衆議院

メインへスキップ



第2号 平成24年11月13日(火曜日)

会議録本文へ
平成二十四年十一月十三日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 中井  洽君

   理事 小川 淳也君 理事 笹木 竜三君

   理事 下条 みつ君 理事 辻元 清美君

   理事 山口  壯君 理事 田村 憲久君

   理事 山本 有二君 理事 牧  義夫君

   理事 高木 陽介君

      阿知波吉信君    磯谷香代子君

      稲富 修二君    打越あかし君

      江端 貴子君    小原  舞君

      大泉ひろこ君    大畠 章宏君

      岡田 康裕君    加藤 公一君

      金森  正君    工藤 仁美君

      桑原  功君    阪口 直人君

      空本 誠喜君    田嶋  要君

      中野  譲君    中屋 大介君

      仲野 博子君    原口 一博君

      平山 泰朗君    藤田 一枝君

      藤田 憲彦君    牧野 聖修君

      三村 和也君    室井 秀子君

      森岡洋一郎君    柳田 和己君

      山尾志桜里君    山田 良司君

      若泉 征三君    渡部 一夫君

      渡部 恒三君    岩屋  毅君

      金子 一義君    金田 勝年君

      城内  実君    佐田玄一郎君

      齋藤  健君    柴山 昌彦君

      新藤 義孝君    菅原 一秀君

      丹羽 秀樹君    野田  毅君

      馳   浩君    古屋 圭司君

      森山  裕君    山本 幸三君

      金子 健一君    黒田  雄君

      古賀 敬章君    豊田潤多郎君

      松崎 哲久君    三宅 雪子君

      山岡 賢次君    横山 北斗君

      石井 啓一君    佐藤 茂樹君

      東  順治君    笠井  亮君

      志位 和夫君    江田 憲司君

      山内 康一君    照屋 寛徳君

      松野 頼久君   松木けんこう君

    …………………………………

   内閣総理大臣       野田 佳彦君

   国務大臣

   (行政改革担当)

   (行政刷新担当)     岡田 克也君

   総務大臣

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (地域主権推進担当)   樽床 伸二君

   法務大臣         滝   実君

   外務大臣         玄葉光一郎君

   財務大臣         城島 光力君

   文部科学大臣       田中眞紀子君

   厚生労働大臣       三井 辨雄君

   農林水産大臣       郡司  彰君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償支援機構担当)          枝野 幸男君

   国土交通大臣       羽田雄一郎君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    長浜 博行君

   防衛大臣         森本  敏君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     藤村  修君

   国務大臣

   (復興大臣)       平野 達男君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (消費者及び食品安全担当)            小平 忠正君

   国務大臣

   (金融担当)

   (「新しい公共」担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   中塚 一宏君

   国務大臣

   (国家戦略担当)

   (経済財政政策担当)

   (科学技術政策担当)

   (原子力行政担当)

   (宇宙政策担当)     前原 誠司君

   国務大臣

   (郵政民営化担当)

   (防災担当)       下地 幹郎君

   内閣官房副長官      齋藤  勁君

   財務副大臣        武正 公一君

   政府参考人

   (内閣法制局長官)    山本 庸幸君

   予算委員会専門員     石崎 貴俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十三日

 辞任         補欠選任

  大畠 章宏君     小原  舞君

  岡田 康裕君     柳田 和己君

  金森  正君     磯谷香代子君

  仙谷 由人君     山尾志桜里君

  田嶋  要君     阪口 直人君

  藤田 一枝君     中屋 大介君

  牧野 聖修君     渡部 一夫君

  渡部 恒三君     山田 良司君

  齋藤  健君     新藤 義孝君

  柴山 昌彦君     城内  実君

  馳   浩君     岩屋  毅君

  内山  晃君     豊田潤多郎君

  金子 健一君     黒田  雄君

  三宅 雪子君     古賀 敬章君

  高木 陽介君     佐藤 茂樹君

  東  順治君     石井 啓一君

  笠井  亮君     志位 和夫君

  山内 康一君     江田 憲司君

  阿部 知子君     照屋 寛徳君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     金森  正君

  小原  舞君     空本 誠喜君

  阪口 直人君     江端 貴子君

  中屋 大介君     藤田 一枝君

  柳田 和己君     岡田 康裕君

  山尾志桜里君     三村 和也君

  山田 良司君     渡部 恒三君

  渡部 一夫君     牧野 聖修君

  岩屋  毅君     丹羽 秀樹君

  城内  実君     柴山 昌彦君

  新藤 義孝君     齋藤  健君

  黒田  雄君     金子 健一君

  古賀 敬章君     横山 北斗君

  豊田潤多郎君     内山  晃君

  石井 啓一君     東  順治君

  佐藤 茂樹君     高木 陽介君

  志位 和夫君     笠井  亮君

  江田 憲司君     山内 康一君

  照屋 寛徳君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  江端 貴子君     中野  譲君

  空本 誠喜君     大畠 章宏君

  三村 和也君     仙谷 由人君

  丹羽 秀樹君     森山  裕君

  横山 北斗君     松崎 哲久君

同日

 辞任         補欠選任

  中野  譲君     工藤 仁美君

  森山  裕君     馳   浩君

  松崎 哲久君     三宅 雪子君

同日

 辞任         補欠選任

  工藤 仁美君     藤田 憲彦君

同日

 辞任         補欠選任

  藤田 憲彦君     田嶋  要君

同日

 理事高木陽介君同日委員辞任につき、その補欠として高木陽介君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 予算の実施状況に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

中井委員長 これより会議を開きます。

 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣法制局長官山本庸幸君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中井委員長 この際、昨日の山本有二君の質疑に関連し、岩屋毅君から質疑の申し出があります。山本君の持ち時間の範囲内でこれを許します。岩屋毅君。

岩屋委員 おはようございます。自民党の岩屋毅です。

 野田総理と向き合うのはこれが初めてでございます。恐らく最初で最後になるかもしれませんが、一期一会の精神で、真摯な議論をさせていただきたいと思っております。

 まず、解散・総選挙についてですけれども、もう私はぐちゃぐちゃと申し上げるつもりはありません。諸般の状況から考えて、総理も恐らく年内の解散・総選挙ということを腹を固められたというふうに私はお見受けをしております。それで結構だと思います。

 やはり、日本国内閣総理大臣として、今考えるべきは国益ですよね。私は、野田総理はよくぞ税と社会保障の改革に踏み込まれたな、そう思っているんですよ。これは、自民党も公約には掲げましたけれども、我々だけでやり切れる課題ではなかったと思います。誰しも増税を喜ぶ人はいない。どんな政党、政治家も、増税を掲げて戦おうとは思わない。だから、これは、政争の具にしたら百年たっても解決しないという課題だったと思います。そういう意味で、私は、総理はよくぞこれに踏み込まれた。

 しかし、犠牲も払いましたよね。民主党は事実上分裂しました。物を決めれば人が出ていくという状態に今、陥っていますよね。これでは、力強く政策を前に動かしていくことはできないと思います。

 しかし、税と社会保障の一体改革もまだ入り口に立ったばかりです。とりわけ自公民三党には、これを成就させていくという責任があります。選挙が終わっても、協力をしなければいけないことは力を合わせていかなきゃいかぬ、お互いそういう了解のもとに、ここは政治体制を一新して、安定した、力強い、力量を備えた政権をつくるというのが今の内閣総理大臣としてのお仕事だ、私はそう思うし、総理もそう思っておられると信じております。

 きょうの段階での心境を聞かせていただけますか。

野田内閣総理大臣 おはようございます。

 一体改革の意義について、大変深い御理解のもとで御発言をいただきましたことを感謝申し上げたいと思います。

 これは、もうこれ以上先送りできない、そういう判断のもとで、大変厳しい決断でございました。委員御指摘のとおり、増税をお願いして国民の皆様から喜ばれることはありません。ただし、それは全て社会保障に充てるんだ、そのことを御理解いただく中で、三党合意に踏み切ったわけであります。

 これまた委員御指摘のとおりでありますけれども、一体改革は、法案は通りました。だけれども、子ども・子育ての部分の拡充と年金の改善はありますけれども、医療や介護やあるいは公的年金制度のあり方そのもの等々については、これはまだ道半ばで、これからの議論に委ねられております。

 そのことからも、早期に国民会議を立ち上げて、そういう議論をできるような環境をつくることが、まずこれは共通の責任だと思いますし、その後、税制においてもさまざまな検討課題があります。そういうものをしっかり三党合意を踏まえて着実に進歩させていく、前進をさせていく、そういう政治を目指していきたいと思います。

 解散の時期については、これはもう何度もこの場でお尋ねをいただきましたけれども、特定の時期を明示するということは控えさせていただきたいというふうに思います。

岩屋委員 私は、野田総理はうそをつかない人だと信じております。国益を第一に、しかるべき時期に決断をしていただけるものと確信をしております。

 そういうわけで、近いうちに新しい政権をこの国につくらなくてはならないという前提でお話をさせていただきたいと思います。結果は国民が決めることですけれども。

 政権が動くときに一番注意しなければいけないのは、私は、国の根幹の政策が揺らがない、ぶれないということだと思います。第一には外交、安全保障ですよね。第二にはやはり社会保障の体制です。三番目にはエネルギー政策、これは後で議論をさせていただきたいと思っているんですけれども。

 総理が今おっしゃったように、社会保障の詳細な制度については、これから国民会議を立ち上げて、そこでしっかり詰めていくということですね。財源の手当ての方針については、我々、一緒に決めさせていただいたわけですよね。

 その外交、安全保障です。

 私は、日本の安全保障を考えるときに、自主防衛力を強化するということももちろん大事、それから日米同盟を充実させていくということも大事、それからアジア全体の安全保障体制をどうつくっていくかという、この三つだと思っているんです。中でも、やはりこの米軍再編の問題は、どうあっても片づけていかなくちゃいけない、普天間の移設の問題は、どこが政権を担おうともやはり片づけていかなくちゃいけない、解決をしていかなくちゃいけない課題だというふうに思っています。

 今、民主党さんは、細野政調会長のもとでマニフェストの総点検をされていると承知しております。その中で、この問題については、沖縄県民や国民の期待を結果的に裏切り、日米関係を一時的にせよ冷え込ませたことは民主党政権の大きな失敗であったことを率直に認め、沖縄県民はもとより国民に対して改めておわびするという記述になると聞いておりますけれども、これは、民主党代表としての総理、同じ認識だと受けとめてよろしいですか。

野田内閣総理大臣 政権発足当初から県外移転というあの方向性を打ち出して、そのことによって沖縄の皆様に過大な期待をお与えする形になって、そしてその御期待に応えることができなかったという意味においては、深く反省をしなければいけないと思いますし、そのことは、マニフェストの総括を含めてしっかりと反省を踏まえて対応していかなければいけないと考えております。

岩屋委員 しからば、野田政権として、野田内閣として、二度にわたる日米合意に基づいて、現在の普天間基地を辺野古に移設させるという計画を着実に実行に移していく、この方針に変わりはありませんか。

野田内閣総理大臣 これは四月の2プラス2でも確認をさせていただいているとおり、普天間の移転と、在沖海兵隊のグアムへの移転それから嘉手納以南の土地の返還とは切り離しながらという、パッケージを外す形になりましたけれども、辺野古への移転が唯一有効な方法ということを日米間で確認させていただいておりますので、その方針のもとで、今、沖縄の皆様の御理解をいただくべく努力をしているところでございます。

岩屋委員 我々と全く同じ認識に立っていると思います。新しい再編計画は確かに辺野古を一旦切り離すという形になったんですけれども、これは、やはり最後はそこに戻ってこざるを得ない、でなければ、普天間の固定化ということにつながってしまうということだと思います。

 沖縄選出の下地国務大臣、国務大臣としてお伺いをしたいと思いますが、下地大臣も今総理がおっしゃった方針に異存はございませんか。

下地国務大臣 私は内閣の一員なので、政府方針、総理が今おっしゃったことを尊重しながら職務を果たしていきたいというふうに思っています。

岩屋委員 下地大臣、尊重すると今おっしゃったわけですけれども、あなたは、十月六日の那覇市内の、そうぞうの会というんですか、これは下地さんが主宰されている会ですよね、そこで、普天間の県外、国外移設をどう解決するのか、そのシナリオをつくる役割を政府内で担いたいと述べたと報じられていますが、これは閣内不一致じゃないんですか。

下地国務大臣 沖縄の思いというのは、閣内にあっても、閣外にあっても、大事にしなきゃいけないんです。今、沖縄の仲井真県知事も、この前の知事選の公約では県外、国外でした。県議会も、全会一致で県外、国外でした。六月の県議会の選挙において、岩屋さんの自民党も、そして民主党も公明党も全部、県外、国外でした。これは沖縄の思いなんですよ。だから、そういうふうな思いがあるということを伝えて、どういうふうに負担軽減をしていくかということを考えていかなければいけない。

 沖縄の保守というのは、ヤマトの保守とは違って、そういうふうな同じ保守的な日米同盟を大事にしながらも、ずっとこれだけ事件、事故がある中で日米同盟を守るという中では、その基地問題が政府と一致する、全体的に一致するというのはなかなか難しい現実があるんです。二十七年間、国会議員を沖縄は送れませんでした。それから復帰して四十年たちますけれども、いまだ事件、事故があるという状況を考えると、そういう思いになる沖縄の保守的な考え方の人たちを、私は、これは矛盾だといって否定すること自体がおかしいと。

 そういうふうになるならば、本土の皆さんが基地を受け入れて沖縄の負担をやっていくというのは非常に大事なことだと思っておりますから、内閣においては、私は、確実に政府方針をやりますよ。しかし、そういう声があるということを伝える役割を果たしていくことは、私は何も矛盾していないというふうに思っています。

岩屋委員 下地さん、私、友人だからあえて申し上げたいと思いますけれども、この間、民主党政権というのは、実は、民主・国民新党連立政権だったわけですよね。この安全保障上の極めて大きな課題について、やはり与党内がしっかりすり合わせをして意見を一致させておかないと、とても前に進めることはできないということをずっとあなたにも申し上げてきたつもりでございます。岡田外務大臣にも、前原外務大臣にも、松本外務大臣にも、玄葉外務大臣にも、同じことを私は申し上げてきたつもりであります。

 だから、沖縄の環境は物すごく厳しいと、沖縄選出のあなたが非常に立場的にも、やはり沖縄の声も代弁しなくちゃいけないし、厳しいということはよくわかる。わかるけれども、内閣にいる間だからその意見を封印しているんだというようなことでは、この問題は解決できないんですよ。

 あなたも、嘉手納統合案とか、いろいろなことをおっしゃった。迷走の原因の一つは、やはりあなたもつくってきたんじゃないですか。だから、やはりここは本当に普天間の固定化を避けるために、下地さん自身が沖縄を説得する、そういうぐらいの気持ちでやってもらわなきゃ解決できない、私はそう思いますよ。

 総理、これは内閣一致して取り組んでいただけますか。

野田内閣総理大臣 内閣一致して対応させていただきたいというふうに思います。

岩屋委員 それで、今政府がやっている作業は、環境影響評価書に対する知事の意見書が届いたものを、補正作業を行っているというふうに聞いておりますが、これは防衛大臣にお伺いしたいと思いますが、補正作業はいつ終わる予定ですか。

森本国務大臣 先生御指摘の、県知事から出てまいりました意見書に対する補正作業、現在鋭意取り組んでおりますが、件数において数百件に及んでいるので、しかも、正しく知事に理解していただくためには専門的知識も必要なので、専門家から成る別途の委員会を設けて、評価、分析をしていただきながら作業を鋭意続け、今のところ、年内にこの作業を完了すべく努力しているところでございます。

岩屋委員 この補正の作業が終わると、手続的には、公告縦覧という作業を経て、埋立申請に進んでいくということだと思います。

 しかし、これはもちろん政治的に非常に難しい判断になろうかと思うんですけれども、総理、私が申し上げたいのは、米軍が使う航空機がオスプレイであろうがなかろうが、そもそも極めて危険な普天間の飛行場というものをやはり移設する必要があるんだと。普天間の危険性を除去するというのがこの米軍再編の一丁目一番地だったわけですから、やはりそこを忘れてはならない。どこが政権を担おうとも、進められるべき作業はしっかりと進めておいていただきたいと思いますので、そのことをお願い申し上げておきたいと思います。

 それから、きょうの本題は、原発・エネルギー政策なんですね。私は今、自民党のエネルギー特命委員会というところで、核燃料サイクル、それから使用済み燃料の処理の歴史に係る検証PTの座長というのを仰せつかっているんです。我々も真剣に議論しています、エネルギー政策はどうあるべきかということについて。現地にも行ってまいりました。もちろん、福島にも、「もんじゅ」にも、六ケ所にも、今度建設が再開された大間にも行ってきました。

 私は、壊れたままの原子炉建屋よりも、むしろ周辺の町村、人っ子一人いないという状況を見たときに、本当にショックを受けました。だから、少なくともこれから向かうべき方向は、減原発、縮原発。この方向性は我々も全く同じです。国民の皆さんも同じ意見だと思います。特に、原発の事故のダメージの大きさ、初めて思い知りました。そこからすれば、できるだけ原発に対する依存度を減らしていきたい、これは我々も同じ考えです。

 しかし、十分な材料もそろっていない中で、軽々に原発ゼロということを打ち出して本当にいいのか。ここはやはり立ちどまって、材料をしっかり集めて子細に検討を加えないと、国民の将来に責任を持つということにならないのではないかと我々は思っているところなんです。

 その前に、官房長官、原子力規制委員会の人事の国会同意を行わないというのはどういうわけですか。

藤村国務大臣 原子力規制委員会は、東電福島第一原発事故を踏まえて、原子力利用の推進と規制を分離し、原子力安全に関する規制を一元化した上で、専門的な知見に基づいて中立公正な立場から原子力安全規制に関する職務を担うために設立した機関であります。

 これは先般、先国会におきまして、国会に対して同意を求めてまいりました。その後、国会が終了したものですから、総理大臣の権能によって総理大臣が任命をした。その後開かれた国会、今国会でありますが、これは、原子力緊急事態宣言、今、宣言をされている最中であるので、この間、緊急事態宣言をされている期間については、このことを国会に通知することにおいて、同意人事を今回提出しない、こういう選択をしたところでございました。

岩屋委員 総理、国会が開かれていないときに総理が任命できる、それはもちろん規定がありますが、これはあくまでも、言ってみれば緊急避難措置ですよね。国会が開会されれば、次の国会で直ちに同意を求めるというのが私は筋だと思いますよ。

 官房長官は、不同意のおそれがあるからということを会見で述べておられるようですが、不同意のおそれがあるというのは、これは民主党の党内事情じゃないですか。せっかくつくった原子力規制委員会、これは国民に信頼をしていただかなきゃいけないわけですよ。それがためには、国民代表である国会でしっかりと人事を同意するということがなければ、国民の信頼は得られないんじゃないですか、総理。どうですか。(発言する者あり)

藤村国務大臣 法律を軽視しているわけではなくて、法に従って進めてまいりました。

 つまり、国会の閉会によって同意を得ることができずに、閉会中に内閣総理大臣が任命した場合については、法の規定において、一つは、任命後最初の国会において両議院の事後の承認を得ること。二つ目、あるいはということですね、二つ目は、原子力緊急事態宣言がされており、その旨の通知が両議院になされたときにあっては、原子力緊急事態宣言が解除された後、速やかに両議院の承認を得ることとされており、この後者のやり方をとったということでございました。

岩屋委員 官房長官、確かに緊急事態宣言中ではあるかもしれない。しかし、政府みずからが冷温停止状態にあると宣言しているんでしょう。そういう意味では、事態は小康状態にあるんでしょう。国会で同意人事を行わないという支障はどこにあるんですか。

 私は、やはり、こういうことはしっかりと一つ一つ手続を踏んでいくということが、せっかくつくった原子力規制委員会に対する国民の信頼を得ることにつながり、今後の原子力行政の信頼性につながると思いますよ。総理、いかがですか。総理、答えてください。

野田内閣総理大臣 せっかくつくったというお話がございました。まさに、原子力安全規制の司令塔となる独立性の高い組織であります。その機能を十全に発揮していただくために、また、原子力安全規制に空白が生じないようにするために、法律に基づいて、現在、原子力緊急事態宣言をされている、そういう状況でありますので、法に基づいて対応をしているということでございます。

岩屋委員 どうも納得できませんね。しかし、ちょっと先に進みたいと思います。

 この問題でも、原発・エネルギー政策に関しても、ちょっと閣内でいろいろな意見が出ておられるようで、統一して対応できるのかなという懸念を私は持っております。

 田中文部科学大臣は、原発ゼロと核燃料サイクル推進は矛盾しているとおっしゃいましたよね。枝野経産大臣は、これまで矛盾してきているのだから一見矛盾しているのは当然だとうそぶいておられますし、前原国家戦略相、これは前原さんのところでまとめられたということですが、単純に矛盾とはいささか乱暴ではないかと反論をしているというような格好になっておりまして、各閣僚の言っていることがかなりばらばらなんですよね。

 田中文科大臣、確かに、ふだんの大臣の答弁はちょっと矛盾が多いなと私は思っているんですが、この発言は非常に適切だなと。やはり、核燃サイクルと原発ゼロというのは矛盾しているのではないか、そういうふうにお考えですか。

田中国務大臣 原発は、御存じのとおり、廃炉にするのに約三十年もかかるということもございまして、二〇三〇年というと、要は、単純計算すれば十八年後。ということだと、普通に計算するとちょっと厳しいかなという思いがあったので、先ほどおっしゃったようなことを閣外にいるときには発言したこともございます。

 しかし、よく考えてみますと、やはり不確実性が現実にあるわけでして、完全に原子力をとめてしまって、そして今、反対、反対で全部とめてしまって、工場にしろ家庭にしろ、あらゆるエネルギーをゼロにしていいというわけがない。

 私、この間も、ある大手の企業の研究者を役所に呼んで話を聞いてなるほどと思ったんですけれども、今、化石エネルギーももう一回、CO2を出さなくするように、非常に研究をよくしていて、出てくるCO2を地下にパイプで閉じ込める方法、相当進んでいるということも聞きました。

 したがって、そういうふうな研究開発も進めながらこの原子力の問題もやっていかなきゃいけませんので、不確実性があるので、不断に検証していかなきゃいけない。柔軟性を持って、不断の検証と見直しを行っていくということでございます。

岩屋委員 いや、とにかく、私は、大臣のこの件に関する指摘は正しいなと思っているんですよ。

 というのは、総理、やはり核燃サイクルというのはなかなか難しい問題です。IAEAに参加している核を持っていない国の中で、唯一我が国だけが使用済み燃料の再処理を認められているわけですね。総理も御承知のとおりです。再処理をすればプルトニウムがどんどん出てくる、これは核兵器の原料になる。だから、厳格に国際社会が管理をしているわけですね。

 民主党の今回の戦略を見ると、原発ゼロといいながら、核燃サイクルは推進する。どんどんそこにプルトニウムがたまっていく。これは、国際社会が容認するところになるでしょうか。これをまとめようとした段階で、政府の特使を米国に送って米国とも協議をしたと聞いておりますが、やはりかなり国際社会の強い懸念があるのではないでしょうか。

 この矛盾については、どう考えておられるんですか。

枝野国務大臣 福島の原発事故を受けて、多くの国民の皆さんが、一日も早く、できるだけ早く日本で稼働する原発をゼロにしたい、そう思っていらっしゃると私は確信をしています。

 一方で、過去五十年、約五十年にわたって、原子力政策はさまざまな現実の積み重ねがあります。あるいは、国際社会あるいは地方自治体の皆さんと政府としてお約束をしてきたことがあります。この政府としてのお約束は、政権交代があったとしても、これを政権交代があったから我々は引き継がないという無責任な態度はとれません。こうした全てのことを前提にしながらやっていかなければなりません。

 例えば、使用済み核燃料。本来は、これまで原発をつくり、ふやしてくるプロセスにおいて、使用済み核燃料のごみとしての処理を決めながらやってくるのが当然でありましたが、残念ながら、五十年間、その処理を決めずに来ました。

 そうしたことなどを踏まえた中で、例えば地方やあるいは海外とのさまざまなお約束があります。原発をなくしていくと大きな方向転換をしても、今まで積み重ねられてきた現実、そして今まで積み重ねられてきた約束、それを守りながらゼロにしていかなければならない。

 ということは、そのプロセスにおいて、お約束をしてきたことの延長線上をつないでいくと、これからも使い続けるのではないかと見える部分がありますが、まさにそうした、五十年積み重ねられてきた矛盾を二〇三〇年代までに解決をすることでゼロにできるように努力をしていくという姿勢を明確にしたものでありまして、方針そのものには矛盾はありません。

岩屋委員 いや、矛盾はありませんというか、私、責任がとれないんじゃないかなと懸念しているわけです。

 冒頭、私が申し上げたように……(発言する者あり)ちょっと静かに聞いていて。冒頭申し上げたように、外交、安全保障などと同じように、このエネルギー政策は、余り選挙の具にしたり政争の具にしたりするのではなくて、簡単に変更できないですから。だから、できるだけ議論を積み重ねて、できるだけ多くの国民の皆さんのコンセンサスを得て、責任がとれる政策をつくることが大事だと思っているので、何も争おうと思って議論しているわけじゃないんですよ。我々も今非常に悩んでいるわけですね。

 材料が足りないと思うもう一つのことは、例えば、これは環境大臣に聞けばいいのかな、原子力規制委員会がつくる安全基準というのは一体いつできるのか。その安全基準に照らして、全原発を点検するわけでしょう。それに一体どのくらいの時間を要するというふうに見込んでおられるんですか。これは環境大臣でいいですか。

長浜国務大臣 先生御承知のように、三条委員会で極めて独立性の高い原子力規制委員会でありますので、注意深く発言をしなければなりませんが、環境大臣としては、安全基準に関しましては、来年の七月ごろまでにはつくるという報告を受けております。(岩屋委員「いや、それから。そこから点検が始まるということでしょう」と呼ぶ)そのように、規制委員会はなると思います。

岩屋委員 今の大臣の答弁では、来年の七月ごろとおっしゃいましたか、そこからその安全基準で点検が始まっていくわけですよね。クリアするところもあるだろうし、できないところもあるだろうし、今やっている大飯原発のように、その他の活断層等の理由でまた違う判断をしなければいけないところも出てくるだろう。

 そうすると、果たしてどこの原発が安全基準をクリアできるのかできないのかということがわからなければ、日本の原発全体の供給量というものも想定できないわけですよね。私は、それだけでもかなり時間がかかると思うんです。つまり、これも判断をするときに必要な材料の一つだと思うんですよね。

 今、再生可能エネルギーというのは、三年間集中期間ということでやっていますよね。どんどんどんどん全国に事業所ができています、大分にもできています。大変結構なことなんだけれども、では、三年間やってみて、果たしてそれがどのくらい入るのか。それが電気代にどのぐらいはね返ってくるのか。

 今、日本全体で三兆円も多く化石燃料を買い増ししているわけでしょう。これが、電力会社の経営とか産業界とか経済界とか、どういう影響があるのか。そういうものを、材料をそろえていった上で判断をしなければいけないと私は思うんですよ、前原大臣。なのに、原発ゼロという言葉を何か国民に聞かせたいというような思いで簡単に政策をつくっちゃいけない。そのことを私は申し上げているんですよ。

枝野国務大臣 例えば、規制委員会がどの原発について稼働をお認めになるのか、これは不確定要因であります。でも、これは将来にわたって常に不確定要因です。なぜならば、バックフィット制度を導入するということが決まっておりますので、一旦規制委員会が安全だと稼働を認めた原発であったとしても、新たな知見が生じれば、またとまる。これは常に不確定要因を抱えています。

 それから、再生可能エネルギーについて、確かに三年間集中的にふやしてまいりますが、二〇三〇年代に原発ゼロを可能とするということに当たって、やらなければならないこと、あるいは前提として整わなければならないことは、この三年間で実現できるとか、あるいはこの三年間で見通しが立つような、そんな容易なものだとは思っていません。相当なレベルの技術革新やあるいはライフスタイルの変更ということがこの二十年ぐらいの間に進んでいくことがあって、原発稼働ゼロが可能という状況がつくれていきます。それは、例えば三年待ったとしても、やはりそこから先、十年先、二十年先のことは不確定でわかりませんねということの状況は変わらないと私どもは思います。

 一方で、私どもは、確かにそうした不確定要因があるからこそ、さまざまな御批判はありましたけれども、この二〇三〇年代原発ゼロを可能とするよう、あらゆる政策手段を投入するという方針については、柔軟性を持って不断の検証と見直しを行いながら推進をしていく。

 まさに、例えば規制委員会が、とりあえず一通り全部の原発についての、再稼働についての判断をなされる、あるいは、三年ごと、五年ごと、新たな新エネルギーについての技術革新や普及の状況等、そういったことを見ながら、我々は今、二〇三〇年代にと言っていますけれども、もし技術革新などが物すごく進めば、五年後に、十年後にできるかもしれない。あるいは、残念ながら技術革新などが進まなければ、もうちょっと時間がかかるかもしれない。

 そこについては柔軟性を持ってやっていきますが、明確な目標にしなければ、できるものもできなくなるというふうに思っています。

岩屋委員 何度も申し上げますように、できるだけ原発に対する依存度を減らしたいというのは私たちも全く同じです。だけれども、不確定要因過ぎるんですよ。不確定要因だらけなんですよ。

 ほかにも聞きたいことがありましたが、時間がなくなったのでやめますが、例えば……(発言する者あり)ちょっと静かにしてください。原発ゼロといいながら、果たしてどうやって人材を確保し続けることができるのか。あなた方が掲げているマイナス二五%という、この地球環境問題との整合性は一体どうなるのか。原発ゼロといいながら輸出は続けるというんでしょう。果たして、その技術力、信用力、競争力は、では確保できるのか等々、不確定要因ばかりなんですよ。

 だから、ここは慌てず、決して選挙目当てにせず、落ちついて、腰を落ちつけて議論をしていただくようにお願いをして、私の質問を終わりたいと思います。

中井委員長 この際、新藤義孝君から関連質疑の申し出があります。山本君の持ち時間の範囲内でこれを許します。新藤義孝君。

新藤委員 自由民主党の新藤義孝でございます。

 きょうは、竹島領土問題への我が国の対応、そして被災地の復興予算の適正化、これについて御質問させていただきたい、このように思っております。

 まず、総理、来週十一月十八日からASEANの首脳会議、EASですね、これにお出かけになるというようなことでありますが、そのASEANの首脳会議において、日韓の首脳会談、韓国の大統領との話し合いというものの場を持つお考えがありますか。

野田内閣総理大臣 ASEAN首脳会議に国会にもお許しをいただいて参加をさせていただきたいと思うんですが、日韓の首脳会議を実現するかどうかはまだ決まっておりません。

新藤委員 今、竹島が大変なことになっている。私はとても心配しています。それは、ことしの八月、李明博という大統領が我が国の島に不法上陸いたしました。そして、事もあろうに天皇陛下に対して極めて非礼な発言をした。私たち日本、国民、国会は怒り爆発をして、国会決議までした。さらに、日本政府は、ICJへの提訴もしよう、片をつけよう、こういうところまで来ているわけですね。

 そういう中で、実は、日韓、いろいろな歩み寄りを見せているように見えます。総理はこの間、APECで、大統領から手を出されて、思わず自然と握手してしまいましたなどと言って、総理がにやにや笑っているところが世界じゅうに配信されてしまいました。そういう中で、今、竹島がどんなことになっているか、ぜひ認識を伺いたいと思います。

 今、日韓でいろいろな問題がある。その裏側で、竹島では、まず、海洋科学基地の建設が始まっています。これは何と東日本の大震災の直後に発注されて、仕事が始まっているんです。今まではイラストだけでございました。右側の下をごらんになってください。これはことしの七月二十三日の、全羅南道麗水という、博覧会をやったところですね、そこの近所の団地で、今ここまででき上がっているんですよ。もう十二月になるとこの建物が完成をして、そして来年一年間かけて竹島に運ばれて、我が国の領海の上に設置される。工事はここまで来ちゃっています。地上十五階建て、二十人以上の居住が可能になる、こういう施設です。

 総理、まず基本的な認識で、竹島の広さ、どのぐらいだか御存じですか。

玄葉国務大臣 ちょっと今手元に資料がありませんけれども、私の記憶では、日比谷公園と同じくらいじゃなかったかと思います。

新藤委員 そうそう。別にクイズをやっているわけじゃないんです。日本の領土に対してどのような認識をきちんとお持ちになっているかということを確認したかったんです。

 この竹島は、日比谷公園と同じ大きさしかありません。そこに地上十五階建て相当の巨大施設ができる。この計画は、私たち自民党政権時代、予算すらとらせませんでした。全部とめてきました。でも、政権交代以降、設計の予算が出て、それをとめるべきだと言ったけれども、私は、これは岡田さん、さんざんやりましたね。二〇一〇年の二月に設計の予算化をされたことがわかり、これをとめろと延々言ってきたけれども、設計も終わり、入札もし、工事も発注され、こういうことが始まっちゃっているんです。

 それから、もう一枚資料をごらんになってください。

 今度は、竹島には、新現場管理事務所という観光客を受け入れる新しい施設が、桟橋のすぐそばに今設計中です。来月設計が終了して、来年から工事が着手されることになっています。

 それから、その下には、今度は新しい防波堤、この新しい防波堤が水中展望つき。そして、今三百トンの船が二十分しかとまっていられない竹島の古い桟橋、私たちは一切さわらせませんでした。日本政府、自民党政権時代です。でも、ここのところで、これを更新すべく、今度は巨大な、五千トンの船が接岸できる、そういう施設が今設計中なんです。これも来月で終わってしまいます。

 一体、総理、こういうことを具体的に、この工事をとめろということを総理大臣が韓国の首脳に対して申し入れたことはございますか。

玄葉国務大臣 まず、新藤さんらしくないと思うんですよね。

 まず、一九九七年にこの科学基地の建設が発表されました。九七年に接岸施設ができています。有人灯台もできています。

 だから、自分たちのときに予算をつけさせなかったとか、そういうことはやめて、外交に与党も野党もなくて、どういうふうに協力をしてこういった工事をストップさせるかということを考えなければなりません。

 当然、我々として受け入れられるものではありませんから、あらゆるルートで抗議をしているという状況でございます。

新藤委員 竹島は確かに不法占拠されていて、これまでにいろいろな施設がつくられちゃったんです。でも、ヘリポートは三十年さわらせなかったんです、一回つくってから。この桟橋も、小さなものをつくって、それをそれ以上さわらせないようにしてきたんです。現実に、この海洋科学基地の計画は、これは二〇〇八年に韓国が打ち出しました。でも、予算化もさせなかった。それは、予算を出したところで我々はとめてきたから。

 そういったことを、あなたたちが、別にどっちというんじゃないんです、日本政府として、こういう問題が今、この三年間で、急遽この巨大な施設が、海洋基地もできちゃう、それから竹島の新しい桟橋の付近に事務所もできちゃう、そして新桟橋もできちゃう。

 これは一体いつ始まったと思いますか。もう時間がないから言いますよ。

 総理、私、去年の八月一日に、韓国に対して、この問題を、根拠を示してくれ、何でここまで強行するんだ、話し合いもしないで勝手につくるんだと、八月一日に韓国に出かけていこうとして入国禁止措置を受けました。千人も空港でデモ隊が来て、私の顔写真を焼いたりなんかして、結局、入国禁止措置、入国できませんでした。でも、その後、実は、ファッションショー、音楽会、それから韓国の国会議員の上陸、全部とまったんです、中止になったんです。

 でも、それを再開したきっかけ、それは、野田総理が十月の十八、十九で韓国に出かけていって、そのときに大統領から、この日韓に横たわる障害については、野田総理がこれまで以上に誠意を持って積極的に臨むことを期待する、このように言われて、総理大臣は、両国関係は難しい問題があるが、大局見地から両国関係を前進させるという気持ちを首脳が持っていれば、どんな問題も乗り越えていける。何を言っているんだかわからない状態で、こういうことをやっちゃだめですよと一言も言わなかった。

 その結果として、いいですか、十月十八日にあなたが韓国に行き、十九日に会談をして、一週間後にこの竹島の新しい桟橋のところに施設ができ、そのまた一週間後にこの防波堤の建設の入札ができ、設計が始まっちゃっている、こういう事態なんですよ。

 あなた、自分がこういうような、韓国に対して工事を再開させるきっかけをつくっているということを承知していますか。

野田内閣総理大臣 首脳外交をやっているときに、個別のいろいろ案件があるけれども、大局観を持って対応していこうというのは、これは首脳外交の基本じゃないでしょうか。

 では、あえてお聞きしますけれども、民主党を中心とする政権になってから、竹島という名前を出して外務大臣が個別にいろいろ主張をしています。自民党政権時代に、首脳でも外務大臣でも、竹島とちゃんと主張をしていますか。していないじゃないですか。今の個別のこの話と首脳の関係とのあれで指摘するのは、バランスを失した議論だと思います。

新藤委員 総理、これはどっちがどっちとなっちゃうととても嫌だと思っているんです。なんだけれども、日本国として認識しなきゃいけないんです。これは、今までそういう言葉を出さなくても済むような外交をやってきたということなんですよ。そして、それがわずかこの三年間でここまで悪化しちゃったということなんです。

