衆議院

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第14号 平成24年2月22日(水曜日)

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平成二十四年二月二十二日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 中井  洽君

   理事 笹木 竜三君 理事 武正 公一君

   理事 西村智奈美君 理事 鉢呂 吉雄君

   理事 若井 康彦君 理事 若泉 征三君

   理事 石破  茂君 理事 小池百合子君

   理事 高木 陽介君

      網屋 信介君    石関 貴史君

      磯谷香代子君    今井 雅人君

      打越あかし君    江端 貴子君

      小川 淳也君    小野塚勝俊君

      大西 健介君    大西 孝典君

      岡田 康裕君    金森  正君

      岸本 周平君    櫛渕 万里君

      桑原  功君    近藤 和也君

      佐々木隆博君    斉藤  進君

      杉本かずみ君    平  智之君

      玉木雄一郎君    中屋 大介君

      長妻  昭君    仁木 博文君

      橋本 博明君    花咲 宏基君

      馬淵 澄夫君    村越 祐民君

      室井 秀子君    森岡洋一郎君

      森本 和義君    森山 浩行君

      谷田川 元君    山岡 達丸君

      山崎  誠君    山田 良司君

      山本 剛正君    湯原 俊二君

      和田 隆志君    渡部 恒三君

      赤澤 亮正君    伊東 良孝君

      小里 泰弘君    金子 一義君

      金田 勝年君    鴨下 一郎君

      佐田玄一郎君    齋藤  健君

      田村 憲久君    橘 慶一郎君

      野田 聖子君    野田  毅君

      馳   浩君    山本 幸三君

      石井 啓一君    東  順治君

      笠井  亮君    佐々木憲昭君

      内山  晃君    豊田潤多郎君

      阿部 知子君    浅尾慶一郎君

      山内 康一君    下地 幹郎君

      中島 正純君   松木けんこう君

    …………………………………

   内閣総理大臣       野田 佳彦君

   国務大臣

   (社会保障・税一体改革担当)           岡田 克也君

   財務大臣         安住  淳君

   厚生労働大臣       小宮山洋子君

   国土交通大臣       前田 武志君

   国務大臣         古川 元久君

   国務大臣

   (少子化対策担当)    中川 正春君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   内閣府大臣政務官

   兼復興大臣政務官     大串 博志君

   財務大臣政務官      三谷 光男君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    山本 庸幸君

   参考人

   (日本銀行総裁)     白川 方明君

   予算委員会専門員     春日  昇君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十二日

 辞任         補欠選任

  打越あかし君     斉藤  進君

  江端 貴子君     小川 淳也君

  金森  正君     桑原  功君

  櫛渕 万里君     長妻  昭君

  近藤 和也君     小野塚勝俊君

  佐々木隆博君     森岡洋一郎君

  仁木 博文君     中屋 大介君

  橋本 博明君     大西 孝典君

  馬淵 澄夫君     山本 剛正君

  渡部 恒三君     谷田川 元君

  伊東 良孝君     田村 憲久君

  小里 泰弘君     鴨下 一郎君

  橘 慶一郎君     齋藤  健君

  東  順治君     石井 啓一君

  笠井  亮君     佐々木憲昭君

  内山  晃君     豊田潤多郎君

  山内 康一君     浅尾慶一郎君

  中島 正純君     下地 幹郎君

同日

 辞任         補欠選任

  小川 淳也君     江端 貴子君

  小野塚勝俊君     近藤 和也君

  大西 孝典君     森山 浩行君

  桑原  功君     金森  正君

  斉藤  進君     平  智之君

  中屋 大介君     磯谷香代子君

  長妻  昭君     櫛渕 万里君

  森岡洋一郎君     森本 和義君

  谷田川 元君     渡部 恒三君

  山本 剛正君     網屋 信介君

  鴨下 一郎君     野田 聖子君

  齋藤  健君     橘 慶一郎君

  田村 憲久君     伊東 良孝君

  石井 啓一君     東  順治君

  佐々木憲昭君     笠井  亮君

  豊田潤多郎君     内山  晃君

  浅尾慶一郎君     山内 康一君

  下地 幹郎君     中島 正純君

同日

 辞任         補欠選任

  網屋 信介君     和田 隆志君

  磯谷香代子君     仁木 博文君

  平  智之君     岡田 康裕君

  森本 和義君     佐々木隆博君

  森山 浩行君     橋本 博明君

  野田 聖子君     小里 泰弘君

同日

 辞任         補欠選任

  岡田 康裕君     打越あかし君

  和田 隆志君     馬淵 澄夫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 参考人出頭要求に関する件

 平成二十四年度一般会計予算

 平成二十四年度特別会計予算

 平成二十四年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

中井委員長 これより会議を開きます。

 平成二十四年度一般会計予算、平成二十四年度特別会計予算、平成二十四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 本日は、社会保障(年金を含む)と税についての集中審議を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長妻昭君。

長妻委員 おはようございます。民主党の長妻昭でございます。

 与党になって初めての質問でございます。

 我々民主党、政権交代から二年半たちました。埋蔵金やあるいは事業仕分け等々で、少なくとも十兆円以上の財源は捻出をさせていただきましたけれども、まだ目標には届いておりません。これからも、一歩一歩前に進めるべく取り組んでまいります。

 さらには、今国会で、特別会計廃止などを含む行政構造改革実行法、仮称でありますけれども、そういう法律も提出をして、徹底的に前に進めて取り組んでいく。我々は、非常に強い強い危機感を持って、国民の皆さんの期待に応えるべく、本当に前に進めなきゃいけないというふうに考えているところでございます。

 まず、これはよく聞かれることなんですが、消えた年金問題はその後どうなったんだということを聞かれるわけでございますけれども、今現在、ちょっとパネルに書きましたが、最新の数字でございます。一人二つの記録が戻った方もいらっしゃいますけれども、記録が戻った人が一千二百七十四万人いらっしゃる。これは、日本の人口が今、調べてみますと一億二千七百七十万人でございますので、国民十人に一人の記録が戻った。

 そして、戻った年金の金額が生涯額で一・五兆円ということであります。生涯額といいますのは、例えば、七十の方が年金記録が戻れば、時効が全部撤廃されていますので、六十歳までさかのぼって、亡くなるまでふえるというようなことを計算いたしますと、計算できただけで、大体三分の一ぐらいしかまだ計算できていないんですが、一・五兆円お戻しをしている。

 そして今、難易度の高い記録が残っておりますので、これについては、一カ月大体五万件ずつ戻っているということでございますが、大臣、これで間違いございませんでしょうか。

小宮山国務大臣 今委員がおっしゃったとおりの数字でございます。

長妻委員 そして、社会保障と税の一体改革、本論に入りたいと思います。

 その中で、非常に、今、調べてみますと、高齢少子社会、これは言われているんですが、余り言われていない数字なんですけれども、世界の平均年齢というわけではなく、まあ平均年齢に近いんですが、中位数年齢ということで、年齢の高い順に人を並べて、半分の人のところ、中間の年齢を比べたものでございます。

 日本は、今現在、四十五歳、先進国で一位でございまして、平均年齢であります、平均寿命じゃありません。アメリカ、中国、韓国、タイなどは三十代、これはフランス、イギリスも辛うじて、三十九歳ということで、三十代でございます。そして、アジアは元気だと言われておりますけれども、インド、インドネシア、フィリピン、これは二十代ということで、非常に、人口ボーナス、生産年齢人口がふえておりますので、経済も成長していく。そして、エチオピアあるいはアフリカの諸国は十代が多いわけでございまして、これから人口ボーナスが期待できるということでございます。

 私が勝手に名づけているんですが、本当に日本は熟年国家になったというふうに考えておりまして、熟年国家であれば、熟年国家なりの社会保障や成長戦略、社会システム、インフラづくり、こういうものがあってしかるべきだと思いますけれども、総理が考える、非常に年齢の高い日本、熟年国家になった日本で、あるべき社会保障やあるいは成長戦略の基本的なお考えというのがあれば、聞かせていただければと思います。

野田内閣総理大臣 おはようございます。

 まさに熟年国家だなというふうに実感しますのは、たまに国際会議で海外に出ますと、特にアジアなどの町並みを歩いていると、若い人が多いなと思うんですね。それに比べると、日本は全体的に、熟年国家というお話でございましたが、老いてきているという感じを強めています。特に、中位数年齢ですから、平均して四十五歳ということなんですけれども、地域によってはもう既に四十年後、五十年後の日本を先取りして、この間も郊外のある団地に行きましたけれども、高齢化率が四一%という地域もありました。

 ということで、こういう人口構造の激変を今経験をしています。では、そのための社会保障をどうするか、成長戦略をどうするかということは、これは本当に全ての世代が真剣に受けとめていかなければならないと思うんです。

 それは、やはり、若い人がいっぱいいてお年寄りを支えるという社会ではもうなくなってきて、ピラミッドの構造から逆ピラミッドへと激変をしているさなかでありますので、一つは、全ての人が社会保障の恩恵を感じられるような、いわゆる全世代対応型にしていかなければいけない。特に、支える側の人生前半の社会保障をもっと手厚くしていかなければいけないだろうということが一つです。

 それからもう一つは、支えられる側においても、頑張ろうという気持ちがあれば働けるであるとか、こういう全員参加型の構造というものを考えていかなければいけないというのが、社会保障を考える際の一つの大事な視点だと思います。

 それから、成長戦略でいいますと、やはり、当然のことながら、これから医療や介護、あるいは人生前半に光を当てると保育、こういう分野の潜在需要を顕在化していくということが成長戦略を考える上で大事な要素になってくるのではないか。熟年国家における社会保障と、そして成長戦略のあり方は大変重要な御指摘だというふうに受けとめさせていただきたいと思います。

長妻委員 大きな考え方を転換しなければいけないと。ちなみに私が生まれたのが一九六〇年でございますが、その時代の日本国の中位数年齢、いわゆる平均年齢は二十六歳ということで、今の元気のあるアジアと同じでございました。一九八〇年、二十年後には三十三歳、そして二〇〇〇年には四十二歳ということで、急速に熟年国家になっているということでございます。

 かつて、所得倍増計画という計画、政治的最高のスローガン、実際に実行されたわけでありますけれども、私は、今後は適当なスローガンというのはどういうものかということで、まだ考えはまとまっておりませんけれども、例えば共助倍増計画とか、ともに助け合う社会、あるいは、それは保険方式という考え方も入っております、互助も入っております、共助を倍増する社会。そして、起業を倍増する、起業というのは会社を起こすという意味で、ベンチャー企業やNPOも含めたそういう計画を立てて、社会インフラも高齢化に対応するものに大きく変えていかなきゃいけない。その一環で、今回、社会保障と税の一体改革ということが出てきたというふうに認識をしております。

 今、百歳以上の方は、日本国、四・四万人もいらっしゃるということでございますし、そして、先ほども成長戦略を言っていただきましたけれども、国内の医療や介護の内需、あるいは農業、あるいは自然エネルギー等々であります。この十年で、建設土木業界では百万人雇用が減りましたが、その一方で、介護、医療、保健分野では百五十万人雇用がふえております。そういう意味では、雇用戦略上も非常に重要な視点だと考えております。

 今現在、一年間、社会保障の給付費が百兆円ということとなりまして、半分が年金で、三割が医療、あと残りが介護や生活保護でございます。その百兆円のお金の原資は、六割が国民の皆さんが払っていただいた事業主負担も含めた保険料、あとが、税金、自己負担ということになっているわけでございますが、サービスを上げなくても、自然増ということで、高齢化に伴って国の税金だけで毎年一兆円ずつ新たにお金がかかっていく。

 こういう状況になっている中、五%消費税をアップさせていただきたいということを、これは、大変、国民の皆さんには意を尽くしてお願いをしなければならないというふうに考えているところでございまして、その中で、その五%でいえば、一%分が社会保障を増強する部分、大体一%というのは二・五兆円でございます。そして、あと一%分が二・五兆円で、基礎年金の、今、国の負担が半額入っておりますが、その原資の一部はいろいろなその都度の手当てでございますので、それを恒久的に手当てするために、これからは二・五兆円ずつ新たに消費税財源として基礎年金の半額を税金で賄う、これに一%。残りの三%は、今まで借金でやっていた社会保障、自然増も含む、その分に使わせていただくということで、社会保障のためでございます。

 その中で、今回の社会保障と税の一体改革のポイント、三つあると思っております。人生前半の社会保障、格差是正、病院のベッドから御自宅へという三つだと思っております。

 この少子化の流れを変える人生前半の社会保障を充実させていくということでございますが、これは、今国会に、幼稚園と保育所を一本にする、この法律の提出を考えておられると思いますけれども、その狙いというのを教えていただければと思います。

小宮山国務大臣 子供たちを、そして子育てを応援するということは民主党がずっと掲げてきた政策の中心の一つの柱ですけれども、その中で、今、都市部を中心に保育園に入れない待機児さんがたくさんいらっしゃる。一方で、幼稚園は全国的に見ると三割もあきがあるんですけれども、これが、幼稚園は文部科学省、そして保育所は厚生労働省、縦割りの、大人の都合で融通がきかない。それを子供の視点で見直すということで、幼稚園と保育所を一本にいたしまして、就学前の全ての子供たちに質のよい学校教育と保育を提供したいと考えています。

 今はどうしても、親が働いているか働いていないかで、教育の幼稚園か養護を中心とした保育園かとなっていますけれども、それを全ての子供に対して、質のよい学校教育、保育をというのが狙いでございます。

長妻委員 ありがとうございます。

 我々は、お子さんに対する手当というのが非常に注目されて、今も中学生の皆さんには手当を支給させていただいているんですけれども、それだけではなくて、政権交代後、保育サービス充実の五カ年計画というのを閣議決定しまして、保育サービスの定員を五万人ずつ毎年ふやすという計画が今進んでいるところでございまして、それをさらに、幼稚園と保育所を一体化して進めていくということでございます。

 現在、日本国は、専業主婦世帯というのが少数派になりました。一九九七年に逆転しまして、共働き世帯というのが多数派でございますので、お子さんを産んで預ける場所がない場合、会社をやめざるを得ない、生活できない、こういう形の解決をひとつ進めていくということで、最近、出生率も少しでありますけれども上がってまいっておりますので、この歩みを続ける必要があると思っております。

 そしてもう一つ、格差是正でございます。

 政権交代後、初めて相対的貧困率という、所得の一定の格差をあらわす指標を発表させていただきましたけれども、これは先進国でアメリカに次いで日本が二番目に高いという結果が出ました。今、非正規雇用の方が被用者の中で四割近くを占めて、結婚率というのも正社員と非正規で倍ぐらい違うというような格差もございます。

 政権交代後、平成二十二年の四月から、格差対策ということで、今まで雇用保険に入ることのできなかった非正規雇用の方々に対して門戸を広げるということをいたしまして、二百二十一万人の非正規の方に雇用保険に新たに入っていただくということが実現できました。

 そして、貧困の連鎖ということで、生活保護を受けておられるお子さんのうち、四人に一人が大人になっても生活保護のままである。こういう新しい、非常に大きな貧困層というのも日本で生まれつつあるということでございまして、これに対する取り組みが非常に重要になってまいります。

 そこで、格差対策について、社会保障と税の一体改革でどんなことをお考えなのか、お答えいただければと思います。

小宮山国務大臣 今回、二・七兆円の社会保障の充実、その中で、大体社会保障は低所得者の方を中心にいきますので、これを充実すること自体が所得の再分配など格差の是正になるというふうに思っています。

 具体的に申し上げますと、低所得の方への年金の加算ですとか、それから市町村国保や介護一号保険料の軽減措置などの貧困・格差対策の強化に一・四兆円程度を予定しています。また、子供の貧困を防ぐという意味もあって、子ども・子育て対策の強化に〇・七兆円。こういうことで低所得者の方に、それぞれに応じてきめ細かく対応するようにしたいと思っています。

 また、非正規で働く方が今四割になっている。特に若い方たちで多いということもありまして、短時間労働者の方に、厚生年金そして健康保険、この社会保険の適用拡大を行いたいと思っています。

 そのほか、やはり生活保護に陥らないようにということもありまして、自立した生活を支援するために、重層的なセーフティーネット、こうしたものも用意したいと思いますし、若年者、高齢者の雇用、また有期契約の法整備など、雇用対策にしっかり取り組みたいと思っています。

 そしてまた、大綱の中では、二〇一五年度以降、番号制度を本格稼働、定着させた後、社会保障制度の見直しなどとあわせて、総合合算制度ですとか給付つき税額控除の制度も導入することにしておりまして、そういう意味で、格差対策ということは力を入れたいと考えています。

長妻委員 ありがとうございます。

 ちなみに、この三つのポイントの資料というのは、民主党の政調等の資料を参考につくったものでございます。

 そして、今、生活保護の点もこれは格差是正で重要でございますが、ただ、一方で、不正受給というのもございます。今、生活保護全体で年間三兆円ぐらい税金を使っておりますけれども、その中で不正受給というものが百億円ぐらいあるということです。

 受けるべき方は、これを受けていただくということは当然でございます。最後のセーフティーネットですので、そこがほころびがあると次は本当に死が待っているということになりかねないわけでありますが、不正は徹底的に取り締まらなきゃいけないと思っておりまして、政権交代後、医療のレセプトのチェック、過剰な医療がないのかどうか、あるいは、資産調査の体制を強化、刑事告発体制を強化するということを前に進めてまいる所存でございます。

 そして、もう一つ、その格差について、今いろいろな考え方があります。

 これまで、格差・貧困対策というのは、本当にお気の毒である、人権問題だということで考えていた部分もありますけれども、昨今は、格差を是正する対策というのが社会全体のコストとリスクを減らす、社会の安定につながるということで、中国やアメリカ、ヨーロッパもそういう考え方で施策を進めている部分があると認識をしております。

 「平等社会」という、リチャード・ウィルキンソンというイギリスの公衆衛生の学者の方がいろいろ調査をした調査の本がかなり影響力を持って今ヨーロッパでも読まれておりますけれども、格差が一定以上広がると、格差が大きい国ほど精神疾患が多い、あるいは格差が大きい国ほど違法ドラッグが多い、格差が大きい国ほど十五歳の計算力あるいは読解力が低くなる、格差が大きい国ほど人口当たりの殺人が多い、格差が大きい国ほど収監者、人口当たりの刑務所に入る方が多いという研究なんです。

 ぜひ、日本国でも、格差についての調査というのは余りないところでございますので、格差を是正するということが本当に国全体にとっても益になるんだというような観点からも、こういう観点での格差の調査というのはどうお考えなのか、岡田副総理にお伺いできればと思っております。

岡田国務大臣 大変興味深い御指摘をいただきました。

 私は、今の、これは日本だけではなくて多くの先進国に共通する格差の拡大の問題、やはり経済のグローバル化ということが一つの原因になっていることは否定しようがないというふうに思います。ただ、他方で、それでは経済のグローバル化というものをとめられるかというと、それもまたいろいろな問題が出てくる。そういう中で、この格差の拡大というものを、いかにしてその影響を小さくしていくかということが非常に大きな政治課題であるというふうに思います。

 もう一つは、やはり格差の固定化ということが非常に重要で、先ほどの、いろいろ委員が数字を挙げられたことも、それは、一人の人間の間でずっとその格差が固定化する、あるいは世代を超えて固定化するということが、やはりそういったことの一つの原因になっているのではないか。

 我々、かつて、高度成長の時代、恐らく高度成長の時代も格差はあったはずであります。しかし、全体が成長していれば、隣の家にテレビが入って、うちはテレビがない、しかし五年後にはテレビは買える、そういう夢があったと思うんですが、成長が低くなるとそういったこともなかなか難しくなって、いつまでもテレビが買えない、これは象徴的に申し上げておりますが、そういう家庭がふえてしまうということになるんじゃないか。そういう意味で、やはり社会のモビリティーというか、そこを高めていく努力というのも同時に必要だというふうに思っております。

 いずれにしても、我々政治に携わる者として、格差の拡大あるいは固定化ということは非常に重要なテーマでありますので、ぜひ、そういうことについてしっかりと、専門家の知識もいただきながら、現状を把握し、対策を講じていかなければいけないというふうに思います。社会保障制度においてやはり国の出番というものがもっとふえなければいけない、そういうふうにも考えております。あわせて検討していきたいと思います。

長妻委員 どうもありがとうございます。

 そしてもう一つ、最後の三点目が、病院、施設のベッドから自宅へということ、御希望すれば御自宅に帰れるということでございます。

 政権交代後、医療については、診療報酬、これは病院や診療所に入る全体の収入でございますけれども、これがネットプラス、全体でプラスに十年ぶりにさせていただきまして、これまで医療崩壊ということがかなり言われておりましたけれども、政権交代後は一定の歯どめがかかったのではないかというふうにも考えております。特に、救急、そして外来、病院、小児科、外科、産科、ここに重点配備をさせていただいたところであります。

 日本国では、亡くなるときにどこでお亡くなりになるのか。八割が病院でお亡くなりになる。ヨーロッパ諸国では、半分が病院で、あとは御自宅や高齢者専用の住宅等という国も多いわけでありますけれども、それはやはり在宅の福祉、医療、介護が弱い、これが日本の社会保障の大きな課題の一つだと思っております。

 実際、テレビを見ておられる方は意外に思われるかもしれませんけれども、日本は人口当たりの病院のベッド数が断トツに世界一位ということで、これは、医療が手厚いということだけではなく、一つは、在宅医療、福祉があれば御自宅に帰っても治療できるんだけれども、ただ、それがないために病院にとどまらざるを得ないという、この状況も大変深刻でございます。

 その意味で、ことしの四月からかなり大きく在宅の福祉の体制が強化されるというふうに私は認識しておりますけれども、具体的にどんな部分が強化されるのか、教えていただければと思います。

小宮山国務大臣 今御指摘のように、病院でずっと最期までいらっしゃる方が八割ですけれども、実際には六割以上の方が自宅で最期まで暮らしたいとおっしゃっている。それに対応するために、やはり在宅医療、在宅介護、ここをしっかりと力を入れていくということが喫緊の課題だというふうに思っています。

 平成二十四年度の予算案に、在宅医療・介護、これを推進するために必要な人材の育成ですとか、在宅医療連携拠点の事業、こういうような基盤整備、さらに研究などの取り組みを支援するための経費として三十五億円を盛り込んでいます。

 それからまた、診療報酬改定、今御指摘いただきましたが、これは急性期から在宅、介護まで切れ目のない支援を行うということで、医療、介護等の機能分化と円滑な連携、また在宅医療の充実、これを重点課題として、およそ千五百億円を集中投入することにしています。

 それから、介護の分野でも、四月に施行されます介護保険法の改正によりまして、日中、夜間を通じて、訪問介護とか訪問看護、これが連携をしながら定期巡回型の訪問と随時の対応を行う定期巡回・随時対応サービスですとか、それから小規模多機能型の居宅介護と訪問看護を組み合わせて提供する複合型のサービス、これを新たに創設するなど、在宅介護サービスの充実、それから医療、介護の連携、ここにしっかり取り組みたいと思っています。

 このほか、二十四年度中に各都道府県が策定をすることになっております平成二十五年度からの医療計画の中でも、地域で在宅医療の計画的な推進を図ることにしています。

 こうした取り組みを通じまして、今、四月から変わると言っていただきましたが、来年度から、在宅医療・介護あんしん二〇一二ということで位置づけまして、これを推進することに全力を挙げていきたいと考えています。

長妻委員 こういう話をすると、在宅福祉は金がかかり過ぎるという御指摘もあるんですけれども、都市部なんかでは、施設をつくる、これは土地を買って施設、建物を建てるわけでありまして、これは在宅医療、福祉を充実することで、そこの方がかかるとは一概に言えないところでもありますので、これを推進する必要があると思っております。

 そして、国民の皆様にも耳の痛いことも申し上げなければならないですが、年金については物価スライドということで、年金は、物価が上がれば年金の実質的な支給額も上がるという仕組みになっておりますが、物価が下がるときは年金の支給額も下げさせていただくという仕組みになっておりますけれども、以前に、それを下げないということを、与野党ともに賛成をして法律を通して、そういう措置をさせていただきました。

 ただ、当時は若い方の賃金も上昇をしておりましたが、今、若い方は賃金が上昇しておりませんので、今回、法律を提出させていただく予定でありますけれども、本当に、国民の皆さんには頭を下げて、三年間かけて物価が下がった分の受給額を下げさせていただくということもお願いせざるを得ない。現役の方の負担をこれ以上重くしないためにも、何とか御理解いただくように、我々、法律が通ったときにはお話をしなければならないと考えているところでございます。

 そしてもう一つは、孤立の問題でありますけれども、今、ひとり暮らしの世帯が全世帯のうち三割を超えるということになりまして、これまでは、戦後ずっと家族連れ世帯が最も多い世帯で、三割を超えていたわけです。そして、この前、国勢調査を発表して衝撃が走ったのは、今現在、日本国男性の五人に一人が一生結婚しない、生涯未婚ということであります。このままいくと、二十年後には、日本国男性の三人に一人が一生結婚しない。つまり、御家族というのが当たり前でない時代が来る可能性がある。そして、二十年後には離婚がふえているということで、お子さんを持っている世帯のうち三世帯に一世帯が一人親になる、こういう大変な孤立社会になります。

 孤立する世帯がふえると、これは外部の変化に弱い、社会保障が直ちに必要になる可能性の高い方がふえるということでありまして、そういう意味では、今、地縁、血縁、社縁がなくなってまいりますので、ある意味では、新しい地縁的なものを御用意する必要があるんじゃないか、ひとり暮らしの方を含めた見守りのネットワークをつくる必要があるんじゃないかということで、これは中学校区を一つの単位とすると。

 当然、過疎地等では、もっと広いあるいは狭い、広域的な対応が必要でありますけれども、日本全国一万カ所、中学校区があって、人口でいうと大体平均一万人でございます。これは地域包括ケアという名前もついてございますが、今はまだ中学校区で、個別にはなっておりませんけれども、かなりきめ細かくする必要があると思っております。

 これは、例えば、いろいろな在宅医療でいえば、中学校区一万人の単位で一日当たり十七人分今あるものを、二〇二五年には一・七倍にふやす、あるいは訪問看護も一・七倍ふやす。あるいは、二十四時間対応の定期巡回・随時対応サービスという、この右の中間にあるものでありますけれども、これもことしの四月から新設するということで答弁がございました。あるいは、介護人材も一・七倍ふやしていく、グループホームは二・三倍、小規模多機能と言われる通いとか泊まりとか訪問、それが一つの施設で集約するものも八倍ふやしていくということで、こういう地域の、福祉自治区という概念で福祉メニューを御提供するというものを、私はこれは少子高齢社会を克服する日本モデルの一つの切り札だと思っているんですが、大臣のこれについての進捗と課題というのがあればお聞かせいただければと思います。

小宮山国務大臣 御紹介いただきましたように、今、中学校区ぐらい、だから、人口一万人ぐらいを単位にこういうような仕組みをつくりたい、そのことが、自宅とかケアつき高齢者住宅で生涯過ごしたいということにもお応えする方法だと思っています。

 この地域包括ケアを実現するための課題といたしましては、一つは、下の方に、老人クラブとか自治会にも御協力いただいてとありますけれども、介護予防をしっかりとしていく、元気のまま高齢期を送れるようにするということ、それから二十四時間対応の在宅介護、医療サービスを整備すること、また地域での見守りとか配食とか買い物などの生活支援サービスを確保すること、高齢者の住まいの確保、また地域包括支援センターの機能強化、こうしたことが挙げられると思っています。

 このため、四月から実施いたします介護保険制度の改正とか報酬改定でも、一つは、リハビリや機能訓練の重視、また二十四時間対応の定期巡回・随時対応サービスの創設、そして地域の支え合いなども活用しました日常生活支援の推進、そして、これは高齢者住まい法によりましてサービスつき高齢者住宅の制度化、それから地域包括支援センターで医療や介護等を行う多職種の、医師、看護師、ケアマネ、ヘルパー、OT、PTなど、こういう方たちが参加をする地域ケア会議の普及などを推進していきたいと考えています。

 こうしたことを通じまして、日常の生活圏で安心して暮らしていける地域包括ケアの構築に取り組んでいきたいというふうに考えています。

長妻委員 ありがとうございます。

 岡田副総理、どうぞ。

岡田国務大臣 今回、社会保障・税一体改革、その中で、委員御指摘のように、一%分については制度を充実するために使うというふうに言われました。その柱は三つあって、一つは御指摘のように子ども・子育て支援、もう一つは年金の最低保障機能の強化、そして最後は、医療、介護について、地域に密着した形でのこういったモデルで充実させていくということであります。そのために、消費税を五%引き上げさせていただくうちの一部を使わせていただくということでございます。

 先般、私は長野に参りまして、長野の佐久総合病院を視察させていただきました。まさしく、あそこは昔から地域に入り込んで、地域密着の医療を進めてきた一つのモデルだというふうに私は思うわけであります。お医者さん、看護師さんの意欲といいますか、そこにも非常に私は心を打たれましたが、同時に、長野モデルというのは、一人当たり医療費は低い、しかし、長寿であり、医療の質は高い、そういう日本の進むべき方向性を示しているというふうに思います。このモデルがまさしく、そういった長野モデルを取り入れて、これからの日本の医療の進むべき道を示しているというふうに考えております。

長妻委員 ありがとうございます。

 「自宅に居ながら医療、介護が受けられる社会へ」ということで、先ほど一・七倍等と申し上げたのは、今と比べて二〇二五年の姿の目標でございます。

 そして、先ほど小宮山大臣からもありましたが、政権交代後に、サービスつき高齢者住宅法という法律を通して、予算もつけさせていただきました。これは普通のマンションなんですが、一階にクリニックやデイサービスや二十四時間訪問介護サービス等々がついている、いつでも、何かあっても安心できる、そういう住宅が今後どんどん日本にもふえていくと思っておりますので、これは大変必要なことだと思います。

 次に、年金についてお伺いしたいと思います。

 岡田副総理にお伺いしたいんですが、岡田副総理がお考えになっている現行の年金制度の課題というのは、どういう点が課題なのかとお考えでございましょうか。

岡田国務大臣 私は、三つの問題があるということを従来から言ってまいりました。

 一つは、やはり年金制度、将来に対する見通しがなければいけない。しかし、残念ながら、従来、五年ごとに見直すたびに保険料は上がり、給付は下がるということを繰り返してきた。もちろん、その背景にあるのは人口構成の変化ということでありますが、そういったことも年金の信頼感を損なってきたということが一つであります。

 もう一つは、これは主として厚生年金に言えることですけれども、夫婦で、片一方が働いて、同じところで働き続けるということが念頭に置かれてきた。しかし、今は、夫婦共働き、そして職業も途中でかわる、そういった社会の変化に対応できていないのではないか。

 三番目が、国民年金の問題で、国民年金自身も、ある程度資産のある自営業者を対象という時代から、自営業者もそれほど余裕がない人もふえた。それから、そもそも国民年金の加入者の半分以上は、自営業者ではなくて非正規の働き方の方々である。そういう中で、無年金者とか、国民年金を受け取ろうとしても極めて少ない額しか受け取れない、そういう方がふえてくるようになった。

 そういう三つの、年金に対する信頼感と、厚生年金の前提にしているモデルと、国民年金の現状、そういったことをしっかりとカバーできる改革が必要であるというふうに思っております。

長妻委員 どうもありがとうございます。

 いろいろ現行制度にも課題があるというのは、これは国民の皆さんも御理解いただいていると思います。

 新しい年金制度の考え方というのは三つあると思っておりまして、どんな職業でも一つの制度、最低保障機能がある、そして若い人でも無理なく払えるということ。

 今、非正規の方が国民年金に入ると一カ月一万五千円ということで、なかなか収入の低い方はその比率が高くて払い切れない。当然、厚生年金であれば、事業主負担もありますし、年収に比例して保険料ですから、それは一万五千円よりも低くなるケースもあるということです。

 私も非常に危機感を持っておりますのは、地元でタウンミーティングということでいろいろ集会をしているんですが、そこで最近多いのが、若い方が来られて、今自分は非正規で国民年金だ、年金保険料一万五千円、これは払うのが大変だから、それは払わずに、将来、本当に万が一大変になったら生活保護を受ける、こういう考え方というのはいいんでしょうか、こういう非常に深刻な質問があるわけであります。それは、いや、払ってくださいと私は申し上げているわけでありますけれども、そういう背景には、やはり年金制度について何とかしなきゃいけないという、政治に対する要請というのもあると思っているところでございます。

 その意味で、今、高齢者の格差というのも広がっておりまして、二〇〇六年に、生活保護受給者のうち六十歳以上の方が半分以上になっております。そういう意味で、このまま最低保障機能がないままいきますと、何十年後かには、本当に生活保護受給者の方で高齢者の方が大変多くなって社会問題化するという危惧も、私自身は持っております。

 国民年金の話がありましたけれども、実際、自営業の年金として始まった国民年金が、今、自営業の方が二六%ということで、四割が被用者、働いておられる方、三割は無職の方ということでございまして、これは何とかしなければならないというふうに思っているところであります。

 この新しい年金制度というのは、新しい年金制度が仮に始まったときに保険料を払っている方が対象ですので、今現在受給されている方は影響はないわけでございますけれども、これについて我々も試算を公表させていただきました。

 パターンを、四パターンですけれども、一つ目のパターンは、これは現行制度よりも税金はかからないというパターンでございますが、その四つ目のパターンが一番手厚いパターンで、これが、消費税がさらに七パー上がるのではないか、こういうふうによく言われているわけです。

 それにしても、その試算の中では、消費税分に換算すれば七パーと書いてありますのは、二〇七五年度の成熟したときの話でございまして、私が生きていれば百十四歳のときの話が非常に近々の話のように報道はされているので、そこは説明しなければいけない。

 現行制度にしても、これは将来、消費税は、換算でいえば財源が必要になってくるわけでありますので、これはぜひ、与野党ともに政局と切り離してこの新しい年金制度については御議論を本当にいただけないでしょうか。これは、議論ぐらいは与野党で政局抜きに議論をするということが私は必要だと思っておりますので、本当に頭を下げて野党の皆さんにお願いをしたいと思います。ぜひよろしくお願いします。

 そして、最後にお伺いするのが、日本にはいろいろな施策というのがございますけれども、それが、アイデアあるいはいい政策がいっぱいあるんだけれども、なかなか前に進まない、それが一つ一つ実行が進まないという思いを国民の皆さん持っておられる方もいらっしゃるのではないかと思っております。

 その意味では、我々民主党が申し上げていた一つの大きな柱が政治主導ということでございますけれども、野田総理が考える真の政治主導とは何かということについて御所見をいただければと思っております。

野田内閣総理大臣 長妻さんは先ほどタウンミーティングのお話をされていましたけれども、それぞれ与野党の政治家の皆さんが、有権者の皆さん、国民の皆様のさまざまな声を聞いていると思います。まさに、そういう取り組みは、役所の人たちよりもはるかに接する場面は多いと思います。そういう国民の声を踏まえて、国民の常識を踏まえてビジョンをつくっていくというのが私どもの役割ではないか。

 そのつくったビジョンについては、それぞれのお立場があります。まさに熟議を交わす。与党の中でも熟議があります。今回の社会保障と税の一体改革も、成案をつくるまでに半年、素案をつくるまでに半年かかりました。熟議をこなしながら一つの方向性をまとめました。

 今度は与野党の熟議だと私も思います。熟議を尽くして、そしてあとは、大事なことは結論を出すこと。物事を先送りしない、そういう政治がまさに政治主導であって、その方向性に沿って役所の人たちは専門家としてサポートして政権を支える、政治を支えるということが真の政治主導ではないか。まさに、そういう政治があって初めて、それをサポートする役所の人たちは、役に立つところ、役に立つ人になると思います。それをまさにイニシアチブをとっていくのが政治主導だというふうに思います。

長妻委員 私もそのとおりだと思います。官僚の常識ではなくて国民の常識で国を運営していく、そして官僚と一体となって国を前に進めるということが、まだまだ我々道半ばだと私は思っておりますので、これは本当に前に進める必要がある。

 最後に総理に御所見をいただきたいんですが、今、国会に法律が出ている内閣人事局、幹部公務員の六百人の人事を省庁横断的に首相官邸が実行する。あるいは国家戦略局、国家の大局観、それの戦略を立てる。もう一つ、例えば財務省の主計局の機能を官邸に持ってくる、予算編成局のようなものも首相官邸に装備するということで、人、物、金を首相官邸が握るということで非常に総理のリーダーシップが強化されるのではないかと私は思うんですが、この予算編成局的なものを官邸に持ってくるということについて御所見をいただければと思います。

野田内閣総理大臣 人、物、金を官邸に集中することによって官邸の機能強化を図り、政治主導を果たせという御提起だというふうに思います。その意味では、今御提起している内閣人事局の問題もあります。

 予算編成でありますけれども、今、実際に国家戦略局が予算の基本方針をつくります。あるいは、例えば財政運営の戦略も、新成長戦略も、これは国家戦略局主導でつくってまいりました。現にそういう機能は果たしているということは、ぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。

 また、そういう御提起も含めて、その機能がより強化できるようにも検討させていただきたいというふうに思います。

長妻委員 ありがとうございます。

 これで質問を終了いたしますけれども、本当に、政府・与党一体となって政治を少しずつでも前に進めていくということを、我々全力で協力してやっていきたいと思っております。

 どうもありがとうございました。

中井委員長 この際、小川淳也君から関連質疑の申し出があります。長妻君の持ち時間の範囲内でこれを許します。小川淳也君。

小川委員 民主党の小川淳也でございます。

 総理初め関係閣僚の皆様、連日の御審議、本当にお疲れさまでございます。長妻先輩の後を継ぎまして、社会保障と税の一体改革について、特に税制面からお尋ねを申し上げたいと思います。

 二〇一四年四月に八%、二〇一五年十月に一〇%、余りにも重い国民の皆様に対する問いかけだと思います。少なくとも、九七年から十五年間、具体的な時期と税率の引き上げ幅を明言されたこの国の指導者は一人もいません。そこに野田総理の並々ならぬ決意を感じますし、昨年十二月二十九日、党内の合同調査会の場で、総理はインド御帰国直後の体を押して、五時間、党内論議に参加をいただき、さまざまな声を受けとめ、最終的に決断されました。私は、その総理の不退転の決意を見るにつけて、本当に驚嘆、驚愕するような思いで見ていたわけであります。

 そのことがあってだと思いますが、国民の皆様にも一定の理解をいただいている。しかし、突き抜けた理解にはなっていない。そこにどういう問題があるのか、何が課題なのか、総理のお考えをお聞きしたいと思います。

 特に、冒頭、一番つらいお尋ねをすることをお許しいただきたいと思います。私たちは、財源は増税しなくてもあると言ってきた責めを今でも背負っています。そして、四年間は税率の引き上げはないと少なくともとられる言い方をしてきた。この二点の十字架を背負った上で、総理はどういう苦難のもとに現在の覚悟に至ったのか、国民に対してしっかりとした説明をお願いしたいと思います。

野田内閣総理大臣 〇九年のマニフェストで、私どもは、無駄を徹底して洗って、それを財源として、国民の生活が第一という理念のもとにまとめたさまざまな主要政策を実現していくということをお約束しました。昨年の八月に中間検証をいたしましたけれども、さまざまな事情があって、できたものもありますけれども、いまだできないものもある。それは残念なことであります。

 その際に大事なことは、政策の優先順位は、私どももやはり、政権党になって、例えば大震災が起こる、経済環境が変わる、状況によって優先順位を変えていかなければいけないということを強く経験いたしました。その中で、特に税と社会保障の問題、社会保障と税の一体改革は、これまでの政権も問題意識を持ちながらお取り組みをいただきましたけれども、残念ながら、もはや私どもの政権のときに特に待ったなしになってきたというふうに強く感じました。

 というのは、特に予算編成で、例えば基礎年金の国庫負担を三分の一から二分の一に引き上げると言っていましたが、埋蔵金を探したり、へそくりを探したり、ワンショットでお金を探すことの限界が出てまいりました。ワンショットでつくったお金は、今、むしろ復興財源に充てていかなければいけません。という状況の変化の中で、年金の安定を図るためにも、先ほど来御議論がありましたけれども、そのほかの医療、介護の分野も含めても、それを支えるための財源をきちっと手当てしないと、もはや社会保障が待ったなしの状況だというふうに思います。

 この後からいろいろ御議論あるかもしれませんが、だんだんと、まさに胴上げの社会から肩車の社会、支える人が少なくなっていくときに、支え手がもたない状況であってはいけないと思うんです。人口構造がまさにピラミッドから逆ピラミッドに大きく変わるとき、ここはもはや時間との勝負になってきているというふうに思います。

 社会保障をしっかり支えるためには待ったなし、財政も待ったなしでありますけれども、その待ったなしの状況をこれ以上指をくわえて見ているわけにはいかないということを強く経験しているということでありますので、ぜひこれは国民の皆様に御理解をいただきたいと思います。

 残念ながら、まだ突き抜けた御理解をいただいていないことは御指摘のとおりであります。対話の集会も始めました。しっかりと国民の皆様にもお伝えをしていきたいというふうに思います。

小川委員 ありがとうございました。

 私は、やはり、消費税の必要性は、多くの同僚、仲間、諸先輩、そして国民の多くの皆様も御理解いただけることだと思います。しかし、それを真摯に、まともに国民に語りかける資格が私たちにあるかどうかを、私たち自身が振り返るところから出発すべきだと思います。

 国家予算の総額でありますが、約二百兆。しかし、八十兆は借金返済に充たっています。五十兆は年金給付、二十兆は医療費の自己負担以外の部分、二十兆は地方財源。本当に、この主要経費を差し引きますと、わずかな経費の中でしかやりくりがままならない状況。ここに私たちは真摯な謝罪を伴う説明、これがまず第一に国民に対して求められるのではないかと思います。

