衆議院

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第23号 平成23年5月16日(月曜日)

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平成二十三年五月十六日(月曜日)

    午前八時五十九分開議

 出席委員

   委員長 中井  洽君

   理事 泉  健太君 理事 城井  崇君

   理事 武正 公一君 理事 手塚 仁雄君

   理事 中川 正春君 理事 若泉 征三君

   理事 塩崎 恭久君 理事 武部  勤君

   理事 富田 茂之君

      井戸まさえ君    石毛えい子君

      石田 三示君    磯谷香代子君

      稲見 哲男君    打越あかし君

      生方 幸夫君    小川 淳也君

      大串 博志君    大西 孝典君

      金森  正君    川村秀三郎君

      吉良 州司君    櫛渕 万里君

      郡  和子君    佐々木隆博君

      城島 光力君    杉本かずみ君

      空本 誠喜君    高邑  勉君

      竹田 光明君    津村 啓介君

      道休誠一郎君    中根 康浩君

      仲野 博子君    畑  浩治君

      藤田 憲彦君    本多 平直君

      松岡 広隆君    三谷 光男君

      宮島 大典君    村上 史好君

      村越 祐民君    森本 哲生君

      谷田川 元君    山口  壯君

      横粂 勝仁君    渡部 恒三君

      江藤  拓君    小里 泰弘君

      金子 一義君    木村 太郎君

      小泉進次郎君    佐田玄一郎君

      齋藤  健君    菅原 一秀君

      橘 慶一郎君    西村 康稔君

      野田  毅君    馳   浩君

      山本 幸三君    稲津  久君

      大口 善徳君    遠山 清彦君

      笠井  亮君    阿部 知子君

      柿澤 未途君    山内 康一君

      田中 康夫君

    …………………………………

   内閣総理大臣       菅  直人君

   総務大臣         片山 善博君

   法務大臣         江田 五月君

   外務大臣         松本 剛明君

   財務大臣         野田 佳彦君

   文部科学大臣       高木 義明君

   厚生労働大臣       細川 律夫君

   農林水産大臣       鹿野 道彦君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力経済被害担当)  海江田万里君

   国土交通大臣       大畠 章宏君

   環境大臣

   国務大臣

   (防災担当)       松本  龍君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     枝野 幸男君

   国務大臣

   (金融担当)       自見庄三郎君

   国務大臣

   (国家戦略担当)     玄葉光一郎君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   政府参考人

   (内閣法制局長官)    梶田信一郎君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)     寺坂 信昭君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   伊藤 哲夫君

   参考人

   (原子力安全委員会委員長)            班目 春樹君

   参考人

   (東京電力株式会社取締役社長)          清水 正孝君

   参考人

   (中部電力株式会社代表取締役社長社長執行役員)  水野 明久君

   予算委員会専門員     春日  昇君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十二日

 辞任         補欠選任

  小里 泰弘君     西村 康稔君

  金田 勝年君     永岡 桂子君

  馳   浩君     伊東 良孝君

同日

 辞任         補欠選任

  伊東 良孝君     馳   浩君

  永岡 桂子君     金田 勝年君

  西村 康稔君     小里 泰弘君

同月十六日

 辞任         補欠選任

  打越あかし君     石田 三示君

  生方 幸夫君     谷田川 元君

  大串 博志君     大西 孝典君

  川村秀三郎君     杉本かずみ君

  佐々木隆博君     村上 史好君

  城島 光力君     藤田 憲彦君

  高井 美穂君     櫛渕 万里君

  畑  浩治君     道休誠一郎君

  三谷 光男君     松岡 広隆君

  山口  壯君     森本 哲生君

  金田 勝年君     西村 康稔君

  小泉進次郎君     橘 慶一郎君

  佐田玄一郎君     木村 太郎君

  遠山 清彦君     稲津  久君

  富田 茂之君     大口 善徳君

  山内 康一君     柿澤 未途君

  下地 幹郎君     田中 康夫君

同日

 辞任         補欠選任

  石田 三示君     打越あかし君

  大西 孝典君     大串 博志君

  櫛渕 万里君     空本 誠喜君

  杉本かずみ君     川村秀三郎君

  道休誠一郎君     畑  浩治君

  藤田 憲彦君     城島 光力君

  松岡 広隆君     横粂 勝仁君

  村上 史好君     井戸まさえ君

  森本 哲生君     山口  壯君

  谷田川 元君     生方 幸夫君

  木村 太郎君     佐田玄一郎君

  橘 慶一郎君     小泉進次郎君

  西村 康稔君     江藤  拓君

  稲津  久君     遠山 清彦君

  大口 善徳君     富田 茂之君

  柿澤 未途君     山内 康一君

  田中 康夫君     下地 幹郎君

同日

 辞任         補欠選任

  井戸まさえ君     佐々木隆博君

  空本 誠喜君     磯谷香代子君

  横粂 勝仁君     三谷 光男君

  江藤  拓君     金田 勝年君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     高井 美穂君

同日

 理事富田茂之君同日委員辞任につき、その補欠として富田茂之君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 予算の実施状況に関する件(東日本大震災対策並びに原発問題等)


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     ――――◇―――――

中井委員長 これより会議を開きます。

 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。

 本日は、東日本大震災対策並びに原発問題等についての集中審議を行います。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として原子力安全委員会委員長班目春樹君、東京電力株式会社取締役社長清水正孝君、中部電力株式会社代表取締役社長社長執行役員水野明久君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人として内閣法制局長官梶田信一郎君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長寺坂信昭君、環境省廃棄物・リサイクル対策部長伊藤哲夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中川正春君。

中川(正)委員 おはようございます。民主党の中川正春です。

 きょうは、震災の復旧あるいは復興という、私たちの国づくりの中では新たなフェーズに向かってしっかり取り組んでいこうというその中身、それからもう一つは、原子力発電所、この問題について質疑を行うということになりました。

 私は、この二つのテーマの中では、特に地震と津波災害に対する取り組み、これはいろいろ、まだまだきめ細かにやっていかなければならない、あるいは、震災を受けた皆さん方の気持ちの中で、その思いをしっかり受けとめながら組み立てていかなければならない、その課題というのはあるとは思うんですが、しかし、全般的に目標はもうはっきりしてきたというふうに思うんです。

 仮設住宅あるいは瓦れきの処理を精いっぱい、時間と競争をしていきながらやっていくということ、そして、復興あるいは復旧へのビジョンづくり、これを、地域の皆さんも含めて、次の日本の未来へ向けての復興計画、ビジョンというのをつくり上げていく、また、その具体的な計画というのを練り上げていきながら、財源ということにも議論をして取り組んでいくということ、あるいは、それを実現するための体制づくり、組織、これを地域と国とで構築をしていくということ、また、こうしたことが動き出すまでは、被災住民の皆さんの雇用の対策であるとかあるいは生活再建への支援、子供や老人の教育、福祉、医療、生活保障など、きめの細かい対応をしていくということ、これが動き出しておるということでありまして、私たちも全力を尽くしてその一つ一つの具体的な実現というものに歩み出していく、あるいは、今努力をしているものを完成させていくということだと思います。

 しかし、もう一方で、実は、原子力災害、この原発については、その収束に向けていまだしっかりとしためどが立っていないということ、また、先般、メルトダウンの現状というのがあるんだという認識が発表されましたけれども、そういう意味からいって、何が今起こっているのかということ自体をつかんでいくということ、これがなかなかできない、そのもどかしさといいますか、そんな中で苦慮しながら我々がこの政策について、この対応について頑張っていくということでありまして、そういう意味では、非常に心が痛む、また国民にとってもそこのところの問題というのがあるんだというふうに私は思います。

 きょうは、私の質問は、この原発の問題に的を絞って質問を進めてまいりたいというふうに思います。

 そして、具体的な質問に入る前に、一つ申し上げなければならないことがあります。

 それは、この現場で、福島の第一原子力発電所で、今もこの時点で、決死の思いと、事態の収束への高いリスクの作業というのを現場の作業員の皆さんは必死になって今取り組んでおっていただいています。その数は、聞くところによると二千人を超えているということになってきておりまして、私は心から感謝の気持ちをまずあらわしたいというふうに思います。

 家族の心配もある、あるいは御本人の葛藤もあるだろうと思うんです。先般、心不全で一人お亡くなりになった、あるいはまた、現場の高濃度の放射線に触れてしまった皆さんもある。そういうリスクを乗り越えながら、勇気を持って、今この作業に従事していただくということであります。

 総理、改めて、この皆さんの決断と勇気に、これは国民すべてが大いなる敬意をあらわさなきゃいけないというふうに思うんですが、ちょっと事前に通告はしていないんですけれども、総理からも、現場の皆さんに、ぜひ、感謝の気持ちと、それから頑張ってくれというメッセージをここであらわしていただきたいというふうに思います。

菅内閣総理大臣 三月十一日の地震発災から一時間足らずの段階で津波が訪れ、そして、全電源がダウンし、冷却機能が停止をする、それから二カ月余りが経過をいたしました。

 この間、現場、特に東京電力の従業員、あるいはその下請の皆さん、また、当初は、自衛隊、警察、消防、そういう皆さんも数多く駆けつけていただきまして、本当に決死の作業をしていただき、また、今日までその状況は続いております。中には、原発が存在する近くに住んでおられる皆さんもあって、先日、ある避難所に行きましたら、自分の主人は東電で働いて、今も原発の事故の処理に当たっている、東電に勤めているというと少し厳しい目で見られているけれども、家族としては、しっかりやってきてくださいと言って送り出しているんだ、その自分たちの気持ちもわかってほしいという奥さんの声を直接にも聞かせていただきました。

 日本人は、こういうときに必ずしも大きな声を上げない人の中に、本当に勇気を持って、犠牲的な精神も含めて頑張っていただいている方がたくさんおられることを、私は日本人の一人として本当にうれしく思い、誇りとも思います。

 そういった意味で、これまでの御苦労に感謝をすると同時に、何としてもこの事故は収束させなければならないことでありますので、大変御苦労いただきますけれども、一人一人の皆さんの過大な形の被曝等はしっかりと防ぎながら、この収束に向けての仕事にこれからもしっかり当たっていただきたい、心から感謝と同時にお願いを申し上げるところであります。

中川(正)委員 まず、この原発の現状と、それに対してこれからとっていこうとしているそれぞれの対応について聞いていきたいというふうに思います。

 全部で三点なんですが、まず第一点は燃料でありますが、メルトダウンということが発表されました。これまでは、一部が損壊をしているということで認識されてきた。当事者にとってはメルトダウンではないんだということを、しきりに大丈夫だと言いながら説明をしてきた部分もあったかというふうに思うんですよね。

 今回それが、いわゆる中の状態が、注水している水によってしっかりコントロールできている状態になっているのかどうか、メルトダウン以後。メルトダウンというのは、燃料棒が溶けて下に固まってしまったという状況ですよね。それに対して、ちゃんと水位が確保されて、それだけは冷却されているのかどうか。

 と同時に、専門家によっては、この状況というのは、この固まりの表面はある程度冷却はされているが、もし水があれば表面は冷却して固まっているけれども、その中心部というのは大体二千度から二千七百度近い温度に保たれておって、底の部分が、それだけの温度ということになると金属を溶かしてしまう、溶かしてしまうがために圧力容器の底が抜ける、そんな可能性まで出てくるのではないかということ、こんなことが専門家によっては指摘をされているということですね。

 今私が聞かせていただいているのは、この圧力容器の中じゃなくて、外に設置してある温度計からは、一、二、三あって、三号機は大分上下しているらしいということでありますが、百度から二百五十度を示していると。この温度であれば大丈夫だ、底が抜けるというような状況は出てこないだろうというふうに判断しているというふうに理解をしているんですけれども、専門家でない私にも納得ができない部分はそこにありまして、中の直接の状況というのはまだわからない、しかし、外からのこの温度がこれぐらいに保たれているから大丈夫だろうというのは、本当にそうなのかどうかということですね。

 これを論拠を持ってひとつ説明していただきたいのと、それから、この対応について、これからここの部分をどう対応していくかということについて、これは班目委員長、改めて、委員会としてのこの状況に対する見解、これを専門家の立場から国民にわかりやすくひとつ説明していただきたい。

 そして、これからのリスクですね。いつも逆さま来るんですよ。大丈夫だと言いながら状況がだんだんだんだん悪化してくるから、みんな不安になる。説明を逆にしなきゃいけないんです。最悪の事態はこういうことだ、こういうことに対しても私たちはこういう対応方法がある、しかし実際はこれだけ改善している、こういうふうに言ってくれたら、我々はそれなりの安心感というのが出てくるんですが、今の状況というのは逆さまで、まず、大丈夫だ、大丈夫だと言いながら、だんだんだんだん状況が悪化してくる、そういう状況ですから、これに対してしっかりとした説明をする必要があるんだろう、世界の世論もそこのところを言っているんだろうというふうに思うんですね。情報公開するということはそういうことだというふうに思うんです。

 班目委員長、改めてここのところをまず説明してください。

班目参考人 お答えします。

 まず、原子炉の状態ですけれども、原子力安全委員会としては、燃料は溶けているということは、もうこれはかなり早い段階から実は申し上げているところでございます。

 それから、現在どういうふうに考えているかということでございますが、原子炉圧力容器の底部の温度というのは計測されており、発表されてございます。それによりますと、どんどんどんどん温度は下がってきており、現在、百度程度になっているということは、この圧力容器というのは本来三百度で使うものでございますから、十分余裕があるというふうに考えております。

 これまでのこの温度の履歴というのを見ると、当初はかなり高かったところ、どんどん下がっている。ということは、原子力安全委員会としては、もう一定の安定状態にあるというふうに考えております。その理由なんですが、崩壊熱というのは、これは時間がたつにつれて発熱量が減ってまいります。したがって、同じような冷却条件であるならば、必ず時間がたつとともに温度は下がる、そういう意味では一定の安定状況には達しているというのが安全委員会としての見解でございます。

 よろしゅうございますでしょうか。

中川(正)委員 これは注水といいますか、水を追加して、聞くところによると、毎秒八トンから十二トンということで、水をどんどんどんどん追加していく。その水が底から漏れているということですね。そのことが、なぜ漏れ出してきたのか。私は、ここのところをもう少ししっかり説明しないといけないんだと思うんですね。

 恐らく、水素爆発とかあるいは衝撃とかというよりも、私たちが心配するのは、どうもその溶け出した燃料が底にたまって、表面はさっきのような話でいいけれども、その中心部の温度というのが非常に高いものであって、この中心部の温度というのはまだはかられていないというか、わからない部分だと思うんです。

 さっきの温度が大丈夫だというのは、この圧力容器の外ではかった温度だと私は理解しているんですね。中のそういう状況から考えると、どうもそのしんが一部溶けて、あるいは時間的経過の中でさらにその可能性があって、そこからどんどんどんどん漏れ出してくるというふうな、いわゆる底が抜けるというふうな可能性があるんじゃないかということ、このことに対する対応がちゃんとできているのかどうか。これは私は最悪の状況だというふうに思うんですね。いつも最悪を考えるとすれば、この状況が起きたときにちゃんと対応ができているのかどうかというふうなことも含めて、ちゃんと説明してもらわないとだめだと思うんですよ。

 その次のステップもそうです。硼酸を入れ始めているんだと思うんですね。それは、もう一回再臨界になる可能性があるんじゃないか、この温度の中でそういう状況になるんじゃないかということを懸念しているから硼酸を入れ始めているんです。それは温度がそういうふうに制御できていないという可能性がある、そういう理解だと思います。

 素人の私でもそれだけ心配をするんですよ。だから専門家の中では、もう少しわかりやすく、そうしたケースを一つ一つ分解してやはり説明をして、ここまで行ったときにはこういう対応ができるんだということも、やはり国民に対してははっきり言ってもらわないとだめだというふうに思うんですね。そこのところを、では大臣からお願いします。

海江田国務大臣 中川委員にお答えをいたします。

 中川委員、先ほどのお話で、一号機とそれから三号機についての御懸念がございました。一号機と三号機は状況が違っております。一号機は、先ほど中川委員がお話しになられ、そして班目委員長がお話をしましたように、恐らくこれは、地震そして津波、電源が喪失をしまして水も入らないというかなり初期の段階で炉心が溶融をしたということが、これは事実としてもう今明らかになったわけでございます。

 私どもは、はっきりした計器が読めなかったわけでございますから、想像で、とにかくやはり原子炉に事故が起きたときは水を注入して、そして冷やすことが一番だということで、この間二カ月余り、ずっと冷やしてきたわけでございます。そして、やっと人が入れる状況になって、そしてまず水位計が回復をしました。この水位計を見ましたところ、実は私どもが予想していたよりもはるかに低かった。

 それからもう一つ、委員が御指摘のありました温度計、この一号機の温度計というのは、御指摘のように、およそ百度ぐらいで、まさに冷温になっております。片一方で、この水位が低い、しかもその底のところの、圧力容器の底の温度がこれまた低い、通常三百度ぐらいというお話がありましたから、それから比べるとはるかに低いというところから、では一体炉心はどういう状況になっているのかということを推測しましたところ、恐らく下の方に固まっているんではないだろうかという状況でございます。

 その固まり方についても幾つか、いろいろな見方がございます。大きく一つにまとまっているのか、あるいはちいちゃく分かれて固まっているのか。

 しかし、今私どもができることというのは、やはり、引き続きまして水を注水して、水を注ぎながら温度を下げ続けていく、温度を現在のレベル、百度以下にとどめるということが今できることであります。

 そしてもう一つ、硼酸の問題がございました。これは実は三号でございます。三号につきましては、温度がここ数日上がっておりました。二百三十度、二百四十度、二百五十度と、ずっと上がる傾向にありました。ところが、昨日の午後に入りまして、その上がる傾向が実は下がってまいりました。昨日の夕刻、私も東電のオペレーションルームに行きまして聞きましたところ、二百三十五度まで戻ってきた、こういう傾向が落ちてきたということ。そして、まさに硼酸を入れましたのは、温度が上がっているときに、これは万々が一のことを考えまして硼酸を入れたということでありまして、一号はそういうことはもうやっておりません。

中川(正)委員 次に、二番目の懸念について質問に入っていきたいと思うんですが、さっきお話ししたように、本来は、この圧力容器の中の熱を循環させて抜くということが実現されて初めて本当の安定ということになるんだというふうに聞いています。ところが、これが、循環させるという機能が復旧していないために水を追加している、水を入れ続けている、それが漏れて格納容器の中に入り、また格納容器からも漏れて、それが周辺に拡散し始めているということですね。これは、注水すればするほどそういう形になって周辺に拡散する、これは水蒸気ということも含めて汚染水が拡散をしていくという状況が続くわけですね。

 これに対して、これは原子力保安院に確認をしていきたいというふうに思うんですが、どういうめどを立てているか。一つは、循環に切りかえていく、いわゆる循環という回路が復旧をしていくというめどが一つと、それからもう一つは、周辺に漏れ出しているというものをしっかりとめていくという作業、これがもう一つだと思うんですが、この二つに対してのめど、これを改めて説明していただきたいというふうに思います。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 一号機から三号機の原子炉につきましては、引き続き、燃料を冷却するために炉心への注水を継続することが重要と考えてございます。

 その一方で、御指摘のとおり、一号機の水位計校正後の原子炉圧力容器の水位、あるいは十四日に発見されました原子炉建屋地下のたまり水、あるいは二号機タービン建屋のたまり水など、原子炉に注水した水が流れている、漏えいしているということも想定されるわけでございまして、これまで、汚染水に関しましては、集中廃棄物処理建屋などへの移送を行いますとともに、水処理施設あるいは仮設タンクの増設などの準備を進めてきているところでございまして、こういったものを、準備作業、それから作業を急いでございます。

 そういったことによりまして、六月、七月、そういった時点におきまして、このような循環システムあるいは仮設タンク、そういったものができ上がり、汚染水についての課題が処理をされていくというふうに、今いろいろな作業を進めているところでございます。

中川(正)委員 大体いつごろまでにこうした状況を克服できるんだということ、これをあらかじめやはり目標として、あるいは手だてとして示していくということは大事なことだと思うんです。その大事なところがさっきの答弁の中で完全に抜けているんですが、これは大臣の方からお願いします。

海江田国務大臣 今の話をもう一回、ちょっとわかりやすくお話ししたいと思います。

 確かに、委員御指摘のように、当初、特に一号機は、フラッディング、冠水といいまして、水を圧力容器の上までとにかくまず真っ先に浸す、そうしますと、そこからあふれてだんだん格納容器に水が行って、そしてこの格納容器もいっぱいになる、こういうことを目指していたわけでございます。そして、格納容器もいっぱいになりますから、そこから今度は、そのいっぱいになった水を引っ張って、一度外に出して、そして外で除染をすることと除熱をして、そしてもう一度この格納容器の中に戻す、こういう循環型で除染をして冷やすということでございました。

 それが、水を満たすということができなくなりましたから、今度は、そのかわり、下の方に水がたまっておりましたから、下の方から抜いて除染をして熱を冷ましてまたもとへ戻す、こういうやり方をやろうということで、当初の目標は、やはりまず第一ステップは三カ月ということが目標でございますので、ここに合うように今一生懸命にやっているところでございます。

中川(正)委員 総理、先ほど申し上げたとおり、事態というのは最悪の状況を前提にして、それに対してこういう措置をしていますということ、そこから改善された形で、今こういう状況になってきましたという説明というのがやはり必要なんだろうというふうに思うんですね。

 さっきの議論の中でも御理解いただいたと思うんですが、今の状況は逆さまになっていまして、当初もくろみとして持ったものよりも事態が、開いてみたらもっと悪かった。これに対して、では次にどういう対応をしていくんだということの中でも、まだはっきりしない部分があるということ。これが一つのいら立ちと不安につながっているのではないかというふうに私は思うんです。

 そこのところを踏まえて、総合的に、これは、あらゆる知見といいますか世界の専門家の知恵を集めてこれからの対応というのをしっかり考えていって、最悪の事態でもこういう形のものができるんだということをやはり国民に示していくという必要があるかと思うんです。そのことを踏まえて、総理の総合的なこれからの対応、それをお話しいただきたいというふうに思います。

菅内閣総理大臣 今、大臣初めそれぞれの立場で説明がありましたが、私の理解も、もちろんそういう皆さんと基本的に共通しております。今、中川議員が言われましたように、ある段階までは、水位がはっきりしない中で、まだかなり水位が高い水準であるのではないかということを前提として、いわゆる水棺と言われるような形での対応が検討されてきたと理解いたしております。

 しかし、水位が非常に低い状況で、既に燃料棒そのものは溶解し、圧力容器の下部にたまった状態になっているという中で、ただ、私の理解では、幸いにしてという言葉は気をつけて使わなければいけませんけれども、最初の推定とは違ってはいたけれども、水を注入して冷やさなきゃいけないという意味では、当初の想定であってもそう考えられていましたし、現在かなり判明してきた状況の中でも、水で注入して冷却をするということが何よりも重要だ、そのことは、この二カ月間、全力を挙げてそれぞれやっていただいてきたと思っております。

 そういった意味で、今後の収束に向かっての手だては、状況がはっきりだんだんとわかってくる中で、手だてそのものは多少の変化があるかもしれませんが、これまでの二カ月間の冷却を中心としたやり方、確かにそれによって水が漏れたりとかいろいろな問題は生じておりますが、原子炉そのものを冷やして、最終的にはいわゆる冷温停止の状態に持っていくという努力においては、結果としては、ずっとやり続けてきておりますので、あすにも東電が、先月発表された工程表、いわゆる道筋について、改めてこの段階での改定といいましょうか、そういうものをされると聞いておりますし、また、それを踏まえて政府としても、そうしたことに対応してどのようなことを進めていくかということも、まとめて発表させていただきたいと思っております。

 そういう中では、私の理解では、ステップ1、ステップ2というのは、内容的には若干の変化があるかもしれないけれども、時間的には何とか当初の、三カ月程度でステップ1、さらに三カ月から六カ月、合わせますと半年から九カ月後に冷温停止になるという状況に対して、何とかその時間的な展望は変えないで進めることができるのではないか、このように思っておりまして、国民の皆さんにも本当に御心配をかけますけれども、そういう道筋で進めていけるように政府としても全力を挙げたい、このように考えております。

中川(正)委員 次に、避難をされた住民の皆さんに対する補償の問題、賠償の問題に入っていきたいというふうに思います。

 一家族百万円ということで仮払いが始まっております。これは住民の皆さんを中心にした仮払いでありますが、あと、農業だとか畜産あるいは漁業の従事者の皆さん、あるいはまた地域内に工場や商店を持って、避難をされて、後その継続をどうするかということで非常に困難をきわめておられる皆さん、あるいはまた雇用ということ、あるいはもっと言えば風評被害等々含めて、これについての仮払いというのが早期に必要だというふうに私は思います。

 東電として、いつこの手当てをするという計画に今なっているのか。できるだけ早い時期に住民の皆さんにはちゃんと知ってもらう、その上で生活設計を立ててもらうということが必要だと思うので、今すぐにでもひとつ仮払いをやっていただきたいという思いを込めて、いつやるのかという質問、まずそこから始めたいと思います。

清水参考人 お答えいたします。

 補償に関する仮払いのお話だと思います。

 まず、避難者への仮払いにつきましては、御案内のとおり、既に五月十三日の時点におきまして、約五万件の仮払いの請求がございまして、そのうち約一万件の振り込みが完了いたしております。引き続きまして早期の支払い完了を目指しているというのが現状でございます。

 それから、もう一点の、いわゆる農林漁業関係の方々を中心とする補償という問題でございますが、これも先般、五月十二日の政府の決定に従いまして、農林漁業者の方々の損害につきましては、五月末ごろまでに仮払いを開始したいということで、早急に農業協同組合等々の関係事業団体との調整を進めたい、こんなふうに考えております。

 また、中小企業者の方々もいらっしゃるわけでございますが、この分野は大変多種多様な業態があるということも踏まえまして、関係する中小企業団体等と協議を開始しまして、円滑な仮払いの実施に向けた仕組みを早急に検討してまいりたい、このように考えているところでございます。

 以上でございます。

中川(正)委員 これは今仮払いの状況ですから、これが最終段階までいこうということになると、非常に大きな資金、この手当てをしなきゃいけないということになると思うんです。

 東電としては、専門家によると二兆円規模に達してくるのではないかというような話もありますけれども、今どれぐらいで見積もっていられますか、同時に、どういう資金手当てを前提にしながらこの賠償金というのを払っていこうとしているのか、そこのことも含めてお話をいただきたいと思います。

清水参考人 今のお話は二点ございました。

 一つは、これからの金額の見積もりということだろうと思います。

 仮払いの総額につきましては、今回の農林漁業者の方々への仮払いは、四月までの損害にかかわる請求額の半分程度はお支払いしたいという予定でございますが、現段階では請求額そのものがまだ不明だということでございます。したがって、総額の見積もりは、現時点ではまだちょっと難しい状況と申し上げざるを得ないと思います。

 それから、もう一点の資金面でございます。

 現在、弊社は、原子力発電所の状態を安定化するための経費あるいは電力の安定供給を確保するための経費等が必要になっておるわけですが、借り入れや社債の発行による資金調達をするのが正直申し上げまして大変極めて厳しい状況になっておるということであります。

 言うまでもなく、私どもは、最大限、資産売却などの経営合理化を行うことによりまして資金を捻出したいと考えておりますが、大変多種多様な損害について補償を実施していくということになりますと、早晩、資金がショートして、公正で迅速な補償ができなくなる可能性もあろうかと考えております。したがいまして、先般決定されました国の支援の仕組みにつきましては、今国会での法律の成案をぜひともよろしくお願いいたしたいというのが私どもの思いでございます。

 以上でございます。

中川(正)委員 私もそこを非常に懸念しておりまして、東電の株自体も、いわゆる災害以前では二千五百円台といいますか、その辺にあったのが、現在は四百五十円台まで暴落をしていますね。社債発行ができるかといったら、それはマーケットではなかなか受け入れられないというか、調達できないということ。銀行も既に、民間銀行は共同で二兆円融資をした、それに加えてという話はなかなか難しい、そんなふうに伺っています。

 その上で、支援機構の話が今出ていまして、政府としてぜひ考えてもらいたいのは、この支援機構の中で資金繰りをやっていく、仮払いも含めて支援機構で資金繰りをやっていく、これはやはり早期に立ち上げて、その中で資金調達をしないと、今、東電の状況を見ていると、なかなか被災者の皆さんの状況に即こたえていくというところまでいかないんじゃないかという懸念が一つ。

 それからもう一つは、それを待っていてもなかなか間に合わないという思いまであるんです。それは、あとどんな手だてがあるかということをしっかり考えていただきたい。

 一つは、もう既に、保険制度の中で一サイト最大千二百億の資金が国から出されるということは枠組みで出ているわけですね。普通はこれを、資金を払った後、賠償を払った後、精算する形で、普通の考え方でいけば、後からこの資金は流れるんですけれども、そうじゃなくて、先にこれを流しておくというような手だてがないかどうかということ。

 それから、さらに言えば、この手だてを待っていてもまた時間がかかってくるんですよ。そうなると、本当に今、人生の再起を考えている皆さん方というのは、もう気持ちの整理ができない、あるいは次の段取りができないということ、これはもう当然そういうことだと思うんです。それに対して国が責任を持っていこうと思ったら、まず、例えば政策投資銀行あたりから臨時的にこの賠償資金の目的に限って東電に流すというようなこともできるんですよね。そういう手だて、環境というのが整った上で東電の方からしっかりとした対応をするということ、これが大事だと思うんです。

 総理、そういう総合的なことも含めてこの賠償に対する対応というのを即やる、今やれる状況にするということ、これがいわゆる国の責任だというふうに思うんですが、どうでしょうか。

菅内閣総理大臣 今、中川議員からおっしゃいましたように、仮払い、さらには的確な賠償が的確な時間的な中で行われることは特に重要だと思っております。賠償支払いは東電が基本的には行うものでありますけれども、原子力被害の被害者が迅速かつ適切に賠償が受けられるようにするということは、おっしゃるとおり最も大事なことであります。

 現在、そのスキームの大枠を提示いたしておりまして、また今、中川議員からおっしゃったように、場合によってはそうした政府関係の金融機関等の協力も得て、資金が適切な時期に迅速に仮払い等で支払われるよう政府としてもしっかりサポートしていきたい、このように考えております。

中川(正)委員 残念ですが、時間が来てしまいました。

 あと、大分取り残してしまいましたけれども、中部電力の浜岡発電についても、これは全体で需給バランスをつくらなきゃいけないということの中で、それぞれ今停止しているほかの地域、特に関電の原発についても、これがないことにはなかなか全体のバランスがとれないというふうなことの認識、これも確認をしていこうというふうに思ったんですけれども、そうした大局的な戦略というか、そういうものをしっかり構築しながら今回の災害については対応していくことが大切だということ、そのことを最後に申し上げて、終わりたいというふうに思います。

 ありがとうございました。

中井委員長 この際、城島光力君から関連質疑の申し出があります。中川君の持ち時間の範囲内でこれを許します。城島光力君。

城島委員 おはようございます。

 引き続きまして、東日本大震災、原発対応の集中審議に当たって質問をさせていただきます。

 民主党の城島光力でございます。

 大震災から早くも二カ月以上たちました。質問に当たり、冒頭ではありますが、犠牲になられました皆様方、心からお悔やみ申し上げますとともに、被災をされた皆様方には、これまた本当に心からお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 二カ月以上たちまして、総理も何回となく被災地を訪問されました。視察をされました。いろいろな方々との意見交換もされました。この二カ月以上たった現段階で、原発も含めてでありますけれども、今回の震災に対しての政府としてのこの間の取り組みについて、現段階での総括というのはどういう総括をされるのか、まずそこからお聞きしたいと思います。

菅内閣総理大臣 私も、被災各県あるいは避難されている皆さんを受け入れていただいた埼玉県などを含めて何度か視察に訪れ、また関係者といろいろな形でお話を聞かせていただきました。そういう中で、本当に、避難されている皆さんの厳しい生活の状況を見るごとに、一日も早く仮設住宅等安定した生活に戻っていただけるよう、さらには、原発被害の皆さんにとっては、いつもともとの住まいに戻れるのかといった、そういう強い希望を聞くに当たって、何としても、原発の事故の収束を急いで、それが可能になるようにしなければならない、このように痛感をいたしております。

 そういう中で、二点だけ申し上げますと、いわゆる地震と津波については、大変な被害の重大さはもちろんありますけれども、次第に、復旧から、自分たちの町を何とか復興していこう、漁業の関係者の皆さんなどは一日も早く漁に出たいという、そういう積極的な動きもあちらこちらに見えてまいりました。

 政府としてこの二カ月間を総括しろという御指摘でありますが、まだ総括には至りませんけれども、そういう皆さん方に対して、復旧から復興への道筋をしっかりと、そういう地元の皆さんの意見を酌み取りながらつくり上げていく、その段階に来ているのではないかと思っております。

 一方、原発事故については、今の、直前の議論にもありますように、なかなか復興というところまで行きにくい状況があるということを県の関係者も言われております。

 そういう意味では、一日も早い収束をまずはやっていく、それに全力を挙げるのが現在の政府の役目であり、まだ総括ということを言うことができるところまで来ていないということを申しわけなく思っております。

城島委員 確かに、総括という段階ではもちろんないというふうに思いますが、一つの大きな区切りとしての二カ月というのが過ぎたわけであります。

 今、総理もおっしゃいましたけれども、今回の地震、津波の被害については、その被災者の数あるいは面積、広さということが極めて甚大であるということ、さらには原発の事故ということも重なっているわけでありまして、この原発の被災者にとっては、まさに事態はまだ進行中ということもあります。将来の展望がなかなか描けない状況にあるというふうに思います。

 総理も今おっしゃいましたように、やはり特に原発被災者からすると、本当に自分の家に戻れるのかどうか、あるいは今までどおりの、例えば農業を含めてですけれども、仕事ができるようになるのかどうかというような不安が非常に強いんだろうというふうに思います。

 一時帰宅、あるいはきのうから計画的避難地域の避難ということも始まりました。特にこの原発被災者に対して、こういった不安に対して、総理からのメッセージというものをぜひ出していただきたいというふうに思います。

菅内閣総理大臣 原発事故に関連して、新たに計画的な避難ということで始まり、また一方では、警戒区域の中における一時帰宅ということも始まりました。そういう中で、先ほども申し上げましたが、やはり原子力事故そのものを収束させるということが進む中でより明確な今後の見通しが打ち出せると思っております。

 御承知のように、四月の十七日ですか、東電からの道筋が発表され、あすはそれのいわば改訂版が出る。それと並行して、政府としても、そうした避難の問題なども含めた工程表を、政府の立場での工程表もお示しをいたしたい、こう思っております。

 何としても、基本的には、当初の工程表にありました、四月十七日から考えて六カ月から九カ月で冷温停止をし、放射能が大幅に抑制される状況、安定状況をつくり上げ、そしてその段階で、いつまでにどの地域はお帰りをいただくことができる、あるいはどうしてもここは難しい、そういうことをお示しして、生活の展望を持ってもらえるように、何としてもそうした日程で物事を実現していきたい、全力を挙げてまいりたいと思っております。

城島委員 実は、私も何度か被災地に救援物資を届けながら訪問いたしましたが、五月四日に、二十キロ圏内に南相馬市長の御案内で入らせていただきました。

 そのときに一つ、市長からも要請がありまして、私もそうだなと思ったのは、例えば、二十キロ圏内というところで、まさに道路を挟んで百メーターもないところで、一方は二十キロ圏外、一方は二十キロ圏内ということで、道路を挟んで反対側はいわゆる工場再開に向けて準備中、一方、道路を挟んで中側のところはもう閉鎖の方向だ。余りにも対照的であり、道路を挟んでたった数十メートルぐらいのところでそういうことが起きている。ここは画一的な対応ではなくて、線量をはかるとか十分な分析の中で、ある面ではきめ細かな配慮であり対応ということがやはり重要ではないかなというふうに思うんです。

 ほかの部分についてもいろいろありますけれども、この二十キロ圏内の対応について、こういうことについては、自治体の首長あたりの意見も聞きながら、少しきめ細かな対応というのをぜひお願いしたいのでありますが、いかがでしょうか。

枝野国務大臣 避難を余儀なくされている皆さんには、大変厳しい生活をお願いしていることを改めて大変申しわけなく思います。

 二十キロ圏内につきましては、基本は、線量というよりも、万が一原発の状況が急激に悪化した場合の避難をしなければならない、それがいつどう起こるかわからないということが理由になっておりますので、線量等に基づいてというのは原則的には違うんですけれども、今御指摘いただいたように、大変、現場においてはさまざまな声が出てきていることは十分に承知をいたしております。

 一方で、じゃ、どこまでならいいのかというのはなかなか難しいところがございますが、地元の自治体の皆さんとも十分に御相談をしながら、現実的かつ安全はしっかりと守れるという線をどうやって対応できるのかということについては、御指摘のような柔軟性を持ちながら対応してまいりたいというふうに考えております。

