衆議院

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第1号 平成24年11月12日(月曜日)

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本国会召集日(平成二十四年十月二十九日)(月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 中井  洽君

   理事 金森  正君 理事 室井 秀子君

   理事 牧  義夫君 理事 高木 陽介君

      阿知波吉信君    稲富 修二君

      打越あかし君    小川 淳也君

      大泉ひろこ君    大畠 章宏君

      岡田 康裕君    加藤 公一君

      桑原  功君    笹木 竜三君

      下条 みつ君    仙谷 由人君

      田嶋  要君    辻元 清美君

      仲野 博子君    原口 一博君

      平山 泰朗君    藤田 一枝君

      牧野 聖修君    森岡洋一郎君

      山口  壯君    若泉 征三君

      渡部 恒三君    金子 一義君

      金田 勝年君    佐田玄一郎君

      柴山 昌彦君    菅原 一秀君

      田村 憲久君    谷垣 禎一君

      野田  毅君    馳   浩君

      古屋 圭司君    山本 幸三君

      山本 有二君    内山  晃君

      金子 健一君    三宅 雪子君

      山岡 賢次君    東  順治君

      笠井  亮君    阿部 知子君

      山内 康一君    今井 雅人君

      松木けんこう君

平成二十四年十一月十二日(月曜日)

    午前八時五十七分開議

 出席委員

   委員長 中井  洽君

   理事 小川 淳也君 理事 金森  正君

   理事 笹木 竜三君 理事 下条 みつ君

   理事 辻元 清美君 理事 室井 秀子君

   理事 山口  壯君 理事 田村 憲久君

   理事 山本 有二君 理事 牧  義夫君

   理事 高木 陽介君

      阿知波吉信君    井戸まさえ君

      磯谷香代子君    稲富 修二君

      打越あかし君    大泉ひろこ君

      大畠 章宏君    岡田 康裕君

      加藤 公一君    神山 洋介君

      城井  崇君    桑原  功君

      近藤 和也君    斉藤  進君

      中屋 大介君    仲野 博子君

      浜本  宏君    原口 一博君

      平山 泰朗君    藤田 一枝君

      細野 豪志君    本村賢太郎君

      森岡洋一郎君    山田 良司君

      若泉 征三君    渡部 恒三君

      石破  茂君    金子 一義君

      金田 勝年君    小池百合子君

      佐田玄一郎君    齋藤  健君

      柴山 昌彦君    菅原 一秀君

      竹本 直一君    橘 慶一郎君

      野田  毅君    馳   浩君

      古屋 圭司君    山本 幸三君

      大山 昌宏君    金子 健一君

      三宅 雪子君    山岡 賢次君

      渡辺浩一郎君    東  順治君

      笠井  亮君    阿部 知子君

      山内 康一君    今井 雅人君

      松木けんこう君

    …………………………………

   内閣総理大臣       野田 佳彦君

   国務大臣

   (行政刷新担当)     岡田 克也君

   総務大臣

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (地域主権推進担当)   樽床 伸二君

   法務大臣         滝   実君

   外務大臣         玄葉光一郎君

   財務大臣         城島 光力君

   文部科学大臣       田中眞紀子君

   厚生労働大臣       三井 辨雄君

   農林水産大臣       郡司  彰君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償支援機構担当)          枝野 幸男君

   国土交通大臣       羽田雄一郎君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    長浜 博行君

   防衛大臣         森本  敏君

   国務大臣

   (内閣官房長官)

   (拉致問題担当)     藤村  修君

   国務大臣

   (復興大臣)       平野 達男君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (消費者及び食品安全担当)            小平 忠正君

   国務大臣

   (金融担当)

   (「新しい公共」担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   中塚 一宏君

   国務大臣

   (国家戦略担当)

   (経済財政政策担当)

   (科学技術政策担当)

   (原子力行政担当)

   (宇宙政策担当)     前原 誠司君

   国務大臣

   (防災担当)       下地 幹郎君

   財務副大臣        武正 公一君

   文部科学副大臣      笠  浩史君

   経済産業副大臣

   兼内閣府副大臣      松宮  勲君

   政府参考人

   (内閣法制局長官)    山本 庸幸君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           米田耕一郎君

   政府参考人

   (外務省アジア大洋州局長)            杉山 晋輔君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房長) 前川 喜平君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            板東久美子君

   参考人

   (日本銀行総裁)     白川 方明君

   予算委員会専門員     石崎 貴俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十九日

 辞任         補欠選任

  谷垣 禎一君     齋藤  健君

十一月一日

 辞任         補欠選任

  今井 雅人君     松野 頼久君

同月十二日

 辞任         補欠選任

  打越あかし君     近藤 和也君

  大泉ひろこ君     中屋 大介君

  金森  正君     山田 良司君

  仙谷 由人君     細野 豪志君

  田嶋  要君     磯谷香代子君

  牧野 聖修君     斉藤  進君

  齋藤  健君     橘 慶一郎君

  菅原 一秀君     竹本 直一君

  馳   浩君     石破  茂君

  内山  晃君     渡辺浩一郎君

  山岡 賢次君     大山 昌宏君

  松野 頼久君     今井 雅人君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     井戸まさえ君

  近藤 和也君     打越あかし君

  斉藤  進君     牧野 聖修君

  中屋 大介君     浜本  宏君

  細野 豪志君     城井  崇君

  山田 良司君     金森  正君

  石破  茂君     小池百合子君

  竹本 直一君     菅原 一秀君

  橘 慶一郎君     齋藤  健君

  大山 昌宏君     山岡 賢次君

  渡辺浩一郎君     内山  晃君

  今井 雅人君     松野 頼久君

同日

 辞任         補欠選任

  井戸まさえ君     本村賢太郎君

  城井  崇君     神山 洋介君

  浜本  宏君     大泉ひろこ君

  小池百合子君     馳   浩君

同日

 辞任         補欠選任

  神山 洋介君     仙谷 由人君

  本村賢太郎君     田嶋  要君

同日

 理事大谷信盛君、細川律夫君及び三日月大造君十月二十三日委員辞任につき、その補欠として山口壯君、笹木竜三君及び辻元清美君が理事に当選した。

同日

 理事石破茂君及び小池百合子君十月二十六日委員辞任につき、その補欠として山本有二君及び田村憲久君が理事に当選した。

同日

 理事金森正君及び室井秀子君同日理事辞任につき、その補欠として小川淳也君及び下条みつ君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 国政調査承認要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 予算の実施状況に関する件


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     ――――◇―――――

中井委員長 これより会議を開きます。

 理事辞任の件についてお諮りいたします。

 理事金森正君及び室井秀子君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任及び委員の異動に伴い、現在理事が七名欠員となっております。この際、その補欠選任を行いたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中井委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に

      小川 淳也君    笹木 竜三君

      下条 みつ君    辻元 清美君

      山口  壯君    田村 憲久君

   及び 山本 有二君

を指名いたします。

     ――――◇―――――

中井委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 予算の実施状況に関する事項について、議長に対し、国政調査の承認を求めることとし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

中井委員長 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁白川方明君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣法制局長官山本庸幸君、総務省自治行政局選挙部長米田耕一郎君、外務省アジア大洋州局長杉山晋輔君、文部科学省大臣官房長前川喜平君、文部科学省高等教育局長板東久美子君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。細野豪志君。

細野委員 おはようございます。民主党の政調会長の細野豪志でございます。

 きょうは、与野党の関係者の皆さんの御努力によりまして、予算委員会が終日行われるということになりました。こうした議会で、国民の前でしっかりと議論ができるということを歓迎したいと思います。

 特に、こうした質疑は福島を初めとした被災地の皆さんもごらんになっています。我々政府も心しなければなりませんが、これだけ大変な事態が起こっている中で政治は何をしているのか、議会はどうなんだという声が非常に強くなっております。そうした皆さんの声にもしっかりと応え得るような質疑をしたいと思いますので、閣僚の皆さんにもぜひ心して御答弁をいただきたいと思います。

 まず、総理にお伺いいたします。

 この週末、民主党では、政策進捗報告会を全国で開催いたしました。総理も福岡の方で出席をされて、さまざまなやりとりをされたと聞いております。私も、土曜日には大阪で、そして日曜日には名古屋で政策進捗報告会に出席をしてまいりました。

 まず、率直に、この報告会に総理が出られてどのようなことをお感じになったか、感想をお聞かせいただけますでしょうか。

野田内閣総理大臣 おはようございます。きょうは夕方までよろしくお願いをいたします。

 細野政調会長などに対しまして、マニフェストをつくる際には丁寧な議論を踏まえてつくっていきましょうということを要請させていただいております。これを受けまして、具体的にその政策をつくる前提として、これまでのマニフェストがどういう形で何ができたのか、できなかったのかを含めての報告会を全国で展開する。その分、私は、第一回目という形で、福岡のいわゆる政策進捗報告会に参加をさせていただきました。

 会場では、大変厳しい御意見も頂戴をいたしました。一方で、御激励もいただきました。マニフェストの検証、総括を有権者の皆様と一緒に進めることは、次のマニフェストに国民の声を反映させていくという上では大変意義があると考えております。

 マニフェストに掲げた財源については、昨年の八月に、これは当時の岡田幹事長だったでしょうか、中間検証でも「実現可能性の検証に不十分な部分があった」と総括をしておりますけれども、やはり、実現できたこともたくさんありますが、野党時代の我々の見通しが甘かったということは、これは真摯に認めなければいけない。そこから出発をすることが誠意ではないかと思っております。

 マニフェスト選挙の意義、それがまた、マニフェスト選挙をこれから続けていくためにもこれは欠かすことのできないプロセスだと思っております。過ちは心から率直におわびをする、しかし、くじけず理念を貫いていきたいと考えております。

細野委員 私も土曜日、日曜日と二つの報告会に出席をいたしまして、総理とほぼ同様の感想を持ちました。

 大阪ですが、ある方が、子育てに苦労している、子ども手当が二万六千円もらえると期待をしていた、それがもらえなかった、しかも途中から減額をされたと。その方は、子供を育てるのに苦労して、三食の食事を一食に減らして生活をしているというような話もされていました。

 そういった皆さんには、実現ができなかったことについては真摯にやはり反省をしなければならないだろうというふうに思います。

 また、名古屋ではこういう方もいらっしゃいました。若い方です。就職活動が非常に厳しい、そういう中で、自殺を考えたこともあるというような切実な話をされていた方もいらっしゃいました。

 そういう国民の皆さんの声にしっかりと応える、そういう政治もやはり必要だということも感じました。

 そういった意味で、子ども手当に代表されるように、やはり財源の面での甘さがあったこと、そして、そういう政策が実現できるという傲慢さがやはり野党時代、我々にあったこと、そして政権運営についても、これも稚拙な部分があったこと、それは正面からしっかりと認めて、反省すべきところは反省すべきだ、私はそのように感じています。総理からも、今財源の話がございました。

 岡田副総理にお伺いします。

 私も、〇九マニフェストをつくったときは政策調査会の筆頭副会長をやっておりまして、そういった意味で責任がございます。ですから、その点についてはおわびをしなければならないというふうに思っています。

 岡田副総理も、当時はたしか幹事長をやっておられて、〇九マニフェストの策定に関与されています。そして、政権に入って、今、行政刷新を初めとしたさまざまな無駄を削減していくという立場になられていて、野党時代に感じておられたことと、実際にやってみて限界を感じたところ、率直に多分おありだと思うんですね。少しその点について、反省も含めて、副総理としてお考えのことをお話をいただきたいと思います。

岡田国務大臣 委員御指摘のように、私は、五月に小沢代表から鳩山代表にかわったときに幹事長に就任をいたしました。そのときに幹事長代理を引き受けていただいたのが野田さんであります。

 マニフェストについていろいろな思いを持っておりましたので、少しコンパクトにしようということで、たしか当時十九兆円ぐらい、これを十六・八兆までコンパクトにいたしました。もう少し何とかしたいという思いもありましたけれども、しかし、やはり、我々は政権交代をしていろいろなことをやりたいという思いの中で過大になったということは、これは否定できません。その点については、中間検証でも、真摯な反省が必要であるというふうに申し上げたところであります。

 一例を申し上げると、さっきの子ども手当、これは額二万六千円が妥当かどうかという議論が一つあります。多過ぎるのではないかという議論ですね。それからもう一つは、その財源となる配偶者控除の廃止、これができなかったわけですね。これは当時も党内でいろいろ議論がありましたが、方向性としては廃止という方向性で我々は議論しておりました。しかし、いざ政権をとって議論していく中で、やはりそれは問題があるんじゃないかという御意見も随分あって、いまだにこのことを決められないでいるということであります。

 もう少ししっかりとした方向性を出したものに限ってマニフェストをつくっておくべきであった、その点については、国民の皆さんに大変申しわけないというふうに思っております。

細野委員 私も、当時チームに入っていて、岡田幹事長が来られて、そういう御発言をしたことはよく記憶しています。そこでもう少し踏み込んで現実的な対応をするべきであった、私自身もそう反省しています。

 岡田副総理にもう一つお伺いをしたいんですが、最大の我々の限界というか課題、そこはやはり財源にあったと思うんですね。この財源が確保できていれば、これは野党の皆さんにも御理解をいただくということが大前提ですけれども、マニフェストの項目を実現することができた。

 例えば、この十六・八兆円の財源のうち、特別会計の埋蔵金、これを取り崩そうとしました。私どもは法案を出していまして、特別会計については大幅に整理をする、そういう方針も出しています。しかし、例えば埋蔵金といった場合に、かなり取り崩したところもあるけれども、特別会計には、確かに積立金もあるけれども、それを上回る借入金などもあってなかなか取り崩せないという現実にも直面をした。

 さらには、独立行政法人や公益法人は、これは歴代の大臣が随分努力をいたしました。前原国土交通大臣は公益法人にまで踏み込んで整理統合しました。しかし、その一方で、では、個別に公益法人や独立行政法人をなくしたからといって、その予算がすぐに全部なくせるかというと、それぞれ政策目的があって、どうしても残さなければならない予算もあったわけですね。

 その意味において、この無駄遣いの仕組みを徹底的に直すということでやったんだけれども、どこに限界を感じて、今何を取り組もうとしているのか。そこは率直に国民の皆さんにお話しをいただいた方がむしろ私はいいのではないかと思います。副総理にそこをもう一度、少し御説明いただきたいというふうに思います。

岡田国務大臣 委員御指摘のように、例えば特会とか独法とか、数を減らしたりあるいは中身を改革したり、そういう法案は国会に既に提出をしております。ぜひこれは野党の皆さんも一緒に御審議いただきたい、問題があれば直していけばいいわけですから。残念ながらまだ審議されていないということは、本当に残念なことだと思っております。

 ただ、いろいろな補助金をカットするというところが一番難しかったし、問題があったというふうに私は思っています。一つの補助金、誰が見ても無駄なもの、これはもちろん容易になくせばいいわけですけれども、やはり補助金がある以上、それなりの必要性というものを認める人もいらっしゃる。必要ないという人もいる。そういう中で、これは一つ一つ、やはりしっかり説得をしながら物事を前に進めていかなきゃいけない。そのための努力もすごく必要ですが、時間も必要だというところがあります。

 我々、この三年の間になし遂げたこととして、行政事業レビューというのがあるんですね。つまり、五千の国の事業について、どういう政策目的でそれがつくられていて、そして最終的にどこにそのお金が流れているかということが全てわかるような、これは各省庁のホームページを見ていただくとわかるわけですけれども、そういうものをつくり上げた。

 それから、公益法人についても、これは最近完成したんですが、国のお金が流れている全ての公益法人について、いわばその見取り図といいますか、どこからどういうお金が流れているかということがはっきりわかるようなものをつくり上げた。

 これは、これから、ではそのうちのどこがより必要性が薄いかという議論をしていくための前提でありまして、そういうところまでは来ている。あとは、これを一つ一つ検証しながら、今までもやってまいりましたが、さらに議論を深めていく必要がある、そういうふうに考えております。

細野委員 民主党の原点の、ルーツの一つは、やはり無駄遣いを初めとした改革をやり切るという、改革政党というのが一つのルーツだと思います。

 私も、野党時代のことを反省して、野田総理が率直に言われましたので申し上げますと、無駄遣いについては、若干、私自身の感覚として、実際にやってみたことと違うところがございました。

 というのは、例えば、特別会計にしても、公益法人にしても、独立行政法人にしても、仕組みを直せば相当一気に直るだろうと思っていたところがある。言うならば、日本刀でばさっと切ればそれで無駄遣いがなくなるというようなイメージを若干甘く持っていた部分がある。しかし、現実的には違うわけですね。

 今副総理がおっしゃったとおり、まさにレビューでそれぞれ個別の予算をチェックして、特別会計が解体したってそれが一般会計に行くだけですから、一般会計で個別にその予算をチェックしていかなければなりません。その意味では、日本刀で切るのではなくて、例えばなたやおのでこつこつ切っていく、そういう作業そのものをやらなければ無駄遣いはなくならないということだと思います。

 私ども民主党も、今度予算をまた来年度に向けてつくっている真っ最中でありますが、そこは、単に予算を要望するだけではなくて、無駄遣いについてもしっかりとメスを入れていく、そういう決意で取り組んでいきたいと思います。

 先ほどかなり御答弁をいただきましたけれども、改革政党民主党として、それこそ当初予算としては最後につくる予算ですから、そこはしっかりと取り組んでいただきたいと思います。再度、ちょっと決意のほどを一言お願いします。

岡田国務大臣 委員御指摘のように、我々は改革のために集まった党であります。いろいろなことをしてまいりましたが、任期四年の最後の予算ですから、これを、党の全ての力、政府の全ての力を結集して、国民の皆さんに納得のいく、そういった予算編成をしていく必要があるというふうに考えております。

細野委員 次に、内政についてお伺いをいたします。

 民主党の、改革政党につけ加えまして、もう一つの……(発言する者あり)ちょっと、やじを注意していただけますでしょうか。

中井委員長 どうぞ質問してください。

細野委員 では、二問目へ行かせていただきます。

 内政についてお伺いをしたいと思います。

 私どもは、内政のビジョンとして、一つの言葉として、ともに生きる社会、つまり共生社会をつくっていくという大きなビジョンを持っているというふうに承知をしています。

 最近、与野党を交えて中道論争が随分盛んになっておりまして、それこそ自民党の唱えてきた自助自立というこの概念、そして、かつて、例えばどちらかというと革新政党と言われる方々が唱えてこられた公助の議論、そういう中にあって、我々は、まさにその真ん中である、ともに生きる社会というのを目指して、これまでさまざまな政策をつくってきました。そして、これからもそうした政策をつくっていく必要があるというふうに思っています。

 一つ、自助自立について私の所見を申し上げますと、私は、自分の力で政治家になりたいと思い、そして多くの皆様に御支援をいただいてこの世界に入りました。したがいまして、それこそ自分の力で生きていくという意味で、個人の信条として自助自立を旨としております。その意味では、自民党の幹部の皆さんがほとんど世襲で、親のすねをかじって政治家になられたのとは全く違う。人生信条としては私の方が自助自立だと考えています。(発言する者あり)ちょっと静かにしてください。

 しかし、政治家が国民の皆さんに対して呼びかける言葉として、自助自立というのがまず一丁目一番地で出てくるということに関しましては、正直、違和感を感じざるを得ません。

 むしろ我々は、ともに生きる社会をつくる。ともに生きる社会をつくるためには、当然、経済的に自立をしている人がいて、そういった方々にさまざまな負担をしていただくことも大事であります。と同時に、共生社会というのは、弱い立場の方々もおられて、そういった方々とも一緒に生きていくというのが、これが共生社会であります。

 私が違和感を感じますのは、まず自助自立で、自立できる人は自立をする、そして自立できない人は共生社会で共助の枠組みに入る、それで、共助の枠組みに入らない人は、どうしようもないので公的なそういう援助を受ける、こういう発想そのものが私は日本社会のあり方として間違っているというふうに考えています。

 そして我々は、その共生社会をつくるためにセーフティーネットを構築しようと頑張ってきました。

 国民の皆さんの中にはもう忘れておられる方もいらっしゃるかもしれませんが、自民党政権が瓦解をした大きなきっかけになったのは、消えた年金問題でありました。二〇〇七年、消えた年金問題が出てきて、当初の安倍政権の反応は極めて緩慢でありました。そして、憲法改正の方を声高に叫んで、対応が遅くなった。我々は消えた年金問題に、政権をとってから三年間、取り組みました。

 まず、三井厚生労働大臣にお伺いしたいと思います。

 消えた年金問題はこの三年間でどうなりましたか。どこまで解決に向かって進んでいるんでしょうか。お答えをいただきたいと思います。

三井国務大臣 年金記録問題につきましては、民主党政権では国家プロジェクトといたしまして集中的に、なおかつ着実に取り組みを進めてきたところでございます。

 これまでの取り組みによりまして、約五千万件の未統合記録につきまして、ことしの六月の時点で約二千八百六十万件の記録が解明されたところでございます。また、平成二十年五月からことしの九月までの累計で、生涯額で約一・七兆円の年金額が回復されました。

 いまだに手がかりがつかめていない記録におきましては、御本人が心当たりの記録をお申し出いただくことが発見につながると思っております。ねんきんネットによる検索などで年金記録を再確認いただきたく、キャンペーンを来年一月末を目途に開始しているところでございます。

細野委員 三井大臣、そこは、歴代の厚生労働大臣が必死に取り組んできた、そして民主党政権の成果ですので、もう少し元気にぜひ御答弁いただきたいと思います。

 改めて確認をしますが、紙台帳が一番難しいと言われていたわけですね。この紙台帳についても、来年度でこれをしっかりと情報として集約できるという、そこまで来ているというふうに考えてよろしいですね。改めて御答弁をお願いします。

三井国務大臣 声が小さくて大変失礼いたしました。

 今、細野委員のおっしゃるとおりでございまして、まさに今の御質問のとおりで、私たちは頑張ってまいりたいと思います。

細野委員 もう一つ、厚生労働大臣に確認したいことがあります。それは、我々がもう一つ取り組んできたことといたしまして、医療の問題でございます。

 これも同じく自民党政権時代ですが、二〇〇八年、あれは八月だったと思います、奈良県で救急搬送を拒否された妊婦が死産をしてしまった、こういう問題がありました。また、初めはこれは奈良で起こったわけでありますが、その年の十月には東京都でも、妊婦さんが相次いで病院での受け入れを断られ死亡するという悲劇が起きました。

 私どもは、国民のこういう医療に対する危機感、そのことをひしひしと感じて、そして、政権に二〇〇九年にたどり着きました。だからこそ、この医療の問題、医療崩壊をいかにとめるかということに必死に頑張ってきた。私どもは、全員そのことに自負を持っています。診療報酬の問題、私も党のサイドでおりましたが、何とか、そういう救急車の受け入れをする病院であるとか、あとは産婦人科とか小児科とか、そういったことについてケアをしようじゃないか、これは民主党議員みんなの思いであったと私は思います。

 そこは、厚生労働大臣、ぜひ胸を張って、どういう結果が出ているのか、それを国民の皆さんに御説明いただきたいというふうに思います。

三井国務大臣 委員がおっしゃるとおりでございまして、まさに今回、診療報酬につきましては十年ぶりのプラス改定を実現いたしたところでございます。また、平成二十二年度、そして二十四年度と、二回連続のプラス改定を実現いたしました。

 この二回の診療報酬改定では、今、細野委員が質問ございましたように、救急医療、それから産科、外科などを初めとした医療サービスの充実、それから病院勤務医の負担を軽減する、そしてまた在宅医療の充実などを重点的に評価いたしたところでございます。

細野委員 私の地元の富士市では、政権交代前にこういうことがありました。

 富士市というのは、人口でいえば三十万近い非常に大きな都市なんです、静岡においては。この富士市において、公立病院である富士中央病院というところで、産婦人科医がいなくなって産婦人科が診療科目としてなくなるのではないかというようなことが言われた。三十万近い町ですよ。三十万近い町で、公立病院、中核病院で産婦人科がなくなるということが大ニュースになって、みんなで署名活動したんですよ。そして、市長さんも頑張って、私も、少しですがお手伝いをいたしました。何とか、産婦人科を探し当てて継続することができた。

 そして、今、この富士中央病院は経営が随分よくなってきている。もう産婦人科の心配をすることはなくなりました。病院の質も徐々に上がっています。公立病院のあり方そのものも相当変わったと思います。

 厚生労働大臣、そこは、富士市は一つの例でしかすぎません。全国でそういうことが起こっているのではないですか。そこをぜひ国民の皆さんに御説明いただきたいと思います。

三井国務大臣 委員のおっしゃるとおりでございまして、今、富士市の例を挙げられましたけれども、まさに全国から、例えば官公立病院につきましても、そういう声を私たちもいただいております。

 まさに今回の診療報酬改定というのは本当に大きく貢献していると思いますし、これから特に救急医療あるいは産科、ここにつきましては、あるいは医師が不足している等々もございます。そういう意味で、救急医療も本当に重要だと思いますので、しっかり対応させていただきたいと思います。

細野委員 こうしたセーフティーネットの問題についてしっかりと政府として役割を果たさなければならないということについて、私は、自民党の皆さんが持っておられた感覚と私どもには、やはり違いがあったと思います。そして、そのことを実現するために、政府関係者はもちろんですが、党を挙げて努力してきたと私は考えています。

 そしてもう一つ、民主党政権になってから進展をしたことがございます。それが自殺の問題です。

 日本では三万人を超える方々が毎年自殺をしている、こういう現実がずっと続いてまいりました。先ほどお話をいたしましたけれども、進捗報告会の中でも自殺について言及した方がいらっしゃいました。

 やはり自殺というのは、御本人にとっても本当にこれほど悲しいことはありませんが、それと同時に、場合によってはそれ以上に御家族の皆さんを本当に悲しませるわけです。政治家であれば、恐らく誰しも自分の周りでそういう経験をして、支援者の皆さんの中にもそういう悲しいことを経験された方も多いと思う。このことに対して、私は、政治としてもっと取り組むべきことがあるのではないかとずっと思っていました。そして、我々は政権をとった、自殺対策をやってきました。

 まず、これは担当大臣である中塚大臣の方から、どういう取り組みをして、どういう成果が出ているのか、そのことを国民の皆さんに御説明いただきたいと思います。

中塚国務大臣 我が国の自殺者数は、平成十年から二十三年まで十四年連続をして三万人を超えるという、非常に深刻な事態が続いてまいりました。一方で、平成二十一年、二十二年、二十三年と、自殺者数は減少をしております。

 ことしも、十月末の時点の速報値でありますが、二万三千五百四十五人ということで、対前年比で二千七百五十三人の減ということになっています。依然として高どまりはしているわけでありますが、何とかことしは三万人の大台を切っていきたい、そういうふうに思っております。

 この背景には、いろいろな施策を展開いたしてまいりました。例えば、国、都道府県、市町村にいろいろな窓口がございます、相談窓口がございます、そういう窓口間の連携の強化等々を図ってきたりしております。そういった効果が徐々にあらわれてきているということだと思っていますが、ことしの八月には新しい自殺総合対策大綱を策定いたしました。その大綱の中には、誰も自殺に追い込まれることのない社会をつくるという目標を掲げさせていただいております。

 今後も、より一層取り組みを強化してまいりたい、そう思っております。

細野委員 この自殺の問題、去年は実は、私も内閣の中におりましたが、自殺がふえるのではないかと心配したんです。あれだけ大きな地震がありました。そして、今でも仮設住宅などで不便な生活を送っている方がいらっしゃいます。孤独をお感じになっている方も恐らくその中にはおられると思う。

 あれだけ大災害があって、自殺がふえるのではないかと言われた中で、政府として全面的に努力をして取り組んで、いろいろな方の御協力もいただいて、自殺者の数が久しぶりに三万人を切るところまで来た。これは、私は、我々民主党、そして国民新党と一緒につくった政権でこれまで努力してきた結果として、胸を張って国民の皆さんに御説明をすべきテーマだというふうに思います。

 そして、この自殺対策がうまくいった背景に、私は、民主党らしいやり方といたしまして、政治だけが、政府だけがやるのではなくて、自治体の皆さんはもちろん、NPOの皆さんや地元のコミュニティーの皆さん、市民の皆さんの参加を促していく、ここにあったと思うんですね。

 冒頭で、私は共助ということを申し上げました。共助というのは、官によるだけのセーフティーネットの枠組みではありません。むしろ、NPOや市民の皆さんや、さまざまな公的なことに努力をしていこうと考えている民間の皆さんにも参加をしていただいて総合的にやっていこう、こういう考え方ですね。

 中塚大臣に改めてお伺いをしますけれども、この自殺対策において、例えば秋田県を初めとした地域において、NPOの皆さんが果たした役割というのは極めて大きいんじゃないですか。そして、それを我々は、中塚大臣がこれまた担当されていますけれども、新しい公共という枠組みで、NPOの皆さんに対する税制優遇措置を大幅に拡充して、ことしの四月からスタートしています。それもさらに大きく広がってくることが期待されるんじゃないですか。私は、ここが最も民主党らしい政策のやり方の一つだと思うんですね。

 ですから、ぜひ中塚大臣に、その部分についての取り組みについてもあわせて御答弁いただきたいと思います。

中塚国務大臣 災害が起こったり、それから何かと世知辛い世の中になっておりますが、誰かのために何かをしてあげたいという思いを持っていらっしゃる方の数はますます多くなっている、本当にそういうふうに思います。そういう意味で、日本はまだまだ潜在力もあるし、すばらしい国です。

 さっき政調会長が共生社会とおっしゃいましたが、新しい公共、それは、公は必ずしも官ならずということにあわせまして、誰かのために何かをしてあげたいという皆さんがちゃんと活躍できるようにしていく、全ての人に居場所と出番をつくるということを掲げて、この三年間推進をしてきたところであります。

 具体的には、寄附税制の抜本的な拡充を行いました。さらには、特定非営利活動促進法の改正も行ったところであります。寄附税制、寄附に係る税額控除を導入するということでありますとか、それまでは認定事務は国税庁長官でありましたけれども、それを、もっと現場に近い都道府県知事や指定都市の長が認証事務を行うという形にしたところであります。

 被災地でも本当に頑張っていただいております。この三年間で、認定NPO法人は二・五倍にふえました。認定申請件数も、この四月から九月の六カ月間で、二十一件から百六十九件に大幅に増加をしておるところであります。

 先ほど申し上げました、誰かのために何かをしてあげたい、そういうふうに思っていらっしゃる皆さんが多くいる一方で、どこに行って何をしたらいいかわからないという方もまたたくさんいらっしゃるわけで、そういう真ん中を取り持つ中間支援組織、これも新しい公共で担っていただきたい、そういうふうに思っています。

 寄附についても、全く同様でございます。寄附したいけれどもどこに寄附していいかわからないとか、あるいは、自分が寄附する法人が本当に信頼に足る法人なのかどうかというのを確認したいという方もたくさんいらっしゃると思います。そういったものをアシストする中間支援の法人、これもぜひ新しい公共の取り組みの一環として今後進めてまいりたい、そういうふうに考えております。

細野委員 先ほどから自民党議員の皆さんから、変なNPOもあるからだという話がありました。精査してくださいねという話もありました。そこが、まさにこれまでの発想なんですね。つまり、公かどうかは官が判断する。政治家が判断をする、役所が判断をする。そして、国の意向に沿う、それこそ官が認めたNPOだけに補助金を皆さんは配ってきたんじゃないですか。

 我々は発想を変えるんですよ。これは国民の皆さんにもぜひわかってもらいたい。私どもは、公か公でないかは、官が決めるのでなくて、国民が決めるんだと判断をしたんです。多くの国民の皆さんが寄附をする団体というのは、それだけの皆さんから支持を得ているということですから、それ自体が公の役割を果たしていると判断をしたんです。

 そこは、残念ながら、まだ自民党の皆さん、わかっていないと思いますね。お話を聞いてわかりました。自民党が政権をとったら、この税制優遇措置については考えるそうです。そして、公というものをもう一回官が判断しようとされている。そこは、私どもは絶対にこれからも維持をしなければならないところだと思います。

 そしてもう一つ。そういう公という役割、さらには新しい公共、こういうことを推進していく、トータルにやっていくためには、どうしても負担をしていただかなければならない方がいます。その公の負担を誰にしていただくのかということで、いろいろな議論があります。

 もちろん、個別のそれぞれの項目について全て御説明をいただくことは難しいと思いますが、相続税についてちょっと財務大臣にお伺いしたいと思います。

 ことしの税制改革の中で、私どもは相続税についての増税を提案しておりました、ことしの税制改革の中で去年提案をしていました。それは、財産を持っている方が亡くなった、五千万以上の資産を持っておられる方、そして相続をする方が一千万ずつを超える、そういう財産を相続される方に限って、ですから、二人で相続される場合は七千万円以上の財産を持っている方に限って相続税をいただく、そういう仕組みになっている。しかし、これだと、実際に相続税をお支払いされる方というのは極めて限られていますね。その中で、今回、政府として提案をしたのは、それを三千万まで下げていく、そして、一人当たりの相続財産でいうと六百万まで下げて、相続税をもう少し幅広くいただこう、そういう提案をしていますね。

 これは、残念ながら、公明党の皆さんにはある程度賛成をしていただいて、基本的な方向性を理解していただいておりますが、自民党の皆さんの賛同が得られずに、法律が通っていません。税制、できていません。

 なぜ、こういう相続税を、負担増をお願いすることを考えることを政府としてしたんでしょうか。その背景となる考え方を財務大臣にお伺いしたいと思います。

城島国務大臣 細野委員の御質問でありますが、今御提起のように、相続税につきましては、特にバブル期の地価急騰に対応いたしまして、累次にわたって基礎控除の引き上げ及び税率構造の緩和が行われてまいりました。その結果、相続税が課税されるケースは、昭和六十二年でいいますと百人中八件程度から、平成二十二年には百人中四件程度まで低下をしてきました。逆に言えば、現状は、百人中九十六件は相続税が課税されない状況だということであります。

 こうした状況を踏まえまして、政府としては、再分配機能の回復を図るということのために相続税の見直しを検討してきたところでございます。具体的には、今申し上げましたバブル期の高い地価を前提に設定された基礎控除を、地価下落に伴いバブル前の水準に戻すといった改正案を取りまとめたところでございます。

 この相続税の見直しについては、税制抜本改革法案に盛り込まれましたけれども、本年六月の三党合意で引き続き検討事項とされまして、今後は、政府案を踏まえつつ検討を進めて、平成二十五年度の税制改正において相続税の見直しに必要な措置を講ずる旨の規定が法律に盛り込まれたところでございます。

 政府といたしましては、この法律上の規定に基づきまして、与党及び三党間における協議状況を踏まえつつ、二十五年度改正において所要の改正を盛り込むべく検討を行ってまいりたいというふうに思っております。

細野委員 今、財務大臣の方から再分配という話がありました。

 先ほどは相続税の金額についてお話をしましたが、税率も上げますね。ですから、五〇%だったのが五五%。財産の半分を上回る部分ということでありますけれども、いただくというのは、確かに非常に重い負担ではあります。それを五〇%から五五%に高めるというのは、負担増としては、皆さんにお願いするときは丁重にお願いをしなければなりません。

 しかし、それぞれの皆さんが人生をスタートするのに、スタート時点というのはできるだけみんな平等にスタートする、そういう発想に立つのは、私は社会のあり方としては極めて正しい考え方だと思うんですね。そして、先ほど申し上げたように、やはりお金を持っている方には金銭の面でも一定の社会的な負担をしていただく、これが私は民主党の考え方だと思うんです。

 もう一度財務大臣にお伺いをしますが、先ほど、再分配とおっしゃいました。これを言いかえますと、格差を縮小していく。つまり、貧しい人はいつまでも貧しく、もちろん財産もないけれども教育もなかなか受けられない、そういうことではなくて、お金を持っている方には負担をしていただいて、そして貧しい方々にチャンスをしっかりとつかんでいただいて、それぞれちゃんと人生を歩んでいただけるようにする。この部分が、この相続税の問題に含まれているんじゃないですか。格差の問題に取り組む一つの象徴だと私は思いますが、財務大臣、いかがでしょうか。

城島国務大臣 御指摘のとおりでございまして、この間、格差が拡大してきたというところをやはり強く問題意識を持っております。そこを、再分配機能の強化ということとあわせて格差を是正していくという観点がこの中に含まれているのは、御指摘のとおりでございます。

細野委員 来年度に向けての税制改正の議論の中でも、再度、去年は御賛同いただけませんでしたので、各野党の皆さんにも呼びかけて、この相続税については、格差縮小の面も含めてやらせていただきたいというふうに思います。ですから、ぜひともこれは、国民の皆さんにも御負担をお願いするという意味で申しわけないことではありますけれども、御理解をいただいて、野党の皆さんにもぜひお考えをいただきたいというふうに思います。

 総理、今、内政について、これまで民主党の取り組んできたこと、そして目指すべき方向性について、私なりに幾つか例を挙げて国民の皆さんにもぜひ訴えかけたいということで答弁いただきました。やりとりをしてまいりました。総理に、民主党の目指すべき内政のビジョンをもう一度語っていただきたいと思います。

 今私が申し上げた、医療や年金のようなセーフティーネットはもう一度しっかりとつくっていく。そして、自殺者対策のようなところについては、政治や官がやるだけではなくて、民間の皆さんにも役割を果たしていただく新しい公共という考え方。そして、残念ながら規制改革の中で、規制改革の中でいいものもあったと思いますよ、しかし、新自由主義と言われるような小泉改革の中で広がってしまった格差に正面から向き合っていく。これが民主党だと私は思います。

 総理からも、ぜひ、その辺の内政のビジョンについてのお考えをお伺いしたいと思います。

野田内閣総理大臣 もともと民主党が結党されたときに、「私たちの基本理念」という綱領をつくっています。その綱領の中に書かれている三つの理念というのは、分権型社会を目指すということと、それから公正なルールに基づく社会、もう一つが委員御指摘の共生社会なんですね。

 この理念は、我々の理念として不変なものであるというふうに思っておりますし、私なりの言葉で言うならば、この国に生まれて、プライドを持って生きて、そこにはそれぞれの個性を持っている人たちがいますが、相互に尊重しながらともに生きていく社会をどう築いていくか。

 そのために、具体的な政策として、これまでずっとそれぞれの担当閣僚とやりとりがございましたけれども、医療もしかりです。そして、第二のセーフティーネットも我々はつくりまして、今議論が出なかったけれども、中間層からこぼれそうな人たちを助けるための政策というのは、きめ細やかにこれまでやってまいりました。

