減を図ったところであります。

 いずれにしても、このODAについて、今、省の中に検討組織を設けて、福山副大臣を筆頭に全面的な見直し作業というものを、JICAなどにも御協力いただきながら進めておりますので、そこで考え方をきちんと整理して、来年度予算に反映させていきたいというふうに思っております。

山内委員 続きまして、事業仕分けに関連して、原口大臣にお尋ねします。

 事業仕分け、実際、私も仕分け人を何度もやったんですけれども、一つ思ったのは、国の事業を仕分けると、実は自治体がやった方がいいんじゃないかと思う事業が非常に多く出てきます。そういった意味では、事業仕分けを単に予算をカットするための道具として見るんじゃなくて、地方分権を進めるためのアイデアを出していく、地方分権を進めるためのきっかけをつくっていくスタートとして非常に有効ではないかと思います。

 そういった意味では、枝野大臣と協力された上で、地方分権を進めるためのステップとしてこの事業仕分けを活用されてはいかがかと思うんですが、それについて御意見を伺います。

原口国務大臣 お答えいたします。

 まさに山内委員がお話しになったことを、行政刷新会議の担当大臣、私もその中のメンバーの一人ですけれども、話をしたところです。

 中央政府で何もやる必要が全くない、あるいは、先ほどNGOのお話をされましたけれども、市民公益のところでしっかりカバーした方がいい、こういうものもたくさんあるので、今、山内委員の御指摘をまた次なる事業仕分けに生かして、地域主権改革を進めていきたい。

 夏ごろに地域主権改革大綱を全部まとめ上げますので、また、それに向けて御協力、御指導いただければというふうに思います。

山内委員 それと、枝野大臣が先日、テレビ番組で、国の出先機関を統廃合すれば三万五千人ぐらいの人数は削れるという話がありました。

 私は、地方分権を進めていけば、地方に権限も予算も移していけば、人も移していかなくてはいけないと思いますし、恐らく、人生のライフサイクルの中で、二十二歳の、大学を出たときは中央省庁で頑張ろうと思っていた若い人たちも、ある程度年がいってくると、ちょっと親の介護も心配だから、実家のある九州に帰って県庁にでも勤めようかな、そういう人も出てくるかもしれません。あるいは、これだけ中央集権から地方分権をということで進めていけば、霞が関にいるより、むしろ自分の生まれ育った県とか市の公務員として、地方公務員になりたい、そういう国家公務員がふえてくると思いますし、そういう人たちの希望をかなえつつ分権も進めていく。そういう意味では、国家公務員から地方公務員への転籍というのをこれから積極的に進めていく土台というか法律というか、ルールが必要ではないかと思います。

 それに関して総務省にお尋ねしたら、全然そういうデータが今のところない、フォローもしたことがないということでしたが、今後、そういう国家公務員から地方公務員への転籍というか、人を移しかえていく、それを進めるための方法について、枝野大臣と原口大臣、お二人にお尋ねします。

枝野国務大臣 御指摘いただきましたようなことは、これからの広い意味での行政刷新と地域主権確立の中で当然出てくる問題だろうというふうには思っております。それに向けては、総務大臣と連携をして、しかるべく対応していきたいと思っています。

 ただ、総務大臣からもあるかもしれませんが、気をつけないといけないのは、中央政府における行政刷新、例えば公務員の定数削減が地方にその人員を押しつけるというようなことになってはいけないということを十分留意しながら、しかし、両方にとって希望のあることというのは十分あると思いますので、対応を検討していきたいというふうに思っております。

原口国務大臣 お答えいたします。

 大事な御指摘だと思います。まさにそのことが検討されていないこと自体が問題だと、この間、政務三役会議でも議論をしたところでございます。

 そして、私たちは、電子政府化しようということも一方でやっていて、分権とともに仕事のやり方を仕分けして、クラウド化して、もっともっと行政改革が前に進むんだろうと。

 枝野大臣とともに懸命に頑張ってまいりたい、このように考えております。

山内委員 以上で終わります。ありがとうございました。

鹿野委員長 これにて山内君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤松正雄君。

赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。

 きょうは、内外が非常に注目をしているクエスチョンタイム、私どもの山口那津男代表が十分間質問をするという貴重な機会を前にした大事な時間、一時間十五分をいただきました。うちの代表は今の総理大臣を相手にしますが、私は、次の、あるいは次の次のと目されている大変有力な皆さん、またそれを支えている渋い大臣の皆様にしっかりと質問をさせていただきたいと思っております。よろしくお願いします。

 まず、外務大臣、今、岡田外務大臣は密約の問題について大変に力を入れて取り組んでおられるということで、最初に、密約をめぐる問題の今の進捗状況、さらに、ことしは日米安保条約締結五十周年という非常に大事な時期でもありますので、戦後日本が大きく進んできたこの状況の中で極めて大事なテーマである日米安保条約、その課題の中での核密約、こういった問題について岡田外務大臣と少しお話をしたい、また、防衛大臣にも随時お願いをしたいと思っております。

 まず、密約といった場合の定義、密約をどう定義するのか。大臣、お願いします。

岡田国務大臣 定義はなかなか難しいというふうに思います。

 ただ、俗に密約と言われるものの中で、今回、私が調査命令を発して調査をしておりますのは四つ。日米安保改定期、つまり今から五十年前ですが、一九六〇年の安保改定時の、核持ち込みに関する密約。それから、同じく安保改定期の、朝鮮半島有事の際の戦闘作戦行動に関する密約。三番目、四番目は一九七二年の沖縄返還時にかかわるものでありまして、一つは、有事の際の核持ち込みに関する密約。四番目が、沖縄返還時の原状回復補償費の肩がわりに関する密約。この四つに特定をして調査を行うことを命令を発しまして、外務省における調査は十一月に既に完了しております。

 そして、その調査結果について第三者である有識者に今評価をしてもらっておりまして、その結果も含めて早い機会に国会にもお出しをしたい、そういうふうに考えているところでございます。

赤松(正)委員 今、皆さんのお手元にも配らせていただいている、一と書いた「いわゆる「密約」問題に関する調査命令について」という、大臣から薮中事務次官に出された調査命令の中身としての四つの密約を御説明いただいたわけですけれども、密約の定義は難しいと言われて、密約というのは何なのかということについては触れられなくて、密約というものの定義があって、そしてこの四つと出てくるはずだと思うんですが、そうではなくて、具体例としての四つが出てきました。

 これは、密約を構成する要件というのは何かといったら、一つは非公開、公開じゃない。表向き二国間でいろいろな取り決めをする決まった、それ以外の、つまり公開の対象じゃない。それから、口約束というのはだめでしょうから文書がある。だから、非公開、文書がある。

 こういうことでいいのかなと思うと意外にそうでもなくて、要するに、密約というのは両国間がこれは密約にしましょうねというふうな約束があってやるものじゃないでしょうから、過去の、さっき言った五十年の日本のこの国会の場におけるさまざまな議論の中で、当時の野党からの追及を受けて、なかなか政府間同士で取り決めしたことをオープンにするのは難しいよなというふうなことがあって、後にそれが密約になるとか等々、幾つかのケースがあろうかと思うんです。

 その辺の、あとう限りの今の時点で岡田外務大臣が考える定義。その定義なくして、ではどうやってこの四つを選んだのか。四つ以外にもあるのか。あって、それを落として四つに絞ったのか。そのあたり、何ゆえにこの四つなのかということについて再度答弁してください。

岡田国務大臣 何ゆえにこの四つなのかという点に対してまずお答えいたしますと、メディア等で取り上げられていた密約なるものはこの四つであった。しかし、これに尽きるものではないかもしれません。ほかにもいろいろあるという説もあります。今回はこの四つに特定をして調べているということであります。

 国会のというより、もともと、最初からこれは外に出さないということで約束をしているというものだと私は思います。そういう外交上の機密というのは、これは時には必要なこともあるということでありますが、表に出ているものを実質的に変えてしまうような非常に大きな、そういう約束事を表に出さずにやる。そういう意味で私は密約、密約というのはそういうものではないかというふうに思っております。

 そして、お互いが外に出さないということであればそのままになってしまうこともあるいはあるのかもしれませんが、一方で情報公開制度というのがあって、アメリカでは一定期間過ぎればかなり文書が公開されます。日本もそういう制度はありますが、運用はかなり限定的。そういう中で、アメリカでは明らかになっているけれども、日本ではそんなものはないと言い続けて、いつの間にかそれは密約と呼ばれるようになった、こういうことではないかと思います。

 私は、それは決して健全なことではない。やはり外交というのは国民の理解と信頼がなければならない、そういう意味できちんと出すべきものは出す、そういう趣旨で今調査をしているところでございます。

赤松(正)委員 今の大臣の答弁を聞いていますと、これが密約で、それの基準に合わせてこういう密約であるというようなことではない、この歴史的経緯の中で必然的に絞られていった四つということなのかなという受けとめ方をいたしました。

 この四つについては性格が微妙に違っていて、四つ目の「原状回復補償費の肩代わりに関する「密約」」というのは、今大変話題になっているテーマ、いわゆる沖縄返還に伴う肩がわり密約ということだろうと思います。

 その前三者については、いわゆる核密約、二つ目はまたちょっと違って、半島有事の際の出撃に伴う密約。いずれもこの前三者は、いわゆる日米安保条約におけるところの事前協議の対象になるや否やということからきた密約である、こんなふうに思うんです。

 私、この核密約に取り組む岡田外務大臣の姿勢というのは非常に高く評価をしております。大事なこと。歴史の検証にしっかりたえるものというか、歴史の検証をしっかり当てていく、そういう部分で極めて大事だと思うんですけれども、大事であるがゆえに、徹底してやる必要がある、徹底さを欠くということはあってはならない、そう思います。

 そういう点で、ここに、皆さんのお手元にも配らせていただいた資料に岡田大臣の言葉としてあるのは、要するに、「外務省内に存在する原資料を調査し、」こうありますけれども、さっきもお話に出ていましたが、アメリカに調査員を派遣するという、アメリカにおけるこの問題についての調整、連携をどのようにしているのかということが一点。

 それからもう一点は、この四番目は、あずかって外務省だけではなくて、菅大臣の財務省にも絡んでくるテーマだと思うんですけれども、財務省などほかの省庁にはどういう形でこの調査を進めるように手を打っているのかというこの二点について、まず岡田外務大臣からお願いします。

岡田国務大臣 委員御指摘のように、この文書は、日本と同時にアメリカにもあるという可能性が高いわけであります。かなり情報公開も既にされてしまっていることも事実ですが。

 したがって、一つは、この検証委員会の中にそういったことについてかなり専門性を持ってやっておられる委員がおられますので、いろいろアメリカの公開文書については、そういった検証委員会において調べていただいているということがございます。

 もう一つは、この密約の問題は、日本だけでこういうものがありましたといっていきなり発表するのではなくて、同盟国でありますから、お互いサプライズがあってはいけないので、やはりアメリカ政府と事前に協議をするということも必要であります。そういう中でアメリカの文書についても把握はできるというふうに考えております。

