衆議院

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第9号 平成22年11月15日(月曜日)

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平成二十二年十一月十五日(月曜日)

    午後三時五十八分開議

 出席委員

   委員長 中井  洽君

   理事 岡島 一正君 理事 川内 博史君

   理事 城井  崇君 理事 小林 興起君

   理事 武正 公一君 理事 中川 正春君

   理事 塩崎 恭久君 理事 武部  勤君

   理事 富田 茂之君

      阿知波吉信君    石田 芳弘君

      石原洋三郎君    糸川 正晃君

      打越あかし君    金森  正君

      金子 健一君    川島智太郎君

      黒田  雄君    小山 展弘君

      高野  守君    高邑  勉君

      竹田 光明君    橘  秀徳君

      玉城デニー君    津島 恭一君

      豊田潤多郎君    長島 一由君

      早川久美子君    福田 昭夫君

      水野 智彦君    森本 哲生君

      山口  壯君    山田 良司君

      湯原 俊二君    横粂 勝仁君

      渡部 恒三君    小里 泰弘君

      金子 一義君    金田 勝年君

      北村 茂男君    小泉進次郎君

      佐田玄一郎君    齋藤  健君

      柴山 昌彦君    菅原 一秀君

      野田  毅君    馳   浩君

      山本 幸三君    遠山 清彦君

      笠井  亮君    服部 良一君

      浅尾慶一郎君    下地 幹郎君

    …………………………………

   内閣総理大臣       菅  直人君

   総務大臣

   国務大臣

   (地域主権推進担当)   片山 善博君

   法務大臣         柳田  稔君

   外務大臣         前原 誠司君

   財務大臣         野田 佳彦君

   文部科学大臣       高木 義明君

   厚生労働大臣       細川 律夫君

   農林水産大臣       鹿野 道彦君

   経済産業大臣       大畠 章宏君

   国土交通大臣

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 馬淵 澄夫君

   環境大臣

   国務大臣

   (防災担当)       松本  龍君

   防衛大臣         北澤 俊美君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     仙谷 由人君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (消費者及び食品安全担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   岡崎トミ子君

   国務大臣

   (金融担当)       自見庄三郎君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)

   (科学技術政策担当)   海江田万里君

   国務大臣

   (「新しい公共」担当)  玄葉光一郎君

   国務大臣

   (行政刷新担当)     蓮   舫君

   内閣官房副長官      古川 元久君

   外務副大臣        松本 剛明君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   外務大臣政務官      山花 郁夫君

   財務大臣政務官      吉田  泉君

   農林水産大臣政務官    田名部匡代君

   防衛大臣政務官      松本 大輔君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    鈴木 久泰君

   予算委員会専門員     春日  昇君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十五日

 辞任         補欠選任

  高邑  勉君     石原洋三郎君

  渡部 恒三君     横粂 勝仁君

  小里 泰弘君     柴山 昌彦君

  小泉進次郎君     北村 茂男君

  阿部 知子君     服部 良一君

  山内 康一君     浅尾慶一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  石原洋三郎君     高邑  勉君

  横粂 勝仁君     渡部 恒三君

  北村 茂男君     小泉進次郎君

  柴山 昌彦君     小里 泰弘君

  服部 良一君     阿部 知子君

  浅尾慶一郎君     山内 康一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十二年度一般会計補正予算(第1号)

 平成二十二年度特別会計補正予算(特第1号)

 平成二十二年度政府関係機関補正予算(機第1号)


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     ――――◇―――――

中井委員長 これより会議を開きます。

 平成二十二年度一般会計補正予算(第1号)、平成二十二年度特別会計補正予算(特第1号)、平成二十二年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題といたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として海上保安庁長官鈴木久泰君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中井委員長 十一月十日の本委員会におきまして、北澤防衛大臣より、沖縄県知事選の候補者の政党からの推薦につき発言がありましたが、自民党沖縄県連が現職候補者を推薦していたことが判明いたしましたので、このことに関し、北澤防衛大臣より発言を求めます。北澤防衛大臣。

北澤国務大臣 委員長御指摘の自民党沖縄県連の推薦については、私は承知をいたしておりませんでした。配慮に欠けた発言であったと考え、追加訂正いたします。

中井委員長 これより締めくくり質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小林興起君。

小林(興)委員 国民待望の補正予算案、締めくくり総括まで参りました。きょうのこの委員会、しかるべき審議を経ながら、待っている国民の皆様方に対して、一日も早く補正予算案の成立を目指して頑張ってまいりたい、そんなふうに思っております。

 さて、やはりこの補正予算案、御承知のとおり大変な規模である、一日も早くこういうものを決定してもらいたい、国民の声も聞こえるわけであります。

 財務大臣、五兆円にも上るというこの大型補正、財政が苦しい中で、私の聞いておりますところでは、どういう財源があるのかということでございますが、この五兆円の財源についてお話しいただきたいと思います。

野田国務大臣 小林委員からは、今回の補正予算の財源についてのお尋ねでございます。

 規模感としては、委員御指摘のとおり約五兆円ということで、野党も含めていろいろ御提案をいただいた、その提案と遜色のない規模だと思っています。

 財源については、平成二十一年度の決算の剰余金が一兆六千億円ほど発生をいたしました。その半分を補正の財源に充てつつ、残り半分は国債の償還に充てました。加えて、税収の土台増を含めて二・二兆円の税収の補正がございました。それから、既存予算の不用が生じました。これが大体一・四五兆円でございます。これらを財源としまして、経済対策をまさに支えるという財源をつくらせていただきました。

 特徴的なのは、こういう規模ではありますけれども、約十年ぶりでございますけれども、新たな国債を発行しないでこういう財源を確保したということは一つの意義だというふうに御承知おきをいただければと思います。

小林(興)委員 今の財源を伺いまして、基本的には税収等で行っている、国債の新規発行はないという、私は大変有意義な案を考えられたと思っております。

 そして、その中身が、今財務大臣が話をされましたとおり税収であるということは、やはり経済が成長してこそ税収があるわけでありまして、経済についてやっと少しいいところが、伸びが出てきたのかなということを考えるわけであります。

 すなわち、国債を発行せずして十分な予算を組むためには税収増が必要である、これが本流である。税収がたくさんあれば消費税論議にも入らなくてもいいわけでございますから、そんなことを含めて、税収を上げるためには、菅総理が日ごろ口にしております成長戦略、私はそれが非常に大事だというふうに思っているわけであります。

 その成長戦略、しばしばこの委員会でも総理から話を伺う機会がございましたが、いろいろあると思うんですけれども、やはり今、総理が東南アジア等にも歴訪されました。そして、APECもありました。そういう中で、我が国が東南アジアを中心とする、そういう世界とお互いに交流をし、助け合うことによって、実は、世界も助かるが、日本の経済の成長もあるんだということをたびたび伺っているわけであります。

 先般、何か突然、ロシアのメドベージェフさんが北方四島に来たようでありますけれども、ロシアとて、日本の経済の支援といいますか交流を国民の皆さんは大変望んでいるということをどこへ行っても直接聞くわけでありますから、なぜあんなような日本国民を怒らせるような暴挙に出て、そして、いたずらに、多分、このことによってロシアの経済の発展も大変おくれるんじゃないかと余計なことも心配するわけであります。

 しかし、アジアの方は非常に日本との交流を深めていきたいという話が出ているわけであります。政府にあっても、また民間にあっても頑張っているところでありますが、私はやはり、党といいますか、国会議員、議員外交というのが非常に今重要な部分になってきているということを肌で感じているわけでありまして、こういう議員外交の成果によってアジアとの関係が深まっていくことは大変大事だと思うわけであります。

 そんな中で、私のささやかな経験でありますが、先般、議員外交の成果が実ったような形で、総理も行かれましたベトナムで、実は私、あれは七月の二十四日でしたか、ハノイから近いところの大きな工業団地に行ったわけでありますが、そこは、何とあの日本の神戸製鋼が、きちっと開所式が開かれて製鉄会社が出ることになったところであります。そういうことがやはり議員外交の成果として出てきているんじゃないか。

 ただ、問題は、そこにぜひお願いしたいのは、政府としてももう少し一緒になってバックアップをしてもらいたいということがあるわけでありまして、その日、もちろんベトナム側では、政府関係者も民間も皆、有識者がたくさん来られましたけれども、日本の外務省は、何か忙しいという理由で、そこに大使以下だれも人間を出してきておりませんでした。

 そういうことに対して、やはりぜひ外務大臣として、これからそういう大事な問題についてはしっかりと指示していくということを議員の皆さん方に約束をしてもらいたいと思います。

前原国務大臣 今、小林委員おっしゃったように、議員外交、大変重要でありまして、そしてまた、経済外交を行っていく上では、さまざまな日本の企業が海外のインフラを受注したり、プラントを受注したりということは極めて大事でございます。

 小林興起議員が御努力をされて、ベトナムのある鉄鋼会社がベトナムの中部でプラント建設予定地にくわ入れ式を開催されるまでこぎつけられたと伺っております。

 確かに、調べてみますと、在ベトナム大使館に対してもくわ入れ式の御招待があったみたいでありますが、その当日はASEAN関連首脳会議というものがございまして、その接遇等で伺うことができなかった、残念であったと思っております。

 今後、委員が今おっしゃったようなことも含めて、しっかりと日本企業が海外へ出ていくための情報収集や、出ていかれた後のバックアップ、官民一体となったインフラ受注、努力をしてまいりたいと考えております。

小林(興)委員 ありがとうございます。

 そこは、ホアンマイ、ドンホイ、二つがあわさった大きな工業団地でありますけれども、今そこから日本の政府等に対して申し入れがありまして、ぜひ、必要な石炭火力発電所、総理は原子力について進んだ交流をしてこられましたけれども、発展途上国でありますから、目の前のまず石炭火力発電所、こういうものについてやってほしいという話があります。

 そんなことで、議員外交を受けて、ぜひ経済産業大臣、前向きな、おれも一緒に行ってやろうとか、見てみたいとか、そういう答弁をいただけたらと思います。

大畠国務大臣 小林議員の御質問にお答えを申し上げたいと思います。

 議員外交というのは、非常に私も大事だと思います。そういう関係の皆さんの御努力で、先ほど小林委員からお話がありましたように、原子力あるいはレアアース問題についても大変大きな前進を見ることができました。関係の皆さんにも心から御礼を申し上げる次第であります。

 なお、御指摘の火力発電所でありますけれども、日本における火力発電所の水準というのは非常に高いものがございまして、ベトナム政府からもさまざまな形で、日本の高い技術を活用したいということで、先日もいろいろと御指摘等も賜りましたが、小林委員御指摘の火力発電所等についても大変重要な課題でありますから、そのことについても、経済産業省としても、いろいろと検討をし、進めてまいりたいと考えているところであります。

小林(興)委員 ありがとうございます。

 工場等が出ていく、あるいは技術が出ていくということが非常に大事でありますけれども、それを待っておりますが、交流の中では人の交流もございます。

 そんな中で、インドネシアとの議員の交流では、あそこに林業省という役所があるんですけれども、そこのもとに林業の高等専門学校、学校があるわけでありまして、そこの高校生が卒業しますと、六百人ぐらいですか、何校もありますから、卒業するんですけれども、そのうち百人でも二百人でもひとつ日本に研修で受け入れてもらって、そして日本の山林で勉強もし、もう学校に行っているわけですから非常にレベルが高いわけですから、日本語も勉強する研修センターもつくりましょうと。

 ですから、多少日本語ができるようなレベルまで上げますから、そういう人を日本で受け入れていただいて、そして勉強し、交流をするということをお願いしてもらえないかと、先般、向こうの林業省の大臣から日本の農林大臣に対して、あのときはまだ山田大臣でしたけれども、話がございまして、すぐ今の鹿野大臣にかわりまして、鹿野大臣室にこの間お邪魔をしたわけでございますが、何とかこれについて前向きな検討をされていると思いますので、ひとつどんなことになっているのかをお聞かせいただきたいと思います。

鹿野国務大臣 過般、小林興起議員もお越しになられて今のようなお話を承りましたが、基本的には、三年間の外国人の技能実習というものを実施できるようにするためには、どうしてもその仕組みをつくらなきゃならない。ところが、現在のところ、林業関係者からはそういう声がまだ出てきておりません。

 それでは、仕組みがなくても自主的に実施が可能な一年間の技能実習についてどうか、こういうことでありますけれども、それについてもまだ具体的に実績がないものですから、まず一年間の技能実習生の受け入れ先ともなれるところの林業事業体の育成にこれからも努めてまいりたいと思っております。

小林(興)委員 東アジア共同体構想というんですか、これはわかりやすく言えば東アジア共栄圏構想でありまして、ともに栄えていくということであります。

 そういう中で、物の交流も大事ですけれども、人の交流ということも極めて大事で、日本の技術者が向こうへ行って指導するということもよく言われていますけれども、今や、志を持った多くの若者を日本にどんどん、今、多少人手不足ということもあるわけですから、そういう気持ちを持った人たちを呼んできて、そして人の交流をすることによってお互いの発展を図っていく、そういう国際社会をつくっていく時代が今来ているんじゃないか、そんなふうに思っておりますので、ぜひ、関係大臣におかれましては、そういうことを考えていただいて、この交流を進めていただけたら、そんなふうにお願いをするところであります。

 さて、経済成長、非常に大きなものはいろいろと中小企業庁でも検討をされて、今、中小企業への金融支援ということを、この間の委員会ですか、しっかりやるというお話もいただきましたが、あのときつくられたいわゆる金融円滑化法ですか、あれが何かもう間もなく切れてしまうんじゃないかということで、しかし景気は相変わらずまだまだ回復したとは言えないわけでありまして、そういうことについて、大丈夫だ、必要とあらばそれは延長するんだということをぜひ大臣の口から引き出してくれと言われましたので、このことを質問させていただきます。

自見国務大臣 小林興起議員にお答えをさせていただきます。

 今、先生が議題とされました中小企業金融円滑化法案でございますが、これはまさにもう先生が申されましたように、大変な不況の中で、二回の年度末を視野に入れた時限立法でございまして、来年の三月三十一日が期限でございますが、そういったことを踏まえて、また我が国の経済及び中小企業の資金繰りの現状等を考えて、金融機関の金融円滑化に向けた取り組み、あるいは進捗状態等に関して、各種データを分析するとともに、中小企業、非常に今も厳しいわけでございますし、金融機関から生の声を伺いながら、しっかり延長も視野に入れて検討しているところでございます。

 私も先般、名古屋と大阪に行かせていただきまして、中小企業四団体の生の声を聞かせていただきました。もう先生御存じのように、円高ということでございまして、こういった中で、特に、先行き不安感がある、あるいは中小企業をめぐる状況はなお厳しいものがあるというふうな意見が大変多く聞かれたわけでございまして、そういった意見を踏まえつつ、中小企業の金融円滑化法案、延長するかどうか、今申し上げましたように、延長も視野に入れてしっかり検討していきたいというふうに思っております。

小林(興)委員 今、責任ある大臣の方から、延長もしっかりと考えるという話を承ったと思っております。

 いずれにいたしましても、日本の国がこれほど長く不況が続く、世界一働くと言われている民族が、また最高の技術を持っている日本がこれほど長く経済面で停滞しているというのは、ひとえに私はこれまでの金融政策の間違いであったということをはっきりとしていかなければならないと思うわけであります。

 今の金融円滑化法もそれを救済するために考え出した法律だと私は思っておりますが、長きにわたる小泉・竹中構造改革によって日本の金融はめちゃくちゃにされましたね。そして、その結果、例えばデフレ下において簿価主義を時価主義に変えて、どれほど不良債権が人為的につくられていったか。それを整理するなんていったって、整理される方はたまったもんじゃないということが行われたのも御承知のとおりであります。

 この間の国会で衆議院は通過していきました例の共済の見直し、保険に入れてしまった、保険業法の見直しについても、あれはアメリカから来た年次改革要望書に共済をやめろと書いてある。そういうことの中で、共済をやめられないから無理して保険の業法の中に入れた。このいびつな形がとうとうああいう形になって、日本の共済がつぶれていく中で、たまらない、必要な共済は、共済と保険とは違うだろうということでこの見直しが行われて、この間衆議院を通過したのを覚えているわけです。

 そういえば、大臣、郵政民営化法案、今どうなっているんですか、国会でまだ見直しが通っていないんですか。これもひどい法律で、アメリカの年次改革要望書に言われて、保険とか何かを、金融を切り離せなんてでたらめな要望書、これを受けて、民営化、民営化なんて、ミンミンゼミじゃあるまいし、民営化を叫んで、どうなりましたかね。もうひどいことになったわけであります。

 こういうかつての過ちを、あれもはっきりと言わなきゃいけませんけれども、郵貯、簡保から三百兆を外資に渡したら何に使われるかわからない、必ず日本がチェックする。まともな国家は、金融とかエネルギーとかマスコミとか、そういうものはみんな外資規制が入っている。そういうまともな国になることが、経済安全保障、そういう面において、しっかりとした面を図っていかなければ、安全保障というのは別に軍事的な話ばかりじゃないわけでありまして、こういう金融についての安全保障についてもしっかりしていかなければならないわけであります。

 自見大臣、どうですか。今、郵政民営化法の見直しはちゃんと進んでいるんですか。

自見国務大臣 小林興起議員にお答えをいたします。

 先生と私と苦楽を一緒にした時代もございますし、まさに、郵政改革関連法案について大変な御見識を持って御意見を述べられたわけでございます。

 郵政改革関連法案につきましては、郵政民営化によって生じた諸問題を克服し、郵政事業サービスの利用の立場に立って、郵便局で一体的に、三事業一体というわけでございますけれども、一体に提供されるように、将来にわたってあまねく全国において公平に、私は九州出身でございますが、過疎地あるいは離島、そういった地域においてもあまねく公平に利用できる、これは明治四年創業以来ずっとやってきたわけでございますけれども、そういった全国的なネットワークというのを我々の過去の先輩がつくってこられたわけでございまして、そういったことをきちっと確保する必要があるというふうに私は思っています。

 また、一部の報道におきましても、これは地方新聞の有力な新聞でございますけれども、本法案がたなざらしになるということは、日本郵政の経営の基盤が、実は取り返しがつかないほど今脆弱化しつつございます。そういった中で郵政改革をこれ以上停滞させることは国益に反するというふうな主張もマスコミに社説として出てくるような指摘もあるわけでございます。

 いずれにいたしましても、これは民主党菅総理、党首と国民新党の亀井静香党首との間の合意書でもございまして、また、いろいろな方々の御理解、御支持をいただいて速やかにその成立を期すというところでございまして、今国会において速やかに責任を持って成立を、いろいろな方々の御理解をいただきまして、各党各会派の御理解をいただきまして成立を期して、本当に安心、安全な、そして本当に全国どこに行っても郵政三事業のサービスを受けられる、そういうことをしっかり制度としても保障をしていく必要があるというふうに思っております。

小林(興)委員 今、大臣から力強い答弁をいただきました。そういえば、自見さんも私もかつて自民党にいたんですよね。何か追放されちゃって、本当に問題だと思うんですけれども、追放された幹事長がおりまして、親しい方でございますから、多分今ごろは、あんな小林や自見さんを追放しなきゃよかったなと内心思っていると思うんですが、そういう話はまたゆっくりとさせていただくことにします。

