衆議院

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第28号 平成24年8月23日(木曜日)

会議録本文へ
平成二十四年八月二十三日(木曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 中井  洽君

   理事 大谷 信盛君 理事 金森  正君

   理事 細川 律夫君 理事 三日月大造君

   理事 室井 秀子君 理事 石破  茂君

   理事 小池百合子君 理事 牧  義夫君

   理事 高木 陽介君

      石山 敬貴君    磯谷香代子君

      今井 雅人君    打越あかし君

      江端 貴子君    緒方林太郎君

      大西 健介君    勝又恒一郎君

      神山 洋介君    吉良 州司君

      黄川田 徹君    岸本 周平君

      櫛渕 万里君    後藤 祐一君

      阪口 直人君    杉本かずみ君

      空本 誠喜君    高橋 英行君

      玉木雄一郎君    仁木 博文君

      橋本 博明君    花咲 宏基君

      浜本  宏君    平岡 秀夫君

      馬淵 澄夫君    三浦のぼる君

      谷田川 元君    山崎  誠君

      山田 良司君    山本 剛正君

      湯原 俊二君    渡部 恒三君

      赤澤 亮正君    伊東 良孝君

      小里 泰弘君    金子 一義君

      金田 勝年君    佐田玄一郎君

      下村 博文君    橘 慶一郎君

      野田  毅君    馳   浩君

      山本 幸三君    内山  晃君

      金子 健一君    黒田  雄君

      瑞慶覧長敏君    三宅 雪子君

      山岡 賢次君    東  順治君

      笠井  亮君    照屋 寛徳君

      浅尾慶一郎君    山内 康一君

      中島 正純君    平山 泰朗君

      松木けんこう君

    …………………………………

   内閣総理大臣       野田 佳彦君

   法務大臣         滝   実君

   外務大臣         玄葉光一郎君

   財務大臣         安住  淳君

   文部科学大臣       平野 博文君

   国土交通大臣       羽田雄一郎君

   防衛大臣         森本  敏君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     藤村  修君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 松原  仁君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   農林水産副大臣      佐々木隆博君

   外務大臣政務官      中野  譲君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    山本 庸幸君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 新美  潤君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    鈴木 久泰君

   予算委員会専門員     春日  昇君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月二十日

 辞任         補欠選任

  東  順治君     赤松 正雄君

八月六日

 辞任         補欠選任

  赤松 正雄君     東  順治君

同月二十三日

 辞任         補欠選任

  黄川田 徹君     勝又恒一郎君

  岸本 周平君     緒方林太郎君

  櫛渕 万里君     吉良 州司君

  花咲 宏基君     浜本  宏君

  平岡 秀夫君     阪口 直人君

  馬淵 澄夫君     山本 剛正君

  山岡 達丸君     高橋 英行君

  山崎  誠君     神山 洋介君

  小里 泰弘君     下村 博文君

  三宅 雪子君     黒田  雄君

  山岡 賢次君     瑞慶覧長敏君

  阿部 知子君     照屋 寛徳君

  山内 康一君     浅尾慶一郎君

  中島 正純君     平山 泰朗君

同日

 辞任         補欠選任

  緒方林太郎君     岸本 周平君

  勝又恒一郎君     黄川田 徹君

  神山 洋介君     山崎  誠君

  吉良 州司君     櫛渕 万里君

  阪口 直人君     磯谷香代子君

  高橋 英行君     空本 誠喜君

  浜本  宏君     花咲 宏基君

  山本 剛正君     谷田川 元君

  下村 博文君     小里 泰弘君

  黒田  雄君     三宅 雪子君

  瑞慶覧長敏君     山岡 賢次君

  照屋 寛徳君     阿部 知子君

  浅尾慶一郎君     山内 康一君

  平山 泰朗君     中島 正純君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     三浦のぼる君

  空本 誠喜君     石山 敬貴君

  谷田川 元君     馬淵 澄夫君

同日

 辞任         補欠選任

  石山 敬貴君     山岡 達丸君

  三浦のぼる君     平岡 秀夫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 予算の実施状況に関する件(外交・安全保障等)


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     ――――◇―――――

中井委員長 これより会議を開きます。

 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。

 本日は、外交・安全保障等についての集中審議を行います。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房参事官新美潤君、海上保安庁長官鈴木久泰君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉良州司君。

吉良委員 こんにちは。民主党の吉良州司でございます。

 きょうは予算委員会の外交、安全保障の集中審議ということでございますので、尖閣そして竹島を中心に質問をさせていただきたいと思います。

 その質問に先立って、先日、シリアにおいてとうとい命を落とされましたジャーナリストの山本美香さんに対して哀悼の意をささげたいと思っております。心から御冥福をお祈りいたします。

 シリアといえば、南西部にゴラン高原があり、今もそのゴラン高原では自衛隊の皆さんが平和監視活動ということで輸送業務を行っております。そして、その任務がつい最近延長されたばかりであります。その判断に当たっては、現時点においてシリア情勢が自衛隊の活動の安全性を脅かすものではないという判断をしたと思っておりますし、私ども民主党の防衛部門会議でもそのことを了といたしました。それはそれとして、このシリアの南西部に位置するゴラン高原における自衛隊の活動の安全性については、政府におかれては、引き続いて細心の注意を払い、安全に万全を期していただきたいということを冒頭申し上げたいと思っております。

 そして、そのPKO活動に関連して言わせてもらえば、今、日本は猛暑猛暑とみんなが猛暑でうなっている状況でありますけれども、ゴラン高原のみならず、世界で一番暑いと言われているアフリカ・ジブチを拠点にした海賊対処活動が行われている、ハイチにも行っている、また、ジブチと猛暑、灼熱の地という意味では一、二を争う南スーダンにも自衛隊の皆さんが行かれて活動しているということであります。

 この際、国民の皆さんには、我が国日本において猛暑でまさにもだえ苦しんでいるときに、この日本よりもはるかに暑い灼熱の地で自衛隊の皆さんが、国際平和のため、そして日本の地位を高め、日本の国際社会における信頼を少しでもかち得るためにそういう灼熱の地で頑張っておられるということに、ぜひ、暑いと思ったときは思いをはせていただきたい、このように思っているところでございます。

 きょうの集中審議において、先ほど言いましたように、尖閣、竹島問題を中心に質問させていただきたいと思っていますが、この後、野党からはいろいろな意味で厳しい質問が出てこようかというふうに思います。政権批判、集中してくる可能性もあると思っておりますけれども、私自身は、外交、安全保障というのは国家の生き残りをかけた、そして繁栄をかけた諸外国との、一方では協調、協力であり、そして一方では外交上の闘いである、このように思っています。

 そういう、日本、国の生き残りと繁栄をかけた国家的対応については、党派を超えた協力体制をつくっていかなければいけないというのが私自身の持論でございます。私は、今与党になる、野党のときから至るところの挨拶で言わせてもらっていたのが、外交、安全保障については政権党と政権を担わんとする政党の間で大きな差異がある必要がない、ひたすら国益に向かって国のために協力すべきであるということを言い続けてまいりました。

 その意味で、私どもも多少反省するところがあるとすれば、野党時代の私ども民主党は、ともすれば、自民政権、自公政権との違いを出したいと焦った部分もあったところもあるというふうに思っております。そういうところを反省しながら、今言った党派を超えた取り組みが必要であるということをまず冒頭申し述べたいというふうに思っています。

 特に、民主党はとかくいろいろな見方をされるわけでありますけれども、五五年体制と言われるのは、与党と野党が、ある意味では外交、安全保障こそが対立軸であったというふうに思っていますけれども、私ども民主党は、野党のとき、また今与党になってからもでありますけれども、基本的な外交、安全保障の立場、日米同盟、日米関係を基軸とするということ等については、そういう意味では方向性は一緒だ、このように思っております。

 その意味で、私自身は、冒頭、民主党政権も、今出ていますけれども、正直言って鳩山政権時代の普天間については反省すべきところ大だというふうに思っていますけれども、それを除けば、やるべきことをきちっとやっている、そして打つべき手もきちっと打っている、そういうふうに思っておりますので、その辺のところを、きょうの質問の中で総理そして閣僚の皆さんにお答えいただきながら、国民の皆さんにしっかりと理解をいただきたい、このように思っております。

 そこで、野田総理、以上、私が申し上げた観点も踏まえていただいた上で、まさに尖閣そして竹島に代表される領土、領海、これを守っていくということについての総理の決意、そして基本方針について伺いたいと思います。

野田内閣総理大臣 海洋国家である日本におきましては、遠方離島を含む領土、領海、これについては極めて重要であって、領土、領海をめぐって生じる事案については、不退転の決意を持って毅然とした対応をしていくこと、これが基本的な方針でございます。

 これまでも、政府としては、領土、領海を守るために、排他的経済水域の根拠となる離島の命名など、離島の安定的な維持及び管理のための取り組みの推進をしてまいりました。また、海上保安庁の哨戒態勢の強化など、領海における警備体制の強化にも努めてまいりました。大陸棚の延長申請や竹島問題の国際司法裁判所への提訴の提案など、国際社会への正当性の発信などの取り組みも行ってきているところでございます。

 今後も引き続き、警備体制の強化などを図るとともに、国際社会においてもさまざまな機会を通じて我が国の立場を積極的に主張するなどして、我が国の領土、領海を守るための取り組みを強力に推進していきたいと考えております。

吉良委員 ありがとうございます。

 国際社会に対しても積極的に発信をしていただく、非常に重要なことだというふうに思っています。その意味で、私自身が先ほど申し上げましたように、民主党もやるべきことをやっているということについて、一つは、先ほど冒頭申し上げましたように、海賊対処。これは自公政権のときに決めたことではありますけれども、私どもも、その重要性に鑑みて、海賊対処を継続ということを決定いたしましたし、PKOについては、これまでも出していましたが、ハイチそれから南スーダン等、新たに民主党政権になって派遣を決定したこともございます。

 それから、この後防衛大臣にじっくり語っていただきたいと思っていますけれども、新防衛大綱の策定。これは、中国の台頭含めて大きく安全保障環境が変化するこの東アジアにおける我が国の防衛体制はいかにあるべきかということを、新しい視点を持って策定したものでございます。

 これに加えて、防衛装備品の海外移転。特に平和目的、人道目的、例えば地雷が埋まっているというところに地雷を除去するための建機を、日本の技術がすぐれておりますので、それを提供する。それから、我が国を守るための防衛装備品、例えば戦闘機など、今、アメリカといえども、技術の進歩、それから費用が莫大になるということがあって、国際的な共同開発、そして共同生産が進んでいるという中にあって、私どもも、その国際共同開発・生産、これができるように官房長官のコメントを発出するといったように、結構、知る人ぞ知るという、民主党政権ならではの政策を次から次へと打ち出しているところでございます。

 そういう意味で、この領土、領海保全について、今総理から不退転の決意を持って臨むという力強い言葉がありましたけれども、海外発信、対外発信、これは近隣諸国のみならず、世界に向かって発信をしていただきたい、このように思っております。

 その上で、これまで取り組んできた具体的な内容について今総理から説明がございましたけれども、今後の取り組みについての基本方針について、総理または関係閣僚から説明をいただければと思います。

藤村国務大臣 今後の取り組みという御質問でありました。

 これまでの取り組みについて、先ほど総理からお話しをいただいたところであります。そして、今後も引き続き、警備体制の強化等を図るとともに、やはり国際社会においても、我々、さまざまな機会を通じて我が国の立場を積極的に主張していくなど、我が国の領土、領海を守るための取り組みを強力に推進していく、このように考えているところであります。

吉良委員 ありがとうございます。

 さて、尖閣事案について質問させていただきます。

 今次の尖閣事案については、政府内部で、官邸、外務省、警察、海保を中心に、私自身は、極めて冷静かつ組織立った対応をされたということで、高く評価しております。

 そして、この背景には、香港の活動家らが尖閣の上陸を計画しているという情報を入手してから、外務省を中心として、香港、北京政府そして台湾、米国等と水面下で情報交換をしながら、何とかそれを阻止する、また、それでも強行してきた場合の対応について、いろいろな意味で周到な準備をされた結果だろうというふうに思っていますけれども、今回の尖閣事案に対しての基本的な政府としての方針、どういう方針で臨んだのかということを玄葉外務大臣に。

玄葉国務大臣 尖閣の事案全体となると内閣全体ということだと思いますけれども、私の所掌の範囲で申し上げれば、尖閣諸島は、もう言うまでもないことでありますが、我が国固有の領土、国際法的にも歴史上も疑いのないところで、領有権の問題そのものがまず存在しないということを改めて申し上げたいというふうに思います。

 ただ、結果として、香港の活動家が出航した。我が国の領海に入らないように累次の申し入れをしてきましたが、不法に上陸をしてしまった。このことはやはり遺憾と言わざるを得ないというふうに思っています。これは起きた後も、中国側には伝えておりましたけれども、当然ながら、国内法に従って粛々と厳正に対処しますよということは伝えてきているところであります。

 また、上陸をした後の抗議も大事なんですが、その後の再発防止というのがこれからまた大事になるだろうということを考えておりまして、当然、そのことも既にハイレベルで申し入れをし、しっかりと意思疎通を図っていかなければならないというふうに考えているところであります。

 先ほど吉良委員が、例えば台湾とか香港などと、あるいは中国と、水面下でいろいろ、来ないようにとか、やりとりしていたんだろうということでございますけれども、よく聞かれる質問に、香港の活動家と中国当局との関係ということがございます。これは、確固たる事実に基づかずに推測するというわけにはいきません、さまざまな分析は可能なんですけれども。

 ただ、あえて一言だけ言えば、香港活動家の所属する委員会のホームページにこのように出ているんですね。つまりは、当初、香港の活動家は香港に駐留する中国海軍による護衛航行を求めていたと。今回の出航に際し、中国海軍の護衛は結果として確認されていないというのは御存じのとおりということでございます。あわせて申し上げれば、合流を目指していた中国本土の活動家グループ、これらは今回は船舶が手配できずに合流できなかったということでございます。

 言うまでもなく、我々は、事前に中国側にも申し入れをいたしましたけれども、香港側にも台湾側にもさまざまな申し入れを行ってきたということはあわせて申し上げておきたいと思います。

吉良委員 ありがとうございます。

 外務大臣からも改めて明確な答弁がございましたけれども、尖閣はもう紛れもなく我が国の固有の領土であって、そういう意味では我々は一ミリたりとも譲歩してはならない、これが基本的な立場、一方で、国益を損ねてしまうような過度な緊張、過度な摩擦というのも避けていかなければいけない、挑発をしてはいけない。常に国益を念頭に置きながら、国益の最大化を目指して、それでいて一ミリたりとも譲歩をしてはならない。

 このまさに綱渡りというか、糸の上を渡っていくような芸当を、政府として、外交としてやっていかなければならないということでありますけれども、今回の対応はそういう意味では、一歩も譲歩してはいない、一ミリたりとも譲歩してはいない、一方で、きちっと申し入れをして、残念ながら、今説明ありましたように上陸はさせてしまったけれども、結果的にはエスカレートした状況にはなっていない。そういう意味で、冒頭にも申し上げましたけれども、冷静な対応、組織立った対応について改めて高く評価をさせていただきたい、このように思っております。

 再発防止についての取り組みについても伺いました。その中で、私、今、政府の対応を高く評価したわけでございますけれども、一点だけ腑に落ちないことがございます。それは、この尖閣の事案に対応すべく関係閣僚会議が開催されたと承知しておりますが、その関係閣僚会議に防衛大臣が参加をしていない。このことについては私自身も、与党の立場ではありますけれども、問題意識を持っております。

 想像もつくわけでありますけれども、官房長官、なぜ防衛大臣が参加しなかったのか、この点について説明をいただきたいと思います。

藤村国務大臣 関係閣僚会合というのを十七日に開いています。これは、尖閣諸島不法上陸事案に関する関係閣僚会議、こういう名称であります。ここには、内閣総理大臣、副総理、法務大臣、外務大臣、国土交通大臣、そして国家公安委員長と私、官房長官が出席をして行われたところであります。

 今、なぜ防衛大臣がという御質問でありますが、本件、冷静に見ていただくと、これは海上保安庁及び警察による通常の法執行活動の一環の対応、そのように捉えていて、そういう判断のもとで、今の関係閣僚で十七日に会議を開いたということであります。そして、その際にも、この種事案が発生した場合、関係閣僚会議を今後も開催するということは確認されていますが、今後もそれぞれの事案に応じて必要な閣僚を参加させるということで、これが固定化した今のメンバーということではないということだけは申し添えたいと思います。

吉良委員 私の方からも申し上げましたように、例えば挑発してはならない、過度に刺激してはならないという要素もありますので、そういう意味で、今回は主として海保の対応ということで、防衛大臣まではいいという判断だったんだろうと想像いたしますけれども、一方で、これは危機管理の問題だというふうに思っています。そして、危機管理という点からいくと、実は防衛大綱の中にもある、今後、日本版の国家安全保障会議の創設ということをにらめば、私は、防衛大臣も参加させるべきであったと思うし、今後開かれる場合には参加させるべきではないかということをあえて申し上げさせていただきたいと思います。

 防衛大綱の中でこういう文章がございます。「安全保障会議を含む、安全保障に関する内閣の組織・機能・体制等を検証した上で、首相官邸に国家安全保障に関し関係閣僚間の政策調整と内閣総理大臣への助言等を行う組織を設置する。」これは、明らかにNSC、国家安全保障会議のことを言っているんだというふうに思います。新防衛大綱の中でこのことをきちっと明記している。

 そして、実は今、私ども民主党の政策調査会の中でもこのNSCの創設について議論をしている真っ最中でございます。まだ最終的な結論を得るに至っていない、途上ではございますけれども、ただし、その中でも、NSCのコアメンバーとなるべきメンバーは、総理はもちろんです、総理、官房長官はもちろんですけれども、外務大臣、防衛大臣はコアメンバーとしてメンバーの中に入れるというのが基本的な、今、党で議論をしている中身であります、一部披露でございますけれども。

 そういう意味で、これも、今回こういう形でおさまりましたけれども、危機管理という観点から考えると、将来的なNSCを見越した上で、関係閣僚会合の中にぜひ防衛大臣を入れていただきたいと思っております。

 もし官房長官の方で御意見があれば、答弁いただきたいと思います。

藤村国務大臣 吉良委員、今言っていただきましたように、与党民主党の中でも、これはインテリジェンス・NSCワーキングチームということで、既に中間的には私も御説明をいただいたところでございました。そして、それはさっき、防衛大綱、二十三年度以降の中の、書いてあるところも読んでいただきました。

 我々としまして、政府といたしまして、今、国民の生命や財産、そして我が国の主権を守るということが最も重要な義務、責務であり、政府として引き続き全力を尽くしていく、こういう所存であります。このような我が国の安全保障上の取り組みに際して、官邸が司令塔として適切に機能すること、これが重要であるとも考えています。

 こういう観点から、現在、防衛大綱、先ほど読んでいただきました部分も含めて、私を長とする国家安全保障に関する内閣機能強化のための検討チームというものを設けて、これを中心にして今検討を進めているところでありますので、今の御意見も踏まえながら、あるいは与党の報告もまた近々に出していただくのかもしれませんが、それらを踏まえてしっかりと取り組んでいきたい、このように考えております。

吉良委員 ありがとうございます。

 党としても、NSCのあるべき姿、早急にまとめたいというふうに思っておりますけれども、その際にはまた政府に提案をさせていただきたいと思っていますし、くどいようですが、今後の関係閣僚会議の中に防衛大臣を入れていただきますように重ねてお願いをしておきたいと思います。

 さて、さっき言いました、一ミリたりとも譲歩してはならない、一方で、挑発してはならない、こういう中で、お互いというか、我々からしてみれば、主張をし続け譲らない、けれども相手と本音の議論、本音の交渉ができるといういろいろなルートをつくっていかなければいけないというふうに思っています。

 そういう意味で、政府間交渉、そして議員間交流もございますし、同時に、やはりそれぞれの、日中の学者等の有識者が集まって、いわゆるセカンドトラックでの対話の場が必要だというふうに思っています。政府が言いづらいことを、こちらも本音ベースの意見交換をしていくという場としても有効だというふうに思っています。

 玄葉大臣に、このセカンドトラックの対話の場の必要性について伺いたいと思います。

玄葉国務大臣 まず、おっしゃるように、主権の問題そして尖閣、これは絶対に譲れないわけです。その上で、やはりさまざまなレベル、それは吉良委員が御指摘をいただいたように、政府だけではなくて、民間、そして政府と民間が入ったいわゆる一・五トラック、こういった形でも日中の双方の意思疎通を強化するということは大変大事なことです。なぜかといえば、事態で一番困るのは誤解であります。誤解によって事態が拡大をするということがございますので、信頼関係を含めてしっかりと意思疎通を強化していくということが大事である。

 ちなみに、二年前の事態があって、我々は海洋協議というのを始めたんですね。海洋関係の機関というのは日中双方とも幾つもあるわけです。その幾つもの海洋機関がそれぞれ日中双方とも席を同じくして、ともに意思疎通をしようではないかということを中国の外相に、私、外務大臣になってから提案をしました。第一回の会合が開かれました。私は、かつてより意思疎通がよくなったというふうに思っています。

 それは政府レベルの話でありますけれども、そういった取り組みに加えて、今御提案のあったような取り組みを強化したい。十一月下旬に長崎と東京で新日中友好委員会、これもまさに今御指摘いただいたような委員会でございますので、そういった委員会等を含めて、しっかりと誤解のないように意思疎通を図っていきたいというふうに考えております。

吉良委員 ありがとうございます。

 全く同じ思いでございますので、一・五トラック、セカンドトラック、さまざまなレベルの交流をお願いしたいというふうに思います。

 さて、先ほど防衛大綱、NSCの部分を読ませていただきましたけれども、私ども民主党政権になって、新しい防衛大綱を策定いたしました。その中では、大きく変化する東アジアの安全保障環境というのを見据えた中でのいろいろな、動的防衛力それから島嶼防衛の必要性というようなことを書き込んでおります。

 森本防衛大臣、この防衛大綱の中で動的防衛力また島嶼防衛の必要性について強調しているわけでありますけれども、今回の二つの事案に鑑みて、いま一度この防衛大綱の重要部分についての必要性について説明いただければと思います。

森本国務大臣 冷戦が終わりましておおむね二十年、東アジアは依然として安全保障上非常に厳しい環境の中にありまして、核戦力を持っている周辺の国が軍事力を強化したり、あるいはいろいろな軍事活動を広げていったりしているという事実があると思います。地域においては、朝鮮半島あるいは台湾海峡など、まだまだ気を許すことのできない地域も我々周辺にあるわけでございます。

 アメリカの地域戦略も国防戦略も少しずつ変化しておりまして、その中で我が国は、周辺の警戒監視を行いながら、日本の防衛力を、今までの存在をさせる、そこに存在することによってつくっている抑止というより、むしろ、必要な場面に必要な地域に柔軟に動かし、運用することに重点を置いて日本の国家の防衛を担っていくということを重点に新しい大綱ができているわけであります。

 その中で、特に、日本の国というのは、島でいうと、百メートル以上の周囲を持っている島が六千八百以上あります。北東部から南西部の長さというのは約三千二百キロという長い地域に及んでいて、そのうち、鹿児島県から南西の端まで約千二百キロ、日本の本土の約三分の一が鹿児島から沖縄に至る南西方面、その海域に我々は周辺諸国からじわじわと近寄ってこられているという現実があると思います。

 この領域を、どのようにして防衛力を柔軟に動かして国家の安全を維持するか、これが日本の防衛力の重要な政策課題の一つであるというふうに考え、特に、御承知のとおり、与那国島に部隊を新しく置いたり、あるいは沖縄の戦闘機の部隊をふやしたり、あるいはC1や潜水艦、あるいは陸上自衛隊の部隊をふやしたりして、南西方面の防衛を少し厚くして、日本の島嶼防衛というものを重視してやっていく、これが大綱に基づく島嶼防衛の重点課題である、このように考えております。

吉良委員 ありがとうございます。

 しっかりと環境変化に対応した体制づくりをしているということでございますけれども、その中で、先ほど来言っていますように、挑発してはいけない、刺激し過ぎてはいけないということは十分承知しておりますけれども、やはり我が国の領土、領海を守り抜くという覚悟を示す必要があります。その意味で、島嶼防衛についての自衛隊における訓練、演習について、簡潔にやっていることを説明いただければと思います。

森本国務大臣 島嶼防衛を行うためには、まずいかにして島という我が国の固有の領域に一ミリ、一センチとも近づけないようにするかというための警戒監視を常時行うということだけではなく、近寄ってこられたら、警察や海上保安庁と連携をして、事態の様相の変化に応じて柔軟に対応できる態勢を常にとるということであります。

