衆議院

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第17号 平成24年2月28日(火曜日)

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平成二十四年二月二十八日(火曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 中井  洽君

   理事 笹木 竜三君 理事 武正 公一君

   理事 西村智奈美君 理事 鉢呂 吉雄君

   理事 若井 康彦君 理事 若泉 征三君

   理事 石破  茂君 理事 小池百合子君

   理事 高木 陽介君

      石関 貴史君    今井 雅人君

      打越あかし君    江端 貴子君

      大西 健介君    金森  正君

      菊池長右ェ門君    岸本 周平君

      櫛渕 万里君    桑原  功君

      近藤 和也君    佐々木隆博君

      杉本かずみ君    菅川  洋君

      玉木雄一郎君    仁木 博文君

      橋本 博明君    花咲 宏基君

      樋高  剛君    馬淵 澄夫君

      三宅 雪子君    村越 祐民君

      室井 秀子君    矢崎 公二君

      山岡 達丸君    山崎  誠君

      山田 良司君    湯原 俊二君

      渡部 恒三君    あべ 俊子君

      赤澤 亮正君    伊東 良孝君

      小里 泰弘君    金子 一義君

      金田 勝年君    近藤三津枝君

      佐田玄一郎君    高市 早苗君

      橘 慶一郎君    永岡 桂子君

      野田  毅君    馳   浩君

      山本 幸三君    高木美智代君

      東  順治君    笠井  亮君

      内山  晃君   斎藤やすのり君

      服部 良一君    山内 康一君

      田中 康夫君    中島 正純君

      松木けんこう君

    …………………………………

   国務大臣

   (社会保障・税一体改革担当)           岡田 克也君

   総務大臣         川端 達夫君

   外務大臣         玄葉光一郎君

   財務大臣         安住  淳君

   文部科学大臣       平野 博文君

   厚生労働大臣       小宮山洋子君

   農林水産大臣       鹿野 道彦君

   経済産業大臣       枝野 幸男君

   国土交通大臣       前田 武志君

   環境大臣

   国務大臣

   (原発事故の収束及び再発防止担当)        細野 豪志君

   防衛大臣         田中 直紀君

   国務大臣        

   (内閣官房長官)     藤村  修君

   国務大臣        

   (復興大臣)       平野 達男君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 松原  仁君

   国務大臣

   (国家戦略担当)     古川 元久君

   国務大臣

   (防災担当)

   (「新しい公共」担当)  中川 正春君

   内閣官房副長官      齋藤  勁君

   総務副大臣        黄川田 徹君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   防衛副大臣        渡辺  周君

   財務大臣政務官      三谷 光男君

   政府特別補佐人     

   (内閣法制局長官)    山本 庸幸君

   政府参考人

   (内閣官房社会保障改革担当室長)         中村 秀一君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    石井 隆之君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           田口 尚文君

   参考人

   (原子力安全委員会委員長)            班目 春樹君

   予算委員会専門員     春日  昇君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十八日

 辞任         補欠選任

  江端 貴子君     樋高  剛君

  岸本 周平君     三宅 雪子君

  佐々木隆博君     桑原  功君

  橋本 博明君     矢崎 公二君

  馬淵 澄夫君     菅川  洋君

  伊東 良孝君     永岡 桂子君

  小里 泰弘君     高市 早苗君

  馳   浩君     近藤三津枝君

  東  順治君     高木美智代君

  内山  晃君     斎藤やすのり君

  阿部 知子君     服部 良一君

  中島 正純君     田中 康夫君

同日

 辞任         補欠選任

  桑原  功君     菊池長右ェ門君

  菅川  洋君     馬淵 澄夫君

  樋高  剛君     江端 貴子君

  三宅 雪子君     岸本 周平君

  矢崎 公二君     橋本 博明君

  近藤三津枝君     馳   浩君

  高市 早苗君     あべ 俊子君

  永岡 桂子君     伊東 良孝君

  高木美智代君     東  順治君

  斎藤やすのり君    内山  晃君

  服部 良一君     阿部 知子君

  田中 康夫君     中島 正純君

同日

 辞任         補欠選任

  菊池長右ェ門君    佐々木隆博君

  あべ 俊子君     小里 泰弘君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 平成二十四年度一般会計予算

 平成二十四年度特別会計予算

 平成二十四年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

中井委員長 これより会議を開きます。

 平成二十四年度一般会計予算、平成二十四年度特別会計予算、平成二十四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、参考人として原子力安全委員会委員長班目春樹君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣官房社会保障改革担当室長中村秀一君、警察庁交通局長石井隆之君、総務省自治行政局選挙部長田口尚文君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。樋高剛君。

樋高委員 おはようございます。民主党の樋高剛でございます。

 早速質疑に入らせていただきたいと思います。

 昨年の三月十一日の東日本大震災から一年が経過しようとしております。その間、電力の需給体制は逼迫をいたしました。昨年の夏も節電に取り組みました。私も、環境大臣政務官として、当時、クールビズをバージョンアップさせたスーパークールビズという国民運動を展開させていただいた一人でございますけれども、今なお現在、節電に各御家庭でも御協力をいただいているというのが実情でございます。

 私自身、環境政策につきましてはライフワークの一つとして取り組ませていただいているところでありますけれども、環境政務官のときに、いわゆる低炭素社会に向けました、国交省と経産省と三省連携のもとで検討会、勉強会を開いてまいりました。低炭素社会に向けた住まいと住まい方について、さまざまな議論を重ねてきたところでございます。

 低炭素社会と申しますのは、省エネルギーや再生可能エネルギーが私たち一人一人の生活に浸透し切った未来像であると私自身は考えているところでございます。低炭素社会に向け、被災地のみならず国全体で、国全体がライフスタイルを大胆に変えていくということこそが、震災の教訓を踏まえた節電型の社会づくりにつながるものと確信をいたしております。

 今回の震災は、多くの方々が犠牲となる歴史的な国難でございました。しかし一方で、震災後は全国で節電の取り組みが進み、一人一人の小さな行動の変化が全体として大きな大きな効果を上げることが証明されたとも言えると思っております。その意味で、この国難をチャンスに変えることができると私は信じているところでございます。

 そこで、環境大臣にお伺いをいたしますけれども、節電に向けた行動の変化が一過性になってはならないというのが、私のまず一番最初の問題意識でございまして、日本じゅうに、津々浦々にこの節電の取り組みを定着、そして拡大させていくということがとても大切なことではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

細野国務大臣 樋高委員におかれましては、環境政策に本当に御尽力をいただいて、特に、低炭素社会というものに関してはまさにリーダー役、牽引役をやっていただいておりまして、心より感謝を申し上げます。本当にありがとうございます。

 先ほど御発言でもありましたとおり、昨年の震災はまさに国難とも言える状況を日本にもたらしたわけですが、その中にあって、家庭部門でも一五%の節電ができているということは、これは本当に多くの厳しい環境があった中でいうと、前向きな動きというふうに私も捉えております。これを単に被災地にかかわる、そういう地域だけのものにしてはなりませんし、また一過性のものにしてはなりませんので、持続をさせるということが極めて重要であるというふうに思っております。

 環境省でも、先ほど御紹介がありましたスーパークールビズを呼びかけたり、節電のアクションをしたり、家庭のエコ診断の試行を実施したりしてきておりますが、これをより効果的な政策の定着を図るという意味でどう持続させていくのかというのはこれからの大きな課題でもあるし、そして、それができれば日本の将来にも非常にプラスにもなるのではないか、そのように考えているところであります。

 この後、御質問があるのかもしれませんが、国土交通省の方で主体的に取り組んでいただいた都市低炭素促進法案がきょう閣議決定をちょうどいたしましたので、私どもとしても、共管をする者として、しっかりと都市の低炭素化というものにも取り組んでまいりたいと考えております。

樋高委員 こういった取り組みが、環境省だけではなくて、きちんとした省庁連携のもとで行われるということが私は肝要であろうというふうに思っておりますので、ぜひよろしくお願い申し上げます。

 次に、国土交通大臣にお伺いをさせていただきたいと思っております。

 先日、阿久津議員からの質問にもお答えをいただきましたけれども、大臣みずからのリーダーシップによりまして、低炭素化に向けたまちづくりの法案、あるいは、学校のゼロエネルギー化と申しますけれども、それらの取り組みが進められているということは非常に頼もしく感じているところでございます。まさに政治主導のよき典型例ではないかというふうに思っております。

 一方で、エネ環会議、エネルギー・環境会議におきましては、低炭素社会の構築に向けたゼロエミッション住宅の普及促進のために、二〇二〇年までに住宅・建築物の省エネ基準を段階的に義務化するということになっております。

 これは大変結構な方向性であろうというふうには思っておりますけれども、建物は一たび建築をしますと何十年もの寿命がございまして、一度建てたらその影響が何十年も続くということに相なるわけでございます。できるだけ早期に実現を図るということが私は大きなポイントであろうというふうに思っております。特に、これから被災地に多くの住宅が多分建築されるであろうと思う中にあって、やはり環境の側面からも前倒しをするべきだ。これは、大臣のリーダーシップを私は期待するわけでありますけれども、御決意をお聞かせいただきたいと思います。

前田国務大臣 樋高議員におかれましては、環境関係については先導的に御指導いただいておりまして、先ほど御指摘されていたような、三省で勉強会を立ち上げた、そういった線上に、先ほど細野大臣御紹介があったような、いわゆる低炭素まちづくり法というのを今国会に提出をさせていただくことになっております。

 ちなみに、要するにエネルギーの消費分野というのは、産業分野、運輸交通分野、そして民生分野と三つに大別されますが、この民生の部分というのが住宅であり、業務系のビル等、都市のまちづくりそのものになってくるわけですが、これがまさしく三分の一、三三・六%の消費量になっていて、しかも、二十年間でたしか三割ぐらいふえているんですね。産業分野なんかは随分と省エネを図っているわけですが、この分野がふえてきたということで、まさしく個別の住宅、建物、そして町そのものを低炭素化する必要があります。

 御指摘のように、二〇二〇年に向けてということで、今、三省共管で協議会を立ち上げて検討を進めているところでありますが、もちろん、いろいろ問題がございます。御指摘のように、新築については、かなりの低炭素化といいますか、ゼロエネルギー化に向けて既にいろいろ動き出しております。

 今のところは住宅のエコポイントといったようなやり方をとっておりますが、というのは、まだなかなか、ラベリングと申しますか、一定の基準をどういうふうに設けて、その評価をどこがするのか、それに対してどういうようなインセンティブといいますか、エコポイントであったり、さらには税の措置であったりというようなことになってくる。そういう制度設計は慎重に、しかも、きちっと合理的な検証を経てやっていかなければなりませんので、そこにはかなり時間がかかると思います。

 まず、東北の被災地においてそういうことを先導的にやることにしておりますし、特に東北の被災地において公共建物、学校等を含めて再興せにゃいかぬわけですが、そこにおいて先導的にゼロエネルギーも目指し、それを全国に展開していこう、こういう考え方でおります。

 そして、ゼロエネルギー化そのもののことについては、日本の場合、住宅は木造がほとんどでございますし、伝統的な木造住宅というものは、必ずしもゼロエネルギーということを目指し過ぎると、かえって難しい問題が出てきます。そこまでいかなくても、日本の風土に合ったやり方というのもあるかと思います。

 加えて、今や住宅は、家族数以上に住宅はあるわけでございまして、現実にある既存の住宅に対してどういった断熱、省エネ対策を講ずるか、これが非常に大きな課題でございまして、そちらの方にも今注力をしております。

 そんなことを全て含めて、いよいよ低炭素まちづくり法というものを提出いたしますので、ぜひ、国会においても議論を深め、いい形で実施をしてまいりたい、このように思っております。

樋高委員 環境分野にも精通なさった前田大臣の指導力をぜひとも発揮していただきたいというふうに思っております。

 環境大臣に伺います。

 震災に関してもう一つの教訓でありますけれども、大規模送電網に頼り切らないで、それぞれの地方、地域において最低限必要な自立あるいは分散型のエネルギー源を確保するということが、災害対応の観点からも極めて重要であるということが改めてわかったわけでございます。実際、避難所でも、急遽、太陽光パネルを導入して電力を賄ったところもあると聞いております。特に、再生可能エネルギーと蓄電池の組み合わせというのは、地球温暖化対策のみならず、災害対策としても重要であるということが改めてわかったわけでありますけれども、これからのエネルギー供給の柱となるべきものであると確信をしております。

 このため、政府では、グリーンニューディール基金事業を三次補正予算で東北地方にまずは造成いたしまして、そして来年度からはいよいよ全国に展開をしようというところでございます。

 これは、御案内のとおり、自治体が地域のニーズや特性に合わせて、創意工夫、英知をそれぞれ結集しながら再生可能エネルギーや蓄電池を導入していこうというものでありまして、まさしく機を得た、地方主権の時代に合った、未来志向のすばらしい事業だと私は高く評価をするところでありまして、こういった地域が主体的に行うという施策は今後ますます重要になってくると思います。積極的に進めていくと思いますけれども、いかがでしょうか。

細野国務大臣 今御指摘がありましたとおり、今回の震災の最大の教訓の一つが電力のあり方だというふうに考えております。それぞれの地域で自立をして、しかも分散をして、規模は必ずしも大きくなくても、そこで発電ができるということは極めて重要であるということ、さらには、再生可能エネルギーの場合には安定性の問題というのが一つ課題でありますから、そういったことを考えると、蓄電というのが大変重要であるという観点に立って、ニューディール基金の運用というのをしっかり行ってまいりたいと思います。

 政府を挙げて再生可能エネルギーには取り組むわけですが、特に環境省がこれまで蓄積をしてきたノウハウというのは、地域のそれぞれの発意を大事にする、自治体からさまざまなアイデアが出てきたら、それをできるだけ政府としてバックアップする、こういう考え方でございます。そういう考え方に基づいて、今年度の補正予算でおつけをいただいた、東北地方を中心とした被災地のグリーンニューディール基金の運用、さらには来年度の予算では全国展開の予算を組ませていただいておりますので、全国的に自立分散型のエネルギーを進めていく、そういう観点から最大限の努力をしてまいりたいと考えております。

樋高委員 地域がそれぞれ主体的に事業を行って地域を元気にする、もって国全体を元気にしていくという施策を力強く推進していただきたい。そして、その政策効果がどうであったかということまできちんと検証をして、随時、運用状況の点検あるいは後押しをしっかりとお願いいたしたいというふうに思っております。

 次に、環境税について伺いたいと思います。

 中長期的に温室効果ガスを削減するためには、企業活動あるいは国民のライフスタイルを持続可能なものに大胆に転換していく、そのための社会の仕組みが何よりも重要であると考えております。そのための地球温暖化対策のための税は、炭素に価格をつけるとともに、その財源で温暖化対策を進め、また経済社会のあらゆる部門で排出削減を促すというものでございます。これは、低炭素社会の礎となって、いわばこれからの国づくりの哲学を体現するものになると私は思っております。

 特に、今般の東日本大震災と原発事故による電力事情を踏まえれば、先ほど申し上げた地域の自立分散型エネルギー源である再生可能エネルギーの導入は一層必要でありまして、そうした温暖化対策を強力に推進していくためにも、地球温暖化対策のための税は平成二十四年度税制改正で導入することが必要不可欠であると思いますけれども、いかがでしょうか。

細野国務大臣 地球温暖化対策税につきましては、樋高政務官の時代も、とにかく導入をということで努力をいただいたわけですが、なかなかそこまでたどり着かなかった、こういう経緯がございます。そこで、何としても今般の税制改正の中で実現をしたいと思っております。

 目的は、今御説明いただいたとおり、二つ。つまり、できるだけ温室効果ガスの削減に努めるという、価格面でのインセンティブをつけること、そしてもう一つは、再生可能エネルギーを初めとした低炭素化というものを進めていく上で予算がかかりますから、それを着実に実行するための財源、この二つの面から欠かせない税であると考えておりますので、ぜひ、国会の皆さんの御理解をいただいて、実現をしたいと考えております。

樋高委員 ぜひ実現をしていただきたいと思います。

 最後に、経産大臣にお伺いをさせていただきます。

 中小企業支援についてでございます。

 中小企業また零細、小規模の個人事業主の皆さんの多くは、東日本大震災の影響を受けて、事業の継続、立て直しのための資金繰りに大変な御苦労をなさっておいででございます。そうした中で、政府は資金の貸し付けあるいは債務保証などの支援措置を講じていると承知をしておりますけれども、こうした支援メニューが中小企業の方々にとって本当に使い勝手のよいものになっているのかどうかというところが、私は肝ではないかというふうに思っております。十分に活用されているのかという視点が重要であります。

 また、原子力発電所の運転停止に伴いまして、東電さんでは企業向けの電気料金を値上げするということも発表されているわけでありまして、全国的に電気料金の値上げが懸念をされている。このことがまさしく全国規模で中小企業の経営に極めて深刻な影響を与えるのではないか、直撃するのではないかということが私の大きな問題意識でございます。

 そこで、電気使用量を削減するための省エネ設備の導入とかあるいは更新を行う事業者に対して、徹底的な手厚いサポートをするということが必要になるのではないかと思いますけれども、経産大臣、いかがでしょうか。

枝野国務大臣 御指摘いただいたとおり、震災の影響あるいは震災からの間接の影響とも言える電力需給の逼迫の問題を初めとして、中小企業を取り巻く環境は大変厳しゅうございます。これまで国会でお認めいただいた一次、三次の補正予算での保証や貸し付けについての執行、そして今の予算案でお願いをしております二十四年度における資金繰り支援策について、使い勝手のよさということを十分留意して、さらに努力をしたいというふうに思っております。

 その上で、まさに、特に電気代の削減ということに向けて、それは中小企業にとってであると同時に、地球環境や電力需給の観点からも重要なことでございます。エネルギー使用合理化事業者支援事業という事業を設けておりまして、予算案でも二百九十八億円お願いをしているところでございます。技術の先端性や省エネ効果、さらには費用対効果を踏まえて政策的な意義の高いものと認められる、リプレースによる設備導入費について補助を行うものでございますが、これについては、特に中小企業に対して加点を設けているということでございます。

 この運用をしっかりと行うことによって、こうした投資ができる中小企業には、その投資によって事業の効率化、電気料金の値上げをされた場合であっても経営への影響を最小化するということに向けて、最大限努力をしてまいりたいと思っております。

樋高委員 中小企業が元気にならなくては日本は元気にならない、このように考えております。ぜひとも、政府におかれましては、真剣に、そして未来のことを考えてしっかりとしたいい仕事をしていただきますことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

中井委員長 これにて樋高君の質疑は終了いたしました。

 次に、櫛渕万里さん。

櫛渕委員 民主党の櫛渕万里でございます。きょうは、予算委員会、初めての質問となりますが、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 まず冒頭、玄葉外務大臣、野田総理が就任後初めて沖縄に訪問をされました。きのうまででございました。普天間飛行場の返還について大変重要な局面を迎えておりますが、ぜひとも沖縄の皆さんの気持ちを十分に受けとめていただいた御判断をお願い申し上げます。

 一方、二〇〇六年日米ロードマップでは、沖縄だけでなく、関東における米軍再編にも合意をされておりますが、こちらは一切変更ないということでよろしいですね。確認のみお願いいたします。

玄葉国務大臣 もう簡潔にお答えをさせていただくとすれば、〇六年のロードマップを着実に実施をするということで、関東地方における再編につきましては変更ございません。

櫛渕委員 では、首都直下地震の備えについて、中川防災大臣にお聞きをいたします。

 国の地震調査委員会は、三十年以内に七〇%という発生確率を算出しておりますけれども、この首都圏で一たび大きな地震が起きれば、人的、経済的被害は甚大となります。そのリスクに備えて、官邸機能のバックアップであるとか基幹的な広域防災拠点、どのように首都圏において整備をされているか、お伺いいたします。

中川国務大臣 御指摘のように、首都直下型地震というのは切迫感が出てきております。

 平成十六年に、中央防災会議の中で首都直下地震対策専門調査会というのが置かれまして、十八タイプの地震を想定して震度分布等の推計をしております。

 その上に立ってバックアップの機能を整備していくということでありますが、平成十七年九月に首都直下地震対策大綱を中央防災会議が決定いたしまして、緊急災害対策本部を、官邸、それから内閣府、防衛省、立川の広域防災基地の順番で設置をするということにしております。

 あわせて、政府の現地対策本部として、有明の丘に有明の丘基幹広域防災拠点施設及び東扇島地区に物流拠点施設を設置するということにしておりまして、非常事態に備えた体制を取り決めております。

櫛渕委員 一枚目の資料をごらんいただきたいと思います。

 首都直下地震対策専門調査会においての検討対象となった地震、蓋然性の高い地域、縦軸でございます、そして横は首都機能の重要性ということで、より都心部に近い図が示されておりますが、一番可能性として検討されているのが東京湾北部となるわけであります。そして、そこをより都心部の周辺に、左側に行きますと、茨城県南部、そしてその下に実は多摩というのがございます。

 発生確率が東日本大震災の影響を受けて上がった可能性のある活断層、実は、地震調査委員会は、その活断層を全国で五つ挙げているんですが、そのうち一つが、立川断層帯と発表をしているんですね。そうしますと、この多摩から下に下がって立川断層、ここが既に入っているという地区になるわけであります。

 私は、防災拠点は分散型で考えることが必要であると思っているわけでありますが、実は、先ほど玄葉外務大臣からお答えをいただいた関東における米軍再編の合意の中には、相模総合補給廠の用地の一部返還ということが決まっているわけであります。私は、地域の市民からも、この場所をバックアップの防災拠点として活用してはどうか、そしてここは、神奈川県と東京都、県境、都境になるわけでありますけれども、広域で防災拠点として利用してはどうか、このように考えているところなんです。

 実は、ここはかつて、旧日本軍の造兵基地があった場所であり、戦車道路と呼ばれるテストコースも今現存して、緑道として利用されているわけです。また、この二〇〇六年の返還合意が固まる前に、二〇〇五年、政府の方からも、防災・危機管理センターをここにつくってはどうかという調整があったという報道も当時ございました。

 こうした防災拠点、ここの基地返還跡地につくるという考えについて、防災大臣、どのようにお考えか。また、玄葉大臣にも、一日も早くこのロードマップに沿って返還を進めてほしいと、あわせてお願いをしたいと思います。防災大臣、お願いします。

中川国務大臣 御指摘のように、五つの拠点というのを今考えているわけですが、しかし、今回、東日本大震災の教訓、それから、もう一度全体を見直していく必要性というのがあるというふうに私も思っておりまして、その際の首都直下地震については、マグニチュード七クラスの地震を想定してこれまで対策を進めてきたんですが、さらに、相模トラフ沿いで発生をしますマグニチュード八クラスの、いわゆる関東大震災級の地震についても想定をしていくということにしております。

 その上で、これに並行して、いわゆる首都中枢機能の継続性あるいは帰宅困難者対策などの対策も強化をしていくということでありまして、そういう意味で、全体を見直していく中で、先ほど御提言のありました部分についてもしっかり受けとめさせていただきながら検討していきたいというふうに思っております。

玄葉国務大臣 櫛渕委員がおっしゃった相模総合補給廠につきましては、これは〇六年のロードマップどおり進めていこうというふうに思っています。現実に、十七ヘクタールの返還については、もう既に合同委員会で合意済み、現在、施設の移設工事を実施中。

 恐らく、櫛渕委員のおっしゃったのは、三十五ヘクタールの共同使用のところも含めてなのではないかというふうに思いますけれども、今米側と相模原市との間で覚書を締結して、まさに今、日米合同委員会でその協議をしているところでございますので、まさに相模原の皆様、市民の声を聞きながら、また政府とも協議をしながら米側と協議をしていくということで、計画的に、着実に実施をしていきたいというふうに考えております。

櫛渕委員 首都直下地震が起こるかもしれない、そうした万が一のあらゆる可能性、防災の緊急性に鑑みて、ぜひお取り組みをよろしくお願い申し上げます。

 前田国交大臣、この地域は、特にそこにつながる、全国一交通量の多い国道十六号と国道二四六、この交差も含めた保土ケ谷バイパスというのがございまして、ここの工事、実は第一期工事から四十年以上も続いているんですね。そして、災害に至らずとも平時から、ここは救急車も消防車も通れない、このような大変渋滞のひどい、悲鳴に近い声が地域住民から上がっている場所でございます。東名高速の横浜町田インターの出入り口にも当たる、経済の物流拠点としても大変重要な場所でございますので、ぜひとも重点的な道路整備もあわせてよろしくお願いいたします。

 さて、こうした陸域における防災に続いて、東京湾岸の防災についてお尋ねをいたします。

 先週、千葉の幕張で開催されました地方公聴会でも、浦安市長初め意見陳述者の皆さんから、復興の取り組みや今後の大規模災害への備えとした国の液状化対策、しっかりやってほしい、こうした声をいただいたところであります。

 資料の二枚目をごらんいただきたいと思いますが、東京湾の港湾の埋立地が、万が一首都直下地震で広範に液状化してしまいますと、住宅エリアはもちろん、先ほど中川防災大臣からもございました東扇島の広域防災拠点、ここを中心とする緊急物資の海上輸送であるとか、また我が国の貿易にも深刻な影響が生じかねないと懸念をいたしております。国交省の取り組みについてお伺いをいたします。

前田国務大臣 お答えいたします。

 その前に、東名高速とそして十六号との交差点のところの渋滞の問題がありました。しっかりと取り組ませていただきますが、要するに、首都圏、東京を囲む環状道路として、東名、中央、関越がつながっていないんですね。一番外側の十六号という国道があって、そこに集中するものですから、非常に混雑いたします。そういう意味でも、外郭環状というものを早く、東名、中央、関越、ここをつなぐということで、二十四年度においても、いよいよそちらに向けてやろうということにしてはおるわけでございます。

 そして、今の御指摘なんですが、この地図を見ておりましても、まさしくそのとおりでございます。委員が、先ほどそうやって道路のことも述べられたのは、多分、この基幹的広域防災拠点ということでいうと、東扇島というのがこの管内にあるわけで、その東扇島の広域防災拠点そのものがこの湾にあるわけですから、液状化等いろいろ問題があるじゃないかということでもあるかと思います。

 もちろん、液状化に対して、護岸等も含めて、今臨海工業地帯の埋立地の液状化対策ということで取り組みを始めておるところでございます。積極的にこれを展開してまいります。

櫛渕委員 大変重要な問題でありますので、護岸の耐震強化とあわせてお取り組みをお願いいたします。

 さて、間もなく三・一一から一年がたとうとしております。原子力事故以降のエネルギーについて、大きな変化というのは、一つ、大都市、この首都圏のエネルギーあるいは食料、これがいかに地方に依存していたのかということを多くの国民が気づいたということがあると思います。そして二つ目には、安定したエネルギーの需給について、この間、計画停電、節電、多くの皆さんに御協力いただいたわけでありますが、これからのエネルギーの需給というのは、国民と事業者、皆さんの参加と協力、これがなければ立ち行かないということが二つ目の大きな変化ではなかったかと思っているところであります。

 昨年、再生可能エネルギーの全量固定価格買い取り制度、法律が成立いたしました。我が国のエネルギー政策が新たな一歩を踏み出そうとしていると私は考えております。私もNGO時代からこの問題に取り組んでまいりましたので、大変力強く思うところであります。

 しかし、枝野経産大臣、お聞きをしてまいりますが、平成二十四年度の再生可能エネルギーの予算、私の計算によりますと、本予算に占める割合は約〇・一七%。単純な比較はできませんが、原子力が導入された一九五四年から今日までの合計額を平均すると、一年に本予算に占める割合は〇・五%ということになります。原子力事故によってエネルギーの需給のあり方が喫緊の課題となり、また再生可能エネルギー元年とも言われる本格的な導入が期待されることし、予算がこれくらいだとすると、復興が進むと今後落ちてしまうんじゃないか、このように心配される事業者の皆さんもおられます。