 格差を是正して、障害があろうとなかろうと、あるいはそれぞれの個性が違おうと、男性、女性の別なく、老いも若きも、ともに生きていく社会をつくっていくというのが民主党の結党以来の理念であり、これは不変であり、これからもしっかりと具体的な政策で拡充をしていきたいと思います。

細野委員 次に、議論を安全保障に移したいと思います。

 民主党の安全保障政策というのは、恐らく、国民の皆さんからは、ナイーブな安全保障政策、わかりやすく言うならば、若干頼りないというふうに思われているかもしれません。しかし、私は、それは必ずしも現実の姿ではないというふうに思っています。

 まず、森本防衛大臣にお伺いをいたしますが、我々が政権をとって初めにつくりました大きな政策、いわゆる二二大綱ですね。その中では動的防衛力の整備ということが書かれていますね。この動的防衛力の整備というのは一体どういうものですか。そして、かつて基盤的防衛力の整備という言葉が使われていましたが、それとの違いは何ですか。

森本国務大臣 我が国が、七〇年代後半以降、冷戦期を通じて我が国としてとってきたいわゆる基盤的防衛力構想というものは、これは、周辺の脅威に直接対応するということより、むしろ、標準の装備を持っている部隊を満遍なく配置することによって、いわば均衡された、我が国にとって必要最小限度の基盤的な防衛力を配備することによって抑止力をつくろうとしていたものでした。それは一定の効果があったと思います。

 しかしながら、冷戦が終わって、近年、周辺諸国の軍事活動が広がっており、そのリスクも多種多様になっております。このような軍事活動、特に海空の軍事活動の拡大や多種多様なリスクに対しては、情報収集や警戒監視の能力を格段に上げ、限られた防衛力を重要なところに機動展開して、統合的な部隊の運用を行うことによってまさにリスクに対応するという考え方が必要であり、そういう考え方に立って、今までの基盤的防衛力から脱却をして、部隊の動的な運用、すなわち、静的なものから部隊の運用を重視する動的防衛力という考え方に変えたわけです。

 これは、限られた日本の防衛力を重点的に指向し、柔軟に防衛力の打撃力を使えるという非常に効率的なものであると思いますし、特に南西方面の防衛、島嶼防衛にも有効な考え方であると考えており、我が国の現在の安全保障環境や日本の防衛力の特質に非常に適するものであるというふうに考えております。

細野委員 森本大臣に確認のためにもう一回伺います。

 初めに大綱ができたのは五一大綱ですから、もう随分前ですね。当時から基盤的防衛力構想というのが言われて、それで長年やってきました。そして、二二大綱で我々が定めたこの動的防衛力の整備というのは、そうした長年続いた着上陸侵攻を前提としたそういう防衛のあり方を根本的に変える大転換というふうに理解していいですね。これが一つ。

 そしてもう一つは、それこそ島嶼防衛という話をされましたけれども、その島嶼防衛というのは、尖閣の問題も含めて、そうした問題にきちっと対応できるような方向性を示したというふうに考えていいですね。

 この二つ、お答えください。

森本国務大臣 まさに動的防衛力というのは、今先生の御指摘のとおりの特色を持ったものだと思います。

 特に、先ほど申し上げましたように、我が国の防衛力というのは、三千五百キロにも及ぶ大変長い距離を持っている、縦深性のある我が国の領域が、三千数百の島からできていて、この島を限られた防衛力できちっと領域警備、領域防衛するというためには、持っておる防衛力を重要なところに常に動かすという能力を持っていないといけないわけです。

 その意味で、もともと基盤的防衛力というのはそういう要素もあったのですが、むしろ、今申し上げたように、満遍なく部隊を配備するというより、持っておる防衛力をいつでも重要なところに機動展開できるような柔軟性のある防衛力の運用に資するということが今回の防衛力の構想の主眼でありまして、そのことによって、我が国は、長い距離を持っている日本の領土、領域を、特にその中でも南西方面にある島嶼の防衛を、これによって有効に対応できるという考え方になっているのではないかと思います。

細野委員 森本防衛大臣にもう一つお伺いしたいことがあります。それは我が国のPKOへの参加の問題です。

 このことは余り国民の皆さん、知っておられる方は少ないというふうに思いますが、民主党政権になりましてからPKOについての活動が随分拡大したと私は承知しています。

 政権交代前のPKOの派遣がどういったものであったのか、どれぐらいの人数だったのか、そして、できるだけ直近の数で、おおよそどれぐらいPKOで我が国は海外に自衛隊員を派遣して、そして国際的に貢献をしているのか、その数字を御紹介いただけますでしょうか。

森本国務大臣 民主党政権が政権を担当した二十一年九月、我が国が出しているPKOの総人数は五十四名でした。その後、ハイチで地震があり、ハイチにPKOを出し、総員といいますか、全体の数は約三百四十名です。その後、南スーダンの国の建設にもかかわり、現在三百五十名出しております。それ以前にも、ハイチ、ゴラン高原に約四十七名出していますので、現在は七百四十名を超えていて、民主党政権が誕生したとき、五十四名から、現在のPKOの総人員七百四十名を比べますと、約十四倍の人員にふえているということでございます。

細野委員 この数字はもちろん一概には言えないところがあるんです、ふえたり減ったりしますから。しかし、この二つのプロジェクト、すなわちハイチへの派遣、南スーダンへの派遣、それにこれだけ多くの人数を出すことによって国際貢献をしている、この事実は厳然たる数字で出ていますね、十倍以上ですから。

 つまり、民主党の外交、安全保障政策というのはどういうものかというと、これまでの我が国が培ってきた専守防衛という考え方に基づいて、できるだけ防衛については抑制的な態度で臨むという、その基本をしっかりと守りながら、しかし、脅威は多様になっていますね、多様になっていますから、それに対応できるように自衛隊を機能させるものにしていく。自民党時代にできなかった、その動的防衛力の整備という形で転換をした、現実的に前に進めたということですね。

 さらに、国際貢献について、世界でこれだけさまざまな不安定な情勢にある中で、やはり日本としても、経済の規模がこれだけあるわけですから、貢献していくべきだということで、大きくその貢献の度合いを高めた。これは民主党の外交、安全保障政策の大きな特徴だというふうに思います。

 そこで、総理に改めてお伺いをしたいんですが、果たして、自民党と、もしくは新しくいろいろ出てきている新党の皆さんの安全保障政策と私どもの立ち位置というのは、どういう違いがあるのかということです。

 私は、先ほど申し上げたように、専守防衛を基本としつつ現実的に対応するというこのアプローチは正しいと思っています。片や自民党の皆さんの言説を聞いていますと、例えば安倍総裁が戦後レジームからの脱却とおっしゃっている。それは、これまでやってきたことを是とし現実的に対応するという我々の考え方とは異なります。さらには、自衛隊の、憲法草案には国防軍と書いてある。自衛隊というこの存在をしっかり守って現実的に対応していくという我々の考え方とは、これも異なります。

 ましてや、石原前都知事が憲法破棄とおっしゃっている。この考え方とは我々は考え方が全く異なると思いますが、総理に、ここは、我が国の安全保障の立ち位置ですから、ぜひ明確に御答弁をいただきたいと思います。

野田内閣総理大臣 ほかの党の方とか、ほかの方がどう言っているかということをあえて気にして物を言うのではなくて、我々の基本的な立ち位置を正確に申し上げたいと思いますけれども、憲法の基本理念である平和主義を守り、専守防衛に徹する、これが日本の安全保障の基本だというふうに思っております。

 その上で、あえて、どなたがどうのということではなくて、風潮という意味で我々との違いで言わせていただくと、やはり、国を愛し、ふるさとを愛し、自分の国に誇りを持つ、日本人であることに誇りを持つという健全なナショナリズムは必要だと思います。ここにいらっしゃる皆さんは共有できると思います。

 問題は、それが偏って排外主義的になったときに、この国は危ないと思います。そこは、穏健で節度を持って現実的な対応をするというのが我々の基本的な姿勢である。そこは堅持をしていかなければいけないと思います。

 それから、先ほど来、PKOの話等々ありました。私どもは決して内向きになろうと思っていません、外交、安全保障。内向きにならずというのは、昨年の東日本大震災のときに百六十以上の国から支援をいただきました。それは、ある意味、これまでの日本がやってきた国際貢献が正しかったからだと思うんです。だからこそ、日本も厳しい局面でありますけれども、日本の国力にふさわしい貢献はこれからもやっていかなければならないと思っています。

 だから、南スーダンという世界で一番新しい国が国づくりをしようとするときに、施設部隊を派遣しながら貢献をするということを決断いたしました。こうした国際貢献は、これからもどんどんやらなければいけないと思います。人だけではありません、お金も。今厳しい経済情勢の中、欧州の債務危機に対応するためにIMFへの資金基盤強化をまず最初に表明したのは日本です。六百億ドル。

 このように、国内でもいろいろなことをやらなければなりませんが、世界のために貢献する姿勢というのはこれからもしっかり堅持をしていきたいと思いますし、その際に、安全保障についてはさっき申し上げたとおりでありますが、そのほかには、対外的にもっと積極的にやるべきことはいっぱいあると考えています。

細野委員 私も、健全なナショナリズムは必要だと思います。また、安全保障政策について、きちっとやるべきことはやるべきだと思います。

 だからこそ、私も、新人議員のときから、前原大臣にいろいろと教えていただいて、有事法制にもかかわりました、国民保護法制もつくりました。これは安全保障政策の大きな前進だったと思っています。また、海洋や宇宙についてもきちっとやっていこうということで、つくってきました。その意味で、現実的にしっかり安全保障を進めていくということについては、私も総理と全く同じ見解です。

 しかし、民主党の中で安全保障政策に前向きに取り組んできた私から見ても、今の世論というのは若干危ない。ナショナリズムをあおるのは、私は非常に今危ないと思います。個人攻撃は余りしたくないという思いを持ちながら、あえてやはり例としては石原前都知事を出さなければならないと思います。

 石原前都知事は、シナという言葉を何回も使ってこられた、第三国人という言葉を使ってこられた。そして、この石原前都知事と自民党の皆さんは、党ができたら連携するとおっしゃっている。

 私は、インターネットなどを見ていて危惧を覚えるんですよ。ネット右翼というような言葉が今や定着していますね。シナという言葉、第三国人という言葉は、ネット上で、それこそいわゆる日常会話のように流布している部分がありますよ、そういう世界では。

 私は、そこは違うんだ、日本は専守防衛で、戦争をしないと決めて、中国や、それこそ韓国のことをそういう言葉で呼ぶ国ではないんだということを、今我々政治家がここにしっかり立って言わなきゃだめだと思いますよ。私は、総理の認識はそこはちょっと甘いんじゃないかと思う。

 今、日本がおかしな方向に行く可能性がありますよ。石原都知事も右の主張をされるでしょう。自民党も右傾化をしてきています。だからこそ、我々が真ん中に立って、我々が進めてきた安全保障政策は正しいんだ、排外主義に絶対立つべきではないと、そこははっきり言うべきじゃないですか。

 基本認識はわかりましたが、総理、ここは大事なところですので、しっかりと認識を持って御発言いただきたいと私は思います。

野田内閣総理大臣 先ほど申し上げたとおり、排外主義とは我々は全く一線を画さなければいけないと思います。それは、どなたのことを浮かべてではなくて、さっき、あえて風潮として言わせていただきました。風潮として私も強く感じるものがあります。

 ここで誤ってはいけないのは、偏ったことはしていない。偏った議論が正論として受けとめられると、それは政策決定の幅を狭めていくことになります。冷静さを失うことになります。大局観を失うことになります。そうあってはいけないという戒めを私は常に持っていきたいというふうに考えております。

 ただ、どなたがどうのということを、ここであえて……(発言する者あり)それはいいんです。私は、それは、心の中ではいろいろな風潮として意識しておりますけれども、戒めとして、今、細野委員が言ったことは全く共有をさせていただきたいと思います。

 特に、主権や領土や領海にかかわるような問題が起こっているときに、相手の挑発にも乗ってはいけません。こちらからも挑発を、言動を通じてやってはいけません。絶対それはいけないと思います。ということを気をつけながら、現実的な外交、安全保障政策を進めたいと思います。

細野委員 私は、中道という言葉は、右にみんなが行けば右に流れる、そして左に行けば左に流れるというような、そういう存在ではないと思っています。もし仮に世の中が右に流れようとするのであれば、しっかり真ん中に立って、おかしな方に行かないようにおもしとなる、アンカーとなるのが私は中道だと思いますよ。

 そういう政党として、中道という言葉を使うかどうかはいろいろ御判断があるでしょう、それはいろいろな議論があっていいと思うけれども、我々の立ち位置だけはしっかりと明確にして、そして、選挙をやるならば、我々は、内政についてはこうなんだ、安全保障についてはここに立っているんだということを明確に主張しなければならないと思います。

 さて、時間がなくなってきましたので、総理、TPPについてもお伺いします。

 週末にかけまして、TPPのことが非常に大きなニュースとなりました。総理の発言についても、いろいろなニュースとして日本じゅうを飛び交っていますね。

 総理、TPPについてこれまで総理が言ってこられたこと、それは私もよく知っています。それをこの週末で何か変えたんでしょうか。それとも認識は変わっていないんでしょうか。まずそこを、ぜひともこれは国民の皆様に御説明いただきたいと思います。

野田内閣総理大臣 私の認識は変わっておりません。福岡で記者の方からお尋ねがあったときにお答えをしましたのは、民主党の代表選挙で私が公約に掲げたこと、そしてこの国会の所信表明演説で政府としての考え方を示したこと、これとベースラインは全く同じであります。

 すなわち、FTAAPを実現する、アジア太平洋地域において自由貿易圏をつくっていくということは、これはAPECに加盟しているエコノミーが全て合意していることです、我が国も。これは、横浜で議長国をやりましたけれども、その確認をしています。そういう中で、FTAAPの実現を目指すんだ、それで高いレベルの経済連携を推進する。その道筋としては、国益を守るんだ、守るべきものは守りながらということで、TPP交渉参加に向けて今協議をしています。このTPPと、そして日中韓FTA、それからASEANを含んだ東アジア地域包括的経済連携協定、RCEP、これを同時に追求します、こういう表現をさせていただきました。

 なぜか報道ではTPPだけ取り出されていますけれども、今申し上げた文脈の中でお話をさせていただいているということであります。

 そして、それは次にどこかの国際会議で表明するのかというお尋ねもあったので、特定の時期で特定の表明をするということを政府としては決めていません、そういうお話をさせていただいています。

 それをマニフェストに書くのか云々という話がありましたので、今申し上げてきたことを書くこともあり得るみたいな表現はさせていただきましたけれども、いずれにしても、これは党の中でしっかりマニフェストについては議論を進めるということだと思いますので、これまでの政府の方針、私の言ってきたことを正確に申し上げただけであって、切り出し、取り出しはあったとは思いますが、正確な真意というのは今申し上げたとおりであります。

細野委員 よくわかりました。

 FTAAPという大きな方向性をしっかりと進めていく中で、日中韓、RCEPとあわせてTPPについてもしっかりと考えていくということですね。

 マニフェストなんですけれども、総理としてこれまでお話ししてこられたことについては、総理は代表ですから、私もしっかり受けとめます。

 しかし、その一方で、私は、マニフェストというのは、民主党がしっかりと国民の皆さんに訴えかける手段として、みんなで議論して決めたいと思っているんですね。ですから、このTPPについてもいろいろな意見が党内にあります。そういった意見もしっかりと踏まえて議論を尽くしたいと思いますので、そこはぜひ御了承いただきたいというふうに思います。

 そしてもう一つ、総理、今マニフェストについても若干触れましたので、ちょっと御所感を伺いたいんですが、経済連携協定というのは、この国を開いていく、そして、それこそ貿易で我が国がしっかりとやっていくという意味においては、極めて重要性の高い、国政の優先的な分野だというふうにも思います。

 しかし、その一方で、我が国が抱えている問題は極めて深刻ですね。例えば、先ほど冒頭で質問をした、社会保障を初めとした内政の問題、外交の問題、エネルギー問題もあります。そして、我が党のルーツである改革をどう進めていくかというような問題もある。

 そういうさまざまな政策のメニューがある中で、経済連携協定というのをどのように総理として位置づけていくか、どれほどの重要性を持ってこれから捉えていくか、そこはぜひ一言お伺いしておきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

野田内閣総理大臣 WTOドーハ・ラウンドが、残念ながら、今、展望が見えない状況です。貿易立国、投資立国としてこれまで日本は繁栄をかち得てきました。その道をたどっていくためには、WTOドーハ・ラウンドを、それがいわゆる合意に至るまで待てないということで、今さまざまな地域において、バイであるとかマルチの関係でEPA、FTAという動きが進められてまいりました。残念ながら、例えば隣の韓国などに比べると、我が国は周回おくれだというふうに思います。

 あえて、二十一世紀、もう一回日本がしっかりとした経済体制をつくる上では、国内の対策ももちろんいっぱいありますけれども、国を開くだけではなくて、ほかの国も開かせるということでありますので、お互いに開いたときにどっちにチャンスがあるかというならば、私は、我が国がチャンスに恵まれることが多いと思います。

 その意味では、先ほどのTPP、日中韓FTA、RCEPだけではなくて、今、日・EUも交渉をしています。今、マンデートをとれるかどうかです。日豪のEPAも、これは最終局面です。こうした形の、バイのもの、マルチのものを含めながら、高いレベルの経済連携を目指して実現をしていくことは、我が国の国益だと私は考えております。

細野委員 わかりました。

 次に、時間も大分短くなってきましたので、公職選挙法についてごく簡潔にお伺いしたいと思います。

 政策進捗報告会を開催しまして、私、数は数えませんでしたけれども、かなりの方が御発言をしたことがあります。それはやはり、消費税の問題にこれだけ踏み込んでいる、国民生活は極めて厳しい、その中でなぜ定数が削れないのかということについて発言をした方がたくさんおられたということです。それはよくわかります。本当に、私もできるだけ丁寧に答えたつもりですけれども、答えが出ていないということについて申しわけないという思いもございました。

 総理、今、〇増五減という、一票の格差の問題がありますね。それとあわせて、民主党としては、やはり定数削減に踏み込むべきだという強い思いを、これは全議員と言っていいでしょう、持っています。やはりそこは、私は、定数の問題というのは簡単に投げ出すわけにいかない、特に消費税について踏み込んだ政権だからこそ、総理として定数の問題については強い思いを持っていただきたいし、持っておられると信じますが、その点についていかがでしょうか。

野田内閣総理大臣 先般、一体改革の法律を成立させていただいておりますので、これはもちろん経済等々を勘案しながらの判断ですけれども、二〇一四年に最初に消費税を引き上げる前に、まず身を切る改革の一つである定数削減を実現する、しておくということが大事だと思います。それは民主党内で共有をしているというふうに思うんです。

 もともと我々はマニフェストで、比例区八十、定数の削減を掲げておりましたけれども、これは少数野党等のいろいろな御意見もあって、最終的には、〇増五減をのむのと同時に、比例区四十削減、合わせて四十五の削減という形で前国会では法案を提出させていただきました。残念ながら各党の御賛同を得ることができなくて成立はしていませんけれども、ただ、定数削減は、ほかの党においてもマニフェストに掲げたり、お約束をした経緯があると思うので、何としても知恵を出して、〇増五減、プラスして定数削減ができるかどうかということの成案を目指して、最後の協力、知恵の出し合いをこの国会でぜひやりたいと思うんですね。

 比例の部分では、我々、八十から四十までおりましたけれども、例えば自民党でも、細田私案だと三十削減だったじゃないですか。近いじゃないですか。もうちょっとなんですよ。そこは何としても、〇増五減は、これは当然、違憲、違法状態ですから、立法府の不作為が続いてはいけないと思います。一方で、定数削減も国民の強い要請だと受けとめながら、何とか知恵を出していきたい、成案を得たい、結論を出したいというふうに思っております。

細野委員 定数削減について総理が非常に強い思いを持っておられることがよくわかりました。自民党の方からいろいろな御意見が出ていますが、これは本当に、国民の皆さんの声というのを、この部分に関しては党派を超えて受けとめるべきだというふうに思います。

 したがいまして、一票の格差は、これは裁判所から累次の判決が出ていますので、極めて大事、絶対にやらなければなりません。そしてもう一つは、この定数の問題というのはしっかり踏み込んでやはり我々が結果を出さなければならない、その強い思いを私も共有させていただきました。御答弁ありがとうございました。

 もう時間が少なくなってまいりましたので、最後に経済についてお伺いします。

 昨日、名古屋で報告会をやっていまして、経済について非常に厳しい認識が多くの方から示されました。もう景気は、懸念が出ているとかそういう状態ではなく、後退局面に入っています。後退局面に入っている中で日本の経済の底割れをどう防いでいくか、そのことを真剣に考えなければならない時期が来ているというふうに思います。

 政府としても、経済対策、既に準備を加速化していただいているというふうに思いますが、総理、そこは強いメッセージが必要だと思います。まず、経済における対策の緊急性に対する認識、そしてどういう経済対策を政府として考えているか、御説明いただきたいと思います。

野田内閣総理大臣 きょうの八時五十分に七―九のQEが発表されたと思います。それによると、実質GDP、年率でマイナス三・五%という数字です。これは厳しい数字だと思います。

 そういう景気の下振れを感じつつありましたので、十月の末に、第一弾として、予備費を使って、予備費四千億円、事業規模で七千億円、効果としてはGDPで〇・一%強というものでありますが、まとめさせていただきました。そして、今月中をめどにいわゆるパッケージとして経済対策をまとめるように、今、担当閣僚に指示をしているところでございます。

 その中身というのは、七月に日本再生戦略をまとめておりますので、それを前倒ししていくということ。グリーン、ライフ、農林漁業、中小企業、こういうものを柱とした日本再生戦略を前倒しするもの、それから、予算措置を伴わないものでも、規制緩和等々、そういうものもしっかり講ずること等々をあわせて、パッケージの経済対策を今月をめどにまとめるように指示をしているところでございます。

 危機感を持って対応していきたいと思います。

細野委員 改めて、党の方としても経済対策についての考え方をまとめて、政府にしっかりと提案もします。そして、そこでしっかりとした経済対策をつくりたいというふうに思います。

 例えば中国ですね。もちろん、中国経済も随分と減速してきていて、中国というのは成長はしていますが、成長率が落ちるということは、これは中国流にやはり経済後退に入りつつあるというふうに見た方がいいと思いますね。それに加えて、日中関係は今非常に厳しくなっていますので、買い控え、日本の製品に対するボイコットもある。ですから、そういう企業に対して何かできることがないのかという視点も重要だと思います。

 補正予算、これは絶対に必要です。先ほども補正予算をなぜ組まないのかというやじが自民党の方から聞こえてきていますけれども、私は、きょうは政調会長会談をやりますので、そこでしっかりと合意をしたいと思いますが、一つだけやはり反省せないかぬ。

 特例公債法が通らないということは、財政のアクセルを踏めないということですからね。幾ら金融で日銀がアクセルを踏んだって、財政でブレーキを踏んでいたら景気がよくなるわけないじゃないですか。そこは、我々、政府もそれはいろいろやり方で反省すべきところはあると思いますよ。しかし、大きな声でやじっておられるけれども、自民党の皆さんだって、経済のことを考えてください。特例公債法をとめたことが財政にブレーキを踏んだんじゃないか。

 そのことは、お互いに反省すべきところは反省をして、そして、やはりどこが政権をとっても、この国の財政はきちっと運営をしていく。国家のために今政治家がきちっと合意をつくれるかどうかの瀬戸際に立っていると思います。そのことを、私は政調会長という立場でありますが、民主党として、もちろん、そして国会議員全員の力を結集して合意をつくる、このことに取り組むことを最後にお約束申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

中井委員長 この際、笹木竜三君から関連質疑の申し出があります。細野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。

 質問者や答弁の大臣の方に申し上げますが、マイクの高さは自由に調整ができますから、声が通りやすいように御調整をいただいてお願いいたします。

 また、議員諸君に申し上げますが、不規則発言、結構ですが、次に質疑する時間を幾らでも持っている人は余り不規則発言をされないように御要請を申し上げます。

 それでは、笹木竜三君。

笹木委員 民主党の笹木竜三です。質問を始めます。

 先ほど、総理の答弁からも、民主党の原理原則として、格差のない社会あるいは共生社会ということがありました。あるいは新しい公共ということも挙げられていました。ただ、私はぜひ強調したいと思うのは、総理が非常に頑張ってきた成果というものの中の一つに、目先の党の利益じゃなくて、政治がやるべきことを真っすぐにやる。選挙の近い時期になるべくこういうことは言わない方がいいんじゃないかと普通なら思いがちなところ、そこもあえて将来世代への責任ということを強調されているわけです。やるべきことをしっかりやる、目先の党利党略じゃない、やるべきことをやる、これが非常な、政治全体について、これから成果とすべき、達成してきていることだと思います。

 税と社会保障の一体改革もそうですね。よく地元で説明するんですよ。なかなか伝わっていませんから、丁寧に説明して、言われることが、こうです。いやしかし、よくわかったけれども、選挙がそう遠くない時期にちょっとお人よしじゃないの、大丈夫か、こんなことまで心配して言ってくれる、そういう市民もいます、県民もいます。

 そんな中で、特例公債法案、先週の後半にようやく衆議院で審議入りになりました。地方六団体からも、いいかげんにしてくれという決議を上げられましたね。あるいは国際社会からも、もうこれは世界経済のリスクだとまで断言をされています。ようやく先週の木曜日に審議が始まった。

 城島財務大臣、今、率直な御感想、思いを聞かせていただけたらと思います。

城島国務大臣 先ほども細野委員からこの特例公債法案のおくれの状況が経済の問題についても相当大きく影響しているということをおっしゃられました。

 また同時に、先ほどもありましたように、今の我が国の財政状況からいたしますと、いかなる政権であってもこの特例公債なしに今の財政を運営することはできないということはもう明らかであります。現状からいうと、この十一月末には、支出累計額が歳出上限に近づいておりまして、一般会計の歳出に充てる財源がほぼ枯渇する、こういう見込みであります。

 したがって、何としても、少なくとも十一月中には法案が成立しないと十二月には国債発行ができなくなりまして、国債の需給バランスが崩れて市場が不安定化しかねず、内外投資家から国の資金調達が不安定だとみなされるおそれもあります。

 したがいまして、こうした事態を何としても回避するために、この特例公債法案の一刻も早い成立に向けて与野党間の建設的な話し合いが進むことを心から期待しておりますし、私も、引き続き議員各位に丁寧に御説明いたし、御理解をいただくことにより責任を果たしてまいりたいというふうに思っております。

笹木委員 ちょっと外国の例を、議会政治が長いイギリスとかの例を見てみました。

 衆議院と参議院、向こうで言うと上院と下院、これがねじれる、そうしたときに、今の日本のように、予算は通った、しかしその裏づけになる公債の発行、これはできない、それで予算の実行、その財源が枯渇する、こういう状態があるのかどうか。全くありませんね。ねじれていても、予算、これは下院の議決が優先する。ねじれていてもです。これはもう原則としてあります。そして、建設公債と特例公債の区別なんてありません、向こうでは。さらに、発行限度額、これも全くない。これがイギリスの場合です。ねじれていても予算と同時に公債も発行ができる、こういう仕組みになっている。

 では、ドイツはどうか。これも、借入限度額、これは毎年決めますが、予算と同時に決まる。予算が通ればこれも通る、そういう仕組みになっています。そして、予算についてはどうか。ねじれがあった場合でも、連邦参議院の方の議決は必要としない。結局、ねじれがあっても、下院で通っていれば、それで即、公債も発行できる、こういう仕組みになっています。

 では、フランスはどうか。フランスも建設公債、特例公債の区別はありません。予算でやはりこの公債の額を定めることになっています。予算については、やはりねじれていても下院の優先権がある。

 日本だけなんですよね、こうした例を見てみますと。ねじれていると、衆議院の議席数が三分の二ないと、予算は通ったけれども、予算は衆議院の優越権があるけれども、予算の裏づけとなる公債、特例公債は毎年毎年、特別に法律を通さないとその発行はできない。だから今のような状態になっている。

 これはやはり制度の不備なんですね、どう考えても。これを、与党も野党も関係がない、どこが政権であっても、三月とか遅くても四月に、予算と同時に特例公債の発行ができるような仕組みにする。予算の理事で懇談していたときに、そういう話もたびたび出ています。本来なら三月、四月に、同じ時期に通しておくべきなんだよなと。当然だと思います。

 我々民主党、当時の民主党、誇るべき例がありますね。金融国会。これは絶対に政局の道具にすべきじゃないということで、野党だったけれども、参議院では過半数あったけれども、政局の道具にはせずに、そして野党と与党で力を合わせて合意をつくった。そういう例をつくっていく、これが今、我々、与党も野党も関係ない、国会全体の責任、その一点を国民は見ているんだろう、こう思います。

 総理大臣、どこが政権を担っていても、たびたびそういうふうに言われています。ぜひ、決意と今の思いを聞かせていただきたいと思います。

野田内閣総理大臣 委員御指摘のとおり、やはり予算と一体となってその裏づけとなる特例公債は処理をしようという提案を、先般の安倍総裁、山口代表との三党による党首会談でも提案をさせていただきました。毎年、意図するかしないかは別として、政局的に絡み合ってしまうということが起こっては、これは国民にとってマイナスだというふうに思うんです。

 具体的な提案としては、特例公債法、二十四年度に出しているものについて、例えば本則で、我々は、政府としては、平成二十七年までにプライマリーバランスの赤字、対GDP比半減をする、そして二〇二〇年に黒字化するという方向性を出しています。かつて自民党も、財政健全化責任法を出したときに、同じような財政運営戦略を掲げていらっしゃいました。だとすると、その間は少なくとも特例公債を、額はともかくとして、多寡はあるかもしれませんが、発行せざるを得ない状況は目に見えているんです。

 だとすると、特例公債法の本則に、平成二十七年度まではとか平成三十二年度までは特例公債は一体に処理しましょうとか、あるいはこの国会でぎりぎり合意できるとするならば、特例公債法の附則で、来年の通常国会でそういう法的な対応をしましょうとか、法改正に時間がかかるようだったならば、与野党間の覚書で、紳士協定でやりましょうと。三つ、どれでもいいからもうルールをつくりましょうという提案をさせていただいております。

 仮に我々が野党になったときはそのルールに従うわけですから、政局的に特例公債はもう使えません。ある意味のこれは武装解除みたいなものですが、こういうものを武器に持ちながら政策実現がゆがめられてしまうということはいけないと思いますので、そういう提案をさせていただきましたので、ぜひ一緒に知恵を出して成案を得ていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

笹木委員 先ほどお話ししました金融国会、その当時の担当者だった方複数にお話を聞きました。皆さん、全く後悔していないと言っていましたね。目先の政局に不利とあのとき言われた、党内でもそういう声があった、でも今振り返って、全く後悔していない、あれは野党時代のいい功績になった、実績になった、そう言っていました。ぜひ、野党も与党も関係なく、この特例公債、こういった例で毎年総理大臣をやめさせるとか、それを解散の取引材料にするとか、こうした習慣から我々国会全体が脱却をしたい、そう思います。よろしくお願いします。

 次のテーマに移りたいんですが、先ほど新しい公共という話がありました。結局これはどういうことかなとよく考えるんですが、大昔の政治だと、個人とかが寄附をする、民間の団体、公益活動と言っている団体に寄附をする、寄附をした人がその分、税金を減税される、国が管理する税金が少なくなるじゃないか。いや、国民が判断する、判断した結果、それは大丈夫か、こういう声が大昔だとよく聞かれました。

 我々は国民を信じているわけですね。国民とともに歩む、国民とともに新しい公共をつくる。特に現地、現場は、東京にずっといる方々よりも、例えば中央官庁の方々よりも、生活に身近なそういった制度について、政策についてはよりわかっているはずだ、ここを信じて新しい公共活動をつくっていく。

 しかし、こうしたことをやっていくためには、やはりよく意思疎通しないといけないし、我々がやっていることをちゃんとわかってもらわないとだめだと思うんですね。

 謝ることも大事です。しかし、なし遂げてきたことはいっぱいあります。これが残念ながら、我々は、各議員も、本会議場でも委員会でも一生懸命アピールしているつもりですが、新しい公共そのものさえもなかなかわかっていただいていません。成果についてもしっかりと発信をしてわかっていただく努力、まだまだ足りないと思います。幾つかの例をきょうは挙げたいと思います。

 一つ目はこれなんですが、尖閣でもありました。尖閣の中にも、四つの島、名前さえついていない、そういう島が四つありました。この約二年間で、これは、領海じゃなくて、排他的経済水域、この範囲を決める島、そうした非常に重要な大事な島、九十九あるわけですが、何とそのうち四十九、約半分ですね、九十九のうち四十九の島が名前さえついていない。名前がついていないんですから、当然、海図にも載っていません。外国の人が見ても海図にも載っていない、名前もない。

 これ以上の弱点はないですね。排他的経済水域の範囲を決める大事な島、その排他的経済水域からは日本が魚をとることができ、海底から、最近だとメタンハイドレート、天然ガス、レアメタル、レアアース、将来的にはこうしたものもとれる。その大事な島、九十九のうち約半分、四十九に名前もついていない、海図にも載っていない、そういう状態でした。その中で、この四十九にはこの二年間で名前をつけた。

 官房長官、このことについてちょっと御説明をいただきたいと思います。

藤村国務大臣 笹木委員にお答えいたします。

 日本は国土の面積でいうと三十八万平方キロメートル、しかし、今おっしゃっている、いわゆる排他的経済水域、日本の海洋国家としての大きな地域というのは四百五万平方キロメートル、つまり日本の国土面積の十一倍ぐらいあるわけです。それがまさに日本であるわけで、その海洋国家である日本が、国土と、あるいは経済社会の存立基盤である領海あるいは排他的経済水域の根拠となる離島の保全管理を強化するなど海洋権益を保全していくことは大変重要だと考えまして、平成二十二年六月には、まず低潮線保全法というのを制定いたしました。これでいわゆる遠隔離島の周辺海域の開発拠点を整備するため、南鳥島そして沖ノ鳥島の港湾整備に着手しているところです。

 また、今御質問の排他的経済水域の根拠となる離島につきまして、保全管理を適切に行う等の観点から、地図、海図にきょうまで名称のなかった四十九について、まず十、そして今年三月にはさらに三十九ですか、名称を付与するとともに、いわゆる排他的経済水域の基礎となる離島の低潮線周辺の無主の土地について、二十三地区を所有する手続も完了をしたところであります。

 さらに、我が国の大陸棚の延長について、これも進展がありました。ことし四月、大陸棚限界委員会から勧告が出されまして、我が国の国土面積の約八割に相当するんですが、三十一万平方キロの新しい延長が認められ、我が国の海洋権益の拡充に向けた大きな重要な一歩となったところでございます。

 また、尖閣諸島については御説明するまでもないかもしれません。魚釣島、北小島及び南小島について、今般、所有者が売却するという意向を示されたことを受けて、尖閣諸島の長期にわたる平穏かつ安定的な維持管理を図る観点から、速やかにこれらの島々の所有権を取得することといたしました。

笹木委員 無主の島が二十三、ほかにもあった、その二十三の島々についても国有化をした、そういう御説明も今ありました。

 先ほど総理の答弁にもありましたが、共生というのが大きい理念だと。国際的にもそうでしょう。ともに生きていく、これが我々の基本の原則のはずです。しかし、備えるべきことを備えていないと、やはりそれは共生さえも困難にする。考えられないような弱点を数十年もほったらかした状態では、そこにつけ込まれる、そういうことがないとは言えません。

 レアアースもそうですよね。安いからいいだろうということで、二〇〇〇年のころに、一年間に日本が使う量の八〇%、中国一国からの輸入。例えば自動車あるいはコンピューター、パソコンあるいはエアコン、こうした部品にも使われている、日本の輸出製品の大事な部品を構成するその資源、レアアース。二〇〇〇年には大体八〇%、安いからいいだろうと、二〇〇四年から九〇%に達していた。中国一国からの輸入です。

 やはりこれは、中国がいいとか悪いとかという問題じゃないと思います。一つの国に、我々の経済にとって不可欠な資源を九割依存し切っている、これはやはり普通じゃない状態だと思います。このレアアースについては、この二年間でかなり改善された。

 経産大臣、御説明いただけますか。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、特に政権交代後、レアアースの権益確保の支援ということ、そして多様化ということに努力をしてまいりました。

 その結果として、昨年三月には、既にオーストラリアのマウント・ウェルド鉱山の権益を確保し、来年から輸入を開始する見込みとなっております。これで年間九千トンを確保できる見通しであります。

 また、ことしの十一月二日には、カザフスタンのサレコプロジェクトにおけるレアアース製錬所の開所式が行われました。近藤副大臣を派遣いたしましたが、このプロジェクトでは、来年以降、より貴重なレアアースであります中重希土を含めた年間四百トンのレアアースを確保できる見通しとなりました。

 さらに、先週十一月八日には、日本政府が支援をしておりますインドのインディアン・レアアースプロジェクトがインド政府の閣議において了承をされました。来年以降、年間四千百トンを確保できる見通しであります。

 さらに、ベトナムのドンパオ鉱床の開発に向けた準備も進めているところであります。

 これまで、レアアースの国内需要量は二万トンから三万トンで変動しておりますが、こうした取り組みによって、来年半ば以降、おおむね五割程度は中国以外からも確保できるというふうに考えております。

 また、特に貴重なジスプロシウムについても、中国以外からの確保が始まります。さらに、調達先の多様化、そしてその権益の確保、さらには、国内的な技術開発を支援して使用量の削減やリサイクルを積極的に進めてまいりたいと考えております。

笹木委員 今、詳しく御説明もいただきました。今、依存率が大体五割にまで減った、そういう見通しも立ったと。さらに、今お話しにはなりませんでしたが、余分に国内での蓄えというか、これが一年分ぐらいにはなった、こういうふうにも聞いております。