 それから、財務省の関係、これは四つ目の密約でありますが、財務省は菅大臣の方で調査を命じられたというふうにも伺っておりますので、今、省と省で協力してということにはしておりません。ただ、我々として、できる限りの調査をして、その結果を発表したいというふうに考えているところでございます。

赤松(正)委員 では、大臣、今のお話だと、まずアメリカとの関係においては、アメリカに、アメリカの中におけるこの調査機関というか、そういうものにゆだねているということですか。それで、日本として、先ほどはっきり聞き取れなかったんですが、何か定期的に連携をとって、こっちから行くとか、あるいは向こうとやるとかということをやっているのかどうかということが一つ。

 そして、それに付随して、向こうの受けとめ方、アメリカ政府の、今のオバマ民主党政権の受けとめ方。これをおくればせながら日本がやるということに対して、評価をしているのか、それとも余計なことをやっていると思っているのか、その辺の受けとめ方について。

 それから、あと三つ目は、菅財務大臣のところは、財務省としてやられるということに任せておられると。外務省以外の省庁については、こういう文書のような形でお願いしますとか、あるいは、鳩山総理大臣が閣議の場で、岡田の方からこう言ったから、菅さん、頼むねとか、こういうふうな場面があったとか、そういうことはなくて、暗黙の了解のうちに進んでいるんですか。その辺のことについて、まず岡田大臣から。

岡田国務大臣 まず、検証委員会の委員の中にアメリカの文書について非常に専門的にやっておられる方々もいらっしゃいますので、そういう方々がアメリカの公文書館などに行って書類を調べているということであります。

 それから、政府との関係では、日米両国政府間でコミュニケーションをとっておりますので、そういうルートでも、アメリカがどういう文書を持っているか、既に公表されたもの、されないもの、そういうことについての確認というのはできる形になっております。

 アメリカの受けとめ方ですけれども、アメリカ側からすると、ほとんどもうみずからが明らかにした、文書上は明らかになっているものでありますから、その限りにおいては、日本政府の判断でやることに特に異を唱えることはないということであります。ただ、今の政策に影響するということであれば、それはやはり政府間でよく協議しなければいけない、そういうことだというふうに考えております。

 それから、財務省の件は、先ほど言いましたように、財務省でも、菅大臣が調査をされるというふうに言っておられます。我々の調査結果を出す前にはやはり政府の中で、財務省にもお諮りして、こういうことで調査結果を出したいということは申し上げようと思いますが、我々が財務省の中まで調査をするとか、そういうことは考えておりませんし、それは財務省の御判断の問題ではないかというふうに思います。

赤松(正)委員 今の大臣の御発言の中で、後でもうちょっと突っ込んでやりたいと思うんですが、アメリカが異を唱えない、今の行われている政策に不都合がなければ異を唱えないというのは、ちょっとこれはおかしいなと思うんですね。つまり、密約の対象としての、先ほど言った事前協議の対象云々という話については、ポスト核密約という、核密約のこの問題が終わった後、日本政府がどういう核政策をとっていくのかということと非常に微妙に絡んでいる問題なので、これは後でちょっとお聞きします。ちょっとそういう、すんなりと、はい、わかりましたとは言えない問題だと思います。

 それから、菅大臣は、では財務省の中におけるこの密約問題についての調査はどのように進めておられるか、お願いします。

菅国務大臣 鳩山内閣ができて、この密約について岡田外務大臣が積極的に取り組まれているということは私も知っておりました。

 財務大臣に就任したときに、前藤井財務大臣もこの問題については積極的に関係するものについては調査をするようにということで調査が進められていたということの報告も受け、私の方からも、さらに努力して調査をするようにという指示をいたしました。

 経緯はもう御存じだと思いますが、たしか、平成二十年の段階で、多分前の内閣だと思いますが、文書は存在しないので開示できないというのを、情報公開請求に対してそういう返事をされ、その後訴訟が起きているところであります。

 そういったことで、私としては、一たん存在しないということを前の内閣で言っているけれども、そんなことはないんじゃないか、もっと捜せということで、かなりそれを強く指示しております。今四度目の調査に入っているところです。

 と同時に、この資料は、一九六九年ですか、日本と向こうの大統領補佐官でしたかサインがなされている文書がアメリカの公文書館で見つかったということを主張されているわけですが、そちらにも人を送って調査をさせておりますが、まだそのものに当たるものは見出せておりません。

 ただ、そのころからいろいろな経緯が続いていた問題がありまして、つまりは、あるお金を一時預けているとかそういう経緯がありますので、そういった経緯についてもあわせて今調査を進めております。

 かなりの段階まで来ておりますので、最終段階では外務大臣、外務省とも調整をした、調整というか、まさに歩調を合わせた形で最終的な報告をできるだけ早くしたい、このように考えております。

赤松(正)委員 今のお話を聞いていると、主舞台は財務省だなという感じもいたします。

 きのう結審を見た、沖縄密約訴訟結審、これはきょうの新聞で報道されていますけれども、これによると、国側は、改めて文書は保有していない、こういうふうな主張をして、要するに文書はない、こういうふうに言っているわけですけれども、これについては、では外務大臣はどういうふうに受けとめておられるんですか。

岡田国務大臣 まさしく、今、訴訟にかかわる話でありますので、コメントしない方がいいというふうに思います。

 ただ、そこで証人として証言をされた元外務省の局長ですけれども、それは、私自身が守秘義務を解くという判断をして証言台に立ってもらったということであります。

赤松(正)委員 では、外務大臣、この問題について今訴訟中であるから述べられないということですが、言ってみれば、今このテーマは、菅財務大臣の方の捜す資料が大半であるということですか。それとも、外務省マターも、対象としての資料はあるはずで、それが見つからない、こう言っていることでしょうか。どちらなんでしょうか。両方か、それとも財務省か、あるいは外務省か。

岡田国務大臣 今、委員見つからないと言われましたが、訴訟の中身に関することについては私はコメントを控えた方がいいというふうに思っております。

 そして、外務省としては、これは四番目の密約の話でありますが、外務省の文書も調査をし、そして、関係者からの聞き取りなども検証委員会で広範に行っているところでございます。

 結果については、全体まとめて、検証結果についてあるいは調査結果について、なるべく早くお出ししたいというふうに考えているところでございます。

赤松(正)委員 そうすると、外務大臣、ちょっと私がおかしいなと思うのは、先ほど、省内の調査は終わったとおっしゃっていましたね。終わった、そして今は有識者の人たちによる検証をやっているところだと言いながら、一方で、まだ訴訟中また係争中というか、争っているものがある。これは、その部分だけは除いて、それ以外のところが終わった、こういう理解でしょうか。

岡田国務大臣 調査は終わっております。ただ、それをどう解釈するかというのは、いろいろな見方があるということなんですね。ですから、検証委員会で、第三者の目でそういった作業も含めてやっていただいているということでございます。

 裁判は終わりましたが、判決はまだ少し先というふうに理解しております。それまでには、全体の、この四つの密約に関する調査結果、検証結果が出ます。そういうものを踏まえた形で判決というものが書かれるのではないかというふうに想像しております。

赤松(正)委員 ただ、四月九日に判決だということですから、当初の予定から大幅にずれていて、当初は年内とかあるいは一月中旬とか言っていたのが、今、二月の中旬になってまだ出ない。判決が四月九日。先ほどの御答弁では、判決に左右されるような話、どっちが左右するのかは知りませんけれども、かなり関係は深い。こういうことからすると、極めて先行きおぼつかないなという印象を受けます。

 これにのみこだわっておれないので、私が思いますのは、岡田外務大臣がこれにしっかり入れ込まれてしっかり取り組まれるというのは結構なことですけれども、あくまで、やはり政府、鳩山政権そのものがこの問題に全力を挙げて取り組んでいかなくちゃいけない、私が言うべきことじゃないかもしれませんけれども。そういう性格のもので、鳩山どうこうじゃなくて、日本国政府、国を挙げて取り組まなくちゃいけないテーマである、そんなふうに強く思います。

 ぜひとも、今の問題も含めて、今は多くを語れないというか全部は言えないというお話ですから、きちっとしかるべきときが来たら全部オープンにするということで、もう一遍確認をしたいと思います。

岡田国務大臣 まだ検証作業中でありますので、それより先のことを今言うべきではないというふうに思いますが、私の気持ちとしては、今検証委員の先生方に資料を外務省の中で読んでいただいているわけですね、そういう形で作業をしていただいているという部分がございます、そういう文書については、私は検証作業が終われば一般に公開するということを念頭に置いているところでございます。

赤松(正)委員 これは、政権交代の成果を宣伝するために密約問題を利用しちゃいけないということを強く思っているわけです。

 今思いますことは、今大臣がおっしゃった、検証しているところだという話ですが、この今進めている検証というのは、密約の背景としての核政策、当時の時代背景を含めた歴史的な評価というのが岡田大臣の外務省の記者発表の中にもありますけれども、そういう当時の時代背景を含んだ歴史的な評価というのは、いわゆる核抑止戦略という政策的評価をしっかり含めたものだ、そういう理解でよろしいですね。

岡田国務大臣 こういう密約というのは、できればないにこしたことはないんだと思いますけれども、しかし、当時の時代背景からいってそれがやむを得なかったという見方もあるかもしれません。そういうことについて、さまざまな見解について検証をし、一方的に、こういうものを、密約を勝手にやってけしからぬといって断罪するということではなくて、時代背景の中で、時の指導者が、ほとんどの場合は首相ということになりますが、こういう選択をしたその背景、そういうこともきちんとあわせ出すことによって国民の皆様に御判断いただきたいというふうに考えているところでございます。

赤松(正)委員 核抑止というのは、要するにあいまいさをもって旨とするという部分があるということで、明確にはっきりさせないというところに意義があるという側面も、やはりこの五十年の歴史の中でそういう意味の評価というものもあったと私は思います。

 先ほど前半戦で申し上げましたけれども、そういうことであるがゆえに、明確な核政策、今までの過去の、主に自民党政権だったわけですけれども、自民党政権時代にいわゆる非核三原則というものを掲げて、核を持たず、つくらず、持ち込ませずというこの非核三原則を運用していく中で、実際に、特に三番目が今大きな問題になってきたわけですけれども、そういうことを含めて、展開をしてきた核政策との整合性というか、そういう問題が起きてくると思うわけです。

 では、岡田外務大臣は、今進めているこの核密約の歴史的検証という中で、明確な核政策を持ってそのことを進めておられる、こんなふうに思っていいのかどうか。

岡田国務大臣 委員今御指摘の非核三原則については、鳩山総理もこの国会の場で非核三原則堅持ということを繰り返し言っておられます。そういう前提で考えております。

赤松(正)委員 いや、それは非常に紋切り型の答弁でございまして、非核三原則を堅持するということは、大臣、総理大臣もおっしゃっている、それはよくわかっています。

 では、それだけで、その非核三原則堅持という核政策だけですか。もう少し周辺の核政策、核にまつわるさまざまなテーマについて、岡田外務大臣は今の時点で明確なる考えを持っていないということですか。

