衆議院

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第2号 平成24年1月31日(火曜日)

会議録本文へ
平成二十四年一月三十一日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 中井  洽君

   理事 笹木 竜三君 理事 武正 公一君

   理事 西村智奈美君 理事 鉢呂 吉雄君

   理事 若井 康彦君 理事 若泉 征三君

   理事 石破  茂君 理事 小池百合子君

   理事 高木 陽介君

      相原 史乃君    石関 貴史君

      今井 雅人君    打越あかし君

      江端 貴子君    大西 健介君

      逢坂 誠二君    金森  正君

      吉良 州司君    岸本 周平君

      近藤 和也君    佐々木隆博君

      中野 寛成君    仁木 博文君

      橋本 博明君    花咲 宏基君

      浜本  宏君    古本伸一郎君

      馬淵 澄夫君    松岡 広隆君

      村越 祐民君    室井 秀子君

      山岡 達丸君    山崎  誠君

      山田 良司君    渡部 恒三君

      赤澤 亮正君    伊東 良孝君

      小里 泰弘君    金子 一義君

      金田 勝年君    佐田玄一郎君

      橘 慶一郎君    野田  毅君

      馳   浩君    町村 信孝君

      山本 幸三君    赤松 正雄君

      東  順治君    赤嶺 政賢君

      笠井  亮君    内山  晃君

      阿部 知子君    浅尾慶一郎君

      山内 康一君    下地 幹郎君

      中島 正純君   松木けんこう君

    …………………………………

   内閣総理大臣       野田 佳彦君

   外務大臣         玄葉光一郎君

   財務大臣         安住  淳君

   厚生労働大臣       小宮山洋子君

   農林水産大臣       鹿野 道彦君

   経済産業大臣       枝野 幸男君

   防衛大臣         田中 直紀君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     藤村  修君

   国務大臣

   (国家戦略担当)     古川 元久君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   防衛副大臣        渡辺  周君

   財務大臣政務官      三谷 光男君

   予算委員会専門員     春日  昇君

    ―――――――――――――

委員の異動

一月三十一日

 辞任         補欠選任

  川内 博史君     古本伸一郎君

  馬淵 澄夫君     吉良 州司君

  村越 祐民君     浜本  宏君

  横山 北斗君     相原 史乃君

  馳   浩君     町村 信孝君

  東  順治君     赤松 正雄君

  笠井  亮君     赤嶺 政賢君

  山内 康一君     浅尾慶一郎君

  下地 幹郎君     中島 正純君

同日

 辞任         補欠選任

  相原 史乃君     横山 北斗君

  吉良 州司君     松岡 広隆君

  浜本  宏君     村越 祐民君

  町村 信孝君     馳   浩君

  赤松 正雄君     東  順治君

  赤嶺 政賢君     笠井  亮君

  浅尾慶一郎君     山内 康一君

  中島 正純君     下地 幹郎君

同日

 辞任         補欠選任

  松岡 広隆君     馬淵 澄夫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 予算の実施状況に関する件(外交(TPPを含む))


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     ――――◇―――――

中井委員長 これより会議を開きます。

 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。

 本日は、外交(TPPを含む)についての集中審議を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉良州司君。

吉良委員 おはようございます。民主党の吉良州司でございます。

 本国会、予算委員会のトップバッターを務めさせていただきますけれども、野田政権の応援団として質問をさせていただきます。

 まず総理、総理は首相、また財務大臣は蔵相、外務大臣は外相と、相という字がついておりますけれども、この漢字の相という意味を御存じでしょうか。お聞きしたいと思います。

野田内閣総理大臣 相というのはまさに大臣という意味だというふうに思いますが、資料でヒントをいただいております。

 もともとは、語源は木の上に目ということでございますので、これはかつて安岡正篤先生の本で読んだ記憶がありますけれども、要は、高いところから遠方を見ながら判断をしていく、遠い未来をしっかりと見詰めながら困難を乗り越えて物事を判断するというのが、いわゆる相、大臣の役割であり、平の相国だったら、国全体を、遠くを見通しながら判断をする、そういう意味と理解をしています。

吉良委員 ありがとうございます。

 この意味を安岡正篤先生の本で私も知ったわけでありますけれども、この意味を知ったときは目からうろこでございました。今総理おっしゃったように、もともとは、木の上に登って遠くまで見通すことができる、視野広く将来を見通すことのできるリーダー、これが相ということでございます。

 その意味で、野田政権の使命というものは、まずは震災復興、そして原子力事故からの一刻も早い収束ということでございますけれども、同時に、日本の将来のために、将来を見据えた上で、逆算して今何をすべきかということを考え、その意味で、総理が安心で持続可能な社会保障を実現していくために消費税について不退転の決意で臨む、このような総理の姿勢について私どもは支持をし、とことんついていきたいと思っております。

 同時に、とかく閉塞感漂う我が国の状況において、経済社会に活力を取り戻していくということについて、私自身は、TPPへの交渉参加、これは不可欠だと思っております。

 一点だけ補足させていただけるならば、私自身は党内の経済連携プロジェクトチームで事務局長を務めておりますので、この運営については公平中立を期してまいる所存でございますけれども、一方で、総理が私どもの党の提言を受けた上で関係国との協議を開始するという決断をしていただきました。そのことによって、外交上、カナダが動き、メキシコが動いたということがございます。

 関係国との協議を開始したということは、一歩ではないかもしれませんけれども、〇・五歩、〇・七歩前進したというふうに思っています。その背景には、TPPに参加することについてのメリットについて考えていただいていたと思っております。

 その意味で、TPP参加のメリットは何かということについてお聞きしたいと思います。これは総理でも国家戦略大臣でも構いません。

古川国務大臣 お答えいたします。

 アジア太平洋地域に位置する貿易立国であります我が国にとって、世界の成長エンジンであるアジア太平洋地域の成長力を取り込むことの意義は極めて大きいと考えております。

 特に、我が国は、FTAAP、アジア太平洋自由貿易圏を構築していく、そういうことを目標にしているわけでございまして、そうした視点からこのTPPというのはAPEC地域に拡大することが目指されておりますので、このFTAAPに向けた地域的取り組みの一つだというふうに考えております。だからこそ、このTPP交渉への参加というものが重要ではないかというふうに思っております。

 さらに、このTPPは、アジア太平洋地域における投資、貿易のルールを定めるということにつながっていく。これは、日本がこうしたルールづくりにやはり主導的な役割を果たしていくということで、極めて重要だと思います。

 私は、この週末にダボス会議の方にちょっと行ってまいりました。世界の方々ともちょっと意見交換をする時間がございましたが、特にアジアの方から、日本がもう少しアジアの中でリーダーシップをとってもらいたいというお話をいただきました。やはり、二十一世紀の成長エンジンでありますアジア地域において、そのルールメーキングに日本が主体的に取り組んでいくことの意味は非常に大きいと思います。

 具体的なメリットとして、例えば、高い関税が撤廃されることで、日本の輸出競争力を強化して、産業の空洞化が回避される、すなわち、国内の雇用が守られるということにつながる、また、ふやすことも可能であるということがありますし、模倣品や海賊版の拡散や技術流出を防止する仕組みをつくることで、海外における日本の正規品の販売を促すほか、日本からの技術を、輸出を確保することができる。さらには、投資、サービスに関するさまざまな規制の制限禁止等によりまして、日本企業のより自由な活動を確保することにより、日本の所得収支が増大し、国内雇用の拡大に寄与すること、そうしたさまざまな具体的なメリットが考えられると思います。

 こうしたことをきちんと国民の皆様方にもお伝えをしていくということが重要になっているというふうに思っております。

吉良委員 ありがとうございました。

 今、古川国家戦略大臣からTPPメリットということについての説明を受けましたけれども、国民の皆さんに私なりに整理をさせていただいたTPP参加のメリットというものをこのパネルに書かせていただきました。

 今、古川大臣からルールづくりへの参画等説明ございましたけれども、私がぜひ国民の皆様にもわかっていただきたいことの一つが、今説明ございましたけれども、TPP参加は空洞化につながってしまうという懸念が多くの人から提示されます。しかし、今大臣まさにおっしゃっていただいたように、私は、TPP参加により、空洞化どころか、少なくとも、日本企業がこの日本に本社を置き続けて、その拠点を海外に出していくというビジネススタイルをとる限りは、空洞化よりも雇用創出、雇用の維持につながる、このように思っておるところであります。

 ここにもまたパネルを用意させていただきましたし、皆さん方のお手元にも、世界地図の中で工場が海外にある、鉱山が海外にあるという図がございますけれども、これはもう言わずもがなでありますが、日本は、多くの企業が海外に投資をし、そこで海外の現地法人が頑張ることによってそこで収益を上げる、それを日本国内に還元する。その海外から日本に送られる配当、金利収益等の収益があることによって、たとえ日本の、例えば本社の業績が国内マーケットだけでは弱かった場合も、その海外の収益が本社決算を補い、結果として国内の立地を維持し、そして雇用をつくり、また維持をする、そのような効果がある。そのことをあらわしたのがこの図であります。

 実際、我が国は七年前から、実は貿易立国から、投資による収益、すなわち、金利、配当の収益である所得収支の黒字の方が貿易収支を上回るという貿易・投資立国になっております。

 ちょっとこれも国民の皆様にもぜひ御理解いただきたいんですけれども、上の青い折れ線グラフは貿易収支の黒字の推移でありますけれども、下のオレンジ色からだんだん上がってきております、このオレンジ色の折れ線グラフ、これがまさに所得収支でございまして、これを見て明らかなように、我が国は、いわゆる貿易立国のみならず、貿易・投資立国になったと言えるというふうに思います。

 残念ながら、二〇一一年につきましては、震災の影響、それによるサプライチェーンの寸断等があって、貿易収支が赤字になるというふうになってしまいましたけれども、このことは決して我が国の衰え、経済的な停滞を意味するものではなく、所得収支、配当収入があることによって、今申し上げました、企業活力を維持し、雇用、それから人材育成、そして研究開発、こういったものにつなげていける、こういう国になっている。それをもっと促進していくためにも、TPPへの参加が必要だと思うところでございます。

 それと、なかなか賛成論として言われないことについて、もう一点、私の方で補足させていただきたいと思いますが、それは安全保障上の国益につながるという観点でございます。

 また世界地図で、ペルシャ湾から日本に至る海上輸送路を書いたこのパネルもごらんいただきたいと思いますけれども、今回のTPP、米国が交渉参加をしており、そしてオーストラリアが交渉参加をしております。そしてブルネイ、それからマレーシア、ベトナム。南シナ海で中国とある意味では領土問題を抱える国々もTPPに参加しようとしております。

 我が国が、我が国の生命線とも言えるこのシーレーン防衛、海上輸送路の安全を確保しながら東アジアの安全を守っていくためには、米国との同盟の深化、強化、これが不可欠だというふうに思いますし、特にオーストラリアとの関係強化も極めて重要だというふうに思っております。そういう意味では、政、経、軍、この三つにおいての、特にTPP交渉参加国の中でも米国と豪州との関係強化が重要だというふうに思っております。

 また、これに加えて、今後は、ASEANプラス6を追求していく中で、インドとの関係強化も極めて重要です。それはもうこの図をごらんいただければわかるとおり、先ほども言いましたけれども、我が国のエネルギー供給ということを考えますと、中東から南シナ海、東シナ海、我が国に至るまでのこの海上輸送路の安全保障、アジアの安全保障は極めて重要であると思っておりまして、今申し上げた安全保障上の国益を追求するためにも、TPPへの参加、それによる米国、豪州等との関係強化が極めて重要であるということを私の方からあえて国民の皆様にもお伝えをしたいと思っております。

 この安全保障についてでありますけれども、御承知のとおり、つい最近、米国が新国防戦略というものを発表いたしました。この中で、米国は世界的な米軍兵力を削減する、これは財政制約があるからでありますけれども、そういう方針の中で、私たちの日本のあるアジア太平洋地域は重視するという姿勢を打ち出しました。

 米国との同盟深化を踏まえ、この地域の平和と安定のために、米国とどのような取り組みを行っていくのか、田中防衛大臣の所見をお聞かせいただきたいと思います。

田中国務大臣 お答えいたします。

 我が国は、米国の新国防戦略につきましては歓迎をいたすところでございます。

 米国がアジア太平洋地域を重視する、そしてまた、先生御指摘のように、地域におけるプレゼンスを強化されるということでございますので、地域の平和と安定にとって大変重要であると認識をいたしております。

 今後、昨年六月の外交防衛の2プラス2で合意いたしました米国との内容につきまして着実に実施をしていきたいと思いますし、防衛大臣といたしまして、日米同盟の深化、発展に努力をしていければと思います。

吉良委員 ありがとうございます。

 今、私申し上げました、ある意味で、米国そして米軍が私たちの生命線であるシーレーンを防衛してくれているおかげで我々は安定した暮らしができるわけでございますので、米国との同盟をより深化させることによって、またそれを補完する意味でも、私たちはTPPに参加することにより米国との関係強化をしていかなければならないと思っておりますので、外務大臣、防衛大臣、その辺しっかりと、米国との協力、また、先ほど言いました豪州、インドとの協力の推進というものをお願いしたいと思っております。

 総理、きょうは時間が限られておりますので最後の質問になりますけれども、TPPへの参加、私自身は強く支持するものでございますけれども、TPPに限らず、高いレベルの経済連携を推進していくことは、我が国の国益に直結するというふうに思っております。

 そのことを踏まえ、グローバル化する世界、このグローバル世界の中で、我が国が力強く生きていくためにどのような道を歩むべきなのか、総理の御所見をお伺いしたいと思います。

野田内閣総理大臣 TPPを含めて、またグローバルな展開についてのお話でございましたけれども、私は、何かにチャレンジすることによってリスクは生まれると思います。一方で、何もやらないことによるリスクもあるかと思います。

 一昨年の六月に我々は新成長戦略をまとめましたけれども、その中では、高いレベルの経済連携を推進するということを明記させていただきました。とかく韓国等に比べると周回おくれでございましたが、この高いレベルでの経済連携は、先ほど来吉良委員やあるいは古川大臣が御指摘のとおりの意義があると思うんです。

 やはり日本が、これからまさにアジア太平洋地域の時代が参ります。大西洋の世紀からアジア太平洋の、まさに繁栄の中心が移りつつある中で、その中で、やはりルールづくりを含めて主導的な役割を果たしていくということ、先ほど来貿易・投資のルールづくりのお話がありましたが、安全保障の観点も含めて、アジア太平洋地域において日本がイニシアチブをとっていくこと、それがまさに大きな国益になると私は確信をしております。

 その意味で、貿易・投資の関連でいうと、FTAAPの実現ということが大きな目標でありますけれども、TPPはその中の一つの道筋。ASEANプラス6もありますが、FTAAPの実現、アジア太平洋地域において自由貿易圏をつくること、これは日本にとって大きな国益になるものと思います。

 もちろんリスクもあります。課題、農業再生との両立、そういうことをしっかりと、国民的な議論を含めて、最終的には国益の視点に立って判断をさせていただきたいというふうに思います。

吉良委員 ありがとうございます。

 総理の発言の中で私自身も共感をすることの一つが、なさざるの罪、リスクを恐れて虎穴に入っていかない。虎子を得んとすれば虎穴に入らざるを得ない。残念ながら人口減少という時代を迎えた我が国にあって、世界に打って出なければ、残念ながら、座して死を待つといいますか、衰退を受け入れざるを得ない。逆に、リスクはないわけではないけれども、かち取るべきものをかち取りに行く、守るべきは守るという覚悟と交渉戦略を持って世界に打って出るならば必ず活路は開ける、このように思っております。