 それだけではなくて、そのために在日米軍との各種の共同訓練を行い、あらゆる事態に対応できる連係動作を平生から共同訓練、統合訓練を行うということと同時に、我が国としても、例えば着上陸、あるいは仮に島嶼が侵略された場合、これを奪回するに必要な能力を我が国として独自に持つ、このための訓練に努め、トータルで我が国の島嶼防衛をできるだけ強化できるよう、能力の向上を図っているというところでございます。

吉良委員 ありがとうございます。

 そういう意味で、安住財務大臣のにらみが怖いのでありますけれども、今回のこの事案を見てもわかるように、南西諸島防衛、島嶼防衛の重要性というのは国民全てが共有するところだろうというふうに思っています。そういう意味で、動的防衛力の構築、南西諸島そして全体を含む島嶼防衛について、予算をきちっと、国家的な意思を対外的に示すという意味でも、ぜひ我々としては要求をしてまいりたい。これは答弁は結構であります。その旨を、思いをお伝えしておきたいと思います。

 ちょっと順番を変えさせていただいて、竹島問題に移らせていただきたいと思います。

 まず、今回の李明博大統領の竹島上陸、また天皇陛下への言及、これはもう断固として許されない。まして、ちょっとまだ報道ベースで、最終確認はしていませんけれども、総理親書を読まずに突き返したというような非礼なことも起こっております。

 そういう意味では、これまで特に、私も外務大臣政務官のときにいましたけれども、二〇一〇年という日韓併合百年をとにかくお互いのナショナリズムに火をつけずに何とか乗り切っていこうと必死の思いで両国の外務当局が頑張っておりました。それが、ここまで非礼な対応に出てくるということは本当に遺憾でありまして、その意味で、これまでは丁寧に、竹島問題については、我が国の固有の領土である、けれども実効支配できていないという答弁から、玄葉大臣の方で、不法占拠という一歩踏み込んだ、法的立場は変わりないけれども、踏み込んだ表現で強く抗議も含めて我らの意思を明確に打ち出したことは、私は了といたします。

 その中で、この後、竹島問題、いろいろな指摘があろうかと思いますけれども、この竹島に残念ながら韓国によるいろいろな構造物がつくられております。その経緯について、ちょっと国民の皆さんにもパネルで見ていただきたいというふうに思っています。

 これはもう御承知のとおり、一九五一年のサンフランシスコ条約では、私どもが放棄した中に竹島は含まれていない。そして、古来より、歴史的に我が国の領土であるということは確認されているわけでありますけれども、にもかかわらず、李承晩ライン宣言以降、残念ながら韓国側に、ここに書いてありますように、次から次へと、あたかも韓国の実効支配が進んでいると思われるような、ヘリポートの設置、それから接岸施設の完工というようなことが行われているということであります。

 まず、国民の皆さんには、いろいろと私ども民主党政権に対する批判はございますけれども、これを見ておわかりいただけるとおり、これはもうどの政権が悪いとかいうことではなくて、この歴史的事実を見ていただければわかるとおり、そして、私が冒頭申し上げたとおり、これまでのずっと積み重ねが今に至っているということで、これからは、いろいろあろうかと思いますけれども、まさに党派を超えてこの竹島問題についても断固たる対応をしていかなければいけない、このように思っているところでございます。

 今回、この李明博大統領の上陸に対して政府としてとった措置について、簡潔にお聞きしたいと思います。

玄葉国務大臣 おっしゃったとおり、まず超党派で進めるべきだと思うんですよね。

 結局、中曽根政権、全斗煥時代、これは非常に安定していたんですけれども、ヘリポートができました。その後、灯台が有人化された、接岸施設ができた、これは金泳三政権のときですよ。あるいは、盧武鉉政権のときに今の竹島の二十八事業ができたんですね。

 私がICJへの提訴の話をしたときに、今までなぜしなかったんだと。それは、日韓関係全般に及ぼす影響への考慮、配慮、こういう話をしました。それは、だから、これまでずっとそういう考慮、配慮というのが一定程度働いていたんだと思うんです。私は、今回の上陸でこれは不要になったということで、ICJ、国際司法裁判所への提訴、そして、一九六五年に日韓の紛争解決の交換公文というのができているんですけれども、それに基づいて調停というものを今提案しているという状況でございますし、領土問題には領土問題をというのが基本ですから、やはり、先ほどおっしゃったように、不法占拠という言葉をあえて使っております。

 また、これは私が答弁する話じゃないかもしれません、官房長官かもしれませんけれども、この領土の問題に対する体制強化を政府全体で行っていくということが必要だと思います。

 その上で、まさに非礼な発言もあったわけでありますから、そういったことも含めて、今後、さまざまな相応の措置、オプションというものを用意していく。毅然と対応する、しかし冷静に対応する、そのことが大事だと思います。

吉良委員 ありがとうございます。

 まさに国を挙げて断固とした対応をしていくということが必要であろうかと思います。一方で、最後に大臣が言われていたように、この非礼に対しては断固たる対応をするけれども、一方、大事な隣国であり、そして、今は韓国の国内の状況がなせるわざというところもあるというふうに思っていますので、未来永劫ということではなくて、決定的な関係悪化には至らない、微妙な中で毅然とした対応をしていくということをお願いしたいというふうに思います。

 さて、ちょっと時間が残り少なくなってまいりましたが、海上保安庁の対応についてであります。

 私、先ほど言いましたように、今回の海上保安庁の対応というのは本当に見事であったというふうに思っています。

 その中で、まず、これは質問というよりも、私も、今回の件で改めて海上保安庁の海上警備にかかわる予算、体制を知って愕然といたしました。それは、あれだけの大海原、それこそ日本は海洋面積でいえば世界六位になるというようなこの大海原を警備するに当たって、その予算は全体で千七百八十億円、そのうち人件費が五三%でありますから、例えば、重要な装備である船舶建造はわずか百七十五億、そして航空機購入費が八十九億、このような状態であります。

 今申し上げましたように、これだけの大海原を、しかも、特に東シナ海等でいろいろな圧力がかかっている中で、この海上警備、より一層充実を期すためには、私は、海上保安庁の装備、体制への支援充実が必要だというふうに思っています。これも、また党側としては、予算厳しき折ではありますけれども、しっかりと要求してまいりたいと思っています。(発言する者あり)ばらまきでは絶対にありません。

 それで、先ほども大臣ですか、言っておられました、海上警備に当たっての自衛隊、警察、海保との合同演習、これも極めて重要だというふうに思います。そういう意味で、実際、合同の演習、協力がどう行われているか、極めて簡潔にお答えいただければと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 海上保安庁と海上自衛隊との間では、北朝鮮の不審船対処に係る共同訓練、通信訓練等を実施するなど、緊密な連携協力体制を構築してございます。また、警察との間でも、テロリストの入国阻止のための水際対策訓練等を実施するなど、緊密な協力体制を構築しております。

 今後ともしっかりと、変化する領海警備情勢に適切に対処してまいりたいと考えております。

吉良委員 ありがとうございます。

 こんな場で言っていいのか、私は、映画の伊藤英明さんが主人公の「海猿」、あれを見に行って、本当に感動して涙してしまうんですけれども、海保に対する国民の理解も物すごく、映画そしてまたこういう冷静な対応で評価が高まっている折に、まさに海上警備の体制整備、国を挙げてしなければならないということを強調させていただきたいと思います。

 最後になりますけれども、今回、この上陸事案についても、私は、まさにどういう不法な上陸をしているのかということをビデオ公開した方がいいのではないかというふうに思っています。

中井委員長 まとめてください。時間がありません。

吉良委員 はい。

 前回の漁船衝突事案のときも、結果的に後で出したわけですけれども……

中井委員長 時間がないから、まとめなさいと言っている。

吉良委員 はい、わかりました。

 公開をしていただきたいと思っておりますけれども、簡潔に答弁いただければと思います。

中井委員長 藤村官房長官。短く答えてください。

藤村国務大臣 ビデオ公開について海保は、業務執行に係るビデオの公開について、規制手法や逮捕のための捕捉手法が明らかになるといった領海警備等の業務への支障などを考慮して、慎重な考えを当初示していらっしゃったので、私の方から、これはそういう領海警備の業務に支障がない範囲で出せるものは出しなさいという思いでそれを指示いたしました。

 今、その指示を受けて検討しているはずでありますので、近々にそれなりの公開ができると思います。

吉良委員 終わります。

中井委員長 これにて吉良君の質疑は終了いたしました。

 次に、平山泰朗君。

平山委員 国民新党・無所属会を代表して質問をさせていただきます平山泰朗です。

 このたび、予算委員会での発言の場を与えていただき、関係各所の方々に御礼申し上げます。国民新党会派は、幹事長の下地は宮古島の出身であり、私も離島の壱岐というところの出身であります。それゆえ、今回尖閣、竹島の国境離島が事件になっていることに関しまして、並々ならぬ関心と遺憾の念を持っておりますことをまず初めに申し上げたいと思います。

 さて、十分間という限られた時間ですので、早速質問に入らせていただきます。

 まず、外務大臣にお伺いいたします。

 竹島の領土問題は今始まったことではなく、一九五二年の李承晩ラインの宣言から、その後の不法占拠による実効支配、李明博大統領の竹島の上陸に至るまで続いております。つまり、この問題は、民主党政権ならず自民党政権下においてこそ、その多くの事件が起きたとも言えるのではないでしょうか。

 では、自民党政権下で、一九五二年、李承晩ライン、一九五四年、海上保安庁巡視船の銃撃事件、一九八一年、ヘリポートの設置、同年、住民の居住、一九九八年、灯台の設置、二〇〇五年、観光客の来島時に当時の政府はどのような対応を韓国政府に対してとったのか、お答えください。

玄葉国務大臣 竹島は我が国固有の領土であって、これは一九〇五年に島根県に編入しているわけです。それは再確認ということで、実は竹島はそれ以前から、江戸時代から幕府公認で町人の方が、アワビ、アシカ、そういった捕獲とか漁とか、そういうものをしていた。ですから、その時点から日本の領有権というのは確立をしていたわけですけれども、おっしゃったとおり、一九五二年に李承晩ラインというのが一方的に引かれて、五四年に、いわば韓国の軍が駐留をする。その後、ヘリポートだ灯台だ接岸工事だ、さまざまなされた。

 その都度どうしてきたんだということなんですが、基本的には、そのときは口上書による抗議ということなんです。ですから、そのときはそのときで最善の対応をとったということなのだろうと思うんです。ですから、先ほど申し上げたように、それは日韓関係全般に及ぼす影響を考えた一つの配慮というものが働いていたんだろう。

 ただ、私は今回のことで、つまりは上陸ということが、しかも元首の上陸というのがありました。今まで、実は韓国の首相の上陸なんかもずっとあるんですよ、この間。あるんですが、今回、元首の上陸ですから、やはりしっかりとICJに提訴して、領土問題には領土問題、ここは毅然と対応し、しかし同時に、先ほど吉良委員からも御指摘がありましたけれども、冷静に対応するところは対応する、このバランスが大変大切だというふうに考えているところでございます。

平山委員 ありがとうございます。

 では、続いて野田首相にお伺いいたします。

 現在、政府が尖閣諸島の購入を検討していると伺っております。しかしながら、購入するだけでは、所有権者がかわった、今の状況が変わるとはとても思えません。購入したということを前提に、例えば無線基地であり、漁港、灯台などの施設をつくり、尖閣諸島に対して明確な実効支配下に置く必要があると思われます。

 購入後、具体的にはどのように考えておられるのか。所有者も、売却後、尖閣諸島がどう利用されるかを気にされておられるようなので、明確なお答えをいただきたいと思います。

野田内閣総理大臣 現在、東京都の購入に関する計画の具体的な内容等の把握に努めるとともに、尖閣諸島の平穏かつ安定的な維持管理を継続するとの観点から、今いろいろと御指摘がございましたけれども、明確にというお話でございましたけれども、そういう観点から、さまざまなレベルでさまざまな接触をして、その中での検討をしている。明確じゃないと思いますけれども、今ちょっと、そのプロセスの途中にありますので、そういう答弁でお許しをいただきたいというふうに思います。

平山委員 理解しました。

 尖閣の問題というのは、私も、尖閣諸島自体、これは日本の固有の領土だと思っておりますので、ぜひ政府としては、毅然たる態度、そして実効的な支配をこの場にいただきたいと思っております。

 では、三問目の質問に移ります。

 北方領土に対しては、内閣府に北方対策本部があります。しかしながら、尖閣、竹島のような国境の離島にはそのような専門の対応部署がないと聞いております。もちろん固有の領土であることは疑うべくもありませんが、しかしながら、近隣国が領有権を主張してくる以上、専門部署を置いて対抗戦略を立てる必要があるのではないかと考えます。

 ぜひ国境離島専門の部署の設立を検討していただきたいと思いますが、外務大臣の御所見をいただきたいと思います。

玄葉国務大臣 これは本来は官房長官だと思うんですけれども、竹島について政府の体制強化と、総理の指示がございましたので、この体制強化について総理、そして官房長官を中心にしっかり行っていかなければならない。

 ただ、そのときに、これは内閣府に北方領土の対策本部があるんですね、そこにしわ寄せが行っちゃいけないと思うんです。例えば、よく、そういうことというのは予算の獲得競争の中で一般論で言うとありがちだから、絶対そういうことのないように、しっかり、北方領土は北方領土、そして竹島は竹島。ただ、尖閣は、これはまた領有権の存在そのものが、存在しないという立場なので、北方領土と竹島と全く同列に扱うということはむしろしない方がいいというところはあるというふうに思いますので、そういったことに留意しながら体制強化に努めてまいりたいというふうに考えております。

平山委員 ありがとうございます。

 では、最後の質問となります。外務大臣にお伺いしたいと思います。

 いわゆる尖閣、竹島などの離れ小島の領土が近隣国との衝突となっているかといいますと、そこに排他的経済水域を規定しております海洋法に関する国際連合条約が存在するゆえではないかと私は思っております。つまり、二百海里規定がそもそも領土紛争の大きな原因であるということは言うまでもない。

 ならばこそ、近隣国には毅然とした態度をとりながらも、この条約を含め、より現実に合わせた、紛争をなくすような新たな国際的な取り組みをつくる努力も一方では必要ではないかと考えます。また、国際司法裁判所などのあり方も、この際見直しを国際的に提言すべきではないでしょうか。御所見をお伺いしたいと思います。

玄葉国務大臣 国連海洋法条約、これはまさに海洋をめぐる問題を扱うんですね。これは領土の問題を対象としているわけではありません。ただ、平山委員の問題意識は、いや、そこに資源があるからいろいろな問題が起きるのではないか。そういう部分もあるかもしれません。

 ただ、この国連海洋法条約は、一九九四年にたしか発効して、我々は九六年に批准しているんですね。十年交渉し、しかも今、国際社会に広く受け入れられているところがあります。ですから、私は、国連海洋法条約は海洋法条約として、これ自体を変更するということはむしろしない方がいいと思うんです。

 我々は、海洋国家としてずっとこの問題にかかわってきた、しかも、法の支配の重要性を言ってきた。一言でもあえて言えば、我々はいわゆる義務的管轄権、強制管轄権の受諾宣言をしています。例えば、今回ICJに竹島の問題を訴えましたけれども、ICJで、ロシアとか中国とか韓国とか、実は強制管轄権受諾宣言を受けていないんです。入っていないんです。

 やはり、そういったことも含めて、これからきちっと対応していきたいというふうに思います。

平山委員 以上、質問を終わります。

中井委員長 これにて平山君の質疑は終了いたしました。

 次に、石破茂君。

石破委員 総理が命を削る仕事であるということはよく承知をいたしております。立場は違いますが、総理の連日の御精励には心から敬意を表する次第であります。

 きょうが二十三日、韓国の大統領が不法上陸をしたのが十日、香港の活動家が不法上陸をしたのが十五日。我々として、韓国の大統領が上陸をしたときからこの委員会の開催を求めてまいりました。

 先ほど来、この外交、安全保障に与党も野党もない、そのとおりです。野党の意見をきちんと述べるのはこの場であり、総理、外務大臣、そういう方々の御見解を承るのもこの場であります。国民の皆様方に見える形できちんと議論をすることが必要であるということを韓国大統領の不法入国からずっと申し上げてきたにもかかわらず、何でここまで開催がおくれたのか。このことに対しては、私は厳しく抗議をしたい。

 そして、きょうも、この午後だけです。私は、この委員会は、最低でも衆議院丸一日、参議院丸一日。先ほど来議論があるように、竹島の問題そして尖閣あるいはロシア、中東情勢、いろいろな問題があります。そういう問題を、確かに外務委員会もあるでしょうよ、外交防衛委員会もあるでしょうよ、しかし、総理が出席をされ、そして多くの委員が議論をする、そして、国民注視のところで議論をするということが必要であるにもかかわらず、衆議院はきょう午後だけ、参議院も恐らくそうなるのではないでしょうか。こういうことは極めてよくない。私は、ほかのことに絡めるべきではなくて、この日程はきちんととって、きちんと議論することが必要であった、そのように考えております。

 まず冒頭、このことは申し上げておかなければなりません。

 我が天皇陛下に対する韓国大統領の非礼な発言であります。日王がもし韓国を訪問したいというのであるならば、独立運動でかかわった人たちに謝罪をするべきだ、痛惜の念なぞという言葉であるならば、来なくてよい、この言葉は一体何なんだ。

 これに対して我々はどう反応したか。理解に苦しむ、そのような反応でいいのか。理解に苦しむどころの話じゃないでしょう、これは。我が陛下は、恐れ多いことであるけれども、日本国憲法第一条によって、国民統合の象徴であらせられる、日本国の象徴であらせられる。そして、そのお立場は、主権の存する日本国民の総意に基づく、これが日本国憲法第一条の規定であります。陛下に対する非礼は、我が日本国並びに日本国民に対する非礼であります。

 これに対して、理解に苦しむ、こういうような反応であってはならない。撤回を求めるべきである。謝罪を求めるべきである。私は、政府として、それが毅然たる対応だというふうに考えております。

 総理の御見解を承ります。

野田内閣総理大臣 まず、事実関係として、我が国から韓国政府に対して天皇陛下の御訪韓を要請したという事実はないんです。事実がないから、理解に苦しむという言葉が入りました。事実がないからです。その上で、まことに遺憾であるということを申し上げています。意味は、だから、そういうことであるということであります。理解に苦しむだけで終わっていません。加えて、外務大臣から韓国大使に対しても厳しく抗議をさせていただいております。

 ということで、非礼である、失礼であるという認識は、全く私も同感であります。

石破委員 私は、最低でも撤回を求めるべきであるというふうに申し上げました。謝罪を求めてしかるべきものだと思っております。

 日韓関係が極めて重要であること、さらに深めていかねばならないこと、感情に走ってはならないこと、間違っても武力衝突、そのようなことは断固として避けるべきであること、そのことは百も万も承知をいたしております。しかし、陛下に対する非礼は、日本国民、そして日本国に対する非礼である、そういう認識は総理はお持ちのはずであります。さればこそ、撤回は求める、我が自由民主党であれば撤回を求める、そういうことを申し上げておきます。

 今回の一連のことを見ておって、私は正直申し上げて、どの国の国益を重んずる政府なのか、そしてこの国は本当に法治国家なのか、そして政治主導とは何なのか、この三点を強く思っております。今もそれは変わりません。

 危機管理という点で申し上げれば、今回の、十五日、香港の活動家の不法上陸、これについては後ほど詳しく申し上げますが、その日に、海上保安庁を含みます国土交通省、大臣、副大臣、政務官、誰か一人でも登庁しましたか。国土交通大臣。

羽田国務大臣 午前中に奥田副大臣が登庁されました。

石破委員 この事案が起こったときに、誰かいましたか。

羽田国務大臣 待機はしておりましたけれども、登庁はしておりません。

石破委員 大臣は、靖国に参拝され、そして慰霊祭に出席され、その後、御自宅にお帰りになった。ほかの政務官、副大臣たちは、それぞれ選挙区に帰っておった。自宅で待機をしておることがなぜ正しいのですか。なぜ、登庁して判断をしない方が正しい、あなたはそのように判断されたのですか、お答えください。

羽田国務大臣 八月十五日には、先ほど述べられましたように、靖国神社の参拝をさせていただき、平成二十四年の全国戦没者追悼式に出席をさせていただいた後、登庁しませんでしたけれども、在京待機をしており、必要に応じ、いつでも対応できる状況としていたところであります。

 海上保安庁からは、現場における対応について適切に報告を受け、また、私から海上保安庁長官に対しては、法令にのっとり適切に対処するという基本的な方針を直接指示したところであり、登庁していないことが問題になるというふうには思っておりません。

石破委員 いいですか。日本は確かにお盆ですよ、夏休みですよ。ほかの国はお盆ではない、休んではいない。では、後ほど承ります。国土交通大臣がどれだけ法令をきちんと理解しておられるか、それは承りましょう。

 いいですか。登庁しない方がいいと。登庁した方がいいに決まっているでしょうが。今考えて、登庁した方がよかった、そういうふうにお考えになりませんか。それとも、あれでよかったというふうにお考えですか。

羽田国務大臣 国土交通大臣というのは、海上保安庁法の規定によって、海上保安庁長官を指揮監督できますけれども、司法警察職員たる個々の海上保安官に対して指揮監督を行うことや、海上保安庁が行う個別の案件について指揮を行う立場でないというふうにされております。

 そういう意味では、作戦遂行中でありましたので、適宜、長官からは、作戦遂行中の合間に携帯で直接報告を受けてきたところであります。

石破委員 ちょうど二年前ですか、漁船衝突事案というのがあって、私はやはりここでも似たような議論をしましたよ。誰が、どのような責任において判断をしたのか。あのときの学習効果があったならば、今回のようなことになっていない。

 確かに、国土交通大臣は直接指揮監督する立場にはないでしょう。しかしながら、政治的にどうあるべきかという判断が携帯電話でできるんですか。その場で、現場で何が起こっているか見なくて、どうして瞬時の政治的な判断ができるんですか。

 私が聞いたのは、あなたはいた方がよかったのではないですかというふうに聞いているんです。どうですか。

羽田国務大臣 そういう意味では、今後しっかりと、今御指摘をいただいたことも踏まえて、行動をしていきたいというふうに思います。

石破委員 大臣も副大臣も、政務官に至るまで、誰もそのときにいなかった。これで何で危機管理ができる。どこが政治主導だ。それに、多くの海上保安官の命もかかっている。日本国の治安もかかっている。その責任者たちが、日ごろは政治主導を標榜しながら、誰一人登庁しない。このことは極めて重大な問題である、私はそのように考えております。

 では、この対処方針。そのときそのときでいろいろな状況が起こりますね。シナリオどおりにはいきませんね。当然のことです、相手は生きているのですから。この対処方針というのはいつ、どこで決まったものですか。香港の活動家が香港を出航した時点で、来る目的ははっきりしていた。行うであろうことも幾つもケースに分けて予想できたはずだ。当たり前のことです。

 では、このように対処をするという方針が、いつ、どこで、誰の責任において決められたのですか。官房長官。

藤村国務大臣 まず、政府は、活動家を乗せた抗議船が香港を出航した、これは八月十三日ですが、ここでまず内閣危機管理監のもとで関係省庁会議を開催いたしました。そして、そこで基本的対処方針を協議いたしました。

 さらに、総理は、関係省庁間で確認したこの基本的対処方針について、十四日に内閣危機管理監から報告を受け、これを了承するとともに、引き続き、関係省庁の緊密な連携のもとで緊張感を持って情報収集に当たるとともに、事態に応じて、我が国法令に基づき適切に対処するよう、危機管理監に指示をいたしました。

 そして、その後、総理は、事案への対処状況については逐次、内閣危機管理監あるいは総理秘書官等を通じて、これは公邸に総理はおりましたが、報告を受けており、退去強制についても、十六日の時点で総理が事前に最終的な判断をしている。

 そういうことから、総理は最終的にこの方針を判断した、こういう役割をしております。

石破委員 総理がという言葉を何度もお使いになりましたが、総理ですね、総理が判断をされたということでよろしいんですね。

 いいですか。私が何でこんなことを聞いているかというと、尖閣漁船衝突事案のときに仙谷長官と相当やりとりをいたしました。あのときに私は、これが日本国憲法に言うがところの内閣の権能である外交関係の処理に発展をするという認識はありましたかというふうにお尋ねをいたしました。そのときに仙谷長官は、発展するだろうなと思ったというお話でございました。議事録に残っています。もし何でしたらごらんください。