岡田国務大臣 今の委員の御質問趣旨ですが、密約の問題ではなくて別の問題として御質問されているというふうに受け取ってよろしいのでしょうか。

 そういう前提でお話し申し上げさせていただくと、やはりオバマ大統領によるプラハ演説、あるいはその前の、アメリカの四人の有識者による投稿、あれはウォールストリート・ジャーナルだったと思いますが、そういうものをきっかけに、核なき世界を目指すという大きな流れができた、今できつつあるというふうに思います。

 それまでの間の、ここ十年ぐらいを見ますと、インドやパキスタンで核実験をやったり、あるいは北朝鮮やイランの問題が出てきたり、核不拡散政策もかなり微妙な状況になってきた。一方で、核軍縮の流れというのもなかなか進まなかった。それが、やはりオバマ演説以降流れが変わり、今、米ロ間では核の軍縮についての話し合いがかなり進展してきている状況。

 そういう中で、我々は何をすべきかということを考えたときに、もちろん、不拡散の話、北朝鮮、イランの話は当然あるわけですが、同時に、やはり核を持っている国に核軍縮をしっかりやってもらうということが必要であるというふうに思っております。

 そういう中で、私が今言っておりますことは、これは外交演説の中でも触れておきましたけれども、一つは消極的安全保障、つまり、核を持っていない国に対して核攻撃をしないという約束。そしてもう一つは、消極的安全保障よりはより困難性が高いんですけれども、核の目的というのは核攻撃に対する抑止に限定する、唯一の目的という考え方ですけれども、こういったことについてより関係国間で議論を深めるべきじゃないか、そういうふうに考えているところでございます。

赤松(正)委員 今おっしゃった二つのテーマを関係各国間で協議する、これが今の岡田外務大臣の私の質問に対する答えということなんですが、では、それを違う角度で少しお尋ねしたいと思うんです。

 私どもの仲間で浜田という参議院議員がいまして、先般というか去年の暮れに大臣とかなり激しくやり合ったのを議事録で見ました。それで、私どもの仲間の議員は質問主意書を出している、その質問主意書の答弁を引用しながらやっている。その答弁の中身と、それから、そのときの外務大臣のやりとりの答弁を私はしっかり読ませていただきました。

 そこで、そのときは十一月の十九日ですから、あれから少し時間がたっているので、変化をしているのかどうか、今確認しようと思うんです。

 あのときの御答弁、まず一つ目の政府答弁、質問主意書への答弁というのは、極めて、私は、岡田外務大臣配下の外務省が考えたというよりも、前政権の、言ってみれば従来的な外務省の物の考え方が色濃く出ている答弁書だなと思いました。

 とりわけ、今、核軍縮を核を持っている国にやってもらうと言われましたけれども、今ここにある文章を読んでもいいんですが、「平和で安全な核兵器のない世界を目指した現実的かつ着実な核軍縮努力を重ねていくことが重要であると考えている。」と、主語がないんですね。どこがそういうことをやるのかということは全く書いていない、非常にあいまいな文章であり、そして、いまだ時間を要するとかあるいは長期的課題ということが目立つ中身になっています。それが一つ。岡田外務大臣のいわゆる核政策というものがバックにないと言わざるを得ない中身になっているということが一つ。

 もう一つは、岡田さん自身の答弁の中で、しっかりとした核政策をこれから構築していきたい、こうおっしゃっている。外務大臣も仕事はいっぱいあるから忙しいんだということをいいながら、今の政府の中でしっかりと議論をしてまいりたい、こうおっしゃっています。

 察するに、外務省の中にも岡田さんとは違う考え方を持っている人がいっぱいいるやに思います。民主党の中にもいっぱいいるやに今仄聞しています。そういう状況の中で、なかなか岡田さん自身苦労しておられると思うんですが、私が今ここで聞きたいのは、浜田君が質問をしたときから三カ月ほどたって、その後に変化はありますか。

岡田国務大臣 基本的には変わっておりません、私もかなり頑固な方ですので。

 先ほど委員言われた質問主意書は、これは内閣としての閣議決定をするものですので、やはり、閣内で確認されたものを書くということになれば、少し抑えた書き方になるのはやむを得ないというふうに思っております。ただ、私は、外務大臣として少しとんがったことをあえて言っているわけでございます。

 ドイツのウェスターウェレ外相と一カ月ほど前にこの核の問題で議論をいたしました。それから、今週末オーストラリアに行きまして、スミス外相とこの核の問題も含めて、それだけではないんですが、議論したいというふうに考えております。

 さまざまな、特に核を持たない国の間で共通の認識ができないかどうか、今そういったことについて取り組んでいるところであります。

赤松(正)委員 正直に、まだ事態は変わっていないとおっしゃいました。これは大変厳しい現実だろうと思います。岡田さんをもってしてもなかなかそういう事態を変えられない。いつまでもこういう状態を続けていいというわけではないと思うんですね。

 やはり、外務省の中での議論、あるいは政権政党内における議論、連立与党の中における議論、いろいろあろうと思うんですけれども、そういう意味で、核政策をきちっと確立した上でこの密約の問題にも立ち向かっていかないと、核政策があいまいなままにしておいて、とりあえず前政権の間にずっと引き継がれてきた核密約について、言葉が悪いかいいかはあれですが、暴露してしまう、こういうことではなかなか難しいんじゃないかと思います。

 御答弁いただく前に、では、事前協議の対象云々、この四つのうちの三つの前三者における、今までの日本の五十年の歴史の中で大変苦労した、あいまいにさせておくことが非常に価値が高かったという状況の中で生まれてきた戦略というかそういう行き方というものについて、これから核密約がオープンになった後にどうするつもりなんでしょうか。

岡田国務大臣 一つは、まず、外務省の中で異論があるというわけではありません。私のもとで外務省の意見は統一されております。

 それから、今、核におけるあいまい戦略というのはよく言われることでありますが、その話と密約の話は関係がないというふうに思います。密約というのは、表で行っている約束以外の約束を表に出ないところでしていたということでありますけれども、これはやはり、私は、とにかくしっかり出す。いろいろな思惑を持って考えてしまったら、また出さなくなってしまいます。そこは勇気を持って出すという方針で考えております。その上で、現在の政策に影響が及ぶようなことがあるのかないのか、そういうことについて、これは日米間も含めてよく政府の中で議論していかなければいけない問題であるというふうに思っております。

赤松(正)委員 よくわからないですね。外務省の中で全部岡田さんのもとに統一されているというのは、それはにわかに信じがたいと思うんですが、それとあわせて、では、今言われている、防衛大臣のもとにおられる防衛政務官なんかがおっしゃっているところの二・五原則といいますか、つまり彼、彼というのは長島政務官ですが、要するに、核を持ち込ませずという部分は、いわゆる核の配備というものを意味するのであって、艦艇の上にあるかないかということを意味しないんだというふうな発言があったりしておりますけれども、そのあたりのことについて議論になってくると、アメリカとの関係というのは、そう先ほど大臣がおっしゃったように簡単にはいかないんじゃないのかと。

 従来の方針を大転換するのか、それとも従来どおりでいくのか、このあたりはどうなんでしょう。

岡田国務大臣 長島政務官のことはむしろ防衛大臣にお聞きいただきたいと思いますが、それは政府の見解ではありません。非核三原則は守っていきますというのが総理の答弁であり、考え方でありますので、我々閣内にある者として、その方針のもとでやっていくのは当然だというふうに考えております。

 今後のことについて波及があるのではないかという話ですが、それはどういう検証結果が出てくるかによっても変わりますので、まずはきちんと結果を出して、その上で御議論いただければいいことではないか、現時点では私が仮定に基づいて言うべき話ではないというふうに考えております。

赤松(正)委員 なかなか悠長な話だなというふうに思うんですが、では、岡田さんはこれからどれぐらい外務大臣をやっておられるか知らないけれども、その外務大臣期間中にしっかりと議論をして、今回のこの問題の決着も見ながらその後いろいろと協議をしていく、そういう協議をしながら自分たちの核政策も確立し、そしてアメリカとの関係についても随時立ち位置というものを決めていく、そんなふうな考え方なんだなということを渋々理解いたします。

 違う。では、文句があったら言ってください。

岡田国務大臣 まず、我々の調査結果と検証結果の公表については、いつまでにと言うと、またずれてしまうといけませんので。

 というのは、これは検証されるのは外務省の人間ではなくて大学の先生方で、いろいろ御都合もおありですから、我々ははっきりとは決められないわけですけれども、しかし、三月のどこかできちんと出すというふうには考えております。そのときまでに日本政府としての、もし何か議論する必要があるのであれば、明らかにしたことに伴うさまざまな議論ということもきちんと行った上で公表したいというふうに考えているところでございます。いつまでもだらだら続くということではございません。

赤松(正)委員 それはぜひとも、今言われた三月の中旬というのを……(岡田国務大臣「中旬じゃない。三月の中間です」と呼ぶ)その辺のところを言うと、また時間がずれるということなんでしょうけれども、ともかく早く決着をつけられた方がいい。

 政府を挙げて取り組んでほしいということで、では防衛大臣、今お聞きになっていただいて、防衛大臣として、あずかって日本の防衛にかかわることでございますので、政府を挙げて取り組むということの一端を述べていただきたいと思います。

北澤国務大臣 お答え申し上げます。

 先ほど来、御議論を聞いておりまして、基本的には外務大臣のもとで、今有識者の委員会で御議論をいただいておるということで、私の立場としてはそれ以上のコメントを申し上げる立場にないというふうに思っております。

 また、先ほどの長島政務官については、安全保障については非常に熱心に研究しておりましたが、先ほどのお話は多分野党時代に自由奔放に発想をしたときのことではないか、現在は政府の基本方針である非核三原則はしっかり守るということで、私のもとで仕事をしていただいております。

赤松(正)委員 非核三原則を堅持しながら拡大核抑止をどう運用していくか、いわゆる核の傘のもとにい続けるかどうか。当面は、核の傘というもの、拡大核抑止に依存するというのは、方針として変わらないということだろうと思うんですね。

 そういう流れの中で、私は、昨年の外務委員会で大臣にも申し上げましたけれども、今の岡田外務相、鳩山政権における外交の姿勢というのは、やはり時間軸を極めてあいまいにした形で、前政権との違いを出すために新しい新機軸を打ち出すということに熱心であるが余り、少し時間的遠近というものを余り意識していない政策展開だなと思います。

 一つは、沖縄の普天間基地の問題、それから東アジア共同体の問題、日米関係というものを、中長期的にはやはり今のままであってはならない、こういう状況認識というものと、それから、今どうするのかというものはおのずと違って当然だろうと思うんですが、その辺がごちゃごちゃになっていて、政権発足当初、そういうものが一気に出てしまったために、非常に日米関係をおかしくしてしまっているというふうな印象を国民に大きく与えた、そういう側面があるので、やはりここは時間軸を整理されるということをされた方がいい。

 これは、私が勝手に言っているんじゃなくて岡田さん御自身が、「「アジアの中の日本」として安全保障政策を構築しなければならない」という、この「世界」、最近「世界」はかつてと違って再びよく読まれ出している雑誌のようでありますけれども、「世界」の中で岡田さんがおっしゃっているんですね。時間軸は余り述べていない、どういうステップを踏みながらいくかということについては、つまり、時間軸は余り述べていないということをここでも言い、また浜田君との議論の中でもおっしゃっているという気がいたします。