 そういう意味で、TPPへの参加というものは、ある意味では、党内議論でもたくさん出ました、懸念事項がたくさんあります。これについては、私ども、党として提言したように、国民への十分な情報開示、そして国民的な議論を踏まえて最終判断をしていただきたいと思います。

 特に、そのときに、農業について懸念する声がたくさんあります。農業の強化、保護というものもこのTPP交渉参加と同時並行でやりながら、私どもは、競争に立ち向かっていく、世界の競争の中に身をさらすことによって、我が国を、我が企業を、我が国民を強くして繁栄を永続してまいりたいと思っておりますので、総理の相としての、遠くを見渡し将来を見渡す国のリーダーとしてのリーダーシップを期待いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

中井委員長 これにて吉良君の質疑は終了いたしました。

 次に、中島正純君。

中島(正)委員 国民新党の中島正純でございます。

 野田総理、きょうは、郵政民営化改革法案の何がどのように国民生活がよりよいものになるのか、それを国民の皆様にしっかりと御理解いただきたいというふうに考えております。

 郵政民営化改革法案が成立すると、私は、次の三つの点において国民に多大なる恩恵を与えることができるというふうに考えております。

 その一つ目は、郵便局のネットワークでございます。

 北海道から沖縄まで、郵便局は二万四千カ所。どんな離島でもどんな山間地でも郵便局はあります。これは世界に誇れるネットワークだというふうに思っております。人と人との心のつながり、また身近なところで年金がおろせる、また子供への仕送りができる、このようなことが災害時でも可能であるということは、国民にとっても大きなメリットだというふうに考えております。

 また、二点目は、国民負担の軽減であります。

 野田総理は今、消費税率の見直しを考えておられますが、郵政改革法案を成立させると、郵政株を売却することができるようになり、大きな税外収入となります。以前の例を見ますと、NTT株は、七千万株を売却し、十四兆八千七百億円の財源を得ました。郵政株は、一億株を売却すると、概算でも二十兆円の財源を得られると考えております。二十兆円あれば消費税一〇%を賄えるという識者もおります。これは大きく国民の負担を軽減できるものであります。

 三点目は、今後の郵政の役割であります。

 今後我が国で最も重要な課題となってくるのが年金問題だというふうに考えております。今現在、年金の保険料の未納者は三百三十万人いると言われております。三百三十万人、このような状況では、幾ら年金制度の改革をしても不安定の要素は全く変わりません。

 私どもは、郵政民営化改革法案を成立させて、未納者への説明と収納代行業務を郵政に任せればよいのではないかというふうに考えております。今、未納者が三百三十万人で、保険料の年額が十八万円ですから、本来入るべき保険料収入約六千億円が入ってきていない状況なんです。配達業務で地域の状況をよく知っている郵政の方々にこの未納者への説明と収納代行業務を任せればよいのではないかというふうに思っております。そうすればもっと改善できるのではないでしょうか。

 以上、私が申し上げた三つのこと、これはどれをとっても国民のためになることです。総理、もう最後の決断の時期が参りました。御自身の決断に自信を持たれて、そして、どのように郵政の民営化の改革法案を成立させるお気持ちなのか、お考えをお聞かせください。

中井委員長 せっかくの御質問でありますが、中島君の質疑時間が終わっておりますので、ここで終了させていただきます。

 次に、町村信孝君。

町村委員 自由民主党の町村信孝でございます。

 きょうは外交を中心とした集中審議ということでございますので、そのことを私のこれまでの経験を踏まえながら質問させていただきますが、その前にやはり一言、今マニフェスト、この間の谷垣総裁の代表質問においても、総理の施政方針演説に対して、マニフェスト違反であるという話を総裁がいたしました。それに対する野田総理の答弁を、私はどうしても納得、理解ができないのであります。

 大きなマニフェスト項目、例えば、消費税率は四年間据え置くとか、あるいは子ども手当は二万六千円配るとか、あるいは普天間の県外移設とか、これはマニフェストの中でも大きな大きな柱であります。骨格であります。それを変える。それの大きな柱で皆さん方は政権をとられた。我々の失敗もたくさんあった。その大きな骨格を変えるときには、もう一度改めて新しいマニフェストを示して、選挙をやって国民の信頼を得るというのは民主主義のルールであって、これは当然のことじゃないでしょうか。政権をとれば何をやってもいいというのであれば、これはもう、国民がどうして政治のことを信頼するようになるでしょうか。

 今、国民の信頼が失われている、政治に対する、また民主党政権に対する信頼が失われている。その根源は、あれだけ約束した大きな政策を勝手に変えようとしているからだと私は考えますけれども、その点についての総理のお考えを伺います。

野田内閣総理大臣 マニフェスト全体の検証については、中間検証という形で、昨年の八月に党において実施をさせていただきました。その中で、既に実施をしたもの、着手をしたもの、着手寸前のもの等々の整理をさせていただいております。

 マニフェストを実現できなかった理由については、いろいろ指摘をしました、リーマン・ショック後の経済の変化であるとかねじれ国会とか。一方で、我々の見通しが甘かったことについても、これは真摯に反省をするという形で検証をさせていただいております。

 大きなマニフェストの項目、いろいろありますけれども、例えば子ども手当に関しては、これは二万六千円という形ではありませんけれども一定額、今、子供に関する手当という形に児童手当法の改正をやっておりますが、そういうことも含めて、あるいは農家の戸別所得補償等々の実現をできたものもあります。

 加えて、できていないものもあることは、これは率直に申し上げましたが、我々の政権担当、任期中に可能な限りマニフェストで掲げたものを実現していくというのは基本的な姿勢でございますし、選挙の暁には、その総括に対して国民の御判断をいただくものというふうに思います。

町村委員 余りにも数多くの項目が、この皆さんの示したマニフェストから、ほとんどバツですよ。丸をつけていいのは、多分、高校の無償化、そしてあとは農家の戸別補償の一部ぐらいで、あとは全部バツじゃないですか。

 だから、その一つ一つについては私はやりませんけれども、その議論の中で、私は唖然とすることがあります。このマニフェストにも大きく書いてありますよ。七万円の最低保障年金、これがこの任期中の話ではないんだということを平然と言ってのける。そして、その資料、それを出さない。私だって持っていますよ、この資料。民主党と書いてあるんですよ、皆さん、これ。(発言する者あり)いや、これは理事会では別に配りません。だから皆さんには配りません。いいですか。三月三十日付ですよ、去年の。これはみんな持っているんですよ。だからマスコミはみんな報道しているんですよ。

 これについてまず伺いますけれども、そもそも試算があるのかないのか。きょうの新聞を見て驚きました。輿石幹事長はないと言っている。しかし、岡田さんは当然あるという前提でいろいろな話をしておられる。

 総理、この試算があるんですか、ないんですか、明確にお答えください。

野田内閣総理大臣 事実関係で申し上げますと、昨年、一体改革に関して、民主党の社会保障と税の抜本改革調査会で議論を行っている際に、同調査会役員の要請に応じて、役員において設定した一定の仮定の前提に従って、新年金制度の財政面での推移について厚労省で試算を行い、同調査会役員に提供をした、そういう事実はございます。

町村委員 したがって、資料はあるということです。

 例えば、当時の枝野官房長官、今は経産大臣でいらっしゃる、当然御存じですよね。

枝野国務大臣 最近の報道を承知しておりますが、その時点で、党においていろいろな議論をされているということの報告はございましたが、特段そこでの議論の状況についての報告はございませんでした。

町村委員 では、古川さんは、当時調査会の筆頭副会長、当然御存じですね、今大臣のお立場でもありますけれども。

古川国務大臣 お答えいたします。

 先ほど総理からお話がございましたように、役員会の議論の中で、さまざまな仮定を置く中で、これは一つのやり方として検討をしてみようということはしました。しかし、これは、先ほど委員がお話ありましたマニフェストで約束をしているのは、平成二十五年に新年金制度の法案を出すと。それで、法案を出すためには具体的な中身を詰めていかなければいけない。その中身を詰めていく議論を党内でやるために、幾つかの仮定で機械的に前提を置いてみたらどうなるかということで、これは役員の中だけで共有したものであって、外に出たものではございません。

町村委員 要は、あるということを言っておられるんですね。

 小宮山厚生労働大臣、当時は副大臣でした。当然この試算を、厚労省から、年金局から出ていますから、副大臣として当時御存じでしたね。あるかないかだけおっしゃってください、説明は要りません。

小宮山国務大臣 その当時、私は労働関係の方のラインの副大臣でございましたので、その副大臣の時点では知りませんでした。大臣になってからの説明の中で、今総理もおっしゃいましたように、民主党の調査会から一定の仮定を置いた上で試算をしてくれということで、厚労省はその実務をしたもので、その当時の試算はございます。

町村委員 要するに、いろいろぐじゃぐじゃ言っているけれども、あるんですよ、資料は。それを出さないんですよ。これはまさに民主党の隠蔽体質そのものだと私はあえて申し上げます。

 いいですか。あれだけ情報公開、情報公開と当時の自公政権に対していろいろと言っておられた皆さん方が、自分たちのことになると急に何にも出さない、言わなくなる。おかしいでしょう。こうした隠蔽体質で、それで他方は協議だ、協議だと言うことのおかしさというものを国民の皆さんはまず感じておられる。

 隠蔽体質のもう一つの例が、原子力発電事故の関連の会議の、まさに消えた議事録の問題です。これまた隠蔽体質そのものでしょう。きょうの新聞を見ると、福島県の双葉町長が、これは政府の背任行為とまで言っている。被災をされた方々はそういう思いだと思いますよ、真剣な会議をやっていると思いきや、どんな議論をしていたかわからないんですから。

 私も、かつて役人の端くれをやっておりました。末席で座っていてやることといえば、発言できないんだから、ひたすら会議のメモをとるのが仕事なんですよ。メモがあるに決まっているじゃないですか。絶対あるんですよ。それがないなんということはあり得ないんですね。会議がよほど無内容であったか、あるいは切れた菅さんの発言がやたら載っているか、あるいはそれが出ると民主党の無責任体質が全部ばれて困るか。その全てかいずれか、どれだかわかりませんけれども、あるいは、政治主導という名のもとに、事務方を入れないで誰もメモをとらなかったか、そのいずれかじゃないですか。これは一体どうなさるおつもりですか。

 特に、当時の公文書管理の担当大臣は枝野官房長官が兼ねておられたということのようでありますけれども、御存じないようですね。私はきのう確認しました。

 総理は、さかのぼって当時の枝野官房長官、あるいは海江田さん、あるいは菅さんを処分する、そのくらい重要なことなんです。これは後々しっかりと検証しなければ、今後の原発の安全性、担保できないじゃないですか。これについて曖昧な形で決着することは絶対に許されませんよ。総理の御所見を伺います。

野田内閣総理大臣 今の議事録の問題の前に、ちょっと試算の問題の扱いについて説明してよろしいですか。(町村委員「いやいや、もう結構です。聞いていないことはやめてください」と呼ぶ)これはちょっと丁寧に説明しなければいけないと思いますので、ぜひ答弁をさせていただければ大変ありがたいというふうに思います。(町村委員「時間の無駄だからやめてください」と呼ぶ)

 では、簡単に申し上げます。簡単に申し上げますけれども……(発言する者あり)

中井委員長 静粛に。

野田内閣総理大臣 あの試算は一定の人たちが参考、研究のために使ったもので、それをもって新しい年金制度に向けて党の意思決定をしたわけではないわけであります。したがって、党内でみんなで共有している数字ではありません。したがって、その取り扱いをどうするかということは、いわゆる試算を隠滅、隠蔽してという話ではなくて、責任ある公表とはどういうことかということを今検討している、そういう意味でぜひ御理解をしていただきたいというふうに思います。

 その上で、議事録の問題についてのお尋ねがございましたのでお答えをさせていただきますけれども、原子力災害対策本部の議事内容や決定事項は基本的には記者会見や報道発表で情報発信したところでありますが、御指摘のとおり、震災直後の緊急事態にあったこと、あるいは記録を残すことの認識が不十分であったことのために、各本部の議事内容の一部あるいは全部が文書で随時記録されていなかったことは事実であって、まことに遺憾に思います。

 公文書管理法では議事録の作成まで求めているものではございませんけれども、事後も含めて、行政組織の意思決定の過程や実績について文書作成が求められているところであります。加えて、原子力災害対策本部における意思決定の過程や実績が把握できる文書の作成は、国民に対する説明を果たしていくという責務を果たすためにも極めて重要であります。

 このため、一月の二十四日に、原子力災害対策本部副本部長である枝野経産大臣から同本部の事務局長である原子力安全・保安院長に対して、関係省庁と協議しつつ、公文書管理法に基づき、意思決定の過程及び実績が把握できる資料の整備、公表を遅くとも二月中に行うように指示をいたしました。

 また、原子力災害対策本部を含め、東日本大震災に対応するために設置された会議等の議事内容の記録についても、一月二十七日朝の閣僚懇において、岡田副総理から、可能な限り迅速な対応がなされるよう指示がなされたところでございまして、これらの取り組みを通じまして政府としての責任を果たしていきたいというふうに考えております。

町村委員 枝野さんは当時、文書管理の責任者であるという意識はなかったんですね、今後ろを向いて、どうなっているんだと言っているんですから。この程度の認識なんです。

 でも、私たちは、福田内閣、私は官房長官でした。福田総理の見識で新しい公文書管理の法律をつくりましたが、その折、大変熱心に、民主党の皆さん方から情報公開の基礎としての公文書管理ということを強く言われたんです。そして、法案の修正までやったんです。その舌の根もまさに乾かぬうちに、皆さん方が政権をとったらば、そんな法律があったんだっけ、自分が担当大臣だったんだっけという顔をされるから、何といいかげんなことかと思います。

 私はもう一度野田総理に伺いますけれども、必死になって資料を集めて議事概要、議事録をつくるのは当然の仕事ですよ。ただ、責任はどうなるんですかということを私は聞いたんです。何ら責任を誰もとらないんですか。この無責任体質、隠蔽体質が国民の政治不信を呼ぶんですよ。一体いかなる対応をとるのか、責任をとるのか、総理にもう一度質問します。

野田内閣総理大臣 先ほど御答弁をさせていただいたとおり、しっかりと意思決定の過程や実績が把握できる資料の整備、公表を二月中に行う等々の取り組みによって責任を果たしていきたいというふうに思います。

町村委員 要するに、これについては誰も責任をとらない、無責任体質そのもの、これが今の野田内閣、民主党内閣の性格、隠蔽体質そのものだということを国民の皆さんは多分十二分に御理解されたであろうと思います。

 次に、私は、まず鳩山、菅、両、二代内閣の外交上の数々の失敗というものを取り上げ、そして、やはりその失敗の反省からどうぞ野田総理は教訓を得て、きちんとした外交に取り組んでいただかなければいけない、こう考えます。

 もとより、外交は超党派でやるものであります。私ども自民党・公明党内閣のときでも、要所で私たちは野党である方々の、ポイントにはちゃんと事前の説明をしたり了解をとったり、できるだけ超党派でやろう、こういう努力をしたものであります。残念ながら、民主党政権になってほとんどそういうことをなさっておられる形跡がないのは、私は残念なことだと思っております。

