衆議院

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第10号 平成22年11月25日(木曜日)

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平成二十二年十一月二十五日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 中井  洽君

   理事 岡島 一正君 理事 川内 博史君

   理事 城井  崇君 理事 小林 興起君

   理事 武正 公一君 理事 中川 正春君

   理事 武部  勤君 理事 富田 茂之君

      阿知波吉信君    石田 芳弘君

      糸川 正晃君    打越あかし君

      金森  正君    金子 健一君

      川島智太郎君    北神 圭朗君

      黒田  雄君    小山 展弘君

      古賀 敬章君    高野  守君

      高邑  勉君    竹田 光明君

      橘  秀徳君    玉城デニー君

      津島 恭一君    豊田潤多郎君

      中野渡詔子君    長島 一由君

      早川久美子君    水野 智彦君

      森本 哲生君    山口  壯君

      山田 良司君    山井 和則君

      湯原 俊二君    小里 泰弘君

      小野寺五典君    金子 一義君

      金田 勝年君    小泉進次郎君

      佐田玄一郎君    齋藤  健君

      菅原 一秀君    野田  毅君

      馳   浩君    山本 幸三君

      竹内  譲君    笠井  亮君

      阿部 知子君    山内 康一君

      下地 幹郎君    田中 康夫君

    …………………………………

   内閣総理大臣       菅  直人君

   国務大臣

   (内閣官房長官)

   (拉致問題担当)     仙谷 由人君

   外務大臣         前原 誠司君

   財務大臣         野田 佳彦君

   文部科学大臣       高木 義明君

   国土交通大臣       馬淵 澄夫君

   防衛大臣         北澤 俊美君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 岡崎トミ子君

   内閣官房副長官      古川 元久君

   内閣官房副長官      福山 哲郎君

   総務副大臣        鈴木 克昌君

   外務副大臣        伴野  豊君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   防衛副大臣        安住  淳君

   防衛大臣政務官      広田  一君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    西村 泰彦君

   予算委員会専門員     春日  昇君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十五日

 辞任         補欠選任

  早川久美子君     中野渡詔子君

  福田 昭夫君     北神 圭朗君

  渡部 恒三君     山井 和則君

  馳   浩君     小野寺五典君

  遠山 清彦君     竹内  譲君

  下地 幹郎君     田中 康夫君

同日

 辞任         補欠選任

  北神 圭朗君     古賀 敬章君

  中野渡詔子君     早川久美子君

  山井 和則君     渡部 恒三君

  小野寺五典君     馳   浩君

  竹内  譲君     遠山 清彦君

  田中 康夫君     下地 幹郎君

同日

 辞任         補欠選任

  古賀 敬章君     福田 昭夫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 予算の実施状況に関する件(朝鮮半島情勢等)


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     ――――◇―――――

中井委員長 これより会議を開きます。

 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。

 本日は、朝鮮半島情勢等についての集中審議を行います。

 本件調査のため、本日、政府参考人として警察庁警備局長西村泰彦君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北神圭朗君。

北神委員 おはようございます。衆議院議員の北神圭朗でございます。

 本日は、このような質問の機会を与えていただきまして、感謝を申し上げたいと思います。

 まず、今回は北朝鮮の集中審議ということで、北朝鮮が韓国の領土、島に武力攻撃をしたということでございます。この件については、相変わらずのことながら、本当にけしからぬ国だなというふうに思っております。この前の中国の件もそうですが、報復措置とかあるいは武力によっていわば恐喝外交をしている、十九世紀的な発想をいまだに残しているこういう国がいるということは、まことに残念至極でございます。しかしながら、こういう国と対応していかないといけないということでございます。

 率直に申し上げて、菅総理を初め皆さんも一生懸命頑張っていただいていると思います。ただ、一連の外交については、国民は正直、これは現実として不安に思っているところもありますし、我々、地元に戻ると批判にもさらされている部分もございます。これはもちろん、マスコミとかがゆがんだ報道をしたり、そういった部分もあるかもしれません。しかし、我々与党議員も、なかなか、皆さんがどういう意思決定をしてどういう発想でやっているのか理解できないところもあります。中が見えないところもございます。そういった意味で、我々もやはり不安であり、納得できない部分もあるということは言わざるを得ないというふうに思っております。

 そこで、今回の北朝鮮の問題について具体的な質問をしたいと思います。

 まず、今回、報道を見ると、けさの新聞を見ますと、初動がおくれている、その勃発した後に、これはちょっと通告していないんですが、総理が対応がおくれていた、非難表明もおくれていた、こういう報道がございますが、この点について、総理大臣から実態についてお聞かせ願いたいと思います。

菅内閣総理大臣 まず、国民の皆さんに、今回の北朝鮮の延坪島に対する砲撃ということで本当に御心配をいただいている、それに対して政府としてどう対応しているか、こういう場でしっかりとお伝えをしたいと思います。

 二十三日、これは勤労感謝の日で休日でありました。私は官邸のすぐそばの公邸におりまして、第一報を受けたのは十五時三十分、秘書官から連絡を受けました。報道も流れているということを聞きましたので、すぐテレビをつけました。

 御承知のように、今回の砲撃は、その約一時間前の十四時三十四分に砲撃があった。ただ、これが発表されたのは、韓国の正式な発表は十八時ごろであります。ですから、実際の砲撃から約一時間後に私のところに秘書官を通して連絡があったわけですが、これは当然ながら、いろいろな情報網を我が国も持っておりますので、そういった情報網から入ってきたことを私に伝えた、それが十五時三十分でありました。

 そこで、すぐに官邸に入ることは、私はすぐそばですからできるんですけれども、休日でありますので、官邸には人は一般的にはおりません。そこで、電話連絡でいろいろと連絡をとって、できるだけ早く関係する人に集まってもらいたい、こういうことを指示いたしました。

 その結果、十六時四十五分ごろに私自身も官邸に入りまして、官房長官あるいは官房副長官さらには危機管理監、そういうメンバーが集まって、それまでに集められた情報をまず改めて聞くとともに、さらなる情報収集、それから不測の事態に備えての万全の体制をとるようにその場で指示をすると同時に、防衛大臣に対しても電話で連絡をいたしました。防衛大臣は既に防衛省の方におられたようでありますけれども、そういう形で連絡をとったところです。その結果を、私はその直後に、いわゆるぶら下がりという形で、こういう指示をしたと、つまりは情報収集にまず全力を挙げろ、不測の事態に備えろ、この二つのことを指示したということを記者団に申し上げました。

 私は、当日は夕方から宮中行事が入っておりましたので、服装を整えて、同日の十七時二十五分ごろ皇居に伺いまして、そして十七時三十五分から二十時二十分まで宮中行事に出席をいたしました。その間も、秘書官を連れていっておりますので、さらに緊急事態が起きたときにはすぐ連絡がとれるような、そういう体制をとっておりました。

 そして、皇居から帰りまして、二十時三十分、それまでの間に既に関係閣僚会議というものを招集するという手はずが整っておりましたので、その直前に、まず官房長官と三人の副長官から報告を受け、二十時四十五分から関係閣僚会議を開催して、そして改めてその時点における情報の分析と今後の対応について協議を行いました。

 私からは、三点、その場で申し上げました。一点は、北朝鮮の今後の動向等に関し情報収集にさらに努めること、二点目は、韓国、米国と緊密に連携し対応すること、三点目は、不測の事態に対して備えるなど、国民の皆様の安全、安心の確保に万全を期すこと、この三点をその中で申し上げました。そして、政府としての考え方を、官房長官から記者会見で国民の皆さんにお伝えしました。

 何か、我が国の非難のメッセージが少し遅かったのではないかという指摘がありますけれども、この関係閣僚会議を開くのが、私が宮中行事から帰ってすぐに開いたわけですけれども、それが二十時四十五分になった関係で、その直後に官房長官から、そうした中身を含むメッセージを出していただきました。

 翌二十四日には、政府として正式な北朝鮮による砲撃事件対策本部を設置して、第一回会合を行い、その場でも私から、許しがたい蛮行であるということを申し上げたところです。

 そしてさらに、昨日になりますが、その直後の十二時八分から、約二十分間にわたって李明博大統領と電話会談を行いました。大統領からは、日本の迅速な支持表明あるいは北朝鮮に対する非難ということに対して感謝の意を表され、私の方からも、韓国、アメリカとの連携、さらには、この問題では北朝鮮に影響力を持っている中国に対しても、しっかりそうした立場の責任を感じて対応してもらわなければならない、こういうことを話し合いまして、外務大臣の方にその趣旨を伝え、外務大臣が駐日大使を呼んでその旨を伝えた。

 ちょっと長くなりましたが、こういう経緯でありまして、迅速な対応がしっかりととれてきた、このように申し上げて間違いないと私は思います。

北神委員 もう気がついたらあと五分しかないので、一番大事な質問をしたいと思います。

 今回、北朝鮮はなぜこういうことをしたのか、なぜこういう暴挙に出たのか、その原因は何なのか、動機は何なのか、これをどう分析しているのか。今までは北朝鮮というのは瀬戸際外交ということで、おどしをかけて、そして目的は米朝の会談とかあるいは六者会談に引き込もうとする、そのための挑発行為である。

 今回もそういうことであるならば、私は、今まで日本も、場合によっては米国も韓国も、毎回北朝鮮のこの恫喝に乗って、毎回話し合いをして、毎回交渉して約束をして、毎回約束が破られてきているわけですよ。こんな不誠実な国に対して、今回もまた六者会談にほいほいと乗るようなことはあってはならないというふうに思っておりますが、その点について総理のお考えを聞きたいというふうに思います。

菅内閣総理大臣 この間、韓国哨戒艇の沈没事件、さらにはウラン濃縮といったことを次々に引き起こしていて、さらに砲撃ということでありまして、その意図は、もちろんいろいろな推測はあります。私も、今のお話のように、米国あるいは他の国をいわば交渉の場に引き出すための、瀬戸際というのか、今回は瀬戸際を超えていますけれども、そういうねらいがあるのではないかと思っております。

 ただ、今のお話にありましたように、この間、常にそういう瀬戸際的な行動をとることで何らかの見返りを得て、しかし、約束したことは守ってこなかったわけでありますので、その姿勢に対しては厳しい姿勢で臨まざるを得ない、このように考えております。

北神委員 ぜひ、その線で頑張っていただきたいと思います。

 あともう一点質問したいのは、今回、韓国も世論が非常に激化しております。この中で緊張が高まれば、万が一かもしれません、しかし場合によっては、北朝鮮と韓国の間で紛争が生じることも想定をしなければならないというふうに思います。