 いよいよ外交、安全保障、いろいろと問題がありますが、日本を敵にして、日本をいじめてよくなる国家は地球上にただ一つもないということをはっきりと国会で言わなきゃいかぬ。今、メドベージェフ大統領は多分しまったと思っていると思いますね。中国はできるだけ穏便にしてくださいと思っているでしょうし、アメリカは日本なくして、沖縄の基地は、日本の安全のためにもありますけれども、アメリカの世界戦略のためにも十分にやってあげているわけですから、アメリカだって日本には感謝しても感謝し尽くされないほど感謝していると私は思うわけであります。

 したがって、そういう意味でも日米関係は不動のものでありますから、ひとつしっかりと政府の皆さんも頑張って、そして、日本なくしてはアメリカの発展もないということで、この間のAPECでも菅総理がにこにことアメリカの大統領と話をしておられましたけれども、そういう風景を見せていただくことは大事だと思います。

 この間、海上保安庁の話を聞きましたら、国土交通大臣が立派で、今度の補正予算に、ああいう事件が起こる前に巡視艇を予算措置しておるなんて話がありましたが、本当ですか。

馬淵国務大臣 十月二十六日閣議決定の平成二十二年度の補正予算におきまして、来年度概算要求の部分、これを前倒しいたしました。約九十二億円、巡視船の整備や航空機整備、これはヘリコプターでございます、デジタル秘匿通信の整備等でございまして、これを前倒しということで今回計上させていただいております。海上保安庁の体制強化は必要不可欠なものだというふうに考えております。

小林(興)委員 海の守りという意味ではやはり巡視艇は大事でありますが、そういうことを問題が起こる前にきちっと補正予算に盛り込んでいたというこの見識をやはり私は高く評価しなければならないと思っております。

 それから、いよいよ防衛大臣も御活躍でございますが、政権が交代したんですから、やはり日本あってのアメリカだということをこれからはアメリカに対してもしっかりと、防衛大臣、話をしていただくと、いろいろな意味で普天間問題の解決の糸口も見えてくるようでございますが、もし、もっともっと精強な自衛隊をつくるために予算が欲しいということであれば、勇気を持ってそういう予算の措置についても考えていただきたいと思います。何か所感を述べてください。

北澤国務大臣 私も就任して一年二カ月になるわけでありますが、この間にゲーツ長官とは四回会談をいたしまして、率直な意見交換ができる立場になっておるわけでありまして、小林委員のように率直過ぎるほどぐいとはなかなかいきませんが、日米の確固たる同盟のためにはしっかりと対応してまいりたい。

 また、予算につきましても、こういう財政状況ではありますが、防衛省としてどうしても必要なものについてはただいま要求を出しておりますので、ぜひまた側面からの御援助もお願いを申し上げたいと思う次第であります。

小林(興)委員 最後、質問時間がもう終わりますので、菅総理、この補正予算を通して支持率がぐっと上がるということの中に、新しい日本の時代をつくるんだということを力強く一言言ってください。

菅内閣総理大臣 今回の補正予算は、三段階の中のまさにステップツーということでありまして、この補正予算を通していただくことで、ステップワン、ステップツー、そして来年度の予算、こういうふうにつなげていって、必ずや日本の経済を成長路線に戻していく、そのために役立つ予算でありますので、ぜひとも一日も早く通過をさせていただきたい、よろしくお願い申し上げます。

小林(興)委員 終わります。

中井委員長 これにて小林君の質疑は終了いたしました。

 次に、下地幹郎君。

下地委員 私も小林議員と同じように自民党を追放されたわけですけれども、そのときの幹事長が武部幹事長でありまして、尊敬をしております。武部幹事長の視点はいつも国民視点でありますから、そういう意味でも、予算を早く通して国民に貢献できる、そういうふうな、尊敬する武部さんの仕事を目の当たりに見てきましたので、頑張って私も勉強してやっていきたいと思います。

 それで、時間が五分しかありませんので。

 経済政策というのは、予算もやらなければいけない、税制もやらなければいけない、規制緩和もやらなければいけない。こういうことを全部タイムリーに打っていって経済効果が出てくるわけでありまして、六月の八日に菅内閣ができ上がってから、概算要求も組み、それで九千億円の予備費の対策もつくり、そして今回五兆円の予算を組み、そして税制改正をして、本予算を組む。間断なく政策を打ってきているわけであります。

 しかし、今の経済状況はなかなか厳しくて、この予算の効果は必ず出てくると思いますよ、しかし、必ず出てくるまでの間に、一番遠いところ、ある意味、中小企業であったり地方であったり低所得者であったり、こういうふうな一番予算の恩恵を受けなければいけない人のところに来るまでの間に遠くて時間がかかる。この時間がかかる間を何が埋めるかといったら、私は政治が埋めると思うんですね。この人に託したら、待っていたら、必ずこの国はよくなるから、この予算の効果が出てくるまで待ってみよう、こういうふうなことを政治家が思わせるような仕組みをつくっていかなければ、この経済政策をやるだけで景気がよくなるものではないと私は思うのであります。

 そういう意味では、無駄を省く作業も必要だし、仕分けも必要ですけれども、一番大事なのは、菅総理の大きな夢が国民に届くような仕組みをやはりつくらなければいけないと思うんです。

 アメリカが大恐慌のときにニューディール政策をやりましたけれども、あのときは、公共投資だけじゃなくて、全米の文化や芸術を引っ張り上げる。それが確実に、ハリウッドをつくり、ブロードウェーをつくり、世界の第一位のコンテンツを輸出するアメリカができ上がって、それが雇用をふやしたというようなことになっているんです。

 それで、菅総理に御質問なんですけれども、こういう不景気なときは、未来に向かって種まきをするというのが大事で、即効性のことだけじゃなくて、この種まきをどんなものをやったのかなというのを国民に見せなければいけないと思うんです。今度の補正予算と来年お組みになる予算で、菅総理がお考えになる未来への種まきというのはこれとこれとこれとというのを、ぜひお話をいただきたいというふうに思っております。

菅内閣総理大臣 成長戦略の中で、グリーンイノベーションあるいはライフイノベーション、さらにはアジアとの、ともに栄えていく、そういう柱を立てております。

 グリーンイノベーションでは、低炭素にかかわる産業を我が国にしっかりと残して、国内への立地をするための、そうした投資促進の項目を予算にも入れております。

 また、先ほど来ベトナムの話が出ておりましたけれども、そうした中で、原子力発電所、さらにはレアアース、さらにはインドとの間での幾つかのインフラ、こういうものに対して、我が国が金融的なサポートやいろいろなサポートも行いながら、そうしたものが日本の成長につながっていく、このことはもう実際の問題として動き出していると申し上げても間違いないと思います。

 そういった形で、今の日本の、二十年にわたって低迷したこの日本の経済状態を、いよいよ来年に向けて成長軌道に戻していくという、そのスタートになる補正予算だと考えております。

下地委員 未来への種まきというのは政治家にとって大事なので、ぜひ総理には頑張ってもらいたいと思う。

 ありがとうございました。

中井委員長 これにて下地君の質疑は終了いたしました。

 この際、仙谷内閣官房長官から発言を求められておりますので、これを許します。仙谷内閣官房長官。

仙谷国務大臣 山本幸三議員の御質疑の前に、委員長の御許可をいただきまして、一言申し上げます。

 十一月九日の本委員会質疑における私の答弁につきまして、本委員会理事会で議事録の修正を認めていただきました。

 本件について理事会の皆様方に感謝をいたしますとともに、今後、国務大臣として真摯な答弁に努めてまいりますので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。

中井委員長 次に、山本幸三君。

山本(幸)委員 自民党の山本幸三でございます。

 きょうは時間が余りありませんから、まず事実確認からいきたいと思いますので、簡潔に御答弁をお願いしたいと思います。

 中国漁船の尖閣諸島沖での衝突事件のビデオ映像流出事件に関してであります。

 まず、馬淵国土交通大臣にお伺いいたします。

 十一月十日午前九時ごろ、神戸海上保安部所属の四十三歳海上保安官が哨戒艇内で船長に対して、ビデオの流出は自分がやった、そういうふうに告白したと。その一報を鈴木海上保安庁長官は九時三十分ごろに第五管区海上保安本部長から携帯電話で受けて、これを九時四十分ごろ、馬淵国土交通大臣に報告した。しかし、馬淵大臣は、その情報を自分のところにとどめ置いて、お昼休みまでは官邸にも、そして、まさにその件について集中審議をしておりました当委員会に対しても何ら報告しなかった。そういうことでよろしいんですね。事実だけ確認してください。

馬淵国務大臣 十一月十日の午前九時四十分ごろ、海上保安庁長官から私に対しまして、巡視艇の乗組員が上司に対して映像記録を流出させたとの告白があったということが私に報告が上がりました。

 これにつきましては、しかしながら、洋上にいる巡視艇の船内にある、また、この巡視艇の乗組員である告白者が上司である船長に対して告白したものであるといった状況で、この当該告白が、いわゆる捜査当局であります警視庁あるいは検察官、こういったところに行われたものではありません。

 したがいまして、このことは具体的な事実の確認が必要であるとのことから、その確認を待ち、そして、海上保安庁長官がこのことの確認がとれたのがこの予算委員会の昼休みに入ってということで、この確認も、事情聴取に入る段階であるという状況を確認がとれたということで、そのことについて私にも入り、さらには官邸にも連絡を入れたということでございまして、このような状況で、基本的には、海上保安庁から官邸に情報を上げるということにつきましては、今申し上げたような流れの中で、あくまでも一次情報であるといった状況でありますので、しっかりと確認がとれた段階で、捜査の次の段階に入ったところで、確定をした上で官邸の方に報告をした、こういうことでございます。

山本(幸)委員 後で追及しますが、大変おもしろいことを言いました。そのことは後でやります。

 次に、総理。総理は、十日の当予算委員会のお昼休み、十二時から一時までですね、その間に秘書官から聞いたというように答えておられますが、それは大体十二時何分ぐらいですか。

菅内閣総理大臣 何分というところまでは正確にお答えしにくいんですが、この委員会ですので、この委員会が休憩になって、そして出ていく途中でしたか、ですから、休憩になってそう間を置かない段階で聞きました。

山本(幸)委員 次に、仙谷官房長官。官房長官もお昼休みに聞いたと答弁しておられますが、それは十二時何分ぐらいでしょうか。しかも、それは、総理は秘書官から聞いたと言っておられますけれども、官房長官はどなたから聞いたのか。

仙谷国務大臣 私の記憶では、私が、多分その日は官邸に帰って昼御飯を食べたと思いますが、昼御飯を食べながら打ち合わせを始めたころでありますので、あの日ちょっと十二時ずれ込んだような記憶はあるんですね、だから、十数分という感じじゃなかったかなというのが私の現在の記憶であります。(山本(幸)委員「どなたから」と呼ぶ)秘書官だったと思います。

山本(幸)委員 非常に問題がありますね。

 この件に関する責任者は官房長官ですよ、ビデオの資料については。その官房長官がお昼休みに聞いたと。しかし、既にその一報は、九時四十分には国交大臣は聞いているんですよ。

 あなたは、何でこんなに遅いんだというふうに怒らなかったんですか。

仙谷国務大臣 捜査情報等、まあ、ある種確認がとれない不確かな情報ですよね、最初の第一報というのは。

 ある意味で、もちろん、多分携帯か何かをお使いになったんだろうというふうには思いますけれども、そういう手段ですら我々は確認がとれないわけでありますから、だから私は、もう私どもの方でというよりも海上保安庁から告発しておるわけでありますから、事件捜査自身は始まっているわけですね。

 これは、主として事件捜査の捜査情報で、もし捜査情報になるのであれば、当然のことながら、警察内をまず情報が行き渡る。私のところに来るのは、その後、現時点ではここまで行っている、あるいは、こういう手続になっている、こういう情報が入ってくることが当たり前でありますから、それらしきものが来るか来ないかというのは、私は、それほど問題ではない。捜査情報というのはやはり確たる情報でないと、こうだろうか、ああだろうかという解釈に多義的であっては、むしろならない。

 我々は捜査に直接口出しもできませんし、何の権限もありませんから、捜査が始まっている、こういう段階では、私はこれはやむを得ないといいましょうか、これはこれでこういうものだろうと思っております。

山本(幸)委員 そうすると、官房長官、あれですか、海保は容疑者を告発していまして、そうすると、そういう情報は、本来は海保から上がってくるような話ではない、捜査機関から上がってくるような話だ、そういうことですか。

仙谷国務大臣 確たる情報はそうでなければならないと思っています。

 海保は、今回の場合には告発者であり、かつ、広い意味での被疑者扱いをされる可能性のあるポジションだと私は見ておりました。

山本(幸)委員 馬淵大臣は秘書官を通して官邸に伝えたということですが、今、総理、官房長官が答えられた時間に合うような形、つまり十二時過ぎ、すぐですね、そのころ、秘書官を通じて官邸に伝えろと指示されたんですか。

馬淵国務大臣 海上保安庁から情報を上げるというこのプロセスについては、これはもう省内すべてそうですが、これは仕組みを私は再三注意しておりました。大臣就任後の九月二十一日には、海上保安庁を含む省内に対して、官邸との連絡体制、あるいは情報共有並びに情報管理ということを指示してまいりました。

 そこで、先ほど申し上げたように、不確定な情報でありましたが、昼過ぎには事情聴取が始まるという段階になったということで、海上保安庁から官邸へと情報を上げる仕組みになっております。したがいまして、これはその仕組みにのっとって、具体的には、海上保安庁長官から官邸の秘書官へと連絡が行くという仕組みになっておりますので、昼過ぎに連絡をした、こういうことになっております。

山本(幸)委員 ちゃんと答えてください。昼過ぎというのは何時ですか、何分ですか。

馬淵国務大臣 これも、正確にと言われても大変難しいんですが、十二時十分ごろから事情聴取が始まるという確実な段階になったということで、この仕組みとして、もちろん長官から危機管理官に渡りまして、そして官邸へと連絡する、こういう経路になっておりますので、そのような形で話を伝えた、こう理解しております。

山本(幸)委員 では、十二時十分過ぎですね。

 ところで、あなたはもううそを始めた。これは二番目のうそだから二番目にやろうと思ったけれども、最初に言っちゃったから、そっちから先にやりますよ。

 あなたは今、十二時十分過ぎに事情聴取に入るということが確実になったから報告したと言っていますね。(発言する者あり)言いましたよ、今。これは違うんですか。

馬淵国務大臣 正確にお聞きいただきたいんです。

 十二時十分ごろからこの職員が任意で事情聴取を受けるという旨の報告を受けて、捜査機関による事情聴取が始まるという確実な段階になったので、長官から私に報告され、そして官邸に、これも海上保安庁の危機管理官から連絡が入り、中身を伝えた、こういうことでありますから、今申し上げたように、十二時十分ごろからこの職員が任意で事情聴取を受けるという、この旨の報告を受けたということであります。

 これが何時何分何秒かと言われたら、私も正確に申し上げられないんですが、今申し上げたように、十二時十分ごろから任意の事情聴取を受ける、この旨報告を受けたということであります。そこで、官邸にこれは伝える仕組みがありますから、海上保安庁長官から伝える仕組みの上で連絡をとった、こういうことでございます。

山本(幸)委員 十二時十分ごろから事情聴取に入るということを聞いたので言ったということは、十二時十分より前ですね。確認してください。

馬淵国務大臣 済みません、大変恐縮で申しわけないんですが、十二時十分ごろから受けるという報告を受けて、連絡が入る仕組みの上に乗って連絡を入れていますので、正確な時間はちょっと私も記憶にないんですが、今申し上げたように、洋上からその告白した人間が事情聴取を受けるというところに帰港して、その準備が整って、そして、私も昼休みに入ってからですから、それを耳にしたわけです。十二時十分ごろからそれが始まるという報告を受けました。そして、長官からは、その旨を官邸に規定の連絡ルートでお伝えをしたということであります。

 時間は正確に私もちょっと記憶にありませんが、繰り返しになりますけれども、十二時十分ごろから事情聴取を受けるということの報告がなされた、こういうことでございます。

山本(幸)委員 十二時十分からそう遠くない時間ということで理解しておきます。

 それから、今、捜査機関の事情聴取と言いましたが、その捜査機関というのは、当然、告発しているわけですから、警視庁ないし東京地検ですね。

馬淵国務大臣 これは、十二時十分から捜査機関による事情聴取が始まる、私はこのように報告を受けましたので、お尋ねの件は、捜査機関から私は事情聴取が始まるということを申し上げております。(山本(幸)委員「捜査機関は警視庁ですか東京地検ですか、それのどっちかですね」と呼ぶ)

 捜査機関は、繰り返しになりますが、東京地検と警視庁でございますが、ここでの事情聴取が始まるというのは、事実関係は警視庁による事情聴取ということであります。

 ただし、この段階では、私は報告は捜査機関からの事情聴取が始まる、このように報告を受けております。

山本(幸)委員 捜査機関は警視庁ということですね。

 そこで申し上げますが、十二時十分から始まる、この船員が下船してきたのは何時ですか。この海上保安官がその哨戒艇から神戸港に着いて下船してくるのは十二時十二分過ぎなんですよ。そうなら十分から捜査員が入るわけないじゃない。

 それから……(発言する者あり)そんなのはビデオを撮っているんだ。

中井委員長 事実ですから、事実確認をいたさせます。

鈴木政府参考人 事実関係をお答えいたします。

 事情聴取が行われたのは十二時十分ごろからでありますが……(山本(幸)委員「十二時何分」と呼ぶ)十二時十分ごろから事情聴取が開始されましたが、その前、十二時二分ごろに当該乗組員が巡視艇から下船をいたしまして、最初は桟橋を歩いて、それから車で事情聴取が行われた神戸第二地方合同庁舎に到着いたしまして、駐車場からエレベーターで部屋に入り、それで十二時十分ごろから事情聴取が行われたと承知しております。

山本(幸)委員 そこであなた方はうそをつき始めた。それは、事情聴取に入るということがわかったから、だから報告したと言っているんだね。だけれども、十一月十一日の参議院の国土交通委員会で大臣はどう答えているか。

 それは、官邸に対する報告がおくれたことの説明、それは不確かな情報だからできないけれども、確かになったときにはいけますので官邸に報告します、あるいは国会に報告しますという論理構成になっているわけだ。そういうシナリオになっているわけだ。

 そのときに国土交通委員会でこう答えていますよ。具体的に捜査機関による事情聴取が始まった、そういう情報を得たので、これはもう確実に取り調べが始まったということでありますので、所管を通じて上げた。

 入るという段階じゃないんですよ。始まったという過去形なんだ。しかも、お昼の時間で、警視庁の事情聴取なんか始まってませんよ。やってませんよ。警視庁が事情聴取をやったのはもっとずっと後だ。そうすると、最初にやったのは海上保安庁内部の事情聴取じゃないか。違いますか。