 ことし七月から法律が施行されるに当たって、買い取り価格そして期間、また利回り、これは大変きめ細やかな制度設計が重要でありますけれども、あわせて、国が全面的に中長期にわたって再生可能エネルギーを普及支援する、そして新しいエネルギー産業を育成するんだ、我が国の基幹エネルギーの一つとするんだという国の力強い意思を、ぜひとも枝野経産大臣にお示しいただきたいと思います。

 新規に電力事業に参入することを考え、今、知恵、お金、人生をかけて取り組もうとされている皆さんに向けて、これからも国として支えていくことを確約していただけますね。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、再生可能エネルギーに対する直接の予算はまだまだ決して大きなものとは言えない状況でございますが、御指摘いただいた固定価格買い取り制度をしっかりと七月から運用していくこと、それから、今、立地に関する規制の見直しであるとか再生可能エネルギー発電設備の設置に際しての税制優遇など、とにかくさまざまな政策手段を使って、再生可能エネルギーの普及に向けて努力をしているところでございます。

 また、今後のエネルギーの基本計画については、総合エネルギー調査会で検討しているところでございますが、そこでの検討の前提として、従来から既に、昨年の三・一一を踏まえて、再生可能エネルギーを最大限普及させることと省エネ、エネルギー利用の効率化を最大限行う、このことは大きな前提として議論をいただいております。

 この点については、一つのポイントは、まさに七月の固定価格買い取り制度のスタートだというふうに思っておりますが、ここ一、二年が一つの大きなポイントだと思っておりますので、政府としても、もちろん、将来にわたって継続的に最大限の普及に向けた努力をしていくという姿勢のもとで、関係事業者の皆さん、あるいは利用者、国民の皆さんにも御理解をいただいて、できるだけ早く普及拡大をしていくよう進めてまいりたいと思っておりますので、委員におかれましても、引き続き御協力をよろしくお願い申し上げます。

櫛渕委員 政治の側でもしっかり取り組みを強化して、大臣をお支えしてまいりますので、よろしくお願いいたします。

 第一次石油ショックの前にエネルギー危機を予測したとして世界的なベストセラーになった本に、「スモール・イズ・ビューティフル」という本があります。その著者、シューマッハーの経済学に共鳴したインドの哲学者が、デカルトの言う、我思う、ゆえに我あり、ここから、インド古来の、君あり、ゆえに我あり、こうした価値観への転換というのを挙げました。近代科学の礎は、対象となる自然を分離して発展してきたものだとすれば、これは、大気あり、水あり、土あり、ゆえに生命ありという、環境を重視する新しい経済への価値の転換を提唱するものであります。

 現代文明において、大量生産、大量消費の活動は、地球全体の環境を左右するまでになってまいりました。地上資源であります、すなわち太陽、大気、水、風、植物、こうした地上資源の豊かな我が国だからこそできる技術もあります。人類の知恵をフルに活用して、そして技術においても、大型化、集中化、画一化から分散化、小型化、多様化、こうした転換をすることに向けて、大臣の力強い御努力、お支えしてまいりますので、重ねてお願いを申し上げます。

 では、最後一分ぐらいになりましたけれども、大臣、二〇一二年度版の中小企業白書に、初めて女性の起業について明記されることになりました。経済の再生や社会に向けてどのように女性の起業や活用をお考えか、最後に経産大臣にお伺いをいたします。

枝野国務大臣 女性の皆さんが、起業、会社を起こしたり積極的な就労をしていただくということは、男女共同参画という観点にとどまらず、日本の経済産業政策という観点からも、これから人口が減っていく中で、高い付加価値を産業活動で生み出していかなきゃならない、せっかくの女性の皆さんのさまざまな力というものを生かさせていただかなければ日本の経済と社会は成り立っていかないというふうに思っております。

 先日開催された産業構造審議会新産業構造部会でも、価値創造型経済社会の実現に向けて女性の活躍の場を広げていくことが重要であるという議論をされたところでございまして、こうした観点から、特に女性が多く就労している、あるいは女性の働く環境を支えることになる医療、介護、子育て等の分野における需要を開拓し、雇用を創出する観点から、経済社会課題対応事業の促進に関する法律案を今般二月十日に閣議決定し、国会に提出したところでございます。

 こうした取り組みを通じて女性の起業、就労を支援してまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

櫛渕委員 最後、三枚目の資料に興味深いアンケートをつけておきましたので、どうぞ皆さん、ごらんになってください。

 質問を終わります。ありがとうございました。

中井委員長 これにて櫛渕さんの質疑は終了いたしました。

 次に、湯原俊二君。

湯原委員 おはようございます。民主党の湯原俊二です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず、私は質問で東日本大震災の被災児童対策をお伺いしますが、その前に、安住財務大臣、昨夜、G20のメキシコの会議から帰られたようでありますけれども、この成果について一言お伺いしたいと思います。

安住国務大臣 中井委員長を初め、各党の理事の先生方また委員の先生方の御理解をいただきまして、メキシコで開かれましたG20の全体会合に出席することができました。改めて感謝を申し上げます。

 私は、この全体会合を初め、ガイトナー米国財務長官との会談を皮切りに、IMF、韓国、それぞれの財務相との会談を行いました。また、ドイツ、ECB総裁などとの精力的な話し合いも行うことができたと思っております。

 G20では、ヨーロッパにおける危機対応への今後の取り組みについて活発な議論が交わされました。今後、四月に開催されるワシントンでの会合に向けて、さらなる世界経済の安定のために各国で協力をしていく方針を合意したと思っております。私も、基調演説の中で、我が国として、今、財政再建の問題含めさまざまな取り組みを行っている旨を表明するとともに、ヨーロッパへの資金協力等についても引き続き行う旨の発言をしてまいりました。

 多少、このヨーロッパの問題については、四カ月前に比べれば状況は改善をしているという認識はありますけれども、しかしまだ予断を許さない状況でございますので、各国とも、引き続き、ヨーロッパでの、いわゆるファイアウオールと言われる資金強化を行うことによって、この危機というものを防いで、ことしの世界経済をやはり上向きにしていくべきだという意見が活発に交わされたというところでございました。

湯原委員 引き続きよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、被災三県を中心とする、この震災を受けた被災児童対策についてお伺いしたいと思います。

 この問題は、私、同僚議員であります花咲宏基議員、稲富修二議員と何回か被災地に入って、現場の声を聞いてまいりました。また、民主党の中でも、ほかの女性の議員、グループで被災児童の対応策を考えておられるところであります。

 先般の予算委員会、この委員会でもありました。この子供の心のケアの問題で、特に、最初は非常に厳しい状況に置かれた。もちろん、知り合いが亡くなったり、津波によって人が流される光景を見たり、あるいは、津波が去った後には多くの遺体を見ている。非常に心に傷を負っております。だんだん取り巻く環境が落ちついてくるに従ってこうした心の発露が出てきて、対応しなければいけないような事象がどんどんと出てきているわけであります。子供たちにしわ寄せが行かないようにしなければいけないかなというふうに思っております。

 そこで、小宮山厚労大臣にお伺いしますけれども、まず、この両親を亡くした子供たち、あるいは片親を亡くした子供たち、あるいはこの震災における被災児童、この辺の把握そして対応策についてお伺いしたいと思います。

小宮山国務大臣 いつも子供たちのことを心にかけていただいて、ありがとうございます。

 御質問にお答えしますが、二月十四日現在で、今回の震災で両親を亡くされたお子さんが二百四十人、そして、一人親になったお子さんが千三百六十人です。

 最初は、その居場所ということで里親さんへのいろいろな支援を強化するなど、多くの方が御親戚などが見てくださっているので、そういう対応をいたしました。

 そうした中で、今委員御指摘のように、心のケア、これは長期的にしっかりした体制で取り組まなければいけないということで、二十三年度の第一次補正予算で二十七億円を安心こども基金に積み増しまして、子供の相談、援助が各自治体で行えるようにいたしました。

 そして、現地でやはり心の専門家が不足しているということもございまして、中長期的な支援体制をつくるという意味で、厚生労働省では、社会福祉法人の恩賜財団母子愛育会に、被災地の行政関係機関とともに活動ができる取り組みをするために、東日本大震災中央子ども支援センターを設置すること、このセンターのもとで関係する職能団体や学会、民間団体などが支援方法を協議する協議会を設立することを要請いたしまして、昨年十月二十七日にこのセンター等が設置をされまして、今活動しています。

 厚生労働省としても、こことしっかり密接に連携協力するために、雇用均等・児童家庭局の中に東日本大震災の被災地子ども支援室を設置していまして、こうした機能を使ってきめ細かに対応していきたいと考えています。

湯原委員 ありがとうございます。

 先ほど大臣がおっしゃったように、心の専門家が現地では、被災地では不足しているということで、民間の団体でありますけれども、東日本大震災中央子ども支援センターができて現地で立ち上げている、安心こども基金も一次補正で二十七億円上積みしているということであります。

 私、時間の関係で質問はちょっとあれですけれども、要望させていただきたいのは、現地の皆さん方、この被災県の子供たちを見守っている方々の声を聞きますと、被災三県で、これは国の責任というよりも、自治体の対応の今の状況が厳しいところもあってでしょうけれども、国の思いとは裏腹にちょっとばらつきがあるというような声も聞いております。

 例えば、東日本大震災中央子ども支援センターの地域での支部というのが三県で立ち上がる予定になっておりますけれども、宮城県ではこの二月一日に既に立ち上がって、専門の方たちを、保育士さんとか学校の先生に研修をさせていただいて、少しでもそのネットをふやしていくということをされております。ところが、他の県ではまだそこまでいっていない状況も見受けられます。

 これは、国の責任というよりも、自治体の能力、今頑張っていらっしゃると思いますが、ばらつきがあるわけでありまして、この点についてもぜひ注視をしていただいて、自治体によって差が出ないようにお願いをしておきたいなというふうに思っております。

 先般の予算委員会でもありましたけれども、そのバックとしては、やはりマンパワー、職員の人材が足りないんじゃないか、これは野田総理もそういう話をされておりましたけれども、この被災地における例えば職員の皆さん方、保健師さん、保育士さん、あるいは学校の先生等も、当然被災者、当事者であります。そしてなおかつ、家も流されているそうした方々は、仮設住宅でお暮らしになっている方も多いわけであります。そうなると、当然、地域にあっては、二十四時間対応をしなければならない、心の休まらないような状況がずっとこの一年近く続いているというふうに聞いています。これは、民間の団体で支援をされている方の中には、もう燃え尽きちゃって、自殺者も今出てきている状況だということを伺っているところであります。

 そこで、このマンパワー、派遣ということでありますけれども、先般来若干問題になっております。平野復興大臣にお伺いしたいんですけれども、警察官は三百人全国から派遣されたと聞いております。去年の秋口までは全国から一生懸命派遣があったと思いますけれども、その後、やはり各自治体も財政的に目いっぱいのところで職員を抱えながらやっていらっしゃるので、秋口からこの派遣職員が非常に少なくなってきている。あるいは、これから復興に向かって土木建築関係もふやさなきゃいけない。心のケアの部分でいえば、保健師さん、保育士さん、こういったところの人材がまだまだ足りていないんじゃないかという声を聞いているわけでありますけれども、この辺、政府が出ていってコーディネートすべき、もう少し前へ出ていったらどうかなという思いは若干持っているんですけれども、御所見をいただけたらと思います。

平野(達)国務大臣 被災自治体、特に、津波、地震あるいは原発で大きな被害を受けた自治体は、通常の業務とあわせて復旧復興、こういった仕事をしなければならない、被災者に対する支援もしなければならない、大変大きな仕事を抱えておりまして、委員御指摘のように、本当に二十四時間体制、大変な労働環境の中で仕事をされているということであります。

 一月時点で、他の自治体から約八百人が派遣されております。これからさらに、本格的な復旧復興を始めるということでありますと、今でさえ人手不足、マンパワー不足ということが言われておりますので、さらにその不足が顕著なものになってくると思います。

 そこで、私の方でも、関係大臣と連携しながら、市長会、町村会、知事会等々にも人材の派遣、人の派遣をお願いしてございます。今、総務省では、全体として三百十七名、国土交通省では、技術者関係で百六十名の派遣申請、申し出がございまして、これぐらい必要ですという申し出がございまして、国交省については百六十名、大体確保できました。三百十七名については、まだもうちょっと努力が必要であります。

 それから、総務省の方では、派遣職員については特別交付税で全面的にこれを支援するという方針も出ておりますし、引き続いて、この申し出の人数の確保に全力を尽くすとともに、任期つき職員や再任用職員の採用など、さまざまな努力をしてもらうということも自治体にお願いしながら、バックアップをしていきたいというふうに思っております。

湯原委員 大臣、ありがとうございました。

 私、地元は鳥取県でありますけれども、全国の自治体、市長会、町村会とあります。町村会でも声をかけていただいてもちろんお願いしたいところでありますけれども、町村会も自治体の職員数が少ない中でやりくりしているということでありまして、私なりに申し上げれば、大きい自治体、政令指定都市レベルとか以上のところで、そこの中で、今やらなきゃならない業務の中で、進捗をちょっとだけ遅くしてもらったりとか、そこで少しでも職員一人でも二人でもということで、大きい自治体からの要請、またお願いをしたいと思っております。

 今申し上げたのは、全国の自治体からの派遣という、現在ある専門職員の派遣ということでありましたけれども、一つ申し上げるならば、子供たちへの心のケアの部分で、専門的職員を新たにこの機につくっていく、人材育成していくことも求められるのではないかなというふうに思っております。私、この地域に対しては、全国的にそうでありますけれども、児童精神科医が非常に少ないのではないかなという懸念を持っているところであります。

 この辺について、あわせ持つとなると、全国的な心のケアができる専門職員あるいは精神科医をこの地域で育成しながら、なおかつ、育つ過程の中でも現地に行って現場で対応できるようにしていく、こういったことで、現在、東北地方にある既存の大学のコースを、カリキュラムを変えながらそうした専門的な人材育成をしてはというふうに思うわけでありますけれども、小宮山労働大臣に、この辺について、文部科学省との連携を深めながらしていただきたいと思いますけれども、御所見をいただけたらと思います。

小宮山国務大臣 御提案いただいたようなことも、ぜひ文科省と連携をとってやっていきたいと思います。

 現状ではやはり、おっしゃるように専門家が本当にこの国は不足していますので、その中で今、先ほど御紹介した中央子ども支援センターと国立成育医療研究センターが連携をしまして、保健師とか保育士など、子供に接する人たちに心のケアについての研修をしていたり、あとは、全国、今十カ所で子どもの心診療ネットワーク事業ということで、子供の心の診療に専門的にかかわる医師の養成などを行う事業もしているんですが、ここはまだ東北を対象にしていませんので、ぜひこの対象に東北も加えて、おっしゃったような大学でのコースの設定なども検討させていただいて、これは迅速性が要求されると思いますので、ぜひ対応を検討したいというふうに思います。

湯原委員 ありがとうございます。

 若干数字を申し上げておきたいと思います。

 精神科医の中で、児童精神科医、つまり子供を主にして、精神科医ですから、ケアする。実は、フィンランドは、五百万人の人口で大体二百人、児童精神科医がおられる。人口十万人当たり四人であります。アメリカでも、大体、児童精神科医で六千人いると言われています。日本は、児童精神科医学会に所属しているのが百七十四人。フィンランドが例えば人口十万人当たり四人いるとするならば、日本は人口十万人当たり〇・一人、四十分の一であります。アメリカだと、人口は日本の倍ぐらいだと思いますけれども、児童精神科医は六千人いる。日本は百七十四人。桁が違う状況であります。

 私は、このことはぜひ申し上げたいのは、これらの専門医は都会にどうしても偏在しております。地方にはなかなか。ですから、百七十四人というと百万人当たり一人弱でありますけれども、今子供たちの抱える問題というのは、ちょっと被災から離れますけれども、田舎の都市化、つまり、田舎であっても都会であっても、地方であっても都会であっても、抱える問題は同じ、心のケアを必要としている子供たちはいるわけであります。

 ぜひこの点も踏まえて、小宮山厚労大臣のときに、日本における、今まで諸外国と比べて児童精神科医は少なかったけれども、ふやすための第一歩を大臣のときにつくったんだという、その第一歩をぜひ踏み出していただきたいなということで要望を申し上げたいと思います。

 次に、被災地以外の全国の自治体と被災した自治体との反省を踏まえたいろいろな情報の共有化について、中川防災担当大臣にお伺いしたいと思っています。

 阪神・淡路大震災がありました。私の地元でも、鳥取県西部地震がありました。中越地震、そしてこのたびの大震災と、いろいろな地震とか災害があるわけであります。ところが、確かに、阪神・淡路大震災のボランティアとかいろいろなところで、民間のレベルでは、情報といいますか、対応策で蓄積がちょっとずつ進んできたとは思いますけれども、このたびの対応を見ておりましても、特に自治体の対応で、大規模で、余りにも大きい災害であったということもありますけれども、今までの蓄積をみんなが共有できていたのかなという思いを私は若干持っているところであります。

 そこで、全国の自治体において、今回の災害も踏まえて、今日までの大災害等の対応策の反省も踏まえた上で、例えば避難所での対応、女性の視点、子供の視点、障害者の視点、今まで申し上げた心のケアの問題等の、こうしたものを情報を共有化していただいて、いつ何どきどこの地域で災害があっても自治体で初動からちゃんとできる、こういった情報の共有化についてぜひ取り組みをお願いしたいと思いますけれども、中川防災担当大臣の所見を求めたいと思います。

中川国務大臣 非常に大事な点を御指摘いただいているんだというふうに思います。

 政権交代後、そういう思いを持って、地方都市等における地震防災のあり方に関する専門調査会というのが実は二年前に形成されておりまして、それぞれで起こった地震を中心に、そこで体験したことを集積して全国に持っていこう、こういうことをやっている最中に大地震が起こったということであります。

 それを受けて、もう一回これを酌み取りながら、この三月には報告書が出せると思うんですけれども、まさにその対応をしていきたいというふうに思います。

 中身について、自治体における事前の備えや関係機関等との連携体制の整備などの発災時の円滑な対応、これが一つ。それから、避難所等での生活環境や環境管理対策。次に、高齢者や障害者などの特別な配慮が必要な人のための対策。そしてさらに、ボランティアや民間企業との連携方策。こういう項目について、報告書を取りまとめるだけじゃなくて、災害への準備、初動、応急、復旧、復興の各段階において、自治体ができるチェックリストというのをつくっていきたいというふうに思っています。

 それから、各自治体がこれまで講じてきた災害対応の事例集というのも出していきたいということでありまして、まさに御指摘いただいたその趣旨をさらに発展させていって、来月にはその対応を具体的にやっていきたいというふうに思っています。

湯原委員 ありがとうございます。

 先ほど申し上げましたように、今までの防災マニュアルは、私も地方議員をやっているときはなかなか、女性の視点とか子供たちの視点、障害者の視点、あるいは心のケアがまだまだというのがありまして、先ほど大臣がおっしゃったように、これからはその辺の蓄積も踏まえて、その報告書が生きたものになるように、ぜひこれからもそれを注視しながら自治体にお願いをしていただきますようお願い申し上げたいと思います。

 時間も来ましたので、最後の質問。

 先ほど、専門的な人材が少ないということがあったわけですけれども、グリーフケアというケアがあります。グリーフとは、悲嘆、悲しいということであります。これは、身内、身近な人が亡くなったときに、誰しも、やはり心が寂しくなったり落ち込んだり、いろいろ、心に穴があいたようになるわけです。これは、精神科のお医者さんにかかるほどではないんですけれども、非常な痛手を受けるわけです。

 欧米諸国は、こうしたグリーフケアというものを、あちこちにそういったグループなり施設なり設けて対応するようにしております。私は、日本においてでも、まだなかなか行き渡っておりませんけれども、こうしたものをもっと広めていっては、特に被災地において広めていってはと思っています。安心こども基金はあるのでありますけれども、民間でグリーフケアをやっていらっしゃる団体にはこうしたお金がなかなか使われない状況もありますし、自治体によっては認識がまだまだというところもあります。

 この辺について、グリーフケアというものをより一層促進するための施策について、自治体への紹介、安心こども基金の活用について、小宮山厚労大臣の御所見を求めたいと思います。

中井委員長 小宮山厚労大臣。時間が終わっていますので、手短にお願いします。

小宮山国務大臣 安心こども基金で、自治体で民間の力も生かしてこのグリーフケアもできますので、そうしたことの周知徹底を図っていきたいと思います。

湯原委員 以上で終わります。ありがとうございました。

中井委員長 これにて湯原君の質疑は終了いたしました。

 次に、田中康夫君。

田中(康)委員 国民新党・新党日本、田中康夫です。

 二月十七日の予算委員会に続いて、現在耳目を集めております休眠口座に関して質問いたします。

 前回、最後に私は、これを震災復興の財源に使う、こうした発想は、国民に対して後出しじゃんけんのように思われて、理解が得られないであろう。また、基金に組み入れるというのは、まさにこれこそ、シロアリがたかる外郭団体、天下りの三セクのような話になってしまわないかと。

 そのとき申し上げたのが、バングラデシュにムハマド・ユヌスが一九八三年に設立をしましたグラミン銀行があります。二〇〇六年にノーベル平和賞を得ております。これは、低利子、無担保融資のマイクロファイナンス、マイクロクレジットでありまして、例えば女性の方々に無担保で融資して織物の工場を創設させる。これは、日本において、例えば障害をお持ちの方々が事業を始めるときにこうした形で用いる。私は、この発想は、イギリスのデビッド・キャメロン政権が現在行っているビッグ・ソサエティー・バンク構想という、銀行の休眠預金を国庫に組み入れたのでは、どこに使うか外から見えない、このビッグ・ソサエティー・バンク構想も、グラミン銀行と同じ発想であります。

 きょうは、古川元久さんに、こうした発想のもとで休眠口座というものを活用すべきであり、また、それを早急に実現すべきである、このように思いますが、御所見を伺います。

古川国務大臣 委員御指摘がございましたように、そもそもこうした活用を考えたきっかけは、今のお話あったキャメロン政権のビッグソサエティー、まさに日本においても、やはり新たな社会をつくっていかなきゃいけないだろう。そういう意味では、発想においては基本的には軌を一にいたしております。

 そういう中で、どういう形で仕組みをつくっていくかにつきましては、今後、成長ファイナンス推進会議のもとに設置されました実行会議のもとで、今委員からの御指摘のあったような話とか、あるいはNPO団体とか、いろいろな御提案もあります、また、各国がやっているやり方があります、そうしたものをいろいろ調べていきながら、また、国民の皆様にもしっかりと声もお聞きしていきながらやっていきたいと思っております。

 資金の使途につきましては、復興財源に使うということではなくて、これはやはり、新しい雇用や産業、また、新しい社会の創造につながるような起業の支援であるとか、あるいはNPO等の社会的事業の支援とか、広く次の時代の日本をつくっていく、そういうことに活用する方向で考えていきたいというふうに思っております。

田中(康)委員 ありがとうございます。

 これは、国民の共有財産であって、銀行の不労所得ではないわけです。あるいは、一部のシロアリの財産に転用するわけでもないという観点で、ぜひ、ビッグ・ソサエティー・バンク構想あるいはグラミン銀行の構想に倣っていただきたいと思います。

 ところで、前回申し上げたように、三大メガバンクを初めとする主要金融機関は、過去十五年間、法人税、法人事業税を一円も納めておりませんが、二十二年度三月期にいわゆる休眠口座で銀行の利益となっているのが、三メガバンクで三百三億円、その他の銀行で四百六十億円、信金、信組、労金で百二十二億円、合計八百八十五億円という形でございます。これも金融機関の非公表データでございます。

 ところが、いわゆる郵便貯金の方は、これは旧郵便貯金法二十九条で、定期郵便貯金の満期から二十年を経過して、催告をした後二カ月たっても払い戻し請求がない場合には、預金者の権利は消失するという形で、これは昨年度二百三十四億円であります。そして、これは郵便貯金・簡易生命保険管理機構法の二十五条においても、これを国庫に納付するという形になっております。ぜひこれをグラミン銀行方式にしていただきたい。既に郵貯はこのように行っているわけでございます。

 ところで、最後に鹿野道彦さんにお伺いしますが、農協、いわゆるJAバンクと呼ばれるものに関しては、この金額というものがまだ現段階で非公表でございます。これを御調査されているのか、また、いつごろ公表していただけるのかを最後にお聞きしたいと思います。

中井委員長 鹿野農水大臣。時間が来ていますから、手短に。

鹿野国務大臣 農協系系統金融機関の休眠口座の状況につきましては、金融庁等との連携の上で、できる限り早急に把握してまいる所存でございます。

田中(康)委員 ありがとうございます。ぜひ早急に公表いただきたいと思います。

 以上です。

中井委員長 これにて田中君の質疑は終了いたしました。

 次に、高市早苗君。

高市委員 おはようございます。自民党の高市早苗でございます。

 本日、自民党はレディースデーということで、四名の女性議員が質問をさせていただきます。私も含めて地味目のキャラが多いかなというラインナップになっているかという印象をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、それぞれに党の政調やまた所属の委員会で地道に仕事をしている実務家ぞろいでございますので、かめばかむほど味が出る塩昆布四人組ということで、最後までよろしくおつき合いをいただきたいと思います。

 さて、来る三月十一日なんですけれども、東日本大震災から一年ということで、追悼式が政府主催で東京の国立劇場で開催されると伺っております。

 最初に、こういう式典が挙行されるというその存在そのもの、昨年マスメディアで報道をされましたときには、正直なところ、それだけの式典をやるといったら、たくさんの政府の職員も必要なんだろうし、何カ月か準備にかかるんでしょうし、コストもかかるんでしょうし、そうなると、そういった人員やお金を被災者の生活支援ですとか被災地の復興に充てていただけたらいいなと感じましたし、また、もしも被災地からたくさんの方に参列をしていただくといったら、地元の負担も大きいんじゃないかな、何せ東京での開催ですので。

 そんなことで心配をしておったんですけれども、最近になりまして、天皇陛下もしくは御皇族の御臨席を仰げるかもしれないということ、それからもう一つは、被災地から来ていただくというよりは、むしろ関東方面に避難されている方々が参列の対象であるというようなことも耳にいたしまして、東京での開催に一定の意義がある、そのように認識をいたしました。私自身も、多くの同僚議員とともに、ぜひ参列をさせていただきたいと思います。

 さて、この追悼式のことなんですけれども、この追悼式に関与する業者の選定につきまして、民主党所属の衆議院議員からの依頼を受けて、齋藤官房副長官が役所に口ききをしたというようなことを耳にしているんですけれども、それは事実でしょうか、事実でないのでしょうか。

齋藤内閣官房副長官 ただいまのお尋ねでございますが、事実、そういうことはございません。

 何月何日ということは記憶はございませんが、今、高市議員がお話しになりました被災県との関係について、東京都で開催する、そういう意味では、連携ということについて被災県の出身の議員からお尋ねがあった経緯がございますけれども、ただいま申し上げられた件については、全く承知をしておりません。

高市委員 実際に連絡を受けた職員から聞き取った話ではございますけれども、議事録に残ることでございますので、そういった事実はないということで、まずここで確認をさせていただきます。