 加えて、優先順位が状況によって変わる、それはおっしゃるとおりであります。しかし、今回の消費税の五%の引き上げの提案は、これは一度院内の皆様にも想像していただきたいと思いますが、今、年収二百万円で暮らしを立てていただいている方々が二割程度いらっしゃるんじゃないかと言われています。この年収二百万円の方から年当たり強制的に十万円徴収する話です。このことのすさまじさも、あわせて私たちは共有すべきだと思います。

 そこで、なぜ必要なのかを、私は、今回、税と社会保障を一体で議論しているところにやはり大きな意味があると思いますし、これは菅前総理が残された大きな遺産だと思っています。担当大臣である岡田副総理にお聞きしたいと思いますが、既に議論になった部分も含めて、なぜ今回、今、このタイミングで税制と社会保障の改革を一体のものとして議論しているのか、どこにその意義があるのか、御説明いただきたいと思います。

岡田国務大臣 まず、消費税の議論ですけれども、私は委員とはちょっと認識が違うわけです。

 私は、党の中でも、消費税についての議論は避けてはならないということは一貫して言ってまいりました。二〇〇九年の代表選挙、そこでも私はそういうふうに申し上げて、議論すらしないというのは間違っていると。

 そういうふうに申し上げてきたことは、マニフェストの中で確かに、マニフェストの期間中に実際に上げることはしないと、しかし、次のマニフェストまでにはやはり消費税を上げるということを正面から掲げて選挙せざるを得ない、そういうふうに考えてきたからであります。

 そういうことですから、何か国民に対して、だましたとか、言うべきことを言わなかったというふうには私は全く思っていないわけであります。そのことをまず申し上げておきたいと思います。

 その上で、今回は、五%引き上げて、これを全額社会保障に充てるということを明確にしております。そのうちの一%は制度の充実に、残る四%は維持のために。つまり、社会保障を維持していくための財源すらない、借金でやり続けている、こういう不正常な状態を直して、将来世代にとってきちんとこの社会保障を持続可能なものにする、ここが今回の消費税引き上げの大きな眼目。あわせて、先ほど長妻議員も言われたような制度の充実についても一%分は使わせていただくということでございます。

小川委員 ありがとうございました。

 今の副総理の御指摘、今回は法案まで提出するという現政権の方針ですから、そこにはやはり突き抜けた説明なり説得が伴うべきだと私は思います。その点はまたしっかりと議論をさせていただきたいと思います。

 今、副総理の御説明を前提に、先ほど長妻議員の御質問の中にもございましたが、私は、税と社会保障の一体改革の必要性を、人口動態の激変という点に絞って、多くの国民の共通の理解につながる建設的な議論を、時間は限られていますが、ぜひともさせていただきたいと思います。

 ちょっと資料の一枚目、委員長のお許しをいただいてお配りをさせていただきました。一枚目をごらんいただきたいと思います。

 これは、高齢化率の推移を長期でとったものであります。党内の論議に当たりまして、今回、このグラフをしっかりと眺めながら議論するということを強く主張してまいりました。

 現在の日本社会が設計されたのは一九六〇年代、ちょうど東京オリンピック、またその後の大阪万博に沸いていた、まさに国家としての青春時代、戦後の青春時代と言いかえてもいいかもしれません。当時、高齢化率は五%です。二十人に一人。国民年金の保険料は百円。社会保険料は収入の三%という時代に、今の社会の基本が設計されました。

 そして、それから五十年。現在、高齢化率は二〇%強、二三%。国民年金の保険料は一万七千円まで上がる最中です。社会保険料は一八%にまで上昇します。これがまだとまりません。年々〇・五%ずつ高齢化率は上昇し続け、ついには二〇五〇年、高齢化率は四〇%に到達をし、その後、ほぼ四〇%のまま固定することが想定されております。

 となりますと、今回一歩を踏み出そうとしております税と社会保障の一体改革とは、高齢化率五%の時代に設計された現在の日本のモデルを、高齢化率四〇%にやがて到達する二〇五〇年ごろの姿を目標に持続可能なものへと置きかえていく、その第一歩を踏み出すべき改革だというふうにその性格を位置づけることができると思います。

 あわせて、資料の二枚目をごらんいただきたいと思います。

 この高齢化率の推移を、今度は人口構造という切り口でごらんいただいた図表でございます。

 申し上げた六〇年前後の人口構成は、ごらんのとおり、きれいな三角形でありました。そして、現在はひょうたん形に移行し、やがて二〇五〇年ごろに逆三角形に移行するということがほぼ動かしがたい事実として想定されております。

 ここで、二〇五〇年ごろを目指して何をどう変えるべきか。

 五〇年代、六〇年代に設計された、ごく少数のお年寄りを圧倒的大量の現役世代のわずかな負担で支えるという前提のもとにつくられた仕組みを、逆三角形形を前提に、お年寄りから赤ん坊まで全世代で最低限の保障機能、負担機能を果たしていく、負担構造を置きかえていくというところにこの改革の最も重要な部分があるんだと思います。

 そういう意味で、単なる財政再建のためではないのか、そういう批判や御指摘、お叱りも多々いただいています。これも真摯に受けとめ、説得する必要があると思いますが、ここで何より重要なのは、人口動態の激変に伴う負担構造の置きかえであるというテーゼをしっかりと説明していくことが最も重要なことだと思います。そのことを、人口動態の変化とあわせて、ともに共有させていただきたいと思います。

 社会保障と税の一体改革の意義を説明することとあわせて、今度は環境整備、どういう条件、環境が整えばこれがより御理解をいただけるのかという点を議論させていただきたいと思いますが、まず、党内の論議でも一番心配に上がっておりましたのは、経済、金融面に与える影響であります。

 きょうは日銀総裁にお越しをいただきました。

 せんだって思い切った緩和策を発表されました。その結果、七十八円台から一気に八十円をうかがう勢いで円は円安傾向を強めました。わずか一週間の出来事です。そして、株価も九千円台から九千五百円をうかがう。大変大きな威力を発揮したわけであります。

 このインフレターゲットとも目されております政策の意義、そして、今後も強い姿勢でこれを続けていただく必要がありますが、この点に対する日銀総裁の御見識を伺いたいと思います。

白川参考人 お答えいたします。

 日本銀行は、先日開催されました金融政策決定会合で、我が国経済のデフレからの脱却と物価安定のもとでの持続的な成長の実現に向けた日本銀行の政策姿勢をより明確化するという観点から、いわゆる中長期的な物価安定のめどを導入いたしました。

 これを導入した経緯でございますけれども、従来、私どもは、物価安定の理解という形で、物価安定と整合的な数字を出しておりましたけれども、この数字については、各政策委員の見解のいわば集合体であるというこの性格がわかりにくい、日本銀行の姿勢がいま一つ見えにくいという御批判も頂戴いたしました。日本銀行として、もちろん、先ほどのデフレ脱却ということについての姿勢は明確でございますけれども、改めてこれを明確に表現するということを行いました。

 あわせて、当面のめどということで一%、これを目指して強力に金融緩和を推進していくということを発表いたしました。資産買い入れも、さらに十兆円ふやしました。

 日本銀行としましては、こうした金融緩和の努力と、それから成長力強化に向けたさまざまな主体の努力、この二つが相まって、できるだけ早く日本経済がデフレから脱却できる、そういう姿を実現していくことに、日本銀行としての役割をしっかり果たしていきたいと思っております。

小川委員 総裁の御見識には、私は、常日ごろ、講演録などもつぶさに拝読をさせていただいておりまして、非常に敬意を抱く人間の一人であります。

 しかし、これまでの中央銀行にとって一番大きな務めは、通貨価値の安定でした。それはイコール、インフレの抑制です。それが直ちに国民生活を防衛することにつながってきた。しかし、これから先の日本を考えますと逆です。デフレは絶対悪。むしろ、名目で二%、三%の成長をさせるということは、イコール通貨価値を安定的に下落させることを意味します。通貨に大きく二つ機能があるでしょう、価値の保存と価値の流通、交換価値。通貨の価値を上げてしまうと、通貨は保存される方向に働きます。物のやりとり、交換、投資、融資、取引、全てを抑制的にしてしまう。デフレは絶対悪。

 人口が減少して経済が縮みかねない今の日本にあって、徹底的に金融緩和を実施し、むしろ通貨の価値を安定的に下落させていく、これが新しい時代の中央銀行の務めだということも含めて、ぜひ行内で御議論いただきたい。このことを御指摘申し上げたいと思います。

 経済、金融にもしも万一のことがあれば、今回の消費税論議については凍結も辞さないという強い姿勢が今回の大綱の中でうたわれていることも確認させていただきたいと思います。

 加えて、総理、党内でもう一つ強烈な議論がありましたのは、やはり国民に負担を求める前に、まずは私たち国会議員、そして公務員、この身を切る改革が先行しないことには、どうあれ国民の理解は得られないという強い主張がございました。

 この点、公務員の人件費改革、総理の強いリーダーシップ、また政調会長初め関係者の努力、そして野党の皆さんの理解を得て、ようやく合意に到達しました。七・八%、年率平均で二年間、人件費を削減するということであります。

 しかし、総理、ここには、私たち国会議員、去年一年間一五%の削減をやりました、国会議員の歳費削減が含まれていない。議員定数の削減の議論も、いまだ議論の途中であります。

 私は、社会保障と税の一体改革とまさるとも劣らぬ議員歳費、議員定数、みずから身を削る改革への総理の不退転の決意を、ぜひ国民の皆様にお伝えいただきたい。お願いします。

野田内閣総理大臣 国家公務員の人件費の削減については、今、小川さんの御指摘のとおり、与野党間の実務者の協議を積み重ねまして、マイナス七・八%、減額することの合意を得ることができました。

 この中には、昨年の大震災の際に粉骨砕身御努力いただいた自衛官や海保の皆さん、消防の皆さんを含めて、さまざまな現場で汗をかいていただいた皆さんも含まれます。でも、やはり公的部門で日本の財政を、特に復興財源をサポートしていこうという姿勢をぜひお示しいただきたいということで、こういう合意ができたというふうに思います。ぜひ、これは各党の御理解をいただいて、早期に成立をさせていただきたいと思います。

 もう一つは、まずは隗より始めよで、では政治家はどうなっているんだという議論があると思います。社会保障と税の一体改革、頭の中では、方向性としては国民の皆様に御理解いただいても、まずはあなたたちの努力を見たいというのが多くの声だと思います。

 その中で、今各党間で、一票の格差是正と選挙制度改革とあわせて、定数是正の御議論もいただいております。ぜひこれは早期に成案を得るように期待をすると同時に、党内議論においては私もしっかりリーダーシップを振るってまとめていきたいというふうに思いますが、もう一つ大事なことは、二〇一四年に初めて消費税の引き上げ、八%引き上げ、二〇一四年四月までです。それまでの間に、行政改革の、政治改革のきちっとした実績をつくらなければいけないというふうに私は思います。行政改革は公務員の人件費だけではありません。特会の改革であるとか独法の改革とか、もろもろあります。

 恐らく、行革というのは、これは永遠に続くと思うんです。絶対的な評価、百点だねという評価は永遠に得られないと思います。でも、一定の評価は得られるように最善の努力をするのは我々の使命ではないかと思いますので、二〇一四年四月までに、今申し上げた政治改革と行政改革の成果を上げられるように、全力を尽くしていきたいというふうに思います。

小川委員 ありがとうございました。

 まず国会内の議論をしっかりと見守っていただくと同時に、どこかのタイミングで、総理には政治改革と行政改革の鬼に豹変をしていただきたい。このことも含めてお願いを申し上げたいと思います。

 この消費税の議論を本当に国民の皆様に、総理がおっしゃったとおり、気持ちがついてきていただけるかどうか、感情的に受け入れられるかどうか。この議論に当たっては、先ほど来の経済金融政策、そして身を切る改革、そして三つ目に、安住財務大臣にお聞きしたいと思いますが、特に、幾つか党内論議の中で論点がありました。税率は一定にするのかどうか、住宅への配慮また食料品、こうした諸点、さまざまございます。インボイス制度は導入するのかどうか。そして、免税点の問題をどう考えるか。また、適正転嫁、中小事業者の皆さん、精いっぱいお努めでいらっしゃいますが、こういう問題をどうするか。

 諸点ございましたが、きょうは時間も限られていますので、一点に絞って、消費税に内在する制約であります逆進性、これを、低所得者対策、そして一方で高所得者の方もいらっしゃいます、この両面からどう対策を講じられるおつもりか、安住大臣から御答弁いただきたいと思います。

安住国務大臣 おはようございます。

 ちょっと今の総理の発言に私の方から加えさせていただきますと、総理は、全収入の三〇%の削減をみずからもう実行しておられます。私ども閣僚も全収入の二〇%の削減をしておりますから、ことしは議会において一五%やっていただきましたけれども、引き続きハウスの中で、与野党ともに国民の皆さんにわかるような範囲で御努力をいただければということを、まず私は申し上げておきます。

 そして、逆進性の対策というのは、小川さんの御主張というのは、つまり、消費税はある意味で平等ですから、平等に一定の比率で税をお願いすれば、どうしても所得の低い方々に対していわば負担率は高くなるということに対して、どういう対策をとるのかという御指摘だと思います。

 私どもとしては、今、この国会にマイナンバー制度を出させていただいて、さまざまな意味で情報の一元化を図りながら、それをもとにした総合合算制度や、いわゆる給付つきの税額控除制度の導入等をやろうと思っておりますけれども、それまでにはちょっと時間がございますので、その間、できれば簡素な給付措置、現金の給付等を含めて検討をしてまいりたいと思っております。

 ですから、やはりできるだけしわ寄せを弱い方々にやらないような制度設計というものの配慮は、十分党とも相談をさせていただきながらやらせていただくと同時に、御議論のあった、所得の高い人からの累進性をもうちょっとやはり高めた方がいいのではないか、そういうことについても、今回、最高税率を五%引き上げさせていただいて、そういう意味では、高額納税者の皆さんに対してさらに御負担をお願いすることで、そうした累進性の強化というものも今後図っていきたいというふうに思っております。

小川委員 ありがとうございました。

 所得税の最高税率の引き上げや給与所得控除の縮減、こういったことも含めて、今回は全体が一つのパッケージになっておりますし、その辺をしっかり国民の皆様にも御理解いただけるように、私どもも努力していきたいと思います。政府、党、連携して努力をしたいと思います。

 きょうは本当に限られた時間で大事な議論をさせていただいているわけですが、総理、最後にどうしてもちょっとごらんいただきたい図表がございまして、きょうは用意をさせていただきました。

 人口動態に焦点を絞ってこの税と社会保障の意義を理解することが私は非常に重要だと思っているわけですが、もう一つは、人口総量についても、ぜひきょうは委員の皆様初め国民の皆様にもごらんいただきたいと思うんですが、去年からこれは気になって仕方がない図表でした。最近、田原総一朗さんもこれを週刊誌で紹介されていたりというのも見ましたけれども、超長期の日本国における人口動態であります。

 現在、平清盛、ドラマをやっていますけれども、平安期から鎌倉、江戸幕府成立ごろまでずっと人口は一千万人前後です。

 江戸幕府が成立してから、私は、これは国内で殺りくがとまったことが大きく影響しているんではないかと仮説を立てておりますが、急激に人口がふえ始めます。新田開発も進んで、経済成長と人口増が相まった時期であります。ところが、江戸中期に人口は飽和状態になり、三千万人前後で推移している。恐らくこれは、日本列島で農耕社会が養える最大人口、極大人口に到達したんではないか。これも勝手な仮説ですが、そんな気がしております。

 明治維新とは、言いかえれば、産業革命の影響に一生懸命適応した季節でありました。そのことによって地下から化石燃料を掘り起こし、莫大なエネルギーを得て生産力を高め、食料を輸入し、この急上昇のカーブをごらんいただきたいんですが、わずか百数十年で人口を四倍に膨らませてきたわけであります。

 これが、この先同じ百数十年かけて、もう一回、三分の一から四分の一に減らそうとしている。今、その最初の坂を下ったところに私たちはいるということであります。

 私が申し上げたいのは二つでありまして、一つは、いまだに私たちの頭の中が、この歴史上まれに見る上昇カーブの中に洗脳された状態にあるんではないか。ですから、目の前で起きている経済現象あるいは社会保障の行き詰まり、これらを、これまでの経験の中では理解できないことが起きている。そのことに対する正しい認識が必要ではないかというのが一つ。

 もう一つは、これだけの人口減少をしっかり乗り切っていくに当たっては、ちょっと今までの延長線上では考えられないぐらいの文明史的な発展段階、展開を一つ超えないと乗り切れないんじゃないかという思いがございます。

 恐らく、もう簡潔に申し上げますが、これまで年齢で区切ってきたさまざまな社会保障制度、経済社会制度を、一切年齢による制限を解除して生涯自立型の人生設計を前提とし、それを経済、社会、雇用制度がしっかりとバックアップし、そして最低限の保障機能は全世代型負担で賄う、新しい時代のライフスタイルなり社会のモデルを、日本は高齢化率でいうと世界の最先端を走っていますから、新しい国家社会像を世界に向けて提示するところに、私はこれからの日本の大きな世界的な役割があるんではないかと思います。

 大変遠大な、壮大な話になってしまいましたが、今回の税と社会保障の一体改革は、ここに向けて、小さな一歩かもしれません、しかし重要な大きな一歩でもある、を踏み出す極めて大切な改革である、そのぐらいの歴史観を持って一度取り組んでまいる決意でございます。

 総理に最後三十秒で感想をいただいて、質問を終えさせていただきたいと思います。

野田内閣総理大臣 まさにそのとおりで、二〇五〇年、肩車の社会ということは、単純に一人が一人を支えるんじゃなくて、支える側と支えられる側の垣根をもっと取っていくことだと思うんです。従来支えられた人たちの世代も働けるようにすることとか、あるいは、その支える側の方の社会保障を手厚くするとかというパラダイムの転換をしていかなければいけないという問題意識を、委員とは共有できているというふうに思います。

 ありがとうございました。

小川委員 ありがとうございました。終わります。

中井委員長 これにて長妻君、小川君の質疑は終了いたしました。

 次に、下地幹郎君。

下地委員 きょう、総理にお示しをさせていただいているグラフがありますけれども、私ども国民新党が考える消費税に対する考え方を示させていただいております。

 これを見ておわかりのように、国民の理解を得るために議員定数の削減であったり公務員の改革、制度の見直し、そして新たな財源、社会保障、それと経済政策をやって、生活が第一というようなことをちゃんとやりながら消費税を上げていく、そして、消費税を上げた結果として、財政再建と安心社会というものをつくる。このストーリーは、私は、国民もここにいる衆参の政治家も共通しているのではないかというふうに思うんです。

 問題は、その前にきちっとやらなければいけないことということを言っているわけでありますから、議員定数の削減とか言っていますけれども、私、一個だけ申し上げますが、この「制度の見直し」のところの下の方に「予算自体の充実審議」と書いてありますけれども、十二月に予算が決まってから、一月から国会が始まって三月までありますけれども、今この時点で、国会議員が七百二十名いますけれども、この東京にどれだけいるんでしょうか。ここの予算委員会に参加をしている人たちが中心になっていて、どの委員会も開かれないんですね。

 私は、十二月に予算が決まったら、一月からは、厚生労働委員会だったら厚生労働委員会、そして国土交通委員会だったら国土交通委員会と、この予算が、省庁ごとに決まったものを論議して、最終的にこの予算委員会に上がってきて、みんなで審議して、修正したりさまざまな合意をして決めるというようなやり方をやることも一つの方法だと思うんですよね。

 私たちは、そういう意味でも、まだまだやらなければいけないことがあるということをしっかりとやってから消費税の論議をしましょうということなんです。

 それで、社会保障と税の一体改革、今私たちが示している国民新党の考え方と社会保障と税の一体改革の大綱は何ら変わるものがないから私たちは賛成させていただいているわけでありまして、そういう意味でも、総理が、しっかりとした、このやらなければいけないことというものをぜひやっていただきたいというふうに思います。

 総理、そこで御質問なんですけれども、私たちの党にもいろいろと意見があるんです、賛成もあるし、反対もいるし。これは民主党もありますよね。自民党もあるんです。どの党だってあるんです。私は、そういう意味でも、こういうさまざまな考え方がある以上は、しっかりと論議しなきゃいけないと思うんです。

 きょうの社会保障と税の一体改革のこのテレビ中継、非常にいいと思いますよ。だから、私は、三党で協議をして物事を決めて委員会におろして審議するというのは、やめた方がいいと思うんです。自民党と民主党と公明党で決めてやるんじゃなくて、こうやって全党入ってテレビ中継でどんどん論議しましょうよ。そういうふうな論議をした方が、総理の考え方もよくみんなに伝わるし、やっていくと思うんです。

 だから、私は、総理、早目に消費税の法案を閣議決定してくださいよ。閣議決定して表に出して、堂々とこうやって論議する、そういう中で、総理の考え方も私たちの考え方も、反対の人も賛成の人も、しっかりとやった方が国民は受けると思いますよ。そのことをぜひ総理から、やはり、こういう特別委員会でもつくってやりましょうという考え方を示されたらどうかと思いますけれども、総理のお考えを聞かせてください。

野田内閣総理大臣 まずは、下地幹事長におかれましては、国民新党のさまざまな意見がある中を集約していただいて、大綱の閣議決定に御協力をいただいたことを感謝申し上げたいと思います。

 その大綱を閣議決定しましたので、今、法案の準備をしているところでございます。法案の準備が整いましたら、法案として閣議決定をさせていただきたいというふうに思います。

 その上で、御提起は国会でどんどん審議しようということでございますが、国会で大いに審議することも、もちろん私ども、望むところといいますか、国民の皆様に関心を持っていただき、この国会審議について御注目いただくことは大事だと思います。

 一方で、これはなし遂げなければいけないというふうに思います。成果を出さなければいけないと思います。そのためには、これまでも重要な法案については与野党の協議も行ってまいりました。これは決して密室ではないと思います。有事法制もそうでしたし、あるいは復興に関連するものでも最近ありました。必要な与野党協議は、これからもまた私どもはお願いをしていきたいと思いますが、国会でしっかりと議論することは御提起のとおりだと思います。

下地委員 時間が十分と少ないので申し上げますけれども、今までの、重要な法案はありますけれども、その重要な法案の中でも、この消費税の論議というのは物すごく大事だと思うんですよね。

 先ほど安住財務大臣がお話ししましたように、全部に税金がかかるわけですよ。毎日毎日消費をするものに一〇%の税金がかかる、これは生活そのものなんですよ。だから、そういうふうなことを、平成元年に消費税ができて、平成九年に税率の見直しをして、それから今日に至るまで、消費税はどの政治家もさわってこなかったんです。

 しかし、先ほどお話がありましたように、年金をやらなければいけない、財政再建をやらなければいけないと、不退転の決意で総理がおやりになりたいというわけでしょう。総理、今までのような考え方、与野党協議が大事だというような考え方ではなくて、総理が話されるのは、総理の視点は国民じゃなきゃいけないんです。

 その国民を見てやるという意味では、もう堂々と閣議決定して法案を出して、こういう特別委員会をつくって、毎日お願いしてテレビ中継するぐらいの気持ちで、私は、国民が食い入るようにテレビを見ながら自分たちの将来像について考える、年金に関して考える、借金について考える、こういうふうな仕組みをつくるということが、やはり総理のリーダーシップでつくられていかなければ、なかなか消費税賛成とかそういうふうな支持は上がってきませんよと私は申し上げて、総理のお話を聞いて、私の質問を終わります。

野田内閣総理大臣 何よりも、やはり御負担をお願いするわけでございますので、その状況、待ったなしの状況であるということを国民の皆様にしっかりと御説明していきたいと思います。その意味では、国会の御審議に御注目をいただくということも大事だと思いますし、いわゆる官邸のホームページでPRのビデオもつくりました。対話集会もやってまいります。あらゆる努力をしながら、国民の皆様にお訴えをしていきたいと思います。

 法案、閣議決定しろということでございますが、ぜひその閣議決定の折にもまた御協力を改めてお願い申し上げます。よろしくお願いいたします。

下地委員 連立で御協力はしますよ。それはちゃんとやりますから御心配しないで結構です。

 私の心配は、国民にちゃんと浸透するかが大事なことだと思います。最終的には、消費税に賛成するかどうかは採決なんです。その採決のときまでに、やはり私は、総理が、この人が総理大臣としていいねというのが支持率が五〇%、そして消費税がいいね、やったらどうかというのが六〇%ぐらいあったらいいと思うんです。それをつくるための総理の戦略が必要だということを申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

中井委員長 これにて下地君の質疑は終了いたしました。

 次に、松木けんこう君。

松木委員 どうも御苦労さまでございます。

 鳩山さんが二年半前の選挙のときに、消費税のこと、これは四年間上げないというお話もされましたけれども、その意味は、多分、四年間しっかり論議をして、それで、それから次はまた考えよう、こういうことだったんだろうなというふうに私は思います。未来永劫上げるなとか、そういうことではないというふうに思います。それはそのとおりです。

 であれば、その消費税を上げるということがもし前提にあるとしても、やることがいっぱいあるわけですよね、総理。例えば、国会議員を減らせという話もあります。普通は、国会議員というのは国民の代理人ですから、その声を減らせというのは、これは本当に国会議員は今嫌われているんですよ、はっきり言って。これはちまたに出ればよくわかります。本当に残念なことだなというふうに思いますけれども、それが現実なんですね。

 そして、国家公務員の総人件費の二割をカットするという話もありますし、特別会計の見直し、これも終わったんでしょうか。あるいは、天下り問題、こういうこともありますね。

 そして、総理が二〇〇九年にシロアリ退治というお話をされました。シロアリというのは余り言葉がよくないですけれども、しかし、総理が、街頭演説、何かユーチューブに出ていますけれども、よく伝わってきますよ。本当に一生懸命お話をされているというのもよく伝わってきます。たくさんのことが、まだやらなきゃならないことがありますよね。

 そして、それをやり切ったらお金がどのぐらい出てくるんだろうということもまだわかっていないんじゃないですかね。私はそう思いますよ。

 例えば、おたくの政党、まあ、おたくの政党といったって、私もこの間までおたくの政党だったんですけれども、首になっちゃいましたので。村井宗明君という議員がいるんですけれども、彼がいつも僕に競り下げ方式というのを熱く語っていました。それで、ちょっとやったみたいなんですね。少し、一七%ぐらいカットできたというんです。でも、これはほんのちょっとしかやっていないでしょう。もっともっとこれはやるべきだと思うし、まだまだたくさんやることはあるはずなんですね。

 やはり、そういうことをやり切って、それで、では消費税をどうしようかというふうに考えていくというその順番を間違えると、私は厳しいことになると思いますよ。

 例えば、七九%のマニフェストが着手しているとか、いろいろな話があります。でも、国民の皆さんは決してそう思っていませんよ。何をやっているんだ、言っていることとやっていることが全部変わってきている、こういうふうに思い込んでいますよ。これはやはり払拭しないと、この消費税を本当に何とかしていくということであれば、イバラの道だというふうに私は思います。

 そして、残念ながら、この民主党という党は、いろいろな場面で責任をとらないでやってきた、党内的にも党外的にも。これもやはり、私は国民には不安感を与えているというふうに残念ながら思います。ぜひそこら辺を払拭することを考えていったらいいのではないかなというふうに思います。

 それで、私は思うんですけれども、総理を見ていると、前の総理と大分違いますよ。顔もいい。そして、あなたが本会議場で原稿を落とした。あったでしょう。あのときに、あの目、本当に優しい目だった。ああいう目で国民と向き合ってください。そうしたら、国民の皆さんもわかってくれるというふうに私は思いますよ。このままであればちょっと、私は、この消費税のことというのは結局どこかでおかしくなってしまう、そういう気がします。慌てることはないんです。

中井委員長 松木さん、時間ですから。二十八分までですから。まとめるか質問するか。

松木委員 二十八分ですね。わかりました。済みません、時間がないものですから。

 そんなことでございますので、ぜひ頑張ってもらいたいんですけれども、ぜひ一回消費税というのを取り下げて、もう一度よく考えた方がいい、私はそう思いますので、ちょっと一言。

野田内閣総理大臣 競り下げの問題も含めて、いろいろな努力をこれからもやっていきたいと思います。

 ただ、行革の努力は、どんなに頑張っても百点満点の解答は得られません。とことんやりたいと思います。やりたいと思いますが、ただ、毎年自然増で一兆円ふえます。行革だけでは困難なところもあるという意味で、国民の皆様に御理解をいただいていく。

 温かい御激励と叱咤をいただきまして、ありがとうございました。

松木委員 終わります。

中井委員長 これにて松木君の質疑は終了いたしました。

 次に、鴨下一郎君。

鴨下委員 自民党の鴨下一郎でございます。

 きょうは、社会保障と税の一体改革、今までの議論をずっと聞いていまして、なかなかいい議論ができているなというふうに思います。そういう意味においては、国民の皆さんもごらんになっている、あるいは関係の閣僚、皆さん御出席になっている、こういう中での議論そのものが私は協議だというふうに思っておるし、そして、その協議をきちんと国民の皆さんの前で、お互いに譲るべきところは譲るし、それから、納得できるところはきちんと説明をして納得をさせる、こういうようなことをして、あるべき姿に落ちついていくというのが一番いい方法だろうなというふうに思っています。

 そういう意味においては、まず総理、事前の協議というのとここでの審議というのが、ある意味で同じことなんだろうと私は思っているんだけれども、事前で協議しろとか、協議しないと話にならないとかというこの協議というのはどういう位置づけになるんだろうかと思うんだけれども、総理の見解があれば教えていただきたいと思います。

野田内閣総理大臣 社会保障と税の一体改革は待ったなしとずっと言ってきました。ということは、熟議を重ねながらも、やはり一定の期間で結論を出していかなければいけないと思うんです。先送りをしたくないという気持ちが強くあります。

 ということは、なるべく早い段階で与野党が胸襟を開いて議論して、なるべく、だから、本当は大綱をつくる前に生かしたかったなと思います。でも、大綱をつくりましたけれども、まだ法案提出までも時間がありますので、取り入れられる御意見というのはまた協議をしながら入れていく。常に、私は、やはり与野党がかみ合った議論をして、前倒しで成案を得る努力をしたいと思っているんです。そこはぜひ気持ちとしてはおわかりをいただきたいと思います。

 もちろんこの場で議論することも、特別委員会をつくったりとかいう以前に、この予算委員会の中でも前倒しで議論することは大変意味のあることだというふうに思っております。

鴨下委員 今総理が話したように、これは社会保障と税の一体改革大綱、こういうもので寸どめしてあるわけで、これから法律をつくっていくという前段階のいわば大綱でありますよね。

 だから、ここで議論をして、私は、きょうは社会保障と税の一体改革の集中審議、こういうとてもいい機会だと思いますから、ここでぜひある方向性の結論を出していけたらなというふうに思って、ありがたいことに十分の時間をいただいておりますので、きちんとこれについてお答えをいただきながら、最終的に、こういう方向かなというのを国民の皆さんが納得できるような、こういう議論をしたいというふうに思っています。

 そして、ちょっとその前の話としてお伺いしたいんですけれども、この一体改革というのは、私は、最初の段階では社会保障の中も一体的に改革した方がいいというふうに思っていましたので、この税と社会保障の一体改革だけではなくて、社会保障の中にさまざまな問題があります。例えば年金の問題、介護の問題、医療の問題。

 これを総合的に調整して、そして、ある意味では、例えば御高齢の人たちが納得できるサービスがそれぞれ、三つのサービスが行くわけでありますけれども、それが総合調整されて、きちんとその人にとって有効な、なおかつ国にとっては効率的な、こういうようなサービスが行くというようなことについての工夫というのは、これを見る限り、余りできていない。単純に言えば、年金、医療、介護が分立していて、そしてそれぞれがばらばらにサービスとして行く。ここの工夫というのをしていかなければいけないな、こういうふうに思っているんですね。

 一つは、問題提起なんだけれども、特別養護老人ホームに入っている方で、いろいろな人たちがいます。家族に恵まれている人もいるし、恵まれていない人もいる。いろいろな人がいるんですけれども、例えば、子供や孫が入居者の年金で生活をしている、こういうようなケースも散見されるという話もあるんですね。それから、入居者にお見舞いと称して残念ながらお金をせびりに来る方もいらっしゃる。こういうような意味において、年金というのが果たして、本人のものなのか家族のものなのか、ある意味、若干親不孝な子供のものなのか、こういうようなことについて、やはり我々はもっと真剣に議論をしないといけないだろうと思っているんですよ。

 それで、亡くなった場合に通知をすると、家族はおいでになる場合もあるし、来ない場合もあるけれども、そのときにも、極端なケースは、御遺骨は置いていっちゃうけれども通帳は持って帰る、こういうような方もいて、そういうような場合に、例えば介護と年金をどういうふうに総合調整して、そして有効に国のサービスが行くようにする、こういうことそのものが私は社会保障の一体改革だというふうに思っていたんだけれども、残念ながら、そこのところは余り議論されずに、税と社会保障の一体改革、社会保障だって、今みたいにほっておけば、年金で五十兆とかとさっきお話がありましたけれども、百兆に及ぶサービスをずっと現役世代が支えていくというのは本当に大変なこと。

 ただ、その中で、では、年金の一部はそういうような形で、本人が使うんじゃなくて、本人以外の人たちの生活のために使われているというのは、これはちょっと考えなけりゃいけないな、こういうふうに思っているんだけれども、岡田大臣、社会保障の中の一体改革ということについての観点を少し教えてもらいたい。

岡田国務大臣 委員の御指摘も、何といいますか、聞けばなるほどと思うところがございます。

 私も、介護施設、特養の責任者の方にお話をお伺いすると、亡くなった後に残された通帳を御遺族の方がとりに来られる、それまでは一回も来たことがなかった、極端なケース、そういうこともあるというような話も聞かされるわけでございます。

 ただ、私は、年金と医療、介護はちょっと違うと思う。年金は現金の給付であって、介護、医療はサービスの問題ですから、そこを直接リンクさせるというよりは、やはりちょっと分けて考えた方がいいんだと思います。

 つまり、先ほどの年金受給しておられる方のお金がほかに使われているという話は、結局、介護や医療を受けておられる方で、収入が年金に限らずそのほかも含めてある程度ある方にもう少し御負担いただくような、そういう仕組みができないか、こういう話だと思うんですね。それは自己負担という形になると思いますが、そういう議論というのは一つあり得るかと思います。

 そして、介護と医療については、これは先ほど長妻議員のときにも出てまいりましたが、我々は、介護、医療一体で、地域でくくってサービスをやっていこう、こういう方向で今回の社会保障・税一体改革を組み立てさせていただいているところでございます。

鴨下委員 観点がずれているんですけれどもね。

 小宮山大臣、いろいろとそういうのも工夫はしているだろうし、きょうは古川大臣もおいででありますから、ちょっと一言ずついただきたいんだけれども。

 私は、例えば厚生労働省の中の年金、介護、医療の分野がそれぞれ分立していて、そして、そこの調整というのが余りできていないから、例えば御高齢の人でもいいですし、それから、社会保障のサービスを受けられる方の、その方中心の、単純に言えば、クライアントオリエンテッドというか患者中心というか、サービスを受けられる人たちの立場に立ったサービスになっていない部分があって、それが逆に言うとおびただしい社会保障のロスを生んでいるんじゃないかというふうに思っているんですよ。

 ですから、そのことについては、百兆円の中でいろいろと総合調整して、そのサービスを受けられる方の立場に立って考えてみたら案外いろいろなところで是正するところがあるな、こういうふうに思っているので、厚生労働省の中でそういうことをぜひ、一体改革という意味においてはそのことも考えていただきたいなというふうに思っていて、古川大臣は私とはもう大分いろいろと今までも議論をしてきたので、だからマイナンバーを入れてくれみたいな話になると思うけれども、ちょっと御所見を、二人から少しずつ聞きたい。ほんのちょっとでいいですから。

小宮山国務大臣 委員とは別のところでもそういう議論をさせていただきました。

 確かに、御本人にとって、いわば高齢者版のカフェテリアプランみたいなことまで含めて、医療が必要な人は医療をたくさん、介護が必要な人は介護をたくさんというようなことかと思うんですが、御本人の単位で考えることプラス、やはり助け合いの仕組みであるということをどう考えるのかとか、論点は幾つかあると思います。

 厚労省の中が縦割りになっているということは、私も感じるところが多く、そういう御提起もあるので、少し、今回のこととはまた別に、先のこととしてそういう議論も省の中でもしようという話も私もしております。

 そういう意味では、ぜひ、これも古川議員ともされたと思いますけれども、超党派でも、やはり先のことを見越して、こういうことも議論したらいいと私も思っております。

古川国務大臣 委員がおっしゃった認識は、私も全く共有いたします。

 やはり、もともと、民主党の年金改革案を考えたちょうど十二年ぐらい前のころは、これは御党の、鴨下議員もたしかいらっしゃったと思いますけれども、当時の考え方は、年金をベースにして、年金で所得保障して、そこで医療や介護の自己負担もできるような、そういうベースにしていたんですが、考えていたんですけれども、その後の社会状況の変化、格差の拡大なども考えますと、むしろ、今、やはり現物給付の医療とか介護の部分をどうするか。そこに付加的に、そこをちゃんと賄えた部分で、あとは年金をどうするか。

 先ほど委員からもお話がありましたように、一方で給付を受ける側の立場がありますが、もう一方で、その給付を支える財源を、これは無制限というわけじゃありませんから、できるだけ効率的に考えるとなると、それは、年金、医療、介護、トータルで考えていかなきゃいけないと思っております。

 私は、そのときに考える順番としては、かつては年金をベースに考えていましたが、今は医療や介護をベースにして、そして付加的な形で年金という考え方がいいんじゃないかと思います。そういった意味では、トータルの負担と給付の関係も、これは国家戦略会議などでもぜひ議論していって考えていきたいというふうに考えております。

鴨下委員 両大臣から前向きのお話をいただきました。

 私も、やはり現役世代に支えていただくという意味においては、保険料、税金それから自己負担、さまざまなところで、いわば百兆円の社会保障費を誰かが支えないといけないわけでありますから、それについては、最も効率よく、なおかつ御本人たちが納得がいき、現役世代の負担が最小化する、こういうようなことを私たちみんなが知恵を絞らないといけないんだろう、こういうふうに思っています。

 その中で少し、あのきんさん、ぎんさんの、蟹江ぎんさんの娘さん、娘さんは年子さんという方で、もう九十七歳になるんだけれども、あの方があるインタビューの中で、私たちは介護保険を払っていて、一年に一度も介護を受けていないんだから、一割ぐらいは返してくださいよ、こういうふうに言っていたんだけれども、私はここに真理があると思うんですよ。

 ですから、頑張った人、あるいは努力して健康を一生懸命維持している人、そういう人たちには、例えば保険料がちょっと少なくなるとか、年金の一部分が積み増しされるとか、そういうようなことで総合調整をしてあげるということが今の話の第一歩かなというふうに思っているんだけれども。

 例えば、自治体なんかでそういうことをやっているところはあるんですよね。一年間お元気だったら、市長さんが、お元気でしたねというようなことで、何らかの形で差し上げるとか、こういうようなことがあるようなんだけれども、小宮山大臣、知っていますか。知っていますかと聞くのではよくないんだな。そういう成功事例があるということなんだけれども、そういうことについて、どうお考えになりますか。

小宮山国務大臣 いろいろと自治体が取り組みをされていて、今委員がおっしゃったほかにも、高齢者の方が介護支援のボランティアを行ったときに取得したポイントを換金できるような、そんな仕組みも、例えば稲城市とか世田谷区とか横浜市とかでやっているというような例も聞いていますので、自治体でそういう工夫をされること自体はあるかというふうに思います。

 ただ、さっきもちょっと申し上げたように、支え合う仕組みになっている中で、例えば元気な方にメリットがあるようにすると、では介護が必要な方にもっと御負担をいただくのかとか、そうしたこともあるのかなと思いますので、そしてあわせて、制度をどうやって成り立たせるかということをちゃんと考えた上で、元気な御高齢の方へのメリットのあり方というのは考えていけばいいかなというふうに思っております。

鴨下委員 余り制度についてディスカウントして考えないで、むしろ、積極的にそういう人たちをみんなでたたえるというようなことが、トータルでの、マクロでの負担を減らしていくというふうに私は思っている。

 だから、そういうようなことは、ぜひ、皆さん、今政府の中で中心的に頑張っていらっしゃるんだから、そういうことも同時進行で、将来のじゃなくて、同時進行で、各自治体で成功事例はたくさんあります。そういうことをきちんと取り組んでいるところを勉強して、そして国の制度として大々的にそういうことをやっていくというのが、社会保障の一体改革の、私は真髄だと思っているから、ぜひそういうようなことを取り組んでいただきたいと思います。

 きょうは年金の話をまたさせてもらいたいんですけれども、まず、今の年金の現状認識についてそれぞれ伺いたいんです。

 総理、この前もお話を伺ったんだけれども、現行の制度はどういうような状況だという話で、前の鳩山総理だとか菅総理は年金はぼろぼろだというようなことを言ったという話で、私は非常に心を痛めているんです。

 それはなぜかというと、年金を支えてくださっている現役世代は約六千万人、そして受給をされている、年金を受け取っていらっしゃる人たちは四千万人、約一億人の人たちがそれぞれかかわっているんです。そういうような制度に対して、何か全面否定みたいに、年金はぼろぼろだ、もう破綻している、こういうようなことを言われちゃうと、そういう人たちは、何か自分たちがやっていることは正しくないんじゃないかというふうに思い始めているというのが、年金不安の一番根源的な問題だろうというふうに私は思っている。