 まず、普天間の問題はどうでしょうか。

 私は、先々週、アメリカに参りました。大きな声ではみんな言わないけれども、日本政府への信頼感はがた落ちです。ひどいものですよ。そして、沖縄県民の民主党政権に対する不信感のそのひどさ。そして、私が本当にあきれたのは、つい最近のことです。鳩山総理がどこかで講演をされたらしくて、やっぱり県外移設が正しかった、こう発言しておられるのを新聞で見て、唖然としました。だって、自分で間違いを認めて、十カ月後に原案に戻って、そして総理をおやめになった方が、いや、やっぱり正しかったんだと言うのであれば、総理をやめなくてもよかったんですよね。

 民主党代表として、そして総理大臣として、総理の方針とあからさまに違うことを言う元総理としっかり会って、あなた何を言っているんだといって事実関係を調べて、それこそ、やたら処分処分と言うつもりもありませんが、けじめをつける、そういう努力を総理御自身がなさる必要があるんじゃないですか。

野田内閣総理大臣 普天間飛行場の移設問題については、政権交代以来、何とか県外移転できないかどうかというさまざまな検証をさせていただいた結果、結果的には現在の日米合意に至ったということでございました。

 この間に、特に沖縄の皆様に大変な御迷惑をおかけしたことはこれまでも深くおわびをしてまいりましたし、加えて、去年、前沖縄防衛局長の発言等があり、本当に深くおわびしなければいけない事態がさらに強まっているというふうに思っています。

 その中で、鳩山元総理の発言については、ちょっと私、今詳細には存じ上げませんので、この時点でコメントすることはできません。

町村委員 きのう、このことを質問すると事務方にはっきり申し上げておりますよ。どうして鳩山さんの発言録等を事前に取り寄せて検討されないんですか。

野田内閣総理大臣 そのような御指摘をいただくということは、きょう通告をいただいた中で聞きましたけれども、その真意を確認するという段階に至ってはいないということでございます。

町村委員 必ずやってください。後で普天間の問題はもう一度取り上げます。

 もう一つの大きな失敗は、あの尖閣沖における中国漁船と言われるものと海保の船との衝突、この問題であります。

 私は、これが大失敗でなかったと思う人がいたら顔が見たいんですけれども、驚くべきことに、当時の仙谷官房長官、今は党の幹部でいらっしゃいましょう、この方もまた、今月に入って、極めて正しく対処したと講演をしておられると新聞で見ました。あきれて物が言えませんね、あれだけの間違いを犯しておいて。

 野田総理、当時財務大臣で閣内におられたはずです。あの対応が正しかったと思いますか。

野田内閣総理大臣 当時、検察当局が法と証拠に基づいて適切に対応したものというふうに承知をしています。

町村委員 その感覚で外交をやられたらば、日本国の国益は害されます。三重四重の意味で誤りがあります。申し上げます。

 まず一つは、中国がレアアースをとめるとかフジタの社員を逮捕するとか、さまざまな中国の圧力に簡単に屈して、船長を釈放したこと。それ以前は、法と証拠に照らしてきちんとやると口先番長の方がそう言っておられたけれども、さっと釈放したじゃないですか。

 そして、明らかに政府のトップの判断を、あろうことか那覇地検に押しつけた。那覇地検がどうして外交のことまで判断できますか。これは政府のトップの判断に決まっているじゃないですか。

 そして、公開すべきビデオを最後まで公開しなかった。この日本の弱腰外交が、その後の中国、韓国、ロシアの外交攻勢を招いているじゃありませんか。あの処理が間違っていなかったと、本当に野田総理、今でもそう思っておられますか、もう一度聞きます。

 あなたは、ボイスという雑誌に、総理になる直前に、領土、領海に絡む重大案件の日本の対応をシミュレーションする、そういう大きな使命があるんだということを投稿しておられるじゃないですか。その思い、その考えと、この尖閣沖の対応が合っていますか。こういう姿勢はやはり、本当に野田総理、外交の最高責任者になるべき方としてだめですよ、これが間違っていたと思わなければ。

野田内閣総理大臣 先ほども申し上げたとおり、検察当局が法と証拠に基づいて適切に、先ほどの釈放のことも含めて対応したものと思います。この事件を発端として日中間で生じた外交上の問題については、政府として国益を踏まえつつ適切に対処していると考えております。

 我が内閣においては、先ほど雑誌に書いた記事について言及をしていただきましたけれども、領土、領海をしっかり守り抜くために緊張感を持って対応していきたいというふうに思います。

町村委員 その姿勢で外交をやられたらば、ますます日本の国益は損なわれますよ。対中、対韓、対ロ外交ができますか、こんな及び腰、へっぴり腰で。だから国民は、今の政府の外交に大変な不信感、不安感を持っているじゃありませんか。国益を守るとさっき総理はおっしゃった。どこに国益を守る姿勢がありますか。この反省すらないのでは、私は本当に危ういと思いますよ。

 領土を守るとおっしゃった。では、尖閣のことを伺いましょう。

 きょうの新聞には、人民日報で中国は、尖閣は核心的な利益だと、どんどんグレードアップしているんですよ。核心的利益というのは、それを害することによって彼らの国家の存立にかかわる大きな問題だという認識だということです。よもや、私は武力では来ないと思います。しかし、今識者が心配しているのは、何百という漁船が来て、民間の、本当は民間かどうかわからないけれども、民間を装った人があの尖閣に何百人も上陸したときに、日本の法制で対処できないんですよ。

 私どもは、例えば、当然警告をする、警告射撃をする。しかし、民間の船に対して、それを撃沈するという武力行使、実力行使はできないんですよ。したがって、私たちは、領海警備法というものが必要だ、こういう主張をしているのでありますが、防衛省は、平成十三年十一月の自衛隊法改正でもう十分だ、こう言っているんです。防衛大臣、今私が申し上げたような事態が起こったとき、どう対処されますか。

田中国務大臣 ただいま提案をされると予定されております領海警備法につきましては、提案をされましたら、真剣に検討をいたしたいと思います。

 現在のところ、領土、領海の治安の維持につきましては、御存じのとおり、警察や海上保安庁が第一義的な対応の責任を有しておるところでございます。これから御指摘のあるような事案がございましたら、警察あるいは海上保安庁との連携をとって、自衛隊も訓練をいたしておるところでございますので、自衛隊は、警察機関では対処が不可能な場合等につきましては、治安出動や海上警備行動を発令して事態に対処をするという状況でございます。

町村委員 大臣、提案があればというより、僕は、内閣として責任を持って検討してもらいたいということを言っているんです。

 それは、警察やら海保は、そんなところに自衛隊が出てきちゃいけないという例の権限争いが起きているんです。だけれども、それを乗り越えて、まさに政治判断で、大臣、これは新法をつくらないと対処できないことはもう法律的にはっきりしているんですから、そのことを踏まえて、ぜひ大至急そのことを検討していただかないと、さっき言ったように、中国はどんどん尖閣のことをグレードアップしています。

 そして、そういう、漁船を乗り上げて、そしてそこに自分の国民がいるからそれを保護するという名目で彼らは軍隊を送り、南シナ海の島々をどんどん奪取し続けている現実が、これまで何年にもわたってあるんです。その実態が尖閣で起きないということはあり得ないんです、核心的利益だ、こう言っているんですから。それがある程度もう既に予測されているときに、よくよく考えますというのでは遅いんですよ。大至急そのことを検討していただきたい。

 次に、普天間のお話を伺います。

 先ほどもちょっと聞きました。日米同盟の根幹は、それは日米安全保障条約であります。そして、この安保の根幹が普天間の問題である。非常に重大な問題であるという御認識は、総理初め関係大臣の皆さん、お持ちをいただいている、こう思っております。しかし、鳩山元総理の迷走に始まって、とんでもない事態に今なってしまっているということもよく認識をしておられると思います。

 これは、私ども自由民主党も、党派を超えて協力してこの問題を解決したい、こう思っているから申し上げているのであります。何もいたずらにこれを政争の具にしようなんて、もとより思っていません。これは一緒に共同して解決しなければ、日本の国益そのものだ、こう思うからであります。

 私自身も、今から約五十年近く前、学生時代に、パスポートなるものを持って初めて行った先が沖縄でありました。そして、私はそのときに、海軍のごう、お堀の跡に行って、そして当時の大田少将が海軍次官に宛てて大変有名な公電を残された。沖縄県民かく戦えり、後世一層の御高配を願う。この沖縄の悲惨な現状というものを、私も、想像ですけれども、いろいろなもので見て、できるだけ、沖縄のためにやれることは、自分がどういう立場に立っても何かやらなければいけない、そんな思いに駆られたことを今でも覚えております。

 したがって、長い時間がかかりました。時間がかかり過ぎたという反省もあります。もっと早く、どこかの時点で強引にやっておけばよかったのかなとさえ思いますが、私どもは、丁寧に、丁寧に、丁寧に、ある意味では丁寧にやり過ぎたぐらい丁寧に、今日まで時間をかけて、そしていよいよもうあと一歩というところまで来ていたんです。

 政権交代なかりせば、このお手元のパネルにもありますけれども、私たちはもう既に、一年間でシュワブの環境調査をやり、準備書を送って、知事意見をもらって、そしてすぐに埋立承認願を出して、知事も埋立承認をするというところまで既に内々のお話をつけていたんです。ところが、政権交代になって、突然に県外とか海外とか言い出した。それも、何のめどもないのにそういうことを言った。

 仲井真沖縄県知事は、民主党政権ができた当初は、現行案でいいとまで言っておられたんですよ。ところが、反対に変わった。それはなぜか。だって、時の総理が県外と言っているんだから、それならそれをやっていただこうと思うのは当たり前じゃないですか。

 ですから、まず沖縄県民の信頼を回復するためにどうなさるつもりか。私は、三代の総理大臣、鳩山さん、菅さん、野田さん、三人でそろって沖縄に行って、まず沖縄県民に直接おわびをする。そのくらいのことをなさったらどうかと思いますが、総理、どうですか、提案でありますけれども。

野田内閣総理大臣 政権交代以降、特に鳩山政権において、県外移設の可能性を探り、そして検証した結果、今日の日米合意に至ったということは先ほども御答弁申し上げました。この間に、沖縄県民の皆様に大変な御迷惑をおかけしたことは、その後、国会の答弁あるいは記者会見等でも何度もやってきたつもりでございます。

 その上で、三人の歴代総理がというお話でございましたけれども、我が政権において、関係閣僚がその後もおわびであるとか説明等は丁寧にやってきたつもりでございますし、私も、東京で知事を含め関係者とお会いをしながら、そういう意見交換をしてきたこともありますが、適切な時期に訪沖については考えていきたいというふうに思っております。

町村委員 問題を起こしたのは鳩山元総理なんですよ。だから、鳩山さんが行く必要があると私は言っているんですが、どうですか。

野田内閣総理大臣 いわゆるそういう普天間の問題に対する基本的な姿勢は現政権が引き継いでおりますので、我々の政権としての対応だと受けとめております。

町村委員 いや、いろいろなことをやって沖縄県民の信頼を回復する努力をしなきゃいけないから、私はあえて御提言を申し上げたのであります。

 今、適切な時期に沖縄に行かれると言われた。四月には訪米といううわさもありますね。当然、訪米の前に、オバマさんに会う前に沖縄に行かなければだめですよ。もう就任から五カ月もたっているんですよ、野田総理。一度も沖縄にすら行かない。

 沖縄の県民に向かって直接、いかに沖縄に駐在するアメリカ海兵隊が外交的にも軍事的にも重要な役割を果たしているか、これが抑止力なんだ、でも負担軽減にも努力しますと、どうして国会やら記者会見ではなくて、沖縄県民に対して、総理、直接お話しされないんですか。東京の官邸で知事に会ったからいいというものじゃないんです。直接行かれるんです。私ども、歴代自民党総理はみんなそうやって行ったんですよ。どうして五カ月たって一度も行かないんですか。僕は本当に理解できないんです。

 鳩山総理が何か石をぶつけられたとかなんとかで、そのトラウマで、もう総理大臣は行かせないなんということを周辺が言っているようでありますが、とんでもないことであります。何度でもいい、毎週末沖縄に行くぐらいの熱意を示されたらどうですか。どうぞ、土曜日、日曜日、いっぱい週末はあるんですから、行ってください。できるだけ早く、そして直接沖縄県民に、この米軍の抑止力の実態、必要性というものを訴えられることが、まず総理として大至急やるべきことです。大至急それを行うように、もう一度答弁を求めます。

野田内閣総理大臣 普天間の問題を超党派で一緒に解決していこうという御提案は、本当にありがたく受けとめさせていただきます。

 その上で、私の沖縄訪問のタイミングでございますが、それこそ適切な時期に行こうというふうに思っております。行かないということではございません。しっかりと対応していきたいというふうに思います。

町村委員 適切の判断基準は何ですか。

野田内閣総理大臣 さまざまな環境整備をしながら、適切な時期に対応したいと思います。

町村委員 環境整備というのは自分でやらなきゃだめなんです。人がやるものじゃないんです。あなたは何にもやっていないじゃないですか、失礼ながら。

 まず、では、その環境整備、一つ言いましょう。

 いいですか。なぜ知事が、さっき申し上げたように、それまで賛成だったものが県外に変わったか。一番は選挙ですよ。二十二年一月、名護市長選挙、二十二年十一月、知事選挙。民主党県連、地元選出の民主党国会議員、県外の民主党の国会議員、みんな県外移設派の候補を応援したじゃないですか。そのことに対して、それで非常に不信感を持ったんです。

 では、伺いますが、総理御自身で沖縄県選出の民主党国会議員一人一人を呼んで、説得作業をなさいましたか、今まで。

野田内閣総理大臣 政府も民主党も、基本的な姿勢は、日米合意を踏まえつつ、引き続き、沖縄の皆様の声に真摯に耳を傾けながら、誠実に説明をしながら対応していくということでございますが、なお、党の所属議員及び沖縄県連も、地元県民の声に耳を傾けつつ、普天間基地の危険性除去と沖縄の負担軽減について、苦悩しつつ、沖縄におけるコンセンサスを得るべく努力をしている最中と理解をしています。

町村委員 民主党の国会議員や民主党県連は、普天間の名護の沖合、辺野古沖合への移設に反対だとはっきり言っているじゃないですか。それらの反対だという方々をまず説得する。多くの県民を説得する前に、まず足元の、足元と言っては失礼ですね、沖縄県選出の国会議員を一人一人総理が、それこそ誠心誠意ですよ、説得する努力をどうしてなさらないんですか。やってください。

玄葉国務大臣 町村先生がおっしゃるところはよくわかります。内輪をきちっと固めなさいということだと思います。

 それは、私自身も、県連、そして国会議員それぞれの方々に対して、自分なりにやっています。でも、残念ながら、まだ十分な結果が出ていないのは事実でございます。何とか説得をしていきたいと思っておりますし、また同時に、総理が沖縄に訪問される時期、そのための環境整備も私の方でしっかりやっていきたいというふうに思っています。

町村委員 外務大臣の御努力は多とします。しかし、これは党の問題ですから、党の代表である総理がやらなきゃいけないんです。

 現に、例えば、二月に宜野湾の市長選挙があります。それで、仲井真知事に対抗して出た伊波さんという県外移設派が市長選挙に出るんです。それに対して、民主党沖縄県第三支部、支部長は玉城衆議院議員です。第四支部、これは瑞慶覧衆議院議員が支部長です。これらの方々は、辺野古移設反対の伊波候補の応援を機関決定しているんですよ。全然今おっしゃったことと違うじゃないですか。彼らは、この二月の市長選挙においても、まだ県外移設を言う人を応援するんですよ。