 副長官、もう結構でございますので、よろしくお願いいたします。

 それから、除染事業について次はお伺いをしたいと思います。

 昨年三月に発生いたしました福島第一原発の事故によって放出されました放射性物質、この汚染につきまして適切な対策を講じて、そして国民の生命を守っていくというのは、これはもう内閣の重要な責務だと考えております。審議をしております平成二十四年度の予算案では、この除染の実施のために合計四千五百十三億円が計上されております。

 昨年からことしにかけて政府が発表されました多くの除染に関する文書、ガイドライン、実施ガイドラインの分厚いものも含めて全て拝読をいたしました。これらを読みます限り、除染事業に係る野田内閣の方針というのは、まず、追加被曝線量が年間一ミリシーベルト以下になることを目標にしていること、それから、除染事業によって排出される除去土壌、これは三年間程度は除染の実施地域の仮置き場で保管されるということ、その後三十年間以内の期間は福島県内の中間貯蔵施設で保管される、最後に、三十年ぐらい経過した後、福島県外の最終処分場に移される、こう理解しております。

 既に昨年から試行的な除染事業が実施されておりますけれども、どうも野田内閣の方針どおりに実施しますと、気が遠くなるぐらいの年月、それから費用対効果の点でも疑問が残りますし、また、実際に現在実施されている除染事業について安全性が確保されているのかどうかという点でも懸念がございます。

 まず安全性の点なんですが、きょうの配付資料、写真が出ております。ごらんくださいませ。

 これはことしの一月十二日に福島県石川町の仮置き場で撮影したものでございます。一番右下の写真を見ていただけば、汚染土壌を収納しているフレキシブルコンテナバッグ、いわゆるフレコンバッグですけれども、ここで使われている灰色のものというのは、価格が数百円程度の耐久性に欠けるものです。高耐候性のものは黒色でかなり高いものなんですけれども、この仮置き場に置かれているものは、既に破損して汚染土壌が露出している、そういった状況でございます。細野大臣はこの状況について御承知でございましょうか。

細野国務大臣 除染につきましては、特に福島県内では各地で行われておりますので、私もかなりの数の除染現場、さらにはこういった形で保管をされている場所は見てまいりましたけれども、この現場というのは直接伺ったことはございません。

 資料で仮置き場という形で書いていただいているんですけれども、私どもが仮置き場と呼んでおりますのは、それぞれの町で場所を決めていただいて、そこにしっかりと穴を掘って埋めるという形のものを仮置き場と呼んでおるんです。ですから、なかなかその仮置き場が決まらないであるとか、決まってもなかなか準備が整わないということで、一時的な保管の方法として、こういったフレコンバッグに入れて置いていただいているケースが非常に多いということでございます。

 これを拝見しますと、必ずしも安定的に保管をできているという状況ではありませんので、それについてはできるだけ早く仮置き場に移すということもあるわけですが、当面の保管場所としてこういった形にならざるを得ない面がありますので、そこについての改善は、できるだけ市町村と連携をしながら図っていかなければならないと考えております。

高市委員 既に一月に質問主意書を提出いたしまして、こういう状況であるということを指摘いたしまして、二月三日には閣議決定した答弁書が届いておりますので、十分御承知だとは思うんです。ただ、質問主意書で、こういう汚染土壌が露出している状態について内閣が把握しているのか、仮に把握していないとしたら今後調査を行っていただける予定はあるのかということを問いましたら、答弁書には、「把握していない。」「現時点では、当該状況に関する調査を実施する予定はない」と書いてあったので、驚きました。

 細野大臣、このような政府の姿勢というのが妥当だと思いますかということと、この答弁書を閣議決定されてから、実際にちゃんと調査をし、地方自治体に対して徹底をしていただいたのかどうか。以上二点、伺います。

細野国務大臣 今、それぞれの除染事業というのは、特にお示しのような避難区域以外の福島県内では、それぞれの市町村に環境省の担当者がつきまして、個別にやっておるんです。ですから、包括的に調査をするとかいうよりは、それぞれの地域でどういう管理のされ方がなされているのかということについて把握をした上で、より安定的な状態を目指していくという形になろうかというふうに思います。

 それこそ、個別に、ここはこうだという情報は私のところにも入ってまいりますので、そのときには対応するようにということで、個別にやらせていただいているということでございます。コミュニティー単位も含めて、かなり細かく、それぞれのところで除染事業をしていただいておりますので、どうしてもそういったことというのは、全てなくすというのは難しいと考えております。

 ただ、それでも、保管の仕方はできるだけ丁寧にやるべきなんですが、そうでないとしても、剥ぎ取って住宅周辺からなくすということ自体は私は意味があるというふうに思っておりますので、その後の保管方法として、できるだけ適切なものを具体的に一つ一つ実現をしていくということになろうかと思います。

 それと、繰り返しになりますが、一刻も早く仮置き場をつくりたいと思っておりまして、それは各市町村と精力的に協議をしております。具体的な地域がなかなか特定できないところは、こういったところはどうだろうかということも含めて協議をしておりまして、できるだけ早い段階で仮置き場をつくることで、今御指摘のような状況を解消したいというふうに考えております。

高市委員 何もかも地方に任せっ放しということで、こういうことを指摘しても、ではこれは具体的にどこですかというような問い合わせの電話一本、かかってきませんでした。

 当然、一刻を争うことと思いましたので、事業にかかわっている方から地元の耳に入るように配慮はしておりますけれども、しかしながら、除染事業を国が責任を持ってやるということをおっしゃっておられながら、こういった状況について地方自治体に徹底したのかといったら、今の御答弁では、何かそういう動きもしていただいていないようで、こんなことじゃ困ると、それは指摘をいたしておきます。ぜひとも、きっちりと、国の方でも積極的に調べて、安全の確保というものを徹底していただきたいと思っております。

 この灰色のフレコンバッグなんですけれども、さっき申し上げました高耐候性、三年対応ぐらいのフレコンバッグに比べますと価格は五分の一から十分の一ぐらいなんですけれども、とてもじゃないけれども、仮置き場、次に中間貯蔵施設に運ぶまで三年間ぐらいということになりますと、その保存に耐え得るものだとは思いません。もう今の時点でこれですから、とてもじゃないけれども、それだけの健全性の保持というのは難しいんだろうと思います。また、今度、運ぶときのつり上げによる破損というものも十分に想定されるわけですね。

 これからのコストですとか安全性ということを考えると、私は、仮置きの段階からそれなりの容器に収納すべきだと思います。今、例えばプラスチック製の容器であったりコンクリート仕様のものであったり、そういった容器も民間事業者からかなり安価に提供され得る状況になっておりますので、仮置きの段階からそういったものに入れて、そのまま中間貯蔵施設でも保管できる、三十年間の保存に耐え得るようなものを採用した方が、トータルのコストも安くなるんじゃないかと考えるんですが、いかがでしょうか。

細野国務大臣 除染に関してもさまざまな技術的な提案をいただいておりますので、採用できるものは採用していきたいと思っております。

 ただ、済みません、もう一度、繰り返しの答弁になってしまうんですけれども、あの状態で三年間置くということは考えていないんです。仮置き場というのは、あくまで安定的に保管をできる場所を、市町村でできるだけ数をある程度絞り込んでつくった上で、そこで三年以内ということで仮置きをしていただいて、そして運び出すという考え方をとっておるんです。したがって、ああいう状態からいきなり中間貯蔵施設に全部持ち出すという考え方ではないということをぜひ御理解いただきたいと思います。

高市委員 それは当たり前のことでございます。

 ただ、今、中間貯蔵施設についても、場所の選定が進められていると承知をいたしております。この日曜日にも八町村の首長さんと大臣がお会いになって意見交換をされる予定だったのが、うまくいかずに中止になったというようなことだったんですけれども、では一体、中間貯蔵施設でどのような性能の容器に入れるのか、どう安全に管理するのか、こういったことも明らかにしていなければ、なかなか地元と話も進まないかと思いますので、一度、仮置きの段階から中間貯蔵施設まで一貫した体制で強い容器を使うということを御検討いただけたらと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それから、環境省が発表した中間貯蔵施設等の基本的考え方をずっと拝読していたんですけれども、仮置き場から中間貯蔵施設へ、中間貯蔵施設から、今度、県外の最終処分場へと、汚染土壌などを二回に分けて移動させることになるんですね。

 この二回にわたって移動するという間に、運搬、つり上げなんかのときの飛散のリスクですとか、それから、仮置き場として使った土地も原状復帰して当然所有者に返さなきゃいけないですから、二次汚染の危険性ですとかそういったものもあるし、大量の土壌を二回動かすということになると、費用も大変かさむわけでございますね。

 こういう二回もの移動、そしてまた県境をまたいだ移動を行う必然性というのはどういったところでしょうか。

細野国務大臣 まず、一度目の移動というのは、福島県内の各市町村の仮置き場から、場合によっては、例えば周辺に住民の方が住んでおられたりするケースもあり得ますので、そういった状態というのも長く維持をすることはそれこそ難しいですから、県内の、今お願いしておりますのは、双葉郡内に中間貯蔵施設を何とか御容赦をいただいてつくらせていただいて、そこに移動をして三十年にわたって保管する、そういう考え方でございます。

 今私どもが想定をしておりますのは、その中間貯蔵施設には相当の容量の土が運ばれますので、かなりの場所を確保して、そこで安定的に保管をするというのをやらなければならないと考えております。

 そこから最終処分場に移動するのは、その土をそのまま移動するという考え方ではございません。その土の中で、例えば代表的な核種としてはセシウムということになるわけですけれども、それを減容化して、その部分だけ固化して、その小容量のものを安定的に運べるようになった段階で移動する、そういう考え方です。

 ですから、御指摘のように、放射性物質を拡散するというのは、決してこれはしてはならないことですので、そこはしっかり集めて、そういう状態ではない段階で初めて県外で最終処分場を見つけて、そこでしっかりと最終処分に持っていく、そういう考え方をとっております。

高市委員 セシウム137の半減期は三十年でございますね。他の物質を考えましても大体百年で、どんなに長くても、百年たつと、もう問題にならない程度に放射能というのは減衰するんだと思います。

 今、減容化のことも含めてということでございますから、二段階ということもわかりましたけれども、しかしながら、仮に、福島県民へこれ以上の負担はかけられないということで、県外で最終処分場をということでしたら、最初から県外で中間貯蔵施設をつくって、減容化などもそこで行いながら最終的に安定的に百年間保存するといった方が合理的で、リスクも低く、コストも安いんじゃないかと思うんですが、そういったことは考えられませんか。

細野国務大臣 福島県内にとどめるのは三十年以内というふうに考えておりますので、三十年は置いておくということではございません。

 しかし一方で、これから、特に初めの数年間で、福島県内で除染によって取り除かれる土の量というのはかなり莫大な量になるというふうに考えております。この莫大な量の土を県外にそのまま持ち出すというのも、これも果たして放射性物質を封じ込めるという考え方からするとどうなんだろうか。さらに言うならば、果たしてそういう大量の土砂を福島県の外に持ち出して、福島県外で受け取っていただけるところがあるかということになってまいりますと、これも現実的には非常に難しいと考えております。

 そこで、本当に福島県民の皆さん、特に双葉郡の皆さんには申しわけないんですけれども、中間貯蔵施設については県内で三十年を上限に何とかお願いをしたいということで、今働きかけ、協議にできれば応じていただきたいということでさせていただいているということでございます。

高市委員 その最終処分場、三十年以内に移す場所の選定もまだだということは答弁書で了解いたしておりますし、その選定作業に入ったかどうかということを伺いましたら、それもまだだということでございましたし、果たして、その三十年ということに今の野田内閣が責任を持てるのかどうか、こういったことを考えると、中間貯蔵施設を受け入れるかもしれない町村の方々にも非常に不安が募っている状況であると思います。

 今、細野大臣が大量の土壌とおっしゃいましたけれども、本当にこれは莫大な量になる。それはやはり基準が余りにも厳しいというところにもあるんじゃないかとは思うんですけれども、野田内閣といたしまして、具体的にどの程度の年間追加被曝線量が人体に有害だと考えておられますか。

細野国務大臣 人体に有害であるということが疫学的に確認をされているのは百ミリシーベルトですね。これは、年間ではなくて通算でということですが、そのレベル以上については疫学的に確認をできております。それ以下については、疫学的には確認をできておりませんが、ICRPの考え方に基づいて、できるだけ低いレベルまで下げていくべきだという考え方に基づいて、避難区域の解除などについては年間二十ミリシーベルト、現実的には非常に保守的な基準でつくっておりますので、そういった地域で生活される方は大体五ミリシーベルトぐらいの年間放射線量ということになろうかと思いますが、そこに線を引かせていただいております。

 したがいまして、健康のリスクということでどこかに明確に線が引かれていて、それに向けて除染を進めているという考え方ではございません。そうではなくて、少しでも低い水準にすることが住民の皆さんの安心につながるという考え方のもとに除染については進めていく、そういうことでございます。

 一ミリシーベルトというのが年間追加放射線量で長期的な目標にはなりますが、いきなり一ミリシーベルトということは実質的には厳しいものですから、まずは暫定的な目標として年間十ミリシーベルト、それ以上のところはとにかくそこまでは下げていく、その次には例えば五ミリシーベルトということで、順次放射線量の高いところを下げて、住民の皆さんの安心をしっかりと確保してまいりたいと考えております。

高市委員 そうですね。政府からいただいた答弁でも、細野大臣のもとで設置されているワーキンググループで、リスクが高いのは百ミリシーベルトという指摘がございました。

 そもそも、自然界に天然の放射性物質がありますので、世界平均で一人当たり年間二・四ミリシーベルト被曝しているということです。余りにも、わずかに一ミリシーベルトを超えるといったあたりで過剰に作業をいたしますと、それこそ莫大な量というものが排出されるわけでございます。

 この土壌の量なんですけれども、年間一ミリシーベルト以上を除染の対象としていった場合に、二月三日の答弁書で見ますと、対象地域は八つの県に及ぶとなっております。もしかしたら、これは土壌の量ですけれども、すごい数字になって、野田内閣はできないことをやろうと言っているんじゃないかという懸念も、実は持ちました。

 質問主意書で、福島県で排出される除去土壌量、福島県に限ってですが聞いてみましたら、発生量は、森林などから発生する除去物を焼却した後の体積で約十万立方メートルから約三十万立方メートル、森林以外の土地から発生する除去物は約千四百五十万立方メートルから約二千七百三十万立方メートル、最大値でとりますと、合わせて二千七百六十万立方メートルになるんですね。

 これだけの土を保管できる仮置き場、あっちこっちにできるんでしょうけれども、一体どれぐらいの箇所数で、どれぐらいの面積なんだろうということで、環境省が発表しました仮置き場のイメージ例も参考にしながら計算してみました。

 当然、土木の専門家、除染事業の事業者にも確認をとりながら計算しましたら、大体、環境省の例示で平均的と思われる仮置き場、一カ所当たり二十メートル掛ける二十メートル、四百平米ぐらいの土地が必要になるんだろうな。これにフレコンバッグ横十二列程度、縦二段と積み上げて、それ以上積み上げると破損のリスクも伴いますので。そういったことで、それぐらいの土地が必要になる。

 仮置き場一カ所当たりの土壌の収納容量ですが、約三百立方メートルと計算できました。内閣府が試算しました二千七百六十万立方メートルの除去土壌というのを収納しようと思いますと、これでいくと、福島県内に仮置き場が九万二千カ所ぐらいできることになるんじゃないか。

 仮置き場の面積というのも、三十六・八キロ平方メートル、これぐらいは当然必要である。福島県の総面積の〇・三%近くに当たるんですね。でも、福島県の中には山もあり、そして湖もあります。そういったところに仮置き場はつくれませんから、平地面積で計算しますと、平地面積の三〇%以上が仮置き場で埋まってしまう。これは、計算しますと、私が住んでいる奈良県の大和郡山市の面積の九割に相当するので、物すごい面積、広大な面積が必要になるんです。

 大臣、果たして福島県内にこれだけの、場合によっては九万カ所を超えるような仮置き場を設置するための土地の確保というのは現実問題として可能だとお考えでしょうか。

細野国務大臣 高市委員が今言われた話は非常に深刻な問題ですし、具体的に計算もしていただいて御懸念を表明していただいたということで、本当に重い話だというふうに受けとめております。

 具体的にこれから進める際に、あるときいきなりそれだけの例えば仮置き場が必要になるということとは考えておらないんですね。ですから、順番に、当然高いところから下げていくという考え方の中でたまっていきますが、それがある段階から、中間貯蔵施設に三年以内から移動していく、そういう考え方をとっております。

 徐々にではありますけれども、仮置き場については確保ができつつありますので、より安定的に、どうそれを確保していくのかということについては、先ほどの具体的な御指摘も踏まえて対応していかなければならないというふうに思っております。

 済みません、今の御質問にお答えするということでいうならば、いきなりそれだけの仮置き場を今、例えば一年以内につくるということになると、それはもう極めて難しいと考えております。そうじゃなくて、順番に進めていって、仮置き場が確保できたところの分の土を剥いで持っていく。そして、その仮置き場からできるだけ早い段階で中間貯蔵施設に移動する。

 中間貯蔵施設の面積は、こういったものが確保できるだけの面積を確保しなければなりませんので、それについては、今、さまざまな検討を政府内で行った上で、できれば双葉郡の皆さんと話をさせていただきたいということで準備を進めているところでございます。

高市委員 中間貯蔵施設ではかなり厳格に管理されるんでしょうから、今のお話ですと、その仮置き場がかなり長期に福島県内に置かれた状態になる、そういう印象を受けました。搬入開始から三年ぐらいを目途に中間貯蔵施設にということで、それは、土が全部三年以内に行くんじゃなくて、徐々に中間貯蔵施設に運ばれていく。場合によっては、仮置き場に置かれている期間というのが非常に長期にわたる可能性がありますね、同じ仮置き場に土を運び、また向こうに持っていき、次の土が来てということですから。

 繰り返しになりますけれども、安全管理を相当しっかりしていただかないと、さっきのような仮置き場の仮置き場であの状況では、とても安心できないと思います。

 土壌量ということだけじゃなくて、コスト。これも土の量が大きいからなんですけれども、例えば収納容器のコストだけ考えましても、さっきのフレコンバッグでしたら、一袋に大体一立方メートル、土が入ります。政府が試算した二千七百六十万立方メートルの土を入れようと思ったら、当然二千七百六十万個、フレコンバッグが必要になるんです。これを、こういうすぐに破れるのじゃなくて耐候性のあるものにしたら、三年対応のフレコンバッグで一袋大体四千五百円、安目に仕入れた価格ですね。福島県分の容器の購入費だけで千二百四十二億円かかります、容器代だけでですよ。

 これに、仮置きまでの期間だけでも、当然、除染の人件費がかかります、運搬費用がかかります、機械のお金がかかります。仮置き場の土地の取得費用も当然かかるでしょう。今から三年間ぐらいで、今度、中間貯蔵施設の土地取得費、建設費、それからその中間貯蔵施設への運搬費もかかります。

 これからの三年間で、八県全部といったら大変なことになりますから、福島県の数字だけで結構なんですが、除染関連費用というのは大体幾らぐらいかかると見積もっておられますか。

細野国務大臣 現段階で確保するめどが立っております予算というのは、今年度の補正予算と来年度の当初予算、そしてその次の年におよそこれぐらいということで、現段階で確保できている予算で一兆一千数百億円、そういう金額になります。

 これも税金という意味ではかなり巨額の予算ですので、まずはこれをしっかりと使って対応して、その上で、私はもうこの予算の中でおさまるというふうには思っておりませんので、その必要な予算についてはさらに国民の皆さんにお願いをしなければならないと考えております。

高市委員 質問主意書で、除染の費用というのは誰が負担するのかと聞きましたら、「関係原子力事業者の負担の下に実施される」と書いてあったんですけれども。結局、大方国民が税金で負担するという話なんですか。ちょっと確認させてください。

細野国務大臣 大変失礼いたしました。御指摘いただきまして、ありがとうございます。

 除染につきましては、当面は、政府が法律に基づいて責任を持ってやりますので、国民の皆さんに御負担をしていただくことになるわけでございますけれども、法律の中でも、それについては東京電力に求償するという形になっておりますので、そのことは最終的にしっかりと政府として確保しなければならないと考えております。大変失礼いたしました。

高市委員 その辺、はっきりしておかないと、仮に全部税負担になっていく可能性があるとしたら、今、税と社会保障の一体改革などで示されている消費税率などにも大きな変化がある可能性がありますので、確認をいたしました。

 済みません、経済産業大臣、来ていただいて随分お待たせをいたしました。除染についてはここで打ち切りまして、残り時間、伺います。

 先般、NRC、アメリカの原子力規制委員会の議事録などが公表されまして、さまざま報道されております。三月十一日の議事録、これでは、日本政府から協力要請もないままだというようなことが書かれておりまして、三月十二日の議事録にも、日本政府当局に直接連絡をして支援を申し出たが必要ないと断られたと書いておりますが、これは本当でしょうか。

枝野国務大臣 経産大臣としてお答えというよりは、当時の官房長官としての認識をお尋ねなのだと思いますが、少なくとも抽象的には、米国、それは米軍を初めとして米国からの支援については積極的に対応するようにということで指示をしておりましたが、個別具体的に、どういうルートでどういう支援の話が来ていたのか、そして、それに対して断ったという話については、その時点でも承知をしておりませんし、現時点でも確認しておりません。

高市委員 いや、確認してください。当時の官房長官でいらっしゃいますので、これは日本政府当局に支援を申し出たが必要ないと断られた。では、向こうの議事録で誰かがうそを言っているのか。日本政府でそういった重要な連絡が官房長官にすら伝わっていないということになると、もっと大変なことだと思います。

 三月十三日、これも向こうの議事録に、空母ロナルド・レーガンが原発から百八十五キロメートル離れた場所にいたが通常の三十倍もの放射線が検出されたと書いてあるんですけれども、当時の枝野官房長官の記者発表を見ますと、三月十一日の時点でも、「繰り返しますが、放射能が現に漏れているとか、現に漏れるような状況になっているということではございません。」次の三月十二日の議事録を見ても、「放射性物質の施設外への漏えいは確認をされておりません。」とか、「住民の皆様の安全は十分に確保されており、落ち着いて対処いただきたいと思います。」と、このように書いてあるんですけれども、これらは日本政府の発表として適切だったとお考えでしょうか。

枝野国務大臣 それぞれの時点で把握をしていた事実関係とそれに基づいて発言をしたものでございます。

高市委員 三月十六日のNRCの議事録ですが、日本側は我々に燃料プールを冷やす方法について助言を求めています、日本側の誰かは砂を入れてはどうかと聞いてきました、しかし私たちにとって答えは明白です、水だ、水だ、水だと。

 こういったものが残っておりますけれども、この事実、砂とかいう話は本当だったんでしょうか。

枝野国務大臣 まさにその段階では、NRCと原子力安全・保安院等で、専門家同士で技術的ないろいろなやりとりがされていたというふうに思いますが、その技術的なやりとりの内容の詳細については直接承知をしておりません。

高市委員 当時の記録をきちっと日本政府が残していなかったといったところで、私たちもなかなか事実の確認のしようがありませんけれども、NRCの議事録を見る限り、向こうは、相当、最悪の事態を想定しながら、少なくとも在外にいる、日本国内にいる米国人の命はまず守ろう、同盟国の日本を助けよう、そういう思いで必死の取り組みを事故発生直後から続けておられた、そういったことが理解できます。

 当時の日本政府の対応、私から言わせると、適切だったと思いません。よく当時の官房長官として、それからまた、これから、原子力行政にも関与されている経産大臣の立場として、十分に検証されて、また課題を抽出していただきたいと思います。

 この続きは経済産業委員会で聞かせていただきます。どうもありがとうございました。

中井委員長 これにて高市さんの質疑は終了いたしました。

 次に、近藤三津枝さん。

近藤(三)委員 自由民主党の近藤三津枝です。

 昨年の三月十一日、東日本大震災からもうすぐ一年となります。多くのとうとい命を失いました。改めて御冥福をお祈り申し上げます。また、今なお不自由な避難生活をされている多くの被災者の方がおられます。謹んでお見舞いを申し上げます。

 私たちは、大震災、そして引き続く福島第一原子力発電所事故で多くの教訓を得ました。この教訓を今の世代のために、そして次の世代のために生かさなければなりません。

 教訓の一つが、本日取り上げます緊急事態における国家の意思決定の問題です。

 東日本大震災は、まさに四月の統一地方選挙を控えた時期に発生しました。そこで、国会では、次のような法律を成立させました。東日本大震災に伴う地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律です。この法律名が長いので、以下、地方選挙などに関する臨時特例法と申し上げます。この法律は、震災から六日目の三月十七日に衆議院を可決、翌三月十八日に参議院を可決、非常に迅速な対応で通りました。

 この法律の施行によりまして、今回の大震災、原発事故の影響で地方選挙を適正に行うことが困難と総務大臣が判断した場合には、地方議員や首長の選挙期日を延期し、その任期を延長させることが可能となったわけです。

 私は総務省から、この地方選挙などに関する臨時特例法によってどのような措置がとられたのか、事前に資料の提供を受けました。そのポイントを申し上げますと、この法律により延期された選挙の数、知事選は岩手県知事選の一つ、県議会議員選挙は岩手、宮城、福島、三県の三つです。市町村長選挙は十八、市町村議会は四十五、合わせて延長された選挙は六十七に上りました。任期が延長された首長と地方議員は、岩手県知事を初めとし、一千二十二名となりました。つまり、千人を超す知事、県議会議員、市町村長、市町村議会議員の任期が延長され、懸命に大震災からの復旧に当たっていただいたというわけです。

 また、選挙期日が最も延期されたのは、福島県議会選挙を初めとした福島県内八つの選挙、四月十日の選挙期日が十一月の二十日まで延期されました。その日数は二百四日、およそ七カ月です。さらに、選挙が延長された数は先ほど六十七と申し上げましたけれども、一つの市町村で首長選挙、議会選挙などをあわせて複数の選挙が延長された市町村もありましたので、東日本大震災により選挙を延長せざるを得なかった市町村の数は五十三市町村です。そして、この五十三市町村の有権者数、実に二百六十一万人にも上ります。つまり、東日本大震災、福島第一原子力発電所事故によって、岩手、宮城、福島、茨城の四県で二百六十一万人の有権者が当初予定されていた選挙を適正に行うことが困難になり、選挙期日の延長をせざるを得ない状態に陥ったというわけです。

 以上のように、東日本大震災は地方選挙の実施にも大変大きな影響を及ぼしました。この法律では、選挙を適正に行うことが困難な状態と認められる市町村、県を総務大臣が指定することになっています。そして、地方選挙などに関する臨時特例法では、総務大臣が定められていた選挙期日に投票を行うことが困難であると指定する際には、あらかじめ該当する市町村、そして県の選挙管理委員会の意見を聞くと規定されました。さらに、昨年五月の法改正で、市町村や県の選挙管理委員会の意見を尊重することの規定も定められました。つまり、選挙が適正にできるかできないか、それはそれぞれの地域の選挙管理委員会の判断が重要視されたということです。

 それぞれの地域の選挙管理委員会が適正な選挙を行うのは困難とした主な理由、及びその後選挙の実施が可能となったと判断した基準はどのようなものであったのでしょうか。

 黄川田副大臣は御家族が被災されたというふうに伺っております。懸命な対応をしてこられました。謹んでお見舞いを申し上げます。ただいまの質問に対して、御答弁、よろしくお願い申し上げます。