 こうした問題は、極端な偏りによる弱点を持っているとまともな交渉ができないということで、やはりほったらかしていちゃいけない問題だったんだろうと思います。

 あわせて、総理は、海のフロンティアということを再三強調されていました。我々の近海あるいは排他的経済水域、さっき言ったように、メタンハイドレート、これは、海洋資源の調査の能力も、これをくみ上げてくる能力も、日本は世界でトップの技術を持っています。恐らく、実用化できるとしたら日本が一番先に実用化できる。その証拠に、メタンハイドレートも、来年の三月には世界で初めて海底の深くから陸上にくみ上げてくる、これが世界初で実行もできます。

 ただ、ちょっと心配なのは、こういう長期的な予算というのが思うように伸びていかないおそれがある。今そうだというんじゃないんですね、そういうおそれもあります。

 海洋での調査活動、そして実用化のための探査活動、これについては今後もしっかりと取り組む、これについて、簡単でいいです、総理の決意をお伺いしたいと思います。

野田内閣総理大臣 日本の国土面積は世界の中で六十番目ほどの、本当に小さな島国でありますけれども、先ほど来御議論いただいているとおり、排他的経済水域、管理できる水域、海域というのは、面積でいうと世界で六番目です。海は立体ですから、深さでいくと、これは世界で四番目です。五千メートルより深い海は世界で一番保有しています。そこにはメタンハイドレートであるとかレアメタル、そういうものが埋蔵されている、埋まっている可能性がありますので、これはまさに日本のフロンティアだと思います。

 国土面積は狭いんですが、海であるとか宇宙であるとか、立体的に見ていくと、日本のフロンティアは本当に無限大にまだあると思います。そこをしっかりと開発をしていくことは、着実に進めていくべきだと考えています。

笹木委員 総理のリーダーシップもあって、この数年で、そして今現在も、非常にこの調査活動、探査活動が進んでいる。とにかくこの動きを弱めないでほしいという確認をしたかったわけです。

 玄葉大臣にお伺いしたいわけです。

 尖閣、竹島、いろいろ心配をされています。しかし、五四年、六二年、それ以来、六二年以降は全く、国際司法裁判所に共同付託さえすることは数十年間なかったわけですが、今回、共同付託を呼びかけて、これがだめで、単独提訴もするようにした。今、そういう備え状況、どういうふうになっているか、御報告をいただけますか。

玄葉国務大臣 今、尖閣、竹島とおっしゃったんですが、最終的には竹島の話だろうというふうに思います。

 おっしゃるとおり、ICJへの、国際司法裁判所への共同付託、及び日韓の紛争解決交換公文に基づいて韓国側に提案をしたわけでありますけれども、残念ながら、韓国側は応じないという旨、口上書で回答を送ってきましたので、今は、ICJ、国際司法裁判所に対して単独付託をする、そのための準備を淡々と進めているところでございます。

笹木委員 ぜひ本当に淡々と進めていただきたいと思います。

 あわせて、非常に充実したのが情報の発信と聞いています。私も確認しました。

 これまで、竹島についても尖閣についても、我が国の立場、主張、歴史的な経緯とか、領土についての正当性、これをしっかりと発信するということが本当に余りされていなかった、そう思います。相手の国の言葉に訳して発信するのが当然だと思うわけですが、これが非常におくれていた。今、外務省のホームページを初め、ホームページ上でも、英語、フランス語、ドイツ語、ロシア語はもちろんですが、韓国、中国、アラビア語、その他の国の言葉に訳して発信をしている。これは非常に大事なことだと思います。

 あわせて、こうした領土についての問題だけじゃなくて、一方では、クール・ジャパンということで、非常に海外から、中国も韓国も含めて、日本の文化、あるいは経済、あるいは戦後の復興の経験もそうかもしれません、こうしたものへの関心は強いわけです。漫画、アニメ、あるいはJポップだけじゃありませんね、日本語そのものも学びたいという方は確実にアジアで今ふえています。しかし、その発信が十分か。広報費とかいろいろな部分で削られているのもあって、各省も、官邸さえもそうですか、こうしたことをしっかりとさらに発信をしていただきたいと思います。

 次のテーマに移りたいんですが、この図を見ていただきたいんです。

 先般、京大iPS研究所の山中教授がノーベル医学・生理学賞を獲得されました。私も何度かお会いし、iPS研究所まで行って、成果を顕微鏡で見せていただいたりしたこともあります。

 何よりもすばらしいなと思ったのが、あの受賞が決まったときのコメントですね。周りの方々、スタッフ、そしてお世話になった方々、国まで含めて、感謝の言葉を述べられているんだけれども、本当にすばらしい性格だ、そういうことに国民のたくさんの方が共感をしたと思います。

 そこで、いつも山中教授が言われているのがこの点です。知財人材と言ってもいいんですか、英語にするとわかりにくいので、研究開発、それを支えるチーム、その人材ということですか。日本は、研究者の横に、事務をやる秘書であったり、事務スタッフがちょっといるだけだと。アメリカとか欧州とかシンガポールとか、こうしたところは、知財の専門家、規制専門家、これは法律であったり、日本でいうと弁理士であったり、あるいは薬学、そういうものの専門家であったり、あるいは研究秘書、広報専門家、技術員、そして事務員、こういう研究開発を支えるスタッフ、全米で十六万人いるというふうに言われています。日本は、しっかりした統計はありませんが、七十機関ぐらいが調べたら七百人ぐらいだったわけですから、一つの研究機関、一つの大学に十人ぐらいということです。恐らく桁違いに少ないんだろうと思います。

 こうした点で、特に山中教授がいつも言われているのは、この層を厚くしてほしいし、人数も層も厚くしてほしいけれども、要は、そういうキャリア、職業がないもので、三年とか五年、そのことをやっていただいても、その後、行き先がなくなるんだと。優秀な方がなかなか手伝いに来ていただきにくい、これはしっかり考えてほしいというふうに、いつも再三言われています。

 これについて、田中文部大臣、この二年間で非常に進んだ、これは私自身も副大臣のときに把握をしています。私もそのことは一生懸命やったつもりです。さっきの海洋研究調査を含めてですが、今どういう状態か、御説明いただけますか。

田中国務大臣 最先端の科学技術研究開発というものは、世界じゅうで極めて厳しい競争にさらされています。その中で、京都大学のiPS細胞研究チーム、山中先生を中心とした皆さんは、大変な効果を上げられたと敬服しております。

 そして、私どもが本当にやらなければいけないことは、今委員がおっしゃったように、切れ目なく、継続的にこの研究を続けられるような環境を整備してさしあげることだというふうに思います。

 したがいまして、人材の確保を含めまして、研究環境の改善のために、今まではまだ三年、五年だったんですけれども、今回、十年程度の長期支援をすることといたしまして、知財の専門家等の研究支援の人材を含め、切れ目なく研究に専念できる環境を整備したいというふうに思います。

 一度、山中先生が、研究所に行ってもまずマウスの世話をしていて、研究よりもそちらの方が先になるとおっしゃっているのを伺いまして、そうではなくて、即、研究に入れるような環境の整備、まさしくこれだと思いますし、そのために努力をいたします。

笹木委員 ぜひしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 あわせて、これはお答えにならなくて結構なんですが、今、大学新設の認可をめぐって、田中大臣が問題提起をされました。

 いろいろなことが今議論になっているのは承知しております。しかし、私も、東京であれ地元であれ、いろいろな方々とこの話でお話をお聞きして、あの問題提起自体が間違っていると言われた方は一人もおられません。(発言する者あり)当たり前と今やじが入りましたが、当たり前と思っていることがやられないから問題なんですよね。

 ぜひ、問題提起自体は絶対に正しいことなんですから、責任を持って、タイムスケジュールも含めて青写真をしっかりと、まずはつくっていただきたいと思います。

 先ほど、山中教授のチーム力というお話もありました。ぜひ、政務三役とか役所の方々としっかりいろいろな現状についての確認をとりながら、そのことの責任を果たしていただきたい。いろいろな批判をされる方は、では、しっかりと対案を、この問題提起に対する対案を示しながら、ぜひ批判をしていただきたい、そう思います。

 最後のテーマ、もう余り時間がないわけですが、地方の問題、先ほど、格差なき社会というお話がありました。あるいは、総理が再三言われている言葉で言うと、分厚い中間層という言葉があります。大賛成です。

 よく、幕末とか維新のものを読んだりしていますと時々出てくるのが寺子屋の情景。全くの民間のいろいろな方々が先生役になってやっていた幕末の寺子屋、この全国津々浦々での普及があって、あの当時、幕末、読み書きそろばん、実学、あと石門心学ですか、心の学問、この普及率というのは、特に実学の方の普及率は五割に近づいていたと言われています。当時の世界第一の経済大国、大英帝国は大体三割台だったと言われています。

 我が国の国ぶりというのは、そして強みを発揮できるのは、平均的な国民、この力が非常に強いとき、これが我が国の強みを発揮できる、そういうときだと思います。

 総理が言われている分厚い中間層、このことを考えたときに、やはり地方の豊かさ、これが非常に大事なポイントだ。地域主権、我々も訴えてきました。

 この地域主権ということで、地方交付税、地方が自由に使えるお金、あるいは一括交付金、このことについての成果を、樽床総務大臣・地域主権担当大臣に御説明いただきたいと思います。

樽床国務大臣 ただいま笹木委員の方からお話がありましたが、地域主権というのは、それぞれの地域を元気にしていくために我々は地域主権改革に取り組んでいるわけであります。

 三位一体改革の折に二・二兆円、地方交付税が減りまして、その関係で地方自治体が大変苦しんでおられました。そういったことから、政権交代後、地域主権改革を我々は標榜し、地域に元気になっていただくために地方の一般財源総額をしっかり確保していく、そのために地方交付税、その中心的なものでありますから、一・六兆円増加をいたしております。今後も地方が自分たちで使える一般財源総額というものをしっかり確保していく、このような方針のもとに進ませていただいております。

 そういった中で、一括交付金でありますが、二十三年度は都道府県を対象といたしまして、正確には五千百二十億円計上いたしました。今年度は、それを政令都市まで拡大いたしまして、六千七百五十四億円、沖縄分も含めますと八千三百二十九億円交付をさせていただいております。

 全国から八割以上の方々が、大変すばらしい制度である、このように御評価をいただいておりますので、さらにこの制度の充実強化を図ってまいりまして、地方自治体が元気になっていただく施策を進めてまいりたいと思っております。

笹木委員 もう時間が迫っていますので、最後の締めくくりとします。

 あわせて、地方の自主財源をふやすこと、そして地元の、地方の企業、中小企業が元気になること、これがどうしても不可欠だと思います。今、中小企業憲章、そして金融円滑化法、こうしたことで実績を上げていますが、さらにこれからは、その経営力を高めるためのサポート人材、全国で今、商工会、商工会議所で八千人ぐらいですか、これにプラス新たに一万人、これは新たに認定する方、実務経験者とか知識を持っておられる方、民間の方、国費でそういう方をふやす、あるいは海外展開の中小企業の事業も、外務省も含めて、これもしっかりと後押ししていく、こうしたことを今進めています。

 ということで、最後に聞きたかったわけですが、時間となりましたので、ここで終了させていただきます。どうもありがとうございます。

中井委員長 この際、藤田一枝君から関連質疑の申し出があります。細野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。藤田一枝さん。

藤田(一)委員 民主党の藤田一枝でございます。

 本日は、一体改革の進捗状況など六項目お尋ねをしたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 まず初めに、総理にお尋ねをいたします。

 さきの通常国会、総理の並々ならぬ決意のもとに、そしてまた、自民党、公明党の皆様の御理解、御協力のもとで三党合意が成立をいたしまして、社会保障と税一体改革関連法が成立をいたしました。

 民主党は、政権交代以降、社会保障関係費自然増分二千二百億円の削減方針を撤回し、また、先ほどからお話が出ておりましたけれども、格差是正のためのセーフティーネット、これを強化するなど取り組んでまいりましたが、この一体改革によって所得の低い方ほど保険料負担が重たくなる逆進性の問題、そしてまた、常に将来不安がつきまとっている年金や医療や介護の現実など、今まで本当に先送りをされてきた社会保障の再構築、機能の維持や強化や充実に向けてスタートを切ることが可能となったわけでございます。

 そして、何よりも、政局に左右されずに持続可能な社会保障制度について議論する場として、社会保障制度改革国民会議、この設置が盛り込まれた、これは大変大きな意味を持っていると考えているところでございます。まだ、これから消費税引き上げまでに決めなければいけないこともたくさんございますし、時間も期限も決まっている問題もございます。しかし、この臨時国会、政局だけが前面に出てしまって、大変残念でございます。一日も早くこの国民会議の設置に着手をしていただきたい、そして、ちゃんと議論をしている姿を国民の皆様にお示ししていくということが必要なのではないでしょうか。

 そして、まだ、一体改革の中身、残念ながら、国民の皆様に十分伝わっていない面がございます。先日、土曜日の福岡での集会のときにもそういう指摘があったことについては総理も受けとめていただいているところだと思いますが、ぜひ、改めて、今回の一体改革によって社会保障がどのように変わっていくのか、変えていくことができるのか、そしてこの国民会議というのはどういう役割を果たしていくのか、総理の御決意も含めて、これからの社会保障の姿というものをお示しいただきたいと思います。

野田内閣総理大臣 今回の一体改革における社会保障改革というのは、少子高齢化が進む中で、社会保障制度を持続可能なものにしていくということ、そして、若い世代を含めまして、国民が安心で希望と誇りを持てる社会の実現を目指す、こういうことでございます。

 このため、従来は、給付は高齢者中心、負担は現役世代、こういう構図がありましたが、その仕組みを改めて、給付、負担両面において世代間、世代内の公平が確保された制度として、全世代対応型の社会保障制度に変えていこうというところに大きな趣旨があったというふうに思います。その一歩として、子ども・子育てであるとか年金に関連する法律を、三党の合意を得て、さきの通常国会で成立させていただきましたことに感謝を申し上げたいと思います。

 一方、社会保障の将来に揺るぎない安心感を示すためにも、公党間の約束である三党合意を基礎にして、国民会議において、社会保障の残された課題について議論を進める必要があると思います。

 国民会議は、来年の八月二十一日までに結論を出すという期限がありますので、もはやカウントダウンが始まっております。政府・与党の方からは、これまでも国民会議の立ち上げに向けまして御協力をお願いしてきたところでありますけれども、残された時間を考えますと、速やかに委員の人選なども含めまして三党で協議を進め、一日も早く国民会議で議論が開始できるよう、自民党、公明党両党には重ねて御協力をお願いしたいというふうに思います。

藤田(一)委員 ぜひ、一日も早く国民会議、設置をしていただき、議論をしていただきたいと思います。そして、社会保障制度を安定させることによって、社会全体の好循環をしっかりとつくり上げていただきたい、このように思うところでございます。

 今総理のお話の中にもございましたけれども、安心して子供を産み育てられる環境をつくりたい、これは私たち民主党の思いでございます。そして、チルドレンファーストとして、この間、子育て支援の充実に向けてさまざまな取り組みをしてまいりました。新児童手当あるいは高校授業料の無償化はもとよりでありますけれども、不妊治療への助成や保育所の定員拡充、一人親家庭への支援、母子加算の復活や父子家庭への児童扶養手当の支給など、生まれてから社会に出るまでの子育て支援策、これが今動き出しているわけでございます。

 社会保障と税一体改革で、従来の社会保障三経費にこの子育て支援を加えて全世代型の社会保障制度に転換を図った、これは、少子高齢、人口減少時代に対応するための本当に大きな政策転換だった、このように思うところでもございます。

 そしてさらに、子ども・子育て関連三法が成立をいたしました。幼児期の学校教育、保育、地域の子ども・子育て支援を総合的に推進する、このことを目的とした、これは本当に一大改革でございまして、子育て世代や関係団体の皆様からも大きな期待が寄せられています。

 しかし一方で、具体的にこれがどう動いていくのか、今どういう準備をしたらいいのか、いろいろな声が寄せられているところでもございます。

 〇・三兆円を充てると言われている質の改善、そして〇・四兆円で行おうとしている量の拡大、そして、二重行政の解消や子ども・子育て会議の設置など、まだまだ具体的に詰めていくことがたくさんあるということだと思いますけれども、準備室も設置をされたということでございますので、施行に向けた進捗状況、そして今後の進め方について、ぜひ具体的にお示しをいただきたいと思います。

三井国務大臣 ただいま委員から御質問ございましたように、子ども・子育て関連三法案の成立、本当に感謝申し上げたいと思います。

 子ども・子育て新制度の施行準備につきましては、内閣府や文部科学省とも連携を図りながら、認定こども園制度の改善や保育所の確保などの検討を進めてまいりたいと思います。また、市町村や保育所等の子育て支援当事者の関係者などと丁寧に意見交換をしながら検討を進めていきたい、このように考えております。

藤田(一)委員 本当にこれは一大改革でございまして、時間があるようで時間がございません。ぜひ、積極的にいろいろな詰めを行っていただきたいと思いますし、一体改革のトップランナーでございますので、しっかりと形を出していただきたいということを強くお願い申し上げたいと思います。

 そして、子育て支援と同様に、高齢者の方々への支援というものも大変重要でございます。きょうは、たくさんある課題の中で認知症施策についてお尋ねをしたいと思います。

 去る八月、厚労省は、認知症高齢者の推計を明らかにいたしました。二〇〇二年の百四十九万人から大きく増加をいたしまして、二〇一二年段階では三百五万人となっているわけでございます。そして、これは当然、今後もさらに増加をするということが見込まれているわけでございますけれども、認知症の高齢者の方ができる限り住みなれた地域で生活をし続けるために、厚労省は、認知症施策五カ年計画、オレンジプランというものをこのほど作成されました。

 早期診断、早期対応のための初期集中支援チーム、そして身近型の認知症疾患医療センターの設置、これまでの、医療は医療、介護は介護、こうしたばらばらではない、これまでのケアの流れを変える標準的ケアパスの作成などが盛り込まれているわけでございますけれども、この五カ年計画が着実に実行されることによって、認知症の高齢者や、そして介護で大変御苦労されているその御家族にとってどのような安心や変化というものをもたらすことができるのか。

 きょうは恐らく、介護にいろいろなことで御苦労されている方々もこの国会中継を聞いていらっしゃると思います。そういう皆さんへ安心を届けるという意味で、そして厚労省としての決意も含めて、具体的な中身をお聞かせいただきたいと思います。

三井国務大臣 藤田議員にはこれまで、厚生労働大臣政務官時代に認知症の施策検討プロジェクトチームの主査として、認知症施策推進五カ年計画、いわゆるオレンジプランでございますけれども、策定に多大な御尽力をいただきまして、ありがとうございました。

 このオレンジプランは、認知症ケアを、徘回や大声を出すなどの症状が発生してからの事後的な対応から、そのような症状が出る前の早期そして事前的な対応へとケアの流れを変えることを目標にしております。

 具体的には、認知症の人や家族が早目に病状に気づくこと。また、専門医によります早期診断を受けられること。そして、状態に応じました適切なケアを受けられること。そして、四点目といたしましては、家族が認知症の人への接し方を理解することができるような社会を目指しますということでございます。

 また、オレンジプランを着実に実施することによりまして、認知症になっても、できる限り住みなれた地域のよい環境で安心して暮らし続けることが期待されるところでございます。

藤田(一)委員 ぜひ、医療と介護、連携をしながら、認知症になってもより長く今の生活を維持していくことを可能にする、そのことが必要でございますし、認知症の御本人とその家族の方々がより質の高い生活と時間というものを共有できる、そういう体制をしっかりとつくっていくことが必要だろうというふうに思っております。これは、来年度予算、重点枠で予算を獲得するということであろうと思いますので、ぜひしっかり予算を獲得して、着実な実行ということを強くお願いしておきたいと思います。

 続いて、医療や介護の分野の人材の確保、養成についてお尋ねをしたいというふうに思います。

 一体改革で、社会保障の再構築を図る枠組み、財政の手当てであるとかその根拠となる法律、こういったことができたわけでございますけれども、やはりそれをワークさせていく、それを支えていくのは人でございます。次に必要なことは、人材の確保、養成ということが大きな課題になってくるのではないかと思います。

 特に介護人材について、今年度の介護報酬改定で、処遇改善加算ということで処遇改善に引き続き取り組んだわけでございますけれども、正直申しまして、中身はまだまだということではないかと思います。福祉の分野における雇用の受け皿ということで、大変介護の分野も着目をされているわけでございますし、成長分野というふうに言われているわけでありますけれども、その職というもの、あるいは地位と言ってもいいのかもしれませんけれども、そういうものが確立していないというのでは、本当の意味での成長分野とは言えないのではないでしょうか。

 一方で、医師不足、これについては、この間、その取り組み、一歩一歩進んでいるところでございますけれども、看護師不足、これは大変深刻な状況が続いています。そしてまた被災地では、被災地の厳しい環境というものがあろうかと思いますけれども、看護や介護の人材不足というのは大変深刻で、必要な基準を満たさないために定員を制限しなければならなかったり、あるいは事業の展開ができない、こういった実態が散見をされているところでもあります。

 人材育成というのは、簡単に、そんなにすぐにできるものではないかもしれませんけれども、これは本当に政府として、これからの人材をどういうふうに、特にこの医療、介護、看護、こうした福祉の分野を支える人材をどうやって育成していくのか、真剣に取り組んでいかないと、縦割りの中で、必要だからとにかく人を確保していけばいいんだ、これではもう限界に来ているんだろう、このように思っているところでございます。

 当面する課題の解決ということも含めて、この人材の確保、育成について、特に厚労大臣ということになろうかと思いますけれども、御所見をお聞かせいただきたいと思います。

三井国務大臣 私も委員と同じ思いでございまして、これからのまさに介護、それから介護職員、看護職員の皆さん、そういう資格者の人材の育成をどうしていくかということは、本当に真剣に考えなきゃならぬと思っております。

 そこで、介護人材についてでございますけれども、平成二十四年度の介護報酬改定で創設いたしました介護職員処遇改善加算によります処遇改善の取り組み、またキャリアパス制度の構築の取り組みなどを通じまして、介護職の確保と養成を図ってまいりたいと思っております。

 また、看護職員につきましては、現在は離職防止や再就業支援などに取り組んでおりますけれども、勤務環境が厳しいとの指摘もあることから、先月、省内にプロジェクトチームを立ち上げました。雇用の質の向上に向けた検討を開始したところでもございます。

 また、被災地でございますけれども、被災地の介護、看護の人材確保の取り組みといたしましては、全国の施設から福島県の相双地域等の介護施設へ職員を応援する事業を実施することとともに、地域医療再生基金を活用いたしまして、県内外からの介護職員の確保への支援などを行ってきたところでございます。

 いずれにしましても、今後は、被災地も含めまして、介護人材あるいは看護師の確保、養成にしっかり取り組んでいかなきゃならぬということを私も思っております。しっかり取り組んでまいりたいと思います。

藤田(一)委員 繰り返しになりますけれども、福祉というのは、やはり何といっても人、マンパワーでございます。そして、今までもこの人材の確保、育成ということはずっと言われてきたんですけれども、やはり、あえて言えば、例えば、ちょっと前は女性の職業的なところがあって、そういう意味でなかなか職として確立していっていなかった、賃金も安かった、こういう背景などもあったわけでございます。

 しかし、今はそうではなくて、まさにそこがちゃんと中心にならなければいけないわけでございますので、従来のやり方ではやはりだめなんだと思います。そして、現場でケアをする人材も必要ですし、全体をマネジメントする人材というものも必要です。いろいろな形の段階も必要なわけでございますので、大きくこの国の、先ほど社会保障制度を安定させることで社会全体の好循環ということを申し上げましたけれども、それを支えていく人材、マンパワーとして、ぜひ大きなところから取り組みをしていただきたいということを強くお願い申し上げたい。

中井委員長 総理に質問しますか。

藤田(一)委員 ぜひ総理、一言、もしそれについて御見解をいただけたらありがたいので、よろしくお願いいたします。

野田内閣総理大臣 御指摘のとおり、頑張ります。

藤田(一)委員 ありがとうございます。総理からもそういうお言葉をいただきました。

 医療、介護、看護という福祉分野だけではなくて、子育ての分野も同様でございます。大事な人材育成、よろしくお願いを申し上げます。

 次に、環境大臣にお尋ねをいたします。

 政府は、二〇三〇年代に原発稼働ゼロを目指すことを決定いたしました。原発に依存しない社会を目指すことは多くの国民の皆様の声でございますし、私も共有をいたしているところでございます。

 しかし、その実現のためには、あらゆる政策手段というものを投入しなければなりませんし、同時に、地球温暖化の対策ということも求められています。既に、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギー導入促進の取り組みが進められているわけでございますが、今注目をされているのが、浮体式洋上風力発電でございます。これは、広大な海に囲まれた日本に適した発電手法とも言われておりますけれども、まだ世界的にも実用化に乏しいということで、技術が確立できれば新たな日本の産業にも育つ、そんな可能性も持っていることから、大きな期待が寄せられております。

 今般、環境省が五島沖で開始した実証実験について、今後の見通し、可能性について、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。

長浜国務大臣 持続可能な社会をつくっていくためにも、先生の今の御指摘の、再生エネルギーをどうしていくか、具体的な方法が問われているところであります。

 先ほども海洋国家日本という議論が続いておりましたが、そういった中における浮体式洋上風力発電、大変注目をいただいていることに感謝を申し上げる次第でございます。風力発電は、普通、軸がありまして、その軸に基づいて風車があるということですが、浮体式という洋上の風力発電でございまして、まだノルウェーに一つあるかどうかというような状況の中において、今回、先生が御指摘ありましたように、パイロットスケールである百キロワット級の試作機を五島列島沖において八月に試験運転を開始したところでございます。

 商用スケールである二メガワット級の実証機を建造中でありまして、これを来年から二十七年まで試験運転をさせようというふうに思っております。

 課題は何かというふうに問われれば、台風のときにどうなっていくのか、あるいは漁業関係者との意見調整は済んでいるんだろうか、環境アセスはどうするんだ、こういう問題が課題としては残っておりますが、私としては、今後、事業で得られた成果を福島県沖の実証事業に移転するなど、関係各省とも協力をしながら、また、被災地の皆様にも、実際、再生可能エネルギーの拠点となるような、そういった努力も続けてまいりたいと思っております。

藤田(一)委員 ぜひ実用化が可能になるように、取り組みの強化をお願いしたいというふうに思います。

 最後に、総理にお尋ねをいたします。

 先日、世界経済フォーラムが発表した男女平等度、男女格差報告、日本が何位であったか、お目にとまりましたでしょうか。日本は、何と百三十五カ国中百一位。昨年よりも三つ順位を下げてしまったわけでございます。政治の分野では、百十位で最低水準。これは大いなる反省が必要であろうというふうに思うところでございますけれども、日本の場合は、女性の教育レベルが高いにもかかわらず、労働市場での活用、これがうまくいっていない、このことが常々指摘をされておりまして、男女の雇用格差をなくすとGDPが一六%ふえる、こういう研究報告も紹介をされているところでございます。

 だからこそ、日本再生戦略において、女性の活躍促進が社会や経済を活性化させるために必要なんだ、このように位置づけられたというふうに受けとめておりますけれども、まず、そのためには、政府が数値目標を掲げて推進をしている、二〇二〇年までにあらゆる分野への女性の参画割合を三〇%にする、この実現が不可欠ではないかというふうに思っています。既に女性が多く進出している分野もありますし、また、進んでいる企業や自治体の取り組みなども見受けられるわけでありますけれども、全体的にはまだまだでございます。

 改めて、この三〇%目標の達成、そして女性の活躍促進に向けた総理の御決意というものをお聞かせいただきたいと思います。

野田内閣総理大臣 女性が社会のあらゆる場面に参画をし、その能力を発揮するということは、元気な日本を取り戻す重要な鍵であり、男女共同参画社会の実現は、政府一体となって取り組むべき最重要の課題と認識をしております。

 女性の活躍のためには、意思決定の場における女性の参画の拡大と社会全体の意識改革を車の両輪として進める必要がございます。先般策定した日本再生戦略にも位置づけた「「女性の活躍促進による経済活性化」行動計画 働く「なでしこ」大作戦」を踏まえまして、二〇二〇年三〇%目標の達成や、女性の活躍促進に向けて、社会全体での取り組みを進めていきたいと考えております。

 本日は、この予算委員会が終わった後に、来日中のミシェル・バチェレUNウイメン事務局長とお会いをする予定が入っておりまして、我が国とのパートナーシップの強化について意見交換をする予定でございます。

 女性の活躍促進の重要性に対する関心は国際的にも高まっておりますので、政府全体として女性の活躍促進に取り組んでまいる決意でございます。

藤田(一)委員 男女共同参画社会の実現は二十一世紀の最優先課題と言われて久しいわけでございますので、ぜひとも強いお取り組みをよろしくお願い申し上げ、質問を終わります。

 ありがとうございました。

中井委員長 この際、平山泰朗君から関連質疑の申し出があります。細野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。平山泰朗君。

平山委員 国民新党の平山泰朗です。

 国民新党を代表して、防災予算、再生エネルギー推進に関しての質問をさせていただきます。

 全国防災事業対策費については、被災地の復興と関係ない被災地以外の事業に復興財源が充てられている、このことが問題であり、必要な事業は一般会計で措置すべきであるという議論があります。改めて、全国防災対策費の経緯と位置づけについて確認をさせていただきます。

 全国防災対策費は、復興基本法第二条において、国が復興のために推進すべき施策として、地震その他の天変地異による災害の防止効果が高く、何人も将来にわたって安心して暮らすことのできる安全な地域づくりを進めるための施策が掲げられたことを受け、復興基本法に基づいて策定された東日本大震災からの復興の基本方針において、「東日本大震災を教訓として、全国的に緊急に実施する必要性が高く、即効性のある防災、減災等のための施策」を実施するとされたものであります。地方税臨時特例法でも、「全国的に、かつ、緊急に地方公共団体が実施する防災のための施策に要する費用の財源を確保するため、」と規定されているところであり、これらの法律は、野党である自民党や公明党も賛成されて成立されたものであります。

 全国防災対策費は、法律に基づき措置された予算であり、経緯や位置づけに問題があるものではありません。

 そこで、下地防災担当大臣にお伺いいたします。

 南海トラフ巨大地震対応など必要不可欠な事業については、関係地方公共団体からも全国防災対策費の存続要望があります。防災対策を所管する防災担当大臣として、全国防災対策費のあり方についての御見解をお伺いいたします。

下地国務大臣 全国の防災予算については、今、平山委員からお話がありましたように、復興基本法と復興の基本方針に基づいて、被災地の復旧と避難民の方々の支援、そして緊急性のある全国防災と決められたわけでありますから、これは三党で決めたことなので、法律的には全く問題がありません。法律にのっとってこれからもやっていかなければいけないと思います。

 ただ、この予算は二十三年度の補正予算から始まりました。しかしながら、二十一年度に予算が上がったもの、二十二年度に予算が上がったものが初めての段階から継続事業としてあるということについて疑問を持たれている人が多い。そして、緊急性ということを言われましたけれども、二十三年度に上げなくて二十四年度、二十五年度に新規事業で上がると、二十三年度に緊急事業で認めなくて何でそうなのかという声がありますから、こういうふうな声にはしっかりと耳を傾けて、精査をしていかなければいけないというふうに思います。

 しかし、八月に南海トラフ、首都直下の中間報告を出して、被害想定も出しましたので、こういう地域に防災予算を集中していくことは国民の理解が得られるものだと思っていますから、私としては、防災予算は、南海トラフ、首都直下、こういう自治体を中心に予算を回していくことが大事だろうというふうに思っています。

 来年の三月に最終報告を首都直下も南海トラフも出しますので、こういうふうな数字が出ますと非常に不安を持たれる地域の皆さんがいますから、そのときには減災も一緒に方針を示すというのが国の役割だと思っています。この減災を示す方針の中に予算がついてこなければ全く理解が図られませんから、予算もしっかりと獲得をしていくことが大事だというふうに考えています。

平山委員 防災対策に関しましては国民の方々の非常なる興味があると思いますので、この点をしっかりやっていただきたいと思います。

 さて、次は野田総理にお伺いいたします。

 全国防災対策費が被災地以外の事業に使われることを理由として一律に全て廃止するというのではなく、先ほどの話にもありましたように、南海トラフ巨大地震対策費など、東北の被災地の方々にも理解が得られる、真に必要な事業を厳格に絞り込んだ上で、全国防災対策費を存続させるべきだと考えます。総理の御見解をお伺いいたします。

野田内閣総理大臣 御指摘の全国防災事業を含む復興関連予算については、被災地が真に必要とする予算はしっかりと手当てをしつつ、それ以外については厳しく絞り込んでまいりたいと思います。

 一方で、南海トラフの巨大地震対策等、喫緊の課題に対応した防災対策を推進し、災害から国民の生命財産を守ることは、政府の最重要課題の一つであります。今後も引き続き、防災対策の充実に努めてまいりたいと考えます。

平山委員 ありがとうございます。

 では、次の質問に移ります。

 次に、再生エネルギー、特に蓄電池と電気自動車の件に関して枝野経産大臣にお尋ねをいたします。

 三・一一以降、脱原発社会実現のためには、再生エネルギーの推進は政府の喫緊の課題だと思っております。いわゆる再生エネルギーの発電方法ばかりが重視されておりますけれども、実は、太陽光、風力、潮力などの自然エネルギーの発電装置は、一度エネルギーを起こしたときに、その後、ためるために蓄電池が必要となっております。

 ほかにも、今、原発の夜間電力を起こしたときに、この電力をためるために、水をダムに揚げて、揚水発電という形でエネルギーを昼間に持っていくということもなされております。そういう意味でも、蓄電池の重要性というのは非常に大事だということが言えると思います。

 また、電気自動車、これは充電に時間はかかるんですけれども、リッター換算で二円で充電が可能でもあります。そうすると、月額数千円ほどという、非常に価格の優位性もあります。しかしながら、これほどいい電気自動車がなぜ普及しないのか。これは、蓄電池の価格に非常に問題があります。性能の問題もございます。充電時間が非常にかかる、あと充電施設が余りない、このことも問題になり、本格的な普及には至っておりません。

 二〇二〇年代には世界の蓄電池市場が二十兆円市場になるというふうに経産省は試算をしておられ、五割のシェアを日本でとりたいというふうに宣言をされております。

 日本の新しい成長産業として、蓄電池市場、高性能な蓄電池及び充電施設をもっと充実させる必要があると私たちは考えておりますけれども、枝野大臣の、蓄電池推進のための御見解をお伺いしたいと思います。

枝野国務大臣 御指摘、大変ありがとうございます。

 原発依存からの脱却に向けては、どうしても発電の部分のところにばかり注目が行っておりますが、御指摘のとおり、蓄電というところの技術を高めコストを下げるということが同じように重要であると私どもも思っておりまして、実は、政府としても、七月には蓄電池戦略を策定して、蓄電池の普及の加速化に向けた課題の整理や、今後実施すべき施策について取りまとめているところでございます。

 この場合、三つぐらいのフェーズがあると思っておりまして、一つは、大きな蓄電池で、太陽光であるとか風力であるとか、自然エネルギーはまさに自然任せで、発電量が変動します、これをしっかりとためておくということを低コストで行うことで、これらの電源を安定電源というふうな活用の仕方ができるようにするということで、今御指摘のあった揚水発電が今、一キロワットアワー当たり二・三万円ほどが設置コストとしてかかっております。二〇二〇年には、大型の蓄電池を低コスト化することで同水準以下にしたい、そうすればかなり普及をするだろうということで、日本は実はこの技術、世界の最先端の技術であります。いかに低コスト化を進めていくのかということを最大限支援してまいりたいと思っておりますし、また、これを活用するためには、系統、電線の安定活用についての努力が必要です。

 それから、家庭におけるコジェネをやる上でも蓄電池が重要です。さらに、御指摘いただいた自動車についても大変重要で、まさにこれは、電力の観点からも、産業政策からも、最優先課題として日本再生戦略でも位置づけて進めてまいりたいと思っております。

平山委員 ありがとうございます。

 質疑時間が終わりましたので、終了とさせていただきます。ありがとうございます。

中井委員長 これにて細野君、笹木君、藤田君、平山君の質疑は終了いたしました。

 次に、山本有二君。

山本(有)委員 自民党の山本有二でございます。

 冒頭、あえて総理にお伺いいたします。

 うそつきにならない年内解散、うそつきになる来年の解散、どちらでしょうか。

中井委員長 野田総理、かっかしないで。まだ名前を呼んでいませんから。

 野田内閣総理大臣。

野田内閣総理大臣 これは、何度もいろいろな場面で申し上げておりますけれども、特定の時期を明示するつもりはございません。

山本(有)委員 ほかの大臣の方も、約束をした、近いうちという約束をしたということを認められています。野田総理は、間違いなく、谷垣総裁あるいは安倍総裁とお約束をされたと思いますが、それはいかがですか。

野田内閣総理大臣 八月八日、当時の自民党谷垣総裁との間の党首会談におきまして、その後、山口公明党代表にも入っていただきましたけれども、そのときに申し上げたのは、三党合意を踏まえて一体改革法案を早期に成立させる、そして、早期に成立させた暁にということが前提でありますけれども、近いうちに国民に信を問う、そういう確認をさせていただきました。その言葉は、当然のことながら、私自身の言葉でありますので、重く受けとめております。

 そして、それを踏まえて、先般、十月十九日に、安倍総裁、山口代表との党首会談がございました。改めて、そうしたお話をさせていただきました。重く受けとめているということと、そして、そのための環境整備が必要である、環境整備の中で、とりわけ、きょうも御議論ございましたけれども、特例公債法案の成立、一票の格差、定数削減を含む政治改革、さらには社会保障国民会議の立ち上げ、とりわけという言葉を申し上げましたが、そういう課題がある、そうした環境整備が必要であるということを申し上げさせていただきました。

 いずれにしても、自分の言葉は重たいという自覚は持っております。

山本(有)委員 野党自民党は、先ほどの野田総理のおっしゃる環境整備に対しては、誠実にその環境が整うように努めております。その意味で、野田総理の近いうちが、まさに国民の言う近いうちと同じ、国民の常識の年内であるというように私は信じております。

 TPPについて野田総理が発言をされておられます。東アジア首脳会議、十一月十八日だと思いますが、そこにおいてTPPの発言をなさいますか、なさいませんか。

野田内閣総理大臣 現在、TPPについては、交渉参加に向けて協議をしている最中であります。その意思決定というのは、国益を踏まえて守るべきものは守るという中での判断がありますが、現時点において、特定の時期に特定の会議で特定の表明をするという方針を決めているわけではございません。