 今回も一緒でしょうが。今回のことが外交関係、つまり、外務大臣を長とする外務省ではなくて、日本国憲法によって外交関係を処理する、そういう案件に発展をするのだ、そういう認識を持っていましたか。

藤村国務大臣 さまざまな判断をしているというのは、今おっしゃった中身のことについても当然検討しているわけであります。そしてその上で、総理、私も官邸には詰めておりましたが、法に基づいて適切に対応するという原則のもとで、もちろん、事案の軽重など諸要素を大局的観点から考慮して、最終的に退去強制処分とするということについても、これは政治的な判断を行ったところであります。

石破委員 それは後ほどただしますが、我々の部会で政府が答弁されたことと違いますね。判断をしたのは警察であり保安庁である、正確に申し上げれば沖縄県警と十一管区保安本部である、そういうようなお話を、直後ですよ、自民党の部会でなさいました。それとはそごがありますね。野党第一党の部会でいいかげんなことを言わないでもらいたい。そこは極めて重大な話です。

 長官にお聞きしたのは、これが外交関係に発展するという認識を持っていましたか、いませんでしたかということを聞いているんです。イエスかノーか。

藤村国務大臣 もちろん、可能性という意味では十分に想定をしていたということは事実であります。

石破委員 そのときに、法令にのっとって適切に、これはいつもジョーカーみたいに出てきますよ。その言葉を使っておれば間違いなかろうという話ですが、事は、もっともっときちんきちんと、どの法律なんだと。

 入国管理及び難民認定に関する法律、今回のキーとなる法律はこれですよ。前回の漁船衝突事案のときは、起訴便宜主義という検察庁法がキーだった。今回は、入国管理及び難民認定法、この第六十五条、第七十条、これをどう適用するかが、この問題の全ての鍵なのです。

 これを誰に対応させるか。それは一義的には警察であり海上保安庁ですよね、そうですね。その辺の外国人が何らの目的も持たずに、近くに来たから上がってみよう、きれいな島だから上がってみよう、そうであれば、そういうような適用もあるでしょう。今おっしゃったように、外交関係に発展する可能性がある、可能性どころじゃないですよ。この問題が起こったときから、これは外交関係に発展するのは明々白々、誰が見ても明らかなことなのであります。

 そうすると、この六十五条の適用をどうするかということが関係閣僚会議でどのような議論になったんですか。

藤村国務大臣 まず、当日の話として、あるいは前日の話として今申します。

 今御指摘の入管法の六十五条の適用について、確かに、一義的にこれは捜査機関が判断をしていくものということでありました。そして、その捜査機関がその方針について、これは危機管理監を通して総理にも報告をし、もちろん私にも報告をいただきました。そして、その上で、尖閣諸島をめぐり解決すべき領有権の問題はそもそも存在しませんが、この事件については、いわゆるその他の不法入国事件とは異なる扱いをすることが必ずしも適切でないということと、それからさらに、六十五条を適用するには、その他の犯罪嫌疑がなく、そこで、本事件は入管法六十五条の規定に基づき処理することが適切と捜査機関が判断をしたことについて、総理はそれでよろしい、そういう判断であったと。

石破委員 では、聞きましょう。この六十五条の立法趣旨は何ですか。

滝国務大臣 お答えいたします。

 六十五条の立法趣旨は、ほかに罪を犯した嫌疑がない場合には、刑事手続を進めるより、退去強制手続の速やかな実現を図ることが適当な場合があり得る、そういうことを考慮して設けられたのがこの立法趣旨でございます。

石破委員 今、わざと国益という言葉を抜かして答弁されましたね。

 コンメンタールには、これは法務大臣、御存じでしょう、国益に資すると判断した場合に退去強制がとり得るということが書いてある。誰が国益を判断したのだということは、どのような国益なのだということは後で聞きます。

 いいですか。この六十五条の趣旨は、一部を除いて、今法務大臣が述べたとおりであって、ほかに犯罪を犯した嫌疑、嫌疑ですよ、疑いですよ、これがない場合には、起訴、裁判等の刑事手続に入るよりも、入国警備官に引き渡し、退去強制をした方が国益にかなう場合があり得る、そういう趣旨であるというのが第六十五条です。

 官房長官、この説明、関係閣僚会議でありましたか。

藤村国務大臣 後日に開かれた関係閣僚会合で、この説明、あるいは六十五条の条文など、説明はございました。

石破委員 後日というのはいつですか。

藤村国務大臣 先週の金曜日、十七日に行いました。

石破委員 つまり、対処したときはその説明を受けていなかったということですね。十五日でしょう、事象が起こったのは。今あなたが答えたのは、六十五条の趣旨は十七日に聞いたとおっしゃいましたね。対処方針を聞いたときに、決めたときに、キーとなるこの法律の第六十五条の説明を受けていなかった、そういうことですね。

藤村国務大臣 関係閣僚会合での説明ということで今お答えしたわけですが、その前段では、総理がよろしいという判断をしたのが十六日、このときには、総理あるいは私は、この件について説明を受けていました。

石破委員 どういう説明を聞いたのか、これから承ってまいりましょう。

 いいですか。六十五条は、先ほど来申し上げているとおり、ほかの犯罪の嫌疑がない場合ですよ。公務執行妨害、暴行。私は何カ所かで傷害未遂ということを言いました。ごめんなさい、これは間違いです。傷害に未遂はありません。暴行です。あるいは建造物損壊、すなわち、客体が建物であったり艦船であったりした場合には、器物損壊ではなくて建造物損壊の条文が適用になりますのでね。こういうことの疑いもないという判断は、誰がどのようにしたのかということですよ。

 いいですか。では、一つ一つ承りましょうか。

 公務執行妨害は抽象的危険犯ですよね。法務大臣、抽象的危険犯。抽象的危険犯というのはどういう犯罪かというと、実際に公務が妨害されたことは必要としない。つまり、妨害するに足る行為、歌を歌うとかそういうのだけではだめで、石を投げたとか、そういうような行為が行われた時点で既に既遂なんですよね。これは間違いないですよ。つまり、実際に妨害されたことを必要としないが、そのやった行為が妨害するに足るものであるかどうかということでこの犯罪の成立は決まるんです。当たり前のことです。

 だからこそ、昭和三十三年だったと思うが、最高裁の判決は、石を投げた、一回だけだった、しかしそれは当たらなかった。実際に妨害はされていませんよ。だけれども、石を投げた行為は、妨害するに足る行為ですよ。だから、これで公務執行妨害罪が成立をしている。

 きのう、参議院の決算委員会で、これは国土交通大臣に聞きましょうか、国土交通副大臣が何か間違った答弁をしていますよね。つまり、何で公務執行妨害が成り立たないかというと、実際に妨害されなかったからだ、公務はきちんと執行されたからだという答弁を吉田副大臣がしていますよ。あなたの部下の副大臣がね。

 この答弁、正しいと思いますか。

羽田国務大臣 お答えをさせていただきます。

 活動家から投てきなど抵抗があったものの、これは当庁巡視船乗組員の職務執行を妨害するに足るものとは認められなかったことから、公務執行妨害罪に当たらないというふうに判断をしておりまして、投げたものは、船舶に対して、巡視船に対して投げたという認識でおります。

石破委員 ですから、きちんと法律を理解して、官僚の言うとおりじゃなくて、それを政治家が判断しなくてどうするんですか。さっきから言っているでしょうが。実際に妨害されたかされないかは関係ない。その行為が妨害をするに足るものであったか。

 もう一回言いますよ。公務が執行されているところの横で歌を歌った。例えば、今回の場合に即して言えば、中国の国歌を歌った。そういうことでは全然妨害はされません。だけれども、石を投げるということは、それが当たろうが当たるまいが、それによって実際に妨害されたことが発生しようがしまいが、その時点で既遂なんです。だから、石を投げただけで、それがたった一回で、当たらなかったとしても、公務執行妨害が成立をするというのが最高裁判所の判例なんです。

 今の大臣の答えはそれと全く違うじゃないですか。どうなんですか。

羽田国務大臣 現実的には、当庁巡視船が活動家船舶に対して、退去警告、放水規制、そして接舷規制等の規制措置を適切に実施してきたところであり、投げられたときは、接舷規制、こちらからぶつけて方向を変えるという接舷規制、大変危険なものでありますけれども、これを行っていたときに投げられたというふうに思っております。

石破委員 誰もそんなことは聞いていない。

 そして、これが当たったか当たらないか、公務員に対して投げられたものであるかどうかを問わない。それは、船であっても、補助する者であっても、補助する物体であっても、それはこの犯罪の成立に何の関係もない。当たり前のことですよ。法学部の学生だったら誰でも知っている話だ。そういうお話なんですがね。

 では、何でこれの、嫌疑もない、今までの最高裁の判例からいえばこれは成立しますよ、嫌疑がないということを、誰が、いつ、どこで、いかなる責任において判断しましたか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 公務執行妨害罪に当たるかどうかということでありますが、委員御指摘のように、相手方の暴行、脅迫が公務員の執行を妨害するに足りるものであったかどうか、これが一番大事な部分でございます。

 今回は、我が方の巡視船の船体に向かってれんが片等の投てきが多数行われました。ただ、巡視船の船体に向けてでありますので、私どもの巡視船は、荒波を越えて海難救助等に向かうわけでありますから強固にできておりますので、投てきがあっただけで公務執行を妨害された、妨害に当たるということはないということを、現地の十一管区本部長以下で判断したところであります。

石破委員 鈴木さん、いつ、どこで、誰がと私は聞いているんですけれども。

鈴木政府参考人 現地の責任者であります十一管区本部長以下で判断したということであります。(石破委員「いつ」と呼ぶ)

 その妨害行為が行われた時点、及び、その後、九名の乗った船舶を挟撃して停船させて九名逮捕いたしましたが、その後も含めて、きちっと判断をいたしました。

石破委員 長官、私はあなたも長く知っているけれども、誠実な人柄で、そして法令にもよく通暁した人であることも知っているけれども、先ほど来るる言っている、巡視船が強かろうがいかに丈夫だろうが、それに損害が起きようが起きまいが、そういうことは公務執行妨害の成立と関係ないんでしょう。今までの判例からいってそうでしょうが。石を投げて当たらなくても成立しているんでしょう。何であなたはそんな強弁するの。

鈴木政府参考人 先ほども申し上げましたように、投げた相手は私どもの巡視船の船体でございます。私どもの巡視船は、荒波をかぶっても壊れない程度の頑丈なできになっておりますので、これに向けて人力による投てきがあったからといって、それで公務の執行が妨害された、妨害に足るというような状況には至っていないと判断したものでございます。

石破委員 この答弁は明らかに誤りです。巡視船に対して向けられたものであっても、それは成立はします。実際に損害が発生しなくても成立はします。少なくともその疑いはあるはずです。疑いも全くないという判断が第十一管区海上保安本部の本部長にできるんですか、疑いがないという判断が。つまり、公務執行妨害、暴行、あるいは建造物損壊、そういうような疑いは少なくとも明らかにあると考えるのが素直な読み方であり、今までの日本国の法律の解釈というものであります。

 もう一つ承りましょう。

 今法務大臣が、故意か何なのか、国益ということを省略して答弁をなさいました。そのような退去強制の措置に出た方が国益にかなう場合に退去強制をさせるということが最後にあるんですけれども、入国警備官に引き渡すことができる、こう書いてありますよね。つまり、国益にかなう場合というのがこの法律の趣旨なのであって、どういう国益にかなうかということを誰が判断いたしましたか。

滝国務大臣 法律の建前からいえば、司法警察官でございます。

石破委員 どういう国益にかなうと司法警察官、今回のケースに限って言えば海上保安官ですか、警察官ですか、そして、誰がどのような国益を判断しましたか。

 誰も答えられないなんてことがあるわけないでしょう。これがこの案件の一番のポイントなんでしょうが。どんな国益ですか。誰が判断しましたか。

藤村国務大臣 まず、上陸した七人については、司法警察、これは吏員というんですか、それから、残りも七人ですか、海保が逮捕した九人については、海上保安庁がそれぞれ判断をした、こういうことであります。

 その判断というのは、すなわち、今、公務執行妨害があるかないかの議論がございましたが、これは個別具体の事案に即してそれぞれ現場が判断をするということで、海保あるいは沖縄県警において、それはもちろん必要な捜査を尽くした上での結果、他に犯した嫌疑が認められなかったということからの六十五条適用を判断した、こういうことであります。

石破委員 いいです。政権交代してからきっちり検証します、このことは。

 私が聞いているのは、どの国益ですか、何の国益と比較考量して判断しましたかと。今の長官のお話だと、現場の海上保安官あるいは警察官が、退去強制のプロセスに入った方が国益に資すると判断をしたというお話でした。

 では、その警察官がどんな国益を判断したんですか。そういう人たちが判断できる国益ですか。その辺の不法上陸と違うとさっきから言っているでしょうが。この島に上がってみよう、そういう人たちを退去強制に処するのは、それはいろいろな複雑な手続、煩雑な手続よりは、もう二度とするなよということで帰した方が、いろいろと経済的にもよいだろう、そして再犯の可能性もないだろう。

 いいですか。起訴便宜主義という言葉を便利に使って、何だかわからないままに中国人船長を釈放しましたね。あのときに、起訴便宜主義と起訴法定主義の違いは何なのかという議論をしましたね。

 つまり、日本の国は起訴法定主義をとっていない、捕まえたら必ず裁判にかけるというふうな建前になっていない。それは一人一人が官庁である検察官が判断をするものだというのが起訴便宜主義です。つまり、起訴しない方が、再犯も起こらないし、そしてまた社会的な影響も少ないし、この二つの場合に限って、一個独立の官庁たる検察官が起訴便宜主義によって起訴しないことがあり得る、これは起訴便宜主義だというお話をしました。

 今回も非常によく似たお話であって、それぞれの警察官が、あるいは海上保安官が、ほかのケースと違うと先ほど来申し上げております、今回は、日本国の国益とは何なのか、日中のこれから先の関係とは何なのか、そういうことが問われているのだが、そういう判断を一人の警察官、海上保安官がしたということをおっしゃっておられますか。

藤村国務大臣 解説書に、確かに国益という言葉はございます。ただ、別に法律上は国益という言葉はございません。これをつくった時代というのは今の状況と大分違う。このときの解説書にある国益というのも、違う意味での国益があることは、先ほどお話の中にございました。

 そういう意味で、現場の警察官ないし海上保安官というのは、その過去の例も引きながら、そして、その他の犯罪容疑がないということをきちっと捜査を尽くして、他に犯罪を犯した嫌疑が認められないということから、六十五条適用というものを考えたわけですね。その上で、しかし、それは危機管理監から総理に報告をされた上で、これは冒頭にもございましたように、当然これはまさに国際問題が想定されるわけですから、そういうことを含めたものを、これは最終的に、総理は、現場のその六十五条適用の判断はそれでよろしいという判断をしたということではございました。

石破委員 随分いろいろ考えた、苦しい答弁なんですよね。

 いいですか。解説書は、私も国会図書館を全部見てみた、これしかない。これ以外にこの法律の解説書はない。そして、それ以来、新しい解説書も出ていない。つまり、ここに国益と書いているのは、その辺の学者さんが書いたコンメンタールじゃありませんので。これは法務省のこの条文作成に当たった方が書かれたコンメンタールで、今のお役人は知らないかもしれない。そこには、きちんと、国益を判断すると書いてあるんですよ。

 先ほど来、あなたは、六十五条を適用すると何度も言っているじゃないですか。私は、このことは現場に判断を委ねるべきものではなかったと思っているし、実際にそうではなかったと思っているんですよ。

 一番最初に、とにもかくにも上陸をさせるということがある。何が何でも、何があっても上陸を阻止せよというような、そういう指示は少なくとも政治からは出ていない。出しましたか。何が何でも上陸を阻止せよということを出しましたか。そして、上陸をさせたとするならば、つまり、それが想定されていたから、あれだけ警察官がいたんでしょうが。普通はいませんよ。あそこにいるわけないもの。上陸することあり得べしということだったから、あそこに警察官がいたんでしょう。そう考えるのが普通ですよ。そして、けがをさせるな、上陸させた場合にはこの入管難民認定法の六十五条で対処せよ、そういうことが官僚から出て、関係閣僚会議で報告され、それを了としたのではありませんか。

藤村国務大臣 まず、方針のことで申しますと、いわゆる抗議船等の海上での排除に全力を尽くすという意味では、これは当初からの方針ではありました。それからさらに、不法上陸対策についても万全を期すことというのも方針でありました。

 それから、今、関係閣僚会合でとおっしゃったので、これは十七日でありましたが、それより先に、先ほど申しましたような、総理がよろしいという判断を、それは現場の今の六十五条適用ということについての判断を総理がよろしいということでの判断をしていた。そして、それらを関係閣僚会合で報告し、了とされたということは事実であります。

石破委員 では、聞きます。けがをさせるようなことがあるのであれば上陸させてもよいというような指示は誰かから出ましたか、出ませんか。

藤村国務大臣 捜索などに関して余り細かいことを申し上げませんが、申しましたように、抗議船等の海上での排除に全力を尽くすという方針がございました。

石破委員 質問に答えてください、そのような指示を出したか出さないか。そのような指示は出していないなら、いないとお答えください。

藤村国務大臣 やはり同じ答えになります。海上での排除に全力を尽くすようにという判断で、方針があったということです。

石破委員 そうすると、海上での排除に全力が尽くせなくて、不覚にもというか、残念にもというか、上陸させてしまった、まことに残念なことであったということですか。

藤村国務大臣 これは海保の現場に、長官が来ておりますから、残念なことかどうかについての判断は私がすることではないと思いますが、結果として、海上での排除に全力を尽くすということの上で上陸が何人かされたというのは事実でありました。

石破委員 先ほど吉良さんが「海猿」の話をされました。私も、運輸委員会の理事もやり、運輸委員長もやり、海上保安庁の現場というのに何度も行きました。今でも海上保安庁友の会の会員であります。海上保安官たちがどれだけ厳しい制約の中で体を張って命を張ってやっているか。一色さんの例がありましたよね。海上保安官がどれだけつらい思いでいるかということは、私は、一色さんの行動と無関係だとは思いませんよ。

 政治の判断があったんでしょうが。とめようと思ったら、とめられるはずですよ。海上保安庁の能力はそんなにやわじゃないからね。そんないいかげんな海上保安庁だと私は思っていないんだ。とめようと思えば、とめられたはずなんだ。それを、全力を尽くすように言ったと。では、何であそこにあんなにお巡りさんがいたんですか。おかしいじゃないですか。誰がどう考えてもおかしい。

 そして、今回は、小泉さんのときも退去強制というやり方だった、何度もおっしゃいましたよね、小泉さんのときと一緒だ。しかし、違うところが二つありますよ。

 一つは、小泉総理は即日会見をされて、大局的判断に立ち、政治的な判断を行ったものである、総理大臣が、自分からの判断だということを国民の前で言った。それと今の長官の答弁がいかに違うか。それが一点。

 もう一点は、あのときにそういうような対応をしたけれども、その後、漁船は来る、公船は領海に入ってくる、どんどん事はエスカレートしているんでしょうが。だとしたら、同じ対応でいいと考える方がよっぽどおかしいんじゃありませんか。もっと強い対応をとらなければ、これから先、幾らでも来ますよ。

 何で、小泉さんのときと同じ対応だったというふうに、うそぶくとは言わないが、そういうことをおっしゃって、それでいいのだというふうに言うのですか。

藤村国務大臣 小泉総理のときの対応と同じだからよかった、よくないという判断はいたしておりません。

 ただ、今回、方針としては、繰り返しますが、海上での排除に全力を尽くすということは、これは方針でございました。それからもう一つは、それでもという前提で、不法上陸対策について、これは警察も含めて万全を期すことという判断の中で今回の流れができた、こういうことでございました。

石破委員 先ほど長官は、ビデオを出すというようなことをおっしゃいましたね。検討する、私が言ったから検討することになったと。もう命令を出せばいいじゃないですか、出せと。これは裁判にもならないんだからね。

 この間の漁船衝突事案のときは、いや、裁判に差しさわるとかなんとか。だけれども、あのときは、中国人船長はもう帰国していて、また行きたいと言ってVサインを出していたんですよ。あれが戻ってくることはあり得なくて、仙谷長官は、もう裁判が開かれる可能性はほとんどないというふうに答弁をなさいました。にもかかわらず、ビデオは出なかった。

 今回も、即日出すべきでしょう。そこまで手のうちを明かすのが嫌だということをおっしゃるのであれば、その部分だけ消せばいいでしょう。そんな編集なんて、あっという間にできるでしょう。あしたでもいいから出すべきじゃないですか。いかがですか。

藤村国務大臣 私も基本的にそのように思います。

 それで、私も官邸ではビデオではなくライブでずっと見ておりまして、そんなに何か、警備の都合上隠さないといけないのがあるのかないのか、私は素人で、そのビデオ、映像に関して、現場の状況に関して、わかりません。

 そこで、私としては、基本的に、もう係争中でも何でもありませんから、海保に対しては、いわゆる海保がおっしゃる、今後の警備の都合上、やはりこれは、少し手のうちを明かすことになる部分は、それはもちろん出せないんなら出せないけれども、その他の部分はぜひ出してくださいよというふうに私が指示しております。

石破委員 海上保安庁長官、いつ出せますか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 官房長官の指示を受けまして、私ども、今鋭意作業中であります。

 ただ、私どもの規制手法なり逮捕するための手法が明らかになる、いわゆる手のうちが明らかになるとまずいという部分がありますので、そこのところを今慎重に吟味しておりますので、今のところまだ確定的に日時を申し上げられる状況にはございません。

石破委員 言っておきますが、香港の活動家たちはビデオを出していますから、手のうちが明らかになるも何もあったもんじゃありませんよ。すなわち、速やかにやるべきであります。

 もう一つは、国有化の後どうするかというのは、先ほど国民新党の質問に対してもお答えになりました。このことは、具体的にどうするのかということをいつまでもだらだらと検討していてはだめで、あそこでヤギが異常繁殖をしている、センカクモグラという不思議なモグラがいるらしい。まず環境でもいいでしょうよ。いきなり自衛隊を上げるということは、あそこは水も出ないところなので、あそこに駐屯することが正しいと私は必ずしも思わないが、そういうことから実効支配というものを一つ一つやっていくことだというふうに私は思っております。速やかに、これは補正予算でもいいからやってもらいたい。

 国有化をどうするかというお話もきちんとやるべきであります。それは、賃借権よりも所有権の方が強いので、賃借権であれば、一々、これをつくってもいいですか、何ですかという話を聞かねばなりませんが、所有権の方が強いので、それはそうあるべきだと私は思っています。

 外務大臣、今回のいろいろな話の中に、先ほど答弁もされていましたが、香港の活動家というものを中国政府は抑えようとしている、反日がどこかで反政府に変わる、そういうことを中国は恐れているという話がたくさんあります。そういう一面もあるでしょう。

 しかし、もう一面において、ベトナムに対して、フィリピンに対して、中国が今まで何をやってきているのか。この海洋進出の一環としてこの尖閣があるという考え方も私は十分成り立つと思っている。それは、向こうの意思をどう推測するかは我々の判断ですけれども、下手に刺激をして反政府運動に火がついたらまずいという判断よりも、私たちは断固として領土を守るのである。そして、これが中国の海洋進出の一環であるということを否定するだけの根拠を私は持ち合わせていない。

 もう一つ聞きます。日米安全保障条約第五条、これが適用になるということで、よかったよかったと、よもや外務大臣は思っておられないはずだ。つまり、いきなり日米安全保障条約第五条の適用があるわけがない。

 大臣はさっき注意深くおっしゃったけれども、最初から人民解放軍の船が来るはずはなくて、最初は難破した漁船、そういうものが来ますよ。その後、さらにエスカレートして、海監とか漁政とか、そういうものがその保護のために入ってくる。そして、その後、保安庁的なものが出てきて、最後に出てくるのが人民解放軍であって、人民解放軍が武力占領でもしない限り、日米安全保障条約第五条なんというのは、はなから適用はありませんよ。

 だとするならば、防衛大臣は先ほどからるるお答えになっておられるけれども、島嶼防衛の能力が我が陸海空自衛隊には十分ではありません。そのことは私自身が一番よく認識をしております。相浦の西方普通科連隊、これが虎の子みたいに一つあるだけで、こういうものをもっとふやしていかねばならない。輸送力を上げていかねばならない。水陸両用艦艇を持たねばならない。そして、領海侵犯に対する規定がないので、領空侵犯とパラレルにやるかどうかは、これは議論のあるところです。警察権なのか自衛権なのかということについては、きちんと答えを出さなければいけない。