 だから、そういう点で、しっかりと今現在の政策展開と、それから中長期、未来、これから二十年、三十年、四十年先というか、そういうときのアジアにおける日本の位置というものとを余り混同して言われない方がいいというふうに思います。

岡田国務大臣 私は混同しているつもりはないんですが。

 例えば、今、委員が言われた中で、私は、この前もクリントン長官とお会いしたときに、というか最初にクリントン長官とニューヨークで会ったときに申し上げたんですが、やはり日米同盟は非常に重要だ、日米同盟をこれから三十年、五十年持続可能なものにするために、より深化するために一体何ができるかということを考えていきたいと申し上げたところであります。

 私の頭の中に、将来、日米同盟よりアジアが重要だということで、日米同盟がなくなるとか弱くなるとか、そういうことは全く頭の中にはございません。日米同盟はさらに深化させていく。そのことと、アジアの中で日本がしっかりした立ち位置を持って、アジアとともに平和であり、アジアとともに豊かであるということは、これは二者択一の問題ではなくて十分に両立可能な問題であるというふうに考えているところでございます。

赤松(正)委員 では、沖縄の普天間の問題について、今のお話の延長線上でちょっと聞きたいんです。

 要するに、今の普天間の問題、当初、きょう十七日は、政府の中で連立与党から政策を、政策というか新しい場所についての提案とかを持ち寄ってやるという話が、延期になったというふうに報道を通じて聞いております。

 例えば、普天間の基地移設という問題について岡田さん自身が御発言になっているこの記述を読むと、「現在、沖縄にこれだけの米軍基地があることがノーマルなことかどうか、白紙から話し合うべきなのです。私はオバマ大統領ならそれが可能なのではないか」とか、あるいは「もう少しアメリカにも考えさせる必要があります」という発言を、この雑誌ですから、まだ大臣になられる前におっしゃっているわけです。

 この辺は、私が見るところ、岡田さんの主張がいみじくも出ているなと。つまり、アメリカに日本が、さっきもおっしゃったように、日本の主張を貫けば、アメリカはおのずと、言ってみれば日本の主張をわかって、つまりチキンレースみたいにぶつかるのではなくて、日本がしっかりと立ち位置を持って主張していけば、アメリカはそれなりに折れていくというふうに思っておられる節があると読んだんですが、違いますか。

岡田国務大臣 今のその「世界」の記事、私がインタビューを受けたわけですけれども、これは外務大臣になる前、選挙直後か選挙前だったか、そういう時期のものでございます。そのときは外務大臣になるということは想定しておりませんでした。

 ただ、そこで書きましたように、私は、やはり政権がかわったら事実上五十年ぶりの政権交代だということですから、今までと違う考え方というのはあってしかるべきだと。そう思ったからこそ、ニューヨークでクリントン長官に、この普天間基地の問題も含めて沖縄基地の問題についてもう少し検証させてもらいたい、日米合意があるのはわかるけれども、我々はその当事者ではなかったので、ほかにもいろいろなアイデアがあったはずだ、そういう中でなぜ今の合意案になったのかということについて検証する時間をもらいたいというふうに申し上げて、その路線の中で今日まで来たわけでございます。

 そういう意味では、アメリカ側も、政権がかわっても従来と全く変えるつもりはないということで結論を押しつけるのではなくて、やはり、そこはお互い話し合っていこう、そういう考え方は基本的に持ってくれている、そういうふうに私は思っております。

 延期になったという話がありましたが、これは平野官房長官のもとで検討委員会が今議論をしておりますので、私としては、その検討委員会の結果が出ることをまず待つ、そういう状況でございます。

赤松(正)委員 今の大臣の御発言を聞いていると、要するに、先ほど私の言った、アメリカがやはり日本の立場をわかってくれて、どこまでもそのアメリカの立場を押しつけてくるということはない、そういうふうに理解しておられるということでよろしいですか。

岡田国務大臣 もちろん、普天間の基地に関して言うと、現行案が最善であるというアメリカの考え方は変わっていない。しかし、その案に至るに至ったそのプロセスについて検証するだけの時間は日本に認めるということで、そこは話し合いをしながら進めてくる、そういう基本的な姿勢であるというふうに思っております。

赤松(正)委員 検証がいつまでかかるか、総理言うところの五月ということまで延びているということで、どうぞごゆっくりとしか言いようがないんですが。

 防衛大臣、名護の市長選挙の結果、いろいろな見方があると思うんですが、ほとんど僅少差である。落選された市長との票差というのは、僕は正確に今覚えていませんが、ほとんど差がない。この事実をどう受けとめられますか。普通の選挙、我々の選挙だったら一票でも勝ちは勝ちですが、あの市長選挙が持つ意味からすれば落選された方の票というのは非常に大きい、こう思うんですが、いかがでしょうか。

北澤国務大臣 なかなか難しい御質問でありますが、民主主義は、選挙で民意を問う、こういうことでありまして、その結果としての新しい市長の誕生というのは直近の民意であるという受けとめ方は当然でありますが、この問題とあわせて考えますと、非常に接近しているということからすれば、名護市の市民の思いというのはしっかり新しい市長も当然受けとめると。どこの首長の選挙も、激しく争っても、勝利した市長は全市民の代表ということになりますので、当然、新しい市長もそういう思いで市政を展開するんだろうというふうに思います。

 あわせて申し上げれば、市議会の議員の皆さんの中の勢力も極めて接近しておりまして、市長の支持派とそうでない人も、市議会の中ではまた違う対応をしておるというようなことも承っておりますので、非常に重い御質問だというふうに受けとめております。

赤松(正)委員 防衛大臣、重い役割を果たしていただきたいと思います。

 岡田外務大臣、どうぞ公務がおありなので。では、この一連の外交に関する核密約の話は以上にいたします。

 厚生労働大臣、済みません、長い間お待たせしまして。また、文科大臣も済みません。次に、厚生労働省そして文科省のお二人の大臣に質問をします。

 まず最初に、がん対策、大人のがん。後で小児がん、小児脳腫瘍のお話をしたいと思うんですが、まず、がん対策基本法がスタートいたしまして、現在の時点におけるがんに対する全体的な政府の取り組み姿勢というものを確認するというか、しっかりと取り組んでもらいたいという観点からのお話をしたいと思います。

 まず第一に、先般、私どもの井上幹事長が総理に質問をする中でも取り上げましたけれども、緩和ケア研修の件であります。緩和ケア研修の進捗状況、これがしっかり進んでいるのかどうか、この辺についての問題。

 そして二つ目が、がん検診率のアップにどう取り組んでいくのか。がんは、検診率アップが非常に大事でございます。長妻大臣もがんの検診率アップには大変に熱心に取り組んでおられる、こう聞いておりますけれども、まだ平均二五%ぐらい。韓国がこの検診率が四年間で五〇%を達成したということで、近過去にこのがん対策の担当の官僚の皆さんも韓国に行ったというふうに聞いていますけれども、その辺の韓国の視察からどういう報告があったと聞いておられるのか。

 まとめて聞きますけれども、三つ目は、がん対策推進基本計画のうち重点的に取り組もうとしている課題について、何をもってしっかりと取り組もうとしているのか。

 以上、三つの点について、長妻厚生労働大臣にお聞きします。

長妻国務大臣 お答えをいたします。

 今、おっしゃられるように、日本では、日本国民の百人に四十五人が一生涯の間にがんになるということで、二人に一人がなる、そして、一日平均では今毎日九百四十人の方ががんで亡くなっておられるということです。

 これについていろいろ今お尋ねありましたけれども、例えば緩和ケアといったときに、これは従来の概念というのは、御存じのように、本当にお亡くなりになる少し前に緩和ケアをする、こういう発想でありましたけれども、我々といたしましては、がんが発症してそれが確定した時点から治療と同時に緩和ケアを始める、主に心のケアと痛みのケアということで、これは配付資料にもいただいておりますけれども、やはりその知識を持っていただくということで、がんというのは正確に理解をすれば怖がる必要もないし、ただ、楽観するというものでもないし、正確に御理解いただくということ。

 そして、がん推進基本計画の中の三大重点の一つがその緩和ケアなんですけれども、この計画を立てたときはまだまだなかった緩和ケア研修会を受けていただくお医者さんの数が、平成二十一年度、ことしの三月までで一万三百四十八人程度になるということで、これは皆さんお医者さんでありますけれども、そういう知識を持っていただいたり、あるいは、緩和ケアチームを設置している医療機関が今六百十二病院までふえまして、そこの点。

 もう一つは、言われた検診率でありますけれども、これもおっしゃられるように、これは公明党さんも力を入れておられる女性のがんの検診等でありますが、それによって検診率は若干、徐々に上がっていますけれども、日本はいまだ二三・八%、乳がん検診です。イギリスが七〇・五%、アメリカ七二・五%、オランダ八八%で、非常に先進国で最も低い国のうちの一つということです。

 私どもとしては、平成二十四年の三月までにがん検診率を全体で半分以上、五〇%以上にしようということで、私も昨年の十月、検診率向上の全国大会に出てまいりまして、その中で、一つは地方交付税の大幅な拡充や、あるいは、公明党の御尽力もあり、乳がん検診、子宮頸がん検診の無料クーポン券等々の事業も継続をしておりますし、この理解をいただくという啓蒙活動をする。

 そして、この推進計画の重点ということでございますけれども、あとは、がん登録ということと、放射線療法及び化学療法の推進と医療従事者の育成ということで、これも着々と進んでいるところであります。

 そして、お尋ねの韓国の取り組みということで、検診率は今、子宮頸がんも乳がん検診も日本よりも高いわけでございますけれども、これにつきましては私もまだきちっと報告を受けておりませんので、これを報告を受けて、日本の検診率向上に資するように活用していきたいと考えております。

赤松(正)委員 今の緩和ケアについては、要するに、さっき大臣もおっしゃったように、いわゆる終末医療というか、死を目前に控えた人たちに対するさまざまなケアというふうにとらえられがちだけれども、違うということをぜひとも強調するべく、この緩和ケアの進捗状況を進めていっていただきたいと思います。今一万ちょっとという話がありましたが、広い意味では十万人いると言われるがん担当のお医者さんたちの一万ということは、一割しか研修は済んでいないということなので、ぜひそこは力を入れていただきたいと思います。

 それから、がん検診率も、うかうかしていますと四年間はあっという間に過ぎてしまいますから、この辺も、いかにして検診率をアップしていくかということについて取り組んでいただきたい。

 五年間で、がん登録、そして緩和ケア、それから放射線治療や化学療法の推進、専門家の育成というものをしっかりと達成させるべく、厚生労働省、総力を挙げて取り組んでいただきたい、そのことを強調しておきたいと思います。

 それから、文科大臣には、がん教育の問題であります。

 私、今を去る三年ほど前に厚生労働副大臣をさせていただいたときに、がんの大変専門家である東京大学の中川恵一先生、彼といろいろおつき合いする機会があって、さまざま、がんに対する教育というかありよう、あの人は今、毎日新聞紙上でずっとがんについての連載記事を書いていますけれども、大変に造詣の深い、がんに対する非常なる専門家だと思うんですけれども、この人が今、検定教科書の改訂を目指して、がん教育をしっかりと子供たちの教科書の中に載せるべくやろうとしているんだけれども、なかなかそれは難しいので、とりあえずはコンパクトなDVDを使って、がんに対する子供たちの意識を高めるためのツールをつくろうとしている。