黄川田副大臣 選挙に関する実情といいますか、被災地での選挙の実情を詳しく調べ上げられたと思っております。

 そこでお答えいたしますが、今お尋ねの、被災地の選挙管理委員会が、適正な選挙を行うことが困難である、このように判断した理由でございますが、三つございます。

 まず第一点は、住民の多数が避難しておりまして、有権者の居所が十分に把握できていないこと。二つ目、職員が被災者の避難所の支援や復旧対策に追われておりまして、選挙事務を執行できる人的体制が確立されておらないこと。そしてまた三点目でありますけれども、投票所、開票所に予定していた施設が滅失あるいは避難所となっているため、投票所、開票所等の物的設備の確保が困難であること。これらの事情によりまして、当初予定されておりました期日においては選挙を適正に行うことは困難、このように判断したわけであります。これは紙に書いた基準ではありませんが、法律に書いてあるとおり、自治体の選挙管理委員会としっかりと協議して、その上での基準、判断でございます。

 そしてまた、これらの有権者の居所の把握、あるいはまた選挙実施のための人的体制の確立、そしてまた投票所、開票所等の物的設備の確保が行われ、こうした状況が解消した場合に、被災地の選挙管理委員会において、選挙の執行が可能であるとの判断がなされたもの、こう思っております。その上で、御案内のとおり、選挙期日は政令で総務省が指定するということでございます。

近藤(三)委員 私も、被災地に緊急物資などを搬送させていただき、また災害からの復旧のために被災地に参りました。とても選挙ができる状態ではございませんでした。今、黄川田副大臣の御答弁のとおりと拝察させていただいております。

 今回、地方選挙に対しましては、地方選挙などに関する臨時特例法を制定して、何とか選挙期日を延長して適正な選挙が行われるように対応したわけです。しかし、もし三月十一日の東日本大震災のような大規模な災害が発生したときに衆議院が解散されていたならば、あるいは参議院選挙が公示されていたならばどうなるんでしょうか。そう考えますと、全く違った新たな問題が生じるのではないかと私は危惧いたしております。

 もし、三月十一日の東日本大震災のような大規模災害が発生したときに衆議院が解散されていたならば、あるいは参議院選挙が公示されていたならば、今回のような最長およそ七カ月にも及ぶ選挙期日の延長、延期、そして首長や地方議員の任期の延長の措置を講じることができたのかできなかったのか、その理由を含め、内閣法制局長官にお伺いいたします。

山本政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 昨年十一月十一日に閣議決定いたしました、先生御提出の質問主意書に対する答弁書においてお答えしたとおりでございますが、読ませていただきますと、憲法第四十五条本文は衆議院議員の任期を四年、憲法第四十六条は参議院議員の任期を六年と規定しておりまして、また、衆議院が解散された場合、憲法第四十五条ただし書きは衆議院議員の任期はその期間満了前に終了し、憲法第五十四条第一項は解散の日から四十日以内に総選挙を行うと規定しているところであります。

 したがいまして、これらの憲法の明確な規定にかかわらず、御指摘の地方選挙に関する臨時特例法におきます地方議員や長の任期の延長措置と同等の措置を講ずることはできないというふうに考えております。

近藤(三)委員 法制局長官、御答弁ありがとうございます。

 今御紹介いただきましたように、本件に関しまして、この委員会室にも配らせていただいております。昨年十一月二日に私が提出いたしました緊急事態に対する現行憲法の問題に関する質問主意書、それに対する答弁を十一月十一日に政府からいただいております。この質問主意書と答弁書をお配りいたしております。ただいまの答弁は、この質問主意書の回答に準じてお答えをいただきました。

 この質問主意書に対する答弁の趣旨をもう一度申し上げますと、東日本大震災のような緊急事態において、地方選挙については、東日本大震災に伴う地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律、長いので、先ほどから私、短縮名で申し上げております地方選挙などに関する臨時特例法のことですが、この法律を定め、選挙期日の延期、そして首長や議員の任期の延長はできる、しかし、衆議院選挙や参議院選挙は、最高法規である憲法の定めがあるので、選挙期日の延期や議員の任期の延長という緊急避難的な措置は講じることができない、このような答弁の趣旨でございました。

 一方で、先ほどは黄川田副大臣から切実な被災地の状況を御答弁いただきました。予定されていた投票会場は非常に厳しい状態であったということ、災害事故対応に忙殺されて、とても選挙を実施できるような公的な職員を確保できなかった、また他県などに避難して所在がわからない住民の方、有権者の方たちが非常に多かったという御答弁をいただいております。とても選挙ができるような状態ではなかったということでございます。選挙期日の延長、延期によって、何とか民意を反映する地方選挙が後日できたということです。

 だとするならば、あのような災害時に行われる総選挙、そして国政選挙は、今回制定されました地方選挙などに関する臨時特例法に定められた適正な選挙を行うことができない状態にあるにもかかわらず、あらかじめ決められていた衆議院選挙投票日を変更することはできない、そのように理解してよろしいのでしょうか。総務副大臣にお伺いさせていただきます。

黄川田副大臣 お答えいたします。

 地方選挙は法律に委ねられて、先般、三月十一日の発災の後法律ができて、地方選挙がとり行われたわけでございますけれども、国政にあっては、憲法の規定によって国会議員、それぞれ選挙を行わなきゃいけないということ、先ほどお話しのとおり憲法の規定の中でやらざるを得ないということでありますので、委員御指摘の部分でさらに結論を得ようとすれば、例えば憲法改正の問題が出てくるかもしれません。

 幸いといいますか、衆参の両院で憲法審査会、ここで議論も始まっております。大事な選挙であります。自治体の選挙と国政選挙、これは民意を問うということでどちらも大事であります。そういうこともありますので、国政選挙のあり方にかかわる事項でもありますので、各党会派、慎重に、そしてまた大いに議論をしていただきたい、こう思っております。

近藤(三)委員 黄川田副大臣、どうもありがとうございました。

 地方選挙は法律で延長できるけれども、衆議院、参議院選挙は議員の任期の規定や選挙期日が憲法に定められているので、法律でこれを変更することはできない、国がどんな状態であっても、現行憲法では、事前に決められていた期日に国政選挙を行わざるを得ない、そういう現実が今の日本の社会には内在しているということです。

 では、こちらのパネルをごらんいただきます。お手元に配付しています、これまで議論となりました憲法の条文をパネルにしたものです。四十五条、四十六条、五十四条です。そして一番下に憲法第十五条を記しています。

 憲法第十五条一項には、「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。」とあります。さらに、同条第三項には、「公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。」とあります。すなわち、「公務員の選挙」とは、国会議員、知事、市町村長、都道府県議会議員、市町村議会議員の選挙です。「成年者による普通選挙を保障する。」ということは、二十歳以上の日本国民には普通選挙を国家が保障するということです。

 もちろん、この保障は実質的なものでなければなりません。しかし、先ほど来質問してきましたように、現行憲法のもとでは、三月十一日の東日本大震災のような緊急事態が発生したときに総選挙や国政選挙の期日が定められていれば、国政選挙の期日を変更できない。つまり、適正な選挙ができない状態で総選挙の投票を国民に求めるということは、一方で、この憲法第十五条第三項の参政権が保障されないということになるのではないでしょうか。形式的に選挙権が与えられたとしても、実際上多数の有権者が投票所に行けないような状態のままで総選挙を実施するということは、実質的にこの参政権を保障する憲法の定めに抵触することになってしまうのではないでしょうか。

 憲法四十五条の衆議院議員の任期と憲法十五条の参政権の保障の間に矛盾が生じるのではないかと思いますが、内閣法制局長官の見解をお示しください。

山本政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 確かに先生おっしゃるように、憲法十五条一項は、公務員の選定、罷免権という、いわば国民主権のあらわれを規定したものでございますし、また同条三項は、これを具体化するための成年者による普通選挙を保障したものでございます。

 しかしながら、先ほど申し上げたような憲法上の条文からいきますと、いずれにせよ、衆議院議員及び参議院議員の任期については明確な定めがありますし、また、解散された場合も、解散の日から四十日以内に総選挙を行うと、これまた明確に規定しているところでございまして、御指摘のような状態でございましても、やはり公職選挙法というもとで選挙が行われるものと思います。

 ちなみに、公職選挙法のもとでも、これは任期とか総選挙の期日を動かすというものではございませんが、例えば不在者投票とかあるいは繰り延べ投票とか、そういう制度がございまして、そちらの方で対応すると思います。

近藤(三)委員 ということは、今のお答えでは、必ずしも参政権がきっちりと保障されているということではないという御答弁だったんでしょうか。端的にお答えいただけますか、イエスかノーか。

山本政府特別補佐人 いずれにせよ、参政権は憲法と法律の範囲内で保障されていると考えております。

近藤(三)委員 それでは、最後に官房長官にお伺いします。

 これまでの答弁を通じまして、緊急事態発生時の総選挙実施の側面、そして国会の機能の確保の観点から見ただけでも、今回の東日本大震災を教訓として、日本国憲法に新たに緊急事態の規定を設ける必要があると私は考えます。

 こちらのパネルにありますように、もう一度申し上げますが、日本国憲法四十五条本文には、衆議院の任期は四年と規定されています。また、衆議院が解散された場合、憲法四十五条ただし書きには、衆議院の任期はその任期満了前に終了する、憲法五十四条第一項には、解散の日から四十日以内に総選挙を行うと規定されています。最高法規である憲法に規定されている以上、法律でこの選挙期日の変更はできないという見解を内閣法制局長官からは得ております。

 一方で、十五条の国民の参政権を保障しなければならない。しかし、適正な選挙が行い得ない状態でも国政選挙を実施することになれば、これは憲法十五条の参政権の保障が侵されているということになりかねません。現行憲法の中での矛盾が生じているのではないかと私は考えております。このような場合には、衆議院議員は存在せず、さらに衆参同日選挙であれば、参議院議員の半数の中には、改選に向けて選挙運動中の議員もあることとなるでしょう。

中井委員長 時間を大幅に過ぎていますので、結論を急いでください。

近藤(三)委員 では、内閣を代表して、官房長官の見解をお伺いいたします。

藤村国務大臣 近藤委員の御指摘は、本当に深刻な受けとめ方をしていくべき話だと思います。

 見解は、今法制局の方から出たとおりであります。つまり、国政選挙については、緊急事態が国政選挙の公示前、あるいは発生した場合には、現行憲法のもとでは、選挙期日を延期するとともに、あるいは国会議員の任期を延長することはできないということに……

中井委員長 藤村君、答弁も短くしてください。

藤村国務大臣 はい。

 結論的に申しますと、今、御党でも憲法草案を発表されているところでございますが、これは、衆参両院での憲法審査会の議論も始まったところでありますので、また国政選挙のあり方にかかわる事項でもありますので、各党各派において十分御議論をいただきたい、こういうことではございます。

中井委員長 これにて近藤さんの質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

中井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。あべ俊子さん。

あべ委員 自由民主党、あべ俊子でございます。

 本日は、社会保障全般に関する世代間格差、この質問をする予定でございましたが、本日、午前中に中川大臣から交付国債の取り下げという発言がございました。将来の消費税率の引き上げによる税収を見込んだ交付国債について、税率引き上げの見通しが立たない場合は取り下げることもあり得るという発言がございました。

 いろいろな選択肢、予算の中身を野党との話し合いの中で変えていくことも必要という発言がございましたが、岡田副総理、この発言は御存じでしょうか。

岡田国務大臣 私は承知しておりません。

あべ委員 では、安住財務大臣、御存じでしょうか。

安住国務大臣 いや、全然知りません。

あべ委員 これは、では、中川大臣の個人的な発言だとおっしゃるんでしょうか、財務大臣。

安住国務大臣 私はずっとこの予算委員会に入っているから知る由もないわけで、確認というか問い合わせもありませんのでわかりませんけれども、それは中川さんは所管大臣ではありませんので、所管大臣でない中川さんがこの発言について責任を持ってという話じゃないので、責任のある発言は私や小宮山大臣がさせていただきます、所管大臣ですから。

あべ委員 中川大臣の発言は非常に筋の通った話でございます。なおかつ、個人の発言ではなく、閣僚の大事な発言でございます。今は予算の、この予算委員会という場でございますから、安住大臣、これは知らないというのでは筋が通りません。内閣統一見解を予算委員会の中で求めます。

安住国務大臣 今ちょっと見せてもらったものをただ読むと、いろいろな選択肢があると言っているだけで、交付国債の取り下げがあり得るのかという記者の質問に対して、いろいろな選択肢があるというふうに中川大臣は言っているだけで……(発言する者あり)いや、いえいえと言ったって事実そうなんだから、それは別に、何も、いろいろな話をされればいいんじゃないでしょうか。

あべ委員 大臣、閣僚の発言でございますから、予算委員会の中で内閣における統一見解を求めます。

安住国務大臣 いや、いろいろな選択肢があって、予算の中身を野党と話し合いの中で変えていくようなこともあり得るだろうと。交付国債を取り下げるだけでなく、トータルで話し合うというようなことも場合によってはあり得る。つまり、これは可能性や何か聞かれたことに対して話をしただけで、それで統一見解というのは異様な話だと私は思います。

あべ委員 閣僚の発言でございます。これは予算関連の話をする委員会でございますから、閣僚の統一見解を求めます。

安住国務大臣 統一見解というのは、何かで大臣同士の話が混乱をしたり、その解釈をめぐってということです。これは、予算をどう通すかというのを聞かれて、変更もあり得るのかということに関して中川さんはいろいろな選択肢があると言っただけで、それで統一見解なんというのはあるわけないんです。統一見解というのは、年金改革法を出して、これを通してくださいというのが統一見解です。

中井委員長 あべさん、質問を続けてください。

 財務大臣に伝えますけれども、そう突っ張ってしまうような軽い問題でもないような気もいたします。だから、あなたも予算を担当する大臣として、もっと真摯に受け答えをしてほしいと思います。

安住国務大臣 予算委員会で中川少子化担当大臣が何かこういうことを正式に、例えば我々の前で話をしたということではないんです。

 私が申し上げているのは、記者会見で、交付国債の取り下げということもあり得るのかという質問に対して、あらゆる選択肢があるとお述べになっただけで、それをもって統一見解という話にはならないのではないかと私は言っているわけです。

中井委員長 あべさん、質疑を続けてください。

あべ委員 閣僚の発言でございますから、それは閣議の後に、大臣としての発言でありますから、予算委員会において、その閣僚の統一見解を求めます。

安住国務大臣 閣僚の統一見解は私がこれから申し上げます。

 内閣としては、交付国債について、これを法案として出させていただきますので、これによって国庫負担二分の一分を補うというのが正式な私どもの統一見解です。

中井委員長 あべさん、続けてください。

 財務大臣の方で中川君に確認をとらせますが、その間、質疑は続けてください。(発言する者あり)いやいや、今までどおりの質疑を続けてください。

安住国務大臣 では、せっかくでございますから、中川大臣にどういう発言をしたのか確認をさせますので……(発言する者あり)いやいや、それで引き続きぜひ質疑をいただきたいと思います。

中井委員長 あべさん。指名をいたしました。

 あべさん、どんどん質疑時間は流れますから、どうぞ。

 あべさん、質問を続けてください。

 あべさん、質問を続けてください。お座りいただいても結構だけれども、時間は流れますから。(発言する者あり)静かにしてください。

 委員長として、あべさんにたびたび御指名を申し上げております。あべさんの質問の要旨等は出ておりますから、それに従って質問をしてください。(発言する者あり)いえ、確認は確認をして、また考えることであります。その間、質疑を続けてください。その間、質疑を続けます。あべさん。

 確認は済みましたか。

 あべさん、質疑を続けてください、一切その時間は見ませんから。

 あべさん、再三再四ですから、従わなければ、時間で交代してもらうだけですから。

 どうしてそんなに時間がかかるの。(発言する者あり)はい。その間、質疑をすることに何にもおかしさはないじゃないですか。

 あべさん、質問を続けてください。

 あべさん、質問を続けてください。

 それでは、連絡がとれたようですから、安住財務大臣から発言を許します。

安住国務大臣 閣議後の記者会見において、まずクエスチョンがありまして、基礎年金の国庫負担を将来の消費増税で償還する年金交付国債で賄うことに関して、大臣はどう思うかという質問を受けたそうです。

 これに対する御本人の答弁は、予算はトータルで出しているから、最終的に国民の理解を得ながら上げていく、そういう前提で予算を編成した。そういうことでは整合性はあるが、消費税の議論については賛否がある、日本の国の構造的な問題を克服するためには、その前に無駄遣いを徹底的に洗い出すことは当然であるが、それにしても消費税をお願いしていかなきゃいけないということだが、それについて見通しをなかなか立てることができない。そういうことがあるとすれば、それを見込んで交付国債ということになると、最終的には考えていかないといけないかもしれない。これは議論によって変わってくるかもしれない。

 しかし、これは、そういうことでございます。

中井委員長 いやいや、ちょっと、その発言を受けて、中川君はどうするんだという確認をしたんですか。その発言の中身じゃなしに、どうすると決まったんですか。

安住国務大臣 中川大臣は、これがこういうことになって報道されたので、これに対しての会見を、午後から釈明の会見を開くということでございます。

中井委員長 だから、どうするの。それは、発言を取り消すの。

安住国務大臣 所管でないことを聞かれて話してしまったということで、官房長官と相談して、お話をさせていただくということでございます。(発言する者あり)

中井委員長 理事さんが質問するのではありません。あべさん、あなたが質問するんですから、その場で質問してください。どうぞ、あべさんがやってください。おやりにならぬなら、時間が過ぎるだけですから。

あべ委員 所管外であっても、閣僚の発言は非常に重いものであります。閣僚の統一見解を求めます。

安住国務大臣 内閣としては、交付国債の関連法案を出しておりますから、それが統一見解です。これをぜひ成立させていただくということでございます。

 中川大臣は、このことに関しては、つまり、質問に対して、消費税が、お願いをしているけれども、もしそれが通らない場合はいろいろ考えなきゃいけないという選択肢があるということを申し上げているだけですから、決してそごはありません。

 それから、先はありません。その前の質問は自衛隊法の派遣等であって、ここの部分だけです。

中井委員長 あべさん、質問を続けてください。あべさん、質疑を続けてください。(発言する者あり)

 それでは、速記をとめて。

    〔速記中止〕

中井委員長 それでは、速記を起こしてください。

 あべさん。

あべ委員 中川大臣にお尋ねいたします。

 午前中に、閣議の後の記者会見で、交付国債の取り下げの発言をなさいましたか。

中川国務大臣 記者会見があったんですが、そのときに私の所管外の質問が出た中で、それに対して発言をしてしまったということ、この点は、舌足らずということもありまして、皆さんに御迷惑もかけたということで、おわびを申し上げたいと思います。

 統一見解は、もちろん私は閣内の一員として、消費税、とにかく御理解をいただいて通していただきたいということでありますし、そんな中でも、交付国債、全体の整合性の中で議論をしていくわけですが、これもぜひ御理解をいただきたい、こういう思いでおります。

 発言について、そうしたことを前提にして私の発言があったということでありまして、いろいろな、意図としては、野党との話し合いの中で国会というのは運営をされていくということでありますから、その中でまたいろいろな選択肢が出てくる、そんな可能性もあるということだけを申し上げたということであります。

あべ委員 閣僚としての今の発言は非常に重いものがございます。

 では、いろいろな選択肢というのは、中川大臣、何をおっしゃっているんでしょうか。

中川国務大臣 それは、これからの与野党の話し合いの中で法律も、そして予算に関連する諸々の問題も話し合われていくことでありまして、その中からいろいろな選択肢がまた生まれてくる、そういう国会運営ということだと思っております。

あべ委員 今、中川大臣がおっしゃったいろいろの選択肢というのは幾つぐらいあって、具体的などういう中身か、教えてください。

中井委員長 中川正春君。そんな、中川さん、君、笑っている場合じゃないよ。

中川国務大臣 そこまで私自身で考えた上でいろいろという形で発言をしたということではなくて、これは与野党の中でさまざまな議論で出てくる選択肢だというふうに思っております。

あべ委員 中川大臣は非常に、この交付国債に関して、誰が考えてもわかる粉飾の予算であり、やはりこれは取り下げるのが筋ではないかと思っているのではないかと私は思います。

 与野党と話し合いの中でということは、与野党の話し合いということは、中川大臣、どういう話し合いか、教えてください。

中川国務大臣 先ほど申し上げたように、具体的な話というのは、与野党がこれからこの予算を審議していく過程の中で選択肢として出てくるということでありますし、それをしっかり期待して、何とか予算が成立をしていくように、そして消費税を含めて御理解をいただけるようにしていきたい、私も一員として全力、それに尽くしていきたいというふうに思っております。

あべ委員 大臣、全力を尽くしていくという前に、この交付国債という禁じ手に関しては、中川大臣、もしくは個人としてでもいいですが、これは問題だと思っていらっしゃいませんか。

中川国務大臣 これは記者会見のときにも申し上げているんですけれども、全体の中で整合性を持って考えていく、いわゆる消費税が前提になっているわけですけれども、そういう意味ではこれは整合性がある政策だというふうに思います。

あべ委員 全体の整合性という中川大臣の発言がよくわからないんですが、何と何と何の整合性か、教えてください。

中川国務大臣 予算というのは、財源とそれから歳出、これがトータルでバランスがとれるということでありますが、そういう意味で、トータルで整合性があるという意味であります。

あべ委員 財源と歳出の整合性ということでいうと、中川大臣が発言された、消費税の引き上げによる税収を見込んだ交付国債、この消費税引き上げが見通しが立たない場合という発言をされました。見通しが立たないというのをいつ判断しますか。

中川国務大臣 そこは私が判断するということではなくて、直接の担当の大臣、あるいは国対の中での話し合いということになっていくんだと思います。

あべ委員 財源と歳出の整合性といったときに、消費税の、その財源が明確にならなければ、これは整合性がとれないということになると思いますが、どう考えても、この選択肢といったときに、野党との話し合いは国対レベルでやる予算の話なんでしょうか。

中川国務大臣 私たちは、消費税を御理解いただいて上げていくという、その工程を前提にしながら議論をお願いしておるということでありますから、そういう意味で整合性がとれるということなんですが、話し合いについてはあらゆるレベルでやっていくんだというふうに思っております。私たちも含めて御理解をいただくという努力をしていきたいというふうに思います。

あべ委員 この二十四年度の予算案の中で、基礎年金の国庫負担分の二分の一を維持するための財源二兆六千億、これが消費税率の部分で引き上げによって賄われるというふうに前提をとっているわけですから、整合性を考えたときに、この消費税の部分が通らなければ整合性は通らないということで、中川大臣、よろしいでしょうか。

中川国務大臣 いずれにしても、私たちは、消費税、今この局面に来て、どうか野党の皆さんにも、あるいは国民の皆さんにも御理解をいただいて、上げさせていただきたいということであります。

あべ委員 では、安住財務大臣、所管でございますから、いろいろな選択肢があるという中川大臣の発言に関して、いろいろな選択肢とは何か思いつかれますか。

安住国務大臣 中川さんも、去年、予算委員会の筆頭理事もやっておられましたから、与野党の交渉をもっていろいろなというふうにおっしゃったんじゃないかなと思いますが、政府としては、交付国債はベストの選択肢であると思っておりますので、ぜひ御協力をいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

あべ委員 安住大臣がおっしゃった、交付国債がベストの選択肢であるとおっしゃいました。オンリーワンの選択肢だということでよろしいですか。

安住国務大臣 現時点で私どもの考え得るベストの選択でございます。

あべ委員 財務大臣、これがベストだということは非常に重い発言だと私は思っております。特に、財務という所管大臣がおっしゃるベストというのが本当に社会通念的にベストであるかどうか、今までの、禁じ手と言われた、粉飾ではないかと言われた部分もあわせ持って安住財務大臣としてはベストであるということでよろしいですか。

安住国務大臣 戦後から、交付国債制度は、国の政策としてとり得る選択肢の一つとして認められておりますから、それをもって粉飾という言葉は、長期政権を維持しておられた自民党の先生方であれば、そういう言葉は当たらないことはもう御存じだと思います。

あべ委員 では、税と社会保障の担当でございます岡田副総理にお伺いします。

 今回の中川大臣の発言に関しまして、野党との話し合いの中でいろいろな選択肢があるというふうに思われますか。

岡田国務大臣 先ほど財務大臣が言われたように、我々内閣としては、現在の案がベストであるというふうに考えております。

あべ委員 中川大臣から、消費税引き上げの見通しが立たない場合という発言がありましたが、岡田副総理、消費税は必ず通ると思っていらっしゃいますか。

岡田国務大臣 消費税法案につきましては、閣議決定を行って国会に提出をする予定でございます。ぜひとも、御審議いただき、そして成立をさせていただきたいと考えております。

あべ委員 岡田副総理、この消費税の税率の引き上げに対して閣議決定を行って出してくるということでございますが、これはいつごろ出る予定ですか。

岡田国務大臣 消費税法案をいつ国会に提出するかということは、これは内閣の中で財務大臣を中心に、いろいろと協議をして、決定をしていきたいというふうに考えております。

あべ委員 岡田副総理の税と社会保障の御担当の中で、この部分に関しての意気込みはわかるわけでございますが、閣議の後の中川大臣の発言を考えると、与党内が取りまとめが今難しい状態ではないんですか。岡田副総理、お答えください。

岡田国務大臣 具体的にこの法案を閣議を経て国会に提出するに当たっては、連立与党である国民新党の御理解も当然いただいた上で出すということになると思います。

あべ委員 そうしますと、この消費税率の引き上げに対しての見通しというのは、いつごろ立つ予定ですか。

岡田国務大臣 先ほど答えましたように、いつ国会に提出するかということは、協議した上で決定したいというふうに考えております。

あべ委員 三月中という理解でよろしいんでしょうか。

安住国務大臣 二月の十七日に閣議決定をいたしまして、今、先生、法案の作成作業をしております。作成作業は、政府として、御存じのとおり、大綱を閣議決定いたしましたけれども、これで今、法制局等を含めて法案作成作業をしておりますので、法案ができ次第、出せる準備は整いますので、その時点で総理や党に御判断をいただくことになると思います。

あべ委員 法案はそんなに時間かからないと思うんですが、その後の調整に時間がかかるんだと私は思うんですね。その調整がどれぐらいかかると思いますか、大臣。

安住国務大臣 それは、あえて申し上げますと、与党内の問題ですから、その問題について今明確に答えることはできませんけれども、附則百四条に基づいて法案作成作業を続けてきたということでございますので、これは、私は来月中にはそういう準備は整うというふうに確信しております。

あべ委員 そうすると、その法案の作成に今取りかかっている。では、野党との話し合いというのはもうなしということで進めるということでよろしいんでしょうか。

安住国務大臣 そんなことはございません。

 あべさん、私、例えば石原幹事長と直接お話ししたわけではございませんけれども、報道等で聞いていると、素案をまとめたので話をさせていただきたいというふうに言ったらば、大綱を閣議決定せよということでした。それで、大綱を閣議決定してもう一回お願いをしたらば、今度は、法案をちゃんと提出してこいということでございました。

