衆議院

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第18号 平成23年2月28日(月曜日)

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平成二十三年二月二十八日(月曜日)

    午前八時五十一分開議

 出席委員

   委員長 中井  洽君

   理事 泉  健太君 理事 城井  崇君

   理事 武正 公一君 理事 手塚 仁雄君

   理事 中川 正春君 理事 若泉 征三君

   理事 塩崎 恭久君 理事 武部  勤君

   理事 富田 茂之君

      相原 史乃君    石毛えい子君

      石山 敬貴君    稲見 哲男君

      打越あかし君    小川 淳也君

      大串 博志君    金森  正君

      川村秀三郎君   木村たけつか君

      吉良 州司君    工藤 仁美君

      小室 寿明君    郡  和子君

      佐々木隆博君    瑞慶覧長敏君

      杉本かずみ君    高井 美穂君

      高邑  勉君    竹田 光明君

      中後  淳君    津村 啓介君

      中根 康浩君    中屋 大介君

      仲野 博子君    仁木 博文君

      橋本 博明君    藤田 一枝君

      藤田 憲彦君    本多 平直君

      三谷 光男君    宮島 大典君

      村越 祐民君    森本 和義君

      柳田 和己君    山口  壯君

      山崎  誠君    横粂 勝仁君

      渡部 恒三君    伊吹 文明君

      石破  茂君    小里 泰弘君

      加藤 勝信君    金子 一義君

      金田 勝年君    鴨下 一郎君

      小泉進次郎君    佐田玄一郎君

      齋藤  健君    菅原 一秀君

      橘 慶一郎君    谷  公一君

      野田  毅君    馳   浩君

      山本 幸三君    斉藤 鉄夫君

      遠山 清彦君    笠井  亮君

      吉井 英勝君    阿部 知子君

      浅尾慶一郎君    山内 康一君

      下地 幹郎君

    …………………………………

   内閣総理大臣       菅  直人君

   総務大臣

   国務大臣

   (地域主権推進担当)   片山 善博君

   法務大臣         江田 五月君

   外務大臣         前原 誠司君

   財務大臣         野田 佳彦君

   文部科学大臣       高木 義明君

   厚生労働大臣       細川 律夫君

   農林水産大臣       鹿野 道彦君

   経済産業大臣       海江田万里君

   国土交通大臣       大畠 章宏君

   環境大臣

   国務大臣

   (防災担当)       松本  龍君

   防衛大臣         北澤 俊美君

   国務大臣

   (内閣官房長官)

   (沖縄及び北方対策担当) 枝野 幸男君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 中野 寛成君

   国務大臣

   (郵政改革担当)

   (金融担当)       自見庄三郎君

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)

   (行政刷新担当)     蓮   舫君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)

   (社会保障・税一体改革担当)           与謝野 馨君

   国務大臣

   (国家戦略担当)

   (「新しい公共」担当)

   (科学技術政策担当)   玄葉光一郎君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   厚生労働副大臣      大塚 耕平君

   総務大臣政務官      逢坂 誠二君

   財務大臣政務官      吉田  泉君

   財務大臣政務官      尾立 源幸君

   厚生労働大臣政務官    岡本 充功君

   厚生労働大臣政務官    小林 正夫君

   政府参考人

   (内閣法制局長官)    梶田信一郎君

   予算委員会専門員     春日  昇君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十五日

 辞任         補欠選任

  石毛えい子君     湯原 俊二君

  打越あかし君     大谷  啓君

  生方 幸夫君     長島 一由君

  小川 淳也君     仁木 博文君

  川村秀三郎君     谷田川 元君

  中根 康浩君     磯谷香代子君

  仲野 博子君     石井登志郎君

  水野 智彦君     石原洋三郎君

  山口  壯君     向山 好一君

  渡部 恒三君     白石 洋一君

  石原洋三郎君     緒方林太郎君

  磯谷香代子君     平  智之君

  大谷  啓君     川口  博君

  城島 光力君     浜本  宏君

  向山 好一君     中島 政希君

  小里 泰弘君     木村 太郎君

  金田 勝年君     長島 忠美君

  佐田玄一郎君     福井  照君

  齋藤  健君     あべ 俊子君

  菅原 一秀君     加藤 勝信君

  野田  毅君     柴山 昌彦君

  馳   浩君     谷  公一君

  山本 幸三君     中谷  元君

  富田 茂之君     赤松 正雄君

  阿部 知子君     服部 良一君

  緒方林太郎君     松岡 広隆君

  川口  博君     花咲 宏基君

  竹田 光明君     初鹿 明博君

  仁木 博文君     高井 崇志君

  浜本  宏君     小山 展弘君

  金子 一義君     北村 茂男君

  小泉進次郎君     橘 慶一郎君

  柴山 昌彦君     伊東 良孝君

  中谷  元君     山本 幸三君

  長島 忠美君     竹本 直一君

  遠山 清彦君     池坊 保子君

  服部 良一君     照屋 寛徳君

  小山 展弘君     本村賢太郎君

  湯原 俊二君     福島 伸享君

  伊東 良孝君     村田 吉隆君

  木村 太郎君     赤澤 亮正君

  谷  公一君     馳   浩君

  赤松 正雄君     古屋 範子君

  池坊 保子君     竹内  譲君

  長島 一由君     岡田 康裕君

  竹内  譲君     高木美智代君

  笠井  亮君     吉井 英勝君

  山内 康一君     柿澤 未途君

  花咲 宏基君     玉置 公良君

  吉井 英勝君     笠井  亮君

  福島 伸享君     加藤  学君

  笠井  亮君     高橋千鶴子君

  石井登志郎君     柴橋 正直君

  平  智之君     藤田 憲彦君

  玉置 公良君     藤田 大助君

  初鹿 明博君     山崎 摩耶君

  松岡 広隆君     神山 洋介君

  高橋千鶴子君     宮本 岳志君

  岡田 康裕君     三宅 雪子君

  加藤  学君     山口 和之君

  金森  正君     阿知波吉信君

  神山 洋介君     杉本かずみ君

  柴橋 正直君     空本 誠喜君

  白石 洋一君     中林美恵子君

  高井 崇志君     大西 孝典君

  中島 政希君     阪口 直人君

  藤田 憲彦君     中後  淳君

  本村賢太郎君     江端 貴子君

  谷田川 元君     後藤 祐一君

  山崎 摩耶君     浅野 貴博君

  宮本 岳志君     赤嶺 政賢君

  阿知波吉信君     吉田 統彦君

  江端 貴子君     井戸まさえ君

  後藤 祐一君     玉木雄一郎君

  高邑  勉君     宮崎 岳志君

  中林美恵子君     森山 浩行君

  藤田 大助君     森本 和義君

  山口 和之君     網屋 信介君

  赤嶺 政賢君     穀田 恵二君

  空本 誠喜君     野田 国義君

  玉木雄一郎君     川村秀三郎君

  中後  淳君     山崎  誠君

  宮崎 岳志君     金子 健一君

  森本 和義君     皆吉 稲生君

  森山 浩行君     大西 健介君

  井戸まさえ君     山井 和則君

  大西 健介君     渡部 恒三君

  杉本かずみ君     水野 智彦君

  高井 美穂君     小原  舞君

  野田 国義君     仲野 博子君

  穀田 恵二君     赤嶺 政賢君

  浅野 貴博君     竹田 光明君

  網屋 信介君     石毛えい子君

  小原  舞君     高井 美穂君

  金子 健一君     高邑  勉君

  赤嶺 政賢君     佐々木憲昭君

  大西 孝典君     小川 淳也君

  阪口 直人君     山口  壯君

  三宅 雪子君     生方 幸夫君

  皆吉 稲生君     打越あかし君

  山崎  誠君     中根 康浩君

  山井 和則君     城島 光力君

  吉田 統彦君     金森  正君

  あべ 俊子君     齋藤  健君

  赤澤 亮正君     小里 泰弘君

  加藤 勝信君     菅原 一秀君

  北村 茂男君     金子 一義君

  竹本 直一君     金田 勝年君

  橘 慶一郎君     小泉進次郎君

  福井  照君     佐田玄一郎君

  村田 吉隆君     野田  毅君

  高木美智代君     遠山 清彦君

  古屋 範子君     富田 茂之君

  佐々木憲昭君     笠井  亮君

  照屋 寛徳君     阿部 知子君

  柿澤 未途君     山内 康一君

同月二十八日

 辞任         補欠選任

  稲見 哲男君     中屋 大介君

  生方 幸夫君     瑞慶覧長敏君

  大串 博志君     森本 和義君

  吉良 州司君     杉本かずみ君

  佐々木隆博君     工藤 仁美君

  城島 光力君     木村たけつか君

  津村 啓介君     藤田 一枝君

  三谷 光男君     橋本 博明君

  水野 智彦君     相原 史乃君

  山口  壯君     仁木 博文君

  小里 泰弘君     加藤 勝信君

  小泉進次郎君     鴨下 一郎君

  齋藤  健君     橘 慶一郎君

  馳   浩君     伊吹 文明君

  遠山 清彦君     斉藤 鉄夫君

  笠井  亮君     吉井 英勝君

  山内 康一君     浅尾慶一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  相原 史乃君     柳田 和己君

  木村たけつか君    中後  淳君

  工藤 仁美君     小室 寿明君

  瑞慶覧長敏君     横粂 勝仁君

  杉本かずみ君     吉良 州司君

  中屋 大介君     稲見 哲男君

  仁木 博文君     山口  壯君

  橋本 博明君     三谷 光男君

  藤田 一枝君     藤田 憲彦君

  森本 和義君     大串 博志君

  伊吹 文明君     谷  公一君

  加藤 勝信君     小里 泰弘君

  鴨下 一郎君     石破  茂君

  橘 慶一郎君     齋藤  健君

  斉藤 鉄夫君     遠山 清彦君

  吉井 英勝君     笠井  亮君

  浅尾慶一郎君     山内 康一君

同日

 辞任         補欠選任

  小室 寿明君     佐々木隆博君

  中後  淳君     山崎  誠君

  藤田 憲彦君     津村 啓介君

  柳田 和己君     石山 敬貴君

  横粂 勝仁君     生方 幸夫君

  石破  茂君     小泉進次郎君

  谷  公一君     馳   浩君

同日

 辞任         補欠選任

  石山 敬貴君     水野 智彦君

  山崎  誠君     城島 光力君

同日

 理事富田茂之君同月二十五日委員辞任につき、その補欠として富田茂之君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十三年度一般会計予算

 平成二十三年度特別会計予算

 平成二十三年度政府関係機関予算

 主査からの報告聴取


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     ――――◇―――――

中井委員長 これより会議を開きます。

 理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。この際、その補欠選任を行いたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中井委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に富田茂之君を指名いたします。

     ――――◇―――――

中井委員長 平成二十三年度一般会計予算、平成二十三年度特別会計予算、平成二十三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、各分科会主査から、それぞれの分科会における審査の報告を求めます。

 第一分科会主査手塚仁雄君。

手塚委員 第一分科会について御報告申し上げます。

 その詳細につきましては会議録に譲ることとし、ここでは主な質疑事項について申し上げます。

 まず、国会所管については、国会等における受動喫煙対策など、

 次に、内閣所管については、マニフェスト修正の方向性など、

 次に、内閣府所管については、政府における検討会議のあり方、工場等の世界遺産への登録申請、自殺対策の充実強化の必要性、ニュージーランド地震における捜索状況、待機児童問題など、

 次に、防衛省所管については、在日米軍施設等の返還の見通し、武器輸出三原則問題などでありました。

 以上、御報告申し上げます。

中井委員長 第二分科会主査若泉征三君。

若泉委員 第二分科会について御報告申し上げます。

 本分科会は、総務省所管について審査を行いました。

 詳細につきましては会議録に譲ることといたしますが、その主な質疑事項は、政策評価のあり方、地方行財政改革への取り組み、ICT政策の推進、地域医療再生に向けた取り組み、消防団の強化等々であります。

 以上、御報告申し上げます。

中井委員長 第三分科会主査武正公一君。

武正委員 第三分科会について御報告申し上げます。

 本分科会は、法務省、外務省及び財務省所管について審査を行いました。

 詳細につきましては会議録に譲ることといたしますが、その主な質疑事項は、法務省所管の財団法人のあり方、平成二十三年度予算の経済効果、たばこ税制のあり方、成年後見制度のあり方、経済外交の強化、北方領土問題への取り組み等々であります。

 以上、御報告申し上げます。

中井委員長 第四分科会主査城井崇君。

城井委員 第四分科会について御報告申し上げます。

 本分科会は、文部科学省所管について審査を行いました。

 詳細につきましては会議録に譲ることといたしますが、その主な質疑事項は、教職員の健康管理、学校施設の耐震化の実施状況、日系定住外国人に対する支援施策、公益法人及び宗教法人のあり方、奨学金事業の拡充の必要性、大相撲の八百長問題等々であります。

 以上、御報告申し上げます。

中井委員長 第五分科会主査泉健太君。

泉委員 第五分科会について御報告申し上げます。

 本分科会は、厚生労働省所管について審査を行いました。

 詳細につきましては会議録に譲ることといたしますが、その主な質疑内容は、地域医療体制の整備促進、保険薬局の調剤基本料引き下げによる影響、運用三号の問題への対応、PCB廃棄物処理事業の実態把握の必要性、戦没者遺骨収容のあり方等々であります。

 以上、御報告申し上げます。

中井委員長 第六分科会主査高井美穂君。

高井(美)委員 第六分科会について御報告申し上げます。

 本分科会は、農林水産省及び環境省所管について審査を行いました。

 詳細につきましては会議録に譲ることといたしますが、その主な質疑事項は、TPPとEPA(経済連携協定)への対応、森林政策の今後のあり方、米飯給食の拡充による米消費量増大、高病原性鳥インフルエンザの拡大防止策、有害鳥獣被害対策の拡充、廃棄物処理施設に係る問題への法の適正運用等々であります。

 以上、御報告申し上げます。

中井委員長 第七分科会主査津村啓介君。

津村委員 おはようございます。第七分科会について御報告いたします。

 本分科会は、経済産業省所管について審査を行いました。

 詳細につきましては会議録に譲ることといたしますが、その主な質疑事項は、再生可能エネルギー導入の必要性、伝統的工芸品産業への支援策、中小企業の海外展開支援体制の強化、政府研究開発投資の増額、国際標準化戦略の推進、低炭素社会構築のための技術開発等々であります。

 以上、御報告申し上げます。

中井委員長 第八分科会主査吉良州司君。

吉良委員 おはようございます。第八分科会について御報告申し上げます。

 本分科会は、国土交通省所管について審査を行いました。

 詳細につきましては会議録に譲ることといたしますが、その主な質疑事項は、道路・鉄道・港湾整備の推進、災害対策のあり方、スーパー堤防整備事業の是非、国際バルク戦略港湾の選定基準、政令指定都市における線引きのあり方、新成長戦略実現への取り組み等々であります。

 以上、御報告申し上げます。

中井委員長 以上をもちまして各分科会主査の報告は終わりました。

    ―――――――――――――

中井委員長 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣法制局長官梶田信一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

中井委員長 速記を起こしてください。

    ―――――――――――――

中井委員長 これより菅内閣の基本姿勢についての集中審議を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊吹文明君。

伊吹委員 おはようございます。失礼をいたしました。

 きょうは、菅総理お一人に質問をさせていただきます。

 今まで国会のやりとりを拝見していて気になったこと、あるいは有権者の皆さんから私にいろいろ御注文のあったこと、それらについて菅さんの率直な、総理大臣としての素養あるいはあなたのお人柄を、テレビを通じて国民に話していただいたら結構だと思います。

 まず、あなたが総理大臣として、外交、治安、教育あるいは財政経済、その責任者としてそこに座っておられるのは、どのような根拠によるものですか。

菅内閣総理大臣 今の日本の憲法の大原則は国民主権であることは言うまでもありません。そういった意味で、私は、衆参の皆さんに首班指名をいただき、そして天皇陛下の認証、信任によってこの総理大臣という立場につかせていただきました。

伊吹委員 結構だと思います。

 それでは、パネルをお願いします。

 まず、憲法の前文を読みましょう。これは、全国会議員に配られている衆議院手帖ですね。この一番後ろに、日本国憲法と国会法とそして政治倫理綱領がついております。これは菅さんもずっと持っておられると思います。

 この前文、「正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、」そして「ここに主権が国民に存することを宣言し、」そして「国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。」こう書いてあるのは、テレビをごらんになった皆さん、このとおりです。

 したがって、政治は、党内の権力や自分の立場や民主党や自民党を超えて、国民のために尽くすということだと思いますが、その考えで間違いはありませんか。

菅内閣総理大臣 私自身の政治の最も大事にしているものが、まさに国民主権。私の場合は、自治体の中では市民参加という形でのいろいろな活動を通して、国政においてはそれを大きく国民主権という形で表現されておりますけれども、そういう政治を実現したいというのが私の原点であります。

 そういった意味で、おっしゃるとおりだと思っております。

伊吹委員 憲法によれば、主権は国民にしかありません。その主権の一部を地方自治体が持っているわけです。地方自治体の住民が持っているわけです。主権の存するのは国民であって、市民ではありません。これは、あなたの考えはあなたの考えで、国民がどう判断されるかだと思います。

 そこで、まず政治にとって一番大切なもの、まず政治にとってと言っていけなければ、政党にとって大切なものは何ですか。

菅内閣総理大臣 私も、ある時期、政党というものをいろいろ考えたことがあります。極端に言えば、政党というのは、一人の人がこういう考え方を持って一つの政党をつくるんだと言えば、今の政党助成金等の制度とは違いますけれども、だれでもが政党をつくるということも原理的には可能だと思っております。

 しかし同時に、国政を担うような、特に与党として担うような政党というのは、国家権力というものをまさに国民から負託される立場でありますから、そういう個人の思いだけで成り立つものでもないし、また、そうであってはいけないと思っております。

 そういった意味で、今、伊吹先生の御質問に合うかどうかわかりませんが、私自身は、国民のための政治、私はよく最小不幸社会ということを私の理念として申し上げておりますけれども、そういうものを実現する一種の公共財としての位置づけが政党というものであろう、こう考えております。

伊吹委員 おっしゃっていることをもう少し具体的に言いますと、まず政党には、政党の基本的な政策を決定する理念のようなものがなければならないと思いますよ。そして、その理念に基づいて政策が実行されて、その立案、実行される政策の結果生ずる国家像、こういうものをしっかり国民に示して、国民の審判を受ける。

 政治家は、特に、それらを全体としてうまくくるんでいく素養のようなもの、これは、例えば歴史から学ぶとか、あるいは古典を読むとか自分の知らない人たちの話を聞くとか、そしていろいろ人生で失敗をしたり成功したり、そういうものからでき上がってくる素養、包容力のようなもの、これが政治家の徳というものだと私は思います。

 したがって、マスコミにおいても、やはり入って三年や五年の人に論説を書かせるわけにはいかないんですよ。やはりそれなりの経験を積んだ人が論説を書いているわけですね。だから、あなたはもう当選十回、十分な経験を積んでおられると国民が判断するかどうか、これが一番の問題です。

 そこで、私は、これらの権力をうまく使っていく、それが政治家の素養のようなものだと思いますね。

 あなたは、例えばこの前の国家基本問題のときに、今一番大切なことは予算を通すことじゃないか、せっかくうまく回復をしてきた経済をこのままの状態、うまく機能させるためにもぜひ予算を通してくれ、協力をしないのは野党が悪いんだというような言い分であって、あと、山口公明党代表から次のようなたしなめの言葉を受けておりますね。予算や大事な議案を成立させるのは政府の責任、総理の責任、行き詰まりのその責任を何か野党に負わせるような、こういう総理の議論の姿勢がと、こう書いてあります。

 私も、菅さんと同じように、約二十五、六年、政治をやってきました。あなたが一番輝いていたのは、やはり野党のときですよ。そして、人をとっちめるときですよ。だけれども、権力を国民のために、一番最初におっしゃった、行使をするにはそれなりの、相手の責任じゃなくて、自分の努力、そして国会対策あるいは政策立案、党内の掌握、こういうものについて、やはりもう少しお考えにならなくちゃいけないんだと私は思うんだけれども、今なかなか物事がうまく進まないのは、相変わらず、自分には責任がなくて、野党が協力しないからだと思っておられますか。

菅内閣総理大臣 伊吹先生から、私が最も輝いていたのは野党のときだというふうに言っていただきました。

 逆に言いますと、私も、野党の生活が長かったし、そういう運動的な発想で物事に当たることが多かったので、ある部分、なかなかその体質というか性格が抜け切れないかもしれません。

 しかし、私は、与党になり、総理大臣という立場になったときに、そういうあり方ではまずいというか、それだけではだめだという認識のもとで、私なりに、やはり国民全体に責任を持つ、場合によったら、個々のときには自分の考え方を一〇〇%そのままあらわすことが難しくても、そういう立場でやらなければならない、こういうふうに認識して行動しているつもりです。

 逆に言うと、その行動が、中には、何だ、最近の菅は少し元気がないじゃないかとか、いろいろ昔からの仲間に言われておりますが、私は私なりに、やはり権力を預かる立場になったという認識のもとでこの間の政治行動をとっているつもりでありまして、確かに、先日の質疑の中でそういう御指摘も山口公明党代表からいただきましたけれども、そのことは、余り長くなったら恐縮ですが、今国民にとって喫緊の課題は、私は、予算を成立させていただくことが国民生活にとっては大変重要だと思ったものですから、そのことを率直に申し上げたところであります。

伊吹委員 国民のために、その基本的な考え方は間違っていないと私は思いますよ。しかし、それを権力の行使の中でいかに実現していくかというやり方が余りにも稚拙というか、初めてお金を手に入れた人、お金の使い方を知らない人を成金といいますね。今の国会対策、あるいは予算関連法案と予算を分離して送るなんということは、権力の行使のやり方からすると、私はやはり権力成金的だと思いますよ。(発言する者あり)

 では、その権力の源泉、テレビをごらんになっている皆さんも、今やじっている衆議院議員がどういう立場の人たちかということをこれからお話しします。

 皆さん、菅さん、あなたは、衆議院であるいは参議院で正当に選ばれたから、あなたは総理大臣としてそこへ座っているとおっしゃいましたね。自民党も、この前の総選挙のときは本当に嫌われたんですよ。私たち、つくづくそう反省しています。今、あなた方の支持率はウナギ下がりというか、どんどんどんどん下がってきている。しかし、残念ながら、我が自民党の支持率もそんなに上がらない。これが今の政治の一番困ったことなんですよ。

 だから、我々は、あなたもおっしゃったように、政治が国民のものであるという原点に立って、自民党はこういう考えで政治をやりますという綱領をつくったんです。これに従って参議院の選挙公約もつくりましたし、地方統一選挙の選挙公約もつくりましたし、野田さんもよく読まれたと思いますが、組み替え動議もこの考えによって成り立っています。

 自由と民主主義というものは基本的に我々の旗とする。そのもとで、競争万能ということではないけれども、努力をした者は基本的に報われる。しかし、努力をしようと思ってももう年をとってできなくなった方、努力をしたけれどもうまくいかなかった方については、きずなを結び合ってしっかりと助け合う社会をつくりたい。そして、私たちは、今だけ、自分だけよかったらいいと思ってはいないという公約をつくって、やっております。ごらんになった国民の皆さんも、もし自民党にアクセスしていただければこの綱領をすぐごらんになれますから、ぜひごらんいただきたい。

 そこで、皆さんの、今やじっている人たちの原点をお話ししましょう。

 この政権交代のマニフェスト、あなたは、二年たった折り返し時点で見直してとか、あるいはできないこととか、あるいは、あなたの党内にはマニフェストどおりやるべきだと言っておられる。しかし、やるべきだと言っておられる小沢さん自身が、一年目の暫定税率の廃止は反対されたでしょう。だから残っているじゃないですか。そして、あなたは四年間たったらとおっしゃるが、このマニフェストは、二十二年度には何をやる、二十三年度には何をやる、二十四年度には何をやり、二十五年度で総額十六兆八千億と書いてあるんですよ。毎年度、毎年度の約束なんですよ、これは。これは間違いがないと私は思いますよ。これは否定できない。

 しかし、ほとんどの約束が実現できていない。民間会社でいえば……(発言する者あり)いいですか、民間会社でいえば、手形を振り出して商品を受け取る、商品を受け取ったけれども、その手形が割れなかったら、その会社は当然つぶれるんですよ。前からその手形が割れないことを承知でその手形を発行していれば、これは取り込み詐欺なんですよ。(発言する者あり)

 だから、どうぞ皆さん、今やじっている人の顔を一人一人ごらんください。今のあなたの権力の源泉になっている、特に憲法でいえば衆参が違った場合は衆議院の決定になりますね。この衆議院議員の人たちは、この取り込め詐欺のマニフェストで当選をした取り込め詐欺議員ですよ。

 そして、あなたの首を差し出して、次々かえろかえろと言う、予算関連法案を通せなんということをあなたの党内から言っていますが、あなたはやめる必要ありませんよ。今問われているのは、あなたに徳がないとか、あなたがうまくいかないことは党内で解決してください。国民に対して大切なことは、やはりあなたの権力の源泉が国民との契約とは違うということなんですよ。ここを正さなければならないと思いますが、どうですか。

菅内閣総理大臣 まず、原則的に、マニフェストというものが相当程度実行されているという客観的なことを申し上げておきたいと思います。

 例えば、従来、どちらかといえば高齢者中心の社会保障の充実が図られてきましたけれども、子供や若い人に対して必ずしも十分でなかったということで、子ども手当初年度月一万三千円、そして、今御審議いただいている予算で三歳まで二万円、こういう形で進行しておりますし、また、農業政策のあり方の根本を変える戸別所得補償も推進をいたしております。高校の無償化も実行されております。さらに大きく言えば、公共事業中心の従来の政策から、例えば社会保障とかあるいは教育の分野、そういう全体の予算の配分枠も、この政権交代後、大きく変わりました。

 そういう意味で、まずマニフェストができていないという認識が、残念ながら、伊吹さんと私とは全く違っております。

伊吹委員 これは……(発言する者あり)ちょっと静かにしよう。

 これは、テレビをごらんになっている国民の皆さんが、あなたの言っていることが正しいか、私の言っていることが正しいか、これは国民が判断されます。だから、それでいいじゃないですか。あなたはできているとおっしゃるんだけれども、しかし、もしこういうことがこれからどんどんどんどんまかり通るのであれば、選挙のときにあることを言って票をとって、権力を掌握した後、それを変えてもいいということなら、選挙の意味はなくなるんですよ。民主主義というものはなくなるんです。

 自民党もこういうことをやっていなかったか、私、過去のことをずっと調べてみました、質問するについては。まず、個別の一票を持つ人に国家を通じて金をばらまくということは、少なくとも自民党は公約していなかったと思いますよ。そして、定額給付金については一年限りの措置なんですよ。そして、ふるさと交付金は各自治体に交付しているものなんです。まあ、これはいいでしょう。

 そこで、最後に申し上げておきます。予算と予算関連法案はやはり同じものなんですよ。というのは、野田財務大臣、突然だけれども、予算における、計上されている歳入というのはどういう性格のものですか。

野田国務大臣 予算を執行する上で、特例公債法案とか税法とか、これは予算の執行を裏づけるものであります。歳入面から裏づける、そういう一体的な内容でございます。

伊吹委員 少し違う。まあ、半分ぐらい合っているんだけれども。

 歳出は、そこまで国民の税金や将来の国民の税金の負担である国債を使ってもいいという権限を、国民の代表である国会が政府に渡すことです。しかし、歳入は、あくまでこれは見積もりなんですよ。そして、その権限は各法律で規定されているんですよ。だから、従来であれば一体となって送っているでしょう。そして、一体となって送っているのはそういう意味があるんですよ。

 だから、政党の四月十日の地方統一選挙の思惑だとかいろいろなことがあるかもわからないけれども、もしこれを分離して送れば、あなた方は、送った途端に、三十日の規定があるから自然成立をするので参議院は言うことを聞くと思っているかもわかりませんが、なかなか私は、西岡さんという議長は院の権威を守る方だから、こんなことをやってしまったら、その後のすべての予算関連法案が参議院でストップしてしまいますよ。

 菅さん、まだまだしばらくは時間があるから、ぜひ一体として、これは、あなたのところは衆議院は圧倒的に多数を持っているんだから、衆議院から一体として送るべきです。そして、国民に迷惑をかけないように、参議院で三月三十一日までに通すものと通さないものの知恵をやはりきちっと出さないと、参議院がぐちゃぐちゃになりますよ、こんなことをしていたら。

 そして、仮に、昨年、予算関連法案も予算もしっかり通ったときでも、四月の税収、収入は、四月は国債を発行していませんね。四月の収入は、支出を五兆円、特別会計も入れれば十兆円下回っているんですよ。その間をつなぐのは、昔の大蔵省証券、今の財務省証券ですね。

 七月まで時間があるんですよ。だから、菅さん、あなたの首を差し出すから関連法案を通せなんという言葉に乗っちゃいかんですよ。一番の根拠は、今わあわあわあわあ言ってテレビに映っている、有権者の皆さんも選挙区の人の顔を見てください、この人たちが当選をしてきた正統性がないということなんですよ。

 だから、あなたのやるべきことは、期間のある間に解散をして、そして、しっかりとした民主主義を日本に根づかせた総理大臣として名を残すことです。このままなら、党内を掌握できずに結局野たれ死にしちゃったという名前しか残せませんよ、菅さん。私は、あなたと長い間一緒に政治をやってきた友人だから、ここはしっかりとやってもらいたい。国民に迷惑をかけないように、解散をしても迷惑をかけないようにするためにはどうするんだということだけをしっかりと与野党で話し合って、そして、しっかりとした民主主義を日本に根づかせようじゃないですか。

 どうですか、最後に。

菅内閣総理大臣 まず、公債特例法、確かに、この十年ほどは予算と一緒に出されているケースが多いわけですが、しかし、例えば平成元年は六月二十六日がたしか公債の衆議院の本会採決でありますし、それ以前はほとんど一カ月ないし二カ月、予算よりもおくれております。ですから、それが必ずしも慣例だということにはなりません。

 それに含めて申し上げれば、先ほど申し上げたように、私は、今せっかく景気が回復基調になっている中で、まず予算を通過、成立させていただいて、そしてできるところから予算関連法案を成立させていただく。最終的にはもちろんこの特例法を成立させていただきたいと思いますが、そのやり方については、やはり実現を最大限目指すという中で国会の扱いに任せてまいりたい、こう考えております。

伊吹委員 ありがとうございました。

 どうぞ、テレビをごらんになった主権者の皆さん、今の問答を御判断いただいたら結構だと思います。ありがとうございました。

中井委員長 この際、加藤勝信君から関連質疑の申し出があります。伊吹君の持ち時間の範囲内でこれを許します。加藤勝信君。

加藤(勝)委員 自由民主党の加藤勝信でございます。

 きょうは、我が党の鴨下委員が二月二十四日の予算委員会で取り上げ、また社民党の阿部議員からも質問主意書が出されている第三号被保険者の記録不整合問題、これに絞って質問をさせていただきたいと思います。

 この問題は、年金という大変国民の関心の高い問題であるとともに、これが週末、マスコミ、あるいは各新聞では社説においても取り上げられていく、そして、そうしたことを受けて国民からもさまざまな声が私どものところにも寄せられている、非常に関心の高い問題であります。まさに広く国民の権利と義務にかかわる問題だ、こう思うわけでございます。

 そういう認識のもとで、まず、若干事実関係あるいは制度の前提を確認させて、質問に入りたいと思いますが、パネルをお願いいたします。

 そもそも、この不整合記録の問題でありますけれども、現役世代のすべての人たちは国民年金に加入する、こういうことになっているわけであります。そして三種類、ここにありますが、一号、二号、三号の被保険者になることになっております。

 ちょっと順番が変わりますけれども、二号被保険者というのが、いわゆる民間のサラリーマンや公務員の方であります。そして三号被保険者、これが今回問題になるところでありますけれども、第二号被保険者の被扶養配偶者、これがポイントなんですね。第二号被保険者の配偶者であること、そして被扶養の条件、一般的には年収が百三十万未満ということでしょう、そういうことである。そして、上の一号は、通常は自営業者と言われておりますけれども、実態は、そういう方に加えて、逆に言えば、二号、三号でない方がすべて一号に入っている。これが今我が国の仕組みになっているわけであります。

 そして、保険料は、第一号の被保険者は、今、毎月一万五千百円でしょうか定額で払うことになります。そして、第二号被保険者は、厚生年金あるいは共済年金等の部分を含めて、今、大体一六%、労使折半ですから御本人は八%ぐらいお払いになる。そして第三号被保険者、第三号被保険者は直接の負担はないわけであります。しかし、この第三号被保険者として認められている期間については保険料は納付されている、こういうことになりまして、将来の年金額に反映をされる。では、その年金額の支給分はだれが負担しているかといえば、各年金制度、言ってしまえば、年金保険料、そして国庫負担、すなわち税、こういう仕組みになっているわけであります。

 そして、ここで出てくる問題は、この「二、第三号被保険者でなくなる場合」ということであります。いろいろなケースがありますから、重立った例を二つ取り上げさせていただいております。

 一番目は、先ほど申し上げた、例えば配偶者である夫が第二号被保険者でなくなる、退職したりリストラしたり、そういうことになりますと、この第三号被保険者、奥さんになりますが、これは第一号被保険者になることになるわけであります。

 例の二を申し上げますと、これは、奥さんの方の事情で、先ほど申し上げた被扶養という点、すなわち百三十万円以上の収入を得るようになられた、そうすると自動的に第三号から外れる、こういうことになるわけであります。

 そして、ここで出てくるのが、三番目の不整合の問題なんですね。基本的に、こうした事例の場合には、本来であれば、自分が第三号から第一号被保険者になりますよ、これは種別変更と言われるそうですが、届け出を行うことになるわけです。そして、その後、一号被保険者になれば、当然毎月毎月の保険料を納めることになる。

 しかし、問題なのは、この届け出が実は行われていない、こういう方が結構おられる。これがいわゆる不整合記録、違う言い方をしますと、実際の被保険者の種別は第一号被保険者であるにもかかわらず、届け出がされていないため年金の記録上は第三号被保険者となっている。

 これが不整合記録という部分でありまして、厚生労働省のある一時点でお調べになられたその数字によりますと、この不整合記録を有する人、これは、今の被保険者だけじゃなくて、中にはもう既に年金受給をされている方もおられるかもしれません、あるいは保険を納める期間が終わって年金がもらえる期間の間の方もおられるかもしれません、そういう方を全部含めると、数十万から百万を超える方がおられるであろう、あるいはかもしれない、こういうことなんですね。したがって、本件の取り扱いというのは、まず、場合によっては百万人を超える方々の年金そのものに大きくかかわる、こういう問題なんです。

 基本的には、本来、こういう不整合記録を出さないように努力をしてこなければいけない、あるいはこれからしていく、これがまず当然でありますが、今回、厚生労働省が出されたいわゆる救済策において、この不整合記録を有する方が、いよいよ自分が年金をもらえる、六十五歳の直前になると思います、年金事務所、今でいえば機構の事務所に行きまして、では実際に申請する場合に、これまでの、すなわち去年までのあるいは本来の取り扱いとそして救済措置における取り扱いと、一体どう変わるのか、これをまず厚生労働大臣から御説明いただきたいと思います。

細川国務大臣 加藤委員の御質問にお答えいたします。

 これまでは、六十五歳になる直前に申請に来られます、そのときには、三号被保険者で来られた場合に、本来ならば、一号であるかどうかということを確かめて、そしてそれが不一致ならばそこの点については未納期間、こういうことで計算をして、そしてきちっと不整合を訂正して、年金がどれくらいになるかを決める、こういうのが本来の姿でございます。

 ところが、それは、過去の、調べてみますと、特に、始まったのが六十一年四月でありますから、その後、平成十年の四月まで、これはほとんど社会保険庁の方は何もそういう実態が、一号被保険者になったということでそれを改めるようなことはほとんどしていなかったという状況で、申請に来てもそれは三号被保険者のままでやっていた、こういうことになります。

 そして、その後、平成十七年、総務省の方から改善の勧告がございまして、十七年からは割と、一号被保険者に変えるようにという勧告、そしてそれをしなかったらそれを抹消、種別変更を強制的にするというような形でやってきた。それでもまだほとんどできていなかったというのがあります。それで、十七年以降はしっかりそれをやるようになってきておりますけれども、それでもまだ実態に合わないようなことをやっていた、こういう状況があります。

 そこで、今度は、それを通達三号では、そういう不整合期間がありましたならば、それについて是正をする、そういうのも尊重するといいますか、記録を尊重するということで、二年間だけは請求をして、そして、それ以前の期間については、その三号被保険者という記録を尊重して、未納期間については、これは一応三号被保険者であったということで取り扱おう、こういうことを決めたのが三号の通達でございます。

加藤(勝)委員 簡単に申し上げますと、この不整合記録の期間を年金の支給に反映するかしないかということが、ここによって変わるわけであります。これまでは反映されなかった、そしてこの救済措置によって反映されることになった、ここがポイントだと思うんですね。

 確かに、御主人が脱サラして第一号被保険者になりました。奥さんそのものは、自分は第三号被保険者であるということの認識がどこまであるのか。あるいは、届けなければいけないということを余り認識されていなかった、そういう方も確かにいらっしゃると思うんですね。そういう方が年金をもらいに行ったら、どかんと、あるいは、場合によっては年金をもらえない、これはどうにかしなきゃならない、私はこれは一理ある、こういう話だと思います。

 しかし、これに対して、やはり不公平じゃないか、問題があるんじゃないかということが年金業務監視委員会、これは総務省の所管する委員会でありますね、この二月の十六日の委員会で次から次へとおかしいじゃないかという声が出されております。私がいただいた議事要旨を見ると、反対する意見だけ書かれたのかもしれませんけれども、この措置でいいんだ、厚労省の措置でいいんだという声は一つもない、むしろ、おかしいと言うばかりだ、こう思うんですが、総務大臣、どうですか。

片山国務大臣 年金業務監視委員会でこの問題が提起をされまして、論点は幾つかあったようでありますけれども、その一つは、さっき加藤議員もおっしゃいましたけれども、ある特定のグループといいますか属性にある人たちを救うことによって、別途の不公平を生むのではないかという論点、それからもう一つは、法令的にその根拠がはっきりしているのかという論点、こういう論点が出されたというふうに伺っております。

加藤(勝)委員 今の、まさに委員会で指摘のあった不公平感、例えば、ちゃんと法令にのっとり届け出をしていた方は、ずっと保険料を納めて初めて年金をもらえるわけですから、それとの問題、あるいは、同じ不整合記録があったにもかかわらず、去年まで年金の裁定請求に行った場合と行かない場合との取り扱いの不公平。

 これはどのぐらいの金額になるか、ちょっと私、一つの例で計算してみました。例えば、不整合期間が五年あるという方の場合、一年間保険料を納めていただくと、年金額は約二万円上がることになるんですね。そして、五年間ですから、したがってそれで年額十万円変わってきます。そして今、女性の平均寿命、六十五歳からの平均余命というんですか、二十四年なんですよ。そうすると、二十四年掛ける十、二百四十万なんですね。二百四十万もの差が、ある日を前後して、法律の改正もなく異なってしまう、こういうところに問題があるんじゃないか、そして、それが法律にもよらないということであります。