 その際、多くの日本人が朝鮮半島におります。拉致被害者も北朝鮮におられます。こういった事態の中で、日本が国家としてこの救出をすることもやはり考えていかなければならないというふうに思っておりますが、この辺の準備をしているのかどうか、お聞きしたいと思います。

前原国務大臣 これ以上のいわゆる対立激化というものは何としても避けなくてはいけないと思いますし、国内世論は非常に厳しいものがあると思いますけれども、韓国が理性的な対応をされていることには我々は評価をしなくてはいけないし、また、北朝鮮がさらなる挑発をしないように、まずは日米韓、そして中国あるいはロシア、ほかの国も巻き込んで、北朝鮮に対して強く求めていくということは大事だろうと思います。

 しかし、万が一の場合が起きたときの対応というのは、今、北神議員がおっしゃったように、とらなくてはいけないと思います。過去にもそういった事例の中で邦人救出を行ってまいりましたし、また、それでは法的に不十分だということで、過去に自衛隊法の改正も含めて邦人救出の充実を図っているところでございますので、法的な背景に基づき、まずは民間機のチャーター、あるいは必要なときは自衛隊あるいは友好国等に呼びかけて万全を期して、万が一そういう事態になったときには邦人救出というものに当たりたいと考えております。

北神委員 ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 特に周辺事態になった場合、今の自衛隊法では、御存じのように、釈迦に説法ですが、安全地帯にしか行けない、こういう状況です。そういう場合、安全地帯だったら民間のチャーターでもできる話ですから、ほとんど自衛隊の意味がない。もちろん、これは韓国と綿密に話し合いをしなければいけない話ですが、こういったことも視野に入れて検討をしていただきたいと思います。もう時間ですね。

 そういうことで、日米韓と連携をして、当然一番影響のある国は中国ですから、中国も巻き込まないといけないと思いますが、やはり日米韓がしっかりと連携をする。軍事演習も米と韓の間でやるという話も報道でありますが、そういったことについても日本はしっかりと連携をして、場合によっては参加することも私は可能だと思っております。というのは、北朝鮮に対するメッセージのみならず、これは、この北東アジアにおいて……

中井委員長 北神君、時間が過ぎていますから終わってください。

北神委員 国際的な常識に反するような行動をとっている国でありますので、しっかりとその辺は意思を表明していただきたいと思います。どうかよろしくお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

中井委員長 北神君の質疑は終了いたしました。

 次に、田中康夫君。

田中(康)委員 国民新党と与党統一会派を組んでおります新党日本の田中康夫でございます。

 先ほど北神圭朗議員の御質問にも、菅総理が六カ国協議の内容をお話しになりました。

 昨日の会見で、前原誠司さんは、六カ国協議は再開が遠のいた、このように御発言されていますが、この御認識で誤りはありませんでしょうか。

前原国務大臣 韓国、アメリカ、そして中国との外相のお話の中で、対話のための対話はしない、つまりは、何らかの前進というものがなければ、六者協議というものは行っても意味がないのではないかという確認をしております。また今回、さらに事態を悪化させることを北朝鮮がやったわけでありますので、その前提で私はきのう記者会見で申し上げたわけでございます。

田中(康)委員 冒頭この御質問をいたしましたのも、実は、防衛大学校の校長を務められた西原正さんは昨日、周辺事態の適用を言い出すのは尚早である、これは逆に事態をかえってエスカレートさせ、緊張を高めると、冷静な議論を求めております。

 これは、やはり今までオバマ政権は、戦略的忍耐という名のもと、アフガニスタンやイラク、イランで忙殺されていたということもあり、北朝鮮をほとんど無視してきた、このように西原さんはおっしゃっているわけです。ですから、今回、あえて米国から専門家を招き入れて核関連施設を見せたり、あるいはウラン濃縮施設を説明したのは、むしろこれは米国との対話再開を望んでいるというふうに冷徹に認識すべきじゃないのかと。

 もちろん、今回の砲撃というのはゆゆしき事態であります。確かに、朝鮮戦争の休戦協定や、あるいは一九九二年の南北の基本合意書に違反をしております。しかし、西原さんがおっしゃっているのは、だからこの黄海の南北の境界水域における韓国軍あるいは米韓の合同演習というものへの対抗を口実として今回のゆゆしき砲撃があったと。しかし、このことで批判をすればするほど、逆に板門店での休戦会談を米韓両国が提案せざるを得ないジレンマになっていくんじゃないのか、だから冷静な冷徹な戦略を持つべきだと元防衛大学校校長の西原さんはおっしゃっているわけです。早くもきのう、在韓の国連司令部は北朝鮮との将官会議というものを提案しているわけですね。

 一方で、菅さんはきのう、日韓の首脳電話会談で、しっかり働きかけることを中国に強く求めたいとおっしゃられました。しかし、私は、日本は今こそ脱傍観者として主体的に動かなければいけないんじゃないのかと。すなわち、中国任せ、米国任せではなく、強いリーダーシップを発揮しなくちゃいけないんじゃないのかと。なぜならば、日本は拉致被害国だからこそその権利があると思っております。これは西原さんの見立てのように、早晩、お互いの話し合いあるいは六カ国協議というものも私は始まっていくんじゃないのかと。

 なぜならば、御存じのように、中国というものは、北朝鮮と接しているところは朝鮮民族が多く住んでおります。よい意味で、中国はここで膨大なインフラ整備を、高速も、鉄道もしているわけですね。すると、問題先送りをすればするほど中国はインフラが整備されて、北朝鮮が仮に崩壊した後はそこを中国の自治州にするかもしれない、チベットと同じように。ロシアはこれは傍観ならぬ静観をしているわけですね。それで、もし仮にこの段階で北朝鮮が崩壊すると、脱北者が来れば、韓国は大混乱になって、経済も混乱して、そのときに、在韓米軍というものはそのまま座して見ているわけにはいかないという大変に危険な状態になろう。

 一方で、六カ国協議の真意というものは、これはもう前原さん十分御存じだと思いますが、私は、これは、北朝鮮の天然地下資源であろうと思います。つまり、海底油田のみならずレアアースやレアメタルというものが、石炭だけでなくモリブデンやタングステン、たくさんあるわけですね。では、これをソフトランディングに近い形でハードランディングするときに、これをどのように関係国で享受するか。

 恐らくそのときには、日本というところがまた最大の金銭を出すお財布になってしまうかもしれない。すると、拉致被害国であるこの日本は、今こそ、脱青年の主張やあるいは脱傍観者として、むしろこの舞台回し役を務めるべきではないか、このように思いますが、最後に、改めて前原さんの御見解をお聞きしたいと思います。

中井委員長 時間が過ぎておりますので、前原君、簡単に答えてください。

前原国務大臣 田中委員のさまざまな分析というのは、まことに的を得た点が多々あると思います。

 今回の砲撃事件のいわゆる被害国は韓国でございまして、韓国の考え方というものをしっかりと我々は緊密に連携をとって把握をし、日米韓、連携をし、また中国、ロシアとも連携をしていく。その中で、今委員のおっしゃったように、日本としても、ただ単にほかの国に任せるだけでなくて、自分たちも働きかけていくという姿勢は必要だと思いますので、何らかの形で、今委員のおっしゃったようなことも含めて、我々は外交で努力をしていきたいと考えております。

中井委員長 これにて田中君の質疑は終了いたしました。

 次に、小野寺五典君。

小野寺委員 自由民主党の小野寺五典です。

 きょうは、質問の機会をありがとうございます。

 まず、今回の北朝鮮による韓国砲撃事案ですが、これは、アジアの平和と秩序に対する重大な挑戦だと思っております。我が党としても、北朝鮮のこのような蛮行に対して厳しく抗議するとともに、この抗議の意思を国会決議という形で示すべきだと考えております。

 また、今回の砲撃で、韓国軍の兵士のみならず民間の方まで亡くなられたということでございます。心から哀悼の意を表しまして、また、負傷された方もいらっしゃいます。一日も早い御回復をお祈りしたい、そう思っております。

 さて、その中、実はけさ、テレビ、新聞等で報道がありました。政府・民主党内からこの砲撃事案について、これは民主党にとって神風だ、こういう発言があったと報じられております。不謹慎かもしれないが、国会対策上にとっては天佑になるかもしれないな、閣僚をやめさせても補正予算の成立が思いどおりにならなかった政権にとっては、まさに幸運じゃないかと。

 私は、まさか菅総理はこんなお考えをお持ちではないと思いますが、このような神風という発言が出ること、このことについて、菅総理の御見解をお伺いしたいと思います。

菅内閣総理大臣 今回の事件は本当に許しがたい行為でありますし、被害あるいは亡くなられた方に対して、本当に心からの弔意をあらわしたいと思っております。

 今御指摘のあったような発言があった、なかったは、私は全く承知をいたしておりません。そういった考え方を私自身は全く持っていないことはもちろんでありまして、そのことは明確にしておきたいと思います。

小野寺委員 菅総理がそのようなお考えをお持ちでないということは私どもも信じておりますので、ぜひ、党内からそのような声が出ない、そういうことをこれからもしっかりと監督していただきたい、そのように思っております。

 さて、菅総理、今回の砲撃戦、現在は一日のみの交戦で、今、小康状態を保っていると思っております。多くの日本の国民あるいは世界の皆さんがかたずをのんで今の状況を見守っていると思いますが、今回のこの砲撃に連動して、今後、北朝鮮の軍隊がどのような行動に出てくるのか、これが大きな問題に派生するのか、あるいはこのままおさまっていくのか、さまざま、今後予想できないこともあると思います。

 まずお尋ねしたいのは、今回のこの北朝鮮の行動、これが政府としてある程度予測していたのか、していなかったのか、そのことについてお伺いをしたいと思います。総理、お願いいたします。

前原国務大臣 さまざまな情報というのは、韓国あるいは米国、あるいは当然ながら自国で収集をしておりますけれども、どのようなものが具体的にあったのか、なかったのかと言うこと自体が日本の国益を損ねることになりかねませんので、御理解をいただいて、差し控えさせていただきたいと思います。

小野寺委員 何か前原大臣、いつも歯切れがいいんですが、このことに関しては、法務大臣をやめられた柳田さんの印象がどうもぬぐえない、そんな残念な印象がございます。

 さて、今回、このような大規模な事案が発生したんですが、これは私ども、対岸の火事ではない、日本に及ぶ可能性だって否定できない大変大きな問題だと思いますが、このような事態、これはやはり日本政府にとっても大変緊急な事態、これはしっかりと対応する大きな事態だと総理は認識されているでしょうか、教えてください。