 ですから、そういう点では、いつの時点でも構いませんから、ぜひ、与野党協議をしていただければいいと私は思いますので、よろしくお願いします。

あべ委員 与野党協議は、やはり与党内をまとめてから、しっかりさせていただきたいと思うわけであります。

 最後になりますが、中川大臣に改めてお伺いいたします。本日の組み替え発言、撤回されますか。確認させてください。

中川国務大臣 先ほども申し上げたとおり、所管外のところまでコミットしてしまいまして、御迷惑をおかけしました。

 以上です。

あべ委員 御迷惑は、撤回するという理解でよろしいですか。

中川国務大臣 撤回をした上で、改めて、私の意図をきょうの午後の記者会見でお話をしたいというふうに思います。

あべ委員 すなわち、組み替えということに対しての発言の撤回でよろしいでしょうか。

中井委員長 中川正春担当大臣。組み替えということに対しての撤回かと。

中川国務大臣 そのことも含めて撤回をして、改めて、私の意図したことを午後にお話をさせていただきたいというふうに思います。

あべ委員 では、閣議の後の記者会見の内容全てを撤回するという理解でよろしいんでしょうか。

中川国務大臣 そういうことです。記者会見を一遍撤回して、改めて、きょうこの後に、午後に、もう一回記者会見をさせていただきたいというふうに思います。

あべ委員 質問時間を過ぎましたので、終わります。

中井委員長 これにてあべ君の質疑は終了いたしました。

 次に、永岡桂子さん。

永岡委員 自由民主党の永岡桂子でございます。

 ただいまの中川大臣の予算の組み替え発言は、この後、官房長官がいらっしゃった後にちょっとお伺いしたいと思っておりますので、それでは質問を始めさせていただきます。

 順番は大分違うんですけれども、これは厚労大臣にお伺いいたします。

 今までの暫定規制値にかわりまして、食品の放射性セシウムの規制値を大幅に厳しくする厚生省の新たな規制値について伺いたいと思っております。

 厚労省の原案というのは、大臣の意向を強く反映して、現行の暫定規制値であります一般食品五百ベクレル、これは一キログラム当たりですけれども、これを一般食品で百ベクレル、そして乳児用で五十ベクレルと設定しております。

 二月の十六日の文科省の放射線審議会、これは了承したものの、いろいろとあります。随分と厳しいのではないかという指摘がされております。また、二十四日の薬事・食品衛生審議会の答申でも、いろいろと注文がついております。

 さて、大臣の意向を強く反映していると言われている原案どおりに、各審議会も、これは厳し過ぎるのではという指摘もされながらも、結果的に了承されたわけなんですが、考え直すべき点があるのかと私は実は思っております。

 厚生労働省の原案は、流通している食品の五〇%が汚染されていると仮定をして導き出されたとしておりますが、この仮定はちょっと極端過ぎるのではないかと思うんですね。そんなに日本の国内の食品、農産物は汚れているんでしょうか、汚染されているんでしょうか、お聞きします。

小宮山国務大臣 今回、四月から実施したいと思っております新しい規制値は、今までの暫定規制値でも十分に安全なんですけれども、今全体の放射線量が非常に下がっている中で、これは農水省を含めて関係省庁ともお話をして、現実的な中で、安全の上に安心をということでやらせていただいています。

 おっしゃった今の、汚染された地域からの食品の占有率が高いという御指摘かと思うんですけれども、食品の国際規格を策定しておりますコーデックス委員会でも、放射性物質だけは汚染地域からの食品の占有率という考え方がとられています。

 こうした中で、日本の自給率からはじき出しまして、それがもし全て汚染されているとしても大丈夫な割合という形をとらせていただいていますので、今それだけ汚染されているかということではなくて、コーデックス委員会でも言っているように、最大限汚染されているとしても安全な値、これは国際的にもとられている考え方だと承知をしています。

永岡委員 大臣が、それほど、五〇%までもこの国の農産物は汚染されていないという認識をいただいたと思っております。そうなんですよ。茨城県だって、それは原発が爆発したときは大分検出されました。出荷規制もされました。しかしながら、不検出なんですよね、このところ。

 それでは、途中ですが官房長官にお伺いしたいと思います。

 今回、中川大臣の予算組み替え発言に対して、官房長官から、内閣としての統一見解を求めたいと思います。

藤村国務大臣 先ほど中川大臣については前言を撤回されたというふうに、ちょっと今、間接に伺いました。

 政府としましては、二月十七日大綱で閣議決定したとおり、税制改革の法案は二十三年度中に提出することとしており、これに盛り込む消費税引き上げを前提とする交付国債関連、これは償還の財源に充てるという等の法案について、早期成立をお願いしたい、これが統一した見解でございます。

永岡委員 御答弁いただきましたけれども、本当に、予算の審議中のさなかのことですね、この中川大臣の発言というのは。予算の組み替え発言は、これが閣僚から飛び出すということ、これ自体、この内閣そして与党自体がたがが外れているのではないかとしか思えません。ないということが後ろから聞こえておりますが、本当にいいかげんにしてくれ、何のための予算委員会なのだと言いたくなりますので、ここで一言申し上げておきたいと思います。

 官房長官、お願いします。

藤村国務大臣 所管外のことで発言をされたこと、撤回をされたということで、私の方からも注意をさせていただきます。

永岡委員 これが最後にしていただきたいと思います、いろいろとこの内閣では不適切な発言が多くなっておりますので。本当に、以前も田中大臣などは非常識な発言がございました。ぜひぜひ官房長官、しっかりと手綱を引き締めていただきますようにお願いいたします。

 では、次に続けさせていただきます。

 国内流通の五〇%が汚染されているという仮定の基準で、つまり、これはコーデックス委員会が指し示しているといいましても、これは実際に根拠がないですよね。実際、日本の国の現実とは相入れないものが実はあるんじゃないかと思うんですね。

 そういうことから考えますと、非常に厳しい基準になっておりますので、日本の国全体が外国から見れば放射線に汚染されていて、旅行したくても、日本の国はちょっと危ないんじゃないのとか、危険だ、そういうふうに思われてしまう。また、日本の食材の輸入に関しては厳しくチェックするべきであるという誤った認識に基づく、これは本当に誤解なんですけれども、そういう考えが海外に、その対応を誘発するということになりかねないと思いますが、いかがですか。

小宮山国務大臣 先ほどの御質問の中で、私が強くこれを主張してというようなお話がございましたが、これは私は、お母様方からも子供たちの食の安全を守ってほしいといういろいろなお声を受けましたから、可能な限り安心していただきたいという思いはございましたが、これは専門家の中でしっかりと議論をして出したものでございますので、私がこうせよと言ってなったものではないということは一言申し上げたいと思います。

 それで、先ほど申し上げたように、事故から間もなく一年ですけれども、もう十分に、放射線に汚染された、その線量が下がっているという現実の中で、これだけ厳しい値でオーケーだということがわかれば、海外に向けても、かえってこれは安心していただけるもとになるというふうに思っています。

 そういう意味で、お地元も近いこともあっていろいろと御心配かと思いますけれども、これは、農水省とか実際にやっていらっしゃる農家の皆様方のいろいろな声も聞いた上で、ここなら大丈夫、かえってこういう厳しい値にしてもらえば、それでオーケーであればそこのものは安心だということになる、そういうお話もさせていただいておりますので、そのあたりのリスクコミュニケーションというか情報の出し方については、これまでもやってきておりますけれども、これからも十分にそこの周知を国内外に向けてしっかりとやっていきたいと思っております。

永岡委員 大臣のおっしゃるとおりなんですよね。百ベクレルで全然問題はないということですよね。

 では、何で乳児に対してはそれよりももっと厳しい五十ベクレルを課されるんでしょうか、お聞きします。

小宮山国務大臣 それはやはり、小さい子供、小児の期間はそれぞれが感受性が高いということが一つ。

 先ほど五〇%というのは、これは今、カロリーベースで日本の全体の食料自給率は三九%、それで、二〇一五年度までに四五%を目標にしているので、十分に見越して五〇%といたしました。

 あと、子供のものにつきましては、これは乳児の食品ですとか子供のミルクとか、そういうものは一〇〇%国産なので、そういう意味で一層厳しくしたということでございますので、ベースが違うということです。

永岡委員 それでは、お伺いいたします。

 乳児に対して厳しい基準の五十ベクレルを課したということは、実は大変な問題が起きるのではないかなと思っております。

 ベビーフード、これは私も非常に若かったころによく使いました。これはふたをあければそのまま食べられるので、よく外出時に赤ん坊と一緒に使ったんですね。出かけていくときによく使いました。

 でも、普通のおうちでは、お母さん方は、家にいるときはベビーフードばかり食べさせないですよね。もちろん、八百屋さんや魚屋さんで売っているお野菜ですとか魚、ミンチのお肉とか、赤ちゃんにはそれをやわらかくして食べさせるんですよ。そうしますと、八百屋さんや魚屋さんで売っている商品、これは全て、生鮮食料品も含めて、乳児用と大人用、二種類が売られるようになるんでしょうか、教えてください。

小宮山国務大臣 それはそういうことではございません。だから、そういう意味で、全体に一般の食品も子供たちが食べても十分に安全な基準ということで、今回、これだけ、五分の一にさせていただきました。

 私も子供たちに、特に最初の子供などは全部手づくりでつくりましたが、三人目はやはりベビーフードになりましたので、そういうような事情もおありかと思いますけれども、一般の食品でおつくりいただいても十分安全だということも、しっかりとそこは皆様への情報を伝えさせていただきたいと思っています。

 それではなぜベビーフードはとおっしゃるかもしれませんが、先ほど申し上げたように、ベビーフードなどは一〇〇%国産のものでつくられていることが多いので、こういう形にした。ただ、一般の食品のもので手づくりで、もちろん、愛情を込めてつくっていただいて十分に安全であるということは、しっかりと周知をしていきたいというふうに思っております。

永岡委員 大臣、それは認識がちょっとおかしいんじゃないでしょうか。ベビーフードは国産でとおっしゃいますけれども、八百屋さんや魚屋さん、そしてお肉屋さんで売っているものも、大部分においては日本の国産のものがあるわけですよね。それを調理するのに、大人用のものを調理して赤ん坊に食べさせる、本当にちょっと不安じゃないでしょうかね。ダブルスタンダードになっているのではないかと考えます。

 これは地元の話なんですけれども、地元のスーパーマーケット、茨城県の大手スーパーですよ。そのスーパーが、昨年大臣が五十と百になるのではないかという発言を記者会見でなさいまして以降、スーパーの方では、五十ベクレル以下のものしか置きませんと、それを記者会見で発表し、新聞記事になっております。

 また、心配しまして、私、茨城JAの会長に伺いました。茨城のJAはどうするんですか、そういうふうに伺いましたところ、もうこれは、流通の方からの要望もあり、五十ベクレルを基準値として出荷制限をかけるしかないだろう、そういうお話も伺いました。

 そうなんですよ、大臣、それが現実なんですよ。本当に本当に、幾ら言葉を弄して、しっかりと安全だと言いましても、それが理解されるのは、もう既に大臣が発言なさっていらっしゃる五十ベクレル、そして百ベクレル、この二つがもうひとり立ちして歩いているんですよね。あとほかにも、学校給食の場で、これはもう当然のことながら百じゃ嫌だ、心配であると。子供たちが食べる給食、これは五十ベクレルを基準とするという動きが広まっているわけですね。

 政府が定める基準は、生産者や流通業者、消費者全てに本当に大きな影響を与えるんです。こうなりますと、五十ベクレルのみが規制値として認識され始めているという事実、幾ら一般食品が百ベクレルでオーケーということになりましても、どこも引き取ってもらえず、売ってもらえず、買ってもらえず、捨てるしかないというようなことが火を見るよりも明らかな状態でございます。

 仮に、今回、百と五十というダブルスタンダードがこの四月以降適用されますと、農家などの生産現場や、そういう中で出荷停止なんか起きますよね。既にこうむっている風評被害、これも本当に配慮、対策が極めて重要になってくると思います。どう対策なさるのか、大臣、お考えをお聞かせください。

小宮山国務大臣 今、ダブルスタンダードとおっしゃいましたけれども、さっきから申し上げているように、一般の食品でも十分に安全で、それは、現在、出回っているものはほとんどそれでオーケーであるということは農水省ともやっております。特に子供たちについては、安心していただくために、国産品が多いということもあってやったので、ダブルスタンダードということではないという、そのことも含めて、今、新基準値に関する説明会を各所で行っております。これは二十四年度になってもしっかり行いますし、また、いろいろ講師を派遣してやったり、厚生労働省のホームページでの情報提供ですとか、あと、政府広報ですとかラジオ、動画チャンネル、こうしたものを使って、しっかりと認識をしていただけるように情報をお伝えしていきたいと思っています。

 最初に申し上げたように、御承知だと思いますけれども、こういう基準で大丈夫だということが、かえって日本の食品が大丈夫だということにつながると考えておりますので、そうなるように努めていきたいというふうに考えています。

永岡委員 大臣、本当に立派な御答弁だと思いますが、大臣がおっしゃることで理解できること、百ベクレルでも私たち人間が食べて、子供たちが食べて安全だということは、それぞれ役所から聞いてわかります。私は理解しました。

 しかしながら、本当にこの日本の国の消費者の方々は、五十と百という二つの基準が出されれば、子供にはやはり五十以下のものしか食べさせたくないというのが母心、親心ではないでしょうか。お聞きします。

中井委員長 小宮山厚労大臣。時間が来ていますので、簡潔に。

小宮山国務大臣 繰り返しの答弁になりますが、しっかりと、どういうことかということの情報を伝えられるように万全を尽くしていきたいと考えております。

永岡委員 いや、もう全然答えになっていないのであきれちゃうんですけれども、二つの基準があるということについて、いろいろと、この日本の国がどういう反応を示すかということをこれからしっかりとごらんになってください。

 例えば、八十ベクレルの野菜を出した農家、スーパーじゃ引き取ってくれないんですよ、農協でも出荷させてくれないんですよ。そうしたら、その人はどういう補償が受けられるんでしょうか。お聞きします。

中井委員長 もう時間が来ていますので、聞くのはやめて、まとめてください。

永岡委員 わかりました。

 本当に今のことをよく考えていただきたいと思います。機会があったらまたお聞きいたします。

 ぜひぜひ、これを考えてください。もし、四月から施行されるこの基準、運用してみてさまざまなふぐあいや問題が生じる場合は、こだわることなく変更すべきと思います。どうぞ柔軟な対応をよろしくお願い申し上げて、終わります。

 ありがとうございました。

中井委員長 これにて永岡さんの質疑は終了いたしました。

 次に、高木美智代さん。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 まず初めに、中川大臣に申し上げさせていただきたいと思います。

 先ほど中川大臣は、記者会見の発言を撤回するとされましたが、まことに軽率であると言わざるを得ません。国民生活に関する最も身近な税制、そしてまた予算につきまして今審議をしているにもかかわらず、内閣不一致と捉えられるようなそういう発言をする。私は、その点につきまして厳しく指摘をさせていただきたいと思います。

 今、国民は、政局がどうなる、また御自分たちの生活はどうなる、もうぴりぴりしながら国会を見詰めている。したがいまして、現在の野田政権の閣僚の皆様におかれましても、そのような緊張感を持って臨んでいただきたいと思います。

 まず、安住財務大臣にお伺いいたします。

 本日の日経新聞に出ておりましたが、暫定予算を組むのは十四年ぶりとのことでございました。政府は検討に入ったのでしょうか。

安住国務大臣 全く検討に入っておりません。

 ぜひ、高木先生の御協力も得て年度内の成立を図りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

高木(美)委員 輿石幹事長が九一年当時の四党の覚書を引用されまして、一日たりとも予算の空白をつくるべきではない、この覚書の精神を大事にしないといけない、いわば暫定予算を組むべしと示唆をされたと思います。

 一日でも年度を越えるようだったら暫定予算を組むんでしょうか。

安住国務大臣 輿石幹事長の発言は、私も直接は聞いておりませんが、これはとりあえず法律的には、やはり年度内の成立が図られない場合は一日といえどもあり得るということは今申し上げておきますが、あくまでもこれは、何か決まった話というよりは一般論でございます。

高木(美)委員 予算の提出、それから審議入りがおくれました。これは私は政府に責任があると思っております。落ち度であると思っております。したがいまして、暫定予算を組むべしと申し上げさせていただきます。

 次に、消費税引き上げの提出期限でございますが、三月十三日、これが期限ですが、財務大臣、本当に出せるんでしょうか。これは岡田大臣にも関係することかと思います。

 報道ではおくれるような、来月下旬以降とも伝えられております。いつなのか。四月にずれ込むのか。三月十三日が期限でございますが、党内調整をやって間違いなく出していらっしゃるんでしょうか。

安住国務大臣 はい。先ほどもあべ先生に御説明いたしましたけれども、今、法案の作成作業を政府部内でやっております。ですから、これができ次第、法案の提出の事務的な準備は完了いたしますので、その後、党やまた内閣で総合的に勘案をして提出するという運びになる、こういう段取りになっております。

岡田国務大臣 今、財務大臣が発言したとおりでございます。なるべく早く、そういった手続を踏んで国会に提出をし、御審議をお願いしたいというふうに考えております。

高木(美)委員 それでは、財務大臣、岡田大臣、質問は以上でございますので、どうぞ御退席くださって結構でございます。

中井委員長 財務大臣は張りつけなんです。

高木(美)委員 失礼いたしました。財務大臣、岡田大臣と申し上げたつもりだったのですが、よろしくお願いいたします。

 続きまして、私は、地域医療につきまして小宮山大臣にお伺いをしたいと思います。

 実は、昨年ずっと、地元の医師会の方々から、地域の中小規模の病院経営が厳しいと。特に、東京におきましても廃止に追い込まれているところが幾つかあります。私の住まいは江東区でございますが、私の近所にもございます。そこで、数カ所の中小規模の病院の方たちから話を聞きました。

 厚労省は、こうした地域の中小病院の経営の話になりますと、経営の努力と工夫が大事という話をいつもされるわけでございますが、私はそれとは少し違う現場の実感を感じております。

 地域医療のあり方について、まず厚労大臣に伺います。この二次医療を担う地域の中小病院の位置づけと役割をどのようにお考えでしょうか。

小宮山国務大臣 一般的に中小病院とされる病床が二百床未満の病院につきましては、今、全病院数の四分の三を占めていますので、日本の地域医療の担い手となっているので、大変その役割は重要だというふうに考えています。

 特に、急性期の治療を終えて、慢性期ですとか回復期の患者さんの在宅医療ということを、これから在宅医療ということに力を入れたいと思っていますが、そこを支援するという意味でも、この中小病院の役割というのは大変重要だと考えています。

 そこで、二十四年度中に各都道府県が策定する二十五年度からの医療計画でも、地域で在宅医療の計画的な推進を図る上からも、中小病院には、一つは、入院患者が円滑に退院して自宅などで医療が受けられるように、在宅医療の受け皿となる関係機関と連携して退院支援を行うということ。二つ目に、ふだんから連携している診療所が担当する在宅療養者の病状が急変した際に一時受け入れを行うということ。三つ目に、重症で対応できない場合は、専門病院などほかの適切な医療機関と連携する体制を構築する。このような役割をぜひ中小の地域の病院に担っていただきたいというふうに考えています。

高木(美)委員 今回の診療報酬改定の方向性につきましては、三次救命救急に人材を集める、そしてまた、今御答弁ありました、在宅、みとりを含めた医療提供体制を整備する、ここが大きな主眼であると思っております。

 その中間の二次救急医療を担う中小病院は経営状況が厳しく、東京でも、先ほど申し上げましたとおり、廃業する病院が散見されます。しかし、ここの、今大臣のお話にありました二次救急医療が後退すれば、三次救急への影響が実に大きいと思います。幾ら三次に人材を集めてももちません。しかし、この救命救急医療と専門医療は今後強化しなければならないという状況にあります。実は、それを支える二次救急医療機関であると思います。

 したがって、私は、地域での連携と役割分担を今後どのように構築していくかということになるかと思います。二〇一三年度からの都道府県における新たな地域医療計画にどのように反映させるかが重要と考えます。

 先ほど大臣の答弁の中でそのポイントにつきましてお話がありましたが、さらに重ねて、大臣が、地域医療についてこのような理念で臨むべきというお考えがありましたら、答弁を求めます。

小宮山国務大臣 今回の改革の中でも、在宅医療、在宅介護の連携、これがやはり御高齢の皆様が自宅でずっと過ごしたいということのポイントだとも思っておりますので、そういう意味で、平成二十四年度の予算案に、在宅医療・介護を推進するために必要な人材育成ですとか、在宅医療の連携拠点事業、こうした基盤整備、また研究等の取り組みを支援するために三十五億円を盛り込ませていただいています。

 また、診療報酬改定の中では、急性期から在宅、介護まで切れ目のない支援を行うために、医療と介護等を機能分化、円滑な連携、そして在宅医療の充実、これを重点として、およそ千五百億円集中投入したいというふうに考えています。

 それから、介護分野でもやはり、定期巡回・随時対応サービスまた複合型サービスなどに力を入れますので、そこで連携をさせる。

 そして、今委員から御指摘のありました二十五年度からの医療計画でも、地域で在宅医療の計画的な推進を図るということに力を入れたいと思っていまして、こうした取り組みを通じまして、来年度、在宅医療・介護あんしん二〇一二というふうにキャッチコピーをつけまして、ぜひ、住みなれた地域で安心して医療、介護が受けられる、そうしたことをやっていきたいというふうに考えています。

高木(美)委員 大臣、私は今、理念をお伺いしました。具体策ではなくて、それはとても大事なことですけれども、やはり、これから地域の医療計画をつくってもらう、では、都道府県はどういう理念に基づいて、また、どういう大きな長期の展望に基づいてつくっていけばいいのか。これは、申しわけありませんが、答弁書にはない話かと思います。

 実は、ある医師がこういうふうに話をしていらっしゃいました。

 それは、高齢化による医療の進化は、今まで二十世紀は、感染症を中心にどうやって治していくか、いわゆる治す医療、EBM、エビデンス・ベースド・メディスンが中心であった。今も救急救命による患者の治療はもちろんだけれども、医学がどう進歩しても、病気を抱えながら人生を過ごす方々は、高齢化が進めば進むほど、高齢者が多くなればなるほどふえていく。これからは、治す医療ではなくて、支える医療、いわゆるNBM、ナラティブ・ベースド・メディスン、病気になった人をどう支えていくか、生涯を支える医療が必要だというお話をされながら、このナラティブ、物語るということですが、患者の人生をどうやって一緒に物語るか、一緒になって考えなければできない、患者とともにどういう医療をつくっていくのか、そのためには地域の生活者の生涯を支える医療の実現が不可欠なんだ、役所が数値だけで決めていいのか、こういうお話でございました。

 私はやはり、大臣が、こういう理念に基づいて医療計画をお願いしたいんだというような、そういう強いメッセージがありませんと、いつも役所は、病床数、そしてここは経営努力が足りない、こうばさばさとやっていくわけですが、今一番求められているのは、私がこの医療計画のことをなぜ申し上げるかといいますと、この策定に当たっては、都道府県がリーダーシップを発揮しながら医療機関の意見を踏まえたものをつくれるかどうか、これが大事であると思っております。そこで、これは上から押しつけではなくて、意見を聞くボトムアップが重要だと思います。

 自治体のある方がおっしゃっていましたが、自治体の長が向き合って、病院長である自分たちの意見を聞いてくれたということはほとんどない。東京の東部でも、産科、小児科の救急は手当てできたけれども、今度は地域医療という別のところに穴が今あき始めている、地域医療はパンク寸前なんだ、この危機感を持ってもらいたい。それを、都道府県レベルの団体関係者だけで話し合って計画を立てるのではなくて、地方自治体の、現場の区市町村長が危機感を持って地域医療の課題と向き合うことが求められています。

 この地域の宝、また、医療は公共のもの、こういう視点で、現場の医療関係者の意見を聞き、地域ごとの今後の人口動態を踏まえて、将来のニーズにたえられる方向性をつくるべきと考えております。

 このボトムアップの計画策定を進めるべきということも含めまして、これから策定される国の指針におきまして、私は理念とあわせて盛り込むべきと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

小宮山国務大臣 今、委員が御紹介いただいたことは大変重要な視点だと思っています。現実にやはりそういう形になかなか医療計画の策定がなっていないということもわかりますので、おっしゃったようなこと、私の周りでも、地域で一生懸命いろいろ支えていらっしゃるお医者様がたくさんいらっしゃいます。そういう声や地域の実情を聞きながらつくれるように、どのようにしたらなるかということを、そこは検討もさせていただきたいと思います。

 やはり、かかりつけ医がいらして、そういうようなことですとか、あと、その地域の中で、さっき申し上げた医療と介護も含めて、住みなれたところで、病気になる前の予防のものも受けられるし、地域の活動もそこでできる。病気になったら、まずはその身近なお医者様にかかり、そこから先ほどの地域の診療所とか病院とかいうことできちんとできるような、自分の住まいのところを中心にちゃんとできるようなということを、地域の一生懸命やっていらっしゃるお医者様の声もどうしたら反映できるかということも工夫をしながら、検討させていただきたいと思います。

高木(美)委員 そこで、資料一をごらんいただきたいと思います。これは「医療・介護サービスの需要と供給(一日当たり利用者数等)の見込み」という厚労省から出された資料でございます。

 これをごらんいただきますと、まず一番上のいわゆる高度急性期、一般急性期等の急性期の小計、これが今、二〇一一年八十万人。これが二〇二五年になりますと、といいましても、もうあと十四年後のことでございますが、現状を投影しますと九十七万、改革しても七十二万。この八十万人の病床をどうふやしていくか、ここはまさに医療の肝になる大事なところだと思います。国民の皆様との議論が必要なところと思います。

 そしてまた、この下の介護施設、これは今九十二万人。これが二〇二五年になりますと、そのままいくと百六十一万人、改革しても百三十二万人。約四十万人分が必要となる。

 さらに、もう一つ下の在宅介護でございますが、今三百四万人。これが将来、改革シナリオでも四百五十万人分必要になる、こういう状況です。

 実は、この急性期と介護と在宅、この三つが合わさって初めて、国民の皆様は、どこで自分に必要な医療を選べるのか、そしてまた、先ほど大臣がおっしゃっていました、住みなれた地域で御自分の最期を迎えていけるのか、また、そこで家族と穏やかな時間を過ごしながら、病院の中ではなく自宅で高いQOLの生活を送りながらできるのか、こうした支援というところにつながっていくのだと思います。

 そう考えましたときに、やはりこうした将来推計に基づいて今回の地域医療計画がつくられていきませんと、とても間に合わない。恐らく、次の五年、進めている間に必ずほころびが出てきてしまうということを私は危惧しております。

 このデータをしっかりとお示しいただき、地域でもそうした数字に基づく検討を進めていただき、しかもその検討も、先ほどから申し上げたとおり、上からではなく、地域の資源をどう活用して、お金のない分どうやって支え合いながら進めていくか、これこそ今回の医療計画に求められているのではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

小宮山国務大臣 それもおっしゃるとおりだというふうに思います。

 そういう意味で、都道府県が医療計画を策定するときに、市区町村も含めまして、先ほどのお話のように、関係者の方がどう連携をとっていろいろな地域でのいろいろな声を入れながらできるかということで、今、医療計画の策定指針をまとめることを進めておりますので、早急にまとめて、そうした地域の声が反映された計画になるようにしていきたいというふうに思っています。

高木(美)委員 また、重ねて、この指針の中では、当然、大都市と市町村、地方部と、全く異なる事情があります、これを一律の指針でばさっと、何が何でもという形ではなく、十分そこに配慮された書きぶりを求めたいと思います。

 中小病院、先ほど大臣からも全く同じ意識でいらっしゃるという御答弁がありましたが、それでは、この経営を苦しめている要因につきまして、解決に向けて質問をさせていただきます。