 足元が民主党で固まっていないのに、どうやって多くの沖縄県民を説得できますか。その機関決定を取り消させてくださいよ。当たり前じゃないですか、総理。

野田内閣総理大臣 我が党の場合、市町村の選挙の対応は県連対応になります。民主党の沖縄県連は自主投票を決めたというふうに承知をしています。

町村委員 その姿勢が、逃げているなとみんなに映るんですよ。アメリカも、この人は本気ではないと思うんですよ。どうして説得しないんですか。身内の代議士一人も説得できないで、どうして多くの沖縄県民を説得できますか。大至急一人ずつ沖縄県選出の議員を呼んで説得するとこの場でおっしゃってください。

野田内閣総理大臣 先ほど申し上げたとおり、選挙については県連で自主投票を決めている。各総支部がどうしているかというのは、ちょっと、今御指摘があるまで知りませんでした。コミュニケーションをしっかりとっていきたいというふうに思います。(発言する者あり)

中井委員長 済みません。町村議員の席へお座りの議員さんが、さっきから委員外発言が多過ぎる。

町村委員 いいんです、県連任せだとかなんとかは。そんなことを言っているんじゃないんです。もう一度答えてください。党所属沖縄県選出国会議員を一人ずつ説得してください。そこからまず始めてください。それを大至急やるとここでお約束してください。

野田内閣総理大臣 党の中で沖縄の協議会、政策協議会をつくっておりますし、加えて、党全体で、コミュニケーションを図りながら意思疎通をして、合意形成に今努めているところでございます。

町村委員 違うんです。総理御自身がやるんです、その仕事を。それを今、やってください、明言してくださいと。当たり前のことじゃないですか。そんなことすらできないんですか。それが民主党代表の姿ですか。もう一度。

野田内閣総理大臣 私も含めて、党としてきちっと意思疎通をしながら合意形成を図っていきたいと思います。

町村委員 意思疎通、合意形成、合意ができていないから、こういうことがどんどん起きているじゃありませんか。とてもだめですね。この姿勢で沖縄県民を説得しようといったって、誰が沖縄県民、説得されますか。私は、この姿勢では本当にだめだと思います。

 ここで、お手元にパネルがあります。これからの普天間飛行場代替施設事業の流れ。三月末までには知事の意見書が出てまいります。そして、防衛省が出した評価書を直して、公告縦覧して、その結果を見ながら、埋め立ての承認願というものを国が県に出す、こういう運びになっております。

 私がまず一つ不思議に思ったのは、平成二十一年当時、ちょっとは話し合ったけれどもそれほど正式ではなかった話として、海兵隊員を運ぶのに、普通はヘリでやっている。ところが、オスプレーという飛行機とヘリを一緒にしたようなものが開発されて、それをここに配備するということが正式に日本政府に連絡があったはずであります。ところが、これは相当騒音が大きいかもしれない。したがって、地元の人たちは、一回試験飛行をやって、騒音テストをやったらどうかと言っているんですよ。私は知事意見で出てくると思いますよ。

 防衛大臣、どうしてそういう実験を、オスプレー配備を決めたのなら、直ちに騒音の調査というものをやらなかったんですか。

田中国務大臣 お答えいたします。

 オスプレーにつきましては、その運航データ等を、沖縄県に、問い合わせをいたしておりまして、沖縄県知事等からの質問については、昨年の九月及び十二月に、文書にて、安全性や騒音等に関するデータをもとに回答をいただいておりまして、引き続き地元の方に安心していただけるよう説明をしてまいりますが、神風政務官が近々アメリカに訪問いたしまして、さらなる詰めを行うように私からも指示をいたしておるところでございます。

町村委員 アメリカから必要なデータを取り寄せるのは当然でしょう。それはそれでいいと思いますが、私が言っているのはそうではなくて、現地でオスプレーを飛ばしてみて、そしてこの飛行ルートでやったらどのくらい騒音が出るかという実験をやって、それを加味して、評価書を改め、新しい事業計画をつくるという作業が当然必要になるのではないですかということを申し上げていますが、どうでしょう。

田中国務大臣 御指摘のように、必要だと私は認識をいたしております。

 ただ、今、神風政務官をアメリカに派遣いたしまして、実際に搭乗してもらう、あるいはデータをしっかりと把握して、そして方針を立てていく、こういう段階でございますので、御理解をいただきたいと思います。

町村委員 神風さんがアメリカで乗っても、何の意味もないんです。地形も違います。どのくらいの高さで飛ぶかによって、音が違います、騒音が違います。ですから、何で飛ばしてみないのかと、単純なことを言っているんですよ。やってみたらどうですか。それを踏まえてしっかりと、沖縄の皆さん、騒音のことは御安心くださいとやったらいいじゃないですか。

 あなたも今、必要性を認めるとおっしゃったのなら、実際に、神風さんがアメリカに行くんじゃなくて、オスプレーを日本に呼んで、あそこで飛ばしてみるのが一番いいじゃないですか、その必要性を今認めたんだから。どうぞ。

田中国務大臣 大変御指摘のとおりだと思います。できればそういう機会もあればと思いますが、配備の時期につきましてはこれから詰めていくところでございますので、今の段階では、防衛省といたしましては、政務官を派遣いたしまして、搭乗する、あるいはデータをしっかりとチェックいたしまして、そして対処をしていくということで御理解をいただきたいと思います。

町村委員 これは早くやりたいんでしょう。何か、どこかで失言をして、年内に着工とか防衛大臣が言われたとか言われないとか報道がありました。そのことはいいんですけれども、できるだけ早くこの事業を実施しなければ。だって、去年の六月の2プラス2で、相当な進展を見せる必要があるということで日米合意しているんですから。

 本当は六月までに着工したいんだけれども、幾ら何でもそれは無理だということでしょう。であるならば、早く、いろいろな実験をする、実験というか、環境調査のために必要なデータを収集するためのことをやったらどうですか。私は、全体のことが早く進むためにそういうことを、どうせ何をやったって知事の意見で出てきますよ、神風さんが行こうが関係なく出てきますよ、わかっているんだから早くそれをやったらどうですかと言っているんです。

 もう一度伺います。あなたも必要性を認めておられるんだから、早く米軍と相談をして、米国と相談をして、実験をやりますとおっしゃってください。

田中国務大臣 御指摘をいただきました米側と、あるいは必要であれば地元沖縄県とも協議の上、今後検討をいたしていきたいと思います。

町村委員 早ければ早いほどいいんですから、大至急相談をして、やるべきだと思いますよ。そういうことが、日本政府が誠意ある対応を沖縄に示すかどうかということにつながるんです。

 そして、もう一度申し上げますけれども、埋立承認願、県にいつごろ出されるおつもりですか、防衛大臣。

田中国務大臣 先生も御存じのとおり、現在、環境影響評価書を県に提出した段階でございます。今後、知事から送付される意見等を踏まえて対応をしていくことになるわけでございますので、埋立申請の具体的な時期についてはこれからのことでございます。

 以上です。

町村委員 慎重な御答弁をされたようでございます。

 全体としてスピードアップをしていくためにも必要な、まず党内の足元を固めることを、総理、やらなければ進みませんよ。そして、今言ったようなことも含めて、防衛大臣、重要な役割をあなたは担っておられるわけですから、必要なことはどんどんアメリカと相談をして大至急やる、その姿勢でこの問題を早く解決しようじゃありませんか。

 本当に日本の安全保障の基礎中の基礎なんですから、そういう認識があれば、僕は、もう一度申し上げますけれども、野田総理が足元の身内の民主党国会議員、民主党県連をしっかりと説得するぐらいのことは当然のこととしてやるべきである。それすらやらないから、あなたが言っていることを信用されていないんですよ、沖縄県民は。少なくとも知事は全く信用していませんからね。そのことをしっかり踏まえて、しっかりとこの問題に取り組んでいただきたいと強く申し上げておきます。

 次に、日米関係をどうやって深化させるか、そしてその関連で、自衛隊はいかにあるべきかということについて伺いたいと存じます。それは、安全保障以外の面でも、経済、あるいは教育、文化、人的交流等々、幅広くあります。しかし、きょうは安全保障の関連でのみ伺っていきたいと思います。

 かねてより、日米の安全保障協力をより強化するために、総理も著書で言っておられた、集団的安全保障を認めようと。これは総理御自身の著書にも書いてある。いろいろな方々の提言でもあります。日米の関係を深化させる、より密接な関係にするためにこういう意見がありますが、総理御自身のお考え、よもや、その本を、つい最近、二年ほど前ですか、お書きになられたときとそう意見が変わっているとは思われませんが、どうでしょうか。

野田内閣総理大臣 私は、日米同盟というのは、日本の外交、安全保障の基軸であるとずっと申し上げてまいりました。加えて、昨年の東日本大震災のあのトモダチ作戦等をかいま見まして、改めてそれを揺るぎない信念としております。したがって、一層、安全保障のみならず、経済も含めて、人的交流も含めて、日米の関係をより深化させていきたいという基本的な考え方は変わりません。

 今のお尋ねは、集団的安全保障というお話でしたか……(町村委員「集団的自衛権の話です。失礼しました」と呼ぶ)自衛権ということですね。

 政府としては、従来から、集団的自衛権の行使は憲法上許されないと解釈をしてきたというふうに承知をしています。内閣総理大臣として、現時点でこの解釈を変えるということはございません。

町村委員 失礼しました。

 ということは、御自身の集団的自衛権についてのお考えは変えたということですか。

野田内閣総理大臣 今申し上げてきたことが全てであって、政府として、従来は解釈がありましたということは承知をしています。現時点でその解釈を変えるということはないということを申し上げております。

町村委員 せっかくそういうきちんとしたお考えを持って総理大臣になったんだから、総理大臣になったら自分のお考えをどうやって実現するのか努力するのは当たり前のことでしょう。ただトラブルを起こさないように無難に無難に、これではだめだと思います、これでは日米関係の深化の一つの有力な手段をあなたみずから否定してしまっていると思います。

 一月六日に国防戦略指針というのをアメリカが出されましたし、一月二十六日に国防予算というものが出されました。その詳細を今あれこれ論ずる暇はありませんが、財政赤字が大きいので相当防衛費も削減をするという内容のようであります。その中でも、アジア太平洋地域の重要性は強く認識して、したがって米軍再編の動きというものも大きく変えるということにはならないというのが、私が先般アメリカへ行って、アメリカ国防省の人等々と話した結論であったかと思います。

 しかし、大切なことは、やはりこういう時期、アメリカもある意味では大きく軍事戦略を変えるタイミングが今来ていると思っているわけです。こういうときこそ日本は日本として、確かに、おととしの十二月ですか、防衛大綱を決めたけれども、私は、日米の関係で、日本側からこういうことをやったらどうか、さまざまな協力する分野はあると思うんですよ。サイバーの問題もそうだし、テロの対策もそうだし、核不拡散の問題もそうだし、あるいは、これは一生懸命野田総理もやっておられるんでしょう、海洋の問題、宇宙、こうしたことについて、改めて日本側から、こういうことを日本として考えるが、アメリカさん、どうですかと。

 防衛問題に限っての話ですけれども、防衛大臣、何かその点についてのみずからのお考えがあったら、お聞かせ願いたい。

田中国務大臣 我が国は、米国の新たな国防戦略については歓迎をいたしておるところでございます。これから米国がアジア太平洋を重視していく、そしてまた米国のプレゼンスを維持していく、こういう状況でございますから、当然、アジア太平洋の防衛というものについて、これからも真剣に我が国も考えていかなければならないと思っております。

 昨年六月に2プラス2が合意されております。それをまず着実に実施していくということが大事だと思っておりますし、その中で、議員も御指摘がございました、施設の共同使用あるいは共同訓練、警戒監視での協力、サイバーあるいは多国間協力、人道支援、災害援助、特に災害ではトモダチ作戦で大変お世話になったわけでありますので、これをもとに両国で話し合いを進めて成果を上げていきたい、こういうふうに思っておるところでございます。

町村委員 日本側から積極的に提案をする、そういう積極的なアクションを防衛大臣にとっていただきたいとお願いします。この際には、外務大臣の御協力も当然あってのことだろうと。ちょっと時間がないので、外務大臣、済みません。

 原発のテロ対策、これは枝野大臣に伺いますけれども、私は、泊原発というのが北海道にあるので見てきました。海の守りは何もありません。敷地内にパトカーが一台とまっているだけでした。警備員が数名入り口にいるだけでした。これは、本気になって某国がぽんと電源を撃つ、代替電源も撃てば、日本は大混乱に陥るということを残念ながら証明してしまった。

 この原発テロ対策、アメリカは、例の事件以来、九・一一以来、相当原発対策、テロ対策をやっているんです。日本は残念ながら、これは私どもの反省も含めて申し上げておりますが、ぜひ大至急原発テロ対策に、私は、警察、海保と言わずに、自衛隊も含めて、総合的な対策を政府でとるという方向性で検討を進めていただきたいんですが、枝野大臣、どうでしょうか。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、原発のテロ対策は大変重要であると認識しておりまして、昨年の十二月にもテロ対策の強化の施策を決めたところでございます。

 海上保安庁や警察にも御協力をいただいて万全を期しているところでございますが、同時に、御指摘のとおり、それを超える有形力の行使等に対処する必要が生じる可能性もありますので、治安出動が発動された場合には自衛隊が出動するという仕組みになっておりまして、警察や海上保安庁を含めて、自衛隊も含めた連携を図っているところでございます。これについては、本当に予断なくしっかりとした対応をとるべく、三機関に対して私からも重ねて連携と強化をお願いしてまいります。

町村委員 今まで以上の対策をとらないと物すごく危険ですよという認識で、しっかりと大至急手を打っていただきたい。防衛省も、治安出動が、命令が出てからなんて言っていたら間に合わないんですよ。平時からパトロールというか警備活動というものを自衛隊の任務に追加するということを、いや、法律改正しなくてもできるんです。それをぜひ、防衛大臣、経産大臣とよく相談をしてやっていただきたいと要望します。

 それから、私は、一言で言うと、二二大綱というんですか、これはもう大至急改めないといけないと思いますよ。

 今言った、三・一一のああした事故を見たときに、やはりテロというものが心配だ。あるいは、三・一一の結果、あれだけ陸上自衛隊の皆さん方が本当に頑張った。しかし、東北方面総監かあるいはそのかわる方かもしれませんが、もうちょっと自衛隊員の充足率が高ければもっと多くの人命を救えたのにという発言をしておられます。

 そして、北部方面隊、北海道からもたくさん移動して、全国から行きましたけれども、その移動は、残念ながら海上自衛隊とかの船じゃないんです。民間のフェリーを借りてやっているんです。平時はまだいいですよ。しかし、有事のときにフェリーは使えませんからね。動的防衛力という新しい概念、よくわからないんですけれども、それをやるんだったら、輸送力を強化しなければいけない。

 私どもがもし政権をずっと維持しておれば、新しい二一大綱ですね、我々がもし政権をとり続けていれば。これまでずっと、ここに図がありますけれども、これも、率直に言ってここまで減らしてよかったのかなという反省を踏まえながら、我々は、二一大綱をつくるときには、改めて人員、装備、予算、ふやそうという方針を持っていたんです。固めていたんです。そうですよね、石破さん。そういうつもりでやってきたけれども、残念ながら、一年おくれで出てきた二二大綱では、相変わらずどんどん減らしていくという方針。これでは新しい事態に対処できないと思うんです。