城島委員 ぜひ、安全性を確保する中で、柔軟かつきめ細かな対応ということをしていただきたいと思います。

 それから、もう一つ、今回の津波、とりわけ今度は津波の影響で大きいのが、やはり職場ごと流されてしまったとか、あるいは漁業関係者でいえば船もなくしてしまったとか、いろいろ、再建というんでしょうか復興というんでしょうか、あるいは新たに職をつくるということも含めて、よく言う二重債務の問題というのが、この復興に当たって、個人個人の生活や職を確保する上においても前に立ちはだかっているんですよね、現実に。我が党内においても、この二重債務あるいは二重ローン問題という検討チームを立ち上げまして、今積極的に検討に着手したところでありますが、とりわけ大きいのは、やはり中小企業の事業者の皆さん、それから、個人でいえば住宅ローンを抱えた皆さんということだと思います。

 阪神・淡路のときも大被害でありましたが、今回さらに比較して特殊なのは、職場がほとんどなくなってしまったというところが非常に多いということだと思うんですね。何とか復興したい、あるいは再建したくても、返済の当てがないというのは、将来に対する、立ちはだかっているまさに一番大きな問題だというふうに思います。

 この二重ローン問題、二重債務問題について、政府としてもぜひ前向きに検討していただきたいわけでありますが、現状、どういう検討になっているかをお尋ねしたいと思います。

海江田国務大臣 城島委員にお答えをいたします。

 確かに、委員御指摘のように、この二重債務あるいは二重ローンの問題は大変大きな問題と私どもも認識をしております。

 そして、現状のお尋ねでございますが、一つは、これまで借りておりますローンについては、リスケジュール、条件変更を大幅に認めようということでございます。できるだけ返済期間を長くするということが中心でございますが、これが一つ。

 それから、新規に借りますローンについては、これはできるだけ長期にわたって、しかも金利をできるだけ低くしようということでございます。そのうちの一つで、福島県の御協力をいただきまして、震災の被害者の、特にこれは原子力災害の被災の方向けでございますけれども、金利をゼロにしようということも今検討しているところでございます。

 それから、これは菅総理からの指示もございまして、そうはいうけれども、これはやはり二つのローンが残ることになるから、さらなる工夫がどうだろうかということで、その点につきましては今種々検討しているところでございますが、一つは、中小企業基盤整備機構の再生ファンドなどもございます。ただ、もちろん、この中小企業基盤整備機構の再生ファンドには民間の資金が半分入っておりますから、そういう調整の難しさもございますけれども、ありとあらゆる手法を講じて何とかならないかということを今検討中でございます。

城島委員 やはり、現実的に自分がその立場になったら、これはもうとてもじゃないけれども大変ですよ。よく言われるように、ゼロからの出発じゃなくてもうマイナスからの出発になるわけですから、少なくともゼロぐらいからのスタートにさせていただきたいというのは、恐らく私がその立場でもそういうふうに思うと思いますよ。特に今回のは、こういう事態によってそういうふうになっているわけですから、ここは相当な配慮をしても国民的な理解も得られると思います。

 私も、先ほど言ったように、何回か被災地に行ったときに被災されている皆さんとの話の中でいろいろなことを言われましたけれども、例えば、こういうことに関して言うと、漁業関係者ですけれども、大地震が来た、大津波警報が出た、仲間の半分ぐらいは高台へ逃げた、自分は何人かの仲間とともに、自分なりに言うと莫大な借金をしてつくったばかりの船だ、これを守りたいというので一心に船に向かって走っていって、船に乗ったと。その後の話もすさまじい話でありましたけれども、辛うじて命は助かった、奇跡的だ、だけれども、その船はやはりもう使えない、しかし、自分としてはやはり、ここまでやってきた漁業でもう一度人生再スタートしたいと。

 聞きながら胸が締めつけられるような話でありましたけれども、やはりそういう方々というのは本当に多いと思うんですね。ですから、今、海江田大臣おっしゃいましたリスケの問題とか長期金利の問題というのは、ぜひそうしてほしいんですけれども、あわせて、やはりゼロになるぐらいのところを何らかの形で、いわゆるマイナスのスタートではなくてゼロからのスタートになるような配慮をいろいろな形でしていただけないかなと思います。

 例えば、土地を国が買い上げるとか、あるいは中小企業ですと公的機関の資本注入をするとか、それから、今おっしゃったように、金利が実質ゼロになるようなことは大変いいことだと思いますけれども、さらに、既存債務それから新規債務を合わせた超長期についての、長い期間、例えば十年ぐらいは猶予するとかいうことを含めて、やはり総合的に借り手の立場に立ってこれを検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

海江田国務大臣 今の御意見を承りまして、政府内で本当に真剣に議論をしてまいります。そして、できるだけ早くですね。

城島委員 ぜひ、そういうふうにお願いしたいと思います。

 その方が言った言葉、いまだにあるんですけれども、原発の事故で専門家等がこれは想定外だったと言うんだけれども、本当に想定外の人生は我々なんだ、全く想定できなかった人生を歩まざるを得ない、しかし我々はそこから逃げることはできないんだという言葉は本当に胸にしみまして、これから私も想定外というのはもう絶対に使うまいと思った次第であります。

 ぜひ、経産大臣、そういう人たちの人生にとって、前向きに、あすに向かっていけるような対応を、個人も含めて、事業主を含めて検討をお願いしたいと思います。

 それから、あえてもう一つ、特に原発の二十キロ圏内というのが中心の問題意識でありますが、今回、全体の災害に対してですけれども、動物の救助、救済というのが一つ大きな課題であったし、課題であろうというふうに思います。

 これについて、ペットやあるいはいわゆる家畜を含めた産業動物ということを私なりに全体を見ますと、被災地全体からすると、民間のボランティアの皆さんやNPO法人の皆さんを含めて、とりわけペットについては、全体的には、そういう方々の御努力もあって、比較的順調に救助が進んだかなというふうに思っております。

 こういったことを含めて、全体的なところについての総括を環境大臣及び農水大臣から承りたいと思います。

松本(龍)国務大臣 お答えいたします。

 城島委員には、一番に、家畜やペットのことで、人間と動物のつながりということで声を上げていただいたことに、敬意を表したいと思います。

 警戒区域は、安全上のリスクから、住民の皆様の生命身体の危険防止の観点から、原則として立ち入りが禁止されております。この警戒区域にお住まいであった方は着のみ着のままで避難をされており、かなりの数のペットが取り残されていると承知をしております。家族同様の存在であり、また心のよりどころということもあって、ペットを救い出してあげたいとのお気持ちはそれぞれにあって、私どもも、毎日のようにさまざまな方々からお話をいただきました。

 これにつきましては、原子力被災者生活支援チームと協議を重ねてまいりまして、その結果、先ほどからお話がありますように、五月十日の住民の一時立ち入りと連動して、環境省及び福島県が合同で保護活動を開始したところであります。

 具体的には、一時立ち入りをした住民が玄関先等の屋外にとめ置いたペットについて、環境省と福島県が回収をして、スクリーニングを行いまして、必要に応じて除染等を実施して警戒区域外に持ち出しております。別途緊急に保護した放浪ペットを合わせれば、現在までに十八頭保護をいたしております。

 また、これに先立ちまして、四月の二十八日から五日間、福島県が実際に同区域に立ち入って調査等を実施し、緊急的な対応が必要であった三十頭近くのペットを保護しました。これも、環境省も初日の調査に同行いたしました。

 いずれにしましても、今後も、住民の一時立ち入りが本格化をしてまいりますので、これと連動したペットの保護活動が円滑に行われますように、関係者と協力をしてまいりたいというふうに思っております。

鹿野国務大臣 この原発事故発生後におきましては、作業者の方々にこの圏内に立ち入っていただくというふうなことは、二次災害というようなリスクもやはりどうしても考えなければならない、このようなことから、なかなか思うようにいかなかったということもございます。

 そういう中で、四月の二十二日、警戒区域が設定されたということで、苦渋の選択でございますけれども、安楽死という方法により処分をすることにいたしたわけであります。

 このことは、農業者の方々の気持ちを思いますと本当に胸が痛む思いでございますけれども、これからも、農業者の方々、関係の方々の御理解をいただく中で進めていかなきゃならない、同時に、私どもといたしましては、そういう方々の賠償問題につきましても全力を挙げて取り組んでいかなきゃならない、このような考え方に立っているところでございます。

城島委員 今回、全体的には、いわゆる二十キロ圏に入らないところについては牛も豚も移動がかなりされたなというふうに思いますが、今私も御指摘した二十キロ圏内については、大変問題が多かったし、まだ依然として問題があるというふうに思っています。

 この二十キロ圏内ということに限って言いますと、国内はもとより、私のところには海外からも厳しい意見というのは段ボール箱一杯ぐらいになっておりまして、これはやはり国際的にもきちっとした対応をこれからもとっていく必要があるんじゃないかというふうに思います。

 例の世界獣疫機構、OIEの、昨年ですか、採択されました家畜の福祉に関する基準ということからしても、ここの部分についての適切かつ動物の福祉に合致したような対応というのは国際的観点からも求められるところだと思いますが、今回、私なりに調べてみますと、原子力災害対策特別措置法の中に、動物、ペットや産業動物を含めたものに対する保護規定というのがないんですね。これは、抜けていたというところが、対応を非常におくらせてしまった一つの大きな原因だと思うんです。政府にもなかったし、さらには、県の中でも調べてみますと、ないんです。一体これはどう対応するかということに、そのために随分時間がかかってしまっているなというふうに思います。

 私なりに結論を申し上げますと、今回、私ども、二十キロ圏内に入りまして、かなりつぶさに産業動物の実態も見てまいりました。そうしますと、やはり、残念ながら、現状からいうと、かなりの産業動物については、今回政府が指示を出されましたように、所有者の同意の中で安楽死をするということが、いわゆる愛護や福祉の観点からも必要だなという感じはします。しかし、必ずこれは安楽死という行為をとっていただきたいし、今おっしゃいましたように、所有者については経済的な補償というものをきちっとしていただくということだと思います。

 ただ、もう一方、私も実は、二十キロ圏内、努力をしまして、いわゆる学術的な見地とか公益的な見地からさらに見てもまだ何とかこれは生かしていくことができるというものについては、やはり、救済する、生かしていくという観点もぜひ重要だろうというふうに思うんですよ。

 今回、南相馬の市長なんかを含めて、これについても、先ほどの画一的なことじゃなくて、やはりそういう観点に立って、例えば放射線の与える影響を長期的に観察していくという、簡単に言えば、そういう学術的な見地というのも、専門家から見ると非常に価値がある。今までほとんどだれもやっていないということもありまして、そういうことで生かしていく、あるいは命を守っていくということもあってもいいんじゃないかと思うんですね、画一的じゃなくて。

 これは、まさに地元の中でも、そういうことで何とかやっていこうということがありますから、ここもぜひ、そういう観点も含めた自治体、地元の要請を受けとめていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

中井委員長 鹿野農水大臣。時間が来ていますので、短く頼みます。

鹿野国務大臣 南相馬の関係の方々からも御要望をいただいておることでございますけれども、今委員が申されたとおりに、学術研究目的そして公益性、そしてまた、しっかりとスクリーニング検査を行って除染をすること、あるいは大学等の研究機関がしっかりと監視すること、あるいは研究以外の家畜生産及び食用には利用しないこと等々の条件を満たすというふうなことを含めて、具体的な形で対処してまいりたいと思っております。

城島委員 ありがとうございました。

中井委員長 これにて中川君、城島君の質疑は終了いたしました。

 次に、田中康夫君。

田中(康)委員 与党統一会派の国民新党・新党日本の田中康夫でございます。

 先ほど来の質疑を聞いておりますと、とりわけ東京電力の清水正孝さんのお話というのは、いささか抽象的で、隔靴掻痒という気がいたします。

 精神論で、精いっぱい頑張ると言いますけれども、恐らく被災地の方々は、これ以上何を頑張れというのだと。むしろ私は、頑張るという、こぶしを上げるのではなく、踏ん張るという、おなかに力を入れて一緒に行うという精神が必要であろうと思います。

 まず、官房長官の枝野幸男さんにお伺いいたします。

 五月十二日の会見で、一般的に思われている損害額の範囲なら、いわゆる電気料金とか税金とか直接使われることなく、東電とステークホルダー、いわゆる株主と銀行の自助努力の範囲で賠償資金を出す、このように御発言されましたが、これでよろしゅうございますか。

枝野国務大臣 残念ながら被害の総額について、まだはっきりとした見通しが立てられている状況ではございません。

 しかしながら、その範囲が一定程度におさまるのであれば、今回内閣において決定しましたスキームの中で、今御指摘いただいたように、電気料金等に転嫁をせずに、一定の年月をかけてそれに相当する部分の負担をステークホルダーの御協力含めて出すことができるというふうに考えております。

田中(康)委員 被害総額というよりも、まず東京電力の資産というものをデューデリジェンス、資産再評価するという動きが一向に見えないというのがけげんでございます。

 あるいは、だからかもしれませんが、枝野さんが今の御発言をされた翌十三日の金曜日、不吉な日でございますけれども、この日に資源エネルギー庁が開いた論説委員懇談会で、あなたの発言に対して細野哲弘長官は、はっきり言って今さらそんなことを官房長官が言うなら、何のために今回の賠償スキームをつくったのかという気分ですねと答えているわけです。出席した論説委員が証言いたしております。

 あなたは、枝野さんは、基本的に電気料金の値上げによらずに賠償資金を出すと。すなわち、賠償負担を電力料金、税金に転嫁させない、東京電力の自助努力で最大限賄わせると。しかし、現実的に今示されているスキームというのはそれとは対極にあるということを資源エネルギー庁の長官みずからが論説委員懇談会で述べているわけでございます。つまり、我々は東京電力と株主と銀行の利益を守るために今回のスキームをつくったと述べているに等しいわけですね。

 実は、問題が起きて、その負担を国家や国民に回すならば、それは資本主義ではないという発言をされている方がいます。私は、非常にこれに全面的に同意をいたします。これは、脱原発へと方針を再転換されたアンゲラ・メルケル首相のもとで原子力政策を再検討するドイツ政府の諮問委員会の委員を務める社会学者のウルリッヒ・ベックさんが、日本の不可解な対応に関して朝日新聞に述べた発言です。

 すなわち、自由主義経済の私ども、資本主義国家にあるわけです。資本主義をよりよくする改善は必要であります。しかし、その日本の、東京電力という一企業をめぐって、強きを助け弱きをくじく、いわば国家社会主義的な無責任なその場しのぎの取り繕いへと逃げ込むのでは、これは、私ども日本は法治国家ではないと思います。

 枝野さんは、先ほどの、一般的に想定されている損害額の範囲内においては国民負担にならないとおっしゃいました。では、具体的にその想定されている損害額の金額の範囲というものをお示しいただけますか。

枝野国務大臣 今具体的な数字を申し上げますと、逆にそれを超えたらどうなるのかという議論になります。私は、今いろいろなところで実際に被害が生じています。この被害が拡大をしないように、できるだけ小さくおさまるようにということについて、国の責任で最大限の努力をさらに進めてまいらなければいけないと思っておりますが、今いろいろなところで生じている損害等の範囲内であれば、御指摘をいただいたとおり、デューデリジェンス等をしっかりと進めていくことによって、電気料金や税金等に、少なくともそれに相当する金額を、企業そしてステークホルダーの努力によって出すことはできるというふうに考えております。

田中(康)委員 では、そのデューデリジェンスをいかなる工程で、いつどのようにだれが行うのかということが今回同時に示されなければ、国民は疑心暗鬼なのではないかと私は思うんですね、東京電力がどれだけ支払い能力があるのか、どれだけ債務を抱えているのか、どれだけキャッシュフローがあるのかと。

 これは、東京電力という会社は地域独占企業体でございますから、複数企業が競争する航空会社や電話会社あるいは自動車会社と違うわけで、今この瞬間も毎月何千億円もの現金収入が保証されているわけです。関東の方々がいかに節電をしても、あるいは電力が無計画停電になっても、北海道電力や関西電力から電気は買えないわけでございますから。すなわち、デューデリジェンス、資産調査というものを行う、そして東電の現在の資産保全というものも行わなければ、これは私は国民の理解は得られないと思っております。

 日本航空のときも、当時、国土交通大臣であられた前原誠司さんが示されたスキームというものは、私は現在でも納得はいたしてはおりませんが、賢明な選択ではなかったと思っておりますが、いやしくもナショナルフラッグキャリアといって日本の国旗を掲げていた航空会社が、資産再評価によって上場廃止を行い、OBを含む方々の年金というものを切り下げ、そして多くの方々も退職されたわけです。東京電力はどうですか。同じとらの子の株を持っていらっしゃるというけれども、日本航空を持たれていた方々も信用して持っていたわけです。

 私どもは、資本主義というのは冷徹な、冷酷なのではなくて冷徹なものでございます。自己責任があります。では、この債務超過で、ある意味では東京電力は私は今や倒産している企業だと思います。これは私どもの会派の亀井静香も同様の見解でございます。ところが、一般社員のボーナスを半減するといいますけれども、この平均で、ボーナスが半減されても一般社員の平均が四十万円ということは、これは被災地の方々はなかなか納得しないと思います。

 私は、やはりきちんと減資を行う、一〇〇%仮に減資を行えば、数兆円の規模に少なくともなります。あるいは、電力会社の社債というものは、電力事業法の三十七条で優先弁済が保障されておりますから、社債市場がこれで崩壊することはないわけでございます。同時に、現在、膨大なごめんなさいという謝罪CMを流しております。それもめぐり回って経済効果だとおっしゃる人もいますが、恐らくこれも何百億円もかけているわけですね。私は、やはりこういう形を、すぐに今、いつどのようにデューデリジェンスをだれによって行っていくのかということを示さないといけないと思っております。

 と申しますのは、今回の原子力発電所のメルトダウン、炉心溶融というものは、地震と津波の被害国であります日本が、放射能の拡散で世界に対する加害国日本となってしまったという、ゆゆしきことだと私は思っております。そして、これは範囲も濃度も蓄積も変幻自在な、まさにウイルスのような放射能という見えない敵との闘いは、まさに同じく全世界に拡散するテロとの闘い同様、終わりなきものだと思っております。

 先ほどの、ドイツの社会学者でありますベックさんの発言を引用させていただきますが、通常の交通事故や爆発事故というのは、痛ましい犠牲者の方々を生んだとしても、被害は一定の場所、一定の時間、一定の社会グループに限定されます。しかし放射能汚染は異なるわけでして、あるいは社会的にも地理的にも時間的にも際限ない。これはまた陸上だけでなくて海上にも及ぶわけですから、あえて申し上げれば、水俣病やイタイイタイ病をはるかに超える、日本国民と全世界の方々への加害者に私たち日本はなりかねないということです。

 そうなると、最大のいわゆる風評被害の発信者は、正確な情報を出さないものなのではないかという疑心暗鬼な状況に国民はなっていると私は思うんですね。今のところは大丈夫という大本営的な発言というものは、結果として国民を奈落の底に落としていくのではないかというふうに思っております。一次情報を国民にそのままダイレクトに伝えると国民が混乱すると言うかもしれませんが、私は、むしろ混乱しているのは、専門家を自任している専門ばかの方々が、ある意味では国民から非常に、あえて言えばやいばを突きつけられている、このままの状況を放置すると、まさに日本という社会が、それをどうにかしなければと、法治国家であるのりを越えたような、よい意味での超法規ではないような社会になりかねないと思っております。

 今示すべき工程表というのは、ですから、私は、東電の救済でもなければ、ある意味では住民補償という目先の金額の話ではない、すなわち被災地の方々の工程表なのではないかと思っております。

 私どものこの日本は、ある意味では、被曝をした土地というのは、放射能によって汚染されたのではなく、私は、いわば占領されたような領土ではなかろうかと思っております。その占領された領土をどのようにするのか。(パネルを示す)

 意職住というのは、まさに寒さをしのぎ、飢えをしのぎ、夜露をしのぐという衣食住ではなく、職業と住まいを得て初めて私どもは意欲がわくわけでございます。これは阪神・淡路大震災のときにも大変に感じました。

 ですから、ある意味では、菅さんにお尋ねしたいんですが、例えば何十キロ範囲の方々は強制的に疎開をしていただく。しかし、その間、意職住を得られるために、職業ときちんと住まいを提供する。そして、正確に計測をして、きちんと定めた基準値を下回ったならば、その場所にもう一度戻っていただく。私どもの広島や長崎も、今、平和都市国家であります。こうした具体的な補償の金額ではない工程表を示す必要があると思いますが、菅さんの御決意のほどをお聞かせください。

菅内閣総理大臣 四月の十七日に東電から一つの工程表が示されまして、あす、五月の十七日にこの改訂版が出されることになっております。

 それと同時に、政府としても、これから、避難されている皆さんなどについて、どういう段階ではどのようなことが提案できるかといったことを含めて、政府としての工程表も同時にお出しをしたいということで、今準備を進めております。そういう中に今御指摘の問題も相当程度含まれると思っておりまして、そうした形で、今後の生活再建の展望をできるだけ持っていただきやすくできるよう、政府としても、できるだけの情報を公開すると同時に、そうした見通しも含めて提示をしていきたい、こう考えております。

田中(康)委員 義援金と呼ばれるものは、一説には千六百億円、二千億円近く集まっているとも言われております。前回、四月二十九日の予算委員会でも申し上げましたが、何カ月か後の三十万ではなく、今の十万でございます。これは、きのうの読売新聞で自由民主党の小野寺五典さんも同様のことを述べております。

 私は、ですから、前回もベーシックインカムということを申し上げました。やはり世帯単位ですと、二人家族と五人家族では全然イニシャルなお金が違うわけでございます、必要なお金が。私は、被曝の土地だけでなく、被災地全体の方に、例えば半年間、毎月十万円ずつきちんとベーシックインカムを渡していく、そのことによって、避難所から自立的に出て、そして職を得て住まいを得ていただけるということにつながる、このように思っております。

 先週の十三日の金曜日に公表された「東京電力福島原子力発電所事故に係る原子力損害の賠償に関する政府の支援の枠組みについて」という大変長い文言のものですが、これは閣議決定ではないわけですよね。すなわち、原子力発電所事故経済被害対応チーム関係閣僚会合決定であるということは、この内容というものは、閣議決定ではございませんから、まさに全面的に修正変更可能であるということだ、このように私は認識しておりますが、それでよろしゅうございますか。

海江田国務大臣 私は経産大臣でございますが、経済被害の特命も総理からいただいておりますので、その立場からお話をさせていただきます。

 確かに、田中委員御指摘のとおり、先日決定いたしましたのは関係閣僚会議の中での決定でございます。これから、当然のことでありますが、法案にしなければならないところでございます。その法案に先立って閣議決定が行われるものと思料しております。

田中(康)委員 きのう発表された共同通信の調査では、電力料金値上げ反対が六六・五%、賛成は二九・八%であります。あるいは、原子力発電所を削減すべきという方が五三%、今のままでこれ以上新設すべきでないという方が三八・五%ですから、すなわち九一・五%の方が、原子力発電所はいずれ廃炉にもなってまいりますから、これをエネルギーシフトすべきだとおっしゃっているわけです。毎日新聞の調査でも、ほとんど同様でございます。

 そのためにも、今回の問題というのは、恐らくこの後、塩崎恭久さんも御提言になられるかと思いますけれども、きちんと調査権のある議会においてデューデリジェンス、及びそうした第三者機関を設けて、この問題というものをきちんと調査するだけでなく具体的に提言をしていく形が私はとても必要であると思っております。

 同時に、先ほど何か、私は東京電力の批判をしたわけではございません。皆様、資本主義というものも生き物でございます。石炭の会社も産業転換をしてきました。化学製品の帝人や旭化成や東レも、さまざまな事業本部をつくって、よい意味でコンシューマーオリエンテッドで変わっていったわけでございます。

 御存じの、旧日本合成ゴムという会社がございます。JSRという会社です。一九五七年ですから、私が生まれた翌年の昭和三十二年に設立された、国が株式の四〇%を持っていた国策会社です。しかし、この会社は現在、皆さんも御存じのように、合成ゴムから多くの半導体あるいはファインケミカルという形で、今はJSRという会社へと変わっていっております。

 あるいは、例えば、先ほど引用した毎日新聞や皆様がお読みの文芸春秋も、経営危機に陥ったときに新社というものを設けました。旧国鉄も、清算事業団を設けてJRにして行ったわけです。

 なぜ、東京電力というその箱の枠組みだけを維持しようとするのか。しかし、その中で日本の国家が衰退したり、国民が奈落の底に落とされるのでは、これは私は大きな間違いだと思います。先ほど申し上げたようなデューデリジェンスのもとでスキームをつくり、そして新旧の会社に分けるというような形において行うということが、私はとても大事なことなのではないかと思っております。

 今、こちらに「「新しい方程式」の創出」と書きました。今までの二十世紀はいわば、大変生意気を言いますが、科学を信じて技術を疑わぬ社会であったと思います。しかし、私たちは、二十一世紀に入ったという節目だけでなく、科学を用いて技術を超えるということが必要です。

 暗黙知という言葉がございます。恐らく今まで確率論で、原子力発電所は安全であると言っていた。しかし、起きた場合に、これは収束不可能なものだということです。テロと同じであって、テロリストと同じで、戦争と違う。まさにウイルスだということです。バクテリアではないということです。

 暗黙知というのは、皆様御存じだと思いますけれども、科学者でありそして哲学家でもあったマイケル・ポランニーという者が、数字やあるいは確率では示せないけれども、五感を持った、脳を持った人間が、これを危ないとか、これはやろうと思うということです。私は、先ほどの世論調査の数字というものも、ある意味ではそうしたものではなかろうかと思います。

 そして、先ほどのドイツのウルリッヒさんの話によると、今後、他国が原子力にこだわるなら、むしろそれは、ドイツが新しい代替エネルギー市場で支配権を確立するチャンスなんだというふうに述べております。

 ですから、先日、四月二十日に日本経済新聞が示しましたが、ドイツは、二〇五〇年までに八〇%を再生エネルギーにかえていこうと。イギリスも、二〇二〇年までに、あと十年で七千基の風車を設けて、三分の一をこれで賄おうと。あのフランスという原子力大国とて、二〇二〇年までには二三%を再生可能エネルギーにかえていくという指針を示しているわけでございます。

 私は、やはりこのような形が、今度のブルターニュのドービルで行われるサミットにおいても、菅さんがきちんと示す必要があるのではないか。でないと、浜岡原発も二年後に防潮堤ができたら再開するということでは、逆にこれは現状維持、現状追認のステータスクオであります。菅さんが、今度のサミットにおいて、原子力で世界の加害国となった日本がどのようなエネルギー方針をとるのか、この御所見をお聞かせください。

中井委員長 時間がありません。

 これにて田中君の質疑は終了いたしました。

 次に、塩崎恭久君。

塩崎委員 自由民主党の塩崎恭久でございます。

 きょうは、幾つかの問題について、主に菅総理を中心にお話を聞かせていただきたいと思っております。

 まず最初に、私の方からも、今回の大震災、津波でたくさんの犠牲者が出てしまいました。心からお悔やみを申し上げ、そしてまた、十一万人を超える方々がまだ避難生活をされているということでありますので、本当に心からお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 さて、先ほど来、被災地の現状についていろいろとお話が出ました。総理も、五月十日の記者会見でも、連休に現地に行かれていろいろお話を聞いてきた、そのときに、もとの生活に戻りたいという切実な声をお聞きになって、御自身も、一日も早くもとの生活に戻れるように一層の力を注がなければならない、こういうふうに記者会見で言っておられて、そのとおりだろうというふうに思いますが、総理は、さきに私どもも最終的には賛成をいたしましたが、一次補正、これで十分だというふうにお考えでしょうか。

菅内閣総理大臣 大震災が発生以来、当初は、予備費等を使って、この問題に必要な緊急の財政需要に応じてまいりました。そして、五月の二日に、御党も含め、すべての賛成をいただきまして、第一次補正、約四兆円を少し超える規模の補正予算を組ませていただきました。

 よく承知のように、これによって、瓦れきをまず撤去する、あるいは仮設住宅をつくる、そういうことが行われるわけでありまして、それぞれ瓦れきの処理や仮設住宅の建設も八月あたりをめどにということで推し進めておりますが、瓦れきそのものはもっと時間がかかるのではないかと思っております。

 そういった意味で、当然、次の段階での第二次補正ということは必要になりますけれども、現時点で、この第一次補正の中でやれることをしっかりやっていくことが重要であると考えております。

 そして、次の段階については、今、例えば復興構想会議でも議論をいただいていると同時に、それぞれの被災地の自治体、県なども、例えば七月ごろとか八月ごろに復興計画を出したいといったような、いろいろなスケジュールを出されております。そういった意味では、そういった地元の意見もしっかり踏まえながら考えていく必要がある。余り拙速に過ぎるのも、逆に復興という大きな事業にとって気をつけなければならない、こう考えております。

塩崎委員 何度も現地に行かれている割には、全く現状を理解されていないと言わざるを得ないというふうに思うんですね。

 私も、今回質問に立たせていただくに当たって、前回の集中審議で質問に立ちました小野寺さん、秋葉さん、吉野さん、江渡さんにもう一回改めて最近の状況を聞いてみましたけれども、何しろ共通しているのは、遅い、そして足りない、こういうことでありました。

 例えば、気仙沼の大島という島が離島であります。ここは、もうフェリーがやられてしまって、十人ぐらいしか乗れないような船でずっとやっていた。したがって、復旧をするにも車も渡れないということで、四千人住んでいらっしゃいますけれども、非常に困っていた。政府に何度もフェリーを何とかしてくれと言ったけれども、全然うまくいかない。結局、私にちょっと話があって、私がつないで、実はシビックフォース、あるいはピースウィンズもやっておりますけれども、大西君というNGOの人に私からも相談をいたしましたら、早速江田島のフェリーを手配して、二日でそれの決着をつけて、そして二週間後、四月の六日にそれを決めて、気仙沼市に貸与するということを決めたわけでありまして、今もう既にこのフェリーが動いているということであります。

 ただ、片道四百円かかる。往復で八百円。実は今、このシビックフォースというNGOが半額持ってくれて、これを四百円で済ませていますけれども、仕事はない、しかし通わないといけない、その人たちが毎日四百円を払って行っている。こんな予算も実は一次補正には入っていないんですね。こういうことを小野寺さんからもお聞きをいたしました。

 それから、ちょっとパネルをお願いしたいと思いますが、我々は、一次補正の際に要望を大分出しました。その際に入れてくださらなかったのが上半分のこの項目であります。ごらんのとおりであります。さらに、我々が現地あるいは被災地の代議士あるいは国会議員の話を聞いて必要だと思うのが、その下の方に書いてあるものであります。

 特に、例えば被害者生活再建支援金の話、先ほどもちょっとお話が出ていましたけれども、これは多分、総理はもうとっくに払われていると思っていると思うんですね。しかし、これは全然違っていて、例えば気仙沼でも、ようやくきょうから受け付け。きょうから受け付けですからね。それで、七月以降の振り込み。ですから、さっき田中代議士からもお話がありましたように、全く現金が手元にないという状態。おまけに仕事がないわけですから、もちろん給料も入ってこない。

 そういう中で、仮設住宅が仮にできたとしても、所得がない、お金がない中で、だったら体育館にいて、食料が配付される方が、仮設住宅に入れば、食費も光熱水道費もすべて自賄いをしなきゃいけない、自分で払わなきゃいけないことになるわけでありますし、そこにございますように、例えば瓦れきの処理も、まだ一次の補正では六割ぐらい。

 それから、中小企業の再建支援、これはさっき城島さんからもお話があったと思いますけれども、こういうものの助成というものも何も入っていない。鉄道の復旧もない。

 それから、阪神大震災のときには、二カ月半で復興基金が六千億円規模でできました。しかし、いまだにこれができていない。きずな基金というのを谷垣総裁が提案していますけれども、こんなものもできない。

 それから、原発の賠償の仮払い、これも東電がちゃんときちっとやっていただき続けられればいいですけれども、農林水産業以外の商工業、これについてはまだ何も決まっていないように聞いているわけでありまして、それから、これからまちづくりをしようと思っても、境界のくいが流れてしまっている、地図整備も必要だ、こういうことであろうかと思うわけでありますけれども、どうもお話を聞いていると、二次補正をやらずに六月二十二日に国会を閉めるというようなお話を聞いているわけでありますが、よもやそのようなことはない。

 今申し上げているのは、菅総理も復興ということをおっしゃいますけれども、必ず二次補正は復興よりももっと前にやらなきゃいけない、緊急対応も、そして復旧の予算も全然足りていないということを御認識なさっていないのが最大の問題であって、それで、みずからの政権の維持のためでしょうか、六月二十二日に国会を閉じるかのような話が伝わってくるのは、これは被災地に対して本当に失礼な話であって、通年国会という提案が大分出ていますけれども、私は、それをやり続けて、一日も早く復興の手前の二次補正をやらなきゃいけないと思いますが、総理、いかがですか。

野田国務大臣 まずは、今の復旧型の第一次補正予算の着実な執行が必要だというふうに思っていまして、委員も御指摘のとおり、瓦れきの撤去は全体でまだ六割という予算であります。この瓦れきの撤去が終わらないと本格的な復興というのはできない部分があると思いますし、鉄道云々というようなお話もございましたけれども、復興構想会議で青写真を出してもらったり、何といっても、被災地の皆さんから自主的にいわゆる復興計画を出そうという動きがあります。

 そういうものを踏まえて予算措置をとっていくということが大事だと思いますが、ただ、委員が御指摘のとおり、単に復興型だけではなくて、一・五次予算的な復旧も含んだものは入るかもしれませんが、それも御党の御提言等も含めて対応していきたいというふうに思います。

菅内閣総理大臣 今、財務大臣の方からもお話がありましたように、必要な財政措置はとらなければならないのは当然だと考えております。現在、五月二日に第一次補正を成立させていただきましたので、私は、相当程度のことはこの第一次補正でできると思っております。

 現在、塩崎委員の方から、復興までいかない前に、その間をつなぐようなものが必要ではないか、そういう御趣旨のお話がありました。私は、その部分が本当にあるのか、本当に必要なのか。そういうものは、もちろん、いろいろな手当てが可能であります。

 国会を閉じる閉じないという話と、私は本当に、私たちは次は復興のための大型の補正予算ということを想定しておりますが、その場合には、本格的な復興をどうやって進めていくかという、例えば、今、鎮魂の森をつくろうといったような提案も出ておりますが、それではどの地域にどういうものをつくっていくのかということの提案をそれぞれの自治体等から出していただくためには、やはりそれなりの地元の議論が必要になりますし、そういうことを含めてしっかりと、本当に緊急に必要なものなのか、あるいは、しっかりした議論をした上で計画を立てていくべきなのか、そういうことを念頭に置いて国会のあり方については考えてまいりたいと思っております。

塩崎委員 いやいや、実態が全くわかっておられない。

 被害者生活再建支援金にしても、実は、これは最大三百万まで、家が全壊の場合には出るんですね。ところが、これは百万円分しか用意をしていない。これでもう八月には枯渇すると言われているんです。ですから、これを六月までに追加で三百万までの分も含めた予算もやらなきゃ全く間に合わないということをわかっておられないので、そんな復興の大きな話は、それはそれで大事ですけれども、今必要なのは毎日の暮らしでありますから、そこのところをきちっと考えてもらわなきゃいけない。

 それで、財源の話の中で、公務員の給与を一〇%カットするという話があります。国家公務員の話はニュースで出ておりますが、地方公務員もやるんですか。国家公務員はそうですけれども、地方公務員についてもやるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。イエスかノーかで結構です。

菅内閣総理大臣 内閣として現在議論しておりますのは、国家公務員の一般職について、いろいろこれまでの制度がありますので、その制度を変えるにはもっと議論が必要になります。そこで、一般職の方について、いわゆる労使交渉のような形でやっていこうと。

 自治体は、基本的には各自治体の判断でありますので。ただ、これまでの経緯でいえば、国が行った中でそれを参考にされるところも多い、そういう認識でおります。

塩崎委員 今総理は一般職とおっしゃいましたから、では、自衛隊は入らない、こういうふうに理解をさせていただいてよろしいですね。

 特に、地方公務員は国家公務員の約四倍おられるわけでありますから、これは交付税で手当てをしているということになります。もし、国家公務員が一〇%下げる、しかし地方公務員はそのままということになったら、地方公務員の方が高くなるかもわかりませんし、財源は実は政府から行くんです。

 ですから、そういうことを考えてみれば、よほど自治労などに気兼ねをされているのかわかりませんけれども、地方公務員についてもやるというのは当然のことだし、先ほどの、自衛隊は入らないということでよろしいですね。