 それについては、がん教育基金という、お金、寄附を募ってやっていくというのもやりながらこういうことをしているということは、まず大臣、御存じかどうか。これをぜひいろいろな形でバックアップしてほしいということが一点目。

 それから二点目が、がんプロフェッショナル養成プランですけれども、がん患者が増加する中で、現在、今回の二十二年度予算で二十億円予算がつけられた。そんな中で、十八件、九十四の大学が参画しているわけですけれども、こういった放射線治療医や抗がん剤の治療医、緩和ケア専門医をしっかりと養成していく、増加していくということが重要な課題だと思いますけれども、この二点についての大臣のお考え、今の推進姿勢をお聞きしたいと思います。

川端国務大臣 お答えいたします。

 日ごろからがん対策に対して幅広く御活躍をいただき、また御支援いただいていることを感謝申し上げたいというふうに思います。

 御指摘のように、がん対策基本法を含めまして国の責任も非常に大きいという中で、やはり啓蒙、知識等々が非常に重要であるということで、日本対がん協会等を含めて幅広く活動していただいている。文科省としましても、学習指導要領の中で、小中学校を通じて、生活習慣病の予防には望ましい生活習慣を身につけることが必要であるということと、中学校では、個人の健康には地域における健康診断や相談などの社会の取り組みが有効であることを指導要領として入れております。

 教科書は、これを受けて教科書会社がどういうふうにつくるかということでありますので、それは任せてありますけれども、具体的には、各教科書で、たばこを吸う人はがんになりやすいなどという記述はほとんどの教科書に載せられているのが現状であります。

 加えて、小学校の五年、中学校の一年、高校一年の各段階で、すべての児童に対してパンフレットを渡す。「健康な生活を送るために」、この中で、がんに対しては、たばこを吸うと健康にこういう害があるということ、この中にもがんは含まれておりますし、同時に、がんの基礎知識と、それから若い年齢のがんに対する知識ということで、公明党さんも非常に熱心に取り組んでいただいております乳がん、子宮頸がんの記述と、健康診断をしっかり受けるように等々の啓蒙を図っているところであります。

 そういう中で、DVDで教育をしていこうという活動も承知をしております。いろいろな形で今までも連携をとらせていただいていますが、これからも引き続き、連携をとる中で、私たちもいろいろと教えていただくと同時に、協力できるところは協力をしてまいりたいというふうに思っております。

 同時に、がんプロフェッショナルの養成プラン、御指摘のような中身で、九十四大学院で、放射線治療を専門とする医師八百三十四名、がん治療を専門とする薬剤師が八十六名、医学物理士等のコメディカルで四百六十四名を受け入れて研修をしておりますが、ことしも引き続き二十億円の予算を手当てして、積極的に推進してまいりたいというふうに思っています。

 これからもどうぞいろいろと御示唆をいただき、がん撲滅が推進できるように頑張ってまいりたいと思います。

赤松(正)委員 ありがとうございました。

 防衛大臣、結構でございます。済みません。

 最後に、小児脳腫瘍の話について厚生労働大臣と少しやりとりをしたいと思います。

 まず、今から取り上げます小児脳腫瘍、小児がんの中で白血病に次いで大変に最近その病にかかる子供たちがふえているという話でありますけれども、実は、私にはこの問題に取り組む二つの出来事がありました。

 一つは、私の地元で遠縁に当たる家庭の幼子が脳のぐあいが悪いということで、病院を探してほしいという依頼が私のところに来て、神戸市内にある、ある子供病院を紹介したんですが、結局、そこで治療むなしく亡くなった。

 そのことがずっと私は気になっておりまして、気になっているときに、実はテレビで、「クローズアップ現代」だったと思いますけれども、NHK総合テレビで、小児脳腫瘍の問題に非常に力を発揮しているというか頑張って取り組んでいる澤村先生という北海道大学の医師の話を見まして、そこから患者の皆さんとおつき合いをするようになりました。

 その流れの中で、実は、私の親戚の子供が死んでしまったというのは、やはり今申し上げたこの一連の出来事、テレビを見て澤村さんを知ったことの中で、もう少し早く知っていれば助けてやることができたんじゃないかなということも強くわかりました。多少私も勉強しました結果、日本のこの問題についての現状はわかるようになりました。

 きょうは、ぜひ長妻大臣の行動力に期待をして、直訴する思いでこの質問をしているわけですけれども、小児脳腫瘍に適切な手術ができる医師がいないという現実。実は、これも時間がないのであれですけれども、皆さんのお手元に配りました三ページ目と四ページ目、「曇り空の窓」という、患者のちっちゃい子のお母さんが、いかに小児脳腫瘍にかかって苦労したかということが、ここに持ってきました、非常にすてきな本なんですが、この「曇り空の窓」という小さな本の中に書かれている、その一部を抜粋したんですが、時間がないのでこれはもう読みませんけれども、日本は適切にこういう手術ができる医者がいない。

 つまり、アメリカあるいはヨーロッパ、欧米という言い方は、こうやっちゃうとすべてがそうかという話になりますが、ヨーロッパ、アメリカには比較的多い小児の脳腫瘍に対する専門の医師というものは日本にいないという現実を大臣は認識しておられるかどうか、まず聞きたいと思います。

長妻国務大臣 私も、たまたまそのNHKの「クローズアップ現代」を拝見して、いろいろ問題点があるというのは理解をしておりまして、日本には、小児神経腫瘍医ですね、これは欧米にはいるということでありますけれども、日本はそういう名前の専門医はいらっしゃいませんけれども、当然、がんセンターの中にも小児というのはありますし、あるいは、チーム医療という形でかなり多くの専門のお医者さんが集まって治療をする、今こういうような段階でありますけれども、御指摘の趣旨や、その報道で言われていることも十分我々は理解をして、今後どういう体制がとれるのか、それは検討していきたいと考えています。

赤松(正)委員 大臣は私と同じものを見て問題意識を持っておられるということはわかりました。

 今起きている事態は、今大臣がチーム云々と言われましたけれども、なかなかそういうことが実現しているところは少ないんじゃないかなという感じがします。起きている事態は、ただ右往左往するのみじゃないのかなという感じがします。

 そこで、実はきのう、きょうのこの質問をするに当たって、厚生労働省の医官の皆さんを中心としていろいろ意見交換をしたんですが、そのときに見せていただいた、がん対策情報センター「小児がんシリーズ」というパンフレットがあります。それをお手元の資料の二ページ目に入れておきましたけれども、私、これを見て、ううんと思ったんですね。

 それは、「ご家族に心がけて欲しいこと」というくだりがあって、「一 子どもががんと言われた親の心に起こること」というところの真ん中辺、「ご家族に心がけて欲しいこと」の上から六行目にこんなことが書いてあるんですね。「大変きつい治療ですがチームで取り組むことで乗り切れます。そのチームの大切なメンバーはご本人と家族ですからメンバーの一員としてわからないことは遠慮なく質問してください。」とあるんですね。

 これは、善意に解釈して、さっき大臣の言われたチーム、要するに、小児科の医者あるいは脳の専門家の脳神経外科の医者、私に言わせればそういう医者はまず最低必須で必要で、それに看護師だとか、やれ薬剤師だとか、いろいろな人たちがチームを組んで治療に当たるということが大事だという広い概念のチームと、ここで言っているチームというのは違うんじゃないのかな。それを意識して書いているんだったらいいんですけれども、これは、そのまま読んだら、「ご本人と家族です」、こう言っている。これは、こういう大事な、わらをもつかむ思いで読む患者の皆さんに示すパンフレットとしては、ちょっとできが悪いなという感じがするわけです。

 そういうことも含めて、今、もう一遍、要するに、私も、今から二年半ぐらい前に同じこの場所で、私が厚生労働省にいたときにアメリカにキャンサーセンターを視察に行ったときの、がんについてのチーム医療の大事さということを見てきた話をここでしたことがあるんです。やはりチームを組んでやっていく、日本の場合はどうしても、患者を周りで取り囲むチームじゃなくて、結局、偉い先生が中心にいてピラミッド形になっているという状況があるということを御指摘したんですけれども、そういうチーム医療、この小児脳腫瘍においても極めてチーム医療が大事だということ、これを大臣はどう思うかということについて御答弁いただきたいと思います。

長妻国務大臣 本当に、がん、小児の脳腫瘍等については、おっしゃられるようにチーム医療が重要で、小児科の先生から内科の先生から脳外科の先生から重要で、このパンフレットについては、そういうお医者さんのチームの中の一員に御家族、本人も一緒だという趣旨だと思いますけれども、再度この記述を見て、修正や加筆が必要であれば我々も考えていきたい。

 これはがんセンターの情報センターでつくっている資料でございますし、あと、今御紹介いただいた「曇り空の窓」というのも拝読しましたけれども、やはり、本当にショックを受けている患者さんについてお医者様が十分な対応ができる状況に今あるのかどうか。あるいは、お医者様だけじゃなくて、それを取り巻くサポートする人々、そういう者も入れたチームというのが重要だというふうに考えております。今、厚生労働省内にもチーム医療の検討会というのがございますので、それについても、小児の脳腫瘍等に着目したものについても議論を進める検討をしていきたいと思います。

赤松(正)委員 もう大事な時間がなくなってまいりましたので最後にしますけれども、要するに、厚生労働省の若いメンバーとも少し議論したんですが、こうした疾患を抑えて適切な対応をしていくための研究を行って、小児慢性疾患に対する研究に三千九百万円ほど出しているわけですけれども、専門家の先生に言わせると、専門家といってもいろいろいるわけですが、澤村さんに言わせると、多額のお金、三千九百万円をかけて、極めてずさんな実態の研究しか行われていないという指摘をしているんですね。それは、された先生にも言い分はあろうかと思いますけれども、そういうことが現実としてあります。

 そういうことも含めて、私は、きょうの結論として御指摘して、そして大臣に最後に決意を聞きたいと思うんですけれども、要するに、この患者の皆さん、また澤村さんを初めとしてこの問題にしっかり取り組んでおられる先生方の考え方というのは、地域に拠点のセンターをつくるしかないということですね。

 新たに箱物をつくるということは、とてもこれは難しいことだと思います。ですから、既存のがんの拠点病院もあるわけですし、各方面に、全国に七つぐらい方面があるとして、そういうところにこの小児脳腫瘍についても拠点のセンターをつくる、そこにさまざまなお医者さんを集積させる、患者も集める、こういう仕組みをつくるべく、さっき議論しているとおっしゃいましたけれども、議論を延々と繰り返すのじゃなくて、一つの方向性を持ってそういうことにどう取っかかりをつけていくかということについて、大臣のお考え、決意を聞かせていただきたいと思います。