山本(有)委員 そういう答えは予想するわけでありますが、しかし、昨今の報道では、TPPに対して、総理がそのテーマで解散したい、そういう報道がかなりありますよ。

 TPPで参加表明を思い切りして、帰国すれば、民主党の中に離党者が出る、そうすると不信任案が可決される、そうすると解散しかないじゃないか。確かに勇ましい、確かに派手なパフォーマンスになります。しかし、これをやっちゃ、総理、あなたの人生に禍根を残すと私は思います。そうですよ。TPPに参加して、後の責任をとれるんですか、解散するのに。それは無理ですよ。

 それから、TPPの内容とか中身とか以前に、普天間の問題、日米関係を壊しました。また、尖閣の問題、日中関係を壊しました。こういう民主党外交に対して、国民は信用していませんよ。そういう稚拙な外交をやる民主党のその指導者が、TPPで日本に利益を上げられる、農家も守れる、いろいろな産業を全部守れる、日本にいい話になるだろうと思うわけがないんですよ。

 ですから、私は、TPPで派手な解散はおやめになった方がいいと思います。いかがですか。

野田内閣総理大臣 解散については、寝言でも言わないと申し上げております。時期も中身も、今一つのシナリオでお話をされておりますけれども、それはあくまで一つの、どなたかが考えたシナリオでございますので、私がそれに責任あるコメントをすることはできません。

 なお、今の表現の中で、尖閣の問題を日本が壊したというお話をされました。それは事実認識として違うと思っております。尖閣については、もともと我が国の固有の領土でありますけれども、個人の所有から、平穏かつ安定的な維持管理をするために国が所有することになったものであって、我が国が壊しているという事実はございません。

山本(有)委員 そういう御答弁であると、私も言いたくはなかったんですが、国際会議で胡錦濤さんと立ち話会談をやられましたね。そして、胡錦濤さんに、ずばり先に、尖閣国有化はしちゃならぬぞとあなたは言われましたよね。その翌日に国有化閣議決定というのは、これは私が相手でも、何なんだ、どういうことなんだ、説明がないじゃないかと思うのは当たり前ですよ。外交下手、だから言っているんですよ。

野田内閣総理大臣 もともと、国有化の意味というのはさっき申し上げたとおりです。所有者の御意向を確認しながら、その所有者が売るという御覚悟を決めた中での判断をさせていただいているわけであります。

 そして、その方針については、立ち話でいきなり話をしているわけではありません。事前の御説明もさせていただいておりますので、それは、御批判は外れているというふうに思います。

山本(有)委員 先ほど、特例公債の法案について、まるで自民党に非があるように何人かの方が言われておられます。しかし、それに関して、特に地方交付税の支払い停止、これは自民党が決定したわけじゃありません。野田内閣が支払い停止を決定したんですよ。別に、地方交付税の特定財源じゃないんですよ、赤字公債は。やるやらない、支払いするしないというのは、野田内閣の性格を完全に映しているんです。

 野田総理、地方交付税の支払い、もし、特例公債ができ上がらない、法律が成立しないということであるならば、我が党は成立に向けて協力をします、協力しています。即刻、今払ってください。即刻、払ってください。

城島国務大臣 ぜひ、現実に一日も早く成立をお願いしたいと思います。

山本(有)委員 それでは、城島財務大臣にお伺いします。

 衆議院をこの法案が通り、参議院を通った、その時点で直ちに払いますね。

城島国務大臣 一日も早く支払いたいと思います。

山本(有)委員 ただ、私は、特例公債が成立しないから地方交付税の支払いを停止するというその姿勢に対して、本当にがっかりしました、何なんだと。

 大体、九月分の支払いで、道府県の地方団体は五千七百万円の金利負担をしなければいけなくなった。借り入れをするから金利負担が要りますよ。こんな金利負担を誰が面倒を見てくれるんですか。樽床さんの方で、総務省で今度、特交で面倒を見る、それは聞いていますよ。答弁は要りませんよ。それはわかるけれども、こんなばかな支払い停止をしなかったら生まれない無駄遣いでしょう。無駄遣いをやめると言うんだったら、こんなことをやめなきゃだめですよ。

 大体、交付税の性質をわかっていない。交付税というのは、東京都、大阪府、愛知県なんかでは、これはほとんど交付税をもらわないという都市もありました。要は、自主財源のない、本当に脆弱な地方団体に交付税がしっかり要るわけですよ。それからしたら、これをとめるということは、東京都とか大きな都道府県に対しては守るけれども、小さい、財政力の弱いところはいじめじゃないですか。これはいじめですよ。

 十一月二日の支払い分、これをとめたんですよ。十一月二日の支払い分、ここに市町村の分まで交付税が入っていますよ。市町村もまたいじめ始めました。こんなことで赤字国債を成立させよう、市町村長さん、野党にも営業してください、こんな方法をとること自体が汚い。そんな、地方を犠牲にしてこの国会の運営に関して何とかしようなんという、浅はかですよ。

 総理、どうですか。

樽床国務大臣 今、お話ございましたが、九月に交付をさせていただく分を、都道府県においては三カ月に分けて九月、十月、十一月と、こういう払うという計画を立てさせていただきました。九月に市町村分については全額交付をさせていただいた。そして十一月二日には、十一月に払うと約束をしておりました九月分の残りを全部払わせていただいた。

 従来、十一月二日に、慣例として十一月に交付をさせていただく分ですね、九月のものと、次の十一月に交付させていただく分は十一月中に交付をするというふうに決まっておりまして、それが十一月二日の慣例には間に合いませんでしたので、やめたというのではなくて、今延期をさせていただいておりまして、十一月中に、この国会で特例公債法を成立させていただきましたら、すぐさま十一月分を交付させていただきたいと思っております。

山本(有)委員 延期をしただとか少し時間をかけただとか、こういう物の考え方をしているからおかしくなるんですよ。大体、上から目線じゃないですか。払うべきものを毎年きちきち払わずに、何をやっているんですか。国は地方よりもでかいという、そんな考え方があるからこんなことになるんですよ。上から目線。あなた方は本当に根本がわかっていない。根本がわかっていないですよ。

 憲法九十二条、ここに「地方自治の本旨」と書いてありますよ。この中身、総理、住民自治と団体自治といって、学生のころ教わりましたよね。団体自治というのは、これは分権論なんですよ。国は、三権分立という水平分権もあるけれども、地方団体とは対等だ、上下関係じゃないということを憲法に書いているんですよ。そうだろう。だから、これはおくらせるなんということをしてはいけないんですよ。

 実は、地方交付税法三条二項、ここに、交付税の交付に当たっては、地方自治の本旨を尊重し、条件をつけてはならない。まさにこうですよ。この条件をつけたに等しいじゃないですか。こんな法律違反、憲法違反をやっている民主党、特例公債を語る必要はないですよ。おくらせるのが当たり前ですよ、こんなことは。

 総理、どうですか。

中井委員長 おくらせるのが当たり前というのはどういう意味ですか。

山本(有)委員 それは、この方々の姿勢からすると、おくらせざるを得ない合理的理由があってもしかるべきということですよ。

中井委員長 ああ、そういう意味。

樽床国務大臣 今、厳しい御意見をいただきましたが、私どもは、上から目線ではなくて、地方自治体の皆さん方の意見をお聞きし、そして、皆さん方の思いに沿った行政が運営できるように地域主権を全力で進めているということで、ぜひとも御理解をいただきたいと思っております。

 それから、十一月の二日に慣例どおり交付できなかったことに対しては、我々といたしましては、地方自治体に大変申しわけなく思っておりまして、おわびを申し上げておりますが、何とか十一月分を十一月にお配りできるように今全力で努力をさせていただいておりまして、国会にお願いを申し上げているところであります。

山本(有)委員 さっきの話は城島大臣と違いますよ。参議院が成立したら直ちに払うと城島大臣は言ったじゃないですか。それは樽床さん、話が違う。

樽床国務大臣 全く話は同じでありまして、この国会で特例公債が成立をするということは参議院で通るということでありますから、その段階で交付をさせていただきたいと思います。

山本(有)委員 臨時国会というのは、総理の所信をお伺いして、代表質問があり、予算委員会があって、そして一般の委員会が開かれる。これが普通というか、戦後、憲政史上とってきたルールです。

 特に予算委員会というのは、全大臣出席で、きょうのように、大臣の資質がどうか、どんな方々がやっておられるだろう、国民の注目の的、内閣のお披露目をしてもらわなければ、国民は信頼してこの政府に国を預けるということになりません。大事な大事な予算委員会ですよ。

 この大事な大事な予算委員会を、開かないように開かないように頑張って、そして、特例公債法を審議する財務金融委員会、ここを先にする。こんな異例中の異例の国会というのは、本当にあきれて物が言えません。委員長だって、早く開きたいと私には言ってくれたんですよ。それが、委員会の後になるというこの異常。私はおかしくてしようがないし、この特例公債法にそこまで勝手に振り回されている。むしろ、予算委員会を開くと、どなたかの大臣が何か傷もつれになってしまうかというように、何かを隠したい、何かから逃げたい、何かから逃れたいという、そんなひきょうな姿を見るんです。

 だから、その意味で、今回の異常な予算委員会の開会のおくれということに対して反省してもらわなきゃならぬですが、野田総理大臣、いかがですか。

野田内閣総理大臣 ちょっと今までの質疑の中で幾つか申し上げたいんですが、我々は、国の立場で、地方を見おろす立場ではありません。国と地方の協議の場というものを法制化し、対等のパートナーとしての議論を十数回にわたってやってまいりました。ということで、地方との関係はパートナーであるという認識を強く持っているということであります。

 その上ででありますが、こういう形で交付税を、いわゆる執行抑制せざるを得ない異例の事態になっているんです。地方のことは大事に思っていますし、だから、これまでも交付税をふやしたり、地方を元気にするためのさまざまな政策をやってまいりましたが、特例公債というまさに大きな財源がしっかりと確保できないで、枯渇するような状況が生まれかねないという中で、大事な地方でありますけれども、執行抑制せざるを得なくなってきているという実情であります。

 その異例の事態を打開するために、どっちの委員会が先かじゃなくて、早く財務金融委員会で結論を出して、一日も早くこの懸念を払拭することが、地方のためにも、国民のためにも、日本経済のためにも大事だと思いますので、御協力をお願いいたします。

山本(有)委員 地方を大事にした、地方を大事にする、そして、支払い停止しておいて、なおまだ地方を大事にする。

 地方を大事にするんだったら、執行抑制のときに全国知事会の会長に同意を求めましたか。六団体に、同意をして執行抑制してもいいと言っていただきましたか。おくらせるんだったら、それぐらいの手続をしてからにしてください。いかがですか。

樽床国務大臣 地方の首長さん方、特に知事会の方々には、執行抑制、九月の段階で、決まった段階でお話をし、そして、おわびを申し上げながら実行させていただいたということであります。

山本(有)委員 特例公債法、今度は、政争の具、毎年政争の具になるからと。本会議の所信表明の中にもありました。これは本当に政争の具なんでしょうかね。

 昔、総理も、学生時代、やはり基本中の基本、勉強しましたよね、租税法律主義、財政法定主義。国会で決まらなければ課税しちゃだめなんですよ。そして、予算だって、一円だって支出しちゃだめなんですよ。我々は、この租税法律主義、財政法定主義、これを厳格にするべきだと私は思います。

 そのことからして、条文がちゃんとあるんですよ。財政法四条というのは有名な条文だからあえて読まなくてもいいかもしれませんが、ここには、「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。」借金で予算をつくっちゃならないという原則を書いているんですよ。

 だから、これを、おかしいな、おかしいな、もっとお金が要るなという時代に、昭和四十年に特例公債法ができました。そのときの審議で、一年に限ったら、一年に限定したら何とか赤字国債も歳入に編入しようという、昭和四十年の話なんですよ。

 ここに来て、総理が、もしこの財政規律を緩める。これは、日本が借金していなかったらいいですよ。九百兆、一千兆に近い借金をしていなかったらいいですよ。これをしているときに、何でこんなふうに財政規律を緩めようとするんですか。総理、どうですか。

野田内閣総理大臣 我々の政権は、財政規律を緩めるという考えは全くありません。

 財政法のお話は、委員の御指摘のとおりです、その沿革は。そして、昭和四十年から赤字国債を発行せざるを得なくなりました。その発行せざるを得なくなった状況を、どんどんどんどんとふやしてきて歯どめがかからない状況になってきました。だから、我々は、向こう十年間の財政運営戦略をつくって、財政規律を守る国としていこうじゃありませんかと。そして、一体改革もその関連でやり遂げたわけでありますので、我々は、財政規律を守ろうという国をつくりたいと思っております。

 そういう現実がありながらも、特例公債を全く発行しないで財政運営は、どの政権だって、これは当面できないと思います。だからこそ、特例公債と予算をセットで一緒に決めていくルールをつくりましょうと、これは党派を超えて議論して、知恵を出していきたいという提案をさせていただいておりますので、それは財政規律を守る上での知恵の出し合いではないでしょうか。

山本(有)委員 私は、野党、与党、これで不毛な議論をするつもりは全くありません。

 マニフェストで、十六兆八千が無駄遣いを中心にして生まれます、政権交代をすれば簡単に生まれます、豪語していたじゃないですか。このおわびは、どこか我々と違う世界でやっておられるようでございますが。

 このマニフェストに書いた話、それと現実にやっていること、特に、政権交代した平成二十二年の予算、この予算の赤字公債の発行額は三十四兆、二十三年三十七兆、二十四年三十八兆、だんだんだんだんふえているんですよ。民主党が政権について、じわじわじわじわふやしているんですよ。そのあげくに、財政規律を緩めるような、一年単位じゃなくて五年単位あるいはそのほかで大がかりに発行を許すようなことをお願いするというのは、私は、これは無理筋だと思いますよ。

 自民党の時代がどうだとか、民主党の時代がどうだとか、過去の話じゃないんです。今の総理と私で話をしているんです。

 どうですか、総理。民主党が赤字公債を一兆円以上毎年ふやしているんですよ。少なくとも、総理、来年はことしの発行額よりも少なくしますとかいうきちっとした約束をしてから、こんな財政規律を、国会の議決を緩めるような話に持っていってくれませんか。いかがですか。

野田内閣総理大臣 私どもが政権をお預かりするようになったそのときの財政状況というのは、委員御案内のとおり、税収が四十六兆から三十七兆へと九兆落ち込んだときであります。当然のことながら、それは、ある程度の借金をふやさざるを得ない状況になりました。

 今、赤字国債と建設国債をあえて分けてお話をされておりますけれども、その後、中期財政フレームをつくって、四十四兆円以上発行しないという枠をつくりながら国債発行しておりますので、野方図に国債に依存をする、そういう国をつくろうという気は全くありません。

山本(有)委員 ちょっと待ってください。建設国債と赤字公債発行のシーリングが四十四兆と言われましたが、ことしの赤字国債と建設国債を合わせると四十四兆二千億円ですよ。既に超えているんですよ。だから僕が心配しているんです。

 だから、ルールをつくっても毎年毎年どんどん破れる。このことにおいて、財政が膨張し、借金ができない。

 我々がもっと考えなきゃならぬのは、テレビをごらんの国民の皆さんにどうしてもあえて言いたいのは、今の借金というのは我々が返すんじゃない、子供たちが返すんだ。この子供たちが返すときに、使うのは今だ、だからどんどん使わせてもらって、それで結構だというのはおかしい。やはり厳格なルールと手続を踏んで借金はしていくということが基礎にないとだめ。

 だけれども、もっと一つ言わせてもらえば、情けない話なんですけれども、ほかの法律にこんな条文があって、私は唖然としました。

 貸金業法というのは、総理、御存じですか。貸金業法、昔やりましたね、そこに改正して総量規制というのが入っているんですよ。政府がつくったんですよ。総量規制に何と書いてあるか。貸金業者に、貸し過ぎたら罰則をかけるぞと。どう書いてあるかというと、年収の三分の一以上を貸したら罰則だ、こう書いてあるんですよ。

 国民には年収の三三%までしか貸さないようにして、自分たち政府は、ことしでいえば、相当ですよ、年収が四十五兆ですから。その三十八・三兆か。これはもう話にならぬ。

 ですから、国民の皆さんが出している血税で我々は賄っている財政ですから、その意味において、国民の皆さんがわかるように、こうした赤字公債発行は丁寧にやっていく。

 そして、もうここまで上振れしたこの赤字公債の累積額、どうやって返すんですか。

 昔、返した例がありますよ。昭和二十年代の前半、ハイパーインフレになりました。これで返すんですか。あるいは、ほかの例がありますよ。アルゼンチン、国債は紙切れになりました。日本でも被害者がありました。国家破綻なんですよ。そのほかに、ちゃんと返すなら、こうした財政規律を守りながらやりましょうよ。

 それは、私は、あえてあなたを否定するのではなくて、きちんとした丁寧な議論の中から共通の意識を生みたいということだけですよ。むちゃなことはやめてください。来年はことしの発行額より下げるというような規律を設けましょうや。いかがですか。

中井委員長 先に、先ほどの四十四兆二千億の話を城島財務大臣からきちっと説明していただきます。時間はありますから。

城島国務大臣 四十四兆というよりは、約四十四兆というふうにしていると思います。

野田内閣総理大臣 そのとおりであって、中期財政フレームで約四十四兆と書いておりますので、今、正確な答弁ですので、御理解をいただきたいというふうに思います。

 その上で、委員から御提案ありましたけれども、今、国債費の半分はやはり利払いなんですよね。それは、これまでの借金の山が大きいから半分も利払いなんです。我々のときに赤字国債をふやした分ももちろんありますよ。だけれども、そのほとんどはこれまでの蓄積がきいてきちゃっていて財政が硬直化しているわけで、だから、一方的に相手を断罪するのではなくて、一緒に知恵を出す姿勢で議論をさせていただければありがたいというふうに思います。

山本(有)委員 終わります。

中井委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

中井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。山本有二君。

山本(有)委員 総理、十九兆円フレームという言葉を聞いたことはありますでしょうか。十九兆円フレーム。

 実は、二十三年というんですから去年の東日本大震災復興対策本部決定というものと、それに基づく東日本大震災からの復興の基本方針、これに基づいて、所得税と法人税を増税して財源にして、地方住民税一人千円とこれまた増税して、特別会計で復興復旧を早くしようじゃないかと。一般会計だと一つの限度がある、特別会計をつくってそれに上乗せして、さらに早く復興復旧の実を上げたい、これは一つの与野党で出したいい知恵だと私は思いますよ。

 ただ、この十九兆円フレームで幾つか問題があると私は思います。

 どういうことかというと、五年間が集中期間なんです。それで、増税されているのが、法人税も、所得税も二十五年もあるんですね。地方住民税、十年やるんですよ。いわば税の負担は長く来て、五年集中投資期間、これはわかります、五年間でしっかりやってよと僕らも期待をしております。しかし、今、使ってしまったお金というのは何兆円あるか御存じですか。実は、十七兆円を既に使っちゃったんです。そうすると、集中投資期間といって五年というように言いましても、あと四年特別会計の上乗せ分がないという、この愕然とした、被災地、被災者、こういった人たちにとっては、話が違うじゃないの、こうなっているんですね。

 それからもう一つ、十九兆の中に二兆、全国で防災、減災に使っていいよと。これは、法人税だって所得税だって住民税だって、全国で取っていますからね。うちだって防災でこういうことをしたいというのは必ずありますよ、増税も負担をしているんですから。その分を二兆円というように枠をつくって、そこに二兆使っていいですよというところ、これを全部使っちゃったんですよ、一年で。残り、ないんですよ。

 そうすると、期待感だけ持たせて、期待をさせておいて先食いしちゃった。これでは、さっき午前中に言った財政規律と同じように、財源を少しずつ五年間に割り振って丁寧に使おうというんじゃなくて、あれば使うんじゃないかという、そんなふうに見えてならないんですよ。ですから、ここについては私は慎重にやってもらいたい。

 特に、これは特別会計ですよ。いわゆる母屋でおかゆをすすって離れですき焼きを食っている、これと同じで、ひょっとしたら特別会計を、皆さんがつくったものだから、お祭り騒ぎで使っちゃった、そういうように言われても、これはマニフェストで特別会計を改善するなんということを書いてあったんですが、これまた絵に描いた餅。

 そして、さらにもっと批判的に言う人は、どうせ政権が終わるから先に使え、後は知らぬ、次の政権に勝手にやらせろという、この無責任体質ということも言われておるんです。

 その意味において、きちっと説明しないと、十九兆円フレームについて私はゴカイやロッカイを生むと思いますし、どうかひとつ、その点をわかりやすく、どなたでも結構ですよ、説明ください。

岡田国務大臣 これは刷新の関係で、私、今担当もしておりますので。

 委員は非常に重要なことを言われたと思うんですね。十九兆という枠はつくって、そしてそれは増税と国有資産の売却で賄うということになっております。それがもう既にほぼ使われている。もちろん、被災地のためにとにかくしっかりとした予算の手当てをしなきゃいけない、そういう思いの中で進んできたことではありますが、やがて天井が来そうだ。これをどうするのか。十九兆をさらに拡大するのか、拡大するのであればその財源をどうするのか、そういう議論が必要だと思います。

 それから、全国防災は、実は十九兆の中で一兆だったんですね。ところが、もう一兆使って、来年度要求がさらに一兆ということになっている。ここをどう扱うのか。一般会計に戻すのか、どのぐらい戻すのか。私は、委員も御指摘のように、法律で全国防災もやると書いてありますから、ある程度はやることになるとは思いますが、どのぐらいやるのかということも議論。

 そういうことを一度きちんと整理しないと、際限もなくこれは大きくなってしまう、しかし財源の当てはないということになりかねませんので、非常に重要な御指摘をいただいたというふうに思っております。

山本(有)委員 午前中、特例公債の発行について複数年度にわたるということの危険性は、実は、この全国防災のフレームから私は感じたことなんです。複数年度、赤字公債を発行する、お金がある、先に全部使ってしまった、あとない、また借金、この繰り返しをしてはならぬという思いなんです。

 ですから、複数年度の赤字公債、絶対必要なお金ってありますよね。ですから、これが避けられないという、それはわかります。しかし、財政規律も守ろうというときに、減額の努力を国民に見せるということ、そして、与野党で、まるで離れに行ってすき焼きするというような、そんなイメージじゃなくて、つましくやっているけれども要るんだったなということが御理解いただけるようにする特例公債の複数年度、私は、相当厳しく要件をつくってやるということに対しては否定するものではありません。

 その意味で、どうかひとつ、岡田副総理も言われていましたけれども、全国防災、こういうことも必要だと思っているところがいっぱいありますので、このニーズに応えるように、かつ、財政規律を守るようにやっていただきたいというように思います。

 そこで、全国防災に関連して、ちょっと具体的な例を挙げさせてもらいます。

 私も驚きました。中央防災会議で、ことし三月三十一日、津波の予想被害想定、こういったものが発表されました。黒潮町という町の役場に一本の電話がかかってきて、三十四・四メートル。三十四・四メートル、想像しただけで、そんな津波が来るのかとパニックになりました。誘致した企業は出ていきました。新築する予定の方々はやめました。そして、さっさと引っ越ししようという人まであらわれました。私は、当然の影響だというように把握します。

 しかし、この間、衆議院の国土交通委員会、視察にそこを訪れて、私もそこについていきましたが、町長によると、高齢者が多い、その海辺の集落の四割は高齢者だと。この方々を、防災の点から見ると避難困難者というんです。この避難困難者が実は変容しているというんです。どう変容しているかというと、三十四・四メートルと聞いただけで避難放棄者になった。もう避難しない。足の悪いおじいちゃん、病気がちのおばあちゃん、もうここにいていいじゃないか、津波が来るんだったら死のう、こういう放棄者が続出しているんです。

 町長は、二百人の職員を使って、全戸に職員を割り当ててアンケートを全部とりました。そして、百八十回の地域の協議会を、回数、延べでやりました。その結果、何がわかったかというと、大体、健常者だと十五分で三十四・四メートル以上のところへ行けるんです。しかし、おじいちゃん、おばあちゃんたちは、元気な方でも三十分かかる。そうすると、途中で津波に遭ってしまう。もう、歩いて逃げてください、そういう避難訓練はやめましょうということにしたそうです。何をするか。これは車に乗せていくしかない。車だったらわずか二分ですよ。もうこれしかない。

 そこで、国の防災の担当大臣やそのほかのアドバイスで、拠点の施設は高台移転することになりました。学校、病院、役場、消防署は高台移転することになりました。しかし、海辺のこの町からその高台までは道がありません。道をつくろうと考えたんです。ところが、津波が来て、液状化でも耐えられる道路というのは、そうないんですよ。高いところに上がるわけですから、高架か盛り土をしなければなりません。費用はかさみます。

 それで、十三億円のその道路をつくるのにどうしようかと。さんざん東京へ出てきて各省庁を回って、いっぱい意見を聞いて、結論は、社会資本総合交付金が一番いい事業だ、こうなったわけです。これを使って、もし満額箇所づけしていただいて、この町がその道路をつくれるかというと、実はつくれない。六五%の補助しかやっていただけない。残りはないんですよ、残りが。

 そこで、先ほど言いました、岡田副総理の言った全国防災の防災・減災対策債、この地方債を使えば何とかできる。しかし、これはもうことしで、ぱちんとシャッターが閉まって終わり。もう本当にがっくりきて、田舎に帰っているんですよ。

 おじいさん、おばあさんは、目で見える、ああ、これがあるなら私も逃げても助かるかもしれない、町長のいわく、目で見える何か助けになることをやってあげないと、避難民、これは中央防災会議が、政府が勝手に発表した三十四・四という数字に対して余りにも無責任過ぎる。こういうことなんですが、この残りのいわゆる裏負担というもの、これを何とかしようとしてもできなかった。

 それは、勝手にと言ったらなんですが、いわゆる補助金を全部やめた、そして国が出せるものは一切ない。この全国防災の必要なところに限って、私は野方図につくれと言いません、市町村の防災計画がある、県の計画にそれがのる、そして大臣がそのことを認可するというような手続を踏んでいるものは全国防災でやってあげるというようなことが必要じゃないでしょうか。岡田副総理、どうですか。

下地国務大臣 私も、黒潮町に十月二十四日に視察に行ってまいりました。そして、皆さんと意見の交換をさせていただきましたけれども、今委員がおっしゃるように、もう不安を通り越して諦めになっているという言葉を聞かせていただいて愕然といたしました。

 そして、先週、町長が参りましたので、いろいろと意見交換をして、今委員から話がありました避難道路の件についても、そして、学校の避難道、後ろの方に山がありますから、それとつながる橋についても、今、国土交通省と文部科学省の耐震化事業で組み合わせながらいろいろと検討させていただいておりまして、近いうちに、この負担の面も含めて……(発言する者あり)近いうちにじゃなくて、すぐに検討して、町長の期待に応えられるような結果を出していきたいというふうに思って、今懇談させていただいています。

山本(有)委員 私は、この黒潮町の防災の話をずっと大西勝也町長とさせていただきながら、彼がもう一つ、どうしても譲れない点がある、国は一体何を考えているんだとお叱りを頂戴したことがあります。それはこういうことです。

 阪神大震災でお亡くなりになられた方が六千四百三十四人、東日本大震災では一万五千八百七十一人。戦争では、日本は戦後死者を出しておりません。しかし、災害ではこれだけ多くの人たちが人命を失っています。それからすると、やはり自衛隊の基地と同じで、防災の基地、国の出先というものがないと我々はやっていけないじゃないか。そのときに当たって、東日本で目の当たりにしたことは、市町村の職員も被災者、県の職員も被災者、まるっきり、地域で、被災したところで救いの手は誰も来ない。唯一来たのは国の機関だけだった。

 このことからすると、総理がおっしゃる、国の出先をむやみに一律に廃止というようなことをすると、本当に、さっきの避難放棄者じゃありませんが、国はこの地域を見捨てるのか、こういうことになりますよ。野田総理、いかがですか。

樽床国務大臣 今、出先の法案の提出準備をいたしておりますが、今先生からお話しいただいた災害時におけるさまざまな御懸念というのは、全国から私どもの方に寄せられております。

 そういったものも全部含めて対応できるように、そして全国一律、ばさっと出先を一律廃止するということではなくて、地方自治体、市町村も含めて、皆さん方の意思、思いをもとに進めていくというような方向で今鋭意検討させていただいております。

山本(有)委員 ぜひお願いいたします。

 一票の格差。一票の格差は、ある最高裁の判事さんが私に伝えてくれました。千葉四区での一票も野田総理としか書けないよ、高知三区の私も、山本有二しか国民一人一人は書けないよと。一票に格差があるわけじゃない。そのベースで考える、人口なのか、有権者なのか、あるいは投票者なのかというようなことをいろいろ考えなきゃならぬ。今度、そんなことを全部含めていたら間に合いません。総理が言う環境に間に合いません。

 そこで、〇増五減を切り分けてさっさとやる、これしかないと思いますよ。〇増五減、もうこの決意はできましたか、総理。〇増五減だけ切り分けて、比例の分離、比例についてはなお努力する、こういうことは考えておられませんか。いかがですか、総理。

野田内閣総理大臣 一票の格差の問題、まさに違憲状態であり違法状態であるという指摘がある中で、立法府がずっと放置していくということは、やはり立法府の不作為という厳しい御批判を現に受けている状況でありますので、一日も早く一票の格差を是正するということ、これは国会として全員が心して努めていかなければいけないと思います。

 政治改革の中でも、だからこの一票の格差というのは最優先だと思いますが、一方で、午前中の答弁でも申し上げましたとおり、二〇一四年から消費税の引き上げを行って国民の御負担をお願いするときに、まずは隗より始めよで、身を切る改革は、では立法府はやっているのか、そういう国民の厳しい御指摘もあるんです。これは国民の強い御要請だと受けとめなければなりません。

 しかも、これは民主党だけではなくて、御党も含めて、定数削減についてはこれまで国民の皆様に何らかのお約束をしてきたわけです。我々は最初、八十削減を言っておりましたけれども、今回、〇増五減の小選挙区の五と、加えて比例区の四十、四十五の削減を前国会で法案として提出しました。残念ながら御理解はいただけませんでした。自民党も、〇増五減の小選挙区の五削減のほかに、三十削減という御提案もあったと思います。

 三十と四十、もちろんこれはバナナのたたき売りではありませんけれども、そこまで数は数値が出てきている中で、定数削減の思いがあるならば、この国会で何とか最後の知恵を出せないのか、振り絞って結論を出せないのかということは、これはトライをしなければいけないと思います。(発言する者あり)

 中小政党に配慮したのが我々の今回の四十減なんです。我々は、今回の自分たちが出している法案で、民主党にプラスにはなりません。中小政党に配慮した削減案を出したんですね。そういうことも勘案をして、ぜひ御協力をいただければというふうに思います。

山本(有)委員 とにかく早くこれをまとめましょう。ぜひともさっさとこのことを片づけたい。私も協力します。

 ただ、さっき総理が言われて、身を切る、身を切ると言われるんですが、総理のところと私の選挙区は、総理のところは千葉四区、一番大きいんですよ、人口が。私のところが一番小さいんですよ。二・五二倍。しかし、こういうようなことだけで考える今の制度、例えば投票者数にかえてみると二・〇倍、面積にかえてみると五・九倍で、私の方がずっと大きいんですよ。

 だから、そんなふうなことも考えて、将来的にはいろいろなことを考えなきゃなりませんよ。しかし、〇増五減だけで済む話じゃないんですよ。〇増五減だけですぐに衆議院解散したって、違憲状態は変わりません。区割りをやらなきゃなりません。公職選挙法を変えなきゃなりません。そういう努力もするということを、将来、早速やりましょうよ。これが大事です。

 最後でございます。最後の質問でありますが、野田総理、これは私、本当に、マニフェストのことがずっと載っているので、改めてマニフェストのことを見てまいりましたときに、「企業・団体による献金・パーティー券購入を禁止します。」こう書いてあるんです。これは、民主党全員の方々、やっていますか。企業献金禁止、パーティーを、購入をこれまたしない、このマニフェストについて、謝りをしなきゃならぬことがいっぱいあるような気がします。

 総理自身のことをお伺いします。

 総理は、民主党千葉四区総支部に、十一年、五百万、資金管理団体未来クラブに四百五万、あなたの高校時代からの友人という方から寄附を受けているんです。その寄附を受けている方が、実は訪問歯科診療の会社経営で年商八十六億ある、このうち二十一億が診療報酬の不正請求によるんだ、こういう報道がありました。これについて参議院で質問をしたときに、総理は、私なりにきちんと調べてお答えします、こうあるんです。

 きちんと調べて、お答えを今いただけますか。

野田内閣総理大臣 そういう報道があって、参議院の御質疑でもそういう御質問をいただきました。その後、今御指摘いただいた法人について、例えば厚労省が調査をする等々あったというふうに聞いておりますが、それで不正で何とかという結論は出ていないというふうに思います。

山本(有)委員 終わります。

中井委員長 この際、石破茂君から関連質疑の申し出があります。山本君の持ち時間の範囲内でこれを許します。石破茂君。

石破委員 民主党政権ができて三年三カ月、この予算委員会で私が質問に立つのは、これで十八回目ということになります。

 鳩山内閣、菅内閣、そして野田内閣、いろいろなことをただしてきました。毎回申し上げることですが、私は、総理という職が命を削る激職であるということはよく知っております。そして、ほかの二人は知らず、野田総理は総理になることを自己目的としてやってきた人ではない、そのように信じたいと思っております。

 きょうは新聞休刊日というか、発行がありませんが、ネットの記事で見たのですけれども、朝日新聞の最新の世論調査で、野田内閣の支持率は一八%まで下がった、菅内閣末期とほとんど同じ水準になりました。不支持は六四%。支持率は激減、不支持は激増、まあそういう見出しになるわけですが、何でこのようなことになったと総理はお考えですか。

野田内閣総理大臣 世論調査は一つの民意の反映だと思います。一つ一つ、一喜一憂しないとは言ってまいりましたけれども、厳しい国民の目がある、視線があるということは、これは真摯に受けとめなければいけないと考えております。

 そういう状況になっているということは、これは理由は一つ二つという話ではなくて、総合的な理由でそういう厳しい御批判なんだろうとは思いますが、いずれにしても、襟を正して、さまざまな課題がある中で、一つ一つ問題解決をしながら、国民の評価を得る、回復する努力をしていきたいというふうに思います。

石破委員 我々の任期は四年あります。既に三年三カ月を終わろうとしております。

 私は、ずっといろいろな質問をしてきて、この民主党政権というのは一体何だったのだろうかということを思います。それは、壮大なという言葉がいいかどうかは知らないが、一つの試みであったのだろうと思います。

 民主党がすばらしいから民主党を選んだ人も中にはいるでしょう。しかし、多くの人は、自民党以外の政党に一度やらせてみたかったという方が多かったということは、自民党政権にあってその中枢にあった者として、深く反省をしなければいかぬと思っている。自民党がだめなので民主党にやらせてみたら、もっとだめだったので今度は自民党なんぞという、そんなことをお願いしてはならぬということはよく承知をいたしております。

 民主党政権の失敗というのは何だったんだろうか。

 一つは、マニフェストの自縄自縛に陥ったことです。これは最初の予算委員会で鳩山さんにも申し上げました。マニフェストは、定性的なものは書くが定量的なものはなるべく書かないようにということがマニフェストであるべきだということは御存じだったはずですが、しかし随分と数字を書いた。消費税なんか上げなくたっていいんです、無駄を削減すれば十六兆八千億出てくるんですと。

 それは、リーマン・ショックの後に政権をとったのですから、消費税は恒久財源であり、恒久財源は無駄を省けば出てくるというふうにおっしゃったわけですから、その後の事情の変化は全く何の関係もありません。そのことは一体どうだったのだろうか。

 もう一つは、これを一つ伺いましょうか。綱領について、総理、野田政権が発足したときに伺いましたね。その後、新しい綱領をつくるという作業に着手され、原案ができ上がった。今度の民主党の党大会におかけになるというような報道を読みました。

 新綱領というのは何を定められましたか。新しい、新綱領の原案です。一つでも二つでもいいです。

野田内閣総理大臣 新しい綱領をつくる作業が始まりました。そのたたき台のようなものは今出てきていますが、これは党内議論をこれから丁寧にやりながらまとめさせていただいて、来年の党大会で決定をする、そういう段取りに入ろうとしていることであって、今、原案についてはまだ文章は流動的になるというふうに思います。

石破委員 近いうちという話は後ほど承りますが、それは、国民に信を問うときは綱領はできている、そういうことでいいですか。

野田内閣総理大臣 新綱領が最終的に決定するのは来年の党大会で、そこで諮られて決定をするという段取りになります。

石破委員 ここで言葉の遊びをするつもりは私は全然ないんだけれども、綱領というものがいかに大切なものであるかということを、先ほどからやじを飛ばしている民主党の人たちもどれだけ真摯に考えているかということなんですよ。

 綱領もできないまま国民に信を問うということもあるのでしょう。実際にあると思われますね。今の綱領というか基本的考え方というのが極めて抽象的なものであるというふうに承知をしています。原案ができました。そこにおいては、基本的考え方の、中道を目指すという言葉は落ちたそうです。

 先般、本会議で聞いたときに、仙谷議員と総理とのやりとり、私はかなり興味深く聞いておりました。仙谷議員が問うたのは、我々は中道のど真ん中だ、中道のど真ん中を目指すのだというふうに質問をされた。それに対して総理は、意図的だったと思いますが、中道という言葉をお使いにならなかった。中庸という言葉をお使いになった。

 中道と中庸、私は、総理は言葉をかなり厳密に精査してお使いになる方だと思っていますので、中道という言葉が少なくとも民主党の原案からは落ちた、そして、中道のど真ん中という問いに対して、あえて中庸で改革を目指すのだとおっしゃった。中道と中庸は、総理のお考えの中でどのように違う概念ですか。

野田内閣総理大臣 もともと、民主党のつくった基本理念、「私たちの基本理念」というところには民主中道という言葉が書いてございます。それはずっと、今も、この基本理念に入っているわけですから、党の綱領の中に位置づけられているということであります。

 加えて、これから新しい綱領の中でどういう表現をするかについては、今御議論をいただいている最中で、何か原案にあったものが抜けたり何とかという話ではまだないと思います。先般も、この綱領についての会議で、六十数名の議員の方が参加をされて意見交換したと聞いておりますので、まだ何かが定まったわけではありません。