菅内閣総理大臣 自衛隊については、一般職ということではないということはよく承知をしております。また、特に今回の大震災において、もちろん警察や消防やいろんな、公務員全体としてもよく頑張っていただいていると私は思っておりますが、特に自衛隊の皆さんには非常に頑張っていただいたという認識を持っております。

 先ほど申し上げましたように、地方自治体については、基本的にはそれは、自治でありますので、そうした判断をそれぞれの自治体でどうされるかでありますけれども、国の扱いを一つの参考にしていただけるもの、このように理解をいたしております。

塩崎委員 自衛隊については今回の一〇%カットの対象外だというふうに理解をいたしました。

 そこで、次の、ちょっともう時間がないので、見ていただくだけ見ていただきますが、三党合意であります。これは、きょうは玄葉さんがおいでですから、御自身がサインされましたけれども、これは要は、きちっと歳入歳出の見直しをするということを前提に、特例公債法案をまた議論しよう、こういうことでありますから、このところをしっかりと三党の政調会長同士で認めたわけでありますけれども、ぜひ、総理がこれについても同じ気持ちで臨むということを、イエスかノーかだけで結構ですから、御発言をいただきたいと思います。総理の決意を聞きたい。いやいや、総理の話。玄葉さんは書いてあるからわかっているから。

中井委員長 ついでに自衛隊のことももう一度答えて。外すの、入るの。

菅内閣総理大臣 自衛隊のことは、一般職ではないという認識は持っておりまして、これは別な形で御議論をいただきたい、こう思っております。

 それから、この三党の政調会長の合意については、私を含め、事前にも了解をした中でこの合意をしていただいておりますので、この趣旨を私たちとしてもぜひ実現していきたいと考えております。

塩崎委員 今の自衛隊の問題について御議論をいただきたいという話でありますけれども、それは我々にとってはよくわからない。

 現場で、消防もそれから警察もそうですが、やはり現業の人たちは、一番厳しい、過酷な条件の中でずっとやってもらっているということでありますから、今回の一〇%カットの対象にはしないというふうにしてもらわなければいけないと私は思いますが、繰り返し、イエスかノーかだけで結構ですから、御決意のほどをお願いします。

菅内閣総理大臣 画一的に、一般職の皆さんと同じに議論するということはしないと。しかし、もちろん、非常に頑張っていただいていますので、そういうことも勘案した中での、どういうやり方がいいのかということの議論は別個、一般的なものとは別個、必要なことは話し合ってくださいということにしてあります。

塩崎委員 極めて不明確で、これはまた改めてこの問題について議論したいと思います。

 原子力政策、原発の問題に移りたいと思います。

 まず、我々自由民主党は、原子力政策については戦後一貫して与党としてかかわってきたわけでありますから、今の法制や制度、組織、いろんな問題があることは私たちも責任を負っていかなければいけませんし、安い原発電力、そして安全な原発電力という神話も崩れたということは私たちは認めなければいけない。そして、ここからどうするのかということを、我々自由民主党も、これまで政権を担ってきた立場ということも含めて、責任ある提案をしていかなければいけないんじゃないかというふうに思っております。

 私の地元も、愛媛県で選挙区は松山でありますけれども、伊方原発、私のところから約五十キロぐらい離れたところにあるわけでありますので、切実な問題として正面からこの問題に取り組んでいきたいというふうに考えております。

 まず、事故調査委員会についてのお話をお聞きいたしたいと思います。

 先ほど田中代議士からもお話がちょっと出ましたが、この間、私も連休にアメリカに超党派の議員で行ってまいりました。NRC、原子力委員会にも行ってまいりましたし、それからエネルギー省にも行ってまいりました。シンクタンク等々、安全保障関係者にも随分会ってまいりましたけれども、極めてこの真相究明に対する見方というのは厳しいものがある。しっかりとやってもらわないと困るし、また、それぞれの国の原発をこれからどうするのかということは、今回のこの事故がどうして起こったのか、もちろん政策的な、組織的な背景も含めて、そして特に震災発生以降何をやったのか、特に皆さんから聞いたのは、やはり初動の問題に非常に関心が高いということがわかりました。

 したがって、この事故の調査をきちっとやるということは我々の国際的な責任だというふうに私は思っておりまして、外国、例えばIAEAの人とかいろいろな人にもやはり関与してもらって調査をやらなければいけないと思っておりますけれども、総理は何か調査委員会をつくるようなお話をされておりますけれども、それは、みずから、菅直人総理大臣を含めて、政府の人たちもその調査の対象になるということでよろしいですか。

菅内閣総理大臣 今、塩崎議員御本人から、長く与党におられて政権を握っておられて、安い原発、安全な原発と言ってきたけれども、その神話が崩れたとみずから認められました。

 私も、原子力については安全性を確保しながら進めていくという立場をとっておりましたので、そういった意味では、今回の原発事故は、そういう大きな、神話という表現を使われましたが、前提が根本から崩れた中で今後のことを考えていかなければならない。そういった意味では、事故調査委員会については極めて重要だと考えております。

 そういう中では、政府としては近々そうした調査委員会を発足したいと考えておりますが、三つの原則を持ってその調査委員会を立ち上げたいと思っております。

 それは、従来からの原子力行政から独立した存在でなければならない。それにはもちろん、今の政権、私を含む政権もこれまでの原子力行政にかかわってきたわけですから、それに対しても独立してしっかりと必要なことは調査をしていただける、そういう独立性。それから、国民や国際社会に対する公開性。そして、技術分野だけではなくて、制度や組織、先ほど法制についてもいろいろお触れになりましたけれども、そういうことも検証する包括性が必要である、このように考えております。

 また、国際的な問題については、既にIAEAが六月に関係閣僚会議も開くことになっておりまして、それも十分念頭に置きながら、国際社会に対しての公開性も十分念頭に置いて進め方を考えてまいりたいと思っております。

塩崎委員 委員の人選はだれがおやりになり、任命はだれがおやりになり、事務局はだれが担うのか、そしてだれに対して報告をするのか、極めて大事だと思いますけれども、総理、いかがですか。簡単にお願いします。

菅内閣総理大臣 内閣の責任でこの委員会を発足させたいと思っておりますので、最終的には私に対する報告ということになると考えております。

塩崎委員 スリーマイルアイランドのときに、カーター大統領の大統領命令によってケメニー委員会というのができました。ケメニー委員会の報告書がこれでございます。

 このときは、原子力規制委員会、NRCが実は問題になって、ここがどういうことをやったのかということが問題になりました。実は、このNRCというのは議会がつくったものであります。ですから、行政府の長たる大統領が、ここでちゃんとNRCをチェックしないといかぬというので、報告書をまとめるようにケメニーというダートマス大学の学長にお願いした。ちなみに、この人は数学者、そして十二人の委員の中で原子力関係者はたった一人しかいない、そういう委員会をつくったわけであります。

 今回は、一番問われているのは、実は、菅総理、あなたを含めて皆さんがどういう対応をとったか、保安院それから安全委員会、これが問題になっているわけでありますから、当然、今度は行政府が問題になっていれば立法府がそれをチェックするというのが、我々が考えなきゃいけないということで、パネルにあるように、我々は、ここに、国会に委員会を置いて、そして、特に独立性が大事なんですけれども、証人喚問、罰則つきの証人喚問ができるようにして、そして、総理が任命をされて総理が悪かったなんということを言う度胸のある人はなかなかいませんから、そういうことがないようにきっちりやることが国際的にも大事だということを私は申し上げておきたいと思います。

 さて、時間がないので次に行かせていただきたいと思います。

 総理、総理としては今のようなことでやろうとするんでしょうけれども、民主党の代表として、国会議員として、今、国会に置くということに関しての考え方はいかがですか。

菅内閣総理大臣 先ほど塩崎議員御本人からお話がありましたように、先ほどの三つの原則の包括性という中には、当然、行政の責任者としての私を含めたことはありますけれども、率直に申し上げて、過去の長い原子力行政の中で、なぜこうしたことが私たちも含めてとめることができなかったか、そういうことについては、当然ながら、過去のいろいろな原子力行政についてもしっかり調べていただきたいと思っております。

 また、仕組みについてもいろいろあります。ジェー・シー・オーのときはたしか原子力安全委員会のもとに設けられたと聞いておりますけれども、今回はそういう形ではなくて、あとは人選の中で独立性を、だれが見ても、国民の中から見ても、決して何かの政党、党派にどうこうというようなことではない方になっていただきたい、こう思っております。

 また、国会でどういうふうにされるかということは、これは国会でお決めをいただきたいと思っております。

塩崎委員 独立性については何とかなるさというような程度の話で、今回の問題が解決するとはとても思えません。ですから、やはり国会に置いて、偽証罪をちゃんときちっと刑事罰として設ける、これが極めて大事だということを申し上げ、そして、今ちょっと総理もお触れになりましたが、これまでのいろいろな原因の一つに、やはり、原子力、原発を推進するという立場と規制するという立場が実はごちゃごちゃに経産省の中に両方入っていて、いろいろな問題が起きたということが想定されます。

 例えば人事。我々、もちろん、ですから、冒頭申し上げましたように自民党も責任があるし、官房長官は、私も官房長官をやったときに、幹部の人事はこれをやってきた。(発言する者あり)ですから、これを、皆さん、客観的に何が問題かという一つの例を言っているわけですから、黙って聞いていただけますか。

 ここにあるように、エネルギー庁の幹部をやりながら保安院長をやるという方々がたくさんおられる。専門性も低い。法学部か経済学部か、あとは、この中にいる方は土木と機械の人しかいない。そういう中でやってきたということは我々も含めて反省をしなきゃいかぬということだろうというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それでは次に、先ほど田中代議士からも少しありました、原発の賠償に関するスキーム、政府の支援の枠組みについての議論に入りたいと思います。

 私は、そもそも、事故調査をきちっとやらないうちに賠償のスキームを決め、役割分担、負担の分担を決めるということ自体がおかしいと思うし、さっきデューデリジェンスの話がありましたけれども、デューデリジェンスをやらないで、これからやると言っているわけですから、やらないでおいて負担の分担を決めるということは、全くもってこれは世界では通用しない非常識な話であるわけであります。

 今回、このペーパーを読ませていただきました。「全てのステークホルダーに協力を求め、」と書いてありますが、さあ、今ここにパネルでお出しをしておりますけれども、ここにステークホルダーが並んでいるというふうに私は考えるべきだと思います。それで、経営者、従業員、株主、銀行、これが東京電力に関係が深いわけでありますけれども、あと何といっても今回の被災者、賠償の対象たる被災者、そして政府、そして国民、こういうことだろうと思います。

 それで、この人たちが、普通、会社の場合には、やはり会社法の世界であれば、法的にこういう順番で責任負担をとっていくというのが常識の世界だというふうに思います。今回、どうも、このスキームを何度読んでも、この順番どおりやっているのかどうか、公平性が保たれているのかどうか、これがよくわからない。ですから、資本主義の大前提ともなる責任負担の基本的な順位は守られているのかどうか、これについて、総理、まずお答えをいただきたいと思います。

海江田国務大臣 お答えを申し上げます。

 私どもが関係閣僚の会合で決定いたしましたのは、すべてのステークホルダーということでございますから、もちろんそこに入っているのも、そういう皆さんが入っているわけでございます。

 そして、これから具体的な賠償の規模がどのくらいになるのかということの中ででございますが、まず真っ先に東電の経営者等ということはもう言うまでもございませんから、それに従ってしっかりと今チェックをしているところでございます。

塩崎委員 全く答えていない。

 総理、この順番で今回のスキームをおつくりになられましたか。

菅内閣総理大臣 最も重要なことは、ここに、前の紙に書かれておりましたけれども、被災者の皆さんがちゃんとした補償が受けられるようなスキームでなければならないということが私は一番重要だと考えております。そしてそのときに、これまでも申し上げてきましたのは、第一義的な責任は、それは東電にありますと。しかし同時に、国策として原子力政策を進めてきた政府にも、ある意味、それにまさるとも劣らない同様の責任があるので、きちんと東電がそうした賠償責任を果たせるような、そういうことを考えて政府として行動したいと考えました。

 ですから、そこに並べられたことについて、一般的な株式会社の責任だということは、私もそれはそれとしてよくわかりますが、その形をとったことで被害者の皆さんにきちんと賠償が出されるということが担保されるならば、そういう原則どおりということで考えるのが第一の考え方だと私も思いますが、同時に、そのことによって、もしかして被害者の皆さんに十分な的確な賠償が果たせないということになるおそれがあるとすれば、そのことも考えなければならないのが政府の立場、私はこのように思っております。

塩崎委員 全く見当違いなお答えをされているんですね。賠償を全部払うというのは当然であります。これは原賠法に書いてあるわけで、日本は明確に青天井になっているんですね。ですから、これはいいんです。

 問題は、だれがそれを負担するかというところが問題であって、それをこの順番でおやりになるんですかと聞いたら、今、大体その順番でやるということを御自身でお認めになったので、それは私は安心をいたしました。それをそのとおりやってもらいたいと思いますが、この順番が大事なんであって、全部払うことは当たり前ですよ。それはもう法律に書いてあるんだから、言うまでもない。

 そこで、一番最初の順番に来ている東電の経営者。総理、さっきもちょっとお話が出ましたが、今の東電の用意しているリストラ案、十分だと思いますか。

海江田国務大臣 私と東電との間で何度かやりとりをしておりますから、その中でさらにリストラをお願いしているところであります。

塩崎委員 総理、十分ですか。

菅内閣総理大臣 私は、やはり東電が第一義的に責任を果たすというときにあっては、もちろん、経営陣の給与等のカットということももう既に出されておりますけれども、いろいろな資産の中で売却できるものは売却していただく、あるいはリストラについても、しっかりと、より効率のいい体制にしていただいて、そういう中で考えていただく。(塩崎委員「十分ですかと」と呼ぶ)その中身が十分であるかどうかというのは、これから具体的な案が出てきて、それを国会も含めて……(塩崎委員「いや、今出ていますよ。今出ている案についてどう思うのかということですよ」と呼ぶ)ちょっと、私が答弁しておりますので。しっかりと見定めていきたい。

 私は、もちろん、しっかりしたそういうリストラ策も出していただくことは当然でありますが、東電の皆さんにも、国民の皆さんが納得できるような案を出していただきたい、そういう観点で判断をしていきたい、こう考えております。

塩崎委員 十分と考えているのかどうか、今もう既に出ているわけですからね。現時点の案を十分かどうかというのを私は聞いているわけで、今お答えにならないところを見ると、十分と考えていないのかなというふうにとらせていただければというふうに思います。

 そこで、この順番からいくと株主であります。皆さん御存じのように、会社が破綻した場合には株主がまず飛ぶ、まず最初に責任をとるのが株主であることはもう言うまでもないわけでありますけれども、今回は、株主は、資産価値、東電の価値で、純資産ベースで見ると三兆円あります。これはゼロになるんですか、どうですか。総理。

海江田国務大臣 先ほどからお答えをしておりますが、一つは、これから、恐らく優先株になろうかと思います。これを出すことになります。それによって株主の権利が希釈をされる、これははっきりしております。

塩崎委員 全く違う話をされているので、ゼロになるかどうかを聞いているので、ゼロにならないということを今おっしゃったとしかとりようがないと申し上げておきたいと思います。

 にもかかわらず、今回のこのスキームを見ると、まあここまでよくおっしゃるなと思いますけれども、「原子力事業者を債務超過にさせない。」と書いてありますね。「させない。」と。それで株主の責任もとらないということで、今一部上場企業ですよね、東電というのは。このまま上場をお続けになるというふうに考えたらいいんですか。

海江田国務大臣 私どもがこの仕組みをつくるに当たって、基本的な考え方としまして、まず、やはりこの原子力の事故により大変多くの方が損害を受けられたという、この損害の方々に対する支払いをしっかりしなければいけない。それから二番目に、現在まだ現場で働いている方々もいらっしゃいます。この方々に対する悪影響を与えないようにということ。それから、もちろん、この夏を控えて電力の安定供給というのも本当に喫緊の課題でございますので、これもしっかり……(塩崎委員「上場を維持するかどうか聞いているんだよ」と呼ぶ)その責務を果たしてくれるようにという、この三つを原則として考えたわけでございます。

中井委員長 質疑者に申し上げますが、答弁中は勝手な発言をしないように、お慎みをいただきますように。

塩崎委員 委員長、そういうことをおっしゃるならば、答弁者は必ず質問に答えるように言ってください。

中井委員長 答えています。ずっと答えています。

塩崎委員 いや、上場を維持するんですかと聞いていますけれども、全く答えていませんよ、今のは。

中井委員長 御自分の都合のいいように答えるかどうかはわかりません。

塩崎委員 いやいや、都合のいいようにって。上場を維持するかどうかを聞いているので、少なくとも、私は、言ってみれば生命維持装置のようなものをくっつけて上場を維持するというのは、やはり資本主義の基本に反すると思います。

 そこで、きのうのテレビを拝見しておりましたら、細野補佐官が、なぜ法的整理をしないのかというのに対して、社債権者、株主の次の次にありますが、いや、社債権者が債権者、つまり被災者よりも優先弁済をされるので、したがって、それでは被災者の救済がおくれるので法的整理にはしないというふうにおっしゃったわけでありますが、これについて、どういうことで、本当に法的整理をしなかった、こういうことでよろしいんですね。

海江田国務大臣 委員は日本銀行におられましたからよく御案内だろうと思いますが、こういう私どもの一言一言が、特に、社債もマーケットがございます、株主もマーケットがございます、私どもの本当に一言一言が、やはりマーケットに大きな影響を与えるということ、このことだけはぜひ御理解をいただきたいと思います。

塩崎委員 いや、そんなことは百も承知で言っているわけだし、皆さんが出してきたのでもマーケットに影響を与えるし、何よりも、マーケットもそうですけれども、被災者のことも問題であるわけですから、そこのところを、だから、そういうことで法的整理をしなかったというふうに細野さんはおっしゃった、それはそういうことでよろしいんですかと聞いているんですよ。

海江田国務大臣 細野補佐官が、きのうのテレビですか、私は残念ながら聞いておりませんが、私や、それから閣僚がそういうことを言ったことはないと思っております。

塩崎委員 いや、細野さんの御発言について、では、どう思われるんですか。

海江田国務大臣 まず、事実として、それはまさに委員がお示しをいただいた図表にございますが、社債権者というのはかなり優先的に守られている、債権者より守られているということは、これは事実でございます。

塩崎委員 法的整理をしなかったのは、社債権者を被災者よりも先に扱うわけにはいかないからそうしたんだとおっしゃったんです。それをそのとおりだと思いますかと聞いているんです。

海江田国務大臣 聞いておりませんから、後でしっかり確認をしたいと思っております。

 ただ、そういう発言をどうして彼がするのかということは、ちょっと私には理解ができません。

塩崎委員 NHKの番組でお話をされていたように記憶がありますけれども、そういう責任、だって、あれは原発担当の総理補佐官じゃないんですか、総理。原発担当の補佐官じゃないんですか、総理。

菅内閣総理大臣 現在、統合対策本部というものを設けておりまして、それぞれ内閣と東電から出た中で、事務局長の一人を務めていただいております。

塩崎委員 どうも今の御発言では、経産大臣は、原発担当の総理補佐官が言っていることは内閣には余り関係ないような話を言っておられるわけでありますけれども、そんな軽い存在なんですか。それにしては、毎日テレビに出てきて御説明しているじゃないですか。テレビに出て、責任ある立場で出ているんじゃないんですか。

菅内閣総理大臣 今、社債権者についての御指摘でありますけれども、これは海江田大臣からも答弁しましたように、今の東電の社債については、例えば、被害者に対する補償よりも、お金がぎりぎりなくなったときに優先する、そういう扱いになっているということを私も聞いておりまして、この塩崎さんが言われる順番でいえば、本来は一番守らなければいけない被災者に対する賠償よりも社債権者の方が優先されるという、今の法的仕組みの中でいえば、破綻処理をしたときに、そちらに優先的にお金が回ってしまうという形は、果たして賠償スキームとしていいんだろうかということであります。

 それから、あえて申し上げますと、塩崎議員は資本主義の原則はこうだということを言われました。私もそう思います。

 ただ、現在の東電を含む九電力体制は、御承知のように地域独占でありまして、電力供給という問題は、これをすぐにだれかが代替できる問題でないことは十分御承知のとおりであります。

 日航の問題も私も多少かかわりを持っておりますが、日航の場合はまだそれでも全日空という存在があったわけですが、そういうことを考えますと、資本主義の原則ということは私なりに理解をいたしておりますが、しかし同時に、電力供給が大混乱をしてということは、これはこれとして防がなければいけないということは塩崎議員にも御理解していただけるものと思っております。

塩崎委員 総理は今大変大事なことをおっしゃったんですね。法的整理をすると被災者、債権者の中の被災者よりも社債権者の方が優先をされるから、法的整理ではないようにしているんだということをおっしゃったんですね。ということは、今回のスキームの中では、社債権者はその権利をカットされるということをおっしゃったんですね。それは、総理おわかりになっていますか。そういうことをおっしゃったんです。どうですか。

菅内閣総理大臣 塩崎議員もまさに日銀におられて、そういうマーケットといったようなことは私以上に経験もおありだと思いますが、私が申し上げたのは、先ほど海江田大臣が答弁をされたように、現在のこの東電の社債の扱いが今そういう形になっているということを申し上げたわけであります。

塩崎委員 後で議事録を精査してみたらわかりますけれども、総理がおっしゃったことは、まさに社債権者を優先するわけにはいかないということをおっしゃったということをはっきり読んでとれると思います。

 そこで次に、この債権者の中でも特に多いのは銀行であります。枝野官房長官、ちょっと今おられませんが、債権放棄のことについて大分御発言をされております。約四兆円の借り入れがあるわけでありますが、債権放棄をさせるということをおっしゃいました。どういうふうにさせるんでしょうか。(発言する者あり)

海江田国務大臣 これも本当に正確に引用していただきたいと思いますが、私どもは、この東京電力と金融機関との関係は、まさに民民の関係でございます。そこにすぐに政府が割って入るということはできるはずもないわけでございますから、ですから、どういう協力があったのか、金融機関からどういう報告があったのかということを、その協力があった時点で直ちに政府に報告をしてくださいというのが私どもの基本的な考え方でございます。

塩崎委員 枝野さんが、今、正確にと言いますけれども、きのうのテレビ番組でも、玄葉さんは言い過ぎたとおっしゃっていましたよ。言い過ぎたと彼が思うぐらい、玄葉大臣が思うぐらいの発言をされているんですから、正確に言っていると私は思いますよ。

 それで、おまけに、もし債権放棄をしないならば政府の支援をストップするかのような発言もしましたね。これはストップをするんですか、債権放棄をしなかったら。

海江田国務大臣 これも先ほどお答えをいたしました民民の関係でございますので、私どもは、協力があったら直ちにその協力の中身について報告を聴取する、こういうことが私どもの今の考え方でございます。

中井委員長 海江田さん、答弁ちゃんと。(塩崎委員「ストップするかどうか、政府の支援を」と呼ぶ)

海江田国務大臣 ですから、それは仮定の問題でございますので、今この場で私が申し上げるわけにはまいりません。

塩崎委員 いやいや、枝野官房長官が、債権放棄をしなかったら政府の支援はストップするかもわからない、こうおっしゃったんですよ。これについて、ですから、それは本当にストップするのかどうかを聞いているんです。

海江田国務大臣 こうやって本日の委員会で、委員から、私が責任を持ってお答えをしている、これが今の考え方だと考えていただければ結構でございます。

塩崎委員 ということは、債権放棄をしないこともあるということでよろしいですね。

海江田国務大臣 先ほどもお答えをいたしましたが、民民の関係でございますので、政府がそこの間に割って入ってこうしろああしろと言うことはできないということでございまして、ただ、しっかり協力をしてもらうよう、そして協力があったら直ちにそれを報告してもらうよう、これが政府の正式なお答えでございます。

塩崎委員 わかりました。要は、民民の話だから、やるかもわからないし、やらないかもわからないと。ということは、やらないかもわからないということであるわけですね。

 さっきの株主の責任も、結局、これは責任をとらないと事実上海江田大臣はおっしゃった。そして今度、債権者の銀行も債権放棄をするかもわからないし、しないかもわからない、こういうことを言っているんですね。これでいけば、結局、枝野さんの債権放棄の話もパフォーマンスにしかすぎないというふうにもとれるし、一体これ、東電の経営者も十分じゃないリストラをやる、株主は責任をとらない、債権者も責任をとらない、社債権者はフルにカバーするかもわからない。さっき、本当は、総理は逆にここはカットするとおっしゃったんですけれどもね、事実上。

 そうなると、社債権者のことはおいておいて、今の、株主、銀行、両方とも責任をとらないということになったら、結局残るのはだれかといったら、国民じゃないですか。国民にツケが回ってくる、こういう話になっているのがこの今のスキームだと思うんですね。

 何かありますか。

海江田国務大臣 委員、本当につとに御案内だろうと思いますけれども、例えば、私は先ほどの答弁では、株主の責任ということで申し上げますと、まず優先株が発行されるから株主の権利が希釈をされるだろうというお話がございましたけれども、株主の権利としては、配当を受け取る権利もございますが、当然のことでありますが、無配になればその配当を受け取る権利を失うことになります。

 それから債権者につきましても、委員は債権放棄ということだけをお話しになりましたけれども、形態としましては、例えば金利の減免でありますとか、そういう項目もあるということはぜひ御理解をいただきたいと思っております。

塩崎委員 債権放棄をさせないで金利の減免程度で済ますということがあるということがよくわかりました、今のでね。

 そこで、国民負担を極小化するという言葉が書いてありますね。機構に対する負担金のような形で他の電力会社からもお金が出ることになっています。三千億と言われています。東電が千億から二千億というふうに報道されておりますけれども、この三千億の、私も四国電力の地元でありますけれども、東電の今回の賠償のスキームに入っているこの三千億というのは、賠償そのものに回る可能性はあるんですか。

海江田国務大臣 私どもがせんだっての関係閣僚会議で決めました仕組みの中には、金額的に三千億というようなことは入っておりません。

塩崎委員 いや、金額は、それは報道のことを言ったので、そういう負担金は絵の中にありますよね、この中に。これは賠償に回りますかと聞いているんです。

海江田国務大臣 こういう機構をつくりましたということは、これは、お互い原子力発電事業に携わっております事業会社、電力会社を中心とした会社でございますが、それぞれこれから将来的な、万々が一でございます、もちろん私どもはもう二度とこの原子力発電の事故を起こしてはいけないという考えは強く強く持っておりますが、万々が一のためのそういう機構の備えというものもございますので、そう御理解をいただきたいと思います。

塩崎委員 いや、備えもと言われると、備えだからと言うんだったら回らないということですけれども、備えもあるということは、やはり今回の賠償にも回るということなんですね。これは各電力会社が、株主に説明がつかぬと言っているわけですよ。そこはどうなんですか。

海江田国務大臣 先ほどの、お聞きいただいて、委員が指摘をしていただいたということでございます。

塩崎委員 これは聞いたことないな、わけのわからない答弁で。どっちなんですか。回るんですか回らないんですか、はっきりしてくださいよ。

海江田国務大臣 これから法律をつくってその中ではっきりと御説明を申し上げますが、これはただ、現在、今もう既に起こってしまったことと、それからそのほかに将来的な備えと、この二つの意味合いがあるということをさっきお話しいたしました。

塩崎委員 よくわかりました。今回の賠償にも回るということなんですね。

 そうすると、これは負担金というのを払っているわけですけれども、この負担金というのは当然電気事業法のコストにカウントされますから、電気料金に当然上乗せされますよね。そういうことでいいですね。

海江田国務大臣 まさに今、電気料金の決め方は、総括原価方式というのがございます。下げるときには私どもの許可は要りませんが、電気料金を上げるときには私どもの許可が必要でございますから、しっかりその総括原価の中身をつぶさに調べて、そしてその上で、できるだけ電気料金に転嫁しないようにチェックをしたい、そのように思っております。

塩崎委員 当然のことながら、三千億の負担をするわけですからコストアップになりますよね。ですから電気料金に上乗せされるんじゃないんですか。

海江田国務大臣 それは各電力会社の経営方針の中で、できるだけ上げないようにしようというような話も聞いておりますので、まず各電力会社に本当に血のにじむような努力をお願いして、そしてお願いをした上で、電気料金を上げる場合には私どものところにその資料がやってまいりますので、そこでしっかりとチェックをしたい、そのように思っております。

塩崎委員 正直に言っていただいてありがとうございます。上げる場合もあるということをおっしゃったわけであって。それから、さっき、血のにじむような努力ということも言いました。

 これは何かというと、リストラをして上げないようにしようということをおっしゃりたかったんだろうと思うんですね。ところが、リストラをして上げないということは、実は、リストラをして、本当はそのメリットを享受しなきゃいけないのは消費者ですよ。ですから、電気料金は下がらなきゃいけない。それをいじらないということであれば、本来そこの下がらなきゃいけないコストダウン部分は消費者に還元をされなきゃいけないのに、ほっておくということは、実質的な値上げと同じなんですね。その上に、今上げるということをおっしゃった。これは一体だれのためのスキームなんだろうかということを我々は考えざるを得ないというふうに思うんですね。

 今はっきりしたことは、結局、株主も責任をとらない、債権者のうちの銀行も責任をとらない、そして社債権者は、若干カットがあるかもわからないと総理がおっしゃいましたが、守られるかもわからぬ。そうなると結局、政府といいながら、今言ったように、電力料金の形で国民が負担をするという格好になっているスキームを今回おつくりになったとしか言いようがないんだろうと私は思うんですね。

 さらに、これは賠償だけじゃなくて、東電がしょわなきゃいけないのは、実は原子炉、例えば今回の、福島第一の一から六まで廃炉にすると言っているわけですね。では、このコストは幾らかかるのか。これも乗ってくるわけでありますから、そうなれば、これは大変な負担がだれに回るのかということが大事で、賠償金は当然被災者に全額払わなきゃいけない、これはもう法律に書いてあるから当然やる。しかし、だれが負担をするのかということが我々にとっては今一番大事であって。

 こういう大変厳しいときでありますけれども、先ほど申し上げたように、世界は注目をしています。まず、原因はどうだったのかということが問われ、さらに、本当に、何をしたからこれだけひどいことになってしまったのかということを注目しているわけでありまして、今こそ我々は、やはり腹を据えて、言ってみれば、ちゃんと日本の胆力を示す、正直にさらすべきものは全部さらすということをしながら、本当に何が間違いであったかということと、今申し上げたように、もう起きたことで、賠償しないといけない、それはそれですけれども、我々は、負担、責任の順位があります。この公平性を持って今回の賠償スキームをつくり直さなきゃいけないと思いますが、総理、今私の話を聞いて、見直す気分にはなりましたか、なりませんか。

菅内閣総理大臣 ぜひ、塩崎議員あるいは御党からも、ではどういう形が、もっとこう変えればいいとか、提案をいただきたいと思うんです。

 最初にもう言われたから、私もあえて重ねては申し上げませんが、いわば地域独占で、こういう形で、最終処分地等も含めて国費が非常に出されていて、安い安いと言っていたけれども、実はそういう最終処分のコストや、まして今回のような事故は想定された中でのコスト計算には入っていなかったわけであります。まさにそういうことを、塩崎さん御自身、最初に冒頭認められてこの質問を始められたわけでありますので、そういうことを踏まえて、ではどういう形があるのか、ぜひ積極的な御提案をいただきたいし、そのときには真摯に受けとめたい、このように思っております。

塩崎委員 政府・与党が野党に政策を丸投げするようなことはやめていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

中井委員長 この際、西村康稔君から関連質疑の申し出があります。塩崎君の持ち時間の範囲内でこれを許します。西村康稔君。

西村(康)委員 自民党の西村康稔でございます。

 まずもって、今回の大震災、そして津波で亡くなられた皆様方に心から御冥福をお祈り申し上げたいと思いますし、被災された皆様、今なお大変厳しい生活をしておられる皆様方、そしてまた原発事故で避難をされている皆様方に心からお見舞い申し上げたいと思います。

 そして、この原子力事故につきましては、安全基準の設定あるいは安全規制の体制、これは、先ほど来、塩崎委員からもお話がありましたけれども、我々自民党政権時代に進めてきたことでもありますので、私たちとしてもしっかりと反省をして、そしてその上で、一日も早い収束に向けてぜひ努力、協力をしていきたい、このことをまずもってお誓い申し上げたいと思います。

 しかし、今回の事故は、明らかに初動のおくれ、人災だ、この面が物すごく大きいわけであります。このことをきょうは議論させていただきたいと思います。

 パネルの一枚目を見ていただきましたら、一昨日、昨日と東電が発表いたしました、この福島第一原発で一号機の核燃料が溶けて圧力容器の底にたまっている、穴があいているということ、お配りしている資料の最後のページであります。そしてこれは、事故の起こった初日、三月十一日から十二日にかけて、早い段階に起きたのが事実だということを東電が公表をしております。

 そして、一枚目の資料に戻りますが、その当日、三月十一日二十二時、夜十時の時点で、保安院はこのことを予見していたわけであります。つまり、こうなることがわかっていたにもかかわらず、そのときにすぐに対応をとらずに、初動が遅く、しかも、総理が現地に行くということでいわゆるベントの時間もおくれて、ベントというのは……(発言する者あり)これから議論します。ベントというのは、圧力容器の圧力を下げないと冷やすための水が入りません、水を入れるために、つまり燃料棒が損傷するのを防ぐ、最悪の爆発するのを防ぐ、そのために冷やさなきゃいけない、水を入れるためには圧力を下げる、そのための蒸気を外に出す、これをベントというわけであります。

 したがって、ベントによって大気中に放射性物質が放出される、そのことを覚悟の上で、ベントをしないと原子炉がだめになってしまう、最悪の事態は爆発する。そのことを防ぐためにベントということをやるわけでありますが、実際に行われたのが次の日の十時を過ぎてからということでありますので、この間何が起こっていたのか、どういう政策判断をしたのか、このことを検証したいと思います。

 まず、保安院にお聞きをします。

 お配りした資料の一枚目にあります、三月十一日二十二時プラント班、これは二号機についてでありますが、この資料は保安院の資料で間違いないですか、保安院長。そして、この資料をどこに届けましたか。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 プラント班は、私ども保安院、今回の原子力災害の対応をしているところのプラント班というふうに考えてございます。

 この資料に関しましては、今回の事故対応を行います官邸の中の事務局と申しましょうか、災害本部対応の事務局のところに届けられたものと認識をしてございます。

西村(康)委員 つまり二十二時の時点で、これを見ていただいたらわかりますけれども、これは保安院がそのときに考えた今後の進展を予測した資料でありますけれども、二十一時五十分の段階まで実績となっております。その前に、二十時半にRCIC、つまり原子炉への注水機能が喪失をして、二十一時五十分には燃料上部からたった三メートルの水位になって、今後それは下がっていく。二十二時五十分には炉心が露出をする、つまり水位が下がる。二十四時五十分、つまり翌十二日の零時を過ぎた段階で、燃料が溶け出す。そして、二十七時二十分には、最高圧になって今後燃料は全部溶け出すあるいは最悪爆発のおそれもある、したがってこの時点でベントをしなきゃいけないということを予測し、提案を官邸にしていたわけであります。

 総理にお伺いします。

 この保安院が分析したことを総理は認識していたのかどうか、お聞きをしたいと思います。総理にお聞きをいたします。保安院は官邸に送ったと言っているんです。総理。

海江田国務大臣 この時間帯では、私はずっと総理と一緒に官邸に詰めておりました。そして、官邸の危機管理センターにこの書類が参りました。官邸には保安院の人もいましたので、こういう認識だということを、私、総理にも報告いたしましたし、総理もこういう認識であるからこそ、ベントをやらなければいけないということで、その後、一時半ごろになりますが、私を通じてベントの指示を東京電力に対して出したところでございます。

西村(康)委員 総理、今、海江田大臣は、この時点で、十一日の二十二時の時点、夜十時の時点で総理に報告をして、ベントをやろうということを相談し、それを決めたと言っています。なぜこの時点でベントの命令を出さなかったんですか。(発言する者あり)出したのは次の日の朝一時半です。なぜ二十二時の時点で直ちに命令を出さなかったのか。(発言する者あり)

中井委員長 それぞれ冷静に御質疑をいただきますように、委員長の指名のないのに勝手にしゃべらないようにお願いします。

海江田国務大臣 今委員が御提示になりましたこの資料は福島第一の二号機でございますが、実は、同時並行的に一号機も大変危ない状況だということがございました。そこで、一号機、二号機、どちらをどういう形でベントの指示を出すかということについてもいろいろ議論をいたしました。

 それから、この日付が二十二時になっておりますが、私は、二十二時すぐにこれを承知したということではありません。これは後で保安院に聞いていただかなければなりませんけれども、恐らくこの文書をつくったのが二十二時で、そして官邸に来たり、いろいろな時間の幅は少しあるかと思います。そのくらいの幅は御容赦をいただきたいと思います。