 通常、これだけ大きな話を政府が判断するという場合には、関係する皆さんにしっかり調整をし協議をして、そして決めていくのが、少なくとも私どものときのやり方でありました。

 そこで御質問いたしますが、まず、これが法律上、法律改正をしなきゃいけないのか、今の法律でできるかどうか、こういった事務的な相談、内閣法制局にするわけでありますが、法制局長官、こういう事務的な協議が事前にありましたか、イエスかノーかでお答えください。

梶田政府参考人 お答えいたします。

 今お尋ねの件につきましては、事前に厚生労働省から相談を受けたことはございません。

加藤(勝)委員 そして、今回御指摘になった年金業務監視委員会を所管されている総務大臣、総務省に対して、事前の相談はありましたか。

片山国務大臣 業務監視委員会に対しての事前の相談はなかったと聞いておりますが、これは、年金業務監視委員会が、事前にそういう相談を受けて、両者でよく協議してという、そういう性格ではありませんで、国民年金などの業務について、必要に応じて業務監視委員会が意見を申し入れることができる、こういう仕組みになっております。

加藤(勝)委員 そして、こういう話は、政府・与党一体であります。与党の政調の関係、玄葉大臣は政調会長も兼務をされているということでありますが、政調の皆さん方に事前に相談はありましたか。

玄葉国務大臣 部門の方に相談があったかどうかは調べないとわかりませんけれども、少なくとも私には事前にございません。

加藤(勝)委員 私が聞いている限りは、そういう議論がされたことはないということをお聞きしておりますが、それはまた後で、違ったら訂正をしていただきたいと思います。

 要するに、今ずっと指摘をしてまいりましたように、関係者、与党も含めて、全く協議を行わない。そして、結果的に、年金業務監視委員会から、不公平だ、あるいは法律にしておくべきであった、こういう指摘が行われている事態になったわけであります。

 私は、この問題は、救済策にも一理あると先ほど申し上げました。そして、おかしいという指摘にも一理あるわけであります。すなわち、何が公平で、何が公正かという、まさに価値判断に係る問題だと私は思うんですね。そして、多くの国民にもかかわる問題であります。まさに、こういう問題は、広く国民に開かれた議論の場において、まさに政治が主導して結論を出すべき問題だというふうに思うわけであります。

 そして、先ほど申し上げたように、本当に一日、去年とことし違うだけで、場合によっては二百四十万も生涯年金が違う、そういうことが、法律改正によるものではなく、このボードを見ていただきたいんですけれども、この通知によってそれがなされているわけです、あるいはなされることになったわけであります。それは、ここにありますように、読ませていただきますけれども、厚生労働省年金局事業企画課長、こういう名前で、そしてもう一人、年金局事業管理課長、まさに厚生労働省の課長のお名前のこの通知で処理をされているということであります。

 民主党の皆さんあるいは菅政権は、政治主導だと言っておきながら、こうした対応がとられたことに対して、総理、御感想を伺いたいと思います。

枝野国務大臣 まず、これは厚生労働省の内部限りで議論をしていたというわけではありませんで、年金記録回復委員会の方で、昨年の三月にはこの問題点を指摘して、そして、こういった方策が必要ではないかという考え方を公開いたしております。そして、昨年の十二月にも、年金記録回復委員会の公開の場で、こうした運用の改善については公開の場で議論をして、こういう方向でということでございますので、御了解をいただければというふうに思います。

 その上で、御指摘の点については十分考慮をいたすという前提で、今、厚生労働大臣を中心に、総務大臣とも御相談をいただいて、必要に応じて、私の方も調整に関与させていただいて、しっかりと公平性とそして現実的な救済との兼ね合いを判断してまいりたいというふうに思っております。

加藤(勝)委員 官房長官、間違っていますよ。厚生省内部なんですよ、回復委員会というのは。これは、厚生労働大臣の伺い定めによってできている、全く助言する機関ですよ。厚生労働省内部だけではない、訂正してください。

枝野国務大臣 ちょっと言葉遣いに誤解があったらおわびを申し上げますが、厚生労働省のそういった機関でございますが、今申し上げた議論は、公開をされたものの中で、昨年の三月来、公開をされて議論をされていたということを申し上げたかったので、言葉が足りなかったら訂正いたします。

加藤(勝)委員 公開と言いますけれども、インターネットのサイトの片隅にぽっと出すのが公開なんですか、本当の意味で。それで国民がわかりますか。わからなかったから、今問題になっているんでしょう。

 もし、去年の三月からこういうことが議論になっていますよと知っていれば、去年の十二月まで、こういうことなら少し待ってみようという方だっていたでしょう。しかし、その方々が、そういう事情を知らないから、ある意味では先にやってしまった。もしそんな救済措置があれば、去年の十二月にやらずに、一月まで待っていればよかったなという方だっておられるわけですよね。

 全く不公平です。それをもって公開しているなんというのはもってのほかだと思いますが、今の議論を聞いて、総理としての感想を教えていただきたいと思います。

菅内閣総理大臣 私も、この三号被保険者の問題、いろいろと説明をよく聞いてまいりました。

 現在の年金制度が制度的にかなり複雑で、特に制度間の異動について、私自身も、厚生大臣になったときに国家公務員共済に入って、そちらに移るようにと言われたんですが、大臣はそちらの年金には入れないということを担当者が知らなくて、大変私としては迷惑を受けたんですが、そのことはそのこととして、制度間の異動について、修正が長年にわたって適切に行われてこなかったことが背景にある、こういうふうに理解をいたしております。

 この問題は、こうした対応の結果生じた年金基金の不整合の対象者をどのようにして救済するのか、同時に、年金の公平性の確保をやはりどう確保するのか、こういう両面からの議論が必要だと考えております。

 加藤議員も、救済が一切必要でないという立場ではないということを今もみずからおっしゃったように、こういう両面を考えて、厚生大臣が中心ではありますけれども、総務大臣との間で十分協議をして適切な結論を出してもらいたい、必要によっては官房長官にもその間に入ってもらいたい、このように指示をいたしているところであります。

加藤(勝)委員 いや、私が申し上げたかったのはそういうことではなくて、この一連のプロセスが、これだけ大きな話が、関係者と協議することもなく、そして法律のプロセス等を積むこともなく、こういう対応をとられたことについて総理としてどうかということを申し上げたのでありますけれども、次に行かせていただきます。

 それでは、先日の二十四日の議論で留保されております、この留保の結果について、政府としての見解をお示しいただけますか。

細川国務大臣 せんだっての委員会におきまして……(発言する者あり)

中井委員長 御静粛に。

細川国務大臣 鴨下先生の方から御質問をいただき、そこで、年金業務監視委員会でもいろいろな異論が出ているということで、それで、私の方は、この件につきましては一時留保をする、こういうことを申し上げたところでございます。

 その後、総務大臣とも協議もいたしましたけれども、きょう、年金業務監視委員会の方で、厚労省の年金回復委員会の委員長あるいは副大臣、そういう者を呼ばれておりまして、そこで、業務委員会の方でも、この件について、どういういきさつでこういうふうになったかもいろいろと御説明もさせていただく、こういうことになっております。

 そういうところでの御意見も踏まえまして、いろいろと、その留保について今後どうしていくかということを私どもも検討していく、こういうことをこの間申し上げたところでございます。

加藤(勝)委員 そうすると、事態は、今申し上げたいろいろな手続の話は聞きましたけれども、留保について何の答えも出ていない、こういうことですよね。

 総務大臣、二十五日の記者会見であるいは二十四日の委員会で、できる限り年金業務監視委員会を前倒しすることを検討するというニュアンスのことをおっしゃいました。そして、二十五日の記者会見で、しかし、委員会の皆さんに聞いたらば難しい、そういう認識。確かに、委員会、相手のあることですから、できないことがあると思います。そして、その後に記者会見で、しかし、最終案ではないけれども、この予算委員会の流れ、二十四日の、鴨下委員が質問をし、質疑が中断する、こういう大変大きな事態を踏まえて、あらかたの方針については出して、早くお示ししていきたいと思います、こう記者会見されているんですよね。

 あらかたの方針で結構ですから、出してください。

片山国務大臣 鴨下議員とのやりとりの中で申し上げたつもりなんですが、年金業務監視委員会がこの問題を取り上げて、それで論点を整理して私のところに年金業務監視委員会としての見解を持ってこられる、それを受けて総務省としては厚生労働省に年金業務監視委員会の意見をお伝えする、こういう筋書きといいますか仕組みになっているんです。

 その話を申し上げたんですが、この予算審議の過程で、早く何らかの結論を出せという要請もありましたので、年金業務監視委員会はまだ結論を出しておりませんけれども、前回やったときの、先ほど申し上げた、紹介した論点がもう出ておりますので、その論点の主要な点は厚生労働省にもお伝えをして、その上で、厚生労働省の方でとりあえず留保をしようということになったわけであります。

 先ほどおっしゃった、年金業務監視委員会の次回を早くしたらどうかということであったんですが、二十四日の二十五日にしようというのは、これは幾ら何でも無理でありまして、委員七人全員が日程がそろわないということで、結局、予定どおり、きょう開くことになっております。

 したがって、きょうまた、あらかたの論点はもう伺っておりますけれども、厚生労働省の方で留保をした、その間のいきさつについては、先ほど厚労大臣からお話がありましたように、大塚副大臣等から御説明した上で、またいろいろな意見が出てくると思いますので、それを受けてまた厚生労働省の方にお伝えしたいと思っております。

加藤(勝)委員 鴨下委員の残余の質問に対して政府の統一見解が示されなければできない、こういうことがあったわけであります。委員長は、そのとき、御意向はわかりました、こうおっしゃっていただきました。

 そして、金曜日の理事会で、いわば職権で本日予算案が採決をされるような日程も決められているということでありますけれども、その決定がいいかどうかは別として、そういうことであれば、当然それまでには政府の見解が示されてくるのは、私は当たり前のことだと思うんですよ。

 そして、それを、今お話を聞くと、まだ留保するかどうか、この扱いについて、これから行われる年金業務監視委員会の議論等も踏まえてという話であれば、それは一体、いつ答えを出せるんですか。

 これは予算委員会で指摘された問題なんですよ、委員長。それにしっかり答えを出すことは、私は政府の義務だと思うんです。その義務を政府が果たさない以上、我々はこれ以上質問を続けていけないじゃないですか。

中井委員長 私どもは、両大臣が協議して、そして文書をまとめたと聞いておりますので。

 細川律夫厚労大臣。(発言する者あり)細川律夫厚労大臣。(発言する者あり)細川君、お答えください。

細川国務大臣 二十四日には、私の……

中井委員長 二十五日の、この両大臣の、両省の文書をお読み上げください。(発言する者あり)

細川国務大臣 大変失礼いたしました。失礼いたしました。(発言する者あり)

 私の方から申し上げます。

    第三号被保険者の記録不整合問題に対する今後の対応について

          平成二十三年二月二十五日

                厚生労働大臣

                  総務大臣

  標題の件に対しては、

(発言する者あり)だから私が申し上げているということでしょう。これからちゃんと見解を読みますから、ちょっとお静かにして聞いてください。

  標題の件に対しては、以下の点に留意しつつ、速やかに検討し、厚生労働大臣が適切な結論を出す。

(発言する者あり)ちょっと聞いてください。

 1 年金制度に対する国民の信頼を維持するためには、可能な限り正しい状態を追求する必要があること。

 2 運用三号の対象者と対象者以外の間で扱いに不公平が生じること。

 3 運用三号の措置がなければ、対象者本人の予期せぬ年金給付額の引下げ等となり、混乱が生じること。

 4 本件の発生原因が、旧社会保険庁の事務手続き上生じた面があること(なお、記録の職権訂正や周知徹底について、行政に法的義務はない)。

 5 対象者の側にも、法律で定められた記録の訂正の届出を行わなかったという事情があること。

 6 本件(第三号被保険者の記録不整合問題)は、一昨年秋に旧社会保険庁職員に対して行ったアンケートによって判明したものであること(今回の一連の対応は、それ以前の状況に比べると、状況を改善する対応であること)。

 7 既に受給権が発生している高齢者を含め、過去全ての期間に遡って、国民全員の記録の齟齬を確認することは事実上困難であること。

以上でありまして、標題の件に関しては、そういうことで速やかに検討をいたしまして、私、厚生労働大臣が適切な結論を出す、これが方針でございます。

加藤(勝)委員 委員長、今のは何日付ですか。二十五日付なんですよ。それをしっかりまず出すべきでしょう。しかも、さっきの答弁は、全くないんですよ。これは時間つぶし、こんなのではまじめな議論ができないじゃないですか。

片山国務大臣 いずれにしても、加藤議員がおっしゃったように、救済の必要性というものと、それから、そのことによって生ずるアンバランスとか不公平をいかに解消するかという問題は、これはよく調べて結論を出す必要があると私は思います。拙速はやはり避けるべきだと思います。

 もう既に年金業務監視委員会の論点はお伝えしているわけでありまして、それを踏まえて、とりあえず第一弾として、厚生労働省は留保をされたわけです。残余の手続については、先ほど言いましたように、よく調べて、それで結論を出すということで、私はそれで常識的な判断だろうと思います。

加藤(勝)委員 いや、余りにも不誠実ですよ。

 委員長、さっき留保の話はどうなりましたかと質問をしたときに、答えていないじゃないですか、今の答えを。

中井委員長 留保の話はさっき答えました。

加藤(勝)委員 違いますよ。留保のその後の取り扱いはどうなりましたか。

中井委員長 それも答えました。そして中身については、これを。

加藤(勝)委員 それについて、今、ペーパーがあるのなら、それをきちっと説明するのが誠実な対応ではないですか。全く不誠実じゃないですか。今我々が追及したから出てきたんでしょう、委員長。こんなんじゃ審議できるわけないじゃないですか。まず、紙を出してくださいよ、紙を。(発言する者あり)

中井委員長 はい。それじゃ渡しますから。質疑してください。

 きょうはテレビですから……(発言する者あり)加藤君、質疑を続けてください。(加藤(勝)委員「何で最初に出さなかったんですか。何で最初に出してくれないんですか。時間をつぶすだけじゃないですか、そんなのは」と呼ぶ)

 議事を進行してください。(加藤(勝)委員「委員長、こんなんじゃできないよ」と呼ぶ)議事を進行してください。加藤君。

 加藤さん、両大臣間で、今まで総務省で出た議論も含めてこれは協議して、そして……(加藤(勝)委員「初めから何で答えてくれないんですか」と呼ぶ)ちょっと待ってください。そして、だけれども、きょうは二十八日。二十八日に委員会が開かれます。しかし、その委員会がきょう結論を出すか、大臣に諮問を出すかもわかりません。したがって、この委員会に間に合うように両省の見解をすり合わせたんです。(発言する者あり)

 それでは、進めてください。加藤さん。

加藤(勝)委員 まず、委員長、申し上げたいのは、最初に申し上げたように、留保の件はどうなりましたかと言っていただいたときに……

中井委員長 それでは、もう一遍答弁。

加藤(勝)委員 いや、違います。言っていただいたときに、まずその話をしていただければいいじゃないですか。両省で大臣が協議をして紙までできているんですよ。

中井委員長 僕が答弁する場じゃないから。

加藤(勝)委員 いやいや、違う。だから、余りにも不誠実だ。その不誠実をまず認めていただきたい。

中井委員長 はい。

加藤(勝)委員 そして、その上で、鴨下委員は、統一見解がなければ質問できない、こういうことを言っているわけでありますから、当然、午後の一般質問、十五分予定されているようですが、それまでには、答えですよ、今の答えじゃありません。どうするかという見解を出していただける。よろしいですか。

中井委員長 これは、二十八日の、総務省の監視委員会の協議が二十八日夕刻でありますから、なかなか技術的には難しい。しかし、今まで出た議論を詰めてやったものですから、私は、これはこれでいいんだと思います。

 細川君、先ほどの件、加藤さんの件について答えてください。

細川国務大臣 先ほどの加藤委員の留保の件についてはどうするか、こういう御質問でございましたけれども、先ほども申し上げましたように、留保そのものについては、今留保させていただいて、そして、今、これから統一見解も出しまして、それに基づいてこれから早急に結論を出していく、こういうことでありまして、留保そのものはまだ続けさせていただきます。

加藤(勝)委員 いや、大臣、私は大臣は誠実な方だと思っていましたよ。

 最初の質問のときに、まさに最初に、両大臣間でそれなりのまたまとめをされているわけでしょう、一応。だったら、それをきちんと言われることが審議の促進になるじゃないですか。こんな時間、なくて済んだじゃないですか。

 首を振っていられますけれども、そう思われませんか。一体何のために二回も三回も質問したか。

中井委員長 細川さんは、失礼だけれども、ぼそっと、総務大臣に会ったとは言いました、さっき。

加藤(勝)委員 いや、そんなことじゃないんですよ、委員長。きちんとそういうのは出して、誠実な審議をさせてくださいよ、委員長。そして……

中井委員長 では、総務大臣にこの紙のことを聞きますか。

加藤(勝)委員 いやいや、別に、両大臣でつくっているんだからいいんですよ、それは。厚労大臣の話。

 それから、先ほど申し上げた、今のままいけば、今の委員長の話でいえば、鴨下委員の質問までには統一見解が間に合わない、そんなことでは予算委員会としての使命が果たせないじゃないですか。政府はそれまでに間に合わす、あるいは、私どもが言っているのは、ルール重視でいくのか、救済重視でいくのか、そのあらかたの方針、それだけでもはっきりすべきですよ。そうでなければ審議できないじゃないですか。予算委員会の使命を果たせないじゃないですか。

細川国務大臣 加藤委員も質問の中で言われているように、救済をしていくのか、それとも公平の見地から、観点からこれをやっていくのか、大変難しい問題なんですよ。それは加藤委員がおっしゃるとおりで、我々の方もその点については大変苦労しているわけなんですよ。それを今ここで結論を出せというのは大変難しいところでございまして、これは御理解をいただきたいというふうに思っております。

加藤(勝)委員 いや、今のお話、何回聞いても、やはり誠意ある対応をしていただきたい。我々はきちんとした議論をしていきたい。そして、予算委員会で出てきた話であります。そして、非常にこれだけ国民の皆さんが、これまでのルールどおりやるべきなのか、あるいは救済を重視すべきなのか、あるいはその間に折衷案があるかもしれません。やはり、そういうことに関して基本的な考え方を出し、ここでしっかり議論していく、これが予算委員会の大事な使命だと私は思うんですよ。

 だから、少なくとも午後の鴨下委員の質問までには、あらかたの方針で結構であります、出してください。決めればできるんですよ。

細川国務大臣 先ほども加藤委員にお答えをいたしましたように、私と総務大臣の方で話もいたしまして、そこで方針について、先ほど申し上げたような方針でやっていく、こういうことを申し上げたわけなんです。

 したがって……(発言する者あり)先ほどのが、だから、方向性を示せ、こういうのが、これがこの間の予算委員会での、だから今方針を申し上げたところでございます。

加藤(勝)委員 いや、方向性を示せと言われるからつくりましたというその文書を、さんざん質疑をしなければ出てこない。最初に出されるのが筋でしょう。それが私は当たり前の政府の義務であり、政府の真摯な対応だと思いますよ。

 そして、最後に申し上げますけれども、鴨下委員は、あくまでも政府統一見解がなければ質問できない、それが我々予算委員会のやはり大事な責務だ、こういう認識で、あの二十四日、終わられたわけであります。

 したがって、その統一見解が、あるいは少なくとも今申し上げた、ルールどおりいくのか、あるいは救済重視でいくのか、そういう大方の方針が示されない限り、我々はそれに応じることができない。

 このことを明確に申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

中井委員長 この際、谷公一君から関連質疑の申し出があります。伊吹君の持ち時間の範囲内でこれを許します。谷公一君。

谷委員 自由民主党の谷公一でございます。

 限られた時間でございますけれども、民主党内閣の一丁目一番地という地域主権改革の中で大きなウエートを占めております一括交付金について、この問題に絞ってお尋ねしたいと思います。

 先月の菅総理の施政方針演説で、改革は大きく前進します、地域が自由に活用できる一括交付金が創設されます、当初、各省から提出された財源はわずか二十八億円でした、これでは地域の夢は実現できません、各閣僚に強く指示し、来年度は五千百二十億円、二十四年度は一兆円規模で実施することになりました、政権交代の大きな成果ですと、強いリーダーシップでやったのだと誇らしげに総理は述べられています。

 パネルをごらんください。

 来年の自治体向けの予算がどうなっているのか。道路、河川、学校の耐震、下水、そういう施設整備をするための国からのお金です。今年度の三兆四千億円から三兆円ぎりぎりとなっています。一〇%減っている。どう思いますか、総理、これで改革は大きく前進したのですか。地域の夢は実現できるんですか。

 昨年秋、民主党代表選挙がありました。あの小沢一郎氏が代表選挙で、地方向け補助金を束ねることによって数兆の財源が生まれる、そういうふうに主張したかと思いますが、それをまねてこのように削減したんですか。

 まず、この点について、総理大臣、お考えをお伺いしたいと思います。

菅内閣総理大臣 今、谷委員から言われたことの性格は、いわゆる公共事業全体の予算が減ったということと一括交付金約五千億が積まれたということと、どういう関係で御質問か、若干私には理解が難しいんですけれども、一括交付金にした意義というのは、今おっしゃっていただいたように、従来は個別的な補助金でここにこれだけ使うというのを、少なくとも一括交付金化することによって各自治体がかなり自由裁量的に使える。そういう意味では、地域戦略会議、私の主宰するもので、何人かの現職知事も出ておられますが、大変高い評価をいただいております。

 ですから、全体額云々のことと補助金から一括交付金にして自由にするということは、関連はしておりますけれども、若干性格が違うんではないかと思っております。

谷委員 この表を委員の皆さん見てください。この表によって、三つのことがわかります。

 地域自主戦略交付金、いわゆる一括交付金ですね。これは、従来の交付金を引き継いで五千百二十億をその中から捻出した。それでいて、今までの、上に「社会資本整備総合交付金など」とありますけれども、二兆余りはそのまま残っているんです。そして、さすが財務省です。偉い。トータルの額はしっかり減らしているんです。私は兵庫県ですけれども、地方に生まれ育って現在住む者として、政府の冷たさにやり切れないんですわ。

 財務大臣、民主党のマニフェストに、補助金にかかわる経費と人件費をこの一括交付金によって削減すると書かれていました。削減したんですか、二十三年度予算を。一括交付金で補助金に係る経費と人件費を削減したんですか、取り組んだと誇らしげに言われていますけれども。

野田国務大臣 ちょっとこの資料だけだと全体像がわからないと思うんですけれども、国から自治体への補助金、これは、例えば投資関係という意味では、二十二年度と二十三年度の、今おっしゃるとおり三角三千百二十五億です。ただ、補助金というのは、経常も含めますと、これは約二十一兆から二十二兆へとふえているんです、全体は。ふえているんです、現実の数字は。

 ということであるということで、その前提で、今回の地域自主戦略交付金というのは、国の財源確保のためというのではなくて、先ほど総理の御答弁にもありましたけれども……(谷委員「投資経費だから投資を集めたんです」と呼ぶ)この投資の中でもそうですけれども、財源確保ではなくて……

中井委員長 勝手に質疑をしないでください。

野田国務大臣 あくまで地方の自由度を増す、そういうことの理念のもとにやった結果であって、当然のことながら、取捨選択を地方がする中で、その選択の中で効率化すると思いますけれども、財源確保ありきという問題の置き方ではないということでございます。

谷委員 今、財務大臣、効率化と言われました。効率化の名のもとに、結局、地方向けの、自治体向けの補助金を一割カットした、それがこの姿ということを指摘しておきます。

 では、この一括交付金、政府の方は、ひもつき補助金を段階的に廃止ということを盛んに強調されております。でも、各省庁は、先ほどのパネルで見ましたように、五千百二十億、それぞれ出しているんです。各省庁から出している。特に、国土交通省、農林水産省は多いんですけれども。そうしたら、各都道府県が自由に計画をつくれるといっても、事実上いろいろなパイプでプッシュする、こういった仕組みで地域の夢が実現できるのか。

 現に、各省庁の予算、この一括交付金の拠出額を含めれば、予算額はそれほど落ちていません。各省言っていますよ。財務大臣、よく御存じでしょう、そのことは。各省が、普通の公共事業のウエートはこうです、しかし一括交付金を入れれば表面ほど落ちていないですということを、国土交通省でも農林水産省でも、資料で書いていますわ。

 結局、そのこと自体、ひもつきと同じ囲い込みなんですよ、今回の一括交付金は。本当に自治体の、都道府県の自由裁量ということであれば、各省庁がそういうことをPRすることをやめさせるべきではないですか。逆に言えば、ここがポイントなんですけれども、囲い込むことが可能なような仕組みをつくったので、各省庁はお金を出したんです。総理大臣は、二十八億から五千億を、自分がリーダーシップをとってやった、そうじゃないんです。各省庁は、こういう仕組みであれば今まで自分たちが持っていた金が事実上そのまま温存できるから出したわけです。

 形だけにこだわる政治主導内閣の、この底の浅さというのが如実にあらわれていると思います。この仕組みは、役所の方は高笑いしています。総理大臣、御見解はいかがですか。

菅内閣総理大臣 少し論点が私には正確ではないように受けとめられました。

 といいますのは、今回、こういう制度を入れることに対して、本当に各省庁、物すごい抵抗をいたしました。なぜ抵抗したか。確かに、谷委員言われるように、初年度は、これまでの事業が継続しているものまでばっさばっさ変えるわけにはいかないというのが、政府としても、各自治体としても、そういう事情があることは承知しております。ですから、九割が継続事業がありますから、ことしはそれほど大きな影響はないということを、もしかしたら各省庁、あるいは各自治体、言うかもしれません。しかし、毎年毎年、継続事業は当然ながら終わるわけですから、そうすると自由度が増します。来年度は、それに基礎自治体まで移りますので、五千億がさらに一兆円規模になります。

 つまり、原理が変わるということと、その経過措置の中で、多少、一挙にドラスチックな変化にはならないということは、別に原理が変わることの意味を私は小さくするものではない、このように理解しています。

谷委員 全く総理は正確に理解されていないですね。

 自由度が高まる、地域の自由裁量を拡大、この問題について、話を移ります。

 これは、今お手元の資料にありますように、要は、この事業しかだめだという割り当てがあるんですわ。何も自由度が拡大していない。

 それでは、総理肝いりでこの五千百二十億のうち三百二十一億を沖縄に配分いたしました。これは沖縄は、総理、色をつけて優遇されたんですか、普天間の問題があるので。沖縄県だけ配分額が決まっているんです。ほかの府県は全く決まっていません。沖縄だけ三百二十一億。これは優遇されて決めたんですか。総理大臣が沖縄に行かれて、リーダーシップをとって決められたわけでしょう。お答えください。

菅内閣総理大臣 まず、個々の配分というもののあり方については、総務大臣のもとで、この間の議論でも、ある考え方は提出をされているところです。

 ぜひ、総務大臣を呼んで、個別的なことについてはお聞きをいただきたいと思います。(発言する者あり)

谷委員 総理大臣は、今声がありますように、地域主権戦略会議の議長でしょう。しかも、地域主権は一丁目一番地とずっと言ってきたじゃないですか。そんな細かい話を私はしていないですよ。大きな話、総理が沖縄に行って、普天間の問題があるから三百二十一億最終的に決めたんでしょう。

 では、その沖縄がどう言っているか。沖縄の声は総理御存じでしょう。枝野官房長官の方に、沖縄の方は、この交付金では使い勝手が悪い、せっかくいただいたけれども、予算には皆計上はいたしません。計上を保留しているんです。

 なぜ計上を保留しているか。沖縄の方は次のように言っています。メニューの少ないカタログつき商品券だと。現金のように使い勝手はよくないんです。しかも商品券なんです。カタログが、メニューが少ないんですわ。それを何とかしてほしい。だから、三百二十一億、沖縄に交付決定があったけれども、沖縄県は予算を計上しなかったんです。なぜか。使い勝手が余りにも悪いからです。

 総理は自由度が増した増したと言われる。でも、額が確定している沖縄のその声を、財務大臣でもよろしいですわ、どう受けとめるんですか。この声は御存じでしょう、官邸に直接知事が何度も言われているんですから。

野田国務大臣 沖縄の三百二十一億、これを別枠にしたというのは、これは、従来からこの交付金をする際には、沖縄は別枠で今まで決めてきています。(発言する者あり)いや、新しい制度ですが、ほかの四十六都道府県と沖縄は別にこういう形で措置をするというのは今までもやってきたことであって、特別今回おかしいということではございません。

 地方の要望については、これは地域戦略の主担当の大臣が聞いているはずでございますが、そういう、特別今回変わったということではないということはぜひ御留意いただきたいと思います。

谷委員 ちょっと財務大臣の今の答弁は違いますよ。沖縄は確かに別計上です。しかし、北海道もそうなんです。ただ、北海道は、今回この交付金の額を出していないでしょう。沖縄だけなんです。なぜ沖縄だけか。普天間の問題があって、菅総理が沖縄に行って何か手土産が必要だからこの交付金で色をつけたと報道されているんじゃないですか。

 そして、せっかく配慮した、普通よりも恐らくプラスアルファの額で沖縄に交付額を決めたんですけれども、でも沖縄は、今お話ししましたように、使い勝手が悪い、メニューの少ない商品券だ、これを何とかしてくれ、だから予算まで計上しなかった。そのことについてしっかりと受けとめていただきたいと思います。

 沖縄の声を大事にしてください。沖縄の声はイコール全国の地方自治体の声なんです。そのことをしっかり指摘させていただきたいと思います。

 そして、パネルの三つ目の客観的指標です。これもまたやっと、我々自民党が何度も何度も要求して初めて出てきました。ただ、その資料を見ても、お手元の資料の四番目でありますけれども、こんなのを見てもわかりませんわ、どういうふうに配分されるのか。こんなことで都道府県の方が予算が組めるはずはない。ほとんどの県が一括交付金を計上していない。

 しかも、この前の、先週の記事によれば、評価する県というのはほんのわずか。そして、片山大臣、片山大臣と言われますので、片山大臣のおひざ元の鳥取も、使途が制限されるなど中身は補助金の寄せ集めで、地方が求めていた姿にはほど遠いと。これは当然ですわ。

 一括交付金、自由度は何も高まっていない、ひもつき補助金と結局は同じなんです。我々自民党は、この予算の対案として、使い勝手のいい、地方向きの単独事業の一兆円の交付金というのを提唱しています。また、そういう考え方でやはりこの交付金はいかないと、結局、各省庁を寄せ集めて、事実上ひもがついて、自由裁量が高まることはない。そのことを指摘させていただいて、質問を終えたいと思います。

 ありがとうございました。

中井委員長 この際、小泉進次郎君から関連質疑の申し出があります。伊吹君の持ち時間の範囲内でこれを許します。小泉進次郎君。

小泉(進)委員 自由民主党の小泉進次郎です。

 きょうは、三十分の時間をいただきましてありがとうございます。きょうの集中審議のテーマは菅内閣の基本姿勢ということですから、基本的な質問をしたいと思います。

 今、私たち政治家を見る国民の目、これは本当に厳しいものがあります。この政治不信また政党不信に対しては、私は、与野党双方が反省をして、努力することは努力をし合うことが必要だと考えています。

 自民党自身も、過去に対する反省をもっと自分たちが口にしなければいけない。なぜここまで借金を積み上げてしまったのか、なぜ少子高齢化に対応できるような社会保障の制度を整備することができなかったのか、こういったことに対して自分たちの口から国民に説明をしなければ、自民党に対する不信感もぬぐえない。

 一方、民主党に対しては、多くの国民が期待をしたあの政権交代、その後に期待どおりにできていないことに対して率直に反省をして、国民の期待にこたえ、マニフェストのできるできないも含めて、正直に国民に語っていく必要があると思います。

 私は、まず総理に伺います。

 これは、二十五日ですが、民主党の岡田幹事長が神奈川県連のパーティーで、こういう発言をしました。だれが見てもできないことを、いつまでもできると言うのは不正直だ。

 総理は、同じ認識ですか。

菅内閣総理大臣 まず、小泉議員がみずからのこと、あるいはみずからの党のことも含めて、もちろん与党・政府も当然ですが、反省すべきことはきちんと反省すべきだと言われたことは、私、大変勇気ある発言だということで評価をいたしたいと思います。

 マニフェストについて、この間の議論でも申し上げているように、相当部分は実行してまいっております。その上で、任期の半ばを九月に迎えることを一つのめどにして、さらに実行すべきこと、あるいはいろいろな理由でなかなか難しいこと、これらを検証しようということを大会でも決めまして、その準備に入っているところです。

 そういった意味で、岡田幹事長の発言、私も詳しく、その場にいたわけではありませんけれども、少なくとも、検証するという方向と一致した趣旨ではないかと思っております。

小泉(進)委員 だれが見てもできないことというのは、今、総理は、岡田幹事長とマニフェストの修正、認識は同じだとおっしゃいましたが、だれが見てもできないことというのは、マニフェストのことですよね。

菅内閣総理大臣 ですから、マニフェストの中にいろいろな項目があります。初年度でも、暫定税率については、残念ながらマニフェストで申し上げたとおりには実行ができませんでした。

 そういうことも含めて、マニフェストで申し上げたとおりにできるもの、あるいは若干の修正が必要になるもの、いろいろなものを検証していくということであります。

小泉(進)委員 総理、私は、岡田幹事長は正直だと思います。

 しかし、選挙でできないことをできると言って政権をとったこと、これは、岡田幹事長がだれが見てもできないことを言うのは不正直だと言う以上に、最大の不正直なことではないですか。もしも、この岡田幹事長のだれが見てもできないことというのが通るなら、私は、まず、皆さんが選挙でできると言ったことを信じた国民に対して謝罪があるべきじゃないですか。

菅内閣総理大臣 ですから、先ほど来申し上げていますように、マニフェストの多くは実行しております。そして、マニフェストは、基本的には四年間の中で実行するということで、国民との約束としてお示しをしてきたわけであります。しかし、その中で、いろいろな理由で難しいものも率直なところ出てきておりますので、それらについて検証をしようということであって、私は、多くは実行してきているということの中で御理解をいただきたいと思っています。

小泉(進)委員 総理の、マニフェストの多くは実行している、実現しているという言葉を繰り返すたびに、国民はがっかりしていると思いますよ。余りにも、多くの国民が感じている認識と違うんですよ。

 国民がびっくりしているのは、総理自身の発言からもあります。先日の二十四日の本会議、これは社民党の阿部知子議員の質問に対する答弁でしたが、子ども手当の二万六千円という額について、私も議論がされている小沢代表当時、一瞬ちょっとびっくりしたことを覚えている。一瞬であろうとどれぐらい長くあろうと、びっくりしたのは国民ですよ。

 総理、びっくりした国民に対して、総理が何についてびっくりしたのか教えてください。二万六千円、こんな額ができるわけないというびっくりですか、財源が見つかるわけがないというびっくりですか、内容を教えてください。

菅内閣総理大臣 いろいろな政策について、いろいろな議論をいたしておりました。そういう中で、それまでの経緯などの議論と、かなり思い切った形での提案が出てきておりましたので、従来の提案に比べてここまでという意味では多少びっくりしたことを思い出したので、そうお答えをいたしたわけですが、そのことをベースにして、現在、実現を目指して努力をしているところであります。

小泉(進)委員 従来の考えとか額とは違うから一瞬ちょっとびっくりしたと。このびっくりしたということは、総理自身が二万六千円出せるかどうか自信がないということじゃないですか。総理は、あのときは一瞬ちょっとびっくりしたけれども、今は二万六千円という額は十分実現可能だと思っているんですか。

菅内閣総理大臣 この件については、例えば参議院のマニフェストでは、月一万三千円をベースにしてその上乗せを図る、その上乗せについては、現金給付あるいは現物給付、そういうことを含めて検討しようと。そして、現実に今提示をしている予算案では、三歳児までについてはプラス七千円の二万円というものを予算として提案させていただいているところであります。

小泉(進)委員 さっきから全然質問に答えてくれていないんですよ。マニフェストに掲げた子ども手当の今の内容なんか、私は聞いていませんよ。総理に対して、総理自身が二万六千円を聞いたときにびっくりしたと言ったんですよ。そのびっくりしたということ、国民からしたら、何を今さら言っているんだと思うんですよ。

 二〇〇九年の選挙で、総理だけじゃありません、民主党の候補みんな、私たちが政権とったら二万六千円配ります、こういうふうに言ったんでしょう。それは、国民から見たら自信がある、そして、この政策に対して信念があると思うでしょう。しかし、総理自身がびっくりしたということは、信念がないということじゃないですか。

 総理、私が前回の二月の八日の予算委員会の質問に立ったときに、財務副大臣の櫻井さんにもこちらにおいでいただいたんです。櫻井財務副大臣自身だって、財源に対する不安、そして、当時、マニフェストは一部の人がつくった、これを認めているんですよ。だから、その一部の人たちに出てきて説明をしてほしいとまで言っているんです。

 総理は、あのマニフェストをつくった人たちに、国民の前に出てきて説明をしてもらうような指示を出す気はありませんか。

菅内閣総理大臣 何度も申し上げましたように、マニフェストは、党として決定をして、国民の皆さんにお約束をして提案いたしたわけであります。

 その上で、何度も申し上げていますように、それを実現すべく最大限の努力を現在も続けております。そして、相当部分は実行しました。特に小泉さんのような若い皆さんにとっては、従来の社会保障が、確かに高齢者については医療、介護、年金等、国際的な比較でも相当の水準まで来ておりますが、例えば子供の問題あるいは若年層の雇用の問題などでは比較的そういう部分が弱かったということで、全世代的な社会保障に変えていこうということも昨年の暮れには提案をいたしております。

 その最初の大きな政策として子ども手当を提案し、現実に、まだ一万三千円ではありますけれども、しかしそれでも相当の大きな政策としてもう既に実行に入り、そして三歳児までには二万円というところまで提案をさせていただいているわけでありまして、だから、そういう意味で、一〇〇%ではないけれども実行をしている、そのことをきちんと申し上げてお答えをしているわけです。

小泉(進)委員 総理がそうやって子ども手当のことを自信満々に話しますけれども、きのう、民主党の岡田幹事長が、NHKの「日曜討論」で子ども手当を修正することまで言っているんですよ。しかも、子ども手当の修正にとどまらないで、かつて廃止をすると法案を出した児童手当にも触れて、児童手当の拡充という形でも検討をしたい、こういう発言をしました。

 総理の認識は幹事長と同じでいいですか。

菅内閣総理大臣 政策的に小泉議員、よくおわかりの上で言われているんでしょうけれども、現在の制度そのものが、かつての児童手当の制度にある意味上乗せとする形で子ども手当をつくっております。そういうことを含めて、私は、岡田幹事長が、深層心理まではわかりませんけれども、そうした政策論として一つの可能性に触れられたんだろう、こう思っております。

小泉(進)委員 では、岡田幹事長がきのう発言したことは、党としての考えではないということですね。

菅内閣総理大臣 今後のいろいろな与野党協議の中のいろいろな可能性として発言された、私はこのように理解しております。

小泉(進)委員 それでは、既にもう審議が始まっている子ども手当法案に対しては、今回のこの国会の審議の中で修正をしていく、そういうことでよろしいですか。

菅内閣総理大臣 いろいろな議論がもう既に野党の皆さんからも出ているわけでありますので、いろいろな可能性のある姿として幹事長としての発言があったんだろう、こういうふうに思っております。