 その中で、先般の本会議における仙谷議員とのやりとりですが、御指摘のとおり、仙谷議員は中道という言葉を高く評価をしながら、理念を堅持していくという姿勢を強く打ち出されました。私は、所信表明で中庸という言葉を使っておりましたので、その言葉を使わせていただきました。

 偏ったり行き過ぎたりしないようにしていきたい、そういう思いを、現実的に政策を遂行するんだというお話をさせていただきまして、そこに、その定義づけ、言葉の響き等々、また正確に言うと定義は違うと思いますけれども、そこで違いがどうのじゃなくて、お互いにどういう形で折り合う言葉が出てくるかという作業を今している最中だということであります。

 ただ、言えることは、保守があって革新があって真ん中があるという、何といいますか、何かを除外して、否定をして出てくる価値ではなくて、ど真ん中ならど真ん中のその価値はどういうものなのか、どういう国を目指すかという言葉がきちっと出てくるような、そういう表現をみんなで工夫していきたいというふうに思います。

石破委員 私はこれは総理と多分認識を共有するんだと思いますけれども、右とか左とかいう言葉に余り意味はないんですよね。左にいると真ん中も右に見える、右にいると真ん中も左に見える、そういうものですよ。

 何が大事なのかといえば、理念を振り回すのではなくて、いかにして現実に対応していくかという政治をやっていく。もちろん高い理念は持ちつつも、政治は現実ですから、いかにして現実的な政策を打っていくか、荒唐無稽なことを言わないかということが大事なのです。

 この間、自民党の総裁選挙があり、安倍総裁が選出をされました。同じ時期に御党の代表選挙がありました。私も自民党の総裁選挙の候補者だったので、つまびらかに御党の代表選挙を見ていたわけではありませんが、候補者の方が、はあ、これほど違うことをおっしゃるのかということで、かなり驚きの目を持って見ておりました。財政政策、税制あるいはエネルギー、これについておっしゃることが、各人がみんな違っている。

 今回の自民党の総裁選挙で特徴的だったのは、全ての者が綱領ということに言及をしたことです。私どもは、野に下って、綱領というものを新しくつくり直した。綱領に従って政策はあらねばならぬということを五人の候補者が全て言及をした。そして、全ての者が、立党の原点である憲法改正はやらなければならないということを言及し、そして、これは前回、前々回との大きな違いだと思うが、全ての候補者が集団的自衛権の行使を合憲としなければならないということで一致をいたしました。

 御党の場合には、憲法の議論、集団的自衛権の議論、そのことに言及をされた方は、少なくとも私の知る限り、一人もおられなかった。候補者によって言われることが全く違い、国の根幹の憲法についての論争がなされない。なるほど民主党というのはいまだにこんな党なのであるということを深く認識をしたことでございました。

 私は、綱領というものをきちんと定め、それに従って政策をつくる、それが政党のあるべき姿だと思っています。我々は少なくともそうありたいと思っています。政党というのは仲よしクラブではありません。実現したいものがあって、そのためにどのような政策を組み、それを実現するためにどのような法律をつくるか、それが政党の役割だというふうに信じております。

 総理、その認識について、違いはないですか。

野田内閣総理大臣 結党時につくった「私たちの基本理念」の中で、民主党のよって立つ理念は書かれています。それは、透明、公平、公正な社会を目指して、公正なルールに基づいて運営をする、そういう社会ということと、それから分権型の社会、そして、きょうも午前中議論があった共生社会。こういう理念については、それぞれ、この間、民主党代表選挙に立候補された方は共有をしていました。したがって、そこにさかのぼった議論があえて逆になかったと思います。

 その理念を継承しながら、今、新しい綱領をつくろうとしているわけでありますので、新しい時代にふさわしい新しい価値が入ってくるかもしれませんが、これまで我々が主張してきたことを全部根底から覆す、そういうことではありません。だから、そういう意味での議論はあったというふうに私は思っております。

 それを踏まえた現実政策において、候補者によって多少の違いが出てくるのは、民主党というのは多様性がある政党でありますので、具体論の政策においての違いはあったかもしれませんが、根底の理念においてはそれぞれが共有できていたというふうに思います。

石破委員 いずれ国民の審判が下ります。ここでお互いにやりとりをしても、余り意味がないのかもしれません。

 多様性という言葉をお使いになった。それは積極的な意味を持つ言葉のように聞こえますが、要は、いろいろな価値観を持った方がばらばらとおられる。いまだに綱領というものが定まっておらず、政策というものがそこから派生をし、論理的一貫性を持ってつくられるものではないということは、私は政党として大きな問題であると思っております。

 夜を徹してでも綱領というものを、だって、その議論をしたのは一年も前でしょうが。その議論をきちんとするというのが、私は、政党が国民に対して果たすべき使命であり、我が自由民主党はそういう政党であらねばならぬ、そのように思っております。

 それでは伺います。(発言する者あり)静かにしなさい。

 いいですか。近いうちという言葉について承りましょう。

 総理は、寝言でも言わないということを何度もおっしゃいました。解散の時期については寝言でも言わないとおっしゃいました。では、なぜ、近いうちとおっしゃったんですか。

野田内閣総理大臣 八月の八日、いわゆる一体改革法案、参議院の審議が煮詰まってきた、その段階のぎりぎりのところで膠着状態に陥りました。その局面を打開するために、当時の自民党谷垣総裁とお会いをさせていただいて、どうしたら解決できるかという議論をさせていただきました。

 そのときに、三党合意を踏まえて一体改革を一日も早く成立させることと、それは私が政治生命をかけると言ったテーマでありましたので、これはそこで合意をする。谷垣総裁から求められたことは、解散の時期はどうするんだということでございました。私の立場からは、特定の時期は明示することはできませんということを申し上げました。自分の専権事項を、時期を明示するということは過去にもなかったというふうに思います。

 ただし、どうしてもそれが局面打開に必要ならば、暗示的な言葉は使わざるを得ないと思いました。それが近いうちであります。近いうちは、まさにお互いにそのとき確認しましたが、それ以上でもそれ以下でもない。そういう、言葉としては重く受けとめておりますが、それは、最終的にどの時期にやるかは私なりの判断をさせていただきたいと思います。

石破委員 暗示的という言葉が初登場だったように思います。

 いいですか、総理。政治生命をかけるとおっしゃいましたね。政治生命をかけるというのは、単なる美辞麗句ではなくて、税と社会保障の一体改革の法案、これがもし通らなければ、解散をするか総辞職をするか。我々の世界で政治生命をかけるというのは、この二つに一つ、どちらかだと私は思います。それ以外に政治生命をかけるということはありません。

 総理がおっしゃった政治生命をかけるというのは、これができなければ、税と社会保障の一体改革の法案が通らなければ、成立しなければ、解散か総辞職を選ぶという意味だったのですね。

野田内閣総理大臣 私が政治生命をかけると言ったのは、解散でも総辞職でもありません。

 もし、あの一体改革法案、自分の政治生命をかけたものが通らなかった場合に、これは、将来の国民に申しわけありません。今を生きる皆さんに、あしたの責任を果たすことができません。私は議員辞職をするつもりでありました。

石破委員 総理が議員辞職をなさろうがどうしようが、そのことが問題なのではありません。歴代総理で、政治生命をかけるというのは議員辞職をすることであるという個人的なことに話を置きかえられたのは、私は初めて聞きました。

 つまり、総理が議員辞職をなさるということはどういうことか。総理大臣が欠けるということです。それは総辞職と何が違うんですか。

野田内閣総理大臣 余り突っ込んだお話で困惑しているんですが、困惑しているというのは、議員辞職をするというのは、もう文字どおり、そのとおりであって、内閣総辞職は、もちろんみんなやめるわけです。その上で、バッジを外すというのが議員辞職です。そういう意味での政治生命をかけると申し上げておりました。

石破委員 そうですか。それは初めて聞きました。

 ですけれども、世の中で政治生命をかけるというのは、要は国民に対してどういう責任をとるかということであって、一衆議院議員野田佳彦さんの問題だと私は思いません。あなたが道義的な責任として議員をおやめになる、それはあなたの御自由です。ですけれども、国民に対してどういう責任をとるのかというのは、永田町の常識として、世間の常識として、解散か総辞職ということであるはずです。そこで、あなたが暗示的にとおっしゃった、税と社会保障の一体改革が成立をすれば、近いうちに国民の信を問う。

 まず、衆議院段階で何が起こったのか。

 私たちは、二年前の参議院選挙において、自由民主党は消費税一〇%ということを掲げました。党内にもいろいろな異論はありました。しかし、道路であるとか橋であるとか港湾であるとか空港であるとか、次の時代に残るものは、次の時代の方々の御負担をいただくことに正当性があります。しかし、今の時代をどう生きるかというお金を次の時代の人たちに払わせていい、そういう理屈には絶対にならないと私は思っております。

 今の時代を生きるお金は今の時代で払わねばならない。医療、年金、介護、そのために必要な財源は今の時代に確保すべきであり、それは安定的な財源でなければならないということを参議院において主張をいたしました。参議院において、国民に審判というのかな、投票行動をお願いし、一定の支持をいただきました。

 総理は、民主党はと言った方がいいでしょうね、少なくとも三年前の選挙において、消費税を上げるということはおっしゃらなかった。にもかかわらずやるというお話で、マニフェストは国民との契約だとよくおっしゃいました。

 契約とは何でしょう。契約の当事者とは誰でしょう。民主党と国民一人一人ですね。つまり、契約に書いていないことをやるわけですよ。それは、山本議員の倣いで法律論をすれば、契約の当事者は民主党と国民一人一人である、そこの契約に書いていないことをやる、それは契約内容の変更ですよね、そして、やろうとしたことは三〇%しかできていないわけですよね。大震災、それはもう別、それ以外のことです。つまり、恒久的財源とは何なのかという話と震災論とは関係ありませんのでね。

 そうすると、本来国民に信を問うてしかるべきところ、事は急を要するのであり、我が党も国民に公約したことでもあり、総理がそのようにおっしゃるのであれば、それは協力をしましょうということになって、衆議院の採決になった。

 としたところが、反対、反対、大反対。民主党の中で反対者が続出をし、民主党だけでは法案が可決できない状況になった。間違いないですね。そこで自民党と公明党が反対していれば、あなたの言葉をかりれば、議員辞職をあなたはそのときにしていなければいけなかったはずだ。そうですね。違いますか。

野田内閣総理大臣 マニフェストに、社会保障のために消費税を引き上げるということは書いていませんでした。ただし、その後、政権をお預かりする中で、社会保障を持続可能なものにしていくために、そして、特にこれから力を入れなければいけない子ども・子育て等にお金を充てていくためには、安定財源で消費税を充てるしかない、そういう政治判断をさせていただきました。そのことは書いていなかったことであります。

 だからこそ、きちっと国民の皆様に御説明をする責任があるし、御党もいろいろ御苦労されて御協力をいただきましたけれども、我が党もさまざまな党内議論を経て、残念ながら、全員一致で対応できずに、離党される方も出てしまいました。そういう責任もありましたので、単なる解散とか総辞職じゃなくて、そこまでの決断をして多くの人たちに御迷惑をかけながら前へ進んできた以上、そこで最終的にゴールに達せられなかったら、私の責任が一番重たいわけですから、だから、一番の責任のとり方は何かということは、単に総辞職だけではなくて自分がバッジを外すと。

 そういう覚悟で、逆に責任を果たしたいと思って、谷垣総裁と会談をさせていただいて御協力をいただいたということであります。

石破委員 与党の責任というのは、自分の党をまとめることでしょうが。自分の党の過半数もまとめられなくて、それが政権与党なんですか。自分の党をまずまとめて、そして他党に協力を仰ぐのが筋でしょうが。

 他党の協力がなければ、絶対に衆議院段階で通っていない。自民党も公明党も、そこはやらねばならない、約束したことですから。御党から反対、反対、大反対、たくさん出ようが、過半数を割ろうが、自民党と公明党はきちんと約束を守って、衆議院を通った。その法案が参議院に送られた。そこで出てきた言葉が、八月八日の近いうち解散だったんでしょうが。

 つまり、税と社会保障の一体改革と近いうち解散は間違いなくセットだったはずですが、セットではありませんか。

野田内閣総理大臣 衆議院でその三党合意ができて、そして法案が通過をする前は、むしろ御党からは、反対する人は切り捨ててもやってこいというお話が多かったんですね。だから分裂をしたわけではなくて、離党者を出したわけではありませんよ。ただ、今度は、それが通ったら、おまえたち、ばらばらじゃないかという議論に変わっています。

 我々は、苦しい事情はあったけれども、前へ進めようとしたんです。むしろ、そこで御党と合意ができたことはよかったと思いますし、それがあったから今回のように、一体改革はまだ道半ばでありますけれども、前進が期待できる状況を生み出したということは新しい政治文化だと思いますので、御協力には感謝をしておりますけれども、その上で、近いうちのお話ですが、だらだらと政権の延命を図るつもりはない、このことも党首会談等で申し上げております。

 その上で、ですから、三党合意を踏まえて一体改革をやり遂げた後に、だらだらと政権の延命を図るのではなくて、今回も環境整備のいろいろなお話をさせていただいておりますが、そういう環境が整えば国民の皆様に信を問う。当時言ったことも、今の心境も、変わっておりません。

石破委員 ほかの理屈は結構です。セットですか、セットじゃありませんかと聞いたんです。どっちですか。

野田内閣総理大臣 一体改革が成立をする、そのための真剣な意見交換の中で、その御協力をお願いするとともに、近いうちに国民に信を問う、この二つのことを確認しました。二つのことを確認したということは重たい意味があると思っています。

石破委員 軽いとか重たいとか、そんなことを聞いているのではありません。この期に及んで、そういう重いとか軽いとか重大なとか、そのようなお話は結構です。セットですか、セットじゃありませんか。セットじゃないというなら、ないとお答えください。

野田内閣総理大臣 二つのことを党首間で確認したんです。二つとも重たいんです。それがセットという言い方なのがふさわしいのかどうかわかりませんが、党首間でお互いに真剣な議論をした中で確認をしたことということであります。

石破委員 解散は総理の専権事項ですから、私たちは何時何分何秒に解散しろとかそんなことを言っているのではありません。総理が近いうちに信を問うと言ったことがどれだけ重いかということです。

 ですから、今どき、近いうち解散というのは流行語大賞にノミネートされたそうだ。今、世の中で、近いうちと言うと失笑が漏れるのね。近いうちにこういうことをやるよ、ああ、ごめんごめん、これを言うと信じてもらえないから、近いうちという言葉は言いかえるということになっていますよ。世の中で、近いうちは、最近禁句になりつつある、うそつきと一緒になりつつある。総理の言葉はそれだけ重いものだということです。

 私たちがなぜこの法案に協力をしたのか。それは、我々がこれをやらねばならないということで参議院選挙で国民の投票を仰ぎ、そして一定の支持を得ている。そうであらばこそ賛成をしたのであって、そうでなければ、あそこで賛成しないで、総理が議員辞職なさろうが何しようが勝手ですが、新しい政権をつくって我々のもとでやったはずです。しかし、もう一回国民の信任を仰ぐということでやったので、そのことの重み、責任、それは感じていただかなければ困ります。

 相手は国民なんですよ。我々自民党、公明党だけではない。国民に対して、今の言葉、総理は今ずっとおっしゃいましたね、いろいろなことを。それが国民に通るとお思いですか。

野田内閣総理大臣 自分の言った言葉は重たい、このように強く自覚をしています。強く責任を感じています。

 ただ、申し上げさせていただくならば、本来は、もっと経済や財政のよかったときに決断すべきだったんですよ。小泉さんや安倍さんのときだったんじゃないでしょうか。これ以上先送りできないという責任のもとで、私どもは痛い思いをしながら判断をしました。

 だけれども、あわせて、近いうちにと言ったことは間違いありません。重く受けとめております。(発言する者あり)

中井委員長 静かに。

石破委員 総理、最後までそういう言い方をなさるのはおよしになった方がいいですよ。

 これは、そういうことを百も万もわかった上で政権をおとりになったはずです。あのときの状況がどのようなものであるのか、政権をとってからわかったなんて言わせませんよ。我々は、私は福田内閣にもいた、麻生内閣にもいた。経済の状況はつまびらかに明らかにしたはずであって、政権の中に入ったからわかったなんぞというのは、当選一回、二回ならいざ知らず、ベテランの総理がそこまで御存じないはずはない。

 私は、総理がどれだけ政策に真摯にやってきたかは、ある尊敬の念を持ってやってきたつもりです。今の日本の財政状況もリーマン・ショック後の状況も全てわかった上で政権を担われたはずです。だとするならば、経済状況がよかったときにやるべきだったみたいなことを言うのはやめてください。どうですか。

野田内閣総理大臣 もちろん、日本の財政が厳しい状況下にあることは、私も野党時代に次の内閣の財務大臣をやっておりましたので承知をしていました。したがって、そのための財政改革のプランも試案としてつくったこともあります。

 ただし、それ以上に想像を超える事態になったのは、リーマン・ショック後の税収の落ち込み、これは政権交代移行期に起こりました。九兆円の落ち込み、これは想像していませんでした、間違いなく。それは、当時、我々野党時代に税収を聞いても、そういう正確なお答えを政府からいただいたことはありません。そこは想像しておりませんでした。

 もう一つは、あの金融不安です。欧州の債務危機、これも想像はしていません。想像をしていないことも任期の担当中には起こります。そういうことも相まって、財政に対する危機感は持っておりましたけれども、より危機感が高まった。だから、政権をお預かりしている中で感じたことを、そういう表現をさせていただいております。

石破委員 それは、無駄を省けば財源は幾らでも出てくるんですといったことをそれぞれの方々がみんなおっしゃった。ですから、それは国民の審判を受けたらよろしかろうということです。総理が今おっしゃったようなことをどうぞ街頭でおっしゃってください。判断をするのは国民であります。どう見ても、そこには論理の飛躍がある、論理のまやかしがある、私にはそのようにしか思われないのであります。

 解散の時期については総理の専権事項です。私の考え方を申し上げましょう。

 私たち衆議院議員の任期は来年の八月三十日までです。総理であれ私であれ、ここにおられる衆議院議員であれ、誰一人、来年の八月三十一日以降衆議院議員でいられるという保証はどこにもありません。

 平成二十五年度予算というのがいかに重要な予算であるかといえば、それは、消費税の引き上げ、そのために経済がどのようになるか。十月の時点で判断すれば、四月、五月、六月の経済指標というものが判断をする上において極めて重要になってくるということだと私は思っております。そのほかにも、エネルギーをどうするか、安全保障をどうするか、社会保障の改革をどうするか。

 どの予算編成も大事ですが、平成二十五年度予算の編成というのは、そういう観点からして極めて重要な予算であって、間違っても、人気取りのばらまきの予算、そのようなものを組むことがあってはならない。当然のことでございます。

 我々の任期は八月三十日までだと申し上げました。そして、内閣支持率は一八%、民主党の支持率は一〇%を切るか切らないかのところまで来ている。間違いなく国民の九割は民主党を支持していない、国民の八割は今の政権を支持していない、そういう状況のもとで、平成二十五年度予算というのは国民の信任を得た政権が編成すべきである、私はそのように考えております。少なくとも、これから先はそうあるべきだ、我が党はそう考えたいと思っている。つまり、二十五年度にどのように臨むのか、我々は政策を錬磨し、このような形でやる、税制とセットでお示しをして国民の審判を仰ぎます。

 そこで、御党であろうが、我が党であろうが、国民が審判した政権、主権者は国民なのですから、国民が審判した政権、そして、二十五年度通年度を担える政権、それが二十五年度予算を編成すべきなのであり、さればこそ、年内に投票、そして、どういう内閣になるかは国民が決めることです。主権者たる国民の前に我々は謙虚であるべきではないかと思いますが、いかがですか。

前原国務大臣 自民党政権も長かったので石破幹事長が一番よくおわかりだと思いますけれども、予算編成というのはもう夏からやっております。概算要求の組み替え基準をつくって、そして、その組み替え基準に基づいてそれぞれが概算要求を行うということの中でまたずっと作業していくわけです。

 したがって、今政権を担わせていただいている我々としては、いつ解散があるかどうかわからないからそれをやめるということはできないし、その組み替え基準においては、まさに、我々が脱原発と言っているグリーンエネルギー、環境、こういった問題に対してしっかりと予算をつけていきたいという方向で我々はつくらせていただいているということですので、いつ解散があるかどうかは総理がお決めになることでありますけれども、この時点に、今の時点で政権を担っている者が連続して来年の予算編成に責任を持つというのは私は当たり前だと思います。(拍手)

石破委員 何でここで手をたたくのか、私にはさっぱりわからないが、当たり前のことを今大臣が答弁された、当たり前のことを答弁されると手をたたくというのは不思議な現象ですがね。

 前原大臣がおっしゃるとおりですよ。そうです。だから、御党はそれを掲げて国民に信を問われればよいのです。ずっと作業をやってきた、民主党のやったことは間違いない。さっき申し上げましたよね、我々は二十五年の八月三十日までしか任期を有しないのだということを申し上げましたね。そして、二十五年度予算は極めて重要な予算であるということも申し上げました。大臣のおっしゃるとおり、現政権の責任として予算編成作業を進めてこられた、そのことは当然のことであります。

 ですから、民主党としてこのような予算を組みます、さあどうぞ、国民の皆様方、信任を与えてくれ、二十五年度通年度にわたって我々に政権を与えよ、そう言って選挙をすべきではないですか。それが主権者に対する責任というものではないですか。支持率が二割であろうが、民主党の支持率が一割であろうが、それは主権者たる国民が信任すればそれでいいことです。どうですか。

岡田国務大臣 今の議論は一つの議論だと思います。

 ただ、そのままお返ししたいのは、では、麻生政権のときはどうだったのか。やはり同じように、予算を最終的に組むまでに解散するという道もあったと思いますけれども、結局、それを八月まで解散はされなかったわけで、それはその時々の政権の判断、あのときもリーマン・ショックという非常に大きな出来事がありました。にもかかわらず、続けられたわけですから、それはその時々の政権の判断だというふうに思っております。

石破委員 私は総理と議論しているんです。副総理と議論している覚えはありません。

 いいですか。何度も何度も岡田さんはそういうことを言いました、では、あなた方はどうだったんだと。叱られたときに何とかちゃんはこうだった、ああだったと言う子供がいますが、その問題ではない。あなた方はどうなんですかということです。私たちもそれは反省しなきゃいかぬことがある。だから、我々が政権をとったときに、民主党はこうだったじゃないかということは言いません。そのようなことは今後言ってはならないことだと思っています。私は、これをもってそういうような議論は最後にしたい。それを聞いている国民が、どっちもどっちだねということになる。

 それは民主党政権においてどうなのかということを、せめて最後ぐらい言ったらどうですか。そういうときに、自民党はどうだった、こうだった、そのようなお話は聞きたくありません。答弁も要りません。

 総理、いかがですか。岡田さんに聞いていない。

野田内閣総理大臣 そういう御主張も含めて、解散の時期は私が責任を持って判断いたします。

 我々は、今、政権を預かる以上、予算編成の準備を日々行う、これは当然の責務だと思います。予算編成を放棄した政権はもう政権ではありませんから、政権をお預かりする以上は、その準備をいたします。

 御党が、次、来年度の予算はこういうものをつくりたいということを打ち出すことは、それは一つの考えだと思います。我々も、民主党の予算案というのを野党時代につくったことがありました。そういう競争をすることも、私は一つの前進だと思っております。

石破委員 一票の格差、特例公債、国民会議の設置。いいですか、設置とあえて申し上げておきますがね。

 総理はよく、とりわけという言葉をお使いになりますね。このほかにも何かありますか。

野田内閣総理大臣 我が国が抱えている課題は、言ったら切りがないんですね。切りがありません。だから、今回、この国会でもいろいろな法案を御審議をお願いしています。それぞれ大事な法案ばかりだと思いますし、その先にやらなければいけないテーマもいっぱいあると思います。がしかし、解散をするかどうかを判断する時期、それを考えるときに、そのための環境整備が必要である。

 とりわけと言ったのは、特に急がなければいけないもの、間違いなくこれはどの政権でも乗り越えなければいけないもの、それは特例公債、一票の格差と定数削減の政治改革、そして社会保障をよりもっといい議論をして前進させるための国民会議の設置、これは一日も早くいずれも成立させなければいけないという意味で、とりわけという言葉を使わせていただいております。

石破委員 とりわけと言ったので、この三つのほかにもあったぞと言うようなことはやめていただきたい。それは世の中に通るお話ではないのでね。

 身内の理屈でああだのこうだの言うことはいいですけれども、本当に国民の前に厳粛に、真摯に臨むというのはどういうことなのかということは、総理であればお考えいただけるのであって、つまらないことをわあわあやじっている人たちと総理は違う、私はそのように思っております。

 その中で、もう一つ聞きましょう。総辞職という選択は総理にはおありですか。

 つまり、とりわけとおっしゃる環境が整備されたそのときに、時期を私は問うているのではありません。選択として、ではもう一つ加えましょうか。解散、総辞職、議員辞職。もう一つ加えたとして、総辞職という選択は総理の頭の中におありですか。

野田内閣総理大臣 それは内閣不信任案が衆議院で通った場合という仮定のお話ではありませんか。その仮定のお話に今お答えする必要はないと思います。

石破委員 仮定は、不信任が通った場合、とりわけではなくて、不信任が通った場合に限りますか。

野田内閣総理大臣 不信任が通った場合以外に総辞職があるのかどうかということですか。

 それはちょっと想像がつきません。

石破委員 想像がつかないということですね。それはない、解散、それ以外にあり得ないということだと承知をしておきましょう。

 それでは、一票の格差について承ります。

 総理、谷垣総裁と二月に議論されたことをもう一度おっしゃってください。

野田内閣総理大臣 たしか、一票の格差については厳しい司法の判断があったものですから、早急に是正をしなければいけない、最優先で対応しなければいけないという趣旨のお話をさせていただいたというふうに思います。

石破委員 こうおっしゃっておられるんですね。「一票の格差の問題と定数削減の問題と選挙制度改革の問題とが一体となって、ある種パッケージで議論をする分、その膠着状態を打開できないまま今日に至っているというのは、私は谷垣総裁と認識は一緒であります。」二月二十九日のお話ですよ。その後で、「その上で、優先順位をということでありますが、まずはやっぱり違憲状態を脱するということが最優先ではないかと思います。そのことについては、我が党の」、民主党ですね、民主党の「自説に固執するということはありません。」こだわるということはありません。「まさに各県一人枠というものを廃して、」自民党からは〇増五減という御提案があった、民主党は、それは基本的に了解、丸のみをするということを、これは政治改革本部で決定をいたしております。議事録から抜粋をして申し上げました。

 この認識に変わりはございませんか。

野田内閣総理大臣 状況認識、谷垣総裁と一致したのは、一票の格差是正はしなければいけない、これは最優先だということ。一方で、定数削減、あわせて選挙制度改革を、与野党協議をする中では、これはセットで議論しようという動きでございました、ずっと各党間で。それが膠着状態に陥っていてなかなか進まないですねという認識は共有をすると。その上で、あえて言うと、一票の格差是正が最優先であるということを申し上げておりますが、今読み上げていただいたとおりであります。

 我が党の自説にこだわるつもりはないというのは、それまでは〇増五減とかに態度を表明しておりませんでしたから、それについては御党の案をのんでも構いません、そういう意味の脈絡で言っておりますので、今の気持ちとその当時の気持ちで変わりはありません。

石破委員 何よりも優先するのは違憲状態を脱するということであって、定数を是正すべきかどうか、それは御党と我が党の間で数字をめぐって差異があったりする、あるいは比例を削るということが少数政党にとってどうなのかという議論もある。ですから、定数を幾つ減らすとか選挙制度そのものを変えるとか、そういう議論は少なくとも憲法とは関係のないものですね。どうですか。

野田内閣総理大臣 ですから、最優先という言葉で表現をさせていただいたのは一票の格差なんです。これは違憲状態という指摘を受けている。やはり国民の権利を回復した上で信を問うというのが本当はあるべき姿であり、筋だと思います。ということが、だから最優先という表現をさせていただいております。

 一方で、定数削減については、その二月の状況よりも、私はより国民の要請が強くなっていると思うんです。それは、御党とも協力をしながら三党合意を結んで、一体改革をやり遂げて、消費税を引き上げるという国民の負担をお願いすることがもう確定をしております。だから、なおさら身を切る改革についての国民の要請は強まっていると思いますので、何とかこれは一緒の解決ができないものか、ぜひ知恵を出したいというふうに考えているところであります。

石破委員 憲法と関係がありませんねとお尋ねをしたのですが、どうですか。

野田内閣総理大臣 憲法と関係のある一票の格差が最優先であります。ほかは、大事なテーマでありますが、直接憲法とは関係がありません。

石破委員 そうです。だから、まず違憲状態を解消するということが何より重要である。

 定数についてもいろいろな議論がある。単に削ればいいのかというお話だってありますよね。単に数さえ削ればいいのか、それよりは歳費を削ったらどうだ、そういうお話だって理論としては成り立つことであります。

 私は、議員を減らせば減らすほどいいとは思っていないんですよ。この議論を突き詰めると、最後は議会は要らないというとてつもないことに行き着きかねない。つまり、五十減らせ、次は百減らせ、もっと減らせ。議会は要らないということが今まで我々の歴史の中になかったとは言わない。それはそうですよね、ナチス・ドイツがほとんどそれに近い考え方でしたよね。そういう考え方をしてはいけないので、ただやみくもに削ればいいという考え方に私は必ずしも賛意を表するものではありません。要はどのような議会であるのかということが問われているのであって、単に数の問題とか選挙制度の問題ではない。

 総理がおっしゃったように、数の問題、そして選挙制度の問題、それは憲法とは関係のないことです。直接も間接もありません。関係ありません。我々は、違憲状態を脱するということを最優先というのか、それはマストでやらねばならないものであるというふうに思います。

 もう一度、総理の御認識を承りましょう。

野田内閣総理大臣 一票の格差是正がマストであることは間違いありませんし、これはもう時間との勝負だと思います。一日も早くそこで解決をしなければいけないと思います。

 一方で定数の削減も、それぞれの党が、先ほどちょっとマニフェストのお話がありましたけれども、国民の皆様にお約束をした経緯があります。御党も少なくとも三十削減等のお話もございました。だとすると、定数削減にもともと後ろ向きではなかったはずなので、そこで知恵は出せないのかということは、これはまさに今我々に求められていること、国民の要請だと思いますので、何とか結論を出したい、御協力をいただきたいと思っております。

石破委員 そうであれば、まず違憲状態を解消するところからやるべきだったんでしょうね。その後、定数の議論、選挙制度の議論をするべきだったんでしょうね。

 私は、この選挙制度の議論というのを本当に何十回、何百回やったことか。それぞれの考え方、価値観と言ってもいい、その相違があって、ベストの制度というのは存在しないのでね。総理が日本新党で出てこられたころ、まさしく選挙制度改革の議論の頂点のようなときだった。それで自由民主党は分裂もした。

 それほど難しい課題であって、まず違憲状態を解消するということを言うべきである。まだ時間はあるとか、選挙制度そのものをいじらなければならぬとか、憲法とそういうものを同列にして議論するということは、解散先送りと言われても仕方がない。私はそういうことだと思います。

 そういうことがないように、総理の御判断をお願いしたいと思います。いかがですか。

野田内閣総理大臣 私は、この問題が決着しない、させないことによって解散を先送りする、そういう考え方は持っておりません。

 さっき申し上げたとおり、御指摘のとおり憲法にかかわる問題ですから、国民の権利にかかわる問題ですから、一票の格差は早急に是正しなければなりません。これは最優先だと何回も申し上げてまいりました。

 一方で、定数削減もずっと議論をしてきた話であって、ここでもうやりませんと言ったときに、国会に対する信用はどうなるかという、これも国民主権にかかわるテーマだと私は思います。

 だとすると、一定の時期というのは、やはりこれはこの国会中に何としても結論を出しましょうと、だからお願いをしているということであります。

石破委員 少なくとも我が党は、やりませんなぞと言っておりません。違憲状態を解消することが何よりも急ぐということで、今の総理の答弁で結構です。

 それでは、国民会議について承ります。

 これは、設置をするということであって、その後の議論のところまで予定をしておられますか。それとも、設置をするということは、総理のおっしゃるとりわけの中に入っておりますか。

岡田国務大臣 これは、国民会議を速やかに設置して、そして議論を始めるということが非常に重要だと思います。

 最終的には来年の八月二十一日までに具体策を決めなければいけない、そういうタイムスケジュールの中で行われていることで、我々としては、早く、これは経緯からいって自民党さん、公明党さんの御意見も聞きながら国民会議をつくっていくということが基本だと思っておりますので、ぜひ政調会長ベースあるいは各党間のそういった人選その他についての議論を進めていただきたいというふうに考えております。

石破委員 では、副総理、確認しますが、そこにおいて、偏りのない、私は、社会保障の話というのはそんなに思想的に偏っていいとは思わないんですよ。まさしくこれは現実を見据えて決めなければいけないことだと思っています。そこにおいて、御党と公明党さんと我が党と、偏りのない人選がなされたということで、総理のおっしゃいます環境整備の一つはクリアされたと認識してよろしいのですか。

岡田国務大臣 これは、条件のような話で議論されるとそれはちょっと違うんですが、やはり、基本的には早く人選をする、そして立ち上げる、できればそれは議論も始めたい、そういうふうに考えております。八月二十一日まで余り時間もありませんから、一刻も早く議論を始めること、これは重要だと思っております。

石破委員 総理、どうですか。

 つまり、設置をした、そこで三党が、どう見ても偏りないねと。見識もあり、そして偏らず、そういう方であるという方が任命されたといたしましょう、そして設置したといたしましょう。それで総理がおっしゃる環境整備は一つ進んだとお考えですか。

野田内閣総理大臣 いわゆる委員二十人以内になっておりますけれども、その約二十人以内の中で、お互い、特に三党が、この人たちがいいねと合意できる人たちが選び出されて、人選が終わって、そうすると、いつになってももう議論できる状況になっている。その運営の仕方はいろいろあるかもしれませんが、まずそこの人選をして、メンバー構成がはっきりするということも含めての立ち上げができれば、それは一定の前進ではないかというふうに思います。

石破委員 私は、そこにおいて、これはお互いが本当に譲り合うということも必要でしょうよ、そこでのめないような人選をするというようなことはあってはならないことだと思っています。これは本当に、本当にという言葉は余り多用したくないんだが、不偏不党であり、そして価値観が偏らず、思い込みを持たず、そして深い見識を持った方で決めなければいけないことで、まず設置ということだ。その後、議論が進まなければだめだなんて言われたら、それはいつまで議論が続くかわかりませんので、そのようなことがあってはならない。

 きちんと名簿をお互いが出すということが一つの区切りだと思いますが、いかがですか。

岡田国務大臣 まず、偏りのない人選、これは非常に重要なことだと思います。

 八月二十一日までには当然総選挙も挟みますから、そこでまた人選が変わったり中身が変わるということではなくて、しっかりとした議論が行われていくということは非常に重要なことで、実は、我々としてはもう名簿はつくってございます。ぜひお示しをして、御党の意見も聞かせていただき、最終的な人選をしたいというふうに考えております。

 いつ解散・総選挙かということは決まっておりませんので、これはこれで粛々と進めていくということだと私は思っております。何かこれが条件とか、そういう話ではないというふうに考えております。

石破委員 この話は、後ほどの質疑者から、より詳しくお尋ねをいたしましょう。

 では最後に、総理、中国が尖閣にあれほどこだわる理由の核心は何だと思っておられますか。

野田内閣総理大臣 尖閣を含めて、東シナ海あるいは南シナ海を含めて、中国の海洋権益を拡大していこう、あるいは、安全保障におけるいわゆる位置づけとして、まさに海洋戦略のもとで行動をしているんだろうというふうに思います。

石破委員 当たり前の話ですが、どの国も自分の国益しか考えていないということは冷厳な事実だと私は思っております。国際法的に、あるいは歴史的に、いかに誤っていようとも、荒唐無稽であろうとも、それが国益にかなうとなれば、主張を変えるということは極めて困難を伴うものだと思っております。

 では、なぜ向こうがそのような主張をするのかということを考えたときに、これは外務大臣も防衛大臣も御認識になっておられると思うけれども、かつてソ連がオホーツク海を聖域化しようとしたのはなぜなのかということですね。オホーツク海をなぜ聖域化しようとしたか。それは、あそこを聖域化することにより、ミサイル搭載型原子力潜水艦の安全を確保するということが何より必要だったはずです。それは、オホーツク海を東シナ海、南シナ海、北方領土を尖閣に置きかえれば、なるほど、そういうことなのかということになるんでしょう。それなりの軍事合理性を持ってやっていることです。

 私たちは、そのことを百も万も承知の上で、では、どうやってすきのない体制をつくるのか。どの国も自分の国益しか考えていないということと、すきがあれば必ずつけ込まれる、これが常識でしょう。領海侵犯対処の法律がない。公船が領海に入ってきたときに退去要請しかできないのか。そこにおいて何らかの物理的行動を伴うという立法措置を検討しなければならないのではないか。

 先般の予算委員会でも申し上げた。どのような進捗が進んでいるか私は知らないが、海上保安庁の船はもともと数が少なく、洋上補給能力を持たないので、油が切れたら港に帰らねばならず、自衛隊の船が補給しようにも燃料が違っているのでそういうこともできずということであって、まず法律をつくる、自衛隊の対処方針を定める、海保の能力向上は、この間の経済対策で船をつくるといって、それが就役するのは平成二十七年の話であって、それまで一体どうするのだということについて答えも出さねばならず、そういうことではないのですか。

 領海侵犯対処に対する法整備は、総理、どのような指示を出され、今どこまで進捗をしていますか。

森本国務大臣 先生も御承知のとおり、我が国領海において、無害でない通航を一律に取り扱うという包括的な法律はありません。

 もちろん、現行法においても、無害でない通航に該当する個々の行為については個別法で対応できるというふうに考えておりますし、また先般、海上保安庁法の改正によって、領海で停留とか徘回するといった不審な行動をとる外国船舶に対しては、迅速に退去を要求する、あるいはその他の方法について措置をとることによって対応できるというふうに考えており、今、包括的に、先生の御指摘のような領海侵犯罪なるものを規定する必要はないのではないかというふうに思います。