 やはりその一つは看護師不足でございます。看護師の今後の需給見通しについて、まずお伺いします。

小宮山国務大臣 第七次の看護職員需給見通し、これは二十二年の十二月に公表したものですけれども、これは全国的に看護職員の需要数と供給数をまとめたものですが、需要数につきましては、各都道府県が医療機関等に対して実施した必要の見込み人数の調査をもとにしております。供給見通しの需要見通しに対する割合、これが平成二十三年に九六%、平成二十七年には九九%となっていまして、全国規模で見ると、この数字のとおり、かなり満たされているように見えますけれども、個々の地域ですとか施設類型ごとに見ると、いろいろとまだ不足があるということは認識をしていますので、きめ細かい確保対策を充実させていかなければいけないと考えています。

高木(美)委員 それで、大臣、これは今、国の方向性としても、例えば在宅支援の訪問看護ステーションとか、また、これから検討される特定看護師とか、さまざまな看護師の果たす分野の拡大について、相当これは需要がふえると私は思います。その試算はされているのかどうか。

 当然、人材育成は数年がかりでございます、早急にこの二〇二五年への需給見通しも私は立てるべきと考えます。長期の視点に基づいて、この二〇二五年という一つの、団塊の世代が後期高齢者に入るというこのピークのときに、ここにどのような需給なのか、その見通しから逆算をして人材育成をすべきと考えますが、いかがでしょうか。

小宮山国務大臣 これは、今回、社会保障と税の一体改革の案をつくるに際しましても、その社会保障に係る費用の将来推計、これも行わなければなりませんので、一定の数値を置かないと将来のものはできませんが、一定の、改革シナリオを実施するという仮定のもとに、医療、介護に係る長期推計として出しております。

 それで出している数字は、平成三十七年、二〇二五年度に百九十五万から二百五万人の看護職員が必要という見通しを出しています。他方、供給面につきましては、現在、看護職員は毎年五万人の新卒者が就業している、また、現在免許を持っていらっしゃるけれども就業をしていない方がおよそ五十五万人以上見込まれるということがございますので、こうした点も踏まえながら、看護職員の確保対策について、養成を促進するということ、それからまた新人の方を含めて定着を促進するということ、それからまたナースバンクなどの求人・求職の情報、就職あっせんなどで再就職支援に取り組むというようなことをあわせまして、着実に確保できるように取り組んでいきたいというふうに考えています。

高木(美)委員 二〇二五年百九十五万人、今、平成二十七年、ここの需給を見通してもここで約百五十万人。しかし、足元は今百三十五万人という、この足りない約六十万人をこれからどのように育成していくか。いわば卒業される学生の方たちが、特に女性と限りましても七人に一人は看護師さんになっていただかないと間に合わない、こういう試算をされているところもあるくらいです。

 したがいまして、この育成につきまして、まず至急に取り組んでいただくことを申し上げさせていただきます。

 その中で、今、特定看護師の制度につきまして議論が始まったように思います。この創設につきまして、今後どのようにされるんでしょうか。

小宮山国務大臣 看護師の中でも高い技能を持った方たちがしっかりと、チームでいろいろと医療をする中でも力を発揮していただくように、今、特定看護師の制度について御議論をいただいているところでございますので、関係者の御理解も得ながら、そうした一定の役割を持った看護師さんもつくることによって、さまざまな、医師と看護師と、それからコメディカル、理学療法士、作業療法士、いろいろな関係の方たちがチームで当たるところに際して、看護師さんの中でも能力を持った方には一定の責任とその能力を発揮していただけるような仕組みをつくっていきたいと考えているところです。

高木(美)委員 現場の方たちは、特定看護師制度は、医師の不足に対する補充策と言ったら言い過ぎですけれども、やはりどうしてもそうなってしまうのではないかという懸念があります。

 しかも、今お話ありました、高い技術をお持ちの能力のある看護師の方たちが、こういう、認証にするのか資格にするのか、これからの検討のようですが、いずれにしても、今、看護師の方たちのスキルアップをどのようにするか、この支援は私は必要であると思います。これは大病院ではどうしても症例が多いので、そうした研修とか、また仕事をしながらいろいろなものを学ぶことができますけれども、中小病院それから訪問看護ステーション、こういうところでは研修の支援が必要ではないかと思います。

 今、政府の方で行われているのは新人看護師研修といった内容ですが、そうではなくて、例えば中小病院に勤務をしながら、もっとこういう分野を勉強したい、先進医療のこういうところを少し学んでみたいというような場合に、なかなかそれに応じられるような研修の制度がないというのも現実です。厚労省からは、魅力ある職場にしてもらいたい、病院でそういうことを教えてもらいたいというお話がありますが、看護師不足で、医師も不足で、多忙をきわめているというのが今の状況でございます。

 この技術向上のための国の支援、大臣、どのようにお考えでしょうか。

小宮山国務大臣 平成二十一年七月に助産師看護師法が改正されまして、看護職員個人と病院に研修の実施というのが努力義務となっています。

 その中で、今御紹介いただいたように、新人の研修ガイドラインというのがございますけれども、そのほかに、中小の病院で単独では研修ができないところがほかの医療機関での研修を受け入れる、あるいは、多くの施設が合同で研修を実施する、そのような研修が行われるように支援をしているということが一つ。

 また、実務経験がおおむね五年以上の看護職員を対象にして研修を実施する都道府県について補助を実施したりしておりまして、新人だけではなくて、必要に応じて中小のところでもできるように工夫はさせていただいておりますが、一層そのあたりをきめ細かにやりたいと思っています。

高木(美)委員 今大臣がおっしゃったお話は、現場には全く届いていません。ぜひともそれを具体的に、では実態がどうなっているのか、どういうことでそれが滞っているのか、まずその調査をお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。お願いいたします。

 先ほどの特定看護師ですが、どうしてもそういう形で能力のある方が特定看護師の方に行かれますと、今度は一般の看護師がまた不足をするという、この悪循環のようです。

 今、中小病院で何が起こっているかといいますと、医師、看護師を募集するのに、私が伺った幾つかの病院は、人材紹介会社から紹介を受けている、そうしないともう人が来ないという状況です。そして、一年ぐらいたったら、その紹介会社から電話があって、そろそろほかに移ってはどうですかというお誘い。

 といいますのは、それは当然報酬が生まれます。その紹介料というのは、その方の年収の二〇%。ですから、それがそのたびにその会社の収入になるわけですから、これがまた一年ぐらいで声がかかり、二年ぐらいたつとその看護師さんはやめてしまう。しかし、医師は定着する率がまだ高い。それは、患者さんと直接接するので、信頼関係が生まれて、そして残ってくれる。しかし、こうした紹介料も人件費には入れられず、業務委託料として処理をしている。こういうところで、中小病院はまさに人件費で苦しんでいます。

 当然、個人の自由ですから、また自由競争社会ですから、この業が云々ということは私は一切申し上げませんが、いずれにしても、そういうところに、この医療費、また病院の経営の逼迫する一つの因があるということの実態を私は把握しておくべきではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

小宮山国務大臣 先ほど、処遇の問題ですとか定着促進ということを申し上げましたけれども、今おっしゃったようなことの実態をしっかり把握した上で、どのようにすれば長期間定着をしてやっていただけるのかということについても、もっと知恵を出していかなければいけないというふうに考えます。

高木(美)委員 ぜひ実行をお願いいたします。

 あわせまして、院内保育所、これは私、初当選、二〇〇三年以来ずっと取り組んでまいりまして、このお話をまた最近聞くとは思わなかったんですが、ある正看護師の方は、お子さんが生まれて、保育所が見つからなかった、そこは生活保護の多い地域なので、その方たちを優先して、御自分のお子さんは保育所に入れられず、パートに切りかえられた、切りかえざるを得なかった、そういうお話なんです。

 当然、院内保育所も一つの病院ではなく複数の病院が合同でできるというようなシステムができておりますけれども、なかなかそこのところが今まだうまく回っていないのではないか。これは都道府県事務かと思いますが、重ねて、こうした院内保育所の設置につきましても、大臣の方からまた徹底をお願いできればと思いますが、いかがでしょうか。

小宮山国務大臣 御指摘のように、院内保育所の問題もずっと指摘をされていて、補助金をつけたり、いろいろな形を今おっしゃった合同でできるようにしたりしても、一定の人数がないとなかなかその保育所が成り立たないとか、いろいろな事情があって、うまく回転をしていないところも多いということは認識をしています。

 今回、これも子ども・子育て新システムの中で、いろいろな形態の保育所を、一定の基準を満たしたらしっかりと財政援助をすることも含めてやりたいということもございますので、そのことと、あと、院内保育所特有のいろいろな事情もあるかと思いますので、そこは改めてしっかりと実態を見て、どのようにすれば必要なものが確保できるのか、努力をさせていただきたいと思います。

高木(美)委員 もう一つ、在宅医療を支援するために、退院時のケアプランの策定などの連携が重要と思います。診療所医師と病院医師との連携はかなり進みました。しかし、そのほかの、看護師と訪問看護ステーションの連携、また栄養士間の連携、薬剤師間の連携、そういう情報の交流がないというのが現状です。

 例えば、看護師さんは、医師の包括的指示に基づきまして、診療上の補助とそれから療養上の世話という二つの大きな役割を果たされております。特に、この療養上の世話に関する情報が、退院後の生活を支えるスタッフにとりまして重要な情報となります。こうしたいわゆるコメディカル、その方たちの情報も含めて退院支援のケアプランにしっかりのせてこの連携を図っていくという、この方向性を徹底すべきと思いますが、いかがでしょうか。

小宮山国務大臣 これも御指摘のとおりだと思います。

 病院のスタッフと在宅医療のスタッフ、ここがしっかりと情報を共有しなければいけないということだと思いますので、患者さんが入院されている病院のスタッフと、在宅医療を担います医師、看護師、それから薬局の薬剤師、ケアマネジャー、こうした方々がその情報を共有して当たることが必要だと思っていまして、この協働、ともに働く指導、これを行った場合には診療報酬で評価をされるようにしてございます。

 また、今回の改定の中で、外泊日ですとか退院日に、入院機関の看護師等コメディカルのスタッフと訪問看護ステーションの看護師等のコメディカルスタッフが患者さんの自宅を訪問したり、そういうことをした場合にもそれぞれ評価をさせるというふうにしてございますので、この点数をちゃんと評価させるということと、実態が動いているかどうかという細かい目配りをしていきたいというふうに思っています。

高木(美)委員 次に、もう一つ病院経営を苦しめているのが電子カルテの問題です。導入した病院は、今三割程度と聞いております。

 ある医療機関からは、残業も減らせない、合理化にもならない、電子カルテの導入のときに、大病院には補助があったが中小病院にはなかったと。導入費用一億三千万円、今度、五年後に実はバージョンアップが必要ですが、お金がないのでそれを延ばして、七年後、一億六千万円、結局経費がかかるだけだと。電子カルテのシステムもメーカーによって異なる。

 そこで、ちょっと資料をごらんいただきたいのですが、ブルーの資料です。これは何かといいますと、左の縦の列が、電子カルテを事業として展開しているベンダーになります。そして、この右上のずっと英文字のところは、ここはいわゆる科ですね、産婦人科とか、そうした科になります。

 これがどのような形でシステムの互換作用があるのかということを、実は厚労省はずっと研究をしていらっしゃいまして、体育館に全部人を集めて、機材を持って、そして、こことここは互換できるとか、こうしたまさに接続についての研究をされたそうですが、私は、これを見まして、これではとても医療連携はできない、やはり基盤整備をしっかりと進めるべきだと。

 何よりも、電子カルテを本当に推進するのかどうなのか、どういう形でやるのか、国の姿勢が中途半端だ、こういうお声を多くいただいております。IT化を進めるのかしないのか、進めるなら支援をどうするのか。そうしませんと、いわゆる一億六千万、このお金をもしほかに、人件費とかに振り向けることができれば、恐らく中小病院はどれほど助かるかと思います。

 この電子カルテを今後どのようにするのか、方針を伺います。

小宮山国務大臣 やはりさまざまな意味で、この電子カルテを進めるということは必要だと考えています。

 ただ、今おっしゃったように、互換性がないとかいろいろなことがあることも承知をしておりますので、それには医療情報の標準化、これが必要不可欠だと思っておりまして、厚生労働省としましては、標準的な用語やコード体系の整備、二つ目に、医療情報システムの病院内での相互の運用性を確保する、そうした事業、三つ目に、医療機関相互の情報連携のためのシステムの導入補助という形で今進めようと思っております。

 来年度もしっかりとそのあたりの予算をとってやっておりますが、なかなか実態が、その辺の標準化がまだ進んでいないという中で、病院の中でも御苦労いただいておりますので、これも、現場の声もしっかり聞かせていただきながら進めていきたいというふうに考えています。

高木(美)委員 この標準化は大臣が思っていらっしゃる以上に厚労省の役所の方たちが頑張って進めてくださっているというのが、私、きのうお話を伺った実感でございました。

 しかし、用語の標準化とかさまざまなシステム、しかもソフトは無料で提供されているという状況があります。ですから、これから導入したいところは、その無料ソフトをしっかりと導入すれば、当然機器はかかりますのでベンダーと連携しながらになりますけれども、こうしたことを私はいち早く周知徹底すべきではないかと思います。

 今、売り手市場になっている感があるんです。例えば、こういう機器に、あるメーカーからあるメーカーにかえたいといったときに、当然安くなる価格が出ます。そうすると、それは企業間の機器の間の接続の費用としていただきますというような、いわゆる囲い込み、しかもその金額というのが、高いのか安いのか、どうすればそれをクリアできるのか、そうした情報というのをこの病院の関係者は持っていないというのが実は今の状況なんです。

 私は、ここに適切な情報提供があれば、またサポートがあれば、それによりまして経費を必要なところに回すこともできますので、ぜひとも、こうした困っている病院に対して相談窓口の設置を要望させていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

小宮山国務大臣 今、この電子カルテ専門の特別な相談窓口というのは設置をされておりませんけれども、どういうふうにしたらいいかという指針もつくらせていただいていますので、医療機関からのお問い合わせや御相談に対しては、お問い合わせをいただければ丁寧に対応ができるようにしたいというふうに思っています。

高木(美)委員 ありがとうございます。

 それでは、実質、相談窓口の設置ということで、また、そういうことを周知していただきませんと、厚労省に直接相談しようなんという事業者はほとんどいませんので、ぜひとも、こういうことをやりますという、そうしますとこの電子カルテもさらに進めることができると思います。

 大臣にぜひ、この電子カルテを進め、医療情報の連携体制を確立していただきたい、強く申し上げさせていただきます。恐らく大臣もその決意でいらっしゃると思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、自転車の利用環境整備促進につきまして質問をさせていただきます。

 この自転車は身近な乗り物ですが、自転車事故は、交通事故全体の件数が減少している中で、二〇〇〇年から二〇一〇年までは、自転車対歩行者の事故件数一・五倍です。自転車同士では一・六倍です。ちょっとこの統計にまた違いがありまして、一九九九年、その一年前から十年間ですと、何とふえた分は三・七倍という、こうしたデータもあります。

 最近では、またさらに、エコ、健康志向の高まりによりまして、ツーキニストなど急激に増加しております。その分事故も多発しております。

 その原因は、一九七八年、道交法の改正によりまして、本来車両である自転車の歩道走行を自動車事故の緊急避難措置としてむしろ認めたというところが大きな原因であると思っております。

 そこで、我が党といたしましても、一昨年、保険も含めて、自転車利用環境整備促進PT、私、座長を務めさせていただいておりますが、そのPTを立ち上げまして、まちづくりも含めて、我が党、今まで置き去りにされてきた自転車政策も含めまして高齢社会に対応する検討をスタートいたしまして、ことし一月十二日、当時国交副大臣でいらっしゃいました松原国家公安委員長に対しまして、提言を申し入れもさせていただきました。

 そこでまず、自転車レーンの設置につきましてお伺いいたします。

 今、全国の道路約百二十万キロ、そのうち歩行者と自転車が分離された道路は二千九百キロ、約〇・二%にすぎないという状況です。この空間を分けることが、事故を減らす必須の課題でございます。

 車道における自転車の走行空間を確保するため、歩道のある道路については、基本的に車道左端に自転車レーンを設置すべきと考えます。また、それが設けられない場合は、車線を減らすか一方通行化して対応をする。また、いわゆる生活道路ですね、路側帯のみ、また細い街路、そこでは制限速度を時速三十キロ以下とする。欧米では既に取り入れられているゾーン30を採用しまして、車道左端の路面に自転車通行と通行方向を明示して車のドライバーへの注意喚起を行うべき、このように考えております。

 こうした走行環境の整備を、いつまで、どのようにお進めになるのでしょうか。

松原国務大臣 お答え申し上げます。

 自転車は幅広い層に利用されておりまして、東日本大震災以降は通勤手段としても注目を集めております。他方で、自転車関連事故も多く発生をいたしております。

 このような状況を踏まえ、昨年十月、警察庁は、自転車の通行環境の整備について都道府県警察に指示を出したところでございます。指示の中身は、「良好な自転車交通秩序の実現のための総合対策の推進について」ということでありますが、警察庁においては、自転車専用の通行空間を確保するために、委員御指摘のような方法、また、具体的に今、専用レーンを含めて、一方通行とかさまざまなお話がありました。こうしたものに関して示しているところでありますが、昨年十一月以降、国土交通省と共催をしております安全で快適な自転車利用環境の創出に向けた検討委員会から本年三月末にいただく予定の御提言も参考にして、さらに検討してまいりたいと思います。

 委員御指摘のゾーン30ということでございますが、平成二十八年度末までに全国約三千カ所で整備する予定でありますが、自転車の安全性を十分確保するように指導してまいりたいと思います。

 道路交通環境の整備は一朝一夕に進むものではありませんが、道路管理者とも十分な連携をとりながら、自転車の通行環境の計画的な改善に向けて努めてまいります。

高木(美)委員 小宮山大臣、どうぞ、これで質問は終わりですのでありがとうございました。恐れ入ります。

 続きまして、交差点の事故につきまして、いわゆる自転車事故の約七割は交差点で発生しております。その原因は、自転車が歩道を走ることによる自動車ドライバーの認知ミスと言われております。

 この認知ミスを解消するためには、自転車は、車道を走ることで交差点通過時でも常にドライバーの視野に入るようにする方法が、諸外国の先進例からも効果的と言われております。したがいまして、この交差点における自転車事故が起こりにくい構造に改善するということが急務でございます。

 資料三をごらんいただきたいと思います。この上の図です。

 ここではどういうことかといいますと、この赤い線が自転車の走行です。車と一緒に走ってまいりまして、今は、横断帯、これに沿った形で向こうに渡る。ところが、左に自転車が曲がると、一緒の車は、自転車が真っすぐ行くのか、それとも横断帯を通って急にこちらの方に渡っていくのか、なかなかそこがわかりにくいということから、この下のイメージです、左へ曲がるのではなく、真っすぐとそのままレーンを延ばしていくという、このような改善策でございます。

 また、下のところでは、交差点に二段停止線、バイクボックス、自転車ボックスのようなものを設けるなど、こうした改善を急ぐべきと考えますが、松原委員長、いかがでしょうか。

松原国務大臣 お答えいたします。

 自転車関連事故は、全交通事故に対して約二割を占め、そのうち、交差点内における事故が七〇%弱を占めております。交差点における自転車の交通安全対策は重要な課題と認識をいたしております。

 警察庁においては、車道を通行する自転車は交差点を委員御指摘のとおり直進でき、歩道を通行している自転車は横断歩道を渡ることができるよう、自転車横断帯の撤去についても検討するよう指導しております。

 交差点内における自転車専用通行帯の設置や自転車の停止場所の確保については、いろいろな御意見があり、現在、国土交通省と共催しております安全で快適な自転車利用環境の創出に向けた検討委員会でも議論されていると承知しており、その議論も踏まえながら、さらに検討を進めてまいりたいと思います。

高木(美)委員 ぜひこれは、早急にできる話だと思いますので、モデルケースをつくるなど早目に取り組みをお願いしたいと思います。

 大変恐縮です。平野大臣、長くお待たせをいたしました。次に、少し順番を変えさせていただきまして、交通安全教育につきましてお伺いをいたします。

 小中学校など教育現場で都道府県警と連携をしていただきまして、子供たちに交通安全教育を積極的に、今も実施されておりますが、さらに実施していただくことが有効であるかと思います。まだ小さいころ御両親が乗り方を教える、でも、それで終わってしまっては、自転車のいわゆるマナーみたいな世界はありますが、ルール、いわゆる法律違反につながるというような、そうした客観的な説明はなかなかできません。

 ということから推進をお願いしたいと思いますが、大臣のお考えを伺います。

平野(博)国務大臣 高木先生の御質問にお答えしたいと思います。

 先生は昨年、自転車走行環境の整備についての緊急提言を出されたということについては承知をいたしておりますし、そういう意味では同じ認識に立っております。

 特に私、気にしておりますのは、平成二十二年度でも児童生徒の死者数が百六十二人、負傷者数が八万三千人、こういうふうにふえていっている、こういうことでございます。

 特に学校におきましては、保健体育の、また特別活動を中心としながら、学校の中で交通事故の防止について教育を充実する、こういうことで指導いたしているところでもございますし、また加えて、先生、さらに充実をしろ、こういうお話でございますし、二十三年度予算におきましては、DVD等々を使いましてより注意喚起をする、こういうこと、さらに、二十四年度の予算案におきましては、小学生を対象とした教材をつくろう、こういうことで予算案にお願いをいたしているところでございます。また加えて、教える側の教員サイドに立ちましても、しっかりと学校で交通安全、特に都道府県を中心としながら、学校の教職員を中心に研修を行おうといたしているところであります。

 いずれにいたしましても、警察庁等々含めて警察と十分連携をとらせていただきながら、この教育については前向きに進めていきたいと考えております。

 以上でございます。

高木(美)委員 子供たちが小中学校の間に必ず一度は直接県警から指導を受けることができるように、プログラムの策定をお願いしたいと思います。

 松原国家公安委員長に伺います。

 やはり、ルールという認識を私は持つべきだと思います。マナー違反というのではなく、罰則規定もある明確なこれは犯罪ですので、そのような認識が必要です。

 そこで、防止のためには、一定の効果を上げている、例の、痴漢は犯罪ですとか薬害防止キャンペーンとかいろいろありました。そこで、絶対だめ自転車の法律違反というようなキャンペーンを、例えばこの四月の交通安全運動のキャンペーンからスタートしてはいかがかと思います。ぜひアイドルグループなどを起用していただきましてお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

松原国務大臣 御答弁申し上げます。

 警察においてはこれまでも、全国交通安全運動や自転車月間等の各種の機会を捉え、自転車安全利用五則を活用するなど、自転車の交通ルール等の周知を図ってまいりました。今後とも、効果的な広報啓発活動に努め、自転車の交通ルールを周知徹底し、違反は犯罪であるということをきちっと認識させていきたいと思っております。

高木(美)委員 キャンペーンはいかがですか。政治判断で。

松原国務大臣 そのような御指摘も含め、広報活動に努めてまいりたいと思っております。

高木(美)委員 それでは、ぜひとも目を引くキャンペーンを実施していただきますように、重ねてお願いをいたします。

 そこで、もう一つ、目を引くことでございますが、資料四をごらんいただきたいと思います。

 やはり、警察官がルール遵守のお手本となるような改善策が必要と思います。模倣すべきルール遵守の乗り手が町にはほとんどいないというのが今の実情です。この問題を解消するために、警察官が最高のお手本としてその先頭に立つべきかと思います。いまだにお巡りさんは歩道を走っているという方は多く見受けられます。

 そこで、交番等の地域警官の方が自転車ルールのお手本となるべく、自転車を現在のこの白い自転車、いわゆる白チャリから、クロスバイクのようなスポーツタイプのものに変更したり、ファッション性、機能性に富んだユニホームや専用の自転車ヘルメットを着用して、ロンドン市警のように、このように格好よく、警察官が憧れるような、そしてまた、交通安全規則を守ろうという意識啓発につながるような、このような提案をさせていただきたいと思います。

 これは実は、さまざまな警視庁管内の幾つかの署長さん、関係者の方たちから、ぜひやってもらいたいという御要望をいただいておりますが、委員長、いかがでしょうか。

松原国務大臣 御答弁申し上げます。

 自転車の交通ルール遵守については、地域に密着して活動する地域警察官がみずから手本となって範を示すことは、委員御指摘のとおり極めて重要と考えております。地域警察官に対する指導、教養を徹底してまいりながら、そういった御指摘も踏まえ検討していきたいと思いますが、御提案の内容については、その実現の可否は都道府県警察の判断にかかわる部分が極めて大きいわけでありまして、御提案を受けとめさせていただきたいと思います。

高木(美)委員 ぜひとも、さまざまな都道府県警と連携をしていただきまして、大都市で、特に東京ですね、松原委員長の地元でもよろしいんじゃないでしょうか、ぜひともそういうところから始めていただければ、私はこれは大きな力になるのではないかと思います。

 最後の質問になります。

 交通安全教育に関しまして、車のドライバーにも自転車が車道を走るということを徹底していただきたいと思います。実際に、自転車で車道を走る方、今、ツーキニスト等多いわけですが、明らかに幅寄せをしてくる車とか、邪魔だと言わんばかりにクラクションを鳴らす、こういうドライバーも多いです。自動車免許の更新時などに、四輪ドライバーに、自転車は車道を走るようになった、安全に走行空間のシェアを意識すべきなどの指導の徹底を求めますが、いかがでしょうか。

松原国務大臣 御答弁申し上げます。

 警察庁においては、更新時講習等の各種運転者教育の機会に、自動車等の運転者に対し、自転車の安全を確保するための留意事項等について教育を進めるよう、都道府県警察に指示をいたしております。

 具体的には、交通の方法に関する教則に基づき、自転車が車両であり、車道交通が原則であるという自転車の通行ルールを理解させるとともに、自転車は不安定であり、また、運転者の身体を防護する機能がないことから、追い越しのとき自転車との間に安全な間隔をあけるなど、車道を通行する自転車の安全に十分配慮することを教育することといたしております。

 引き続き、自転車の安全を守るための運転者教育を推進してまいります。

高木(美)委員 それでは、また引き続き取り上げさせていただきますので、今後ともよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

中井委員長 これにて高木さんの質疑は終了いたしました。

 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 去る二月の二十日に、沖縄県知事は、辺野古新基地建設に向けた環境影響評価書に対する意見書を沖縄防衛局に提出いたしました。意見書は、不適切な事項等ということで、二十五項目百七十五カ所を列挙して、国の辺野古移設案は環境の保全上重大な問題がある、生活環境及び自然環境の保全を図ることは不可能というふうに結論づけております。

 この環境影響評価業務をめぐって、質問をいたします。

 まず、防衛省に質問します。

 沖縄防衛局が昨年末に沖縄県に提出した環境影響評価書を作成するに当たって、防衛局が発注した業務というのは、一体、いつから何件あるのか、その契約総額、当初金額で結構ですが、総額について答えてください。

渡辺副大臣 事実関係でございますので、私の方から答弁させていただきます。

 発注時期につきましては、平成十八年度以降、三十四件契約しておりまして、その当初契約額の総額は八十六億一千四百九万五千円でございます。

笠井委員 平成十八年、二〇〇六年十一月からことし一月までに計三十四件の業務が発注されて、その総額も八十六億円超に上るなど、これほどの巨額費用を費やしたアセスというのは異例だと指摘されております。

 この三十四件の業務を請け負った企業というのは何社ありますか。請け負った企業の会社の数。そのうち、防衛省OBの再就職、いわゆる天下りを受け入れた企業は何社あるか。また、企業名ごとに防衛省OBの再就職の人数について答えてください。

渡辺副大臣 これも事実関係でございますので、私の方から答弁させていただきます。

 十八年度以降、環境調査や環境影響評価等の業務に関する契約を九社と締結いたしました。うち五社に、元防衛省の職員が七名再就職をしたことを把握しております。(笠井委員「会社ごとに何名と」と呼ぶ)