 だから、今の現行制度が本当にぼろぼろなのかどうかということについては、総理大臣はどういう認識を持っているかというのを明確に国民に伝える必要があるんだろうというふうに思っておりますので、前回も申し上げたけれども、野田総理は言っていないと思っているけれども、今の段階で、国民の皆さんは注視していますから、現行制度はぼろぼろなのか、それとも、多少いろいろなところにほころびはあるけれどもそれなりにきちんと機能しているのか、このことについて御認識を伺いたい。

野田内閣総理大臣 恐らく、ぼろぼろと発言をされたのは、当時あのころ、年金記録問題で、消えた年金が五千万件あったとか、そういうことが背景で表現をされたんだと思うんです。

 制度の根幹自体は、平成十六年の改正で、先般、副総理もマクロ経済スライドについては一定の評価をされました。あるいは、国庫負担を三分の一から二分の一に引き上げるなど、年金制度の持続可能性を懸命にこれまでも御努力をされながら追求されてきたということは、私は率直に認めなければいけないというふうに思いますが、先ほども議論の中で、人口構成の激変の話がございました。そういうものにきちっとこれから対応していかなければいけないということ、特にまた雇用の環境ですよね、非正規の方がふえてきていることとか、国民年金の問題をめぐる無年金や低年金の問題、いろいろと解決しなければならない課題はたくさんあるということは、これは共通認識だと思います。

 それを、この間も演繹か帰納法かというお話をしましたけれども、将来の抜本改革から描きながら今進めていくのか、現行制度の改善というやり方の中で最善の努力をしていくのかという手法の違いはあると思いますけれども、問題解決しなければいけないテーマについては共通認識があるのではないでしょうか。

鴨下委員 なかなか妥当な御見解をお話しになられた。

 それで、私も、やはり足らざるところ、あるいは修正すべきところはたくさんあると思うし、そういうようなことについて言えば、さっき長妻さんが質問していましたけれども、あの長妻さんが、年金の五千万件の消えた記録だとか何かの話で、それが私たちが政権を失った大きな理由の一つなんだろうというふうに思って、深く反省もし、なおかつ自戒をして、そしてそれを正さなければいけない、こういうふうには思っております。ただ、今まで約一億人がかかわっている制度、毎年五十兆の給付がある制度、これが全面否定するということの根拠ではないというふうに思っているんです。

 現実に記録は回復しつつあるし、それから、さまざまな問題については、皆さんも今度の大綱の中で「現行制度の改善」というところでいろいろとお書きになっている。こういうことをきちんとやっていけば、私はまだまだ先は希望があるというふうに思っているので、そこのところの根本的な見解がもし共有できるのだとすれば、この議論は非常に実りがあると思っているんです。

 ですから、さっき岡田大臣は、どなたかの質問の中で、現行制度は五年ごとに料率が上がっていくからよくないとか、それから厚生年金で、終身雇用ではなくなっていろいろと仕事をかわる、会社がなくなる、こういうようなことがあるから対応がしづらいとか、それから国民年金で、自営業者よりパート、アルバイトの方がふえたからなかなかうまくいかない、この三点をお話しになって現行制度はだめだという話をなさったけれども、これは十分に修正可能なんじゃないですか、現行制度の改善で。

岡田国務大臣 それを議論したいわけですね。

 つまり、現行制度でどこまで手当てができるのか、あるいは、そうではなくてやはり制度を基本的に変えざるを得ないのか、その両案についてきちんと冷静に議論すべきであるというふうに思っています。

 この前、委員といい議論ができたと私は思っておりますが、最後に、抜本改革の旗をおろせと言われて大変がっかりしたんです。やはり、どちらが絶対だめだということではなくて、それぞれについて胸襟を開いて議論していくことが重要ではないか。

 あの二〇〇五年の衆参を通じた年金等社会保障協議会、あの場でも、もちろん、我々も現行制度について厳しく言い過ぎた、そこは反省です。ただ、当時の与党の皆さんは、共済年金と厚生年金を一元化すればそれで十分、抜本改革などとんでもないと。お互いそういうふうに言い合っていたのでは議論になりませんので、今回はぜひ、お互い少し反省しつつ、我々も大変反省をしているわけですが、国民の立場に立った冷静な議論が必要ではないかというふうに思っております。

鴨下委員 旗をおろせというのでどうしてがっかりするのか私はよくわからないけれども、お互いに胸襟を開いて議論するということについてはまことに結構だと思います。

 少しお時間をいただいていますので、具体的な話でありますが、小宮山大臣、まず年金の今の全体的な、かかわっている方々がどのくらいいるかということについて、少し御開陳いただけると大変ありがたいんです。

 例えば、国民年金の加入者はどのくらいいるのか、あるいは厚生年金がどのくらいおいでになるのか、それから、いわゆる主婦の三号被保険者と言われている方々がどのくらいいるのか、こういうようなことを、全体像をみんなに共有していただくために説明してください。

小宮山国務大臣 今、第一号の被保険者は千九百三十八万人、そして二号が三千八百八十四万人、三号が千五万人になっています。

 先ほどのことで、ちょっと一言だけ言わせていただいてよろしいですか。

 本当にきょうもいい議論をさせていただいていると、私も感謝を申し上げます。

 そうした中で、今民主党の考えている新しい年金制度も、いろいろと足りない点もあります。そういう意味で、両方をあわせて基本的な考え方をぜひ御議論いただきたいと思いますが、私どもが、今のままでは、そんなに大ごとの四十年かけて新しい制度に何でするのかと言われる中で、一番大きいのは、やはりこれから入る若い方たち、この皆さんたちが信頼して入れる公平な制度とは一体何だろうということがあります。

 そのもとになりますのは、一つ、今、国民年金がこれで本当にもつのだろうかと。特に若い方たちは、自分が非正規であったり、いろいろなことからして強く感じていらっしゃるところが、今、国民年金の納付率が五九%、大体六割なんですが、特に若い方、二十代の方、二十代前半は四九%、半数以上が払っていない。二十代後半でも四六%が納付。

 こういう中で、やはり国民年金の持っている問題、穴を、今の改善でもたせられるのかどうか、そうしたところが、低年金、無年金への対応とあわせて私どもが考えていることだということも、私どもというか民主党が考えてきたことだということもあわせて御理解をいただいて、一緒に議論ができればと思っております。

鴨下委員 今の現行制度の根本的な、皆さんが批判されたことの一番の理由はそこなんですね。非正規、パート、こういうような方々がふえてきて、結果的に、一万五千円を超える国民年金保険料を払い切れない、そういうような方々がふえてきている。だからといって、では、厚生年金に今加入されている人たち、こういう人たちまで全員巻き込むような話とは違うんじゃないかというのが私の考えです。

 そして、例えば今、一号被保険者、要するに国民年金に加入している人が、約二千万人弱の人たちがいて、非正規の人たち、パート、アルバイトの人たち、合わせて約六割だとお話しになって、その人たちが滞納だとか未納だとかの人たちが多い。こういうようなことを改善するというのがこの素案に書かれている部分なんじゃないんですか、現行の制度で問題があるところはそこだから。

 この議論はもうちょっと後でするけれども、もう一回、今の話は少し踏み込んで聞きますけれども、そういうことを是正するために、今の素案の中で年金の改善というようなことをおっしゃっているんでしょう。

岡田国務大臣 委員、ですから申し上げますが、もう一つ根本的な問題、先ほどの小宮山大臣の、若い世代がということに関連するんですが、それはやはり、この人口構成の変化の中で、もらえる年金の額が払った保険料に比べて減らざるを得ないという問題ですね。積立方式であれば、平均余命を生きれば払った保険料が返ってくるということでありますが、今年金を受け取っておられる方はかなり多くの年金を受け取れる、しかし、人口構成の変化によってそれが変わってくる。それを調整するためのマクロ経済スライドだということでありますが、それは時間をかけてそれを補正していくということであって、もし直ちに今積立方式だったらもっともらえるはずだと例えば今二十の人がそう考えても、それはそれで一つの正当なる思いだと私は思うんです。

 ですから、そこのところの調整を、しかし、そうはいっても、積立方式に……(鴨下委員「国民の皆さんに納得できるように」と呼ぶ)いやいや、ですから、積立方式にいきなりするわけにはいかないわけですから……(鴨下委員「積立方式なんてできないと言っていたじゃない」と呼ぶ)ええ、できないわけですから、調整する方法としてのマクロ経済スライド、それをどういうスピード感でやっていくか、こういうことになるんだろうと私は思っています。

鴨下委員 岡田さん、それはよくないよ、そういうのは。私たちは今ここで真面目に議論しているんだから、すりかえの議論だとか何かしちゃいけないんですよ。

 そして、そういうことをきちんと協議して、私は正直に、それなりに反省すべきこともあるし、まとめないといけないと思っているからこういう話をしているのに、いきなり何ですか、積み立ての議論をして。あなただって前のときに、それは過去債務があるからできないと言っていたじゃないですか。それなのに、何でそういう議論をするんですか。今、そうやって、真面目な議論をしているときにすりかえちゃだめだよ。

 小宮山大臣に聞きます。

中井委員長 いろいろな議論の仕方はあると思いますが、議員が議論の筋立てで閣僚に問いをしているわけですから、それに沿って答弁をする、これをお願いします。

小宮山国務大臣 委員がおっしゃるように、今回の素案の中には、いろいろ改善しなければいけない点、低所得者の問題ですとか短時間のところへ社会保険を拡大するとか、いろいろなことを盛り込んでおります。これは、自公政権のときにも改善が必要だとおっしゃったことを盛り込ませていただいています。

 ただ、先ほどのところへ立ち返って、若い人たちにとって本当に信頼し得る公平な制度にするにはどうしたらいいかということと、これも先ほど長妻議員のときにも議論になりましたが、国民年金がやはりいろいろなところの議論しなきゃいけないポイントだと思っております。

 そこの中で、自営業者が主だったのが、先ほど長妻委員は働いている人が二六%と言われたんですが、これは臨時、パートで、常用雇用を入れますと、働いている人が四割、そして自営が三割、無職が三割、こういうふうに変わってきた中で、その改善を重ねていくことだけで本当に根本的な修正ができるのだろうか、そこのところもぜひ一緒に議論をさせていただきたいというふうに思います。

鴨下委員 未納、未加入の問題について、私は、今の現行制度の修正で十分に穴は埋められるというふうに思っています。

 それはいろいろな工夫があって、今、厚労省の中で低年金対策だとかなんかをやるという話で、例えば、所得の高い年金受給者の年金を削って、そして低年金の方に充てる、これはいわば無年金、低年金対策。それからあと、未納、未加入対策も幾つかやっているでしょう。

 それについて、もし今お答えになれるようだったら、例えば厚生年金の加入促進だとか、それから追納だとか、こういうようなことも国民の皆さんにわかりやすく、例えば、今までは払っていなくて年金受給権を取れなかった人たちに、二十五年、やっと二十年払ったけれども、あと五年、そこで途絶えてしまったという人が五年間払えば年金受給権を取れるというようなこと、いろいろな議論も我々はしましたよね。それから、それでも二十五年はちょっとハードルが高いから十年に受給権を引き下げましょう、こういうような議論もしましたよね。

 ですから、そういうようなことで、今のパート、アルバイトの人たちが、もし今苦しくて一万五千円が払えないという方のためにどういうような手だてを打とうかという話というのは、それ以外にも、例えば免除期間を認めようとか、もっと極端に言うと、御本人が申請しなくても一時期は強制的に免除をする、こういうようなことまで、差し出がましいけれども、やってもいいかもわからない、こういう議論もしましたよね。

 ですから、さまざまなそういう議論の中で、今の未納者というのが三百二十一万人。これは私たちが調べた話で、平成十九年のデータなんで、本当は、政権がかわってからもう一回ぐらいきちんと最近のデータを調べてもらいたいなと思うけれども、そこはあえてきょうは申しません。

 そして、そういう中で、今話をしたようなことについて一つ一つ少し詳しく、どういう工夫をすれば、このパート、アルバイトの約三百万人の未納、未加入の人たちが年金の中に入っていただけるのか、あるいは、払えない人に対してどういう措置をしたら、そういう人たちも将来的に年金が受け取れるようになるのか、こういう議論を今までしましたから、それについて、小宮山大臣、おわかりの範囲で結構ですから、少し語っていただきたいと思います。

小宮山国務大臣 先にその数字ですけれども、平成二十二年の数字というのがございまして、これは未納者が三百二十一万人、未加入者が九万人でございます。

 ただ、この未納者というのが、保険料納付者というのが千六十五万人いまして、免除者が三百四十八万人、そして、学生とか猶予者が二百四万人いますので、未納者というものの割合が、以前に議員が全体の中の五%ぐらいというお話がありましたけれども、この国民年金第一号の中で、本来納めなければいけなかった人のどれぐらいが納めていないのかといいますと、これは国民年金の中では二五%近く納めていないということがあるので、ここをどう解決するかというのが一つ問題だと思っています。

 お尋ねの件でございますが、今おっしゃったように、それは前の政権のときからいろいろ努力をされてきたこと、それから、この政権になってやったことも加えまして、多くの方がちゃんと入りやすくするようにということは幾つか工夫をしております。

 その中の一つ、年金確保支援法、これが成立をいたしまして、三年間の時限措置ですけれども、過去十年間にさかのぼって保険料を納められるようにしています。このことは、やはり無年金者を救済するためには非常に役立ちますし、自公政権で取り組んでいらした方向とも一致をするものだというふうに考えています。

 昨年八月に年金確保支援法は成立をいたしましたけれども、国会審議の過程で、モラルハザードが起きるのではないか、そうした御意見にも配慮して、三年間の時限という形にさせていただきましたので、年金制度では当然四十年払っていただくことが義務ですけれども、その意義とともに十分にその周知を図って、こうした改善策にもしっかり取り組んでいきたいというふうに考えています。

鴨下委員 今、モラルハザードの話がありましたけれども、私も、無年金、低年金の方、あるいは未納、未加入の方を救済していくというのは非常に結構なことだし、やるべき話だと思いますけれども、これを徹底してやると、年金を払わなくても年金がもらえるというような、そういうような機運になってくると、年金制度全体が崩れてしまうということがあるので、努力して、頑張って払っていらっしゃる方にはきちんとそれなりにということを、我々はしっかりとそこのところは守っていかなければいけないんだろう、こういうふうに思っているんですね。

 ですから、十年追納するといったって、もう年金がもらえる年になって、ああ、自分は年金がもらえないけれども、それを払えばいいやというふうになっちゃったら、今の賦課方式そのものも崩れるかもわからないし、真面目に一生懸命払っている人たちも、六十五歳まで生きるかどうかというのは誰もわからない、だから、六十五歳まで生きたら保険料を払えば年金はもらえるじゃないかみたいな、こんな話になったら年金制度というのはもたないわけです。

 ですから、そういう意味でいうと、モラルハザードというのは、努力している人が報われないようなやり方はできるだけしちゃいけない、しかし、困っている人は助けなければいけない、こういう難しい中で年金制度というのは考えなければいけないわけですよね。

 私は、小宮山大臣がおっしゃっているように、この約一億人がかかわっている制度の中で一番の問題は、やはり国民年金のパート、アルバイトを含めた低所得の方々、若い人たち、こういう人たちの問題だろうというふうに思っています。それ以外のところは、まあいろいろとおっしゃる人もいるかもわからないけれども、厚生年金だって、ある意味で自己完結しているわけです。

 ですから、厚生年金に何が問題があるかという話について、岡田大臣は先ほど、職業がかわっていくから問題だというふうにおっしゃっていたけれども、職業がかわっていっても厚生年金に入り続ければ、そこのつなぎのところの部分について各事業所がきちんとその人の厚生年金の加入を継続していけば、そんなに問題ないわけです。

 ただ、前回の年金の問題のときに、未納三兄弟だとか、こういう話のときは、例えばサラリーマンの方が自営業になったときに、国民年金を払い忘れちゃったとか、申請し損なっちゃったとか、こういうようなことというのは制度的になかったんですよね。厚生年金から外れたら、自分で申請しないと国民年金にならないから。だから、そこのところのつなぎは、そういう反省の上に立ってきちんとつなげば、職業がかわったって、きちんと継続はできるわけであります。

 そういうことも踏まえて、今の厚生年金の不都合というのはどこにありますか。

小宮山国務大臣 委員がおっしゃるとおりだというふうに思いますが、ただ、今、ポータビリティーというか、職業がかわったときに持ち運びやすいかというと、そこが仕組み方の問題でもあると思いますけれども、そこに問題があるということを先ほど副総理はおっしゃったのかと思います。

 現行の厚生年金制度は、平成十六年の改正のときに、皆様方が中心になって、マクロ経済スライドを入れて、百年間安心できるようにというふうにされた。そういう意味では、決してぼろぼろとかいうことではなくて、続く制度にはなっていると思っています。

 ただ、このときに、現在のようにずっとデフレが続くということを想定していなかったもので、インフレが来たときにはかかるようにしてありますが、デフレ下で働かない仕組みになっているというところが今これは問題かと思いますので、これは問題意識をおっしゃっていらっしゃる方も御党にもいらっしゃいますから、ここはどういうふうに改善していくかということは知恵を集めてやらせていただきたいと思っていますし、また、特例水準ということで、下がったときに下げなかった分が今残っていますので、それは三年かけてやりたいというふうに思っております。

鴨下委員 厚生年金の問題点はどこぞにありますかという話を聞いているのです。

 私の基本的な認識は、厚生年金は自己完結していると思っているんです。納める人たちは給料から天引きされるわけだし、それから、入っている事業主は必ずその年金保険料を払わないといけないし、労使折半だし、給与所得の捕捉はできるわけだから。だから、厚生年金をもらっている人、あるいは厚生年金の保険料を納めている人、こういうような意味では、厚生年金のこの世界の中では、さほど大きな問題というのは起こっていないというふうに私は思っているんですよ。

 だけれども、皆さんは、そこのところにも何らかの大きな構造的な問題があって、だから、今言っているような未納、未加入の若い人たち、こういう人たちも含めてトータルの所得比例年金にした方がいいんじゃないか、最低保障年金にした方がいいんじゃないかと言っているんだけれども、厚生年金そのものに大きな問題というのは何かあるんですか、岡田副総理。

岡田国務大臣 先ほどの話を一言だけ。

 先ほどの話は、我々の制度ならいいと言っているわけではないんです。同じような問題があるという前提で申し上げたことは申し上げておきたいと思います。

 それで、私は、厚生年金そのものの問題というのも、確かに三号被保険者とか、そういう問題はあると思います。それから今の、三十時間を二十時間という話が議論されているところ、そういった、つまり、どこまで加入の範囲をという議論は残る。

 それからもう一つは、やはり、国民年金、厚生年金と行ったり来たりする人生で、たまたま厚生年金だとかなりの給付額で、これは当然保険料も高いわけですが、事業主負担もあるわけですが、国民年金だと非常に少ない。同じ人間でありながら、行ったり来たりする中でそういうことが起こるというのは、やはりいろいろな意味で、仕事も、個人事業主であったりパートであったり正規社員であったり、いろいろな働き方がある中で、額がそれだけ変わってくるというのは果たしていいのかな、そういうふうには思っております。

鴨下委員 私たちも三号被保険者の問題は、副総理お話しになったように、いわゆる主婦の方々の保険についてはどういうふうにやったら一番いいのか、これはこういうような議論の中であってしかるべきだというふうに思っています。

 ただ、それを二分二乗のように、二つにすぱんと分けて、そして夫婦の所得は全部二人で半分半分、こういう保険料の設定が本当にいいのかどうかということについては、私たちと皆さんとの間ではもしかすると少し意見が違うかもわからない。例えば扶養控除だとか配偶者控除だとか、こういうものを言っている私たちの立場と皆さんの立場は違うのかもわからないから、ここはきちんと議論すればいいと思うし、きっと解決できると思います。それは、当事者である多くの三号被保険者の皆さんの意見も聞かないといけない、そういうことだろうと思います。

 それで、岡田さん、今、そういう主婦の方々あるいはパート、アルバイトの方々に厚生年金に入ってもらう、こういうような話については、これはこの前の議論にもあったように、例えば四十時間分の二十時間働いたら厚生年金に加入していただく、こういうようなことについてもいろいろな議論があります。

 でも、そういうふうにした方が、その方々の将来の年金をそれなりに保障するという意味においてはいいんじゃないかというのは、政治的な、我々みんなの共通認識になりつつあるんだけれども、小宮山大臣、そのことについて、もう一度、例えばパート、アルバイトの二十時間の方々に厚生年金に加入促進していただくというようなことについて、今、政府の中、あるいは制度がどういうふうに進捗しているのかということについて説明をいただけますか。

小宮山国務大臣 現在は、短時間の労働者の三十時間以上が加入するようになっていますけれども、そうすると、やはりそこに入れない方たちが国民年金の方にいるということになります。

 これから、これは言うまでもなく、少子高齢社会の中で、女性たちがきちんと能力を発揮して働ける、そういう社会をつくっていくためにも、やはり非正規で働いている人が、女性の場合は五三%が非正規で働いていますので、そういうところにも、しっかりと労働条件、労働環境を整えるという意味でも必要だと思っております。

 現在、週二十時間、それで月収が八十万のところで切ると大体どれぐらいになるかとか、月収と合わせ……(発言する者あり)月収じゃないです、年収です、ごめんなさい、失礼しました。週二十時間、年収幾らになるとどれぐらいの人が入るかということで、今、全体、対象になる方たちが学生さんも含めて三百七十万人ぐらいいらっしゃるんですけれども、それを一度にやると、もちろん今のような景気の中で、特に中小企業の皆さんは負担が大きくなるということで、例えば、大企業から、年収幾らぐらいにするとどれぐらいの方たちに入っていただけるかというような試算を今しているところでございます。

 そうしたことを厚労省の方の部会でも検討をし、党の方でも検討していただいて、今、何とかそこを、段階的にですけれども、入っていただくような形で検討を進めているということでございます。

鴨下委員 それは、一番最初の動機は、未納、未加入の人たちを少しでも少なくしよう、こういうようなことが厚生年金の加入促進ということになったんですよね。

 そうすると、それですらも利害調整というのはすごく難しい。例えば、パートで働いている方々だって、三十時間働いていたのに、今度はもしかすると二十時間しか働けなくなっちゃう人も出てくるかもわからない。

 それは小宮山大臣、表面的な正義とは別に、本音の世界というのが経済の中にあって、雇う側もそうですし、それから雇われる方々もそうですけれども、いろいろな論理で動くわけだから、そういうことを、あらゆることをわかった上で、これがいいというようなことで結論を出してもらいたいと思うので、利害関係者みんなによく意見を聞いてくださいよ。そして、最終的に、ここらあたりがちょうどいいというようなところを見出していただきたいと思います。

 私も、できるだけ厚生年金に入っていただける人をふやしていくというのは、最終的には未納、未加入の方を減らすということにはなるわけだからいいと思うけれども、ただ、それにはいろいろな経済的な、さまざまなほかの要因があるということを忘れないでいただきたい、こういうふうに思います。

 今度は、今の大綱、社会保障と税の一体改革大綱に書かれている「現行制度の改善」ということについてテーマを移します。

 今は、今実際に走っている現行制度について、どんな問題点があるかという話をしていたわけでありますけれども、これからは、皆さんがこの素案の中に書いている、現行制度の問題点を抽出して、それの改善をしようということでいろいろなことを書かれています。今、既に議論してきたこともかなりかぶっていますけれども、こういうような中で、私は、現行制度を持続可能にするためにどうしたらいいか、不合理性を改善するためにどうしたらいいか、こういうようなことについて議論するのはとても建設的だというふうに思っていますので、そういう議論に移ります。

 そういう中で、具体的に、例えば、現行制度の改善点として一番重要なことというのは、小宮山大臣はどこが一番重要なことだと思っていますか、この大綱に書かれていることで。

小宮山国務大臣 一番というのも難しいですが、大事な点の一つは、低年金の方たちのところを手当てをして増額をすることかと思います。

鴨下委員 だからそれは、最低保障機能をより充実していこうという話ですね。

 その財源については二つあるんだろうと思うけれども、一つは、年金を受給されていても高額な所得のある人、そこから国庫負担二分の一分を低年金の方々に振り向けようという話ですね。それからもう一つは、それじゃ足らないから、残りの部分については、社会保障の機能強化という意味において、これから消費税を上げる、その財源を充てよう。こういうような理解でいいですか。

小宮山国務大臣 そういう形です。

 ただ、国庫が入っている基礎年金二分の一から、非常に高所得者の方からは提供していただこうということなんですが、この対象になられる方は大体〇・九%、一%弱の方だというふうに考えています。

鴨下委員 出てくる財源は大体どのくらいになりますか。

小宮山国務大臣 六百五十億です。

鴨下委員 そうすると、その六百五十億プラス消費税増税分のどのくらいを入れて、最低保障機能というのを実現しようとしているんですか。

小宮山国務大臣 その機能を充実する一%分、二・七兆円のうち、年金の今の仕組みを改善するために〇・六兆円ぐらいというふうに考えております。

 ただ、これが、低所得者への対応が主ではありますが、全てがそれということではないかと思います。(鴨下委員「追納だとか何かのもあるんだよね」と呼ぶ)全体を合わせて〇・六兆円でございます。

鴨下委員 そうすると、そういうようなことでいうと、最低保障機能を充実させるため、例えば低年金でいうと、二万円、三万円しか年金を受け取っていらっしゃらない方がかさ上げされるわけですよね。そういうようなことの該当する人たちというのはどのくらいいらっしゃいますか。

 低年金の人、無年金の人というのは大体何人おいでになるかというのはわかりますよね。私のところにあるのには、平成十九年のときには、六十五歳以上のいわゆる無年金の方は四十二万人ぐらいおいでになるという話なんだけれども、そういう人たちにどのくらいのかさ上げをするんですか。それとも、無年金の人たちは対象外なんですか。

小宮山国務大臣 無年金者は今おっしゃった四十二万人ぐらいですけれども、そのほかに、低年金の方を合わせて大体五百万人ぐらいを対象にしたいというふうに考えています。

鴨下委員 五百万人の方に年金を少し積み増ししてさしあげるということなんですね。

 そうすると、それで大体、私は、現行制度の中で、場合によると、年金の中で財源を移動するんじゃなくて、外から消費税分の幾つかを入れてやるというのは福祉的な積み増しというようなことだと、一つの議論としては十分に理解できるんです。ですから、そういうようなことの制度設計をやって早く提案をしていただきたいと思いますし、そういうようなことをやれば、最低保障年金という新たな制度をつくらなくても解決するんじゃないですか。

小宮山国務大臣 この制度設計につきましては、間もなくというか来月には出させていただくように今準備をしたいと思いますので、出しました際には御議論をいただければと思っています。

 ただ、そういう制度改革をしていけば本当にこれから若い人たちにとって信頼のできる公平な制度になるかどうかということは、話が戻りますけれども、基本的にどういうふうにこれから先の年金を組み立てていくかは、またこれは党派を超えて御議論をいただければいいというふうに思っています。

鴨下委員 大臣は年金の責任者なんだから、そうやって逃げちゃだめですよ。

 あなたが、年金はこういうようなことを修正していけば大丈夫ですというふうにきちんと自信を持っておっしゃれば、そうすれば若い人たちだって、ああ、そうかなというふうに思うんです。きょうの議論だって、そういう議論ですよ。

 具体的に、今、現行制度の足らざるところを、相当な金額を入れて、しかも、低年金、無年金の人、あるいは未納、未加入の部分、こういうようなところについて是正しようという話を、すごい精力を傾けて、消費税を五%さらに上げようというようなことの前提の中でやっているわけです。だから、現行制度の修正をきちんとやれば、今の制度というのは持続可能なんです。

 例えば、では、前回のときも議論になりましたけれども、人口構造が変わるからという話だけれども、今皆さんがおっしゃっているいわゆる民主党案の最低保障年金だって、報酬比例部分については、同じように、人口構造の変化には現行制度と同じ圧力を受けるわけですよね。

 ですから、それについては、マクロ経済スライドという話を皆さんの制度の中にも入れようという話だけれども、現行制度のマクロ経済スライドがきちんと機能すれば、それは現行制度を守り続けられるということに私はなると思っているんだけれども、国民の皆さんはマクロ経済スライドと聞いただけで、はてなマークが三つぐらいついちゃうから、現行制度におけるマクロ経済スライドというのはどういうものなのかということを、きちんとわかりやすく説明していただけますか。

小宮山国務大臣 今、マクロ経済スライドは御説明をいたしますが、その前に、私ども政権与党としては、修正はもちろん、経過措置としてかかりますので、してまいりますけれども、今の制度を修正していっただけでは間に合わないというか、そうではない考え方をとっているので、この大綱の中に新しい年金制度のことも出させていただいているというところでございます。

 それで、マクロ経済スライドを説明させていただきますが、これは、平成十六年の改正のときに、年金保険料の上限を設ける、平成二十九年度以降の保険料水準を、厚生年金、労使折半で一八・三%、国民年金は平成十六年度価格で一万六千九百円という上限を設け、そして、積立金を計画的に取り崩してこれを給付に利用する、税制抜本改革によって安定財源を確保した上で基礎年金国庫負担割合を二分の一に引き上げるという改正を行って、年金財政の収入を固定した上で、その範囲内で給付の伸びを自動的に抑える仕組みとしてマクロ経済スライドが導入されました。

 ただ、人口構造からいって、長期的には大体二割ぐらい年金額はカットされていくような計算になっていると思っています。

 この適用期間中は、本来のスライド率から、年金を支える力、被保険者が減少する分、それから寿命が伸びて給付がふえる分、これを引いて年金額の上限を抑制する、こういう形にして、給付の下限として年金代替率で五〇%を確保する、こうした制度にされたというふうに思います。

 ですから、これからの人口の見通し、それから経済の状況、そして賃金の状況などを勘案して、ずっともつような形で計算をする、そういうことでございます。

鴨下委員 単純に言えば、年金の今の制度が維持できるように、年金制度がもつように、給付は現行の給付額を下回らない程度に抑制をしていくというのがマクロ経済スライドなんですよ。

 それは何が目的かというと、現行制度がもつようにということで、皆さん、物すごく反対したわけですよ、十六年改正のとき。それで、我々、厚生労働委員会の理事をやっていたけれども、すごいピケを張られて、肋骨が折れそうになった。そういう抵抗の中でマクロ経済スライドというのは入っていったわけですけれども、それは現行制度を維持するために。

 年金制度って単純なんですよ。保険料を納めてくれている人、それから受給を受けている人、そして国民の皆さんからあまねくいただいている税金、こういうもので成り立っているわけで、維持するためにはみんながそれぞれ一両損にならないといけないということで、三者一両損の制度になっていて、その中で、受給者の一両損の部分にマクロ経済スライドが入ったわけですね。

 ですから、それは、皆さんの改革案の制度の中にもマクロ経済スライドを入れるというような前提のようだけれども、岡田大臣、それでよろしいですか。もし民主党案がこれから日の目を見る暁になったときには、マクロ経済スライドは入るんですか。

岡田国務大臣 今委員が言われたような、正確な意味でのマクロ経済スライドを入れるということは、特にまだ決めておりません。

 ただ、考え方としては、やはり何らかの調整機能がなければ持続可能ではないということでございます。それをどういうタイミングでどういうふうに調整していくかということは、これはマクロ経済スライドも含めて、私は各党間で協議できることではないかと思っております。

鴨下委員 だから、マクロ経済スライドについては、現行制度には入って、これが決定的にきくんですよ、持続可能という意味においては。だけれども、それは受給者の金額を抑えることになるから、受給者にとってはつらいことだけれども、現役世代が減る、あるいは人口構造が変わる、こういう中で、辛うじてこの制度をこれからずっと続けていくためには極めて重要なシステムなんです。そのシステムをきちんと入れたというようなことについては、これはもっと認識を深めていただかないと。

 そういうことが入っているから、現行制度でも、これはつらいですよ。例えば、岡田さんがおっしゃっていたように、もしかすると、所得代替率だって、標準家庭で五〇%、それから最高の厚生年金の料率が一八・三%、この中でいわば制度を維持するというのは本当にすれすれの話なんです。場合によると、これからより予測不能な事態が起こったときには、所得代替率の考え方も五年ごとの年金の検証で変えていかないといけなくなるかもわからないけれども、そういうことはできるだけ死守しよう、守ろう、しかし、少しずつ年金が上がっていくのを、上がっていくのを少し抑制する、こういうような考え方であります。

 だから、皆さんがおっしゃっているように、現行制度はもう破綻するとか破綻したとか、こういうようなことというのは、マクロ経済スライドがきちんと機能すれば私は持続可能だというふうに思っているんです。

 それと同じようなものを今、岡田副総理も話されたけれども、何らかのそういう調整機能を入れていかなけりゃいけない、まさにマクロ経済スライドじゃないですか。そういうようなことを入れて維持しようというんだったら、別に、現行制度を修正していってきちんとしたものにするというのは、お互いに協力していけば、利害関係者は、四千万人の受給者と六千万人の保険を納めてくださっている人、それから三百万人ぐらいの未納、未加入の人たちの救済、それからパート、アルバイトの人たちの、一万五千円が払えない人たちをどういうふうに考えるか。こういうようなことを共通認識にすれば、いろいろと解決策があるだろうというふうに私は思っているんですけれども、いかがでございましょうか、岡田副総理。

岡田国務大臣 ここはちょっと言い方を気をつけないといけないところなんですが、先ほど言いましたように、何らかの調整機能がなければ持続可能ではありませんので、我々が今考えている制度でもそういったものは必要だということでございます。

 ただ、そういったものを世代間で、やはりどのぐらいその厳しさというものを負担していくかという問題は残ると思うんですね。ですから、どういうスピードで調整していくか。それは、スピードが速ければ抵抗は大きいです。特に、現役世代、今受けておられる方々にとって大変なことになりますから。しかし、スピードを緩めれば、後にその負担がより残ってくるということになりかねません。

 そういうことについても、これは政治の場で、真摯に、国民に見えるところで議論していかなきゃいけないことだと思っております。

鴨下委員 結局は、マクロ経済スライド的なものは入れる必要があるという認識でいいですね。

 では、民主党案についてこれから議論しますけれども、民主党案は、この社会保障と税の一体改革の大綱で、これだけページ数があるんだけれども、たったの半ページしか書いていないんですね。最低保障年金、一元化、こういうようなことについて、半ページですよ。三ページじゃないんですよ、半分ですよ。

 そういう中で、これについて、今議論してきましたマクロ経済スライドは、少子高齢化で受給者の方々にも一両損してもらうという制度だというふうにお互い共通認識ができたわけだけれども、皆さんの言っている最低保障年金と年金一元化、これが、人口構造の変化、特に少子高齢化、総理は肩車だと言っている、我々もそれについては誰もが共通している問題意識でありますけれども、その少子高齢化に、今皆さんがやっている制度設計はきくんですか。

岡田国務大臣 先ほど申し上げましたように、この制度の、最低保障年金と所得比例の部分がありますが、所得比例の部分は、これは保険料を払っていただくわけですが、いただいた保険料で年金を払っていくわけですが、それは一対一対応にはなり得ない、そこに調整をしなければならないということだと思います。

鴨下委員 何を言っているかよくわからないんだけれども。

 私たちも、少子高齢化で現行制度をもたせるためには、例えば、所得代替率を少し、もしかするといじらなければいけないかもわからないし、それから、一八・三%は死守するけれども、でも何らかの形で少し税を入れなきゃいけないかもわからないし、マクロ経済スライドはかなり機能させないといけないかもわからない、こういうようなことなんですよ。そうすると、辛くも高齢化社会を乗り切れるんじゃないかというふうに今予測をしているし、そういう計算の上に成り立った制度だから。

 そうすると、岡田さん、もう一回聞きます。少子高齢化に、皆さんの制度は、今私が言っている現行制度と比べて、どれだけ優位性があるんですか。

岡田国務大臣 最低保障年金の方は、御案内のように、これは消費税で対応するということであります。消費税は全世代で負担しますから、そういう意味では、比較的、少子高齢化の影響は受けにくいということは言えると思います。

 所得比例の方は、これは今の制度と同じように、少子高齢化になれば入ってくる保険料は減るわけですから、何らかの調整機能を入れないときちんと払えない、こういうことになると思います。

鴨下委員 だから、余り優位性はないわけですよね。同じような問題点を抱えるわけでありますから、同じように解決しなきゃいけない。

 そして、消費税をふんだんに入れれば、それは持続可能ですけれども、消費税は、例えばプラスアルファあと七・数%入れるという話になれば、これはまた別の意味で、右のポケットから保険料を払うのか、左のポケットから消費税を払うのか。こういうようなことで、年金を維持するのに七・一%も使う話というのは、国民が納得されるかどうかという話であります。

 だから、特に皆さんがおっしゃっている制度が現行制度よりも極めてすぐれているんだったら一つありかもわからないけれども、そうでないというふうに私は思っているんだけれども、もう一度、国民の皆さんに、最低保障年金あるいは年金一元化、報酬比例年金というのが少子高齢化にこれだけ有効なんだ、そういうことを、もしおありだったら説明してください。

岡田国務大臣 まず、七・何%というのは四つあるケースの、最低保障機能を一番強くしたものでありますので、試算としてそれは計算をいたしましたが、それを採用するということは別に決めているわけではございません。最低保障機能を非常に小さくすれば、現行案でも将来的に三%ぐらい消費税は上げざるを得ないということですから、それと同程度、あるいはそれ以下でも済むケースもあるということでございます。

 我々、先ほど来お話ししておりますように、現行案で一元化するということのメリット、それから最低保障機能を充実するということのメリット、そういうメリットがあるということで抜本改革についての御提案をしているわけで、委員御指摘の、少子高齢化というものの限界をより超える、そういうプラスがあるかというと、私はそれは、必ずしもそういうことは言えないだろうというふうに思っています。

鴨下委員 現行制度も皆さんの提案している制度も、少子高齢化については同じ圧力を受けるわけですね。だから、そこの解決策としてこの新しい民主党案というのが意味があるというふうには私は思いません。

 そして、もう一つ、例えば国民年金を納めている人たちに未納、未加入が多い、こういうようなことで最低保障年金という話でありますけれども、報酬比例部分については、所得の把握がかなり厳格に行われないと生涯の所得というのはわからないわけで、年金額が決まらないわけですよね。ですから、そういう意味でいうと、税金並みに徴収をするというシステムがインフラとしてなければ、この制度は成り立たないわけです。

 そうすると、来年もしこの法案を出されるということについては、歳入庁という、年金機構と国税庁をくっつけたような、学生さん一人一人のアルバイトの一円からも所得を把握するようなシステムというのが本当にできるんですか。それで、歳入庁はいつつくるんですか。

岡田国務大臣 まず、自営業者の方々の所得の捕捉の問題ですけれども、これには限界があることは事実であります。

 ただ、今もある程度捕捉できるという前提で、例えば社会保障制度の保険料などの算定は行われているわけでありますので、これが全然できていないということではないということであります。(鴨下委員「いや、自営業は国民年金だから。定額ですから」と呼ぶ)いや、国民年金、国保もありますから。国保は所得に応じて保険料が変わりますから。

 ですから、それはやはりある程度はできているという前提で議論すべきだと思うんですね。それをより高めるために我々が考えているのがマイナンバー制度。このことによって、より捕捉が可能になるというふうに考えているところでございます。

鴨下委員 国民年金の定額の保険料というのは、かなりいろいろな意味で人間社会の本音をきちんとわかった上で制度設計されているんです。一万五千円が高いかどうかというのは別ですけれども、定額で払って、そしてそれなりの年金を受ける。あるいは、四十年払えば満額だけれども、二十五年払えばそれなりの年金がもらえる。この二十五年から四十年の間の幅と、それから、収入は幾らあっても一万五千円払えば年金がもらえる、こういうようなことを、ある意味で国民の皆さんの自由度を含めて制度設計されているわけです。

 それを、岡田さんおっしゃるように、学生のアルバイトの一円から所得を捕捉して、生涯年収を出してという話は、少し窮屈過ぎませんか。しかも、それを課税並みに歳入庁でやるなんて話というのは、私は、悪いけれども嫌だな。

 だから、そういうようなことで、歳入庁でそういうことをやるという話は本当に実現可能かどうかというのを、もう一度答弁ください。

岡田国務大臣 これは歳入庁の話というより、まずは番号制度の話というふうに考えております。

 そして、委員、今国民年金の話をされましたが、先ほど言いましたように、国保などは所得がちゃんと自営業者の方あるいは非正規の方についても捕捉できているということで保険料を設定しているわけでありますので、国としては、ある程度は今もできているし、やらなければいけない、こういうことだと思います。

鴨下委員 来年、この最低保障年金の法案をつくるという話だけれども、それのインフラとして、確かにマイナンバーの話と歳入庁がセットにならないといけないし、国民に納税者番号的なものをみんなに振って、それが、どこのところで働いても一五%天引きにされて、それを名寄せして結果的に生涯の所得を把握して、それで年金を給付するという制度なわけだけれども、さっき言っているように、厚生年金はもう既にある意味で自己完結してそんなに問題はない。ただ、職業がかわったときのつなぎを、これは年金機構がもっと真面目にやればよかったんだけれども、そういうような話なので、歳入庁をつくるんですかと聞いている。それは、来年の法律を出すときに同時にインフラとして出すんですかという話を聞いているんです。

岡田国務大臣 歳入庁につきましては、私のもとでチームをつくりまして、諸外国の例も見ながら、どういった制度設計があり得るのか、メリット、デメリットも含めて検討を行っているところでございます。