小泉(進)委員 菅総理、この岡田幹事長が、中身が問題であって、子ども手当でも児童手当でもそれは問題はないと。こういう発言の大きな問題をわかっていますか。

 かつて皆さんは、子ども手当と児童手当は、現金給付という点では同じだけれども、制度も目的も趣旨も違うと言ったんですよ。つまり、子ども手当を放棄することは、一つの政策の放棄じゃなくて、子ども・子育てに対する民主党の哲学、この理念の放棄なんですよ。この考えをわかっていないんですか。

菅内閣総理大臣 子ども手当について、先ほども申し上げましたけれども、我が国では、比較的高齢者に対する社会保障の充実というものは進んでまいりましたが、例えば少子化対策とかそういう意味では必ずしも十分に進んでこなかった中で、一つの考え方として、子供を育てるものを社会全体の役割として位置づけてやっていこうということであって、私は、そのこと自体、間違った理念だとは思っておりません。

小泉(進)委員 総理、全然質問に答えていないですよ。

 私は、子ども手当と児童手当、これは確かに国民から見たら、お金をもらうということでは同じですよ。しかし、皆さんは、それは違うと言ったじゃないですか。一人一人の子供の育ちを社会全体で支えるんだ、だから、自公政権でつくった児童手当という所得制限をかけるようなそういう政策とは考えも目的も違うんだと。子ども手当はそういった理念でやっていない、これを今まで言い続けたんですよ。

 改めて総理に伺います。子ども手当を放棄するということは、政策の放棄じゃない、皆さんの党としての子ども・子育て支援に対する哲学を変えるということでいいですね。

菅内閣総理大臣 言葉として厳密であるかないかは別として、いろいろと言われておりますが、政策には、今お話もありましたように、例えば介護保険の議論のときもありました。つまりは、お年寄りの面倒を本当は家族でやるべきだけれどもという議論もありました。しかし、それを社会化しようというのがあの介護保険の理念でした。私たちはこの子供のことについても、それは親の責任でやればいいという議論もあるわけですけれども、しかし、やはりこれは社会の責任としてやるべきことではないか、そういう理念は私は今でも正しいと思っています。だから、それを崩しているとは思いません。

 ただ、そのことと、何か、児童手当の中にも、私は、児童手当をこれまでやってこられた皆さんもそういう考え方も含んでいたんじゃないかと思っていますから、本質的にそれで何かが間違っているとは思いません。

小泉(進)委員 総理、今までの民主党の考え方をわかっていますか。第百七十国会で、民主党が野党だったとき、子ども手当法案というのを出して、その附則の中に、児童手当は廃止するということを書いているんですよ。そして、政権をとった後、私たちはさんざん子ども手当を批判しました。その中で皆さんは、児童手当はこれは考えも違うんだと言い続けたじゃないですか。

 それを、これは先月あたりか二カ月前あたりからかわかりませんが、今までだったら児童手当と子ども手当の違いばかり言っていたのに、いつの間にか児童手当と子ども手当の共通点ばかり言い始めたんです。

 総理は、国民は正直になることを求めているんですよ。できないことはできないと認めて、その上で真剣に前に進めていこうという姿勢を国民は求めているんじゃないですか。だから、今、野党の反対で通らない、その中で、法案を通すために子ども手当にはこだわらないというんだったら、そのような状況の説明から、自分たちが置かれている状況を正直に国民に説明してくださいよ。

菅内閣総理大臣 私には小泉議員がなぜそこまでおっしゃるのか少しわからないんですが、つまり、議論をしてきているわけです。議論をしている中で、当然、私たちとしては、最もベストなものと考えて子ども手当をこれまで提案してきましたし、今も基本的にはその姿勢は変わっておりませんが、しかし、野党の皆さんからは、いやいや、それはこういった面では違うんじゃないかとかいろいろな議論が出されておりますので、そういう皆さんの議論も含めて、どうあるべきかをこれから議論しようということで、幹事長もそういう考え方で言われたんだ、こう理解しています。

小泉(進)委員 私は、これは子ども手当だけじゃないと思うんですが、マニフェストの項目を変えざるを得ない状況に置かれている中で、総理や民主党の大臣の皆さんに求められているのは、今置かれているこの国会の状況、ねじれの中で、やりたいこととできることの違いをまずは率直に認めて、その上で与野党で考えることができないかという態度じゃないですか。それにもかかわらず、菅総理の口から出るのは、マニフェストの大部分は実現しているとか達成しているとか、そうやってぬけぬけと言いますが、私は、そういう態度は国民からは理解されないと思いますよ。

 こうやって、なし崩しに民主党のマニフェストは変わっていくんですよ。変わるんだったら、国民にしっかり変わる過程を説明すればいいじゃないですか。もうここまで来ると、民主党のマニフェスト違反かどうかとかそういう議論以前に、政権交代というのは何だったのかと思いますよ。民主党って一体何を考えている党なんだという考えになりますよ。私は、政権交代というのは日本にとって必要だったと思っています。しかし、政権交代後の民主党は余りにもひど過ぎる。

 総理は、国民が政権交代に望んだものは何だと思いますか。

菅内閣総理大臣 国民の皆さん、いろいろな思いがあったと思います。やはり、長い間の自民党を中心としたそういう政治のあり方に対して、いろいろな意味で変えてほしい、そういう思いもあり、そういうことの力が総合的にこの政権交代をある意味実現させる力になった、こう思っています。

小泉(進)委員 私は、政権交代の一つの大きな要因は、自民党的政治を国民が拒否した、これだと思いますよ。自民党的政治とは何かといえば、国民から見れば、派閥もそう、天下り、わたりもそう、党内間の抗争、総理を党内で次々とかえるようなこと、そして、私のような世襲の議員に対しても国民は古い自民党のイメージを持ったかもしれません。だから、政権交代で、自民党みたいな政治はもう嫌だ、そういうふうに思われて、かつ民主党のマニフェストが国民に受けた、これが私は政権交代の大きな二つの原動力だと思っています。

 もし総理が、政権交代後に、国民が求めたような自民党的な政治とは違う政治を実現していると言うのなら、なぜ今の民主党政治に対して国民の信頼が高まっていないと思いますか。

菅内閣総理大臣 私は、政権交代を繰り返している多くの先進国といいましょうか、そういう国全部を知っているわけではありませんが、少なくとも、例えば、イギリスで最近政権交代が行われましたけれども、その直後にイギリスは、消費税、あれは財務大臣の指示だけで上げられるわけですけれども、マニフェストに入っていないものを上げました。もちろん、反対はすごく出ました。しかし、やはり四年ないし五年の政権の中で、トータルとして、イギリスであればイギリスの経済や財政を考えていこう、そういう中で、批判はあっても、そういった、まずは四年ないし五年見ていこうというものがあるわけです。

 しかし、我が国は、政権交代、九三年に細川さんの短期間のことはありましたけれども、残念ながら、本格的に三年、四年と続いた政権交代に、その後、実現ができておりません。

 ですから、今、確かに私や民主党に対していろいろな御批判が強いことはよく承知をしておりますけれども、まさにそのことを真摯に受けとめて、そして、二〇〇九年の選挙でいただいた任期の中でしっかりとマニフェストの実現を目指すと同時に、今、さらに将来の課題として、社会保障と税の改革の問題あるいは経済連携と農業の改革の問題、こういった問題をしっかりとやっていく中で、最終的に、四年の任期を迎えたときに、その四年間トータルを国民の皆さんに選択してもらいたい、こう考えております。

小泉(進)委員 総理は私の質問に答えていません。

 私は、国民が民主党の政治に対して今不信感を持っているのはなぜだと思いますかと聞いています。答えてください。

菅内閣総理大臣 今申し上げたつもりです。

 ですから、不信感を今持たれて、我が党が厳しい状況にあるということをちゃんと認めた上で、四年間で見てもらいたいというのが国民の皆さんに対する私のお願いでもあるわけです。

小泉(進)委員 総理が、国民の期待が不信感があると認めているのはわかっています。私は、その理由は何かと思いますかと聞いているんです。答えてください。

菅内閣総理大臣 何を私に言わせたいというか、そう言うのか、ちょっとよくわからないのですが、つまり、短期間で答えが出ないことはたくさんあるわけです。ですから、確かに、期待したのにまだできていないじゃないかとか、いろいろなことはあると思います。ですから、私はお答えしたはずです。四年間で見てほしいというのが私の答えです。

小泉(進)委員 結局、総理は答えてくれませんよ。

 私は、きょう、この菅内閣の基本姿勢という集中審議のテーマで質問の時間をいただいたので、今までの、例えば二月八日の子ども手当に対する質問のように、余りがんがん批判、追及をするような感じじゃなくて、自民党の過去の反省も認め、よくない部分はよくない部分として、なぜ政権交代を実現させてしまったか、野党になってしまったか、これを率直に語りながら菅総理の認識を伺いたいと思っていました。

 しかし、総理のきょうの姿勢は、全然、正直に、率直に今の現状を国民に語ってくれませんでしたよ。私は、きょうのこの三十分で、国民の皆さんが総理に対する真摯な態度を見てとれたとは思いません。このままだったら、私は、政治不信は高まるばかりだ、そう思います。政権交代でせっかく国民の政治の関心も高まって、政治不信も、あのときは一瞬回復をしたんですから、今その期待が失望へと変わったことをしっかりと反省して、前に進めていただきたいと思います。

 三十分、ありがとうございました。

中井委員長 これにて伊吹君、加藤君、谷君、小泉君の質疑は終了いたしました。

 次に、斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫です。

 総理就任当時は六十数%あった支持率が、今一〇%台になった。支持率で政治をしているわけではありませんけれども、国民の率直な気持ちが今そこにあらわれていると思います。

 総理は、支持率がここまで低下した原因はどこにあるとお考えでしょうか。

菅内閣総理大臣 支持率というものについて、私もそれは、一つの国民の皆さんの考え方、見方として真摯に受けとめなければならない、こう思っております。

 と同時に、今の小泉議員との議論でも申し上げましたように、確かに、当初のいろいろな提案を、国民の皆さんはもっと早い形で実現を期待された部分もあったかと思いますが、私は、一つ一つのことはマニフェストを含めて実行している、このように今でも間違いなく実行していると思っていますけれども、国民の皆さんの期待に比べれば、例えば時間がかかったりしているものもあると思います。

 そういった意味で、私は、衆議院任期の四年間という中で国民の皆さんにちゃんと理解が得られ評価されるような、そういう政策運営をやっていきたい、こう考えております。

斉藤(鉄)委員 国民が今、菅総理に対して不信感を持っているのは、マニフェストの実行が遅いからなんてものじゃないと私は思います。私は、菅総理が本当に国民のことを考えてくれているのか、そこに疑問を持ち出した、そこではないかと思います。

 それが端的にあらわれたのが、先ほど小泉議員も触れておりましたけれども、先週二十四日の子ども手当法案の審議のとき、総理は、本会議の答弁というある意味では最も重い答弁の中で、月額支給額を二万六千円にしたことについて、議論がなされている小沢代表の当時、ちょっとびっくりしたことを覚えている、このような答弁がありました。私は、それを聞いたときに本当にひっくり返るぐらいびっくりしました。

 私は、このことは二つのことをあらわしていると思います。

 一つは、当時、菅さんは民主党の幹部でしたけれども、マニフェストの作成に全く加わっていなかったということ、党内で議論がされていなかったということ。これは、櫻井財務副大臣が、全く我々は関与していない、ごく一部の人がつくったマニフェストだ、このようにおっしゃっておりますのでそのとおりかと思いますが、菅総理はマニフェストの作成に関与しましたか。

菅内閣総理大臣 当時私、代表代行という仕事をしていて、いろいろな課題、例えば代表とか幹事長とかがやっておられない課題を中心に、私自身、特命的な課題を多く受け持っていたことを覚えております。

 そういう意味で、マニフェストについて、もちろん代表代行として重要な会議には出ておりますので、私もそういう広い意味では当然かかわっておりますけれども、いわゆる個別的に何かのための委員会とか何かの責任者等を務めたかという意味で聞かれているとすれば、そういう立場にはおりませんでした。

斉藤(鉄)委員 例えば、私は党の政策責任者をさせていただきましたけれども、マニフェストの作成は、まさに全国の地方議員団会議の政策責任者会議から始まって、全党員が、また全議員が議論をして一つのマニフェストをつくる。そして、一たん決まったならば、それを全員で協力して実現に向かって頑張っていこう、こういう性格のものですけれども、代表代行というナンバーツーの立場にありながら、マニフェストの作成に余り関係してこなかった。非常におかしいと思います。

 それから、このびっくり発言でもう一つ明らかになるのは、実現性に疑問を持っていたということでございます。その実現性への疑問、今でも疑問を持っていらっしゃるんじゃないですか。

菅内閣総理大臣 斉藤さんも政調会長もやられたわけでありますから、政策というものは、常にいろいろな可能性を考えながら政策を立てていくわけです。ですから、私が申し上げたのは、いろいろな議論の過程、今申し上げましたように、そのど真ん中に位置はしておりませんでしたけれども、いろいろな漏れ伝わってきている議論の過程の中でこの二万六千円ということが聞こえてきたときに、いや、思い切って大きな政策として出されるんだなと、そういう意味でびっくりしたという率直な感想を申し上げたところです。

斉藤(鉄)委員 率直な感想、確かに正直でいいということをおっしゃった政府閣僚もいらっしゃいますけれども、私は、私がもしそういう立場であれば、口が裂けても言えない言葉、国民のことを考えて、そして今総理という、このマニフェストを実行する総大将という立場にある人からすれば、口が裂けても出てこない言葉だと思います。それが出てきたということは、まさに、それを聞いた国民は、本当に国民のことを考えてくれているのか、自分のことしか考えていないのではないか、このように感じた次第でございます。

 それから、先ほど来マニフェストについて、その大部分は実行されている、このように何度も答弁されました。しかし、私は、今回のマニフェスト、今一年半たちましたけれども、一番ポイントは、皆さんがおっしゃった財源の部分だと思うんです。改めてこのマニフェストを見させていただきましたけれども、予算の全面組み替えと無駄遣いの廃止から、四年間で十六・八兆円の予算を捻出します、そして、この二十三年度においては十二・八兆円のお金を捻出します、そのお金でいろいろなマニフェストを実行する、このような約束だったわけです。

 ところが、今回、国民が不審に思っているのは、このお金を生み出しますというそこができていない、そこを正直に認めるところからすべてが始まるのではないか、このように思っているんですけれども、この点、総理いかがでしょうか。

菅内閣総理大臣 確かに、マニフェストにはいわゆる入りと出、両方について述べております。無駄の削減等によって従来のものを削って財源として、新たなマニフェストの政策課題にその財源をもって充てていく、そういう考え方に立っております。少なくとも昨年、昨年といいましょうか今年度予算、そして今出している来年度予算の中で、マニフェストについてその考え方は変わっておりません。

 具体的なことをどこまで細かく申し上げるかあれですが、二十二年度、二十三年度の二年度で、歳出削減を二・六兆、税制改正によって一・三兆を確保し、いわゆる埋蔵金について、事業仕分けなどの成果により九兆円を確保して、こういったものを、その中で無駄の削減など恒久財源として確保した部分についてマニフェストの実施に優先的に充当してきたところでありまして、基本的な考え方は変わっておりません。

斉藤(鉄)委員 いわゆるマニフェストで無駄の削減をしますと言われる、それに相当する部分は、今回三兆円ちょっとでございます。十二・八兆円に対して三兆円しかできなかった。だからその差額については国債を発行する。四十四兆円というこれまでにない多額の国債を発行するということになっているじゃないですか。現実にそうなっているわけです。そして、国民は、その借金の積み上がりのスピードが本当に速くなっているから将来に対して不安を感じている、これが現実ではないかと思います。

 その現実を素直に認めて、我々は無駄を削減すると言ったけれども、その無駄の削減はできませんでしたということを素直に認めるところから本当の与野党協議というのは始まるんじゃないですか。総理、どう思いますか。

野田国務大臣 斉藤委員、恐縮でございますけれども、若干誤解があるというふうに思います。

 マニフェストの主要事項は、安定財源を見つけながら着実に実施をするということで、これまで二十二年度、二十三年度合わせて三・六兆、その財源を確保しながら実施をしていて、十二兆との差を国債で埋めるというような、そういうことは全くやっておりませんので、国債を発行してマニフェストを実施するという考え方は持っておりません。そのことはぜひ確認をさせていただきたいと思います。

斉藤(鉄)委員 それは、詭弁といいます。お金には確かに色がついておりませんから、これは安定財源部分だ、これは借金部分だというふうには言えませんけれども、結果として、四十四兆円という多額の国債を発行しているということから、今回の多くの皆さんがされようとしている施策が借金によってされようとしているということは明らかでございます。

 そして、そのことを、ある意味では、謝ることなく、国民に対して謝罪することなく、総理は消費税ということを言われたわけです。ちょっと待ってください。選挙の前には、消費税は上げません、四年間上げません、このようにおっしゃった。しかし、それを、その前言を翻して、消費税上げについての議論をしろ、それに加わらない野党は歴史に対しての反逆だとか、また先日は、野党の存在が疑われるとまで、そのような発言まで集中会議でされたというふうに報道されております。

 これは余りの傲慢ではないでしょうか。そのマニフェストの一番肝要な部分、つまり無駄の削減、そこから予算を捻出することができなかったということを素直に認めることなしに、本当の意味での国会での議論というのは進まないと思いますが、総理、いかがですか。総理のお考えを。

菅内閣総理大臣 少し、先ほど財務大臣からもマニフェストと国債との関係については答弁をされましたけれども、私は、政権交代をしたときから一年半余りたっていますが、そのときは日本がどういう経済状況にあったのか。まさにリーマン・ショックの中で、全体に不況にも落ち込む、あるいは半ば落ち込んできた中です。

 私も、その中でどのぐらいの規模の予算を組むべきか、いろいろな人の話も聞きながら考えました。ですから、四十四兆というのは決して財政のあり方として、税収よりも多い国債を出すことが、財政という意味だけからすれば、健全化という意味だけからすれば、かなりぎりぎりのことであるということはよく認識をしておりました。

 しかし、今いわゆる出口戦略を急いでとった場合には、日本経済はさらに悪くなる。そういう意味で、逆に、そういうトータルの日本経済を考えた中では、中立的よりはかなり景気刺激的な形の予算を継続すべきだという判断の中でトータルの予算の規模などを決め、予算の規模が決まるということは、今の中でいえば、ある程度、必要なものは国債で賄うことが必要になるということでやってきたわけでありまして、決して何かマニフェストのためにやったとか、あるいは別の目的のためにやったのではなくて、日本経済が立て直り、成長する方向に向かうための選択でありまして、そしてその結果、今失業率も五%を切りましたし、そして成長も三・五%ということで、先進国の中でもかなりの水準になっております。

 そういう意味で、私は、財政運営全般で見たときに、決して間違った方向ではなかった、このことは国民の皆さんにもしっかりと申し上げられることだと思っています。

斉藤(鉄)委員 全く私の質問に答えていないと思います。

 私は、これから与野党協議しよう、我々も国会の場で真剣にこの国の将来をどうすればいいのか議論すべきだと思いますが、それにはやはり手順があります。自分たちの間違っていたことを認めないで、そしてその間違っていたことの責任を野党にも責任転嫁しよう、そういう不誠実な態度の中ではなかなかできない。まず認めて、自分たちの財源は出てこなかったということを認めるところから始めなければいけない。その姿を見れば、私は、菅総理、誠実な方だということだと思いますよ。私はその点を質問で申し上げているわけでございます。

中井委員長 菅さんからもう一度答弁を求めます。

 中身が間違っているかどうかはまた議論がありますが、野党の皆さんから傲慢だと思われている対応については、少ししかるべき言葉があってもいいと思います。

菅内閣総理大臣 せんだっての党首討論のときにも山口代表の方からそういう御指摘を受けました。もしそういうふうに見えたとすれば、あるいは受けとめられたとすれば、まさに私の不徳のいたすところだと思っております。

 私は、素直という言葉はいろいろな意味があると思いますが、決して、すべてが正しかったとかというものを、すべてについて言うつもりはありません。ただ、先ほど申し上げましたように、私たちは私たちなりにいろいろなことを考え、あるいは約束を実行しようとしてやってきている、その真意についてはやはり説明をしないといけないと思って申し上げているんですが、つい、野党が長かったものですから、そういう真意の説明が多少行き過ぎた、言い過ぎた表現になったとすれば、それは申しわけなく思っております。

斉藤(鉄)委員 一国の総理に対して傲慢という言葉を使ったのは言い過ぎだったかもしれませんが、しかし私は、もう一つ例を挙げたいと思います。

 先日の党首討論、総理は、予算が通らなくて、また予算関連法案が通らなくて、経済が、国民生活が混乱したら、それは野党の責任だという趣旨の話をされました。

 私は、予算そして予算関連法案を通して、そして国民生活に不安を与えないというのは、第一義的に総理の責任だと思うわけです。その総理の責任を、ある意味では野党の責任と。これではまさに、そういう議論さえも断ち切ろうという、誠実さがそこから見えてこない、そこに総理の支持率の低下の最大の原因があるのではないか、私はこのように思います。何か答弁あるでしょうか。

菅内閣総理大臣 斉藤さんがおっしゃるように、第一の責任が私、さらに言えば内閣にあるという御指摘は、そのとおりだと思っております。

 その上でいろいろなことを申し上げたのは、同時に、国会の場で理解をいただけない限りは、特にねじれ状況にある今回の状況の中では、内閣あるいは与党だけで決められること、決められないことがあるわけでありますので、そういう意味で、ともに国民の皆さんに対して責任ある行動をお互いとらなければならないという思いが、多少、言い方として少し、何か野党の責任というふうに聞かれたかもしれませんが、決して与党に責任がない、あるいは内閣に責任がないという意味で申し上げたのではなくて、第一義的には政府・与党に責任があることを前提とした上で、ねじれの国会の中で、ぜひ野党の皆さんとも真摯に協議をさせてもらいたいという気持ちを申し上げたつもりであります。

斉藤(鉄)委員 今この状況を打開するには、私は二つの道しかないと思います。

 一つは、先ほど来申し上げているとおり、マニフェストが間違っていたと、特に財源の部分については、これは最も根幹ですから、その間違いを認めて議論を再スタートする道、もしくは、それが嫌だとおっしゃるなら、もう一度国民に、今の民主党の考え方がいいのか、総理の考え方がいいのか、まあ、民主党の中にはほかの考え方もあるようですけれども、それとも我々の考え方が筋が通っているのか国民に信を問う、この二つしかこの状況を打開する道はないと思いますが、どちらの道を選ばれますか。

菅内閣総理大臣 私は、斉藤さんからそういう発言が出るのは若干びっくりするのでありますけれども、つまり、このねじれ状況の中でいえば、国民の皆さんは、何とか国会という場で、それは、政府が言うとおりにならないことも含めて、しっかり国民の皆さんにとってベターな選択をしてほしいというのが多くの国民の皆さんの願いだと思っております。

 ですから、そういう意味で、今この状況、経済がやっと少し明るい兆しが見えた中で、何かそういった、解散とかなんとかというようなことで、私は、そのことが国民の皆さんの生活にとってプラスになるというよりも、逆に言えばそうした混迷がより続いてしまうのではないかと。まずは予算をぜひ成立させていただいて、さらにいろいろな課題について何らかの形で合意形成ができることを強く望んでいるというのが私の立場であります。

斉藤(鉄)委員 予算が通らなければ景気に悪影響を与えるということでそうおっしゃるんですけれども、それでは、今回の予算案と国民生活、また景気との関係について、ちょっとチェックしていきたいと思います。

 新成長戦略を出されました。今回予算委員会では余り議論されておりませんけれども、マニフェストの中で景気対策、また経済成長の中心になると位置づけられていたのに、成長戦略の中にほとんど記述がないものもあります。私はそこにある意味で大きな不誠実さを感じるんですけれども、例えば、私も最も関心のあるところですけれども、温暖化対策。

 この温暖化対策というのは、民主党政権は環境の課題解決を通して経済を成長させていくんだという基本的な考え方、この考え方は私は間違っていないと思います。

 マニフェストには、あらゆる再生可能エネルギー全量を対象とする固定価格買い取り制度の導入とか、キャップ・アンド・トレード方式の国内排出量取引制度の導入ということが言われているんですが、新成長戦略には電力の固定価格買い取り制度の拡充。これは余剰買い取りです。全量買い取りと余剰買い取りとは全く違います。このマニフェストと成長戦略の差、これは何ですか、環境大臣。

松本国務大臣 全量買い取りというのは、もう先生御承知のとおり、すべて買い取るということで、余剰というのは余ったものを買い取るということで、そのイノベーションとの関係でありますか、ちょっと御質問のあれが……

中井委員長 ちょっと済みません。マニフェストに書いてあることと政策実行と違うじゃないかとおっしゃっている、今回の予算案と。

松本国務大臣 今の問いに対してはそういうお答えをいたします。

斉藤(鉄)委員 では、なぜマニフェストに書いてあるのに成長戦略には全く触れられていないんですか。

中井委員長 質問をよく聞いて答えてください。

松本国務大臣 失礼しました。

 成長戦略に書いていないということはいろいろな経過がありまして、排出量取引の問題、あるいは温暖化の問題、税の問題、そして全量買い取り制度の問題等々、成長戦略というものに書かれていないというのはそのとおりでありますけれども、少なくとも、グリーンニューディール、グリーングロースとかさまざま、全国、世界が今そういうことに向かって動いておりますので、そういう意味では、今、斉藤先生が御指摘のように、これらを起動力としてこれからの成長戦略にやっていくべきだと考えております。

斉藤(鉄)委員 全く違うことが書かれているということ、及びキャップ・アンド・トレード方式、国内排出量取引については全く触れられていない、私はそこに、民主党の成長戦略の、ある意味で国民との約束との不整合、不誠実さを感じておるものです。

 社会保障については、民主党マニフェストには、後期高齢者医療制度の廃止、年金や健康保険制度の一元化、このように書いていますが、新成長戦略には「持続可能な社会保障制度の実現に向けた改革を進める」としか書かれていません。この差は何ですか、厚労大臣。

細川国務大臣 後期高齢者の医療制度廃止に向けて、これは厚労省の方で、改革検討会議で検討をしていただいて、廃止に向けて最終的なまとめも出していただきました。

 しかし、後期高齢者医療制度を廃止して、七十五歳以上の方をどうするか。それは、被用者保険と国民健康保険の方に加入をしていただく。しかし、その国民健康保険の方の制度について、財政的なものは県単位でやっていただこう、そしてその後で全体を県単位に移行する、こういう形で出しているわけですけれども、ただ、これについてはいろいろな御意見もございまして、とりわけ財政的な問題では、県の方、こちらの方からもいろいろな異論がございまして、そういう意味では、都道府県の皆さん方といろいろとこの国民健康保険の制度そのものについても議論もしよう、こういうことで今やっておりまして、決して高齢者医療制度の廃止を私どもはやらないというわけではなくて、それに向けて今準備を進めている、こういうところでございます。

斉藤(鉄)委員 それでは成長戦略の中にその方向性を書くべきだと思いますけれども、私は、この成長戦略の書き方は本当にある意味で不誠実な表現だ、このように思います。

 それから、成長戦略、(パネルを示す)いわゆる元気な日本復活特別枠でございます。

 今回の予算で経済をよくするんだ、成長するんだということで、目玉として元気な日本復活特別枠というものがつくられましたけれども、よく中身を見てみますと、その半分以上は、例えば在日米軍駐留経費負担、いわゆる思いやり予算とか、その燃料費、それから例えば国選弁護人関連業務など、要するに成長戦略とは全く関係のない予算が半分以上を占めております。新成長戦略に関係する予算は半分以下の六千五百億にすぎません。

 この六千五百億、GDP押し上げ効果はどの程度ありますか。

野田国務大臣 お答え申し上げますが、元気な日本復活特別枠は、今のそちらの表であらわしていただいているとおり、マニフェスト実施、新成長戦略、国民生活の安定・安全、そして人材育成・新しい公共、この四つの観点から、組み替え基準に基づいて各府省から百八十九の事業を挙げていただいたということで、そもそもそういう枠組みでつくっている府省横断的な枠組みであります。

 ネーミングは元気な日本復活枠ですから、当然、新成長戦略が注目をされますけれども、これについては、御指摘のとおり六千五百九十二億円です。その効果というお話ですよね、御質問の趣旨は。効果は試算をしていません。試算をしていないのは、さっき申し上げたとおり、予算の組み替えでつくっているんです、この予算自体は。ということは、追加的な歳出ではないものですから、その試算は見込んでいないということでございます。

斉藤(鉄)委員 まさに、これを聞いた国民の皆さんは、何なんだと。元気な日本復活特別枠で、まさに成長戦略の主体の、そのエンジンになる、そういうイメージだったし、そういうふうな説明もなされてきました。しかし現実は、既にある予算、なかなか組み込めないからこの中に組み込んでしまおうということで、成長とは全く関係のない予算配分がされているということが明らかになったわけです。

 それから、新成長戦略でどれだけ成長があるのかということについて全く試算をしていない。これも、では一体何のための、どこを目標にしての成長ですか。その政策目的を明確にして予算を組むというのが当然なのに、その試算もしていないというのは、大変寂しい話だなと感じた次第です。

 次に、高速道路料金について聞きたいと思います。

 高速道路料金、大畠大臣は先日、マニフェストの見直しベストスリーに入っている、このようにおっしゃった。これもある意味では、えっという、びっくりするような発言でございます。初めからやる気はなかったんですか。

大畠国務大臣 斉藤議員の御質問にお答えを申し上げたいと思います。

 私が記者会見の折に申し上げた背景は、世論調査等で、そのような形で高速道路の原則無料化というものも見直したらどうか、こういう御指摘が国民の間である、こういうことを念頭に置いて発言したものでありまして、基本的に、高速道路の原則無料化というものが、御指摘のようにマニフェストの一つでございまして、ヨーロッパでも高速道路は無料、あるいはアメリカでも高速道路は無料。私も海外に出張したときにそのようなものを見聞きしておりましたから、日本においても高速道路というものは無料化できないのか、そんな思いを持っておりました。

 そういう状況の中でありますが、財政的に大変厳しいということから、現在社会実験を行っているところでありますが、そういう国民の皆さんの声というもの、あるいは御意見というものも一つ念頭に置かなければならないのかな、こういう意識がありまして、申し上げた次第であります。

斉藤(鉄)委員 会見を読み直してみますと、マニフェストの見直しのベストスリーの中に高速道路の無料化も入っておりますので、そういう世論といいますか、そういう御意見なども踏まえて、社会実験を通してその方向性を明らかにしていくことが大事だなと思いますと。つまり、マニフェストは見直すんだというその方向性を明らかにしていくことが大事だ、このようにおっしゃっている。私は、今の御答弁とは違う、このように思いますが、この問題、これ以上追及していく時間がありませんので。

 新たな料金割引を提案されました。これまで自公政権時代の休日千円、これは民主党が、渋滞が起きるとか政策目的がはっきりしていないとかさんざん批判をされておりましたけれども、今回出されてきた案は、我々がつくった休日千円にプラスして平日二千円。

 そして、その財源は、自公政権時代に、今はもう民営化会社になっておりますが、道路公団が持っている借金、三十兆円以上ございます、そのうちの三兆円を国が肩がわりして、その三兆円で十年間いろいろな割引制度を行うというものでございました。休日千円は、いわゆる経済対策として、平成二十二年末には終わる短期的な、一時的な経済対策として打ったものでございます。

 ところが今回は、十年間ある予算を前倒しして、一年間七千億円というお金を使ってこの休日千円、平日二千円ということをされようとしているわけですけれども、私は、この政策目的は一体何なのか、それから上限二千円の根拠は何なのかということをまずお聞きしたいと思います。

大畠国務大臣 お答えを申し上げます。

 ただいまの、平日二千円という制度を導入した背景、根拠は何か、こういうことでございます。

 これまで、昨年の六月から社会実験をいろいろとさせていただいております。高速道路のいわゆる原則無料化の方向で社会実験をさせていただいておりますが、これまでのところ、高速道路では、実験区間では交通量が約二倍に増加し、一、二割で渋滞が発生している、そういうことも事実として背景にある、頭に置いておかなきゃいけませんが、土日だけの千円ということで非常に混雑をするということで、平日というのも一つ上限を設けたらどうかと。

 二千円の根拠でございますが、休日に集中する交通を分散するために、平日も上限制を二千円で導入するということを考えたわけであります。それではなぜ二千円にしたのか、こういうことでありますが、これまでの利用実態等々をいろいろ分析させていただきましたが、観光目的の高速道路利用の平均利用距離というのが大体七十キロでありまして、これは定額料金では二千円ということでありますので、利用者へのわかりやすい一つの指標としてこの上限二千円というものを設定させていただいたところであります。

 こうした料金割引を、今ある、現在ある高速道路の、いわゆる社会資本を有効に活用することによって、地域経済あるいは現在の日本の経済状況に対して活性化を与える、そのような効果をねらっているところであります。

斉藤(鉄)委員 先ほど申し上げましたように、一年間七千億円の予算がこれに必要だ、先ほど申し上げましたように十年分用意した予算を先食いして、おおよそ三年間をやるということですけれども、三年後はどうなるんですか。

大畠国務大臣 私が国土交通大臣を拝命いたしましてから、非常に大事な課題として高速道路の原則無料化というものがございます。

 冒頭にお話を申し上げましたとおり、ヨーロッパでは原則無料、アメリカでも原則無料、日本でも何とかこの高速道路というものを活用できないのか、そういうことで今日社会実験をしているところでありますが、今秋ぐらいに一つの形というものを少し定めまして、高速道路の将来のあり方、いわゆる無料、あるいは有料、あるいは財源問題も含めて検討する場というものを今設置し始めておりまして、来週か再来週にはその検討の委員会というものを動かして、斉藤議員からの御指摘の、将来の日本の高速道路はどういう形になるんですかというものに対しての一つの答えをことしのできるだけ早い時期に、秋のころまでにはぜひやりたいと思いますが、それを前倒しして、ぜひ一つの姿をまとめていきたいと考えております。

斉藤(鉄)委員 今いろいろな方から、例えば自公政権時代につくった高速道路料金体系、三年間は休日千円、これは経済対策として二十二年末には終わる、あとは割引制度だけ、これは十年間続きますということであれば、いわゆる予見性がある。我々事業者も、設備投資をするときに将来のことが予見できるから設備投資しやすい、これでは一体三年後にどうなるのかわからない、こういう声が聞こえております。ある意味で、今さえよければ七千億円も使っていい、しかし三年後は知らない、私は、そういう今の答弁に聞こえてしようがないわけです。

 それから、他の公共交通機関、これはもう本当に、バス、鉄道、フェリー業界から悲鳴が上がっております。このことをどう考えるのか。それから、地球温暖化対策に逆行するのではないか。環境大臣、どう思いますか。

松本国務大臣 先ほどのお答えでちょっと不十分なところがありましたから、まず申し上げます。

 排出量取引あるいは全量買い取り、それから税の問題、新成長戦略の工程表の中には書いておりますので、まずつけ加えたいと思います。

 今おっしゃられましたように、二五%の問題等については、平成二十二年度の社会実験の影響について、可能な範囲で予備的に検討を行ってまいりました。実際のデータやそれに基づく知見が不足しております。両省の統一的な見解とするには至っておりませんけれども、例えば国土交通の試算によりますとマイナス〇・一%、環境省の試算によりますとプラス〇・一%ということで、ほぼ中立な数字になっていると思いますけれども、先生御指摘のように、環境に負荷のかからない、できるだけ低減をしていくという立場でこれからも臨んでまいりたいというふうに思っております。

斉藤(鉄)委員 その試算には、いわゆる誘発効果、安くなったことによって、では、行く予定はなかったけれども、きょうちょっとどこか遊びに行こうかという効果は入ってないんです。そういう意味で、もう一度、私は地球環境問題からも大きな問題があるのではないかな。休日千円のときも、私、当時、自公政権の環境大臣でしたけれども、環境大臣としては認められないという意見も申し上げたところですが、それを続けるということは、環境大臣としても一家言あっていい、私はこのように思います。

 総理、二酸化炭素の問題ですけれども、二五%削減するということはもう民主党の目玉公約になっております。しかし、二五%のうち、日本で、国内でどれだけ削減するのかということについては、いまだに民主党から何の表明もありません。小沢前環境大臣や鳩山前総理は、二五%全部日本で削減するんだというふうな趣旨の答弁を私の質問にしておりますが、それは私は無理だと思います。それは産業に、例えば製鉄の生産量をこれだけ抑えなければならないというようなことになってくると思います。

 これから日本が世界でリーダーシップをとっていくのに基本的なことについて、総理はどのようにお考えですか。

松本国務大臣 お答えいたします。

 先ほど来お話がありました二〇二〇年の中期目標については、本年末、南アフリカのダーバンで行われますCOP17に向けて、温暖化対策に対する我が国の考え方を世界に示す観点からも、今おっしゃいました企業の設備投資や研究開発の投資判断やさまざまな予見可能性を高める観点からも、国内対策の規模を早期に明らかにすべきであるという意見があるのは承知をしております。

 一方で、二五%削減目標等々につきましては、二〇一三年以降の国際枠組みの構築を図るために、さまざまな我が国の意欲的な目標を掲げたものであります。

 そういう意味では、先週も在京のアフリカ大使等々と話をしましたし、これからCOP17に向けてさまざまな国際交渉があろうかと思います。そういう意味では、この国際交渉を踏まえつつ決定をする必要があり、ここで明らかにすることはできない、そのことは先生ももう十分御承知のことだと思いますので、御理解をいただきたいというふうに思います。

斉藤(鉄)委員 二五%のうち国内でどれだけやるかという最も基本的な目標さえなくして、頑張れませんよ、日本の国内の事業者は。私は、一五%が今の技術力でできるぎりぎりだと思っております。

 そして、残りの一〇%を、例えば製品のライフサイクルアセスメントとか、また二国間協定、二国間協定というルールは今の国連のルールの中にありませんけれども、日本の技術を海外に移転することによって、それで減らす分を日本の削減量にしてくる。日本の技術発展にもつながるし、日本の技術の海外展開にもつながるし、排出量抑制にもつながる、そういう戦略を持って国際交渉をすべきだ。しかし、その戦略の基本になる国内目標をどれだけにするか、私はこれは総理がリーダーシップを持って決める以外にないと思いますが、どうですか。

菅内閣総理大臣 この問題は、斉藤さんが環境大臣の折にも、ある意味では党派を超えて非常に頑張っておられた課題であって、私も、その当時からその努力を評価してきたところであります。

 率直に申し上げて、この問題は、一つは、今環境大臣からもありましたように、いわゆる前提となるアメリカ、中国の参加という問題と、今御指摘の、国内においてどれだけのことをやるということについて、目標まで含めてどう考えるかといった問題、さらには、どの技術分野、どの分野かという問題、いろいろあります。

 例えば、これはもう御承知だと思いますが、小宮山元東大教授は、例えば生活やオフィスの関係で国内で一一%分の削減は可能だということを従来から指摘されております。また、先日、ダボスでジョージ・ソロスさんに会ったときにも、彼は、インドネシアの泥炭から出るCO2を抑えるための国際的な一つの支援体制をつくりたいと。今、斉藤さんのお話があった、そういうものを国内のものにカウントできるできないという議論もあることは承知をいたしております。