菅内閣総理大臣 私がまだ小さかったころですが、朝鮮戦争というものがあって、それ以来、人が住む地上に砲撃をされたのは朝鮮戦争の休戦以来初めてのことである。これは本当に、状況によっては朝鮮戦争をまた勃発しかねないような極めて重大な案件だと考えて、政府としても最大限の関心を持ち、あるいはあらゆる不測の事態に備える態勢で臨んでいるところであります。

小野寺委員 総理にお伺いします。そのような不測な事態ということですから、これはやはり緊急事態と私どもは認識してよろしいんでしょうか。

菅内閣総理大臣 緊急事態という表現はいろいろな形で使われますけれども、極めて重大な事件であり、それに対してしっかりと対応をしていかなければならない、そういう意味では緊急ということになります。

 ただ、何をすべきかというときに関しては、しっかりと状況なり情報を収集し、特に当事者であります韓国政府と、私も大統領とお話をしましたけれども、そういう話、あるいは米国との話、そういうことを踏まえながらとるべき行動はしっかりとっていきたい、こう考えております。

小野寺委員 今、このような大きな事案ですので、総理も、これはもう緊急事態だ、そういうことに当たる、そういうお話があったかと思っております。

 さて、このような状態、私も外務の副大臣をさせていただいた経験がございます。当然、外務省で大臣が不在のときには、私どもも東京におり、そして、いざというときにはすぐに各省庁に三十分以内に集まり対応するようにということを、政権にいたときにも指示をいただきました。

 実は、このような緊急事態の発生時における閣僚の参集対応ということが閣議で決まっております。平成十五年十一月に出ておりまして、現在もそれが生きております。

 これはどういう内容かといいますと、「緊急事態への備えについて」、各閣僚は、いかなるときにも連絡がとれるよう、各省庁において連絡先を明確にしておく。各閣僚が東京を離れる場合には、あらかじめ副大臣、政務官が代理できるようにしておく。そして、もう一つ一文がありまして、「各閣僚は、緊急事態の発生を了知した場合には、速やかに所属する省庁に参集する。」緊急事態が発生したらすぐに、自分が所掌する役所にすぐに速やかにということがあったかと思います。私どもが政権にいたときは、おおむね三十分というのが言われていた内容でございます。

 今回、この問題に関して、北朝鮮の事案ですので、一番私どもが心配するのは、これはもしかしたら対岸の火事ではない、日本国内で例えばさまざまなテロの不安、さまざまな私たちの生活に不安というのが及ぶのではないかと考えるのが通常だと思っています。日本の原発、この安全性は大丈夫なのか。従前、北朝鮮からの工作員が入ったということも事実がございました。こういう治安、公安に対してさまざまな対応をするということが私どもは大切だと思っております。

 国家公安委員長にお伺いいたします。

 この砲撃発生直後、公安委員長としましてはどのような対応をされたか、お伺いしたいと思っております。

岡崎国務大臣 警察庁におきましては、事件の発生を認知した直後から、外事課長を長とする情報連絡室を設置いたしまして、北朝鮮及び朝鮮総連等の関連動向に係る情報収集に万全を期しているところでございます。

 また、警察におきましては、本年三月発生の韓国哨戒艦沈没事件等も踏まえまして、既に、政府関連施設を初めとする重要施設等に対して、所要の警戒警備を実施してきております。

 さらに、警察庁の方からは、都道府県警察に対して、関連重要施設等の警戒警備の徹底を指示したものと承知をいたしております。

 さらに、二十四日、官邸に対策本部が設置されたことに伴って、警備局長を長とする警備対策室を設置いたしまして、情報収集及び警戒警備の徹底に万全を期しているものと承知をいたしております。

 今後とも、関係機関等と連携を緊密にいたしまして、情報収集に万全を期すとともに、情勢に応じた適切な体制を確立して、重要施設等の重要な警戒警備を徹底して、テロ等の未然防止に万全を期すように警察庁を指導してまいる所存でございます。

中井委員長 岡崎さん、小野寺さんの質問は、あなたの対応はどうでしたかであったと僕は承知しています。今のは警察庁の対応であると思いますので、あなたの行動について御説明を願います。

岡崎国務大臣 失礼しました。

 今回の事件の発生を認知した直後から、外事課長を長とする情報連絡室を設置しまして、北朝鮮及び朝鮮総連等の情報収集に万全を期しているところでございます。

 私への第一報は、二十三日十六時ごろ、秘書官を通じてなされておりますけれども、その際、警察における対応状況等について報告を受けております。そして、私からは、対応に万全を期すように指示をしたところでございました。

 その後も随時、警察の対応状況等について報告を受けているところでございますが、同日の二十時四十五分には、総理官邸で開催されました関係閣僚会合に参加をしております。

 今後とも、関連情報の収集と警戒警備態勢を万全にしていくように警察庁を指導してまいる所存でございます。

小野寺委員 一つだけお伺いをします。

 二十三日に、岡崎大臣は警察庁に入りましたか。ここにあるように「各閣僚は、緊急事態の発生を了知した場合には、速やかに所属する省庁に参集する。」大臣は二十三日四時に話を伺ったというふうに今伺いましたが、この二十三日、警察庁に大臣は入りましたか。そのことをお伺いしたいと思います。

岡崎国務大臣 警察での対応状況は、第一報以降、随時、私のもとに必要かつ十分報告がなされておりまして、これに対して、私は、適宜指示を行うなどしておりました。

 私自身は、その日は警察庁には入っておりません。

小野寺委員 今の最後の一言だけをお伺いしたかったんです。この日、警察庁には岡崎大臣は入っていなかった。

 ですから、今回の公安、治安に対する会議、普通であれば、幹部会を招集し、しっかり対応する。実は、北澤大臣は防衛省でしっかり対応して、会議を集めているんです。ですが、私どもは、防衛の問題ともう一つ、国内の治安の問題があります。この治安の問題に対して一番その責任者の岡崎大臣が、本来であれば、テロは大丈夫か、治安は大丈夫か、そういうことを、まず警察庁に行って、幹部を招集して、そこで会議をしっかり行って、それから指示をする。私は、政治主導というのはそういうものではないかと思うんです。

 この閣議了解に今回は違反しているのではないか、そう思いますが、仙谷官房長官、今の大臣の答弁はどうお考えでしょうか。

仙谷国務大臣 十五時二十四分ころに私のところにも、私は自宅におりましたが、電話連絡、あるいはその後はメールが頻々と入ってまいりました。電話で連絡をとりながら出発の準備をしたというのが実情でございます。

 現時点は、電話あるいはメールといったものが大変発達するというか、我々のところに来ますので、私自身も、あるいは岡崎さんも、今おっしゃられたような、日本国内に不穏な状況があるのかどうなのか、十二分に連絡をとりながら対処をされていらっしゃったと思います。

 私も、ちょっと、緊急事態というふうにおっしゃったわけでありますが、ここで、平成十五年の閣議了解で「緊急事態発生時における閣僚の参集等の対応」というふうに書かれておる文書を今拝見しておるわけでありますが、緊急の事態であることは間違いありませんが、例えば、ここで書かれている「東京二十三区内で震度六強以上となる首都直下型等大規模地震の発生」、こういう、つまり日本の通信やあるいは我々の交通を含めて、官庁に直接参集を直ちにすべき場合か、あるいは、当該官庁の官僚の方々と密接に連携をとりながら、情報を分析しながらどう動くか、そういう事態なのか、これはなかなか微妙な事態だったと思います。

 私は、できる限り速やかに官邸に赴くというつもりで、情報を聞きながら準備をしたわけでございます。

小野寺委員 今の閣議了解については、内容について違うと思っております。これは、もうここに明確に書いてありますが、別に地震のときではないんです。「緊急事態の発生を了知した場合」。そして、私ども国民は、今回の問題というのは、どう見てもこれは緊急事態、どうなるのかということがあります。ですから、私どもは、それをしっかり対応していただきたい。

 実は、幾つかの閣僚は、自分の所掌の各役所に行ったのが夜中だったということも判明しております。私はぜひ、今回、またこのような事案があったときにはしっかりと対応するためにも、もう一度この閣議了解、何かあったらすぐ自分の所掌の役所に行き、そして幹部を集め、しっかりと対応する。メールとか電話が発達したからできますよ、そんな程度の話じゃないと思うんです。ぜひこれを徹底していただきたい、そう思っています。

 では、今回の問題について少し時系列的に話をしたいと思います。内容について数分の違いがあるかもしれません。それはお許しいただければと思います。

 まず、二十三日午後二時三十四分ごろ、北朝鮮が延坪島付近で射撃を行った。四十七分、韓国軍が応戦をし、五十八分、韓国聯合ニュースが速報として流れました。そして三時二十分、この報道は聞いたことかもしれませんが、危機管理センター、情報連絡室というのが首相官邸の中にできました。

 ここで、まず一つ不思議なのは、その十分後、三時半ごろ、先ほど総理もお話しされましたが、秘書官を通じて砲撃についての報道を知った、あるいは内容を知った、そういうことだと思います。通常、私どもが考えますと、まず、危機管理センターに情報連絡室をつくるということは、この了解、許可というのは当然総理が行うべきものだと思うんですが、なぜ連絡室ができた後に総理が知ることになったのか、そのことを総理からお伺いしたいと思います。

仙谷国務大臣 情報管理室は、危機管理監が判断をされて危機管理監がつくるというものでございまして、十五時二十分に設置されております。

小野寺委員 それでは、この危機管理センター、これは総理が知る前に危機管理監が設置をされたということですが、このとき危機管理監は官邸におりましたか、それを伺います。

仙谷国務大臣 官邸にはいなかったようでありますが、多分、何らかの手段で指示をして、設置をしたということだと思います。

小野寺委員 危機管理監の仕事というのは、こういう危機管理のときに対応するために、わざわざ危機管理ということで個々に対応して、しかも、すぐそばに宿舎があって、いい場所に住んでいるわけですよ。ところが、今ちょっとお話を伺いました。官房長官は、多分、今初めて後ろから教えてもらったと思うんです。実は、この危機管理センターを設立するときの責任者、危機管理監は、このとき官邸にいなかったんです。

 再度確認します。そのとおりでいいですね。

仙谷国務大臣 伊藤内閣危機管理監は、この北朝鮮による砲撃事件の第一報の連絡を十五時二十分ごろに都内で受けたということでございまして、第一報を受け、直ちに官邸危機管理センターに情報連絡室を設置するよう内閣官房の担当参事官に指示をした。と同時に、その後も逐次、危機管理センターを初め関係部署とも連絡をとり、必要な指示を行いつつ、官邸には十六時三十分前には到着したということでございます。