 この問題をぜひ具体的に、外務大臣はようやくこんなことを言うようになった、でも、今まで私は岡田さんに一体何回やりましたか、岡田外務大臣のときに、これを具体的にやってくれと。

 例えば、観光客が今二十万人を超えていますよ。でもそれは、二年前に定期旅客船が就航するようになったからですよ。

 岡田さんが二〇一〇年の五月十六日に韓国に行きました。私はそのときに、テーマとして、こういった基地の問題それから施設の問題、さらには、定期旅客船が就航するから、こういったことはだめだぞと言うべきだと言いましたが、岡田さんは一言もこの問題に触れませんでした。

 結果として、五月の十六日にあなたが訪韓されて、その後で、今度は五月の二十五日、一週間後に定期旅客船の就航が認可されたんですよ。そして、この七月から一日二回、それまではチャーター船と不定期船だったものが定期就航するようになって、結果として、今二十万人を超えている。

 民主党政権が担ったこの三年間の日本政府の領土問題への対応、これは罪は極めて重い。民主党にこのことを任せるわけにはいかないということを私、指摘しておきたいと思います。

 それから、次の資料をごらんになってください。

 今度はソウルに独島体験館というのができました。この独島体験館にいろいろな歴史展示物があるわけですけれども、この体験館には、例えば三国史記、そしていろいろな独島に関する千五百年の歴史記録が集大成されている。それから、大韓帝国が独島を自国の領土として統治していたことをあらわす勅令と官報、日本の勅令と官報がある。日本の江戸時代に鳥取藩が鬱陵島と独島、竹島は日本の領土でないことを確認するとして送ってきた答弁書がある。こういう展示があるというんだけれども、これは事実なんですか、どうですか。この展示の内容は事実なんですか。

岡田国務大臣 いろいろ言われました。

 ただ、先ほど御指摘があったように、それでは、自民党政権時代に外務大臣が竹島についてどれだけのことを言われてきたかということであります。そのことははっきり申し上げておきます。

 あわせて、私が担当したときはどういうときであったか。日韓併合条約百年という極めて微妙な時期に、日韓関係をいかに持っていくかということで非常に苦労したときでありました。そういう中で、外務大臣としてどこまで言うか、事務方としてどこまで言うか、それは一つの外交判断であります。一面だけ捉えて何か言われるのは、私は極めて不本意であります。

中井委員長 質疑はいろいろでございますが、新藤議員にお願いは、先ほどから、韓国政府にやめさせた、予算をとめさせたという御発言がございました。これはちょっと、僕は、日本の国会として、相手の国に対して言っていいことと悪いことの限度を超えているんじゃないかと思いますので、少し発言、お気をつけいただきますようお願いいたします。

玄葉国務大臣 細かい事実関係の確認なので、事前に通告してほしかったんですけれども、まず、この体験館、これはもう内容以前の問題として、まず受け入れられない。

 それと、事実関係について、詳細に入りませんけれども、例えば、この展示物に我が国が竹島を不法編入したとの主張等がなされているとか、とてもではありませんけれども、我が国として受け入れることのできない記述がたくさんあるということでございます。

 御存じのように、我が国は、遅くとも十七世紀半ばまでに領有権を確立しているということでございます。

新藤委員 私も、この一つ一つを細々説明しろと、そんな時間もありません。ただ、外務大臣も多分ここを全部チェックしていないんだと思います。

 総理に聞いたんですけれども、ここに書いてある韓国側の歴史主張は全て誤っています。これは竹島のことではなくて、鬱陵島のことについていろいろな記述がありました。でも、竹島については一言も書いていないんです。決定的な誤った歴史認識により展示物が構成されているんです。

 こういった展示物について、これは日本として、いや、建物をつくることが問題だと抗議したって何も変わらないでしょう。現実に行動に移すとすれば、誤った歴史展示物は直してもらわなければならないと思いますよ。

 今、岡田さんが言った日韓併合百年、この百年の談話、あなたは深くかかわっているわね。その日韓併合の百年の談話にこれまた韓国側で大変にかかわってくれたのが、この独島体験館をつくった東北アジア歴史財団の理事長鄭在貞さん、この間、先月退任されました。この鄭在貞さんという、韓国では大臣級です、この財団の理事長が何と言っているか。独島、私はしゃくにさわるからこれを竹島と言いかえるんですけれども、竹島が日本の領土だと主張する日本の人々がこの体験館に来て、展示物を見て、意見を言ってくれたらよいだろう、このように韓国側が言ってくれているわけですね。お誘いしてくれているわけですよ。

 これは政府として、この体験館に調査団を派遣したらいいんじゃないですか。何なら私を派遣してくださいよ。どうですか。

玄葉国務大臣 そのような必要は必ずしもないと思いますけれども、何が一番効果的なのかということを考えながら、我が方として対応したいというふうに思っています。

新藤委員 もう抗議をしただけではどうにもならないところまで来ているのに、しかも、これは施設としてはとてもよくできていると言われていますよ、中身は間違っているけれども。こういった誤ったものが、たくさんの観光客が行って、韓国の間違った歴史主張が世界に広まっていくのを、日本は、誤りを変えろという、この具体的な行動も起こさないのかということなんです。

 総理、これは総理が、ここまで来ると、今までの歴代の首相が言わなくても済んだ、ましてや、外交の場で生々しい話をするか否かは、これは私だってわかる。しかし、もうそれを超えちゃって、あなたたちが、大体、不法占拠と呼ばなかったのは岡田さんじゃないか。あなた、何、さっき、そんな、不本意なことだとかと言っていましたけれども、あなたが一番、この日本の弱腰外交、竹島の関係を弱らせた張本人だと私は思っているんですけれども、だけれども、とにかく、もうここまで来ると、具体的な行動で直接的に何かをとめるなりなんなりしていかないと、私たちはどんどんどんどんと既成事実をつくられてしまうということだと思うんです。

 どうですか、総理、この体験館の展示物、直させようじゃないですか。直していただこうじゃないですか。どう思いますか。

玄葉国務大臣 ですから、先ほど、調査団を派遣してくれという具体的な提案がありましたけれども、何が一番効果的な方法なのか。ちなみに、御存じだと思いますけれども、これは一つ一つに対して我が方のパンフレットは的確に反論しているのは御存じですね。(新藤委員「書いていないんだよ」と呼ぶ)いや、基本的に書いてありますよ。それに対して、そういったパンフレットも活用しなきゃいけないでしょうし、何が一番効果的な方法かを見定めて対応するということを申し上げたいと思います。

中井委員長 玄葉外務大臣に申し上げます。

 新藤君のせっかくの御提案ですから、韓国の外交当局を呼んで、この鬱陵島と独島が云々という、この渡海禁止令、私どもは鬱陵島だけと聞いていましたが、そういう記述が歴史的にあるのかどうかをきちっと調べて、韓国政府に抗議してください。それを委員会、委員長として要請をいたしておきます。

新藤委員 ありがとうございます。ぜひ御検討いただきたいと思います。

 それから、パネルはありませんが、もう一度、私の資料を見てください。

 山陰中央新報という新聞記事です。これはいいことを書いてくれたので。

 ここに、この独島体験館の中に、昔の立て札、新潟県で張られた高札、これは現物なんですね。これも実は鬱陵島のことしか書いていないんですけれども、それを韓国側は竹島のことも書いてあるというふうに曲解をして、これが日本が竹島を韓国のものであるということを認識していた証拠であるというので、飾ってあるんですね。

 これは、日本の個人が持っていたものをオークションにかけられて、そして百五十万で落札され、そして結果的に韓国人の方に渡り、韓国人の人はすごくどきどきしながら、日本からカットされるんじゃないか、制限されるんじゃないかというのをすごく考えながら、結果的に韓国に持ち込んで、今ここに展示されているわけです。

 こういう文化財、歴史的な資料、日本の中にたくさんあるんですよ。ですから、私は、こういう領土主権問題については、きょうは竹島のことしか言いませんけれども、尖閣にしても竹島にしても、歴史的根拠をきちんと我々は調べて、そして対抗措置をとり、そしてそれを周知させる、こういうことをやっていかなければいけないというふうに思うんです。

 もう一点だけ、ちょっとどんどん時間が過ぎちゃって恐縮なんですけれども、竹島の山の問題。

 これも言っているんですよ。竹島に今度、韓国が山に勝手に名前をつけてしまいました。先月末からこのように勝手に地図に名前をつけちゃっているんです。

 であるならば、日本の地図にはどうなっているのかということです。日本の地図にも、きちんと私たちの島として名前をつけたらどうなんですか。これは誰が担当してくれるんですか。どうですか、大臣たち。

 これは国土地理院の管轄なんですよ。そして、日本の島に名前をつけるのは、地元の自治体から要請があれば、それを国土地理院長が受け付けて、そしてそれを地図に反映することができる。

 竹島についても、平成十九年に国土地理院が二万五千分の一地図を出しています。でも、東島と西島と、島の名前しかついていない。でも、もともとから地元の人が使っていたいろいろな岩だとか小島の名前がついている。これは、もし地元からこの島について名前をつけるべきだという申請が上がってきたら、どういたしますか。きちんと受理できますか。国土交通大臣。

羽田国務大臣 地元からしっかりと申請があれば、これはしっかり受けるということになると思います。

新藤委員 とてもクリアなお答えをいただきました。これは、しっかりと地元のお気持ちを酌んで、私たちの島なんですから、そして長い間ずっと使ってきて、名前もございます。それはこの地図に反映させるべきだ。今大臣から対応するということでございましたから、これは今後に期待したいと思います。

 それでは、もう一つのきょうの大きな課題、復興予算の使途の適正化についてということで御質問させていただきたいと思います。

 私も直前まで決算行政監視委員長を務めて、この復興予算の流用もしくは横流しと言われるような問題、これに心を痛めました。何とか国会として早く整理をしなきゃいけない、これは私たち国会の責任だと思います、予算を通したんですから。

 ですから、その意味においてこの問題は取り組まなきゃいけないんですが、そもそも、まず、この二〇一一年度の復興予算、これが被災地とそれから被災地外とどういう割り振りで使われたんですか。まず現状認識、お答えください。

平野国務大臣 被災地と被災地外ということにつきましては、今ちょっと手元にデータを持ち合わせておりませんが、いわゆる全国防災という枠、これは被災地外ということになるかと思いますし、第三次補正でやったいわゆる立地補助金等々については、そのほとんどが被災地外だった、そういう御理解でよろしいかと思います。

新藤委員 私の質問に答えてください。

 二〇一一年度の復興予算、大体十四兆でしたが、幾ら実際に使われたんですか。その中で、被災地と被災地外にどれだけの予算が割り振られたのか。このことを私は聞いているんです。

平野国務大臣 平成二十三年度については、御承知のとおり、三月末現在における支出済み額は九兆円というふうになっております。予算額の合計は十四・九兆でございまして、繰越額は四・八兆、不用額は一・一兆、差し引き九兆円ということになります。

 そのうち、九兆円についての主なものにつきましては……(新藤委員「だから、答えてください、割り振りを」と呼ぶ)

中井委員長 九兆円は全部復興に使われたんでしょう。

平野国務大臣 被災地に行っているのが、大体二・七兆円ということになっております。

 二・七兆円、その内訳は、復興交付金、災害復旧費、被災地支援、それから災害等復旧費……

中井委員長 九兆円のうち二・七兆しか行っていないの。

平野国務大臣 二・七兆円が、直接的な被災地という、主なものの予算の合計値だというふうに理解しております。

新藤委員 では、九兆円のうちの残りの六兆何がしかは、被災地外に使われているということですか。

平野国務大臣 大変恐縮でございますけれども、今手元にはそういった被災地あるいは被災地外ということで明確に整理したデータはございません。申しわけございません。

中井委員長 いや、ちょっと待ってください。

 きのう誰か答えたでしょう、金額。これはちょっと違うな、今の金額は。

新藤委員 大臣、今のは多分勘違いですよ。多分、三次補正の中の復興庁の所管分を言っただけだと思いますよ。

 ですから、これは、九兆円の中の割り振りがどうなっているかわからないんですよ。財務大臣もわからないでしょう。あえて聞きません、わからないと思うから。

 では、さらに言いますよ。

 この二〇一一年度の予算、それから、今二〇一二年度で予算執行中でございますが、この執行というのは、国から県やそれぞれの相手先に渡しただけです。被災地の皆さん、企業や被災地の方々に実際に渡った支出済みのお金は一体幾らなのか。役所に支出したけれども、そこから発注をかけて、受注した企業が受け取ったお金、実際にこの復興の予算がどれだけ被災地に出回っているか。これをわかる人がどなたかいるのならば、答えてください。

平野国務大臣 今、私どもがわかる数字としては、十月に会計検査院がまとめた報告書がございまして、国庫補助金については、執行率は約四九・五%、それから復興交付金については、執行率は二二・一%ということになっております。

 それから、今委員から御指摘のあった、どれぐらいのお金が業者に回ったか、これは一件一件自治体にヒアリングしないとわからない数字になります。しかし、これは今、自治体にそういうことを調査する余裕がございません、自治体は今手いっぱいでございますから。そこのことについては、データが出てくるにはもうちょっと時間がかかるということについては御了解をいただきたいというふうに思います。

新藤委員 復興大臣、実は、答えはずれちゃっているんです。結局、私は、この問題を役所に何度も聞いているんです、それから、自民党の会議で、実際に幾らまで使っているのかチェックすべきだ、何カ月も前から聞いています、でも、わからないんです。

 だから、十九兆のうちの十七兆円をもう予算を組みました、被災地に対してたくさんの支援をしていますと、私たちは国会でそう思っているんです。でも、現地では全然お金が来ない。よく見てみたら、被災地外に、北海道や埼玉の刑務所や沖縄の道路にお金が使われちゃった、それから、いろいろな、核融合の研究にお金が使われちゃったり、そういうようなことで横流しが起きているんじゃないか。これを正さなきゃいけないと言いながら、現地にはお金が幾ら行っているかわからない。

 そういう中で、どうやって総合的にチェックをして、真に被災地に必要な事業を仕切っていくんですか。政府はこのような状態で、幾ら使ったかもわからないような状態で、一体これから何の改善をするんですか。

平野国務大臣 まず、執行率については、ぜひとも委員に御理解いただきたいと思いますが、業者にどれだけのお金が行っているか、それから発注をどれだけやったか、これはちょっと時間がかかるということだけはぜひ御理解をいただきたいと思います。

 それから、被災地と被災地外の予算につきましては、これはなかなか仕分けが難しい面がございますが、今委員から御指摘もございましたし、私どもも当初からやらなくちゃならない仕事でありますけれども、きちっと仕分けをしてこれは提示をしたいというふうに思います。

新藤委員 これは、根本的に被災地復興の予算のあり方を見直すべきだと思うんです。それは準備していないから発注額を集計するのが大変なだけで、今はどこもコンピューターでやっているんですよ。ですから……(平野国務大臣「違う、違う、それはできない」と呼ぶ)いや、予算の管理です。そういうものをきちんと把握できる。国とすれば、実際のお金が現地にどれだけ行ったのかを確かめないと、ただ予算を組んだだけでは本当の被災地復興に寄り添う予算になっていないんだということ、これは私は強く指摘したいし、みんなで工夫していかなきゃいけないと思うんです。

 そして、これから行政刷新会議、仕分けの会議をやるというんですね。だけれども、仕分けの会議というのは、行政刷新会議は法的根拠がありませんね。それから、今までは民主党の議員と有識者と政府関係者、野党が入っていませんでしたね。今度は国会議員も外しちゃって、有識者と政府関係者だけで、自分の政府の中でお手盛りというような会議をやって本当に仕分けができるのか、私は極めて疑問です。

 私たちの決算行政監視委員会の国会審議、開会するのに四十日かかったんだから。では、何で開会できないのかといったら、代表選をやっているからだと。九月の中旬から言っているんですよ。代表選をやっているからできません。その後は、人事が決まっていないからできません。そして、閉中審査を行うほどのさほど重要な問題とも思いません。そういうような、ここで言っていることと実際の会議の現場で言われていることが全然違うという状態、これは猛省を促したいというふうに思います。

 それで、これは共通の問題意識として、まず第一に、被災地の皆さんが困っているのは、一体、こんなに被災地外にお金を使っちゃって、自分たちが本格復興のときにお金が残っているんだろうか。今は仮設なんです。ですから、本設の商店街、そして本格的な区画整理事業をやるときにお金が残っているんだろうか、これがとても心配しているところです。

 それから、個人や小規模の宅地のかさ上げの補助金がありません。これは全ての土地が六十センチから一メーター下がっちゃっているのに、かさ上げしなければ本格復旧にならないのに、その支援制度は大規模な公共事業でないとできない。この問題をきちんと措置してあげなければいけないというふうに思うんです。

 それから、予算が、例えば書類をつくって判こを押せといっても、関係者が行方不明、そして相続も終わっていない、だから書類が整わない、そういう人はみんな落とされちゃうんですね。また、予算がついても執行できない場合もあります。こういうものの繰り越し、これの弾力運用もやらなければならないだろう、このように思っているんです。

 これは、もう時間がなくなっちゃったので、提案をしておきますから、ぜひこれを受けとめてやっていただきたいと思います。

 そして、一つだけ、誤った政治主導。

 今、復興庁ができて、復興庁が一元管理をしてワンストップサービスでやるということになっているんですが、実は、先月もそうでしたよ、復興庁に要望するためには、東京の民主党本部幹事長室に行って内容を説明してオーケーされないと復興庁に行けない。仙台の出先の復興局に行くのに、わざわざ東京の幹事長室に来て民主党にオーケーをもらわないと陳情できない。こういうことで、地元で嘆いている首長、関係者たち、たくさんいます。

 こんなことを許すわけにいかないんだよ。裏に隠れて民主党は幹事長室でこんなことをやっている。総理大臣、これは御存じですか。これはぜひやめさせてください。

平野国務大臣 時間ですから、簡単に答弁させていただきます。

 復興予算、地元の復興に必要な予算はしっかり確保します。これは、我々、政治の最重要課題、責任だというふうに思っております。

 それから、要請等々についてはさまざまなことがございますが、今現地の復興局がかなりの仕事をしている、これは委員も多分その点は御理解いただいているというふうに思います。

 あと、制度等々の話がございましたが、これについては、個別にまた委員にきちっと御説明をしたいと思います。若干の誤解があるかとは思います。

中井委員長 平野君、幹事長室へ行かなきゃあなたのところに行けないという話を答弁してください。

平野国務大臣 私のところには、幹事長を通さない案件も、特に福島案件については結構来ております。そういった場合については、私は、幹事長を通さなかったとしてもお会いをしているということであります。

中井委員長 時間ですが、いいですか。

新藤委員 今いみじくも、復興担当大臣は正直で真面目な方だから、私のところには幹事長室を通さないものも来ていますということは、通しているものもあるということじゃないですか。

 ですから、私は、こんなばかげた、役所に行くのに一々与党の幹事長室に行かなければ役所に行けないなんということは、自民党時代にはなかったんだよ。こんなばかなことは絶対やめろということは、大いに訴えたいと思います。

 そして最後に、結局、皆さん、もう領土を守ることも全く不手際の連続、そして、まず第一番でやらなきゃいけない復興予算も、実は全容もわかっていない、きちんとした適正な措置もできない。そして、皆さん、離党者続出でしょう。大臣は六十八人かわっちゃっているんですよ、この三年間で。

 ですから、私は、この政権、もう一回リセットした方がいい。マニフェストの破綻もある。もう一回、勇気を持って、みんなで国民の負託に応えようじゃないか。私は、解散をしないことにはこの悪循環はどうにもとまらない、このように思っています。

 もう時間が参りましたから、また次の機会があればぜひ訴えたいと思いますけれども、しっかりと、日本の国を運営していくのには単なる気持ちだけではできないということ、具体的な仕事の中身がわかっていない限り進まないということ、これをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

中井委員長 この際、森山裕君から関連質疑の申し出があります。山本君の持ち時間の範囲内でこれを許します。森山裕君。

森山(裕)委員 自民党の森山であります。

 きょうは、総理と関係大臣に、TPPに絞ってお尋ねをさせていただきたいと思います。

 総理、私は昭和二十年の生まれです。私の小学校、中学校の時代というのは、まだ日本の農業がそう近代化されている時代ではありませんでした。私は、正直に申し上げて、冬の麦踏みが大変つらかったです。また、寒い時期にサツマイモの収穫をしなければならなかったんですけれども、その作業も非常につろうございました。まだ野米をつくっている時代でしたから、野米の一番草取りというのは暑いころでございますので、それも大変つらい作業でした。

 私は、それから逃げるような形で、中学校を卒業して、ふるさとを後にしました。ただ、私の同級生や私の先輩や後輩たちは、ふるさとに残って営々と農業を頑張っています。私は、こういう人たちが希望を持って農業をやれる国づくりというのが大変大事な課題なんだなということをいつも思っていまして、そういうことに努力をしなければいけないなというふうに思っています。TPPの問題というのはそのことと大きな関係のある話であります。

 ある学者がこんなふうに述べておられます。日本の農政が、農業を一つの資本主義的な産業として捉えて、農業に従事する人々を一介の経済人とみなし、効率的のみを追求する偏見にとらわれ過ぎてきたのではないだろうか。農の営みという最も本源的な機能を担ってきた人々が持っているすぐれた人間性とその魅力的な生き方が、我が国の社会的安定性と文化的水準の維持に果たしてきた役割が忘れられてきたのではないかと思っていると、この学者は述べておられます。

 総理、この学者の考え方を共有がおできになりますか。どうですか。

野田内閣総理大臣 まず、我が国の農業の位置づけにかかわる問題意識からお話ししなければいけないと思いますけれども、当然のことながら、国民のための食料の安定供給という大事な役割を果たしているということと同時に、国土、環境の保全という意味からも多面的な機能を有している。その意味では、農は国のもとなりという意識をお互いに共有しながら議論を進めなければいけないというふうに思います。

 その上で、現状における農業に対する危機感、これも共有しなければいけないと思うんです。この後、TPPのお話をされるんだと思いますけれども、高いレベルの経済連携との関連での議論もあるかもしれませんが、このまま放っておいても、担い手が不足をしていって日本の農業は先細りになるのではないかという懸念があると思います。どちらにしろ、農業をもっと魅力ある産業にするために与野党が知恵を出していかなければならないと思っております。

 私どもの政府としては、昨年に食と農林漁業の再生のいわゆる行動計画、方針をまとめました。それに基づいて、六次産業化等々の政策を着実に実施していきたいと思います。

 先ほど申し上げたとおり、農業は農業の多面的な機能がありますので、単なる経済効率やいわゆる資本主義、自由主義の論理だけで語れない部分はありますけれども、でも、産業である限りは、そういう観点も入れながらの対応もあるだろうと思います。まさに、そこは多面的な機能を有している分野だと思います。

森山(裕)委員 総理、私は日本の農業がおくれているとは実は思っていません。日本の農業がおくれているかのような話というのは、農家の皆さんの矜持をこれほど傷つける話はないなと私は思います。

 世界に誇れる、生産履歴のしっかりした農業ができるようになりました。また、一部、果物にしても、米にしても、牛肉にしても、世界的に評価をしていただけるものをつくれるようになりました。しかし、全てがそこに集中できるかというと、農業というのはそういう甘いものではありません。私は、そういう農業を頑張ってきた人たちの努力というのは正しく評価をされなければいけないのだと思います。

 ただ、日本の農業で致命的なのは、中山間地が多くて、一農家当たりの経営規模を拡大化することが非常に難しいということであります。自民党農政もその努力をしてきました。前回の衆議院選挙を振り返っていただければおわかりをいただけると思いますけれども、自民党農政は小規模農家切り捨てではないかと御党は言われました。しかし、今お出しになった集約化の計画を見てみますと、かなり意欲的な数字を求めておられます。その方向に向かって努力をしなければなりませんが、規模拡大だけで日本の農業が全てを解決できるという問題ではない。そのことをぜひわかっていただきたいと思うんです。

 それと、総理、私の選挙区は非常に畜産の盛んなところです。今、日本の和牛というのは最も評価をされるようになりましたけれども、昭和四十一年に全国の共進会が開かれたんですが、そのときのテーマは何だったかというと、和牛は牛肉たり得るかということだったんです。そこから改良が始まってきて、御評価をいただけるようになったんです。そういう農家の皆さんの努力、関係者の皆さんの努力というのはやはり正しく評価をしてやるということが大事なことだなというふうに私は思っています。

 そのことを前提にして、我々自民党がTPPについて基本的にどういう考え方でいるかということを、まず申し上げておかなければならないと思います。

 自民党は、TPPに関しまして党の公式見解をまとめました。公式見解というのは、総務会で御決定をいただいているということであります。我々は、これが党の公式決定という呼び方をします。

 一つは、聖域なき関税撤廃を前提とする限り、交渉参加に反対をするということであります。次に、自動車等の工業製品の数値目標は受け入れない。国民皆保険制度はしっかり守る。食の安全、安心の基準を守る。国の主権を損なうようなISD条項は合意をしない。政府調達、金融サービス等は我が国の特性を踏まえるということが、我が自民党のTPPに関しての基本的な見解であります。

 そこで、このうち、自動車等の工業製品の数値目標、国民皆保険制度、食の安全、安心の基準、ISD条項及び政府調達、金融サービスについて、関係国との間でどのような情報収集や協議が進んでいるのか、なかなか我々にはわからないのであります。まずそこのところをお伺いしたいなというふうに思いますし、十月中旬に来日されましたカトラー代表補と、これらの課題についての協議があったのかなかったのか、あったとすればどういうことだったのか、そこのところをまず明確にしていただきたいと思います。

玄葉国務大臣 先ほどカトラーさんの話がございましたけれども、外務省の担当者と会っています。恐らく前原国家戦略担当大臣は直接会われているのではないかと思います。

 簡潔に申し上げれば、アメリカ側から、特に利害関係者そして議会の関心事項として、これまでも申し上げてきましたけれども、自動車そして保険、牛肉についての関心の表明があった。そして、その上で、いわゆる協議をこれからも継続していくということで一致をしたというのが現在の状況でございます。

 これは自民党さんが、今委員がおっしゃった、判断基準を政府に示すということで、聖域なき関税撤廃を前提にする限り交渉参加に反対、以下五点ございますけれども、私どもはこの点はほとんど近いというふうに思います。

 つまりは、自動車の数値目標などは受け入れるつもりはございません。それが一つありますし、国民皆保険制度はそもそも議論になっておりません。皆保険制度は守らなければならないと思っております。食の安全、安心の基準を守る、こう書いてありますけれども、日本政府としては、いわゆるWTOのSPS協定に相反するようなことは受け入れないということでいきますので、これも大丈夫だと思います。

 ISD条項、インベスターとステートのディスピュートということでありますけれども、まさに主権を損なうようなISD条項は合意しないというのは、基本的にこれまでも、我々はISD条項をたくさん持っています、投資協定もあります、あるいはFTAもあります、そこで国の主権を損なわれたというふうには我々は考えておりません。

 いつも議論になるのは、米国が出てくると、米国は強いのである、こういう議論が出てくるんですね。これまで日米の通商交渉で負けてきた、失礼ながら、自民党さんがおっしゃるんですよ、国会で。だからそういう轍を踏むな、こういうふうにおっしゃるんですけれども、ISD条項について、米国はディスピュートをやっています、あちこちと。だけれども、勝ったり負けたりしているんですね、実際のところ。ですから、そういう意味で、まさに、私はISD条項というのは日本に必ずしも不利になるわけではないというふうに思っております。

 こういった説明でよろしいでしょうか。

前原国務大臣 USTRのカトラー女史とは、日本に来られて、二回お会いをしました。お会いをしたのは、私が九月にワシントンに、これは政調会長時代でありますけれども、お話をして、また、彼女が来られましたのでお話をしたということでございますが、基本的には表敬ぐらいのものでございます。しかも、一回目は大統領選挙の前でございましたし、二回目は直後でありましたので、具体的な話はしておりません。

 関心事項については、今、玄葉大臣からお話がございましたように、牛肉、保険、そして自動車、こういった分野であるというような概括的な話はございましたけれども、具体的な話はしておりません。

 先ほど議員がお尋ねになったことで、アメリカが明確に言っていることで申し上げると、公的医療保険のあり方についてでございますけれども、TPPによって日本や他の国に自国の医療保険制度の民営化を強いるものではない、混合診療を含め、民間の医療サービス提供者を認めることを要求するものではない、こういう旨をアメリカが明らかにしているということは承知をしております。

森山(裕)委員 ISD条項につきましては、やはりNAFTAの関係で、カナダとアメリカのいろいろな訴訟問題というのは我々も関心を持たざるを得ません。それぞれの国の法律を超えてしまうわけですから。これは私は、今、外務大臣が答弁をされたことをそのまま受け入れるということには非常に抵抗があります。非常に難しいのだろうと思います。それは安易に考えてはいけないのではないかというふうに思っています。

 あと、アメリカがどういうことを考えておられるかというのは、実は私は、昨年の十二月に、当時の石原幹事長と御一緒にアメリカに参りました。ワシントンで多くの方にお目にかかりました。いろいろな意見を聞かせていただきました。どういうことを思っておられるかも大体理解をしているつもりでいます。

 しかし、その内容は、とても受け入れることのできない内容だというふうに思いますし、そこが非常に政府も御苦労なさっておられるんだろうなということを私は推測しているわけでありますが、ただ、ここはやはりしっかり守っておかないと、おかしなことになってしまうということなのではないかなというふうに思います。

 ただ、総理、ここ二、三日、TPP問題というのが随分いろいろな議論があって、国民から見ると、どうなっているのかなというふうに思っているんじゃないかと思うんです。

 一つは、次の総選挙の争点になるのではないかという議論もあります。また、総理みずから、マニフェストに掲げるという御発言もされました。ところが、きのうの御党の政調会長の細野先生との議論を聞いておりますと、与党の中で今からまた議論をしていくんだという話であります。ですから、政府・与党として今からまた議論をされるとすれば、どうなってしまうのかな、選挙の公約になり得る話ではないなというふうに実は思っています。

 我々も、自民党でいろいろな勉強会に各省庁の皆さんが来ていただいて議論をするんですけれども、全く見事に情報は出てきません。見事に出てこないんです。だから、国民にしっかりと情報公開をして、そして国民的議論をして、国益にかなうものであれば進めると総理は言われるんですけれども、私はそのとおりだと思うんですけれども、実態が全く伴っていないということであります。

 また、農業、水産の関係でどれぐらい影響があるのかという試算すらいまだに示していただけない。各省庁との協議を今していますという話になっているということであります。

 総理は、九月十日から始まった民主党の代表選挙で一定の方向を示されました。それに基づいて民主党の代表におなりになり、総理におなりになったんですから、もう党内の協議というのはそれで済んでいたのかなというふうに思っていましたけれども、きのうの議論を聞いておりますと、どうもそうでもないということのようであります。非常に議論が行ったり来たりしているのではないか、そう思います。

 そこはどう理解をすればいいんでしょうか。総理、お願いします。

前原国務大臣 お許しをいただいて、前政調会長の立場と今の立場で御答弁をいたします。

 このTPPに関する党内議論というのを私が政調会長のときにやらせていただきましたけれども、昨年、内閣としてTPPの交渉参加に向けて協議を開始するという前に党内でかなりの時間をかけての議論を行いまして、そして、党としての考え方は政府に対してもう提言をしておりまして、参加するかどうかということについての党内手続は終わっているという認識でございます。

 ただ、きのうの議論はマニフェストの中身の議論でありますので、マニフェストの中身の議論として入れるか入れないかという議論は、これから細野政調会長のもとでやられるのではないかというふうに思っておりまして、繰り返しになりますけれども、TPP参加に向けての党内集約の議論は終わって、その提言を政府にお渡しをしているということでございます。

 それと同時に、先ほど国民の議論という話をされましたけれども、事実関係だけお答えをいたします。

 合計七十三回に及ぶ各種団体との意見交換、そして、二十四道府県における説明会への派遣、全国九カ所における地域シンポジウムへの参加等を通じて、国民への情報提供を精力的に行ってまいりました。

 また、地域シンポジウムにおける討論会の場、国会や党の御議論の場も含めて、さまざまな場において議論が広範に行われてきたと思っておりますし、必要があれば今後も続けてまいりたいと考えております。

森山(裕)委員 党内の手続は終わっていると理解をしてよろしいんですね。あれは九月六日の御党の経済連携PTの中間報告をもって、当時の政調会長としての御発言だと理解していいですね。

中井委員長 これはなかなか、大臣ですから、前のポストのことばかりの答弁というのはどうかと思いますので、野田総理からお答えいただきます。

野田内閣総理大臣 政府の基本的な姿勢は、所信表明演説でお話をしたとおりです。それは、私の民主党代表選挙の公約に基づいた中でのお話をさせていただきました。

 FTAAPを実現する、これは内外において合意をされているということの前提のもとに、FTAAPへの道筋という中で、TPPと日中韓FTA、そしてRCEPとございます、それぞれを同時追求する。TPPについては、かねてから申し上げてきたとおりでありますけれども、守るべきものは守りながら、国益という観点に立って判断をするということであります。

 そういう中で、交渉参加に向けて、これまで約一年にわたって協議をしてまいりました。政府としてはそういう取り組みを引き続きやっている最中でございますが、党としての対応というのは、先ほど前原大臣からお話があったとおり、PT等の議論を経て、政府に慎重な対応を求める趣旨の御提言をいただいているということでございます。

 きのうの細野政調会長との議論については、これは、今政府はそういう方針でやってまいりましたけれども、マニフェストの記載というのは、TPPだけではなくて、さまざまなテーマについて党内議論をちゃんとやった上で国民の皆様に打ち出すわけですから、そのプロセスのことをお話ししたということであります。

森山(裕)委員 総理、ありがとうございました。

 そうすると、さらに心配が膨らむんですけれども、東アジア・サミットが十八日から行われるわけでありますが、そこで参加表明をされるということですか。東アジア・サミットで参加の表明をされるんですか、されないんですか。

野田内閣総理大臣 ASEAN首脳が集まるサミットには、これは出席をさせていただきたいと思います。ただし、そのときにとかを含めて、特定の会議で特定の時期に特定の表明をするということを政府として決めているということではございません。

森山(裕)委員 総理、こんな大事な問題を誠実な野田総理が逃げられてはいけません。何カ月後の話じゃないんですよ。ここはしっかり御答弁をいただかないといけないと思います。(発言する者あり)そこは違うと思います。ちょっと、しっかり答弁してください。

野田内閣総理大臣 政府としてそういう形で何か方針を定めているという、現時点ではないということを申し上げました。

 政府としての方針をお話しするならば、これは関係閣僚会議等々で意思決定をしてということですので、現時点でそういうことをやっておりませんから、特定の時期、特定の会議で特定の表明をするということを、政府として今方針として固まっているということではないということであります。

森山(裕)委員 少し手続が見えてきたような気がします。関係閣僚会議にはお諮りになって、そこで政府が了解をして発表されるという手順になるわけですが、ほとんど時間がないのに、ひょっとしたら表明するかもしれないし、表明しないかもしれないという話ですか。

野田内閣総理大臣 ひょっとも何も、まだ決めていないということであります。そういうことです。先ほど言ったとおり、答弁どおり受けとめていただきたいと思います。

森山(裕)委員 大変申し上げにくいことを申し上げなければなりませんが、解散を近いうちにと言われました。誠実な総理でありますから、近いうちに解散をなさるんだろうと思っています。

 解散をして国民の信を問う内閣が、将来にわたる経済連携協定に参加を表明するということは、私はあってはいけないと思います、かわるかもわからないわけですから。あなたが引き続き総理の座をお務めになるかもわからない。しかし、かわるかもわからない。支持率から見ても、なかなか難しい話なのではないかなというふうに思います。

 総理の国際的な約束というのは、やはり私は非常に重いと思います。そこは、日本という国はしっかり守っていかなきゃいけないのだろうと思います。であればあるほど、そこは、総理、私は慎重にしていただかないといけないというふうに思っています。

 そこは、どう理解すればよろしいですか。

野田内閣総理大臣 交渉参加に向けて協議には入ってきたんです。いわゆるTPPに既に交渉参加している九カ国との間では、もう協議に入ってきました。それを踏まえて、引き続き協議を続けているんです。これは後退するということはないんです、やってきているわけですから。交渉参加に向けて協議をしている最中です。

 そこで、国内の議論であるとかあるいは関係国との協議が進んできた段階で判断をするということはあると思います、もちろん。だから、それは、今、現時点でどの時期だと申し上げられるということではないということであります。

森山(裕)委員 総理、そうしますと、わかりやすく言うと、アメリカとの入場券の話がまとまるかまとまらないかにかかっていると理解すればいいですか。自動車の問題を含めて、保険の問題を含めて、そういうふうに理解をすればいいですか。

野田内閣総理大臣 交渉参加すると、仮にですよ、判断をするということは、いろいろ懸念事項等々についての一定の目安、めどというものが出てこなければいけないのだと思います。もちろんこれは、交渉参加するといったって、関係国がオーケーかどうかということもあるわけです。