 そういった意味で、私がリーダーシップをとってということをおっしゃっていただきましたが、ぜひこの問題は、私としてもできるだけ、そういう国際的な情勢も一方でにらみながら、一方で日本自身ができること、そのことは同時に、日本が実行できるということは、その技術をもってアジアや多くの国にそれを展開できますので、そういう成長にもつながる大きな政策だ、そういう認識で取り組んでまいりたい、こう考えております。

斉藤(鉄)委員 今回の予算がどれだけ成長に寄与するかという観点から、ほかの項目についてもいろいろ質問したかったんですが、時間がありませんので以上で切り上げますが、最終的に、エコノミストの今年度予算案に対しての評価は、これは代表的な四つを挙げましたけれども、押しなべて、ほとんど成長に寄与しないという評価になっております。

 総理が、景気に大きな影響を与えるから、これが成立しなかったら野党の責任だ、このようにおっしゃいますけれども、その中身はこういう内容であって、我々としてはとても賛成できる内容ではないということを申し上げておきたいと思います。

 それでは次に、税と社会保障の一体改革についてですけれども、総理のいわゆる税制改正についての発言をちょっと振り返ってみました。

 昨年の予算委員会では、当時は財務大臣だったかと思いますけれども、「大きな税制改革をやる場合には、やはり国民の皆さんにちゃんと信を問う必要があるだろう、」と。そして、昨年の十月一日の本会議は、これは参議院選挙の後です、「結論を得て実施する際には国民に信を問う」と。

 この二つ、ほとんど同じようなことをおっしゃっているというふうに一見見えるんですけれども、同じ内容のように見えて、意味は百八十度違うと私は思います。

 「大きな税制改革をやる」、この最初の発言は、これは、各党が自分たちの意見を出して、それで国民に信を問う、こういう意味でおっしゃったはずです。これはまだ、去年の参議院選挙の前です。参議院選挙が終わって、そして与野党協議を持ちかけて、その後の発言は、「結論を得て実施する際には国民に信を問う」ということになっております。

 私は、この大きな変化は、最初に申し上げた、国民の皆さんに対する誠実さという意味で大きな問題ではないかと思います。この「結論を得て実施する際には」というのは、与野党で結論を得て、そして、その結論をもって国民に信を問う、こういう意味ですので、いわゆる各党がそれぞれの自分の考え方を世論に対して問うということとはまるっきり違う。そして、各党にその責任も分担させる。ある意味では大きな違いがある、このように思いますが、総理、いかがでしょうか。

菅内閣総理大臣 ちょっと私はその差を、どうしてそういう解釈になるのかよくわからないんですけれども、もともと、これは鳩山内閣のときからだと記憶しておりますけれども、いわゆる〇九年の、衆議院の任期の間に消費税を上げることはない、何らかの形で進める場合は国民の皆さんに聞くという考え方は一貫して私になっても変わっておりません。

 自民党の皆さんは、既に消費税一〇%引き上げをみずから公約に掲げておられます。そういうことも含めて、四月に社会保障のあるべき姿について提案をし、六月には税の一体改革も含めての提案をし、そこはぜひ与野党を含めた議論を、もっと早い段階からが私たちとしては望ましいんですが、少なくとも、私たちが四月、六月と出した段階では一緒に議論ができればいいなというのが私の率直な考えであります。

斉藤(鉄)委員 結論を、増税という結論の前に国民に信を問うということと、増税という結論、それも与野党全部責任を同じにして国民に信を問うということの間には、大きな違いがあるということを私はここで言っているんです。総理、それがわからないということは、そこに本当に国民に対しての責任という意識が欠落している、このように私は感じる次第です。

 そして、先日の集中検討会議では、一つの選択肢なのか複数の選択肢なのか、それも含めて議論する中でまとまりがついていければありがたい、このようにおっしゃっているんですけれども、これもある意味では丸投げ、大変失礼な物の言い方ではないか。

 皆さんにベストな案を考えてほしい、そして私は、その結論をもって総理大臣として最終的な結論を下す、こういう姿勢こそが本当の真摯な姿勢ではないか、このように思います。すべて丸投げ、そこに今の菅総理の基本的な姿勢、そこを国民が感じているんだ、このように私は感じる次第です。

 そして、総理は消費税増税についていろいろなことをおっしゃっておりますが、消費税の増税に必要な条件は、国民が納得できる行政改革と、それから、景気、デフレの克服、腰折れしない本格的な景気回復、この二つがなければ成功しない、私はこのように思います。総理は、増税しても使い道を間違わねば経済は成長する、このように言っておりますけれども、これは基本的に間違っている。

 そういう意味で、ここの自分の御意見の変遷と、しかしながら、これから徹底して消費税増税路線を歩んでいく、しかし、その前提になることが二つ重要だという私の指摘を受けて、最後に答弁をお願いします。

中井委員長 菅直人内閣総理大臣。時間が経過していますから、短く答弁を願います。

菅内閣総理大臣 くれぐれも申し上げますが、消費税ありきの議論を社会保障の議論でしているわけではありませんし、そういうつもりはありません。

 まずは、社会保障のあるべき姿について議論をし、その上で、その安定的な財源をどうするかという形で議論をしようとしているわけでありまして、私は、そのことが国民の皆さんに何か不誠実だとか、そういうふうには思いません。逆に言えば、責任ある姿勢で臨みたいということでやっているつもりであります。

斉藤(鉄)委員 終わります。

中井委員長 これにて斉藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、下地幹郎君。

下地委員 きょうは予算を通過させる。この予算関連法案を同時に参議院に送ることができないことは、非常に私としても残念であります。菅総理が野党対策も全部やっているわけじゃありませんので、持ち場持ち場で、私も含めて、その役割を果たしていて、これができなかったというのは反省をしなければいけないのかなというふうに思っております。

 去年の六月に総理が誕生なされてから、概算要求を初めてその政権交代でつくったんですね。それはある意味鳩山内閣とは違って、この連立が初めてつくった予算、そしてそのことは、間違いなく政権交代した評価につながる予算、こういうふうになってくるわけです。

 しかしながら、八月に選挙しましたら負けました。ねじれ国会ができました。しかし、この新しく政権がつくった予算を通すにはどうするかといったら、去年の九月の段階から私は決まっていたと思うんです。間違いなく連立、そして私たちの仲間の数を減らさないように、慎重に数を集める。そして初めのころ、政権交代のときに一緒にやった社民党を入れていただく。そして無所属で、昔、民主党と関係のあられた方、民主党の推薦をいただいた方、こういう無所属の方々をきちっとまとめておいて、それから丁寧に野党に協議をするというのが当たり前の姿。三百十八という三分の二の数を、これを使うか使わないかじゃなくて、ちゃんとまとめておくというのが僕たちは政治の王道だったと思うんです。そのことができない、これは先ほど言ったように非常に残念。

 小沢さんのことについても、私が証人喚問にも政倫審にも反対したのは、司法に任せるべきだという考えもありましたけれども、政治は人がやる、政治は、議会は数であるということを考えたら、慎重な対応をしないと、こういうふうな、予算と関連法案を一緒に送るということができない政治状況が起こり得る、この心配をしてきたわけです。

 民主党のある幹部は私に言っていましたよ。党内で小沢さんの処分をやっても亀裂は起こりませんよ、社民党は必ず予算や関連法案に最後は賛成しますよと。今の現状は何ですか。全くそのような状況にない。

 あげくの果てには、きのうの岡田幹事長のように、子ども手当について児童手当と同じような考え方でやったらどうかと言う。公明党が賛成すると言いましたでしょうか。自民党が賛成すると言ったのでしょうか。言わないのにもかかわらず、政策の妥協を堂々とやる。私はこれはおかしいと思いますよ。

 だから、私たちはいま一度きちっと政治のあり方を考えないと、今、菅総理に大事なことは、政策ではない、政局なんです。政権運営をどうするのか、予算をどうするのかというのを国民に見せなきゃ信頼はわいてきませんよ。

 政策を妥協して野党と合意をするのか。先ほど言ったように、社民党も入れてもう一回、参議院に送った後に三分の二を確保するような、そういう仕事をするのか。私たちの亀井代表が言っているように、救国内閣をつくるのか。こういうような選択をどこなのかというのを見せないと、幾ら政策をやりたい、TPPをやりたい、社会保障の話をしたいといったって、どうやって数を集めるんだとみんな不安がっていたら、結局は信頼がついてこない。

 あと二年六カ月、総理は頑張ってもらわなきゃいけない。この二年六カ月やる間に、今行っているニュージーランドの問題も、さまざまな外交の問題も解決しなきゃいけないという責任が総理にあるんですよ。

 だけれども、新聞を見ると、解散のにおいがすると書いてありますね。総理も解散のにおいを出す。小沢さんも解散のにおいを出す。何か政権交代をこの二人だけでやったような感じになっていますよ。私は、そうじゃなくて、今は政権運営をあと二年六カ月やるんだ、解散をしないんだ、頑張るんだ、そういう意気込みを見せなければ、みんなついてきませんよ。

 ぜひ、このビジョンを見せてください。政権運営のビジョンを、野党なんか相手にしなくていいですから、とにかく総理がみずから、こういう仲間をつくって頑張るんだ、そのことをお示しいただくことが大事だと思いますから、総理の答弁をお願いします。

菅内閣総理大臣 私は、政権交代が今後日本の中で次第と定着化していく場合に、やはり任期の四年間は、基本的にはその前の衆議院で多数をもらった政党あるいはグループ、連立がきちんと責任を持つんだ、そのことが定着することが必要だと。

 そういう意味で、今、下地さんが言っていただいたように、私もこの民主・国新連立政権で四年間頑張り抜いて、そして、その段階で改めて国民の皆さんにその間のことの評価を選挙という形でしていただきたい、このように考えております。

下地委員 菅総理、本当に四年間頑張りましょうよ、四年間。まだまだ道半ば、あと二年六カ月残っている。そのことを、総理が強いお気持ちを持たれたら、政権は必ず変わってきます。今は、総理、弱い総理大臣が解散の話をするんです。強い総理大臣は解散の話をしないんです。私にやらせてくれと言い切らなければいけないんです。

 そこで、私は総理にお願いがあるんですけれども、ここまでのこの状況、政治環境の中では、総理みずからがお出ましいただいて頑張らなければいけない。だから、社民党との対策も、福島さんや亀井さんや総理と、この気心のとれた仲間でもう一度ゆっくり話をして、自分の政権に協力してくれと率直にお話をして、もう一回お話をすることも私は大事だと思いますね。

 亀井さんが言っている救国内閣という話も、奥深く安定した政権をつくるためにはこれも必要だという認識のもとに、あらゆる手法を総理がお考えになることも大事だと思います。

 改めてもう一回聞かせていただきますけれども、四年間頑張る、解散しないで頑張る、そして、さまざまなことを決めて総理がこの政権の中で成果を上げていく、その思いをもう一度お話をいただきたいと思います。

菅内閣総理大臣 私は、二〇一〇年の六月の八日に首班指名をいただきました。この二〇一〇年の六月八日、この日というのは、私は、今の日本にとって本当に、ある意味厳しいけれども、ある意味日本を立て直す、まだ十分に間に合うときだ、このように認識をいたしております。

 そのためには、やはり安定的な政権で運営をさせていただきたいとは思いますが、少なくとも、安定が難しくても、短期にころころ政権がかわっていたのではやはり何もできないわけでありますから、これは、今の民主党にかかわらず、あるいは自民党であっても同じことが言えるわけですから、やはり四年間の任期というものを、例えば知事選とか大統領選では四年間の途中でやめるというのはよほど異常なことでありますけれども、何か我が国ではそのことが、必ずしも議院内閣制においてはそういう慣例がまだできておりません。そういう意味でも、何としても四年間頑張り抜きたい、こう考えております。

下地委員 時間が来ましたから、総理、政策よりも政権の安定が最優先。そのためには、もうほかのことを考えない。真っすぐ、仲間を大事にして、頑張ってください。

 ありがとうございました。

中井委員長 これにて下地君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

中井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。藤田一枝君。

藤田(一)委員 民主党の藤田一枝でございます。

 まず冒頭、二十二日にニュージーランドで発生いたしました地震によってお亡くなりになられた方々、被災をされた方々に、心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。

 その上で、政府におかれましては、この地震発生直後から救援チームの派遣を決定したり、あるいはニュージーランドのキー首相と連携をとり合うなど迅速な対応をされてこられた、このように理解をいたしておりますけれども、残念ながら、いまだ二十八名の方々の所在が判明をしない、大変心配をされているところでございます。

 しかも、現地では既に身元確認の作業も始まった、こんなことも報じられているわけでございまして、政府として、この間の取り組み、そしてこれからの対応をどのようになさっていくのか、まず前原大臣にお伺いをいたします。

前原国務大臣 この地震が発生をしてから、かなりがたつわけでございますけれども、二十三日以降生存者が発見をされていないということについて、極めて残念に思っているところであります。

 一方で、六十六名の緊急援助隊の皆さん方は、二十四時間態勢で、かわるがわる仮眠をとりながら、極めて士気も高く、現在も活動していただいていることに、大変我々は意を強く、また心から感謝をしているところでございます。

 また、外務省も今四十四名のメンバーを投入し、徳永久志大臣政務官が陣頭指揮をとっていただいておりますけれども、御家族の皆さん方に対してマンツーマンのお世話を今させていただいているところでございます。また、心のケアの専門家の方もお送りをしていて、さまざまな御相談に乗らせていただいているところでございます。

 現在、先ほど申し上げたように、国際緊急援助隊、これは各省の御協力をいただいて、今まだ懸命なる救助活動をやっていただいているところでございまして、全力を挙げて引き続き行っていただこうというふうに思っております。

 残念ながら、安否確認中の二十八名の方については、まだ安否が確認できていないということでございまして、引き続き全力を挙げて作業に取り組んでまいりたい、こう考えておる次第でございます。

藤田(一)委員 今、政府の取り組みをお聞かせいただきまして大変心強く思うところでありますけれども、しかし、かなりこれから時間との競争、あるいは逆に時間がかかる、こういうことも予想されるわけでございます。その都度その都度状況が変化をしていく、その状況の変化にどうか的確に対応をしていただいて、そして全力で救援に当たっていただきたい、このことを心からお願いいたします。

 それでは、これから先は総理にお尋ねをしたい、このように思っております。

 いよいよこの予算委員会の審議も大詰めになってまいりました。国民の皆様もこの審議の行方というものを大きな関心を持ってごらんになっていると思います。

 そして、きょう午前中の審議でもいろいろと、この間の民主党の取り組みについての御質問もございました。しかし、国民の皆様に期待を寄せていただいた政権交代、その政権交代によって今進んでいること、まだまだ国民の皆様に十分伝わっていないのではないか。きょうの午前中の審議を聞いておりましても、かみ合うかなと思うと、何となくそこですれ違っていくということもございました。ぜひ、今、民主党政権が進めている、菅総理が進めている改革の方向性、そしてこれからの社会のありようということについてお聞かせをいただきたい、このように思っています。

 きょうは限られた時間でございますので、私は、もう何回も往復で総理にお尋ねするということはいたしません。どうか国民の皆様に向かって堂々と、しっかりとメッセージを発していただきたい、まず冒頭お願いを申し上げたいと思います。

菅内閣総理大臣 まず、この間の藤田議員の内閣あるいは私に対する御支援に、心から感謝を申し上げます。

 国民の皆さんに本当に申し上げたいのは、一年半前の政権交代、大きな変化が日本の政治に進んでいる、私はこのことをまず申し上げたいと思います。

 例えば、かつて経済対策といえば公共事業を中心としたものでありましたけれども、そうしたものが効果を失う中で、政権交代前の二十一年度の予算と二十三年度、今審議をいただいている予算を比較してみますと、社会保障関係費は、政権交代前と後で一六%ふえております。また、文教科学振興費が四%ふえております。一方で、公共事業関係費は実質ベースで考えても二二%減っております。

 もちろん、いろいろな議論があることは承知をしておりますけれども、少なくとも民主党の政権になって、コンクリートから人へという言葉も使いましたけれども、大きな変化が起きている。何事も進んでいないのではなくて、ある意味では急激に事柄が進んでいるということをまず国民の皆さんにお伝えしたいと思います。

 その上で、では、その進み方がどういう方向なのか。私は、一言で言えば、この社会保障あるいは子供の問題、私の言葉で言えば最小不幸社会というものをつくり上げていく上での方向性が、国民の生活が第一という言葉とも相まって進んでいるのが第一点。そしてもう一点は、成長という分野において、アジアの成長を日本に取り込んでいく、こういう分野もかなりの成果を上げていると思っております。

 同時に、この目の前の予算、そして景気の回復と同時に、中長期的な課題である社会保障と税の一体改革についても、四月に姿を提案し、六月には税の一体改革の案をお示しする。これも、先送りされてきた大きな課題について勇気を持ってこの内閣で取り組んでいる。

 こういった形で進展している、前進しているということをぜひ国民の皆さんに御理解をいただきたい、このように考えております。

藤田(一)委員 ありがとうございました。

 今、総理の方から、政権交代によって大きな変化が生まれている、政策の転換が図られているということについてお答えをいただきました。この予算の中でも、当然のこととしてそこはしっかりと反映をされているわけでありますけれども、きょう、マニフェスト、大部分が実行に移されている、こういうお話が午前中ございました。

 私、もう一つその中でお尋ねをしたいのが、これはこの政権交代の中で盛んに私どもも訴えてまいりましたし、総理も訴えてこられた政治主導というところでございます。

 やはり、今までの肥大化した霞が関の政治、官僚主導の政治から、本当に政治家がしっかりと決めていくんだ、責任を持っていくんだ、こういう政治に変えていくんだということは国民の皆様に大きな共感をいただいたものと思っています。この政治主導ということがこの一年半を振り返ってどのような成果を上げてきたのか、ぜひ、その点もお聞かせをいただきたいと思います。

菅内閣総理大臣 私は、政権交代後の鳩山内閣ができたときに、まず二つの点で大きなこれまでの政治との決定構造が変わりました。

 その一つは、事務次官会議を廃止したということであります。

 よくも悪くも、それまでの政権は、事務次官会議を中心として霞が関全体が一つの物事を決定する案を事実上、自律的に決める機能を持っていて、どちらかといえば、各大臣はその上に乗って仕事をしている。あえて言えば、特に与党は、党の方では政策決定にいろいろと意見を言う仕組みはありましたけれども、内閣はほとんど官僚組織にお任せしているというのが従来の政権の姿であったと私は思っております。

 それが根本から変わった一つが、今申し上げた事務次官会議の廃止と同時に、政務三役会議をつくったことであります。

 従来から、かつては政務次官とか、あるいは自公政権の時代にもいろいろと副大臣等が生まれておりましたけれども、政権交代後の副大臣、政務官の仕事、今、徳永外務大臣政務官がニュージーランドに出かけていただいておりますけれども、そういう仕事を含めて、政治家である政務官あるいは副大臣も含めて、しっかりした仕事を担うようになった、この二つが私は構造的に根本から変わったと思います。

 もちろん、まだまだ、逆に、政務三役が忙し過ぎて全体を掌握し切れていない、もっと役人をうまく使え、そういう指摘もあることはよく承知をしておりまして、これから、こういう経験を経て、どの党が政権を担当しても、従来のような意味の官僚任せの内閣という仕組みは戻ることはないだろう、私はこのように考えているところです。

藤田(一)委員 ありがとうございました。

 政策も大きく変わってきた、そして政策決定過程も変わってきた、本当に旧政権とは違って新しい政治というものが今スタートをしてきた、こういうことであろうと思っています。もちろん、まだ一年半でございます。まだまだ道半ばということであろうと思いますけれども、しかし、この原点を忘れずに、しっかりと総理もまた前に進んでいただきたい、このように思うところでございます。

 続いて、先ほど総理の方からもちょっと社会保障制度のお話がございました。このことについて少しお聞きをしたいと思います。

 社会保障と税の一体改革、大変力を入れて今取り組んでいらっしゃいます。野党の皆様にも協議を呼びかけていらっしゃるわけでございますが、この社会保障制度改革というのは本当に大きな力の要る作業である、私はこのように認識をいたしております。その大変な作業、だからこそ、今までなかなか前に進んでこなかった、中途半端で終わってきた、こういうことであろうと思いますが、あえて今、菅総理がこれに挑んでいらっしゃる、私は高く評価をしたいと思いますけれども、この社会保障制度の再構築、今なぜ必要なのかというその意義について、ややもすれば、消費税導入のためにやるんじゃないかとか、そんな話も聞こえてしまいます。

 決してそんなことではない、この社会保障制度の再構築の意義、そして、なかなか負担感が大きくて受益感が乏しい現行制度というものを、持続可能な制度、世代間の公平な制度に変えていく、その意義について、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。

菅内閣総理大臣 民主党は、さきの総選挙で国民の生活が第一というスローガンを掲げました。私自身も従来から、福祉社会、かつては福祉国家という言い方もしておりましたが、やはり国民が老後やあるいは子育てにおいて安心できる社会をつくることが政治の大きな役目だ、こういう認識でおりましたし、それをやや理念的に申し上げてきたのが、最小不幸社会という言葉にもその意味を込めて申し上げてまいりました。

 我が国の社会保障制度は、ある意味では大変成功してきたとも言えると思います。その結果が、今日の、世界でトップ水準の長寿社会になったことだと思っております。しかし、一方では、大変少子高齢化が進んで、ある意味での人口減少社会という中で、持続可能な形で今の社会保障制度が維持できるのか、あるいは、新たに子供の問題や若年雇用の問題などに対してしっかりした対応がこのままでやれているのか、こういう新たな地平に現在ある、このように思っております。

 そういった意味で、この課題は、各党とも長年議論をしてきたところでありますけれども、一方で、その内容と同時に、それを持続可能な形で成り立たせるための財源のあり方についても、なかなか、今負担という言葉を使われましたけれども、そういう国民的な負担についての合意が得られませんでした。

 私は、あえて申し上げますと、社会保障を負担というふうに考えること自体が、今の時代の経済の考え方にやや矛盾しているのではないか。ある意味では、その分野にこそ雇用があり、ある意味での生産がある、このようにも考えることができる。そういうことを含めて、成長と社会保障とそして財政というものを一体的に、好循環で改革していくことが必要だ。そのために、この問題について、四月までに社会保障の考え方、姿をまとめ、そして税との関係も含めた考え方を六月に提示したい、こう考えております。

 何としても、この歴史的な課題を皆さんとともに実行していきたい、このように考えていますので、よろしくお願いしたいと思います。

藤田(一)委員 ありがとうございました。

 ぜひ、将来像というものをしっかり示して、そして改革を進めていただきたい、このように思うところでございます。この点については、ぜひ、与謝野大臣もしっかり受けとめていただいて、よろしくお願いを申し上げます。

 次に、大変大きな関心を呼んでおります子ども手当についてもお尋ねをしたいと思います。

 次代を担う子供、未来への投資のあり方という問題であろうかと思っています。子供の貧困が大きな問題になっています。働きたくても保育園に子供を預けられない、こんな現実もございます。児童虐待という深刻な問題も進んでいます。

 民主党は、チルドレンファースト、子供の立場に立って、そして子供たちの健やかな、子供たちが安心して育つ、そんな社会の実現を目指して、この間、政策立案を行い、そして子ども手当を国民の皆様方にお約束してまいりました。

 今、この子ども手当、一歩前進をいたしました。そして、高校の授業料の無償化ということも含めて、子供一人一人に着目した政策というものが前進を始めたわけでございます。

 この間、現物支給、手当よりも保育サービスだ、こういう議論がございました。でも、これはもう改めて申し上げるまでもないと思います。二者択一の話ではない。現金給付が非常に大事だということも、たくさんの方々が指摘をされているわけでございます。現金と現物、そのバランスをちゃんととって進めていく、これが一番大事なことでございます。

 そして、今回は、改めてこの法案に対して、恒久法になっていないとか、上限をどうするのか、あるいは財政構造は、こういう話がございました。私は、社会的手当なのか、あるいは公的扶助なのか、こういう考え方については、子供政策全般についてはいろいろな組み合わせがあるんだろうと思っています。でも、ここはやはり、子供を選別しない、すべての子供を大切にしていく、そういう観点の中からこの問題の解決を図っていただきたいと思うのです。その上で、この子ども手当、これをどう持続可能な制度として発展させていくのか、そのことが今大きく問われております。

 子供は社会の宝とおっしゃる総理の子育てに対する大きなビジョン、そして決意というものをお聞かせいただいて、この子ども手当を育てていただきたい、このように思いますが、いかがでしょうか。

菅内閣総理大臣 まず、社会保障全般にわたって、高齢者に対する医療、介護、年金はかなり充実をしてきた一方で、子供は、これまでは、どちらかといえば家族あるいは両親にお任せをするという形がとられてまいりました。

 そういった意味で、今回の子ども手当を大きく我が党がマニフェストに掲げたことは、やはり、もっと若い世代、子供の世代のことも含めてしっかり社会保障の中に位置づけなければならないという、そういう意味では、私は本当に画期的な一つの政策の転換であった、このように考えております。

 もちろん、その場合に、現金なのか現物なのか、あるいはそれによる経済的効果ということも、いろいろ議論をすることはある意味当然ではありますけれども、まず理念として、子供を社会全体が育てるんだという、この原点を押さえた形で進めてきたものだと理解をいたしております。

 そういった中で、今日、月一万三千円からスタートして、現在の予算では三歳児まで七千円上乗せ。同時に、今後についても、例えば待機児童ゼロといった形などを含めて、現物の方にも力を入れていく。まさにバランスを考えながら、同時に、負担を恒久的に維持できるように、ある意味での控除から手当へというその方向性と相まって、今後は、自治体の皆さんともさらに協議をして恒久的な制度に育て上げていきたい、こう考えております。

藤田(一)委員 ありがとうございました。

中井委員長 これにて藤田君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 きょうは、私は、環太平洋パートナーシップ協定、TPPについて質問をしたいと思います。

 昨年十月一日に菅総理が所信表明演説で、突然、TPP参加検討、第三の開国だと言ったわけですが、このTPPというのは、この前の二〇〇九年の総選挙マニフェストのどこに書いてありましたか。

玄葉国務大臣 TPPというのは、実は吉井委員は御存じでお話をされていると思いますけれども、そもそも……(吉井委員「いや、書いてあったかと聞いているんです」と呼ぶ)マニフェストには書いていません。なぜかといえば、それは二〇〇九年、政権交代以降出てきた課題であるから、当然そういうふうになります。

吉井委員 ここにマニフェストを持ってまいりました。二〇〇九年総選挙を前にした七月二十七日の方ではこう書いていますね。米国との間で自由貿易協定を締結、貿易・投資の自由化を進めるとしたわけです。ここには「締結」と書いてあるんですね。これに対して、農業者を初め国民の皆さんから、農業をつぶすのか、日本の食料はどうなるのかという猛烈な反発が巻き起こって、そのためこの部分を修正したんですね。どう修正しました。

玄葉国務大臣 今の御質問は直接的な通告がなかったので、若干推測があったら申しわけないんですけれども、恐らく、「締結」というのを「交渉を促進し、」に変えたのではないかと。ただ、「その際、食の安全・安定供給、食料自給率の向上、国内農業・農村の振興などを損なうことは行わない。」ということもあわせて書いてあるということでございます。

吉井委員 TPPとマニフェストのことを聞きますと、丁寧にちゃんとレクをやってありますので。

 それで、七月二十九日に民主党声明を発表したわけですが、この声明を発表したのはだれですか。何が書いてありました。

玄葉国務大臣 七月二十九日、二〇〇九年の民主党声明でありますけれども、これを全文読んだ方がいいんでしょうか。

中井委員長 だれがつくったんだと。

玄葉国務大臣 だれがつくったかですか。(吉井委員「だれが発表したかを聞いているんです」と呼ぶ)発表は当時の菅代表代行だと思います。

吉井委員 皆さんのお手元にも資料を配付しておりますが、要するに、菅さんが代表代行として発表したのが七月二十九日に出した民主党声明なんです。このパネルです。日本は先進国の中で最も開かれた農林水産市場となっていると書いているわけですよ。これはどういう意味ですか。

菅内閣総理大臣 私は、日本の一般的な意味での貿易の自由化というのは、世界でもトップ水準で進んでいる、WTOでもそういう位置にある。農産物を含めても、一部の品目はありますけれども、トータルとしては非常に輸入も多いですし、そういう状況にある。

 ただ、あえて申し上げますと、この十年ほど韓国等が二国間のいろいろなFTAとかEPAを進めてきている中で、そういった点ではややこの間、立ちおくれがあったのではないか、こう認識をいたしております。

吉井委員 これは、自民党政権のおかげで最も開かれた国だという認識を示していたんですよ。菅総理は今でもこの認識でいるんですか。

菅内閣総理大臣 今申し上げたように、一般的には我が国は……(発言する者あり)私、吉井さんに答えているので。(吉井委員「私は、だからこの認識は変わらないんですねと聞いているんですよ」と呼ぶ)ですから、先ほど申し上げたように、こういう認識を一方で持ちながら、一方で、FTAとかEPAのいろいろな進展を他の国が進めている中で、やや日本がそういう国に比較して立ちおくれたという認識をあわせて持っております。

吉井委員 真ん中に黄色いところを書いておきましたけれども、FTA交渉においては、農林水産物に関して米など重要な品目の関税を引き下げ、撤廃するとの考えをとるつもりはない、これを言ったわけですね。菅総理、これは事実ですね。

菅内閣総理大臣 こういった姿勢で交渉に臨むということについては変わっておりません。

吉井委員 さらに、日本の農林漁業、農山漁村を犠牲にする協定の締結はあり得ないと断言したわけです。断言するとまで言ったわけですが、菅総理、これも事実ですね。

菅内閣総理大臣 マニフェストに掲げたことは、もちろん我が党の方針として、現在も方針としてそのままになっております。

吉井委員 実は、八月四日に札幌市で、当時代表代行の菅さんは、米などの主要作物の関税引き下げはしないことが基本、説明不足だったのできちんと盛り込みたいと明確に発言しました。八月五日には農業団体に、「米などの重要な品目の関税の引き下げ、撤廃をしないことを条件に交渉する」と声明を出しました。そして、八月十一日に、当初の日米FTA締結を、日米FTA交渉を促進し、その際、食の安全、安定供給、食料自給率の向上、国内農業、農村の振興を損なうことは行わないとマニフェストを正式に修正しました。

 菅総理、こうした経過を見れば、この党声明というのはマニフェストに匹敵するものじゃないですか。

菅内閣総理大臣 当時、実はマニフェストの中で、外交の部門で、アメリカとの交渉の中で、先ほど御指摘になりましたように、締結という言葉がやや誤解を招きやすいということで、交渉を促進すると。これは自民党の皆さんも同じような表現を使っておられますが、そういう姿勢を改めて明確にしたところであります。それをある意味補足する形でこの民主党の声明を出し、私が記者会見で申し上げたということです。

吉井委員 この声明はマニフェストに匹敵するものなんですよ。ところが、今検討しているTPPというのは全く違うものなんですね。政府の説明では、農産品分野や非関税分野で高い水準の自由化、TPPは一〇〇%自由化を原則とする、TPPも日米FTAも高いレベルの自由化が求められると言っているんですね。これは戦略会議の配付資料にちゃんと出ています。

 その上に立って、十一月九日の包括的経済連携の基本方針で政府が決定したのは、すべての品目を自由化交渉対象とし、高いレベルの経済連携を目指す、非関税障壁を撤廃するとしていますね。これは、資料一に見る民主党声明とどのように整合性があるのか。これは全く違うんじゃないですか。

玄葉国務大臣 昨年十一月に決めた包括的経済連携の基本方針におきましては、もうこれも御存じでおっしゃっていると思いますけれども、重要品目に配慮しつつ、センサティブ品目に配慮しつつということを間違いなく明記してございます。その上で交渉をし、ハイレベルな経済連携を目指すと。

 言うまでもないことですけれども、これまで、ハイレベル経済連携、どの国の経済連携を見ても、除外品目のない経済連携というのは見当たらないに等しい、ほぼ、ほぼ等しいというふうに私は思っていまして、そういう意味では、そういった経済連携を締結することは考えがたい、そう考えております。

吉井委員 今の話は、全然筋違いの話なんですよ。

 仮に日本が参加した場合、日本を含む十カ国のGDPの中で、GDPの九割は日米なんですよ。だから、TPPというのは、実質的には日米FTAなんですよ。この日米FTAについては、これは、締結しと言っておったのを変えたんですよ。

 沖縄問題では方便だと言い、子ども手当になったらびっくりしたと言い、今度は、菅さんが代表代行として党声明まで出したものをひっくり返すというのは、これはもう方便やびっくりどころじゃないと思うんですよ。これは、もう私も言葉を失うぐらいの話ですよ、菅総理。

 さて、マニフェストに違反することをこうしてやっているわけですけれども、こういう質問をすると、大規模化して競争力あるものにしたいとかいうお話をよくされます。

 それで、資料二をお手元にも配ってあります、見ていただきたいんですが、これは、農家一戸当たりの農地面積なんですよ。黄色い色がついているのがオーストラリアです。アメリカが青い、日本は赤い部分です。

 それで、このパネルを見ていただくとよくわかるように、中山間地の多い日本で、オーストラリアぐらいの一戸当たりの耕地面積を持つ大規模化が実現できると総理はお考えなのか。オーストラリアやアメリカと競争して日本の穀物農業が成り立つというお考えなのかどうか。これは菅さんに伺っておきます。

菅内閣総理大臣 先ほどの点は玄葉大臣からもお答えをしていただきましたけれども、二十二年十一月六日、私の内閣のもとで包括経済連携に関する基本方針というものを閣議決定いたしまして、その中で、特に、政治的、経済的に重要で、我が国に特に利益をもたらすEPAや広域経済連携については、センシティブ品目について配慮を行いつつ、すべての品目を自由化交渉の対象とし、交渉を通じて、高いレベルの経済連携を目指すというふうに書いてあるので、センシティブ品目のところだけを外して紹介していただくのは、若干、この文章としては十分な説明をいただいたわけではないと思っております。

 その上で、今、農業の問題ですが、私も農業に関して多少のことをいろいろなところで話を聞いております。

 確かに、土地利用型の農業に関して、今お示しになったように、オーストラリアやアメリカに比べて我が国の規模が非常に小さいことは客観的な事実であります。しかし、日本の農業の現状は、そういった土地利用型の面積が小さいということだけではなくて、例えば農業従事者の平均年齢が六十六歳に達しているなど、つまりは、このまま必ずしも、経済連携の問題あるなしにかかわらずこういった問題があるので、その問題も含めて、現在、農業の改革のための会議を主宰して農業改革を進めようとしているところであります。

吉井委員 もともと中山間地で棚田なども多いところなんですよ、日本は。そういうところで水田耕作をやっているんですよ。どうしてオーストラリアのように大規模化できるのか、日本の穀物農業が成り立たないじゃないかということを言っているんです。

 実は、農水省自身が、二〇〇七年二月に、国境措置を撤廃した場合の国内農業等への影響(試算)というのを発表しています。大規模経営が広がるアメリカやオーストラリアのような国で生産される低廉な農産物との価格差を完全に解消することは不可能だとしているんですよ。これはこの資料の二、パネルを見ても非常によくわかる話ですよ。

 TPPと同じで、北米自由貿易協定、NAFTAというのがありますね。ここに参加したメキシコでは、伝統的な主食の白トウモロコシ生産が壊滅的打撃を受け、飼料用作物を中心に、黄トウモロコシ、遺伝子組み換えトウモロコシがアメリカのADM社など穀物メジャーの手で大量に輸入されています。さらに、その黄トウモロコシが、バイオエタノール向け生産に走る中で、今度は投機マネーが動いて価格高騰が生じてきた。

 だから、国民の食生活の危機も経済危機も招いている、これが実態だと思うんですが、菅総理はこういう実態を御存じですか。

菅内閣総理大臣 メキシコの状況をつぶさに承知しているわけではありませんけれども、そういったものがエタノールの、いわばバイオエタノールの材料として使えることで農産物の価格高騰の一因になっている、そういうことについては承知をいたしております。

吉井委員 ですから、NAFTAの例を見たって、ほとんどすべての品目を関税ゼロ、自由化する、そしてさまざまな非関税措置など国境措置をとってしまったら、もともと規模拡大もできない上に、穀物生産というのは成り立たないんですよ。そのことはやはりちゃんと認識しなきゃいかぬと思うんです。

 実は今、世界の食料事情というのは非常に深刻です。国際連合の食糧農業機関、FAOのジャック・ディウフ事務局長が、世界でいまだ十億人近くの人々が飢えに苦しんでいる、農産物先物市場の自由化という措置によって悪化した投機の問題があると。これは実はことしの一月二十五日に日経のウエブサイトに寄稿しておられるんです。

 このパネルを見ていただきたいんです。皆さんのお手元に資料三がありますが、投機資金、これは、要するにヘッジファンドの方の右目盛りでやっております棒グラフですね。これはいかに投機マネーが動いたかというのがよくわかる絵です。

 二〇〇六年から七年にかけて投機マネーがぐんと動きました。それに伴って、実は、原油先物ももちろん上がっているんですけれども、その結果として、運送業者の輸送コストが上がるとか、さまざまな諸物価高騰もありましたけれども、何といっても大事な問題は、この緑の点々を見ていただいたらよくわかるんですが、これは穀物価格なんですよ。この穀物価格がまた二〇〇六年からぐんと上がり出して、二〇〇八年、リーマン・ブラザーズの破綻直前まで上がっているんですよ。リーマン・ブラザーズが破綻した、つまり、巨大複合金融機関とか、言ってみれば金融の世界のばくち打ちの破綻で実体経済が傷んで、多くの金融投機と無関係な国民が被害を受けているんですよ。

 一時は高騰した諸物価も下がったんですが、今度はオーストラリアのサイクロンによる洪水被害とかアメリカの水不足で、小麦の不作につけ込んで、これを見てもはっきりしているように、また投機マネーが動いているんですよ。これで小麦価格をつり上げて、投機マネーの方はこれで大もうけしているんです。

 こうしたことを見たときに、私は、日本の農水省の白書でも、穀物価格高騰の中には、以前はそういう分析をしていなかったんだけれども、この数年は投機マネーが問題だということを言っているぐらいなんですよ。

 そこで、財務大臣に伺っておきますが、今月の十八、十九日に、フランスで二十カ国の財務大臣・中央銀行総裁会議、いわゆるG20がありました。そのG20で食料問題と投機資金問題が同時に話し合われたわけですが、これは初めてのことですね。十九日に大臣は記者会見しておられますが、G20において一次産品の話が本格的に議論されるまさにキックオフの会議になったと説明されたと思うんですが、そのとおりですね。

野田国務大臣 吉井委員の御指摘のとおりでございまして、十八、十九とフランスのパリでG20が行われました。この中で、世界経済のフレームワークとか金融規制とかいろいろな議題がある中で、一次産品の過度な変動について初めて本格的な議論が行われました。これは農産品だけではありません、いわゆる一次産品価格の問題ですが、そのことによって、いろいろな議論が行われた中で、需給の問題もあるだろう、だけれども、一次産品が金融商品化しているのではないかという懸念もありました。