 官邸到着後は、直ちに安全保障・危機管理担当の副長官補や内閣情報官とそれまでに蓄積された情報を確認して、総理及び私に状況の報告を行ったところでございまして、その後も、総理指示の各省庁への伝達、関係閣僚会合に向けた情報の集約や関係省庁への指示等の対応を行った、こういうことでございました。

小野寺委員 だらだら紙に書いて何か時間稼ぎをしている、そう思わざるを得ません。尖閣事案のときにも官房長官にお話をしました。もうちょっと真摯に答えていただければと思っております。

 私どもは、官邸の危機管理機能をしっかりと高めるということ、その目的でこのようなことを質問させていただいております。ですから、この内容を聞いて、なるほど、ここはちょっと対応としてはまずかったなと思うのであれば、危機管理監はやはり常に官邸のそばにいて対応する、そういうことを考えるべきではないかと私は思います。

 そして、三時二十分、危機管理監が官邸にいない中で、実は情報連絡室というのが設置をされ、三時半に総理に、右の方にありますが、このとき総理は首相の公邸にいまして、秘書官から報告を受けた。その後、報道も見たということを報告されました。そして、四時半になりますが、官房副長官、そして、このとき危機管理監も初めて官邸に入りました。

 実は、この三時二十分から四時半の間、官邸は空っぽだったんですよ。だれもいなかったんですよ。責任者が空っぽだったんですよ。この官邸不在の七十分間、これ、空にしたことについて。

 しかも、このとき国民はどう思っていましたか。テレビをつけると、この映像が何度も何度も流れ、みんな映像で、日本は大丈夫なのか、この国は大丈夫なのか、本当に私どもの生活は大丈夫なのか、みんな不安に思ったわけです。そして、頼るところは政府、総理なんです。そして、総理がしっかりこの問題に対して対応してくれていること、頑張って対応してくれていること、それを思っていたはずなんですが、ごらんください、この一番大事な初動の七十分間、私どもがテレビでかたずをのんで見ている間に官邸は空っぽだったんです。

 総理、このことについてどうお考えですか。(発言する者あり)

中井委員長 静粛に願います。静粛に願います。

 仙谷由人内閣官房長官。(小野寺委員「総理に聞いています、総理に」と呼ぶ)もう指名しましたから。(発言する者あり)静粛に願います。(発言する者あり)静粛に願います。

仙谷国務大臣 先ほど、内閣参事官に危機管理監から指示をしたというお話をしましたが、当時は、こういう危機管理監の指揮下の内閣参事官等々職員が数十名官邸にはおったということでございまして、別に空っぽではございません。

小野寺委員 職員がいるのは当たり前ですよ。官邸に職員がいなかったら、これはおかしいじゃないですか。私は、政治主導と言うのであれば、少なくても政治家あるいはその意思を受け継ぐ者がここにいなきゃいけない。でも、だれもいなかった。国民の皆さんが、まさか官邸がこんな空っぽだったと恐らくだれも思わなかったと思います。

 そして、実は今、仙谷官房長官がお話しされましたが、官房長官もここにいなかったんです。唯一官邸にいたのは、官邸の隣の公邸にいた菅総理。菅総理は公邸にここではいらっしゃいました。

 さて、菅総理、この空白の時間に公邸で何をされていたか教えてください。

菅内閣総理大臣 私は今のお話を聞いていまして、この日は勤労感謝の日で、いわゆる休日であります。ですから、平日はもちろん多くの、私自身を含めて官邸の中で執務をする機会が多いわけですけれども、日曜日あるいは休日は、官邸は事務所も事務のスタッフも一般的にはおりません。ただ、確かに、危機に対しての対応をするための部局はありますので、それは常に二十四時間対応する体制をとっている。

 ですから、何か空っぽだった、空っぽだったと言われますけれども、そうではなくて、ちゃんとした対応体制は基本的にはあったということでありまして、ぜひ国民の皆さんに誤解を招くようなことは言われないようにしていただきたいと思います。

 いいですか。その上で、私は、この日は、官邸から百歩ほどで、すぐ一分以内で行ける公邸におりましたので、公邸の中で連絡を受けました。(発言する者あり)いろいろやじが飛んでいますが、私が公邸から官邸に動くことは物理的には非常に近いわけですけれども、今申し上げましたように、私一人が自分の部屋に入ったとしても、そこで情報が入ってこなければいけませんので、私のところにもうそれ以来電話等でいろいろなところから情報が入ってきておりましたので、テレビをつけて、同時にそうしたいろいろな情報を受けていたというのが実態でありまして、決してその間が空白であったというふうには考えておりません。

小野寺委員 今、勤労感謝の日で休みだったのでだれもいなかった。こういう緊急事案は別に休みの日でも起こることがあります。対応をしっかりすることが大切だと思います。そして、事実としてこの官邸には……(発言する者あり)済みません、皆さん静かに。これは、別に私ども、攻撃するんではなくて、こういう問題があるから指摘をしている話なんです。

 七十分間、官邸には総理もいなかった、官房長官もいなかった、官房副長官もいなかった、危機管理監もいなかった、国家公安委員長も各大臣もだれもいなかった、政治家はだれもこの間はいなかった。それが事実です。

 そしてもう一つ、実は、公邸には総理は確かにいらっしゃいました。近くです。ですから、私は公邸に総理はいるんだなと。実は、この瞬間、いろいろな報道の方からお話がありました、総理、ひとりぼっちなんだよ。総理、今、官邸ひとりぼっち。昔、太平洋ひとりぼっちというお話がありましたが、総理は公邸でこのときひとりぼっち。

 そして、その後にお客さんがあったんです、総理に。だれだ。四時五分から四時四十二分、齋藤民主党国会対策委員長代理、この方が来ていました。そして、四十分ほどこの方と総理はお話をしています。

 北朝鮮が韓国を砲撃し、今大変な状況になっている。みんなテレビを注視して、大変だ、大変だ、自分たちの生活はどうなるのか、もし日本に北朝鮮からミサイルが飛んできたらどうなるのか、テロが起きたらどうなるのか、そういう不安をみんなあのテレビで見て思ったと思います。そして、そのとき官邸は空っぽだった。そして、公邸には総理がお客さんを招いてお話をしていた。

 齋藤さんと総理は何の話をしていたかを教えてください。

菅内閣総理大臣 何度も申し上げますけれども、官邸は空っぽではなかったんです。きちんともう情報連絡室が立ち上がって、各方面と連絡をとって情報収集をしていたわけです。私は、歩いて百歩ですし、つながっているわけですから、官邸と公邸は御存じのようにつながっているわけですから、いつでも官邸に移れる形でいたわけでありまして、そういう意味で、官邸が空っぽだったという表現は間違っていますから、それだけはきちっと言っておかなければなりません。

 その上で申し上げれば、予定していたお客さんといいましょうか、齋藤さんが来られたことは事実でありまして、しかし、こういう事態でありましたから、常にこの北朝鮮の事案について、テレビをつけて、心配だなという話もいたしました。ですから、そういうことを話をしていたということでありまして、準備ができ次第、官邸に移ったというのが実態であります。

小野寺委員 官邸に職員がいなかったということを言っているわけじゃないんです。国民の皆さんもそんなことを思っているわけじゃないんです。政治主導、政治主導と言っておきながら、官邸には総理もいなかった、官房長官もいなかった、官房副長官もいなかった、危機管理監もいなかった、政治家はだれもいなかった。これを私たちは、政治主導と言うのであれば、空っぽじゃないですかということをお話をさせていただきました。

 それからもう一つ、公邸で齋藤民主党国会対策委員長代理と何を話していたか。これは、出てきたときにこの委員長から、報道で私どもは何を話したかがわかりました。このときには、仙谷さん、それから馬淵さん、問責が参議院で出されようとしている、この問題について、どうしたらいいか、どう対応するか、その国会上での対応をされていたというふうに出ております。

 私、もしこれが事実であれば、皆さん、一番この北朝鮮の問題で国民が、大変な問題だ、燃えさかるあの島を見て、どうなるんだ、そんな心配をしている最中に、官邸は空っぽ、そして公邸には総理がお客さんを招いて、総理は何の話をしたかというと、国会対策ですよ、国会対策。何のことはない、自分の党を守るため、自分の身を守るため、このために総理は、この大切な問題に対して一切対応も指示もしないで、国家よりも国民よりも党のことを考えてあなたはこの瞬間対応していた。

 私のこの指摘は間違っていますか、総理にお伺いします。

菅内閣総理大臣 全く間違っています。全く間違っています。

 今申し上げましたように、もともと、休日でありましたけれども、私としては、休日であっても幾つかの予定を入れておりました。その一つが、この事件がもちろん起きる前、前日に、この時間に来ていただくことになっておりました。しかし、この事件が起きて、しかも、その中で何か国会対策を考えようということでわざわざお呼びしたのではなくて、もともと予定されていたことなんです。

 私は、先ほども申し上げましたように、その前に報告を受けまして、そして、関係の方面と電話連絡をいたしまして、また報道も、テレビをつけておりましたから、官邸にはいつでも一分以内には行けるわけですから、そういう態勢にいて情報を受けておりました。予定どおり齋藤さんが来られましたので、いや、大変なことになったなと、多くのことはこの話題で終始したということであります。

小野寺委員 私もこの瞬間テレビをつけていましたよ。日本全国の人もテレビをつけていましたよ。みんなが総理に期待しているのは、テレビをつけてこの問題を見てほしいことじゃないんです。この問題に対応してほしいんです。そして、今……(発言する者あり)ちょっと委員長、これ、静かにさせてください。済みません、ちょっと聞いてください。

 総理にもう一度お伺いします。

 齋藤さんの役職というのは民主党の国会対策委員長代理です。国会対策委員長代理に今回のこの北朝鮮の砲撃事案について話をした、いろいろな話をした。何の意味があるんですか。政府で対応する話じゃないですか。何でこれが民主党の国会対策の委員長代理と話す話なんですか。

 ここで話したのは、齋藤さんがみずから言っていますよ。これは、仙谷さん、そして馬淵さんに対する問責の対応をどうするか、国会対策の話をしていたんですよ。日本国民がみんな心配して、自分の身が大丈夫かと思っているその最中に、肝心かなめの官邸は空っぽ、そして公邸にいた総理は齋藤さんと国会対策で、民主党を守るための、菅総理、自分の首を守るための実は対策を組んでいた、相談をしていた。

 私は、総理に、まさかそんなことをしているんじゃないなと思ってこの話をずっと見ておりました。ですが、調べれば調べるほど……(発言する者あり)今、建設的なお話とありました。悲しかったですよ、悲しい気持ちですよ。こうやって、初動態勢、何があったかということ、これをちゃんと指摘しようと思って調べていけばいくほど、皆さん、初めて知ったでしょう、官邸が空っぽだったということ。そして、公邸で菅さんがお話をした相手というのは、国会対策の話だったこと。