中井委員長 鈴木長官、たびたび言いますが、そちらへ座って、近い関係で来てください。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 私どもは、九時三十分ごろ、私がまず五管本部長から速報を受けまして、私はたまたま大臣室におりましたので、大臣には緊急の第一報を入れて、それから、捜査機関とこれは調整をせないかぬ話であります、当人をどう調べるかということにつきまして。それで、うちの担当課長の方から警視庁及び東京地検に連絡をいたしました。警視庁の捜査官はたまたま神戸に出張中でありましたので、それから事情聴取が行われました神戸第二合同庁舎の方に向かいまして、十一時二十分ごろ到着いたしました。

 一方で、当該巡視艇は十一時ごろ入港いたしました。その間、十一時二十分に捜査官が到着した後、事情聴取を行う場所、それから、当人を巡視艇からどういうふうに下船させて庁舎まで連れてくるかといったようなところを調整しておりまして、その段取りが整いまして、先ほどお答えしましたような時間に当人が下船して事情聴取を受けるに至ったということでございます。

 したがいまして、東京地検の方は、私どもが連絡してから現地へ向かいましたので、到着したのは午後になったと聞いております。

山本(幸)委員 そうすると、警視庁は十二時過ぎから事情聴取をしたというんですか。

鈴木政府参考人 十二時十分ごろから任意で事情聴取を行ったんですが、それは警視庁の捜査官により行われております。この捜査官が私どもの庁舎に着いたのが十一時二十分ごろ、その後で場所とか本人を連れてくる方法等につきまして調整をいたしまして、それから事情聴取が行われたと承知しております。

山本(幸)委員 ちょっと私の知っていることと違うので、これは後で確認をしていきます。(発言する者あり)いや、私が問題なのは、報告がとにかくおくれるというのは問題だ。それは不確かだからだと言って、確定するのは事情聴取が始まってからと。それは、始まったら確かにそうでしょう。だけれども、何で官邸なり、このやっている委員会で、九時四十分に知っているのに報告しないんだ。だって、情報なんていうのはすべて不確かですよ。それを、確定をするというのは、何が確定なんですか、大臣。

馬淵国務大臣 捜査に入っております。捜査機関の捜査に入っている段階で、本人の告白という形です。しかも、これはよく知った上司への告白という形です。これが果たしてその信憑性があるのか、またどのような状況だったのかということについては、これは捜査機関が捜査の段階の中でしっかりと聴取をしていくものです。

 したがいまして、私どもが第一報として受けたものについては、これは捜査が次の段階に入るその以前のものでありますので、これは不確かである状況であるということから、確定次第ということでおりました。その後、予算委員会に入りました。

 ですから、確かなものになるというのは、先ほど来申し上げているように、捜査として事情聴取に入る段階になったということで、これは通常のルートで官邸にお伝えをしたということであります。

 私、国土交通委員会でも申し上げておりますが、さまざまな情報というのが内部調査の段階でもございました。こうした情報を一つ一つ個別具体的にすべて上げてくるものではありません。あくまで、内部調査の場合は、海上保安庁がみずからの調査内容として調べているものであります。告発後は捜査の協力に資する情報でございます。

 したがいまして、こういったものについては、確実な段階、先ほど来申し上げるように、事情聴取という具体的な段階に入るそのところでお伝えをするという、この仕組みの中で連絡をしたということであります。

山本(幸)委員 それは全然、内閣の危機管理としておかしいと思いますよ。だって、ちゃんと告白したかどうかというのは、調べればわかるんだよ。まあ、いいや。

 次に行きますが、あなたは十日の委員会で中谷議員の質問に答えて、中谷さんは、鈴木長官に対して最初の情報をいつ聞いたのと聞いて、長官が答えた。同じ質問を、大臣はどうですかと聞いたら、あなたは昼に聞きましたと答えたんですよ。これはうその答弁じゃないですか。

馬淵国務大臣 私は、この事情聴取については、昼休みに入ってということを申し上げました。中谷委員が質問をされて、長官が答弁をされるというそのやりとりが途中ございましたので、私の中では、事情聴取、これがお伝えをするという情報だったということでありますので、事情聴取は昼休みに入ってからということで答弁をさせていただきました。

 したがいまして、お尋ねの答弁には十分ではないということの御指摘であれば、それは私も真摯に受けとめさせていただきますが、私自身は、事情聴取はということで正確にお伝えをさせていただいておりますので、決して虚偽には当たらない、このように考えております。

山本(幸)委員 中谷さんの前後のことを見れば、最初の情報はいつ入ったのかと聞いているんですよ。それをあなたははぐらかしたんだ、逃げたんだ、そうでしょう。全く不誠実ですよ。この当委員会できちっといつ聞いたか聞いているのに、それをちゃんと答えないで、そしてはぐらかして、これも大きな問題です。

 あなたは、そういう意味ではしょっちゅう変わっているんだ、これ。ここでははぐらかした。それから、さっきの国土交通委員会、事情聴取を受けた、だから言ったと言った。これもおかしい。それから今度は、きょうは、事情聴取に入ることが確実になったからなんと言っている。極めて不誠実な態度ですよ。

 それから、次の問題に行きますが、今情報が入ってきました。この海上保安官の逮捕は見送られた、任意捜査を継続するということですが、これはなぜかといったら、今までの馬淵大臣とか仙谷官房長官が言っていた、情報が本当に秘密だったのか、秘匿性があったのかということが全くない、そういう判断でしょう。

 それは、あなた方はずっと、ビデオというのは検察の証拠として提出した、つまり九月十五日、それから捜査資料だから公開できなくなったといって公開を拒絶してきたわけですね。我々が全面公開を要求し、あるいは参議院の予算委員会の理事会は与野党一致ですよ、それに対してこたえようとしない。その根拠は得意の刑訴法四十七条だ、それでやっている。だけれども、これは全くおかしい。全く限定された人だけのものじゃないんですよ。

 このビデオについては海上保安大学校の共有フォルダに保存されていた、それは少なくとも一定の期間、広範囲に海上保安庁の内部では見ることができた、それは事実ですか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 通常、捜査資料は、捜査のために必要な範囲内で関係者に限り閲覧することがあるということで、内部法規に定められております。

 ただ、お尋ねの点につきましては、現在捜査当局で捜査中でありますので、お答えは控えさせていただきます。

山本(幸)委員 だれでもわかっているじゃないですか、今。共有フォルダに入れられて、これはアクセスの制限もかかっていないというんですよ。そういう管理をしていたんですか、大臣。

鈴木政府参考人 私どもとしては、捜査資料はきちっと厳重に管理をしておったつもりでありますが、お尋ねの点につきましては、ただいま捜査中でありますので、お答えは差し控えます。

山本(幸)委員 私は、政治家の責任というのを問いたいから大臣に聞いているんですよ。大臣、どうですか。

中井委員長 政治家の責任というのは、山本さん、何なんですか。このビデオの管理ですか。

山本(幸)委員 政治家の責任というのは、あなたは今まで、この資料、これは捜査資料だから一般には見れませんよ、たとえ海上保安庁内部でも。そう言ってきたんですよ、捜査資料だからと。だから、大臣名で管理者を決めるとか、そういうことをやったんでしょう。だけれども、実際は見れたというじゃないですか。これは何なんだと。そういう管理がちゃんとできていない、このことについて大臣はどう思うんですか。

馬淵国務大臣 まず、現在捜査中で、どのような状況でこうした情報が流れたのか、また、共有フォルダという今御指摘がありましたが、このことも、今捜査機関が捜査中の情報ですので、私どももこれは一切承知をしておりません。

 しかしながら、一方で、私どもがこうした電子媒体の情報、捜査資料とした場合に関しましては、これは海上保安庁情報セキュリティーポリシー、この実施手順に従いまして厳密にルールに従って管理がなされております。これは当然ながら、平時、この事案が発生する以前も含めまして、海上保安庁としてこのセキュリティーポリシーに従って管理をしているということでありますから、だれもが見れるといった状況ではないと承知をしております。

 しかし、今般流出したということは事実でありますが、この流出した経緯については、今、捜査機関の事実究明によって明らかになるものだと承知をしております。私どもとしても、そのことに対してしっかりと協力をするように海上保安庁にも指示をいたしました。まず、こうした形での事実の徹底究明が今求められているのだというふうに考えております。

山本(幸)委員 あなた方は、これは厳重に管理されていると何回も強調してきたんですよ。だから一般には出せません、公開できません、そういうロジックを組んできたんです。ところが、その前提が崩れているじゃないかというんですよ。

 もともと、ほぼ海保内では公開の状況にあるというのが普通だったんじゃないですか。国交大臣の経験者は、海保のビデオ情報は原則公開、海保内では、それは資格のある人というのがあるでしょうが、そういう資格のある人なら広範囲に見ることができるのが通常なんだと。そういうことじゃないんですか。どうですか、大臣。

馬淵国務大臣 先ほど申し上げたように、海上保安庁情報セキュリティーポリシーの実施手順というところで厳格に定めております。文書管理規則というのが通常の役所にもございますが、こうした電子媒体は文書でございませんので、これにつきましては、電子媒体の管理の方法として、これは要機密情報ということにしております。

 したがいまして、この要機密情報というのは、情報にアクセスできる者の範囲を限定し、また、必要に応じてパスワードを用いて保護するかまたは暗号化するか、庁外への持ち出しは原則禁止、庁外の者に提供する場合には情報セキュリティー担当者の許可を要するということで、厳格に管理をしてまいりました。この実施手順に従って我々としては管理をしてきたものであります。十月の十八日に、私自身が改めて、こうした実施手順にのっとってはいるけれどもさらに強化すべきであるということから、私は各所各所における情報管理者の個別の指定をしたものであります。

 ただ、先ほど来申し上げるように、流出したということが事実でございますので、この経緯については捜査によって明らかにしていただきたい。報道ではいろいろと挙がっておりますが、私どもとしては、こうした報道が果たして具体的にどのような形で事実として私どもに提示されるかということについて、とにかく協力できることは協力していこうということで、この調査内容も含めてすべて提示をさせていただいているということでございます。

 繰り返しになりますが、海上保安庁、こうした捜査機関の情報管理というものについては、政府全体の中でもしっかりと取り組まねばならないという課題という認識をしております。

 今後は、これも政府全体で、情報保全システムの新たな見直しということで、政府内における有識者の会議の立ち上げも指示を受けておりますので、国土交通省並びに海上保安庁挙げてこうした管理の徹底を行ってまいりたいというふうに考えております。

山本(幸)委員 しきりに捜査資料だからと言うので、ちょっと確認しておきますが、では、捜査資料になる前はオープンだった、なったのは九月十五日ということでいいんですか、確認します。

鈴木政府参考人 私どもが撮影いたしましたビデオにつきましては、これは刑事事件の大事な証拠となり得るものでありますので、当初から、検察当局と相談の上、公開できないということで扱っておりました。

山本(幸)委員 その中の当初というのはどういう意味ですか。九月十五日ですか、違うんですか。

鈴木政府参考人 事件が発生いたしました九月七日からでございます。

山本(幸)委員 そうすると、またいよいよ問題じゃないの。全然、九月七日から出てはいけないような資料がオープンだったんです、結構。それは今度、後で柴山議員が、実際に石垣とか那覇とかに行ってきた経験に基づいてやりますからね。

 そうすると、あなたは、海上保安大学校でダウンロードされたということなんですが、こんなものはちゃんと履歴を見ていればわかるんじゃないですか。それが今まで何でわからなかったんですか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 本件ユーチューブへの流出を私どもが承知いたしましたのが九月五日の午前一時ごろでございまして、それから……

中井委員長 十一月だろう。

鈴木政府参考人 失礼いたしました。済みません、疲れておりまして。

 十一月五日の午前一時ごろでありましたが、直ちに登庁いたしまして、いろいろユーチューブへの削除要請とか確認作業をやりまして、それで、その日の朝一便で担当官二名を向かわせまして、その後追加六名で、総勢八名で土日も返上してやりましたが、流出経路を特定するに至りませんでした。したがって、その後は、八日に告発いたしまして、捜査機関の方にお願いするということになりまして、捜査機関で今徹底的な捜査が行われておると承知しております。

山本(幸)委員 聞いていないことばかりだらだらだらだら言って、時間ばかりとらないでくださいよ。

 大臣に聞きますよ。

 海上保安大学校、あなたは十月十八日に、管理者を決めるまで厳重に管理しろと言ったんだ、大臣名で。だけれども、実際はそうなっていなかった。そのことについて、ちゃんとあなたはチェックしなかったんですか、管理しなかったんですか。海上保安大学校、一番ありそうなところじゃないですか。教材用ということがあり得るんだから。研修用ビデオはないなんて言っていますけれども、今までの例でいうと大体つくっているんですよ。それをちゃんと管理できなかったのはどうしてなんだ。これは大臣がそこまで指示して、管理をしようということを徹底させたんでしょう。どうして保安大学の履歴とかそんなものがわからなかったんですか、大臣。

馬淵国務大臣 先ほど長官からお答えをさせていただきましたように、海上保安庁としては、こうしたデジタル技術にたけた者計八名、内部調査ということで現地へ赴かせました。しかしながら、そこでは、情報解析含め、大変内部調査には限界があるということで、捜査機関への告発を行ったわけであります。

 なぜわからなかったのか、このような御指摘をいただけば、私どもとしては、内部調査には限界があった、こう申し上げるしかありません。

 さらに、こうした捜査機関によって、警視庁、これはさまざまなサイバーテロに対応する、電子情報に対応が可能な部隊を抱えているとお聞きをしております。こうした捜査機関の手によって、一つ一つ、具体的な分析、あるいは流出の経路というものが明らかになったのではないか、これは私の推測でございますが、いずれにしても、捜査の手によって明らかにされるべきものであると思っております。

 海上保安大学校という御指摘につきましても、現時点においては、まだ何ら確定された情報として提示をされているわけではございません。

 私どもとしては、繰り返しになりますが、こうした状況の中で、内部には限界があった。これは、全力で取り組んできたけれども内部調査には限界があるということで、捜査機関の手にゆだねたものでありますので、捜査機関への徹底的な私どもの協力を行うということで、しっかりと進めていただきたいというふうに思っております。

山本(幸)委員 どうしてそういう履歴がわからないんですか。そのぐらい内部調査でできないの。履歴を見ればわかりますよ、そんなものは、出たかどうかの。そういうことが内部調査でできない。そんないいかげんな管理だったんですよ、海上保安大学、だれでも見られた。

 ちょっともう一個確認しますが、ユーチューブで流出した後で、現在、ビデオは石垣海保と那覇地検にしかないということですが、これは本当ですか。

鈴木政府参考人 本件流出したビデオとほぼ同一のビデオが、石垣海上保安部において、那覇地検からの要請により捜査説明用に編集をされまして、那覇地検に提出をされました。そのコピーを十一管区本部と石垣保安部で持っておったと承知しております。

 これにつきまして、流出経路等をいろいろ土日返上して調べましたが、流出経路を特定するに至らなかったということでございます。

山本(幸)委員 質問に答えてください。

 大臣ですよ、大臣ははっきり答えていなかったんだ、十一月五日に。今ビデオは石垣海保と那覇地検にしかないということですが、本当ですか、大臣。

馬淵国務大臣 繰り返しになりますが、そのように報告を受けておりました。しかしながら、流出経路というものが明らかでないということで、さまざまな報道に上がっているような状況でございます。

 いずれにしましても、私どもとしては、その事実を解明する、原因の徹底究明が必要である、このように考えております。

山本(幸)委員 そうすると、管理をやろうと思っていたけれども結局広がっていた、どうするんですか、この責任は。指揮監督責任は国土交通大臣でしょう。あなたの責任はどうするんですか。

馬淵国務大臣 繰り返し申し上げますが、広まったという委員の御指摘は、これはまだ捜査段階で、何一つ確定をされた情報として私ども受けておりません。どのような状況で流出したかという経緯について、だからまさに捜査機関が、警視庁の皆様方にもお願いをし、地検の皆様方にも、私ども告発したという形で徹底的に調べていただいているわけであります。

 先ほど来お話を伺うと、広がった、また特定の場所ということで御指摘いただいておりますが、こうした捜査内容、情報につきましては、私どもは、先ほど来仙谷長官のお話もございました、告発した立場でございますので、捜査への協力はしても、捜査情報を私どもが直接受けるという立場にございません。したがいまして、事実が確定すれば、まさに委員の御指摘のように、どうしてこういうところに移ってしまったのかということについての今後の再発防止策というものをしっかりと講じていく必要があると考えます。

 今時点においては、少なくとも私どもとしては、どのような状況だということについては一切承知をしていないということでございます。捜査情報が仮にこのような状況の中で事前に漏れ伝わることの方が、私は法治国家としては大きな問題であるというふうに考えておりますので、現状については何ら問題はないと考えておりますが、今後しっかりと再発防止策を講じていくことが私どもの最大の責務である、このように考えております。

山本(幸)委員 何を言っているんですか。あなた方は、ちゃんと管理してしかも捜査情報だから出せませんよとずっと言ってきたんだ。ところが、もうユーチューブまで出ちゃったんだよ、ユーチューブまで。そういうのが出ることが可能なように海上保安大学校の共有フォルダにあったわけだな。まさにそこは全然管理ができていないわけですよ。もうそれだけで十分じゃないか、管理ができていなかったというのは。

 大臣は海上保安庁を管理する。海上保安庁は国交大臣の管理する外局だから、管理されているんだ。あなたが管理するんだ。そして、しかも長官を指揮監督するんですよ。ここまで出ちゃならないものが出ちゃったといったら、もう事実は明らかじゃないですか。まさにこれは確実な情報ですよ。それで何も責任感を持たないんですか。どうなんですか。

馬淵国務大臣 私、申しわけございませんが、御指摘の意味がなかなか理解できないのですが、繰り返しになりますが、どのような状況で流出したかが明らかでないから今告発をし、捜査をしていただいているんです。仮に、これが全国でそれこそどこでも見られるような状況であったのか、あるいは特定の者がそれこそ一定の方法を使って情報を抜き出したのか、こういったことすらわからない状況で捜査に当たっていただいているわけです。このことが明らかになった段階で、初めて私どもは具体的な再発防止策を図ることができると思っております。こうした情報管理については、先ほど申し上げたように、海上保安庁の情報セキュリティーポリシー実施手順書によって明確に定められております。

 なお、私自身は、こうした具体の捜査内容あるいは捜査の手続について一切の権限を有しておりません。私は一般的な方針等の管理の権限は持っておりますが、こうした捜査の手続あるいは捜査の内容にかかわるさまざまな個別具体については一定の独立性を保たれているという状況で、私がそれに対して指示、命令を出すことはできなくなっております。

 このような状況の中で、繰り返しになりますが、共有フォルダと繰り返し御指摘をいただいておりますけれども、それが事実であるかどうかも含めて、捜査機関の徹底的な事実究明をお願いしているというところでございます。

山本(幸)委員 もう既に漏れちゃっているんです、たくさん。それは、あなた方の管理が不行き届きだったというのは明らかだ。

 そもそも、刑訴法四十七条を盾にいろいろな虚構を組み立ててきた。限定した者しか見られない、捜査資料だから、もう大きく崩れているわけですよ。あなた方の言っていたことは全く根拠がないんだ。もう次々、根底から覆るような事実が出ているんですよ。それを、捜査、捜査と言って逃げまくるわけだ。わかっているじゃない、自分たちの部内の話なんだから。こんな前提が崩れたようなことをもって我々は納得できませんよ。やり直さなきゃ、あれは。