 そして、その上で、やはりベントをするということは、ここにも書いてございますけれども、放射性物質の放出ということでございますから、ベントをやる際には、放射性物質の放出をできるだけ少なくするために、やはりこのシールと申しますか、そういうものがどうなっているのかとか、そういうことの確認をしたということは事実でございます。そして、できるだけ早くということで、ぎりぎりのところが一時半でございました。

西村(康)委員 ここにその時系列の表がありますけれども、今まさに大臣がおっしゃった、一時半ごろ、そういう認識に至ったわけで、これは四月十八日の参議院予算委員会で今と同じような答弁をされていますが、危機管理で、二十二時の段階で、現場の保安院は直ちにベントをしなきゃいけないという判断をしている。しかし、それから、今、大臣は、いろいろ議論をしてと。もちろん、二号機だけじゃなくて一号機も同じような状態で、大変だという状態だったのはわかります。しかも、放射性物質を出すわけですから、周辺住民への避難命令も出さなきゃいけないでしょう。しかし、実際に命令が出たのは、これにありますとおり、次の日の朝の六時五十分なんです。

 確かに、指示をしたとか、いろいろ言われます。しかし、二十二時の段階で直ちに、それを知った段階で、多少、五分や十分、危機管理上の最も早い時間で官邸にそれを伝えた、それを官邸がすぐさま判断して、周辺住民への避難命令、そして直ちにベントを行わなければいけなかったんです。そうすれば、燃料メルトダウン、燃料溶融も避けられたかもしれない、放射性物質の大量放出も避けられたかもしれない。

 総理、総理にそのときの御判断をお伺いしたいと思います。

菅内閣総理大臣 事実を的確に御判断いただきたいんですが、先ほど海江田大臣からもお話がありましたように、発災の日の早い段階から危機管理センターに詰めまして、特にこの原子炉の問題については、東電の関係者、さらには保安院、さらには原子力安全委員も同じ部屋にずっと詰めて、私と経産大臣とでずっと状況を把握しながら、その判断をいたしておりました。そういう意味では、私は、先ほど海江田大臣からお話がありましたように、連絡があった時点で、ベントを行うべきだ、その場にいた関係者もそういう認識でありましたので、そういう認識でもって行動した。

 もちろん、その場合に、事前に何か必要なことがあれば当然しなければならないわけでありますから、そういうことを踏まえて、最終的に、翌日午前の一時三十分に、大臣の方から、たしかこれは東電と一緒だったと思いますが、一号と二号のベントの必要について、東電及び原子力安全委員会が説明し、それを了承して、その行動をとった、指示をした、指示といいましょうか、そういう認識で進めるように。東電の関係者もその現場にいるわけですから、そういうことをその場で合意したということであります。

西村(康)委員 しかし、現実にベントの命令を出したのは六時五十分であり、行ったのは次の日の十時十七分なんですね。

 なぜ、周辺住民の避難指示、これは五時四十四分だったのか。総理、この避難指示、どなたが出したか、お答えください。

海江田国務大臣 一つだけ事実関係を先ほどの話で申し上げさせていただきますが、やはり先ほどの二十二時四十四分というのは、まさに保安院がそういう予測をしたということでありまして、それは私ども、すぐ聞きました。深刻な事態だからというので、そこにいる東電の幹部、社員と、これは原子力のことをよくわかっている方でありますが、相談をいたしまして、そして、正式に東京電力からやはりそういう通報が必要でございますから、その通報がございましたのは零時五十七分ということでございます。

 そして、その後、一時半に、まず私から指示をいたしましたが、先ほど、命令というのはやはり大変厳しいことになります。どうしてその命令に切りかえをしたかというと、私どもが指示を出しましたけれども、なかなかそれが実行されなかったものですから、やむにやまれず命令という形で出したということ。

 それから、あと、避難のことにつきましては、これは現地の対策本部がありますので、現地対策本部を通じて周知をしたということでございます。

中井委員長 避難命令、避難命令だよ。

海江田国務大臣 はい、そうです。

西村(康)委員 そんな悠長なことを言っている事態ではなかったんですよ。二十二時の時点でまさにメルトダウンを予測して、全部溶けてしまう、穴があくかもしれない、それなのに、なぜ命令が六時五十分になったのか。いや、指示をして、いろいろ相談をしながらやっている、いろいろ議論をしてという言い方をしましたよ。こんなに時間をかけてやったからこそ、時間がかかったからこそ、被害が拡大したわけです。

 総理の判断を私はお聞きしているんですが、この五時四十四分の避難指示は、本部長である総理が出されているんです。総理、この認識はないんですか。

菅内閣総理大臣 先ほど来申し上げていますように、十一日の夕方のかなり早い段階から、東電の、少なくともこの問題で責任ある人にもきちんと官邸に来ていただいて、そして、保安院さらには安全委員会の委員長にも同席をしていただいて、私そして海江田大臣もそこにいたわけであります。

 ですから、本来、この仕事そのものは、最終的には東電が行わなければ、できる人はすぐには東電以外にはいないわけでありますから、そういう判断の中で、ぜひやってくれということを言い、そして、早い段階で、たしか最初は三キロの範囲の避難を前の日に提示をしているわけです。

 ですから、そういう意味で、私は、最終的なその法的手続といったことがとられたのが、何かそこまで何もしなかったということでは全くなくて、早い段階からそうするようにと言い、そして、一時半には、海江田大臣自身が記者会見も含めて、そういうことをやった、これで東電がやるでしょうということも言われているわけですから、何か六時何分まで何もやらなかったというような認識でもし言われているとしたら、それは事実とは違います。

西村(康)委員 もちろん、現場でこれを実行するのは東電です。しかし、それを命令しなきゃいけないんです、やらせなきゃいけないんです。

 そして、今お聞きをした、本気でベントをやる気があるなら、いいですか、五時四十四分という時間に、十キロ圏内の住民の避難指示をしているんです。これは総理が出されているんです、本部長である総理の指示で十キロ圏内の住民の避難指示をしているんです。ベントをやるためですよ。

 総理、この十キロ圏内に何人住んでいるか御存じですか。

枝野国務大臣 避難指示については、総理それから海江田経済産業大臣と御相談をして整理をいたしておりましたので、私から答弁させていただきます。

 ベントをやるから五時四十四分に十キロ圏内の住民の避難指示を出したものではございません。むしろ、その前の晩から、三キロ圏内についての避難指示をたしかしていたはずでございますが、ここは先ほど来総理、経産大臣が御答弁申し上げておりますとおり、東京電力に対してベントをするようにと、そして、東京電力もベントをすると言いながらベントがなされていない状況が続きましたので、これは圧力が高まるということでございますので、万が一にもさらに悪い状況になる可能性に備えて、十キロ圏内に影響を及ぼす可能性があるということで、この時点で十キロ圏内の避難指示を出したものでございます。

西村(康)委員 仮に今の説明が正しいとすれば、この十キロ圏内は非常に危ない状況になるかもしれないという状況だったんですよ、仮にそれが正しいとすれば。そうしたら、そこに、官房長官は総理を現地に行かせたんですか。そういうところに行かせたんですか。最高指揮者を行かせたんですか。

 総理、その認識はありましたか。

菅内閣総理大臣 先ほど来何度も申し上げておりますけれども、ベントというのは、単に作業として東電が行うというだけではなくて、東電はこういう状況の中ではみずからも判断をしているわけです。

 例えば、午前三時には、経産省において経産大臣、つまり海江田大臣と小森東電常務がベント実施について会見もされております。つまりは、東電は、必要であればいつでもみずからの判断でやれる状況にあったわけでありまして、私たちも、先ほど言ったような状況の中で報告を聞いて、それはぜひやるべきだということを再三言い、海江田大臣も再三そういう指示を口頭で出していて、その結果、なかなか行われないので、最終的に措置命令ということになったわけであります。

 そのことと私の視察について、特にそのことでおくれた云々のことはないというのが、現地の東電からもそういうことは影響されていないというふうに言っていると理解いたしております。

西村(康)委員 私の質問に答えていただけますか。

 官房長官は、大変危険な状況になってきた、十キロ圏内の人に避難指示、これは総理が出されているわけですけれども、指示を出した。しかし、そういう状況の中に、最高司令官である最高指揮官である総理大臣、あなたが現地に行く、この認識であなたは行かれたわけですね、総理は。総理。

枝野国務大臣 五時台に避難指示を出したのは、圧力が上がってきているので、悪い状況にさらに悪化をすることに備えて、十キロ圏内に影響を及ぼす可能性があるということで指示を出したわけです。指示を出した時点で三キロから十キロの皆さんがすぐにもリスクがあるような状況であったのなら、それは指示の出し方として遅いわけでございまして、危なくなる可能性があったので、危なくなる可能性が生じる前に早目に出ていただくという指示を出したものでございます。

西村(康)委員 そもそも指示を出す時間は私は遅いと思っているんです。

 本来なら、二十二時の時点、直ちにその時点で、聞いた時点でベントの命令を出し、そして避難指示もする、それが私は当然の初期動作だと思います。それが、十キロ圏内、出したのは五時四十四分で、これは危険な状態にあったからということをいみじくも言われました。そこへ総理が飛んでいったんです。

 原子力安全委員長に確認します。このような状況の中で安全委員長も一緒に行かれていますが、最高指揮者である総理大臣が、圧力が上がって、どうなるか今後わからない非常に危険な状態、跳び上がってびっくりされたという答弁もされています。そして水素爆発や水蒸気爆発、これはマニュアルにもこういうことが起こり得るということが書いてあります。そうした状況の中に、あなたは総理に、行くということを了解したわけですか。総理に爆発が起こることを言わなかったんですか。

班目参考人 当時の状況としては、かなり緊迫しているという認識は私はもちろんございました。しかしながら、総理が現地をちゃんと指導してくるとおっしゃっているのに対して、ついていってくれと言われたので従ったということでございますので、それ以上のことについては私からは申し上げられません。

西村(康)委員 水素爆発や水蒸気爆発が起こる可能性があるということを助言しなかったんですか。総理が行かれるに当たって助言しなかったんですか。

班目参考人 水素爆発については、そのときは助言していないと思いますが、当然、格納容器の圧がかなり高くなっていますので、格納容器が、爆発という言い方をしたかもしれませんけれども、要するに破裂する可能性はあるということは認識していましたし、そのようなことは助言していたと思います。

西村(康)委員 総理、総理、安全委員長が今物すごく重大なことを言われましたよ。格納容器が破裂するかもしれない。これは大量の放射性物質が外に出るということですよ。そういう状況の中で、あなたは防護服も着ずに現地視察に行ったんですか。どういう認識で行ったんですか。

菅内閣総理大臣 私は、最初に、すべての電源が落ちて冷却機能が停止したということの報告を聞いたときから、これは大変な事故だという認識は強く持っておりました。そういう中で、先ほど来申し上げていますように、通常、格納容器はたしか三気圧とか五気圧で運転されているのが、それの通常よりかなり高くなっておりましたので、まさにベントが必要だという認識でも報告を受けて一致をしておりましたので、そのことも指示をいたしておりました。

 しかし、官邸に関係者はいるんですけれども、それがなかなか、東電の本店ないし現場との関係でコミュニケーションが、やるやると言ってなかなか実際に行われないということも含めて、私としては、これは両方の考え方があると思います、陣頭指揮という言葉もありますけれども、陣頭指揮をとるにはやはり現地の関係者ときちんと会うことが重要だ、このように私は考えました。同時に、いわゆる津波の被災の状況も、上空からそちらは見たいと思いまして、その二つの目的でもって、私の判断で行ったわけであります。

 いろいろな見方はあると思いますが、私はその現地で、現地の責任者とそれから第一サイトの所長とお会いをして、私の方からもベントについてやるようにということを改めて指示をし、そして、そこできちんと話ができたことが、その後の対応にとって極めて有意義であったと今でも考えております。

西村(康)委員 総理、私の質問に答えてください。原子力安全委員長は、爆発が起こるかもしれない、格納容器が破裂するかもしれない。そういう認識をしてあなたは行かれたんですか。つまり、もしそういうことになったときに、最高指揮者としてその後の対応について指揮をとらなきゃいけない、そういう立場の総理が防護服も着ずに現地に行ったわけですか。その点を確認したいと思います。総理の認識をお聞かせください。

菅内閣総理大臣 西村議員はよく理解されて言われているんでしょうけれども、いわゆる格納容器の圧が上がっているということとベントを行うということは、これはある意味、圧力を下げるためにベントを行うんです。爆発というのを、別にこれは水素爆発のことを言われているんじゃないと思うんです。これは委員長がその当時も言われていましたが、格納容器の中には窒素が充てんされているので、そういう形の、格納容器内の水素爆発はないというのが当時の委員長の認識でありました。ですから、何度も言いますけれども、格納容器が圧が上がっているからこそベントをやるべきだ、ベントをやらなければ格納容器が壊れることがあり得るのでベントをやるべきだということを、私は出発前からきちんと指示をいたしておりました。

 そういう中で、先ほど申し上げましたように、どうしてもそれがなかなか実行されないということも含めて、なぜ、情報がきちんと、我々の意思が通らないのか、あるいはなかなか状況が伝わってこないのかということで、私としては、そこは判断はいろいろありますけれども、やはりみずから出かけて当事者の関係者と意見交換をすることがこれは必要だ、重要だ、そういう判断のもとで行ったことであります。

西村(康)委員 ベントの指示が遅かったことをまず指摘をして、そして、それが進まなかった。そして、格納容器が破裂をするかもしれないという状況の中で、防護服も着ずに、委員長がそういうことを総理に助言したにもかかわらず、最高指揮者のあなたが行かれたんです。そのことの認識をもう一度お伺いしたいと思います、答えていませんので。

菅内閣総理大臣 何度もお答えをいたしております。

 つまり、格納容器の圧力が高くなっている、だからこそベントが必要だということで、格納容器が高くなっているということは、そのまま放置すれば格納容器に何らかのひび割れ等が起きることがあり得る、そういうことを含めて、なぜ、早くベントを行わなきゃいけないと言っているにもかかわらず、現地がやってくれないのかという思いはありました。ですから、そういう認識を持って出かけて、そして、現地の所長に対しても早急に行うようにということで、所長の方で、早急に行いますということになりました。

 ですから、認識があったかということについて言えば、格納容器の圧力が上がっていて、そういったことを放置すれば、ベントを行わないで放置すればその格納容器が破壊するおそれがあるからこそベントをやれと言っていたわけですから、そういう認識はもちろん持っておりました。

西村(康)委員 総理、総理は六時十四分に出発をされています。実際に命令が出たのは、さらにその後の五十分です。出発前に当然命令を出すべきだと思いますし、しかも、出発するのではなくて、いざ爆発が起こるかもしれないという状況の中で、現地に行くのではなくて、ここで、官邸で、本部で指揮をとるのがあなたの本来の仕事です。

 しかも、格納容器が破裂するかもしれないという状況の中で、防護服も着ずに現地に向かう。防護服をなぜ着ずに向かったんですか。破裂するという意識があったんですか、認識はあったんですか、総理。

中井委員長 午前中の時間がとっくの間に過ぎておりますので、午後からの質疑でお願いいたします。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

中井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。西村康稔君。

西村(康)委員 自民党の西村康稔でございます。

 午前中に引き続きまして、原発事故の初動について議論をしていきたいと思います。

 午前中明らかになった事柄、十一日、事故、つまり震災のあったその当日の十時の段階で、保安院は、炉心溶融、いわゆるメルトダウンを予見していた。しかし実際には、ベント、いわゆる圧力を逃がして水を注入するために、冷やすために圧力を逃がさなきゃいけない。最悪の事態、メルトダウンも防ぎ、爆発を防ぐために、ベントということをやらなきゃいけない。そのベントが行われたのは、事実として、次の日の十時十七分であります。このパネルのとおりであります。そして、実際に命令が出されたのは、その日の朝の六時五十分、こういうことであります。

 私は、早い段階で、少なくとも十時の段階でベントの命令を出し、やっていれば、もっと事態の悪化を防げたのではないか、そういう視点に立っておりますけれども、その点の検証をしてまいりたいと思います。

 まず、安全委員長の班目委員長にお伺いをいたします。

 この保安院の十時の段階の見解は、二号機でありますけれども、二号機のいわゆるRCICという注水機能が喪失をした、これが八時半でありますけれども、この時点で安全委員長はどういう認識を持たれ、何を進言されたのか、お伺いをしたいと思います。

班目参考人 正直申しまして、私もずっとその後徹夜が続いたので、はっきりとは記憶しておりませんが、この保安院からの報告とは全く別の問題として、夜中過ぎあたりには、かなり危険な事態に至るという認識を持っておりました。

 したがって、とにかく早く東京電力にベントまで含む一連の作業をするようにということを言い、また、かつ、そこにいらっしゃった海江田大臣、総理その他の方々に進言をしておったということでございます。

西村(康)委員 確認をしたいと思いますが、班目委員長、四月六日の衆議院の経済産業委員会で、最初に二号機のRCIC、注水機能がとまっていると聞いたときに大変びっくりしておられる様子を言っておられますし、いわゆるアクシデントマネジメントのマニュアル、これに従って行動するようにということを進言したと言われていますが、そのあたりの様子を御説明いただいていいですか。

班目参考人 驚いたというのは、もちろんそのとおりだったと思います。

 それから、こういう場合に備えてアクシデントマネジメントの手順書というのを東京電力が定めているところであり、それに従って行動してくれさえすれば事態の悪化は防げるというふうに認識していたので、それを進言していたところでございます。

西村(康)委員 どなたに、何時の段階で、正確でなくてもいいんですけれども、これがとまったのは二十時三十分と実績がありますが、何時の段階で、どなたに進言されたのかをお伺いしたいと思います。

班目参考人 申しわけございません、何時何分とか、そういうのはもうほとんど覚えていないんです。それから、どなたにというのもきちっとは覚えていません。

 その場には、海江田大臣と、それから総理補佐官も何人か複数いらっしゃいましたし、総理ももちろんいらっしゃったと思います。出たり入ったりされていたと思います、ほかの災害のこともありましたので。それから枝野長官もいらしたんじゃないかなという感じがしますが、そのあたりの方々に進言したというふうに記憶しております。

西村(康)委員 ベントも含めて進言をされたという理解でいいですか。

班目参考人 はい、そのとおりでございます。

西村(康)委員 班目委員長が進言されたとおり、ベントを早い段階で実施ができていれば事態悪化は防げたというふうに考えられるんじゃないかと思いますけれども、委員長、何かもし新しい事実関係がわかれば教えていただきたいんですけれども、それも含めてお答えをいただけますか。

班目参考人 少なくとも、ベントがここまで遅くならず、もう少しでも早く実行されていたらば事態の悪化は防げた、それは確かだったと思います。

西村(康)委員 大変大事な指摘でありまして、少なくとも二十二時、地震、津波、震災のあったあの十一日の二十二時の段階でベントの命令を早く出していれば事態の悪化が防げた、そういう理解でありますけれども、今まさに安全委員長が言われたように、早くできていれば、早くやれていれば事態の悪化は防げたという答弁であります。

 班目委員長、班目委員長は三月二十八日の、これは参議院予算委員会ですけれども、海江田大臣に進言をした後、その後、どういうわけか、私のところにはさっぱり情報が上がってこないんです、なかなかベントされないということを聞いていましたということですが、ここのあたりの状況、つまり、進言をされた後、その後、総理から班目委員長には相談がありましたか、あるいは海江田大臣から相談がありましたか。

班目参考人 当時、その部屋には、そういう方々以外に東京電力の幹部の方もいらっしゃいました。それで、私どものいる部屋と東京電力の本店とがつながっておりました。それから、東京電力の本店と現地のサイトがつながっておりました。連絡網はそれしかないという状況でございました。

 それで、伝言ゲームみたいな形で、東京電力の本店に、何で進まないのかというのを幹部の方が一生懸命聞いているのに対し、向こうからなかなか返答がない、そんな状況で時間が過ぎてしまった、そういうふうに私は認識しております。

西村(康)委員 班目委員長が先ほど言われたとおり、ベントも含めてマニュアルに従って行動するようにということを進言したというふうに先ほど言われたわけです。総理もおられたというふうに言われたと思いますが、総理はその後、班目委員長にその後の対応について助言を求めましたか。

菅内閣総理大臣 今委員長が言われたように、実は大きな危機管理センターの一画の比較的小さな部屋に関係者全部おりまして、かなり長時間、そこで状況把握をいたしておりました。ですから、目の前に東電の関係者、そして委員長、そして保安院がおられるわけですし、海江田大臣もおられたわけでありますから、先ほどの委員長の提言を私たちも、そうだということでぜひやってくれと目の前にいる東電の幹部に伝えておりました。

 ですから、なぜそれが進まないんだろうというのは、私も同じように、言っているのになぜなかなか行われないんだろう、そういう認識を持っておりましたので、そういう認識そのものは、今の安全委員長と同じ認識を持っていたということであります。

西村(康)委員 それでは、なぜベントの命令を出さなかったんですか。

 口頭で指示をして、命令が出たのが最終的に朝の六時五十分であります。総理の出発した後であります。総理の出発前になぜ命令を出さなかったんですか。

海江田国務大臣 これはぜひ誤解のないように、きょうテレビをごらんになっている方もいらっしゃるわけですから。

 先ほどのこの文書は二十二時の時間ですが、私がこれを受けたのは二十二時四十四分です。正式な記録がございますから。

 そして、班目委員長からもお話ありましたけれども、これは大変な事態だから一刻も早くベントをやってくださいということを再三再四にわたってお願いをしました。それは、先ほどもお話をしましたけれども、すぐそばに東電の幹部の方がいましたから、その方に向かって。

 そして、この時点では、東電も別に逡巡したりすることはなかった。わかりました、やりますということを言って、先ほど班目委員長からお話ありましたように、東電の本社に本部がありますからそこに連絡をして、そして、そこから今度は現場の福島第一発電所にそういうやりとりがあったんです。

 ところが、それがなかなか行われませんものですから、私は再三再四にわたってそういうことを言いましたし、三時何分ですか、記者会見をやってもう既に指示は出しておりますから。普通は指示が出ればこれはできるわけでありまして、そしてしかも、東京電力もその意味では努力をしていたと私は思います。しかし、再三再四にわたってそういう指示を出していたにもかかわらずこれは実際に行われなかったものですから、では命令を出そうということで命令にしたわけでございます。

 最初からずっと、一刻も早くやってください、これは総理も私も、その場に居合わせたみんながそういう思いで一生懸命やっていたということ、決して六時何分まで手をこまねいていたということではないこと、これはしっかり記憶にとどめていただきたいと思います。

西村(康)委員 もう一度言います。

 二号機の注水機能がとまったのは八時半なんです。十一日の二十時三十分です。この時点で、班目委員長は、きょうの答弁もそうですし、以前の答弁で、跳び上がるほどびっくりされて、そしてベントを進言された。つまり、二十時三十分からベントは専門家である安全委員長から進言をされた。

 そして、今、二十二時四十何分と言われまして、メルトダウンの危険性を認識したのはその時点でしょう。しかし、当然、専門家が大変な状態にあるということを言われたわけですから、二十時三十分の段階から起動しなきゃいけなかったんです。それが結果的に、今大臣は、二十二時四十一分ですか、その時点でこの紙をもらって、これはベントを急がなきゃいけない、最終的にその指示を出したのは一時三十分ごろと言われています。

 つまり、十一日の二十時三十分から、日をまたいで次の日の一時三十分、この時点で指示を出して、最終命令は、再三再四言ったけれども行われないからということで、最終的には六時五十分に命令が出されているんです。

 この間、前の日の八時半の段階から何時間ですか、八時間以上たっているわけであります。八時半の時点で注水機能がとまって進言されているんですよ、班目委員長から。この間、専門家の意見も聞かずに命令を出さなかった、これがベントのおくれ、決定的な理由だと思います。

 そこで、もう一点聞きます。

 総理が現地に行かれたことについて聞きますが、これは、東電の清水社長、来ていただいていますから、清水社長にお聞きをしたいと思います。

 東電の内部の資料で、総理が上空を飛ぶときにはベントはしない、こういうような記録が残っていると報道もされておりますが、総理が現地を、上空を飛ぶとき、ベントはしてはいけない、この認識をお持ちだったのかどうか、これをぜひお伺いしたいと思います。これは今後、国の責任なのか東電の責任なのか、それぞれ責任を負うわけですけれども、これは東電にぜひお伺いをしたいと思います。清水社長の認識をお伺いしたいと思います。

清水参考人 ベントの一連の操作に関しまして、菅総理がいらっしゃったという件でございますが、私どもは、現場の操作において、詳細はもし必要なら後ほど申し上げますが、大変苦労を重ねておりました。その中で、菅総理がお見えになったということで、実際に菅総理がお見えになって、上空を飛ぶとか飛ばないとか、そういうことというのは全く関係なく、またベントの作業そのものにも直接的な影響はなかったと私どもは認識しております。

西村(康)委員 総理が防護服も着ずに上空を飛んで、それでベントをやっちゃいけないという認識があったんじゃないかと思うんですけれども、もう一度その点だけ確認します。総理は防護服を着ずに飛ばれた。

 もう一点、あわせて、圧力が非常に高まって、これは枝野官房長官が先ほど明確に言われましたけれども、危険性が高まったから、朝五時四十四分の段階で十キロ圏内の住民に避難指示を、これは本部長として総理が出されております。つまり、圧力が高まって格納容器が破裂するかもしれない、そういう状況の中で総理は行かれたわけですけれども、もう一度、清水社長には、本当になかったのかどうかだけお伺いしたいと思います。

清水参考人 私どもがベントの必要性を認識したのが、十二日の午前一時から一時半の間に決めさせていただいて、御相談して了解をいただいたということから始まっております。

 したがって、今の御質問で、菅総理がお見えになった云々というのは直接的な影響がないというのは、そういう意味で申し上げているわけでございます。

西村(康)委員 最終的に決められたのは一時半ごろということですが、これも非常に遅い対応だと思います。二十時三十分の段階で二号機は少なくとも注水機能がとまっているわけですから、冷却できなくなっている。安全委員長はそのときベントの進言もされているわけですから、これがどういう連絡網で行ったのか、これもまた後で機会を見つけてやりたいと思います。

 安全委員長、お伺いします。

 総理がこの原発の現場を視察したいと言われる状況、これは今、枝野さんが言われましたけれども、圧力が非常に高まって危険な状態で、十キロ圏内に避難指示を出した、その状況の中で総理は現場に行かれたわけですね。このとき、班目委員長は総理にどういうことを助言されたのか。つまり、水素爆発や水蒸気爆発が起こり得るのか、あるいは何が起こり得るのか、どういうことを進言されたか、もう一度聞かせてください。

班目参考人 総理が現地に行くというふうに決められたということを聞いた後は、私には助言を与える時間はなかったというのが本当のところでございます。したがって、総理が決められたのでついていってくれという指示のもとに私はヘリコプターに同乗したというのが事実関係でございます。

西村(康)委員 先ほど答弁で、格納容器が破裂するかもしれない、そのことは総理に申し上げたと思いますという趣旨のことを言われたと思いますが、それは事実ですか。

班目参考人 当然、ベントをしないと格納容器は破裂してしまう、だからとにかくベントを急いでください、そればかりを申し上げていたということだけは確かでございます。

西村(康)委員 格納容器のベントの指示がおくれたと私たちは思っています。そして、おくれた中で圧力が下がらない、その中で総理は現地に行かれたわけです。圧力容器の圧力が下がらない、それを覆っている格納容器が破裂をするかもしれない、破裂をすれば大量の放射性物質が外部に放出をされる、その危険性がある中で総理は現地に行かれたわけです。しかも、防護服も着ずに行かれた。まさに、戦争状態の最前線に最高指揮官がヘルメットもかぶらず行くようなものであります。これは、万が一のときに、いろいろな事態が起こったときに総理は本部長としていろいろな指示を出さなきゃいけない、そういう立場でありながら、弾の飛び交う最前線に向かったわけであります。

 総理、この状況を認識しておられたのか。防護服も着ずに行かれた理由をお聞かせいただきたいと思います。

菅内閣総理大臣 何度も申し上げていますように、先ほどの原子力安全委員長の認識も、私も、もちろんそういう専門家の皆さんから、圧力容器の圧力が上がっている、それを下げるためにはベントが必要だ、そして注水が必要だ、それをしないと燃料が損傷ないしは溶融する、そういう認識は、もちろん専門家の皆さんから目の前で話を聞いておりましたから、そういう意味で、圧力容器の圧力が上がっていること、ベントが必要なこと、圧力容器が上がるということは、それがある範囲を超えると、格納容器の内圧が上がれば、格納容器そのものが損傷を来すおそれもあること、そういうことは、何度も申し上げていますように、その認識はありました。だからベントを早くするようにということを、私も同じような意見で、申し上げておりました。

 そういう中で現場に行く行かないについては、今も西村さん自身が言われましたように、それは、陣頭指揮という言葉がいいか悪いかいろいろあります。しかし、先ほどのお話でも、ほかからも出ましたように、官邸にある危機管理センターと東京本店、その場にもおられるんですけれども、そこでこうしましょうということになっても、なかなかそれが現地のサイトまで本当に届いているのかどうかということがあって、そこに何時間いて、いろいろ何回も何回も繰り返しやってもよくわからないんです。

 そういう中でいえば、やはり私は、これは二つの要素、地震、津波のことでも上空から見ようということもありましたけれども、同時に、立ち寄って、現場でやっておられる方ときっちり話が短時間でもできることが重要だと考えて出かけたわけでありまして、その出かけたことに対していろいろな意見があることは、意見としては承知をしておりますが、私は、そのことによってしっかりと第一サイトの所長ともコミュニケーションができたことはその後の対応においても大変プラスになった、このように考えております。

西村(康)委員 もちろん危機のときに現地の様子を知るというのは大事なことですけれども、今回は状況が全く違います。枝野官房長官が言われたとおり、十キロ圏内は避難をさせているんですよ、圧力容器の圧力が下がらないから危機的な状況にあると。しかも、安全委員長は、格納容器が破裂するかもしれない、そういうことまで言われている中で、防護服も着ずに最高司令官が現地に行く。

 総理は、最高司令官として、本部長としてその後もいろいろ指揮をとらなきゃいけない立場なんですよ。それなのに、弾の飛び交う前線にヘルメットもかぶらずに行くようなものです。なぜそのような行為をとったのか、そこだけをお伺いしたいんです。その点、お答えいただきます。

菅内閣総理大臣 何回も申し上げますけれども、私としては、やはり現地で実際に指揮をとっておられる方と話をすることが極めて重要だ、そういう認識で行ったわけでありまして、そのことがその後のいろいろな対応を決める上でも大変プラスになった、こう考えております。

西村(康)委員 時間が来ましたので指摘をしておきたいと思いますけれども、ベントをやるタイミングは、その八時半の段階、二号機の注水機能が、冷却機能がとまった段階から、安全委員長の進言を受けて、そのときから私は指示なり命令なりを出さなきゃいけなかった。もちろん、二号機と同時に一号機も危機的な状況にあったわけであります。結果的に、次の日、日を越えて、翌一時半に指示を出され、そして朝六時五十分に最初の命令が出た。しかも、その圧力が下がらない、格納容器が破裂するかもしれない中で、防護服も着ずに最高司令官である総理が現地を見る、これは私は最高司令官として失格だと思います。その点を御指摘申し上げて、質問時間が来ましたので終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

中井委員長 この際、木村太郎君から関連質疑の申し出があります。塩崎君の持ち時間の範囲内でこれを許します。木村太郎君。

木村(太)委員 菅総理初め皆さん、本当に御苦労さまです。

 私の地元青森県も今回の東日本大震災の被災県の一つでありますので、改めて私も、亡くなられた方々に心からのお悔やみを申し上げ、また、被災された皆さん、避難をされている皆さんに心からのお見舞いを申し上げたいと思います。さらに、これまでボランティアの皆さんや自衛隊、警察、消防、地方自治体、関係者の皆さんが本当に心からの御努力をされていることにも敬意を表したいと思います。

 日本のエネルギー政策、その中で、原子力エネルギー政策によりまして、電力の供給率というのは三〇%強を満たしているわけであります。全国各地に原子力発電所を初め原子力関係の施設があるわけでありますが、また、現在建設中、さらには計画中のものもあるわけです。

 私の地元青森県は、原子力発電所のみならず、六ケ所村にあります日本原燃で取り組んでおります、いわゆるプルサーマルを含む原子燃料サイクル事業というものが進められているわけであります。

 パネルを用意しました。資料をお配りしておりますが、こちらが、六ケ所村の各種原子燃料サイクル事業の施設をあらわした写真であります。

 主な柱としては、再処理事業、ウラン濃縮事業、貯蔵、埋設事業、この三つの柱があるわけであります。この三つの柱があってこそ我が国の原子力エネルギー政策というのが動いていく。よって、私の地元青森県六ケ所村は原子力エネルギー政策のかなめになっている、こう思っております。

 もちろん、茨城の東海村も同じような姿がありますが、向こうは、どちらかというと研究ということに今力点が置かれ、六ケ所の方は、産業上、いわゆる商業上の役目を果たしているというふうに思っております。

 そこで、今回、菅総理がエネルギー基本計画を白紙、見直しをするということを発表したわけでありますが、このことが、私の地元青森県あるいは市町村、立地地域において、大きな不安というか、不安というのは、その手順、手法に対しての不安を持ったんですね、まずもって。

 よって、菅総理にこれからお尋ねしてまいりたいと思います。

 表明してから、青森県の知事やあるいは六ケ所村の村長さんと私、お話をさせていただきました。見直しがどうこうと言う前に、せめて関係自治体に何らかの連絡があってもよかったんではないかというふうに皆さんおっしゃっておりました。

 まず、総理は、先ほど言いました、日本の原子力エネルギー政策のかなめであります六ケ所村の位置づけ、また青森県の位置づけをどのように考えておられますか。

菅内閣総理大臣 今おっしゃったように、青森県には、原子力発電所だけではなくて、使用済み燃料の、いわゆる原子力燃料サイクルの施設があって、それが日本の原子力利用にとって極めて重要な、ある意味ではこれなくしては長期的なそうした核燃料サイクルが回らない極めて重要な施設がある、そしてそういう形で原子力政策に大変御協力をいただいている、そういう認識を持っております。

 その上で、今御指摘のエネルギー基本計画について私が触れましたのは、御承知だと思いますが、このエネルギー基本計画は三年ごとに変える予定になっておりますが、昨年のその折の計画では、二〇三〇年までに、電気の発電量でいえば五三%を原子力で、そして再生可能エネルギーを二〇%に、それぞれ拡大するという方向性が出されております。

 そういう中で今回の原子力事故が起きた中で、その計画についてどうかといういろいろな御指摘もいただきましたので、私としては、しっかりと今回の原子力事故に対する調査、さらには検証を行った上で、今までこうであったからそれでいくというのではなくて、一たん立ちどまって白紙に戻してエネルギーの基本計画を検討する必要がある、こういう趣旨のことを申し上げているわけであります。

木村(太)委員 極めて重要な位置づけと認識しているという御答弁でした。

 しかし、白紙見直しでありますから、せめて関係自治体に連絡があってしかるべきではないか、こういう御意見なんですね。浜岡と同じように、こういった手法、一国の総理として正しいことでしょうか。

菅内閣総理大臣 今申し上げましたけれども、私が白紙と申し上げたのは、エネルギー基本計画がこれまでのままではないだろうという意味で申し上げたわけで、この青森にある施設について、それをどうこうということを直接申し上げたわけではありません。

 もちろん、今後、原子力政策がどういう形で検証されてどうなるかによって、影響をそれは全く受けないのか受けるのかということは、それも含めてこの検証なりそういうものにかかっているわけでありまして、直接的に何か施設をどうこうする、あるいは運転をどうこうするということをこの六ケ所村について申し上げたわけではありません。

木村(太)委員 手法をどう思うかと聞いているのに、全く聞いていることに答えていない、そう思います。

 では、その白紙見直しというのは、まず全体的な、総論的に見直した上で、各原子力関係施設を個々に見直しをしていくという手法なのか。または、個々の原子力施設を見直しをした上で、それが結果的に全体の見直しの姿になるのか。どちらですか。

菅内閣総理大臣 今申し上げましたように、このエネルギー基本計画というのは、化石燃料も含めて、そして原子力、さらには再生可能エネルギー、そういったものすべて含めてのエネルギー基本計画なわけであります。ですから、その中で大きな柱の一つである原子力について、今回の事故を踏まえた検証が必要だということは、これはだれもがお認めになることだと思います。

 ですから、先ほど来申し上げていますように、現時点で、核燃料サイクルの大きな施設である、根幹的施設である、そういう施設のあり方について直接に何か私が申し上げたわけではなくて、すべてのエネルギー、つまりは化石燃料や太陽エネルギーもすべて含んだエネルギーの基本計画について改めてきちんとした議論が必要だ、このように申し上げているわけです。