 いずれにしても、法整備を行い、そして装備を整え、運用をきちんとやるということでなければ、毅然たる対応というのが言葉だけで終わります。

 外務大臣、中国の海洋進出の意図と尖閣、今回の問題について、どのようにお考えですか。

玄葉国務大臣 中国の海洋進出の意図をどう考えるか、こういうことでございますけれども、事実関係として、海洋進出が活発化しているということはまず間違いない。もう一つは、国防費の伸びが、非常に不透明なまま、二十一年、一年間だけ二桁じゃなかったんですが、二桁、連続の伸びである。

 では、その意図するところは何なのかといったときに、私が直截でお答えをするというのが適当かどうかということはあろうかというふうに思います。いわゆる第一列島線、第二列島線という議論もあります、A2ADという議論もあります。

 ただ、さらに言えば、資源の問題等々の議論もございます。尖閣の所有権、領有権を中国が主張し始めたのは、まさに国連の委員会で石油の埋蔵の可能性が確認されてからですからね。

 そういうことも含めて考え合わせると、今申し上げたことは言えるけれども、ちょっとそれ以上のことをこういう国会の場で申し上げるのは控えなきゃいけないかな、そう思います。

石破委員 竹島についてはこの後、下村委員がやりますが、先ほど来、言うまでもなくという話があるんだけれども、我々はそう思っていますが、日本国民のどれだけが、国際法的に、歴史的に、尖閣は明々白々日本の領土である、なぜならばと言えるか。

 裏返して言いますと、中国がどういう主張をしているかなんですよ。つまり、日本が戦争に敗れて台湾等々を返還しました。あの中に当然含まれているというのが中国の主張のコアですよね。それに対してどう反論するかということを日本国民みんなが言えなければ、これはだめなんですよ。

 つまり、終戦直後に、中国は台湾を自国領とした。中国は戦勝国ですから、あそこで尖閣も自国領にすることはできたはずなのに、そういうことをやっていない。そして、その後出た中国の地図にも、尖閣は日本領というふうに書いてあるのであって、アメリカが日本に、これは沖縄返還に関してですが、引き渡した、そのような主張は明らかに誤りであるということはきちんきちんと国民に対して言っていかないと、中国に、何言っているんだ、返った台湾にこれが入っているはずだと言われたときに、明確に反論ができませんよ。そのことはきちんと、明々白々ですという言葉で片づけているから、みんなに知識が普及しないんですよ。これは我々の反省でもあります。

 これは竹島についても同じことであって、我々山陰に住んでいる人間は、あの李承晩ラインというものが設定をされ、どれだけ大勢の漁民が殺され、どれだけの者が傷つき、どれだけの者が抑留されたか、子供のころテレビで見て、新聞で見て、よく知っていますよ。島根の人々もそうです。島根が竹島の日というのを制定しているのはそれなりの思いがあってやっているのであって、このことを我々は真摯に取り上げる必要があると思っています。内閣府に所掌させる、そのための設置法の改正も当然であります。

 では、今と同じお話で、韓国はなぜ竹島が日本のものではなく韓国のものであると主張しているか、それに対して明快な反論は何かということを国民に対してきちんと言わないで、自明であると言っているだけでは、領土に対する国民の認識は深まりませんよ。

 これこそ与党も野党もなく、私は、拉致問題のときに、拉致の文章を国連で使われている言葉全てに訳して、同志の議員とともに、海外に出張するときも必ずそれを持っていった。

 この竹島もそうでしょう。ずっと日本が実効支配をしていた。これは鳥取、島根の時代からそうですよ、鳥取藩の時代からね。にもかかわらず、サンフランシスコ条約が調印され、発効するまでの日本に主権がない間に、李承晩ラインを引き、水域を設定し、武力占領したんでしょう。そういうようなのは、国際法的に見て、違法に決まっているでしょうが。そのことを我々はきちんと言わないで来たという反省があります。

 私は、今回改めてそのときの報道を読み返してみて、殺された若い船員は、赤ちゃんは、お父さんの顔も見ることはなかった。大勢の人たちが死んでいった。

 私たちは、何も韓国を敵視しようとか、そんなことを言っているんじゃない、国際法的に正しいことは正しいということを訴えていくべきだと思いますが、いかがですか。

玄葉国務大臣 今、石破先生が言われたように、尖閣は領有権の問題そのものが存在しないということなので、どういうふうに説明していくかというのは、全く同列ということにはならないかもしれません。

 ただ、竹島について、その歴史、後で恐らく下村委員からお話があるんだと思いますけれども、党派を超えて広くわかりやすく伝えていく、このことは非常に大事だというふうに思っています。

石破委員 以上で終わります。

 国家公安委員長、お呼びしておきながら、大変申しわけありませんでした。質問ができませんでした。

 以上であります。

中井委員長 この際、下村博文君から関連質疑の申し出があります。石破君の持ち時間の範囲内でこれを許します。下村博文君。

下村委員 自民党の下村博文です。

 私も、尖閣問題そして竹島問題についてお聞きしたいと思いますが、先ほどの石破委員の総理の答弁で、納得できないところが幾つもありました。まず、それについてお聞きしたいと思いますが、天皇陛下に対する李明博大統領の発言でございます。

 韓国の大統領がこういうふうに発言しているわけですね。韓国を訪問したいようだが、独立運動をして亡くなった方たちを訪ねて、心から謝罪するなら来なさい。痛惜の念だとか、そんな単語一つで訪ねてくるなら、来る必要はない。

 これはもう常軌を逸していると先ほど総理も答えてはおられましたが、そもそも、我が国があるいは天皇陛下御自身が、韓国を訪問したいと一言も言ったことはないわけです。実際に、李明博大統領が日本に来たときに招聘をした。自分で招聘をしていて、そしてそれに対して条件を設ける。なおかつ、先ほども石破委員からお話がありましたが、天皇陛下というのは、憲法第一条、最初の中で、天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴である。つまり、陛下お一人の問題ではなくて、日本国民、日本国そのものが侮辱をされている。

 これについては明確に謝罪と撤回を求める、これは、日本国の総理大臣として、韓国の大統領に対してまずは当然言うべきことだと思うんですね。これについて、撤回を求めるとか謝罪を求めるという答弁がありませんでした。これはぜひ日本国の総理大臣としてそうしていただきたいと思いますが、いかがですか。

野田内閣総理大臣 委員御指摘のとおり、まず事実関係としておかしな話なんです。我が国からあるいは天皇陛下から、韓国を訪ねたいということは要請をしたことがありません。逆に、韓国大統領からの招請はありました。したがって、事実関係としてもおかしいし、加えて、この発言の中身というのは、先ほども申し上げたとおり、これは相当に常識から逸脱をしているというふうに思います。したがって、理解に苦しむという表現をいたしました。

 それについての抗議は、外務大臣が在日の韓国大使に対して、言動を改めるようにというふうに厳重注意をしております、抗議をしています。その抗議の意味の中には謝罪、撤回ということが入っておりますが、私も、今この国会での御質疑でございますので、改めて、その謝罪と撤回ということはやるべきだというふうに思っております。

下村委員 謝罪と撤回をやるべきだと。

 野田総理自身が、日本国の総理大臣として、韓国の大統領に対して明確に、このことに対して、天皇陛下に対する発言について、これは日本を代表して謝罪と撤回を改めて早急に申し入れをしていただきたいと思います。総理自身がやっていただきたいと思います。いかがですか。

野田内閣総理大臣 私の意思としてこの国会の場でしっかりお話をさせていただきましたので、そうしたメッセージがきょうにでも届くだろうというふうに思います。

下村委員 それからもう一つ、総理が李明博大統領に対する親書を出した。しかし、けさのマスコミ報道で、韓国はこの親書をそのまま返すと。

 今まで外交問題の中で、それぞれの国のトップの信頼関係がそれなりにあると思うんですね。私は、これからも韓国との関係は、友好関係を高めていくべき大切な国の一つだというふうに思います。しかし、野田総理の親書をそのまま返すという、こんな外交的な非礼はあり得ないことだと思うんですね。

 こんなことをそのままみすみす認めるということであったら、あなたはすぐ総理大臣をやめるべきですよ。それぐらい隣の韓国から野田総理に対して軽く見られている。

 この親書について今後どうされますか。

野田内閣総理大臣 親書を返すという報道はあるんですが、その事実関係は確認がとれていません。政府にそうした方針を連絡してくるという状況は今ありませんし、戻ってきているという状況がありませんので、それはまだ仮定の段階ですので、コメントは控えたいと思います。

下村委員 それ自体が後手後手なんですよ。全てのマスコミに出ているんですから、外務省としたら確認するのは当然の話でしょう。そして、きょう予算委員会でこういう質問が出るということは当然想定できることなんだから、少なくとも、この委員会までに外務省として確認したことを総理に対してきちっと伝える、当たり前のことですよ。それが今の答弁、できていないじゃないですか、全然。

玄葉国務大臣 正式に送り返すとかという連絡は本当にないんです、今現時点で、少なくとも私が予算委員会に入る前までに、ないんです。それが実態です。

 私は、仮定の話に対してお答えはいたしませんが、万が一というか、そういうことがあるとすれば、これは通常あり得ない話である、そういうふうに思います。

下村委員 非常にのんびりした答弁ですよね。日本の全てのマスコミがそれを報道しているんですよ。万が一も何もないんですよ。(発言する者あり)対応しちゃだめだとかいうような、そういう姿勢が近隣諸国から足元を見られているということを申し上げたいと思います。

 本題に入りたいと思います。

 昨年の同時期に、我が党の同志、国会議員四人が韓国のウルルン島、日本で言う鬱陵島ですね、ここに竹島博物館、独島博物館がある、ここを視察に行きたい、別に、竹島に上陸するという話じゃなかった、ウルルン島に行くと。ところが、それをストップさせられて行けなかった話ですが、たまたま、私の同志の方々が平成十八年にそのウルルン島に行って、この独島博物館を見に行った。それがこのお手元の資料です。

 驚いたことに、この独島博物館の前庭に、「對馬島本是我國之地」、つまり、対馬という島はもともとは韓国の土地なんだ、こういう石碑がありまして、その下に昔の韓国の朝鮮半島の地図があるわけでございます。地図の横に二つの島がある、この二つの島をアップにしたのが、もう一つのパネルでございます。

 独島博物館の前庭のこのところには、韓国側は、竹島、向こうで言う独島ですけれども、そもそも入れていないんですよ、地図に入っていない。それは昔の話じゃなくて、今現在もこの独島の、外の展示物の中には入っていない。そして、この鬱陵島の隣に、小さな字でもう一つ島が入っていますね。これは竹島ではないです。でも、この竹島が反対側の方に移って実はこれが竹島だったというのを、館内のパネルにはこれを変えて書いてあったそうですが、もともと、韓国の中でも、日本で言う竹島は韓国のものではないというのを証明している。それが過去の地図ではなくて、今現在も実際に独島博物館のところに展示してある。これは平成十八年の話です。

 今現在どうなのか、ちょっと外務省に確認します。

新美政府参考人 今先生から御指摘がございましたとおり、彼らの竹島の、韓国側訳、独島のままですけれども、博物館に展示されている地図においては、韓国側が独島であると主張している于山島という島が、本来古地図では鬱陵島の西にあるべきなのに、東に展示されているというふうに聞いております。

 これは、もともとそのパネルのもととなった地図では、八道総図というのが地図だそうですけれども、その于山島が西側に表記されているにもかかわらず、今申し上げたとおり、パネルでは東側になっている。私どもの理解では現時点でもそのようになっていると理解しておりますけれども、韓国側がこのように、みずからそもそもの古地図の内容を改ざんして展示しているということは、韓国側の主張の信憑性の低さを如実にあらわしておりまして、かえって自国の主張を弱める結果になっていると考えております。

下村委員 堂々と、まさに独島博物館でこれが今現在展示されている。これは韓国がみずからこれを証明しているようなものなわけですね。

 この石碑で驚いたのは、対馬はもともと韓国の領土だ、こんなのは初めて聞きましたけれども、外務大臣、そういう事実があるんですか。いかがですか。

玄葉国務大臣 韓国の領土であるという事実があるか。もう全くあり得るはずはございません。

下村委員 これも我が国の、そして対馬の名誉のために、韓国に対して、この碑に対する抗議もしていただきたいというふうに思います。

 そして、この竹島上陸についてでございますが、先ほど、与野党を超えて外交、この領土問題については対応すべきだという話がありました。そのとおりであるというふうに思います。

 私は率直に申し上げたいと思いますが、民主党政権になる前の自民党政権のときも、やはり、よく言えば大人の対応、しかし、そのときそのときの領土問題をトラブルを恐れて誠実に対応してこなかった、それが北方領土の問題や竹島の問題、あるいは今の尖閣の問題に影響していることは事実だと思います。ですから、これは自民党として、民主党だけの、民主党政権だけの責任にするつもりは私はないというふうに思います。

 ただ、自民党がここで野党になったわけですから、最大の野党の逆に言えばメリットは、今後政権を奪還したときに、今までの政策を、そのまま我々は自民党政権のときの政策を継承する必要はない。取捨選択をしながら、新しい時代に沿って新たな方向転換、法律の解釈やあるいは政策について新たな政策をこれからつくり上げてやっていくという意味では、今までのような延長線上ではなくて、我々が政権奪還をしたら、北方領土の問題や竹島の問題、尖閣諸島もそうですけれども、今までのような対応はしないということを申し上げた上で、しかし、その上に立って、では本当に、自民党政権のときと民主党政権のときで、この領土問題、違いがないのかどうかということになると、特に鳩山政権下から、東アジア共同体の中で、そして普天間問題等、日米信頼関係が最悪の状況の中で、ここに周辺諸国が手を突っ込むように、北方領土のロシア大統領の領土視察や軍事演習の強化、そして尖閣諸島海域における中国公船のたび重なる領海侵犯、また中国人活動家の今回の不法上陸、そして竹島においても、前代未聞なわけですね、現職の大統領が不法上陸するということはあり得なかった話です。そして、数々の暴言、また、最初に指摘を申し上げましたが、親書も受け取らない。

 こんな非常識な状況というのは、私はまさに今、民主党政権が周辺諸国から、日本国家、政府としてもう体をなしていない、やりたい放題の状況に今陥っていて、それについて対応能力がない、どんどん攻めれば攻めるほど、自分たちの利益をかち取ることができる、そういう中、このままの状況ではなくて、さらにそれぞれ踏み込んだ対応をしていくことは、間違いない状況だというふうに私は思うんですね。

 これについて、野田総理、どう考えているか、お聞きしたいと思います。

野田内閣総理大臣 前段のお話で、過去の自民党の政権下での御反省を踏まえた発言をされました。私はそれは大変共感をする話なんです。

 私どもの政権になって、では、より一層、その流れが逆に弱くなってきているのかという認識、これは、後半のところは私は違うんです。

 例えば竹島の問題については、少なくとも、日韓の首脳会談で議論があったのは、平成八年の橋本総理のとき以来、その後ずっと自民党政権下でありませんでした。私どもは外務大臣での対話の中でも頻繁にこれを取り上げておりますし、そうした問題において、領土、領海について、私どもが脇が甘くてという話というものは、これは私は認識が違うというふうに思っております。

下村委員 民主党政権、野田内閣の中であるからこそ、私は、李明博大統領が天皇陛下に対しても、常軌を逸した、一国の総理どころか一人の人間として、とても考えられないような発言と行動をしている、これを許している、ましてや親書も受け取らない、これは明らかに野田政権に対する周辺諸国の見方だと思いますよ。

 それに対して、変わらないということだったら、これはやはり国民に信を問う、どっちが日本国のために、外交防衛政策、民主党がやっていることと自民党がやっていることと、国民の皆さんから見て違わないと思っておられるのだったら、それ以上に実際、野田政権の方が韓国との関係で努力しているということでしたら、それは一〇〇%認識が違います。もうそれだけでも私は国民にすぐ信を問うてもらいたいと思うぐらい、全くギャップがあると思いますけれども、いかがですか。

野田内閣総理大臣 先ほども申し上げたとおり、民主党政権になってから、言うべきことはちゃんと言うようになっています。外務大臣間でも竹島の問題を、前原外務大臣も、松本外務大臣も、そして玄葉大臣は外交演説でも触れています。

 これは自民党政権下で、特に小泉政権以降、十四回、日韓の外務相会談をやっていますが、全く触れていません。それらに比べれば、はるかに我々の方が主張していると思います。そのことと国民に信を問う話は別だと考えています。

下村委員 一国の総理大臣として、余りにも恥ずかしい発言ですね。

 これだけ発言していればいいという話じゃないんですよ。外交というのは実績ですから、結果ですから。その結果、相手が、相手諸国がどう対応しているか、結果論で判断されるんですよ。主張しようが何しようが、このような非礼の数々がそのまま看過されていてよしとするような政権は、これはもうこの国にとって害悪としか思いようがないですね。

 私はまず、そういう中でも、野田総理に対して、竹島に対する領有権、これは韓国だけでなく、内外に対して明確にするという意味で、今回の、先ほど答弁がありませんでしたけれども、国民から見たら、韓国は野田総理の親書を返すというのはもう常識になっている話だと思いますよ。しかし、これから確認するということだったら、そういうことになります。

 そのことを含めて、どんな親書を出したのか、それに対して、ではどうするのか。それから、そもそも竹島に対する領有権に対して、しっかりとした野田総理の、記者会見なりして、これについては内外に明確に発言していただきたいと思いますが、いかがですか。

野田内閣総理大臣 まず、十日に韓国大統領の竹島上陸がありました。この十日の日に、くしくもこれは一体改革の関連法案が成立をした日だったので、記者会見をやっています。その記者会見で、記者さんからの質問に応じてじゃなくて、私の方から冒頭のところのスピーチの中で、竹島に対する私どもの立場ということは明確に伝えております。

 即応をしていますので、これからもそういう形でしっかりと立場というものを伝えていきたいと思いますし、今回、国際司法裁判所へ提訴するということは、まさにこれは国際世論を喚起しながらということとあわせてやっていくというふうに思っておりますので、これからもずっとそういう心がけのもとで取り組んでいきたいというふうに思います。

中井委員長 野田総理、親書の中身を言えるんだったら、親書の中身について言えるか言えないか。

野田内閣総理大臣 中身は余りつまびらかにはいたしませんけれども、我が国の基本的な立場というものをしっかりと伝えているということであります。

 また、先ほど、これが返されるのか返されないのかというのは、これはまだ確認できていないので、このことについてはコメントすることはできません。

下村委員 今の答弁もおかしいですよ。実際、どんな親書かというのは報道されているんですよ。それについて事細かに全部出せという話じゃないですよ。ポイントはどういうことかということも言えないようだったら、一体何の外交なのかということが私は問われるというふうに思います。

 具体的に竹島問題についてお聞きしたいと思うんです。

 北方領土の日というのがありますが、今、地元は竹島の日というのを、島根県は県の条例でつくっているわけでございます。これについて、このような今日の状況下において、私は、日本として、国として、竹島の日を制定すべきではないか、また、全庁挙げて竹島問題に対応するよう、この問題を所管する対策本部を内閣府に設置して対応すべきではないか、今そういうときに来ているのではないかと思いますが、いかがですか。

藤村国務大臣 先日、この竹島の領土問題に関する関係閣僚会合を開き、そこで野田総理からも指示がありました。

 それは、一に、国際法にのっとった紛争の平和的解決のための周到な準備と我が国の立場の対外発信の強化、それから二に、竹島の領土問題に対する政府の体制強化、その他幾つかありましたが、この今の二番目の、竹島の領土問題に対する政府の体制強化という中で、これは北方は北方で、内閣の中に歴史がある対策室がありますが、それを一つの参考としながら、今どういう形でつくるべきかは検討に入ったところであります。

下村委員 検討に入ったところという答弁がありましたが、いつまでに結論を出すか明確にお答えください。

藤村国務大臣 検討に入ったわけですから、今この時点で、では、いついつまでにとは申しませんが、そんなに時間をかけて延々とやるわけではございません。

下村委員 近いうちにということですかね、その近いうちがどの程度近いのかどうかよくわからないところがありますけれども。

 それから、野田総理が李明博大統領との会談の中で、慰安婦問題について、これは先方の大統領から、日本政府の責任ある措置を促すということであったそうでありますが、この慰安婦問題については野田総理はどのように対処しようとお考えですか。

藤村国務大臣 これは、今の竹島の領土問題は領土問題で対応していくわけですが、それとは別な観点で、いわゆる慰安婦問題について政府の立場はいかんという御質問だと思います。

 これは、平成五年八月四日の河野当時官房長官談話というものを、我々も歴代内閣の中で引き継がれているという認識のもとに、現政権もこれまでの内閣と同様、いわゆる河野談話の考え方を受け継いでおりますので、その立場に変更があるということではございません。

下村委員 私は、先ほど、自民党政権の中で幾つか、野党に下って、政権奪還をしたときに、改めるものは改める必要があるのではないかと申し上げましたが、その中の一つとして河野官房長官談話があるというふうに思っております。

 その後、国会の中で、この内容については随分いろいろなところで議論がされているんですね。当時の平林外政審議室長が、この従軍慰安婦の件ですけれども、政府が調査した限りの文書の中には軍や官憲による慰安婦の強制募集を直接示すような記述は見出せなかった、総合的に判断した結果、一定の強制性があるということで官房長官談話の表現となったと国会で答弁しているんですね。

 この総合的な判断ということについて、当時、河野官房長官のもとで副長官をされていた方が、これは政治的判断だったと。つまり、再三再四、韓国からいろいろな要請があった中で、事実関係は確認できなかったけれども、政治的な判断でそういうふうな談話を発表せざるを得なかったということでありましたが、その後、これは明らかな禍根を残した、間違いであった、それがどんどんどんどんエスカレートしてきているというふうに思うんですね。

 このことについては、日本の法的な立場というのはもう決まっていて決着している話だ、ただ、アジア女性基金等を設けて人権問題としてフォローし、それももう終わった話なんですね。それをまた韓国大統領が出してきた。これについては、やはりもう決着をつけて、過去のことだということで、日本政府もそれなりのきちっとした誠意を示したということで、明確に、はっきり、総理の立場から対応すべきだというふうに思いますが、いかがですか。

野田内閣総理大臣 去年の京都における日韓首脳会談で、いわゆる慰安婦問題について相手方の大統領から言及がございました。そのときに明確に、これは法的に既に決着がついているということは私からしっかりとお伝えをしております。

下村委員 ところが、相手がそういうふうにとっていないわけですね。確かに、当時の野田総理の発言を確認すると、日本の法的立場は決まっている、決着済みだと言っておられるんですが、その後に、これからも人道的な見地から知恵を絞っていきたいと発言しているんですよ。これからも人道的な見地から知恵を絞っていきたいということは、決着しているわけじゃない、そういうふうに向こうはとっているわけですよ。だからこそ、最近の李明博大統領の発言においても、日本政府の責任ある措置を促すと。

 野田総理がそう言っているわけだから、そういうふうに向こうはとっているわけですよ。いかがですか。

野田内閣総理大臣 法的に決着はついているわけですから、法的な対応というのはこれからあり得ません。

 ただ、かつてアジア女性基金で対応したような、人道的な見地からの対応というのはかつてやったことがあるんですね。そのフォローアップを含め等々、知恵を絞るというふうに私はお話をしたということであります。

下村委員 いや、フォローアップというのはもう終わっているんですよ、アジア女性基金の中で一定の役割を。これはまた新たに別のものをつくるということですか、今総理がおっしゃっているのは。

野田内閣総理大臣 フォローアップをまだやっているんです。そういうものを見ながら、どういう知恵があるかを考えてみたい、そういうことをお話ししたということであります。

下村委員 これからも人道的な見地から知恵を絞っていきたいというのは、そういうふうにとっていないですよ、先方は。だから、最近においても李明博大統領がこのことを強調して言っているわけですね、ことしの八月十五日に。

 このことについては、それは逆に、我が国が調べた結果、直接軍の関与等は確認できなかった、韓国側に、この従軍慰安婦の根拠については、再三再四言われるのであれば明らかに示すように、これは総理の方からきちっと申し入れをすべきことではないですか。

玄葉国務大臣 まず、先ほどの賠償の話は、言うまでもなく、六五年の日韓請求権・経済協力協定で完全かつ最終的に解決済み、そしてその後、人道上の措置をとっている、そういうことだと思います。

 その上で、談話ですけれども、改めて整理して申し上げますが、河野談話、平成五年、軍や官憲による組織的な強制連行を直接的に示す公文書等が発見されなかったことは事実である。その一方で、強制的な連行があったとする証言集等も既に存在をしていたところであり、当時の政府において、各種証言集における記述、韓国における聞き取り調査を含め、総合的に判断した結果、甘言、強圧による等、本人の意思に反して集められたケースもあったという心証を得て、同談話にある記述ぶりとなったということであります。