鴨下委員 だって、歳入庁をつくらなければこの制度は動かないんだから、同時に出すかどうかということについては、当たり前のように両方制度設計していかなかったら回らないんですよ、所得だって把握できないんだから。

 だから、二十五年に最低保障年金の法案をつくる、歳入庁をつくりますというのを、ここに二行か三行でちびっと書いてある。だけれども、それは、政府の責任でこういうどでかい年金制度を壊して新しいのをつくって、そのときに国民一人一人の所得を全て把握するために何だか恐ろしい歳入庁をつくるという話も同時にやるんですかと聞いているんです。

岡田国務大臣 基本的に、歳入庁をつくる際の議論というのは、一つは、給付つき税額控除を実現していくためには、所得の少ない方、今国税庁では把握できていない、そういうところまで含めてきちんと把握する必要があるのではないか、そういう観点から歳入庁という話が出てきているわけでございます。

 あわせて、最低保障年金ということについても、歳入庁を設けることでどういった効果が考えられるか、そういう議論を今整理しているところでございます。

鴨下委員 さっきから言っているように、国民年金は結構絶妙な制度で、強制的に払ってくださいというほどじゃないけれども、四十年払ってください、二十五年間払えたら年金の受給資格は得られますよという、多少緩やかだけれども選択肢がある制度なんですよ。だが、それを岡田さんは、いや、そういったって、低年金、無年金がいるじゃないか、未納、未加入がいるじゃないか、だから俺たちが出ていって所得を全て把握して、親心なんだから、全部そうやって所得を把握して徴収して、最後には年金を出すんだから、それの方がいいに決まっているというのは、親心かもわからないけれども、私は余計なお世話だと思うんですね。

 そのことについては二つの考え方があるから、岡田さんは、いや、そういったって無年金になったら後で後悔するんだから、だから、今から、若いうちから把握して全部所得比例年金に巻き込むんだ、こういうのも一つの考えだけれども、それは私は余計なお世話だと思っていて、国民年金の足らざるところをきちんといろいろな意味でみんなが協力して、年金の弱者あるいは加入していてなかなか払えない方、そういう人たちに手当てをしていけば、それで事足りる話なんです。それを、余り余計なお世話はしない方がいいんじゃないかななんて思うんだけれども、もう一回答えてください。

岡田国務大臣 これは、最低保障年金の制度設計にもかかわる話ですね。例えば、七万円をかなりのところまで全額出していくのか、それとも、だんだんだんだん七万円も減額していくのかということにもかかわってくる話で、そういったことも含めてしっかりとした議論が必要だと思います。

 歳入庁につきましては、私のもとにチームをつくりまして、今検討を始めたところでございます。今委員の御指摘の点も含めてしっかりと検討をして、中間的な報告をなるべく早くしたいというふうに考えております。

鴨下委員 これからも議論はしないといけないんですけれども、私は、この社会保障と税の一体改革の大綱を見ていて、ざあっと全部読んだんだけれども、びっくりしたことがある。

 これは、三十一ページに、衆議院の定数を八十削減する法案を早期に国会に提出し、成立を図る、こういうふうに書いてある。まことに結構なことなんですけれども、これは、皆さんのような閣僚が我々の身分に関することを閣議決定していいんですか。これについては越権行為も甚だしい。

 こういうようなことをこの大綱の中に書いてあるというのは、私は本当にびっくりしたんだけれども、委員長、これは内閣の越権じゃないんですか。だって、これは今議論しているんだから、みんなで。それで、自分たちで自主的に定数を減らそうとか、それから議員報酬はどうするかという議論を今しているところじゃないですか。それを政府が閣議決定するなんて信じられないですよ。どうしてこういうことをやるんですか。

岡田国務大臣 委員の御指摘もごもっともなところがございます。

 そういったことを踏まえて、考えて、実は、この一体改革の閣議決定、表紙のところをごらんいただきますと、そこに「社会保障・税一体改革大綱に盛り込まれた具体的な施策については、政府・与党それぞれが、連携・協力しつつ、その実現に取り組む。」というふうに書かせていただいたところでございます。

鴨下委員 これは、我々の身分についての話を閣議で決めて、閣議決定というのは政府が決める話でしょう。それをやるというのは、これは越権そのものでありますよ。我々はもっといい案が出るかもわからないけれども、政府が何で閣議決定で我々の身分を縛るんですか。委員長、これについては委員長はどう思います、これについて。委員長は院の人間だから。

中井委員長 野田総理の答弁を聞きます。

野田内閣総理大臣 基本的には、「政治改革・行政改革を期す。」ということの中で具体的な項目で書いてありますが、その中で、先ほど副総理からも御答弁がありましたけれども、この冒頭の、閣議決定をした表紙のところが、先ほどお話があったとおり、「社会保障・税一体改革大綱に盛り込まれた具体的な施策については、政府・与党それぞれが、連携・協力しつつ、その実現に取り組む。」という形で、与党と連携をしながら実現を図っていくという意味で御理解いただきたいと思います。

鴨下委員 それは、どんな閣議決定だって与党と政府が協力するのは当たり前だけれども、閣議決定にこういうことが書いてあるということは削除してくださいよ。大綱に書くというのは、これは越権行為ですよ。そして、こういうようなことを、今、だって既に議員立法でやるという話を、いろいろと議論している話じゃないですか。そういうようなことを今政府が、何のアリバイづくりだか知らないけれども、閣議で決めるというのは、私は、よこしまだというふうに思うよ。

 それで、これは委員長、民主党の二〇〇九年の九月の十八日、政権交代したばかりのときに、選挙、国会等、議員の政治活動に係る、すぐれて政治的な問題については、党で論議し、役員会において決定する、その決定に当たっては、必要に応じて常任幹事会あるいは議員総会で広く意見を交換し行う、したがって、それに係る法律案の提出は、党の責任で議員提案として行う、こういうことを書いてあるんですよ、民主党の取り決めの中で。当時の小沢幹事長だ。

 だから、そういうような意味においては、私は、この社会保障の大綱の中に議員定数八十人減らすという話を閣議決定するというのは、これは相当変だと思いますよ。だから、これについては、我々院の方の自主性に任せてくださいよ。政府が閣議決定する話じゃありませんよ。

岡田国務大臣 定数の話は、これは院でお決めいただくことでございます。そういうこともあって、ここで「政府・与党それぞれが、連携・協力しつつ、その実現に取り組む。」と書いたわけで、まさしく定数削減の話は、政府・与党の中で、特に与党が中心になってやられる話である、そういうふうに考えているところでございます。

鴨下委員 これは院の自主性の問題だから、もっといい案が出るかもわからないから、閣議決定の話を、これは削除してくださいよ。この一行だけ、大綱の中から削除すべきです。それが最終的にはこの議論がきちんとできるという、そういう意味で、政府はもっと謙虚であるべきだよ。

野田内閣総理大臣 まさに定数削減は、選挙制度改革や一票の格差と同時に今、与野党で真摯な協議が進んでおります。その状況を真摯に見守っていくということが基本でありますが、だから、政府・与党と連携という表現でとどめているということでございます。

鴨下委員 だから、閣議決定は僣越でしょうという話をしているんですよ。

 岡田さん、いろいろと、例えばほかのことで、議員歳費の話については、いや、自分は今は閣僚だからそのことについては口どめされていると言っているけれども、これは議員歳費よりももっとすごい話ですよ、定数を削るという話だから。それを閣僚が全員そろって、そして総理のいるところでそういうことを決めていいんですか。それはだめだという話を、ずっと議員歳費の話についてはそういうふうに言及を避けて謙虚に振る舞っていたじゃないですか。なぜ定数についてそういうことになるんですか。

中井委員長 時間が来ていますが、岡田さん、短く誠実に答えてください。

岡田国務大臣 委員、これは、ここに書かれたいろいろなことがそのまま決まるわけではないんですね。例えば、法案ですね、ここで先ほど御議論いただいた年金の改革についても、これはまさしく関係の委員会で御議論いただいて、ここに書いたことでない決まり方をしていく可能性は十分あるわけです。

 ですから、ここに書いたことがそのまま法案になるわけではなくて、しっかりと、特に定数の話は委員間で御議論いただいて、法案が通ればここに書いたことはある意味では無効になる、こういうことだと思います。

中井委員長 昼休みの理事会において、この問題について協議します。与党側は、政府と十分対応するようにお願いいたします。

    ―――――――――――――

中井委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 平成二十四年度総予算審査に関し、来る二十七日月曜日午前九時、社会保障と税について、また、同日午後一時、経済(円高・デフレ)について、それぞれ参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

中井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。

 この際、田村憲久君から関連質疑の申し出があります。鴨下君の持ち時間の範囲内でこれを許します。田村憲久君。

田村(憲)委員 自民党の田村でございます。

 この予算委員会、二度目の登場でございますので、きょうも実のある審議をさせていただければありがたいなというふうに思います。

 社会保障と税の一体改革、この大綱を閣議決定されたということでありますけれども、総理、本当に御苦労をされておられますね。

 といいますのは、まず、党内では、小沢さんや鳩山さんがこれに対して公然と反対だということを言われる。そして、出口を出ますと野党が、我々も含めてでありますけれども、社会保障と税の一体改革といいながら、社会保障の改革がどうも本格的ではないんじゃないか、だから、そもそも何のために一体改革にしているのかよくわからないなどというような疑問を持っておるものでありますから、なかなか議論がかみ合っていないというのが現実だと思います。

 「前門の虎、後門の狼」でありますが、最近は中門に亀が登場いたしまして、これがまた静かな亀ではございませんでして、優しいお顔をされているんですが大変怖い、亜紀子さんという方でございますけれども、大変ですね、これは。言われていることは、私は、至極当然のことを言われているというふうに思います。年金制度というような実現不可能なもの、こんなものがこの大綱に入っていること自体がやはり問題があるんじゃないか、こういうこともおっしゃっておられますし、景気の問題もあるんだと思うんですね。

 この大綱の中に、消費税引き上げに当たってでありますけれども、「経済状況の判断を行うとともに、経済財政状況の激変にも柔軟に対応できるような仕組みを設けることとする。 具体的には、消費税率引上げ実施前に「経済状況の好転」について、名目・実質成長率、物価動向など、種々の経済指標を確認し、経済状況等を総合的に勘案した上で、引上げの停止を含め所要の措置を講ずるものとする規定を法案に盛り込む。」こういうふうにされている。つまり、停止条項がついているわけであります。

 これは、総理、現下の経済状況ならば停止すると。今の状況、つまり今もデフレ状況ですね、今年度も消費者物価上昇率はデフレであります。こういう状況ならば停止するというふうに読んでいいんですね。

安住国務大臣 大綱に盛り込まれております状況については、経済状況の好転ということを書いておりますけれども、具体的な数字等を決めたわけではございません。ですから、さまざまな指標を勘案して、そして引き上げを留保するかどうかを決めるということになっておりますけれども、一定の指標を持っているわけではございません。

田村(憲)委員 すると、仮に現在の経済状況下と同じような状況でも消費税引き上げを実施するというふうに理解していいんですか。

安住国務大臣 仮定の話でございますけれども、今の経済状況であれば、極端に、例えばリーマン・ショックがありました直後とか東日本大震災の後とか、そうした著しい落ち込みでない状態の今の時点ということであれば、私は引き上げは可能であると思います。

田村(憲)委員 これは、経済状況の好転についてはと書いてあるんですね。好転ということは、よく転ぶと書くんですよ、よろしく転ぶんですよ。そうしたら、これは好転じゃないじゃないですか。つまり、今はデフレ状況下なんですよ。デフレを脱却して消費税を上げるんだと、よく総理はおっしゃられます。今デフレ状況であるのに、今の経済状況下でも、消費税を今と同じような状況ならば上げるというのでは、これは経済の好転についてという話じゃなくなるんじゃないですか。

安住国務大臣 デフレ、イコール不景気というふうな認識で、だからだめだということでは私はないと思います。

 九〇年代以降の、長々話すつもりはございませんけれども、二〇〇〇年に入ってからもデフレ傾向というのは続いておりますけれども、その間でも、例えば小泉構造改革の中で、不良債権の処理等が終わった後は経済は好転をしているわけでありますから、一概にデフレなら悪い、インフレならいいとか、そういうふうな単純なものではないと思います。

田村(憲)委員 そうしたら、先般の日銀の、物価、インフレの目指すところ、目途というもの、この一%というものは、これは余り意味がないという話なんでしょうか。何のために目指すんですか。

安住国務大臣 それは意味がないのではなくて、そういうふうな状況が望ましいし、そのために財政出動や金融政策等も打っていき、そして、できるだけこの予定をしている一四年、一五年については経済状況を好転させる、そういう姿勢を示しており、その目標に向かってやっているということでございます。

田村(憲)委員 ということは、一%に消費者物価上昇率が上がらなくても、消費税を上げることはあり得るというふうな認識でいいんですね。

安住国務大臣 簡単に言うと、答えはイエスでございますが、ちょっと統計だけで申し上げますと、例えば平成十三年がマイナス一・八、平成十四年はマイナス〇・七、その後、平成十五年が〇・八プラス、それから十六年が〇・二。

 つまり、一%というのは、我が国の今の経済状況の中にあっては、自民党も相当財政出動等を頑張ってやってこられました、量的緩和も含めて。しかし、それでも一%というのは大変なことだというのは、この統計からもおわかりだと思います。

 ですから、私の聞き違いかもしれませんが、一%いかなければやってはならないということではないと思います。

田村(憲)委員 そういうことを認識としてお持ちだということはわかりました。

 すると、名目経済成長率、これも一%を超えなくてもいいということでしょうか。つまり、水面下であったとしても消費税を上げるおつもりでありましょうか。

安住国務大臣 私が今、何年度、何年度と申し上げましたのは、これは自民党政権下における名目成長率を申し上げているんです。

田村(憲)委員 我々は、そのときには消費税を上げなかったわけでありまして、まあ上げられないという判断もあったんだと思います。やはり、名目経済成長率が低いときに消費税を上げればどうなるかというのは、これは私は火を見るより明らかだというふうに思っております。

 そもそも一%の、大臣はあえてインフレターゲットだというふうに言われましたけれども、この目指すところでありますが、これさえも低い。

 大臣、消費者物価指数の上方バイアスというのは御存じですか。

安住国務大臣 CPIについては十分私たちも測定をしておりますけれども、上方バイアスについては詳しくはわかりません。

田村(憲)委員 上方バイアスというのは、要は、CPIの性質上、そもそも指数が、固定基準ラスパイレス指数という指数を使っているんですね。継続して物価が下落しますと、その物品、下がっているものの下落というのが全体の中で割合が低くなっちゃうものですから、高目にCPIが出るんですね。

 それと、まだほかにもあるんですよ。代替効果バイアスというのもある。それは例えば、高いものを買っていたら、今度は当然、プライベートブランドなんかが出るとそちらの方に消費者の選好は変わります。すると、高いものは買われなくなるんですが、それで固定で品目を決めていますから、それで物価をはかりますからという話なんです。まあ、いいです。

 そういうものがあるので、実は改定期には大体低目に戻すんですね。一一年改定、どれぐらい下がったか、おわかりですか、このバイアスで。

古川国務大臣 御通告がなかったので、ちょっと今確認をさせていただきます。

田村(憲)委員 わからないならわからないでいいです。わからないからけしからぬといって、とめるつもりはありませんから。

 〇・六%あったんですよ。ということは、一%を目指すということは、実は改定期で〇・六引くと〇・四しか物価は上がっていなかったという話になるんですね。だから我々は、そもそもこの一%すら低いと言っているんです。にもかかわらず、それさえも、消費税を上げるということに関しては一切指標として選ばない。

 ただ、そうなんですかね。物価動向だとか名目、実質成長率とわざわざこの大綱の中に書いてあるから、だから私はあえて聞いているので、何か、言われていることと書かれていることが違うような気がするんですけれども。

 これは大変重要なところですからね。総理、全く指標を目標として置かないということ自体、私は問題があると思うんですが、本当にそれでいいんですかね、消費税を上げる一つの基準として。

野田内閣総理大臣 財務大臣の答弁は、一つの指標の、一つの数字で何かを決めるということではないという答弁でございまして、今御指摘のあった名目、実質の成長率であるとか物価であるとか、さまざまな経済指標がございます。そういうものを総合的に勘案するということがこの大綱に書かれていることでございます。

田村(憲)委員 だから、総合的にどれぐらいのレンジでということを示していただかないと、それは、だって、何か指標は余りよくないけれども、この指標だけはいいから私は上げたんだというのは困るんですよ。

 消費税というものは、国民の納税、つまり義務に負うところが大変大きいわけでありますから、それをこれだけ大幅に上げるという話になると、やはりある程度衆目が一致する中で、これならば消費税を上げてもいいなという基準をお示しいただかないと、経済活動をしている方々は大変心配で仕方がないんだと思うんですが、いかがですか。

野田内閣総理大臣 まず、前提としてお話ししたいんですけれども、円高、デフレ対策は全力でこれから取り組んでいくんです。この間の日銀の金融政策についても、その意味では評価できる、前進だというふうに思います。政府と日銀が連携をして、円高、デフレ対策、全力で取り組んでいくということは前提にあります。

 そこで、数字がどうなっていくか、これはいろいろあると思うんです、これから。少なくとも現状は、緩やかな回復軌道をたどっているという状況の中でいろいろリスクがあるという状況でありますけれども、きちっとシナリオどおりにいくならば、復興需要なども取り込みながら、いわゆる平成二十四年度は二%台の成長が見込めるし、その後は、新成長戦略なども含めて、民需を中心に成長を期していくという路線でいきたいと思います。

 その上で、何が起こるかわかりません。リーマン・ショックがあったり、あるいは大震災があったりしました。そういう激変があったときには停止措置を使いますが、そうでない場合はさまざまな指標を総合的に判断。総合的判断については、きちっと国民に説明できる判断でなくてはいけないというふうに思います。

田村(憲)委員 とにかく消費税が上げられる環境ぐらいまで経済をよくできなければ、これは上げられないので。それはあなた方の責任ですからね、今。内閣を背負っておられるわけでありますから。これからちゃんと我々はウオッチしていきたいというふうに思っております。

 そもそも、我々がなぜ今回こうやって皆様方に、消費税を上げる、上げるのは我々も言ってきた話ですから、決して上げちゃいけないとは言わないんですけれども、ただ、なぜあなた方に、本当にこの大綱で消費税を上げて大丈夫ですかというふうに言っているかといいますと、社会保障と税の一体改革というふうにおっしゃっておられながら、どうも社会保障のところが弱過ぎるからなんです。

 それで、社会保障が持続可能であるために一体改革をするんだというふうな、そういう認識で我々はこれを受けとめていいんでしょうか。

野田内閣総理大臣 基本的にはそうです。

 午前中の質疑にもありましたとおり、人類が経験をしたことのないような人口構成の激変等がある中で、社会保障を持続可能なものにしていく、医療、年金、介護、子育てを含めて、そういうものをしっかりと対応していこうというのが基本的な趣旨でありますし、従来の、やってきたものの安定化を図るものもあります。加えて、これからやらなければいけないもの、取り入れていくものもあります。

 そういうものを含めて、社会保障の持続可能性、場合によっては機能強化というところもあります、効率化、重点化もありますが、めり張りをきかせながらも、持続可能な社会保障というものを目指していくということでございます。

田村(憲)委員 政権をとられる前から人口構成が急激に変わってきているのもわかっていますから、本当はその前に消費税を上げなきゃならぬということには気づいていただきたかったなと。民主党政権になってから急激に少子化が進んだわけでも何でもないんですよね。逆によくなってきているんです、今は。

 だから、そう思えば、なぜあの選挙の前にそれをおっしゃらなかったのか。これが、民主党が消費税を上げるということに対して国民の皆さんが一番不信感を感じているところだと私は思いますよ。まあ、これに対しては水かけ論になるから御答弁はいただきませんが。

 ちょっとパネルをお願いします。

 となりますと、あなた方が後期高齢者医療制度を廃止すると言われて今国会にその法案を出すおつもりだということを聞いておりますが、これは保険料のシナリオなんですね、後期高齢者の。今六千百円なのが八千六百円、二〇二五年、十年ちょっと先に。改革シナリオ、これは多分あなた方が提示されているものだと思いますけれども、これだと八千七百円。つまり二千六百円ぐらい上がる。

 これをもってして、当時、長妻さんが、高齢者の保険料がどんどん上がるからこれは持続不可能だ、不公平だということで、もう廃止だ廃止だなんてことを言われた。これは政権をとられる前の話でございます。

 これに対する答えというものがまだ出ていないんですよ。今国会に法案を出されるといいますけれども、当然、制度を変えれば公費負担も変わってくるはずですよね。本来、そういうものが今回の消費税の中にカウントをされてこなきゃいけない。もっと言うと、この大綱の中にある程度入ってこなきゃいけないんだと思うんですが、そういうものがまず見受けられないんですけれども、これに対して何かお答えはありますか。

小宮山国務大臣 この大綱の中では、「高齢者医療制度改革会議のとりまとめ等を踏まえ、高齢者医療制度の見直しを行う。」としています。具体的な内容については、「関係者の理解を得た上で、平成二十四年通常国会に後期高齢者医療制度廃止に向けた見直しのための法案を提出する。」としています。

 ここでかかる金額ですけれども、高齢者医療制度改革会議の取りまとめでは、公費の所要額は、平成二十五年度で七百億円、平成二十七年度で五百億円とされていますので、一千億円単位の大きな財源を要するものではないと考えています。この取りまとめに対しましては関係者の方から本当にさまざまな意見が出されていますので、費用ですとか財源、こうしたことも含めて関係者の理解を得られるように、今検討、調整を行っている段階です。

田村(憲)委員 いや、それは当初の話であって、これから高齢化が進んでいくともっとかかってくるわけでしょう、そういう費用が。やがて一千億円も超えてくるわけですよ。本来、そういうものが今回の社会保障と税の一体改革の中で盛り込まれてこないことに、やはり我々は、本当に持続可能な社会保障制度をつくろうと思っておられるのかなと疑問を感じるんです。

 もっと問題があるのは介護保険であります。

 介護保険、実は、将来の保険料の推計を出してくれと言っているんですが、出てこないんですよ。これは、この間、加藤さんの質問のときにも岡田大臣が、これに対して、一定の仮定を置けば出してもいいというふうにおっしゃったにもかかわらず、しかも、数日以内にお願いしますねというお願いをしていたんですが、これが出てこないんです。

 幾らになるんですかね、将来の介護保険料の推計は。これは国民の皆さんは大変心配されています。

小宮山国務大臣 今回の改革では、午前中もお話ししたように、医療、介護機能の再編によりまして、医療から介護への流れを構築する、医療の保険料の伸びが抑制される一方で、介護保険料の方は伸びが高くなるという形だと思っています。

 二〇二五年の介護保険料の具体的な平均額、これは個別の制度設計の議論がどうなるかということを踏まえる必要がございますけれども、そういうことから現在は試算を行っていないところですが、保険料財源の規模は、二〇一一年度に対GDP比〇・七%、これが二〇二五年度には一・二から一・四%になる。このため、保険料の上昇は避けられないというふうに考えています。

 なお、昨年六月の一体改革の費用推計では、保険料負担の将来見通しにつきましては、個別の制度改革の議論の推移を踏まえる必要があるということから、個別の介護保険料の負担は示していないということでございます。

田村(憲)委員 それを出していただくようにお願いをいたしたいと思います。大臣、いいですね、出していただけますね。

小宮山国務大臣 今申し上げましたように、保険者ごとの負担ですとか個々人の保険料負担の将来推計、これを実際に行うためには、国保や介護保険料の低所得者支援ですとか、今取り組んでいる短時間労働者の被用者保険への適用拡大とか、介護納付金などにおける総報酬制の導入、こうしたことまで考えないといけないので、どのような改革をして制度設計をするかを今やっている最中でございますので、現時点ではお示しをすることは困難だと思います。

田村(憲)委員 いや、一定の仮定を置いて出しますと岡田大臣がおっしゃったんですよ、この間。議事録ありますよ、加藤さんの質問に対して。そうやってあなたはお答えになられたんですよ。一定の試算を置いたらそれは示せますよ、出しますとあなたがおっしゃったんですよ。

岡田国務大臣 ちょっと私は記憶しておりません。介護保険という具体的制度についてそういうふうに申し上げた記憶は今の私にはないんですが。

田村(憲)委員 いろいろな社会保険の制度に関して保険料がどうなるか、それから、いろいろな流れがどうなるかというものを示してくださいと。当然、介護保険も入っていますよ、社会保険だから。当たり前じゃないですか。それを一定の試算を置いて答えるとあなたがおっしゃったんですよ。

岡田国務大臣 私が申し上げましたのは、ですから、社会保険、税、そういったことの負担がどうなっていくかという全体の計算について、それは仮定を置けばお示しできるというふうに申し上げたので、個々の制度について具体的制度設計がこれから動き得る中で、そういったところまで私は申し上げたつもりはございません。

田村(憲)委員 結局はまた隠蔽をされる、出さない。試算して出せばいい話でありますから、一定の条件を置いて出せばいいんですよ。それを出さない。これは介護保険料が、介護に限ればですよ、余りにも上がっちゃうから出せないというふうに言っているのと同じですよ。

 事実、小宮山大臣、GDP比〇・七から一・四、ということは、単純に考えれば保険料は二〇一一年の倍になる、二〇二五年には。大体目算でいうとそんな形でいいんですか。

小宮山国務大臣 先ほど申し上げましたように、保険料の財源の規模はそこにお示しになっているとおりでございます。ただ、今、幾つか先ほど申し上げたような、どういう改革でどういう制度設計をするかをやっておりますので、個別の数字は出していないということでございます。

田村(憲)委員 まあ、そんなに大きく変わらないという話ですから、保険料は倍近く上がるという話なんですよ。すると、今四千円ちょっと、今度四月に入ると五千円を超えますけれども、これが八千円を超えていくという話になるんです。二〇二五年ですよ。十年ちょっとですよ。これは持続可能な保険制度ですか。

 大臣、どう思われますか。保険料が今から倍に上がって、それは持続可能な介護保険制度だというふうに思えますか。

小宮山国務大臣 先ほど申し上げましたように、それは一定程度は上がらざるを得ない部分はあると思います。だから、そういう意味では、低所得者の方への対応を年金を含めて全体でやるということと、医療と介護と連携を強化して、医療につきましても、今病院で非常にお金がかかっているものを在宅の方に移行をするとか、全体としてそこの負担が、特に低所得者の方には負担が大きくならないように、いろいろな制度設計をしていきたいというふうに考えています。

田村(憲)委員 医療の話をしているんじゃない、介護の話をしているんですよ。医療は在宅に行くって、下手に在宅に行ったら介護が必要になってくるから、介護はもっと費用がかかるじゃないですか。何を言っているかよくわからないんですが。

 要は何を言いたいかといいますと、介護保険の制度設計を全く変えていないんです、この間も言いましたけれども。

 我々は、例えば、公費負担は今は二分の一ですが、これに消費税から税を入れて、公費負担を五割から六割にするという方法もあるでしょう、そうやって保険料がこれ以上ふえるのを抑えるという方向もあると思います。それから、四十歳以上が今被保険者ですけれども、これを三十の方までお願いするという考え方もあると思います。そういう議論をやって初めて持続可能な介護になる。

 実は、今回そういう議論が出てこないと、社会保障と税の一体改革といったって、持続可能でも何でもないんですよ。一番問題があるのは介護なんです。後期高齢者は、一応後期高齢者という形で、各保険者から、みんなで支え合おうという制度をつくりましたよ。年金はこの後話をしますけれども、年金も、先ほどうちの鴨下委員が言っておりましたとおり、マクロ経済スライドというものを入れて持続可能にしたんですよ。でも、介護はできていないんです。

 ここに踏み込まない限り、社会保障と税の一体改革だから消費税を上げさせてくださいといったって、これから最もお金がかかってくるところですからね。十年で倍にふえたんですよ。そこが全く抜けているというのは私は納得がいかない。だから、あなた方の社会保障と税の一体改革、これはやはり問題があるんじゃないか、こう言っているんですが、いかがですか。

小宮山国務大臣 今おっしゃったような、介護保険の負担を二十からしたらどうかということは、前の政権のときからもいろいろ御議論があったかと思います。

 ただ、二十ぐらいの方たちは、まだ自分たちが介護まで遠いからなかなか実感がないとかいろいろな御議論もあって、今はそういう形になっていないということで、おっしゃるように、持続可能な介護にするためには、その負担のあり方等、そうしたことも含めて全体の議論は必要だと思います。

田村(憲)委員 それが示されていないのに、何でこういう話になるのか。

 障害福祉もそうですよ。総合福祉法というものをあなた方は今国会で出すと言われた、自立支援法を廃止して。当然、中身は変わりますよ。それから、所得保障という話も出てくるんでしょう。つまり、障害者の年金の引き上げですよね。そういうものをどうやって入れるのか。

 そういう議論がここに入っていて初めて社会保障と税の一体改革だと言うべきなんですよ。今、持続可能にも何にもなっていない。ただ単に、今までやってきたことの穴を埋めただけですよ。これで何で一体改革だと言われるのか。

 我々は、政権を失う前に、この介護の問題は特に大事だというので、どうしようかと実は真剣に議論をしていたんです。政権をかえられちゃいましたので、政権がひっくり返ったので、これで我々は今国会にその法案を出すことはできていませんけれども、そこを本来あなた方は政権をとってやらなきゃいけないのに、それができずに、消費税だけ上げさせてくださいと言っているところにやはり国民の皆さんが不信感を感じているんじゃないのかなと私は思います。

 医療の方もいろいろな考え方はありますので、我々は医療の方もまた提案をしていきたいと思います。

 医療は医療の方で、やはり後期高齢者医療制度に対して、我々は、今五割公費負担ですけれども、これを引き上げるという方法は一つあるよねと。これは税でありますけれども、そこに消費税という考え方はありますよね、こういうことを我々は参議院のマニフェスト、公約にも言ってきたわけでありますから、そういう提案をしっかり、きょうは開かれた場での社会保障の議論ができておりますので、ぜひとも皆様方も酌んでいただきながら提案をいただきたいなというふうに思います。

 年金の問題なんですが、例の民主党の年金案というもの、これが二十五年度の国会に出てくるという話をお聞きしておりますが、これはどうしても財源の話と離しては議論できないんですね。

 岡田大臣、二十五年度に出されるこの新しい年金案、このときにその財源の根拠も法案として出されるという認識でいいんでしょうか。

岡田国務大臣 年金の抜本改革案につきましては、現時点で、来年度出すということで大綱でまとめさせていただいております。

 具体的中身は、まず党の方で御議論いただくということになっております。

田村(憲)委員 不誠実ですね。党でやるということは、でき上がったものは議員立法で出されるんですね。閣法で出さないんですね。党でお決めになられるということは、議員立法で出される。

 普通は、党と政府が一体となって物をつくるんです。しかも、こういう場合には、必ず社会保障審議会年金部会にかけて、そこで十分な議論をして、その上で閣法として出すんですが、党で制度設計してつくるから我々は知らないという話ならば、こんな国民の権利義務を決めるような話を議員立法で出されるということだと承らせていただきましたが、それでいいんですか。

岡田国務大臣 私が申し上げたのは、今、党の方で御議論いただいているということでございます。そういうものを踏まえて、当然、政府、党の中でしっかりとしたものをつくり上げていくということになると思います。

 法形式をどうするかということは今決まっておりません。

田村(憲)委員 いやいや、普通は党と政府で考えるんでしょう。それはもう党に任せてある、丸投げだから、私たちは知らないよなんという無責任な話でいいんですか。こういうような年金制度というのは制度設計から精緻につくっていかないと、途中で変えられないんですよ。だから、初めから党と政府が入って協力してつくるというのが私は普通だというふうに思います。

 では、あえてお聞きします。いろいろな話が今出ておりますけれども、今度出てくる民主党の年金制度というのは、四十年ぐらいかけて移行するというんですけれども、どういうようなプロセスを踏んで移行していくんですか。例えば、保険料はいつから発生するのか。法律が通った後、いつごろから新年金制度の保険料が発生して、新年金制度の給付はいつから始まるのか。これを具体的に教えてください。

岡田国務大臣 まず、いろいろな制度を議論するときに、党と政府、どういう関係で議論していくかというのは、これは一概には決まっていない。自民党でも同じだと思います。ですから、この年金制度も、まず党の方でチームがスタートして具体的な肉づけ作業が始まりましたので、まずはそれを待って、どこかの段階で、政府、党、一体となって議論していかなきゃいけない、そういう場面が来ることは当然でありますが、現時点では党の中で議論している。自民党さんでも、そういうやり方は普通にあることだと私は思っております。

 それから、新しい制度がスタートいたしますと、その制度がスタートしたときから新しい制度に基づく保険料の支払いが生じる、こういうことでございます。

田村(憲)委員 もともと、党と政府は一体だというのがあなた方の考え方だったんじゃないですか、鳩山内閣のときに。そうでしょう。だから、いろいろな工夫をして、政務官が、部門会長か、まあ部会長ですよね、これを兼ねようなんという発想も初めあったわけじゃないですか。もともと党と政府は一体だというスタートをしたその民主党が、何か総理大臣が三人目になっちゃったら、党は党、政府は政府、まず党でつくってきてください、つくってきたものを政府で後から見させていただきます、そういう話になるんですか。本当に無責任だな。

 いいですか、もう二十五年度の国会に出るんですよ。その間には、政府といったって、さっきも言いました社会保障審議会なんかにかけて、そこでもまなきゃいけないんです。勝手に政治家同士が全て決めるという話じゃないんですよ。今の時点でまだ、担当の岡田大臣がさっぱり中身もわからない。移管方法もわからない。それでは、これは本当にちゃんとしたものになって出てくるんですか。

岡田国務大臣 党と政府は一体ということですが、だからこそ我々は、まず党で基本的な御議論をいただき、そしてどこかで党と政府が一体になって議論していく。そのことが何かおかしいというふうに言われるのは、私にはちょっと理解がしにくいわけであります。

田村(憲)委員 世間の人はみんなおかしいというふうに思っていると思いますが、この話ばかりしていてもなんなので話をかえますけれども、前回のときにも出しました、民主党の例の試算の案でございます。(パネルを示す)

 この4案というものが最もまともな、ただし七・一%余計に消費税が将来かかるという案でございます。しかしながら、四百万でありますから平均的な年収よりも低いという話になるんだと思いますけれども、四百万以上の方は今よりも給付が下がる、こういう話であります。

 これを見ますと、あなた方の一番消費税がかかる案ですら、平均的な所得層で見れば今よりも年金の給付が減っちゃうということが、これでわかりました。先ほど、鴨下委員の質問に対して、いや、1、2あたりならば自民党と比べて消費税はそんなにふえないよという話でありましたけれども、こんな1番や2番みたいな話ですと、みんながそれこそ損をしちゃうというような年金制度になりますから、現実的に採用不可能です。かといって、今よりも厚くしようと思うと、当然消費税をもっと入れなきゃいけないという話になりますから、これまた問題が起こる。

 こう話をさせていただきますが、これに対して、どなたでもいいですけれども、私の言っていることは合っていますか。

小宮山国務大臣 確かにおっしゃるように、今考えている新しい年金制度というのは、先ほど申し上げたように、低年金、無年金にしっかり対応するように、これから入ってくる若い人たちにどうやって公平にしたらいいかというところにウエートを置いて考えておりますので、今委員が御指摘のように、中堅所得層のところで下がるということは事実だと思います。

 だから、それはこれをどう制度設計するかによるわけですけれども、全体として、私どもの新しい年金制度も欠陥がないわけではありませんから、これも副総理もいつもおっしゃっているように、それぞれの考え方をテーブルにのせてぜひ御協議をいただきたい。その中で、それぞれの足りないところは、ここがおかしい、では、どうすればいいかという協議をしていただきたいというふうに思います。

田村(憲)委員 今やっているんです、こうやって。非常にわかりやすいと思いますけれども。

 民主党の年金制度というのは最低保障年金で支えられている部分がある。きょうも、鴨下委員の質問に対して岡田大臣が、言うなれば、将来に向かってこれは持続可能なのかどうなのか、そしてまた払った保険料に対してもらえる給付はどうなんだという議論をしたときに、最低保障年金があるから、その分のところは、まあまあ払った以上にもらえるんでしょうねというようなお話でございました。

 しかし、正直言いまして、最低保障部分というのが、この七・一%将来消費税が上がる4番ですら、見ていただいたらわかりますとおり、六百九十万で完全になくなっちゃうんですよね。二百六十万から減り出すんですよ。満額もらえないんですね、この4案ですらですよ。

 ということは、かなりの方が今よりも、掛けた保険料よりももらえる年金額が少なくなるというふうに私は思うんですが、いかがですか。

小宮山国務大臣 これは御承知で言っていらっしゃるのかもしれませんが、これは二分二乗でございますので、六百九十万というのは現在でいうとこの二倍の所得になりますので、そういうことはきちんと御理解をいただければというふうに思います。

田村(憲)委員 もっと悪いじゃないですか、そうしたら。そうしたら、もっと低所得者の人たちがもうそうなっちゃうという話じゃないですか。(小宮山国務大臣「違う違う。これの二倍だから」と呼ぶ)いや、そういう話でしょう、今の二分二乗の話だと。

岡田国務大臣 委員がつけていただいたこの資料のところにも書いてございます。二枚後ですね。「夫婦の場合は夫婦で平均した一人当たり年収や一人当たり年金額を指すものであり、したがって、夫片働き夫婦の場合には、実質的には基準となる年収を二倍にしたものと、夫の生涯平均年収とを比較することとなる。」ということでございます。

 二百六十万で最低保障年金が4の場合にも減り出すというお話でございますが、これは夫婦でいえば五百二十万ということでございます。

田村(憲)委員 だから、夫婦でいえば五百二十万でしょう。五百二十万の家庭からこれはずっと減っていくわけでしょう。五百二十万、普通ですよ、夫婦で働いておられれば、今。(小宮山国務大臣「普通になったら……」と呼ぶ)いやいや、普通以下かもわからないですね、それは今。だから、そういう意味からしますと……

中井委員長 お互い発言はここへ出てきてから発言しないと、後で速記録を見たら何のことかわからなくなりますから。

田村(憲)委員 済みません、委員長。

 はっきり言いまして、これじゃかなりの普通世帯の方々が今より目減りするということをこれは示されているんですよ。

 それで、前も私、問題意識として提起しましたけれども、きょう、岡田大臣が先ほど大変なことをおっしゃられたんです。それは何かというと、七万円という最低保障年金が将来減るかもわからない、こういうことを実は先ほど鴨下先生の質疑の中でおっしゃったんです。

 この七万円というのは現在価格というふうに書いてあるんですね。一方で、この表では五万八千円になっているんですね。この五万八千円というのは一体何なんですか。あなた方がつくった表ですよ。

岡田国務大臣 まず、先ほど鴨下委員との議論の中で私が申し上げたのは、七万円という最低保障年金が、かなりのところまでそのままもらう、そういうやり方もあるし、七万がそれ以外の年金の額によって次第に減っていく、それで最終的にはゼロになるわけですが、そういういずれの制度設計もあり得るということを申し上げたところです。(田村(憲)委員「いや、五万八千円」と呼ぶ)

小宮山国務大臣 これも午前中から議論になっていますように、新しい年金制度でも、やはり一定のマクロ経済スライドに近いものを掛けていかなければなりません。

 五万八千円というのは、これは二〇六五年の時点でこうなるということです、そういうのを掛けて。この場合は、みなし運用利回りでマクロ経済スライドに近いものを掛けた試算でございますので、そうなるとピークのときの二〇六五年にはこれが五万八千円になるということです。

田村(憲)委員 すると、七万円の最低保障年金というお約束が、二〇六五年には五万八千円になっちゃうということでいいんですか。

 私、前回、四十年後しか満額もらえる人はいないということをお聞きしました。ということは、七万円というのは、今仮に全部もらえれば、もらえる人はいないんですよ、七万円だけれども、四十年後にはこれが五万八千円近くまで落ちちゃうということを示しているということでいいんですか。

小宮山国務大臣 制度移行時が二〇一六年度だと今仮定していますけれども、そこで七万円の最低保障年金、これをみなし運用利回りでスライドしますと、二〇六五年度の名目額自体は十九万八千円になるんです。ただ、この金額を賃金上昇率で割り戻すと五万八千円となる、みなし運用利回りで割り戻すとこれは当然のことながら七万円になるということでございます。

田村(憲)委員 実質価値は五万八千円ということなんですね。しかも、先ほど来言っておりますとおり、四十年後しか満額もらえる人は生まれない、そのときの実質的な価値は六万円弱になっちゃう、それで七万円の最低保障年金を保障するとあなた方はおっしゃってきた。これは詐欺としか私は言いようがないのじゃないのかなと。

 我々は、所得代替率、これは一人当たりでいうと十七万九千円の手取りの方々でありますけれども、五〇%を守るということを約束しているんです。これは所得代替率ですから、五〇%というのは変わらないんですね。

 しかし、あなた方が約束している、唯一約束している七万円という最低保障年金は、実は五万八千円か九千円になっちゃうということでいいんですね。

小宮山国務大臣 それは、今制度設計をしておりますので、どのような率で割り戻して現在価値を表示するか、それはいろいろとその仕組み方、さまざまな方法がございますので、それを今検討しているところでございます。

田村(憲)委員 どっちにしても割り戻しをこれより割り戻さないともたないというのは先ほど岡田大臣がおっしゃられましたから、マクロ経済スライドとは言わないけれども、何らかの減額率を掛けなければ年金はやはり均衡しないんだというようなことをおっしゃっておられましたので、五万八千円かどうかはわからないけれども、しかし、減るのは確かだ、しかも、この減るのを、何とか減る金額を少なくしようと思うと今度は消費税を上げなきゃならない、こういうレトリックにはまっていくというわけでございまして、本当に大変なうそをついてきてこられたんだなということが改めてわかりました。