 ですから、大綱とか中期防というのはそうころころ変えるものでもないと思いますけれども、しかし、例えば中国の艦船が宗谷海峡やら津軽海峡をどんどん通り始めてきています。だから、今南西重視だと言っているけれども、北の守りもまた重要なんです。何でもかんでも南西に移せばいいというものじゃないんですよ。

 そうした事態を踏まえて、そして、各国がこれだけ防衛をふやしている。ロシアなんかは約九倍の伸びですよ、この十年間で。中国が四・三倍ですか。とにかくどんどんふやして、お隣の韓国ですら相当ふやしているのに、日本だけが減っているという事態。この数字だけで全ては判断できないけれども、やはりおかしいというふうに考えますから、一言、この防衛大綱を改めて大至急作業をして見直す、これは総理大臣の判断ですから、総理大臣の御所見を伺います。

野田内閣総理大臣 二十二年末に防衛大綱をまとめました。その二二大綱というのは、厳しい財政事情の中ではありますけれども、有効な防衛力を整備するために、効率化そして合理化を図りながら、即応性、機動性を重視して、そして動的防衛力という概念のもとで整備をしていこう、こういう考え方でございます。

 先ほど御指摘のあった東日本大震災においては、最大十万人態勢で災害派遣を行いましたが、あわせて、不測の事態に対応する即応態勢も引き続き維持するなど、適切に対応できたものと私は考えておりますので、この防衛大綱に基づいて、これからしっかりと新たな安全保障環境に対応していきたいというふうに考えております。

町村委員 余り、総理、固定的にこういうことを考えちゃいけないんです。やはり事態に次々備えていくということでないと、二二大綱を決めたばかりだから、もう当分さわらぬでいいということにはなりませんよ。

 二十三年度の、政府が出した法律で、自衛隊員の定員を減らすという法律を出していますね。でも、衆議院は無理無理通したけれども、参議院でストップを食らったままで、廃案ですよ。もう、こういう隊員の数を減らすという法律を出すのをやめてください、どうせ通らないんですから。通らない法案を次々出し続けるのは、おかしいですよ。

 ただ単に予算削減という観点だけじゃなくて、もう一度日本の防衛のあり方というのを、この東日本大震災というものを受け、さらに、新しい国際情勢の変化を踏まえてアメリカの国防政策も変わるという事態を踏まえて、もう一度日本の防衛政策の基本に立ち返ってしっかりと見直していくということに大至急取りかかっていただきたい、このことを野田総理にお願いいたします。

 だんだん時間も迫ってまいりましたので、一言ずつ伺います。

 イランの問題であります。

 これは非常に複雑に、日本のエネルギーの問題、あるいは核不拡散の問題、ホルムズ海峡がもし万が一封鎖された場合にはエネルギー価格が急高騰する、日本経済に与える影響、中東全体の一遍に軍事的な不安定な状況、いろいろ考えられます。私は、これこそ日本の国策としてしっかりとした対応を決めなければいけない、そういう事態だと思うんですよ。

 しかし、びっくりしたのは、一月中旬ですか、ガイトナー国務長官が来たとき、一緒に並んで安住大臣が記者会見をやっておられた。いや、日本はイランからの輸入をどんどん減らしていきますというふうに発言をされた。その翌日か翌々日ですか、藤村官房長官が記者会見で、あれは安住大臣の個人的見解だ、政府の見解ではないと言われた。こんな大きな問題で個人的見解を言われては困るんですね。大混乱を起こすんです。

 藤村長官、ちょうどお帰りになったから伺いますが、個人的見解云々という発言は、どういう意味ですか。

藤村国務大臣 安住大臣は、過去五年間にわたり四〇%ぐらいイランからの原油輸入を引き下げてきている、こういうことをおっしゃって、それを、そういうラインで今後も考えるんだということでありましたが、ただ、今後どうするかについてきちっとまだ政府部内で調整がなされていなかったということで、方向としては私も間違っていないと思うんですが、そういう言い方をさせていただきました。

町村委員 方向としては私も正しいと思うけれども、それは、安住大臣、個人的見解はありませんからね、大臣として。よくお気をつけいただきたいと思います。

 問題は、むしろ、例えば、これは安保会議を開いて国全体の方針を決めるとか、あるいは関係閣僚会議を開いて国家の大方針を決める、このイラン問題について。非常に多面的に影響するわけです。そういうことを、残念ながら野田内閣はやっておられませんね。

 こういうことについて、きちんと国の方針を早く決め、公表する。これは、外務大臣も中東へ行かれたりして、その努力は多としますが、総理大臣、早く、国策として国の方針を決める、そういう作業をやって、大至急答えを出してください。そうじゃないと国民は大変心配していますから。

 恐縮だけれども、これは内閣各般にわたるから、総理大臣、お答えをお願いします。

玄葉国務大臣 おっしゃることはよくわかります。総理も含めて、実質的に関係閣僚がさまざまな今後の見通しも含めて緊密に連携をとり合っているというのが現状でございます。

 おっしゃるとおり、さまざまな要因が複雑に絡み合っている話であります。大切なことは、やはりイランへの圧力、制裁というものを効果的に行うこと、そして、原油の価格の安定、世界経済、日本経済への影響というものをしっかり留意しながら対応を決めていくということだろうというふうに思っていまして、ここは実質的に総理も含めてさまざまな連携を行っているということで御理解いただければと思います。

町村委員 これもまた、関係閣僚が集まって、議事録があるとかないとか、こういう話になってしまったらまずいから、安保会議を開くとか、あるいは関係閣僚会議を大至急立ち上げてやってください、総理。

野田内閣総理大臣 基本的な方針は、施政方針演説で私が訴えたということが基本的な方針です。その後のいろいろなことが想定されることについては、今外務大臣から御指摘があったとおり、関係閣僚間でその線に沿って意見交換をしながら対応しているということでございます。

町村委員 悪いけれども、施政方針を読みました。あの程度のイラン対処は、何も書いてないに等しいですよ、恐縮だけれども。だから、ちゃんとした会議体をつくって、議事録もとって、そして、これが会議の結果ですということをやはり出さないとだめですね。それを強く求めます。

 最後に、TPPのお話を伺います。

 これもまた議事録なしの話に相通ずるものがあるんですが、TPPの協議に参加をする、交渉参加に向けて関係国と協議をするということを決めましたね、十一月に。これについても何にも政府の書いたものがないんですよ。あるものはたった一つ、総理大臣の記者会見の発言録だけなんです。でも、こんなのは、速記だから、きちんとした文書として後世に残るかどうかわからないんです。

 総理は、交渉参加に向けて協議に入る段階だから、こんなものは閣議決定は要らないんだと記者会見で述べておられた。別に、閣議決定でなくてもいいんですよ、閣議了解でも何でもいいんです。報告を了承でもいいんです。ちゃんとした政府の考え方が文書として残っていないから、国民は不安に感ずるんですよ。私は、そういう意味で、民主党の政府のやり方、物事の決め方、進め方、きちんとしたものがないから、国民にいろいろなわけのわからない議論を生ぜしめている、問題の根源はそこに一つあるんですよということをあえて申し上げておきたい。

 その上で、先ほど吉良さんが大変立派な御質問をしておられたなと拝聴しておりました、TPPについて。いい点もあるんだろうと思うけれども、一言で言って、アジア太平洋の成長力を日本に取り入れる、この抽象的な物言いしかないんですね。どうやって取り入れるんですか。具体的にどうやって取り入れるんですか。それがないんですよ。だから、国民は一体何がメリットかわからない。

 他方、農業に悪影響が出るのは目に見えています。私もアメリカの国務省の幹部等々と話しましたよ。それは日本の農産物市場が一番の魅力ですと言っているんです。彼らは日本に農産物を売りたい、もう意図ははっきりしていますよ。

 それを、農業に大変影響が出るとして、農水大臣、大変な影響が出ますという試算も出されましたよね。あれはまだ生きている、有効であるというときに、今回の予算を見ると、規模拡大、全く非現実的な、二十ヘクタールから三十ヘクタールが目標だと言いつつ、現状は二ヘクタールですよ。これを今の予算で、平成二十四年度予算で百億円、これでやったって、五年間で二十五万ヘクタール、目標の二百九十万ヘクタールよりはるかに小さい。こんな程度の……

中井委員長 町村議員に申し上げます。

 時間が参りました。どうぞおまとめください。

町村委員 こんな小さな予算でとてもTPP対応はできないと考えますが、最後に、農水大臣、お答えをいただければと思います。

中井委員長 鹿野農水大臣。短く。

鹿野国務大臣 経営規模拡大のこの今回の予算計上は、TPPに交渉参加するかということとは関係のない考え方によって、今後五年間で何とか新しい農業の形をつくりたい、こういうふうなことの初年度としての予算を計上させていただいたということでございます。

町村委員 どうもありがとうございました。

中井委員長 これにて町村君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤松正雄君。

赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。

 まず、野田総理、佐藤内閣、もう今から四十五年前でしょうか、三木内閣、三十六年前でしょうか、それ以来守り続けてきた武器輸出三原則等、これをついに変更、見直しをする、こういうことを野田総理大臣はやってのけた、これは一体どうしてでしょうか。

野田内閣総理大臣 一昨年の新防衛大綱で、武器輸出三原則等について、民間の有識者による懇談会や安全保障会議、国会、与党内等において活発に御議論をいただいた結果として、平和貢献活動への期待の高まりや、国際共同開発・生産が先進国で主流となっていることなどの防衛装備品をめぐる国際環境の変化に対応するための方策について検討を行う旨が明記をされたところでございます。

 これを踏まえて、関係省庁の副大臣会合や安全保障会議において、幅広い視点から検討、審議を重ねて、武器輸出三原則等の見直しに関し、昨年末に結論を出させていただきました。

 経緯はそういうことでございます。

赤松(正)委員 総理、私ども公明党も、自由民主党との間で約十年間、政権を組んでやってまいりました。その間、この武器輸出三原則等、そしてもちろん非核三原則、この二つの原理原則というのは、まさに我が国の憲法第九条にかかわる規範、原理、非常に大事なシンボル、そんなふうに捉えてきました。

 もちろん、そこに私どもがこだわってきた。特にこの武器輸出三原則等の問題につきましては、この間、例外という形を設けてであるにせよ、懸命にこの原則そのものについてはしっかりと対応していこう、こんなことでやってきたわけであります。

 昨日、私どもの代表、山口参議院議員が本会議で質問に取り上げました。極めて拙速である、十分な議論が国民的な形で展開されたというふうなことは感じられない、そんなふうなことをベースにして総理大臣に質問をしましたが、総理大臣のお答えは、私しっかり読ませていただきましたけれども、極めてそっけないというか、先ほども申し上げました、非核三原則そしてこの武器輸出三原則等という、長い間、それこそ与党、野党を超えて日本の政治がしっかり大事にしてきた、その一方を、いとも簡単に、私はそういう言い方をいたしますけれども、変えてしまった。これは非常に責任は重大、骨抜きにした責任というのは本当に大きい、そう思います。

 大臣、もう一度、丁寧に答えていただきたいと思います。

野田内閣総理大臣 拙速に決めたかのような御指摘でございますけれども、今般の基準については、国会での議論はもちろんのことでありますけれども、政権交代前に設置された民間有識者による懇談会や政権交代後に設置された民間有識者による懇談会、さらには経済団体からの要望など、政府以外の意見も踏まえながら、幅広い視点から検討、審議を重ねた結果でありまして、昨年末に取りまとめる過程において、多面的な議論を経てきているというふうに私は理解をしております。

赤松(正)委員 今おっしゃった多面的な議論を経ているというのは、政府部内、まあ与党も含めましょう、政府部内のことであって、今申されたようなことが国民的な議論の場に供されていない、そのことを私は指摘をしたいわけです。

 私は、この問題について三つの角度があると思うんですね。きのうの答弁でも言っておられた、平和主義の理念は堅持するんだ、こうおっしゃっているその側面。それから、今言われたような、私が拙速と申し上げたことに対して、そうじゃないということを言われました、この経緯の問題。そして三つ目は、ではこれからどういうふうにしてこの原則が展開されるということについて歯どめをつくっていくのか。この三つの観点が大事になってくると思うんですね。

 まず、その経緯のことでありますが、今も大臣がその部分をおっしゃいましたので、私はその経緯のことを申し上げますけれども、今言いましたように、一昨年の暮れに一応決められたんでしょう。その中で、政府内から異論があって、慎重にやろうということで、結局約一年間、それが先延ばしにされてきた。では、その間、しっかりとした議論が、国民に対してしっかりわかる形で、政府も、重大なこの国是というべきものを変えるんだということについて懇切丁寧な説明をしたのか。していないですよ、総理大臣。していない。それをあたかも、政府部内でいろいろな会議をやったから、そういうことをやってきたかのように言われるのは私はおかしい、そう思うんです。

 国会の場でも議論がされた。この一年間されているんです。何回そのやりとりがあったか御存じでしょうか。御存じないと思いますね。そこまでは御存じないですね。私、調べました。衆参両院で、人数にして、衆議院で十人。同じ人が二回質問していますから十一人。参議院で三人。これを多いと見るか少ないと見るか。私は極めて少ないと思いますよ。十人の方が取り上げて、本会議であるとか安全保障委員会であるとか、いろいろな委員会で質問をされているわけですけれども、これは、普通の委員会審議でいえば一回か二回ですよね、その人数は。時間までは調べておりませんけれども。

 というふうなことで、国会の場においてしっかりとこの問題をめぐってこの一年議論をされてきたというふうには当たらない。しかも、同時に、今回の、総理大臣が、私に言わせれば、この半世紀近くの間、日本の政治がしっかりと守ってきたことを変えられたという結論を出された経緯が大いに問題ありです。

 十二月二十七日に閣議決定されたんですよね。その以前に、私はここに副大臣を呼んで質問をしたいと思ったんですが、私たち野党が聞いた情報によれば、関係副大臣会議がまだまだ続くということを私たち野党に、公明党の外交、安全保障の会合に来てその役人は言われましたよ。まさか年内に決めるということはないだろうねと言いました。大丈夫です、まだ副大臣会議は全部煮詰まっていませんから、年内ということはありませんと言っていたのに、何ですか、総理大臣、ばたばたとこの年末に決めちゃったんですよ。委員長もうなずいておられますけれども。

 どうですか、総理大臣。

野田内閣総理大臣 今、プロセスのお話でありますけれども、一昨年の防衛大綱を決めたときに、防衛装備品をめぐる国際環境の変化に対応するための方策について検討を行うということを明記してから、これは副大臣会議等々、随時ずっと行ってまいりましたし、党内での議論もずっとやってまいりました。

 国会での議論は、少ない、多いというその認識はちょっといろいろあるかもしれませんが、全くなかったわけではございません。

 その上で、決して副大臣会議等をばたばたとやって年末に決めたという認識は私はございません。煮詰まってきたところで結論を出したというふうに承知をしています。

赤松(正)委員 総理大臣の側に立てば、既に煮詰まって、随分冷ましてずっと放置していたものを、もう時間だからそろそろいいだろう、こういうふうに出したとしか思えないと思います。

 総理大臣、私が繰り返し言っているのは、これは日本の国是、非常に平和主義の象徴的位置づけをされてきた。これについて、見方はいろいろ立場によって多少の陰影の差はあるかもしれませんけれども、日本の誇るべきシンボルとしての位置づけというのがあったんです。それを変えるに当たっては、やはりここは、さまざまな観点から丁寧に丁寧に時間をかけて、また、時間だけではなくて、いろいろな形で国民の皆さんにこういうふうにしたいということを呼びかける、こういうことをやらなきゃだめだということを私は申し上げているんです。