木村(太)委員 岡田幹事長がきのう、おとといと青森県に入られて、県内の施設を見学、視察しているんですね。踏み込んだ発言をしているんですよ。では、どっちを信じたらいいんですかということになるんですね。地元はますます不安になっていくんです。

 もちろん、白紙見直しですから、具体的なことはこれからということでしょう。しかし、その決意を総理が表明したわけですから、総理として、その方向性をしっかり持った上で白紙見直しという方針を出した、こう我々も地元の皆さんも受けとめているんです。

 白紙見直しとは、計画中のもの、建設中のものも含める、こういうことでよろしいですか。私の地元では、電源開発の大間原子力発電所が工事中でありました。また、計画中としては、東北電力の東通原子力発電所二号機と東京電力の東通原子力発電所二号機があります。これはどのように整理されているんですか。

海江田国務大臣 まず一つ、先ほど委員からもお話のありました六ケ所の核燃料サイクル施設でございますが、これは、五月一日に緊急安全対策の実施を指示しておりまして、間もなく報告が上がってくるものだと思っております。その報告を受けまして、安全性を徹底的にチェックして、そして問題がなければそこから動かしていくということでございます。

 あともう一つ、お話のありましたエネルギー基本計画でございますが、このエネルギー基本計画は、法律、エネルギー政策基本法がございまして、この十二条の中で、経済産業大臣、つまり私が、「関係行政機関の長の意見を聴くとともに、総合資源エネルギー調査会の意見を聴いて、エネルギー基本計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。」ということになっておりますので、総理からあのようなお考えがお示しがありましたので、それを受けまして、しっかりとした法律的な手続にのっとった新しいエネルギー基本計画というものをつくらなければいけない、そのように考えております。

木村(太)委員 聞いたことにストレートに答えてください。建設中のもの、計画中のものも白紙見直しなのですかと聞いているんです。また、建設中と計画のものは分けて考えるんですかと聞いているんですから、聞いたとおりに答えてください。

海江田国務大臣 建設中のものにつきましては、その建設の一つ一つの作業について、これはまず、保安院がしっかりとチェックをしてまいります。そして、計画につきましては、これも、その計画がそれぞれ保安院の方に出てまいりますので、それをチェックして、ただ、これから、せんだっての福島の第一発電所の事故もございますから、やはりその事故の経験を踏まえて、これからつくる場合は、さらに安全性を高めた形でこの管理をしっかりしていきたい、許可をするに際しても、新しく、安全性を高めるような形でやっていきたいと思っております。

木村(太)委員 岡田幹事長は現場で、大間原子力発電所は建設する、こう言っていますよ。それは、政党の幹事長と政府とは違うと言うかもわかりませんが、与党の幹事長が現場でやると言っているのに、政府の方からはそういう言葉はないんですか。そういうことが調整されていないのかということがますます現場は混乱するんですよ。大間はやるんですね。

海江田国務大臣 ただやるとかやらないとかいうお話ではありませんで、その計画が一体どういう計画なのか、それが一つ一つ、まず一つは、現在、私どもが定めております保安基準に合致しているかどうかということでチェックを申し上げます。そしてそれから、やはり今回あれだけ大きな事故が起きたわけでございますから、そこから得られる知見もございます。これも、まとまり次第、新たな保安の基準としてお願いをいたしますから、そしてそれをしっかりとクリアをしていただいて、そして着手していただきたい、こういうことになります。

木村(太)委員 その答弁を幹事長にまずレクチャーしたらどうですか。建設を進めますと言ったんですよ、幹事長は。(発言する者あり)

中井委員長 外務大臣、静かに。

木村(太)委員 では、もう一つ、同じような趣旨で確認しますが、東北電力の東通原子力発電所一号機、これは今ちょうど定期点検中でとまっていたということでありますが、これに対して、再稼働させるということで、岡田幹事長はこれまた現場で言っています。その方向でよろしいんですね。

海江田国務大臣 これは三月の三十日でございます。事故を受けまして、やはりその事故の中から、まず差し当たってやっていただかなければならないことがございます。それは、系統の電源が切断をされた場合でも、やはり独自の電源で少なくともポンプを動かすでありますとか、あるいは中央制御室のメーターを動かすでありますとか、そういう必要最低限なものについてはまず第一歩として直してくださいというお願いをしましたら、お話のありました東北電力の東通の発電所につきましては、そうした直しましたということの報告が来まして、私どもでもチェックをいたしましたから、期限が来ればそれは動かしていただいて結構です。

 ただ、これはあくまでもまず緊急措置でございますから、その点、さらなる安全性の確保をぜひお願いしますということは、お伝えをしてございます。

木村(太)委員 総理の白紙見直しということは先ほど経産大臣も答弁で触れていましたが、プルサーマルを含む原子燃料サイクル事業、これも白紙ベースで見直しをする、こういうことですか。

菅内閣総理大臣 いろいろな御質問ですから少し私の考え方を申し上げますと、今回の東電福島原発の事故において、特に第一サイトでいえば、原子炉は六基であります。それに加えて、使用済み燃料のプールが各原子炉に一つずつ、プラス共用プールがありまして、七つのプールがあります。特に四号炉においては、炉の中には燃料はなかったわけでありますが、かなり発熱量の多い使用済み燃料がプールにあって、これがいろいろな心配の種になって今日まで来ていることは確かであります。

 なぜ、そういうふうに各原子炉にかなりもう使用済みで時間がたったものまで貯蔵しているのかということの背景を調べてみますと、まさにこの核燃料サイクルで、将来的には中間貯蔵地として六ケ所村に送る予定があるものも、現時点では計画がそこまで進んでいない関係もあって、それぞれの原子炉にとどめられているという背景もあるというふうにお聞きをいたしました。

 そういう意味で、この東電福島原子炉の事故のこれからの検証に当たっては、直接、原子炉がどうであったかということと同時に、使用済み燃料がきちんとそうしたサイクルに乗っていく形が必ずしも現在とれていないことも含めて検討をしなければならないことの一つだと私自身は認識をいたしております。

 そういう意味で、先ほども、この青森にある、いわゆる原子力発電所以外の核燃料サイクルの施設は極めて重要な意味を持っているということを申し上げたわけです。

 先ほど申し上げましたように、私は、だからといって、この施設のこれがこうだ、あれがどうだということを直接申し上げたことはありません。つまりは、エネルギー基本計画、先ほど海江田大臣からもありましたように、法律的な位置づけのあるエネルギー基本計画については、二〇三〇年に五三%を原子力で、二〇%を再生可能エネルギーでという、そういう計画については、検証をした上で白紙の立場で見直していくことが必要であろう、こういうことを申し上げたわけでありまして、個々の施設をどうするこうするということをこれまで申し上げたことはありません。

木村(太)委員 そんなことを言っちゃうと、これまで協力してきた受け入れの立地地域の皆さんは納得いかないと思いますよ。何か開き直り的な、個々のことは言っていないということが。

 きょうは、多分この時間、全国の関係する知事会、やっているはずですよ。みんな、白紙見直しをすると言ったわけですから、どうなるんだろうと、そう思うじゃないですか。だから聞いているんでしょう。それを、個々のことを言っていない、それは開き直りですよ。地元の皆さんの声を踏まえて、私はきょう質問に立っているんです。

 六ケ所の日本原燃の施設、この写真の下の真ん中に再処理工場の工程が入っておりますが、今アクティブ試験の最終段階に入ったんですね。もし順調に試験結果が進めば、一二年の十月から竣工予定、この矢印のところまで今来ていたんですが、ただ、震災で今ストップしております。

 経産大臣、再開について、見通しはどうなんですか。

海江田国務大臣 まさに今、大震災によりストップをしているわけでございますが、やはり安全第一でございますので、よく安全性を確認していただきたいということでございまして、今ここで予断を持ってああだこうだと言うことではございません。

木村(太)委員 イエスなのかノーなのか、理解できないのですが。もう一回答えてもらえますか。

海江田国務大臣 私どもとすれば、やはりまだ、新しいエネルギー基本計画を策定するまでは、これまでのエネルギー計画が生きているわけでございます。

 ただ、先ほど菅総理からもお話がありましたけれども、先ほどの法律の項目の中に、やはり、エネルギーの関係が大きく変わってきた場合はこれは見直しをする、遅くとも三年以内に見直しをするということでございますので、その意味では見直しをしようというふうな方向で思っておりますが、これはちゃんと法律的な手続にのっとってやっていくということ。

 そして、何よりも、今ストップしておりますものについては、これは、先ほどお話をした三月三十日の安全基準をクリアするものは、これは、しっかりとスタートさせてどうぞ結構です、よろしゅうございますということでございますが、この再処理のところにつきましては、五月一日の新たな指示もございます、それから地元の皆様方の、本当にこれまで御苦労されて合意を重ねてきたということもございますから、そういう地元の方々の意向も尊重しなければいけないというのが私どもの考え方でございます。

木村(太)委員 先般、日本原燃が、さらなる安心、安全のための対応策を発表したんですね。ただ、再処理工場というのは、原子力発電所と違いまして、冷却のための海水を取水する必要がない。よって、内陸に立地されておりますし、海岸から五キロ、また標高五十五メートルの高台に設置されておりますから、仮に今回のあの大津波が来ても大丈夫だというふうに言われているのですね。しかし、その上でもさらに、例えば、全交流電源が喪失した場合に、その確保をさらに加えていく、こういったことを発表しているのですね。経産大臣、どう評価していますか。

海江田国務大臣 ですから、先ほど少しお話をいたしましたけれども、他の原子力発電所については三月三十日、そしてこちらの再処理工場については五月一日という形で、日を分けまして、安全確保のための措置をお願いしたところでございます。

 そして、委員御指摘のとおり、特に津波対策ということで、海抜というんですか、五十五メートルのところの設備をしっかりとしたものにしているとか、そういう御努力をされているということは確かに私どもも承っております。しかし、まだ途中でございます。正式な報告が届いておりませんので、その正式な報告を待ってから、私どもでも判断をしたいと思っております。

木村(太)委員 お手元の資料にある原子燃料サイクルのこの絵でありますが、発電所の左側に中間貯蔵施設の絵がありますけれども、今、日本で初めての中間貯蔵施設が、むつ市に建設が進められていました。これも今中断しております。では、この見通しはどうですか、経産大臣。

海江田国務大臣 この点につきましても、やはり、私どもは、今回の東京電力の福島の事故の問題、これは、菅総理からお話ございました使用済み燃料の問題もかなり事故の大きな現象の一つになっておりますので、使用済み燃料についても十分注意をしなければいけないというふうに思っております。

木村(太)委員 総理に聞きたいんですが、この白紙見直しという考え方の中で、高レベル放射性廃棄物の最終処分、これも白紙見直し、検討するということでよろしいですか。

 その前に、モンゴルにその処分地を求めるような動きを政府がしていたかの報道がありましたが、これは事実ですか。

松本(剛)国務大臣 そのような報道があったことは私どもも承知をしておりますし、モンゴルとの間ではいろいろな形での意見交換をしておりますけれども、モンゴルとの間でそのような具体的な交渉があったとは承知をしておりません。

菅内閣総理大臣 先ほど、使用済み燃料について、若干正確でなかったかもしれませんが、今委員御指摘のように、むつ市に中間貯蔵施設があるわけでありますが、現在、福島の場合においては、各原発の施設の中にとどめ置かれているということであります。

 それから、何度も申し上げていますように、私が白紙という言葉を使ったのは、例えばどこの原子力発電所を白紙にするとか、あるいは今御指摘の原子燃料サイクルの施設等を白紙で今後についてするというようなことを申し上げたわけではなくて、エネルギーの基本計画という、原子力だけではなくて、それこそ天然ガスから石油から、そして太陽エネルギーから、すべて含んだ日本におけるエネルギーの基本計画について、今回の事故を受けて、特に原子力について、二〇三〇年に五三%ということに予定どおりなり得るかどうか。そういうことはきちんと検証しなければなりませんので、このトータルの計画について、白紙に戻って見直していこうということを申し上げているわけで、だからこの施設がどうか、だからあの施設はどうかと言われても、現時点では、基本計画そのものについて申し上げているということ以上のことは申し上げようがありません。

木村(太)委員 その考え方はそのとおりだと思いますが、しかし、現場はそうとらえていないんですよ。今の答弁で、白紙見直しを、ああ、そうですかと納得するような説明にならないんですよ。うちのこの施設はどうなるんだろう、今この状況はどうなるんだろう、みんなそう思っているんですよ。だから聞いているんでしょう。そんな、トータルだけのことだとか、それで今、この白紙見直しという総理が方針を示したのに納得していないんですよ、みんな。だから聞いているんでしょう、一つ一つ例をとって。

 もちろん、具体的なことまで今は求めて質問しているわけじゃありません。大まかな方向性をそれぞれにおいて聞いているんですよ。

 最終処分地も、平成二十年代中ごろまで文献調査とか、こういう計画がどうなっていくんだろうと。それが何年というふうに変更する、そこまで答弁を求めていません。しかし、白紙見直しの中で、最終処分地の時間的な見直しもあり得るとかないとか、そういうことを地元は説明を求めているんですよ。どうですか。

海江田国務大臣 委員御心配の点、その意味では、いつごろまでにどうということを残念ながら今の時点では申し上げられないところではございます。

 ですから、私どもとすれば、先ほどもお話をしましたけれども、五月一日、ほかのとは違いまして、これはやはり条件が違いますので、ただ、そういうものをしっかりと安全を確保していただければ、粛々とその先もその手続は進めていただきたい、こういうことでございます。

木村(太)委員 先ほど来の答弁を聞きますと、何を聞いても答弁の中身は同じだ。これは、立地県、立地地域は納得しませんよ。

 時間がなくなりましたので、最後の質問に入ってまいります。

 実は、十九日から青森県の知事選挙が始まります。ここで、私ども推薦の候補予定者と私どもは政策協定を結びました。また、先般行われた統一地方選でも、私ども自民党青森県連としても公約を発表しました。いずれも、安心、安全を根底とした原子力政策のことを掲げております。

 民主党さんの推薦で立候補予定者の方、計画中、建設中のものも一たん白紙にする、凍結するということを公約に掲げています。しかし、きのう岡田幹事長が入って、全く違う発言をしている。菅総理の、菅直人さんの名前で推薦状をいただいている方でしょうから、県民から見ると、民主党政府と十二分に政策のすり合わせをした上で推薦を出し、知事選に出るんだろうな、こう思うんですね。こういったこともどうなのかというふうに地元は思っているんですよ。

 それから、これはお願いしたいんですが、実は、知事選の立候補予定者の皆さんに公開討論会を求めている方がいまして、この方が民主党の党籍を持っているんだそうです。こういうことをどう思いますか、菅さん。自民党のみならず、他の政党に対しても失礼なことだと思います。普通、公開討論を主催する方は、全く政党色のない公平な方がやるものだとその会場に来る方は思って、公開討論に足を運んでいるんだと思います。菅総理、どう思いますか。

菅内閣総理大臣 例えばJCの皆さんが地域で、衆議院選挙の折ですが、公開討論会を開かれて、そういう折には、私もできる限り出席をするようにいたしております。

 主催者が、余り政党にかかわりのない方がやられるのが一般だという意味では、私も、一般的にはそのようには思っております。ただ、その具体的な事情を知りませんので、どういう方がやられたらいいとか悪いとかというところまでは、ちょっと申し上げられません。

木村(太)委員 党の方に調査するよう指示する考えはありませんか。

菅内閣総理大臣 何か、今申し上げたように、特にそのことが悪いこととかなんとかというふうには思いませんので、それは地元で有権者の皆さんなり関係者の皆さんがこれはおかしいじゃないかとか言われるのは自由ですが、特に今のお話で調査をするというところまで申し上げるのは、ちょっと申し上げられません。

木村(太)委員 時間が来ましたので最後に、菅総理、海江田大臣、六ケ所に機会があったら視察をしたいという気持ちはありますか。それだけ聞いて終わります。

海江田国務大臣 私は、たしか昨年だったと思いますが、つぶさに見させていただきました。今後もまた出かけたいと思っております。

菅内閣総理大臣 私も、いろいろな施設、いろいろなものを見るのは極めて興味を持っておりますので、機会がありましたら拝見させていただきたいと思います。

木村(太)委員 終わります。ありがとうございました。

中井委員長 この際、江藤拓君から関連質疑の申し出があります。塩崎君の持ち時間の範囲内でこれを許します。江藤拓君。

江藤委員 自由民主党の江藤拓でございます。

 今回は、発言の機会を与えていただきまして、委員長、ありがとうございます。両筆頭にもお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございます。

 まずは、本当にとうとい命がたくさん失われました。御家族の方々、御親族の方々、御友人、どんなお苦しみでしょうか。また、御遺体もまだ見つかっていない。悲劇であります。

 そして、避難所その他でたくさんの方々が大変御不自由な暮らしを耐えていらっしゃる。大変な忍耐力だと思いますよ。新燃岳でも一次避難をいたしましたけれども、期間は短くてもみんな限界に達しておりました。その忍耐力の強さに敬服するばかりであります。

 そしてまた、自衛隊や警察や、それから福島原発の現場で、刻々悪化するあの状況の中で命がけで闘ってくれている皆様方に敬意を表したい。多くのボランティアの方々、たくさんの御好意をいただきました。そういう方々にも心からの敬意と感謝を申し上げたいと思います。

 宮崎県は、口蹄疫それから鳥インフルエンザ、現在も新燃岳が爆発的な噴火を繰り返しております。今も被災地なんです、宮崎は。それでも、宮崎の中で皆さんが何と言っているか。今我々は恩返しをしなきゃいかぬ。昨年からたくさんの御好意を日本全国からいただいた。例えば、新燃周辺の人たちは、野菜なんかを無償で送らせていただいておりますし、おふろを持ち込んで、そしておふろのサービス、炊き出し、いろいろなことをさせていただいております。

 これは宮崎だけのことじゃない。日本全国の方がこういったことをやっている。これは誇るべきことですね。私は、久しぶりに日本人として胸を張れる、日本人でよかったというふうな思いがしたわけであります。

 ここで、まず総理にお尋ねをしたいのであります。

 総理は、鳩山総理のときに口蹄疫が発生して、その後を受けられました。鳩山総理は、宮崎に来られて万全の対策を講じますとおっしゃった次の日に退任されました。その後を受けられたのは菅総理、大変御苦労だったと思います。その総理が、その国家的危機、この非常事態の経験、教訓、こういったものが今回の大震災に生かされたと御自身で総括されますか、御感想をお聞かせください。

菅内閣総理大臣 まだ、この大震災について自分自身がやってきたこと、いることを総括するというところまで、私自身、気持ちを含めてそこまでは来ておりません。

 言えることは、震災発生後、まず命を救うということで、自衛隊、警察、消防といったところにまずは出動のお願いをし、そしてその後、私としてやらなければならないといういろいろな皆さんの御指摘については、全力を挙げて内閣全体としても頑張ってきたつもりであります。

 また、原子力事故については、これは震災とはやや性格を異にするところがあり、また別な意味で大変な、状況把握などに今日に至るまである意味苦労いたしておりますけれども、これについても専門家の皆さんの知見をいただきながら全力を挙げて取り組んでいる。

 今申し上げられるのはそこまでで、まだ自分の行動を総括するところまでは至っておりません。

江藤委員 全体を総括してくださいと言ったわけではございません。初動について、経験が、教訓が生かされたかということをお尋ねしたわけであります。

 このことについてさらに追及しても、今、同僚の西村委員の方から極めて精緻な御指摘がなされましたので、このことについては私は避けさせていただいて、議員同士で、私は今回は農林水産に集中して質問をしろという御指示をいただいておりますので、具体的な質問をさせていただきます。

 まず、二十キロ圏内、警戒区域の安楽死の指示を出したことについて総理にお尋ねをいたします。

 これは城島委員が午前中も御質問されていらっしゃいましたね。ちゃんと聞いておりました。五月十二日、福島県知事に対して、二十キロ圏内の警戒区域において生存している家畜については殺処分をしなさいと。それは所有者の同意を得なさいということでありますね。私は、大変唐突だと思いますよ。あのチェルノブイリ事件のときでさえ、一週間以内に数十万頭の家畜を避難させたんですからね。山古志村のとき、中越地震のとき、我が党の長島議員が、衆議院議員を今務めていらっしゃいますけれども、千二百頭、ヘリコプターで四百往復、そして、すべての家畜を置き去りにすることはありませんでした。それができたのに、なぜ今の政権はできないのだ、そういう指摘が私のところにたくさんあります。

 わかりますよ。人命が第一だと総理はおっしゃった。そのとおりでしょう。そして、放射能の問題があることも、それは理解をしています。しかし、そもそも私が総理にお尋ねしたいのは、こういった地域に取り残された家畜の問題に対して、この二カ月間、関心を持ってこられましたか、報告を受けてこられたですか。そして、なぜこのタイミングで突如としてこの処分命令が、指示が出たんですか。お答えをいただきたいと思います。

鹿野国務大臣 今委員からの御指摘の件につきましては、私どもも重大な関心を持って取り組んできたところでございました。

 そういう意味で、この二十キロ圏内の家畜につきましてどうするかということにつきましては、今おっしゃっていただきましたけれども、まさしく二次災害などのリスクなどを考慮しながら、なかなかこの二十キロ圏内に立ち入るということが困難な状況にあったというふうなこと、これも否めない事実であるわけであります。そういう中で、少なくとも二十キロから三十キロ圏内、ここにおきましては何とかしなきゃならないということで、粗飼料を供給してきたところでございます。

 そしてまた、四月の二十二日には、計画的避難区域というふうなことがなされた段階におきましても、家畜の移動というふうなもの、出荷というふうなものを私どもとしてはできるだけ早く、迅速に行っていかなきゃならない、こんな気持ちのもとに県と打ち合わせをしながらやっているところでございまして、そういう意味では、今後とも県当局と連携の中でできるだけの努力をしていきたい、こういうふうに思っております。

江藤委員 私も自民党の畜酪の委員長をさせていただいておりますので、東北の方々にたくさん事務所をお訪ねいただいて、写真やら動画やら、涙ながらのお訴えをいただきました。まさに地獄絵図ですよ。この公共の電波の場でその状況を言うつもりはありません。本当にひどい状況なんだ。

 そんな中で、宮崎県は口蹄疫で二十八万頭を超える家畜の処分をいたしました。これも地獄だった。しかし、宮崎の人たちは今何と言っているか。自分たちは最後までえさをやって、世話をして、お別れをすることができた。二十キロ圏内の人たちはこの二カ月間どんなに苦しい思いをしているかと。ましてや、放した人はまだいい、つないだまま畜舎を後にした人は、自分を責める気持ちで、本当につらい気持ちでこの日にちを過ごされただろう。だから、我々宮崎の畜産農家として何かできることはないか、江藤君、何とかしてやってくれ、早く楽にしてやってくれ、そういう要請はもっともっと早い段階から実は上がっていたんですよ。

 口蹄疫の場合は、まだ目標があったんです。清浄化して、国から補償の内容も示されずに殺処分に応じましたけれども、それでも、補償金をもらったらみんなで新しい畜産を再興しようという将来の目標があった、少なくとも。今回、真っ暗やみのトンネルの中じゃないですか。何の将来の見通しもない。

 そして、この指示書を見ますと、苦痛を与えずに、いいことですよ、安楽死をさせる。口で言うのは簡単ですよ。つないである家畜を安楽死させるのだって、宮崎はたくさんけが人が出ているんですよ、けられたり、いろいろなことがあって。ましてや、野生化している、解き放たれた牛を見つけて、それを苦痛なく安楽死させる、これは簡単なことじゃないですよ。

 しかも、これを見ますと、これが指示書ですけれども、関係市町村長が設定した警戒区域において生存している家畜については、当該家畜所有者の同意を得て、苦痛を与えない方法で安楽死すること、指示。指示するのは簡単ですよ。丸投げですよ。これ、宮崎は、口蹄疫問題だけでも、本当に市町村も追い込まれましたよ、農協職員も。精神的にも肉体的にもぎりぎりだった。今、被災しているわけでしょう。二十キロ圏外の人たちが、しかも圏外へ出ているんですよ。

 今大臣は、いろいろ打ち合わせをしてこういう指示を出したと言われましたけれども、では、だれが、どのような方法で、どのようなタイムスケジュールでこの指示を履行させるんですか。お答えください。

鹿野国務大臣 具体的には、やはり同意を得るというふうなことが非常に大事でございますので、この点は当然ながら、家畜の関係の人たちと連携をとりながら、県当局とも逐次この問題についてどういう具体的な措置をとるか、こういうふうなことで取り組んできたところでございまして、五月の十二日に具体的な作業等の検討のために農林水産省から福島県の方に職員を派遣いたしまして、県の方とも協力をしながら速やかに具体的な措置を講じてまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。

江藤委員 ですから、順番が逆なんですよ。それをきちっとまとめた上でこの指示書を出すべきだったと大臣はお考えになりませんか。

 これ、総理、あなたのお名前で出ているんですからね。内閣総理大臣名で福島県知事あてに出ているんですよ。あなたが出した指示ですからね。本当は鹿野大臣を責めるのは酷なのかもしれません。(発言する者あり)

 そういうふうにおっしゃいますけれども、テレビを皆さんごらんになったでしょう。一時帰宅をして、真っ先に向かったのは畜舎ですよ、畜産農家は。そして、二時間与えられた時間、町や山をさまよって自分の家畜を捜している姿もテレビに映ったじゃないですか。そして、落胆して帰ってきて、何日もしないうちに、突然こんな指示が出た。殺処分だ。本当に私は、畜産農家の苦しみとかそういったものは、総理、あなたはわかっていらっしゃらないと思いますよ。もっと優しい人間になってください、思いやりのある。

 それでは、総理、殺処分の話をもうちょっとしましょう。口蹄疫のときでさえ、つないである家畜ですよ、それでも一頭当たり四人ぐらいのスタッフが必要だったんですよ。嫌がりますからね。これが野に放たれているわけですから、その困難を地方に丸投げしたらどういう事態になるかということは、もう一度党内でよく考えてください。

 そして、総理にお尋ねします。今、大臣の方から同意のお話がありましたね。耳には耳標がついていますよね、トレーサビリティーの問題があるから。すべて見つからないかもしれない。基本的には、耳標で所有者を確認した上で殺処分をするのが筋だと私は思う。だけれども、今回はそれを省くんですか。これはまだ質問じゃありません。

 それで、一番の問題は、先ほど私がどうして最初にああいう質問をしたかというと、教訓が生かされたのであれば、この殺処分の指示を出すときに、補償の内容を明確に農家に示すべきだったんですよ。口蹄疫のときの例があるんだから。血統加算はこうするんだ、種類をこうするんだ、種牛はどうするんだ、種豚はどうするんだ、種鶏はどうするんだと。勉強されたじゃないですか。勉強したじゃないですか。一緒にやったんですよ、口蹄疫のときは農水委員会が一つになって。ですから、私は、教訓が生かされていないと。

 どうして、そういった補償の内容とか具体的な内容を示さないままにこういう指示をぽんと出したんですか。お答えください。

鹿野国務大臣 総理からの本部長としての指示におきましては、それまでは、相当いろいろと具体的な形で、県当局あるいは地元の市町村等とも連絡、連携をとりながらやってきたということでございます。

 今回の、今委員から言われた、口蹄疫と同じように補償の問題と処分の問題を一体的に取り組むべきだ、このような御指摘がございましたが、御案内のとおりに、このたびの原子力の損害賠償審査会におきまして、第一次の指針には、避難等により警戒区域内の家畜の管理が不能になったために財物の価値を喪失した場合には損害として認められるというふうな旨が盛り込まれております。これは当然のことながら、家畜も入るわけでございます。

 そういう意味で、明確に、安楽死によるところの家畜について、当然のことながらこれは補償、賠償の対象になるもの、このような考え方に立っておるところでございます。

江藤委員 だったら、大臣、急ぎましょうよ。大臣室を私と宮腰部会長とお訪ねしたときに、呼びとめていただいて、今後もいろいろ意見交換していこうと言ってくださったじゃないですか。ですから、早く、本当は同時じゃなきゃいけなかったけれども、急いで、農家の皆さん方の心の苦しみを少しでも和らげるためにそれを出すことを要求して、もう答弁は結構です。

 それから、枝野官房長官はこう言っていらっしゃいます。東電に対して、なるべく早く、速やかに賠償を実施されるよう期待すると言われました。政治主導でやってほしいんですよ。確かに法律の問題はありますが、原賠法も一生懸命勉強させていただきました。一義的責任は東電にある、よくわかっています。しかし、非常事態宣言をされているわけですから、ここは、期待するという言い方は、私は余りにも弱いなというふうに思います。

 繰り返しになりますけれども、内容をきちんと出して、スケジュール感を持って急いで作業に移ってください。答弁は結構です。済みません、時間がないので。

 次の問題をさらに申し上げます。

 大きな問題があるんですよ、この殺処分については。我々は埋却をしました。埋却地でも随分もめました、場所が見つからなくて。今回は、殺処分をして、ブルーシートをかけて、消石灰をまくんだという話ですよね。これから温度はどんどん上がっていくんですよ。ブルーシートでふさぐと、大体、中の温度は六十度を超えるんですよ。どうするんですか。

 口蹄疫のとき、宮崎で、夜、悲しい音が聞こえました。それは、埋却した牛や豚のおなかの中にガスがたまって、破裂するんですよ。悲しい音ですよ。つらい音ですよ。埋めてもそうなんですよ。埋めてもにおいは強烈でした。ハエがぶんぶんわきましたよ、本当に。殺虫剤をまくのが仕事だったんだから。これを野積みにするということは、私は大問題だと思う。

 そして、もっと言えば、この二十キロ圏内の悲惨な状況というのは世界じゅうにもう既に配信されちゃったんですよ。これは日本の信頼を失いつつあるんですよ。さらにこれを、ブルーシートをかけて朽ち果てていく姿なんかが流れたら、日本の安心、安全とか信頼は吹っ飛んでしまいますよ。あらゆるものの輸出、農産物に限りません、工業製品の輸出とか、そういった日本の信用自体を大きく損なうことに私はなると思うんですよ。

 そして、家畜に対する優しさ。家畜というのは、産業動物とよく言いますけれども、家族なんですよ、特に酪農家なんかは。つき合いが長いんですから。もっと総理、先ほど優しくなってくれと言いましたけれども、思いやりを持った政治をやってください。今度は総理に御答弁を求めます。

鹿野国務大臣 今、江藤委員からおっしゃるとおり、家畜農家の、畜産農家の方々の気持ちを思いますと、自主的に私も直接いろいろな話も承りましたし、本当に胸の痛い思いをいたしておるわけであります。

 そういう中で、五月の十二日に指示が、基本的な考え方が出されたわけでございまして、これは、いわゆる当面の間移動及び処分は行わないという方針であることを考慮して、敷地内等々で消石灰を散布して、ブルーシートで覆う、こういうことでございまして、できるだけ早く、その覆ったものをどうするかということにつきましての処分については、原子力安全委員会の方に対しましても、その後どういうような措置を講ずるかというふうなことについても、ぜひ早く考え方を出してもらいたいということも要請をいたしておるところでございます。

江藤委員 当面の間ですか。しゃくし定規に、いわゆる放射能によって汚染された廃棄物だという扱いなんですよ、これは。そういう見方をすること自体が、視点が間違っているというふうに私は思います。

 私は、二十八万頭埋却したんだから。確かに放射能の問題がありますよ。だけれども、どうせ二十キロ圏内に殺処分する人間が入っていくんでしょう。だれも入らないなら別ですよ。だったら、埋却の要員の方々も万全の措置をして、ぜひ埋却地の確保をしてくださいよ。検討してください。ぜひよろしくお願いをきょうはしておきます。(発言する者あり)いや、質問がいっぱいあるので、済みません。まあ、農水委員会でまたじっくりやりましょう、大臣。

 私の同期で、今残念ながら議席を失っておりますけれども、親友の西村明宏前代議士がおられます。彼の地元、被災地ですけれども、大体、九十ヘクタールあるイチゴ農家、八〇%が津波でやられました。そして、その方々と発災直後からいろいろな意見交換を西村議員はされてこられました。そして、この間、もう大分なりましたけれども、部会長の宮腰先生、当地に行かれまして、イチゴ後継者たちと意見交換をしてきました。彼らが言うのは、十二月のクリスマスまでに必ずおれたちはイチゴを出荷してみせる、頑張ると。そういう意欲を持っているんですよ、総理。こういう人を応援しようじゃありませんか。

 本来は、こういう施設関係は三分の一補助です。だけれども、これを大臣に頑張っていただいて、二分の一補助まで引き上げていただいた。非常に感謝しております。これも、例えば、強い農業づくり交付金の過去実績とか地方の起債とかそういったものもあわせてやれば、六四、五%までは補助率を上げられるでしょう。でも、三五ぐらい残るわけですよ。もうちょっと助けてあげたい。そのときに、県にしたって当該市町村にしたって税収が減っているわけですから、国が交付税措置で来年度助けてあげますよというメッセージが一言あれば、総理、思い切って応援しますよ。

 江藤、何でおまえはイチゴばかり言うのかと言うかもしれませんけれども、私は、地域が求めているのは先駆けとなる復興の明かりだと思うんですよ、さっき真っ暗やみの中だと言いましたけれども。彼らがどんどんどんどん復興に向けて確実に成果を上げて、十二月にイチゴを出荷できたら、これは本当に、農業者だけじゃなくて、漁業者も商業者も中小企業者も、いろいろな方々が、一生懸命頑張れば国が応援してくれるんだ、おれたちも負けずに頑張ろうと、大変な勇気づけになると思うんですよ。

 そのことについて、総理、これは総理が答えてください、今度は。これはだって、本当は総務大臣の話ですから。総理、ぜひ、もうちょっとこれについて応援しようというお気持ちはあるかどうか、それだけで結構ですから、お答えください。

菅内閣総理大臣 農水大臣がもちろんこの分野で大変頑張っていただいておりまして、また、場合によれば、地方自治体に対する特別交付税措置といったようないろいろな仕組みなども使えるのかどうか、このあたりはできるだけ、そういう意欲のある農家あるいはいろいろな皆さんが前向きに動けるように、政府としてもいろいろな知恵を委員からもおかりしながら取り組んでいきたい、これは農水大臣にしっかりと検討をいただきたい、こう思っております。

江藤委員 総理、ありがとうございます。ぜひ、その言葉を忘れずに、トップとして強力な指導力を発揮していただくように御期待を申し上げます。

 次に、農地、農業用施設についてお尋ねします。

 農地は二千六十二カ所、それから農業用施設は一万カ所以上が被災をしました。今上がっているだけでも、この被害総額は六千八百億円を超えておりますね。この金額はさらにふえるでしょう。

 一次補正では、上がってきた金額、全部合わせても八百億。これが少ないとかなんとか非難をしているわけではないんですよ、前もって言っておきますけれども。ただ、二次補正はとても大事ですよね、大臣。二次補正においては財源をきちっと確保することである。まず農林水産については、いわゆる農業の基盤とか農業の足腰を強くする予算が片っ端から削られてしまって、戸別所得補償の予算ばかりががんがんふえちゃっているんですよ。ここは、やはり私は見直すときが来たんだというふうに思います。

 自民党としては、もっと担い手をつくらないかぬということで、担い手育成法案をつくりました。国会に提出をいたします。ぜひ与党におかれましても精査をしていただいて、修正するなら修正をさせていただいて、本当に実の上がるお金の使い方、こういったものをしていきたいと思いますので、いや、これも答弁は結構です、ぜひよろしくお願いいたします。時間がもう十分ないんですよ、済みません。

 次に、風評被害についてお尋ねをさせていただきます。

 牛肉の値段、東京の市場ですけれども、A5がキロ当たり千九百八十五円です。これは暴落しているんですよ、この値段でも。福島県はさらに安くて、千七百三十三円です。これは明らかに風評被害ですよね、明白に。全国的に露地野菜は安くなりました。九州のもがんと値下がりですよ。神奈川県の足柄茶が自主回収になったことは最近の話ですね。東京を飛び越えて神奈川県、大変なことですよ。魚も、茨城県のコウナゴのことがあって、千葉の魚、値段がつかなかったというのも報道されましたし、(発言する者あり)千葉ですね、千葉の魚。それで、宮崎県の漁船は、三月、千葉の銚子港にビンナガマグロを水揚げいたしました。どんなに景気が悪くて安いときでも、キロ当たり二百数十円は必ずついていたんですよ。これが幾らだと思いますか。八十円ですよ、八十円。燃料代にもなりません、燃料代にも。

 総理の記者会見等を私なるべく見るようにしておりますけれども、総理、よく万全を期すという言葉を使われますね。政治生命をかけるとか命がけだと。その意気込みやよしですよ。だけれども、本当にそれを政治の結果責任として、形として、これを成果として出すのであれば、四十七都道府県すべての風評被害を見なければなりません。