 それで……(岡田国務大臣「委員長、うそだと言われたら黙っているわけにいかない」と呼ぶ)じゃ、どうぞ。

岡田国務大臣 委員、やはり、こういうところの議論、テレビも入っておりますし、うそだとかだましたとか、そういう言い方はなるべく控えられた方が私はいいんだろうと思うんですね。国民もやはり深い真摯な議論を求めているというふうに思います。

 例えば、先ほど委員がおっしゃいました所得代替率五〇%、それは確かに今の、皆さんが前提として置かれている数字でございます。さっき鴨下委員も言われたように、これは守りたいけれども、しかし、それだって、絶対それが持続できるかどうかというのは、これは状況によってわからないわけです。それは鴨下委員も言われたとおりであります。

 ですから、せっかくこういう場で国民の前で年金制度を議論するわけですから、我々はなかなか意見が言えない、答える立場ですから、ぜひ深い、国民の立場に立った議論をお願いしたいと思います。

田村(憲)委員 真面目な議論をしてください。

 我々は所得代替率五〇%を守ると言っているんです。守れなくなったときには、それは守れませんでしたと言って頭を下げて改正しなきゃいけないんだと思うんですよ。

 でも、あなた方は、七万円と言っていて、もとから出てきた試算が五万八千円では、これはだましたという話でしょう。いや、七万円にしたかったけれどもできなかった、それは少子化が進んでという話になれば、そのときには、済みません、七万円と言っていましたけれども五万八千円になりましたというなら、わかりますよ。しかし、今の現状で七万円と言っていて、それが七万円じゃなくなっちゃうんですから、これはもう初めから話が全くもってそごが生じている。

 私は、これをただ単に攻撃しているだけじゃないんです。自民党の基礎年金も、同じように六万六千円と言いながら基礎年金は下がってくるんですよ、マクロ経済スライドを二〇三八年まで掛けますから。だから、そこは我々も、何らかの手当てをして、最低限の基礎年金といいますか保障部分というものはこれから考えていかなきゃいけないなという認識を持っているんです。だから、そこの意識を合わせるためにこういうような発言をさせていただいているんです。

 ただ、初めから七万と言っていて四十年後も七万じゃないのに、これを七万と言い続けるのはやはり真摯じゃないと思いますから、そこに対しては反省をしていただく必要があると思いますよ。

中井委員長 田村さん、時間が過ぎていますが、答えを求めますか、どうしますか。

田村(憲)委員 では、最後にお答えだけいただいて、終了します。

小宮山国務大臣 これは、最初にこの試算を公表するときにも申し上げましたように、調査会の幹部が頭の整理、ブレーンストーミングをするためにやったものなので、こういう形で制度設計をするということを決めたわけではございませんので、先ほどおっしゃった、問題点を協議しようという点は私どももしたいと思いますが、これがこの制度で五万八千円になると決めたわけではございません。

中井委員長 この際、野田聖子君から関連質疑の申し出があります。鴨下君の持ち時間の範囲内でこれを許します。野田聖子さん。

野田(聖)委員 自由民主党の野田聖子でございます。

 実は、予算委員会での質問は五年ぶりでございまして、しっかりお尋ねしたいと思っています。

 まず、本題に入る前に、総理にお尋ねしたいことがあります。

 実は、私はある日、初老の男性から、野田さんは国会議員なんだから、子供を産んだり育てたりすることより、天下国家を論じてくれと御注文がございました。

 そこで、ぜひ総理に、総理の思う天下国家とはどういうものか、教えてください。

野田内閣総理大臣 今議論している例えば社会保障のあり方、これはまさに国民の暮らしに直結します。それを支える財政のあり方、今を生きる世代だけではなくて、将来の世代も含めた国家戦略にかかわります。それから、当然のことながら、国内的な問題だけではなくて対外的にも、どういう外交、安全保障の基本戦略のもとでこの国はグローバルな時代に生きていくか、これも天下国家だと思います。それから、大事なことは、やはり子供をどうやって育てていくか、次の世代に何を残していくか、これも天下国家だと思います。

 いろいろな観点からの天下国家論があると思います。

野田(聖)委員 それでは、将来の日本の天下国家の、今幾つか課題があるという話がありましたけれども、野田総理にとって最重要な課題は何でしょうか。

野田内閣総理大臣 昨年の九月に野田内閣は発足をいたしました。そのときにも申し上げましたとおり、今は、何よりも震災からの復興と原発との戦いと経済再生、これは野田内閣の最重要かつ最大の課題というふうに認識をしていますし、当然、その課題はことしも大きな課題でございますので、しっかりこういうものを乗り越えていくことが一番の私のテーマであります。

 また、震災の発災以前からの大きな危機、国難というのは、今御議論いただいている社会保障と税の一体改革だというふうに理解をしています。

野田(聖)委員 私が思う天下国家というのは、目の前に横たわっている重要な問題を解決することもさることながら、よく百年の計という言葉がありますけれども、今いる国会議員は、今の政治課題にだけコミットするのではなくて、やはり五十年先、百年先の政治がどうあるべきかということを論ずるのが天下国家を論ずるということになるのではないかと思うんですけれども、その点についてどう思いますか。

野田内閣総理大臣 基本的にはそうだと思います。中長期にこの国をどうしていきたいのか、人口推計を含めて、客観的に想像される世界がありますよね。その中で、ではどういう対応、今から先見対応していくのかというものと、所与の条件だけではなくて、こういう国をつくりたいということに向けて五十年、百年取り組んでいく、そういうものもあると思います。

 でも、そういう視野を持ちながらも、当面抱えている国難が余りにも大き過ぎます。それを乗り越えて初めて五十年、百年先の話を語ることにリアリティーが出てくると思いますし、まずは直前の問題に決断をして、先送りをしないという政治を実現して初めて、五十年先、百年先を言っても信じてもらえるようになるというふうに思います。

野田(聖)委員 五十年、百年という話が出ました。実は、国会での議論でそういう中長期的な話をするわけですけれども、なかなか可視化することができないんですね。二〇五〇年の日本はどうなっている、二一〇〇年の日本はどうなっている、なかなかそういう調査もままなりませんし、資料も具体的に出てこないんです。

 ところが、自民党の私が民主党を褒めてもいかがなものかと思うんですけれども、去年のちょうど今ごろ、実は国土交通省の方で国土審議会政策部会長期展望委員会というのがございまして、当時、馬淵大臣だったと思いますが、そこで、「国土の長期展望」というすばらしい中間取りまとめというものを発表されました。それについては御存じでしょうか。

野田内閣総理大臣 済みません。民主党政権を褒めていただきまして、ありがとうございます。野田さんはいい人だと思います。

 馬淵さんがつくったのかどうかはわかりません。詳細はちょっと私は存じ上げておりません。恐縮です。

野田(聖)委員 ちょっと言い方が。馬淵大臣の折に発表された中間取りまとめという立派な冊子なんですけれども、内容について御存じでしょうか。

野田内閣総理大臣 申しわけございません。見てはいないと思います。

野田(聖)委員 残念ですね。本当にすばらしい資料集なんです。これは、長期展望委員会の方が、予断を含まず、極めて客観的なデータをもとに、今日まで、そしてこれからの日本の中長期展望、二〇五〇年の日本はどうなっているか、また二一〇〇年にはどうなっているか、そういう試算を含めた資料集なんですね。

 天下国家を論じる、そして中長期的視野を持たなければならない私たち国会議員にとってはマストなテキストであり、ここに言われていることをざっと、御存じないのであれば少し申し上げさせていただくと、二〇五〇年の日本の姿を示唆しておられるわけです。

 そこで指摘されているのは、一番にやはり人口減少の進行、そしてその次には急激な少子化、高齢化、さらには地球温暖化、この三つがこの国を滅ぼしていくだろうということを示唆されているわけですね。無為無策であれば大変なことになるということをおっしゃっているわけです。

 まさに、私たち今いる国会議員が今答えを出さなければならない宿題でありまして、正直、野田総理を初め全ての国会議員がこれは教科書として持つべきだと思っております。

 そこで、そこの第一ページを飾っているのが今提示をしたい資料なんですね。これは午前中にも民主党議員がお出しになった。御存じの方は御存じなんだと思います。日本はいろいろな問題を抱えているでしょう、だけれども、その問題のやはり一番の源流は、実は今の問題じゃなくて先の問題だという示唆だと思うんです。

 まず初めに、民主党の方でお答えになったそうですけれども、自民党の方で初めて質問させていただくので、この「日本が抱える人口減少」という、長期展望の第一ページに提示されているグラフについての御感想をいただけませんか。

野田内閣総理大臣 これだけ急激に人口がふえて、そして同じように急激に人口が減っていく、この急カーブというのは、多分人類が経験したことのない前人未踏の領域だというふうに思います。

 だからこそ、この間に生きる人たちの人生に、社会保障を含めて、まさに大きくかかわります。その制度設計を間違えないようにしないとこの激変を乗り切ることができないというふうに思いますので、まさにこれは危機感を持ってよく見ていかなければいけないというふうに思います。

野田(聖)委員 ありがとうございます。

 もっと端的に言ってしまえば、こういう未曽有の人口減少を迎えている中、今までどおりのことが通用しないということなんですね。

 ですから、今真剣に議論されている社会保障も、恐らく年金は、昭和二十八年にいろいろ検討されて昭和三十六年から動き出している、つまり、この急激な、いわば人口爆発とも言われる昭和の時代の標準モデル、むしろ模範モデルというのは、実はこれから、今私たちが立っている平成の時代では劣等生モデルになるということになるわけです。

 これまで、どうしても、いろいろな政策で滞ることがあるときは、それぞれの政党の責任になっていました。自民党が悪い、例えば安倍総理が悪い、福田総理が悪い、麻生総理が悪いという不毛の批判が続いてきて、そして満を持して、今、民主党政権になりました。

 しかしながら、鳩山さんがおやめになって、菅さんがおやめになって、今まさに野田総理がおられるわけですけれども、実のところ、本当にここはとことんの政治主導、つまり、これまでの役所の人たちが思いめぐらせているような発想では、到底、この強烈な人口減少、世界の歴史でも類を見ない、そして今もない、日本だけが抱えているこの固有の問題について、私たちは誰一人、国民に対して答えを出すことができないということなんですね。

 簡単に申し上げると、明治維新のときに三千三百三十万人の日本人の数で、それが約百年で九千万人という人口爆発が起きたわけです。つまり、この九千万人がいればこそ高度経済成長があったんだと思います。確かに、日本人が優秀だったかもしれない。そればかりじゃなくて、やはり経済のパイがどんどん消費者がふえることで大きくなったことが、内需の拡大になって、経済を安定せしめたわけです。

 これを見てしまうと、人口だけでも、百年後にはもう明治維新と同じぐらいの規模になってしまう。どんどん減っていく途中にいるわけですね。ですから、そこら辺のところをよくよく考えていただく中で、これは二〇〇四年にピークになっていますけれども、百年で九千万人減る。要するに、高度経済成長が百年で九千万人ふえたのなら、その裏目に来ているわけですから、超低ですかね、経済不調に陥ろうとしている国家に私たちは立っているわけです。

 その一番の問題点は何かなということを、もう少し冷静に、今おっしゃった目先のことも大事ですけれども、そもそものことをやはりお互いわかり合っていかなきゃだめだと。私自身は、ずっと当選以来、二十年来申し上げているのは、少子化が最大の問題点であるということを申し上げたいと思うんです。

 小宮山大臣はよく御存じでしょう、少子化の一番の問題点というのは二つあったんです。

 一つは、子供の数が減るのは目に見えないんですよ。可視化できないんです、少子化は。去年よりことし子供がどれだけ減ったかというのは、数の上ではわかるけれども、実感がないんですね。高齢化はわかります。例えば、お年寄りが体が弱まる、随分前までお元気だった人が寝たきりになってしまわれた、認知症になってしまわれたということは、ビジブルなんです、目で見えるんです。ところが、少子化、どんどん減っている子供の数については誰も見ることができない。

 だから、この国土交通省が出したグラフというのは極めて画期的で、要は、子供が減るということはどういうことかというのを歴史をたどって可視化をさせたというデータだから、私たち国会議員はやはりしっかり受けとめなきゃいけない。こんな大変なことなんだ、少子化、少子化とみんな簡単におっしゃっているけれども、実はすごいことが起きているんだということを共通認識として持っていただきたいということ。

 もう一つは、これだけの重大事案にもかかわらず、担当の役所が、ほとんど厚生労働省の、それも子育て支援に特化している。これが大きな問題じゃないかと思うんです。

 少子化というのは政策じゃないんですね、少子化対策。国の土台そのものなんです。少子化という土台の中で私たちが議論していることは、例えば福祉であり、今では社会保障であり。でも、少子化という土台がこうなっていくことで全てが崩壊していくということに立って考えていかなきゃいけないとするならば、厚生労働省だけではなく、若い人がどんどんいなくなるわけですから、若い力を必要としているのは、例えば安全保障。今、沖縄の基地の問題で大変、目の前の問題を抱えていますけれども、中長期的な日本の安全保障を考えたときに、ではどれだけ若い自衛官を確保できるかという議論はなされたことがないわけですね。

 そういうことを踏まえたときに、少子化というのがいかに、ただ単一の政策課題ではなく、総理そのものが答えを出さなければいけない問題だということにお気づきいただけると思うんです。

 ここで質問させていただきたいのは、野田総理は、この少子化を、二つの道があると思います、このまま減らしていく中で、三千万人に突入するこの国の形なりに社会保障制度等々を変えていく方針なのか、それとも、フランスのように、ほっておくとここまで来てしまうけれども、本当に総力を挙げてこの少子化に対して立ち向かっていくおつもりなのか。それすらもまだ決まっていないと思うので、ぜひ御答弁をいただきたいと思います。

野田内閣総理大臣 たしか、少子化対策という形で予算をつけ始めたのは二十年ぐらい前からだ、たしか橋本龍太郎先生が総理のころからだと思うんです。そのころやった中では、何でも少子化とつければ予算がつく。子供が川に落ちないように柵をつけることですら少子化と言っていた。お金の使い方は、気づいたけれども間違い続けてきたと思います。

 一方で、同じころ少子化対策に力を入れたのは、今御指摘のとおりフランスです。見事に出生率が戻って、今二・〇ぐらい来ているんじゃないでしょうか。日本は今、少し歯どめがかかってきました、少し。だけれども、まだ世の中の空気は、子供を産んで育てようという空気がみなぎっているとはとても思えません。依然として、やはり少子化の流れは歯どめはかかっていないと思います。

 まさに、子供を産みやすい、産んでみたいという国のために知恵を使っていくことは大事です。それは、この急カーブを少し戻すためにも大事だと思います。一方で、大きな流れとしては、この急峻な流れをなだらかにはしていかなければなりませんけれども、やはり人口減少の時代に入っていくということの現実的な対応もやっていかなければなりません。どっちかではなくて、どっちもやらなければいけないというふうに思います。

野田(聖)委員 前の選挙のときのマニフェストで、子ども手当という大変画期的な政策を掲げられました。私は、敵ながらあっぱれと。ああ、民主党というのは、これまでの自民党の政策と一番異なるところは、少子化に完全に軸足を置いてくれるんだな、これだけのお金を、子育て支援だけですけれども、いわば少子化対策にぶち込む覚悟があるんだなということで、ある意味、大変敬意を表したところなんです。

 今、野田総理のお話を聞くと、何となくそこら辺が、かつての民主党の、小宮山大臣が苦々しくうなずいておられるんですけれども、かつての自民党との比較対象としての少子化に対する取り組み、若い人たちへのすばらしいエールだったと思いますね。これからの民主党は、少子化対策を抜本的に、ドラスチックに取り組んでいくというシンボルだったんですね、あれ自体は。その中身はさておきですよ。にもかかわらず、今若干トーンダウンしているような……。

 私はぜひ、まだまだ何もなされていないようなところもあります、やはり全力でこれをやってから後、消費税を上げるとか上げないとかいう話があってもいいんじゃないかと思うんですね。それについてはどう思われますか。

岡田国務大臣 子供に対する手当、名前はまだこれから協議していかなくてはなりませんが、これはこれで私は非常に画期的なことだったと思います。ただ、どういう水準で出すかということは各党で協議しなければなりませんので、まだ残された課題はございます。それは真摯に協議していかなくてはならない。

 しかし、それだけではなくて、今回の社会保障・税一体改革の中で、子ども・子育て支援というところにかなり力を入れて、一%の中で七千億円をこのために使うということでありますので、そういう意味では、手当の部分と、そしてそういった実物といいますか、保育所や学童保育といったことを含めた両面でしっかりやっていこう、そういうポジションは変わっていないわけでございます。

野田(聖)委員 七千億円とおっしゃいましたけれども、そもそも、マニフェストで掲げた子ども手当が全額支払われるとしたら、お幾らだったはずですか。

小宮山国務大臣 五兆二千億でございます。

 一言言っていいですか。(野田(聖)委員「どうぞ」と呼ぶ)

 先ほどからありますように、子供のことにもっと力を入れなきゃということでは多分委員と同感だというふうに思っています。皆さんそう思っていらっしゃると思います。

 そうした中で、やはり子供のことをこれだけ国会で議論するようになったのは最近ではないかなと思っておりまして、まず子ども手当からやったのは、どの調査を見ても経済的負担が一番子供を持てないとおっしゃっているから、まずそこから手をつけた。ただ、それが財源の関係などで申し上げたとおりできていないのは、大変申しわけないとおわびを申し上げたいと思います。

 ただ、それだけじゃなくて、今度、幼保一体化とかあるいは働き方とか、子供を持ちたいと思い、そして生まれた子供が生き生きと育つためには、総合的に、これはもう政府を挙げて、あるいは国会を挙げてこのことは取り組まなきゃいけないというふうに思っています。

野田(聖)委員 小宮山大臣の意欲は十二分にわかっているんですけれども、野田内閣としても全力で少子化対策に取り組んでいきたいということで、恐らく今回は中川大臣が抜てきされているわけであります。今のもぜひ中川大臣にお答えいただければというふうに思うわけですけれども。

 私は、中川大臣は個人的に大変信頼しておりますし、大好きなんですけれども、ただ、今回、大臣になるに当たって、総理は中川大臣に何を求めて、最強のメンバーの一人として少子化担当を任ぜられたのか、ちょっと教えてください。

野田内閣総理大臣 中川大臣はオールマイティーの人なんですけれども、文部科学の大臣も務められ、子育ての問題について、特に少子化の問題は強い関心を持っておられました。もう一つ、防災もあわせてやっていただきますけれども、そういうものを含めて、トータルに力を発揮していただける経験と識見を持っているというふうに思っております。

野田(聖)委員 先ほどから申し上げているように、もし実現できれば五兆を超える大きなお金が、かつてない規模のお金が少子化対策の名目でこの国では動いていたはずですけれども、今は残念ながら七千億まで目減りをしてしまっている。

 と同時に、私は、金額だけの問題じゃなくて、その取り組みに疑問を感じているんですね。

 実は、皆さんが野党のときに、自民党の批判のターゲットの一つに、総理がころころかわるじゃないかということを随分おっしゃいました。ところが、民主党政権になって約三年ですが、大体ペースは一緒ぐらいで、一年に一度かわられる。それはそれなりの事情があるんでしょうけれども、私が心配しているのは、各大臣なんですね。

 中川大臣にお尋ねします。中川大臣で、民主党政権になって何人目の少子化対策担当大臣ですか。

中川国務大臣 私自身も、この任命を受けましたときに、できる限り長期的に、しっかりと腰を据えた形で政策というのはやられるべきだというふうに素直に思っております。

 その上で、できる限り、これまでそれぞれの大臣が携わってきた課題というものをしっかり継承しながら、方向性、これは大臣がかわるからといって変わるものじゃないので、そこのところを基本をしっかり踏まえてやっていきたいと思います。

 八人目だそうです。

野田(聖)委員 民主党政権になって二年と何カ月でしょう。ということは、大体一人当たり三カ月ぐらいで交代されていることになります。

 ちなみに、中川大臣、中川大臣の前任の七人の名前が思い浮かばないんですけれども、教えていただけませんか。

中川国務大臣 福島みずほ大臣、それから平野博文さん、玄葉さん、岡崎トミ子さん、与謝野さん、蓮舫さん、そして岡田さんということになります。

野田(聖)委員 では、それぞれの大臣はそれぞれの任期中にどういうことをなすったんですか。

中川国務大臣 中心になる課題というのは、子ども・子育ての新システム、これを構築することだということだったと思います。

 これは、一つは財源ですね。さっきお話が出ましたように、七千億というのを新たに確保するということでありまして、これまで、例えば保育園とか幼稚園とか、それぞれ子育てのシステムに対しては一兆五千億ほど使ってきたわけですけれども、それにプラス七千億を消費税から持ってきて、量的にふやしていくということと、質的に伸ばしていくということ。

 それともう一つ。これを使っていく人の立場に立って考えていくと、なるべく事情に応じた形で、多様性のある類型化、例えば保育園だけあるいは幼稚園だけということじゃなくて、両方の教育と保育ということを合わせたようなこども園、あるいはちょっと隣の奥さんに預ける、それを資格化して、ある程度制度化した中で保育ママという制度をつくっていく、あるいはベビーシッターという制度をつくっていく、こういう多様な部分を全部可能にするような形の一元化した財源、これを求めていく。

 こういうシステムの構築にずっと携わってきて、今回法律を出させていただくということになってきたということでありまして、これはずっとこれまでのそれぞれの大臣の中で課題として進めてきたということであります。

野田(聖)委員 私らしくなくちょっと意地悪風な質問になってしまったんですけれども、実は、ここの国会議員、誰でもわかっているんですよ、たった三カ月では仕事ができないことぐらい。ましてや兼務でしょう。その一連の流れは、多分、一定の役人がずっと携わっていて、そこに大臣が入れかわり立ちかわり来てしまう。

 だから、これまで、少子化が大事だ、やはり社会保障の崩れる原因、もとは少子化なんですよ、全ては。にもかかわらず、そして少子化担当大臣がありながら少子化担当大臣からの発信はほとんどなく、最近は専ら小宮山大臣ばかりがこの話をされておられるわけですね。

 実は、私が意地悪ではなく、先ほどのリストの中にあった蓮舫議員とこの間テレビで出演をする機会がありまして、そのときに蓮舫さんに、少子化担当大臣はどうだったと聞いたんです。そうしたら、あれは要らないと。なぜかといえば、無任所で、ほかの厚生労働大臣や財務大臣や皆さんと違って、役所はない、人もいない、そして予算もないんだ、少子化担当という看板がとても大きくて期待に応えられないんだという話をしてくれた。それは率直な意見だと思うんです。

 だから、むしろ、兼務をされるのであれば、厚労大臣が兼務されたり財務大臣が兼務された方が、よっぽどそういう財源手当ての面で苦労しなくていいわけです。それは、別に私が言いつけているわけでも何でもなく、小渕大臣から聞いたときも、やはり与党でも苦労するんですよ、そういう大臣は。

 だから、できれば、せっかく政権交代をされたんだから、抜本的に、少子化担当大臣を充て職のように誰かを大臣のポストにつけるのではなく、本格的にやっていただければな、そういう思いをしたところであります。

 そこで、少子化担当大臣のお仕事というのは、さきのマニフェストによると、私もとても期待したんですけれども、今おっしゃったように、全ての昭和の時代につくり上げたシステムが崩壊する中で、とりわけ社会保障制度をどうにか立て直していくために、横断的に、網羅的にやっていかないといけない。でも、なかなか一つの役所ではできないわけですね、厚生労働省にしたって教育のところには御法度だし、お金の面についても安住大臣にお願いしなきゃいけないしということで。それで、網羅的にできるような役所、子ども家庭省または子ども省、それをつくろうと高らかにおっしゃっていたじゃないですか。

 少子化担当大臣は、お金をどうのとかいうちまちました話ではなく、まずはそういう屋敷をつくって、少子化がこうやって散見しちゃってばらばらになっているし、これだけ重要だということをなかなか国民にも理解してもらえないとするならば、そういうところで発信することが大事だということで、マニフェストでおっしゃっていたじゃないですか。それがなぜできないか、担当大臣にまず、小宮山大臣が余り手を挙げるとやはり担当大臣は要らないのかなということになっちゃうので。

中川国務大臣 特命大臣というポストについて初めて私もわかったんですが、先ほどの、人口構成が極端に変わってくる、危機感を持って本当に対応していくということ、これはそのとおりだと思いまして、私も、そこのところが私自身に課せられた最大の課題だと思います。

 実は、少子化だけじゃなくて、男女共同参画あるいは共生社会に向けて社会構造を変えていく、その使命、そして外国人の労働者を初め、多文化共生というのをどう考えていくかということ、これは、新しい人口構造の中で全部包括的に、それぞれ連携した形で政策をつくらなきゃいけないという分野だと思うんです。そこのところを特命大臣としてあわせて使命を帯びていますので、これは一つの政策のダイナミズムにかかわっていく、あるいはまたそれがつくれるんだという思いを今改めてしております。

 少子化庁という一つの役所をつくるというのも一つの考え方ですが、もう一つ、逆に、それぞれある今の省庁をダイナミックに動かしていくというだけのリーダーシップを我々がとれれば、これはできるんだというふうに思っております。

野田(聖)委員 そこが問題なんですね。やはり、二年数カ月で八回大臣がかわったら、どうやって主導権、リーダーシップをとるか。政治主導とは何なんですか。八回も大臣をかえることが民主党の政治主導なんですか。そこをもう一回総理に聞きたい。

野田内閣総理大臣 さっき担当大臣からお話がありましたとおり、子ども・子育て新システムをつくる、これはちょっと時間がかかりましたけれども、歴代の大臣が主導して、乾坤一てきのショートリリーフを続けてきたということであります。

 もちろん、一定の期間、しっかりと自分の任期中に一つの仕事をやり遂げるということが理想でありますけれども、若干時間がかかるテーマについては、それぞれ責任を持ってバトンタッチをしてまいりました。ぜひ、中川大臣には、しばらくじっくりと仕事をしていただきたいというふうに思っております。

野田(聖)委員 思いだけでは仕事は進みません。

 私も、麻生内閣のときに、民主党の方には随分、小宮山大臣にも厳しく追及されたんですけれども、消費者庁というのをつくったんですね。なぜ消費者庁をつくらなきゃいけなかったかというと、事案がいろいろな役所にまたがっちゃって、つまり、私たち自民であれ民主であれ政治主導がとれない理由は、やはり強力な省庁の力があって、それがまた縦割りになっていて、おのれのことしか考えないような人も多くなってしまったので、問題があるよねということで、消費者庁というのは、そういう主導権争いを排除するために、その上に網かけをしようということでつくったわけです。

 同じように、先ほど野田総理がおっしゃった、昨年の大震災、一日も早く復興させるために、各省それぞれ窓口はあるけれども、それぞれが勝手にやっていたら復興に時間がかかるからということで復興庁ができ、そしてそこを通じて強大な力を発揮して、東北の大震災の復興を進めていくんだと。

 それよりもはるか前に、皆さんはマニフェストの中で、少子化は大変深刻だ、だから総合的に強力に進めていかなきゃいけないので、今までのように厚生省におんぶにだっことか、そして看板だけの少子化担当大臣ではなく、しっかりと予算も金も屋敷もある、そういう役所をつくって少子化対策に対応したいということで有権者に訴えたんじゃないですか。

 復興庁、できたじゃないですか。なぜつくれないんですか。総理に。

野田内閣総理大臣 復興庁は、これはもう与野党皆様が合意できる、まさに復興のために、ワンストップで被災地の御要望に迅速に対応するということで、一挙にできることができました。

 子ども・子育て新システムの中にも、その組織の話、どうするかということも検討の中に入っておりますので、引き続きそれは検討させていただきたいというふうに思います。

野田(聖)委員 それでは、そういう役所をつくるということをお約束していただけるんですか。

小宮山国務大臣 それは、子ども家庭省をつくるということはマニフェストにも書いてございますし、今回、子ども・子育て新システムの中にもそのように書かせていただいています。

 ただ、今のような政治状況と言ってはいけないんでしょうかね、こういう中で、今、野田委員はそういうふうに言っていただけるので、子ども家庭省をつくるということを御了解いただければ、もちろん民主党としては子ども家庭省をちゃんとつくりたいと思っています。

 ただ、今すぐにはつくれないので、今回、新システムの中で、おっしゃったように、厚労省と文科省が角突き合わせていてはだめですから、内閣府の中にとりあえず中間段階として総合的に一元的にやれる仕組みをつくり、将来は子ども家庭省をぜひつくりたいというふうに思っています。

野田(聖)委員 つくれるんですよ、つくれるんです。小宮山さん、一緒に消費者庁をつくったじゃないですか。一年ちょっとでできたでしょう。(小宮山国務大臣「超党派でつくった」と呼ぶ)当然、超党派で。これは大切なことだと、どの党もわかっていますよ。

 確かに、私は、野田総理と当選同期で二十年国会議員をやらせていただいて、少子化対策一筋でやってきたんですね。さすがに、昔の自民党の先輩たちは、当選早々の私が少子化対策をやるべきだと言うと、あなたが産みなさいみたいなことを言う人が結構おられて、愕然としたことがあったんですけれども、実は、小渕政権になって、少子化対策の関係閣僚会議というのを起こしていただきました。そこからにわかにいろいろな施策が進んでまいりまして、小泉総理からようやく少子化担当というのを明確に大臣として位置づけてきたわけです。

 私は、中川大臣に実力がないとかいうことは言いませんけれども、少なくとも、少子化対策に消極的だとか、そういうことを考えていないとマスコミにかなり批判された自民党は、それぞれの大臣にはやはりそれなりの適材適所を置いているんですね。猪口邦子さんであったり、上川陽子さん、中山恭子さん、そして、直近では小渕優子さんですね。それぞれ、これからの、私たちの次の女性たちが、働く中でしっかり子育てができるためにどうしたらいいかということで選ばれた人選ですよ。働きながら子供を育てている女性たちが大臣として選ばれて、その同じ目線で少子化対策をどんどん進めてきているわけであります。

 猪口さんから始まっていますけれども、小渕優子さんに至っては、例えば安心こども基金というものをつくったりとか、少子化というのは厚生労働省に任せている子育て支援のことじゃないんだよねと。つまり、子供が生まれる前のことまでさかのぼって検討しなければ、この国に子供は生まれない。その前のことは何かといえば、結婚するかどうか。七割ぐらいの人がもう晩婚になっちゃっているわけです。そこがやはり少子化のゆえんなんですね。

 では、その結婚するインセンティブは何かというと、男であれ女であれ、やはり生活を営んでいける裏づけですよね。つまり仕事、給料、これはどうなのか。就活。非正規がふえる中で、自分一人がやっていくのが精いっぱいな若者。そこら辺のところの位置づけがはっきりしないまま、うだうだと来てしまった。

 小渕大臣のときには、ゼロからスタートしようと。つまり、いわゆる今まで言っていた少子化というのは子育て支援のことなんだ、まだ今でもそう思っている人が国民の大方なんですけれども、そうじゃなくて、今まだ子供と出会うこともない高校生、大学生ぐらいのころからの人生を考えてあげて、就活、婚活、そして、妊娠、出産、子育てという流れを決めていこうじゃないかというのが、自民党が直前まで政権を担ったときの目標だったんですね。

 このまま政権を続かせていただいていれば、恐らくや、子ども省というのは、子ども庁でもいいですね、消費者庁と同じような流れで、つくらざるを得なかったわけですね。それは総合的にやらなくちゃいけない。

 だけれども、申しわけないけれども、民主党は、確かに子ども手当という画期的な、お年寄りばかりにお金が行っているよというイメージの中にあって、子供に行くお金というのをつくったけれども、残念ながらそれは、ゼロから、要するに就活あたりからの大きな流れの中での少子化対策ではなくて、いわゆる旧来型の子育て支援に特化しているわけです。それも続かなかった。

 さっき、七千億円にプラス幾らつくと言ったところで、その五兆円にはかなわないわけですよ。そこまでやってくれると思っていた国民を裏切っていることには間違いないんです。それはわかってほしい。

 とするならば、あの選挙のときだけの手だてだったのかと思われても仕方ないと思うんですよ。だから、せめてマニフェストで、子ども庁をつくるのにそんなにお金はかからないでしょう、そのぐらいはしっかりやって、民主党としてはそれをやろうと思いますぐらいはどうしてここで言えないのか。小宮山さんは一生懸命やりたいと言っていたじゃないですか。ぜひ。

小宮山国務大臣 一つだけ。先ほどの七千億というのは、あれは新システムの方のお金で、子ども手当は別です。だから、そういう意味で、新しく幼保一体化とか小規模の保育とか、それをやる方に七千億ということで。

 おっしゃったように、確かに子ども家庭省はぜひつくりたいと思いますので、そこは党派を超えていろいろと力も合わせて、今、この政権も、さっき総理が言われたように、復興からの再建ですとか原発の対応とかいろいろございますので、それは順次やっていきたいと思っていますから、ちゃんと新システムの中につくりますということは書かせていただいていますので、しっかりやれるように総理ともお話をしていきたいと思います。

中川国務大臣 政策というのは二通りあると思うんですね。一つの方向性を持って、目標で、こういう形に実現していきたいということと、今、財源という制約の中で芽出しをして、その方向性にシステムをつくって動かしていく、そういうプロセスと、この二つがあると思うんですよ。

 そういう意味からいって、さっきの、今度はどういう名前になるかわかりませんが、子どものための手当をシステムとしてつくって入れたということ、これを恐らく今評価をしていただいておるんだろうと思うんです。できれば、もともとあるような一人当たり二万五千円の子供の手当がなべてあれば、一つの社会のシステムとしては本当に安心感に結びついていくということだと思うんですが、しかし、芽出しはしたので、これから努力をしていくということで考えていただいて、評価をしていただければありがたいと思うんです。

 今度の新システムもそうなんですよ。新システムも、そういう意味からいえば、これは財源が前提になっていますから、どうしても消費税の中でそれを実現していくということが課題になっていまして、この消費税がうまくいかなかったらこれもなかなか実現ができないということなんです。しかし、システムとしてはつくったので、これを国民の皆さんにも御理解をいただいて、努力をして一つ一つ質を高めていくということだと思います。

 そういう意味から、子ども庁あるいは子育て庁についても、理想としてはそれがあるということがいいんだと思います。私もそのように努力をしていきたいと思いますが、当面、内閣府の、私のもとでそこに至る道筋をつくるということで新システムの中にうたってありますので、それを努力していきたいというふうに思っています。

野田(聖)委員 消費税の中から幾ばくという話がありますけれども、まだ党内で大反対をされておられる大きな固まり、集団があられるわけですから、あたかももらえるような話をここでされるのはいかがなものかと私は思いますし、先ほど申し上げたように、自民党はそれなりに適材適所の大臣を配してきたんですね。つまり、リアリティーのある、やはり女性は苦労するわけですから、今苦労しているわけですから、結果として、女性からの格付がこの国は下がっていて、この国で子供を産んでも幸せになれないんじゃないかという思いも強いわけですね。

 小池理事も御質問されたと思うんですけれども、これからの日本の未来を暗示する最強の布陣であるとするならば、もう少し、私たち女性の仲間、小宮山大臣のみならず、民主党には優秀な女性がたくさんいたはずですけれども、そういう方の活用をみずからお考えになられなかったのはなぜでしょうか。

野田内閣総理大臣 一連の御指摘、本当にすばらしい御指摘が多いと思うんです。

 少子化の対策というのは、それ以前の、例えば非正規、正規という中で、結婚しない人たちがふえてきている、非婚がどんどんと進行している、だから家庭を持たない、子供を持たないという意味で、その問題意識は我々は共有しています。だから、若者の就労対策を含めて、今回の一連の幅広い社会保障の改革の中ではそれを位置づけているんです。新しい省はつくっていませんが、御指摘の問題意識は、子育てというのは幅広いところで考えなければいけないということは全くそのとおりで、その取り組みは一生懸命やっていきたいと思います。

 その上で、今は小宮山さんしかいないじゃないか、少子化担当、女性をもっと活用したらというお話だったと思いますけれども、政務三役を含めて女性は相当数入っていると思いますし、この対策は、政府だけではなくて、与党内でも活発に議論してまいりました。そういう問題意識を持った女性議員もたくさん入っておりますので、一つの御懸念だとは思いますが、私どもがそれを全く念頭に置いていないということではないということは御理解いただきたいと思います。

野田(聖)委員 必ず政務三役というお話が出るんですけれども、やはり、大臣は副大臣より力があるし、政務官よりは力があるわけで、大臣に女性を据え置くということと、副大臣、政務官に女性を置くということは意味合いが全く違うものだと思っています。

 私は、もし仮に自民党の野田政権ができるとするならば、これからの少子化対策担当大臣は、女性ということにこだわらず、やはりゼロからのスタートということで、就活や婚活を自分のものとして考えられるような人材、例えば小泉進次郎議員、そういう人を大臣に据えて、やはり抜本的に、少子化というそのものがこの国の命運を分けるものなんだ、笑い事ではない、単に女性が子供を産めばいい、そんな次元のものではないということを、本当に自民、民主を超えてしっかりやっていただかないとこの国は不幸になっていくということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

中井委員長 一言申し上げます。

 野田さん、あなたが御出産を決心して行動されたこと、心から敬意を表します。

野田(聖)委員 ありがとうございました。

中井委員長 これにて鴨下君、田村君、野田君の質疑は終了いたしました。

 次に、石井啓一君。

石井(啓)委員 公明党の石井啓一でございます。

 きょうは、社会保障と税の集中審議でございますけれども、まず冒頭、私どもの社会保障と税の一体改革に関する考え方を申し上げておきたいと思います。

 公明党といたしましては、これからますます進行していく超高齢化社会にありましても、社会保障の制度を持続可能とするために、また、今ほころびが目立つ社会保障制度を充実させていくためには、安定的な財源が必要だというふうに思っております。そのためには、消費税を含む税制の抜本改革は必要だというふうに考えております。

 ただし、そこに至るには、やはりしっかりと国民の皆様に御理解をいただくための前提条件が必要だということでありまして、まずは、社会保障と税の一体改革に関する条件について質問をさせていただきたいと思います。

 パネルで提示させていただきました。お手元の資料の一ページ目にもございます。

 私ども、一体改革に関しまして、五つの条件があるというふうに思っております。

 一つは、社会保障改革の具体化をする。これは、従来から全体像を示せと言ってきたことでございます。これは、年金改革を含んでおります。

 また、二つ目には、景気回復を図っていくということでございます。

 そして、三つ目には、いわゆる身を切る改革を初めとしまして、行革、無駄ゼロの徹底をしていく。

 四つ目には、今度は消費税の使い道でございますけれども、これは、社会保障、子育て支援を含む社会保障に限定をしていく。

 五つ目の条件は、消費税のみならず、税制全体の改革で社会保障の財源を生み出していく。

 この五つでございます。

 これは、実は既に、民主党もよく例に引かれる平成二十一年の税制改革法の附則の第百四条、これにも同様の趣旨のことが盛り込まれておりますし、私どものマニフェストの中でも、もう既にこういった趣旨のことを、若干表現は違いますけれども、同様の趣旨のことを盛り込んでいるところでございます。

 きょうは、まず、この五条件を一つ一つ確認していきたいと思うんです。

 まず、社会保障改革の具体化、全体像を示すということでございますけれども、特に、今回の政府・民主党の素案そして大綱では、年金の将来像、年金改革案が明らかになっていない。

 これまで重ねて主張してまいりましたけれども、政府・民主党から提案がございます与野党の協議、これを私ども決して否定しておりませんけれども、その前提条件として、民主党の年金改革の具体案を早く示していただきたい、あるいは、示せないのであれば、いっそのことその年金改革案は諦めてということで、その将来像というのをきちんと議論できるようにしましょうということを主張してまいったわけでありますけれども、このたび閣議決定された大綱には、依然として、年金の改革案は、来年度、国会に提出するということで、私どもの提言あるいは主張というのは全く反映をされておりません。

 まず、民主党の年金改革案への対応はいかがされるおつもりなのか、確認をいたしたいと思います。

岡田国務大臣 我々は、この閣議決定いたしました大綱の「新しい年金制度の創設」という項目の中で、その基本的考え方をお示ししているわけでございます。

 それに基づいて、今、党でチームをつくって、より具体化作業をしておりますけれども、基本的考え方はこの大綱の中についているというふうに思っております。

石井(啓)委員 これもこれまでも指摘してきましたけれども、大綱の中に示されている基本的な考え方では十分な議論ができないんですよ。

 岡田副総理も、あるいは野田総理もおっしゃっているけれども、民主党さんの言うところの年金の一元化と最低保障年金、この姿が年金の将来像としてふさわしいのか、あるいは、私ども公明党が主張するように、現行制度をもとにしてさまざまな改革を行っていく、どちらが望ましいのかの議論をしましょう、こういうふうにおっしゃっていますよね。

 ただ、議論をしようにも、議論するためにはやはり数字がないと議論ができないんです。やはり具体的な数字、特に、国民の皆さんにとって、どれだけ税金の負担をするのか、保険料の負担をするのか、そして、その結果どれだけの年金を受けられるのか、こういうことが明らかにならなければ、比較検討しようとしてもできないじゃないですか。そういう具体的な姿を示していただきたいということなんですが、いかがですか。