 ということがあるので、ただ、今協議は進めている最中でございますので、それはちゃんと進めていきたいというふうに思います。

森山(裕)委員 それでは、協議を進めておられる中で協議が調わないのはどの分野ですか。何が協議が調わないんですか。そこをちょっと教えてください。

前原国務大臣 九カ国の中で、先生御承知のとおり、六カ国は日本の参加については了解をしている、三カ国についてはまだ了解をしていないということでございますので、その三カ国との個別の協議を行っているということでございます。(森山(裕)委員「何が合わないんですか」と呼ぶ)

 それぞれの国によってその関心事は違いますけれども、先ほど入場券という言い方を先生はされましたけれども、我々は前提条件を設けずに、ただお互いの関心事項を話し合うということで、申し上げれば、アメリカは、先ほどお話をした牛肉、そして保険、自動車に関心を持っているということでございます。

森山(裕)委員 この議論はそれ以上は差し控えた方が国益だろうと思いますので差し控えますが、やはり、本当の国益とは何なのかということだと思いますし、国民にいかに情報を公開していただくか、そして国民がどう判断をするかということはしっかりおやりいただかないと、こんなに情報がなくてどっちかに旗を上げろと言われることが無理があるということを申し上げておきたいと思います。

 それと、ちょっと下地大臣に伺っておきたいと思います。

 下地大臣、沖縄というのは、私は、TPP、特に農業とは大きな関係があると思うんです。離島の方は七割ぐらいがサトウキビですよね。あなたは、TPP交渉に参加をすることは賛成ですか、反対ですか。

下地国務大臣 私は、今閣僚の中で仕事をさせていただいていますから、総理が今回の所信表明演説で申し上げた、国益の確保を大前提として、守るべきものは守りながら推進をしていく、その考え方です。

中井委員長 森山君、時間が迫っています。

森山(裕)委員 はい。

 下地さん、守るべきものは何ですか。

中井委員長 下地大臣、時間が来ていますから、短く。

下地国務大臣 農業においても、郵政においても、数多く守るべきものはあるという認識を持っています。

中井委員長 森山君、終わってください。

森山(裕)委員 はい。

 最後の質問とさせていただきますが……

中井委員長 質問なしです。質問なし。

森山(裕)委員 なしですか。

 それでは、総理、やはり東アジア・サミットで表明をされることは、ぜひおやめをいただきたい。まだまだ議論をしっかりさせていただかなければならないと思いますし、それをしてしまっては大変なことになるということを強く申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

中井委員長 これにて山本君、石破君、田村君、小池君、竹本君、馳君、岩屋君、新藤君、森山君の質疑は終了いたしました。

 次に、古賀敬章君。

古賀(敬)委員 国民の生活が第一・新党きづなの古賀敬章でございます。

 私の持ち時間は二十五分と短いものですから、早速質問に入らせていただきます。

 まず最初に、郵政民営化問題についてお伺いをいたします。

 ことしの四月二十七日、改正郵政事業民営化法が成立したことにより、郵政三事業の一体サービスが確保され、金融ユニバーサルサービスも義務づけられることになりました。それによって、郵便局の公益性、地域性が以前にも増して発揮され、住民に対する利便性も向上するものと期待されております。

 同法の第七条の二に「日本郵政株式会社及び日本郵便株式会社は、郵便の役務、簡易な貯蓄、送金及び債権債務の決済の役務並びに簡易に利用できる生命保険の役務が利用者本位の簡便な方法により郵便局で一体的に利用できるようにするとともに」、次が大事なんですが、「将来にわたりあまねく全国において公平に利用できることが確保されるよう、郵便局ネットワークを維持するものとする。」というふうにありまして、その三には、政府は、前条に規定する債務の履行が図られるよう、必要な措置を講ずるものとするとあります。

 さらに、同法の附帯決議にも、郵便局ネットワークについて、利用者ニーズを踏まえ、地方公共団体からの委託を通じ、地域住民のきずなの維持や、利益の増進に資する業務を幅広く行うための拠点として、より積極的に活用されるよう努めることというふうにございます。

 しかしながら、八月二十六日付の読売新聞の報道によりますと、経営効率化のための過疎地の郵便局の隔日営業や半日営業の検討を始めているというふうに報道されました。

 この報道どおり、実際に会社として検討を開始されているかどうか、お伺いをさせていただきます。

下地国務大臣 四月の二十七日に、国会におきまして、九五%の議員の皆さんの賛成をいただいて、法案が通りました。

 この法案の趣旨は、先生が今申されたとおり、ユニバーサルサービスをする、そして三事業一体でサービスを行うということと、五社化を四社化にするというような趣旨でありますから、この趣旨をしっかりと守ってやっていかなければいけない。

 そういう中において、私たちは、ユニバーサルサービスを守るということが第一条件でありますから、この新しい仕組みが法律でできましたので、郵便局長の皆さんや郵便で仕事をする皆さんにいま一度地域に密着したお仕事をしていただくということが法律でできたので、ぜひ頑張ってくださいというのを今やらせていただいております。

 二点目には、先ほど話がありましたように、他の業務、国からの委託事業、いわば不明な年金の検索が郵便局でできる。これも二百カ所ぐらい郵便局に置かせていただいて、できるような形にもなりました。ほかにもいろいろと、これから郵便局を活用して、郵便事業だけじゃなくて、国民のためにサービスができるかどうかというのを模索していきたいと思っております。

 その次が、新規事業をどうやって、金融機関の皆さんとも調整をしながら、ちゃんと認めていただけるかということが三点目。

 その次に、四番目に効率化なんです。四番目の効率化が一番目に来て郵政事業の経営を改善していこうという趣旨は、全く考えておりません。

 私の前の松下大臣も全く私と同じ考え方で、会社側にもそのことをずっと伝えてきましたから、効率化は四番目。そのことは間違いなくこれからも郵政事業の中では必要だというふうに思っていますから、ユニバーサルサービスの維持を徹底的に進めていきたいというふうに思っています。

古賀(敬)委員 大変力強い御答弁でございましたけれども、現に会社でその効率化の検討を始めておるという報道がされたわけでありますが、それは事実や否や、お答えいただきたいと思います。

下地国務大臣 検討が始められたことは新聞紙上でも見ましたし、会社側からも話がありましたが、そのことに関して私どもは強い懸念を示しているということを明確に申し上げてありますから、今の効率化が加速して進んでいるとは考えておりません。

古賀(敬)委員 先ほど下地大臣がお話しいただいたように、この問題に関してはまさに優先順位の問題だろうというふうに、私も全く同意見でございます。そういった意味で、先ほどの大臣の答弁、素直にそのまま受け取らせていただいて、しっかりとその順位に沿って実施されることを強くお願いする次第でございます。

 次に、TPPについて御質問をさせていただきます。

 まず最初に申し上げたいのは、私ども国民の生活が第一は、我が国の国益にかなうFTAやEPAについては積極的に推進し、日本経済を活性させていきたいと考えていることは言うまでもありません。この点について、現政権の立場と変わらないものと思っております。

 しかしながら、TPPに関しては別でございます。TPPは単なる自由貿易協定ではなく、我が国の仕組みを激変させる大変異質な協定であるというふうに私は受けとめております。

 したがって、私は、我が国の固有の文化や日本独自の国民の生活にかなった適切な制度を守るために、TPP交渉に参加してはいけないというふうに考えておる者の一人でございます。

 まず、前原国家戦略担当大臣にお聞きいたします。

 大臣は、外務大臣時代の二年前、平成二十二年十月十九日の講演で、日本は農業を守るためにFTA、EPAに対しては非常に慎重であったと分析された上で、日本のGDPの一・五%しかない一次産業を守るために九八・五%という大部分が犠牲になっているというふうに発言をされております。何度もこの委員会でも取り上げられたというふうに承知はいたしておりますけれども、今でもそのお考えにお変わりはないのか、まずお聞きをさせてください。

前原国務大臣 古賀先生にお答えいたします。

 その話のときにも私が申し上げたのは、農業再生は極めて重要である、農業再生のさまざまな取り組みをした上でということでありまして、全く農業再生のための取り組みをせずに自由貿易を進めていいということを申し上げたわけではありません。

 他方で、自由化が進んでいるかどうかということを、いろいろな意見がございますけれども、例えば貿易量に占めるEPAとかFTAの割合というのは、日本は一六・五%です。それに対してお隣の韓国は三六%、中国が二二%ということで、そのことによって、例えば製造業などの輸出産業というものが関税がかかる、韓国ではかからない、中国の製品もかからないというようなマイナスの影響を受けているということから、全体を考えての自由貿易を進めていくべきだという話をしたわけでございまして、繰り返しになりますけれども、農業をしっかりと基盤強化して、産業に育て上げることが大事だという前提でお話をしたわけでございます。

古賀(敬)委員 その前原大臣の二年前の発言によって、農家の方々は大変なショックを受けられて、落胆をされました。我々農家はそんなふうにしか見てもらっていないのかという意味で。

 基本的に、農業の問題というのは、農業従事者の問題というよりは、農業に携わっていない都市部に住んでおられる皆さん、一億を超えるそういった農業に携わっていない方々の胃袋をどうするかという問題が農の基本になければならない、このように私は考えております。まさに農は国を守る基本だ、この前提に立ったときに、果たしてTPPに参加したときにその農を守れるのか、そのことを大変心配いたしております。

 TPPに加盟した場合に、我が国の農業、そしてまた国民の食料をどのように守っていかれるのか、その御決意をお聞かせください。

郡司国務大臣 TPPに参加をした場合の食料の確保ということの御質問でございました。

 その前段として、おっしゃっていただきましたように、農というものは命の産業であります。したがいまして、安定的に食料を供給するということは、これは国にとって大きな責務であろうというふうに思っております。しかし、個別の、例えばどこの国とのEPAあるいはTPPというような形の経済連携によりまして、その対応というものは異なってくるということが一般的にはわかっているところでございます。

 私どもの基本的な考え方としましては、今回、TPPについては、先ほど総理がお話をされたように、これから適切な判断をするということでございます。私ども、TPP、EPA、その他経済連携に対しましては、物事が決まったことをもってしっかりと対応するというような形の考え方をとらせていただいておりまして、今のところ、TPPに対応するという形での対策をまとめているということではございません。

古賀(敬)委員 何となく釈然としないお答えでございますけれども、時間がありませんので、次に進めさせていただきます。

 同じくTPPに関連しまして、野田総理にお尋ねいたします。

 先週金曜日、十一月九日付の読売新聞、野田総理が早ければ月内にもTPP交渉参加表明を行い、その直後に衆議院解散に踏み切るということを検討しているというふうに報じられましたが、これは事実でしょうか。

野田内閣総理大臣 どなたがどういう形で御発言をされてそういう記事になったのかわかりませんけれども、私自身は、この国会で答弁をしているとおり、特定の時期に特定の発表、声明をするというような方針を固めているわけではございません。

古賀(敬)委員 総理は、昨年のホノルルで行われましたAPECの会議出発直前に、TPP交渉参加に向けて関係国との協議に入ると表明され、そしてその際に、さらなる情報収集や十分な国民的議論を経た上でTPPについての結論を得るというふうに記者会見で申されております。

 しかしながら、この一年間、TPPについて国民に対する情報開示、そして国民的議論が十分に行われたと言えるのかどうか、総理はどのようにお考えでございますか。

前原国務大臣 事実関係でございますので、私の方からお答えをいたします。

 これまで、合計七十三回に及ぶ各種団体との意見交換や、二十四道府県における説明会への派遣、全国九カ所における地域シンポジウムへの参加等を通じて、国民への情報提供を精力的に行ってまいりました。

 また、地域シンポジウムにおける討論会の場や国会等の御議論の場も含め、さまざまな場において議論が広範に行われてきたところでございますけれども、今後も、必要とあればしっかりと国民に対する情報提供、議論の場を設けるべきだと考えております。

古賀(敬)委員 この件につきまして、郡司農林水産大臣はどのようにお考えですか。

郡司国務大臣 先ほど来総理がお話をしているように、これから適切に判断をするということになってきているわけであります。

 そのときに、判断をする材料として、私は、私のところに届いている地域やあるいは自治体や生産者の声というものが慎重な形を要しているところが多いということをもって、そのことを閣内で発言し、最終的には内閣としての判断をする、そのような形で役割を考えているところでございます。

古賀(敬)委員 総理は、このTPPを次期衆議院選挙の民主党のマニフェストに明記し、選挙で国民の信を問いたいという発言をされたと報道されておりますけれども、事実でございますか。

野田内閣総理大臣 そういう発言はしていません。

 発言の内容は、これは何回も繰り返しますけれども、FTAAPを実現しようということは、これは内外で共有をしています。その道筋の一環として、TPP、日中韓FTA、RCEPがあるわけでありますけれども、それらを同時追求する。TPPについては、国益を守るということを大前提として、守るべきものは守るということの中で最終的に判断をするということでございますので、そのプロセスをたどっている、今協議をしているということでございます。

 こうした考え方を、これは所信表明演説でも申し上げました。政府の方針として今取り組んでいるわけでございますから、マニフェストにどういう書き方をするかというのは、これはTPPだけではなくて、幅広い経済連携という意味で書くのか、あるいは違ういろいろなテーマでも、これはまさに党内で議論をしてマニフェストをつくるわけですから、その中で御議論をいただくという意味での答弁はさせていただいておりますし、いわゆる記者からのお尋ねにも同じことを申し上げております。

古賀(敬)委員 先ほども森山議員の質問の中にもありましたけれども、選挙でこのTPPを争点にされても国民は困ると思うんですね。なぜならば、その情報が全然国民にはわかっていない。TPPというものが一体どういうものかということを多くの国民の皆様は全然理解をされていない、そこに一番問題があるんだ、このTPP問題は私はそのように考えております。

 菅内閣のときに、ちょうど二年前、横浜の会議の前に突然、記者会見で、第三の開国をしなければ日本のあすはないというような趣旨でTPPに関して初めて発表されました。私ども国会議員も、TPPというものをまだ聞いたことのない人がほとんどの時期でございました。

 そういった、この二年間で、本当に情報がひとしく、正しく国民に開示され、それが国民的議論になっているとは到底言いがたい状況ではないかな、そのように私は思っております。

 先ほど前原大臣の方から、何回、どれだけやったとか、そういう話がありましたけれども、一般の国民の皆さんは、やはり、テレビ、新聞、そこに正しい情報が伝わっていないがゆえに、疑心暗鬼、不安をどんどんどんどんあおられるような状況で、このTPPというものが本当に我が国にとってプラスなのかマイナスなのか、メリットがあるのか、デメリットがどれだけあるのか、こういったことを、政府の責任としてしっかりとこれから情報開示に努めていただきますように御要望をさせていただきます。

 次に、消費税、消費増税について質問をさせていただきます。

 さきの通常国会で、三党合意のもと、圧倒的多数でこの消費増税法案は可決されました。

 民主党は、三年前の衆議院選挙では、マニフェストには書いていないというよりも、むしろ、任期四年間は消費増税はしませんよということを各立候補者、民主党の候補者は地元の演説で言ってきたはずであります。その国民と約束したことに反しまして、野田総理は政治生命をかけるとまで言い切られまして、消費増税法を成立されました。またかとお思いかもしれませんが、三年前の大阪十六区でのあのシロアリ発言、まさにこのとおりだったと思うんですね。

 それで、前から総理に一度お聞きしたかったんですが、政権交代後、いつごろからこの方針を転換されたのか、そしてまた、その理由は何だったのか、お聞かせをいただきたいというふうに思います。

野田内閣総理大臣 何よりも、政権交代をした、そのまさに直後の状況というのは、税収の落ち込みが九兆円という状況でありました。これはリーマン・ショックの影響もありました。加えて、国際的な金融危機等々の状況も加わりました。

 そういう問題意識を持ちながら、政権与党としてさまざまな、特に予算にかかわるような仕事をさせていただいている過程において、社会保障を持続可能なものにしていくためには、毎年自然増で一兆円膨らむ中で、きちんと安定財源を確保しなければいけない状況がもう待ったなしの状況になっているということと、社会保障に対する国民の不安を解消することは、まさにこれは、あしたの安心を確保する一番大きな一歩になるということなどなどから勘案しまして、判断をさせていただきました。

 当然のことながら、マニフェストには記載をしなかった分、その政治責任は重たいと思っておりました。だから、政治生命をかけるという言葉も使わせていただきましたけれども、何としても、なぜやらなければいけなかったかについては、全て社会保障として国民に還元することも含めて国民の皆様に御理解をいただけるように、これからも説明責任を果たしていきたいというふうに思います。

古賀(敬)委員 これは国税庁の資料でございますけれども、消費税の滞納が、国税全体でいいますと、平成二十三年、新たに発生した国税滞納額が六千七十三億円、そのうち消費税の滞納分が三千二百二十億円ということで五割を超えているんですね。そして件数、これも国税庁の資料でございますけれども、課税事業者数三百二十七万件のうち新規滞納件数が六十四万件、実に二割近い方々が払いたくても払えない、これが、五%の今でも現状でございます。この現状は看過できないのではないかなというふうに思っております。

 そしてまた、皆様方にお配りしました警察庁の自殺統計、昨年度の自殺者が三万六百五十一名で、平成十年以降十四年連続して三万人を超えておる。これはもう報道で大体の方が御承知のことでありますけれども、平成九年に国民生活にとって大きな出来事がございました。それは、橋本内閣当時、消費税が三から五%へ引き上げられた年であります。その翌年から連続三万人、十四年間、自殺者数ということでございます。

 自殺の原因はいろいろあると思います。動機で一番大きな原因が、健康問題が最も多いんですが、二番目に、経済、生活問題が原因となっております。このことはやはり国として見逃せない重要な事実じゃないかと思いますけれども、総理のお考え、御感想をお聞かせください。

城島国務大臣 今御指摘になりました滞納の問題、消費税滞納、あるいは十四年連続の自殺者の問題、御指摘のように健康問題等もあるかもしれませんが、やはり経済の低迷といったようなこととか、あるいは、とりわけ昨今は格差が大きくなってきている、そして一人親世帯がふえてきているというようなところで、家庭の厳しさというのもあるんだろうというふうに思っております。

古賀(敬)委員 我が国の国民の皆さんは本当に生真面目なんですよね。お国から言われた税金を払えと。払わないと、それは本当に悩んでしまうんですね。そういった意味で、やはり国民の皆さんが払いやすい税制を体系的に考えていくということは非常に重要なことだというふうに思っております。

 どうかそういったことも勘案されまして、今後の日本の税制を体系的にしっかりと考えていただきますように御要望させていただきまして、時間が参りましたので、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

中井委員長 この際、豊田潤多郎君から関連質疑の申し出があります。古賀君の持ち時間の範囲内でこれを許します。豊田潤多郎君。

豊田委員 新党きづなの豊田潤多郎でございます。

 きょうは、テレビも入って、ラジオも聞いておられるということですから、国民の皆さんに一言ちょっと、きづなという立場と、国民の生活が第一という政党、この関係を一言だけ申し上げておきたいと思います。

 私どもは国会で統一会派ということを組んでおりますので、きづなで私はきょう質問に立ちますけれども、国民の生活が第一ときづなを合わせて約五十人、五十人近い衆議院における議員の声、考えを代表して私が質問に立つ、このようにまず御理解をいただきたいと思います。

 それで、きょうはまた、持ち時間が二十五分ということでございますので、テーマは消費増税の一件に限って進めたいと思っています。

 以前にも何度も質問に立ったこともありますが、ストーリーといいますか、きょうの話の組み立ては三点ということで、三つのポイントで進めていきたいと思っています。

 第一のポイントは、消費増税というものが中長期的に必要なものかどうか、これが第一点です。

 結論を先取りして申しわけないんですが、我々きづなは、私たちは、消費税の増税はいずれ不可避である、このように考えておりまして、ただ、そのタイムスパンというか期間の問題、これが野田総理、野田内閣と見解を異にするということであろうかと思っています。また後でお聞きします。

 それから二番目が、現在、野田内閣、現在といいますか、三党合意のもとで社会保障と税の一体改革の特別委員会で法案を成立させ、前国会で成立したわけですけれども、このやり方というのは、第一点のタイムスパンの問題を含めて非常に問題がある、私はこのように思っています。

 ここにパネルがありますが、増税の前にやるべきことがある。行財政改革なくして増税なし、社会保障のビジョンなくして増税なし、景気の回復なくして増税なし。このことをちゃんとしてから消費税の増税に当たるべきで、野田内閣が一生懸命やっておられるのはわかりますけれども、まさに増税先行ということで、増税のみという気が私はいたしますし、民主党の政権交代に当たって公約したこと、そのことを第一に守っていくべきではないか。それも後でまたお聞きいたします。

 最後、三番目ですけれども、近いうちに解散・総選挙があると言われていますが、解散・総選挙で、その後どのような形に政界がなっていくのか、その中で、消費税の今回の増税ということは、法律として通りましたけれども、一体これがその総選挙の後どのように取り扱われていくのか、このことが大事なポイントではないかと思っています。

 私どもは、その点は、国民の皆さんに申し上げたいのは、まだ間に合うと。要するに、前国会で消費税の増税法案が成立したということで、これは非常に嫌な、あるいは大反対だけれども、もう従わざるを得ないのかと思っている国民の皆さんがかなりいらっしゃるんじゃないかと思いますが、そうではないんです。

 二〇一四年の四月から施行するということは、一年以上、一年半ほどまだ期間はあります。ということは、近いうちに総選挙が行われれば、そして消費税の増税に反対する人たちが国会で多数を占めれば、我々は、消費税の増税廃止法案、それを出して成立させて、一旦消費税の増税は白紙に戻します。

 これをやっても、二〇一四年の四月の施行に混乱を起こすことはありません。その準備というのはほとんど二、三カ月前ぐらいでできるはずですから、私どもは、十分余裕を持って、まず国民の皆さんに、消費税の増税は一旦白紙に戻す、白紙に戻した上で、増税の前にやるべきことがある、やるべきことをやっていく、その成果をきちっとお示しして、その段階で、消費税について新たにどのようにするのか、国民の皆さんの意見を聞きながら決めていく。このように私どもは考えておりますので、こういう手順で、このことに関連し、主に総理に質問をしていきたいと思っています。

 第一のポイント、中長期的観点に立って消費税の増税が必要であるかどうか。

 私どもは、今回の消費税の増税については終始反対をしておりました。きづなは、昨年の暮れ、民主党を離党し、また国民の生活が第一は、この七月に、消費税の増税法案の衆議院採決に当たって反対を投じ離党し、結党をいたしました。

 私どもが考えておりますのは、決して、消費税の増税は絶対にだめだ、未来永劫やっちゃいかぬということを言っているわけではありません。我々の感覚的には、大体五年ないし十年ぐらいの間にはどうしてもこれはやらざるを得ないものだ、このように思っています。なぜなら、国内の国民貯蓄率は近年だんだん低下をしてきておりますし、国債の国内における安定消化ということを考えますと、かなり厳しい状況が近づいてきているという認識は持っております。

 しかし、総理が、もうあすにでも、あるいは来年にでもパンクしそうじゃないか、何とかしなきゃならない焦眉の急だとおっしゃるには、我々は、タイムスパンとしてもう少し時間はあると考えています。五ないし十年ぐらいの間、その間にやるべきことをやる。歳出の無駄をなくす、構造的な統治の仕組みを検討していく、こういうことの実績を積んで、それから消費税の増税というのが手順である、私はこのように考えておりますけれども、総理の見解はいかがでしょうか。

岡田国務大臣 まず、全体のスケジュール感というか時間の問題ですけれども、私は、それはきょう、あす、そういうことで言うつもりはございませんが、五年、十年と言われると、まず思い浮かぶのは、対GDP比で国債債務残高がどこまでいくんだろうか。二〇〇%を超えている状態から、三〇〇%あるいは四〇〇%ということになりかねない、そういう国が一体世の中にあるだろうか。戦前の日本の状況よりも今でも既に悪いわけであります。そういう中で、しかも日本の国力というのは残念ながら相対的にはやはり落ちてきている、その中でどこまでもつんだろうかという気がいたします。

 これは、いつということがはっきり答えは出せないかもしれません。しかし、やはり未来に責任を持つ我々として、次の世代に大変な借金を残したり、あるいは何か一つのきっかけで、今、例えばヨーロッパのスペインとかギリシャ、年金を何割カットしたとか、若者失業率が五割超えているとか、そういう状況に絶対してはいけないという思いの中で、確かに委員御指摘のように、我々、四年間は上げないというふうに選挙では申し上げたわけですけれども、それを超える必要性があって今回消費税の増税をお願いしたということでございます。

豊田委員 副総理が、今後どうなるのかということをおっしゃいましたけれども、今でももうGDPの倍近い、約九百何十兆ですから一千兆近い、そういう状況自体は、ある意味ではもう全く破綻しているんですよ。しかし、どうして今この時期に、国債がそれなりに値崩れもせず、高金利にならずに済んでいるのか。それは、国内で貯蓄したその貯蓄が国債の消化に回って、外国人の保有率がまだ五%、あるいは多くても八%、その程度で済んでいるからなんですよ。

 それが、国債の消化がもう行き詰まってきたときに、国内の貯蓄率で追いつかないというときには、外国の投資家というのはある意味では投機家ですから、一斉に引くとき、あるいは一斉に買いに入るときは、出たり入ったりするわけです。そういう不安定な状況になるまでにどれだけかかるか。そのタイムスパンは来年ではありません。まだ五年ないし十年はあるんです。その間に変えなきゃならない。だから、我々は、二十年も三十年も消費税の増税を先延ばしするとか、そういうことは考えていないんです。それはそれで私どもの見解です。

 それで、時間がありませんから、二番目に、我々は、五年ないし十年の間にやるべきことをやって、それから消費税の増税を新たにリセットしてやり直すというその案を今申し上げたところですけれども、まず、ここに書いてあります、増税の前にやるべきことがある。いっぱいあると思いますけれども、重立ったものだけでも三つ挙げました。行財政改革なくして増税なし、二番目に、社会保障のビジョンなくして増税なし、三番目に、景気の回復なくして増税なしです。

 これは、以前にもずっと私どもは申し上げてきたことですけれども、また総理から、やっています、あるいは岡田副総理の方から、ちゃんとやっています、やっていますというお話が出るかもしれませんが、例えば行財政改革について、私は、五月に、本会議それから社会保障と税の一体改革で総理に質問もしました。総理からも答弁がありました。そのときと重複いたしますけれども、例えば、公務員の恒久的な人件費削減、これは、三年二カ月ほど前に、政権交代のときに、民主党が国民の皆さんにお約束した二割削減ですね。それは七・八%やりましたと言うけれども、それは二年間の暫定的なものであって、恒久的なものではありません。そのような公務員の恒久的な人件費削減、こういうことができていない。

 二番目。これは大きい話ですが、国の地方出先機関の整理縮小、廃止、この件は私はできていないと申し上げたら、本会議での質問にも総理の答弁はなかった。そのことを申し上げたら、委員会のときに総理は、出します、出します、今最終調整なんです、必ずこれは今国会で出しますということを前国会に言われた。しかし、前国会では、これはついに出てこなかったんです、出てこなかった。一丁目一番地の地方の出先機関、要するに、地方改革を行っていく、地方主権だという、一丁目一番地でうたった、三年二カ月前の政権交代のときのマニフェストの一番最重要事項の一つですね。これについて総理は、やります、やります、今国会に出すんですと言って、私はいつ出てくるんだろうと思っていたら、ついに出てこなかったわけです。まず出してから増税の議論をしてください。

 それから三番目。これは、また岡田副総理がやっていますと言われますが、特別会計それから特殊法人等の整理縮小、合理化、あるいは廃止、こういう問題ですが、これも私は不十分だと思っていますし、また、天下りの全面禁止ということも指摘しましたが、それについての答弁も、やっていますとか、あれは、あっせんということについてそれをしないようにしたんだとか、いろいろ御議論はありましたけれども、基本的に、行財政改革という問題について、この三年二カ月、民主党政権はほとんど何も実績を上げていない。

 やろうとしておられる努力は、私は認めます。しかし、成果は上がっていない。このことを申し上げたい。いかがでしょうか。

中井委員長 岡田行政改革担当大臣、具体的に答えてください。

岡田国務大臣 まず、いろいろなことを具体的に申し上げたいと思いますが、これは、党を挙げて行革調査会中心にやってきたことです。委員もその民主党に長年在籍をされたはずであります。それができていないというのなら、それは、あなた自身もその責任を感じてもらわなければ困る。

 その上で、具体的なことを申し上げたいと思います。

 まず、公務員人件費の抑制であります。

 マニフェストの中で書いてあることは、法律を変えて、そして労使交渉の中で引き下げるということを書いているわけであります。残念ながら、その法律はまだ成立しておりません。そういう中で、我々は、法律が成立するまでの間の二年間は、引き下げを労使の間で決めました。それ以降のことは、この公務員四法を成立させて、そして労使交渉で決めていくということで、今決まっていないわけであって、恒久的な措置を今の段階で決められないことは委員もよくわかっておられるはずであります。

 そういう中で、我々、一割の削減を決めて、それに加えて、新規採用の抑制とか、それから、定年延長ではなくて、六十歳がこれから六十一歳になります、六十二歳になります、それは定年延長ではなくて再任用で、一旦定年していただいた上で再任用するということで決めたり、あるいは、退職金の水準を引き下げる、官民格差をなくすことで六百億円を削減したり、あるいは早期退職募集制度を導入するとか、さまざまなことをやって、今二割に近づけるべく努力をしているということであります。かなり近づいてきているということは言えると思います。

樽床国務大臣 出先の問題でありますが、総理の大変強い御意向を私、担当として承っておりまして、地域主権の精神に立脚したよりよい内容に急速に進んでおりまして、この国会中に国会に提出すべく、今、最終的な努力をさせていただいております。

豊田委員 非常に心外な岡田副総理からの答弁がありました。

 私は、やろうと言って、やる気さえあればできる改革をやらずに、そして、それについてむにゃむにゃ理屈をこねている、その民主党がだめだと言って私は離党したんです。だから、あなたが私に対して、あなた、豊田さんもいたじゃないかと言うのはおかしい。そんなことは、岡田さん、言うべきじゃない。与党として、しかも副総理なら、ちゃんと自分で責任をとって、自分の責任を持ってやりなさい。それが大事じゃないですか。

 それから、公務員の労使交渉の話だって、一番大事な民主党の選挙支持母体である連合さんがいるじゃないですか。そういうところとなぜ早く、ちゃんときちっと話をつけて、民主党がやろうと思えば出せるじゃないですか。法案すら出せるじゃないですか、公務員の削減の話だって。

 だから、そういうふうな話も、やる気があるのならできるということで、時間がだんだんなくなってくるから、もうそれはいいです。答弁は求めません。

 それで、二番目に、社会保障のビジョンなくしてということについて簡単に申し上げます。

 先ほど、社会保障と税の一体改革ということで議論をしてきたという、これはまやかしでありまして、社会保障の一番の根幹である医療とか介護、それから生活保護についての法案は出てこないし、そういうことについてどうするのかという議論は、全く社会保障と税の特別委員会のところで議論はなかった。私はその理事をしていましたから、何でそういう法案が出てこないのか、あるいは、法案が出てこなくても、そういう議論がないのか。そして、こども園というのが出てきましたけれども、こども園の話も結局は、その法案は廃案になった。こういうふうな形で、社会保障と税の一体改革なんて言える話がない。

 先ほどの行財政改革にしても社会保障のビジョンにしても、全て、やります、やります、これからです。今の総務大臣の答弁だって、そうじゃないですか。まだ出てきていないんですよ、この国会に。これから出しますという話です。だから、それは、出してから消費税を上げますということをやってください。

 それから、最後、景気の回復なくして増税なしということですね。

 これも、きのう、御案内のように、この四半期のGDPが発表になりました。四半期ベース〇・九%、年率にするとマイナスの三・五%なんですよね。しかも、一―三、四―六というのは二期連続でプラスでしたけれども、今回は、七―九、これが年ベースで三・五%という大幅なマイナスの成長率になっている。しかも、経団連の米倉会長は、インタビューで、この景気の停滞あるいは失速というのは長期化のおそれがあるということを懸念しているわけです。

 こういう状況のもとで消費税の増税をするというようなことは、本当に、まさに風邪を引いて病気になっている人に冷や水を浴びせるようなものでして、これは消費税の増税をしても想定の税収は上がらない。というのは、景気が冷え込む、景気が冷え込めば企業も家計も所得が減る、企業の所得が減ればリストラがふえる、失業者がふえる、それから、家計の所得が減れば個人消費も減る。景気は悪い方へ悪い方へと、悪循環、悪スパイラルということで、どんどんどんどん低下していく。そうすれば、消費税を少々上げても、恐らく、ほかの税収も含めて、想定どおりの、考えているような一%、二兆七千というような数字は全く出てこない。全体として見れば、かなり消費税を含め税収の落ち込みというのが大きなものになると私は思っています。

 だから、景気をまず回復してから消費税の導入を図るというのはもう当然の、自明の理でありまして、それをきちっとやっていただく、これが大事なことだと思っています。

 それで、答弁を求めると時間がもう全くなくなりますので、最後に第三の、先ほど申し上げましたことを少し敷衍して申し上げておきます。

 近いうちに解散・総選挙をおやりになる、それは、解散権は総理におありですから我々がとやかく言う話ではないので、ましてや閣僚の中でそういうことをコメントされるというのは内閣として問題があると私は思っています。

 そのことは別として、今いろいろな政界の動きがあります。その中で、消費税の今回の増税に対して反対しているという人がどれだけいると総理は認識されておられますか。それと、消費税の増税が反対だということ、さらに、増税の前に、例えば行財政改革や社会保障のビジョンあるいは景気の回復、こういうことをちゃんとやってくれたら反対ではないんだけれども、こういうことをきちっとしてくれないのなら反対だ、そういうことを含めての反対というのはどれぐらいあると認識されていますか。総理です、総理。

中井委員長 最後に総理に答えてもらいますが、先ほどおっしゃった、公務員の法案は何もかも連合とあれでできていないというお話がありましたが、法案は出て、今継続になっていると僕は承知していますが、それと違う法案ですか、豊田さん。

豊田委員 私の認識としては、そういう法案が出ている出ていないというよりも、まず内閣として、そのことを強引に……

中井委員長 いやいや、あなたは、連合ともちゃんと相談して出すべきだとおっしゃったけれども、僕らはもう、担当して、出しているんじゃないですか、国会へ。

豊田委員 調整してですね。では、それを、なぜ成立を図ろうとされないのかということです。

中井委員長 図ろうとしているよ。

 それでは、今までのトータルで、野田総理大臣に最後に答弁いただきます。

豊田委員 消費税の増税の認識についての総理の……

中井委員長 総理に答弁いただきます。

野田内閣総理大臣 まずは、今委員長が大変いいお裁きをしていただきましたけれども、行政改革に深くかかわる公務員制度改革関連法案については、我が党はずっと提出をしております。当然、連合の皆さんとも意思疎通をしながらのものでございますので、早期成立を目指しているということで、ぜひ御協力をいただきたいというふうに思います。

 加えて、ずっといろいろお話ございましたけれども、行革なくして増税なし、行革は当然やらなければいけないと思っています。これはずっとやってきました。これからも力こぶを入れてやっていきます。

 社会保障のビジョンについては、これは一体改革の大綱に我々のビジョンを書いてあります。その上で、今回一体改革として通った法律は、いわゆる基本法的なものが一つ、税法が二つ、社会保障関連が五つですが、年金の改善が二つ、そして子育て支援が三つ、具体的に進んでいます。さらに肉づけをしていかなければいけないと思っていますので、それは国民会議で、今御指摘いただいた医療や介護の分野等も含めて、まさに成案を得ていく努力をしていくことでございます。

 景気の回復なくして増税なし、そのとおりです。だから、この今回の法律の中にも経済の好転という条件が入っています。切れ目のない経済対策をやっていかなければいけません。これらは同時にやらなければいけないものであって、これを全部やらなくちゃいけない。五年、十年かけたら増税しようという話は、それはもう増税をやりたくないという話であって、改革をするつもりはないと私は思っております。

中井委員長 野田総理、どれだけの方が反対で、これらの三条件をやれば増税やむなしと考えている人はどれだけだというのに答えてください。

野田内閣総理大臣 国会の中では一体改革が通りましたので、国会の中では……(豊田委員「国会じゃないんですよ、国民の……」と呼ぶ)国内の世論はいろいろあります。拮抗する数値だというふうに……(豊田委員「それをどう総理は見ていられるか、どういう数字をどういうふうに思っておられるかという」と呼ぶ)そういう国民のさまざまな声ができるだけ御賛同いただけるように説明責任を果たしていきたいと思います。

豊田委員 時間が来ましたのでこれでやめますけれども、もう一回申し上げておきますが、政界再編、どういうふうになるかわかりません。そういうことも含め、今後、総選挙におきまして、結果として今回の消費税の増税に対して反対の人が多数を占めた場合、我々は消費増税の廃止法案を出します。そして、それを成立させて、一度白紙に戻して、それからこれらの増税の前にやるべきことをきちっとやった後に、国民の皆さんに負担のお願いをする、こういう手順をとっていくということを改めて私どもの会派として申し上げて、質問を終わります。