 こういう問題に本当は前面で対応するのが、私どもが期待しているのは、これは大変だ、有事だ、そしてリスク管理をするためだ、総理が各閣僚みんな集めて、官房長官も集まって、すぐ官邸で対策会議を行い、そしてそこで明確な指示を出し、国民の皆さんに、安全、安心ですよ、頑張ってください、僕らも頑張ります、こういうメッセージを伝えるのが私は初動態勢の一番大切なことだと思うんです。ですが……(発言する者あり)皆さん聞いてください。

 一番この私たちの安全を守るための国家公安委員長は、この日ついに警察庁に行くことはありませんでした。官邸は七十分間空っぽになっておりました。総理は公邸で国会対策委員長代理と自分の党の話をしていました。こんなことでこの国の安全、安心が守れるのか、リスクから守れるのか、私はこれがとても心配です。

 菅総理にもう一度お伺いします。この態勢すべてに関して、あるいは公邸で委員長代理と話していたことについて、反省、これは対処がまずかった、この次はしっかりやる、そういうようなお考えはあるでしょうか、お知らせください。

菅内閣総理大臣 小野寺さんも公邸の構造を御存じかと思いますけれども、公邸にもプライベートな空間と、オフィシャルにいろいろ会議などを行う空間があります。例えば今月の二十日において、内閣として全員の閣僚を集めて集中的な議論をしたのも、公邸を使って行いました。ですから、公邸にいるから執務はしていないということではありません。公邸にいても執務をすることはたびたびあります。

 そういう中で、先ほど来申し上げていますように、十五時三十分に秘書官から連絡があって、それ以降、一つ一つだれと連絡をとったということは申し上げませんけれども、いろいろな各関係者から次々と連絡があり、そしてその中で、どの段階でどういう会議を開くかということも決まり、そこで、官邸の中で私はそういう連絡をとりながらいたということであります。

 齋藤さんは、もともとの予定として来られることになっておりましたので来られましたけれども、結果としては、まさにこの北朝鮮の砲撃事件がありましたので、ほとんどの話はその話に終始したということでありまして、その途中で、官邸の方に準備ができたので移ったということであります。

小野寺委員 今皆さんお伺いしたように、私、別に官邸でも公邸でもそれはいいんですよ。ですが、今、公邸で総理は民主党の国会対策委員長代理とお話をされた、そしてその話というのはほとんどがこの北朝鮮事案の話だったとお話をされました。私は、この話をするのであれば、呼ぶのは、国会対策委員長代理ではなくて、防衛大臣であり官房長官であり外務大臣であり、こういう方だと思います。どんなことを言い逃れしても、どんなに逃げたとしても、私は、この時系列の事実は、七十分間官邸は空っぽ、公邸にいた総理は話しているのは国会対策の話、国民の生活よりも党が大切ということがこのことで出たと思います。

 さて、その次の、後のことをちょっとお話をしたいと思います。

 五時に総理が全省庁に情報収集の指示をされた。これはファクスでされた、ファクスで通知を出したと聞いています。そして、八時五十五分、夜です、四時間たった後に閣僚会議が行われました。そして、九時四十八分に官房長官の会見が行われました。

 一つ確認したいのは、こういう事案が起きたときには、北朝鮮の問題、これは恐らく韓国にも影響する、もしかしたらその周辺のアジアにいる日本の邦人、この身の安全にも大きな影響があります。まず真っ先に邦人の安全を確保する、この対策、対応をとるということが必要ですが、外務省にお伺いいたします。

 外務省は、渡航情報を含めて、問題の対応についていつ会議をされ、何時に出されましたか。

前原国務大臣 まず、外務省としての対応についてお話をしたいと思います。

 私に連絡がありましたのは、日本時間の三時十八分でございました。そのときはオーストラリアでラッド外相との会談中でございまして、三時二十分に官邸において情報連絡室が立ち上がり、三時三十分、この日の在京当番は山花政務官でございましたので、山花政務官をヘッドとした連絡室を立ち上げ、また私からは、会談を終わった後、あるいは飛行機の移動の合間に、松本副大臣との連絡をとりながら、私の代理として、官邸あるいは外務省での指示をした、こういうことでございます。

 今お尋ねの邦人保護の件でございますけれども、この砲撃事件の発生を認知した直後より、邦人保護に万全を期すべく、在韓国日本国大使館を通じまして、砲撃を受けた延坪島においては在留届が出されている在留邦人はいないこと、及び同島は日本旅行者が赴くような観光地ではないことを午後五時までに確認をすべて終了いたしております。

 また、在韓国日本国大使館は、二十三日午後八時ごろ、邦人に対して、北方限界線付近に近づかないよう注意喚起をするお知らせをホームページに掲載いたしました。

 そういうことも含めて、我々としては、邦人保護を含めた渡航情報も含めて、万全の体制をとらせていただきました。

小野寺委員 一つちょっと事実と違うところがございます。

 実は、在外にいます邦人に対しての渡航情報、これはスポットということで緊急に出すのですが、これがこの当日、二十三日に出たのは夜の十一時です。夜の十一時にホームページにアップをされました。

 なぜこうなったかというと、先ほどありました官邸での対策会議、これが終わった後に外務省に戻って、ちょうど外務大臣不在でしたので、副大臣をチーフにしてそこで対策会議を行い、そしてそこで初めて、十一時に日本の邦人に対しての注意喚起が行われたんです。十一時ですよ。もう国民あるいは外国にいる日本人、ほとんどニュースでこの問題を知っています。

 私は、邦人の保護が大切、日本国民に注意喚起をすることが大切、それだけ大切だったら、なぜ官邸主導で、この問題が起きたときに即座に注意喚起をしなかったのか。これが出たのは夜の十一時ですよ。

 私は、邦人保護の観点からも、この対応というのは遅かったと思うんですが、大臣、いかがお考えですか。

前原国務大臣 先ほど、事実と違うとおっしゃいましたけれども、事実を申し上げたわけです。

 つまりは、邦人に対して北方限界線付近に近づかないように注意喚起する知らせを八時に出したということです。そして、今委員がおっしゃったように、午後十一時ごろに邦人に対して北方限界線付近に近づかないように注意喚起するということは、その時間でございます。

小野寺委員 正確に言いますと、八時ごろに韓国の大使館のホームページには載せたけれども、日本国全体が、日本人が見る外務省のホームページには十一時です。日本人に対しては十一時にこのことが出たんです。私は、非常にこれは遅い対応だ、そう思っております。

 そして、もしこれが大きな問題となって、韓国に残っている邦人の救出をするためには、これは日本政府としてしっかり万全の対応をする必要があります。

 先ほど外務大臣、前の質問の中で、これは自衛隊法の一部改正も含めて対応するべきだというお話をされておりますが、我が党、自民党は、従前から、邦人被害の誘導のための自衛隊法の一部改正を提案し、既に国会の審議の俎上にのせています。このことについて前向きに審議をしていただけるかどうか、お伺いをしたいと思います。

前原国務大臣 自衛隊法ですので、私がお答えをするのはいかがかと思いますが、いずれにしても、この集中審議が行われたということは、もちろん見直すべきところは見直すということは大事でありますけれども、いかに日本全体として危機管理をしっかりしていくかという点での、私は与野党を超えた集中審議が必要だというふうに思っておりまして、そういう意味で、具体的な建設的な提案をされていることについては、我々も、政府側も前向きに検討し、そして、いいものについては合意を得ていくという姿勢が大事だと思います。

小野寺委員 では、北澤大臣、お願いします。

北澤国務大臣 御提言は承知をいたしております。

 その中に、たしか陸上輸送というようなことも入っておるように承知をしておりますが、この辺になりますと、韓国との関係、米軍との関係、さまざまありますので、しかし、邦人の保護という大義に向かって検討してまいりたい、このように思っております。

小野寺委員 しっかり前向きに建設的な意見を、これは邦人の保護という観点ですべきだと思っております。

 最後に、これは予算委員会の審議ですので、総理にお伺いをしたいと思っております。

 今回、この事案が発生しました。そして、これからもますますこういう問題というのは起きてくるかもしれません。日本の安全、安心、治安の問題、これに対しては予算措置が必要だと思います。そして、これは補正予算の内容にございます。ですから、来年四月以降ではなく、今すぐに必要な予算の整備というのは、私はこの韓国の事案も含めて必要だと思っているんですが、今、予算を提出されております。今の予算案でこの緊急事態に対して対応、適応できるのか、あるいは、状況が変わったので予算の内容を組み替えて、実際この内容について審議をするのか。

 私は、国民の皆さんに知っていただきたいのは、事案が大きく変わっています。治安の問題、安心、安全の問題、北朝鮮の問題、海上保安庁の問題、国防の問題、さまざまございます。こういう安全、安心のことを、新たな脅威として今また表に出た、顕在化してきたということは、ここは予算委員会の場ですので、ぜひ予算として今回新たに計上していただくためには、今回の補正予算について、ぜひその組み直し、内容の増額を含めて検討していただきたいと思いますが、そのお考えはありますでしょうか。

野田国務大臣 補正予算は一日も早く成立をさせることが国民生活を守るということだと思います。

 今回の事案で具体的にどういう予算措置が必要なのかという具体的な御提起がないのでわかりませんけれども、組み替えは必要ないというふうに思いますし、国会終了後に、必要ならば予備費で対応すればいいと思います。

小野寺委員 今お話をされました予算の措置というのは、これは恐らく必要だと思っています。

 それで、具体的な提案がないと私どもにお話をされましたが、今、政府は、野田大臣、皆さんが政権を担っています。こういう危機管理の問題は、皆さんが率先して対応する。私どもも審議の協力は惜しみません。ですが、国民の安全、安心のために、ぜひしっかりとした対応を予算の問題も含めてやっていただきたい、そう思っております。

 そして、何より、今回改めて日米関係が大事だということを痛感なさったと思います。日米関係ということはもちろん、この普天間の基地の問題も含めてしっかりとアメリカとの約束を遂行する、そういうことだと思いますが、これは総理に最後にお伺いをいたします。

 この国の安全、安心を守るために、私どもは、日米の信頼関係が大事、そして国民の安全、安心を守るために、きょうありました、例えば公安委員長のような対応はしない、しっかりとした決意を最後に聞かせていただきまして、質問を終わりたいと思います。

中井委員長 時間が過ぎていますので、簡単にお願いします。

菅内閣総理大臣 日本の安全保障にとって、日米関係あるいは日米安保条約は大変重要であります。その立場で、この問題でも外務大臣が国務大臣とも話をしていただいておりますし、日米間の関係をしっかりしたものにして対応していきたいと思っています。