石破委員 私どもは、その必要があると思っている。そういう法律をきちんとつくらなければ対処ができない。

 そして、自衛隊の領空侵犯措置に対応するような、領海侵犯に対する対応というのをどうするのか。それは自衛権でやるのか警察権でやるのかというのは、この間の予算委員会で相当議論をして問題提起をしておったはずであって、そのことをどのように捉えて最高指揮官たる総理から指示が出されたか。

 そのほかにも私はいろいろなことを言いましたよね。どうして自衛隊の平均年齢はあんなに高いんだということを申し上げました。それは、再就職する環境が十分ではないから。任期が終わった隊員が下士官、昔でいう下士官になる、それはそうでしょうよ、待遇が十分ではないんだから。総理はあのときにお答えになった。そういう環境整備に向けて政府挙げて取り組むというふうに御答弁になった。一体それがどれぐらい進んだんだ、法整備がどれぐらい進んだんだ、あるいは能力整備がどれぐらい進んだんだ。

 沖縄問題の本質とは何かといえば、日本にできることをアメリカにやらせていないかということですよ。海兵隊を日本がなぜ持っていかぬのか。邦人救出であり、離島奪還であり、その訓練をやめさせた方がおられるという報道がありましたが、真偽のほどは知りませんよ。離島奪還の訓練だってしなきゃいけないが、その能力を持つ海兵隊がなくてどうするんですか。邦人救出は法的にもできないでしょうが。輸送ではありませんよ。能力的にもできないでしょうが。

 それができないから、アメリカの海兵隊さん、やってちょうだい、それが独立主権国家のあるべき姿勢だとは私は全く思わない。私たちは、そういうこともきちんとお示しをし、日本でできることは日本でやる、本土全体で負担すべきは沖縄に押しつけない、このことが基本だと私は思っています。

 恐らく、これが私の民主党政権に対する予算委員会最後の質問になるんでしょう。十八回目です。いろいろなことをお願いした。その場その場で、検討する、いろいろなお答えを歴代総理からいただいた。でも、今の法整備にしても、あるいは能力向上にしても、自衛官の御子息である総理ならわかっていただけるかと思ったが、任期を了した隊員たちがどうやって社会で本当にそれにふさわしい待遇を受けるかということがなくて、何でこの年齢の問題が解決できましょうか。そういう問題について、あと残り何カ月か何日か知らないが、総理の誠実な対応を心から求めて、私の質問を終わります。

 以上です。

中井委員長 この際、田村憲久君から関連質疑の申し出があります。山本君の持ち時間の範囲内でこれを許します。田村憲久君。

田村(憲)委員 自由民主党の田村憲久でございます。

 今も石破幹事長から話がありましたが、民主党政権最後の予算委員会の質問になるであろうなと思いながら、きょうは御質問を五十分させていただきたいと思います。

 まあ、近いうち解散のことは余り聞きたくないんですけれどもね、本当は。こんなことは余りやりたくないんですが、しかし、これのおかげで国会もなかなか開かれない、これのおかげで予算委員会もなかなか開いていただけない、結局、ここまで来ちゃったんですね。

 では、端的に聞きますけれども、前原大臣、前原大臣は、総理とは非常に仲のいい、松下政経塾、こういう同窓であり、親友であられるというふうにお聞きしますが、前原大臣が、野田さんは誠実な方だから近いうちというのは多分年内だろう、こうやっておっしゃったというふうに伝わっていますが、その思いは今も同じですか。

前原国務大臣 テレビでの発言だと思いますけれども、私は、そのテレビの中でも申し上げたのは、あくまでも解散権は総理にあるという前提でお話をさせていただきましたけれども、その前提をつけて申し上げれば、私の考え方に変わりはございません。

田村(憲)委員 という、非常に仲のいい、また、閣内においても非常に立場の重い前原大臣がおっしゃっておられますが、その前原大臣の思いと大体総理は考え方を共有しているということでよろしいですね。

野田内閣総理大臣 寝言でも言っていないわけですから、古いおつき合いの前原大臣にも私の心の中は申し上げているわけではありません。共通認識というのは、解散は総理の専権事項であるということだというふうに思います。

田村(憲)委員 でも、寝言で言わなくても前原大臣にはわかるという話なんだと思うんです。

 なぜこんなことを聞くかといいますと、近いうちというのは、これは確実に時間軸なんですね。どこか上限があるはずなんですよ、近いうち。何か後ろの方から黄門様が、近いうちは一年だなんとよくやじを飛ばしておられますが、一年、任期満了までが近いうちだという範疇に入るんですか。総理、いかがですか。

野田内閣総理大臣 何度も申し上げているとおり、年内がどうだとか任期満了がどうだとかとコメントすること自体が特定の時期を明示することですので、そのコメントは控えたいと思います。

田村(憲)委員 私が聞いているのは、いつ解散しますかと聞いているんじゃないんです。近いうちに国民に信を問うというのは、一定の範囲内のどこかで国民に信を問うということですよね、近いうちというのは時間軸ですから。その最大限はどこなんですかねということを聞いているので、その時間軸、近いうちというのは、まあ、八月の八日からどこら辺あたりが近いうちの最大限度かということをお聞きしているんですよ。それは一年先まで入るんですか、任期満了までということをお聞きしているんです。

野田内閣総理大臣 だから、これは何度も申し上げているとおり、最大限度はどこまでかとか言うこと自体が時期の明示につながりますので、お答えは控えたいと思います。

田村(憲)委員 いや、最大限度といったって、任期満了があるんですから、それより先は絶対ないので、それは。今のお話だと、そこまでにあるのかないのか、ちょっとよくわからない話でありましたが。

 我が党の石破幹事長の質問は非常に重要な質問でありました。何かといいますと、セットかという話。つまり、社会保障と税の一体改革、消費税や社会保障の法律ですね、これと解散というものがセットなのかということに対して、総理は、これは谷垣総裁との間で非常に重い話として議論をしたんだという話でございましたから、それを我々はセットだというふうに言うんですね。つまり、本来ならば、消費税法案を含めて、この税と社会保障の一体改革が可決することによって、本来ならば解散をするという約束なんですよ。ただ、条件を幾つか整備しなきゃいけない、それが環境整備だという話だと思うんですよ。

 だから、総理も今国会の答弁で、これは資料の一枚目でありますけれども、こういうふうに言われていますよね。いろいろと、三党党首会談のときに、近いうちに国民の信を問うと申し上げた意味は大きい、そして、自分もその責任を重く受けとめているし、それを踏まえて、環境整備をした上で判断をしたい、こうやって言われているんですね。

 つまり、環境整備というのは、国民に信を問うための環境整備なんですね。そういうことですよね。つまり、信を問うことが前提になっているんです。

 では、信を問うための環境整備というのは何か。今、少なくともやっておかなきゃいけないものですよ。解散前にやっておかなきゃいけないものは何なんだ。

 そのうちの一つは特例公債法です。これは、やらないと確かに国民の生活に影響が出てまいりますから。だから、我々も賛成しようということで、今一生懸命最終調整をしておるわけですね。そしてもう一つは、先ほど石破幹事長が言いましたとおり、一票の格差ですよ。これは今違憲であるというような判断があるわけですから、これは、ほっておいて解散・総選挙というのは総理大臣もなかなかやりづらいであろう。これだけはやらなきゃいけない。

 しかし、定数是正は、先ほど来話がありますとおり、そう簡単には話がつきませんよ。自民党と民主党だけで決めていいという話じゃないですよね。少数政党の方々もおられる。その方々も踏まえていろいろな議論をして、これならばお互いに我慢し合いながら、仕方がないなという案で、それで決めなきゃいけないわけでしょう。これは時間がかかりますよね。

 解散が前提であるにもかかわらず、こんなものを全部やっちゃおうと思ったら、これは多分、任期満了でも選挙できないという話になっちゃいますね。もうそういう話になっちゃいますよ。言われるとおりならばですよ。ですから、この二つが大前提であるということでいいですね。

野田内閣総理大臣 資料で御提示をいただいている、これは衆議院本会議における所信表明演説、文字どおり、このとおり読んでいただければというふうに思います。

田村(憲)委員 何かそっけない答弁で、サービス精神がちょっと欠けているんじゃないかと思いますけれども。国民の皆さんは見ていますから。

 総理が、うそつきだと言われるのが非常に嫌だという報道が流れていますよ。私はうそつきだとは思いたくないんです。誠実な人だと信じたい。しかし、もうこれだけ近いうちにをどんどん引き延ばされて、いまだに今のようなそっけない答弁をされますと、やはり見ている国民の皆さんは、この人は誠意がないんじゃないのかななんて思われると思いますよ。

 もう一点ありますよね、条件に挙げられたことが。これは何かというと、国民会議の話であります。

 今、これも石破幹事長の方から話がございました。国民会議、どこまでやれば、国民に信を問う、近いうちにのこの条件が整備されるのか、環境が整備されるのか、こういう話でございましたが、人選を決めて動き出すまでなんという話がありましたが、これはそう簡単な話じゃないんですね、国民会議というのは。

 なぜかといいますと、次の資料二を見ていただくとわかると思いますが、確認書というのを実は実務者で、あの社会保障と税の一体改革の中で交わしております。この一番、「今後の公的年金制度、今後の高齢者医療制度にかかる改革については、あらかじめその内容等について三党間で合意に向けて協議する。」と入っているんですよ。

 これはどういうことかといいますと、公的年金制度、あなた方がおっしゃっておられる最低保障年金、そして年金の一元化、これを意味します、これをどうするんだという話。それから、高齢者医療制度は、後期高齢者医療制度をあなた方は廃止すると言った。しかし、それができていない。これをどうするんだという話。この二つがなかなか解決がつかない、話がつかないので、あの社会保障と税の一体改革のときには、一旦、国民会議の方にこれを持っていこうという話になったわけなんですね。

 ところが、国民会議に持っていっても、国民会議の人選で、最低保障年金を主張する、そんな学者が入ってくる、後期高齢者医療制度の廃止を主張する学者が入ってくる、そんなことになったら、これはもう国民会議は動かなくなっちゃって、デッドロックになっちゃうんですよ。すると、来年の八月までに結論が得られません。だから、その前に三党で、これに関してはある程度議論を、すり合わせをしておかなきゃいけないねという話なんですね。

 となると、今お互い人選して出したって、人選ができないですよ。候補は出せますよ、我々、候補は。だけれども、誰を選ぶかということはできない。そう思いませんか、総理。いかがですか。

岡田国務大臣 まず、委員の先ほどの議論ですね。三つのことが条件ではないんです。これは、環境整備のためにとりわけ急がれるものとして、総理は三つを言われている。今委員が所信の表明の中で読まれたとおりであります。ですから、この三つが条件であるという前提で、この三つが満たされれば即解散だというような、そういう前提で議論をされているとしたら、それは間違いであります。そのことをまず申し上げておきたいと思います。

 その上で、今のお話ですけれども、国民会議をつくって、そこできちんと有識者に議論していただくということは非常に重要なことで、そして、我々はそれを急ぎたいと言っているわけです。

 各党で協議しないと国民会議の人選が決まらないとか、そういうことではないと思うんですね。石破さんも言われたように、やはり多くの人が見て、この人は公平中立であると。もちろん、意見としては、年金についてはこういう意見を持っている、高齢者医療についてはこういう意見を持っている、それぞれあるとは思いますが、そこはバランスを考えて人選をして、そして御議論いただく。

 そもそも、そういう年金や医療について具体的な意見を持っていない有識者などというのは考えられないわけですから。そこはバランスをとった人選をして、そして議論を始めていくということは、私はぜひお願いしたいというふうに思っております。

田村(憲)委員 総理、今の岡田副総理の認識は、つまり、幾つか、とりわけという中で環境整備の条件を挙げられましたけれども、これは解散のための前提条件じゃない、これはやらなきゃいけないものだということで言っているだけの話であって、これと解散は関係ないみたいなことをおっしゃられましたけれども、それでいいんですか。

野田内閣総理大臣 関係ないという御説明ではないと思うんですね。まさに、このお配りいただいている資料をそのまま素直に表現をしていただいているわけであって、必要十分条件であるとか、そういう条件ではないんです。環境整備という言葉は使っています、その中でとりわけ急がなければいけないものが三つだという言い方をしていることを、副総理は御説明をされたということであります。

田村(憲)委員 恐ろしいですね。

 何が恐ろしいかというのは、近いうちに国民に信を問うと谷垣前総裁と約束をして、あれだけの大きな仕事を我々も手伝ったわけですよ。ここには二人の信頼関係が私はあったと思うんですね。当然、谷垣前総裁は、これをやって幾つかの条件をクリアすれば国民に信を問うて解散してくれるんだろうと信じて、我々に、この社会保障と税の一体改革を実務者として頑張れというふうに声をかけたんだと思うんですね。

 それが、今の話ですと、いや、関係ないよと。大体、近いうちの時間軸も言えない、いつかわからない。後ろからは一年だと言っている。任期満了だという意味だと思いますよ。それで、解散をするための条件も何にもないんだ、環境整備というのは条件じゃないんだと。これは、とりわけといえばそのうちでも急いでやらなきゃいけないことで、ほかにもいっぱいありますよという話になったら、そもそも、あのときの話は全くなかったということと一切変わらないんですよ。

 つまり、あなたは、谷垣総裁を、いや、国民をだましたということになるんですよ。うそつきというそしりを免れなくなっちゃうんですが、それでいいんですか。

野田内閣総理大臣 八月八日の党首会談のときに、先ほど来ずっとありますけれども、三党合意を踏まえて一体改革法案を早期に成立させるということと、近いうちに国民の信を問う、この二つのことを確認しました。

 後者については、これは私の責任で判断をすることですから、その言葉は重たいと思っていますが、谷垣総裁のときに、特例公債であるとか、一票の格差であるとか、国民会議とか、具体的にそういうお話をしてはいません。あくまで近いうちにという、それ以上でもそれ以下でもないということの中で確認をさせていただいております。

 この三点の話は、とりわけても三点は、これは安倍総裁のときに、私から定性的に言えるぎりぎりの、まさに環境整備の中でのお話でさせていただいているわけであって、そういうちょっと経緯があるということであって、谷垣さんに私はうそをついているつもりもありませんし、うそをつくつもりもありません。

田村(憲)委員 だから、谷垣前総裁は、もうあれだけの法律、あなたが政治生命をかけると言った法律を通したわけだから、その時点で国民に信を問うということはセットだというふうに信じたわけです。

 ところが、その後に、まだやるべきことが幾つかある、環境を整備しなきゃいけないと言うから、百歩譲って、泥棒に追い銭という言い方はよくないですけれども、本来これでいいと思ったけれども、まだ何かやらなきゃいけないなら、そこまでは、確かに、我々も責任政党だから、国民の皆様方に負っている責任というものをしっかり果たさなきゃいけないからということで、やりましょうと言って、ここまで来ているんですよ。ところが、そうじゃないという話ですからね、今のは。

 これは全くもって、あなたのおっしゃっていることは、谷垣前総裁に、好きだ好きだというふうに思わせぶりをしておいて、それで、好きよ好きよとなって、いよいよ、では約束を果たしてねとなった瞬間に、そんなことははっきりとは俺は約束していない、どこかに契約書があるのかと言っているのと一緒ですよ。これは、普通の国民の皆さんは、報道ベースを見ている限りは、今総理がおっしゃったその言葉というものは誠実じゃないというふうに聞いていると思います。

 ここまででこの指摘は終わりますが、一点、この確認書に書かれております、このいろいろな、一番のところの条件、これをクリアしようと思いますと、やはり国民会議というものを、いきなり人選を決めるというのは、これはちょっと問題がある。

 つまり、何かといいますと、何としても、この公的年金制度と高齢者医療制度は、これは自民、公明と民主は合わないんですよ。全く水と油で、かみ合わない。どれだけあの社会保障と税の一体改革の特別委員会で議論をしても、ここは一致を見なかったところなんです。だから、国民会議にそのまま上げても、結果的には同じです。

 ましてや、国民会議の中で、それぞれ、多分それを主張する人たちが入りますよ、当然。入ってこなかったら、議論できないですもの。そうしたら、意見がぶつかり合って、結論が出ないまま、来年の八月まで行きますよ。結果的に消費税を上げられないということになりますよ。だから、その前に三党ですり合わせをしましょうとここに書いているんじゃないですか。あなた方はそのアプローチも我々自民党、公明党には何らしてきていません。

 そもそも、今回、この国民会議ですら、まだ何にもないんですよ。何か報道ではきょうかあしたぐらいに来るんじゃないかという話がありますけれども、それさえ、今までほったらかしになっているんですよ。この責任をどう考えるんですか。

岡田国務大臣 まず、二つ申し上げたいと思いますが、先ほど申し上げたように、谷垣総裁と野田総理の間の約束、近いうちにという言葉は確かに出ました。しかし、三つの条件ということは全くありません。それは安倍さんとの間で出た話で、しかも、それは環境整備の中でとりわけ重要なものだということですから、国民に誤解を招くような言い方、そして、総理をうそつき呼ばわりするようなやり方はやめてもらいたい、そのことをまず申し上げておきます。

 その上で、今のお話ですけれども、確かに、確認書の中で、あらかじめ内容等について三党間で合意に向けて協議すると書いてあります。我々は、さまざまな努力をして、御党と協議したいということを申し入れてまいりました。田村さんには行かなかったかもしれませんが、例えば政調会長ベースでも、あるいは私もさまざまな努力をさせていただき、人選についても、既にこちらはでき上がっているのでいかがですかということは、あらゆるレベルでやらせていただいております。ですから、何もやっていないというのは、これは間違いであります。

 そして、御党の安倍総裁も、人選についてはもうこれは決めるときだというふうに言われているじゃないですか。にもかかわらず、あなたが、いや、人選の時期じゃないと言うのは、私は、党の中でどういうことになっているのか、ぜひ説明をしていただきたいと思います。

田村(憲)委員 説明しましょう。

 私も今人選をさせていただいています。それは、御党に提出する人選を、これを今選考させていただいているんです。出しますよ、出すけれども、それを決める段になってまた問題が起こるんです。だから、出すのは出すけれども、それを決めるというのは、本来、私は選挙をやってからだと思っています。

 なぜか。この最低保障年金、これが本当に国民にとって望まれるものなのか、これもいろいろな議論をしてきました。それから、後期高齢者医療制度、これを本来、本当にやめた方がいいのか、それとも、今の制度の中でブラッシュアップした方がいいのか。これを国民に今度の選挙で信を問えば、その後、新しい内閣がその部分から新しい候補者といいますか、その国民会議の方々を人選すればいいわけであって、結論が出るじゃないですか、国民に信を問えば。だから、私は、提出はしますけれども、確定する前でとめておいていただいて、解散していただいた方がいいんじゃないですかという提案をしているんですが、いかがですか。

岡田国務大臣 解散がいつになるかはわかりませんが、いずれにしても、来年の八月二十一日ということでお尻が決まっていますから、やはりなるべく豊かな議論をするためには、早く始めるべきだということであります。

 選挙で、一つのイシューで議論されるわけではありません。もし選挙の結果が全てであるというなら、我々の考え方で今やるべきだということになると思います。

 やはりそこは、有識者で、比較的懐の深い、そういった見識のある人を選んで、それぞれの考え方はあるでしょう。しかし、例えば年金についても、御党やあるいは公明党さんの言われているように、現行制度を前提に、それを改善することでやっていくという考え方と、我々のように、最低保障年金や年金の一元化をやらないとやっていけないという考え方、あるいは、最近みんなの党は積み上げ方式ということを言っておられる。いろいろな考え方を全部机の上にのっけて、そして国民の見ている前で有識者、学識経験者がしっかり議論をして、そして練り上げてまとめていく、そういうプロセスが必要だというふうに私は申し上げているわけです。

田村(憲)委員 後期高齢者医療制度の廃止も、やると言って、あなた方がやれなかったんですね。やれなくて、次の選挙にキャリーオーバーになるんですよ。そんなの、国民の皆さんは信用しませんよ。ですから、解散をして、一度国民の信を早く問うて、その上で国民会議を立ち上げないと、間に合わなくなりますよ、こんなことをやっていれば。人選でもめちゃいますよ。だから私は言っているんです。

 私たちが解散を求めているのは、自分たちの選挙に今やれば有利だからなんという、そういう細かいことで言っているんじゃないんですよ。

 我々は来年の方が有利ですよ。だって、このまま来年になればなるほど、遅くなればなるほど、うそつき解散だ、うそつき解散だと言われるんですよ。もう民主党の支持率は上がりませんよ。今選挙をやれば、この中に受かる可能性のある方もおられるかもわかりませんが、来年の八月までいっちゃえば、みんな落ちちゃいますよ。どんどん落ちますよ。だから、我々は、来年の参議院選挙と同日、ねじれも解消するかもわからない、そっちの方が政局のことを考えたら有利なのかもわからない。でも、そんなことを言っている余裕がないんです。

 例えば、民主党政権になってからどういう状況か。これは、二〇〇九年の八月が、ちょうど我々が選挙に負けた年であります。民主党政権にかわる年であります、月であります。正確には九月ですけれどもね、かわったのは。二〇一二年の十月、これが一カ月ちょっと前です。ドル、九十四円八十四銭、これが今や七十八円九十七銭。ユーロ、百三十三円、今百二円ですよ。そして、日経平均は、一万四百九十二円が何と八千九百円。日銀に責任を押しつける人もいましたけれども、全く、為替政策何もなし。

 特に、円が急騰したのを覚えていますか、総理。九十円台から八十五円台ぐらいまでずっと円高になったころ、いつごろか覚えていますか。総理、覚えていますか。

野田内閣総理大臣 九〇年代の話ですか。ちょっと今、聞こえなかったんですけれども。

田村(憲)委員 いや、ドルが九十円台ぐらいからずっと円高になって八十五円に突入した、その時期を覚えていますか。

野田内閣総理大臣 一つは、やはりリーマン・ショックがあって、その後、世界的に財政不安がふえている中で、相対的に円の価値が認められ始めたのが九十円から八十五円への移行だったというふうに思いますし、なお、その後の欧州のいろいろな不安が出てきたときも、さらにまた為替にいろいろな影響が出てまいりました。

 相対的に、経済のファンダメンタルズ以上の評価が円に出ているという状況が続いていると思います。

田村(憲)委員 いつごろか覚えていますかと言っただけの話で、あなたが財務大臣のときなんですね。二年前です。八月ですよ、八十五円になった。いろいろと菅内閣で党内政局になっていたころですよ。あなたは何もしない、ほったらかしになっていた。結果的に八十五円というような状況。それから、ほとんど何もしていないんですね。それで、日銀の責任にしています。

 確かに、日銀も悪いところはあると思いますよ。私は日銀はいいとは言わない。しかし一方で、やはり政府も、為替に関しては一義的には政府の役割でありますから、財務大臣、あなた方がやらなきゃいけないのに、ほとんど何もやっていない。そして結果的には、このように株価が下落をしている。こういうような政党にいつまでも任せておけない。

 そして、私が本当にだめだなと思ったのは、きょう、日本の経済は非常に厳しいという結果が出てまいりましたよね。先ほどもお話がありました。年率で三・五%のマイナスという数字が出てまいりました。

 そして、この間の日銀の展望リポートを見ておりましても、かなりやはり厳しい状況になってきておるということが明白になっております。これは資料の三ですね。

 実質GDP、これは七月の時点の見通しが二・二プラスだったのが一・五、二〇一二年度。二〇一三年度が、七月時点は一・七%プラス、これが一・六、ちょっと落ちました。しかし、驚くべきは二〇一四年、〇・六。

 物価はどうか。足元、マイナス〇・一、デフレですよ。二〇一三年度は〇・四プラス、こう言っています。しかし、これさえ私は怪しいと思います。二〇一四年は、これは消費税が上がりますから、これを抜きますと〇・八。

 一%をめどにと日銀は言ってまいりましたけれども、実現できていないということで、今回、さらに九十一兆円まで基金の枠を広げました。そして、一方で、新型貸出制度、基金に、無制限というような積み増し、これが効くのかどうか、これはちょっと私も首をひねるところもあるんですが、こういうことをやった。

 しかし、政府は補正予算をこの国会に出していないですよね。なぜ出さなかったんですか、総理。

前原国務大臣 為替の問題、そして株価の問題でそういう数字を挙げられたんだと思います。そしてまた、今、田村委員は物価の話もされましたので、違った数字もちょっと申し上げたいと思います。つまり、政権交代後よくなった数字もありますので、それについては申し上げたいと思います。(田村(憲)委員「そんなことより、景気対策をしなくていいの」と呼ぶ)まず、それを前提に申し上げます。その前提に。

 例えば失業率、自民党政権の末期のときは五・六%、今四・二%であります。そして、物価の問題で申し上げると、GDPギャップですけれども、これは、自民党末期のときには対GDP比で八%、GDPギャップがありましたけれども、今二%まで縮小してきて、何とかデフレ脱却までもう少しのところまで来ている、こういう状況でございます。

 したがって、こういう前提条件、確かに、対ドルについて言えば、IMFがこの間、東京で会合がございまして、円については一〇パーから一五%過大評価をされているということをIMF自身も言っておりますし、我々も今、円高是正というものを、総理の所信の中にも入っております。そして、日銀と協力をしながら、何とかデフレ脱却をするための努力をしているということでございます。

 そして、きょうのQEについて申し上げれば、大変足元は厳しいと思っておりますし、このマイナス〇・九の内訳というのは、マイナス〇・二がこれは内需、そしてマイナス〇・七がこれは外需でございまして、貿易、輸出の落ち込みがかなりそれに、寄与しているという言い方はおかしいかもしれませんが、マイナスに寄与しているということでございます。

 そして、お尋ねの補正予算についてでございますけれども、総理から御指示がございまして、今月中に経済対策をまとめるための準備をしろということでございまして、まだ特例公債が成立をしていない状況の中で、例えば予備費でも、この間は特例公債が成立しないという段階での、第一段階の予備費を使わせてもらいましたけれども、通ればまた予備費が使えますし、そしてまた、通ればまた新たな景気対策もできるということでございますので、幾つかのオプションは用意をさせていただいている。

 ただ、ねじれの状況の中で、野党の御協力もいただかなきゃいけないということで、ぜひこれは政調会長レベルでお話しをいただいて、今の景気判断の中で、特に三党でどう責任ある立場をとるかどうかということも、我々はオプションは用意をしておりますので、ぜひそこは忌憚のない御意見をいただければありがたい、こう思っております。

田村(憲)委員 何か補正予算を組まなくても大丈夫だみたいに聞こえました。私はびっくりしました、認識が大分違うんだなと。こんなによくなったから補正予算を組まなかったんだというように聞こえましたね、今のお話は。いいです、また後で聞きますから。

 私、一番心配なのが、この日銀の展望リポートで、二〇一四年が実質経済成長率が一・六から〇・六に落ちるんですよ。これは大変ですよ。つまり、消費税を上げるための前提条件というのは景気の好転ということですよね、これは法律の附則に書いてあります。そのために景気対策をいろいろやると書いてある。

 余り言いたくありませんが、名目三%、実質二%の物価上昇率一%。ただし、この物価上昇率一%はGDPデフレーターですからね。CPIじゃありません。つまり、消費者物価じゃないんです。消費者物価は大体、以前も安住大臣とこの議論をやりましたが、〇・七とか八ぐらい上方バイアスがかかっていますから、ですから、消費者物価から大体〇・七、八引かなきゃいけないんですよ。こんな状況で消費税を上げられるのかと考えればそら恐ろしくなりますから、だから今、補正を組まないと間に合わないんじゃないですか。

 二〇一四年の四月の消費税引き上げのためには、判断するのは二〇一三年の十月ぐらいでしょう。数字が確定して見られるのは、四―六の四半期の数字ですよ。もうあと何カ月ですか。ならば、この国会で補正予算を組むのが、消費税に命をかけると言った総理がやらなきゃいけないことじゃないんですかということで私はお聞きしているんですが、なぜ総理は補正予算を組まなかったのか。

 そして、組むためにも、いや、もっと言うと、特例公債法、実はもっと早く通っているんです。

 十月の一日に内閣改造をやりました。その後すぐに国会を開いていれば、できないことはなかったんですよ。ずっとほったらかしですよ。そうしたら、もう通っていますよ。補正予算を組んでいるから一カ月ぐらいおくれるんだろうな、仕方がない、今補正予算を組むのはそれはわかると思って、我々は待っていたんですよ。そうしたら、何のことはない、補正予算はなくて、会期、始まりだけがおくれちゃった。これは総理、どういうことなんですか。どうお考えですか。

野田内閣総理大臣 どちらにしろ補正は必要なんです、年金の特例公債の扱いもありますので、補正はつくらなければいけないんです。

 一方で、今、前原大臣中心に、政府を挙げて、経済対策を講じるべく案をつくっておりますが、先んじて予備費を活用しました。

 今回の経済対策をまとめた暁には、もちろんその中身と、今御審議いただいている特例公債の法案が通っているか通っていないかというのは大きいんですよね、経済対策を講じる上で。その上からも、特例公債は一日も早くお願いをしたいと思います。

 国会の開会時期はいろいろな総合判断でありましたけれども、もうこの公債法の審議が始まっているわけですから、一日も早くこれを通していただくことが経済対策を裏づけていく上でも大事であるということで、ぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。

田村(憲)委員 ですから、それは通すのは、大体今既定路線で話し合いが始まっているわけでしょう。それはいいんですよ。私が言っているのは、なぜ、景気対策を組んで、この国会に補正を出さなかったのか。景気対策用のですよ、そんなの当たり前ですよ。だって、今も言いましたよね、来年の四―六なんですよ、判断する数字が。年明けに景気対策を打ったって、四―六なんか、すぐにそんなのが効いてくるわけがないじゃないですか。

 常識的に考えれば、今、前原大臣は首を縦に振っておられますが、多分私の言っている意味がわかるんだと思うんです。それだけに私は、全くこの政府にはやはり任せていられない。だから、早く解散をしないと、選挙のことを考えれば我々は来年の方が楽なんだけれども、今解散させないと国が滅びちゃうと思うから言っているんですよ。我々はここを国民の皆さんには御理解いただきたいんです。

 ちなみに、円高の話が出ました。

 前原大臣は日銀に、外債を買え、このことをずっと主張されてこられて、そして大臣になられて、日銀の政策決定会合にも出られました。おっしゃられたんだと思います。今もその信念は変わっていませんか。

前原国務大臣 今の御質問にお答えする前に、先ほど申し上げたのは、自民党の最後のときと今の数字の違いということであって、足元の景気は極めて深刻だというふうに私は思っております。

 したがって、消費税を上げるということになれば、来年の十月に最終判断をしなくてはいけないということになれば、いろいろな指標の総合判断になりますけれども、来年の四―六の実績というものがかなり大きなものになると思いますので、田村議員おっしゃるように、今から対策は打っておかなくてはいけないということについては、大事なことであるし、その前提として特例公債を通していただき、我々、経済対策の予備費というのがありますけれども、その予備費と、あとはほかの予算も含めて、いろいろなオプションを考えさせていただいているということであります。

 したがって、ねじれの中でそういうオプションを用意しておりますので、またぜひ相談に乗っていただければと。非常に足元は厳しいという思いであります。

 外債の話でございますけれども、私の意見は、為替介入を前提にということで申し上げたのではなくて、マネタリーベースを拡大するということの一つの手法として、実際、日銀も外債を持っているわけですから、そういう前提として持てないかということを考えているということであります。

田村(憲)委員 きょうは日銀の総裁にもお越しをいただいておりますけれども、今の趣旨ならば、外債を買えるということでいいのでございましょうか。

白川参考人 お答えいたします。

 あくまでも一般論ということで申し上げますと、日本銀行による外債購入の議論は、為替相場を円安に誘導することを目的として議論されているというふうに感じております。

 こうした外国為替相場の安定を目的とする外国為替の売買につきましては、この国会でお決めになりました日本銀行法上、日本銀行は国の事務の取り扱いをする者として行うこととされておりまして、為替介入は財務大臣の所管となっております。これは、為替の問題は常に相手国が存在しますので、通貨外交の面で一元的に対応するべきだという考え方に基づくものだというふうに認識しております。

 こうした点につきましては、先般の国会において安住前財務大臣が、為替介入は財務大臣が一元的に対応すべきであって、日銀が為替介入にかわるものとして外貨建てで資産の購入を行うことは適切ではないというふうに説明されておりまして、あるいは藤村官房長官、城島財務大臣も、日本銀行による外債購入については慎重な検討が必要であるというふうに述べられておりまして、政府の法律解釈は以上のようなものでございます。

 今御質問の、日本銀行が流動性を供給するために外債を買うことはどうかということでございます。

 日本銀行は、今現在、資産の買い入れを行っておりまして、潤沢に資金を供給しておりまして、先般発表しました十一兆円の増額、九十一兆円になりますけれども、それからさらに、これは貸し出しの増加を支援するために、全額、希望すればファイナンスをするということで、これもかなりの金額ふえてまいります。

 そうした流動性の供給を行う上で、今、日本銀行が買い入れる資産が不足しているということではございません。買い入れる資産自体はたくさんございますので、日本銀行は、日本経済がデフレから脱却し、物価安定のもとでの持続的成長軌道に復帰するために流動性の供給も行っております。したがいまして、流動性供給のために外債購入が必要であるという状況ではございません。

田村(憲)委員 流動性の供給のためには外債は買わないというのが、今、日銀総裁の答弁だったと思います。前原大臣は、流動性の供給のために外債を買えばいいじゃないかというお立場だったというふうに仄聞をいたしました。

 さあ、城島財務大臣、どちらに立ちますか。

城島国務大臣 ちょっとその前に、先ほどありました為替の問題ですけれども、実は、何もやってこなかったというようなことを田村委員がおっしゃいましたので、あえて申し上げさせていただくと、二十二年の九月には二・一兆円、それから二十三年の三月に七千億、二十三年の八月は四兆五千億、同じく二十三年の十月から十一月には九・一兆円の介入を行っております。

 また同時に、先月の東京でのIMFの総会のときのG7でも、それから先日のメキシコのG20でも、私の方から再三にわたって、今の為替の問題について、一方的な円高というのが、復興を伴うこの今の日本経済に対してやはり下振れ要因となっているのではないかということで、各国に対して為替の問題についての理解を求める努力をしてきているということをつけ加えさせていただきたいと思います。

 それから、今の御質問でありますけれども、基本的には、特に、デフレ脱却のための強力な金融緩和ということについては、しかも、その中でどのような資産を買うかという金融政策の具体的な手法につきましては、一義的には日銀において判断されるべきものだというふうに思っております。

 ただ、その一環として外債購入を検討する場合には、為替相場の安定を目的とした外国為替売買は行わないという現行制度のもと、これに該当しない有効な金融政策として成り立つかどうか、また、諸外国から見て、形を変えた為替介入を一方的に行うものと誤解されないかどうか、こういった観点について慎重に検討すべきものではないかというふうに思っております。

田村(憲)委員 必要がないみたいな話だったんですかね、今のは。何かいろいろ言われてよくわからなかったんですけれども。

 どうやら、前原大臣と城島大臣の考え方は若干違うというふうに認識をいたしましたが、なぜ財務大臣にお聞きするかというと、財務大臣と総理が認めれば、業務外であっても日銀は買うことができる。しかし、そもそも、前原さんが言ったのは違うんですよ。業務内で買えと言っているんですよね。つまり、やれる範囲の中で買えと言っているので、為替相場云々ではなくて金融緩和の中でやれば、副次的な効果として円が安くなるのではないかということをどこかでは期待しているけれども、それは言えないから、金融緩和をする一つの手段として買えというふうに言われているんだと思います。

 これは一つの傾聴に値する考え方だというふうに思います。これからも、金融政策決定会合に出られるわけでありますから、どんどん主張していっていただいて、何かをしないことには日本の国はこの円高を解消できないわけでありますから、その点は頑張っていただきたいというふうに思います。

 しかし、デフレが一向にとまらないんですよね。それで、いよいよ共同文書というものを政府と日銀で交わされたのが、資料の五であります。これがよくわからないんですよ。政策協定、アコードというものとどう違うんだろうというのがよくわからない。これは、日銀総裁、今までやってきたことと今回のこの共同文書で約束したことと、どこがどう違っているんですか。

白川参考人 お答えいたします。

 まず、今、政策協定文書あるいはアコードというお話がございましたけれども、このアコードの定義はもちろん定かではございませんけれども、いわゆるアコードとしてよく知られていますのは、中央銀行の独立性に対する意識が高まる中、円滑な戦費調達のために米国のFRBが行っていた国債金利上限維持政策の終了を宣言するために、一九五一年に米国の財務省とFRBが公表した共同声明発表文でございまして、これは中央銀行の独立性を高めるための文書でございます。

 今回公表しました「デフレ脱却に向けた取組について」は、これは我が国経済のデフレ脱却に向けた当面の取り組みにつきまして、政府と日本銀行がこれまで共有しています認識を改めて明確に示すものでありまして、いわば両者の共通理解というものでございます。

 日本銀行としては、政府との十分な意思疎通を図りながら、引き続き、デフレからの早期脱却と物価安定のもとでの持続的成長経路への復帰に向けて、みずからの判断と責任のもと、その使命をしっかり果たしていく方針でございます。

 また、政府におかれては、デフレを生みやすい経済構造の変革という観点から、思い切った規制緩和を初め、日本経済の成長力強化に向けた取り組みを強力に推進していくことを強く期待しております。

 こうした文書をこの時点で発表することによりまして、政府と日本銀行が行っておりますそれぞれの政策の有効性を高めていくというふうに判断いたしました。

田村(憲)委員 何か聞いていると、初めは、アメリカでは中央銀行の独立性を高めるために結んだものだという話で、事実そうだったと思うんですが、それを例示したということは、日本銀行の独立性をさらに高めて、何か政府の言うことを余り聞かないみたいなふうにも聞こえますし、一方で、日銀から政府にもっと、言うなれば、物価というのは幾ら中央銀行が頑張って金融緩和をやってもそう簡単には上がらないから、これは政府が経済対策を組んでデフレギャップを埋めて、その上でじゃないと物価が上がらないので、あなた方に求めているんだよというふうに聞こえたのは私だけなんでしょうか、よくわかりませんが。

 よくわかったことは、今までやってきたことを政府と日銀で確認したことだ、だから新しく何かをやるという話じゃなくて、今までのことを確認したことだというような話に聞こえましたが、そういうことでいいんですかね。これは前原さんなのかな、財務大臣なのかな、どういう思いで共同文書を結ばれたんですか。