 会社ごとにいいますと、五社のうち、一つは株式会社沖縄環境保全研究所、一名、そして、いであ株式会社に一名、株式会社パスコに一名、日本工営株式会社に二名、日本海洋コンサルタント株式会社に二名でございます。

笠井委員 配付資料をごらんいただきたいと思います。これは、防衛省提出の入札契約状況の調書をまとめたものであります。

 防衛省OBが天下った企業五社が請け負った業務は全体の九三・四%を占めて、総額も八十億四千四百五十万円に上ります。しかも、予定価格に対する契約金額の割合である落札率を見ても、九〇%を超えるものが、全体の七六・五%、二十六件もございます。

 二ページ目、裏面の下から三段目の業務をごらんいただきたいんですが、これについては、落札率が九九・九七%ということで、予定価格との差額が一万二千五百八十九円、わずかこれしかないものもございます。

 入札方式を見ても、一般競争入札は一件もなくて、随意契約かプロポーザル形式によるものが多いです。とりわけ、二〇〇八年度以降はプロポーザル方式が大半を占めて、二〇一一年度の陸域生物等調査を除く十四件全てで一社だけということで、一社だけと見積もり合わせを行っております。

 そこで、田中防衛大臣に伺いますが、第三者による客観性や信頼性が求められているはずのアセスで、防衛省の天下り先企業が独占的に業務を請け負っている実態がこのようにございます。これでは、アセスの結論が最初から新基地建設ありきになるのは当然じゃないか、お手盛りアセスと言われても仕方がないんじゃないでしょうか。どうお考えになりますか。

田中国務大臣 環境影響評価の客観性や信憑性についての御質問だと思います。

 普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価については、技術指針等の関係法令に従い、調査及び予測、評価の手法等を適切に設定して実施しているところでございます。

 また、当該業務においては、分野ごとに学識経験者からの助言を受けつつ成果が取りまとめられ、さらにその成果が公表されるなど、内容の客観性や信頼性については確保されるよう努力してきたところであり、御指摘は当たらないと考えております。

笠井委員 今いろいろと言いわけをされましたが、要するに、伺いたいのは、防衛省としては、企業選定は中立かつ公正なやり方で行っていて、請け負う企業に防衛省のOBが天下っているからといってアセスの内容に防衛省側の意向が反映されることなどあり得ない、こういうお立場だということですね。

田中国務大臣 普天間飛行場の代替施設建設事業に係る環境影響評価においては、航空機の騒音、潮流、ジュゴン等の多岐にわたる環境分野について詳細かつ専門的な検討を行っているところであり、これを行うにはそれぞれの環境分野に係る専門的な知識を必要とすることから、これら知識を有する専門のコンサルタント等に委託をしているところでありまして、御心配のような点はございません。

笠井委員 果たしてそうか。

 では、私、角度を変えて伺ってみたいと思うんですが、沖縄防衛局が今回の業務発注に当たって、その大半で行ったのがプロポーザル方式であることは、資料を見ても一目瞭然であります。

 防衛省がこの方式の実施細則を定めた通知というのがございます。私、ここに持ってまいりましたが、これを見ますと、このように書いてあります。

 発注業務への参加を表明した参加表明企業について、防衛局内に設置された競争参加資格・指名審査委員会が審査を行い、技術提案書の提出を要請する企業を選定するということになっております。その後、その中から最もすぐれた技術提案企業を審査委員会が特定して、その企業と随意契約を締結する、こういう手順になっているというふうにこの防衛省の定めた通知に書いてあるんですけれども、それは間違いありませんか。

田中国務大臣 プロポーザル方式は、入札参加者から提出された業務に係る技術提案書を審査し、技術的に最もすぐれたものを特定の上、その提出者と随意契約を締結するものでございます。

 提案書の審査に当たり、その評価基準を契約に参加しようとしている業者にあらかじめ明示した上で適正に審査を行っておるということでございますので、手順に従ってプロポーザル方式を採用しておるわけでありますし、確かに、先生がおっしゃるように、一社に絞って随意契約になるということであります。

 したがいまして、その中で勘案して、一般的に、競争入札に比して契約価格が予定価格に近い傾向になるという形をとっておりまして、先ほど御指摘ありましたように、入札価格が非常に、九九・何%ということは、逆に予定価格をその技術に合わせて適正な価格にしておる、こういう状況でありますので、御理解をいただきたいと思います。

笠井委員 要するに、手順に従ってやっている、だから間違いないんだという今の話ですが、では、そうだとすれば、最大のポイントは、防衛局内に設置された競争参加資格・指名審査委員会というのがあるが、これが中立かつ公正な審査、評価を経て企業を選定しているかどうかということになってくると思うんですが、この審査委員会というのは一体どのようなメンバーなのか。発注者側の防衛省職員がそこに関与していることはあるのかないのか。どうですか。

田中国務大臣 私が拝見しているところによりますと、関与しておらないということでございます。

 プロポーザル方式の適正化の確保ということで手順がございますが、第三者による監視ということで入札監視委員会が設置をされておりますが、学者の先生、銀行員、弁護士、そしてまた、公認会計士という方に加えまして環境の関係の委員もいらっしゃるので、私は、適正に判断されておるというふうに認識をいたしております。

笠井委員 今、監視委員会のことを言われたんですが、これは、入札した結果について監視するところなんです。私が聞いたのは審査の方で、どれを選ぶかというときに、そこに入っていないのかと聞いたんですが、まあ、関与していないと言われたので、本当にそうかという問題です。

 私、手元に、発注業務の入札結果について、今まさに言われた、審査した際の沖縄防衛局の平成二十二年度入札監視委員会議事概要というのがありますが、これを読みますと、二〇一〇年度の陸域生物等調査、これにおいて天下り先企業の沖縄環境保全研究所を選定した際に、防衛局側は、調達部次長以下五名で評価を行っている、職員で評価していると書いてあるんですけれども、これは違うんですか。

田中国務大臣 沖縄環境保全研究所が契約をいたしておる物件だと思っておりますが、事前調査につきましては把握をいたしておりますが、そのメンバーについては、私は、把握を今しておるところではございません。

笠井委員 これは防衛省の文書に書いてあるんですよ。

 もう一個あるんです。平成二十一年度の議事概要で見ますと、沖縄防衛局の審査委員会には、下部組織として技術部会が設置されています、最初に技術部会において競争参加資格の設定、競争参加者の選定等に関する審査を行った上で資格等審査委員会に諮り、同委員会で最終的に決定を行います、こう回答しております。

 この技術部会のメンバーも防衛省職員じゃないんですか。

田中国務大臣 御指摘の内容につきましては、技術提案書の審査は、地方防衛局の職員で構成される審査委員会で審査の上、特定されておるということは御指摘のとおりでございますし、審査委員会の構成は、沖縄防衛局長初め、各委員、防衛局のメンバーでございます。

 審査を行う職員には技術提案書の作成者を知らせず、かつ複数の職員により審査をいたしておりますが、プロポーザル方式に従っておるということは間違いないわけでありますが、御指摘のように、このメンバーで対応が不十分であるということであれば、これからは対応を考えなければいけないというふうに思うわけでございます。

笠井委員 これは大変ですよ。不十分であれば対応を考えなきゃいけないといったって、アセスを出しちゃったわけでしょう。

 今、私も驚きました。防衛省職員で審査しているというんですよ、これ。発注者である防衛省側の恣意性を排除して中立かつ公正な審査、評価を経て企業を選定すべき審査委員会のメンバーが、今大臣の答弁があったけれども、発注者側の防衛局の職員で構成されているという、これは驚くべき話です。不十分であれば正したいと言うけれども、とんでもない話ですよね、これ。

 大臣、これでは、防衛省OBの天下り先企業に業務を独占的に受注させることや、受注を条件に防衛省側の意向に即したアセスを作成させることも、これは思いのままになっちゃうんじゃないんですか。だって、全部防衛省の職員で審査して選定するんですから。公正中立と言われたって、そんなの、誰が担保があるのかとなるんじゃないですか。

田中国務大臣 技術提案書は、地方防衛局の職員で構成される競争参加資格・指名審査委員会の審査を経た上で、最適なものと特定をしておるところであります。審査を行う職員には技術提案書の作成業者を知らせないようにして、かつ複数の職員がそれぞれ審査を行うなど、客観性を確保しているわけでありますので、技術的な判断に基づき行っておるということでございます。その内容で今回、適正に処理をしたという状況でございます。

笠井委員 適正と言われたけれども、大臣も相当苦しい答弁だと思いますね。だって、審査するのに防衛省職員で審査しているんですから、外から見たら、中立公正性で教えていないとかと言われたって、これはなかなか大変な話になると思いますよ。

 先ほど学識経験者の意見を聞いているという話もあって、だから大丈夫という話も言われましたが、それはあくまでも必要に応じてということであるわけですね、書いてあるのは。まさに基本は、全て発注者側の手によって企業選定が行われているということじゃないか。

 天下りと業務発注の関係を否定されるけれども、防衛省職員の再就職を決めた離職者の議決書というのがここにございます。これを見ますと、請け負う企業のパスコや日本工営などに天下った人物は、現職時代にこれらの企業との調査、研究、広告等の受託に関する契約に携わったことがあると書いてあります。

 天下った人は、現職のときに、天下り先の企業との関係で、調査、研究、広告等の受託に関する契約に携わったことがあると書いてありますよね。

田中国務大臣 普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価業務で、請負業者に再就職した元防衛省職員は七名おります。その中でかかわった人は二名でございますけれども、この基準に従いまして、かかわった中にありましても契約実績は非常に少ないという方々でございまして、そういう面では、この企業に再就職することには支障がないという方々でいらっしゃるわけであります。

笠井委員 相手先とかかわったけれども、実績数が少ないから大丈夫だ、これまた本当に通用しない話だと思うんです。

 では、聞きますけれども、二〇〇六年に防衛施設庁を巡る官製談合事件が大問題になりました。あのとき、私は、この部屋の当委員会で、二月十四日に、額賀長官に対して質問し追及したことを思い起こしますけれども、今回の評価書受注企業に天下ったOBの中に、あのときの官製談合事件で処分を受けた人物もいるんじゃないですか。

中井委員長 わかりますか。田中防衛大臣、わかりますか。

田中国務大臣 現在は確認いたしておりませんので、調査をいたしたいと思います。

笠井委員 ここに、当時の処分発表文書がございます。防衛庁の時代でございますが、例えば、日本海洋コンサルタントに顧問として天下った元北関東防衛局調達部長は、施設庁談合事件の発覚時に仙台防衛施設局の建設部長だったわけですが、守屋元事務次官とともに指揮監督義務違反によって戒告処分を受けております。この人が天下っている。

 それだけじゃありません。防衛省は、評価書作成業務について、元請企業としか公表しておりませんが、元請企業のいであから業務を下請したという企業の海洋プランニングにも沖縄防衛局のOBなどが天下っているわけであります。

 そのうちの一名は、施設庁談合に直接関与したばかりか、談合関係資料を破棄するように指示していたことが発覚して二級降任の懲戒処分を受けた元施設庁建設部長じゃありませんか。

田中国務大臣 そこまでフォローいたしておりませんが、調査をいたしたいと思います。

笠井委員 重大だと思うんですね、田中大臣。企業選定が極めて恣意的に行われた疑いがあるばかりか、発注業務を独占的に受注した企業には、官製談合を主導したことがある防衛省のOB、談合のプロまで天下って仕事をとって評価している。私は九電のやらせメールをやりましたけれども、九電だけじゃなくて、ここにも自作自演、やらせの構図が透けて見えてくると国民は思うと思うんですよ。こんなことをやるから、八十六億円かけても、沖縄県から百七十五カ所も不適切と言われるものを出すんです。

 企業選定が本当に中立かつ公正な審査等を経て実施されたのかどうか、これは私、大臣、徹底調査すべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

田中国務大臣 平成十八年以降に要した約八十六億円の内訳といたしましては、評価書作成業務に九億円がかかっておりますが、環境調査費に約七十七億円になっております。その中で、環境調査費のうち、サンゴとジュゴン、このジュゴンには二十六億円の、非常に専門的な調査でありますので、大変な費用がかかっているわけであります。専門的に調査をしてきたわけでありますし、適正に業者選定をしてきたところでありますので、この内容につきましては、先ほど言いましたように、客観性、信憑性というものが確保されておるところでございます。

 ただ、先生が御指摘のように、こういう企業にいわゆる再就職したということにつきましては、私は、調査をいたしまして、適切であったかどうかということについては、私自身が調査をしていくということでお話を申し上げたいと思います。

笠井委員 かつて処分された人が今度また相手先で雇われて、それで仕事をとっているといって、適切かどうか、根本が問われている問題を提起しているわけですから、調べると言われましたが、調べた結果を公表しますか。

田中国務大臣 当然、調査をいたしまして、御報告申し上げます。

笠井委員 委員長、こんなことだから、アセスメントじゃなくて、防衛省の結論にアワセメントなんと言う人がいるわけですよ。野田総理は辺野古が唯一の有効な方法となると言いますけれども、こんなことではとんでもない話だ。

 委員長、企業選定が中立かつ公正な審査等を経て実施されているというならば、防衛省は必要な資料を出すべきだと思うんです。今回の評価書作成に係る業務発注を審査、評価した沖縄防衛局の審査委員会及び技術部会のメンバーの氏名と役職、審査に係る議事録の概要、下請企業名の一覧などの関係資料を当委員会に提出することを求めたいと思いますが、理事会で協議をお願いします。

中井委員長 後刻、理事会で確かに協議いたします。

笠井委員 問題はまだまだありまして、防衛省は、発注業務への参加表明企業が複数社あることから、技術的な競争は保たれているというふうに言います。

 先ほどもありましたけれども、防衛省の通知によれば、参加表明書を提出した者の審査を行い、その中から技術提案書の提出者を三から五社程度選定し、審査委員会の審議を経るなど、発注に至るまでの責任を支出負担行為担当官が担うということになっております。

 今回の環境影響評価業務における二〇〇八年度以降の支出負担行為担当官というのは誰ですか。

田中国務大臣 沖縄防衛局長でございます。

笠井委員 防衛局長の名前は。

田中国務大臣 真部局長でございます。

笠井委員 二〇〇八年以降でいうと、一部は田中前防衛局長もありますが、大部分は真部局長であります。

 では、実際に選定した企業と委託契約を結んだ支出負担行為担当官というのは誰ですか。

田中国務大臣 沖縄防衛局の者だと思いますし、代表は局長でございます。

笠井委員 二〇〇八年度以降の発注業務二十三件中、問題発言で更迭された田中前防衛局長が担当官を務めた三件を除きますと、私が調べてみると、企業の選定過程はもとより、天下り先企業とも契約を結んだ人物というのが真部防衛局長ということであります。

 ここに、真部局長が実際に支出負担行為担当官として契約を交わした契約書、これは防衛省がちゃんと提出したものですから、そういうものですけれどもあります。

 田中大臣、この評価書作成に係る発注業務に、先ほど私もただしました、そして大臣も天下りの問題についてもちゃんと調べる、それから事実関係も調べるということも言われましたけれども、重大な疑惑が提起されている以上、真部局長が一連の発注業務にどのように関与していたのか、これについては徹底的に調査すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

田中国務大臣 私は当時の状況では適正に業務が行われていたと確信をいたしておりますが、御指摘でございますので、調査をするということは進めたいと思います。

笠井委員 私の質問をどういうふうに受けとめていらっしゃるか、根本的に、今改めて思うんですけれども。

 重大な疑惑の問題、それから、天下った人自身が、以前、談合の問題で処分をされていたということも事実として提起しましたが、それも含めて適正だとあなたは改めて今も感じていらっしゃるんですか。全てこのアセス評価業務は適正にやっている、一点の曇りもないと言えるんですか。

田中国務大臣 きょう初めて御指摘を受けたわけであります。今まで適正に業務を行ってきたというふうに私は確信をいたしておりますが、この中で先生御指摘のようなことがありましたら、調査をさせていただくということで御理解いただきたいと思います。

笠井委員 では、聞きますけれども、防衛省の発注情報等の公表を定めた通知というのがありますが、これによれば、支出負担行為担当官は、例えばプロポーザル方式の発注業務について、参加表明書、技術提案書を提出した業者名や選定の有無、選定が特定されなかった理由などの情報を、各地方防衛局の場合は文書閲覧窓口に備え置いて閲覧に供する方法により公表することになっておりますけれども、沖縄防衛局ではこの通知どおりに実施されていますか。

田中国務大臣 プロポーザル方式におきまして、法令に従って進めてきておるということは間違いないわけでありますので、そのような御指摘がありましたら、調査をしていきたいと思います。

笠井委員 私、調査してもらいたいんですが、この間、事務所のスタッフを沖縄に派遣して確認しましたが、本来閲覧に供するべきこれに関する文書というのが、通知で定められてある情報なのに、何一つ閲覧に供されていないんですよ。なぜ公表されていないのか疑問なんですけれども、いかがでしょうか。

渡辺副大臣 御指摘の点を踏まえて確認をしたいと思います。

笠井委員 この情報の開示責任者である担当官は真部局長でありますが、担当官の局長がなぜ情報を公開していないのか、なぜ隠す必要があるのか、これも調査すべきであります。今調べると言われたから、しっかり調査してもらいたい。

 時間が参りました。

 委員長、この問題に関して、真部局長を参考人として招致いただいて、事実関係含めてきちっとただすということで、理事会で協議をお願いしたいと思います。

中井委員長 協議をいたしますが、まず防衛省からの資料、報告を待ちます。

笠井委員 時間が来たので、終わります。

中井委員長 これにて笠井君の質疑は終了いたしました。

 次に、服部良一君。

服部委員 社民党の服部良一です。

 おとつい、NHKの「日曜討論」に出させていただきました。原発の再稼働問題が大きなテーマとなりました。

 枝野大臣、各党も非常に慎重な意見が出まして、与党からも、事故の原因究明もまだだ、ストレステストは再稼働とは関係がない、それから野党の方からも、例えば事故の教訓を安全基準に生かすための数年間を惜しんではならないというような意見も出たわけです。

 きょう、私、ちょっと質問項目が多いので、また端的に御回答いただきたいんですけれども、二月十六日に保安院が出しました中間取りまとめの位置づけなんですけれども、これをもとに暫定安全基準をつくられるということなんでしょうか。

枝野国務大臣 安全の基準といいますか、それについてはむしろ、この間、ストレステストとは別次元で、政府の事故調査・検証委員会においての検証、安全・保安院における技術的側面からの検証、それを踏まえた複数の公開の場での意見聴取会を踏まえて、中間取りまとめとして、「東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故の技術的知見について(中間取りまとめ)」をまとめております。これをベースにして安全基準を設けたいというふうに思っております。

服部委員 中間取りまとめは、やはり単なる経過報告であって、何らかの基準を出せるような段階ではないというふうに私は思いますが、原子力安全委員長にお尋ねをいたします。

 昨年、私とのやりとりの中で、この安全設計審査指針あるいは耐震設計審査指針の見直しについて、事故調の意見は当然尊重しなければならないというふうに答弁をされております。私の受けとめは、やはり事故の検証をきちんとやった上で、その知見を安全指針に反映させなければならないという意味に受け取ったわけなんですけれども、そういう理解でよろしいでしょうか。

班目参考人 安全委員会では、現在、おっしゃられた二つの指針等について見直しを鋭意進めているところでございます。当然、この見直し作業においては、事故調で明らかになった事実も含めて、最新の知見というのを全て反映して見直しを進めていきたいと思っております。

 ただ、三月をもって中間取りまとめをする。というのは、四月から新しい規制組織に安全委員会の機能が移されるということになってございますので、その場合には、新しい組織の方で、そのあたりも含めてしっかり進めていただきたいと思っている次第でございます。

服部委員 事故の検証をきちんとやって、それを安全指針に反映させるという御趣旨の発言だったと思うんですけれども、枝野大臣、それを前提にしか再稼働はできないという理解でよろしいでしょうか。

枝野国務大臣 今回の原発事故が与えた教訓というのは、幾つかのものがあります。

 その一つが、地震や津波、そしてそれによる全電源喪失によるリスクであります。これについては、既に緊急対策等を指示し、それが十分な効果を津波や地震に対して持っているのかどうかのチェック、確認をしているところでございます。

 もう一つ、今回の事故が与えている教訓というのは、安全に絶対はないということでありまして、いわゆる安全神話というものから抜け出さなければならない。つまり、一度安全を確認されたということで、これは安全なんだということを前提に対応するのではなくて、常に新しい知見、新しいリスクがないかどうかということについてチェックをしていく必要があるということであります。

 そうした見地から、まさに、この再稼働の問題に限りませんけれども、あらゆる原発について、その都度その都度、最新の知見を踏まえて、本当に安全なのかどうかということを厳しくチェックしていくということについては、例えば、今後、事故の教訓、検証についてさらに詳細な状況等が明らかになれば、それも踏まえて対応していくということでございます。

服部委員 いろいろおっしゃったんですけれども、要するに、おっしゃりたいことは、事故の検証が終わって、それを安全指針に反映をして、それが再稼働の判断になるということでいいんですね。ちょっと簡潔にお答えください。余り説明が長くて、何を言っておるかわからぬようになってしまう。

枝野国務大臣 事故の検証というのは、恐らく何十年続く話だろうというふうに思います。そうしたことの中で、今回、原発事故をもたらした地震と津波、同じような地震や津波によって同じような事故を起こさないということについての緊急対策は既に指示しているところでございまして、それが本当に機能するのかどうかを確認して、そして地元の皆さんの一定の理解が得られるのかどうか、こうしたことの手順を踏んで、再稼働について判断するということであります。

服部委員 事故の検証が何十年。では、少なくとも、国会の事故調あるいは政府の事故調の検証結果がはっきりするまで再稼働はしないという理解でいいですか。

枝野国務大臣 政府の事故調の中間報告においては、津波が今回の事故の原因である、もちろんその津波をもたらしたのは地震でありますが、そうした中間報告が取りまとめられております。

 あるいは、これは保安院がみずから行っているものでございますが、技術的な知見について、公開の場で外部の専門家を含めた意見聴取会等も進めてきているところでございまして、これに基づいて、今回のような、それまで十分に対応できていなかった地震や津波に対する対応が十分にとれているのかどうかということを確認した上で、なおかつ地元の一定の理解が得られるかどうか、しっかりと判断した上で判断するということでございます。

 事故の検証というのはさまざまな分野にわたって多岐に及んでおりますので、それは政府や国会の事故調に限らず、きょうは民間の皆さんがみずからなさっていた検証も発表されているようでありますが、そうしたさまざまな知見について、新たな事実が出てくれば、それに基づいて対応するということはもちろん必要でございますけれども、今この時点で得られている知見に基づいて、最新の知見に基づいて安全性についてチェックをするということです。

服部委員 何か微妙な言い方をされるので、ちょっと質問をかえますけれども、例えば、事故の直後に緊急安全対策がありました、防波堤をつくるとか。それも、年内に完成するのはまだ三カ所だけだという報道も最近ありましたし、もともと二年、三年続く問題なんですね、この工事の完了に。この状態で再稼働をしてもいいんですかということが一点。

 それからもう一点は、大臣、去年の十月二十六日の会見で、耐震バックチェックの結論が出なければストレステストについてのチェックは行えないというふうに一旦明言をされているわけですけれども、ストレステストの評価について、耐震バックチェックの完了が最低限の条件だというふうに思うんですけれども、その二点についての御見解はどうでしょうか。

枝野国務大臣 まず、一点目の緊急安全対策については、緊急安全対策そのものにもそういう趣旨で書かれているかというふうに思いますが、いつ大きな地震や津波が来るかわかりませんので、そうしたことが起こっても今回のような事故をもたらさないようにという緊急の対策と、例えばそれが長期にわたって維持、継続できるものかどうかといった問題がありますので、中長期にわたって同じように事故を防げる状況をしっかりと確保するという意味での中長期の課題と、二つ、両面のものがございます。

 いずれにしても、原子力発電所を稼働するしないにかかわらず、津波をかぶって冷却ができなくなるということでは事故に至りますので、したがって、まずは、今すぐに来ても事故につながらないというための緊急対策がしっかりとなされていることが、稼働を含めて、最低限の条件であるということです。

 ただ、それが長期にわたって、例えば五年、十年単位で原子力発電所というのは稼働したり、あるいはそこに放射性物質があるものでありますから、五年、十年単位で、中長期にわたってそうした安全性を確保するための対策、これは一定の時間をかけて防潮堤等をつくらなければならないということでございますので、まさに二段階だというふうに思っております。

 それから、耐震バックチェックについてでございますが、耐震バックチェックを進めて、設計上想定すべき地震や津波の評価が新たに確定した場合には、ストレステストの余裕度にも反映されることになってまいりますし、それを踏まえて、安全であるかどうかということの確認をしていくということになります。

 この耐震バックチェックについても、これは何か、あるところまでやったら、これで絶対、耐震バックチェックは確実で、おしまいである、そういう性格のものではないし、また、そういう物の考え方をしてきたからこそ、これまでいわゆる安全神話につながってきたというふうに思っております。しっかりと、今なされるべきバックチェックがなされたものについてはそれを反映していくし、今後も、いわゆる耐震性等、あるいは、地震がどういうものが起こるのかということについて新たな知見が出てくれば、その段階でそれを取り入れていくという不断の見直しをしてまいります。

服部委員 確認ですけれども、防波堤とかは、これは緊急安全対策として、シビアアクシデント対策として、事業者に命令といいますか、されたものなんですね。ですから、これが終わらないと再稼働はできない、それから耐震バックチェックも再稼働の条件である、ちょっと明確にお答えください。

枝野国務大臣 ちょっとどちらも、若干、緊急対策ですけれども、緊急対策としてお出しをしたのは、直ちに、まさに暫定的にでも対応してもらわないといけない。

 例えば、電源等が落ちた場合の電源車のバックアップ等の、まさに緊急に、緊急の中でも緊急にやっていただかないといけないという種類のものと、それがやられることによって安全性は一旦は確保されるけれども、しかし、防潮堤であるとか安定電源であるとかにしなければ、例えば防潮の設備にしても、しっかりとした頑丈な構造でつくられた防潮堤であれば、長期間、いわば見ているだけでも安心できますけれども、例えば土のうを積んでというのはさすがに極端かもしれませんけれども、そうしたものについては、日々、不断に、それが本当にどの程度の津波に耐えられるのかということをチェックしていかなきゃならないという、まさに暫定的なものであります。

 緊急安全対策として示したものの中にも、暫定、緊急にしっかりとまずは安全性を確保するべきものと、それを長期にわたって維持するために必要なもの、両方のものが含まれているということでございます。

服部委員 ちょっと次へ行きます。

 枝野大臣と、去年の十二月六日の復興特ですけれども、いわゆる賠償、保険の問題ですね。これは、大臣の答弁では、万一の場合というのは、要するに、福島と同じような事故を想定した備えがやはり必要だということで、事故に備える、そういった保険の備えがないまま原発の再稼働はあり得ないという趣旨に、私は大臣も同意されたというふうに理解しておるんです。

 そこで、細野大臣にお聞きするんですが、福島規模の事故が起こるかもしれないということを前提にして、例えばですけれども、十兆円規模の損害に備えた保険に入るとか、そういったことをせずして原発の再稼働はあり得ないという理解でよろしいでしょうか。

細野国務大臣 御質問いただいたんですが、この原子力賠償の問題、さらには新しく成立した機構の法案ともども、私、実は担当をしておりませんで、もしお許しいただけるようであれば、枝野大臣の方から答弁ということでよろしいでしょうか。