小野寺委員 ありがとうございました。

中井委員長 これにて小野寺君の質疑は終わりました。

 次に、竹内譲君。

竹内委員 公明党の竹内譲でございます。

 それでは、私どもも、この北朝鮮問題につきまして質問をさせていただきたいと存じます。

 御存じのように、十一月二十三日十四時三十四分ごろ、北朝鮮軍は突如韓国領内の延坪島に砲弾数十発を撃ち込み、民間人を含む多数の死傷者が出ました。これは国連の休戦協定に明らかに違反し、朝鮮半島の平和と安定に対する重大な暴挙であり、断じて容認できないものであると考えております。

 我が党の山口代表は、十一月二十日から二十三日にかけて韓国を訪問し、李明博大統領と会談をしてまいりました。さきの哨戒艦沈没事件や新たなウラン濃縮問題の発覚により、朝鮮半島情勢は緊迫しておりまして、加えて今回の砲撃事件は極めて深刻な事態を招いたと認識をいたしております。しかしながら、今般の事件に対する日本政府の対応は極めて遅く、今後、政府が適切な対応がとれるかどうか、大きな懸念を禁じ得ません。

 危機管理についての私どもの見解をまず述べておきたいというふうに思います。

 先ほども議論がありましたが、まず、十四時三十四分から十四時五十五分にかけて北朝鮮による砲撃事件が発生した。そして、十四時五十八分には韓国の聯合ニュースが、延坪島海上に北が発射したと見られる砲弾飛来と報道をしているわけであります。そして、十五時十一分に日本の時事通信が、韓国のYTNテレビによると同国の島に北朝鮮の砲弾が着弾し負傷者が出ていると報道しているわけです。十五時十一分であります。

 そして、やっと十五時三十分ごろになって、秘書官から菅総理に最初の報告があったということでございまして、時事通信が十五時十一分に速報を流しているのに、菅総理への最初の報告が入ったのは十五時三十分というのは遅過ぎやしませんか、これは。我が国の安全保障にかかわる重大な事態であるにもかかわらず、総理よりも一般国民の方が早く情報を入手している、こういう状況というのは異常じゃないでしょうか。そもそも、砲撃開始から一時間経過した後に総理に情報が入ること自体、政府の危機管理能力の欠如だと言われても仕方がないと思うわけでございます。

 これがもしミサイルであれば、ほとんど絶望的でございます。国民の命がなくなっているわけでありまして、今後、こういう情報伝達のあり方を見直すと同時に、有事を想定した危機意識を持っていただきたいと私はまず総理にお伺いしたいと思いますが、いかがですか、総理。

前原国務大臣 ミサイルの話をされたわけでございますが、我々外務省あるいは防衛省、さまざまなインテリジェンスを扱うところにおいては、まさに三百六十五日、二十四時間体制で、懸念を有する箇所については常時監視をしているわけでございまして、そういう意味におきましては、今のおっしゃったことについては当たらないし、ちゃんとした情報収集体制やあるいは危機管理体制というものはとれているというふうに私どもは考えております。

竹内委員 総理にお伺いしたいんですね。

 時事通信の方が総理よりも早い、これはちょっとおかしいんじゃないですか。いかがですか、総理。

菅内閣総理大臣 もちろん、情報は、特にこういう軍事的な問題などの情報は、できるだけ早くそれを把握して、できるだけ早く総理のもとに伝えるということは重要だと思っております。

 ただ、そのことと、内容がどういう形で正確に伝わるのかということもあり、私は、内閣全体としては、十五時二十分の段階で情報収集のための体制をつくって、三十分に私に秘書官から連絡が来たということで、十分と言えるかどうかわかりませんが、そういう時間の中で情報が伝わってきた。できるだけ早くする努力は、これからもしなければならないと思っております。

竹内委員 ロシアのメドベージェフ大統領の北方領土のときも第一報は報道だった、こういうことでございまして、この日本の情報管理はどうもおかしいんじゃないか、そういうふうに思うんです。これは一般の方々の感覚だと思うんですよ。

 それから、十六時四十四分に総理が公邸から官邸に移動をされまして、十六時四十五分から十六時五十八分にかけて、仙谷官房長官や、その他、副長官補、秘書官の方々が官邸に入られる。そして、北澤防衛大臣は、やっと十七時になって防衛省へ入られているんですね。この辺もいかがなものかと思うんですね。

 最初に北澤大臣がこの情報を得られたのはいつですか。

北澤国務大臣 私が防衛政策局の調査課戦略情報分析室より大臣秘書官を経由して承知をいたしましたのは、十五時二十四分でございます。

竹内委員 十五時二十四分に聞かれて、防衛大臣が防衛省に入られるのは十七時過ぎだというのは、いかにものんびりしているなという感じがするんですね。

 十七時半から十七時四十四分にかけて、やっと外務省の松本副大臣や佐々江次官、齋木アジア大洋州局長などが入られたということで、こういう重大事にいかにも官邸全体がのんびりしている、危機意識がなさ過ぎる、こういうふうに言われても仕方がないというふうに思うんですね。

 それから、これも先ほどございましたけれども、関係閣僚会議は、総理が一報を受けてから五時間半もたった二十時五十五分に開かれている。これも、本当にどうなっているのかなというふうに思いますね。

 砲撃から七時間以上経過した二十一時四十八分、時間は前後しますが、ようやく仙谷官房長官が記者会見をされている。ところが、中国はもう早くに、十六時五分にメッセージを出していますし、ホワイトハウスも十八時三十三分に、強く非難するとの声明を発表しています。また、十九時にはロシアのラブロフ外相が、砲撃を開始した者は重大な責任を負わなければならないと非難しているわけでありまして、七時間以上もたってから、ミサイルがまともに向いているこの日本が本当におっとり記者会見しているというのは信じがたい、このことをまず指摘しておきたいと思います。

 繰り返しになりますが、何といっても、私どもが総理に望むことは、やはりこういう危機のとき、ピンチのときはだれよりも早く官邸に入って関係閣僚を招集する、休日であろうが関係ない、国民の生命財産、そして平和を守る、そういう責任感と気迫こそ、ぜひ総理には示していただきたい、それこそ政治主導だということをまず申し上げておきたいと思います。

 それで、次の質問に移ります。

 今回の北朝鮮のねらい、これにつきまして総理はどのようにお考えですか。

前原国務大臣 北朝鮮の立場を我々はおもんぱかる必要は全くありません。今回の事案については、無防備な民間人を無差別に砲撃するという許しがたい行為に出たわけでございまして、これは言語道断だと言わざるを得ません。

 ただ、今の御質問にある程度のお答えをするとすれば、濃縮ウランの問題、そして今回の砲撃、一連のいわゆる挑発行為を繰り返しているわけでございまして、それについての意図は何なのかということは分析をする必要があると思っております。

 六者協議再開に向けた希望を持っていたということについては、今、外交ルートでさまざまなところから来ているわけでございますけれども、アメリカ、韓国、そして中国との話し合いの中で我々が共通をしているのは、対話のための対話はしない、つまりは、六者協議で合意をした中身を北朝鮮が進歩させる、前進させるという前提でなければ開かないということについては確認をしておりますし、こういった事態を繰り返すことがむしろ北の、もし六者協議を開きたいという思いがあるのであれば、それを遠ざからせているということについてはしっかり北朝鮮には伝えなくてはいけない、そう思っております。

竹内委員 インテリジェンスの問題ですよね、さまざまな分析をすると。

 私どもは、一つの考え方として、北朝鮮は六カ国協議の枠組みというものを破壊して目的を変更しようとしているんじゃないかと。すなわち、六カ国協議というのは、北朝鮮が核放棄をした後に国際社会が体制を認知してそれを支持する、こういう二〇〇三年以来の仕組みでございますけれども、一連のテポドン、核実験、哨戒艦沈没等、この動きを見ていますと、そして今回のウラン濃縮の公開等を見ていますと、これは、核保有国を目指して、そして間違いなく米朝交渉をやりたい、そこに引き出してくるための手段ではないのか、このように見えるわけでございます。

 そういう意味では、本当に、これは単に六カ国協議を再開すればいいという問題ではない、よくよく、ここは北朝鮮の核開発こそすべての元凶であって、これをいかにして阻止していくか、ここにやはり最大のねらいを置いていかなければいけないのではないか。このことを指摘しておきたいと思います。

 そこで、まず、我々の対応として、政府は直ちに国連安保理において関係各国と連携して、今回の事件及び新たな核兵器開発につながるウラン濃縮施設建設問題等に関して、北朝鮮の行動に対する厳しい非難と制裁決議を行うことを要求すべきであると思いますが、いかがですか、総理。

前原国務大臣 ウラン濃縮についてもゆゆしき事態でございますし、それに引き続き今回の砲撃事件がございました。

 今回の砲撃事案のいわゆる当事者、被害国は韓国でございまして、これが引き続き起きた以上は、韓国がどのような形でこの問題に対応するか、国際社会との連携というものを求めるかということを緊密に連携をとりながら対応していかなくてはいけないと思いますし、国連の場においてもそういった対応が必要だと思います。

 なお、非公式な会合は、国連のいわゆるニューヨークの場でも行っているのは当然でございます。

竹内委員 安保理での制裁決議というのは時間がかかる可能性があると思います。

 仙谷官房長官は先日、十一月二十三日の記者会見の中で、北朝鮮独自の追加制裁も日本として考えなければいけないということを述べたというふうに聞いておりますが、私どもはこれは必要だと思っておりますが、官房長官の見解を賜りたいと思います。

仙谷国務大臣 北朝鮮独自じゃなくて、日本独自の北朝鮮に対する制裁を我が国として今後考えられるか、あるいは考えるべきではないか、こういうお話でございました。

 我が国としては、北朝鮮の反応や、あるいは何よりも、今、竹内議員もおっしゃっておりますように、日韓、日米、米韓、この協議といいましょうか緊密な連携のもとに、追加の制裁というのがどういうものが効果的にあり得るのか、こういうことを総合的に勘案して検討をしていきたいというふうに考えております。

竹内委員 ぜひ真剣に考えていただきたいと思います。

 そこで、北朝鮮の背景を考えなければいけないというふうに思っております。金正恩への権力承継に絡む軍内部の内紛が原因なのか。それとも、二つ目、金正恩の軍事的業績づくりなのか、すなわち冒険主義なのか。あるいは、先ほども申し上げましたが、米国を交渉のテーブルに着けさせるための挑発行為なのか。大体この三つが想定されるわけでございます。