 この問題について一つ一つ丁寧にやっていきたいんですけれども、時間がそうあるわけではありませんので一つに絞りますけれども、平和主義。

 今私が何回も繰り返して申し上げておりますこの平和主義という問題について、総理大臣は山口質問に対する答弁の中で、冒頭で、国際紛争等を助長することを回避するという平和国家としての基本的な理念に基づく、こういうふうにおっしゃっています。この国際紛争等を助長することを回避するということで、今回の見直しというのは本当に効力を発揮する、そんなふうに考えておられるんでしょうか。

枝野国務大臣 今回の官房長官談話に基づいても、まず一つは、国際共同開発や生産分野について包括的な基準を設けてまいりますが、この相手国あるいは共同開発すべき中身等については、きちっと事前に輸出承認を経産大臣の判断で行ってまいります。

 それからもう一つは、平和貢献、国際協力分野でございますので、まさにこの武器輸出三原則等の理念というところから外れることのないようなチェックは、今回の談話に基づく対応によってもなされる形になっておりますし、そこについてはしっかりとチェックをしてまいりたいと思っております。

赤松(正)委員 経産大臣、今おっしゃったことは公式どおりの答弁なんでしょうけれども、要するに、厳格な管理とか平和主義の理念に基づいてということを頭に置いて、そして、運用に当たっては、アメリカ及び我が国と安全保障面での協力関係にある国との共同開発、要するにアメリカとその仲間たち、自由主義平和国家群の国家という一つのサークルにぐわんと広げたわけです。そういうサークル内においては自由に共同開発、そして輸出をしていこうということについて決めて、厳格な管理をする、こういうわけですよ。

 私がまず申し上げたいのは、では、アメリカがその紛争当事国であるかどうかという非常に重要な問題があります。まあ、これはさておきましょう。アメリカ並びにその周辺の国家群、約二十六カ国あるんでしょうか、ホワイト国というふうに命名されている、そういう国々が紛争に巻き込まれる、紛争にかかわる。今だって紛争にかかわっている国はありますよ。そういう国に対して自由に、今までのように一回一回の問題を設定して、例外的に絞りに絞って対応するというんじゃなくて、このインナーサークル、この自由主義国家群の間ではもう自由にやるよ、一応、今、経産大臣が言われたようなそういう歯どめ的なるものはあるにせよ、しかし、それはやがて覆されていく可能性が非常に高い、そんなふうに私は思うんです。

 外務大臣、どうでしょうか。

玄葉国務大臣 まさに、最終的にはこの歯どめの中で個別に判断するということになるだろうというふうに思います。

 私も、厳格な管理というものを行っていかなければならないし、武器輸出三原則等のまさに理念である、国際紛争を助長しない、この理念をきちっと守っていく。その中で、さはさりながら、例えば調達コストが高まって先端装備品がなかなか開発できないというような、日本のいわば防衛力に支障が生じているといった側面等々もこれありで、こういった判断を行った。

 ただこれは、赤松先生がおっしゃるように、確かに小さな変化ではないと私も思います。ですから、国会で今後もさまざまな議論というものを行っていくということは大切なことだというふうに考えています。

赤松(正)委員 防衛大臣、先ほど申し上げました佐藤内閣と三木内閣、この二つの内閣で、今問題にしております武器輸出三原則、そして三木内閣のときの三原則等という格好で、非常に厳しい歯どめ、枠組みが決まったんですが、実はその二つの内閣の間に田中内閣が存在していたわけですね。大臣の岳父であられる田中角栄総理大臣の時代がその間にあるわけですけれども、御子息として、御子息というか義理の息子さんとして、この三原則についてどのように捉えておられますでしょうか。

 また、この問題については、北澤前々大臣、元大臣が非常に熱心にこの原則を緩和するということに取り組んでおられたやの発言をいろいろ聞いておりますけれども、この原則緩和の問題について、大臣の考え方をお聞きしたいと思います。

田中国務大臣 お答えをいたします。

 御指摘のとおり、武器輸出三原則につきましては、佐藤内閣、三木内閣、あるいは、武器輸出三原則に準ずるものということでいろいろ各内閣で真剣に取り組んできた事案だと思っております。平和主義を目指す我が国でございますので、慎重の上にも慎重に対処していかなければいけないというのが私は基本的な立場だったと思っております。

 その中にありまして、御存じのとおり、例外化がなされてまいりました。御存じのとおり十二例ございまして、それぞれ、平和貢献を我が国がする中にあって、防衛装備品につきましては認めてきた経緯もございます。

 今回、官房長官談話でございますけれども、これは、こういう例外化を、その都度ではなくて、平和的なPKOの活動の中で、例えば南スーダンに派遣をいたしました。その中で、御存じのとおりいろいろな装備品があるわけでありますが、現地に引き取ってもらいまして活用してもらう、あるいは引き続き平和活動に活用していただく、こういうこともあっていいんではないか、こういうことの認識の中で、私は防衛大臣として対処をしていくつもりでございます。

赤松(正)委員 今言われたのは、PKOの活動に参画した我が国の自衛隊員が、行った地域において使ったさまざまな防衛装備品をそこに供与していこう、こういうことだろうと。大臣は非常にその問題にこだわっておられるようですが、それはいい側面ではあろうと思うんですね。

 それではなくて、もう一つ、さっき私が申し上げましたような国際紛争を助長するようなケースというのは、これからいろいろな局面で出てくる。それが、一々のいわゆる官房長官談話という形をとらないで、これは法律になっていない、だから、憲法に基づく重要な規範であるがゆえに、日本の国民の全てに大きく浸透しているというか、全体の規範として捉えられている問題であるがゆえに、法律という形ではなくて政令、こういう形になっているわけだと私は思うんですけれども、そういうことをこれからは一々のチェックをしないで済むということが非常に大きな問題である、そんなふうに私は思うわけでございます。

 一番私が懸念するのは、さっき外務大臣が、小さい変化ではない、大きな変化だ、こう言われました。大事な認識だと思います。大きな変化をするがゆえに、その大きな変化の中身が那辺にあるのかということについて国民の皆さんにわかっていただくべくしっかりと議論をしないといけない。それが非常に欠けている。

 総理大臣は先ほど冒頭からしばらくの間おっしゃられたけれども、そういうふうな政府部内の議論だけにとどまっていては国民の皆さんがわからない、そういう問題がある。だから、日本国として非常に象徴的な武器輸出三原則等の縛りの問題について、私たちはもっともっと大事に捉えなきゃいけない、それをいいかげんにしてきている民主党というのは非常に大きな問題がある、そんなふうに今思っているわけです。

 そして、その思っている一つの大きな点に、民主党の外交力という問題があります。

 さっき町村信孝衆議院議員の方からも、いろいろな角度から民主党の外交交渉の問題点というものが指摘をされました。私も、普天間の問題あるいはまた尖閣諸島のあの問題、そして北方領土あるいは北朝鮮、こういう課題について、民主党がこの二年半、非常にやはり、対応が極めて国民の皆さんに不安と懸念をもたらした、そういう経緯があったと指摘せざるを得ないわけです。

 私は、ちょっと細かい点になるかもしれませんけれども、重要な点を一つ指摘したいと思います。

 外務大臣、沖縄をめぐる交渉で、昨年、2プラス2、日米の外務、防衛担当の大臣たちの会議が行われました。そのときに、私は既に衆議院外務委員会で、当時の外務大臣、松本剛明外務大臣に指摘をしたんですけれども、沖縄の基地負担の軽減ということは、総理大臣もしばしばそういう言動をされていますし、外務大臣もされている。ところが、その2プラス2の文書では、基地負担の軽減、この言葉がすっぽりと消えてしまって、影響の軽減という言葉に変わっているわけです。

 基地負担の軽減と影響の軽減、これというのは私は非常に重要な問題だ、こう思うんですけれども、外務大臣、どのようにお考えでしょうか。

玄葉国務大臣 まず、今御指摘の2プラス2の文書で、英語で、結局、バードンからインパクトに変わった、そういう御指摘だというふうに思います。

 2プラス2の文書ではまさにそういうふうになっているということでありますけれども、ただ、だからといって、沖縄の負担軽減の必要性について、日本も米国も両政府とも、その必要性が極めて大切であるという認識に変わりは全くありません。だからこそ、赤松先生も御存じのように、これまでも、例えば地位協定の問題あるいは訓練移転の問題等々で、まさに日米両政府が沖縄の皆様の声に少しでもお応えをしようということで一つずつ努力を重ねてきた、こういう経緯があるわけであります。

 なお、私とパネッタ国防長官との会談では、パネッタ長官はバードンという言葉、文言を用いているということはあわせて申し上げたいと思いますし、野田内閣、野田総理のもとで、私は、まさに成果重視の、結果重視の実のある外交というものを着実に進めてまいります。

赤松(正)委員 外務大臣、その答弁は不誠実ですよ。要するに、文書として残っているか残っていないかということの大事さを指摘しているんです。言葉で言うなんというのは、それは誰だって言います。

 私が重大だと思うのは、日本の国民向けには基地負担の軽減ということを使っているけれども、アメリカの方はそういう言葉を使わせたくない、使われたくない、そのことは交渉過程を通じて明確に浮き上がってきているんですよ。

 そういうことは、非常に細かいようなことかもしれませんけれども、先ほども町村元外務大臣がしきりに民主党の外交交渉のいいかげんさということを指摘していました。私は、これは細かいことのように見えるけれども非常に重要なこと、そこは何としてでもこだわらなくちゃいけない、そういう側面があった、そんなふうに思うんですけれども、総理大臣はいかがですか。

野田内閣総理大臣 先ほど外務大臣が御答弁をされたとおり、実質的にはきちっと沖縄の負担軽減につながるように努力をしていきたいというふうに思います。

赤松(正)委員 それは、松本さんは非常に真摯ですよ。自分はそのような交渉過程の中で、実際に交渉に当たった役人、官僚がやったんでしょう、アメリカとの交渉の中で負けたんですよ、それについて、自分の非力さを恥じる、わびる、こう言いました。この姿勢は非常に謙虚だと私は思うんです。

 そういう姿勢がなくて、言葉で使っているからいいでしょうなんというのはよくない。玄葉さん、本当によくないですよ。言葉をもっと大事にしてもらいたい。日本国内だけじゃなくて、アメリカでどのように位置づけられているかということはここに出ているわけだから。何か細かいことを言うなというような顔をしておられるけれども、それじゃ許されない、僕はそう思います。

 改めて、外務大臣、では、松本前外務大臣と違うんですね。

玄葉国務大臣 言葉もとても大事だと思いますけれども、私は、本当に沖縄の負担を実質的に軽減していく、しかも目に見える成果を一つずつ出す、そのことこそが実際に大切なことだと。

 ただ、おっしゃるように、交渉過程において一つ一つの言葉を、これはTPPも同じだと思いますけれども、一つ一つの言葉を大切にしていくということはそのとおりだというふうに思います。

赤松(正)委員 私は、今申し上げていることは、要するに、TPP、環太平洋経済連携協定の問題を考えるに当たっても、日本国の今の外交力というものがしっかりとしたものでないと、TPPなんて幾らやったってうまくいくわけがない、そんなふうに思っているんです。

 私、地元で、TPPについてどう考えるかと聞かれたら、一言で言えと言われたら、要するに、民主党が主導する形のTPPは賛成するわけにいかない、こういうふうに申し上げています。その理由は、幾つかのそういう、この二年半に展開された民主党の外交交渉力の弱さ、この問題点、こういうことにあるからです。

 もう一つ挙げます。さっき町村さんが言っておられたけれども、イランの話であります。

 時間が余りないので、財務大臣に弁明を聞きたいというか、もうホームページとか財務省の記者会見等で言われているので、聞きたいところですけれども言いませんが、これだって、さっきの町村さんと同じ結論でありますが、やはり事前に、財務、外務あるいは経産大臣、官房長官、そういう皆さん方でしっかりとした戦略を立てなきゃいけない、これが重要だと思うんですね。

 では、今大きくうなずいていただいたので、安住財務大臣、一言。

安住国務大臣 国防授権法が昨年成立して、やはり日本への影響というのが非常に大きい中で、ガイトナー長官の来日でございました。その後、実務者協議に入っておりますので、政府としての方向性は何ら変わらないので、私の方から、五年間で四割、イランからの原油の輸入については削減をした、今後も削減されていく方向だということは申し上げたつもりでございます。

赤松(正)委員 それぞれがそれぞれの場面で自分の考えられたことを発信するというのは悪いことじゃないと思うんですが、しっかりと連携をとって発信していくという姿勢が大事だ、そんなふうに思うんです。

 総理大臣、私は、今、日本が直面している、非常に重要な歴史の分岐点ともいうべきこの時点に当たって、約半世紀にわたってしっかりと守られてきた原則を変えられる、共同開発という名のもとに、自由主義国家群、アメリカを中心とする国家群との間で武器の輸出を自由に、垣根を低くしてやるというふうなことの共同開発に力を注ぐということよりも、もっと今やらなければならないことがある、そんなふうに思うんです。

 共同開発というので私がすぐに思い起こしますのは、新エネルギー、この原子力発電所の事故、福島原発の事故に端を発して、新しいエネルギーというものをしっかりと開発していこうじゃないか、そういう空気が大きく上がってきていると思うんです。

 ですから、再生可能エネルギーの国際共同開発、こういったものを進めるために日本がしっかりイニシアチブをとっていく、こういうことこそ、私は今、歴史の分岐点と言われる状況の中で日本がとっていかなくちゃいけない方針、原理原則、そういうものと連携すると思うんですけれども、いかがでしょうか。

野田内閣総理大臣 まず武器輸出三原則の件ですが、これは、あくまで平和国家の理念をしっかり堅持しながら、個別に厳格な管理をしていきたいというふうに思います。

 その上で、今の御質問でございますけれども、エネルギーの供給制約が高まる中、安定供給確保、地球温暖化対策、環境関連産業の育成などの観点から、再生可能エネルギーに対する期待は、間違いなくこれは国際的に高まっているというふうに思います。

 我が国も、これまでも、EUやアメリカなどの海外企業、政府と連携をしながら、例えば革新的な集光型太陽光発電の共同開発であるとか、あるいは風力発電の出力変動を制御する実証事業などを行ってまいりました。今後も、再生可能エネルギーの国際的な普及に向けて力を注いでいきたいというふうに考えております。

赤松(正)委員 この分野の共同開発、日本が非常に大事な役割を果たすと思います。具体的には、違った角度ですけれども、放射性廃棄物の管理における国際協力のさらなる強化、こういう問題とか、あるいは事故発生に伴う緊急時対応の制度の拡充、さらには原子炉を廃炉にする際の国際協力、こういった幅広い原子力の平和利用の問題についての共同開発、共同事業、こういうことにしっかりと日本政府は取り組むべきである。

 このことについて、最後に総理大臣に。では、外務大臣にちょっとだけして、その後、総理大臣。

玄葉国務大臣 これはもうおっしゃったとおりだというふうに思います。

 したがって、例えば、事故対応に効果的な資機材リストの作成、RANETというのを拡充するとか、今おっしゃった条約、例えば早期通報条約、こういったものを強化するとか、こういった形で、そういう場で具体的な提案をしたいというふうに思います。