 それから、前の委員会の集中審議のときに、先ほども申し上げたように、本当にあなたが知っていて朝からちゃんと我々に報告しておけば、午前中の審議は全然変わっていますよ。それを何か、確実にならなきゃいけないと。確実になるなんていったら、何だ、逃げまくっただけだよ。しかも、中谷議員の答弁に対しては、間違ったごまかしの答弁をしているんだ。全く不誠実ですよ。ぜひこれは集中審議をやり直してもらわないと、全然違うじゃないですか。

 この四十七条でつくってきた虚構、全然違ったじゃないですか。それをどう思うんですか、大臣。

馬淵国務大臣 私は、先ほど来、事実の解明が必要である、このように申し上げてきたのは、委員の御指摘のような報道に上がるような事実があるのか否かということをはっきりと確認していく必要があるということで申し上げてまいりました。

 また、中谷委員の質疑に対しては、冒頭で中谷委員の質疑に答えた鈴木長官の答弁、その後に数度のやりとりをされている中で、私に問われたことについては、繰り返しになりますが、事情聴取ということについてお答えをされているという状況を踏まえて、私は、事情聴取についてはということで明確に申し上げたつもりであります。

 お尋ねをいただくときには、具体の事実ということでお尋ねをいただければ、そのようにお答えできます。私自身は、繰り返しになりますが、お尋ねのことについてしっかりとお答えをしている思いでございますし、また、そのことに対しては、十分でないという御指摘をいただければ、その場でもお答えを申し上げました。

 再度お伝えしたいと思いますが、本人からの、直属の上司、よく知った上司に告白があったという段階、この状況が、捜査のない状況にもありますので、その中でその不確かな情報を上げるということが適切か否か、これは捜査の段階でもあるのでということで、次の段階に入るところで確認がとれてということで、海上保安庁のその説明の仕組みの中で上げてきたわけでありますから、私は何ら問題ないと思いますし、その後の質疑の期間の中でも十分に御審議をいただいているものであります。

 私自身は、繰り返しになりますが、お尋ねのことについてお答えをしている、その思いでございます。

山本(幸)委員 とんでもないんだ。あの前後の議事録を見ればわかりますよ。中谷さんは驚いたんだ。今まで知らなかったのか、そんなことはあり得ないはずだと言って驚いている。それを、修正の答弁もしないで逃げたんだ、あなたは、ごまかして。そんないいかげんな態度をやっているから、こんなふうに情報が漏れちゃうんです。(発言する者あり)何を言っているんですか。

 あなた方がつくってきた四十七条を根拠の虚構は完全に崩れ果てた。そして、それはもう事実がどんどん出ていますよ。しかも、そのことについて、情報管理を含めて指揮監督権限を持っているのは大臣なんだ。その大臣が責任を感じない。

 では、事実関係が明らかになったら、あなたは責任をとるんですね。

中井委員長 時間が来ておりますが、馬淵国土交通大臣。

馬淵国務大臣 整理をさせていただきたいんですが、海上保安庁は、海上保安庁法第一条第一項に定めるところにより、国土交通大臣の管理する外局として設置されている、同法第十条第二項により、海上保安庁長官は、国土交通大臣の指揮監督を受け、庁務を統理することとされている、このように法律で定められております。この庁務を統理する保安庁長官が、先ほど来申し上げたように、捜査の途中段階、捜査の段階における情報ということで、これを官邸に上げる仕組みの中ではまだ出すべきではないという、その仕組みの中で上げさせていただいたわけであります。

 そして、私どもとしては、まずこうした状況の中で、委員は再三の御指摘の中で、だれでも見られたというお話でございましたが、そのようなことの事実も含めてはっきりと明らかにさせていくことがまずは私の責務であり、さらに、こうした状況の中で再発防止策を講じていくことが私の最大の責務である、このように申し上げております。

中井委員長 これにて山本君の質疑は終了いたしました。

 次に、柴山昌彦君。

柴山委員 自由民主党の柴山昌彦です。

 馬淵大臣に、今回のビデオ流出問題についてお尋ねをいたします。先ほどのパネルを使わせていただきます。

 大臣、馬淵大臣は、先ほどお話がありましたように、十月の十八日に、その指示において、映像管理について保管管理者を定めることということで各部局に対してお話をされています。既にこのビデオの情報の管理の重要性が議論をされているときに、この指示で十分だったとお考えだったのでしょうか。

馬淵国務大臣 先ほど申し上げているように、海上保安庁には情報セキュリティーポリシー実施手順というものが厳格に定められております。私は、さらにその上をしっかりと管理しなければならない、このように考えて、具体的なその場所場所における個別の責任者というものを設けるようにということでの海上保安庁長官への連絡をいたしました。

 したがいまして、こうした情報管理、もともと厳格になされている上において、これは前回あるいは以前にも長官から説明がありました、金庫において保管をしていくといった管理を行っておりますので、これをさらに高めるためにということで、十月の十八日に改めての指示を出したわけでありますが、私は、こうした情報セキュリティーポリシー、さらにその上の管理ということを指示することによって、海上保安庁内における規律というものを高めることができる、そのように考えて指示を出させていただきました。

柴山委員 実は私は、この十一、十二両日に、実際に石垣島に飛んで、石垣海上保安部にヒアリング、聞き取り調査を行ってまいりました。今大臣の口からは、海上保安庁セキュリティーポリシーでこの映像の管理が厳格に行われているというお話でしたけれども、私の調査では、それとは全く違う結果が出ております。

 当日、九月七日の逮捕当時、中国の漁船は、この尖閣付近で三十そうを数える形での航行がなされていました。当然のことながら、石垣海保だけでこのすべてに対応することは不可能であり、これまでもそういった事例に適切に対応するために、現場での撮影映像は、船での撮影という制約があるからこそ、衛星回線を通じて、東京の海上保安本部を含め、応援体制を迅速にしくために、オール海上保安庁で共有をしていた、私はそのように実際にお話をお伺いしております。

 したがって、馬淵大臣、そもそも海上保安庁の職員がこの映像に接するということは、むしろ当然、当初から予定されていたことであり、もしその管理をさらに十全あらしめようというのであれば、当然のことながら、単に三人の保管管理責任者を定めるだけでは足りずに、例えば一定のアクセス制限を強化する、あるいはアクセスした者の特定を行うべくシステム開発を行う、そういうことまでやらなければいけない実態があったのではありませんか。お答えください。

中井委員長 最初の部分で鈴木海上保安庁長官、後の部分は大臣にいたします。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 問題となっている映像は、私どもの巡視船が撮ったものではありますが、巡視船の乗組員がハンディーカメラ、採証用カメラで撮ったものでございまして、それでああいう間近の映像が撮れておるわけでございます。したがいまして、衛星回線を通じて送られてくるというような映像とはまた違うものでございます。

中井委員長 大臣はいいですか。

柴山委員 大臣、実際に撮影されたものがそのまま共有されるかどうかはともかく、今お話があったように、オール海保でその管理を共有しなければいけないということについて、大臣御自身の認識として、この管理の厳格化を、ここに書いてあるただ三人の管理責任者の選任ということだけで足りるというようにこのときお考えになられたか。先ほどのお話ですと、お考えになられたということですが、再度、それで間違いないかどうか、お聞きします。イエスかノーかだけでお答えください。

馬淵国務大臣 これも再三申し上げているんですが、この海上保安庁の情報セキュリティーポリシーというものは厳格になっております。そこですべて、管理者も含めて、これは決まっているんですね。決まっている上において、再度徹底するようにということで、改めて個別の責任者、担当者ということを定めさせたということであります。

 しかし、こうしたものについて、私は再三再四、徹底管理、これを申してきました。具体的な方法ということについては、当然ながら庁務を統理する海上保安庁内での判断になります。私が、例えば電子的な制御について、特別の知見を持ち合わせているわけではありません。具体的なそのような指示を私が行う権限もございません。徹底管理という言葉が、すなわち、こうした情報に対する十全性を十分に保つようにという意思を持った言葉として伝えられるべきものだと私は考えております。

柴山委員 私の手元には文書の原本があるんです。その写しがあるんです。映像管理について保管管理者を定めることということで、海上保安庁のそれに対する対応が、海上保安庁本庁、また第一管区保安本部次長、そして石垣保安部部長の三人を定めた、これだけなんですよ。これについて馬淵大臣は、それから先はその後でこれらの管理者が徹底すると思っていたというようにおっしゃっているんですが、それは私は、当然のことながら、監督の不十分ということが少なくとも指摘されると思います。

 次に、十月二十七日、これは衆議院の横路議長の那覇地検検事正あてに、記録の提出要請について、実際に答えが返ってきたときの書面であります。那覇地検の検事正、そして仙谷官房長官からも、この情報を公にするに当たっては慎重を期すことが相当である、あるいは特段の御配慮をお願いしますというようなことで書かれています。

 本来、那覇地検の検事正に対しての要望に対して、内閣のかなめである仙谷長官がこのような要望書を出し、その情報管理の徹底性というものについての政府としての意思を示されたわけですけれども、このことについて馬淵国土交通大臣は承知をしたんでしょうか。

馬淵国務大臣 政府内での意思が図られてそのような形で提示された、このように理解しております。

柴山委員 質問にお答えください。

 馬淵大臣は、この十月二十七日付の、特段の、この映像の管理、取り扱いについては慎重に取り扱われなければいけないという内閣官房長官の書面について、これを認識されましたか。イエスかノーかでお答えください。

馬淵国務大臣 認識されましたかという質問に対しては、認識しましたと申し上げます。

柴山委員 いつの時点でしょうか。

馬淵国務大臣 申しわけございませんが、ちょっと記憶が確かではございません。いつの時点かということについては、私はちょっと記憶にないです。

柴山委員 今、馬淵大臣が重大な御答弁をされたんです。この内閣官房長官がオフィシャルに出された書面の内容について、馬淵大臣は、少なくとも、これが、いつそういうものが出されたということについては記憶にないとおっしゃっているんです。

 官房長官、官房長官は内閣のかなめとして、この情報の慎重な取り扱いということについて、閣僚にしっかりと、この日、あるいはそれ以外の日でもいいです、徹底をされたんですか。

仙谷国務大臣 まず、国会、衆議院議長から提出要求といいましょうかがなされたあて先は、御存じのように、那覇地方検察庁の検事正であります。那覇地方検察庁であります。つまり、この記録の保管者あてでございます。

 那覇地方検察庁の検事正が、映像記録を提出するに当たって要望をつけられております。それは、多分、今で私はわかっておるわけでありますが、マスターテープから、国会で調べていただくにはこれがいいだろうということで編集されたものを出すに当たって、それの調べ方といいましょうか審査の仕方、あるいは、それをどう広がることについての地方検察庁の要望がついております。

 これは、内閣としてもこういう要望を、ある種、国会法百四条との関係でございますので、国政調査権との関係でございますので、このような要望を出したということでございますが、当然のことながら、法務省を通じて、私どもとしてもこういうものを出します、内閣の責任において官房長官の名前で出しますということは伝えてございます。

柴山委員 伝えてありますというお話でしたけれども、具体的なその指示の状況についてはお答えはいただけておりません。

 また、先ほどお話がありましたように、一部国土交通大臣の経験者は、海保のビデオ情報は原則公開をされていると。現に、私が石垣海保に出張に行ったときでも、捜査の後ではありますけれども、実際に衝突をしたときの映像、またそのときの写真、そういうものはしっかりと庁内で共有をし、そして、今後のさまざまな活動の用に供するという実態が明らかとなっております。

 この刑訴法四十七条、捜査資料は確かに公開されてはいなかったかもしれないけれども、少なくとも、オール海保でこれについて取り組む以上は、一定のセキュリティーはあったにせよネットワークが共有をされていた。そして、それについて、これまでの答弁では、そのような実態について十分に答弁をされてこなかった。そのようなことについて、私は非常に欺瞞性のある答弁がなされていたというように確信をしておりますし、また、この問題が起きた後についても、仙谷長官は、この情報の管理の徹底というものについて少なくとも明確な形に残る処理をされていない。

 私は、これについての徹底審議を求めるとともに、改めて、官房長官、そして馬淵大臣は現場の海保を所管する大臣として責任は免れないということを強く申し上げさせていただきます。

中井委員長 これにて柴山君の質疑は終了いたしました。

 次に、富田茂之君。

富田委員 公明党の富田茂之でございます。

 今の自民党の委員の皆さんとのやりとりを聞いていまして、多分、インターネット等で見ている国民の皆さんも何をやっているんだろうと。仙谷さんはうなずいていらっしゃいますが。

 今、柴山委員が最後に言われたように、海上保安庁は、海上でのいろいろな出来事なので情報は共有しているというのがこれまでの例だったようです。我が党の大臣経験者からお伺いしても、そのようにおっしゃっていました。

 そういう中で、九月七日に事件が起きて、仙谷長官に言わせれば、そこから捜査資料になっていったんだということであれば、そのときからこの映像に関しては徹底した管理が必要だったはずです。馬淵大臣は、十月十八日にさらなる管理ということで具体的に指示をしたというふうにおっしゃいましたけれども、ちょっと今質疑を聞いていて、馬淵さんは菅さんの改造内閣で大臣になられたわけですよね、そのときに前任の前原さんから、このビデオ映像に関して、この情報管理に関して、どういう引き継ぎを受けられたんですか。端的に答えてください。

馬淵国務大臣 先ほど来申し上げているように、機密情報、捜査機関であるということでの海上保安庁情報セキュリティーポリシー、こういったもので管理されている、捜査機関であるということから、個別の捜査内容について直接掌理する立場ではないということの引き継ぎをいただきました。

富田委員 今の引き継ぎを前提としても、引き継がれてから十月十八日にさらなる指示を出すまで何をしていたのかなというのが、多分国民の皆さんから見たら、わざわざ十月十八日にこんな指示をするのであれば、それまでの間に何かいろいろなことがあったんだろうと。そこを多分皆さん、わからないなと言われているんだと思うんですね。捜査に関係するから答えられないという御答弁でしたので、私が同じことを聞いても、また同じ答弁になると思いますので。

 海上保安大学校の共有フォルダになぜこの映像が残っていたのか、そこはぜひ馬淵大臣の方で捜査とは別に、今後のことに関して、大事ですから、きちんと調べていただいて、どうしてこの映像がこの共有フォルダにあったのか、国土交通省としてこの委員会にきちんと報告してもらえませんか、どうですか。

馬淵国務大臣 現在、捜査機関が捜査中であります。この状況の中で、私どもとしては捜査への協力を行うことが最大の使命であると考えております。私どもが自主的に調査をして委員会に提示するということが本来業務ではない、私はそのように考えております。

 委員の御指摘の、国土交通委員会に提出せよ、あるいは予算委員会に提出せよということは、捜査の状況の中では、私どもは捜査に協力することが第一義である、このように考えておりますので、委員の御意見として承らせていただきますが、私どもとしては、捜査機関に協力することが本来の責務である、このように申し上げさせていただきます。

富田委員 委員長、捜査と関係なしに、再発防止をずっと大臣は言われているわけだから、国土交通省として、なぜこういうことが起きたのか、きちんと調査して予算委員会に報告するのは大臣の義務じゃないんですか。その義務も果たせないなら、あなた、大臣をやめなさいよ。

 委員長、ぜひ理事会で諮っていただいて、理事会あるいは委員会として、国土交通省にこの調査報告書の提出を要求していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

中井委員長 理事会で引き続き協議をいたします。

富田委員 この件は何度やっても同じ答弁でしょうから、もともと予定していた質問、せっかく質問時間をいただきましたので、何点か御質問させていただきたいと思います。

 この予算委員会で自民党の西村委員がちょっと取り上げていらっしゃいましたが、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の利益剰余金、二十一年度末で一兆四千五百三十四億円あるということで、この委員会で質問がありました。

 この九月二十四日に会計検査院の方でも報告書を出されまして、平成二十一年度末で一兆四千五百三十四億円の利益剰余金があり、本年九月二十四日、会計検査院から、この利益剰余金のうち一兆二千億円を国庫に返納すべきだというふうな指摘がなされました。

 これを受けて野田大臣は、その西村委員の質問に対してこういうふうに答えられていました。「鉄道・運輸機構の特例業務勘定の利益剰余金、これをどれだけ国庫返納できるかと、見込み額の今精査を行っているところでございます。一兆円を超える規模になることは間違いないと思いますが、そういう段階でございますので、二十三年度予算編成に生かしていくという方向にしたいというふうに思っています。」という御答弁でした。

 この精査は今進んでいるんでしょうか。

野田国務大臣 富田委員の御質問は、独立行政法人の鉄道・運輸機構の特例業務勘定、利益剰余金についての扱いでございます。

 御指摘のとおり、春の事業仕分けの結果、剰余金は国庫返納とされました。御指摘のとおり、会計検査院からも御指摘がございました。これらの御指摘を踏まえて、適切にこの二十三年度予算編成のプロセスの中で対応していきたいというふうに思っております。今は関係省庁との協議も含めて、政府の対応の詰めを行っているところでございます。

富田委員 何かここで馬淵さんに質問したくなくなっちゃうんだよね、さっきみたいな答弁をされていると。大事なことだからあなたにここで聞きたいんだけれども、今関係省庁と協議というふうに野田大臣が言われましたけれども、馬淵大臣は、この件に関して、十月の十五日、また十月二十二日、記者会見で記者さんの方から問われて、財務省だけで勝手に決めないでくれ、ちゃんと協議してもらいたいというふうに大臣の立場で発言をされていました。国交省側としても、この勘定についてはいろいろ問題がある、今後の年金の支払いの問題あるいは国鉄改革の残余の問題、そしてJR三島の問題等、いろいろあるから、しっかり協議していくんだというふうに答弁されていました。

 それはそのとおりだと思いますので、国土交通大臣としてその点は頑張っていただきたいんですが、この会計検査院の報告書を見ていまして、財務省としては一般会計に繰り入れたい、国土交通省としては、やはり整備新幹線に充てたり、特に北海道、北陸、九州ではそういう御要望も地元からもありますし、各党の関係者からもあります。そういう思いが強いと思うんですね。

 今後、この協議をしていくようになると思うんですが、国庫に返納するにしろ、国鉄改革、また整備に使うにしろ、いずれにしろ、これは法律を変えなきゃいけない話になりますね。日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律二十七条、ここで、余ったお金は積み立てておけというふうになっていますから、どういうふうに使うかを決めるのも法律改正しなきゃならない。二十三年度予算の財源にしたいという野田大臣の気持ちも十分理解できます。ただ、法律改正となると、今のこのねじれ国会の中で、与党だけで決めてこういうふうにしましたからと出しても、来年度予算の審議の中、また関連法案の審議の中で野党の理解も得ないと、これはなかなか進まないと思うんです。

 そういう意味で、今これを国庫返納すべきなのか、また、馬淵大臣の方で、これは整備新幹線に使いたい、あるいは国鉄の残った問題に使いたいという、それぞれの根拠をまずここで明らかにしていただいて、どういうふうに議論していくべきかということを私はこの予算委員会でやるべきじゃないかなと思うんですが、それぞれの大臣、自分たちの方にこのお金を持っていきたいという根拠をちょっと述べてもらえますか。