 今、官房長官からもお話がありましたけれども、これを今踏襲しているわけです。今、下村委員は、政権がかわったら変える、こういうふうにおっしゃっていますが、実際、多分、自民党の中でもいろいろな議論がおありだろうというふうに思います。

 ただ、我々としては、これはこれとして踏襲しているというのが事実でございます。

下村委員 菅総理のときも、これは日韓併合百年のときですね、やはりおわび証文みたいな形で、菅直人総理談話、言いました。

 実際、ほかの国においても、もちろん、決着がついたことについて蒸し返して、それをわざわざこちらの方から言うということはあり得ないことなんです、外交的にも。これについては我が国の矜持として、お互いに未来志向でということで、それぞれ法的にも決着していることですから、もう既に終わったこととして次のステップアップを図っていく、そういうときに来ているというふうに思います。

 もう一つ、尖閣問題についてもちょっと取り上げたいと思うんですが、お手元に、パネルで、中華民国からの感謝状がございます。これについて、中国語ですので、外務省で、どんな感謝状だったのかわかりやすくちょっと、説明を簡単にしていただけますでしょうか。

新美政府参考人 御指摘の感謝状につきましては、一九一九年の十二月に尖閣諸島の魚釣島近海で遭難をした福建省の漁民が我が国の国民によって救助されたことを受けまして、当時の中華民国駐長崎領事から我が国の国民に対して発出された謝状でございます。

 当時の中華民国の駐長崎領事、馮冕という人でございますけれども、この感謝状において、遭難した福建省の漁民が漂着したのが日本帝国沖縄県八重山郡尖閣列島であることを明記した上で、我が国の石垣村の人々の熱心な救援活動によってこれらの中国の漁民を祖国に生還させたことに対して、謝意を表しているものでございます。

下村委員 これで明らかなように、当時の中国政府が我が国に対して感謝状を出して、実際、尖閣諸島は日本の領土だということを認めているわけですね。それが、海底資源が見つかったから、手のひらを返したように、今は核心的利益だと尖閣諸島を言っているということ自体がけしからない話であって、やはり日本政府がしっかりと海外に対して発信をする材料としても使っていただきたいということで、これを取り上げさせていただきました。

 先ほど、石破委員が、法的解釈の問題で公務執行妨害について議論がありましたが、我々は、これは明らかに公務執行妨害に当たるというふうに考えます。

 今回の尖閣諸島の領有を主張する香港の運動団体、中国人活動家の不法上陸、我が国は直ちに十四人全員を逮捕しましたが、これに対して中国政府は即時無条件の釈放を要求し、結果的に、日本政府は八月十七日に、中国政府の要求をのみ、全員を強制送還したわけであります。

 このことについての経緯を追って見ると、不法上陸のおそれありとの情報に基づき、海上保安庁から十数隻の巡視船艇を同海域に派遣、領海内への侵入阻止を目指したが上陸に至ってしまった。抗議船は、海保の巡視船が接舷を試みた際、れんがを投てきして妨害した。これは明らかに公務執行妨害が適用される刑事事件であるというふうに思うんですね。

 ですから、司法が厳正に裁くべきものであります。しかしながら、強制送還措置がとられた。これは、我が国が中国の不当な要求に屈し政治決着を図ったとみなされて当然である。つまり、二年前に起きた中国漁船船長の不起訴の問題と同じようなものである、構図として。

 今回の事件がこのまま処理されたことによって、彼らは英雄になったわけですね。英雄になって、そして、今度は十月に尖閣諸島に上陸をするという計画がまた上がっているそうでありますけれども、これから頻繁にこれが当たり前のように起こるような状況になってしまった。これは、明らかに今の野田政権の失態であるというふうに思います。

 先ほどビデオについても公開するという話がありましたが、いつまでにという明確な答弁ではありませんでしたので、今のことも含めて、ビデオの公開についても改めて答弁を求めます。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 先ほども答弁させていただきましたように、官房長官の指示を受けて、今鋭意作業をしております。ただ、私ども、いろいろな規制を行いまして、残念ながら上陸させてしまいましたが、帰り道では挟撃をして捕まえました。そういったいろいろなシーンを今一々分析して、どこまで出せるかということをやっております。

 これは、我々の手のうちを明かしてしまうと、また次のときに反撃をされて、現場の保安官が危険にさらされるというおそれも十分にありますので、しっかりと検討した上で、出せる部分は出したいと考えております。

下村委員 いや、同じ答弁を言われても困るんですよ。それはそれで、前提として先ほども議論したじゃないですか。

 しかし、相手はテレビカメラを同行させて、既にもう流れている話なんですね。しかし、海上保安庁の立場があればそれは消すにしても、早目に公開するということでよろしいわけですね。これは国交大臣、確認します。

羽田国務大臣 今海上保安庁長官が言ったとおりでございまして、このことについてはしっかりと今検討をさせておりますので、これを急がせていただきたいというふうに思います。

下村委員 急がせて、公開するということでよろしいわけですね。公開しますね。

羽田国務大臣 このことについてはしっかりと、今海上保安庁長官が述べたとおりでありまして、公開に向けて準備をしているということでございます。

下村委員 これも冷静に考えるとおかしな話であって、もし日本人が他国の領土に不法侵入して日の丸を掲げたらどうなるか。もう日本に二度と戻ってこられないかもしれない。そういう状況の中で、公務執行妨害にもならず、すぐ強制送還で実際は帰して、そして母国において英雄になるなんということはあり得ない話なんですね。このことについて、ビデオをどうだああだと言っていること自体がのうてんきな政府の対応としか言いようがないわけであります。

 官房長官、東京都が今尖閣諸島上陸調査許可申請をしているというふうに思いますが、これはぜひ早く許可をしていただきたいと思いますが、いかがですか。

藤村国務大臣 東京都から、昨日、正式に上陸許可申請というものが出てきたところでありました。

 それで、これは政府として、まず、従来から原則として政府関係者を除き何人も尖閣諸島への上陸を認めていないという方針をとってきているところであります。

 そこで、もちろん、昨日出てきた東京都の申請について総合的に検討しておりますし、日付は、月末の日付、二十九日だったかと思いますが、上陸許可申請でありましたので、それまでにきちんと総合的な判断の結果を出したいと考えています。

下村委員 官房長官、答弁を省略しているんですよ。その前に、今までの答弁は常に、地主の意向により、平穏かつ安定的な維持管理を図るため、政府関係者以外は上陸を認めない。

 しかし、今の状況で、もう地主が東京都に売却するということを決めているわけですから。決めていないということですか、首を振っていたら。ちょっと、では、はっきりそれを答えてください。

藤村国務大臣 今回の東京都の申請には、いわゆる地権者の許可などは全く添えられていないということであります。とともに、私ども政府として所有者の意向を確認したところ、所有者におかれては、これは政府の責任で判断してほしいという意向でありました。

 もちろん、所有者としては、尖閣諸島の平穏かつ安定的な維持管理に協力したい、そういう意向は常に示されているところです。

下村委員 保釣連盟、外国人を、みすみすかもしれませんが、上陸を認めてしまったといいますか、上陸をさせてしまった。一方で、これから地主になる東京都が事前に調査をしたいということを認めないということだったら、一体、日本政府はどっちを見ているんだということになってくるわけですね。これは早急に認めるべきであるということ。

 それからもう一つ、この時期に、これは超党派の議連の、領土議連でしたが、これと別に、昨年以前から、地元の石垣市長等から、この尖閣諸島、島における、戦時中、台湾への疎開における尖閣列島戦時遭難者慰霊祭、これはかつて行っていたんですね。今は上陸を認められなくなって、遺族の方々も、実際は島で慰霊祭ができなくなった。石垣島で行っております。

 しかし、高齢になってきて、関係者百十人近くの方々がこのときに亡くなった、その慰霊碑が魚釣島にあるということで、もしかしたらもう最後かもしれない、これはぜひ上陸を認めてほしい。今まで政府は検討しますという答弁で終始したわけですが、これは今の状況を考えると、早目に決断をする、もう認めて、慰霊祭について上陸を許可する、そういう時期に来ているのではないかと思いますが、いかがですか。

藤村国務大臣 もう一度繰り返しますが、きょうまで政府として、従来より原則として政府関係者を除き何人も尖閣諸島への上陸を認めない、これは方針であります。

 その上で、今御指摘の慰霊祭、これを魚釣島で行いたいという石垣市長の要請について、御遺族の方々の御要望は十分に受けとめながら、ただし、尖閣諸島の平穏かつ安定的な維持管理のためという政府の賃借の目的を踏まえて検討しているところであります。

 それで、ちょっと付言しますと、今回、議員連盟の方から、慰霊祭ということで上陸申請がございました。政府として、今回の議連の上陸申請に関しては、遺族の方々の、これは遺族会ということですが、意向を確認しましたところ、遺族会におかれては、尖閣諸島が平穏な状況であることが大切などとして、領土議連からの上陸に対する同意要請は断った、そのように聞いております。

下村委員 私は、遺族の方々の思いの中で上陸を認めていただきたいということを質問申し上げているわけです。

 時間がありませんので、今国会、海上保安庁法案それから外国船舶航行法案、衆議院で通過しました。参議院でも、すぐこれから対応していただきたいと思います。

 その後に、政府は、尖閣諸島に必要な人員を配備し、つまり、人の常住化ですね、灯台や避難港を整備するなど、管理の強化に取り組む。実際にそういう形で人がいることによって、第三国人が上陸ができないようにするということが大切ではないかと思いますが、これについての、これは国交大臣ですか、見解をお聞きします。

中井委員長 羽田国交大臣。時間が来ていますから、短く。

羽田国務大臣 尖閣諸島周辺においては、海上保安庁が関係省庁と緊密に連携をさせていただきまして、大型巡視船を常時配備するとともに、情勢に応じ警備体制を強化するなど、厳正かつ的確に警備に当たっているところであります。

 したがって、現時点において、尖閣諸島に海上保安庁を常駐させる必要はない、こういうふうに考えております。

下村委員 残念ながら、今の民主党政権では、尖閣問題も竹島問題も日本政府としての当事者能力がない。このままではこの国の領土はどんどん縮んでしまうという中で、我々は、早く国民に信を問うて、あるべき外交、防衛についてどちらがより我が国の将来に対して適切なのかということを判断してもらう、そういう機会を野田総理には早くつくってもらうことを要請して、要求して、私の質問を終わります。

 ありがとうございます。

中井委員長 これにて石破君、下村君の質疑は終了いたしました。

 次に、瑞慶覧長敏君。

瑞慶覧委員 国民の生活が第一・きづな統一会派、無所属の瑞慶覧長敏です。

 本日は、尖閣そして竹島問題、オスプレー等のことを質問させていただきます。その前に、これまで南西諸島の防衛のことに関して民主党の吉良委員からもありましたが、私の考えも少しだけ述べさせていただきます。

 恐らく、与那国島のことも想定しての質問だったかと思います。尖閣もそうですが、与那国島も私の選挙区でございます。与那国に自衛隊が配備される、されないで今問題になっております。私は今民主党を離れましたが、民主党時代も、与那国島においての自衛隊問題に関しては、島を二分している問題なので、特に、人口が千六百人という島なんですね、与那国というところは。ピークのときは、台湾との交流もありまして、一万人以上おったところです。非常に美しいところでございます。そこに、今千六百人の島民、島の住民が二分されて、自衛隊誘致賛成だ、反対だとなっている。

 発端は島の活性化だったんですね。島の活性化のために自衛隊が必要だ、あるいは島の活性化のためには自衛隊ではなくほかの方法があるんだと。ですから、防衛とは関係なく島の中で住民がいがみ合いをしている。これはくしくも第二の辺野古になりますよ、だから住民のことをしっかり意見を聞いて、そうじゃないと進められませんよということをずっと繰り返し主張をしてまいりました。

 住民投票が今行われようとしております。だから、住民投票が行われることを粛々と政府は待って、しかし、住民投票が行われるのを、少し強引に土地の調査をやったり、そこら辺でまた住民は大変な状態になっているわけですね。ですから、そのことを私は一言、ぜひとも、これは第二の辺野古にしてはいけません。安全保障のもとになるのは住民でございます。住民の命でございます。ですから、そこを一言、私は述べさせていただきます。

 それからもう一つは、沖縄の北部の方に高江という小さな村があります。これも住民、集落百六十人です。そこにヘリパッド問題が起こっております。恐らく、ヘリパッドができたら、これはオスプレーが来るだろうという想定のもとです。百六十人の住民は、とんでもないということで反対運動をしております。無暴力の反対運動をしております。

 なぜ私がそれを言うかというと、アメリカのハワイ州にもヘリパッドが来るかもしれないということで、アメリカでは、環境アセスにのっとって、住民の方が意見を言って、そしてどういうことになったかというと、一つの例として、重要な文化遺産がある、それにオスプレーの下流気流というんですか、それが影響があるかもしれないということで、訓練が中止になるわけですね。高江の百六十人の住民は一生懸命、我々の生活を脅かすなと訴えているわけです。片やハワイでは、文化遺産に影響があるかもしれないからということで訓練は中止になる。

 ですから、そこを政府もしっかりと情報を収集して、ヘリパッドのことに関しても、これだけ百六十人の方々が住民の生活に影響があると言っているわけですから、ぜひ考えていただきたい。強行的に工事を進めるようなことはしてはいけない、私はそう思っております。

中井委員長 答弁は。答弁はいいんですか。

瑞慶覧委員 はい、答弁はよろしいです。質問は尖閣の方に関してさせていただきます。

 きょう、私は、尖閣の質問に入る前に、歴史的なことに少し触れておきたいと思います。

 尖閣はどこのものだということが取り沙汰されておりますが、その前に何よりも、琉球という一国の時代がございました、一つの時代がございました。

 総理にお伺いいたします。事前にレクチャーも受けていると思います。沖縄の中で、いろいろな議論の中で必ず出てくる年代が三つあります。一つが一六〇九年、もう一つが一八七九年、そして一九七二年。一九七二年は本土復帰ですから、それはいいとして、一六〇九年、それから一八七九年、これが非常に話題になります。その二つの年代にどういうことがあったのか、総理の感想をお聞かせください。

野田内閣総理大臣 まず、一六〇九年というのは琉球が薩摩藩の支配下に入ったという年、それから一八七九年というのは、これは廃藩置県の関連で、いわゆる琉球処分と言われている、琉球藩が廃止をされた、そういうことがあったということだと思います。

 いろいろな曲折がある中で、沖縄が日本となり、その後、米軍に占領された後に沖縄の返還があり等々で、いろいろな曲折がございました。その過程の中で、さまざまな艱難辛苦があったというふうに思います。これは一言では言えないと思います。

 そういう過程の中を経ましたけれども、今、同じ日本として、日本人として、しっかりきずなができているということの、このきずなというものをしっかりと大切にしていきたいと考えております。

瑞慶覧委員 一六〇九年に薩摩が沖縄を、侵略と言ったりします、実質の支配下に置くわけですね。それから何百年間、薩摩、島津藩の方は、琉球のサトウキビとかあるいは農産物とか、それを自由自在に扱って、ところが、中国とも当時琉球は貿易していますから、それは隠して、まあ言葉は悪いんですけれども、おいしいところを薩摩は分捕って、それを大阪で売って利益を上げて、イギリスの軍艦を買って明治維新、そういうふうにつながっていくという歴史がございました。

 そして、一八七九年は、今総理がおっしゃったように、琉球が沖縄県になった年です。つまり、その瞬間、琉球という国が、一つの国が消えたという瞬間なんです。沖縄の中では、やはりそれはずっと引きずっております。私自身もそうです。ですから、尖閣のことに行きますと、尖閣はもともとどこのものなんだ、沖縄の中で必ずこれは話題になります。尖閣は琉球のものなんだ、主権は琉球にあるんだろう、分捕ったのはどこなんだという議論になるわけですね。

 私は、それを蒸し返すつもりはございません。しかし、何が言いたいかというと、そういった歴史観を常に踏まえた上で、尖閣のこととか、あるいは中国との関係、外交というのは進めていかなければならないと思いますし、そういう考え方に基づくことによって、必ず解決に向かう正しいベクトルの方に向かっていくと私は思っています。

 まず、尖閣に関してお伺いいたします。

 今回、何人の委員からもございました、香港の活動家が上陸いたしました。また中国から来るかもしれないとか、あるいは十月には台湾からも来るかもしれないとか、そういうことが言われております。これでは、上陸合戦、事態がエスカレートしてしまいかねません。地元の漁民の方々は、そういうことは望んでいないんですね。自分たちは漁がしたいんだと。

 二年前も、そういう衝突のときにも、私は石垣に飛んでいって、海上保安庁それから漁業組合の方々と意見交換をいたしました。それに基づいて、二〇一〇年九月三十日、私は、当時菅総理ですけれども、菅内閣に要望書、そして提言書を提出いたしました。まず一つは、漁業取り締まり船、国境警備の巡視船を強化すること、水産庁と海上保安庁の連携をもっと深めること、それから中国との交渉に当たっては沖縄を会場とすること、そういった提言をさせていただきました。

 総理、その私の提言を、当時だとは思うんですけれども、官邸は各省庁に、部署にどういう指示を出したのか、お聞かせください。

野田内閣総理大臣 政府としましては、漁業者の安全操業の確保は重要な課題と考えておりますけれども、瑞慶覧議員からのそういう御要請などもございまして、衝突事件発生後速やかに、内閣官房から海上保安庁及び水産庁に対しまして、尖閣諸島周辺における外国漁船に対する取り締まり体制の強化について指示をいたしました。

 これを受けまして、現地の声も受けとめながら、海上保安庁と水産庁が連携して、領海警備体制や違法操業の取り締まり体制の充実に取り組んできているところでございます。

瑞慶覧委員 海上保安庁とそれから水産庁、きょう来られていると思います。詳しい中身に関して、どういう警備体制を強化したのか、船をふやしたのか、そこら辺をお答えいただきたいと思います。

佐々木副大臣 お答えをさせていただきます。

 尖閣諸島周辺に中国漁船の進出が相次いでおります。漁民の皆さん方が大変不安を抱いているというふうに承知をしてございます。

 今御指摘がございましたが、農林水産省としては、尖閣諸島周辺の、まずは我が国の領域内でございますが、領海内に漁業取り締まり船を常時一隻配備をさせていただいております。また、領海外でありますが、領海外においては、尖閣諸島周辺海域において今年度から一隻増の三隻を派遣させていただいております。特に、外国漁船の操業が活発化する時期、五月から六月でありますが、ここにはさらに四隻を増隻し、集中取り締まりを実施するなど、我が国漁業者が安心して操業できるよう対応させていただいているところでございます。

 なお、海上保安庁との、関係省庁との連携を密にさせていただいていることも申し添えさせていただきます。

 以上です。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 海上保安庁といたしましても、現場に配備しておる巡視船と、ただいま農水省から御答弁ありましたような水産庁の漁業取り締まり船において常に情報交換を行うなど、連携を強化しながら対応しておりますが、私どもの体制の整備といたしましては、沖縄県を管轄する第十一管区海上保安本部において、スピードや夜間監視能力等にすぐれた最新鋭の巡視船や航空機の配備を他管区に優先して進めております。

 さらに、昨年十月には、石垣海上保安部に大型巡視船一隻を他管区から回しまして増強配備をいたしました。これは福岡の方は大変申しわけないんですが、「はかた」という福岡保安部の巡視船、三年前に配備した新鋭巡視船でありますが、これを「いしがき」に名前を変えて石垣保安部の方に回しておりまして、しっかりと増強しながら尖閣諸島周辺海域の領海警備に当たってまいりたいと考えております。

瑞慶覧委員 強化を図っている、そして連携も密にとり合っているということですけれども、ぜひ今後とも、あの尖閣の周辺というのは、中国の漁船というよりも、実は台湾の漁船が多く来ているところですので、そこら辺も連携を深めていただきたいと思います。

 漁民の方々、ウミンチュの方々がずっと言っているのは、これは何度も政府の中にも上がってきていると思いますが、実は尖閣に、これはきょう質問通告はやっていないんですが、避難港をつくるべきだ、つくってくれ、そういう声があります。つまり、石垣島から尖閣まで行くのに漁船で大体五時間ぐらい、早くても五時間ぐらいかかりまして、しかも天候が荒れるところですから、何もとらないで帰ってくる。そうすると、十時間全部パアになっちゃうわけですね。だから、しかしそこに避難港があれば非常に助かるということをおっしゃっております。

 避難港対策に関しては、政府の中でこれまで議題に上がっているのか、あるいは対策は立てているのか、どなたかお答えできればお願いします。

佐々木副大臣 漁船に限定された話を超えるものですから、農林水産省として特に対応をしているということではございません。今後、関係省庁と連携をさせていただきたいと思います。

瑞慶覧委員 質問を前もってやっていなかったものですから、申しわけない。ぜひとも海上保安庁と連携もとりながら、ぜひそこを実現に向けてやっていただきたいと思います。

 それで、日中漁業協定について外務省にお伺いいたします。

 一九九七年十一月署名、二〇〇〇年六月発効の日中漁業協定では、日中両国の排他的経済水域の北緯二十七度以北、北に関しては、日中共同で資源管理を行うとしています。そして、毎年、日中間の日中漁業委員会を開いて、そこに入る、その水域の漁船の数及び漁獲量などの操業の条件を協議していると聞いております。

 しかし、私の知る範囲では、二十七度線以南、その以南に尖閣があるわけです、そこでの日中の漁業委員会は開かれていない、あるいは開かれているけれども中身がないというふうにも聞いていますが、実態はどうなっているのか、お答えいただきたい。

中野大臣政務官 お答え申し上げます。

 今委員御指摘の二〇〇〇年六月からの日中漁業協定の中で、十一条という項目がございます。その中で、日中間の漁業についての安定的な取り決めを進めるということで、日中漁業共同委員会というものが設置をされております。

 本年四月に第十三回を数えるわけでございますけれども、この中では、先ほど委員御指摘の二十七度以北に限らず、以南におきましても、その水域を含めて、排他的経済水域における漁業の操業の秩序の維持あるいは海洋生物資源の保存に関する事項等を協議してきているという事実はございます。

瑞慶覧委員 私がお聞きしたいのは、そうではなくて、以北でもやっているように、漁獲量、それから何隻漁船が入るのか、操業規制ですね、そこが南の方でも、尖閣の周辺ですね、そこでもやられているのかどうか、そこをお聞きしたいんです。もう一度お願いします。

中野大臣政務官 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げました、例えばことしの四月に行われました委員会におきましては、例えば東シナ海、これは当然のことながら北緯二十七度以南も含まれるわけでございますけれども、そこにおきましての例えばアジですとかサバの資源確保、持続的な利用に努めるというふうな形では、協議は日中間ではやらせていただいております。

瑞慶覧委員 そこがポイントになると思います。石垣も含め、与那国のウミンチュも含め、尖閣に漁に出たいという方々は、二十七度線以南における操業規制、そこをきっちりやってほしいということですので、早急にそこは日中間で協議体制をつくっていく、操業に関しても話し合っていく、そういうふうにしていただきたいと思います。

 総理にお伺いいたします。

 外交の世界には、未解決の解決、これがひいては国益につながるんだという言葉があると思います。先ほどのやりとりを見ていても、やはり未解決にした方が実は国益につながるんだというところは論議になっていると思います。二年前の中国船の衝突、そして今回の魚釣島への上陸という事態となっているわけですから、中国との交渉というのは避けて通れません。

 その前に何よりも、尖閣が問題になっているんですけれども、その領有権と所有権、国民の皆さんも聞いていてもよくわからないと思います。どっちがどっちで、総理はどういうふうに思っているのか。領有権が大事なのか所有権が大事なのか。あるいは、所有権をとったとしても領有権があるわけだからそれはという、そういう考え方なのか。そこら辺をはっきりとお聞かせください。

野田内閣総理大臣 尖閣諸島に関して、これは領有権という場合でありますけれども、これは、国と国との間でいずれの国に領土が属するのか、所属するのかという意味で使っているということであります。

 一方で、所有権という場合は、我が国の領土の一部である尖閣諸島の土地がどの者に帰属するか、そういう意味において使っているということでございますけれども、尖閣諸島の土地の所有権の所在は、これは我が国の国内法の問題でありますので、仮にこれが日本国内で変更されたとしても、尖閣諸島の領有権が我が国に帰属することには変わりはない、そういう整理をさせていただいております。