前原国務大臣 日銀と政府の間でこういう文書を結んだのは初めてだと思います。そして、白川総裁がおっしゃったように、やはりお互いが協力しなければいけない、努力しなければいけないということで、お互いがこの文書で確認をした。

 文書で確認をする、お互いの役割を確認し合うという意味で、私は意義のあることだと思っています。特に、デフレからの早期の脱却、そしてお互いの最大限の努力、こういうものを確認するということは、大変意味のあることではないかと考えております。

田村(憲)委員 確認しただけでは何も進みません。やはり、しっかりとしたアコードを結んで、その上で、物価目標、インフレターゲット、それが実現できなかった場合には、最低限、中央銀行がちゃんと国会に対してそれなりの、なぜそれができなかったかということも含めて報告をさせるぐらいのことをしないと、これはなかなか、政府と中央銀行が一体になって、経済、物価、雇用、こういうものに対しての一定の方向性、意思が示せないと思いますので、それが前原さん、あなたの今までの主張だったんですよね。閣内に入ったんですから、実現に向かってこれから閣内で努力するということをここで言明していただけますか。

前原国務大臣 先ほど申し上げたように、こういう文書を取り交わしたのは初めてです。お互いがやはりさまざまな努力をしなくてはいけないということを一つのペーパーで確認したということは、私は、それなりの意味があるし、確認だけではない、確認をしたことについてはお互いが義務を負ったということで、早期のデフレ脱却に向けて、お互いが具体的な施策をとる中でやっていくということでございますので、一歩も二歩も前進だと思っております。

田村(憲)委員 多分、日銀総裁はそうやって思っていないんだと思います。日銀総裁、義務を負ったということでいいですか。

白川参考人 まず、日本銀行の使命でございますけれども、この国会でお決めになった日本銀行法によって、日本銀行の使命は明確に定められております。それは、物価安定のもとでの国民経済の健全な発展に資する、そうした金融政策を行うということであります。

 日本銀行、私も総裁として、それから日本銀行の政策委員会、九名全体でございますけれども、この使命を重く受けとめて、先ほど申し上げた、デフレから脱却し、物価安定のもとでの日本経済の持続的な成長軌道への復帰ということに全力を尽くしていきたいというふうに思っております。

田村(憲)委員 ですから、質問に答えていないので、義務を負ったとは思っていないということで。

 大臣、これじゃだめですからね。しっかりちゃんと調整をつけてくださいよ。じゃないと、本当にいわゆる言うだけ大臣と言われちゃいますよ。

白川参考人 先ほど申し上げましたとおり、日本銀行の行う使命、つまり、日本銀行の行う政策については、国会ではっきり定めているということでございます。この国会で定められた法律の使命、これをしっかり受けとめて政策を行っていくということを先ほど申し上げました。

田村(憲)委員 同じことを聞いても仕方がないので、もういいですけれども。

 いよいよ特例公債法をどうするんだという話の中で、予算と、それから要するに赤字国債発行、特例公債法、これをどう一体的に処理するんだという話が午前中も議論をされました。我々も、別に、いつまでもこんなものを使って、言うなれば解散に追い込もうなんてもとから思っていない話なので、だから、議論をちゃんとします。

 その上で、やはり財政規律は守らなきゃいけません。民主党政権になってから、赤字国債がどんどんふえてきたのは事実です。ですから、予算をこんなの組んだから、あとは赤字国債を幾ら発行してもいいんだなんて話になったら、これはおかしくなりますからね。ですから、そこは信頼関係が前提であること、これはぜひとも我が党と民主党と公明党との議論の中でしっかりやっていただきたい。

 その上で、五年程度にというようなお話がありましたけれども、財政再建するまでの間、いろいろなことで必要な赤字国債に対しては、この予算を出したときにある程度これがコミットできるような、そんな仕組みをつくるという提案がありましたので、それは、財政の健全化ということが前提ならば我々も反対ではございませんから、しっかりと議論をしていきたいと思います。

 もう時間がありませんが、何よりも一言だけ言いたいのは、我々は決してこれでごねてきたわけじゃありませんよ。もっと早く国会を、十月の半ば以前に開いていただいていれば、特例公債法は十一月までには通っているはずなんです。逆算すればわかると思います。国会を開いたのは二十九日ですからね。そうなればこんなことにならなかった。

 あなた方が国会を開かなかったのが問題だということをあえて指摘しまして、時間でございますので、私の質疑を終了させていただきます。

中井委員長 この際、小池百合子君から関連質疑の申し出があります。山本君の持ち時間の範囲内でこれを許します。小池百合子さん。

小池委員 小池でございます。

 お許しを得まして、質問の機会を頂戴いたしました。ありがとうございます。

 冒頭、やはりこれから始めなければなりません。

 流行語大賞の候補に、近いうち解散がノミネートされたというふうに聞いております。

 ちなみに、〇三年にマニフェストという言葉が流行語になったり、〇九年には政権交代が流行語大賞になった。マニフェストとか政権交代が流行なのかというとどうかと思いますけれども。

 ちなみに、最近は、お父さんが子供に宿題やったのかと聞くと、いや、近いうちにやるからといって答えるそうでございます。子供の教育にもよくない、このように思っておりますので、近いうち解散、私は、野田総理であるならば、政治家として言葉を守るということをかたく信じておりますし、解散についてはひとりで決めればいいことであります。

 きのうも相次いでいろいろな発言があったようでございますが、選挙部長に来ていただいているかと思います。

 投票日というのは大体日曜日ということが相場になっているようでございますけれども、これは憲法上、もしくはその他の法律上、規定があるのでしょうか、お答えください。

米田政府参考人 お答えいたします。

 選挙日がどの曜日でなければならないかということは、憲法、法律では決まっておりません。どの曜日でも結構でございます。

小池委員 来月になりますと、十六日が都知事選挙、そしてその翌週は天皇陛下の誕生日ということでございますが、その次は振りかえ休日になっているということでございまして、近いうちといいましてもいろいろな選択肢があるということをまず冒頭申し上げたいと存じます。

 さて、野田総理、モスクワ訪問に大変意欲を燃やしておられた、このように聞いておりますけれども、中止にされた、もしくは先送りにされたということかと思っておりますが、これはロシア側から断られたんでしょうか、それとも、こちらから先延ばしをされたんでしょうか。

玄葉国務大臣 引き続き調整中でございます。

小池委員 ずっとそう言い続けていると、それこそ近いうちにという話になってしまうのかもしれませんが、私は、客観的に見まして、最近の国際情勢は大変激動し、かつ、リーダーのそれこそチェンジがあちこちで起こっております。選挙も各地で行われており、そしてまた、それぞれ国際会議がまた近々行われるわけでございますけれども、世界から日本のことをどう見られているかというと、それこそ決められない政治。

 これについては、我々も今回協力いたしまして、特例公債法等、積極的に、決められない政治にならないように協力をしているところでございますけれども、今の政権は交渉相手にあらず、このように見ているのではないか。つまり、ロシアの方も、それから、これから伺いますけれども北朝鮮にしましても、この野田民主政権は交渉相手にあらず、このような考えでいるのではないか、そのようなことを思わざるを得ません。

 非常に日本が軽視されている。それは野田民主政権であるからであって、この次の政権をにらんで、既にさまざまな接触等々がある。つまり、長く居座ることにおきまして、世界の中で日本が決めなければならないことがどんどん先送りされている。このことを私は明確に申し上げておきたいと思っております。

 逆に言えば、交渉相手にはならないけれども、しかしながら、脇が甘いから、この際、いろいろやってしまおうというような動きもなきにしもあらずだと思います。世界情勢というのはそれほど冷徹なものだ、このように思っております。

 そういう中で、今週モンゴルで、久しぶりにといいましょうか、北朝鮮との局長級の政府間協議が行われる、このように聞いておりますけれども、何人目になるんでしょうか、八人目の拉致担当大臣は官房長官ですね、これについて教えてください。

藤村国務大臣 今御質問の件は、日朝政府間の協議ということであります。

 先般、八月末に課長級の予備協議を行いました。これを受けて、そのときに、より高いレベルの協議を開催すべくということでの合意があり、その後、時間がたちましたが、調整をずっと行ってきました。今般、日朝政府間協議を、これはより高いレベル、すなわち局長級ということになると思います、モンゴル・ウランバートルで開催することになると思います。

小池委員 さて、そこで、最近、蓮池薫さんの「拉致と決断」という本が大変なベストセラーになっております。拉致問題、蓮池さんを含む五名の方々が帰国をされましてから、私も空港にお迎えに行ったことをきのうのように思い浮かべますけれども、でも、ああ、もう十年もたってしまったんだ、そういう思いでいっぱいでございます。この拉致問題は、決して終わったわけではなく、何も終わっていないと言うべきかと思います。

 そこで、今回の日朝間の協議も一つの前進と捉えたいわけではございますが、最近の情勢を見ておりますと、気になることが幾つかあるんです。それは、終戦前後に北朝鮮で亡くなられた方々の御遺族によります墓参団が訪朝をされておられます。今月も別の訪朝団が墓参のために北朝鮮に訪問されるということを聞いております。大切な御家族を慰霊するということは喜ばしいのでありますが、相手は北朝鮮でございます。

 御遺骨の問題を日本政府と共同調査する、それが北朝鮮のまずは目標である、このように聞いております。ちなみに、この御遺骨の収集の経費として、一柱三百万とか四百万円コストがかかると言って要請しているということを聞いておりますが、その真偽はいかがなものでありましょうか。

藤村国務大臣 まず、八月の、先ほど申しました課長級協議、これは、その前段に日赤間での遺骨の問題が起こったことから、そこからそれぞれの政府に対して、外務省同士でそれではもう少し広い協議をということでの八月末の課長級レベルの協議が始まったということでございました。

 それから、墓参のためのことについては、例えば、八月二十八日から九月の六日までは全国清津会の会員四名が訪朝したとか、その後、九月二十八日あるいは十月二十四日、十一月二十日と、きょうまでで知る範囲では四つのチームが遺骨の、墓参のための訪朝はされている。

 ただ、今御質問の、遺骨の一柱がどういう費用でどうとかという話は一切ございません。

小池委員 アメリカが、朝鮮戦争で行方不明になった米兵の遺骨収集、九三年に合意をしまして、約二百二十柱アメリカに送還をされたところであります。そのときの収集費用として、日本円にいたしますと約二十二億円、ドル換算が難しいところではありますが、ドルで言うならば約二千八百万ドルということでありまして、これで、ある意味、北朝鮮からすれば、遺骨問題というのは金になる、このように思っても不思議ではない。

 そしてまた、いろいろな調査がございますけれども、北朝鮮で亡くなられた方、その御遺骨の数、特に未帰還遺骨数が約二万一千六百柱、このようにされているところでございます。北朝鮮が今後、その遺骨収集のコストを要求してきたときは、これを単純に計算いたしますと、先ほどの三百万だ四百万だと、四百万といたしますと約八百億円の、これはある種のビジネスになるということでございます。また、その間に開発ができないから何たらかんたらといって、利益が逸失してしまうということで、またそこに上乗せをしてくるなどということは平気でやりかねないということでございます。

 北朝鮮のもくろみとすれば、遺骨の共同調査、そしてその上で、拉致被害者ではなくて失踪者の問題、失踪者の共同調査に入っていく、そういう流れをつけるのではないだろうか。中井委員長、非常に真剣に聞いておられますけれども。つまり、拉致被害者を失踪者問題に置きかえるというのが北朝鮮のもくろみである、このように考えていいと私は思っております。よって、遺骨問題と拉致問題は切り離して行わなければならない。

 拉致問題と遺骨問題は別物であるという認識を担当大臣はきっちりとお持ちなのか、確認させていただきます。

藤村国務大臣 まず、今、遺骨問題のことをしっかり取り上げていただいているんですが、これは先ほど申しましたように、日朝の赤十字間で話が始まり、ある意味では民間レベルでのやりとりが今ある、こういうことであります。

 日朝の政府間協議においては、これは八月の終わりの課長級協議の最後のところで、次回行う議題としては、双方が関心を有する事項を議題とし、幅広く協議することになっておりまして、当然、日本側として、拉致問題を含めた双方が関心を有する事項について幅広く協議をし、前進を図りたいと考えておりますが、特にこの中に何か遺骨問題が今ある、ないということではなしに、今度の局長級レベルでさまざまな議題が提示されるものと思っています。

小池委員 今、御答弁の中に、拉致問題を取り上げるという御答弁がございました。この拉致問題こそ、今我が国が解決しなければならない筆頭の問題であり、この問題がうやむやになるようでは、この日朝の政府間協議というのは全く意味をなさないもの、このようになると思いますが、もう一度お答えください。

藤村国務大臣 私どもも、今御指摘のとおりで、拉致問題が我が国の主権及び国民の生命と安全にかかわる重大な問題であって、政府として拉致問題を含む諸懸案の解決に向け努力するという考えにいささかも変わりはございません。

 そういう意味で、日本政府のこういった基本的立場に立って、また、先般、拉致家族の皆様方のお声も伺っておりますし、つい先日、スイスでもさまざま御発言をされておりますが、その拉致被害者御家族の気持ちというものを重く受けとめて我々としては協議に当たる、このように考えております。

小池委員 もう一つ確認しておきたいことがあるんです。

 北朝鮮に対する圧力として、人、物、金の遮断、これは私も何度も訴えてまいりましたし、それらの制裁が行われているところであります。そこで、総連幹部の再入国不許可というこの措置もあるわけですが、しかしながら、この協議の中で、北朝鮮側から総連議長の、個人名を挙げて恐縮ですけれども、許宗萬氏に対する再入国の不許可の解除が求められたといううわさがあるんですが、その真偽のほどはいかがでしょうか。

藤村国務大臣 北朝鮮との事前の課長級以降のやりとりについて、その中身について詳細を述べることはいたしませんが、先ほど申しましたように、いわゆる双方が今関心を持つあらゆる議題を提示して、次の、これは今週十五日、十六日になると思います、協議したいと考えております。

小池委員 何か中身のない答弁でございましたが、この総連議長の再入国不許可の解除、これをすることはないですね。

藤村国務大臣 まず、やりとりについて、詳細は今お話をしないということであります。

 それから、十五日、十六日の協議について、今予断を持って何かここで決めていることはございません。

小池委員 ということは、解除することもあり得るという話なんでしょうか。

藤村国務大臣 今から協議するわけで、何がある、何がないということを今ここではっきり申し上げるわけにはいかないと思います。

小池委員 いやいや、違うんですよ。政府としてのスタンスを聞いているわけです。

 再入国の不許可、これを解除するということは、制裁を和らげる、緩和するということにつながるわけですよ。ここは大きなポイントなんです。もう一度はっきりと答えてください。

藤村国務大臣 まず、今のお話は、制裁、圧力というところだと思います。しかし、一方で対話というものも必要であるし、これらを総合的に考えて、きょうまでもさまざまな制裁をしてきたと思います。

 そういう意味では、その協議、協議の場で、それぞれの場において総合的に判断をするべき案件だと思っています。

小池委員 それでは、この日朝協議で向こうの言い分だけ聞くという話になりますよ。そんなことであるならば、まず、政府間協議は私は取りやめるべきだと思いますよ。向こうの要請ばかり聞くような話では全然対話どころじゃない。一方的な話を聞くだけということでは協議になりません。

 もう一度、明確な答えがいただけるのなら御答弁いただきます。ないならない。

中井委員長 ないようですから、どうぞ。

小池委員 ないんですか。委員長がないようですと言っております。

中井委員長 いや、答えようがないようです。

小池委員 委員長もおられるので、ではあえて伺いますけれども、北朝鮮との協議の窓口で、前原前大臣が大変活躍をされました。大臣の秘書が北朝鮮の高官に接触したり、また最近は、参議院の有田議員も訪朝されているということでありますけれども、ツートラック、スリートラック、つまり二元外交、三元外交で、向こうに足元を見られているのではないだろうか、このように思うんです。

 まず、この松原前大臣の秘書が北朝鮮の高官を待ち伏せして会談を行ったというふうに聞いていますが、その真偽……(発言する者あり)そうですか。どうも北朝鮮となると間違えました。松原ね。ごめんなさい。

 これについて、松原前大臣の秘書が北朝鮮の高官を待ち伏せしていたという話があるんですが、その真偽のほどはいかがでしょうか。

藤村国務大臣 前担当大臣で松原大臣が、さまざまなルートを通し、北朝鮮とさまざまに連絡、連携をとっていられる。それらを総合的に集約するのが担当大臣のところであると思っています。

 それぞれの具体の話については、コメントは控えさせていただきます。

小池委員 要は、あちらで議員が、こちらで大臣の秘書が、もういろいろな動きをしているということは向こう側が全部わかっているわけでして、そこで何か手にとるようにわかるわけです。それは、日本の外交、そしてこの拉致問題の解決ということをむしろ阻害しているのではないか。

 ちなみに、参議院の有田議員が訪朝したということで聞いておりますけれども、これは政府との関係でいらしたんでしょうか。

玄葉国務大臣 有田参議院議員のお話でありますが、渡航自粛が出ているわけですから、行かれたということは大変残念だというふうに思っております。

 いろいろ暗躍をされている話がさまざま出ておりますけれども、率直に申し上げて、有田さんといわゆる日朝の政府間の交渉は何ら関係がございません。

小池委員 有田さんの訪朝についてもう一つ伺いたいんですけれども、遺骨収集の遺族会が正規のルートで有田議員の訪朝を打診したけれども断られた、にもかかわらず、そのルートを通り越して訪朝を打診して、北京で無理やりこの団体の、遺骨収集の遺族会ですけれども、北朝鮮行きに合流して、そして実際に北朝鮮に入国をされているわけなんですね。

 有田議員の入国ビザというのはどこが発行したのか、政府はつかんでいるんでしょうか。

玄葉国務大臣 これはあれでしょう、ビザの話ですね。それは……(小池委員「誰が出したんですか」と呼ぶ)北朝鮮が出したんでしょうから、その詳細について私は知りません。

小池委員 これは、単独でいらしているんですね。ちゃんと北朝鮮もビザを出しているということになるわけです。これは、はっきり言って一本釣りですね。こうやってみんな飛び込んでいく。それによって、いろいろと功名心もあるかもしれない、でも拉致のことを解決したいという一議員としての思いもおありでしょう。

 しかしながら、先方はそこをうまく使ってくるわけでありまして、あくまでも拉致問題については政府が一体化して当たっていかなければ、遺骨を盾にお金はふんだくられる、そしてまた拉致の問題は何ら解決しない、ただ時間だけは過ぎていく。私は、この状況は、蓮池さんの本を読むたびに、ここは本当に日本国としてしっかりと取り組まなければならない、そう思っております。答弁は結構です。

 もう一つ、今度は田中大臣に伺わせていただきます。

 新設大学の認可問題については後ほど馳議員がたっぷりと伺わせていただきたいと思いますが、ちなみに、今回、審議会が出してきた結論を大臣が覆されたという話だと思っておりますが、私はこれはだめだとは思わない。さもなければ、パラダイムシフトは起こりません。時には政治決断は必要だと思います。

 しかしながら、悪いけれども下手、もう少しやり方があるというふうに思いましたし、予定をしていた受験生たちは大変混乱をしたというふうに思います。だから、やり方があるんです、その審議会の結論を変えるということについても。

 その点はまず申し上げておきたいと思いますが、ここで田中文科大臣に私が伺いたいのは、朝鮮学校への無償化の話でございます。

 大臣は、十月ですから就任直後の記者会見になりますけれども、無償化の可否について、政治的な判断をする時期が来ているのではないか、このように御発言をされておられますね。朝鮮学校への無償化を進めていくおつもりなのか、ここで伺わせていただきます。

田中国務大臣 お答え申し上げます。

 朝鮮学校の審査ですけれども、現在、教員数とか校地とか校舎の面積、そのほかいろいろな、重大な法令違反があるかないか、従来からこういうことを言われていたわけですけれども、そういうことの基準の調査をしております。そのほかに、自主的な改善を促すようなことが必要かもしれませんし、教育内容につきましても慎重に今確認を行っているところでございますから、審査を終了するというところにはまだ至っておりません。

 したがって、今、右左ということは申し上げる段階にはございません。

小池委員 近いうちに解散・総選挙、我々は期待をしているわけでありますけれども、よく、人権救済法案もそうなんですけれども、どさくさでばっとやろうなどという考えはないですね、大臣。

田中国務大臣 どさくさとはどういう意味でおっしゃるのか、そういう手法は私はわかっておりませんので、お答えのしようがありません。

小池委員 いやいや、このどさくさ、これまでも、人権救済法案の先国会のやり方もまことにどさくさという、それが典型例だと。よくそのことを勉強していただきたい、このように思います。

 それから、朝鮮学校への無償化について、総連中央側は文科省にせっせと働きかけを行っていると聞いているんですが、どんな働きかけがありましたでしょうか。

田中国務大臣 平成二十二年の八月に、在日本朝鮮人総連合会、朝鮮総連ですけれども……(小池委員「最近のだけでいいです」と呼ぶ)これだけですよ。ちょっとお聞きください、落ちついて。群馬県の本部から要請文が来て、事務方が対応いたしました。

小池委員 大臣、それは事務方から最近のことを全然聞かされていないんですよ。

 ことしの十月中旬から、朝鮮高級学校生徒に対する高校無償化運用を実現するための三カ月集中戦ということで署名を集めています。そして、総連中央から文科省への派遣の指示、これが出ております。そして、十一月一日に文科省を訪問して、十万七千八百十二筆の署名が提出されている。そのことについて聞いていらっしゃらないんですか、大臣。いかがでしょうか。

田中国務大臣 そのことは聞いております。

小池委員 それでは、なぜ今、私の質問に対してそのことは最新の情報としてお答えにならなかったんですか。

田中国務大臣 もっと大きな質問をなさっていると勘違いしました。

小池委員 皆さん、ここからは眞紀子節を聞かせていただきたいと思います。

 先ほど、朝鮮学校の無償化についていろいろなチェックをしているということで、面積がどうだとか学校がどうだとかいう話がありました。後段の方、それはまさに小さい話でございまして、ポイントは、なぜこの朝鮮学校に対しての無償化はこれだけおくれてきたのか。そもそも何が問題だと思っていらっしゃいますか、大臣。

田中国務大臣 先ほど来るる委員がおっしゃっていたように、拉致の問題、これは本当に全国民が心を痛めている問題でありまして、小泉前総理やそれから当時の安倍官房副長官もわざわざ平壌にいらっしゃっても、解決ができずに今日まで来ているんですね。これは極めて深刻です。

 そして、おっしゃったように遺骨の話もありますし、朝鮮総連との関係もあります。拉致やら、それから、金一族の額がかかっているという話もありますね。そういう話もありますし、総連との関係もいろいろ言われていますので、あらゆることを、教育内容についてもしっかりと精査をして、国民がなるほどねと思うような状況にならないと簡単には判断ができないということを申し上げております。

小池委員 今のお答えでありますと、随分その調査に時間がかかると。近いうちに答えが出るようには思えないわけでございます。よって、この判断を下すのはうんと先になるというふうに理解をしたいと思いますし、また、するべきではない。

 なぜならば、朝鮮学校たるものは、朝鮮総連の管理下に置かれた学校でありまして、人事、給与、カリキュラムなどは朝鮮労働党の点検、指導を受けたものでありまして、朝鮮総連が決定をするのであります。教職員も朝鮮総連が思想教育をし、また、ことしの八月でありますけれども、ことしですよ、許宗萬氏が金正恩への忠誠などを朝鮮学校の教員などを集めてまさに指導したばかりということなわけでございます。

 これは政府の方針で決められるものでありますけれども、これに閣議決定が必要なのではないかと思いますが、これまでのお話を聞いていて、野田総理の考え方を聞かせていただきたいと思います。閣議決定は必要ではありませんか。

野田内閣総理大臣 先ほど文科大臣が御答弁をされた形で今精査をさせていただいているということでございますので、その精査の状況を注視していきたいというふうに思います。

小池委員 ここは政治の意思を持って、この朝鮮学校への無償化の話というのは、非常に国家としても、我が国の国家としての大きなメルクマールになるということでありますので、無償化を決定されるようなことがないように、何も担保もなしに、拉致問題も何もありませんというようなことなしに無償化をされることがないように、この点を明確にしていただきたいと思います。

 ちなみに、最近の北朝鮮情勢を見ておりますと、若き正恩第一書記がさまざまな活動をしておられる中で、また、私は、以前から、金正日氏の妹である、敬姫という実の妹ですね、彼女こそが実質的な後見人だと見ております。最近、健康不安説が出ているわけでありますけれども、これから北朝鮮は、いろいろな意味で大きな大きな変化が起きてくるのではないか。それがいつなのかといって、十年たち、二十年たちということでありますけれども、しかしながら、これからも北朝鮮情勢は注視をしていかなければならない。

 さて、最後に、ちょっと北朝鮮絡みで一言、防衛大臣に伺わせていただきたいと思います。

 これは、以前、私がこの予算委員会で取り上げさせていただきましたEMPという電磁パルスの爆弾でありまして、これは、弾頭の部分にこのEMP爆弾をつけてしまえばいいわけですね。そしてまた、大気圏で爆発することによって、いわゆる電磁パルスによって誘導電流が、過電流や過電圧でもってテレビだ、携帯だ、サーバーだ、パソコンだ、そしてそれは新幹線をとめ、ATMを壊しというようなことで、国内が麻痺するわけであります。北朝鮮に対しては、何ら意味のない武器になるわけであります。彼らは、ATMもないし新幹線も通っていない。だから、彼らだけが有効な武器になっているわけですね。

 私は、これに対して二年前に質問をいたしまして、防衛省の統合幕僚監部にサイバー企画調整官を置くということで、お話を当時の防衛大臣から伺いました。そして、システム設計の分を計上し、しっかり研究するという答弁があったんですが、では一体どうなったのか、一言お答えをいただきたい。

 そしてまた、明らかにこのEMP爆弾を載せたミサイルなり、飛行機でもいいんです、それが北朝鮮を出た、これはヒューミントであれ、情報、いろいろな解析がありますね、それでもって明らかに日本にやってくるということがわかっている場合に、法律上どのような対処ができるのか、森本大臣、お答えください。

森本国務大臣 EMP爆弾の内容については今議員の御指摘どおりなので、これについて説明を要しないと思いますが、この種の爆弾は、高高度で、例えば核兵器を爆発させる、あるいは、先生御指摘のEMPの爆弾をまさにほかのところに撃ち込んで、強力な電磁波を発生させて、その電磁波によって、過電流や過電圧で相手のいろいろなシステムを破壊するというものです。

 これは、我が国の防衛システム、特に指揮通信、情報機能に重大な影響を与える可能性がありますので、まだこのような爆弾が実現しているわけではありませんけれども、この問題については鋭意今まで研究をしてきました。

 特に、平成十五年から十八年にかけて、この爆弾に対する防護措置として実験を繰り返し、研究し、試作をして、少なくともこれを電子機器の防護措置によって対応できるという実験に一応成功し、これをどうやって装備化するかということについては現在検討中であります。

 なお、先ほどの統幕の話についてでありますが、この種のサイバー技術については、我が国としても、アメリカの戦略軍に自衛官を派遣して、いろいろな技術研究の連携を図るというつもりで現在調整中でございます。

小池委員 何か二年前と余り進んでいないような印象を受けました。

 韓国では、この件について約八十億円の予算をつけております。日本の危機管理という観点で、この点、また最近は、人のパソコンを使ってうちの自民党総裁、安倍さんも脅迫を受けたり、このサイバーの部分では、サイバー庁をつくるぐらいのそういう対策をすべきだ、こう思います。

 時間がございませんが、最後は、女性の力を生かすためにダイバーシティー促進法案なるものを準備しておりますので、女性の力を日本が使わなければだめということを一言最後に申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

中井委員長 小池先生、先ほどの米軍の遺体の引き取りに言われた金額は、私が聞いている金額と、一桁多いように思うんですね。

小池委員 ああ、そうですか。

中井委員長 もし資料をお持ちでしたら、理事会にでもお出しをいただければと。

小池委員 二千八百万。

中井委員長 僕の聞いているあれでは、トータルで二百万か三百万ドルぐらいというような話を聞いていますが。

小池委員 それは値切られたんじゃないでしょうか。

中井委員長 いや、違います。アメリカ軍が出したものと聞いていますが。

小池委員 はい、そうですか。参考にさせて……

中井委員長 二十二億というのは、ちょっと多いような気がいたしますので。申しわけありません。

 この際、竹本直一君から関連質疑の申し出があります。山本君の持ち時間の範囲内でこれを許します。竹本直一君。

竹本委員 自民党の竹本です。

 野田総理、きょうは本当に御苦労さんです。丸一日、近いうちにとは何かと、頭の中で今晩は寝言にまで出てくるんじゃないかと思うぐらい責められて、ちょっと気の毒な感じもするんですけれども。

 私はよくアメリカへ仕事で行くんですけれども、ワシントンでいろいろな向こうの政府の要人と会いますが、皆さん方が知っている人たちと会うんですが、この夏、消費税値上げで野田さんがいろいろやっているころは非常に評価が高かったですよ。えらい苦労をしているなと。我が国のパートナーが、日本が財政的にも健全化して経済的に強くなってくれないと非常に困るんだという話を三、四人の人から聞きました。それほど期待されていて、やっと、我々自民党も協力して、そして消費税値上げ法案が通過をしました。その後がよくないですね。後がよくない。

 私は、国民に信を問うということをなぜしなきゃいけないかというと、何といっても、三年前の選挙のときには、消費税は値上げをしないということを御党ははっきり言っていたわけです。にもかかわらず、政権についたら消費税を値上げしてしまった。皆さん方に言ったこととは違うことをやるんだ、これで国民の皆さん、いいでしょうかという問い合わせをやはりしないといけない、主人公は国民なんだから。

 そういう意味で、それを何日も何カ月も後でやるということは国民に対する裏切りになりますから、やはり、事情が変わったのなら変わったという説明をして、その理解を得るのが責任者としての立場だと思うのが一つ。

 それから、八月八日、私の尊敬する谷垣総裁と、近いうちに解散ということを約束したじゃないですか。我々は、消費税の値上げと解散とは裏表の関係だ、一体の関係だと思っておったものですから、それが果たされないということは物すごく不満があります。谷垣さんをだましたような状態にいつまでも置かないでいただきたい。

 最後に、これが一番大事だと思うんですけれども、これだけ国際メディアにも、うそつき首相だとか、野田首相はうそをついているとか、延々と三カ月も四カ月も語られますと、日本というのはちょっと変わった国だ、うそがずっと続くんだ、うそが通用する国だと。これは、単に野田さんの信用を失うのみならず、日本の信用を失うことになると思います。ですから、早くやらなきゃいけない。

 では、早くがいつかと言えば、イン・ア・フュー・デーズ、イン・ア・フュー・ウイークスを過ぎました。イン・ア・フュー・マンスズも過ぎた。そうすると、前原さんがどこかでおっしゃったようだけれども、やはり年内に解散しないと、野田さんがうそをついたということを言われかねない。そういう意味で、私は、できるだけ早い解散を特に望みます。

 それでも特定の日は言えないとおっしゃるんであれば、きょうは時間を三十分余りいただいておりますけれども、どうしても、やはり閣僚の任命について、あなたの政治責任、どういう考えでこういう閣僚を選任してきたのかということをやはり聞かざるを得ない。申しわけないですけれども、聞かせていただきます。

 まず第一に、十月にIMF総会をやりました。あの招待状は、安住さんの招待状で出ていたんだと思います、財務大臣。そして、招待されたラガルド本人ですと来たら、違う顔、城島さんがいた、こういうことであります。これは大体、国際常識に反するんですよ。なぜこういうことをされるのかということであります。

 そして第二番目に、これからが本論になるわけでございますけれども、田中法務大臣、この方を任命されてから、たった三週間でこの人をやめさせました。なぜやめさせたんですか。対総理です。

野田内閣総理大臣 個々の閣僚についてのいわゆる人選については、これまでの実績であるとか政治経験などを踏まえて、総合的に私が判断をさせていただいております。

 IMF・世銀総会については、招致を決めたときの財務大臣は私で、そして招待状を出したのが安住大臣でありますけれども、これは、でも、まさに国として一貫性を持って対応して、四十八年ぶりの総会の成功に向けて全力を、城島大臣を中心にさせていただきましたし、それについてのホスピタリティーについては、各国から高い評価を得たところでございます。

 それから、田中前法務大臣については、私が任命をして、そして職責を最後まで果たし切れない状況の中でやめたということについては、これは私も任命権者として責任を感じております。後任の大臣も含めて、全力で職責をみんなで果たしていくように頑張っていきたいというふうに思いますが、直接おやめになった理由というのは、御本人から、健康の問題も含めていわゆる辞任の申し出があったということで、それを受理させていただいたということであります。

竹本委員 健康の問題も含めてとおっしゃったけれども、ほかはどんな問題があったんですか。

野田内閣総理大臣 健康上の理由をメーンに出しながらの、一身上の都合という形での辞表、届けだったと記憶しています。

竹本委員 一身上の都合というのは何なんでしょうか。

野田内閣総理大臣 あくまで、検査のために入院をせざるを得なくなったりした、健康の問題が最大の問題だというふうに思います。

竹本委員 田中さんは、私も商工委員会以来のつき合いなので、よく知っておりますけれども、いい方ですよ。だけれども、この方が、待望の大臣になれたのに、たった三週間。本人もなかなか辞表を書かなかったといううわさを聞いております。何かほかの理由があるんだ、健康上の理由じゃないと私は思っております。

 ですから、これはやはり、暴力団とのつき合いといいますか、何か仲人をされたとか週刊誌が書いていますけれども、そのことが表へ出てきて、これではまずいと思われたんじゃないんでしょうか。ほかの理由というのはそのことじゃないでしょうか。

野田内閣総理大臣 いや、あくまで、御自身は、報道で指摘されている部分については、記者会見で御本人なりの御説明をされたりもしていたというふうに思います。最大の理由は、やはり健康の問題だったというふうに思います。

竹本委員 三週間で一人かわりますと、今まで民主党が政権につかれてから六十二名の大臣が誕生している、そのように聞いておりますけれども、いずれにいたしましても、やはり部署によっては、余り短期間でかわるということは非常に対外的にも問題を生ずる。それはおわかりでしょうけれども、現実はそうだということを御認識いただきたい。

 さて、田中大臣と同じように、城島財務大臣が、ちょっと財務大臣に聞きますけれども、城島さんが地元神奈川十区の川崎の暴力団のフロント企業の人から選挙応援を受けていたと報じられておりますけれども、このニュースについて、総理はどう考えておられますか。

城島国務大臣 この記事は、お読みいただいたと思いますが、推測や伝聞の形で虚偽の事実を述べたものであり、私に対する著しい名誉毀損であるというふうに考えておりまして、弁護士とも相談をいたしまして、訂正及び謝罪文の記載等を求める催告書を内容証明郵便で既に出しております。その後、出版社から返事をいただきましたけれども、甚だ不十分な内容でありますので、さらに法的措置について検討中であります。

 真実はいずれ明らかになるというふうに思っております。

竹本委員 報道では、少し詳しく言いますと、二〇〇九年の総選挙の前に、元共産党の参議院議員を務められました筆坂秀世氏が広域指定暴力団の元組長の依頼でその組長と一緒に川崎まで来て演説をしていったんだ、こう言っておられるということであります。

 さらに、地元の川崎の暴力団のフロント企業の人がそこには応援に来ていたと書かれているんですが、このことは事実でしょうか。

城島国務大臣 そこに筆坂さんがいたことというか、初めてお会いしたのは事実でありますが、その内容については、私は、背景については全くわかりません。

 いずれにしても、今申し上げましたように、私は、政治家としての基本的な対応として、暴力団関係者といった方とのおつき合いは一切行わないというのを基本的な、重要な行動方針としておりますので、相手が暴力団関係者であることを知りながら何らかのかかわり合いを持つことは一切ありません。

竹本委員 もう一つ聞きますが、これも報道によればですが、川崎駅近くの決起集会で、その広域指定暴力団のフロント企業の人が同じ会場に城島さんと一緒にいた、こういう報道もされているんですけれども、この方と面識はありますか。

城島国務大臣 仮名による記事だと思いますので、そういう記事の内容について一々コメントする気はありませんが、いずれにしても、法的措置を考えておりますので、その中で明らかにしたいというふうに思っております。

竹本委員 マスコミからの質問状には、弁護士から、この方とは落選中にどなたかの紹介で会ったことはある、この方がフロント企業の人であるとは一切知らなかった、川崎に移って以降嫌がらせに悩んでいたという事実や筆坂氏に応援演説に来てもらった事実はないとありますけれども、いつ、どこで、誰からの紹介でこの方と会ったのか、本当に、筆坂氏の応援、あるいは弁士でも来てもらったことはないのかどうか。

城島国務大臣 先ほどから申し上げているように、仮名によるそういう週刊誌ネタでの御質問については、甚だ私としては心外であります。

 また同時に、筆坂さんとはその場で初めて会って、選挙応援の応援演説なんてものじゃありません。政治の話をされたというふうに記憶をしております。

竹本委員 筆坂氏はマスコミの取材に、選挙前に川崎まで城島さんの応援に行ったと言っているんですけれども、筆坂さんはうそをついているということでしょうか。

城島国務大臣 だから、選挙応援ということではないと思います。私は全く存じ上げない人ですし、そのとき初めてお会いしましたから。

 したがいまして、日本の政治の話を講演としてはされたんだと思います。

竹本委員 そうしますと、この雑誌、文春を訴えたり抗議したりはしないんですか。

城島国務大臣 だから、最初申し上げたと思います。内容証明つきの郵便で……(竹本委員「文春に対してやっているんですか」と呼ぶ)文春に対してやりました、もちろん。今法的措置を検討中だと最初申し上げたとおりであります。

竹本委員 もう一度聞きます。

 熊田氏はマスコミの取材に、昔から城島さんを応援している、一生懸命応援していると答えています。今までこの人とは何回面識があるのか。

城島国務大臣 熊田さんとやらは私は知りません。その仮名の方は私はわかりません。

竹本委員 この城島大臣の広域指定暴力団との深いつながりは、政治家としてなかなか許容されるものではないと考えます。この問題について事実確認を行う必要があると私は思いますが、筆坂氏をこちらに呼ぶことを理事会で諮っていただいたらどうかと思います。いかがでしょうか。