野田国務大臣 大事なことは、この利益剰余金はなぜ発生しているのかということを探ることだと思います。

 いろいろあると思いますが、年金の支払いの負担が受給者が減ってきたから少なくなってきたこととか、あるいは不動産や株の売却が順調だったこととか、国の方から補助金を五千五百億円入れたことだとか、いろいろあると思いますけれども、私は最大の原因は、旧国鉄の長期債務を二十四兆円一般会計が承継したこと、そのことによってその元利支払いを平均して八千億支払ってきたこと、これが私は最大の原因だと思っています。

 ということは、国民負担の軽減という観点から議論をしていくことが大事であり、事業仕分けも公開でございました、きょうの国会の議論も当然オープンです。委員御指摘のとおり、これを予算化したり法案化するときは、まさにこういう形で議論することが非常に大事なプロセスだというふうに思います。

中井委員長 馬淵澄夫国土交通大臣、簡単に答えてください。

馬淵国務大臣 野田財務大臣は、二十四兆円の債務の一般承継、国民負担があるということでの論拠ということでお話しいただきましたが、一方で、これはまさに委員が御指摘のように、既に法律の中では決着をしたと私どもは考えておりまして、この立法によって、今般の立法によって、この仕組みによって、私どもは、未完の国鉄改革あるいは年金問題、さらには鉄道整備といったインフラ整備、こういったことも十分に視野に置きながら、この勘定を今日まで預かってきたということでございます。

 これから十分な議論が必要だということはよく承知しておりますので、私どもとしましては、それこそ御指摘のように、広い御意見を国会の中でもしっかりと皆様方からちょうだいしながら議論を進めてまいりたいというふうに思っておりますが、この年末までの予算編成過程の中で、これもあわせて御議論をちょうだいしておりますので、しっかり協議をして進めてまいりたいというふうに思っております。

富田委員 両大臣からそれぞれの思いは伺ったんですが、ちょっと資料をお出ししていますが、資料の一から四までが、この利益剰余金に関する資料であります。

 資料の一が、国鉄から国鉄清算事業団になって、日本鉄道建設公団の中の国鉄清算事業本部になり、そして現在の鉄道建設・運輸施設整備支援機構の中の特例業務勘定という流れになっています。これが一枚目です。

 二枚目で、国鉄長期債務の処理策についてという、財政構造改革会議決定をちょっと一枚紙にコンパクトにして出させていただきました。これの左側のページの三に「処理策の骨格」ということが書いてあって、これは今両大臣が言われたところだと思うんですが、二十四兆円一般会計が引き受けていると。右側の方で、それぞれの通年ベースで、この二十四兆円引き受けた分と、特例業務勘定の方でそれぞれの皆さんにどういうふうに年金を払っていくかというのが図で表示をされております。

 一番上の方がこの年金負担をどういうふうにしていくかというところで、ここで、一般会計から、これは十年度から十八年度までそれぞれ六百五十億ずつ入ってきたので、これがまた五千五百億ぐらい、先ほど大臣が言われた数字になっているわけですね。この一番下の元本償還、二十四兆円のところをどうやって返しているかというところに、「当面は一般会計の歳出・歳入両面にわたる努力により対応」ということでずっとやってきて、今、一般会計の方の承継債務の二十一年度末の残高が十九兆五千三百三十二億円、減ってきましたけれどもまだ十九兆近くあると。ここをどう処理していくかというところで、この図の注の四に「最終的には、年金負担が縮小していくことに伴い確保される財源等により対応。」と一行入っています。

 資料の四を見ていただきますと、資料の四の支出額の一番上、共済年金費用というところに平成十年度から平成二十一年度まで、それぞれ通年ベースで幾ら共済年金の費用が出ていったかが書いてあります。平成十二年度では三千百三十三億とかなり大きな金額でしたが、二十一年度はこれが千七百二十五億まで減ってきています。今後、受け取る方がどんどん亡くなっていくわけですから、この金額がずっと少なくなっていく。だったら、二十四兆円も一般会計で引き受けたんだから、一般会計に入れてくださいよというのが本来の筋であると思うんですね。

 そこを基準にして、やはり先ほどもちょっと委員の方からも声がありましたけれども、新幹線の整備にやはり使ってもらいたいんだという思いは、それぞれ各自治体にもあると思いますし、もともと……(発言する者あり)ありますと、今馳さんからやじがありましたけれども、やはりそういう思いをどういうふうに大事にしながらこの問題を解決していくかというのは、予算の審議あるいは法案審議の中でやるのもいいんですが、その前にもう少し、両大臣が協議する前に、オープンの場で、もともとのこの二十四兆引き受けた、五千億以上も補助金が入っている、そういったものを踏まえて、なおかつ整備新幹線の財源はなかなかない、これをどう解決していくかというのは、私は予算委員会、予算委員会は、きょう締め総が終わって採決になれば、今度、参議院の方に行くわけですけれども、この委員会が終わっても、委員長の計らいで、こういう来年に向けての財源をしっかり議論するというのは大事だと思いますので、私は、こういうオープンな場で、両方の大臣がそれぞれの応援団を受けてその場で決めていくんじゃなくて、民主党らしくオープンに委員会でやるべきだと思うんですが、総理、その点だけどうですか。

菅内閣総理大臣 私もこの経緯を若干聞いておりますけれども、事業仕分けの中でも議論され、また会計検査院からの指摘もあり、またこの予算委員会、まさに今の御質問を含めてかなり中身が国民の皆さんにも見える形で議論されていると思います。

 ですから、それよりさらにオープンにした議論というのは、私は、一般的にはあってもいいとは思いますけれども、ただ、それほど密室の中で物事が進んでいるわけではないので、国会の中で、場合によっては適切な委員会でお取り上げいただいて議論するということなのかなと、話を聞きながらそういうふうに感じました。

富田委員 先ほど御指摘したように、処理法の二十七条を改正しないとどっちにもお金を動かせませんので、そういった意味では、私は予算委員会でやるべきだと思いますが、国土交通委員会でも、今後、予算編成あるいはこの法案の中身を固める前に、やはり野党の意見もきちんと聞いて議論していった方が、一兆二千億円のかなり大きな金額ですので、これはもうもともと一般会計が二十四兆引き受けたところから始まっていますから、馬淵大臣はこの前の方針でそこで決着済みだと言われたけれども、なかなかそれは一般国民を説得するというにはちょっとまだ弱いと思うんですね。

 そういった意味で、ぜひ両大臣からもっと詳しい資料等を出してもらって、オープンな委員会でぜひ議論をしていただきたいというふうに思います。

 委員長、この点もぜひお取り計らいをお願いします。

中井委員長 承りました。

 資料提出については、野田財務大臣、お約束できますか。

野田国務大臣 はい。

中井委員長 それでは、その資料提出等を含めて議論をしてまいります。

富田委員 次に、がん対策の基本方針についてということで、菅総理初め関係の閣僚の御意見をちょっと伺いたいと思います。

 きょうは、資料として、資料五「がん対策推進協議会運営の見直しに関する意見書」というのを出させていただきました。それと、資料六として「二〇一〇年十月六日 第十四回がん対策推進協議会議事録」、これの一ページ目と二ページ目、また二十二ページから二十五ページ目までを抜粋させていただいて、委員の皆さん、また閣僚の皆さんにお配りをさせていただきました。

 この資料を出させていただいて質問するというのは、実は、この前のがん対策推進協議会、資料六で書いてあります十月六日のがん対策推進協議会が終わった後に、がん患者の方からメールをいただきました。ちょっとひどいんじゃないかということでメールをいただいたんです。

 昨年の十一月四日、この委員会で、当時まだ鳩山総理、菅副総理でしたが、未承認薬、適応外薬の開発支援の質問をしました。その質問の最後に、ジェムザールという薬を例に挙げさせていただきまして、このジェムザールという薬は、肺がん、膵臓がんには使えるんですが、卵巣がんに使えないということで、卵巣がん患者の皆さんからの声を紹介させていただきました。何とかドラッグラグを解消して、そういったものに命を大切にする鳩山内閣として取り組んでもらえないのか、未承認薬、適応外薬の開発支援を六百五十億ばさっと削られてしまいましたので、その点で質問しました。

 そうしましたら、鳩山総理がこういうふうに言ってくれました。「今、未承認薬、適応外薬の話がございました。いろいろと難しい点もあるいはあるのかもしれませんし、治験に時間がかかって、なかなか未承認の薬を承認するのに時間がかかり過ぎる、他の国では使われているのに、なぜ日本では使えないのかと、いろいろな悩みを持っておられる方が多いと思います。そういった方々の思いを一刻も早く、悩みではなくて希望に変わるように、精いっぱい努力することをお約束いたします。」というふうに答弁していただきまして、患者の皆さんからも、この答弁に対して、何か一歩前進してもらえるんじゃないかということで、多くのメール等もいただきました。

 この八月三十日に、菅内閣になって、保険適用を迅速にできるように、幾つかの品目の薬についてやってくれました。このジェムザールも入っていて、ジェムザールを待ち望んでいた方から、卵巣がんが再発した方からメールをいただいたり、いろいろな方から、本当によくやってくれた、民主党政権がここをきちんと受けとめてくれたということで、本当に大勢の方からメールをいただきました。

 やはり、治療薬としてほしいという方たちにとっては、もう待ち望んでいたことだと思うんですが、そういった方たちの中から、今回のがん対策推進協議会、資料六でつけさせていただいた協議会での厚生労働省側の対応が余りにもひどいということでちょっと訴えを聞きましたので、私も資料を全部読ませていただいて、どういうことなのかなと、いろいろ全部見ました。

 がん対策基本法ができたときの経緯を思い出していただきたいんですが、当時、自民・公明案と民主党案が対立していました。決して対立する事案ではないのに、なかなか両方が一緒に議論ができなくて、そのときに、山本議員が御自分のがんを告白されて、両方の案をつないで、何とか自分の命のあるうちにこの法案をつくりたいんだということを訴えられて、各党が歩み寄って、今回のがん対策基本法ができたと思うんですね。

 そのときの山本議員の一番の思いは、がん患者さんあるいは患者の御家族の皆さんが政府のがん対策にきちんと関与できるように、患者の皆さんの思いがきちんと政府のがん対策、厚生労働行政の中に入っていくようにというのが一番強い思いだったと思うんですが、十月六日の協議会の議事録を読んでいますと、特定の個人を非難するつもりで言うんじゃないんですが、対策の室長さんの言葉が余りにも患者さんの気持ちを傷つけるというか、この推進協議会は何のためにあるんだと。がん対策の基本計画をつくる際に、そこに意見を言うためにというふうに条文には書いてあるんです、確かにがん対策基本法にはそういうふうに書いてあるんですね。だから、それ以外のことはこの推進協議会ではできないんですみたいな言い方をしているんですよ。

 それで本当にいいのか。民主党政権下のがん対策は本当にそれでいいのかという思いできょうはいろいろ資料を出させていただいて、厚生労働大臣にまずお伺いしたいと思うんです。

 がん対策の基本計画は、その趣旨のところで、「今後は、」「「がん患者を含めた国民が、がんを知り、がんと向き合い、がんに負けることのない社会」の実現を目指すこととする。」というふうに書いてありますよね。患者さんの視点を本当に大事にしている。そして基本方針にも、がん患者を含めた国民の視点に立ったがん対策を実施することというふうに書いてあります。

 この患者の視点というのが欠けてしまっては、どんないいことをしても、多分がん対策というのは進まないんだと思うんですね。

 それで、もう一つ、このがん対策基本法ができたときに、参議院の厚生労働委員会で附帯決議がつきました。かなり多くの附帯決議がついたんですが、その中で、本当に大事な大事な、これは山本議員の思いが残ったと思うんですが、二点、指摘をさせていただきたいと思います。

  本法により創設される「がん対策推進協議会」については、政府の策定する「がん対策推進基本計画」の立案に積極的に関与する機関であるとの位置づけにのっとり、その機能が十分に発揮できるよう配慮すること。その際、がん医療に関連する他の検討会等との役割分担や連携の強化にも努めること。

というふうに第一項目めで指摘されています。

 そして、第三項目めで、

  「がん対策推進協議会」の委員構成については、がん患者が初めてがん医療の政策立案過程に参画できるようになったことの意義を重く受け止め、がん患者の意向が十分に反映されるよう配慮すること。

こういうふうに書いてあります。

 ただ、がん対策基本法では、推進協議会の皆さんは基本計画をつくる際に意見を述べるというだけに条文上はなっていますが、やはりこの附帯決議の二項目の重みをしっかり受けとめて協議会をきちんと実施していかないと、山本さんの思いも残らないと思いますし、山本さんは亡くなる際に、私の思いを必ずつないでくれる方がいるはずだ、この推進協議会にがん患者を入れたんだから必ず回っていくはずだというふうに言われています。そういう思いを、やはり同僚だった民主党の皆さん、特に細川厚生労働大臣、どういうふうに思われますか。大臣、御意見を。

細川国務大臣 富田委員の、がん対策についての推進、もっとしっかり患者の皆さんと遺族の皆さんの意見を聞くべきではないかという御意見でございますけれども、私は、それは立法の趣旨からいいましても当然だというふうに思っております。

 基本法の制定、これは亡くなられた山本さんが、本当に、亡くなられる前に何としてもこれを成立させたいという山本さんのお気持ちを考えますと、しっかりやっていかなければというふうに思っております。

 そこで、がん対策基本法、これは九条に、政府はがん対策の基本的な計画を策定しなければいけない、この策定をするには、厚生労働大臣ががん対策基本計画の案をつくるときには、がん対策推進協議会の意見を聞くものとする、そういうことになっておりまして、この推進協議会の中には、患者の代表の方あるいは遺族の代表の方、これが全体の二十人の委員のうち五人入っておられます。その協議会の中で、この基本計画の策定、あるいは、来年度はこの見直しをする、こういうことになっておりまして、患者の皆さん方の御意見もよく聞かなければというふうに思っております。

 そこで今、富田委員からは、その協議会の中で御不満のある委員の方のいろいろな意見書も提示をされて、もっとよく聞くべきではないか、こういうことでございます。

 私といたしましては、協議会の意見をしっかり受けとめながら、基本計画の見直しのとき、あるいは政府のがん対策の施策に向けては、精いっぱい意見をお聞きしてやっていきたいというふうに思っておりますので、またひとつ御協力の方もよろしくお願いしたいというふうに思っております。

富田委員 もう時間が来ましたので最後にしますが、今、細川大臣の方から、しっかり患者の意見を聞いていただけるということですので、多分これをインターネットで見ている患者さんは少し安心したと思うんですが、資料の五で提出させていただきました「天野委員提出資料」というところをぜひ後で読んでいただきたいんです。

 実は、この十月の協議会も本来は七月に開かれる予定だった、それが延びて延びて十月になった。五月に一回開かれて、概算要求への要望とかいろいろ出したのに、結局、それについてどうするかを何もしないまま概算要求がされて、今度十月、やっと来たこの委員会、当初三時間の予定が冒頭から二時間に狭められてしまって、本当に委員の皆さんの意見を聞いてくれるんだろうかというところから、この資料五の天野さんという方が提出した提出資料になっています。

 「天野委員提出資料」と書いてありますが、二ページ目に有志一同ということで八人の方が出されているんですね。これは患者さんだけじゃありません。マスコミの方また医療法人の関係者の方、こういった方がやはり今の協議会の進め方に相当疑問を持っていらっしゃいます。

 ぜひ、この方たちの思いがきちんと協議会に反映されて、また、概算要求あるいは次の基本計画の改正に意見が反映できるように厚生労働大臣のお力もいただきたいと思います。

 もう一点、患者さんなんかは任期二年なんですね。そうすると、そろそろ切れる方がいる。せっかくやってきたのに、次の基本計画に反映できないで委員を終えてしまう。特に、まあ、役所から見たら、いろいろ文句を言ってくる委員はとにかくいない方がいいというような思いもあると思いますので、そういったことのないように、委員の皆さん、せっかく二年間なれてきて、やっとお医者さんと一緒に話せるようになったと思ったら、もうやめてくださいみたいなこともあるようですので、そういった点も配慮していただいて、ぜひ菅内閣挙げてがんの撲滅に向けて対策をとっていただきたいと思いますし、菅総理また細川大臣に患者さんの思いをきちんと受けとめていただいて、今後、施策に反映していただけるように希望しまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

中井委員長 これにて富田君の質疑は終了いたしました。

 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 中小企業対策なんですが、菅内閣は、六月十八日、中小企業憲章を閣議決定いたしました。私、つくられた冊子を持ってきましたけれども、総理に伺いたいんですが、この憲章の意義について、総理大臣として、どこにあるというふうにお考えでしょうか。端的にお答えください。

菅内閣総理大臣 言うまでもありませんけれども、中小企業は我が国企業の中で九九・七%を占め、雇用の七割を占めているわけであります。実は、APECの中でも、他の国からも中小企業の重要性についてかなり言及がありました。そういった意味で、この中小企業というものをしっかり支えていくことが日本の産業さらに経済をしっかりしたものにしていく、まさに日本経済を支える屋台骨が中小企業だと思っております。

 そういった立場で、この中小企業憲章において、こうした中小企業をしっかりと位置づける、そういう意味を持ったものとして位置づけ、必要な支援を行うという方向性を出す、そういう性格のものだと認識しております。

笠井委員 この憲章は、経営者、自営業者の粘り強い運動が政治を動かしたものであります。

 同時に、憲章をつくって終わりでは意味がありません。今こそ、中小企業への支援を抜本的に強化しなきゃいけない。とりわけ、リーマン・ショック後、仕事量が激減をして二年たってもいまだに回復していない。全国商工団体連合会の営業動向調査では、仕事が五割減が二〇%、三割減が三〇%、その先の見通しが悪くなるが六〇%にも達しています。中小企業家同友会全国協議会でも同様の結果であります。

 仕事が欲しいというのが中小業者の一番の声であります。今こそ、少な過ぎる中小企業予算を抜本的に拡充して、中小企業の技術の開発、販路の開拓、後継者の育成など、立ち入った支援が必要であります。

 そこで、経済産業大臣に伺いますが、仕事起こしとともに大事なのが資金繰り対策であります。この間実施してきました景気対応緊急保証、これは中小業者に大変喜ばれてきたものでありますが、その実績、数字を端的にお答えください。

大畠国務大臣 笠井議員の御質問にお答えを申し上げます。

 御指摘のように、この緊急保証というのは、リーマン・ショック以降、地域の中小企業者には大変有効な対策でありますし、また実績も大変上がっております。

 例えば、実績を申し上げますと、平成二十年の十二月、これはリーマン・ショックの直後でありますが十三万七千二百九十四件、これは十二月の一カ月でありますけれども、これが金額では三兆一千億近くの金額が出ておりまして、大変有効だと思います。さらに、平成二十一年の十二月時点では、六万七千二百四十件、そして金額的には一兆円規模、こういうことでありまして、リーマン・ショックの直後は大変多くの方々から要求があったわけでありますが、去年の十二月時点ではおおよそ半分ぐらいになってきた、こういうことでは落ちついてきておりますが、やはり傾向から見ますと十二月に大変多くの要求があるという実態であります。