岡田国務大臣 そういった比較をするときにも、どういう前提で議論するかということも極めて大事ですね。

 ですから、今、我々の案は、百年安心プランを自民党、公明党の皆さんが言われたときに、つまり今の制度のときに提案された前提で、同じ前提を使って計算をさせていただいております。ただ、少し数字が甘いという御意見もございます。ですから、どういう前提の数字を置くべきなのかということは、これは各党間できちんと議論して決める必要があるというふうに思います。

 それから、議論していく中で、例えば我々の最低保障年金ということになると、私は、生活保護の部分というのはかなりそこに置きかわっていくというふうに思います。つまり、税がどれだけ必要だといっても、今の制度と我々の制度で単純に比較できない部分もございます。ですから、そういうことについてやはりきちんとした議論をしていかないと、なかなか、どちらがいいかという結論には至らない。

 私は、我々の案がバラ色だと言うつもりは全くございません。いろいろな問題があるということですが、ぜひそういうことも含めて率直に協議をさせていただければありがたいと思っております。

石井(啓)委員 前提条件とおっしゃいましたけれども、それは年金の超長期の試算をするときの経済の前提条件、あるいは人口の前提条件ということだと思いますが、これは私は政治家が議論して決める問題だとは思っていないんですよ。

 むしろ、これは経済の専門家や、あるいは人口問題の専門家が議論をして、どれが適切なケースなのか。幾つかケースはあるかもしれません。やはりこれは専門家できちんと決めていただいて、例えば賃金の上昇率が何%になるかだとか、運用の利回りは何%になるかということを政党間で決める話じゃないと思いますよ。

 いわゆるその試算の前提条件というのは、先ほど言いましたように、やはりその道の専門家にきちんとやっていただく。その共通の前提のもとに試算をし直すということはいいと思うんですけれども、私はそれが協議の入り口ではないと思うんですよ。それが一つ。

 もう一つ、最低保障も生活保護を含めてになるかもしれない、そういう幅広い議論を私どもは決して否定するものではありません。そういうこともやはりやらなきゃいけないと思います。しかし、それをやるにしろ、今の民主党の考え方だけでは議論が開始できません。

 この前、試算を示されたので、ようやく具体的な数字が出てきたなと思いましたけれども、その試算というのはあくまでも参考のものであって、民主党として正式に決めたものではないということですから、残念ながら、それをもとに正式な議論をすることができないんですよ。

 だから、私は、少なくとも民主党として正式に位置づけた試算を早く出すべきだ、こういうふうに思いますけれども、総理、いかがですか。

岡田国務大臣 先ほど委員が言われた、前提になる数字は専門家の意見を聞いて決めていくべきだ、それはそのとおりでございます。

 ただ、専門家が数字を出したときに、それはやはり、各党間でこの数字でいいねということは確認をして、そして計算をさせるべきだと。そうでないと、同じ専門家が出してきた数字についてもいろいろな意見はあり得るわけですから、そこでやはり協議ということが必要になってくるというふうに思います。

 いずれにしても、ですから、そういう数字をまず固めた上で、時間も随分かかりますから、計算した方がいいというふうに私は考えております。

石井(啓)委員 総理、もう一度聞きますよ。

 この前出された試算というのは、あくまでも参考試算ということでしたね。これを、改めて民主党としての正式な試算として早くお出しになるべきだというふうに思いますけれども、総理、いかがですか。

野田内閣総理大臣 石井委員御指摘のとおり、この間公表しました試みの計算は、一部の調査会の役員の頭の体操に使ったというものであります。来年に新しい年金制度にかかわる法案を提出しようということでございますので、当然のことながら、きちっと試算をした上で制度設計をしていかなければなりません。

 その試算の前提になる前提条件については、なるべくこれは与野党で合意した数字を使いたい、考え方を使いたいと思いますが、その上で、そういう試算を踏まえて御議論をいただくように、この次の段階ではやっていかなければいけないと思いますけれども、ただ、これは、一体改革とは別の、年金制度そのもの、新しい年金制度の詰めの段階での議論であって、私は、これは並行してできるのではないかというふうに思っております。

石井(啓)委員 これも従来から指摘しておりますけれども、事年金制度に関しては、やはり超長期の姿を決めておいて当面の対策の議論を行う必要があるということから、まず将来の年金の姿を議論するのが先だということ、これは重ねて私どもこれまで申し上げてきたはずです。政策的にいうとそういうことなんです。

 もう一つ言うと、当面の対策、いわゆる一体改革の議論を先行してやると、将来の年金の改革の議論があやふやにされてしまう懸念があるんですよ。申しわけないけれども、失礼かもしれないけれども、それだけ民主党の年金改革への対応は不信感があるんです、私どもは。

 野党時代、もう八年以上前からやるやるといって、野党時代は、政権とったら直ちにやるというふうにおっしゃっていた。ところが、待てど暮らせど出てこない。二年半たったけれども、また一年先送りする。今回の一体改革で出してくるかと思ったらまた先送りする。この前出した参考試算というのは、去年の春にやっていたわけでしょう。春にやっていて、その試算をもっと精度を上げていけばよかったのに、そのまま何にも作業しないで、また今回新たに試算をする。一体いつになったらきちんとしたものが出てくるんですか。

 だから、この際私どもは、この年金の将来像に関する議論は決着をつけなければいけないと思っているんですよ。いつまでもあやふやにしていてはいけない。だからこそ、民主党のその試算は、早く出して、早く与野党の議論をしましょうよ。私ども議論したいんですよ。その議論ができるような民主党の試算をお出しになったらどうですか。

 総理、いかがですか。

岡田国務大臣 なるべくいろいろな数字も計算して出したいとは思いますが、それがないからこの社会保障・税一体改革についての議論がスタートしないというのは、ちょっと私は違うのではないかと受けとめております。

石井(啓)委員 堂々めぐりの議論になってしまいますけれども。

 それでは、先ほどの二つ目の問題に移ります。景気の回復、これはデフレの克服ということも含めています。

 やはり、消費税を含む税制抜本改革の前に景気を回復させること、デフレから脱却すること、これは前提条件になると私は思っています。

 そこで、今回の大綱には、経済見通しがどういうふうになっているかというと、

  平成二十四年度には、復興需要の増加が着実な成長を支え、名目二・〇%程度、実質二・二%程度の成長が見込まれ、平成二十五年度以降においては、復興需要が一段落するものの、民需主導の経済成長への移行によって経済が堅調に推移すると考えられる。

こういうふうにされまして、

 法案提出時点における総合的な判断として、経済状況は好転していくとの見通しが立てられる。

こういうふうにしているんですけれども、これは、私は相当楽観的な見通しだなと。

 確かに来年度は復興需要が出てきますよ。今年度、四次にわたって補正予算も組みましたし、それが着実に出てくるでしょう。景気も上向いてくると思いますけれども、一方で、やはり歴史的な円高あるいはデフレの影響でマイナス要因もある。今、軒並み、大手電機企業が過去最大の赤字決算をするということで、皆本当に驚いているような状況ですね。ですから、綱引きがあるんですよ、復興需要のプラスと円高のマイナスで。そういう微妙な状況。

 だから、二十五年度、復興需要が剥がれたら民需主導の着実な経済成長に乗るなんという、そんな担保はどこにもないんです。

 むしろ、ギリシャの当面の国債の元利払いはデフォルトを起こさないようですから、若干、一段落したような状況ではありますけれども、やはり、引き続きの歴史的な超円高とデフレの継続によって中小企業は苦しんでおりますし、ヨーロッパの今後の状況も目を離せない。場合によっては、リーマン・ショック級の景気悪化の懸念もあるわけでありますから、今こそ、デフレ克服、景気回復に全力を注がなければいけないと思っています。

 先ほど、日銀が物価目標を明確化しまして、デフレ克服への意思を明確にしたということは一歩前進というふうに評価しておりますけれども、金融政策だけではデフレの克服はできません。金融緩和と同時に、需要を喚起していく、創出していく、これはやはり欠かせないわけです。

 私は具体的に、この景気回復、デフレ脱却への取り組み、これを総理にお伺いしたいと思います。

古川国務大臣 委員おっしゃるように、これは一日も早くデフレ脱却をして、順調な景気回復軌道に乗せていかなければいけないということはおっしゃるとおりでございます。

 ギリシャのお話がありましたが、一方で、あの欧州で起きている政府債務危機を考えても、ああいう状況になってしまったら、経済の状況にかかわらず、増税をしたり、あるいは社会保障給付をカットしたりということをして、ますます景気を悪化させるということがありますから、ここは、総理もいつもおっしゃっておりますように、財政健全化と経済の再生、これは車の両輪としてやっていかなければいけないことだ。

 少なくとも、消費税についての引き上げをお願いするのは二年後でありますから、そういった意味では、この二年については経済再生に全力を挙げていく。

 今お話があったデフレ脱却についても、もちろん、私どもは日銀だけにやってくれというふうに言っているわけではありません。これまでも、今御指摘があった需給ギャップの縮小に向けて努力をいたしております。

 例えば、御党などからのいろいろな御提言もかなり受け入れた形で、昨年、円高への総合的対応策やあるいは第三次補正予算、またさらには、先日決めていただきました第四次補正予算、こうした中で、需給ギャップを縮小するためのそうした財政政策を打っているところであります。

 また同時に、それだけではなくて、やはりデフレ脱却のためには、我が国経済に対する民間部門の期待成長率を高めることも大変重要でございます。我が国の潜在成長率を高めて、民間部門の投資意欲を引き出していかなきゃいけない。

 ですから、復興需要が起きてくる間に、それをちゃんと民間の需要につなげていく。そのためには、一昨年まとめました新成長戦略を実現していく。同時に、それを再強化、加速させるためには日本再生戦略、こうしたものをことし策定して、その実行をしっかり行って、そうした成長力の強化もやっていく。

 そういった意味では、財政政策、金融政策両面から、一日も早いデフレ脱却、そして、経済の順調な成長に向けて努力をしてまいりたいというふうに考えております。

石井(啓)委員 野田政権では、消費税の引き上げの熱心さは伝わってくるんですけれども、景気回復に取り組むという熱心さはちっとも伝わってこない。ここが国民の皆さんにもう一つ今回の一体改革に対する支持が広がらない一つの要因じゃないかと思うんですね。

 新成長戦略も日本再生戦略も一通り読ませていただきました。確かに中身はいいことが書いてあります。だけれども、残念ながら、これは自省の念も含めて申し上げますけれども、やはり、各省が出してきた政策の総花的なホッチキスどめなんですよね。これでは、本当にこれをやることによって日本が成長していくのかなということが伝わってこない。もっと真の意味で、戦略的、重点的に取り組んでいく必要があるんじゃないかと思うんですね。

 先日、二月の三日に、私ども、総合経済対策に関する緊急提言というのを出させていただきました。

 その中には、実は防災・減災ニューディールといいまして、今回の大地震を契機に、全国各地で震災対策や防災対策の意欲が高まっています、懸念も高まっています、だからこの際、全国的に、本当に必要なそういった防災の公共事業、あるいは災害を減じる公共事業をやっていく必要があると思いますし、それからもう一つ、今回の震災を契機に、電力の構造を大きく変換していかなきゃいけないという機運も出てきていますよね。再生可能エネルギーあるいは省エネルギーを加速度的に推進していくことによって、エネルギー供給構造を大きく変えていく。こういったことに焦点を置いた対策を私ども出させていただきましたから、ぜひ参考にしていただいて、取り組んでいただきたいと思います。

 それから、一体改革に関する三つ目の条件、いわゆる身を切る改革を初めとして行革、無駄ゼロを徹底するということであります。国会議員の身を切る改革。

 政府の方は議員定数の削減に非常に熱心でありますけれども、今回、大綱に国会議員の定数八十削減ということを閣議決定されたので、午前中の鴨下委員からも、これは今立法府が、国会で与野党が議論している最中に何で政府が一方的に決めるんだ、あるいは、本来国会で議論すべきところが、何で行政府の政府の方が一方的に閣議決定してしまうんだということで問題提起をされましたね。

 実は、午前中の与野党の幹事長会談でもこれは話題になったようで、輿石幹事長の方からは、野党のそういった指摘に対しましてきちんと受けとめ、与党としても政府に対処を求めたいというふうにおっしゃったようであります。

 政府・与党としての見解を示すということになっているようですから、それは待ちたいと思っていますけれども、いずれにしろ、議員定数削減というのは、本来、私、消費税の引き上げの環境整備というよりは、民意をいかに政治に反映させるかという、制度の仕組みの一環として議論すべき問題だと思うんですね。だから、議員定数削減は必要だと思いますよ、必要だと思いますけれども、それは消費税の引き上げとの関連で議論するのは私はどうかと思うんです。むしろ、国会議員の身を切る改革といえば、全国会議員に当てはまる歳費の削減こそまず議論すべきじゃないか、こういうふうに思うわけであります。

 総理、民主党の代表として、この歳費削減に取り組むべきではないかというふうに考えますが、これはいかがでしょうか。

野田内閣総理大臣 優先順位どうのというのはなかなか難しい話でありますけれども、少なくとも、今、一票の格差、これは違憲状態ではないかという御指摘をいただいている中で、やはりこの議論はきちっと整理しなければなりません。

 あわせて、別にこの消費税との関係だけではなくて、国民の皆様は、政治そのものが身を切る努力の中の一つとして、重要な要素として、定数削減についても大変多くの関心を持っていらっしゃるというのを私は体感しています。

 ということで、一票の格差と選挙制度改革とあわせて、この定数是正、与野党で今協議が真摯に行われておりますけれども、まずここできちっと結論を出していただくという意味で、身を切る部分においては、定数削減が今議論の俎上に上っているわけでありますから、まずはここでお互いに成案をまとめるということが何よりも必要ではないかと思います。

 それから、議員歳費の問題は、この間も御党の山口代表から本会議で御提起ございましたけれども、今回、三党の実務者協議で、また、石井政調会長におかれましても合意の文書を交わしていただきましたが、国家公務員の人件費の削減で合意をいたしました。そうすると、今度は国会職員とかを含めていろいろと波及をさせていく議論になると思います。そのときに、国会議員の歳費はいいのかという議論もあると思います。そういう流れ、関連性のある中で議論することは大いに結構ではないかと思います。

石井(啓)委員 一票の格差の是正ですとか定数削減あるいは選挙制度改革、これは一体で今議論していますけれども、その議論と歳費の削減の議論というのは並行してできると私は思いますよ。どうも民主党の中では、二兎を追う者一兎をも得ずということで、どっちかを先にやらなきゃいけないような議論になっていると思いますけれども、全然性質の違う問題ですから、それは、交渉の担当者もかえて、並行して議論できる問題だと思うんですよ。

 今、総理もいみじくも御指摘されましたけれども、今度、国家公務員の給与の削減が三党で合意がまとまりまして、平成二十三年度の人事院勧告分マイナス〇・二三%を含めまして、平成二十五年度末まで二年間、時限的ではありますけれども、国家公務員の給与を平均七・八%引き下げるということが、あすの総務委員会でもかかって、本会議でもこれが可決するという見通しであります。だから、国家公務員の方の給与削減がこれから行われる、こういうときでありますから、引き続いて国会職員等も行われると思います。

 国会議員は、今年度はもう先行してやりました。国会議員については、先行して一年間で一五%相当の削減をもう既にやっておりますけれども、新年度からの国会議員の歳費というのは何にも決まっていないわけです。ですから、新年度から国家公務員の方が、二年間の時限ではありますけれども給与削減が決まる、こういうときに我々国会議員が何にも歳費に手をつけないようでは、私は、国家公務員はもちろんのこと、国民からも理解されないと思うんですよ。だから、このチャンスを生かして、私はやはり議論をちゃんとすべきだと思うんです。

 総理、いかがですか。

野田内閣総理大臣 だから私、決して二者択一とは捉えておりません。ただ、もう既に与野党協議のテーブルがあって、そこで議論をされている定数削減、石井政調会長も定数削減については賛成だとおっしゃいました。とするならば、ここの詰めを行って、まず結論を出すことに集中することが大事ではないのかという意味でございます。

 触れていただきましたけれども、国家公務員の人件費七・八%削減の関連の中で、では特別職の国会の歳費はどうするんだという議論は、これは当然あってしかるべきではないかと思います。それはまた政党間でそういう協議があってもしかるべきだとは思います。

石井(啓)委員 具体的に、昨日、私どもの山口代表が、国会職員の給与の改定の中で、特別職、衆参両院の事務総長さんとか法制局長さんとか国立国会図書館長、こういった特別職の方は、これも時限的ではありますけれども、二〇%削減になっているんですね。これを参考にしながら、我々は本来、恒久的な歳費の削減が必要だと思っていますけれども、与野党の間で恒久的なということではまだなかなか合意まで時間がかかると思いますから、その間、当面二〇%削減してはどうか、こういう提案をさせていただいていますけれども、総理、この提案はいかがでしょうか。

野田内閣総理大臣 先ほど来ずっと同じ答弁ばかりしていますが、まず今議論の俎上に上っているテーマの決着をつけるということであって、あとは、それぞれいろいろな党からの御意見などを踏まえながら対応すべきではないかと思います。

石井(啓)委員 当初、この問題、野田総理も岡田副総理もすごく積極的だったと思うんだけれども、どうも輿石さんなんかが慎重になった途端、腰が引けちゃったような感じがありまして。

 ただ、これはやはり、国家公務員の給与削減が現実のものになる、そういったことを契機にもう一度しっかりやっていこうじゃありませんか。どうですか。

岡田国務大臣 閣僚は削減をもう既にしているわけでございます。議員のことは、やはりそれは各党間で御議論いただくことが筋ではないか、そういうふうに考えておりますので、ぜひ御協議いただければというふうに思っております。

石井(啓)委員 ぜひ総理も民主党の代表としてリーダーシップを発揮していただきたいと思います。

 それから、四つ目の条件は、消費税の使い道を社会保障に限定する。これは、おおむね今回の大綱でもその趣旨になっているようでございます。

 五番目の方へ行きます。消費税のみならず税制全体の改革ということです。

 これは、これまで自公政権時代も、社会保障と税の改革ということを検討してきましたけれども、その時代には、社会保障の財源というのは、消費税は中心であるけれども、消費税だけではないんだ、そのほかの所得税や相続税等も含んで税制の抜本改革で社会保障の財源を生み出す、こういう考え方だったんですが、今回の民主党の大綱を見ますと、社会保障の財源は消費税に限定されているんですね。所得税や相続税の改革も税制抜本改革の中に入っているんだけれども、その使い道というのは明らかにされておりません。

 私は、消費税のみならずほかの税目も含めて、税制全体で社会保障の財源を生み出すべきだ、こういうふうに考えますけれども、この点、総理、いかがですか。

安住国務大臣 石井政調会長がおっしゃるところも、私、共鳴するところもございます。

 つまり、消費税の必要性というのはもう既にお訴えをさせていただいておりますけれども、そのほかにも所得税のいわば累進性を、今のような状況でいいのか、再配分機能というものをもうちょっと高めるべきではないか、また相続税等についての対応等もやって、税収というよりも税制体系全体を高齢化社会や今の社会の状況に合わせて変えていくべきだという御指摘だと思います。

 その点については今回も、消費税以外にも、最高税率は五千万円を超える方々については四〇%を四五%にしました。それから相続税関係でも、三千万円に引き下げを行ったり、そうしたことはやっておりますので、今後とも、ぜひ協議をしていただきながら、与野党協議の中でこうしたことについてさらに議論を深めていただければ大変ありがたいと思っております。

石井(啓)委員 いや、財務大臣、今回の税制の改革の中で所得税とか相続税について見直しをやっているということは理解していますけれども、その分の税収を社会保障に使わないんですかということを言っているんです。それはどうなんですか。

安住国務大臣 今回、率直に申し上げて、五%を上げても、税収そのものは四百億円程度の税収を見込むということで……(石井(啓)委員「最高税率ね」と呼ぶ)はい、最高税率を上げてですね。

 ですから、そういう点では、非常に額的には、これは再分配という意味では社会保障全体に一般財源の中で使うということは十分に我々としては考えておりますけれども、政調会長がおっしゃっているのは、もしかしたら、いわゆる目的税化をここもすべきでないかということであれば、それは考え方としては、そういう考えはとらないということでございます。

石井(啓)委員 いや、目的税にするということは言っていないんですよ。だけれども、目的税にしなくても、その使い道というのはできるじゃないですか。今までもそういうやり方はしていますよね。だから、そういう形で、やはり今回の税制改正全体は社会保障の財源なんだという位置づけをきちんとすべきじゃないかという提言なんです。

 財務大臣、いかがですか。

安住国務大臣 やはりこういう、言ってみれば非常に厳しい財政状況の中なので、いわゆる所得税や法人税の税収については、率直に、消費税とは異なって、特定の財源、使途を念頭に置いたものではございません。ですから、そういう点では、御主張はわかるんですけれども、全体の税収の厳しい状況というものもぜひ御理解いただきたいと思います。

石井(啓)委員 つけ加えて申し上げておきますけれども、今回、所得税の最高税率、従来、課税所得一千八百万円超の方が四〇%だったのを四五%。ただ、これは課税所得五千万円超。一千八百万円から五千万円まで非常に幅があるんですね。何でこんなところで最高税率を設定したのか。四百億円程度しか増収はないですよね。対象になるのは約三万人ですか。対象もごく限られていますし、増収額も限られている。最高税率を上げたというけれども、これは形だけ上げたにすぎないので、どうしてこんな形になってしまったのか。

 今、一千八百万円超が四〇%ですから、それからすると、例えば二千五百万円とか三千万円とか、そういう検討もされたようだけれども、何で五千万円超というところに行ってしまったのか、これは非常に不思議なんですけれども、どうなんですか。

安住国務大臣 確かに、私、税調会長をやっておりまして、政調会長御指摘のように、いろいろなパターンを検討したことは事実でございます。

 ただ、やはり二重に御負担をお願いするというふうな状況になるわけでありますから、そういう意味では、消費税をお願いした分、あわせて、所得税の累進税率を本当にそういう点ではもっと急カーブにしてもいいのではないかという意見もありますが、二重に御負担をお願いするという点からいうと、少々御不満かもしれませんが、まず、五千万から五%を上げさせていただいたというところでございます。

石井(啓)委員 大綱にも書いていますけれども、所得税の改正の目的である格差の是正とか、所得の再分配機能を回復する、こういう趣旨からすると、極めて中途半端な見直しだということを指摘しておきたいと思います。

 では、次のテーマに移りますが、今度、民主党が、参考ということでありますけれども、出された年金の試算、それと、それに基づきまして、大綱にも考え方が示されておりますし、民主党の年金改革案の問題点ということでまとめさせていただきました。

 お手元の資料の三ページ目でありますけれども、左側の方に試算の四案が出ておりますね。最低保障年金七万円。七万円というのは、現在価格で七万円。将来は、先ほどの田村委員の説明ですと、割り引いて五万八千円ぐらいになるということでありますが、現在価格で七万円の最低保障年金が、1の案では、三百八十万円の生涯年収の方でゼロになる。2案では、生涯年収が五百二十万円の方でゼロになる。3案では、六百九十万円の方でゼロになる。4案では、二百六十万円まで七万円を支給して、二百六十万円の年収の方から六百九十万円の年収の方にかけて逓減をして、六百九十万円で支給停止する。この四つの案が試算で示されております。

 私ども、この年金改革について、さまざまな問題点があると思いますけれども、四つ端的に申し上げておきたいと思います。

 まず第一に、最低保障年金、これは全額消費税で賄うということから、現行の基礎年金に比べると多額の消費税が必要になる。現行の基礎年金は二分の一国庫負担。それに対して最低保障年金は全額税、しかも消費税でやるということから、多額の消費税が必要になるということでございます。

 右下に最低保障年金の財源を書いていますが、基礎年金は二〇一五年では消費税で換算すると四・一%相当。二〇一六年から制度改革が始まったとして試算をしておるようですが、二〇七五年、先ほどの4案では一一・二%消費税換算で必要になるということで、四・一%との差で、七・一%消費税がさらに必要になるということでございます。

 ただ、現行の基礎年金でもやはり高齢化が進みますので、二〇七五年には六・五%必要になるということでありますから、現行でも約二・四%消費税がさらに必要になるんですが、現行の案と4案を比べますと、二〇七五年度時点でも、4案の方が、約四・七%、五%近く消費税は多く必要だという案でございます。

 1案、2案ではその差は少ないんですけれども、1案、2案というのは最低保障年金を極めて小さくしている案でありますから、私はこれは現実的な案ではないというふうに思っております。

 ということで、まず、最低保障年金に多額の消費税が必要になる、この問題点について、これは岡田大臣、どういうふうにお考えですか。

岡田国務大臣 まず、今委員が四点について、民主党の年金改革案の問題点を御指摘いただきました。(石井(啓)委員「まず、消費税が必要になる」と呼ぶ)ええ、順番に。

 それで、その前提として二〇七五年の数字の御紹介もいただいたわけですが、まずお礼申し上げておきたいと思いますが、非常に公平に、現行案の場合にも六・五%まで高まるということをおっしゃっていただいたことは評価したいというふうに思います。

 我々の案は、確かに、1案から4案までございますが、最も厚い4案では七%強のプラスの財源が必要になる、現在の試案ではそういうことになっていることは事実でございます。

石井(啓)委員 それでは、次の問題点ですけれども、二つ目の問題点。多くの方が、現行制度と比べて年金が減額になる。

 先ほどから、この試算で、年収がどれぐらいになったら減るかというのが示されておりました。4案でも、生涯年収四百万円を超えると現在より少なくなるということでありますけれども、その数字も大切ですけれども、私、この右下にあります支給範囲、このところで評価してみたいと思うんですね。

 この支給範囲が、これは民主党さんが出されている数字ですけれども、1案から4案、4案では七四・九%しか支給しない。これは、全額支給したのに比べると、4案はどれだけの支給範囲になるのか。これは額で評価していますので、必ずしも人数の割合ではないと思いますけれども、ただ、これでいうと、少なくも二五%の人は現行より少なくなってしまうということでございます。3案では約四〇%の人は少なくなる。2案では約五〇%。1案では何と、少なくとも六〇%の方が現行案より少なくなってしまう。

 ということで、多くの方が今よりもらう年金が少なくなる。これが民主党の案だということで、この問題点はいかがですか。

岡田国務大臣 後で厚労大臣に少し追加していただきたいと思いますが、これは、この表だけで議論しているとちょっと間違ってしまうところがあるんです。

 つまり、この表に出てこない無年金者、それは膨大な数の無年金者や、あるいは年金が非常に少ない方がいらっしゃる。そういう方々は生活保護とかそういうところに行っておられるかもしれません。我々の制度にすると、そういった無年金者がかなり減るだろう。そこのメリットの部分がこの表を見ているだけでは出てこないということでございます。

 ですから、加入した人の中のどれだけの人が今よりも減額になるという議論は、それは一つ成り立ち得る話ですが、それだけではなくて、今の現行案では本来年金がもらえなかった人たち、そういう人たちもこの制度には入ってきやすくなるというところもあわせ考えていくべきだと思います。

石井(啓)委員 無年金者が救われるということですけれども、三つ目の問題点を申し上げます。

 七万円の最低保障年金、これは将来七万円じゃなくて五万八千円ということもありますが、この最低保障年金を満額受給するのに制度開始から四十年かかりますね。ですから、多くの人は、最低保障年金七万円と聞いて、直ちにもらえるというふうに思った人が多かったと思いますけれども、現実には、七万円は四十年たって初めて満額もらえる。

 ということですから、現在問題になっている無年金者、低年金者対策には当面全く役立たない案じゃないでしょうか。副総理、いかがですか。

小宮山国務大臣 もう一つ、今の前のことでよろしいですか、一点だけ。

 この出していただいた表の中のパーセンテージは、全体に支給することを一〇〇とした場合の割合で、一番上は、これは私どものには書いていないので御計算いただいたと思うんですが、この割合でいくと、これは一〇〇じゃなくて五〇になる数字かというふうに思います。

 その上で、私どもがマニフェストで四十年かかるということをちゃんとはっきり申し上げなかったので、誤解された方には申しわけないと思います。ただ、それは四十年かかれば、私どもが考えたのは、これから若い方たちが入っていただいたときに、二十の方が入っていただいたら四十年後にはその方がなるということで、そこまでは今の制度と並行していきますので、そこのところは丁寧にもっと御説明をしなきゃいけないというふうに思います。

石井(啓)委員 誤解された方じゃなくて、誤解するように皆さんはアピールしていたんじゃないですか。先日のNHKの「日曜討論」でも仙谷さんは謝っていましたよ、そういうふうに。だから、誤解するように皆さんがアピールした、そのことが問題なんですよ。

 結局、やはり当面の無年金、低年金対策にならないじゃないですか。だって、制度開始四十年で七万円ですよ。二十年たってようやく半分ですよ、三万五千円なんですから。これは足元の無年金者、低年金者対策にならない、この問題点がある。

 最後に、四つ目の問題点ですが、国民年金加入者、この本人負担が、厚生年金、共済年金の場合は事業主負担がありますから、比例年金の割合は一五%だそうですけれども、厚生年金、共済年金の方は半分の七・五%で済みますが、国民年金加入者の方は、事業主負担分も含めて一五%丸々負担しなきゃいけませんね。このことによって、国民年金加入者の方の負担が非常にふえます。

 例えば、先日も御紹介がありましたけれども、年収四百万円の方が一五%の保険料を払うと、年間六十万円、月額五万円になるわけですよね。収入六百万円の方が一五%の保険料を払うと、年間九十万円、毎月七万五千円も保険料を払わなきゃいけない。今は大体一万五千円ですから、三倍にも五倍にもなるような保険料を払わなければいけない。これは、激変緩和措置を導入するとは言っていますけれども、最終的にそういう保険料を払わざるを得ない。

 この増大という意味と、それから、共済年金、厚生年金に入っていた方と比べて、倍の本人負担を出して初めて同じだけの額の年金をもらえる。この不公平感は、どうしても納得されないんじゃないかと思いますけれども、副総理、この問題点、どうですか。

岡田国務大臣 これは、一つ御指摘しなければならないのは、確かに保険料は上がる、しかし、もらう年金もふえる可能性は大なんですね。つまり、今の国民年金の額しかもらえないのではなくて、新しい制度に基づく年金の給付が行われるわけですから、保険料の負担はふえますが、もらう年金の額もふえる。

 もちろん、それは、今の厚生年金加入者に比べれば、事業主負担の部分がありませんから、その分倍になるという見方はできるかと思います。そういったことを、事業主負担に当たる部分をどういうふうにカウントするかというのもこれからの議論なんですね。

 いずれにしても、激変緩和措置を講じながら、そういった制度設計をしっかりとしてまいりたいというふうに思います。

石井(啓)委員 それは、保険料をたくさん払えば、今よりもらえるようになるでしょう。だけれども、この制度は、保険料を払わなくても今よりたくさんもらえるんですよ。七万円もらえるんでしょう、保険料を払わなくても。今は一万五千円を払わなきゃ、基礎年金満額、四十年、ようやく六万六千円ですよ。でも、これは払わなくても七万円もらえる制度。

 そういうことを考えると、国民年金加入者の方は、そんなに一五%も払うのだったら払わなくてもいいやというふうに、保険料を払う意欲を逆に損なう制度になっちゃっていますよ。モラルハザードを招くような形になっちゃっているんじゃないですか。

 だから、先ほど言いましたように、それは保険料をたくさん払えばもらえるかもしれないけれども、その保険料が倍半分という不公平感は払拭されないでしょう。そのことをどう考えるんですか。先ほど、事業主負担をどう位置づけるかということでいろいろ検討があるということですが、どういうふうに検討するんですか、そこは。

小宮山国務大臣 払わない人に払うというのではなくて、所得がない方というのはゼロということがありますが、所得に比例して所得比例年金の部分は払っていただくということになっています。

 先ほどの、国民年金の方たちと、それから厚生年金事業主との関係ですけれども、事業主が出している分も、これは会計処理上は人件費になっていますので、本来企業の側が人件費として払うべきものをそういう形で負担しているという考え方もございますので、そういう意味では、国民年金の皆様方も、先ほどからお話があるように、払った分に対してその分年金額も多くなりますし、諸外国もそういう形でやっていますので、そこは激変緩和を入れた上で御理解をいただきたいと思っています。

石井(啓)委員 保険料の事業主負担分が会計上人件費だと。だけれども、働いている方にとっては、そんなの自分の給料だとは全然カウントできないですよ。それが証拠に、事業主負担分は総給与の中に含まれないでしょう。税金の対象になっていないじゃないですか。

 ですから、働いている人にとっては、それは事業主負担が給料だなんて言われても、それは自分の明細の中に出てこない話ですよ、給与の明細の中に。それが給与相当なんて言っても、とても理解されない。

 だって、国民年金の方にそんなこと説明したって、理解されないじゃないですか。現実に本人負担が倍半分になっている。倍半分でようやく同じ年金を受けられるというこの不公平感が払拭できないんじゃないですか。そんな説明では、絶対その不公平感を払拭できませんよ。どうするんですか。

古川国務大臣 ちょっと御説明させていただきたいと思いますけれども、現行の年金制度で、ある世代より下は、いわば払い込んだ分よりも返ってくる分が少ないというふうに言われています。ところが、今まで、政府は、それはそんなことはありません、どの世代もずっと、払い込んだ分よりも戻ってくるんですと。

 その違いはどこにあるかというと、一般的に、事業主が負担している分も含めて、これは負担したというふうにみなすと見れば、それは、私ぐらい、大体昭和四十年の前後ぐらいのところから下は、払い込んだ分よりも戻ってくる分が少ないんです。そこの部分の事業主負担部分を除いて、そして自分が掛けた分だけ見れば、今までの自公政権時代にずっと政府が言ってきた、どの世代までいっても払い込んだ分よりも多く返ってくる仕組みになっているんです、ですから損することはありません、そういう言い方をしてきたんですね。

 先ほど、会計上の話で違うじゃないかというお話がありましたけれども、ここは、まさに委員もわかっていると思いますけれども、いわば事業主負担という形にすることによって、会計上は人件費になっているんだけれども、それを給与とみなさないことによって、言ってみれば、所得はそれだけ少なくなっているわけですから、ある意味で所得税上で優遇が受けられているというふうにも考えられるわけですね。

 ですから、そもそもこの事業主負担というやり方、これをどう見るかというのは、今までのようにこれを事業主が負担しているものであるというふうに見るのか、あるいは、今、ある世代以降の方は年金が損するという見方の、その見方の中にあるのは、この事業主負担というのも、実は、これは給与の一部分を払わないで、事業主がかわりとして払っているんだ、そういうふうに見ている。そういうふうに見れば、この部分というのは、実は働いている人が払っているというふうにも言えるわけです。

 ですから、そこは、その事業主負担分をどう見るか。これは議論があります。ぜひ、こういうものもやはりきちんと議論していけばいいんだと思うんですね。そうした中で考えていく。だから、私どもは、この事業主負担というものをどういうふうに見るか、まさにそこからしっかり議論をさせていただきたいというふうに思っております。

石井(啓)委員 失礼だけれども、古川大臣、それは机上の空論というものだよ。そんな説明をされたって、実際に保険料を払う人が納得できますか、そんな説明で。そんな説明で納得している人をぜひ連れてきてほしいですよ。

 実際に保険料を払う立場からすれば、事業主負担は給与相当分だから、これは本人が全部払っているのと一緒だなんて説明されても、全く納得できないじゃないですか。だって、実際の自分の給与の中から払っている分は本人負担だけですから、被用者の場合は。だから、そういうことで言って、口先だけで丸めようといったって、そんなことはとても理解されない。このことは指摘をしておかなければなりません。

 いずれにしましても、今四つの問題点を挙げましたけれども、それぞれの認める部分もありました。私は、民主党の年金改革案というのは、今言った問題点からして、やはり実現性が乏しい。この際、取り下げてはどうかというふうに考えますが、総理、いかがですか、この点。

野田内閣総理大臣 ちょっと見解の相違のところもありますけれども、かみ合う議論もいっぱいあったと思いますので、取り下げなければ協議しないというのじゃなくて、そこはもっと柔軟に御対応いただければ大変ありがたいというふうに思います。

石井(啓)委員 大手の新聞がこぞって民主党の年金改革案の取り下げを主張しているんですよ。

 二月の十日に試算を出されましたね。その前後に社説を出しているんですが、例えば毎日新聞、「公表される試算を徹底検討し、現時点で新年金制度が実現不可能であれば素案から削除すべきだ。」読売新聞二月十一日社説、「政府・民主党は、新年金制度案に問題が多いことを認め、一体改革の素案から削除すべきだ。」朝日新聞二月十二日の社説、「新制度の法案提出はあきらめ、民主党内で頭を冷やして検討し直すべきだ。」大手紙の論調がここまでそろうのは珍しいことだと思いますよ。

 政府としても、メンツにこだわらず、与野党協議を進めるためにも、この際、年金改革案を取り下げるべきではないかと思います。いかがでしょうか。

岡田国務大臣 ぜひ御協議いただきたいと思うんですね。そして、本当にどちらがいいのか、今の延長がいいのか、それとも抜本改革に行かざるを得ないのかということを、協議の上で決めていくべきだというふうに思います。

 今、新聞各紙の話がありました。たまたま昨晩、私、新聞各紙の幹部の皆さんと一緒になる機会がありまして、そのときに出た話ですが、しかし、各紙もそれぞれ抜本改革案なるものを掲げているんですよね。ですから、今の案ではやはりよくない、そういう問題意識で掲げておられるわけで、自分の社の案はいいけれども民主の案は悪いというのは、ちょっと私は通らない話ではないかと。

 やはり、それぞれメリット、デメリットありますから、冷静に議論してみたらいいと思います。

石井(啓)委員 それでは、ちょっと時間が少なくなってきましたので、残る時間でちょっと確認をしていきたいところがあります。

 先ほどの所得比例年金部分、この三角の部分ですけれども、これは保険料率が一五%というふうになっていますけれども、この一五%の根拠は何なんでしょうか。この一五%の保険料というのは、これは老齢年金分のようですけれども、障害年金やあるいは遺族年金分を含むとどうなるのか。これをお答えいただけますか。

小宮山国務大臣 これはおっしゃいましたように、保険料率一五%程度というのは、老齢年金に係る部分でございます。

 これは、現行の厚生年金制度では、平成十六年改正によって段階的な引き上げの途上にある保険料水準、最終的に一八・三%で固定するとしているわけですけれども、このうち一五%が老齢年金に充てられていること、これを踏まえたものでございます。

 保険料負担のあり方ですとか、それから障害年金、遺族年金の具体的なあり方については、今後これは詰めていくということになっています。

石井(啓)委員 だから、一五%の比例の保険料の中には障害年金、遺族年金分は含まれていないということですよね。

 例えば現在の実績でいくと、この障害年金、遺族年金分も含めて全体の中で老齢年金分というのは、約八四%ですね。そういう数字を聞いております。そうすると、一五%の保険料というのは、遺族年金やあるいは障害年金分を含むと、一五%を割り引くと一七・九%になるんじゃないですか。約一八%というのが民主党の本当の年金の保険料率になるんじゃないんでしょうか。そのことを確認したいと思います。

小宮山国務大臣 それは、遺族年金、障害年金を加えればそういう形になると思います。本当のとおっしゃいましたが、別に隠しているというわけではなくて、これは老齢年金がこうだということで、計算をすればおっしゃったとおりになると思います。

石井(啓)委員 いや、普通の国民の皆さんは一五%で済むと思っているんですよ。だけれども、実際は一八%なんでしょう。

 それで問題提起をしておきたいんですけれども、今の制度は、少しずつ保険料は上がりますけれども、一八・三%で厚生年金は打ちどめするんですよね。それで基礎年金と所得比例とあるんですよ。ところが、民主党の年金案というのは、所得部分だけで一八%なんだけれども、基礎年金部分をなくしちゃうんでしょう。それで最低保障年金。だから、これはやはり問題の多い案になっているんじゃないか、こういうふうに思います。

 それからもう一つ、最後に聞きますけれども、一体改革の大綱の中では、最低保障年金について、一定年収まで最低保障年金を支給すると。だから、収入がゼロからちょっとふえれば減るということは、大綱の中には書いていないんですよ。ある年収までは七万円を支給する、そこから少しずつ少なくしていくということが大綱の中に書かれています。

 そうしますと、この試算は参考だからそれはそれで結構ですけれども、今後民主党さんが検討されるケースというのは、この4案がベースになって検討されるということになる。大綱からすればそういうことになると思いますけれども、その点を確認しておきたいと思います。

岡田国務大臣 これは、いろいろこれから御議論いただく中で、どういった形が一番いいかということで、別に、今委員がおっしゃるように、大綱にそう書いてあるからといってそれで決めたということでは必ずしもございません。

石井(啓)委員 大綱に書いてあるからということを先ほどからいろいろ説明があるんだけれども、その大綱が変わるかもしれないということでは、何をもって議論していいか全くわかりません。

 私としては、本当にきちんとした大綱をつくって出直してほしい、このことを申し上げて質問を終わります。

中井委員長 これにて石井君の質疑は終了いたしました。

 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 今、年金の負担と給付の問題が議論されておりますけれども、国民が支払った年金保険料、これが積み立てられているのが年金積立金でございます。私は、きょう、この問題についてただしたいと思います。

 初めに、野田総理の認識をお聞きしたいんです。

 厚生年金、国民年金の被保険者は現在六千八百万人、積立金は約百二十兆円、大変な規模ですけれども、これは国民から預かった大切なお金であります。将来の年金給付の財源になるものですね。これを目減りさせないように大切に扱うということは当然だと思いますけれども、総理はどういう認識をお持ちですか。

野田内閣総理大臣 佐々木委員御指摘のとおり、年金積立金というのは国民からお預かりをした将来の年金給付に使うお金でございますので、きちっと安定した運用をしていかなければいけないというふうに思います。