 以上です。

中井委員長 この際、横山北斗君から関連質疑の申し出があります。古賀君の持ち時間の範囲内でこれを許します。横山北斗君。

横山委員 私は、地方の実情、地域経済の現状をお伝えしながら質問していきたいと思います。特に、私の住んでおります青森県中心にお話を進めさせていただきます。

 青森県、一九九七年ごろまでは、大体人口が百五十万人でした。その中で、毎年二百人ぐらいの方がみずからお命を絶つ。自殺者が二百人ぐらいいました。一九九七年に消費税が三%から五%になると、九八年の自殺者数、二百人だったものが百五十人ふえて三百五十人です。全国的にも、二万五千から三万、五千人ふえて三万人を突破したと言われていますけれども、青森の比はそんな比じゃない。

 その後も自殺者数はふえ続け、小泉構造改革、私たちはそれを地方切り捨てと批判してきました。その小泉構造改革を加速させた五年前の安倍政権のもとで、九七年に二百人だった自殺者、五年前、五百人を突破しました。五百人ですよ。企業倒産も百件を超える、人口も毎年一万五千人が青森県から県外へと去っていく。こういう状況を見ると、自民党政権の復活だけは許してはいけない、私ははっきりそう思います。

 総理として、民主党のトップとして、その思いをお聞かせ願いたい。場合によっては自民党と連立しちゃうような可能性もあるのかどうか、そのことも含めてお聞かせ願いたい。端的にどうぞ。

野田内閣総理大臣 私は、昭和六十二年に千葉県会の議員として二十九歳でこの世界にデビューして以来、自民党には入ったことがありません。もちろん、自民党の中にもいい政策はあるし、尊敬できる人たちもいるとは思いますが、そうではない、まさに政権を取ってかわれる政党をつくることを目標にこれまで生きてまいりました。

 特に近年においては、格差が拡大をしている状況の中で、そこに歯どめをかける政治勢力が必要だということで、民主党の政権交代は私は意味があったと思いますし、そこでは横山議員とも同志として活動することができました。その視座はこれからも失うつもりはございません。

横山委員 民主党政権、二〇〇九年八月に誕生しました。自殺者数、青森県の場合、五百五十人までふえていたのが、民主党が政権をとった翌年、二〇一〇年には百人減って四百五十人になった。さらに、その翌年、三百八十人。ことし、二百八十人です。企業倒産だって七十件に減りました。人口流出も、一万五千人だったものが少しずつ減ってきて、今、一万三千人です。

 これは何でか。それは、やはり青森、地方ですよ。地方はどこもこれに似たような状況にあるんです。青森だけじゃないんです。子供や高齢者や農林漁業者、その関連産業、中小零細企業で働く人たちが多いからです。だから、子ども手当や農業戸別所得補償や、それから漁業共済予算も倍増をしました。高校授業料無償化、中小企業円滑化法。こうした政策が、青森、地方では助かったという人が少なからずいるんですね。

 もちろん、自殺者の減少は、警察や自治体の取り組みもあったかと思います。しかし、復興需要とは別に、民主党政権のこの三年間で、企業倒産も減る、自殺者数も減少傾向にある。これは民主党政権の成果として誇っていいと思うんですけれども、これも端的に、総理、堂々と誇ってください。

野田内閣総理大臣 ありがとうございます。

 御指摘のとおり、青森県だけではなくて、自殺者の数は全国的にも減少傾向が出てまいりました。加えて、チルドレンファーストの理念のもとで、これは子ども手当という名称ではなくなりましたけれども、新しい形の児童手当として、中学生まで手当が拡充されるようになったこと、あるいは高校授業料の無償化、農家の戸別所得補償、いろいろとばらまきという野党からの御批判がありますが、きちっと財源を見つけてこれらの大事な政策を講じていますので、ばらまきではなくて種まきであります。

 その種まきの効果は間違いなく今出てきていて、高校授業料無償化でも経済的理由で中退をする人が激減する等々、私は、こうしたチルドレンファーストの理念、コンクリートから人への理念のもとで、具体的な打ち出した成果が出てきつつあると思います。

 もちろん、三年間ではやり切れていない部分があるし、できていないものもあります。そのことはおわびをしなければなりませんけれども、やってきたことの成果は正当に御評価いただけるようにきちっと皆様にお訴えしていかなければいけないと思いますし、横山議員にもこういう形で御指摘をいただいたことに心から感謝申し上げます。

横山委員 それだけの成果を上げた民主党の政策は今、マニフェスト違反、この一言で表現されるとおり、次々と変質している。だから、私どもは国民の生活が第一という新しい党を立ち上げたわけです。

 我が党が発足したときに、高揚感がない船出だとか誰も期待しないとか、さんざんな言われようをしました。しかし、そうしたコメントを寄せた人々の顔ぶれを見ると、少なくとも、自分の暮らし、経済的に困っている人たちじゃないんです。政治の力は、豊かな人をさらにもうけさせるためにあるんじゃなくて、困っている人、弱い人たちを助けるためにあるんだと私は思います。

 しかし、現実は違う。現実の政治は、組織や金のあるところに、選挙でまとまった票のあるところに目を向けている。そうしたところは発言力はあります。しかし、国民全体から見れば、数の上では少数。だから、発言力のある少数の意見がまかり通る、そういう世の中に対して憤っている多くの国民が政治に幻滅して、政治離れが進んでいる。今、それが最悪の状態になっているんじゃないでしょうか。

 だからこそ、農業の戸別所得補償とか中小企業円滑化法などによって困っている人たちを助ける政治を行って、自殺者数の減少に見られるように、とりわけ地方では目に見えた成果を上げてきた。こういうことをこれからも胸を張ってやり続けるべきだと思うんです。お金があって発言力のある組織、団体のトップから何を言われても、政治は、まずもって困っている人たちを助けること、そこから始めなければいけないと思っています。

 私たち新党生活が政権交代の原点に立ち返れと言っているのは、まさにこの点であって、それはマニフェストを堅持しろと言っているんじゃなくて、弱肉強食を正す、不利な立場、弱い立場に追いやられた農林漁業者とか中小零細企業者、働く人たちに目を向けた政治をやらなければいけない、そういう意味で言っているわけで、そこが、都市型新党と言われた民主党が地方でも票を得た、議席を数多く得られたこと、そのことを忘れてはいけないというのが私たち新党生活の議員たちの立場なんです。

 だから、消費税が二%上がって以降、ずっと不況から脱出できずにいます、それまで年間二百人ぐらいだった自殺者が一気に五百人になるような、十年もたたずして五百人にもなるような、そんな政治、政策はやめてください、自民党政権の復活もさることながら、消費税増税はちょっと待ってくださいよ、そういう話になるんです。二百人が五百人です。それほどひどい状況になるんです。この現実を前に、消費税増税に反対している議員に向かって、選挙目当てで言っているだけだろう、そんなことを言うやつらまでいるんです。

 総理、それでも消費税増税は必要なんですから、そういうことを唱えておられるわけですから、まず、一、二分で、今まで本会議場などで説明されてきたこと、その必要性、もう一回改めて、ほんの短い時間で聞かせてください。

野田内閣総理大臣 声なき声を反映する、そして弱者の味方になる、そして全ての人の居場所と出番をつくるというその考え方、理念は、これは私も共有させていただきます。

 でも、そういう皆さんにとっても避けて通れないのは社会保障であって、人生のどこかの段階で社会保障のサービスを受けざるを得ません。失業したとき、病気になったとき、けがをしたとき、そして老後を迎えたとき、そういう全ての皆さんが安心して将来を迎えることができるためには、社会保障制度の持続可能性が必要です。人口構造が激変をし、二〇一四年には団塊の世代が全て支えられる側の世代になったときに、今の構造で持続可能なのかどうかというと、もうタイムリミットが私は来ていると思っております。

 したがって、全ての皆さんが安心して老後を迎えられる、安心して生きていける社会をつくるために、そのためには、これは負担なくして給付なしですから、現役の世代に頼ることはもう不可能、将来の世代のポケットに手を突っ込むことももうこれはやってはいけないという中で、全世代で、給付においても負担においても公平感を持った制度にしていこうというのが今回の趣旨であるということであって、特定の誰かのための政治ではありません。みんなのための政治として歩み出そうとしていることを御理解いただきたいというふうに思います。

横山委員 もう一つ、軽減税率のことに関心が高い方々がおられると思いますけれども、どの分野へ適用をお考えですか。住宅、自動車、新聞、食料品、総理のお考えをお聞かせください。

城島国務大臣 御指摘の軽減税率の問題というのは、先般の三党合意の中でも、とりわけ税制抜本改革法において、給付つき税額控除あるいは簡素な給付措置と並んで検討課題とされております。この軽減税率の問題については、財源の問題、あるいは対象範囲の限定、中小事業者の事務負担など、さまざまな角度から総合的に検討することとされております。

 御質問のように、具体的にどうするかということについては、今申し上げましたような観点で総合的に検討するということになっております。例えば中小事業者の方々からは、とりわけ事務負担の増加を心配する声も出ておりますし、そうした声もよく耳を傾ける必要があるのではないかと思っております。

 いずれにせよ、消費税率の引き上げに当たっては、所得の低い方々への配慮については、今後、三党間における協議も踏まえてしっかりと検討してまいりたいと思っております。

横山委員 もちろん、私どもは今のような考え方とは異なる立場にあるわけですが、では、どういう考えでいるのか、少しお聞きください。

 まず、国の借金。国債を発行すれば、個人の資産、民間の資産、実際にふえていると思います。国債を発行して事業をやれば、その事業の収入が民間の会社に入る。民間の会社は、一部は法人税として国にお金を返し、一部は企業の資産になり、一部は従業員の給料になる。従業員は、そこで働く人たちは、一部は個人の資産となり、一部は所得税として国に返し、一部は商店街などで買い物をする。国内を循環しているだけじゃないですか。そして、一千兆に国の借金がふえたからといって、個人の金融資産も千五百兆近く、民間の金融資産も三千五百兆近く。

 国債を発行して事業を拡大するというのは、会社でいえば、まさに事業の拡大だ。民間企業だって、二十兆借金があったって三十兆資産があれば、一流の企業じゃないですか。実際、借金があるから財政危機じゃないというのは、この前の国会でも、みんなの党の江田議員や、あるいは参議院の方では我が党の中村議員などが、私は財務省の考え方を論破してきていると思います。

 それから、社会保障。今言われましたけれども、一九九七年のときも同じことを言っていたんです、増税分は社会保障のために使わせていただくと。地方の立場で言わせれば、消費税増税をされれば生活が苦しくなります。生活が厳しくなって、社会保障に助けを求める人の数がふえる。社会保障費は拡大します。そのとき、地方の人々を搾り取った消費税で助けるんですか。消費税増税で生活を厳しくさせておいて、その消費税増税で集めたお金で社会保障を賄うなんて、そんなばかな話はないじゃないですか。

 それから、先ほどより、経済状況が悪ければ増税はやらない、そういう条項があるということ。これは今、消費税増税でおかしい、おかしいと問い詰められている民主党の議員さんたち、地方へ行って、みんなこうやって言いわけして回っていますけれども、実際に、これは努力目標であって、条文にはっきりそう明記されているわけじゃありません。二〇一四年には現実に消費増税をやる気で、景気の判断だって時の政府任せだし、現状のままいけば消費増税は可能だということは、さまざまに民主党のお偉い人たちの間から飛び出しているじゃないですか、そういう発言が。

 それから、駆け込み需要があると。それで経済の浮揚を期待しているんでしょうけれども、国全体が経済成長したって、地方が置き去りにされるということはあるんです。これはまさに、小泉、安倍政権の時代がそうでした。イザナギ景気を超えたと言っているけれども、地方の経済はどんどん疲弊していったわけですね。日本経済全体が潤って、東京、名古屋、大阪に人口が集中する。しかし、その分地方の経済がどんどん疲弊して、全体としてGDPが少し上がったとか言われても、地方は疲弊しているわけで、そんな経済成長を実現したから消費税増税をやっていいなんということには全くならないわけです。

 それから、国民会議みたいなものも設立して、今、城島先生言われたように、これから話し合っていくんだということを言われましたけれども、それは多くの方が言うように、消費税増税を検討する審議会をつくって、その答申を政策に反映して国民に信を問うというのがまず先なわけで、それをやらずに、消費税増税を先に決めてからそのあり方を議論するんだということをやれば、増税に賛成した議員たちは、これから選挙に向かって幾らでも好きなことが言える。

 例えば、私が当選すれば食料品は非課税にします、だから絶対私を落選させないでくださいとか、特定の業界団体を前に、私が皆さんのために頑張ります、あなた方の業界を非課税にしますから私を応援してくださいとか、幾らでも選挙に向かって好きなことが言える。

 しかし、実際の答えは違うわけです。それこそ、本当に選挙目当てで自分が非課税にするとかそういうことを言っているだけで、実際の答えは藤井税調会長が教えてくれている。軽減税率は利権を生む、線引きは難しい、税率の差別化はしないということだと思うんですね。

 私は、この先も我が国が緊縮財政を続けて、足りなくなる財源を消費税増税で賄うような政治を続ければ、地方の疲弊はますますひどくなっていく。まずは、公共投資の拡大で景気を回復させることを優先すべきだと思います。と同時に、官僚言いなりの政治では取り組むことがなかった本当の意味での地域主権の政治、地方に権限と財源を渡して、地域の力で農林漁業の再生を図り、地域の判断で必要な事業を推進していく、そういう政治をやっていかなければならないと思います。

 農林漁業者の気持ちも、中小零細企業で働く人たちの考えも、まるでわかろうとしない、伝わらない中央の官僚が政策をつくって、それを地方に押しつけてくる限り、税金の無駄遣いが続くだけで、本当に必要な政策は出てこない。地域格差を解消することはできないと思います。

 こう言えば、格差解消、地域主権、どの政党も、地域主権を掲げる政党は、それはそのとおりだと言うと思う。しかし、消費税増税というのは何なんだ。消費税増税というのは、国にお金を集めるんです。国にお金を集めれば、官僚の権限が強化されて、中央集権が強化される。だから、消費税増税賛成なんと言っている政党に、地域主権改革とかそんなことを言う資格はないんです。

 最後に、最も重要なことを。

 税のあり方は国民が決めるべきだと思います。何で自民、公明、民主の三党だけで税率を決めてしまうのか。こんなことを国民がこのまま許すなら、もう税率は一〇%にとどまらないと思います。一〇、一五、二〇、たちまちはね上がっていく。そういうことを消費税に関してはまず申し上げておきたいと思います。

 このまま引き続き別の大臣への質問でよろしいでしょうか、質問項目をかえて。

中井委員長 それだけ長いこと演説したら、答弁も要るでしょう。

横山委員 では、どうぞ。

中井委員長 国債を何ぼ発行してもいいということの議論に対しては城島君、それ以外は岡田君に答弁をいたさせます。

城島国務大臣 いろいろいただきましたけれども、特に、国債を際限なく発行できればいいのではないかということでありますが、これは先ほどから総理も御答弁されておりますけれども、いずれにしても、そういうことをやっていけば将来世代の負担となるわけでありますし、また同時に、ギリシャなんかはその典型例でありますけれども、マーケットの信認に問題が出てくるのではないか。

 金利が上がれば一気に金融不安、そして国家財政に大きな影響を与えるということでありますので、そういう面でいうと、際限なく発行できるということはあり得ないというふうに思っております。

岡田国務大臣 委員が今御指摘された中で、地方の現状に対する御指摘は、私も共感するところがございます。

 ただ、今回、消費税を五%引き上げて、それは全部国が使うわけではございません。地方にもかなりの部分が流れ、地方の社会保障の充実のために使われるということになっております。そして、社会保障以外には使わないということは法律上明記をされております。

 先ほどの国債の話もちょっと一言申し上げますと、やはり今の国の財政の、税収よりも国債の発行による収入の方が多いという現状、これは決して緊縮財政とは私は言えないと思うんです。そして、国債費は二十兆、九十兆の予算のうちの二十兆が過去の国債の償還と利払いに充てられている。これは、金利が少し上がったり、国債の発行がさらにふえていけば、二十兆が三十兆、四十兆と、結局、税収が仮にふえたとしても、それを賄えないということになってしまう。

 やはりそういう状況を何とか乗り越えないと本当に必要なところにお金が回らなくなるんじゃないか、私は、そういう思いの中で今回の社会保障・税一体改革を進めさせていただいているということでございます。

横山委員 わかりました。まあ、それはそれとして。(発言する者あり)いや、もう議論の段階じゃないですね。だって、もう年内解散を決意したわけですから。あとは、どっちが政権をとって実行するかという話だと思います。

 最後に、田中大臣にお聞きします。

 設置審が認可したものを不認可としたことで随分やられておりますけれども、私も大学の教員でしたから、二度、設置審の審査を受けました。

 ほかに似たような例はあるんです。例えば法科大学院なんかはそうでした。学生も募集した、教員も確保した、建物も確保した、だけれども、設置審がだめにしたから、それでその法科大学院を申請した大学は何億も被害をこうむった。そういうことはあるんですね。そこまでやってから認可するという方がおかしいんじゃないですかね。

 田中先生、いろいろなお考えがあると思います。残り時間で御自由にどうぞ。

中井委員長 田中文科大臣。ちなみに四十秒です。

田中国務大臣 四十秒で話せるでしょうか。時間をいただいて、貴重なお時間をありがとうございました。早口でしゃべった方がよろしいでしょうか、ゆっくりもしゃべれますけれども。

 要するに、何度も繰り返して委員会でも申し上げていますけれども、二〇〇二年からの規制緩和で、それまでは事前のチェックを文部省はかなり厳しくしていたんですね。しかし、もう事後でもっていいというふうに教育の規制緩和、これが私は問題だと思って、問題意識としてずっとあったわけですけれども、そのことによってたくさん大学ができて、結果としては、皆さん御存じのとおり、生徒さんの質とか学力とかいうこともありますが、他方、もっと問題なのは、学校経営というものに走って、その経営が立ち行かなくなって、たくさんの生徒さんやら父兄やら、あるいは先生方やら関係者が非常に被害をこうむっているという面もあるんです。

 したがって、日本は将来にわたってどういう人材を求めているのか、少子化の中で学力のあるどういう自立した日本人をつくるのかという視点を、学校をつくるという段階で盛り込まなければいけないという問題意識がずっとありました。

 そして、別の面で言えることは、私は何本か議員立法をやってきましたけれども、これは、役所が反対したり族議員が反対したり野党が反対して、なかなかうまくいかない。四年も五年も大臣をやっていられる状況であればいいですけれども、そうでもなさそうでございますから、そうであれば、閣内にいるときに、権限を持っているときに中からブレークスルーをつくる。

 これは、ハードランディングの面もあります、ありましたかもしれませんが、まだスタートしたわけではありませんので、これから省内一致して、そして関係者もたくさん協力してくださって、激励する方もおられて、いい審議会をまたつくって、立ち上げて、そして、なるほどねと日本が新しくカーブを切ることができたんですから、このことがプラスに行くように努力をしたいと思いますので、横山北斗先生や生活の皆様も、他の皆様も、ぜひよい御協力のほどをよろしくお願いいたします。

 四十秒は過ぎました。

中井委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

中井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。

 この際、松崎哲久君から関連質疑の申し出があります。古賀君の持ち時間の範囲内でこれを許します。松崎哲久君。

松崎(哲)委員 国民の生活が第一の松崎哲久でございます。

 私は、国民の生活が第一・きづなを代表いたしまして、本日、この予算委員会で質問に立たせていただきました。

 まず最初に、昨日、小沢一郎、私たちの代表の裁判がございました。控訴棄却ということになりました。すなわち、二度目の無罪判決が出たわけでございます。高等裁判所、高裁の裁判長は、冤罪事件のゴビンダ・マイナリさんの再審を決定し、かつ無罪判決を出した裁判長ですから、冤罪の可能性がある被告人の人権を重んじることがわかっておりましたし、実際の訴訟指揮を見ても無罪判決は予想されておりましたが、現実のものとなって何よりだと私たちは思っております。

 そこで総理、総理とは今は党を異にすることになりましたが、かつては小沢代表と同志であり、また小沢氏を党首、代表としていたのは事実でございますから、昨日の判決を受けて、今どう思われますか。率直な御感想を賜りたいと思います。

野田内閣総理大臣 小沢先生におかれましては、もとは民主党の同志でございますので、一言申し上げるべきかもしれませんけれども、今、内閣総理大臣として御答弁をさせていただいておりますので、司法の判断について何か申し上げるべきではないと考えておりますので、感想は控えさせていただきたいと思います。

松崎(哲)委員 感想は控えられるということでございますから、それはそれで結構でございますが、それでは一般論で伺いたいと思います。

 一党の党首を務める政治家が、まさに政権交代を実現しようという選挙の前に事件の嫌疑をかけられ、党首を辞することになりました。その事件では起訴されることはありませんでしたが、翌年、再度、政治資金規正法違反の嫌疑をかけられ、党の要職を引かざるを得なくなったわけです。

 二年たって無罪判決が出ました。二回出ました。確定していないから冤罪とはまだ言い切れないかもしれませんが、捜査報告書を検察が捏造してまで検察審査会を誘導したというこの事件は、歴史の範疇から見れば政治弾圧に等しいものだというふうに私は思います。

 党派が違っても、主義、思想、信条が違っても、政治家に対する弾圧に対しては共闘して政治活動の自由を守るべきだと私は思います。まして、同じ党の同志である場合には、ともに闘っていただきたかったというふうに思います。

 民主党の場合、かえって党内抗争になってしまい、党員資格の停止のような対応しかできなかったということは、一党員として、一議員として、大変残念に思っております。

 総理に、これは感想ではなくて伺いますが、今後無罪が確定した場合に、さかのぼって党員資格停止処分を取り消す、そして、間違った処分をしたことについて、党代表として小沢氏に謝罪するお考えはありますでしょうか、伺います。

中井委員長 最初に、滝法務大臣。

 滝法務大臣、検察は調書を捏造してまでとおっしゃいましたから、これに対してどういう思いがおありか、答弁をいただきます。

滝国務大臣 委員長の御配慮で一言申し上げる機会をいただきましたので、申し上げたいと思います。

 捏造というふうにおっしゃいましたけれども、私どもは、検察が捏造というようには信じておりません。やはりそれはきちんとした段階の中で調書をつくり、そして裁判所に送ったというふうに理解をいたしているわけでございます。

野田内閣総理大臣 強制起訴というやり方、検察審査会のあり方については、今さまざまな御論議が出つつあるということは注視をしていきたいと思いますけれども、一審で無罪判決が出た後に、党員資格停止処分の解除は党としてさせていただきました。今後の推移については、これは見守っていきたいというふうに思います。

松崎(哲)委員 まず、法務大臣の御発言に対して申し上げたいと思いますけれども、捏造ではないと信ずる、信じたいとおっしゃいましたが、しかし、なかったことをその捜査報告書に書いたわけですから、これは普通の感覚でいえば、私は法律家ではありませんから、法律用語として捏造であるかどうかは私は判断できませんが、少なくとも文学者でもございますので、文学的表現からいえば、これは捏造といいます。ですから、そのことはぜひ、法務大臣も、法務大臣としてのお立場と、また政治家としてのお立場、また一般国民の、一般人としてのお立場があると思いますので。このことは、私は捏造だと。

 委員長が法務大臣に御発言を求められたのは、捏造ということが間違っているという御趣旨でされたのではないと私は思っております。ぜひ、そういうことで、かえって御配慮をいただきまして、ありがたく思っております。

 それから、総理の御答弁につきましてですが、もちろん、一審無罪の後に解除されたことは、私は当時まだ民主党の議員でおりましたので、承知はいたしております。

 私は、処分された、それを解除したということを申し上げているのではなくて、そもそも、例えば有罪とかが確定した場合に処分をする、これは普通の手続だと思いますが、まだ一審有罪にもなっていない、起訴という段階で、それも検審による強制起訴という段階でされた処分でありますから、これは無罪が、まだ今、現段階では確定しておりませんから特に要求するつもりはございませんが、確定した場合には、やはりその処分そのものが誤っていたのだというような御認識はないんでしょうか。そうであるならば、解除しているからいいのではなくて、やはりこれはさかのぼって取り消していただきたい、取り消すべきではないか、こういうふうに思いますので、申し上げました。

 もし改めて御答弁ありましたら伺いますが、なければ続けます。

野田内閣総理大臣 強制起訴があったときに党員資格停止という処分を、当時の執行部で御議論があって、下されたんだと思います。私の執行部になって、一審で無罪が出ましたので、その解除をさせていただきました。

 したがって、これから先の推移については、ちょっと仮定の話でございますので、状況に応じて、執行部もいろいろあるかもしれませんが、現時点では推移を見守りたいというふうに思います。

松崎(哲)委員 この点につきましては私の考えは変わりませんけれども、本題の方でまた、総理とは議論をさせていただきたいというふうに思います。

 きょうは、脱原発ということについて、残りの時間、御質問をさせていただきたい、また、私どもの立場を述べさせていただきたいというふうに思います。

 私たちの党の国民の生活が第一は、原発ゼロを最重要政策として掲げております。

 まず、結党は七月十一日でございますが、八月一日に三つの緊急課題を発表させていただき、次いで九月七日に基本政策検討案、六項目ございますが、取りまとめさせていただきました。さらに同日、衆議院の五会派六グループで脱原発基本法案、私も提出者にならせていただいておりますけれども、共同提出いたしました。しかし、さっぱりマスコミの方では論じていただけないものですから、国民の皆さんに伝わらない。

 例えば、あるテレビの情報番組では、各党の脱原発の賛否を比較するのに、各党の脱原発への賛否を並べているにもかかわらず、議席が一桁の政党もあるわけですけれども、その党を図表に載せて、私たちの態度というものを扱ってもらえない、こういうありさまです。

 そこで、総理や閣僚席の皆さんは先刻御承知のことだとは思いますけれども、現時点の国民の生活が第一の基本政策のうち、エネルギー政策の大転換の概略を述べさせていただきたいと思います。

 エネルギー政策を転換する、それは、原発を二〇二二年までに全廃するということをまず掲げております。当然、原発ゼロになって、国民の皆さんも御心配があるかもしれませんが、十分な電力を確保することとは両立するんだということを前提としております。その他、再稼働について、再稼働は容認しない、新エネルギーをふやす、あるいは省エネを推進する、このようにずっと書いてあります。

 それで、十分な電力の確保と両立するということはどういうことかということを、二〇二二年時点、三〇年時点の電源構成の割合を示しております。先生方、お手元の紙でございます。

 具体的には、水力を除く再生可能エネルギー、これを一年ごとに一%程度増加させて、二〇二二年には一二%にする、三〇年には二五%にするということです。これは、政府のエネルギー・環境戦略よりも、やや積極的な数字になっております。次に、天然ガスを二二年時点で四八%にふやすということを掲げております。さらに、原発の代替で急速に増加した石油、これは極力抑制するということを基本に考えております。

 再生可能エネルギーを短期間で増加させるということが容易ではないということは事実であります。ですから、二五%にできるのは三〇年であって、二二年段階、十年後には一二%程度かなというふうに考えております。ちなみに、政府のエネルギー・環境戦略では、二〇年に八%、三〇年に一九%という数値でございます。

 私たち国民の生活が第一は、十月の十六日から二十一日まで、脱原発視察団ということで、小沢一郎代表とともにドイツを訪問いたしました。アルトマイヤー環境大臣初め、各界の要人や専門家の話を伺ってまいりました。そこで、ドイツと日本では、国情の違いというものはもちろんありますけれども、逆に相似する点も多く、現実にこれは達成可能であると確信するに至って帰ってまいりました。

 ちょっと細かくなるので恐縮なんですが、大ざっぱに聞いていただければいいんですが、日本の総発電電力量、全電力会社が一年間にどれだけ電力を発電したか。これは、二〇一〇年に史上最高の一兆六十四億キロワットアワー。これは一兆と覚えておいてください。大震災があった昨年には九千五百五十億、若干これが減っているということです。それに対してドイツは、二〇一〇年に六百二十八テラワットアワー。日本と比較しやすくするため単位をそろえますと、これは六千二百八十億キロワットアワーということです。二〇一一年には六千百四十五億キロワットアワー。大体六割の規模です。

 そのドイツが、太陽光、風力など、水力以外の再生可能エネルギー、実は、再生可能エネルギーというのは定義の仕方が大変難しくて、資源エネルギー庁に伺っても多少データがいろいろすることはあるんですが、大ざっぱに言って、水力以外の再生可能エネルギーは、ドイツの場合、二〇〇〇年には三百十億キロワットアワー、これは大体三百ぐらいと覚えていただいて、二〇〇五年に六百一億キロワットアワー、二〇一〇年に千二十二億キロワットアワー、三百億、六百億、千億、こういうふうに再生可能エネルギーがふえているということでございます。

 つまり、十年間で七百億キロワットアワーとかふやしているわけですから、一年間では七十億キロワットアワーぐらい。この間、日本は、十年間で六十億キロワットアワーから百十億キロワットアワーへ、四十億から五十億キロワットアワーしか伸ばしていない、十分の一だということです。

 ですから、総電力の規模が六割のドイツが年間で七十億ふやせるということですから、日本は百億キロワットアワーぐらい、これはさっき覚えていただきました一兆キロワットアワーから見れば一%ということですから、一年間に一%ぐらいずつふやしていくということは不自然ではないというふうに考えます。

 要は、技術開発に加えて、法の整備や規制緩和。例えば、太陽光パネルを設置するのに、農地に設置しようとすると農転をしないといけないというようなことで、できない。では農転をしなくても設置できるとか、あるいは農転を容易にするとか、いろいろ規制緩和も必要だし、逆に言えば法の整備も必要、さらには財政支援等、適切な誘導策を用いれば、一年に、日本の割合でいって一%程度ふやしていくということは十分可能だと思います。やる気と本気度の問題だというふうに思います。

 政府のエネルギー・環境戦略は、これよりはるかに保守的といいますか、慎重な予測というか目標を立てているわけですが、総理大臣にここで伺いますが、再生可能エネルギーをふやしていくということについて、私たちのように、このぐらいの現実的な、意欲的な数字をもってすれば、まず、再生可能エネルギーも十分にふやしていけるんだということについて、御意見をお聞かせいただきたいというふうに思います。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、再生可能エネルギーの導入の進んでいる国と比べて、特にこの十年間、日本の導入のスピードが大変遅かったということは間違いないと思っております。そうした中で、政府としても、再生可能エネルギーの導入拡大に最大限の努力をしていくという決意をしております。

 御党が掲げておられる二〇三〇年の目標、水力を除いて二五%でございますが、我々も一九・二%以上という目標を立てておりまして、決してこれでいいんだ、一九でいいんだということではなくて、少なくとも一九は達成する、さらにそれ以上努力をするということでございまして、御指摘のとおり、規制緩和であるとか、それから系統線のさらなる整備、さらにはそれを使う電力システム改革など、さまざまな改革を進めていく必要がございますので、それに当たっては、有効なお知恵その他ございましたらぜひ御示唆いただければ、ここは党派を超えて協力して、最大限進めてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

松崎(哲)委員 一九が当たったとか二五が当たったとか、そういう問題ではないと思いますので、国として、これは可能な限りふやしていくような、また、あらゆる政策資源を投入するということも言っていただいているわけですから、それはぜひしていただきたいというふうに思います。

 そこで、もう一回このパネルをごらんいただきたいんですけれども、再生可能エネルギーが、私たちの言うように二二年で一二%まで伸ばしたとしても、これはやはり三〇年の二五%ぐらいまでいかないと、再生可能エネルギーは十分そこまで、十年間ではなかなか伸ばせないというふうに思います。

 ですから、その間、私たちが考えているのは、二〇二二年に、エネルギー源としては、天然ガスを四八%まで持っていきたい。これは、二〇一〇年に二九・三%、二〇一一年に三九・五%、これを約九%伸ばして四八%ということですが、決してこれも無理な数字ではないわけでございまして、実は、ことしの六月の一月を見ますと、天然ガスはちょうど四八%になっているんですね。要するに、原発がゼロになった期間である六月の数字は、天然ガスが四八%になっております。

 ですから、今も、原発をゼロにするならば、天然ガスを四八%にすることはできるし、さらに、この場合は、再生可能エネルギーがそこまで伸びておりませんから、実際には石油をたいてその差は埋めているんですけれども、少なくとも、天然ガスということに関して言えば、そこまで持っていくことが十分に可能であるということでございます。

 私は、日本の電力会社というのはなかなか大したものだ、さすがだなというふうに思っているんですが、原発をゼロにする、あるいは使えなくなったときにどうするということを考えていたわけではないと思いますが、原発そのものが、一日のピークを調整する、あるいは季節のピークを、ピークとオフで出力を調整するということが難しい発電方式だということで、やはりピークを満たすためにはほかの発電方式を使わなければいけない。それが石油であったり石炭であったりしたわけですけれども、昨今は天然ガスを多く用いていたということです。

 実は、天然ガスコンバインドサイクル発電という発電の方式がございまして、これは大変なすぐれものでして、天然ガスを非常に高度に燃焼させて、千五百度とか千六百度とかいうふうに燃焼させて、ガスタービンを回す。そして、回し終わった後は、まだ熱が千百度とか千二百度とかありますから、それで今度は高圧の蒸気でまた羽根を回すということで、そこを回してもまだ七百度とか六百度とかありますから、そこでもう一回回す、さらに減って三百度になってもまた回せるというように、何度も何度も、コンバインドというのは複合という意味ですから、複合的な発電をするということで、非常に熱効率がいいわけでございます。

 そういう、火力発電ではありますけれども、効率のいい発電方式が、既に日本の技術が世界で最先端なんですね。それを、例えば、日立、東芝、三菱重工というような日本の企業がこれも持っているわけですから、ぜひこれをもっともっとふやしていけば、この四八%というのが経常的に出せるような数字になる。

 今、日本では、この天然ガスコンバインドサイクル発電が三千二百万キロワット程度、発電できるんですね。これをさらに、十年以内に千六百万キロワット、計画あるいは建設中であります。これをもっともっとふやしていくことによって、この二〇二二年での四八%ということが達成できるというふうに思います。

 ここで総理にぜひ質問させていただきたいんですが、原発ゼロにしたときの代替エネルギーが再生可能エネルギーである、こういう論調が新聞でもどこでも多いんです。ですから、原発か再生可能エネルギーかというと、再生可能エネルギーは間に合いませんよ、こういう論理になるんですが、実は、即戦力として使える天然ガスを使えば、そこまですぐ持っていくことができる。これは、設計、施工、据えつけ、そして試運転をやって、三、四年で新しい発電所が、商用で稼働させることができるわけですから。

 こういうようなことを使いながら、原発か再生可能エネルギーかではなくて、天然ガスを使う、特にコンバインドサイクル発電を使う。これは総理も、私どもの東幹事長の代表質問の際に御答弁で、これは重要な電源であるということを御答弁いただいておりますので、御認識が十分おありだと思いますので、ぜひ、原発か再生可能エネルギーかという二項対立ではなく、国策をこれから考えていくということについての御意見を賜れればというふうに思います。

野田内閣総理大臣 これは松崎委員御指摘のとおり、原発に依存しない社会をつくっていくときに再生可能エネルギーの代替的普及は不可欠でありますけれども、御指摘のとおり、これだけで済む話ではないんですね。その意味では、火力発電の中でもCO2の排出量が少ない天然ガス火力は、重要な役割を果たす電源でございます。一般電気事業者の計画においても、平成三十三年度までの今後十年間の間に、三十三基、約千六百万キロワットの天然ガス火力の建設が予定をされています。

 政府としても、天然ガス火力の高効率化を促進するため、天然ガスコンバインドサイクル発電に対するグリーン投資減税による導入支援や、さらなる高効率化に向けたガスタービン技術の実証を行っているところでございます。引き続き、こうした取り組みなどを積極的に行って、天然ガスコンバインドサイクル発電の導入を推進していきたいと考えます。

松崎(哲)委員 ありがとうございます。

 ここまで、再生可能エネルギーについても、そして天然ガスコンバインドサイクル発電についても、総理あるいは経済産業大臣と意見をほぼ一致させていただくことができました。大変心強く思っております。

 しかし、次は、残念ながら、御認識と違うことを申し上げなければいけないんです。

 先ほど申し上げました東幹事長の代表質問に対して、総理はその御答弁の中で、安全性が確認された原発は、これを重要電源として活用するというふうに答弁されています。もともと、九月十四日のエネルギー・環境戦略の中にこの言葉は入っているわけですから、そのように思われているのだと思いますし、さらに、原発の存在そのものを否定するものではありません、こういうふうにも言われています。

 しかし、それは、脱原発とか稼働ゼロを可能にする、これは政府のエネルギー・環境戦略の中で三〇年代に原発稼働ゼロを可能にするという文言がございますが、この政策とは相入れないのではないんでしょうか。安全が確認されたら重要電源として活用するということ、否定するものではないということについて申し上げています。