笠井委員 この緊急保証があったおかげで助かったという方がたくさんおられます。例えば、出版業は当初、指定業種ではなかったけれども追加指定された。保証が承諾された都内のある出版社の社長は、これで何とか年を越せる、商売が続けられると喜んでおられました。

 ところが、政府は、これを今年度限りで、来年三月末で打ち切るというわけでありますが、なぜ打ち切るんでしょうか。

大畠国務大臣 この問題は、この予算委員会でもいろいろ論議をされました。

 この景気対策の緊急保証というのは、今御指摘のあったような形で、大変使い勝手がいい。内容的には、委員も御存じだと思いますが、中小企業が返済できなくなった場合には、信用保証協会が中小企業にかわって債務全額を金融機関に弁済するという制度でありまして、リーマン・ショック以降、大変有効に使われてまいりました。一方で、全額保証ということで、貸し手である金融機関が全くリスクを負わないという制度でありまして、この結果、国民負担が増大するおそれもある、こういう弊害も指摘をされました。そういうことから、今回、これらの指摘を踏まえまして、来年三月までの期限切れを控え、単純延長は行わないということにさせていただきました。

 ただし、年末年始はこの制度が使われるわけでありまして、先ほど申し上げましたように、この制度の一番の利用というのは十二月に集中しております。先ほども、二十年もそうでありますし、二十一年度もそうでございます。

 したがって、三月末まで使われた以降、四月以降におきましてもどうするかということでありますが、中小企業の資金繰り支援というのが大変重要であることは事実でありますから、来年度以降においても、増加する中小企業の借りかえニーズにこたえるために、借りかえ保証の拡充、推進、二点目には、業況の悪化している中小企業向けのセーフティーネット保証や小口零細企業保証等における一〇〇%保証の継続、そして日本公庫による直接貸し付けの充実などを行ってまいりたい。そして、補正予算では五千六百億円を計上しまして、十五兆円規模の貸出枠というものを確保しまして、いずれにしても、年末年始の、年末、年度末の資金繰りには万全を期してまいりたいと考えております。

笠井委員 いろいろ言われたんですが、打ち切る理由にならないと思うんですね。

 例えば、金融機関がリスクを負わないからということを言われましたけれども、打ち切られて困るのは中小企業の方であります。なぜ中小企業がそのしわ寄せを受けなきゃならないのかという問題がある。

 それから、例えば、今言われた中で小口零細企業保証というふうにありましたけれども、これは対象が限られていますね。

 大臣に伺いますけれども、この小口零細企業保証というのは、どういう要件を満たさなければいけませんか。要件だけ言ってください。

大畠国務大臣 小口零細企業保証の要件でございますが、商業、サービス業の場合は従業員五人以下、それ以外の業種は従業員二十人以下の小規模企業者に対する融資でございまして、保証利用残高は千二百五十万円を限度に信用保証協会が全額保証を行う制度であります。

笠井委員 今言われましたけれども、その要件から一人でも一円でも外れると一般保証になってしまうということであります。一般保証では、二〇〇七年十月に当時の自公政権が部分保証を導入して八割しか保証しないということになった。金融機関が二割のリスクを負うことから、保証承認額が急減してしまったわけであります。こうして零細業者の資金繰りの命綱である保証すら利用できなくなる状況が広がったというのが現実であります。

 今回、緊急保証を打ち切ることは、資金繰りの命綱を丸ごと奪うことになってしまう。銀行の中小企業向け貸し出しというのは、三年連続減少であります。中小企業に必要な資金供給を行う責任を果たしていない。この銀行の姿勢を正すのが根本でありますけれども、少なくとも、一般保証に部分保証を導入した責任共有制度は凍結すべきだと言いたいと思うんです。

 菅総理に伺いたいんですけれども、二〇〇九年度の第二次補正予算、これを編成したときに財務大臣でおられました。あの補正予算では、緊急保証制度が昨年度末で切れようとするときに、景気対応緊急保証として、一年延長して、対象業種も全業種に拡大をした。総理は、あのとき、なぜそうした支援策を講じたのでしょうか。総理がとった政策です。

中井委員長 大畠経産大臣。(笠井委員「当時大臣じゃなかったでしょう、だって。総理の策ですよ」と呼ぶ)

大畠国務大臣 いずれにいたしましても、先ほど御指摘を賜りましたけれども、さまざまな状況下において、この小口零細企業保証問題についても、リーマン・ショック以降の一年間においては十三万件の利用があったわけでありますけれども……(笠井委員「聞いている話じゃないじゃないですか。なぜあのときそういう策をとったかと聞いているんですよ」と呼ぶ)最終的には、状況を踏まえて、そのような対策をとらせていただいたところであります。

笠井委員 菅大臣がおっしゃった財政演説、ここにありますけれども、あのときこう言われたんですよ。経済の現状は、持ち直してきているものの、自律性に乏しく、いまだに厳しい状況にある、雇用情勢の一層の悪化やデフレなどのリスクが存在して、経済が民需主導の力強い成長経路に回復するための基盤は依然として脆弱だと。だから、一年間延長して、そして全業種にするということで、あのときしておられた。

 あれから十カ月たちましたよ。中小企業をめぐる情勢というのは、当時総理が述べられた現状認識と変わって、この緊急保証を打ち切っても大丈夫、もうよくなったんだというふうに、改善したというふうに思われますか。いかがですか。

菅内閣総理大臣 リーマン・ショック後の極めて受注が減った時期、私も大田区などに行って、ある時期はもう八割減とか九割減といったことがあったという話も現場でお聞きしました。そういう時期からすれば、現在、十分とは言えませんけれども、当時に比べれば、ある程度受注が戻っている、業種によっては完全に回復しているところもあるというふうに聞いております。

 そういった意味で、今、大畠大臣からも話しましたように、もう完全に大丈夫だから単にやめるというふうな趣旨ではなくて、それにかわって必要なフォローはしっかりするという前提の中で、まさにリーマン・ショック後の緊急的な状況の対応については、一応、ややそれよりは回復した中で、まだまだ問題があるという認識の中で対応の仕方を少し変えた、そのように私は理解しております。

笠井委員 あの延長をしたのはリーマン・ショックから大分たってからですが、そのときに比べても、当時に比べてよくなっていると言われましたけれども、この今回の新成長戦略に向けたステップツーの文章を見ましても、そんなことは言っていないですよ。我が国経済、雇用の動向を見ると、三段構えのステップワン決定以降も回復力の弱さや先行きの下押しリスクを示す動きが続いていて、景気をめぐる環境の厳しさが増していると言っているんです、増していると。政府自身が一向に改善していないことを認めているじゃないですか。

 とりわけ、今、中小企業は、慢性的なデフレの上に急激な円高が襲ってきて一層苦境に立たされているわけです。原油、原材料価格もじりじり上昇に転じています。都内のあるメッキ会社の社長は、銅が三百円から七百円に、ニッケルが千円から七千円に、金が千円から三千二百円に軒並み高騰していると言っているんです。仕事が減っている中で、高騰分を単価に上乗せなど到底できない、ここまで言っています。悲鳴を上げているんです。

 こうした中で、とても緊急保証を打ち切れる状況にないというのは、もう明らかじゃないですか。ほかにいろいろと策をとっていると言うけれども、ついこの間、第二次補正のときに財務大臣だった総理が一年延長して全業種に広げた、それをやめるなんということは、どこにも理由がない。

 しかも、この緊急保証を打ち切ればもう一つの弊害が懸念されます。

 今度の補正予算では、借りかえ保証を拡充するとしています。これは我が党も再三要求してきたことでありますけれども、緊急保証の打ち切りでセーフティーネットの保証の対象が狭まると、一般保証で借りかえることになります。ところが、この一般保証は部分保証ですから、金融機関がうんと言わない可能性が出てくる。だから、結局、使い勝手が悪くなるわけであります。だから、緊急保証はやめるんじゃなくて継続すべきだ。これまで民主党政権がとってきた立場からいったって、ここでやめる理由がないじゃないか。

 総理、深刻な経済情勢下の中小企業の苦難に、大田区のことを言われました、心を寄せるんだったら、ここで継続を決断、これこそ必要なんじゃないでしょうか。いかがですか、総理。

大畠国務大臣 笠井委員の御意見も、私自身も思うところはあるわけでありますが、ただ、実績として、先ほども申し上げましたように、平成二十年のときには十三万件の利用者がございました。そして平成二十一年の十二月には六万七千件でございました。それが、一月には二万八千件、それから三月に、年度末ですが六万五千件、そして四月には三万件。それがずっと続きまして、十月には二万六千件。十一月に、まだ中間でありますが、いずれにしても、こういう形でこの利用者というのは徐々にでありますが下がってきているというのも実態でございます。

 そういうことから、十二月、三月までこの制度が使えるわけでありますから、これを使った以降は、先ほど申し上げましたような形の制度に切りかえさせていただきたい、こういうことを申し上げたわけであります。

笠井委員 大臣は、減っているとかという時期のところの数字をいろいろ挙げられますけれども、必要としている中小企業はたくさんあるわけですよ。しかも、時期時期によって違うということもお認めになっている。必要な制度だったら、継続するということになぜ踏み切れないのか。総理、本当にこれはちゃんとやるべきだと思うんです。

 総理は、あなたの内閣で中小企業憲章を閣議決定しました。憲章では、中小企業は国家の財産ということで、その役割と重要性を述べています。行動指針でも、「中小企業向けの金融を円滑化する」と掲げているわけでありまして、そういう中で緊急保証の打ち切りというのは、全く逆行する。中小企業を日本経済の根幹にふさわしく本格的に支援する政治への転換を強く求めたいと思います。

 ぜひこれは再検討してもらいたい。継続ということでやってもらいたい。総理、いかがですか。

中井委員長 最後の質問ということです。

菅内閣総理大臣 趣旨は、大変私も共感するところも多いわけです。同時に、今、大畠大臣が現状を踏まえて考えていただいておりますが、委員の申されることも、私もいろいろ感ずるところもありますので、大畠大臣に来年度の予算に向けてさらに検討をお願いしたい、こう思います。

笠井委員 最後に一問、就職難の問題で、この間の質問に関連して文科大臣に伺いますが、去る十月十三日の当委員会で取り上げた新卒者の就職難はますます深刻です。

 文科省、厚労省の調査でも、来年卒業予定の大学生の就職内定率は、十月一日現在で、前年同月比四・九ポイント減の五七・六%で、調査を始めた一九九六年以降で最悪となった。対策は待ったなしだと思います。

 新卒者の採用枠拡大とともに、過熱した就職活動を是正するための、大学、経済界、そして政府の三者による協議について提案いたしました。文科大臣もできるだけ早く開会したいと言われましたけれども、直ちにやるべきだと思うんですが、いつやりますか。

高木国務大臣 笠井委員にお答えいたします。

 新卒者等の就職問題の厳しいのは、大学等の関係者から報告を受けております。私も、就任以来、この問題については経済団体あるいは大学とも面談をし、何とかその改善を求めて努力をしてまいりました。

 新卒者をめぐるさまざまな雇用問題について、経済団体、そして大学関係者等の意見交換の場を、来週二十二日にも、関係省庁との連携をとりながら設定したいと思っております。

 今後とも改善に向けて努力をしたいと思います。

笠井委員 ぜひやってもらいたいと思います。

 企業の自己責任に任せて事態が急速に悪化したという中で、やはり政府の役割は決定的、三者協議で必要なルールもきちっとつくって実効性を持たせる、これが政治の役割だということを強調して、質問を終わりたいと思います。

中井委員長 これにて笠井君の質疑は終了いたしました。

 次に、服部良一君。

服部委員 社民党の服部良一です。

 十一月の四日、五日、沖縄県名護市長それから市議会議長が政府に要請文を持ってこられました。政府はだれも政務三役が対応しなかったということで、沖縄では大変怒りが広がっているわけですが、総理は十一月十日の当委員会でこの件に関して、「大変申しわけなく思っております。」と答弁をされたわけです。翌日の新聞では、首相、名護市長との面会拒否陳謝とか、首相が名護市長に謝罪というふうに報じられておりますが、総理の十日の答弁は、陳謝または謝罪という受けとめでよろしいのでしょうか。

菅内閣総理大臣 私としては、本来、沖縄のいろいろな方の意見を聞く、そういう機会は必要だと思っております。もちろん私自身も聞きたいときもありますが、私自身が時間がとれないことも多いし、それぞれの部署がありますので、やはり政務三役が一般的に言えば聞くべきだと思っておりました。

 ただ、今回の場合は、いろいろな、手違いという表現がいいかどうかわかりませんが、大変申しわけないことをしたということで、さきの答弁をいたしました。それは陳謝とか謝罪というふうにとらえていただいても、別に私の気持ちとしては、そう違和感はありません。

服部委員 ありがとうございます。

 北澤防衛大臣にお聞きしますが、十一日の安保委員会のやりとりで、この総理の「大変申しわけなく思っております。」という答弁に対して、これは謝罪ではないというふうにおっしゃいました。今の総理の思いとは若干食い違いませんでしょうか、北澤大臣。

北澤国務大臣 今、総理の答弁を聞いておりまして、総理の心情はよくわかったわけでありますが、全国に五百を超す基地を抱えた町村があるわけでありまして、この間の案件も、私どもとすれば誠実に対応したつもりでありまして、私どもが陳謝するということは、何がしかの不手際があった場合には陳謝することはやぶさかではありませんが、我々の方から面会者、先方へお知らせして対応を待っておったわけでありますが、当日キャンセル、こういうことでありましたので、まことに残念なことではありますけれども、私どもとすれば、今後も誠実に対応をしていきたい、このように思っております。

服部委員 地元の新聞では、この前のやりとりを「逆ギレ防衛相」というふうに大きく報道しているわけですね。北澤大臣からとうとう謝罪というか陳謝の言葉を聞くことはできませんでしたけれども、辺野古は防衛省が事業主体ですからね。

 私は、何もこの件で大臣に無理やり謝罪を要求しているということではないんです。いつも政府は、沖縄に誠意に説明をするだとかおっしゃる割には、一週間も前から、しかも与党の議員を介して政務三役にぜひ面談をしたいという要請があって、官邸も内閣府も外務省も防衛省も、だれも政治家が、政務三役が対応しなかったわけですね。ですから、言っていることとやっていることが矛盾していませんかということを私は言っているわけなんですよ。

 以上、申し上げまして、いずれにしても、こういう一つ一つの対応のまずさがますます地元の政府に対する不信感を強めていくということを申し上げて、次の質問に入ります。

 次に、原子力政策について質問をいたします。

 まず、福井県の高速増殖炉「もんじゅ」で事故が相次いでいます。一体どうなっているんでしょうか。

大畠国務大臣 「もんじゅ」のトラブルでございますけれども、私、経産大臣になる前、八月の二十六日に、「もんじゅ」において、燃料交換終了後の片づけ作業中、原子炉容器内で炉内中継装置、重さ三・三トンでありますが、これが二メーターほど落下いたしました。当時は「もんじゅ」は停止中であり、また周辺の放射線やナトリウムの状況等に変化はなく、直ちに原子炉の安全性に影響を与える事象ではない、こういうふうな話を伺っていたところでありますが、改めて私は、今回の「もんじゅ」における問題についてはいろいろと関心を持ち、適時報告等を受けてきたところであります。

 この課題については、現在、状況をよく把握して、どうしたらこの対策をとれるかということを関係筋が一生懸命調査し、対策案を練っているという状況でございます。

服部委員 「もんじゅ」は、一九九五年の十二月のナトリウム漏れの火災を起こして、十五年目にして、ことし五月に運転再開されたわけです。ところが、また早速事故ですわ。八月の、原子炉容器内に炉内中継装置が落下して、十一月の十日の福井新聞は「回収めどなし」と報じているわけですね。

 総理、こういう事故があったということ自身は、総理は御存じだったんでしょうか。

菅内閣総理大臣 かつて、「もんじゅ」のナトリウム漏れという事故に関しては、非常に強く認識をいたしております。この間の今御指摘のものについては、必ずしも、新聞は読んだとは思いますけれども、いろいろな事故の中で、きょうお聞きして改めて認識したというのが正直なところであります。

服部委員 余りよく知らなかったというような感じでお聞きしました。

 「もんじゅ」の建設と維持管理費に既に一兆円近い金額が投入されているわけですね、約九千億と聞いていますけれども。当初の予算は三百六十億だったわけですよ。一日当たりの停止中の維持管理費だけでも一日五千五百万もかかっている。これこそ税金の無駄遣いではないかというふうに私は思います。

 空気中の水分にも反応する金属ナトリウムの扱いが難しいということで、アメリカもドイツもフランスもイギリスも、みんな撤退しているわけですね。しかも、今、「もんじゅ」の直下に活断層が二本発見されているわけです。こういった技術的にも確立されていないこの高速増殖炉計画、「もんじゅ」から撤退を決断したらどうかというふうに思います。

 過日の事業仕分けのときにも、もう一度見直ししてもいいんじゃないかという声も上がっているわけです。総理、ぜひここは一回真剣に、この「もんじゅ」を続けた方がいいのか、あるいは見直した方がいいのか、やはり考えていく時期ではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

大畠国務大臣 ただいまの、「もんじゅ」についてはもう見直すべきではないか、こういう御指摘でございます。

 私も、この原子力政策にいろいろと関心を持ち、政策問題に取り組んできた者でありますが、フランスでもう断念したというお話がございましたが、フランスでは、フェニックスが計画された試験運転を終えまして、現在、確かに停止をいたしましたけれども、次世代のフェニックスといいますか高速増殖炉の検討に入っておりまして、フランス政府の方でも、これからのエネルギー政策上大変重要であると。

 フェニックスは、私の記憶ではたしか二十年以上運転した実績を持っておりまして、当初の研究におけるデータの収集は一応終わった。そこで、それを踏まえての次の世代の炉の設計と計画に入っている、こういうふうに聞いております。

 したがって、この「もんじゅ」でありますが、御指摘のように、十四年停止しておりまして、やっと再稼働という状況になって、私も推移を見守っていたんですが、このような状況になりましたけれども、日本国の将来を考えますと、この「もんじゅ」の再稼働というのも大変大事でありまして、基本的に、ことしの六月に閣議決定されましたエネルギー基本計画に基づいてこの計画も進めていくことが必要だと私は考えております。

服部委員 私は、日本国の将来にとって中止した方がベターだと思っています。これはいろいろ意見があるでしょう。

 これは事業仕分けの中でも、電力事業者が高速増殖炉を必要としているのかわからないという意見まで出ているわけですよ。十五年も動かないような炉ですよ。それで、またやったらすぐ今度いつになるかわからないという、こんなものにいつまで税金を投入していくんですか。これはぜひ御検討をいただきたいということを申し上げたいと思います。

 それから、きょうペーパーを配らせていただきました。今政府は海外への原子力発電所の輸出に一生懸命になっておられるわけですけれども、原子力発電所の海外での建設というのは大変なリスクがあるということをよくよく認識していただきたいということを申し上げたいと思うわけです。