 総理は、どのような範囲で、どのような覚悟でこの風評被害について、原賠法、ここにもありますけれども、一千二百がどうのこうの、それから六条、七条、十条、十六条を読みますと、無限責任ですから、これは大変なんですよ。ですから、国がある程度の考えをもうまとめておかないとまずいと思いますが、総理、どうお考えですか。

菅内閣総理大臣 原賠法に基づく賠償について、指針を決めて、そして具体的に賠償していく。一次の指針が決まりましたけれども、風評被害については、これからのさらなる指針の中で決めていかれる、そう理解しております。

 言うまでもありませんけれども、事故との相当因果関係が認められるものは、風評被害においても当然賠償の対象になる、このように考えております。おっしゃるように、風評被害の範囲というものの確定はあるいは非常に難しい面があろうかと思いますが、この原則にのっとってしっかりと適切な賠償が行われるように、政府としてもしっかりそういうことに対して見守って進めてまいりたいと思っております。

江藤委員 おおむね了とはさせていただきますが、その見守っていきたいと思いますというのは、政治主導というお立場からは大きく離れているというふうに私は思います。

 機構に公的資金を入れることも伺っておりますし、そして、一千二百億を超えた部分については、限界はあるかもしれませんけれども、国会の了承を得てできる限りの補償をする、こういうことでありますが、やはり範囲については国がきちっとした方針を示す必要があるだろうと思います。

 次に、仮払いについてお伺いをしてまいりたいと思います。

 十二日、農林漁業者に対するいわゆる仮払いを東電に正式に要請されましたね。そうしたら、びっくりしたことに、すぐ次の日、東電からプレスリリースがあって、五月の末までに仮払いを開始することを目指します、おお、すごいなと。

 こんなに早く東電からレスポンスが来るのであれば、何で総理、もっと早くやってくれなかったんですか。皆さん方にも上がってきていたと思いますけれども、農業者、例えば畜産農家なんかはえさをやり続けなきゃいけないわけですから、みんな、手持ちの資金がなくなって困り果てていたわけですよ。仮払いしてくれと我々が要求したら、国から出てきたのは、いわゆる無利子の貸し付けを行いますと。貸し付けといったって借金ですからね。バランスシート上は極めて経営状況が悪化するわけですから、決してありがたい話じゃないんですよ、これは。ですから、こういったことを私は聞いて、怒りと驚きを感じました。

 どうして、この二カ月以上たったタイミングでぽんとこういうようなことを東電に要請される、このタイミングについての根拠のようなものをお示しください。

海江田国務大臣 私は原子力経済被害の担当特命大臣でもございますので、その立場で御答弁をさせていただきます。

 今、どうしてこのタイミングになったのかということでございますが、これは、私どもがこの原子力の損害賠償のいわゆるスキームでございますね、この仕組みを関係閣僚会議で決めたところと軌を一にしてございます。もちろん、いろいろなお声がございましたので、かねてから、事前にそういうことは東京電力に伝えてございましたけれども、具体的には私どもが関係閣僚で中身を決定したところから動き始めた、こういうことでございます。

江藤委員 遅かったと。私が感じている感想ではなくて、大臣、もっと早くこの作業は進めるべきでしたね。うなずいていらっしゃいますから。ですから、過ぎたことを言ってももう始まりませんから、どんどんどんどん出るようにターボをかけて頑張ってください。

 ただ、自民党では、どうも私は、残念ながら政府それから東電を余り信用しておりません、隠ぺい体質もどうも東電にはあるようでありますから。ですから、私は、自由民主党において、私が中心ではありませんけれども、国による仮払い制度、これができるような法案の骨子はもうでき上がりました。この作業は続けさせていただきます。国会に提出します。

 でもこれは、言っておきますけれども、東京電力を助けようということを目的にしているわけじゃありませんよ、決して。求償権はきちっと確保した上で、この法律を国会に提出しようというふうに思っておりますので、そのときにはぜひ、また農林水産委員会で検討することになると思いますので、協力して、またこのことについては御協力を賜りたいというふうに思います。

 もう時間もぎりぎりになりましたから、最後に水産関係。

 気仙沼は、宮崎とは実は非常につき合いが濃いんですよ。カツオ一本釣りの日本一は宮崎県です。この魚は気仙沼に実は揚げていまして、気仙沼の飲み屋さんには全部、宮崎のしょうちゅうがあります。それぐらい非常に深いおつき合いをさせていただいているわけであります。中古の船とかエンジン、それから漁具等がこうやって集められている、届けられているというのは、漁師の方々のこの心意気といいますか、そういったものを強く強く感じて、私はいいと思います。

 しかし、この再興について、二次補正から、これから先、生産方式による共同化、集約化は必要でしょう。そして、あくまでも地元の方が求めている形、コミュニティーとか文化とか、そういうものは決して壊れることがないようにこれを進めていかなきゃならぬと思いますが、大臣、どうお考えですか。

中井委員長 鹿野農水大臣。時間が来ていますので、短く。

鹿野国務大臣 基本的には、私どもも、気仙沼にも参りまして、いろいろ漁業者の話もお聞きをいたしました。まさしく、この地域の方々の考え方と十分調整をしていく必要がある。

 これからの復旧復興については、そういう基本的な考え方に立ちまして、水産庁におきましても、水産業復興プロジェクト支援チームというものを立ち上げまして、そして被災地に調査員を派遣いたしまして、いろいろな意味でいろいろな考え方をお聞きいたしているところでございます。

 これからも、当然、お話を伺いながら、県当局、関係者とも連携をとって、次の復興復旧に向けて全力を挙げて取り組んでまいりたいと思います。

江藤委員 これで終わります。ありがとうございました。

中井委員長 これにて塩崎君、西村君、木村君、江藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、大口善徳君。

大口委員 公明党の大口善徳でございます。

 今回の三・一一の東日本大震災、多くの方々がお亡くなりになり、また、いまだに行方不明でいらっしゃる。お悔やみとお見舞いを申し上げます。そして、十一万人を超える方々が今なお避難をされています。今、将来に対しても見えない、本当にそういう思いで、早く政府として展望を示すように、切実な声でございます。

 私も、現場に行かせていただきました。あの沿岸地域の惨たんたる状況、そしてまた、そういう中で立ち上がろうと皆さんが一生懸命闘っておられる。自衛隊の皆さんや警察の皆さん、消防団の皆さん、海上保安庁の皆さん、必死になってやっていただいておるわけでございます。今こそ政治が問われている、そういうことで、これから質問をさせていただきたいと思います。

 まず、今回、二重ローンの問題、これが非常に大きな問題でございます。やはり人という要素、企業という要素がしっかり再生をしないと復興はあり得ないわけでございます。

 私も現地に行きまして、二重ローンの問題も御相談いただきました。そしてまた、弁護士会でも、法テラスを初め、また仙台弁護士会、日弁連、十三の弁護士会、延べ三百五人が、四月二十九日から五月一日まで宮城県下の震災の避難所で無料相談を実施しました。その中で、やはり住宅、車、船等のローンやリース関係の相談が九百五十六件中、百六十五件あったということでございます。

 その相談内容を見ますと、新築の家の売買契約をし、三月十一日の震災当日に引き渡しを受けたが、引き渡しのわずか三時間後に津波に襲われ家が流されてしまった、しかし住宅ローンだけは残った、このローンは今後も払わないといけないのか、あるいは漁業経営者が、家も漁具も何もかも津波にさらわれた、漁業で今後生計を立てる意向だが、既に漁具購入等に充てた漁協からのローンがあり、船を購入するとなると数千万かかる、生活の立て直しをどうしたらいいのか、こういう御相談内容でございました。

 これは阪神・淡路を経験された兵庫県の弁護士さんがホームページで書いておられますけれども、今回の東日本大震災の津波により壊滅的な被害を受けた沿岸部では、漁業事業者及び関連事業者の、漁船や加工工場の設備等の生産手段を失ったにもかかわらず、その借入債務、リース債務は残存しており、二重ローンと同様の苦しみに直面している、阪神・淡路大震災から十六年たったが、いまだにこの二重ローンで十六年間苦しみ、結局は破産に及ぶ、こういうケースがあるんだと紹介されているわけでございます。被災者や被災中小企業の二重ローンの負担につき支援策が必要である。

 この五月一日、参議院の予算委員会で、菅総理は、金融の範囲だけで対応できない問題があることをよく承知しています、いろいろな手法も含めて、今ローンを抱えているいろいろな事業主がさらにローンを積み増すという形でない形のある意味での救済措置も検討してまいりたい、こう考えておりますと発言をされています。これは五月の一日ですね、答弁が。

 この二重ローンの問題につきまして、総理、五月一日に答弁をされて、そして、この関係の省庁、例えば経済産業省、あるいは金融庁、国交省にこの救済スキームを考えるよう、具体的にいつ指示されましたか。そしてまた、これについてどういう考え方をされましたか。

菅内閣総理大臣 答弁をこの委員会でした後、それぞれの秘書官を通して関係省庁に検討を指示いたしております。

 この内容について、もうよく御承知のように、ローンについては震災後、金融庁からは貸し付け条件の変更の申し込みに積極的に応ずるようということになっており、また、今般の一次補正においては、さらに取り組みを強化するため、経産省、国土交通省、農林水産省、これらにおいて中小企業や農業、水産業等への実質無利子となる貸し付けなどの金融支援を措置したところであります。

 いずれにせよ、前も申し上げましたように、この問題は金融の範囲だけではなく幅広く検討する必要があると考えております。そういう中では、中小企業基盤整備機構の事業再生ファンド等の出資といった考え方も現在検討をお願いいたしておりまして、何とか今御指摘のような二重ローンの苦しみを解消できるような枠組みを、知恵を出していきたいと考えております。

大口委員 五月の十一日に私は法務委員会で、この二重ローンの問題につきまして、総理からどういう指示を受けたのかということを、経産省の政務官、そして国交省の政務官、金融庁の政務官に聞きました。経産省の政務官は指示を受けていませんと言っておりましたし、ほかの二人の政務官も明確には言っておらなかったんですよ。

 総理は秘書を通じてということでございましたが、この重大な二重ローンの問題について、なぜ大臣にきちっとやるように、これは経産省だけ、あるいは国交省だけ、金融庁だけでできないんですよ。関係の各省庁の大臣が、それこそ新たなスキームをつくるわけですから、これをやっていただきたい。地元の方は、なぜこれが一次補正予算に入っていなかったんだ、そういう怒りさえあるわけでございます。具体的に各大臣にしっかり指示をする。

 それと、今総理は中小機構のこと、そして中小企業再生ファンドのことをおっしゃいました。これは、総理、このファンドには中小機構の国のお金も入っていますが、半分は民間の金融機関のお金なんです。資産だとか財産がある、過剰債務をどうしようかということでございますから、このスキームではもう使えないんです。すべてを流された方に対して、この中小企業の再生をどうしようか、あるいは住宅ローンで苦しんでいる方をどうしようか、こういうことですから、今総理が挙げられた例というのは、全くこれは経産省だけのものなんです。

 そうじゃなくて、この三省なり各省庁が集まっていただいて、そして、しっかりと二重ローンの問題について新たなスキームをつくるということ、これをお約束していただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。

菅内閣総理大臣 関係省庁の各大臣に、知恵を出して検討するように指示を改めて出したいと思います。

大口委員 早くお願いしたいと思います。

 そして、これにつきましては地元からもそういう声が上がっているんです。ですから、今までの政策の延長線上だと、モラルハザードだとかいろいろな、お役人の好きな言葉が出てきます。

 しかし、それこそ、例えば四月の二十一日、岩手県復興に向けた金融関係機関連携支援対策会議、これは東北財務局の局長さんのブログに書いてあるんですね。どういうことかというと、この中で、本当に中小企業再建には何らかの公的支援が不可欠、こういう意見なんです。そして、これで、岩手銀行の頭取さんから、被災地の金融機関の預金保険料を五年間免除して、それを財源とした基金を創設し、その基金から、二重債務問題を抱えた被災中小企業に対し資本注入による支援を行うという案が提言された、こう財務局長が紹介していて、財源については議論があると思いますが、基金の創設は検討に値する、こういうふうに思われます、こういうふうに書いているわけです。

 五月の九日には、岩手県は、二重ローンを抱える中小企業を支援するため、地元の金融機関と共同で約一兆円の基金を創設し、二重ローンを抱える被災者へ低利子や担保条件を緩和した融資を実施する方針を示したということで、県ができることというのは基金を運用するということで、基金の取り崩しというところまでいけないということでございます。

 だから、やはりこれは国がやらなきゃいけない。私は、仮称被災者再生支援基金、また仮称被災中小企業再生支援基金のようなものをつくって、国が中心となって出資をするファンドをつくって、不良債権の買い取りあるいは出資、そして土地の買い取り、出資、また無利子、無担保、十年据え置きの融資等さまざまなメニューを用意してこれは支援をすべきだ、こう考えますが、これについていかがでございましょうか。

自見国務大臣 震災が起きた三月十一日でございますが、当日、私と日本銀行総裁の名前で、金融機関に関しまして、従来、中小企業金融円滑化法がございますので、これに基づいて、今先生お話がございました、中小企業あるいは住宅ローンの借入者について、貸し付け条件の変更について積極的に応じるように、ここをやってきました。

 これは、私は民間金融機関を所掌しておりますので、今総理も言われましたように、公的な金融機関、いわゆる住宅金融支援機構、こういったところの公的資金、これは無利子というものもございますし、それから据え置きというものもございます。政策金融ですからそういうことはできます。

 それから、先生御存じのように、これは、被災者生活再建支援金、これはもう財政出動そのものでございまして、家が流れた方、再建するという場合は三百万円まで出すことができるわけでございますから、そういったものを含めて……(発言する者あり)

中井委員長 自見大臣、質問は基金の問題ですから、端的に。

自見国務大臣 よくわかっています。

 そういったことで、官民のファンドも、今総理が言われましたように、もう既にこれは閣僚懇でも二回ほど、大変ホットな議題になっておりまして、総理大臣の御指示もございまして、官房長官としっかり調整をするようにというふうな御指示をいただいております。(大口委員「総理に、ではファンドについて」と呼ぶ)

枝野国務大臣 御指摘の、二重ローンに対する当事者、関係者の皆さんの声におこたえをしていくためには、御指摘のとおり、従来の延長線上ではない施策が必要であるということで、関係省庁の事務方等からはいろいろと今意見、情報を集めて調整を始めているところでございますが、先ほど総理からの御指示もございましたので、改めて閣僚レベルにおいても、かなり政治主導で、トップダウンでないとできないだろうというふうに思います。

 一方で、壁が厚いことは十分先生も御承知だというふうに思いますが、その中で、何とかその厚い壁を乗り越えられないかどうか、さらに努力をしてまいりたいと考えております。

大口委員 次に、私も静岡県民でございます。今回、五月六日の、中部電力浜岡原子力発電所の全面停止、これについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 この件につきまして、私はその決断を評価いたします。しかし、原子力安全委員会等の関係機関に諮らず、そして、総理、経産大臣及びごく少数の方々で、電気事業法に基づく命令という形でやる方法もあるんです、これは安全基準というのを、省令を変えてやればいいんです。今回、小手先に、その解釈の改正というようなことでやっておりますけれども、やはり、私は、電気事業法の改正で、きちっと命令でやるべきであると思うわけでございますけれども、これを、要請という実情のもので、そして、中部電力の自主的な判断によるような形で、責任の所在をあいまいにする手法をとった。そして、御前崎の市長さん初め、長年、国策である原子力政策に協力してきた地元の自治体の方々に何の相談もなく、総理としての権力を行使する手法でやった。ここはやはり法治主義、民主主義の視点から問題が指摘されております。この点について、総理にお伺いしたいと思います。

菅内閣総理大臣 この問題について、既にいろいろな機会にも申し上げておりますけれども、もちろん一つは、東電福島原発の事故そのものが、従来の法律規制からいえばいわば認められていた施設が、まさにそうした想定をはるかに超えた形で津波を受け、そして大変厳しい原子力事故へとつながってきたということを、もちろんまずは踏まえたわけであります。

 その上で、これも御承知のとおり、東海地震に関しては、文科省のそういう地震調査の関係のところからも、マグニチュード八以上のものがこの三十年の間に八七%の確率で起きる、そういう指摘もありました。そういったことを考えまして、最終的には、経産大臣の方からの意見も含め、経産大臣を中心に私とそれなりに熟慮に熟慮を重ねた上で、政治的な決断として停止を要請させていただきました。

 そういった意味で、いろいろ御議論はあろうかと思いますが、国民の皆さんの安全と安心、そして理由は、地震の発生の可能性が特に高い地域に存在するという、その特殊性から判断をさせていただいたということをぜひ御理解いただきたいと思います。

大口委員 これは、緊急安全対策というものはクリアをしているということでございました。ですから、浜岡以外はすべて緊急安全対策がクリアしている、だから定期点検中のものも再開をしてほしい、これを認めるということになっているわけです。

 しかし、では、浜岡とそれ以外の原発との違いは何なのか。今総理がおっしゃった、それこそ、マグニチュード八程度の想定東海地震が発生する可能性が八七%と極めて切迫している、この確率、これが大きな要素。そしてもう一つは、地理的な要素があるんですか。例えば、東海道新幹線、東名高速道路の大動脈がある、企業の生産拠点や、そしてまた首都機能に影響がある、総理、こういう部分もあるんですか。

菅内閣総理大臣 基本的には、地震の、他の地域に比べて突出した高い確率ということでありますが、もう一つの要素として、今御指摘のように、この地域が、ある意味で、東京、そして名古屋、大阪の間に位置して、そうした交通の動脈が通っている比較的近傍である、万一の場合の影響は極めて経済に対する影響も大きい、このこともあわせて判断の一つの材料といたしました。

大口委員 地理的な特殊性ということも今回判断の大きな要素だったということが確認されましたけれども、確率論というのは、これも何回も言われていますように、〇・〇あるいは〇・六の、東京電力福島第一や第二の所在地の、そういうところで今回これだけの大地震が起こった。ですから、原発を抱えておられる自治体というのは、その知事さんたちやあるいは首長さんたちは、今回の東京電力福島第一原発の状況を見られて、あす起こるかもしれない、そういう危機感を持って実はやっておられるんです。

 ですから、そういう原発の立地の首長さんたちにやはりきちっと説明をされなきゃいけない。応急安全対策がオーケーだから安全ですよ、こういうふうにおっしゃるんですけれども、それだけで本当に県民にこれが理解していただけるのか。これはとにかく、全国の電力の安定供給体制に対して非常に大きな問題なんです。

 八木電気事業連合会の会長さんが、検査などで停止中の原発の再稼働が電力安定供給に不可欠、こういうふうにおっしゃっている。今はどうかというと、五月十四日の時点で、商業用原発三十六基が停止、三分の二で、今動いているのは十八。これが夏になりますと、要するに、点検中のものが再開しないと十二になる、それで結局、五十二が停止をする、こういうことが予想されているわけでございます。そういう点からも、本当に夏の電力の安定供給、これをどう確保していくかということからいきましても、原発の立地の知事さんたち、首長さんたちに御理解をいただかなきゃいけないわけでございます。

 これについて、五月四日、海江田大臣は関西電力の美浜原子力発電所へ行きまして、そして、西川一誠福井県知事とお会いされましたね。そこで知事は、国が暫定的な安全基準を示せないなら運転再開は認めない、こうおっしゃっておりますし、要するに浜岡停止の後の十一日においても、やはり、美浜第一号機の運転再開を認めない方針を表明したということでございます。そして、やはり西川知事は、全国の原発についての基本的な姿勢を示さないまま部分的に対応していることは、到底県民、国民の理解を得られない、こういう談話も発表しています。

 佐賀県、これは古川知事、九州電力玄海原発につきましても、玄海原発の安全性についてどんな判断をしているのかわからず、説明を求めたい、地元の町長さんも、地震の危険性を懸念するなら日本じゅうの原発が運転できないはず、十分な説明がなければ首は縦に振れない、こういうことでございます。岡田幹事長もあるいは玄葉大臣も、また岡田幹事長は、定期点検の再開については新しい安全基準が要るとも発言をしているわけでございます。

 本当に原発の立地の首長さんたちに御理解いただくために、今回の事態も踏まえた新しい安全基準、こういうものの策定と、それをクリアしていただく、そして、知事さんにも、ちゃんと住民の方々に説明できる、こういう材料を提供すべきじゃないかと思いますが、いかがでございましょうか。

海江田国務大臣 御指摘の点はそのとおりだと思います。

 まず、私は、ちょっと今手元に具体的な日付はございませんけれども、原発立地地域の十市町村長、これは、本来でしたらこちらからお邪魔をするんですが、経産省に集まっていただきまして、一つ一つの立地条件の皆様方のお声も聞かせていただき、私どもの方からの説明もさせていただきました。それから、今、知事の中でお名前のありました福井県の知事につきましては、私は美浜に行ったときもお目にかかりましたし、それから、その後、実は浜岡をとめるというときも御連絡を差し上げまして、そして、その後も何度か直接お目にかかったこともございます。

 その中で、暫定措置というものがたしか十一日の時点ではまだ出ておりませんでしたけれども、これも今は暫定措置についてはっきりと文書にしまして、お示しをいたしました。そして、まだ若干いろいろな懸念もおありのようでございますから、ここは丁寧に御説明をしていきます。

 それから、佐賀県の古川知事にも、実は浜岡を、どうしても万やむを得ない、とめさせていただきますということで、その日のうちにお電話をしまして、近々にぜひお目にかかって詳しいお話をさせていただきたい。

 その意味では、立地県の方々あるいは立地市町村の方々はこれまで国の原子力政策に本当に協力をいただいたわけですから、丁寧に御説明をしていきたい、そのように思っております。

大口委員 今回、中部電力と大臣との話し合いの中で一番の論点になったのは、やはり浜岡原発の再開の条件についてであろうと思います。

 五月九日の大臣の談話では、浜岡原発の再開について、「防潮堤設置や原子炉建屋の水密化工事など」「中長期対策が完了したことを原子力安全・保安院が確認できれば、現時点の知見によれば、再起動するのに十分な安全性を備えることとなる。」こう書かれているわけですね。

 そこで、文書でこの再開について条件を確約した、再開時期を確約したということがあるのか。

 それから、今回、事故調査委員会もあります、そして原子力安全委員会も検討するでしょう、保安院も検討する。今回のこの地震を受けて、新たな知見が出てきます。それによって追加的な抜本対策が出される。やはり、これを履行しなければ再開というのは難しくなるんじゃないかということも私は思うわけです。

 そしてまた、この浜岡原発の再開につきましては、静岡県におきましては、県設置の防災・原子力学術会議の議論を経て、県として再開の是非を判断するということで、県が独自で判断したい、こうおっしゃっていますし、地元四市のうち三市も、みずから安全確認をする、こういうこともおっしゃっているわけであります。

 この再開について、地元の意見をどう反映されるのか、そして、地元の同意を、御理解をいただくに国はどう責任を持っていくのか、お伺いしたいと思います。

海江田国務大臣 先ほどもお話をいたしましたが、三月三十日で、今度の東京電力福島第一発電所の事故に伴う緊急の安全措置というものは指示をいたしまして、これは浜岡の原子力発電所もクリアをしているということでございます。

 しかし、先ほど菅総理からもお話がありましたように、やはり、この立地の条件、とりわけ地震の蓋然性、そして地震が起きたときの津波の被害ということを考えますと、本来でしたら、第二段階で出てまいります安全基準、中長期的な安全基準でございますが、この第二段階の中長期的な安全基準もぜひ同時に行っていただきたいということで、今回のその第二段目の安全基準であります中長期的な基準がクリアされるまでとめていただきたい、これが私どもからのお願いでございます。

 そして、文書でそれを確認したのかということでございますが、私の談話を文書にしてございまして、その中に今私が申し述べたことが入ってございます。その意味では、文書になっているということでございます。

 それから、あと、バックチェックのお話でございますね。バックチェックというのは、かなり不定期にわたって……(大口委員「新たな知見の方です」と呼ぶ)

 新たな知見につきましては、その新たな知見が盛り込まれたところで、これは何も浜岡ということだけでありませんで、全国の発電所に対してそういう安全基準をまた出していきたい、そのように思っております。

大口委員 中部電力は、これからの料金の値上げ、これはしてはならないのではないか、そしてまた計画停電、これは避けるべきではないかということですね。社長に、一番皆さんが望んでおられることでございますので、御答弁願いたいと思います。

水野参考人 まず、浜岡全号機停止に伴いまして、火力発電燃料の追加調達等が必要となりまして、多大な費用が発生いたします。当社としては、一層の経営効率化に努めていくとともに、津波へのさらなる対策を速やかに実施し、浜岡の早期運転再開に全力を傾注してまいります。

 また、今、海江田大臣からお話ありましたように、国からも最大限の支援をいただくことについて大臣から確約をいただいております。

 したがいまして、今回の要請による浜岡停止の影響による値上げについては、行わないように努力してまいります。一点目は料金の話でございます。

 それから、需給の安定ということだと思います。

 やはり、この浜岡全号機停止に伴いまして、最大電力に対して供給力が不足いたします。このため、東京電力管内のお客様には御迷惑をおかけすることになりますが、東京電力への応援融通をやむなく中止するなどの対応をいたしました。しかし、それでも七月の供給余力が五十万キロワット程度にとどまります。仮に猛暑となり気温が一度上昇いたしますと、私どもの場合は八十万キロワットほど需要が増加いたします。また、大型の火力機、これが一機故障した場合には供給力の不足が発生することになります。

 このため、供給力の確保のため、長期停止火力の活用、それから火力の定期検査の時期の見直し、こういった対策を現在進めておりますとともに、他社からの応援融通をぜひともお願いしてまいりたいと考えております。この点、国におきましても十分支援をいただきたいというふうに考えております。

 また、需要面でも、経済活動に影響を与えない範囲で節電をお客様にお願いするとともに、必要に応じて、非常に電力が厳しくなったときには、お客様にあらかじめ契約でお願いしておりまして、負荷を抑制していただく、需給調整契約と言っておりますけれども、こういったことも活用を図ってまいりたいと思います。

 こうした需給両面であらゆる対策をとり、安定供給に努めてまいります。この供給力には、揚水発電の四百万キロワットを既に織り込んでございます。今夏以降も厳しい需給状況は続きますけれども、お客様の信頼を裏切らないように、安定供給に全力を尽くす覚悟でございます。

 以上です。

大口委員 地元も大変でございます。地域経済のこと、また雇用のこともしっかりこれは政府に対応を求めてまいりたいことをお願い申し上げまして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

中井委員長 この際、遠山清彦君から関連質疑の申し出があります。大口君の持ち時間の範囲でこれを許します。遠山君。

遠山委員 公明党の遠山清彦でございます。

 私は、けさまで東北におりまして、土曜日に岩手の陸前高田市、大船渡市、日曜日に宮城の南三陸町、そして気仙沼市、被災現場を視察させていただきまして、三市一町の市長さん、町長さんと意見交換をさせていただき、また、壊滅的な打撃を受けたというか、壊滅をしてしまったと言っても過言ではない水産業の皆様を中心に、現地のお話を伺いました。

 多くの閣僚の皆さんや与野党の国会議員の皆さんも、私と同様、被災地を訪れて同じ光景をごらんになっていると思いますが、本当に言葉で表現ができない、見て茫然としながらも胸がいっぱいになる、そういう悲惨な状況でありまして、その姿は二カ月たっても変わっていないわけでございます。

 私は、帰ってまいりまして、まず自分自身の認識が甘かったということを反省いたしたわけでございます。きょうも、午後、この予算委員会に参りまして議論を聞いておりますけれども、やはり現場から帰ってきた直後にこのやりとりを聞きますと、危機感の欠如、スピード感の欠如、これは現場で総理に対して、政府に対して一番ありましたけれども、しかし、これは国会も含めて私たちは感じていかなければならないということを感じてまいったわけでございます。

 その上で、総理にきょう伺いたい、追加をさせていただいた質問がございます。

 それは、私は、今回視察をさせていただき、また、地元の市長さん、町長さんのお話を伺って、今国会中に絶対もう一度補正予算案を出して、与野党で議論をして、六月の会期末までに成立をさせる、会期が足りなかったら延長してでも成立をさせる、これは断固やるべきだということを感じてまいったわけでございます。

 総理、第二次補正予算を今国会で国会に出されるかどうか、お答えをいただきたいと思います。

野田国務大臣 実務にかかわる部分がありますので、まず私からお答えをさせていただきたいと思います。

 被災地に行っての委員の思いはよくわかります。その意味では、復興に向けてなるべく早く補正予算を編成していくということはそのとおりだというふうに思いますけれども、ただ、幾つか段取りがございます。

 一つには、先般成立をさせていただいた約四兆円の第一次補正予算、これは復旧でございますけれども、特に瓦れきの処理が相当程度進まないと復興の環境整備ができないというふうに思いますので、まずはこの第一次予算を着実に執行させていただくということが条件だろうというふうに思います。

 加えて、青写真なく急に戻すだけでは、これはやはり拙速という御批判はいただくだろうというふうに思いますので、明確な青写真と基本方針のもとにしっかりとした補正予算を組んでいくということ。加えて、これは国主導だけではなくて、被災地からの御要望を踏まえた、被災地の復興計画を踏まえなければいけません。それらのものを総合的に勘案していきたいと思います。

 したがって、なるべく早くという気持ちはわかりますが、まだ今の段階で確定的に時期を申し上げる段階ではないということでございます。

遠山委員 野田大臣、僕はそれは納得できません。それは、まさに国会でしか通用しない今の御説明なんです。

 まず、今、段取りがあるとおっしゃいましたが、来週あたりに六月の補正予算成立に向けて指示を総理から出していただければ、六月に出せるじゃないですか。

 それから、もう一つ申し上げます。瓦れきの処理をしなければできないこともありますが、瓦れきが残っていてもできることはたくさんあるんですよ。

 では、わかっていないようなので、具体的に申し上げますよ。

 例えば、南三陸町の佐藤町長から伺いました。遠山さん、四年前に放流したサケが南三陸町にことしの秋戻ってくる、それに向けた復旧あるいは漁業者の支援については第一次補正予算に入っていないと。第二次補正予算を早くつくって、サケが、サケは野田財務大臣の第二次補正予算なんか待っていないんですよ、魚は。来るんですから、ことしの秋に。そうでしょう。

 それから、気仙沼。気仙沼は……(発言する者あり)いやいや、民主党の議員も知っているでしょう。気仙沼は六月にカツオの水揚げをしなきゃいけない。これをスルーしてしまってほかの港にとられたら大変な打撃になるんですよ。私は、日曜日、きのう見てきましたよ。市長の判断で、市のお金でもう魚市場を整備して、水揚げを六月に、六月ですよ、来月ですよ、できるようにしていたんです。

 だから、第一次補正予算で全部カバーされていないんだ。そこをわかっていない。(発言する者あり)いや、できるわけないって、瓦れきの山の中でやっているんだよ、魚市場は。そうでしょう。(発言する者あり)いやいや、違う。

 それで、では、もう一つ申し上げます。いいですか、もう一つ。(発言する者あり)ちょっと静かにしてください。

 今回の震災復興は、非常事態なわけでしょう。それで、急にやったら地元の、総理もさっき午前中の御答弁で、被災した自治体でも七月、八月に復興計画を出したいとスケジュールを示している、地元の意見を踏まえながら考えるとおっしゃいましたね。

 私、決定的な反論の証拠をここに手に持っているんですよ、時間がなくてパネルなんかにしていませんけれども。これは大船渡市長からいただきました。大船渡市が復興計画を策定する手順の工程表です。これには、六月末に政府が第二次補正予算を出すことを前提に、市の復興計画もそれにあわせてつくるというのをやっているじゃないですか。

 総理、総理がおっしゃった被災した自治体というのはどこの自治体ですか。どこの自治体が七月、八月で、しかも、八月以降に補正予算を出したら、それが執行されるのはもっと後でしょう。

 私はホタテの養殖業者の方々ともお話をしました。今仕事がない、雇用がないと。一次補正予算で一部手当てをされておりますけれども、それは生活支援金だとか弔慰金だとか義援金だとか、いろいろいただくことはできても、やはり仕事と雇用がなければできないんです。養殖というのは、私は専門家じゃありませんけれども、準備に半年から一年かかると。漁具とか船とか全部流されていますから、そろえるのに幾らかかるんですかと言ったら、最低三千万、一つの業者で。今回はそれぞれが三千万出すことはできないから、共同で一隻の船を四つや五つの業者で使おうと。それを政府が支援するというスキームは第一補正予算に入っています。だけれども、養殖の準備をして、実際に養殖でお金を得られるのは来年でしょう。それまで雇用をどうするんですか。雇用調整助成金はサラリーマンしか出ないじゃないですか。自営業者は出ない。

 ですから、第一次補正予算は通した、それはいいです。第二次補正予算も六月に通して、それで手当てできない分は第三次補正予算、第四次補正予算でことしの秋にやればいいじゃないですか。もう二次補正予算で終わりなんですか、復興は。

 総理、今度は総理に聞きます。

 総理や野田大臣の御答弁を聞いていると、いや、いろいろな市町村の復興計画が整ってから、それも踏まえて秋以降にやると。そうじゃないんですよ。とりあえず、第一次補正予算でカバーできていないところは第二次補正予算で六月にやる。それでも足りないところのさらに復興の予算は第三次で秋にやればいいじゃないですか。何でこれができないんですか。総理、お願いします。

菅内閣総理大臣 復旧から復興に向けて、財源が必要なものについては順次それを用意しなければいけないという基本的な考え方では、全く違いないと思っております。今回も、当初は予備費を使い、そして、五月二日に四兆円を超える規模の第一次補正を全党の賛成をいただいてスタートはできたところであります。

 先ほど、どの自治体がそういうことを言っているかというお話もありましたが、例えば復興構想会議などで、宮城県が復興計画の第一次案、第二次案を出していきたいと言われておりまして、そして、第二次案に基づいて国に対する予算要望も出していきたいと。その第二次案は七月、あるいは予算要望を八月というふうに言っておられました。また、そうしたことを岩手などでもおっしゃっておりました。

 もちろん、いろいろな自治体がありますので、いろいろな状況があるとは思っておりますが、冒頭申し上げましたように、決して財政措置が必要なのに後回しにしていいということではなくて、現在の第一次補正はかなりの規模のものでありますから、それをしっかり執行していく中で、本格的な復興に備えて、それぞれの被災地の意見や、あるいは、ある程度中長期の計画をつくるための時間もかかりますので、そういうものも踏まえて、拙速に至らない形で第二次補正復興予算を考えていきたい。

 そのように考えますと、それが果たしてこの会期中に間に合うのか、そこはこれからの議論を待って判断させていただきたい、このように思っております。

遠山委員 総理、拙速に至らない形でやるというのは平時に使ってもいいけれども、今は違うんです。何でも迅速にやると言わなきゃいけないんですよ。そうじゃないですか。

 それで、こればかりやっているとこれで終わっちゃいますから、最後にこの点で、総理それから野田大臣に、本当に本気でこの点を考えていただきたい。

 総理も午前中の答弁で、地元の意見を踏まえながら考えるとおっしゃいました。陸前高田市の戸羽市長、大船渡市の戸田市長、南三陸町の佐藤町長、気仙沼市の菅原市長、四名、私がこの二日間に会った四人とも、一番最大の希望は何ですか、第二次補正予算を今国会で通してほしいです、これが地元の意見です。これを踏まえて対応をしていただきたい。公明党は、この点については徹底的に要求し続けますからね。(発言する者あり)自民党もですか。ありがとうございます。(発言する者あり)特例公債はまた別のところで話してください。

 とにかく、この復興対策、非常事態なんですから、そこを現場の人と同じ気持ちになってやらなきゃいけないということを強く要望申し上げて、次の質問に参ります。

 これは、先日、公明党と政府の意見交換の場で議論された話題でございますが、赤羽前衆議院議員から、被災県から県外に避難された方々は、もともといた地元の被災地で建てられる仮設住宅に入居の資格はありますかと聞きました。そうしたら、役所の担当者が、県外に出て公営住宅とか旅館に入られた方は、既に安定的な生活を送られているので、基本的に仮設住宅に入居の資格はありませんと最初言ったんです。それで、もう公明党の中で大紛糾しまして、強く抗議をしましたところ、二日後ぐらいに政府は立場を訂正されて、県外に避難された方々も仮設への入居の資格はありますと。それで、厚生労働委員会で厚生労働大臣がその点を明確にお答えになったわけです。それは了としましょう。

 その上でお聞きしたいのは、本当に県外の公営住宅や旅館、ホテル等に避難した方々にも、被災地の避難所で待っている方々と同様に仮設入居に関する手続等の情報がきちんと届きますか。その点を国民の前で約束してください。