 そもそも、福島第一原発は安全ではなかったんでしょうか。少なくとも、安全と言われていたのではなかったでしょうか。人知の及ぶ限りの基準で安全でも、はかり知れぬ事態が起きて事故が発生した。枝野経済産業大臣は当時官房長官として、想定外のことが起きたということをおっしゃっていましたけれども、まさにそうなったときに、安全と思われていたものでも安全でなく、危険な装置に変わってしまったということ、そして、そういうことが起こるんだということが原発の特性であります。

 マニュアルどおりにやっていれば安全だというものでも、人間は、えてしてマニュアルどおりにはできない、うっかりしたミスも起こす、それが人間というものですから、我々がこの人間界にいる以上、そういう、うっかりしてミスしたときに起こる事故の重大さということを考えると、原発というものからは、否定するものではないとか活用するということではなくて、やはりここは決別をしなければいけないのではないか。それが、東日本大震災及びそれに続く事故から我々が学んだことではないんでしょうか。

 所信表明の際に、総理は無数の反省があるというふうにおっしゃいました。代表質問で、無数の反省のうちせめて十、具体的に答えてくださいと申し上げまして、総理は五つ答えていただきましたが、ぜひ、六つ目でも七つ目でも結構ですから、こういうふうに原発はやはり決別するんだということをおっしゃらないと。民主党は脱原発だというふうにおっしゃっているわけだと思います。脱原発と言うんだったら、原発は否定するものではないという言葉は矛盾するのではないでしょうか。質問させていただきます。

前原国務大臣 お答えいたします。

 もともとの原子力政策というものもフィクションだったんですね。つまりは、できていないことが二つあったわけです。それを前提にしてやってきたわけです。一つは核燃サイクル。高速増殖炉は完成をしていないということ。もう一つはバックエンド。つまり、最終処分が決まっていないという中で今まで原子力政策が行われてきたわけであります。

 そして、今回の三・一一の事故で、国民全体が、事故が起きたときには、これはどうしても人間の手には負えない、こういう恐怖感を持ち、そして、脱原発の方向へ向いていくということになったわけであります。

 ただ、他方で、原発立地県、あるいは処分をお願いしている青森県、あるいはさまざまな国との協定、こういった現実的なものもあるということの中で、原発を減らしていく中で、そうした今までの利害関係者との話し合いの中で、稼働ゼロのみならず、使用済み燃料ゼロも含めて、しっかり現実的なタームをとりながら問題を解決してやっていくということでございますので、御党は早目にやられるということでございますけれども、ある程度のリードタイムを持つ中で、しっかりとその方向に向けてはともに進んでいきたい、こう思っております。

松崎(哲)委員 ともに進んでいきたいというのはどういう意味か、ちょっと私は解釈できませんが、前原大臣は、かつて政調会長時代に仕えさせていただきましたので、とにかく早くやりたいんだ、政府としてもリードタイムは必要だけれども早くやるんだという御認識、御決意は、それは多としたいというふうに思います。

 まとめに入りますが、八月十五日に、終戦の日でございますが、NHKの終戦特集のテレビ番組に、「終戦 なぜ早く決められなかったのか」という番組がありました。これは、昭和二十年の帝国政府、そして軍部の首脳たちが、国策を大転換する、要するに、戦争を終結させるということが必要だ、戦争継続は困難だというふうに思っていたにもかかわらず、惰性や保身や、失う利益の大きさをもってなかなか言い出せないで、結果として惨禍を大きくしてしまったということをその番組で言っておりました。最近も再放送されておりました。

 それから、東京都の副知事の猪瀬直樹さんがノンフィクション作家時代の作品に「昭和十六年夏の敗戦」という本があるんです。これは、昭和十六年、開戦の年に、実は、中央官庁の若手の優秀な官僚を集めて、総力戦研究所というのをつくるんです。そして、もし日米相戦わばということで研究をさせるんですね。そして、何カ月か、半年ぐらいでしたか、研究して出た結果が、日本は必ず負けるという結果だったわけですね。そうしましたら、この情報は隠蔽されました。結局、日米戦ったら日本が負けるという結果は、当時の国策に合わなかったということで、これは隠蔽されてしまった。

 先ほど申しました終戦の際、昭和二十年の場合は、二月にヤルタ協定があって、密約があって、スターリンのソ連が参戦をするという密約を結んでいたわけですが、それを日本は知らないで、中立国と思っていたソ連に和平の仲介を依頼しようということで、近衛特使を派遣するとかしないとか、そういう話があるんですけれども、実はこれはもうヤルタ密約で参戦することが決まっていた。

 実は、この情報を、陸軍の情報将校は五月の段階で入手していた。それを、後、六月、七月というふうに、日本の軍部の首脳は、それを知らずにということでもあるんですが、国策を変えることができなかった。

 いずれにしても、そういう国策を転換する必要があるということを政府のいろいろな分野ではわかっていた、しかし、それが政治家の耳に、最高首脳の耳に入っていなかったこともあるし、また、そんなことは、思っていたけれども、それを決断できなかったということが当時の事実であります。開戦のときの総力戦研究所の話も同じ。

 私は、脱原発というのも全く同じことだと思います。もはや、これはもう大転換すべき国策なんです。国策で原発は推進してきた。しかし、この国策は、三・一一以降、やはり決別しなければいけないものなんです。

 そして、さらにそれは、日本の経済成長だとか繁栄だとかということを犠牲にしなくても十分に達成できるだけの、既に日本はそういう電力の準備も実はできているんです。企業家も専門家も技術者も、みんなこの大転換を、政府の大号令を待っている、しかしながら号令が下らない、こういう状況なのだと思います。

 ですから、こういう状況のときに、野田総理は決断する政治ということを標榜されているわけですから、脱原発ということにもっともっと強力に決断をしていただくべきではないかというふうに思いますが、御意見をいただければと思います。

野田内閣総理大臣 昨年の原発事故前までは、原発への依存、三〇%近くしていたわけですし、将来のいわゆる温暖化対策を考えて、その依存度を高めていこうというのがこれまでの国策だったと思います。そして、原発推進というのは数十年にわたってやってきました。

 でも、あの事故があって以来、原発に依存しない社会をつくっていかなければいけないという、ある種、さまざまな世論調査とか討論会とかやってまいりましたけれども、国民の覚悟というものがあると私は思うんです。原発に依存しない、そうすると代替エネルギーをどうするか、大変な作業がありますけれども、そちらに大きく政策転換をしてほしいというのが基本的には私は国民の思いだと思います。

 その国民の思いを受けまして、先般の革新的エネルギー・環境戦略におきまして、「二〇三〇年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する。」ということを、これはもう政府の方針として決定をさせていただきました。これは大きな大きな政策転換だと思います。

 原発に依存しない社会をつくるまでの工程についてはちょっと、スケジュール感については多少、党によって差はあるかもしれませんが、大きな方向性については御党とも共有できるものだと思いますので、問題は、途中で、例えば経済への影響、国民生活への影響等、よく勘案をしながら柔軟に不断の見直しをしていかなければなりませんが、大きな政策転換はもうした、それに基づいてこれからのさまざまな計画をつくっていくということでございますので、お互いに党を超えて知恵を出し合うような、そういうことをぜひさせていただきたいというふうに思います。

松崎(哲)委員 三〇年代に原発稼働ゼロを可能にするということは、三九年まで許容の範囲がある。できるだけ早くというのは先ほど枝野大臣もおっしゃいましたから、もちろん、私の古巣でもある民主党政権の皆さんがなるべく早くしたいという思いがあることはもちろんわかります。しかし、問題は、今、一二年から三九年という、この二十七年間という長さなんですよ。この長さ、ワンジェネレーションじゃないですか。ですから、これを、この間に何か起こったらいけないわけですから、可能な限り短くする。

 私たちも、即時原発ゼロと言っている方たちがあるのは知っていますが、即時できないことはわかっています。しかし、早く早くするならば、あと十年ということで可能だと思っておりますので、私たちは、そこへ向けての具体的、現実的なプロセスというものを考えて、今政策をつくり、そして提案し、そして、ぜひこのエネルギー政策の大転換が私たちの政府の政策として実現できますように、これから、皆様方も頑張られるんだと思いますので、ともに頑張っていこうというふうに思っています。

 時間になりましたので、終わりたいと思います。ありがとうございました。

中井委員長 これにて古賀君、豊田君、横山君、松崎君の質疑は終了いたしました。

 次に、石井啓一君。

石井(啓)委員 公明党の石井啓一でございます。

 まず、野田政権の政治姿勢について何問かお尋ねをいたしますけれども、昨日からの質疑で、もう何回ともなく、近いうちについては質問がございましたので、また改めて繰り返すのもどうかという思いもございますが、やはり聞かざるを得ないところでございますので、確認をいたします。

 八月八日の民自公の三党の党首会談では、二つのことを合意しております。一つは、社会保障と税の一体改革関連法案については速やかに成立をさせる、もう一つは、成立した暁には近いうちに国民に信を問う、この二つのことを合意したわけでございますが、まず一項目めは、これは自民党、公明党ともにしっかりと約束を果たさせていただきました。

 そこで、今、自民党、公明党は、もう一つの約束、すなわち、近いうちに国民に信を問う、この約束を総理に果たしていただきたい、こういう主張をしているわけですが、この自民党、公明党の主張は無理な主張だというふうに、総理、思われますでしょうか。まずそこから確認をしたいと思います。

野田内閣総理大臣 石井委員御指摘のとおり、八月八日の党首会談は二つのことを確認しています。一つは、一体改革関連法案を早期に成立させること、そして、それが成立した暁には近いうちに国民の皆様に信を問うということで、これは党首間で交わした言葉でございますので、重く受けとめております。

 一体改革の方は、これは法案が成立しました。近いうちにと言った意味は重たいと自分も受けとめておりますので、近いうちに解散をするということでございます。

石井(啓)委員 約束を守っていただきたいと主張するのは、これは当然のことですよね。事は総理の約束ですから、これは政治そのものの信頼にかかわる問題だということでございます。

 ところで、総理は、この国民に信を問うということについては、環境を整備した上で判断をしたい、条件が整えばきちんと自分で判断をしたい、このように繰り返しておっしゃっています。

 総理がおっしゃる条件というのは、一つは特例公債法の成立、二つ目には一票の格差の是正、三つ目には国民会議の発足、こういうことかと思いますが、本日十二時から民主、自民、公明三党の政調会長会談を行いまして、この特例公債法案につきましては、成立に向けて確認書を交わさせていただきました。

 一つは、「平成二十四年度の補正予算において、政策的経費を含む歳出の見直しを行い、同年度の特例公債発行額を抑制するものとする。」これは従来から、私どもも、あるいは自民党さんも、歳出の削減を行って特例公債発行額を抑制していくべきだ、こういう主張をしておりましたが、今直ちに補正予算があるわけではありませんから、今後の補正予算においてそれをきちんとやるということを確認いたしたわけであります。

 二つ目には、これは総理がおっしゃっていたことでありますけれども、「現行の財政健全化目標を踏まえ、中長期的に持続可能な財政構造を確立することを旨として特例公債発行額の抑制に取り組むことを前提に、安定的な財政運営を確保する観点から、平成二十七年度までの間、特例公債の発行を認めるものとする。」ということで、今年度から平成二十七年度までの四カ年間については特例公債の発行を認めるということにいたしました。発行を認めたからといって、野方図に発行するということは、これはとてもあり得ない話で、特例公債発行額の抑制に取り組むということが大前提であることは間違いございません。

 この二点を確認いたしまして、それぞれ幹事長、政調会長間でサインをいたしましたので、この特例公債法の成立については確実な情勢になったわけでございます。

 また、社会保障制度改革国民会議につきましても、本日の政調会長会談で、三党で実務者間でこの国民会議の人選に関して協議を進める、このことも合意をいたしました。

 こういうふうに、着実に総理がおっしゃった条件が整いつつある状況ではございますけれども、まず、総理のこの御評価を今伺いたいと思います。

野田内閣総理大臣 十月の十九日だったと思いますけれども、三党の党首会談を行った際に、私は、近いうちの意味をなるべく定性的に表現をしたつもりでございました、ぎりぎりの表現。その中で、責任を持って判断をする、そのための環境整備が必要であると。条件ということは言っていません。環境整備であります。

 その環境整備の中でもとりわけと言った中で、三つのことを申し上げた。その一つが、特例公債法案の早期の成立でございました。早期成立をお願いするだけではなくて、特例公債が一つの懸案になって政局的な動きになってはいけないので、これは、一定期間については特例公債は発行せざるを得ないわけですから、予算とセットで処理できるルールづくりというものを提案させていただきました。

 その提案の中に、この特例公債法案の本則修正の一つの提案をさせていただきましたけれども、それを踏まえて、本日、民自公の、石井政調会長にも入っていただいてこういう確認書を取り交わしていただいたということは、私は、日本の政治にとって、今年度の困難を乗り越えるだけではなくて、大変大きな前進だと受けとめております。

 御努力をいただいた石井政調会長を含めまして、皆様の御尽力に心から感謝を申し上げたいと思いますし、この確認書を踏まえて、一日も早く成立をさせていただきますように重ねてお願いを申し上げます。

石井(啓)委員 今申し上げましたように、総理がおっしゃる環境整備については着々と進んでいる状況でございますから、こういう状況は、私は、解散に向けての機運が高まっている、解散に向けて前進している、こういう状況というふうに理解しておるのですが、総理、そういう認識でよろしいですか。

野田内閣総理大臣 いわゆる環境整備のところでございますので、その推移をじっくり見守ると同時に、早く実現できるように、環境整備ができるようにお互いに努力をしていきたいなというふうに思います。

石井(啓)委員 総理がおっしゃる環境が整備をされても、三つの懸案、これがクリアされても、ずるずると解散を引き延ばすのではないか、先送りするのではないかとの懸念もあるんです。

 前原大臣は、民放のテレビ出演でこういうふうにおっしゃっていますよね、私の感覚でいえば、年明けに解散したら近いうちじゃない、首相は約束を守る人だと。私は、前原大臣の感覚というのは極めて常識的な感覚だと思うんですよ。これは私、前原さんと政調会長をずっとやっていたからお世辞を言っているわけじゃなくて、近いうちというのは常識的にはそういうことだと思いますよ。八月の上旬に近いうちと言っておきながら年を越すなんということは、世間では通用しない話ですよ。まさか、近いうちで年を越すようなことはないと思うんですけれども、総理、いかがですか。

野田内閣総理大臣 近いうちに御飯を食べようという話じゃありませんから、きちっと政治判断をしなければなりません。その時期については、これまでも申し上げたとおり、具体的には明示をしないということでございます。

石井(啓)委員 もう一カ月近く前になるのですが、東大客員教授の御厨貴先生が、十月十八日付の読売新聞紙上でこういうふうに語っています。「「近いうちに」とは、世間の常識では一か月以内です。すでに二か月以上たっている。首相はもういっぺん解散に関する方向性を示さないといけない。このまま解散を延ばし続けたら、「あの実直な野田さんが大うそついた」という食言になりますよ。」こういうふうに御厨先生はおっしゃっているんですね。

 このままずるずる解散を延ばし続けて万が一にも年を越すようなことになれば、これは御厨先生がおっしゃるように、野田総理はうそをついたことになります。これは肝に銘じていただきたいと思っております。

 ところで、総理は、社会保障と税の一体改革については政治生命をかけるとおっしゃっていましたね。この政治生命をかけるとおっしゃっていた一体改革は、関連法案が成立いたしました。それでは、今総理がこの一体改革にかわって政治生命をかけて取り組もうとしている課題は何なんでしょうか。

野田内閣総理大臣 昨年の九月二日に野田内閣がスタートしたときに、三つの大きな課題を掲げました。それは、震災からの復興、原発事故との戦い、日本経済の再生です。これは、引き続き野田内閣の大きな政治課題だと思っております。それぞれが加速できるように全力を尽くしていきたいと思います。

 特に経済については、一体改革のような改革を推進する上でも、経済の再生はやり遂げなければなりません。その意味からも、切れ目のない経済対策等を講じていきたいというふうに思います。

 あえて一つ一つに政治生命という言葉は使いませんけれども、全力で尽くす決意においては変わりません。

石井(啓)委員 今総理がおっしゃった、震災からの復興、原発事故への対応、また日本経済の再生、これは、ある意味では、野田政権でなくても、どんな政権であっても取り組まなければならない課題なんです。

 私が申し上げているのは、一体改革のように、野田政権でなければ、ほかの政権では取り組まないような課題は何なんですか、今そういう課題があるんですかということを聞いているんです。いかがですか。

野田内閣総理大臣 政権をお預かりする以上、国民の皆様に責任を果たすためには、自分の独自のカラーだけの話ではなくて、目の前の、眼前の課題をどう乗り越えるかというのが大きいんです。それがまさに実績になります。その意味から、去年から掲げているこの三つの課題は、これはもちろん外すことはできません。

 その上で、民主党を中心とする政権でありますので、こういう眼前の課題を乗り越えるとともに、行政改革であるとか地域主権改革であるとか等々、私どもの従来から掲げているそうした改革であるとか、マニフェストで残っている部分をしっかりとやり遂げていくということが大事だと考えています。

石井(啓)委員 目前の課題に取り組むのは、これはどの内閣でもやらなければいけないことです。それは、どの内閣でも……(発言する者あり)目先というか、今総理がそれをやるとおっしゃっているわけだから。それは、どの内閣でもやらなきゃいけないことなんです。

 だけれども、私たちが見る限り、野田内閣では、一体改革の後に、それにかわる、総理が本当に政治生命をかけて取り組むような課題が見当たらないんですよ、我々からすれば。ある意味で、燃え尽き症候群になっちゃっているんじゃないか、こんな感じですよね。一体改革にかわるような新たな目標を見失っているのではないか、もはや政権を続けること自体が目標化しているのではないか、こう言わざるを得ません。内政、外交ともに行き詰まった国政を前に進めるためには、私はやはり国政をリセットするしかない、このことは申し上げておきたいと思います。

 それから、民主党政権になりましてから、多数の閣僚が不祥事で辞任したり、あるいは問責決議案が可決されて交代をしております。野田内閣を見ても、ちょっと今パネルで示したように、総理を除いても、六人の方が不祥事で辞任をしたり、あるいは問責で交代をしたりということになっているんですね。

 総理は、これまで組閣のたびごとに、適材適所で人事をやってきたというふうにおっしゃっていますけれども、これを見ると、とても適材適所と言えない事例がたくさんございます。

 まず、一川保夫防衛大臣。私は安全保障は素人など、不適切な発言で問責が可決されて辞任をしました。また、田中直紀防衛大臣も、安全保障の基礎知識に全く欠けているということで、資質に欠けるということから問責を受けて辞任をしましたね。一川、田中両防衛大臣のこの人事は適材適所だったんでしょうか。総理、まずこれを確認します。

野田内閣総理大臣 いろいろな方のお名前が出ておりますけれども、それぞれ閣僚を選ぶ際には、私なりに、それぞれの政治経験等々を総合的に勘案しながら選任をさせていただいております。もちろん、適材と考えながら選任をしているということでございます。

 残念ながら、職務を全うし切れないでやめざるを得なかった閣僚もおりますが、その任命責任については重く感じておりますし、その後の後任閣僚とともに職務を果たしていきたいと考えております。

石井(啓)委員 選ぶ際にはいろいろ総合的に考えたということですけれども、では、選んだ結果を今から振り返って、例えば一川さん、田中さん、防衛大臣に適していたというふうに思いますか。総理、いかがですか。

野田内閣総理大臣 それぞれ私は適任と思って選んでいます。言葉のお話でいろいろ出ておりますけれども、ゼネラリストとしてしっかりと見識、経験を持っていらっしゃったというふうに思っておりますので。その後の内閣改造等で交代をさせていただいているのが今のお二人でございます。

石井(啓)委員 失礼ですけれども、安全保障に素人な人だとか基礎知識のない人が防衛大臣を務められては困るんですよ。国民にとって不幸なことですよ、これは。それから、諸外国に対しても、何、日本は素人を防衛大臣につけるのかと、これはとんでもない誤った、日本を侮られかねないメッセージを出しているということになってしまいますよ。

 では、山岡国家公安委員長は消費者担当大臣も兼ねていましたけれども、マルチ業界からの献金等を受けていたということで問責を受けてやめましたね。消費者庁というのは本来はマルチ業界から消費者を守らなければいけない、そういう役所に何でこういう人物をつけたんですか。この山岡大臣の人事はどういうふうに評価されているんですか。

野田内閣総理大臣 これは問責の理由としていろいろ書いていらっしゃいますけれども、例えば、当時の山岡大臣は、こうした御指摘について逐一しっかりと答弁をされていた、説明をされていたというふうに思います。それについての評価の違いは御党と違うかもしれませんが、私は、今までお名前が出てきた人たちは説明責任をそれぞれ果たされてきたというふうに思っております。

石井(啓)委員 では、田中けいしゅう法務大臣。これは、実はここが白枠になっているんですね。私は当初、ここは外国人からの献金とか暴力団との関係と書いていたら、いや、その理由でやめたわけじゃないから消してくれと言われて、これは消さざるを得なかったんだけれども、世間はそういうふうに思っていませんよ。田中法務大臣は、みずから暴力団関係者とのつき合いがあるというふうに明かしましたよね。直接やめた理由は病気だということのようですけれども、それを信じている人はほとんどいません。

 何でそういう暴力団とつき合いのあるような人物を、よりによって法務大臣につけるんでしょうか。私は全くこれは理解できないんですけれども、総理、いかがですか。

野田内閣総理大臣 何十年か前に結婚式の仲人をされたという事実は御本人も認めて、そうした報道についての御説明はされていたというふうに思います。

 それが理由ではなくて、御案内のとおり、検査入院をされたりしました。実際に体調不良に陥られたと思います。そのことが最大の理由でございます。

石井(啓)委員 それは建前の理由はそうでしょうけれども、そのことを信じている人はほとんどいないということでございます。

 いずれにいたしましても、野田総理のこれまで行ってきた閣僚人事は、全く不適切な人を全く不適切なポストにつけている、こういう事例がたくさんあるんですよ、今申し上げましたように。私から言わせれば、適材適所じゃなくて、不適材不適所の人事と言わざるを得ません。結局のところ、民主党が掲げていた政治主導というのは人事面、人材面でも全く失敗だ、こういうふうに申し上げておきたいと思います。

 それから、田中文科大臣の三大学認可問題についても、これも聞かなければなりませんね。

 最終的に三大学は認可されたということでございますけれども、田中文科大臣の二転三転する対応に、何の落ち度もない大学関係者、受験生はまことに振り回されたということであります。大臣が心からおわびをされるというのは、これは当然のことであります。

 田中大臣が、大学の数が多過ぎる、質が落ちている、こういう問題意識を持っていらっしゃるということは理解できますけれども、この大学設置認可のあり方を見直すということと個別の設置認可の問題とは、当然、切り離さなければならないわけであります。

 こういった無用な混乱を招いた田中大臣の責任は重大でありますけれども、私は、事前に田中大臣から不認可の方針を伝えられておきながらそれを了承した総理や官房長官の責任、これはもっと重大だと思うんですよ。これについて、総理、官房長官、それぞれどういう御認識ですか。

藤村国務大臣 大学の設置認可というのは、これは文科省で、文科大臣が判断されるべきものであります。

 具体の三大学につきましては、十一月八日に文科大臣による認可が行われたところでありました。この間の経緯について、田中文科大臣から、関係者の皆様に御心配、御迷惑をおかけしたことについては心からおわびを申し上げるとの表明があったところであります。

 私について今問われていますが、田中文科大臣から事前に大学設置の認可のあり方に関する話があったこと、これは事実であります。ただ、そういう大きな方向性の話、やりとりはございましたが、個別のお話は伺っていないところであります。

 いずれにしましても、大臣の真意というのは、設置認可の見直しなどを通じて大学の質の向上を図っていくことにあると承知しております。今後とも、文科省では設置認可の仕組みを見直す方針と聞いていますので、しっかり取り組んでいただきたいと考えております。

石井(啓)委員 では、官房長官、続いて聞きますけれども、官房長官は、八日の記者会見でこんなことを言っているんですよ。大臣として間違ったことをしたとは多分誰も受けとめていない、こういうふうに田中大臣を擁護したんです。

 これは、世間の受けとめとは全く逆ですよ。世間の受けとめは、大臣として正しいことをしたとは多分誰も受けとめていない、これが世間の受けとめ方ですね。実際、田中大臣は謝罪に追い込まれています。

 官房長官、御自身の反省はないんですか。

藤村国務大臣 今申し上げましたとおり、私のその発言というのは、最終的に十一月八日であったかと思いますが、トータルで言いましたら、先ほど申しましたようなことであります。

 その途中経過において、それは不手際のところがあったということは私も感じてはおりましたけれども、その点についてもおわびを心から申し上げられたということにおいて、総合的に、大学設置審の今後のあり方をやはり大きくクローズアップさせたという意味で、私はさまざまな方からその間も意見を伺っておりましたが、よくそれを提起してくれたという意味で、私はそういう答弁をしたところでありました。

石井(啓)委員 ですから、大学の設置認可のあり方を見直すことと個別の問題とを混同したことが問題なんですよ。前者は、多くの人がそれはそれなりに理解しているんですよ。だけれども、後者のことがあるから問題だと言っているわけでしょう。これを一緒にして議論したということがそもそもの混乱の始まりなんだから。だから、前者がよかったからといって、後者がこれで免責がされるというわけじゃありませんよ。そうでしょう。官房長官、どうですか。

藤村国務大臣 私の発言の日にちのところで、トータルとしてということではありました。

 それから、その間の経緯の中で個別の具体の話が、関係者の皆さん、あるいは文科委員会でもさまざまな御議論があった。そして、党の文科の部門の役員の方からもさまざまな御意見があった。こういうことについては、私、そういう御意見を受けながら、文科省の政務の方々にも、こういう言い方をしました、マラソンで四十二キロまで走ってきてゴールがなくなる、そういう事態は避けてください、そういうふうにも申し上げましたが、八日の時点の会見においては、それらを総合して、しかし大きな大学設置審の問題を提起していただいたこと、こういうことについて、それまでのいろいろな御意見は、よくやった、こういう御意見を踏まえての私の発言でありました。

石井(啓)委員 総理も事前に了解をしていたようですけれども、総理、いかがですか。

野田内閣総理大臣 私の場合は、衆議院の本会議が一時から始まりますが、ちょっと期日は忘れましたけれども、代表質問の日だったかと思いますけれども、予鈴が十分前に鳴って、本鈴が鳴る間の、その間に、議長応接室で田中大臣から、大学の質の問題と大学の設置許可の関連で、その見直しの方向性について大きなお話をお聞きしましたから、それはそれで結構ではないですかという趣旨のお話をしました。

 個別の大学の案件について具体的な報告があったということではございません。

石井(啓)委員 田中大臣は、かつても、外務大臣時代ですか、いろいろトラブルを起こしていらっしゃいますから、田中大臣の説明というのはよくよく注意してお聞きしていかなければいけない、こういうふうに思います。

 それでは、ちょっとテーマをかえまして、大震災の復興問題について伺いますけれども、復興予算の流用について、このところ非常に関心を呼んでいるところでございます。

 この復興予算の流用について、復興基本法を民自公三党で修正したことによって被災地以外にも予算執行が可能になったことが予算の流用の原因であるかのような指摘がありますけれども、政府としても同じ認識なのでしょうか。そのことについてまず確認をしたいと思います。

城島国務大臣 石井委員の御質問にお答えいたします。

 当初、政府が提出をいたしました東日本大震災復興の基本方針及び組織に関する法律案においては、第二条の「基本理念」において、「被災地域の復興は、次に掲げる事項を基本理念として行う」と明記しております。

 一方、三党協議による議論を踏まえ、委員長より提案されました東日本大震災復興基本法においては、政府案の「被災地域の復興」が「東日本大震災からの復興」と修正されたほか、法の目的に「活力ある日本の再生」が明記されるなど、被災地域以外の施策も対象となっていると認識をしております。

 いずれにせよ、復興基本法は、昨年の国会におきまして、各党が議論を尽くされ、多くの政党に御尽力いただいて成立をしたものであります。全国防災事業を初め被災地以外で実施される事業は、そのようにして成立した基本法等の趣旨に沿って予算措置が講じられたものと認識していますが、今後の予算編成に当たっては、これまでの間の諸情勢の変化を踏まえ、被災地以外の事業は厳しく絞り込んでまいりたいと考えております。

石井(啓)委員 では、総理にお尋ねします。

 復興基本法に基づいて復興基本方針が立てられました。復興基本方針では、実施する施策として三種類の施策が掲げられているんですけれども、被災地以外では二種類あるんですね。一つは、「被災地域と密接に関連する地域において、被災地域の復旧・復興のために一体不可分のものとして緊急に実施すべき施策」、これが一つです。だから、一体としてやりますよということが一つですね。もう一つは、「東日本大震災を教訓として、全国的に緊急に実施する必要性が高く、即効性のある防災、減災等のための施策」、これはいわゆる全国防災。

 実は、この基本方針にそぐわない事業が行われているんですよ。例えば、調査捕鯨の妨害、シーシェパードなどの妨害対策が、たまたま被災地が捕鯨基地だったということでやっているというんだけれども、では、それが被災地の復旧復興にどうかかわるかというのは、全くわからない。あるいは、北海道や埼玉の刑務所で建設機械を用いた職業訓練をやっている。これが、出所した人が被災地でそういうことをやるかもしれないというけれども、そういう担保もなしにやっているというようなこと。そういう、基本方針にきちんとそぐわない事業が採択されて実施されたことが問題なんですよ。

 ですから、私は、復興基本法の修正自体が問題ではなくて、復興基本法の理念に基づいて適切に事業の採択や実施、すなわち予算執行が行われなかったことが問題だと思っています。

 総理の御認識はいかがですか。総理に聞きます。

岡田国務大臣 基本的には、委員のおっしゃるとおりだと思います。

 今言われた基本方針三つから見ても、どうも読み切れないようなもの、それが何かということはちょっと今具体的に申し上げませんが、そういうものが紛れ込んでいることは事実で、そういったことは避けなければいけない。今週金曜日に、行政刷新会議でもそういう視点でしっかりと見直しをしていくし、来年度以降、予算がそういったものにつかないように目を光らせていかなければいけないと思います。

 ただ、御批判の中で、被災地の皆さんから、被災地以外に使われているのはおかしい、そういう御批判もありました。それに対しては、全国防災というものもあって、被災地以外についても法律の中でそれは認められている、そこは誤解なきようにしなければいけないと思います。

 しかし、全国防災についても、それをどこまで認めていくのか、限られた予算の中で被災地と被災地以外でどう案分していくのかということは、これはしっかりとした議論が必要だと思っております。

石井(啓)委員 もちろん、全国防災も、五年集中期間、十九兆円の中で一兆円しか当初想定していなかったのが、それが何かどんどん悪乗りされてふえていってしまっている。これは当初我々が想定した事態から外れていますから、そういったことはやはり見直さなければいけないと思っています。

 この復興予算を総点検しまして、不適切な事業については、予算のつけかえ、場合によっては執行停止、こういったこともやはり行うべきだと思うんですね。総理、いかがですか。

野田内閣総理大臣 これは、石井委員の御指摘のとおりだというふうに思います。もちろん、基本法や基本方針に基づいて予算を組んだつもりでありますけれども、御批判をいただくような事業が含まれていることも事実でございますので、こうした御批判は真摯に受けとめて、今年度の予算の執行についてはそこはよく精査をして執行しなければいけませんし、まさに、被災地以外については今後の予算編成においても厳しく精査をしなければいけないというふうに考えております。

石井(啓)委員 それでは、次に、環境大臣に伺います。

 放射性セシウムの濃度が一キログラム当たり八千ベクレルを超えますごみの焼却灰や下水汚泥などの指定廃棄物、この最終処分場の候補地として、栃木県では矢板市に対しまして、茨城県では高萩市に対して、それぞれの市内の国有地を選んだとの通知がこの九月に環境省から行われました。

 しかし、それぞれ、矢板市、高萩市の地元に対しては、事前の説明、根回しは全くなかったんです。発表する前日や当日に連絡がある、こういう唐突な通知で、とんでもない話。もう地元は猛反発していますよ。加えて、選定の責任のある細野環境大臣や横光副大臣が通知後間もなくそろって交代してしまう、内閣改造で。とんでもない無責任な話だと、これについても地元から怒りの声が上がっています。

 矢板市、高萩市ともに、環境省の通知を受け入れる状況では全くありません。この際、一旦白紙に戻して、改めて透明なプロセスのもとで最終処分の候補地選定をやり直すべきではないでしょうか。大臣、いかがですか。

長浜国務大臣 まず最初に、前任者からかわったということでありますが、役所でも会社でも人事異動はありますものですから、こういった問題も私はしっかり引き継ぎをさせていただいておりますので、今の件につきましても、引き継ぎを受けましたことについて御説明をさせていただきたいと思います。

 指定廃棄物の最終処分場の候補地に当たりまして、地元の皆様には大変御心配をかけていることは承知をしております。また、先生も含めて茨城県全体の皆様にも御心配をいただいていることは、十分認識をしているわけでございます。

 指定廃棄物は、栃木県、茨城県などで、先生も御承知のように増加をしてきておりまして、既に保管場所が逼迫をして、保管スペースの確保が厳しいといった声が県内各地から聞こえてきていることは事実でございます。住民の皆さんの生活環境を保全する上でも、できるだけ早く県内のいずれかの場所に設置をしなければいけないということであります。

 先生が大変問題にされました、まさに引き継ぎの部分に関するところでありますが、全く説明がなかったということでお怒りになると思いますが、全く説明がなかったという説明であれば、確かにお怒りになると思います。この栃木県や茨城県の最終処分場候補地提示については、先ほど言われました、前環境副大臣から両県の知事に対しても、最終処分場等の設置に係る協力要請を行うとともに、このような取り組みを行ってまいりました。

 それは、処分場候補地の選定手順や評価方法について、県の御意見を十分聞きながら、その取りまとめをまず行いました。それから、県内の全市町村、どこかにつくるわけでありますから、それがつくられないところも含めまして、全市町村を対象として公開の説明会を開催して、選定手順や評価の方法を説明して、並行して選定作業を進めていったわけでございます。最終処分場の選定手順や安全性についても、これまた、有識者による災害廃棄物安全評価検討会、これはずっと続いているものでありますが、ここにおいて御議論をいただいて、その審議や結果を公開させていただいております。

 このように、栃木県、茨城県の両県に対して、今回の候補地の提示を行うために、あらかじめ、選定手順や評価方法、こういうことをお示ししておりますので、必ずしも突然発表したということにはならないというふうに思っております。

石井(啓)委員 人事異動という答弁はちょっとひどいんじゃないの。

 私が言うのは、そういうふうに選定している責任者だったわけでしょう。その当事者の大臣、副大臣をそろってかえる必要はないじゃないですか、一人は残っていてもいいじゃないですかということがまず一つ。

 もう一つは、内閣改造があるというのはもう目に見えているんですから、なぜ改造後にきちんと地元に対して言わなかったんですか。これでは、発表しておいて、それで何か逃げちゃっているように受けとめられちゃいますよ。それが一つ。

 もう一つは、あらかじめ選定基準とか評価方法を説明したと言うけれども、それは一般論でしょう。一般論としてこういうことをやるというのはあるけれども、具体的に箇所を絞り込んでいくプロセスについては全くわかっていなかったということじゃないですか。

 今までのやり方に全く反省はないんですか。これからも同じようなやり方をするんですか。どうなんですか。

長浜国務大臣 人事異動という言葉がまずかったとすれば、おわびをして訂正をいたします。申しわけありませんでした。

 ただ、私が大臣を受け継いだ段階でもこのことについては説明を受けておりますし、今申し上げましたように、各組織の中では、先生も役所におられたことがあるというふうに伺っておりますけれども、それぞれの、国と県と市の中において、こういった施設を決めるときは綿密に打ち合わせをしながらやっております。

 ですから、今の御質問に対しまして、突然国が、きのうの議論でもありましたけれども、国から県にあって、市にあって、上から下へ目線で何かを言っているということは全くありませんので、こういう大変デリケートな問題は、注意深くコミュニケーションをとらせていただいております。

石井(啓)委員 注意深くやっていると言いながら、地元では唐突なんですよ。だって、結果しか示されていないじゃないですか。具体的に選定を絞り込んでいくそのプロセスを明らかにしていくことがやはり重要なんですよ。こういうやり方をこれからも続けていくようじゃ、とても進みませんよ。

 どこでもそうですよ。栃木県、茨城県だけじゃありませんよ。ほかの県も同じようなやり方をこれから続けるんですか。ほかにもありますね、宮城県とか千葉県とかいろいろあるでしょう。同じようにするんですか、栃木とか茨城のように。

長浜国務大臣 先ほど御質問がありました二県につきましては、細野環境大臣のときに発表した県でありまして、今例えば、具体的には、宮城県の中においては、宮城県の知事さんが各市町村を集められて、どういった形で集約をしていくかという御意見を集約されているところもありますし、千葉県等におかれましても、これから、まさに最終の場所選定におかれましては、知事とも相談をしてやってまいりたいというふうに思っております。

石井(啓)委員 いずれにいたしましても、現状、栃木の矢板市、茨城の高萩市の理解が得られることは到底困難であります。このままでは事態はますます混乱するばかりでありますから、候補地選定は一旦リセットするしかないと重ねて指摘をしておきたいと思います。