瑞慶覧委員 領有権、所有権、非常にそれも大事だと思いますが、私はあえて、その前にやるべき交渉というんですか、あるのではないか。

 冒頭で申し上げましたが、歴史を踏まえた上で、琉球というところがあった、そして今沖縄となっている。ヤマト、本土、沖縄の人間はヤマトと言ったりするんですけれども、ヤマトとはまた違う風土が沖縄にはございます。沖縄には、イチャリバチョーデーという言葉がございます。イチャリバというのは行き交えば、行き交えば、チョーデーというのは兄弟という意味です、みんな兄弟だという言葉が、精神が今でも続いております。

 総理、復帰四十周年記念の式典、セレモニーが沖縄でございました。最後のセレモニーで、私はカチャーシーを踊りました。総理の手を強引に引っ張って、一緒にカチャーシーを踊りました。その後、クック諸島の議長の方も私は手を引っ張って、どんどんどんどん、最後のセレモニーはほぼ全員の方がカチャーシーを、カチャーシーという踊りがあるんですけれども、踊りました。沖縄における究極の外交戦略かなと私は思っています。みんなで踊る、それによって、私は、パシフィックアイランダーズの方々とのきずなもぐっと深まったんじゃないかなと思っております。

 沖縄、そして八重山、ひいては与那国のことも私は話していますが、漁民の方々は、安全な漁の保障であり、そして行き交うみんなが助け合って仲よく生きていく、そういうことなんですね。ですから、日中漁業協定にのっとって、尖閣周辺の漁民の安全操業、そして条件をつくり出すのが先ではないかと私は考えております。

 尖閣諸島周辺海域での安全操業に向けた我が国の対応について今後一体どのようになさるつもりなのか、これは外務大臣。

中井委員長 さっき答えたんじゃないかな。農水省が答えたんじゃないかな、安全操業は。安全操業は、海上保安庁かな、答えたよね。

 それでは、佐々木農水副大臣。

佐々木副大臣 先ほどお答えをさせていただきましたが、尖閣諸島周辺の安全操業という意味でいうと、一つは安全操業というのがありますが、今議員御質問いただきました日中漁業協定ということもやはり大切にしなきゃいけない。これは二つあって、安全操業ということと、もう一つは、あの周辺の海洋資源をどうやって保存、管理するかということと、これは二つ、セットだと思うんですね。そういう協定の中で、日中漁業共同委員会というのを設置してございますので、その中において、経済水域における漁業秩序の維持というものをしっかり図っていく必要があるというふうに思ってございます。

 それから、先ほど避難港の話がございましたが、実は避難港については、外国船が寄港しやすくなるという課題も抱えてございますので、そこは各省としっかり連携をとらせていただきますが、慎重に検討させていただきたいというふうに思ってございます。

瑞慶覧委員 質問がかぶってしまいました。緊張しているものですから、失礼いたしました。

 パネルの方を用意いたしました。これはくしくも先ほどの下村委員と重なってしまうんですけれども、下村委員の写真の方が見やすいんですけれども、これは私本人が撮った写真で、現場で撮った写真なものですから、あえて使わせていただきました。八重山の博物館に現存しているものを撮ってまいりました。

 ここで私が何を言いたいかというと、つまり尖閣の周りというのは、いろいろな国籍の方が、漁民も、ウミンチュも含めて亡くなっているんですね。疎開船の方も含めて亡くなっているところです。三十一人の方を救ったときも、玉代勢さんという現地の方が命がけで、一緒になってみんなで救ったわけですね。

 ですから、一つこれは提案ですけれども、外務大臣、もし慰霊祭をやるということであれば、私は、合同慰霊祭みたいな形にすべきじゃないかと思っています。例えば尖閣会議という、仮称ですけれども開いて、日本それから中国、台湾の方もたくさん亡くなっているはずですから台湾、琉球、沖縄を交えて尖閣会議。そこでのテーマは合同慰霊祭。今後、それを踏まえて将来に向けた外交努力を、先ほどセカンドトラックということもございましたが、その突破口になるような会議になるんじゃないかと私は思います。議長は琉球、沖縄が務めればいいんじゃないかなと思っております。

 外務大臣、私の提案に対してどうでしょうか。

玄葉国務大臣 まず、その表彰状でありますけれども、先ほど下村委員も……(瑞慶覧委員「感謝状」と呼ぶ)感謝状でありますけれども、改めて申し上げたいと思いますけれども、先ほど政府委員からもありましたけれども、ここにまさに中国側が、これは一九一九年の話なんですね、中華民国八年というのは一九一九年の話でありますけれども、「日本帝国沖縄県八重山郡尖閣列島」、このように書いているということは、改めて私からも申し上げたいというふうに思います。

 その上で、今のお話は、慰霊祭をどのように行うかということについて、まず沖縄との関連でさまざまお話がございました。また、歴史のお話もありましたけれども、これは一八九五年に、それ以前に当時の清国の支配というものがないかどうかということをかなり慎重に当時確認しているんですね、その上でまさに沖縄県に編入している、いわゆる無主地先占というものなんですけれども。

 先ほど沖縄のものというお話がありました。まさに沖縄県の、編入されているんですから、沖縄県に編入されたものなんですけれども、ただ、ずっと以前の話ということになれば、それはどこの国に属していたかというのは、私は、琉球に属していたということをこの場で申し上げるわけにはいかないということだというふうに思います。

 慰霊祭については慰霊祭として、私が答えるというよりは、内閣全体としてきちっと判断をしていくということだと思います。

瑞慶覧委員 歴史の話もしたんですが、双方が、いや、我々のものだ、こっちのものだと言ってもなかなか前に進まないということであれば、特に、日本にとってみて、外交というのは独自の外交路線というのを出してもいいと僕は思っています。そこに、琉球、沖縄というところをうまく使っていくという、そういう外交。

 ですから、穏便にやろうと言ったら、弱腰だとかと言うのは簡単ですよ。しかし、そこは耐えて耐えて、日本という国の外交のやり方、それはしっかりと議論をして、我々はこれでいくんだと。中国が、弱腰だ、あるいは日本の国民の間でも、何で弱腰でするんだ、野党の皆さん、私も野党ですけれども、弱腰だと言われても、これは与野党を超えて、日本の外交のあり方をどうするかなんです。ですから、今私は与党も野党もない立場で言っておりますので……(発言する者あり)いや、意味は、今そういうことなんです。だから、新たな外交路線というか、腰を据えた、そういう路線をするべきだ。

 ですから、まずはその突破口として、合同慰霊祭とか尖閣会議、そういったものを沖縄でやるべきだと思っているんです。どうですか。

玄葉国務大臣 これは主権の問題、尖閣を有効に支配している、領有権の問題は存在しないこの尖閣の問題で、譲るということはあり得ないんです。まずそのことがやはりあって、他方、今の趣旨を少し踏まえるとすれば、双方とも、当然、この尖閣の事態によって日中の関係の大局に影響を与えるということを望んでいるわけではない。ですから、そういった日中間の大局を見ながらの意思疎通というのは、それはあってしかるべきだし、あらねばならない、こういうことだと思います。

瑞慶覧委員 ぜひいろいろ検討していただきたいと思います。

 時間が非常に迫ってまいりました。ほかの質問、竹島のこともお聞きしたかったんですけれども、オスプレーのことに関してお聞きしたいと思います。

 分析チームができているとお聞きしておりますが、オスプレーの開発に長年かかわったアーサー・リボロ氏、米国防分析研究所、IDA主任分析官という方がおられます。その方は、オスプレーの安全性に関して、文書で、あるいは口頭ででも、いろいろなインタビューに答えて疑問を投げかけている方でございます。

 分析チームとして今回、特にオートローテーションに関してはクエスチョンマークをしている方ですね、リボロさん。分析チームはリボロさんに会っているのかどうか、あるいは今後会う予定があるのかどうか、お聞かせください。

森本国務大臣 先週、アメリカに送りました我が方の分析チームは、先生御指摘のリボロ氏とは会っておりません。

 が、累次アメリカに、オスプレーにオートローテーション機能があるのかという質問、問いただしをして、アメリカの方は、所有しているとの回答がありましたが、これは実際にそれを体験した方がいいということで、アメリカに要請をしまして、アメリカがこれを受け入れたので、先日、神風防衛政務官が現地で、現地でというのはアメリカ東海岸の海兵隊の基地ですが、そこに行って調査をしてまいりました。その際同行した自衛官のパイロット、ヘリのパイロットと戦闘機のパイロット、二人にオートローテーションのシミュレーションの中に入ってもらって、実際に体験をしてもらいました。

 結果は、報告を受けましたけれども、細かく申し上げることは技術的に非常に難しいんですけれども、一言で言うと、普通のヘリコプターよりもかなり降下率が高い。これは当然といえば当然ですが、しかしながら、軟着陸できるというか、安全に飛行機がオートローテーションの機能を使って緊急着陸できるということを実地に体験して帰ってきたところでございます。

中井委員長 瑞慶覧君、あと十秒しかありません。

瑞慶覧委員 メーカーはそれを保証しているんですか。オスプレーをつくったメーカーはオートローテーション機能を保証しているのかどうか。

中井委員長 森本防衛大臣。短く答えてください。

森本国務大臣 はい、メーカーであるボーイング社はこれを確認しております。

瑞慶覧委員 ありがとうございました。

中井委員長 これにて瑞慶覧君の質疑は終了いたしました。

 次に、東順治君。

東(順)委員 公明党の東順治でございます。よろしくお願い申し上げます。

 私も、先ほどからの議論、やりとりを聞いておりまして改めて思ったことは、いたずらに相手国と我が国のナショナリズムというものを結果的にあおることになってはならない、ただし、やはり冷静に、かつ淡々と、リーズナブルな、やるべきことはきちんとやっていかなきゃいかぬということを改めて痛感いたしました。

 したがって、国際社会にしっかりと、今回の次々と起こっている事案の問題、我が国の主張の論拠、そういったこともきちんと何度も何度も丁寧にやはり説明をしていくべきだろう、かつ、我が国の国民の皆様に対してもきちっと説明をすべきであろうということを痛感いたしました。

 先ほど下村委員、あるいは今の瑞慶覧委員から示された中華民国の感謝状、あるいは、対馬が本来我が国の地であるという碑文が韓国に建っているという現実、これは僕は、日本人として、あるいはまた九州の人間の一人として大変驚きました。しかし、こういったことを、こういう事実をきちんと国内外に丁寧に冷静に、ヒステリックではなくて冷静にきちんとやはり知らしめていくということはこれはまた大事なことだろう、私はこう思います。

 そこで、まず、尖閣そして竹島、これが我が国の固有の領土ということの根拠について私ちょっと触れてみたいと思います。

 まず、尖閣列島。

 これは、一九六〇年、中国がつくった世界地図です。この中に尖閣が日本の領土であると中国政府が認めていたことを示す、そういう地図です。大変小さくて申しわけないんですけれども、赤い色の台湾の右上の方に、魚釣島、尖閣群島、こう明記されています。

 これは実は、二〇一〇年の九月十七日、アメリカのワシントン・タイムズが紹介している記事なんですね。

 ここでは、いわゆる中国名で言う釣魚島ではなくて、日本語の魚釣島と書かれている。そして、尖閣群島、こう書かれている。こう明確に表記されている、日本名で。この地図には、尖閣諸島が日本の領土であるということを明確に示す境界線も引かれている。この台湾のすぐ右横ですね。

 つまり、これらで、一九六〇年代まで、尖閣は日本の領土であるということを認めておったんだというアメリカのワシントン・タイムズの記事であります。

 そして、この後、一九六八年には、日本、韓国、台湾の科学者を中心にしたアジア極東経済委員会、ここが、尖閣諸島周辺の約二十万平方キロメートルの海底にペルシャ湾級の石油、天然ガスの埋蔵の可能性を指摘するんですね。これは一九六八年。以後、急激に、国境問題という名のもとに中国の尖閣周辺への触手が始まってくるわけです。これはもう歴史的事実なんです。

 だから、こういったことをやはりきっちりと、あるんですよということを国内外に、静かに、冷静に、しかし粘り強く、淡々ときちんとメッセージを発していかないと、国益と国益のぶつかり合いなんですから、国境なんというのは。そのときに黙っていたら、これはもう弱腰となっちゃう。だから、言うべきは言う、やるべきはやる、それが結果的にナショナリズムというものを鎮静化させる、なるほどなという効果が出てくるんだろうというふうに私は思います。

 もう一つ、今度は竹島です。

 竹島問題理解の六つのポイント、これは外務省から出してもらった資料に基づいてまとめたんです。

 日本は古くから竹島の存在を認識していた。日本は、鬱陵島に渡る船がかり及び漁採地として竹島を利用し、遅くとも十七世紀半ばには竹島の領有権を確立していた。つまり江戸時代です。江戸時代から領有権を確立していた。日本は、十七世紀末、鬱陵島への渡航を禁止したが、竹島への渡航は禁止していない。当然です、日本の領土ですから。それから、日本政府は、一九〇五年、竹島を島根県に編入して、竹島を領有する意思を再び確認している。こういう歴史の経緯というものをきちんとやはりたどらなきゃいけない。

 今度は、サンフランシスコ平和条約起草過程で、韓国は、日本が放棄すべき領土に竹島を含めるように要請をした。しかし、そのときに米国は、竹島が日本の管轄下にあるとして拒否をした。歴史の事実なんです。竹島は、一九五二年、在日米軍の爆撃訓練区域として指定されておりまして、日本の領土として扱われていたことは明らか。

 要するに、最後のところなんですけれども、一九五二年、日米行政協定、この協定に基づいて設立された合同委員会、これは、日米行政協定に基づき、協定の実施に関する日米間の協議機関として設立したものですね。これは、日本国内の施設または区域を決定する協議機関。ここが、いわゆる竹島を爆撃訓練区域の一つに指定をしておる。つまり、明らかに日本のものなんです。

 これは尖閣でも、尖閣列島、尖閣列島といいますが、五つ島がありますね。五つの島の中で、久場島、大正島、この二つの島も実は米軍の射爆場じゃありませんか。明確に日本の領土なんだ。

 こういったことをしっかり、国際社会といったって漠としていますから、国連なんかで、しつこく、日本が出てきたらこのことをいつも語るんだというぐらいのアピールをする、メッセージを出し続けるというようなこと、しかも、感情的にではなくて、事実をきちっと踏まえて、押さえた上で、冷静に、淡々とやっていくということが私は大変大事だろうと思います。

 外務大臣、竹島不法占拠という言葉を使われましたね。よくぞ言ったと思いました。今の私のこの主張に対してどのようにお考えですか。

玄葉国務大臣 まず、東先生が、尖閣のいわば歴史、そして国際法上の根拠、そして竹島、それぞれ語っていただきました。全くそのとおりでございます。

 一つあるのは、尖閣は領有権の問題そのものが存在しないということがございますので、特に尖閣については、今おっしゃったように、冷静に、淡々と、粛々と、いわばしっかりとアピールする部分はアピールする。竹島は、明確にきちっと、より激しく私は言ってもいい。毅然と、かつ冷静に対応する、そのことが大事だというふうに思います。

 その上で、冒頭、対馬の話がございましたけれども、念のためですが、先ほど申し上げられなかったので申し上げますと、あれは郡立のたしか碑か何かだったと思うんです。ちなみに、韓国政府はそれは認めていないんです。韓国政府としては認めていなくて、例えば、対馬の日を制定すべきだと地方の馬山市というところが言っているということなんですが、韓国政府は、むしろ不必要な論争を誘発する可能性が高い、つまり、いかに信憑性がないかというのがもう明確なので、そんなことはもうやめるべきだという立場であることは、念のため申し上げておきたいと思います。

東(順)委員 冷静ですね。その冷静さが大事なんです。いずれにしても、こういった事実ということを本当に客観的に、きちんとやはりメッセージとして発し続けなきゃいけないと思います。

 そこで、私は、遺憾の意を表するとか、あるいは理解に苦しむ、それはそのとおりなんだけれども、その言葉だけで終わらせる、そういう世界はもう終わっているんだろうと思います。要は、具体的にどうしていくのかということが今問われているし、国民は、固唾をのんで、毎日緊張感の中で見詰め続けているということだというふうに思います。

 私は、外交というのは、あるときは腕相撲で、力ずくで、国益と国益のぶつかり合いなんですから、そしてまた、あるときは、しっかり握手をして、経済交流や平和友好交流、この右手と左手のバランスが外交だというふうに思っています。

 今のように、大変ヒステリックに、常軌を逸した形で、およそ考えられない形で李明博大統領なんかがあんな発言を繰り返してみたり、あろうことか、天皇陛下にあのような侮辱的な言辞を弄する、これは、我が国民、日本国に対する最大の侮辱の言葉ですから、こうやってきているときは、腕相撲ですよ。ばあんとやらなきゃだめ。それで、そればかりやっていると、これはまさにナショナリズムをあおって、最悪の、戦争みたいなところに、武力みたいなところにつながりかねないわけですから、それと、やはりしっかり握手をしていくというこのバランスというもの、どのぐらいバランス力を持っているかというのがその国の政権の力だ、外交力だ、私はこういうふうに思っています。

 そこで、総理、まず、先ほどからも出ていますけれども、この天皇陛下に対する侮辱するかのごとき無礼きわまりない李大統領の発言に対して、要するにどうするんですか。謝罪の上、撤回を求めるんですか。先ほど、求めるとおっしゃいましたね。それを断ってきたらば、さあ、どうするかということ、ここが、総理、これから問われると思いますよ。

 それから、親書の話も再三さっきから話題になっていますけれども、いよいよ親書が送り返されてきた。さあ、どうする。具体的には、例えば、ウラジオでAPECが開催されますね、そのときに日韓の首脳会談というのはどうするのか。こちらから呼びかけるのか、あるいはウエーティングなのか。あるいはまた、日韓のシャトル外交というのがずっと行われてきていますが、これは果たして続けるのかい、ちょっと一時停止だよということを言うのか。あるいはまた、財務大臣、日韓の通貨スワップ協定、どうするのか。まさに、言葉ではなくて、どうするのかということが問われている段階に今もう入っているわけです。これらについてどのように思われますか、総理。

玄葉国務大臣 先ほど親書の話がございましたけれども、その後、私がこの予算委員会にいる二時半ごろから、韓国の外通部の記者ブリーフというのがあったということでございます。

 簡単に申し上げれば、この親書の話については、本日、駐日大使館が、外交文書に添付し、外務省に返送するために日本側と接触する予定ということでございました。これは事実関係として申し上げたいと思います。

 率直に申し上げて、これはもう外交慣例上あり得ない話であるということで、受け取らないことも含めて検討しなきゃいけないというふうに私は思っています。

 いずれにしても、おっしゃるとおり、毅然と対応すべきところは毅然と対応する。しかし、では、管轄権の一部を行使できない竹島について、武力で、軍事力で我が国はそれを奪還するのか、我が国固有の領土でありますけれども。私は、そういう手段をとるべきではないと思うんですね。ですから、まさに合理的に、冷静に、ICJ、国際司法裁判所、紛争を平和的に解決するという手法を使って今その提案をしているし、領土問題に対しては領土問題でというのを基本にして、よく不法占拠と言った、こういうお話を言っていただきましたけれども、そういったこともきちっと、あと体制もきちっとやっていく。

 その上で、確かに非礼な発言があって、そういう中でさまざまなオプションをやはり検討していく、いるということが大事なので、今何かをあえてここで特定するということは私はまだしない方がいいというふうに思っていますが、こういった韓国側の行動、今回の行動も含めて、見ながら、判断をしかるべき時期にしていかなきゃいけない、こういうふうに考えています。

野田内閣総理大臣 東委員の基本的な認識で、クールで毅然とという方針が望ましいというお話だと思いますが、私も全く同感であります。エキサイトしてはいけないというふうに思います。エスカレートもいけないというふうに思います。

 その中で、ただし、私が出した書簡、親書を返す動きがあるということが今確認をされました。これは外務大臣も答弁されましたけれども、首脳間における親書の扱いで、返すということは、私は、どうしちゃったんだろう、余りにも冷静さを欠いた行動ではないかなと。我々はクールに大局に立って対応しようと思っていますが、先方がちょっとクールさを余りにも見失っているのではないかなと思います。

 そのときに、例えば、今APECのお話がございましたけれども、では、その首脳会談ができるクールさを持っているのかどうか、そこはよく見きわめなければいけません。ただし、アルファベット順で並ぶものですから、ジャパン、コリアは隣同士になると思います。そういう中でどういう対応をするか。それまでのいろいろな積み重ねがあるかと思いますが、今予断を持ってはお答えをすることができない部分もありますけれども、今の情報によると、余りにも冷静さを欠いてしまっているという現状をどう分析するかだというふうに思います。

安住国務大臣 先生から今、通貨スワップの取り決めのことがありました。

 昨年、欧州における経済状況等を踏まえ、韓国の為替市場に大変変動があって、私どもは、韓国側の要請もあって、このスワップについて七百億ドルの拡充ということをしたわけであります。それがことしの十月末で、時限措置としてやったんですね。ですから、その後、これをどうするか等について、一部報道で、何か韓国政府は、この通貨スワップの拡充は自分たちがやったのではなくて日本側からの提案でやったみたいな話がありましたものですから、これは正式に抗議をいたしました、そういう事実はないんではないですかと。明らかにそういう事実はありません。

 ですから、私どもとしては、感情的なことは一切ありませんけれども、しかし、礼を逸してはならないし、やはり我々の政策というのは、日本国民の理解があってこそ、こうした、いわば韓国経済の安定のためにということでやってきたわけであります。

 しかし、今総理もお話がありましたように、こうした礼を逸した対応、そしてまた大統領の行動も含めて、私としては、財務大臣を預かる立場でいえば、この十月以降の取り決めについてどういうふうにするかということについては白紙で考えざるを得ないというふうに思っておりますし、今後、総理も含めて、玄葉外務大臣も含めて、総合的に我が国としてとるべき対応というものをやはり考えていかなければならないと思っております。

東(順)委員 その結論を出すときが迫られていますよ。いつも総合的という言葉を最後は使われるんですけれども、もう言葉ではないね。さあどうする。感情的になっちゃいけないけれども、その領域に来ていますよ。どうか心して、心して決断してほしい、いろいろなことを、冷静にと思います。

 それから、尖閣ですけれども、私は、よく皆さんが使われる言葉で、平穏かつ安定的に維持管理をしていくために今何人もあの島には上げないんだとか、こう使われるんだけれども、現実は、平穏かつ安定的ではないわけですよ。それで、やはりここも静かに淡々と、私はもっと実効支配の実をとるべきだと思う、本当に。

 例えば、先ほどもちょっと出ていましたけれども、漁船の避難基地、避難港というものをあそこにきちっとつくっちゃう。そして、あそこは漁場の宝庫ですから、やはり嵐だ何だかんだのときに、漁船の人たちが、もちろん日本漁船ですよ、きちんと退避できるような漁船の基地をつくる、あるいは無線の中継局みたいなことをきちんとつくっていく、あるいはまた海上保安体制、若干強化されるようでございますけれども、本当にそれで大丈夫かねというこの海上保安体制ということをきちんと充実させていく。

 この間、総理は本会議で、本当に南西の海が危うくなったときにはさまざまな手を打つ、自衛隊も含めてという答弁をなさいましたね。だから、自衛隊の艦船とかあるいは自衛隊そのものが出張るというのはやはり大変危ない状況なんだろうとは思いますが、そこまでシミュレーションをしてこの尖閣ということを考えておられるんですか。もう一度確認します。

野田内閣総理大臣 先般の答弁というのはまさに一般論として申し上げたんですけれども、基本的には、海保、警察がまさにその執行をする立場です、警察権を行使するという立場であります。それでも手に余る状況になったときに、自衛隊が治安を維持するために出動するということの一環の中で申し上げている話であって、だから、個別の案件ではいろいろなケースがあるということだというふうに思いますけれども、それを、まさに今、この尖閣の問題でそのことを前提に何かを考えていたわけではありませんけれども、ただ、いろいろなシミュレーションはやっておかなければいけないというふうに思います。(東(順)委員「実効支配の充実というところはどうですか」と呼ぶ)

 これについては、東京都が尖閣を購入するその計画の中身であるとか、あるいは、所有者も含めてでありますけれども、さまざまなレベルでさまざまな意見交換をしていく中で、どういう形のものが望ましいのかということを、余り総合的にという言葉は使いにくくなってしまいましたけれども、総合的に検討させていただきたいというふうに思っております。