佐々木(憲)委員 では、本当に大切に扱っているのかどうか。

 国民年金と厚生年金の年金積立金の金額、これを確認したいんですが、平成十八年度、二〇〇六年度ですね、これは幾らだったか。そして、それは現在幾らになっているか。確認したいと思います。

小宮山国務大臣 平成十七年度末の年金積立金全体の残額はおよそ百五十兆円、平成二十二年度末の年金積立金全体の残額はおよそ百二十二兆円です。これは、保険料収入が年金給付に必要な額を下回っておりますので、年金積立金を現金化して給付などに充てたこと、運用収入の増減によるものでございます。

 ただ、今までの運用では、それは上がり下がりございますので、現時点で年金財政が大幅に悪化しているわけではないというふうに考えています。

佐々木(憲)委員 二十八兆円の目減りをしているわけですけれども、もちろん、支給に充てたというところがありますね。しかし、運用で目減りした分というのは幾らでしょうか。厚生労働大臣が年金運用を委託している機関、それもあわせてお答えいただきたいと思います。

小宮山国務大臣 委託しているのはGPIFに委託をしておりますけれども、平成十八年度から平成二十二年度までの五年間、これはリーマン・ショックによる世界的な株価下落ですとか、円高の影響などを受けまして、およそマイナス二・五兆円でございます。

佐々木(憲)委員 委託先は、年金積立金管理運用独立法人、今GPIFと言われましたが、そこに委託しているわけですね、厚生労働大臣はそこに委託していると。それで運用しているわけですけれども、今説明ありましたように、五年間というのは結構長い期間なんですよ。このGPIFは設立されて約五年、この間二兆五千億円マイナスになった、運用で穴があいた。

 しかも、昨年はどうですか。昨年第一・四半期、第二・四半期、合わせて半年でどのぐらいマイナスになっていますか。

小宮山国務大臣 昨年のを合わせますと、五兆円余りのマイナスということになります。

佐々木(憲)委員 昨年は三兆五千億円減っておりますから、大体六兆円減っているということになるんじゃないですか。

小宮山国務大臣 平成二十三年度第四・四半期までの収益額はマイナス三兆四千九百二十六億円でございますので、これまでのと合わせますと、マイナス五兆九千五百六十九億円となります。

佐々木(憲)委員 五兆円じゃないでしょう、六兆円じゃないですか。大変な金額なんですよ、これだけ減るというのは。

 誰かこの問題で責任をとった人はいますか。

小宮山国務大臣 責任ということでございますが、積立金の運用というのは長期的な観点から行われるということが重要だと考えています。年金積立金の自主運用を開始した平成十三年度から平成二十三年度第二・四半期までの累積収益額は、全体でおよそ十九兆円のプラスとなっています。

 さらに、年金の給付額は基本的に名目の賃金上昇率に連動して増減をするため、名目運用利回りの実績がこの賃金上昇率をどの程度上回るかが年金財政にとっては重要で、この名目運用利回りと賃金上昇率の差は、平成十三年度から平成二十二年度までの平均で見ると二・一六%となっています。これは、同じ十年間について財政検証等で設定している差の〇・六〇%を一・五六%上回るもので、財政上の必要な運用利回りは確保をされていると思っています。独立行政法人評価委員会でも、これは年金財政にプラスの影響を与えているとの評価をいただいているところでございます。

佐々木(憲)委員 聞いたことに端的に答えていただきたい。その官僚がつくった回答か何か知らぬけれども、長々長々、聞いていないじゃないですか、そんなこと。私が聞いているのは、六年間で六兆円の穴をあけた責任は誰がとったのかと聞いているんですよ。誰もとっていないじゃないですか。それを、何か長々、委員長、おかしいですよ、この答弁。

中井委員長 でも、十年間でもうけているからいいと答えた。(佐々木(憲)委員「十年間でもうけるって、この五年」と呼ぶ)だから、そういう答弁だったと言っているの、僕は。

佐々木(憲)委員 前半で幾らもうけたかという話、それはあるでしょう。しかし、この五年間、六年間で六兆円減らしているんだから、その話をしているんですよ。しかも、その六兆円減らしたのは、新しくつくられたGPIFが穴をあけたんじゃないですか。責任は誰もとらないというのは、余りにも無責任だ。

 どんなやり方をしているんでしょうか。パネルを見ていただきたい。

 厚労省は、年金の運用をこのGPIF、年金基金管理運用独立法人に事実上丸投げしているんですよ。GPIFは、債券や株式に投資する比率、いわゆるポートフォリオという、それを決めまして、実際の運用はどこがやっているんですか。この管理運用独立行政法人じゃないでしょう。その先の、実際の運用は受託機関に丸投げしているんです。実際に資金を運用しているのはこの受託機関である。ここには、日本やアメリカの信託銀行、投資顧問会社、投資ファンドなどが入っているわけです。

 私、ここに一覧表を持っていますけれども、全体で八十一ファンドです、二十八社、この受託運用機関。ともかく、こんなにたくさんの、これは日本だけじゃない、アメリカの資本がどんどん入ってきているんですよ。それで運用して、こんなに穴をあけた。

 現実に年金基金を運用しているのは、この受託機関、ここじゃないんですか。

小宮山国務大臣 GPIFは、寄託された積立金のうち七割強を、今御紹介のあった信託銀行や投資顧問会社といった外部の運用受託機関、これは私の手元の数字では二十八社、七十七ファンドとなっておりますが、ここに委託をし、残りの三割弱をみずから運用しています。

 それで、厚生労働省が当然所管をしている独法でございますので、厚労省としては、中期目標を設定いたしまして監督をしているという形になっています。

佐々木(憲)委員 要するに、受託機関が実際に運用しているわけです。

 だから、厚労大臣は、年金を集める、そしてそれをGPIFに委託する。GPIFは、それを運用機関に丸投げする。それで運用機関が、どの銘柄を、いつ、どのくらい買うか、どのくらい売るか、これを全部この運用受託機関が勝手にやっているわけですよ。それで穴があいて、ああ、穴があきました、六兆円です、そんないいかげんな話がありますか。

 しかも、この受託機関は手数料を、毎年毎年損を出しても手数料だけは取っている。手数料は例えば十年間で幾らになりますか。

小宮山国務大臣 平成二十二年度末までの十年間に払いました手数料の総額は、およそ二千六百億円でございます。

 一点だけ、先ほどの御指摘ですが、これはGPIFだけに限らず、リーマン・ショックの後、全体の運用がこういう形になっているということは御理解いただきたいと思います。

佐々木(憲)委員 大体、リーマン・ショックの前からもそういうことになっているんですよ。減っているんですよ。しかも、手数料、毎年二百五十億円から三百五十億円程度を払っている。十年間合わせて、今言われたように二千五百八十三億円、莫大な手数料を払っている。しかも、この独立行政法人が運用している機関、GPIF、ここの運用のための費用もあるわけですよ。それも結局、いわば年金基金、これをもとにしたお金で負担しているわけですね。膨大なコストをかけて、六年間で六兆円も損失を出して、誰も責任をとらない。こんなやり方は根本的に見直す必要があると私は思う。

 アメリカはどうなっているんでしょうか。公的年金基金、OASDIというのがありますけれども、これは日本よりも規模がもっと大きいんです。その運用で赤字は出したことがありますか。直近の五年間の運用実績はどうなっていますか。

小宮山国務大臣 アメリカでは、米国の公的年金、社会保障年金は、全額、非市場性の国債によって積立金を管理していると承知をしております。

 ただ、一言申し上げますと、GPIFの運用資産額に対する運用手数料の割合は〇・〇二%ですが、アメリカの場合は〇・四六%とか〇・五%ということで、さらに高くなっているという事実はございます。

佐々木(憲)委員 赤字が出ているのかどうか、アメリカ、どうですか。

小宮山国務大臣 これは赤字は出ていません。

佐々木(憲)委員 大体、市場で運用をすること自体が非常に大きな問題を持っているわけですよ。アメリカは財務省証券で全部運用しております。赤字を出したことはありません。五年間で五%運用実績ですよ。その間、日本はマイナス〇・三二%です。ですから、これは幾ら何でも日本のやり方というのはずさん過ぎる。

 この基金を株式運用に、非常にこういうところに偏っているわけですね。信託銀行、投資顧問会社、外国投資ファンド、そういうものの食い物にさせているようなものでありまして、総理、最初に総理がおっしゃったように、これは元本割れを起こさないようにすべきだと私は思いますよ。運用のあり方についても慎重に、国民の財産を預かったわけですから、もう一度これを見直して再検討する、これは必要だと思いますが、どうですか。

野田内閣総理大臣 国民からお預かりしたお金でありまして、先ほど申し上げたとおり、将来への、まさに年金給付に充てるお金でございますから、やはり長期的に安定して、そして効率的に運用するということが基本だと思います。

 このポートフォリオの御議論、いろいろな御議論があるんです。むしろ、リスクのあるものもとりながら運用実績を上げろという議論もありました。ただ、むしろ私は、お預かりしたお金ですから、きちっとしたポートフォリオでやった方がいいと思います。その構成のあり方についてはいろいろな議論があると思いますが、比較的リスクの低いものを扱ってきたはずなんですよね。にもかかわらず、その結果として、十年では収益を上げておりましたけれども、ここ数年の間では赤が出ているということはやはりよく反省しなければいけないと思いますので、ポートフォリオのあり方は不断の見直しが必要だと思います。

佐々木(憲)委員 私は、ポートフォリオのあり方そのものをやれば済むという話ではないと。やはりこれは全体の仕掛けが問題なんです。

 何でこんなに莫大な手数料を払わなきゃならぬのか。それから、独立行政法人に莫大な運用の費用がかかるわけです、管理運営費。そういうものも本当に必要なのかどうか。アメリカはこんなものはありませんよ。

 ですから、国民の財産を本当に大事に扱おうというなら、こんなバケツに穴のあいたようなところにどんどん放り込んで減らすなんていうのはやるべきじゃない。私は、この点を抜本的に見直すように求めておきたいと思うんです。

 次に、年金で生活をされている高齢者の方というのは今本当に大変な状況でありまして、このパネルを見ていただきたいんですけれども、政府の家計調査によりますと、この間、平均夫婦高齢者世帯の年金給付は大幅に減っております。二〇〇〇年には、年金収入が年に二百七十七万円ありました。今では二百五十三万円です。二十四万円減少しております。その反面、年金の負担、保険料ですね、それから医療、介護、所得税、住民税、こういう負担は、この間、非常に大きく膨らんだ。

 ですから、この図を見ていただいてわかりますように、二〇〇〇年の時点では、収入と支出は大体バランスがとれている、若干支出の方が多い。ところが、二〇一一年になりますと、収入の方が大幅に減りまして、そして支出の方がどんとふえているわけです。ですから、その差は四十二万三千円、こういう状況であります。これは赤字なんです、家計が丸々。

 総理、この赤字はどうやって穴埋めしていると思いますか。

野田内閣総理大臣 日本の場合は、比較的、高齢世代はストックを持っている、貯蓄があると言われていますので、そういうものを取り崩していっているということではないかと思います。

佐々木(憲)委員 本当にそうなんですよ。貯蓄を取り崩して、ようやく何とか生活を支えているというのが実態なんです。年金が減った上に、その上に消費税が増税されたら、もう生活ができない、こういう声が満ちあふれているわけです。

 先日、朝日新聞にこういう投書が寄せられました。八十歳以上の高齢者は、戦争中は命の危険にさらされ、戦後は祖国復興のため献身的に働いてきた世代だ。今まで年金で支払って施設に入居をしていた方は出ていかなければならなくなるかもしれません。八十歳になったんだからお金は減らしていいというような考えは弱者を切り捨てることにつながるんじゃないでしょうか。

 総理、この声にどうお答えになりますか。

小宮山国務大臣 先ほど総理からもお答えがありましたように、お示しいただいたのはフローの所得で、ストックからいきますと、今の純資産の八二%は高齢者の方が持っていらっしゃるので、そういうこともお考えいただきたいと思います。

 それで、弱者対策といたしましては、今回、三・八兆円の充実、一・二兆円の重点化、効率化を行いまして、二・七兆円、社会保障制度を充実したいと考えていますが、この中で、低所得者の保険料の軽減ですとか総合合算制度など、貧困・格差対策をとっておりますし、また、受給資格の短縮など年金制度の改善、それから、在宅医療、在宅介護の充実など、高齢者の方の生活に配慮したことも行わせていただいています。

 さらに、二〇一五年度以降の番号制度の本格稼働定着後には、総合合算制度ですとか給付つき税額控除なども考えておりますので、弱い立場の方への配慮はした改革にしていると考えています。

佐々木(憲)委員 質問をしていることにまともに答えてくださいよ。そんな答弁を私は求めているんじゃないんです。

 貯蓄が多いと言いますけれども、当たり前ですよ、それは。働いてきたんだから。だから、老後は、何とかその貯蓄を取り崩しながら、こんなに赤字が出ているんだから、取り崩すのは当たり前なんですよ。貯蓄がなくなるんじゃないか。貯蓄がなくなる世帯もあるんです。貯蓄ゼロ世帯というのがふえているんですよ。

 そういう状況なのに、あれもやりました、これもやりましたって、まだ何にもしていないじゃないですか。これからでしょう。そういうことをあげつらって、何か全部解決するような、そんなことはありませんよ。口先だけですよ、それは。こういうふうに、高齢者の世帯というのは本当に今不安が広がっております。

 それから、暮らしも大変だけれども、中小企業の経営も大変なんですよ。消費税を転嫁できない。

 経産省中小企業庁が商工会議所など四団体に依頼して、今までに三回調査をやってまいりました。一九九七年、二〇〇二年、二〇一一年の三回です。消費税の転嫁状況調査というのをやったんですね。その中で出てきた数字を整理して示したのがこれであります。

 売上高が三千万円以下、下の方ですね、それから三千万から二億円、真ん中のところ、上の方は二億円を超える、こういう三ランクで区分をしておりますけれども、見てわかりますように、中小企業が転嫁できない実態というのが非常にはっきりしております。消費税が導入されて以来、年を追うごとに転嫁できない企業がふえているわけですね。

 最近の調査で非常に特徴的なのは、売上高二億円以上の企業も、九七年には、転嫁できない、一割にも満たなかった。それが今や、転嫁できないと回答しているのが半分近い。これだけ深刻な事態になっているわけですが、総理は、こういう図を見てどういう感想をお持ちですか。

安住国務大臣 一言だけ。

 前もこの御指摘をいただいております。ですから、適正な転嫁をどういうふうに図っていくかというのは課題だということは十分認識しております。特に、優越的地位の濫用に当たるケースとかそういうことに関しては、今回しっかりガイドラインをつくって、不公正な取引の防止を図らなければならないというふうに思っております。

 ですから、独禁法や下請法に基づいてその転嫁をしっかりして、つまり自分で背負わなくていいようなものにしていかないと、それは、この税体系の中では、やはり中小企業の皆さんにとって先生が御指摘のようなこともあると思いますので、そのことについては政府一丸となって対応していきたいと思っております。

佐々木(憲)委員 総理、どうですか、感想は。

野田内閣総理大臣 このお示しいただいている資料によりますと、売上規模が小さいほど転嫁できないという状況でございますから、想像するに、やはり弱い立場の場合の方が何となくしわ寄せを食っているという傾向があるのではないかという資料だと思います。

 だからこそ、財務大臣が答弁したとおり、独禁法とか下請法等を厳正に適用して、円滑に適正に転嫁されるようにしていかなければいけないし、また、相談の窓口等々、きめ細やかな対応も必要だというふうに思います。

佐々木(憲)委員 今までもそういうことは言ってきたんです。今までも厳格にやると言ってきたんです。言ってきたんだけれども、実際にできないんですよ、これ。だから転嫁できない企業がふえているわけです。環境を整えるという言葉しかないですけれども、今いろいろなことを言われたけれども、そういうことは何度も言われてきて、こういう実態なんです。

 これが今、中小業者に非常に深刻な不安を与えておりまして、消費税が増税したらどうなるだろうか。例えば、私は、これははがきですけれども、こういうものが寄せられました。「助けてください」と書いてあるんですよ。「消費税増税で店が潰れてしまいます。本当に苦しんでいます。デフレで客足もどんどん減っています。商店街では、ほとんどが同じ状況です。助けてください。」悲鳴にも似た、こういう声が寄せられております。

 先ほど紹介した四団体に依頼した調査の中でも、こういう声が出ています。この数年、売り上げは下がる一方である。特に消費税が五%になったころから著しく下がっている。今度消費税が上がったら本当に廃業を考えます。

 転嫁できないというのは、一体どういう理由だと思いますか、総理。転嫁できない理由ですね。

安住国務大臣 類推するしかありませんけれども、先ほど私が申し上げましたように、上というか、取引先の強い側が、そういう点では、濫用ということを厳格に言うわけではありませんけれども、やはりそういう点でのプレッシャーというのがあって、それを転嫁するとなかなか営業に差し支えるというようなことが類推としてはあると思います。

 ですから、確かに、先生御指摘のようなことがあるので、相談窓口をふやしたり、ある意味で独禁法等を使って、中に入って、また、いわば小売業の皆さんとかに対して、そうしたことで、泣き寝入りと言ったら言葉が適切かどうかわかりませんが、そういうことは絶対させないように、私たちとしても一生懸命取り組んでまいりたいと思っております。

佐々木(憲)委員 消費税が転嫁できないのは、消費税が上がった分を価格に上乗せして、品物の値段を上げたら売れなくなるからですよ。そうでしょう。今、こういうデフレの状態の中で値上げをして売るというのは、中小業者は不可能なんですよ。相談窓口を開いたら転嫁できるようになるんですか。客観状況は変わらないでしょう、経済状況。それを直さないで増税するから、転嫁できない、経営は破綻する、これが実態ですよ。

 中小業者の場合、特に下請の場合も、こういう声がありますよ。消費税の税率がアップすれば、その分、加工単価の値下げを求められる。最終的には同業者の価格比較を行われ、やむなく値引きをしている。全額転嫁できない。これは政府が依頼した調査の中で出てきた声です。これが実態なんですよ。だから、消費税というのはまさに営業を破壊する営業破壊税だ、こう言わざるを得ないんです。

 国交大臣に聞きます。公共交通機関、とりわけ乗り合いバスですね、路線バス、消費税が一〇%になったらどうするのか。そのまま運賃値上げするということになるんですか。

前田国務大臣 昨年の十二月の政府税制調査会において、運賃改定による税率引き上げ分の転嫁は困難である旨の懸念を表明しております。

 国土交通省としても、転嫁に際してどのような問題があるのか、事業者の実態を十分に把握し、また関係行政機関と緊密な連携をとりつつ、徹底した対策を講じてまいります。

佐々木(憲)委員 そんな抽象的な答弁では全然改善しませんね。事態は大変なのであります。

 人口が減って、高齢化、過疎化が進んでいるんですよ。路線バス、地域の乗り合いバスなどは、本当に最後の地域の足ですね。住民の足さえ維持するのが今非常に困難になっております。どこも経営が苦しい。そのために、国交省も、地域交通を何とか支えようということで、補助金を出しているんじゃないですか。

 地域公共交通のうち、路線バスなど事業者の経営赤字を補填するなど、補助金を交付している件数、これはどうなっていますか。それから、地域公共交通を確保するための維持改善事業、この補助金の今年度予算は幾ら組まれていますか。

前田国務大臣 お答えいたします。

 二十三年度から、地域公共交通確保維持改善事業として約三百五億円の予算を確保いたしまして、既にバリアフリー等を中心に百三十七億円を交付しております。

 バス運行等に係る支援については、現在、三百二十八件の交付申請を受けておりまして、年度内にこの交付決定を行うべく、鋭意今やっているところでございます。

佐々木(憲)委員 消費税が増税されると、ますます経営が困難になり、それを支えるためにますます補助金を出すということになるんじゃないでしょうか。

 昨年十二月に国交省が、先ほど紹介していただいた税調に出した資料、これにはこういうふうに書いているんです。このパネルを見ていただきたい。「利用者の大幅な逸走が懸念される」、逸走というのは利用者が減ってしまうということです。それが懸念されるため、運賃値上げによる消費税の転嫁は事実上困難である。運賃改定を行っても利用者の逸走により相殺され、十分な増収につながらない。運賃値上げによるマイカーや自転車、徒歩への移行やバスによる出控えなどが主な理由である。運賃値上げによる転嫁が期待できない中、消費税の納税額は確実に増加する。そのため、乗り合いバスの収支の悪化、路線の廃止、減便、バリアフリー化のおくれが懸念される。こういうふうに書かれているんです。

 国交大臣、消費税を増税したら、ますます補助金をふやさなきゃいかぬ。増税によって得たお金を補助金でまた回す。これはタコ足のような話ですよね。こういうやり方、一体どう思いますか。

前田国務大臣 冒頭お答えしたとおりなんですが、議員も御指摘のように、高齢化そして人口減少という中で、バス事業そのもの、公共交通事業そのものが非常に今厳しい状況になっております。

 そういった意味で、持続可能な地域づくりをやらなければいけないということで、もっともっとコンパクトな町のあり方ということを今志向しておりまして、要するに、バスを中心として、公共交通の効率化というものをまず進めるようなまちづくり。

 そういう中で、先ほども申し上げましたように、もし消費税の導入ということがあった場合に、転嫁に際してどのような問題があるかなど、事業者の実態を十分に把握して、徹底した対策を講じていくつもりでございます。

中井委員長 前田大臣、全く余分だけれども、こんなところに「逸走」と、こんな使わぬ言葉は使わぬ方がええよ。だれもわからぬし、読まない。「逸走」と書いてある。

前田国務大臣 これは去年の、何か税制調査会に示された資料のあるところを、委員において編集されたものだと思います。

中井委員長 これ、国交省で使っているんでしょう。佐々木先生に言われなかったらわからない。これは変えた方がいいな。(前田国務大臣「承知しました」と呼ぶ)

 佐々木君、余分なことを言って済みません、たびたび。

佐々木(憲)委員 いえいえ。こんな難しいことを言われたって、国民はわかりませんよ、これは大体。要するに、客が逃げるということなんだよ。

 その結果、客が、つまり、消費税が増税されると、それを運賃に上乗せせざるを得ない。上乗せすると、お客さんが逃げて、その分減収になるんです。しかし、納税しなきゃいかぬ。だけれども、減収になるから、赤字が拡大してやっていけなくなる。全国で赤字の乗り合いバスはたくさんありますよ。赤字の方がほとんどじゃないですか、大臣。そういう状況の中で転嫁するとそういう事態になる。

 では、転嫁しない場合はどうなるかというと、全部利益から出さざるを得ないんです。そうなると自己負担になって、それ自体が結果的には経営を破綻させてしまう。そういうのが現状じゃないんですか。消費税を転嫁しても転嫁しなくても経営が悪くなる、こういうことになるんじゃないですか。

前田国務大臣 もちろん、委員御指摘のように、非常に厳しい状況に今バス経営というのはあります。これは、消費税増税ということになればますます厳しくなるわけですが、現状においても本当に厳しい状況にある。これを根本的に何とか、公共交通の確保ということで、持続可能なコンパクトシティーというような方向を目指して、まちづくり、公共交通の再編ということも考えておりまして、そういう意味で交通基本法等も今御議論をいただこう、このように考えているところであります。

佐々木(憲)委員 これは本当に大変な事態で、コンパクトシティーをつくったら負担がなくなるんですか。そんなことないでしょう。消費税の増税が厳然として実行された場合には払わなきゃいけないんですよ、納税者は業者ですから。その分は転嫁するか、自分が負担するかしかない。自分が負担したら経営がだめになる、転嫁したらお客さんが減って、収入が減ってだめになるんだ。総理、これはもうどっちに転んだって、消費税増税したら破綻するということになるんじゃないですか。ほかのやりようがないでしょう。

 しかも、これはバスだけじゃありません。国交省の資料によるとタクシーもそうだ。タクシーも消費税の転嫁は事実上困難、これを税調に出したんですよ。船もそうです。船も消費税の転嫁は事実上困難、国交省がそれを出して、税調はそれを無視して消費税増税を強行する。

 おかしいんじゃないですか。こういうやり方を、今あなた方の政権は国民に押しつけようとしているわけであります。その結果、住民の足である路線バスもやっていけない、タクシーも船もだめ、こういう状況になって、高齢者の生活もさらに破壊される、事業者の営業もだめになる、地域経済がますますずたずたにされるということになるわけです。消費税増税というのは、生活のあらゆる面に悪影響を及ぼすことになるわけです。

 私は、この際、こういう消費税大増税に頼るやり方はもうやめるべきだと。先日、私ども日本共産党が発表しました提言は、無駄の一掃、大企業、富裕層の応分の負担等々、具体的な提案をしております。この場で志位委員長が総理にも手渡しをいたしました。そういうことによって、十二兆から十五兆の財源確保ができるということを私どもは提案をしているわけであります。

 消費税増税をこの際やめて、新しい方向に転換をする、そうしてこそ危機打開ができるということをここで強調して、もう特に答弁を求めてもしようがないので……

中井委員長 まだちょっと時間がありますから、しゃべらせてやってくれますか。(佐々木(憲)委員「しっかりと」と呼ぶ)

野田内閣総理大臣 せめて答弁ぐらい聞いてもと思いますが。

 消費税が全て悪という前提に立っていらっしゃいますけれども、世界の国々で百数十カ国が付加価値税、消費税を導入しています。五%というのは、まさに世界の中で三つぐらいしかありません。

 転嫁の問題はあると思います。だけれども、それはあらゆる国が克服しているテーマであります。企業の力関係だとか、いろいろあるでしょう。そこは改善をしていかなければなりませんが、では社会保障をどうやっていくのか。これは、やはり現役世代の所得税や保険料に、過重に負担をしてやっていくわけにはいかないんです。そうすると、全ての世代が担い合うという消費税が一番正しいと私は思っております。見解の相違かもしれませんが。

佐々木(憲)委員 最後に言っておきたいんですけれども、今、何か、日本の消費税だけが低くてほかが高いんだと言っていますけれども、国税分でいうと、日本が四%ですね、イギリスが一七、イタリア二〇、デンマーク二五、確かにそういうふうに見える。しかし、実態は、税収に占める比率は、日本二四・四、イギリス二二・四、イタリア二三・四、デンマーク二九・三、ほとんど変わらない。ですから、今の総理の答弁は、何回もそういう答弁をしていますけれども、それはごまかしがあるということを最後に言っておいて、質問を終わらせていただきます。

中井委員長 これにて佐々木君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子さん。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 野田政権、とりわけ野田総理は、この税と社会保障の一体改革に政治生命をかけるとおっしゃいました。大変に強い意気込みがあるものと受けとめていますが、しかし、一体、今の社会保障の何が問題で、どこをどう変えようとするのかということにおいて、私は、もう少し深い論議が必要だと思います。

 冒頭、総理にお伺いをいたしますが、社会保障は当然、高齢社会ですので、その給付も含めて規模は拡大してまいります。これを支える国民の側は税か社会保険料で負担をしておるわけですが、一体、今の構造、我が国の社会保障の構造の中で、国民の負担という点では何が一番問題があるんだろうとお考えでしょうか。総理にお伺いいたします。

野田内閣総理大臣 社会保障は、公費の負担とそして保険料の負担合わせて、いわゆる国民負担率という形で、数字では経年で追ってきていますけれども、特にバブル崩壊後、ずっと景気が低迷をしたことによる税収の落ち込み等々の影響が社会保障にも影響しているというふうに私は思っております。

阿部委員 今、総理がおっしゃったように、なかなか我が国の景気が低迷しておりますので、当然、そこから得られる所得税や法人税が少なくなっておる。そして、今の御答弁では、個人が負担しておりますいわゆる社会保険料というものについては、一体、重いのか軽いのか。ここについては総理の御認識はありますか。

 個人が負担している社会保険料です。今、全体の収入の中で、景気が悪いから法人税、所得税が減っておる、ここが問題であるのか。では、個人も、我が国は社会保険方式をとっております、ここでの負担については総理はどうお考えでしょう。

野田内閣総理大臣 私は、人口構成で、その意識というのは相対的なものになってくるのではないかと思うんですね。支えている側、要は保険料を納めている人たちは現役世代です。その現役世代の負担が過重になってはいけない状況が、だんだん、これからの少子高齢化だと思います。そこをどう受けとめるかだと思うんです。

 あらゆる世代で負担をしていくことで、今、私どもの提案でありますけれども、やはり、現役世代の負担にずっと頼っていくという形を、もちろん一定の御負担は必要ですけれども、そこに過重な負担を押しつける、あるいは所得税に頼ることも同じだと思いますが、それによって社会保障を支えるということはだんだんと困難になっていくのではないかというふうに思います。

阿部委員 社会保険料方式をこの国の中できっちり堅持していくかどうかは、私は、人の意識、暮らし方にかかわると思うんですね。

 後ほど触れさせていただきますが、今民主党が検討しておられる年金方式は、ある種、モラルハザード、保険料等を納めなくても最低年金が来るというふうに受けとめられる可能性があります。私は、やはり、日本人が勤勉で、そして、ある意味で一緒に社会を支えていこうと、思いやりという精神を持った国民であることから考えると、この社会保険方式を大切に、なおかつ過度の負担を、そこの負担している側に与えずにどう堅持していくかということを今しっかり考えないと、逆に、この国の社会保障の持続可能性はないと思います。

 以下、社会保険料負担について具体的に幾つかお伺いをいたします。

 最初は、いわゆる国民健康保険の保険料負担でございます。

 小宮山大臣にお伺いしたいですが、これは大体、所得において二百五十万、年収にすると三百五、六十万世帯のモデルケース。お子さんが二人、御夫婦、今なかなかこういうモデルはなくなりましたが、それで国民健康保険にお入りの方の一九九三年から今日に至るまでの保険料負担の推移でございます。

 保険料がどんどん上がって、二百五十万所得のうちで、今、四十五万円。これは実測、実際のデータであります。山梨の甲府の実際のデータでございますが、お子さんを二人持っておられる自営業の方を想定していただくと、大体、保険料負担が四十五万円になっております。果たして、これを重いと見るか、これぐらいやっていただかねばいけないと見るか。

 先ほど来、低所得者対策とか、極めて収入の低い方の問題はありました。しかし、これはまさに、もしも今、国民健康保険というものをとった場合に、少なくはあるけれども、中核的なモデルの世帯であります。この負担についての御認識を伺います。

小宮山国務大臣 今御紹介いただいたその甲府市のケース、これは率直に言って、負担は高いというふうに思います。国民健康保険は、どうしても、年齢構成が高くて低所得者の方が多い構造的な理由から、被用者保険に比べまして保険料の負担感が重くなっているというふうに思います。

 今、所得に占める保険料の割合が、市町村国保で九・一%、組合健保が四・六%と推計をされています。保険料収納率が低下しているんですけれども、これは、景気が低迷をいたしまして所得が伸び悩む一方で、医療費が増加をする、保険料の負担が重くなってきているという事情があると思います。

 それで、今回の社会保障と税一体改革の中では、税制改革によって安定的な財源を確保した上で、二千二百億円の公費を市町村国保に追加投入する、このことによりまして市町村国保の財政基盤の強化を図る。これによりまして被保険者の保険料水準の抑制を図りたいというふうに考えているところです。

阿部委員 私は、市町村国保に、例えば広域化しても、あるいは二千二百億基盤強化をしても、実は個々の御家庭の持つ根本構造問題には切り込みが入っていないと思うんです。私がわざわざお子さんが二人いますよと申しましたのは、実は、国民健康保険においては、お子さんがいる分だけ、均等割の負担、頭数の負担が多くなります。

 先ほど来、我が国の一番の問題は少子化だとどなたもがおっしゃいました。しかし、国保において、お子さんの数がふえればふえるほど保険料がふえていくという根本構造には、政治は一切介入をしておりません。

 かつて、政権交代前に、私どもの党を含めてオール政党で、子供の無保険、中学生や高校生で保険証を持たない子供がいる、深刻な貧困問題です、このことで、保険証がなくても医療にかかれるという特別の法律をつくりました。しかし、そうした事態が生まれてくる根本構造を、もう一歩立ち入って穴を塞いでおかないと、私は予備軍がいっぱいいると思います。

 実は、この普通の国保の御家庭にいる子供たち、当然所得はありません。子供ですから働いていない。小宮山大臣には、もしも、国保の保険料の均等割を、この子たちをゼロにしたとしたら、一体幾らのお金がかかるか御存じでしょうか。御存じであればお答えいただきたいし、予告していないので、御検討でなければ、私から申し上げます。

小宮山国務大臣 均等割で医療と後期高齢者支援分ですと、一人当たり二万七千円、それから介護分で七千二百円ということだと思っています。

阿部委員 子供ですので、介護保険料の負担はございませんので。

 実は、この子供たちの分の保険料をゼロにすると六百億という試算であります。これは、私が、まだ長妻大臣が大臣であったころに、せめて、本当に子育て世代を大事にするなら、サラリーマンの皆さんは、子供が何人おられてもそれで保険料が上がることはございません、でも、国保にいるがゆえに、お子さんをたくさん持ちたい、だけれども保険料が上がっちゃうということを、これを構造的に手当てしてくれと求めました。そのとき出していただいた試算が六百億であります。先ほどお答えの二千二百億よりは少なく、なおかつ次世代支援になります。

 私は、民主党の皆さんとはともに政権交代をいたしました、子ども手当も子供の貧困問題も、私どもも一緒につくったという思いがあります。そしてもう一方、今まだ子供の貧困率が高いという現状にあって、この問題はぜひ御検討いただきたい。構造の中に矛盾が含まれているということであります。

 野田総理、お聞きになっていかがでしょう。

野田内閣総理大臣 確かに、国保の世帯割とそれから被保険者均等割というのは、逆進的な側面があるとは思います。それは御指摘のとおりだと思います。それをどうするかという議論は、ぜひこれからも阿部先生にも入っていただき、議論を進めていければというふうに思います。

阿部委員 前向きな御答弁ありがとうございます。

 引き続いて、社会保険料負担の問題であります。

 総理には、恐縮ですが、御存じかどうか伺いたいのですが、我が国では家計調査というものを総務省がやってございます。家計調査報告というのが、せんだって二月の十七日に発表されておりましたが、この我が国の家計調査の出自、どういうところからこの家計調査というものが生まれておるのか、もしも御存じでしたら、これも質問通告していなくてごめんなさい、御答弁お願いします。

中井委員長 誰か知っているの。知らないんだったら、答弁せぬと、阿部さんに教えてもらった方がいいよ。

野田内閣総理大臣 済みません。教えてください。

阿部委員 私もきのう勉強したばっかりですから、同じです。

 高野岩三郎という、これは日本国憲法の社会権、社会的な生存、二十五条等にかかわる項目を起草された社会学者というか社会統計学者でありますが、その方が家計の実際の収入と支出をきちんと聞き取って調査にしてやっている。実は大正五年からのもので、戦後GHQに占領された中で、GHQがこれはいいと着目をされて、今日まで連綿とやってきた調査であります。改めて見ると非常によくできておりまして、世界じゅうで、毎月毎月こういうふうな家計を追った調査というのはどこにもございません。我が国が、これは突出した実績を持っております。

 その中で、ぜひ総理にもお目通しいただきたいのですが、実は、ここのグラフにお示ししてございますように、中堅的なサラリーマン世帯で、今や社会保険料負担が一割を超してしまった。この二枚目のこういうグラフであります。棒グラフがあって、どんどん社会保険料負担が上がってくる。可処分所得の中で、手持ちのお金の中で払わねばならない社会保険料負担が上がってきたという、これは初めて一割を超えた数値でございます。

 これは、実は、保険料負担というものが家庭にも重く、同様に企業にも問題になっておりますが、企業の方は、非正規化などをいたしまして、多少は免れているところがございますが、我が国の根本である社会保険方式、もちろん税と社会保障のミックスでやってまいりましたが、総理のお好きな分厚い中間層というものを堅持していくためには、この社会保険負担で押し潰されないような手だてが必要だと思います。

 岡田大臣に伺います。

 今度の税と社会保障の一体改革の中で、低所得者対策としてではなく、既に中間所得者層にも十分重くなってしまった社会保険料について、何か対策されたことがおありでしょうか。

岡田国務大臣 確かに、社会保険料の負担が重くなっていることは事実、委員御指摘のとおりでございます。

 しかし一方で、社会保障に関する支出もふえております。その支出を次世代に先送りすることなく賄うということであれば、それは税か、あるいは保険料という形にならざるを得ない。もちろん、自己負担というのもございます。

 そういう中で、今回消費税を五%引き上げさせていただいて、公費をかなり入れることにいたしましたが、しかしなお、保険料については、一時的には公費が入った分緩和されるとはいえ、継続的にこれからも少子高齢化の中でふえていかざるを得ない、そういう構造があると思います。

阿部委員 私は、今回の税と社会保障の一体改革では、ぜひこの保険料の構造的な問題を解決していくべきだと思います。

 午前中、鴨下委員も、この国の持続可能性をどうやっていくかということにおいて、社会保険方式ということにもう一回着眼せよということであり、そして私の場合、鴨下委員よりもさらに深刻に、これの持続可能性を懸念しているわけです。鴨下議員は、これまでの自公政権の中でいろいろな気配りをされてきたことを御紹介されました。私は、それは一定成果だと思います。

 次のスライドをお願いいたします。

 しかし今、実は、ここには、社会保険料がさらに逆進性を深めているという構造問題をお示しさせていただきました。

 所得の少ない人ほど社会保険料負担が多くて、それも非常に低所得の、二百万以下とか百何十万という方はまたさらに高いのですが、その間もずっと逆進なんですね、ずっと。これは本来は、フラットであるか、せめて、もう少し、重いという感覚を国民が抱かなくて済むような手だてが必要であろうと思います。

 そして、そのことについては、きょう私の問題提起とさせていただきます、私の持っている時間がそうございませんので。ぜひ、こうした論議の中で何が必要であるのか、御一緒に考えていければと思います。

 では、次をお願いいたします。

 さて、これは、先ほど佐々木委員がお取り上げになりました消費税や法人税、所得税の問題であります。

 先ほど野田総理は、世界各国で消費税が五%という国はもう少ないんだよとおっしゃいました。直接税と間接税の比率のパーセンテージでいえばそうなのですが、現状においても、我が国では、法人税はどんと下がる、所得税もだんだん下がるという中で、かなりの税収を消費税に依存するようになりました。

 先ほど、佐々木委員の御指摘では、税収構造の中の二二%、四十四兆といたしましたら十兆少々を消費税に頼っていると。そうすると、もしここで五%引き上げますと、恐らく、私の試算では、税収の中で消費税の占める割合、もちろん、これから企業が盛んになり個人の所得がふえたら税収もふえると予想されますが、しかし、当面の間、先ほど私が家計調査を紹介しましたが、可処分所得はこの十年間下がり続けています。当然、所得税も下がってもまいります。

 となると、税収構造の中で消費税が四〇%を超えて負担している国というのは、野田総理、果たして世界に幾つあるでしょうか。

安住国務大臣 ちょっと、私どもの計算では、先生、一〇%に仮に上がったとして、国税収入分でいうと三七%ぐらいになるので、四〇とか五〇ほどには上がらないというふうに思っております。

 法人税は、国際競争の中では、我が方はそれでもかなり、地方の分も含めると、やはり企業側からは高いという御指摘もありますので、累進税率についてはフラット化を進めてきたという事実はございます、所得税については。ですから、税体系全体のバランスで考えると、所得税を納める方が当然社会の中で御指摘のように減ってきていますから、全世代型でお願いをしながら、やはり税収のバランスというものをとらざるを得ないということはぜひ御理解いただきたいと思います。

阿部委員 三七%でも結構です。でも、そんなに高い国もないんですね。四割近いということです。世界を見ていただきたいと思います。かなり消費税に過度に依存する、もちろん、ここには金融・証券課税とか入っておりませんから、それから、今、安住財務大臣がおっしゃった法人税の引き下げ競争は各国で起こっておりますが、同時に、実際に企業の皆さんに聞くと、やはり税よりも社会保険料負担が重いんだと。その結果、残念ながら非正規雇用にしてしまうということもあります。

 やはり政治は、現実に着目する、その着目点が大事です。私は、例えば、今回消費税値上げは賛成いたしませんが、何らかの税の引き上げをした場合に、それによって企業の社会保険料負担の軽減をサポートするような手もあるんだと思います。それが……(発言する者あり)そうです、今、環境税という声が上がりました。ドイツなどでも取っています。あるいはフランスでは、皆さんが使われた復興のときのあの増税ですね、あの方式によって社会保険料を下げました。何が国民に負担なのか、何が企業に負担なのか、しっかりと見て、真に手当てしていただきたい。

 最後、お願いいたします。

 ここには、私はぜひきょうの各政治家の皆さんに見ていただきたい現実があります。

 先ほど来、我が国の人口が減少して困るんだ、大変なんだとおっしゃっていますが、実は、子供は女性からしか生まれません。その単身の女性のちょうど二十から六十四歳までのところが高い貧困率、相対的貧困率が三二%であります。お一人で暮らす女性の貧困率が高い。これは、今、未婚率も高くなります。そして、高齢になれば、当然高齢の女性の低年金や無年金になります。この根本構造をどう是正していくか。

 私は、パートの年金加入も、先ほど言った、負担が重いと思われる企業の皆さんに何らかの手だてをしながら、しかし進めないと、この女性たちの問題が根雪のようになると思います。

 岡田大臣、最後に一言伺います。いかがでしょう。

岡田国務大臣 パートの厚生年金の加入の問題は、今政府の中で、三十時間を引き下げるということで議論をしているところでございます。よく関係方面と調整をして、前に進めたいと思っております。