 また、IAEAと共催で国際会議を福島県で開く、こういった場も活用しながら、日本がしっかり主導したい、こう考えております。

赤松(正)委員 野田総理大臣、要するに、私が言いたかったことはおわかりと思いますけれども、先ほど来、平和主義の理念に基づいたように運用していくから大丈夫ですと言われたけれども、信用できない、民主党の今までの外交交渉力では信用できない、こういうふうに言っているということをしっかり銘記していただきたいと思います。

 最後に、一言あれば。

中井委員長 野田内閣総理大臣。短く。

野田内閣総理大臣 御批判は真摯に受けとめます。後段の御提起は私、全く同感であります。

赤松(正)委員 終わります。

中井委員長 これにて赤松君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 私は、きょうは米軍普天間基地について総理に質問をします。

 政府は、昨年十二月二十八日未明、名護市辺野古に新たな基地を建設するための環境影響評価書を沖縄県に提出しました。

 私たち沖縄県民は、新基地建設の断念と普天間基地の閉鎖、撤去を繰り返し求めてきました。昨年十一月には、沖縄県議会が、評価書の提出に反対する意見書を全会一致で可決しました。その後、評価書の提出をめぐって、前沖縄防衛局長の暴言もありました。にもかかわらず、沖縄県民の意思を真っ向から踏みにじって、年内提出を強行したのであります。

 沖縄県庁には、最後まで提出に抗議する我々国会議員、県会議員、そして市民団体や住民らが駆けつけました。それを前にして沖縄防衛局は宅配業者に運ばせようとしましたが、それがうまくいかないと、まだ薄暗い午前四時に、真部局長を先頭に、車で県庁に乗りつけて、県庁の守衛室に評価書の入った段ボール箱を持ち込んだのであります。夜陰に乗じて搬入するという極めてこそくなやり方に、これが政府のやることか、このようにごうごうたる非難の声が上がりました。

 まず、総理に伺いますが、一川前防衛大臣は、年内に提出する準備は進めているが、期限は切っていない、内閣としての総合的な判断の中で進めていくと述べていました。最終的に提出を決めたのは誰ですか、総理が決めたのですか。

中井委員長 田中直紀防衛大臣。(発言する者あり)委員長が指名いたしました。

田中国務大臣 お答えをいたします。

 先生から、この評価書の県に対する届け出につきましては詳細にお話がございました。防衛省といたしましても、その判断がよかったかどうかということは大変反省をいたしておるところでありますが、期限内に評価書を沖縄知事にお届けする、こういうことで届けを済ませたところでございます。

 これから手続を踏んでいくところでございますけれども、この手続は内閣と相談をしながら防衛省が進めておるということでございますので、今、知事から御返事をいただきまして、新たな準備をしていく、こういう段階になっておることを御理解いただきたいと思います。

赤嶺委員 総理、私は、年内提出を判断したのは誰ですか、総理ですか、このように聞いたのであります。

中井委員長 今答えたよ、防衛大臣が。(赤嶺委員「いや、誰の判断かというのは答えてない」と呼ぶ)もう一遍聞くの。

赤嶺委員 今、田中防衛大臣は、お聞きのとおり、ああいうやり方、反省しなければならないと。県民の理解を得られない。ああいうやり方、午前四時に防衛局長が運び入れるようなやり方が県民の理解を得られる行為か、そんな行為でないことは明らかですよ。

 総理は、これまで、沖縄県民の声に真摯に耳を傾け、誠実に説明し、理解を求める、このように言ってきました。しかし、実際にやっていることは全く逆ではありませんか。沖縄県民の声など全く聞いていないではありませんか。

 この間、アメリカ政府は、昨年九月の日米首脳会談、十月のパネッタ国防長官の来日など、事あるごとに日本政府に対し、新基地建設に向けた具体的な進展を求めてきました。総理は、環境影響評価書を年内に提出する準備を進めているとアメリカに伝え、それを現実に実行したのであります。

 結局、アメリカの要求に応じて、県民が何を言おうが、とにかく基地を押しつける、これが野田内閣のやっていることではありませんか。

田中国務大臣 お答えを申し上げます。

 昨年の六月の2プラス2におきまして、代替施設の位置、形状等は日米間で合意したところでございます。日米合意が大前提であることは国の方針でございます。しかし、その手順におきまして、御指摘のあるように、県民の皆さん方に不信を増幅させたということは大変申しわけなく思っておりますし、私も、防衛大臣に就任したところでございますけれども、仲井真知事にその気持ちを先般お伝えしたところでございます。

 何といっても、沖縄県民の皆さん方の御理解がなければこれは先に進まないわけでありますが、この代替を実現することによって沖縄の負担軽減というものは現実になってくるわけでありますから、その点からいいますと、やはり、この合意を推進していくということが大きな課題であると思っております。

 皆さん方に大変そういう面では御理解をいただくと思っておりますし、総理大臣も先ほど答弁をいたしておりますが、適切な時期に沖縄に訪問をする、こういうことでございますので、その土俵を私はしっかりとこれからつくらせていただく、そういう決意で臨んでおることを御理解いただきたいと思います。

赤嶺委員 田中防衛大臣、一言申し上げておきますが、聞かれたことに答えることが誠実な説明なんですよ。聞かれないことをべらべらべらべらしゃべるようなやり方で、県民の理解なんか得られませんよ。

 大体、これは改造内閣以前の判断じゃないですか。内閣全体として判断すると、野田総理、あなたがおっしゃったじゃないですか。あなたがおっしゃっていながら、答弁しようとしない、県民に説明しようとしない。

 今の防衛大臣の答弁でも、これまでのやり方は不適切だったけれども、これからはまた日米合意に沿って粛々とやらせていただきます。結局、アメリカの言うことなら、県民がどう考えようと、どんな気持ちでいようとこれを押しつけていく、こういう姿勢を示しているもの、こういう答弁だったと言わざるを得ません。

 私、きょうは、そういう日米合意を実行するためにあなた方がやっていること、もう一つ重大な問題が発覚しました。これを取り上げてみたいと思います。

 普天間基地のある宜野湾市では、二月十二日投票で市長選挙が予定されています。この選挙にかかわって、私たちのところに重大な内容の内部告発が寄せられました。評価書の提出を強行した沖縄防衛局内で、宜野湾市に在住する職員や選挙権を有する親族を持つ職員、このリストがつくられていたという事実であります。

 私が入手をいたしましたのは、防衛局の総務部総務課人事係が局内の各部の庶務担当者宛てに送ったメールのコピーです。

 日付は、一月四日午後三時九分。主題は、一月六日締め切り、調査依頼について。本文には次のように書かれております。

 現在、人事係においては、宜野湾市に在住する職員については、把握しているところでありますが、職員の親族等が宜野湾市に在住しているか否かについては把握していないことから、下記の件について調査を依頼したいと思います。

 ○当局職員の宜野湾市に選挙権を有する親族(家族、いとこ、親戚)がいる者の状況について

 各部等庶務担当者は、別添のファイルに、1宜野湾市在住の職員及び2宜野湾市に選挙権を有する親族(家族、いとこ、親戚)状況を調査し例のとおり記載して、一月六日までに人事係に提出願います。

このように書かれています。

 人事係が職務行為として、宜野湾市に在住する職員、さらに、宜野湾市に選挙権を有する親族を持つ職員まで調査し、報告するよう求めているのであります。

 国の出先機関である沖縄防衛局が、職権を使って、職務命令によって宜野湾市長選挙のための有権者リストをつくったということであり、極めて重大です。国家機関の選挙に対する中立公正義務、選挙における地位利用の禁止に反することは明らかです。

 防衛大臣、こんなことが許されるはずはありません。一体、誰の指示で何のためにこのようなリストをつくらせたのですか。

中井委員長 答えを求める前に赤嶺議員に、その資料は後刻理事会へ御提出いただけますか。

赤嶺委員 いつでも提出する用意はあります。

中井委員長 それを前提に、防衛副大臣渡辺周君。副大臣、指名しました。(赤嶺委員「副大臣、何で。委員長、大臣をやらなきゃ」と呼ぶ)いや、知っているんなら出てきてください。知っている方が答えてください。

渡辺副大臣 今委員から御指摘のありました点につきましては、今初めて聞いたというのが真相でございます。ですので、今おっしゃったメールというものをぜひ我々としてもこれを確認させていただいて、どのような形でそういうことになっていたのか、その内容はぜひ精査をさせていただきたいというふうに思います。

赤嶺委員 指定されているから、知っているものと思って、出てきて期待をしたんですよ。こんな、知らない人を出すよりは大臣をお願いしたいと思います。

中井委員長 理事会へ御提出いただいて、必ず返答をさせます。

 質疑を続けてください。

赤嶺委員 ただ、このメールには続きがあります。リストに名前の挙がった職員を一堂に集めて局長が講話を行っていました。(発言する者あり)いや、本当です。

 人事係が各部の庶務担当者宛てに出したもう一通のメールがあります。日付は、一月十八日午後四時三十分。主題は、お知らせ、宜野湾市在住職員及び選挙権を有する親族がいる職員に対する局長講話。本文には次のように書かれています。

 先般、宜野湾市在住職員及び選挙権を有する親族がいる職員の調査を実施したところですが、その対象者に下記の日程で局長からの講話を実施しますので、指定された日に必ず聴講するよう、別添「聴講者リスト」の職員に通知願います。

 一月二十三日十六時、一月二十四日十時。聴講対象者、別添参照。講話者、局長。こう書かれています。

 要するに、職権を使って、宜野湾市に在住する職員、選挙権を有する親族を持つ職員のリストをつくらせ、該当者に防衛局長の講話を聞くよう指示、命令していたのであります。しかも、講話は、勤務時間中に庁舎四階の講堂で行われております。

 国家権力による選挙の自由への不当な介入ではありませんか。防衛大臣、こんなことが許されますか。

田中国務大臣 お答えいたします。

 先ほど副大臣からも申し上げましたが、事実関係につきまして関係部局に至急確認をさせます。

 私がこの委員会に出席をする前に、事務次官から、先生からこういう質問があるのではないかという御指摘はいただきましたので、局といたしましては、そういう事実があってはいけないということで、今調査をしておるのだと思います。御指摘をいただきましたので、さらなる努力をして、事実関係を明確にいたしたいと思います。

 委員会の方でも、委員長が、その内容につきまして先ほど確認をするという手続をおとりになりましたので、並行して私の方で対処をいたしたいと思いますので、御理解をいただきたいと思います。

中井委員長 防衛大臣、あした予算委員会がありますから、始まるまでの理事会へ、その大臣の……(発言する者あり)静かにしてください。理事会に、局長講話等も含めて、きちっと出せるようにしてください。

田中国務大臣 はい。委員長の御意向をしっかり受けとめたということで進めさせていただきます。

赤嶺委員 私、メールを打った日にち、時間、極めて特定した中身でお話をしております。講話が開かれた日、講話が行われた場所。そして、リストは、宜野湾市の選挙権を有する職員、職員だけに限らず、親戚ですよ、家族やいとこや、そういうところまで調べてリストをつくれ。こんなの、総理、きちんと事実関係をやるということでありましたが、国家権力がこういう形で選挙に介入していく、こんなことはあってはいけないことだ、このような認識はお持ちですか。

野田内閣総理大臣 まずは事実関係を確認させてください。

赤嶺委員 事実関係を確認するのは当然であります。あってはならないこと、そういう認識があるかどうかを聞いているんです。

野田内閣総理大臣 とにかく確認をさせてください。

赤嶺委員 総理、どういう立場で確認するかですよ。

 あなた方は、年末、御用納めのときには評価書を午前四時に提出し、しかも、このリスト集めが始まった日付は一月四日、仕事始めの日ですよ。仕事納めにああいうことをやり、仕事始めにこんなことをやり、まず事実を確認してからなどと。こんなことはあってはならないことだという立場で確認すべきではありませんか。

 質問を終わります。

中井委員長 これにて赤嶺君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 野田総理にお伺いいたします。

 今、赤嶺議員の御質疑の件ですが、事の重大性に鑑みて、即刻お出しいただきたいが、いかがでしょうか。こんなことはあってはならない。特に、公務員に対して職権を利用して行うことなどあり得てならないです。

 総理としての危機感を伺います。今の御答弁では確認ということですが、即刻やっていただきたいが、いかがでしょう。

中井委員長 阿部さんに申し上げますが、委員長として、理事会で、あしたの朝、資料を全部取り寄せて調査する、こういうことを申し上げました。あなたも私も資料を見ておりません。そういうことを前提に御質疑ください。

阿部委員 はい、もちろんそうであります。しかし、こういうことが行われること自身、もう本当に政治の信頼の根幹ですから、中井委員長がおっしゃったように、では、明日、きちんとした形でやっていただきたい。危機感はしっかりと総理にも持っていただきたいと思います。

 私は、本来予定されましたTPPについてきょうはお伺いをいたしますが、この間、きょうの質疑の中でも一貫してそうでありましたが、総理は、確かに遠くを見てということはおっしゃいますが、足元の実際の民の暮らし、庶民の暮らし、私たちの暮らしへの目配りもなければ、思いの、心のひだに届くところもないと思います。

 TPPについては、菅総理の時代に持ち出され、しかし、その後、東日本の大震災がございました。総理はどのようにお受けとめでいらっしゃるか。私は、東日本の大震災というのは、人の暮らしが当たり前にあしたも続くこと、命がそこにあること、豊かな自然が、特に東北地方は私どもの、日本の食料庫でありました。そうしたところがかくも無残な姿になり、今もって、一年近くたとうとする今日も、復興どころか復旧も遅い中であります。

 私たちは、このことを通じて、改めて時代の価値というものを考えねばならないと思います。特に、例えば食料自給、食べ物の問題、あるいは日々の暮らしの原点である働くということ、私はきょうその問題から総理にお尋ねしたいと思いますが、一枚目の資料、総理もお目通しいただけますか。

 冒頭、民主党の議員は、これからTPPによって輸出や投資が伸びるから、これがパラダイスであるかに言われました。しかし、もっと綿密に足元を見てみれば、これは、輸出が一九九七年代に比べて約一・八倍数値の上では伸びても、所得は下がる一方であるということを簡単にグラフ化したものであります。下がり続ける所得、そしてデフレ、雇用の不安などを抱えております。

 総理は、まず、このTPP問題でもそうです、輸出や海外投資がふえることが第一なのですか。もちろん、それは否定しません。しかし、このような状態を放置したままそういう道を歩めば、我が国の民、国民は疲弊いたします。一点目の質問をお願いいたします。総理にお伺いをいたしております。総理の御答弁を、きのうも投げてございますから、お願いいたします。

古川国務大臣 阿部議員がおっしゃいますように、私どもは、やはり足元のことを、特に被災地の復旧復興、これを第一にやっていかなきゃいけないと思っています。

 新成長戦略で、もちろん輸出や海外への投資、それの促進も大事なんですけれども、まずやはりうたっているのは内需の拡大、内需創出なんですね。ですから、グリーンイノベーションやライフイノベーションを通じて内需を拡大していく。そのラインにのっとって年末にまとめた日本再生の基本戦略では、被災地の復興の過程を通じて、こうした新成長戦略で実現をしようとしていることを前倒しし、そして重点的にやっていこうと思っていますから、決して輸出や海外投資だけで成長しようと考えているわけではないということは御理解いただきたいと思います。