 お手元にある資料は、例えば一番上に三・二と書いていますけれども、これは三・二ギガユーロ、三十二億ユーロという金額なんですね。これは契約金額なんですよ。ところが、今既に総工費が一・八倍、六千六百九十億円までになっていまして、おまけに工期が三年おくれて二千七百二十億円の損害賠償請求、泥沼の訴訟になっているわけですね。ですから、もう契約金以外の、三倍ぐらいのお金が出ていくというような、そういう状況にあるわけです。

 これは建設工事ですけれども、稼働中の安全の問題もあります。これはもう事故が起きたら大変なことになるというのはもちろん認識のとおりですけれども、こういった原子力発電所の海外での建設というものは大変なリスクを伴うということをよくよく承知していただきたい。

 総理、フィンランドのオルキルオト発電所というわけですけれども、こういったことが起きているということについて御存じでしたでしょうか。あるいは、こういったリスクがあるということ、このリスクに対してどうしていくのか。国の税金をじゃぶじゃぶ使うというわけにはいかないわけですから、その点について総理のお考えをお聞きしたいと思います。

中井委員長 大畠経産大臣、短くお願いします。

大畠国務大臣 参考資料としていただきました建設コストの件でありますが、確かに建設費用の増加リスクについてはいろいろと懸念するところがございます。ただし、建設コストについては、契約の中でそれぞれ責任を明確にすることになっておりまして、特に貿易保険の活用により、取引相手からの回収不能等のリスクは回避することができる。

 そして、委員も御存じだと思いますけれども、原子力におけるプラントの安全性等についても、当該国の安全規制等に基づき、原子力発電所の建設や運転の安全確保を行う義務を有しているわけでありまして、日本国としてはもちろんいろいろな意味でバックアップをいたしますが、コスト的な負担というものはないものと私は考えております。

服部委員 私も三十三年間、機械メーカーで働いてきて、余り言いたくないんですけれども、原子力発電所の中でも仕事をしてきました。必ず事故は起きるんです、はっきり言うて。見過ごしもありますし、いろいろあります。

 ですから、国を挙げて推進されるということですけれども、こういう大変なリスクがつきものだということを重々理解されて進めていっていただきたいということで、最後に一言、総理、ちょっと御感想をお聞かせください。

菅内閣総理大臣 私も、原子力発電所というものについて大変関心をずっと持ち続けてきたわけですけれども、我が国において、確かにこの「もんじゅ」とか、一部臨界事故とかありましたけれども、幸いなことにチェルノブイリとかそういった大きな事故はない中で、かなり安定的な運転が、長い時間でいえばできているという認識を持っております。また、日本の原子力発電所をつくるメーカーも、その技術レベルは世界の中では間違いなくトップクラスにあるというふうには思っております。

 ただ、今御指摘がありましたように、物が大きいだけにいろいろなリスクがあるわけで、そういった意味で、さきにUAEの入札では韓国勢が入札に勝ったわけでありますが、その背景には国家的なサポートがあったというふうにも聞いておりまして、今回ベトナムなどでの受注を実質的にできましたけれども、そういうものに対してもしっかりと国としてもサポートをする体制をつくりながらやっていきたい。

 この原子力エネルギー、これからのエネルギー源としては、やはり世界的に見ても重要性がある意味では高まっているところもありますので、CO2を出さないという意味で。そういう意味では、リスクは十分感じながら、安全性第一で推し進めていくべきだ、こう思っております。

服部委員 国としてのサポートとおっしゃいましたけれども、税金をじゃぶじゃぶ使うことのないようにということを強く申し上げて、質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

中井委員長 これにて服部君の質疑は終了いたしました。

 次に、浅尾慶一郎君。

浅尾委員 補正予算の審議も最後の方になってまいりましたので、お疲れでしょうけれども、ぜひおつき合いいただきたいと思います。

 まず、財政について考えますと、日本の財政は大変厳しい状況になっているということは、だれが考えても明らかだと思います。同時に、日本の景気を回復していかなければいけないということで、大変、ブレーキとアクセルを同時に踏まなければいけないということ、そういう状況なんだろうなというふうに思います。

 ブレーキといった場合には歳出削減ということがまずは浮かぶわけでありますけれども、私は、歳出削減で多少あるいは大きく抵抗があったとしても、いずれメスを入れなければいけないのはやはり人件費だろうというふうに思っておりまして、お手元に、内閣府が作成をいたしました統計、過去十年間の統計を配付させていただきました。

 これを見て、私自身びっくりをいたしましたが、全体の平均は、平成十一年から平成二十年で約三十万円ほど、二十数万円ですか、減額をしているという中で、確かにでこぼこはありますけれども、明らかにふえているのは公務。公務員の皆さんが、平均九百二十万から一千一万になっている。全体平均の常に倍でありますけれども、その中でもふえている。

 こういうところにやはり今の人事院勧告制度の限界もあるんじゃないかというふうに思うわけでありますが、率直に、総理大臣、この数字をごらんになって、感想を伺いたいと思います。

海江田国務大臣 SNA統計は内閣府のマクロの統計でございますので、この統計の見方、実は委員には内閣委員会でもお答えをしたところでございますが、改めて、ごく簡単にお話を申し上げます。

 この計算は、雇用者における属性の相違と申しますが、それこそ、職種でありますとか、役職でありますとか、学歴でありますとか、あるいは勤続年数でありますとか、そういうものが考慮されておりません。ですから、やはり公務員の場合はどうしても勤続年数が長くなる、あるいは学歴も高くなるなどの影響が大変大きく出ているデータだろうということだけはお断り申し上げておきます。

浅尾委員 私は、今の御説明よりも、総理の率直な感想を伺いたかったわけであります。

 きょう流れていたニュースで、我が国と同じようにと言うと語弊があるかもしれません、既に財政状況は一緒だと言われているJALが、希望退職では追いつかず、整理解雇に踏み切らざるを得なくなった。

 将来、例えば消費税の増税という議論が出るときに、公務員、我々も含めて、平均の倍もらっている中で増税をお願いすることができるのか、そのことも含めて総理大臣の感想を伺いたいと思います。

菅内閣総理大臣 私は、ギリシャの財政危機のころ、ちょうど財務大臣をやっておりまして、その中で、ギリシャでも、これは公務員の比率も非常に高い、あるいは待遇も他に比べて非常にいい、そういうことも指摘がされておりました。

 今、海江田大臣の方から、属性というものが、学歴等がこの中では区別がわかりませんので、単純にどこまでいわゆる格差があるという言い方ができるのかわかりませんけれども、しかし、いずれにしても、公務員の全体の人件費というものを今二割削減ということを掲げているわけでありますけれども、それは、効率のいい人事配置と、一人一人の民間と比べての公平性というものはしっかりと実現していかないと、まさに民間の方が中心に税金を払っておられるわけですから、納税者の理解は得られにくいということはおっしゃるとおりだと思います。

浅尾委員 いろいろおっしゃいますけれども、これは、一千万という数字の後ろには、百九十万人の人数に対して一千万ということですから、これで全体で十九兆というお金になります。いろいろな属性とかなんとか言われても、十九兆というのは非常に大きなお金だということを申し上げたいと思います。

 もう一つ大事なことは、この十年間で、平均は下がっている中で、ふえていることについてどう思われますか。属性は関係ないと思います。その点についてどう思われますか。

菅内閣総理大臣 御指摘のとおり、その傾向を見ると、本来は他の部分も上がってもらいたいわけでありますが、特に、これを見ていますと、サービス業が非常に低い水準であるというのは、これはこれでいろいろ考えなきゃいけないところもありますけれども、そういう中で、公務というところが上がっているというのは、国民的には、納税者という立場からするとなかなか理解されにくい状況にあるということはそのとおりだと思います。

浅尾委員 菅総理は、たしか民主党代表選挙のときに、今回、一・五%の削減を超えて深掘りをするということを公約になさいました。残念ながら、今回できていないわけでありますけれども、そのことについての思いを伺いたいと思います。

片山国務大臣 内閣委員会でもお答えを申し上げたと思いますけれども、今回は人勧の処理ということで給与法の改正を出しておりますけれども、十一月一日に閣議決定をいたしまして、今回の人勧の処理と、そして次の通常国会に必要な人件費削減のための成案を得て、順次法律を出していくということをあえて決めておりますので、そのことをセットで、少し次の通常国会までも含んだ目で見ていただければと思います。

浅尾委員 私が質問したのは、公約で出された、それが実現できなかったことについての御本人の言葉に対する責任を伺っているのであって、片山大臣のお言葉じゃなくて、菅総理の言葉に対する責任をどう思われるかという質問であります。

菅内閣総理大臣 私、代表選挙で、人事院勧告を超える削減を目指すとたしか申し上げたと記憶をいたしております。

 確かに、今回そのままそういうことができなかったという御指摘は、理由はともかく、そのとおりでありますけれども、しかし、その方向性をあきらめたわけではなくて、今、片山大臣からも御説明いただきましたように、即、この人事院制度という非常に歴史もある、ある意味では重要な政策の変更を一遍にできない、できにくい中で、来年度からは個別に給料の削減を可能とする給与法改正案などを提出するということで、その公約に掲げた方向性はぜひ進めていきたい、こう考えております。

浅尾委員 次の質問に移りたいと思いますが、景気をよくするためには国内で動くお金の量をふやしていくのが一番いいというのは、だれが考えても明らかなわけであります。そのときに、国がお金を配ると、配ったお金の分しか基本的には動かない。一方で、減税をした場合には、減税額全体が動くというよりかは、当然、何か使ったことに対して減税になるわけですから、動くお金の量はそちらの方が大きい。

 一つの例として、エコカーと補助金なんかは、エコカーに対する補助金の方が、当然のことですけれども、買われた車の金額よりも少ないわけでありまして、売り買いされた車の金額の方が補助金よりもはるかに大きかったから効果があったということだと思います。

 そういうふうに考えると、今回の補正予算も、本来は、その財源があるのであれば、償却期間というものを税法上設定されておりますけれども、これを自由に設定するようにして、例えば、元気のいいうどん屋さんか何かが今期三千万円ぐらい利益が出ている、三千万円今期で償却できるとなればその分投資をするけれども、しかし、十五年かけて償却しなきゃならないと、十五年先に、はやっている店のスタイルなんかわからないということになると思いますので、そういう意味で、我々は、償却期間を自由に設定できる投資減税、自由償却つきの投資減税というものを提唱させていただいておりますけれども、このことについて、できれば菅総理にお答えいただきたいんですが、野田財務大臣がうなずいていただいておりますので、ぜひお答えいただきたいと思います。

野田国務大臣 うなずいたのは、了解してうなずいたんじゃありません。そこは誤解のないようお願いしたいと思います。

 法人税というのは、やはり公正な企業会計の処理のルールに基づいてはじかれた所得に課せられる税金であります。減価償却もやはり一定のルールに基づいて対応すべきであり、現実、例えば建物だったら定額法であるとか、設備だったら定額法、定率法、いろいろやり方があると思いますけれども、そういうルールに基づいて行うということがやはり筋であって、委員の御提言の自由償却となると、企業が恣意的に利益の調整ができるということになると、公正な課税ということを担保することができないというふうに思います。

 一定の政策目的のために減税をしようとするならば、中小企業の投資の促進税制であるとか、あるいは環境のために投資を促進するとか技術開発するとか、そういうときには特別償却というやり方があると思います。自由償却というやり方は、私は主要国でもとっていないと思いますし、我が国で導入することも困難だというふうに考えています。

中井委員長 質疑の途中ですが、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

中井委員長 速記を起こしてください。

 ただいま内閣官房長官と国土交通大臣に対する不信任決議案がそれぞれ提出されました。

 したがいまして、委員会は、途中でありますが、ここで打ち切り、次回は、明十六日午前零時十分理事会、午前零時二十分から委員会を開会することとし、暫時休憩いたします。

    午後七時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後十一時七分開議

中井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。

 浅尾君の残余の質疑を行います。浅尾慶一郎君。

浅尾委員 大変遅くなりまして、お疲れのところで恐縮でございます。

 最後、ほぼ一問だと思いますが、先ほど野田財務大臣、各国とも償却を自由に設定しないというふうに言っておられましたけれども、私の趣旨は、これだけ大変厳しい日本の中において投資を喚起するためには、償却期間を税法上自由に設定する、財務会計上は従来どおりでやっていけばいいということでありまして、役所の人に知恵を求めれば、他国はやっていないということになるんだろうと思いますけれども、ぜひそこは引き続き、ちなみにオバマ大統領は、償却期間を自由に設定するような、そんなことを考えておられるということでありますので、そのことをぜひ御検討いただければと思います。

 そして、最後の質問になろうかと思いますが、この委員会で海上保安庁の職員のビデオの投稿がさんざんと話題になりました。たまたま思い起こしてみましたら、ただいま配付をさせていただいております資料がございますが、二〇〇三年ですから七年前になりますが、私が質問通告をいたしました。きょうの公務員の人件費のようなことを質問通告を金曜日の夕方にいたしましたら、その日の十一時ぐらいに、職員組合の組合員だということを名乗る人物から、そのようなことを質問すると対応しなければいけないと。

 これは質問する前ですから、既知、公知の事実ではなくて、その質問に基づいていわば圧力をかける行為があったということでありまして、最後の質問としては、この委員会、大変時間がとられましたので、菅総理大臣に対して、公務員が職務上知り得たことについて圧力をかけるという行為と職務上知っていることを世間一般に流すのと、どちらが悪質だというふうに思われるかということについての感想を菅総理に伺わせていただきたいと思います。

 ちなみにこの人物、御自由に御答弁いただきたいと思いますが、このときは小泉政権でありますので菅政権は関係ありませんので、告発もされておりませんが、今回は告発されたということも含めて、どちらがより悪質かということについて菅総理の感想を伺って、多分時間になると思いますので、私の質問を終えたいと思います。

菅内閣総理大臣 今のお話で、どちらがということを感想として言えと言われるわけですが、一般的に言えば、どちらも許しがたいことだと思います。どちらがと言われれば、やはり、流出の方でいえば、流出したものの経緯がある程度はっきりしないとわかりませんし、しかし、質問に対してそういう情報をもとに圧力をかけるということは大変けしからぬ話だということは、私自身、強く感じております。

中井委員長 これにて浅尾慶一郎君の質疑は終了いたしました。

 やりにくい時間帯を御配慮いただきましたこと、感謝申し上げます。

 これをもちまして締めくくり質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして平成二十二年度補正予算三案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

中井委員長 ただいままでに、自由民主党・無所属の会武部勤君外二名から、並びにみんなの党浅尾慶一郎君から、それぞれ、平成二十二年度補正予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議が提出されております。

 この際、両動議について提出者より順次趣旨の弁明を求めます。馳浩君。

    ―――――――――――――

 平成二十二年度一般会計補正予算(第1号、特第1号及び機第1号)等につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議

    〔本号末尾に掲載〕

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馳委員 私は、自由民主党・無所属の会を代表して、平成二十二年度一般会計補正予算、平成二十二年度特別会計補正予算及び平成二十二年度政府関係機関補正予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議に関して、提案理由を申し述べます。

 そもそも、今般の景気回復の息切れと株価の下落、急激な円高は、民主党政権の経済財政運営によって生じた政策不況という以外の何物でもありません。参議院選挙後も党内の権力争いに明け暮れ、いたずらに三カ月もの月日を空費したのであります。そして、内政のみならず、沖縄普天間基地問題の迷走に始まり、尖閣諸島における中国漁船衝突問題と動画流出事件、北方領土問題など、外交における危機管理の欠如した対応の数々、国益を損ない、国民を顧みない民主党政権には、世論調査の数字にもあらわれておりますように、もはや政権を担当する能力はありません。

 さらには、政治と金をめぐり、野党が一致して小沢一郎元幹事長の国会招致を求めているにもかかわらず、民主党代表である菅総理は決断をせず、いまだ実現させようとしておりません。国民意識との乖離は著しく、そんな政権に補正予算を提出する資格などない、そのことをまずもって申し上げなければなりません。

 我々の提案は、以下五点を基本にしております。

 第一は、民主党の雇用の空洞化を進めるアンチビジネス政策を転換すべきであることです。

 CO2の二五%削減や、製造業への派遣禁止などの政策を推し進めて、これでどうやって国内で事業を継続し、雇用を維持せよというのか。雇用は企業がつくるものであり、国内での事業環境を整えることこそ政府の役割であります。現政権が推し進める雇用空洞化政策の転換なくして、いかなる経済対策も大きな効果を望むべくもありません。あらゆる対策を講じる前に、アンチビジネス政策の撤回を求めます。

 第二は、財源問題であります。

 民主党は、子ども手当、高速無料化、戸別所得補償、高校無償化など、政策理念が明確でなく効果も薄いばらまき四K施策を続行する前提に立っており、到底容認できません。また、政府案は、国債費返済の財源と位置づけられている利率低減による国債費返済の差額や未確定の税収増分額などを先食いする形で財源としており、政府は、ばらまき四K施策を即時撤回することによって財源を捻出するべきと考えます。

 第三は、予算の規模です。

 政府案では、対策総額四兆八千億円としていますが、その中には地方交付税の増額分一兆三千億円が含まれています。この増額分は経済対策の有無にかかわらず計上されるものであり、それを差し引けば本来の規模は三兆五千億円程度であります。交付税分を加算して対策の規模を大きく見せるのはまさに見せかけ補正であり、政策不況から国民生活を守るため、交付税分を除き五兆円規模への上積みを提案いたします。

 第四は、地方への配慮です。

 政府案では、地域が自由に使える地域活性化交付金の規模はたったの三千五百億円であり、これでは、厳しさを増す地域の現状に対応するには全く不十分な規模と言わざるを得ません。

 我々は、地域経済、雇用対策として地方が自由に活用できる交付金を一兆五千億円規模に上積みすることを提案します。

 また、米価下落への対策としての過剰米対策、備蓄米対策など、また、頑張る人を支援する総合的な雇用・就学支援等、政府案では見過ごされた分野についても必要な措置を講じることといたします。

 第五は、財政規律の確保であります。

 財政健全化責任法案の早期成立を強く求めます。確かな社会保障制度と財政規律の裏づけがあってこそ、経済対策がその効果を遺憾なく発揮することができます。一刻も早く、信頼できる持続可能な財政構造を確立することが急務であり、この認識を超党派で共有し、来年度予算編成から適用するためにも、今国会での成立を強く求めます。

 次代を見据え、ぜひ真摯に議論をすべきであります。それが将来世代への我々の責任です。各党各会派の皆様に、この場をおかりして、改めてお願い申し上げます。

 以上申し上げ、政府補正予算案について速やかな撤回を求め、編成替え動議を提出するものであります。

 議員各位におかれましては、我が党の案に御賛同賜らんことを切にお願い申し上げまして、提案理由の説明を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

中井委員長 次に、浅尾慶一郎君。

    ―――――――――――――

 「平成二十二年度一般会計補正予算(第1号)」、「平成二十二年度特別会計補正予算(特第1号)」及び「平成二十二年度政府関係機関補正予算(機第1号)」につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

浅尾委員 私は、みんなの党を代表いたしまして、平成二十二年度一般会計補正予算(第1号)、平成二十二年度特別会計補正予算(特第1号)及び平成二十二年度政府関係機関補正予算(機第1号)につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議を提出させていただきます。