 しかし、いずれにしても、内紛であっても恐ろしいことでございますし、冒険主義というのも、これもどこまでいくかわからない。そしてまた、挑発行為だとすれば、これは単に韓国だけの問題で今後とどまっていますか、これで済むのかどうか、同様の事件をさらに引き起こす可能性はないのか、これが我が国に対して向けられる可能性があるのではないか、こういうことも当然為政者としては考えておかなければいけないと思うんですね。

 そういう意味で、国内におけるテロ事件等の可能性等に対してどのような対応を考えていますか。

仙谷国務大臣 御承知のように、我が国は、拉致事件という大変痛ましい、なおかつ国家主権を侵害されて、あるいは日本の無辜の人々が取り返しのつかない人権侵害を受けたという歴史がございます。

 そこで、北朝鮮のより大きい挑発行為が、あるいは攻撃が、あるいはテロというイメージよりもはるかに大きい事件の仕掛けがあるのかないのか、我が国のインテリジェンス、あるいは警察の調査等々を含めて、万全の体制で細心の注意を払って情報分析をし、適切な対応をとっていかなければならないということで、今、関連予算を大幅に増額したり、あるいは人員を増員したり、そういう体制で、これから今まで以上にそういう体制をとっていくということを考えて実行しているところでございます。

竹内委員 さまざまな観点からシミュレーションをしていただきたいというふうに思います。

 こういう混乱のきわみにある北朝鮮情勢の中で、拉致問題をどのようにして解決していくのか、これは大変重要な問題だと思うんですね。

 私も拉致特別委員会の理事をさせていただいておりますが、通常国会で岡田外務大臣、岡田前外務大臣が出てきたのは一度だけでありました。しかも、五分程度の質問しかできなかった。非常に残念でありました。民主党政権としてどのようにこの拉致問題を解決していくのかについて、戦略が全く見えないわけでございます。

 そういう意味で、私どもは、少なくとも、北朝鮮に対する全面的な制裁の強化、すなわち送金と渡航の全面停止に踏み切るべきであるということをまず主張しておきたいというふうに思います。それから、朝鮮半島が有事の際の邦人拉致被害者救出等のために、やはり検討を開始すべきではないか、このように思うわけでございます。

 まず、官房長官は、今回拉致担当も兼務されるわけでございますが、日本国として拉致問題をどのような戦略で解決していこうとするのか、そして、さまざまな圧力が必要だと我々は考えておりますが、それらの点についてお答えを願います。

仙谷国務大臣 このたび、拉致問題担当の大臣としても任命を受けました。

 先ほどから竹内議員のお話でございますが、前々任の中井洽大臣時代には、大変力を入れて、戦略的な観点からも拉致問題の解決というものに取り組んで、そして、先ほど申し上げましたけれども、予算、人員等々、従前よりもはるかに力を入れて、この解決に向けて、そして国の責任においてすべての拉致被害者が一刻も早く帰国できるように全力を尽くそうということでやってまいったところでございます。

 十月二十二日に、菅総理が本部長、私も副本部長の一人でありましたけれども、拉致問題対策本部の第三回本部会合を開催いたしました。最近の北朝鮮情勢について意見交換を行って、菅総理から、今月中に開催予定の第四回本部会合までに、これまでの取り組みの点検と今後の政府の取り組みについて検討するよう指示がございました。それから、近く第四回本部会合を開催することとしております。

 菅総理のもと、拉致被害者の皆さんの帰国を実現するために、政府としてやれることは何でもやるという覚悟で臨んでまいりたいというふうに思っております。

 中井大臣時代に蓄積されたいろいろなことがあるわけでございますが、ここで、現時点では国会で竹内議員にお伝えするのをお控えしなければならないこともございますので、その辺はひとつ御容赦をいただきたいと存じます。

竹内委員 時間が参りました。

 申し上げたいことは大変たくさんございますが、しかし、これは単に国内の問題だけではなくて、やはり政権全体として、優先順位をもっと上げていただいて、本当に、外交問題として、総理を先頭にしっかりとこの拉致問題に取り組んでいただきたい、このことを最後に申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

中井委員長 これにて竹内君の質疑は終了いたしました。

 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 北朝鮮は、十一月二十三日、韓国の延坪島に対して砲撃を行い、韓国軍との間で交戦状態となりました。これにより、韓国軍兵士だけでなく、この島の民間人にまで死傷者が出て、住民千六百人が緊急避難する事態となりました。今回の北朝鮮の軍事挑発行動に対し、我が党の志位委員長は、二十四日、これを厳しく非難する談話を発表いたしました。

 今回、北朝鮮が砲撃した延坪島は、朝鮮戦争の停戦以来、五十七年にわたり韓国側が統治してきた島であります。

 そこで、前原外務大臣に確認したいと思います。

 北朝鮮が、一九五三年七月の朝鮮戦争の休戦協定以降、これまでに韓国民間人が居住する陸地に対して砲撃したことがあったでしょうか。

前原国務大臣 今までございません。

笠井委員 これは明確な休戦協定違反だと思います。休戦協定のどこに違反するという認識でしょうか。

前原国務大臣 この休戦協定については、我が国は当事者でないということは委員も御承知のとおりでございます。

 したがいまして、この解釈をする立場にはないということを申し上げた上で、しかし、韓国政府の合同参謀本部は、今回の砲撃は朝鮮軍事休戦協定違反である旨を発表しておりますし、また、アメリカ、EUも、休戦協定を遵守するようにということを求めているわけでございまして、そういう意味からも、当事者である韓国がそのような認識を持っているということでございます。

笠井委員 今回の砲撃は、国連憲章にも反する行為だと思うんです。具体的には国連憲章のどこに違反するという認識でしょうか。

前原国務大臣 国連憲章は、当然我が国も国連加盟国として解釈をする立場にあるわけでございますけれども、全体像を把握した上でないと確固たることは申し上げられないということを前提に、現時点での我々の認識を申し上げますと、これについては、やはり国連憲章の第二条第四項、「すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。」ということを規定しているわけでございまして、明確にこれに違反するかどうかはまだ、最終的な判断というのは必要だと思いますが、この点について抵触する疑義は極めて高い、このように考えております。

笠井委員 今回の行為はまた、北朝鮮が当事者である南北間の諸合意、南北不可侵合意にも反する、そういうものだと思うんです。どういう合意に反するか、これも当事者でないということは言われるかもしれませんが、認識としては、こういう合意があって、それに反するということが言えるのではないかということで、大臣、いかがでしょうか。

前原国務大臣 委員がもうおっしゃっていただいているので、我が国は当事者でありませんが、しかし韓国側が、この「南北間の和解と不可侵及び交流・協力に関する合意書」に違反している旨を言っております。この第二章にある点について、南北不可侵について合意違反であるということを韓国は主張をしております。

笠井委員 一九七二年七月の共同声明、そして、今ありました一九九二年発効の南北基本合意書、これがあるわけで、これに明らかに反していると。

 菅総理、今回の民間人が居住する島への無差別な砲撃というのは、こうした朝鮮戦争の休戦協定はもとより、国連憲章にも、北朝鮮自身が当事者である南北間の諸合意にも反する無法な行為だ、断じて許されないというふうに思うんです。総理も、そういう問題を含めて、そういうことを踏まえて北朝鮮の行為を厳しく非難している、こういうことでよろしいでしょうか。いかがですか。

菅内閣総理大臣 昨日の党首会談においても、志位委員長の方から具体的な指摘をいただいております。

 そして今、笠井さんが言われたように、まさに一般の人が生活をしているその地域に無差別に砲撃を加えるというのは、これは言語道断の許されざる行為である、そういう認識を持って対応していきたいと考えております。

笠井委員 北朝鮮は、今回の行為を、韓国軍が北朝鮮の領海で軍事演習を行い、砲撃したことへの反撃だとしております。

 この海域における領海線については韓国と北朝鮮の主張が異なっておりますが、それを砲撃の理由にすることは断じて許されるものではない。しかも、砲撃を受けた延坪島が韓国側に属することは休戦協定で決まっております。この島への航路、通航の自由についても、北朝鮮自身が二〇〇〇年三月の軍当局の五島通航秩序で認めていることであって、北朝鮮の言い分には全く理がない、成り立つものがない。私は、こうした事実と道理を踏まえて論立てる対応が必要だと思います。

 我が党は、北朝鮮が攻撃とそれによる被害の責任をとって、挑発的な行動を繰り返さないことを厳重に求めるものであります。

 最後に菅総理に伺いますが、今大事なことは、今回の軍事挑発行動は厳しく非難をする、同時に、挑発というんだったら挑発には乗らないということが大事だと思うんです。当の韓国自身が激しく憤りながらも冷静に対応している、このようなことが明らかになっております。私は、この点が肝心だと思うんですね。今こそ、韓国を初め関係各国が、事件をさらなる軍事的緊張や軍事紛争につなげることなく、外交的、政治的な努力によって解決をする、そのための日本の政府の役割発揮が必要だと思うんですけれども、菅総理の見解を伺いたいと思います。

菅内閣総理大臣 今回の北朝鮮による砲撃事件において、先ほど来申し上げておりますように、我が国としては、北朝鮮を強く批判、非難すると同時に、韓国の立場を強く支持いたしているところであります。

 その上で、今回の北朝鮮の挑発行為は北東アジア全体の平和と安全を損なうものと考えており、事態のさらなるエスカレートを招かぬように、まず、北朝鮮に対してこのような行為を繰り返さないことを求める、さらには、北朝鮮の動きを、動向を注視していく、さらに、韓国及び米国、さらに他の関係国と引き続き緊密に連携して適切な対応をしていく、こういう姿勢が必要だろうと思っております。

 同時に、政府としては、我が国にとっても不測な事態が生じないように十分な備えをしていく、このこともあわせてとっていかなければならない、このように考えております。

笠井委員 今言われたんですけれども、さらに軍事的緊張や紛争につなげちゃいけない、やはり外交的、政治的に解決を図る、この点での政府の姿勢というのをただしたんですが、その点についてはそれでそうだということでよろしいですね、これは確認なんですが。

前原国務大臣 昨日、菅総理が李明博大統領と電話で話をされ、私も金星煥外交通商部長官と話をしました。また、昨日、程永華中国大使とも話をし、けさ、クリントン長官とも電話で話をいたしましたけれども、各国ともやはり、さらなる挑発というものを何とか押しとどめなくてはいけない、そのために、まさに委員がおっしゃったように、これ以上の拡大は抑止をして、平和的に物事を解決していくということに焦点を当てて努力してまいりたいと思いますし、日本の外交としてもそれを当然ながら中心に、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

笠井委員 総理も同じ認識ということでよろしいですね。

菅内閣総理大臣 エスカレートしないことが望ましいということは当然でありますし、韓国の立場を支持することをベースにして、できるだけこれ以上の武力紛争の拡大にならないように努力したいと思っております。