 では、続いて、社会保障と税の一体改革の完結について伺います。

 さきの通常国会で、民自公三党の合意により社会保障と税の一体改革関連法案が成立をした。この意義は私は大きいというふうに思っています。ただ、残された課題もございますので、引き続き、一体改革を完結させるということで、三党は今後も三党合意に基づいて着実に取り組んでいくべきである、このように考えます。

 その前提のもとに、まず、景気の回復について確認をしたいと思いますが、消費税率引き上げ前に、経済状況の好転について種々の経済指標で確認するとされています。これは、附則の第十八条第三項にそのように位置づけられています。

 したがいまして、消費税率八%に引き上げる場合は、平成二十六年四月引き上げの半年前の時点、平成二十五年十月ごろの時点で、直前の平成二十五年の四月から六月の四半期の経済成長率等で判断することになると思いますが、その点についてまず確認をしておきたいと思います。

 その上で、経済状況の好転と言うからには、この二十五年四―六の四半期のマイナス成長というのはあり得ないことだと思いますし、また、実質二%程度の経済成長を目指すということにしておりますから、この四―六の成長率というのは、実質で年率二%を上回るかあるいは近いということが望ましいというふうに思っています。

 まず、総理の見解を伺います。

前原国務大臣 まず、社会保障・税の一体改革において中心的な役割を石井政調会長が果たしていただいたことに、心から感謝申し上げたいと思います。

 その上で、法律に書いてあるのは、十年間の平均で名目三%、実質二%ということでありまして、きのう、七―九のQEを発表させていただきました。年率マイナス三・五ということで、景気の落ち込みが心配をされているわけでありますが、現時点における内閣府の年央試算、来年でありますけれども、実質一・七、そして日銀が一・六、そして、直近にESPフォーキャストという、これは民間の方々四十人のエコノミスト機関の平均値でございますけれども、一・四ということでございます。

 ただ、世界情勢の不安定さというものがまだ払拭し切れておりませんので、さまざまな対応策をとる中で、今議員がおっしゃったような状況に持っていくための努力もしていかなくてはいけない、そう考えております。

石井(啓)委員 今答弁ございましたけれども、この七―九のGDPの速報値はマイナス〇・九、年率でマイナス三・五ということであります。ほかの経済指標を見ましても、我が国経済は景気後退局面に入った、こういうふうに想定されるのではないかと思います。

 そういう状況の中で、来年の春の四―六の景気を押し上げていくというのは、これはたやすいことではありません。私は、やはり新しい政権で、今年度の補正予算と来年度の当初予算でしっかりとした景気対策を講じていくしかない、このことは申し上げておきたいと思っています。

 消費税の低所得者対策について伺いたいと思いますが、そもそも政府の方の案では、マイナンバーが定着した暁には、将来、給付つき税額控除を考える、八%段階では簡素な給付措置を検討するというふうにされていますが、私ども公明党が三党協議でこれは強く主張いたしまして、軽減税率が検討の対象となりました。先日、各地で署名活動を行いまして、六百万人を超える署名を添えて財務大臣にこの軽減税率等の申し入れを行ったところでありますけれども、やはり国民の期待も非常に大きくなっております。

 消費税率八%段階から軽減税率を導入すべきだと私どもは考えておりますが、総理、いかがでしょうか。

城島国務大臣 石井委員おっしゃるように、先日、御党の皆さんが、六百万人を超すという大勢の皆さんの署名を添えて軽減税率の申し入れに来ていただきました。

 税制抜本改革法では複数税率について実施時期に言及していないことから、条文上は、消費税率が八%に引き上げられる段階から、簡素な給付措置と複数税率、いずれかの選択肢も排除されていない、そういうふうに理解をしております。

 ただ、複数税率につきましては、先ほどもちょっと述べましたけれども、財源の問題あるいは対象範囲の限定、中小事業者の事務負担など、さまざまな角度から総合的に検討することが必要だと思っております。例えば、特に、中小事業者の方々からは事務負担の増加を心配する声も出ておりますし、そういった声もしっかりと耳を傾ける必要があると思っております。

 いずれにせよ、消費税率の引き上げに当たっての所得の低い方々への配慮につきましては、今後、三党間における議論も踏まえ、きちんと検討してまいりたいと思っております。

石井(啓)委員 低所得者対策として、給付でやるということと軽減税率でやるということ、それぞれ一長一短ございます。どちらが完璧にすばらしくて、どちらが全く悪いというものじゃないんですね。

 確かに、軽減税率にも問題はあります。どこで線引きをするか、あるいは中小企業の事務負担というのがありますけれども、やはり圧倒的なメリットは、国民の皆さんが実感を受けやすいということなんですよ。お買い物のたびごとに、対策を受けているという実感が国民に対して非常にわかりやすいということが最大のメリットなんです。

 一方で、給付措置というのは、そのメリットを受けたということが残念ながら実感しにくいんですよね。減税をやるにしても給付措置をやるにしても、それは年に一回ですから。三百六十五日のうち一日はわかるけれども、残りの三百六十四日はわからないという欠陥がある。その一方で、利点としては、いろいろな事務手続は、そういう面倒なことはない。

 ですから、私は、あえて言えば、うまく組み合わせることによって、長所がお互いに生きる、あるいは短所を消すことができる、こういうことを思っているんですよ。だから、どっちか一方ではなくて、これはきちんと組み合わせてやるということも私はいいんじゃないかなと。まだ党内でこのことは十分議論しているわけではありませんけれども、個人的にはそういう思いがしているところでございます。

 国民会議について確認しておきますが、一体改革では、当面の年金改革や子育て支援についての法律が成立しましたが、これは相当前進をいたしました。今後設置いたします国民会議では、主なテーマとして、残された医療とか介護が中心になると思いますけれども、医療では、私ども従来から申し上げています、高額療養費制度の見直しですとか、救急医療や在宅医療の充実、あるいは医師不足対策など、また介護は、在宅支援サービスの強化、介護従事者の確保策、こういったことはぜひ検討していただきたいと思っています。

 あわせて、民主党さんがおっしゃるところの将来の年金改革、今後の公的年金改革、あるいは高齢者医療制度の廃止、高齢者医療制度の改革について、これはもう三党で合意がされています。「あらかじめその内容等について三党間で合意に向けて協議する。」ですから、これは国民会議で議論されるのかもしれませんけれども、三党でもこれを協議するということは、これは三党合意に基づいてやはりきちんとやらなければいけない、このことを確認しておきたいと思います。

 総理、いかがでしょうか。

岡田国務大臣 まず、石井委員が言われた医療、介護のテーマは、私も大体同じようなことではないかと思っております。

 そこで、公的年金制度と高齢者医療制度に関するものですが、委員御指摘のように、「今後の公的年金制度、今後の高齢者医療制度にかかる改革については、あらかじめその内容等について三党間で合意に向けて協議する。」という三党の確認書がございます。そこはそのとおりでございます。

 ただ、一方で、改革推進法では、例えば公的年金制度につきましては、財政の現況及び見通しなどを踏まえ、国民会議において検討し、結論を得ること、それから、今後の高齢者医療制度については、状況等を踏まえ、必要に応じて国民会議において検討し、結論を得ることということで、国民会議で結論を得るということも確認されておりますので、協議を行いながら国民会議でも議論する。協議が前提である、それが先に来るということは必ずしも合意の中身には含まれていないというふうに考えております。

石井(啓)委員 いずれにしても、今後の公的年金改革、高齢者医療制度、これについては三党できちんと協議をするということを確認させていただきたいと思います。

 最後ですが、TPPについて聞きます。

 TPPの交渉参加問題がにわかにクローズアップされてきました。

 総理は、平成二十三年の十二月十三日、TPP交渉参加に向けた関係国との協議に関する関係閣僚会議、この席上でこういうふうにおっしゃっていますね。関係国が何を求めるのか、我が国に求めるのか、それを明らかにするにつれて、ここからパネルに書きましたが、きちっと情報提供を行って、十分な国民的な議論を行った上で、あくまで国益の視点に立って結論を得る、こういうふうにおっしゃっていました。

 この方針は変わっていないと思いますけれども、ただ、残念ながら、このTPPに関してきちんとした情報提供は行われていないんですよ。十分な国民的な議論も行われていないんですよ。あるいは、国益とは何かということのコンセンサスも全く得られていないんですよ。こういった状況では、結論を得る状況ではありませんから、交渉参加の結論は得られないのではないかというふうに思いますが、総理、いかがですか。総理にお伺いします。

野田内閣総理大臣 TPPについては、関係国との協議を通じて情報収集に努め、十分な国民的議論を経た上で、あくまで国益の視点に立って結論を得ていくこと、これは御指摘のとおりで、そういう方針で臨んできております。

 これまで、合計七十三に及ぶ各種団体との意見交換、二十四道府県における説明会への政府職員の派遣、全国九カ所における地域シンポジウムへの参加等を通じて国民への情報提供を行ってまいりました。また、地域シンポジウムにおける討論会の場や、国会や党の御議論の場も含め、さまざまな場において議論が広範に行われてきたところであると承知をしております。

 いずれにしても、こうした努力をこれからも続けていきたいと考えております。

石井(啓)委員 まず、アメリカと事前の協議をやっていますね。だけれども、米国が何を要求しているのか我々には伝わってこないんですよ。きちっと情報提供が行われていないじゃないですか。

 それから、今、地方や関係団体との意見交換会をやっているとおっしゃいますけれども、八月以降は開かれていないんですよ。

 しかも、この今までの意見交換会で、いろいろな疑問点や論点に対して全く具体的な説明がされていないんですよ、政府から。それで十分な国民的な議論を行ったとはとても言えませんよね。

 また、国益とは何かということも、先ほど言いましたように、全く示されていない状況。

 こういう状況では、とても、今申し上げた三つの条件というのはクリアされていないと言わざるを得ませんが、総理、いかがですか。

野田内閣総理大臣 昨年の十一月の記者会見で申し上げたことは、世界に誇る日本の医療制度、日本の伝統文化、美しい農村、そうしたものは断固として守り抜き、分厚い中間層によって支えられる安定した社会の再構築を実現する、こういうお話をさせていただきました。それと、同時に、貿易立国として今日までの繁栄を築き上げてきた我が国が、現在の豊かさを次世代に引き継ぎ、活力ある社会を発展させていくために、アジア太平洋地域の成長力を取り入れていくとも発言をしています。

 こうした我が国のあり方を実現することが国益であると考えております。

石井(啓)委員 失礼ながら、今の総理の発言は余りにも抽象的過ぎるんですよ。医療制度を守るとか美しい農村を守るとか言われても、これはわからないのであって、少なくとも、国益とは何か、守るべきものは何か、具体的に示していただくことが重要ですよ。具体的に示していただかないと、我々、全く理解できないですよ。総理、どうでしょうか。

野田内閣総理大臣 国益というのは、まさに今申し上げたことに尽きるのではないでしょうか。交渉の中でいろいろなことがあるかもしれませんが、基本的な守るべきものという価値についてはお示ししたというふうに思います。

石井(啓)委員 いずれにいたしましても、民主党さんのマニフェストの中にTPP参加を盛り込むということは、それは民主党さんの御判断でおやりになることだと思いますけれども、政府がTPP交渉に参加表明することは、この総理の発言からいって拙速だ、こういうふうに申し上げておきたいと思います。

 時間が参りましたので、以上で終わります。

中井委員長 この際、佐藤茂樹君から関連質疑の申し出があります。石井君の持ち時間の範囲内でこれを許します。佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 きょうは、貴重な時間をいただきましたので、特に外交・安全保障問題と景気・経済対策を中心に、なるべく総理と議論をさせていただきたいと思います。もうあと何日総理をされているかわからない状況になってきましたので、ぜひ総理に御答弁をいただければありがたいと思います。

 それでは、まず最初に、パネルを使わせていただきたいと思います。

 大変、最初のパネルは小さい字で恐縮なんですけれども、これは、民主党政権三年間の主な外交問題、出来事を私なりにまとめさせていただきました。野田政権に入ってから余りなかったのかなと思いましたら、野田政権でも、さまざまな外交上の出来事というのがあったわけでございます。

 簡単に申し上げますと、鳩山政権のときには、もう皆さん御存じのとおりに、普天間基地移設問題の迷走で日米同盟、日米関係というのが大きく揺らいだ、そういう外交でございました。

 二番目に、菅政権については、尖閣沖の漁船衝突事件に代表されるような弱腰外交をずっと続けておられたというのが、一言で言うと特徴でございます。

 野田政権は、これはまたもっと深刻な問題として、領土をめぐる問題、特に、それを踏まえた上で、日中、日韓関係というのが非常に悪化した、そういう外交、安全保障の三年間でございました。

 一言で言うと、私どもは当初から心配しておりましたけれども、三年間のこの民主党政権というのは、外交失政を積み重ねてこられて、非常に国益を損失し続けた、そういう三年間ではなかったのか、そのように私は思うわけでございます。

 まず、さきの二代の政権のことは別といたしまして、野田総理にお伺いをしたいのは、領土や主権をめぐるさまざまな出来事を生じさせてしまった、これは先方が確かにあることですけれども。私は平成五年から野田総理と同期で衆議院議員をさせていただいておりますけれども、確かに、朝鮮半島の危機とか、いろいろなことがありました。しかし、我が国の主権と領土が脅かされるようなことというのは、今まで衆議院議員をしておりまして、こんな事態になるのは初めてでございます。

 特に、この七月にはロシアのメドベージェフ大統領が北方領土を訪問し、また、八月には韓国の李明博大統領が我が国固有の領土である島根県の竹島に上陸する、尖閣諸島に対しては香港の活動家が上陸するというようなことの後、きょうまで含めて、中国当局の船がどんどん、毎日のように接続水域あるいは領海侵犯を試みてやってくるというような、そういう事態になっているわけでございます。

 私は、相手方があることとはいえ、政治は結果責任だと思うんですね。国民がこれだけ、領土や領海の問題、また、主権が脅かされるのではないか、こういうような不安を毎日感じるような、そういう事態を招いてしまった。そういう責任について野田総理はどのように感じておられるのか、まず見解を伺っておきたいと思います。まず総理、総理でお願いします。

中井委員長 御答弁の前に一言申し上げます。

 理事会でも申し上げましたが、きのう、きょうと、二十五人という新記録の質疑者でございます。全員が総理、総理、総理と言ったら、どなたが総理をやっても体がもちません。委員長の判断で適宜分散いたします。

野田内閣総理大臣 時系列でいろいろと表示をしていただいておりますけれども……(発言する者あり)

中井委員長 傍聴席、静かに。

野田内閣総理大臣 領土、領海、主権にかかわる事案が生起していることは事実であります。

 ただ、これは、我が国の外交の問題というよりも、佐藤委員御指摘のとおり相手国もありますので、相対的な問題だとは思います。それぞれの事情もあります。

 今、私が間違いなく申し上げられることは、領土、領海、主権については我が国の基本的な立場はしっかりと主張をするということ、その一線は守り抜いていきたいと思います。毅然たる対応をしていきたいと思います。

 一方で、これにかかわる国々との二国間関係は、それぞれ大事な二国間関係だと考えておりますので、大局観を失わずに、個別の案件が全体に悪影響を及ぼさないような冷静な対応をしながら、主張すべきは主張をする、そして対話のチャネルを閉ざさずに、そして解を見出せるような努力をしていきたいというふうに考えております。

佐藤(茂)委員 もう一つ全般的なことをお聞きしたいんですが、私は昨年八月にも当予算委員会で質問する機会をいただきまして、当時は菅総理でございました。今、私は、菅政権の末期と野田政権の末期は同じ状態に近いなと感じているわけですね。

 それは何かというと、菅総理は昨年の六月二日に、一定のめどがつけば退陣する、そのように表明されました。私は、それを受けまして、八月の段階でもまだ退陣されておりませんでしたので、外交停滞を招いているから即刻おやめになるべきだ、そういうことを当委員会で申し上げたことを今でも覚えているわけでございます。

 野田政権も同様でありまして、八月の八日に、近いうちに国民に信を問う、そのように表明されてからもう三カ月以上がたちました。こういうことを発信した政権というのは、日本国民だけではなくて世界に発信されているわけでございまして、外国から交渉や合意の相手にされておりません。ですから、即刻おやめになって、国民の信を得た政権にバトンタッチされることが私は国益にかなうんだろう、そのように考えておるわけでございます。

 ところが、その政権が、最近の報道によりますと、一つは、先ほどありましたTPPの交渉の話、もう一つは、日米の安全保障にとっての非常に大きなツールになります日米ガイドラインの見直しに入っていくと。こういう問題については、私は、国民に信を問うと言われた不安定な政権がやるべきことではない、本当に中長期的に交渉に責任が持てる、判断力と交渉力を継続的にしっかりと維持できるような、そういう力のある政権がやるべきだ、そのように考えるわけです。

 ですから、私は、速やかに国民に信を問うて、国民の信を得た新しい政治体制のもとで方針を決めるべき課題だ、こういう大きな二つの課題についてはそのように考えますけれども、野田総理の答弁をいただきたいと思います。

野田内閣総理大臣 政権をお預かりしている以上、課題があるならば、その解決に向けて日々努力するということは、これは基本だと思います。外交の案件も内政の案件もその日々の努力の中で前進をさせるというのが、これは当然のことだと思いますし、政治空白をつくってはいけないと思っております。

 外交案件についても、例えば、あしたから日朝協議が始まるように、それぞれ大事な協議もあります。こういう協議をやっている最中でありますので、ぜひこれは野党においても御協力を賜りたいと思うんです。

 加えて、課題はいろいろある中で、時間との勝負のものがあるんです。それが、先ほど来御議論いただいた特例公債であるとか、一票の格差と定数是正。私は、定数是正は御党にはぜひ賛成してほしいですよね。

 そういうことも含めて、当面の課題で急がなければいけないものがある中で、大事な難題についても日々前進させるような努力をするのは、これは政権として当然の務めだと思いますし、その職責はしっかり果たしていきたいというふうに思っております。

佐藤(茂)委員 私は、当面の課題の国内のことなんかは、当然、協力すべきところは我々も協力しなければいけないと思います。

 ただ、外交案件というのは、特に先ほど申し上げました日米ガイドラインとかTPPの交渉なんというのは、これからやはり中長期的にしっかりと時間をかけてやらなければいけない案件でありまして、そのことについて、不安定なまま、最後はやっつけ仕事であるかのようにそういうことに突き進もうか、そういう動きをされているというのは私はいかがなものか、そのように……(森本国務大臣「委員長」と呼ぶ)もう答弁は求めません。

 次にお聞きをしたいのが、私は、日米安全保障体制というのは強化すべきだ、そういう論者でございますが、今、その足元、基盤というものが大きく揺らいでいる問題が何点か、沖縄を中心に出てきております。その一つは、オスプレイの問題。もう一つは、米軍兵士によるさまざまな事件の問題。これは、放置しておくと、私は、日米安全保障体制の基盤、また信頼性というものが揺らぎかねない、そういう大きな問題だと思うんですね。

 特に、オスプレイの問題についてまとめて政府の見解を伺いたいと思うんですけれども、一つは、外国であった四月のモロッコや六月のフロリダの墜落事故の事故調査報告についても、また沖縄の配備についても、また、全国で今月からされると言われている訓練移転についても、日本政府の姿勢の基本というのは、アメリカ軍の方針を伝達するだけの日本政府の対応になっておって、これでは国民は全く納得しない、そのように思うんですね。

 特に、政府みずから、オスプレイに対して、沖縄県民を初めとする国民の不安にどう応えようとしているのかということが、やはり今一番の問題だと思っているんです。

 ぜひやっていただきたいのは、日本政府として、まず、沖縄にあっては、日米合意に盛られた飛行制限を厳格に守るように、具体的に政府として調査をして、そしてアメリカに強く申し入れるべきですし、もう一つは、全国知事会で、総理と防衛大臣が行って説明されたと言われておりますけれども、全国の訓練移転についても、知事会の出席者というのは全く納得されておりません。

 ですから、具体的な訓練内容の全容というものを、もっとアメリカに強く働きかけて、十分な情報提供をしっかりと強く要請して、それに基づいて関係する都道府県に丁寧に説明すべきだと私は考えるんですが、総理の、オスプレイの配備と全国の訓練移転に関する見解を伺いたいと思います。

森本国務大臣 オスプレイを二カ月間岩国に置いて、九月の二十一日から飛行を再開し、二週間置いてから沖縄に持っていって、現在、いわゆるFOCといって、部隊としての完全な運用能力を完備するために必要な訓練を続けているという状態にあります。

 この間、先生の御指摘のように、去る九月十九日、飛行の安全を確認するための日米合同委員会の合意をつくったわけですが、これは、アメリカが同盟国との間で、自国の飛行機を、この種の訓練を行うために明文で合意をしたという異例の例外的な措置をとって、現在、このルールを守ろうとして、彼らは彼らなりにこのルールを守るべく、飛行の安全に努めていると思います。

 我が方も、どのような飛行の実態があるかということについては、要員を普天間基地周辺に出して確認をしておりますけれども、今のところ、極めて明示的な合意の違反というものは見られないという状態でありますので、したがって、何か極めて明確な違反行為があるということであれば、外務省と諮って、日米合同委員会の場に、きちっとアメリカ側に提示をして、合意を遵守すべく求めるつもりでございます。

 もっとも、この内容については、先週金曜日、長島副大臣がワシントンに行ってカーター国防副長官と話し、合意を厳しく遵守するよう我が方として申し入れているところであります。

 なお、それ以外に、今の先生の御指摘のように、沖縄だけではなくて全国にいろいろな訓練を行っているということですが、今から行う訓練は、低空飛行訓練あるいは空中給油訓練、その他後方支援訓練、各種の訓練を各地の飛行ルートで行うということで、その概要については全国知事会で説明いたしましたけれども、それだけではなくて、今まで累次の機会に担当官を県庁に派遣して、内容は文書をもって説明させておりますが、なおそれでも必ずしも十分でないという県知事の方々については、直接お会いをして説明するつもりでいます。

 もっとも、この種の訓練を全国でやっていただくのは、沖縄に余りに負担が偏って重くなっているので、これを、皆様に負担を負っていただこうと思ってお願いをして、全国でいろいろな訓練をこれから行うというためのものでございます。

 しかしながら、いずれにせよ、これは何のためにやっているかというと、要するに、オスプレイを米軍が運用して米国の抑止力を強化し、それが日本の国家の安全保障に寄与するというためであり、我々は、米軍がオスプレイを安定的に運用するように、そして飛行の安全に万全を期すように常にアメリカ側と緊密に連携をして、その合意の遵守に努力をしてもらっているというところでございます。

佐藤(茂)委員 防衛大臣、丁寧過ぎてちょっと長過ぎるので、簡潔に答弁いただきたいと思います。

 このオスプレイのことに関して、下地郵政民営化・防災担当大臣に確認しておきたいと思います。

 下地大臣は、大臣に就任される前に、政府のオスプレイ配備の進め方に一貫して反対、批判をされておられました。

 例えば、七月十八日の沖縄タイムスに対しては、沖縄配備計画に関し、野田総理が受け入れを拒否できないとの認識を示したことについて、アメリカが決めればどうしようもないという発言だ、一国の総理が言うべきではない、そういうふうに批判されておりました。

 また、九月九日の同じく沖縄タイムスのインタビューにも、四月にモロッコ、六月にフロリダで墜落事故があった、必要論の矛をおさめて、事故原因、改善策をきちっと示してから岩国へ入れるべきだった、だが森本敏防衛大臣は必要論で押し切って持ってきてしまった、まず森本防衛大臣にやめていただくこと、ここまで問題が大きくなったのは彼に責任がある、ゼロベースから議論を始めなければならないと。

 こういう威勢のいいことを就任される前は言われていたんですけれども、内閣の一員になられた今も下地大臣は変わりないんですか。賛成なのか反対なのか、明確に御答弁いただきたいと思います。

下地国務大臣 そのときそういう考えがあったということは間違いありません。

 しかし、今私は、内閣の中で、政府の方針の中で、どうしたらオスプレイが安全で飛行できるのかということを模索するのが今の私の立場ですから、政府内においても沖縄の声をしっかりと伝えながら、今、違法性がないという森本大臣のお話がありましたけれども、違法性があるという声が沖縄にはある。そういうふうなことについて、私の方でも沖縄に帰る機会がありますからしっかり聞いて、また森本大臣に伝えるというような役割を果たしていきたいというふうに思っています。

佐藤(茂)委員 次に、景気・経済対策のことで、もう細かいことは聞きません、大まかなことをお聞きしたいと思います。

 一つは、このところの景気後退局面のことでございますが、月例経済報告が三カ月連続の下方修正でございます。九月の景気動向指数も六カ月連続で低下し、そのときに内閣府も、既に景気後退局面に入った可能性が高いと。昨日は、当委員会で総理が速報を報告されておりましたように、七月から九月の国民総生産の数値というものがマイナス〇・九%、年率でマイナス三・五%と、三四半期ぶりのマイナス成長ということが発表になったわけでございます。

 その前には雇用の面でも発表がありまして、十月に発表があったのが、九月の有効求人倍率は〇・八一倍で、有効求人倍率が悪化になったのは三年二カ月ぶりである、そういう報告もあったわけでございます。

 足元だけではございません。これは、一回ちょっとこういうグラフをつくってみたわけでございますが、自民党政権の安倍政権以後、一年刻みでわかりやすい部分がありますので、グラフにしてみました。

 これは、安倍政権がやはり、日経平均株価、また円相場についても非常に円安であった。例えば、日経平均株価は、二〇〇七年六月というのが一万八千百三十八円でございました。ところが、野田政権の昨日現在では八千六百七十六円四十四銭。円・ドル相場では百二十二円だったんですね、安倍政権の二〇〇七年の六月ごろでございますが。ところが、きのう現在では七十九円四十五銭から四十六銭、そういうことでございます。

 私は、足元だけではなくて、今足元のことを最初に言いましたけれども、民主党政権になってから、国民の感覚として、この円高、株価低迷だけじゃなくて、経済がよくなっていないんじゃないのか、そういう感覚を持っておられる国民が非常に多いと思います。これは、ヨーロッパを初めとする世界経済の影響とか震災の影響というのはあります。

 総理の今の経済の認識と、これまで民主党政権で経済がよくならなかった、低迷したままであったという責任をどう考えておられるのか、ぜひ総理に御答弁をいただきたいと思います。

野田内閣総理大臣 民主党政権になってから景気が悪くなったような御指摘でありますけれども、リーマン・ショック後、厳しい情勢の中から、政権交代以降、四四半期プラスの成長を遂げました。大震災があって、これまた景気は落ち込みましたけれども、その後も回復軌道に乗りながら、三四半期、私の政権からはプラス成長になりました。

 というように、一貫して悪かったような御指摘でありますが、厳しい国際情勢の中でもプラス成長はずっと着実にやってきたし、そして、最近では、今雇用のお話もありましたけれども、完全失業率は四・二%まで下げてきたという数字もあるということは事実です。むしろ、今、安倍政権からのいろいろお話をしていますが、その前からずっとデフレじゃないですか。そのデフレを克服できなかった政権に戻すというんですか。我々は、デフレのギャップは縮めてきています。

 というように、一貫して悪かったような御指摘は、これは余りにも一方的なお話ではないかということで反論をさせていただきたいと思います。

佐藤(茂)委員 総理の今の経済の現状認識についてぜひ伺いたいわけであります。

 総理は、十月の十七日に、経済対策の策定についてということを指示されました。ポイントは、遅くとも十一月中に経済対策を決定し、速やかに実施に移す、そうしているわけでございます。他方で、補正予算の指示というのはこの段階では明確にされておりません。遅くとも十一月中をめどに経済対策を決定し、速やかに実施に移すといっても、補正予算という財政面での裏打ちがなければ、私は実行できないと思うんですね。

 総理がこのときに指示された実行に移すという意味は何なのか。補正を組むということなのか、それとも、お金を必要としない規制緩和等でやろうということなのか。この指示の意図というのはどういうことなのか、ぜひ御答弁いただきたいと思います。

野田内閣総理大臣 経済対策をしっかりと切れ目なく講じていかなければいけない、そういう認識のもとに、まずは予備費での対応をさせていただきました。

 これは、先月、予算額では約四千億円、事業規模で七千億。実質GDPへの効果という意味においては〇・一%強でありますけれども、もちろんこれだけでは足りないわけでありますので、今月中を目途に経済対策を講じるようにと。その経済対策の中身は、当然、予算規模につながるものもありますし、御指摘いただいたとおり、規制緩和等によってつくり出していく経済対策もあります。そういうものも含めて、パッケージで経済対策をまとめるように指示をさせていただいております。

 なお、当然のことながら、年金の特例公債との関連でも補正はどこかの段階で組まなければいけないんですけれども、補正予算として組むかどうか、その規模の問題等は、まさに、きょう一定の前進がございましたけれども、特例公債の審議とも深くかかわりがあります。そういう審議状況なども見ながら判断をさせていただきたいというふうに考えております。

佐藤(茂)委員 私は、この前、十月二十六日にまとめられた予備費の活用での一応経済対策と称するもの、国費四千億円規模、見させていただきましたけれども、ほとんど新味のない、そういうものであると同時に、やはり一番の問題は、非常に小粒で、小出しで、逐次投入で、ああいうものをやってもほとんど効果がないんじゃないのか。政府も認めておられますが、GDP押し上げというのは〇・一%程度だ、そのように言われているわけでございます。

 私は、このやり方というのは、先ほどの外交政策でも例に出しましたけれども、菅政権のときに六月から七月に同じようなことをされているんですね。要するに、六月、七月、震災復興にとって極めて重要な時期に、本格的な予算が望まれていたにもかかわらず、急遽、みずからの延命のためだけに、前年度剰余金等を活用した小手先の二次補正を編成されたということがございました。規模も、一次補正の四兆円の半分の二兆円という極めて中途半端な規模でございまして、結果として本格的な復興に向けた三次補正を四カ月ほどおくれさせた、そういうことがございました。

 今回の予備費の活用というのもそのときと物すごく重なるわけでありまして、私は、そういうことをやるんじゃなくて、やはり本当に、経済対策として、この十一月中にまとめる経済対策の全体の国費規模とか事業費規模というのは大体どれぐらいなのかという全体像を示して、そして、その中の先出しとしてああいう四千億程度のものをやりましたよと、そういう対策をすべきだったんじゃないのかな、そのように思うんですが、今、特例公債法の審議状況と言われましたけれども、どの程度の規模のものをこの経済対策として考えておられるのか、お考えがあれば御答弁いただきたいと思います。

前原国務大臣 先ほど議員は株価の話をされましたけれども、例えば、民主党政権発足時と現在の指標で三つ御紹介をしたいと思いますけれども、完全失業率は五・四%、これが今四・二%になっております。改善をしております。それから、有効求人倍率は〇・四三倍でございましたけれども、今おっしゃったように〇・八一倍になっている。そして、GDPギャップにつきましては八%から二%に縮小しているということで、こういう数値から見ても、経済がこの三年間でおかしくなったという御指摘は私は当たらない、経済はよくなった面もあるということはまず申し上げたいというふうに思います。

 その上で、今おっしゃったことについて言えば、きょうの三党の政調会長会談で合意をいただきましたので、第一弾のものは、いわゆる特例公債が通っていなかった前提の中で今まで執行抑制をかけてきたわけです、ほかの予算で。その中で第一弾としてやったのが四千億、事業費七千五百億ということでありまして、これがもし通るということになれば、また話は違ってまいります。

 そういう意味で、総理から御指示をいただいておりますのは、財政を使ったもの、規制改革等々、あるいはさまざまな制度設計を変える、そういったものをトータルでやれということをおっしゃっていただいておりますので、ねじれ国会の中でもございますので、ぜひ野党の皆さん方とも相談をし、我々は、オプションをつくり、規模感もそれなりのものもあわせて考えなくてはいけないと思っておりますので、御協力をいただければありがたいと思っております。

佐藤(茂)委員 私どもは、もう野田政権にこれ以上やはり経済対策を任せるべきではない、そういうように考えておりまして、経済対策の策定とか実行というのは、やはり国民に信を問うた後で、本当に経済をきちっとよくしていく力のある、そういう政権で我々はやるべきだ、そのように考えているところでございます。

 次に、新たな需要創出と成長戦略についてお聞きをしたいわけでございますが、その中でも我々は、やはり内需を拡大する柱の一つは、防災・減災ニューディールということをお訴えしております。

 もう一つは、私も成立にかかわらせていただきました、再生可能エネルギー等を軸にした成長を促す経済社会の構築というのが必要だ、そのように思っております。

 もう一つは、高齢化の進展で医療・介護サービスの需要が増加しておりまして、その中で、例えば介護ロボットなどの開発、実用化のほかに、最近光が当たっておりますiPS細胞を活用した再生医療への支援というものをやはり強化していかなければいけない、そのように考えているところでございます。

 先日、我が党の再生医療推進プロジェクトチームの勉強会に、ノーベル医学・生理学賞を受賞された京都大学の山中伸弥教授にお越しいただき、講演をお聞きしました。大変感銘をいたしたわけでございますが、そのときに山中教授が強調されていたのは、一日も早く臍帯血という宝の山をiPS細胞という違う形で患者のために使わせてもらいたい、そういうことを訴えておられたわけでございます。

 臍帯血というのは赤ちゃんのへその緒に含まれる血液でございまして、ここからiPS細胞をつくり、備蓄をして再生医療に生かしたいということを山中教授は力説されていたわけでございます。臍帯血からはiPS細胞が効率よくつくられるんだ、そういうことを強調されておりました。

 臍帯血については、我が党といたしまして、白血病患者の救済のために、十五年前に臍帯血バンク支援ボランティアの有田さんとともに、署名運動で二百二十万人を突破する署名を集めて、臍帯血移植への保険適用、公的臍帯血バンクの設立に取り組んでまいりました。

 ちょうどグラフの真ん中あたりでございますけれども、その署名も生きまして、九八年四月に臍帯血移植への保険適用が実り、また、九九年には公的臍帯血バンクの設立が実現をしたわけでございます。今、臍帯血は年間一千件を超える移植が行われて、多くの患者の方の命を救っているわけでございます。そういうことを踏まえて、この九月に、臍帯血をiPS細胞など再生医療研究に活用できる造血幹細胞移植推進法が成立をいたしました。

 そういうことを踏まえて、山中教授が、ぜひiPS細胞をつくるのに臍帯血を活用してもらいたいという観点から、三点強調しておりました。

 その一つは、臍帯血をiPS細胞の研究に利用するのには、同意の問題が必要だと言うんですね。それは、臍帯血を採取する前に、造血幹細胞移植の治療に使うことで本人の同意を得ているんだけれども、違う目的、今回は例えば研究ですね、そういう目的に使うことには同意を得ていない。ですから、提供者からの同意をとり直す再同意の必要があって、これについてやはり国としての方針を決めてもらわないといけない、こういう問題がございます。

 もう一つは、iPS細胞ストック計画というのが必要だ、山中教授はそのように言っておられるんですけれども、このiPS細胞のストックに関する指針がない、そういうことも強調されておりまして、ですから、一日も早くiPS細胞という形で患者のために使えるように、臍帯血使用に関する判断基準となる指針を明確につくるべきだ、そういうことを強調されております。

 もう一点は、造血幹細胞移植法の成立によって、先ほど、iPS細胞の研究に移植に適さない臍帯血を法的に利用できることが可能となったんですけれども、この施行期限が一年六カ月を超えない範囲だ、そのように言われている。ところが、この一年六カ月を超えないだと、最大だと平成二十六年三月からとなってしまうんですね。治療を待ち望んでいる患者のために、また世界的に激しい競争に打ちかつためには、一年六カ月などという悠長なことを言っておられなくて、一刻も早くこの施行を目指すべきだ、そのように考えるんですが、厚生労働大臣の御答弁をいただきたいと思います。

三井国務大臣 お答えさせていただきます。

 山中教授からも、私も直接陳情を受けました。

 まさに今先生がお話しされたことでございますけれども、特に、今の中の同意についても、今しっかりと我々はまとめておりますので。

 それからまた、一番最後に、公布の日から一年六カ月以内、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律でございますけれども、これも、関係審議会を速やかに開催することを含めて、早期の施行に努めたい。

 また、現在、山中先生も、法律がなくてもできるということも先生は御存じだと思いますので、そういう方向で取りまとめていきたいと思っております。

 また、当然、この再生医療の実用化に向けた倫理面あるいは安全面の課題に留意しながら、より一層の取り組みを進めてまいりたい。また、iPS細胞を用いた創薬についても重点的な支援をしていきたいと考えております。

 今先生からもお話ございましたように、できるだけ早期に臍帯血の提供が行えるよう、関係機関との調整に努力いたしております。また、十一月九日でございますけれども、具体的な手順を既に打ち合わせを行っているところでございますので、いずれにしましても、厚生労働省といたしましては、早期に実現できるように努力してまいりたいと思っております。

佐藤(茂)委員 もう一つ、ぜひ、総理のこれに対する国家としての取り組み姿勢を確認しておきたいんです。

 というのは、山中教授がノーベル賞をとられたように、iPS細胞などの日本の再生医療、研究分野はトップクラスだと言われているんですね。ところが、やはり実用化が非常におくれている。