長妻国務大臣 今、冒頭言われた研究というのは、疾患別に補助金が、お子さんのがん等に対して自己負担を軽減するために補助金が出ている、これの研究のことだとも思いますけれども、これについては、研究目的というのが、実際に医療費がどれだけかかっているのかということで、次の医療費の補助の算定に資したい、そういう趣旨で研究しております。そういう意味では、病名についても、ある意味ではお医者さんが使っている病名をそこに書き込むということになっていまして、必ずしも統一されていない、こういうことは我々も理解をしておりますけれども、使用目的としてこういう形で、補助の割合や比率については影響のないようにやっていくということ。

 あと、今おっしゃられるように、全国にがん診療の連携拠点病院というのが三百七十五カ所ございます。その中で、もちろん小児を診ているところ、お医者さんもございますので、そういうような病院の強化やあるいは特化ということも、今後、関係者の御意見を伺いながら議論していきたいと思います。

赤松(正)委員 ありがとうございました。以上で終わります。

鹿野委員長 これにて赤松君の質疑は終了いたしました。

 午後四時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後二時五十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時四十一分開議

鹿野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 今国会で大きな焦点の一つとなっているいわゆる政治と金をめぐって、公共事業という国民の税金が食い物にされているという疑惑について質問いたします。

 まず、前原国土交通大臣に伺います。

 国の直轄の公共事業で談合が行われていたとすれば、それは看過できない重大問題だと思うんですが、大臣の認識を伺いたいと思います。

前原国務大臣 笠井委員にお答えいたします。

 我々民主党は、野党のときから、談合は決して許されてはいけない犯罪であって、公共事業が高どまりをするということで、その分税金の無駄遣いが行われるということで、厳しく対応していかなくてはいけない、そういう認識を持っております。

笠井委員 そこで、民主党の小沢幹事長の政治資金管理団体をめぐる事件では、国交省直轄の胆沢ダムなど東北地方の公共事業で談合が行われて、小沢事務所がいわゆる天の声を発して本命業者の選定に決定的な影響力を及ぼしていたのではないかと指摘をされております。

 国交省では、例えば、二〇〇五年の橋梁談合事件の際、事務次官を長とする入札談合再発防止対策検討委員会を設けて調査を行っております。二〇〇七年の水門設備工事をめぐる談合事件では、マスコミ報道を踏まえて、公正取引委員会からの改善措置要求に先立って入札談合防止対策検討委員会を設置し、事実関係を調査しております。

 いずれも、二〇〇五年、二〇〇七年というのは、自公政権時代のことであります。国民が政治を変えたいと旧来の政治に審判を下して新政権になったんですから、当然、今回の小沢幹事長をめぐる問題についても、国交省として、新政権になってから調査はやっていますか。

前原国務大臣 笠井委員が指摘をされているのは、平成十六年九月二十九日に入札執行を予定していた胆沢ダムの堤体盛り立て第一期工事に関して、落札者が決定しているとの情報が九月二十一日にあった件、また、平成十七年二月二十五日に入札執行を予定していた同じく胆沢ダムの原石山材料採取第一期工事に関して、落札者及び下請が決定しているとの情報が二月二十三日にそれぞれ寄せられていた件を指しておられるんだというふうに思いますが、これについては、平成十六年、十七年と、もう六年、五年前のことでございますので、現政権になって調べているということはございません。

笠井委員 調べていないと。

 なぜ、これだけ談合問題というのが大きくなってきている中で、かつての政権の時代にやってきたことを検証する、調べるということをやっていないのか。私は、かつての自公政権の対応と比べても、腰が引けている面があるんじゃないかと率直に思います。

 国交省では、談合情報に対処するために、各地方整備局に公正入札調査委員会を設置して、談合情報対応マニュアルに基づいて審議することを定めております。

 そこで、前原大臣に具体的に伺いますが、この胆沢ダムについて、これまで調査委員会の審議対象となったことはないのか、あるとすれば何回なのか。まず回数について答弁をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

前原国務大臣 先ほどお答えをいたしました平成十六年の堤体盛り立て工事と、平成十七年の原石山材料採取工事の二回だと思います。

笠井委員 昨年三月、国交省の春田前事務次官は会見の中で、この胆沢ダム関係では、公正入札調査委員会で実際これはおかしいという通報があったか等を確認したが、特に今の時点でそのようなことはなかったと述べておりました。

 ところが、実際には、これまで二回あったということであります。驚くべきことであります。

 それはいつ、先ほどちょっと触れられましたが、胆沢ダムのどんな工事なのか、改めて答弁ください。

前原国務大臣 若干繰り返しになって恐縮でございますが、一回目が、平成十六年九月二十一日、胆沢ダム堤体盛り立て第一期工事、このときの情報内容は、入札前に落札者が鹿島建設に決定している、こういうものでございます。

 二回目が、平成十七年二月二十三日、胆沢ダム原石山材料採取工事、このときは、落札者は大成建設JVに、下請は水谷建設工業東京支店に決定している、こういう情報内容がございました。

笠井委員 その二件について、いずれも談合情報どおりの業者が落札しているわけですね。

前原国務大臣 そのとおりでございます。

 堤体盛り立てについては鹿島が落札をし、原石山材料採取工事については大成JV、水谷建設も落札をしております。

笠井委員 今ありました原石山材料採取第一期工事では、元請だけではなくて、下請が水谷建設になることまで談合情報どおりだったということであります。

 国交省では談合情報に対して一体どんな対応をしたのか。なぜ入札を続行したんでしょうか。

前原国務大臣 まず、今までの対応のマニュアルを若干御説明いたしますと、談合事案というものが起きれば、まずは職員による工事費内訳書等の確認、そして、公正入札調査委員会に付議を検討すべき基準に該当するかどうかということを検討して、付議すべきだということになれば、各地方整備局に設置されている公正入札調査委員会で信憑性及び調査の必要性を審議し、そして公正取引委員会へ通報し、官房地方課へ連絡をする。そして、業者への事情聴取、工事費内訳のチェックを行って、そして、公正入札調査委員会での調査結果を踏まえて審議をし、入札を取りやめるか、または続行するかの決定をするということでございます。

笠井委員 では、どんな対応をしたのか、そして、なぜ入札を続行したのかということについて。

前原国務大臣 これは、私も、笠井委員から御質問をいただくということで、もちろん、野党時代には談合に厳しく今まで追及をしてまいりましたが、この今申し上げたマニュアルが果たして機能するのかどうなのかということについては、私も疑問を持っております。

 例えば、この公正入札調査委員会というのは、これは国交省の中で構成するものでございまして、総務部長を長として、契約管理官、技術開発調整官、契約課長、技術管理課長、関係事業課長にて構成をするということでございまして、果たしてちゃんとそれが機能しているのかどうなのかということについては私も大変疑問に思っております。

 また、この二件については、落札情報どおり、結果が再び落札者になっているということで、ちゃんとこういったものが機能したかどうかということは甚だ疑問だというふうに思っております。

笠井委員 入札を続行したということについて言うと、大臣、そういう点でいうと、当時談合の疑いを確認できなかった、だから続行したということで当時の経過はなっているというふうに理解されているわけですね。

前原国務大臣 そのとおりでございます。

 ただ、あくまでもそれは平成十六年と平成十七年時点のことでございます。

笠井委員 まさに、限りなく黒に近い灰色だけれども嫌疑不十分だということであります。

 それで、今大臣も触れられたんですが、マニュアルに基づいてということでやってきたわけですが、事情聴取を実施したというんですけれども、この談合情報等の対応マニュアルを見ますと、こう書いてあります。「事情聴取は、事情聴取の対象者全員を集合させて、あらかじめ」「事情聴取項目を通知した上、一社ずつ面談室等に呼び出し、聞き取りを行うこと。」としております。

 国交省で定める事情聴取書の様式を見ますと、談合情報のある業者に対して、質問として三項目を聞くことになっております。「工事の入札に先立ち、すでに落札業者が決定している(た)との情報等がありますが、そのような事実がありますか。」二つ目に、「本件工事について、他社の人と何らかの打ち合わせ、または話し合いをしたことがありますか。」三つ目に、「あったとすれば、どの様な内容の打ち合わせ、または話し合いでしたか。」ということで、そういう質問をして事情聴取することになっておりますが、大臣、鹿島や大成建設に対してもこのような聴取を行ったということになっているんでしょうか。

前原国務大臣 詳しい事実関係は確認をしておりませんが、このマニュアルに従ってやられたものと推察をしております。

笠井委員 前原大臣に伺います。

 今マニュアルの項目を読み上げましたが、談合した疑いのある業者に対して、あらかじめ項目を通知した上で、個別に、あなたは談合しましたか、したとすればどの会社と共謀しましたかと。はい、こういう話し合いをして共謀しましたとそれに対して答えるような業者がいると思いますでしょうか。いかがですか。

前原国務大臣 甚だ疑問であります。

笠井委員 調査委員会は、そうやって聞き取りをして事情聴取書を作成した上で委員会で審議をして、談合疑義事実について公正取引委員会に通報することになっております。

 しかし、結局、こうした国交省の対応というのは、実際に談合が行われていた場合には、当該の対象業者に談合がばれたことを察知させて、彼らに対策を講じる時間的猶予を与えてしまったということにならないかという問題はいかがでしょうか、大臣。

前原国務大臣 今、当時の質問と聴取内容というものを手元に持っておりますけれども、これは明らかにセレモニーでしかない、こういうふうに私は思っておりますし、今おっしゃったような時間稼ぎになるというふうに言われれば、その可能性も排除し切れないと思っております。

笠井委員 そういう問題だと思うんですよ。

 それで、公正取引委員会が昨年九月にまとめた「入札談合の防止に向けて」という冊子がございます。

 ここにはいろいろ書いてありますけれども、「発注機関における入札談合事件への対応」ということで、その中に次のように書かれております。

  談合情報があった場合、必ず事情聴取を行うこととすることは、公正取引委員会へ通知されるという予見可能性を与えることにより、公正取引委員会の審査活動の妨げになるおそれがあります。このため、発注機関において、寄せられた情報の信憑性の判断を行うため独自に調査をする場合には、疑いのある事業者からの事情聴取は極力回避し、事業者側に調査を行っている事実が知られない手段により行うようお願いします。

 まさにこういう問題だと思うんですけれども、大臣、このことをどう思われますか。

前原国務大臣 仮に談合していたとすれば、談合していた業者が集まって、がん首そろえて聞かれたら、そういう事実はありますかと聞かれたら、ありませんと答えるのが当たり前でございますので、そういう意味においては、このマニュアルは全く機能しないマニュアルであるというふうに思います。

笠井委員 そうしますと、今の経過を見ますと、この問題でも、談合情報どおり、さっき二件とありましたが、鹿島や大成建設が胆沢ダム本体工事を落札したというのが事実でありますし、大臣も言われました。明らかに相手側に動きが筒抜けだった可能性があるという問題であります。

 そこで、前原大臣、この胆沢ダム本体工事といえば、さっきの、二〇〇七年の水門設備工事をめぐる談合事件を機に国交省がまとめた、競争性、透明性等の向上のための入札契約方式の改善策の事例として挙げられているところであります。あの談合事件を受けて国交省が定めた改善措置の事例に掲げた胆沢ダム本体工事でまさに談合の疑いがあるわけで、このことだけでも国交大臣として看過できない問題のはずですが、どういうふうにお考えでしょうか。