 編成替えを求める理由は、以下のとおりでございます。

 みんなの党は、有効な円高、デフレ対策を大至急講ずべきという立場でございます。

 政府提出の補正予算は、文面上、円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策と称しておりますけれども、内容的には円高、デフレに全く対応できておりません。

 財政措置とあわせて本格的な金融措置を講ずべきことは別といたしましても、補正予算の内容そのものを見ても、かつての麻生政権での補正予算の内容を復活したり、旧来型の団体を介した助成に重きを置くなど、新規性を欠く政策ばかりが並び、効果は何ら期待できない内容であると思います。

 本来、経済活動を活性化する上での主役は、国ではなく民間であるべきであります。どのような分野に投資することでより多くの富を生み出すことができるのか、政府の官僚が全知全能でわかっているわけではありません。政府提出の補正予算では、この基本認識が全く欠落しております。

 投資すべき分野を政府が定め、予算を投入していく政策ばかりでは、経済活動の活性化は期待できません。むしろ、投資先の選定は民間にゆだね、政府は、企業による新たなチャレンジを後押しすることにこそ重きを置くべきである。

 以上の見地から、みんなの党は、政府提出の補正予算をこのまま成立させることには反対であり、政府案で並べられている緊急経済対策にかえ、民間投資を促進するための減税措置、特に具体的には自由償却制度を盛り込むべきだと考えております。この措置により、約四兆円の減税措置に対し十三兆円程度の設備投資増加が見込まれ、波及効果を考えれば、現在のGDPギャップ三十兆円弱をかなりの程度埋めることができると考えております。

 次に掲げる内容を施すべく、平成二十二年度補正予算三案を抜本的に組み替えることを要求いたします。

 編成組み替えの内容は、以下のとおりであります。

 円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策(四兆八千五百十三億円のうち、地方交付税交付金五千七百五十八億円及び子宮頸がん等疾病対策費一千二百億円を除く)及び国債整理基金特別会計への繰り入れ八千百二十三億円を削除し、これを財源として、法人税において投資促進のための自由償却を実施することを求める。

 投資促進のための自由償却の具体的内容は、次のとおりとする。

 (1)対象事業者

 大企業、中小企業、個人事業者

 (2)対象設備

 1建物及びその附属設備 2構築物 3機械及び装置 4船舶 5航空機 6車両及び運搬具 7工具、器具及び備品 8鉱業権、特許権等の無形固定資産 9牛、馬、果樹等

 ※取得のほかリースも含む。但し、国内資産に限る。

 (3)償却方法

  普通償却、すでに導入されている特別償却・割増償却のほか、以下のいずれを選択することもできる。

 1設備投資の年度に一括償却

 2普通償却の場合の通常ルール(建物であれば定額法など)に従いつつ、法定年数と異なる耐用年数を自由に設定

以上でございます。

 何とぞ、各会派、慎重御審議の上、賛同願いますことをお願いいたします。

中井委員長 これにて両動議の趣旨弁明は終了いたしました。

    ―――――――――――――

中井委員長 これより討論に入ります。

 平成二十二年度補正予算三案及びこれに対する撤回のうえ編成替えを求めるの動議二件を一括して討論に付します。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。金森正君。

金森委員 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました平成二十二年度補正予算案に賛成、自民党・無所属の会提出の動議、みんなの党提出の動議に反対の立場から討論を行います。

 円高等による景気下振れリスクが強まっていることに対して、政府・与党は、スピード感を重視しながら、さきに緊急的に九千二百億円の予備費活用を決定いたしました。そして、その後の景気、雇用の動向を踏まえ、このたびの補正予算を機動的に編成し、今国会に提出をされたわけでございます。

 具体的に申し上げれば、本補正予算案は、円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策を実施するため、第一に、新卒者並びに若年者支援の強化、雇用下支えと生活支援など、雇用、人材育成に資するため三千百九十九億円、第二に、グリーンイノベーション推進、ライフイノベーション推進、アジア経済戦略推進など、我が党が掲げております新成長戦略の推進を加速させるため三千三百六十九億円、第三に、子育て、医療、介護、福祉の強化による安心の確保に一兆一千二百三十九億円、第四に、地域活性化、社会資本整備、中小企業対策等に約三兆七百六億円、計四兆八千五百十三億円を税収増などで得られた財源をもとに追加するものであります。

 以上申し上げましたとおり、本補正予算案は、景気対策を求める国民の皆様にこたえるため必要不可欠であることは明らかでございます。政府・与党は、さらに現在編成中の平成二十三年度予算において新成長戦略の本格実施を行い、三段構えの政策展開でデフレ脱却と景気の自律的回復に向けた道筋をより確かなものとしていく考えを明らかにされておられます。

 委員の皆様におかれましては、真に国民の負託にこたえるため、延べ四日間、二十時間余を費やした質疑の経過を踏まえ、今回の補正予算に御賛同いただくことを心よりお願い申し上げ、私の賛成討論とさせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

中井委員長 次に、小里泰弘君。

小里委員 私は、自由民主党・無所属の会を代表して、ただいま議題となりました平成二十二年度補正予算三案について反対、自由民主党・無所属の会提出の編成替えを求めるの動議に賛成の立場から討論をいたします。

 政権交代から一年余り、政治と金、普天間問題、相次ぐ公約違反、尖閣諸島問題等々、この間の政治の混乱、迷走ぶりには目を覆うものがあります。

 政治と金の問題では、野党が一致して小沢一郎元幹事長の国会招致を求めているにもかかわらず、菅総理は指導力を発揮しようとせず、いまだに実現をしておりません。

 尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件における政治の不手際とビデオ流出問題についての責任の所在も不明確なままであり、いまだに内部調査の公表もビデオの全面公開もなされておりません。

 菅総理は熟議の国会と言われましたが、熟議の土俵すら整えようとせず、答弁においても逃げの姿勢に終始されたのであります。総理の指導力の欠如と無責任な姿勢を強く指摘しておきたいと思います。

 政府提出の補正予算案は、効果不十分、財源でたらめの予算案と言わざるを得ません。そもそも、温室効果ガス二五%削減や製造業への派遣禁止等の雇用空洞化政策の転換なくして、どんな経済対策も大きな効果は望めないのであります。

 我々は、子ども手当、高速道路無料化、戸別所得補償、高校授業料無償化といった、政策効果が期待できないばらまき政策の即時撤回により財源を捻出すべきと考えております。

 同時に、将来への確かな社会保障制度と健全財政の裏づけがあってこそ、経済対策の効果が最大限に発揮をされます。財政健全化法案の今国会での成立を強く求めるものであります。

 真の景気回復には地方の活性化が不可欠でありますが、政府提出の補正予算案には地方への配慮が感じられません。地域活性化交付金自体は評価するものの、一兆五千億円規模に上積みをすべきと考えます。

 自由民主党・無所属の会は、菅政権の政策不況から国民生活を守るために編成替えを求めるの動議を提出しております。委員各位の御理解と賛意のほど、よろしくお願いをいたします。

 なお、みんなの党提出の編成替えを求めるの動議に関しては、菅内閣の財政運営に対する考え方等に関しては認識を共有する部分があるものの、総合的に勘案し、反対をいたします。

 最後に、有言不実行、相次ぐ政治の失態に逃げの一手の政権に、国家の安全や経済財政のかじ取り、そして日本の将来を任せるわけにはいかないということを申し上げ、私の討論といたします。(拍手)

中井委員長 次に、遠山清彦君。

遠山委員 私は、公明党を代表し、ただいま議題となりました平成二十二年度補正予算三案について、反対の立場から討論を行います。

 以下、反対する主な理由を述べます。

 第一の反対理由は、菅内閣の日本経済の厳しい現状に対する認識が甘く、対策がすべて後手に回っている点であります。

 私たち公明党が、厳しい経済の現状と見通しを踏まえ、補正予算を含む追加的経済対策の必要性を本委員会で指摘したのは八月三日でありました。さらに、九月二日には円高、デフレ脱却へ向けての緊急経済対策を発表し、一日も早い補正予算編成を求めてまいりました。

 しかし、菅内閣はまことに鈍感そのものでありました。民主党代表選挙による約二週間の政治空白を経て、本補正予算案が国会提出されたのは十月二十九日であり、公明党の指摘から何と三カ月、十月一日の臨時国会召集から一カ月もたってからであります。危機感、スピード感の欠如は目に余るものがあると言わざるを得ません。

 第二の反対理由は、本補正予算案の中身が、中小企業に冷たい、地方に冷たい、農業に冷たい予算である点であります。

 子宮頸がん等ワクチン接種の公費助成、学校の耐震化など、これまで公明党が国会等で強く主張してきた政策も一定程度反映されており、部分的には評価できます。しかし、中小企業の緊急保証制度が来年三月に打ち切られ、再び貸し渋りや貸しはがしの問題を惹起する可能性が高いという点や、地域活性化交付金がわずか三千五百億円程度であり、地域経済の活性化と地域雇用の安定化には全く不十分である問題がございます。さらに、農業に関しても、米価の激しい下落の中で、政府はなぜ責任ある緊急の米価対策をとらないのか、菅内閣には農家への思いやりが全く感じられません。

 第三の反対理由は、本補正予算案がデフレ脱却と景気回復を実現するためには極めて不十分な予算である点であります。

 景気の悪い現状では、補正予算においてこそ使える財源をフルに活用しての景気刺激策を講じることが重要であります。しかし、本案では、例えば昨年度の決算剰余金は、特例措置を講ずればなお八千億円の活用が可能であるにもかかわらず、そうなってはおりません。今回の補正予算規模は、実質は四兆円にも満たないのであります。これでは、本格的な雇用創出や民間需要の喚起を期待することはできません。

 以上、反対する主な理由を申し上げました。

 最後に、次々とみずからのマニフェストに違反、逆行する菅内閣の姿は、有言実行内閣ではなく有言逆行内閣であるということを厳しく指摘し、政府提出の平成二十二年度補正予算案に対する私の反対討論といたします。

 なお、自民党提出及びみんなの党提出の組み替え動議につきましては、認識を共有する部分はあるものの、見解を異にする部分もあり、総合的に勘案して、反対いたします。

 以上です。(拍手)

中井委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 私は、日本共産党を代表して、二〇一〇年度補正予算三案に反対の討論を行います。

 第一は、円高、デフレなど今日の景気悪化に苦しむ国民の要求にこたえていないことです。

 国民生活に関する対策では、ワクチン接種への財政支援、中小企業への資金繰り支援における借りかえ保証の追加などは国民の要求を反映したものです。しかし、失業者への就職支援策や安心こども基金の積み増し、高齢者医療制度の負担軽減策など、ほとんどが自公政権時代からとられてきた政策の延長にすぎません。二〇〇九年度第二次補正でとってきた景気対応緊急保証は今年度末で打ち切るのではなく、継続すべきであります。

 この一年間で見ても、雇用情勢はよくならず、民間企業の賃金の減少は過去最大となるなど、国民生活は悪化の一途です。従来の対策の延長では国民生活は何ら改善しません。

 第二は、国民の要求はないがしろにする一方で、新成長戦略の推進、加速として新たな大企業支援策が盛り込まれていることです。

 大企業の設備投資への補助金や海外大型買収への支援の拡大などは大企業の要求にこたえたものです。公共事業関係は事業規模約九千六百億円もの予算を組むなど、コンクリートから人へと言いながら、大型開発事業に依存したものになっています。大企業を応援すれば経済がよくなり、いずれ暮らしもよくなるという政策は既に破綻しています。大企業が上げた利益は、内部留保や配当などに回るだけで、国民に流れることはなかったのです。こうした大企業支援策は改めるべきです。

 今とるべき対策は、家計を直接支援し、内需を拡大する抜本的な対策です。具体的には、大企業の内部留保を国民に還流させ、労働法制の抜本改正による雇用の安定と賃金の底上げを図ること、後期高齢者医療制度はすぐに廃止し社会保障を充実させること、雇用の七割を担い、地域経済を支える中小企業への対策を強めることです。

 最後に、情報収集衛星の体制整備として、いわゆるスパイ衛星の研究開発費が計上されていますが、宇宙の軍事利用は認められません。また、アフガニスタン国軍への拠出金が計上されていますが、外国軍への財政支援は、憲法九条を持つ日本として許されません。

 なお、自由民主党提出及びみんなの党提出の編成替え動議については、財源などに問題があり、賛成できません。

 以上、反対討論を終わります。

中井委員長 次に、服部良一君。

服部委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、政府提出の二〇一〇年度補正予算案に対し賛成、自由民主党及びみんなの党提出の組み替え案に反対の立場で討論を行います。

 さて、日本経済は、急激な円高、二番底への不安、構造的なデフレ、五%の失業率など、深刻な状況にあります。社民党は、国民生活の再建を進めるため、低炭素・グリーン経済社会への転換、若年・非正規を中心とした雇用対策、地方の活性化、広がる貧困の解消、中小企業支援の強化を柱とした緊急的な経済対策及び補正予算の編成を求めてきました。

 今回の政府提出補正予算案には、待機児童の解消対策、新卒者・若年者支援の雇用対策、地域医療再生臨時特例交付金の拡充、児童虐待対策、安心こども基金の拡充、電線の地中化など身近な公共事業、公立学校や病院の耐震化、太陽光発電化、脱アスベスト化の促進に向けた地域活性化交付金の創設、地方交付税の増額、生活困窮者の生活支援対策、林業再生プランの推進、海上保安庁の体制整備の支援、中小企業支援の強化、口蹄疫対策基金などなど、社民党も提案し、かつ要求してきたものが多数盛り込まれているものになり、評価をいたします。

 一方、国際熱核融合炉推進事業や市町村合併推進費などなど、疑問のあるものが含まれており、また、提出が遅い、規模も不十分な点もありますが、現下の深刻な経済や国民生活の状況にかんがみ、一日も早い成立が望まれるものであり、賛成するものであります。

 なお、自民党及びみんなの党提出の組み替え案については、財源の捻出方法や歳出追加項目について疑問があり、賛同できません。

 最後に、菅総理、弱肉強食の小泉・竹中構造改革路線から決別し、格差社会を是正して、生活再建、国民の生活が第一という、政権交代に期待した多くの国民の思いを裏切らないでほしいのです。国民にしっかり寄り添い、命を大切にする政治を情熱を持ってやっていただきたいことを申し上げ、討論といたします。(拍手)

中井委員長 次に、浅尾慶一郎君。

浅尾委員 私は、みんなの党を代表して、政府提出、平成二十二年度補正予算三案に対し、反対の討論を行います。

 菅内閣は、残念ながら、もはや政権の体をなしておりません。尖閣漁船問題、その後のビデオ流出、ロシアとの北方領土事案、TPP交渉への対応、どれをとっても何の定見も戦略もなく、その場しのぎの対応をしては大失態を犯すことの繰り返しです。今回の政府提出の補正予算も、定見と戦略なき政権運営の一端を示しております。

 菅政権はこれまで、増税で景気回復、雇用を起点に景気回復といった、どう考えても実現不可能なキャッチフレーズを次から次へと唱えてまいりました。しかも、補正予算の内容を見れば、それらの実現のための具体策は何一つ示されないばかりか、かわりに、かつての麻生政権での補正予算の内容を復活し、旧来型の団体を介した助成に重きを置くなど、自公政権の延長上の施策ばかりが並んでおります。何の考えもなく、いいかげんなキャッチフレーズを口にして、最後は官僚依存で政策をつくっているからこういうことになるのではないでしょうか。

 みんなの党は、有効な円高、デフレ対策を大至急講ずべきと考えております。そのため、まず財政措置とあわせて本格的な金融措置を講ずる必要があります。みんなの党は、今臨時国会に提出すべく、日銀法の改正案を準備しております。

 また、経済活動の主役は民間です。どのような分野に投資すればより多くの富が得られるのか、政府の官僚が知っているわけではありません。投資先の選定は民間にゆだね、新たなチャレンジを後押しすることにこそ政府は注力すべきです。

 このため、みんなの党は、政府案の緊急経済対策にかえて、民間投資を促進するための減税措置、具体的には、自由償却制度を盛り込んだ編成替え動議を提出させていただきました。この措置を講ずれば、約四兆円の減税措置に対して少なくとも十三兆円程度の設備投資の増加が見込まれ、さらに、波及効果により現在のGDPギャップ三十兆円弱をかなりの程度埋めることが可能であります。

 こうした真に有効な対策から目を背け、定見と戦略なき政権運営を続ける菅内閣に対し、強く抗議の意を表して、私の反対討論を終わります。(拍手)

中井委員長 次に、下地幹郎君。

下地委員 私は、国民新党・新党日本を代表して、ただいま議題となっております平成二十二年度補正予算三案に対して賛成、両動議に反対する討論を行うものであります。

 我が国経済は、依然としてデフレの状況にある中で、急速な円高の進行によって深刻な打撃を受けております。また、雇用も厳しい状況にあり、経済の先行きは不透明なものとなっております。

 これに対し、政府は、三段構えの経済対策を用意し、その第二段階の円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策を実施するために平成二十二年度補正予算を編成し、今国会に提出しました。

 以下、本補正予算に賛成する主な理由を申し述べます。

 賛成の理由の第一は、景気対策として即効性のある社会資本整備の追加や中小企業の資金繰り支援など、景気の下支えをするための施策が盛り込まれていることであります。

 賛成の理由の第二は、重点分野雇用創造事業の拡充など、高まる雇用不安への対策がなされていることであります。

 賛成の第三の理由は、保育サービスの充実や子宮頸がんのワクチンの接種の促進など、子育て、医療の分野を充実させるための措置を講じていることであります。

 以上が、補正予算三案に賛成する主な理由であります。

 我が国の経済の将来に対する不安が高まる中、補正予算の早急な成立と迅速な執行の必要があることは言うまでもありません。年末を控え、年内に少しでも多くの予算が執行できるように、補正予算の一日も早い成立が求められております。

 また、現下のデフレ、雇用不安は、当然のことながら、この補正予算だけで解消できるものではありません。補正予算の成立、執行と同時に、来年度予算のステップスリーを待つことなく、さらなる経済対策を実施し、景気の下支えを強化し、来年度予算につなげていく必要があります。その意味で、補正予算の迅速な成立、執行に続く新たな経済対策を実施することを改めて政府に求めて、私の賛成討論といたします。

 なお、自由民主党・無所属の会の提出の動議及びみんなの党の提出の動議については、見解を異にするものであり、反対いたします。(拍手)

中井委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

中井委員長 これより採決に入ります。

 まず、武部勤君外二名提出の平成二十二年度補正予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決をいたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中井委員長 起立少数。よって、武部勤君外二名提出の動議は否決されました。

 次に、浅尾慶一郎君提出の平成二十二年度補正予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中井委員長 起立少数。よって、浅尾慶一郎君提出の動議は否決されました。

 次に、平成二十二年度一般会計補正予算(第1号)、平成二十二年度特別会計補正予算(特第1号)、平成二十二年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して採決いたします。

 三案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中井委員長 起立多数。よって、平成二十二年度補正予算三案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました平成二十二年度補正予算三案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

中井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後十一時四十五分散会


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