笠井委員 アメリカのボズワース北朝鮮問題特別代表も、二十三日、米中両国が多国間の外交的アプローチが唯一の現実的な解決方法だという認識で一致した、そういうふうにも述べております。軍事には軍事という軍事的緊張の拡大と悪循環というのはいかなる形であれ厳しく退けて、あくまで外交的、政治的な努力によって解決すべきだと思います。

 私は、憲法九条を生かしてこの地域に平和的環境をつくり上げていく外交力こそ今本当に求められていることを強調しまして、質問を終わります。

中井委員長 これにて笠井君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 いただきましたお時間は八分ですので、二問、問わせていただきたいと思います。

 今回の北朝鮮による韓国への攻撃と申しますものは、朝鮮戦争が終わっていないという現実を私たちの前に明らかにしたと思います。思えば、私たちの暮らす東アジアというところには、中国も台湾問題を抱え、朝鮮半島も分断された国家という状況が続く中で、恐らく、新たに発足した民主党を中心とする政権では、鳩山さんもおっしゃったように、東アジアを平和に、共同の家としてあるいは共同体として発展させたいという強い願いがあってのことと思います。

 しかしながら、そうした願いとは裏腹に、この間、日中問題も尖閣諸島沖での海上保安庁と中国漁船の衝突問題、あるいはロシアとも領土問題が再燃するという形になっており、これからの政権運営の中で非常に重要な役割が今の菅総理には課せられていると私は思います。

 冒頭、小野寺さんとのやりとりを聞いて思いましたが、総理が各省庁に、全省庁に情報収集を指示したのが五時でありました。危機管理センターが三時二十分に立ち上がって五時に各省庁に情報収集を指示というあり方では、実は、すべてのこの間の外交上の問題が、この政権はどうやって情報を収集しているのかというところに国民の不安が非常に強い現実があると私は思います。

 民主党は、かつてマニフェストの中に、合同情報委員会というものを位置づけて、これは、各省庁からの情報を日ごろから本当に迅速に上げて、こうやって一たん事があったから慌てて総理が指示するのではなくて、合同情報委員会をつくって、情報の収集を内閣として挙げて取り組もうという姿勢があったやに思います。

 新たな政権になって、国家戦略、まだ局にはなっていませんが室はできましたが、これは経済のことを中心として玄葉さんが国家戦略担当大臣であります。さて、この内閣で、新たな菅政権で、情報の収集は本当に十分であるのか。もともとおっしゃっていたような合同情報委員会を立ち上げられたらいかがですか。これから非常に重要になりますが、この点について、菅総理にお伺いいたします。

菅内閣総理大臣 まず、五時ごろ私が全省庁に指示をしたというふうに言われましたが、先ほど来の議論の中でもありましたように、情報連絡室は既に十五時二十分に立ち上がっておりまして、そこが中心になって各省庁の情報を集約する形になっております。

 その上で、今阿部さんからお話がありましたように、確かに情報が役所ごとに上がってくるシステムが中心でありますので、日本においても、よく言われますように、NSCといったようなものが必要ではないか、あるいは情報の一元的な管理が必要ではないか、いろいろな御指摘をいただいております。必要な情報が迅速に的確に上がるような体制について、いろいろな御意見を伺いながら検討してまいりたい、こう考えております。

阿部委員 これまでの事案を考えればやはり遅いし、トータルで把握されていないということは国の危機を強めると思いますから、ぜひこれは菅総理のリーダーシップのもとにやっていただきたいことだと思います。

 そして、今回の個別の事案について言えば、先ほど来御答弁のように、韓国の対応をきちんと私どもが応援しながら、より戦火の拡大を起こさないような形で何とか決着したい。そのためには、二国間の例えば北朝鮮、韓国の問題としてではなくて、多国間の例えば国連という仕組みあるいは六カ国協議、核についてありますが、そういうものを重要視しようということも御答弁の中であったように思います。

 そうした中で、今、韓国側の対応で一点お伺いしたいと思いますが、板門店、いわゆるパンムンジョムの国連軍事停戦委員会に韓国側が今回の事態を調査するように申し出ているやに聞いております。

 先ほど来、これは停戦合意が破られたものだというような御答弁もありましたが、そういう側面もあるやもしれません。しかし、韓国は、今この停戦委員会にこの実態を調査せよということを申し出て、そして同時に、そこから安保理にどう持っていくかというようなことも考えていると思いますが、この点について前原外務大臣にお願いいたします。

前原国務大臣 昨日、金星煥外交通商部長官と電話で二十五分ほど話をいたしまして、今、阿部委員が御指摘をされたことも含めて意見交換をいたしました。

 今回、ウラン濃縮、そして今回の砲撃事案ということで、特に後者については、当事国、被害を受けている国が韓国であることから、韓国の意向というものを最大限に我々は応援をしながらバックアップをし、そして他の国と緊密に連携をとりながら、さっきおっしゃったマルチの場、さまざまな観点での取り組みをやっていき、何とか事態の拡大抑止をし、そして話し合いというものが行える素地をつくっていくために、緊密に韓国と連携をとってまいりたいと考えております。

阿部委員 韓国が極めて抑制的に、しかし、なおかつこの東アジアの平和を願っての行動ですので、菅総理には、ぜひ韓国とも密接に連携して日本の取り組みを進めていただきたいと思います。

 終わらせていただきます。

中井委員長 これにて阿部さんの質疑は終了いたしました。

 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内康一でございます。

 これまでのほかの委員の質疑を聞いておりまして疑問に思った点がございましたので、事前通告にはない質問も含めてお尋ねしたいと思います。

 まず最初に、これは事前通告なしでもお答えいただけると思いますが、小野寺委員のつくられたペーパーを見ていると、宮中行事に大変長い時間総理がお出になっているということがわかりましたが、これだけ危機的な状況にあって、仮に砲撃事件がエスカレートすれば、韓国と北朝鮮の軍事境界線のすぐ近くにソウルがあって、短期滞在者を含めると何万人という日本人がいるわけですから、非常に危機的な状況であるということは、多くの人が認めることだと思います。

 そういう危機的な状況であれば、たとえ宮中行事であっても、場合によっては欠席あるいは途中で退席させていただく、そういう対応も考えられたんじゃないかと思いますが、そうされなかった理由について総理にお答え願います。

菅内閣総理大臣 一昨日は新嘗祭という宮中での大変ある意味では重い行事がありまして、歴代総理がほぼ必ずと言っていいほど出席をする行事であります。

 その前にこの事案が発生をいたしまして、一定の指示を官房長官初め関係者にいたして、また、ぶら下がりを通してその指示も伝えたところであります。もちろん、出かけるときには秘書官を二人伴いましたので、緊急な状況になれば伝えてくれということを申して、一緒に行っておりました。

 そういう中で、今、山内さんがおっしゃったようないろいろな判断ということは、一般的には言われることはよくわかりますが、そういう体制をしいておりましたので、さらなる問題が起きたときには、そのときはそのときで考えようと思っておりましたが、そうした大きな変化が伝えられませんでしたので、一定の、かなり厳かな行事でありましたので、予定の行事が終わるまでその場にいて、そして終わったら迅速に帰って、その段階で、関係閣僚を招集してありましたので、その関係閣僚会議を開いた、これが経緯であります。

山内委員 ほかの閣僚の皆さんもこの行事にお出になっていたんでしょうか。

 防衛大臣あるいは国家公安委員長、そういう危機管理対応大臣に関しては、例えばですけれども、総理は宮中行事に出るけれども、防衛大臣あるいは国土交通、国家公安、そういう大臣だけは、今回は欠席しろ、自分の省庁に戻って危機管理をやれ、そういう指示も可能性としてあったと思うんですけれども、そういう御判断はなされなかったんでしょうか。総理。

北澤国務大臣 私は欠席をいたしました。

山内委員 ほかの閣僚の皆さんは、いかがだったでしょうか。

中井委員長 前原外務大臣はオーストラリアですから。いいですか。

山内委員 いや、総理、お出になっていたらだれが出ていたか恐らくわかると思うんですけれども、例えば岡崎公安委員長あるいは国土交通大臣はお出になっていたんでしょうか。

菅内閣総理大臣 私も、あらかじめどなたが出席する、欠席されるということを承知はしておりませんでしたが、たしか岡崎国家公安委員長は出席をされていた。また、馬淵さんも出席をされていた。

 今おっしゃったこと、先ほど申し上げましたけれども、それぞれ連絡体制をしっかりとっておられたと思いますし、その直後の関係閣僚会議にはそれぞれきちっと出席をされていることも申し添えておきたいと思います。

山内委員 先ほどの質疑では、岡崎国家公安委員長は一度も警察庁に入られることなく、その日はずっと警察庁の外にいらっしゃったそうでありますが、すぐ近所の宮中までおいでになって、警察庁のある桜田門まですぐ近くですね。そういうすぐ近所まで来ていたのに、一度も警察庁に入って陣頭指揮をとることもない。そういう意味では、全く危機管理の意識がない、センスがないと言わざるを得ませんし、危機管理の問題というよりは、もうここまで来ると菅政権の管理危機と言える状況じゃないか、全く管理能力がない。

 こういう状況を繰り返していただきたくないわけでして、多くの、我々野党の議員であっても、きちんと緊急時の対応をやってほしいという思いは一緒であります。そういう意味では、ぜひ、これから新しい事態が起きたときに、同じような誤り、同じような管理危機を起こさないためには、私は、緊急時の対応プラン、こういったものをきちんと整備しておくことが必要ではないかと思います。

 例えば、私は以前、国会議員になる前、難民援助の仕事をやっておったんですけれども、朝鮮半島で有事の際には、数千人か数万人かわかりませんけれども、北朝鮮から難民が日本に押し寄せてくる、こういう事態も十分想定できるわけでありますが、そういった危機に対する備え、業界用語ではコンティンジェンシープランというんですけれども、そういう難民発生時の緊急対応プラン、こういったものは今官邸で用意されているんでしょうか、いないんでしょうか。

中井委員長 時間が来て、締めいいですか。(山内委員「はい」と呼ぶ)それでは、答弁だけでお願いします。

前原国務大臣 我が国に避難民が流入した場合の基本的な手順といたしまして、避難民を発見した際の身柄の保護、応急物資の支給、身体検査の実施、上陸手続、入管、税関、検疫、収容施設の設置及び運営、我が国が庇護すべき者等に当たるかどうかについてのスクリーニング、こういった手順というのは設けまして、備えは万全に整っているということでございます。

中井委員長 これにて山内君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本日の集中審議は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時散会


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