阿部委員 ぜひ総理にお伺いしたかったのですが、次は総理にお願いいたします。

 では、次のパネルでありますが、ふえない勤労者の所得の一方、一体何がふえているかであります。

 企業は、企業活動を行い、その利潤を株主配当やあるいは内部留保などに回しておられますが、ここにお示ししたグラフは、一九九二年ごろからですが、一貫して、後段、二〇〇〇年に入ってから株主配当はふえる一途ですが、勤労者の所得はふえておらないということであります。根雪のようにと言うと変ですが、こういう構造がずっと一貫して続いております。被災地ももちろん含めてであります。

 今度は総理にお願いいたします。こういう実態、一体何が問題でありましょうか。総理にお願いいたします。

野田内閣総理大臣 今の御提示の表とその前の表と、ストレートに物を言えるというのはちょっと難しいと思っていますのは、その御指摘は、例えば一枚目の表だと、輸出が伸びても人件費は上がらないという御指摘なんですよね。そこについて言うと、同じ期間について業種別に賃金の推移を見ると、輸出関連の製造業では好調な業績を反映して賃金は上昇しています。輸出の伸びは給与に対して基本的にプラスに働くということが言えると思います。

 それからもう一つ、今の二枚目の資料で、株主配当はふえても人件費はふえないという御指摘でございますけれども、輸出比率が高い企業は配当増加率が高くなります。そうした企業は同時に人件費も増加をしています。

 という解釈もありますので、ちょっと一概にこの表題にあるような断定はできないのではないかと思います。

阿部委員 今の総理の御指摘は、業種別によく見よと。

 輸出企業と、そして国内のもしかして中小というものもございます。一枚目の図、もう戻しませんが、見ていただくと、実は大企業ほど労働分配率も低くなっておりますので、きょう私の時間は十五分ですからやりませんけれども、今後、今の総理の問題意識を共有した上で、本当に綿密な分析が必要なんだということを私は申し上げたいんです。

 もう何か言葉だけで、輸出が伸びてよいとか投資が伸びてよいとかではないのです。国内の足元を見て、何がどのように、産業がどう変わっていくか、生活がどう変わっていくかを国民に伝えていないから論議が上滑っているのだと思います。

 三枚目のパネルをお願いいたします。

 これは、一九八〇年代から、いわゆる株主の中で外国人投資家の占める比率をとってございます。これは法人企業統計、財務省がやっておりますものから引きましたから、二五%ほどになっておりますが、いずれにしろ、株主の中に外国人投資家が占める比率が大変ふえております。

 これは、例えば五つの証券取引所などで見ますと、もう三割近く株主比率は外国人になっております。もっと言えば、例えば中外製薬という医薬品の会社などは七五%が外国人の株主、もちろん、カルロス・ゴーンさんの日産も六五%。すなわち、日本の国富、富はどこに行っているかであります。

 もちろん、外国の方が株主になって悪いということを言っているのではありません。しかし、この張りついたような賃金の低さと、そしてその一方で、海外展開、グローバル化する企業のあるのが実は今日の日本であり、世界であります。

 TPPで考えねばいけないことは、日本の国内の構造もしかりですけれども、例えばアジアの国々の人たちが本当に国内で生きていける基盤はどうであるのか、そのこともあわせて、日本国内もあわせて考えねばならないと思います。

 しかるに、政府から与えられている情報は一切そうはなっておりません。実は、この間、アメリカにもいろいろな情報収集をなさっていると思いますが、アメリカの国内ですら、自動車産業界も含めて、雇用がどうなるのか、このことは、今、これまで政府が宣伝してきたような実態ではございません。各国、グローバル化した経済の中で、雇用や賃金、この問題が一番深刻であります。

 さて総理、私は前回、総理に、各町村会の皆さんがたびたび上げておられる反対決議に触れました。総理はそれを一顧だにすることなくAPECに向かわれました。最後まで、この場でも、どうされるか御発言もなかったと思います。

 御帰国されて、この町村会、町村会というのは一番小さな自治単位であります。民主党の皆さんも大事にしたいと思っておられると思いますからあえて伺いますが、町村会の皆さんは、十一月三十日、集会を持たれて、繰り返しTPPには加入していただきたくないと決議をしておられます。

 聞く耳を持たぬのか。どのように各地の産業別の実態に即した影響などを情報として伝えていかれるのか、その方策を伺います。

野田内閣総理大臣 ちょっと日付は忘れましたけれども、昨年の全国町村長大会では私は御挨拶をさせていただきまして、それはAPECの後だったというふうに思いますけれども、その席で、APECでTPP交渉参加に向けて関係国との協議に入る旨の表明をし、その意義についてその総会でお話をさせていただきました。

 そのことも含めてでありますけれども、それぞれの地域であるとか業界であるとか、できるだけきめ細やかに、関係国との協議の中で入ってくる情報についてはきちっと提供をし、御説明をしていきたいというふうに思います。

阿部委員 総理に欠けているのは対話なんですね。言い放つだけでは相手の不安も解くことができません。

 また、きちんとした実態の調査なんですね。もちろん、アメリカの言い分、あるいはブルネイ、ベトナム、相手国のいろいろな要求もございますでしょう。でも、そのことが日本に、農業のみではありません。製造業も含めて、あるいは、企業の輸出中心のものか国内のものか、連携もありましょう。それらを含めてどのような影響があるのかをきちんと伝えないから、実は、不安が不安として残ったまま、国民の大半がTPPとは何であろうかと、わからないし、知らないし、伝えられていません。

 先ほど、赤松委員の武器輸出三原則について、政府内で論議を詰めたからよかろうとおっしゃいましたが、この国の主権者は国民であります。その国民にきちんと伝わっていないという現状を、総理は総理であればこそ自覚されて、日本もアジアも世界も、これは大変大きな岐路であります。丁寧に分析し伝える努力が必要と思われますし、それ抜きに安易に交渉参加などを言っていただきたくないと思いますが、いかがでしょう。

野田内閣総理大臣 御指摘をしっかり踏まえまして、入ってくる情報、関係国との協議は始まりつつあります。そこでそれぞれの国が何を我々に求めるか等々を含めて、それが業界や地域にどんな影響が出るかを含めて、丁寧な御説明をこれからやっていきたいと思いますし、そのための、これは古川大臣を中心に地方の行脚も進めていきたいというふうに思います。

 また、当然のことながら、当たり前のことかもしれませんけれども、ホームページ等によっての公表等を含めて、しっかり情報提供に努めていきたいと思います。

阿部委員 TPPの問題は、この間アメリカが金融緩和などもいたしておりますし、むしろ、ドル安・円高、デフレの中で突入することが正しいかどうかという大局判断と、そして実際の雇用やいろいろな農業に与える影響などの綿密な分析、大局を見る目と現実の細やかな対応が必要であります。その双方が欠けていると思いますので、今の政府にあって、もっと開かれた論議と情報伝達を心がけていただきたいと思います。

 私の質問を終わります。

中井委員長 これにて阿部さんの質疑は終了いたしました。

 次に、浅尾慶一郎君。

浅尾委員 時間が短いので、基本的に一問だけになりますけれども、エネルギー外交について質問をさせていただきたいと思います。

 まず、野田総理の施政方針演説の中に、エネルギーについて一段落ぐらい触れておられるんですが、その中で一点だけ、私ちょっと違和感を持ったところがありまして、これは恐らく多くの方は余り違和感を持たれないかもしれませんが、「化石燃料が高騰する中で、」ということが書いてあります。

 原発事故がありまして、我が国はさまざまな、LNGの輸入等々で、我が国が輸入するものは今お示しした表のように上がっておりますけれども、世界的には実はガスの値段というのは下がっています。下がっているのは、アメリカで新たなシェールガスという、これはガスの種類ではなくて採掘方法の革新があった結果下がっていまして、十一月の統計が一番新しいわけでありますけれども、日本が輸入するものはアメリカの市場価格の四倍以上ということなんです。

 総理にまず伺いますが、施政方針演説の中で「化石燃料が高騰する中で、」と、これは決して揚げ足をとるつもりはないんですが、政府の中でどうしてこういう高騰する中でというような記述になったのか、伺いたいと思います。

枝野国務大臣 御指摘の点は事実でございますが、一方で、いわゆる原油については高騰傾向にあるということは間違いないことでございます。

 そして、今ガスについては、これも御承知だと思いますけれども、LNGの導入の経緯から、現状では、石油代替エネルギーとしての位置づけであることで、原油価格に連動した価格になっているということでございます。

 これについて改善をしていかなきゃならないというふうには思っておりますが、そういったことで、我が国が輸入できるエネルギー、化石燃料は高騰しているという認識でございます。

浅尾委員 私の問題意識は、実際にはガスと原油というものは最終の需要というのが違うんですね。原油の最終需要というのはいろいろなものがあるんです。プラスチックになったり、あるいはガソリンとして車を動かしたりというような形で、いろいろな形で使える。多分一番多い需要は、ガソリンとして車を動かす。ガスの一番多い需要というのは、発電なんですね。

 先ほども申し上げましたように、アメリカにおいては新しい発掘ができました。きょうの新聞にも出ていましたが、アメリカだけではなくて、実は中国でも世界最大のシェールガスの埋蔵量が確認されているということで、実はまだロシアは、これは後ほど触れますけれども、シェールガスについてあえて触れていないので、恐らく在来型のガスと同じぐらいの埋蔵量があるというふうに言われているものなんです。

 きのう、総理の施政方針演説、では、どれぐらいの資料で調べたのかということで、これは別にあれですけれども、このぐらいの厚さの資料で書いておられるということで、この中を見たら、シェールガスに触れてある部分はほんの一行だけなんです。

 私の問題意識は、なぜ政府の中に、そういった新しい種類のものに触れることが、あるいはそれをどうやって日本に入れるか、あるいは今、枝野大臣が言われたように、日本の輸入は原油に連動しているんだけれども、原油というものは最終の需要が発電に限らない、むしろ発電に限らないから値段が高くなっているので、違うものに連動する形で輸入したらいいのではないかというような問題意識がなぜ出てこないのかということでありまして、ぜひそういうことについて、今後そういう問題意識をまずは持つという御答弁を総理の方からいただきたいと思います。

野田内閣総理大臣 御指摘ありがとうございました。そういう問題意識を持っていきたいというふうに思います。

浅尾委員 特にことしの夏、電力が大変厳しい状況になるという中で、電力の値上げを防ぐという観点からも、ぜひそういう問題意識を持っていただきたいと思います。

 その中で、今申し上げましたように、日本の価格というのは原油に連動しておりますけれども、アメリカ、北米で最初にこの輸出許可を太平洋側でとっているアパッチというガス田、これはカナダのガス田ですけれども、ここの輸出許可は原油価格連動、JCCといいますが、原油価格連動でカナダ側では輸出許可をとっております。まだ日本で輸入が決まっているわけではないんですが、ぜひこれを、原油価格とは切り離した、ヘンリーハブといいますが、市場価格連動でなら買うよというような外交姿勢を示していただきたいと思いますが、政府の方針を伺いたいと思います。

枝野国務大臣 御指摘のような問題意識は共有をさせていただいております。

 ただ、あと問題は、相手のあること、それから量をしっかり確保するということとの兼ね合いの中で、今後の交渉でございますが、交渉力を高めるという意味では、電力会社やガス会社等による共同購入であるとか、あるいは同じような資源についての立ち位置にある国との連携、こうしたことを既に努力を始めているところでございます。

浅尾委員 ぜひ、政府もバックアップをして、共同購入をすれば、我が国が輸入している量というのは相当の量になるはずですから、それはお願いしたいと思います。

 同時に、今の電力の価格決定のメカニズムで、燃料費が上がると電力代金が上がるというところを、努力して安い燃料を入れた場合は企業側の利潤になるような、全部が全部とは言いませんが、仕組みも入れていただきたいと思いますが、その点についてはどういうお考えでしょうか。

枝野国務大臣 これも御承知だと思いますが、今、私のもとで、電力の原価について検討をさせているところでございまして、また、それを含めた全体の電力システム改革の専門委員会も設置をしたところでございます。そこでの議論に、今、委員から貴重な御提言をいただきましたので、その御提言もしっかりとお伝えをして、検討をさせてまいります。

浅尾委員 ぜひ、それは検討していただきたいと思うんですね。

 というのは、これは別に御答弁いただかなくても結構ですが、オバマ大統領が、三十七基だったと思いますが、原子力発電所の建設の許可を出しておりますが、実は進んでいません。

 進んでいない理由というのは、別に福島のことを踏まえてということではなくて、アメリカでガスの値段、三・五五四というのは去年の十一月の段階の価格ですが、直近では二ドル台、二ドル九十五セントまで下がっておりまして、要するに、原子力で電力をつくるよりもガスを燃やした方が安いからということであります。

 我が国においても、そういったことで、長い目で見れば自然エネルギーにかえていくということでしょうけれども、当座はそういうこともぜひ検討していただきたい。そして、先ほどおっしゃったようなまとめ買いのようなことのバックアップを政府がしていただきたいということを思います。

 もう一つ、外交という観点から申し上げておきたいことがあります。

 実は、この新しい種類のガスの採掘方法が出た結果、ガスの輸出が減っている国があります。

 ヨーロッパ向けのガスの大宗を今まで、大宗というか、ヨーロッパにかなりの量のガスを出していた、OECDのヨーロッパに出していたのはロシアでありますが、二〇〇七年にロシアの全輸出の六三%だったのが、二〇一〇年には五一%まで減っております。

 実は、ロシアは世界最大のガスの輸出国でありますけれども、OECD、欧州、どちらかというと比較的お金が払える方の国々だと思いますけれども、そういったところへの輸出が減っているということで、北米からシェールガスを入れていくという交渉はもちろんやっていきながら、日本から距離的により近いのはサハリンであったりシベリアということだと思いますので、ロシアからも、ロシア側が困っているというような事情もあるかもしれません。

 これはわかりませんが、事実、数字だけでいうとヨーロッパ向けの輸出が減っているということなので、ロシアからの輸入、日本からすれば輸入ということも、ロシアとの間は北方四島の問題等のさまざまな懸案がありますから、そういったことも踏まえながら、北方四島の問題も進み、なおかつ夏の、あるいは当面の、直近の将来にわたっての電力不足対策として価格的にも折り合うということであれば、そういったことも資源外交の中で取り入れていかれたらいいのではないかというふうに思いますが、その点について、野田政権のお考えを伺いたいと思います。

玄葉国務大臣 浅尾委員がおっしゃるように、特にプーチン首相は、アジアのマーケット、特に日本のマーケットに関心を強く寄せているというふうに私自身も考えているところでございます。

 ロシア全体は、たしか二〇一〇年までは、あるいは一一年までは全体としてはまだガスの輸出はふえていると思いますが、欧州危機等々いろいろあるでしょう。ですから、先般もラブロフ外相とも、ウラジオストクのLNGのプロジェクトの事業化とかサハリン3のプロジェクトの問題などについても議論をしたところでありまして、いずれにしても、あらゆる分野における協力、安保協力も海をめぐる協力も、そういったものも進展させながら、まさに我が国とロシアとの間の最大の懸案である北方領土問題というものを解決して、平和条約を結ぶということのために全力を尽くしたいと考えております。

浅尾委員 時間になりますので終えますけれども、ぜひ価格面も、北米で安い値段のガスが出ている、そういうものを輸入する手だてをとりながら、その延長線上でロシアとの外交も進めていただきますようにお願いを申し上げまして、質問を終えさせていただきたいと思います。

中井委員長 これにて浅尾君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本日の集中審議は終了いたしました。

 次回は、明二月一日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十五分散会


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