枝野国務大臣 まさに今回、事故の前に、大きな事故によって賠償その他のさまざまな大きな費用が必要になるということについて準備がなされていなかった。こういった状況の中で原子力発電所を運転していくということは、それは万一に備えた対応として不十分であると思っております。したがって、昨年、原子力損害賠償支援機構法を設けていただきまして、一応の対応のシステムはでき上がったということであります。

 ここにどの程度のお金を事業者の皆さんにあらかじめ積んでおいていただくのか、あるいは、これとは別にさらに民間ベースを利用したりとか、あるいは引当金等のやり方をしたりとか、さらに事故に備えた、リスクに見合ったしっかりとしたお金を準備しておくということについては、今後さらにこれも不断の見直しは必要だろうというふうに思っております。

服部委員 私の質問の趣旨は、そこがきっちりしないと再稼働の条件にはならないんじゃないですかということをお聞きしているんです。

枝野国務大臣 これはいずれも、一貫して多分ここでなかなかかみ合っていないことの原因だと思うんですが、私は、いわゆる安全神話のもとになっているのは、ここまでやれば大丈夫で、ある線を超えたら大丈夫で、ある線の下だったらだめだ、こういう二元論でこの原子力の安全について今まで判断してきたということ自体がそもそも違っている。原子力の安全あるいはリスクのことについては、常に不断の見直しをしながら、しかしその時点における最善を尽くして安全性を確保したりリスクに備えておくということが必要であるというふうに思っております。

 そうしたことの中で、昨年の事故を踏まえて、まずは国会の御理解をいただいて原子力損害賠償支援機構という枠組みをつくっていただいて、ここに事業者がそれぞれ拠出をして万一の事故の場合の賠償等に備えるという仕組みは一応つくっていただいている。しかし、これがあれば絶対安全だということを私は申し上げるつもりはない、不断の見直しは必要であるということを申し上げているんです。

服部委員 ちょっとかみ合っていませんけれども、次に行きます。

 安全委員長にお聞きしますが、EPZの見直し、それから防災指針の改定等については今後どういうスケジュールで進められていくんでしょうか。

班目参考人 防災指針の見直しにつきましても、防災指針検討ワーキンググループですとか、あるいは被ばく医療分科会等で現在検討中でございます。この結果につきましても、三月中をめどに中間取りまとめをするということで現在進めていただいているところでございます。

服部委員 全部の見直しはいつごろになるんですか、中間というんじゃなくて。

班目参考人 原子力安全委員会というところは、こういう防災ということに関する基本的な考え方を示すところでございます。したがって、防災指針というのは基本的な考え方を示しているものですので、これについては三月中に取りまとめを行う。四月以降は新しい規制組織ができますので、このような作業もそちらの方に引き継がれるというふうに理解してございます。

細野国務大臣 既に国会に提出をさせていただいている原子力規制庁の法案の中で、これまで法定化をされておりませんでした防災指針について法定化をいたしまして、そしてそれをしっかりと生かしていく、そういう考え方がとられております。

 ある程度精度の高いものが原子力安全委員会の中で中間報告として示されると考えておりますので、それを引き継いだ上で、原子力規制庁としてしっかりと対応してまいりたいと考えております。

服部委員 地域も、今地域の防災計画をどうするか、大変悩んでおられるんですけれども、この防災指針の改定とそれに対する対応を抜きに再稼働はあり得ないという理解でいいでしょうか、細野大臣。

細野国務大臣 繰り返しになりますけれども、地方自治体からも、この防災指針であるとか防災計画についてはできるだけ早く丁寧に対応してもらいたい、そういう要請が来ておりまして、その対応を急ぎたいというふうに思っております。

 その一方で、先ほどから枝野大臣も答弁をしておりますが、こうした防災指針や防災計画のあり方も含めて、常に最善を尽くして、より高い規制を設けていくというのは、これが大原則でありまして、これに終わりはありません。

 したがいまして、常に規制のレベルを上げていったり自治体の対応を促していくことと再稼働というのは、これは分けて考えられるべきもので、常に高いレベルを目指していく、こういう考え方がとられるべきだと考えております。

服部委員 大臣にもう一点、規制庁のノーリターンの問題でちょっとお聞きしたいんですけれども、課長以上は原則ノーリターンだということなんですが、実務を担う課長補佐クラスをノーリターンにしないといけないと思うんですが、どうでしょうか。

細野国務大臣 これまでさまざまな新しい行政組織ができてまいりましたけれども、課長レベル以上でノーリターンルールというのを採用した新しい省庁というのは存在をしていないと承知をしております。

 どういうふうにそれぞれの省庁が独立性を高めていくかというと、多くの組織の場合は、新しい組織が誕生した後に独自に採用をして人を育て、そしてレベルを高めていく、こういう考え方をとります。その中で、より強い組織をつくっていくというのが大きな方向性であると思っております。

 ただ、その中で、今回の原子力規制庁については、推進側からはっきり独立させる、特にそういう強い要請が私は日本国民から寄せられているというふうに考えますので、課長レベルからノーリターンということで採用させていただいたということであります。

服部委員 廃炉の問題をちょっと大臣にお聞きしたいんですけれども、一月三十日に、記者会見で、四十年を過ぎた美浜、敦賀の再稼働はあり得ないということを述べられておるわけですけれども、この四十年経過した炉は結局どうなるんですか。

細野国務大臣 この四十年ということに関しましては、例えば、それぞれの原発の設置の許可申請をする場合に、中性子が繰り返し繰り返し当たるということがありますので、脆化に対する記載というのがあります。そういったところに、それぞれの原発について、四十年ということで書かれておりますので、やはり一つの線として四十年というのが実はこれまでも意識をされてきたという経緯があるわけです。したがいまして、原発については、原則的に四十年ということで廃炉にしていく、そういう考え方を採用させていただいたということであります。

 お尋ねの四十年を超えているものに関して、事業者がさらに長く稼働を申請してくるという場合、そういった場合については、それは原子力規制庁としてしっかりとルールをつくった上で、そこで判断をしていくということになります。

服部委員 ちょっと後退されていますね、発言が。

 敦賀の一号は、福島と同じGEのマーク1なんですけれども、もともと設計上、配置上いろいろ欠陥があったんじゃないかというふうに言われているわけですが、昨年六月、IAEAの閣僚会議のときに当時の海江田経産大臣が、マーク1についても安全性の観点から廃炉の検討が課題というふうに言われているんですけれども、この件については、政府は検討されているんでしょうか。

細野国務大臣 高経年化、経年劣化につきましては相当厳しく見ていかなければならないというふうに考えております。

 したがいまして、事業者の側からさまざまな申請があった場合には、それは科学的にしっかり判断しなければ、民間事業者の持ち物でありますので、その判断は客観的でなければならないというふうに考えておりますが、お尋ねのマーク1のことも含めて、高経年化については相当厳しく、しっかりと見ていかなければならないというふうに考えております。

服部委員 最後に、平野文科大臣にお聞きしますが、「もんじゅ」は結局どうされるんですか。

平野(博)国務大臣 議員の質問にお答えします。

 まず、今現状は、「もんじゅ」については、第一義に安全性を確保する、こういうことで、今ストレステスト、あるいはシビアアクシデントに対する対応はどうするかということであります。

 その後、「もんじゅ」についてどうするかということにつきましては、やはり高速増殖炉を含めた原子力政策のあり方について、この夏ぐらいにエネルギー・環境会議で結論を得る、こういうことでございます。その結論の結果を見て対応したい、こういうふうに思います。

服部委員 めり張りよく、やめるものはやめる、そういう判断をしていただきたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

中井委員長 これにて服部君の質疑は終了いたしました。

 次に、山内康一君。

山内委員 NPOへの支援策について、最初に経産大臣に質問させていただきます。

 政府の新成長戦略の中でも、NPO法人などを新しい成長セクターということで、NPOの活動を応援しようという姿勢を打ち出されております。

 NPO、非営利セクター全般、法人格にこだわらない広義のNPOということでいうと、いろいろなデータがあるんですけれども、GDPの二%ぐらい、十兆円ぐらい、雇用も百二、三十万いるんじゃないかというようなデータもあります。NPOは定義が難しいんですけれども、ほかのデータによると、GDPの五%ぐらい、雇用の四・六%ぐらいをNPOセクターが占めているんじゃないかというデータもあります。

 あるいは、ほかの先進国の例でいうと、オランダの一八%ぐらいのGDPと雇用はNPOセクターと言われています。イギリスやアメリカでも、GDPの八%から九%ぐらいはNPOセクター、雇用に関しては一一%から一二%はNPOセクターというデータもあります。

 そういった意味では、NPOというと、単にいいことをしているという認識だけではなくて、雇用を生み出している面、あるいは経済的にも大きな役割を担っているという認識が必要ではないかと思います。そういった意味では、民主党政権になってからNPOの寄附金税制が進歩したことは大変歓迎すべきですが、次の支援が必要になってくるのではないかと思います。

 新しい公共支援事業として、内閣府の方で、融資利用の円滑化のための支援事業あるいはつなぎ融資の利子補給、こういった事業が始まっているんですが、NPOの事業に対する融資ということでは、まだまだニーズがあるのに供給が足りていないという状況があります。

 そして、最近、NPOの中には事業型のNPOが多い。介護であったり指定管理者であったり、そういう事業を実施するNPOにとっては、つなぎの資金とか運転資金の融資のニーズが大変大きいものがあります。しかしながら、現行の制度では、政府の信用保証、いわゆる制度融資が使えないという実態があるようです。例外はあるのかもしれませんが、地銀や信用金庫などにNPOの人がお金を貸してくれと行くと、中小企業ならいいけれどもNPOだったら貸せないというケースもあるようです。

 そういった声に応えるために、ぜひ、今中小企業を対象にやっているような制度融資、政府保証を、事業をやっているNPO法人にも使えるような制度につくりかえていくことが有効ではないかと思います。その点について、経産大臣のお考えをお聞きします。

枝野国務大臣 御指摘の視点というのは、私も大変貴重な視点だというふうに承りました。

 まず、公式見解から申し上げますが、経済産業省、中小企業庁が所管をしております従来の中小企業施策は、営利目的の事業を対象にしてやってきているということです。そして、建前論としては、例えば非営利法人に対する支援策と営利法人に対する支援策では、営利法人に対する支援の方が要件が狭い、対象が狭いし、いろいろ条件が厳しいというのが建前として筋であろうというふうに思っております。したがいまして、これまで経済産業省等の中小企業支援策の対象にNPO法人が入っていないということだと思います。

 ただ、実際問題としては、むしろNPO法人の方が必要な資金等が得られないというような実態があるし、そこをしっかりと後押ししていかなければならないという御指摘は大変貴重な御指摘だと思います。

 ただ、その上で、今申しましたとおり、営利法人と同じ枠組みで非営利法人についての、例えば金融等の支援をすることが非営利法人にとって中長期的に見てプラスなのか。ここのところは少し慎重な検討を内閣府の方のNPOの担当ともしっかりと検討させていただいたり、あるいは、場合によってはさまざまな有識者の御意見を伺ったり、こういうちょっと慎重な手順はとらせていただきたい。ただ、問題意識は十分に理解いたしますので、内閣府と相談をさせていただきたいと思います。

山内委員 何となく私が印象として感じるのは、営利企業でさえ支援しているんだから、非営利団体はもっと支援してもいいぐらいじゃないかなというふうに思います。基本的に、NPOセクターのやっている仕事は社会的に利益がある、公益に貢献する仕事ですから、今、全く中小企業と同じスキームを使うかどうかは別として、場合によってはNPO専用の融資制度みたいなものをつくっていただいてもいいかもしれませんが、ぜひ柔軟な発想でこれまでになかったものをつくっていただきたいと思います。

 NPO向けの寄附金税制、非常にNPO業界では評価されているんですけれども、まさかここまで進むとはと思われるぐらい大きな進歩がありました。ぜひ、寄附金制度だけじゃなくて、融資の面でも新しい知恵で新しい制度をつくっていただきたいと思います。

 それから、中小企業向けのいろいろな支援スキームが融資以外にもありますけれども、経営相談とかも含めてということですけれども、NPOでもそういう中小企業向けのいろいろなサービスを使えるようにしていただくことが、雇用を生み出していく、あるいは地域に根差したコミュニティービジネスを推進していく上で重要だと思うんですけれども、そういった、今、中小企業向けの支援スキームをNPOにも開放していくという考え方について経産省のお考えをお聞きします。

枝野国務大臣 お答えはほぼ先ほどと同じになるんですが、まさに委員おっしゃるとおり、営利企業さえ支援しているんだから、その同じ枠組みを非営利のところに広げて当たり前じゃないかという、その発想自体は全く共感をいたします。

 だからこそ、今、営利法人向けにつくられているスキームを非営利にも拡大適用するというやり方が本当に中長期的にいいのかどうか。むしろそれだと、どうしても対象の大部分は営利になりますから、営利企業を前提にした、あえて言えば狭い、あるいはハードルの高い支援の枠にやはり論理的にはなっていくと思います。

 ただ、実態が全く逆転をしているということとの問題だというふうに思いますので、先ほどのとおり、内閣府の方の担当としっかりと相談をさせていただいて、中小企業が受けているようなさまざまな支援が実態的にNPOに対してできるやり方を検討させていただきたいと思います。

山内委員 今何が起きているかというと、NPOがわざわざ会社をつくって、子会社をつくって、そういう企業として活動しないといろいろな制度でふぐあいが出ているということがありますので、ぜひ新しい制度づくりも含めて検討していただきたいと思います。

 以上で経産省への質問は終わります。

 続きまして、「新しい公共」担当大臣に質問をさせていただきます。

 各省庁、いろいろなNPO支援スキームがあります。文科省は教育関係、厚労省はもしかしたら子供だの障害者支援だの、いろいろな役所がいろいろなスキームを持っているんですけれども、NPOの人から見ると、どこにアクセスしていいのかわからない。一般の市民の人からいうと、市役所に行けばいいのか、県庁に行けばいいのか、内閣府に行けばいいのか、それすらよくわからないという人は結構たくさんいらっしゃいます。

 そういった意味では、いろいろな省庁、いろいろな政府機関がばらばらにやっている事業をわかりやすくまとめて、NPOの人たちがアクセスしやすくするような、そういう情報提供のあり方というのが必要ではないかと思うんですが、内閣府にお尋ねします。

中川国務大臣 御指摘のように、NPOの活動というのはさまざまな分野に広がっておりまして、それをまとめる情報というのは大事な観点だと思っています。

 現在、内閣府のNPO施策ポータルサイトにおいて、各省庁や各都道府県がNPO法人向けに実施している施策を一定程度取りまとめて、公開はしております。

 先ほどの御指摘を踏まえて、さらにこれが充実した形で広く活用ができる形にしていきたいというふうに思っております。

山内委員 続きまして、NPOの寄附優遇税制について、財務省にお尋ねをします。

 寄附者が寄附金控除を受けようと思うと、確定申告が必要になってまいります。しかし、普通のサラリーマンにとっては確定申告というのはなかなか縁がないので、寄附控除のハードルがどうしても高くなってしまう。何とか年末調整で簡単に寄附金控除ができるような、そういう制度をつくっていただけないでしょうか。企業の負担がふえてしまうということもありますけれども、これだけ企業の社会的責任ということが言われている時代ですから、理解してくれる企業も多いと思います。

 そういった意味では、年末調整の対象にする、そんなに難しいことのようには思えないので、ぜひ検討していただきたいと思いますが、それについて財務省の御見解をお尋ねします。

五十嵐副大臣 御質問ありがとうございます。

 今後とも、政府としては、新しい公共、草の根の寄附を応援していきたいという思いは委員と同じでございますが、その上で、寄附金控除の年末調整対象化でございますけれども、委員がおっしゃったとおり、徴収義務者の負担というのが一つあると思います。

 今のレベルだといいんですけれども、思い切って認定要件を緩和しましたので、これからどんどんNPO法人がふえてまいります、認定法人が。そのときに、本当に対象となる法人なのかどうか調べるだけでも大きな手数がかかりますし、寄附金の証明書が適正なものかどうかとか、所得と寄附金の総額との割合の申告が正しいかどうかなど、やはりチェックするのに相当な手間といいますか負担がかかりますので、実務的に可能かどうかを調査しなければいけない。

 もう一点は、やはり受益と負担の関係を実感していただくというのが申告制度の一つのいいところでございますので、余り源泉徴収に頼りますと、本来のよさを失うのではないかという本来的な疑問もあるかと思います。

 いずれにしても、これらを総合的に勘案して検討する必要があると思っております。

山内委員 以前から、この質問をすると、財務省からの答えは不正防止ということがよく言われていました。

 しかし、今、内閣府の方でも財務省の方でも、そういう認定NPOのデータベースの整備を進めておりますので、そういうデータベースがきちんと整備されれば、そのNPOが認定されているかどうか、すぐネットで検索できるようになりますから、技術的にはもう難しくなくなっているはずです。ですから、そういう事務的な、しょうもないと言うと失礼ですけれども、テクニカルな理由でハードルを上げるんじゃなくて、ぜひ前向きに御検討を願いたいと思います。

 続きまして、寄附金控除の適用の下限ということで、寄附金控除に当たっては、足切りの二千円というラインがあります。二千円よりも下になると寄附の控除にはならないという規定があるんですけれども、この二千円というのは実は根拠が何もないんですね。

 前は五千円だったので、それよりは大分ましになったんですけれども、いろいろなNPOに少額寄附している人も結構いらっしゃると思うので、あえて足切りラインをつくる必要性というのは感じないんですけれども、これを今後廃止することを検討していただきたいと思いますが、財務省の御見解をお聞きします。

五十嵐副大臣 この問題も、今度は寄附を受けるNPO団体の側ですね、それが、領収書発行の事務の、今度はそちらの方の事務負担が大きくなり過ぎる。あるいは、税務当局の負担もございますし、かなりコストの面でかかり過ぎるということになるのではないかという懸念が一つございます。

 もう一つは、やはり、ボランタリーな社会貢献のために、草の根の寄附を進めるためにこれをやろうということですから、税金面でのメリットがあるからという、金銭的なメリットだけでこれを誘導するというのは本来の趣旨から外れるのではないかという本来的な問題もあるかと思いますが、いずれにしても、今の制度が円滑に進むように、その様子を、この二年続けて大幅な改正をしたところでございますので、その定着を見てから検討させていただきたいと思います。

山内委員 最後の理由は全く理解不能でしたけれども、やはり二千円の根拠自体も不明確ですし、ぜひ次の改正のときには検討していただきたいと思います。

 最後に、ちょっと大ざっぱな質問になりますが、財務大臣と「新しい公共」大臣にお尋ねします。

 民主党政権になって、新しい公共ということを強く主張されるようになりましたけれども、その中で、民から民へのお金の流れをふやしていく。寄附金もそうですし、融資もそうだと思います。それから、いろいろな行政の補助金や助成金に頼らないで民間のNPOがやっていけるような、そういう体制づくりが必要だと思うんです。そのためには、諸外国ではそういう寄附文化を根づかせるためのいろいろなサポートが整っておりますけれども、日本はまだまだそういった面で足りない部分が多いと思います。これからどういう方向で政府としてお考えなのか、お尋ねします。

中川国務大臣 今回、税制改正をしたというのがその第一歩だというふうに思っております。まずは、これの新しい制度がそれぞれに行き渡って、国民の皆さんにもそれを活用していただけるような、そういう手だてが必要であろうというふうに思っておりますし、新しい、仮認定制度ということも今回導入をされました。これについても四月より施行ということになりますので、政府としては、この普及促進に向けて頑張っていくということだと思います。

 さらに、民間の資金ということになりますと、日本の場合、中間ファンドといいますか、公共支援事業を活用しまして中間支援組織というのを育てていくということ、こういうことも資金調達の基盤をつくっていく基本になっていくんだというふうに思います。

 さらに、寄附金のあり方として、マッチングギフトであるとかそういうようなものを税制的に導いていくような、そういう工夫というのが私はさらにできるんだというふうに思っておりまして、そういう取り組みというのをこれからも頑張っていきたいというふうに思っております。

安住国務大臣 新しい公共というのは物すごく普及をしてきました。私どもの東日本大震災のときも多くのNPO法人の皆さんが活躍していただいて、本当にそういう面では、税制面や政策面ではいろいろな工夫というものが超党派で行われておりますので、今後とも、いろいろな面で、支え合いの社会をつくるために必要なものは積極果敢にやっていきたいと思っております。

山内委員 今、中川大臣がおっしゃったマッチングギフトの優遇というのは非常に新しいと思いますので、ぜひ前向きに検討していただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。

中井委員長 これにて山内君の質疑は終了いたしました。

 次に、斎藤やすのり君。

斎藤(や)委員 きょうは、放射能と子供の命の問題をお聞きします。

 沃素131という放射性物質があります。これは子供の甲状腺にたまりやすい。半減期は八日間。今回の原発事故では、残念ながら、この半減期を迎える前に子供たちを沃素の雨が降った場所の真っただ中に避難させてしまったということがあります。

 今、私が心配しているのは、子供の甲状腺がんです。八六年のチェルノブイリの事故の後、ふえまして、五年後、九〇年から、突然さらにふえ出した。子供の甲状腺がんというのは放射能被曝以外はほとんどないという話を、私、聞いたことがあります。

 政府に質問です。率直に聞きます。福島、宮城、そして関東の子供たちに甲状腺がんが発生するリスクというものはございますでしょうか。あるかないか、率直にお伺いします。

細野国務大臣 斎藤委員お尋ねのように、チェルノブイリ事故の知見などから最も懸念をされるのは、放射線の影響の中でも、子供の甲状腺がんの発生率の上昇でございます。

 今回の事故に関して、これまで得られたデータなどからいたしますと、チェルノブイリと比較をいたしまして、甲状腺被曝の線量というのは極めて小さいものと考えておりますので、そのリスクは基本的にはないと考えております。

 私どもも、私は当時補佐官だったんですけれども、一番気になったのはその部分でして、ごく早い段階で、三月二十三日、いわき市、そして川俣町、飯舘村の子供を対象としたスクリーニング調査を小児甲状腺についていたしまして、その数値が低いレベルだったというのを聞いて、本当にこれは大変な事故ではあったけれども、そのデータを聞いて本当にほっとしたという、そんな記憶が私の中にもございます。

 そういった状況ではございますが、やはり科学というのは万能ではありませんし、心配をされている方がたくさんおられるのも事実でございますので、初期の内部被曝の線量の評価というのが、もう時期的に、先ほど言われたように難しい面がありますので、その後、福島県では、念のため県内全ての子供を対象に甲状腺の超音波検査というのをしております。これをすることによって、異常が出てくればそれをしっかりと捉えることができますので、それをしっかりと継続していくということが重要であるというふうに考えております。

斎藤(や)委員 今、大臣がおっしゃった環境省の検査のデータでちょっと気になるのが、十八歳以下の三千七百六十五人の検査のうち、二十六人から五ミリ以上のしこりが見つかった。

 これは毎日新聞の報道なんですけれども、原発事故後に北海道に避難してきた人を対象に札幌市内のある病院が甲状腺の検査をしたら、十八歳未満の百七十人のうち、五ミリ以上のしこりが見つかった方が四人。この四人のしこりは全て良性だったということですけれども、これはどうなんでしょうか。これだけの確率で良性といえどもしこりができるというのは、原発事故と相関があったというふうに見てもよろしいのでしょうか、どうでしょうか。

細野国務大臣 私は医療の専門家ではありませんので、それについて正確に科学的な説明をする能力はございません。ただ、そういった新聞記事を見まして非常に気になりましたので、医師である専門家、これは環境省にも厚生労働省にもおりますので、直接確認をいたしました。

 その中で、チェルノブイリで甲状腺がんの増加が認められたのは四年から五年後でございまして、甲状腺がんというのは、仮に異常が出てくるとしても、それぐらいの時間を置いて出てくるものなんだそうであります。したがいまして、今の時点で出てくるということは現段階の医学においては考えにくいということでございますので、その関連性はないものと考えております。

 確認をいたしまして、甲状腺良性腫瘍の有病率については、はっきりとした疫学のデータというのは存在をしておらないということでありますが、福島県が実施をしている甲状腺超音波検査の先行検査によって、甲状腺の良性腫瘍に関しても有病率を調査しているところというふうに聞いております。

 専門家とさまざま話をいたしまして、その中で、子供で五ミリ以上のしこりが見つかることは医学的には十分あり得る、これまで疫学的な全てのデータがそろっているという状況ではありませんけれども、医学的には十分あり得るということでございまして、今回出ているデータも、私の中で内々いろいろな情報も含めて確認をいたしましたが、個人のデータを出せない面がありますので、ある程度統計的なところを把握いたしましたが、そうした異常をここで発しているものではないというふうに専門家も言っておりますし、私もそのように解釈しております。

斎藤(や)委員 子供でも五ミリ以上のしこりは医学的にはあり得るという今の答弁でしたけれども、危機管理というものは、釈迦に説法ですけれども、最悪のことを想定して、先回りして危機を潰していくということが重要だと思いますので、そういう意味では、リスクが少しでもあれば、ぜひ徹底的に検査して、危機を回避していただきたいと思います。

 それから、ちょっと気になったのが、昨年三月にいわき市などで子供千八十人に甲状腺内部被曝を簡易測定器で実施したときに、比較的線量が高かった子供の精密測定を、原子力安全委員会は国に行うようにということを勧告いたしました。ところが、二十二日、藤村官房長官が、県に対応を委ねる、県が検査を行うからいい、そういう答えがあったわけなんです。

 これは、今県がやっているということでそういう答弁になったんですけれども、ちょっと余りにも、何か、県任せだ、自治体任せだ、そういうメッセージになっているんじゃないかなと思いますので、こういうところは本当に国が責任を持ってやるんだというメッセージをぜひよろしくお願いいたします。それから、しこりも出ていますので、もうちょっとスピードアップして検査体制をしくことはできないでしょうか。細野大臣、よろしくお願いします。

細野国務大臣 福島県の健康管理調査につきましては、これは県の方でも、自治体の皆さんとの直接なコミュニケーションも含めて、やはり県がということで今やっておりますが、国がその検査について責任を持ってしっかりと対応するというのは必要なことであると考えております。これまで以上に踏み込んで対応すべく、今、環境省では体制をつくっております。

 今御質問がございましたスピードアップについても、県と協議をしておりまして、当初は福島県立医大を含めて、お子さんが来ていただくのを待っている状況でございましたが、それではいかぬということで、福島市、郡山市、いわき市などで研修をしておりまして、訪問して実際に検査をしていただける体制をさらにつくっておるところであります。既に五チームが昨年の十一月から回っておりますが、そのチームをさらにふやすことによってスピードアップを図ってまいりたいというふうに考えております。

斎藤(や)委員 子供のおしっこからセシウムが出たり、それからしこりが見つかったり、これは親御さんからすれば本当にいたたまれないというか、本当に心配で心配でたまらないと思いますので、このあたり、本当に早急な対応をよろしくお願いします。

 今までも、不都合な真実というものを直視せずに、後になって取り返しのつかないことというのが国でも何度もありました。例えば水俣とか薬害エイズとか肝炎、こういった過去の悲劇を繰り返さないためにも、最悪のシナリオを念頭に、ぜひ対応をとるようにしていただきたいと思います。どうも、予算がかかるからということで対応が後手後手に回るような、そういう印象が私は拭えない部分があったわけなんですけれども、ぜひ過去の教訓を踏んで、早急な対応をよろしくお願い申し上げます。

 大臣、御答弁ありがとうございました。以上でございます。

中井委員長 これにて斎藤君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二十九日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十七分散会


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