 そういういろいろな議論を踏まえて、国際機関と協働しながら、価格変動の要因とか消費国、生産国双方への影響についてまず検討を深めることにいたしまして、背景としてはインフレ懸念というのがありますので、どちらかというとこれは金融政策に絡みますので、各中央銀行の皆さんに集まっていただいて、まずスタディーグループをつくることにしまして、日本銀行の中曽理事がその座長を務めることになりました。加えて、一次産品市場の透明性の向上、あるいは一次産品デリバティブ市場の規制監督について国際機関による検討を深める、そこまで決定をさせていただきました。

吉井委員 このパネルを見ても非常に一目瞭然なんですよ。投機マネーが動くたびに穀物も原油価格もみんな上がってしまう。農水省からいただきましたが、一番新しいFAOの資料によると、穀物価格指数は、一月は、二〇〇八年七月のマックスのときに比べて、それを超える約二四五ポイントだと。非常に大きな高騰を示しているわけです。

 そこで、菅総理に伺っておきますが、G20で食料と投機資金が同時に議題になったことは初めてなんですけれども、FAOの事務局長は、飢餓対策、食料供給のために、四十年間に世界で七〇%、途上国で二倍の増産が必要だと言っているんですよ。

 二十一世紀の世界では、食料危機をどう克服していくかということが地球的な課題であり、人類的な課題なんですよ。そういうときに、現在、日本は世界最大の食料輸入国の一つなんですよ。世界から今、この食料危機の時代に日本がどういう行動をとるか、その行動が問われているんだということを菅総理が認識しておられるかどうか、あなたの認識を伺っておきます。

鹿野国務大臣 総理が答えられる前に私から申し上げますけれども、今議員からの指摘の認識というものが総理御自身が持っておられるからこそ、この六月までに食と農林水産業の再生プランのことをきちっとやっていきましょう、こういうふうなことで議論をしておるわけでございますので、その点の認識はきちっと菅総理自身がお持ちであるということを申し上げたいと思います。

吉井委員 総理も一緒やというんやったら、別にあなたが出てこなくても、総理が答えたらいいんですよ。私はあなたのお答えを聞いていまして、鹿野さん、一体いつから総理大臣になったんかいなと思いましたよ。

 この最大の課題に直面しているときに、TPP参加によって日本の食料自給率は今の四〇%から一三%に低下する、これは政府自身が算出しているんですね。日本の食料危機を招いてよいのか。

 国境措置というのは、これは日本の主権を守る上で大事なものなんですよ。飢餓対策、食料供給のために、世界に先駆けてでも自給率を高め、穀物など農業生産に力を入れて、余剰分が出れば食料支援に回す、そういう食料・農業政策こそが日本が果たすべき国際貢献と言うべきものじゃないですか、総理大臣。

鹿野国務大臣 今は議員から、農林水産省の試算の件に触れられました。重ねて、何遍も申し上げてきたところでありますけれども、いわゆる現在の国境措置ということで、何もしないというときに自給率が下がりますよということを申し上げているわけでありまして、そういう意味では、今後の自由化、いわゆるEPAを進めていく場合にどのような国内対策が必要かということは、当然一緒になって取り組んでいかなきゃならない問題であるという認識を持っておるところであります。

吉井委員 私が聞いていることと全然違うことを言っているんですよ。私は、国際貢献の道じゃないかということを総理大臣に聞いたんですよ。どうですか。

菅内閣総理大臣 先ほどオーストラリアとアメリカとの比較も出されましたが、私は、先日、山形県の庄内に行きまして、幅六十メートル、長さ三百メートルの一枚の水田を見ました。つまり、日本において、一般的に言えば、そういう大規模化や合理化といいましょうか、いわゆる生産性を高める努力というのはまだまだやれる余地は大いにある、またそういう意欲をお持ちの方も多い。しかし、いろいろな条件がそれの制約になっているので、そういうことを含めて農業再生を目指そうということで、決して私たちは自給率を下げていいとかそういうことを言っているんではなくて、もっと元気のいい農業をつくるためにどうするかということを申し上げているんです。

 今おっしゃったことも、一般的にはそのとおりだと思います。つまり、外国で食料が足らなくなったときに、日本に生産余力があるときにそれを応援するということは当然あり得ていいことだと思います。ただ同時に、価格の問題というのがあって、私も何度かそういう議論に参加しましたが、例えば、日本の高い価格のものをもらうよりは、お金でもらった方が五倍も十倍もほかから買えるからというようなことも支援の場合には時折あります。

 ですから、その基本的な考え方そのものは私も決して反対ではありませんけれども、どういう日本の農業をつくるかということの中で、また海外の援助は海外の援助として考えていく必要があるだろう、こう考えております。

吉井委員 東北の例を出されたにしても、先ほどのオーストラリアの例を見てもわかるように、大規模化で解決できるような話じゃないんですよ。だから、全く的外れなことを言ってもらっては困るんです。

 TPP参加によって、日本の食料自給率は一三%に低下する、これは政府自身が算出しているんですよ。政府が目標に掲げる自給率五〇%とは、これは両立しないんですよ。不可能なんです。TPP参加は、食料増産を求めている世界の方向にも真っ向からこれは逆行するものなんですよ。

 昨年十一月十日に開かれたJAなど農業者も消費者も参加した一一・一〇TPP反対緊急集会で、我が国は地球環境を破壊し、目先の経済的利益を追求し、格差を拡大し、世界じゅうから食料を買いあさってきたこれまでのこの国の生き方を反省しなければならない、TPP交渉への参加には断固反対する、こういう決議が行われました。

 今こそ考えなきゃいけないのは、食料主権に立った貿易ルールの確立なんですよ。これが重要なんです。TPPというのは、農業や食の安全だけの問題じゃないんです。血液製剤を初め医薬品の承認問題、医療の問題、輸入検疫、労働など、広い分野で国民の安全を脅かすものです。

中井委員長 吉井君、時間が来たのでまとめてください。

吉井委員 私は、マニフェスト違反のTPP参加も検討もきっぱりやめるということを要求して、時間が参りましたので、質問を終わります。

中井委員長 これにて吉井君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 私も、今の吉井委員の御質疑に引き続いて、TPPから入りたいと思います。

 実は、先週の土曜日になりますか、さいたま新都心で行われました政府主催の開国フォーラムなるものに行ってまいりました。

 先ほどからお話を伺うと、開国とは一体何なんだろうと。日本は、もう十分いろいろなものの関税も低い、もちろんセンシティブ品目、米とかサトウキビとか幾つかはありますが、他の品目はおおむね低いわけです。ここで開国と言う菅総理は一体何を言いたいのかといろいろ考えました。

 そこで、ウィキペディアという百科事典、調べてみました。

 皆さんのお手元に「開国とは」というプリントをお渡ししてありますが、開国が鎖国に対する概念になったのは明治の二十年のころで、そもそもは、安政の開国、井伊大老がヨーロッパ諸国に求められてさまざまな不平等条約を結んでいった、関税自主権もなかった、そこから始まっています。よもや菅総理は、今度のゼロ関税、全部撤廃というのをこのこととなぞらえて考えているのか。

 そして、実は、開国、鎖国という言葉が使われ出したのは、その後、欧米がアジアの国々に、ある意味で関税を自分たちのルールで押しつけたところからこの開国論というのが出てきているんですね。私は、少なくとも、国民に説明するときにファジーな言葉は使わない方がいい。

 今、民主党の、御党の中にも、TPPを考える国民会議というのを一生懸命やっていらっしゃる先生方があると思うんですよ。明確にもし菅総理がTPPのことを国民に伝えたいなら、TPPを考える政府会議とか政府フォーラムとか、やったらいいじゃないですか。何か、開国というと進んでいて、今のままの日本はおくれているかの印象をばらまく言葉であり、私は国民に対しての対話のやり方としては問題があると思います。

 TPPを考える政府の考え方でやっていただけませんか。まだ七回もありますから。一問目です。

菅内閣総理大臣 言葉には確かにいろいろな理解があると思います。

 私がこの間のことで私なりのイメージで申し上げているのは、若者の海外留学が減るなど、日本がやや内向きに全体としてなっているのではないか。そういう今の日本の状況を、もう一度、世界に若者も羽ばたき、また、イノベーションなどではまだまだ日本は大きな力を持っているんですけれども、そういう自信を取り戻して、世界に羽ばたく国に積極的になっていこう、そういう意味を込めて申し上げているのであって、何か不平等条約を招き入れるようなことを考えて言っているわけではもちろんありません。

阿部委員 でも、菅総理のおっしゃった前段は、余りにもファジーなんですよね。若者よ、海外に羽ばたけ。いいですよ、みんな賛成ですよ。何も縮こまってこの国で自分の将来をひっそりと考えることはない。そういうことはそういうことでいいんです。

 でも、お金をかけて政府として八回もやるんですから、何をターゲットにして、何を伝えたいのか。例えば、さっき質疑になっていますけれども、米とかセンシティブなものは本当に、このTPPに入って、関税をゼロにしなくていいのか。政府はそれ一つ明確に答えられないんですよ。

 だって、加入の協議に入らなきゃわからないと言うんですから。わからないものをもって、わからないまま国民の前でわからない説明をしたら、私は混乱のもとだと思いますよ。

 二問目です。

 何で六月なんですか。鳩山総理が昔、五月、五月と言ったけれども、私には嫌な記憶がよみがえりますよ、六月、六月。これは総理が答えてください、前原さんが外務大臣でおられますけれども、なぜ六月なんですか。きのうのフォーラムを聞いても、意見は多様だし、とても六月までに集約なんて、だって、どんなことがわかるかわからないもの。TPPで、さっき言った米とかどうなっちゃうのかわからないのに、わからないのにどうやって六月までに結論出すんですか。なぜ六月ですか、お願いします。

菅内閣総理大臣 私は、阿部さんが最初に言われた、TPPについて政府主催でやっていることについて言われたことは、まさに、だからやらなきゃいけないと思っているんです。私、この議論は大いにやるべきだと思っているんです、TPPについては。ですから、その中でいろいろな指摘が出てくることは当然予想されていますし、何が何でもこの方針に決めつけてやろうというのではなくて、大いに農業のあり方、あるいは農業分野以外のいろいろな人の移動の問題も、看護師さんのこともよく御承知でしょうけれども、いろいろなことを議論する中で、これからの日本の姿もどうしていくかという議論につなげていく、そういう議論としてぜひ続けていきたいと思っていますので。

 ただ、何かがまだ決まっていないから、はっきりしないからというのは、はっきりしていないものについてははっきりしていないと言うのも正しいのであって、現実に交渉には参加をしていませんし、また、御承知のように、九カ国の中でも、日豪の間では二国間の交渉もやっています。ですから、いろいろな可能性があるところはありますけれども、決まっていることは決まったと言いますが、決まっていないことは決まっていないと言うしかないというのが、そういうことです。

 それから、時期の問題でありますが、時期の問題も一般的には、TPPの今の九カ国が進めているテンポに対して、もし日本が、これはまだ、もちろん、何回も言いますように今は交渉に参加をしていないわけですから、交渉に参加をするかしないかを決める時期ということに関して言えば、もう話が終わってしまいましたというときには、もう交渉に参加することが、改めてのルールであれば別として、ありませんから、もし参加するとすれば、やはり六月ぐらいには、参加するかしないかを決めることはその時期にやらなければならない、こう考えています。

阿部委員 今のは、実はなぜ六月かに答えていないんですよ。八月でも九月でもいいかもしれません。アメリカの議会が九月までに何とか、アメリカの議会はTPPに新しい国が入ってくるときには承認が要りますから、その九月より三カ月くらい前には結論を出してほしいという制約があるからじゃないですか。菅総理、御存じないのかな。もしかして前原さんなら御存じかもしれないけれども、申しわけないけれども時間がないので。

 私は、本当に、アメリカのルールで、アメリカの議会のために日本の現実がすっ飛ばされていくことには絶対に反対ですよ。それから、なぜ六月ですかについても、今総理、残念ながらお答えじゃないですよ。鳩山さんのなぜ五月かがやっと後からわかったけれども、でも、本当に、六月というよりも国民に納得という方が大事ですよ。国の形が変わるかもしれない、どういう方向に行くのかということを、総理、ごめんなさい、もう一回言いたいのかもしれないが、私、時間がないので、次の質問とあわせて。

 食料自給率だって、食料と農業と農村の再生計画の中で、あれは去年の三月ですよ、十年たったら四〇%を五〇%に上げましょうという試算をしたけれども、あれはあくまでTPPをやらない場合ですよ。ガット・ウルグアイ・ラウンドの現状の中で、十年で一〇%上げようと言ったんですね。やったら違ってくるじゃないですか。当然、いろいろな品目の、特に穀物ベースですよ、小麦だってそうだし。そうしたら、その試算だってできないでしょう。だって、入ってみなければ、参加してみなければわからないんだから。何にもわからないじゃないですか。

 でも、少なくとも今四〇%、これだって大変だ。一億以上の国民がいて、こんな食料自給率で、一たん事あれば国家安全保障ですよ。それが、このTPPに入ることで、これ以上、例えば十年で五〇%より上回ることなんか、どんなに逆立ちしたって、ひっくり返ったって、何やったってないですよ。今の前提の中で、十年で五〇%なんですから。総理、どうですか。

菅内閣総理大臣 どうも私は、少し話が違っているような気がします。私も、この四〇%ということについて実現は目指すべきだと思っておりますし、先ほど来、共産党の方の質問にも農林水産大臣が答えられましたが、つまり、国境措置を単に全部、関税ゼロに何も手を打たないでやった場合の数値が農林省から一つの試算として出されているわけです。

 私、先日スイスに行ってまいりましたが、スイスで例えばEUよりも五倍ぐらいの値段の卵を売っているそうです。なぜそんなに高いんだと聞いたら、ケージで飼うことを禁止しているそうであります。

 つまり、そういういろいろな形がどういう形をとるかという、それから、先ほど六月のことをあえてまた言われましたけれども、六月に入るか入らないかを決めるんじゃないんですよ。六月に決めようと思っているのは、交渉に参加するかしないかを決めようとしているんですよ。たとえ交渉に参加をしても、条件が合わなければそれは入らないわけですから、入ることを決めるのではないということだけは、もちろんおわかりだと思いますけれども、はっきり申し上げておきます。

阿部委員 もちろん、わかって言っています。

 六月に参加するかどうかのテーブルに入ると言うけれども、そこからだめだから抜けるなんということは、なかなか現実の外交ではできませんよ。これが外交というものですよ。詰めてみたらやれなかった、日本のルールもつくれなかった。もうだって動いているんだから、つくれないですよ、もとが。

 次のこの図を見ていただきたいんですけれども、これは今、内閣府が試算をお願いしている、いわゆるTPPをやった場合、日中韓FTAをやった場合というような試算をしている川崎さんが二〇〇五年に出されたデータですよ。

 当時、このデータによれば、FTAは、日中韓、アジアの国との方が日本の経済損失も少なく、農業のダメージも少ない。むしろ、経済は成長して農業のダメージは少ない。翻ってというか反対に、アメリカ、オーストラリア、カナダなどとやった場合には、実は日本が打撃を得る農業分野は非常に大きいという図がこの二つの丸に書いてあるわけですよ。

 どう考えたって、こういう状態は二〇〇五年から今まで変わっていないと思いますよ。こっちを横目に見ながらTPP、TPPと言うのは、一体だれに言われてTPPか。本当に国民のためならじと思いますね。そして、内閣府の試算のデータを出してくれと言ったら、巨大なコンピューターを回していてわからない。わからなきゃこれも検証できませんよ。

 少なくとも、総理はこのデータはお認めになりますよね。グラフがあるんですけれども、日中韓のFTAの方がうんと農業に与えるダメージも少ないし、国民総生産を押し上げるというデータですよ。いかがですか。

前原国務大臣 それは内閣府で試算をしたものでありますけれども、二つ申し上げたいと思います。

 一つは、日本の得意な工業製品、自動車に関する関税がアメリカなどは低いということ、逆に言えば、中国などは高いということであります。そして、農業については、中国あるいはアジアの国々と比べてオーストラリア、アメリカの方が価格が安いということで、その表については、何もしなかった場合、そして全部がゼロになった場合はそういう相関関係が出てくるというのは阿部委員が御指摘のとおりでございますけれども、ここで考えなくてはいけないのは、では、中国が本当に工業製品や自動車などを全部関税をゼロにしてくれるかという前提で話をした場合、しない可能性が高いと思いますね。そうすると、そういう相関関係にならないということ。

 それから、私に御指名をいただけなかったので一つだけ申し上げたいのは、アメリカからTPPに入れということは言われておりませんし、アメリカ自身がTPPに入るかどうか、今の議会のねじれ状況の中ではわからないですよ。それは先生も御了解のとおりだと思います。

阿部委員 まさに今、前原さん、いい答弁をしてくださいましたよ。アメリカだって議会とけんけんがくがくやっているんですよ。日本みたいに開国フォーラムをやって踊っている場合じゃないんですよ。この議会で、本当に大事なTPPの審議をもっとやってほしいですよ。社会が変わる、構造が変わる、雇用が変わる、農業が変わる、ルールが変わるんですよ。これくらいのことなのに、私は、だから安易に言うなとくぎを刺したいだけです。

 引き続いて、年金の問題に行きます。

 年金は、先ほど来、加藤議員が御質疑でありますが、これは特に委員長によく見ていただきたいんですね。何が起ころうとしているか。三枚目です。

 いわゆる主婦であった方が、夫が仕事をかわって国民年金の一号になったけれども、主婦の方は何らかの理由で三号被保険者という幽霊なんですよ、これは。夫が二号であって初めて三号というのはあるんですから、そういう状態になった。そのときに、何十年かたって、その間保険料を納めていなくて、裁定のときにわかった。そうしたら、実は、ずうっと保険料を納めていない人も、正直にその時点で、夫が仕事をやめた時点で切りかえた人も同じ年金額になっちゃうということですよ。

 何十年も営々と保険料を納めた人と納めなかった人がなぜ同じなのか。それを救済策とか勝手な運用三号とかいうけれども、はっきり言って濫用三号ですよ。こんなものを、みんなが納めなきゃいけないと一生懸命国民は一万五千百円、少ない給与の中からだって納めているんですよ。納めなくてもらえるんだったらみんな納めませんよ。そのモラルハザードが大変に信頼を損なうものだからですよ。この濫用三号、運用三号、だれが決めたか。厚生労働大臣の細川さんですか。

 そして、お二人に伺います。特に枝野さん。先ほど、三月二十九日にこれが年金検討委員会で行われて、その後、十二月十四日まで一回も行われていないんです、一回も。議事録なんか見たって出ていないんです。どこで論議されましたか。だれが決めましたか。だれが決めたかわからない、だれが責任とるのかわからない、法律にものっとらない。本当にまじめな国民を愚弄する。

 細川さんには、あなたが決定権者ですか。枝野さんには、本当にこれ、年金記録の回復委員会なんかで一回もないんですよ。どこで見るんですか。お願いします。

中井委員長 細川さんと枝野君二人にお答えいただきます。時間がありませんから、簡単に明確に。

細川国務大臣 これは、昨年の三月二十九日、その日に、当時の大臣の方から、こういう形でやりたいと、こういう大枠のことを年金回復委員会の方に諮りまして、そして、年金回復委員会の方では、これは総意でそれを、いいだろう、こういうことになりまして、そこで大枠が決定をされたわけです。それから、日本年金機構とそれから年金局の方でいろいろと準備をしてまいりまして、そして、大体準備ができたところで、それではいつ通知を出すかということが、十二月の十五日ですか、そういうところでその了解をということで、そのときに課長通知で出したということでございまして、それは当初から決めたことを通知で出したことであります。

中井委員長 それで結構です。(発言する者あり)いやいや、言わないと時間がある。

枝野国務大臣 先ほどの加藤議員に対する答弁がもし誤解を与えたらおわびを申し上げますが、どうも、だれも知らないところで全部決まったのではないかというようなニュアンスでしたので、昨年の春と十二月と、公開されているところでも議論をしていますということを申し上げたので、もし誤解があったらおわび申し上げます。

阿部委員 さっきの、もし長妻さんがお決めになったんだったら、長妻さんに参考人として来ていただきたい。今、これが問題になっているんですから。このまま運用していいのか。本当に濫用三号になりますから、委員長に、参考人として長妻前厚生労働大臣をお願いして、終わらせていただきます。

中井委員長 理事会で協議します。

 これにて阿部君の質疑は終了いたしました。

 次に、浅尾慶一郎君。

浅尾委員 本日は、菅内閣の基本姿勢ということでありますので、冒頭、この間、菅総理大臣がおっしゃってきたことについて、ちょっと通告はしておりませんけれども、わかりやすい話でありますので、質問をさせていただきたいと思います。

 民主党は、マニフェストで国家公務員人件費二割カットということを言っております。

 その中で、まず本来であればトップから、隗より始めよということでありますので、本来であれば、総理大臣は、公務員全体が二割ならトップはもっと給与削減をされるのが筋ではないかと思いますが、この間の人事院勧告を受けて、菅総理のお給料は、二百六万円が、私の理解が正確であれば、五千円減った。二百六万に対して五千円というのは、〇・二五%に満たないということでありまして、そのことを同僚の柿澤議員が総理に質疑をいたしましたところ、二割カットしますというふうに総理は答弁されたわけでありますが、直後に枝野官房長官の記者会見で、それは決意を示しただけだということで、五千円のままになっている。

 国民は、やはりトップリーダーの決意、言葉というのを一番期待するわけですから、この際、これは御自身が決断すれば他の人のことについてはできるわけですけれども、相変わらず二百六万に対して五千円の引き下げだけでいいというふうに思われるかどうか、お答えいただきたいと思います。

菅内閣総理大臣 これは柿澤議員のときにも申し上げましたが、閣僚の給与はかなり前の内閣の時代から一割はカットしております。しかし、私も、例えば現在我が党でも、国会議員の歳費、御党もいろいろ議論というか提案がありますけれども、これについても、一割を削減するという方向で今党の方で集約が進んでおります。そういう意味で、時期をそんなに延ばす気はありませんけれども、閣僚については、現在の一割カットではなくて、さらに踏み込んだ形はとるということは先日お約束いたしました。

 時期については、他の法案との関係で考えておりますが、そんなに、一年先とか半年先ということを考えているわけではありません。もっと早い時期に、そういった関連するものとあわせて提案をしたい、あるいは実行したい、こう思っております。

浅尾委員 自主的に返納するということですから、すぐにでもできると思いますので、それはさっさとおやりいただきたいということを申し上げたいと思います。

 それでは、通告をしております質問に移らせていただきたいと思います。

 前回の税と社会保障についての集中審議の際にも申し上げさせていただきまして、その後、私自身もいろいろと勉強をいたしました。勉強いたしました結果、国税庁が持っているデータを厚生労働省あるいはその所管の団体が持っていないことによって、かなりの年金の保険料、そして健康保険の保険料が徴収できていないということが明らかになりました。

 この予算委員会でも、第三号被保険者の記録不整合問題というのがいろいろと議論をされておりますが、基本的には、データが整備されてないということがかなり大きなところになるんだろうというふうに思います。そのためには、歳入庁を早くつくった方がいいと思いますし、それから共通番号制度を早く入れた方がいいと思いますが、まずは事実の確認をさせていただきたいと思います。

 お手持ちの資料に基づいてお話をさせていただきたいと思います。

 ここで、民間の給与所得者数というのは五千三百八十八万四千人。実は先般、これは法人ではありませんが、私の事務所も任意で社会保険に入っておりまして、それに対して国税庁から調査が参りました。源泉徴収がある人は何人かということを調査で答えろと。この調査に答えないと罰則があるということなので、かなりこの五千三百八十八万四千人というのは、源泉徴収を受けている者、あるいは、扶養控除等で税金を払ってないけれどもその金額に当たっている者というふうに考えていいと思いますが、一方で、厚生年金の被保険者というのは三千四百二十四万八千人ということで、二千万近い差がある。

 この二千万というのを、仮に平均標準報酬月額を掛けて、なおかつ、一部の方は、既婚であって、いわゆる第三号被保険者になるんだという前提で五割の婚姻率を掛けたとしても、単年度で六兆円、厚生年金の保険料だけで徴収されてないものがあると。同じことが健康保険の保険料でも言われております。

 まず事実の確認をいたしますが、これは細川厚生労働大臣に伺いますけれども、厚生年金の保険料が増収になったとしても、現在払っている年金は、もう既にいただいている方は、それによって、入ってくるお金がふえたからといって払う年金の額はふえませんよね。事実の確認だけです。

細川国務大臣 お答えいたします。

 年金につきましては、給与所得者が新たに厚生年金に加入した場合、その者が高齢者になるまでは年金給付が発生をいたしませんので、直ちにその給付費が増加するというわけではございません。

浅尾委員 同じように、これは御答弁をいただかなくても結構でございますけれども、もし違えば御答弁いただきたいと思いますが、健康保険も、別に、国民健康保険から協会けんぽに移ったとしても、一定割合の人が病気になられるということを考えると、国全体としての医療費の支出は変わらないという理解でよろしいですか。ちょっと確認です。

細川国務大臣 医療保険につきましては、給与所得者が国民健康保険から新たに健康保険に加入した場合であっても、それぞれ医療給付の内容というのは同じでございますから、医療の給付費が全体で増加をするということはございません。

浅尾委員 つまり、今確認をさせていただいたのは、仮に、厚生年金に未加入の法人に勤めておられる方が、本来の法律に定めているところであれば、すべての法人は厚生年金に加入しなければいけない、これは法律で決まっています。決まっていますが、五千三百八十八万四千人という給与所得者に対して、三千四百二十四万八千人しか厚生年金に入っていない。入っていない結果、これはいろいろな前提を置かなければいけないけれども、約六兆円の年金の保険料が徴収できていない。あるいは、健康保険でいえば、五兆六千四百五十六億円の健康保険料が徴収できていないということになるわけであります。

 それで、これは歳入庁ができた暁、あるいは共通番号ができた暁には正確な数字が出てくるということでありますが、それがすぐにできないというのは、本来であれば、この予算の中に歳入庁設置のための調査費などを入れていただければよかったんだと思いますが、それは入っていない前提でありますが、今すぐにでもできることがありまして、それは何かというと、国税庁は全国のすべての法人、申告法人が二百七十五万法人ありますけれども、その全国の二百七十五万法人の名前、住所というデータを持っております。実は、今の年金機構にはその名前データのデータがありません。ですから、これは、国税庁が持っている何々会社という名前と住所を今の年金機構に、政府の中ですから、情報を共有すれば、十二兆まですぐに単年度で徴収できないにしても、数兆徴収できればその分の国庫支出金が減るということになりますから、財政が厳しい折においては当然やるべきだと思いますが、その情報の共有をされるおつもりがあるかどうか。

 これを、今聞いておられますけれども、できれば、菅総理が決断をすれば、財務省や厚生労働省が反対したとしてもこれはできる話でありますので、情報共有についての考え方を伺いたいと思います。

野田国務大臣 今の御質問にストレートにお答えをする前に、必ずお答えはいたしますけれども、前提の、今出されている資料、歳入庁を創設したときの増加年金保険料収入額試算、それから歳入庁を創設したときの健康保険料の試算、これは相当いろいろな前提があるはずなんですが、これは簡単に六兆、五兆と出る話ではないと私は思うんです。

 というのは、委員の前提というのは、例えば、この二千万人の差というのは、すべての給与所得者に厚生年金への加入義務があるかのように思えますが、そうじゃなくて、今の制度では、短時間勤務、パート労働者などは厚生年金の対象とはなっていないとか、そういうものがありますので、五千三百八十八万人と三千四百二十四万人が、この差がすぐこういう形で出る数字ではないと。同じように、健康保険もそうであって、直ちにそれが、給与所得者と被用者保険がイコールのような議論で進んでいますが、これは違うということであります。

 ということを申し上げた上で、データの話でありますが、原則として、他の行政機関に対して国税当局が保有するデータを提供することは、これは守秘義務の関係上問題であるというふうに考えております。

浅尾委員 まず、今おっしゃったところでいうと、先ほど申し上げましたように、この間、私の事務所も国税庁からの調査をいただきました。その中で、源泉徴収をされている者ということでお答えをさせていただきました。短期間のアルバイト、これは御案内のとおり、要するに、所得がそこまで達しないということで源泉徴収しておりませんので、その五千三百八十八万四千人のうちで、厚生年金の支払い義務があるのは百三十万円ですか、源泉徴収はされているけれどもそこに満たない人というのはそんなに多くないだろうということを申し上げておきたいと思います。それは、何人になるかはわかりません。

 加えて、守秘義務があるということを金科玉条のようにおっしゃいますが、同時に、国家公務員は、国家公務員法で、法律に反することが行われている場合には告発の義務を負っているんですよ。ですから、法人というところがあって、そこがもしかして厚生年金に加入していないとなれば、それは法律違反なんですから、その国家公務員法の告発義務違反と守秘義務と、どう整合性をとるのかということを伺いたいと思います。

 それから、守秘義務、守秘義務とおっしゃいますが、何々法人の名前と住所を出すことが果たして本当に守秘義務違反に当たるのかということも加えて質問をさせていただきたいと思います。

野田国務大臣 ちょっと、大事なことを忘れていました。

 歳入庁自体は、我々は反対じゃないです。引き続き、税制改正大綱の中で、番号制度などとともに検討するという姿勢であることは御理解ください。

 その上で、歳入庁をつくったらこの二つのいわゆる差が縮まるんじゃないかという万能論ではないんですよということを言いたかったんですね。さっき言ったように、歳入庁で照合するだけじゃなくて、いわゆる厚生年金の適用の拡大をしていかなければこの差は埋まっていかないとか、そういう問題があるということを申し上げたかったということでございます。

 その上で、守秘義務というのは、法人名を上げるだけで、それで済まないんじゃないかと言いますが、法人名にたどり着くためには、足を運んでいろいろな調査をやっています。そこで、特に法令上決まっていて閲覧をできるというものがあるならば、それは提供しているんですね。そうじゃなくて、特に法律上ないものについては、基本的には守秘義務にかかるという判断をさせていただいています。

浅尾委員 今のお話ですと、政治の決断ということになってくるのではないかと。私が申し上げているのは、歳入庁はみんなの党としてもつくるべきだという立場でありますが、なかなかこれは、民主党は二年前の衆議院選挙で、歳入庁をつくるということを公約で掲げておりますが、まだ進んでいない。進んでいない中で、法人のデータ、要するに、幾らその法人が利益を上げているとかなんとかということを年金機構に渡せと言っているわけではなくて、どこに法人がありますよと。法律は、法人はすべて厚生年金に加入しなきゃいかぬと書いてあるわけですから、どこどこに法人がある、法人の名前と住所ぐらいは渡せるんじゃないですかと。それも守秘義務に反するという立場で、財務大臣としては渡せないということですか。

野田国務大臣 いわゆる税務当局の立場から、こういうことができますよ、守秘義務も、こういうのがあるけれどもどうですかという立場じゃありません、これは。逆に言うと、厚労省から、厚生年金未加入事業所の加入促進のために例えばどんな情報が欲しいんだということがある中で、何ができるかということはあるかもしれませんが、こちらからどんどん提供するという性質のものではありません。

浅尾委員 そうだとすると、細川厚生労働大臣から、本当はこれは菅総理が両省庁の上にいらっしゃるから菅総理の決断で、全国の法人の住所と名前だけ厚労省に渡して、厚労省から年金機構に、そのデータを使って未加入法人のところには足を運んで加入してくださいと言えば済む話ですから、それぐらいやられたらいかがですか。

細川国務大臣 厚生労働の関係からいえば、それは、的確に厚生年金の方にしっかり入っていただける方を把握できるようにしていただけるのが一番いいだろうというふうに思っております。

 今は、雇用保険の適用事業所とかあるいは帝国データバンクとか、そういうようなところの資料をもとに、いろいろ調査をしながら加入を勧めている、こういうところでございます。

浅尾委員 帝国データバンクは民間ですよね。国税庁の持っているデータの方がちゃんとしたデータだと思います。しかも、私が申し上げているのは住所と法人名だけ。では、細川大臣、野田財務大臣にぜひ下さいとこの場でおっしゃればいいじゃないですか。

細川国務大臣 私の方は、先ほども申し上げたように、的確に厚生年金に入っていただくという情報はいただきたいというふうに思っておりますので、そのことを申し上げたいというふうに思っています。

浅尾委員 申し上げたいということは、先ほどの野田財務大臣の御答弁ですと、厚労省からそういう要求があった段階でそれを出せるか出せないか検討をするということでしたから、繰り返しになりますけれども、全国の法人の住所と名前をぜひ下さいという要求をされるのかどうか、その確認だけしたいと思います。

細川国務大臣 それでは、私の方から、財務大臣の方に検討をしていただくようにお願いをしたいと思います。

浅尾委員 では、今の議論を踏まえて、菅総理、ぜひ総理大臣としても、財務省にそのデータを厚労省に渡すように指導していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

菅内閣総理大臣 私も歳入庁については浅尾議員と、同じ党におられたときから一緒といいましょうか、前向きに取り組んできた一人であったと自覚をいたしております。それは国税と社会保険だけではなくて、私は、地方税についても場合によっては同じような問題もあり得るのではないかと思っております。

 そういう中で、今の両大臣の議論、浅尾議員の提案もあって、実態的な面での一つの前進を図れるかどうかの提案であったと思っております。いろいろな経緯とかがあることは私も承知しておりますが、国民の皆さんにとって透明性の高い形で、合理的な形でそういうことが進むように、私の方からもフォローしてまいりたい、こう思っております。

浅尾委員 時間が参りましたので終えますけれども、歳入庁ができるまでの間、共有できる情報は、当然のことでありますけれども、政府の各省の中で共有していただきますようにお願いをいたしまして、質問を終わります。

中井委員長 これにて浅尾君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

中井委員長 これより一般的質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。鴨下一郎君。

鴨下委員 一般質疑の積み残し十五分、これについて質問をさせていただきますが、まず委員長に申し上げます。

 一つは、この統一見解を出してください、これが出るまで私は質問を留保いたします、こういうふうに申し上げました。そして、その統一見解については、いわば委員長が、わかった、こういうようなことでありましたから、統一見解が出たかどうかについて、まず質問をいたします。

中井委員長 この間、鴨下さんの質疑に対して、お話しのようなことを申し上げました。そして、二十五日に両大臣間でおまとめいただいた現在の内閣の考えについて、きょう御党の加藤氏の質疑の中で提出がなされたと承知をいたしております。

鴨下委員 加藤委員のときのにつきましては、ここにそのペーパーがありますけれども、これは私が申し上げた趣旨とは違います。私が申し上げたのは、今進んでいる厚生労働省の救済のスキーム、これについて政府としてやるのかやらないのか、そして、これから監視委員会が動くそうでありますけれども、その中で、いわば総務省、厚労省、この二つの間での意見を調整して、菅内閣としてこの救済をやるのかやらないのか、この結論を出してください、こういうふうに申し上げたんですから。これは、ただ問題を羅列してあるだけで、これが統一見解なんて、全く違う。

 こういうようなことを、委員長、わかった上で申し上げます。

 この質問を私がする限りは、この統一見解が出てから話をしますと。余裕があったわけでありますから、約四日間あった、この中で結論をしっかりと出してください、こういうことを申し上げた。だから、それを前提に今質問をしているわけであります。しっかりと委員長の差配のもとに統一見解を出すように、ぜひよろしくお願いします。

中井委員長 非力な委員長でまことに恐縮でありますが、総務省における監視委員会は本日開かれるということを決められておるようでございます。そこで結論が出るということであるならば、その結論をもとに総務大臣と厚労大臣で近々結論が出てこようかと思いますが、この委員会はまだ議論が続くやに私どもは総務大臣から報告を受けております。したがいまして、現行、二十五日の夕刻、これが一番ぎりぎりの時点で両大臣でお話し合いをいただいてお出しいただいたペーパー、これに基づいて御質疑をいただき、そして、よりよい制度になるために御努力をいただきたいと思います。

鴨下委員 委員長は事の重大さをだんだんわかってきたんだけれども、このペーパーが本当に、今進んでいる救済策、これをとめることにするのか、このままたとえモラルハザードがあっても進めるのか、こういうことについての、いわば政治というのは決断ですから、どっちにしたってつらい。どっちにしたってつらいんだけれども、それを政治の責任のもとにやるかやらないか、このことを決めない限り、国民は迷うだけ。どっちにしていいんだかわからない。

 だから、それをぜひ、委員長は、結論を出すと言っているんだから、この予算委員会というのは、例えば国民年金の基礎年金の三分の二から二分の一にするために二兆五千億を計上しているんですよ。全く予算の問題なんですよ、これは。だから、この問題についての結論をしっかりと出してください。

 どっちでもいいんだよ、どっちでも。どっちでもいいんですよ。救済をしっかりとするという話で菅内閣が言うんだったら、それはそれで結構。それから、ルールをきちんと守って、残念ながら今三号被保険者のままでいた、そういうような人たちは、これはルールに従ってやるんですよという結論を出すのも、それは結構。

 だけれども、これは衆議院の予算委員会、もういよいよ大詰めになっているようでありますから、そういう中で、委員長の責任において出してくれるという話だったじゃないですか。

中井委員長 その点については、細川厚労大臣から答弁をいたさせます。

細川国務大臣 これについての私の考えを申し上げたいと思います。

 本件への今後の対応につきましては、二月二十五日に総務大臣とで整理をいたしました七つの点を踏まえまして、厚生労働大臣に助言を行う立場にある年金回復委員会に意見を求めるとともに、年金事業の実施状況等について総務大臣に意見を述べる立場にある総務省の年金業務監視委員会の見解を踏まえつつ、総務大臣と私、厚生労働大臣の協議で厚生大臣が決定をする、こういう方針となっております。

中井委員長 ちょっと待って、細川君。それは結構ですが、要は、民主党内閣として救済の方向でやっていくというのは間違いないんですか。(鴨下委員「そう、それがポイント」と呼ぶ)そうでしょう。そうなんでしょう。

 はい、答えてください。

細川国務大臣 これについては、昨年の三月、厚生労働省といたしましては、救済を中心にやっていく、そういう方針を決めたところでございます。ただ……

中井委員長 はい、ちょっととめて。

 片山さん、この基本方針に対して、総務省としてあるいは監視委員会として異議が現在出ているのかどうかについてお答えください。

片山国務大臣 救済の必要があるということはそのとおりだろうと思うんです。その際に、救済の仕方によって新たな不公平が生じる可能性がある。したがって、その不公平をできるだけ最小限にする、それにはどうすることが必要なのか。それで、とりあえず留保をしてしばらく調査をして、ある程度時間はかかりますけれども、厚生労働省の方で結論を得ようというのが両大臣の相談の結果であります。

鴨下委員 では、あの二十四日の留保というのは一体どういう位置づけなんですか。留保をして立ちどまって考えて、もし監視委員会の方でやめるという話になったら、これは朝令暮改になるわけでありますし、そもそもで言えば、これを法律事項でやらなかったということに大臣に対して大きな瑕疵があるわけでありますから、百万人の人たちを巻き込む、そういうことを課長通達でやったということそのものだって問題があるわけです。

 ただ、それを、今度は不公平があるけれどもやるという結論だったら、それはそれでいいですよ。菅内閣として火の粉をかぶったって救済するんだ、一つの見識だと思う。それをここできちんと結論を出して、そしてそれからきちんと予算について質疑、あるいは終着するのかどうか知らないけれども、これについては、そういうようないわば一里塚として私はここで結論を出すべきだ、こういうふうに思っている。だから、それができないうちは、これは予算の審議そのものがまだ不十分だ、こういうことであります。