阿部委員 時間を何十時間とやると、それ以下で働かせるという方向になってしまいます。企業も重いんだということを考慮した上で、しかし、支えられる仕組みを、どこに国が手を入れるかです。

 野田総理、一言お願いします。この女性の貧困問題、どうお考えですか。

野田内閣総理大臣 社会保障というのは、どなたでも、困ったときに、弱ったときに助ける仕組みだと思うんです、お互いの支え合いの中で。今どういう人たちが困っているのか、弱っているのか、それは何なのかという精緻な分析をしながらやっていくことが大事だということを、今の資料を見ながら改めて痛感した次第であります。

阿部委員 こうした論議が、きょうはまだ初回と思います。国民にわかりやすく伝わり、そしてみんなで知恵を集めて、真に信頼に足る社会保障の実現できる国になることに私も参加したいと思います。

 ありがとうございます。

中井委員長 これにて阿部さんの質疑は終了いたしました。

 次に、浅尾慶一郎君。

浅尾委員 みんなの党の浅尾慶一郎です。

 冒頭、岡田大臣に一つお願いがございます。

 先般、この予算委員会の中で、私が衆議院の調査室に依頼して調査をさせていただいた社会保険料の徴収漏れの話、大臣は調査室に直接御依頼をされたということでありますけれども、何かこの国会の仕組みの中では、依頼した議員を経由して説明をしたいと。ですから、調査室が同行するということでありますので、私の事務所の方からも大臣にアポを申し込みをさせていただいております。

 これは結構額が大きい話でありますし、変数もいろいろありますので、伺いましたら、調査室には説明してほしいという御依頼があったようでありますが、こちらから御依頼をさせていただいたときには、とりあえず資料をということでありますが、できればお会いして説明をさせていただきたいと思います。

 ちょっと冒頭、お願いでございますが、よろしくお願いします。

岡田国務大臣 先般、浅尾委員の方からいろいろ御指摘いただきまして、調査室と数字をおつくりになったということだったものですから、調査室に問い合わせましたところ、いろいろな資料の提供はしたけれども、基本的には浅尾さんのところでおつくりになったということでございました。

 せっかくのお申し出でございますので、恐縮ですが、浅尾さんあるいは浅尾事務所の方に来ていただいて、御説明を受けたいと思います。

浅尾委員 それでは、お時間の都合のいいときに私、お伺いさせていただいて、説明をさせていただきたいと思います。金額の大きい話ですから、ぜひよろしくお願いします。

 質問に移らせていただきたいと思います。

 まず第一に、きょうの予算委員会の中で公明党の石井議員からも議論がなされておりましたけれども、年金が一元化されたときの保険料率は一五%であるけれども、これにはいわゆる遺族年金や障害基礎年金が入っていない。入れると一八%ぐらいだということであります。

 まず、一五%という数字は閣議決定の中に入っておりますが、あえて高い方の数字を入れずに閣議決定された理由はどういうところにあるのか、伺いたいと思います。

小宮山国務大臣 閣議決定をした中には、素案にあったのと同じように、基本的な項目ということで、「保険料は一五%程度(老齢年金に係る部分)。」というふうに入れさせていただいています。

 先ほど公明党の石井委員の方からいろいろ御試算がありましたので、今のような考え方でいくと、今の割合でいけば遺族年金それから障害年金は大体これぐらいになるというふうに申し上げましたが、そこの制度設計はこれから党の方で組み立てをされるというふうに思っております。

浅尾委員 いや、私の質問の趣旨は、一五%という数字は政府としても閣議決定されておられるわけであります。しかし、実際は一五%では、遺族年金や障害年金はその分のお金が、制度を変えた瞬間になくなるわけですから、一八%必要だというふうに大臣も言っておられたわけで、なぜ低い方の数字で閣議決定をされたのか。そのことは、結果として間違った、本当に必要なのは一八%とおっしゃるべきだったんじゃないかという意味で申し上げているわけでありまして、なぜ差を設けた閣議決定をされたんですかということです。

小宮山国務大臣 障害年金、遺族年金については具体的な制度設計の中でまだ具体的に検討が進んでいなかったので、もう既に決まっている部分を閣議決定したということでございます。

浅尾委員 今の答弁はわかります、具体的な制度設計ができていない。だけれども、制度を移行した瞬間に、今障害年金や遺族年金を受給されている人の分のお金が、一五%では足りないということがわかっているわけですから、その設計がないから入れないというのは、少し、あるいはかなりミスリーディングではないか。

 どこかから負担してもらわなければいけないということはお認めになるわけですよね。負担してもらわなければいけないものを閣議決定の数字の中に入れなかったのは、やはり間違いだったというふうにお認めになりますか。

岡田国務大臣 これは、この大綱の中でこういうふうに書いているんですね。「保険料は一五%程度(老齢年金に係る部分)。」ということですから、これをお読みいただければ、老齢年金に係る部分だけが一五%であるということは、誤解されることはないと思います。

浅尾委員 それは、よく制度を御存じの方は、そうなると思いますよ。だけれども、一般の、私も勉強して老齢年金と遺族年金、障害年金というのがわかるようになりましたけれども、しかし、そうでない方は、一五%だと言えば、一五%だというふうに思うのが筋だと思います。

 では、一五%、一八%ということで、一八%という数字を置かせていただきます。

 制度を移行した瞬間に、一八%を全ての方に負担していただく。それで、きょうの議論の中でもありましたけれども、例えば、今、国民年金の方、自営業者の方は、収入に応じて一八%払っていただくということでありますが、一八%払っていただくようなインセンティブ、あるいは、逆に言うと、収入を少なく申告するようなインセンティブがあるんではないかということは、他の委員の方もこの質疑の中で言っておられます。なぜならば、収入があっても、それを少なく申告すれば、将来的には、制度移行後は、四十年後は七万円だけれども、移行期間に応じてだんだん最低保障年金の額はふえていくという設計でしょうから。

 では、収入を少なく申告するインセンティブに対して、それをどう防ぐんですか。今のことを別に言いますと、ちゃんと収入を日本年金機構なりで把握しない限りはそれはできないんですが、どういう制度になるんですかということです。

小宮山国務大臣 所得の把握につきましては、それは、委員の御提案にもよりまして、ことしから、財務省が持っている資料も含めてしっかり把握をしたいというふうに思っていますし、インセンティブという意味ですと、払っていただいた保険料に比例して今度は年金が、所得比例の部分は出るわけですから、そういう意味では、払ったものに見合って年金が受け取れるということだというふうに思います。

浅尾委員 今、せっかく私が提案したものをというふうにおっしゃいましたが、少しそこは誤解があります。

 私が提案して来年度から実現がされるのは、法務局に登記された法人のデータが日本年金機構に行くだけですから、それは法人の数があるということがわかっているだけで、そこに勤務している人が幾らもらっているかというのは、その中には一切入っていません。したがって、その人たちの収入が幾らであるかというのは、その段階ではわからない。なおかつ、自営業者の方は、法務局に登記しませんから、これは屋号でありますから、登記をしないので、収入は把握できない。ですから、どうやって収入を把握するんですかという質問なんです。

古川国務大臣 収入の把握につきましては、浅尾議員も一緒にやっていたときから、ずっと、社会保障と税の共通の番号を導入しようということでやってきました。それで、この国会にマイナンバー法案を提案いたしております。

 こういう番号を整備したりとか、また、徴収の体制もあると思います。歳入庁も検討していかなきゃいけない。そういう制度的な枠組みなどを考えて、正確な所得把握に向けた環境整備をしていくということだと思います。

浅尾委員 私が尊敬申し上げる古川大臣にしては、ちょっとミスリーディングな御答弁だったと思います。

 マイナンバーは導入されても、そのマイナンバーの下には収入は入らないんです。マイナンバーの下に収入が入るのは国税庁だけなんですね。ですから、日本年金機構は番号しか持っていない。

 国税庁はマイナンバーの下にある収入を年金機構に渡すことまで決まっているんですか。

古川国務大臣 まさに、まずはマイナンバーをつくって、その後、それをどういう形で、例えば、どこまで所得を把握するか、もう浅尾議員もわかっていただいていると思いますけれども、いわゆる税の求める法定調書をどこまで求めるかとか、そういうことを議論していかなければいけません。そういった準備を一つずつやっていって、できるだけ正確な所得把握に努めていくということであります。

浅尾委員 ですから、今御答弁いただきましたが、マイナンバーをつくることは決まっているけれども、その番号のもとに収入までぶら下がるのは、国税庁にしかないのです、その情報は。歳入庁という形で日本年金機構と国税庁を統合しない限り、その制度設計によっては、日本年金機構側に収入が行かないから、最低保障年金というのを入れたときに、収入を少なく日本年金機構に申告してもチェックのしようがないということを申し上げているわけで、だとしたら、歳入庁をつくらない限りは収入の把握というのはできないんじゃないですかということを申し上げているんです。

岡田国務大臣 一つの御指摘だと思います。

 ただ、情報を共有するという選択肢もあるわけで、そういった制度設計はこれからだというのが先ほどの古川大臣の答弁だと思います。

浅尾委員 それでは確認をさせていただきたいんですが、今のは、私は歳入庁をつくった方がいいと思っていますし、民主党もマニフェストでは歳入庁をつくるということをおっしゃっていました。その上で、二つの選択肢、一つは、国税庁と日本年金機構を統合して歳入庁をつくるという選択肢と、そうでない場合は情報を共有するという選択肢があるということを岡田大臣はおっしゃいましたけれども、私の理解では、まだ情報を共有するところまでは決まっていないということですが、情報を共有するということを決められるという御答弁でよろしいですか。

岡田国務大臣 そのことも含めて今後の検討であるというのが先ほどの古川大臣の御答弁だったと思います。

 歳入庁をつくるというのは、我々、大綱の中でもその検討を述べておりますので、私のもとで検討が始まったところです。歳入庁、そういった形で年金機構とそして国税を一つにするというのは、これは大きな改革ですので、それがうまく回っていくのかどうか、それから、情報共有やそういう形で同じような効果が上げられないのかということも含めて、これはしっかりと、余り時間をかけるわけにはいきませんが、しっかり議論しなければいけないというふうに思っております。

浅尾委員 少なくとも情報共有をしない限りは正確な収入の把握ができない。正確な収入の把握ができなければ、もし意図的に自分の収入が少ないということで日本年金機構に申告された方については、言葉は悪いですけれども、ただ乗りになってしまう制度だということだけは指摘をさせていただきたいと思います。

 その上で、岡田大臣は歳入庁構想について、国会の答弁で、設置に向けてメリット、デメリットについて検討していきたいという答弁をされております。

 現段階で想定されるデメリットというのはどんなものがあるんですか。

岡田国務大臣 先ほども申し上げましたように、これはかなり大きな改革になります。したがって、二つを一つにしたことによって、より機能が高まり、効率が上がればいいんですが、例えば国税の徴収などに差しさわりが出るような、そういう結果になってはいけないわけで、これだけ大きな改革をするときに、その必要性、基本的には年金制度の改革の問題と、それからより重要なのは給付つき税額控除、そういったことにどういった役割を果たせるかということをしっかり検討しなければならないというふうに私は考えております。

浅尾委員 私の事務所は、事務所で働いていただいている者の税金はもちろんでありますが、別途、社会保険事務所、いわゆる日本年金機構の事務所と、それから雇用保険の事務所に加入をいたしております。結果として、事務を考えると、税務署には一月と七月、年二回、源泉徴収納税手続というのを出さなければいけない。それから、健康保険料、年金保険料は七月に標準報酬月額算定基礎届というのを出さなきゃいかぬ。それから、雇用保険は、これも七月に確定保険料・一般拠出金算定基礎賃金集計表というものを出している。

 これは全部、実は賃金にかかわるものなので、利用者からすれば、一カ所にまとめてもらって、これだけかかっていますと出させてもらったら楽だし、そうしたらそれを、賃金にかかわっているものが正しいかどうかのチェックも簡単なんです。ですから、これは物すごい行革にもなるので、今回の施政方針演説の中で、野田総理は行革についてもしっかりと取り組むというふうに言っておられたので、これはまさに行革の一丁目一番地になると思いますよ。

 日本年金機構は二万人の職員がいますが、徴収部門だけで一万人ぐらいいるかもしれませんが、この人たちが全員必要になるというわけではありませんし、利用者にとってみれば、毎回毎回三カ所、私の場合は鎌倉と藤沢、藤沢は二カ所ありますから、そこに行かなきゃいけないというのは結構、利用者にとってみると大変な手間になるということであります。あるいは、これを郵送でやろうとすると、当たり前ですけれども、郵送で送る側が切手代を払わなければ、定形外のものなので結構切手代もかかる。ですから、一カ所に送れるようにするというようなことはかなりの行革になると思いますが、そんなことも含めてどういうふうに考えるか、伺いたいと思います。

岡田国務大臣 委員御指摘の点も確かにあるんですね。

 少し今、中で議論しているんですが、徴収のところと支払いのところ、例えば給付つき税額控除をつくったときに、どこの窓口でこれを払うんだろうかと。つくった歳入庁でやるのかと。それとも市町村でやるのか、その辺もいろいろな議論はあり得るというふうに思うんですね。本当は、これは国税ですから市町村じゃないはずですけれども、しかし、全体を考えたら市町村の方がいいかもしれない。

 考えてみれば、今、税だって国税と地方税で窓口が分かれているわけで、そういったものをどういうふうに整理していけばいいか。全部一つにまとめれば一番効率的かというと、必ずしもそうでもないかもしれませんし、少し大きな議論が必要なのではないかというふうに思っております。

浅尾委員 ぜひ、効率化の観点それから負担の公平化の観点からも、そのことについて取り組んでいただきたいということを申し上げたいと思います。

 次に、先ほども議論がございました、年金、健康保険料の三十時間から二十時間への適用拡大について伺っていきたいと思います。

 私は、この委員会でも再三申し上げておりますが、適用拡大をする前に、これは強制加入ですから、未適用事業者に加入してもらうというのが先だというふうに思いますが、どういうふうに考えますか。

小宮山国務大臣 それは一方で、当然のことながら、未適用の事業者にちゃんと加入してもらわなければいけないということがあると思いますし、ただ、先ほども阿部委員からも、働いている女性の三分の一が貧困層だというようなこともございました。そういうことからして、やはり、非正規の皆さんへの適用拡大ということも同時に進めていく必要があるというふうに考えています。

浅尾委員 一点、では、未適用への拡大、先ほどせっかく小宮山大臣が指摘をしていただきました。来年度から、法務省が持っている企業情報が日本年金機構に行くようになりますけれども、これをどういうふうな形で使われる予定ですか。

 私は、これは提案として申し上げておきたいと思いますが、こういったことに一番詳しい、税理士さんなんかはよく税務署に協力していますが、年金については社会保険労務士さんが詳しいので、彼らに協力をしてもらって、未適用の事業所に適用の手伝いをしてもらった方がいいんじゃないかと思うんですが、どうやって情報を活用するつもりか、お答えいただきたいと思います。

小宮山国務大臣 やはり、社労士さんに協力をしてもらうということも一つ実現可能な方法だと思いますので、しっかりと、有効にできるように検討させていただきたいと思います。

浅尾委員 次に、この未適用の問題から移って、実は健康保険に顕著でありますが、協会けんぽの方と例えば国家公務員の方を比較しますと、同じ三十万円でも、月々三十万円のその方のお給料から引かれる額が四千円ほど中小企業中心の協会けんぽの方の方が多いということなので、これは保険料率を統一する方が先なんじゃないか。

 これは、保険料率を統一すると、これも衆議院の調査室に私が依頼して出していただいた数字ですと、大体二兆円ぐらいの増収になりますが、その点についてどういうふうに、要するに、同じ料率じゃないんですよ、健康保険は特に。これを同じにしていくということについてどういうふうに考えられるか、伺いたいと思います。

小宮山国務大臣 それはそれぞれ、いろいろ成り立つ仕組みが違っておりますので、そこのところを一度に同じにするということがすぐできるのかどうかというふうには思います。

浅尾委員 先ほど、阿部委員の質問の中で逆進性が高いという指摘もありました。実は、これも余り知られていないことでありますが、私も調べてびっくりしたんですが、健康保険でいうと、年収一千九百九十二万円を超える部分については、そこから幾ら収入がふえても保険料はかかりません。したがって、実効的な保険料率は、年収が何億もある人からすると、物すごく低くなっているというのが実態であります。

 それから、年金も、もしいわゆる年金一元化をするということになると、例えば、例えがいいかどうかわかりませんが、プロ野球選手のように、あるときは収入が多いけれども、あるときは下がるというような人がおられます。下がらない人もいるかもしれませんが、引退した後下がるというのが一般的でしょう。そういった方のことも考えたら、今の年金の場合は一千百九十四万円という上限がありますが、これも取っ払って、そして標準という形にした方がいいんじゃないかというふうに思います。

 そのことの方が、特に健康保険なんかは典型だと思いますが、今、三十時間の方を二十時間にして、少ない収入の中で高い保険料を払って、収入に対しての金額からすれば多い金額を払っていただくよりは、収入の上限を撤廃するということも検討されたらいいんじゃないか。

 これも、年金と健康保険、ちょっと数字が、共済に入っておられる方の部分がどういう数字を使っていいかというのがわかりませんが、除いても一兆七、八千億です。共済の方を入れると、多分二兆円を超える収入増になると思いますが、そうしたことについてどのように考えておられるか、伺いたいと思います。

岡田国務大臣 今の委員のお話を聞いていまして、例えば健保、確かに保険料は違います。しかし、それは健保を構成している組合員の年齢構成とか所得の分布によって変わってくるわけです。所得の多い人がいれば料率が低くても成り立つわけですから。それからあと、健保組合の自己努力ですね。それを全部横並びで一つにしてしまったら、それは母集団を大きくしてしまうということになるんだと思いますが、やはりそれぞれが自己努力する、そういうインセンティブはなくなります。

 もちろん、例えば船員の健保なんというのは、昔は若い人ばかりで非常によかったんですが、だんだん時間がたつと財政が厳しくなってくるということがありますから、一定の調整は要ると思いますが、それを全部一律に、一つにしてしまうということが果たしていいかどうかというのは、議論の分かれるところではないかと思います。

小宮山国務大臣 先ほどの阿部委員の御指摘などの点もございますし、高額の方の方を上げたらいいのではないかということは検討すべきことではないかと私も思います。

 それから、低い方については、払うと同時に、それを一定の期間払えば、受け取る年金もふえてきますので、そういう意味では貧困率を下げるという効果があると考えています。

浅尾委員 年収のところは検討されるというふうにおっしゃいました。

 料率のところは、個別の組合健保が自助努力をすることによって抑えられるトータルの医療費がどれぐらいなのかということと、一方で、公的保険ですから、お互い支え合う。たまたま自分が属している集団が若い人が多くて余り病気にならないから、同じ三十万円なんだけれども安い保険料でいいというのが果たして公平なのかどうか、これは哲学の問題だと思いますので、その哲学について、では、どういうふうに考えられるか、お答えいただきたいと思います。

岡田国務大臣 そういった点も議論が必要だと思います。調整を全部してしまうと、自立的にやっているという健保組合の本来の趣旨が損なわれる可能性もあります。他方で、おっしゃるように、高齢者の方の多い、あるいは所得の少ない方が多い、そういう組合はより財政が厳しくなりますから、一定の調整は私は要ると思うんですけれども、余りやり過ぎるのもいかがなものかというふうに思っております。

浅尾委員 次の質問に移りますが、一言だけ。

 年金は一元化するということであれば、本来は健康保険も、要は価格は決まっているわけなので、これも一元化してもいいんじゃないか、要するに料率を統一してもいいんじゃないかと私自身は思いますということを申し上げて、最後、余り時間がありませんが、以前からお願いしております、恩給期間というところに対する追加費用は非常に大きくなっている、その加入総月数というのがまだ全然出てきていないんですが、あとどれぐらいで出てくるのかということを、多分きのうのレクではお願いしていたと思いますので、安住大臣にお答えいただきたいと思います。

安住国務大臣 先般、川端大臣が、調べてわかり次第お伝えすると言っていますので、調べて結果が出次第、政府としてお伝えをさせていただきます。

浅尾委員 時間が参りましたので終わりますけれども、今、前向きの御答弁をいただいたことは、ぜひその方向でやっていただきたいと思います。

中井委員長 これにて浅尾君の質疑は終了いたしました。

 次に、豊田潤多郎君。

豊田委員 新党きづなの豊田潤多郎でございます。

 私は、総理に三問御質問をするということで、質問要旨に既に具体的に書いてございますので、このようにお配りしてございますが、改めてそれをお読みいたします。

 第一問は、平成二十三年の十二月九日、公務員給与削減法案の審議、成立のために国会の会期を延長すべきであったが、なぜ国会を閉じたのでしょうか。

 第二問は、平成二十三年、同じく去年の暮れの十二月二十四日ですけれども、民主党の国民の皆様への約束の中で、最も基本的でかつ大事な柱の一つであるコンクリートから人への象徴的な事例とされていた八ツ場ダム、この八ツ場ダムをなぜ平成二十四年度予算で工事の再開を認めたのでしょうか。

 第三問は、同じく年末に、統治機構、組織の見直しを含む徹底した無駄の排除と予算の効率化による歳出の大幅削減を実行しないまま、なぜ消費税の増税だけを強引に進めようとしたのでしょうか。

 この三問なんですけれども、ちょっとこれを申し上げますと、少しさかのぼって半年ほど前になりますが、たしか去年の六月に、菅前総理のときだったと思いますけれども、社会保障と税の一体改革を進めようということを決められたわけですね。私は、そのときに、社会保障と税の一体改革というアプローチの仕方はおかしいと、ずっと事あるごとに申し上げてきたわけです。

 というのは、まるで社会保障と税をてんびんにかけて、社会保障を受けられないんだったら、あるいは社会保障が嫌なら消費増税しなくてもいいけれども、社会保障をしてほしかったら消費税の増税はやむを得ないんだよというような、まさに二者択一の、しかも回答の選択肢のない、消費増税ありきという形のアプローチの仕方は私はおかしいんじゃないかと。

 だから、歳出と歳入の一体改革、今まさに総理がそういうことを言いかけられていましたけれども、歳出と歳入の一体改革、社会保障は必ずしも聖域ではありません、社会保障の中でも、総理がおっしゃるようにいろいろとメスを入れなきゃならない部分も多々あると思います。その社会保障を含む歳出全体の徹底的見直しを行う、これを私はまず先行してやるべきだと思いますが、せめて同時に、歳出の見直しとともに歳入の見直しを行う、税の増税ありきじゃなくて歳入の見直しを行う。

 歳入は、御案内のように、税と税外収入と、それから借金、国債があります。その国債をできるだけ減らそうということであれば、まず歳入の中で税外収入というものをうんとふやす努力をすべきではないかと思います。さらに、その税外収入をふやしても、どうしてもこれだけの歳出を賄うためには財源が必要だということであれば、そのときに増税の議論になる。

 しかも、増税は消費税だけじゃないんです。当然、所得、法人、それから資産税もあれば、そのほかの間接税もいっぱいあるわけです。相続税というのは資産税ですね。だから、そういうものを総合的にバランスを考えて、最後にどうしても消費税ですということならば、私は話はわかると思うんですが、それを私はずっと機会あるごとに申し上げてきたんですけれども、全然そういうことに議論が進展しないということだったんです。

 昨年の九月、野田内閣が発足しました。私は野田総理を、当初、本当に心からお支えしていたんです。

 党の人事で、私は、九月に広報委員長代理を仰せつかりました。そのときの最初の一番大きな仕事というのは、総理のあのどでかいポスター、大きなポスターをつくるというのが広報委員会の一番最初の私の大きな仕事であり、これは広報委員会だけのマターではないというので、幹事長室とも提携をして、当時の広野広報委員長、樽床幹事長代行、それから当時の城島幹事長代理、そういう方々と相談をして、あのポスターをどうするか、いろいろなところにお願いをし、いろいろな形をつくって、最後は総理の意向も踏まえて、ああいう目線がいいとか、こういう角度がいいとか、そして百メートル離れていても総理とわかるような大きいものにしようということでおつくりした。

 私は、九月の時点で、野田総理ならば民主党を立て直していただける人ではないか、このように本当に思っていたわけです。

 ところが、九月から十月、十一月、そして十二月になって、一方的に、どう見ても総理がしゃにむに消費増税に走っていかれる。これはちょっと私はおかしいと。菅前総理のときは、野田内閣になったらせめて切り口を変えて、社会保障と税の一体改革ではなく、歳出と歳入の一体改革、こういう形にまずアプローチの仕方を仕切り直して、そして、まず歳出の削減、歳出の見直しをきちっとしてから増税議論に入る、そういう手順を何で踏んでいただけなかったのかというのが、去年の九月から十二月にかけて非常に悶々としていた私の思いでありました。

 結局、質問の冒頭に戻るんですけれども、この三つの質問というのは、私が最終的に昨年の末に離党いたしまして新党きづなをつくりましたけれども、その離党を決意させた三段階、きっかけになったいわゆる三段跳びなんです。十二月の九日、十二月の二十四日、そして年末、変な例えですけれども、ホップ、ステップ、ジャンプで、どうしようもないということで離党した。このことを総理にぜひわかっていただきたい。

 最初の十二月九日の日、これは今、恐らくあした総務委員会とか本会議が開かれて給与削減法案もある程度めどがついていくとは思いますが、なぜ去年のあの十二月九日の段階で、消費増税、消費増税とおっしゃるならば、国会をたとえ二週間でも延長して、それは問責決議案の問題とかいろいろあるかもしれませんが、なぜそのときに、国会を延長して公務員の給与削減法案の成立を期すという、その覚悟を示されなかったのか。それを最初に非常に疑問を感じました。

 二番目は、八ツ場ダムの話です。国民の皆さんに約束したことをほごにしておいて、それで消費税の増税ということはあり得ないんじゃないか。消費税の増税は国民に約束したわけではない、むしろ消費増税をしないということを言ってきた。にもかかわらず、八ツ場ダムは回復する、そして消費増税はやります、これは、民主党としての国民の皆さんに対する約束を本当にほごにする、無視する、とんでもないことではないかと私はそのときに思ったわけです。

 最後、年末、これはもうどうしようもないと。どうしても最後まで野田総理が強引に消費増税に踏み切るとおっしゃるのなら、しかも、その前にやるべきことをやらずして消費増税をするとおっしゃるなら、これはもうどうしようもないなということで離党を決意し、離党したということであります。

 私は、あえて申しますが、決して消費税に反対している人間ではありません。むしろ、消費税というのは将来の財源として大変大事なものでありますし、これはできるだけ早く環境を整えて、そして引き上げるべきだ、私はそう思っています。しかし、何度も申し上げていますけれども、消費税を引き上げる前にやるべきことがあるんじゃないですか。

 国民の皆さんも、最近、消費税に対して関心は非常に高くなってきています。しかし、世論調査でも八割ぐらいの方々が、消費税を増税する前に政府にやるべきことをきちっとやってもらいたい、それをやってもらうのなら消費増税もやむを得ないと。(発言する者あり)そんなことないですよ。NHKの世論調査で一月に、八〇%というのが出ているんですよ。そういう、消費税の増税をする前に、引き上げをする前に、まずやるべきことをやっていただきたい、くどいようですが。

 そして、一言申し上げたいのは、私も二十年ほど大蔵省に入っておりまして、主計局総務課、予算を振り出しに約二十年間、予算の編成と税制に携わってきたんです。消費税の導入のときも、その引き上げのときは退職していましたけれども、平成元年の導入のときは、まさに大阪国税局の間税部長の現場で、第一線で、非常に苦労しながら消費税の円滑な導入に尽力したんです。

 その思いからすると、消費税を上げるということは、今でもこれは大変ですけれども、大変なことなんですね。逆を言うと、この大変なときこそ歳出にメスを入れる絶好の機会なんです。消費税をこれだけ上げる、国民の皆さんに負担をお願いする、だからこそここで身を削ってという、本当に本当にやる気があって、統治機構や組織の見直しを含めた歳出の抜本的改革、見直し、削減を行う、それをぜひやっていただく絶好の機会ではないかと私は思っています。

 少し長くなりましたけれども、まとめて三問お答えいただければと思います。

岡田国務大臣 それでは、三番目の質問は行革でございますので、私からまずと思っております。

 委員も、二年以上にわたって、同志として民主党の中でともに汗を流してこられた、そう思っております。そういう中で、我々、埋蔵金はかなりあぶり出しましたし、そして、例えば公共事業予算を大幅に削減するなど、いろいろなことを一緒にやってきたことも事実ですから、そういうことはやはりお認めいただきたいというふうに思います。

 今後、なおやるべきことはたくさんございます。今、党の行政改革調査会の方で立法をお考えいただいております。その中に政府としてやるべき項目が具体的に書かれた、そういう議員立法でございます。私も、党の皆さんと議論させていただきながら、その法案ができることを非常に楽しみにしておりますが、その法律に基づいてさらにしっかりと行革をやっていく、そういう決意でございます。

野田内閣総理大臣 三つの質問にまとめてということでございますけれども、最初の質問は、昨年の末に公務員給与の引き下げ、削減の議論を行っている、与野党協議を行っているときに、審議もできない状況の中で、なぜ国会を閉じたのかという御質問だったというふうに思います。

 幸いにして、最近、三党の実務者の協議を一生懸命積み重ねていただき、政調会長間で合意をしまして、いよいよ国会審議となりました。ようやくめどが立って、マイナス七・八%の減額を実行できることになりましたけれども、まだあの十二月の段階においては、人勧の扱いと我々が言っているマイナス七・八%の扱いの隔たりがありまして、それが協議が調う状況、展望がなかったということがあります。

 その上に、もう御案内のとおり、十二月ですので予算編成も大詰めになっていく、税制改正も大詰めになっていく等々の、そういうやらなければいけない課題もありましたので、残念ながら十二月の段階では国会は閉じさせていただき、そして、引き続き政党間協議により、今回のようなチャンスができることを粘り強く待ちながらいたということでございます。

 それから、二つ目は八ツ場についてでございますけれども、八ツ場については、政権交代以降四代の大臣が、予断を持って検証せずという立場でその検証を進めてまいりました。その検証を踏まえて事業再開という国交省の判断がありましたけれども、そのときには官房長官の裁定がございました。官房長官の裁定を踏まえて、国交大臣には適切に対応していただきたいと思います。事業再開、予算はつきましたけれども、これは、その二つの裁定をどうこなしていくのかを見ながら執行は判断をするということでございます。

 それから、増税の前に歳出削減をする、それは当然だと思います。当然というか、それに対して私ががむしゃらに強引に消費税増税に走っているという御指摘が三番目の御質問だったというふうに思うんですが、これはちょっと、正確にこれまでの経緯をたどっていただきたいんです。

 昨年の六月に、社会保障と税の一体改革の成案をまとめました。これは政府・与党でまとめました。それは、豊田先生もいろいろな議論で入っておられたと思います。約半年間かけて、この六月に成案をまとめたんです、政府・与党として。

 その後に、菅さんがやめられた後の党代表選挙が八月末に行われました。私が公約をしたことは、先生は歳出と歳入の改革という路線で考えろというお話ですが、社会保障と税の一体改革の具体化をしていく、そのためにこれから詰めていく、そして法案をこの年度内に出すということをお約束しました。五人の候補者がいろいろいらっしゃったと思いますけれども、そこは明確に申し上げました。しかも、決選投票の場でも言いました。そこは御理解をいただいていたはずだと思います。その上で、広報でポスターづくり等で御尽力いただいたことは大変ありがたいと思いますけれども、明確に党代表選挙で私は申し上げたことです。そのことを着々と議論させていただきました。

 そして、去年の暮れに党の議論の中で集約をされ、一月六日に素案となってまとめましたけれども、この間にも、強引という御指摘は当たらないと私は思います。本当に時間をかけて、皆様にかんかんがくがくの議論をしていただきました。時には激論にもなっておったというふうに思います。だけれども、その中でまとめたことは強引ではありません。あの十二月の二十九日に、深夜まで、最後まで残っていた方はおわかりだと思います。強引な意思決定はやっていません。握手と拍手で終わりました。

 こういうプロセスをたどってきているということは、ぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。

豊田委員 お二人の御説明は想定の範囲内ということなんでございますけれども、最初の、国会の延長云々の話は、私は、その時点での判断で、もっと誠意を見せるというか決意を見せるということもあったんじゃないかと。これはもう再質問しません。

 それから、二番目の八ツ場ダムの話ですけれども、これもちょっと納得できないのは、前原政調会長がたしか政府案決定の二日ほど前に、八ツ場ダムを再開するなら国交省予算を認めないとまで言い切った、そういう経緯のもとで、それは官房長官裁定とか何かいろいろ技術的なことをおっしゃるかもしれませんけれども、本当に基本中の基本になるような国民の皆さんに対するお約束を、その象徴的なものを取りやめてしまう。取りやめるというか、要するに再開に走る。それでいて、消費税は消費税でという話はやはりおかしいんじゃないか。これは改めて申し上げておきます。

 いずれにしても、第一問も第二問も私はちょっと納得できないんですけれども。

 三番目、これは再質問をさせていただきたいと思いますが、御答弁されましたけれども、このことについて私から四点申し上げて、それを踏まえて、最後、時間があればお答え願いたいと思います。

 第一に、総理は、今ちょっとおっしゃらなかったかもしれませんが、常に最近おっしゃっているのは、行財政改革を一体としてやるんだと。まさにそれは、去年の十二月十四日に岡田副総理が初代の会長になって民主党の行政改革調査会をつくられたということですけれども、私は、第一番に申し上げたいことは、やりますとか、あるいは消費税が上がるまでの、一四年の四月ですか、それまでにやりますとか、そういう口約束ではなくて、実現、実行を先にしていただきたいんです。

 これだけの実績を上げた、例えば歳出の削減あるいは制度の見直しをやって、これだけの切り込みをやったという実績をまずつくって、あるいは、例えば法律でもいいですよ。法案だって、今回消費税の大綱が出て、消費税の法案が来月にも出るかもしれない。では、なぜ行財政改革の法案がいまだに出ないんですか。その大綱がなぜ今できないんですか。それは、まず歳出の削減を実現、実行し、実績をつくってから消費税の増税を問うべきだ。これが第一点。

 それから第二点。岡田さん、おっしゃいましたけれども、去年の十二月十四日に調査会の会長になられて、一月にかわられて中川さんが二代目になられて、今度もかわられて、中野寛成さんが今度なられたのか内定されているのか、そういう状況ですよね。二カ月足らずぐらいの間に三人もトップがかわって、本当に総理あるいは今の政府・民主党が本気になって行財政改革にメスを入れようとしているのかという、その本気度がまず疑われるというのが一つ。

 それから、具体的に言いますと、岡田さんがちょうど会長をやられたとき、独立法人とかそれから特別会計の整理統合という中間案みたいなものをつくられましたよね。あれの中身を見て私はびっくりしたんですけれども、A法人とB法人、足してAB法人にしますよ、それで二つが一つになりました、数が半分になりました、そういう類いの議論で、実際どれだけそれによって経費が削減されるのか、政府の税の負担がどれだけ減るのか、その試算は何もない。

 逆に言うと、合併して、過去にも例があるんですよ、言葉は悪いですけれども、焼け太り、二つが一つになって逆に経費がふえちゃった。あるいは特会だって、ある特別会計の何々勘定、それから残りのもう一つの特別会計をあわせたって、何々勘定というものを残したまま全部が残れば何の意味もないんです。名前だけが、ただ数が減ったというだけ。そういうふうな実質がない案というのは全くおかしいんじゃないか。

 それから、中川さんがたしか九日の調査会の役員会で示された行政構造改革法案の骨子というものがあると聞いておりますが、それによりますと、二年半前のマニフェストで一三年度までに二割削減と掲げた公務員の総人件費の削減、これについては、具体的な期間を検討すると、実施期間を先送りした。さらに、五年間で千四百億円以上の公務員住宅売却とした国有資産の売却額も、数値目標がほぼ消し去られた。

 こういうことで、ほとんど中身のないようなことを今やろうとされている。それが、全力で行財政改革に取り組んでいます、だから消費税の増税よろしく、そういうことは私は言えないんじゃないかというのが二点目です。

 それから三点目。これはちょっと細かい話ですけれども、総理がよく予算の組み替えということをおっしゃいます。平成二十四年度の予算を組み替えてめり張りをつけたと。あの言葉の使い方は間違っていますし、やめていただきたいと私は思うんです。

 恐らく日本再生化枠のことを指して予算の組み替えだというふうにおっしゃっていると思うんですが、予算の組み替えというのはそういうものじゃないんです。抜本的に制度やあるいは組織やそういうものを変え、しかも、省庁の縦割りを超えた横断的な形で予算を組み替えるのが、予算の組み替え。

 総理がおっしゃっている日本再生化枠は、自民党の皆さんにも申しわけないんですが、私どもが事務方として主計局で予算を組んでいたときに、復活折衝という制度があって、そこに財源を二千億とか三千億一応プールしておいて、予算は全部決まっているんですが、その予算の中で、最後、大臣折衝でこれだけとりました、あれだけつけましたということで各省庁に花を持たせる、そういう形の復活折衝という制度があった、その類いと全く変わらないんですよ、再生化なんという話は。それが、総理が声を大にして予算の組み替えをやりましたというようなことをおっしゃっていただくというのは私は笑止千万ですし、そういう用語はやめていただきたい。

 大変例えがどうかとは思いますけれども、総理が昨年、原発事故を収束とおっしゃいましたね。原発事故の収束宣言というあの用語の使い方と、今回の予算を組み替えているというそれは、全く同じ間違った用語の使い方なんです。それを第三点として、細かいですが御指摘しておきます。

 最後、第四点目ですけれども、批判ばかりするのは申しわけないので、一つ具体的提案をということで、本気になってやればできる話なんですが、ひもつき補助金を一括交付金化にぜひしていただきたい。ざっくり言えば、恐らく予算の中で、精査してみる必要はありますけれども、二十兆ぐらいはいわゆる補助金があるんだと思います。

 地方へそういう補助金を回すときに、民主党の中でお調べになった話だと私は聞いていますけれども、民主党の中で、全国の地方公共団体、地方自治体の首長からヒアリングをして、そして、どれぐらいの経費、補助金がかかりますかという話をしたときに、ひもつきだったら例えば百億円ですが、ひもつきでない一括交付金だったら七十億、七割でできますよ、七割で今の地方自治体がやっている行政サービスを維持できますと。七割という話は掛け値ですから、恐らく六割とか、もっと頑張れば五割とかいくかもしれません。それは精査する必要があると思いますが、菅前総理もそれをやろうとしてほとんど何もできなかった。

 この一括交付金制度というのは、地域の活性化を進めるとともに、民主党のまさに地方分権、地方主権、その一丁目一番地の政策を遂行する大きな、しかも財政の削減を可能とする非常にいい施策だと私は思うんです。

 これを本気になってやったときに、抵抗が一番強いのは役所です。恐らく、唯一反対しないのは財務省の主計局ぐらいで、それ以外の役所は全部要求官庁ですから、全て反対します。今、総理が軸足を、一生懸命一生懸命国民の皆さんに増税の説得に回ってということをやられるのなら、役所の役人を説得して、ひもつき財源を一括交付金化にする、そこに全力を挙げていただくというのがまず筋ではないか。

 この四点を申し上げて、答弁を求めます。

中井委員長 二分三十秒しかありませんので、その範囲内で答えてください。

岡田国務大臣 独法、特会のお話をされました。委員もおられたときも含めてですが、我々、政権交代後、独法から二兆円のお金を一般会計に入れたはずであります。それから、予算でいいますと、年間三兆円の予算を三千億以上減らしました。そういう成果は上がっております。今回の改革の中では、従来の道路特別会計、社会資本整備会計、これもなくなって一般会計になりました。そういったさまざまな成果は上がってきているということは申し上げておきたいと思います。

 そして、時間もありませんので、最後に、今、党で御検討中の行政構造改革法案、これは本当に多くの仲間が必死になってつくり上げているところであります。それに対して、先ほど委員が、ほとんど中身がないというふうにおっしゃったのは、私は大変残念だということは申し上げておきたいと思います。

野田内閣総理大臣 今、二番目の点は副総理からお話しのとおりですが、もう一つ、若干重複しますけれども、私の政権になってから何かできていないことに御批判をいただくことは、これは構いません。だけれども、これまでの行革の取り組みはみんなでやってきたことです。それについては豊田さんも入っていたんです、そのチームに。

 これまでに我々がやってきたことの中では、三兆円の恒久財源をつくって、その範囲で子ども手当の主要政策をやってまいりました、その範囲でやってまいりました。税外収入はもっととってきています。これを合わせるとやはり十兆円規模にはなっているんです。ということの評価は、我々が総力を挙げてやってきたことなので、そこまでは共同してやってきたことなんです。そこはぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。

 これは手を抜いていくつもりはありません。これからもやり抜いていきたいというふうに思っています。

 それから、組み替えの話も全く同じなんです。今回の日本再生重点化枠は一兆円です。幾つかの基準、方針を決めて、政治主導で、もちろん役所からいろいろ上がってきています、でも党からもたくさんいただいています、それを選んで一兆円の規模にしています。従来のシーリングと違うのは、まず、規模が一兆円に乗るようなやり方を今までしていないと思います。というように、それは今回だけではなく、前もやりました。そのときも豊田さん、いたはずでございます。

 続いて、ひもつきの補助金から一括交付金、これは間違いなく進めていきたいと思います。御指摘のとおりです。

 ことし、今進行中なのは五千百二十億です。これもみんなで総力を挙げて五千百二十まで持ってきました。二十四年度は八千億以上頼んでおります。県だけではなく、今度は政令市も含めての対応になります。着々と進めていきたいというふうに思います。

中井委員長 これにて豊田君の質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三十分散会


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