細川国務大臣 遠山委員にお答えいたします。

 県外で公営住宅などに避難されている方は、本来の地元で建てられる仮設住宅には入居できます。

 そこで、その点がはっきりと避難先にまで通知が行かなければその募集に応募することができない、こういうことになるわけでございますから、私どもの方といたしましては、既に避難されている住民の皆さんにも仮設住宅ができた場合の公募についての周知徹底方をしっかりやるように、こういう通知を出させていただきましたので、各被災県の方では、あるいは市町村ではしっかりと対応してくれるものと思っております。

遠山委員 総理、この問題は、本当に極めて重要な問題です。これは与野党の国会議員から既に多く指摘があるとおり、避難所の生活環境はどんどん悪化しているわけですね。

 そこで、まだ被災県以外の県の特に旅館、ホテル等では空き部屋があって、二次避難として受け入れますよと言っているんですが、避難民の方々の中には、避難所は大変つらいけれども、避難所を出てしまうと仮設の入居ができなくなるんじゃないかということで、耐えておられるケースがあるわけでございまして、ぜひ総理、もう厚労大臣から御答弁いただいておりますが、総理から国民の皆さんに、今いる避難所を出て、仮設住宅が完成するまでの間二次避難をしていても仮設住宅の入居の資格があるということを、総理に確認の答弁をいただきたいと思います。

菅内閣総理大臣 私も、多くの避難所を訪れまして、先行きの展望がないまま県外のそういう施設等に移ることにかなり抵抗感があるというお話はお聞きいたしました。先ほど厚労大臣からお話がありましたように、そうした県外に出られた方についても、きちっと情報が伝達されて、そして県内にとどまっておられる方と同様に仮設住宅に対する希望を聞いて、戻りたい方は同じようなルールで戻れるようにしっかりと措置をしていきたい、こう思っております。

遠山委員 ぜひしっかりお願いしたいと思います。

 ちょっと時間の関係で順番を変えます。

 次に、災害弔慰金、義援金について質問をさせていただきたいと思います。

 災害弔慰金は、閣僚の皆さん御承知のとおり、災害で亡くなられた方が生計維持者の場合五百万円、そうでない場合には二百五十万円出るわけですが、その受給の遺族として法律で指定されているのが、配偶者が亡くなられた場合、子供さん、父母、孫及び祖父母というふうに法律で指定されております。

 ところが、兄弟姉妹がこれに入っていないという問題が今現場で指摘をされておりまして、私としては、具体的に言います、兄弟は災害弔慰金の受給対象じゃありませんね。これは実際にあったケースですけれども、兄と弟で生計を一つにして暮らしている御家庭があった。弟さんがちょっと精神の病を持っておられて、逃げおくれて津波で亡くなられたんです。お兄さんはやむなく逃げて生き残ったわけですけれども、この弟さんはまさに同じ生計で、しかもお兄さんがずっと面倒を見てきた兄弟なわけですけれども、災害弔慰金は出ないんですね。

 さらに、時間もないので重ねて伺いますが、厚生労働大臣、両方伺いますけれども、何と義援金も、これは各都道府県の配分委員会がその対象者を決めているんですが、災害弔慰金の受給基準に基づいてしまっているので、義援金も来ないんです、この場合。ですから、お兄さんと弟で暮らしていて、弟さんが津波にのまれて亡くなった、弔慰金も来ない、義援金も来ない。家が残っていたので支援金も来ない、全壊じゃないですからね。何も来ない。

 実は、災害弔慰金法という法律は議員立法ですから、これは我々国会議員全体の責任なんです。これは改正をしなきゃいけないと思いますが、義援金の方は実は市町村長の権限で変えることができて、福島県の相馬市とか宮城県の大崎市は市長の判断で、災害弔慰金は法律事項ですから出ないけれども、義援金は兄弟姉妹は出すようにしているんですね。ところが、私、この週末行った市長さんにこの話をしたら、知らない方が多かったんです。

 これはぜひ厚労大臣の立場で、弔慰金は仕方ないけれども、これは議員立法を改正して遡及して支給した方がいいと私は思いますが、義援金については兄弟姉妹も対象にしていいという明確な通知を、厚労大臣、出すべきじゃないですか。どうぞ。

細川国務大臣 遠山委員がおっしゃるように、まず、弔慰金につきまして兄弟姉妹が対象になっていない、こういう点については、この法律が議員立法で成立をした、そういう経過でもございますので、ぜひ国会の方で御議論をいただきたいというふうに思います。

 それから、義援金のことでありますけれども、義援金につきましては、各市町村でも災害のときの計画がございまして、その中に義援金などの配分委員会というのをそれぞれの自治体で設置をしなければいけない、こういうことになっております。その配分委員会でどのように義援金を配分するかということを決定していただくことになっておりまして、その際、弔慰金と同じような形で支給する場合もあれば、そうでないような、今委員御指摘のような、本当に気の毒で、兄弟姉妹にも提供をしてあげる方がいい、こういうような御判断、これはこれでやっていただいても結構でございますから、その点については自由に配分委員会でお決めをいただく、こういうことになろうかと思います。

 なお、そういうことが配分委員会の方で議論されずにそのまま弔慰金の方と同じように一律で同じようにやっておられるということならば、それはそれで厚生労働省としても、そういうことではなくて自由にお決めになっていいというようなことも周知徹底したいと思います。

遠山委員 ぜひ、厚労大臣、義援金については兄弟姉妹がお亡くなりになった方についてもきちんと支払うということで周知徹底をお願いしたいと思います。

 それで、片山総務大臣、簡潔に。

 今、義援金とか弔慰金とか、それから生活支援金、一部の市町村で交付が、支給が滞っているという指摘がありますが、自治体の職員の応援体制は、今の現状で問題ないという御認識か、問題があるのであればどういう改善策があるか、簡潔にお答えいただきたいと思います。

片山国務大臣 被災地の自治体の業務に見合う人員が必要だということで、不足しているところも多いものですから、それぞれ姉妹都市交流とか県でありますとか県内の近隣の市町村から人的派遣を受けているところもあります。

 足らないところは、全国の市長会、町村会を通じましたネットワークシステムを使いまして、ニーズと応援というのをマッチングする仕組みをつくっております。現在、八百数十名がその仕組みで応援に入ることになっております。これからも恐らくふえてまいりますので、これが円滑にいくように市長会、町村会と相談をするということにしております。

 よく伺いますのは、応援を求めることを遠慮されているのではないかという声を聞きますので、該当のところには電話などをしまして、遠慮することはありませんからということを申し上げております。

 これからも、我々も注意して、遠慮などがないように、需要にこたえるようにしたいと思いますし、もし国会議員の皆さん方とか各省の皆さん方が現地に行かれて、人手が足らないということがありましたら、遠慮なくこのマッチングシステムの方に要請をしていただきたいということを伝えていただければと思っております。

遠山委員 ぜひ万全の体制でよろしくお願いします。

 最後の質問になるかと思いますが、環境大臣にお伺いをしたいと思います。

 先ほど来出ておりますが、現地では、災害廃棄物、いわゆる瓦れきの処理が大きな課題になっているわけでございます。ところが、私が現地に行ったこともございますし、またいろいろと伺いますと、岩手県は、県が中心に瓦れき処理をやる。宮城県は、仙台市は政令市で仙台市が全部やるけれども、それ以外の市町村は、収集、分別までは県がやるけれどもその先は国がやってくれと。福島県は、もう原発の問題で手いっぱいだから市町村任せなんですが、放射能汚染廃棄物については市町村のレベルでできませんから、結局、国が乗り出さなきゃいけないということで、被災三県で瓦れき処理の手続とかやり方が非常に違う。その結果、混乱をしているという指摘がありました。

 私は、これは環境省として、どういう手続でやるのか、しっかりマニュアルやガイドラインを出すべきではないかと思います。その点について御答弁いただきたいというのが一つ。

 それから、もう一つあわせてお伺いしたいのは、瓦れき処理の単価、一トン当たりの単価でございます。これは、阪神・淡路大震災のときの処理単価は一トン当たり二・二万円です。新潟中越地震のときは約三・三万円なんですね。今回の瓦れきというのは、海から来たヘドロやそれから海水もまじっています。また、水産加工工場とかが大規模に流されておりますから、PCBとかアスベストなどの有害物質も通常よりも多く含まれている、船も流れている場所もありますから。ということで、今までの地震と同じような基準で論じることはできないわけですが、しかし、単価を青天井で認めるということになれば、これは不正の源にもなりかねない、不正な利権の源にもなりかねないと私は懸念を持っております。

 この単価水準をきちんとあらわすことについても、あわせて簡潔に御答弁いただきたいと思います。

松本(龍)国務大臣 お答えいたします。

 瓦れきの処理につきましては、先週、宮古の山本市長、陸前高田の戸羽市長等々、やはり一番困っているという話がありました。

 基本的に処理主体は市町村でありますけれども、地方自治法に基づいて県が委託をするというやり方もありますし、さまざまな県でさまざまなやり方があります。そういう意味では、スピードが一番大事ということで、今、自治体の要請を受けて、私どもも全力でバックアップをしていきたい。そして、省からもいろいろ派遣をして、さまざまなマニュアル、人材、機材、そして、処理施設等々、私も早くから全国の処理場あるいは埋め立てできるところを探せというところをやっておりまして、国としても努力をしていきたいというふうに思います。

 さらに、瓦れきの単価ですけれども、よく質問していただいたと思いますけれども、やはりこれは適正な単価というのがあります。そういう意味では、プロポーザル方式、入札等々、競争性のある契約方式の採用などによって適正な価格があって事業が執行されることが望ましいというふうに思っておりますので、五月の六日にそういったマニュアルを出しまして、収集、運搬、中間処理、最終処分の各段階における処理コストの積算方法等を示したところであります。

 いずれにしましても、適切な発注をしていただきたいというふうに思っております。

遠山委員 終わります。

中井委員長 これにて大口君、遠山君の質疑は終わりました。

 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 東日本大震災と福島原発事故という未曾有の大災害から二カ月余りが経過をし、被災者支援でも復興でも、被災地の実態は、先の見えない困難が山積という状況であります。国が被災者と国民にどんな役割と責任を果たすかが問われていると思います。

 そこで、まず総理、六十六日たちましたが、今なお避難所生活を強いられている被災者は十一万人を超えています。政府はこの間、避難所に対する実態を三回にわたり調査しております。私ここに持ってまいりましたが、直近のものでいうと、第三回、五月二日ということであります。これを見ますと、いまだに水道、電気、ガスのライフラインが復旧せず、燃料も著しく不足している避難所がある、食事も毎日おにぎりやパンのみの避難所が残されている、プライバシーを確保するための間仕切りなどが全くない避難所が百八カ所、そして、医師、看護師または保健師の巡回等がなかったり少ない避難所が二十八カ所もあります。長期にわたる避難所生活でストレスがたまり、また、健康を害したり亡くなるなどの二次被害まで起きております。

 そこで、総理、もう二カ月以上もたって、なぜこんな実態が残されているのか、何がその解決を妨げているかをつかんでいらっしゃいますでしょうか。総理、いかがですか。

松本(龍)国務大臣 発災から六十六日、私も一週間後に二次避難のスキームを出しましたけれども、やはり行方不明者が一万人近くおられるという中で地域を離れることができない、ですからこの避難所を出るわけにはいかない。私も今、公営住宅、雇用促進住宅等々、たくさんの皆さんにお願いをして用意をしております。また、旅館、ホテルも用意をしておりますけれども、なかなか二次避難をしていただく状況ではない。しかし、先ほど遠山委員も言われましたように、これから六月、七月という雨、暑さの中でやはりそういうことも促してまいっていきたいというふうに思います。

 先ほどの実態調査でありますけれども、四月からずっと続けておりまして、九百カ所の避難所の実態を把握してまいりました。そういう中で、要介護度がどれぐらいなのか、五段階ぐらいに分けまして、介護度が高いところは緊急に市町村に要請をする、また直接私たちがバックアップをするということをやっているところであります。

 いずれにしましても、私自身、支援チームのトップとして、発災からこのことだけ、いわゆる避難所におられる方、自宅におられる方の生活改善、医療、介護、福祉を含めて努力をしてまいりたいと思います。

笠井委員 なぜこんなことが残っているか、何が障害かつかんでいるのかと聞いても、まともにお答えがないんですよ、頑張っていますと。それは頑張っているのはいいんですけれども、障害になっている問題がつかめなくて、これは解決できるわけがないわけです。

 NHKによれば、震災関連で亡くなられたと思われる被災者は既に五百二十四人以上、五月に入って二十六人もおられます。一日一刻、命が縮められている。どこにこの国の憲法があるのか。

 地震、津波で助かった命が避難所の劣悪な環境によって奪われるようなことが断じてあってはならないと思うんです、総理。実態調査の範囲でも劣悪な避難所が特定できているわけです、どこが悪いかつかめているわけですから。直ちに国が乗り出して、二次被害を防止して生活環境を改善する、具体的手だてをとる、これは総理、やらなきゃいけないんじゃないですか。これは総理に答弁をお願いします。

松本(龍)国務大臣 劣悪な状況の避難所につきましては、私どもしっかり対応しているところであります。

 先ほど、プライバシーの問題を言われましたけれども、パーティション等々送っておりますけれども、先般、相馬市に参りましたら置きっ放しにしてある。なぜかというと、やはりみんなの顔が見ていたいという、さまざまな被災地の中でさまざまな状況がございます。そういうところをしっかり私たちも見ていきながらケアをしていきたいというふうに思っています。

中井委員長 松本大臣、おにぎりやパンしか届かない被災地があるというのはどうなんですか。

松本(龍)国務大臣 今、改善しております。どんどんどんどん改善しております。

笠井委員 残っているというのが政府の実態調査の結果なんですよ。場所がわかっているんだったら、すぐ解決すればいい。しかも、つかんでいるのは、全体の半数ぐらいのところしかつかんだ実態調査になっていないわけですから、これは本当に放置しちゃいけないわけで、わかっていたらすぐやればいいんです。

 この間も、三月三十一日に我が党も提言いたしました。また、政府・各党合同会議の実務者会合にも私、出ながら、繰り返しこのことも言っているんです。そういう点でいいますと、いつまでも同じことを言わせるのかと。国の責任で実態をつかんで、直ちに改善せよと持っていけばいいんですよ、ちゃんと。

 そして、希望者全員が入居できる仮設住宅を一刻も早く建設するための民有地の借り上げとか、集落ごとの小規模な用地確保など、必要な土地確保も含めて、国の責任によって取り組みの抜本的な改善強化をしていただきたいと強く求めておきたいと思います。

 そこで、福島原発の災害の問題でありますが、この問題では、新たに計画的避難区域が指定をされて、学校の土壌も放射能に汚染されるなど、今なお拡大し続けております。昨日からは、飯舘村、川俣町の山木屋地区から計画的避難が始まりましたけれども、被災者は、いつになったら自宅に帰れるのか、農業ができるのか、牛は家族、別れるのはつらい、事業を再開できるのか、こういう声。そして、先が全く見えない状態で、家族離散と廃業の不安に駆られております。政府は、被災者の不安と苦しみにこたえる責任があります。原発危機の収束にあらゆる努力を注ぐとともに、政治の責任、国の責任で、あすへの希望と展望が持てるようにしなきゃいけないと思うんです。

 そこで、これは総理に伺いますが、原発災害の被災者の帰宅の見通しについて、五月四日に双葉町民の避難所を訪問された際に、総理は、原発事故収束に向けた東京電力の工程表、四月十七日では、六カ月から九カ月で安定的な状態になる、年明けの時点で改めてそれぞれの地域がどういう形で戻れるか判断するというふうに説明されました。

 しかし、この工程表自体、出されてからもうあしたで一カ月になりますけれども、一号機では、先ほど来ありました、圧力容器内の核燃料の大半が溶融、落下するメルトダウン、こうしたことが判明するなど、次々に起こる困難によって早くもこの工程表の見直しが迫られているというところであります。

 そこで、総理、被災者の皆さんに、現時点で、いつになったらふるさとに帰ることができる、このように説明されるんでしょうか。

海江田国務大臣 総理は、まさに今委員御指摘になりました東京電力の事態の収束へ向けての道筋、これに基づきまして、第一ステップ、第二ステップございます。四月の十七日スタートでございますから、第一ステップは三カ月、そして、第一ステップが終わりましてから三カ月あるいは六カ月ということで、その第二ステップが収束をいたしますと、これは、もう新たな原子炉からの放射性物質の大気中への放出というのは極力、ほとんど抑えられるだろう、それから炉も安定をしてくるだろうということで、そこに基づいて総理の発言があったわけでございます。

 そして、今委員御指摘の一号炉の問題でございます。確かに、一号炉は、当初私どもが考えておりましたフラッディング、冠水でございますね、水を圧力容器の上まで持ってきて、そしてその水を冷やして除染をしてまた炉に戻す、こういうやり方はなかなか難しくなりました。

 しかし、それにかわって、今、これは間もなく、明日新たに発表になろうかと思いますが、基本的には、上の方から水を抜いて、そして、今お話をした循環をするということはできなくなりますが、相変わらず炉を冷やすために水を入れ続けますので、その水が下の方にたまりますので、その下の方から抜いて回すというやり方、これは一つ考えられます。

 それからもう一つ、下の方に水がたまります。今はまだ地下水の水位の方が高いところにございます。ですから、まだ地下水に溶け込むということはほとんどないわけでございますが、やはりその危険性もございますので、地下水に対するしっかりとした遮へいの工事を行う。しかしこれも、当初考えました第一ステップをしっかりと守って、その中でこの新たな追加的な工事を行わなければいけないということでございますから、基本的に、この四月の十七日に定めました日程というのは変更がないものと考えております。また、そのようにしなければいけないと思っております。

笠井委員 変更がないと言われても、大変な困難が相次いでいるわけです。

 では、そこで東電の清水社長に伺いますが、原子力安全・保安院の説明によりますと、東電が出された工程表のうち、原子炉の冷却の最初のステップ1においてさえ、一号機の燃料域上部まで水を満たすことにも、熱交換機能の検討、実施にも、実施の見通しが立っていない。さらに、二号機には着手していなくて、細野補佐官は昨日、むしろ心配なのは三号機とまで言っております。

 東京電力は、あす工程表の見直しを発表するということでありますが、どこが問題で見直すのか。では、当初言っていた六カ月から九カ月で収束ということに変わりはないのか。それとも、さらにずれ込んで、長期にわたる可能性もあるのか、否定できないのか。その点はいかがでしょうか。

清水参考人 工程の見直しというお話でございます。

 ただいま経済産業大臣からも御答弁がございましたとおり、一号炉等につきましては、燃料が溶融して圧力容器の下に落ちているという状態でございますが、原子炉への注水によりまして、安定的な冷却状態が保たれているということから、六カ月から九カ月後の冷温停止に持っていきたいということで、一応、工程をしっかり守っていきたい、このように考えております。

 今お話がございました二号機、三号機につきましても、あらかじめ示した道筋に沿いまして、きっちりとその工程どおり達成していきたい、全力を傾けていきたい、このように考えておるところでございます。

笠井委員 守っていきたい、全力を挙げていきたいと言われながら、実際には困難な事態が新たに起こっているわけですよ。そのときに、最初つくるときとは違う事態が起こっている、それでも守っていきたいという願望だけ言われるというのは、私は極めて無責任な態度だと思います、さんざん被災者に大変な思いをさせているわけですから。

 それでは、いよいよですが、総理にちょっとお答えいただきたいんです。

 大体、東京電力が発表した工程表というのは、原子炉とその施設内にどのような事態が起こっているか、その全貌をつかまないままに作成されたものであります。掲げられた収束策なるものも、それを実行する裏づけも根拠も示されていないものでありました。そのことは何より、その後の事態が証明しております。政府が東電に危機収束の工程表づくりをいわば丸投げして、それを追認するというのはこういうことになる。到底、責任ある態度とは言えないと思います。

 我が党は三月三十一日、党首会談で総理に対して、政府として責任を持って原発事故収束の戦略と展望を示すべきだ、こう提起いたしましたが、政府として、やはりこういうようなことが起こっているわけですから、原発危機収束の戦略と展望について、今回の事故に関するあらゆるデータを直接全面的につかんで、裏づけと根拠を示して、責任を持って明らかにする。そして、被災者の皆さんにも、いつごろまでには帰れることを判断できるということで、しっかりとやはり言う必要があるんじゃないですか。ここは総理、いかがですか。

菅内閣総理大臣 先日、一号機で燃料棒よりも極めて低い位置に水位があるという報告があり、それを考えてみると、相当早い時期に燃料棒が溶けて、東電の言葉で言えばメルトダウンという言い方になっている、そういう認識が示されました。そのこと自体は、当初は、まだ水が燃料棒の三分の二程度のところに水位があるというふうに推測をされていたこととは大きく違うわけであります。

 ただ、幸いにしてというか、これは言葉は気をつけなきゃいけませんが、申し上げると、どちらの場合にも、何よりも重要なのは水を注入することが重要だ、こういう認識のもと、当初の想定でもずっと水を入れ続けてきましたし、そして新たな想定のもとでも、水を注入していることによって、結果として、燃料棒が崩れ落ちた状況にあると思われますけれども、それ自体が水がかぶっていて、一号機では温度もかなり低い水準でこの間安定をいたしている、こういう状況だと報告を受けております。

 そういう意味で、今も東電の社長のお話もありましたが、あるいは海江田大臣のお話もありましたけれども、結果として、ステップ1、ステップ2の最終的な状況、四月十七日から数えて六カ月から九カ月という状況は守っていけるのではないかという見通しを示していただいております。

 また、あすにも一カ月たったところでの改定された工程表が東電からも発表されると、並行して、政府としてもそういうものと相まった、まさに退避されている人などに対してどの時期にはどういうことが言えそうだということを含めた、政府としての工程表も提示をいたすことにいたしております。

 いずれにしても、いろいろな形で御心配をかけておりますけれども、最初六カ月―九カ月でしたから、今日からいえばあと五カ月から八カ月の間、八カ月というと年明けになりますけれども、そのころまでには冷温停止状況で新たな放射能がほとんど発生しない、大幅に抑えられている状況に持っていって、そしてその段階では、避難されている皆さんに、どの地域であればいつごろまでにどういう行動がとれる、そういうことを申し上げることができる、そこまで全力を挙げて努力したい、このように考えております。

笠井委員 ステップを守っていけるのではないかというような話とか、そういっても国民は、被災者の皆さんは、これでは、いろいろなことが起こっているのは大丈夫かということになるわけですよ。やはり、国がちゃんとこの問題についても事態を全面的にデータも含めて掌握して、やって、責任を持って示さないとだめだということだと思います。

 被災地では、この間、総理周辺から十年、二十年は人が住めないなどという無責任な発言が伝えられたこともあって、もう二度と戻ることはできないという声も聞かれております。正確で丁寧な情報発信とともに、大まかでも、ふるさとに戻れる見通しを示す責任が政府にあるということを強く申し上げたいと思います。

 そこで、原発被害の被災者は、生活の糧を奪われて、不自由で不安な避難生活を強いられ続けて、これからのなりわいの展望も持てずにおられます。

 そこで、東京電力の清水社長に伺います。

 この被害に対して東京電力はどういう賠償責任を果たすんですか。

清水参考人 お答えいたします。

 まず補償の問題だろうと思いますが、一つは、御案内のとおり、避難者に対する仮払いというのを現在進めております。既に、五月十三日現在で申し上げますと、約五万件の御請求を受けまして、そのうち約一万件の振り込みを完了させていただいております。引き続き、早期のお支払い完了に向けて対処してまいりたいと考えております。

 それから、今後の補償という意味では、農林漁業の方々あるいは中小企業の方々等のお話もございます。これも御案内のとおり、五月十二日の政府の決定を受けまして、農林漁業者の方々がこうむった被害について、仮払いが実施できますように、五月末ごろまでに仮払いを開始することを目指して早急に関係事業者団体の方々と調整を進めてまいります。また、中小企業者の方々の損害につきましても、これは極めて多種多様な実態があるということも踏まえまして、関係する中小企業団体等と協議を開始させていただき、円滑な仮払いの実施に向けた取り組みを早急に進めてまいりたい、このように考えております。

笠井委員 被災者の皆さんの気持ちを本当にわかっているのかと私思うんですよ、社長。今言われましたけれども、本当に真摯な反省の上に立って、責任を持って一刻も早くというふうに感じられないんです。仮払いだって、四月二十六日から始まったんですよね。もう半月たっていますけれども、五万件の申請のうちまだ一万件という話でしょう。農業や漁業に対してだって、五月末ごろまでには始められるという話でしょう。どれだけ待たされているという話になるのかと思うんですよ。中小企業だって、まだちゃんとやるとなっていない。事故を起こしたまともな反省も責任も、私、真剣なものが感じられないように思います。

 東電の役員の報酬についていろいろ議論があります。社長と会長の報酬について、海江田大臣は当初、五〇%カットして三千六百万円ぐらい残る、それはちょっとおかしいというふうに言われました。半分カットして三千六百万ということは、利用者から電気料金を取って、七千二百万円ももらっていた。そんな企業が大事故を起こして、たくさんの人たちを路頭に迷わせている。東電やそれから関連会社の作業員、社員の皆さん、今本当に、被曝の恐怖と闘いながら、命がけの作業をしていますよ。そういう中で、劣悪な環境のもとに置いて、そしてついに命まで奪われるということが起こった。そういう東電の経営陣の姿勢、だから国民は怒り心頭だと思うんですよ。

 総理、福島原発の災害は、安全神話にどっぷりつかって、警告を無視しながら安全対策を怠ってきた東電と歴代政府によってもたらされた人災であります。災害については、全面賠償を東京電力に行わさなきゃいけない。全面賠償というのは、原発事故がなかったらあったであろう収入と現実の収入との差をすべて賠償するということであります。この原則を明確にして、それを必ず行わせるということを国としてしっかりと誓約する、被災者の皆さん、被害者の皆さんに誓約する。これは、総理大臣、国策でやってきたことですから、総理、そのことはしっかりとやらせる、そういう立場を明確に言っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

海江田国務大臣 この件につきましては、公正な立場から紛争を解決する審査会が既にでき上がっております。そして、せんだって四月の二十八日だったと記憶しておりますが、まず第一次の指針を出したところでございます。これから第二次あるいは中間報告ということで、できるだけ早くお願いをしておりますが、公正な立場からしっかりとした指針を出していただきまして、それに基づき、私どもは、一日も早く東京電力はしかるべき責任を果たしていただきたい、そして国もそれに対するしっかりとした支援を行っていきたい、そのように考えております。

笠井委員 総理、この事故によって被害が起こったことについて、きちっと全面賠償する、ここは、審査のことをいろいろ言われましたけれども、立場として、ちゃんとやるんだ、やらせるんだということについてはよろしいですね。そこがなかったらちょっと話が始まりません。

菅内閣総理大臣 今、全面賠償という言葉を笠井委員からいただきました。私は、趣旨は同じだと思いますが、原発事故と相当因果関係が認められる損害についてはすべて賠償する、それは一義的には東電の責任であるけれども、政府も、原子力政策を進めてきたということも含めて、適切な賠償が行われるように責任を持って対応する、そういう考えでありますので、基本的には笠井委員の御指摘と同様の考えだと申し上げていいと思います。

笠井委員 福島原発事故を一刻も早く収束させる、そしてきちんと賠償するということとあわせて、今回のような大事故を再び繰り返させない、そうした国の責任を果たすことが何より重要だと思います。

 今回の福島原発事故を踏まえて、今般、中部電力は、総理の要請に基づいて、浜岡原発のすべての原子炉を停止する措置をとりました。我が党はかねてから、東海地震の想定震源域の真上にある浜岡原発の運転を停止するように強く求めてまいりました。私自身も視察に行ったことがありますけれども、今回の運転停止の措置自体は当然のことだと思います。しかし、問題は、総理の要請のように、一たんとめて、防潮堤設置などの津波対策をやれば安全は確保されたとして運転の再開を認めていいのかどうかということであります。

 まず、原子力安全・保安院に確認したいと思いますが、津波対策そのものでありますけれども、保安院の言う巨大地震に付随した極めて大きな津波への安全対策というのは、今の時点で、福島第一原子力発電所と同程度の津波を受けた場合、つまり十五メートルの大津波が来ても深刻な事態にならない、大丈夫だという対策ということで理解してよろしいですか。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 今般実施いたしておりますいわゆる緊急安全対策におきます中長期対策におきます津波高さの想定は、今回の東京電力福島第一原子力発電所に襲来しました津波の高さを踏まえたものを念頭に置いてございます。東京電力の福島第一原子力発電所におきましては、今般の地震に伴いまして約十五メートル程度の津波が襲来したというふうに認識してございますけれども、これは、同発電所におきます土木学会の津波高さの評価値であります五・五メートルを九・五メートル上回るものでございます。

 したがいまして、各電気事業者におきましては、各地点の土木学会による津波高さの評価値にこの九・五メートルを加えまして、さらに津波の高さを十五メートルを一つの上限として考慮し、その津波の対策を講じること、そのようにしたものでございます。

笠井委員 そうしますと、総理、そういう対策をとって、浜岡原発に福島原発事故のときの大津波以上のさらに巨大な大津波が来ないという保証はあるんでしょうか。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 各地域の津波の高さでございますけれども、ただいま申し上げましたように十五メートルを一つの上限としてございますけれども、それを上回る津波につきまして、その可能性は論理的にはゼロということはないと思いますけれども、今般は非常に高い津波、十五メートルということでございますので、そういう意味合いでの十五メートルというものを一つの目安としたもの。

 いずれにいたしましても、津波対策につきましては、今般のその検証、そういった作業の中でしっかりと考えていくべきものと考えてございます。

笠井委員 論理的にゼロじゃないとかいう話じゃないんですよ。だって、何の科学的根拠もないですよ。想定を超えた事態が起こったと言っているのが今回の福島の場合でしょう。だから、これまで起こったものよりもそれ以上のことが起こらないなんてことは、あり得ないということは言えないはずなんですよ。最悪に備えるというのが今回の教訓じゃないですか。

 しかも、東海地震に伴う浜岡原発の耐震安全対策そのものについてもどうかと見ますと、では保安院にもう一つ確認しますけれども、原発の耐震性について、二〇〇六年に発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針というのが改定をされました。これに基づいて、中部電力は、浜岡原発の三、四、五号機に関する耐震安全性評価結果報告書というのを、二〇〇七年に三号機、四号機、そして五号機については二〇〇九年に提出しておりますが、保安院として、この中電の提出した耐震の報告書についての評価をバックチェックする、つまり、これでいいかどうかというのをバックチェックする作業というのはもう終わったんですか。

寺坂政府参考人 委員御指摘のとおり、新耐震指針に基づきますいわゆる耐震バックチェックを実施中でございます。

 中部電力からの報告は受けてございますけれども、耐震指針の後の新潟県中越沖地震、あるいは一昨年の駿河湾におきます地震、そういったものも踏まえた調査などを行っている、そういったものもございまして、報告は受けておりますけれども、まだ国としてのバックチェックの作業は終了はしてございません。

笠井委員 だから、終わっていないんですよ、総理。福島原発を含めて、その事故前の指針に照らしてさえ、保安院のバックチェックは終わっていないと。つまり、浜岡原発は耐震設計上も大丈夫という結論は保安院自身出してないんです、作業中と。

 でも、海江田大臣は、今回の浜岡原発の停止に伴う九日の談話の中で、浜岡原発の耐震安全対策はこれまで適切に講じられている、一連の津波対策を講じれば再起動するのに十分な安全性を備えると今から言っちゃったんですよ。しかし、そうした対策だけで東海地震に対して安全だという客観的な保証はどこにもないと、保安院自身は、耐震についてまだ、オーケーしていい、これで結構と言ってないと。

 絶対安全でないと動かさない、停止要請というのはそういう政治判断だということを総理も繰り返し言われてきました。そうおっしゃるなら、浜岡原発で中部電力がやろうとしている津波対策だけで再開よしとは到底ならないんじゃないでしょうか。これは要請をされた総理に伺いたいと思います。

中井委員長 海江田経産大臣。(笠井委員「何で総理要請なのに海江田さんがやるんですか」と呼ぶ)いや、再開はこっちだから。

海江田国務大臣 まず、福島でああした大変厳しい事故が起きました。そして、やはりこれに対して必要最低限の緊急的な保安の確保、安全の確保はやらなければいけないということで、三月三十日の指示を出したところであります。そして、それについてはしっかり行われておりました。

 しかし、浜岡の場合は、まさにこれは、私がわざわざここで言うよりも、委員つとに御案内だろうと思いますけれども、やはり地震そして大きな津波の逼迫性というものがありますから、先ほど防潮堤のお話がございました。防潮堤だけではありません。防潮堤だけではございません。それは……(笠井委員「地震対策は入ってないですよ。などと言ったんですから。だけなんて言ってないですよ」と呼ぶ)話しているときにそこから言われると。防潮堤だけではありませんで、幾つかの建屋の、とりわけ重要な、電源の入っております建屋の水密性の問題でありますとか、そういう総合的な、やはり中長期的なことについてもやっていただかなければ動かすわけにはまいりませんという形であの判断を下したわけでございます。

 そして、これから先の問題でございますが、バックチェックという考え方は一つございます。ただ、これは従来からかなり時間がかかっていて、その後に次から次へといろいろな事象が起きておりますので、バックチェックで、まさに事後的にチェックをするのか、それとも、今度の福島の発電所の事故で大変いろいろな経験、いろいろな知見が得られますので、それを盛り込んだ安全性の基準ということもまた考えて、どちらの方がよろしいのかということで、今それを考えているところでございます。

笠井委員 要するに、津波対策はやっているけれども、地震対策はまだちゃんと評価が終わっていないからできていない、やっていないわけですよ。それには時間がかかると言いますが、その間に大津波や大地震が来て事故が起こったら元も子もないわけでしょう。そういう問題なわけです。

 総理はまた、浜岡原発は三十年以内にマグニチュード八程度の想定東海地震が発生する可能性が八七%ととりわけ高いから要請したと言われましたけれども、浜岡以外の原発については、近く大地震が起こる確率は低いことを理由にして、心配ないということで、運転停止を要請する考えはないことを言われました。

 しかし、その点でも、そもそも福島原発自体、三十年以内に震度六強以上の地震が起きる確率はことし一月一日時点でも〇・〇%とされていたわけであります。それでも大変な原発災害が起こった。地震列島日本のどの地域でも大きな地震が起こり得ることを示したのが今回の事故であります。

 総理が国民の安心、安全のために浜岡原発の停止を要請したというなら、それ以外の全国の原発には一切停止を要請しないということにはならないんじゃないか。日本列島のどこにでも大地震と大津波は起こり得る、その危険性が絶対ないと断言できる原発は一つもないんじゃないですか。ここはないとかと言えるところはありますか。

菅内閣総理大臣 同じ繰り返しになりますけれども、この地球が生まれて四十六億年になりますので、その間いろいろな地殻変動があって、今日の地球になっているものと思います。ですから、その四十六億年間を考えてみれば、どういうことがこれから先起こるかということは、これは本当のところ、だれにもなかなか想像はできません。

 そういう中で、政府の責任者という立場からして、今回の想定される東海地震というものについては、文科省の地震調査本部などによってそうした緊迫性が指摘をされている、そういうことと、言うまでもありませんが、今回の東電福島原発の事故ということを踏まえて、ここは、そうした地震の起きる緊迫性、切迫性が高いという判断をベースに運転停止を要請したわけであります。

 そういった意味で、今申し上げましたように、地球のすべての変化をこれから先予測することはできませんけれども、私としては、やはり政府という立場で考えたときに、そうした政府が提示をしている切迫性を持った地震というものの予測に対しては、国民の安全と安心のために停止を要請することがこれまた必要性が高いということの判断のもとで要請をさせていただいたということであります。

笠井委員 だれにもわからないなんていうことを言っちゃだめですよ。だって、最悪に備えなきゃいけないというのが今回の教訓じゃないですか。

 浜岡については対象として、ほかはやらなくていいなんてことにはならない。国民の安心、安全のために浜岡原発は一たんとめることは要請するけれども、福島原発事故並みの津波対策さえとれば再開よしとして、それ以外の原発は停止を要請しなくても大丈夫ということになるんです。総理を先頭にしてそんなお墨つきを与えることになれば、総理自身が、原発安全神話は根本から崩れたと先ほど言われましたけれども、そう言いながら、みずからまた新たな安全神話をつくっていることになるんです。

 今こそ、この世界有数の地震国、津波国に原発を集中立地させるという危険、異常さ、これをしっかり踏まえながら、安全神話ときっぱり決別して、東海地震の震源域の真上の浜岡原発の永久停止、廃炉はもちろんですが、原発政策そのものを根本的に転換すべきだと思います。

 そこで、最後の質問です。

 総理は五月十日の記者会見で、電力に占める原発の比率を五割に高めることを軸にした昨年六月のエネルギー基本計画について、白紙に戻して議論する、再生可能エネルギーを基幹エネルギーの一つに加える、省エネ社会をつくっていくというふうに表明されました。