東(順)委員 私、持ち時間が三十五分なんですよ。もっともっと突っ込んだやりとりをやりたいんですけれども、ほかに聞きたいこともありますので、次に移ります。

 もう一つは、若い人たちに対する歴史教育です。これは、やはり私は、戦後、日本の教育というのは、日本の近代の歴史ということを正確に教育してきたんだろうか。あるいは、竹島のこと、尖閣のこと、北方領土のこと、きちっと正対して真正面から若い人たちに教育をしてきたんだろうか。正直、物すごい危惧を覚えます。

 それで、例えば今回のようなことになってきたら、一気に中国でデモが広がる、あるいはまた尖閣にああやって上陸をしてくる、英雄視されて帰る。彼らが叫んでいるのは日本帝国主義打倒ですよ、日帝打倒ですよ。日本帝国主義打倒といったって、どこが日本が帝国主義なんだよ、時代錯誤も甚だしいよ。この人たちは本当に言葉の意味をわかって言っているのかね、率直に僕は、テレビの画像を見るたびにいつもそう思います。もう枕言葉のごとく、これさえ言っておけばデモは盛り上がる、これさえ言っておけば英雄視される、香港に意気揚々と英雄のごとく帰る。これは、間違っているけれども、やはり歴史教育をしてきているんですよ、韓国も中国も。

 では、日本は、間違っちゃいけないですよ、偏っちゃいけないですよ、手前勝手なひとりよがりの歴史教育は絶対だめです、だけれども、正鵠を得た本当に正しい歴史教育ということをやはり若い人たちに子供のときからきちんと教えないと、これはだめだと思う。我が国に対する誇りも出てこなければ、僕は、オリンピックのサッカー場であんなパネルを持って走り回るみたいな姿なんかを見ていると、もう悲しくなっちゃう。彼らはいいと思ってやっているんだもの。やはり教育されているから、小さいときから。日本もそろそろ、偏ったものではなくて、きちんとした正しい歴史認識ということを教えるところにもう来ているんだろう、そうしないとこの国の将来が危ない、正直に僕はそう思います。

 決してナショナリズムで言っているんじゃないんですよ。世界が、誰が見てもなるほどなと。したがって、あの第二次世界大戦のときの反省すべきことはいっぱいあるでしょう、日本として。しかし、誇大に言われて、何でここまで言われなきゃいけないのかと言われていることもあるでしょう。そういったことを冷静にきっちり集大成をして正しい歴史教育をしなきゃいけない、それが若者たちのためだ、子供たちのためだ。その子供たちがこれからの日本を背負うんだから、誇りを持った我が愛する日本となってほしいと思いますが、総理、いかがですか。

野田内閣総理大臣 今の東委員のお話を聞いていて思い出した言葉があるんですけれども、もう四、五十年前だと思いますが、亡くなった会田雄次先生が京都大学を卒業する卒業生の皆さんに言ったという言葉ですが、戦後教育の中で三つのものを教えてこなかったと。一つは宗教心です。これは特定の宗教じゃありません、幅広い意味で命をいたわる心とか、そういうことだと思います。二つ目は人の道、道徳。三つ目が歴史。これをきちっと教えてこられなかった人たちが将来リーダーになったときのこの国は危ういと言ったそうです。今、その言葉を思い出しました。

 特に歴史については、自分も少年時代そうだったと思いますが、近現代史はきちっと教わっていないんです。途中でとまってしまいました。たしか文明開化とか散切り頭ぐらいで終わったと思うんですね。大事なことを教わっていないんです。これはきちっと、尖閣の問題も竹島の問題も、特に尖閣などは領有権の問題はないという前提に立っているから、なお教えていないんですね。そういうことも踏まえて、御指摘のとおり、きちっと歴史を教えることの大切さは同感でありますので、これはよく文科大臣ともお話をさせていただきたいというふうに思います。

平野(博)国務大臣 今の総理の答弁に尽きますが、先生おっしゃるように、歴史教育を通じて、我が国の国土と、次の世代を担う子供にしっかりと史実を教えていくということは極めて大事なことだ、先生と同じ認識に立ってございます。したがいまして、私は、学校の生徒の発達段階に応じた対応をしっかりしていかなきゃならない、かように思っていますので、先生の御指摘、重く受けとめて、努めてまいりたいと考えております。

東(順)委員 それと、総理、今回の連続的に起こってきている案件に対する総理の説明の仕方、これは一言申し上げたい。

 先ほどどなたかが、小泉総理のときは、先回の尖閣の不法占拠のときに、直ちに強制送還させた、あのときに、総理みずから記者会見をやって、自分の政治判断としてきちんとやったんだということを述べた。それに比べてという話がありましたけれども、確かに、物すごく重大な事案が次々と発生していますから、これは時間をしっかりとって、言葉を尽くして記者会見をやって、記者の質問を受けて、それを国民の皆様にしっかり見てもらって、そして同時に、国際社会にそれを発信する、これを総理、やはりきっちりやらなきゃいけないと僕は思いますよ。

 イメージとして、消費税のときは非常にそういうイメージがあった、確かに。おお、丁寧にやっているなと。あれに比べて、今回の事案では、官邸の中を歩きながら、とめられて、ぱっと何か物を言うとか。確かに、最初の事案が起こったときには冒頭言いましたよ。しかし、時々刻々とこれは動いているわけだから、だから、しっかり時間をとって説明責任というものを果たさないと、僕は、総理の説明スタイルとしてはいけないと思います、世界に対しても、我が国民に対しても。みんな不安になっているんだから。どうですか。

野田内閣総理大臣 領土、領海、そして主権に関することについては毅然として対応する、不退転の決意で臨むと先ほども答弁で申し上げました。

 特に、十日、竹島への上陸事案が発生したときには、その日の記者会見で行いましたけれども、今の御指摘を踏まえて、尖閣の問題も含めて、きちっと国民の皆様にお話しをする機会をつくりたいというふうに思います。

東(順)委員 物が物ですからね。大体、記者会見もちょっと短いなというイメージをよく受けるんです、僕は。だから、これは大事なことだというときは十二分に時間をとって、そして、これ以上はないというぐらいのことをやって、我が国の国内に、世界、国際社会にきちっとメッセージを出す、そして、国連の場で国連大使にもしっかり物を言わせるということを、合わせわざでやはりやるべきだと思います。

 世界を味方につけて、そして、歴史的事実を踏まえて、いかに日本が主張していることがリーズナブルであるかという認識を持っていただくということが大事なんだろうというふうに思います。

 さて、引き続き、委員長、これは外交とまたちょっと違う案件で総理に確認をしたいことがございます。それは、人権救済機関の設置の問題なんです。

 今、人権委員会設置法案というものを何とか法案化して、閣議決定すべきかどうかという、そういうところに来ておりますけれども、私は、この日本、しかも世界で先進国、あるいはまた人権ということに大変敏感な国、その国に人権法という法律が全くないというのはやはり物すごく残念です。

 そのとば口になる人権委員会設置法というものをさあこれからどうするかということになっていて、今、世界の六十九機関が国際社会から認証されているんです。いわゆる人権機関をきちっと持っている。東アジアの中では、認証されていない国、中国、北朝鮮、そして日本。あと一つ、マカオ。これはやはり、人権というものを本当に大事に考えている国のありようとしては、甚だ悲しいことだし、寂しいことだというふうに思います。

 ましてや、今、世の中では、総理、いじめ問題というのが深刻な社会問題になっているでしょう。このいじめ問題の駆け込み寺という意味でも、人権を救済する機関が日本に厳然とあるということをやるべきだと私は思います。

 そこで、この法案を閣議決定なさる意思ありやなしや、この点、お伺いします。

野田内閣総理大臣 御指摘の人権委員会設置法案につきましては、これまで法務省において法案の作成作業を鋭意進めてきたところでございます。

 今の御指摘も受けとめさせていただきまして、法案の閣議決定、そして本通常国会への提出に向け、引き続き、必要な作業をしっかりと進めてまいりたいと考えております。

東(順)委員 閣議決定、法案提出を目指す、こういう総理の力強いお言葉をいただきました。人権に党派はありません。したがって、ぜひこれを進めていただきたい、こう思います。

 以上、終わります。

中井委員長 東さん、長年にわたって人権問題へのお取り組み、御苦労さんでございました。

 これにて東君の質疑は終了いたしました。

 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 尖閣諸島、竹島をめぐる問題について、私も質問いたします。

 まず、野田総理に基本的な姿勢、認識について伺いますが、この日中そして日韓の関係というのは、我が国にとっても極めて重要であることは言うまでもないと思います。このもとで、尖閣諸島あるいは竹島をめぐる領土問題の解決に当たって何よりも大切なことは、歴史的事実と国際的道理を踏まえた冷静な外交交渉を行っていくということだと思うんですけれども、総理の基本認識を伺いたいと思います。

野田内閣総理大臣 これは委員の御指摘のとおり、大局観に立って、そして、全体的に悪影響が出ないようにするということはしっかりと押さえておかなければいけません。

 ただ、間違ったことが言葉で出てくる、行動で出てくるときには、冷静さを持ちながらも、きちっと毅然と対応しなければいけないと考えております。

笠井委員 冷静に、毅然とという話がありましたが、日中や日韓両国の関係も考えたときに、やはりそういう意味では、緊張を激化させたり、あるいは関係を悪化させるような言動というのは、いずれの政府も慎む、そうしないと問題解決には至らないということで、それはよろしいですね。

野田内閣総理大臣 御指摘のとおり、しっかり冷静さを保ちながら議論しなければいけないと思います。

笠井委員 そこで、まず尖閣諸島をめぐる問題でありますが、日本共産党は、尖閣諸島の日本領有については、歴史的にも国際法上も正当だという立場を明確にとっております。二〇一〇年の十月に私どもが出した見解の中で、「何よりも重要なことは、日本政府が、尖閣諸島の領有の歴史上、国際法上の正当性について、国際社会および中国政府にたいして、理を尽くして主張することである。」というふうに指摘をいたしました。当時、この見解に基づいて、この予算委員会で私も質問しましたし、それに先立って、志位委員長が衆議院本会議でも質問をいたしました。

 問題は、歴代の政府が、一九七二年の日中国交正常化以来、本腰を入れて日本の領有の正当性を中国側にも国際社会にも主張してこなかったことではないかと率直に指摘したわけです。これに対して、当時、菅総理は、正しい理解が得られるように今後とも努力すると答弁されて、前原当時外相も、これまででいえば、歴代ということで大いに反省するところがあるというふうに答えました。

 野田総理、あれから二年たつわけですが、日本政府として、この問題で正当性について主張するという点で、どういう努力をしてきたというふうに総括をされるでしょうか。

野田内閣総理大臣 委員の御指摘のとおり、尖閣諸島については歴史上も国際法上も我が国の固有の領土であるということは、これは明々白々であります。

 したがって、解決すべき領有権の問題はないというのが基本認識でありますけれども、こうした自分たちの主張ということは、例えば中国が尖閣諸島に関する独自の主張に基づくことを行った場合には、こうした我が国の立場というものを一貫して明確にしてまいりました。

 加えて、こうした立場については、国の内外で正しい理解を得るべく、政府ホームページを含めた対外発信、外交ルートを通じた働きかけに加え、累次の機会に、外国メディアへの反論あるいは所感掲載や、申し入れを実施してきているということでございまして、今後ともそういう努力を続けてまいりたいと思います。

笠井委員 伝えている、そして主張しているというふうに言われたんですが、私は、尖閣問題でどこまで突っ込んでやりとりしているかというのが問われることになると思うんです。

 そこで、一番肝心の、領有権の歴史的、国際法的な根拠について改めて整理して確認をしていきたいんですけれども、まず、尖閣諸島の存在というのは古くから日本にも中国にも知られていたけれども、いずれの国の住民も定住したことのない無人島だった。そして、一八九五年の一月十四日の閣議決定によって日本側に編入されたけれども、それが歴史的には最初の領有行為であって、それ以来日本の実効支配が続いている。所有者のいない土地に対しては、国際法上、先に占有していた、先占といいますが、これに基づく取得及び実効支配が認められていると。

 この尖閣諸島をめぐっては、中国側が、日清戦争に乗じて侵略によって日本が奪ったというようなことを言っているわけですが、そういうものではなくて、そういう点では中国側の主張は成り立たないということだと思うんですが、それはよろしいでしょうか。

玄葉国務大臣 全くそのとおりで、無主地先占というのがまず一つございます。そして、この間、繰り返し申し上げてまいりましたけれども、石油の埋蔵の可能性が指摘されてから領有権の主張を始めたというのも事実でございます。

 その上で、いわゆるサンフランシスコ平和条約などでもそうなんです。あるいは、もっと言うと下関条約とも関連するわけでありますけれども、我々、サンフランシスコ平和条約で、いわゆる放棄すべき領土の中に台湾と澎湖諸島ということを書いてあるんですが、そこにもう尖閣諸島は含まれないということが明確になっているわけであります。

 これは、具体的に言うとサンフランシスコ平和条約の第二条ということで、日本が放棄した領土には含まれないということで、先ほど石破先生からも御指摘があったいわゆる沖縄返還協定、これはまさに、尖閣もあわせて日本に施政権が返還をされているということでございます。

笠井委員 今、玄葉大臣の言われた点に関連しているんですが、総理に一点確認です。

 中国側は現在、尖閣諸島の領有権を主張しているわけですが、つまり一八九五年から一九七〇年までの七十五年間を見ますと、石油の話も出ましたが、一度も日本の領有に対して異議も唱えない、そして抗議も行ってこなかった。したがって、まさに日本の領有と実効支配は正当だということでよろしいでしょうか。総理、お願いします。

野田内閣総理大臣 御指摘のとおり、今の一八九五年から一九七〇年代の初めまでおおよそ八十年近く、明確に中国が、かの国の領土であるという意思の表示は全くありませんでした。

笠井委員 そういう歴史的な問題について、国際法上の問題についても、私は、やはり中国に対しても、それから国際社会に対しても、突っ込んでやりとりする必要があると考えているわけですけれども、この二年間でいいますと、菅総理から野田総理にかわられました。そして外務大臣も、松本外務大臣、前原さんの後になられて、それから玄葉大臣ということで、その間に、この日中の間でいうと、首脳会談、外相会談、電話も含めて、もう三十回以上やっているんですかね。そういうことでやりとりされていると思うんですが、尖閣問題をめぐってこうした突っ込んだやりとりをやってきたのかという問題、どうでしょうか。

玄葉国務大臣 これは結局、もともとこの尖閣について領有権の問題は存在しないという立場なものですから、我々は、我々からこのことを、特に外相会談で具体的に歴史、国際法上の根拠を説明するということは、私はむしろしない方がよいところがあると思います。

 ただ、例えば、領海を侵犯された、侵入があったとか、そういうときに中国独自の主張が出てきたというときには、これは、当然、明確かつ具体的にしっかり、我々の立場というより、我々の立場はもう先ほどおっしゃっていただいたとおりなんですけれども、立場どころではないんですけれども、具体的に話をする、そういうことだろうと思います。

 これは、実は尖閣だけじゃないんです。余り言い過ぎるといけないんですが、やはり国際法上の根拠というものを、例えば南シナ海でも何でもそうなんですけれども、きちっと言っていくということは、実は大事なことだと思うんです。

 つまり、力によって物事が全て決まったり、力による支配というのではなく、やはりまさに法の支配とか国際法上の根拠とかそういったものをきちっと示していくということは、一般論で言えば非常に大事であるというふうに思います。

笠井委員 そこのところで、そういうことだと思うんですよ。まさにきちっと言っていくことは大事なんだけれども、玄葉大臣がいみじくも言われたけれども、中国との間でそういう問題を突っ込んでこちらからやると、つまり、領土問題は存在しないと言っているのに存在を認めることになるということで、踏み込んだ議論ができないということになって、それで、中国に対しても国際社会にも、先ほどあったように、歴史的にも国際法的にも日本の領土であって、解決すべき領有権の問題は存在しないという主張をやっているということになっていると思うんですが、それではちょっと弱いんじゃないか。そこはやはり踏み込んで言わないと、本当にこの問題では正当性についてはならないんじゃないかということだと思うんです。

 日本政府が、尖閣諸島の領有の歴史上、国際法上の正当性について国際社会あるいは中国政府に対して理を尽くして主張するという冷静な外交努力を、率直に言って、それを怠ってきた、つまり、存在しないということをもってですよ。そのことが今回のような事態が繰り返される根本にないのかどうか。

 つまり、そういう点でいうと、日本政府として、日本の領有の正当性について理を尽くして説くという点については、さらに本格的な外交努力が、やはりこういうときだからこそ、今こそ必要なんじゃないかというふうに思うんですけれども、これは、総理、いかがでしょうか。

野田内閣総理大臣 尖閣の問題について、我が国が何か問題があるかのような問題提起をして議論をするということは、これはやはりふさわしくないと思うんですね。基本的には、領有権の問題は存在しないということであります。

 ただし、この領有権の問題は存在しないということによって、理を尽くして議論をする、相手を納得させるというところが思考停止になってはいけないと思います。そこは、私は、ちょっとこれまでの歴代の政権を含めて、私どもの政権も含めてですが、これからどうするかというのは、総括をしながら進めなければいけないと思います。

 例えば、私も首脳会談のときに、先方の方から、核心的な利益と重大な関心があると言われて、重大な関心の部分で尖閣に触れてきたときがありました。私どもの立場はしっかり伝えました。伝えた上に、もう少し理を尽くして議論を突っ込んでもよかったかもしれないという気もします。

 そういうことを踏まえて、状況によっては、さらに時間をかけて理を尽くすというような、そういうことも必要ではないかと思います。

笠井委員 まさにその理を尽くしてというところが、やはり外交でいうと一番勝負どころで、一番強いところになるんだというふうに思います。

 次に、竹島問題でありますけれども、韓国の李明博大統領が竹島を訪問したことについてでありますが、あのような日韓両国間の緊張を高めるような行動というのはとるべきでないというふうに考えます。

 領土問題の解決は、あくまで歴史的事実と国際法上の道理に基づいて、冷静な外交交渉によって解決を図るべきだ、この点でも、本当にそれが大事だと思います。

 日本共産党は、この竹島の領有を日本が主張することには歴史的な根拠があるということを、一九七七年に発表した見解でも明確に述べております。

 同時に、竹島問題をどうやって解決するかという問題では、日韓の間に解決を冷静に話し合うための外交的な土台といいますか、話し合いの場といいますか、それを築く必要がある。ところが、今それがないということだと思うんですが、なぜそういう話し合いの場ができない、あるいは、ないというふうに考えておられるでしょうか。

玄葉国務大臣 これは、この間の日韓関係の歴史を見たときに、先ほど総理からもお話ありました、批判ではございません、日韓関係は、よいときもあれば、困難な局面を迎えたときもあります。

 私もずっと概観いたしましたけれども、例えば最良のときというのは小渕元総理そして金大中元大統領のときじゃないかと思います。共同宣言を行って、それでも最後の方は教科書問題で悪くなっているんですね。

 恐らく、この間、竹島を取り上げたケースというのは余りなかったと思いますね。つまりは、ヘリポートができても、決してかつての政権の批判じゃないですよ、つまり、接岸施設ができても有人灯台ができても口上書で済ます、こういうことだったんですね。いろいろな意味で配慮してきた。竹島についてこちらから触れないという配慮もこの間してきたということじゃないかと私は思っているんです。

 だからといって、私が日韓外相会談で取り上げました、取り上げますけれども、では、理を尽くしてお互い真摯な議論をその場でできるかといえば、そう簡単なことではありません、率直に言って。

 ですから、そういう意味で、言うはやすく行うはかたしで、先方は今回だって、ICJの提案に対して、正式な連絡はありませんが、報道ベースによれば、その提案は受けない、こう言っているわけですよね。韓国は韓国独自の立場があるわけでありますから、そう簡単に外相会談でそれを俎上にのせて具体的に論争するということができる状況かといえば、残念ながら、この間、一貫してそうではなかったのではないかというふうに言わざるを得ないと思います。

笠井委員 今、ICJの話もありましたが、この提訴をめぐって、国際的にアピールしたとしても、結局、肝心の相手国である韓国との話し合いの場がこの問題でできないと解決に向かっていかないということだと思うんです。そのために努力しなきゃいけない。

 日韓関係の重要性を考えれば、両国の話し合いの場をこの問題でもつくって、歴史問題あるいはこの問題でつくって、冷静な外交交渉で解決する以外にない。結局そこに来るというふうに思うんです。

 そういう場さえない状況がなぜつくられているかという問題なんですけれども、さまざまな問題があると思います。双方の側にいろいろある。

 その中で、日本側の問題点として言えば、日本政府が一貫して韓国併合、植民地支配に対する真摯な反省をしてこなかった問題を、やはりそれはそれとして真剣に考えるときではないか。

 例えば、日本の竹島領有については、歴史的根拠があることは明確です。この主張にも根拠がある。これは私どもはそういうことを思うわけですが、同時に、この島の日本への編入が行われたのが一九〇五年ということで、既に日本が韓国を植民地化する過程にあって、そして既に韓国の外交権が奪われていたという状況で編入がされた。

 だから、そういう点では、そういう事実をきちっと歴史的にも認めて、そして韓国側の主張もしっかり検討するという必要が、これはあるんじゃないでしょうか。総理、いかがですか。

玄葉国務大臣 まず、一九〇五年に島根県に編入したわけですけれども、それはあくまで領有権の再確認だということは冒頭申し上げておきたいと思います。

 それは、先ほども申し上げましたけれども、十七世紀の半ばまでに日本の領有権というのは既に確立をしていて、当時、幕府が公認ということで、まさに、町人の方々がアワビの捕獲とか、いわゆる実効的な支配をもう既にしていたという経緯があるということを踏まえて対応しなきゃいけないというふうに思います。

笠井委員 そこのところは、歴史的に根拠があるというのは、我々もそう思っているんです。

 つまり、今、歴史的な話でアワビの話もされましたが、日本の竹島の領有についての主張の歴史的根拠があるということについては明白だと我々も思っているんですが、同時に、それが、再確認と言われましたが、編入したときというのがどういうときかといえば、やはり、当時、韓国の外交権を事実上奪うという過程の中であったことは紛れもない事実で、それに対して異論が言えなかったという事実もある。

 つまり、一九〇四年の二月に日露戦争が始まりました、直後に、ソウルを占領するということで。そして、同月に日韓議定書が強要されて、その上で、八月には第一次日韓協約で、これは日本が推薦する顧問を押しつけて外交と財政を握って、そして一九〇五年の十一月に、第二次協約ということで、保護条約ということになってくる。

 つまり、そういう歴史的事実を事実として認めないと、結局そこのところで行き違いが出てくるんだと思うんです。

 つまり、韓国では、戦前の日本による併合、植民地支配の最初が竹島だったと韓国国民のほとんどがそう思っている。そのときに、歴史への反省抜きに、これは根拠があるということで竹島は日本の領土だと言っても、それだけで冷静な話し合いの入り口にも行かないんじゃないか、そこを考える必要があるんじゃないかということを思うんですけれども、どうですか。

玄葉国務大臣 そこは、まさに韓国側の主張がそういう主張なんですね。

 でも、我々は、この竹島について、先ほども申し上げましたけれども、江戸時代から領有権を確立した上で、一九〇五年にそれを再確認し、しかも、先ほど東先生が言っていただいたんですけれども、サンフランシスコ平和条約で、韓国は、まさに日本が放棄すべき領土に竹島を含めてくれ、こう言っているんだけれども、米国は明確にそのとき拒否しているわけです、明確に。ですから、これはやはり歴史的に、また国際法上も日本の固有の領土であるということだと私は考えています。

笠井委員 韓国を私は代弁しているつもりはないので。ただ、韓国ではそう見られている。つまり、その時期がそういうことだったということについて、歴史的な事実についてのもつれた糸をほぐすということをやらなきゃいけないと思うんですよ。その作業というのが必要で、それは、日本はこうであるということを言えばいいんだけれども、しかし同時に、反省すべきところはするということで、歴史的根拠の問題と、この編入をして、あるいは併合してという問題についての反省とはきちっと分けて、それはそれでやるというふうにしないと、結局話し合いの場が持てないんじゃないですか。

 つまり、歴史問題はもう決着だという話をよく言われますけれども、では、そう言ったとしても、日本のそういう主張が今、韓国社会に受け入れられていると思うかというふうになったら、受け入れられていると思いますか。そうなっていなかったら話し合いの場は持てないわけですから、そこは、別に日本の主張を譲れとかという、領土の歴史的根拠を譲れと言っているんじゃないんです。だけれども、そのときの事情というのがあるんだから、それについて反省すべきところはするということをしないと、話し合いの場が持てて解決に向かわないんじゃないかということを言っているわけです。