細川国務大臣 鴨下委員もよく御存じのとおり、これを救済していく、本当は一号被保険者だったものが、行政の不十分もあって三号被保険者として扱ってきたというのがあるわけなんですよ。そういうふうに扱ってきて、そして行政がそういうふうに扱ったことに、だから、これは救済もしなければいけない。例えば、三号被保険者として扱ってきて、もう年金受給が決まっていて、今もらっている方もおられるわけですね。それを今、これを真実のもとに回復するということになれば、年金がもらえなくなったり、既にもらった年金を返してもらわなければいけない、こういうことになるから救済ということを決めたわけなんですね。

 ところが、総務省の方の年金業務委員会の方から、公平の見地からこれはおかしいのではないかというような意見も出てまいりましたので、したがって、ここで一度立ちどまって、そして留保しながらこれで決めていこう、総務大臣の意見も聞きながら協議をして決めていく、こういうことで統一見解として出させていただくわけでありますから、それは御理解をいただきたいと思います。

中井委員長 片山総務大臣から、留保をしてなくすということはないということについて答弁を願います。(発言する者あり)御静粛に願います。

片山国務大臣 最終的には厚労省で決められます。その際に、できる限り公平の観点を失わないような決め方をしていただきたいというのが年金業務監視委員会の考え方であります。

 したがって、これからその両方の要請というものを絡み合わせてどうやって決めていくかということですから、今直ちにと言われるのはちょっと無理だろうと私は思います。

中井委員長 三月時点で法律にしなかったということについて、枝野内閣官房長官から答弁いたさせます。

枝野国務大臣 今回の厚生労働省の対応につきましては、いろいろな御意見はあるかと思いますが、現在の法律の運用のあり方の問題として対応することが可能な範囲であるというふうに認識をいたしておりますので、通達によって行ったこと自体は、法律上の問題は生じないというふうに思っております。

鴨下委員 統一見解、出ていないじゃないですか、委員長。

中井委員長 出しているじゃないか。

鴨下委員 だから、統一見解が出て、これから統一見解を出すという話でしょう。これは出ていません。

 それで、監視委員会、きょうやるというんだけれども、私はこれじゃだめだよ。今、課題は残っている。質問はこれではできません。

中井委員長 鴨下君、続けてください。質問を続けてください、鴨下君。ちゃんと答弁をしていると思います。御議論を願います。(発言する者あり)

 鴨下君、質疑を続行してください。鴨下君、質疑を続行してください。(発言する者あり)

 再三申し上げます。鴨下一郎君、質疑を続行してください。

 現行できる限りの対応をしてきたと私は考えております。これをもとに御質疑願います。鴨下君。

 鴨下君、時間が参ります。質疑を続行してください。(発言する者あり)

 残念ながら、御質疑がございません。

 これにて鴨下君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして一般的質疑は終了いたしました。(発言する者あり)

 この際、暫時休憩して、理事会を再開いたします。

    午後二時四十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後五時九分開議

中井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 ただいま私に対する解任決議案が提出されました。

 この際、暫時休憩いたします。

    午後五時十分休憩

     ――――◇―――――

    午後八時二十九分開議

中井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 これより締めくくり質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。稲見哲男君。

稲見委員 民主党の稲見哲男でございます。

 締めくくり質疑に参加をさせていただきます。

 まず、片山総務大臣。予算委員会でもたびたび取り上げられてまいりました来年度の子ども手当、とりわけ地方負担について、片山総務大臣、理路整然と委員会の中でも答弁されているわけですが、議論は厚生労働委員会に引き継がれるわけですし、数字を挙げて確認をしておきたいと考えております。

 地方財政計画では、歳入総額八十二兆五千五十四億円ですが、これは地方歳出の見込み額を積み上げた歳出総額を保障するものになっていると考えています。したがって、子ども手当についても、公務員を除く分として国庫支出金二兆一千二百二十六億円、地方負担分五千四百六十五億円、合計二兆六千六百九十一億円になっておりますけれども、財政需要としては全額積み上げられていますし、ほとんどの地方自治体において交付税措置がなされておりますので、地方負担分は実質生じないのではないか、このように考えております。

 したがって、通告をしております、二〇一一年度の地方財政計画、歳入における国庫支出金、地方特例交付金、地方交付税の関連について、また、児童手当分の地方負担五千四百六十五億円と地方交付税、地方特例交付金の関係について、総務大臣にお聞きしたいと思います。

片山国務大臣 地方財政計画におきましては、今御指摘になりましたように、公務員を除く子ども手当につきましてそれぞれ所要額を計上しておりまして、そのうち地方負担分が五千四百六十五億円となっておりますが、これは、交付税の交付団体については、全額交付税の基準財政需要額に算入しておりますので、そこでカバーされている。

 それから、不交付団体については、交付税の基準財政需要額を見込んでも実質空振りになるものですから、このたびの子ども手当によって、その拡充された分といいますか、地方負担が名目上ふえた分については別途特例交付金で措置することになっておりまして、したがって、子ども手当によって新たな地方負担を生じさせたものではないという措置をしております。

稲見委員 大臣の答弁で、不交付団体については地方負担が生じるということでありますけれども、来年は東京を含めまして七十五団体と、前年の百五十一団体からは大きく減少をしていることもあり、予算化しない、事務を執行しない、こういうのは、今の答弁からいいますと誤解が前提ではないか、こういうふうに理解をいたしております。

 また、もう一度これを切り口を変えてお聞きをしますけれども、今後の子ども手当の制度設計については、既に、「関係府省と地方公共団体の代表者による会議の場において、子ども手当及びそれに関連する現物サービスに係る国と地方の役割分担及び経費負担のあり方を含め、子ども・子育て新システムの検討との整合性を図りつつ、幅広く検討」、こういうふうになっているわけであります。

 仮に新しい現物サービスなどがないといたしまして、児童手当分が廃止をされたとき、国庫支出金における児童手当の国負担分がこれまでありますし、今おっしゃった地方特例交付金の児童手当分が減額になりますし、交付税算入における児童手当地方負担分がなくなりますし、さらには年少扶養控除の廃止とか特定扶養控除の減額、こういうものによりまして住民税がふえる、これが交付税算定に影響する、こういうふうに考えますけれども、国、地方の財政調整問題、こういうことではどういうふうになってまいりますでしょうか。これも片山大臣にお伺いしたいと思います。

片山国務大臣 お尋ねは、いわゆる子ども手当が今、児童手当といわば二重構造といいますか二階建てになっておりますが、これを一階の部分を取っ払うとした場合どうするかということだと思いますが、その場合には、児童手当分の地方負担額が今ありますけれども、これと、さっき御指摘になりました扶養控除の見直しによって住民税が増収になる部分、これらについては、他の国庫補助負担金、これらをいわゆる一般財源化することによって、国庫との、国の財源との間で調整をする必要が生じてくると思います。

稲見委員 先ほど申し上げましたように、来年度、子育て支援サービス、現物サービスの拡充として、現物給付一千億円を勘案して拡充した歳出特別枠で別枠加算もされているところであります。子ども・子育て新システムも、いわゆる社会保障と税の一体改革の中で論じられ、現金給付と現物サービスの内容が固まっていくというふうに考えているわけでありますので、子ども・子育て新システムは平成二十五年の出発でありますけれども、ぜひ来年度は誤解の生じないような恒久法を用意してほしい、これは御要望として出させていただきたい、こういうふうに思います。

 その上で、改めて菅総理にお伺いをいたします。

 平成二十三年度の予算審議も最終盤を迎えました。初めての予算委員会で、会議録はあるのですが、自分の頭に皆さんの論議をたたき込んでいきたい、こういうことで、できるだけノートをとってこの期間過ごしてまいりました。厳しいけれども非常によい議論がされた、こういうふうに考えております。

 しかし、総理の思いが、政府の考え方がまだまだ正確には国民の皆さんのところに届いていないのではないか、こういうふうに危惧をいたしております。私、議員経験は三年半ほどにすぎませんけれども、九六年に旧民主党を結成以来、総理には大変お世話になってきておりますから、政権交代に向けた総理の並々ならぬ熱意と御苦労は知っているつもりでございます。

 したがって、もう一度、平成二十三年度予算、予算関連法案成立の意味、それに続く、この間も何度も答弁をしておられるわけですが、社会保障と税一体改革、またそのための法改正、九月に、おっしゃっているマニフェストの検証など、中期の工程表について、菅総理の決意を直接国民の皆さんにお届けいただきたいと思います。

 税制改正については、丁寧に取り扱っていただきたいと思いますが、そこは野田財務大臣のコメントもいただきたいというふうに思います。

菅内閣総理大臣 稲見さんの方から、改めて、この予算案、予算関連法案の成立を目指す意味というものを国民の皆さんに訴える機会をいただきましてありがとうございます。

 私は、大きく、まず、この予算については二つの目的があり、国民の皆さんに役立つものだと考えております。

 その一つは、当面の景気あるいは雇用という面で、せっかくステップワン、ステップツーでそれが改善されつつある中で、それをさらに安定的に成長軌道に乗せていくということであります。

 二〇一〇年度の実質経済成長率は三・九%、これは先進国の中でも高い方になっておりますし、直近の失業率も五%を切るなど、景気の持ち直しの兆しが見えております。また、デフレの脱却もぎりぎりプラス・マイナス・ゼロというところまで見えてまいりました。

 そういった意味で、ここでこの予算をしっかりと成立させ、実行することが、この状況からさらに成長軌道に乗せていく、そういう大きな意味を持っているということを国民の皆さんにぜひ御理解をいただきたい。

 そしてもう一つは、やはり政権交代のときに私たちが約束をしたマニフェストについて、一つ一つ前進をしているということであります。

 子ども手当については三歳児までの二万円への上昇、あるいは農業の戸別所得補償についても規模拡大の加算などをし、また、一括交付金について、五千百二十億という枠組みができ、さらに一年先には一兆円という規模になる、まさに自治体が自主的に判断できるというこの仕組みを大きく導入することができました。

 そういった意味で、この予算の中身は、今申し上げた景気、雇用という意味と、そしてマニフェストをさらに一層進める、そうした意味を持った予算だということをぜひ国民の皆さんに御理解をいただきたいと思うところであります。

 加えて、社会保障と税の一体改革についても説明をするようにという御意見をいただきました。

 この問題は、中長期の問題であると同時に、長年、ある意味で先送りをされてきた大変重要な課題であります。社会保障のあり方について、我が国は、高齢者については、医療、介護、年金など、かなり長い時間をかけて組み立ててまいりましたが、一方で、子供の問題、若年の問題については、必ずしも社会保障という中では十分だとは言えなかったと思っております。

 そういったことも含めて、改めて、この四月までに社会保障の全体像をお示ししたい。そして六月には、それに必要な財源をどのようにしていくかということを、税との一体改革という形でお示しをしたい。

 これは本当に、だれが総理であろうとも、どの政党が政権を担おうとも、避けて通ることができない課題だということで、中長期ではありますけれども、決して先送りできない課題ということで、何としても、皆さんとともに、できれば野党の皆さんとも協力し合って、この中身を固め、国民の皆さんに提示をしていきたい、このように考えております。

野田国務大臣 予算と関連法案の意義は、総理のお話しされたとおりだと思いますが、特に平成二十二年、日本の成長率が三・九%というのは、G7の中では一番高い数字でございます。

 ただ、これは油断をすると、切れ目なく執行しないと失速しかねません。お天気でいうと、きのうはすばらしい、春らしいお天気でした。でも、きょうは小雪が舞っています。せっかく春になりかけているのに、冬に戻りかねない。そういう意味からも、予算と関連法案の年度内成立、私の方からも改めてお願いを申し上げたいと思います。

 加えて、税制改革について丁寧な議論をしなければいけないと思いますけれども、まずは社会保障の姿をしっかりあらわすことであって、今、一般歳出の半分以上が社会保障関係費です。加えて、自然増で毎年一兆円以上その費用が伸びていくという状況の中で、それでもなおかつ国民にとって一番不安なのは、医療、介護等の社会保障です。

 その不安をなくして、安定し強化するために、その姿をつくるとともに、そのための財源をどう確保するか、これは総理がおっしゃるように避けて通れないテーマでございますし、むしろ、国民も巻き込んで、あるいは野党の皆さんの御意見もしっかり受けとめながら、しっかりとした議論、丁寧な議論を進めてまいりたいというふうに思います。

稲見委員 締めくくりの質疑でございますので、総理に質問をするのはこれぐらいにしたいと思います。

 ただ、毎日、週末には毎週地元に帰って、いろいろな人とお会いをいたしております。そういう意味で、菅総理に励ましのエールになればということで、私の考え方を少し申し述べたいと思っております。

 政権交代によって、政治の変化、政策の転換に期待をしているという国民はたくさんいらっしゃいます。特に、社会的に弱い立場の人々、政治の光が当たっていない人々、そしてそれを支えて活動している方々は、我慢強く政権の安定を待っておられます。

 例えば、障害者自立支援法廃止に歓喜をした人々、障害当事者が半数以上の構成員で進められております障がい者制度改革推進会議の議論、まさに政権交代の成果、大きな変化だと考えております。しかし、その第二次意見と省庁の考え方には大きな乖離が存在をしております。原則、障害者と健常者がともに学び育つインクルーシブ教育を基本法に明記するなど、一つ一つ申し上げませんけれども、政治の決断が求められていると考えております。

 菅さん、話はかわりますけれども、同じ楕円形のボールを使いますけれども、アメフトとラグビーは全く中身が違います。アメフトは、フォーメーションや攻防の作戦もヘッドコーチから逐一伝えられますけれども、ラグビーでは、フィールドに出れば、十五人の選手以外、相談相手はおりません。そして、キャプテンの役割、技量とともに、人望が非常に重要でございます。強いリーダーシップとともに、私は、菅総理に政府・与党をしっかりまとめる懐深いキャプテンシップを発揮していただきたい、こういうふうに思っております。

 最後に、力及ばずして倒れることを辞さないが、力尽くさずしてくじけることを拒否するという昔の言葉があります。私も、力の限り民主党政権を支えてまいります。改革をとめることはできません。中途半端に投げ出すことは、政権交代に期待をした国民への裏切りであり、政治への絶望的な不信感につながります。ここ一年が正念場、ぜひ頑張っていただきたい。このことをお伝えして、私の質問を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

中井委員長 これにて稲見君の質疑は終了いたしました。

 次に、下地幹郎君。

下地委員 中井委員長には、解任決議が否決されて、本当におめでとうございます。頑張っていただきたいと思います。

 一月の二十四日から施政方針演説が始まりまして、予算委員会が三十一日から質疑が始まりましたから、総理においては、もう一カ月近く、この予算委員会でいろいろな質問にお答えをしてきた。熟議の国会というのは、委員会というのは十分できたんじゃないかなというふうに思います。

 私は、施政方針演説で総理が申し上げた、最小不幸社会の実現というこの言葉が大好きなんですよね。私に言わせると、私は出身が沖縄でありますから、所得も低いし、基地問題もいっぱいある。急激に沖縄が成長することはなくても、その厳しい環境にある人たちが少しずつ生活が楽になっていく、そういうふうな過程があってしかるべきだと思いますから、急激な成長よりも悩む方々が少なくなるというのは、いい表現だと思って、私は物すごく評価をさせていただいております。

 まず最初に、この最小不幸社会の実現という総理がお考えになった言葉の総理の本当の思いを、お話を聞かせていただきたいと思います。

菅内閣総理大臣 私、若いころに読んだ本のことを自分なりに考えた時期がありまして、それは、政治というものが持つ役割、意味ということであります。

 ある意味、私が学生時代は、いろいろなイデオロギーを掲げて、これこそが正しい道なんだというような主張をする方も多くありました。しかし、ややもすれば、政治が、これが正しいと言って、あなたの幸福はこの道しかないんだという言い方をするのが果たして適切なんであろうか。つまりは、幸福の形は人によってそれぞれ違うのではないか、逆に言うと、政治というのは権力ですから、権力を使ってあなたの幸福の形を決めるのではなくて、権力を使うのは、不幸になる要素を最小化することに、ある意味限定的に使うのであって、その上で、自分のいろいろな生きざまの中で幸福の姿をそれぞれがつくり出していく、このことがあるべき政治権力の使い方ではないか、このように考えて、かなり若いころから最小不幸社会ということを申し上げました。

 わかりやすく普通の言葉で言えば、例えば病気になる、あるいは両親や片親がいない、いろいろな、本人には帰せない理由で不幸になる原因を持たれた方に対しては、やはり社会が、政治が、そういう不幸になる可能性の高い条件をなくしていく、そういう社会を目指すべきだ、このように考えており、下地さんから同様な意見だと言われたことは大変うれしく感じました。

下地委員 総理、三万人ずっと自殺者が出るでしょう。今度の予算でも三兆二千億円の生活保護費が出るでしょう。今の社会というのは本当に不幸社会なんですよ。これは、政権がかわって一年や二年でそう簡単に直るものではありませんよ。今までの政治の流れの中からそういう社会をつくってきたことだけは間違いないです。豊かにはなったかもしれませんけれども、豊かじゃなくて苦しんでいる人たちがそこにいるんです。政権交代は、そういう人たちに光を当てて変えていくというような政策をやった方が物すごく評価される。

 だから、今、大学に入る、専門学校に入る子供たちの四五%が奨学金ですよ。親が出せないんです。親が出せない。今、こういうふうな経済環境にもある。

 だから、子ども手当についても高校生の授業料の無料化についても、農業の自給率が下がって、農家の戸別所得補償についても、まさに今総理がやろうとしていることは、ある意味、今までの自民党や公明党のやってきた政策と違う、大局観がある、私はそこをしっかりと守っていただくことが大事だと思うんですよ。

 だから、そういう意味でも、焦らずに、この二年間で六兆円近くの無駄を省いて、ことしの予算だけでも、麻生総理が三十九兆円しか税収が集まらないのが、今度、三兆五千億円ぐらい伸びた、これから景気も少しずつよくなってくる、そして無駄も省かれてくる、こういうふうなことをじわっと時間をかけておやりになっていけば、必ずあと二年六カ月後には評価されるから、慌てず、ゆっくり頑張っていただきたいと思うんです。

 僕は何回も言いますけれども、野党が解散だと言っているときに解散したらだめですよ。野党が解散と言ったら絶対やらない、野党が解散やるなと言ったら解散する、これが王道の政治の判断だと思いますから、ゆっくりと、慌てず、頑張ってやっていただきたいなというふうに思っております。

 それで、一つだけ総理にお願いしたいのは、やはり、唐突的にやったなと思われないように、じっくり時間をかけてやることですね。TPPの問題も、これは論議しなきゃいけないときもありますから、これも唐突感に思われないようにしましょう。社会保障と税の形も、イコールすぐに増税だ、そういうイメージにならないように時間をかけましょう。今度の子ども手当の問題も、岡田幹事長が言っていますけれども、所得制限をやると四時の記者会見で見た。慌てない。これも唐突感だみたいに言われないように、じっくりと論議しながらやっていく。

 自分たちでこういうふうな政策をつくって、どこかの党、野党の了解を得たいためにすぐにころころ政策が変わったら、信頼されなくなりますよ。もう間違いなく、腰を落ちつけてやることが私は大事だと思いますから、そのことをぜひ頑張っていただきたいというふうに思っています。

 それでは最後に、自見大臣、短目に答弁をお願いします。

 郵政民営改革法案、とにかく今回、自見大臣はこれに政治生命をかけて頑張るとおっしゃっていますから、その思いだけを一分三十秒でお話しして、終わってください。

自見国務大臣 下地国民新党幹事長にお答えをさせていただきます。

 今幹事長が言われたように、まさに、政権交代の基礎になった、あの一昨年の衆議院の選挙のときの共通政策でございました。ちょっと読んでみますと、そもそも小泉内閣が主導した市場原理、競争至上主義の経済政策は、国民生活、地域経済を破壊し、雇用不安を増大させ、社会保障、教育のセーフティーネットを瓦解させた。その結果、過去十年間に一世帯当たり平均百万円、所得が減少している。これが三党合意の基本でございますから。

 その中で、六つの項目があったわけでございます。その一つが、まさに過疎地あるいは離島の、明治以来の郵政事業をやはりきちっと、そういった視点に立って、本当の意味での国民の目線に立った改革をせねばならない。それが、少し行き過ぎた市場原理主義の是正にもつながる、最も基本的な三党合意、あるいは政権交代の基本的精神だったものですから。

 今、下地委員が言われましたように、この法案についてきちっと、あまねく公平に、そして三事業一体という、そのことをきちっと守りつつ、これは民主党と国民新党、これは下地幹事長と岡田幹事長の約束でもございますから、しっかり、各党各会派の、いろいろ立場はございますけれども、御理解をいただいて、本当に国民の目線に立った改革をせねばならない、そういうことでございますから、ぜひ御理解をいただきたいというふうに思うわけでございます。

下地委員 あと、もうきょう、この委員会で採決をして、本会議で参議院に送りますから、政策の論議は、総理、もう終わりましたよ。これからは、総理がおっしゃった政策を全部通すための政局の戦いですから、ぜひ政策を通すために、国民のためになるように、政局に強い菅総理で頑張っていただくことを期待して、私の質問を終わります。ありがとうございました。

中井委員長 これにて下地君の質疑は終了いたしました。

 次に、石破茂君。

石破委員 総理、この予算委員会の審議の間、内閣支持率は下がり続けている。民主党の支持率も下がり続けている。世論がどうあろうが、これがすべて正しいという考え方を私はとるべきだとは思っておりません。

 そして、最新の世論調査では、菅総理は、いいですか菅総理ですよ、予算の修正について野党の意見を受け入れるべきである、そう回答した人が八割に上っている。これをどのようにお考えになりますか。なぜこの予算委員会の審議の間に、総理は誠心誠意お答えになったのでしょう、閣僚もそうでしょう、しかし国民はそうは思っていないんだ。だから内閣支持率は下がり続ける。この週末に行われた世論調査、とうとう内閣支持率はほとんどが二〇%を割っている。これは何なんだと。総理が一生懸命御努力をされながら、何でこんなに下がるんだ。

 そして、野党の修正の提案に真摯に応ずるべきである、そう国民の八割、四割や五割じゃないですよ、八割がそうだと思っていながら、きょうこのように採決をされる。これは一体どういうことなのか。総理の御見解を承りたい。

菅内閣総理大臣 世論調査の結果については、私は、国民の皆さんの一つの見方、考え方ということで真摯に受けとめていかなければならないと常に思っております。

 そのこととこの予算についてでありますが、予算そのものは、私たちとしては、最も望ましいベストなものということでこの委員会、国会に出させていただきました。

 そういう中で、この予算委員会を中心にした議論を進めていく中で、野党の皆さんからもいろいろな提案が出されているわけでありまして、そういうものの中で、議論を通して合意ができるものについては、それはそういった合意が生まれればいいというふうに基本的に思って、審議に臨んだつもりであります。

 現在、御党からも組み替え動議が出ておりますけれども、その中身についてこれから議論をされることになるかもしれませんが、私たちとして、そのものが実現可能性も含めて十分なものであるとすれば、それはもちろん検討しなければなりませんけれども、現在、政調を中心に検討をいただいた結果、あるいは私も見た結果、なかなかこの段階で即座にその提案を受け入れてということは、いろいろな面で難しい面がある、そういう認識を持っております。

石破委員 八割の国民がそう思っているということはよく御認識をいただきたいと思います。国民に誠実に向き合う、それが熟議の国会なのでしょう。

 これから私どもが出しますよ。出しますが、私は、その前に、今の内閣というのは本当に国家を統治する資格を持っているのか、言いたかないが、そのように言わざるを得ない。

 総理は極めて正直な方で、仮免内閣ということを口にされました。私は聞き間違えかと思ったんですよ。初心者の間違いじゃないかと思ったんですよ。仮免というのはその前だ。教官が横に乗っていないと路上に出ちゃいかぬのだ。初心者であれば、それは一人で出たっていいですよ、若葉マークつけていれば。だけれども、仮免というのはそうじゃないんだ。私は言葉じりをとらえるつもりはないけれども、総理がそのようにおっしゃったということは、国民がどれだけ不安に思ったかということなのですよ。

 そして、例えば三号被保険者、このお話。このことについて何で政府統一見解が出ないんだ。何で、このような人たちを救済するということが法律によらずして一片の課長通達でできるんだ。これは法律違反、そのような疑いがきょうの総務省の会議でも出された。なぜこれが、このまま正しいということを言い張るのか。それが統治機構を無視している。そう言わないで、何で、これが一体何なのだということだと私は思っております。

 このことについて、なぜ政府統一見解が出ないのか。そして、何でこれが課長の一片の通達でできるのか。これが国民年金法の改正を伴わずして、なぜできるのか。こういう不公平感を温存したままで、制度というものは本当に永続をするのか。私はそうは思わない。国民が不公平だと思うような制度は、いかに糊塗しようと、これは永続をするものではない。このことが統治機構に対する認識の欠如、法治主義に対する認識の欠如、私はそれ以外の何物でもないと思っている。御見解を承りたい。

菅内閣総理大臣 三号被保険者の問題については、私も今の状況についていろいろと聞くことをいたしました。その上で、私は、厚生労働大臣を中心に総務大臣も交えて、これからしっかりした方向性を出すと、せんだっての予算委員会で一たん留保したものについてしっかりと方向性を出すということを、たしかきょう、それぞれの立場で、きょうですか、きのうですか、申し上げたというふうに理解しています。

 この問題、大変重要でもありますし、ある意味、長年の運営、運用の中で生じた問題でもありますので、そうした形がどうすべきかということを、もう一度、両大臣を中心に検討をさせているところであります。

石破委員 これは、政府見解が統一見解などと私どもは思っていませんよ。私が総理にお尋ねをしたのは、これを決めるのが、何で法改正によらないで課長の通達によることが正しいのかということを聞いています。こうするときに内閣法制局に意見を聞きましたか。これが法改正を伴わずになぜできるかということを確認されましたか。そして、これが問題になったときに、総理は内閣法制局にこれを確認されましたか。事実のみお答えください。

細川国務大臣 この運用三号につきましては、これは昨年の三月、当時の大臣によって、年金改革委員会の了解も得まして、そこで大枠の方向性を出して、そして準備を進めてきたところでございます。そして、十二月まで準備をいたしまして、そこで十二月の半ばごろに、一月一日から始めるという通知を出したわけでございます。

 こういう通知をすることについて、こういう決め方について、法制局の方では、これについて法的には間違いがない、間違ってはいない、こういうことで了解を、了解というか、過去に確認をいたしております。

石破委員 そうですか。法制局長官に確認したところ、法的に問題はないということなのですね。その答弁は初めて承りました。いいです、法制局長官に参議院でただしましょう。そうすると、法改正は必要ないということで、これから先もおやりになるのですね。これから先もこれをお続けになる。法制局長官は、法改正は必要ない、そういうふうに言った、それが内閣の方針である、厚生大臣、それで間違いないか。

細川国務大臣 この点については、質問主意書が出てまいりました。その質問主意書の中で、その法的な見解についても法制局と御相談いたしまして、法的には間違いはない、こういう御答弁をさせていただいております。

石破委員 それは昼間の答弁とはそごがあるようですね。そして、いいですか、質問主意書に対する答弁で法制局長官もよいと言った、そうであれば、今後、法改正は一切行わない、そういうことなのですね。それで間違いないか。

細川国務大臣 昼間の答弁につきましては、これは、事前に法制局には相談をしなかった、こういうことでありまして、その後、厚生労働省のとったこのことについては、法制局の方と相談をして、これが間違っているかどうかということを相談しましたら、そのことについては間違いはない、こういう答弁を法制局の方からいただいて、これは質問主意書の方で回答をさせていただいております。

石破委員 私は、事前に聞きましたかということを聞いたんですよ。今は、事前には聞いていない、質問主意書に対する答弁の中で相談をした、今後は法改正は一切行わないという答弁をなさいました。いいんですね。それでよろしいということで、いいです。答弁は要りません。

 そこで、いいです、このことは参議院において徹底的にやります。今後、いいですか、参議院で徹底的にやらせていただきます。私が聞いたのは、こういうことをやる場合に、事前に法制局に確認をするということが本来内閣のあり得べきことではないですか。こういう人たちを救済するということが課長通達でできるはずがないということは、普通ならばわかるはずだ。こんなことが通達でできるはずがない。国民年金法の改正を伴わずして、このような決定ができるとは思わない。これがどこが政治主導だ。政治は官僚の暴走というものをとめないのか。本当にそれが統治能力があるのかということを私は申し上げている。

 ここは、厚生労働大臣の責任は参議院においてきちんと明らかにします。どうか、きちんとした真摯な対応をいただきたい。それは、前厚生労働大臣も一緒です。先ほど、前厚生労働大臣がどうのこうのというお話をなさいました。そうであれば、参考人で出ていただいて、きちんとした整合、突合も行いましょう。それはぜひ、この場で申し上げておきたいと思います。

 統治能力の欠如ということでいえば、これは何度も申し上げたことだけれども、尖閣に対する対応、だれも納得をしていない。あの保安官が会見をし、いろいろな意見を述べている。このことについて、多くの国民が共感をしている。

 いいですか、どんなに優秀な検事であっても、国民から選ばれていない、国民に責任を負わない、そのような者が外交の判断をしてよいはずがない。これは外交の判断になるということは、前官房長官がお答えになったとおりであります。外交関係を処理するということに密接にかかわる、そういうふうに答弁をなさいました。それを、国民に責任を負わない、選挙で選ばれない、法務大臣が任命した検事がやっていいとは私は思わないし、国民の多くも全く納得をしておりません。

 そして、どんなに優秀な検事であっても、司法試験を優秀な成績で通った検事であっても、たった二日や三日の外務省のレクで、日中関係の今後なんて判断できるはずはない。そういうような立場にもいない。そして、そういうような見識も有しない。だれもやゆしていませんよ。もし検事がそんなことができるんなら、外務省なんか要らないんだから。そういうような人がやっているということについて、今でも正しいというふうに言っている。

 そして、映像について全面的な公開をなさなかった。そのことについて、多くの国民は今でも不安に思っている、不満に思っている。これが日本の外交力をおとしめなくて何だということですね。これは、内閣総理大臣が、仮に釈放するということであれば、検察がやったとかそんなことを言わないで、自分の責任において決断したと、そして映像も、自分の責任、判断において公開する。何が裁判の支障になるからですか。船長が中国に帰っていて、裁判なんか開かれるわけはないだろう。そのことは前官房長官が答弁したとおりだ。そのとおりになったじゃないか。しかし、それをまだ、裁判に差し支える、だから証拠は出さないということで、結局今も全面的な公開はしていない。

 総理大臣が、みずからの判断で釈放すると、しかし映像もみずからの判断で公開すると、二度と行うべからずということを言わずして、何で日本の外交力が保たれるんだ。何で尖閣の実効支配が保たれるんだ。私はそうは思わない。そのことについて、総理どうです。

前原国務大臣 これは、石破委員とは何度も議論いたしましたけれども、検察の判断というものについて、これは法を犯した者について検察が判断をしたということであります。しかし、それによって外交問題が生ずるというのは、古今東西ごまんとあるといって、ごまんもあるのかという話もありましたけれども、そういう司法判断によって問題が起きるということは多々ある。それについて政府が責任を負ってそれを処理するということは、私はあり得るというふうに思います。

 ビデオについては私の所管ではございませんけれども、いずれにしても、この司法判断、検察の判断において、そして二国間の関係や他の外交関係が起きたときには、外交問題として政府が責任を負うということは、繰り返し答弁しているとおりでございます。

石破委員 いまだに公開をされていない、そのことによってどんな国益が得られたのか。多くの国民は納得をしていない。国民がみずからのこととして考える、そういう外交であるならば、情報はきちんと公開をすべきであって、責任の所在は明確にすべきである。そのことがきちんと行われていない。だから、統治能力がないというふうに私は申し上げているのであります。

 統治能力がない、そのほかの例を挙げましょうか。

 TPP、これについて私、予算委員会で議論をした。六月に何を決めるんですか。六月に参加するかしないかを決断するというふうにおっしゃいましたね。きょうは二月の末日ですよ、二月の末日。では、何をお決めになるかお答えください、総理。二月の末日ですね。

 三月、四月、五月、その間に我が国に不利なルールが決まったら、それは一体どうするのだ。そして、今から、例えば米はセンシティブ品目として例外とする、あるいは医療については、これは皆保険に重大な影響を与えるものである、総理はよく御存じでしょう。そうであるからして、このことについては慎重に取り扱わねばならない。そういうようなことを明確にした上で、日本の出したいろいろな国益の判断がきちんと受け入れられないようであればTPPには参加しない、そういう判断があってしかるべきではないのですか。

 なぜ、今の時期は情報収集でございますということを言うのか。六月の時期に何が示されるか知りませんよ。主に農業のお話で、二十四分野全部について明らかになるかどうかは知りません。

 例えば農業について申し上げましょう。そこにおいて掲げられる基本方針というものにどれだけの予算が必要なのか、その財源はどれだけ必要なのか、そのことも示して六月に決定をする、そういうことでよろしいですか。十月にそういうことを決めたのではしようがない。六月にスローガンをずらずらと並べて、自給率は向上させるとか、所得は補償するとか、あるいは条件不利地域は守るとか、あるいは国際競争力をつけるとか、輸出を促進するとか、だれも反対しませんよ。そのために幾らの金が必要なんだ、その財源はどこから求めるのだ。

 戸別所得補償にしてもそうでしょうが。基盤整備予算をばさっと削って、農道はどうなる、ため池はどうなる、そういうものの予算をみんな毀損しておいて、所得補償に充てて、これですばらしいんだなんていう話にならなくて、政府の中からもこれはおかしいという話が出ているじゃないですか。

 六月の時点で、メリット、デメリットはかくのごとし、メリットばかりなんてあるはずがないんだから。デメリットはこのようなものだ、そのために対策はこのようにする、予算はこのようなものである、財源はこのようなものである、そうしないで、何で参加するしないの判断なんかができるんだ。そんなものは反対以外にないだろう。これが統治能力の欠如でなくて何だ。私はそう思いますが、いかがですか。

枝野国務大臣 石破先生らしくない先ほど来の御議論かなと思って伺っておりますが、まず一点、訂正をぜひいただきたい。

 先ほど厚生労働大臣がお答えになったのは、現在の通達によるやり方が違法ではないと法制局と合議をした上での質問主意書に対する答弁をしたということであって、今後この問題に対してどういう対応をするのかということについて、一切法改正は考えていないということは一切申し上げておりません。

 それから、先ほどの船の問題についてでございますが、委員も御承知のとおり、検察に対しては、内閣は、法務大臣の一般的または個別的指揮権以外、内閣が検察を指揮してはいけないという法律になっておりまして、前長官もその法律は当然遵守されたものと考えております。

 それから、TPPについては、六月に参加を決めるかどうかということは申し上げておりません。六月に申し上げているのは、参加するかどうかの協議に参加するかどうかということを決めるということを申し上げる。協議に参加するかどうかということは、実際にその協議に仮に参加したとしても、実際にそれに加わるかどうかというのはまさにそこから先の話でありまして、TPPに参加するかどうかという結論を六月に出すなどということは、一切この内閣は申し上げておりません。

石破委員 官房長官、そういうような御答弁が国民にどう映るかということをよくお考えになりながら御答弁ください。

 私たちは、協議に参加するかどうかというのを決めるということであれば、もっと先になるという話もあり得るということですね。十一月にAPECがあるわけですね。そうだとすると、本当にそれが強い農業をつくることになりますか。本当に、今の時点でそのように議論をおくらせるということが国益になりますか。

 そういうことについてきちんとした見解が示されないから、日本国じゅう、この間もあったでしょう、開国フォーラムというのが。御党の中で、前の農林水産大臣が反対集会ってやったじゃないですか。これは一体何ですか。玄葉大臣が主催をされてTPP開国フォーラムをおやりになった。一方では、前農林水産大臣がTPPを慎重に考えるというところで反対論が噴出している。これは何ですか。

 政府としてそうお決めになったとするならば、総理がおっしゃる開国、私は、今の日本が鎖国だと思っていませんよ。日本の関税率というのは、それは世界各国に比べて決して高くない。米とかコンニャク芋とか、そういうものが高いからそういうふうに見えるだけのことであって、相当開放されている。一体、与党内のグリップはどうなっているんだというお話ですよ。

 与党内も統治できない、政府の中も統治できない、そういうところが本当にこの国を統治する能力があるんですかというふうに私は申し上げているんです。

玄葉国務大臣 開国フォーラム、確かに行いました。一方で、山田前農林水産大臣が慎重に考えようという会を開催されておられました。これは、実際、自民党の中もさまざまな御議論があろうかと思います。私は、交渉参加を決めるまでは、やはりしっかりそういう議論を党内でも行っていくということが必要だと思います。

 それともう一つ、せっかくなので、これは石破政調会長のお話を聞いていると、やはり交渉参加を判断するというのはできるだけ早い方がいいんだ、こういう感覚でお聞きになっておられるのかなという感じもしますし、もしかしたら、農業のことを考えると逆なのかなと思ったり、正直、そこのスタンスがはっきりしないように私には思えます。

 私は、本当は、交渉に参加するかどうかというのは、その判断自体は早い方が本当はいいと思います。ただ、国民の皆様の理解の深まりの度合いとか、おっしゃったとおり、並行して農業対策を進めなきゃいけない、そういったことを考え合わせて、恐らく総理は、交渉参加の判断の時期をあのような設定をされたのではないかというふうに推測をしています。

石破委員 ぜひ総理にお答えをいただきたい。これは締めくくり総括なので、総理がどうお考えなのかということを国民は知りたい。玄葉さんの見識は承りました。枝野さんの見識も承りました。今、有権者が聞きたいのは、菅総理がどのようにお考えなのか。私、細かい数字なんか聞いてないですよ。細かい法律の解釈論も聞いてないですよ。総理としてどういう姿勢でお臨みになるんですかということを申し上げている。

 ついでにもう一つ言えば、これも私、まだ全く納得していませんよ。次官通達、防衛省の問題、これは、事前抑制に必ず触れるということを私は申し上げました。いかに言いわけをされようとも、それは主語が自衛官なんだからいいんだというふうにおっしゃろうとも、ある会合がある、式典がある、こういう人たちを呼ぶ。もしもし、あなた、今度何を言うんですかと。政府を批判したい、そう言ったらば、来なくてよろしいという話になる。それはそのとおりだ。しかし、主語は隊員なのであり、そういうような誤解を生じせしめないようにというふうにおっしゃった。

 これは、どんなに言いわけをされようと、事前抑制以外の何物でもない。もし批判をされたらば、それはなぜ批判をされたのかということを胸に手を当てて考えてみる、それが必要なことだと私は思っている。私たちが政権にあったときも、そういうような会合でいろいろな批判をされた。だけれども、事前抑制の法理に反するような、そのようなことはやらなかった。私は、謙虚さとか真摯さとか、そういうものをぜひお願いをしたいと思っている。