中井委員長 竹本委員にお願いをいたしますが、十数年前から各種委員会では週刊誌の記事だけでの質疑はなしということになっておりまして、それは自民党が政権をとっているときも……(発言する者あり)いやいや、そういう経験で私どもは過ごしてまいりました。今の御質問が週刊誌以外に資料がおありなら理事会で検討させていただきますが、今の御質疑が週刊誌の記事のネタということだけであるならばなかなかお諮りしにくいということも申し上げなければなりません。

 質疑をお続けください。

竹本委員 この問題については引き続きいろいろ質疑させていただきます。

 田中けいしゅう前法務大臣は三十年前の件で事実上引責辞任しております。城島大臣の場合は二〇〇九年の話であり、さらなる責任があるんじゃないか、私は道義的な責任があるんじゃないかと思います。仮にそれが報道であったとしても、そういううわさが立つということはいかがなものかと思うんですが、いかがでしょうか。

城島国務大臣 先ほどから申し上げましたように、伝聞や推測をもとにした記事でありまして、甚だ名誉毀損に当たると思っております。今委員長もおっしゃいましたけれども、そういう記事のもとでこうして質問されることは非常に心外です。

中井委員長 竹本君、理事会へ御党からお出しいただいたらそれは協議いたしますが、私のような基本的な方針があるということも御理解くださいと申し上げております。

竹本委員 はい、それは了解です。

 いずれにしろ、政治家はやはり、暴力団とつき合いがある、事実あるかないかもわからない、だからそれははっきりさせた方がいいということを私は申し上げているんです。あると言っているわけじゃないですよ。そういう報道がされたということが問題があると言っているんです。

 平成十九年一月二十九日の本会議の質問で、御党、当時は民主党ですけれども、小沢一郎氏が本会議でこう言っています。「今話題になっている国務大臣、与党の役員、また、野党とはいえ私を含めて、」これは小沢一郎氏のことですよ、「この際、責任ある立場の政治家はすべて、少なくとも事務所費については詳細を公表することにしたらいかがでしょうか。」こういうことをわざわざ言っておられます。

 このように、事実がどうであろうと、どうであろうとというか、要するにうわさが立てば、こういうことですから私は潔白なんですよということをやはり示すのが政治家の責任だということを私は申し上げたいわけであります。おわかりでしょうか。

中井委員長 今、事務所費ですか。城島君に質問ですか。

竹本委員 いや、これは事務所費についてですけれども、要するに……(発言する者あり)ちょっと黙っていなさいよ。疑惑をかけられたらそれを明らかに、そうでないんなら、ないということをはっきり言う必要があるんじゃないでしょうか、それが政治家の責任だろう、どう思いますかということを言っているんですよ。

中井委員長 竹本議員、わかりました。理事会へまた御党から御提出をいただくということは結構ですが、この際、そういう基本的な御質疑に対して総理から答弁いたします。

野田内閣総理大臣 政治家は本当に脇を締めていかなければいけないとは思います。ただし、報道があって、それが事実かどうかということはわからないんです。明確に先ほど城島財務大臣は否定をされています。明確に確信を持って否定をしていまして、名誉毀損を含めて法的措置もとろうとしているんです。その報道をベースにずっと御質問されたり理事会で協議をしろという御要求というのは、ちょっと飛躍があり過ぎると私は感じております。そのことは、私は、竹本先生は本当はこういう御質問に向いていない方だと思うので、余り無理をなさらない方がいいかと思います。

竹本委員 いや、それは、筆坂氏の問題については理事会で協議してくださいということを申し上げただけであって、もう一つは、政治家は疑惑を吹っかけられたら、やはりそうではないという証明をした方がいいので、そうする責任があるだろうということを申し上げております。

 次に進みますが、事務所費の問題でございます。前原大臣にちょっとお聞きします。(発言する者あり)ちょっと静かにしてください。礼儀でしょう。

 前原大臣の事務所費問題に関して申し上げますが、まず、前原大臣の政治団体、まえはら誠司東京後援会が平成十六年から二十二年に総務省に届け出た政治資金収支報告書において、主たる事務所を秘書の自宅マンションとして届け出ておりますけれども、当該住宅に住む秘書の妻は、報道各社の取材に対し、事務所としての使用を否定している。住んでいる人が事務所として使っていないと説明しているにもかかわらず、大臣は、事務所としての実体があるとしておられます。これはどういうことなんでしょうか。

前原国務大臣 お答えいたします。

 私の東京後援会というのは、年に一回のパーティーを行う、これは資金集めのパーティーでございますけれども、行う後援会でございまして、そして、その企画立案、チケットの販売、資金の回収、そういったものをしてくれるのは、今先生がお尋ねの、長年、十六年余り、私の秘書をしてくれている秘書の自宅に置かせていただいているということでございまして、私は、立派な実体がある、主たる事務所であるという認識でございます。

竹本委員 収支報告書を見ますと、家賃の計上がないんですけれども、家賃相当額を寄附として記載する必要があるんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。見ておられますか。

前原国務大臣 私の秘書をずっとしてくれていて、給与を支払っているという関係でございます。そして、その中で、先ほど申し上げたようにパーティー券の販売等をやってくれているということの中で、これは、国会の議員事務所に置けないという申し合わせの中で、東京都の選管に問い合わせて、この自宅というものに事務所を置くということにいたしました。

 寄附とか、あるいは事務所費については請求もしておりませんし、寄附もいただいておりません。

竹本委員 まえはら誠司東京後援会の収支報告書を見ますと、平成十八年度分は、人件費、事務所費ともにゼロ円、平成十九年、二十年度分は事務所費がゼロ円だけれども、二十一年度分から急に事務所費が発生しております。年度によって大きく違うんですが、これはどうしてでしょうか、わかりますか。

前原国務大臣 お答えをいたします。

 平成十六年に事務所費を計上しておりますけれども、その前提として、先ほど申し上げたように、東京では資金を集めるパーティーをやらせていただいておりますけれども、例えば、チケットの印刷、発送、事務連絡、そして東京後援会の名簿の管理等々は京都事務所で行っておりまして、京都事務所に事業の、ある種、委託のようなことをやってもらうということの中で事務所費を計上させていただいているということでございます。もちろん、東京事務所でかかったものについても計上させていただいているということでございます。

 つまりは、東京後援会そして京都の事務所で重なって仕事をしているということの中で、当初、平成十六年には、宅配代、通信費について計上しておりましたけれども、新聞代、監査料等を計上しておりましたけれども、後援会ごとの明確な区分が容易でないことから、平成十七年以降の計上は控えたということでございます。

 平成二十一年以降について御指摘がありましたけれども、これは、監査の御指導等もありまして、新聞代や監査手数料など、まえはら誠司東京後援会のための事務所費として明確なもののみ計上することになったということでございます。

竹本委員 ちょっと細かいんですけれども、組織活動費についてお聞きします。

 十八年度から二十年度までの組織活動費が多額であるにもかかわらず、一切、詳細が書かれておりません。これは五万円以上の支出は書くことになっているんですが、全てがそれ以下の支出なのかどうかということ。それまでわからなかったら結構ですけれども。

前原国務大臣 法律にのっとって処理をしていると思います。

竹本委員 次に、人件費について聞きます。

 人件費として、平成十九年に百三十八万円、二十年に二百五十九万円、二十一年に二百五十五万円、二十二年に二百四十万円を計上しておりますけれども、給与として少ないんではないかというふうに思います。一年間ですからね。誰の人件費なのか、そのように思います。

 また、光熱費が毎年ゼロですけれども、これは電気も使わず水も使わないで事務所の活動をしていたということなのか、ほかに計上しているのか、わかればお答えください。

前原国務大臣 お答えをいたします。

 まず、光熱水費については、先ほどの事務所費と同じでございまして、平成十六年に計上いたしましたけれども、京都事務所に業務を委託しているということでその配分というのが非常に難しいということで、平成十七年以降は計上していないということでございます。

 それから、人件費につきましては、まえはら誠司後援会の活動にかかわる人件費として、アルバイトも含めて人件費としてかかったものを計上させていただいております。

竹本委員 平成二十一年度の収支報告書ですけれども、交通費として新幹線代一万八千百六十円が大量に計上されているんです。これはどうも東京とお住まいの京都との新幹線グリーン代だというふうに思うんですけれども、これはどなたがお使いになったのか。前原さんが使うんならパスがあるからそうではない、ほかの方だと思いますが、これはどうしてなんでしょうか、秘書の方ですか。

前原国務大臣 事務所の人間も行き来をしておりますので、そういったものが計上されているのではないかと思います。

竹本委員 いや、僕らの感覚だと秘書もグリーン車に一緒に乗せるというのはすごくぜいたくだなと思うものですから、あえて聞いたんですが、いかがですか。秘書ですか、どなたですか、これは。

前原国務大臣 いつのどのチケットかというのは今の御質問ではわかりませんので、秘書も含めて東京と京都は頻繁に行き来をしておりますので、それの計上だというふうに思います。

竹本委員 領収書のことについてちょっとお聞きします。パネルを用意いたしました。ちょっと見えますかね。

 前原大臣の政治団体、まえはら誠司東京後援会は、二〇〇五年に総務省に提出した高額領収書について、受領額が三万円以上を超えているのに収入印紙を張っていない、さらに同一人物が書いたとしか思えない領収書があります。これは見ていただければわかりますけれども。さらには、ここに、一つの領収書にマールブランシ株式会社と書いてございますけれども、これは実在しない会社であります。

 このことは昨年の十一月十七日に参議院の総務委員会で片山さつき議員が質問しております。この件は、御存じでしょうけれども、その後どう処理されたのか、お聞きしたいと思います。

前原国務大臣 平成十九年十二月の政治資金規正法改正によりまして、平成二十年分以降の収支報告書の添付領収書等については、コンピューター等で書き写した領収書等は認めず、複写機にてコピーしたものに限るとの改正が行われました。ですから、これは平成十九年十二月の政治資金規正法改正による平成二十年分以降でございます。

 今の指摘のこの領収書は、まえはら誠司東京後援会が平成十七年六月に実施した政治資金パーティーの会場費及び飲食代の支払いに関する領収書であり、客観的に支払いの事実が認められることから、市販の領収書に手書きにて正確な事実を書きとめ、収支報告書の添付書類として提出したものであります。

竹本委員 この領収書は全部筆跡は同じなんですけれども、誰が書いたんでしょうか。

前原国務大臣 先ほど申し上げたように、平成二十年以降は領収書の実物をコピーして添付をしなくてはいけないということになっておりますけれども、それ以前についてはそれ以前のことでございますので、事務所に聞きましたら、振り込みをした、振り込みをして、それについての領収書をとるという時間がなくて、そしてそれを書いたということでございます。

竹本委員 原本の確認はされたんでしょうか。覚えておられますか。(発言する者あり)

前原国務大臣 偽造ではありません。

 なお、それについては、振り込みの確認は、その振り込み用紙で確認をしております。

中井委員長 前原さん、もう一つ、このマールブランという会社はないという御質問だった。これに対してお答えください。

前原国務大臣 マールブランシュというのはお菓子屋さんの名前でございまして、株式会社の名前はロマンライフでございましたので、書き写したときに、恐らくそのことで間違って書いたんだと思います。

竹本委員 間違えたのかもしれないけれども、確認はこのケースについてはされたんでしょうね。

前原国務大臣 振り込み用紙によって確認をしております。

竹本委員 ニューオータニに聞きますと、こんな領収書はニューオータニとしては使わないと言っておりますし、領収書の日付のこの日は株主総会が行われておりまして、このような会は開かれていなかった。本当にニューオータニで使った金額に対する領収書なのか、こういう疑念が湧いてくるわけですけれども、これについて説明がありましたら、してください。

前原国務大臣 事実関係を申し上げたんです。つまりは、法改正ができるまでは、そのコピーの、写しでなくてもいいということから、事実関係を手書きでも写して、そっちを添付するということであります。

 そして、何度も申し上げているように、この入金書、振り込み用紙について、私は確認をしております。

竹本委員 ですから、これは誰かの筆跡で、同じ人が書いたものだと思います。

 現実に支払いがされておるなら、それは問題ない。しかも、制度が変わりましたからあれですけれども、もう一回聞きますが、確認をされたんですかということを聞きたいんですよ。確認をして、この会の領収書をつくるんなら、それは理解できるんですけれども、そこなんですよ。

前原国務大臣 予算委員会の理事会のお話の中で書類を提出しろと言われたら、提出をいたします。つまり、振り込み用紙の控えは残っておりますので。平成十七年ですから、三年が保存期間ですから保存期間を超えておりますけれども、この振り込み用紙は残っておりますので、もし必要であれば、それは提出させていただきます。

竹本委員 そういうふうに言っておられますので、ぜひ理事会で御協議いただき、提出をしていただきたいと思います。

中井委員長 理事会で協議いたします。

竹本委員 六月二十二日、日付がこれは違うんですよね。だから、払った日と開催した日と日付が違うのか、これはどうして違うのかということです。

前原国務大臣 先生のおっしゃるとおり、これは振り込みの期日です。御利用明細書というのを見ますと、六月二十二日に事務所で振り込んでいるということですので、振り込んだ日を書いているということで、開催の日とは違います。

竹本委員 少し細かいことまで聞きましたけれども、いずれにしろ、八月八日、近いうちに解散すると言いながら、ずっと三カ月以上解散しないでおる。その間に閣僚がどんどんかわる。そして、現在いる閣僚についても、事実ではないかもしれないけれども、いろいろな報道がされる。これはやはり国民に信を問わなきゃ、政治への信頼が持続できないんだろうというふうに私は思うんです。

 ですから、私は、閣僚の皆さんがこのいろいろなお金の使い方についてきっちりと説明をして、そして信頼を継続しながら、約束でありますから、近いうちの解散を年内にされるのが総理大臣としての務めだし、冒頭言いましたように、やはり、これを長引かせるということは、日本ではうそが通るのか、こういうことになりかねません。ですから、ぜひここは真剣に考えて、年内解散を強く要求いたしまして、私の質問を終わります。

中井委員長 この際、馳浩君から関連質疑の申し出があります。山本君の持ち時間の範囲内でこれを許します。馳浩君。

馳委員 自由民主党の馳浩です。

 きょうは、田中眞紀子大臣に、三大学新設不認可問題について、そして朝鮮高校に対する高校無償化、支援金の支給の問題について質問いたしますが、まずその前に、先ほどからお話ありました、十五、十六と、モンゴルのウランバートルで局長級協議が行われますので、少し確認したいことがありますので、三点ほど伺います。

 まず、第一点です。

 きょうは杉山局長は来ておられますか。今、平壌に寺越武志さんという日本人が在住されていると思いますが、その確認は外務省はしておられますか。

杉山政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御質問のございました寺越武志氏については、現在、北朝鮮に居住をしているというふうに承知をしております。また、報道などによって、平壌の市内に居住しているというふうに聞いております。

馳委員 この寺越武志さんは、当然、邦人保護の対象ですね。

杉山政府参考人 重ねてお答えいたします。

 寺越武志氏は日本国籍を有している者でございますから、一般的に言って、邦人保護の対象に当然になるというふうに考えております。

馳委員 ちょっと体調を崩されておりまして、お母さんが石川県金沢市に在住でありまして、直接伺ってまいりました。もし、日本で一時帰国をして検査をしたい、こういう申し出があった場合に、外務省としてはどのような対応をおとりになりますか。

杉山政府参考人 ただいま委員御指摘の寺越武志氏のお母様のお気持ちは、私どもも十分伺っております。そういうことも踏まえて適切に対応しなければいけないと思いますけれども、ただ、日本国籍を有していることから、先ほど申し上げましたように、一般論として、邦人保護の対象になる。御本人がどういう意思で、どの時点で、どのような形で一時帰国をしたいかということなどを踏まえて、日本政府として適切に対応していきたい、そういうふうに考えているところでございます。

馳委員 次の質問です。

 十一月十二日、きょうから、日本体育大学の学生と関係者四十六名が平壌にスポーツ交流に入りました。団長は松浪健四郎理事長でございます。このことを外務省として確認し、対応しておりましたか。

杉山政府参考人 ただいま委員から御質問がございました、日本体育大学の学生を含む一行がスポーツ交流を目的に北朝鮮に渡航することになっているということは、事前に外務省として直接伺っているところでございます。

馳委員 ここで玄葉外務大臣に御登場願いたいと思います。

 十五日、十六日と、局長級協議が開催されます。その当事者が今の杉山さんです。寺越武志さんの問題、日体大のスポーツ交流の問題、これは一つのトピックスではありますが、この時期に日体大のスポーツ交流を受け入れたということは、ある意味でのメッセージでもあると私は思っています。

 そうはいうものの、今、日本の国内の政局がこういう状況の中で、局長級協議に臨む毅然とした対応というものは国民のみんなが望んでいると私は思います。当然、拉致の問題についても議題として上げてもらわなければなりませんし、一歩でも二歩でも進展を求めたいと思っています。

 こういった状況を踏まえて、日朝局長級協議に臨む司令塔である大臣の見解を伺いたいと思います。

玄葉国務大臣 まず、冒頭、大学の交流の受け入れについては、あえて北朝鮮の意図をここでそんたくして私が申し上げることは控えたいというふうに思います。

 その上で、日朝双方とも関心を有する事項について協議をします。おっしゃるとおり、我が国にとっての最重要課題、これは拉致、核、ミサイルを包括的に解決していくということでありますから、拉致の問題が重要な問題であることは言うまでもないことでございます。

 先ほどの小池委員の質問で、まるで何か遺骨の問題の見返りに我々が金を払ったかのような質疑がございましたけれども、そのようなことはございません。我々として、遺骨の問題は遺骨の問題として人道上の重要な問題、しっかりこれはこれとして扱っていかなければならないし、また、あわせて、双方が関心を有する事項について何とか前進を図りたい、特に拉致の問題は前進を図りたいんですが、簡単ではないと思っています。やはり、一回だけでは終わらないというふうにも思っています。粘り強く対応していくことが非常に大切だというふうに考えておりますので、そういった対処方針で臨みたいというふうに考えております。

馳委員 実は、日体大スポーツ交流の団長の松浪健四郎理事長、実は私も日体大の理事をしておりまして、もう半年前からこのことは存じておりましたが、私は政治家でありますので、一切口を出しませんでした。日体大創立百二十周年記念事業ということだそうであります。

 記者会見をされまして、田中眞紀子文部科学大臣、ここをちょっとお伺いしておきたいんですよ、松浪理事長は、二〇二〇年東京オリンピックを招致するに当たって、我が国が近隣国とスポーツ交流も含めて断絶のままでよいはずがないという、とりようによっては極めて踏み込んだコメントを残しておられます。

 昨年成立をしたスポーツ基本法では、こういった国際的なオリンピックの招致については、今現在、政府の国策として支援をするというふうな対応となっています。今回、北朝鮮に、日体大のスポーツ交流で四十六名の学生さんがきょうから五日間入っているんですよ。日朝局長級協議が行われるとなった後に、こういう連絡があったそうですよ。それまでは、サッカーの試合は二、三百人しか入らないグラウンドだったのに、急に、数万人入るスタジアムで、日本選手団も応援するという約束を取りつけて行ったそうであります。私は、何らかの北朝鮮当局のメッセージを感じざるを得ませんが、そのことは、大臣が今おっしゃったとおりです。

 田中大臣、東京オリンピックの招致に向けて、こういったスポーツ交流についてのコメントをいただきたいと存じます。

田中国務大臣 スポーツの交流を図るという意気込みは評価できます。しかし、国際的な招致活動は、解禁になるのは来年の一月以降というふうに承知しておりますから、慎重に配慮されてもよかったというふうに思います。

馳委員 では、きょうの本題に入ります。

 大学設置審議会、十一月一日から話を始めたいと思います。板東久美子高等教育局長にお伺いいたします。

 大学設置審議会の方から答申が出ましたが、新設を求めていた三大学は認可相当という答申が出たことに間違いはありませんね。

板東政府参考人 お尋ねがございました三大学につきまして、大学設置・学校法人審議会の十一月一日の答申におきましては、認可相当ということで答申が出ているところでございます。

馳委員 十一月一日、報道によると、野田総理、藤村官房長官、田中眞紀子大臣が記者会見でおっしゃっておられますが、この問題について、認可をしない方針を一日の日に聞いておられて、それはよいことだ、そのまま進めてよいというふうにおっしゃったそうですね。間違いありませんね。

 野田総理と藤村官房長官にお伺いいたします。

藤村国務大臣 今おっしゃる十一月一日の日に、田中文科大臣から事前に、大学の設置認可のあり方というものについてお話を伺いました。まず、ここへ来て今、十八歳人口が大幅に減ってきている中で、しかし、このところ一・五倍ぐらいの……(馳委員「何と答えたか」と呼ぶ)こういうお話をしました。

 ただ、それ以上の細かい大臣とのお話は控えたいと思いますが、具体的に、何か設置のことを私、お伺いはしておりません。大きなそういうお話は伺いました。

馳委員 官房長官は、大変結構だ、私もそう思っていた、不認可の方針についてそういうふうに述べたと田中眞紀子さん本人が記者会見でしゃべっているんですよ。いいかげんなことを言っちゃだめですよ。

藤村国務大臣 ですから、今申し上げた幾つかの点をお伺いしました。そのことは、特に設置審、審議会のあり方等について、田中眞紀子大臣に私は同意をいたしました。

 しかし、大学の質の向上の観点からの設置認可のあり方に関する大きな方向性を、お考えを伺ったので、個別のお話は伺っておりません。

馳委員 今、同意をしましたとおっしゃいましたね。

 野田総理、総理は、そのまま推し進めてくださいとおっしゃったそうですね。田中大臣が記者会見でしゃべっておられます。そのまま推し進めてくださいとおっしゃったんですね。確認します。

野田内閣総理大臣 私が田中文科大臣から今御指摘のお話をお伺いしたのは、衆議院における所信表明演説の前か、その後の代表質問の前だったと思います。いずれにしても、一時からの本会議の前の議長応接室で、いわゆる登壇をする寸前にお話がございました。

 そのお話の内容というのは、やたら大学をふやせばいいというものではなくて、これは大学の質の問題とあわせて考えなければいけないという大きな方向性についてのお話がございまして、それはそのとおりのお考えで進めてくださいと申し上げました。

馳委員 これは、私も田中眞紀子大臣とは長いおつき合いですが、自分の言いたいことをばあっとしゃべって、中身を確認しないでぱっと次のところへ行っちゃったりする傾向がありました。そういう類いのことだなというふうに私は今理解をしました。

 十一月二日のことを聞きます。

 板東局長、三大学に対して、認可はできないという電話をされましたね。確認をします。

板東政府参考人 十一月二日の大臣が記者会見でお話をされた後に、三大学に、申請者の代表でございます市長あるいは理事長に電話連絡をさせていただきました。

 そのときに、先ほどお話がございましたような、現下の大学の情勢、現在の審査の基準のもとでは大学の新設について認めることはできないということでお伝えをさせていただきました。

馳委員 笠副大臣にお伺いいたします。

 十一月二日、田中大臣が記者会見をされたことで初めて三大学の不認可の方針を知ったそうですね。これは間違いありませんね。

笠副大臣 間違いありません。

馳委員 では、前原前政調会長でございました、今は戦略担当大臣ということからでも結構ですが、田中眞紀子文部科学大臣の大学教育のあり方に対しての問題意識は全党が共有しているんです。このことは先週の文部科学委員会で確認をしました。

 ならば、何で党内の部門会議などで、あるいは政調会長である前原さんに対して、事前にこの御意見を開陳し、党として協議をし、政府に対する申し入れをしなかったんですかということを私は先週申し上げましたが、前原前政調会長は、大学教育のあり方について、以前から田中文部科学大臣に、こういう問題意識を持って、聞いて、党の部門会議で協議をしたことがありましたか。

前原国務大臣 我が党の政策調査会の中身を若干御説明しますと……(馳委員「いや、短目に」と呼ぶ)短くします。

 各役所ごとの部門会議というのがございまして、例えば文科部門会議、私が政調会長のときは鈴木寛参議院議員が座長をされておりましたけれども、そこにお任せをして、そして、そこでおまとめになったものについては直接役所とやられるということでございまして、法案審査とか予算あるいは重要な政策などのことについては政調役員会には上がってまいりますけれども、それぞれの部門会議の議論というのはそれぞれの部門会議でやっていただくということになっております。

馳委員 部門会議で十分な議論をしていなかったということは、先週の文部科学委員会でも確認をしておるんです。

 そこで、十一月六日になるんですが、突如として、新しいルール、新しい基準で再審査をすると大臣は記者会見をされ、そして、前川官房長がこういう記者会見をされたんですよ。電話で連絡はしたけれども、文書で通知をしていないので、不認可という処分はしていないという記者会見をされました。これは詭弁以外の何物でもないと私は思っていますが、これは事実ですね、前川官房長。

前川政府参考人 十一月六日の時点でのお話でございますが、十一月六日の時点におきましては、大臣によります不認可という行政処分の決定はなされておりませんでした。

馳委員 そして、大臣、十一月七日の文部科学委員会に入るんですよ。

 あのとき、我々野党は一致して、大臣の立場を配慮しながら私も質問させていただきましたが、あのとき田中大臣は、新しいルールのもとで、新しい基準のもとで再審査をするんですと言い張りました。私は逆に、こう言って助け船を出しましたよね、そんな、いつまでも突っ張っていてはだめです、三大学に訴訟なんかさせてはだめですと。今のルールで、現行制度にのっとったルールで審査をした上で、大臣の問題意識は共有をしていますから、それは中教審に諮問をし、しっかりとした議論を、与野党を巻き込んだ大きな議論をすればいいじゃないですかと言いましたが、大臣、あのときの答弁は最後まで、新しいルールにのっとって再審査をすると言い張りました。しかし、その後、私に対する答弁の四時間後に、大臣答弁を川内委員長から促されて、現行制度にのっとり対応するというふうに答弁をされました。

 まず、私に対して、あのときの答弁を撤回し、謝罪をしてください。私は、大臣に対して助け船を出したじゃないですか。

田中国務大臣 馳先生とは、おっしゃられるほどそんなに親しい関係かどうか、私と認識が違っていることが一つ。

 それから、今回のことも、時系列でちょっと思い違いがおありになるのではないかと思いますので、指摘をさせていただきます。

 今回のことは、この内閣が十月一日に発足いたしまして、十月の二十六日の日に、大学の新設に対する許認可があるということを高等局長から聞きました。それまで、そういう役所のカレンダーといいますか、春夏秋冬、お正月があって、おひな様があって、お節句があってみたいな、そういうものはわからずにおりまして、十月二十六日で、三十日か三十一日にはもう認可なんだと聞いて、びっくり仰天しました。

 それで、私は、もうずっと最初から、文部省の問題で、ずっとこの国会議員をやっていながら一番感じていたことは、非常に大学が乱立しているということを、二〇〇二年の規制緩和から始まって、教育に規制緩和というのはなじむのかどうかということをずっと問題意識として持っておりまして、特に、毎日のように大学の経理、この間の参議院の委員会でも実は問題を自民党さんから出されて、解決していない問題もあるんですけれども、大学の経理、運営上の困難とか、それから倒産をしているところでありますとか、たくさん、枚挙にいとまがないほど、毎日、文科省に報告が来ています。それが一つ。

 それからもう一つは、やはり大学が補習を生徒に対してしなければいけないほど学力が低下しているということ、これもしょっちゅう報道されていますし、企業やら、社会人となっても学力が不足しているということは、しょっちゅう指摘されております。

 また、財務省からも、大学の数を減らすようにという指摘も、会計検査院を通じても来ております。

 そういうことも勘案して、これはもうすぐに、今までと同じように申請があるものを文科相が全てやっていいと許可をするというふうなものはよろしいとは思いませんでした。

 そして、先ほどの官房長官と総理との関係ですが、私の記憶では、官房長官には、たしか十月の三十日の午後に、あの日は閣議が朝ございまして、その午後に伺い、そして三十一日、これは総理の記憶は正しいと思いますが、本会議があるその前に院内の議長応接室で御報告をしましたが、三校については具体名は触れておりません。三校よりも、十六の、新設ではなくて既設の、既にある大学が大学院をつくりたい、学部を増設したい、そういうものもありましたので、今皆様が三校、三校とおっしゃるけれども、たくさん不認可になった学校もありますし、途中でもう脱落するところもありますし、既設のものは認めているんです。しかし、新設については、これ以上また問題がふえたら困るではないかという意識でしたけれども、そういう細かいことは総理及び官房長官には申しておりません。

 短い時間なので、私が申し上げたことは、新設大学の許認可について見直しをしてみたいと思っていますがいかがでしょうかと伺って、結果が、官房長官や総理は、ああ、そうですかという話であって、具体的には、よくお聞きください、短くじゃなくて、大事なところですから、そういうことで進んできております。

 それからあとは、七日でしたか、この間の衆議院での、あれも撤回したとか気が変わったとかおっしゃいますけれども、あれだけ球を投げて、全党が、馳さん、御存じでしょう、とにかく大学改革、やらなきゃいけない、新設については慎重であるべきだ、基本は間違っていないと全党が言われたじゃないですか。だから、これでもって、議員立法でこれをやろうとしたら大変なエネルギーが要るんですよ。与党がやれば野党が反対し、役所が反対し、評論家が言い、議員立法というのは大変エネルギーがかかります。私は何本もやってきていますから。

 したがって、今回、これだけの議論をして、皆様が言いたいことを全部言って、そして、ちゃんと申し上げたじゃないですか、撤回をして、新しい制度をつくるということでもって、そして、この三大学については認めますと言って謝罪をしなさいと翌日、野党の党首か誰かがおっしゃったので、撤回をして謝罪をいたしました。

 ですから、結果的には馳さんが思うような方向になったんですよ。あなたの思うとおりになったんですよ。なったらよくなかったんですか。

馳委員 野田総理、ここまで開き直られると私は思っていませんでした。もう一回整理しますよ。

 文部科学委員会で私は、大臣のことをおもんぱかって、このままじゃよくない、訴訟になりますよ、行政訴訟に、賠償請求にたえられるんですか、現行制度のままで三大学については認可をしたらどうですか、それでいいじゃないですか、大臣の問題意識は我々も共有していますから、これについては大がかりな改革に向けてやろうじゃないですかと言ったのに、最後まで、新しい基準をつくって再審査をすると言って聞かなかったんですよ。最後に、川内委員長から発言を求められて、現行制度にのっとり対応するとおっしゃったんですよ。

 私に対する答弁を百八十度お変えになったんだから、あのときの私に対する答弁はもう撤回をして、謝罪をされたらどうですかと、私は今でも大臣に対してよかれと思って質問しているのに、何ですか、あの態度は。信じられないですよ、私は。

 もっと信じられないことを言いますよ。大臣は、謝罪をされた、されたと言っていますが、一番大事な方に謝罪していないんですよ。三大学に対してですよ。記者会見で謝罪をされたかもしれません。私にこの場で謝罪をしたくないというのは、感情的にはわかりますよ。しかし、ルールに基づいて答申が出て、認可を待っていた大学を混乱に陥れた。岡崎女子大学の場合には、十一月三日、四日と大事な指定校推薦の試験の日だったんですよ。できなかったんですよ。こんな混乱を与えておいて、三大学に対してまだ謝罪もしていないじゃないですか。

 とんでもない大臣を、野田総理、任命してしまったんですよ。だから、私はおさらいをしているんですよ。

 先ほどから答弁をされた、板東久美子高等教育局長、前川喜平官房長、笠浩史副大臣、おじぎ三兄弟と言われていますよ。大臣の立場を守るために、どうやってつじつまを合わせようかといって、夜も寝ないで頑張っていたじゃないですか。そういう仲間のことも考えてくださいよと私は水曜日に言ったじゃないですか。最後にちゃんと撤回をされて、三大学の認可をされました、一件落着という問題ではないんですよ。

 こういう方を大臣として任命しておいて、我々は、また同じことが、文部科学行政に対する信頼を失うことがまた起きるんじゃないかと思って、きょうは、ある意味で、大臣の名誉を回復させてあげよう、そんなぐらいの気持ちで大臣に質問したんですよ。何ですか、あの言いぐさは。

 野田総理、今のやりとりを聞いていてどう思いますか。本当に最適任の大臣なんですか。

野田内閣総理大臣 大学の設置についての認可をめぐる経緯を、御自身の気持ちも含めて、丁寧に先ほどは大臣は御説明をされたんだと私は思うんです。その間に馳委員がまさに善意からアドバイスをされたという経緯も、今のやりとりの中で私は初めて承知をいたしましたけれども、いろいろと関係者の皆様に御迷惑をおかけしたことについては、大臣もおわびをされております、会見を通じて。

 そういうことで、ぜひ御理解をいただくと同時に、ただ、大臣がお話しされたとおり、大学の質の問題とこの設置の問題とを絡めて、大きな方向感を持って教育改革をしていこうということについては、いろいろな曲折はありながらも、皆様と情報共有と問題認識ができたと思いますので、私は、大臣にはその方向感の中で引き続き職責を果たしていただきたいと考えております。

馳委員 何度も申し上げますよ。私は、先週の文部科学委員会においても、きょうも、この問題で質問に立たせていただいて、経緯を見れば見るほど、田中眞紀子文部科学大臣一人に文部科学省全体が振り回され、記者会見によって野田総理や藤村官房長官の名誉まで振り回されたんですよ。そういう報道じゃないですか。

 だから、私は、事実関係を確認しながら、田中大臣に、三大学については、特に受験を予定していてできなかった高校生、あるいは、就職するかどうか、でも三年生から編入しようといって準備していた方々に大変な不安を与えた、このことについて、直接三大学に出向いておわびをすることから始めるのが政治主導の信頼関係じゃありませんか。

 藤村官房長官、そう思いませんか。あなたは、何か大臣として間違ったことをされたとは誰も思っていないという、記者会見でこんな発言までされているんですよ。藤村官房長官ともあろう方が、この間の混乱を御存じないのかな。田中大臣の言い分ばかりうのみにしているのか、言いたいことも田中大臣に対して言えないんじゃないんですか。こんなことでは困りますよ。

 官房長官、もう一回、きちんとけじめをつけてくださいよ。

藤村国務大臣 今取り上げられた発言は、これは八日の日の会見でありました。

 ある意味で、一見、一通り、現行制度での認可も決められた。文科委員会においてさまざま議論があった。それから与党民主党の、さっきもありました文部科学部門、そこの方からもいろいろ意見があった。私もその間に、政務三役を通じて私なりの意見は申し上げた。それらを総合的に判断されての結論が出たということで、私はそういう発言をしたところでありました。

 ただ、その間に、大学の関係者、あるいは今、文科省も振り回したとかいうふうにおっしゃった、そういうことに対しては、御迷惑をおかけしたことについて、これは心からおわびを申し上げるということも表明をされたということであったと思いますので、それ以上はさっき総理が申し上げたとおりであります。

馳委員 この間の経緯について、また同じことが起こるのではないかと、私も委員会質問をさせていただきながら、大臣の名誉の問題もあるから、こうしたらいいんじゃないんですかと何度も何度も、再三再四申し上げたんです。しかし撤回されませんでしたが、最終的に、委員会の最後に、委員長から促されての発言であったということなんですよ。国会審議や文部科学行政をどう思っているんですか、この田中眞紀子大臣という方は。

 先ほど前原さんにもお聞きしましたけれども、民主党の文部科学の部門会議においても、大学の教育力、設置審議会の問題について、集中的に関係者を呼んで議論されたという経緯はないんですよ。でもですよ、でも大臣の問題意識は重要ですねと、委員会審議の中でも全ての政党の方がおっしゃった。私も言いました。大事なことですからそれは議論しましょう、でも、あなたが今やっていることは間違っているんだから、早く撤回しておわびをした方がいいですよ、そのように申し上げてずっと来たんですよ。ところが、きょうのあの答弁の態度を見たら、とても教育をお任せする国会議員の態度には私には見えませんでした。がっかりしました。

 総理、これは改めて、大臣に対して厳しく、文部科学行政、法治国家における教育を所管する大臣なのであるから、その自覚がないのならばみずからおやめくださいと言うか、総理自身が罷免をするか、もうどちらかですよ、あんな答弁を繰り返しているようであるならば。がっかりしました、私も。

 総理の答弁をおっしゃる前に、田中眞紀子文部科学大臣、いかがですか。

田中国務大臣 馳委員はもう全部わかった上でおっしゃっていると思うんですけれども、私は、八日の日に、これは申しましたよね。私の真意は、大学設置の認可のあり方を見直して大学教育の質を高めたいという思いであったんです、ですけれども、今回の三大学の設置認可に関しては、関係者の皆様に御迷惑、御心配をおかけしたことにつきましてはおわび申し上げますということを、関係者の皆様には既におわびをしてございます。

馳委員 三大学に直接、電話の一本も入れられましたか。

田中国務大臣 直接電話はしておりません、私からは。

馳委員 こういうときは、直接、三大学に対して、こういう経緯ではありましたが、私の真意もございますけれども、御迷惑をおかけしましたと一本電話を入れるのが倫理というものですよ。大臣、いかがですか。これからでも結構です。電話を入れる、そのぐらいはできるんじゃありませんか。笑っている場合じゃないですよ、大臣。何ですか、この態度は。

 総理、私はこうして誠意を持って申し上げているつもりですが、笑って聞いているんですよ。こんな姿勢はやはりよくないですよ。

 大臣、もう一度お答えください。電話の一本も入れられるんじゃないんですか。

田中国務大臣 馳委員の御意見、拳々服膺いたします。

馳委員 総理、ああいうおっしゃり方でありました。

 総理、もう一度、田中文部科学大臣に対して、やはり今回のことを踏まえたアドバイスを一言おっしゃってください。我々も協力してきました。これからも協力をするつもりです、田中大臣に対しては。しかし、こういう態度を続けていてはよくありませんよ。総理、いかがですか。

中井委員長 野田内閣総理大臣。時間が来ていますから、短く。

野田内閣総理大臣 大臣の真意については、多くの皆様に共感、共有をしていただけると思います。そのやり方、経緯において御迷惑をかけた分については、深くおわびをさせていただいております。

 その上で、引き続き田中大臣には教育改革の推進をしていただきたいと思いますので、馳委員も含めて、引き続きの御協力を心からお願い申し上げます。

馳委員 終わります。

中井委員長 次回は、明十三日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時一分散会


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