玄葉国務大臣 だからこそ国際司法裁判所に提訴を提案しているんです、しかも合意付託で。もっと言えば、一九六五年の紛争解決交換公文に基づいた調停を提案しているわけです。まさに、武力でどうだこうだということではなくて、第三者が公正な形で平和的にこの紛争を解決する。

 これは実は、ICJに我々がこうして提訴するということは、我々だって、結果に対して受け入れる、そういう覚悟が必要なんですね、そういう意味では。ですから、まさに冷静に対応するためにも、合理的に対応するためにも、私は、ICJで、国際司法裁判所で、また、そして国際社会全体で解決、あるいはそういった法の支配のもとで解決していく、そのことがよいというふうに思っています。

笠井委員 ICJに提訴してアピールしたとしても、さっきも言いましたが、肝心の韓国が話し合いの場にちゃんと出ないと、先に、解決に行かないわけですから、私は、総理、最後に端的に伺いたいんですが、やはり、日本が過去の植民地支配への根本的な反省に立ってこそ、竹島問題については冷静に話し合う場、テーブルをつくることができると思うんです。そうすれば、双方が歴史的事実を突き合わせて、問題を外交交渉によって解決する道が開かれていくと思うんですけれども、そこに踏み出すべきだと思うんですが、その点、総理、一言、いかがですか。

野田内閣総理大臣 理を尽くして説明という、私は、その一番前提は、相手の言っていることの根拠がないということを明確にすることだと思います。我々の立場はしっかり主張しなければいけませんが、その上で、例えば韓国が主張しているのは、古い文書に記載がされていたというんだけれども、これは直接竹島かどうかわからないとか、漁師の発言とか、これも曖昧なんです。その根拠を一つ一つ潰していくことだと思います。

 ただ、これは政治家同士、外交当局同士の議論、もちろんやらなければいけません。だけれども、一方で、今回は国際司法裁判所に提訴をしました。まだ相手の態度はわかりません。これは決め打ちはできないと思いますが、自信があるならば堂々と受けるべきだということを我々は主張すべきだと思います。

中井委員長 笠井君、時間が来ています。

笠井委員 時間になりました。反省すべきところはきちっとして、歴史的事実と国際的道理できちっとやる、この態度で臨むべきだということを申し上げて、質問を終わります。

中井委員長 これにて笠井君の質疑は終了いたしました。

 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社会民主党の照屋寛徳です。

 本日は、琉球王朝以来、沖縄にはすばらしい伝統工芸、織物があるということをアピールするために、あえて、うらそえ織のかりゆしウエアをつけて登場しました。

 さて、野田総理、八月十八日、県都那覇市の住宅街において、在沖米海兵隊員による女性に対する強制わいせつ致傷事件が発生しました。同事件は、住宅街の路上を歩いている女性の背後から髪を引っ張って転倒させ、路地裏まで引きずり込み、わいせつ行為をしたという悪質きわまりない事件であります。犯行態様は計画的で凶暴であり、断じて許せません。

 沖縄では、長年にわたって、米兵の性暴力によって沖縄の女性の尊厳が踏みにじられ、悪質な事件が後を絶ちません。総理及び外務大臣、防衛大臣は、今回の事件をどのように受けとめておられますか。

森本国務大臣 先生御指摘の事件は、まさに今お話がありましたように、今月十八日土曜日、午前四時半ごろでしたか、沖縄の那覇市の路上において、キャンプ瑞慶覧に所属する海兵隊員による暴行事件で、被害者の女性の方に対して暴行を加えるとともにわいせつ行為を行ったとして強制わいせつ致傷の容疑で緊急逮捕され、十九日日曜日、身柄とともに那覇地方検察庁に送致されたものだと承知しております。

 このような米軍による事件とか事故というのは、これまでも米軍に対して、隊員の教育、綱紀粛正の徹底を図り、その防止に努めるよう申し入れを行ってきたにもかかわらず、このような深刻で重大な事件が発生したことはまことに遺憾であり、深く憂慮しているところです。

 防衛省としては、我が国の安全のために駐留する米軍による事件で、しかも、これはあってはならないものだと考えており、本件事件を受けて、米軍に対し、遺憾の意を示すとともに、再発防止の徹底を強く申し入れているところです。

 二十日、二十一日から、防衛省の本省並びに沖縄防衛局長から直接在日米軍の方に申し入れておりますが、なお、私は、来週沖縄に行って、四軍調整官に直接このことについて強く申し入れるつもりでございます。

 以上でございます。

玄葉国務大臣 この事件は、悪質きわまりないとおっしゃいましたけれども、私も、そのとおりだ、あってはならないというふうに思いますし、まず、被害に遭われた女性の方そして御家族、本当に、どういう思いでおられるかと御心痛をお察しいたします。

 したがって、言うまでもないことですが、外務省としても、私としても指示をして、綱紀粛正に努めるということで米側に伝えているところでございます。

野田内閣総理大臣 極めて悪質であって、卑劣であって、凶悪な事件だったというふうに思います。外務大臣も答弁されましたけれども、心身に深い傷を負った被害者の女性の心痛を察するに余りあるというふうに思っております。

 こうした事件が起こらないように、先ほど、防衛大臣が直接沖縄に行って再発防止に向けてしっかりと主張してくるということでございますが、政府としても、基本的にはそうした強い姿勢で臨んでいかなければと考えております。

照屋委員 総理、この事件を契機にして、今沖縄では、女性団体、市民団体を中心に大きな怒りが高まっておるんです。その怒りの抗議の声の中で、オスプレーは飛ぶ凶器である、海兵隊員は歩く凶器である、こういう表現で怒っておるんです。だから、もはや手あかのついた綱紀粛正では私は済まないと思う。

 したがって、今回の事件についても、政府としてアメリカに対して、被害女性への謝罪そして補償、あるいは心のケアを求めていく、より実効性のある具体的な再発防止を求めていくことが必要だと思いますが、総理、防衛大臣の意見を聞かせてください。

森本国務大臣 まことに、先生の御指摘のとおり、この事件は、総理から答弁ございましたように、悪質で、極めて遺憾な事件であります。

 補償については、今般の事件が明らかに公務外の事案であるということから、原則として加害者が全面的に賠償責任を負う、当事者間の示談によって解決されるということになると思います。

 これは、日米の地位協定に基づいて、裁判権が我が方にありますので、極めて厳格に処理がされるというふうに考えておりますが、それだけではなくて、被害者の心情に配慮すると、米側に対してできるだけ早期に処理を働きかけるなど、可能な限り速やかに補償、賠償が行われるよう我が方としても努力していきたい、かように考えております。

中井委員長 オスプレーは。

森本国務大臣 確かに、米軍の兵員のこの種の事件というのは大変遺憾でありますけれども、オスプレーそのものの問題については、やはり日本が今抱えている南西方面の不安定な状態、将来を展望すると、米軍の抑止機能というものをきちっと持つということは、これは米軍の機能だけではなくて、我が国の安全保障全体に寄与するものだと考えていますので、いろいろ困難はあると思いますが、また沖縄の方々には大変な御迷惑をかけることになると思いますが、飛行の安全に万全を期しながらオスプレーの配備を進めてまいりたい、このように考えております。

野田内閣総理大臣 確かに、遺憾の表明であるとか綱紀粛正、再発防止ということを言うだけでは、たびたびこれまでも起こっていることですので、なかなか納得感を得られないということはよくわかるんです。そして、その一件一件に被害者がいて、家族がいるわけですから、一つ一つ重たい事件、事案だというふうに思います。

 さはさりながら、そのことも踏まえて、政府として強く再発防止に努めてもらうように要請をするということは、やはり基本中の基本だと思っておりますし、米側ももちろんそれなりの取り組みをやってきたと思いますが、今回はとりわけ防衛大臣も行かれますので、しっかりとそういう主張をさせていただければというふうに思います。

照屋委員 総理、きょうは、「尖閣列島わったーもの」、古くから歌われている民謡の歌詞を総理初め各大臣、委員に配付しております。作詞は元沖縄大学学長の新屋敷幸繁、作曲は自称コザ独立共和国大統領の照屋林助です。パネルでは一番だけを表示してございます。

 この歌は、世界へ向けて、尖閣列島は我々のものだ、沖縄のものだ、琉球のものだと強く訴えております。野田総理、この歌についての感想をお聞かせください。

野田内閣総理大臣 御指摘の歌は、尖閣諸島が沖縄県に属していることを歌ったものと理解をしております。

 領有権の問題については先ほど来の答弁をしておりますけれども、尖閣諸島は我が国固有の領土であるということは歴史的にも国際法上も疑いのないところであって、そういう中で、我が国のこういう立場について国の内外で正しい理解が得られるように、今後とも努力をする考えであります。

 この歌の感想については、もうちょっとメロディーがわかるといい感想ができると思いますけれども、こういう歌があるということで、大変勉強させていただきました。ありがとうございました。

照屋委員 これはすばらしい歌なので、政府がDVDを買って、広く広めたらいいと思いますね。

 さて、私は、尖閣諸島が沖縄県石垣市に属する我が国の領土であることは、歴史的にも国際法上も明確だと認識をしております。玄葉大臣に伺いますが、尖閣諸島に対する我が国の実効支配は確立しているとお考えでしょうか。

玄葉国務大臣 尖閣諸島に対する我が国の実効支配という言葉がありました。私は、有効に支配している、こういうふうに言っているんです。なぜかというと、実効支配と言うと、あたかも領有権の問題が存在するかのような響きが実は国際社会の中ではございます。ですから、私は、有効に支配している、そういう意味では有効に支配できている、そう考えています。

照屋委員 最後に、防衛大臣に意見を申し上げておきます。

 尖閣問題を口実にして、だから沖縄の米軍基地は重要だとか、あるいはオスプレー配備は必要だとか主張する者がおります。私は、領土問題は、当事者双方が過剰なナショナリズムをあおったり、挑発行動を繰り返したり、武力行使を構えたりすることでは解決できないと考えております。あくまでも毅然と領土主権を主張しながら、平和的外交努力で解決されるべきだと思います。

 大臣はよもや、尖閣問題の日中間の緊張を口実にして欠陥機オスプレーを普天間基地に強行配備するんではないでしょうな。

森本国務大臣 尖閣諸島が我が国の領土であることは、国際法上も実態としても歴史上も、一点の疑いもないことであります。我が国の領土でありますから、我が国として領土を確実に守る、これは我が国の重要な責務であると考えます。

 その上で、我が国の安全保障は、我が国の防衛力だけではなく、日本に駐留する在日米軍と日米協力によって日本の安全を担保しているのであって、もちろん個々の島々全て日本の領土を全体として守るということであり、特定の島を守るために特定の兵器を導入するなどという考えは全くありません。先生の御懸念は当たらないと思います。

照屋委員 終わります。

中井委員長 これにて照屋君の質疑は終了いたしました。

 次に、浅尾慶一郎君。

浅尾委員 みんなの党の浅尾慶一郎です。

 きょうは、尖閣諸島をめぐる課題、そして竹島をめぐる問題について伺わせていただきますが、冒頭、きょうの玄葉大臣の言葉を使えば、尖閣は有効的に支配している、竹島は不法占拠されているという前提で、これはそういう理解のもとで整理をした方がいいと思いますので、この対応策は当然変わってくるということになるんだろうと思います。

 その上で、尖閣諸島については、東京都が上陸の申請を政府に出したというふうに理解をしておりますが、仮に、私は、今まで何人たりとも尖閣諸島に人が上がることを認めないのは、尖閣諸島を持っている所有者がそれを望まないからということが前提としてあったというふうに理解をしております。尖閣諸島を持っている人が上がることを認める場合に、にもかかわらず上陸を認めないという場合には、どういうことが理由になるんでしょうか。

藤村国務大臣 まず、基本のところは、国の機関を除いて上陸等を認めないという、これは所有者の意向も踏まえてという言い方をかつてからしてきましたが、それはあくまで借りている国の方針であり、我々側の方針であります。

 また、その際に、尖閣諸島の平穏かつ安定的な維持管理というための、この政府が賃借している目的を踏まえて、賃貸借契約の賃借人としての地位に基づいて、政府としては、原則として政府関係者を除き何人も尖閣諸島への上陸を認めない、こういう方針を立ててきて、それを継続しているところであります。

浅尾委員 結構大事なことをおっしゃったわけでありまして、今までは、所有者が望まないのでということを前提条件としてつけておられましたが、当然、所有者が売るということになれば、その前提条件は崩れることになるんだろうというふうに思いますけれども、その前提条件が崩れても賃借人としての政府として認めないということをおっしゃるおつもりなのかどうか、伺いたいと思います。

藤村国務大臣 今のお話は、売るというその具体的話としては、東京都の購入話があるという、それを前提にお話をされているというふうに受けとめました。

 それで、その件について、つまり一つ具体の件ですが、所有者としては、賃借人たる政府においてこれは判断すべきものというお考えを示されているところであります。

浅尾委員 この賃貸借契約の期限はいつでございますか。

藤村国務大臣 これは、今お借りしている期間は来年三月の末、二十五年三月三十一日までです。

浅尾委員 所有者の方で政府として判断してくださいと。所有者としては、直接東京都に売りたいというふうに、私はテレビを通してしか見ておりませんが、そういう発言もされている。仮に、政府として、賃借人として、民法上の権利として上陸を認めないということをおっしゃるということになったときに、来年三月三十一日で賃貸借契約が切れるというふうになったときは、これは、そのときは、所有者が自由に、買いたい人にどうぞ現地を見てくださいということに法律的にはなる。

 このことを申し上げているのは、冒頭申し上げましたように、有効的に支配しているということは、国の尖閣諸島であろうと、他の島であろうと、どの土地であろうと区別をしないということが、まさに国際的に有効的に支配しているということをあらわすことになるということになるので、当然、賃借人としての権利としてそういうことを主張されるというのは民法上の権利としては理解はできますが、切れたときについては、これは別のことになるという理解でよろしいでしょうか。

藤村国務大臣 今、来年の三月三十一日が過ぎた先の話をお話しいただいたので、その時点までどうなっているかというのは、まだ予断を許さないさまざまな、東京都の購入したいという御意向もあるわけですから、今その先の話をするのはまだ尚早ではないかと思います。

浅尾委員 ごめんなさい。

 そのことを申し上げたのは、今までは、東京都という具体的な購入したいという人が出てきたわけではありませんし、売りたいという話が出てきたわけではないんですが、今は具体にそういう話が出ている中で、政府として判断をしてくださいというふうに所有者が判断、げたを預けたということなんだろうと思いますが、政府としての判断で、賃借人としての地位として上陸を認めないという判断は、これは民法上当然あり得るのかなというふうに思います。

 きょうは法務大臣にもお越しいただいておりますが、一般論として、土地を貸し出している人がその土地を売りたいと言ったときに、その土地の上に何ら構造物がない土地を、賃借人たる人が入居は困ると言うことは、契約にそのことが明記していない場合に、そういう制限というのはできるというふうに解釈していいんですか。

滝国務大臣 原則といたしましては、当然のことながらということでございますけれども、賃借人の権利というのは大変大きなものがあるわけでございますね。したがって、所有者が勝手にその土地の中に入るというわけにもまいりませんし、第三者が入るわけにもいきません。要するに、賃借人は、立場は賃借人ですけれども、その借りている土地については権限を持っている、こういうことでございますから、そういうことを前提として物を考える、こういうことだろうと思います。

浅尾委員 そうすると、買いたいという人がいて、その買いたいという人は賃貸借契約においては第三者になりますが、その人が民法上の権利で見たいと言って、最終的には裁判所ということになるのかもしれませんが、そのことについては特段、これは最高裁とか呼んでいないので判例とかも調べていないんですけれども、そういった具体的なことで争いになったケースは、今のところ、全て賃借人の権利が保護された判例になっているという理解でよろしいですか。

滝国務大臣 判例にはいろいろ問題があるだろうと思いますけれども、具体的な判例を承知しているわけじゃありませんけれども、基本的には、それは土地所有者と賃借人との間の事実関係というのはあると思うんですね。

浅尾委員 最後に、この尖閣の問題について伺いたいのは、今政府にげたを預けているという中で、いや、政府がだめだと言ったときに、やはり自分としては売りたいと。これは当然、日本の国民の所有物でありますから、誰に売ろうとそれは自由なんだろうと思いますが、売りたいと言ったときに、買いたい人が見たいと言うので、やはり前言を撤回して、所有者としては買いたい人の上陸を認めてほしいと言ったときの政府の対応というのはどういうふうになるんですか。

藤村国務大臣 今のお話は、具体的に、東京都が立ち入りたいという申請を出された、その件ですよね。

 それで、今、一般論がそこでありましたが、土地の賃借人は賃借物件を使用、収益することができ、所有者や第三者の立ち入りを拒むことができるのが原則であります。したがって、賃借人が賃借物件について現地調査を拒むことは、原則として、所有者や第三者の私法上の権利を制約するものとは言えないわけであります。

 ただし、賃借人が賃借物件の所有者や第三者の立ち入りを拒むことができるかどうかは、これは、賃貸借契約の目的や内容、あるいは立ち入りの態様などを考慮してそれぞれ個別に判断されることであって、一般論としてはお答えできないんですが、今、東京都の立ち入りの申請が出ていることについて、これは個別に政府として判断したい、こういうことであります。

浅尾委員 ぜひ、冒頭申し上げましたように、有効的に支配している土地について法律の特例をつくるということは、かえってその有効的支配を弱めるということになると思いますので、そこはしっかりとした法律の対応をしていただくようにお願いしたいと思います。

 次に、竹島への李明博大統領の上陸とその後の政府の対応について伺いたいと思いますが、上陸は八月十日ということでありますけれども、政府の対策会議の日付はいつだったでしょうか。

藤村国務大臣 今おっしゃった大統領の上陸ということについての対策会議というものはございませんが、竹島の領土問題に関する関係閣僚会合を二十日の日に開いたところでありました。(発言する者あり)

中井委員長 ちょっと静かにして。

浅尾委員 八月十日に李明博大統領が上陸をされた、竹島の領土問題に関する会議が八月二十日、関係がない、上陸とは関係ないということですが、上陸があったからまさにその会議を開いているわけでありまして、そうでなければ開いていなかったんではないか。

 なぜこういうことを申し上げるかというと、私は別に民主党政権だけを何かこう申し上げるつもりはないんですが、竹島の問題については常に日本側の対応が、相手側が不法占拠しているということもあって、非常に後手に回ったんではないかなと。ですから、八月十日に上陸をしたのであれば、なぜ直ちにそういったような会議を開かなかったのかということを伺いたいと思います。

藤村国務大臣 ちょっと、私、訂正させていただきます。先ほどの竹島の領土問題に関する関係閣僚会合は二十一日でありました。

 それで、ちょっと時系列に言いますと、まず、八月十日、これは上陸を大統領がされたんですか、この日には、総理大臣がちょうど社保・税一体改革の記者会見を夕方行った。その中で、総理からの冒頭発言の中に、実は、この件、我が国の立場と相入れず、到底受け入れることはできない、私としても、つまり総理大臣としても、李明博大統領とは互いに未来志向の日韓関係をつくろうということでさまざまな努力をしてきたつもりだが、このような訪問はそうした中で極めて遺憾という発言をしているということです。

 それで、その次に、今度は八月十六日に関係省庁局長会議を開きました。これは、齋藤副長官をヘッドに、領土問題について毅然とする対応をする必要があり、竹島問題についてはICJに提訴するとの外務省の検討に加え、政府全体として竹島問題の解決のための方策を検討する必要がある、こういうことからこの関係省庁局長会議を開いたところであります。

 この会議を事務的な会議としてはキックオフとして、さらにその後に関係閣僚会合を開くこととなった、こういう系列であります。

浅尾委員 先ほども申し上げましたように、竹島へ李明博大統領が上陸したということが全てのことのきっかけですから、やはり、税と社会保障改革の委員会があったとか、あるいは国会があったということは別として、もし関係の局長の会議だったら別に国会は関係ないわけですから、なぜすぐに開かなかったんでしょうか。

藤村国務大臣 上陸をしたという行動については、これは八月十日の日に総理大臣が記者会見でこのようにまず申し上げた、それがきっかけではあると思います。

浅尾委員 対策会議で特に決まったことがないというふうに聞いております。対策会議は開いたけれども、何をするかは決まっていない。

 申し上げたいのは、これは外交にかかわることなので、具体的に何をするかということを対外的に発表するということと何かを決めるということとは別問題なんだろうなと。相手側が何をやってくるかわからないという方が、まだ交渉の可能性というのが高まるんではないかというふうに思います。

 もう少し今の話を具体的に申し上げますと、そのことがいいかどうかの判断はまさに政権がするべきだと思いますが、例えば、今回の竹島の件でいいますと、有名な韓国の映画俳優等も泳いで竹島に行っているということでありますけれども、その泳いで行っている人は、仮に何らかの営業目的で日本に来る場合には当然ビザが必要になってくるだろう。なぜかそういう人にはビザがおりないということで、ある種のメッセージを送るということも、発表する必要は全くないんですよ、だけれども、そういうことを何か決めておくということは重要なのではないか。

 何かが決まったかもしれないというふうに言った方が相手方に対して強いメッセージになるんじゃないかなというふうに思いますし、今後も国際司法裁判所に提訴するということであれば、きょう親書も返されたということですから、何か具体的に決めていく、別に決めたことについて発表する必要はないと思いますので、そのことについて総理の考えを伺って、終えたいと思います。

中井委員長 いや、もう答弁ありません。

 これにて浅尾君の質疑は終了いたしました。

 次に、松木けんこう君。

松木委員 新党大地・真民主の松木けんこうでございます。

 まずは、五分しかありませんので大変なんですけれども、委員長、時間をいただいて、ありがとうございました。そして、理事の皆さんと委員の皆さんも、我々は衆議院では三人の政党ですから、そこに五分でも時間をいただいたというのは、特に国民の生活が第一の方々の時間をいただいたみたいで、本当にありがとうございます。ただ、できたらあと五分ぐらい、今度よろしくお願いします。

 ということで、今回の領土問題、いろいろとありますけれども、あした国会の方で決議をされるという話も出ておりますけれども、ぜひここで新党大地の意見を言いたいんです。

 ぜひ、今回は、これはやはり竹島の問題に私は特化するべきじゃないかというふうに実は思っていまして、というのは、まず一つ、中国の、いわゆる尖閣の問題なんですけれども、これは民間の人たちがぐざぐざやってきたということなんですよ。しかし、竹島の問題というのは、これは大統領が来たんですから、やはりもう全然重みが違うというふうに思います。

 それともう一つ、天皇陛下に対してのお言葉のことでいろいろともめていますけれども、これも、公式のところで大統領がいろいろとお話をされたということであればまた別なんですけれども、そういうところでもない、報道ベースの話だということを考えたときに、この取り扱いもちょっと気をつけた方がいいのではないかなというふうに思っております。

 そこで、我々が、これはぜひこのまま上げていただきたいなと思っているんですけれども、ちょっと読ませていただきますと、

  わが国にとって大韓民国は、基本的価値観を共有する重要な隣国である。東アジア地域の平和と繁栄を確保するためにもわが国と大韓民国との関係を一層強化するための努力が必要とされる。

  わが国と大韓民国の間に、真の信頼と相互理解に基づいた善隣関係を深化させるためには、両国間の紛争を解決することが不可欠である。

  両国の国交が正常化され四十七年を迎えた今日も、なおわが国固有の領土である竹島が韓国により法的根拠なく占拠され、領土紛争が解決されていない現状は、誠に遺憾なことである。わが国の累次の抗議にもかかわらず、大韓民国は竹島に軍事施設等を建設し、兵員を常駐させている。さらに平成二十四年八月十日に、李明博大韓民国大統領が竹島に上陸し、わが国民感情を著しく傷つけた。

  わが国民の総意と心情に応えるため、政府は、竹島問題の解決に全力を傾注すべきである。さらに政府は、「竹島の日」を定め、竹島問題に対する国民の理解と関心を一層深め、竹島返還運動を全国的に展開すべきである。

  右決議する。

というのをちょっと我々もつくってみたので、ぜひこれを、あしたの決議もあるようですから、ぜひ全面的に取り入れていただきたいなというふうにも思っているわけでございます。

 何せ、やはり皆さん、ただぎゃあぎゃあやってもだめですよ。ここはしっかり落ちついて、どこをつつけばいいかということをしっかりやっていくべきだというふうに思っております。

 もう時間ですか。そろそろ時間ですから、総理大臣、もし御所見があれば、一言お願いします。

野田内閣総理大臣 国会決議のことですから、ちょっと政府の立場で申し上げにくいんですが、書いてある内容については大変共感できます。

松木委員 終わります。

中井委員長 これにて松木君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本日の集中審議は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四十五分散会


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