 総理、この間の党首討論で、丸のみできるような案をぜひ示せというふうにおっしゃいましたね。おっしゃいました。私たちは、唐突に、これから山本幸三議員が言うような案を出しているのではありません。私たちは、昨年の十二月十日、税制改正についての我が党の考え方ということはきちんと示し、内閣にも申し入れている。その後、十二月十七日、「来年度予算と税制に関するわが党の基本方針」。これも徹底した議論の上に、ただただ反対なんて野党じゃだめですからね。我が党であらばどのように考えるか、長い間予算編成をやり、いろいろな知恵も出し、経験もある、自民党は野党だから関係ないなんということは申しません。こうすべきではないかというペーパーもきちんと出して、内閣に申し入れている。しかるに、それは一顧だにされない。税制改正大綱あるいは予算案、そういうものが出てきた。それに対して、二十七日、何が問題点なのかということもお示しをして、内閣に申し入れている。総理、これは何回お読みになりましたか。

中井委員長 三つの御質問がありました。

菅内閣総理大臣 三つかどうか、私もすべてはあれですが、まずTPPに関してでありますが、昨年の十一月に、経済のいわゆる自由貿易の連携について閣議で決定をいたしました。その方針の中に、TPPについては、まずは情報を得るために関係国と協議をしよう、そして六月をめどに交渉に参加するかしないかを決定する、こういうことを一貫して申し上げているわけであります。

 その中で、あえて申し上げれば、私は、この十年ぐらい、韓国などの二国間のFTA、EPAが進展する中で、残念ながら日本は、EUとかアメリカとか多くの国とのそういう二国間あるいは多国間のそういったものが立ちおくれたと考えております。そういう中で、この間、必ずしもTPPに限らず、今オーストラリアとの交渉も精力的にやり、あるいはEUとの正式な交渉もぜひ始めたいと思っておりますが、そういう努力もこの十一月の内閣の方針に沿って精力的に進めている、そういう姿勢であることを改めて申し上げておきたいと思います。

 今、予算についての組み替えの動議をいただいております。私がせんだっての党首討論で申し上げたのは、一つは、丸のみという言葉が、かつての金融国会のときに、御党が我が党の、当時小渕内閣が我が党の、予算ではありません、法案でしたけれども、そのまま賛成をしていただいて成立をしたということがありましたので、丸のみという言葉を使わせていただきました。

 予算の場合は必ずしも細かい数字がすべて合わさったものには、性格上、動議でありますからなっておりませんが、私なりにこれについては、直接目を通すと同時に、政調などの検討の内容も含めて、内部の議論を私も聞かせていただきました。

 確かにいろいろな御指摘をいただいておりますけれども、一つは、私たちにとって大変重要だと考えているマニフェストの実行について、すべてそれは必要がないという、この立場はなかなか受け入れがたいというのが一点であります。

 またもう一つは、幾つかの点で疑問点も率直なところあります。例えば鉄道支援機構の一兆の剰余金を今回の予算案では、いわゆる年金の三分の一を二分の一にしたものを維持するためにそれを流用するといいましょうか、それを使う形に組み立てておりますけれども、そういう使い方はしないと書かれていると、その部分についてはどうされるのかなと、三分の一に戻されるとも書いていないものですから。そういうこともありまして、大きなところで、なかなかこのまま私たちが合意できる中身にはなっていないというのが私の率直な感想であります。

石破委員 総理、恒久政策には恒久財源をということを私たちは申し上げているのですよ。

 鉄道建設支援機構、そのお金というのは、それは恒久財源ですか。たまたまあったお金でしょう。それは、鉄道の建設あるいは三島会社の支援、貨物の支援、本来の目的に沿って使うのが筋でしょう。そして、一部は国債の返済に充てるのが筋でしょう。そういうものではありませんか。

 今回、四十四兆円と言っていますけれども、百年に一度と言われた、そのときの対応をする、そのときの国債発行額がちょっと減った、そんなことは威張ることでも何でもないですよ。そのほかに、埋蔵金と称して、外為特会、財投特会、今回の剰余金、そういうものを全部かき集めて、これというのは赤字国債と本質的には一緒でしょう、次の時代の人たちが使うべき金を全部集めて。

 だとすれば、今度の公債発行額というのは五十兆円になるんですよ。それは、財政危機をさらに進める、それ以外の何物でもない。税制の改革というのができないとするならば、まだできないですからね。だとするならば、それは予算の規模を抑える、公債の発行金額を抑える。

 そして、私は思うんだけれども、さっき、子ども手当について理念が違うようなことをおっしゃった。ですけれども、みんなに同じようにお金を払う、所得制限を設けずに払うということは、困ってない人にもお金を払うということなのですよ。本当に困っている人に手当が行き届かないということなんですよ。

 高速道路の無料化の社会実験、これは意味がほとんどないということが明らかである。JRも打撃を受ける、トラック運送も打撃を受ける、込む場所が続出する。これはほとんど意味がないということが明らかになっているにもかかわらず、なお続ける。高校の無償化だってそうでしょう、何で裕福な家庭にまでそれをやるのか。

 私は、そういうものを切っていって、それこそ無駄の削減というものでしょう。予算の規模を縮小する、そして公債の発行金額を抑える、そして本当に重点的なところに投資をする。法人減税だって、私は、そういうような恒久財源が充てられたというふうには全く思っていませんよ。

 この後説明しますが、私どもの新しい予算の考え方、それは今申し上げたこと、そういうことに資するものだと思っています。いいですか。どうやって金額を減らすか、公債を減らすか、無駄遣いを抑えるか。税制の抜本改革というのは急ぐはずですよ。

 総理は、本当はマニフェストは見直すべきだと思っておられるのではないですか。なぜ九月ですか。衆議院任期の折り返し点だからですか。そんなことは国会の都合でしょう。国民生活にとって、もっと予算を改めるべきだ、野党の主張も聞くべきだ、そうおっしゃるのであれば、それこそ一緒に協議をすべきじゃないですか。だとすれば、予算案も成立するでしょう。

 ましてや、関連法案をばらばらに採決するというのは一体何ですか、これは。どういうような歳入があるかもわからず、予算案だけ通して参議院に審議をしろと。これは、一体どういうことなんですか。今までそんなことはありません。だとするならば……(発言する者あり)過去一回あったからいいというような話にはならぬですよ。本来あるべきではないということを申し上げている。

 私たちは、本当に予算を通さなければならない、財政の破綻は避けなければならない、本当に重点的な、成長を促すような、そういうところに予算を回していくということが必要です。今、わからないでやじっている人がいっぱいいるけれども、総理はわかっておられるはずだ。本当はわかっておられるはず。

 私は、予算委員会で昨年申し上げましたね、総理、恐れないでくださいと。本当に必要だと思うものであれば、党内に反対があってもきちんと提示をしてください。党内に反対勢力がある、マニフェストを守るべきだ、消費税を上げることは絶対に許さない、無駄を省けば金は幾らでも出てくる、そういう人たちは御党に間違いなくいますね。沖縄だってそうじゃないですか。今でも、グアムだ、テニアンだ、沖縄では知事選挙の候補者も出さなかった。公然と、グアムだのテニアンだの、そういうのを応援する方々もおられた。

 総理、本来あるべき姿はこれだということを示してください。そして、国民にそれを訴えてください。我々は野党であっても、本当にそれが正しいものであればそれは応援はしますよ。

 何を恐れるのか。国家のために何をするべきかという、本当に菅さんの……(発言する者あり)国対がどうのこうのじゃありません。

 総理のお声を聞きたい。私は、その総理のお答えをぜひお伺いしたい。

中井委員長 菅直人内閣総理大臣。質問時間が来ていますので、簡潔にお願いします。

菅内閣総理大臣 大変、石破さんの方から、ある意味深いお話をいただいたと思っております。私もこの間の議論の中で、私なりにいろいろな課題について、短期だけではなく中長期のことも考えながら物事を進め、あるいは発言をしてきたつもりであります。

 特に、社会保障と税の一体改革を、四月には社会保障の姿を、そして六月には税との一体改革の中身を提案したい、それについては御党を含めて野党の皆さんともぜひ一緒に協議をしたいということを申し上げているのも、もちろん石破さんはその意味するところはよくよくおわかりだと思いますけれども、社会保障の問題、あるいは成長の問題、あるいは財政の問題、そういったことにすべてかかわるわけでありまして、そういった形でこの予算をまず成立させていただいた中で、そうした中長期の本格的な課題についてもぜひ真摯に話し合っていきたいと私も思っているところであります。

石破委員 終わりますが、一刻の猶予もならない、その切迫感は総理が一番よく御存じのはずだ。財務大臣をお務めであり厚生大臣をお務めであった総理、一番御存じのはずでしょう。

 何が大事なのか。民主党内のまとまりではない。本当にあるべき姿を提示して、そして野党に呼びかけ協議をする、そして、それができないのであれば、冒頭に世論調査の数字を申し上げました、国民が最後は判断します。主権者というのはそういうものです。主権者に対する恐れを私たちも持たねばならない。ぜひ総理にも持っていただきたい、そのことを申し上げて、質問を終わります。

中井委員長 これにて石破君の質疑は終了しました。

 次に、富田茂之君。

富田委員 公明党の富田茂之でございます。

 基本的質疑、一般的質疑、集中審議と、いろいろな質問をさせていただきました。委員長にはいろいろお取り計らいいただいて熟議の国会になりつつあったと思ったんですが、先週の金曜日以来の委員長の対応は、私はよくなかったんじゃないかなと。

 そちらに菅総理、枝野官房長官いらっしゃいますが、お二人が予算委員会の野党の理事をされていたとき、私は与党理事で、枝野さんの言い分をほとんど丸のみしていました。前原外務大臣と岡田幹事長が理事のときも、我々与党は野党の言い分をしっかり聞いて、できる限りの審議をしてきたことをよく覚えています。せっかく熟議の国会、そしてねじれている中での予算委員会ですから、私は、もう少し野党に配慮してこの締めくくり総括の設定等をやっていただきたかったなということを一言申し上げて、質問に入らせていただきます。

 第三号被保険者の記録不整合問題がずっと問題になっておりますが、けさからの議論を聞いておりましても、何かちょっとおかしいなと。細川大臣は一生懸命これから努力していくというふうに言われているんですが、昨年の三月二十九日の年金記録回復委員会では、おおむね委員の皆さんが同意してくれて、こういうふうな運用三号の手段をとっていくんだということは総意として決まったんだというふうにずっと説明を受けているんですが、理事会でもそういう説明をいただきました。

 急いで議事要旨をちょっとインターネットで調べてみたんですが、三月二十九日の議事のところに「委員から以下の発言があった。」といって、「三号被保険者関連」で八個か九個の意見が概要だけ出ているんですけれども、こんな意見ばかりですよ。「行政の不作為があると感じる。」「理解はできたが、納得はできない。不公平感がある。」「現時点では妥協の産物と言わざるを得ず、すべてが納得される話ではないという前提になっている。」「夫が健保のサラリーマンでなくなると、三号であった妻は一号になるための届出が必要なことを誰も教えてくれないといった不備が一部残っている。そこで実務家の段階では、行政の不備が重なったことによる問題への対応としては、混乱を避けることしかないかなと不承不承提案したもの。」まあ、了承したものを提案というのは間違っているんじゃないかと思うんですが。「働く女性としては働かない人が受給することに不公平感があり納得はしていない」「マスコミの報道の仕方次第では百三万円の扶養範囲の問題を助長させることになるのではないか。」何かこれを見ている限り、だれが賛成したんだというふうに思えるような議事要旨ですよ。委員会の方がまとめたんでしょうから、これをまず指摘しておきたいと思います。

 十二月十四日、課長通知を出す前にも、委員の方からこんな意見が出ていました、議事録で。「他の記録問題と違って制度そのものの問題であり質的に違う。これまで深刻に考えていなかった経緯があるのではないか。これは真面目に払っている人に対する背信行為と認識している。」と明確に委員が指摘しているんですね。

 それに対して、委員長がどういうふうなまとめ方をしたか。「いろいろご意見はあると思うが、現時点で三号について不合理と言ってしまうと収拾がつかなくなる可能性がある。今後、実務面からの提案の機会もあるので、その際にということでお願いしたい。」何か無理やり決めたんじゃないですか、この運用三号というのは。大臣、実際はそうだったんじゃないですか。簡潔に。

細川国務大臣 三月の二十九日の年金回復委員会、その委員会に当時の大臣が、運用三号でこういうことでやりたい、こういう提案をさせていただいていろいろと意見を聞いたわけでございます。そのときには、いろいろと御意見が出ましたけれども、しかし、その大臣の提案についてはそれで異議がない、こういうことで回復委員会の方は決まった。こういうことで、それから準備を進めていったところでございます。

 その回復委員会の中には日本年金機構の理事長などもおられて、そこで次は、それに向けて、ではどういうふうに進めていくか、実行していくかということで、年金局とそれから年金機構の方で準備を徐々に進めていきまして、そして、十二月の二十四日の回復委員会に対して、大体準備もできた、それで、最終的に一月の一日から実行に移したい、こういうことを回復委員会の方に提案をいたしまして、そこでいろいろと意見を聞いたわけでございます。そのときにも回復委員会の方では、それに対して委員会としての異議ということにはならずに了解をされた。こういうようなことで進めた。そういうことを進めていったところでございます。

富田委員 全然答弁になっていないんですけれども、こんなことを何度もやっていてもしようがないので。

 おおむね理解されたと言っていますけれども、委員会に提出された「「運用三号」に関する経緯等について」という文書が、これもインターネットで見られました。その中に、「今後の取組によって生じる影響」ということで、従来どおりの対応方針のもとで取り組みを進めた場合、次のような事態が想定されると、いっぱい、大変なことになるとわあっと書いてあって、ゴシックのすごい大きな黒字で「年金事務所等に苦情等が一気に寄せられ、大量のトラブルの発生による混乱は不可避。」と、わざわざでかでかと書いてあるんです。こんなのを見せられたら、委員はそれは大変だなと思うんじゃないですか。「この仕組みについてのとらえ方」という項には、「法令の規定通りの届出をした人からみると、公平性の面でのご批判がある。」とわざわざ言っていながら、「「運用三号」が最も現実的な対応策」と、ここもまた黒い大きな文字でわざわざ書いてあるんです。

 だから、厚生労働省としては、この運用三号での取り扱いしか今後やらないということじゃないんですか。大臣どうですか、それだけ答えてください。

細川国務大臣 この運用三号につきましては、その後、総務省の方の年金業務監視委員会の方でもいろいろな御意見も出、そして、この予算委員会の中でも、質疑の中でいろいろな問題点なども出てまいりましたので、したがって、この扱いについては、今留保いたしております。

 そこで、私どもとしては、総務省の年金業務監視委員会での御議論、そして、総務大臣と私の方でも協議をいたしまして、これからの運用三号についてどうしていくかということを決めていきたい、こういうことを申し上げているところでございます。

 この点は大変難しくて、それはもう委員も御承知のように、いわば善意の三号被保険者、この人たちを、本当は一号被保険者であるけれども、行政の方が三号被保険者として取り扱ってきたというところもあるわけなんです。そういう人に対して後から、いや、あなたは一号被保険者であったからこれまでの年金を返してくれというようなことはなかなか言えないのではないか、そういう議論もあった。

 しかし、この委員会の中で、それは不公平じゃないか、まじめに一号として登録した人たちに対してはそれは不公平ではないかという御議論も出たわけでありますから、そこで今、先ほど申し上げたような結論にしているわけでございます。

富田委員 全然答弁になっていないんですけれども、細川大臣の人柄を信用して、年金業務監視委員会の見解をしっかり求めた上で総務大臣と協議して決定していただきたいと思います。

 実は、この運用三号の職員向けQアンドA集というのが、厚生労働省年金局事業管理課、日本年金機構国民年金部から出ているんですね。このQアンドAを見ると、笑っちゃいますよ、はっきり言って。今のような大臣の考え方で、ちゃんと意見を聞いた上でとはなりませんよ。

 法改正をしてからやるべきじゃないかというところの意見までは、ちょっと時間がないので、「このような措置は、モラルハザードを招くのではないか。」という更問いがある。そこに、

  第三号被保険者としての生活実態がないにもかかわらず保険料を納付しなかった期間について年金給付を認めるのは、モラルハザードを招く、とのご懸念は理解できます。

と、まともなことを書いた後、

 届出制度を熟知していながら確信犯的にそれを怠って保険料の納付を免れた者に対して年金給付を行うようなことは、モラルハザードを招き、適当でないものと考えます。

  しかし、救済すべきでない「不心得者」であるほど「自分は何も知らなかった」と言い張るのが一般的であるため、確信犯かどうかを確認することは事実上困難です。逆に、聞きかじった程度の知識があるばかりにそれを口にした「正直者」が「運用三号」の対象から除外されるというのは酷ではないかと考えます。

これは違うでしょう。まじめに年金保険料を払った人が正直者でしょう。職員にこういうふうに答えろなんて言っていて、これから業務監視委員会の意見を聞いて大臣が本当に決められるのかなという懸念だけお伝えしておきたいと思います。

 次の質問に行きます。

 江田法務大臣に、基本的質疑のときに通告していながら質問できなかった点、取り調べの可視化について、残りの時間でちょっと御質問したいと思うんです。

 先日、検察の在り方検討会議の方で、特捜部におけるその指針が出てきました。あれを見ていて、今ごろ何を考えているんだというような感じを素直に受けたんですが、村木元厚生労働省の局長が、検察の在り方検討会議、一月の二十七日の検討会議に出て意見を幾つか言われましたよね。その全部はちょっとわからないんですが、報道によると、こんなことが書いてありました。

 取り調べについて、セコンドもレフェリーもなしにリングに上げられるようなもの、せめてセコンドぐらいはつけてほしいとし、弁護士立ち会いの実現を訴えるとともに、取り調べの可視化を求めた。さらに、検察は軌道修正ができない組織と実感したと強調。事件に勝つという使命だけではなく、真実を追求するという使命感を持ってほしいというふうに求めたというふうな報道がありました。

 本当に鋭い指摘だし、ずっと勾留されていた経験を踏まえた大事な指摘だと思うんですね。

 大臣は法曹の御出身ですし、こういったことももう本当に詳しいと思うんですが、可視化のあり方について、今、法務大臣としてどんなふうに具体的に考えているのか、手短にちょっと教えてもらいたいと思います。

江田国務大臣 お答えいたします。

 ちょっとだけ訂正させてください。

 特捜の可視化のあり方について、検察の在り方検討会議が指針を出したのではありません。これは、最高検が報告書を出し、そして、それに基づいて今試案を出して、三月の半ば過ぎから試行をしようとしているところでございますし、お話しのとおり、検察の在り方検討会議においてもいろいろ鋭意検討が行われており、村木さんのお話も伺ったところでございます。

 また、省内に可視化についての勉強会をつくって、これが昨年六月に中間取りまとめを出し、さらに勉強会をずっと進めておる、ワーキングチームでも進めておるということです。

 私としては、これまでのいろいろな間違った刑事事件の推移を考えますと、やはり可視化というのは何らかの形で実現をしていきたい、それも、なるべく、ひとつ抜本的な可視化をやっていきたいと思っておりますが、さはさりながら、捜査というものの密行性というのもあって、何でも全部みんなにオープンにして、さあ捜査だといっても、これは進まないということがありますので、その辺の調整に今意を用いながら検討を続けているところでございます。

 なるべく早い時期、早い時期といっても、きょうにあすにというわけにはいきませんが、六月まで勉強会を続けて、その後なるべく早い時期に具体的な結論を出していきたい。さらに、国家公安委員会の方とも相談をしていきたいと思っております。

富田委員 江田大臣、大臣の記者会見の議事録を読みましたら、今海外の調査をしているから、六月までにその情報を集めてきて、今の大臣のようなお考えでやられるんだと思うんですが、私、これは、大臣が法務・検察にだまされていると思う。

 資料を一、二ということで議場配付させていただきましたが、カラーじゃなくて、見づらくて申しわけないんですが、私は、二〇〇六年に韓国・ソウル南部地検の可視化の状況を視察しました。二〇〇八年には台湾の法務部調査局の可視化の状況を視察しました。詳しいことは書いてありますのでぜひごらんになっていただきたいんですが、二〇〇六年に韓国・ソウル南部地検に行ったときに、私が行った段階で、法務省から実は六カ月ももう研修に来ていた検事がいるんですよ。五年前ですよ。私もかなり詳しくここに書いておきましたけれども、本当に可視化にしてよかったと、取り調べを担当している検事が言っているんです。

 法制度の違いはありますよ、いろいろ捜査手法が違う。捜査の密行性というのも大臣言われたけれども。でも、韓国は、刑事訴訟法は日本の刑事訴訟法に見習ってつくられているんですよね、かなり似ている。そういった中で、韓国の方がもうずっと早く全面可視化をしている。

 これは、法務大臣が、何年もやるわけじゃないから、新しくなると、今可視化をこうやって調べていますと言われて。だから、法務・検察の言うことなんか聞かないでください。だますんだから。ぜひ大臣にはその点、もうこんな前から法務省はちゃんと調べていたんだということを理解してもらいたくて。

 きょうは、実は、知的障害を持たれている方の捜査の中での可視化のあり方というものについて、大臣にぜひ考えていただきたいと思うんです。

 去年の十一月に、大阪地検の堺支部が知的障害を持つ方をずっと、一月に逮捕して、起訴して、公判前整理をやっていたのに、結局、誘導された調書だったということで公訴取り消しを申し立てて、大阪地裁堺支部が公訴棄却決定しているんですね。

 この障害を持たれていた方は、十カ月半勾留されていた。何にもやっていないのにですよ。担当した弁護士さん、弁護人が障害があるからということを起訴前からちゃんと捜査当局に伝えていたのに、全然聞かなかった。たまたま最後の調書をとったときに録音、録画していた。その録音、録画の状況が余りにも迎合的だし、言っていることがくるくる変わっている。それを見て、検察の方もこのままでは公判は維持できないということでみずから取り消したわけですよ。

 今刑務所に収容されている収容者の方で、知的障害を持たれている方の割合はかなり多くなっています。そういった方たちの取り調べが適正に行われたのか全部調べることはできませんから、ぜひ、知的障害を持っている方がもし容疑者になった場合には、弁護人を立ち会えと言わせてもなかなか捜査当局は無理でしょうから、とりあえず、その方の性格とかきちんとわかって、迎合的な取り調べに応じないように、どういう障害があるのか、そういうことをきちんと捜査当局に伝えられる人を立ち会わせる。これが一つ。

 捜査関係者に、今発達障害の方も多くなっています、その方たちがどんな対応をするかというのは今捜査にいる側の人はなかなか勉強する機会がありません、そういった方たちに、まず法務・検察、できれば国家公安委員長もいらっしゃるので警察の中で、きちんとそういう教育を受ける場をつくってもらいたい。

 この二点は大臣と国家公安委員長がやると決めればできると思うんですけれども、どうでしょうか。

中井委員長 江田法務大臣。簡潔に。

江田国務大臣 法務省、検察庁にだまされてという御指摘ですが、だまされないように精いっぱい頑張りますけれども、もしそういう心配があれば、どうぞいろいろおっしゃっていただければと思います。

 大阪の事件については……

中井委員長 時間が来ていますから短くと言っております。

江田国務大臣 はい、わかりました。

 今、検察の中でいろいろ研修を進めておりまして、これはぜひ研修などで検察官のレベルアップも図りたいし、また、こうした知的障害のことについても、おっしゃることは十分念頭に置いていきたいと思っております。

中野国務大臣 お答えいたします。

 昭和三十二年に、国家公安委員会の規則、これは犯罪捜査規範というのがあるんですが、百六十八条の二に「精神又は身体に障害のある者の取調べを行うに当たつては、その者の特性を十分に理解し、取調べを行う時間や場所等について配慮するとともに、供述の任意性に疑念が生じることのないように、その障害の程度等を踏まえ、適切な方法を用いなければならない。」と既に規定されております。このことを厳守できるようにまずしっかり徹底をさせていきたいと思います。

 なお、可視化等についての御提言を踏まえて、今研究をいたしているところであります。

富田委員 時間が来ましたから終わりますが、実は、今お二人の大臣はああいうふうに言われましたけれども、二〇〇四年の八月に宇都宮事件というのが起きました。枝野大臣の地元なので覚えていらっしゃると思うんですが、同じように知的障害の方が、これも全く冤罪です、真犯人が見つかって無実がわかった。そのときにも同じような提言が日弁連を中心に出ているんですね。でも、法務・検察はちゃんとした対応をしていなかったんじゃないか。毎回毎回、氷山の一角があらわれたときにこういう問題になるけれども、民主党はもともと取り調べの可視化を法案提出している政党ですから、ぜひ民主党政権としてこれに強力に取り組んでいただきたいことをお願いしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

中井委員長 これにて富田君の質疑は終了いたしました。

 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 端的に伺います。在日米軍駐留にかかわる経費のうち、日本側が負担している経費は、いわゆる思いやり経費、特別協定に基づく経費、さらに基地交付金などがございます。そこで、まず前原外務大臣に確認いたします。

 これら在日米軍駐留関連経費の総額なんですけれども、いわゆる思いやり予算の始まった一九七八年、日米地位協定と別枠の特別協定が始まった一九八七年、そして二〇一〇年と、それぞれ総額幾らになっていますか。

前原国務大臣 今お尋ねのものにつきましては、一九七八年は、これは民公有地賃借料、基地交付金、そして……(笠井委員「総額で結構です」と呼ぶ)それを足したものですね。(笠井委員「足したもので結構です」と呼ぶ)千七百三十五億円。それから、一九八七年につきましては三千四百一億円。それから、二〇一〇年ですか、二〇一〇年はまだ算出できておりません。

笠井委員 ありませんか、数、二〇一〇年。

前原国務大臣 失礼しました。

 二〇一〇年につきましては……(発言する者あり)いやいや、それはSACOと米軍再編を入れていますので、それは別ですので。済みません、暗算がなかなか大変で。済みません、すぐ計算します。五千六百九億円でございます。

笠井委員 私、これは通告して、ちゃんと言っているんですから、数字ぐらい、ぱっと言ってくださいよ、時間がないんだから。

 では、その在日米軍駐留関連経費の日米の負担割合についてでありますが、一九七八年、一九八七年、そして直近の日本側の負担割合というのはそれぞれどうなっていますか、パーセントの数字で端的に答えてください。

前原国務大臣 日本側の負担は、一九七八年が三五%、一九八七年が三六%、二〇〇九年はちょっと、またすぐ計算いたします。

笠井委員 五四%ですね、そこでちょっと確認してください、間違いないか。(前原国務大臣「それはだからSACOと」と呼ぶ)いや、そんなことはないですよ、外務省の資料にちゃんと書いてありますから。私、もらっていますよ。

 委員長、十五分しかないのに、通告もしているんですよ。今の、ちょっとカウントはしないでくださいね。

 資料の二枚目をごらんください。

 二〇一〇年には一九八七年の二・一倍、一九七八年比では実に四・一倍です。これはSACOと米軍再編を加えていますが。いわゆる思いやり予算が始まった一九七八年以来、来年度予算分も含めて、三十四年間の日本側の米軍にかかわる負担というのは、総額、実に十七兆三千億になっているわけであります。一九七八年以来の三十数年間で見ますと、その上に、結局、負担の割合も三割台から五割以上にふえている。しかも、米側負担の中には米軍人給与も含むものが入っていますので、その経費総額の負担割合になっているので、それを除くと日本側の負担というのはもっと高くなります。

 外務省から提出された資料によりますと、二〇〇九年分の日米の負担額というのは、日本が五十五億ドル、アメリカが四十七億ドルとなっております。外務省に追加調査を求めましたところ、米側の負担分四十七億ドルのうち、米軍人給与というのは二十八億ドルです。ですから、その米軍人の給与を除きますと、実に七四・三%が日本側の負担になっているわけです。

 そこで、前原大臣、合衆国軍隊を維持することに伴うすべての経費というのは合衆国が負担するというのが、日米地位協定の第二十四条に定める原則であります。しかし、これまで歴代政府が、地位協定を拡大解釈して、さらに特別協定を結んで、そして日米合意を根拠にして日本側負担を次々に拡大してきたという中で、総額がふえるだけじゃなくて負担割合もふえ続けて、米軍人の給与を除けば四分の三を日本側が負担しているわけですが、前原大臣、これでいいと思いますか。

前原国務大臣 この中身につきましては、例えば、訓練移転であるとか、あるいは周辺対策であるとか、あるいは提供施設の移転であるとか、日本側が求めて行っている費用も含まれているわけでございまして、そういう費用もカウントすれば、この数字というものは私は妥当だというふうに思っております。

笠井委員 この負担割合の比率がおかしいと思わないかと言ったら妥当だと言うわけです。ちょっと驚きました。

 大臣、あなたは、一九九五年の特別協定審議のときに、日米安保を双務的なものにするためには日本もある程度の経費負担は必要としながらも、日本の負担割合は全体の約七割を占める、そして、思いやり予算、あなた自身が野党当時は思いやり予算と言っていたわけですけれども、それを開始した当初と比べて十倍近くになっていると指摘して、一九九七年には、在日米軍駐留経費というものも聖域にせずに手をつけていくべきだと言われました。そして、法的な裏づけのないところまで出し続けてバランスが失われている、どこかで歯どめをかけて、節度ある日本の負担を決めるのは必要だということを問題提起したのは前原さんだったですよね。

 今度は、政権交代したんだから、その問題提起を実行できる立場になったわけでありますけれども、それとも、大臣は、前は、野党のときには七割というのはちょっと多過ぎてバランスが必要だと思ったけれども、政権についたら、日本側で七割も負担していることが途端に節度ある負担と見えてくるわけですか。

前原国務大臣 十年以上たっておりまして、日本を取り巻く戦略環境というのは私は大きく変わっていると思いますし、それと同時に、今回のホスト・ネーション・サポートについては、使い道について大きく変える。つまりは、娯楽施設の人件費については減らす、そして光熱水料費については減らすというようなことで中身の入れかえも行っておりますので、そういう意味では改善を加えているということでございます。

笠井委員 負担割合についておかしくないかと言ったのに対して、あれこれ言いましたけれども、ちゃんと反論になっていないですよ。思いやり予算を導入して、さらに、暫定的、特例的、限定的といいながら特別協定を二十年以上も続けてきたからこんなことになるわけで、その大もとにメスを入れるべきなんですよ。

 ところが、政府はそこに手をつけずに、昨年十二月の十四日に、「在日米軍駐留経費負担の包括的な見直しの結果について」というのを発表しました。新たな特別協定の期間は五年間、金額は平成二十二年度の水準、千八百八十一億円を維持するということにしたわけですが、そこで伺いたいと思います。

 この特別協定の期間については、従来は五年間だったものを、過去の二回の締結、具体的には、二〇〇六年には二年間、さらに二〇〇八年のときには三年間に短縮をいたしました。当時、自公政権はその理由をこう言いました。高村外務大臣。米軍再編のロードマップにある個別の再編計画の詳細が日米間で協議中であり、現時点でもなお在日米軍再編の最終的な経費の全体像が見えない、だから五年間を短縮して三年間にしたんだと説明しました。

 今回は、再び五年間に戻したわけであります。ということは、ロードマップにある個別の再編計画の詳細の日米間の協議が終わり、米軍再編の最終的な経費の全体像が見えてきたということなのか。三兆円と言われ続けていながら旧政権が総額を示してこなかった米軍再編の総額がはっきりしたんですか。そこはいかがでしょうか。

前原国務大臣 米軍再編の今後のあり方については、普天間の移転先も含め、あるいは、グアムへの八千人、そして軍人のみならず軍属、家族九千人、計一万七千人、そういったものの移転も含めて今後進めていくということでございまして、ロードマップは進めていくということでございます。

笠井委員 それは、三年間を五年間にした、そういう答えになっていないですよ。ちゃんと答えてください。

前原国務大臣 全体像を示したかというふうに言われたので、ロードマップについてはそれで進めていくということをお答えしたわけであります。

笠井委員 では、ロードマップを進めていくということで、前はそこが明らかになっていないから三年間にしますよと言ったのを五年間にしたんですから、前に理由となっていたような全体像、総額についても見えてきたという状況だから五年間にしたということじゃないんですか。

前原国務大臣 このホスト・ネーション・サポートにつきましては、先ほど申し上げたように、人件費とか、あるいは光熱水料費とか、あるいは施設費とか、そういった今米軍に対して我々が提供しているものについて払うというのが基本的なものでございます。そして、それにプラスをしてSACOの経費、そしてまた米軍再編の経費というものがあるわけでございまして、米軍再編については今後そのロードマップを進めていくということであって、そして、先ほど申し上げたようなホスト・ネーション・サポート、そしてまた特別協定に基づくものについては、五年間でそれをしっかりと戦略環境に合わせて、そして、先ほど申し上げたとおり中身の使い方も変えますから、それで我々としては戦略的な判断でこれを五年間にしたということであります。

笠井委員 説明になっていませんね。

 総理、二〇〇八年の特別協定に民主党は反対いたしました。だが、政権についた途端に態度を翻して、米軍再編の中心課題とされてきた普天間問題も決着がついていないし、全体像が見えていないのに、今後五年間も現行水準で出し続けることだけは合意したわけであります。これはおかしいんじゃないですか。

 総理に聞いています、総理。締め総ですから。

菅内閣総理大臣 今、前原外務大臣の方からも説明がありましたけれども、この十年あるいは最近の五年をとっても、日本を取り巻く安全保障の状況というのは、私は、従来以上に厳しさを増している、このように思っております。

 そういう中で、在日米軍駐留経費の負担の総額について、この地域の平和や安定という重要な役割を果たしている、そういう認識のもとで現行水準を維持する、そういう考え方に立ったものであります。

笠井委員 では、前回は反対したけれども今度は賛成したという、その理由を説明してください。

前原国務大臣 先ほどお答えをいたしましたように、我々が反対をした理由については、ホスト・ネーション・サポートそのものに反対をしたわけではありません。中身の使い道については改善の余地があるということで、先ほど申し上げたように、娯楽性のある人件費について多額に払うのはいかがなものか、あるいは、光熱水料費というものについてはもっともっと節約できるのではないか、そういうものについて、我々は今回組み替えを行ったということでありまして、中身の改善を加えたということであります。

笠井委員 あれこれ言いながら、莫大な負担が全部国民にかかってくるわけであります。

 アメリカの同盟国の中で、米軍駐留経費負担では日本が一番気前のいい国と言われております。総理自身、野党時代にはそれをさんざん問題にされてこられました。情勢とかなんとかという問題じゃなくて、問題にしてきたのはあなたなんですね。

 例えば、衆議院の安全保障委員会、日本のホスト・ネーション・サポートによって総体的に非常に経済的にアメリカにとって助かっている、そのことが特に沖縄における基地のより強い固定化につながっている、その主要部隊の海兵隊は沖縄に要らない、そういう形で、このホスト・ネーション・サポート、思いやり予算について追及してきたのは総理ですよ。

 ところが、政権交代後も、在日米軍駐留関連経費の総額はふえ続ける、日本側の負担割合の高さにもメスが入らない。野党のときにおかしいと言っていた外務大臣も、与党になったら、これはいいんですと言われる。こんなことでは全然国民は納得しませんよ。総理、おかしいと思いませんか。こういう事態をきちっと正すべきじゃありませんか。

菅内閣総理大臣 先ほど申し上げましたけれども、日本を取り巻く安全保障の環境というのは大変厳しいものがあります。今回、防衛大綱の見直しも行いましたが、同時に日米安保五十周年を迎えましたけれども、日米同盟が我が国及びアジア太平洋地域にある種の平和と安定をもたらしている、そういうふうに認識をし、またその効果は、我が国ばかりではなく、この地域の多くの国々にとっての公共財的な意味をも持っている。そういうことを考えた中で、こうした形のホスト・ネーション・サポートについての対応をしているところです。

笠井委員 当時、野党時代に総理が追及したときにも、安全保障環境がいろいろあるということはわかっている、しかし、このあり方は問題だと言ってきたんですよ。アメリカが言うとおり、あるいは負担だけの思いやり予算をカバーするということじゃなくて、私たち自身が一つの絵を持ってすり合わせることが問われているというふうに厳しく追及したのは、当時、総理、野党時代やってきた。

 この際、アメリカにはっきり物を言って、来年度予算についても、思いやり予算を初めとして米軍支援費は全額削除する。そして、暮らしが大変なんですから、中小企業は大変なんですから、緊急保証も復活するということも含めて、延長するということも含めて、きちっと組み替えすべきだということを強く求めて、質問を終わります。

中井委員長 これにて笠井君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党の阿部知子です。

 私に与えていただいた時間は十分でございますので、御答弁は端的にお願いいたします。

 私は、この政権の役割というのは、国民が具体的に本当にほっとできることを一つでも着実にやっていくことだと思います。その意味で、きょう論議になっております運用三号年金問題は、それと全く逆さだと思います。

 冒頭、一問お願いいたします。

 お手元に、年金記録に関する政府の統一見解のプロセス、これは私が勝手につくったのですが、ここにおいて、菅総理にお願いいたします、まだ統一見解は出ておりませんよねというのが一問です。それから、これでいいでしょうか、統一見解のプロセス、こういうふうなことと考えてよろしゅうございますか。総理、どうでしょう。

 では、枝野さん。

枝野国務大臣 先ほどの審議のときにも厚生労働大臣からお答えいたしましたとおり、現時点での統一的な見解をお示しさせていただいています。そして、この後、年金業務監視委員会等の意見も踏まえた上でどういった対応をしていくのかということについては、現時点の統一見解は出ておりますが、さらに検討を進めていく、こういうことでございます。

阿部委員 現時点の統一見解というのは、厚生労働大臣が適切な結論を出すということだけで、それを厚生労働大臣と総務大臣のお名前で出しただけなんですね。こんなの統一見解でも何でもないんです。総務大臣と厚生労働大臣、おのおのその下に年金記録回復委員会と年金業務監視委員会があって、そこから具申とか意見が上がって、総務大臣から勧告されて、そこから厚生労働大臣がお決めになって政府に上げるというのが統一見解のプロセスじゃないですか。

 私はきょう時間がないので、委員長は、統一見解が出たら鴨下さんの質疑をやると言ったんですよ。でも、統一見解は出ていないですよ。今は、両大臣が相談しましょうと。こんなの統一見解でも何でもないですよ。当たり前というんです、こういうのは。

 その上でお伺いいたしますが、今度は細川大臣、お願いいたします。

 細川大臣は、私の質問主意書に関しても、運用三号は法改正の必要もないし、認識しなかったし、この間、法制局に聞いてもないというふうなことを、簡略に言うとおっしゃいました。きょうも年金業務監視委員会の論議があったことは御存じでしょうが、この中では、やはり法改正が必要だという声が強うございます。これは、もっとさきに行われたものでもそうですよ。

 そうすると、この右側では法改正が必要だという意見が出て、厚生労働大臣は今もって、法改正は必要ない、お手盛り裁定で、運用で、濫用でよろしいと言っているわけですね。こんなもの統一できませんよ。大臣、どうですか。

細川国務大臣 従来から申し上げておりますように、運用三号については、これは法律的には違法ではない、こういうことでございます。しかし、逆に、では法律をもってこれをやっていく、法律を改正してこの問題をやっていく、そういう方法も、それはもちろんあると思います。それを私は全然否定してないわけであって、しかし、厚生労働省としては今回の運用三号でやっていった、こういうことでございます。