 経済産業省によると、再生医療の世界的な市場規模は、二〇一一年は約六百五十億円ですけれども、十年後の二〇二〇年には約八千七百億円に急拡大する、そういうように見込まれているわけであります。しかしながら、今現在はどうなのかというと、これは先日、経済産業大臣にお聞きしたので、この話は別に聞きませんが、人工皮膚などの再生医療関連の製品は、ことし五月時点では、韓国が十三製品、アメリカが九製品を実用化しているのに対して、日本は一製品にとどまっているわけですね。

 iPS細胞という日本発の画期的技術が、私は、うまく生かせれば日本再建の大きな原動力になることは間違いないと思うんですが、現状は国際競争でおくれをとっている、そういう部分があるわけでありまして、ですから、再生医療の分野について、ここは本当に新たな成長分野だ、そういうふうに明確に決めて、日本も産官学一体となって取り組むべきだ、そのように私は考えます。

 世界に先駆けて、このiPS細胞による再生医療の実用化、新産業の創成、夢の医療の実現に国家を挙げての支援体制というものをやはり構築すべきだと私は思うんですが、十一月二日だったと思うんですけれども、総合科学技術会議に国としても山中教授に来ていただいて、御意見を聞かれたそうなんですけれども、政府の取り組みとして、国を挙げてどういうように取り組もうとされているのか、ぜひ総理の見解を伺っておきたいと思います。

野田内閣総理大臣 委員御指摘のとおり、十一月二日、私が議長を務めております総合科学技術会議に山中先生をお招きいたしまして、さまざまなお話をお伺いいたしました。

 先ほどの臍帯血の問題も含めて、いろいろ具体的な御示唆はあったんですが、私がお聞きしたのは、二つの観点から聞いたんです。

 一つは、御指摘のように、いい研究があっても実用化がおくれたり、結びつかないというケースが多いんです。その現状というものを把握しながら、そのボトルネックを克服していかなければいけないということ。iPS細胞だけではなくて、そのボトルネックを解決するならば、第二、第三の山中教授も生まれてくる可能性もあるんです。そういう視点から、制度面の指示と予算面の指示を、担当省庁に指示をさせていただきました。

 また、この総合科学技術会議に入る前にも、既に予備費でこれは措置をしております。予備費、ちょっとちっちゃくてとか、いろいろ御批判はいただきましたけれども、小さくともきらりと光るものも入っておりますので、ぜひ御評価いただきたいというふうに思います。

佐藤(茂)委員 もう一つ、端的にお聞きしたいんですけれども、中小企業政策ですね。

 先ほどからありましたように、景気全体が後退局面に入ってきた、そのように言われております。私が懸念するのは、二つ、ことし、中小企業にとっては重要な節目になる制度改正を今年度末されようとしている。

 一つは、既にこの十一月から始まっているんですけれども、資金繰り面でのセーフティーネット保証五号について、十一月から、業況が改善した業種について指定が外された。全千百三十三業種のうち六割に減らされて、六百八十三業種の指定に絞られたということがございます。

 もう一つは、中小企業金融円滑化法の来年三月終了、こういうことがあるわけでございますが、私は、景気が後退局面に入っているという判断にもあるとおり、潮目は変わりつつあるんじゃないのか。ことしの三月ぐらいの経済事情から判断した施策については、単純に方針どおり進めるというかたくなな姿勢ではなくて、円滑化法の再延長の必要性があるかどうかも含めて、もう一度、足元を見きわめた上で、立ちどまって判断することがあってもいいのではないのか、そのように思いますし、資金繰りについても、年末に向けて、中小企業が困ることのないような政策金融をしっかりと万全な体制でやるべきだということをお訴えして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

中井委員長 これにて石井君、佐藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、志位和夫君。

志位委員 私は、日本共産党を代表して、野田総理に質問いたします。

 きょうは、今、電機情報産業の大企業が行っている大量の首切り、リストラ問題に絞って質問いたします。

 今進められている大量の首切り、リストラは、労働者の生活と人権を極めて深刻な形で脅かしている点でも、雇用不安がてことなって内需の冷え込みが進み、デフレ不況を一層深刻にしているという点でも、下請中小企業と地域経済に甚大な打撃を与えているという点でも、日本社会の大問題になっております。これは今週号の経済誌ですが、「人ごとではない。明日はわが身の解雇・失業」と題する大特集が行われております。

 電機情報産業の大企業は、経営悪化を理由に、首切り、リストラを進めております。しかし、経営が悪いからと労働者の首を切り、目先の利益のみを追い求めるというやり方を繰り返してきたことが、技術開発の土台をみずから破壊し、一層の経営悪化への悪循環をつくり出してきているのではないか。私は、そのことは、この十年来の日本の電機情報産業の衰退という事実によって証明されていると思います。この問題は、日本の産業のあり方にもかかわる重大な問題であります。

 まず、今進められている電機情報産業の大企業による首切り、リストラ計画の規模についての認識を伺いたい。

 主要な大企業だけを見ても、人員削減数は、パナソニック四万人、ソニー一万人、TDK一万一千人、リコー一万二千人、NEC一万人、シャープ一万人、ルネサス一万四千人という極めて大規模なものであります。政府として、電機情報産業の大企業による人員削減計画の全体の規模をどのように把握していますか。

三井国務大臣 お答えさせていただきます。

 厚生労働省といたしましては、リストラに際しまして、企業に再就職援助計画の提出を義務づけております。これによりまして離職の状況を把握しておりますが、昨年四月から九月までの間に提出されました再就職援助計画によりますと、離職者数は約十一万人、うち電気関連製造業の離職者は約二万七千人となっております。

志位委員 二万七千という数字は、現実と合わない過少なものですね。届け出を待っているというのじゃなくて、もっと主導的につかむ必要がある。私たちが会社発表や報道などだけをもとにした集計でも、電機情報産業の大企業によるリストラ、首切り計画は、十月末で約十三万人となっております。ただし、人員削減計画を公表していない企業も多数あり、さらに、非正規社員の削減数は一部を除いて不明であり、その影響は十三万人をはるかに超えると考えられます。

 二〇〇八年のリーマン・ショックの際には、首切り、リストラは、派遣切り、非正規切りという形であらわれましたが、今日の電機情報リストラというのは、非正規社員にとどまらず、正社員も標的とされ、しかも、製造部門だけでなく、事務、設計、開発部門にまで人員削減の嵐が襲っていることが重大な特徴となっています。

 どのようなやり方で首切り、リストラが進められているのか、それが社会的に許されるものなのか。以下、具体的にただしていきたいと思います。

 NECでは、一月二十六日に一万人の人員削減のリストラ計画を発表しました。国内二千人、国外三千人、外部委託、非正規社員五千人を削減するというものです。これを遂行するために、NECでは繰り返しの個人面談による執拗な退職強要を行っています。私は、実際に繰り返しの退職強要を受けた二人の労働者から直接に話を伺いました。お二人は面談の詳細な記録を残しており、それも見せていただきました。これがその記録でありますが、大変詳細なものです。その実態は驚くべきものでありました。

 まず、Aさんのケースです。Aさんは、システムエンジニアとして他社からヘッドハンティングされて入社し、勤続十五年になります。次のような訴えが寄せられました。総理に認識を伺いたいので、お聞きいただきたい。

 五月から七月までに合計十一回もの面談を受け、退職が強要されました。四メートル四方の狭い部屋に入れられ、窓もなく、会話が外に漏れないように通気口を鉄板で塞いだ面談室で、繰り返し繰り返し退職を迫られました。上司に、今の職場で今のままの仕事を続けてもらうのは難しいと百回ぐらい言われ、会社をやめませんと百回ぐらい言っても、面談は続きました。上司から、特別転進、希望退職を真剣に考えてほしい、特別転進の理解が得られるまで面接は続けると繰り返し言われました。上司に、面談は苦痛なのでもうやめてほしいと求めても、面談は業務の一環だ、拒否するなら業務拒否になると言われ、面談を強要されました。

 三回目の面談の翌日、不安や不眠などの症状で心療内科に行き、適応障害と診断されました。上司に、この面談で医者に通うことになってしまった、面談のせいで体調が悪化している、医者からは面談をやめるなどストレスがたまらないようにする必要があると言われていると訴えても、面談は問題ないとして続けられました。

 七、八回目くらいの面談から死ぬことを考えるようになりました。十一回目の面談で、上司に、残れると思った、残れないよと追い詰められたときには、思わず涙があふれ、私に自殺しろって言うんですか、何回も面談して私を追い込んで病気にまでさせておいて、さらに追い打ちをかけるんですか、もう自殺するしかないじゃないですか、もうこれ以上私を追い込まないでください、苦しめないでくださいと叫んでしまいました。

 こういう訴えなんですね。

 総理の認識を伺いたいと思います。

 繰り返しの退職強要のストレスで病気にされているわけです。それを訴えても退職強要をやめません。最後には、自殺しろというのかというところまで追い詰められている。業務命令で繰り返しの面談を強要し病気に追い込む、こういうことはあってはならないことだと考えますが、総理、いかがでしょうか。

三井国務大臣 お答えさせていただきます。

 退職勧奨につきましては、全体として被勧奨者の自由な意思決定が妨げられる状況だった場合は違法な権利侵害となるとした最高裁判例がございます。

 また、一般論として、行き過ぎた勧奨が違法な退職強要と判断される場合もあると考えております。

中井委員長 三井さん、先ほどの二万数千人の数字はいつの統計ですか。(発言する者あり)いやいや、ちょっと待ってください。志位さんはことし十月とおっしゃったから、三井さんのは去年のだと思うんですね。

三井国務大臣 二万七千人というのは、昨年の四月から本年の九月までの間の人数でございます。

中井委員長 九月までなんだ。大分数字が違うな。

志位委員 私が聞いたのは、繰り返しの面談を強要して病気にまで追い込むというのはあってはならないことじゃないか、これを聞いたんです。答えていないです。

 総理、今度はお答えください。

野田内閣総理大臣 一般論で申し上げるとするならば、殊さらに多数回、長期にわたるなど、労働者の自由な意思決定が妨げられるような状況での退職勧奨は行ってはならないというふうに認識をしています。

志位委員 今回のようなケースで、病気に追い込むまで退職強要をやるということはあってはならないことかと聞いているんです。

野田内閣総理大臣 事実関係がわかりませんので個別のことはお話しできませんが、一般論で申し上げた認識は先ほどのとおりであります。

志位委員 こういうことを、あってはならないとは言えないというのは情けないと思いますよ。

 次に、Bさんのケースをさらに申し上げたい。

 Bさんは、ソフトウエア開発に携わってきた技術者です。勤続二十一年になります。次のような訴えが寄せられました。

 五月に始まった合計十二回に及ぶリストラ面談は、私の全てを否定するものでした。上司から繰り返し言われたのは、今までどおりの仕事を続けるのは難しいという言葉でした。何度会社に残りますと答えても聞いてもらえず、繰り返しこの言葉が投げつけられました。能力がない、新入社員にも劣るなどの面罵もされました。特別転進制度、希望退職に応募しない場合は、内戦状態のシリアへの転勤になるなどともおどされました。たび重なる面談で精神的な苦痛を受け、眠れない日々が続きました。食欲もなく、食べても吐き気や腹痛がし、体重は五キロ以上も減りました。私は、新入社員セミナーの仕事で、社長から貢献賞を三回、二〇〇六年、二〇〇八年、二〇一〇年、もらったことがあります。仕事に誇りを持ってやってきたのに、悔しさを通り越して、毎日が悲しい。

 こういう訴えであります。

 Aさんにしても、Bさんにしても、繰り返しの退職強要を受けているわけですね。

 厚生労働省は、「厳しい経済情勢下での労務管理のポイント」というパンフレットを発行していますね。その中の「退職勧奨」という項目では、「裁判例によれば、被勧奨者の自由な意思決定を妨げる退職勧奨は、違法な権利侵害に当たるとされる場合があります。」として、最高裁の判例を明示しています。それを読み上げてください。確認のためです。

三井国務大臣 退職勧奨について争われた最高裁判例について、パンフレットでは、「ことさらに多数回、長期にわたる退職勧奨は、いたずらに被勧奨者の不安感を増し、不当に退職を強要する結果となる可能性が高く、退職勧奨は、被勧奨者の家庭の状況、名誉感情等に十分配慮すべきであり、勧奨者の数、優遇措置の有無等を総合的に勘案し、全体として被勧奨者の自由な意思決定が妨げられる状況であった場合には、当該退職勧奨行為は違法な権利侵害」とされております。

志位委員 今読み上げられましたが、ちょっとパネルで、こういうことになります。

 これは最高裁の判決なんですけれども、この最高裁の判決に照らしても、NECで行われているのは、まさに多数回、長期にわたる退職勧奨であり、自由な意思決定を妨げる退職勧奨であって、違法な退職強要であることは明瞭であります。

 ところが、NECは何と言っているか。これは、今週号のアエラの「「退職強要」国会で追及」と題する記事ですが、私が本会議の代表質問でNECの退職強要の問題をただしたことに対して、NEC側の反応が載っております。驚くべきことにNEC側は、複数回に面談が及ぶことはあっても、退職勧奨や退職強要はしていないと答えています。

 しかし、既に紹介しましたように、Aさん、Bさんに対して上司が繰り返し言ったのは、今までどおりの仕事を続けるのは難しい、特別転進、希望退職を真剣に考えてほしい、特別転進の理解が得られるまで面接は続ける、特別転進制度に応募しない場合はシリアなどへの転勤になるという言葉であります。

 これは、会社をやめろという言葉だけは使っていないものの、明らかに繰り返しの退職勧奨、違法な退職強要以外の何物でもないことは明らかではないでしょうか。にもかかわらず、NEC側は退職勧奨はしていないと言い抜けているんですね。

 こんなことを許しておいていいのでしょうか。直ちに政府として、NECに乗り込んで、実態をつかんで、違法行為を根絶するために断固たる措置をとるべきじゃないですか。どうですか。

三井国務大臣 個別の事案については控えさせていただきますが、あくまで一般論といたしましては、行き過ぎた勧奨が違法な退職強要と判断される場合もあると考えております。

志位委員 個別は控えさせていただくというのは、自民党の政権がいつも言っていたせりふと同じですよ。しかし、違法行為というのは個別企業がやるんです。だから、その個別のということで答弁を避けていたら、これは行政の責任を果たしたことになりません。

 このNECの側ですよ、大臣、開き直っているわけです。厚生労働省の方はこういうパンフレットを出して、退職勧奨、ひどいものをやっちゃいけないよと言っているにもかかわらず、これだけのことをやっておきながら退職勧奨をやっていないと開き直って、厚生労働省をなめているわけですよ。そういうことをほっておいていいんですか。

 改めてきちんと調査に入って、退職勧奨をやめさせてください。大臣、調査に入ってください、NECに。

三井国務大臣 先ほど説明申し上げました裁判例のとおり、一般論として申し上げさせていただきます。

 殊さら多数回、長期にわたるなど、労働者の自由な意思決定が妨げられるような状況での退職勧奨は行ってはならないと認識しております。

 また、今、厚生労働省ですが、違法な退職強要についての情報を入手した場合には、都道府県労働局やあるいは労働基準監督署で事実を確認し、必要な啓発指導を行うこととしております。今後とも、企業に対してしっかりと啓発指導を行ってまいります。

志位委員 違法な退職勧奨の情報を入手した場合には指導に入ると。だから、今、違法な退職勧奨の事例を言っているじゃないですか、この場で。あなたは入手したんですよ、その情報を。だったら、それに指導に入ると言ってくださいよ。そんな一般論じゃだめです。指導に入る、やめさせると何で言えないのか。

中井委員長 志位さんに申し上げますが、御党の御調査ですから間違いはないと思いますが、予算委員会で議論をしていただきます資料はあらかじめ理事会で御提示をいただく、こういうことになっています。(志位委員「出していますよ」と呼ぶ)私どものところへ、その御調査、Aさん、Bさん、どう言うたというのが出ているわけではありません。それをもとに質問されますから、政府は一般論で答える以外にありません。ひとつ、そういうことを含めて有意義な討議をお願いいたします。

三井国務大臣 個別の事案につきましては、具体的に申し上げることは控えさせていただきたいと思います。

志位委員 一つずつの事例について、私は基本的なことは出しておりますよ。パネルの問題、それから総理にお渡しする資料の問題。しかし、個々の、一々質問の内容を全部通知するということができなければ答えられないという、こんなばかなことはないですよ。

中井委員長 いやいや、おっしゃる資料のもとは、やはりきちっとお示しいただかないといけません。

志位委員 もとは、私が聞いたんです。

中井委員長 例えば、そこのアエラでも、何月何日の発行のというのを言っていただくとか、それが慣例でここまで来ましたから、できる限り御協力ください。だけれども、僕はずっとさっきから黙って聞いて、知らぬ顔しておるじゃないですか。だけれども、余り具体論に入るから申し上げておるんです。

志位委員 先に進みます。

 では、総理に伺いたい。

 この問題、NECだけじゃないんですよ。ほかの電機大企業でも違法な退職強要というのが広がっております。

 シャープでは、十一月一日から希望退職二千人を募り、複数回の個人面談など、違法な退職強要が進められています。私たちのもとに、四回目の面談がされます、やめたくないが、断り切れないかもしれませんという訴えが寄せられています。シャープの希望退職とは名ばかりで、実際は指名解雇そのものです。労働者個々に面談と称して呼び出し、ある人には、退職してください、また別の人には、君のいる場所はないなどと露骨に言われていますという訴えも寄せられております。

 政府の調査でも、退職勧奨にかかわる相談件数というのは、二〇〇二年度には七千百三十七件に対して、二〇一一年度には二万六千八百二十八件と、九年間で約四倍、史上最高となっています。違法な退職強要が空前の規模に達していることをうかがわせるデータであります。

 総理に伺いたい。政府として、この電機情報産業の大企業で行われている首切り、リストラの実態を全面的につかんで、違法行為があれば、企業に踏み込んでそれをとめるべきではないですか。それが政治の責任ではないか。総理にその意思があるのかどうか、伺いたいと思います。

枝野国務大臣 電機電子産業の業所管大臣としてお答えを申し上げます。

 エレクトロニクス産業の世界的な競争が激化する中、各社において事業体質強化に向けたさまざまな対応が検討され、あるいは実施をされています。こうした中で、企業にとって事業の選択と集中が不可避であるということも一方では理解できますが、このような場合においても、配置転換等により可能な限り雇用の維持に努めることは非常に重要であると認識をいたしております。

 私としても、業所管大臣として、国内の経済、雇用に与える悪影響を最小限にとどめるべく、関係する企業に経営基盤の安定化及び雇用維持に向けた取り組みを行うよう要請してきているところであり、引き続き、こうした要請を続けながら、各社の動向を注視してまいりたいと思っております。

 その上で、今御指摘のありました違法な退職勧奨等の問題については、個別のことについては、厚生労働省所管のもとで、きちっとした申請、申し出等があれば厚生労働省において個別案件としては対応していただけると思いますし、あるいは、企業ぐるみで大がかりにしているというような具体的な指摘あるいは証拠等お示しをいただければ、経済産業省としても、私としても、業所管大臣として調査をさせていただきます。

志位委員 総理に伺いたい。

 違法行為があれば、踏み込んで正していただきたい。いかがでしょうか。

野田内閣総理大臣 今の経産大臣の答弁のとおりではないかと思います。

志位委員 はっきりしないんですが、次に、もう一つ大きな問題に進みたいと思います。日本IBMの問題です。

 日本IBMでは、ある日突然、正当な理由なく解雇を通告し、そのまま労働者を職場から締め出すロックアウト解雇というやり方がとられています。私は、突然の解雇通告を受けた労働者から直接お話を伺いましたが、余りの非道さに唖然とする思いでありました。

 まず、Dさんのケースです。Dさんは、パソコンのハード、ソフト開発に携わってきた技術者で、四十歳になります。次のような訴えでありました。お聞きください。

 九月十八日午後四時五十五分、本社のセカンドマネジャー、部長級から、五時からミーティングをやると言われ、指示された場所に行くと、見知らない二人が入ってきて、人事担当者ですね、突然、解雇通告書を読み上げ始めました。きょうの終業時刻五時三十六分までには私物をまとめて帰れ、あすからは出社禁止だと告げられました。既に午後五時二十分を回っています。あと十五分、同僚がまだ仕事を続ける中、上司の監視を受けながら私物の整理をさせられました。まるで犯罪者のような扱いです。同僚に挨拶すらさせてもらえませんでした。それ以来、一歩も職場に入れない状態となりました。解雇通知書には業績不良が理由として書かれていましたが、その根拠を会社に求めても、何の説明もされていません。

 こういう訴えであります。

 もう一人、Eさんのケース。Eさんは、システムエンジニアとして二十五年間勤続し、五十一歳となります。子供さんが中学生、高校生で、社宅に四人暮らしと聞きました。Eさんは、日本IBM入社二十五周年で表彰され、記念品と特別休暇が与えられました。ところが、特別休暇の直後に待っていたのは残酷な通告でした。Eさんからは、次の訴えがありました。

 勤続二十五年表彰ということで九月末まで休暇をとり、十月一日に出社した翌日、十月二日に突然、解雇通知書が読み上げられました。通知を受けている最中にショックで意識もうろうとなり、その場からタクシーで病院に運ばれました。そのタクシーの中でも、上司から、君はもう会社に来なくてよいと言われました。解雇通知の当日の夜にはIDが使えなくなっていました。労働者の業績を証明するものを取り上げてしまおうという狙いだと思います。

 これが、勤続二十五年の表彰をされた方への仕打ちなんですね。

 これは、総理に認識を伺いたい。私は、本会議の代表質問で、日本IBMのこうした具体的事例を示し、「労働者に考えるいとまさえ与えず、有無を言わさず解雇に追い込む。これは、明らかに解雇権の濫用であり、絶対に認められるものではありません。 総理は、このような非道な解雇が許されると考えますか。」とただしました。しかし、総理からは答弁がありませんでした。

 このような非道な解雇が許されるのかということを私は聞きました。総理、この場で答えていただきたい。

野田内閣総理大臣 繰り返しの面談による退職強要であるとか、あるいは能力不足を理由とする解雇等々については、これは一般論としか本当に言いようがないんですけれども、例えば繰り返しの面談については、労働者の自由な意思決定が妨げられるような状況での退職勧奨は行ってはならないと認識をしますし、一般論で言えば、単に成績不良というだけで解雇が許されるわけではなくて、その程度や今後の改善の見込みなどさまざまな事情を考慮し、その可否が判断をされるものと承知をしています。

 ちょっと、DさんとかEさんとかおっしゃいますけれども、それがどういう、本当に事実関係がわかりませんから、一般論としか言いようがございません。

志位委員 これは、私が直接聞き取って、本人との関係がありますから名前は出しておりませんが、責任を持って質問しているわけであります。

 それで、繰り返しの退職強要の話を聞いたんじゃないんですよ。いきなり解雇通知を突きつけられて、終業時刻の間際ですよ、そしてすぐ出ていけと。これはひどいと思わないかと聞いているんです。総理の率直な気持ちを聞いているんですよ。どうですか、総理。ひどいと思わないか、総理。

野田内閣総理大臣 事実関係が確認できませんけれども、もしそういうことがあるならば、それはあってはならないやり方ではあります。

志位委員 あってはならないという答弁をされましたので、先に進みたいと思うんです。

 日本IBMでは、七月から十月にかけて、同じような方法での解雇が大量に行われております。いつの間にか社員が消えているということが職場で言われております。私の手元には、ロックアウト解雇を受けた七名の解雇通知書がございます。

 委員長、これは首相にお渡ししてよろしいでしょうか。

中井委員長 はい、どうぞ。承っております。

志位委員 それをごらんいただきながら聞いてほしいんですが、それぞれの解雇通知書には、解雇理由として次のように記載されているだけです。

 これはパネルにしてありますが、「貴殿は、業績が低い状態が続いており、その間、会社は様々な改善機会の提供やその支援を試みたにもかかわらず業績の改善がなされず、会社は、もはやこの状態を放っておくことができないと判断しました。以上が貴殿を解雇する理由となります。」たったこれだけですよ。

 解雇通知を受けた七名というのは、職種もそれぞれであり、経歴もそれぞれです。しかし、解雇通知書に記載されている解雇理由は、ごらんになっていただければわかりますが、判で押したように一言一句同じものになっています。労働者が、業績不良の具体的事実は何ですかとただしましても、会社側は何の説明もしていません。説明しないと言っています。

 一体、こんな内容が解雇理由として通用すると考えますか、厚生労働大臣。

中井委員長 三井厚労大臣。持っているの、資料。

三井国務大臣 見せていただきました。

 それで、ここにつきましては、個別の企業の事案でございますから、具体的に申し上げることは控えさせていただきたいと思います。

 一般論といたしましては、企業は安易に解雇すべきではないと考えております。やむを得ず解雇を行う場合には、法令を踏まえて適正に行っていただく必要があると考えております。

志位委員 一般論でしたけれども、これが通用するということは言えなかった答弁だと思います。

 もう一枚パネルをお願いします。これは労働契約法第十六条ですが、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」ということが明記されています。

 そこでお聞きしたい。

 IBMのこの解雇通知書、ここに書かれた解雇理由なるものが、ここにある「客観的に合理的な理由」というふうに言えるものでしょうか。つまり、客観性を持ち、合理性を持っていると言えるものでしょうか。大臣、どうでしょう。

三井国務大臣 裁判例に照らしますと、成績不良だけで企業経営に支障を生じるほどのものなのかどうかや、あるいは今後の改善の見込みなど、さまざまな事情が考慮されると思います。そして、その考慮の結果、解雇の合理性が判断されるものと承知いたしているところでございます。

志位委員 また裁判例の一般論でしたけれども、ただ、客観的に合理的な理由であるということはおっしゃられませんでした。

 そこで、裁判の例に入っていきたいと思うんですけれども、企業が業績不良を理由に正社員をリストラ解雇し、その不当性が争われた事件としては、二〇〇一年のエース損害保険事件があります。このケースでは、東京地裁で解雇権の濫用と判断され、解雇は無効であるとされる判決が下り、確定判決となっております。

 これがその判決文でありますが、長期にわたり勤続してきた正規従業員を勤務成績、勤務態度の不良を理由として解雇する場合は、それが単なる成績不良ではなく、企業経営や運営に現に支障、損害を生じ、または重大な損害を生じるおそれがあり、企業から排除しなければならない程度に至っていることを要する、これが基準だということが確定判決で出ているわけですよ。

 ところが、先ほど紹介した、日本IBMが労働者に一方的に突きつけた解雇通知書には、ただ単に「業績が低い状態」とだけしか書かれておらず、業績がどう低いのか、客観的な事実、具体的な事実、全く説明されていません。この判決文の言う、企業経営や運営に現に支障、損害を生じ、または重大な損害を生じるおそれがあり、企業から排除しなければならない程度に至っていることについての具体的な説明は一切ありません。

 この判決に照らしても、IBMがやっていることは問題だと思いませんか。いかがでしょうか。

三井国務大臣 一般論として申し上げます。

 単に成績不良というだけで解雇を許されるわけではないと考えております。また、裁判例に照らしますと、成績不良が、あるいは企業経営に支障を生じるほどのものなのかどうかや今後の改善の見込みなど、さまざまな事情が考慮されると思います。

 いずれにいたしましても、個別の解雇事案につきましては、さまざまな事情を総合的に考慮の上、解雇の合理性の有無が判断されるものと承知しております。

志位委員 私は、IBMについては、あなたにも解雇通知書を見せたでしょう。先ほど皆さんに示しました。この解雇通知書のやり方とこの確定判決、これを照らし合わせてみて、この判決に照らしてもIBMのやっているやり方は問題だと思わないかと聞いているんです。これは一般論で逃げられる話じゃないですよ、具体的に全部資料を出しているんですから。答えてください。(発言する者あり)よくないですよ。ちゃんと具体的に、問題だとなぜ言えないのか。

三井国務大臣 IBMにつきましては、解雇の通告を受けた方が、その有効性を争う訴訟を提起していると聞いております。司法の場における判断を注視していきたいと考えております。

志位委員 訴訟をやっていますよ。しかし、訴訟に訴えなければ解決できないというんだったら、政治は何のためにあるのか。政治が物を言わなかったらいけない問題だと私は思います。

 私が先ほど紹介したEさん、勤続二十五年に当たって、長きにわたる貢献に感謝し、記念品をお贈りいたしますと、これですね、この表彰状に書かれております。今後ともますますの御活躍を期待しますと社長から表彰を受けているんですよ。その直後に解雇されている。

 突然の解雇通知を受けた労働者の中には、部署内にある各チームのリーダーの総意により月間MVPを受賞した労働者もいます。二〇一一年、一二年と連続して業務改善活動が評価されたことにより、部門内大会決勝に進出した労働者もいます。どの労働者も、真面目に働き、さまざまな表彰を受けてきた立派な労働者ですよ。まともな解雇理由など書きようがないんです。

 総理に伺いたい。

 私は、こんな無法な解雇を横行させたらどうなるかということを考えていただきたい。日本IBM一社の問題では済まなくなってきますよ。

 日本IBMの大歳卓麻元社長は、日本IBMは人事制度改革で日本の毒味役になる、つまり、我々が毒味してみて大丈夫そうだとなれば、日本の会社の皆さんもやりやすいんじゃないか、こう公言してはばからなかった人なんです。

 先ほど、NECで退職強要を繰り返して労働者を神経疾患や自殺寸前に追い詰める事態が引き起こされているということを明らかにしましたが、実はこれは日本IBMで既にこれまで行われていた、もう毒味がされていた手法でした。それが全国に広がったんですよ。

 総理に伺いたい。

 今、日本IBMが開始した、ある日突然、正当な理由なく解雇を通告し、そのまま労働者を職場から締め出すロックアウト解雇という毒味を許したら、日本じゅうの大企業にこの無法なやり方が横行し、解雇自由の真っ暗闇の社会になってしまうことになります。政府として、無法な実態をつかみ、企業に乗り込んででもこれをやめさせることが必要じゃないですか。総理、お答えください。

三井国務大臣 殊さら多数回、長期にわたって退職勧奨を行うなど、労働者の自由な意思決定が妨げられるような状況での退職勧奨は行ってはならないと認識しております。

 今後とも、必要な啓発指導を行うなどしっかりと対処していきたい、こういうように思っております。

志位委員 殊さら多数回の退職勧奨の話じゃないんですよ、今やっているのは。いきなり解雇通知を突きつけられて、その場でロックアウトされるというやり方を許しておいていいのかと聞いたんです。総理、答えてください。

野田内閣総理大臣 安易な雇用調整をやってはいけないということは、これは間違いありません。そのやり方については、今ずっと一般論でしかお答えができていませんけれども、これは過去の最高裁の判例等を踏まえながら我々は答弁するしかありません。

 個別の案件、当然、共産党のトップの方がこうやってお尋ねでありますから、しっかり調査をされた上でのお尋ねだとは思いますが、ただ、DさんとかEさんとか、こういうことがあったからと言われた中で、我々も、例えば日本IBMの場合は、これは訴訟にもなっている話でありますので、そういうことを踏まえると、個別に踏み込んだお話を事実も踏まえないでお話しすることはできないということはお許しをいただきたいと思います。

志位委員 訴訟ということをまた言われたけれども、訴訟に訴えられている方は何人かおられるけれども、訴訟できなくて泣き寝入りせざるを得ないという方もたくさんいるわけですよ。訴訟しかもう解決の手段がないというのでは、これは政治は何のためにあるのかということになると私は思います。私はこの問題、ずっと聞いたけれども、総理が一般論としてしか答えないというのは、やはり情けない態度だということを言わなければなりません。

 それでは、最後に、日本の産業のあり方について総理に見解を伺いたいと思うんです。

 今、日本の電機情報産業は深刻な衰退の危機にあります。かつて世界の五割のシェアを誇った半導体生産は二割に落ち込みました。ノートブックパソコンでも日本は敗退しました。日本で生まれ、日本の消費者が育てた液晶テレビ、液晶パネルでも敗退しました。なぜここまで衰退したのか。

 私は、その大きな原因は、ごく目先の利益だけを追い求め、企業にとって命である人間をどんどん切り捨ててきたことにあるのではないかと思います。NECは、株主への配当を復活させるために一万人の人間を切り捨てると言っています。こういうやり方に未来はあるのか。

 こういう経営姿勢こそが、電機情報産業の命である創造的な技術開発の力を奪っていったのではないでしょうか。製造部門を海外に安易に移転し、技術開発部門と切り離したことが、新製品の開発の力を弱めていきました。リストラの矛先が技術開発部門にまで向けられたことによって、優秀な技術者ほどプライドが傷つけられ、他社、他国に転職してしまい、技術流出が進み、新製品開発の力はいよいよ弱まりました。

 誇りを持って働いてきた労働者を物のように切り捨て、技術開発の土台をみずから破壊し、一層の経営悪化への悪循環をつくり出している、これが今の日本の電機情報大企業の実態ではないでしょうか。

 私は、本会議の質問で、生きた人間を人間扱いせず、力ずくで解雇に追い込む、このような恐るべき無法の横行を放置していて日本経済の再生はあり得ないと考えますが、いかがですかと総理にただしましたが、総理から答弁はありませんでした。

 私は、人減らしのリストラでは日本の電機情報産業の復活は決してあり得ないと考えますが、総理の見解を求めたいと思います。

野田内閣総理大臣 個別の業界の経営のあり方とか労使の関係について私がとやかく言うということは妥当ではないと思います。

 言うまでもなく、これはずっと言ってきたことでありますが、企業として安易な雇用調整は行うべきではありません。政府としては、個別の事案に応じて離職者の受け皿確保にも取り組むなど、地域経済、雇用への影響にも十分配慮し、雇用の維持や再就職援助に取り組んできております。

中井委員長 時間が来ていますので、まとめてください。

志位委員 個別の企業で逃げ続けて、最後は個別の産業ですか。そうしたら何にも答弁しないことになりますね。

 ヨーロッパでは、こういう際には、政府が乗り出して、身勝手なリストラに待ったをかけています。フランスでは、国内最大手の自動車会社プジョーが八千人の解雇計画を発表した際に、オランド新大統領が介入して、リストラ見直しを迫っています。

 日本でも政治の役割が問われているのではないか。十三万人もの人々が首切り、リストラに苦しめられているときに、政府が無為無策でいいのか。電機情報産業の大企業の内部留保は二十六兆円にも及び……

中井委員長 志位君、時間が来ています。

志位委員 雇用を守る力を持っています。この力をもって、雇用に対する社会的責任を果たさせる。それをさせることこそ政府の責任だということを最後に主張して、私の質問を終わります。

中井委員長 これにて志位君の質疑は終了いたしました。

 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 総理、各大臣、私はきょう、オスプレイ強行配備に反対をする県民の強い意思を体現して、オスプレイ・ノーのバッジをつけてまいりました。

 総理、オスプレイの普天間基地への強行配備、訓練強行、同時に、九月十九日に日米合同委員会で合意した安全確保策を全く守らずにやりたい放題の米軍に、沖縄県民は毎日毎日ワジワジーしております。総理は、オスプレイ強行配備と訓練強行で県民が恐怖におびえ、基地機能の強化に苦しんでいる毎日をどのように受けとめておられますか。

野田内閣総理大臣 オスプレイの配備は、我が国の安全保障にとって大きな意味がありますけれども、その運用に際しては、安全性はもとより、地元の皆様の生活に最大限配慮することが大前提であると思います。

 米国は、オスプレイに関する合同委員会合意を遵守し、安全性等に最大限配慮していると認識していますが、政府としても、この合意が遵守されるようフォローしていく考えであり、今後も引き続き、米側との間で必要な協議を行ってまいりたいと思います。

 沖縄県民の皆様に御懸念、御不安があることは十分認識をしていますが、今後とも、沖縄県民の皆様の声に真摯に耳を傾けつつ、オスプレイの運用について御理解がいただけるよう、丁寧に御説明をしてまいりたいと考えております。

照屋委員 総理、九月十九日の日米合同委員会におけるオスプレイの安全確保策は全く守られていない。これはもう、多くの県民が現認をして、沖縄では毎日のように証拠写真を添えて地元紙が報道している。にもかかわらず、先ほどの森本大臣の発言は、私は許せない。防衛省として確認をしていない、アメリカは守っているはずだと。政府は、国民の、沖縄県民の命の安全は守ろうとしないで、アメリカの言いなりになる。とんでもないと思いますよ。

 去る十月十六日、米海軍兵二名による沖縄の女性に対する集団強姦致傷、強盗事件が発生しました。沖縄県民は、復帰後も、相次ぐ凶悪卑劣な米兵の性犯罪に怒りの声を上げつつも、もう本当に、悔し涙もかれてしまう。

 その事件で夜間外出禁止令が出ているにもかかわらず、十一月二日に読谷村で、嘉手納基地所属の空軍兵による住居侵入、傷害、器物損壊の事件が発生をしました。

 この凶悪卑劣で言語道断な米兵犯罪に対し、森本防衛大臣や吉良外務副大臣が重大事件を単なる事故と表現するコメントを発しており、まことにもって不見識であり、暴言、妄言であります。これにも沖縄じゅうが怒っている。