 今、今回の事故を通じても、やはり、そもそも原発というのは本当に科学的にも技術的にも未確立だ、そういうものが未熟であるということが非常にはっきりした。そして、この問題を通じて、地震国に安全神話でやってきたという大問題が明らかになったわけでありますから、そうであるなら、今こそ、今回の事故の教訓に立って、原発推進から撤退への転換のときではないか。

 政府が、原発に依存する政策から撤退をすると政治的に、戦略的に決断すること、原発をゼロにする期限を決めたプログラムをつくることを提起したいと思うんです。そして、再生可能エネルギーの開発と低エネルギー社会への移行のために最大限の知恵と力を注ぐべきときではないか、戦略的、政治的にそういう判断をすべきじゃないかと思うんですが、国策にかかわることですので、最後の質問、総理にお答え願いたいと思います。

菅内閣総理大臣 今言われた特に後半部分、つまりは、自然エネルギー、いわゆる再生可能エネルギーと省エネの技術をさらにさらに高めることは、これは我が国のエネルギー政策にとって重要だということと同時に、世界に向かってそういう技術を持って成長を目指して頑張っていく、さらには、地球の温暖化も防ぎながら、そして安全なエネルギーを世界においても確保していく、その貢献にもつながってくる、このように思っております。

 その上で、前半のことを申し上げれば、今回の事故を踏まえて、まず原子力の安全性について徹底的にこの事故を含めて検証し、より安全な原子力のあり方というものについてしっかりと考えていく、このこともあわせて必要だ、このように思っているところであります。

笠井委員 原子力の安全性の確保と言われますが、何よりも、今の原発技術というのは本質的に未完成で危険だということを今回の事故は示しました。そういう点では、エネルギー政策の抜本的転換、それに踏み出す、そのために、安全の問題だと言うなら、推進とそれから規制のところで完全に分離独立した世界一の原子力の規制機関をちゃんとつくる、これが必要だということを申し上げて、質問を終わります。

中井委員長 これにて笠井君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子さん。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 あの震災から二カ月以上が過ぎました。そして、皆さんお取り上げのように、なかなか復旧が進んでいない。避難所での厳しい生活、あるいは仕事はどうするんだろう、今このテレビをごらんになっている被災地の皆さんも、また、それを案ずる国民の多くも、一日も早くこのプロセスが前に進むことを願っていると思います。

 私は、きょうはその中で、特に、原発震災と言われる原発事故のことを取り上げさせていただきます。

 限られた時間、二十五分ですので、御答弁はなるべく簡潔にお願い申し上げます。

 先ほど来の笠井委員あるいは他の委員もお取り上げですが、今回、この原発事故、発生いたしましてから、最も深刻な事態が発覚しておると思います。いわゆる炉心溶融、メルトダウンと言われる状況であります。

 原子炉の中は、ホタテガイみたいなペレットと呼ばれる燃料棒の中とそれを覆う被膜がございまして、これが傷ついたことで、最初は被膜が落ちてくる。そして中のペレットが燃える。最後には、その姿をなさず、メルトダウンする。一番深刻な事態だと思います。

 はてさて、東京電力の清水社長には、このメルトダウンという状況が現実の事態であるというふうに認識されたのはいつでしょうか。

 同じ質問を保安院の寺坂さんにいたします。また、安全委員長の班目さんにもお願いいたします。

清水参考人 一号機の今のメルトダウンというお話でございます。

 一号機は、発災以降、大変放射線量の高い環境に置かれておりまして、人間が入れなかったという状況下に置かれました。それが先月、いろいろ環境改善をしながら、中に入りまして、さまざまな水位計を正しく校正したりしたということで、その水位の状況が明らかになったということでございます。

 それと同時に、今おっしゃいました、いわゆる燃料棒が圧力容器の底部にたまるというようなことがそこでわかったということでございます。

阿部委員 済みません。いつであるか、明確にお答えください。申しわけないが、時間が短いのです。いつで結構です。

 次の御答弁の寺坂さんも班目さんも、いつ認識なさいましたかと聞いているので、今のように状況説明はわかっております。

清水参考人 今申し上げましたとおり、実際に中に入りまして、水位計を校正し、確かめたその時点でございます。(阿部委員「いつですか」と呼ぶ)日にちはちょっと確かめさせていただきます。後ほどお答えいたします。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 燃料、炉心の状況に関しましては、燃料ペレットの溶融という言い方をしてございますけれども、これは四月十七日に炉内の状況について、燃料ペレット、何らかの形で溶融をしているというふうに原子力安全委員会の方に御報告申し上げておりますけれども、まず、そういうことがございました。

 さらに、今おっしゃっておられるような意味での炉心の溶融、そういったことにつきましては、先般、水位計が回復して、それで十分な水位がなかった時点ですから、五月十何日かだった、そういうふうに思っております。

班目参考人 原子力安全委員会としましては、事故発生後、かなり早い段階、数日後の段階で、メルトダウンの可能性もあるということははっきり認識しております。

 それから、実際にもう燃料は溶けたということは、三月の二十八か何日かわかりませんけれども、二号炉のタービン建屋地下で高濃度の汚染水が発見された時点で確信を持ったという次第でございます。

阿部委員 前者のお二人には、いつですかと聞いているんですから、こういう正式な場ですから、御自身が認識されたときですから、いつとお答えください。

 それから、今、班目委員長の御答弁にもあったように、安全委員会としては三月二十八日、これは二号機であるというお答えですが、今私のお尋ねしているのは一号機でありますから状況は違うと思いますが、恐らくこの間常に一号機も二号機も三号機も炉心が水の上に出て、そして被膜が損傷し、ペレットが損傷し、そうしたら後はもう溶けて流れるしかないわけですね。同じような状況が恐らくあるんだと思います。

 私が今懸念いたしますのは、工程表はただの紙ではないのです。しかるに、極めてあいまいな、そして甘い予測で幾ら作文してもらったって、だれも安心できません。

 続いて伺います。

 これから起こり得る最悪の事態と、そのことにどう備えているか、これもお三方にお願いを申し上げます。

清水参考人 工程表の見直しというお話だろうと思います。

 まず一号炉につきましては、冷却水が漏えいしているというふうに考えられますので、先ほどもちょっとお話がございましたとおりで、格納容器の冠水というのは見直さなければいけない。しかしながら、その際には、滞留した水を再利用して、いわゆる循環注水方式の採用によって現在の工程をしっかり守っていきたい、こんなふうに考えていることが第一点でございます。

 それから、最悪のシナリオというお話でございます。

 私どもは、これからの道筋ということでお示ししているわけですが、その中ではさまざまなもちろんリスクがあるということを踏まえながらつくってきたということでございます。

 その中でも、特に二つございます。一つは、何といいましても、格納容器の爆発といいますか水素爆発を防止すること。これが一つ。もう一つは、放射線レベルの高いいわゆる汚染水を敷地外に出さない。これが極めて大事な克服すべき課題というふうに認識しております。

 その意味で、格納容器内へ例えば窒素を充てんする、あるいは汚染水の保管場所を複数しっかり確保すること、あるいは汚染水の処理施設をしっかりと対策を進める、こんなふうな今の考え方でございます。

寺坂政府参考人 現在の各原子炉の状態におきましては、給水機能、冷やす機能、これを確保していくということが一番重要なことでございますので、そういう意味におきまして、何らかの事情によってその冷却機能が十分でなくなるような事態、あるいは水素爆発といったような事態、それから汚染水の処理において、この汚染水が十分内部で処理できるように今いろいろな対応を行っておりますけれども、それが何らかの事情によって難しくなってくるような事態、そういったようなことが考えられると思います。

班目参考人 原子力安全委員会としては原子力安全・保安院の方から正確な情報を得ていませんので、私の個人的な見解でお答えいたします。

 現在、炉は安定な状態にありますけれども、一番危険な状態というのは、やはり同程度の地震ないし津波の襲来によって冷却系が失われたり、あるいは海水中への汚染水の放出が起こること、これが非常に厳しいことだと思っております。

阿部委員 今三人伺っても、何が一番危機なんだろうという認識がばらばらで、恐らく意見交換もされてないんだと思うんですね。

 私は、ちょっとお待ちください、一点目の爆発であれば、このたびの一回目ではSPEEDIがスピーディーに動かずに、風下に逃げてしまった人がいたり、汚染マップを見ればわかりますが、同心円状なんかに広がってないんですよね。どっち向きに、そのときの風で物がどっちに飛ぶか、高汚染濃度地域はどこか、それをあわせてアナウンスできる体制をとらねば、爆発に備えたとは言えないんです。

 それから、二点目の汚染水の問題については、今極めて深刻です。だって、格納容器の下がどこも漏れているわけですよ。格納容器はクローズドでなきゃいけないのに、ひびがあるのか何があるのかわかりません、漏れているんですよ。極めて深刻です。その対策はどうかということとか。

 私は、今、班目さんが保安院とは連絡していないとおっしゃり、東電のお答えは、申しわけないけれども、ちょっと月並みですよ。深刻さが感じられない。こういう体制で、この重大な事故、経済も低迷させ、これが一番世界の中で不安と不信要素ですよ。私どもの国は、震災からは復興するであろうと、この国民性において。本当によく耐えて、今必死にみんな努力していますよ。だけれども、プラスこの経済に与える影響や、まき散らし続ける、世界にまき散らす環境汚染を起こしている原発事故については、我が国に対する評価の目は極めて厳しいものがあると思います。

 菅総理、お願いいたします。海江田さんがお手を挙げているので、その後でお願いします。

 今のようなばらばら体制で、果たして物は進められるでしょうか。それに一言お願いいたします。お聞きになったと思います。みんなばらばらなことを言って、国民はだれを聞いて、どこを向いて、何を見て安心するんですか。お願いします。

菅内閣総理大臣 ある段階で統合対策本部というものを立ち上げて、それ以降、東電、そして保安院、そして安全委員会、また政府の担当者が共通の議論のベースに立つことが相当程度できたと思っております。

 そういう中で、しかし、残念ながら、大変重大な認識でありましたメルトダウンについて、正式な発表はたしか昨日だったと思いますが、東電が発表されたものが文書としての最終的な形だと思いますけれども、必ずしもそういうものの認識が、確かに個々にはいろいろな意見が出ていたことは私もよく知っておりますけれども、こういう形であったというのは、水位計が直接生きてきた段階、つまり、稼働した段階でこういう新たな推定になりました。

 このことは、確かに不安を与えているという意味ではおわびを申し上げなければなりませんけれども、そういう水位が確定的に認識できなかったという、これも客観的な事実でありまして、その中ではいろいろな意見があったというのが、多分これも客観的な事実であろうと思っております。

 そういう中で、私としても、もう一度関係者の皆さんとしっかりと、議論をする場は議論をする場として、共有の認識を持って対策に当たれるようにしていきたい。

 最も深刻な状況についてというお話もありました。これについても、私もいろいろな方からの知見は個人的あるいは組織的にも聞いておりますけれども、そうした形の中でも、例えば、水の漏えいについてはもっと大がかりな形でそれを抑える手当てが必要だとか、あるいは、今回の新しい知見によって、従来の水棺という考え方は余り適切ではない、新たな形の、空冷的な形で漏れた水をもう一回戻していく、そういう形をしっかりとれば、先ほど来申し上げているように、ステップ2の工程が時間的には余り延びないでやれるのではないだろうかと、これは先ほど東電の清水社長も共通のことを言われておりましたが、そういうふうに考えております。

阿部委員 総理は今、それは希望的観測というんですよね。この工程表の一を見ていただくと、全部、ステップ1はどれもできないですよ。窒素充満は一号機はやったんでしょうか。そのほかはわかりませんね。二番目の冠水、これはもうできないんですよね。熱交換機能の検討、実施、これからなんですよね。二号機の格納容器損傷部分の密閉、これからなんですよね、漏れているんですから。

 私は海江田さんにお願いがあります。本当に信頼性のあるもの、そしてそれはいろいろなリスクを勘案したものでいいんです。一つの形で美しいものじゃなくて、リスクをちゃんと入れたもの、踏み込んだものを政府の責任で出していただきたいです。あした例えば東電から出ても、またかと思いますね、はっきり言って。お願いします。

海江田国務大臣 この一月前につくりましたものにも、私どももしっかりと責任を持たなければいけないということで、関与をしておりますので。

 リスクを書いてないということでございますが、今一番最初の紙をお出しですけれども、その後ろに別紙がございまして、全部リスクはわざわざ赤い字で書いてございます、これは。例えば、放射線レベルの高い場所で作業が長期化するおそれがあるとか、一つ一つ全部書いてございますから、これはぜひ見ていただきたい。

 それからもう一つ、私どもと班目委員長の立場とはちょっと違います。班目委員長は第三者機関でございますから、それは少し意見が違いますが、少なくとも保安院と私ども、それから東京電力とは、統合の対策本部、今は対策室になりましたけれども、本当に毎日、きのうも四時間、五時間私はそこにいまして、まさに、あした発表しなければいけないものをどういうものにするのかということで、しっかり議論をしております。

 それから、全部言いますけれども、先ほどお話をした、班目委員長が言いました地震の備えということでも言いますと、これを見ていただければよろしゅうございますが、四号機の支持構造物の設置と書いてございますが、これは、炉に入っている燃料はそういう形で炉という安全弁がございますが、プールはやはり、これは深さ五メートルぐらいですけれども、危ないですから、そこを地震のときにしっかりと支持構造物をつけなければいけないということで、その意味では万全の体制を整えておりますが、御意見があれば、またそれはいつでもお聞かせいただきたいと思います。

阿部委員 燃料プールが危ないのも当然ですよ。もしかして炉以上に危ないかもしれません。地震で揺れて、中で遮断している棒がとれたら再臨界を起こしますから、危険なんですよ。それはそうです。

 海江田さんはるるおっしゃいましたけれども、なぜ炉心溶融という危険をそこに入れ込んでいないのですか。ごめんなさい、私、このお話で時間をとれないので。しかし、安全委員会と我らは違うと言ったら、国民は安全でないものを受け入れなきゃいけなくなりますよ。何のための安全委員会ですか。それも大きな異議があります。ごめんなさい、私の時間の限りで、次に行かせていただきます。

 出るものは、安全委員会ともきちんと、もちろん置かれた立場は違いますよ。しかし、一番安全を大前提に進めてきた原子力が安全でなかったから、これだけの審議と論議になり、大きな見直しが必要とされているんです。今の海江田さんの御答弁では、国民は納得できません。よくやっているのもわかりますよ。しかし、それでも安全性が担保されなかったから大きな問題になっているんですよ。そこをきちんと受けとめていただきたいと思います。

 そして、次の質問にこの図で行かせていただきます。鹿野大臣にお残りいただいたので。

 私はこの前も取り上げましたが、実はこの図の一番下に、モニタリングの拡充、充実、そして避難指示、計画避難、緊急時避難地域への十分な低減、原子力の放射性物質を低減するという言葉が出ているんですね。でも、これのスタートがすごく遅いんです。それで、これからまた先、この事故の経過が後に延びれば延びるほど遅くなってしまう、そう思っていたやさきに、五月の十二日に出されたのは、二十キロ圏内の動物、家畜の屠殺でした。

 私は鹿野大臣にはお願いがあります。実はチェルノブイリに学ぶべきは、チェルノブイリの事故は悲惨でしたが、ほとんどの家畜は直後に一緒に連れ出しているんです。そして、連れ出せなかったものも、飼料等を与えてその家畜が持つ放射線のレベルを下げさせているんです。殺してしまったら汚染物質になってしまうんです。軽減措置とは、そうやって、いい飼料を与えて動物の放射線レベルを下げることなんです。

 今、確かに、野に放たれたような状態で不可能かもしれないとお考えでしょう。しかし、殺してブルーシートは間違っています。これはよく、副大臣の篠原さんもこの前のチェルノブイリの共同の会議にいらしていますから、学んでいただきたい。また、御一緒にロシア、共通のシンクタンクでもいい、何でもいい。だって、これから長い過程なんです。最悪のことはもう起こったんです。だけれども、私たちはそこでひるむわけにはいかない。だったら、前に出るために、かつての悲劇の経験から学ばなければなりません。原子力安全委員会にも、実はこの軽減措置のペーパーは二〇〇一年に出ています。なぜ原子力安全委員会と農水省とが共通の認識に立てないのか。

 きょう、時間がないので、大臣には突然で申しわけありませんが、私は、今の方針はとてもがえんじません。土壌もそうです、動物もそうです。一体畜産とか酪農を何と考えているのか。業をなすということを何と考えているのか。到底納得できる措置ではありません。私は、きょう後で大臣にその文献というか発表されたものもお届けしますから、きょうのところは、城島さんへの御答弁では学術的なものは少し考えましょうということでした。そうではなくて、産業として、業として考え直せということをお願いしたいですが、いかがでしょうか。

鹿野国務大臣 基本的に、今、阿部委員からも申されましたけれども、原子力安全委員会とは常に私ども御相談申し上げながら、連携をとって一つ一つ判断をさせていただいておるのであります。私ども農林水産省として独自で判断できるものではございません。

 そういう意味で、先生から、具体的な業として取り扱うかどうか、こういうことでございます。

 確かに、外部被曝については、当然、スクリーニングすれば、これは除染というふうなものも行うことができますが、内部被曝については、どういうえさが供給されておったとか、どういう水が、汚染された水も飲んでおったんじゃないかというようなことからするならば、なかなか困難な対応であるということはぜひ御理解をいただきたいと思います。

阿部委員 それも含めて、プルシアンブルーというものを牛に与えるんですね。これはチェルノブイリの経験です。そして、そうしたことはもう被曝の二、三週間後からやっているんです。あと、土にカリウムを入れて放射線レベルを下げるとか、いろいろな方法が実際にとられてきました。私は鹿野大臣の農水への取り組みは一番評価していますから、これはぜひ学んでいただいて、前向きに検討していただきたい。

 最後の質問に行かせていただきます。今度発表された東電への補償スキームの問題です。

 ここに挙げました図は、私が勝手に理解し、つくったところですが、今度の補償スキームは、簡単に言うと、東電が利益を上げた、その利益の中から補償をお返しいただこうというものです。

 一方、下段は、東電の資産、いろいろ資産をお持ちですね、東電はお金持ちですから。その資産を基本にきちんと賠償していただこうとするものであります。

 何が違うか。本当に簡単に言うと、上段は、利益であれば、簡単なことは電力料金を上げることです。あるいは税金を入れることです。税金というのは支援機構に入るわけですが、しかし、今、アンケートでもとられているように、この件で東電の責任を抜きに国民に電気料金を上げろといったって、だれも納得できません。

 下段は、いろいろな資産を売却し、特にここでお勧めしているのは、発電と送電の分離をして、送電線も資産ですから、これを売り、その代金を支援機構なりなんなりに入れて、いわゆる私どもがずっと言ってきた発電と送電の分離を、部分的でも、東電のエリアだけでもまずやっていただきたいということであります。これが国民負担を最小化する。だって、持っている財産を出してもらうしかないじゃないですか。

 総理、この件についていかがでしょう。

中井委員長 海江田経産大臣。時間が来ていますから、短くお願いします。

海江田国務大臣 はい。

 私どもも東京電力に対して、まず手持ちの資産を、本当に売れるものはすべて売ってくださいということをお願いしております。それから、やはり、まず隗より始めよではありませんけれども、役員を初めとしたリストラもしっかりやってくださいということは、本当に口が酸っぱくなるように何度も何度も申し上げております。(発言する者あり)

阿部委員 その程度では間に合わないという今のお声のとおりでした。

 終わります。

中井委員長 これにて阿部さんの質疑は終了いたしました。

 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 私は記者出身でございますので、事実をして語らしめたいというふうにきょうは思っております。

 まず、一枚目のパネルをごらんいただきたいと思います。こちらは、五月六日に文部科学省が発表した、文科省及びアメリカのエネルギー省による航空機モニタリングの結果というものでございます。福島第一原発周辺の地表面へのセシウム134、137の蓄積量をマッピングしたものです。

 この赤の部分、四月二十九日現在の値に換算して、平米当たり三百万から三千万ベクレルということになっております。それが福島第一原発から三十キロ圏の外にまで広がっている。さらに、黄色の部分、これが百万から三百万ベクレル、そして、緑色の部分が六十万から百万ベクレル、平米当たり。

 チェルノブイリにおけるセシウムによる土壌汚染の最大値は幾らだったかといえば、平米当たり三百七十万ベクレルです。平米当たり五十五・五万ベクレルを上回ったところは強制移住の対象になっております。緑色の部分が、この図でいえば六十万ベクレル以上ですから、緑色の部分に至るまでがチェルノブイリの強制移住のレベルを超えているということになる。その面積は、約八百平方キロに及んでいるということであります。

 この事実を政府はどういうふうに見ているのか、お伺いをしたいと思います。

海江田国務大臣 私どもは、最初のところでは、本当に爆発が起きる、水素爆発でございますが、まず、同心円的に避難でありますとか屋内退避を定めました。それから、最近は少なくなっておりますけれども、残念ながら、環境中への放射性物質の飛散がございます。そして、これが蓄積もございますので、今度はまさに計画的避難区域ということで、同心円ではありませんで、累積の線量が多い地域の方々には計画的に避難をお願いしているところであります。

柿澤委員 これをどう見ているかということについては十分なお答えがなかったようにも思います。

 先日、各党・政府震災対策合同会議の実務者会合でこのマッピングの地図を取り上げさせていただきました。そのときには、原子力安全委員会の方がたしかお答えになられていたと思いますけれども、被曝線量で見るのが国際基準である、だから、土壌の汚染、地表面での累積放射性物質の量がこの水準に上っていても、やはり空間線量で見るべきであって、これは直ちには問題とならないんだ、こういうことをおっしゃっていて、ちょっと驚いてしまったという場面がありました。

 空間線量、被曝線量について、どうなっているかということを次のパネルでごらんいただきたいというふうに思います。

 次のパネルは、いわゆるSPEEDIで試算をした内部被曝臓器等価線量の積算線量というものであります。外気中に放出された放射性物質の量から推計をして、そこにいる一歳児の甲状腺にどれだけの放射性沃素がたまっているかということを予測したものであります。これは、最も高い赤の実線のライン、何と一万ミリシーベルトということになっています。そこから、五千ミリシーベルト、千、五百、百ミリシーベルトと広がっているわけです。

 今、子供の校庭使用基準で、年間二十ミリシーベルトが高くてとんでもない、こういうふうに言われておりますけれども、この図では一万ミリシーベルトです。どういうふうに政府はこのSPEEDIの試算をごらんになられているんですか。これも伺います。

班目参考人 まず第一に、これは等価線量であるということで、幼児に対して百ミリシーベルト以下にしなきゃいけないという認識を持ってございます。

 それで、このために、三月の二十三日の時点で、このSPEEDIの結果を公表させていただいて、安全委員会の方から現地対策本部に要請しまして、たしか千数十人だったと思いますけれども、子供の甲状腺被曝の状況をはかってもらった、その結果、問題ないことを確認していただいた、そのような事情がございます。

柿澤委員 後から子供の甲状腺被曝については調べて、大丈夫だった、こういうお話でありますけれども、しかし、一部の子供の甲状腺を調べて大丈夫だということで、本当にこの周辺の住民が大丈夫だということが保証されるんでしょうか。

 放射性物質が北西に広がるというのは、二号機が破損した三月十五日の時点で、政府はSPEEDIの試算データからほぼ予測をしていたと言われています。にもかかわらず、それから一カ月にわたって、政府は同心円状の二十キロ圏内の避難指示区域を維持し続けたわけです。結局、今の今まで住民はそこで生活を続けて、場所によっては、地表でチェルノブイリを上回るような高い放射性物質の蓄積にさらされ続けて、私から言わせれば、避けることのできる被曝をしてしまったということになるのではないかと思います。

 このSPEEDIの情報を、試算が行われた時点で直ちに出すことがなかったというのは、後から考えると、それで本当によかったのかというふうに思います。

 このSPEEDIの試算されたデータを公表するかしないかということについて、統合本部の記者会見で、安全委員会の方が問われて、公表するかしないかということについて内部で明確な意思決定がなされていなかったということを述べられています。こういう形で、一体政府のだれがこのSPEEDIについて当面出さないという決定をしたのか、はっきりしていないということが言われております。

 御答弁ありますか。

海江田国務大臣 統合本部のいつの記者会見かということを教えていただきたいんですが。

 と申しますのは……(柿澤委員「五月十日です」と呼ぶ)五月の十日ということですか。それでしたら、委員長がおりますので、お聞きいただければよろしいかと思いますが。

中井委員長 どういうこと。

海江田国務大臣 統合本部で共同で記者会見をやりましたのはごく最近のことでありまして、それまでは個々ばらばらにやっておりましたものですから、そこがわかりませんと、いつのことだろうかということがわかりませんでしたものですから、そのことを御確認していただいたわけでございます。

中井委員長 統合本部があるの、安全委員会は。(海江田国務大臣「いや、違います」と呼ぶ)

 安全委員会はこれを管轄しているの。班目君はよくしゃべるから、何でも知っているが、これを管轄しているの。

班目参考人 済みません、その記者会見の件は余りよく知っていませんが、安全委員会では、この結果を出したのが、たしか三月の二十一あたりに何とかなるかな。それで、三月二十三日にはこれは公表してございます。

 公表しているのは、むしろ、そういう子供たちを持っている親御さんに注意を喚起して、現地対策本部でそういうモニタリングをするのでぜひ応募してほしいという意味で公表に踏み切ったというわけで、公表を差し控えたというような事実はないというふうに安全委員会では認識してございます。

柿澤委員 三月二十三日に公表したと言っておられますけれども、実は、このSPEEDIのデータを、その後も含めて公表したのは、三月二十三日と四月十一日の二回、二枚だけ。最終的に、遡及して三月十一日以降のすべてのデータを出したのは、五月の三日のことだと思います。この五月の三日というのは、ちょうど前日に第一次補正予算が国会で成立をしている日であります。

 私は、このデータは大変いわばショッキングなものだというふうに思います。要するに、余りにもショッキングな試算だから、出すと騒ぎになるから、一次補正が国会を通るまでの間、公表を抑えていたんじゃないですか。現に、細野総理補佐官は、パニックになるのを恐れたというふうにマスコミに対して話しているではありませんか。

 いいですか、後からこういうことを出されても遅いんですよ。わかった時点で逃げようとしたって、マスクをしたって、後の祭りなんです。幾ら追及しても時間は巻き戻せません。

 住民の健康を守るため、これからどうしていくかということも大事であります。にもかかわらず、政府は周辺住民の内部被曝に関する追跡調査を、子供を除いて、原則として行っていない。それでいいんでしょうか。

 周辺住民にどのくらいの内部被曝が生じているかを推しはかる上で、重要なデータがあります。それは、国内の原子力施設にある内部被曝を測定する全身測定装置、ホール・ボディー・カウンターでの測定結果の数値であります。国内の原発等に四十数台あると聞いております。福島県内に立ち寄ったほかの原発の作業員らが、職場に戻るために放射線管理区域への入域登録というのをするんですけれども、そのときにホール・ボディー・カウンターによる全身測定を受けるんですが、測定をしてみたら、この福島県内に立ち寄ったほかの原発の作業員、精密検査が必要なスクリーニングレベルの千五百cpmを大幅に上回る内部被曝の値が測定されたという人が続出をしたということであります。これらは、放射線量の高い第一原発の現場で作業している人たちとは違って、基本的に、福島県内に立ち寄っただけの人であります。だから、彼らの数値を見れば、周辺住民の内部被曝の実態を推しはかることができるんです。

 そこで伺いますけれども、国内の原子力施設にあるホール・ボディー・カウンターで三月十一日以降測定した全ケース、福島第一原発の作業員だけは除きますけれども、において、スクリーニングレベルの千五百cpmを超えたケースが何ケースあるか、そのうち、原発事故発生後に福島県内に立ち寄ったケースは何例あるか、そして、スクリーニングレベルをさらに大幅に超える一万cpmを超える測定結果は何例あるか、御答弁ください。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 各電気事業者から聴取した数字を集計いたしますと、千五百cpmを超えたものは四千九百五十六件と聞いております。一部電力会社におきまして基準が少し違うことがございますけれども、基本的には、千五百cpmということで、四千九百五十六件でございます。

 このうち、事故発生後に福島県内に立ち寄ったケースにつきましては、判明している限りにおきまして、四千七百六十六件、先ほどの四千九百五十六件のうちの四千七百六十六件と承知してございます。

 さらに、一万cpmを超えた件数は千百九十三件というふうに承知をしてございます。

柿澤委員 これは大変な数字ではありませんか。私は、四月の上旬から、実務者会合や、内閣委員会でしたか質問で取り上げて、この数値を出せ出せとずっと言ってきました。ようやくこの単純な測定数値をきょうの委員会で出していただきました。四千九百五十六件、そのうち、四千七百六十六件が福島県内に立ち寄った。そうした方々が、精密検査が必要な千五百cpmを超えている。そして、一万cpmを超えている方々も、測定件数として千百九十三件報告をされている。こうした実態が今回明らかになりました。

 本来、こういう大量の放射性物質が確認をされた時点で、周辺住民の内部被曝の実態に関する調査を行ってしかるべきだと思うんです。しかし、それをやらないので、私はずっと、このホール・ボディー・カウンターの数値を周辺住民の内部被曝の実態を推しはかるデータとして求めてきたんです。

 結局、こういうふうに時間がたつことによって、時間の経過とともに内部被曝の実態がだんだんだんだんあいまいになってきてしまうんですよ。内部被曝の健康に与えるリスクというのは、すぐに出るのではなくて、晩発性のものであります。だから、今内部被曝の実態を明らかにしておかないと、後々になって健康被害が生じたときに原発事故との因果関係が断定できないで、責任の所在がうやむやになってしまいかねないんです。

 採尿やホール・ボディー・カウンターを使用した周辺住民の内部被曝に関する追跡調査を政府として責任を持って行うべきだというふうに考えます。これは住民の命と健康の問題ですので、私は菅総理に御答弁をいただきたいと思います。

細川国務大臣 住民の皆さんが被曝についていろいろと御心配もされているということ、これも私の方も理解をいたしております。したがって、被曝についての調査というのは、これまでに二ついたしております。

 一つは、発災以降、福島県内の各地におきまして延べ十八万人の住民の方々に実際実施をされましたサーベイメーターによりますスクリーニングにおきまして、四月以降、除染が必要な十万cpmを超えた方は確認をされていないということでございます。

 もう一つは、先ほど委員も指摘をされておりました、特に被曝をされた方が多い川俣町とか飯舘村あるいはいわき市、こういうところで子供の調査をいたしております。子供の甲状腺被曝に関して千八十名の方を三月下旬に測定いたしたところ、スクリーニングレベルを超えた者はいなかった。

 こういう調査結果がございますので、現在は、住民の方に対しての採尿やホール・ボディー・カウンターによる内部被曝の測定を求める状況ではないのではないかというふうに考えておりますが、ただ、政府といたしましては、環境モニタリングの結果の活用や住民の行動調査等によりまして、地域住民の方々がこれまでに受けた放射線量の推定、評価を実施することといたしております。その上で、住民の方々の健康調査の手法につきましては、文部科学省、放射線医学総合研究所あるいは経産省といったところの関係省庁間で今検討を進めているところでございます。

柿澤委員 周辺住民の内部被曝の実態を示唆する、福島県内に立ち寄ったほかの原発の作業員のホール・ボディー・カウンターの測定数値、先ほど細川厚生労働大臣もお聞きをされたと思うんですけれども、しかし、それを踏まえてもなお、採尿やあるいはホール・ボディー・カウンター、移動式の車もあるんですけれども、そうしたものを使って内部被曝の測定を周辺住民に対して行う必要はない、こういうふうに今おっしゃられたんですね。本当にそれでいいのかと私は思います。

 さらに加えて言うと、内部被曝の健康リスクについては、定まった評価の基準そのものがありません。これこれの内部被曝をしていましたと仮に測定結果が出たとしても、それが何を意味するのかという基準がないのでは、これはリスクの評価しようもありません。

 これについては、四月十五日に厚生労働委員会で取り上げて、大塚副大臣から、次の喫緊の課題である、こういう御答弁をいただいていますが、いまだにこうした基準すら示されておりません。これはどうなっているんでしょうか。

細川国務大臣 厚生労働省といたしましては、今回の原子力災害によります住民の皆さん方の内部被曝、外部被曝、これらの双方の影響をしっかり考慮して、健康調査についてもやっていかなければというふうに思っております。

 ただ、厚生労働省といたしましては、内部被曝の影響については、厚生労働省において、食品、飲料水の摂取におきます内部被曝の健康影響を予防するためのICRPの基準をもとに、原子力安全委員会の評価を踏まえながら、暫定規制値というのを定めているところでございます。

 ただ、これが暫定規制値ということでありますから、これを本来のしっかりした規制値にということで、今、食品安全委員会、ここで評価をしていただいているところでございまして、厚生労働省といたしましても、薬事・食品衛生審議会、この中で特別の部会をつくりまして、この規制値について再検討を急いで進めているところでございます。

柿澤委員 今のは私の質問の趣旨に答えてくださっていないんです。

 放射性物質を吸入等で内部に取り込んだ、体内に取り込んだ、その放射性物質の量がどれだけあればどういう健康リスクが生じるのか、こういうことに関するサーベイがなされていない、こういうことを私は申し上げているのであって、私の質問の趣旨をお受けとめいただきたいというふうに思いました。

 菅総理、今のやりとりを聞いておられたと思います。私は、この間、残念ながら周辺住民の皆さんが相当量の被曝のリスクにさらされてきた、そして内部被曝については、そうしたことを示唆する数値も今明らかにされた、こうした中で、やはり、広範な周辺住民のこの内部被曝に関する調査が絶対に必要だというふうに思います。

 総理、先ほど申し上げたとおり、命と健康にかかわることですので、御答弁をいただきたいと思います。

菅内閣総理大臣 今、厚生労働大臣からかなり詳しい答弁がありましたが、柿澤委員からの御指摘でもあります。

 私自身も、この外部被曝、内部被曝の問題、あるいは積算の問題、あるいはそのときそのときの線量の問題等、かなり単位もいろいろ変わりますし、そういった点で一般の方も非常に理解が難しくて、私などでも、よほどしっかり聞かないと十分な理解ができないこともあります。

 改めて、今の御指摘を踏まえて、私自身も、もう一度、全体の話を聞いて、何が今までのやり方でいいのか、必ずしも十分でないのか、把握をいたしてみたい、このように今のお話を聞きながら考えておりますので、私なりに把握をさせていただこうと思っております。

柿澤委員 総理として把握を改めてされたいということですので、大変前向きな御答弁をいただいたというふうに思います。

 今回の原発事故への対応は、事後的検証を要する点が本当にたくさんあります。そういう意味から、菅総理も、原子力専門家らでつくる事故調査委員会を五月中には立ち上げたい、こういうふうにおっしゃっているわけであります。しかし、事後的検証にたえ得るだけのちゃんとした資料がそろっているのかということについては非常に疑わしい、こういうふうに思っております。

 今回、この原発事故対応の事実上の司令塔となったのは、私は、実質的には政府と東電の統合連絡本部であると思います。そこでさまざまな方針が議論され、決められてきた。

 そこで伺いますけれども、この統合連絡本部の会議の会議録というのは残されているんでしょうか、伺います。

海江田国務大臣 これは、一部はもう映像等も公開になっておりますが、基本的に、テレビ電話で、福島第一と東京電力の本店とそれから福島の第二、あるいはオフセンター、今、福島の県庁のところへ動いておりますが、そういうものをつないで各種のやりとりをしてございます。

 ですから、その意味ではそういう記録も残っていようかと思いますが、それこそ本当に毎日毎日刻々と変化する状況の中で、何か部屋にこもって議論をするという場ではありませんので、そういうようないわゆる会議録というのはございません。しかし、いろいろな形でのやりとりというのは私もメモにしておりますし、それから、多くの方のメモもございます。そういうものは、いつでも、しっかりとした機関から提出の要請があれば、それにこたえるつもりはございます。

中井委員長 柿澤君、時間が来ていますから。

柿澤委員 はい。

 統合連絡本部も、また原子力災害対策本部も、正式な形の議事録が残されていないということは枝野官房長官も既に認めておられるところだと思います。そうした中で、本当に検証にたえ得るような調査が政府のもとで行えるのかどうか、大変私は疑問に思っております。その意味で、やはり国政調査権のある国会のもとに超党派の調査委員会を立ち上げる、これが正しい方向性だというふうに思いますが、総理の答弁を求めて質問を終わりたいと思います。

中井委員長 もう答弁はだめです。時間が終わっています。まとめてください。

柿澤委員 はい、わかりました。

 終わります。

中井委員長 これにて柿澤君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本日の集中審議は終了いたしました。

     ――――◇―――――

中井委員長 この際、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。この際、その補欠選任を行いたいと存じますが、先例により、委員長において指名することに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中井委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に富田茂之君を指名いたします。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時一分散会


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