前原国務大臣 私がこの立場につかせていただいてから約五カ月になりますけれども、この五カ月の間に幾つかのことをやり始めております。その一つが入札制度の見直しでございまして、今議員のおっしゃったようなことは前政権のものでありますので、抜本的に入札制度のあり方を見直すと同時に、談合情報があった場合の手続についても根本的に今見直しの作業をしているところでございます。

笠井委員 制度の見直しを今後やっていくというのは当然必要だと思うんですが、制度をやる以前に、具体的事実についてやはり再検証するということが必要ですし、かつての国交省の時代にこうだった、そうなっていなかった、マニュアルもこうだったと大臣が認識された具体的事実、つまり先ほど申し上げた胆沢ダムをめぐる談合の疑惑については、これは直ちに、まず専門の調査委員会を立ち上げて、国交省として調査に乗り出す、そして徹底的に調査をした上で事実を明らかにして、そこから教訓や対策というのが順番じゃないでしょうか。

 ちゃんと調査委員会を立ち上げて乗り出すということについてはいかがですか。

前原国務大臣 今、入札制度の改革をやっておりまして、そしてその事例としてさまざまな過去の談合事案、先ほど委員のおっしゃったような談合事案も含めてその検証はしておりますし、きょうお示しをいただいた胆沢ダムの問題でも、結果的に談合情報が寄せられていた業者が二回とも落札をしているということを踏まえてしっかりと検証をしたい、このように思います。

笠井委員 では、マニュアルについても、先ほどこれでいいのかというお話でありましたが、その中に、そういうことも見直すということも当然入りますね。

前原国務大臣 繰り返しになって恐縮でございますが、委員も御指摘をされ、また私も先ほど読み上げさせていただきましたけれども、仮に談合している人たちを呼んで、そして談合していますかなどと聞いて、していますなどと答えるはずがないわけでありまして、そういったものも含めて、このマニュアル、手順、そしてあり方を根本的に見直している最中でございます。

笠井委員 私が談合疑惑にメスを入れるように強調するのは、その背景に小沢氏側が談合で得た不当な利益をゼネコンに還流させている疑いがあるからであります。

 配付資料をごらんいただきたいと思います。

 東北地方整備局が二〇〇三年から二〇〇八年にかけて五つに分離発注した胆沢ダム本体工事ごとに、その年の受注企業から小沢氏側への献金状況をまとめたものであります。金額は、小沢氏が代表の政党支部などの政治資金収支報告書の写しに記載された献金とパーティー券の合計であります。

 これを見ますと、小沢氏側は、基礎掘削や原石山準備工事を受注した二〇〇三年に八百九十万円、談合情報があった二〇〇四年の堤体盛り立て第一期工事の際は九百二十一万円、同じく談合情報があった二〇〇五年の原石山材料採取第一期工事の際は七百九十一万円、二〇〇六年の洪水吐き打設第一期工事の際は二百四十六万円を、元請の奥村組や下請の水谷建設、宮本組、山崎建設などから受けております。二〇〇八年に二つの第二期工事が発注された年も百五十一万円を受領しております。その総額は、胆沢ダムの本体工事だけでも十七社で約三千万円にも上ります。

 前原大臣、こうした実態があることをどう思われますでしょうか。

前原国務大臣 議員の御質問は、胆沢ダムの談合情報も含めて小沢幹事長との関係があるのではないかという前提のもとでお話をされているわけでありますが、それはあくまでも類推の域を出ないと私は思っておりますので、もしそれがしっかりと示されれば、また違うお答えになると思います。

 また、この献金については、いわゆる政治資金規正法にのっとって報告をされたものだというふうに認識をしております。

笠井委員 談合情報とのかかわりというのを私の視点として申し上げたのです。

 この実態ですよ。つまり、こういう関係の企業から多額の献金を受けている。これは表の献金ですから。こういう実態についてどういうふうに受けとめていらっしゃいますかということで聞いているわけです。

前原国務大臣 その公共事業と小沢幹事長の関係については、私は知る立場にはありません。

 ただ、一般論として申し上げれば、公共事業を受注している企業から多額の献金をもらうことはいかがなものかというふうに私は正直思います。

笠井委員 前原大臣、まさに今の点でいうと、ことし一月十五日の記者会見でも、国民目線とすれば公共事業で政治家に多額のお金が渡るということ自体、これは税金のキックバックのような話でありますので、許されざることでございますと。まさに今そういう立場で言われたと思うんですが、こうした実態というのは、国民から見てまさに許されないことだと私は思います。

 そこで、原口大臣に伺いたいと思います。

 公職選挙法百九十九条と二百条は、国と契約関係にある企業が国政選挙に関連して献金をすること、政治家の側がそれを受領することを禁止しているが、間違いありませんか。

原口国務大臣 お答えいたします。

 公職選挙法第百九十九条第一項及び第二百条の立法趣旨というお尋ねだと思いますが、公職選挙法第百九十九条第一項は、国や地方公共団体と請負その他特別の利益を伴う契約の当事者たる地位にある者が選挙に関し寄附をなすことについて、選挙の公正を害するおそれがあることから、これを防止しようという趣旨で設けられたものと承知しております。

 公職選挙法第二百条は、第百九十九条の規定が特定人の選挙に関する寄附を禁止していることに対応して、これらの特定人に対して選挙に関し寄附を勧誘、要求すること及びこれらの特定人から選挙に関し寄附を受領することを禁止し、これにより寄附禁止の実効を保障しようとする趣旨であると承知しています。

笠井委員 今、大臣から言われました。要するに、腐敗を伴いやすい政治献金を防止して、選挙の公正を維持して寄附禁止の実効を保障する、つづめて言えばそういうことであります。

 二〇〇七年十月三日の衆議院本会議で、当時民主党幹事長だった鳩山総理は、時の福田総理が代表を務める政党支部が二〇〇三年と二〇〇五年の総選挙の公示直前に国と契約関係にある企業から多額の献金を受けていた事実を指摘し、公選法違反の疑いがあると福田総理を厳しくただしたことがございます。

 馬淵国土交通副大臣も、同年の十月十日の本予算委員会で福田総理を追及されていました、この問題で。覚えていらっしゃいますか。

馬淵副大臣 覚えております。

笠井委員 当時、馬淵議員は福田総理をこう追及しております。

 「公共事業を受けているとは全く気がつかなかった、総理、これはおかしな話だと思うんですよ。」「国との契約関係があるとは知らなかったと言われても、既に平成七年から十二年間、ずっと公共事業を受けておられるわけです。」「通常考えて、総理が御存じなくても、少なくとも事務所が知らなかったというのはこれは通らないんじゃないんでしょうか。」「みずから戒めると言われる方が、御自身の足元の政党支部の団体での違法の疑いのある献金すら、その責任を認められないというような、そんな方の言葉をどうやって信じるんですか。国民が、信頼の回復ということを訴える総理に対して、これはがっかりしていますよ。」と厳しく述べて、福田総理に謝罪をさせております。

 馬淵副大臣、これは間違いありませんね、こういうやりとりをした。

馬淵副大臣 議事録記載のとおりでございます。

笠井委員 そこで、原口大臣、実は同じような問題が小沢氏にもあるのではないか。

 小沢氏が代表の民主党岩手県第四区総支部の政治資金収支報告書の写しによれば、二〇〇五年九月九日に水谷建設から二百五十万円の献金を受領したとあります。この年は総選挙が行われた年で、私も覚えていますけれども、八月八日解散、八月三十日公示、九月十一日投票の日程で行われました。したがって、この水谷建設からの二百五十万円は、ちょうど選挙期間中に受け取ったことになります。

 しかも、水谷建設は、二〇〇五年の三月と総選挙公示後の九月に、直轄工事で国交省と元請契約をしております。具体的には、私、ここに契約書を持っていますけれども、ここにありますが、二〇〇五年三月十六日に中部地方整備局の北勢BP大矢知道路整備工事を二億八千八百七十五万円で、二〇〇五年九月一日には中国地方整備局の岡山西バイパス北長瀬高架橋第二下部工事を五億四百万円で契約をいたしております。

 したがって、このように、水谷建設は下請工事だけじゃないんですね、国との関係は。二〇〇五年の総選挙のときに、国交省直轄工事で元請として国と契約関係にあったわけであります。元請だった。

 原口大臣、このことからも、水谷建設からの選挙期間中の二百五十万円というこのお金は公選法に抵触する可能性がある、そういうことになるんじゃないでしょうか、いかがですか。

原口国務大臣 総務省としては、個別の事案については、実質調査権限を有しておりません。具体的な事実関係を承知する立場にないので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

 なお、公職選挙法においては、選挙に関する寄附以外の寄附については禁止されておりません。また、公職選挙法の寄附禁止のほかは、現行の政治資金規正法では、公共事業を受注したことのみをもって、政党、政治資金団体に対する政治活動に関する寄附や政治資金パーティーの対価の支払いについては制限されていないところでございます。

笠井委員 私、原口大臣からそういう答弁を聞くと思わなかったんですよ、選挙のとき以外のことは禁止されていないなんという話を。

 これからやりますけれども、二百五十万円を受けた二〇〇五年九月九日といえば、水谷建設関係者が我が党のしんぶん赤旗の取材に対しても、二〇〇五年九月の総選挙の際に盛岡市内のホテルで陣中見舞いとして現金二千万円を大久保被告に渡したと証言した時期とも符合いたします。そして、今の二百五十万円というのは表の金ですからね。表の金二百五十万円も選挙を動機に行われた献金の可能性は否定できない、こういう問題であります。

 今、大臣はそういうふうに答弁されて、後段のところ、私は納得できない、大臣らしくないと思ったんですが、そもそも、二〇〇二年の長崎県知事選挙をめぐる違法献金事件というのがありました。公選法百九十九条、二百条にかかわって、公共事業受注企業からの献金は、仮にそれが政治献金という名目で政治資金規正法に基づいてきちんと届け出がなされていたとしても、実質的に選挙に関する寄附であれば違法になるということが明確になった事件であります。

 原口大臣は、当時これにかかわっていろいろ発言もされております。重々御存じのはずだと思うんですが、その点、いかがでしょうか。

原口国務大臣 これは法の適用についてお尋ねでしたから、法はこうなっていますと申し上げたので、笠井委員も御存じのとおり、談合を徹底的に追及してきた、そのときの、二〇〇二年の話をされていると思いますけれども、その姿勢には私は変わりはありません。

 しかし、総務大臣としての立場とすると、個別の事案については答えられないというのは、それは笠井委員、御理解をください。

笠井委員 大変に苦しい話だと思うんですね。

 民主党は、この問題で菅副総理を先頭に、長崎県知事選挙の問題を徹底的に追及されました。そして、原口大臣も二〇〇三年の三月三日の予算委員会で、野党四党の予算組み替え趣旨弁明の中でも、「自民党長崎県連事件で明らかとなっているように、不法な政治の介入が公共事業のコストを引き上げていることにかんがみ」云々ということで、この問題も触れられている。