 総理は、これらの多発する米兵の事件に対してどのようにお考えでしょうか。

森本国務大臣 沖縄にオスプレイを配備して、配備全体はまだプロセスが完了しておりませんが、いずれにしても、オスプレイの飛行によって沖縄の方々に大変な御心配や御懸念をもたらしていることは、まことに申しわけなく思います。

 オスプレイは確かに米国の抑止力を高め、我が国の安全保障にとって重要であり、現在の南西方面の安全保障環境を鑑みるに、オスプレイの配備というのは我が国にとって非常に重要なことではありますけれども、しかし、それよりも沖縄の方々の飛行の安全がはるかに重要であり、米国は日米間でつくられた合意を守ろうとして飛行の安全に努めていると我々は考えています。

 確かに現地で、毎日、垂直離着陸モードで市街地の上を飛ぶといった報道もあり、指摘もあるわけですが、我が方としても、目視によってできるだけその飛行の実態を把握すべく努力しているところです。

 極めて具体的な、明らかな問題があれば、これは外務省とも協議をして、日米合同委員会の場でアメリカ側に指摘するというつもりでおります。

 先ほどの米軍の事件についての私の発言も、確かに事故だとか事件とかという言葉を何回も使って、これは私が不注意で、この重大な出来事を事件、事故というふうに、双方、言葉をうまく、はっきりと使い分けずに発言したことは不注意であったと思いますが、いずれにしても、できるだけオスプレイを安全に沖縄で運航するよう、我々としてもアメリカと緊密に協議をして努力していきたい、このように考えます。

野田内閣総理大臣 先月、沖縄で発生した許しがたい事件については、決してあってはならない極めて遺憾なものであり、また、夜間の外出禁止がとられている中で、今月、米軍人による事件が発生したことは、極めて遺憾であります。

 政府としては、引き続き、この種の事件を根絶すべく、綱紀粛正と再発防止について米側に強く申し入れてまいりたいと思います。

 また、御指摘の、先ほど防衛大臣が御答弁をされた事故という用語でございますが、これは必ずしも適切な表現ではなかったのではないかと思いますが、いずれにせよ、政府がこれらの事件を深刻かつ重く受けとめていることには疑いなく、この点は御理解をいただきたいというふうに思います。

照屋委員 国家公安委員長に尋ねます。

 十一月二日の読谷村での事件発生当日に、藤村官房長官が、起訴前の身柄引き渡しを要請する必要はないと記者会見で述べました。私は、沖縄県警が犯人米兵の事情聴取もしていない段階での官房長官発言は、警察の捜査権に対する政治の不当介入だと考えます。沖縄県警の幹部の皆さんも、あきれ返って、怒っております。

 小平委員長、二日の官房長官発言は、警察庁も了解の上でのことでしょうか。

小平国務大臣 お答えいたします。

 十一月二日に読谷村で発生した今お話しの件でありますが、御指摘の発言についての私の了承云々という性質のものではありませんけれども、警察といたしましては、事件発生直後から捜査に対し米側の全面的な協力が得られていたこと等から、本事件の性質上、起訴前の身柄引き渡しを要請することが必要となる可能性は低いと認識をいたしておりました。その後、警察におきましては、米側の協力を得ながら、引き続き所要の捜査を進めていくものと承知いたしております。

 さらにつけ加えて言いますならば、当時、その米軍人は、三階から落下しまして二階の手すりに一回ぶつかって下に落ち、その結果、負傷して救急車で病院に搬送、そんなことで米軍側に行かれましたので、その時点での対応ができませんでした。

 そういうことの経緯もありましてこうなりましたけれども、捜査については米側も協力しておりますので、その必要はない、そのように私どもは捉えております。

 以上であります。

照屋委員 これは、国家公安委員長、誰が考えても、米側が捜査には協力するからと言っただけで、現実に県警は犯人米兵を取り調べもしていない、そういう段階で官房長官が警察の捜査権に介入をする、しかも、地位協定の考えをゆがめて発言をする。みんな怒っていますよ。私は、だから、そういう不穏当なことを平気で言う官房長官を緊急逮捕しなさいと言った。

 さて、玄葉外務大臣にお伺いをしますが、けさの沖縄タイムスによると、オスプレイ配備に反対する抗議行動が続く普天間基地野嵩ゲート前に、制限区域につき関係者以外立入禁止という文言に加え、根拠法として、一九五〇年国内保安条例、一九七六年改定合衆国法七百九十七号二十一条、五十条と付記された米軍の警告板が設置されていることが判明しました。

 同様の警告板は、一九八三年、埼玉県の大和田通信基地のフェンスにも掲示をされ、同年三月八日の本予算委員会で、我が国の主権を侵害する違法な掲示だと指摘をされて、即日撤去をされた経緯があります。

 外務大臣、米軍当局に速やかな撤去を求めるべきだと考えますが、見解を尋ねます。

玄葉国務大臣 ただいま御指摘をされた看板でありますけれども、確かに、日本国内においてアメリカの国内法によって立ち入りを制限する、これは不適切な面がある。

 ですから、撤去を申し入れて、きょうになりますけれども、看板は除去されたというふうに承知しております。

照屋委員 私は、朝刊で知って、緊急に外務大臣に質問通告をさせていただいた。その結果、外務省からも撤去を申し入れたんでしょう。それで撤去された。私は、結果はよかったと思う。アメリカの法律を警告に使って、そうすれば沖縄県民が抗議行動をやめるだろうと威圧をする、そのようなことは我が国の主権に対する侵害なんです。

 外務大臣、問題は、こういう警告板を防衛省はかなり以前から知っておって何にもしてこなかった。こういう態度が私はおかしいと。だから、私は、日米地位協定は、我が国の主権と国民の人権と環境の視点で全面的に改正すべきだという考えであります。そして、日米地位協定の全面改正なくしてウチナーンチュの尊厳は守れない、運用改善ではだめだということをぜひ大臣にはわかってもらいたいと思います。

 さて、下地大臣に尋ねます。

 大臣は、オスプレイの普天間基地への強行配備と訓練強行、普天間基地の辺野古移設に賛成ですか、反対ですか。

下地国務大臣 照屋先生の質問を聞いていまして、同じ沖縄出身でありますから、閣僚席で複雑な思いはしております。

 しかし、私は、閣僚として、オスプレイの配備は認めさせていただいて、辺野古の移設も認めさせていただいております。

 しかし、オスプレイの件についても、沖縄に大きな反対の声があることもはっきりしておりますし、知事も県議会も反対している中でありますから、そういうことも含めて、日米で合意して安全策をやった以上は、しっかりと安全面は日米両政府はやらなければいけない。

 しかも、こういうふうな、沖縄側からこの安全策が守られていないというような声があったら、沖縄側の声をしっかりと聞いた方がいいと思いますし、また、先ほどの犯人の引き渡しの問題も、もう少し謙虚に政府はやってもいいのではないかという思いもしております。

 そういう意味でも、もう少し沖縄の声を聞きながら、伝えられる役割を私もやっていきたいというふうに思っています。

照屋委員 下地大臣、御承知のように、沖縄では、十一月九日、中部市町村会が米軍の夜間外出禁止措置の恒久化を求める緊急動議を全会一致で確認しました。大臣の受けとめと、外出禁止措置の恒久化に対する考えを伺います。

下地国務大臣 これまで、年間六十回近くの事件、事故が起こりますけれども、大抵が深夜です。しかも、お酒を飲んでから問題を起こすというケースがありますから、私は、夜間の外出禁止は続けるべきだというふうに思っています。

 また、それと同時に、十一時までに帰らなかったら朝の五時以降に基地に戻ってくるというケースがありますから、そういうことにならないように、十一時にしっかりとIDをチェックして、本当に基地内に戻っているかどうかもチェックするようなことをちゃんとやらないとこの外出禁止令が形骸化されるということが一点と、お仕事をなされていて経済的に非常に厳しい方々への対応というのも考えていかなければいけないんじゃないかというふうに思います。

照屋委員 私たち社民党は、消費増税反対、TPP反対、脱原発と、原発再稼働反対であります。加えて、オスプレイ配備反対、全国における低空飛行訓練にも反対をし、日米地位協定の……

中井委員長 照屋さん、時間を延ばすのも反対ですから。まとめてください。終わってください。

照屋委員 全面改正も求めております。一刻も早く解散・総選挙をすべきであります。

中井委員長 これにて照屋君の質疑は終了いたしました。

 次に、江田憲司君。

江田(憲)委員 みんなの党の江田憲司でございます。

 連日、新聞各紙一面には年内解散の報道が躍っております。最悪のタイミングだと思いますよ。我々みんなの党は、これまで、足元の経済が予想以上に悪化しているとずっと警告を発し続けてまいりました。案の定と申し上げますか、もう想像以上と申し上げますか、昨日、御案内のように、GDP統計が発表され、四半期で〇・九%マイナス、年率にして三・五%マイナス、三期ぶりということで、大変な経済の悪化が懸念をされている。

 したがいまして、我々みんなの党は、この国会でぜひとも補正予算を組むべきだ、財政、金融一体の経済対策を打つべきだと思います。そして、予算の中身にはいろいろ議論をさせていただきたいと思いますけれども、やはり、来るべき来年度予算編成は絶対に越年させてはいけない、これが政治家たるものの責任だと思いますよ。

 そうしたときに、そういったことに重大な支障を及ぼす年内解散なぞ総理大臣はお考えいただいていないと思いますけれども、確認をいたしたいと思います。

野田内閣総理大臣 解散の時期は、いろいろな角度からお尋ねいただいておりますけれども、特定の時期は明示をしないということで一貫しておりますので、御理解をいただきたいと思います。

江田(憲)委員 御答弁はそうでしょうから、ぜひ、総理大臣の大権行使に当たっては、これを国益最優先で。

 我々も早期解散を一貫して求めてまいりました。しかし、イッツ・ツー・レートなんですよ。やはり解散すべきタイミングというものがあります。それは夏の増税法案を通す前後だったと私どもは思っておりますよ。ですから、これが延びに延びてここまで来て、ここに至って、この年末の一番重要な時期に解散というのは、さすがのみんなの党も、これはもう解散すべきだと言いません。しっかりと職責を果たしていただきたいと思います。

 さて、きょうの午後、報道によりますと、民主、自民、公明、この三党で、まあ恒例行事ですけれども、三党合意がされまして、特例公債法案については二〇一五年まで自動的に発行を認めるという合意がされた。

 これは、総理、総理がこれまで非常に重きを置かれていた財政規律を乱し、財政の原則にもとるとお思いになりませんか。予算単年度主義、それから、国会が毎年毎年、こうした例外中の例外である赤字国債についてしっかりとチェックをするという国会の役目、これも形骸化する。あらゆる角度から考えても、こうした特例公債を二〇一五年まで自動的に認める法案なんぞ出すはずがないと私は思いますけれども、総理大臣、いかがでしょうか。

城島国務大臣 今般、先ほど私も知りましたけれども、御指摘のように、民自公三党の合意により、二〇一五年度までの特例公債を発行できるような合意がされたというふうに先ほど聞きました。

 今の御質問でありますが、ねじれ国会のもとでも安定的な財政運営を行っていくためには、財政規律を緩ませないという観点を踏まえつつ、予算と特例公債法案とを一体で処理するためのルールづくりが必要となってきているというふうに思っております。

 こうした問題意識のもと、十月十九日の党首会談における提案を踏まえ、三党間で協議を進め、本日、平成二十七年度まで特例公債の発行を認める法案修正を行うことで合意したものと承知をしており、関係者の御努力に敬意を表したいというふうに思います。

 予算単年度主義との関係につきましては、国の歳入は、各年度の歳入予算において権限が与えられるものではなく、法律の規定などに基づいて確保されるものであるというふうに承知をしております。したがいまして、多年度にわたり歳入を確保するための法律を定めることとしても、予算の単年度主義の趣旨に反するものではないのではないかと思います。

 また、特例公債の発行限度額については、従来から、特例公債法において、予算をもって国会の議決を経た範囲内というふうに規定され、毎年度の予算総則において定めております。今回の合意後においても、各年度の特例公債の発行限度額は、毎年度、予算総則で規定し、国会の議決を経ることになると考えられることから、この意味からも、特段問題になるものではないというふうに考えております。

 また、特例公債の発行はあくまでも例外措置であるというのは御指摘のとおりでありますから、こうした点も踏まえ、特例公債法案は、当初予算で特例公債を初めて発行した昭和五十一年以降、一貫して、毎年度、国会で審議をしていただいているということでありまして、我々財政当局でも、財政運営に当たっては一層緊張感を持つことになるというふうに思っております。

江田(憲)委員 長々と答弁、ありがとうございました。

 その答弁は、本当に先人の思いを踏みにじる答弁だと思いますよ。

 皆さん御承知かもしれませんが、昭和五十年、三木内閣で二兆円少々の赤字国債を十何年ぶりに発行したときの、当時の大蔵大臣は大平正芳先生でしたね。当時も、大蔵省の事務当局が、赤字国債を発行するのなら恒久法をつくろうじゃないか、毎年毎年審議するのは面倒くさいと言っていたにもかかわらず、言下に当時の大平正芳大蔵大臣は否定をされ、こうおっしゃったそうですよ。

 大平大蔵大臣は、こういった麻薬のような特例公債、赤字公債を発行する、それについて毎年毎年、要するに、この特例公債法案を成立させる苦労をすることによって、赤字国債を抑制していこうという思いをいたさなければならない、こういうふうに述べておられるわけですよ。そして却下された。まさに財政規律を守る大蔵大臣。

 そして、総理、あなたはずっと、私との論戦でも、まさに財政規律を最優先にされてきた、重んじられてきた方ですよ。それでもなおかつ、こういった財政の原則を踏みにじり、そして国会のチェック機能をないがしろにする。こんなものをやれば、毎年毎年自動的に赤字国債を発行するわけですから、これは財政経営が放漫になることはもう明々白々ですよ。

 そして、さかのぼれば消費税増税法案も、安易に増税をすれば、役人や政治家の行革努力がストップするのも人間の情ですよ。

 こういうことをやっていると、やはり総理大臣が思い描く財政再建、財政規律というものは実現できないと思いますよ。こんなことを許していいんですか。総理大臣、お願いします。

野田内閣総理大臣 最初に特例公債を発行したころの経緯はいろいろあったと思いますが、まさに赤字国債は特例ですから、毎年毎年法律を出しながら国会の承認を得ていくという作業をする、その精神というのは大事だったと思います。

 さはさりながら、当面、財政運営を考えたときに、特例公債に依存せざるを得ない状況がもう長く続いています。残念ながら、この特例公債の扱いが、政局的に、余りこういうことは言いませんが、なかなか物事が進まない実情の一つの大きな要因になっているという現状を鑑みて、予算と特例公債、当面発行せざるを得ないわけですから、それは一体処理した方がいいというのが私の思いで、提案をさせていただきました。

 その中で、今回の確認書の中でも、これは二番目ですが、「現行の財政健全化目標を踏まえ、中長期的に持続可能な財政構造を確立することを旨として特例公債発行額の抑制に取り組むことを前提に、」と書いてあります。これは、安易に特例公債を出すのではだめだ、抑制することを前提にと。

 これは、中期財政フレームで三年ごとでローリングしていますけれども、国債の発行額もそれを踏まえて抑制をしていくんです。そういう財政規律があるという前提でのこれは約束でございますので、財政規律を守っていないという御指摘は当たらないと思います。

江田(憲)委員 まあ、どう強弁されようが、今の財政法の例外を認めるわけですから、今までの原則から外れている。何よりも国会のチェック、国民の代表である国会のチェックをないがしろにする。我々も、予算と特例公債法案は一体に毎年処理すればいいと思いますよ。それをここまで延ばされたのは民主党の思惑ですからね。そこは一つ指摘しておきます。

 では、本体の質問に入りますけれども、まず、このボードをごらんいただきたいと思います。

 特例公債法案の成立がおくれているということを口実に、九月に政府は閣議決定をされ、各種予算の執行を抑制してこられました。

 大体重立ったものを挙げると、このボードを見ていただければ、九月―十一月の三カ月間で、地方交付税、これは一番地方の国民生活、住民生活に影響を及ぼすところですけれども、九月時点で二・二兆円交付されなかった。そして、十一月二日に本来交付されるはずだった四・一兆円も先送りをされた。あと、基礎年金の国庫負担であるとか、健康保険組合への補助金であるとか、そういったものが、ごらんのように抑制をされているということであります。

 今度は、財務大臣、ちょっと簡単に。これはもう財務当局と、事務当局ともすり合わせておりますから、これに偽りはないと、一言御答弁をいただけますか。

城島国務大臣 地方交付税の四・一兆円のところは、今御説明があったように十一月分を含んでいるということでありますから、そういう面でいうと、特例公債が成立すれば、この部分については一兆円程度、本来でいえば一兆円程度というところじゃないかと思いますが、全体としてはそうだと思います。

江田(憲)委員 それでは、総務大臣に質問させていただきますが、この地方交付税の交付の抑制の結果、各種地方公共団体が一時借入金をしていると思いますね。その額と金利負担について簡単にお答えください。

樽床国務大臣 額は、まだ精査している途中ですから、単純に合計したもので約六千三百億円、これに発生する金利負担は約五千七百万円であろうと承知をしております。

江田(憲)委員 これだけの予算執行を抑制し、地方交付税関係では、具体的に地方公共団体に六千三百億円の借入金、それに伴う金利負担五千七百万円、これは上乗せで負担がかかっているわけですよ。ここまで実害を与えてまで抑制をしなければならない理由は全くないと、みんなの党は考えております。

 それが、次のボードを出していただきたいんですが、平成二十四年度の予算総則八条には、まさにこうした資金繰りのために財務省証券、これは短期証券という国債ですが、及び一時借入金を二十兆円を限度として出せるというふうに、これは予算総則ですから、国会の議決があり、国会の意思でありますけれども、なぜ、わざわざこうした国会から政府に授権がされている二十兆円という資金繰りのための短期証券を発行して各種予算の執行抑制を回避する、こういった決断をされなかったんでしょうか。総理大臣。

城島国務大臣 財務省証券の発行限度額は、財政法の規定に基づいて予算総則で規定をし、国会の議決を経ることとされており、二十四年度においては御指摘のとおり二十兆円となっております。一方、特例公債の発行限度額につきましても、財務省証券と同様に、特例公債法案の規定に基づいて予算総則で定めることとされており、二十四年度においては三十八兆三千億円とされておりますが、特例公債は、予算が成立しても法案が成立しなければ発行できないことになっております。

 財務省証券につきましても、予算総則に規定があるからといって、単に予算が成立すれば発行できるというものではなくて、法律上その発行が認められる状況でなければ発行が認められないのは当然であると思います。

 財務省証券は、税収等が国庫に入るまでの一時的な資金繰りの手段として発行が認められるものであり、財政法において、その年度の歳入をもって償還しなければならないこととされております。

 したがって、特例公債法案の成立が見込めない場合に、特例公債金を償還財源とする財務省証券を発行することは許容されないものと考えております。にもかかわらず、政府独自の判断によって特例公債法案の成立を前提として財務省証券を発行することは、むしろ立法府を軽視するものであり、行政府ののりを越えるものと考えております。

 今回のように、予算と法律との不一致という事態はしばしば生じるものであり、そうした場合は、行政府、立法府ともに不一致を解消すべく取り組むことが必要になるものと考えております。

江田(憲)委員 ちょっと、御自身の頭で考えて御自身の言葉で言ってくださいよ、財務大臣。読み上げるのはもううんざりですよね。

 では、お聞きします。

 先ほど樽床大臣から御答弁あったとおり、地方自治体は借入金をやっているんですよ。

 今、簡単に言うと、財務大臣が言ったのは、このボードにある財政法の七条二項に「財務省証券及び一時借入金は、当該年度の歳入を以て、これを償還しなければならない。」と書いてあるから、特例公債法案が成立しなきゃ償還できないから発行できないと言っているんです。

 では、お聞きしますが、地方自治体は、さっき言ったように六千三百億円の借り入れをしているんですよ。同じ条文が地方自治法二百三十五条の三にあるにもかかわらず、地方自治体は借り入れができて、国はできないという理由を説明してください。簡単に。

城島国務大臣 政府の立場からは、立法府において特例公債法案を成立していただけない状況においては、先ほど申し上げましたように、政府独自の判断として特例公債金を償還財源とする財務省証券を発行することは、財政法の規定から照らしても許容されないものと考えております。

 一方、今御質問ありました地方公共団体においては、成立済みの地方交付税法に基づき、国から地方交付税の交付を受けることが予定をされていることを踏まえ、年度内に償還財源が確保できるものと判断して一時借り入れを行うことは、地方自治法に抵触しないということだと承知しております。

江田(憲)委員 それは財務大臣、ちょっと考えればわかるんですよ。あなた方が強弁しているのは、財源の裏打ちがないから短期証券は発行できないと言っているんですよ、あなた方は。同じじゃないですか、地方自治体も。地方交付税法が成立していても、それは法律ですよ。法律で予算が自動的についてくるんですか。違うでしょう。こんなものは初歩中の初歩ですよ。

 だから、これはこういうことなんですよ。財政法というのは行政法規であって、行政府を縛るんですよ。そして、これも常識ですけれども、予算と法律というのは別形式で同格ですから、政府としては、なるべくこれは一致させるように解釈しなきゃだめだ。

 今回はその例外で、あえて食い違うように解釈をして、国会の議決で、直近の議決で二十兆円授権されているんですよ。しかも、こんな実害が起こっているわけでしょう。国民生活、経済活動に重大な支障を及ぼしてまでこんな解釈を、こんなへ理屈をこね回して、地方自治体、地方でも許されているような、こういった解釈をしてやるというのが、私は、これはもう本当に、財務省の手のひらで踊る野田政権の象徴的な事例だと思いますよ。

 申しわけないですけれども、自民党さんも公明党さんも、こういう財務省のつくった土俵の上でチキンレースをしないでくださいと私は申し上げている。これだけの実害があるんですから、百歩譲って両論が成り立つのであれば、政府の義務としては、財政法の解釈として法律と予算は合致させるように解釈するというのが常識なんです、これは。

 ですから、我々も、特例公債法案をやみくもに反対するとは言っておりません。まず減額補正をする。二十兆円の短期国債でつないでおいて、時間的余裕を持って交渉時間をつくって、そして減額補正をする。無駄遣いの解消、それから国債整理基金の十兆円を今回はやめる、そういった減額補正をしながら、かつ、消費増税を担保としたつなぎ国債の発行規定を削除してやれば、我々も特例公債は賛成すると申し上げておきます。

 いずれにせよ、こういった官僚政治、中央集権、幕藩体制、こういったものを打破するのが次の総選挙の最大の眼目なので、これはもう民主、自民、公明党さんは三党で密室談合しているんですから、選挙の前に一緒になった方がわかりやすいですよ、国民に。(発言する者あり)嫌ですか。ごめんなさい。だから、民主、自民、公明……

中井委員長 時間が来ていますから、江田さん。

江田(憲)委員 社会保障と税の対立軸をはっきりして戦うことを宣言いたします。

 どうもありがとうございました。

中井委員長 これにて江田君の質疑は終了いたしました。

 次に、松野頼久君。

松野(頼)委員 日本維新の会の松野頼久でございます。

 きょうは十五分という短い時間ですので、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、お手元の資料をごらんください。きょうは、復興予算の流用問題について質問をしたいと思います。

 まず、総理、この復興予算ですけれども、福岡に食堂をつくっています。また、松本では風呂場の建てかえをしております。資料の一、これに細かく出ているんですけれども、裏のページにも、もう福岡だけに限らず、大分、北海道、佐賀、長崎、群馬。防衛省がこういう施設整備をしているんですが、まず、これは今回の復興予算の何の項目で支出をしているのか、お答えいただければと思います。

城島国務大臣 お答えしたいと思います。

 復興予算として計上した事業について、特にお風呂、浴場、厨房の建てかえということでありますが、東日本大震災で、自衛隊は、極寒、冠水、余震等による二次災害のおそれのある倒壊家屋の瓦れき処理等、過酷な環境下で活動を行ってまいりました。このような隊員の肉体的及び精神的なケアを万全に行うためには、その回復基盤としての厨房や浴場等の生活関連施設の適切な維持は不可欠であるというふうに思いました。

 なお、東日本大震災では、仙台駐屯地、松島基地の浴場を被災者の入浴支援に用いており、状況によっては被災者の利用に供することも考慮する必要があるのではないかと思っています。

 このため、首都直下、東海、東南海地震等の懸念が高まっていることも踏まえ、老朽化が進み、大規模災害発生時に適切な機能を果たすことができないおそれがある施設を優先して、必要な建てかえ、改修を行うことにしたものでございます。

松野(頼)委員 確かに、自衛隊の隊員の皆さんが大変頑張っていただいた、これはもう認めることです。感謝もしております。

 ただ、復興予算からこの建てかえの予算を出すというのはとても納得できないんじゃないかと思うんですね。今までも議論があったと思いますが、例えば、全国防災という文言が三党合意によって入ったことによって防災事業には使っている。これもいかがなものかと思いますが、ただ、今回のは、老朽化、欠損、そして隊員が多量に汗をかいて、食品衛生上もふさわしくない状況だからこれを改善する。要は、防災とも全く関係のない予算ではないかというふうに私は思っているんですが、この辺に関していかがでしょうか。

森本国務大臣 今先生の御指摘のように、東日本大震災、十万七千人の自衛隊員が出て、人命救助あるいは生活支援をしてきました。

 そういうときに一番重要なのは、現にそこにある施設、あるいはその施設の能力そのものが結局は防災、減災に役に立つわけで、これからどのような災害が全国で起こるかわからないので、自衛隊の重要な拠点の施設を、いつでも災害に対して一般の方に人命救助あるいは生活支援ができるように、このような食堂、厨房あるいは入浴場の修理をするということで、これは全部やっているわけではないんですけれども、九州だったら九州、例えば食堂であれば福岡、別府、あるいは浴場であれば松本、健軍などでやっています。

 これは重要なことで、つまり、どこで起こるかわからない災害に対して、拠点の自衛隊がその施設の能力を使っていつでも生活支援をするために、今不備になっている施設を整備しようというもので、これは決して私は災害救援に無益なものであるというふうに考えてはおりません。

松野(頼)委員 それを言ったら、何でも建てかえできるじゃないですか、何でも使えるじゃないですか。

 いや、私は建てかえちゃいけないと言っているわけじゃありませんよ。隊員の生活向上は大事なことだと思います。であれば、一般会計できちっと予算を要求して、施設整備費としてとればいいじゃないですか。何でこういうこそくなことをするんですか、災害にかこつけて。まるで復興詐欺みたいなことをするんじゃありませんよ。私はそう思いますけれどもね。

 もう一つ、追加で言わせていただきます。法務省。

 法務大臣にお伺いします。

 八丈島の検察庁、今設計の予算が入っています。また、島原、交野では埋蔵文化の調査ということで予算が入っています。この埋蔵文化と復興予算とどう関係があるのか、御説明いただきたいと思います。

滝国務大臣 ただいま委員から三点について御質問をいただきました。

 この委員のおつくりになった資料の中で施設整備の経費でございますけれども、これはいずれも、耐震調査の結果、危ないと言われた施設について、全国防災という格好でそれの建て直しの準備をしよう、こういう事柄の案件でございます。

 その中で特に委員が御指摘になりました埋蔵文化財の調査、それは、新たな敷地をいじる際の文化財調査ということで、要するに建てかえのための敷地の調査をこの全国防災でやっている、こういうことでございます。

松野(頼)委員 要は、老朽化した施設を建てかえるのに、何でもかんでも復興予算である。これは、国民皆さんが、長い間、所得税や法人税含めて増税によって賄われている特別会計であります。

 みんな、これは国民はほとんど、あれだけの被害をこうむった被災地のために使われるものだと思って、私も法案に賛成をいたしました。多くの国民が、被災地のために使われるだろうと。これが被災地から全く関係ない、例えば島原とか、九州の検察庁の建てかえだとか、また防衛省の風呂場やキッチンの改修工事に使われるというふうに、ほとんど思っていないと思いますよ。

 老朽化して建てかえる必要があるならば、きちっと一般会計の施設整備費として予算を計上すればいい話であって、復興に潜り込ませて、いかにも復興ですよと言って増税をしたこの予算から流用するべきではないというふうに私は思います。

 伺います。資料三をお願いいたします。

 平野大臣が、十月十九日の参議院の行政監視委員会でこのようにおっしゃっています。必ずしも、ぴったりと復興財源の使途にして、充てるものとして適切かどうかというものについて疑義を生じた、疑義を持った事業もあります、これはもちろん各省との折衝の中で各省が了解したわけではありません。

 これは、了解していないものがなぜこうやって予算計上として出ているのか、お答えいただきたいと思います。

平野国務大臣 その趣旨は、私は、復興財源としての適切な事業としては、私としては判断できない、今その点について各省と議論をしていて、各省との中で折り合いはできていないという趣旨で申し上げました。

 今引き続きその作業はしておりますし、間もなく行政刷新会議でも同じような議論が始まります。そういった議論を踏まえまして、かつまた委員が今おっしゃられたような趣旨を踏まえまして、予算の適正な執行をしっかりチェックすると同時に、来年度予算にも反映させたいというふうに思っております。

松野(頼)委員 今度仕分けをされると言いましたけれども、この仕分けというのは、今までの継続事業、要は旧政権からの継続事業をもう一回チェックするという意味であって、今の政権がつくった予算を自分で仕分けするというのも全くおかしな話だと思いますよ。仕分けをしないでいいような予算をぜひつくっていただきたい。

 そして、仕分けをされると言いましたが、今の防衛省に関してはヘリコプターの映像伝送装置、法務省は被災地域における再犯防止施策、これしか仕分けの俎上にのっていないじゃないですか。もう一度全部ひっくり返して、本当にこれが必要なのか。私は財務省の主計から全部取り寄せました。被災地とは関係のない事業が、私が見ただけでもたくさん入っています。この一個の風呂場、キッチンだけのことを、小さい話を私は指摘しているわけではない。復興のために使う予算はきちっと復興のために使う、このことをぜひお願いしたいと思います。

野田内閣総理大臣 基本的には復興基本法や基本方針に基づいて予算をつけたはずでありますが、事業によっては、今の御指摘のような御批判、御指摘を受けざるを得ないものもあると思います。

 したがって、二十四年度の予算の執行に当たっては、よく精査をしながら進めたいと思いますし、加えて二十五年度の予算編成についても、これは、真に被災地に必要とする予算はしっかり手当てをしていきますけれども、それ以外については厳しく絞り込んでいきたいというふうに考えます。

松野(頼)委員 岡田行革担当大臣が、要は、全国防災で一兆円もう使い切ってしまった、来年の一兆円をどうしようかというような発言をされています。全国防災はまだ続けられるんでしょうか、お答えください。

岡田国務大臣 ここはこの場でもきょうも議論になったんですけれども、全国防災ゼロという議論は余りないんだと思います。つまり、法律の中に全国防災というのが書いてあるわけですから、被災地のために集中的に使うということは今総理が言われたとおりですが、だからといって、それ以外の大震災に備えた全国防災についてこの特会で見ないというのであれば、法改正まで行わないとそれは難しい。そこの全体の案分をどう考えていくかという問題だと思います。

松野(頼)委員 そうすると、例えば九州のこういう事業にもまだ使われるということですか。私は、これは全く理解されないと思いますよ。一般会計予算でちゃんと整備すればいいじゃないですか、こんなこそくなことをせずに。

 例えば、さっき申し上げた一つの例ですけれども、福岡の厨房、キッチンの修理、これはまだ二十四年度も二十五年度も予算要求する形になっているんですよ。ですから、これが果たして全国防災かどうかもわかりませんけれども、法律の趣旨にのっとっているかどうかもわかりませんが、まだこれが続くような形で今のところは予定になっているんです。

 ですから、ぜひこれはやめていただきたい。お答えください。

岡田国務大臣 委員が取り上げられたものが全国防災の厳しい定義に当てはまるかどうかというと、私はかなりいろいろな議論がそこにあり得ると思います。

 いずれにしても、今度の金曜日に新仕分けを行いますので、その中でしっかりと、私は、直接は取り上げないものも含めて一定のルールというものをつくって、その中で厳しく見ていく必要があるというふうに考えておりますので、そういう趣旨でしっかりやっていきたいと思います。

松野(頼)委員 総理、私も民主党に所属していたころ、野党で、特別会計プロジェクトチームというのを総理と一緒にやったことを覚えております。総理が座長で、私が副座長でありました。

 当時の野党の民主党は、こういう無駄遣いを一個一個洗い出して、そして、いかに税金の無駄遣いに切り込むか、特別会計、特殊法人、天下り、これに徹底的なメスを入れるというのが国民の期待を集めたのではないかと思います。ぜひそのときの初心に戻ってやっていただきたい、このことをお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

中井委員長 これにて松野君の質疑は終了いたしました。

 次に、松木けんこう君。

松木委員 新党大地の松木けんこうでございます。

 今、松野さんからいろいろな指摘がありましたけれども、消費税も一緒に使われますよ。消費税がふえたって、いろいろなことに使っちゃうんだから。役人の人は上手ですからね。それをまず、ちょっと指摘しておきたいというふうに思います。

 それと、TPPも、総理、やめましょう。とりあえずやめた方がいい、私はそう思います。農業をやっている人もそうだし、日本の文化も壊しますからね、あれは。よろしくお願いします。

 それでは、質問します。先に私しゃべりますから、時間があったら答えてください。なかったら、もういいです。

 総理と厚生労働大臣にお聞きします。

 民主党の中で、消費税増税を決めるときに、国民に消費税を押しつけるのであれば、議員定数を減らすのは少なくともセットという話が多分出たというふうに私は聞いております。せめてもの国民との約束だったのではないかなというふうに思いますけれども、これもなしで解散するんですかね。

 景気対策、どうなんでしょう。しないんでしょうか。景気は明らかに、今、落ちています。解散するんでしょうか。

 尖閣の問題、大丈夫でしょうかね。選挙をやっているときに、外国の方が、どこの国とは言いませんけれども、そういう方々がだあっと入ってきたら、一体、誰がどうとめるんですかね。誰が責任とるんでしょうか。よくわかりません、私には。

 もう一つ、こんな年末で解散するというのは、これは例えば忘年会だってやりづらくなりますよ。

 そして、もう一つ、マニフェストで約束したと思いますけれども、野党時代、参議院で二度も可決した可視化法というのがありますね。

 これは、今回の小沢裁判、結局、騒いで騒いで、あいつは悪い悪いと言われて、それで最後に無罪と。石川代議士が、取り調べのときに検事とのやりとりのテープをとっていたんですね。そこで新たな事実がわかりました。要するに、検事がうそをついていたということがわかって、それで裁判の流れが随分変わったなというふうに私は感じております。

 あるいは、昨今、パソコンの問題で四人が挙げられたじゃないですか。そして、二人は自白までしていた。でも、実はそうじゃなかった。こういうこともあるし、あるいは、うちの代表の鈴木宗男さんのときも、随分と厳しい、そして強引な取り調べがあったというふうにも言われているわけですね。そして、東電の女性社員の殺害事件のマイナリさんの事件もそうですね。そして、足利事件なんというのもありました。

 要するに、無理な自白が原因でかなり冤罪がつくられていると言って過言でないと私は思いますし、多分これは、ひょっとしたら氷山の一角でないかという感じも受けているわけでございます。国民誰もがこういうことにどこかで陥る可能性がある、危険があるんですよ。

 ですから、民主党は、国民の側に立って、可視化法というのを参議院で二回上げたはずです。しかし、それからはどうなったんでしょうか。私は残念でなりませんし、これも決めないで解散をされるんでしょうか。

 そして、厚生労働大臣には一つだけ聞きたい。

 それは、私の選挙区なんかもそうなんですけれども、私は北海道の大分地方の方です、寒いところです。お医者さんが来てくれません。なかなか来てくれません。いろいろなことをやってみました。でも、やはり最後に、例えばアフリカだったら行っても、でも北海道はねというのがあるぐらいですよ。そして、町に一人しかお医者さんがいないというのがいっぱいあるんですよ。

 これはやはり国が主導して、ぜひ、できれば、行くシステムというのを、これは小泉構造改革で壊れたんですよ。ですから、これをもう一度、どういう形か、私は私案がありますけれども、それは三井先生と私は仲がいいので後で言いますけれども、ぜひ、三井先生も厚生労働大臣として、この北海道の問題だけじゃありません、地方全部そうだと思います、こういうことを考えていただきたいと思います。

 では、まだ時間が三十秒ぐらいありますので、答えてください。

中井委員長 十五秒です。

 野田さん、解散のことだけでも答えますか。

野田内閣総理大臣 いろいろ御指摘がある中で、解散を急ぐことはないんじゃないか、やるべきことをやった方がいいのではないかという御指摘だと思います。

 そういう温かいアドバイスも含めてでありますけれども、特定の時期を明示することは控えさせていただきたいというふうに思います。

松木委員 どうもありがとうございました。

中井委員長 これにて松木君の質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

中井委員長 この際、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。この際、その補欠選任を行いたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中井委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に高木陽介君を指名いたします。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.