阿部委員 運用三号でやる、法改正は必要ないと。だけれども、留保になったんですよね。とまったんですよね、おかしいということで。

 そうすると、私は、例えばさっきの年金監視委員会の文書を読ませていただきますが、二月の十六日、「運用三号は、法治国家の建前からみても法令違反であり、年金記録を正さないという不作為になるのではないか。」という指摘ですよね。大変に大きく違うんですよ。そこで、統一見解を出してくれとなったんですね。片っ方は法改正は必要ない、片っ方は法治国家として根本にかかわると。きょうの議論も大半そうでしたよ。そういう中で統一見解を出すというのは大変なことですよ。

 そして、現場はどう言っているか。例えば、時効特例にしてもちゃんと法を改正したわけだから、この運用三号関連だけ法改正ができないわけがない、これは現場の意見ですよ。なぜそういうふうに言うかというと、現場は混乱でたまらないんですよ。

 大臣が手を挙げていますから、次の質問とあわせてお願いします。

 大臣は、これまで裁定を受けた人が不利益になるからやらないと、さっきから言っているんですね。でも、二枚目を見てください。これまでの人が不利益なんじゃないんですね。ことしからの人が残念ながらずるなんですね。これまでの人は、切りかえ手続をしないという右側の、昨年までだったら減額されているんですね。だって、その間その人は、ああ、あなた三号じゃなかったですねということで。ことしは、それでも満額差し上げましょうというのが今回なんです。細川大臣はさっきから、何かこれまでの人が損しちゃうからみたいに言うけれども、そういうことはないんですよ。それは大臣の認識の間違いですよ。

 そして、三ページ目。もう一つ続けてごめんなさい、十分なので。三ページ目を見てください。

 これは、どんなことが起こるか。実は、昭和六十一年四月から三号というのが年金ので始まったんですよ。そしてここで、厚生年金の夫が何らかの理由でほかの国民年金一号になって、届け出た人はその後、妻の保険料を払い続けるんですね。そして、二十三年の四月が来ると、実はここが二十五年発生するので、国民年金が四十九万五千百円パー年、来るんですよ。何にもしない下の段、届け出しない下の段は、わずか二年保険料をお払いになるだけで、同じ四十九万五千百円が来ちゃうんですよ。払って四十九万五千百円と払わないで四十九万五千百円、余りにもおかしいということなんですね。これでは、これからだれも払わなくなりますよ。

 そして、厚生労働大臣、よく聞いてください。普通、国民健康保険、保険証ですね。これと年金は、一号になるとき一緒なんですね。両方切りかえなんですね。だから、国民健康保険を欲しいと思ったときに、必ず年金問題も実はぶつかるんですね。そして、多くの市町村ではそれをお勧めしてきたんですね。前は社会保険庁じゃないんですから。

 そこまで考えたときに、私は、意図的に変えなかったとは言いませんよ。しかし、こんなことを放置したら、これからも、では、私は国民健康保険の保険料だけ変えますわ、年金の方は変えませんということが起こるんですよ。だって、届け出なんだから。ここの深刻さを細川さんはわかってないと私は思いますよ。

 まとめてお願いします。

細川国務大臣 まず、運用三号についての、これを法律でやらなかった、これはけしからぬではないかと。もちろん、そういう御意見はあるかと思います。ただ、運用三号のような形でやるとしても法律では違反ではない、こういうことを申し上げているのであって、私は、法律を改正してやる方法も、それはそれで選択肢の中に一つあったということはあると思います。

 それから、二つ目の、なぜこういうようなことにしたかということの大きなわかりやすい例を言えば、届け出をしなかったその人たちをずっと三号で扱ってきたと、本当は一号なんだけれども社会保険庁が三号として扱ってきたと、こういうことがあるんです。そして、最近の特別あるいは定期便、こういうのも、本人には三号の形で全部お知らせもしている、こういうことだって、ずっとやってきたところもあるんです。そういうことからして、六十五歳が来て、裁定のときも、それが三号だから三号として扱って、今年金をもらっている方もいるんです。

 それを本当の形に回復すると、その人たちがもうもらえなくなる、あるいは今までもらったのを返さなければいけない、こういう方たちがたくさんおられるわけなんですよ。だから、そういう人のことも考えなければいけないということでこういう運用にしたということも、ぜひ御理解もいただきたいというふうに思います。

阿部委員 今までもらったのを返す人はいないんです。今までもらっていないんです。そこは大臣、よく考えてください。

 それから、そんな社会保険庁のミスのために、なぜ国民の税金を使うんですか。考え直していただきたいと思います。

 以上、終わります。

中井委員長 これにて阿部君の質疑は終了いたしました。

 次に、浅尾慶一郎君。

浅尾委員 最後の質疑者でありますので、ぜひ端的にお答えいただきたいと思います。

 まず最初に、先ほど、中井委員長の解任決議、本会議で採決をされました。私どもは賛成をさせていただきましたが否決をされましたけれども、民主党の中で会派離脱を表明された十六名のうち十五名がその決議を欠席されたということが報じられております。

 菅総理に、民主党の代表として、これから予算の採決もありますが、そうした重要な決議、委員長の解任動議は重要な決議だと思いますが、そういう決議を欠席される人に対して、どういう対応をされるか伺いたいと思います。

菅内閣総理大臣 やはり、党の代表という立場で、そうした行動を党所属の議員がとったことは大変遺憾なことだ、こう思っております。

 対応については、今初めて具体的なことを、私は、何人が何人というところまでは正確には知りませんでしたので、事実関係をきっちりと把握した中で、やはり幹事長が中心となると思いますが、対応はその上でしっかりと考えたいと思っております。

浅尾委員 それでは、会計法の少額随意契約、これは集中のところで質疑通告をさせていただいておりますので、その件で少し伺わせていただきたいと思います。

 百六十万円以下の契約は随意契約ができるということが法律で決まっています。これは各省ごとに百六十万円ということなんですが、例えば、クラフトテープとかセロテープとかダブルクリップとか、こういうものはまとめ買いをすればかなり安く買えるんじゃないか。

 これは、実は民主党の中にもそういうことを主張されておられる方がいて、例えばクラフトテープなんというのは、五十個買うと、民間価格が三百三十円、お役所の価格は四百三十円ということで、二三%の割高というようなことも調べて出てきておりますが、こういうものをまとめ買いして、少し歳出を削減して財源をつくる、そういうことは今度の予算では見られておりませんけれども、今後検討される予定があるかどうか伺いたいと思います。

野田国務大臣 浅尾委員のお尋ねにお答えをしたいと思いますけれども、少額随契については、委員御指摘のとおり、これは法律上許容されています。

 その中で今、まとめ買いの話を含めての検討するかどうかということでございますが、随契のあり方については、随時これは各省で見直し計画を策定して、その実現に鋭意取り組んでまいりました。また現在は、行政刷新会議のもとで調達改革について議論がなされております。

 こうした議論を踏まえながら、私ども財務省としても、予算の適正かつ効率的な執行のため、関係府省と連携をして、随契全般、今御指摘のことも含めて見直しをさせていただきたいというふうに思います。

浅尾委員 ちなみに、金曜日の段階で、各省ごとの少額随意契約の契約額をお出しくださいという通告をさせていただいておりますが、その数字はございますか。

野田国務大臣 少額随契も公共調達の適正化の対象ではございますけれども、契約金額が少額であるという客観的な基準によりその対象が決まりますため、随契の見直しによる件数、金額の縮減の対象とする必要がないこと、そもそも事務の簡素化の観点から設けられたものであること等から、財務大臣への報告の対象から除外をされています。

 したがいまして、財務省として、政府全体の少額随契、各省別の規模ということを把握はしていません。

浅尾委員 少額といっても、月百六十万円というのは、一般でいうと余り少額じゃないと思うんですね。しかも、これは各省を足していくと結構な金額になる。

 先ほども申し上げましたように、例えばクラフトテープなんというのは二三%割高とか、いろいろなものが民間のまとめ買いと比べてかなり割高になっているということですから、別に法律上の報告義務がないということは承知しておりますが、各省にはその数字があるので、それを財務省でまとめられたらいかがかと思いますが、いかがですか。

野田国務大臣 今までは把握しておりませんが、可能ならばそういうことも、実行できるならば実行すべく善処していきたいというふうに思います。

浅尾委員 もう一点。総理がよく、企業の内部留保が二百兆円ぐらいあって、それを使えばいいという発言を景気対策の中でされております。

 私は企業の内部留保をどう企業が使うかは民間が判断すればいいと思いますが、しかしながら、今お手元に資料を配付させていただいておりますが、政府が株を持っている会社が四社ございます。有名なところはNTTとJTということでありますけれども。

 例えばNTTは、平成二十一年度でいいますと、投資をした後、利益と減価償却を戻して、それから投資をした金額を除いた金額で五千八十九億円の現金を持っている。しかしながら、配当は千五百八十八億円しかしていません。国はNTTの株の三分の一を持っている最大の大株主でありますから、配当をふやせということは、他の民間企業には言えないわけですけれども、NTTに対しては十分言えるわけです。

 それから、JTに対しても同じことでありまして、JTに至っては、二千五百七億円の現金を、これは投資をした後のお金を持っているわけですけれども、配当は五百五十五億円しかしていない。

 つまり、使っていないお金が相当あるわけですから、総理がおっしゃる内部留保を動かすというのは、まさに国が株主として権限を使っていくという形でしか、法改正をして民間の経済活動に介入すべきじゃないと思いますから、もしそういうふうに言われるのであれば、株主権を行使されたらいいかと思いますが、その点について、行使をされればこのお金が配当として国庫に入ってくる。ですから、財政が厳しい中で、そういう意味でも、使っていないお金ですから、国に寄与するんじゃないかと思いますが、内部留保を動かすということを主張されておられる総理ですから、総理の御所見を伺いたいと思います。

中井委員長 菅直人内閣総理大臣。最後ですから、どうぞ。

菅内閣総理大臣 ちょっと私は、浅尾さんの議論、何か二つのことがやや一緒になっているような感じがいたします。

 一般的に、よく法人税についていろいろな党の方が言われましたが、私は、海外に工場が出てしまうことを考えますと、国内で工場をつくっていただく、そのことは雇用にとっても、あるいは国内投資という形での景気対策としても有効だと思いますし、経済界の方も、十年後には約百兆円の設備投資を目指すということを言っていただいております。

 今御指摘のNTT、JTの株を、逆に配当をふやすことで、株を持っている立場だからその配当を国庫に入れることができるので、配当をふやしたらどうかと言われるのは、そのこと自体は国庫収入をふやすという意味では一つの考え方かもしれませんが、企業のあり方として、何が適切で、どこまで株主という立場で言えるのかという観点がもう一つあるのではないかと思います。

 二十一年度の配当性向では、NTTが三二・三%、JTが四〇・一%で、上場企業上位三十社の平均が三五・一%であることと比較すると、配当性向そのものは遜色のない水準となっていると理解しております。

 いずれにしても、今後とも、企業の一般の配当の動向を考慮しつつ、NTT、JTの設備投資等の必要性や財務状況を勘案して、適切な配当を求めてまいりたい、こう考えております。

浅尾委員 一つだけ申し上げておきますと、企業が内部留保をふやしているというのは、設備投資もしないし配当もしないということなので、お金を持っているんだったら、設備投資をしないんだったら配当をふやしたらどうかと。それは、配当性向が他の企業と一緒だからいいというのは理屈にならないということだけ申し上げて、質問を終えたいと思います。

中井委員長 これにて浅尾君の質疑は終了いたしました。

 これをもちまして締めくくり質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして平成二十三年度予算三案に対する質疑はすべて終局いたしました。

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中井委員長 ただいままでに、自由民主党・無所属の会武部勤君外二名から、また日本共産党笠井亮君から、またみんなの党浅尾慶一郎君から、それぞれ、平成二十三年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議が提出されております。

 この際、各動議について提出者から趣旨の説明を求めます。山本幸三君。

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 平成二十三年度一般会計予算、平成二十三年度特別会計予算及び平成二十三年度政府関係機関予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議

    〔本号末尾に掲載〕

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山本(幸)委員 私は、自由民主党・無所属の会を代表して、平成二十三年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議に関して、その趣旨の弁明をいたします。

 民主党政権発足以来、デフレの継続に加えて円高が急速に進み、我が国経済には大きな影響が出ています。この間、菅総理を初め閣僚は、国内外の市場に対して的確なメッセージを発することなく、手をこまねいていただけでした。さらに、効果のある対策を打つことなく今日に至り、その結果、我が国の国際的な信頼が下がったことは、まさに経済危機管理能力が欠如している証左であると言うほかありません。

 一方、民主党マニフェストについて、撤回、修正などのさまざまな発言は、国民を愚弄し、混乱させるだけで、さらなる政治への信頼低下を招いています。特に、菅総理は子ども手当について、さきの同法案の本会議質疑において、二万六千円と聞いて驚いたと発言し、予算編成の最高責任者として無責任きわまりなく、予算提出の資格が全くないものと断ぜざるを得ません。

 さて、政府予算は多くの問題を抱えております。簡単に指摘すると以下のとおりであります。

 一、財源及び政策効果に大きな問題がある民主党マニフェストに基づくばらまき四K、雇用空洞化に拘泥していること。二、財政健全化を無視し、国家財政をさらに危険水域に導く予算であること。三、財源あさりの理念なき税制改正となっていること。四、経済成長どころか、ゼロかマイナス効果しか見込めないものであること。五、地方軽視であることなどであります。

 こうした問題に対して、我々の自民党予算は、財政健全化と政策効果にバランスよく配慮した内容であると自負しております。

 まず、予算総額について、政府予算は九十二・四兆円であるのに対して、自民党予算は八十九・三兆円と、三・一兆円圧縮をしております。昨今の厳しい財政状況を考慮した結果であります。

 特に、政府予算では、基礎年金国庫負担二分の一に鉄道・運輸施設支援機構の剰余金一・二兆円を繰り入れることとしていますが、我々は議員立法を提出し、使途を明確にしています。政府予算は、年金という恒久政策に剰余金のような一時財源を充てること自体が問題であり、我々は、恒久政策には恒久財源の原則を貫くべきであるとしています。

 さらに、公債の発行についても、一・八兆円減額、四十二・五兆円とし、財政健全化に大きく配慮しております。

 また、税制改正については、子ども手当の財源をあさるかのような理念なき控除の廃止には賛成できません。法人税減税についても、中途半端な法人税減税ではなく、税制抜本改革の一環として、真に効果のある減税にすべきであると考えます。

 さて、具体的な組み替えについて申し上げます。

 まずは、ばらまき四K、子ども手当、農家戸別所得補償、高校授業料無料化、高速道路無料化社会実験を撤回し、二兆六千八百億円を捻出します。また、我々は政府予算項目を総チェックし、千二百億円を省きました。さらに、国及び地方の公務員人件費の削減で一兆五千億円、無駄撲滅の実施で五千億円、さらに、地方に要らぬ混乱を来している地域戦略自主交付金の組み替えで五千億円と、総計五兆三千百億円を組み替えることとしております。

 財源を捻出する一方、我々は、ばらまき政策からの転換を図ります。子ども手当の撤回で従来の児童手当に戻りますが、その拡充に一千億円。年少扶養控除ももとに戻すべきですし、現金支給だけでなく、保育所など子育て支援の充実に一千億円を充てています。また、教育費の軽減に二千億円、日本型直接支払いなど農業政策に三千億円としております。

 一方、地方重視の観点から、安心、安全のためのインフラ整備に一兆四千百億円、これには、地方の自由な発想で使える交付金一兆円を含んでいます。

 そして、科学技術振興や中小企業対策、防衛費の上積みなどで千四百億円など、総計で二兆二千五百億円を重点配分いたします。

 一般歳出を三兆一千億円に圧縮し、政府予算よりも財政健全化、政策効果に配慮した内容となっております。

 菅総理は、先日の谷垣総裁との党首討論で、いい案であるならば乗りたい旨の発言をしておりました。ここにおられる議員各位が、党派を超えて、危機的状況にある財政状況と国民生活のことを念頭に置いて、我が党提出の編成替え動議に御理解をいただきますようお願いし、趣旨弁明とさせていただきます。(拍手)

中井委員長 次に、笠井亮君。

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 平成二十三年度一般会計予算、平成二十三年度特別会計予算及び平成二十三年度政府関係機関予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議

    〔本号末尾に掲載〕

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笠井委員 私は、日本共産党を代表して、二〇一一年度予算三案につき政府がこれを撤回のうえ編成替えを求めるの動議について、提案理由及び概要について御説明いたします。

 まず、撤回、編成替えを求める理由についてであります。

 来年度予算に求められるのは、厳しさを増している国民の暮らしを支え、経済の健全な成長を図ることです。民間賃金は、ピーク時の一九九七年から年収で平均六十一万円、総額では三十一兆円も減っています。年収二百万円以下の働く貧困層は千百万人に達し、今春卒業予定の大学生の就職内定率は六八・八%と、過去最悪を記録しています。その一方で、大企業の内部留保は二百四十四兆円にまで膨れ上がり、現預金など手元資金だけでも六十四兆円という空前の金余りとなっています。この異常な構造が内需を冷え込ませ、日本経済の健全な発展を妨げているのであります。大企業を応援すれば日本経済はうまくいくという路線の破綻は明らかであります。

 ところが、政府の来年度予算案は、新成長戦略の名のもとに、一兆五千億円の法人税減税を行い、証券優遇税制も二年間延長しようとしています。財政難といいながら、大企業・大資産家への減税は約二兆円に上ります。このばらまきをやめれば、国民の暮らしを応援する予算を組むことは、すぐにでも可能です。

 また、来年度予算案では、高速道路や巨大港湾など、従来型の大型公共事業の予算も温存されています。さらに、巨額の軍事費が聖域とされ、米軍への思いやり予算総額を五年間維持するなど、アメリカ優先の姿勢も強められています。

 財界、アメリカ優先のばらまきと浪費をやめ、国民の暮らしを応援する予算案にするために、予算案は直ちに撤回して、抜本的に組み替えることを求めるものであります。

 次に、組み替えの概要について述べます。

 第一は、総合的な賃上げ政策をワンパッケージで実行し、雇用の確保、安定を図ることです。

 第二は、社会保障の制度改悪をやめ、削減から拡充に転換することです。

 第三は、TPP参加をやめ、食料自給率の向上、農林漁業の再生、食料主権を尊重した貿易ルールの確立を進めることです。

 第四に、中小企業、地場産業、商店街支援で地域経済の活性化を図ることです。

 第五に、軍事費と大企業・大資産家優遇税制という二つの聖域にメスを入れ、財源を確保することです。

 以上、編成替えの概要を御説明いたしました。詳細は、お手元に配付した動議を御参照願います。

 委員各位の御賛同をお願いして、趣旨の説明といたします。(拍手)

中井委員長 次に、浅尾慶一郎君。

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 平成二十三年度一般会計予算、平成二十三年度特別会計予算及び平成二十三年度政府関係機関予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議

    〔本号末尾に掲載〕

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浅尾委員 私は、みんなの党を代表して、ただいま議題となりました政府提案の平成二十三年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議に関して、その趣旨を説明いたします。

 平成二十三年度予算は、民主党政権となって二度目の予算であり、民主党が最初から編成を手がけた初めての予算であります。しかし、その中身を見ると、二〇〇九年のマニフェストで約束した国の総予算二百七兆円の組み替えによる財源捻出も果たせず、税金の無駄遣いの解消も、事業仕分けのパフォーマンスを演じた以外は、具体的な道筋すら見出せておりません。そのような状況で、子ども手当、高速道路無料化、農家の戸別所得補償、高校無償化といった理念なき全国一律金太郎あめ的なばらまき政策だけが進められ、その上、社会保障と税の一体改革と称して、消費税増税路線に突き進もうとさえしております。

 増税の前に、まず、やるべきことがあります。

 世界一の少子高齢化社会の日本で、我々みんなの党も、将来的な増税を一切認めないという立場をとっているわけではありません。しかし、その前に、首相を初めとした政治家が先頭に立って、議員や公務員の削減・給与カット、天下りの禁止や徴収漏れの税・保険料の徴収、予算のゼロベースでの見直しや議員特権の廃止に取り組むべきであります。スリムで公平な政府の実現こそが、真に国民が求める声にこたえる道であります。

 平成二十三年度予算からは、日本経済を再び力強い成長に導く道筋も見えてまいりません。民主党政権の成長戦略は、マクロ環境改善のための仕掛けも示さないまま需要創造の数値を掲げた空疎なもので、成長にはつながりません。日本経済を成長軌道に乗せる第一歩は、まず良好なマクロ経済環境の確保であり、そのためには、いち早いデフレからの脱却が不可欠であります。それなのに、民主党が行ったのは、ばらまきという一過性のカンフル剤にすぎません。

 経済の成長は、企業人や地域の現場の人々のチャレンジ精神と活力によってこそもたらされるものであります。官僚統制経済と中央集権体制からの脱却、すなわち脱官僚と地域主権こそが経済成長の根幹であり、そのためには、権限、財源、人間という三ゲンを徹底的に地方に移譲することが必要不可欠であります。

 以上の見地から、みんなの党は、平成二十三年度予算を撤回し、スリムで経済を成長軌道に導くことが可能な予算に組み替えることを求めるものであります。

 次に、組み替えの概要について申し上げます。

 まず、ばらまきや無駄な経費の削減であります。

 子ども手当、高速道路の無料化、高校無償化の廃止等により二兆九千億円を削減します。さらに、人件費、補助費、委託費、庁費等の見直しにより六兆円を削減します。経済危機対応・地域活性化予備費も削減いたします。

 次に、埋蔵金の発掘であります。

 国債の定率繰り入れの停止により九兆八千億円、労働保険特別会計の積立金取り崩しにより五兆円、政府保有株の売却により三兆五千億円を捻出いたします。

 また、国税庁の持つデータを歳入庁が創設されるまでの間、厚生労働省に渡すことで、社会保険料収入を三兆円ふやします。

 次に、地域主権であります。

 国の消費税収十兆二千億円の全額を地方に移譲し、地方の基幹・安定財源といたします。その分の地方交付税は、子ども手当、高校無償化に相当する額を除き減額し、また、地方交付税や義務教育国庫負担に反映される地方公務員の人件費なども二割削減します。

 さらに、我が国の経済成長につながる施策を盛り込みます。

 法人税の実効税率を半分引き下げます。また、経済成長につながる科学技術予算を三割増といたします。さらに、平成の農地改革を推進することとし、農家の戸別所得補償制度を廃止する一方で、開国予算として当座一兆円を計上いたします。

 以上が、みんなの党の組み替え案の概要であります。

 何とぞ我々の動議に委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げ、趣旨弁明といたします。

中井委員長 これにて各動議の趣旨弁明は終了いたしました。

    ―――――――――――――

中井委員長 これより討論に入ります。

 平成二十三年度予算三案及びこれに対する撤回のうえ編成替えを求めるの動議三件を一括して討論に付します。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。高邑勉君。

高邑委員 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました平成二十三年度予算三案に賛成し、自由民主党、日本共産党及びみんなの党提出の編成組み替えを求める動議にいずれも反対する立場から討論を行います。

 菅内閣として最初の本予算となる平成二十三年度予算は、成長と雇用を最大のテーマとして掲げ、確かな社会保障制度の維持と新成長戦略の本格実施により、持続的な経済成長の基盤を構築するため編成されたものであります。本予算案の策定に当たっては、政権交代前より税収が九兆円も減少するなど、いまだ税収が低水準にある中、限られた財源を最大限有効に活用することが求められました。

 そのため、成長と雇用に重点を置いた予算の組み替えと、元気な日本復活特別枠の創設、事業仕分けの評価結果を受けた歳出の削減、独立行政法人や公益法人の不要資産の国庫納付による歳入の確保など、大胆な予算編成に取り組んでおります。

 また、マニフェストの主要項目につきましても、それぞれ政策目的もはっきりしており、その財源も安定的に確保されているものでありまして、決してばらまきには当たりません。

 一月三十一日の実質審議入り以降、この予算委員会は約八十時間を超える審議を行い、地方公聴会や中央公聴会、さらには参考人質疑など、総勢二十四名にも上る有識者を招いての質疑を行うなど、近年まれに見る極めて充実した審議を重ねてまいりました。

 本予算案をしっかりと年度内に成立させ、四月一日以降確実に執行できるようにすることが、我々国会議員の責務であり、地方の声でもあり、国民の負託にこたえることにほかなりません。

 なお、自由民主党、日本共産党及びみんなの党から提出された編成替えを求める動議につきましては、見解を異にするものであり、賛成できません。

 特に、自由民主党案については、子ども手当などをばらまきだと批判しながら、結局は公共事業を上積みするなど、旧来型ばらまきの復活かと疑わざるを得ません。しかも、公務員人件費を一・五兆円削減するなどと言いながら、その具体的手法には全く言及されておりません。ましてや、現下の厳しい我が国の経済状況を民主党不況などといういいかげんな言葉であげつらい、留飲を下げている場合ではありません。

 以上、本予算の成立を待ち望む多くの皆さんの声を代弁し、私の討論を終わります。ありがとうございました。(拍手)

中井委員長 次に、小里泰弘君。

小里委員 私は、自由民主党・無所属の会を代表して、平成二十三年度予算に対し反対、我が党提出の編成替え動議に賛成の立場から討論を行います。

 財源を含めマニフェストの破綻が明らかになった今、そのマニフェストに基づく予算には全く正当性は認められません。

 具体的に問題点を申し上げます。

 まず、財源及び政策効果に大きな問題がある民主党マニフェストに基づくばらまき四K、雇用空洞化等に拘泥をしていることであります。そして、財源確保に全くめどが立っておりません。財政規律を無視し、国家財政をさらに危険水域に導く予算であります。財政健全化といいながら、財源論も相変わらず無視した予算に我々はくみすることはできません。

 次に、この予算は経済成長につながらないこと、さらには、地方軽視であることであります。公共事業についても、全く理念なく二年連続で削減をし、地方経済への影響や配慮に欠けております。特に、地域戦略自主交付金は、従来の予算を内閣府につけかえただけのものであり、予算編成上の混乱を招いただけであると指摘せざるを得ません。

 このような予算を成立せしめることは、まさに百害あって一利なしであります。

 一方、菅総理の政治手法そのものが混乱を招いております。先日、民主党議員十六名が会派離脱届を提出いたしました。また、政治と金をめぐる小沢一郎氏への対応では、閣内からも辞任者が出ました。菅総理を取り巻く現状は、もはや予算を審議する状況ではありません。このような現状を招いたのは菅総理自身であり、こうした総理のもとで編成された予算そのものが信頼できないものであります。今こそこうした予算は撤回すべきであるとの観点から、反対をするものであります。

 一方、我が党の編成替え動議は、国債発行額の減額、将来の財政破綻を防ぐ中期目標の明確化、政治のリーダーシップによる予算配分を行うなど、確かなビジョンのもと、あすの日本をつくるにふさわしい予算であり、賛成するものであります。

 なお、共産党及びみんなの党提出の編成替え動議につきましては、見解を異とするため反対することを申し述べ、私の討論を終わります。(拍手)

中井委員長 次に、遠山清彦君。

遠山委員 私は、公明党を代表し、ただいま議題となりました平成二十三年度予算案について、反対の立場から討論を行います。

 以下、反対する主な理由を述べます。

 民主党のマニフェストは、既に破綻しております。年金改革も進まない、子ども手当も恒久措置化できない、高速道路無料化の道筋も立たない、ガソリン税の暫定税率廃止もやらない、本当に枚挙にいとまがないほど実現していないではありませんか。民主党マニフェストの多くが実施されているなどとのうてんきなことを言っているのは、総理、あなただけであります。

 公明党は、予算審議の中で、財源を含めた民主党の年金改革案を示すよう再三求めましたが、具体的な数字は結局何も示されませんでした。与党になってはや一年五カ月、民主党がマニフェストで掲げた年金案が、しょせんは絵にかいたもちにすぎなかったことが白日のもとにさらされました。

 子ども手当についても、野党時代は、目的や趣旨が子ども手当と異なるとして児童手当に反対していたにもかかわらず、恒久財源が見つからずに恒久措置化が困難になると、岡田幹事長が先頭を切って児童手当拡充でも構わないと言い出す変節ぶりに、国民はあきれて言葉もありません。さらに、菅総理自身のびっくりした発言に象徴されるように、民主党が主張する二万六千円の根拠も何もないことがわかりました。これでは到底賛成できるものではありません。

 加えて、今回の予算案は、二年続けての税収を上回る赤字国債の発行により、日本の財政をさらに悪化させます。この借金のツケは、すべて私たちの子供や孫たちに先送りされます。政権交代前に、十兆、二十兆の財源はすぐに出てくるという、今では明白な絵そらごとを喧伝して国民を欺き、子ども手当を含むマニフェストの財源を、それを受け取る子供たちの将来の借金で充当するとは、一体何をお考えなのですか。

 さらに、今回の予算案が、景気・デフレ対策として全く不十分であることも問題です。元気な日本復活特別枠二・一兆円が盛り込まれておりますが、成長戦略にかかわる予算は、二・一兆円のうちわずか三分の一の六千五百億円程度であり、それ以外は、元気な日本とは無関係の在日米軍駐留経費などの継続事業予算として計上されているだけではありませんか。まさに、ごまかしと架空計上以外の何物でもありません。

 地方自治体の首長や議会もまた、強い批判の声を上げております。全額国費の子ども手当を創設するとの約束を平然と破り、第一次産業を基幹産業とする地方の声を聞かずにTPP参加検討を唐突に言い出す。社会保障と税の一体改革に向けた議論には消費税問題も含まれていますが、その検討プロセスに地方の声を反映させようともしておりません。

 菅総理を初め閣僚の皆さんは、口では地方重視の予算案と繰り返し言っておられますが、全く行動に反映されていないのではないですか。まさに、菅内閣の政治姿勢の本質は地方軽視そのものであり、それが投影された予算案など、賛成することは到底できないのであります。

 以上、予算案に反対する主な理由を述べました。

 最後に、菅総理、仮免云々と以前おっしゃっておりましたが、政権を握るということは車のハンドルを握っているのと同じことであります。バスの運転手がどこへ行くかわからないで、ハンドルの手を離して、乗客にどうしたらいいか相談しているようでは、危険でしようがありません。しかし、菅総理、これが今のあなたの姿です。これ以上重大な事故が起こる前に、我が国のハンドルをだれに任せるのか、国民に信を問うことを切に要望し、私の反対討論を終わります。

 なお、自由民主党・無所属の会から提出された組み替え動議については、菅内閣の財政運営、財政政策に対する意見、考え方に関しては認識を共有する部分があるものの、総合的に勘案し、反対いたします。

 また、みんなの党及び共産党から提出された組み替え動議についても、見解を異にする部分がありますので、反対いたします。

 以上です。(拍手)

中井委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 私は、日本共産党を代表して、二〇一一年度総予算三案に反対、自民党提出の編成替えを求めるの動議に反対、みんなの党提出の編成替えを求めるの動議に反対、我が党提出の編成替えを求めるの動議に賛成の立場から討論を行います。

 本日の採決日程は、先週末、与野党合意もなく、民主党が単独で一方的に決めたものです。我が党は、本日の理事会でも、小沢一郎民主党元代表の証人喚問、普天間問題で抑止力は方便と発言した鳩山前総理の参考人招致などの懸案事項は積み残したままであり、税制、子ども手当、TPP、米軍基地問題など、まだまだ審議は不十分であり、質疑を続行すべきである、本日の採決には反対であると主張しました。にもかかわらず、審議を打ち切り、採決を強行することは、断じて容認できません。

 次に、本予算案に反対する理由を述べます。

 本予算案は、民主党が政権について、概算要求から予算案までの一連の編成を手がけた初めての予算案です。予算案に求められるのは、厳しさを増している国民の生活を支え、経済の健全な成長を図ることです。

 ところが、本予算案は、生活が第一、対等な日米関係との公約を百八十度転換し、大企業の利益優先、日米同盟強化の予算となっているのであります。

 第一に、新成長戦略に基づく法人税五%減税、証券優遇税制の二年延長など、大企業・大資産家優遇の予算となっていることです。

 内部留保が二百四十四兆円、手元資金もだぶついている大企業に一兆五千億円もの法人税減税を実行したところで、内部留保が積み上がるだけです。雇用、国内投資には回らず、内需拡大にも効果はありません。

 第二に、医療、介護、年金、福祉など、あらゆる分野で自公政権と同じ社会保障切り捨て路線の予算となっていることです。

 後期高齢者医療制度の新制度案は、年齢による差別を残し、保険料、窓口負担を増大させるものであり、容認できません。焦点となっている子ども手当は、増額分を保育所建設などに回し、安定した制度に修正すべきです。

 第三に、平成の開国と称して進めているTPPは、農業と地域経済を破壊し、金融、保険、医療、労働力をも自由化するなど、日本の経済主権を米国にゆだねることになります。参加すべきではありません。

 第四は、財源の問題です。

 本予算案は、過去最大規模の国債などに依存し、今後の見通しも立たないものとなっています。その行き詰まりを消費税の増税で突破することは断じて許されません。巨額の軍事費と大企業・大資産家優遇税制という二つの聖域にメスを入れることこそ必要です。

 なお、自民党の組み替えは、福祉、教育の予算を削減し、軍事費を増額し、消費税増税まで盛り込んでいます。また、みんなの党の組み替えは国民生活の大幅カットであり、両案とも認められません。

 以上、討論を終わります。(拍手)

中井委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、二〇一一年度政府予算三案並びに自民党、共産党、みんなの党それぞれ提出の編成組み替えを求める動議に反対の立場から討論を行います。

 まず、熟議の国会あるいは野党との協力と言いながら、政府・民主党みずから何の譲歩も見せず、また、歳入を決める税法や公債特例法案などの審議が全く進んでいない中、強引に予算案本体のみ採決を押し切ろうとしていること自体に強い憤りを覚えます。

 一昨年夏、国民生活が第一を掲げた政権交代が実現しました。家計に対する支援を最重点として国民生活の立て直しを図っていくという三党連立合意に基づいて、二〇一〇年度予算は、命を守る予算として編成されました。しかし、菅内閣が元気な日本復活予算と位置づけている二〇一一年度予算案は、国民の生活が第一から大きくかけ離れたものとなっています。

 消費税増税を企図した税と社会保障一体改革、法人税減税、降ってわいたようなTPP参加検討、日米同盟の深化、米軍普天間基地の辺野古移設堅持などに見られるように、官僚主導、対米依存回帰だけでなく、民主党が野党時代に批判してやまなかった小泉構造改革に沿った内容が各所にちりばめられています。

 以下、反対の理由を申し述べます。

 反対の第一の理由は、物価下落を理由にした年金額や児童扶養手当の引き下げ、国民健康保険税の算定方法見直しによる負担増、財源不足を理由とした高額療養費制度の低所得世帯の負担上限額の引き下げの見送りなど、国民負担への転嫁が推し進められている一方で、法人税の実効税率五%引き下げや原子力の海外展開など、相変わらずの外需依存経済に逆戻りしていることです。

 第二の理由は、子ども手当の財源として庶民増税の成年扶養控除の縮減を充てるのは、全くの筋違いであることです。また、ニート、引きこもり対策も全くありません。

 第三の理由は、雇用対策や中小企業支援が規模、内容ともに不十分なことです。

 第四の理由は、三党合意で削減をうたっていた思いやり予算が五年間も維持されるなど、負担の軽減からはほど遠いものとなっていることです。

 第五の理由は、沖縄の基地移転関連予算、沖縄防衛局名護事務所設置及び高江ヘリパッド建設の予算が計上されていることです。

 加えて、この数日の予算委員会の中で大きな問題となった国民年金の運用三号問題は、年金の保険料の納付と給付の原則を大きく逸脱したお手盛り裁定で、国民の年金への信頼を大きく損なうにもかかわらず、十分な論議も尽くさず、また政府統一見解も先延ばしにして、予算案への賛否を問おうとしています。これでは国民の不信は募るばかりです。

 国民生活等への影響を真剣に考えるならば、国民が政権交代に寄せた期待に真摯にこたえるべきであり、政権交代の原点に立ち戻った対応を速やかにとるべきであることを申し添え、私の反対討論を終わります。(拍手)

中井委員長 次に、浅尾慶一郎君。

浅尾委員 私は、みんなの党を代表して、みんなの党提出の編成替え動議に賛成し、政府提出の平成二十三年度予算三案に対し、反対の討論を行います。

 平成二十三年度予算の中身を見ると、二〇〇九年の民主党マニフェストで約束した二百兆円を超える国の総予算の組み替えによる財源捻出も果たせず、税金の無駄遣いの解消も、事業仕分けのパフォーマンスを演じた以外は、具体的な道筋すら見出せておりません。そのような状況で、子ども手当、高速道路無料化、農家の戸別所得補償、高校無償化といった理念なきばらまき政策だけが進められ、その上、社会保障と税の一体改革と称して、消費税増税路線に突き進もうとさえしております。

 増税の前に、まず、やるべきことがあります。

 世界一の少子高齢化社会の日本で、我々みんなの党も、将来的な増税を一切認めないという立場をとっているわけではありません。しかし、その前に、首相を初めとした政治家が先頭に立って、議員や公務員の削減・給与カット、天下りの禁止や徴収漏れの税・保険料の徴収、予算のゼロベースでの見直しや議員特権の廃止に取り組むべきだと考えております。スリムで公平な政府の実現こそが、真に国民が求める声にこたえる道であります。

 平成二十三年度予算からは、また日本経済を再び力強い成長に導く道筋も見えてまいりません。民主党政権の成長戦略は、マクロ経済環境の改善のための仕掛けも示さないまま需要創造の数値を掲げた空疎なもので、成長にはつながりません。日本経済を成長軌道に乗せる第一歩は、まず良好なマクロ経済環境の確保であり、そのためには、いち早いデフレからの脱却が不可欠であります。それなのに、民主党が行ったのは、ばらまきという一過性のカンフル剤にすぎません。

 経済の成長は、企業人や地域の現場の人々のチャレンジ精神と活力によってこそもたらされるものであります。官僚統制経済と中央集権体制からの脱却、すなわち脱官僚と地域主権こそが経済成長の根幹であり、そのためには、権限、財源、人間という三ゲンを徹底的に地方に移譲することが必要不可欠であります。

 以上の見地から、みんなの党は、平成二十三年度予算を撤回し、スリムで経済を成長軌道に導くことが可能な予算組み替え動議を提出させていただきました。

 このことを申し上げて、私の政府提出予算案に対する反対討論を終わります。(拍手)

中井委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

中井委員長 これより採決に入ります。

 まず、武部勤君外二名提出の平成二十三年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決をいたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中井委員長 起立少数。よって、武部勤君外二名提出の動議は否決されました。

 次に、笠井亮君提出の平成二十三年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中井委員長 起立少数。よって、笠井亮君提出の動議は否決されました。

 次に、浅尾慶一郎君提出の平成二十三年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中井委員長 起立少数。よって、浅尾慶一郎君提出の動議は否決されました。

 次に、平成二十三年度一般会計予算、平成二十三年度特別会計予算、平成二十三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して採決をいたします。

 三案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中井委員長 起立多数。よって、平成二十三年度予算三案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました平成二十三年度予算三案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

中井委員長 この際、一言申し上げます。

 去る一月二十八日の審査開始以来、委員各位には、終始真剣な議論を重ねていただき、本日ここに審査を終了いたしました。

 これもひとえに各党の理事並びに委員各位の委員会運営や質疑に対する並々ならぬ御理解と御協力のおかげと、ここに深く感謝の意を表し、心から御礼申し上げます。(拍手)

 本日は、これにて散会いたします。

    午後十一時七分散会


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