 まさにそういう点でいうと、たまたま選挙期間中だから、政治資金として受け取った、そういうこともあったらそれはいいんだみたいな話は通らないということがあるわけで、大臣になったからということで立場だと言われましたが、その点は本当に、せっかく政治が変わって新しい政権と言われている中で、事実に対してどういう認識を持って立ち向かわれるかという問題があると私は思います。

 しかも、ちょうど二〇〇五年の総選挙の民主党のマニフェストを見ますと、政官業の癒着を断ち切り、真っ当な政治を実現しますということで、これは当時のマニフェストですね、それで、公共事業受注企業からの政治献金を全面禁止する、そこまで言われてきたわけであります。

 特定寄附禁止規定には、重大な過失も処罰するものとするとの規定があります。つまり、小沢氏側が、国と請負関係を結んでいますかと尋ねることなく過って水谷建設から特定寄附を受け取ってしまった場合も、これは重大な過失に当たるとして罪に問われるということであります。

 小沢氏は記者会見で、水谷建設から不正な金をもらったことは一切ないと繰り返し言われていますが、そんなことでは到底説明がつかない今回の問題だと思います。いかがでしょうか。

原口国務大臣 笠井委員にお答えいたします。

 私たちの政治姿勢と、私が大臣としてどのように判断するかということは、やはり分けて議論をしていただきたい。

 私は、今、一人入札、一者入札についても、総務省としては、そういう官製談合事案と疑われるものを徹底的に追及している、この立場でございます。その上で、今回お尋ねのことに関しては、選挙に関する寄附か否かについては具体的な事実について判断されるものであって、総務省としては、個別の事案については実質調査権を有していない、だから判断できないと申し上げているわけでございます。

笠井委員 菅副総理に伺いたいと思います。

 かつて二〇〇二年、当時、民主党、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合の野党四会派共同提案で政治資金規正法等の改正案を出したことがあります。

 その中で、ここに私、持ってまいりましたが、国または地方公共団体との請負その他の特別の利益を伴う契約の当事者、いわゆる公共事業受注企業からの寄附の禁止について、公職選挙法ではこれらの者からの選挙に関する寄附は禁止されていたものを、政治活動に関する寄附一般に広げて、いわゆる公共事業受注企業は、契約の日から契約の終了の日後一年間、政治活動に関する寄附をしてはならないという規定をこの提案の中で共同して盛り込みました。当時代表だった鳩山総理を初めとして、ここにおられる大臣の皆さんも賛成者に名前を連ねておられます。

 そこで、菅副総理、当時幹事長でいらっしゃいましたが、この共同提案で、今の部分についてどういう趣旨だったかということで覚えていらっしゃいますでしょうか。

菅国務大臣 個別のことについてそう詳しく覚えているわけではありませんけれども、先ほど来、同僚議員あるいは同僚の大臣からもお話がありましたが、やはり公共事業というのは税金を使っての事業でありますから、そういう公共事業を受注している企業から、たとえそれまでのルールで、従来のルールで合法的であるにしても、やはりそういう形の献金を受けることは、国民的に見て、李下に冠を正さずということでいえば問題があるだろうということの趣旨から、御党とも一緒に法案を出したというところまでは、事前に聞いておけばちゃんと調べておいたのですが、記憶ははっきりはいたしておりませんが、そういう趣旨でそういう法案を出したのであろうということははっきり申し上げられます。

笠井委員 この法案が審議された翌二〇〇三年の衆議院の倫選特では、堀込征雄議員が提案理由説明に立ってこう述べております。

  昨今、政治と金をめぐる問題が数多く起きており、政治に対する国民の信頼を揺るがす重大な問題となっております。企業・団体献金については、平成十二年から資金管理団体に対する企業・団体献金が禁止されましたが、その後、膨大な数の政党支部を事実上政治家個人の財布とし、ここを経由して企業・団体献金を受け入れるなどの抜け穴づくりが横行しております。また、近時大きな問題となっている公共事業受注企業からの政治献金は、いわば税金の還流であり、政官業の癒着の温床となっているものであります。さらに、企業等による秘書給与の肩がわりや、やみ献金などの問題も後を絶たず、世論から批判の声が高まっているところであります。

  このような実態を放置すれば、国民の政治不信は一層高まることは明らかであります。

  我々野党四会派は、このような現状を踏まえ、政治に対する国民の信頼を取り戻すために、企業・団体献金について、これを受けることのできる政党支部の数を大幅に制限するとともに、公共事業受注企業の寄附を禁止する等の規制強化を行うこと、政治資金のさらなる透明化を行うこと等が喫緊に必要であると考え、この法律案を提出したものであります。

というふうに述べております。

 この共同提案を推進した菅副総理、当時は幹事長でいらっしゃったわけですが、公共事業受注企業の寄附を禁止する、厳格にやっていく、この問題については今もそのお考えに変わりはもちろんないですよね。

菅国務大臣 我が党は、公共事業受注企業に限らず、すべての企業献金を禁止するという方向を、御存じのように打ち出しているわけでありまして、その今話をされた趣旨はそのままその中で生きているもの、そう理解しております。

笠井委員 きょう、私の質疑もやりとりをずっと副総理は聞かれていらっしゃったと思うんですが、当時、私も振り返っていろいろ見てみました、野党四党で共同するとき、いろいろ議論しました。そういう中で、菅副総理、民主党の幹事長として野党四党の幹事長、書記局長の会談をやられて、そして、その改正案の成立目指して結束して国会活動を展開するということを確認してやってこられた。

 それで、あのときが二〇〇三年ということですから、あれからもう六年、七年たつわけですが、いわば、国民が新しい政治をという願いを強く持って、政治を変えてほしいというもとで昨年の総選挙があり、そして今、政権がかわって、民主党の皆さんは古い自民党政治と決別するということを言われているし、新政権もそういうことを言われている。

 そういうふうに言われるなら、まさに税金の還流をやめさせる、そして、政官業の癒着の温床をなくすという立場で、今回の小沢氏をめぐる一連の疑惑について、これはやはりほうっておけないと。それは、身内のことということはあるでしょうけれども、それでも、政府としてきちっとこれを調査すると。

 先ほども、私、談合の問題を申し上げました。そしてまた、後段でも、献金を選挙期間中にもらっているという問題も申し上げました。公選法とのかかわりでも違法な可能性があるのではないかということも提起をさせていただきました。

 そして、国民全体が、やはり政治不信がこの問題で増しているという状況がある。暮らしが大変、雇用もどうする、中小企業も大変という中で、本当に予算委員会でもそういう問題に一つ一つこたえた審議をやってもらいたい、そして、政治は変わったという実感を持って政治に対してもかかわっていくということで、多くの方が思っていらっしゃる中で、やはり、この政治と金をめぐる問題、そして私がきょう提起させていただいた問題というのは、政府、あるいは、その中でも、民主党としてもきちっと調査をする、そして党としても自浄作用をやはり発揮すべきじゃないか。

 ちゃんと調べて、ただすべきはただす、そしてこの問題を究明して、道義的、政治的な責任についても、党としてもやはりやるし、その中で、国会の中でもそういう立場で民主党もやる、政府としても必要な調査をやる、こういうことが本当に今必要なんじゃないか。国民は、それをやはり望んでいるんじゃないかと思うのですけれども、菅大臣、副総理、その点について、どのように真摯な態度で臨まれるか、所見を伺いたいと思うのですが、いかがでしょうか。

菅国務大臣 一つは、その一緒に提案した法案も残念ながら成立はしていないと思いますし、また、先ほどの党首討論の中で、公明党の山口代表と鳩山総理との間では、企業献金禁止という方向で一緒にやろうというような議論も出ております。ですから、そういった姿勢は、党としても内閣としても変わっていないという認識にあります。

 もう一方、小沢幹事長の問題について言えば、まさにいろいろな捜査が行われた中で、不起訴という形でそういったことについての一定のけじめがついているわけであります。

 ですから、私たちは、基本的な姿勢は変わっているつもりはありませんが、今、検察の捜査が一定程度行われて結論が出た段階で、例えば私の立場で、内閣が、副総理がこれを調査するといっても、そういう位置づけになっておりませんので、制度そのものを変えていくという方向で努力していきたい、こう考えております。

笠井委員 今、法案が成立していないと言われるけれども、そういう立場で政権を目指してやってきて、政権につかれたら、やはりかつて出したような法案の立場で本当に政治をやるということがまず必要だと思います。

 それから、不起訴になったという話がありましたが、不起訴とはいっても、小沢氏の場合、嫌疑なしではなくて、嫌疑不十分。つまり、嫌疑ありということで、疑惑はあるのです。

 そういう問題でありますし、しかも、政府として何をやるのかとおっしゃいますが、まさに、私、きょう、この時間でも質問させていただきましたが、税金の使い道、税金の還流、政官業の癒着の温床という問題、予算の使い方、こういう問題としてあると。

 民主党だって、そういう点では、ゼネコンに対するいろいろな問題、あるいは公共事業の問題、それから予算の使い方、さんざん言ってきたわけですから、そういう問題について、まさに財務大臣として、副総理として、政府として、この税金の使い道がどうなっているのか、不正に使われていないか。先ほど前原大臣からも、国交省でこの問題についてどうやるかというお話で答弁がありましたけれども、やはり政府としてきちっとこの問題をやるということが必要なんじゃないでしょうか。できることはあるんじゃないですか。

 政府として何をやるんだということでは、ちょっとこれは国民としても納得できないと思うんですが、いかがですか。

菅国務大臣 おっしゃっている気持ちはわからないわけではありませんが、若干、二つのことが一緒に言われているような気がします。

 ですから、制度的なことを含めて、あるべき姿として、先ほど来申し上げているように、公共事業を受注している企業からの献金はやめるべきだということで民主党としてもずっとやってきましたし、その姿勢は変わっておりません。

 ただ、個別の案件に関して言えば、今までの制度の中で合法、非合法の判断を考えるのは、先ほど来申し上げたように、小沢幹事長についても、検察がかなりの捜査の中で不起訴という決定をしたわけでありますから、それはそれとしての一定のけじめだ、このように考えております。

笠井委員 そこはけじめになっていないということは言ったとおりです。

 それで、制度の問題を言われますが、制度改正で本当に実効あらしめるためには、やはりまず起こっていることに対して徹底的に検証して、それを究明することから制度が新しいものになって、実効あらしめるようにできるわけです。それをやらずにということでは、本当に政治を変えたいと願う国民は納得しない。

 委員長、きょう明らかになった問題も含めて、小沢氏には説明責任があると思います。国会として政治的道義的責任をただす必要があります。小沢氏を初め、三人の起訴された秘書、元秘書の当委員会への証人喚問を改めて強く求めたいと思います。理事会で協議をさらにお願いします。

鹿野委員長 後刻、理事会において協議をいたします。

笠井委員 終わります。

鹿野委員長 これにて笠井君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

鹿野委員長 この際、公聴会の件についてお諮りいたします。

 平成二十二年度総予算について、議長に対し、公聴会開会の承認要求をいたしたいと存じます。

 公聴会は来る二月二十四日とし、公述人の選定等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。(発言する者あり)

    〔賛成者起立〕

鹿野委員長 起立多数。よって、そのように決しました。(発言する者あり)

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十七分散会


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